2011年09月30日

第28話「翼は永遠に」感想その3

キアイドーに完敗してしまったゴーカイジャーの面々。
結局、その場は「消え失せろ」というキアイドーの言葉に従うかのように退却することになってしまいました。
このような屈辱はマーベラス一味の旗揚げ以来初めてのこと。
さすがにガレオンに戻ってきた6人はガックリしてしまいました。
ソファで固まって無言でうなだれる5人の中で、ジョーはなんとか口を開き
「・・・さすがは、宇宙一の賞金稼ぎってところか・・・」と呟きながら、チラリとマーベラスの方を見ます。
マーベラスは1人だけ離れて窓際のテーブルに手をついて、5人に背を向けてうなだれています。

ジョーもさすがにキアイドーの強さは認めざるを得ませんでした。
ハッキリ言って自分もキアイドーを舐めていたし、普通に戦えば勝てると思い上がってもいた。
そんな簡単な相手ではなく、必死で戦わねば勝てる相手ではなかったことは悟りました。
それでも、絶対に勝てない相手でもないと思っていました。
そもそも、この世に絶対などということはないが、そういう一般論ではなくても、客観的に見ても、
今の自分達の全力で当たれば、あそこまで完敗するほどの相手でもないとは思えました。
百戦錬磨のキアイドー相手に個々が撃破されたのは仕方ないとしても、
万全の態勢で放ったスーパーエレクトロンやオーラパワー衝撃波の合体攻撃までが
苦も無く弾き返されるというのは異常です。
何かがおかしいとジョーは思いました。そして、その原因はマーベラスにあるように思えました。

キアイドーに遭遇してからのマーベラスの様子は明らかにおかしい。
まるで何かに怯えているような、今までにない弱さをジョーは感じました。
いったいどうしたんだ?と一瞬、非難がましい視線でマーベラスの背中を見つめたジョーは、
しかしそんな自分を恥じました。
弱いのは自分達も同じだと思ったのです。
マーベラスだけを責めるのは間違いです。
攻撃が通じなかったのは、自分達の力も足りなかったからです。

しかし、ジョーは自分達の弱さを恥じているのではありません。
マーベラスと同じように何時の間にか自分達も本来の力を出せなくなっているだけです。
ただ、マーベラスはああして一人でそうした自分の弱さを自覚して苦悩しているのに、
自分達は自らの弱さにさえ気付いていなかった。向き合っていなかったのです。
実際、ジョーもキアイドーに簡単に勝てると思っていた。
マーベラスは明らかに怯えて見えるほどに警戒はしていた。
結果的にはマーベラスの方が自身のことも相手のことも含めて状況はよく見えていたのです。
迂闊だったのはむしろジョー達の方だった。
それなのに一瞬でもマーベラスを非難がましい目で見てしまった自分をジョーは恥じて、目を伏せます。
しかし、何故、自分達が弱くなったのか、その原因が分からないのでした。

その横ではアイムが「悔しいですけど、私達の攻撃の全く通じませんでした・・・」と、しょんぼりし、
ルカは「なんとかしてあいつを倒す方法考えないと・・・!」と腕の傷を眺めながら悔しげに言います。
アイムは普通に実力が及ばなかったと思っているようであり、
ルカは作戦次第で勝てるのではないかと思っているようです。
しかしジョーはそういう問題ではないと思っています。
アイムのように実力が及ばないと簡単に諦める必要は無い。
6人力を合わせれば、決して勝てない相手ではない。
ただルカの言うように安易に作戦次第で勝てるような相手でもない。
自分達が今、力を発揮しきれていないのが問題なのです。
その壁を破らないことには勝機は無い。

しかし、それがどういう壁であり、どういう原因で壁に当たっているのか分からない以上、
「壁を破らないといけない」などと言ったところで抽象論に過ぎず、変に不安を煽るだけです。
だからジョーは黙ってアイムやルカの言うことを聞き流すしかなかったが、
ハカセが「見逃してくれるって言ってるんだし、無理して戦わなくていいんじゃないかな?」と言うと、
さすがにムッとしました。

確かに、あのキアイドーの様子だと、自分達と戦うことにこれ以上は興味を抱いていないようでした。
こちらの態勢が整わない以上、下手に刺激しないでやり過ごすのが賢い方法なのかもしれない。
しかし、それは自分達の心の弱さをそのまま認めてしまうことを意味していました。
実力が本当に劣るのならば、その現実を受け入れることは必要かもしれない。
しかし、心が弱くて実力が発揮出来ていないと知ってしまった以上、
それはそのままにしておくわけにはいかない。
絶対に克服しなければ、本当の負け犬になってしまう。
ハカセ達は自らの心の弱さを意識していないから、このまま引き下がっても平気なのだろうけど、
自分の心の弱さが原因だと分かってしまっている自分とマーベラスは、
このまま負け犬になることを受け入れることなど出来るわけがないと、ジョーは思いました。

ところが、いつもなら真っ先にハカセに怒鳴り返しそうなマーベラスが、
今回は何故か背中を向けて肩を落としたままなのです。
いや、マーベラスはハカセの言葉を聞いて、ジョーと同じことを想っていました。
ここで引き下がったら自分の心の弱さを認めた負け犬になってしまうということは分かっていました。
ただ、ジョーと違うのは、かつてキアイドーに恐怖した自分の心の弱さを知っていることです。
あの心の弱さは克服したはずなのに、今回、またキアイドーを前にして心に弱さが生じてしまった。
本当はその弱さと昔のマーベラスの弱さは異質なものなのですが、
マーベラスはその違いがよく分かっていないので、
自分は結局、ずっと昔の弱さを克服出来ていなかった心の弱いヤツなのかもしれないと思い、
悔しさに両拳を握るものの、ハカセに反論するだけの強気も湧いてこないのでした。

しかしジョーはマーベラスが過去にキアイドーと因縁があったことは知りませんから、
マーベラスが黙ったままであることに苛立ち、
キッとハカセを睨み返すと「・・・このまま引っ込めるか!」と強い口調で立ち上がり、
マーベラスの方に向き直り歩き出します。
マーベラスにもこのまま引っ込めないという意思を明らかにさせようとしたのです。

ところが「・・・でも!」とジョーに何か言い返そうとして立ち上がったハカセの頭が
ちょうどソファのあたりを飛んでいたナビィに激突し、
「いったぁ〜!!」とハカセが頭を押さえて大袈裟に痛がったので
ジョーは足を止めてハカセの方を振り向きました。
するとハカセと激突したナビィがフラフラと浮かびながら
「メラメラメラ〜と火の鳥がぁ、邪悪な敵を打ち倒すぅ・・・」と唱えて
「こんなん出ましたぁ!!」と、落っこちます。
ちょうどナビィのお宝ナビゲートが発動しかけたところに
ハカセの頭とぶつかったショックでお告げが出たようです。
相変わらず、この「お宝ナビゲート」というやつの原理は謎ですが、
ともかくちょうど、今回はこのお宝ナビゲートが出る時期であったようです。

「こんな時にお宝ナビゲート?」とハカセは頭を痛そうにさすりながらブツブツ言います。
こんな酷い負け方をしてみんなが落ち込んでいる時に、お宝探しの気分は盛り上がりそうにありません。
しかし、ナビゲートが出た以上は、それに従って「大いなる力」を探さなければ、
その「大いなる力」をゲットするチャンスを逃してしまうかもしれない。
マーベラス一味が地球へ来たのは「宇宙最大のお宝」を見つけるためであり、
そのためにはナビゲートに従って「大いなる力」を探すことは何よりも優先しなければならない。
それが分かっているだけに、よりによって嫌なタイミングでナビゲートが出たものだとハカセはウンザリしました。

ところが、ルカは「・・・ちょっと待って!」と言って、落っこちたナビィを拾い上げて
「邪悪な敵を打ち倒すって・・・キアイドーを倒すヒントになるかも!?」と言います。
さっきからキアイドーを倒すアイディアは無いものかと思案していたルカは、
ナビィのナビゲートがこのタイミングであったということは、
キアイドー打倒と「大いなる力」が関係があるのかもしれないと思ったのです。

それを聞いてハカセもアイムも表情が明るくなりますが、ジョーは冷めた表情で3人を眺めています。
今回の件はそういう他力本願ではダメだと思ったのです。
ところが、ルカの思いつきを聞いて、それまでずっと背を向けて黙っていたマーベラスが、
ガバッと振り返って「なに!?」と思いっきり食いついたので、
ジョーは嫌な気分になってマーベラスの方をチラリと見ます。
マーベラスはルカ達とは違って自分の心の弱さが今回の敗北の原因だということは分かっているはずなので、
ジョーとしてはマーベラスにそういう他力本願な態度はとってほしくなかったのです。
ところがジョーがマーベラスの方を見たその時、
ナビィのお告げを聞いて「火の鳥って・・・」と考え込んでいた鎧が急に立ち上がり、
ナビィを抱きしめて、大きな声で「もしかしてジェットマンのことじゃあ・・・!?」と叫びます。

現時点で未だゲットしていない「大いなる力」は、
バトルフィーバーJ、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャーの11個です。
ナビィのお告げはこの11個のうちのどれかを指していることになります。
そう考えると、この11の戦隊に絞って「火の鳥」に関係ありそうな戦隊を探せばいい。
そうすると、この中では、合体戦闘機イカロスハーケンが火の鳥になって敵に体当たりする
「ジェットフェニックス」という巨大戦の必殺技を持つジェットマンがそれに該当するとしか思えません。
「フェニックス」はまさに「火の鳥」ですから。
そういうわけで鎧は今回の「大いなる力」はジェットマンのものだと結論づけたのでした。

「・・・ジェットマン?」と問いかけるアイムや皆に、
鎧は「はい!数あるスーパー戦隊の中でも風変わりな人達だったみたいですよ・・・
戦隊を引退した後、1人は無農薬野菜のネット販売で有名な社長さんになったり、
あとアイドルになった人もいましたし、メンバー同士で結婚した人もいたみたいですよ!」と説明し、
アイムは「まぁ素敵!」と結婚という話題に感激します。

ちなみにバイラムを倒してジェットマンを解散した後、
メンバー同士で結婚したのは、レッドホーク天堂竜とホワイトスワン鹿鳴館香で、
アイドルになったのはブルースワロー早坂アコであり、
おそらく無農薬野菜のネット販売の社長になったというのは農業青年だったイエローオウル大石雷太でしょう。
そうなると残るのは冒頭で登場したブラックコンドル結城凱ですが、
結城凱については鎧はここでは何も触れていません。
なお、結城凱と鎧は名前が一緒で紛らわしいので、
結城凱のこの文中での呼称は今回、「凱」ではなく「結城凱」で通します。

しかし雷太が「有名な社長」になっているということは、当然、「大石雷太」という人物は有名人で、
その名は世間の多くの人が知っているのでしょう。
ただ「ジェットマン」という戦隊は20数年も前の戦隊であり、
その当時においてもスカイフォース所属の秘密戦隊扱いであり、
その後、数年前のレジェンド大戦でその姿を再び現すまでは活動もしておらず、
レジェンド大戦以前はジェットマンに興味を持つ人はごくごく限られていたと思われます。

そうした中でジェットマン解散後に起業して成功した雷太や、アイドルになったアコらは有名人になり、
もともと財閥の令嬢であった香やその夫のエリート軍人の竜なども同業者の世界では有名人であったはずです。
彼らは元ジェットマンの雷太やアコや香や竜としてではなく、
単なる青年実業家やアイドルの1人、財閥令嬢、エリート軍人として有名人となっていたのです。
むしろ「ジェットマン」という存在の方が彼らよりもマイナーであり、
スカイフォースからもあまり機密を喋られても困るというプレッシャーもあったであろうから、
彼らは自分達がかつてジェットマンであったことは、一部の親しい人達にしか話していなかったと思われます。

そしてレジェンド大戦が起こってジェットマンもレジェンド戦隊の1つとして語り継がれるようになり、
その戦いに参加した竜たちは自分達の名を吹聴するようなことは決してしなかったであろうが、
レジェンド戦隊のファンの中には「ジェットマンは誰なのか」について調べる者もいたのでしょう。
有名人の発言というものは残りやすく調べやすいものですから、
ジェットマンのメンバーで有名人になった者達の過去の発言から、
「あの有名人の彼らが実はジェットマンであった」ということが
レジェンド戦隊ファンの間では知られるようになっていったのでしょう。

やはり過去の戦隊のメンバーの正体が戦隊ファンの間で知られるようになるポイントが、
素顔の戦士が戦隊とは関係なく有名人である場合というのはあるようです。
明石暁のことを鎧が知っていたというのも、
明石がボウケンレッドである以前に有名な冒険家だったからでしょう。

しかし、ここで鎧が「有名な社長やアイドルになった人もいた」と言いつつ
雷太やアコの名前は挙げていないというのは、明石の場合とは少し様子が違います。
鎧はおそらく「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」と自称してはいますが、
まぁ年齢的な事情から、近年の戦隊の情報にはよく通じている一方で、
古い戦隊の情報はさほど詳しいわけではないようです。
だからジェットマンのメンバーに関する情報も、
どういう人達がメンバーであったかという漠然とした情報は頭に入っていますが、
その姓名までは本でも見て調べないとすぐには出てこないのでしょう。
当然、メンバーの近況などは分かりません。
いや、それに関しては鎧の持っている戦隊関連の書籍などにも載っていないと思います。
それらの書籍の情報はあくまで過去のジェットマンメンバーの残した発言をもとに構成されたものであり、
現在のメンバーへの取材で作られたものではないようだからです。

「・・・今でも、普通に暮らされてるんじゃないでしょうか?」と鎧が言うことからも、そう想像出来ます。
竜たちジェットマンのメンバーは、あくまで普通の暮らしを大切にしており、
元ジェットマンであることで表舞台に立つことは望んでいないようなのです。
鎧がわざわざ、詳細な近況を知らないのに、「普通に暮らされてる」と決めつけているということは、
「ジェットマンは引退後、決して表舞台には出ずに一般人として普通に暮らしている」という
印象があるということです。
ジェットマンとはそういうものだという漠然とした定義が戦隊ファンの間では常識なのでしょう。

それはジェットマンという戦隊の特殊性に起因します。
ジェットマンは軍人の竜以外は4人ともごく普通の民間人で、
事故によってバードニックウェーブを浴びてしまったため、戦士として戦う羽目になってしまった戦隊です。
だから、もともと彼らには彼らの本来の人生があり、
戦いが終わり、そして数年でバードニックウェーブの効力も切れれば、
元の普通の生活を送るのが当たり前だったのです。

だから、元ジェットマンという理由で変な騒動や危険に巻き込まれてはいけないので、
元ジェットマンとして世間に出るようなことはせず、
あくまで普通の生活をひっそり送るのが基本になっているのでしょう。
竜だけは軍人ですから立場が異なるのですが、
竜は香と夫婦ですから、香を守るためには竜も元ジェットマンとして表舞台には立つことは出来ないのです。
おそらく彼らはレジェンド大戦にはやむなく参戦したものの、素顔は晒さずに参戦したのだと思われます。

そういうわけで、鎧もジェットマンの元メンバーの近況は分からないのですが、
ナビィのお告げがあったということは、そのジェットマンのメンバーの誰かが
ガレオンの近くにきているということであり、
マーベラスは鎧の話を聞いて、それだけ有名人もいるのならすぐに特定は出来ると思い、
「よし、ジェットマンを探すぞ」と言って、さっさと外に出て行きます。
鎧やハカセ、アイムはいつものごとくマーベラスがお宝探しに燃えていると見て、
張り切って立ち上がり、後に続いて出て行きます。

が、ルカとジョーはすぐには部屋を出て行かず
マーベラスの出て行った部屋の出口あたりを見て少し思案顔となります。
ルカはマーベラスの様子がさっきの戦いの最中からどうもおかしいように思って
漠然と気になっている程度なのですが、
ジョーはマーベラスが自分の弱さを克服することを避けて、
ジェットマンの大いなる力に頼ろうとしているように思えて、不満でした。
しかし、他力本願であれ何であれ、部屋にこもって落ち込んでいるだけよりは、
行動した方が何か良い解決法を見つけるきっかけになるかもしれない。
それはマーベラスにしても自分にしても同じだと思い、
とにかくジェットマンを探しに行くことにしたのでした。

一方、ギガントホースにはキアイドーが呼び出されてワルズ・ギルの詰問を受けていました。
「貴様!なぜ海賊どもを逃がした!?」とワルズ・ギルは激怒しています。
キアイドーの戦いはギガントホースでモニターされており、
キアイドーが見え透いたやり方でマーベラス達を見逃したことはワルズ・ギル達には筒抜けでした。

もちろんキアイドーもそんなことは百も承知で見逃したのであり、こうした叱責は予想済みです。
「この俺から逃げたという噂が立てば、ますます賞金が上がるだろう・・・ブタは太らせてから食え・・・だ!」と、
何やらもっともらしい理屈で自分の行動を説明します。
つまり、マーベラス達をわざと見逃したのは彼らの賞金額を吊り上げて、
最終的に自分が手に入れる賞金額を増やすためだったというのです。
言い換えれば、ちゃんと殺すつもりはあるのだと申し開きしているのです。

しかし、これはウソでしょう。
実際はキアイドーは戦いを楽しみたいだけなので、現時点ではマーベラス達を殺すつもりはない。
しかし、そんなことを正直に言ってしまえばワルズ・ギルの怒りを無用に買って面倒なことになりそうだから、
本当は殺すつもりだが賞金額が不満なだけだと言って誤魔化しているのです。

しかしワルズ・ギルは簡単にこのキアイドーのウソに引っ掛かって
「フン!所詮は金か!薄汚い賞金稼ぎの考えそうなことだ!」と悪態をつきます。
バカのワルズ・ギルがせっかく騙されてくれたのだから、そのまま流しておけばいいようなものですが、
しかしキアイドーはバトルジャンキーはバトルジャンキーなりに戦う者の誇りはあるようで、
さすがにこのワルズ・ギルの侮辱には少しムッとして「・・・俺の虚しさを埋めてくれるのは、金と戦い!
・・・それとも、この中の誰かが退屈を紛らわせてくれるのか?」と、
指令室の面々に向かって殺気を放って凄みます。

インサーンは緊張した面持ちとなり、
バリゾーグはワルズ・ギルを守るようにすっとキアイドーの前に立ち、
ワルズ・ギルは焦ってバリゾーグの後ろにさっと隠れます。
しかしキアイドーは「ほう・・・」と言いながら、彼らの方ではなく部屋の脇の方に視線を移し、
そこに何時の間にか静かに立っているダマラスに向かって
「お前なら楽しませてくれるかもな・・・!」と挑発します。
しかしダマラスは微動だにせず静かにキアイドーを見下ろします。
しばし沈黙の後、キアイドーは「フッフッフ・・・!」とほくそ笑むと、指令室を出て行きました。

この場面で、さりげなくダマラスがザンギャック地球侵攻軍の中で最強の戦士であることが示唆されていますが、
結局、キアイドーもさすがに賞金首でもないダマラスと戦うわけにもいかず、
不遜な言い方ではあったものの、
一応はマーベラス達を狙う意思はあるということを認めさせられた形になったので、
再度、バリゾーグの作戦の一環で、マーベラス達を襲撃することにはなったようです。
ただキアイドーのモチベーションはかなり下がっているようですが。

さて、ジェットマンを探しに外に出たマーベラス一味の6人ですが、2グループに分かれて行動中です。
まず、ジョーとルカとハカセの3人組の方ですが、
歩きながらルカが「ねぇ・・・マーベラスの様子、何か変じゃなかった?」と2人に話しかけます。
ジョーは当然それは気付いていますが、「・・・確かに・・・」と気の無い返事です。
一方ハカセは「当然でしょ!あれだけやられたら僕だって・・・」と答えます。

ハカセもマーベラスが落ち込んでいるのは当然分かっています。
まぁあれだけ分かりやすい落ち込み方を船室でしていれば、誰でもマーベラスが普段とは違うことは分かります。
ハカセはそれを、あそこまでキアイドーに完敗すれば落ち込んで当然だと、
見たまんまの印象を言っているのです。

しかしルカは「そうじゃなくって・・・」と焦れて何か言おうとします。
ルカがマーベラスのことが変だと言っているのは、戦いの後の話ではなく、
戦っている最中から変だったということなのです。
ハカセは負けた結果マーベラスの様子が変になったと言っていますが、
ルカはマーベラスの様子が変だったから負けたのではないかという点に着目しているのです。
このあたり、ハカセよりもルカの方が観察眼が優れています。

しかし、ジョーはそのルカの観方よりも更に深いところを見ており、
負けたのはマーベラスだけが原因ではなく、
自分達全員がマーベラスと同じ心の弱さを抱えていることが原因だと思っていました。
むしろそれが自覚出来て落ち込んでいるマーベラスの方が自分達よりもマシなのだと思っているのです。
だから、ルカがマーベラスのことだけを問題視するような話を振っても、
ジョーには大して興味は持てなかったのでした。

しかし、その3人の会話は、いきなり彼らの横の道端に停まったバイクの大きな空吹かしの音でかき消されました。
ルカが思わずバイクの方を振り向くと、
黒いバイクの上に黒いパンツ、黒いシャツ、黒いメットの全身黒ずくめの男が跨っており、
その男はメットを外すと「乗れよ」とルカに声をかけます。
これはどう見てもナンパです。しかもかなり強引というか、キザすぎて普通はやらないタイプのナンパです。
こんなイタいことをする奴は誰かというと、ルカやジョー達は知らない顔でした。

しかし、視聴者は知っています。
これは冒頭のクラブのシーンでカウンターでポーカーをしていた男、つまり結城凱です。
結城凱はこういうキザなことが大好きな根っからの遊び人、まぁ悪く言えばロクデナシであり、
妙にこういうキザでバカな振る舞いが似合う非生産的な男です。
しかし結城凱ということは元ジェットマンのブラックコンドルであり、
ナビィのお告げはこの結城凱との出会いを指していたと思われるのですが、ルカ達はそんなことは分かりません。

「おい、何だお前?」とジョーが突然ルカをナンパした男を追い払おうとしますが、
ルカは少しこの強引な男に興味を持ったようで、ジョーを手で制して、
逆にこの男をからかってやりたくなりました。
「ナンパ?・・・あんたにあたしを誘う資格があるのかしら?」とニヤニヤして挑発します。
こういう自信家っぽい男はこうやって挑発すれば必死で自分のセールスポイントをアピールしてくるから、
つまらないセールスポイントならば死ぬほどダメ出ししてやればシュンとなるであろうし、
もし金目のものを持っていそうであれば、せいぜいたかってやればいいとルカは思いました。

ところが結城凱はバイクを降りて「あるさ!」と答えてルカに近づくと、
平然と真顔で「・・・女は全て、俺のものだ!」と、相変わらずアホなことを言います。
もう四十代も半ばを過ぎてるというのに、呆れたものです。
ルカもさすがにこんな返答は予想外で、一応余裕の笑顔は保ちつつ、絶句して立ち尽くします。
ハカセは「はあ〜あ!?」と呆れ、ジョーもさすがに苦笑して
「お前・・・おかしいんじゃないのか?」と結城凱の肩をポンと叩きます。

ところが結城凱はそれまでのルカに向けたにこやかな笑顔から一変して
不愉快を絵に描いたような厳しい表情になり、
「・・・触るんじゃねぇ・・・俺は納豆と男が大嫌いなんだ・・・!」と、我慢の限界のようにプルプル震えて言います。
このセリフは結城凱の口癖で、その意味は、まぁその言葉のまんま、
納豆と男が嫌いで、触るのも虫唾が走るという、すごく身勝手な意見です。
ただそんなことはジョーは知りませんから、また意味不明のことを言う男に「はぁ!?」と問い返したところ、
いきなり問答無用で結城凱に顔をぶん殴られて吹っ飛ばされます。

ジョーはハカセと重なり合って倒れ、その拍子にジョーのモバイレーツが地面に落っこちます。
ルカは「何すんのよ!?」と言って結城凱に殴りかかりますが、
結城凱はさっとパンチをかわしてルカの腕を掴み、
女性に暴力は振るわないポリシーなので紳士的に微笑んでルカをどかせると
ジョーのモバイレーツを拾って「こいつは貰ってくぜ!」と言って、
追いかけるジョーやルカを振り切ってバイクに乗って去っていってしまいます。

さて一方、ジェットマン探しに街に出たマーベラス一味の6人のもう1グループ、
マーベラスとアイムと凱のチームの方は、公園内をぶらぶらと、
周りにジェットマンらしき人物がいないか、鎧が見回しながら歩いて、
その後ろをマーベラスがチンタラ歩いており、アイムがその後ろからくっついていくという感じでした。
鎧は「ジェット〜、ジェット〜、ジェットマ〜ン・・・」と、ジェットマンのOPテーマを口ずさんでいますが、
「ゴーカイジャー」の物語世界では「ジェットマン」という番組は放送されていませんから、
これは本来有り得ません。
まぁこのドラマ内の鎧の歌は全部彼の即興の自作であると解釈して、歌は気にしないことにしましょう。

その鎧の後ろを歩くマーベラスのモバイレーツが鳴り、立ち止まってマーベラスが通話に出ると、ルカからでした。
「大変!変な男が現れてジョーのモバイレーツが盗られたの!」というルカの連絡に
マーベラスは「なにぃ!?」と驚きます。

そのマーベラスの後ろで一緒に立ち止まっていたアイムは後ろに気配を感じて振り返ると、
そこに黒いバイクに腰かけた全身黒ずくめの男がいて、こっちをじっと見ていることに気が付きました。
これはもちろん結城凱なのですが、
結城凱が走り去った後、すぐに連絡したであろうルカとマーベラスが通話中ですから、
そのマーベラスの背後に既に結城凱が居るというのは、時系列的に何やら不自然です。

ただアイムはそもそもこの男が何者なのかも知りませんから、
「あの〜・・・何か御用でしょうか?」と尋ねます。
すると結城凱は先ほど奪ったジョーのモバイレーツを取出し、カチャッと開きます。
どうして見知らぬ男がモバイレーツを持っているのか分からずアイムは驚きますが、
マーベラスはルカとちょうどそのジョーのモバイレーツの件で通話していたところだったので、
背後でモバイレーツを開く音がしたので振り向き、目の前の黒服の男が犯人だと悟ります。

そして、進み出て「お前か?ジョー達を襲ったのは・・・そいつを返してもらおうか?」と結城凱に凄みますが、
結城凱は「欲しけりゃ・・・腕ずくで来な!」と挑発します。
というか、完全に喧嘩を売っています。
「・・・面白ぇじゃねぇか!」とマーベラスは結城凱に殴りかかりますが、何故かパンチは届きません。
先ほどの戦いでキアイドーに腰の引けたパンチが届かなかった屈辱が思い起こされて、
マーベラスは苛立ち、荒々しく吠えてパンチを更に何発も振り回しますが、結城凱には当たりません。
それでいて、反撃は喰らってしまう。
こんな普通の地球人相手にも遅れを取ってしまうほど自分は弱くなってしまったのか?と混乱したマーベラスは、
更に狂ったように結城凱に攻撃を繰り出していきます。

そのマーベラスと謎の黒服の男の戦いをアイムは呆気にとられて見ていました。
マーベラスの攻撃はいつもとそんなに違っているようには見えない。
しかし黒服の男はマーベラスの動きを完全に読み切って防御し反撃しているのです。
そんなことが有り得るのだろうかとアイムは呆然とします。

その3人の少し前方では相変わらず鼻唄を歌いながら
鎧が近くにジェットマンらしき人がいないか探していましたが、
後ろでマーベラスが奇声を上げているのに気づき、振り向きます。
すると、アイムが見ている前で、マーベラスが1人で荒々しく吠えながら
空手の演武のようにパンチやキックを繰り出して動き回っているのが鎧には見えました。
鎧は不思議に思い「あの〜・・・マーベラスさん、何やってるんですか?」とアイムに尋ねます。
どういうわけか鎧には結城凱の姿が見えていないようなのです。

しかしマーベラスにもアイムにも、マーベラスと戦う結城凱の姿がしっかり見えているわけですから、
当然、鎧にも結城凱の姿が見えているはずだと思っています。
アイムはマーベラスが謎の男からジョーのモバイレーツを取り戻そうとして必死で戦い、
苦戦を強いられているというのに、鎧が呑気すぎると思い、
苛立って「・・・何って!?」と声を荒げます。
しかし鎧には結城凱の姿が見えていないのですから、アイムが何を怒っているのかも分からず、
不思議そうに1人で暴れるマーベラスを眺めるだけでした。

マーベラスの方はもうモバイレーツがどうのこうのより、
どうして自分の攻撃が全く当たらないのか分からず、
とにかく1発パンチを当てたいと思い、渾身のパンチを繰り出します。
しかし結城凱はそれを掌で受け止めたまま、
「今のレッドはこんなものか!?落ちたもんだなぁ!!」と罵倒し、じりじりとマーベラスを押し込みます。
そして「俺の知ってるレッドはもっとパンチに魂がこもってたぜ!こんなふうにな!!」と叫ぶと、
マーベラスの顔面に1発、2発と強烈なパンチを叩き込み、
マーベラスは近くにあった柵に激突して、その弾みで懐にあったモバイレーツが転がり落ちます。
そのままマーベラスは柵に寄りかかって崩れ落ち、2人の喧嘩はマーベラスの完敗に終わります。

「マーベラスさん!!」とアイムが驚いて駆け寄ってマーベラスを助け起こし、
それを尻目に結城凱は地面に転がり落ちたマーベラスのモバイレーツを拾い上げると
「これ以上ジェットマンを探すな・・・いいな?」と言い残すと、
そのままマーベラスとジョーのモバイレーツを奪ったまま背中を向けて去って行こうとします。

いきなり現れてモバイレーツを奪うことが目的かと思いきや、
レッドがどうとかワケの分からないことを言ったり、
自分達がジェットマンを探していることを知っていたり、
しかもジェットマンを探すなと釘を刺す、
この謎の男の行動がマーベラスにはさっぱり意味が分かりませんでした。
それで混乱し、マーベラスが立ち去ろうとする男の背中に向けて「何なんだ!?お前は!」と喚くと、
男は振り向いて「結城・・・凱だ・・・」とだけ言って、バイクに跨って去っていったのでした。

結局、マーベラス一味はジェットマンを探しに街に出た結果、ジェットマンは見つからず、
それどころか「結城凱」と名乗る謎の男にマーベラスとジョーのモバイレーツを奪われてしまいました。
慌ててモバイレーツの位置を探知しようとしましたが、反応は無く、
夕方まで必死であたりを探し回りましたが、あの男は何処を探しても見当たりませんでした。
これは一大事で、もうジェットマン探しどころではなくなってしまいました。

あの男が「ジェットマンを探すな」と望んだ通りになってしまったわけですが、
どうしてあの男はジェットマンを探さないようにと言ったのか、
夜になってガレオンに戻ってきた後、鎧は引っ掛かりました。
まぁ鎧はその黒服の男というものを見てもおらず声も聞いていないので、
その男がそんなことを言ったのは聞いていないのですが、マーベラスとアイムからそう聞いたのです。
その男の正体を探る手がかりになりそうな具体的な情報はそれだけですから、
鎧はその男がジェットマンに関係した人物ではないかと思い、
ジェットマンに関する資料を改めて調べてみました。
すると、興味深い事実が判明したのでした。

鎧は深夜にガレオンの船室に集まっていた皆に向かい、その事実を告げます。
「・・・実は、ジェットマンには幾つか謎があるんです・・・
その1つが、消えたブラックコンドルの件で・・・その人の名前が結城凱・・・!」という鎧の言葉を聞いて、
全員が驚愕しました。「結城凱」とは、あの黒服の男が去り際に名乗った名前です。
つまり、あのモバイレーツを奪った謎の男はジェットマンの元メンバーであり、
おそらく今回のナビィのお告げを踏まえて考えると、
あの結城凱こそが「ジェットマンの大いなる力」を持って自分達に近づいてきたレジェンド戦士だったのです。

しかし、ならばどうしてナンパしたり喧嘩したりしてモバイレーツを奪ったのか?
どうして「ジェットマンを探すな」などと言ったのか?
それらの疑問については、どうしてなのかという根本的な部分は分かりませんでしたが、
とにかく結城凱がゴーカイジャーを「ジェットマンの大いなる力」の継承者として認めていないということは
全員なんとなく分かりました。
いや、モバイレーツまで奪うということは、戦う資格すら無いという宣告とも解釈出来ました。

何故、そこまで結城凱に見損なわれなければいけないのか?
もしかしてキアイドーとの戦いで惨敗したのを見ていたのかもしれないとも思えました。
それなら、見損なわれても仕方ないようにも思えました。
しかしマーベラスには、結城凱が自分と喧嘩している時に罵倒してきた言葉から察するに、
結城凱がマーベラスの心の弱さに呆れていたのだということは何となく分かりました。
そしてジョーも、モバイレーツを奪われたのが自分とマーベラスであることから考えて、
結城凱が問題視しているのは単にキアイドーに負けたことではなく、
2人が自らの心の弱さに気付きながら乗り越えることの出来ないことなのだろうと想像出来たのでした。

ただ、それ以外にもまだ解けない謎があります。
鎧は「でも、なんで俺にだけ見えなかったんだろう?いったい何がどうなってるんだ?」と
愚痴りながら考え込みます。
そう、結城凱の姿を鎧以外の5人は確かに見ているのに、
鎧だけは目の前にいながらその姿が見えなかった問題です。

ただ実際マーベラスとジョーのモバイレーツが無くなっている以上、5人が幻を見ていたのではない。
確かに結城凱はその場に居たのです。
それなのに鎧だけその姿が見えなかったのです。
鎧にとってはそれが最大の謎でした。
何か自分の身体に異常が起きているのではないかと、鎧は不安になりました。

しかし、見た感じ、鎧の身体に変調があるようには見えないので、
他の5人はさほど大きな問題とは捉えませんでした。
そんなことよりも奪われたモバイレーツの方が重大な問題だったのです。
ただ、マーベラスはモバイレーツのこと以上に、
「今のレッドはこんなもんか?」などと結城凱に喧嘩の最中に罵倒された言葉が
胸に突き刺さって心を苦しめていたのでした。

さて、しかし、確かに結城凱の行動や、鎧だけに見えないことなど謎だらけではありますが、
それ以上に視聴者にとってここで謎なのが、鎧の言った「消えたブラックコンドル」という言葉です。
どうやらこの「ゴーカイジャー」の物語世界の地球の戦隊ファンの認識においては
ブラックコンドルというのは消えた戦士であるようです。

では、いつ消えたのか?
「消えた」と言われているということは、消える前は確かに存在したのですから、
バイラムとの戦いの時は存在したのでしょう。
ならばバイラムとの戦いの後に消えたのかというと、
バイラムとの戦いの後、姿を消したというのなら他のジェットマン全員同じです。
しかし他のジェットマンは「消えた」という扱いになっていない以上、
バイラムとの戦いの後に姿を消したことは関係ない。

じゃあレジェンド大戦で再び戦場に復帰した後、
レジェンド大戦の最後に変身能力を失って姿を消したことを指すのかというと、これも違います。
他のジェットマンだけでなく、レジェンド戦士全員がこの時一緒に姿を消しているわけですから、
ブラックコンドルだけが「消えた」と特筆されるのは不自然だからです。

となると、考えられるのはただ1つ、
レジェンド大戦にブラックコンドルが現れなかったから
「消えたブラックコンドル」と呼ばれたということです。
二十数年前のバイラムとの戦いの際には確かにブラックコンドルは居たのに、
レジェンド大戦で他のジェットマンは馳せ参じたのに、ブラックコンドルだけは何故か来なかった。

というよりも、レジェンド大戦を目撃した地球の多くの人々は
ジェットマンは4人しかいないと思っていたのでしょう。
ところが後で過去のバイラムとの戦いの記録を調べてみると
ブラックコンドルという第5の戦士が居たと知ったのです。
「では何故、そのブラックコンドルはレジェンド大戦に来なかったのか?」と皆が疑問に思った。
当のジェットマンの4人は何も語ることなくレジェンド大戦後、姿を隠してしまい、
表舞台には出てこないので、ブラックコンドルの謎は残った。
ジェットマンのメンバーがとにかく寡黙なので
他にもファンの間で謎扱いになっていることは幾つかあるようですが、
それらと並んで「消えたブラックコンドル」という謎も語り継がれることとなったのです。

しかし、これはおかしい。
「ゴーカイジャー」第1話の冒頭、レジェンド大戦のシーンで
ブラックコンドルはしっかり他のジェットマンと一緒にザンギャック軍と戦っている姿が映っているのです。
それにブラックコンドルのレンジャーキーも実在しておりマーベラス一味が持っています。
それを使って変身したこともあります。
レンジャーキーが存在するということは、
ブラックコンドルはレジェンド大戦に参加していたということを意味します。

だからブラックコンドルはレジェンド大戦に確実に参加していたはずです。
しかし、「消えたブラックコンドル」という謎も確かに存在し、
ブラックコンドルがレジェンド大戦に参加していなかったとも言う。
まるで、その場に確かに存在していたのに、人の目には見えなかったかのようです。
そう考えると、それは今回、結城凱の姿が鎧に見えなかったことと同じ現象のようにも思えてきます。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:15 | Comment(3) | 第28話「翼は永遠に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

第28話「翼は永遠に」感想その2

では本編・・・に入る前に、今回は久しぶりにアバン前のスーパーヒーロータイムのミニコーナー復活です。
前回8月28日放送分で8時からの「仮面ライダーオーズ」が完結し、
今回の9月4日放送分から新番組「仮面ライダーフォーゼ」が始まるため、その宣伝強化のためと思われます。

宇宙空間に浮かぶゴーカイガレオンの前面マストの旗に
天ノ川学園高校の仮面ライダー部の旗が降ろされて掲げられ、
ガレオンの甲板に立つゴーカイジャー達の前に宇宙空間を突っ切って
仮面ライダーフォーゼが飛んできてアップになります。
共に「宇宙」に関係する2作品を上手くリンクさせてます。

ここでの「スーパーヒーロータイム!」というタイトルコールは、
ゴーカイジャー&オーズ時期のタトバコンボ風のボイスではなく、普通に発声されるバージョンになっており、
声は「ゴーカイジャー」のナレーション担当の関智一氏と
「フォーゼ」のナレーション担当の檜山修之が一緒に発声しています。
ちなみに檜山氏は「ゴーカイジャー」第8話でスニークブラザースの弟ヤンガー役で声の出演をしていますね。

そして、ゴーカイレッドがサーベルで画面を斬り裂いて画面転換、
まず今回の「ゴーカイジャー」の超ダイジェストをナビィの傍らで流しつつ、
檜山氏が「ゴーカイジャー!スイッチオン!」とフォーゼ風にゴーカイジャーのタイトルを言い、
続いて今回の「フォーゼ」の超ダイジェストをフードロイドの傍らで流しつつ、
関氏が「カ〜メンラダァ!フォ〜ゼ!」とゴーカイジャー風にフォーゼのタイトルを言って
互いにエールを交換します。

最後はゴーカイレッドとフォーゼが、「フォーゼ」劇中での特殊な握手「フォーゼ握手」をして、
マーベラス役の小澤亮太の声が「派手に!」、如月弦太郎役の福士蒼汰の声が「キター!」と叫び、
マーベラスとフォーゼが決めポーズで締めます。
毎度のことながらスーパーヒーロータイムコーナーは上手くまとまってますが、
それにしても「仮面ライダーフォーゼ」、第1話かなり面白かったです。

さて、ここから「ゴーカイジャー」第28話の本編ですが、
まず冒頭は、いつものようにガレオンの船室から始まるわけではなく、
そもそもゴーカイジャーもザンギャックの面々も登場しません。

いきなり薄暗いアダルトな雰囲気のクラブバーで、
シックな白いドレスを着た美女がカウンターで男とポーカーをしています。
朝の子供番組とは思えないオープニングです。
カウンター内に誰もいないことや、美女の服装がどう見ても水商売風であることから、
このクラブのママが常連客と戯れているシーンと目されます。

「フルハウス・・・あたしの勝ちね・・・」とママはやたら色気のある微笑を浮かべてカードを場に開き、
勝ち誇りますが、背中向けに映る相手の白いスーツを着た男は全く動じた様子は無く
「・・・悪いな・・・ストレートフラッシュだ・・・!」と、カウンターの上に手持ちのカードを開きます。
すると確かにスペードの7〜11のストレートフラッシュでした。
ママは一瞬驚いた表情をしますが、負けを認めたのか、溜息をついて微笑します。

「この勝負に勝ったら何でも言うことを聞く・・・そういう約束だったな?」と男は言い、
美人ママは「・・・何をしてほしいのかしら?」と、男の手を掴みます。
これはもう絶対にエッチなことを要求するはず・・・そういう流れに見えましたが、
白スーツの男はママの手を軽く振りほどき、ここで顔が映ります。
そしてカウンターに出された自分のグラスを手に取ってウイスキーのような酒をグイッと呑むと
「・・・ここの酒は不味い・・・もっと美味い酒が呑みたいもんだ・・・」と遠い目をして言います。

店の酒を「不味い」とハッキリ言ってしまうとは、えらく失礼な発言ですが、
つまり美人ママとのポーカー勝負に勝ったこの男は勝利の報酬として、
この店以外の美味しいお酒を呑みたいようで、それがこの男の望みであるようです。
つまり、ママを酒屋に走らせるつもりなのか?

・・・そもそも、なんでこんなアダルトなシーンが冒頭にくるのか?
もしかして「ゴーカイジャー」とは違うのか?などと思わせますが、
ここで急に画面がアカレンジャー他レジェンド戦士の面々が立ち並ぶ、
いつものレジェンド回バージョンの「ゴーカイジャー」OP映像に切り替わり、
「地球の平和と人々の笑顔を守り続けてきた〜」のレジェンド回バージョンの
OPナレーションが流れてきますから、「ゴーカイジャー」であることは分かります。

しかもレジェンド回ですから、冒頭の人物はレジェンドゲストということになり、
よく考えればあの白いスーツの男は「鳥人戦隊ジェットマン」のブラックコンドル、結城凱です。
そういえば、カウンター越しに奥の方に見えていたプレートには
「Golden Gate」という店名が電光掲示で浮かび上がっていましたが、
「Golden Gate」は結城凱の行きつけのクラブです。

つまり、冒頭のシーンは結城凱が行きつけのクラブで美人ママ相手に、
ちょっとした戯れの賭けポーカーの勝負をしている場面ということで、相変わらずの遊び人っぷりです。
演じているのはもちろんオリジナル役者の若松俊秀氏で、
「ジェットマン」放映時の20年前は結城凱も若松氏も共に25歳でしたので、
現時点では結城凱も若松氏も45歳ということになります。
まぁ劇中設定では実はレジェンド大戦後の数年のインターバルがあるので結城凱は48歳ぐらいかもしれませんが。

ともかく若松氏、若いです。
少し前に特撮雑誌のインタビュー記事で見かけた時はもっと太っていたように思うのですが、
今回の出演で結城凱を演じるために6キロ減量されたそうで、非常に精悍な感じになっています。
短期間でここまで絞り込むのはかなりハードに鍛えてきたと思うのですが、若松氏は腰が悪かったはずで、
それでここまで絞れるほどのトレーニングをするのは並大抵のことではなかったと思われ、
役者魂、いや、「ジェットマン」愛に頭が下がります。

しかし、結城凱といえば、「ジェットマン」最終回で、
バイラムの戦いから3年後、バードニックウェーブの効力も消滅した全く普通の生身の状態で、
天堂竜と鹿鳴館香の結婚式に行く途中、チンピラに腹部を刺されて、
結婚式場に辿り着いたところでベンチに座ったまま力尽きたはず。
あれでてっきり死んだと思われていましたが、
相変わらずGolden Gateに入り浸って酒を呑んでいるところを見ると、死んではいなかったようです。

そういえば「ゴーカイジャー」第1話冒頭のレジェンド大戦のシーンでも
他のジェットマンのメンバーと一緒に滑空してザンギャック軍団と戦う
ブラックコンドルの姿が映し出されていました。
あれもおそらく結城凱であり、ザンギャックの侵攻に対抗するため、
かつてのジェットマンのメンバーと共に再びバードニックウェーブをその身に浴びてジェットマンとなって戦い、
そしてレジェンド大戦の最後に、他のスーパー戦隊の戦士たち同様、
その戦う力を全て放出して変身能力を失い、今はこうして元の遊び人生活を送っているというわけなのでしょう。
しかし、この体たらくでは、ゴーカイジャーとの接点も生じなさそうですが、
いったいどうやってこの結城凱をレジェンドゲストとしたジェットマン篇を成立させるというのか?

とりあえずここはそのままOPテーマが始まり、そしてCM明け、
「翼は永遠に」という今回のサブタイトルが出ます。
「ジェットマン」という作品はサブタイトルに特に決まったフォーマットの無い作品でしたので、
サブタイトルは自由につけることが出来ます。
そこで何故「翼は永遠に」なのかというと、
「翼」というのは鳥や空を基本モチーフとした作品「ジェットマン」を象徴するフレーズであり、
今回がある意味「ジェットマン」の真の完結篇のような扱いになっているので、
「永遠に」という重い意味の含まれたフレーズが使われているという、ここの時点ではそういう印象ですが、
実はその真の意味は後で今回の劇中で、極めて具体的な形で明らかになります。

ここはとりあえず本編が再開し、冒頭の結城凱のシーンの続きは描かれず、
その翌日か数日後か分かりませんが、
いきなりゴーカイオーと豪獣神が巨大スゴーミン軍団と巨大戦をしているシーンから始まります。
このように序盤でいきなり巨大戦を見せてしまう場合というのは、
前後篇の前篇である場合や、さもなくば最後の方の戦闘が等身大戦だけで終わるということを意味しています。
今回の場合、後者なのでしょう。

今回はゴーカイオーはデカゴーカイオー、ガオゴーカイオー、そしてハリケンゴーカイオーと変形しいていき、
豪獣神と共に戦い、最後はゴーカイ無限手裏剣と豪獣トリプルドリルドリームでスゴーミン軍団を圧倒、
全滅させます。
これで後半にはおそらく巨大戦は無いわけですから、この巨大戦のやっつけっぷり、
いかにも「ジェットマン」っぽく、井上敏樹っぽいと言えます。

その惨敗を宇宙空間のギガントホースでモニターしていたワルズ・ギルは
「いやぁ〜・・・こう何度も何度も負けると・・・なんかいっそ、清々しい・・・」と、
すっかり負け癖がついて悟りを得たようになってしまってます。
「・・・それは何よりですこと!」とインサーンはバカは相手にしない主義でテキトーに流しますが、
バリゾーグは「殿下どうかお気を確かに」と何気に酷いことを言いつつ、
「・・・戦いはまだ終わってはおりません」と意外なことを言います。

これにはインサーンも不思議そうに「ん・・・?」とバリゾーグを見て、
ダマラスも「どういうことだ?」と糺します。
ザンギャック地球侵攻軍の作戦は、ダマラスが考える特殊作戦や、ワルズ・ギルが思いついて立案するもの以外の、
普通の地味な作戦はワルズ・ギルの下でバリゾーグが考えるようで、
今回はバリゾーグの立案した作戦であったようです。
それは最近いっそうザンギャックに敵対的になってきたマーベラス一味を始末するための作戦だったようですが、
あえなく失敗に終わった・・・とインサーンもダマラスも、そしてワルズ・ギルも思っていたようですが、
どうもバリゾーグはまだ何か仕掛けを打っているようなのです。

戦いが終わったと思い、マーベラス達6人も公園の中を食事の相談などして歩いていましたが、
その行く手を遮るように赤い鎧のようなボディの怪人が出現し、マーベラス一味の手配書を顔の前にかざします。
その姿を見た瞬間、マーベラスの表情は少し強張ります。
そして、その胸にあるドクロマークを抉る刀傷を見て、「・・・お前は・・・!?」と険しい表情で呟きます。
マーベラスはこの怪人を知っているようですが、
鎧以外のメンバーは全員この怪人のことを知っているようで、それぞれ異なった反応を示します。

掲げていた手配書を手から落としてその顔をハッキリと6人に見せた怪人を見て、
ハカセは「まさか・・・僕たちを狙って!?」と極度に怯えてルカの後ろに隠れ、
ルカはそのハカセに肘鉄を食らわしながら「あら・・・光栄じゃない?」と不敵に笑います。
ジョーも「俺らも一流ってわけだ」とクールに笑い、アイムは緊張した面持ちでその怪人を睨みます。
そしてマーベラスは黙ったまま激しい視線を怪人に浴びせています。
鎧だけが5人の反応を見て不思議そうに「・・・お知り合いですか・・・?」と間抜けな感じで質問するのでした。

5人の反応を見る限り、この怪人がかなりの強敵であり、
賞金首としてのマーベラス一味を狙っている者であることが分かります。
そして鎧だけが知らないということは、
マーベラス達が地球にやって来る前の宇宙の旅の時点で
この怪人と接点があったということを表しているといえます。

その怪人の正体については、再びギガントホースに場面は戻って、バリゾーグが説明してくれます。
「・・・宇宙一の賞金稼ぎ、キアイドー・・・ヤツが仕留めた賞金首の数、150・・・
その総額は1億ザギンを超えているという・・・」とバリゾーグはワルズ・ギルはじめ指令室の面々に説明します。
それに対して「なぜそんなヤツが地球に?」とインサーンが訊ねると、
バリゾーグは「海賊たちを一掃するために呼びよせました」とワルズ・ギルに説明します。

つまり、バリゾーグはマーベラス一味を倒す刺客として
キアイドーという凄腕の賞金稼ぎを地球に呼び寄せたようです。
ただ、バリゾーグ以外はそのことを把握していないということは、正規の行動隊長ではないということです。

どうもキアイドーという賞金稼ぎは生粋の一匹狼なのでしょう。
よって、ザンギャック部隊とは全く別個に独自に動いているようで、
バリゾーグは単にキアイドーを地球に呼んでマーベラス一味を倒して賞金を稼ぐよう勧めただけで、
いつどこで戦うようにとか、細かな指示や命令をする立場ではないようです。
だから、バリゾーグはバリゾーグで正規の部隊を動かしてマーベラス一味を襲い、
それに便乗してキアイドーが動くのを待っているのでしょう。

しかし、バリゾーグがそこまで気を遣い遠慮する相手、キアイドーとはそんなに凄い賞金稼ぎなのか?
150人の賞金首を倒して1億ザギンを超えるほど稼いだということは、
平均すると1人あたり70万〜80万ザギンぐらいの賞金首を倒してきたということになります。
現時点でマーベラスの賞金が500万ザギンで、別格に賞金額の低いハカセと鎧は別として、
残り3人で一番賞金の安いルカでも150万ザギンですから、
確かに倒した相手の数は多いが、マーベラス一味よりもかなり格下の連中を倒して稼いできた、
割と地味な賞金稼ぎのようにも思えます。
しかし、それでも「宇宙一の賞金稼ぎ」というのですから、少し不思議です。

バリゾーグも実際にキアイドーに会ったことはないでしょうから、腕前を確かめたわけでもないでしょう。
それなら何故、そこまでキアイドーに期待するのか?
それは、実はバリゾーグが、ある噂を耳にしたからであるようです。
バリゾーグは言葉を続けます。
「・・・何しろキアイドーは前に一度、キャプテン・マーベラスを倒したことがあるとのこと・・・」

なんと、キアイドーは以前にマーベラスと戦って倒したことがあるそうなのです。
ならば、かなりの腕前なのであろうし、
少なくともマーベラス相手に戦いの相性は良いのだろうとバリゾーグは思ったのでしょう。
そして、マーベラスの方は一度敗れた相手であるキアイドーに苦手意識があるはずだとも
バリゾーグは読んだのでしょう。
しかし、賞金稼ぎのキアイドーに倒されたマーベラスがどうして捕まらなかったのか、謎です。

場面は地上に戻り、さっきの赤い怪人と対峙するマーベラス一味。
マーベラスは目の前に現れた赤い怪人を睨みつけて、「・・・キアイドー・・・!」と呻きます。
やはり、この赤い怪人がバリゾーグの言う例のキアイドーであったようです。
バリゾーグの期待通り、マーベラス一味を倒して賞金を稼ぐために、6人の前に姿を現したようです。
宇宙で一番有名な賞金稼ぎであるようですから、
当然、その標的とされている賞金首の間でもキアイドーの顔は知られているようで、
それでジョー達もキアイドーの顔を見て、すぐに各人各様の反応をしたわけです。

しかし、マーベラスだけはキアイドーの顔がまだ手配書で隠れていた時点で
他の皆よりも一瞬早くキアイドーに気付いており、しかも胸の傷に激しく反応していました。
つまり、ジョー達はキアイドーのことは噂には聞いていたが会ったことはなく、
マーベラスだけはキアイドーに過去に会ったことがあるということです。
しかもキアイドーの胸の傷に覚えがあるということは、
バリゾーグの言うように、マーベラスは過去にキアイドーと戦ったことがあり、
あの胸の傷はマーベラスがつけた傷と想像できます。
しかし、実際はそのあたりは少し違いました。

ここでマーベラスは過去のキアイドーとの因縁を回想します。
確かにマーベラスは過去にキアイドーと戦ったことがありました。
この回想というのは、いつの時期のものであるのか明確には示されていないですが、
マーベラスの武器がゴーカイサーベルやゴーカイガンではないことから見て、
赤き海賊団に入る以前のチンピラ時代のマーベラスである可能性が高いです。
アカレッドと出会う前のマーベラスもザンギャックの倉庫を襲ったりしていましたから、
一応は賞金首だったようです。
ただ、かなり安い賞金首だったとは思われます。
そのマーベラスが賞金稼ぎのキアイドーに狙われて襲われた時の記憶です。

「・・・知っているか?・・・退屈というのは嫌な病気だ・・・薬は2つ・・・金か、戦いか!」と意味不明のことを言って、
いきなり襲い掛かってきたキアイドーに応戦するも、押され気味のマーベラスは銃を連射して反撃しますが、
キアイドーは発射された銃弾を全部掌で受け止めて防いでしまいます。
勝ち誇ったように掌から無力化した銃弾を落とすキアイドーの強さに驚くマーベラスは、
そのまま剣を弾き飛ばされて吹っ飛ばされ、尻もちをついた状態でピタッとキアイドーの剣を頬に当てられ、
すくんで動けなくなってしまいました。

剣を当てられたマーベラスの頬からは鮮血が流れ落ちますが、
マーベラスは圧倒的な実力差を感じて、動くことも出来ません。
それを見て大きく溜息をついたキアイドーは「・・・今のままでは退屈で死にそうだ!」と言うと、
剣を引いて「見ていろ!」と言い、いきなり「むん!!」と自分の胸に剣を突き立てたのでした。
するとキアイドーの胸から鮮血が噴き出します。
トリックでもなんでもなく、本当に自分の胸に剣を刺しているのです。

「なに・・・!?」と仰天するマーベラスの目の前で深々と自分の胸に剣を押し込んだキアイドーは、
致命傷にならない程度で剣を引き抜きますが、血は噴き出したままで、どう見ても重傷です。
致命傷にはならないまでも、戦いの支障になるのは明白で、重大な後遺症となる恐れもあるほどの重傷です。
いったい何を考えて戦いの最中にこんなバカなことをしているのか?とマーベラスが混乱して見ていると、
キアイドーは軽くよろめきながら歓喜の声で
「これでどうだ!?この胸の傷が俺の弱点となった!・・・ここを狙えば、勝てるかもしれんぞ・・・?」と、
マーベラスの胸倉を掴んで、戦うようにそそのかすのです。

もちろん、これぐらいのハンデがあってもマーベラスごとき相手には負けないという絶対の自信はあるようです。
ただ、余裕を見せてマーベラスをからかっているというわけでもないようです。
そんなつまらない動機にしては、やることがエグすぎますし、態度が異常なのです。
キアイドーはマーベラスを突き飛ばすと、フラフラッと傷の痛みに酔いしれたように
「・・・面白い!久々に楽しくなってきたぞぉ!!」と歓喜の叫びを上げ、陶酔すると
「さぁ!戦えぇっ!!」とマーベラスに迫るのでした。

マーベラスは既に戦意を喪失していましたから、さっさと殺せばいいようなものですが、
キアイドーはマーベラスを殺そうとはせず、何度も何度も「戦えぇっ!!」と歓喜の声で喚きながら、
まるで駄々っ子のように迫るのです。
完全に正気ではありませんでした。
マーベラスはそのキアイドーの姿を見て恐怖を感じて、
腰が抜けてガクガクと足を震わせて逃げることも出来なかったのですが、
結局、キアイドーはマーベラスを見逃して去っていったのです。

つまり、キアイドーという賞金稼ぎは、まともな賞金稼ぎではないのです。
腕は確かに抜群に立つのですが、賞金を稼ぐために戦うのではなく、
退屈しのぎに戦いのスリルを味わいたくて賞金首を襲うのです。
賞金首ならば腕の立つ相手が多いし、倒せば金も稼げるから一石二鳥というわけです。
退屈という病を癒すために「金か戦いか」というのはそういう意味です。

ただニュアンスとしては「戦い」が本当の好物のようです。そこが真に異常といえます。
戦ってみて、戦う相手として価値が無いと判断すれば、見込み無しとして殺して賞金を得る一方、
戦ってみて、戦う相手として見込みのありそうな賞金首はわざと見逃して、
何度でもその相手と戦えるようにするのです。
殺してしまったら二度とその相手とは戦えませんから、戦いのスリルを味わう機会が減ってしまう。
それではキアイドーは困るのです。
出来れば、更に腕を上げたその相手と、更にスリルに満ちた戦いをしたい。
その分、キアイドーが倒される危険も高まるわけですが、
キアイドーにとっては自分の命よりも戦いのスリルを味わうことの方が大事ですから、
見逃した敵が強大になればなるほど嬉しいのです。

完全なバトルジャンキー、異常者といえるでしょう。
こんなヤツですから、数多くの腕の立つ賞金首をこれまでに倒してきていながら、
相手が強ければ強いほど、トドメを刺さずに見逃しているのです。
そうして目ぼしい相手は何度でも襲って半殺しにして見逃す。
そういうことを繰り返して、自分の欲望を満たすための玩具のように扱う。
一方、戦う価値も無いような小物と判断すれば、
成長を待っても意味も無いのでさっさと殺して賞金を得ますが、そういう相手はたいした賞金額ではない。
だから、確かに宇宙一の腕を持つ賞金稼ぎでありながら、
「宇宙一の賞金稼ぎ」という肩書の割には賞金額の平均値が低いのです。

そのキアイドーから見れば、チンピラ時代のマーベラスなど、大した相手ではなかったはずなのですが、
キアイドーが見逃したということは
マーベラスのことをいずれスリル溢れる戦いを出来る相手になる見込みがあると見なしたということです。
しかも、自分の身体を傷つけて自分のレベルを下げてでも、
その場でマーベラスと戦ってスリルを味わいたいと思ってしまったほど、
キアイドーから見てマーベラスの潜在能力は稀に見る逸材だったのでしょう。

キアイドーの身体に他に同じような傷が無いことを見ると、
キアイドーがあのような異常な行為に走ったのはマーベラスと戦った時だけだったということになります。
もちろんマーベラス以上に腕の立つ相手はいくらでもおり、
そういう者と戦う際にはキアイドーは自分をわざと傷つけることなく
存分にスリルを味わうことが出来たのでしょうけれど、
遥かに格下でありながらその場で自分の身体を傷つけてハンデを作ってでも無理に戦いたくなるほどの
潜在能力を感じさせられたのは、マーベラスだけであったのでしょう。

ただ結局、マーベラスが完全に戦意を喪失してしまったので、キアイドーはその場は戦うことは諦め、
いずれマーベラスが成長して、存分にスリルを味あわせてくれる相手に成長するまで待つことにしたのでした。
そして今回、バリゾーグからの誘いを受け、
マーベラスがザンギャックの幹部をも恐れさせるほどの強敵に成長したと確信し、
今こそ極上のスリルを味わうチャンスと思い、地球へやって来たのでした。
だからバリゾーグは実はキアイドーを呼んだのは見込み違いなのです。
キアイドーはマーベラスを殺す気は無いのです。
ただ戦いのスリルを味わった後は、散々いたぶった挙句、また見逃す気なのです。

しかしマーベラスはどうして昔戦った時、キアイドーを見て恐怖を感じて戦意を喪失してしまったのでしょうか?
確かに圧倒的に実力差があったのは事実です。
しかし、実力差だけが問題であったのなら、
キアイドーが自分の身体を傷つけてフラフラしていた時ならば、一時的に実力差は小さくなり、
マーベラスから見てまだ付け入る隙はあったはずです。
最悪でも逃げることは出来たはずです。
何にしてもマーベラスにとってその前よりは有利な状況になったのは間違いないです。
しかしマーベラスはむしろキアイドーが傷ついてフラフラになった後の方が
強い恐怖を感じて動けなくなっていました。
つまりマーベラスのあの時の恐怖心は実力差が原因ではないのです。
もっとメンタルな部分の問題であったのです。

チンピラだった頃のマーベラスは、1人で地方駐屯部隊とはいえザンギャック軍に逆らって
「海賊」を自称し、賞金首になって平気でいたりしていましたから、
それなりに「命知らずの無茶な男」で名を売っていたのでしょう。
マーベラス自身、そんな「腕っぷしだけで宇宙を渡り歩く命知らずのアウトロー」の自分が
強くてカッコいいと、誇りを持っていたはずです。
戦って死ぬことなど怖くないと思っていたはずで、
むしろ危険と隣り合わせのスリルを「面白ぇじゃねぇか」と楽しむのが男の生き様だと嘯いていたはずです。
そう思わなければ、そもそも海賊になどなるわけがない。
だからマーベラスは自分が死の恐怖など感じるはずがないと思っていたのです。

しかしキアイドーの「戦いのスリルを味わうためだけに死ぬかもしれない劣勢に自分を追い込む」という
異常な行動を見て、自分が戦いのスリルのためだけにそこまで出来るのか?と自問自答してしまい、
それは出来ないと思ったのです。
冷静に考えれば、そんなものは出来なくても当たり前であり、単にキアイドーが狂っているだけなのですが、
もともとマーベラス自身が腕っぷしの信奉者であり、命知らずが強さの証だという思い込みの持ち主、
いわば粋がった不良少年のようなものだったので、
実際に自分がキアイドーに完敗している以上、
キアイドーと自分の違いは、死の恐怖を乗り越えているか否かにあると思ってしまったのでした。

キアイドーは死の恐怖を感じない強さを持っているから、あそこまで出来るし、あんなに強い。
それに比べて自分はあんな真似は出来ない。
それは口先では命など惜しくないと言いつつ、本当は死ぬのが怖いからだ。
本当は弱い人間なのだ。だから自分は死を恐れずスリルを楽しむ強い心を持つキアイドーには勝てない。
そのように思ってしまったその時のマーベラスは、狂気の行動をとるキアイドーを見て、
自分の弱さや死の恐怖がどうしても心に浮かんできて、
それで恐怖に怯え、腰が抜けて足が震えてしまう醜態を晒してしまったのでした。

そして今、こうしてそのキアイドーに予想外に再会したことで、
マーベラスはその時の恐怖に怯えた心を突然想い出してしまいました。
もうとっくに解消されたと思っていたその恐怖心が突然甦ってきたことに戸惑ったマーベラスは
(この俺が恐怖を感じるなんて・・・!)と心の中で焦り、キアイドーを睨み返そうとしますが、
身体は強張り、思わず僅かに後ずさりしてしまいます。
そのマーベラスの些細な異常に横に立つジョーが微かに気付き、振り向きます。

そのマーベラスはジョーの視線にも気づく余裕も無く、必死で自分の心を支え直し、
(いや、今の俺はあの時とは違う・・・今なら!)と心の中で言い聞かせます。
あのキアイドーの前で腰を抜かしてしまった屈辱の後、
マーベラスもアカレッドと出会い、赤き海賊団で数々の冒険を経験し、
更にはアカレッドとの別れの後、マーベラス一味を立ち上げ、更なる冒険を経て、
今や「宇宙最大のお宝」に手が届こうという成長を遂げたのです。
もちろん腕は格段に上がっている上にゴーカイジャーの力やスーパー戦隊の力も使いこなせる。
そして、それだけではなく、心が強くなっているはずだとマーベラスは自負していました。

赤き海賊団に入って以降、チンピラだった頃には考えられなかったような
数多くの危険を潜り抜けてきた自分は、もはや死の恐怖など克服している。
今や自分はどんな危険にぶち当たっても「面白ぇじゃねぇか!」と不敵に笑って動じない、
むしろそのスリルを楽しむ、昔から目指していた
命知らずの男の中の男に成長した「キャプテン・マーベラス」なのだ、
と心の中で言い聞かせたマーベラスは、今の自分ならキアイドーに負けるはずがないと心を奮い立たせ、
仲間たちと共に豪快チェンジして、ゴーカイジャーへと変身します。

そしてゴーカイガンをキアイドー目がけて撃ちまくりますが、
キアイドーはその銃弾を全て掌で受け止めてしまいます。
そうして掌を開いて掴んだ銃弾をパラパラと地面へ落としていくキアイドーの姿を見て、
マーベラスはかつてキアイドーと戦った時にも同じようなことがあったことを想い出してしまい、
その完敗の記憶が再び鮮明に頭の中を一瞬支配します。
キアイドーは「弱い・・・弱すぎる・・・もっと楽しませてくれ!!」と言うと、
突っ込んできてマーベラスに斬りつけます。
昔の完敗の記憶に気をとられたマーベラスはその剣をまともに喰らってしまい倒れ、
キアイドーは残った5人相手に激しい斬り合いを始めます。

その激しい戦いをマーベラスは四つん這いで身を起こしつつ、見上げます。
キアイドーの剣を喰らってしまったが、
むしろ、その結果、マーベラスは自分が確かに成長していることは実感しました。
こうして戦っている姿を見ても、昔戦った時のようにキアイドーが圧倒的に強いとは感じない。
自分は確かにあのチンピラだった頃の自分ではなく、あの頃の弱さは克服している。確実に強くなっている。
確かにキアイドーは強敵だが、今の自分なら実力的に全く対処不能の敵というわけではない。
そして精神的にも確かに昔より強くなっている。まだ心は折れていない。
昔のように腰が抜けて足が震えるようなことはない。だから精神的にも昔の弱さは克服しているのです。

しかし、それでもキアイドーに「弱い」と指摘されると、確かに自分は弱いと思えてきます。
それはつまり、どれだけ腕を磨き、度胸を磨いて命知らずの男の中の男になっても、精神的に強くなっても、
それでもまだキアイドーの戦いの快楽のために死を全く恐れない狂気じみた強さには勝てないということです。
そんな狂気が真の「強さ」と言えるのかどうかは確かに疑問です。
しかし、それは綺麗事の理屈に過ぎない。
狂っていようが歪であろうが、強いものは強いのであり、それに勝てないものは「弱い」のです。

自分は確かに強くなったとマーベラスは思いました。
チンピラ時代にキアイドーに敗れた後、自分なりに理想とする強さの形を極限まで高めてきたと自負しています。
しかし、それでも勝てない強さがキアイドーにはあるように思えました。
それは正常な人間には越えられない一線を越えてしまった者の持つ強さです。
そこには自分は行くことは出来ない。だから自分はキアイドーには勝てない。
勝てない以上は、自分の積み上げてきた「強さ」はやはり「弱い」のだとマーベラスは思いました。
そう思うと、マーベラスは虚脱感にとらわれて、なかなか立ち上がることが出来なくなってしまいました。

しかし、これは少しおかしい。
現時点のマーベラスがキアイドーよりも弱いかどうかはまだ分かっていないはずなのです。
マーベラスは集中力を欠いたところに一太刀浴びただけのことなのです。
それだけで「勝てない」と決めつけてしまうのはおかしいのです。

これは実は論理の順序が逆になっていて、
マーベラスは今の自分の強さが実は「弱い」ものだと無意識的に認識しており、
だからキアイドーの狂気じみた強さに勝つことは出来ないと決めつけているのです。
だから、どうせ勝てないから戦う気力が湧いてこないのです。

これは更に突っ込んで考察すると、
マーベラスはキアイドーの強さが狂気じみた規格外のものであることを知っているからこそ、
自分の強さがそれに勝てない「弱い」ものだと素直に認めてしまっているのです。
言い換えれば、普通の単なる強敵が相手の場合は、マーベラスは素直に自分の弱さを認めたりはしない。
本当は心の奥底で今の自分は「弱い」と思っているクセに、
普段はそのことは頑なに認めないので心の表面にその「弱さ」が現れることはない。
しかし、昔一度、「弱さ」を曝け出してしまったことのある相手である、
一種狂気じみた規格外の強さを持った特別な存在であるキアイドーを前にした場合だけは、
自分の「弱さ」を認めてしまっても、それは相手が相手だけに「仕方ない」ことなのだという意識が
マーベラスの心の奥底に作用しているのです。

その「仕方ない」という感覚を一種の言い訳にして、自分の「弱さ」を解放している。
普段のマーベラスならば決して現れない「弱さ」が表面化してきている。
この「弱さ」は、昔キアイドーの前でマーベラスが晒した「弱さ」とは実は全く異質のものです。
昔の「弱さ」はマーベラスはとっくに克服済みなのです。
単にキアイドーの前だけではマーベラスは「弱さ」を晒すクセがついているので、
別の種類の「弱さ」も出やすい状態になっているというだけのことです。

マーベラスも昔の「弱さ」は克服出来ているという自覚はあるのですが、
この新たに表面化してきた「弱さ」の正体が分からないので、
昔の「弱さ」と同じようなもののようにも思えて、戸惑っており、
この「弱さ」があるためにキアイドーには勝てないと思ってしまっているのです。

ただ、確かにキアイドーの狂気による強さが規格外のものであるのも事実であり、
現時点の強さを極限まで高めたマーベラスでも、
そこに孕む「弱さ」を克服出来ない状態では勝てないというのも事実ではあります。
むしろ「弱さの克服のためには、こうして「弱さ」が表面化してきているのは良いことともいえます。
ただ、その「弱さ」の克服のためには、まずマーベラスは自分の「弱さ」の真の正体を知らねばならないのですが、
キアイドーを前にしてそれが突然表面化してきたために、
昔克服したはずの「弱さ」と混同してしまって、「そんなはずはない」という想いもあり、
よく分からない状態になり混乱してしまっているわけです。

そういう混乱した状態でマーベラスが戦いを傍観している間に、
キアイドーは他の5人を圧倒する強さを見せつけていました。
鎧は吹っ飛ばされてしまい、残った4人も劣勢を強いられます。
それを見てマーベラスはキアイドーに向かって突っ込んでいきます。
とにかく戦ってみれば何とかなると考えたのです。
しかし、正体不明の弱気によって「キアイドーには勝てない」という想いに囚われてしまっている
マーベラスは動きが硬く、キアイドーに圧倒されてしまいます。

そこで5人は一旦態勢を立て直し、ハカセが「みんな!バイオマンでいこう!」と言って、
他戦隊への変身で活路を見出そうとします。
そして5人はバイオマンに変身します。バイオマンへの5人一斉変身は初めてのことです。
マーベラスはレッドワンに、ジョーはブルースリーに、ルカはイエローフォーに、
ハカセはグリーンツーに、アイムはピンクファイブに変身します。
こうして見ると、ゴーカイジャーとバイオマンは配色も性別も一致していますが、
名乗り順は微妙に違っているということが分かります。
ちなみにハカセのグリーンツー以外は4人ともバイオマンへは初変身となります。

ここはバイオマンは個人戦闘は無く、変身していきなり5人一斉にジャンプし、
同調して空中回転しながらキアイドーに一斉にキックを放ちます。
これは「サーカスループ」というバイオマンの合体技です。
キアイドーはこれを空中に弾き返します。
サーカスループは決め技ではないのでキアイドーほどの強敵に通じないことはもとより予想出来た技であり、
マーベラス達の狙いは、空中に弾き返された後、そのまま空中で円陣を組み、
バイオマンの最強必殺技「スーパーエレクトロン」を発動することでした。
5人はバイオ粒子のエネルギー弾と化してキアイドーに突っ込みます。

しかしキアイドーはこれを弾き返します。
これはキアイドーがゴーカイジャーやバイオマンより強いというわけではなく、
スーパーエレクトロンが不完全だからです。
ゴーカイジャーは既に黒十字王との戦いの際にバイオマンの大いなる力を得ていますから、
バイオマンのフルパワーは引き出せます。
しかし、それはあくまでその資格を得たというだけのことで、
常にフルパワーを引き出せるかどうかは、ゴーカイジャー側のコンディション次第という面はあります。

特にスーパーエレクトロンという技はオリジナルのバイオマンでも強力な精神力が必要でした。
今のゴーカイジャーにおいてはマーベラスの精神状態がかなり不安定になっているので、
スーパーエレクトロンが不発になってしまったのです。
バイオマンという戦隊がレッドの能力の比重の大きい戦隊であるというのも今回はマズかったかもしれません。
マーベラスの精神の不調がより大きな影響を与えてしまったといえます。

しかし、マーベラスの様子がおかしいことにはジョーが少しだけ気付いているだけでしたので、
ルカはスーパーエレクトロンの不発の理由がよく分からず、
「だったらこれで!」とレンジャーキーを取出し、全員それに合わせてレンジャーキーを出し、
マスクマンへと変身します。
マスクマンへの5人一斉変身も今回が初めてです。
マーベラスはレッドマスクに、ジョーはブルーマスクに、ルカはイエローマスクに、
ハカセはブラックマスクに、アイムはピンクマスクに変身します。
ルカのイエローマスク以外は皆、初変身となります。

ここでマスクマンも個人戦闘は無く、
5人並んでメディテーションによるオーラパワーの衝撃波をキアイドーに向けて一斉に放ち、
5つの衝撃波が1つに合体してキアイドーを襲います。
この時、5人が両手で印を結んで衝撃波を発射するのですが、
レッドの「在」、ブラックの「陣」、ブルーの「列」、イエローの「闘」、ピンクの「臨」の
印の形がしっかり再現されていて細かいです。

しかし、この衝撃波もキアイドーの剣に叩き落とされてしまいます。
これもさっきのスーパーエレクトロンの場合と同じく、
精神力に左右されるオーラパワーがマーベラスの精神の不安定による悪影響を受けたのです。
また、マスクマンもレッドのパワーの比重の大きい戦隊でした。
マーベラスの不調に気付かないハカセやルカは多段変身の選択ミスをしてしまったのでした。

まぁ、ここは今回のストーリーの都合上、敗れないといけないわけですが、
マーベラスの精神の不安定を理由にした失敗という理由づけによって
当該戦隊の株が下がらないように出来る戦隊が、5人一斉未変身戦隊の中から選ばれた結果、
バイオマンとマスクマンということになったのだと思います。

これで残る5人一斉未変身戦隊は
チェンジマン、ライブマン、カクレンジャー、アバレンジャーの4つとなりました。
そして、マーベラス一味がレンンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士はこれで
チェンジドラゴン、チェンジグリフォン、チェンジペガサス、チェンジマーメイド、チェンジフェニックス、
ブラックバイソン、ニンジャレッド、ニンジャイエロー、黒騎士、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の
10戦士ということになります。

さて、オーラパワーの衝撃波を叩き落としたキアイドーはそのまま5人に突っ込んで反撃し、
ジョー達4人は斬り倒されてマスクマンの変身が解除してゴーカイジャーの姿に戻り、
マーベラスもキアイドーに斬られてレッドマスクの姿のまま崩れ落ちますが、
なんとか立ち上がり、キアイドーの胸の傷めがけて「うりゃあ!!」とパンチを繰り出します。
胸の傷が未だにキアイドーにとって弱点のままなのかどうかは分かりませんが、
もし弱点のままならば突破口にはなると思い、パンチを繰り出したのです。

しかし、そのような考えに囚われているということは、
既にマーベラスはあの昔のキアイドーに敗れた時の自分に囚われているということであり、
技を破られ続けるうちにマーベラスは
自分がキアイドーに勝てないのは、やはり昔のあの時の弱さを克服出来ていないからなのではないかと
思うようになってしまっていました。
そんな迷いのあるパンチは全く腰が入っておらず、
足が全然前に出ず、ひどい手打ちになってしまい、簡単にキアイドーに受け止められてしまいます。
このマーベラスの異様な姿にはジョーは明らかに異常を感じ取り、ルカも何かおかしいと感じたようです。
キアイドーはマーベラスの手を掴んだまま「ふう・・・甘い・・・」と溜息をつくと、マーベラスを蹴り飛ばし、
無様に転がったマーベラスはレッドマスクの姿からゴーカイレッドの姿に戻ってしまいます。

キアイドーに完敗してしまった5人、そして少し離れた場所でようやく起き上がった鎧に対して、
キアイドーは突然、背を向けて「・・・逃げろ」と意外なことを言います。
「なにぃ?」とマーベラスは呻きます。
「どういうつもりですか!?」とアイムが驚いて問い返すと、
キアイドーは「見逃してやると言ってるんだ!消え失せろ・・・」と吐き捨てるように言います。

キアイドーとしては、これ以上、ここでゴーカイジャーと戦っても、
満足のいくようなスリルは味わえないと判断したようです。
しかし、それなりに成長の見込める連中だとも認めたようで、
ここは見逃して、成長したところでまた戦いたいと思ったようです。
ただ、ザンギャックに頼まれた手前、飽きたからといって自分からこの場を去るのは気が引けるので、
自分が余所見している間に勝手にとっとと逃げろ、と言っているのです。
ゴーカイジャーにとっては、なんとも屈辱的な扱いです。
「てめぇ・・・!」とマーベラスは倒れたまま拳を握りしめてワナワナと怒りに震えますが、
しかし、弱気のせいか、その怒りが戦うパワーへと転化していかないのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:36 | Comment(0) | 第28話「翼は永遠に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

第28話「翼は永遠に」感想その1

今回はレジェンド回、しかもジェットマン篇です。
レジェンド回を成立させる難しさは当然、昔の戦隊ほど高くなります。
「鳥人戦隊ジェットマン」はスーパー戦隊シリーズ第15作、1991年度の作品ですから、今から20年前の作品です。
「ゴーカイジャー」におけるレジェンド回のここまでで最古の作品のものはカーレンジャー篇で、
これは15年前の作品でしたが、今回は遂に20年前の大台に乗り、最古レジェンド回記録を大幅に更新しました。
これだけ古いとレジェンドゲストをお招きするのも難しくなりますし、
来ていただいたとしても、過去作品ファン、現在作品ファンともに満足してもらえるような出来にすることは
難しくなってきます。
それはレジェンドゲストの加齢に伴う容貌の変化という面もありますが、
基本的に「ゴーカイジャー」という物語の構成上の問題もあります。

「ゴーカイジャー」は「仮面ライダーディケイド」の反省点をふまえて作られているのは明白で、
当初はどういう構想だったかは不明ですが結果的には単なるお祭り企画で
主人公自身の物語が薄弱になってしまった「ディケイド」とは違い、
あくまで主人公であるゴーカイジャーの物語をしっかり描くことが主眼となっています。
ゆえにレジェンドゲスト達の扱いは軽く、
ゴーカイジャーの物語のそのエピソード時点でのテーマと、そのレジェンド戦隊のテーマを上手く重ねて、
ゴーカイジャーの物語上の各段階のイベントに「必要不可欠なゲスト」として、
それぞれのレジェンドゲストを登場させるという手法をとっています。

では、ゴーカイジャーの物語とはどういう物語なのかというと、
「ザンギャックという悪の帝国との戦い」というのがもちろんメインなのですが、
レジェンドゲスト達は基本的に変身能力を失っていて自分自身はザンギャックと直接戦いませんから、
「戦い」という部分ではゴーカイジャーと上手く絡ませられません。
では他にゴーカイジャーにはどういう物語があるのかというと「宇宙最大のお宝を探す」という要素があります。
しかし、これについてはおそらく終盤まで謎のままにするようですから、レジェンドゲストが絡むのは難しく、
そもそもレジェンド戦隊と「宝探し」という要素はボウケンジャー以外はほとんど接点はありません。

そうなるとゴーカイジャーの物語で残るのは「海賊が正義のヒーローになっていく物語」という要素です。
この物語にレジェンドゲスト達は絡んでいくのですが、
そうなると、そのレジェンド回ごとのゴーカイジャーにとっての
「ヒーローになっていく」ために必要な要素にレジェンドゲストが絡んでいくことになります。
そのためにはレジェンドゲストにもその同じ「ヒーローになっていく」要素が無ければいけません。
つまり、レジェンドゲストは「ヒーローになっていく」ためには何が必要なのか知っていないといけない。
それを知っているからこそ、ゴーカイジャーがその要素を持っていることを発見して、
ゴーカイジャーを「ヒーローになりつつある者」として認めることが出来るのです。

となると、ゴーカイジャーの「ヒーローになっていく物語」に絡むレジェンドゲストは、
彼ら自身が「ヒーローになっていく物語」が特徴的に描かれた作品から登場した方が良い。
もちろん、歴代の戦隊は全部、戦いの中でヒーローになっていったのですから、
厳密に言えば、全ての作品が「戦隊メンバーがヒーローになっていく物語」だったとは言えます。
しかし、ゴーカイジャーのヒーローとして成長して獲得していく要素は毎回違っているわけですから、
そこに絡めるためには、それぞれのレジェンドゲストの所属戦隊の「ヒーローになっていく物語」は
特徴が明確に別々なものとして描かれていないといけません。

そのように考えた場合、メガレンジャー以降の戦隊では
「ヒーローになっていく物語」がそれぞれ明確な特徴をもって描き分けられているのに対して、
カーレンジャー以前の戦隊では
「ヒーローになっていく物語」があまり明確な違いをもって描かれていない印象があります。
それゆえ、カーレンジャー以前の作品のレジェンド回は
ゴーカイジャーの「ヒーローになっていく物語」に絡ませにくい。
ゆえに作りにくいだろうと思っていました。

実際、カーレンジャー篇は一応ありましたが、かなり変則的なレジェンド回であり、
あそこではゴーカイジャーの成長やヒーローの資質に関する物語は全く描かれていませんでした。
ひたすらカーレンジャー風のドタバタコメディ篇として最高の出来だったのですが、
あれはつまり「ゴーカイジャーの物語はありません」状態であり「ディケイド」と同じです。
カーレンジャー篇はあれはあれで面白いし、「ディケイド」風のお祭り作品もそれはそれで面白いのですが、
ああいうカーレンジャー篇のような過去作品世界観重視型のレジェンド回ばかりになれば、
「ディケイド」との差別化を図って作られた「ゴーカイジャー」という作品の
目指していたものとは違うものになってしまうでしょう。

ですから、カーレンジャーよりも前の作品のレジェンド回はなかなか作るのは難しいだろうと思っていたのですが、
今回ジェットマン篇が作られ、見てみた結果、ジェットマンは例外であったことに改めて気付かされました。
ジェットマンはカーレンジャー以前の戦隊の中では異色なほど、
戦隊メンバーが「ヒーローになっていく物語」が濃厚に、しかもかなり特異な形で描かれており、
「ゴーカイジャー」のレジェンド回に使いやすい戦隊であったのです。

というか、ジェットマンこそが実は「ヒーローになっていく物語」の面では、
最もゴーカイジャーとよく似た戦隊であるとも言えます。
何故ならジェットマンのメンバーはその大部分が「本来は地球を守って戦う義理など全く無い者達であったが、
ひょんなことから地球を守って戦うようになっていく」という意味で、
歴代戦隊の中でもゴーカイジャーに近い立場なのです。

単に「一般人が急に戦う羽目になる戦隊」というのは他にもありますが、
それらの多くは何らかの運命的な要素があります。
デンジ星人の末裔であったり、強いダイノガッツの持ち主であったりというような
「彼らにしかない戦士の資格たる特殊因子によって選ばれた」という理屈で
自分を納得させることの出来る戦隊が殆どです。

そう考えると、「もともと何ら戦士の資格たる特殊因子を持っていない生粋の一般人が戦う羽目になった戦隊」は、
ジェットマン(天堂竜以外)、メガレンジャー、ゴーオンジャーの3つだけです。
このうちゴーオンジャーはもともと彼らの持っていた熱い正義の心が炎神と共鳴したという、
特殊因子ではないが戦士の資格のようなものは持っており、それで選ばれており、
何より本人たちが最初からノリノリなのでゴーカイジャーとは全く違う。むしろ真逆といえます。

よって、「地球を守って戦う義理も資格も無いのに本人たちが望まない事故のような形で戦士になる羽目になった」
のはジェットマンとメガレンジャーだけです。
この2つの戦隊だけが「本来は自分たちが地球を守るために戦う義理など無い」という意識を持ち続けて戦い、
そしていつしか意識が変わっていったという意味で、ゴーカイジャーとよく似た戦隊なのです。

つまり、ジェットマンとメガレンジャーは「ヒーローの自意識の無い者がヒーローになっていく」という、
ゴーカイジャーと最もよく似た物語構造を持った戦隊であったのです。
ただ、メガレンジャーの場合、ヒーローへと変わっていく前の彼らが
高校生という、ある意味まっさらな状態であり、
「宇宙海賊」という確固としたポリシーを持ったアウトロー集団がヒーローへと変貌していく
ゴーカイジャーの物語とは、やや趣が異なっています。

そして、それはジェットマンの一般人4人においても実はそう大差は無く、
農業青年、女子高生、ヒマなお嬢様など、4人のうち3人は
メガレンジャーのメンバーとそう大差ない呑気そうな連中ばかりです。
何か自分なりの譲れない「非ヒーロー的な」ポリシーを持っていたアウトロー型一般人が
ひょんなことからヒーローへと変貌していくという、ゴーカイジャーと同じ物語構造を内包した人物は、
ジェットマンの中では、ブラックコンドルこと結城凱しかいません。
言い換えれば、結城凱がいるからこそ、
メガレンジャーとは明確に違うジェットマン独自のカラーが生まれているのであり、
ジェットマンが歴代で最もゴーカイジャーに近い物語構造を持つ戦隊となっているのです。

だからジェットマン篇のレジェンド回が作られない方がおかしいと言うべきで、
そして、その場合、レジェンドゲストはブラックコンドルこと結城凱でなければならない。
結城凱こそがジェットマンにおける「ヒーローになっていく物語」の中心人物2人のうちの1人であり、
そして「地球を守って戦う義理を感じないアウトローが地球を守るヒーローへと変わっていく」という意味で、
宇宙海賊であるマーベラス一味と最もよく似た心性を持った人物なのです。

しかし、「ゴーカイジャー」のレジェンド回としてジェットマン篇が不可欠としても、
そのジェットマン篇のレジェンドゲストは結城凱でなければならないからこそ、
ジェットマン篇は非常に実現困難になります。
結城凱は「ジェットマン」最終回においてチンピラに刺されて「生死不明」になっているからです。

いや、あの演出は明らかに「死んだ」ということを示唆しているのですが、
あえてそれを結論として明示せず曖昧なまま、
それをラストシーンとして物語を完結させていることが問題なのです。
それはつまり、結城凱が「死んだかどうか分からない」ということをもって
「ジェットマン」という物語が完結しているということであって、
そうなると、そこの部分を弄ることが出来なくなってくるわけです。

例えばそれぞれ本編の劇中で明らかに「死んだ」とされた
アバレキラー仲代壬琴やタイムファイヤー滝沢直人などは、
「ゴーカイジャー」の物語の都合で生き返らせたり幽霊にしたりは出来ます。
本編の物語の中での彼らは結論が出た存在なので、
その結論をふまえて「ゴーカイジャー」で新たな解釈を施しても、
本編の結論をふまえている以上は問題は生じません。

しかし死んだかどうか分からない結城凱を勝手な解釈で生き返らせたり幽霊にしたり出来ません。
もちろん勝手に「実は生きていた」とすることも出来ません。
「ジェットマン」という作品を尊重するならば、そのような無礼なことは出来るわけがなく、
「ゴーカイジャー」という作品がスーパー戦隊シリーズ35作記念する特殊な作品として、
過去34作品をリスペクトすることを前提にして成り立っている以上、
「ゴーカイジャー」という作品において「ジェットマン」という作品を尊重しないということは有り得ません。
だから「ゴーカイジャー」に結城凱は登場させることは出来ない。
しかしジェットマン篇のレジェンドゲストは結城凱しか有り得ない。
そうなるとジェットマン篇を作ることは不可能ということになります。

カーレンジャー篇を作る時、宇都宮Pが
「スーパー戦隊シリーズには下手に手を出すと大怪我する作品が幾つかある」と言い、
その1つがカーレンジャーと言っていました。
カーレンジャーの場合はあまりに特殊なギャグワールドであるゆえだったのですが、
宇都宮Pは他にもいくつかそうした危険な作品があると言っており、その作品名は明示しませんでしたが、
ジェットマンがその中に含まれるであろうことはほぼ間違いないというのは
戦隊ファンなら誰でも想像がついたことでしょう。
そして、その理由はこの結城凱の扱いの難しさに尽きるということも意見の一致するところでしょう。

実際、この「ゴーカイジャー」の第1話冒頭のレジェンド大戦のシーンに
ブラックコンドルを登場させるかどうかで宇都宮Pとメインライター荒川氏が大揉めしたとのことですから、
結城凱問題は両氏も当然、当初から認識していたようです。

宇都宮Pの立場としてはブラックコンドルをレジェンド大戦に登場させないなど有り得ないことだったのでしょう。
何故なら本編劇中で死んだ設定になっている戦士のレンジャーキーを登場させないとなると
ゴーカイジャーの多段変身描写の足枷になるし、
バンダイ発売のレンジャーキー玩具もそんな歯抜け状態でラインアップも組めないのですから、
本編劇中で死んだ戦士もレンジャーキーは存在することにしないといけない。
となると、レジェンド大戦でレンジャーキーが生まれたという設定にする以上、
レジェンド大戦の場に本編劇中で死んだ戦士たちもいなければいけない。
その中には当然ブラックコンドルもいなければいけないのです。
スポンサーの期待に応えるべきプロデューサーの立場としてはそれが当然の判断でしょう。

もちろんレジェンド大戦のシーンであえてジェットマンを映さないという逃げ方も出来たでしょうけど、
どうせ後でゴーカイジャーがジェットマンに豪快チェンジする場面があるのですから、
その時にブラックコンドルがレジェンド大戦の場に居たということは視聴者にバレてしまいます。
だから最初から逃げずにブラックコンドルもアバレキラーもドラゴンレンジャーも
堂々と第1話レジェンド大戦シーンで登場させたのです。

しかし物語の整合性を第一に考えるライターの立場からすれば、
アバレキラーやドラゴンレンジャーの復活は許容出来ても、
ブラックコンドルの復活は許容出来なかったのでしょう。
特に荒川氏は自身が「ジェットマン」のサブライターとして作品に関わってますから、
「ジェットマン」が結城凱の生死を曖昧にすることで完結しているということを承知しており、
結城凱のああいう曖昧な終わり方を尊重するのが
「ジェットマン」関係者の当然の務めと思っておられたのでしょう。
だから復活させることも幽霊にすることも生きていたということにすることも出来ない。
よって登場させることは出来ない。そういうわけで宇都宮Pと荒川氏は衝突したのだと思います。

ただ、レジェンド大戦のシーンには確かにブラックコンドルは登場していますが、結城凱は登場していません。
だから、あのレジェンド大戦のシーンのブラックコンドルは結城凱ではないという逃げ方はまだ出来ます。
別人であるとか、あるいはアカレッド的な「スーパー戦隊を愛する者の意思で生み出された存在」としての
ブラックコンドルという戦士の結晶体のようなものとか、そういう解釈は出来ます。
だから荒川氏は折れたのだと思います。

しかし、宇都宮氏は結城凱問題が存在することを承知でジェットマン篇をやろうとしました。
それはゴーカイジャーの物語の流れの中での必然性によるものでしょう。
しかし当然、荒川氏は大反対だったようです。
ジェットマン篇となれば結城凱を出さないといけない。
もし結城凱を出さないとしても、レジェンドゲストが誰か出た場合、
結城凱の問題について何らかの結論を示さないわけにはいかないでしょう。
それは「ジェットマン」のあの曖昧なまま成立している結末を否定することになりますから、
「ジェットマン」に関与した者として、それは出来ないということだったのでしょう。

そうなると、「ジェットマン」の結末を書き換えることが唯一可能な人物に頼むしかない。
そういうわけで、「ジェットマン」のメインライターにして、あの問題の最終回の脚本を書いた張本人、
井上敏樹氏に今回のジェットマン篇を書いてもらうことになったわけです。
そして井上氏は当然のごとく、ジェットマン篇のレジェンドゲストを結城凱とし、
本編のオリジナル役者の若松俊秀氏に直接出演をオファーされたようです。
こうしてカーレンジャー篇と同じく、オリジナルのコンビによって
取扱い注意戦隊のレジェンド回が作られることとなったのでした。

そうして、このジェットマン篇は、ジェットマンのその後を描いた真の完結編のようになっています。
ジェットマン的要素が散りばめられていますが、これはもうオマージュなどというレベルではなく、
新たに書き起こされた完結篇といっていいでしょう。
そうしたジェットマンの新たな完結篇でありながら、
同時にマーベラスの成長を描いたゴーカイジャーの物語の一篇となっています。

ただ、「ジェットマン」という作品がああいう曖昧な終わり方をした以上、
結城凱を出しても出さなくても、どっちにしてもジェットマン篇を作る以上は、
ジェットマンのあの最終回のその後の続編、真のジェットマンの完結篇のような要素が入るのは
避けられないことです。
そういう意味でジェットマン完結篇のように見えているだけであり、
今回のエピソードはジェットマン完結篇を描きたくて作られたわけではない。
あくまで本来メインストーリーとして描かれているのは、マーベラスの成長物語の方です。
その成長物語に不可欠のレジェンドゲストとしてジェットマンの結城凱が登場しているという、
レジェンド回の基本構図は他のレジェンド回と変わりありません。

ただ今回、今までの「ゴーカイジャー」におけるレジェンド回と異質に見えるのは、
レジェンドゲストの結城凱が完全に先輩目線でマーベラスを目下に見て罵倒しまくり、
マーベラスの方もやたら弱さを見せて言われっぱなし、やられっぱなしで、
結局、先輩の結城凱に後輩のマーベラスが教えを受けて成長するような形になっていることです。

これまでは、あの前々回のレジェンドが変身までしたハリケンジャー篇ですら、
ゴーカイジャー側とレジェンド側の関係は対等になるよう細心の配慮がなされていましたが、
今回は完全にレジェンド側の方が格上という印象となったようにも見えます。
これは「ゴーカイジャー」という歴代34戦隊と絡む戦隊の企画が決定した時から危惧されてきたことで、
ゴーカイジャーがレジェンドに貫録負けして食われてしまうのではないかという心配が、
遂にここで現実化してしまったようにも見えます。
一見、ゲストライターの井上氏がやらかしてしまったようにも見えます。が、それは違います。

確かに20年もの月日の重みはありますから、結城凱とマーベラスを並べた場合、
マーベラスがやや貫録負けしてしまうのは仕方ないともいえます。
しかし、案外、ジェットマンや結城凱の方が格上であるとか、
ゴーカイジャーやマーベラスの方が食われたとか、そういう印象はありません。
このあたりは実に巧く構成されており、決してゴーカイジャーの格が下がるようにはなっていないのです。

むしろ、20年も先輩の戦隊に対して、変に突っ張って優位に立とうとする方が
小物感を漂わせるうすら寒い行為なのであって、
一定のリスペクトを示すぐらいの方がゴーカイジャーの格を上げるといえます。

そして結城凱がマーベラスを罵倒しまくるというのも、結城凱だから全く不自然でない行為なのです。
結城凱だからこそ、いくら相手を罵倒しても、先輩風を吹かせているようには見えないのです。
何故なら結城凱はもともとどんな目上の相手でも気に入らないことがあれば平気で罵倒するキャラだからです。
先輩の立場に立ったから後輩に偉そうにするというタイプではない。
むしろ目上か対等の相手にこそ本気で向かっていき罵倒し戦おうとする男です。
だから結城凱ならば、どんなにマーベラスを罵倒してぶん殴っても、
先輩が後輩を指導しているような構図には見えず、
それでいて熱い男と男のぶつかり合いのように見えるという利点があるのです。

また、常に結城凱がマーベラスを手玉に取ってあしらうような行動をとるのも、
普通ならば圧倒的な実力差を示してゴーカイジャーの株を下げる危険のある描写なのですが、
結城凱というキャラの存在の不自然さによって、
マーベラスがとことん結城凱に手玉に取られるのも仕方ないように見えて、
決してマーベラスの株は下がっていません。
むしろ、結城凱が不自然な存在感でわざわざアプローチしてくる相手として選ばれた
マーベラスの方が特別な存在のようにっ見えてきて、株は上がっていると言っていいでしょう。

そして今回、マーベラスが初めて露骨に見せる弱さの描写が衝撃的です。
この弱いマーベラスが結城凱のおかげで立ち直り成長するわけですから、
これはもう完全にゴーカイジャーを下げて、結城凱を上げる描写であるように見えます。
しかし、これも実態は違います。
それは今回がジェットマン篇であり、レジェンドゲストが結城凱であることを考えれば明瞭に分かることです。

ジェットマンというのは、もともと戦士の資質の無い連中が事故の結果、戦う羽目に追い込まれた連中ですから、
ハッキリ言って弱く、しかも敵は歴代でも最強クラスの敵でした。
敵組織のバイラムが幹部同士で足を引っ張り合ってくれたので序盤は助かっていたようなものです。
とにかくジェットマンは弱く、特にその身体能力や戦闘力というよりも、やたらとメンタルの弱い戦隊でした。
だからこそ、ジェットマンの特徴は、
その己の弱さを自覚して、それを乗り越えて強くなった戦士たちという点でした。

弱さをまず自覚したからこそ、それを乗り越えることが出来たのです。
弱さを自覚しなければ乗り越えることは出来なかった。つまり強くはなれなかったのです。
つまり弱さを自覚しないことは強さには繋がらない。
自分の弱さを知らない人間は強いのか?というと、答えは否です。
自分の弱さを知らない人間はずっと弱いままです。
では、どうすれば人間は自分の弱さを知ることが出来るのかというと、それは強くなろうと思うことです。
強くなりたいと思った時、初めて人間は自分の弱さを知り、打ちのめされます。
それが弱さを自覚するということであり、そこから初めて人は強くなることが出来るのです。

結城凱も街の遊び人で酒と女と喧嘩三昧の生活を送っていた時は、
自分ほど上手に楽しく生きている強い人間はいないと思い上がっていました。
これは結局、自分の弱さを知らないだけの状態だったのです。
ところが事故によってジェットマンとなって地球防衛のために強大な敵と戦うことになり、
最初は退屈しのぎの喧嘩の延長線上のような意識で戦い始めましたが、
バイラムへの怒りや、仲間との絆、そして天堂竜というライバルの地球を守る戦士としての強い使命感を見るうちに、
自分も強くなりたいと思った、というか、強い竜への嫉妬の塊となって拗ねまくった結城凱は
初めて退屈しのぎの腕自慢でしか戦えない自分の弱さを自覚したのでした。
そして結城凱はその弱さを乗り越えて強くなり、真の地球を守る戦士となったのです。

その結城凱が今回マーベラスの前に現れて、マーベラスの弱さを指摘し、それを克服するよう促すというのは、
つまりマーベラスの今回突然生じた弱さというのは、
結城凱のかつて自覚した弱さと同じものだということを意味します。
言い換えれば、マーベラスは今回、強くなろうとした結果、
突然今まで感じることのなかった(長い間忘れていた)弱さを自覚することになったのです。
だからマーベラスは単に弱いわけではない。
むしろ今までよりも1ステージ上がったゆえに弱さを自覚することが出来たのだといえます。

それは要するに、前々回のハリケンジャー篇でマーベラス達が
地球を守る戦いに踏み出そうと決意したことに関係しています。
その戦いは今までのマーベラス達には無い、新たな強さを必要とする茨の道です。
そこに踏み込んだことでマーベラス達は今まで盤石と思い込んでいた自分達の強さが、
実は盤石ではないということを無意識的に感じます。
そこで強さの自信が揺らぎ、その「強い自分」という自覚で今まで押さえ込んでいた恐怖の記憶に
マーベラスが囚われてしまうというのが今回のお話です。

ですから、今回のマーベラスは一見情けないように見えますが、
これは実は少し強くなりつつある状態なのだといえます。
真の強さへの1つの段階として、一時的に弱さを自覚して迷う時期なのです。
その段階にマーベラスがあることを知ってか知らずか、
とにかく、かつてそういう類の弱さを克服して真の強さを獲得した戦士の典型である結城凱が
手厳しいアドバイスに現れるというのが今回のエピソードの構成で、
これは決してマーベラスを貶めるような話ではなく、
むしろ弱さを自覚したことで甦ってしまった強烈なトラウマは
普通の人間ならば押し潰されてしまうものなのですが、
それを克服することでマーベラスの強さを描いたエピソードなのです。

なお、今回そのマーベラスのトラウマを刻み込んだ強敵として登場するキアイドーという怪人は、
退屈しのぎに殺し屋稼業をやる怪人であり、
これはかつて退屈しのぎにジェットマンとなった頃の結城凱を彷彿させるキャラであり、
つまり「乗り越えるべき弱さの象徴」のような存在といえます。

いや、もっと厳密に言えば、「己の弱さを知らず、偽りの強さに固執する存在」といえるでしょう。
それはかつて結城凱がそうであったし、
マーベラスも単なる命知らずの腕自慢、自分の強さを高めることが全てという感覚で戦っていた頃は
キアイドーと同じタイプの戦士でした。
だから、その同じ土俵で格上のキアイドーに心理的に位負けしていたのです。
ゆえに、そうではない真の強さを知ることによって、結城凱はかつてキアイドーのレベルは乗り越えており、
今回はマーベラスが真の強さを知ることでキアイドーを乗り越えるという構成になっているわけです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:17 | Comment(3) | 第28話「翼は永遠に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月26日

第27話「いつもより豪快なチェンジ」感想その3

さて、ガレオンで留守番中のマーベラス達がザンギャックの恐るべき陰謀に気付いた頃、
ルカ(ハカセ)はヤクザとのドタバタ模様の追いかけっこの末、とあるビルの屋上まで逃げてきていました。
なんか、やってることがこっちだけ低レベルで泣けてきます。

しかしルカ(ハカセ)は必死です。
ヤクザ達もこのビルの中に入って来ているはずで、いずれは屋上までやって来るはずです。
どこかに隠れる場所は無いかと探し回るルカ(ハカセ)ですが、
柵を乗り越えてまで探しましたが、何処にも隠れられそうな場所はありません。
困ってよく見ると、隣のビルが同じぐらいの高さで、隣のビルの屋上が見えています。

ルカ(ハカセ)はビルの端っこまで行き、隣のビルを覗き込みます。
(ここから隣のビルに飛び移れば・・・)とルカ(ハカセ)は考えました。
隣のビルに行くことが出来れば、そちらからヤクザの目をくらませて逃げ切ることは出来そうです。
しかし飛び移ることが可能な距離かどうかが問題です。
確かに簡単にまたいで渡れるような距離ではないが、跳べない距離ではない。
いや、ルカの身体能力ならこれぐらい助走をつければ軽いはずです。
(いける・・・!)と判断したルカ(ハカセ)はビルの逆側に端まで行って十分な助走の距離をとり、
意を決して助走を開始します。

そうして隣のビルに向かって踏み切ろうとした瞬間、
ルカ(ハカセ)はビルの端で突然立ち止まってしまいます。
さっき覗き込んだ時、この屋上と地面との距離がかなりあった、
つまりこの屋上が高かったことを思い出したのです。
落ちたら軽いケガでは到底済まない。下手したら死ぬかもしれない、それぐらいの高さでした。
もちろん、いくら高くても跳び越してしまえば何の問題もありません。
ルカの身体能力なら問題ないはずでした。
しかし、そのルカの身体を動かすのは今はハカセなのです。
ルカの中のハカセは(もしも・・・僕がミスったら・・・)と想像して跳び越すのを躊躇してしまったのでした。

結局、ルカ(ハカセ)は隣のビルに飛び移るのは止めてしまいました。
ところが、そうこうしているうちに屋上には既に例の2人のヤクザが到着して柵を越えてきており、
「さぁ・・・追いかけっこは終わりだ・・・」と、2方向からルカ(ハカセ)に迫ってきます。
ビルの端っこに立っていたルカ(ハカセ)は逃げ場所が無くなって追い詰められてしまいます。
(しまった・・・)とルカ(ハカセ)は後悔しました。
跳び越すかどうするか躊躇している間、屋上にヤクザが上がってくることに無警戒になっていたので、
いつの間にかもう逃げられなくなってしまっていました。
隣のビルに飛び移るとか考えないで他の方法を考えればよかった、と後悔しましたが、もう手遅れです。

ルカ(ハカセ)が絶体絶命となったその時、
「いい加減にしなさい!」と言ってハカセ(ルカ)が屋上に現れます。
そして柵を飛び越えてきて「・・・ったく!誰かと思ったら、またアンタ達・・・?」と呆れたように言います。
ちなみに手にはルカ(ハカセ)がベンチに置きっぱなしにしていた沢山の紙袋を提げています。
ルカ(ハカセ)は乱入してきたハカセ(ルカ)を見て、助かったと思う反面、
これでハカセ(ルカ)がヤクザと喧嘩を始めてしまうのではないかとヒヤヒヤもします。

一方、ヤクザ2人はルカ(ハカセ)を追い詰めたところに
いきなり見知らぬイケメンがオネエ口調で乱入してきて馴れ馴れしい口をきくのでちょっと驚きましたが、
手に持った荷物がさっきルカ(ハカセ)が持っていたものと同じだということを見て
ルカの知り合いだと分かったようで「お仲間か・・・」と白いスーツの兄貴分が呟きます。
それを受けて紫のスーツの方が「ちょっと黙っててくれ・・・社長から大事な話があるんだ」と
白いスーツの男の方を指し示してハカセ(ルカ)に待っているよう言います。

「社長」と聞いてルカ(ハカセ)は「えっ!?・・・社長・・・?」と意外な印象を受けます。
てっきり「親分」とか「兄貴」とでも言うのかと思えば「社長」とは意外でした。
地球のヤクザは親分のことを「社長」と呼ぶのだろうか?と思っていると、
その白いスーツのどう見てもヤクザの「社長」はルカ(ハカセ)に近づいてきて
「ルカ・ミルフィ・・・我々には君が、必要だ・・・!」と言うと、いきなり跪き、
ルカ(ハカセ)に向かって「頼む!」と深々と土下座します。
紫スーツの方も見事なスライディング土下座で一緒に頭を下げてきます。

相手は目の前にいるのがルカ本人だと思って何か頼み込んでいるようですが、
ルカの中身は今はハカセなので、そのハカセには何のことかさっぱり事態が呑みこめず、
ルカ(ハカセ)は目が点になって「は・・・?」と呆気にとられます。
更に畳み掛けるように「我が社で働いてくれ!頼む!」と社長は平身低頭、
何度も土下座してルカ(ハカセ)にお願いします。

そこにハカセ(ルカ)が我慢出来なくなったようで乱入してきて
「だーかーらー!何度頼まれても、イヤだから!!」と言いつつ、
2人のヤクザ風の男の首根っこを掴んで引きずり起こし、
「宇宙海賊が宝石店に就職って、おかしいでしょ!?」とキツい口調で2人に言い聞かせながら
屋上の入り口の方に引き連れていきます。
2人は抵抗らしい抵抗をすることもなく、苦も無くハカセ(ルカ)に引きずられていき、
「いや、しかし・・・彼女のズバ抜けた鑑定眼があれば、我が新堀宝石店は一回りも二回りも・・・」と
社長は必死で懇願しますが、結局はハカセ(ルカ)に「二度と来んな!」と怒鳴られて
2人とも屋上から叩きだされてしまいました。

柵のところに来たルカ(ハカセ)は唖然として「どういうこと・・・?」と、
戻ってきたハカセ(ルカ)に柵越しに事情を尋ねます。
それに対してハカセ(ルカ)は「前にあたし、宝石を買おうとして偽物を一発で見抜いたことがあってね・・・
それをあの宝石屋の社長がたまたま見てたみたいで、それからウチで働けってしつこくって!」と、
柵の内側にもたれてウンザリした感じで事情を説明します。

つまり、あの2人はヤクザではなく、単なる宝石屋の社長とその従業員だったようで、
ルカのことをリクルートしていただけだったようです。
それにしても単なる宝石屋にしては顔が強面すぎです。
それにファッションセンスが酷い。まるで竹内力の「ミナミの帝王」の物語世界の闇金のようでした。
あれで宝石屋の商売が成り立つのだろうか?

ちなみに演じておられたお二人はスーツアクターさんのようです。
しかも宝石店の名前が「新堀宝石店」って・・・
これは初代アカレンジャーのスーツアクターを務め、
その後、バトルジャパンからレッドホークまで13年連続でレッド戦士のスーツアクターを務めてくださった
スーパー戦隊シリーズの元祖ミスターレッド、新堀和男氏の名前からとったものでしょう。

ハカセ(ルカ)から事情を聞いて、ルカ(ハカセ)は
「なあんだ・・・てっきりルカがヤバいことに手を出して追われてるのかと思って・・・僕・・・」と
安堵のあまり気が抜けたようになります。
これを聞いて、ハカセ(ルカ)はようやく、
どうしてルカ(ハカセ)が突然いなくなったのかという謎が解けました。
あの2人を自分(ルカ)に恨みを持つヤクザだとルカの中身のハカセが勝手に勘違いして
ビビって逃げていたというわけだったのだと分かったのでした。

しかし、「ヤバいことに手を出して」って、
いったい自分(ルカ)はハカセに普段どういうイメージで見られているのだろうか?
とハカセの中のルカは少し凹みましたが、
それ以上にイライラしたのは、相手がヤクザだと勘違いしたとはいえ、
ルカの中身のハカセがビビって逃げたことでした。

仮に相手が本当にヤクザだったとしても、ルカの身体を使えば喧嘩しても勝てるはずだし、
普段のハカセでもヤクザ相手に負けるはずはない。
だからヤクザにビビって逃げる必要など無いはずなのです。
それなのにビビって逃げたわけだから、やはりハカセは気が小さすぎると
ハカセの中身のルカは思いました。

「良かったぁ〜・・・」と安堵のあまり、腰が抜けたようにしゃがみこんだルカ(ハカセ)に
更にイライラを募らせたハカセ(ルカ)はクルリと振り向いて柵越しにルカ(ハカセ)を睨んで
「てゆーかさ!あのくらいの距離、跳んで逃げればいいでしょ!」と、
さっきルカ(ハカセ)が跳ぶのを躊躇った場所を指さします。
ハカセ(ルカ)はあのルカ(ハカセ)が跳ぶのを躊躇した場面から既に屋上で見ていたようです。

ハカセの中身のルカは、まぁルカの中身のハカセがあの2人組にビビったのはまだ仕方ないとは思っていました。
確かに見た目は凶暴そうに見えるし、ただの宝石店店員だとはハカセは知らなかったわけだから、
喧嘩が嫌いなハカセがトラブルを避けたくて思わず逃げたのは仕方ないかもしれない。
しかし、あれぐらいの距離も跳べないというのはいくらなんでも情けなすぎる。

情けない場面を見られていたことを知って、
「だって・・・」と決まり悪そうに顔をしかめてルカ(ハカセ)は返事に詰まります。
「まさかビビったの?」と、柵越しにルカ(ハカセ)の頭の後ろを小突きながら、
ハカセ(ルカ)は追い打ちをかけます。
するとルカ(ハカセ)がハカセ(ルカ)に背を向けたまま、拗ねたように
「・・・そりゃあビビるよ・・・着地でも失敗したら大変じゃないか!」と言うので、
ハカセ(ルカ)は呆れて溜息をつきます。

やっぱり案の定、ルカの中身のハカセはあれしきの距離を跳ぶのに、
失敗して落っこちたらどうしようかなどと過剰に心配していたのです。
いくら何でも小心者すぎる。
そんなんだからモテないんだとハカセの中身のルカは思いました。

しかし、ルカ(ハカセ)がボソッと「・・・ルカが・・・」と言葉を繋ぐと、
ハカセ(ルカ)は「え・・・?」と予想外の言葉に戸惑います。
ルカの中身のハカセがさっき跳ぶのを躊躇したのは、単にビビったのではなく、
自分のミスで着地にでも失敗して落下すれば自分が預かっているルカの身体が危険に晒されることを
心配してのことだったのです。

ルカの身体能力ならばあれぐらいの距離は跳び越せることはハカセも分かっています。
しかし細かな判断を交えてその身体を動かすのはルカではなく、その身体に限定的に入っているハカセなのです。
だから、落ちたら死ぬような高さの場所を跳ぶという場合は
ハカセの些細な判断ミスがルカの命を左右することになる。
自分にそこまでルカの命を左右する決断をする権利があるのだろうか?とハカセは疑問に思い、
跳ぶのを躊躇し、結局跳ぶのはやめたのです。
しかし、結局ルカ(ハカセ)は自分の勇気の無さをハカセ(ルカ)に指摘されて悔しい想いを感じて、
すっかりイジケています。

もともとハカセには勇気が無いわけではない。
第3話でちゃんと小津魁の試練を乗り越える勇気を示してマジレンジャーの大いなる力をゲットしているのです。
しかし、あれは仲間を助けるために発揮される勇気であり、
逆にハカセは仲間を危険に晒すような勇気は発揮するのはどうしても躊躇ってしまうのです。
それは仲間を気遣うハカセの優しさゆえなのですが、
理由はどうであれ決断すべき時に躊躇してしまったのは事実で、
今回は危険な相手でなかったからよかったようなものの、
戦いの時にあのような躊躇をすれば命取りになりかねない。
それが分かっていても、どうしても仲間のことを思うと躊躇してしまう自分を
ルカの中身のハカセは恥ずかしく思ったのです。
今回、ルカと身体が入れ替わったことで、自分のそうした弱さを痛感させられることになったハカセは、
確かにハカセの中身のルカの言う通り、自分は戦士として未熟だと落ち込むしかなかったのでした。

しかし、ハカセの中身のルカは、ルカ(ハカセ)の言葉を聞いて驚き、しばし黙り込みます。
そして「ハカセ・・・あたしを守ろうとしてたの・・・?」と問いかけます。
ルカ(ハカセ)は「当たり前だろ!・・・今は僕がルカの身体を預かってるんだから・・・」と当然のように答え、
また不機嫌な顔でふさぎ込みます。
仲間を守ろうとするのは当たり前、しかしそれで躊躇していては結局、仲間を守ることは出来ない。
今回だって相手が本当に危険な敵であったら、結局はルカの身体を危険に晒していたのです。
そう思うと、ルカの中身のハカセはやはり自分が情けなく思えてきます。

一方、ハカセ(ルカ)は黙ったまま考え込みます。
ハカセにとってはルカを守るのが当たり前
・・・それは何もハカセにとってルカが特別な恋愛対象であるとかいう意味ではなく、
仲間だから守るのが当たり前という意味であるようです。
だから、その対象はルカに限らずマーベラス達も含まれます。
これは「守る」というか、この場合、「気遣う」というのが的確な表現かもしれません。

そう考えると、入れ替わってからこれまでのルカ(ハカセ)の行動もすっきり理解出来ます。
ビルとビルの間を跳び越さなかったことだけでなく、
ヤクザと間違えて宝石屋から逃げたのも、
喧嘩になってルカの身体に怪我でも負わせたらいけないという気遣いであったのであろうし、
宝石屋にい絡まれた時にハカセの中身のルカに助けを求めようとしなかったのも、
ナンパ男とハカセ(ルカ)が喧嘩するのを止めようとしたのも、
喧嘩の巻き添えで自分の入ったルカの身体に危害が及ぶことを避けたかったからでしょう。

それぐらい細やかにハカセは自分の預かっているルカの身体に危害が及ぶことを
慎重すぎるぐらいに避けようとしていたのです。
そして、そうしたハカセの仲間への細かい気遣いの姿勢は、
入れ替わっていない普段でも同じだとハカセの中のルカは気付きました。
買い物の時も荷物を持ってくれていたのも、
女のルカに重い荷物を持たせてはいけないという気遣いであったのです。
普段からハカセはそうやって仲間のことを大切に扱ってくれている。
だから入れ替わったら、自分しかルカの身体を守る者はいないと気負ってしまい、
慎重すぎるぐらいに用心深くなったのです。

(そっか・・・ハカセはずっと、あたしの身体を気遣ってくれてたんだ・・・)とハカセの中身のルカは
心の中で呟き、そして、それに引き替え、自分はどうだろうと自分を顧みました。
普段からハカセに荷物を持たせて平気であるし、
入れ替わったら入れ替わったで、今度は普段からハカセが大切にしてくれている、
こともあろうに自分(ルカ)の身体に荷物をたくさん持たせて負担を負わせ、
「ハカセも遊べばいい」と、自分(ルカ)の身体でふざけて遊ぶようにそそのかしたりしていたのです。
預かったルカの身体を大切にしていたハカセがそんなことを喜んでやるはずがない。
「そんなこと出来るわけない」とルカの中身のハカセが答えたのは当然です。

その一方でハカセの身体を預かったルカの方は、
ハカセの本来の魅力がそうした細かな気遣いや優しさであることも忘れて、
クールで気の強い、男らしくてスマートな立ち居振る舞いという、
自分好みの男の魅力を勝手にハカセの身体に押し付けて遊んでいたのです。

「・・・な〜のに、あたしってば・・・」と、ハカセ(ルカ)はボソッと呟きます。
ハカセは預かったルカの身体を何より大切にしてくれていたのに、
自分(ルカ)はハカセの気遣いや優しさという本当の男の魅力、いや、ヒーローとしての魅力に気づくことなく、
自分勝手にハカセの身体に自分の理想のヒーロー像を押し付けて、
似合わない喧嘩をしたり、女の子に軽口を叩いたりしていた。
そんなのは本来のハカセの魅力ではない。

もちろん、悪を見れば突っかかっていく向こうっ気や、女の子を喜ばせるスマートな話術など、
全て悪いことではない。男として、ヒーローとして、持ち合わせているに越したことはない素養です。
しかし、そんな風に自分には無い他人の長所ばかり追いかけて
自分の本来の魅力も意識出来ていないような男など軽薄なだけで魅力などありません。
自分はハカセの身体にそんな軽薄なヒーロー像を押し付けていたのだと、
ハカセの中身のルカは深く反省したのでした。

ルカ(ハカセ)は、ハカセ(ルカ)が何か意味の分からないことを呟いたので、
柵にもたれてしゃがんだまま、首だけ少しハカセ(ルカ)の方に振り向いて見上げて
「なに・・・?」と尋ねますが、
ハカセ(ルカ)はハカセの魅力の話など相手に面と向かってするのは照れ臭いので、
ただルカ(ハカセ)の頭に優しく手を置いて軽く撫でながら「ありがと・・・」と礼を言いました。
本当の人間の魅力、ヒーローの魅力というのは、自分の本来持っている魅力をまず知ることから始まるのだという、
とても大事なことを気付かせてくれたことに感謝したのですが、
頭を撫でたのは一種の罪滅ぼしの徴でした。

ハカセの中身のルカは、入れ替わってから今までずっと、ハカセの身体を自分の勝手放題にしてきたことを反省し、
今からでもせめて少しでもハカセの本来の優しさや気遣いの滲む行動をハカセの身体にさせてあげたいと思い、
努めて優しい態度を心掛けたのでした。
そしてルカ(ハカセ)の頭から手を離すと「・・・ごめんね!」と優しく笑いかけます。
入れ替わってから今まで、ずっとルカっぽく不敵な面構えをしていたハカセの顔でしたが、
ここはいつものハカセ本来の穏やかで優しげな魅力のある表情となっていたのでした。

その顔を見上げて、ルカ(ハカセ)はハカセ(ルカ)が急に礼を言ったり謝ったりする
理由がよく分からず不思議な顔をします。
自分(ハカセ)がルカの身体を守ろうとしたことにハカセの中身のルカは感謝し、
それゆえ隣のビルに飛び移るのを躊躇したハカセを責めすぎたことを詫びているように見えますが、
しかし実際はもし追ってきた敵が凶悪な相手であれば、
あそこで跳ばなかったことで逆にルカの身体を危険に晒した可能性が高かったわけで、
だからこそルカの中身のハカセは深く反省してウジウジと落ち込んでいたのです。
だからハカセ(ルカ)がルカ(ハカセ)を詰るのは当然であり、
礼を言ったり謝ったりするのはおかしいのだと、ルカ(ハカセ)は思いました。

しかし優しく微笑んでいるハカセ(ルカ)の顔を見ていると、
ルカ(ハカセ)も何だか気が楽になってきました。
どうにもルカの言ってること、やってることはいつも理屈が通ってなかったりムチャクチャだったりするのですが、
行動は極端であっても仲間のためを想っての行動であることが多いのです。
今回だって、ただ好き勝手にハカセの身体で遊んでいたわけではなく、
カッコよくオシャレしたり、困っている女の子を助けたり、女の子を会話で楽しませたり、
別に悪いことは何もしていません。
普段のハカセには出来ていないようなことをして、
普段のハカセに欠けている魅力を補おうとして色々試してくれていた印象です。
危険が迫った時に勇気を出してビルとビルの間を飛び越えるべきだというのも、
ルカが素直にハカセの欠点を指摘してくれただけのことです。

ただ、それがあまりに天真爛漫な思いつき的な言動となるので、皆にその真意が伝わるわけではない。
誤解されることも多く、ルカも失敗して反省することも多い。
今回も自分(ルカ)のことを守ろうとしてくれていたというハカセの真意を知ることで、
ルカなりに自分の言動の行き過ぎた面などを反省したりしたのであろう。
それでいきなり謝ったり礼を言ったり、一見支離滅裂な言動になっているのであろうと、
ルカの中身のハカセは思いました。

しかし、自分はそうした屈託のないルカの言動のおかげで自分の足りない部分を意識することが出来た。
そう考えると、こうした少し思慮は足りないが、天真爛漫で屈託なく
仲間想いの熱い気持ちをストレートに出せるところがルカの美点なのだと、
ルカの中身のハカセには思えたのでした。

そこで入れ替わった後の自分を顧みてみると、
ハカセはルカの身体を預かって、ルカの身体を大切にしていると言いながら、
自分がルカの本当の一番大切な部分を全く疎かにしていたことに気付きました。
入れ替わってからの自分はルカの身体を使って、
ずっと仏頂面で悩んだり嘆いたりウジウジと落ち込んだりしていて、
ルカの天真爛漫な美点を殺しまくっていたのです。

これではルカを守ってきたとはいえない。
ルカの本来の魅力も守ってこそ、ルカの身体を預かった責任を果たしたと言えるのだと思い、
ルカの中身のハカセは、入れ替わってから初めて、
ルカの顔にフッとルカらしい素敵な微笑みを浮かべるのでした。
そうすると、ウジウジと悩んでいた気持ちがスッとして、
今後はルカの身体を守るために勇気をもって戦おうという、前向きな気持ちになれたのでした。

その時、2人の持つモバイレーツが鳴り響きます。
ルカ(ハカセ)が通話に出るとアイムからの連絡で、
ザンギャックの次の狙う場所が国際会議場だと判明したということでした。

ガレオンで調べた結果、レガエルが襲う可能性の高い国際平和会議が、
なんと今日これから行われるとのことで判明し、
それならば全首脳をスゴーミンと入れ替えるのなら、今日これから会議場を襲うしかないと
マーベラス達は判断したのでした。
マーベラス達は今すぐガレオンで会議場に直行するとのことで、
ルカ(ハカセ)とハカセ(ルカ)もそのまま会議場に行き合流することにしました。

国際会議場では、やはり案の定レガエルがゴーミン達と、
全首脳と中身を入れ替えるためのかなり大人数のスゴーミン達と共に襲撃をかけており、
世界各国の首脳たちは逃げ惑っていました。
どうでもいいけど、さっきの鎧の妄想の中に出てきた首脳たちが
そのまんま同じ人が何人か混じっているのが面白い。

「今から貴様らをスゴーミンと入れ替えてやる!」と高笑いしたレガエルが逆転ビームを放とうとした瞬間、
会議場の天井が崩れて、落ちてきたガレキでレガエルは吹っ飛ばされて倒れます。
天井が崩れたのはガレオンからマーベラス一味の6人が錨で天井を突き破って降りてきたからです。
床にひっくり返ったレガエルは床に降り立ったマーベラス一味を見て「海賊ども!?」と驚きます。

レガエルやゴーミン達を見渡して「やっぱりこういうことだったのか!」とマーベラスが言い、
鎧は何故かその場にあったマイクを手にして「平和会議を悪用するなんて許せない!」と、
ここは地球を守るヒーローらしく大見得を切ります。
そして続いて「ほんでもって、よくも僕たちを入れ替えたなぁ!」とルカ(ハカセ)がプンプン怒り、
「さっさと元に戻しなさい!」と、イケてる恰好のままのハカセ(ルカ)がビシッと決めます。

それに対して起き上がったレガエルは、「やなこった!どうしても戻りたければ、この俺を倒し・・・」と、
こういう類の特殊能力を持った怪人のお約束的なセリフを言おうとして、
最後まで言い終わることなく、いきなりハカセ(ルカ)のゴーカイガンで撃たれて吹っ飛ばされます。
「・・・シンプルでいい・・・!」とジョーは大満足。
いちいち捕まえて入れ替えられた人間を元に戻す方法を聞き出す必要は無いということを
バカ正直にレガエル自身が白状してくれて大助かりです。
これで心置きなく全力でレガエルを倒しにかかることが出来ます。

そしてハカセ(ルカ)もルカ(ハカセ)に向かって
「ハカセ・・・あたしの身体だからって、遠慮しなくっていいよ!」と、全力で戦うよう指示します。
さっきハカセが自分(ルカ)の身体を気遣っていることを知ったハカセの中身のルカは、
そんな遠慮は無用だと自らお墨付きを与えてハカセを安心させてケツを押したのです。
ルカ(ハカセ)もさっきの失敗を教訓に今度はルカの身体を守り、お互いの身体を取り戻すために
全力で戦おうと、もともと心に決めており、「了解!」と力強く応じて
ゴーカイイエローのレンジャーキーを取り出します。

そして6人並んで豪快チェンジ!
ゴーカイジャーの姿に変身した6人はいつものように1人ずつ個人名乗りを上げていきます。
「ゴーカイレッド!」「ゴーカイブルー!」と、ここまではいつものようにスムーズに流れますが、
ここで何故かゴーカイグリーンが出てきて、しかも「ゴーカイイエロー!」と名乗りながら、
ゴーカイイエローの名乗りポーズをとったので、
全員「ん?」「ん?」とゴーカイグリーンの方を見て、流れが止まってしまいます。

皆の冷ややかな視線を浴びてしまったゴーカイグリーンは、
いつものようにハカセが変身したものではなく、ルカが変身したものでした。
どうやら、ゴーカイジャー以外のレンジャーキーは各自好きなものを取り出せるようですが、
ゴーカイジャーのレンジャーキーだけは各自の担当のものしか取り出せないようになっているようです。
マーベラスならゴーカイレッドのレンジャーキーしか取り出せないし、
ジョーならゴーカイブルーのレンジャーキーしか取り出せないのです。
ですから、ハカセの中身はルカなのですが、ハカセの身体である以上、
ゴーカイグリーンのレンジャーキーしか取り出せないようです。
同様に、ルカの中身がハカセであっても、ルカの身体で取り出せるのは
ゴーカイイエローのレンジャーキーです。

しかし、ハカセの中のルカはいつもの調子で豪快チェンジしたら
自分がゴーカイイエローに変身出来ているつもりでいたものですから、
名乗りもゴーカイイエローでやってしまったのです。
が、現実にはゴーカイグリーンに変身しているわけですから、
姿と名乗りが合わないというチグハグな事態となってしまったのでした。

皆に冷ややかな視線を浴びせられてその失敗に気付いたハカセ(ルカ)は
「・・・じゃなくって・・・ゴーカイグリーン!」と言い直し、
ゴーカイグリーンのいつものおどけた決めポーズをとります。
「・・・そうだよな」とマーベラスが横でボソッと言うのがちょっと可笑しい。
てゆーか、マーベラス、ルカとハカセが入れ替わってる件、イマイチ把握してない感じ?
そしてルカ(ハカセ)が張り切って「よし!今日は僕がゴーカイイエロー!」と、
ゴーカイイエローのクール&セクシーな名乗りポーズを決めます。
「ですね!ゴーカイピンク!」とアイムも納得しつつ名乗りの流れを再び復活させ、
鎧は「ゴオオオオカイ!シルバァァァッ!!」とマイペース。

そして最後は「海賊戦隊!ゴーカイジャー!」と全体名乗りを決め、
「いつもより派手にいくよぉ!!」とハカセ(ルカ)とルカ(ハカセ)が叫びつつ、ゴーカイガンを連射、
レガエル達を吹っ飛ばします。
更にマーベラス達も加わり全員で撃ちまくり、レガエル隊を全部まとめて会議場の外に叩きだします。
そして屋外で本格的戦闘を開始します。

ここでのアクションシーンでは今回は他戦隊への豪快チェンジはありません。
今回は戦闘スタイルの対照的なゴーカイイエローとゴーカイグリーンの
変身後の入れ替わりアクションを魅せることが、そもそも最重要ですから、
ゴーカイジャーのままのアクションをたっぷり見せなければ意味は無いからです。
そういうわけで最初のアクションシーンでフラッシュマンを見せておいたわけです。

ここではハカセ(ルカ)のゴーカイグリーンと、ルカ(ハカセ)のゴーカイイエローのアクションが
重点的に描かれます。
まずゴーミン達相手の戦闘では、ハカセ(ルカ)はゴーカイグリーンの姿でありながら、
いつものゴーカイイエローのような流れるような無駄の無い動きで、
綺麗に剣を振り回しつつ蹴りなども繰り出します。
一方、ルカ(ハカセ)はゴーカイイエローの姿でありながら、
いつものゴーカイグリーンのような一見ムダだらけ隙だらけの意味不明アクションを
変な掛け声を発しながら展開し、
しかもゴーカイイエローのスーツについているスカートが慣れないので邪魔なのか、
しきりにガニ股で裾をたくし上げるという、はしたない動きを随所で挿入します。

そのままゴーミン達の群れを突き抜けると、2人はレガエルに襲い掛かります。
何故この2人がレガエルと戦うのかというと、
今回の行動部隊は入れ替わり要員として連れてきているスゴーミンが多いので、
こいつらを倒すのにマーベラス達がそれなりに時間がかかるので、
その間に、既に逆転ビームを浴びていてレガエルの逆転ビームを警戒する必要の無いルカとハカセの2人に
斬り込ませるのが得策という判断なのでしょう。

レガエルの目ぼしい技は逆転ビームぐらいしか無く、
ルカとハカセの2人にはその逆転ビームを浴びせても、逆に2人にとっては元に戻れて大助かりなわけですので、
レガエルはこの2人には逆転ビームを撃てません。
ならば、全く決め手の無い状態といえます。
それでもレガエルは2人を相手になんとか互角以上に戦います。
これは最初の戦いの時と同じです。

「この俺を簡単に倒せると思うなよ!」とレガエルは調子に乗りますが、
このレガエル、お調子者だが頭は足りないようです。
最初の戦いの時の展開をもう忘れているようです。
ここでハカセ(ルカ)とルカ(ハカセ)はレガエルを挟んで素早く武器交換。
そう、レガエルは最初の戦いでも武器交換後の2人には圧倒されたはずです。

しかし、ハカセ(ルカ)の投げたゴーカイガンがルカ(ハカセ)の手許にキャッチされ、
入れ替わりにルカ(ハカセ)の投げたゴーカイサーベルがレガエルの頭に当たって
バウンドしてからハカセ(ルカ)の手許にキャッチされ、
これでハカセ(ルカ)が二刀流、ルカ(ハカセ)が二丁拳銃となり、
今回は普段とは逆ということになります。
しかし、これは中身の人的にはこれが自分の得意スタイルなので、全く問題はありません。

ルカ(ハカセ)は「行くぞぉぉっ!!」と二丁拳銃を撃ちまくって突撃し、
レガエルの股の下をくぐって背後からまた撃ちまくる。
レガエルが振り向いたところにハカセ(ルカ)が二刀流で突っ込み斬りまくります。
レガエルは2人の武器交換後の普段とは逆でありながらも変わらぬ強さに圧倒されますが、
最初の戦いでこの状況から状況をひっくり返した逆転ビームは今回は使えません。

追い込まれたレガエルに対して2人は更に連携攻撃を加えます。
ハカセ(ルカ)を跳び越したルカ(ハカセ)は前転してから座り込んで二丁拳銃を撃ちまくり、
その後ろからハカセ(ルカ)も二刀のゴーカイサーベルをワイヤーで操る攻撃でレガエルを斬りまくります。
更にワイヤーを操ったままハカセ(ルカ)が前に出て
今度はルカ(ハカセ)がその背後に隠れながら銃を撃ちまくり、
レガエルはこれで完全にグロッキー状態となります。

たくし上げていたスカートをせっせと下ろし、
「今がチャ〜ンス!!」と二丁拳銃にレンジャーキーを挿すルカ(ハカセ)に、
ハカセ(ルカ)がクールに「トドメいくよ?」と応じて二刀のゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿し、
2人でファイナルウェーブの態勢に入ります。
これはゴーカイスクランブルですが、2人しかいませんから、
2人ゴーカイスクランブルというべきものであり、5人バージョンよりは威力は落ちるはずですが、
これでレガエルを倒します。
それだけレガエルが大して強くない怪人ということでしょう。

レガエルが爆発して果てると、ルカは「ざまぁ見なさい!」とゴーカイガンを肩に担ぎ、
ハカセは「お尻ペンペ〜ンだ!」とおどけて自分の尻を叩きます。
そこで2人は「あれ?」「ん?」と互いの顔を見ます。
いつの間にか、相手の行動が普段のキャラ通りの行動になっていたのに気付いたからです。
そして自分の身体を見下ろしてスーツ色を確認し、「ん?」と再び互いの顔を見合わせて、
ルカは「あたし・・・ルカ?」と言い、ハカセは「僕、ハカセ!」と歓喜の声を上げます。
そして「戻ったぁ〜っ!!」と2人は飛び跳ねて喜び合い、抱き合いますが、
さすがに抱き合ったのはマズかったようで、
ルカは「・・・ちょっと!」とハカセに肘打ちをかまして身を離します。
ハカセは肘打ちの感触も元に戻った証のように嬉しがり「やっぱりルカだぁ〜!」と歓喜します。
レガエルがさっき言いかけていた通り、レガエルを倒すことによって逆転ビームの効力が切れて、
2人は晴れて元の身体に戻ったようです。

そこにギガントホースから巨大化光線が降ってきてレガエルを復活巨大化させます。
今回は巨大化銃を撃つシーンは割愛です。
ゴーミン達を全滅っさせて集まった6人の中で巨大化したレガエルを見上げてルカは
「どいつもこいつもしつこいわね!」と憤慨しながら、背後におびえて隠れているハカセに肘打ちを食らわせ、
慌ててハカセはアイムの背後に隠れます。
いきなりハカセに後ろに回られて少し戸惑ったアイムでしたが、
怯えるハカセの姿を見て、いつも通りのハカセとルカに戻ったと実感し
「やはり・・・この方が落ち着きますね」と微笑みます。

そして巨大戦に突入。
巨大化レガエルにはゴーカイオーと豪獣神で対抗します。
「貴様らの命だけでも貰って帰るぞ!」と大きなことを言うレガエルでしたが、
「やれるもんならやってみやがれ!」とマーベラスが怒鳴って2体のロボが突っ込むと、
「わはっ!調子に乗りました!」と、いきなりヘタレる始末。
ゴーカイオーと豪獣神にフルボッコにされ、吹っ飛ばされます。弱すぎます。

「このまま一気にいっちゃうよぉ!」とルカが言って、ハカセが「OK!」と応じて、
ゴーカイオーの5人が取り出したのはハリケンジャー(およびゴウライジャー)のレンジャーキーです。
風雷丸を召喚し、合体して前回初登場のハリケンゴーカイオーとなります。
ここはハリケンゴーカイオーの販促期間ですから当然のチョイスです。

ここでハリケンゴーカイオーは手にした大型手裏剣を扇風機のように回して風を起こし、レガエルを吹っ飛ばす。
そして吹っ飛ばされたレガエルをまた豪獣神がドリルで回して吹っ飛ばします。
そしてトドメはゴーカイ風雷アタックで、
分身した無数の風雷丸が手裏剣を持ってレガエルに突っ込み、倒したのでした。

エピローグは、戦いが終わった後、とある屋外カフェで、ハカセがデート中という場面です。
相手はなんと、あのさっきルカが中身に入っていたイケてたハカセを逆ナンパしてきた女子高生2人組です。
ハカセはいつものお気に入りのダサいファッション(チェックシャツ、モジャモジャ頭)に戻って、
襟元には蝶ネクタイをして精一杯のドレスアップをしています。

「ええっとぉ〜・・・改めまして、ドン・ドッゴイヤーです」とぎこちなく頭を下げるハカセ。
この2人組は確かにハカセとは初対面ではないが、
さっきこの2人と喋っていたハカセは中身はルカだったので、
実質的にはハカセはこの2人とは初めて喋ります。
それでハカセは緊張していますが、そもそも女子高生と話せる話題が無いので、言葉が続きません。
しばしの沈黙の後、「・・・今日は、いい天気ですね!」とようやく天気の話を切り出すが、後がまたもや続かない。

再び黙り込んだハカセを前に、女子高生2人もずっと固まっています。
さっき会ったカッコいいドン・ドッゴイヤーという人物と
今目の前にいるドン・ドッゴイヤーというダサい男とがあまりに印象が違い過ぎて戸惑っているのでした。
2人はヒソヒソ話し始めます。
「ね、なんか雰囲気違くない?」「ダッサ!」「モジャモジャ!」「チェック!」
「ありえな〜い!」「へ〜ん!」と、ハカセ、散々に言われてます。

2人の様子が変なのでハカセが「あの〜・・・?」と話しかけようとすると、
女子高生2人は「あたし達、ちょっと急用思い出したんでこの辺で・・・」「すいません!」と言って立ち上がり、
逃げるように走り去っていきました。
「あのぉ、ちょっと!」と慌てて2人を追いかけようとしてハカセは
椅子につまづいてひっくり返ってしまうのでした。

女子高生は走り去ってしまい、そこに溜息をついてルカが登場し、
「やっぱダメかぁ・・・あたしとハカセじゃ全然違うもんねぇ!」と言います。
ハカセは憮然として立ち上がり
「だったら、なんで僕に行ってこいなんて言ったんだよ!?」と椅子を元に戻して座ります。

どうやら、ハカセと入れ替わっていた時にさっきの女子高生たちとメアド交換をしていたルカが、
戦いの後、あの2人に連絡してデートに誘ったようです。
ルカ版のカッコいいハカセから誘われたと思った女子高生2人組が張り切ってやって来ると、
約束の場所のこのカフェに待っていたのはダサ男の本物のハカセだったので、
女子高生2人は驚いて逃げ帰ってしまったというわけです。

つまりルカは自分がお膳立てしたデートにハカセを行かせたわけですが、
どうしてわざわざそんなことをしたのでしょうか?
そのことをハカセに問われたルカは
「だって・・・ハカセにはハカセのカッコいいとこがあるじゃない?」と答えます。
「え・・・?」とハカセはルカの意外な言葉に驚きます。
ルカが自分のことを「カッコいい」なんて評するとは予想していなかったので、
まずそのことで驚いてしまって、ルカの発言の意味など分からなかったのです。

ルカは要するに、あの女子高生たちが自分が中身に入っていた時のハカセのことを
「カッコいい」と言ってベタベタしてきた理由を見極めたかったのでした。
単にあの時のルカが自分の好みの男性像を押し付けただけのハカセの外面的なカッコよさに惹かれたのか、
それともその奥にあるハカセの内面の魅力に気づいていたのか、どちらなのか知りたかったのでした。
そのためにわざと普段のダサいハカセを行かせたのです。
結果、あの2人はハカセのあの時の外面的な魅力しか見えていなかったということが分かりました。

いや、もしあの2人がハカセの気遣いや優しさなどの本来の魅力に気づいていたり、
あるいはこの場で気付くのなら、それはそれでハカセにも春がやって来るということで
目出度いことだとは、ルカも思っていました。
だからそうなったらそうなったでよかったのです。
しかし、そうはならなかった。それでもルカは満足でした。

いや、実際はルカにはここでハカセに春は来ないことはほぼ予想は出来ていて、
その結果の方を実は期待していたと言っていいでしょう。
あの女子高生たちがハカセの本来の魅力に気づかなかったのを見て、ルカは優越感を覚えたのです。
ハカセの本当の魅力を分かっているのは自分だけ、いや、自分たち海賊仲間だけだという優越感でした。
本心ではその優越感に浸るために、わざわざ女子高生たちを呼び出したといえます。

優越感に満足したルカは、
意味が分からないという顔で目をパチクリさせているハカセの頭にすっと手を伸ばして、
そんな自分の満足感のために利用した形になったハカセに感謝と謝罪の意味を少し込めて
優しく頭を撫でるとフッと微笑み、「帰ろう!」と言います。
そして、さっさとカフェを出て「なんか美味しいもん作ってよ!」と言いつつ、歩き出します。

ハカセは慌てて立ち上がり「ちょっと待ってよ!」とルカに駆け寄ると、
後ろから肩に抱きついて「ねぇ!僕のいいところって何?ねぇ!ルカってば!教えてよ!」としつこく尋ねます。
ルカの言っていた自分の「カッコいいとこ」というのが何なのか、どうしても気になるのです。
しかしルカはそんなことをハカセに面と向かって言うのは照れ臭いので、鬱陶しそうにしており、
遂には「しつこいっ!!」とハカセに肘打ちし、ハカセはいつものように悶絶するのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:50 | Comment(0) | 第27話「いつもより豪快なチェンジ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

第27話「いつもより豪快なチェンジ」感想その2

ここで舞台はその少し後の時間のギガントホースの指令室に移ります。
「なに?・・・逆転ビームを海賊に喰らわせ、2人を戦闘不能にしたぁ・・・?」と、ワルズ・ギルは
ギガントホースに戻ってきた先ほどの怪人の戦果の報告を聞いて微妙な反応を示します。
「・・・はっ!」と何やら怪人は挙動不審です。
当初予定していた何らかの隠密作戦は結局失敗したので、
たまたま苦し紛れに撃った逆転ビームでルカとハカセの中身を入れ替えたことを報告して
失敗を誤魔化そうとするつもりが明白すぎます。
それにしても、やはり、ルカとハカセの中身が入れ替わってしまったのは、
やはりこの怪人のあの変な技「逆転ビーム」のせいだったようです。

ワルズ・ギルは思案しました。
確かに本来の任務を失敗して帰ってきたのはけしからんが、
憎っくき海賊どもに一泡吹かせたというのなら、その成果は褒めるべきではないかとも思えました。
よし、ここはひとつ、些細なミスにはこだわらず部下を褒めて育てる器量の大きなところを見せてやろうと思い、
ワルズ・ギルは「よぉ〜し!よくやったぁ!あの海賊どもに一泡吹かせてやったということだぁ!!」と
大笑いして怪人を大いにねぎらいます。
そして「いやぁ〜!気分がいい!よかったよかった!!」と上機嫌で指令室を出て行こうとする
ワルズ・ギルの背後で、それまでじっと黙って立っていたダマラスがその怪人に近づいて、
「・・・無駄に手のうちを晒しおって・・・!」と大目玉を食らわしたので、
バカみたいに褒めていたワルズ・ギルの面目は丸つぶれとなってしまいました。

そもそも、ゴーオンジャーのように怪人と入れ替えられたり、
シンケンジャーのように何かの置物と入れ替えられたり、
ボウケンジャーのように動物を入れ替えられたりするわけではなく、
戦隊メンバー同士の中身を入れ替えたからといって戦闘不能になるわけがない。
確かに何らかの精神エネルギーを使って変身する戦隊の場合は、
アバレンジャーやマジレンジャーのように中身が入れ替わることによって変身不能になる場合もありますが、
ゴーカイジャーの場合、レンジャーキーとモバイレーツさえあれば誰でも変身出来るという設定ですから、
中身が入れ替わっても変身することに何ら支障はありません。

そしてゴーカイジャーは個人専用武器で戦うのは鎧だけですから、使う武器も入れ替わっても同じです。
ただ単に得意スタイルに違いがあるだけのことですから、戦い方で戸惑うこともありません。
さっきルカとハカセがまともに戦えなかったのは入れ替わっていることに気付いていなかったからであって、
入れ替わっていることを自覚すれば戦うことにおいて何ら支障はありません。
ルカはハカセの身体を使っていつものルカのように二刀流中心のスタイルで戦えばいいだけであり、
ハカセはルカの身体を使って二丁拳銃中心のスタイルで戦えばいいだけです。

しかし、よく考えたらこれまでのシリーズ作品で入れ替わりエピソードというのは定番ではありますが、
入れ替わったメンバーは変身不能になることが結構多いのですね。
つまり変身後の入れ替わりアクションというのはこれまであまり例が無いということです。
これは「モバイレーツとレンジャーキーかえあれば誰でも変身出来る」という
ゴーカイジャー独特の設定があるからこそ成立した趣向なのかもしれません。

まぁ何にしても、ルカとハカセの中身を入れ替えても戦闘不能になどならないのであって、
この怪人がワルズ・ギルに作戦失敗を弁明するためにテキトーなことを言っているだけなのです。
ダマラスはそれを見抜いて、逆転ビームをゴーカイジャー相手に使ったことは
「無駄」だと切って捨てているのです。

ただ、ダマラスがここまで激しい怒りを見せているのは、それだけが理由ではない。
ゴーカイジャーの戦力ダウンに全く繋がらない無駄なことで「手のうちを晒した」、
つまり逆転ビームの能力を見せてしまったことに激しく憤っているのです。

その意味するところは、間抜けのワルズ・ギルにもようやくダマラスの言葉を聞いてピンときたようで、
「ん?・・・ちょっおっと待てぇい!」とゴーミンの頭をバシッと叩いて振り返ると、
「俺様のすんばらしい作戦が台無しになるかもしれないじゃないかぁぁっ!!」と怪人に向かってキレまくり、
怪人をぶん殴って折檻しまくります。

ワルズ・ギル、口調も行動ももうムチャクチャですが、
この何だかよく分からない隠密作戦はワルズ・ギルが考えた作戦のようで、
その作戦にはこの怪人の逆転ビームの能力が不可欠のようです。
また、この逆転ビームという能力が露見することが作戦内容の露見に繋がってしまうぐらい、
逆転ビームの能力が今回の作戦の中心的な存在であるようです。
そして、その作戦内容の露見に繋がりかねない怪人のミスをダマラスがここまで怒るということは、
この作戦はワルズ・ギルが考えたにしては、それなりにマトモな作戦であるようです。
言い換えれば、地球にとっては脅威ということです。

しかし、これで怪人の不注意でゴーカイジャーに作戦の重大な手がかりとなる情報を
与えてしまったことになります。
ただ、たまたま手掛かりとなる情報を与えてしまっただけのこととも言えます。
ギガントホースの面々は、ゴーカイジャーのことを相変わらず
「単にお宝探しに地球にやって来た海賊であり、ザンギャック軍を見かけると喧嘩を売ってくる面倒な連中」
という認識でしか見ていません。
そんな連中がこれぐらいの手掛かりで今回の作戦の全貌を掴むことは出来ないだろうとインサーンは思いました。
地球を守らなければいけないという強い意識がない限り、
思考がこの作戦を見破る方向に向くことはないはずと思ったインサーンは
「まだ我々の狙いは悟られていないようですが・・・?」と、
作戦を強行しても大丈夫なのではないかと、ワルズ・ギルに進言します。

しかしワルズ・ギルはインサーンの進言を受けて躊躇します。
思わぬアクシデントで作戦失敗の可能性が出てきたので不安になってきたのです。
そこに空気の読めないバリゾーグが「ワルズ・ギル様・・・このたびの作戦、いかがいたしましょう?」と、
更に畳み掛けてワルズ・ギルに決断を促します。
急かされたワルズ・ギルは司令官としての沽券を示すため、
「まぁ〜いい!これで邪魔な海賊どもも暫くは動けまい!」と豪放を装います。
実際はゴーカイジャーは入れ替わりがあっても戦力ダウンはしていないのですが、
そう考えるとますます心配になってしまうので、暫く動けなくなったと思い込むことにしたのでした。
その上で、ゴーカイジャーに万が一にも邪魔されないうちに早く作戦を成功して終えてしまいたいと考え、
「レガエル!一人一人など面倒だ!一気にカタをつけろっ!!」と、ワルズ・ギルは作戦を変更してしまいました。

どうもこの作戦、さっきの外国人のVIPだけでなく、他にも同じように標的としている人物がいるようです。
そして、その複数の標的を1人ずつ、さっきのような隠密作戦で狙う作戦であったようなのですが、
ゴーカイジャーに出くわして邪魔されることを必要以上に恐れてしまったワルズ・ギルが
本来はゆっくり秘かに進めるはずだった作戦を、
一気にカタのつく手っ取り早い内容に無理に変えてしまったようです。
レガエルと呼ばれたその怪人は急な作戦変更によるリスクは深く考えず、
「お任せください!」と再度チャンスを与えられて大いに張り切ります。

その頃、ゴーカイガレオンに戻ってきたマーベラス一味は、
何故だか分からないが中身が入れ替わってしまったルカとハカセを眺めて溜息をついていました。
ルカ(中身はハカセ)は嫌で不安で堪らない感じで苦虫を噛み潰したような表情で椅子に座り込んでいます。
一方、その前でソファに腰かけたハカセ(中身はルカ)は買ったばかりの指輪を指にはめようとして、
当然サイズが合わないので上手くいかず、溜息をついていますが、
ルカ(ハカセ)ほど落ち込んではいないようです。

ハカセの中身のルカはいきなり入れ替わってしまったと知った時はショックは受けたものの、
元来、楽天的な性格なので、いちいちウジウジしていても仕方ないと思い、
先のことは考えないで今をとりあえず楽しもうという考えのようです。
まぁ良く言えば前向きですが、悪く言えば何も考えてない無計画、無思慮そのものとも言えます。
心配性で先のことをまずあれこれ考えて対策を練る性分であるルカの中身のハカセには
真似のできない態度といえます。

落ち込むルカ(ハカセ)に対してハカセ(ルカ)は
「ハカセ・・・変なところ触ったら罰金だからね!」と涼しい顔をして言いながら、
買い物してきた服を袋から取り出して眺めます。
ルカ(ハカセ)はハカセ(ルカ)の言っていることの意味が分からず「変なとこ・・・?」と問い返します。
するとルカ(ハカセ)の横に座っていた鎧がその意味に気付いたようで
「・・・あ!」と、ルカ(ハカセ)の身体を指さします。
それで意味を悟ったルカ(ハカセ)は恥らって、かあっと顔を赤らめて
「!!・・・触んないよっ!」と叫んで下を向いてしまいます。

女の子と身体が入れ替わったら?と男子が妄想する場合の健全な妄想が
ルカの中身のハカセの脳裏に鮮やかに湧き上ってきたようで、恥ずかしくなってしまったようです。
男の身体の状態でそういうエッチな妄想をするのも楽しいものなのでしょうが、
いざ本当に自分の身体が女体になってしまった状態でそういう妄想をするのは、
純情なハカセにはいささか刺激が強すぎたようです。

ルカ(ハカセ)の、あまりにもルカらしくないウブな態度を見て、
ナビィは「うは〜!違和感バリバリ!」とたまげます。
「お二人・・・本当に入れ替わってしまったんですねぇ」と、アイムもようやく
この信じられない出来事が受け入れられてきたようです。
マーベラスも気持ち悪いのであまり2人を見ないようにして、ぶっきらぼうに
「なんでこんな面倒なことになったんだぁ?」と問いかけます。
原因が分かれば元にも戻せるかもしれない。
しかし、戦いが終わって転がっていた2人が起き上がったら何時の間にか中身が入れ替わっていた。
いったいどうしてそんなことになったのか、マーベラスには見当がつかなかったのです。

それに対してルカ(ハカセ)は渋い顔をして「たぶん・・・あの時の攻撃が原因だと思う・・・」と、
あのレガエルの変な技を思い出しました。
レガエルの手から出てきた変なビームを浴びて2人一緒に吹っ飛ばされて、
そこからちゃんと戦えなくなって負けてしまった。
だから、あそこで身体が入れ替わったに違いないとルカの中身のハカセは思いました。

その説明を聞いたジョーは
「・・・さっきのザンギャックを見つけないと、元には戻れないということか・・・」と推測します。
こんな人間の中身を入れ替えるなんて珍現象、ここにいる誰も聞いたことはない。
元に戻す方法など分かるわけがない。
ならば、あの技をかけた怪人に元への戻し方を無理矢理にでも吐かせるしかないということになります。

しかし、あの怪人が何処へ行ったのか分からない。
「どうやって探す?」とマーベラスはルカ(ハカセ)に問いかけます。
いつもはこういう頭脳労働はハカセに振るのですが、
今回はハカセはルカの中身に入っているので、マーベラスはルカ(ハカセ)に質問するのです。
ルカ(ハカセ)はいつになく真面目な顔で「ヤツの目的でも分かれば・・・何とかなるんじゃ・・・!」と言います。

レガエルが行動部隊を率いてあの場にいたのは、単に暴れていただけではなく、
何らかの作戦のためだったのではないかと思ったのです。
そして、さっきは自分達が乱入したせいで、おそらくレガエルの作戦は失敗に終わったはずです。
ならば、再度作戦の目的達成のためにレガエルが地上の何処か、
おそらくさっきの場所の近辺に現れるのではないかと、ルカ(ハカセ)は推理しました。
しかし、その作戦の目的がよく分からない。
さっきの場所に何かそのヒントがあるのではないかと思い、ルカ(ハカセ)は思案します。必死です。

何せレガエルを捕まえないことには、ずっとハカセの意識はルカの身体に入ったままになってしまうわけですから、
ずっとルカの身体の変なところにうっかり触らないように注意しながら過ごさなければいけないということです。
健全で純情な男子のハカセには、そんな生活は耐えられそうにありません。
一方、ハカセ(ルカ)はずっと涼しい顔で買ってきた服の整理をしており、
全然真面目に元に戻る方法についての検討会議に参加しようともしません。
元に戻りたくないわけではないのですが、ルカ(ハカセ)達が一生懸命対策を考えているのなら、
任せても大丈夫だと気楽に構えているのです。

その時、「目的・・・」と皆と一緒に思案していた鎧が
「あれっ?・・・そういえば、さっき襲われてた外国人さん・・・なんか、どっかで見た気がするんだよなぁ・・・」
と言って考え込みます。
鎧が見覚えがあるということはスーパー戦隊絡みの記憶なのかと思い、
アイムが「元スーパー戦隊の方ですか?」と鎧に確認します。
元スーパー戦隊の戦士ならばザンギャックに襲われても不自然でないような気もしました。
しかし鎧は「・・・違います・・・うう〜ん!でも、どっかで・・・!」と頭を抱えて考え込みます。

鎧の知っている元スーパー戦隊の戦士の素顔はそもそもそんなに多くないのだが、
その中には外国人というのは無かった。
だいいち、元スーパー戦隊の戦士にしては年をとりすぎている。
だから一般人であるとは思うのですが、それにしても鎧には外国人の知り合いなどほとんどいませんから、
新聞や雑誌やテレビなどで顔を見たことのある人物である可能性が高いと思えました。
となると、有名人という可能性が高く、
ならばザンギャックがあの場所で暴れていてたまたまあの外国人が巻き込まれたのではなく、
あの外国人を狙ってザンギャックが襲撃してきた可能性も考えられるのです。
そうなると、あの外国人が再び狙われる可能性も十分あり、
そこにあの怪人、レガエルが出現する可能性も高くなります。
だから、あの外国人が何者なのか特定出来れば大きな手掛かりになる可能性が高い。

それにしても、さっき安全な場所へ避難誘導した際に鎧があの外国人の身元や襲われた事情などを
聴いておかなかったのは迂闊だったといえます。
外国語を喋れない鎧が最初からコミュニケーションを諦めてしまっていたという事情もあるのでしょうけれど、
あの騒動があの外国人を狙ったものであった可能性というものを考慮して
一応事情は聴いておこうというのが地球の人々を守る役割を担うスーパー戦隊として
本来あるべき姿勢だと思います。
それを怠った鎧、そしてその鎧のミスを誰も指摘することもなかったマーベラス一味の全員が、
「人々を守る戦隊」になろうという意識は持ったものの、
「人々を守る戦隊」としてはまだ経験不足であることを露呈してしまっているといえます。

まぁ過ぎてしまったことは仕方ないのであって、とにかく今は鎧の知っているかもしれないという、
あの外国人が唯一の有力な手掛かりです。
ルカ(ハカセ)はガバッと鎧に縋りついて、
「思い出せよぉ!僕とルカの人生がかかってるんだぞぉ!!」と必死に喚きながら
腕を掴んでグイグイ引っ張ります。
鎧もルカ(ハカセ)の必死の期待に応えたいと思い、一生懸命記憶を辿ろうとします。

ところがシリアスムードの2人の背後でハカセ(ルカ)は「はい!2人とも罰金!」とクールに言い渡します。
一瞬、何のことか分からず唖然としてハカセ(ルカ)の方を見たルカ(ハカセ)と鎧でしたが、
ルカ(ハカセ)の身体の方に視線を移してみて愕然とします。
なんとルカ(ハカセ)が思いっきり引っ張っていた鎧の手がルカ(ハカセ)の胸に触れていたのです。
ルカ(ハカセ)は自分の胸に触れる鎧の手の感触に驚き、
鎧は自分の手の甲に触れる何やら柔らかいものの感触に焦りまくります。

大慌てで手を離して、ルカ(ハカセ)と鎧はあたふたしてハカセ(ルカ)の方に向き直り、
何か申し開きをしようとしますが、
ハカセ(ルカ)は罰金さえ取れればそれ以上は気にしていないようで、
すっと立ち上がると「じゃ、何か思い出したら連絡して!・・・あたし、ちょっと出てくる」と
涼しい感じで鎧に声をかけて、船室から外に出て行こうとします。
もう全然元に戻ることに必死さが足りません。

それにしてもそんな入れ替わった身体でいったい何処へ行こうというのか?
突然出て行くと言ったハカセ(ルカ)の意図が分からず「え!?」と驚くルカ(ハカセ)に向かって、
ハカセ(ルカ)は悪戯っぽく笑いながら「せっかく男になったんだもん!楽しまなきゃ!」と言って、
そのまま出て行ってしまいました。

ルカの中身のハカセは、ハカセの中身のルカがハカセの男の身体を使って楽しもうとしている内容を
あれこれ妄想すると、エッチな妄想ばかりが次々と湧いてきて真っ赤になり、
「何処で何する気だよ!?ねぇルカ!!」と焦って追いかけていきます。
自分の身体を使ってあんなことやこんなことをやられてしまっては嬉し・・・いや、困ると思ったのでした。
そして慌てて一旦船室に戻ってルカ(ハカセ)は鎧に向かって
「思い出しとけよ!思い出しとけよ!」と念を押しておき、
それからハカセ(ルカ)の後を追って駆けて行ったのでした。

地上に降りたハカセ(ルカ)の後をついていったルカ(ハカセ)は、
妙な期待、もとい心配を裏切られた気分となります。
ハカセ(ルカ)は単に男物の服や装飾品をショッピングで買い漁っただけだったのでした。
ルカは普段からやたらと服や宝石を買ったりしてオシャレに興味が深いですから、
男性ファッションにも興味はあったようで、
せっかく男の身体になったのだからハカセの身体を使って
自分の理想とする男性ファッションを楽しみたかったのでした。

その結果、ハカセ(ルカ)の恰好は、普段の近所のスーパーで買ってきたようなダサい服装から一変して、
キレイ目のカジュアル系のシャープなスタイルとなり、
髪型も普段のモジャモジャではなくストレートのサラサラヘアーとなり、
街のファッション店が立ち並ぶ通りの中でもひときわ目をひく、イケてる男子に変貌していました。
「1回、こういう恰好してみたかったんだよね〜!」と楽しげに肩で風を切って歩くハカセ(ルカ)は上機嫌でした。

男性ファッションに興味がある女子というのは別に自分が男物の服を着たいというわけではない。
例えば自分の彼氏など親密な男子を自分の理想の男性ファッションでコーディネートして
一緒に街をデートしたりしたいのです。
ところが一味の男子は皆、独特のファッションセンスの持ち主ばかりで、
しかも自分のスタイルに固執する連中ばかりなのでルカの理想に染まってくれそうな者はいません。
特にハカセは、せっかく素材はイケメンなのに、
ルカから見ると信じられないようなダサいファッションを好んでおり、
日頃からルカはもったいないと思っていたのでした。
だから、せっかくハカセの身体に入ったのだから、
この際、日頃からハカセにやってもらいたいと思っていたファッションを試してみようと思い、
実際やってみたら想像していた通り、非常にイケていたので
ハカセの中身のルカはすっかり上機嫌になっていました。

実は事態は深刻なままで全く改善されていないのですが、
この際目の前のことを楽しもうと決めたハカセ(ルカ)はすっかり状況を楽しんで
余裕の態度で悠々と歩いています。
オシャレな恰好をして余裕を見せつつ歩くハカセ(ルカ)は非常にイイ男に見えます。
が、その後ろからオドオドしながらついてくるルカ(ハカセ)は紙袋を両手いっぱいの荷物持ち状態です。
紙袋はハカセ(ルカ)が買った服の入っていた袋ですが、
その中にはもともとハカセが着ていたダサい服が入っています。

つまりはハカセ(ルカ)の買い物の結果生じた荷物なのですが、
それを全部ルカ(ハカセ)に持たせて、ハカセ(ルカ)は手ぶらで歩いているわけです。
これは傍目から見ると、イケメンのキザ男が可愛くて大人しそうなガールフレンドに
買い物の荷物を全部持たせて平気で歩いているように見えて、
まるでハカセ(ルカ)は最低男のように見えてしまいます。

ルカ(ハカセ)の方は、まぁもともと美人なのですが普段はあまりに気が強すぎて、
やや近寄りがたい雰囲気が漂っているのですが、
中身がハカセになったことでナヨナヨした感じになり、むしろ普段より女っぽくて可愛らしく見えています。
もともとルカが着ていた服をそのまま着ていますからオシャレな可愛い美人で、
しかもハカセ(ルカ)のファッションもルカが選んだものですから、
見た目、2人のファッションの趣味は一致しており、とてもお似合いのカップルに見えます。
しかしハカセ(ルカ)の男として最低な態度のせいで、
せっかくのお似合いのカップルぶりも台無しになっているのでした。

ルカの中身のハカセは、ハカセ(ルカ)の恰好が普段の自分と違い過ぎていて気にいらないようで
「他人の身体だと思って好き勝手して・・・!」とブツブツ文句を言ってついてきます。
ハカセの中身のルカは、ルカの中身のハカセが現在の状況を悲観してウジウジしているのだと思い、
「せっかくだからハカセも遊べばいいのに!」と涼しく言います。
普段からルカはハカセが気が小さすぎるのが歯がゆい。
今まさに自分がハカセの身体を使ってやっているように、
もっと余裕をもって気を強く持った態度のほうが男らしくてカッコいいのに・・・と思っています。

それを聞いてルカ(ハカセ)は「・・・出来るわけないだろ!」と俯いてブツブツと愚痴りつつついて歩きますが、
いきなりハカセ(ルカ)が立ち止まったので、その背中にぶつかってしまいます。
「・・・どうしたの?・・・」と、ルカ(ハカセ)がハカセ(ルカ)を見上げると、
ハカセ(ルカ)は横の路地で女子高生2人をナンパしている性質の悪そうな2人組の男
を厳しい視線でじっと見ています。
女子高生たちはかなり怖がっているようなのですが、男たちはお構いなしで、強引に誘っています。

「・・・気に入らないなぁ・・・」とハカセ(ルカ)は呟きました。
ルカは女の子を強引に暴力で屈服させるような男は嫌いであるようです。
まぁ女性ならそんな男は大抵は嫌いでしょうけど、
ルカの場合、過去に故郷の荒廃した星でそういう類の酷い光景を見た経験が人並み以上にあるのかもしれません。
特にそういう男の卑しい行為を嫌っているようです。

「まさかルカ・・・首突っ込むつもりじゃ・・・?」とルカ(ハカセ)は、
ハカセ(ルカ)が喧嘩しようとしているのではないかと思い、ビビります。
ハカセの中身のルカは、その怯えるルカ(ハカセ)の顔を見てイラッとしました。
ルカの中身のハカセが自分の身体を喧嘩に使われるのを怖がっているのだと思えたのです。
「あたしの顔でビクビクしない!!」と、ハカセ(ルカ)はルカ(ハカセ)に肘打ちを食らわして黙らせ、
ナンパ現場の方に向かって歩き出します。

普段ザンギャックとも戦えているハカセが、こんな喧嘩ぐらいでビビっているのがルカは情けないと思いました。
ハカセなら、本気で戦えばこんなチンピラの2人ぐらい軽くひねることは出来る。
それなのに、あんなふうに気が弱いからカッコ悪く見えるんだとルカは思いました。
ここはひとつ、ハカセの身体を使って喧嘩で勝ってカッコいいところを見せてやろうとルカは考えました。

ハカセ(ルカ)はナンパ男たちに歩み寄ると、女の子の肩を掴んでいる男の手を捩じりあげ
「この子たち、嫌がってるみたいだけど・・・?」とクールに言います。
「あぁ!?お前には関係ねぇだろ!!」と、もう1人の男はいきなりキレて殴りかかってきますが、
ハカセ(ルカ)は軽くパンチをかわして軽快なフットワークで立ち回り、
2人の男をコテンパンにやっつけてしまいます。
それをルカ(ハカセ)は、いつものハカセのごとく物陰に隠れて恐る恐る見ていました。

そして、「覚えてろ!!」と捨てゼリフを残して逃げていく男たちの後ろ姿を眺めながら
「・・・ったく、バカは何処の星にでもいるんだから・・・!」と吐き捨てているハカセ(ルカ)の傍に行くと、
「もう気が済んだだろ!早くガレオンに帰ろうよぉ!」とルカ(ハカセ)はウンザリ顔で言います。
早く帰って鎧を急かしてあの外国人のことを思い出させて、あの怪人を見つけなければいけないのです。
こんな道草を食っている場合じゃない。
ハカセ(ルカ)も、確かにそろそろ帰らないといけないと思い、
ルカ(ハカセ)と一緒にその場を去ろうとします。

ところが何かが背後から近づいてくると感じたルカ(ハカセ)が後ろを振り向くと、
なんと、さっき男たちにナンパされていた女子高生2人が駆けてきて、
そのままルカ(ハカセ)を突き飛ばして、ハカセ(ルカ)に向かって「ありがとうございました!」
「すっごくカッコよかったです!」「よかったら名前とメアド教えてください!」とまくしたてて
笑顔で迫ってくるのでした。
てっきり何処かに逃げたと思っていたら、隠れてハカセ(ルカ)の華麗なアクションを見ていて、
ときめいてしまったようで、これは逆ナンパという展開になってしまいました。

しかし、名前とメアドと言われても、宝を探して放浪中の宇宙海賊ですから、関わり合いになるわけにもいかない。
そもそも今は中身が入れ替わっているような特殊な状態です。
逆ナンパなどに応じているような場合ではない・・・はずなのですが、
ハカセ(ルカ)は「おっと・・・なんか悪い気しないかも・・・」と内心嬉しがってしまいます。

別にハカセの中身のルカが女の子が好きというわけではなく、
これは「ハカセがモテて嬉しい」というところでしょう。
やっぱり、「オシャレな恰好をして男らしく振る舞えばハカセはカッコいいのだ」という
自分の考えが正しかったことが証明されたようで、ルカは気分が良かったのでした。
それでハカセの中身のルカは調子に乗って、もっとハカセをモテモテ君にしてやろうと思ってニヤリと笑うと、
澄ました顔で髪を撫でながら「・・・ドン・・・ドッゴイヤーです・・・」と自己紹介し、
逆ナンパに応じてしまいました。

女子高生たちは「変わった名前ですね〜!」「カッコいいいですね〜!」とキャッキャして大ウケです。
ハカセ(ルカ)は調子に乗って自分が宇宙海賊だとか、住所がガレオンだとかペラペラ喋ります。
普通はドン引きされるような内容だと思うのですが、
ハカセ(ルカ)にときめいてしまっている女子高生たちは全面肯定モードなので、
何を言ってもキャッキャウフフ状態です。

一方、女子高生に突き飛ばされて倒れていたルカ(ハカセ)は、
ハカセ(ルカ)が逆ナンパに応じて女子高生たちとイチャイチャし始めると、
憮然とした表情で立ち上がり、傍のベンチに荷物を置いて腰かけて拗ねてしまいます。
自分の身体に入ったルカが、自分の身体で遊んでいるとしか思えず、
こんな緊急事態に遊んでばかりいるルカにすっかり呆れてしまったのでした。
かといって自分の身体を見捨てて帰るわけにもいかないので、
ハカセ(ルカ)の悪ふざけが済むまで拗ねて待つしかありませんでした。

ところが、そうしてベンチに座っていると、目の前に白のスーツと紫のスーツの2人の屈強な男が現れて
「やっと見つけたよ・・・ルカ・ミルフィ・・・!」と凄みます。
どう見ても、カタギの人には見えません。
まぁルカやハカセだって海賊ですからカタギではないのですが、
ハカセの場合、どうして海賊一味に加わっているのか未だに謎なくらい海賊っぽくない普通の男です。
そのハカセが今はルカの中身に入っていて、
2人のヤクザはそうとは知らずにルカに話しかけているつもりでルカ(ハカセ)に話しかけています。

ヤクザたちはルカのことを知っているようですが、
ルカの中身のハカセはこんなヤクザ2人組のことは知りません。
「・・・な・・・何の御用でしょう・・・?」と少しビビり気味に問い返すルカ(ハカセ)でしたが、
紫スーツの男はズイッと身を乗り出して顔を寄せ、
「分かってんだろう?とぼけてもらっちゃ困る!」と声を荒げます。
ヤクザ達はルカとは面識があり、何やら因縁がある模様です。

しかし、今はルカの中身はハカセであり、ハカセにはどういう事情なのかさっぱり分からない。
(・・・分かんないよぉ・・・ルカってばぁ・・・何したんだよぉ・・・!)と心の中で叫びつつ、
ルカ(ハカセ)は目の前で凄む紫スーツのヤクザの顔面力に思わず顔を背けます。
こんなに凄んでくるということは、ルカがきっと何かヤバいことをしでかして、
このヤクザ達とトラブルを起こしたに違いないと思いました。
自分は実は別人で、その件とは関係ないんです、と言いたかったが、
そんなことを言って相手が信じてくれるはずはない。
余計に怒らせるだけだと思い、ルカ(ハカセ)はどうしていいか分からずビビりまくります。

そこに更に迫ってくる紫スーツのヤクザの肩を掴んで「まぁまぁ・・・」と白いスーツのヤクザが制止します。
どうやら白スーツの方が兄貴分のようです。
そして白スーツのヤクザは
「ここで話すのもアレだ・・・とりあえず、事務所までおいでいただこうか・・・?」と言って
ルカ(ハカセ)の腕をいきなり掴んできます。

「事務所」と聞いてルカ(ハカセ)は恐怖を感じます。
事務所に連れ込んで酷いことをするつもり・・・下手したら殺すつもりだと思い、
思わずその掴んできた手を払いのけようとして自分の手を振ると、
その手が紫スーツのヤクザの顔面にヒットしてしまい、紫スーツは少しよろめき、
ルカ(ハカセ)をギロッと睨みます。
ルカ(ハカセ)が手を出してしまったことで明らかに2人のヤクザの様子に変化が見られ、
不穏な空気がその場に漂います。

ルカ(ハカセ)は、これはもう穏便に済むことはないと悟り、呆然とします。
どうしようか・・・と思い、
この不穏な空気に気付かずに女子高生と写メを撮っているハカセ(ルカ)の方を一瞬チラリと見ます。
ハカセ(ルカ)に助けを求めようかと一瞬考えたのですが、
今ハカセの中にいるルカはこのヤクザ達と何か険悪なトラブルを抱えているようですから、
もし今ハカセ(ルカ)に助けを求めれば、間違いなく喧嘩が始まってしまう。

そう気付いたルカ(ハカセ)は、やっぱり助けを求めることはやめました。
そしてひきつった笑顔で「え〜っと・・・」と言って立ち上がると、「
ごめんなさぁい!!」と叫んで走ってその場を逃げ出したのでした。
一瞬呆気にとられたヤクザ2人でしたが、「待て!ちょっと!」「おい!!」と叫んで
ルカ(ハカセ)を追いかけます。
で、本物のルカが入っているハカセの方は、女子高生との写メが終わって
ようやくルカ(ハカセ)がいないことに気付きます。

逃げ出したルカ(ハカセ)は、ヤクザ2人が追いかけてくるのに気づき、必死で逃げます。
(なんで僕がこんな目に〜っ!?)と、本来逃げる理由など無いハカセは大いに納得出来ませんが、
ルカの身体に入っている以上、ルカの都合に左右されるしかない。
とにかくルカがあのヤクザに捕まるわけにはいかないのです。
表通りから裏路地を駆け回り、ゴミをぶちまけてヤクザを足止めしたり、
男便所に飛び込んで先客に驚かれたり、お約束的な展開も盛り込みつつ、
スピード感あふれる追いかけっこが展開されます。
そして遂にはルカ(ハカセ)はヤクザ2人に追い込まれて、とあるビルの中に駆け込んでいきます。

なお、先ほどのハカセ(ルカ)が喧嘩した路地のシーンですが、
あそこは小道具がやたら遊び心満載で凝ったシーンでした。
ショップの看板が多数登場するのですが、そこに書いてある店名に
スーパー戦隊シリーズの悪のヒロイン達の名前が多数使われているのです。
そのコンセプトを表すように、路地の入口の目立つ店の名前が
「Evil Spirit Princess」となっています。

全部チェック出来たわけではなく、いちいち細かくどのような看板であるのかも読み取れませんでしたが、
確認出来た悪のヒロイン名は
超電子バイオマンの「ファラキャット」、忍風戦隊ハリケンジャーの「フラビージョ」、
五星戦隊ダイレンジャーの「ガラ」、太陽戦隊サンバルカンの「ゼロガールズ」、
超獣戦隊ライブマンの「ドクター・マゼンダ」、魔法戦隊マジレンジャーの「ナイ&メア」、
超力戦隊オーレンジャーの「マルチーワ」、高速戦隊ターボレンジャーの「キリカ」、
星獣戦隊ギンガマンの「シェリンダ」、激走戦隊カーレンジャーの「ゾンネット」、
超新星フラッシュマンの「レー・ネフェル」、轟轟戦隊ボウケンジャーの「風のシズカ」で、
これらが看板にアルファベットで散りばめてあって、かなり分かりにくいものも多いです。

さて、ルカ(ハカセ)がヤクザ2人にビルの中に追い込まれた頃、
ガレオンではずっと突っ伏して悩んでいた鎧が突然ガバッと跳ね起きて
「ああああああ!!そうだあああ!!」と絶叫します。
真横で絶叫されたジョーはキンキンする耳を押さえながら「・・・やっと思い出したか・・・!」と言います。
鎧がようやく、さっきの外国人が誰なのか思い出したようです。

鎧は勢い込んで「さっきの外国人さん!どっかの国の大統領ですよぉ!
今日から始まる国際平和会議のために来日してるんです!」と一気にまくしたてました。
おそらく鎧はテレビのニュースででも見て断片的に覚えていたのでしょう。
なるほど、外国の大統領ならばいきなり発砲する護衛のSPに守られていても不思議ではありません。
たまたま来日していた外国の大統領の泊まっているホテルがたまたま襲われて、
たまたま大統領が外で車に乗り込もうとしていた時間に襲撃を受け、
たまたま車の中の大統領だけが引きずり出されたなどという、そんな偶然はあまりに不自然です。
明らかにザンギャックはその大統領を狙って襲撃したと見ていいでしょう。

「・・・つまりザンギャックの奴はそのお偉いさんの命を狙ってるってことか!?」と
マーベラスも当然、そう推理します。
「きっとそうですよぉ!!」と鎧もマーベラスに向けて(ご名答!)とばかりに指を突きつけますが、
マーベラスは鬱陶しそうに指を叩き落とします。

しかし、これでレガエルの狙いはハッキリしました。
あの大統領がもう1度狙われるはずであり、そこにレガエルも現れるはずですから、
そこに待ち伏せて捕まえればいい。
問題はどこでレガエルが大統領を襲撃するのかです。
あのホテルは一度襲撃に失敗していますから、別の場所で襲うかもしれない。
まずは大統領の行動スケジュールを調べる必要がある・・・そう皆が思いを巡られた時、
「・・・ちょっと待ってください!」とアイムが声を上げます。

アイムが少しひきつった顔をしているのを見て、皆、アイムに注目します。
アイムは「先ほどのザンギャックは、人の中身を入れ替える力を持っていましたよね・・・?」と
皆に確認するように言います。
何を今さら・・・だからあの怪人に入れ替えられたルカとハカセを助けるためにこうして・・・と思った瞬間、
マーベラス達もハッと重大なことに気付いたのでした。

どうしてそんな奇妙な能力を持った怪人が大統領を襲ったのか?
ただ殺すだけならゴーミンやスゴーミンで事足りるはずです。
あの怪人のあの能力でなければ出来ないようなことを、あの大統領に対してやろうとしていたのではないか?
つまり、あの大統領と何者か・・・おそらくザンギャックの息のかかった者、いやザンギャックそのもの、
例えば言葉を流暢に話せて大統領になりすますことは出来るスゴーミンなどと入れ替えて、
大統領になりすましたスゴーミンを通じて、その国をコントロールして
乗っ取ってしまおうとしているのではないか?
その可能性にマーベラス達は気付いたのですが、アイムの推理は更にその先を読んでいました。

続けてアイムは
「もしも、地球各国の首脳陣とスゴーミンを入れ替えに来ていたのだとしたなら・・・?」と言うのでした。
アイムはさっきの鎧の「大統領が国際平和会議で来日」という情報を聞いて、
ザンギャックの標的があの大統領だけではないことに気付いたのです。

ザンギャックの目的は地球征服ですから、
もしザンギャックがあの大統領とスゴーミンを入れ替える作戦を思いついたとしたならば、
それを1つの国だけで仕掛けるよりも、世界中の国で一斉に仕掛けた方が
地球征服への近道となることに気付かないわけがない。
ならば、その作戦は世界中の首脳が1ヵ所に集まっている時と場所を狙って行われるはずです。
そして現在、まさに日本で世界中の首脳が集まる会議が開かれようとしており、
その会議に参加するために来日した某国の大統領が「人の中身を入れ替える能力を持った怪人」に襲撃された。
となれば、ザンギャックがこの会議に出席するため来日中の全世界の首脳全てに対して
スゴーミンとの入れ替え作戦を実施しようとしている可能性は極めて高いと考えるべきでしょう。

その作戦が成功してしまったらどういうことになるか?
「我が国はザンギャックに全面降伏する・・・スゴッ!」
「スゴッ!宇宙帝国ザンギャック、万歳!」
「今日から我が国はザンギャック帝国の支配下になる・・・スゴッ!」と
世界各国の首脳たちが次々に戦わずしてザンギャックの支配を受け入れる声明を発表し、
自国政府と戦争するわけにもいかない地球人の大部分は戦わずしてザンギャックの奴隷となってしまう。

・・・というか、このいちいち「スゴッ!」って言う変な各国首脳の妄想、変すぎるんですが、
まさかこれアイムの頭の中の妄想なのか?・・・と一瞬心配になりましたが、
「・・・これで地球征服完了です!」とアイムが説明し終わった内容に
変な要素を頭の中で勝手に加えて妄想していたのは、やっぱり鎧でした。
「なるほど・・・そういうことか!」と呻くジョーに、
変な妄想から醒めた鎧は「メチャクチャやばいじゃないですかぁっ!!」と縋りついて大騒ぎします。

しかし確かにヤバいです。
この入れ替わり能力を使ったザンギャックの地球征服作戦そのものもヤバいですが、
これでは次にどの首脳が狙われるのか分からないから、
こちらも待ち伏せすべき場所を絞り込めないのです。

しかし、アイムはやはり普通のお姫様ではなかったようで、ここで更に相手の出方を読んでいるようです。
そしてそれは百戦錬磨のマーベラスならば同じように気付くはずだと理解しているようで、
マーベラスの方を鋭い目で見て黙って頷きます。
マーベラスも黙って頷き返し、ナビィの方に振り向いて
「鳥!・・・その会議の場所を調べろ!」と指示したのでした。

ワルズ・ギルはマーベラス一味にあの大統領とスゴーミンの入れ替え作戦を邪魔されたことで、
他の首脳の入れ替え作戦も邪魔されたらどうしようかと不安になり、
当初の予定通りに1人1人をコッソリ襲っていった場合に海賊が邪魔してくる機会も増えることを恐れ、
その結果、国際平和会議の会場を襲って一度に全ての首脳とスゴーミンを入れ替えてしまおうというふうに
作戦を変更したのですが、アイムとマーベラスはザンギャック上層部のそうした心理を読みきったのです。

邪魔が入って作戦が失敗したことによって敵は焦るはず。
ただでさえ全ての首脳をスゴーミンと入れ替えるとなると大変な手間がかかります。
しかし会議が終われば首脳たちは日本を離れてしまいますから、
作戦完了までのタイムリミットは決まっています。
邪魔が入ったことで予定が狂って焦っているはず。
ならば、一気にカタをつけたくなるはず。

あるいは、もし一気にカタをつける作戦でなかったとしても、予定が遅れた分取りこぼしは出てくる。
その分は会議場で一気に回収してこようとしてくるはずなので、
どっちにしても会議場には必ずあの怪人は現れるはずだとアイムとマーベラスは気付いたのでした。
ルカとハカセを元に戻すことはもちろんだが、
そんなふざけた地球征服作戦など絶対に許すわけにはいかないと、全員心に決めます。

そもそもこの作戦、ギガントホース首脳部は海賊に全貌がバレるわけがないと思っていました。
それは、海賊たちはお宝にしか興味が無く、
地球の首脳たちが狙われるということにそんなに関心を持つはずがないというふうに思い込んでいたからです。
しかしマーベラス一味はまだ不慣れながらも、すでにしっかりと地球を守ろうという意思を持っており、
だからこそ、ここまで推理を進めてザンギャックの作戦の全貌を解き明かすことに成功したのでした。
ただ、それでもアイムがその中で最も意識が高いというのは、
やはりアイムの過去に関係しているのかもしれません。

とにかくザンギャック側はマーベラス一味を甘く見ていたのであり、見誤っていたといえます。
そして、マーベラス一味も、こうした地球を守ろうという意識があったゆえに、
結果的にはレガエルの出現場所を特定してルカとハカセを救うことが出来たのだといえます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 17:39 | Comment(0) | 第27話「いつもより豪快なチェンジ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

第27話「いつもより豪快なチェンジ」感想その1

今回のエピソードは、レジェンド回ではなく通常回で、
スーパー戦隊シリーズでは定番の「入れ替わりエピソード」です。
つまり、メンバー同士の中身が入れ替わってしまうことによるドタバタを描くという、
古典的ですが、ギャグから泣かせる話まで多彩な描き方が出来て、
演技や演出もテクニックの発揮しどころ満載で、
作り手にとっては、かなり作り甲斐のあるエピソードといえます。
それでいて、「入れ替わり」というぶっ飛んだ設定というのは通常のドラマではそうそう描けず、
特撮SFドラマの専売特許的なエピソードとなっているので、
「入れ替わりエピソード」はスーパー戦隊シリーズの定番エピソードの1つとなっています。

つまり、いかにもスーパー戦隊シリーズっぽい、普通のお話です。
「ゴーカイジャー」という物語は設定が通常のスーパー戦隊シリーズとはだいぶ違っているので、
こういう「普通の話」というのが、なかなか作れませんでした。
いや、「入れ替わりエピソード」が作りにくい設定というわけではないのですが、
「ゴーカイジャー」の設定が特殊なので、
「ゴーカイジャー」特有の「描いておかねばいけないエピソード」が普通の作品よりも多く、
まずそちらを先に消化しないといけないので、
限られた話数の中ではこの手の「普通の話」を入れる余地がなかなか無かったのです。

「ゴーカイジャー」特有の「描いておかねばいけないエピソード」というのは、
まず何といっても、レジェンドゲストが登場するレジェンド回です。
これはこの作品の企画的にどうしても仕方ないことで、
半分のエピソードはこのレジェンド回で消費されます。

そして、主人公の戦隊が本来は地球を守って戦う義理の無い宇宙海賊というアウトロー集団で、
一種のピカレスクヒーローものとしてスタートし、
その戦隊が次第に地球を守って戦うように変化していく物語であるので、
いわゆる普通の正義のヒーロー戦隊ドラマとは一線を画しています。
つまり「普通のヒーロードラマ」ではないのです。
せっかくそういう「普通でない」のが特色なのですから、
「普通の話」をやるよりも、いかにも「ゴーカイジャー」らしい「普通じゃない話」を
優先してやっていった方が、この作品の特色が明確になるといえます。

実際、ここまでの「ゴーカイジャー」のエピソードというのは、
ちょっと普通の戦隊ドラマでは有り得ないような、
「ゴーカイジャー」独特の設定のエピソードばかりであったと思います。
レジェンド回やレンジャーキー絡みの特殊エピソードは当然として、
その他の一見は通常回のエピソードに見える回に関しても、
「マーベラス一味が地球を守る正義のヒーローではなく宇宙のアウトローである」という
前提の上に作られた話になっており、
通常の戦隊の定番エピソードのようなものとは違う、かなり捻りの利いた
一筋縄ではいかないようなエピソードが連なっていたのでした。

しかし、この「ゴーカイジャー」という物語は、
ずっとアウトローのピカレスクヒーローの活躍を描くのがテーマなのではなく、
そうした地球を守って戦う義理など無いアウトローのマーベラス一味が、
いつしか地球を守って戦うようになるという物語です。
それが、通常の「地球を守って戦うヒーロー」である歴代34のスーパー戦隊との交流という
この作品のもう1つの大きな特徴とリンクしてくるところであり、
要するにゴーカイジャーは通常のスーパー戦隊と同じような普通の戦隊へと変わっていくのです。
そして、ゴーカイジャーが普通の戦隊と同じようになるところで最終回になっても仕方ないのであって、
普通に「地球を守って戦う戦隊」となったゴーカイジャーが
敵組織を倒していくまでの物語をちゃんと描かないといけません。

そういうわけで、「ゴーカイジャー」の物語においては、
ちょうど物語の折り返し点にあたる前回のハリケンジャー篇で、
マーベラス達ゴーカイジャーは「地球を守って戦う普通の戦隊」になりました。
言い換えれば、それ以前の物語前半のゴーカイジャーは普通の戦隊ではなかったので、
前半の通常エピソードというのは、
「普通のヒーローではないマーベラス一味を描いた普通ではない話」か、
あるいは、「普通でないヒーローであるマーベラス一味が普通のヒーローへ変わっていく過程を描いた話」
のどちらかでした。
第1クールは前者が多く、第2クールは後者が多かったといえます。

ですから物語前半には「普通の話」は入れる余地が無かったし、
入れてもマーベラス一味の設定と噛み合わせるのが少し難しかったといえます。
しかしハリケンジャー篇より後の、今回から始まる物語後半になると、
ゴーカイジャーは「地球を守って戦う普通の戦隊」になっていますから、
通常の戦隊でよく見られる定番の「普通の話」を描きやすくなります。
それでさっそく物語後半の初回である今回、
「入れ替わり話」という定番中の定番エピソードということになったのでしょう。

ただ、この「ゴーカイジャー」という物語やゴーカイジャーという戦隊は、
いくらゴーカイジャーが「地球を守って戦う戦隊」になったとはいっても、
それでもまだ普通とはほど遠い面が非常に多く、
物語後半が通常の戦隊ドラマのような、ごく普通の展開となる可能性は極めて低いといえます。

まず何といっても、物語後半にもしっかり2話に1回ぐらいの割合でレジェンド回は挿入されます。
そしてゴーカイジャーが地球を守って戦うようになったとはいっても、
もともとの目的である「宇宙最大のお宝を見つける」という点は不変なのであり、
ザンギャックとの戦いと並行して、お宝探しの結末も描いていかねばいけません。
その他、この物語は前半において、極めて多くの伏線をバラ撒いており、
また、当然描かれなければいけない部分で未だ描かれていない部分もかなり多くなっています。

例えば、アカレッドの消息、ジョーとバリゾーグの因縁、ルカの夢、ハカセの過去、
アイムの過去、鎧の能力の謎、バスコの裏切りの事情、ダマラスの暗躍の裏側、
ザンギャック皇帝の正体、そして宇宙最大のお宝、大いなる力、レンジャーキーにまつわる謎など、
それらの伏線の回収や謎解き、個々のエピソードの然るべき結末などは
物語後半でしっかり描かれなければいけません。

そしてまた、この物語後半では、
ゴーカイジャーがザンギャックを倒すとことまで当然描くことになるのでしょうけれど、
もしそうだというのならば、ハリケンジャー篇までの物語前半を費やしてゴーカイジャーが
「地球を守って戦うヒーロー」になったといっても、
実はそれだけではザンギャックを倒すところまではいけません。

現時点のゴーカイジャーは地球が気に入ったから地球を守りたいだけなのであって、
どうしてもザンギャックを倒してやろうと思っているわけではないのです。
ザンギャックによる地球侵略を阻止出来ればそれでいいのです。
もちろんザンギャックを倒してしまうことが事態の根本的な解決に繋がることは分かっており、
ザンギャックを倒すことで宇宙が平和になることも理屈では分かっています。
そしてもちろん彼らはザンギャックを憎んでいます。

しかし、自分達がザンギャックを必ず打倒しなければならないとまでは思えていない。
「自分達がザンギャックを倒すしかない」「ザンギャックを倒すのが自分達の使命だ」というような
強い思い込みが無ければ、そこまでのことは達成できないでしょう。
その思い込みとは言いかえれば、自分達を「正義のヒーロー」だと思い込むことです。
ザンギャックという倒すべき悪を倒すのが正義のヒーローである自分達の使命だとでも思い込まないことには、
宇宙を支配するザンギャックを倒すことは出来ないのです。

ところがマーベラス一味は物語折り返し点で、ようやく地球のことを好きだという自分の気持ちを自覚し、
地球を守って戦うヒーローになろうという意識は持つようにはなりましたが、
自分達が「正義のヒーロー」だとは思っていません。
もちろん彼らなりの正義感は持っていますが、ここで大事なのは正義感の有無ではなく、
「自分の信じる正義を守るために悪を倒すまでとことん戦うヒーロー」として自分を定義出来るかどうかです。
相手を悪として徹底的に断罪するためには、正義感が自分なりではダメなのであって、
自分の正義を公共の正義と同一化して、それに反する者を絶対悪と決めつけて、
公共正義の名のもとに殲滅する意識が無ければいけない。

これは、「正義」の存在する世界では普通に存在する「正義のヒーロー」であり、
歴代34のスーパー戦隊は皆、そうした「正義のヒーロー」でした。
しかし、「正義」というものが存在しない宇宙で生まれ育ったマーベラス一味は、
そういう「正義のヒーロー」が分からない。

いくらザンギャックの遣り口が悪辣であろうとも、
ザンギャックに支配されてしまった世界においてはザンギャックこそが「正義」なのです。
その正義に従うことを拒否したマーベラス達は、
かといって自分達こそが宇宙の普遍的な正義だと名乗るだけの根拠も持ち合わせてはいない。
だから、マーベラス達に出来たことは「正義などウソっぱちだ」と言い放つことまででした。
つまり、「正義」を否定したわけです。
ですからマーベラス達にとっての世界は「正義」の存在しない世界であり、
マーベラス達は「正義」も「正義のヒーロー」も知らないし分からない。
しかし、「正義のヒーロー」にならなければザンギャックを倒すことは出来ない。
いや、彼らの世界が「正義のヒーロー」のいない世界だから
ザンギャックを倒すことが出来なかったのかもしれません。

そうなると、物語後半のクライマックス前までの展開における大きなテーマは、
物語前半を通して「地球を守るヒーロー」にまで変化してきたマーベラス一味が
今度は「正義のヒーロー」になっていくことだといえるでしょう。
「正義」とは非常に扱いが難しいテーマですが、
スーパー戦隊シリーズはその36年の歴史の中で常に「正義とは何か」を
果敢にメインテーマとして扱ってきたシリーズです。
ですから、その集大成的な作品である「ゴーカイジャー」の最重要テーマがそれになるのは当然であり、
ここまでの物語前半の壮大な展開も、この後半の大きなテーマの前フリのようなものだったのかもしれません。

そういうわけで、物語後半も様々な要素が非常に盛りだくさんで、
しかも「ゴーカイジャー」らしい特殊な物語が展開されていくのは必至といえます。
クライマックスに近づけば近づくほど、その物語は濃密になっていくでしょう。
となると、「ゴーカイジャー」の物語後半においても、クライマックスに先立つ比較的早いうちに、
再びスーパー戦隊シリーズ定番の「普通の話」が入り込む余地は無くなってくる可能性が高いといえます。

つまり、このハリケンジャー篇が終わって物語後半が始まった暫くの間だけが、
この「ゴーカイジャー」という物語の中で、
メインストーリーとあまり関係の深くない形でスーパー戦隊の定番エピソードを入れ込める
限られた期間だということになります。
しかもその期間においても、その半分はレジェンド回で埋められてしまうのですから、
この時期の定番エピソードは「ゴーカイジャー」の物語全体の中でも非常に貴重なのです。
ですから、今回の「入れ替わり篇」は、確かにシリーズの定番エピソードであり、
「ゴーカイジャー」のメインストーリーにはほとんど絡まない単発エピソードですが、
かなり充実した作りになっています。

ただ、変にストーリーに厚みを持たせても、
それは「入れ替わり篇」として充実していることにはなりません。
ストーリーの重厚さで魅せるのは、通常の「ゴーカイジャー」のエピソードの手法であり、
それはこれまでに散々やってきたし、この後、物語後半でも
佳境に入っていくと幾らでも登場してくるエピソードです。

今回は、前半の物語と後半の物語の間のエアポケットのような時期に、
ゴーカイジャーのメンバーを使って通常の戦隊の日常エピソードのような気軽さを演出するのが狙いですから、
今回の第27話は、ストーリー的には内容はかなり薄いです。
むしろ今回のコンセプトは、「入れ替わり篇」としての面白味を徹底的に追求することといえます。

スーパー戦隊シリーズにおける「入れ替わり篇」の見所は、
「アクション」と「ギャグ」と「魅力の新発見」です。

まず見所の最重要のものは「アクション」でしょう。
スーパー戦隊シリーズはアクションがメインだからです。
「アクション」の見所というのは、
戦隊のメンバーは変身後も変身前も含めて、それぞれのメンバーごとに特徴的なアクションがあり、
それゆえメンバー同士の中身が入れ替わることによって、アクションの特徴も入れ替わるということを指します。

それぞれの普段のアクションとは違うアクションを見るのが面白いわけですが、
この面白味というのは、普段とのギャップがあってこそ成立します。
つまりAとBが中身が入れ替わっても、AとBが普段から同じアクションをしていれば、
入れ替わってもアクションは普段と変わらないので全然面白くない。
逆にAとBの普段のアクションが全く違ったものであれば、
入れ替わったらAもBも普段とアクションが全く違っていて受けるギャップは大きく、その分、面白い。

まぁ、やはりアクションのメインは変身後アクションですから、
ゴーカイジャーに変身した後のアクションを中心に考えるとすると、
ゴーカイジャーのメンバーは全員のアクションがしっかり個性的で、
誰と誰が入れ替わってもアクション的な面白味は成立しますが、
それでも特に面白いのは、ジョーとルカの二刀流組と、ハカセとアイムの二丁拳銃組の入れ替わりでしょう。

銃と剣を使うマーベラスはスタイルとしては中間なので明確な違いという意味では弱く、
一方、鎧は槍使いなので1人だけ明確にスタイルは違いますが、
入れ替わった者同士のコンビ技というのが入れ替わりアクションの見せ場であることを考えると、
やや独立した戦闘シーンの多い鎧は使い勝手が悪く、
しかもゴーカイジャー独特のコンビプレイの見せ場である武器交換に絡めないというのが弱点です。
よって、アクション的には入れ替わりは
二刀流組の誰か1人と二丁拳銃組の誰か1人というのが良いということになります。

4人全員が入れ替わるという手も有り得ますが、
人数が多くなると誰の中身が誰なのか分かりにくくなってしまいますので、
とことんハチャメチャのギャグ篇にするのではなく、ちゃんとアクションを魅せたいのならば、
1対1の入れ替わりがベストです。
すると、「ジョー⇔ハカセ」、「ジョー⇔アイム」、「ルカ⇔ハカセ」、「ルカ⇔アイム」という
4つのパターンに絞り込まれます。

そして、「入れ替わり篇」の見所のその2は「ギャグ」で、
これは中身が入れ替わることによって、
それぞれのキャラが普段の言動とは全く異なった言動をすることによって笑いが生じることです。
これも普段から戦隊メンバー同士のキャラが明確に違っていること、
いわゆる「キャラがしっかり立っている」「キャラがかぶっていない」という状態であることが
笑いが生じる絶対条件です。

アクションにしてもキャラの性格にしてもそうだが、
これらがある程度、視聴者に浸透した段階で中身を入れ替えないと、面白味も半減するといえるでしょう。
つまり「入れ替わり篇」はあまり物語の序盤でやるべきではなく、物語中盤以降が望ましいといえます。

ゴーカイジャーの場合、メンバーの個性がしっかり描き分けられており、演じ分けられているので、
誰と誰が入れ替わってもキャラの言動のギャップで笑えるとは思うのですが、
やはりキャラの言動の普段とのギャップによる笑いに関しては、
これは、やはり同性同士よりも異性同士の入れ替わりの方が断然破壊力があります。
というか、異性同士の入れ替わりの場合は口調だけで笑えるので、ある意味、反則的とすら言えます。
そうなると、上記のアクション面で絞り込んだ4つの組み合わせのうち、ギャグ面を加味すると、
「ジョー⇔アイム」、「ルカ⇔ハカセ」の2つが残ります。

そして「入れ替わり篇」の見所のその3は「魅力の新発見」です。
実はアクションとギャグだけでも「入れ替わり篇」は成立するのですが、
更に完成度を上げるためには、この「魅力の新発見」という要素があった方がいいです。
これは、入れ替わったメンバーが、入れ替わることによって、
今までとは違った視点で入れ替わった相手のことを見ることが出来るようになり、
今まで気付かなかった相手の魅力を発見するということです。
そうして生じた仲間同士の新たな絆を魅せて、「ちょっといい話」としてエピソードのオチをつけるのです。

しかし、この「ちょっといい話」と「ギャグ」との両立は結構難しく、
ギャグが破壊的に面白すぎると、せっかく魅せようとしたキャラの新たな魅力が、あまり上手く伝わらないのです。
特に男女で入れ替わりをした場合は、確かに破壊的に笑えますが、
オカマ言葉で喋る男キャラや、やたら乱暴な口調の女キャラを見て、
そこに新たな魅力が発見されたと言われても、
どうしてもその男女や女男を見て、素直にそれを魅力的だとは感じにくいのです。

そういう意味では「ジョー⇔アイム」の入れ替わりは、
確かにその普段とのギャップの凄まじさにかなり笑えそうですが、
アイムが中身に入って、やけに乙女チックになったジョーや、
ジョーが中身に入って、やたらクールでぶっきらぼうになったアイムは、
単体として見て、あまり魅力的なキャラとはいえません。

だいたい男女の入れ替わりはこのような感じになりがちで、
その場合は、入れ替わった姿ではとことん笑わせて、
新たに発見した魅力については言葉での説明だけになるものです。
つまり、説明セリフに頼ることになります。

そういうわけで今回は「ルカ⇔ハカセ」の入れ替わり回ということになるのですが、
この「ルカ⇔ハカセ」の入れ替わりの場合、
もともとルカは女なのに男っぽい性格をしており、ハカセは男なのに女々しい性格をしています。
だからこの2人が入れ替わると、
普段は男っぽい女であるルカの中身が女っぽい男になり、
普段は女っぽい男であるハカセの中身が男っぽい女になるのです。

これは確かに普段の2人の性別が真逆に入れ替わっており、そのギャップは破壊的に面白いのですが、
しかしよく見ると、ルカは女っぽくなり、ハカセは男っぽくなっているので、
その見た目と中身はむしろ一致しており、
オカマやがさつな女のような悪印象は無く、
これはこれでルカはむしろ普段より可愛く、ハカセは普段よりもカッコよく見えて、魅力的なのです。
普段のルカとハカセももちろん魅力的ですが、これはこれで十分に魅力的といえます。

といっても、この入れ替わった後の外面的な魅力が「新たに発見される魅力」なのではありません。
ルカとハカセの新たな魅力は、あくまで入れ替わった者同士のルカとハカセだけが、
入れ替わった者同士だからこそ分かる形で気付くだけなのです。
ただ、ここで今回のエピソードの素晴らしいところは、
入れ替わった姿のルカとハカセに、その2人だけが気付いた新たな魅力をしっかり表現させていることです。

つまり、ルカはルカの姿をしたやたらと女っぽいハカセの言動の中から意外な男の魅力を発見し、
ハカセはハカセの姿をしたやたらと男っぽいルカの言動の中から意外な女の魅力を発見するのですが、
そこでハカセの姿をしたルカが自分の気付いたハカセの男の魅力を体現する行動を一瞬とり、
ルカの姿をしたハカセが自分の気付いたルカの女の魅力を体現する行動を一瞬とるのです。

この演出による効果で、ハカセの新発見の男の魅力、ルカの新発見の女の魅力が、
それぞれ映像的に説得力を持つことが出来ています。
そのおかげで、ルカとハカセの入れ替わりによって発見された新たな魅力が、
通常の入れ替わり篇のようにいちいち言葉で説明する必要が無くなっているのです。
だから、今回の入れ替わり篇は、ハカセとルカの入れ替わりによって発見された新たな魅力が
わざとらしい説明セリフでは一切説明されていません。
全て演技で表現されており、しかもそれが非常に魅力的に画面映えしているのです。
それでいて性別逆転の破壊的な面白味もあり、アクションの逆転描写も素晴らしい。

これら全て、ルカとハカセという非常に特殊なキャラの魅力に負うところ大なのであり、
この2人の入れ替わり篇だからこそ成立した奇跡的な入れ替わり篇の傑作エピソードといえるでしょう。
決して濃い内容でもないし、深い話でもない、非常にシンプルなエピソードなのですが、
実は案外良いものを作るのが難しい入れ替わり篇の魅力としては最高の出来といっていいでしょう。

その素晴らしい部分は本当に地味でさりげない描写に凝縮されており、
それでいて、やたら綺麗にまとまっています。
いかにも香村純子氏らしい脚本と思いますが、
今回はむしろ演出の素晴らしさが光ったエピソードといえるでしょう。

また、ルカ役の市道真央さんとハカセ役の清水一希くん、
そしてゴーカイイエローのスーツアクターの蜂須賀祐一さん、
ゴーカイグリーンのスーツアクターの竹内康博さん、
これらの皆さんの普段の自分のキャラとそれとは別のキャラを見事に演じ分けた
素晴らしい演技があってこそ成立したエピソードであったといえるでしょう。

では本編ですが、まず冒頭は街に買い出しに出た帰り道のルカとハカセの場面です。
「久々にいい買い物したぁ!」と、歩きながら手の指にはめた指輪を見てご満悦のルカですが、
その後ろからハカセが持ちきれないほど大量の紙袋を下げて不満顔でついてきます。
「もう!寄り道付き合ってあげたんだから、1つくらい持ってよぉ!」と文句を言う
ハカセの持っている荷物のほとんどは服や装飾品であるようです。

一応、本来の目的である食料品の買い出しをした袋も1つあり、
そこには相変わらずハカセのお気に入りの大根があるのはお約束と言っていいでしょう。
ただ、それ以外の膨大な服や装飾品を寄り道して買ったのはルカであり、
ルカは自分の買った物の中で荷物にならない指輪だけさっそく指にはめて、
残りのかさばる荷物は全部ハカセに持たせているようです。まるで女王様と従者のようです。

さすがにハカセは理不尽を感じたようで、1つぐらい荷物を持つようルカに抗議したのですが、
ルカはハカセがまた男のクセに荷物の重さに耐えられず情けない弱音を吐いていると見なして
「このくらいの荷物で情けない声出さないの!」と言ってハカセの抗議に取りあいません。
ハカセは別に荷物が重くて辛くて弱音を吐いているわけではなく、
ルカの買った荷物なのだから1つくらいは持つべきなのではないかと正論を言っているだけなのですが、
女のルカに「情けない」と言われてしまって男としてちょっと惨めな気分になり、
「どうせ僕は情けないですよ〜・・・」と拗ねた口調でブツブツ言いながら、主張を引っ込めてしまいます。

と、その時、平和な街並みの中でルカの耳に微かに銃声が聞こえてきます。
ルカは独自の訓練によって目が異常に良いのですが、耳も同様に鍛えているようで、
他の人が気付いていない銃声にいち早く気づき、ピタリと立ち止まり、
何度も連続して鳴り響く銃声の音に集中してその聞こえてくる方向を探ります。

いきなりルカが立ち止まったので後ろを歩いていたハカセはルカにぶつかってしまいますが、
その時点でハカセも銃声に気付き、ルカ同様、耳を凝らします。
が、その時にはもうルカは銃声の発生源を絞り込み、いきなり駆け出していきます。
「ルカ!?」と慌てて後を追おうとしてハカセが買い物袋を落としてしまった時点で、
ようやく周囲の人たちも銃声に気付き大騒ぎとなりますが、
その喧騒の中、ハカセは落っこちた大根を拾ってルカの後を追い駆けます。

遠くで鳴り響く銃声は直接ルカやハカセに危害を及ぼすものではなく、
ザンギャックによる切迫した脅威とも違うわけですから、
ルカがわざわざ銃声の発生源に駆けつける義理は無いはずです。
それでも遠くで誰かが傷ついている可能性が高いわけですから、
その現場に向かって迷いなく駆け出したルカやハカセは、
人々を守ろうという意識が明確になっているといえます。
以前はこれほど明確に人々を守る意識が示されておらず、
内心はともかく表面上はツンデレな態度や迷惑そうな態度をとることが多かったマーベラス一味の意識が、
やはり前回のハリケンジャー篇を境に変化しているのが見てとれます。

さて銃声は、ルカ達のいた道から少し離れた場所に立つ高級ホテルの前から聞こえていました。
そこではザンギャックの行動部隊が黒塗りの高級車の中の人物を襲撃しており、
その人物を守るために黒服のボディガード風の男たちが銃を乱射して抵抗していたのでした。
ルカ達の耳に聞こえたのはこの銃声だったのです。
それにしてもいきなり銃を乱射するボディガードに守られるとは、
この車中の人物はかなりのVIPと思われますが、よく見ると外国人の老人であるようです。
外国から何かの用件で日本に来てこのホテルに宿泊していた要人という印象です。

しかし、ザンギャック側の行動も少し変です。
ボディガード達の銃による攻撃はゴーミン達には効いていないようですが、
ゴーミン達はいつものように派手な破壊活動や火器による反撃はせず、
ただひたすら車の中の人物を狙っており、かなり地味な作戦のように見受けられます。
ボディガードが発砲して反撃しなければ銃声も響かなかったわけですから、
目撃者はホテルのフロントやエントランス付近にいた少数の人々にとどまったはずで、
おそらくザンギャックは銃を持ったボディガードが潜んでいることまで想定していなかったと思われ、
これは本来は隠密作戦に近いと見ていいでしょう。

ところが銃声が鳴り響いたため、たまたま近くを歩いていたルカとハカセが駆けつけることになり、
ザンギャックの計画に狂いが生じることとなりました。
ザンギャック部隊がボディガード達を排除して車を取り囲んだその時、
ゴーカイガンの銃弾が炸裂して、ボンネットに飛び乗っていた行動隊長と思しき、
まるでピエロのような姿の怪人を吹っ飛ばしたのでした。
このピエロ風の怪人、身体の左右が黄と青色で半分このような配色になっており、
仮面ライダーWのルナトリガーみたいな怪人です。

驚いた怪人が起き上がって振り向くと、そこにはゴーカイガンを構えたルカが立っており、
ハカセも荷物を抱えたまま駆け込んできます。
「おお!賞金首の海賊ども!」と腹を立てた怪人は「やれ!」とゴーミン達をルカ達にけしかけます。
これに対してルカとハカセもモバイレーツを取出し「豪快チェンジ!」と、変身して対抗します。

ここでOPテーマが始まります。
今回は冒頭ナレーションは通常回バージョンで、
OPテーマ内の映像は若干マイナーチェンジされており、
2回目のサビ部分の一連の巨大ロボ映像のところに、豪獣神関連の映像の尺を詰めて、
その空いた尺に前回初登場のハリケンゴーカイオー関連の映像が挿入されています。
ハリケンゴーカイオーは玩具展開もされていますから、ここはプッシュしています。

そしてOPテーマが終わり、CM明け、「いつもより豪快なチェンジ」という今回のサブタイトルが出ます。
通常回ですから別に何かのフォーマットに則っているわけではなく、
「チェンジ」は「入れ替わり」の意味の「チェンジ」が
ルカとハカセの個性派同士で「豪快」になっているという意味と、
入れ替わりによって普段とは違う感じの豪快チェンジが見られるという意味の両方をかけているのでしょう。
実際、入れ替わった後の豪快チェンジが何やら妙なことになってますので、
それをサブタイトルでさりげなく予告しているという感じです。

「いつもより〜」というのは「いつもとは違う」という意味でルカとハカセがいつもとは違うという意味と
同時にこれはゴーカイジャーの常套句である「いつもより〜」とをかけており
これはある意味「ゴーカイジャー」という作品を象徴するフレーズともいえますので、
通常回=ゴーカイジャー篇と考えれば、これはこれで1つのフォーマットかもしれません。
まぁ毎度のことですがサブタイトルに色んな意味を込めるもので、巧いものです。

そして本編が再開し、
ゴーカイイエローとゴーカイグリーンに変身したルカとハカセがゴーミン達と戦っている間に、
車から逃げ出そうとした外国人のVIP風の人はスゴーミンに捕まってしまい、
スゴーミンは「目標捕まえました!」と言って例のルナトリガー風の怪人の前にその外国人を引き立てます。
ルカとハカセはそれを見て助けに行こうとしますが、ゴーミンに邪魔されてすぐには近づけません。
その間に怪人は「大人しくしてろ・・・一瞬で済む!」と言いながら、
怯えるその外国人に向かって黄色と青の両手を交差して捩じるようにして突き出していきます。

何をするつもりか分かりませんが、怪人やスゴーミンの言動から考えると、
とにかくこの外国人に何かをすることが目的でこの襲撃作戦は行われたようです。
ただ、怪人やスゴーミンの言葉は離れた場所でゴーミン達に食い止められているルカやハカセには
聞こえていませんで、状況はルカ達にはよく分かっていません。
ただ外国人が殺されるように見えて助けようとしているのですが、
ゴーミンの邪魔のせいで間に合いそうにありません。

ところがそこに突然、ゴーカイレッドのマーベラスとゴーカイブルーのジョーが飛び込んできて、
怪人やスゴーミンに斬りつけて外国人の危機を救います。
更にゴーカイピンクのアイムとゴーカイシルバーの鎧も駆け込んできて、
ルカやハカセを食い止めていたゴーミン達を倒していきます。
もともとはザンギャックは隠密作戦のつもりだったようですが、
暴れたことによってザンギャック反応をガレオンのナビィに感知されてしまったようで、
マーベラス達もこの場に駆けつけ、ゴーカイジャー全員集合となったのでした。
このマーベラス達の行動も、当たり前に「人々を守るヒーロー」しており、
やはりハリケンジャー篇以降の意識の変化が見てとれます。

そうして戦いながらアイムは鎧に向かって「鎧さん!今のうちにあの方を!」と指示し、
鎧は「分かりました!」と応じて車の脇に走り、そこに居るゴーミン達を排除すると、
怯えて立っている先ほどの外国人に「ツーイテキテクーダサーイ!」とインチキ外国語で避難誘導して、
安全な場所へ連れていこうとします。
外国人は鎧が何を言ってるのか分からないながら、とりあえずついていき、危機を脱します。

「さっすが!ナイスフォロー!」とルカは感心しますが、もちろん褒めているのは鎧のことではなく、
指示したアイムのことです。
以前のように単に喧嘩が目的で戦っていた時は一般人がいても割と普通に戦うことは出来ましたが、
今はもうゴーカイジャーは人々を守るために戦っているので、
戦えない普通の人を戦いの場に巻き込んだ状態では、それが気になって戦いに集中出来ません。
だから、まずは戦いながら被害者の避難誘導をして、
それが完了してから遠慮なく全力を出して敵を叩き潰すという戦い方でなければいけません。
しかし、「人々を守るヒーロー」になってまだ日の浅いマーベラス達はそういう戦い方にまだ不慣れで、
咄嗟に避難誘導などの動きが出来ないのです。

そういう中で咄嗟に避難誘導の指示を出したアイムのナイスフォローをルカは褒めているわけですが、
アイムはこれまでにも随所で的確な判断や指示を何度もしています。
これは単に王女様だったからというだけではなく、実戦経験が豊富だと考えた方が自然でしょう。
特にこうした「人々を守る戦う」に慣れているのです。
つまり、ファミーユ星を守る戦いにアイムも参加して、かなり前線で戦っていた可能性が高いといえます。
ただ戦闘力がズバ抜けているというわけではなく、むしろ視野が広く知恵が回るタイプですので、
どちらかというと作戦担当や後方支援担当だったのかもしれませんが、
ともかく実戦に参加していたのではないかと思われます。
それが最終的には一人で逃げざるを得ない立場になったようですが、
そのあたりのアイムの過去もいずれ描かれるのかもしれません。
ただ、ルカがここで「さすが」と言っているところをみると、
アイムのそうした「戦うお姫様」的な過去はルカは知っているのかもしれません。

こうしてアイムの機転で被害者を素早く避難させて、
全力で戦うことが出来るようになったゴーカイジャーは、
マーベラスが「さっさと片付けるぞ!」と言ってレッドフラッシュのレンジャーキーを取り出し、
フラッシュマンへと豪快チェンジします。

ここは巧い流れです。
本来ならアイムが自ら外国人の避難誘導をしてもいいシーンであったのですが、
あえて鎧に指示して行かせたのは、
そうして鎧だけを場から一旦退場させて5人編成にして、
5人戦隊であるフラッシュマンへの豪快チェンジへの流れを自然に見せるための演出的意図だったわけです。
一般人が巻き込まれた事件から5人戦隊への変身という流れを巧く作っています。

ここでフラッシュマンへ豪快チェンジした意味は、
未だ5人一斉変身を終えていない8戦隊のうちの1つだからでしょう。
これで残る5人一斉未変身戦隊は
バイオマン、チェンジマン、マスクマン、ライブマン、カクレンジャー、アバレンジャーの6つとなりました。
そして、マーベラス一味がレンンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士はこれで
レッドワン、ブルースリー、イエローフォー、ピンクファイブ、チェンジドラゴン、チェンジグリフォン、
チェンジペガサス、チェンジマーメイド、チェンジフェニックス、レッドマスク、ブルーマスク、
ブラックマスク、ピンクマスク、ブラックバイソン、ニンジャレッド、ニンジャイエロー、
黒騎士、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の18戦士ということになります。

フラッシュマンへの豪快チェンジは、
これまでハカセがグリーンフラッシュ、アイムがピンクフラッシュに変身したことは
それぞれ1回ずつありますが、他はありません。
もちろん5人同時変身は初です。

マーベラスはレッドフラッシュに初変身で、
個人武器であるプリズム聖剣でゴーミン達を斬っていきます。
フラッシュマンの個人武器は額のプリズムから射出されて出現するのですが、
今回ちゃんとその描写が再現されていて良かったです。

ハカセのグリーンフラッシュへの変身は2度目ですが、
前回と時と同様、籠手状の個人武器プリズムカイザーを額のプリズムから射出して両手に装着し、
ゴーミン達をぶん殴っていきます。
そしてジョーのブルーフラッシュは初お披露目ですが、
まず共通武器であるプリズムシューターを剣状にして使った後、
個人武器プリズムボールを額のプリズムから射出して、
そのままそのプリズムボールの中に入って周囲のゴーミン達を体当たりで薙ぎ倒していきます。

アイムのピンクフラッシュは2度目の変身ですが、
額のプリズムからプリズムブーツを射出して両脚に装着し、
前回はその脚力で身軽さを強調するアクションを魅せましたが、
今回はそのパワーアップした脚力をそのまま攻撃力とするカポエラのようなキック技で
ゴーミン達を倒していきます。
そしてルカのイエローフラッシュは初変身で、これも個人武器のプリズムバトンを両手に持ち、
まるでドラムスティックを使った小気味良いアクションでゴーミン達を叩きのめしていきます。
全体的にフラッシュマンのエクササイズをモチーフとしたSFアクションを
海賊風の荒々しさでアレンジしたような良い感じのアクションシーンでした。

そうしてゴーミン達がフラッシュマンに豪快チェンジしたゴーカイジャーにどんどん倒されていくのを見て、
行動隊長の怪人は「ちいっ!この場は引いて出直すか!」と呻いて逃げ出します。
その逃げようとする先に、ルカとハカセがゴーカイジャーの姿に戻って飛び込んできて通せんぼし、
「逃がさないよ〜!」と、斬りかかります。

しかし、この怪人、そこそこは強いようで、
2人をあしらうとハカセを後ろから羽交い絞めにして「捕まえたぞ〜!」と調子に乗ります。
そこでルカが「ハカセ!」と叫んでゴーカイガンをハカセに向かって投げ、
ハカセはゴーカイサーベルをルカに投げます。
そうしてルカのゴーカイガンを受け取って二丁拳銃となったハカセは手首を返して
後ろ向きに二丁のゴーカイガンを連射して怪人をひるませて羽交い絞めから脱出し、
そこに二刀流になったルカが斬り込んでいき、更に脱出したハカセが二丁拳銃で撃ちまくり、
怪人はメッタ斬り、メッタ撃ちを喰らう絶体絶命の状態となってしまいます。

「まま・・・マズい!このままでは・・・」と焦った怪人は、
更に攻撃しようとして突っ込んでくるルカとハカセに向かって、
さきほど外国人を相手に繰り出そうとしていた謎の技、両手を合わせて捩じって突き出す構えに入り、
その両手の先から光線を発射します。
すると変な光に包まれたルカとハカセは空中でくるくる掻き回されて吹っ飛ばされ、
少し離れた地面に落下します。

ただ、特に大きなダメージは受けていないようで
「全然効いてないよ〜だ!」とルカがおどけて立ち上がり、
ハカセはすっと立ちながら「一気にトドメいくよ!」とクールに言い放ち、
華麗なステップで怪人に突っ込むと両手に握ったゴーカイガンを振り下ろします。
同時にルカはそのハカセの動きを援護するように後方を移動しながら
ゴーカイサーベルを突き出して「ババババン!ババババン!」と銃の発射音のような擬音を口から発します。

しかし、ハカセの振り下ろしたゴーカイガンは怪人には届かず、
ルカの構えたゴーカイサーベルも何か弾が発射されるわけもなく、虚しく前に突き出されただけです。
「えっ・・・あれ?」「ん・・・?」と、ハカセとルカはそれぞれ自分の手に持った武器を確認します。
どうもハカセは自分がゴーカイサーベルを2本持っていると思い込んでいたようで、
逆にルカは自分がゴーカイガンを二丁持っていると思い込んでいたようです。
しかし、さっき自分たちで武器交換をしたばかりなのですから、こんな思い違いをするのは妙です。
その2人の混乱する様子を見て怪人は「フフフフフ!バカめ!」と嘲笑うと、
隙だらけのハカセとルカを叩きのめし、2人は変身解除して倒れ込んでしまいました。
その隙に怪人は笑いながら姿を消して逃げてしまいました。

そこにゴーミン達を全滅させたマーベラス、ジョー、アイムが変身を解いて駆け込んできます。
鎧も外国人を安全な場所へ連れていってからちょうどそこに戻ってきます。
4人が駆け込んだ場所には、間抜けな格好で倒れたままのルカとハカセだけが残っています。
もそもそ起き上がるハカセに向かって「・・・ったく!何やってんだ!」とマーベラスが呆れる一方、
突っ伏したままのルカにアイムが駆け寄り「大丈夫ですか?ルカさん・・・」と心配そうに声をかけます。
ところが起き上がったハカセが悔しさの残る声で「・・・あたしは平気!・・・ハカセは?」と応えるのです。

「え・・・?」とアイムは、どうして自分のルカへの問いかけにハカセが応えるのか意味が分からず問い返します。
マーベラスもハカセが急にオカマ口調になっているので気持ち悪くて顔をしかめます。
そして最近めっきりツッコミ担当のジョーは「いや・・・ハカセはお前だろう!」と見事なツッコミを入れます。
ところが今回は全然オチず、アイムを吹っ飛ばしていきなり起き上がったルカが
「何言ってんだよジョー!ハカセは僕!」と逆ツッコミを入れたのでした。
しかし意味が分からないので、これも全くオチになりません。

しかも「ボク」とはいったい何を言ってるのかと皆はルカの変な口調に違和感を覚えて呆れましたが、
ハカセだけはルカの変な口調に違和感は覚えていないようで、冷たい視線でルカを見下ろします。
が、ハカセは、そこに振り向いたルカの顔を見て目の色を変え、
「ああ〜!!」と混乱した表情でしゃがみ込みます。
ルカも同様に「ああ~!!」とハカセの顔を指さして混乱して、
「なんで僕がもう1人いるの・・・!?」とワケの分からんことを言います。
ルカは当然この場に1人しかいません。
ルカの目の前にいるのはハカセであって、もう1人のルカなどではないはずです。

しかしハカセも自分を指さすルカの指をいつになく強気で思いっきり張り飛ばすと、
ルカの顔や身体をいつにない積極性でセクハラ紛いにベタベタと触り
「どうしてあたしが!?」とルカの顔を見つめて相変わらずオカマ口調で妙なことを喚きます。
マーベラス達は人が違ってしまったかのような2人の奇行を見て、
精神に異常でもきたしたのかと心配して2人を覗き込みますが、
ハカセは「じゃああたしは・・・!?」と言うと、ハッと何かに気付いたように立ち上がります。

同時にルカも何かに気付いたように立ち上がり、
2人は向かい合って今度は自分の頭や身体を触りまくり、
ルカが自分の胸に手を触れると、ハカセは「ちょっと!」と焦ってルカの手を思いっきり叩きます。
これはいよいよまともではないと思い、マーベラス達が恐る恐る2人の様子を眺めていると、
ハカセが「あたしはルカ・・・あたしはルカ・・・」と呪文のように唱え始めたかと思うと、
ガバッとルカの肩を掴んで「あんたは!?」と質問します。
するとルカは泣きそうな声で「ハカセだよぉ・・・!」と答えます。

何やら奇妙な儀式を見ているようでマーベラス達4人はゾッとしますが、
ここはツッコミ担当として言わねばならないと意を決したジョーが恐る恐る
「・・・2人とも・・・本気で変だぞ・・・!」と、やんわりツッコミを入れます。
しかしハカセはルカの肩を乱暴に揺すりながらパニック状態で
「変に決まってんでしょお!!」と大声で喚きます。
態度はもう完全に変な人なのですが、本人たちが自分達が変だということを自覚しているということは、
実は気が狂っているわけではないということです。
ルカはもう半ベソ状態ですが、言葉は意外に冷静で「どうしよう・・・僕たち・・・」と言います。
そして2人は声を揃えて「・・・入れ替わっちゃったぁ!!」と、
自分達が推理した自分達の状態を叫んで報告します。

それを聞いて、マーベラス達4人は(あ、なるほど・・・)という感じでうんうん頷きます。
なるほど、ルカとハカセの中身だけが入れ替わったのなら、
さっきからの変な口調や変な態度も全て説明はつく。
(なあんだ・・・入れ替わっただけか)と思って安心した4人でしたが、
ふと顔を見合わせて「・・・え・・・?」と呟きます。
「入れ替わった」って、何それ?と、事態の異常さに気付いたのです。
そんな現象、聞いたことがない。
すると突然腹の底から大きな驚きの感情が沸き起こってきて、
4人は「ええええええ!?」と腰を抜かさんばかりに絶叫したのでした。
それにしても、ここのアイムの顔が酷過ぎです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:25 | Comment(0) | 第27話「いつもより豪快なチェンジ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その5

現実世界の方では、ハカセ、アイム、鎧の3人がデカレンジャーに豪快チェンジしたものの、
バリゾーグとインサーンの猛攻の前に押されまくって、遂には変身解除に追い込まれ、大ピンチとなります。
デカレンジャー今回は全然いいところ無しですが、
これはピンチ演出が必要なため仕方ないというところでしょう。
変身解除して地に伏してしまった3人に向かって「そろそろトドメね・・・」とすっかりいい気になるインサーン。
その時、突如、インサーン達とハカセ達との間の空間が急に謎の大爆発を起こし、
トドメを刺そうと近づこうとしていたインサーン達は爆風で弾き返されてしまいます。

その大爆発は空中に開いた大穴から生じてきており、その大穴からは爆炎の後、数人の人物が排出されてきて、
大穴は空中に掻き消えてしまい、何事も無かったかのように空間は元に戻ります。
排出されてきたのはマーベラス、ジョー、ルカの3人、鷹介、七海、吼太の3人、そしてサタラクラJr.でした。
サタラクラJr.だけは悲鳴を上げて体勢を崩して吹っ飛ばされてきて、
インサーン達の後退した方向に転がっていきましたが、他の6人はハカセ達の目の前に降り立ちます。

もちろん空間に開いた大穴はボキ空間の出口であり、
ボキ空間でサタラクラJr.が鷹介たち3人の計略によって自爆させられてしまい、
そのダメージでボキ空間を形成していた宇宙忍法の術が解けて、
消滅したボキ空間から爆風と共にその場にいた者達全員が排出されてきたのでした。

これもまた鷹介たちの狙い通りだったようです。
鎖を解いてビッ栗の入った袋を奪還しても、ボキ空間の中にいる限りはピンチの状態は続きます。
ボキ空間を脱出するためにはサタラクラJr.に大きなダメージを与えて術を解除せねばいけませんが、
変身出来ない6人ではまともにサタラクラJr.と戦っても勝負にはなりません。
そこで不意打ちで爆弾を持たせて自爆させたのです。
まさに一瞬にして大逆転したのでした。

6人の無事な姿を見て「みんな!」とハカセが歓喜の声を上げて立ち上がり、
吼太は背負っていたビッ栗の袋をすかさず脇の方の安全な場所に退避させます。
ルカもずっと大事に隠し持っていたビッ栗をその袋に一緒に入れます。
その間にマーベラスとジョーが鎧とアイムを助け起こし、鷹介と七海が歩み寄り、
ビッ栗を置いた場所から吼太とルカも戻ってきて、
ゴーカイジャー6人、ハリケンジャー3人の9人が遂に一同に会します。

「大丈夫か?」と声をかけてくる鷹介を真っ直ぐ見つめて、
アイムは「いかがでしたか?・・・マーベラスさん達は・・・」と問いかけます。
アイムは鷹介たちがマーベラス達を連れて無事に戻ってくることも、
鷹介たちがマーベラス達のことを信用するようになることも、確信はしていましたから、
別に結果がどうであったか不安に思って問いかけたわけではありません。
ただ、鷹介たちと自分達の間でマーベラス達が信用出来るかどうかという問題が見解の分かれていた部分であり、
言葉の綾とはいえ、レンジャーキーの所有をも賭けた懸案とまでなっていた以上、
その問題の決着はまずハッキリとつけておくべきだと思ったのです。

もちろんアイムは賭けは自分の勝ち、
つまり鷹介がマーベラス達のことを信用するようになることを確信していました。
アイムの傍らに立っていたマーベラス、そしてジョーもルカも、このアイムの言葉を聞いて、
鷹介たちが単に自分達やビッ栗の人達を助けに来ただけではなく、
自分達のことを見極めるためにボキ空間に来たのだと知りました。

ところが鷹介はアイムから顔を背けながら少し思案して、「・・・ムカつく奴らだった!」と言います。
アイムは「・・・えっ?」と驚きます。そういう返答は想定外だったからです。
鷹介の返答は「信用できた」か「信用できなかった」という客観的評価が返ってくると予想していました。
ところが、鷹介が自分の感情をいきなり言い出したので、アイムは意外な印象を受けたのでした。
ボキ空間に行く前の鷹介と微妙に立ち位置が違っているような気がしたのです。

一方、マーベラス、ジョー、ルカの3人は鷹介の「ムカつく」発言を聞いて、少し落ち込みました。
マーベラス達は鷹介たちの鮮やかな大逆転劇を目の当たりにしたことで、
それに引き比べての自分達のカッコ悪さを自覚させられていました。
それによってマーベラス達は今回の件における自分達の行動を振り返り、
その実態を知り、反省していました。

自分達は地球人にたとえ歓迎されなくても助けようと思った人は助けたいと思って、
ビッ栗にされた人達を助けようとしていた。
しかし自分達の立場や自分達の考え方など、色々なことが頭に引っ掛かってしまい、
ウジウジと悩んだり、イライラしたりして冷静ではなかった。
その結果、ビッ栗の人達を助ける名案も浮かばず、自分自身が絶体絶命の大ピンチに陥ってしまっていた。

あの時、七海に「ビッ栗の人達を守るために解答しなかったのか?」と問われた時、
そのことを素直に認めなかったのは、無様な自分が恥ずかしかったからでした。
あんな無様などうしようもない状態で、ビッ栗の人達を助けるつもりだったなど、
地球の人達を守る本物のヒーローであるスーパー戦隊のレジェンド戦士を相手に
恥ずかしくてとても言えたものではなかったのです。

それで意地を張ってしらばっくれたら、笑い飛ばされて鷹介に頭突きまで喰らってしまった。
その挙句、鷹介たちの作戦の意味も理解出来ずに文句ばかり言って、
結局、自分達は全く役に立たず、ただ助けられただけだったのです。
そりゃあ、鷹介たちから見ればムカついたであろうし、さぞ情けない連中だと思われたことだろうと、
マーベラス達は鷹介に酷評されても仕方ないと思いました。

ところが鷹介はアイムとマーベラスの方に笑顔で向き直ると
「けど・・・悪くないと思った!」と、爽やかに言ったのでした。
鷹介は確かにマーベラス達を見て、ムカついてもいるのです。
それは別に冗談を言っているわけでもない。
情けないとも思ったし、不甲斐ないとも思いました。
しかし、それはボキ空間に行く前の、よそよそしい感情を脱していたということを意味します。

ボキ空間に行く前にアイム達と話した時の鷹介たちは、あくまで自分達をスーパー戦隊の内部に置き、
マーベラス達をスーパー戦隊の外部に置いて、
外にいるマーベラス達が中に入ってくる資格があるかどうか、
ガラス越しに中から見極めようとする冷たい態度であったのです。
だから別に「ムカつく」というような感情も無く、ダメならダメでそれまでのことで、
関係を持つ必要も無いという距離を置いた眺め方であったのでした。

ところがボキ空間でマーベラス達に接してみて、
自分達と同じように人々を守りたいという想いを秘めて戦う純粋さを持った連中だということが分かった。
そう感じることで、鷹介たちの心の中で自分達とマーベラス達を隔てる壁は無くなったのです。
同じスーパー戦隊の仲間なのだと思えたのです。
だからこそ、せっかく純粋な想いを持ちながら、余計なこだわりに振り回されて
全力を発揮出来ていないマーベラス達を見て、腹が立ち、不甲斐ないとも思えたのでした。
しかし、それは同じスーパー戦隊の仲間だと認めたからこその叱咤激励であり、
根本に自分達と同じ「人々を守ろうとする純粋な気持ち」がある限り、
マーベラス達の現状は鷹介から見て、決してベストとはいえないが、「悪くない」と思えたのでした。

その鷹介の笑顔を見て、アイムは鷹介の気持ちがボキ空間に行く前よりも
自分達に近づいてくれていることを感じ、「はい!」とニッコリ笑って応えます。
きっと、ボキ空間で何かいい事があったに違いないと確信したのでした。
「ちゃんと会ってみないと、分からないものだなって・・・」と吼太も口添えします。
鷹介のぶっきらぼうな言い方だけでは、
結局マーベラス達のことを信用したのだということがハッキリ伝わらないかもしれないので、
そこは分かりやすく口添えしたのでした。
ハカセはマーベラス達がハリケンジャーに認められたことに対して嬉しそうに笑いますが、
マーベラスは少し恥ずかしそうに下を向き、ルカは吼太をじっと見て、ジョーはフッとニヒルに笑います。

そこに、さっき吹っ飛ばされていったサタラクラJr.が
バリゾーグやインサーン、それにゴーミン軍団やマゲラッパ軍団と一緒に戻ってきて
「よくもよくも!悔しい〜!!」と喚き散らします。
せっかくの楽しみをぶっ壊されたのがよほど悔しいようで、その仕返しをしようとしているようです。

再び一触即発の状況となって鷹介たちはサタラクラJr.の方に振り向きますが、
さて、ここで少しどうしようかと思案します。
ハリケンジャーのレンジャーキーはあくまでボキ空間にマーベラス達やビッ栗の人達を助けに行くために
借りたものであって、本来はゴーカイジャーの所有物です。
その当初の目的は達成し、マーベラス達のことも信用出来る相手だと認めた今、
このままレンジャーキーを使って変身して戦ってもよいものかどうか、一瞬、躊躇いがありました。

一方、マーベラス達は鷹介たちに助けてもらって認めてもらって、嬉しいことは嬉しいのですが、
実はそれ以上にこのままでは悔しいのでした。
確かに本物のスーパー戦隊は凄い。地球の人々を守ることにかけては自分達のように余計な迷いは無い。
だから凄いのだということはハリケンジャーの3人を見てマーベラス達も分かりました。
しかし、そのスーパー戦隊の力を借り受けてこの地球で、自分達が守りたいと思うものを守っていきたい、
いや、この地球を守っていきたいと自分達は決めてしまったのです。
それならば、スーパー戦隊のことを「凄いなぁ」と仰ぎ見ているだけでは悔しいのです。
自分達が彼らに及ばない部分があるのなら、追いつかなければいけない。

そのためにはスーパー戦隊の戦い方をまず見なければいけない。
しかし、さっきの大逆転劇はあまりに一瞬のことであり、しかも変身していない状態であったので不完全です。
もっとじっくり、変身した状態での本気のハリケンジャーの戦いを
一度だけマーベラス達は見たいと思ったのでした。

そして、ただ単に見るだけではない。
その一度だけで、それに追いついてみせようとも思っていました。
ゴーカイジャー6人が余計な雑念は払って、ただ純粋に戦い、
ハリケンジャー3人の本気の動きに追い付いて合わせてみせてやりたい。
そう思ったマーベラスは、すっと鷹介の横に進み出て「今度は9人でやらねぇか?」と言いました。
レンジャーキーを返すべきかと一瞬思案していた鷹介はマーベラスの提案を意外そうに聞きます。

すると、ルカも「あたしたちのいいとこも見て貰わないと!」と吼太に向かって言います。
9人で戦って、ゴーカイジャーもハリケンジャーの動きに今度は追いついてみせてやるという強気の表明でした。
その強気を悟って吼太は頼もしそうに微笑を浮かべます。

そしてジョーも七海の後ろで戦闘に備えて腕をいじりながら「頼んだぜ・・・先輩!」と声をかけます。
そういうわけだから、手加減無しで頼む、ということです。
それはあくまでゴーカイジャーが追いかける立場であり、ハリケンジャーが導く立場であるという
謙虚さが込められた物言いでしたが、その中にすぐに追いついてみせるという自信が込められています。
それにしてもゴーカイジャーのメンバーが(鎧は除いて)スーパー戦隊の戦士を「先輩」と呼んだのは
初めてのことで、しかもそれが今まで最もスーパー戦隊と距離のあったジョーであるというのも
なかなかインパクトがあります。
それだけハリケンジャーの戦い方を見たインパクトが生粋の戦士であるジョーには大きかったのでしょう。
そのジョーの少し生意気な後輩としての発言を、七海はニヤリと笑って受け止めます。

マーベラス達の意図を察した鷹介は
「いいぜ!忍者と海賊の豪快コラボだ!」と、その申し出を受けます。
もちろんゴーカイジャーがついてこれないぐらい全力で突っ走るつもりです。

そうして9人並んでの変身シーンとなります。
まずゴーカイジャーはいつも通り、モバイレーツおよびゴーカイセルラーにレンジャーキーを挿して
「豪快チェンジ!」とコールをします。
そして、なんと、ここで鷹介たち3人は印字を結んで「忍風!シノビチェンジ!」と掛け声をかけます。
つまり、今回の冒頭の方でみせたレンジャーキーを使っての簡易変身ではなく、
「ハリケンジャー」本編時と同じ正式の変身ポーズで変身するのです。
これはファンには堪らないサービスといえます。

そして掛け声の後の変身バンク映像は、ゴーカイジャーの6人はいつも通りで、
ハリケンジャー3人の方はこれは「ハリケンジャー」本編時のものではなく、
なんとわざわざ新しく撮影して作ったバンク映像となっています。
ハリケンジャーの本編での変身バンク映像はやたら凄いCGを使った凝ったものでしたが、
さすがにその再現ではなく、割と普通な感じのバンク映像でした。
ただ、それぞれ赤青黄のつむじ風に包まれた3人の身体にスーツとメットが
その細かいパーツごとに順々に装着されていく描写は、本編の変身バンク映像の特徴をよく再現していました。

そしてゴーカイジャーがいつも通りのシンプルな名乗りを上げた後、
ハリケンジャーもちゃんと名乗りシーンまであります。
ハリケンジャーの名乗りシーンといえば、シリーズ歴代でも最も遊び心とケレン味溢れ、
しかも長いという、有名なやつです。
それが今回、完全に新撮映像で登場します。

本編オリジナルの名乗り映像には使用する小道具によって
番傘バージョンと布バージョンという2つのバージョンがあったのですが、
今回の新撮映像は番傘バージョンのリメイクになっています。
ただ、各自の名乗り映像の直前の1カット、それぞれの紋章入りの布が画面を横切る演出で、
一応少しだけ布バージョンの再現にもなっているといえます。

まず赤い空忍の紋章入りの布が画面を横切った後、赤いライトの光のもと、
花吹雪舞い散る中で空忍の紋章入りの赤い番傘をさしたハリケンレッド椎名鷹介が
「風が鳴き、空が怒る!空忍!ハリケンレッド!」と、昔のままの決めポーズを披露。
オリジナルでは番傘を真上に放り投げていたのですが、
これはさすがに超難技なので今回は横に振り回して上手くCGで処理していました。

その後、同様に一瞬青い水忍の紋章入りの布が横切った後、青いライトの光のもと、
花吹雪の中、青い水忍の紋章入りの番傘をさしたハリケンブルー野乃七海が
「水が舞い、波が躍る!水忍!ハリケンブルー!」と、番傘を放り投げて決めポーズを披露。
「波が」のところが昔のまま「なぁみが」になっていたのがファンには嬉しい。

そして同様に一瞬黄色い陸忍の紋章入りの布が横切り、黄色いライトの光のもと、
花吹雪の中、黄色い陸忍の紋章入りの番傘をさしたハリケンイエロー尾藤吼太が
「大地が震え、花が唄う!陸忍!ハリケンイエロー!」と、番傘を放り投げて決めポーズを披露します。

そして「人も知らず!」「世も知らず!」「影となりて悪を討つ!」という
ハリケンジャーのキャッチフレーズを唱え、ド派手な赤青黄3色の幕が開くと、
3色のライトの光の下で「忍風戦隊!ハリケンジャー!」と3人で並んで名乗りを決め、
最後にお決まりの鷹介の「あ、参上〜〜〜っ!」と、いなせな歌舞伎風のポーズで締めます。

名乗りポーズに関してはスーツアクターさんがやっているので安定していて再現度が高いのは当然としても、
塩谷氏、長澤氏、山本氏の3人のあてている名乗りの声が非常に凛々しくカッコいいのが印象的でした。
ここの声に関してはオリジナルの名乗り映像のものよりもカッコよいヒーローしてたと思います。

こうして圧巻の変身シーンが終わり、ゴーカイジャー6人とハリケンジャー3人が揃い踏みしたところで、
マーベラスが「今日は特別だからな!」と念押し。
というか、これは劇場版などでも何度か見せた、この後の決めゼリフ特別バージョンの前フリです。
鷹介が「ああ!」と応じて、「いつもより!」と言うと、
マーベラスと鷹介が声を合わせて「シュシュッといくぜ!!」と叫んで跳び上がり、戦闘開始となります。

本来は特別版ということで「いつもより派手にいくぜ!」と言うべきところですが、
ハリケンジャーとの豪華コラボバージョンということで
「いつもよりシュシュッといくぜ!」という掛け声になったわけです。
これって今後も別の戦隊バージョンもあるのかもしれません。
例えば「いつもよりマッハでいくぜ!」とか。

そしてトドメは、戦闘開始と同時に順々にジャンプして飛び出していく
9人の戦士たちの映像にかぶせて流れ始める「ハリケンジャー」のOPテーマのインストです。
これでボルテージは最高潮。
やっぱりオリジナルのOPテーマは反則ですが、
特にこのハリケンジャーのOPテーマは燃える名曲です。

そしてここからバラエティ溢れるアクションが展開されていきます。
まず鷹介が「超忍法・空駆け」を披露。
文字通り、空中を駆けていく空忍特有の技でワイヤーアクションが素晴らしいです。
鷹介は空中を駆けながらゴーミンやマゲラッパをハヤテ丸で斬り倒して進んでいきます。
そして着地し、更に斬りまくる。
そこにマーベラスもやって来てゴーミンとマゲラッパをゴーカイサーベルで斬りまくります。
一瞬、背中合わせに立ったマーベラスに向かって鷹介は
「ついて来いよ!」と声をかけて更にスピードアップして斬りまくっていきます。
マーベラスも「へっ!!」と対抗心を燃やしてスピードを上げていきます。

一方、吼太は「超忍法・舞獅子」を披露。
これは陸忍特有の分身の術で、ここでは6人に分身してゴーミンやマゲラッパを一気に斬っていきます。
これには傍で戦っていたジョー、ハカセ、鎧もビックリです。
こういう何でもアリのハチャメチャな感じの戦い方が、いかにもハリケンジャーっぽいといえます。

そして女性軍の方は、ハヤテ丸をガンモードにした七海を先頭に、
脇を固めたルカとアイムがゴーカイガンを構え、3人が撃ちまくりながら
ゴーミンとマゲラッパの群れに突っ込み、突っ込んだ後は斬りまくり撃ちまくって、
更に周囲を囲んだゴーミンたちに向けて3人が背中合わせで回転しながら
つるべ撃ちで薙ぎ倒していきます。

ここでハカセはハリケンジャーにゴーカイジャーの最強の姿を見せようと思い、武器交換に踏み切ります。
ジョーに向かって「いくよ!」と合図して手にしていたゴーカイガンとゴーカイサーベルを上に放り投げ、
ジョーもそれに応じてゴーカイガンとゴーカイサーベルを上に放り投げます。
そうしてハカセはゴーカイガン二丁をキャッチし、
ジョーはゴーカイサーベル二本をキャッチするという算段だったのですが、
何故かハカセの横にいた吼太も釣られてハヤテ丸を上に放り投げてしまいます。

すると空中で5つの武器が絡み合って方向が変わり、
ジョーの手許にはゴーカイサーベル1本とハヤテ丸が落ちてきて、
吼太の手許にはゴーカイガンとゴーカイサーベルが1つずつ落ちてきます。
そしてハカセの右手はゴーカイガン一丁をキャッチしますが、左手に握るべき武器がありませんでした。
「あああ!?無い!?」と、最初より武器が減ってしまって慌てるハカセを尻目に、
吼太はゴーカイガンとゴーカイサーベルを握って「海賊の武器だ!」と大喜び、
さっそくゴーカイガンをぶっ放して戦い始めます。
ジョーもハヤテ丸を見て興味を持ったようで「・・・借りるぞ!」と張り切って振るい始めます。

こうして未知の武器で吼太とジョーがノリノリで戦う一方、
ゴーカイガン一丁になったハカセは何故か左手に大根を持って戦います。
ハカセの大根好きネタは定番化してきましたが、それにしてもいったいどこから大根を出したのか?

また、この遊び心満載の武器交換ネタから常に除外される可哀想な鎧は、
ゴーミン達を相手に戦いながら「覚悟!覚悟!覚悟しろ!」と喚くという、
ハリケンジャーのOPテーマの歌詞ネタで魅せます。
しかもこのシーンでバックで流れているハリケンジャーOPテーマのインストが、
ちょうど「覚悟!覚悟!覚悟しろよ!」の歌詞の部分になっているのですから見事です。
まぁ、この「ゴーカイジャー」の物語世界では「忍風戦隊ハリケンジャー」という番組が
放送されていたわけはないので、この歌詞を鎧が知っているはずはない。
ここは完全にお遊びネタということです。

一方、鷹介は「超忍法・影の舞」でスゴーミン達を撃破。
技を終えた鷹介がしゃがんだところにマーベラスが飛び込んできて、咄嗟に鷹介の肩に乗り、
鷹介は「いくぜぇっ!!」と声をかけてマーベラスを肩車したまま立ち上がり、
コマのように回転しながら周囲のゴーミンやマゲラッパをハヤテ丸で斬っていきます。
同時に鷹介の上に乗ったマーベラスは高い位置からゴーカイガンを撃ちまくり
周囲のゴーミンやマゲラッパを倒していきます。
そうしてマーベラスが地上に降りた時には周囲のゴーミンやマゲラッパは一掃されていました。
息がピッタリ合った攻撃を見せた2人が「やるじゃねぇか!」「あんたもな!」と称え合った瞬間、
2人を狙って放たれた攻撃をさっと2人は避けます。
それは配下が倒されて、いよいよ後が無くなってきたサタラクラJr.による攻撃でした。
サタラクラJr.はマーベラスと鷹介目がけて襲い掛かってきて、接近戦となります。

同様にゴーミンやマゲラッパを片付けたジョー、ハカセ、鎧、吼太の4人の前には
強敵バリゾーグが立ちはだかります。
4人は果敢に立ち向かいますが、バリゾーグの剣技の前になかなか突破口が掴めません。
ここでジョーが躊躇いなくバリゾーグに襲い掛かっているのが印象的です。

バリゾーグはジョーの昔の先輩で剣の師匠であり命の恩人であるシドが改造された姿です。
そのことをマーベラス一味の中ではジョーだけは知っています。
ジョーはその事実を知った第11話時点ではショックでバリゾーグとまともに戦えませんでしたが、
その後、第12話で単身バリゾーグと戦い、その際にバリゾーグの中にシドはもう存在していないことを確信し、
シドの死を受け入れています。
ですから、今のジョーにとってはバリゾーグはシドではなく、
単なる機械の塊にシドの剣技をコピーして移植したザンギャックの幹部怪人に過ぎません。
だからバリゾーグと戦うことに全く躊躇は無いのです。

さて一方、ゴーミンやマゲパッラを全て倒したルカ、アイム、七海の前には
インサーンが立ちはだかっていました。
インサーンは伸縮自在の電磁ムチのような攻撃で3人の剣の攻撃をよせつけない強さを発揮します。
よく考えたらインサーンの本格的戦闘シーンって、今回が初めてでしょう。
カーレンジャー篇の時は遊んでるようなものだったし、
ボウケンジャー篇の時はリュウオーンの攻撃を避けただけで撤退しただけだし。
今回、やはりかなり強いことが証明されたといえます。

電磁ムチで吹っ飛ばされた3人でしたが、
七海がここで「超忍法・水流破」で手から激しい水流を発射してインサーンに浴びせてひるませた瞬間、
ルカとアイムが飛び込んでゴーカイサーベルで同時に斬りつけ、インサーンを後退させます。
そこに更に七海がソニックメガホンを取出して口にあてて、
インサーンへ向けて「飛べ〜!!」と叫びます。
同時にルカとアイムもゴーカイガンでインサーンを撃ち、インサーンは大きく吹っ飛ばされてしまいます。
ソニックメガホンはハリケンブルー専用の武器で、
このメガホンを通して言った言葉で相手を操ることが出来るという凄い武器です。

そして、バリゾーグとジョー達4人の戦いの方は、
ジョーと鎧がバリゾーグと戦っているのを、
さっきもさんざんバリゾーグにやられて苦手意識のあるハカセが尻もちをついた状態で少し怯んで見ていると、
そこに吼太がロープにぶら下がってターザンのように突っ込んできて
「お〜い!こっちだ!来い!」とハカセに呼びかけます。
ハカセは「うん!」と吼太に応じて飛びつき、吼太の身体につかまって上空を移動しながら
バリゾーグ目がけてゴーカイガンを乱れ撃ちします。

これにはさすがのバリゾーグも後退し、
そこにルカ達に吹っ飛ばされたインサーンもやって来て、
バリゾーグが「サタラクラJr.が戻った時点で作戦は終了だ」が言うと、
インサーンも「長居は無用ね!」と応じて、2人は撤退していきました。

2人の与えられた任務は、サタラクラJr.がマーベラス達3人をボキ空間に閉じ込めている間に
残ったハカセ達3人を防備の手薄な状態のまま叩くというものであり、
こうしてゴーカイジャーが6人フルメンバー揃った上にハリケンジャー3人まで加わった相手と
リスクの高い戦いをするというのは本来の任務とは違うのです。
だから、とことんやり合う必要など無いので、撤退することにしたのでした。
サタラクラJr.は1人残されることになりますが、それはサタラクラJr.の作戦におけるミスであって、
バリゾーグやインサーンはサタラクラJr.と共同して作戦を進行していたわけではない。
それぞれの命じられた作戦は別々なのです。
ですから、サタラクラJr.がどうなろうが、バリゾーグとインサーンには関係ないのです。

こうして残ったのはサタラクラJr.のみとなりますが、
サタラクラJr.は「スペシャルでびろんぱ」という技で鷹介とマーベラスに襲い掛かります。
「でびろんぱ」は胴体から分離した首で攻撃するサタラクラの技でしたが、
この技はその首が巨大化して襲う技のようです。
この巨大化したサタラクラJr.の首は、口から激しい息を吐いて鷹介とマーベラスを吹っ飛ばしますが、
マーベラスは反撃してサタラクラJr.の鼻っ面を吹っ飛ばし、
サタラクラJr.は術が解けて顔を押さえて苦しんで倒れ込みます。

そのチャンスを見て鷹介は「今だ!!」と合図を叫び、
ジャンプしてサタラクラJr.に跳び蹴りを炸裂させ、その態勢のまま「超忍法・空駆け」を発動して、
足で踏みつけたままのサタラクラJr.と共に低空を移動して進んでいき、
進みながらハヤテ丸でサタラクラJr.を斬りまくります。
そして鷹介の合図に呼応してマーベラスも「行くぜ!!」と叫び、
空駆けで移動していく鷹介にピッタリくっついて走りながら
ゴーカイサーベルでサタラクラJr.をメッタ斬りにしたのでした。
ワイヤーアクションの動きに走りながらついていってアクションしているわけですから、このシーンは凄いです。

そうして鷹介とマーベラスに延々とメッタ斬りにされたサタラクラJr.は吹っ飛ばされて、
もうまともに立てない状態となります。
そこに9人の戦士は全員集合して対峙します。
「これで終わりにしましょう!」と鎧がゴールドモードになりますが、
今回はレジェンドリームではなく、普通にアンカーモードのゴーカイスピアのファイナルウェーブの一閃で
エネルギー波を放ちます。
何故なら、今回はハリケンジャーとのコラボの特別技で締めるので、
レジェンドリームのようなそれだけで完全に決まってしまうような決め技は邪魔だからという大人の事情です。

マーベラスの「ド派手に決めるぜ!!」という掛け声と共に、
マーベラス、ジョー、ルカはゴーカイサーベルに、ハカセ、アイムはゴーカイガンに、
鎧はアンカーモードのゴーカイスピアに、それぞれのゴーカイジャーのレンジャーキーを挿して回します。
するとゴーカイサーベルの刀身やゴーカイガンの弾倉部などがいつものファイナルウェーブのごとく、
エネルギー波が浮かび上がり、エネルギーが充填した状態となりますが、
同時に鷹介、七海。吼太の3人の構えるハヤテ丸の刀身もゴーカイサーベルの刀身同様に
エネルギー充填状態となったのです。

この不思議な現象は、おそらくこの時点の鷹介たち3人のハリケンジャーの力が
ハリケンジャーのレンジャーキーが具象化したものだからなのでしょう。
以前に第4話でジョーが五刀流ブルースラッシュという技を使った際に、
五本のゴーカイサーベルに挿した5つの青の戦士のレンジャーキーに対応した
5人の青の戦士の召喚体が出現して次々とファイナルウェーブを発して敵を斬りました。
また、鎧のレジェンドリームも15戦士のレンジャーキーを合わせたゴールドアンカーキーから召喚された
15戦士の召喚体が出現してファイナルウェーブを一斉に放つ技ですから、同様の原理でしょう。
つまり、ここでは鷹介たち3人の体内に入っているハリケンジャーのレンジャーキーが
ファイナルウェーブを放つモードに入っているのだといえます。

つまりゴーカイジャーとハリケンジャーの合わせて9つのレンジャーキーによって放たれる
特別版のファイナルウェーブとなります。
その技名、「ゴーカイ超忍法!ハリケンスクランブル!!」を9人が叫び、
鎧がゴーカイスピアを一閃、ハカセとアイムはゴーカイガンを撃ち、
ルカと吼太、ジョーと七海、マーベラスと鷹介がそれぞれ同時にゴーカイスピアとハヤテ丸を一閃し、
そうして放たれた9つのエネルギー波が1つに合体して火の玉となりサタラクラJr.に炸裂します。
サタラクラJr.は「テレビの前のチミ!ソリはソリでも、切れるソリな〜んだ!?」と
断末魔に律儀にお茶の間に向かってナゾナゾを出題し、爆死します。
同時にサタラクラJr.の術は解け、ビッ栗は光の塊になって元の場所に飛んでいき、
ビッ栗にされた人達は皆、元の場所で元の姿に戻ることが出来たのでした。

一方、作戦失敗を悔しがるワルズ・ギルは「おのれおのれおのれ!」と呻きながら、
ギガントホースから巨大化銃をサタラクラJr.の遺体に向けて発射します。
まだインサーンは戻ってきていないようなのでワルズ・ギルが直々に撃ったようです。

復活巨大化したサタラクラJr.に対抗するため、「あとは俺たちに任せろ!」と、
マーベラス達はゴーカイガレオンと豪獣ドリルを呼び寄せる態勢に入りますが、
その時、「待て!」と言って鷹介たち3人が変身を解きます。
そして鷹介は掌に握ったハリケンレッドのレンジャーキーを一瞥すると、
ニヤリと笑って「忘れもんだ!」と言ってマーベラスに投げて寄越します。
同時に七海もハリケンブルーのレンジャーキーをジョーに投げ、
吼太もハリケンイエローのレンジャーキーをルカに投げて寄越します。

その中に込められた戦う力は鷹介たちのものだが、
あくまでレンジャーキーはマーベラス達のものであり、
一度マーベラス達の申し出を受けて一緒に戦う務めは果たした以上、
もうこれ以上ハリケンジャーのレンジャーキーを自分達が持っている理由は無いと、
鷹介たちは思っているのです。
ただ、今はもう、鷹介たちはそのレンジャーキーの中の戦う力に関しても、
マーベラス達がそれを使うことに以前のような違和感を覚えることはなくなっていました。
「頼んだぜ!伝説の後継者・・・!」と鷹介はマーベラスに向かって言います。

それは鷹介がマーベラス達のことを、レジェンド戦隊の力を受け継いで使うに足る戦士たちであると
認めたという意味でした。
いや、確かにその通りであり、
マーベラスも「伝説」といえば「レジェンド戦隊」のことを指すのだと思い
「ああ!」と力強く応えると、そのまま5人でゴーカイガレオンに乗り込んでいき、
海賊合体でゴーカイオーを組み上げます。
そして豪獣ドリルを召喚した鎧もそのまま乗り込んで豪獣神に変形し
、ゴーカイオーと豪獣神とでサタラクラJr.と戦闘開始します。

ところが復活巨大化したサタラクラJr.はやはり手強く、
陽気に戦いながら豪獣神に大きなダメージを与え、豪獣神はやむなく後方に下がります。
こうしてゴーカイオーとサタラクラJr.の一騎打ちという形となりますが、
強敵を相手にマーベラス達はどのように戦うべきか考えあぐねます。

その時、ゴーカイオーの戦いを地上から見守る鷹介たち3人の視線を感じて、
マーベラス達は鷹介たちの方を見ます。
見ると、鷹介たちはこの苦境においてもゴーカイジャーの勝利を確信した涼しい表情で立っており、
マーベラス達に向かって3人揃って、力強く頷きました。
その瞬間、マーベラス達、ゴーカイオーのコクピットにいる5人のゴーカイバックルが一斉に反転し、
中からハリケンジャー(およびゴウライジャー)のレンジャーキーが勝手に出現したのでした。
そしてその5つのレンジャーキーは光を発して宙に浮かび上がります。
これはつまり、ハリケンジャーの大いなる力が鷹介たちからマーベラス達に向けて託されたということでした。

もともと鷹介たちはボキ空間でマーベラス達のことを、
まだ経験不足ながら、忍者の極意と同じ純粋さを持った戦士たちであり、
地球を守って戦う意思を持った戦士だと認めていました。
そして先ほどのサタラクラJr.を倒した等身大戦において、
余計なこだわりを捨てて、ただ人々を守ろうとする思いに集中して、
その持てる力を存分に発揮してハリケンジャーの全力の動きに最後まで合わせてきたゴーカイジャーの姿を見て、
鷹介たちはゴーカイジャーをハリケンジャーの後継者として完全に認めたのです。

さっき鷹介がマーベラスに呼びかけた「伝説の後継者」という呼称は、
単にレジェンド戦隊の力を使う者という意味だけではなく、
ハリケンジャーの後継者という意味合いのある呼称なのです。

ハリケンジャーは疾風流においては「伝説の忍者」とされる存在であり、
ハリケンジャーとなる者は「伝説の後継者」と呼ばれる。
鷹介たち3人は「伝説の後継者」なのです。
その「伝説の後継者」である鷹介がマーベラス達のことを「伝説の後継者」と呼ぶということは、
鷹介がマーベラス達のことを正式なハリケンジャーだと認めたということであり、
ハリケンジャーの大いなる力も含めた全ての力を使いこなせる者達だと認めたということを意味します。

つまり、先ほどの「頼んだぜ!伝説の後継者・・・!」という呼びかけは
鷹介たちからマーベラス達への一種の免許皆伝の通達であり、
あの瞬間、実はハリケンジャーの大いなる力はマーベラス達に託されていたのです。
その大いなる力が今こそ発動されるべき時だということで、
ハリケンジャーのレンジャーキーを自動的に出現させてきたのです。
目の前に浮かんだハリケンレッドのレンジャーキーを掴んで見つめたマーベラスは
そういうことだったことに気付き、「使わせてもらうぜ・・・!」と言うと、
「レンジャーキー!セット!」と、5人で一斉にレンジャーキーをコクピットに挿し込み回します。

すると、空の彼方から「ニンニンニンニンニン・・・」と言いながら何者かが飛んできます。
それは巨大な手裏剣に乗った風雷丸でした。
やはり、ハリケンジャーの大いなる力の正体は風雷丸でした。
前回、宇宙忍者の気を感じて思わず出てきてしまった時は自分の意思で勝手に出てきたのであって、
ゴーカイジャーにレンジャーキーで召喚されたわけではありませんでした。
だからゴーカイジャーに挨拶も無く、勝手に来て勝手に帰っただけだったのですが、
今回はちゃんと大いなる力としてゴーカイジャーに召喚されて正式な形で来ているので
「拙者、風雷丸!助太刀致す!」と、しっかり挨拶しています。

サタラクラJr.は前回の風雷丸の出現の際にはボキ空間にいましたから、
ダマラスからサンダールJr.が変な乱入者も加わったせいで倒されたということは聞いていたであろうが、
風雷丸の姿は見てはいません。
だから、いきなり変な物が飛んできたので、
先ほどのボキ空間における鷹介たちのようないきなりの乱入者がまた来たと思い、
「またお邪魔虫〜!?」と迷惑そうな声を上げます。

そのサタラクラJr.に対して風雷丸は上空からクナイ型大型手裏剣を投げつけ、その爆発でひるませます。
ところが、風雷丸は前回出現した時のようにそこから一気に畳み掛ける攻撃に移行しません。
その代わりに、ゴーカイオーの上空にゆっくり旋回してきて「ゴーカイオー殿!合体でござる!」と言います。

風雷丸は「ハリケンジャー」本編では、ハリケンジャーのカラクリ巨人の旋風神と、
ゴウライジャーのカラクリ巨人の轟雷神とを合体させて旋風轟雷神とする際の
ナビゲート役を務めるカラクリ武者であり、その際にこの「合体でござる!」のフレーズを使っていましたから、
その設定を活かしたセリフなのですが、
ここにおける「合体」の意味は今回はナビゲート役というよりは、
ゴーカイオーと風雷丸がそのまま普通に合体するという意味です。
いや、合体というよりは、マジドラゴンやパトストライカーのように、風雷丸も「大いなる力」として、
各パーツに分かれてゴーカイオーの胸部と手足のハッチに収まるという感じです。

初めて会った風雷丸の合体の申し出に「よし来い!!」とマーベラスが気前良く応じると、
風雷丸は「海賊と忍者、1つとなりて、天下御免の手裏剣装備!!」と唱えながら4回、印を結んでいく。
するとゴーカイジャー、空忍、水忍、陸忍の合わせて4つの紋章が風雷丸の周囲に生じて、
それが4本の刃を持つ手裏剣となり、風雷丸と一体化すると、
風雷丸のボディが5つの手裏剣型の光に分かれ、
その5つの光がゴーカイオーの胸部と両腕、両脚のハッチに入っていき、
ゴーカイオーのボディの背後にゴーカイジャーとハリケンジャーの紋章が浮かび上がり、
そこでマーベラス達がハリケンジャーのレンジャーキーを再び回すと、
ゴーカイオーの背中のダイアルがぐるっと回り、ゴーカイオーの両腕、両脚のハッチが開き、
そこから1つずつ、合わせて4つの巨大な手裏剣が出現します。

そして、ゴーカイオーの海賊帽が何処かに飛んでいくと同時に
胸部ハッチから飛び出したパーツがぐるっと回ってゴーカイオーの頭部をマスクのように覆い、
ゴーカイオーの頭部から胸部にかけてが、ハリケンジャーのカラクリ巨人である旋風神のような印象に変わります。
そしてひときわ大きな手裏剣を握ってそびえ立つ新たなゴーカイオーの形態が出現したのでした。
「ハリケンゴーカイオー推参!!」と風雷丸の声で掛け声がかかり、
ハリケンゴーカイオー登場画面の背景にはゴーカイジャー、空忍、水忍、陸忍の4つの紋章が散りばめられた
金屏風が屹立するという、ド派手なものとなりました。

突如出現したハリケンゴーカイオーを見て、サタラクラJr.は
「なんじゃこりゃああ!?」とゴリラのように胸を叩いて驚く。
「いくぜ!!」とマーベラスが号令をかけ、ハリケンゴーカイオーは
手にした巨大手裏剣でサタラクラJr.を圧倒します。
「シュシュッと手裏剣チェーン!!」とルカが叫び、
巨大手裏剣を鎖鎌のように操ってサタラクラJr.に叩きつけます。

そしてハカセが「もう一つ、オマケに!」と言って、
「ゴーカイ無限手裏剣!!」と全員がレンジャーキーを回すと、
両腕両脚のハッチから無数の細かな手裏剣が飛び出して、サタラクラJr.に向かって飛んでいき、
その身体を斬り裂いていきます。

これで決まったかと思いきや、サタラクラJr.は大きなダメージを受けながらまだ立っています。
なかなかしぶといです。
「ボキはこれぐらいじゃやられないもんねぇ〜!!」と減らず口を叩くサタラクラJr.に向かって、
マーベラスは「だったらこれでどうだ?」と言いつつ、
5人で「ゴーカイ風雷アタック!!」と一斉にレンジャーキーを回します。
この時、ハカセがハリケンジャーのように印を結んだりしてるのが芸が細かい。

ゴーカイ風雷アタックという技は、
ハリケンゴーカイオーの5つのハッチから風雷丸のパーツが飛び出してきて1つに合体して、
再びゴーカイオーから風雷丸が分離し、
「夏ではござるが、必殺奥義!乱れ桜〜!!」と印を結んで無数の風雷丸に分身し、
その無数の風雷丸がそれぞれ手裏剣を手にして突っ込んで敵を斬り刻むという技でした。
これを喰らったサタラクラJr.はさすがに堪らず、
「さっきの答えは。カミソリだよおおおん!!」と、断末魔にさっきの等身大戦の断末魔に出したナゾナゾの
解答をわざわざ言って爆発して果てたのでした。
最期は、意地悪クイズではなく、真っ当なナゾナゾの解答でありました。

戦いに勝利し、ハリケンゴーカイオーから再び分離した風雷丸は、
ゴーカイオーの肩に乗って「ふう!いい汗かいたでござるぅ!」とカラクリ武者のクセに妙に爽やかなことを言い、
「お疲れ様でした!」とアイムにねぎらわれると、
「ではまた、お目にかからんことを!」と言い、印を結んでドロンと姿を消して、
何処かへ帰っていったのでした。

エピローグは戦いの後、優雅に空飛ぶゴーカイガレオンの船室の中の場面です。
「じゃ、いっきまぁす!」とハリケンイエローの姿で「超忍法・地獄耳」の練習をするルカ。
横にはハリケンブルーの姿に変身したジョーまで並んで、同様に地獄耳の練習中です。
2人は左耳あたりを押さえた手をひっくり返してマギー審司のように巨大な耳をポヨヨ〜ンと出し、
「おおおお〜!」と吼太と七海が拍手して「筋がいいなぁ!2人とも!」「ねぇ〜!」と褒めます。
ただ、地獄耳状態で至近距離で拍手されると、やたらと大音量になるようで、
ルカとジョーはビックリしてのけぞっています。

元ハリケンジャー3人組は戦いの後、ガレオンに遊びに来ているようです。
それにしても、ルカとジョーがこんな間抜けな見栄えの超忍法の練習に真面目に取り組むとは、
前回の冒頭のスーパー戦隊講座の際のやる気の無さとは大違いです。
やはりハリケンジャーと共闘したことは彼らにとって大きな経験であったようです。
スーパー戦隊の戦いを直に経験したことによって、
ルカもジョーも、地球を守るスーパー戦隊の一員となることに前向きになり、貪欲になったようです。

そこに「私も挑戦してみました!」と言ってアイムが頭を押さえて登場。
手を離すと、そこから猫耳が出現。
「なあんてね!」とアイムはおどけます。
というか、単に猫耳のヘアバンドをしてるだけです。これでは手品とはいえません。
いや、そもそも地獄耳はマギー審司の手品みたいに見えるけど手品じゃないし、
アイムのは超忍法でも何でもない単なるコスプレです。しかもプチコスプレ。
アイムが可愛いから成立しているようなものに過ぎません。
「おお!」と身を乗り出すハカセと鎧も単にアイムのコスプレが可愛いので興奮しているだけの、
ちょっとした変態です。

「それ、ズルいよ!アイム・・・」とルカが呆れると、
七海も「確かに!お姉さんもそれは反則だと思うな!」と指摘しつつ、アイムの猫耳を突っつきます。
「反則!反則!」とナビィも調子を合わせて囃し立て、
船室内は和気藹々の歓喜ムードとなります。

それを船長椅子に腰かけて穏やかな笑顔で見つめるマーベラス。
その船長椅子の傍らに立った鷹介が船室内を眺めまわして
「いい船だなぁ・・・この船でずっと宇宙を旅してきたのか・・・」と感慨深げに言います。
マーベラス達のスーパー戦隊戦士たちと同等の純粋さを培ってきたという、
「宇宙最大のお宝」を求めての宇宙をまたにかけた冒険旅行というものが一体どんなものであったのか、
鷹介も興味を惹かれたようです。

その言葉を横で聞きながら、マーベラスはアカレッドとの出会いから別れ、
そして今の仲間たちとの出会いを経て地球に辿り着くまでの
「宇宙最大のお宝」目指しての冒険の想い出に思いを馳せ、「・・・ああ!」と感慨深げに応えます。
すると、鷹介はクルリとマーベラスの方に振り向いて「・・・この星はどうだ?」と問いかけます。
単に地球の印象を質問しているわけではない。
そのマーベラスにとっての旅の終着点がこの星であるということは、
マーベラスにとってどういう意味を持っているのか、問うているのです。

この鷹介のやや唐突に聞こえる質問にはどういう意味が込められているのか、少し意味深長のようにも思えます。
そもそもレジェンド戦士たちは自分達の戦う力が封じられたレンジャーキーが宇宙に散らばったことや、
それが何者かによって回収されて再び地球に戻ってくるということをあらかじめ知っていたのか?
それともマーベラス達が地球に来てから初めてそのことを知ったのか?
どうもそのあたりはまだ謎です。
レジェンド戦士たちの中でもその認識にはバラつきは有るようです。

鷹介が何処まで事態を把握している立場なのかは不明ですが、
マーベラスがレンジャーキーを運んで地球にやって来て、
宇宙最大のお宝を表に引っ張り出す役割を担うことになったことについて、
何らかの感慨があるようにも見受けられます。

そのレンジャーキーや宇宙最大のお宝に関わる何らかの隠された巨大な動きのキーパーソンは、
必ずしもマーベラスである必要は無かったのかもしれません。
たまたまマーベラスがその役割を担うことになったのかもしれません。
その旅は、本当にマーベラスにとって価値があったのだろうか?
地球に辿り着いたことはマーベラスにとって本当に良いことだったのだろうか?
何かを知る立場で、鷹介はマーベラスのことを気遣って、
マーベラスの気持ちを確かめるために質問しているようにも見えます。

今回マーベラス達のことをハリケンジャーの後継者として認める以前は、
鷹介自身がマーベラス達に地球の運命を託す気持ちではなかったので、
マーベラスの気持ちなどあまり気にしていなかったようですが、
鷹介が今回の一件でマーベラス達に何か大きな地球や宇宙の運命を託す気持ちになったからこそ、
本当にそれをマーベラスに負わせてもいいのか、少し躊躇しているようにも見えます。

あるいはレジェンド戦士たちはマーベラス達を何らかの形で騙しているのかもしれない。
それは第3話の小津魁の登場の時からずっと微かに存在している疑惑です。
悪意があるとは思えないが、
レジェンド戦士たちの見ている未来と、マーベラス達の見ている未来に多少のズレがあることは
ここまでの流れの中で何となく感じ取れることです。
ここの場面は、そのあたりに微かな罪悪感があるように感じさせる鷹介の態度ではあります。

あるいは、未だマーベラス達に大いなる力を渡していない戦隊というのは、
単にマーベラス達を信じられないというだけではなく、
マーベラス達にそれを負わせることを躊躇しているケースというのもあるのかもしれません。
それは気の毒という面もあり、それを背負いきれる者達ではないと評価している場合もあり、
ハリケンジャーのマーベラス達に対する「不信」というのは、あるいはこのあたりだったのかもしれません。

この鷹介の質問に対してマーベラスはニヤリと笑って率直に「気に入った!」と答えます。
今回の一件で、余計なこだわりは捨てて自分の心が純粋に求めていることを直視することにしたマーベラスは、
自分が地球のことを何時の間にか気に入っていたことを率直に認めることが出来たのでした。

そして「宇宙最大のお宝が・・・」と言いかけて一瞬言葉を止めます。
ここは一見、「宇宙最大のお宝がこの星にあるからだ!」と、
地球を気に入った理由を言うつもりなのかと見えます。
しかしマーベラスの言おうとしたことはそういうことではなく、
それがあまりに率直なので、さすがにマーベラスも照れ臭くなって一瞬、言うのを躊躇したのです。
しかし、結局少し目を伏せて照れ臭そうに「・・・この星にあってよかったと思ってる・・・!」と
率直な気持ちを込めた言葉を繋いだのでした。

マーベラスにとっては当初は地球は単に「宇宙最大のお宝のある場所」に過ぎませんでした。
だから地球には何の思い入れも無く、地球に守る価値があるとも思えませんでした。
それで第2話の時、少年に「この星に守る価値はあるのか?」と質問したのです。
あの時点でマーベラスには、あの少年や、少年が言うレジェンド戦隊の連中が
地球を守るために命がけで戦おうとする理由が本当にさっぱり分からなかったのです。

しかし少年に「海賊なら価値は自分で探せ!」と言われて、
あの日からずっと、「宇宙最大のお宝」を探しながら、この星を守る価値が何なのか観察はしてきた。
だが、それは具体的な形で見つかることは無かった。
しかし今回、湧き上ってきた「人々を救いたい」という純粋な気持ちにひたすら集中して
スーパー戦隊と同じように戦ってみて、かつて感じたことのないほどの爽快感を得たことによって、
マーベラスはこの星を守る価値が何なのか分かったのでした。

それは、地球の人々を守ろうと思う自分の純粋な気持ちそのものが
自分にとって心地よくてかけがえのない価値なのであり、
自分にそのような純粋な気持ちを湧き起こさせてくれるこの星の営みを守ることが
自分にとって価値があることだということでした。
具体的にこの星の人々の何が自分にそうした純粋な気持ちを起こさせるのかは分からないので、
具体的な価値あるものは見えないが、
結局、あの少年が言ったように、「価値は何処にでもある」というのはそういうことなのであろうし、
あの少年やレジェンド戦士たちはそのことが分かっているからこそ、
命をかけてこの星を守ろうとしていたのだとマーベラスは気付きました。

そして、こうしてその価値に気付いてみて、
マーベラスは今までレジェンド戦士たちや地球の人々と接する中で
彼らの持つそうした価値観の影響を少しずつ受けてきて、
その結果、自分が人々を守る純粋な気持ちの価値に気付くことが出来たのだと知りました。

あるいはこれが明石暁の言っていた「冒険が宝以外にもたらしてくれた大事なもの」なのかもしれない。
そして、それはもともとアカレッドが行動を通してマーベラスに教えてくれていた考え方でもあります。
ならば、地球を終着点とした冒険旅行がこの純粋に人々を守る行為の心地よさを自分に教え、
もたらしてくれたのだとマーベラスには思えました。
その場所が地球だからこそ、そうした気持ちを持つことが出来た。
地球がこの旅の終着点でなければ、この気持ちを味わうことはなかっただろう。
だから、マーベラスは目指す「宇宙最大のお宝」が地球にあった偶然に感謝しているのです。

他の星に「宇宙最大のお宝」があったとしたら、
単に「宇宙最大のお宝」を手に入れるだけで終わっていたかもしれない。
しかし地球に「宇宙最大のお宝」があったお蔭で、
「宇宙最大のお宝」以外に「大事なもの」を得ることが出来たのです。
その2つのケースを比べた場合、マーベラスには圧倒的に後者のケース、
すなわち地球に「宇宙最大のお宝」があるパターンの方が自分達には良かったと思っているのです。
逆に「宇宙最大のお宝」しか手に入らなかったとしたら、
それは今ほど魅力ある冒険にはなっていなかったかもしれないと思えました。

しかし、「宇宙最大のお宝」といえば、まさに宇宙最大の価値があるものであり、
他に比べるものなど存在するはずのない圧倒的な価値であるはずです。
だから本来はそれだけがあれば他は何も要らないぐらいのものであるはずです。
ところが、それ以外の価値が手に入ったことがそこまで素晴らしいと思えるということは、
マーベラスは「宇宙最大のお宝」を超える価値を、旅の終着点であるこの地球で見出したということです。
マーベラスの爽やかな笑顔を見てそのことを感じ取った鷹介は
「・・・そうか!」と安堵したように微笑みます。

そこに鎧が三脚付きのカメラを持ってきて
「あの・・・よかったら記念に、皆で写真を撮らせてください!お願いします!」としきりにペコペコ頭を下げます。
鎧がやたらと低姿勢なのは、存在の痕跡を残さないポリシーを持つ忍者が
外部の人間の持つ記念写真に簡単に収まるわけにはいかないということが分かっているからです。
しかし、分かってはいても頼まずにはいられないのが鎧のスーパー戦隊マニアの性です。
鎧は必死で、マーベラスにも応援を要請し「ほら・・・マーベラスさんも!」と
マーベラスからも鷹介たちに記念写真をお願いしてもらおうとしますが、
マーベラスはさすがにそこまで腰を低くするのは不慣れで、困惑します。

ところが鷹介は「よし!・・・ほら、行こう!」と逆にマーベラスの肩を叩いて促し、
進んで記念写真に参加しようとします。
七海も吼太もこだわりなく喜んで列に加わります。
鷹介たちもマーベラス一味に対してもはや分け隔ての気持ちは無く、
また、存在を秘することに絶対的なこだわりはもはや無いようです。
共に純粋な気持ちで地球の人々を守るスーパー戦隊の仲間である限り、細かいこだわりはもはや不要です。

マーベラスも少し照れくさそうに立ち上がり、鷹介たちとともに列に加わり、
8人が仲良くフレームに収まった後、セルフタイマーをセットして鎧も列に加わり、
「笑顔でお願いします〜!」と言ったところで、ナビィがフレームの真ん中に飛び込んできて
「ハイ!チーズ!」と言い、驚いた9人の顔でシャッターが切られてしまいましたが、
このスナップは、ゴーカイジャーが名実ともに35番目のスーパー戦隊となった日を記念する
大切な1枚の写真となったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:52 | Comment(2) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その4

ハリケンジャーという戦隊は、世間に向けてその存在を最も徹底して秘密にしていた戦隊です。
他にも秘密戦隊という形式の戦隊は多くありましたが、
それらはそのメンバーが誰であるのか秘密であったり、
その組織の存在が公式には否定されていたりする程度のもので、
世間の人々は自分達を守ってくれている謎の仮面の戦隊が存在することは認識していました。

そうした戦隊の存在に関する人々の認識そのものまで消そうとしていたのは
ハリケンジャーとゴセイジャーだけであり、
ゴセイジャーの場合は天装術で人々の記憶を消している設定になっていましたが、
あまり本編でそのことが徹底して描写されていなかったので、
そのあたり黒子ロボットを使って人々の記憶を消すことを割としっかり描写していたハリケンジャーが
最も秘密徹底がされていた戦隊であったと思われます。

ではどうしてハリケンジャーはそこまで秘密徹底がなされていたのかというと、
それは例えば「シンケンジャー」の物語世界における「侍」の定義が
一般に言う「侍」とは違っていたのと同じように、
そもそも「ハリケンジャー」の物語世界における「忍者」の定義も
いわゆる一般の「忍者」の定義とは根本的に違うことに関連します。

もちろん「シンケンジャー」の物語世界にも一般的な侍も存在したのと同様、
「ハリケンジャー」の物語世界にも一般的な忍者も存在したのではありましょう。
ただ、「シンケンジャー」の物語世界における志葉一族の侍が300年前から続く特別な侍一族であったのと同様、
「ハリケンジャー」の物語世界における「宇宙統一忍者流」という忍術流派もまた
500年前から続く特別な忍者の集団であったのです。
そして、ハリケンジャーの属する疾風流はこの宇宙統一忍者流から生じた流派なのでした。

宇宙統一忍者流の開祖は覚羅という人物で、
500年前に地球に落ちた隕石の中に含まれていた闇石をメダルの形にして体内に封印し、
不老不死の身体となった女性でした。
この闇石の本来の姿は「嘆きの弓」という物体で、
宇宙の何処かにある「怒りの矢」という物体と合わさることで
宇宙に災厄をもたらす巨大な力が発生すると知った覚羅の父親がそれを阻止するために
覚羅の身体に「嘆きの弓」のメダルを封印して隠したのです。

そうしてメダルの力で不老不死となった覚羅は永遠に身を隠して生き続け、
メダルを隠し続けることが使命となったのでした。
しかも、このメダルの封印は、覚羅が悲しみを感じると解けてしまうため、覚羅は人の心に触れてはいけない。
それゆえ覚羅は人に存在を知られぬよう、人から離れて孤独に生き続けるしかなかった。
そうした覚羅を守るために組織されたのが宇宙統一忍者流という流派の忍者集団でした。
覚羅の傍に仕える宇宙統一流忍者たちもまた、覚羅同様、人に存在を知られてはいけない。
それゆえその存在を秘することが徹底されるようになったのです。

ただ、宇宙統一忍者流の目的はただ覚羅の存在を秘し、
もし覚羅の封印を解こうとする者が現れれば排除するということのみであったので、
覚羅の存在が首尾よく隠されて平穏な年月が経つうちに、
宇宙統一忍者流の忍者たちの存在意義は見えなくなっていきました。
何せ、宇宙統一忍者流の存在そのものが秘密なのですから、
活動が少なめになると存在意義自体を維持していくのが大変です。

しかし、それでもいつ来るか分からない危機に備えて宇宙統一忍者流の流派を絶やすわけにはいかない。
そこで宇宙統一忍者流はその姿を更に奥に隠し、
疾風流と迅雷流という2つの下部組織の忍術流派を立ち上げて、
そこから特に優れた人材を宇宙統一忍者流の直属の天空忍者として
極秘にスカウトするというシステムを作ったのです。

よって、宇宙統一忍者流やその領導者である覚羅の存在は、疾風流と迅雷流の双方の高位者のみしか知らず、
疾風流や迅雷流はこの世の悪を討つために人知れず戦う影の戦士の集団という建前となり、
互いにライバル流派として切磋琢磨し合うことで技を磨いていくことになったのです。
両派の忍者たちは、ごく一部の天空忍者にスカウトされて自派の高位者にも極秘にして姿を消した者以外は、
自らをそうした影の正義執行者的な存在であると信じ込んで数百年、その流派を受け継いできたのでした。

ただ、疾風流にしても迅雷流にしても、宇宙統一忍者流の伝統を受け継ぎ、
自らの存在を世の人々に対して絶対に極秘とする仕組みは受け継いでいましたが、
その本来の意味(覚羅の存在を秘するため)は分からなくなっており、
とにかく昔から秘密厳守が絶対であるという厳格なルールだけが伝わってきていた状態だったのです。

この疾風流に伝わる伝説の最強忍者が「忍風戦隊ハリケンジャー」であり、
宇宙忍群ジャカンジャの地球侵略に対抗するために、
この伝説を現代に甦らせてハリケンジャーとなって戦ったのが、
疾風流の忍者養成学校「忍風館」の第507期生であった椎名鷹介、野乃七海、尾藤吼太の3人であったわけです。

疾風流は上記のような経緯で人知れず世の悪を討つ影の忍者集団として数百年存続してきたわけで、
その伝統の中、彼らのポリシーを表す名乗り口上、
「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ」というものも生まれました。
また、そもそも「疾風流」「忍風館」「忍風戦隊」というように「風」という言葉が重要視されているのは、
彼ら疾風流が自らを「風」になぞらえているからです。

風の姿は誰にも見えない。風には実体も無く、風の名を誰も知らない。ただ吹き過ぎてゆくだけです。
しかし、風には名や実体のあるものを動かす力はある。
姿も見えず名前も残らないが、世を変える力はある。
それが風であり、風こそが忍者のあるべき姿だというのが疾風流のポリシーなのです。

というか、そうしたポリシーを持つことによって疾風流は存続してきており、
存続することによって隠された真の存在意義である天空忍者への人材供給源になっていたわけなのですが、
そんなことは疾風流の誰も知りません。
疾風流のナンバーワンであり忍風館の館長である日向無限斉さえも、
宇宙統一忍者流や覚羅という謎の上位組織の存在は知っていても、
そこまで詳細な仕組みを知っていたわけではなく、
「疾風流はこの世の悪を討つための秘密の忍者集団」という認識でありました。
だから当然、鷹介たちも自分達がどうして風のように存在を消して、影となって戦わねばならないのか、
その真の意味は分かっていない状態でした。
ただ単に疾風流というのはそういう流派なのだという認識があるだけでした。

実際は、鷹介たち疾風流の忍者たちが風のように存在を消して影となって悪と戦ってきた理由は、
覚羅の存在を秘しつつ覚羅を守る天空忍者の人材供給源を存続させるためであり、
忍風館や疾風流の掲げていた高邁なスローガンは、
その真の目的に奉仕するために配下の忍者たちを欺く空虚なスローガンに過ぎなかったということは、
終盤になって覚羅が鷹介たちの前に姿を現したことによって明らかになったのです。

いや、それが真実であるはずでした。
ところが覚羅は鷹介たちハリケンジャーおよび迅雷流のゴウライジャーに向かって、
疾風流と迅雷流の極意が何なのかを問いかけ、鷹介たちが答えられないのを見て失望します。
疾風流と迅雷流の存在意義が覚羅と宇宙統一忍者流の隠れ蓑に過ぎなかったとすれば、
そこに極意など無いはずです。
ところが覚羅は疾風流と迅雷流には極意があると言います。

つまり、もともと覚羅が疾風流と迅雷流を作ったのは自らの隠れ蓑とするためだったのではなく、
実は地球を守るために必要な何らかの極意を託したはずだったようですが、
それを鷹介たちが答えられないのを見て、
極意が長い年月の間に失われたと知り、覚羅は失望したようなのでした。

鷹介たちは極意が何なのか分からなかったが、
覚羅のピンチに身を挺して戦うハリケンジャーとゴウライジャーの姿を見て、
覚羅は彼らが戦いの日々の中で既に極意を得ていたことに気付きました。
疾風流の極意は「風のようにくじけない未来を信じる疾風の心」であり、
迅雷流の極意は「雷のように仲間との絆を貫く迅雷の心」でした。

確かに鷹介たちはその極意を風となり影となっての戦いの中で身につけていました。
ただ、何故その極意を身に付けることが出来たのか、その極意を持つ意味とは何なのか、
それが鷹介たちにはまだ分かりませんでした。
それが分からないことには、まだ忍者の極意を極めたことにはなりません。

その極意が分かったのは、覚羅が倒されてメダルを奪われ、
覚羅の側近の天空忍者シュリケンジャーをも倒された時のことでした。
最後まで顔も名前も明かさずに死んだシュリケンジャーが鷹介たちに残した最期の言葉は、
覚羅から教わった忍者の極意「花の名前を忘れても、花の美しさを人は知っている」という言葉でした。

名前を忘れるというのは、
つまり宇宙統一忍者流が自らの戦いを目撃した人達の記憶を消してきたことを指しており、
花というのが忍者のことです。
つまり自らの存在を消してきた忍者は美しい存在であり、
忍者の存在は人に知られずとも、忍者の持つ美しさ自体は人の共感を得られる美しさであるということです。
そして、その美しさは、忍者が自らを無の存在としてきたからこその美しさなのです。

その美しさとは純粋さでしょう。
守るべき対象である人々にその名も存在も知られていないということは、全く無関係ということです。
単に正体が知られていないだけではなく、
ハリケンジャーという戦隊に対する人々の思い入れそのものが存在しないのです。
この世にハリケンジャーという物は存在していないのです。
つまり守るべき対象である人々との関係は一切ゼロです。

それゆえに、よほど純粋に守りたいという想いを貫かねば、人々を身を挺して守ることなど出来ません。
そして、一旦そうした守りたいという想いが出来上がれば、
もともと無の上に成立したその想いは、一切他の条件の影響を受けることなく不変となります。
純粋ゆえに揺らぐことはないのです。

逆に、何らか自分と人間関係のある対象を守る場合は、守りたいという想いは簡単に湧き上ってきますが、
それは真に純粋な「人を守りたい気持ち」だけではなく、
「その相手だから守りたい」という私情が合わさって行動の動機を形成しているのであり、
例えばその相手と仲違いしたり、より大切に想う相手を守る行為との利害が対立したりというような、
私情絡みのトラブルが生じた場合に一気にモチベーションが下がる可能性もあります。
こういう感じの「守りたい想い」は安定した純粋な想いとは違う。
真に安定した「人を守りたい想い」を持つためには、その想いの純粋さを上げていかないといけない。

そのためには出来るだけ私情を排して、対象との関係を希薄化して守る習慣を積んでいく方がいい。
最初はなかなかモチベーションが上がらないが、
何度もそのようにして自分との関係の薄い相手を守っていくうちに、自分の想いは純粋になっていき、
それが出来上がっていくと強固なものとなり、ちょっとのことでは挫けない強い想いとなっていくのです。
警察や軍隊というのは、こうした純粋で普遍的な「守る想い」を鍛えた人達の集団であって、
私情で動く一般人に比べて、よりいっそう誰からも頼りにされる集団なのです。

しかし、それでもまだ、例えば警察を嫌いな人もいますし、軍隊に利害関係を持った人たちもいます。
そうした人達とそうではない人達とで、警察や軍隊は対応はどうしても変わってきます。
本来はそういう私情絡みの不公平はあってはならないのですが、
それでも人間関係が存在する限りは私情というものは必ず発生し、
それが行動に及ぼす影響をゼロにすることは出来ません。
つまり、守り手としての存在を世間に認識された集団の場合、純粋さを完全なものとすることは不可能なのです。

しかし、その存在を完全に秘匿することが大前提となっている宇宙統一忍者流ならば、それが可能なのです。
最初は「嘆きの弓」のメダルの秘匿のために自身と自らの流派の存在を秘匿していた覚羅だったが、
その自身を完全秘匿することによって生まれる究極の「純粋にこの地球や宇宙を守りたいという想い」を
世のために直接役立てることを目指し、疾風流と迅雷流を設立したのであろうと思われます。

そして、鷹介たちは自らの存在を消して影となって悪を討ち、人々を守る戦いを繰り返していく中で、
最初は虚しさも感じて迷いもあったが、
次第にただ純粋に人々を守りたいという想いだけに集中するようになっていき、
その純粋な想いのみを持ち、あとは己を無として迷いや余計なこだわりを無くし、
それゆえ、ただひたすら未来を信じて挫けずに進んでいったり、
想いを同じくする仲間との絆を貫くことが出来るようになったのです。

つまり、疾風流や迅雷流の極意を自分達が得ることが出来たのは、
存在を消して影となっての戦いを積み重ねる中で培われた「純粋な想い」、
すなわち忍者の極意があったからこそであったのだということに、
鷹介たちはシュリケンジャーの最期の言葉によって気付いたのでした。
こうして忍者の極意を掴んだ鷹介たちはジャカンジャ、そしてその後の最後の敵も倒して
地球を守る戦いに勝利したのでした。

その鷹介たちが今回、守らなければいけないビッ栗にされた人達の存在を
一瞬忘れてしまうという失態を冒してしまいました。
これは人々を守ろうとする純粋さが欠けていたということで、
言い換えれば忍者の極意が失われた状態です。
どうしてこのようなことになったのかというと、原因はレジェンド大戦にあるのでしょう。

鷹介たちの忍者の極意、すなわち「純粋さ」は自らの存在を秘してこそ培われるものです。
それなのにレジェンド大戦以降、ハリケンジャーという戦隊の存在は知られるようになってしまいました。
この500年間の疾風流の歴史においてかつて起こり得なかった未知の事態に鷹介たちは上手く順応しきれず、
その自らの存在を秘してこその純粋さを少々見失ってしまっていたのです。
今回の失敗で初めて自分達がいつの間にか忍者の極意である純粋さを
見失っていたことに気付かされて鷹介たちは焦りました。
そして、それはレジェンド大戦以降、自らの存在が秘密ではなくなっているからではないだろうかと戸惑いました。

ところが、そこで、宇宙海賊のマーベラス達が鷹介たちよりも純粋に
ビッ栗にされた人達を守ろうとして戦っているという事実を鷹介たちは知りました。
そして、そのマーベラス達は下手なウソをつきながら、
自分達が地球の人々を守ろうとしていることを隠そうとしています。

マーベラス達もまた、秘することで純粋さを培おうとしているのか?
確かに彼らの地球人を守ろうとする純粋な想いを保つためには、
ゴーカイジャーの地球人を守ろうとする姿勢は明らかにはしない方が良いでしょう。
そこは確かに「秘すればこそ花は美しい」のです。
そして現時点での彼らが地球人を守ろうとする気持ちの純粋さを維持しているのは、
それを隠そうとしているからではあります。

しかし、もともとの彼らの地球人を守ろうと思うようになった純粋さ全部が、
彼らの地球人を守ろうとすることを隠そうとする姿勢からのみ培われたとは思えません。
彼らのウソは忍者に比べてあまりに稚拙で、よく見ればバレバレだからです。
こんな程度の隠蔽技術でハリケンジャーを超える純粋さを培うことなど出来るはずがありません。
このマーベラス達の、いや、ハカセやアイムも含めて、いや、マーベラスが仲間と認めた鎧も含めて、
彼らの純粋さの多くはこのザンギャック支配下の宇宙で途方もない夢を追いかけようという
途方もない純粋さから生じた天然のものだったのであり、
それがただ純粋に人々を守ろうとする忍者の極意に通じていたのです。

そう気付くと、鷹介は可笑しくなってきました。
忍者の極意、すなわち「純粋に人を守ろうとする想い」は、
別に疾風流や迅雷流、宇宙統一忍者流のやり方でなくても掴むことは出来るのです。
もちろん、そうした忍者の方法論に意味が無いなどということは無い。
それは最も効率的にその極意に気付かせるシステムになっているのです。
しかし、別の道でもその同じ頂に辿り着くことは出来る。

マーベラス達のように正義の無い宇宙で己の信じた道を貫く冒険を通して培った純粋さを
地球人を守る行為に向ける方法でも同じ忍者の極意には辿り着くことは出来るのです。
いや、ハリケンジャー以外の33のスーパー戦隊も皆同じではないのか。
皆、それぞれの方法で別のルートを通って同じ頂に辿り着いて、
「純粋に人を守ろうとする想い」を掴んだ、いわば免許皆伝者の集まりではないか。

そう思うと、ハリケンジャーが存在が周知になってしまったから忍者の極意を見失ってしまったなどと
悩んでいたことが阿呆らしく思えてきます。
自分達は既に忍者の極意がひたすら純粋に人々を守ろうとする想いだということを知っている。
ならば、それはハリケンジャーがどのような立場になろうとも不変のはずです。
なのに、そんなくだらないことで悩んでいる自分が可笑しくなって、
鷹介は思わず声を上げて笑い出します。
そして笑いながら立ち上がり、鷹介はマーベラスの方へ向かって歩きます。

マーベラスは今まで背を向けて黙っていた鷹介が急に笑い出して自分の方に近づいてくるので、
警戒して座ったまま鷹介の方に振り向きますが、何せ両手を鎖で縛られた状態ですので無防備な状態です。
ただ鎖で両手が縛られているのは鷹介も同じですので大したことは出来ないだろうと思いきや、
鷹介は振り向いてきたマーベラスの額目がけて、いきなり強烈な頭突きをかましたのでした。
ゴツン!という鈍く大きな音がして、マーベラスはさすがに顔をしかめて痛がります。
「やるじゃねぇか・・・お前!」と鷹介はマーベラスに顔をくっつけたまま睨みつけます。
マーベラスも睨み返しますが、なんで自分がいきなり頭突きされたのかよく分からない顔です。

実際のところ、鷹介たちはマーベラス達のおかげで大事なことを気付くことが出来たのであり、
マーベラス達に感謝しています。
だから「やるじゃねぇか」と賛辞を送ったのですが、
とりあえず鷹介は色々と余計なことを考えて純粋に人々を守ろうとする想いが疎かになっていた自分に
喝を入れるため、何処か硬そうなものに自分の石頭をぶっつけたくなり、
見た感じ、マーベラスの頭がちょうどよく硬そうだったのでぶつけたのでした。
ただ、やはりどうも鷹介の頭の方が硬かったようです。

ただ、鷹介がマーベラスに頭突きした理由はそれだけというわけではありません。
出来の悪い後輩に喝を入れるという意味もありました。
確かに鷹介たちはマーベラス達のおかげで大事なことを思い出し、忍者の極意を再び手にすることが出来ました。
それはマーベラス達に感謝しなければいけません。
しかし、そうして忍者の極意を再び手に入れて
「純粋に人々を守ろうとする想い」に集中したハリケンジャーの目でマーベラス達を見てみると、
彼らが自分達と同じように地球の人々を守ろうとするのなら、
そのやり方は不徹底で中途半端、全くなっちゃいないものでした。

「口は悪いわ、生意気だわ・・・気にいらねぇとこばっかだが・・・」と鷹介は
マーベラスに顔をくっつけて思いっきりメンチを切りながら酷評します。
その、やたら先輩モードの鷹介の態度を見て、
七海も吼太も、鷹介が自分達の目を覚ましてくれた感謝の印に、
地球の人々を守って戦うということの手本をマーベラス達に見せて指導してやろうとしていることを悟ります。

鷹介はマーベラスから身を離すと、すっと真っ直ぐ立って「よし!俺たちが助けてやる!」と宣言し、
七海と吼太も同意するようにニヤリと笑います。
一方、マーベラスはどうにもコロコロ変わる鷹介の態度が理解困難で「はぁ?」と呆れます。
助けるも何も、自分も思いっきり鎖に縛られた状態で何を言っているのだ?と思ったのです。
ジョーも怪訝な顔をしており、
ルカも「でも、クイズに正解しないで、あいつにピンポーン!て言わせなきゃならないのよ?」と、
どうにも鷹介の思惑が分からず、確認してきます。

鷹介がこれだけ自信満々で助けると言っているということは、
全員の身体を縛っている鎖を解除するつもりのようだが、
そのためにはクイズに正解してサタラクラJr.に「ピンポーン!」と言わせなければならない。
しかし、クイズに正解してしまえばビッ栗は爆発させられてしまう。

まさか鷹介たちはビッ栗にされた人達を助けるためにここに来たとか言いながら、
こういう状況になったので自分達が助かるためにビッ栗を犠牲にしようとしているのではなかろうかと
ルカは心配になりました。
しかし、自分達はついさっきビッ栗のことなどどうでもいいというような発言をしてしまったばかりなので、
今さらビッ栗に危害が及ばないようにしてほしいとも言えず、
とりあえずルカはやんわりと確認するような口調で、
出されたクイズに正解しないで、それでいてサタラクラJr.に「ピンポーン!」と言わせて
鎖を解除させる方法でなければいけないという方向に誘導しようとしたのでした。

ただ、そんな都合のいい方法があればとっくにやっているのであり、
ルカにもそんな都合のいい方法など無いことは分かっていました。
だから余計に鷹介の考えが読めず不安で、そこでこうしてカマをかけて、
どういう作戦であるのか聞き出そうとしたのです。
ところが吼太がニヤニヤ笑いながら立ち上がって「君たちには分からないかもね・・・!」とはぐらかし、
どういう作戦か教えてくれません。
七海もニヤニヤして立ち上がり、鷹介も「ま、俺たちのやり方を見てろ!」と言うだけです。

そうこうしているうちに目覚まし時計の音が鳴り、
サタラクラJr.が「は〜い!持ち時間終了!クイズを再開するよん!」と言って、
クイズ大会を再開しようとして、司会者席に向かいます。
そのサタラクラJr.の背中に向かって、いきなり鷹介は
「サタラクラJr.!今度は俺たちのクイズに答えてみろ!!」と威勢の良い声で誘いをかけたのでした。
この悪戯っ子のような元気な喋り方は、
まさに9年前のジャカンジャとの戦いの頃の鷹介に戻ったかのような思い切りの良さでした。
鷹介たちはすっかり昔の忍者の極意を取り戻したようです。

しかし、この鷹介の素っ頓狂な提案にはマーベラス達は「はあ!?」と仰天しました。
サタラクラJr.に対してクイズを逆出題するなどという発想は
あまりにマーベラス達の発想の範囲外であったのです。
だいいち、そんな提案にサタラクラJr.が乗るはずがないと思いました。

ところがサタラクラJr.は「何!?何!?何!?ボキにクイズで挑もうっての〜!?」とピョンピョン飛び跳ねて
嬉しそうに問い返してきており、意外にも乗り気のように見えます。
鷹介たちハリケンジャーの3人はこの展開を予想していたようにニヤリと笑います。
サタラクラJr.が今、新しい楽しみに飢えていることを見通していたのです。
先ほどの鷹介たちの乱入によってくす玉の中に隠していたビッ栗を見せてしまう羽目になりましたから、
これでもう「マーベラス達がくす玉の中にビッ栗があることを知らずに正解してしまって
ビッ栗が爆発して驚く」というサタラクラJr.の楽しみは無くなってしまったのです。
この暫くのクイズの中断は、楽しみが無くなってしまったサタラクラJr.の
動揺によるものだと鷹介たちは見ていました。
だから、このタイミングで面白そうな提案をすればサタラクラJr.は興味を示すはずだと予想したのでした。

ただ、それでも警戒して簡単には誘いに乗ってこないだろうと予想していた鷹介は
更にたたみかけるようにサタラクラJr.に向かって
「問題は全部で3問!お前が全問正解したら、俺たち全員が持っているスーパー戦隊の大いなる力を
お前に全部やるぞぉっ!!」と勝手なことを言います。
俺たち全員というのはこの場にいる6人全員ですからマーベラス達3人も含まれています。

勝手に自分達の持ち物をクイズの景品にされてしまったマーベラスは更に慌てて「おい!」とツッコミます。
助けてくれるとか言うから何をするつもりかと思えば、いきなり意味不明の逆クイズを提案し、
しかも勝手にマーベラス達の持つ大いなる力を景品にするのですから、
鷹介のやっていることはムチャクチャだとマーベラスには思えたのでした。
ジョーも焦った顔になります。
そもそも大いなる力をやるなどと言っても、
そんなに簡単に譲渡し合えるものならば今まで苦労していないのであって、
こんなテキトーな約束をして、もしクイズで負けたら後でいったいどうするつもりなのかと思ったのでした。

「何バカなことを!」とルカも呆れ果てます。
てっきり逆クイズでサタラクラJr.が不正解ならば鎖をほどかせるというような
条件を出すつもりなのかと思ったら、
サタラクラJr.が正解した場合に大いなる力を渡すというこちらに不利な条件だけつけて、
肝心のこちらのメリットになる条件を一切つけていないのですから、こんなバカな取引は無い。
これでは仮にこちらが勝ったとしても何の意味も無い。
いったい何を考えているのかとルカは呆れ果てました。
しかし七海は楽しそうに笑いながら「大丈夫!お姉さんたちに任せておきなさい!」と、
妙に姉御風を吹かせて、マーベラス達の抗議を見事にスルーしてしまいます。

一方、サタラクラJr.は「いいだろう!受けて立ってやる!!」と大笑いして司会者席に陣取って
「司会者」と書かれたタスキをちぎって捨てて気合い十分、ノリノリで勝負を受けて立つことを決めます。
おそらくサタラクラJr.は「大いなる力」というものの価値をほとんど分かっていないようですが、
とにかく万が一負けた場合でも、自分の失うものが何も無いと分かって安心したようで、
この面白そうな遊びに飛びついたようでした。
ただ、それだけではなく、勝算があるので勝負に乗ったようでもあります。

しかし鷹介たち3人は自信満々でニヤニヤしてサタラクラJr.を眺めています。
よほど難しいクイズを出すつもりのようです。
だが、サタラクラJr.もかなりクイズには自信があるようですから油断は出来ません。
マーベラス達は不安げに状況を見つめます。
しかし、もうこうなっては、鷹介たちのクイズにサタラクラJr.が全問正解しないようにと祈るしかありません。
まぁもしそうなったとしても、今の状況は全く改善されないわけですが・・・

そして、そうしたマーベラス達の不安をよそに、
さっそく「じゃあ行くぞ〜!第1問!」と吼太が楽しげに声を上げます。
第1問の出題者は吼太のようです。
「うむ!」と司会者席で身を乗り出して問題に耳を傾けるサタラクラJr.に向かって
吼太は「パパが嫌いな食べ物、な〜んだ!?」と問題を出します。

この問題を聞いてマーベラス達は唖然としました。
あまりにも問題が簡単すぎるのです。
これは超有名なナゾナゾでした。
すぐさまサタラクラJr.は「はい!はい!」と手を上げて
「パパイヤ!」とあまりにも当たり前の解答を言います。

ここでマーベラス達はハッと気づきました。
確かにこのナゾナゾの答えは普通は「パパイヤ」ですが、
これはひっかけ問題でもあるのだと気付いたのです。
ひっかけ問題としての解答は「嫌いな食べ物はパパによって違う」です。
つまり、この吼太の出した問題は、先ほどサタラクラJr.が出していたような
2つの解答があって決して正解が出ないように解答を操作できる卑怯な意地悪クイズなのです。
卑怯な意地悪クイズを出していたサタラクラJr.に
同じタイプの卑怯な意地悪クイズで意趣返しをするのが鷹介たちの意図なのだと
一瞬、マーベラス達は思いました。

ところがサタラクラJr.の「パパイヤ!」という解答を聞くなり、
吼太はニコニコしながら「おお〜!正解!」と言ってしまいます。
マーベラス達は愕然としました。
今のは不正解にすることが出来たはずなのです。
1問でも不正解にすればこの勝負はハリケンジャー側の勝ちとなるのです。
それなのに、いとも簡単に正解にしてしまった。
吼太というのはそんなに愚かな男なのか?とマーベラス達は一瞬思ったが、
先ほどからの態度を見る限り、とてもそんなふうには思えない。

そこで、マーベラス達は、あっと、とんでもないことに気付いたのでした。
このボキ空間ではサタラクラJr.の言ったことは全部正しいということになるのです。
だから、サタラクラJr.の言った解答は全部正解になるのです。
サタラクラJr.はその仕組みが分かった上で絶対に勝てると踏んで勝負を受け、
鷹介たちがひっかけ問題で意趣返しをしようとしていることが分かると、
わざとまともにナゾナゾに答えて、
ボキ空間の力でそれを正解だと出題者の鷹介たちに言わせて嘲笑っているのです。

吼太は最初はひっかけ問題でサタラクラJr.を不正解にしてやろうとしていたはずなのに、
サタラクラJr.が真っ当な解答をすると、
ボキ空間の術中に嵌って、そのサタラクラJr.の答えた真っ当な答えの方を正解だと、
知らず知らず言わされてしまっているのです。

そのことに気付いたマーベラス達3人が焦って鷹介たちの方を見ますが、
続いて七海が「じゃ!第2問よ!」と進行していってしまいます。
吼太も七海も、鷹介も、本人たちは自覚しないまま、
サタラクラJr.のボキ空間の魔力に動かされてしまっているとマーベラス達には思えました。

「鳥は鳥でも太った鳥、な〜んだ!?」と、七海の問題も、一見簡単なナゾナゾのように見えて、
いくらでもひっかけ問題として捻くれた答えを作ることは出来そうな問題です。
しかしサタラクラJr.は七海を嘲笑うように余裕の態度で「簡単すぎる〜!お相撲さんの、関取〜!!」と、
このナゾナゾの定番の、当たり前の方の答えを言います。
これに対してひっかけ解答で不正解にすることも出来るはずなのに、
やはり七海は「ふう〜!正解!!」と楽しそうにサタラクラJr.の答えを正解にしてしまいます。

やはり、3人はサタラクラJr.の術中に嵌ってしまってようだと思い、マーベラス達は焦って鷹介を見ます。
そんなことは知らないかのように鷹介はノリノリで「だが!最後は難しいぞ!」と強気です。
しかしサタラクラJr.は表面上は真剣勝負を楽しんでいるように見せつつ、
内心は術中に嵌った鷹介たちを嘲笑って大笑いしています。
いくら鷹介が強がって引っ掛け問題を出してきたところで、
当たり前の解答をすればどうせそれが正解になるのだと安心しきった勝負なのです。

サタラクラJr.に内心笑われているというのに、鷹介はノリノリで
「ゴムを張った小さな木の板でプラスチックの軽いボールを打ち合うスポーツ、な〜んだ!?」と
第3問を出題します。
それに対してサタラクラJr.はまた嘲笑うように「またまた簡単すぎ〜!答えは・・・ピンポーン!!」と
当たり前の解答を言います。
そして、言ってしまった後で「・・・あっ!」と慌てた時には
解答者席に座る6人の鎖は既に解除されてしまっていました。

マーベラス達3人はこのいきなりの意外な展開にあっと驚いてほどけた鎖を見ますが、
鷹介たち3人はその展開を予想していたかのように「よし今だ!」と一斉に跳び上がり、
目にも止まらぬ速度で七海が慌てるサタラクラJr.の視力を一時的に奪う目くらましの一撃を食らわし、
同時に鷹介がくす玉を開いてビッ栗の袋だけを地面に落として、くす玉と爆弾を持って跳び上がり、
吼太がくす玉から落ちたビッ栗の袋を回収して飛び去り、
目くらましを喰らって慌てるサタラクラJr.に七海と鷹介が追い打ちの攻撃を喰らわして、
その場で駒のように回転させ、その回転するサタラクラJr.に鷹介が突っ込んで、
更に回転を加速化させる一撃を食らわし、
そのまま解答者席で自由になって立って眺めていたマーベラス達のもとへ戻ってきます。
同時に七海と吼太も戻ってきており、
吼太はしっかりビッ栗の入った袋を両手で掲げてマーベラス達に笑顔で示します。

この一瞬の間の大逆転劇を見て、さすがにマーベラスも「・・・マジか!?」と苦笑いするしかありませんでした。
ルカも呆然として「・・・すっごい・・・」と称賛の言葉を呟きます。
ジョーも「・・・メチャクチャだが、とにかくピンチは脱した・・・!」と、
クールを装おうとしつつも、目の前で起きた信じられない出来事に明らかに動揺しています。

つまり鷹介たちの立てた作戦は、
簡単に言えば逆出題のクイズの解答という形でサタラクラJr.の口から
「ピンポーン」という言葉を言わせることでした。
それならば、サタラクラJr.の設定したこのボキ空間のルールに従って、
サタラクラJr.の「ピンポーン」という言葉に反応して6人の鎖は解除されますが、
マーベラス達がクイズに正解したわけではないので、くす玉の爆弾は爆発しません。
ならば、鎖がほどけた瞬間にくす玉のところに跳んでいって、
くす玉からビッ栗の入った袋を取り出して爆弾から引き離してしまえば、
ビッ栗にされた人達は危機を脱することが出来ます。
そしてマーベラス達も自由の身となり、
とりあえずビッ栗を人質にされて爆弾罰ゲームのクイズを強要され続けるという最悪の危機を脱することが出来ます。

といっても、単純に「ゴムを張った小さな木の板でプラスチックの軽いボールを打ち合うスポーツ、な〜んだ!?」
というクイズを出して、すんなりと平常心のサタラクラJr.が「ピンポーン」と答えてくれるというのは
考えが甘すぎます。

忍者というのは正々堂々の勝負は決してしない。
相手の平常心をまず奪ってから、その心の隙をついて罠にかけるものです。
だから鷹介たちは3問クイズを続けて、
サタラクラJr.をそのクイズで出されたナゾナゾに真っ当に答えればいいという
一定の機械的なパターン付けをして思考停止状態とし、
惰性で3問目の「ゴムを張った〜」の問題に素直に「ピンポン」という答えを言わせるように仕向けたのです。

では、その「出されたナゾナゾに真っ当に答えればいい」というパターン付けをどのようにしたのかというと、
ボキ空間ではサタラクラJr.の解答が自動的に正解になるというルールの罠にあえて嵌ることによって、
サタラクラJr.の解答パターンを逆に操作したのです。
そのために第1問を「パパが嫌いな食べ物は何?」という問題にしたのです。

この問題は実は「ハリケンジャー」巻之二十一で鷹介たちがサタラクラのボキ空間のナゾナゾ地獄で
サタラクラに出題されて引っ掛けられた問題なのです。
その問題は解答者が「パパイヤ」と答えたのに対して
「嫌いな食べ物はパパによって違う」というひっかけ解答をもって不正解としてしまうという意地悪クイズであり、
これをサタラクラが以前に使ったということは、
サタラクラJr.のボキ空間においてもこの問題を意地悪クイズで使うというのは
常套手段として受け継がれている可能性が高い。

ならば、そのお株を奪うように同じ問題を逆出題されれば、
サタラクラJr.は自分の術の手口を真似されることを不愉快に思い、
意地悪クイズとしてこの問題を使わせないようにするはずです。
つまり、引っ掛け解答の方ではなく、普通の簡単なナゾナゾに貶めてしまいたくなる。
そのためにサタラクラJr.は「パパイヤ」という真っ当な解答の方を第1問の正解とするために
「パパイヤ」と解答することになる。

そして、サタラクラJr.はこの彼自身がいつも使用している意地悪ひっかけクイズを
鷹介たちが第1問で出題してきたことから考えて、
3問全問が同様の意地悪ひっかけクイズなのだと予想し、
ならば全問、真っ当な解答をして、それを簡単なナゾナソに貶めたくなる。
そこに第2問も同じく意地悪ひっかけクイズを出せば、
サタラクラJr.は二度あることは三度あると思い、
第3問も同じように意地悪ひっかけクイズだと思い込み、惰性で真っ当な解答をしてしまう。

「ボキ空間では自分の解答が正解になる」というサタラクラJr.の慢心と、
サタラクラJr.の術の一部を盗用しての挑発、
そして三問繰り返すことによる惰性など、
そうした数々の周到な罠を張って鷹介たちはサタラクラJr.に「ピンポン」という解答を言わせたのです。

このような相手の術まで利用して騙されたフリをして騙し返す、
裏の裏をかく虚々実々の駆け引きは、まさに忍者の戦い方であり、
あまりに斬新で自由な発想すぎて、マーベラス達には想像出来ませんでした。
吼太が言っていた「君たちには分からないかもね・・・!」という言葉は、
自分を偽ることが出来ない、真っ直ぐな、自分達の海賊としてのスタイルにこだわっているマーベラス達には、
この忍者の戦い方は理解できないだろうという意味だったのでした。

しかし、その斬新で自由な、こだわりの無い作戦がビッ栗にされた人達とマーベラス達の危機を救ったのです。
その事実を通して鷹介たちがマーベラス達に教えたかったことは、
守り手としての自己を秘してまで純粋に何かを守るために戦うと決めたのなら、
もはやそこには余計なこだわりは一切無用であり、
ただひたすら対象を守りたいという純粋な想いだけがあればいいということでした。
その境地に達すれば、風のように自由に、何物にも遮られることなく突き進んでいくことが出来るのです。

マーベラス達は宇宙の冒険の旅で培ってきた純粋さにより、
まるで忍者の極意のような「純粋に地球人を守ろうという想い」はあるものの、
自分が宇宙人であることや、海賊としての普段のポリシーを守らねばならないなど、
余計なこだわりが、「人々を守るために戦う」ということにおいて全力を発揮する妨げとなっているのです。
そのあたりは「人々を守るために戦う」という経験が浅いためによく分かっていないのは仕方ない。
だから鷹介たちは手本を示してやったのでした。

守るべき対象を守る戦いは、その純粋な守る想いのみに集中すれば、
ここまで自由で力強いものとなるということを、
そうした戦い方をしてきた先達である34のスーパー戦隊を代表して、
ハリケンジャーが手本を示してやったというわけです。
それは、ゴーカイジャーを35番目のスーパー戦隊であり、
忍者の極意を受け継ぐハリケンジャーの後継者なのだと鷹介たちが認めたということでありました。

「まっ!こんなもんだろう!」と鷹介はニヤッと笑って胸を張って両手をパンパンと叩きます。
そういえば、その手には、さっき抱えていたはずのくす玉とそれに引っ掛かっていたはずの爆弾が見当たりません。
見ると、さっき鷹介にぶつけられてクルクル駒のように回転していたサタラクラJr.の頭に
くす玉が乗っかっています。
となると、爆弾はいったい何処にあるのかと思えば、
なんとサタラクラJr.の手にくす玉についていた爆弾が握らされています。

回転がようやく止まったサタラクラJr.が
グルグル回る視界の中で自分の両手が何時の間にか握らされていた物体が爆弾であることに
ようやく気が付いた時は、既に鷹介が起動させていた起爆装置が作動し、
爆弾から破壊的な閃光が発し始めていたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:22 | Comment(0) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その3

現実世界の方でハカセ、アイム、鎧のゴーカイジャー残留組3人と
バリゾーグ、インサーン率いるザンギャック行動部隊との戦闘が開始された頃、
ボキ空間に首尾よく侵入した鷹介、七海、吼太は
数年振りかで身にまとったハリケンジャーのスーツ姿で荒野を駆けていました。

今回のボキ空間は荒野のような仕様になっているのだろうと3人は思いつつ、
何故そんな仕様なのか意味は分かっていませんでした。
まぁもともと不条理そのものの空間なので、いちいち真面目に考えていても仕方ない。
とにかくマーベラス達をまずは探そうと思い駆けていると、崖の上で行きどまったところで、
崖下にマーベラス達3人を発見し、「いた!」と囁いて、しゃがみ込んで身を隠します。

鷹介たちが眼下に見た光景は、さきほどのサタラクラJr.が用意した採石場のような場所のクイズ空間でした。
情景はさっきのまま、マーベラス、ジョー、ルカが並んで縛られて座らされている解答者席と、
そこから結構離れた場所にポツンとあるサタラクラJr.の司会者席、
そしてその司会者席からやや離れた場所にあるくす玉だけが採石場の広場の中に点在するような感じです。
サタラクラJr.の高らかな笑い声が小さく響いていますが、
距離が遠くて鷹介たちにはそこでどういう遣り取りが交わされているのか詳細は聞こえません。
一方、距離をとって身を潜めているおかげで、鷹介たち3人が潜んでいることには
マーベラス達もサタラクラJr.も全く気付いていないようです。

ざっと見た感じ、クイズ大会をやっているようだということは、
声は聞こえなくても鷹介たちにはすぐに分かりました。
鷹介たち3人は「ハリケンジャー」本編の巻之二十一でも
サタラクラJr.の親であるサタラクラにボキ空間に落とされ、
そこでナゾナゾを出題されて散々酷い目にあったことがありますから、
やっぱり息子のサタラクラJr.も同じようなことをするのだな、と妙に感心しました。
あの時は正解しないと床が傾いていって下の溶岩に落っこちるという罰ゲーム付きだったのですが、
今回はそういう仕掛けではないようです。
しかしどうせ今回も何か悪趣味な罰ゲーム付きなのであろうということは想像出来ました。

そうして身を潜めながら七海がじっとマーベラス達の様子を遠目で見ていると、
マーベラス達3人の様子が妙であることに気付きました。
「海賊たち・・・なんかボロボロになってない?」と七海は鷹介の肩を掴んで言います。
鷹介も吼太も、マーベラス達の方をよく注意して見てみます。
すると、確かにマーベラス、ジョー、ルカの3人とも、顔も服もススだらけで汚れきっており、
しかもフラフラになっています。

これは尋常でないと思い、鷹介たちはいったい何が起こっているのか確かめるため、
印を結んで「超忍法!地獄耳!」と唱え、左耳のあたりに左手を添えます。
そうして左手をひっくり返すと、なんとそこに大きい左耳がボヨヨ〜ンと出現します。マギー審司かよ!
なんとも見た目のバカバカしい超忍法ですが、実際のところはかなり役に立つ術のようで、
遠くの音が聞こえるようです。
まぁ見たまんま過ぎる分かりやすい術ですね。
なんだか鷹介たち3人、前回登場した時はやたら渋くて落ち着いていましたが、
ハリケンジャーに変身してから、行動が昔のようにちょっと間抜けでトボけた感じになってきています。

この地獄耳で3人が聞き耳を立てると、まずサタラクラJr.の声が聞こえてきます。
サタラクラJr.は「・・・では、じゃんじゃん参りましょう!!」と張り切っています。
既に何問もクイズを出題し終わっている状況のようです。

「ジョーたんへの問題!」とサタラクラJr.はジョーを解答者に指名。
どうも最初のオープニングクイズとは違って、解答者を1人に絞って答えさせる方式になっているようです。
解答者に指名されたジョーは鋭い視線で黙ってサタラクラJr.を睨みつけています。
敵意に溢れた視線ですが、意外に落ち着いた態度です。
ボロボロになって未だに縛られているのですから、
ずっと不正解を続けている状況であることは想像出来るのですが、
それにしてはマーベラス達は3人とも、変にカッカせずに妙に落ち着いた、
というか単に元気が無いようにも見える態度です。

そのジョーに向かってサタラクラJr.は「燃えたら困るランプはな〜んだ!?」と問題を出します。
・・・というか、これはクイズというより、ナゾナゾですね。
セット替えの後、もう「ヒントでピント」のような画面を使った出題形式は止めたようで、
出される問題も、単なるナゾナゾのようになってます。
となると、かつてサタラクラがハリケンジャーを苦しめた
ボキ空間でのナゾナゾ大会と出題パターンは同じということです。
するとハリケンジャー3人としても、昔の経験から、
遠くの物陰に潜んで聞き耳を立てながら思わずその解答を考えてしまいます。

「・・・燃えたら困るランプ?・・・普通のクイズなら答えはトランプだけど・・・」と、
吼太はいちいち律儀に解答を想像します。
確かに、このナゾナゾはよくあるパターンの古典的ナゾナゾで、普通は答えは「トランプ」です。
紙で出来てますから燃えたら困りますから。
しかし、これは小学生でも分かるような簡単な解答であり、
もともとこんな感じで簡単に正解が出せるなら、
9年前にもハリケンジャーとゴウライジャーの5人は(まぁかなりバカだったが)
そんなに苦労するはずがありません。
だから、これはそんなに単純なナゾナゾではないのです。
だから吼太はそれを予想して、普通は答えは「トランプ」ですが、そうではない別の答えを模索しています。

そうこうしているうちにサタラクラJr.が黙って座ったままのジョーに向かって
「さぁ、お答えは!?」と答えるように急かします。
するとジョーは軽く冷笑すると、ぶっきらぼうに「・・・全く分からん・・・」と、なんとギブアップ宣言。
これには聞き耳を立てていた鷹介たちも「なにぃ!?」と仰天します。
「ブブ〜ッ!!」と両手で大きく×印を作ったサタラクラJr.は
「ガッカリだな!答えは・・・どんなランプでも燃えちゃったら困るに決まってんじゃん!!」と、
正解の解答を言います。

なるほど、確かにどんなランプでも燃えたら困る。
つまり、このナゾナゾはそういう引っ掛け問題のナゾナゾなのです。
しかし「トランプ」という解答でも正解ではあります。
つまり、これもまた解答が2つあるタイプのナゾナゾであり、
解答者の出す答えに応じて正解を自在に変えることが出来るので、
サタラクラJr.の言うことが絶対のこのボキ空間ならではの卑怯で不公平なナゾナゾだといえます。
9年前、ハリケンジャー達が苦しめられたサタラクラのナゾナゾ地獄も、
こうした引っ掛け問題のナゾナゾを使った正解の出ないナゾナゾ地獄であったのです。
だから鷹介たち3人には、このサタラクラJr.のナゾナゾもまた
「トランプ」で単純に正解ではないことは分かっていたのです。

サタラクラJr.は自分が恣意的に決めた正解を言うと、「はい!罰ゲーム!」と言って指をパチンと鳴らします。
するとマーベラス達の座る解答者席の周りで何発も爆発を起きて、マーベラス達3人を爆風や爆炎が襲います。
3人は悲鳴を上げてボロボロにされてしまいます。
やっぱり、採石場みたいな場所でクイズ大会をやるようにしたのは、
罰ゲームでナパームをバンバン使うためだったんですね。
3人がススだらけでフラフラになっているのは、この罰ゲームを既に何回も喰らっているからなのでしょう。

つまり、3人は既に何回もこうして不正解になっているのです。
確かにサタラクラJr.のこの卑怯な出題方法では正解することは難しいでしょう。
しかし、それにしても今のジョーのあまりに安易なギブアップ宣言はいただけないと鷹介たちは思いました。
何かを答えれば、それに対して別の答えを言おうとするサタラクラJr.の方で
何かのミスをする可能性は生じるのです。
しかし「分からん」などと言ってしまえば、正解する一縷の可能性すら放棄していることになります。

全く考える気力も無いのか?
それとも、まさか「トランプ」という簡単な方の答えさえ出てこないぐらいバカなのか?
「何やってんだよ!・・・ったく!!」と鷹介は苛立ちます。
このボキ空間に来たらマーベラス達が信用出来る連中かどうか確かめる予定のはずだったのですが、
これはもうそれどころではなくなってきています。
このままではマーベラス達は爆風に晒され続けて死んでしまいますから、まず助けださないといけない。
しかしそれ以前に、こんな程度のピンチで既に心が折れてしまっているというのならば、
確かめる以前の問題です。
いきなり、そのあたりがまず問題となってしまう事態となってしまっているのです。
鷹介たちはまずこの危機にマーベラス達が対処する気力を失っていないかどうかを
観察せねばいけなくなってしまったのでした。

その間にもサタラクラJr.は爆発に翻弄されるマーベラス達3人を見ながら大笑いすると、
「じゃあ次はマベたん!」と、今度はマーベラスを解答者に指名します。
マーベラスは鼻で笑って何やら余裕の態度でサタラクラJr.を睨みます。
サタラクラJr.は「んっとねぇ、モチはモチでも痛いモチ、なぁ〜んだ!?」と、またナゾナゾを出題します。

これを地獄耳で聞いた七海は「・・・普通は・・・尻もちよね?」と鷹介に確認します。
確かに尻もちは痛い。これは定番の答えです。
しかし、これは引っ掛け問題ですから、答えは「尻もち」だけではありません。
鷹介は「だけど、これも引っ掛けだ!」と言って、吼太に考えるよう促します。
七海と鷹介はバカなので、難しい方の正解を考えるのは向いていません。
そういうのはハリケンジャー随一(レベルは低いが)の頭脳派、吼太の担当です。
これを受けて吼太が考えた解答は「槍みたいな形にして・・・凍らせたモチ・・・かな?」という、
いくら何でもそれは無いだろうというような珍解答。
それだけ、今回は難しい問題ということです。

ところが解答者席のマーベラスは全く正解を考える様子も無く、
いきなりブチ切れて「分かるか!そんなもん!!」と、堂々のギブアップ宣言。
これには地獄耳で聞いていたハリケンジャー3人も「ええ〜!?」と愕然とします。
「ブブ〜〜〜!!」とまた×印を作ったサタラクラJr.は
「答えは、槍みたいな形にして凍らせたモチでした!」と正解を言います。
なんと吼太の珍解答は2つの正解のうちの難しい方の正解を当てていたのでした。

しかし、ギブアップしたマーベラスは当然不正解で、
憮然として座る3人に向かってサタラクラJr.はまたも非情に「はい!罰ゲーム!」と言って、
解答者席の周りは爆発の嵐となります。
「あいつら!あんな簡単なクイズも分かんないのか!?」と鷹介は
マーベラス達のあまりの不甲斐なさに呆れます。

いや、というか、今のクイズ、簡単だったか?
・・・そもそも鷹介は答えらえてないような気もするのですが・・・とツッコミたくもなりますが、
鷹介が言っているのはそういうことではないようで、
いくらなんでも簡単な方の「尻もち」ぐらいは分かるはずだと思ったからでした。
「確かに・・・せめて答える努力はしなきゃダメよねぇ!」と七海も呆れ果てます。

2問続けて安易にギブアップ宣言、特に今のマーベラスのは、全く考える素振りすら見せずギブアップです。
最初から考えるつもりが無かったのは明白でした。
彼らがボロボロになっているのを見る限り、
3人とも、もう何問もああやって無気力な態度でギブアップを続けているのでしょう。
2つの答えが分かれば2つ同時に言うとか、
難しい方の答えが分からないとしても、簡単な方だけでもいいから、
せめて何か解答を言えば活路が開ける可能性はあるのに、
マーベラス達はその活路を最初から放棄しているのです。

「・・・うん・・・確かめるまでもなかったかな・・・?」と吼太も失望したように言います。
おそらくマーベラス達は何問か真面目に解答してみた結果、
サタラクラJr.が正解をさせないように2つ答えを用意していることに気付き、
そこでもう無理だと諦めてしまったのだろう・・・そのように吼太は思ったのでした。
そんな程度のことで心が折れてしまうようでは、
ハリケンジャーの大いなる力を使いこなせるかどうかという以前の問題で、
そもそもレンジャーキーを使ってスーパー戦隊の姿を借りて戦う資格さえ怪しいといえます。
それぐらいの資格はあるはずだと今まで信頼はしてきたつもりだったが、
それすらも買いかぶりだったびかと思い、吼太も、そして鷹介も七海も非常に残念に思ったのでした。

ハカセやアイムに接して少し見直しかけていた海賊への想いが裏切られたような気がして不愉快になった鷹介は
「もういい!」と言って立ち上がり、「とにかく、サタラクラJr.を倒すぞ!」と、戦うことにします。
どちらにしても、もともと自分たちが戦ってサタラクラJr.を倒して
ビッ栗にされた人達とマーベラス達を助けるつもりだったのです。
ただ、マーベラス達の様子が気になったのでしばし観察していただけのことで、
その結果、もはや見極める価値も無いという結論に達した以上、
後はもうこの空間へ来たもう1つの目的である皆の救出を遂行するのみだと決意したのでした。
「ああ」「うん」と吼太も七海も同意し、3人は戦闘態勢に入ります。
そして、「ハッハッハ!ではでは!次はルカたん!」とクイズを続行しようとするサタラクラJr.に向かって
崖の上から飛び込んで斬りかかっていきます。

いきなり乱入してきて「こんなクイズは終わりだぁっ!!」と、
サタラクラJr.を囲んで斬りつける3人組を見て、マーベラス達は驚きます。
いきなりハリケンジャーの姿をした3人が飛び込んできたのですから、
最初はハカセ達が自分たちを助けるためにこの空間へやって来たのかと思ったのですが、
それにしても何故、赤青黄という自分たちの受け持ち色の戦士に変身しているのだろうかという疑問と、
どう見ても体型がハカセ達3人とは違うということから、
いったい何者がハリケンジャーに変身しているのか分からず、戸惑いました。
今回、マーベラス達3人はまだ鷹介たち3人とは一度も直接会っていなかったので、
まさか本物のハリケンジャーが来ているとは思いもよらないのです。

一方、いきなり襲われた方のサタラクラJr.も、ハリケンジャー本人たちのことは知りませんから、
いきなり見知らぬ3人組に誰も入ってくるはずのないボキ空間で襲撃されて驚きましたが、
おそらくマーベラス達の仲間の海賊の残りのメンバーだと思い、
上手く3人の攻撃をかいくぐって包囲の輪から逃れます。
それでも3対1では分が悪いと思ったサタラクラJr.はくす玉のところへ素早く駆けて行き、
「へへっ!これがど〜なってもいいのか〜なぁ?」と言いながら、くす玉を開きます。
するとくす玉の中から、あのビッ栗のいっぱいに入った天津甘栗風の赤い袋が出てきて、
下にぶら下げてあった爆弾と一緒に地面に落ちます。

それを見て鷹介たちは「なにっ!?」と驚きます。
まさかそんなところにビッ栗があるとは想定していなかったのです。
しかも爆弾がくっつけられており、すぐ傍にはサタラクラJr.がいます。
これではビッ栗にされた人達を助けるために迂闊に近づくことも出来ません。

ビッ栗を人質にされた形で迂闊に動けなくなってしまった鷹介たち3人に向かって
「ビッ栗を見てビックリしちゃった?」と言って大笑いしたサタラクラは
「じゃあ罰ゲーム!」と指をパチンと鳴らし、鷹介たち3人の周囲の地面が爆発し、
3人は吹っ飛ばされ、ダメージで変身が解けてしまいます。
その変身が解けて転がって苦しむ3人の姿を見てマーベラス達は、
やはりハカセ達ではない、見たこともない3人組がハリケンジャーに変身していたことが分かりました。
いったいこの3人は何者なのだろうかと、マーベラス達は驚き怪しみます。

ここで現実世界の方のハカセ達の奮戦シーンが少し挿入されます。
バリゾーグとインサーン率いるザンギャック部隊に押され気味のハカセ、アイム、鎧の3人は
ここでデカレンジャーに豪快チェンジします。
ハカセはデカグリーン、アイムはデカピンク、そして鎧はデカブレイクへと変身します。
ハカセはディーブラスター、アイムはディーショットを構えて撃ちながら、
そして鎧はデカブレイクですから肉弾戦で突っ込んでいきます。
ちなみに今回は豪快チェンジはこのデカレンジャーの分だけで、
デカブレイクへの豪快チェンジは何気にこれが初めてだったりします。

これで、今回のハリケンジャー篇の前後篇での豪快チェンジ分を加えると、
マーベラス一味がレンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士は、
レッドワン、ブルースリー、イエローフォー、ピンクファイブ、チェンジドラゴン、チェンジグリフォン、
チェンジペガサス、チェンジマーメイド、チェンジフェニックス、レッドフラッシュ、ブルーフラッシュ、
イエローフラッシュ、レッドマスク、ブルーマスク、ブラックマスク、ピンクマスク、ブラックバイソン、
ニンジャレッド、ニンジャイエロー、黒騎士、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の
21戦士ということになります。

また、鎧がゴーカイセルラーのボタンに配されている16戦士のうち未だ変身していない追加戦士は、
ガオシルバー、アバレキラー、マジシャイン、
ゴーオンシルバー(単体変身無し)、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の5戦士ということになります。

さて、ここでハカセ達の戦いのシーンを挿入したのは、
ボキ空間の方で少し時間経過した形でシーンが変わるジャンクションとするためです。
ハカセ達の奮戦シーンからボキ空間に場面が戻った時、
さきほどの鷹介たちがサタラクラJr.のビッ栗を人質とした作戦に返り討ちにあってしまったシーンから、
既に多少時間が経過しています。
ダメージで変身解除してしまった鷹介、七海、吼太の3人はマーベラス達と同様、
解答者席から飛び出した鎖に縛られてしまい、
マーベラス達と共に解答者席に縛られて座らされてしまっています。

解答者席の中では多少動けますが、
遠く離れた司会者席にいるサタラクラJr.や
再びくす玉の中にしまいこまれて爆弾とくっつけられているビッ栗には手を出せる状況ではありません。
ボキ空間の中では変身も出来ませんから、一旦変身解除してしまった以上、変身することも出来ません。
鷹介たちの乱入で場が乱れてしまったので一旦クイズは小休止となり中断しており、
その間に解答者席に縛られた吼太や七海はマーベラス達に自分たちが元ハリケンジャーの3人であり、
ハカセ達にレンジャーキーを借りて、ビッ栗にされた人達やマーベラス達を助けるために
超忍法でこのボキ空間へやって来たことを説明しました。
それでマーベラス達もだいたい事情は理解しました。

その上で、吼太たちは、どうしてビッ栗があんな場所にあったのか事の経緯をマーベラス達に尋ねました。
ビッ栗があそこで人質にとられなければサタラクラJr.を倒すことが出来たのに、
あんなくす玉の中で爆弾の傍にあったとは、さすがに遠くからでは分からなかったので不覚を取ってしまいました。
それで、どういう経緯であんな場所にくす玉があり、どうして中にビッ栗があり、
どうしてそこに爆弾がくっついていたのか、マーベラス達に事情を確認してみたのです。

すると、マーベラス達は、ぶっきらぼうな態度で、不承不承ながら説明します。
それによると、ビッ栗のことは知らないが、
とにかくこのクイズのルールは、クイズに正解すればこの空間から脱出のチャンスが得られるというもので、
解答者がクイズに正解してサタラクラJr.が「ピンポーン」と言うと解答者の鎖は解除され、
同時に正解が出るとくす玉を爆発させることになっていたということです。

その説明を聞いて、吼太は「正解したら、あのくす玉がビッ栗もろとも爆発する仕掛けだったなんて・・・!」と驚きます。
そんな仕掛けだったのなら、クイズに正解することなど出来ない。
なんと卑怯なやり方なんだろうかと吼太は呆れました。

しかし、そこで七海は何か話が不自然であることに気付きました。
マーベラス達はくす玉の中にビッ栗があることをサタラクラJr.から教えられていないのです。
ならばマーベラス達に対して「ビッ栗を人質にとられているから正解出来ない」という脅しは効果がありません。
だから正解してしまう可能性はある。
サタラクラJr.がマーベラス達に正解させないことが狙いなのだとしたら、
最初にビッ栗がくす玉の中にあることを教えるか、示唆するでしょう。
そうしていないということは、サタラクラJr.の狙いは別のところにあるということです。

つまりサタラクラJr.はマーベラス達がクイズに正解することによってビッ栗が爆発してしまって、
それでマーベラス達がビックリする顔を見て楽しみたい。単にそういうことなのでしょう。
楽しいこと大好きなサタラクラJr.らしい遣り口だといえます。

しかし正解してしまえばマーベラス達の鎖が解除されて自由になってしまい
サタラクラJr.が危なくなってしまうではないかという疑問はあります。
が、これはサタラクラJr.にとって大した問題ではありません。
自由な身になったとしても変身は出来ないのですから、3人いてもサタラクラJr.には勝てません。
それに、サタラクラJr.は正解すれば必ず鎖を解除するとは言ってません。
「ピンポーン」とサタラクラJr.が言わなければ鎖は解除されないのです。

そして、正解すれば必ず「ピンポーン」と言うとはサタラクラJr.は言っていません。
単に「正解してボキはピンポーンと言えば」と言っているだけであり、
正解してもサタラクラJr.が必ず「ピンポーン」と言うとは限らないし、
すぐに言うとも言いきっていません。
少なくとも鎖が解除されてから慌てて行動しても、
正解と連動して自動的に起こるビッ栗の爆発を阻止することは出来ないでしょう。
そして正解しても「ピンポーン」とは言われずにそのまま鎖で縛られたままである可能性も高い。

しかし、正解すればこの空間から脱出できるのではなかったか?
だが、これもサタラクラJr.は「脱出できる」とは言っていない。
「脱出できるチャンス」と言っただけであり、
正解しても脱出するチャンスが得られるだけであって、すぐに脱出できるわけではないのです。
おそらくチャンスを得たということで最終クイズのような段階に進み、
そこで不正解にしてフリダシに戻すつもりであろうし、
仮に脱出できたとしても、それはあくまで「この空間を脱出」できるだけであって、
「元の世界に戻す」とは言っていないし「ボキ空間から脱出」とも言っていない以上、
別のボキ空間に移動するだけのことなのかもしれない。

つまりサタラクラJr.の作ったルールはいくらでもルールの抜け道が用意されていて、
ルールを違反しない形でいくらでもサタラクラJr.の恣意的解釈で
自分の都合の良い結果を操作することが出来るようになっているのです。
だからマーベラス達がクイズに正解すると、
結果的にはくす玉の中に隠されたビッ栗が爆発して、ビッ栗になった人達が皆死んでしまい、
それを見てマーベラス達がビックリするだけのことになります。
その無様な様子を見て大笑いするのがサタラクラJr.の目的でしょう。
さっさとマーベラス達を殺せばこんな余計なお遊びなどしなくて済むのですが、
余計なお遊びがサタラクラJr.の生き甲斐ですから、
すぐにはマーベラス達を殺さずに、こういう無駄なお遊びに夢中になってしまうのでしょう。

サタラクラJr.の思惑はそんなところなのだろうと想像した七海は、
しかし現実にはその思惑通りにはなっていないことに気付きました。
どうしてサタラクラJr.の思惑通りになっていないのかというと、
マーベラス達3人が「分からん」ばかり連発してまともに解答しないから、正解にできないからです。

ここで七海はハッと気づきました。
もしかして、引っ掛け問題になっているとはいえ、
簡単な方の解答ならばすぐに答えてしまえそうなクイズで
マーベラス達が不自然に「分からん」ばかり連発して思考を一切放棄しているように見えたのは、
実はくす玉の中にビッ栗があることに気付いていて、
わざとどうやっても正解にならないようにギブアップ宣言を連発していたのではないかと思ったのでした。
「・・・じゃあ、あなた達が答えなかったのは、万が一にも、ビッ栗にされた人達に
被害が及ばないように・・・?」と七海はマーベラス達に問いかけます。

それを聞いて吼太もそういうことだったのかと気付きました。
もしサタラクラJr.の狙いがマーベラス達の正解によって
ビッ栗にされた人達を吹っ飛ばすことの方だったとするなら、
普通なら不正解の答えをマーベラス達が言ったとしても、
わざとサタラクラJr.はそれを正解としてしまう可能性も十分あります。
ならば「分からん」と言って何も解答しないのが一番安全策といえるでしょう。
おそらくマーベラス達は「くす玉を爆発させる」というサタラクラJr.の不自然なルールに違和感を覚えて、
その中にビッ栗がある可能性が高いと判断し、念のためにそうした安全策を取っていたのではないかと
吼太や七海は想像しました。

しかし、マーベラスは七海の指摘を受けると、
顔を背けたまま「フン・・・関係ねぇ・・・」とぶっきらぼうに言います。
そして七海の方に振り向いて「どうせ何と答えたって、奴は正解にはしねぇよ・・・」と、
だるそうな顔で応えます。
それに続いてジョーも「そんなクイズ・・・考えるのも面倒だしな・・・!」と、
いかにも面倒くさそうな顔で言い、ルカも興味なさそうに「そうそう!」と相槌を打ちます。

つまり、マーベラス達は、自分たちが解答をしなかったのは、
どう解答してもサタラクラJr.は正解にするつもりはないのだから、拗ねて解答しなかっただけのことであって、
別にくす玉の中のビッ栗の人達を守ろうとしていたわけではないと言っているのです。

しかし、このマーベラス達の言い分はおかしい。
何故なら、くす玉の中身がビッ栗であることは知らなかったとしても、
マーベラス達はサタラクラJr.から「正解したらくす玉を爆発させる」と聞いて、
下に付けられた爆弾まで見せられていたのです。
サタラクラJr.が正解を認めるつもりが一切無いのだとするなら、
使う可能性の無い仕掛けをわざわざしたことになります。
そんなことは有り得ないわけで、普通はそういう仕掛けを見せられれば「正解はある」と考えるはずです。

もしかして本当はサタラクラJr.は正解を出すつもりはなく、
爆弾のブラフで希望を持たせて騙す作戦だったとしても、
それでもそのブラフを突きつけられた側は迷うはずです。
「何と答えても正解は無い」と決めつけることは出来ないはずです。
普通は何回か試してみるはずです。
どうせ正解にならないのならば、答えても答えなくても結果は同じなのですから、
とりあえず何回か試してみて、その結果諦めるというのなら分かりますが、
マーベラス達のように最初から諦めるというのは、この場合有り得ない。
だから、マーベラス達が最初から「どうせ正解は出ない」と諦めていたというのは嘘です。
普通なら試して何か解答してみるはずです。

でもマーベラス達はそうはしなかった。
では最初から解答をしなかった理由は何かというと、
それはわざと正解を言わないようにするためとしか考えられません。
正解を言ってしまってくす玉が爆発するとマズいと思ったからです。
どうしてくす玉が爆発するとマズいのか?
彼らがくす玉の中に自分たちにとって大切なものが入っていると思っていたからです。

そして実際にはくす玉の中にはビッ栗が入っていました。
ではビッ栗はマーベラス達にとって大切なものなのか?
ギブアップ宣言を繰り返すことによってマーベラス達は爆発に晒される罰ゲームを受け続け、
このままではいずれ死んでしまうでしょう。
そんなに自分を危険に晒してまでビッ栗は彼らが守るべきものなのでしょうか?

マーベラス達は宇宙海賊で地球人とは縁もゆかりも無い者達です。
だからビッ栗にされた地球の人達を自分を危険に晒してまで守る理由など無いはずです。
だから、そんなことは有り得ない。
マーベラス達はビッ栗ではない何か別の自分たちにとって大切なものが
くす玉の中にあるのだと勘違いして、それを守ろうとしていたのだと考える方がここは自然です。

しかし、そうなると、どうして七海の質問に対してマーベラス達はそのことを正直に言わず、
「どうせ正解は出ないから考えるのが面倒だった」などという下手くそなウソをついたのか?
ウソというのは真実を隠蔽するためにつくものです。
つまり、ウソをついて否定しようとしたことこそが真実であるということです。
マーベラス達が下手くそなウソをついて否定しようとしたのは、
七海の「ビッ栗にされた人達を守るために解答しなかったのか?」という疑問でした。
つまり、七海の指摘が真実を突いていたので、マーベラス達はそれを否定するためにウソをついたのです。
となると、マーベラス達が隠そうとした真実は
「ビッ栗にされた人達を守るために解答しなかった」ということになります。

つまり、マーベラス達はやはり、くす玉の中身がビッ栗である可能性が高いと当初から睨んでおり、
わざわざサタラクラJr.がそんな仕掛けをしているということは
正解を出してビッ栗を爆発させようとしているのだと予想し、
その企みを阻止するために、わざと解答しないようにしていたのです。
そして、そのようにした理由は、
宇宙海賊であるクセに何故かマーベラス達は縁もゆかりもない地球の人々を
自分の危険も顧みずに守りたいと思っているからだったのです。

マーベラス達3人の白々しいウソの言い訳を聞いて、
七海と吼太は即座にマーベラス達のそうした本心に気付きました。
そして、それがハカセやアイムが見せたがっていたマーベラス達の本当の姿だと理解したのでした。

ただ、そのハカセやアイムが見せたがっていた
「マーベラス達は地球の人達を身を挺して守ろうとしている」という事実だけで、
七海や吼太がゴーカイジャーを「ハリケンジャーの心を受け継ぐ者」として認めたかというと、
そういうわけではありませんでした。

確かにマーベラス達に対して抱いていた悪印象は消えました。
地球を守るために戦うヒーローになる資格も十分にあるとも思えました。
しかし、これだけではハリケンジャーの後継者として即座にピンとくるわけではないのです。
例えばマジレンジャーでもデカレンジャーでも「大いなる力」を渡す時には、
「地球を守って戦う」という戦隊の共通項ではなく
「勇気」や「誇り」などそれぞれ特有のポイントがありました。
ハリケンジャーにもそういうポイントはあるはずです。
まだ「マーベラス達が実は地球の人々を守ろうとしていた」というだけでは、
そのポイントに触れてはいないのです。

では、ハリケンジャーのそういう特有のポイントとはどういうものかというと、
それはハリケンジャーという戦隊が正義の戦隊であるための核心の部分であり、
それは彼らが忍者の戦隊であることと密接な関わりがあることから、
彼らが忍者として戦うことの核心であるといえます。
しかし、それがどうも鷹介、七海、吼太には曖昧となっていたのです。
いや、それが自分達の中で曖昧になっていたこと自体に彼らは無自覚になっていたのですが、
こうして救出作戦に失敗して捕らわれの身になってしまったことによって、
鷹介たちは自分たちが忍者としての原点を忘れてしまっていたことを自覚したのでした。

鷹介は特にそのことにショックを受け、
先ほどからの七海と吼太のマーベラス達との遣り取りにも加わらず、
1人だけ彼らに背を向けて座って考え込んでいました。
鷹介は作戦が失敗したのは、自分たちがビッ栗にされた人達を助けに来たはずなのに、
ビッ栗の所在も確認せずに突撃したからだと思いました。
ビッ栗の所在を確認する慎重さがあれば、
あんな簡単にサタラクラJr.にビッ栗を盾にした反撃を許すことはなかったはずです。

どうしてこんな初歩的なミスをしてしまったのか?
それは自分たちが守るべき対象である「ビッ栗にされた人達」に集中していなかったからです。
ボキ空間に入ってからもマーベラス達の方に気を取られたりしており、
ついビッ栗にされた人達のことを忘れてしまっていました。
昔はこんなことはなく、守るべき対象にもっと純粋に集中出来ていたはずです。
それがどうして、何時の間に出来なくなっていたのだろうかと、鷹介は反省し苦悩していました。

そうして皆に背を向けて落ち込みつつ、耳に入ってくる背後の会話で、
マーベラス達が下手くそなウソをついたせいで、
実はマーベラス達3人がビッ栗にされた人達を守るために
わざとクイズに解答せずに爆弾を喰らっていたことが判明しました。

よりによってマーベラス達を自分のことしか考えていない連中だと決めつけて信用していなかった自分達の方が
本当に助けるべきビッ栗の人達のことを一瞬忘れており、
逆にマーベラス達の方がビッ栗の人達のことをずっとしっかり考えていたとは、
なんとも恥ずかしい話だと思いつつ、
鷹介はそれにしてもマーベラス達3人のウソの下手くそっぷりに驚きました。

あれで上手く誤魔化したつもりのようだから呆れます。
言ってることは矛盾しているし、声の調子も白々しいし、それで裏の裏でもあるかと思えば何も無く、
こんなウソでは誰も騙せない。
忍者には到底なれない連中だと鷹介は思いました。
忍者の戦いというのは騙し合いの戦いですから、
こんな程度のウソもまともにつけない連中には忍者は務まりません。
やっぱり所詮、海賊は忍者にはなれないのだな、と少し可笑しく思ったところで、
鷹介はハッと気づいたのでした。

海賊たちも別に好きでこんな下手なウソをついているわけではない。
もしかしたら、宇宙海賊、いや、特にこのマーベラス一味というのは、
物凄くウソをつくのが苦手な連中なのかもしれないと思ったのです。

この「マーベラス一味はウソをつくのが苦手」というのは、
マーベラス達のぎこちないウソを同時に聞いた七海も吼太も同様に感じました。
鷹介、七海、吼太の3人とも、ボキ空間に来る前にハカセやアイムとの遣り取りで、
2人の妙な率直さや素直さに不思議な印象を抱いていたのですが、
それもまた、地球人の鎧はともかくとして、
宇宙海賊として地球にやって来たマーベラス達5人は要するに、
やたら真っ直ぐでウソをつくのが苦手な連中なのだと考えると納得がいったのでした。

考えてみれば、何故彼らは海賊になったのか?
それはザンギャックに支配された宇宙で、その圧政のもとで押し付けられる理不尽に
順応していくことが出来なかったからです。
つまり、嫌いな世界の中で、本当は嫌で嫌で仕方ない自分の気持ちを誤魔化して、
我慢して生きていくことに耐えられなかったのです。
理不尽な支配体制の中で自分のやりたいことや夢を諦めて、
自分のやりたくないことをやり、言いたくないことを言うような、
そんな自分を偽るような生き方が出来なかったので、
彼らはザンギャックの支配から外れて海賊になったのです。

つまりザンギャック支配下の宇宙における「海賊」とは、
自分を偽ることが出来ない、真っ直ぐな連中なのです。
特にザンギャックと先鋭的に対立しているマーベラス一味はそういう傾向は極端であるはずなのです。

ザンギャックが宇宙を理不尽な暴力で支配していることは、
かつて戦ったこともある鷹介たちは知っていましたから、
この時、マーベラス一味が自分を偽ることの出来ない性分の連中だということは想像できました。
だから、マーベラス達はこんなにもウソをつくことが苦手なのだと、鷹介たちには分かりました。

実際、鷹介たちはいちいち知ったことではないですが、
マーベラスなどはこれまで劇中でウソはついたことはほとんどありません。
もちろん、例えば赤き海賊団やアカレッドのことなど、色々と秘密にしていることはありましたし、
今でももしかしたら何か秘密は隠しているかもしれません。
ジョーもシドのことは誰にも言っていませんし、ルカも自分の夢については内容は秘密にしています。
しかし、それはウソを言っているわけではない。
むしろウソを言いたくないから秘密にしているとも言えます。

今までマーベラスが明白にウソを言ったのは1回だけ。
それは「空飛ぶ幽霊船」映画の中でゴッドアイを使って願い事をした後に仲間たちに仕方なくついたウソです。
しかし、そのウソは即座に見破られてしまうぐらい下手くそなウソでした。
ただ、その時も仲間たちはマーベラスにそのウソのことを明確に追及はせず、
そのまま有耶無耶に終わらせました。
つまり、どうやらマーベラス一味の間ではウソというものは表向き禁止なのでしょう。
その禁をやむをえず破ってしまった船長を、
皆して結託して大目に見てあげているという状態であったのだと思います。

もちろん、ウソをつかないといっても、別に清く正しく生きるためにウソを禁じ手いるわけではなく、
マーベラス一味は戦いの場や敵との駆け引きの場では騙しのテクニックなどは平気で使います。
ルカなどはイカサマしまくっていました。
マーベラス一味においてタブーとされているのは、戦いの場の駆け引きのウソや騙しではなく、
自分の気持ちを偽るような生き方なのであろうと思われます。
それがタブーとされている理由は、まず、自分の気持ちに正直に生きることが海賊の原点であるからであり、
そしてもう1つの理由は、もともと自分を偽ることの出来ない連中なのだから、
そんなウソをついてもどうせすぐにバレてしまいので、そんなウソはつかない方がマシということです。
どうしても言えないことがあるなら黙っていればいいのであって、
変にウソを言っても、どうせ下手だからバレるのが関の山というわけです。

そうしたポリシーを持ったマーベラス達であったゆえに、今回は苦しんでいたのです。
何故なのかというと、マーベラス達は本当は最初から
たまたま目撃したビッ栗にされた人達を助けたいと思って戦っていたのですが、
それを表に出すことを抑制していたからです。

どうして抑制したのかというと、
先日のジェラシットの件で、所詮は地球人の社会には宇宙海賊が地球人を守るために戦うなどということは
素直に受け入れられないのだと痛感したからでした。
自分達みたいな宇宙海賊が地球人を守るために戦っても、どうせ歓迎されないし、
下手したら迷惑に思われてしまう。
せっかく戦ってそんな扱いを受けるのは不愉快です。

ならば地球人を守ることなどやらなければいいのでしょうけれど、
守りたくなってしまうのだから仕方がない。
やりたいことを我慢するのは彼らの性分に合いません。
だから、守りたいから守る。
でも、地球人に自分達が地球人を守ろうとしていることを知られて迷惑がられたら、
せっかく戦っても不愉快な気分になってしまう。
だから、出来るだけ地球人に自分達が地球人を守ろうとしていることを
知られないようにしながら戦おうと思ったのです。

それで、ビッ栗にされた人達を助けようとして戦い始めたのですが、
その自分の内心が他にバレないように気を遣い過ぎて、なかなか戦いにも集中出来ないし、
そもそもそんな自分の気持ちを偽ってウソをつきながら戦うというのは、
海賊のポリシーに反しており、自分の性分にも合っていないので、
戦っているうちにどんどんイライラしてきて、冷静さを欠いた戦いをしてしまう羽目となったのでした。
鷹介たちハリケンジャーの3人や鎧から見て、
マーベラス達の態度が妙にイライラして荒っぽく、自分勝手なように見えたのは、
このように自分を偽って戦っていたことによる海賊特有のフラストレーションによるものだったのです。

事の経緯は分からないながらも、
鷹介たちはマーベラス一味という宇宙海賊が自分を偽るのが苦手な連中で、
そんな連中のうちの3人が何故かビッ栗にされた地球人を助けようとしており、
しかも何故かそのことを周囲に悟られないように必死になっており、
そんな自分に合わないことをやっているために
変にギスギスした態度になっていたのだということは分かりました。

なんとも不器用な、ややこしい連中だと思って鷹介たちは呆れましたが、
よく考えたら、こうして傍に座って会話してみてようやくそうした事情に気付いたのであって、
それまでは鷹介たちもマーベラス達のことを遠目に見る分には
単に自分勝手な宇宙海賊だと思い込んでいたわけですから、
何だかんだでマーベラス達の思惑通り、上手く騙されていたわけです。
これなら、確かに見物する地球人たちに「地球人を守ろう」というマーベラス達の真意は
隠すことも出来るかもしれません。

しかし、それがフラストレーションになって実力の発揮の妨げになっているとしたら、
それはやはりまだ未熟と言うべきでしょう。
いや、未熟ではなく、その妙な努力の方向性自体が間違っているという考え方もあります。
そうした考え方の方が一般的かもしれません。
別に無理に自分の本音を隠そうとしなくてもいいんじゃないか?というのが普通の考え方でしょう。

しかし、マーベラス達の「宇宙海賊」という特殊な立場を考えれば、
そうした特殊なこだわりを持つのも仕方ないことだと思えますし、
それより何より、鷹介はむしろ積極的に、
マーベラス達のその妙なこだわりこそが有用なのだと思えたのでした。
それはどうしてなのかというと、マーベラス達が鷹介たちが一瞬忘れてしまっていたビッ栗のことを、
ちゃんとくす玉の中に隠してあると見抜いていたからでした。

それはつまり、こんなボキ空間に落とされた極限状況の中でも
マーベラス達がずっとビッ栗にされた人達のことを心に掛けていたということです。
そして、マーベラス達はビッ栗を守るために自分達が爆風に晒され続けることになっても、
それでも心が折れることなくビッ栗を守り抜いていた。
ビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちがそれだけ集中しており、純粋で強かったということです。

そして、鷹介はマーベラス達がそれだけ守るべき対象を守ることに純粋に集中できた理由は、
その守るべき対象を守ろうとする気持ちを隠そうとしていたからだと気付いたのです。
つまり、ビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちを隠そう隠そうとするマーベラス達の変なこだわりが、
むしろマーベラス達のビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちの純度を高めていたということに
鷹介は気付きました。
いや、思い出したと言ってもいい。
何故なら、それこそが鷹介たちがうっかり忘れていた忍者の核心、極意であったからです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:57 | Comment(0) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月19日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その2

ここで前回に引き続き、当然ながらレジェンド回バージョンのOPナレーションからOPテーマが始まり、
そしてCM明け、「シュシュッとTHE SPECIAL」という今回のサブタイトルが出ます。
これは「ハリケンジャー」本編のサブタイトルのフォーマットに沿ったものではなく、
2002年夏に公開された劇場版「忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE」の
タイトルに準拠したものといえるでしょう。

ちなみに「シュシュッと」というのは「ハリケンジャー」のOPテーマのサビで使われている印象的なフレーズで、
まぁ「ハリケンジャー」という作品を象徴するフレーズと言ってもいいでしょう。
それで劇場版のタイトルにも使われてるわけです。
意味は・・・特に無いと思います。単に忍者の手裏剣を投げる擬音という以上には特に深い意味は無いでしょう。

なお、今回のサブタイトルの後半部分の「THE SPECIAL」の「スペシャル」という言葉も
「ハリケンジャー」の2本のVシネマ(「ハリケンジャーVSガオレンジャー」
「アバレンジャーVSハリケンジャー」)においては印象的に使われていたフレーズで、
ハリケンジャーのメカニック担当の日向おぼろ博士がVシネマオリジナルのロボの合体形態を登場させる時、
毎回「スペシャルやしな」と言っており、これが印象的なので、
この「スペシャル」というスレーズも、ある意味「ハリケンジャー」という作品を連想させる言葉であります。
意味は「Vシネマの特別版なので特別なことをしてみた」というような感じで、
それはそのまま今回のハリケンジャー篇が「ゴーカイジャー」の物語の中で
特別版であるということを意味しているといえます。

特に今回、内容的には前回のサブタイトル「海賊とニンジャ」の方がピッタリくる内容であるのに、
あえて「ハリケンジャー」本編のサブタイトルのフォーマットを外して、
劇場版のサブタイトルに準拠させてあるのは、
今回が「ゴーカイジャー」の中の特別な一篇であるということです。
それは、まるでVSシリーズのような2戦隊揃い踏みで共闘する展開になることも含めて、
今回のエピソードが非常に重要な節目であることの表れでしょう。

また、これは言い換えれば、
「ゴーカイジャー」においては今後もレジェンド回でVSシリーズのような共闘展開は基本的にはやらない
という意思表示ともとれます。
今回はあくまで「特別」なのです。
それは後にマーベラスのセリフでも「今回は特別だからな」と改めて強調されています。

そういうわけで、今回のサブタイトルもまた、
まさにコンセプトそのもののバッチリのサブタイトルになっています。
改めて思いますが「ゴーカイジャー」のサブタイトルは秀逸なものが多いです。
サブタイトルって普通はサブPあたりが付けるんだと思うんですが、すると大森Pでしょうか。
なかなかセンスが良いと思います。

さて本編が再開し、まず場面はギガントホースの指令室です。
前回、結局、ザンギャックによる宇宙忍者2人を行動隊長としたビックリミサイル作戦は
その実行直前にマーベラス達の殴り込みでミサイルを全部破壊されて台無しにされたのでした。
しかも行動隊長の1人のサンダールJr.は豪獣神と突如出現した風雷丸によって倒されてしまっています。
まぁハッキリ言って作戦は大失敗に終わったといえます。
しかし戦果もあり、サタラクラJr.はマーベラス達3人をボキ空間に閉じ込めることは出来ました。
そこでサタラクラJr.はギガントホースへ今後の作戦方針について報告してきました。
それをダマラスがワルズ・ギルに伝えます。

「ビックリミサイル作戦を阻止した海賊ども3人を、絶対に正解が出ない意地悪クイズで苦しませ、
地獄へ突き落すとのこと・・・」と真顔でワルズ・ギルへ報告するダマラスさん。
・・・意地悪クイズって、そんな回りくどくてシュールな作戦について
何ら批評も交えず普通に報告するのがちょっと笑えます。
ワルズ・ギルもワルズ・ギルで「うう〜ん!いいぞ、いいぞ〜!
大事な作戦をダメにしたヤツらだからなぁ!」と大絶賛、ノリノリです。

まぁワルズ・ギルは普段からアホなので、これは通常運転ですが、
「おっ!そうだ!バリゾーグ!インサーン!」と何か思いついたようで2人の幹部を呼びます。
また余計なことを思いついたのかと思いきや、
「サタラクラJr.が戻るまで、お前たちも地球に降りて、残りの海賊どもをいたぶってやれ!」と、
意外にまともな作戦を指示します。

確かに、マーベラス達強い方の3人がいない今、
地上に残ったハカセ、アイム、鎧の3人を徹底的に叩くチャンスです。
この3人も大事なビックリミサイル作戦を阻止した憎むべき相手で、
サンダールJr.が始末するはずだったのですが、
そのサンダールJr.がヘマをして返り討ちにあってしまった。
ならばザンギャックの2幹部自ら部隊を率いて出撃して一気に叩こうということです。
これは大ピンチであり、またいかにも特別篇らしく盛り上がるシチュエーションでもあります。
ワルズ・ギル、これはナイスです。

さてその頃、ボキ空間ではマーベラス、ジョー、ルカの3人を解答者席に鎖で縛りつけたまま、
サタラクラJr.主宰のクイズ大会が始まろうとしていました。
サタラクラJr.は「司会者」と書かれた、ロフトで売っていそうなタスキを肩からかけて
「ボキ印クイズ ヒントでビビッと〜!!」とクイズ番組のようにタイトルコールを叫びます。
すると観客席からは大きな拍手喝采が起こりますが、
パイプ椅子の観客席に座っているのはマゲラッパ達のサクラ軍団。

サタラクラJr.はクイズ番組形式でクイズ大会をやるつもりのようです。
セット中央背景のパネルにも「ボキ印クイズ ヒントでビビッと!!」と大きく書かれています。
これは、どう見ても、かの土居まさる司会の往年の長寿クイズ番組
「象印クイズ ヒントでピント」のパロディです。

マゲラッパ達の拍手喝采を浴びて浮かれまくるサタラクラJr.に対して、
マーベラスは「とっととやれ!」と憮然として早くクイズを出題するよう促します。
とにかくクイズに正解すればこの鬱陶しい空間から脱出できるのだから、
とっとと正解して出て行こうと思っていたのでした。

まぁサタラクラJr.が敵であるマーベラス達に親切にする必要は無いので、
簡単に正解出来るような問題を出すつもりはないのであろうが、
ともかくこの遊び好きな宇宙忍者がわざわざ「正解したら脱出」というルールを設けて
ゲームを仕掛けてきている以上、そのルールは守るつもりなのでしょう。
何故なら、ルールを無視したゲームほど白けたものは無いからです。

もしマーベラス達が正解しても「ルールなど守るつもりはない」とサタラクラJr.が開き直ってしまえば、
それはサタラクラJr.にとってもゲームの醍醐味は全く無くなってしまい、
そもそもゲームをしている意味が無くなってしまいます。
サタラクラJr.はこの空間で鎖で縛ったままマーベラス達を殺すことなど簡単に出来るはずです。
それなのにそうはせずに、わざわざゲームをしようとしている。
それはサタラクラJr.がゲームを楽しみながらマーベラス達を殺そうとしているからなのです。
ただ殺すだけでは楽しくない。ゲームを楽しみながら殺したいのです。

とにかくサタラクラJr.は父親同様、
「楽しくなければ悪じゃない。愉快じゃなければ戦う意味は無い」というポリシーの持ち主であるようです。
ならば、その裏には父親同様、本当は卑屈で残忍な自分の本性を嫌っているゆえに
常に楽しみを求めずにはいられないという病んだ心を抱えているということなのでしょう。
だから、ここでもサタラクラJr.は本気でゲームを楽しもうとしている。
そしてゲームを楽しむにはルールは不可欠なのです。
だからサタラクラJr.は必ず決めたルールは守る。
ならば、「正解すればこの空間から脱出できる」というルールを反故にするということは有り得ない。
だから、どんな難問であっても正解出来る可能性はゼロではない限り、チャレンジする価値はあります。
マーベラス達はこうなったら真面目にクイズの正解目指してチャレンジしてやろうと思っていました。

やる気になっているマーベラス達を見てサタラクラJr.は司会者席で「フン!」と鼻で笑い
「まずは頭の準備体操、オープニングクイズ〜ッ!!」と、
これまた「ヒントでピント」そのものの流れでクイズ大会を開始します。
決めゼリフまで一緒です。

ちなみに本家の「ヒントでピント」では
このオープニングクイズは画面に映ったある人物に最初モザイクがかかっていて、
そのモザイクが次第に解像度が上がっていってその正体が分かりやすくなっていくのですが、
その間に早押しで一番最初に正解の人物名を答えた人にポイントが与えられるというシステムになっていました。
その本家版オープニングクイズと同じようにサタラクラJr.はセット中央に置かれた大きなモニターを指さし
「これから映し出されるのは誰でしょうか?」と言います。

マーベラス達はもちろん「ヒントでピント」の本家版は知りませんが、
頭の準備体操なんて言っても正解してしまえばこの空間から脱出出来てしまうわけですから、
サタラクラJr.がそんなことを簡単に許すはずもないので、
さぞ難問が来る、つまり自分たちには到底分からないような人物の映像が映し出されるのだろうと身構えます。

ところがモニターに映し出された映像の人物は、なんとアカレンジャーでした。
アカレンジャーがこちらに振り向いてポーズを決めている映像です。
モザイクも全くかかっていません。どこからどう見てもアカレンジャーです。
いくら鎧のスーパー戦隊講座に熱心でないマーベラス達でも、アカレンジャーぐらいは楽勝で分かります。
アカレンジャーが振り向いたところまで見て、すぐさま3人は「分かった!」と同時に言います。
「おっとぉ〜!では3人揃ってお答えをどうぞ!」と、すっかりクイズ番組のノリになって、
サタラクラJr.は3人を指さします。
3人もクイズ番組の解答者のノリで、声を揃えて「アカレンジャー!」と答えますが、
サタラクラJr.は両手で大きな×印を作って「ブ〜〜〜〜〜!!」と、不正解だと告げます。

しかし、映像に映っているのはどう見てもアカレンジャーですから、
当然「なんで!?どう見てもアカレンジャーじゃない!!」とルカは猛抗議。
ところがサタラクラJr.は平然として「続きを見てちょ!」と言います。
するとポーズを決めて静止していたアカレンジャーが映像の中で動きだし、
両手を頭に持っていき、頭部のメットをスポッと脱いだのでした。

そしてメットの下から現れた素顔は、なんとサタラクラJr.であり、
そのアカレンジャーのスーツを着たサタラクラJr.は
「正解は、アカレンジャーになりすましたボキでした!」と言って愉快そうに大笑いします。
その映像を見ながら司会者席のサタラクラJr.も腹を抱えて大笑い。
つまり、アカレンジャーという解答は不正解ということで、
マーベラス達3人は答えを間違ったということにされてしまったのでした。

「そんなの分かるはずないだろ!」とジョーは怒りますが、
サタラクラJr.は「最後までちゃんと見てないからよ!」と言います。
確かに、早押しクイズでもないのに焦ってすぐに答えてしまったマーベラス達も迂闊だったとは思いますが、
こういう「続きを見たら違っていた」パターンというのは、
それなりに最初に映ったものと後から出てくるものとの間に必然性のある繋がりがあるものです。
例えばアカレンジャーかと思ったら、ぐっとカメラが引くとゴレンジャー全員が映っていたりするという、
そういうものならアリでしょう。

しかし、メットを脱ぐと実はサタラクラJr.だったなんていうオチでは、
アカレンジャーに扮するのは誰でも可能になりますから、
最初の「アカレンジャー」と解答の「サタラクラJr.」の間に何の繋がりも無く、
最初に映る「アカレンジャー」が何のヒントにもなっていないのですから、
「ヒントでビビッと」というクイズのタイトルから連想される趣旨からは外れてしまいます。
最初の「アカレンジャー」を見て「サタラクラJr.」という解答を連想出来る者は存在しないのですから、
こんなのは反則です。

ただ、よほど捻くれた発想の持ち主で、サタラクラJr.の遣り口を熟知した解答者ならば、
「アカレンジャー」から「サタラクラJr.」という解答を連想する者もいるかもしれません。
しかし、それでもこのクイズで正解を得ることは出来ないでしょう。
何故なら、このような出題形式である限り、サタラクラJr.は解答を自由に操作することが出来るからです。

もし「アカレンジャー」の映像を見て誰かが「サタラクラJr.」あるいは何か他の者の名を答えたとしたら、
司会のサタラクラJr.はそこで映像を止めて正解は「アカレンジャー」だと言うでしょう。
そして、もし「アカレンジャー」だと答えれば、映像を先に進めてサタラクラJr.がメットを脱ぐ映像を見せ、
「アカレンジャー」を不正解にするでしょう。
誰も何も答えずに映像を眺めていれば、アカレンジャーの映像の決めポーズの映像で止めて
タイムアップで全員を不正解にするでしょう。

このように、サタラクラJr.は2つの解答を用意しておいて、
解答者がどちらを答えても答えなくても、どうあっても、不正解にすることが出来るのです。
つまり、これは一見すると単なる「ひっかけ問題」のように見えますが、
実際は正解の無いクイズであり、司会者という絶対的存在の権限を悪用した卑怯なゲームなのでした。
サタラクラJr.がダマラスに報告した「絶対に正解が出ない意地悪クイズ」というのは、
こういうことだったのでした。
まさにボキ空間の支配者であり絶対的存在であるサタラクラJr.の言うことは全て正しく、全て現実化する、
その立場を悪用した卑怯で不公平なゲームであったのでした。

しかし、極端に不公平で、正解を自在に操作できるとはいえ、
「正解したら空間脱出、不正解なら脱出できない」というルール自体は違反していない。
正解は自在に操作できるとはいえ存在するのであり、
マーベラス達が不正解したという事実は確かに事実なのです。
だからゲーム性は損なわれておらず、サタラクラJr.は楽しめることが出来るのでした。

そして不正解の場合、単に脱出出来ないというだけではなく、
やはりクイズですから当然ペナルティは課されます。これも当然のルールです。
「はい!罰ゲーム!」とサタラクラJr.が司会席の台をバン!と叩くと、
マーベラスたち不正解した3人の頭の上から水が落ちてきました。
これはまた何とも古典的な罰ゲーム。
ちなみに本家の「ヒントでピント」はこんな卑怯なシステムではなく、
こんなベタな罰ゲームは存在しません。

水は解答者席のセットの上から大道具係の3人のマゲラッパがバケツで降り注いており、
更にマゲラッパ達は空になったバケツを落としてマーベラス達の頭にぶつけます。
もう完全にバラエティー番組のノリです。
しかもルカの頭に降ってきたバケツはすっぽりとルカの頭にかぶさって、
ルカはバケツ女になってしまいましたが、両手を鎖で縛られたルカはどうすることも出来ず、
屈辱に耐えるしかないのでした。
この罰ゲームの3人の惨めっぷりには司会のサタラクラJr.や客席のマゲラッパたちは大爆笑。
いや、ルカのバケツ女には視聴者の私もさすがに爆笑してしまいました。

「愉快!愉快!」と散々楽しんだサタラクラJr.は今度は
「ではでは!スペシャルステージショー!場所チェンジ!!」と唱えて、セットチェンジを行います。
すると一瞬にして周囲の情景が一変します。
ボキ空間ですからそういうことも自由自在なのです。
「ヒントでピント」風のセットや観客席のマゲラッパ達も消え、
マーベラス達3人の縛りつけられた3つの解答者席と、サタラクラJr.の居る司会者席だけを残して
周囲の情景は、まるで屋外の空間のようになります。
しかし、これも現実世界に戻ったわけではなく、ボキ空間の作り出した亜空間なのです。

その空間はまるで、だだっ広い採石場の広場のように見えます。
そこにポツンと解答者席と司会者席が登場したという形です。
何のためにこんな戦闘シーンの撮影場所みたいなところにクイズ空間を設けたのか?
しかも、マーベラス達の解答者席とサタラクラJr.の司会者席が不自然なほど遠く離れている。
これは・・・激しくイヤな予感がします。

「何ここ・・・?」とルカもイヤな予感を感じたようで、不安そうに言いますが、
サタラクラJr.は「間違えたら、更に過激な罰ゲームがあるから注意してねぇ!」と、
ますますイヤな予感を持たざるを得なくなるようなことを言います。
過激な罰ゲームって・・・やっぱりアレでしょうね。

更にサタラクラJr.は「その代わり、正解してボキが・・・」と言いながら
「ピンポーン」と書いた看板を掲げて「ピンポーン!」というチャイム音を鳴らし、
「・・・って言ったら、無事解放されるよ!」と、新たなルールを説明します。
要するにサタラクラJr.がマーベラス達がクイズに正解したのを受けて「ピンポーン」と言えば、
マーベラス達の身体を縛り付けている鎖は解除されるということなのですが、
わざわざ看板を使って自分の口で「ピンポーン」と言わないようにしているのは、
それを今言ってしまうと鎖が解除されてしまうということを意味しています。

何故サタラクラJr.がそんな新しいルールを設けたのかというと、
巧妙に「クイズに正解すること」と「マーベラス達が解放されること」を分離するためでした。
つまり、マーベラス達がクイズに正解しても、それだけではマーベラス達は自由になるわけではなく、
サタラクラJr.が「ピンポーン」と言わなければ自由にはなれないということです。

そして、更にサタラクラJr.はご陽気に「おまけに、このくす玉を爆発させてお祝いしちゃおう〜!」と、
司会者席からやや離れた位置に設置してある金色のくす玉を指し示します。
正解のお祝いにくす玉を開くというのは定番の企画ですが、くす玉を爆発させるというのは珍しい。
確かにそのくす玉の下にはいかにもという形の爆弾が仕掛けてあります。
マーベラス達がクイズに正解すると、サタラクラJr.はその爆弾を爆発させてくす玉を吹っ飛ばすつもりという、
これまた新ルールです。

爆弾を見てマーベラスは嫌な顔をしますが、
まぁそもそもこのクイズは、サタラクラJr.がダマラスに報告したように
「絶対に正解は出ない」はずなので、
サタラクラJr.が「ピンポーン」と言ったり、くす玉を爆発させたりというような展開にまで
行きようがないのです。
マーベラスがいちいちサタラクラJr.のこの2つの新ルールに反応しているということは、
サタラクラJr.の意地悪クイズの仕組みにまだ気が付いていないということなのでしょうか。

一方、現実世界の方では元ハリケンジャーの鷹介、七海、吼太の3人が
アイムから受け取ったレンジャーキーを握りしめて立っていました。
結局、ハカセと七海の依頼を受けてボキ空間へ行き、ビッ栗にされた人達とマーベラス達を助けると同時に、
マーベラス達が信用に値する人物かどうか確かめるという条件を呑んだ鷹介たちでありました。
それは結局、鷹介たちはハカセとアイムの人柄に直に接してみて、
宇宙海賊について自分達が持っていたもともとのイメージが揺らぎ、
先入観で誤解していた部分があったのかもしれないと思い直す部分もあり、
マーベラス達についてももう少し傍で見て確かめてみなければいけないような気がしたからでした。

それでようやく鷹介たちもアイムから差し出されていた3つのレンジャーキーを受け取り、
鷹介はハリケンレッド、七海はハリケンブルー、吼太はハリケンイエローのレンジャーキーを
それぞれ握りしめて立ちます。
それはもともと自分の身体や心と一体化していた「戦う力」そのものでありましたから
感慨もひとしおでしたが、
同時にそれは鎧の言うようにマーベラス達が命がけで宇宙から集めてきたものでもあり、
そう考えると複雑な心境でもありました。

「じゃあ、確かめさせてもらうよ・・・」と鷹介はハカセやアイムに向かって言います。
「はい」と応えるアイムを一瞥すると、鷹介は「行こう!」と七海と吼太を促して数歩前へ出ます。
そして、ぐっと掌でレンジャーキーを握りしめ、掌を開きます。
すると3人の持つレンジャーキーが光を放って掌の上から浮かび上がり、更に空中で大きく光り輝き、
その光は鷹介たち3人の身体を包んでいきます。
そしてそれは何時しか赤、青、黄色の一陣の竜巻のようになって
それぞれが鷹介、七海、吼太の身体を包んで渦を巻き、
ひときわ激しい光と共にその3色の竜巻が消え去ると、
そこにはハリケンレッド、ハリケンブルー、ハリケンイエローに変身した3人の姿が現れたのでした。
まさに「風の忍者」らしい変身の仕方で、本物の忍風戦隊ハリケンジャーが復活したのでした。

モバイレーツを使わずにレンジャーキーだけを使って変身するというのは
「199ヒーロー大決戦」映画のゴセイジャーに次いで2組目です。
ゴセイジャーは天使という謎設定のヒーローだったので、
レンジャーキーだけで変身することも可能なのではないかという解釈もされたりしていましたが、
今回のハリケンジャーの変身シーンによって、
「レジェンド戦士はレンジャーキーを使うだけで完全な変身をして元の戦う力を取り戻すことが出来る」という
事実が確定したといえます。

それならレンジャーキーを使って全てのレジェンド戦士が変身して
ゴーカイジャーと共に戦うという方法もアリだと思うのですが、
あえてレジェンド戦士たちはそのようにはしていないようです。

中にはレンジャーキーを取り戻そうとしていたゴセイジャーや志葉薫(シンケンジャー)のような例もありますが、
この2つの戦隊は34番目の戦隊と33番目の戦隊であり、つまり最新の2戦隊です。
言い換えれば、第一線から引いた後、他の戦隊の活躍を見守ったりしていた経験が
ほとんど無いのがこの2つの戦隊で、それだけ「自分たちがやらねば」という意識が強い。
だから宇宙海賊のゴーカイジャーと共闘しようという意思が最初からほとんど無かったのが
ゴセイジャーとシンケンジャーだったといえます。

それでもシンケンジャーの方は一応は決闘を申し込んで勝てばレンジャーキーを奪い返すという、
まぁどっちにしても喧嘩売ってるだけなのですが、
それでも正々堂々の勝負をしようとはしてましたが、
ゴセイジャーなんて不意打ちでスリ取ったり忍び込んで盗もうとしたり、
もうやってることムチャクチャで、それだけ極端にゴーカイジャーと協力する意思が皆無だったのだといえます。
まぁアラタだけは一応ちょっとは共闘を希望してたっぽいですが、
それにしては一番ノリノリで戦ってたようにも見えましたが・・・

つまり、ゴーカイジャーと共闘しようという意識の無い戦隊の方がレンジャーキーを奪い返そうとしており、
ゴーカイジャーに好意的で協力しようという意思のある戦隊の方が
レンジャーキーをゴーカイジャーに預けたままにしておこうという意識が強いのだといえます。
しかし普通にゴーカイジャーと共闘しようとするのなら、
「レンジャーキーだけでレジェンド戦士がオリジナル変身出来る」という設定なのだから、
ゴーカイジャーに事情を説明して、彼らの所有権は認めつつも、
必要に応じて頼み込んでレンジャーキーを借り受けて変身して一緒に戦った方が、
総合戦力的にはアップするはずです。

いくらゴーカイジャーがレンジャーキーを使って多段変身出来るといっても、
分身して一度に複数戦士に変身出来るわけではなく、人数的には6人のままなのですから、
レジェンド戦士が皆変身して一緒に戦った方が総合的に強くなるのは当然です。
その当然のことをレジェンド戦士たちは何故かしようとしていません。
つまり、やはりレンジャーキーは単純に変身に使うよりも、もっと有効な使い方があり、
そのためにはゴーカイジャーが1ヵ所に集めて持っていることが必要なのだといえます。
だから、ゴーカイジャーが多段変身に使っているのも、あれは本当は副次的な使い方なのであって、
むしろ鎧のゴールドアンカーキーのような使い方の方が本来あるべき使い方の1つのモデルなのだといえます。

そういったレンジャーキーの正しい使用法について
レジェンド戦士たちが正確に把握しているというわけでもないようです。
少なくともゴセイジャーやシンケンジャーは知らなかったようです。
一方、ギンガマンのヒュウガは大いなる力を渡す時に
「スーパー戦隊の力は1つに集めておいたほうがいい」と言っており、
これはそういうことが分かって言っているのか、それとも何となくそう判断したのか、
ちょっとよく分かりません。
ただ、ゴーカイジャーに好意的な戦隊ほどレンジャーキーを1つに集めておこうとしているところを見ると、
やはり何となくそういうコンセンサスはレジェンド戦士たちの間に存在しているのでしょう。

しかし、現在ゴーカイジャーがザンギャックの行動部隊を相手にしてやっているような戦い程度であるならば、
レジェンド戦士たちが変身して協力するだけで楽勝で対処出来そうなものです。
だから、レジェンド戦士たちがレンジャーキーをあえて1ヵ所に集めておいて狙っている成果というのは、
現在のちまちました戦いのレベルに対処するためのものではないということになります。
レジェンド大戦ですら、個々の戦士が変身した戦い方で対処可能でした。
但し最後は全員の戦う力が宇宙に散らばってしまったので、ああいう事態を繰り返さないためには、
別の戦い方が必要ではあるとは思います。
まぁとにかく、レジェンド大戦以上のレベルの戦いを想定して、
現在レジェンド戦士たちはあえてゴーカイジャーに全てのレンジャーキーを託しているのだといえます。

その目的に向かってまだレジェンド戦士たちが動き始めていないのは、
まだゴーカイジャーのもとにスーパー戦隊の全ての力が集まりきっていないからでしょう。
レンジャーキーも全部が揃った状態ではない上に、
「大いなる力」もハリケンジャーの分も含めて、まだ12個も未取得です。
だからまだレジェンド戦士たちは何らかの大きな戦いに向けて動き出していない。
ゴーカイジャーがそれを全て集めることが出来るかどうか見守っている状況だといえます。

しかしそう考えると疑問なのが、
「どうしてスーパー戦隊の力を1ヵ所に集める先がゴーカイジャーでなければいけなかったのか?」です。
別に34の戦隊のうちの何処かが責任をもって管理しても良さそうなものです。
そしてまた、何故、最初、アカレッドがそれを集めようとしていたのか?
そして何故、アカレッドはおそらく生きているのに途中で姿を消してマーベラス達にその事業を引き継がせたのか?
というのも謎です。

まぁそうした事情はあるものの、ここではとにかく、鷹介、七海、吼太の3人は緊急避難的な意味で、
レンジャーキーを借りてハリケンジャーへと変身し、ボキ空間へ急ぐことになります。
「超忍法!開けゴマ!」と鷹介たち3人が空に向けて手をかざすと、空に黒い穴が開きます。
この穴がボキ空間への入り口であるようです。
ちなみに、この「開けゴマ」という荒唐無稽な技は「ハリケンジャー」本編では使われておらず、
本邦初公開ですが、それでもしっかりハリケンジャーの超忍法として違和感無く見れます。
こういう違和感バリバリの技が違和感が無いというのが、いかにもハリケンジャーっぽいといえます。
しかし、宇宙忍法も何でもアリですが、ハヤテ流の超忍法もたいがい何でもアリですね。
この荒唐無稽さをケレン味たっぷりにやりきってしまうところがハリケンジャーの醍醐味といえます。

「行くぜ!」「おう!」と言い合って、その穴に飛び込んでいく鷹介たち3人。
3人が飛び込むと、空に開いた穴もすっと消えていきます。
どうやら上手く3人はボキ空間に侵入出来た模様です。
それを見送ってハカセ、アイム、鎧の3人は佇みます。

鎧が「・・・大丈夫・・・ですよね?」と不安げにアイム、そしてハカセの方を見ます。
鎧が心配しているのは、ボキ空間で鷹介たちがサタラクラJr.に勝てるかどうかではない。
そのことに関しては3人とも全く心配はしていません。
最初からボキ空間のことを幾らか知っており、そこに罠があることも知っているっぽい鷹介たちが
落とされるわけではなく自分の意思で隠れて侵入するわけですから、
鷹介たちがボキ空間でサタラクラJr.に遅れをとることは無いだろうと鎧たち3人には思えていました。

では鎧は何が心配なのかというと、
鷹介たちがマーベラス達をそんなに簡単に信用してくれるものだろうかという点でした。
ハカセやアイムはやけに自信満々でしたが、
鎧から見ると、確かに今回のマーベラス、ジョー、ルカの3人は
何故かいつも以上にやたらとイライラしており、余裕があまり感じられませんでした。
もちろん鎧もさっきボキ空間に落とされそうになった時、マーベラスに助けられていますから、
マーベラス達が鷹介たちが思っているような自分勝手な状態ではないことは確信しています。
しかし、それは普段からマーベラス達と身近に接しているから分かることであって、
今回のようなマーベラス達の態度では自分ですらマーベラス達の実像との間で
多少ギャップを感じて戸惑っているぐらいなのだから、
初対面の鷹介たちには誤解されてしまっても仕方ないように思えました。

だからハカセがよりによって今回のマーベラス達を見て欲しいと鷹介たちに言ったのを聞いていて、
ずっと不安だったのです。
しかもアイムは鷹介たちがもしマーベラス達を信用出来なくてレンジャーキーを返したくなくなった場合は、
戦って奪い返すとまで言ってしまっています。
それは鷹介たちがレンジャーキーを返さないと言っても構わないと言っているに等しく、
もし本当にそんなことになったら、ゴーカイジャーとハリケンジャーとで
スーパー戦隊同士で戦うことになってしまう。

しかしハカセは全く動じる様子は無く、晴れやかな笑顔で鷹介たちが消えた空の一点を眺めて
「決まってるじゃん!安心して待ってればいいんだよ!」と応えます。
ハカセがここまで絶対的な安心感を持っているのは、マーベラス達を信じているからというだけではありません。
鎧だってマーベラス達のことは信頼しているのです。
鎧の心配事はむしろ「初対面の鷹介たちが分かりにくいマーベラス達の本質を理解出来るのだろうか?」と
いう部分ですから、どちらかというと鷹介たちに関する不安なのです。
それを分かった上でハカセがここまで大丈夫だと断言しているのですから、
ハカセは鷹介たち3人を全面的に信頼しているということで、アイムも同様の想いであるようです。

しかしハカセやアイムにとっても鷹介たちは初対面であり、
全てにおいて完全に信頼できるというほどの間柄ではありません。
それでもこれほど完全な安心感を持てている理由は、
鷹介たちがマーベラス達を理解出来るという部分に関しては絶対的な確信があるからでした。
それはどうしてなのかというと、鷹介たちと問答している間にハカセやアイムは、
鷹介たち3人とマーベラスたち3人とが、根っこの部分では同じ純粋さを持っていることに気付いたからです。
そしてそれはハカセとアイムも同じでした。
だからハカセとアイムは鷹介たちのことを信頼出来たし、
鷹介たちも何だかんだでハカセとアイムの依頼に従ってくれたのも、そのせいなのだとハカセ達には思えました。
だから直接接すれば、マーベラス達と鷹介たちもお互いにきっと分かり合うことが出来るのだと、
ハカセとアイムは最終的に確信出来たのでした。

しかし、そこに突然、3人の足元で激しい火花が散ります。
驚いて身構えたハカセ達でしたが、舞い上がった粉塵の向こうにハカセが目を凝らすと、
そこにはゴーミン部隊が展開し、その奥からはバリゾーグとインサーンが現れます。
「賞金首の海賊ども!・・・今日が最期の日よ!」とインサーンは冷たく言い放ちます。
どうやらマーベラス達が不在であることを知った上で、ザンギャックが急襲を仕掛けてきたようです。

「・・・のんびりはしていられないようですね!」とアイムが言うと、
鎧も「はい!」と応じてゴーカイセルラーを取り出します。
ハカセの言うように、安心してただ待っていればいいという状況ではなくなってきたようで、
こちらもこちらで生き残るためには戦うしかないようです。
しかも相手はザンギャックの幹部怪人が2人で、
こちらはマーベラス達3人を欠いた3人だけの状態であり、苦戦が予想されますが、仕方ない。
ハカセ、アイム、鎧の3人は「豪快チェンジ!!」と、ゴーカイジャーに変身し、
襲い掛かってくるゴーミン達の群れの中に突っ込んでいき、戦闘開始となりました。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:46 | Comment(2) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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