2011年12月31日

第43話「伝説の勇者に」感想その5

変身したマーベラス達6人とダマラス率いるザンギャック部隊との戦闘が始まり、
まずはマーベラス達とゴーミン集団との乱戦、
ここはトリッキーなハカセのアクションと豪快なマーベラスのアクションをフィーチャーして、
あっという間に6人はゴーミン集団を全滅させます。

そこに現れてマーベラス達の前に立ちはだかったのはドゴーミン2人。
最近すっかり速攻やられ役になってしまったドゴーミンですが、
それでも、普通の技で簡単に倒されていたスゴーミンとは違い、
かなりの大技でないと倒せないという意味で、一応スゴーミンとの差別化はされています。

ここの場面ではアイムが「皆さん!これはどうでしょう?」と緑色のレンジャーキーを取り出します。
緑色のレンジャーキーはハカセの担当ですから、
アイムが緑色のレンジャーキーを取り出したのは今まで無かったことで、不可解です。
しかし鎧はアイムの意図を察したようで「ハハハッ!いいですねぇ〜!!」と大ウケして、
アイムと同じように緑色のレンジャーキーを出します。
当然ハカセも緑色のレンジャーキーを出し、6人一斉に「豪快チェンジ!!」と掛け声をかけて
レンジャーキーを挿すとモバイレーツから6つバラバラな種類の紋章が飛び出してきて、
6人は全員、異なった戦隊のグリーン戦士に多段変身したのでした。

つまり、第2話、第40話のオールレッド戦隊、第18話のオールシルバー戦隊に引き続いての、
今回は同一色戦隊の第3弾、オールグリーン戦隊です。
今回の前のエピソードのアイム主役回ではアイムと他メンバーとのパートナー戦隊5連発という趣向でしたが、
今回はハカセ主役回ということでオールグリーン戦隊という趣向で来たようです。
ハカセがマーベラスを助けてくれたことを称えてのアイムの提案に皆が応えて、
ハカセをリスペクトしての、普段はハカセが変身している戦士で揃えたオールグリーン戦隊です。

ただ、鎧が変身した戦士だけは、もともと鎧の担当戦士で緑の戦士であるシュリケンジャーです。
シュリケンジャーへの鎧の変身自体は初めてではないのですが、
今回は変身後すぐにプロテクターを脱ぎ捨て、「フェイスチェンジ!」とマスクを前後回転させて
強化形態のファイヤーモードにチェンジします。
鎧の変身したシュリケンジャーのファイヤーモードへのチェンジは初披露となります。

そしてアイムはグリーンフラッシュに変身しています。
グリーンフラッシュはオリジナルは男性戦士で、
普段ハカセが変身している時も当然、男性戦士のままのスタイルですが、
今回はアイムが変身しているので、フラッシュマンの女性戦士と同じように、
腰回りのデザインがハイレグ風になっています。

次いでルカが変身しているのはシシレンジャーで、
これもダイレンジャーにおける緑の戦士で、オリジナルも普段のハカセ変身時も男性戦士ですが、
今回はダイレンジャーの女性戦士ホウオウレンジャーのようにスカートを履いた戦士となっています。
そしてジョーは剣豪キャラということでシンケングリーンに変身し、
マーベラスはデンジグリーンに変身し、
ハカセ自身は元祖グリーン戦士であるミドレンジャーに変身します。

「オールグリーン!」という鎧の掛け声が名乗りであり、
同時にレースにおけるスタート合図と掛け詞になっていて、戦闘開始、
まずハカセとルカ以外の4人がドゴーミンに向けてダッシュし、
ハカセはミドメラン、ルカは大輪剣を投じてドゴーミンに炸裂させ、
そこに突っ込んできたマーベラスがデンジパンチ、アイムがプリズムカイザーをそれぞれ拳に装着して
ドゴーミンにパンチの嵐を浴びせて、アッパーカットで上空に向けて吹き飛ばし、
宙に飛ばされたドゴーミンに向けて、
ジャンプしていたジョーがシンケンマルで、同じくジャンプしていた鎧がシュリケンズバットで
メッタ斬りにして、この連続攻撃のダメージによってドゴーミン2人を撃破します。

今回のオールグリーン戦士のチョイスのコンセプトは、
この連携攻撃を前提とした、
投擲武器の緑の戦士2名と、打撃系の技を持つ緑の戦士2名と、剣技に長けた緑の戦士2名という感じでしょう。
今回は仲間が補い合う海賊らしい戦い方がコンセプトですので、これは良いチョイスだと思います。

しかし、このオールグリーン戦士への多段変身ですが、
難を言えば、誰がどの戦士に変身しているのか、非常に分かりにくい。
オールレッド、オールシルバーの時も同じように感じましたが、
やはり「ゴーカイジャー」という作品において、
多段変身は基本的にゴーカイジャーのメンバーのパーソナルカラーに合わせた変身で、
担当分けを厳密にしていたのは正解であったのだと思います。
たまにその基本ルールを逸脱した例を見ると、むしろ普段の基本パターンの正しさが再認識されます。

それでも、まだレッドやシルバーの戦士というのは印象的な戦士が多いので、
誰が何に変身しているのかまだ分かりやすいのですが、
グリーン戦士となるとマイナーな戦士も多いので、ホントに誰が何に変身してるのか把握するのが大変です。
だから、オールグリーンやオールブルー、オールイエロー、オールピンクという趣向は、
全員がほぼ一通り、全戦士に変身した現段階以降でないと、なかなか出来ない趣向であったのだと思います。
そういうわけで、一通り全戦士、全戦隊への多段変身をほぼ全て消化したことによって、
今後、オールグリーンと同種の趣向が登場してくると予想されます。

さて、ゴーミンもドゴーミンも撃破されて、これで残るはダマラスのみとなり、
ダマラスもさっきの戦いとは見違えるような連係攻撃を見せるマーベラス達に「ううっ・・・!」と少し驚きます。
しかし、それでも到底自分に及ぶものではないと、ダマラスは自信満々で「はあっ!」と剣を一閃し、
6人目がけて巨大な衝撃波を飛ばしてきました。
あのビルを一撃で粉砕した衝撃波です。

さっきはこれを喰らってしまった後、ダメージの大きさに逃走を余儀なくされた6人でしたが、
今回はこれを受けて「わあああっ!!」と吹っ飛びオールグリーンからゴーカイジャーの姿に戻ったものの、
マーベラスは「フン!・・・あとはてめぇだ!」と立ち上がり、
6人は「はあああああ!!」とダマラスに突っ込んでいきます。
マーベラス救出作戦の成功によって海賊の戦い方にザンギャック帝国を超える力の手応えを感じ取った6人には、
もはや「宇宙最強」への気後れは無いので、多少のダメージでは、もはや心が折れることはない。

が、それだけではなく、ダマラスの剣圧の威力もさっきよりは確かに落ちている。
やはりバスコによって負わされた深手が影響しているようです。
それでも周りを囲んだ6人を剣技で圧倒するダマラスもさすがに化け物です。
深手を負ったとはいえ、未だダマラスはマーベラス達に自分の身体に指一本触れさせてはいません。

6人を薙ぎ倒し、「貴様らなんぞにやられる私ではない!!」と怒鳴りつけたダマラスは
「むううううん!」と気合を込めて、大技の構えに入ります。
さっきの戦いでマーベラスとハカセを吹っ飛ばして変身解除に追い込んだ竜巻状の衝撃波を発する剣技です。
この技で6人全員を吹っ飛ばして決定的ダメージを与えようと目論むダマラスは
「はああっ!!」と、その必殺剣を6人めがけて放ちます。

しかし、ジョー、ルカ、アイム、鎧の4人が前に飛び出して一塊となって、
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを構えてこの衝撃波を受けとめ「くっ・・・」と食い止めようとして踏ん張り、
結局「はああああっ!」と4人とも竜巻と共に吹っ飛んでいきますが、
衝撃波の大部分をジョー達が受け止めていったお蔭で、
その直後、マーベラスは弱まった衝撃波の中、「ふん!」とゴーカイガンを撃ち返し、
大技を放った直後のダマラスはこれを避けきれず、遂に何発も被弾してしまいます。

予想外の被弾に「ぐっ!がっ!?」とよろめくダマラス。
6人をまとめて吹っ飛ばせなかったのは、ジョー達がマーベラスの反撃を信じて踏ん張ったからだが、
ダマラスの技の威力もやはり若干落ちていた。
ゴーカイガンの被弾でよろめくのを見てもダマラスが万全でないのは明らかでした。
やはりバスコに受けた傷が影響しているのは間違いない。
それなのに撤退せずに戦い続けることを選択したのはダマラスの驕りであったが、
作戦失敗して深手を負ってギガントホースに戻ったところで、
宇宙最強の看板に泥を塗ったダマラスを皇帝アクドス・ギルが赦すという保証ももはや無かった。
だからダマラスはもうこうなったら戦い続けるしかない。
まだまだ戦況はダマラスが優勢ではあるのです。

あとはマーベラスさえ倒せばいい・・・とダマラスが思った刹那、
マーベラスの背後に隠れていたハカセが「はっ!」とゴーカイサーベルをブーメランのように
マーベラスの後頭部目がけて投げつけ、マーベラスがそれをかわすと、
ダマラスに向かって回転するゴーカイサーベルが飛んでくる形となった。
また一瞬ハカセの存在を忘れてしまっていたダマラスは慌てて剣を振って、
この大袈裟に回転して飛んでくるゴーカイサーベルに幻惑されて弾き返す。

高く舞い上がったゴーカイサーベルを慌てて一瞬見たダマラスの隙を突き、
マーベラスが「ハカセ!!」と後ろ手で素早くハカセにゴーカイガンをバックパス、
駆け込んできてそのゴーカイガンを受け取ったハカセはその勢いのまま
マーベラスの屈んだ背を回転しながら飛び越し、地面で転がりながら、
地上スレスレの低い位置からダマラスの至近距離に突っ込み、二丁拳銃を「はあああああ!!」と連射し、
全弾をダマラスのガラ空きの胴体に撃ち込みます。

上を向いた隙を突かれた意表をついたハカセの奇襲に「うわぁ・・・!?」と焦るダマラスは
慌てて地面に転がるハカセの方に視線を向けますが、
その瞬間、落下してきたハカセのゴーカイサーベルをキャッチしたマーベラスは二刀流になって
ジャンプしてハカセを飛び越し、「おおおお!!」と叫んで一気にダマラスの死角からダマラスに懐に飛び込み、
2本のゴーカイサーベルで斬りかかりました。

慌てて剣で応戦するダマラスでしたがハカセの攻撃で受けたダメージが響いたのか、
剣の動きに精彩を欠き、マーベラスの初めて見せる二刀流に競り負けて、
たまらず後退したところでマーベラスは「おりゃっ!!」と二刀を一閃してダマラスを斬り捨てました。

マーベラスとハカセの変則的でありながら流れるような見事な武器交換アクションが
ダマラスを翻弄して圧倒していく様が丁寧に描かれていますが、
これは今回のハカセの初陣の回想シーンの時にハカセがマーベラス達の武器交換アクションに象徴される
海賊の仲間を補い合う戦い方を知って海賊への道を歩み出した、
その長い道のりの末の集大成的な海賊アクションが
ダマラスに象徴されるザンギャック帝国の戦い方を凌駕したことを象徴的に示す場面といえるでしょう。

マーベラスは今まで武器交換アクションの中で
二刀流あるいは二丁拳銃のスタイルになったことはなかったのですが、
その特別感のある描写としての二刀流が、
この最強の敵との決戦時に、最弱の味方であるハカセとのコンビで披露されるという演出は上手いと思います。

このハカセの二丁拳銃とマーベラスの二刀流という珍しい組み合わせの攻撃によって、
ダマラスはガクッと大きくよろめいて後退します。
そしてその流れのまま、ハカセは「いくよ!」と二丁拳銃のファイナルウェーブを発射、
その2つのエネルギー弾とダマラスとを結ぶ軌道戦上の中間点に立ったマーベラスは
二刀流のファイナルウェーブで「おりゃあっ!!」とハカセ2つの発射した2つのエネルギー弾を
自分の放った2つのエネルギー波で押し出して加速させ、
4つのエネルギー波をまとめてダマラスに高速でぶつけます。

ダマラスはこれを剣で受け止めますが、勢いに押し込まれ、
遂にはダマラスの身体に達したファイナルウェーブが炸裂して
「おわあっ!?」とダマラスは大きなダメージを喰らってフラフラになってしまいました。
さっきの戦いでは5人の放ったゴーカイスクランブルでも一振りで弾き返していたというのに、
じわじわと蓄積したダメージによって、
ダマラスは2人の放ったファイナルウェーブさえ受け止めきれなくなるまで弱ってきているのです。

そして更にここで大きなダメージを受け、
もはや立っているのがやっとという状態にまで追い込まれたダマラスは
ここでようやく劣勢に気付き、「・・・バカな!この私が押されているだと・・・!?」とパニックになります。
今まで戦いにおいて劣勢になったことがほとんど無いダマラスは、
完全に舐めきっていたマーベラス達を相手に劣勢になっていたことに気付くのが鈍すぎたのです。
気付いた時には既に身体は満足に動かないまでに痛んでおり、もはや次の攻撃に反応するのが困難な状態です。

ここでマーベラスは一気に勝負をつけてしまおうと、
「トドメだ!!」と号令をかけてゴーカイガレオンバスターを出します。
いくら宇宙最強の男といえども、ゴーカイガレオンバスターのライジングストライクを喰らえば倒れるはずであり、
ダマラスが弱っている今ならライジングストライクを撃って命中させることが出来るはずです。

ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、
ゴーカイピンクのレンジャーキーが挿入されたシリンダー部が、
マーベラスが「レンジャーキー!セット!!」とゴーカイレッドのレンジャーキーを最後部のカギ穴に挿して回すと
跳ね上がり、「レ〜ッドチャ〜ジ!!」という認識音と共にゴーカイガレオンバスター全体が金色の光に輝き、
引き金を引くと「ラ〜イジングストラ〜イク!!」と金色のガレオン型のエネルギー波が発射され、
ダマラスを貫きます。

これでダマラスの最期かと思いきや、なんとダマラスはまだ倒れておらず、瀕死ながらまだ立っており
「ううう・・・この私を・・・なぁめるなぁぁ・・・!!」と、宇宙最強の誇りにかけて、
決して倒れない執念の絶叫を上げます。
あれだけフラフラになってゴーカイガレオンバスターを喰らい、それでもまだ倒れないとは、
さすがにダマラスは強く、そして最強の誇りを守ろうとする執念はもはや狂気の域に達するほど凄まじいといえます。

マーベラス達もダマラスのしぶとさに驚きますが、
ハカセは「今度は僕が!」とゴーカイガレオンバスターをマーベラスに渡すよう求め、
マーベラスも「ああ!」とハカセにゴーカイガレオンバスターを渡して後ろに下がり、
「決めちゃいましょお!」と鎧も張り切ります。

しかし、ゴーカイガレオンバスターというのは2連発で撃てるのでしょうか?
いや、そのあたりは、さすがにゴーカイガレオンバスターの生みの親であるハカセなので、
よく理解しているようです。
どうやら最後尾のカギ穴に挿してメインエネルギーとして使われたレンジャーキーだけは
ライジングストライクを撃った後、一旦使用不能になるようで、
そうなると今回はマーベラスのゴーカイレッドのレンジャーキーは使用不可となります。

そこでゴーカイレッドのレンジャーキーの代わりに鎧のゴーカイシルバーのレンジャーキーを加えて
5つのレンジャーキーを使える態勢を維持し、
メインキーとして今回はハカセのゴーカイグリーンのレンジャーキーを使います。
「レンジャーキーセット!」とハカセは最後尾のカギ穴にゴーカイグリーンのレンジャーキーを挿して回すと、
ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイピンク、ゴーカイシルバーのレンジャーキーを挿した
シリンダー部が跳ね上がり、「グリ〜ンチャ〜ジ!!」という認識音と共に
ガレオンバスター全体が緑色に光り、「はっ!」とハカセが引き金を引くと、
「ラ〜イジングストラ〜イク!!」と、緑色のガレオン型のエネルギー波が発射されます。

第41話のピンクチャージからのピンク色のライジングストライクに引き続き、
今回はハカセ主役回ということで、グリーンチャージからの緑色のライジングストライクの炸裂です。
しかし、これで決められなければ、次はゴーカイグリーンのレンジャーキーも使用不可ですから、
使用可能なゴーカイジャーのレンジャーキーは4つとなり、
もうゴーカイガレオンバスターは撃てないものと思われます。
つまり、ゴーカイガレオンバスターは2連発まで可能ということです。
そして、この最後の1発が瀕死のダマラスを貫き、「ぐわああああ!!」と断末魔の絶叫を残して、
今度こそダマラスはこらえきれずに大爆発を起こし、粉々になって果てたのでした。
遂にザンギャック最強の敵であるダマラスを倒して、ハカセは「やったあ!!」と歓喜の声を上げます。

一方、この戦いをモニターで見守っていたギガントホースの指令室では、
まさかのダマラスの敗北にダイランドーが仰天し、
「ちょ〜いちょいちょいちょいちょ〜い!」と大騒ぎし、
その後ろでは皇帝アクドス・ギルが黙って司令官席で動きません。

アクドス・ギルもまさかダマラスが敗れるとは予想しておらず、かなり驚いていましたが、
ショックを受けるよりも、宇宙帝国を総べる皇帝としては、
宇宙最強の男であるダマラスまでもが倒された現状における次の打つべき手を考えねばなりませんでした。
ダマラスの死を悼んでいるようなヒマは無いし、
そもそも、負けるとは思っていなかったが、負けても痛くない駒としてダマラスを送り出した皇帝としては、
ダマラスの敗死は個人的には全く痛手ではない。
が、帝国全体としては、帝国の強さの象徴ともいえるダマラスの敗死は決して歓迎すべき事態ではなく、
ダマラスを倒したマーベラス一味は、皇帝としては何としてでも倒さねばならない相手となったといえます。

ただ、まだ戦いは終わっていませんでした。
ダマラスが敗れたこと自体は否定できない事実でしたが、
マーベラス一味を倒すチャンスはまだダマラスには残っています。
インサーンは自分の開発した巨大化銃を上司であるダマラスに向けることに幾分躊躇しながらも
「ダマラス様・・・ご武運を・・・!」と呟き、地球にあるダマラスの遺骸目がけて巨大化光線を発射したのでした。

こうしてダマラスは巨大化光線を浴びて復活巨大化して、再び動き出します。
「・・・ったく!こいつもか!」と文句を言いながらマーベラスはガレオンを呼び、鎧も豪獣ドリルを召喚し、
ゴーカイオーと豪獣神で巨大化したダマラスに立ち向かいます。

一方、ダマラスの方は剣の柄をぎゅっと握りしめ「ううむ・・・これが最後の命・・・必ず貴様らを倒す・・・!」と、
マーベラス一味の打倒を改めて心に期します。
インサーンの巨大化銃のおかげて甦った命ですが、二度の復活は無い。
だから、もう一度倒されればおしまいです。
しかし、その最後の命を落とすことになっても、何としてもマーベラス一味は倒したいとダマラスは思っています。

もはや一度敗れて死んだ身ですから、自分を倒したマーベラス一味の強さは認めざるを得ない。
だからダマラスはもはやマーベラス一味を侮る気持ちはありませんでした。
マーベラス一味は確かに強い。しかし、それでも自分はそれよりも強い。
いや、強くあらねばいけないのだと、ダマラスはあくまで宇宙最強という称号に固執しているのです。
強さにこだわるしかダマラスは生き方を知らないのだから仕方ない。
とにかく最終的に命を捨ててでもマーベラス一味は倒して、
宇宙最強の称号を抱いたまま死にたいとダマラスは思っていました。

つまりダマラスにとっては命よりも宇宙最強という称号の方が大事なのです。
もはや狂気ともいえるが、しかしこうなると、相手を侮る油断もなく、捨て身で向かってくるダマラスは手強い。
しかも一旦死んで復活したことによって、バスコに負わされた傷も含めて、全てのダメージは無くなっています。

こうして、まずは完全フルパワーの本気のダマラスが「おりゃあああ!!」と襲い掛かってきて、
豪獣神とゴーカイオーを剣で圧倒しました。
「むぅん!」とゴーカイオーを押し込むダマラスの背後に回った豪獣神は
ドリルでダマラスの背中を攻撃しようとしますが、
なんとダマラスの腰から伸び出た機関砲が背後の豪獣神に狙いをつけ、撃ちまくり
「ぐわああ!!」と豪獣神のコクピットでは鎧が絶叫、豪獣神は倒れ込みます。

「鎧!」とゴーカイオーのコクピットではルカが叫びますが、
ダマラスの隠し武器の機関砲は前の方に向きを変えて、
今度はダマラスと鍔迫り合いをして動けないゴーカイオーを撃ちまくります。
そうして怯んだゴーカイオーの隙を突いて、
ダマラスは「おりゃあ!たぁっ!」とゴーカイオーを斬り下ろして、
ゴーカイオーのコクピットは火花を上げ、「うわあああ!!」とマーベラス達は絶叫します。

ゴーカイオーは一旦下がって膝をつき、「・・・なんて野郎だ!」とマーベラスは唸りました。
ダマラスはさっき倒す前に戦った時よりも確実に強くなっていたので、マーベラスは驚いたのです。
「さすがは・・・宇宙最強ということでしょうか・・・?」とアイムも戸惑います。
宇宙最強といっても、それはあくまで等身大で戦っている時の評価なのであり、
そもそもダマラスは今まで巨大化して巨大ロボを相手に戦った経験など無いはずです。
だから、巨大戦ではダマラスの宇宙最強の称号もあまり意味は無く、その強さは未知数です。
案外、巨大ロボには歯が立たないのかもしれないとも思えました。
ところが、巨大戦でもダマラスは圧倒的に強い。
それはさすがに宇宙最強と言われた男だけのことはあるかと思えました。
少なくともゴーカイオーや豪獣神では巨大化したダマラスには手も足も出ない。

ところが、「大丈夫・・・!」とハカセが確信に満ちた声で言ったので、
皆、はっとしてハカセの方を見ます。
ハカセは自分と5人の仲間に言い聞かせるように
「宇宙で一番強くても、あいつには仲間がいない!だから、僕たちが負けるはずがない!!」とキッパリと
大声で言い切り、「ね?」とマーベラスの同意を求めます。

等身大戦では6人の仲間が力を補い合ってダマラスを倒したが、
この巨大戦では鎧は豪獣神で別に戦ってはいますが、残り5人はゴーカイオーを一緒に動かしており、
そのゴーカイオーと豪獣神が連係してもダマラスには勝てていないのだから、
6人の仲間の力だけではダマラスには及ばない状況です。
しかしハカセは仲間がいるから自分達は負けないと言う。
マーベラスはそのハカセの言葉を聞いて、ハカセが何を言いたいのか、すぐに理解し、
「・・・そうだな!」と応え、6人はゴーカイオーと豪獣神を立ち上がらせます。

そうして、まずはハカセが「よぉ〜し!」とマジグリーンのレンジャーキーをゴーカイバックルから取出し、
「マジドラゴン!」と呼びかけながらコクピットの鍵穴に挿し込み回します。
いちいち画面に映っていませんが、同時に他のゴーカイオーのコクピットの4人も
マジレンジャーのレンジャーキーを挿して回しているようで、
ゴーカイオーはマジゴーカイオーにチェンジし、更にそこからマジドラゴンが分離して飛び出して、
ダマラスにゴーカイマジバインドを仕掛けます。

しかし、さすがにダマラスはこの、自分の身体を縛るようにマジドラゴンが仕掛けた
マジバインドの魔法陣を粉砕してしまいます。
つまり、通常のゴーカイオーを大いなる力で強化したマジゴーカイオーの決め技でも
ダマラスには勝てないということです。

しかし、全く手も足も出ないというわけではない。
マジバインドを粉砕した時、ダマラスは「ぐあっ!?」と叫び声を上げます。
例の腰の機関砲だけがマジバインドの締め付けによって破壊されてしまったのです。
マジゴーカイオーでもダマラスを倒すことは出来なかったが、
とりあえず隠し武器の機関砲を封じることには成功したのです。

そして、これでマーベラス一味の攻撃は終わらない。
間髪入れずにルカがデカイエローのレンジャーキーをコクピットに挿しながら
「パトストライカー!いっけぇ〜!」と言い、皆でデカレンジャーのレンジャーキーを挿し回すと、
今度はゴーカイオーはデカゴーカイオーに強化変形、
そしてそこから分離して飛び出したパトストライカーがスピンして回転しながら
タイヤのガトリングガンを撃ちまくる必殺技ゴーカイパトストライクをダマラスにお見舞いします。
機関砲を壊されて怯んでいたダマラスはパトストライクの銃弾を浴びまくって
「ぬっ!・・・うっ!?」と後退します。

更にアイムが「ライオンさんも、お願いします!」と丁寧に言いながらガオホワイトのレンジャーキーを挿して回し、
皆でガオレンジャーのレンジャーキーを挿して回すと、天空島からガオライオンが召喚されてきて、
吼えながらダマラスに向かって突進し、
その前足の鋭い爪で斬り裂かれたダマラスは「うおっ!ぐああっ!?」と悶絶します。

そしてジョーが「風雷丸・・・!」とハリケンブルーのレンジャーキーをコクピットに挿し回し、
皆でハリケンジャーのレンジャーキーを挿し回すと、
空の彼方から巨大手裏剣に乗って風雷丸が飛んできて
「風雷丸、見参!トウ!ヤァ!」とダマラス目がけて大型手裏剣を投げ、
ダマラスはこれを剣で防ごうとしますが、手裏剣の勢いに押されて腕を負傷し、剣を潰されてしまい
「ぐあああっ!!」と叫びます。

そこにマーベラスが「来い!!マッハルコン!!」と叫んでゴーオンレッドのレンジャーキーをコクピットに挿し回し、
皆もゴーオンジャーのレンジャーキーを挿し回し、マッハルコンを召喚します。
ソウルを挿入されて巨大化したマッハルコンは
「バァ〜リバリィ〜!!待ってたぜぇ!俺様もいくぜぇ!!おりゃあ!!」と駆けながら
ビーム砲をダマラスに向けて連射し、
これを喰らったダマラスは「うあああああ!?」と大きなダメージを受けます。

そして6人はゴーカイジャーのレンジャーキーを取り出して
「レンジャーキーセット!海賊合体!!」とコクピットの鍵穴に挿して回し、
ゴーカイオーと豪獣神とマッハルコンはカンゼンゴーカイオーに合体したのでした。

マーベラス達の召喚したマジドラゴン、パトストライカー、ガオライオン、風雷丸、マッハルコンの
波状攻撃によってじわじわ劣勢に追い込まれていたところに、
遂に最悪の難敵であるカンゼンゴーカイオーが立ち向かってきた状況に苛立ったダマラスは
「・・・おのれぇ〜っ!!」の拳を握りしめ、「うおお!はああ!」とカンゼンゴーカイオーを殴りつけますが、
カンゼンゴーカイオーの装甲には全く効果が無く、逆に拳が潰れてしまい、
ダマラスはドリルで殴り返され「どああああ!?」と後ろに吹っ飛びます。

そしてマーベラス達は「カンゼンミサイル!!」と掛け声をかけ、
フィンガーミサイルでダマラスを猛爆し、爆煙の中でダマラスはボロボロにされ、
「ぐあっ!ああああ!!」と悶え苦しみ、完全に追い詰められてしまいました。
そのダマラスに向かって、ハカセは「どうだ!仲間の力を合わせれば、十倍にも、百倍にもなる!!」と
勝ち誇ったように言い放ちました。

ハカセの言っていた巨大戦における「仲間」とは、歴代スーパー戦隊の大いなる力のことだったのです。
1つ1つのスーパー戦隊の力では宇宙最強の敵は倒せないかもしれないが、
仲間になって力を補い合って戦えば、宇宙最強の敵でも倒すことは出来るのです。
つまり、マーベラス達は歴代スーパー戦隊も、海賊の仲間と同じような、
力を合わせて戦う仲間であると認めているのです。
いや、仲間が力を合わせて戦うというのはスーパー戦隊の基本精神でもあるので、
仲間の力を合わせて戦う海賊戦隊が、スーパー戦隊の仲間として認められたとも言えます。

そしてトドメは、スーパー戦隊の力を合わせた新しい必殺技となります。
「レッツゴー!ゴーカイカンゼンスーパーバースト!!」という掛け声で繰り出されたその技は、
カンゼンゴーカイオーのゴーカイカンゼンバーストと同時に、
マジドラゴンが口から火炎を発射し、パトストライカーがビームを放ち、
ガオライオンが口からアニマルハートを発動し、風雷丸が無限手裏剣を繰り出すという合体技で、

これを喰らったダマラスは「ぐおっ!?うぎゃあああ!!」と悲鳴を上げます。
そしてそのまま倒れ込んで最期かと思われましたが、
「・・・バカな・・・!」と前につんのめって踏みとどまり、身体から火花を散らしながら
「・・・私は信じぬぅ!!・・・海賊ごときに・・・この私がぁぁっ・・・!」と、
最期の最期まで宇宙最強の自分が海賊に敗れるという現実を拒絶し、
弱い者が力を合わせて強い者に勝つという事実を受け入れられず、喚き散らしますが、
遂に「ぐうううあああああっ!!」と断末魔の絶叫を残してあおむけにひっくり返り、大爆発の中で散ったのでした。

最期の最期までしぶとかったダマラスに驚いていたマーベラス達も、これでようやく安堵し、
「よっしゃあああ!!」とコクピットで歓喜し、
カンゼンゴーカイオーの周りではマジドラゴン、パトストライカー、ガオライオン、風雷丸が
それぞれ喜びを表現します。

この巨大戦の場面、登場した大いなる力は、
マジレンジャー、デカレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、ゴーオンジャーの5つで、
全てゴーカイオーから分離して単独で動けるキャラを擁するものばかりであったので、
「仲間の力を合わせる」という描写から最後のゴーカイカンゼンスーパーバーストまでの描写がスムーズでした。

ただ、今回このラインアップになったのは、クリスマス商戦期の決戦エピソードであったので、
玩具展開をしている大いなる力を画面上に集めた結果でしょう。
玩具展開という意味でいえば豪獣神もアバレンジャーの大いなる力として画面上には登場していましたし、
カンゼンゴーカイオーもゴーカイジャーの大いなる力として玩具展開されています。
なお、シンケンジャーの大いなる力が登場しなかったのは、
玩具的にはガオレンジャーの大いなる力と同じであるので、わざわざ出す必要が無かったからでしょう。

さて今回のエピローグは、ダマラスを倒して戦いが終わった後、
ガレオンの船室でのマーベラス一味の夕食の場面です。
いつものようにハカセの作った夕食を「いっただきまぁ〜す!」と言って喜んで食べる5人の仲間たちの姿を見て
テーブル脇に立つハカセは「よかった・・・またみんな一緒に旅ができる・・・」と、
隣の船長椅子にとまるナビィに小声で言います。
ハカセが「皆と一緒に旅をしたい」という本心を明言した相手はナビィだけですから、
皆には聞こえないようにナビィにだけ、嬉しい気持ちを伝えているのです。
ナビィも「う〜ん!だねぇ!」と応じます。

一方、ルカは「やっぱハカセのごはん最高だわ!」と、すっかり上機嫌です。
高級レストランの豪華な食事よりも、仲間の健康をいつも気遣って作ってくれるハカセの食事の方が
マーベラス一味の面々には心のこもった御馳走なのでした。
そうしてルカがハカセの食事を褒めると、ジョーはチラリとハカセの方を見て、
「ま・・・伝説の勇者が作ったメシだからな・・・!」と真顔で言います。
それを聞いてハカセは「だから!・・・ゴメンって、ウソだったって謝ったじゃん!」と、
やや逆ギレ気味にジョーに向かって抗議しました。

どうやらハカセはちゃんと「伝説の勇者」の一件で皆を騙していたことについて謝ることが出来たようですが、
それをネタにジョーに苛められているようです。
しかし、ハカセにしてみたら少しこれは納得できない。
そもそもジョーは最初からハカセが伝説の勇者だなどとは全然信じていなかったのだから、
厳密に言えば騙されていないのです。
騙されてもいないジョーに、騙していたことをネタにチクチクと嫌味を言われるのはハカセもやや解せません。

ハカセが一番申し訳ないと思っている相手は、むしろアイムと鎧でした。
ハカセはアイムと鎧に非難されるならいくらでも甘んじて受けるつもりではいました。
むしろ、そっちの方が怖いぐらいでした。
それほど、ハカセはアイムと鎧には酷いウソをついて騙していたのです。

ところが、ハカセがジョーに言った言葉を聞いて、アイムは食事の手を止めて
「・・・いいえ・・・ウソじゃありません!」とゆっくり首を振ります。
ハカセがえっという顔でアイムの方に振り向くと、アイムはニッコリ微笑んで
「だって、ハカセさんがいなければ、マーベラスさんを助けていただけなかったのですから・・・!」と言い、
横で鎧も食事を頬張りながら「だから!俺たちにとってドンさんは、本当の勇者です!」と笑顔で言葉を続けます。

2人は別にハカセに気を遣ってそう言ったわけではなく、
実際、ハカセがウソをついていたことなどどうでもいいことであったのです。
アイムや鎧はハカセが勇者であったら素敵だと思ってハカセの話を信じていただけだったからです。
つまり、2人はハカセが正直者であってほしかったわけではなく、ハカセが勇者であってほしかった。

そして、そのハカセの話に付き合っていたお蔭で、
ハカセの素敵な過去の話を聞くことが出来て、
ハカセがマーベラスを助けるために出来ることを全力でやり通したことも知ることが出来た。
その結果、2人は、本当の勇者とは、いつも通りの共に力を合わせて助け合う海賊仲間そのものであることに
気付くことが出来たのです。
だから、ハカセはもともと勇者だったのであり、

ハカセに勇者であって欲しいというアイムと鎧の願望は叶ったのです。
だから、ハカセは2人を裏切ってなどいないのであり、何ら気に病むことはないのです。
むしろ、ハカセだけでなく、マーベラスもジョーもルカも、アイムや鎧自身も、そしてナビィも、
誰でも全力で仲間を助けるために出来ることをやれば勇者になれるのだと教えてくれたハカセに、
アイムと鎧は感謝したいくらいでした。

しかし、ハカセは2人にそう言ってもらえて、嘘が少しは真実に変えられたような気がして少し安堵して、
「・・・ありがとう、アイム!・・・ありがとう、鎧・・・!」と笑顔で礼を言います。
そこに、ハカセが勇者と認められたのを聞きつけてマーベラスが面白がって
「勇者どの!おかわりだ!」とハカセをからかうようにおかわりをよそうように要求して空になった皿を差し出し、
続いて皆、口々に「俺も!」「あたしも!」「私もお願いします!」「モゴモゴ・・・」と皿を差し出すので、
勇者といっても結局いつもと同じように皆の世話係であることにウンザリしたハカセが
「もおお!ちょっとは勇者っぽく扱え!!」とキレて、今回は終わりとなります。

そして今回からEDテーマの映像が
来年1月21日公開の「ゴーカイジャーVSギャバン」の宣伝映像バージョンになっていました。
これが非常に面白そうです。
ギャバンやその変身者の一条寺烈(演じるのは大葉健二さん)が出てくるのは当然として、
佐野史郎は出てくるわ、スニークブラザースみたいな奴も出てくるわ、バトルケニアは出てくるわ、
ロボゴーグやモンス・ドレイクも出てくるわ、赤ギャバンVSギャバンもありそうだわ、
電子星獣ドルがガレオンや豪獣ドリルと一緒に飛んでるわ、これは劇場で見るのが楽しみで仕方ありません。

次回予告映像の後にも「ゴーカイジャーVSギャバン」の予告編がリニューアルされて、
前回までの超簡易版よりも、かなり映画内容に踏み込んだものになっていました。
大葉さんは「蒸着!」って言ってるし、
ガイアーク三大臣や風のシズカ、バンキュリア、ヤツデンワニみたいな奴らがチラリと映ったし、
最後は音の切れ目が変だわで、ますます楽しみで仕方なくなってしまいます。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:18 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月30日

第43話「伝説の勇者に」感想その4

さて、マーベラスの公開処刑場では、ダマラスによる先だっての処刑予告からしばしの時間が経過して、
遂に処刑の執行の時間となりました。
マーベラスの架けられた十字架の脇に立つ2人のドゴーミンに対して、
ダマラスは待ちかねたように「よし、始めろ!」と処刑執行を命じます。
すると、十字架上のマーベラスが「おい・・・忘れてねぇか?」と口を開きました。
マーベラスはダマラスを睨んで「・・・俺の仲間にはまだ・・・1人すげぇヤツが残ってる・・・!」と、
ゆっくりと落ち着いた薄笑いを浮かべて言います。
それはつまりハカセのことでした。

これは確かにマーベラスの本心です。
マーベラスはハカセの、どんなに困難な事態でも決して約束を破らない粘り強さに惚れ込んで
仲間に誘ったのですから、ハカセがこのまま夢を掴む旅を終わらせるはずがないと信じています。
だから、ハカセはきっと何か策を練って自分を助けに来るはずだと思っていました。
それに、もし万が一、自分がここで死んだとしても、ハカセ1人残っていれば、
きっと「宇宙最大のお宝」を掴む旅を引き継いでくれるはずだとも思っています。
そういう意味で、確かにマーベラスから見てハカセは凄いヤツでした。

ただ、ここでそれをあえてダマラスに向かって言ったのには、別の意味があります。
「宇宙最大のお宝」を狙うバスコの存在がある以上、このままではハカセに危害が及ぶ恐れが大きい。
そう思うと、やはりマーベラスはここで絶対に死ぬわけにはいかない。
生き残ってバスコの企みは阻止しなければならない。
だからマーベラスなりに知恵を絞ってダマラスを挑発して死刑執行を中止させようと画策しているのです。

自分の仲間には凄いヤツがまだ残っており、そいつを倒さない限り、マーベラス一味を倒したことにはならない。
そいつを倒すためには自分は人質として使えるのだから、ここで殺してしまったらお前は損をするぞ、と
マーベラスはダマラスの心を動揺させようとしているのです。
死刑を中止までは出来なくても、少しでもダマラスやアクドス・ギルを迷わせて時間を稼ぐことが出来れば、
ハカセが救出に来るという読みもありました。

しかし、ダマラスは「まさかあの軟弱な金髪のことか?」と、ハカセのことを思い出し、
「フフッ・・・ハハッ!クハッハッハッ!・・・笑いしか起きぬわ!」と嘲笑います。
さっきの戦いの場で、確かにハカセはダマラスの攻撃を喰らって腰を抜かしたりしていましたが、
それでもマーベラスのピンチを救うために何度も身を挺していました。
相手が自分よりも遥かに強いことが分かった上で、それでも必死で立ち向かってきたのです。
だから決してハカセは軟弱ではない。
しかし、ダマラスにはそうしたハカセが軟弱に見えるようです。

単に賞金額が安い小者だから、単に自分よりも遥かに弱いから、
それだけの理由でダマラスはハカセを全く無価値な存在だと見下して嘲笑い、
どうせ生きていても何も出来ない虫ケラだから、殺す価値も無いと思い、無視したのです。
だからダマラスはハカセを完全に警戒の対象外としており、
マーベラスの挑発は不発に終わってしまいました。

無駄話は無視してダマラスは「やれ!」とドゴーミンに再度命じ、
ドゴーミン2人は槍を突き出し、マーベラスの顔の前でその穂先を交差させます。
マーベラスはさすがに策は尽き果て、やはり自分はここまでだと観念し、
アカレッドが自分に旅の続きを託したように、自分も旅の続きはハカセに託すしかないと思い、
覚悟を決めて目を閉じます。

そのマーベラスの身体に向けて2人のドゴーミンが槍を突き立てようとして振り上げた瞬間、
静寂を破って銃声が轟き、ドゴーミン達が吹っ飛ばされたのでした。
「何事だぁ!?」というダマラスの怒号に我に返ったマーベラスが目を開き、驚いて前を見ると、
マーベラスの架かった十字架を見上げる広場を警備するゴーミン達がざわめく中を、
悠然と1人のコートを着た男が歩いてきます。
よく見ると、それはマーベラスと同じデザインの船長用のコートの緑色のものを羽織ったハカセでした。

「ハカセ!?」とマーベラスは驚愕します。
「うう!?」とダマラスも驚き、その少し離れた場所で見ていたバスコも、
「・・・これはまた予想外な・・・!?」と、さすがに意表をつかれた表情をしています。
ダマラスはさっき全く歯牙にもかけず嘲笑ったばかりのハカセが現れたので、やや決まりが悪く狼狽えています。
バスコもまさか臆病者のハカセがここに現れるとは思っていなかったようです。
バスコの場合、仲間の絆などというものは軽視したヤツですから、
ハカセが勝ち目も無いのにこんな場所に来るはずがないと思っていました。

しかしマーベラスの驚きはダマラスやバスコの驚きとは少し違います。
マーベラスはハカセが自分を助けに来るだろうとは思っていました。
しかし、ハカセのことだから何か仕掛けをして搦め手から攻めてくるだろうと思っていたのです。
それがこんな真正面から堂々と来たということがマーベラスには実に意外であり、驚きだったのです。
だが、何にせよ間一髪、ハカセはマーベラスの処刑前に間に合ったのであり、
さっきマーベラスがダマラスに挑発を仕掛けた時間も決して無駄にはならなかったわけです。

そのハカセですが、この緑色のコートはいったい何なのか?
見たところマーベラスの着ている赤コートと同じデザインの色違いのようですが、
まさか今回急造したとも思えず、もともとガレオンに置いてあったものなのでしょう。
となると、あるいは緑色だけではなく、ガレオンには同じデザインの海賊コートの
青色、黄色、桃色、銀色の各バージョンも置いてあるのかもしれません。
本当はゴーカイジャーにはああいういかにも海賊風のハーフコートのユニホームが各色あるが、
マーベラス以外は普段は着ていないのかもしれません。
つまり普段は着ない海賊の正装で、いかにも強そうな海賊っぽく見せるためにハカセは着てきたようです。

そうしてゴーカイサーベルを肩に担いで、もう片方の手で発砲後のゴーカイガンをクルクルッと回す仕草や姿勢は、
まるでマーベラスの真似をしているようです。
ハカセの意図はよく分からないものの、やけにハカセが自信満々の態度であるので、
マーベラスは「・・・カッコつけやがって!」と苦笑します。

そのハカセは確かにやけに自信満々で、
「ゴーカイジャーが6人いるってことを忘れたのか?ダマラス!」と不敵な笑いを浮かべて言い放ちます。
こういう快活で不遜な感じは、やはりどうもマーベラスを意識しているように見えます。
ところがハカセはここから奇妙にも、ゴーカイサーベルを片手で握って颯爽と前に突き出し
「僕こそ伝説の勇者!ドン・ドッゴイヤーだ!宇宙の悪はこの手で退治してやる!」と宣言してニヤリと笑うという、
不可解なパフォーマンスに出ます。

このハカセの姿に伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーの姿が
例のレジェンド回のオーバーラップ演出の如く重なるという演出までなされ、
まるでハカセの正体が本当に伝説の勇者であったかのような場面です。
しかし伝説の勇者はハカセが作った偽記事の中にしか存在しない完全に架空のキャラですから、
ハカセが実は伝説の勇者だったなどということは有り得ない。
となると、ハカセは自分の作った架空キャラの伝説の勇者になりきって戦おうとしているということになります。
ハカセがさっきナビィに言っていた「嘘を真実に変えてみせる」というのは、
つまり今から伝説の勇者となって戦うという意味であったということなのか?

しかしハカセには伝説の勇者としての無敵のパワーなどは無いのですから、
1人でダマラスに勝てるはずもない。
いや、仮にハカセが本当に伝説の勇者であったとしても、
宇宙最強といわれるダマラスに勝てる保証など無いのです。

するとハカセはダマラスに負ける可能性が高い。
もしハカセが負けてしまうならば、ハカセはさっきナビィに宣言したように
伝説の勇者であるという嘘を真実に変えることが出来るのか?
勝たなければ、結局は勇者であったというのは嘘だったということになるのかというと、
それがそうでもない。
そこらのゴーミン相手に負けてしまうようではお話にならないが、
宇宙最強のダマラスに負ける分には、伝説の勇者として戦えば、
それは伝説の勇者の敗北としてカッコはつきます。

ただ、ハカセは「僕たちの旅を終わらせない」にもナビィに宣言していますから、
負けてマーベラスを助け出せないのなら、やはり目的達成とはいかない。
つまりハカセはナビィへの宣言を履行するためには伝説の勇者としてダマラスと戦って、
なおかつ勝利しなければいけない。
しかし本当は伝説の勇者などではないハカセには到底そんなことは無理であるように見えます。
結局はハカセの行動は無謀な突撃にしか見えない。

ただ、しいて策があるとするなら、伝説の勇者というハッタリをかますことで
ダマラスを怯ませて何らかの状況変化を生み出すということです。
確かに、伝説の勇者が完全にハカセの創作した架空ヒーローだということを知っているのは
ハカセとナビィだけですから、
ハカセがあくまで自分が伝説の勇者だと言い張るのなら、この場に居る者達は、
もしかしたら本当にハカセは伝説の勇者なのかもしれないと思ってくれるかもしれない。
そうすればもしかしたらハカセを警戒してこの場は退いてくれるかもしれない。

つまり、嘘話に過ぎない伝説の勇者になりきってハッタリを押し通して、
それを真実であるかのように思わせてしまおうというのがハカセの策であり、
それが「嘘を真実に変える」ということと「旅を終わらせない」という両方を叶える方法のように思えます。

しかしダマラスもハカセが伝説の勇者だなどと名乗ったからといって、
そんなことで全く脅威は感じていません。
相手が伝説の勇者だろうが何だろうが、自分こそ宇宙最強と自負しているダマラスには
危機感を覚えさせる効果は無いのです。
いや、そもそもダマラスはハカセのことは完全に弱っちい奴だと舐めきっていますので、
ハカセが伝説の勇者だなどと言われても、そんなことがあるはずがないと決めつけており、
ハカセのハッタリを全く信じていません。
ダマラスはハカセを見下ろして「・・・せっかく見逃してやったものを!貴様ごときに何が出来る!?」と、
全くハカセのハッタリに動じることなく、ハカセのことを小者扱いしたままです。

ハッタリ作戦はダマラスには通じていない。
それは明白であるのですが、それでもハカセはキッとダマラスを睨み返して
「出来ることが出来るんだ!!」と怒鳴り返します。
ハカセの意思も全く揺らいではいません。
「出来ることをやってくれ」というマーベラスの言葉に応えたかのようなハカセのセリフです。

ハカセが今の自分に出来ることは何なのかと考えた時、
仲間に自分が伝説の勇者だったのだという嘘をついて騙していたことを思い出し、
自分には嘘をつくことが出来ると思い至ったのでしょう。
戦ってダマラスを倒すことは出来ないが、とことん嘘を真実であるかのように貫き通して、
騙しとおしてハッタリをかませば、ダマラスを迷わせ状況を動かすことが出来る。
それが今の自分に出来ることであり、それをとにかく全力でやるのみだと、
ハカセの意思は固まっているように見えます。

しかしダマラスにはそんなハッタリすら届いていないので、
ハカセの行動は無謀な玉砕戦法にしか見えない。
「やれ!」と冷たくゴーミン達に指令を発してハカセを血祭りに上げようとします。
そして同時にマーベラスの処刑を執行してしまうことも可能でしたが、
ダマラスはあえてマーベラスの処刑を執行せず、
ハカセが血祭りに上げられるのをマーベラスに見せてやろうとしました。

それはマーベラスの公開処刑を見せつけることで地球人たちに絶望感を植え付けるためには、
処刑の中継は厳粛な空気の中で行われなければならないのであって、
ハカセとゴーミン達が戦っている喧騒の中で処刑を執行するわけにはいかないからでした。
まずはハカセを片付けてからマーベラスの処刑という段取りにならざるを得ない。
それに、ダマラスがマーベラスに対する個人的憎悪が強すぎたゆえ、
目の前で自分を助けに来た仲間が無残に殺される姿を見せつけてマーベラスに深い絶望感を与えて、
その後でマーベラスを殺してやりたいとも思ったのでした。

こうして十字架に磔になったマーベラスとダマラスが見下ろす広場で、
ハカセとゴーミン軍団との戦いが始まりました。
なお、このシーン、やたら渋いボーカル曲がBGMでかかっていますが、
「海賊(つわもの)たち 〜宇宙海賊のテーマ〜」という宮内タカユキ氏の唄う劇中挿入歌でした。
なんとも普段のハカセとはイメージの違う渋い男臭い曲です。

ハカセは「はっ!はっ!」と剣を振るい、銃を撃ちまくり、
時にはハカセらしいトリッキーなアクションも交えつつ、ゴーミン達の群れを突き抜けて、
マーベラスの十字架目がけて突き進んでいきます。
ここのアクション、生身でやってるんですが、大したものです。

だが、とにかくゴーミンの数が今回は非常に多く、
ハカセ1人で一直線に突破するのは、さすがに困難です。
それは明白なのですが、ハカセとしてもここは伝説の勇者になりきらねばならない場面ですから、
いつものように怯えて逃げ回ったりするような妙な動きを見せるわけにはいかない。
正面突破しかないのです。

すると案の定、ゴーミンの分厚い群れにハカセの突進は止められて、
ハカセは脚をとられて「おああああ!?」とひっくり返され、大きく宙を舞います。
そして広場に置いてあるテーブルに激突して地面に落下しますが、
すぐさまゴーカイガンで反撃、周囲のゴーミン達を蹴散らします。
が、更にその外を包囲したゴーミン達が銃撃してくる中、
ハカセは「豪快チェンジ!」とゴーカイグリーンに変身し、「あああああ!!」と突撃を再開、
またマーベラスの十字架目がけて中央突破を試みます。

これでまた奮戦していくらか進みますが、結局またゴーミンの群れに阻まれて
「うわあああ!」と吹っ飛び、段ボール箱の山に落下したハカセは
今度はギンガグリーンに豪快チェンジして、迫ってくるゴーミンの群れに突っ込み、
見事なアニマルアクションでゴーミン達を薙ぎ倒していきます。

あくまで諦めないハカセの素晴らしい敢闘精神ですが、
それを見下ろしてダマラスは「フン・・・!」と鼻で笑います。
ダマラスから見れば、確かにハカセは小者の割には予想外に頑張っているようだとは思えましたが、
それでもまだまだゴーミンの包囲網は分厚く、今にハカセの力は尽きるはずだと見ていたのです。

一方、十字架上のマーベラスにもハカセの意図はよく分からず
「ハカセ・・・どうするつもりだ・・・?」と困惑します。
このまま1人で真っ直ぐ突っ込んできてゴーミンの群れを突破するのは難しそうであるし、
もしそれを突破出来たとしても、まだドゴーミンもダマラスも、そしてバスコまでこの場には居るのです。
どう考えてもハカセ1人で何とかなるとは思えない。
ハカセのことだから何か策があるのだろうとは思いましたが、
ハカセの戦いぶりがいつもでは考えられないぐらいに素晴らしいので、
逆に、何だか大真面目に正面突破を図っているようにも見えてマーベラスは不安が募りました。
確かに今回のハカセは素晴らしく動きがいいが、
この程度ではダマラスやバスコには通じないということは、マーベラスにはよく分かるからです。

しかも更に不可解だったのは、ハカセが口走った「伝説の勇者」というフレーズでした。
あれはどう考えてもハカセの嘘話だろうとマーベラスは思っていましたから、
完全にハッタリだということは分かりました。
あるいはハッタリでダマラスをビビらせようという作戦かもしれないともマーベラスは思いましたが、
ダマラスにそんなハッタリが通用するとは到底思えない。
そんな程度の事もハカセは読めないのかと思い、
マーベラスはハカセの状態が普通ではないのではないかと心配になります。

しかしハカセはマーベラスの心配をよそに「豪快チェンジ!」と、今度はマジグリーンに変身し、
「ジー・マジカ!」とエレメントパワーの強化呪文を唱えて、
地面から植物を伸ばしてコンクリートを割って突き出した蔦でゴーミン達の足を縛り、
身動き出来なくするグリーンバインドという魔法技を使います。
これで動けなくなったゴーミン達をハカセはマジスティックアックスで薙ぎ倒していきます。
非常に上手い戦い方です。

さて今回のハカセの豪快チェンジのコンセプトですが、
今回はハカセはいつものようなミソッカスではなく、頼り甲斐のあるキャラというスタンスですから、
歴代のグリーン戦士の中でもチーム内の年長のリーダー的ポジションだった戦士をチョイスした
豪快チェンジになっているようです。

ギンガグリーンのハヤテはギンガマンのサブリーダーでしたが、
リーダーのリョウマが当初は未熟者だったので、
当初は実質的にギンガマンを冷静にまとめていたのはハヤテでした。
そしてマジグリーンの小津蒔人はマジレンジャー小津兄妹の長男で、マジレンジャーのリーダーでした。

また、なんといっても今回はハカセは「伝説の勇者」になりきって戦っていますから、
「伝説の勇者」繋がりでギンガグリーンとマジグリーンが選ばれたのでしょう。
ギンガマンは言うまでもなく、3000年前に地球を守った伝説の勇者たちの後継者である伝説の戦士たちであり、
マジレンジャーは強化形態としてマジトピアに伝わる伝説の戦士である
レジェンド・マジレンジャーに変身することが出来ます。

さて、見事な戦いぶりを見せるハカセですが、
だからといってハカセが伝説の勇者だなどというハッタリは、この場にいる誰ひとり信じてはいません。
だから誰もハカセに恐れをなすわけでもなく、じわじわと包囲網は狭まっていきます。

しかしダマラスの方も次第にじりじりとしてきて「うう・・・」と呻きます。
予想以上にハカセを片付けるのに手間がかかりすぎていたのです。
ダマラスはハカセを取るに足りない小者と舐めきっていたので、
あっという間にハカセを血祭りに上げてマーベラスを絶望のドン底に突き落とし、
そのまま一気に公開処刑を執行しようとしていました。
しかし、皇帝アクドス・ギルの定めた公開処刑の予定時間はかなり過ぎてしまいました。
ダマラスは皇帝に見損なわれるのを恐れてイライラしてきました。
それに、あまりにハカセが健闘してしまっては、
たとえハカセを倒してもマーベラスに大した絶望感を与えられない。

どうも目算が狂ってきたことにダマラスは苛立ちます。
そもそもハカセが現れたところからダマラスの予想外の出来事なのです。
そこからどうにも目算が狂ってきている。
どうして弱っちいクセにハカセは無謀な戦いを挑んできたのか?
弱いヤツは怯えて隠れていればいいものを、余計なマネをしてくれたものだと
ダマラスはイライラしてきました。

すると、そこに横からバスコが
「これは意表を突かれたね!・・・何か策でもあるかと思ったら、真面目に正面突破する気みたいよ?」と、
ダマラスの焦燥を見透かして揶揄するように声をかけてきました。
確かにダマラスはハカセの行動に意表を突かれっぱなしでした。
ハカセのハッタリ作戦は奏功していないように見えますが、
それでもダマラスのさっさと公開処刑をしてしまおうとしていた作戦は
ハカセの行動によって阻まれてしまっています。
つまり、ダマラスの策はハカセの策に負けている。
やはりダマラスは軍師としては所詮は三流なのです。
バスコはそこを揶揄している。

同時にハカセの無謀無策な正面突破もバスコは揶揄していますが、
内心ではバスコは本当にハカセが無策なのか疑わしいとは思っています。
ただ、よく分からない。
見た感じ、やはり無策な正面突破のように思える。
ただ、ハカセの意図はともかく、バスコとしては
この「ハカセが正面突破を図っているように見える」状況は利用できると思ったのです。

ダマラスの頭の悪さを揶揄しておいて、ハカセが正面突破を図っているようだと伝えれば、
ダマラスはきっと激昂して下に降りてハカセを斬るはずだとバスコは思ったのでした。
何故なら、ハカセが大真面目に正面突破を図っているということは、ダマラスを舐めているということだからです。
ハカセが本当にダマラスを舐めているのか、それとも何か策があるのか、
そんなことはバスコにはどうでもよかった。
とにかくハカセがダマラスを舐めて正面突破を図っているようだとダマラスに吹き込めば、
ハカセのことを見下しているダマラスはきっとプライドを傷つけられて激昂するに決まっている。
その前に軍師としての無能ぶりを揶揄してやれば、
ますますダマラスは自分の剣で事態の収拾を図ろうとするに違いない。
そうしてダマラスを煽ってハカセを斬りに行かせれば、ハカセは斬られて死ぬかもしれないが、
その間に自分はマーベラスを十字架から解放することが出来るとバスコは思ったのです。

自分に対して殺意満々のマーベラスを解放することはバスコにも危険なことでしたが、
この周囲敵だらけの状況ではマーベラスも自分自身を守って逃げることを優先せざるを得ないだろうし、
それにまだバスコには隠し玉がありました。
とにかく今マーベラスに死なれてしまっては困るので、
バスコは何とかしてマーベラスの処刑を阻止してマーベラスを逃がすチャンスを窺っていたのですが、
予想外に現れたハカセが上手くそのチャンスを作ってくれた。
バスコはハカセの作った混乱を上手く利用することにしたのでした。

一方、十字架上のマーベラスは十字架脇でのバスコとダマラスの遣り取りを聞いて、危機感を覚えました。
今までハカセの相手がゴーミンだけに限定されていたのは、
ダマラスがまだハカセに何か策があるのではないかと警戒しているからだとマーベラスは解釈していました。
それでダマラスが用心して十字架脇から離れないから、まだハカセは無事でいられる。
ところがハカセに何の策も無いことをバスコに見抜かれてしまった。
ハカセに策が無いことを知れば、ダマラスはすぐにでも下の広場に降りてハカセを斬り捨てるだろう。
そう思ったマーベラスはハカセに危険を知らせなければいけないと思い、
「ハカセ!!いくらなんでも1人で正面から突っ込むのは無茶だ!!」と大声で叫びます。

ところが下でゴーミン達と戦いながらそれを聞いたハカセは
「何言ってるの!僕は6人の海賊の中でも伝説の勇者!ドン・ドッゴイヤーだよ!」とヘラヘラ笑って余裕綽々です。
あくまでハカセは伝説の勇者だというハッタリを押し通すつもりであるようです。
それを聞いてマーベラスは、まだそんなハッタリが通じるとでも思っているのかと
ハカセに対して呆れ果て、思わずハカセに対してイラッとします。
身体が自由に動けるものならハカセの傍に行ってぶん殴ってやりたい衝動にかられたマーベラスは、
ハッとそこで重大なことに気付きました。

一方、そのハカセの言葉を聞いて、ダマラスは遂にブチ切れました。
自分の無策が招いた膠着状態にイライラしていたところに、
バスコからハカセがダマラスを舐めて正面突破を仕掛けてきたと聞かされて、
弱い小者の分際で宇宙最強の武人である自分を舐めるなど、思い上がりも甚だしいと、
ダマラスはかなりハカセに対してカッカきていました。

そもそもマーベラス一味の連中は弱いクセに自分をコケにし続けてきた。
ダマラスはそう思い込んでおり、そのことがダマラスは一番許せなかったのです。
だから、その一味の中で一番の小者に舐められたとあっては、
ダマラスにとっては、それは一番許し難いことであったのです。

そこに更に追い打ちをかけるように、
せっかくマーベラスが正面突破が危険だと忠告しているのに、
伝説の勇者の自分はダマラスなど問題にしないほど強いと言いたげな
ハカセの舐めきった態度を目の前で見せられて、ダマラスの怒りは限界点を超えてしまいました。
というより、目に前でここまでコケにされて、何もしないわけにはいかない状況となってしまったのです。

ダマラスは「ええい!いつまで遊んでおる!!」と怒鳴り声を上げて下の広場に飛び降りると、
ハカセと交戦するゴーミンを張り飛ばして
「どけ!この私がやる!」と殺気立ってハカセの前に進み出ます。
ハカセは「ああっ・・・!」と焦って後ずさりします。

一方、ダマラスが飛び降りたことによって、マーベラスの十字架の傍にはバスコとサリーだけが残っていました。
マーベラスはハカセがダマラスに追い詰められるのを見下ろして息を呑みますが、
その瞬間、マーベラスの背後で「今だ!」という小さな声がしました。
十字架にマーベラスの腕を縛り付けている鎖を断ち切ろうとしていたのは、
バスコ・・・ではなく、なんとナビィでした。
ナビィがその金属製の嘴を使って鎖を断ち切っています。
ハッとして振り返ってそれを見て、マーベラスは「鳥・・・!」と驚きます。

では、バスコはどうしていたのかというと、
ナビィが現れて一瞬驚いてナビィを見ましたが、すぐにニヤリと笑って顔を背けて、
ナビィの出現に気付いていないフリをしたのでした。
バスコはここでナビィが現れてマーベラスを助けるとは予想していなかったようで、一瞬驚いたのですが、
それならそれで好都合だと思って、気付いていないフリをしてやり過ごすことにしたのです。
一応バスコはマーベラスやナビィから見ればダマラス側の人間でしたから、
バスコがナビィの存在に気付いたことがマーベラスに分かってしまうと、
むしろナビィの作業を止めてしまう恐れがあったので、それでバスコは気付いていないフリをしたのでした。

いや、もともとバスコはマーベラスを助けようとしていたのですから、
ここはナビィに手を貸してもよかったはずですが、
バスコはどうせナビィがマーベラスを助けるのならば、
自分はまだダマラス側についている形は保っておいた方が何かと便利だと判断したのでした。

十字架のあたりでナビィが秘かにマーベラスの鎖を断ち切り、
バスコがそれに気付いていないフリをして黙認しているうちに、
下の広場の方ではハカセがダマラスに圧倒されていました。
斬り倒されて「わああ!」と倒れ込み、遂に変身まで解けてしまったハカセに向かって、
ダマラスは「貴様など、所詮相手ではない!一足先に地獄へ行け!!」と、
剣を振り下ろしてトドメを刺そうとします。

その瞬間、それを遮るように「させるかぁっ!!」と叫んでマーベラスが十字架のあった上の方から飛び出します。
マーベラスはナビィによって十字架の鎖を解き放たれて自由の身となり、
羽ばたくナビィに掴まってダマラスを飛び越えると、
ハカセの傍に着地して、ハカセを助け起こします。

ダマラスはどうして十字架に縛っていたはずのマーベラスが目の前に飛び出してきたのか理解が出来ず
「おお!?・・・き、貴様ぁっ!?」と混乱しました。
すると、ダマラスを小馬鹿にしたようにニヤニヤ笑いながら立ち上がったハカセは
「ゴーカイジャーには7人目の戦士もいるんだよ!」と言います。
そのハカセの前にナビィが飛んできて「そういうこと!じゃあね!バイバ〜イ!」と得意げに言ってから、
そそくさと逃げていきます。

「うう!」とダマラスは自分がまんまとハカセの作戦に引っ掛かっていたことを悟りました。
ハカセは正面突破を図ると見せかけてダマラスを自分に引きつけ、
その間にナビィがマーベラスの鎖を断ち切って救出する作戦であったのです。

ダマラスはナビィの存在を知らなかった。
いや、マーベラス一味とザンギャックとの戦闘時にナビィが登場したことも過去にはありましたから、
ナビィの存在自体はダマラスは調べれば簡単に分かったはずです。
しかしダマラスは強さでしか敵の価値を測ることが出来ない男であるので、
完全戦力外で賞金首にもなっていないナビィについては完全にノーマークだったのです。
それでハカセがマーベラス一味の最後の1人だと思い込んでしまい、
ハカセが正面から突っ込んできている以上、搦め手から別の敵が現れるという想定を完全に消してしまったのです。

しかしナビィは実際はれっきとした7人目の海賊でした。
確かに戦う力は無い、ハカセよりも更に弱い存在でしたが、
それでもナビィはハカセが落ち込んで動けなかった時でさえ、
たった1人でもマーベラスを助けるために自分の出来ることに全力で取り組んでいました。
弱くても出来る事を全力でやって補い合う、これが海賊なのです。
となると、あるいはナビィが最も海賊らしい海賊なのかもしれない。
それゆえ、海賊というものを理解できない、強さだけしか価値を認めないダマラスやザンギャックは、
ハカセを侮り、ナビィのマークを外してしまったのです。
すなわち、この作戦においては、海賊の精神が宇宙帝国の精神を凌駕したのです。

しかし、ダマラスをまんまとハカセの傍におびき寄せることに成功したのは、
ハカセの仕掛けが功を奏したからでした。
その仕掛けというのが「伝説の勇者」というハッタリでした。
といっても、そんなハッタリがダマラスに通用するとはハカセも思ってはいませんでした。
そんなハッタリはすぐに見破られることは分かっていたのです。
むしろ、ハカセが狙っていたのは、その見え透いたハッタリをしつこく唱え続けるハカセに対する
ダマラスの不快感が増幅することだったのです。

カッコつけて海賊コートを着て不敵な態度を通したのも、正面突破にこだわったのも、
自分を強く見せるためではありませんでした。
逆に、既に弱い臆病者だということがバレているハカセがそうしてひたすらカッコつけて
ハッタリをかましてダマラスをコケにし続ける、
そうして道化を演じ続けることによって、
ダマラスはハカセのことを見下げ果てた愚か者だと見なして警戒を解いていく。
その上でダマラスの繰り出す兵達を相手に持久戦に持ち込むことが出来れば、
不快感に耐えられなくなったダマラスは自分の手でハカセの息の根を止めようとして
マーベラスの傍を離れる。
ハカセにとっても危険な作戦でしたが、その時をハカセは狙い、誘導したのです。
そうして出来たダマラスの隙を突いてナビィが飛び込んできてマーベラスを助け出したわけです。

つまりハカセの言っていた「嘘を真実に変える」というのは、
見え透いた嘘を真実だと主張し続ける道化を演じ続けるということであったのでした。
しかし、嘘から始まったバカみたいな行動でも、かつてマーベラス達との出会いの時、
ハカセはそれに全力に取り組むことによって真実の絆を繋ぐことが出来て、夢を掴む旅を始めることが出来たのです。
だから今回だって嘘から始まった道化みたいなみっともない行動を全力で行えば、
それを突破口として、再びマーベラスとの絆が繋がり、夢を掴む旅を続けることが出来るはずだと
ハカセは思えたのです。
それは確実にハカセによって「出来ること」だったからです。
出来ることだけを全力でやって、ハカセは見事にマーベラスを助けたのでした。

マーベラスも、最初はハカセの意図が分からなかったのですが、
正面突破が無理だという自分の忠告にハカセがヘラヘラと対応して、
相変わらず伝説の勇者だなどとバカなハッタリをかますのを聞いて怒りを覚えた瞬間、
ハカセの意図を理解したのです。
味方の自分がこんなにイラつくのですから、
さぞや敵のダマラスはこのハカセのふざけた態度にイライラしているはずだとマーベラスは気付きました。

つまり、このハカセの意味不明な行動は、わざと愚かな行動をとってダマラスの軽蔑を誘い、
その上でダマラスを怒らせて、ハカセのところに引きつけ、
自分のもとから遠ざけようとする行動なのだと、マーベラスは閃きました。
その一瞬後にダマラスはハカセの方に飛び降りていき、
同時にナビィがマーベラスのところに飛び込んできたので、
マーベラスはそういうことだったのかと、すぐに納得がいったのでした。

「・・・ま、ヤツを油断させるには良い作戦だったぜ!」と、腕組みをしてマーベラスは横に立つハカセを褒めます。
しかし内心ではヒヤヒヤものの作戦だったとも思っています。
あのナビィが飛び込んできた時、まだバスコが近くにいたのです。
バスコが幸いにも気付いていなかったから作戦は上手くいったが、
もしバスコが気付いていれば作戦は失敗して、自分もハカセもやられていたはずだと、
マーベラスは内心胸を撫で下ろしていました。

だが、とにかくこうしてハカセの作戦が成功した以上は、これで一気に形勢は逆転だとマーベラスは思いました。
マーベラスは成功直前まで自分も気付かなかったハカセの作戦は
明らかにダマラスの上をいっていると感心したのです。
どうやら、さっきの戦いはダマラスに急襲されたから逃げ惑うばかりだったが、
今回はハカセは周到な作戦を立てて臨んでいるようだ。
だからきっと今回は勝てるとマーベラスは確信し、腕組みしたままふんぞり返って
「・・・で、次は?」とハカセに問いかけます。
次の策が当然あるはずだが、そこで自分は何をすればいいのか、聞いておかねばならないと思ったのでした。

ところがハカセはマーベラスと同じように腕組みをしてふんぞり返り「・・・無い!」とキッパリ言います。
マーベラスは一瞬、耳を疑い、ハカセの方を振り返り「はあああ!?」と驚いて叫びました。
作戦はここまでで終わりって・・・だったら、何の策も無く、たった2人でダマラスと戦うという、
さっきコテンパンにやられた時と同じじゃないかと、マーベラスは愕然としました。

いや、今回はゴーミン軍団もいるし、バスコもジョー達の相手をしなくていいから戦いには加わってくるので、
敵はさっきよりも強力です。
それにさっきはマーベラスは変身して戦えたから、さっきの方がよほど状況はマシです。
今はモバイレーツとレンジャーキーを気絶している間に誰かに取られてしまっていて、
マーベラスは変身出来ないのです。
これじゃ勝負にならないとマーベラスは唖然としました。

しかしハカセは生き生きとした笑顔です。
作戦が成功して、やはり海賊はどんなに弱くてもカッコ悪くても、出来ることを全力でやれば、
互いのピンチを救って、助け合って道を切り開いていくことが出来るのだと再確認したのです。
だから、確かにここもピンチだけど、今までも海賊をやっている限りピンチの連続だったはずで、
互いに出来ることをやって切り抜けてきたはず。
だから、ここもきっと出来ることをやって補い合えば切り抜けられるはずだと、ハカセは確信出来ています。

「僕は出来ることをやった!次はマーベラスの番だ!」とハカセは力強く、
マーベラスにゴーカイガンとゴーカイサーベルを差し出します。
ハカセが使っていたのはマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルでした。
初めてマーベラスと武器交換して戦った時に得た確信、
すなわち、力を1つに合わせればより大きな力が生み出せるという確信を支えにハカセは戦っていたのです。

その確信が込められた武器をハカセに差し出され、マーベラスは黙ってそれらを受け取って考えます。
そういえば、自分はさっきのダマラスとの戦いの時、
ハカセの力ではダマラスには太刀打ちできないと考えて、ハカセを戦わせないようにして、
自分1人で戦おうとしていた。
つまりハカセを弱いと見なして、ハカセの助けを期待しないで戦ったのです。
しかし、それは出来ることを出来るヤツが全力でやって補い合う海賊の戦い方ではなかった。
海賊の戦い方を忘れて、一人相撲をとってしまっていたのです。

それじゃあ手も足も出ないわけだとマーベラスは思いました。
海賊が海賊の戦い方を忘れちゃあ、宇宙最強の男に勝てるわけがない。
いや、そのダマラスの「宇宙最強」という肩書に惑わされて浮き足立って、
海賊としての戦い方が出来ていなかったのです。
そしてそれは自分だけじゃない。ジョー達もみんな、浮足立ってバラバラの戦い方になってしまっていた。
バスコはともかく、サリーにまで押し込まれていたのはそのせいだと、
マーベラスはようやくさっきの戦いの真の敗因がハカセのお蔭で分かったのでした。

ハカセに海賊の戦い方を改めて教えられるとは思わなかった・・・と思いつつ、
マーベラスはハカセからゴーカイガンとゴーカイサーベルを受け取り、
「・・・へっ!こうなったら、いけるとこまで派手にいくかぁっ!!」と気合を入れて構えます。
海賊の戦い方を想い出した以上、たとえ変身出来なくても、
ハカセと2人、さっきよりはよほどマトモに戦えそうだとマーベラスは思いました。

だが、それでもダマラスに勝つことは容易ではないということは、
さっき戦ってみてダマラスの圧倒的な強さを知っているマーベラスの実感でもありました。
それでも、海賊としての戦い方を貫けば、何か突破口が見つかるかもしれない。
見つからなかったら、いけるところまでいって、派手に散るしかない。
覚悟を決めたマーベラスとハカセは互いの銃と剣を構えてダマラスに立ち向かいます。
ダマラスも「やれ!」とゴーミン達を突っ込ませ、戦闘再開・・・という瞬間、
突然広場に複数の銃声が響く中、ゴーミン達がバタバタと倒れます。

「おお!?」と驚いたダマラスは銃弾の飛んできた方向を見る。
マーベラスとハカセも驚いて、同じ方向を見ます。
すると、そこには4人の人影が立っていました。

銃を下ろして「俺たちも混ぜてもらっていいか?」と言ったのはジョーであり、
その向かって右では同じく銃を下ろしてニヤリとルカが笑っています。
左橋では鎧が「マーベラスさん!ドンさん!」と笑顔で立っています。
そして鎧の向かって右ではアイムが「お待たせいたしました!」と、いつものように丁寧に言います。

マーベラスは唖然として「・・・お前ら!?」と戸惑います。
確か、4人はバスコの剣の発した炎に呑まれて死んだはずでした。
それがどうしてここに現れて自分達のピンチを救ってくれたのか、
いったい何がどうなっているのか分かりませんでした。

一方、ハカセは「みんな〜!」と喜びが込み上げてきて駆け出します。
マーベラスも一緒に駆け出し、2人はジョー達の前に駆け込み、
ハカセは「生きてたんだね!良かったぁ〜!」と安堵した表情で喜びます。
事情はよく分からなかったが、とにかくこれで皆に嘘をついていたことを謝ることが出来るし、
これからも皆と一緒に旅を続けることも出来るのですから、
ハカセにとってこんなに嬉しいことはありませんでした。
一向に事態の呑み込めないマーベラスでしたが、ハカセが素直に喜ぶ姿を見て、
マーベラス自身も心の底から喜びが込み上がってきて、4人を感慨深く見つめます。

そうして感動の再会を果たした6人を少し離れて睨みつけながら、
「ううう・・・何故だああ!?・・・そんな・・・バカなぁっ!?」と、
ダマラスは何がどうなっているのかサッパリ分からず混乱して喚き散らします。
さっきから想定外の連続で既に混乱しきっていたダマラスの頭には、
この4人の登場は完全にトドメの大きな衝撃であったようで、冷静な思考力がほとんど失われてしまっていました。

それほどジョー達4人の登場は予想外だったのです。
この4人はバスコが始末したはずなのです。
それをダマラスもその場で目撃していた。
確かに4人はバスコの剣が発した炎の中で燃え尽きたはずでした。
それがどうしてほとんど無傷で現れることが出来るのか、ダマラスにはさっぱり分かりませんでした。

そのダマラスの疑問に答えたのは、ルカでした。
「悔しいけど・・・そっちの仲間割れのお蔭よ!」と、ルカが説明した事の顛末は、
ジョー達4人がバスコの技を喰らい、その剣が発した炎に囲まれた瞬間、
炎が4人を呑む直前にサリーが飛び込んできて4人を助け出し、そのまま瞬時に少し離れた路地裏に
4人を連れて行って横たえ(ちなみにこの場面、鎧の降ろし方だけヒドくて笑える)、
ダメージを受けて動けない4人を置き去りにして去っていったというものでした。
4人はダメージが回復してようやく動けるようになり、それからマーベラスの公開処刑の件を知って、
慌ててこの場に駆けつけたという次第でした。

その話を聞いてダマラスは「なにぃっ!?」と仰天します。
サリーがジョー達を助けたということは、それはバスコの命令ということになる。
そのダマラスが驚愕した一瞬の隙をついて何かがダマラスの背後にいきなり飛び込んできて、
驚いたダマラスが反応しようとするより一瞬早く、
その何かは「はああっ!!」と気合を発してダマラスの背に深々と剣を突き刺したのでした。
「ぐおっ・・・!!」と苦悶の声を上げるダマラスの背後で剣を突き立てた者の姿を見て、マーベラス達は驚きました。
それはバスコだったのです。

バスコはもともとマーベラス一味を殺されるわけにはいかないと思っていたので、
ジョー達を倒したように見せかけてサリーを使って助けだしておき、
その後、マーベラスの公開処刑が決まると、これをチャンスと判断して、
処刑を阻止してマーベラスを何とか逃がすために、公開処刑会場に上手く入り込んでいたのですが、
ダマラスがいる以上、マーベラスを助ける隙は見出せなくて困っていました。

そこでバスコは命を助けておいたジョー達がマーベラスを助けに乗り込んでくるだろうと予想し、
そこで生じた混乱の隙にマーベラスを助けようと考えていました。
ところがジョー達の回復に時間がかかり、処刑開始の時刻になってもまだジョー達が現れないので、
何らかの手段で処刑開始を遅らせる手を打って時間稼ぎをしなければいけないとバスコが苦慮しているところに、
予想外にハカセが1人で現れたのでした。

それでとにかく処刑開始が遅れて、意外にハカセが善戦するのを見て
バスコはダマラスを挑発してハカセのもとに行かせて、その隙にマーベラスを助けようと画策しました。
ところがダマラスが狙い通りにハカセのもとへ行った瞬間、
今度はナビィが現れてマーベラスを救出にかかったので、バスコはそれを気付かないフリをしてやり過ごし、
マーベラスの救出を黙認すると同時に、
ダマラス側に身を置くフリを続けてダマラスを油断させておくことにしたのです。

それは、たとえマーベラスが自由の身になったとしても、
ハカセと2人、あるいはジョー達も加わったところでダマラスに勝つことは難しいと予想されたので、
このまま自分が一切ダマラスを裏切らずにマーベラスが救出されるのなら、
そのまま味方のフリをして油断させて、いっそダマラスが最も焦って隙だらけになった瞬間を狙って
不意打ちで謀殺することが出来ると読んだのです。

そして、まさにその瞬間である、隠し玉であるジョー達の出現という混乱、
そしてそこで必然的に導き出される自分の裏切りの発覚という最高の混沌の瞬間を狙って
バスコは飛び込んできてダマラスの急所を刺し貫いたのでした。

「バスコ・・・裏切ったのかぁ・・・!?」と、背後のバスコに向かって苦しげに呻くダマラスの言葉を聞いて、
バスコは裏切りとは片腹痛いと思いました。
もともとバスコはマーベラス一味の抹殺については協力したくないと言っている。
それをダマラスは力づくで押さえ込んで従わせていただけだ。
だからバスコとダマラスの間に信頼関係などあるはずがなく、
ダマラスの従わせる力が緩んだと見れば、自分のやりたいように振る舞うのはバスコとしては当然の行動です。
そういう行為は裏切りとはいわない。

「言ったろぉ?そいつらを生かしておくには事情があるって!
宇宙最大のお宝を手に入れるには、そいつらの力が必要なんだよ!」とバスコは、
さっきダマラスと遭遇した時に言ったことと同じことを言って、
自分は終始一貫何も変わっていないのであり、これは変節や裏切りではないと嘯きます。

いや、バスコはここでさっきよりも一歩踏み込んだ発言をしています。
宇宙最大のお宝を手に入れるためにマーベラス一味の力が必要だから生かしているのだと、
さっきは渋って言わなかったことを口にしているのです。
その内容については後で考察するとして、
この期に及んでそれを言うということは、
バスコにとってはもはやダマラスにそれを言っても大丈夫という判断があるのでしょう。
つまり、バスコはこの一突きでダマラスは仕留めたと思っている。
死にゆく者に冥途の土産として聞かせてやっているのです。

ダマラスもバスコが自分を殺そうとしていると悟り、最初から裏切るつもりであったことも悟り、
「・・・おのれぇ・・・!」と悔しがります。
しかし、実際、確かにこれはバスコの言うように「裏切り」ではなく、
力で他人を支配していた者が力に溺れて自滅して淘汰されたに過ぎない。

「油断は禁物だよ!オッサン!」と言いながらバスコはダマラスの身体を掴んで、
更に剣を抉ってダマラス息の根を止めにかかります。
そしてハカセの方をチラリと見ながら
「宇宙で一番強いなんて思ってるから、あんな弱っちいヤツに一杯喰わせられるんだ・・・!」と揶揄します。

つまり、ダマラスの敗因は、あまりに自分の強さを誇り、ザンギャックの強さを誇る余り、
この世は力が全てであり、強い者にだけ価値があり、弱い者には価値が無いと決めつけたため、
弱い者を甘く見過ぎたことにあるのです。

確かに弱い者にはダマラスを倒す力は無い。しかし、それでも全く無力ではない。
何かに全力で取り組めば、宇宙最強のダマラスを数歩でも動かすことぐらいは出来る。
その弱い者達が互いの足りない部分を補い合って連係してダマラスに攻撃を仕掛ければ、
その効果は増幅し、ダマラスに大きな隙を作ることだって出来る。
そして、そこを突いてダマラスを倒すことだって出来るのです。

そのように弱い者だって力を合わせれば十分な脅威になり得る。
しかし、自分があまりに強すぎるために、自分より弱い者をバカにしていたダマラスは
その脅威にあまりに無警戒だった。
ハカセのことを舐めていたのでハカセを殺さずに無視し、ハカセの策にまんまと引っ掛かり、
ナビィの存在を忘れ、バスコの動向にも注意を払っていなかった。
そもそも公開処刑というリスクの高い方法をあえて選択したのもザンギャックの驕りでした。
それによってこのような事態を招いたのです。

戦いというものは強い者だけが行うものではない。
弱い者だって生きるためには戦うのです。
だから弱い者の持つ強さを計算に入れず、弱い者を下僕扱いして押さえ込みながら、
自分一人で戦おうとするような者が「宇宙最強」など、ちゃんちゃらおかしい。
ダマラスの強さも、ザンギャックの強さも、弱くても力を合わせて補い合う真の強者の強さの前では、
偽物の強さであることが露呈してしまうのです。

しかしダマラスにも意地がある。
自分がこのまま負けることは、ザンギャックの強さの理念が敗れ去るということです。
そんな重大なことを薄汚い裏切り者の海賊に決められてたまるかという激しい怒りが湧き上がり、
「・・・ふざけおってぇ・・・!」と呻くと、ダマラスは「はああああっ!!」と凄まじい気当たりを全身から発し、
突き刺さった剣ごとバスコを吹っ飛ばしてしまいます。

「ぐううっ!」ともんどりうって倒れたバスコは、さすがにダマラスの化け物っぷりに舌を巻きます。
トドメは刺し損なってしまったが、それでも確かに致命傷は与えた。
だが、ヤケクソになって暴れるダマラスの巻き添えでケガをするのもバカバカしいと思い、
起き上がると「チイッ!」と舌打ちして「ほらよっ!」とマーベラスに向けて何かを投げつけます。
マーベラスがそれを受け取って見ると、それは自分のモバイレーツとゴーカイレッドのレンジャーキーでした。

バスコはもともとマーベラスを助け出したら渡そうとは思っていたのですが、
こうしてダマラスを仕留め損なって、トドメはマーベラス達に刺させることにして、
マーベラスに変身してダマラスを倒すよう促したのでした。
つまり、今のダマラスならマーベラス達でも倒せるだろうとバスコは判断したのです。

バスコのそういう意図は理解しましたが、
それでもマーベラスは「・・・どういうつもりだ?」とバスコに問いかけます。
今回、バスコは単にダマラスを裏切って倒すことが目的だったというより、
明らかに自分達を助けることに重点を置いた行動をとっていることにマーベラスは気付いたのです。
ジョー達をあらかじめ助けていたことや、こうしてモバイレーツを保管しておいて返したこと、
そしておそらくさっきナビィが自分を助けた時も気付いていて黙認したのだろうとマーベラスは思いました。

ただマーベラスはバスコに感謝しているわけではない。
バスコが何か企んでいることは明白だからです。
現にさっきバスコはダマラスに「宇宙最大のお宝を手に入れるには、そいつらの力が必要なんだよ」と言った。
そういえば以前にもバスコは自分達を殺せるチャンスがありながら殺さなかったこともある。
バスコは「宇宙最大のお宝」に関する何か重大な秘密を知っており、
そのことに絡んで自分達を利用しようとしているとマーベラスは気付いたのです。
それはいったい何なのか、当然マーベラスは知りたい。
よく分からないまま罠に嵌められているのだとしたら非常に居心地が悪いものです。

しかしバスコはゆっくり立ち上がると
「お礼はいいよ!実はどうしても、是非マベちゃんに見つけてほしい大いなる力があるんだよねぇ〜!」と、
ハッキリ答えを言わずにはぐらかします。
そして「その後、ゆ〜っくり勝負をつけようねぇ!・・・じゃあ後はよろしく!」と言って、
サリーを連れてさっさと去っていきました。
結局、バスコの狙いはマーベラスにはよく分からないままとなってしまいました。

ただ、ここでまた新たな謎めいた言葉をバスコは残していきました。
マーベラス達に見つけてほしい大いなる力があるとバスコは言いました。
それは言い換えれば、バスコでは見つけられない大いなる力ということです。
逆に言えば、自分にはその大いなる力は見つけられないということをバスコは知っているということです。
つまり、ワルズ・ギルの死後、バスコは慌てて残りの大いなる力を集めてしまおうと思って
それらの在り処の調査をしたのでしょう。

しかし、どうしても在り処が分からない大いなる力があり、それはバスコには手に入れることは出来ない。
しかし全ての大いなる力をバスコかマーベラス一味のいずれかが手にした状況にならなければ
バスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れることは出来ないわけですから、
バスコはその大いなる力に関してはマーベラス一味に期待するしかない。
何故なら、マーベラス一味にはナビィがいて、お宝ナビゲートで大いなる力の在り処に導いてくれるからです。
その在り処の分からない大いなる力は、お宝ナビゲートでしか見つけられないのでしょう。

そして、バスコが既にサンバルカンとファイブマンの大いなる力を入手しているということは、
そのバスコには在り処の分からない大いなる力とは、
バトルフィーバーJの大いなる力、カクレンジャーの大いなる力のいずれか、
あるいはその両方ということになります。
そして、在り方が分からないということは言い換えれば
大いなる力を体内に宿したレジェンド戦士たちの居場所が分からないということですから、
その戦隊の戦士たちは何処かに隠れているということになります。

まぁレジェンド戦士の面々は、母校で教師をしていたメガレッド伊達健太や、
普通に救命士をしていた巽マツリなど、かなり不用心な連中もいますが、基本的には警戒しているはずで、
お宝ナビゲート無しで5つの戦隊の戦士たちの居場所を探し出したバスコの調査能力はかなり高いのでしょう。
そのバスコが見つけ出せないのですから、
その大いなる力の戦隊はかなり姿を隠すのに長けた連中ということになります。
それはやはり、隠流忍者であるカクレンジャーであるのではないかと想像出来ます。
まぁ、最初からそういう状況であることが分かっていたから、
バスコは絶対にマーベラス一味を殺すわけにはいかず、ダマラスの誘いを断ったのでしょう。

しかし、これは少し妙です。
確かにバスコの言う通り、通常の方法では在り処の分からない大いなる力というものがあったのでしょうけれど、
バスコとしてはマーベラス一味を倒した後、ナビィを奪ってお宝ナビゲートをさせることも出来たはずです。
お宝ナビゲートはナビィ自身の意思とは関係無く発現するようですから、
バスコとナビィの間が険悪であっても大丈夫のはずですから、
もし、バスコにとっての懸案が「見つけられない大いなる力だけ」であったならば、
バスコはダマラスに従ってマーベラス達を殺してナビィを奪えば事足りたはずです。

しかし、バスコは何が何でもマーベラス達を殺したくなかったようです。
そもそも以前にオーレンジャー篇の時にバスコがマーベラス達をあえて殺さなかった時、
あの時点では「見つけられない大いなる力」問題はまだ発生していなかったはずです。
その問題がバスコに認識されたのは第39話以降だと推測されるからです。
となると、やはりバスコがマーベラス一味を生かしておきたい理由は、
見つけられない大いなる力を見つけさせるためだけではなく、
やはり宇宙最大のお宝を見つけるためにはマーベラス一味の力が必要だからなのでしょう。

おそらくは、バスコでは34戦隊の大いなる力を集めても、その力を引き出すことが出来ないから、
「宇宙最大のお宝」を見つけることが出来ない。
だから34戦隊の大いなる力が揃った段階で今回バスコが去り際に予告したように、
マーベラス達と決着をつけて、バスコがマーベラス達を何らかの方法で言いなりにして
34戦隊の大いなる力を引き出させて、
そうして現れた「宇宙最大のお宝」を横取りしようという算段なのだろうと推測されるのです。

しかし、マーベラス達はバスコが去った後、そこまで詳しく考えているゆとりはありませんでした。
バスコがその場から去ると同時に、ダマラスがよろめきながら
「・・・許さんぞおお!!・・・この私をここまでコケにしおってえええ!!」と激怒して、
全ての行き場の無い怒りを全てマーベラス達に向けてきたのです。

全ての目論みが外れ、裏切りによって重傷まで負ってしまい、大恥をかいた。
宇宙最強の看板に泥を塗られまくった状態です。
この屈辱は、もとはといえばマーベラス一味がザンギャックや自分に逆らったせいなのだと
ダマラスは八つ当たり気味にキレまくり、
もうこうなったら重傷を負った身であろうがなんであろうが、
6人を八つ裂きにしなければ気が済まない状態となっていました。

こうして手負いの獣と化したダマラス率いるザンギャック部隊と対峙することとなった
マーベラス一味の6人でしたが、
手負いとはいえあれほど圧倒的な完敗を喫した相手ですから、決して分がいい勝負とはいえないはずです。
しかしハカセは「マーベラス・・・!」と落ち着いて、しかし強い口調で声をかけます。
それに応えてマーベラスも「分かってる・・・!」と力強く言います。

もはや、さっきの戦いの時の自分達ではない。
海賊の戦い方を取り戻した自分達は、1人1人はダマラスよりも弱いけど、
各自が互いに出来ることを全力でやって足りないところを補い合えば、さっきの何倍も強いはずなのです。
その強さは、きっとダマラスを超えるはずだとマーベラスも、
そして一度死線を潜り抜けて浮足立ったところを修正してきたジョー達も、
そしてもちろんハカセも確信していました。

「・・・俺たちのすげぇところ・・・こいつらに見せてやろうぜぇっ!!」と威勢よくマーベラスが
レンジャーキーを取出し、「豪快チェンジ!!」と叫び、6人はゴーカイジャーに変身します。
そして各自の名乗り場面が、今回は1人1人、背後で爆発が起きる、いかにも戦隊っぽい特別バージョンで、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」という全体名乗りの時にも背後で大爆発と共にゴーカイジャーの旗印が出ます。

また、この全体名乗りシーンの並びが今回はハカセがメインの特別なエピソードということで
センターにマーベラスとハカセが並び、
普段のハカセの位置である向かって左端から2番目の位置にアイムが立ち、
普段のアイムの位置である左端に鎧が立ち、
センターのハカセの決めポーズがいつもの剽軽なポーズではなく、
力強く右手を前に突き出したガッツポーズになっています。
このような全体名乗りの並び順の変更は第41話のアイムと今回のハカセだけであり、
やはり第41話から今回にかけての3篇は特別な扱いだといえます。
そして「ド〜ンといこうぜ!!」とハカセが景気をつけ、
襲ってくるゴーミン部隊に対して「はああっ!!」と6人は突っ込んでいくのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:57 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月29日

第43話「伝説の勇者に」感想その3

ハカセとナビィの見るゴーカイガレオンのスクリーンに突如映し出されたダマラスの映像は、
全ての地球人へ向けたメッセージであり、
地上のとある広場に降り立ったダマラスが喋っているのを生中継した映像で電波ジャックをしたものでした。
その広場には、ダマラスの他、ドゴーミンやゴーミン達がおり、
広場に集まった人々は、いきなり降り立って演説し始めたダマラスを、
いったい何が始まったのかと驚いて見ていました。

すると、その広場に向けて天空から光る十字型の物体が猛スピードで落下してきて、
広場を見下ろす一段高い建物の上に突き刺さり、
その落下の衝撃で、まるで爆弾が落ちてきたかのような爆風が吹き荒れ、
その場に居た人々は身の危険を感じて、悲鳴を上げて、パニックを引き起こして我先に逃げ出します。

そして、その逃げ惑う人々を満足げに眺めて、ダマラスは
「これまで、生意気にもザンギャックに刃向ってきた海賊の船長、キャプテン・マーベラスを、
これより処刑する!!」と宣言したのでした。
見ると、その落下してきた十字型の物体は十字架であり、
そこにはマーベラスが鎖で両手両脚を縛り付けられて、まるで処刑を待つ罪人のような姿で
唇を噛みしめていたのです。

その十字架上のマーベラスの姿が画面に映し出されたのを見てナビィは「マーベラスだ!」と仰天し、
ダマラスの言葉を聞いてハカセは「処刑って・・・!」と絶句します。
どうしても掴めなかったマーベラスの居場所が突然ハッキリしたのは朗報でしたが、
なんとそのマーベラスはその場所で処刑されるというのですから、
むしろ、かえって行方不明状態よりも危機的状況の深刻度、切迫度のレベルは上がったといえます。
このままでは間もなくマーベラスは確実に死ぬのであり、その死の瞬間が地球全体に向けて公開生中継されるのです。

ハカセとナビィが息を呑んで見つめる画面上には
十字架に縛られて身動き出来ないマーベラスの姿の後にダマラスが映し出され、
ダマラスは「これでもう地球征服を止められる者は1人もいない!
地球人ども!絶望し、ザンギャックに服従せよ!!」と、
この映像を見ているであろう多くの地球人に向けてメッセージを発するのでした。

皇帝アクドス・ギルがこの公開処刑で狙っている効果はまさにそれであり、
ザンギャック軍に逆らっていたマーベラス一味の悲惨な最期を見せつけることで
地球人のザンギャックに抵抗する気力を奪い、地球征服をスムーズに成し遂げることが狙いでした。
もはや、この公開処刑の場においてワルズ・ギルの名が唱えられることすら無く、
マーベラスの公開処刑はワルズ・ギルの仇討ちというもともとの大義名分は何処かに消えてしまい、
アクドス・ギルの本音である、ただひたすら全宇宙を力によって支配するという
冷徹な統治原理が剥き出しとなった儀式と化していました。

一方、逃げ惑う地球人を前にして、地球人に対する降伏勧告ともいえるメッセージを唱え終わったダマラスは、
彼自身のマーベラスに対する復讐感情も満足させていました。
この自分よりもはるかに弱いクセに粋がっていた宇宙海賊が必死に守ろうとしていた地球全体に
この惨めに十字架に磔にされた姿を晒されるという屈辱を与えたのです。

しかもその海賊が殺されようとしているのに、
地球人たちはザンギャックに恐れをなして逃げ惑うのみで、この海賊を助けようともしない。
これで、さすがにこの海賊も自分のやっていたことがいかに無意味であったのか思い知って
絶望したことだろうとダマラスは溜飲を下げました。

所詮、弱い者は自分の命が惜しくて強い者に服従して生きるしかない。
弱い者が自分の意思をもって強い者に逆らうことなど出来ないのだ。
この世は力が全てであり、強い者が全てを決定する権利を有し、
弱い者は強い者の奴隷となって生きる以外は存在価値は無い。
ダマラスは惨めに逃げ惑う地球人を見て、改めてそのことを確認し、自分の宇宙最強の力を誇りに思いました。
自分は間違いなくマーベラスなどよりも価値がある存在だ。
今のこの場における立場の明暗がそれを如実に物語っているのだと思うと、ダマラスは気分が高揚しました。

後は、マーベラスが自らの刑死によって地球人に絶望を与え、
弱い者は所詮は強い者に屈服するだけの虫ケラのような存在だということを、自らの身で教える羽目になる。
ザンギャックに対する抵抗の象徴だった男が、ザンギャックに対する屈従の象徴となる、
そのことがマーベラスに対する最高の意趣返しであり、復讐の完成となるのだとダマラスは心躍らせ、
「・・・処刑はもう間もなくだ」と、マーベラスの十字架の脇に立って感慨深く言い、マーベラスに背を向けます。

完全にマーベラスへの復讐心を満足させたダマラスには、もはやマーベラスなど眼中にはありませんでした。
ただ、地球人に絶望感を十分に浸透させるために、
この死刑宣告から死刑執行までは、一定の時間を置くというのがアクドス・ギルの方針でしたから、
死刑執行までは幾分、時間の余裕があります。
それまでしばし、このまま待つことになります。

と、そこに「よぉ!」と言って、マーベラスの十字架の横に現れた者がいました。
マーベラスとダマラスが見ると、そこにはサリーを連れて、バスコがニヤニヤ笑って立っていました。
「バスコ・・・!」と呻くマーベラスの目に憎しみの炎が燃え上がります。
一方、ダマラスは冷たく「貴様の役目は終わったはずだ・・・何をしに来た?」とバスコに質します。

バスコが手伝ってくれてマーベラス一味を倒すことが出来たというのに、
このダマラスの態度はかなりバスコに失礼といえますが、
実際戦ってみたらマーベラス一味が予想以上に歯応えが無かったので、
ダマラスはバスコの加勢にほとんど感謝などしていませんでした。

そもそもバスコは非協力的だったのであり、ダマラスはそのバスコを力で捻じ伏せて従わせていただけです。
バスコ自身にダマラスやザンギャックへの忠誠心など欠片も無いことはダマラスも分かっています。
所詮は強い自分が弱いバスコを力で従わせていただけの関係です。
つまり、自分より弱いだけの存在でしかないバスコに、ダマラスは全く価値を認めてしませんでした。
命令をして使役する、それだけの相手です。
言いつけた用事が終われば顔も見たくない。いったい今さら呼ばれもしていないのに何をしに来たのかと、
ダマラスはバスコの顔を見て不愉快になりました。

しかし冷や水を浴びせるようなダマラスの対応にもバスコはニヤニヤした顔を崩さず、ダマラスの方は見ずに、
「一応、むかぁ〜しからの友達だからさぁ・・・最期ぐらいは見届けてやろうと思ってねぇ!」と返答しながら、
十字架に磔になったマーベラスを面白そうに見上げます。
そのバスコの態度を見て、ダマラスはバスコがマーベラスをからかいに来たのだと思い、
嫌らしい奴だと軽蔑しながらも、それがますますマーベラスを惨めな気持ちにさせるのなら好都合だと思い、
バスコを死刑に立ち会わせることを暗黙のうちに認めます。

一方、マーベラスはバスコが自分をなぶっていると感じ、怒りを露わにして
「ふざけんな!・・・よくもジョー達を・・・」と、バスコを睨みつけます。
何せ、バスコはジョー、ルカ、アイム、鎧をマーベラスの見ている目の前で、さっき焼き殺した憎い仇です。
マーベラスにとっては、身体さえ自由に動かせれば、すぐにでも飛び掛かって八つ裂きにしてやりたい相手でした。

しかしバスコはマーベラスの憎悪の視線を軽く受け流して「悪足掻きはやめなって!」と苦笑し、
おもむろに懐から何かを取り出しながら
「ちなみに俺、サンバルカンとファイブマンの大いなる力はゲットしたから!」と言って、
その掌の中に握った2つの金色に光る珠をマーベラスに見せたのでした。

「なんだと・・・!?」とマーベラスは驚愕しました。
そのバスコの掌に握られた珠には、確かにサンバルカンとファイブマンの紋章が刻まれています。
といっても、マーベラスはいちいち各戦隊の紋章を覚えておらず、戦隊の名前もあまり覚えていないぐらいなので、
サンバルカンとファイブマンといきなり云われても、どういう戦隊なのかはすぐにはピンとは来ません。

ただ、そのバスコの手にした金色の珠が、以前にオーレンジャー篇の時に
バスコにチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの大いなる力だと言って見せられた珠と
同じタイプのものであるということは分かりましたから、
それがバスコが何時の間にか新たにゲットしていた2つの戦隊の大いなる力なのだということは
マーベラスには理解出来たのでした。

つまり、もともと残る所在不明の大いなる力は4つであったはずですから、
これで残る所在不明の大いなる力はあと2つということになります。
そしてバスコに奪われてしまった大いなる力は、これで5つになってしまったのです。
それだけでも十分にマーベラスを焦らせる事態ではあったのですが、今はそれどころではない、
自分が今にも死刑にされてしまいそうな状況です。

ジョー達が殺され、自分も刑死寸前という極限状況で、
ついマーベラスも大いなる力のことを忘れてしまっていましたが、
バスコの言葉で、自分が死んだら今まで集めた27の大いなる力はどうなるのかと考え、焦燥感にかられます。

そのマーベラスの焦りを見透かして、からかうかのように、バスコはマーベラスに背を向けて
「マベちゃんが死んだら、残りも全部、俺のもん!楽しみだなぁ、今から!」と愉快そうに笑いながら歩きだし、
十字架から数歩離れます。
当然、マーベラスが死ねば、バスコはマーベラスが集めていた27の大いなる力も奪うつもりのようです。
そして、残り2個の所在不明の大いなる力も遠からずゲットして、
バスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れようとするに違いない。
きっとバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるために今回ダマラスと手を組んだに違いない。
マーベラスはそう思い、「くぅっ・・・!」と激しく悔しがります。

もうこの状況では助かる可能性は低いと半ば覚悟を決めかけていたマーベラスでしたが、
自分が死んだ後、バスコに「宇宙最大のお宝」を奪われることだけはどうしても許せない、
裏切り者のバスコの思い通りだけには絶対にさせたくないと思い、
ここで自分は絶対に死ぬわけにはいかないという執念を燃え上がらせたのでした。

さて、ここでバスコがサンバルカンとファイブマンの大いなる力をゲットしていたという
驚きの事実が示されたわけですが、
これで残る所在不明の大いなる力を手にしている戦隊は、
遂にバトルフィーバーJとカクレンジャーの2つに絞られました。

これでサンバルカンとファイブマンのレジェンド回はもう無いと見ていいでしょう。
当初は古い戦隊ほどレジェンド回はやらない可能性が高いと思っていたので、
バトルフィーバーJよりはファイブマンの方がレジェンド回をやる可能性は高いと思っていただけに、
この展開は意外でした。

しかし、「ゴーカイジャーVSギャバン」の絡みでバトルフィーバーJ篇がおそらく年内に、
すなわち次回のエピソードでやるだろうということは最近では予測がついており、
更に第40話のタイムレンジャー篇のエピローグにニンジャマンの壺が登場したことから、
いずれカクレンジャー篇があることも予測はついていましたから、
残り8エピソードでレジェンド回がバトルフィーバーJ篇、カクレンジャー篇は確定で、
ファイブマン篇が有るか無いか微妙というような予測を立てていました。
そして今回のこのシーンで、ファイブマン篇はもう無いと結論づけて良いと思います。

よって、残り8エピソードでレジェンド回は後は次回のバトルフィーバー篇と、
年明け以降に何処かでカクレンジャー篇をやっておしまいということになると思います。
まぁデンジマン篇の補完エピソードをやる可能性も無いでもないが、
それは「ゴーカイジャーVSギャバン」の中でやりそうな感じでもあります。
また、クライマックス篇の中でバスコに奪われた戦隊のレジェンド戦士たちが登場する可能性も
ゼロではありませんし、
クライマックスのバトル絡みでレジェンド戦士が再び顔出しゲストで登場する可能性も無いこともないので、
レジェンド絡みのエピソードがこれで終わりということもないかもしれませんが、
とにかく、これまでのような形の「レジェンド回」というものは、
これでもうあと残りはバトルフィーバーJ篇とカクレンジャー篇の2回なのだと考えていいでしょう。

さて、それにしてもバスコはいったい何時の間に
サンバルカンとファイブマンの大いなる力をゲットしたのでしょうか?

バスコとしては、第31話のオーレンジャー篇までの時点で確保しておいた
3つの大いなる力だけ手許にキープしておいて、
残りの大いなる力はマーベラス達に集めさせて、
手許にキープしておいた3つの大いなる力を使った取引でマーベラス達に「宇宙最大のお宝」を見つけさせた挙句、
横取りしようとしていたのであろうと思われますので、
本来ならば新たにサンバルカンやファイブマンの大いなる力をゲットする必要は無かったのでしょう。

しかし、マーベラス達が第38話でワルズ・ギルを殺してしまったために、
ダマラスが地上に出動するのを妨げる要因が無くなってしまい、
ダマラスのマーベラス一味抹殺の依頼を裏切っていたバスコとしては、困った立場となってしまいました。
マーベラス達を今殺すわけにはいかないが、
そうなるとバスコより遥かに強いダマラスにバスコが狙われることになってしまう。
つまり、どっちに転んでもバスコの「宇宙最大のお宝」探し計画には赤信号が灯る事態となってしまうのです。

だからバスコはダマラスが地上に降りてくる前に残りの大いなる力を全部探し出して、
マーベラス達の集めた分と合わせて、さっさと「宇宙最大のお宝」を引き出して、手に入れてしまおうとしたのです。
それで第39話において、バスコは宇宙の何処かから舞い戻ってきて、
メガレンジャーの大いなる力を奪おうとしたが、マーベラス達と鉢合わせして、
その場はメガレンジャーの大いなる力はマーベラス達に譲った形となりました。

その後、ダマラスが皇帝の命令によってギガントホースに足止めされ、拘束されたということを知り、
バスコは少し余裕をもつようになりましたが、
それでもダマラスが赦されて地上に降りてくる可能性もゼロでない以上、
早めに残りの大いなる力を集めようとして、第40話から第41話あたりの時系列で、
バスコは独自にサンバルカンとファイブマンの大いなる力を手に入れるべく動いていたのでしょう。

そしておそらく、前回、第42話において、バスコがダマラスと遭遇した場面で、
遭遇直前にバスコがニヤニヤして地上を歩いていたのは、
サンバルカンかファイブマンのどちらかの大いなる力をゲットした帰り道であった可能性が高い。
つまりバスコは、ダマラスが地上に降りてきて自分とマーベラス達に危機が迫る前に
残りの大いなる力4つをゲットしてしまおうとしていたが、
2つの大いなる力をゲットした段階で遂にダマラスに遭遇してしまったのです。

そして、そこでバスコはダマラスに抵抗しようとしたが敵わずに屈服させられて、
前回見たように、マーベラス一味を倒す作戦に協力させられてしまいました。
つまり、バスコは結局はダマラスに負けて、
マーベラス一味を利用して「宇宙最大のお宝」をゲットする作戦を諦めてしまったように見えます。
そして、今バスコがマーベラスに言ったように、
マーベラスが死んだら、マーベラス一味の持っていた大いなる力を27個全部奪い、
それに自分の持っている5個と、更に新たに2個見つけ出して合わせて、
自力で「宇宙最大のお宝」を手に入れようという作戦に切り替えたように見えます。

しかし、これは妙です。
もともとそうして自力で大いなる力を全部揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るのなら、
バスコはとっくにそうしていたはずです。
特に第31話のオーレンジャー篇の時はマーベラス一味を倒して、
あの時点でマーベラス達が持っていた25個の大いなる力を全部奪うことは出来たはずです。
それなのにバスコはそのようにはしなかった。

ということは、バスコはたとえ大いなる力を全部集めても、自力ではその大いなる力を引き出すことは出来ず、
「宇宙最大のお宝」を召喚することが出来ない可能性が高いのです。
ならばバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには今回マーベラスを殺してしまうわけにはいかないはずです。
それなのにマーベラスの処刑を面白がって見物しに来たバスコは、
やはりダマラスには敵わないと観念して、もはや「宇宙最大のお宝」は諦めてしまったようにも見えます。

しかし、ここでバスコは何故かマーベラスにサンバルカンとファイブマンの大いなる力を見せました。
もう「宇宙最大のお宝」を諦めているのなら、わざわざそんなものをマーベラスに見せて、
更にマーベラスが死んだ後、マーベラスの持つ大いなる力を奪う抱負など述べて悔しがらせる必要も無いはずです。
そもそもバスコとしては既に3つの大いなる力を持っていることをマーベラスに知らしめておけば
もともとの作戦の遂行には十分なのであって、新たにゲットした2つまで律儀に見せる必要など無い。
しかも死にゆくマーベラスに見せても何の意味も無い。
だから、ここでのバスコの行動は全く意味不明なのです。
しかしバスコのような計算高い男が意味不明な行動などするわけがない。

それに、幸いというか何というか、
ダマラスはこのバスコの大いなる力に関する言葉に対して興味は向けなかったようだが、
これは結構バスコ自身にとって危険な発言であったはずです。
ダマラスはどうやら「宇宙最大のお宝」に特別に強い興味を持ったキャラではないようだが、
それでも以前、第9話の時は「宇宙最大のお宝」に興味は示していました。
バスコが「宇宙最大のお宝」を探していることも知っています。
そのダマラスの目の前で「大いなる力」の集まり状況を喋ってしまうような不用心さはバスコらしくないと言えます。

だから、ここでのバスコの行動は、
ダマラスに余計な情報を与えてしまうかもしれないというリスクを冒してでも断行しなければならないほどの、
何らかの重大な意義があるものだったのではないかと思えます。
それは、結果的にこのバスコの言葉によってマーベラスが悔しがって
ここで死ぬわけにいかないと思っていることから逆算して、
マーベラスをわざと焦らせて、何としても生きてこの場を脱出しようという気力を
起こさせる狙いがあったのだと考えることは出来ます。

あるいはそれ以上に深い意味として、
バスコは隙を見てマーベラスを助けようと思っており、
それについてマーベラスに何らかの合図を送ったつもりだったのかもしれません。
ただ、もしそうだったとしても、残念ながらマーベラスにはその意図は全く理解されていないと思われます。

そもそも、もともと全く信頼関係の無いバスコとマーベラスの間でそんな意思の疎通が出来るはずもなく、
バスコはおそらくマーベラスをここで殺すわけにはいかないと考えて、秘かに何か画策はしているのでしょうけれど、
それは必ずしも成算があるとは言えない状況のようです。
それだけダマラスという壁はバスコにとっても厄介なのです。
ただ、バスコとしてもそんなに簡単に「宇宙最大のお宝」を諦めるわけにはいかないので、
少ない可能性に賭けて最後まで足掻こうとしているようです。

一方、このマーベラスの公開処刑を告知する映像が流れたゴーカイガレオンの船室では、
ナビィが「ハカセ!どうする!?早くなんとかしないとマーベラスが!」と大慌てです。
このままではマーベラスは処刑されてしまう。
しかし、これはハカセとナビィにとってはチャンスでもあります。
さっきまでは居場所すら分からなかったマーベラスの居場所を、
わざわざザンギャックの方が教えてくれたようなものだからです。

実はバスコが処刑現場にモバイレーツを持って現れたお蔭でもあるのですが、
ザンギャックが公開処刑という形をとってくれたお蔭で、
マーベラスを処刑しようとしている場所が何処なのか、ナビィは正確に知ることが出来ました。
もしアクドス・ギルが公開処刑という形をとらずに、あのままギガントホースでマーベラスを殺していれば、
ナビィやハカセにはどうすることも出来なかったでしょう。
しかし公開処刑という形となったお蔭で、マーベラスを救出に行くことが出来る。

もちろん公開処刑というものが地球征服の前進のために効果が大きい反面、
マーベラスを奪還されてしまうリスクが高くなることもアクドス・ギルもダマラスも分かっています。
分かった上であえてやっているのですから、よほど海賊の仲間や地球人のことを舐めているのです。
海賊一味は壊滅させたし、地球を守るスーパー戦隊とやらも戦う力を失っており、
一般の地球人は怯えて逃げ回るだけ、だから誰もマーベラスの救出に来る者などいないと、
アクドス・ギルもダマラスも確信していました。
万が一、誰かが来たとしても処刑現場には宇宙最強の男であるダマラスが待ち構えている以上、
誰もマーベラスの処刑を阻止することは出来ず、返り討ちにあうだけのことです。
だからザンギャックは自信満々でマーベラスを公開処刑という形で始末しようとしているのです。

それでもこれがマーベラスを助ける唯一の機会であるのも事実です。
そして急がなければ、その唯一のチャンスも潰えてしまう。
それでナビィはハカセにどうしようかと慌てて相談しているのですが、
ハカセは「無理だよ!!」と叫んで顔を背けてしまいます。

あまりに簡単にハカセが諦めてしまったのでナビィは「ええ!?」と驚きます。
ジョー達が倒された以上、ハカセしかマーベラスを助けに行ける者はいない。
そのハカセが諦めてしまったらマーベラスの死は確定したも同然だからです。
ハカセはマーベラスが死んでも構わないという薄情者になったのかと、ナビィは驚いたのでした。

しかしハカセはナビィから顔を背けたまま悲痛な表情で
「僕だって、マーベラスを助けたいさ!・・・ルカ達の仇だって討ちたいよ!」と涙混じりに喚き続けます。
ハカセは薄情になってマーベラス達を見捨てたわけではなく、仲間を想う気持ちは健在なのです。
だからマーベラスを助けたい。
でも、そのためには、あの処刑現場に行ってダマラスと戦って倒さなければならない。

ハカセはダマラスに自分が勝てるとは到底思えませんでした。
ナビィはダマラスの戦う姿を見ていないから気楽に考えているが、
ハカセはダマラスのとんでもない強さを知っている。
相手は宇宙最強なのです。
マーベラスですら、ほとんどダマラスに触れることも出来ずに敗れたのです。
そんなダマラスに、自分のような弱くて臆病な、卑屈な只のウソつきの偽物の勇者が勝てるわけがない。
その勝負の行方がハカセにはあまりにもハッキリと読み取れるので、
マーベラスを助けに行ってもどうせ失敗するなら無駄だと思えて、行く気が起きないのでした。
つまりもう打つ手無しだとハカセは思って絶望しているのです。

ハカセはナビィの方に向き直って
「でも・・・僕一人であいつを倒す方法なんて無いんだよ!!」と感情的に泣き喚きます。
すると、その瞬間、飛んできたナビィは「バカァッ!!」と叫んでハカセの横っ面を翼で張り飛ばしたのでした。
ハカセはよろめいて倒れ込み、後ろにあった船長椅子に尻もちをつき、
いきなり張り飛ばされたことに驚いて、目を丸くしてナビィの方を見ます。

そのハカセの鼻先に近づいて、ナビィは
「弱っちい海賊だったけど、初めて戦った時からハカセはハカセなりに輝いてたよねぇ!」とまくしたてると、
プイッとハカセに背を向けて飛び去ります。
ナビィは今のハカセは初めて海賊として戦った時のハカセよりも情けないと感じて、それが口惜しいようです。

しかし、ハカセは自分はずっと変わらず情けないままだったと思っていたので、
むしろナビィが初めて戦った時の自分をそんなに輝いていたなどと評価してくれていたことが意外で、
唖然とし、「はじめて・・・戦った時・・・」と呟いて、自分が初めて戦った日の記憶を辿りました。
それは何処かの星に立ち寄ってザンギャック部隊と戦闘になった時のことでした。

ちなみにマーベラス一味の地球に来る以前の回想シーンでの戦闘場面は、
敵として登場するのはゴーミンとスゴーミンばかりで、行動隊長の怪人が登場することはありません。
おそらくザンギャック軍の編成として、行動隊長が配属されているのは地球侵略軍のような惑星征服軍のみであり、
普通に支配下の星を守備したり治安維持を図るための部隊というのは
スゴーミンがゴーミンを率いるような編成になっているのでしょう。

おそらくマーベラス達は地球に来るまでは惑星征服軍のような精強な部隊とやり合うことは
基本的には避けてきたと思われ、
戦う相手はスゴーミンが率いる惑星守備隊レベルの相手がほとんどだったのでしょう。
そして、それぐらいのレベルの相手ならば、よほど敵兵の数が多い場合以外は、
マーベラス、ジョー、ルカならば変身しなくても勝てたのだと思われます。

第12話の回想シーンでザンギャック部隊に追われる脱走兵のジョーを助けに割って入ったマーベラスが
変身せず闘ったのも、ジョーを追っていた数のザンギャック兵ならば
自分とジョーが力を合わせれば変身しなくても勝てると判断したからでしょう。
また、第34話の回想シーンでザンギャックの守備隊の金庫に忍び込んだ女盗賊のルカを助けた時の
マーベラスとジョーが変身していなかったのも、
金庫番のザンギャック兵程度ならば変身しなくても勝てるという判断だったからでしょう。

そして、第41話の回想シーンで、亡命王女のアイムが覗き見る中、
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人がザンギャック駐屯部隊と戦っていた時、彼らが変身していなかったのも、
変身しなくても勝てるという判断であったのでしょう。
但し、この時、ハカセは逃げ惑うばかりで全く役に立っていませんでしたが。

そして、今回のハカセのこの回想シーンはアイムの姿がありませんから、
時系列的にはハカセ加入後で、なおかつ第41話のアイム加入時の回想シーンよりも前であるはずです。
この今回の回想シーンで特徴的なのは、
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人ともゴーカイジャーに変身していることです。
回想シーンで彼らが変身しているのは初めてなので印象的です。
しかし時系列的にこのシーンよりも後である第41話の回想シーンでは再び4人は変身しないで戦っていますから、
いったいどういう基準で変身したりしていなかったりするのか、少し気になります。

まず、今回の回想シーンの戦闘は、相手のザンギャック兵の数がやや多いように見えます。
だから彼らは変身しているとも解釈出来ますが、
よく見ると他の回想戦闘シーンと違ってスゴーミンがおらずゴーミンだけですから、
実質的には大して手強い相手ではないといえます。

ですので、ここでの変身にはもっと明確な意味があるのではないかと思います。
それは、ハカセが加入して初めて戦いに参加した場面であったので、
一応、安全措置として4人とも変身して戦ったのではないかということです。
というか、戦いに行くのを渋るハカセを説得するために
「変身して戦うから」という約束で戦いの場に4人で赴いたのではないかと想像出来ます。

そうして半ば無理矢理にハカセを戦いの場に連れて行ったマーベラス達でしたが、
無理にハカセを戦わせようとまでは思っていません。
ただ、今後のことを考えて、戦場の空気にも慣れておいてもらおうと思って戦場に連れて行きたかっただけで、
それでも渋るハカセを説き伏せるために4人全員で変身して出かけることにしたのでしょう。

一応は用心のために変身した上でゴーカイガンとゴーカイサーベルを持って行ったハカセですが、
実際は見学していればいい立場です。
しかし、それでも間近でマーベラス達とゴーミン達の戦いを見ていると怖くなってしまい、
「無理無理!僕には戦えないって!」と泣き言を喚いて岩の後ろに隠れてしまいます。

マーベラス一味にハカセが加入してまだ日は浅い頃のことと思われます。
出来ることをやってくれればいいというマーベラスの言葉に甘えて、
とりあえず皆の食事を作ったり、機械のメンテナンスをやっていたハカセでしたが、
戦うための変身アイテムを与えられて海賊の一員として認めてもらったにもかかわらず、
便利屋時代と変わらないことしかやっていない自分が何だか申し訳なくて、
変身して見ているだけでいいと言われたので戦いの場にくっついてきてみたが、
やはり暴力や争い事が苦手なハカセは、荒々しいマーベラス達の戦いを見ていると怖くなってしまい、
やはり自分には戦いは無理だと思いました。

そうして岩の陰から恐る恐る戦いの様子を見ていると、
ゴーミン達と戦うマーベラスが「ジョー!」と呼びかけながら、自分のゴーカイサーベルを投げ、
それを受け取ったジョーが「・・・任せろ!」と応えて、
自分のゴーカイサーベルと合わせて二刀流で戦い始めるところがハカセの目に飛び込んできました。
ハカセはその2人のスムーズな連係を見て、カッコいいと思いました。
やはり実力者同士だから、ああいう息の合った連係が出来るのであり、
あれが本当の海賊の戦い方であり、自分には到底マネが出来ないと思い、ただただ見惚れました。

ところが、後ろに何かがいる気配を感じてハカセが振り向くと、
ハカセの背後には何時の間にか大勢のゴーミン達が集まってきて、ハカセに襲い掛かろうとしています。
「うわぁ〜!見とれてる場合じゃなかったぁ〜!」と焦りまくるハカセでしたが、怖くて身体が動きません。
ハカセ絶体絶命ですが、そこにルカが飛び込んできて、
「貸して!」とハカセのゴーカイサーベルを取り上げると、
ルカは2本のゴーカイサーベルをワイヤーで振り回すTV本編でもお馴染みの技でゴーミン達を一掃しました。

ハカセはルカの強さに驚き、「あ・・・ありがとう・・・」とお礼を言います。
そして、それに引き替え、怖気づいて身体も動かなかった自分が情けなく思えました。
本物の海賊は女の子でもこんなに強いというのに、自分は海賊とは名ばかりで弱くてどうしようもない。
ハカセはこんな自分が一緒にいて、皆に申し訳ない気持ちになりました。
マーベラスもジョーもルカもとても強く、戦いに慣れている。
きっと自分なんかこの場にいない方がもっとスムーズに連係出来て、もっと気持ちよく戦えるはずだ。
せっかく連れてきたものの、あまりに自分が使えなくて、3人ともきっと失望したに違いないとハカセは思いました。

ルカだって、男のクセに情けないヤツだと思ってきっと自分のことを軽蔑したのだろう。
だから、どうせ自分が持っていても意味が無いと思ったから剣を取り上げて2本とも使ったのだとハカセは思い、
俯きながら「・・・でも・・・ゴメンね!女の子に助けてもらったりして・・・」と、卑屈な気持ちでルカに謝りました。
こんな情けない自分が仲間であること自体が何だか申し訳ない気持ちになり、
きっとルカは1人では戦えない情けない自分を助けなければいけなくなったことを怒っているだろうから、
ハカセはルカに謝らなければいけないような気がしてしまったのでした。

ところがルカは「何言ってんの!」と明るく言うと、
「海賊はね、出来る奴が出来ることを全力でやって、補い合えばいいの!」とハカセに言うのでした。
ハカセはルカの意外な言葉に驚きました。
ルカにとっては、弱いハカセを助けるために余計な手間をかける羽目になったことは、
全く迷惑なことではなく、単に補い合っているということであるようです。

補い合うということは、ルカもまた助けられることもあるわけで、
マーベラスもジョーも助けられる局面はあるという意識を常に持っているということです。
つまり、マーベラス達は皆、あれほど強いのに、
自分が誰からの助けも必要無いほど完璧な存在だとは一切思っていないのです。

もちろん本当に完璧な存在など、この世にはありません。
どんな強い人間でも現実には誰かに助けられることはあるものです。
ただ、それでもある程度強い人間というのは、どうしても自分ほど強い者はいないと思ってしまい、
1人で戦って勝てると思ってしまいがちになるものです。
ところがマーベラス達というのは、とても強いにもかかわらず、
自分の強さを誇るようなことはないことにハカセは気付きました。

いや、この回想シーンのハカセだけでなく、私達視聴者も、
そういえばマーベラス達にはそうした「驕り」というものは一切無いということに今さら気付きます。
マーベラス一味の面々が控え目な性格なのであれば、
表面上「驕り」を見せないようにしているというのも有り得ますが、
かなりストレートな性格の者が多いことを考えると、
どうやら彼らは本気で自分の強さを誇ったり驕ったりする気持ちが無いようです。
もちろん戦える力が十分にあるという、自分の能力については冷静に把握しているのでしょうけれど、
どうも本質的には自分は弱い存在だという認識はあるようなのです。
だから「補い合う」という意識が彼らの戦いの根底にはあるようです。

どうしてこんなに強いのにマーベラス達は自分のことを弱いと思っているのだろうかと
ハカセは不思議に思いましたが、すぐにそれがどうしてなのか気付きました。
それは彼らが「海賊」だからです。

ハカセは自分が弱いからといって勝手にマーベラス達を無敵の強さを持つ勇者のように仰ぎ見ていましたが、
実際はマーベラス達は宇宙を支配する強大なザンギャックに逆らって、
常にギリギリの危機を潜り抜けて戦っているお尋ね者の海賊なのであり、明日をも知れぬピンチの連続なのです。
だから自分のことを「無敵」だとか「最強」だとか思えるわけがない。
強大なザンギャックに向かい合うと、自分の弱さばかり見えてしまう立場なのです。
それでも夢を掴むための旅を続けるためには勝っていかなければならない。
弱い者が強い相手に勝つためには、チームを組んで、足りないところを補い合って、助け合っていくしかない。

実際、ルカはザンギャック兵達に捕まって殺されそうになっていたところを
マーベラスとジョーに助けられて仲間に加わり、
ジョーはザンギャックの追手に殺されそうになっていたところをマーベラスに助けられて仲間になった。
マーベラスもザンギャックによって殺されかけていたところを
アカレッドによって助けられて生き延びることが出来た。
皆、絶体絶命のピンチに陥ったところを仲間に助けてもらったのが、
マーベラス一味へと足を踏み込んだ原点なのです。
そんな彼らが自分のことを無敵の強者だと思い上がったり、弱い仲間を見下したりするはずがない。
仲間のピンチを救うことを迷惑だと思うはずがない。

強大なザンギャックに逆らう宇宙海賊というと命知らずの荒くれ者たちだとハカセは思っていましたが、
マーベラス一味の場合は実際はそうではなかった。
彼らは本当はザンギャックに比べたら自分達は弱いということは分かっていながらも、
夢を掴むために必死で踏ん張って、足りないところを補い合って、
力を合わせて頑張っている人達だったのだとハカセは気付いたのです。

だから彼らは戦いの場でも一見は余裕の戦いをしているように見えるが、
その場その場で自分の出来ることに全力で取り組むことに慣れているから、
余裕があるように見えているだけなのであり、
本質的には仲間を助けるために自分の出来ることを全力でやっているだけなのです。

マーベラスとジョーの連係だって、あまりに余裕があるので遊び半分のように見えるが、
マーベラスはジョーを助けるために自分の剣を渡して銃だけでやれるところまで頑張り、
ジョーはマーベラスの渡してくれた武器を無駄にしないために全力で戦っているだけです。
マーベラスだってジョーが武器を渡したらきっと全力で自分の武器を使って敵を倒してくれると
信頼しているから渡しているのです。

そしてルカもハカセが危ないと思ったから、その場にあった剣を手にして全力で戦っただけのことだったのです。
ハカセを助けるためには今の自分が出来る全力は二刀流をワイヤーで操ることだと判断したから、
懸命にそれを実行しただけのことでした。
マーベラス達の言う「海賊」というのはそういう仲間なのだとハカセは気付き、
ルカが自分のことをそういう「補い合う仲間」だと信じて助けてくれたのだと知りました。

ハカセはその信頼に応えたいと思った。
自分もルカと補い合う仲間になりたい。
そのためには、ルカが自分を助けてくれたように、自分もルカを助けたりしなければいけない。
もちろんルカのようにスマートに助けることは出来ないが、
今のルカの話を聞いて、ハカセは自分にも少しは出来るような気がしてきたのでした。
何故なら、強大なザンギャックの前で自分の弱さを自覚しながら
夢や希望を掴むために懸命に意地を張って強い相手に立ち向かうマーベラス達の生き方は、
弱くても自分の希望だけは失いたくなくて意地を通して来た自分の生き方と似たところがあると
ハカセには思えたからです。

マーベラス達は弱くてもその場で出来ることをとにかく全力でやって仲間で補い合い助け合ってきた。
それが海賊の助け合いなのだ。
「出来ることを・・・やる・・・?」とハカセは、自分がルカを助けて、
補い合う仲間になるためにやるべきことを確認するように呟きます。

とにかく自分も今の自分が出来ることを全力でやればいい。
マーベラス達とは戦いの踏んだ場数も違うのだから、自分がマーベラス達のようにスマートに戦えるはずはない。
カッコ悪いであろうし、大して役に立たないかもしれない。
でもそんなことを気にして、引け目を感じて逃げていてはダメだ。
ルカは全力で自分を助けてくれたのだから、
自分も、どんなに弱くてカッコ悪くても、全力で出来ることをやらないといけない。
マーベラス達だって自分が弱いと思いながらも全力を出しているのだから、
自分だって弱いけど全力を出し惜しみしていてはダメだとハカセは思ったのでした。

そこにまたゴーミン達の群れが現れて、ハカセとルカのところに殺到してきます。
ルカは今度は2本の剣を双竜刀のように繋げて左手で担ぎ、ゴーミン達を蹴散らそうとしますが、
ハカセは思い切って「僕にも貸して!」と言って、ルカが右手に持っていたゴーカイガンを奪い取り、
自分のゴーカイガンと合わせて、片手に一丁ずつ持って駆けだします。

怖がって動けないように見えたハカセがいきなり大胆な行動に出たのでルカは
「ああ!?ちょっと・・・!」と驚きますが、
ハカセは傍にあるドラム缶や瓶などがたくさん積んである場所に行くと、
それらを押したり蹴ったりして、突っ込んでくるゴーミン達に目がけて転がしていき、
同時に二丁拳銃を「あああああ!!」と絶叫しながらムチャクチャに乱射して、ゴーミン達を撃ちまくります。

その銃弾はかなり狙いを外れましたが、ドラム缶の中に燃料が残っていたようで、
ハカセの銃弾がそれに命中して引火し、大爆発を起こし、
ハカセは爆風で「うああああ!?」と吹っ飛んでしまいます。
ところが、ひっくり返ったハカセが顔を上げてみると、ゴーミン達は爆発に巻き込まれて全滅していました。
ほとんどマグレに近い勝ち方のカッコ悪い戦い方でしたが、
それでもハカセが初めてザンギャック兵を倒したのです。

ハカセは尻もちをついたまま「・・・やったぁ!倒せた!」と歓喜し、
駆け寄ってきたルカを見上げて「こんなのもあり!?」と聞きます。
ルカはお腹を抱えて大笑いしてハカセの肩を叩き
「アッハハ・・・ありあり!やれば出来るじゃん!」とハカセを引き起こします。
そこにマーベラスもやって来て「いいぞハカセ!」と褒め、
ジョーも「二丁拳銃・・・やるじゃないか!」とハカセの戦い方を認めます。
形なんか多少は変でも、ハカセが海賊らしく仲間のために全力を尽くして戦ったことが分かりますから、
皆、嬉しかったのです。

ここで回想シーンは終わり、場面は現在のガレオンの船室に戻ります。
ハカセはナビィに引っ叩かれて、初めて戦った時のことを言われ、この初陣の時のことを想い出したのでした。
そして、初めて戦った時の自分は、自分が仲間を助けるために出来ることがあれば、
とにかく全力を尽くすことが海賊の戦い方だと思って戦っていたことを思い出しました。
あの時、マーベラス達はそうしたハカセの戦う姿勢を喜んで受け入れてくれました。
それでハカセもようやく心から海賊の仲間になれたのです。

ナビィに張り飛ばされて倒れ込んだ船長椅子に座ったまま
「僕・・・すごく嬉しくなっちゃってさ!・・・最初は無理矢理だったけど、
自分も海賊なんだなぁって思えてきて・・・この船でみんなとず〜っと一緒に旅を続けていきたいって思ったんだ!」
とハカセはあの時の出来事や心境を笑顔で思い返して、ナビィに語ります。

そして、あの時からマーベラス達はハカセがどんなにカッコ悪くて弱っちくても、
仲間のために全力で何かをしようとする限りは決してバカにせず認めてくれていたことをハカセは想い出しました。
だから、今も自分を卑下して諦めちゃダメだとハカセは思いました。

確かに今の自分は最低です。
皆が自分をバカにしていると勘違いして伝説の勇者のフリをして皆を騙した。
実際は皆は弱っちい自分のことをバカになどしていなかった。
みんな、伝説の勇者なんかじゃない、弱い者同士が補い合って支え合ってこその仲間だったのに、
その皆の信頼を疑って、こともあろうに伝説の勇者などとウソをついて1人で優越感に浸ろうとしたのですから、
ハカセの行為は確かに海賊として最低でした。
だから、こんな最低のみっともないウソつきの自分にマーベラスを助けることなど出来ないと思って、
ハカセは落ち込んでしまっていました。

しかし、それではいけないのです。
どんなにみっとなくて最低のウソつきでも、それでも仲間を助けるために全力を尽くそうとする限りは、
海賊の仲間なのであり、共に夢を掴む旅を続ける仲間なのだと認められる、
それがマーベラス一味という海賊なのです。
自分のカッコ良さとか体裁とか、そんなものにはこだわらず、
今、自分がマーベラスを助けるために出来る戦い方を全力で探すべきなのだ、
その姿勢を捨てない限り、たとえジョー達が死んでしまったとしても、
マーベラス一味の仲間の旅はまだ終わらないのだとハカセは思い直したのでした。

そんなハカセを見て「ハカセ・・・」とナビィは悲しげな声を出します。
ハカセが仲間を大切に想って全力を尽くす気持ちを想い出してくれたのは嬉しいが、
4人も仲間を失ったハカセには、仲間を想う気持ちが強いほど、それは辛いことであろうと思ったのでした。

ハカセはそれでも懸命に今の自分がダマラスを倒してマーベラスを助けるために出来る戦い方を
頭の中で探しましたが、やはりあの宇宙最強のダマラスの強さを自分が打ち破る方法は見つけられません。
しかし、このままずっと悩んでいるわけにもいかない。
マーベラスの処刑は刻一刻と迫っているのです。
すぐにでも処刑現場に駆けつけなければいけないが、このままでは何の策も無いまま突っ込むしかない。
それでも全力は尽くしたことにはなるだろうが、ハッキリ言って勝算は無く、
マーベラスを助け出せない結果に終わることは明白でした。

ハカセはそれでもこのままでは何の策も無いまま行くしかないと思い、悔しそうに
「でも・・・僕一人じゃ、何も出来そうにないや・・・」と言いながら、
ソファの横にテーブルの上に置いたマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルを見て、
腰かけた船長椅子の肘掛をぎゅっと握り締めます。

探してはみたものの結局は自分1人しかいない状況では
何もダマラスを倒すために出来ること自体が見つけられない。
やはりここで旅は終わってしまうのかとハカセが悲観したその時、
ふと、マーベラスがハカセ加入時にこの船長椅子に座ったハカセに向かって言った
「心配すんな!出来ねぇことはしなくていい!」という言葉がハカセの脳裏をよぎりました。
それは今の状況に対してマーベラスが励ましてくれているようにハカセには思えました。
そうだ、ダマラスを倒すことが出来ないのなら、わざわざ出来ないことをする必要はない。
しかし、ならばどうすればいい?

すると続いてルカの「出来る奴が出来ることを全力でやって、補い合えばいいの!」という
ハカセの初陣の時の言葉がハカセの頭の中に再び響きます。
そう、出来ることを全力でやればいいのです。
更にダメ押しするようにマーベラスが船長椅子のハカセに向かって言った
「出来ることだけやってくれ!」という言葉がハカセの胸に響きます。

あの時と同じように船長椅子に座ったまま、
ハカセは目の前にマーベラスが立っているかのように虚空を見つめたまま、
「僕の・・・出来ること・・・!」と呟きました。
あの時、マーベラスが「出来ることだけやってくれ」と言った時の自分は、まだ海賊ではなかった。
まだ戦うことは出来なかった。
その自分に向かってマーベラスは「出来ることだけやってくれればいい」と言って仲間にしたのです。
ルカにしても、まだ戦うことの出来なかった自分のことを仲間として扱い、
出来ることを全力でやればいいと言ってくれたのです。
そのことにハカセは気付きました。

海賊だからもちろん戦うものだと彼らは無邪気に思っており、
ハカセが戦い始めたことを彼らは無邪気に喜んでくれたが、
もし仮にあのままハカセがずっと戦えないままだったとしても、
彼らはハカセを仲間としてずっと認めてくれていたはずです。

つまり、マーベラス達がハカセを仲間に加えたいと思った理由は、
ハカセが仲間を助けるために全力で戦えるヤツだと認めたからというだけではなく、
それも含んだもっと広い意味であったのです。

ルカに騙されて結んだ約束をザンギャックに睨まれることを承知で、
それでも約束を履行しようとしてガレオンまでやって来た、
あの、どんな困難にも屈せずに全力で約束を守るヤツ、裏切らないヤツ、嘘はつかないヤツだということをもって、
マーベラス達はハカセを海賊の仲間に相応しいと認めたのです。

そうだったのだとハカセは気付き、
自分はそのマーベラス達が認めた自分である限りは、海賊なのだと悟りました。
そして、マーベラス達が求めた自分の「出来ること」はそれなのだと理解しました。
ならば今のこの状況でも、自分はその「出来ること」をやればいい。
それは自分には出来ないことがハッキリしている、ダマラスを倒すために戦うことではなく、
マーベラス一味に加入する前の自分にでも出来たことです。

それは嘘の約束でも履行してしまうような律儀さ・・・と考えた時、
ハカセの頭に電光のようにある作戦が閃いたのでした。
しかし、それはあまりに危険な作戦でもあります。
ハカセは肘掛を掴んだ掌を更にギュッと強く握り締め、一瞬躊躇しますが、
かつてザンギャックに睨まれるのを承知で、怖かったけど、それでも約束を破りたくなく、
嘘つきになりたくなくてガレオンにやって来た勇気を想い返し、
「・・・僕やるよ!・・・」と顔を上げて決意の表情でナビィに言います。
そして、「みんなについちゃった嘘・・・真実に変えてみせる!」と力強く宣言したのでした。

つまり、ハカセは、かつて大きな困難や恐怖を乗り越えて嘘の約束を履行して真実の約束に変えてしまい、
それで海賊になった自分なら、
海賊であり続ける限りは、自分のついた嘘も嘘のままにしておいて良いはずはない。
嘘も真実に変えてしまわねばならないし、
どんな困難や恐怖に立ち向かってもそれは出来るはずだと思ったのです。
いや、正確にはそれが出来る自分ならば可能な作戦があることに気付いたのです。
それこそが真のハカセが「出来ること」でした。
その作戦ならばマーベラスを助けることが出来るかもしれない。
いや、絶対に成功させてみせると強く決意して、ハカセは立ち上がり、
「この僕たちの旅は、絶対に終わらせない!!」と凛々しく言い放ったのでした。

しかし、このハカセの言う「みんなについちゃった嘘」とは、「自分が伝説の勇者であった」という嘘のことです。
この嘘を真実に変えるということは、ハカセは伝説の勇者になるということです。
しかしハカセはもちろん伝説の勇者ではないわけで、
しかもこんな「伝説の勇者」的な存在は海賊の戦い方のポリシーとは相反するものです。
それなのに伝説の勇者になるとは、いったいハカセは何をするつもりなのか?

さて、ここで少しここの場面で登場したハカセの回想シーンに関連して考察の整理をしておきたいと思います。
今回、ハカセの初陣の回想シーンが出てきましたが、
まず、この回想シーンが変身しての戦闘シーンとなっていて、
時系列的にはこの少し後に位置すると推測される第41話のアイム加入時の回想シーンで、
再び変身しない素面での戦闘シーンに戻っており、
しかも再びハカセが役立たずに戻っているという点を整理しておかないといけません。

これは第41話も今回の第43話も同じ荒川氏の脚本であり、しかもごく近接したエピソード同士であるので、
設定の変更などによって生じた描写の矛盾やケアレスミスであるとは考えられず、
ちゃんと辻褄は合っているはずです。

そういう前提で考察してみると、
今回の回想シーンはハカセを戦場に連れ出すために特別に変身状態で出向いたのであり、
ここでマグレ的にゴーミン集団を撃破したハカセだったが、
やはりその後、素面状態でザンギャック部隊と遭遇したりすると、
まだビビってしまって逃げ回るような場面も多かったと考えれば自然だと思います。
そういうハカセのまだ戦い慣れしていない状態の一場面が
第41話のアイムとの出会いの場面の回想シーンだったのだと思います。

今回の回想シーンで海賊としての戦い方に目覚めたハカセではありますが、
もともと戦い慣れしていないハカセだけに、完全に恐怖心を克服するには、
まだ多くの時間と紆余曲折が必要だったのだと思います。

そして、もう1つ整理しておかなければいけないのが、第32話の回想シーンとの関係です。
第32話で一瞬、ハカセの回想シーンがありました。
その場面では、マーベラス一味はアイムも加わった5人編成で、場所は地球ではない何処かの星のようであり、
つまり時系列的には第41話のアイム加入の回想シーンよりも後で、
第1話のマーベラス達が地球にやって来る場面よりも前ぐらいの場面です。

そこでは素面状態の5人が追い詰められたような状態で、
1人だけ動ける状態っぽいハカセにマーベラスがゴーカイガンを意味深な顔で託して、
ハカセが決意の表情で二丁拳銃を乱射して敵に突っ込んで行くという短いシーンでした。
敵の姿を映っておらず状況が分かりにくい回想シーンでしたが、
第32話の時点の考察では、前後の現在における場面との関連などから類推して、
これがハカセの初陣シーンなのだろうと考察しておきました。

しかし、今回の回想シーンが明確にハカセの初陣シーンだと確定してしまったので、
第32話のあのシーンはハカセの初陣シーンではなかったということになりました。
しかし、あそこで意味ありげにハカセが回想していたことや、
あの回想シーンの中でのマーベラス一味の面々の態度が尋常ではないことからも、
あの場面にはあの場面なりの深い意味はあるのでしょう。

また、あの第32話の時点の考察では、
ハカセはもともとは非戦闘要員としてマーベラス一味に加入しており、
その第32話の回想シーンの戦闘でハカセは皆が戦闘不能になった状態で
やむなく初陣を飾ったのではないかと考察していました。

このハカセの一味内での立ち位置については、半ば的中で半ば外れというところでしょうか。
前回から今回にかけての回想シーンを総合すると、
ハカセは決して非戦闘要員として加入したわけではないが、
今回の回想シーンの初陣後も、意識的には海賊として覚醒はしていたものの、
それでも戦い慣れしておらず、もともと温厚な性格であるという点は如何ともしがたく、
暫くの間は、特に素面ではあまり戦力にはなっていない状態が続いていたと思えるからです。

そう考えると、第32話の素面でのハカセの振り切ったように二丁拳銃を撃ちまくるシーンというのは、
その暫く続いていたハカセの半ば戦力外状態の終わりなのではないかと思えます。
それまでもそこそこは戦ったり状況によって戦えなかったりしていたハカセが、
アイム加入後のとある星での戦闘で、自分以外の皆が負傷してしまって
自分が1人で戦わなければ仲間が助からない状況に追い込まれて、
素面状態で勇気を振り絞って戦いを決意したのがあの場面なのでしょう。

今回の回想シーンで海賊としての戦う姿勢に目覚めたハカセが、
紆余曲折を経て、仲間を助けるために戦える自分というものにようやく完全に自信を持つようになり、
戦いへの恐怖心をひとまず克服した節目が第32話の回想シーンなのであり、
それ以降はハカセは第1話以降のようにひとまずは普通に戦うことが出来るようになったのでしょう。

そして、あの第32話の回想シーンの重要なポイントは、
マーベラスがハカセにゴーカイガンを渡してハカセが二丁拳銃で戦ったことです。
あの意味深な描写を受けて、第32話の考察においては、
あれがマーベラス一味における初めての武器交換なのだろうと推測しました。

しかし今回の回想シーンで、
既にハカセ加入時点でマーベラス達は武器交換をしながら戦っていたことが判明してしまい、
第32話のその部分の考察は的外れだったということになりました。

ただ、あの第32話の回想シーンでマーベラスがハカセに銃を渡す場面で
マーベラスもハカセも何か感慨深くしていたのは事実であり、
そうなると、マーベラスは確かに以前から戦闘時に他の仲間と武器交換はしていたが、
ハカセとマーベラスの武器交換はあの時が初めてだったのではないかと思えてきます。

つまり、まだあの時点以前ではマーベラスはハカセに武器を渡すよりも
自分が武器を持って戦った方が仲間のためにも有意義だと思っていたのでしょう。
他の仲間は普通にハカセとも武器交換もしていたのでしょうけれど、
マーベラスだけは船長としての責任感もあって、皆のために最良の戦い方を選ぶ傾向が強く、
そのためそういう判断となっていたのでしょう。
つまり、マーベラスはまだハカセの心意気はともかく、実力は十分なものとは認めていなかった。

そのマーベラスが第32話の回想シーンで初めてハカセに自分のゴーカイガンを渡したのでしょう。
マーベラス自身どうやら戦闘不能状態になっていたっぽいですが、
とにかく他の者にハカセに銃を貸すように指示したのではなく、
わざわざマーベラス自身の武器をマーベラスがハカセに貸したというのは、
マーベラスがハカセを信頼してハカセに命を預けたという意思表示であり、
それを受けてハカセは恐怖心を乗り越えて1人で戦うために立ち上がることが出来た。
そういう場面だったのではないかと思います。

そして、その戦いにおいてハカセは1人で戦って実力以上の力を発揮して危機を突破することに成功し、
その経験を通して、ハカセもマーベラス達も、
仲間の力を1つに合せれば、より大きな力を生み出すことが出来るということを改めて実感したのだといえます。
こうして、いくらか読み違いはあったものの、
解釈し直した第32話の回想シーンも、ちゃんと第32話のテーマには繋がっていくのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(2) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月28日

第43話「伝説の勇者に」感想その2

では本編ですが、まず今回の冒頭は、最初は前回の展開を振り返るダイジェストから始まります。
ダマラスがマーベラス一味の討伐のために繰り出されてきて、
ダマラスに駆り出されたバスコの手によってジョー達4人が倒され、
ダマラスによってマーベラスが連れ去られ、ハカセだけが取り残されたという点が手短におさらいされます。

そして今回のストーリーの初っ端は、ギガントホースの指令室に鎖で縛られて連行されて
床に転がされるマーベラスの場面からです。
指令室までマーベラスを連行してきたダマラスは、司令官席に座る皇帝アクドス・ギルに向かって
「憎っくき海賊どもの船長です・・・陛下!」と一礼します。
ダマラスにとってマーベラスは今まで散々、地球征服を邪魔されて恥をかかされてきた憎い相手だが、
皇帝アクドス・ギルにとっては息子のワルズ・ギルを殺した憎い仇です。

ダマラスとしてはマーベラスのような自分よりも遥かに弱い奴が自分に恥をかかせてきたことが許し難く、
とことん屈辱を与えて殺してやりたいとは思っています。
だから戦いの場では殺さず、こうして捕えて縛り上げて晒し者として、罪人としての屈辱を与えています。
それでもまだマーベラスを絶望のどん底に突き落とすには足りない、
これではまだ自分の気は晴れないとダマラスは思っていますが、
そもそもマーベラスを倒すよう命じたのはアクドス・ギルであり、
ダマラスは形式上はその命令に従って動いている。
だからマーベラスを捕えた以上、その処遇を決定する権利を有するのはアクドス・ギルです。

ダマラスとしてはマーベラスをアクドス・ギルの前に引き出して、アクドス・ギルの決定を仰ぐしかありません。
そして、ダマラスはアクドス・ギルは息子の仇に対して憎しみを露わにして、
すぐに八つ裂きにするよう命じるのだろうと予想していました。

ところがアクドス・ギルは息子の仇を目の前にしても「うむ・・・」と唸って落ち着いて座ったままで、
感情的な反応は見せていません。
それに対して、床に叩きつけられたショックで目を覚ましていたマーベラスは、
ダマラスが司令官席の相手を陛下と呼ぶのを聞きつけ、
ザンギャックの皇帝がギガントホースまでやって来ていることを知りました。

親衛隊が大挙して地球に出現したことから皇帝も来ていることは予想はしていたものの、
それでもこうして本当に皇帝が来ていると確認し、マーベラスは改めて少し驚きます。
そして、ボロボロになりながらも仰向けになってニヤニヤ笑い
「・・・陛下?・・・こんな辺境の星にわざわざお出ましとは・・・ヒマな皇帝もいたもんだなぁ・・・」と憎まれ口を叩きます。

あるいはマーベラスと皇帝の間に過去において何らかの因縁があって、
互いに顔を見知っているのかもしれないとも思っていましたが、どうやらそういうことはないようです。
マーベラスと皇帝には面識は無く、過去に何の因縁も無いようです。
ますますアクドス・ギルはマーベラス一味とは接点の無い存在ということになり、
アクドス・ギルはやはりラスボスではないのかという気がしてきます。
しかし前回「女星セブン」に載っていた見出しに、
ザンギャックが地球を狙う何らかの隠された理由があるかのような示唆もあり、
まだアクドス・ギルがラスボスでないと断言することも出来ない状況といえます。

それはともかく、マーベラスが初対面の皇帝にこんな憎まれ口を叩くのは、
別に何らかの策や目論みがあってのことではなく、純粋に呆れて憤慨したからでしょう。
ザンギャックの親衛隊員のザツリグや軍師のダマラスがワルズ・ギルの仇討ちのために
自分達を襲ってきたことはマーベラスは知っており、
おそらく皇帝の命令によるものだろうとは思っていましたが、
こうしてわざわざ皇帝自らが地球上空まで乗り出してきて息子の仇討ちに必死になっているのを見ると、
腹立たしく思いました。

これまでにどれほど多くの宇宙の人々がザンギャック帝国によって理不尽に親を殺され、子を殺されてきたことか。
それらの人々は仇討ちなど滅多に叶わない。
先だってアイムが親の仇を討てたのは稀に見る幸運だったといえます。
マーベラス達にとってもザンギャックは故郷を滅ぼした仇ですが、
ザンギャックの誰が仇だかも分からないし、仇など討ちたくても討てない状態です。
それなのに、単に向こうから襲ってきたので返り討ちにしただけのワルズ・ギルの仇討ちだと言って、
ザンギャック皇帝は直々にお出ましなのだから、いい気なものだとマーベラスが想ったのも無理はありません。

しかし、この憎まれ口は当然、皇帝側近のダイランドーの怒りを買い、
ダイランドーは仰向けになったマーベラスの額を靴の裏で踏みつけて
「ヘ〜イ!ユー!減らず口はほどほどにしなっちょお!!」と、怒りに震えて怒鳴りつけます。
宇宙を総べるザンギャック帝国の皇帝に罪人の海賊ごときが口を利くだけでも不遜だというのに、
皇帝を侮辱する発言までするとは、ダイランドーにとっては許し難いことでした。

当然、皇帝アクドス・ギルもマーベラスに対して激怒していると思ったダイランドーは、
アクドス・ギルの方に向き直ると「陛下!!こんな奴はとっとと殺っちゃいやしょお!!」と
マーベラスの処刑をこの場で断行することを提案し、マーベラスの頭を思いっきり蹴り飛ばします。
そしてもんどりうって転がったマーベラスをドゴーミン達が引っ張り上げて立たせます。

アクドス・ギルがそれをじっと黙って見ているので、
ダイランドーの提案が採用され、処刑をこの場で行うことが決定されたのだと、
ダイランドーもダマラスも理解しました。
ダマラスはもう少しマーベラスをいたぶってやりたい気分であったのですが、
皇帝の裁定が下った以上はもはや是非も無い。
ダマラスは剣を抜いて、縛られて身動き出来ないマーベラスの喉元に突きつけます。

そしてダマラスが剣を振り上げて、マーベラスを斬り捨てようとしたその瞬間、
「待て!」とアクドス・ギルの威厳ある声がダマラスを制止したのでした。
ダマラスは驚いて振り下ろそうとしていた剣を止めます。
マーベラスもさすがに死を覚悟していましたが、いきなり処刑が止められて意外そうに皇帝の方を見ます。
するとアクドス・ギルは「ただ地獄へ落とすのではつまらん・・・地球で公開処刑にせよ!」と
ダマラスに命じたのでした。

マーベラスはハッと目を見張って皇帝の狙いを理解します。
アクドス・ギルはマーベラスのことを憎い息子の仇として怒りに任せて殺そうという意思は無いようです。
マーベラスが憎まれ口を叩いても怒りに火が点くということもない。
アクドス・ギルはただひたすら冷徹にザンギャック帝国の宇宙征服のために
利用できるものは利用しようとしているだけなのです。

マーベラスの処刑もまた、アクドス・ギルにとっては帝国の威信を高めるための儀式に過ぎない。
だから、こんな密室で殺してしまうのではなく、地球でマーベラスを公開処刑にすることによって、
ザンギャックに逆らった者の末路を地球人たちに思い報せ、
あれほどザンギャック相手に善戦していた宇宙海賊もザンギャック皇帝直属軍にはあっけなく敗れて
処刑されたという事実を地球人の意識に刻印して、
ザンギャック帝国の圧倒的な力を知らしめて決定的な絶望感を与えて、
ザンギャック帝国への抵抗の意思を奪い、戦わずして地球を征服しようとしているのです。

息子の仇討ちさえ帝国の力の誇示に利用しようとしている皇帝の冷血ぶりを見て、
マーベラスは到底自分とは相容れないものを感じたのでした。

ここでOPテーマが始まります。
OPナレーションは通常回バージョンで、
そしてCM明け、「伝説の勇者に」という今回のサブタイトルが出ます。
「伝説の勇者」とは、前回、ハカセがおそらく記憶喪失のフリをしてなりすまそうとしていた、
雑誌に載っていた現在行方不明の勇者のことです。
「伝説の勇者に」ということは、ハカセがその勇者になるということなのか、
あるいは勇者にならないということなのか、文末の動詞が欠けているのでイマイチ分かりません。
が、まぁだいたいこのように文末の動詞を省略した場合は、「伝説の勇者になる」という意味です。

しかし、前回の描写ではハカセはどう見ても「伝説の勇者」ではないように見えました。
あるいは、そう見せかけておいて、実はハカセ自身も気付かないうちに本当にハカセは記憶喪失になっていて、
ホントはハカセは伝説の勇者であり、その記憶が今回最終的には覚醒してダマラスを倒すという、
いかにもヒーロードラマにありがちなドラマチックな展開になるのかもしれない。
そのようにも思わせるようなサブタイトルです。
ただ、曖昧な文意のサブタイトルであるので、そうではないかもしれないし、やはりハッキリとはしません。

さて、本編が再開して、マーベラスの公開処刑の実施が決定したギガントホースから舞台は変わって、
今度はマーベラス一味の乗船であるゴーカイガレオンの船室です。
マーベラスはギガントホースで囚われの身で、ジョー達4人はバスコに倒されて炎の中で消滅し、
ダマラス達がマーベラスを連れ去った後、唯一戦場に残されたハカセが、
その場に落ちていたマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルだけを持って、
とぼとぼとガレオンに帰還して、ナビィに事の顛末を報告していました。

マーベラスが連れ去られたと聞いたナビィは仰天して、
マーベラスのモバイレーツの発する信号を探って、マーベラスの居場所を必死で探し始めました。
しかしマーベラスのモバイレーツの反応はキャッチ出来ません。
それもそのはずで、ハカセやナビィは気付いていませんが、
マーベラスのモバイレーツは今はバスコが拾って持っています。

以前、バスコがジョー達を浚った時、
フリージョーカー内でサリーが持っていたジョー達のモバイレーツの信号は
ガレオンで受信することは出来ませんでしたから、
今回もバスコがフリージョーカー内にいるのならば、
マーベラスのモバイレーツの発する信号はガレオンでは検知出来ないはずです。

さっきのギガントホースの場面ではバスコはいませんでしたから、
バスコはダマラスがギガントホースまでマーベラスを護送するのに付き添った後は
フリージョーカーに戻ったと思われ、
ならばナビィがいくら探してもマーベラスのモバイレーツの在り処は分からないはずです。

「こっちかなぁ〜?こっちかなぁ〜?ダメだ!何の反応も無い〜!」と必死に翼でキーボードを叩いて
途方に暮れているナビィの背後には、ソファで膝を抱えて落ち込んでいるハカセの姿があります。
ジョー達4人が殺され、マーベラスまで捕まってしまったという絶望的状況ですから、
ハカセが落ち込むのも当然といえば当然ですが、一方、ナビィは結構頑張っています。

考えてみればナビィは戦闘能力こそ無いものの、
海賊の一員としては現在のマーベラス一味の中ではマーベラスよりも古参であるようですから、
なかなか腹が据わっています。
この悲惨な状況でも、まだマーベラスを助けられる可能性が残っている以上、
メソメソ悲しむのではなく、マーベラスの救出に向けて前向きに出来ることをやろうという精神を発揮しています。

一方のハカセは膝を抱えて黙って俯いてしまっています。
落ち込むのも当然の状況とはいえ、孤軍奮闘しているナビィから見ればもどかしく感じるのも当然で、
ナビィはハカセの傍に飛んでくると
「もうハカセ!落ち込んでる場合!?勇者でしょ!?何とかしてよぉ〜!」と文句を言って、
そのまままたすぐにキーボードのところに飛んで戻ります。

ナビィは前回のハカセが船室で皆に向かって告白した話を聞いて、
すっかりハカセが実は伝説の勇者だったと信じ込んでいます。
しかし同時に、ハカセが現在は記憶喪失で、伝説の勇者だった頃のことを覚えていないので、
今は勇者の力を発揮出来ないという風にも理解していますから、
現実に今ハカセに勇者として現状を打開してもらえるとは思っていません。

ただナビィもマーベラスの行方が掴めない八方ふさがりの状況の中でイライラして、
元勇者のクセに情けなさすぎるハカセの態度をついついなじりたくなっただけのことです。
だから一言文句を言ったらスッキリして、また作業に戻っています。
しかし一方、言われた方のハカセは頭を抱えて、ますます激しく落ち込んでしまっています。
「勇者」と言われたことが堪えたようなのですが、ナビィは全然気付いていません。

そうしてナビィがまたキーボードを必死で叩いている後ろで、ハカセは険しい顔をゆっくりと上げて、
テーブルの上に置いてある「女星セブン」を見つめます。
その「女星セブン」は、ちょうどハカセそっくりの伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーに関する
記事のページが開いています。
そのページにある勇者ドン・ドッゴイヤーの写真をじっと見つめながら、
ハカセは意を決して「・・・ウソなんだ・・・」と、ポツリと呟きます。

しかし作業に懸命なナビィにはハカセの言葉は聞き取れず、
ただハカセが何か呟いたことだけは分かったようで、
作業しながら「ああ?何か言ったぁ?」と邪魔くさそうに問い返します。
それに対してハカセが逆ギレしたように自分の腕をもう一方の腕でぶん殴りながら
「ウソなんだ!!・・・勇者なんて・・・!」と怒鳴ったので、
ナビィは「ええええ!?」と仰天して振り向き、慌ててハカセのところに飛んできて
「だって、その本は?星型の痣は?」と問いかけました。

ウソといっても、雑誌に載っている勇者は確かにハカセと同じ顔であり同じ名前であるし、
勇者の証である左腕の星型の痣だってハカセには有るのだから、
間違いなくナビィの理解では、ハカセが雑誌に載っている伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーその人であるはずでした。

しかしハカセは雑誌と痣のことを問われると、苦々しい顔をして「・・・僕が作ったんだ・・・」と言いつつ、
シャツを脱ぎ、露出させた左腕の星型の痣にハンカチを押し当てると
「ちょっとした悪戯のつもりだったのに・・・」と言いながらゴシゴシと拭きます。
すると、なんと星型の痣は消えてしまったので、ナビィは「かっか・・・書いたのおおお!?」と仰天します。

星型の痣は前回推察した通り、案の定、ハカセが自分でマジックで書いていたものであったようです。
そして、どうやら「女星セブン」の記事もハカセの自作の偽記事であったようです。
といっても、「女星セブン」という雑誌そのものを全部ハカセが捏造したわけではなく、
ハカセは自分で勇者のコスプレをして写真を撮り、それをレイアウトして文章を添えて自作した
「あの人は今どこに?いくつもの星を滅ぼした邪悪な竜を退治した勇者ドン・ドッゴイヤー」という
偽記事のカラーページを作り、それを既存の「女星セブン」の見開きの真ん中に挿し込んで
センターカラー特集記事のように見せかけたのです。

そういえば、よく考えたら、「女星セブン」の表紙には様々な記事の見出しが載っていましたが、
センターカラーのあれだけ派手な記事であった勇者ドン・ドッゴイヤーの記事の見出しは表紙にはありませんでした。
それは不自然なことです。
しかし、もともとの「女星セブン」にはそんな記事は掲載されていなかったのだとすれば、
辻褄は合います。

そうして、その偽記事の文章の中に、「勇者の証は左腕の星型の痣」という記載を含ませておき、
自分の左腕にも星型の痣を書いておいた上で、
その偽記事を挿入した「女星セブン」をさりげなく船室のテーブルの上に置いておいたのです。
たぶん、ハカセはアイムがいつもその手の雑誌を読んでいることを知っていたのでしょう。
だから「女星セブン」を入手して、そうした加工をした上で船室に置いておいたのです。

そして、かつて一味に仲間入りした時にマーベラス、ジョー、ルカの3人に自分の過去を正直に喋っていたので
疑われることを見越して、偽記事の中に「勇者は竜との戦いの際に光を浴びて行方不明になった」という
記載を含ませておき、その上で「記憶喪失だった」と告白すれば辻褄は合うと計算したのです。

ただ、これは別に「記憶喪失」ということにしなくても、
事情があって黙っていたという設定でも話は成立したはずです。
それなのにどうして「記憶喪失」という設定にしたのかというと、
これがそもそもハカセがどうしてこんな手の込んだことをして皆を騙そうとしたのかという動機に
関係してくるのです。

ここでハカセが「記憶喪失」という設定にこだわった理由は、
過去の記憶が無いということで、結局、自分の過去が伝説の勇者だったかどうかは曖昧にしようとしたからです。
伝説の勇者だと確定してしまえば、当然これからの人生を伝説の勇者として過ごさなくてはならなくなる。
しかし本当は伝説の勇者ではないハカセにそんなことが出来るわけがない。
だから「伝説の勇者かもしれないけど、違うかもしれない」という曖昧な状態にとどめておく必要があったのです。
そのためには記憶喪失という設定が便利であったわけです。

しかし、伝説の勇者として生きる覚悟も無しに、
どうしてハカセは「伝説の勇者かもしれない」というような中途半端な立場になりたがったのか?
それは、昨日のドゴーミン率いるザンギャック部隊との戦いで皆に弱いからバカにされているという
被害妄想に駆られたハカセが、仲間たちから一目置かれたいと思ったからです。

もしハカセのことを昔、伝説の勇者だったかもしれないと皆が思えば、
今みたいに弱いからといってバカにしなくなるかもしれない。
少なくともハカセがただの一般人ではなかったと皆が思えば、自分達と同格に扱うようになるかもしれない。
その程度の軽い考えで、ハカセは昨日の戦いが終わった後、
ガレオンに送られてきた「女星セブン」を見てこの悪戯を思いつき、
偽記事を作り、左腕に星型の痣を書き、記憶喪失のフリをすることにしたのでした。

そうして皆にこの記事を見てて驚かせ、
星型の痣を見せて皆にハカセが伝説の勇者だった可能性が高いと思い込ませ、
しかし記憶を失ったハカセは現在は勇者としての責務を負う必要は無いし、
本当に勇者だったのかどうか確定は出来ない。
そういう、なんとなくハカセを一目置く空気がマーベラス一味の中に形成されて話は終わると、
ハカセは目論んでいたのです。

ところがハカセがつい調子に乗って記憶喪失の演技を過剰にした結果、
鎧やアイムがハカセが勇者だったのだと完全に信じ込んだ挙句、
ハカセの勇者の記憶を取り戻そうと奮闘し始めてしまい、
サラッと曖昧なまま終わる予定だったこの嘘話が、予想外に大袈裟になり、
ハカセの戻るはずのない記憶が戻るまで続きそうになってきて、ハカセは困り果てていました。

それに、記憶を取り戻す作業として出掛けたレストランでのアイムや鎧との会話を通して、
実は皆はそんなにハカセのことをバカにしていなかったことにハカセ自身が気付いてしまい、
こんな嘘話をわざわざでっち上げる必要など無かったのだと、ハカセは後悔しました。
それで、こうなったら正直に皆にウソをついていたことを謝るしかないと思いつつも、
なかなか機会を掴めずズルズルと状況に流されているうちにダマラスとの戦いが始まってしまい、
仲間たちは殺されたり連れ去られたりしてしまい、ハカセだけが取り残されてしまったのです。

「みんなに・・・ウソついたままになっちゃった・・・」と、シャツを着ながらハカセは激しく落ち込みます。
ハカセがダマラスとの戦いの後、ひどく落ち込んでいたのは、
仲間を失ってしまったこと、仲間がやられるのに自分は何も出来なかったことも
もちろんその大きな要因でしたが、
更にハカセの落ち込みに拍車をかけていたのは、
結局、仲間たちを騙した形のままお別れとなってしまったことでした。

そのことが酷く後味が悪く、皆に申し訳ない想いでいっぱいでしたが、
もはやマーベラスはともかく、ジョー達4人については、嘘を訂正することも、謝ることも出来ないのです。
それがなんとも切ないのでした。
ナビィもハカセのそういう辛い心情を理解出来るのか、「うう〜ん・・・」と困惑してハカセを見つめます。

ハカセは自分の嘘を無邪気に信じていた鎧やアイムのことを想い出し、
それが彼らがこんな自分のことを尊敬してくれていたからであったことに思いを馳せます。
そんな彼らに対して自分は勝手に彼らが自分をバカにしてると卑屈にも思い込み、
純粋に自分を信じる彼らに「自分は伝説の勇者だった」などという嘘を吹き込んで騙していたのです。
そんな自分にハカセは嫌悪感を覚え、立ち上がって涙を拭いながら
「伝説の勇者でも何でもない・・・僕はただのウソつきだ!」と吐き捨てるように言います。

しかし、今更そんなことを正直に言ったところで、もはや鎧やアイムの耳には届きません。
すべては手遅れでした。
そうして、自分のやってしまったことの罪深さを噛みしめながら、
ハカセは苦々しい表情でマーベラスの船長椅子の前に立って、
誰もいないその椅子を見つめて、ある記憶に思いを馳せます。

それは、前回のレストランの場面でルカがアイムや鎧に語った、
ハカセがマーベラス一味に加わることになった顛末の回想シーンの、その続きの場面の想い出でした。
その場面はハカセとマーベラスとナビィしか出て来ないのでルカは見ていなかったのか、
それとも見ていたか知っていたかもしれないが、大した内容ではないと思って覚えていなかったのか、
どちらかでしょう。

実際、ルカが重要視するようなドラマチックな場面ではありません。
ハカセ自身、さっきのレストランの場面ではこの場面は想い出すことすらなかった。
今になって急に想い出したのです。
それぐらい、一見どうでもいい想い出でした。

引き受けた仕事の約束を果たすため、ザンギャックに睨まれることを承知で
ガレオンに修理にやって来たハカセを気に入ったマーベラス、ジョー、ルカの3人組は、
ハカセに当時3人組だったマーベラス一味の新たな仲間になるように言いました。
前回のエピソードの中でルカが語ったハカセ加入話はここまでの描写でした。
その後、ハカセは結局、マーベラス達の強引な誘いに押し切られて仲間になった。
そのようにルカは理解していましたし、ハカセ自身そういう理解でおりました。

しかし、実はハカセはすぐに海賊の仲間になることを承諾したわけではない。
いや、あれほど海賊を怖がっていたハカセがすぐに海賊になることを承諾する方が不自然です。
それにはそれなりの経緯というものがあったのです。
あのルカの語ったマーベラス達による強引な勧誘の場面の後、
ガレオンの船室でハカセとマーベラスが会話している場面が、ここでハカセが想い出した場面でした。

その回想シーンでは、例の便利屋の白衣を着たハカセは
「ちょっと〜!僕に海賊なんて出来ませんって!」とマーベラスに向かって激しく抵抗して、
勧誘を断ろうとしています。
いきなり海賊仲間になるよう誘われたが、ハカセにとっては全く青天の霹靂でした。
辺境の無人星で宇宙の旅人相手に便利屋を営んでいるだけの気のいい温厚な男に過ぎないハカセは、
自分が荒々しい宇宙海賊になるなど想像したこともありませんでした。

ザンギャックに逆らったり、ザンギャックに追われることが怖いから海賊になりたくないわけではない。
いや実際は怖かったが、ハカセはそれをマーベラス達の誘いを断る理由として主張出来る立場ではない。
何故なら、ハカセは自ら進んでザンギャックと敵対するマーベラス一味に手を貸すために
ガレオンにやって来たからです。
そんなにザンギャックに逆らうのが怖くて嫌なのであれば、
最初からガレオンに来なければよかっただけのことです。
こうしてガレオンに修理に来た以上、ハカセにはザンギャックに逆らう意思はあるのだと
マーベラス達に思われても、それは仕方ないといえます。

そして実際、ハカセはザンギャックのことが大嫌いでした。
故郷の星を滅ぼされたのも大きな理由ですが、
この宇宙にはザンギャックに故郷を滅ぼされた者など掃いて捨てるほどたくさんいます。
その中でハカセのような温厚な男が、よりによってザンギャックに逆らう行動に踏み切ったのは、
ザンギャックに対する感情が単なる大嫌いを通り越して、生理的嫌悪感の域に達していたからでした。

ザンギャック帝国というのはダマラスに象徴されるような圧倒的な暴力で
弱い者を屈服させて宇宙を支配してきた帝国です。
そこでは弱い者は強い者に服従するだけの無力で無価値な存在であり、
そうであらねばならなかったのでした。
強い者だけに価値があり、弱い者には価値は無い。
その極端な弱肉強食の論理がザンギャック帝国の支配体制の根幹でした。

そんな世界ではハカセのような弱い人間の人生は価値が無いと宣告されたようなものです。
しかしハカセは自分の人生に価値が無いなどとは思いたくなかった。
不幸な境遇の中でも夢や希望を捨てたくはなかったのです。
だからハカセは弱い自分の人生を無価値だと決めつけるザンギャックの支配体制を
心の中で甘んじて受け入れず、嫌悪しました。
弱い者を屈服させるザンギャックの暴力を憎みました。
だからハカセは暴力や争い事が嫌いなのであり、ザンギャックが嫌いなのです。

そして、ハカセは強い者に媚びるのではなく、
自分の引き受けた仕事を誠実に履行していくという生き方で旅人たちの信頼を得ることで、
自分の人生にも価値は有るのだと思うことが出来るようになっていました。
それはハカセの得た希望であり、自由な生き方であり、
こうして辺境の無人星で便利屋としてささやかだが満足できる生き方を続けるというのが
ハカセの一種の夢となっていました。

だからハカセはザンギャックの暴力に怯えて自分の一番大事な生き方を曲げたくなかった。
引き受けた仕事の依頼人が海賊だったからといって、
ザンギャックに怯えて、依頼人の信頼を裏切ったら、
自分はまた無価値な人間になってしまうような気がしたのです。
弱い人間が価値ある人生を送るためにどうしても譲れない意地があったのでした。
だからハカセはザンギャックに逆らってマーベラス達に手を貸した。

しかし、だからといって宇宙海賊にシンパシーを抱いているわけではないのです。
ハカセは単にハカセなりにザンギャックに対して譲れない意地を通すために、
たまたまマーベラス一味を助けたのであり、
ルカに騙されて修理の依頼を受けてしまっていなければ、
絶対に宇宙海賊などに関わり合いになりたいなどとは思わなかったでしょう。

何故ならハカセはザンギャックと同じくらい、宇宙海賊のことも大嫌いだったからです。
それはどうしてなのかというと、宇宙海賊というものもまた、ザンギャックと同じように
暴力で弱い者を屈服させて、弱い者の価値を認めない連中だと思っていたからでした。
というより、実際に大抵の宇宙海賊というのはそういう連中でした。
だからハカセは宇宙海賊が嫌いであったし、
そもそも自分のような弱い人間が宇宙海賊の中で存在価値があるとも思えませんでした。
むしろハカセはマーベラス達が上手いこと言って
自分を修理係や料理係としてコキ使おうとしているのではないかと思い、不信感を抱きました。

それでなんとかマーベラス達の誘いを断ろうとして抵抗するハカセを
「まぁいいから座れ!」とマーベラスは傍にあった自分の船長椅子に強引に座らせ、
椅子の背もたれにとまっていたナビィは「わあ!?」と驚きの声を上げます。
そしてマーベラスは憮然として座っているハカセに
「ほらよ!」とモバイレーツとゴーカイグリーンのレンジャーキーを差し出しました。

疑い深そうな顔でそれらを手に取って「・・・何ですか、これ?」と問うハカセに向かって、
マーベラスは「俺たちが夢を掴むための道具だ・・・ザンギャックとやり合う時に、結構使えるぜ!」と
笑顔で言います。
それを聞いてハカセは驚いて「え!?僕も戦うの!?」と問い直しました。
マーベラス達はハカセが弱い奴だということは分かっているはずです。
だからハカセは、てっきり弱い自分は雑用係として利用されるだけだと思っていたのです。
しかし、マーベラス達はハカセのことを他の仲間同様に戦闘要員扱いしている。
そのことがハカセには意外だったのです。

しかしマーベラスはハカセがあまりに当たり前のことを問いかけてくるので面白かったようで、
ハカセの頭を掴んで「ったりめぇだろ!海賊なんだから!」と快活に笑います。
ハカセはこのマーベラス一味という海賊は、どうも普通の海賊とは違うように感じました。
普通の海賊やザンギャックの連中は弱い者のことなどバカにしていて価値を認めようとしません。
今までハカセもそういう連中には散々バカにされてきました。
でも、このマーベラス一味は、ガラの悪い連中ではあるが、
どうしてだか分からないが弱い自分のことも対等な仲間として扱おうとしてくれている。

しかも「夢を掴むための道具」と彼らが呼ぶ、彼ら自身が使っている大切なアイテムを託そうとしてくれている。
つまり、一緒に夢を掴む仲間だと認めてくれているのです。
決してマーベラス達はハカセが弱い奴だからといって下僕のように扱おうとはしていない。
何故かは分からないが、特別にかけがえのない仲間だと認めてくれているのです。

ハカセは自分よりも強い人間からそのように扱われたことは無かったので面喰らいました。
そのことはハカセは素直に嬉しかった。
実際、マーベラス達に手を貸したためにハカセはもとの場所で便利屋を続けることは不可能になってしまいました。
だから、いっそマーベラス達となら一緒に夢を掴むための旅をしてもいいともハカセには思えました。
だが、やはり海賊の仲間となると、ハカセはそれは自分には無理だと思いました。

せっかくマーベラス達が自分のような者を対等な仲間として扱ってくれる以上、
ハカセもマーベラス達に対等な仲間に相応しい働きで報いたいと思いました。
それはつまり一人前の海賊としてザンギャックとも戦うということです。
マーベラスだってそれを期待してこのアイテムを渡してくれているのだとハカセは思いました。

しかし、ハカセは暴力や争い事が嫌いで苦手な臆病者なのです。
だからきっと満足に戦うことは出来ず、マーベラス達の好意に報いることは出来ない。
それどころか、きっと足を引っ張ってしまうに違いない。
だからやはりこんな弱い自分が海賊の仲間になるなんて無理だと思い、
ハカセは「でも・・・僕・・・」と自信無さそうな表情で、やっぱりマーベラスの誘いを断ろうとしますが、
マーベラスは事もなげに「心配すんな!」と言うと、ハカセに背を向けて
「出来ねぇことはしなくていい!出来ることだけやってくれ!」と言ったのでした。

これでハカセは少しは気が楽になりました。
マーベラスが現時点でハカセに即戦力を期待しているわけではないと理解したからです。
当面は自分の出来ることをやって、仲間の役に立てばいい。
そうして徐々に自分の出来ることを増やしていって、
マーベラス達の対等な仲間に相応しい強い人間になっていけばいいのだと、
ハカセは少し気長に考えることにして、マーベラス一味の仲間に加わることを決めたのでした。

ここで回想シーンは終わり、現在時点のハカセが船長椅子を見つめて、
かつてマーベラス一味に加入した夜、船長椅子に座って下した自分の決意を思い返します。
あの時、自分は初めて自分を対等な仲間として扱ってくれたマーベラス達の好意に感激して、
マーベラス達の役に立つ仲間になろうと心に決めたはずです。
それなのに、ジョー達4人が殺され、マーベラスが連れ去られて、
一味が壊滅状態となった今の自分の姿はいったい何なんだとハカセは愕然としました。

昔と変わらず弱くて臆病者で、戦いでもマーベラスの足を引っ張ってしまった。
そして皆はそんな自分のことをそれでも対等な仲間だと思ってくれていたのに、
自分は勝手に皆が自分をバカにしていると僻んで、伝説の勇者だったなどという、
くだらない嘘をついて見栄を張っていた。

マーベラスはハカセの加入時に「出来ることをやってくれ」と言ってくれたが、
自分は海賊の仲間になって以降、仲間の戦いの役に立つような「出来ること」を
結局は何ら増やすこともせず、弱い自分を僻んで伝説の勇者のフリをして皆を騙すという
最低の行いをもって、仲間の好意を仇で返しただけでした。
自分の辿り着いた「出来ること」とは、こんな下劣なことでしかなかったのかと思うと、
ハカセは自分が本当に最低の人間のように思えました。

そして、マーベラスを救出しなければいけないというこの一大事に、
よりによってこんな最低の嘘をつくしか出来ることのない自分のような奴しか
生き残っていないことに絶望したのでした。
船長椅子を見つめたまま「伝説の勇者でもなんでもない僕が残っちゃうなんて・・・」と呟き、
ハカセは途方に暮れて立ち尽くします。

その時、ガレオンのパネルスクリーンがアラーム音を鳴らします。
何か強力な電波を受信したようです。
「ん?」とパネルスクリーンの方を見たハカセとナビィでしたが、
いきなり画面が切り替わってダマラスの姿が映ったのでナビィは「・・・ああ!!」と驚きます。

画面の中でダマラスは「地球人ども!よく聞けい!!」と言っています。
どうやらザンギャック軍が強力な電波を発して、
地球上のあらゆる放送局や軍事基地などの受信器に強制的に電波を介入させて、
一種の電波ジャックをしているようでした。
目的は、地球人全員に対する何らかのメッセージを発することであるようです。
ハカセとナビィは驚いてその画面に見入ります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:40 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月26日

第43話「伝説の勇者に」感想その1

「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品は独特な条件のもとに作られている作品です。
どんな複雑な設定のもとに作られた作品でも、イチから架空の世界観を作り上げることが出来るならば、
発想の自由度は保証されており、世界観を組み立てていくのは楽な作業です。
いや、別に他の作品が手を抜いているというわけではなく、
「ゴーカイジャー」があまりにも特殊すぎるという話です。

他の作品の場合も、世界観を構築していくにつれて、
その自ら作った世界観に縛られていって、どんどん発想の自由度が狭まっていきます。
むしろ最後まで自由度が高い作品というのは、
世界観が不完全であるか、世界観を無視したような雑なストーリーばかりが進行していく作品であり、
そういうのは駄作と言っていいでしょう。
真の名作というのは、どんどん発想の自由度が下がっていく中でも物語のクオリティを維持していくものです。
スーパー戦隊シリーズにはそうした名作が数多く存在します。

ただ、それらの名作群と「ゴーカイジャー」はやはり全く異質だといえます。
他の作品の場合は、それでもやはりスタート時点では完全に自由度が保証された状態であるのに比べて、
「ゴーカイジャー」の場合は最初から自由度が制限されているからです。
他の作品は何も無いゼロの状態のところにイチから世界観を作り始めることが出来るが、
「ゴーカイジャー」は過去34戦隊が登場するという約束が最初から決まっており、
それを外すことが出来ない分、発想の自由度は制限されているのです。

もちろん、それはデメリットばかりではなく、
過去34戦隊を登場させることが出来るというのは他の作品では絶対に許されない好条件であるともいえます。
その分、派手に盛り上がることは確実だからです。
過去34戦隊が登場するということはメリットでもありデメリットでもあり、
それがあるから有利だとか不利だとか一概には言えません。
だから、それをもって「ゴーカイジャー」の他作品に比べての優劣を論じる気はありません。

ただ、世界観をゼロからじっくり作り上げることが出来る作品の方が、
より深みのある物語、内容の濃い物語を作ることが出来るとはいえるでしょう。
そういう作品が一般的な意味での魅力的な物語であり、傑作といえる作品でしょう。
一方、「ゴーカイジャー」のような作品はむしろ特殊なお祭り企画であり、内容は盛り沢山ですが、
決して真の傑作のように深くもないし濃くもない、そのようになりがちです。
既に最初から世界観の中でオリジナル設定以外の部分が出来上がっている部分があるので、
その分、世界観を全部「ゴーカイジャー」の物語の世界観として突き詰めることが難しいからです。

例えば、「ゴーカイジャー」と同じ、お祭り企画の典型的作品である「仮面ライダーディケイド」は、
未だに仮面ライダーシリーズの中において不動の存在感を示す特別な作品と言っていいが、
しかし次作「仮面ライダーW」と比べてどちらが傑作かといえば、間違いなく「W」の方が傑作でしょう。
それは「ディケイド」が「W」に比べて劣っているということではない。
「W」はゼロから世界観をみっちり練り上げた作った作品であり、
「ディケイド」はもともとそういうことが出来ない状況の中で生まれた作品であり、
「ディケイド」は「ディケイド」なりの面白さを追求し、決して傑作を目指すのではなく、
あくまでお祭り企画に徹した作品であるという、そういうタイプの違いがあるだけのことです。

ならば「ディケイド」と同じお祭り企画である「ゴーカイジャー」という作品も、
「ディケイド」同様の作り方をして、傑作を目指すべきではないはずです。
しかし「ゴーカイジャー」という作品はお祭り企画でありながら傑作を志向した作品なのだといえます。
つまり、世界観をゼロからみっちり練り上げることを志向しています。

しかし、もともとその世界観の中には
「34戦隊」という「ゴーカイジャー」オリジナル要素とは異質なものが存在しているわけで、
これが一種の聖域となって、「ゴーカイジャー」の世界観の中に呑み込まれるのを拒絶しているのです。
これがある限り、「ゴーカイジャー」の世界観は完全にゼロから練り上げることは出来ない。
そして現実、34戦隊は完全には「ゴーカイジャー」の世界観の中には呑み込まれてはいませんが、
それでも「ディケイド」に比べれば、「ゴーカイジャー」は、かなりゼロに近いところから
オリジナルの世界観を練り上げることが出来ています。

つまり、「ゴーカイジャー」の世界観の中の34戦隊の要素は、
かなりゴーカイジャーのオリジナルの要素に還元されているのです。
それがどのような手法で為されているのかというと、
レジェンド戦隊のテーマとゴーカイジャーのテーマを重ねるという手法です。

つまり、例えばマジレンジャーの「勇気」と同じ「勇気」がゴーカイジャーのメンバーの物語の中にも
もともと存在しており、
それゆえ、マジレンジャーの要素もゴーカイジャーの中にはもともと含まれていたという形になっており、
ゴーカイジャーの世界観の中でオリジナル要素としてマジレンジャーの要素を扱うことが可能になっているのです。
こうした文脈で、ゴーカイジャーはマジレンジャーに変身してその力を使い、
マジレンジャーの大いなる力も使いこなしていきます。
これを34戦隊分やることで、「ゴーカイジャー」の物語の中に34戦隊の物語は呑み込まれていき、
「ゴーカイジャー」の世界観は限りなくオリジナルの世界観に近づき、
ゼロから世界観を構築することが可能になっていくのです。

この「もともとレジェンド戦隊の要素をゴーカイジャーがオリジナル要素として持ち合わせていた」という描き方は、
一見「ディケイド」も似ているように見えます。
ディケイドもまた、歴代平成ライダーの要素をもともとオリジナル要素として
使いこなせるライダーという設定となっており、
ディケイドが登場段階から記憶喪失となっているためにそれら歴代ライダーの能力を使えなくなっており、
ディケイドが旅で通りすがった歴代ライダーの世界で、
それぞれのライダーの物語のテーマを想い出すことによって、
それぞれのライダーの能力を回復していくという設定となっています。

確かに一見、ゴーカイジャーと似ていますが、
ディケイドの場合、どうしてディケイドがもともと歴代ライダーの能力を使えるのかという点に関しての
説明が劇中で一切ありません。
つまり記憶喪失であるためにディケイド自身の物語が無いので、ディケイド自身が謎のライダーであり、
歴代ライダーの世界観はディケイドの世界観の中に還元されずにそのまま存在しており、
結果的に、ディケイドは歴代ライダーの要素を拝借しているだけのように見えるのです。

「ディケイド」の物語にはオリジナルの世界観が希薄で、歴代平成ライダーの世界観が原型に近い形で存在している。
そういう意味で、やはり「ディケイド」はお祭り企画の典型的作品だといえます。
そしてディケイドは歴代平成ライダーの能力を何故か使うことが出来る謎の万能ライダーということになります。

だからこそ「ディケイド」は仮面ライダーシリーズのお祭り企画の記念碑的作品として相応しいのだといえます。
何故なら、仮面ライダーとは元来「謎の万能戦士」ともいえるミステリアスな存在であり、
ライダーの物語とは、基本的には謎解きミステリー仕立てになっているからです。
つまり、ライダーとは人知を超えた謎めいた孤高の戦士なのであり、
まさにディケイドは典型的ライダーといえます。

それゆえディケイド自身の人間ドラマを描く必要は無く、ディケイド自身のオリジナルの物語も必要ではない。
だから歴代ライダーの世界観を単に繋ぎ合わせたような世界観で作品を成立させることが出来るのです。
要するに、ライダーというのはお祭り企画が作りやすいのだといえます。

しかし、スーパー戦隊はそうではない。
もともと初代作品の「ゴレンジャー」が「仮面ライダーアマゾン」の後番組として、
ライダーシリーズとの差別化を図って考案された企画であるので、
ライダーの人知を超えた謎解きミステリー仕立ての物語とは一線を画しています。

スーパー戦隊は人知を超えた謎めいた戦士ではなく、あくまで人間が作り出した人間の戦士であり、
決して万能ではなく、人間の不完全さを持った戦士です。
それゆえ、ライダーが基本的には単体同士の戦いで敵怪人よりは能力的に優位にあるのに比べ、
スーパー戦隊の戦士は単体では敵怪人よりも能力的に劣る場合が多い。
その不完全さをカバーするためにスーパー戦隊の戦士たちはチームで戦って、
敵怪人を凌駕する強さを発揮するのです。

こうしたスーパー戦隊は戦隊メンバーの物語を描かないわけにはいきません。
チームワークを描かなければスーパー戦隊というものはヒーローとして成立しないのですが、
そのチームワークを描くに際して、
何だかよく分からない謎めいた戦士同士のチームワークというのは描きにくいのです。
それぞれの戦士の物語が明確で、ちゃんと弱いところが描けていなければ、
チームワークの物語は成立しにくいのです。

もちろんスーパー戦隊シリーズでも戦隊メンバーの個々の物語において
「実は〜だった」というようなどんでん返しを終盤に持ってくるような、
一種の謎解きミステリー仕立ての展開が生じることはあります。
「シンケンジャー」における志葉丈瑠、「ゲキレンジャー」におけるジャン、
「ボウケンジャー」における間宮菜月などが近年の例としては挙げられます。

しかし彼らの場合は単に終盤に謎解きの展開が生じるだけであり、
それ以前の物語の中では謎の存在という扱いをされているわけではなく、
物語の中で明確な役割を与えられて機能しています。
それに、彼らの謎は単に変身者としての彼らの個人的な謎であり、
彼らの変身する戦士であるシンケンレッド、ゲキレッド、ボウケンイエローなどが
原理が不明確な謎の戦士という扱いではありません。
つまり、スーパー戦隊というものは、彼らが何者で、どうしてそんな能力を持っているのか、
その能力の限界はどこまでなのか、そういう点が明確でなければいけないのです。

こんなことは当たり前のことであり、
そしてまた、それに対比される仮面ライダーというものが謎の万能戦士であるというのもまた当たり前のことで、
それぞれスーパー戦隊と仮面ライダーの「原型」といえます。
通常のシリーズ作品においては、スーパー戦隊シリーズはそうした
「不完全な人間戦士のチーム」という原型から様々なバリエーションを派生させていき、
仮面ライダーも「謎の万能戦士」という原型から様々なバリエーションを派生させていっており、
その結果、スーパー戦隊でありながらライダーに似たような作品があったり、
仮面ライダーなのに戦隊に似たような作品が生まれたりもしているのが現実ですから、
通常はこの「原型」というものはそんなに意識する必要はありません。

しかし、歴代戦士が総登場するお祭り企画作品の場合、
主役戦士が歴代戦士たちのインパクトに負けないようにするために、
主役戦士は強烈に「原型」に回帰するように思います。
ディケイドという戦士は、いろいろ酷評する向きもありますが、
最後まで何者だったのかよく分からなかった点や、
あまりに根拠不明にあらゆるライダーの能力を使える万能性など、
まさに典型的なライダーの特性「謎」と「万能」を極端に強調した戦士であり、
仮面ライダーの「原型」というものを具象化した戦士であったと思います。

「ディケイド」という作品は、このように主役があまりにも正体不明の何でもアリ戦士になってしまったために、
物語としての深みというものはあまり無く、決して傑作とはいえませんが、
これは仮面ライダーのお祭り企画において仮面ライダーの原型を追求した必然の結果なのであり、
仮面ライダーのお祭り企画としては、この形が正解なのです。
だから「ディケイド」は決して傑作ではないが、
最初から傑作であることを志向しなくてもいいという条件のもとで、
お祭り企画として収まるべき形に収まった成功作だといえます。

問題はスーパー戦隊のお祭り企画である「ゴーカイジャー」です。
「ディケイド」が仮面ライダーの「原型」に回帰したのと同様、
「ゴーカイジャー」は総登場する歴代戦隊の中に埋没してしまわないように、
スーパー戦隊の「原型」に強烈に回帰しなければならない。
それゆえ、「海賊戦隊」となったのです。

「海賊」というのはシリーズ初の悪漢ヒーローであり、異色だと言われています。
むしろ正義のヒーローであるスーパー戦隊の王道からは外れているという見方もあります。
しかし、確かに異色は異色ですが、この異色は原型を極端に強調した結果の異色なのであり、
ディケイドの異色と同じタイプの異色です。
ど真ん中過ぎて異色に見えるだけのことです。

スーパー戦隊シリーズの「原型」は正義のヒーローであるという点ではありません。
正義のヒーローという点では、仮面ライダーとの差別化は図れないのです。
スーパー戦隊シリーズの「原型」は、ライダーの「謎」「万能」「孤高」とは全く逆で、
戦士たちの物語が明確で、戦士たちは不完全であり、人間的であり、
それゆえチームであり強い絆で結ばれているということになります。

そう考えると「海賊」というのは極めてスーパー戦隊の「原型」を強調した姿であることが分かります。
海賊は全く完全無欠のヒーローではなく、人間臭く、欠陥の多いはみ出し者たちであり、
そうした社会のはみ出し者のチームであるゆえ、絆はひときわ強い。
スーパー戦隊の「原型」を極端に強調すると、海賊となるというのは一見不思議なようですが、
もともとスーパー戦隊の原型がスパイアクションチームであり、
そのメンバーは決して画一的なエリートではなく、個性的なはみ出し者の集まりであったことを考えると、
そう不自然なことではありません。

そして「ゴーカイジャー」ほど、戦隊メンバーの物語が明確で、かつドラマチックに描かれている作品は
スーパー戦隊シリーズでは他にありません。
物語が始まった当初はマーベラス一味のメンバーはその過去は謎だらけでしたが、
今になって振り返ってみれば、マーベラス一味のメンバーの物語は極めてドラマチックです。

マーベラスはザンギャックと戦って壊滅した海賊団の生き残りで、
伝説のお宝を手に入れるために宇宙を旅して仲間を集めてきた。
ジョーは元ザンギャックの脱走兵で、
ザンギャックの幹部に改造された命の恩人の先輩と悲劇の再会を果たした。
ルカはザンギャックに虐げられていたスラム出身の女盗賊で、
宇宙全体を買い取って子供の楽園を作ろうとしている。
ハカセはザンギャックに故郷を滅ぼされて辺境の星に1人移住して便利屋をしていたが、
マーベラス一味を助けたため仲間入りすることになった。
アイムはザンギャックに滅ぼされた星の王女で、宇宙に散らばった同胞の誇りの象徴となるため
マーベラス一味に入ってザンギャックと戦う道を選んだ。
鎧はザンギャックと相討ちとなって姿を消したスーパー戦隊を誰よりも敬愛する地球人で、
少女を助けて瀕死の重傷を負った際に戦う力を与えられて、
ザンギャックから地球と宇宙を救うヒーローになろうと決意した。

このように、マーベラス一味のメンバーの物語はそれぞれ異様に濃厚でドラマチックです。
比較的、普通人に近いハカセや鎧の物語にしても、
従来のシリーズ作品の戦士たちに比べれば十分にドラマチックな部類です。
個々のメンバーのストーリーだけでも十分、彼(彼女)を主人公にして
1つの物語を作ることが出来るほどと言っていいでしょう。

これに加えて、鎧を除く全員がザンギャックに故郷の星を滅ぼされた亡国の徒であり、
お尋ね者のアウトローでありながら、地球に来てから何故か地球を守るために戦うヒーローへと変わっていくという、
一味全体としても、なんともドラマチックな物語となっているのです。
今まで、スーパー戦隊シリーズで戦隊メンバーの全員にこれほど濃厚な物語が与えられたことは無いと言っていい。

これはつまり、スーパー戦隊の「原型」である「戦士の物語が明確である」という要素が極端に強調された結果、
戦隊メンバー全員の物語が極めて濃厚なものになったということなのでしょう。
そして、戦隊メンバーの物語を濃厚にしなければいけないので
「宇宙海賊」という、背景の物語を壮大なものとする自由度が極めて高い設定の戦隊となったのでしょう。

また、「宇宙海賊」でありながら、マーベラス一味の面々は「宇宙人」らしさは全く強調されていません。
「異文化人」の側面は上手く強調されて描かれてはいますが、
身体的に特殊な要素はほとんど描かれておらず、あくまで彼らは「人間」です。
つまり、「宇宙海賊」という、ある意味何でもアリな設定で物語を極めてドラマチックなものとしながら、
その物語はあくまで不完全な人間の物語の範囲内にとどめているのです。
これも、どれほど極端に強調されようとも、あくまでゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」であるゆえです。

そして、その物語で描かれる最重要テーマは「絆」です。
その「絆」は海賊の絆であり、夢で結ばれた絆であるという点で、
確かにこの物語なりのオリジナリティーは確立してはいるものの、
それでも「絆」というのはスーパー戦隊シリーズのあまりにも定番のテーマであり、
異色戦隊である「ゴーカイジャー」があまりにも「絆」「絆」と強調するのは、当初は少し違和感がありました。

しかし、ゴーカイジャーが単なるインパクト重視のためだけの異色戦隊ではなく、
スーパー戦隊の「原型」への極端な回帰の結果生まれた異色戦隊だったのだと考えると、
スーパー戦隊の最重要要素である「絆」が「ゴーカイジャー」において最重要テーマとして殊更に強調されるのは
極めて自然だということも理解できます。

このように「ゴーカイジャー」がスーパー戦隊のお祭り企画であるゆえに、
その主役戦隊であるゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」に極端に回帰した戦隊となっています。
ということは、当然ゴーカイジャーもスーパー戦隊の「原型」に忠実に、
その物語の中で彼らの戦う力の由来も説明されていなければなりません。
ところがゴーカイジャーの戦う力には歴代34戦隊の戦う力も含まれています。

ディケイドの場合は、ディケイドが歴代ライダーの能力をもともと使える理由は説明されず、
単に記憶喪失のディケイドが歴代ライダーのテーマを想い出すと、
その歴代ライダーの能力が復活するという形になっていました。
これは、一応はもともとディケイドに備わっていた能力であるという設定にはなっているものの、
実質的には、ディケイドが大した根拠も無く歴代ライダーの能力を獲得し
パワーアップをしていくという印象を与えます。
そうしたディケイドのパワーアップの根拠の無さ、荒唐無稽っぷりが、
ますますディケイドを正体不明の最強戦士としていき、最もライダーらしいライダーとしていきました。

しかしゴーカイジャーはそうはいかない。
最も戦隊らしい戦隊とするためには、ディケイドとは逆に、
ゴーカイジャーが歴代戦隊の能力を獲得してパワーアップしていく根拠を説明しなければならない。
つまり、ゴーカイジャーには歴代戦隊の能力を使えるだけの資質がもともと有ったのだという説明を、
ディケイドのように一言の設定だけで済ますのではなく、
ちゃんと物語で描かなければならない。

だから、ゴーカイジャーのメンバーの過去はしっかりドラマチックに描かれ、
そこから繋がってくる現在の彼らの心情も緻密に描かれ、
歴代戦隊のテーマと同一のテーマが彼らの中にもともと存在していたということが
視聴者に納得出来るように描かれているのです。
そうなると結果的には「ゴーカイジャー」の物語の世界観の大部分は
ゴーカイジャーそのものの世界観が占めることになり、歴代34戦隊の世界観はその分、希薄となります。

つまり「ディケイド」とはだいぶ様相が違ってきます。
「ディケイド」は歴代ライダーの世界観を繋ぎ合わせたお祭り企画と割り切って、
傑作など目指さずにお祭り企画としての成功作を目指せばよかったのだが、
同じお祭り企画でもライダーのお祭り企画と戦隊のお祭り企画では作り方が違うのです。
戦隊のお祭り企画である「ゴーカイジャー」の場合は、
主役戦隊であるゴーカイジャーの世界観を、むしろ通常の戦隊よりも濃厚でドラマチックなものとして、
しっかりと描かなければいけません。
これが成功すれば自然に、間違いなく傑作となります。

つまり、「ゴーカイジャー」という作品は、意識して傑作を志向したというよりは、
戦隊のお祭り企画を成立させようとしたら、
必然的に傑作を目指さなければならなくなってしまった作品だといえます。
ところが問題は、それでいて同時に、お祭り企画としても成功しなければいけないということです。
要するに、かなり無理のある企画なのです。

作品の評価というのは出来上がった完成品の結果のみで判断されるものであり、
「ゴーカイジャー」はまだ完結していないので評価は出来ない。
それにそもそも「ディケイド」と「ゴーカイジャー」はこのように全くタイプが違う作品です。
しかし、制作の難易度という点では、「ディケイド」より「ゴーカイジャー」の方が遥かに上といえます。
いや、「ディケイド」「ゴーカイジャー」という個々の比較ではなく、
ライダーのお祭り企画と戦隊のお祭り企画では、後者の方が難易度は高いと言った方がいいでしょう。

「ゴーカイジャー」という作品は、濃厚でドラマチックな物語でありながらお祭り企画であるという、
この両者を両立させる難作業を、ここまで様々な工夫でクリアーしてきています。
ただ、その工夫の根本的なところが実は最大の矛盾点でもあるのです。

「ゴーカイジャーのドラマチックな物語」と「歴代34戦隊のお祭り企画」を両立させる
マジックのタネとなっているのが
「ゴーカイジャーの物語の中に歴代34戦隊のテーマと同一のテーマが全て含まれている」という世界観です。
これがつまり、この作品における困難な作業をクリアーするための根本的な工夫と言っていいでしょう。

しかし、これが曲者で、
このように緻密に物語の中で
ゴーカイジャーが歴代戦隊の能力をもともと使うことが出来る資質を持っていたということを証明していくと、
ゴーカイジャーが34戦隊の力を合わせた力を持った、極めて強力な戦隊であるという証明ともなってしまいます。
つまりディケイドと同じなのですが、
そのチート性能の根拠が説明されなかったディケイドよりも、
そのチート性能の根拠が緻密に説明されてしまっているゴーカイジャーの方が、
より説得力のある強さを感じさせてしまいかねません。

実際、「ゴーカイジャー」の放送開始前に発表されたキャッチコピーは「最強戦隊」でした。
ディケイドが最強のライダーであったのと同様、お祭り企画ならばこうなるのが当然です。
そして、戦隊のお祭り企画であるゆえに、その「最強」は物語のバックボーンをも得て、
更に「最強」の説得力を増してしまいました。

しかし、「最強戦隊」というキャッチコピー自体が実は最初から違和感がありました。
「最強」と「戦隊」というのがそもそもコンセプトとして両立しにくいのです。
強さが不完全だからこそチームで戦うのが戦隊であり、
そういう弱いところを補い合う絆が戦隊の絆であるのです。
最強ならばチームで戦う必要はないし、最強な者同士の絆というのは、戦隊の絆とはちょっと違うと思います。

もちろん弱さを補い合うチームの強さが戦隊の強さであり、
そういう文脈での「最強」を謳っているというのは分かるのです。
普通の戦隊で「最強戦隊」と名乗っているのなら、そのように素直に受け取ることは出来ます。
しかし、ゴーカイジャーの「最強」は、歴代34戦隊の能力を全て合わせた「最強」ですから、
歴代戦隊の強さが印象的であるために、それが34個分揃っているとなると、
あまりにも強さに説得力がありすぎて、弱さというものが全く感じられない。
そうなると、やはり「最強戦隊」というキャッチコピーはしっくりこないのです。

ただ、そうは言っても、お祭り企画としては「最強戦隊」というのは
これ以上ないくらい大正解のキャッチコピーでもあります。
だから、やはりゴーカイジャーは「最強戦隊」なのであり、
それは戦隊として成立させるのが難しいということです。
しかし、ゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」でなければいけない。
この矛盾をどう解消していくのか注目だったのです。

それは最強戦隊でありながら、
同時に戦隊特有の個々の不完全さや弱さも表現していかないといけないという難しい作業です。
そして、振り返ってみれば、この矛盾の解消のために必要とされたキャラが、
シリーズ史上稀に見るほどのヘタレキャラであるハカセだったのだと分かります。

実際のところはハカセも十分に強いし戦力になっているのですが、
とにかくハカセというキャラは過剰なまでに弱さを強調した性格に設定されていて、
アクションも変であるし名乗りポーズも変、技の決めポーズもいちいち変です。
この変身後のハカセの変態的な行動と、変身前のシャイで気弱な性格というのは矛盾しているように見えます。
いや実際、1人の人間の性格としては辻褄は合わないとは思います。
だが、これはハカセというキャラのコンセプトとしては同じ方向を向いた描写であり、整合性はとれています。

そのハカセというキャラのコンセプトとは「ゴーカイジャーのカッコ良さの足を常に引っ張る存在」です。
ゴーカイジャーが強く見え過ぎないように、ハカセが常にカッコ悪く見せるようにして、
弱さを無くさないようにして中和しているのだといえます。
これによって、普通にしていればディケイドのように万能戦士となってしまうゴーカイジャーが、
ハカセという存在を抱えているお蔭で、
不完全で弱い部分を補い合うチームという「戦隊」のラインに踏みとどまっていられるのです。

だからハカセというキャラは確かに数奇な運命のキャラではありますが、あくまで一般人キャラであり、
特殊な立場や能力のキャラではないのです。
ゴーカイジャーの濃厚でドラマチックな物語でありながら戦隊のお祭り企画でなければならないという、
この作品の矛盾を解消するためには、普通の一般人キャラが1人、マーベラス一味には必要で、
それがハカセだったのです。

ただ、単に弱い一般人であればいいというわけではありません。
それでは戦士として不要なだけです。
弱くて不完全だからこそ、仲間同士が力を合わせて強さを発揮するのが戦隊ですから、
ハカセもそのようなキャラでなければいけません。
そして、それは最初からしっかり描かれています。

それは第3話、最初のレジェンド回であるマジレンジャー篇のことです。
これはハカセの主役エピソードであり、
臆病者のハカセが仲間のマーベラスを守るために勇気を発揮して、
その勇気を元マジレッドの小津魁が認めるという話でした。

この時、ハカセは勇気に目覚めて成長したわけではありません。
今に至るもハカセは臆病なままで、相変わらず勇気があるキャラではないのです。
単にハカセは仲間を守るために勇気を発揮しただけであり、それは今も変わっていない。
前回のエピソードでもハカセは相変わらず臆病者でありましたが、
今回のエピソードではマーベラスを助けるために勇気を発揮します。

そして小津魁が認めたのは、ハカセのそうした面であったのです。
魁はハカセが勇気ある者だから認めたのではなく、
仲間を助けるために勇気を発揮したことをもってマジレンジャーの精神を受け継ぐ者として認めたのです。

では何故、ハカセが仲間を守るためだけには勇気を発揮出来たのかというと、
それはハカセが弱くて臆病者だからです。
そして、そうした不完全な自分が戦うためには仲間が絶対に必要だということが分かっているからです。
仲間を失うことは弱いハカセにとっては、あってはならないことなのです。
だからハカセは仲間を守るためならば、相手がどんなに強くても必死で勇気を振り絞って戦うことが出来る。
弱いからこそ、仲間と力を合わせた絆の力を追求するというのがハカセの強さであり、
それを魁はマジレンジャーの精神と同じだと認めて、マジレンジャーの大いなる力を渡した。

つまり、マジレンジャーの強さもまた、
強さが不完全な者同士が仲間になって力を合わせる絆の力なのだということです。
ハカセの強さがそうしたマジレンジャーの強さと同じものであったから、
魁はハカセを、そしてそのハカセの仲間であるゴーカイジャーを
「マジレンジャーの大いなる力」を引き出せる者達だと認めたのです。

さて、それだけならば、単にマジレンジャーだけのお話です。
しかし、ここで重要なのは、これが最初のレジェンド回であり、
この時、ハカセの強さを認めた魁が「34戦隊の大いなる力」について初めて言及して、
ゴーカイジャーにそれらを集めるよう示唆したということです。
ここから「大いなる力」を集める物語、ゴーカイジャーのパワーアップの物語は始まったのです。

ということは、魁はハカセの示した「不完全な戦士が仲間の絆で発揮する強さ」を、
34戦隊の強さに通じるものだと認めたということになります。
もちろん34戦隊それぞれに異なったテーマがあり、
この時にハカセが示した強さだけでは十分ではなかったわけですが、
魁がハカセの示した強さを見てから34戦隊の大いなる力の存在を明かしたということは、
ハカセの示した強さが全ての戦隊の強さの基本となるものであったということなのでしょう。

実際、スーパー戦隊の「原型」は、
まさにその「不完全な人間の戦士がチームで強さを発揮する」ということであるので、魁の判断は正しい。
というより、物語の構造上は、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊の「原型」である以上、
最初のパワーアップ時にそのコンセプトを示すために、
そのエピソードである最初のレジェンド回はマジレンジャー篇でなければならなかったのであり、
そこでの主役はハカセでなければならなかったのでしょう。

そうして始まったパワーアップイベントであるレジェンド回は、
その出発点がハカセの示した「弱い者が仲間の絆で発揮する強さ」である以上、
それぞれのレジェンド回で獲得される強さ、それに対応して示されるマーベラス一味の強さには、
常にベースには原点であるハカセのその強さが在り、
ゴーカイジャーの積み上げてきた強さのベースには「弱い者が仲間の絆で発揮する強さ」があったのだといえます。

それがゴーカイジャーの物語として緻密に描かれてきたため、
実はここまでゴーカイジャーは27戦隊分、いやゴーカイジャーの大いなる力の分も合わせると28戦隊分の
パワーアップを果たしたにもかかわらず、ディケイドのようなチート感はありません。
パワーアップの根拠がしっかり描かれている分、その強さはディケイドよりもむしろ説得力があるはずなのに、
逆にディケイドよりも万能感は過剰ではない。

それは、そのパワーアップの緻密な物語というのが、
全て、ある意味「弱さゆえの強さ」の物語になっているからです。
だから万能感は無いのです。
そして、それがスーパー戦隊の強さと同一のものであり、むしろそういう強さだから説得力があるのかもしれません。
物語によって説得力が増すから過剰に強く見えるのではなく、
「弱さゆえの強さ」の物語の説得力によって、ゴーカイジャーの強さはよりリアルな強さに見えるのでしょう。
つまり、これが本当の強さであり、
この本当の強さは「宇宙最強」などという万能感あふれる荒唐無稽な強さなどよりも強いのです。

今回の一大決戦エピソードは、クライマックス篇に入る前に物語を一旦締めるに際して、
ゴーカイジャーの強さとザンギャックの強さの優劣を示しておくという趣旨のエピソードです。
だから、ここではゴーカイジャーの強さの本質が描かれなければならない。
ならば、その象徴となるべきキャラはハカセしか考えられないといえます。

対するザンギャックの方もザンギャックの強さを象徴する、
強さや力をひたすら信奉する「宇宙最強の男」であるダマラスが主役となり、
ハカセの「弱さゆえの強さ」がこの「宇宙最強」をいかにして打ち破るのかを描くことによってこそ、
ゴーカイジャーの強さの本質を描くことが出来るのであり、
ゴーカイジャーの強さがザンギャックの強さを完全に凌駕したことを示すことが出来るといえます。
マーベラスやジョーが普通に頑張ってダマラスを倒したとしても、
それはゴーカイジャーの強さがザンギャックの強さを超えたという説得力は無いと思います。

そして、ハカセの「弱さゆえの強さ」はゴーカイジャーの強さであると同時に、
スーパー戦隊の強さにも通じているのであり、
スーパー戦隊の力がダマラスの強さを打ち破ったともいえます。
それゆえか、今回のエピソードはかなりスーパー戦隊シリーズの原点に立ち戻ったかのような
「弱い者同士でも力を合わせれば強敵に勝てる」というベタなロジックが展開される話となっており、
一種、原点回帰のエピソードとも言えます。

これは見ようによっては退屈な展開かもしれませんが、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊の「原型」である以上、
クライマックス前の締めのエピソードでこの原点回帰ともいえるテーマを示すのは必然であり、
マジレンジャー篇からぐるっと回って、戻るべくしてここに戻ってきたという印象です。
なので、今回の主役はマジレンジャー篇と同じくハカセであるのが当然であり、
また、今回、スーパー戦隊の大いなる力が大挙登場して、
力を合わせて宇宙最強の敵を倒すという販促的に必須の展開にも
物語的な必然性を付与することに成功しているのです。

そして、以上のような考察を経た上でなら、
前回から今回にかけてのストーリーの中でよく意味が分からなかった
「どうしてハカセが伝説の勇者だったという嘘話を挿入する意味があったのか?」という謎も
解けるような気がします。

前回から今回にかけて、ストーリーの本筋は
ハカセがゴーカイジャーの強さ、スーパー戦隊の強さである
「弱い者でも力を合わせれば大きな力になる」という精神でダマラスを倒す話であり、
そのゴーカイジャーの精神をハカセが想い出す経緯としては、
前回のルカの想い出話の流れから今回のハカセの回想シーンだけで十分です。

ハカセが伝説の勇者だったという嘘話は、前回のルカの想い出話の呼び水と、
今回のハカセのマーベラス救出作戦のヒント程度の役割しか果たしておらず、
必ずしもあの内容の嘘話である必要があったわけではない。
他の内容でも全体のストーリーに大した影響は無かったであろうし、
そもそも嘘話のパートは無くても本筋の方は成立する。
だから本来はあんなパートは不要なのです。

それがあえて挿入された意味というのは、
本来得られるべき正解に対するアンチテーゼの意味合いなのでしょう。
つまり「弱い不完全な人間同士が補い合う力」という本来ハカセが辿り着くべき正解の対極に位置する強さの類型が
「伝説の勇者」なのでしょう。

だから「伝説の勇者」の方は単なる嘘話だったということになり、
その嘘を真実にする、すなわち、真に勇気を示して戦うためにハカセが選んだのが
「弱い不完全な人間同士が補い合う力」という正解だったのです。

実際のところ、ハカセがダマラスを倒すという結論だけを重視するならば、
「実はハカセは本当は伝説の勇者だった」というオチの付け方でもストーリーは成立はしたはずです。
しかし、そのようにはせずに「伝説の勇者」説は完全否定されて終わりました。
むしろ、お話的な面白味でいえば、
ハカセが伝説の勇者であるという含みは多少残した方がよかったのかもしれません。
しかし、そういう含みすら残さずに完全否定したということは、
最初から「伝説の勇者」説はアンチテーゼとしてしか設定されていなかったということになります。

つまり、今回のエピソードはゴーカイジャーがあくまでスーパー戦隊であり
「弱い不完全な人間同士が補い合う力」をその強さの源とするのだということを示すのが趣旨であって、
その結論を強調するためには「伝説の勇者」説は完全否定されなければならなかったということです。

では、何故そのアンチテーゼが「伝説の勇者」でなければならず、
どうしてそれが「ゴーカイジャー」においてアンチテーゼとして完全否定されなければなかったのか?
それは、前回語られた、この「伝説の勇者」説を詳細に見れば何となく分かります。

この「伝説の勇者」説というのは、
「ハカセが記憶喪失の謎めいた伝説の勇者で、勇者としての記憶を想い出せば
勇者としての万能のパワーが甦り、1人でザンギャックを倒してしまえるかもしれない」というものでした。
これはつまり記憶喪失の謎の万能戦士が世界のテーマを想い出すと失われたパワーを取り戻すという物語、
すなわち「ディケイド」です。

要するにハカセには今回の一大決戦エピソードにおいて2つの道があったのです。
「ディケイド」のような謎の万能戦士となる道か、
あるいは「弱い不完全な人間同士が補い合う力」の道か、どちらかを選ぶことが出来た。
そしてハカセは前者は嘘だとして否定し、後者を選んだのであり、
それが正解だったというのが、今回のお話です。

つまり、制作サイドの意図として、
「ゴーカイジャー」という作品はあくまでスーパー戦隊の「原型」なのであり、
同じお祭り企画でも「ディケイド」とは明確に違うのであり、
謎の万能戦士の物語ではなく、不完全な人間の戦士たちの仲間の絆の物語なのだという、
そうしたメッセージが込められていたのではないかと推測できるのです。

さて、今回のエピソードのもう1つの大きなトピックは、バスコの立ち回りにあるのですが、
これは多くはこれまでに考察してきた内容と重なっており、
それ以外の謎の部分はまだあまりにも謎のままであるので、
今後のエピソードでもっと総合的に考察する機会もあろうと思われ、
今回は本編の考察の中で随時触れるべきところで触れるという感じでいいでしょう。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2011年12月25日

第42話「宇宙最強の男」感想その5

遂にダマラスはマーベラス一味を倒すために、ハカセ、ルカ、アイム、鎧の4人組の前にその姿を現しました。
しかし、ハカセ達は今まで地上に降りて戦うことを許されていなかったダマラスとは、
当然顔を合わせたことはありません。
それでも、一瞬呆気にとられたハカセ達は、
いきなり自分達の目の前に立ちはだかった怪人がザンギャック軍の怪人だということにはすぐに気付き、
「ザンギャック!」と言って身構えます。

ワルズ・ギルを倒して以降、しばらく動きの無かったザンギャック軍が、
前回のエピソードで皇帝親衛隊が到着した後、
ワルズ・ギルの仇討ちのために執拗に自分達を狙ってきていることはハカセ達は分かっていました。
この怪人も新たなザンギャックからの刺客なのだろうということはすぐに察しがつきました。

それゆえ、ダマラスとハカセ達との距離はかなり有りましたが、
ダマラスが「ふんっ!」と剣を振るって衝撃波を飛ばしてきたのをハカセ達は難なく避けることは出来ました。
だが、その避けた衝撃波はハカセ達の遥か後方にある十階建てぐらいの大きなビルを直撃すると、
粉々にしてしまったのです。
「なんだコイツ・・・!?」と鎧は真っ青になります。
巨大化した怪人の攻撃ではない。等身大の怪人の、しかも片手で剣を一振りした剣圧だけなのです。
それで巨大なビルが粉々になるとは、測り知れないパワーといえます。

得体の知れない化け物に危険を感じた4人は、
ダマラスが歩いて近づいてくると、ひとまずその場を逃れることにしました。
マーベラスとジョーを欠いた4人だけでは太刀打ち出来ないと直感したのです。
しかしダマラスも追いかけてきます。
そこに突然、銃弾が何発も撃ち込まれてダマラスの進路を妨げました。
銃弾を撃ってきたのはマーベラスとジョーでした。
ダマラスのザンギャック反応をガレオンでナビィが感知して、マーベラス達は出動してきたようです。
「マーベラス!ジョー!」とハカセ達が駆け寄り、これでゴーカイジャーは6人揃いました。

そこでマーベラスは、いったいどんな敵の部隊が襲ってきたのかと、銃撃の上げた埃が晴れてダマラスの姿を見て
「あぁん?」と意外そうな声を上げました。
現場に到着するとルカ達が必死で逃げているから、よほどたくさんの敵がいるのかと思えば、
よく見てみると相手はたった1人であったからです。
マーベラスはさっきのダマラスのビルを粉々にした攻撃を見ていないので、
どうしてルカ達4人がたった1人の敵から逃げていたのか意味が分かりませんでした。
ところがマーベラスの隣に立つジョーは、ダマラスの顔を見ると、「あれは・・・ダマラス・・・!?」と愕然とします。

「何者だ?」とマーベラスは、どうも相手は只者ではないと気付き、ジョーにその正体を尋ねます。
ジョーは元ザンギャック兵であったといっても、あまりザンギャックの怪人のことは知らない。
そのジョーが知っていて、しかもこれほど驚いているわけだから、
さぞかし名の知れた強力な怪人なのだろうとマーベラスは思ったのでした。
それに応えてジョーは、やや上ずった声で「宇宙最強といわれている・・・ザンギャックの軍師だ・・・!」と言います。

なんとダマラスはザンギャック軍では「宇宙最強」という称号で呼ばれていたようです。
つまり今回のサブタイトル「宇宙最強の男」とは、ダマラスのことを指していたのです。
確かにダイランドーをビビらせ、バスコを圧倒したその武力は、
少なくともザンギャックでは最強であると考えていいでしょう。
ザンギャックこそは宇宙最強の軍団であるのだから、そのザンギャックで最強ということは
宇宙最強の武人であるという理屈なのでしょう。
本当に宇宙最強かどうかはともかく、ザンギャック最強であるのは確かで、
しかもマーベラス達が今まで一度も勝てていない相手であるバスコ怪人態を一蹴しているのですから、
マーベラス達がダマラスに勝つのはほぼ無理と言っていいでしょう。

それにしても、最強の武人でありながら「軍師」というのも少し意外な印象ですが、
これこそがダマラスが「最強」である証なのかもしれません。
ハッキリ言ってこれまでのダマラスの描写を見ている限り、ダマラスの作戦面での才能は平凡といえます。
悪くもないが、特に優れているようにも見えない。ごくごく平均点レベルです。
しかも詰めが甘く、老獪さにも欠ける。
本質的には軍師向きではなく、あくまで武人であり、将軍や司令官に向いているタイプだといえます。
そのダマラスがどうして軍師なのかというと、おそらく強すぎるので警戒されたからなのでしょう。
このダマラスに軍勢を与えて野放しにすることを皇帝は危険視したのでしょう。
だから自分の軍師として手許に置き、悪く言えば飼い殺しにしたのだといえます。

そう考えると、ダマラスの生涯というのは、さぞ不自由で鬱屈したものであったのだろうと思えてきます。
ダマラスが不自由さと引き換えに手に入れた誇りは「宇宙最強」という称号だけであり、
それだけがダマラスの人生における拠り所であったのでしょう。
だから、その栄光の歴史に汚点をつけたマーベラス一味をダマラスは許せないのです。

ジョーの言葉を聞いて、鎧は「宇宙最強・・・!?」と驚きます。
が、同時に納得もしました。
先ほどの凄まじいとしか言いようのない一撃は、まさに宇宙最強という称号を持つ戦士に相応しいと思えたのです。

そのダマラスは、マーベラス一味が6人になったのを見て、
「全員揃ったようだな・・・」と初めてマーベラス達に向けて言葉を発し、全員の顔を確認します。
そしてダマラスは「ワルズ・ギル殿下の仇・・・討たせてもらう!」と宣言しました。
ワルズ・ギルの仇を討つことそれ自体は、ザンギャック軍として当然なさねばならない責務です。
しかし、ダマラスにとってはそれに加えて、むざむざ司令官を討たれた武人としての恥を雪いで、
地に堕ちた「宇宙最強」の誇りを取り戻すための戦いでもありました。

しかしマーベラスは「ボンボンの尻拭いか!・・・ご苦労なこった!」と呆れたように言い放ち、
ダマラスの誇りを踏み躙ります。
「・・・許さん・・・!」とダマラスは案の定、激怒します。
もちろん、これはマーベラスはダマラスをわざと挑発して怒らせ、平常心を失わせようとして行ったのであり、
ダマラスは簡単に作戦に引っ掛かったように見えます。

しかしジョーは「絶対に油断するな・・・今までの奴らとは、根本的に違う!」と真剣な声で
マーベラスに注意するのでした。
ちょっと怒らせたぐらいで付け入る隙が見出せるような、そんな甘い相手ではないということです。
むしろ相手が挑発に乗ったのを見て安心していたら、大ヤケドするのはこっちだと、ジョーは注意し、
マーベラスも言われなくても、そうした雰囲気はひしひしと感じていました。
しかしダマラスはもう完全に戦闘態勢に入っており、
ここはマーベラス達としてはとにかく逃げるよりも、まずは一撃食らわして様子を見るのがベストでした。

緊張感あふれる面持ちでマーベラス達6人はレンジャーキーを取出し
「豪快チェンジ!!」と、ゴーカイジャーに変身し、ダマラスと対峙します。
しかしダマラスは剣を構えたまま動かない。
マーベラス達は先に動くことにして、「派手にいくぜぇっ!!」と言うと、
「うおおおお!!」とダマラス目がけて突っ込みます。

そしてダマラスに接近すると「はっ!」と剣を振り下ろしますが、
ダマラスは周りを囲んで斬りかかってくるマーベラス達を1人で剣を振るって逆に圧倒してしまい、
「うがああぁっ!!」と叫んでダマラスが繰り出したエネルギー波を込めた刃によって、
周囲のマーベラス達が逆に薙ぎ倒されてしまいました。
そうして倒れ込んだマーベラスに向かってダマラスは突っ込んできて、剣を振りおろし、
執拗にマーベラスを狙ってきます。
マーベラスも剣でダマラスの剣を受け止めますが、パワーの差は圧倒的で、たまらず逃れます。

そして再び6人集結して、マーベラスは「これでどうだぁっ!!」とファイナルウェーブを発動、
「おらぁっ!!」と、ダマラス目がけてゴーカイスクランブルを発射します。
更に加えて鎧もゴーカイスピアでファイナルウェーブを発動し、ゴーカイシューティングスターを発射し、
ゴーカイスクランブルに合体させて、猛烈なエネルギー波がダマラスを襲います。
しかしこれをダマラスはなんと「うらあっ!」と気合を込めた剣の一振りで粉砕してしまったのです。
そして仁王立ちのまま「はああっ!!」と気当たりを発して、
それだけでマーベラス達は危うく吹っ飛ばされそうになり、なんとか持ちこたえます。

ゴーカイスクランブルはバスコにも弾き返されましたが、
バスコでも一旦手で受け止めてから弾き返したのであり、
剣の一振りで真っ向から瞬時に粉砕するほどの力はありませんでした。
しかも今回はゴーカイシューティングスターの威力も合わせているのですから、
それを一瞬で粉砕したダマラスはバスコよりもかなり強いということになる。
さすがにマーベラス達も怯みます。
そこに間髪入れずダマラスは闘気を込めて剣を一閃して、先ほど十階建てのビルを粉砕した衝撃波を発射し、
マーベラス達は「うがああっ!!」と、これを喰らって倒れてしまいました。

大きなダメージを受けた6人ですが、なんとか立ち上がります。
そして立ち上がりながらジョーは「・・・まともにぶつかっては・・・ダメだ!」と言います。
前回のエピソードでザツリグと戦った際も、最初の戦いでザツリグに一撃も加えることも出来ずに敗れて、
まともにぶつかるのは避けて、一旦隠れて作戦を練ろうという案もありました。
しかしアイムの仇討ちの件もあり、あえてまともにぶつかる道を選択して、
その結果、ザツリグを倒す突破口を見出して勝利を得ました。
だから今回のダマラスも、まともにぶつかれば何か突破口を見出せるかもしれないという淡い期待は
ジョーにも多少はありました。

しかし、ダマラスの強さはザツリグとは別次元のものでした。
ザツリグの強さは胸の目という裏技を用いたものでしたが、
ダマラスの強さは完全に正攻法の剣1本を振るって生み出されたものでした。
それでいて、マーベラス達はダマラスの身体に一撃を攻撃を当てることさえ出来ていない。
これはまともにぶつかって突破口を見出せるような相手ではなかったとジョーは悟ったのでした。

マーベラスも同感であるようで、「一旦退いて・・・態勢を立て直す・・・!」と撤退の決断を下します。
逃げるわけではない。
とにかくまともにぶつかっても勝機を見出せない以上、姿を隠してから作戦を練って、
卑怯な手を使ってでも何でもして、とにかく勝利をもぎ取ろうという作戦でした。
そのためにはこの場は逃げの一手だと、
マーベラス達はダマラスに向けて威嚇射撃をしながら後ずさりしていきます。
その中でハカセだけ、ダマラスのあまりの強さに恐怖したのか、腰が抜けてしまい
足取りがおぼつかないので「ハカセ!」とマーベラスが立ち上がらせて連れて退こうとします。

ところが先に駆けだしたジョー、ルカ、アイム、鎧の4人の前に何者かが立ち塞がったのでした。
「そうはいかないんだなぁ!」と、ふざけた口調で現れたのはバスコでした。
既に怪人態となっており、サリーも伴ってきています。
そういえば、ダマラスにマーベラス一味の討伐を手伝うように協力させられることになったはずの
バスコがダマラスと一緒に居ないのは何となく変だと思っていたら、
ここでマーベラス一味の逃げ道を塞ぐ役目で登場する手筈だったようです。

しかし、そんな事情は知らないジョーは、突然のバスコの登場に「バスコ・・・!?」と驚愕します。
ダマラスが地球に来ていること自体をさっき初めて知ったばかりのマーベラス達から見れば、
ダマラスとバスコの繋がりなど想像外のことですから、
バスコがダマラスのサポートをするように現れた意味がさっぱり分かりませんでした。

確かにバスコはザンギャックの許可を得て私掠活動を行う海賊ですから、
ダマラスとバスコが顔見知りである可能性はあり、
基本的に両者は協力関係にあるということは理屈としてはマーベラス達にも分かりますが、
何せバスコは全く食えない、自分の都合しか考えない男であり、
しかも基本的に「宇宙最大のお宝」しか興味は無い男です。
そんなバスコがワルズ・ギルの仇討ちなどに興味があるはずがない。
だから単にダマラスに協力しているだけなのでしょうが、
バスコのような自分勝手な男がダマラスに協力しているということがあまりに意外で、
どういう事情でそういうことになっているのか、マーベラス達にもよく分かりませんでした。

ただダマラスがバスコを従わせるほど強いということは、
さきほどからの戦いで十分に納得させられていました。
そしてその強力なダマラスが迫りくる中、
退路には強敵バスコが立ち塞がるという最悪の展開となったことは確かでした。

「お前らは俺が構ってやるよ!」と言うと、バスコはジョー達4人に向けてサリーをけしかけ、
更に自身も参戦して、ジョー達4人とバスコ勢のバトルが退路で始まってしまいます。
ジョー達はダマラスから逃れるためにはバスコを倒して退路を開くしかない。
片やバスコの方は、どうやらジョー達と戦うのが目的のようです。
つまり、ダマラスがバスコを従わせて、わざわざこの戦いに連れてきた意味というのは、
ダマラスが海賊団の頭目であるマーベラスを確実に仕留めるためのサポート役なのです。
そのためにバスコはマーベラス以外のメンバーを引き受けて戦い、そして倒すのが任務となります。
ここでジョー達4人をマーベラスから分断して引きつけたところで
バスコはその任務の半分ぐらいは達成したことになります。

これでダマラスは心置きなくマーベラスと戦うことが出来るはずでしたが、
ハカセが腰を抜かして逃げ遅れていて、マーベラスがハカセを助けていたため、
ダマラスから見ればハカセという邪魔者が居残っていたという形になっています。
しかしハカセ1人ぐらいでは大して邪魔にもなりません。

背後でバスコが出現してジョー達に襲い掛かり、
そして目前にはダマラスが迫ってくるという絶体絶命の状況にマーベラスは迷います。
とにかく今は撤退と決めたのだから、ジョー達に加勢してバスコを強行突破するのが
ここでは、よりマシな選択であるようには思えました。
バスコも強敵でしたが、ダマラスと戦うよりはバスコと戦う方がまだ勝てる確率は高そうだったからです。
しかし、ハカセが逃げ遅れており、ダマラスがハカセに迫っています。
怯えて「マーベラス!」と助けを呼ぶハカセに「お前は下がってろ!」と言うと、
マーベラスはハカセを庇ってダマラスに単身斬りかかっていきました。

ハカセではダマラスの相手をするのは無理だとマーベラスは判断したのですが、
マーベラスもダマラスと1人で戦うなど無茶なことでした。
あっという間に劣勢に追い込まれます。
自分を助けるためにマーベラスに無茶な戦いをさせることになってしまったのを見たハカセは、
自分が弱いせいでマーベラスに迷惑をかけてしまったことが悔しく、
自分もこういう時、役に立たないといけないと勇気を奮い起こして立ち上がり
「はああ!」と叫び、ダマラスに掴みかかっていきます。

マーベラスを追い詰めようとしたところで背後からハカセに掴まれたダマラスは、
鬱陶しそうにハカセを突き飛ばすと剣を振り下ろして一太刀でハカセを斬り倒し、
「わああ!?」とハカセが倒れるのを一瞥もせず、再びマーベラスに向けて攻勢に転じます。
ダマラスはあくまでマーベラスと戦い、マーベラスを倒すことしか眼中に無いという感じです。

そのダマラスの様子を見て、バスコはジョーと鎧の2人を軽くあしらいながら
「あ〜あ!ダマラスのおっさん、完璧に本気だ!今度ばかりは、マベちゃんも終わりだな!」と軽口を叩きます。
一方、ルカとアイムは「ウキィ〜ッ!」と跳んできたサリーの不意打ちを喰らって「きゃあ!」と吹っ飛ばされます。
ここで優勢な立場に立ったバスコは今まで見せたことのない大技をジョーと鎧に向けて放ちます。
それは炎を放つ太刀を「はぁっ!はぁっ!はあああっ!!」と気合を発して3連続で繰り出すというような技で、
これを喰らったジョーと鎧は爆炎で「うわあああ!!」と吹っ飛ばされます。

さて一方、ダマラスと戦うマーベラスが完全に劣勢となっている状況で、
ハカセは停めてある車の陰に隠れて「どうしよう・・・足が震えて・・・」と、
さっきダマラスに一蹴されてしまって怖気づいてしまっているようです。
しかしマーベラスがダマラスに斬り倒されて、
ダマラスが何やら剣を天に向けて突き上げて大技の構えに入ると、
ハカセの危険センサーがビンビンに反応して「マーベラス!」と叫んで、
倒れているマーベラスを庇って飛び込んできますが、
ダマラスの剣が発した竜巻状の衝撃波に2人とも「うわあああ!!」と吹っ飛ばされ、
近くの建物に激突、落下して変身解除してしまいます。

「マーベラス!大丈夫・・・?」とハカセはマーベラスを助け起こします。
車の陰に隠れていたハカセはまだ余力があるので起き上がれましたが、
マーベラスは「・・・悪ぃ!」と礼を言って起き上がろうとしますが、
既にダメージが溜まりすぎていて、身体が動きません。
マーベラスは「・・・しかし、宇宙一ってのは伊達じゃなさそうだ・・・!」と、
さすがにダマラスの圧倒的な強さに脱帽します。

その時、後ろで「うわあああ!!」と絶叫がして、ハッとマーベラスとハカセが振り返ると、
ジョー達4人もバスコに圧倒されて、遂に変身解除に追い込まれていました。
どうやら今回、バスコもかなり本気で戦っているようです。
ダマラスが見ている前で、バスコも手を抜くと自分の命が危ない立場ですから、
全力を出さないわけにはいかないのです。

バスコの本音としてはマーベラス達は生かしておいて自分の目的のために利用したいので、
殺したくはないのだが、こうなっては仕方ない。
「ゴメンね!・・・マベちゃん・・・」と、ふざけた口調で一応断りを入れると、
バスコはジョー達にトドメを刺しにかかります。
マーベラスは「やめろ!バスコ!!」と懸命に叫びますが、
バスコは容赦なく「はぁっ!はぁっ!はあああっ!!」と先ほどの大技を炸裂させ、
生身で倒れたままのジョー、ルカ、アイム、鎧を爆炎に呑み込んで、
「わああああ!!」と悲鳴を残して4人は焼き尽くされて消滅してしまいました。

「ジョー!みんな!!」とハカセはその信じられない光景に驚き、4人を呼びますが、返事は無く、
何処かに4人が逃れた形跡も無い。
4人は炎で焼き尽くされてしまったようです。
「4人はきっちり片付けたぜ?・・・あとはそいつらだけだ!」とバスコはダマラスに向かって、
自分の仕事分はしっかり果たしたことをアピールし、
マーベラスは倒れ込んだまま「嘘だろ・・・?」と絶句します。

ジョー達4人がバスコによって倒されて、これでマーベラス一味は生き残りはマーベラスとハカセだけです。
そして今度はその2人にダマラスが迫ります。
生身で動けないマーベラスを守るため、ハカセは生身のまま立ち上がり、
ゆっくり歩いて迫ってくるダマラスの前に立ち塞がって「来るな!・・・来たら承知しないぞ!」と喚きますが、
ダマラスはハカセなどそこに立っていないかのように完全無視で歩みを止めず、
ゴミでも払うかのように「・・・貴様などどうでもいい!」と苛立った声で言いつつ、
ハカセの肩を掴んで投げ捨てました。
ハカセは地面に思いっきり叩きつけられて「ぐうっ!」と叫んで気絶してしまいます。

ダマラスは、マーベラス一味が予想以上に歯応えが無いので失望していました。
特に船長のマーベラスは今や賞金額が無制限の超大物の賞金首で、
さぞかし手強い相手であろうと予想していたのです。
その強敵を激闘の末に倒してこそ、ダマラスの宇宙最強の戦士としての誇りは充足されるはずでした。
久しぶりの実戦でダマラスはそういう戦いを期待しており、
それゆえわざわざバスコまで助っ人として駆り出して他のザコの相手をさせようとしたのです。

ところがそのマーベラスは戦ってみると拍子抜けするほどに弱かった。
いや、自分が強すぎるのだとダマラスは思いました。
宇宙最強である自分とマーベラスの力は天と地ほどの開きがある。
大袈裟に勝負するほどの相手ですらなかった。
マーベラスなどは本質は所詮は弱いチンピラに過ぎず、弱い者には価値など無い。
この宇宙では強さこそが正義なのであり、強い者こそが唯一、価値がある存在なのだ。
それゆえザンギャックこそが唯一の正当な宇宙の支配者であり、
そのザンギャックで最強の自分は、宇宙で最も価値ある戦士なのだとダマラスは再確認しました。

そう考えると、弱い無価値な虫ケラの分際で、
自分にこれまで数多くの恥辱を与えてきたマーベラスに対する憎悪がダマラスの中では膨れ上がってきました。
この屈辱を晴らすには、ただ勝負の場で普通に殺すだけでは足りない。
というより、こんな価値の無いクズを相手に宇宙最強の自分が真っ当に勝負をしたということ自体が
未だにこのクズに与えられた屈辱の範囲内のような気もしてきました。
ましてや、そのクズのようなマーベラスの手下の、
話にならないような安い賞金首のゴミのような奴に構うことすら、ダマラスには耐えられませんでした。
ハカセなどは目障りでしかなく、刀のサビにする価値すらない。

ハカセを払いのけるとダマラスは無様に動けなくなったマーベラスの頭を鷲掴みにして引っ張り上げて、
マーベラスを自分の前にぶら下げて、
「キャプテン・マーベラス・・・貴様はタダでは殺さん!
・・・この私が受けた屈辱、倍にして返してやる・・・!!」と睨みつけます。

ダマラスはこの場でマーベラスを対等な勝負の相手として倒す価値すら無いと見なし、
マーベラスを生け捕りにして、
じっくりとマーベラスに自身が無価値であることを痛感させるような屈辱的な死を与えてやろうと思いました。
そうしてマーベラスの思い上がりを打ち砕かないことには、ダマラス自身の屈辱は晴れないと思えたのでした。

しかしマーベラスは身体はボロボロでありながら、まだ反抗的な目でダマラスを睨み返し、
いきなり「はあっ!」とゴーカイガンとゴーカイサーベルで起死回生の反撃を仕掛けてきます。
どこにこんな力が残っていたのか驚異的ですが、最後の力を振り絞っての抵抗でした。
しかしダマラスはこんな程度でどうにかなる相手ではない。
ダマラスは落ち着いて反撃して、ゴーカイガンもゴーカイサーベルも弾き飛ばし、
力の尽きたマーベラスの顔を掴むと「力の差というのは残酷なものだな・・・!」と嘲笑して、
「ふんっ!」とマーベラスの顔を思いっきり拳で殴り飛ばし、
マーベラスは「うああああっ!」と宙を舞って地面に叩きつけられて気絶します。

ダマラスはマーベラスが今のような反抗的な、
まだ生気のある身の程知らずな視線を向けているうちは殺すつもりはない。
マーベラスを絶望させ、自分のことを価値の無いクズだったと自覚させた上で殺すつもりです。

気絶したマーベラスの懐から零れ落ちたモバイレーツとゴーカイレッドのレンジャーキーを
「こいつは貰っておくよ・・・」と拾ったバスコに対して、
ダマラスは気絶したマーベラスを脇に抱え上げて「いくぞ!バスコ!」と命令します。
バスコは「へいへい・・・」と応じてついて行き、
2人はギガントホースへマーベラスを護送しようとします。

その時、ハカセはようやく目を覚まして、マーベラスが連れ去られてようとしているのを見て驚き、
ヨロヨロと起き上がって、「待て・・・マーベラスをどうするつもりだ・・・!?」とダマラスとバスコを呼び止めます。
こうなれば、自分が戦ってマーベラスを助けなくちゃいけないとハカセも決死の覚悟です。
しかし、ダマラスとバスコはハカセを一瞥すると、相手する価値もないというような蔑んだ視線を送り、
「フン・・・」と鼻で笑って無視し、そのままマーベラスを抱えたまま姿を消してしまったのでした。

あっと思ったハカセは呆然と立ち尽くします。
そしてダマラスとバスコが居なくなると、辺りが静寂に包まれていることに改めて気づき、
ハッとして周囲を見渡します。
やはり、さっきバスコの技で炎に呑まれたジョー達4人の姿もありません。
そして、今マーベラスも連れ去られてしまった。
ハカセは1人取り残されてしまったのです。

何ともいえない孤独感がハカセを襲い、
ハカセの脳裏にはいなくなってしまった5人との想い出が自然に湧き上ってきます。
そして、その記憶の最後にあるのは、自分が皆に嘘をついてしまったことでした。
「ジョー・・・ルカ・・・アイム・・・鎧・・・マーベラス・・・!」と、ハカセはゆっくり順々に、
5人の仲間の名を虚空に向かって呼び続け、そしてガクッと膝から崩れ落ちます。

自分は皆に自分を強く見せようとして伝説の勇者だとか記憶喪失だとか嘘をついた。
しかし、いくら嘘をついても本当の自分は仲間が殺されたり連れ去られたりしても、
全く助けることも出来ず足手まといになるだけの弱いダメな奴に過ぎなかった。
それどころか、殺す価値も相手に認めてもらえないような無価値な人間に過ぎなかった。
そんな自分が皆に強い人間に見せるために嘘をついたお返しとして、
皆がやられたフリをして自分を騙しているのではないかとも思ったハカセは「嘘だろう・・・?」と呟きます。

いや、そうだったらどんなにいいだろうかと妄想しているだけで、現実にはそんなはずはない。
現実に皆は殺されてしまい、連れ去られてしまった。
嘘をついていたのは自分だけであり、その嘘は撤回する余裕もなく、
自分は皆のことを騙したまま、お別れすることになってしまったのだと痛感したハカセは、
その絶望的な現実を受け入れることを拒絶するかのように
「こんなの嘘だあああ!!」と絶叫して地面に伏して泣き喚き、拳で地面を叩くのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:00 | Comment(0) | 第42話「宇宙最強の男」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月24日

第42話「宇宙最強の男」感想その4

ダマラスとバスコが手を組んでマーベラス一味を討伐するという、かつてないほどの危機がマーベラス一味に迫る中、
そんなことは想像もしていないハカセ達は呑気に高級レストランで昼食をとっていました。
さっき、ガレオンの船室でアイムが見つけた女性誌の記事にハカセそっくりの勇者のことが載っており、
そのことを問い質したところ、ハカセが実は記憶喪失で過去のことを覚えていないと告白し、
ハカセが昔、伝説の勇者であった可能性が急浮上、
しかもハカセは美味しいものを食べれば過去の記憶を想い出すかもしれないと言い、
それを真に受けた鎧とアイムがハカセを連れてさっそく高級レストランへ来たのです。
マーベラスとジョーはハカセの言うことを信用しておらず、一緒に行くことを拒否してガレオンに残りましたが、
同じくハカセの話に懐疑的なルカは高級レストランの豪華な食事目当てについて来ています。

レストランで注文した料理は素晴らしく美味しく、
ハカセは「うん!美味しい、美味しい!やっぱ最高だねぇ」と夢中になって食べています。
そうしたハカセを見て、隣に座る鎧は「どうです?・・・なんか、思い出せそうですか?」と
期待に目を輝かせて質問してきます。
美味しいものを食べればハカセの勇者だった頃の過去の記憶がすぐに甦ってくるものだと期待しているのです。

しかしハカセは食べるのに夢中で、「ん?・・・何が?」と邪魔くさそうに問い返します。
これを聞いて鎧は「何がって・・・」と愕然とします。
記憶を取り戻すために食事に来たはずなのに、
ハカセが食事に夢中になってすっかりそのことを忘れているのではないかと思い、
鎧はキツい口調で「ドンさんの過去のことですよ!」と強調します。
するとハカセは「・・・あ・・・」と、そういえばそうだったという顔をして慌てて、
ぎこちなく鎧に笑顔を向けつつ「も、もう一息かなぁ・・・?」と言って、ニヤケ顔で食事を頬張るのでした。

鎧やアイムはハカセの言うことはなんでも素直に信じてしまうので、それで納得して、
もう一息でハカセの記憶が戻るに違いないと思って納得しますが、
しかし、これはどう見てもハカセの態度は怪しい。

だいたい、美味しいものを食べれば記憶喪失が治るなんて変な話です。
今までにもハカセは高級レストランで美味しいものも食べたことは何度もある。
その時には記憶喪失が治ったりしていないのだから、
美味しいものを食べれば記憶喪失が治るというのは明らかに嘘でしょう。

そして、そんな嘘をつくということは、ハカセ自身が真面目に記憶喪失を治そうという気が無いということです。
しかし記憶喪失の方がいいなんて思う人がいるわけがない。
但し、それは本当に過去の記憶が無い人の場合です。
実際は過去の記憶がある人ならば記憶喪失ではないわけだから、記憶喪失が治らなくても平気です。
つまり、やはりハカセのこの態度は、記憶喪失のフリをしている可能性が濃厚です。

ルカはハカセの不自然な態度を見て、
ますますハカセが記憶喪失のフリをしているのではないかという疑惑を深めます。
しかし、ならばどうしてハカセは記憶喪失のフリなどするのか?
ルカは、それはハカセが自分達と出会った時に言っていた過去の話を無かったことにして、
自分の過去を雑誌に載っていた伝説の勇者であるかのように言い張るための手段なのではないかと疑い始めました。

雑誌に載っていた伝説の勇者は確かにハカセと顔も名前も同じであり、ハカセ本人であるように思えました。
しかも痣まで一致しているのですから、
ルカもあそこまで一致したら、あれはハカセなのではないかと思いかけていました。
しかし、レストランに来てからのハカセの態度があまりにいい加減で調子が良すぎて、あまりに怪しいので、
ハカセの記憶喪失が演技のような気がしてきて、
ならばやはりハカセは伝説の勇者のフリをしようとしているように思えてきました。
つまり、たまたま顔も名前も痣も一致している伝説の勇者のフリをしようとしているのです。

ちょっと顔も名前も痣もということになると偶然の一致が過ぎるような気もしますが、
ともかくハカセが記憶喪失であるというのは限りなく怪しいのであり、
ハカセがそんなくだらないウソをついているとしたら、
ハカセが伝説の勇者である可能性も低いはずだとルカは思いました。
ただ、不自然なほど、あまりにも偶然の一致点が多すぎるから、
完全にハカセが嘘をついているという確証も無いが、それにしても怪しすぎる。

ルカは疑惑の眼差しでハカセの顔をじ〜っと覗き込んで、「・・・あんたホントに伝説の勇者?」と問いかけました。
ハカセはギクッとして、目が泳いでルカから視線を逸らします。
ハカセが記憶喪失であるという前提に立てば、ハカセが伝説の勇者であったのかどうかは、
ハカセにはその真偽は分からないはずですから、ハカセに質問しても仕方ないはずです。
だからルカがハカセに問いかけてくるということは、ハカセの記憶喪失そのものを疑っているということです。
ハカセはそのことに気付いて、ギクッとしたのですが、
アイムと鎧はルカの言葉を何気ない一言だと思って気軽に聞いています。

ただ、ルカもハカセが記憶喪失のフリをしているのではないかという疑惑は持っていますが、
ハカセがしらばっくれる以上、ハカセが伝説の勇者でないという根拠を持っているわけではない。
確かに雑誌に載っていた伝説の勇者はハカセ本人に限りなく近いのです。
しかしルカも疑うからにも何らかの疑う理由は示さねばならない。
それはもうルカの主観を言うしかなかった。
ルカの知るハカセの過去と伝説の勇者との間にルカが感じる違和感が、
ルカがハカセが伝説の勇者ではないと思う根拠でした。
ハカセの方をじろじろ見ながら、
ルカは「初めて会った時のアレは、いくら何でも、勇者とは言えない気がするけど・・・」と言います。
そうしてルカが語ったのは、ルカが初めてハカセと出会った時の想い出でした。

回想シーンは、何やら寂れた星のボロ小屋におしとやかそうな淑女が訪ねてきて
「船の修理をお願い出来ますか・・・?」と依頼をするところから始まります。
淑女の依頼を聞いたボロ小屋の主は白衣を羽織った男で、忙しそうに机の上に置いた小物の修理作業の手を止めつつ
「はい、もちろん!・・・今の仕事が終わったらすぐに!」とにこやかに返答します。

この淑女風の女ですが、よく見るとルカです。
やけに清楚なヒラヒラスカートのワンピースを着て、髪型がウェーブがかかっているので、
パッと見はルカの印象ではなく、しかも声が普段とは全く違う、
可愛い子ぶりっ子した甘い猫撫で声なので分かり辛かったのですが、これは声色を変えているのであり、
そういうのも含めて、変装のようです。
どういうコンセプトの変装なのかというと、善良な一般市民のフリであるようです。

つまり、どうやらガレオンが故障して修理を依頼しようとしているようなのですが、
お尋ね者の宇宙海賊の船の修理など、普通の修理屋は怖がって引き受けてくれないのです。
宇宙海賊そのものが怖いというのももちろんあるが、
宇宙海賊に手を貸したなどとバレたらザンギャックにどんな酷い罰を受けるか分からないという恐怖の方が大きい。
だから、一般の修理屋は宇宙海賊に関わり合いになってくれないので、
そういうところに修理の依頼をする場合はこのように一般人のフリをして接触するのです。

そうしてルカが変装して修理を依頼しに来たのがどうしてまたこんなオンボロな小屋なのかというと、
おそらく、この寂れた星では宇宙船の機器の修理を出来るようなところは、
このオンボロな小屋で営んでいる便利屋だけだからであるようです。

たぶん、この星はザンギャックの引き起こした戦争か何かで荒廃してしまった無人の星であるようで、
宇宙船が立ち寄ったりするだけの星のようです。
宇宙航路における、田舎の寂れたドライブインのような星と言っていいでしょう。
そこには立ち寄った宇宙船の乗員を相手にする店が何軒か点在し、
立ち寄る宇宙行商人から物資を買ったりして細々と暮らしているようで、
そのうちの一軒の店が便利屋になっていて、主に機械の修理なんかを請け負っているようです。

ここの星の店の者は皆、他の星からの移住者だが、
この便利屋の店主もやはり他の星からの移住者で、この田舎の寂れた星でボロ小屋で1人で商売をしているのだが、
いかに寂れた星といっても、多少は宇宙船の行き来があり、
しかも機械の修理が出来るのがこの便利屋しか無いわけですから、そこそこ商売は繁盛して忙しいようです。
で、その便利屋を1人で営んでいる白衣の男がハカセであったのです。

一般人の女性に化けてガレオンの修理を依頼しに来たルカは、
こうして寂れた星の便利屋の店主であったハカセと初めて出会ったのでした。
ハカセは快くルカの依頼を受けましたが、先に引き受けた仕事がつかえていて、
ルカの依頼をこなすのはその後になるというのです。

しかしルカとしてはどうしても急いでガレオンを修理したい事情があるようで、
慌ててハカセに縋って「今すぐお願い!急いでるの!」と相変わらず乙女チックな猫撫で声で
目をウルウルさせてお願いします。
するとハカセは「・・・それは困りましたねぇ・・・」と言いながら少し困った顔でルカの方に振り向いて立ち上がると、
すぐにニッコリ笑って、「じゃあ、すぐやります!」と、
他の仕事の前に、今すぐルカの依頼を片付けると快く約束したのでした。
目の前でお客さんが困っているのを見て、そのまま放っておくことは出来ない親切心の持ち主であるようです。

ところが、その直後、ニコニコしてルカと向き合って立つハカセの視線がルカの顔からふと逸れて、
何気なく後ろの壁の方に向いた瞬間、ハカセの視界に壁に貼られた賞金首の手配書が目に入りました。
この手配書は最近この星に立ち寄ったザンギャック軍の憲兵隊が貼っていったもので、
なんでも凶悪な3人組の宇宙海賊だという話でした。
その3人分、3枚の手配書のうちの1枚、メンバーの紅一点の女海賊の手配写真が、
ふと目の前の女性に似ているような気がして、ハカセは再び視線を目の前の女性の顔の方に戻します。

ニコニコ微笑んでいるその女性の顔を見たハカセは「ん?」と、もう一度、手配書の写真の方に視線を戻します。
やはり同じ顔のように見えました。
ハカセは驚いた顔で「え?」と目の前の女性、すなわちルカの方をまた素早く見ます。
ルカも便利屋の店主の様子がどうもおかしいことにようやく気付き、
ルカの顔からは思わず笑顔が消えて、眼光が鋭い、女海賊の怖そうな顔になります。
それを見て、ハカセはまた手配書の方と目の前の女性の顔を見比べて、
間違いなく目の前の女性が実は宇宙海賊の一味だったことを確信し、
「ううう!宇宙海賊〜!?」と悲鳴を上げて、いきなりルカを突き飛ばして走り出し、
小屋の外に一目散に逃げ出そうとします。

しかし慌てて駆け出したため、ハカセのズボンが飛び出していた金具に引っ掛かり、
ズボンがずり下がって足に絡まり、
ハカセは「うえええ!?」と叫びながら小屋のドアを押し開けて四つん這いに倒れ、
パンツ一丁になった尻をルカに丸見えにして突き出しました。
しかもパンツの後面にはカエルのアップリケが貼ってあるという、今と変わらず酷いセンスのパンツでした。
ルカは思わずハカセの尻のカエルを見て「・・・あ!」と声を上げます。

一方、ハカセは必死で起き上がると、ズボンを持ち上げただけでしっかり履く余裕も無く、
「あああああ!!」と喚きながら、パンツの尻のカエルを見せたまま、
ルカから一目散に逃げて走り去っていったのでした。
それを見送りながら、ルカは「ちぇっ・・・バレたか・・・!」と舌打ちします。
結局、自分が海賊だとバレてしまったので、便利屋はこれでもうビビって修理を引き受けてくれない。
こうなれば諦めるしかない。困ったことになったと思いつつ、
それにしても便利屋が尻のカエルのアップリケを見せたまま逃げていく姿があまりに滑稽で、
ルカは呆れつつ、強い印象に残ったのでした。

ここで回想シーンは一旦終わり、現在の高級レストランの場面に戻ります。
ルカはそのカエルのアップリケの想い出話をして、
「何処の星に行ってもビビられたけど・・・あれは情けなさすぎ!」と呆れ顔で苦笑いしたのでした。
つまり、ルカが言いたいことは、あんなカエルのアップリケを尻に貼ったパンツ丸出しで逃げたような
過去のハカセが伝説の勇者とか、有り得ないだろうということだったのです。

そのルカの話の中でのハカセのビビりっぷりがあまりにも面白かったもので、
初めてその話を聞いたアイムも鎧も思わず吹き出してしまいました。
それを見て、ハカセはムカッとして
「ちょっ・・・今そういう話じゃないじゃん!!」と大声で怒鳴りながら立ちあがり、
レストラン中の注目を集め、失笑を買ってしまいました。

確かに、ルカの話は自分と出会った時のハカセがカッコ悪かったからといって
勝手に勇者のはずがないと決めつけているだけであり、ルカの勝手な主観を述べているだけです。
そもそも、ハカセの言い分に従うならば、ルカと出会った時点のハカセは記憶喪失になっていた状態なのですから、
勇者としての記憶が無く、それゆえ情けない行動をとったとしても、
それがハカセがかつて勇者であったという事実を否定する根拠にはならないはずです。
だからルカの言っていることは確かにこの場において適切な話ではありません。

ただ、それはハカセが記憶喪失であればの話であり、
ルカはその大前提を疑っており、ハカセもルカにそれを疑われてしまっていることは自覚して、
さっきは目が泳いでしまっていたぐらい弱気のはずです。
だから、ここでハカセがいきなりルカに対して逆ギレして怒鳴るというのは、少し変です。
ハカセが今、ルカに対してそんなに強気に出ることは出来ないはずなのです。
これはおそらく、思わずハカセも感情的になってしまったというところなのでしょう。

では何が原因でハカセがキレたのかというと、アイムと鎧に笑われたことです。
せっかくアイムと鎧が自分のことを伝説の勇者だったかもしれないと思って尊敬の眼差しを送ってくれていたのに、
ルカが自分の過去のカッコ悪い話などしてバカにするから、
結局またアイムと鎧にも笑われて、侮られてしまったことが腹立たしかったのでした。

このハカセの逆ギレから類推するに、
ハカセが記憶喪失のフリをして自分が伝説の勇者であるかのように見せようとしている目的は、
単にアイムや鎧を騙して美味しいものを食べるためであったのではなく、
皆に尊敬されたかったからであろうと思えます。

ハカセは日頃の自分がマーベラス達に比べると弱くてカッコ悪いから、皆にバカにされていると感じています。
特に昨日の戦いでは敵味方問わず、皆にバカにされて笑いものにされてしまったと思ってムカついていました。
だから記憶喪失のフリをすれば、自分がもしかしたら雑誌に載っている伝説の勇者なのかもしれないと
仲間たちに思わせることが出来て、それで皆が自分のことを一目置いてくれれば、
今後は自分のことをあまりバカにしなくなるのではないかと考えたのでしょう。

つまりハカセは自分が伝説の勇者だと強く主張するつもりはない。
記憶喪失のフリをすることによって、
皆に「ハカセは伝説の勇者だったのかもしれない」という意識を植え付けることさえ出来ればよかったのです。
だから鎧の言うように、記憶を取り戻して勇者パワーでザンギャックを倒すとか、
そこまで話が飛躍すると困ってしまう。
ハカセにはそもそも勇者の記憶など無いから、記憶が戻るなんてこともないし、
記憶が戻ってザンギャックを1人で倒すことなど出来るはずがない。
だから、記憶を戻すという方向で話が進むのはハカセとしても、あまり歓迎出来ない話のはずでした。

それなのに、ハカセは鎧やアイムがあまりにも見事に騙されるもので、つい調子に乗ってしまって、
ちょうど美味しい食事を食べに行きたかったので、悪戯心を起こして、
美味しいものを食べれば記憶が戻るかもしれないなどと言ってしまった。
それでハカセは逆に記憶が戻るかもしれないと、やたらと鎧やアイムを期待させてしまって自らを窮地に追い込み、
更に冗談が過ぎたためにルカに疑われてしまいました。
そうしてルカに過去の恥ずかしい話を暴露されて、結局はアイムや鎧の尊敬を再び失ってしまったと思い、
ハカセは苛立って思わず怒鳴ってしまい、
そして、自分が調子に乗ったために結局失敗したのだと後悔しました。

しかし、一方、そんなハカセの心中は知らず、
アイムはむしろ、さっきのルカの話の続きが気になるようで、
「そんなハカセさんが、どうして海賊になったのですか・・・?」とハカセに質問します。

ルカの話だと、ハカセはまだその時点では便利屋で、ルカが海賊だと気付いて怖がって逃げ出したのであり、
そのままではハカセとマーベラス一味とは無関係のままお別れになってしまいます。
しかし結局ハカセはマーベラス一味に入ったのであり、
ならばいったいどういう経緯で、ルカの話の後、ハカセがマーベラス一味に入ったのか、
アイムは俄然興味が湧いてきたのでした。

そもそも、経緯以前に、ルカが海賊だと気付いただけで何もされてもいないのに
パンツ丸出しで逃げるほど怖がっていたようなハカセが、
どうして最終的には自分自身も海賊になろうと思ったのか、どうにも謎でした。
鎧もアイムと同じように疑問に思ったようで、パンを口いっぱいに頬張りながら
「おへもひひないふ、ほえ!(俺も聞きたいです、それ!)」とハカセに言います。

2人の質問をいきなり向けられて、ハカセは立ち上がったまま「・・・それは・・・」と返答に困りました。
自分がマーベラス一味に加入した時の話は、アイムや鎧にはあまり知られたくないのです。
それはさっきのルカの話の続きですから、当然あまりカッコいい話ではない。
また笑われてしまうかもしれないのがハカセは嫌だったのです。

それでハカセは思わず、笑顔で「・・・もちろん男のロマンっていう・・・」と、
また適当に美化した話をしようとしますが、
そのハカセの言葉を「それはね!」とルカが横から出てきて遮り、ハカセの肩を掴んで強引に席に座らせます。
ルカはハカセが嘘ばっかり言うので呆れて、自分が本当のことを言わないといけないと思ったのでした。
そうしてルカはアイムと鎧に向かって
「・・・ザンギャックとやり合ってるうちに、ガレオンのメインコンピューターが壊れちゃって・・・」と、
さっきの想い出話の続きを真実ありのまま語り始めたのでした。

ここで再び回想シーンとなります。
さきほどのルカとハカセの初対面のシーンは夕方ぐらいでしたが、今度は夜のシーンで、
場所は停泊中のゴーカイガレオンです。

このハカセが便利屋をやっている星で何らかの理由でザンギャック部隊と戦闘になったマーベラス一味は
この時点では3人、すなわち、マーベラス、ジョー、ルカの3人です。
つまり第34話の回想シーンでマーベラスとジョーがルカを仲間に引き入れた少し後の頃の話です。

3人はザンギャック部隊は倒したものの、何故かガレオンのメインコンピューターが動かなくなってしまい、
3人の手には負えない重症の状態であるようで、ガレオンを発進させることが出来なくなってしまったようです。
だから停泊中というよりは停止中と言った方が正確な状態です。
このままではザンギャックの増援がやって来て、動かないガレオンは格好の標的となってしまう。
かといってガレオンを捨てて逃げるわけにもいかない。

それで慌ててルカがこの星で宇宙船の機器の修理を出来る者を探したら、一般の便利屋が1軒あるだけだった。
それで海賊であることを隠して一般女性に変装して依頼に行ったが、
海賊だということがバレて便利屋の店主(ハカセ)はパンツ丸出しで逃走してしまい、
ガレオンの修理を出来る望みは絶たれた。

夜になってガレオンに戻ってきたルカから事の顛末を聞いたマーベラスは、
ガレオンの船室で「はぁ〜!マジでどうにもなんねぇのかよ!?」と困り果てて床に座り込みます。
ジョーも焦った顔でマーベラスの後ろをウロウロしており、
ナビィもマーベラスの傍らで「あ〜、困ったねぇ〜」とボヤいています。

と、その時、「あ?」とマーベラスが窓の外に何かが動いているのに気付いて、
立ち上がって素早く銃口を向けます。
ザンギャックが早くも攻めてきたのかと思ったのでした。
ところが窓の外に居たのはザンギャック兵ではなく、白衣を着たマーベラスの見知らぬ男でした。
白衣を着た男がロープでよじ登ってきてぶら下がり、銃口を向けられて慌てて
「う、撃たないでぇ!撃たないでぇ〜!!」と必死で命乞いをしています。

その白衣の男を見たルカは「あ・・・!」と驚きました。
その男の顔に見覚えがあったのです。
窓の傍に駆け寄ったルカは男の顔を覗き込んで「アンタ・・・?」と目を疑います。
その男は、さっきパンツ丸出しで逃げ去ったはずの便利屋の店主だったのです。

便利屋の店主、すなわちハカセはロープに必死にぶら下がりながら
「壊れたの、どこですか?・・・見ますから!」と叫びます。
というか、早く助けてやらないと、今にもロープから落っこちそうですが、
ハカセと初対面のマーベラスとジョーは、窓の外の変な男がいきなり修理屋みたいなことを言い出したので、
事態が呑み込めず「あぁん・・・?」と戸惑います。
ただ、ルカだけはさっきの経緯がありますから、
ハカセが自分の依頼したガレオンの修理をするためにやって来たことを理解し、
助けだしてガレオンの中に連れて入りました。

しかしルカにはどうしてハカセが来たのか、よく分かりませんでした。
さっきの依頼については、確かにハカセは「すぐやる」とは言いましたが、
あれはあくまでルカが一般人のフリをしていたから成立した約束であり、
ルカの正体が海賊だとバレた時点であの約束はご破算になっているはずでした。

一般人の船を修理するのと海賊の船を修理するのとでは、修理屋の負うリスクは雲泥の差があります。
海賊の船の修理など、ザンギャックが恐ろしくて、普通の修理屋は絶対にやりたがらない。
ルカも自分達の船を修理した修理屋がザンギャックに睨まれるのは気の毒だと思っています。
しかし先ほどは非常事態だったので、便利屋を騙してガレオンに連れていって、
海賊船であることを隠して修理させるつもりでいました。
騙されたということであれば、便利屋も大したお咎めも受けないだろうと思ったのです。

しかし海賊だとバレてしまった以上は無理矢理に修理させることは出来ませんでした。
ルカはさっきも逃げるハカセを追い駆けて捕まえてガレオンに連行して
無理矢理脅して修理させることも可能でしたが、あえてそうはしませんでした。
嫌がる一般人を無理矢理脅して従わせるのはルカの趣味ではありませんでしたし、
それより何より、脅されて無理矢理であったとしても、海賊船だと承知した上で修理したとなれば、
便利屋がザンギャックに酷い目に遭わされるのは明白だったからでした。

つまり、ルカの正体が海賊だと知られてしまった以上、ルカはむしろ便利屋とは関わり合いになりたくなかった。
海賊と知った上で自分と関わり合いになれば、便利屋が不幸になるからです。
そして当然、さっき便利屋は海賊と関わり合いになることを恐れて逃げたのだから、
海賊である自分と関わり合いになりたいなどと思うはずはないとルカは思っていました。

ところが便利屋は海賊船の修理だと知った上で、自ら進んで修理にやって来たのです。
確かに修理をしてくれること自体は嬉しかったが、ルカは便利屋に対して無性に腹が立ちました。
せっかく見逃してやったのに、わざわざ自分から海賊と関わり合いになりに来るなんて信じられないと思ったのです。
ルカは自分の親切が無にされたような気がして苛立ち、ハカセを船室に連れてくると
「どうして?さっきはあんなにビビってたクセに!」となじりながら、乱暴に引っ立てます。

マーベラスやジョーも、どうやらこの白衣の男がさっきルカが言っていた、
海賊だとバレてしまったので修理を頼めなくなってしまった便利屋なのだと気付き、
不可解なものを見るようにハカセを睨みます。
マーベラス達は自分達がザンギャックに逆らう宇宙海賊であるというだけで一般人から煙たがられ、
関わり合いになることを迷惑に思われているのは仕方ないことだと思いつつ、
時には人々のために戦ったりもしていた身としては、
あまりに厄介者扱いばかりされることには理不尽も感じていました。

それだけにハカセの親切は本心では嬉しかったのだが、
海賊が相手だと分かっているのに親切にしてくるハカセの考えが理解出来ませんでした。
相手が海賊だと知った上で手を貸すということはザンギャックに逆らうということであり、重罪です。
そのことの重大な意味が分からないほどバカなのか?
あるいはよほど無鉄砲なのか?
いや、そのどちらでもないはずです。
何故なら、さっきハカセはルカが海賊だと知ってビビってズボンも履き忘れるほど慌てて逃げ出したからです。

つまり、この便利屋は海賊に手を貸すことのリスクはちゃんと知っているし、
そのリスクを恐れる心もちゃんと持ち合わせてるはずなのだと、マーベラス達は思いました。
それなのにどうして、この便利屋はわざわざ自分の意思で修理に来たのだろうかと、
マーベラス達は不思議に思いました。

ルカのなじる言葉を聞いたハカセは、
自分がルカが海賊だと知ってビビって逃げ出したからルカがそれを察して身を引いてくれたのだと悟ります。
それはつまり、自分がザンギャックに睨まれることを恐れて約束をご破算にして逃げたのだと
思われていたということを意味します。
それは誤解だと思い、ハカセは少し憮然として、俯きながら
「僕は・・・一度引き受けた仕事については・・・ちゃんと約束を守るって決めてるんだ・・・」と、ブツブツ言い返します。
そして続けて「それに・・・僕の故郷も、ザンギャックに滅ぼされたから・・・」と不機嫌そうに言います。

どうやらハカセは、ルカに見くびられていたことに少し腹を立てているようなのです。
ハカセはルカが海賊だと知っても、決して約束をご破算にしようとは思っていませんでした。
ザンギャックに睨まれることを恐れてもいませんでした。
だから、自分が修理の依頼を受けたのが海賊だと知ったハカセは近くに停泊している海賊船を探し出し、
これがさっきの依頼主の船だと判断して、修理のためによじ登ってきたのです。

じゃあどうしてさっきはあんなに怖がって逃げたのかというと、
それは単にハカセが極度の臆病者だから、ルカが凶悪な海賊だと聞いていたので、
ルカに睨まれて純粋に怖くて、つい反射的に逃げてしまっただけのことだったのです。
ルカはハカセがそこまで極端な臆病者だとは知りませんから、
てっきり今までルカ達が関わってきた一般人同様、
ザンギャックに睨まれるのが怖くて自分達から距離を置こうとしている態度だと誤解していたのです。

しかし、それほどの臆病者であるハカセがどうしてザンギャックに睨まれることを恐れずに、
海賊との約束を果たそうと思ったのか?
それは「引き受けた仕事はちゃんと約束を守る」ということがハカセの絶対的な信念になっているからでした。
そして、それはハカセの故郷の星がザンギャックに滅ぼされたこととも関わりがある。

すなわち、ハカセは故郷を滅ぼされたことによって、たった1人で見知らぬ寂れた星に移住する羽目になり、
そこで孤独な便利屋生活を送ることになった結果、
引き受けた仕事をしっかりこなして信用を築き上げることで人々と繋がって生きていくことが出来ることを
学んだのです。

というより、故郷の生活を全て失ったハカセの人生には、
その新しく移住した星での自分の信用で築き上げた生活が人生の全てでした。
それはザンギャックに与えられた人生でもなく、ザンギャックに保証してもらった人生でもない。
むしろザンギャックはハカセから人生を奪った存在でしかない。
だからハカセはザンギャックに媚びて自分の信念を曲げる気は無い。
媚びたところでザンギャックが自分に何かをもたらしてくれるとは、
故郷を滅ぼされたハカセには思うことが出来ないからです。

だからハカセは移住した星で自分の試行錯誤の結果見つけた生き方である
「自分に出来ることを引き受けて、引き受けた仕事はしっかり約束を守って信用を築いていく」という
地道な信念を、ザンギャックに睨まれてもひたすら愚直に貫き通すことにしているのです。

もちろんザンギャックに逆らう海賊に手を貸したとなれば
下手したらザンギャックに殺されることはハカセも分かっています。
しかし、既に全てを失ったハカセは、やっと見つけた自分の信じられる生き方を
またザンギャックのせいで曲げなければならないとしたのなら、
もはや生きていくことに希望は見出せそうにない。
殺されることは確かに怖いが、希望の無い人生を送ることも耐え難い苦痛のように思えて、
ハカセはどうしても自分の信念を曲げたくはなかったのでした。

ハカセは別に海賊に特別にシンパシーを感じているわけでもなく、
特に関わり合いになりたいとも思っていませんでしたが、
それでも自分が一旦修理を引き受けた以上は、相手が海賊であろうとも、
その約束はいつも通りしっかり守らなければいけないと思い、勇気を振り絞ってガレオンまでやって来たのでした。

だからハカセは自分がザンギャックに睨まれるのを恐れて逃げ去ったのだとルカ達に誤解されていたことに気付くと、
少しムッとしたのです。
ザンギャックに睨まれても自分の信念は守りたいという想いは海賊だけの専売特許ではない。
戦う力も無く臆病者の小さな便利屋の店主にだって、それぐらいの意地はあるのだと、
ハカセは自分をバカにする海賊たちに反感を覚えました。

だが、ハカセが不機嫌なのは、それだけが原因ではありませんでした。
更にハカセは不機嫌そうに「・・・って、何なんですか!?・・・この部屋!!」と、船室を見渡して声を荒げます。
ハカセの言葉の意味がよく分からない様子で、ジョーは「何って?・・・この船の居住区だ」と胸を張り、
ナビィも「そうそう!」と相槌を打ちます。
しかし、その船室の情景は凄まじいものでした。
この回想シーンのガレオンの船室の様子は、
いつも「ゴーカイジャー」の本編で見るガレオンの船室の様子とは全く違っていました。

さっきまでのマーベラス達が途方に暮れている場面からハカセがルカに連れられて入ってくる場面までの間は、
船室のほんの一角しか映し出されていなかった。
そのほんの一角にマーベラスとジョーとルカとナビィ、そしてハカセが固まっていたからです。
いや、というより、その一角にしか彼らの居場所が無かったのだと言った方が正確でしょう。
その一角以外の船室の大部分は、足の踏み場も無いほどに散らかっていたのです。

いや、散らかっているというレベルではなく、まさにゴミ屋敷状態で、
床にはいっぱいになったゴミ袋がぎっしりと散乱しており、
ロープを通して服やタオルがシワシワになって大量に引っ掛けられていて視界を遮っています。
ソファや食卓などにもタオルやシャツが正体不明の布類が散乱し、
使った荷物は出しっぱなしでテーブル脇の床に置きっぱなし、地図もクシャクシャになって放置されており、
テーブルの上はインスタントのカップ麺の容器が汁が入ったまま何個も放置されていたり、
宅配ピザの空き箱が山積みになったり、空になった酒瓶がそのまま置きっぱなしだったりして、
荒んだ生活を示しています。

というか、よくこんな環境で飲み食いが出来るものです。
しかもカップ麺とか宅配ピザとか、宇宙にもそんなものがあるのが驚きですが、
ジャンクフードばっかりで、栄養のバランスが悪いことこの上ないと言えます。
全く、いくらなんでもこれは酷すぎます。

要するにマーベラスとジョーとルカの3人は生活能力がほとんど皆無と言っていい。
そういえば現在のガレオンの船室のシーンでも、
この3人が部屋の中で何かまともに働いている場面というのは見たことがない。
基本的には3人とも遊んでいるか怠けているだけであり、
遊んだり怠けたりしていない時は、自己鍛錬か宝石いじりぐらいしかやっていません。
掃除や炊事、洗い物をしているのは見たことがなく、
唯一の例外といえばジョーが趣味のケーキを作る時ぐらいです。

マーベラスはもともと街のチンピラみたいな生活を送っており、
赤き海賊団の回想シーンでは真面目に床掃除もしていたが、
あれもあくまでマーベラスの回想だから多少美化されている可能性もあり、
食事は全部バスコが作っていたようだし、
どうもマーベラスがあまり家事方面では役に立っていたようには思えません。

ジョーも兵士として戦闘訓練ばかりに没頭してきたため、家事には無頓着のようです。
まぁ軍隊というのは整理整頓が基本で、
兵士は身の回りのことは自分で処することが出来るようにするものなのですが、
ザンギャック軍はどうも軍規がいい加減な印象なので、
ジョーはあまりそういう生活面の基礎訓練が出来ていないようです。
また紅一点のルカは本来は家事面では唯一期待できる人材のはずなのですが、
何せスラム育ちで風呂も入れないような生活を送っていた元盗賊ですから、
これは一番期待薄と見ていいでしょう。

こんな3人が集まって戦いと冒険に明け暮れる航海を続けているわけですから、
船室がゴミ屋敷状態になるのも仕方ないと言えます。
そして3人はこのゴミ屋敷状態を当たり前の状態だと思って、何の疑問も抱いていないようですので、
どうしようもないダメ人間たちと断言していいでしょう。

ハカセは3人もナビィも全くこの部屋の惨状に無頓着であると知ると、
「信じられない!よくこんな所で暮らせますね!」と遂にキレて、勝手に部屋の片づけを始めます。
マーベラス達が呆然と見守る中、ハカセは「ゴミはちゃんと分別しろぉ!」
「四角い部屋を丸く掃くなぁ!」「ちゃんとした栄養を摂らなきゃダメだろぉ!」と怒鳴り散らしながら、
一気呵成に部屋を片付け、掃除をしてピカピカにして、
厨房で料理を作って綺麗に盛り付けをしてテーブルに並べるところまでこぎつけたのでした。

こうして見違えるほど清潔でスッキリとした船室の光景は、
現在の「ゴーカイジャー」本編で見ることの出来る船室の光景と同じものとなったのでした。
この光景を見てナビィは「はあああ〜!?」と驚きの声を上げます。
いや、アカレッドやバスコが居た頃はこの船も綺麗だったはずなので、今更驚くナビィもおかしいのですが、
長らくゴミ屋敷状態を見慣れてしまって審美眼がマヒしていたのでしょう。

一方、マーベラス達3人はもともと審美眼が腐っていますので、
部屋が綺麗になったことには大して感動しませんでしたが、
テーブルに並んだ美味しそうな料理には反応し、駆け寄って「・・・おおぉ・・・!」と料理を見つめて唾を呑み込みます。
まるで動物みたいです。
ハカセはさすがにゴミ屋敷状態からここまで一気に部屋の文明レベルを立て直すのは重労働であったようで、
疲れた様子でしたが、「こうでなくちゃダメだよ!」とやり遂げた仕事に満足したように頷きながら
テーブルに食器や皿を並べます。

マーベラス達は飢えた獣のように席につき、いきなり料理を貪り食い始め、「美味い!!」と歓声を上げます。
ハカセは、そりゃあジャンクフードなんかとは比べ物になるはずもなく美味いに決まっていると、
誇らしげに「そりゃそうでしょ!」と胸を張りますが、
ハッと何かが違うことに気付きます。
自分は何をしにここに来たのか、何か勘違いしている自分に気付いたのです。
掃除や料理をしに来たのではなかった。
そのことに気付いて、ハカセは「・・・って、違ぁ〜う!!・・・僕は修理しに来たんだった!」と叫んで、
慌てて駆け出してガレオンの操作系統の機器の方に向かったのでした。

ハカセの便利屋稼業は機械の修理だけでなく、
部屋の掃除や料理代行まで何でも引き受ける「何でも屋」であるようで、
この稼業で鍛えられたのでハカセは家事や機械弄りまで何でもこなせるようです。
まぁ全てが一般家庭レベルであり、際立って優れているというレベルではないわけですが、
とにかく何でも一通りこなせるのです。

しかし、そのハカセの便利屋稼業の経験の中でも、
このマーベラス一味の生活環境ほど酷いものは前代未聞であったようで、
思わずハカセは依頼も無いのに、その持てる能力を駆使してマーベラス一味の生活環境の改善の
ミッションを果たしてしまったのでした。
そんな余計なことをしていたために本来の仕事であるメインコンピューターの修理を忘れてしまっていた
ハカセは慌てて修理に取り掛かります。

そうして船室のパネルスクリーンの前にある操作盤の下の基盤部分を開いて中をチェックしてみたハカセは、
食事を中断して後ろで見守るマーベラス達の方に振り向いて
「あのぉ・・・壊れてるのって、ここだけですか?」と軽く問いかけます。
そのハカセの言い方がやけに軽々しいものだったので、ルカはムッとして
「何その言い方・・・これはこの船の脳みそみたいなもんなのよぉ!」と声を荒げました。

この船の全ての機能を管理するこのメインコンピューターがどれほど精密でデリケートな機器なのか、
この便利屋は分かっていないのではないかとルカ達は思いました。
便利屋が普段扱っているような玩具のような機器の修理などとは次元が違うのだ。
持ち主のルカ達にも恐ろしくて弄ることさえ出来ないようなデリケートな代物を、
玩具の機器と同じように考えてもらっては困るのだとルカは不満そうにハカセをなじり、
ナビィも「そうだぞ!」と同調します。

しかしハカセは「分かってます、分かってます!」と邪魔くさそうに言ってルカ達の非難を制すると、
基盤の方に振り向いて「・・・これなら、こうすれば!」と、配線の脇にある大きなボタンを1回押す。
すると、鈍い起動音がして、パネルスクリーンの初期画面が立ち上がり、操作盤にも光が甦ったのでした。
マーベラス達は「直った・・・!?」と目を見張ります。
なんとハカセがボタンを1つ押しただけでメインコンピューターは元通りに直ってしまったのです。

ジョーはハカセに歩み寄ると「凄いな・・・お前!」と肩を叩いて絶賛、心の底から驚いている様子です。
ルカも「指一本で直しちゃうなんて、アンタ、マジで神!?・・・ゴッドじゃん!」と感動してハカセを崇め、
ハカセの身体をバンバン叩きます。
いやしかし、ハカセはボタンを1つ押すだけしかやっておらず、全然凄いことはやっていません。

おそらくハカセの押したのは単なる非常用の起動ボタンであり、
おそらくはさっきまでのゴミ屋敷状態の埃だらけの劣悪な環境が原因で
メインコンピューターが不調となっていたところに
戦闘時の衝撃で一時的にシステムダウンして操作盤では起動できない状態になっていたのでしょう。
だから別に壊れていたのではなく、基盤内にある非常用の起動ボタンで再起動させれば済む話であったのに、
全く機械音痴のマーベラス達3人は操作盤をやみくもに叩くばかりで、
基盤の中を見るという発想すら無かったようです。

つまりマーベラス達が極端にダメなだけであって、ハカセが凄いわけではないのです。
しかしマーベラス達は自分達がダメであるということすら分からないほどにダメダメな連中なので、
ハカセを神のような修理の腕前を持つ男だと思って崇めているわけです。
そこまでダメな人達を見るのは初めてだったのでハカセも唖然として、
ジョーとルカの褒め言葉に対して「それほどでも・・・」と苦笑いします。

しかし、こんなに機械音痴ばかり3人でよく航海が無事に続けてこられたものです。
特にマーベラスはこれでもともとこのガレオンに乗っていた赤き海賊団の一員だったというのだから呆れます。
赤き海賊団ではおそらく機械関係はアカレッドとバスコが全部やっていたのでしょう。
つまり、家事も機械もほとんどマーベラスは役立たずだったわけで、
戦闘ぐらいしか能が無い男だったことになります。
これでは確かにバスコにマベちゃん呼ばわりされて小馬鹿にされても仕方ないような気もします。

また、このマーベラス、ジョー、ルカの船内では全く役に立たない3人組だけで
長期間航海を続けていたとは到底思えないことからも、
赤き海賊団壊滅事件からこのハカセとの出会いまでは
そんなに長い期間は経過していないのであろうと推測されます。
そもそも、物語の随所で出てくる各メンバーの回想シーンでのそれぞれの風貌から推察される年齢が
現在とそう違わないことからも、
マーベラスとアカレッドの出逢いからマーベラス一味が地球にやって来るまでの出来事は、
2年間ぐらいの期間内の出来事なのではないかと思われます。

さて、こうしてメインコンピューターの修理(?)に成功してジョーやルカにベタ褒めされるハカセでしたが、
そのハカセに向かってマーベラスが歩み寄ります。
そして、何故かハカセがさっき作った骨付きモモ肉をハカセに向かって差し出し、
「気に入った!」と笑顔で言います。

そんなにモモ肉が気に入ったのかと思いきや、
マーベラスは「お前・・・俺たちの仲間になれ!」と意外なことを言います。
「え!?」とハカセは驚きました。
赤い服の海賊は自分のことを気に入ったから仲間にしたいと言っているようだが、
自分の何が彼の気に入ったのかハカセには一瞬よく分からなかったのでした。

戸惑うハカセをよそに、マーベラスはもう話は決まったかのように
「俺たちは宇宙最大のお宝を探してる・・・その仲間だ!」と言ってニヤリと笑います。
ハカセは横でマーベラスの意見に大賛成の様子でニヤニヤするジョーとルカを見て、
どうやらこの海賊たちが自分の修理の腕を買って仲間にしたいと思っているのだなと気付きます。
また、確かにモモ肉のことも気に入っているようで、
料理や掃除などの家事をやってくれる要員が欲しいのだろうという彼らの事情も察しました。
確かにこの3人だけで航海を続けては、またすぐに船室はゴミ屋敷に戻ってしまうであろうし、
機器が故障したらお手上げなのだろうとハカセは思いました。

そんなことを考えていると、横からルカがすっかりハカセが気に入った様子で
「アンタ、名前なんて言うの?」と聞いてきます。
ハカセは戸惑いながら「僕は・・・ドン・ドッゴ・・・」と名前を答えようとしますが、
その口にマーベラスは骨付きモモ肉を突っ込んで黙らせ、
「フン!・・・ハカセだな!」とまたワケの分からんことを言います。

「ええ?」と問い返すハカセにマーベラスは「お前、ハカセみてぇだから、ハカセでいいだろ!」と、
ものすごくテキトーなことを言います。
まるで「太陽にほえろ!」の石原裕次郎扮するボスが新人刑事にニックネームをつける場面のようです。
「えええ!?」と嫌そうなハカセに対してルカは「いいね!よろしくハカセ!」と、さっそくハカセ呼びを開始、
ジョーも「頼むぞハカセ!」と昔からの仲間のように呼びかけます。
ナビィも面白がって「ハカセ!ハカセ〜!」とはしゃぎます。

マーベラスはフッとほくそ笑み、
ハカセは皆を見回して「えええええ!?」と自分の置かれた状況に悲鳴を上げました。
ハカセ呼びが嫌とか言っている場合ではありません。
何時の間にか、なし崩しに海賊の仲間にされそうになっているのですから、
臆病者のハカセとしてはこれは一大事でした。

ここで回想シーンは終了し、
場面は現在、高級レストランにて、ルカが回想シーンにあったようなハカセ加入秘話を語ったところに戻ります。
ただ、このルカの話はもともとアイムと鎧のリクエストに応える形で始まったものですが、
実はアイムと鎧のリクエストに応えるような内容にはなっていません。

アイムと鎧は臆病者のハカセがどうして海賊になろうと思ったのか知りたかったのです。
ところがルカの話は、マーベラス達がハカセを海賊の仲間に誘ったところで終わっており、
ハカセがどうして海賊になることを承諾したのかという肝心の部分は語られていません。
しかしルカの話にこの続きがあるわけではなく、ここで話はおしまいです。

つまり、続きには語る価値のあるような大したことはなかった。
ハカセは「ええええ!?」とか言って嫌がりつつも、なし崩しに何時の間にか仲間になっていった。
そのようにルカは理解しており、ハカセも実はそのように理解しています。
結局、マーベラス達の強引さに流されて、ハカセはズルズルと海賊の仲間入りをすることになったのです。

まぁ大前提として、海賊船の修理をしてしまったハカセは
どうせ元のボロ小屋に戻って便利屋生活を続けることは出来なくなっていたという状況はあります。
どっちにしてもハカセは生きながらえるためには
店を畳んで何処かにまた移住せねばならない状況には追い込まれていました。
だから、いっそマーベラス一味に入ってしまうという道もアリだったのです。
そういう状況でマーベラス達がもうハカセが仲間になったかのように勝手に決めつけたので、
ハカセはそのペースに流されて、何時の間にか本当に一味に入っていたというのが実情だとハカセは理解しています。

そして、そんな自分をカッコ悪いと思っています。
特に、ちゃんとした志をもって海賊の仲間に入って来たアイムや鎧に比べて、
自分はなんと主体性が無いのだろうかと思い、恥ずかしく、
だからハカセはあまり自分の加入時の話を正直に話したくなかったのです。

ところが、アイムはルカの話を聞き終えて、「素敵です!そのお話・・・」と意外にも目を輝かせます。
そして、「やはり、伝説の勇者だったからこそ、ハカセさんは怖くても、約束を守りとおせたのですね・・・」と
感心したように言ったのでした。

つまりアイムは、そもそも臆病者だとルカが言う昔のハカセが
どうして海賊になったのかがよく分からなかったのですが、
ルカの話の続きを聞いて、その中で出てきたハカセのセリフから、
ハカセがザンギャックにも屈しない信念の持ち主だったことに気付き、
それならば海賊になったのは何ら不思議なことではないと納得したのでした。

ハカセがどうして最終的に海賊という生き方を受け入れたのかなどという細かいことは、
それがなし崩しでも、流された結果でも、アイムにとってはどうでもいいのです。
もともとハカセには海賊となるのに相応しい資質が確かにあったのだとアイムには思えたので、
アイムの疑問は勝手にもう解決したのです。

つまり、どんな障害にも屈することなく、自分の信じた道を突き進む心をハカセは持っていた。
その信じた道が戦いの道や冒険の道であるマーベラス達のような者もいるが、
ハカセの場合はその信じた道は、地道な自分の日常の仕事を真面目にこなしながら
人々と信頼関係を築いていく道だったのです。
だから一見、ハカセは小市民的で、弱く臆病なように見えるが、
それでもその信じた道を理不尽な暴力を相手にしても決して譲らずに貫こうという気概では、
決してマーベラス達に劣るものではない。

いや、弱く臆病なハカセだからこそ、
自分の信じた道を貫くことは、強くて勇気のある者達に比べれば、より困難であるはずです。
その困難を跳ね返して信じた道を貫くことが出来たハカセは、
強くて勇気がある者達よりも、自分の信じる道を決して曲げずに進める力がより多くあるのです。
アイムは、そのようなハカセの強い信念の力に気付いたからこそ、
マーベラス達はハカセを仲間に誘ったのだと気付いたのでした。

実際、ルカもハッキリそうは言いませんでしたが、アイムの言葉を否定しないところを見ると、
ハカセのそういうところを買って仲間に誘ったということを言おうとしていたのであり、
また、マーベラスもジョーも同じような気持ちでハカセを誘ったのだと、ルカも解釈していました。

マーベラス達は、確かに機械のメンテナンスや家事全般をやってくれる仲間が欲しかった。
また、自分達に協力したためにザンギャックに追われる立場になったハカセを
見捨てて逃げるのは申し訳ないとも思っていた。
だが、それだけの理由でハカセを仲間に誘ったわけではない。
マーベラス達はハカセには「宇宙最大のお宝」という壮大な夢を自分達と一緒に掴むだけの
資格があると思ったのです。
それは、確かにハカセは弱くて臆病者だったが、
マーベラス達は、ザンギャックに睨まれることを承知で、それでも約束を守ることを優先したハカセを見て、
ハカセには自分達を上回る、信念をあくまで貫こうとする心があることを知ったからです。

そのことにアイムも気付き、そんな特別な力をハカセが持っているのは、
やっぱりハカセがもともとは勇者だったからに違いないと解釈したのでした。
記憶は失っても、勇者としての心の強さは健在なのだとアイムは思いました。
鎧も同じように思ったようで頷いています。

ハカセはアイムの言葉を聞いて「えええ?・・・そう言われると、照れるなぁ・・・!」と大いに照れて笑顔になります。
主体性なく海賊の仲間入りをしたカッコ悪い過去の話を聞かれてしまって、
ますますカッコ悪いヤツだと思われてしまっただろうと、ガッカリしていたハカセは、
アイムが意外にも過去の自分を高く評価してくれて嬉しく、照れ臭く感じました。
これはさっきまでの勇者のフリをして褒められていた時には感じることが出来なかった嬉しさでした。

ウソをついて褒められても虚栄心が満たされるだけのことで、
心から嬉しく思うことはないし、照れ臭いなどと思うことはない。
照れというのは本当の自分の言動を過剰に褒められた時に覚える感情であって、
偽りの自分を褒められても照れることはない。

本当の自分を褒められて心から嬉しさを感じたハカセは思わず幸せな気分になりましたが、
同時に、先ほどまでの嘘をついて褒められて喜んでいた自分が
それに比べてなんとも卑小なものであったことを痛感し、
つまらないことをしてしまったものだと後悔しましたが、
アイムと鎧は、そのハカセの過去の真実の美点をハカセのウソ話の勇者説と結びつけて
勝手に解釈してしまっており、
もうこうなっては今さら記憶喪失や勇者だったかもしれないという話が嘘だったとは言い出せず、
ハカセは困ります。

そんなハカセのちょっとした内心の葛藤は知らず、
鎧は「さぁさぁ!食べて、食べて!」とハカセに食事を勧めて、
早く勇者の記憶を取り戻させようとするのでした。

そうして食事を終えて、店を出て、ガレオンへ向かって4人は歩き出しますが、
ハカセは「ああ〜!」と気持ちよさそうに満腹になったお腹をさすりながら
「よぉし!次は大人気スイーツでも行ってみよう!」と笑顔で号令をかけ、鎧も「おう!」と張り切って応じます。
ハカセはせっかく楽しい時間なのだから、もうこうなったらゴチャゴチャ悩まず、今を楽しもうと決めたのでした。

それに対してルカは「・・・ちょっと!調子乗りすぎなんじゃない?」と、文句ありげです。
ルカはハカセが記憶喪失だなどというのはもう絶対ウソだと思っていますので、
美味しいものグルメツアーの悪ノリをまだ続けようとするハカセに呆れたのです。
しかし鎧が「まぁまぁまぁまぁ!こうなったら行くところまで行っちゃいましょうよ!」とルカをなだめて、
ハカセの肩を掴んで「絶対!記憶戻りますから!!ハハハハッ!!」と、
あくまでハカセが勇者だと信じて、記憶を取り戻す気満々です。
これにはさすがにハカセも罪悪感を覚えて、一緒に笑うに笑えず、乾いた苦笑いを漏らします。

すると後ろでアイムまでも「私もそう信じています・・・」と言うので、ハカセが思わず振り返ると、
アイムは「だって素敵じゃないですか?・・・ハカセさんが実は伝説の勇者だったなんて・・・」とはにかみます。
それを聞いてハカセはハッとして「アイム・・・」と嬉しさが込み上げて感動しました。
アイムがハカセのことを伝説の勇者だと信じようとしている理由は、
別に純粋な性格で騙されやすいからなのではなく、
もともとハカセのことを素晴らしい仲間として尊敬してくれていたからなのです。

アイムにとってのハカセは素晴らしい人だから、
だからハカセが伝説の勇者だったと聞かされて、
素直にそれは素敵なことだと思って受け入れることが出来るのです。
いや、鎧もきっとアイムと同じなのだろうとハカセは思いました。
アイムも鎧ももともとハカセのことを尊敬してくれているから、
ハカセが勇者だという話をすんなり信じることが出来るのです。

それなのに、ハカセは自分がアイムや鎧にバカにされていると思い込んで、
皆を騙して嘘話で尊敬を得ようとしていた。
実際はそんなバカなことはする必要は無かったのです。
アイムも鎧も、それにマーベラス達だって、ハカセの良いところはちゃんと認めてくれていたのです。
そうしたアイムや鎧の気持ちに気付いて、ハカセはまたウソをついたことを後悔しましたが、
どうもここまで来てしまうと、なかなか嘘だったとは言い出しにくい。

迷いつつも、「それじゃあ行きましょうか!」とハカセと肩を組んで歩き出す鎧に引っ張られて、
ハカセも「お〜う・・・!」と応じて、一緒に歩き出します。
と、その時、歩き出した4人の前に立ち塞がるように何者かが現れます。
それはダマラスでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:26 | Comment(0) | 第42話「宇宙最強の男」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月22日

第42話「宇宙最強の男」感想その3

その翌日、なんだか恐ろしく強そうなダマラスがマーベラス一味を抹殺するために既に動き始めているというのに、
そんなことは知らないマーベラス一味の面々はゴーカイガレオンで呑気にしています。
そのガレオンの船室に「ええ〜っ!?」というアイムの素っ頓狂な大声が響き渡ります。
皆が驚いて「・・・何なんだ?アイム・・・」と駆け寄ると、
アイムは慌てて「すみません・・・でも、これを読んでいたらハカセさんが・・・!」と、手にしていた雑誌を掲げます。

その雑誌は「女星セブン」という名の雑誌で、「女性セブン」のパロディーであることが明白なのですが、
この雑誌の表紙や裏表紙がツッコミ所満載のネタの宝庫なので、
細かい部分までは全部読み取ることは出来ませんが、
まぁホントに結構どうでもいいことばかりなのですが、ちょっと適当に分かるところだけチェックします。

まず雑誌名の「女星セブン」には「地球版 日本語訳」と添えられており、
この雑誌が宇宙で広く発行されている、全宇宙的な女性誌であり、
記事内容は一応は全宇宙の話題を網羅しつつも、
「地球版」ということで、地球近辺に暮らす宇宙人向けに、地球ローカルな話題も盛り込んだものであるようです。
そして「日本語訳」ということは、記事の内容が日本語で書かれているということで、
そうなると英語版やフランス語版などもあるということになります。

そういえば、いつもマーベラス一味が購読している「SPACE SPORTS」という英語版の宇宙のスポーツ新聞も、
あれも「地球版 英語訳」なのかもしれません。
まぁ、そうはいっても、そもそもマーベラス一味もザンギャックの連中もみんな日本語を喋っている
この物語世界でそんなことを厳密に考察しても仕方ないので、どうでもいいです。

とにかく「女星セブン」というのはタイトルからして女性誌であるようです。
表紙にはいかにも女性誌っぽいゴテゴテしたレイアウトで見出しが色鮮やかに詰め込まれていて、
上品さのカケラもありません。

その表紙をチェックする前に触れておきたいのが裏表紙で、まぁこれもどうでもいいネタなのですが、
そこには、どこかで見たようなデザインの一面広告が掲載されており、「みんなの宇宙船保険」と書かれています。
これはどう見ても自動車保険の広告のパロディーで、
宇宙的雑誌ですから、当然、主要な乗り物は自動車ではなく宇宙船なので
自動車保険ではなく宇宙船保険の広告が掲載されているようです。
ということは、この物語に出てくる宇宙船はみんな宇宙船保険に加入して購入しているのか?
・・・などと考察してもあんまり意味は無さそうなのでやめておきます。
最近は雑誌の裏表紙広告といえば保険の広告ばかりなので、単にそれをパロったのでしょう。

で、表紙の方の見出しですが、
いかにも女性週刊誌らしく、芸能、ゴシップ、政治、経済、旅、グルメなど、バラエティーに富んでおり、
表紙の写真は韓流スターっぽい優男の写真で、
その下にはその関連記事っぽい見出しに「グン・ソンチャク」という文字が見え、
どうもこの表紙の男は「チャン・グンソク」の名前をもじった
「グン・ソンチャク」という名の宇宙版の韓流スターであるようです。

他に芸能記事としては、
「宇宙流最旬スター名鑑 話題ドラマに出演のあの宇宙人からS-POPグループまでピックアップ!!」というのがあり、
「S-POP」というのがどうやら「K-POP」のもじりであるようで、
「S」は「SPACE」の略で、芸能界用語として「韓流」ならぬ「宇宙流」を意味するようです。
どうも表紙のグン・ソンチャクも韓国人ではなく宇宙人であり、韓流ではなく宇宙流スターであるようです。
で、何処の宇宙人なんだということや、じゃあ地球の芸能界に進出してるのかどうかなど、
全くどうでもいい話なので置いておきます。

経済記事というか、主婦向けの財テク記事のようなものとしては
「宇宙と経済が見える!妻の金銭感覚が夫婦の老後を決める!?」という見出しもあり、
ゴシップ記事風の見出しには「やはり!タニーチャ星王子(28)かつら疑惑」という
笑ってしまうようなセンセーショナルな見出しもあります。
これ、たぶん巻頭グラビア記事だと思われますが、タニーチャ星って何なんだ?
今後の物語に深く絡んでくる・・・ことは絶対に無いと断言していいでしょう。

そして、そのかつら疑惑のゴシップ記事の見出しの下の見出しがこの物語的には衝撃的で、
「辺境の星地球で人気の旅館 宇宙人亭主ジェラシットが考案した地球人に贈る最高のサービスとは?」という
見出しであり、横にはなんと小さくジェラシットの写真まで添えられています。

地球のことを「辺境の星」なんて書いてしまっているあたり、
この雑誌があくまで地球近辺の宇宙人を購読対象とした雑誌であることを物語っていますが、
どうもこの見出しから類推すると、第24話でタコ焼き屋の店主の母親と駆け落ちしたジェラシットは、
旅館の亭主に収まっている模様です。
第24話のラストでは田舎の旅館に住み込みで働き始めたように見えましたが、
あれはもしかしたらタコ焼き屋の母親のヘソクリか何かを使って自分達で手に入れた旅館だったのかもしれません。

そうして宇宙人でありながら地球の旅館の亭主になったジェラシットが
地球人宿泊客に向けて独自のサービスを考案して、ジェラシットの旅館は地球人に人気の旅館となっているようで、
そのことが珍しいネタとして宇宙人向けの雑誌でも記事となって取り上げられているようです。
ジェラシット商売繁盛で何よりですが、
「ゴーカイジャーVSギャバン」のネタバレ情報では、ジェラシットはこの少し後の時系列では
ザンギャックと関係のある監獄に収容されてしまっているようで、
どうもこの記事がザンギャックの目に留まったのが原因なのではなかろうか?

そのザンギャックに関しても気になる見出しが下の方にあります。
というか、見出しの大きさ的にはこれが今週号のメイン記事っぽいのですが、
「宇宙帝国ザンギャック 彼らが地球に来た本当の目的とは?」という見出しがデカデカと載っています。
どうも地球近辺の宇宙人たちの間では、ザンギャックが地球を侵略しようとしている目的が
いろいろと憶測されているようです。

これがそれなりに根拠に基づいた記事で、ザンギャックが何らかの特別な目的があって地球を侵略しているのか、
それともゴシップ誌らしく、何でもかんでもネタにして騒いでいるだけなのか、よくは分かりません。
地球におけるレジェンド大戦やマーベラス一味との戦いに関して
ザンギャック側がどれだけ情報を公開しているのかもよく分かりませんので、
世間的にどういう憶測が成立するのかもよく分からないのです。

まぁ雑誌のレベルから見ても、そんなに大した内容の記事ではなく、
色んな憶測を並べ立てた上で、結局何ら結論も出さずに終わる記事なのでしょうけれど、
それにしてもザンギャックの地球侵略が大きな話題になっているには確かなようです。
まぁ地球版の雑誌ですから、地球を舞台にした侵略戦争が話題になるのは確かですが、
決してザンギャックに好意的なニュアンスの記事でないということは、
ザンギャックが苦戦していることは周辺には伝わってきているということなのでしょう。

そして、もし本当にザンギャックが何か特定の隠された目的があって地球を攻撃しているのだとするなら、
それはこの物語的には、というか、このブログ的には気になることです。
もしかしたら、最近の考察で否定した
「ザンギャック皇帝と宇宙最大のお宝には何らかの関係がある」というのが
実は可能性として有り得るかもしれないからです。

グン・ソンチャクとかタニーチャ星王子のヅラ疑惑とかはどうでもいいですが、
ジェラシットの記事は一応TV本編内容とリンクした記事であるので、
あるいはこのザンギャックに関する記事の見出しも、
クライマックス篇に向けたさりげない伏線である可能性もゼロではない。
だから一応、ほんの少しだけ気に留めておくようにします。

さて、その「女星セブン」をアイムが読んでいたら思わず大声を上げてしまうほど驚いて、
皆が理由を聞くと、アイムはハカセをその雑誌で見たからだと言います。
というか、アイムもまずはジェラシットやザンギャックの記事で驚くべきだと思うのですが、
パラパラと何気なくめくっていたら最初にハカセを発見したので驚いたようです。
つまり、かなり目立つところにハカセが載っているようなのですが、
皆には女性誌とハカセの繋がりの意味が分かりません。

ちなみにアイムの声を聞きつけて集まってきたのはマーベラス、ジョー、ルカ、鎧の4人であり、
その当の本人のハカセだけはいません。
船内の何処か別の場所にいるようです。

アイムの言っていることの意味が分からず、ルカは「はぁ?何がよ?」と怪訝そうな顔をして
アイムが差し出した「女星セブン」を受け取り、開いて見てみると、
開いたそのページにハカセのように見える人物の姿の写真がデカデカと載っていたので、
全員目を丸くして驚いたのでした。

「ホントだ!ドンさんだぁっ!!」と鎧が驚愕して見つめた、
そのハカセのように見える人物は、神話の英雄のような白い布をまとったような服に身を包んで
剣と盾を持った凛々しい姿で、雑誌のちょうど真ん中、センターカラーのページの記事に
写真が大きく掲載されています。
その記事は何かの企画記事のようです。
横から覗き込んだジョーが訝しげに
「あの人は今どこに?・・・いくつもの星を滅ぼした邪悪な竜を退治した勇者、ドン・ドッゴイヤー?」と、
その記事のタイトルを読み上げます。

どうもこの記事は現在消息不明の有名人の行方をあれこれ詮索する記事のようで、
タイトルの感じからして、これはハカセに関する記事ではなく、
過去に宇宙で活躍していた、とある勇者に関する記事のようでした。
「勇者ドン・ドッゴイヤー・・・?」と胡散臭いものを見るように、ルカがページをめくると
「彼こそが伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーだ!!」という大きな文字と共に、
さきほどのタイトルページのものよりも更にどアップになった勇者の顔が映っています。

問題は、その伝説の勇者の顔がハカセにそっくりであり、
しかも名前もハカセの本名であるドン・ドッゴイヤーと全く同じだということでした。
全くの別人で顔がそっくりというのは有り得ない話でもなかったが、
名前までも同じというのは偶然の一致としても到底有り得るような話ではありません。
マーベラスとジョーはワケが分からず「はぁ・・・?」「何だこれ・・・?」と呆れ顔になります。
2人とも、宇宙で今までこんな名前の勇者が存在したなどという噂は聞いたこともないようで、
しかもそれがハカセと顔と名前が一緒だという笑ってしまうような内容で、
とにかく非常に怪しげな記事だという印象を受けたようです。

しかし、鎧は「ちょっと!見せてください!」と必死にその雑誌を奪い取ると、
その勇者の写真を見て、「ホントにドンさんだぁ!!」と大騒ぎします。
顔が同じで名前も同じなのだから同一人物に違いないと素直に信じているようです。
鎧があまりに素直に信じているもので、ナビィも「ええええ!?」と驚いて叫びます。

と、そこに船室で鎧が自分の名を大声で叫んでいるのを聞きつけて、
「え?何?どうしたの?」と当の本人であるハカセが不思議そうな顔で登場します。
ハカセは厨房で1人で昼食の準備をしていて、それで船室にはいなかったようです。

「オイラにも見せてよぉ!」とナビィが雑誌を見たがって騒ぐのを無視して、
鎧はもうすっかり勇者とハカセを同一人物だと思い込んでいるようで、
ハカセの顔を見ると呆然として「・・・勇者・・・ドン・ドッゴイヤー・・・」と呟き、
尊敬の眼差しをハカセに向けます。
実はハカセは海賊団の一員でありながら、その本当の正体は勇者だったのだと鎧は信じて、
さすがだと思って感動しています。

しかしハカセは鎧の呟きを聞いても、「え?」とマヌケ面のままで、どうも意味が分からない様子です。
つまり、ハカセは自分が「勇者ドン・ドッゴイヤー」などという
伝説の勇者であるという自覚は無いということであり、
ならばやはり、この記事はたまたま似た顔で同じ名前の別人の勇者に関する記事か、
あるいはゴシップ誌特有のデタラメ記事であるかのどちらかということになります。

まぁ宇宙はとにかく広いので、
マーベラス一味の面々が知らない勇者がいて、その勇者がハカセと顔と名前が同じであることも
有り得なくはないかもしれません。
ともかくこの勇者の存在の真偽はともかく、
この勇者がハカセと同一人物であるのかどうかについては、
この場に当の本人のハカセがいるわけですから、ハカセに確認すれば分かることです。

ルカはこの際、当の本人のハカセに事実関係を確認するのが手っ取り早いと思い、鎧から雑誌を奪い返すと、
「・・・邪悪な竜にドン・ドッゴイヤーはたった1人で立ち向かった・・・」と声に出して
記事の中のドン・ドッゴイヤーの事績の部分を読み上げました。
読み上げた上で、これが自分のことなのかどうかハカセに問い質すつもりでした。

そうして続きをルカが読むと、
「そして邪悪な竜を倒した瞬間、強烈な光に包まれた勇者ドン・ドッゴイヤーは、そのまま姿を消してしまった・・・」
と、その勇者はなんと生死不明であることに皆は気付かされました。
確かによく考えたら、この記事のタイトルは「あの人は今どこに?」でしたから、
この勇者は現在行方不明になっているわけです。

じゃあ、この勇者は、もし本当に実在していたとしても、もう死んでいるのかもしれない。
というか、この記事内容を読む限り、あまりにファンタジックなお話であり、
本当にこんな勇者が現実に存在したとはあまり思えませんでした。
こんな実在したかどうかも不明の人物とハカセが同一人物であるはずがないとルカは思いましたが、
ハカセはルカの読み上げた内容を聞くと、意外にもシリアスな表情になり、
「それが・・・僕の、過去・・・」と何やら考え込みます。

さっき、勇者だと鎧に言われた時は意味が分かっていないような顔をしていたのに、
今度は一転、ルカの言う勇者としての事績が自分の過去であると認めたかのような言葉です。
いや、事実関係を認めたというよりは、ハカセ自身が事実関係を探ろうとしているような、
よく分からない態度です。
だいいち、もし仮にハカセが勇者だったとしても、それは過去のことであったに決まっています。
だから、あえてハカセ自身が「過去」などと強調する必要は無い。
これではまるでハカセの過去はハカセとは無関係であるかのような他人行儀な物言いです。
そうしたハカセの不可解な物言いに違和感を覚えたアイムは「・・・過去って・・・?」と首を傾げます。
どうもハカセの様子が妙だと思ったのでした。

そこにジョーが「けどお前・・・ザンギャックに故郷の星を滅ぼされて移住したって・・・?」と
怪訝な様子で口を挟みました。
ジョーはハカセが自身の過去が勇者であったかもしれないようなことを言うので、
それはおかしいと思って、口を挟まざるを得なかったのです。
何故ならジョーはハカセの過去を知っており、それは竜と戦った勇者などではないことを知っているからです。

確かにジョーは第37話で鎧にハカセの星がザンギャックに滅ぼされたということを教えており、
ハカセの過去を知っているのは確かです。
ここでのジョーのセリフから察するに、ハカセがマーベラス一味に加入した際に、
ハカセ自身が自分の過去をジョー達に打ち明けていたようなのです。
それによると、ハカセはザンギャックに故郷の星を滅ぼされたので別の星に移住していた一般人で、
そこでマーベラス一味と出会い、加入することになったようです。

そのジョーの知るハカセの過去の何処にも、伝説の勇者であった話や、竜と戦った話は出てきていません。
だから、ハカセが自分の過去が勇者であったかのように今になって言うのはおかしいだろうとジョーは指摘しており、
横でマーベラスもジョーと同意見であるようで、ジョーの言葉に頷いています。

どうもこの場に居る面子の中で、この雑誌の記事に懐疑的なのがマーベラス、ジョー、ルカの3人であるのは、
この3人がハカセの加入時に既にマーベラス一味に身を置いており、
ハカセの「ザンギャックに星を滅ぼされて移住した」という身の上話をハカセから直接聞いた
メンバーであるからであるようです。
だから、ハカセが伝説の勇者であったなどという話はこの3人にとってはそもそも有り得ない話なのです。
一方、ハカセの加入時にまだ一味に加わっていなかったアイムと鎧は
ハカセの過去の話を本人から直接聞いたことがないので、雑誌の記事内容を素直に受け入れやすいのです。

ただ、ハカセの過去がここでジョーのセリフによって初めて具体的に視聴者に明かされたことになり、
その結果、ハカセはただのザンギャックによって星を滅ぼされた移住者であり、
伝説の勇者などではなかったことはハッキリしたといえます。
ところがハカセはジョーの指摘に対して、俯いて
「ゴメン・・・実は、昔の記憶が無いなんて・・・言えなくて・・・」と申し訳なさそうに謝罪したのでした。

このあまりに意外なハカセの告白に、一同は驚きます。
が、驚き方にも各自で温度差はあります。
アイムは「・・・記憶喪失だったんですか?」と考え込みながらハカセに再確認します。
ハカセが黙って頷くので、ナビィは「知らなかった〜!」と感嘆し、アイムも納得します。
それならハカセのさっきの不可解な態度も辻褄が合うからです。
自分の過去がまるで自分とは関係ないことであるかのように言って、
自分の過去を探ろうとしていた不可解なハカセの態度は記憶喪失であったからだということが分かったのです。

つまりハカセは自分の過去を本当は知らないのであり、
本当のハカセの過去は伝説の勇者だったのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。
ハカセ自身にもそれは分からない。
ただ確かなのは、ハカセが自分の過去を知らないということだけです。
ハカセが自分の過去を想い出せない以上は、
ハカセが本当に伝説の勇者であったのかどうかは、不明なままです。
だからアイムが納得したのはハカセが記憶喪失であったということだけであって、
ハカセが伝説の勇者だと信じたわけではありません。

一方、アイムの後ろの方ではマーベラスとジョーがハカセの意外な告白に驚いた後、
胡散臭そうに顔を見合わせます。
2人はハカセが加入時に自分の過去をすらすらと説明したのを聞いていますから、
その時、ハカセが記憶喪失であることを隠していたようにはとても思えなかったのです。
だから記憶喪失などは嘘だと直感しました。
ただ、なんでハカセがそんな嘘を言うのか理由がよく分からないでマーベラスとジョーの2人は戸惑っているのです。

一方、鎧は何やら興奮しまくっていて、ハカセに慌てて駆け寄ると
「いや!でも、これで想い出せたら凄いですよ!勇者パワーがドバ〜ッと炸裂して、
ドンさん1人でザンギャックを倒しちゃうかも!」と、ハイテンションに喚き散らします。
どうやら鎧はハカセが記憶喪失であるという話を信じただけでなく、
もう完全にハカセの想い出せない過去は伝説の勇者であったのだと確信しているようです。

何故なら、名前と顔が一致しているだけでなく、
勇者が竜を退治した時に激しい光に包まれて姿を消してしまったという記事内容と
ハカセの記憶喪失が辻褄が合うからです。
つまり、勇者ドン・ドッゴイヤーは竜を倒した時に浴びた激しい光のショックで、
自分が勇者だったという記憶を無くしてしまい、
その後、過去の無い一般人ドン・ドッゴイヤーとして人生を送ることになり、
たまたまそのドン・ドッゴイヤーがマーベラス一味に加入したのだと鎧は推理したのでした。

そして、ハカセが勇者としての記憶を取り戻せば、きっと勇者としての超人的なパワーも復活し、
勇者としての正義感によって、きっと邪悪な侵略者であるザンギャックも滅ぼしてくれるに違いないと、
どんどん鎧の正義のヒーロー妄想は膨らんでいくのでした。

しかし、ハカセはさすがに鎧の暴走する妄想には困惑して「・・・それは、さすがに・・・」と苦笑します。
ハカセ自身、自分が勇者だと言っているわけではない。
単に記憶喪失だったと言っているだけなのです。
それなのに勇者だったと決めつけられて、ザンギャックを1人で倒せと言われても困ってしまいます。

しかしアイムも鎧ほど先走ってはいませんが、
確かに記事内容の勇者の事績とハカセの記憶喪失とが辻褄が合うことには気付いていました。
ならばこの記事はかなり信憑性があるのかもしれないと思い、
ルカの広げている記事内容を更に覗き込んで、
「左腕にある星型の痣が勇者の証だが、果たして彼は今何処に・・・」という文節を発見して読み上げます。

それを聞いて、ルカは「・・・左腕?」と言ってハカセに近づきます。
ルカもマーベラスやジョー同様、ハカセが仲間入りした時に語った過去の話が記憶喪失を隠すための
作り話だったとはどうも思えません。
しかしハカセが今ここで自分達に嘘をつく理由も無いと思い、
ハカセが記憶喪失だと言うからには記憶喪失なのかもしれないとも思い、判断に迷っていました。

そこに星型の痣の話を聞いたものだから、
もしハカセの左腕に痣があれば記事通りハカセは勇者であったことになり、
過去の記憶を失っていることが証明されると思ったのでした。
ナビィも「左腕・・・」と言ってハカセを見て、鎧もハカセの左腕をじっと見つめ、
ハカセは何やら不穏なムードを感じて左腕の上部を押さえて後ずさりします。

その瞬間、ルカは鎧と一緒にハカセにとびかかり、
「ちょ・・・ちょっと!何?」を慌ててもがいて抵抗するハカセを押さえこんでシャツを脱がせてしまいました。
そしてハカセの左腕を剥き出しにして見ると、なんとそこには上腕部いっぱいに広がる、
まるでマジックで書いたような星型の痣(?)があったのでした。

ルカと鎧は「星型の痣!!」と目を丸くして驚きますが、
その様子を冷ややかに見つめていたマーベラスは「・・・前からあったか?・・・そんなもん」とケチをつけます。
ハカセの左腕にそんな大きな痣があったという記憶はマーベラスには有りませんでした。
ジョーも同様に疑い深そうにハカセのことを睨みます。
ハカセは疑われたのでムッとしたのか、乱暴に鎧を押しのけると
「あったよ!僕もずっと気になってたんだ・・・!」と言いながら、憮然としてシャツを着て、
腕の痣を隠してしまいました。

ルカは痣を見てビックリはしたものの、確かにマーベラスの言う通り、
そんな痣は見たことがないような気もして、また何だかよく分からなくなって、眉間に皺を寄せて考え込みますが、
鎧の方はハカセ本人が痣があったというのだから確かにあったのだと素直に受け取り、
「間違いないですよ!ドンさんは伝説の勇者!ドン・ドッゴイヤーだったんです!」と、
これでもうハカセが伝説の勇者であったことは確定したと決めつけて大興奮状態です。
ナビィも単純に鎧の勢いに乗っかって「ハカセ!勇者!勇者!ハカセ〜!」と大はしゃぎです。
ナビィはマーベラス達と同じくらいの期間ハカセを見てきているはずなのに、全く疑おうとしていない。
根が単純なのでしょう。

しかしマーベラスとジョーは「ホントか〜・・・?」と、もう完全に疑ってかかっています。
記憶喪失といい、痣といい、あまりにもハカセの言うことは唐突すぎるのです。
ただ、そうは言っても、そのハカセの言い分と辻褄が合う記事が雑誌に載っているのも事実なので、
完全否定することも出来ないのですが、
そもそもマーベラスとジョーは女性誌なんてウソばっかり書いているものだと偏見の目で見ていますから、
どうせいい加減な記事だろうと思い、ハカセが勇者だなどとは絶対に信じられません。

ただ鎧とナビィはもう完全にハカセが勇者だったと確信しており、
アイムも基本的にハカセの言うことを信じていますから、痣が有ったことでハカセ勇者説にかなり傾いています。
そうした皆の熱い眼差しを浴びながら、ハカセは
「そう言われれば・・・なんか記憶が・・・出そうで出ない!・・・あ〜、悔しいなぁ!」と頭を押さえて歩き、
大袈裟に苦悩しているような素振りを見せます。

マーベラスとジョーはハカセが記憶喪失だなどというのはもう絶対にウソだと決めつけてますから、
ハカセのそうした過剰な態度をクサイ芝居と決めつけて蔑んだ視線を送り、
2人して顔を見合わせて首を振って、ハカセのことは無視して、
マーベラスは座って新聞を読み始め、ジョーは筋トレを開始します。
もうハカセのウソには付き合いきれないという態度です。

しかしアイムは素直にハカセの言葉を信じて、
「どうしたら想い出せそうですか・・・?」と心配そうに後ろから覗き込んで尋ねました。
別にアイムはハカセが過去に勇者であってもなくてもどっちでもいいのですが、
ハカセが自分の過去を知らないというのは気の毒に思えたので、
何か過去を想い出す手助けが出来ないものかと思ったのでした。

するとハカセは即座に、ハッと思いついたように「・・・超美味しいもの・・・」と呟きます。
ハカセの意外な言葉にアイムが「え?」と問い返すと、
ハカセはアイムの方に振り向き、「今、不意に感じたんだ!・・・もしかして、勇者の僕は美食家だったのかも!」と
真顔で言いました。

これを聞いて、マーベラスはバカバカしくなって新聞を畳んで後ろに放り投げます。
要するにハカセは変な記事に便乗して記憶喪失のフリをして皆を騙して
美味しいものを食べに行きたいだけだとマーベラスは気付いたのです。
ハカセがいきなり記憶喪失のフリをする理由が分からなかったマーベラスでしたが、
分かってみれば、あまりにもくだらない理由であったので、もう呆れて言葉も出ない。
ジョーもマーベラスと同感であるようで、
ハカセのしょうもないウソに付き合わされた無駄な時間を取り戻すように筋トレにますます没頭していきます。

ルカはハカセのあまりに都合の良すぎる言葉にますます疑惑を深めてハカセの顔をまじまじと見つめますが、
アイムは素直にハカセの言葉を信じて「では、超美味しいものを召し上がれば、記憶が戻るかも!」と笑顔で
鎧やルカに話しかけ、鎧はそれに応じて「それでは行きましょうか!超豪華レストランへ!」と、
どんどん話を進めていき、何時の間にか、豪華レストランに外食に行くという話になってしまいます。
鎧はこれでハカセの記憶が戻れば、勇者パワーでザンギャックを一蹴出来ると、まだ妄想しているようです。
こうしてハカセを囲んで豪華ランチに出掛けることになり、ハカセは満足そうにニヤニヤ笑っています。

まぁ、このシーンを見る限りでは、
あの伝説の勇者の記事の胡散臭さはともかくとして、
ハカセが過去に伝説の勇者であったのかどうかは真偽は定かではありません。
そしてハカセが記憶喪失であったのかどうかについても、
マーベラス達が疑ってかかるのは加入時のハカセの想い出があるからであって、
視聴者はそのハカセ加入時の話をまだ知らないので、何とも判断のしようがありません。
まぁマーベラス達が疑っているのだから疑わしいのだろうと想像出来る程度です。

ただ、あの左腕の痣はどう見ても胡散臭く、
記事を見て、それに合わせるためにハカセが自分でマジックで書いたと思われても仕方ない代物だと思いますし、
最後の「美味しいものを食べたら記憶が戻るかも」というのは、
これはもうほぼ間違いなくハカセが美味しいものが食べたくてテキトーなことを言っていると見ていいでしょう。

そのあたりを総合して考えても、
やはりハカセは記憶喪失のフリや勇者のフリをしているだけだと疑われても仕方ない状況だと思います。
視聴者にそう思わせるサインは制作サイドはこのシーンで既に多少は発していますので、
一応、ハカセは嘘をついているという前提でここから先は話を進めていきます。

さて一方、その頃、地上のとある街では、人気の無い道をバスコがサリーを連れて歩いていました。
バスコは第39話のメガレンジャー篇でマーベラス達に出し抜かれて
メガレンジャーの大いなる力を奪取することに失敗して撤退して以来、3週間ぶりの登場です。

バスコが普段登場しない時に何処で何をしているのかについては不明なので、
ここでバスコが地上を歩いているというのが何のためなのかはハッキリとは分かりません。
ただ、バスコの拠点はあくまで宇宙空間のフリージョーカーにあり、地上には拠点は無いはずですので、
バスコが地上に居るというのは何らかの用件のためと考えた方がいいでしょう。
そしてバスコの地球における用件といえば、スーパー戦隊の大いなる力を集めることでありますから、
ここでも大いなる力を手に入れるための何らかの暗躍のために何処かに行こうとしている場面のように受け取れます。
しかし、この場面のバスコは何やらニヤニヤとほくそ笑んでおり、何か良いことがあったみたいです。
ということは、大いなる力集めで何かバスコにとって喜ばしい状況が生じたのかもしれません。

ところが脇道から出てきた人影が、この嬉しそうに歩くバスコに後ろから
「何か良いことでもあったか・・・?」と低くドスの効いた声で話しかけます。
その声にハッと驚いてバスコが振り返ると、
「・・・バスコ!」と言葉を続けて呼びかけた、その人影はダマラスでした。
「ダマラスのおっさん・・・!」とバスコは愕然として絶句します。

バスコは地上でダマラスに会ったことが極めて意外であったようで、かなり焦っている様子です。
つまりバスコはダマラスがワルズ・ギルによって出撃を禁じられていたことを知っていたのでしょう。
確かに、よく考えてみれば、第15話の時、ダマラスはバスコにマーベラス一味の抹殺を依頼しており、
ダマラス自身が出陣出来るのであればバスコにわざわざそんなことを頼む必要は無いわけで、
バスコがその依頼を受けたということは、
あの時点でバスコはダマラスが司令官のバカ息子の命令で地上に出撃出来ない状況にあるということは
把握していたはずです。

しかし、ならばワルズ・ギルが死んだ後、
バスコはこれでダマラスが地上に降りてくることが出来るようになったと考えなかったのでしょうか?
いや、おそらくそう予想したのでしょう。
だから第39話の冒頭、ワルズ・ギルの死を知って
バスコはマーベラス達が余計なことをしてくれたものだと困っていたのです。
それはつまり、ワルズ・ギルが死んだことでダマラスが地上に自由に降りてくることが出来るようになれば、
自分のやろうとしていることの障害になり得るという危惧がバスコに有ったということだったのでしょう。

あの時の考察では皇帝が乗り込んでくることを恐れていたのではないかとも考えましたが、
確かにそれもあるのかもしれませんが、
こうしてここでのバスコの焦りっぷりを見ると、
バスコはダマラスが地上で自由に行動することも警戒していたと解釈した方がいいように思います。

ただ、もしそうだとすれば、
バスコは第39話以降はいつダマラスが自分の前に現れてもおかしくないとばかりに、
もっと警戒していなければならないはずです。
ところがここではダマラスの突然の登場にバスコは驚いている。
つまりダマラスが地上に現れるのはバスコにとって現時点でも依然として意外なことだったのです。

つまり、バスコはダマラスが皇帝の命令でギガントホースに足止めを喰らった後、
拘束されたこともおそらく知っていたのでしょう。
おそらくギガントホース内に何らかの情報源を持っているのでしょう。
だからバスコはダマラスがまだギガントホースの牢屋の中だと安心して地上で何かをやっていたのです。
その地上で何かをやっていたためなのか、
ダマラスが昨日釈放されて皇帝から地上への出撃を許可されたということはバスコには伝わっていなかった。
だからバスコはここでいきなりダマラスに出くわして、驚愕したのです。

しかもバスコは単に驚いているだけではなく、どうやら身の危険を感じています。
しかし確かバスコとダマラスは手を組んでいたはずです。
どうしてそんなに警戒する必要があるのか?
いや、そもそもバスコは恐ろしく強いのですから、ダマラスをそんなに怖がる必要などないのではなかったのか?

だが、ダマラスが黙ってバスコへ向けて歩き出すと、サリーは殺気を感知して吠えながら逃げていき、
バスコは「チッ!」と舌打ちし、厳しい表情になります。
やはりダマラスが攻撃してくるつもりだということを確信したのです。
バスコは今まで見せたことのないような必死な顔になりダマラスの攻撃を迎え撃とうとして身構えますが、
ダマラスは一定の距離まで近づいたところで剣を振るい、衝撃波をバスコ目がけて飛ばします。

バスコはこの衝撃波を腕を組んで受けながら赤いオーラを発して怪人態に変身しますが、
なんとバスコは怪人態になったにもかかわらず、ダマラスの剣の発した衝撃波1つに吹っ飛ばされて
「うあああ!!」と無様に後ろに倒れ込んだのでした。
バスコ怪人態はゴーカイスクランブルを手で受け止めて弾き返したりするぐらい強力であるはずなのに、
ダマラスの強さはどうやらそれを上回るトンデモないものであるようです。
なるほど、これならバスコがダマラスと相対するのを警戒していたわけが分かります。

しかし、バスコよりもダマラスの方が強いのはこれで分かったが、
分からないのは、どうしてダマラスがいきなり仲間のはずのバスコを襲ったのかです。
ダマラスが皇帝から与えられた任務はマーベラス一味の抹殺のはずです。
むしろバスコはそのための仲間のはずなのに、いきなり仲間割れをしているのはどういうことなのか?

それについては次のダマラスのセリフで明らかになります。
ダマラスは倒れ込んだバスコにゆっくり近づきながら
「貴様・・・その姿になっておきながら、海賊どもを倒さなかったとは・・・!」と怒気を含んだ声で言います。

ダマラスがバスコに対して立腹しているのは、第31話のオーレンジャー篇の時、
バスコが初めて怪人態に変身してマーベラス達を圧倒し、全員を戦闘不能状態に追い込み、
全員を簡単に殺せる状況にあったにもかかわらず、何故かトドメを刺さずにその場を去った件です。
あの時、ダマラスはギガントホースからバスコの変身を察知し、
バスコが遂にマーベラス達を倒すものだと期待していました。
ところが、バスコがその期待を裏切ってマーベラス達をわざと殺さなかったので、怒っているのです。

今となってはバスコを地球に呼び寄せたのは完全にダマラス1人の意思であったことが分かります。
ダマラスがバスコを地球に呼び寄せた理由は、
ワルズ・ギルから自ら出撃することを禁じられ、作戦をまともに立案実行することさえ許されなかったダマラスが、
ザンギャック軍とは別の、ワルズ・ギルには邪魔されない系統で自分の手駒として動く者が必要だったからです。

つまりダマラスから見てバスコは自分の代わりに地上に降りて
マーベラス一味を倒してくれる助っ人であったはずなのです。
そのつもりでダマラスはバスコを呼び寄せた。
それはバスコが自分に次ぐぐらいの武力を持つ者であり、
ザンギャック軍の命令系統とは別に独立して動ける者だと見込んだからでした。

ただ、ザンギャック軍の軍人でないバスコはダマラスの部下ではないので、ダマラスの命令に従う義務は無い。
そこでダマラスはバスコが「宇宙最大のお宝」というものを探していることを思い出し、
第8話の段階でダマラスが掴んでいた「地球に宇宙最大のお宝があり、
それを見つけるために必要な34のスーパー戦隊の大いなる力もある」という情報を教えるのと引き換えに、
バスコに地球でマーベラス一味を抹殺するよう求めた。

この取引に応じてバスコが地球へやって来たのが第15話です。
この時、ダマラスがワルズ・ギルには隠れてバスコを支援したり、コッソリとバスコの船に忍んでいったりしたのは、
ダマラスからバスコへの依頼をワルズ・ギルに秘密にしておくためでした。

ところがバスコは前もって「宇宙最大のお宝」に関する何らかの情報を得ており、
ダマラスからの情報と合わせて、この時、「宇宙最大のお宝」を手に入れる何らかの計画を組み立てたと思われます。
そしてダマラスがワルズ・ギルの出撃禁止命令で自由に動き回ることが出来ないという事情も知った。
基本的にはバスコはダマラスには戦っても勝てないので従っていたと思われますが、
この時以降、ダマラスが自由に動けず、自分に頼るしかない状況であるのを良いことに、
好き勝手に振る舞うようになり、マーベラス達と戦っても、マーベラス達をあえて倒そうとはせず、
ダマラスともあの第15話以降は接触を断ったのだと思われます。

つまり、バスコはダマラスから情報を貰うだけ貰って、持ち逃げしたような格好となり、
その後は地球で独自の考え方に基づいて好き勝手やるようになっていったのです。
ただ、それでも第23話でバスコがゴーミンを借りたりしているように、
ダマラスとしてもバスコがマーベラス一味と戦うと言う限りは、
期待を込めてバスコの求める協力は出来る範囲でしてきたのでしょう。
ところがバスコはそのダマラスの協力も悉く裏切り続け、
遂には第31話でバスコが怪人態になってマーベラス一味に完勝しながら倒さなかったのを見て、
ダマラスはバスコがマーベラス達を殺すつもりがないということにハッキリと気が付き、
ここでバスコとダマラスの協力関係は完全に終わりを告げたのでした。

そうして、それ以降、ダマラスにとっては自分の依頼を裏切ったバスコは、
マーベラス一味に次ぐ怒りと恨みの対象となっていたのです。
だから、地上で活動出来るようになったダマラスがバスコに怒りの攻撃を加えたのは当然といえば当然のことでした。
また、バスコもダマラスを騙して恨みを買っているという自覚はありますから、
ダマラスといきなり出くわして焦ったのです。

そうして叩きのめしたバスコに向かってダマラスは、第31話の時の件を追求し、
「何故、手加減をした・・・?」と責めます。
どうして自分の依頼を無視したのかと、いったいどういうつもりなのかと
ダマラスは怒りにかられて責めているのです。
だからダマラスはどういう理由でバスコがマーベラス一味を殺そうとしないで放置しておくのか、
その理由を徹底的に追及しようとしているわけではない。
そんなことはダマラスにとってはあまり興味の無いことなのです。

ところがバスコにとっては、それは絶対に言いたくないことのようで、
立ち上がりながら「・・・さぁ〜て、何のことだか・・・?」と、手加減をしていたこと自体を認めようとはせず、
とぼけようとします。
これがあまりに白々しい不誠実な態度だったので、
ダマラスは「とぼけるなっ!!・・・貴様の力をもってすれば、確実に倒せたはずだ・・・!」と怒鳴りつけます。

ダマラスはあくまでバスコが自分の命令を聞かなかったことについての怒りをぶつけており、
ダマラスが確認したいことは、バスコが自分に逆らうつもりなのか否かということのようでした。
いや、バスコはもうとっくにダマラスを裏切っているわけですから問答無用でぶっ殺せばいいはずなのです。
それなのにダマラスはバスコの自分への服従の意思の有無をまだ確かめようとしています。
つまり、ダマラスはここにバスコを殺しに来たわけではなく、
バスコを再び従属させるためにやって来たようなのです。
それはつまり、再びバスコを使おうとしているということです。
そういうわけで、ダマラスの興味の向いているのは、バスコがマーベラス達を殺さない理由ではない。

そのことに気付いたバスコは、「ま、いろいろ事情があるんスよ・・・」と適当に誤魔化しつつ、
ダマラスに対してヘコヘコして下手に出てみせます。
バスコとしては、自分がマーベラス一味を殺さずに泳がせている理由はあくまで
ダマラス、いやザンギャックには知られたくないようです。

ダマラスはバスコがへりくだった態度をとったので一応敵意は無いのだと思い、少し安心したのか、
「今度こそ完膚なきまでに海賊どもを叩きのめす!・・・貴様も手を貸せ!」と本題を切り出します。
つまり、ダマラスはバスコをマーベラス一味討伐作戦に協力させるためにやって来たのです。
だから、マーベラス一味のところに行く前にダマラスはバスコの居場所を探し出してやって来たのです。
ただ、怒りと恨みは溜まってますから制裁はしっかり加えて、屈服させた上で作戦を手伝わせるつもりなのです。

しかし、バスコは一度裏切った男です。
そんなヤツをわざわざ使う必要は無いとも思えるのですが、
どうしてダマラスはそんなにバスコに手伝わせたいのか?
それはやはりマーベラス一味が手強いことは分かっているので、
それと戦うためにはバスコぐらい腕の立つ配下が欲しいからです。

ただダマラスは自分が単独ではマーベラス一味に負けそうだと思っているわけではありません。
万が一にも自分が負けるなどとは思っていません。
ただ、相手は6人もいるわけで、
腕の立つ武人が自分1人だけでは何人か取り逃がしてしまう可能性があると思ったのです。

特にダマラスが恐れたのは主犯格のマーベラスを取り逃がすことでした。
6人を相手にしているうちに一番取り逃がしてしまう可能性が高いのは、やはり一番腕の立つマーベラスでした。
主犯格を取り逃がしてしまっては意味は無いわけで、
だからこの作戦を完璧に成功させるためには、ダマラスは自分は出来るだけマーベラスを集中して戦い
倒したいと思っていました。
それに、ダマラスの武人としての誇りを満足させるための戦いの相手は、
やはり一味の中で最も腕が立ち、最も賞金額の高い強者であるマーベラスが相応しいと思えました。

だから、マーベラス以外の5人を一手に引き受けてくれる強力な助っ人が必要だったのです。
そしてダマラスの頼める範囲内では、そこまで強力な助っ人になり得るのはバスコぐらいだったのです。
気に食わない奴だが、仕方がないとダマラスは思い、バスコは殺さずに使うことにしたのでした。

バスコもダマラスのそういう思惑は分かりますから、ダマラスは自分を殺せないと踏んで
「嫌だと言ったら?」とカマをかけます。
実際、バスコはマーベラス達を殺すのは不都合なので、マーベラス一味を倒す作戦に協力などしたくはない。
まだ駆け引きは出来るはずだとバスコは思っていました。

しかしダマラスは間髪入れず、バスコの鼻先に剣の切っ先を突きつけ、
「・・・死ぬだけだ・・・それでも一向に構わんがな・・・」と返答しました。
ダマラスはもう今更バスコとの取引などする気はありません。
作戦に協力しないのなら殺すつもりでした。
問答無用というわけです。
バスコはダマラスの作戦に協力してマーベラス達を殺す手伝いをしなければ、
この場でダマラスに殺されることになります。
しかしバスコはどちらも選びたくない。

その時、「キィ〜ッ!」と吠えてサリーが飛び込んできてダマラスに襲い掛かります。
主人のバスコの危機を救おうとしたのですが、これは無謀で、
ダマラスは振り向きざまサリーを一閃、サリーは悲鳴を上げて吹っ飛ばされます。
すると、その一瞬の隙を狙い、バスコはダマラスに斬りかかります。
こうなったらイチかバチかダマラスを倒してやろうと思ったのです。

が、ダマラスはこのバスコの不意打ちに落ち着いて対処して、何度か刃を交えて、
すぐにバスコを押さえこんでしまい、「この私に勝てると思っているのか・・・?」と凄みをきかせました。
バスコは座り込んだまま「フン!」と悔しがります。
不意打ちも通じず完敗で、そのまま殺されても文句を言えない状況で、まだ殺されてはいない。
こうなったらダマラスに従う以外ここは仕方がないと悟りました。

そうしてバスコはダマラスに背を向けてゆっくり立ち上がり、両手を上げて剣を地面に落とし、
「分かりました・・・」と言いながら変身を解いて人間態に戻り、
「やりますよ・・・ダマラス様・・・」と不承不承ながらダマラスの命令に従う意思を表明し、
忌々しそうに舌打ちするのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2011年12月21日

第42話「宇宙最強の男」感想その2

では本編ですが、今回、冒頭からいきなりバトルシーンで始まります。
前後篇の前篇ではよくあるパターンで、前篇がピンチ場面で終わる予定の場合、
最後の方の巨大戦が出来なくて大事な巨大ロボ玩具の販促が出来ないので、
今回のストーリーが始まってしまう前に何だかよく分からないけど最初から戦ってるという設定で
巨大戦をやってしまうというやつです。
ただ、そういう場合、ホントに取ってつけたように巨大戦だけやるのが通例なのですが、
今回は巨大戦は鎧が豪獣レックスで担当して、同時進行でマーベラス達5人は等身大戦もやっています。
これは、巨大戦のノルマはこなしながら、同時に今回のストーリーも巧妙に始めているというわけです。

いきなりドリルのどアップから始まる本編、
ドリルは豪獣レックスの尻尾で、
「負けてたまるかぁっ!!」と豪獣レックスのコクピットで吼えるゴーカイシルバーに変身した鎧、
戦う相手は巨大ドゴーミン2人です。
ドゴーミンということは敵はザンギャック、しかも皇帝親衛隊です。
インサーンの巨大化光線で巨大化しているようで、
ドゴーミンは普通の行動隊長クラスの怪人よりも強く、しかもそれが2人ですから、
豪獣レックスも巨大スゴーミンを相手にしている時の楽勝ムードとは違い、結構苦戦しているようです。

一方、そのすぐ近くの地上では、等身大のドゴーミン2人に率いられたゴーミン部隊と
マーベラス達5人がゴーカイジャーに変身して戦っています。
前回、皇帝親衛隊の最強格の隊員であるザツリグを倒されたはずですが、
ザンギャックは懲りずにまた皇帝親衛隊を繰り出してマーベラス達を倒しにかかってきたようです。
地球に乗り込んできた皇帝アクドス・ギルはまだマーベラス達を倒してワルズ・ギルの仇を討ち、
帝国の威信を回復させることを諦めてはいないようです。
まぁ1回負けたぐらいで諦めてくれると思うのは、いくら何でも甘い見方だといえます。
宇宙を制覇した皇帝がわざわざ辺境の地球までやって来て、1回の失敗ですぐ諦めるなんて、
そんなヤワなはずはない。

しかし、マーベラス一味で最もヤワな男であるハカセは、
皇帝親衛隊の最強格の怪人を倒したのだから、
これでもうザンギャックもウンザリして地球を攻撃するのを諦めてくれるのではないかと
結構本気で期待していたようです。
それなのに、またザンギャックが出たので、ハカセはいい加減ウンザリした様子で、
戦いながら「もう!いい加減、暴れ回るの止めてくれないかなぁ!?」とブツブツ文句を言います。

それを聞きつけた隣で戦うルカが
「あいつらが止めるわけないでしょ!くだらないこと言ってないで!」と、ハカセをからかうようにして、
文句ばかり言ってないで真面目に戦うように叱ります。
ハカセは「くだらないことって・・・」と不満そうです。
ハカセはルカのように戦いそのものが楽しくて戦っているわけではありません。
いつも戦い方はやけに面白い戦い方になっていますが、必死に戦った結果面白い形になっているだけで、
ハカセ自身はそんなに面白がっているわけではない。本当は戦いは嫌いなのです。

この物語の序盤でも、基本的にはハカセはザンギャックとの戦いを避けようとしていました。
しかし、ハカセもザンギャックが地球の人々の自由を暴力で無理やり踏み躙ろうとしているのを見て怒りを感じ、
戦いはじめ、今ではザンギャックと戦って地球を守ることで人々の自由や夢を守ることが
ハカセにとっても大切な夢となっています。
だからザンギャックが地球で暴れる限りはハカセはもう決して逃げないで戦い続けます。
しかし本当は心底戦いが嫌いなのです。
別に高尚な平和主義者というわけではなく、単に危険なことや荒々しいことが嫌いで、
気楽に生きたい小市民的な男なのです。

マーベラスやジョー、ルカなどはある種、英雄的な気質を持っており、
大きな夢を抱いて、それに向かって一生戦い抜くというのが似合うタイプです。
そうした大きな夢を受け止める器を持った人物である彼らは、自然に戦いの中で喜びを感じることが出来ますが、
ハカセはそんな英雄的なタイプではなく、日々のささやかな暮らしに喜びを見出す小市民タイプですから、
本当は戦いは嫌なのです。

夢や自由を得るためには戦わなければいけないことは分かっているから戦います。
でも決して戦いが好きなわけではない。
それでも、ザンギャックから地球を守って戦うと決めた以上は、それはとにかくやり遂げないといけない。
だからハカセは早くザンギャックが撤退してくれれば、
自分はひとまず嫌いな戦いをしなくて済むと期待しているのです。

つまりハカセがザンギャックの撤退を望むのは地球のためを想ってなのではなく、
どちらかというと、自分のために望んでいることなのです。
しかし、それはハカセの大真面目で切実な願いなのであって、
それをくだらないなどと一蹴されてしまって、
どうせ戦うのが好きなルカには自分の気持ちは分からないのだと思い、ハカセは不満です。

しかし、そんなに戦うのが嫌ならばやめればいいのに、
どんなに嫌であっても、一旦やると決めたことはやり通すという、
妙に律儀なところがハカセの持ち味です。
第32話でもその律儀さで根気強く粘り抜いてゴーカイガレオンバスターを完成させました。

しかし、とにかくハカセは戦いが嫌いで、
そんな自分がマーベラス達に比べて戦いには向いていないと、多少卑屈な想いはあります。
そういうハカセはゴーミン達が自分の周りに群がってくると、
自分がこの中では一番弱いと知ってゴーミン達が狙って来ているような気がしてきます。

実際は他の4人に対してもほぼ均等にゴーミン達は分散して攻撃をしており、
ハカセだけ集中攻撃しているということはないのですが、
ハカセはちょっと被害妄想にかられてゴーミン達が自分を弱いと思ってバカにしているのだと思い、
「もう!なんで僕にばっかり来るんだよ!?」と腹を立てつつ、
ゴーミン達に取り囲まれないように、傍に立てかけてあったハシゴを昇ります。

しかしハシゴの立てかけてある上の方からもゴーミンが現れ、ハカセに向かって銃撃してきて、
さらにハシゴを外して倒してしまいます。
ハカセは「おわあああ!?」と叫んでハシゴごと落下し、近くにあった段ボール箱の山に突っ込み、
首と両手両脚を段ボール箱から突き出した、段ボール怪人というか、
古いロボットの玩具みたいな姿になってゴーミンと戦い続けます。

そのハカセの不格好な姿を見たジョーは呆れて、
ゴーミン達と戦いながら「おいハカセ!いつまで経っても、戦い方が愉快なままだな!」とからかいます。
ハカセは段ボール箱から脱出しながら「愉快って・・・!」とムッとします。
懸命に戦っているのに、お笑い芸人扱いされたようで不愉快に思ったのでした。
しかしルカも「今欲しいのは、愉快より豪快なんだけど!」と、なんだか上手いこと言って、
ハカセをギャグのネタにしてしまいます。

一方、アイムは真面目に戦い続けていましたが、知らない間にハカセとの間の距離が縮まっていて、
ハカセもアイムも互いに気付かないまま、
アイムがゴーカイサーベルを振り上げた手の握り拳がハカセの頬を痛撃してしまい、
ハカセは「痛たっ!?」とよろめき、大の字に倒れてしまいます。
アイムは「ああ!?申し訳ありません!」と慌てて謝りますが、
戦場の真ん中で大の字になってしまったハカセの醜態に思わず敵のゴーミン達まで爆笑し、
ハカセを指さして大ウケとなります。

なんだか今回は妙に和やかムードの戦闘シーンですが、
ハカセ中心に描くと戦闘シーンもこんなノリになってしまうのです。
しかし笑われたハカセは、またバカにされたと思い、更に腹を立てて
「もう!みんなで僕をバカにしてぇ!」と立ち上がり、
ちょっとカッコいいところを見せてやろうと張り切って「見てろよぉ!」と駆け出しますが、
すぐに足がもつれて前につんのめり、駆け出した勢いのまま
「わああああ!?」と大きく身体が前に飛び上がってしまいます。
そしてハカセを笑っていたゴーミン達の群れにダイブして、
ゴーミン達はハカセの下で将棋倒しになって、やっつけられてしまいました。

ハカセはせっかくカッコよく戦おうとしたのがドジのためにまた失敗してしまったと思って、
慌てて下敷きにしたゴーミン達を見ますが、
「ん?・・・ん?・・・あれ?」と、何時の間にか自分がまた奇想天外なやり方で
ゴーミン達を片付けてしまったことに気付き、まぁこれはこれで仕方ないと納得するのでした。

さて、まだ戦いの途中ですが、今回はここでOPテーマが始まります。
前回は通常回でしたが、今回もOPナレーションは通常回バージョンで、
マーベラス一味とザンギャック皇帝親衛隊との激突篇は、レジェンドゲスト抜きのガチンコ勝負が続きます。

そしてCM明け、今回のサブタイトル「宇宙最強の男」というのが出ます。
これは通常回ですからフォーマットも何も関係無く、
今回の内容そのまんまのストレートなサブタイトルです。
すなわち、「宇宙最強の男」が今回登場するわけですが、
それが誰なのか、この段階ではまだよく分かりません。

さて本編が再開し、冒頭の戦闘シーンの続きです。
まず巨大戦の方は、鎧が豪獣レックスを豪獣神にチェンジし、巨大ドゴーミン2人に対抗します。
豪獣レックスで倒しきることが出来ず、豪獣神にチェンジしてみることになったわけですから、
やはり巨大ドゴーミンは手強いのです。

一方、等身大戦の方ではマーベラスが赤いレンジャーキーを出して「こいつで決めるか!」と合図して、
5人で「豪快チェンジ!!」と変身したのは、ゲキレンジャーでした。
しかし、いつもの5人でのゲキレンジャーへの多段変身とは様子が違います。

ゲキレンジャーは5人戦隊で、
普段はマーベラスがゲキレッド、ジョーがゲキブルー、ルカがゲキイエロー、
ハカセがゲキバイオレット、アイムがゲキチョッパーに変身します。
しかし今回はマーベラス、ジョー、ルカの3人はいつも通りですが、
ハカセは黒獅子リオ、アイムはメレ獣人態に変身したのです。

リオとメレはマーベラス達が最後にバスコから奪ったレンジャーキーの、
いわゆる番外戦士の10人の中の2人で、
本来は追加戦士のゲキバイオレットやゲキチョッパーよりも更に正規戦士に遠い存在のはずなのですが、
「ゲキレンジャー」という作品においては、実は解釈次第では、初期赤青黄3人組に、
このリオとメレを合わせて初期5人メンバーという考え方もあるのです。

もともと「ゲキレンジャー」という作品ではOPテーマの戦隊メンバー紹介場面に
最初からリオとメレもジャン、レツ、ランの3人と同格扱いで登場したりしていて、
「正義の戦隊と悪の戦隊が共に切磋琢磨する物語」という構図でした。
そもそも配色を見ても、ゲキレンジャーの3人が赤青黄で、リオが黒、メレが緑ですから、
この5人で戦隊メンバーの定番カラーを占めています。
おかげで後で登場する追加戦士が紫と白という、戦隊カラーとしては非定番カラーとなっており、
色だけで見れば、リオとメレを合わせた初期5人が正規メンバーで、
バイオレットとチョッパーが番外戦士のように見えます。
だから、解釈次第では今回のリオとメレが初期3人と並ぶゲキレンジャーへの多段変身もアリなのです。

ただ、その場合、配色的には緑色戦士に相当するメレへの変身者はハカセであり、
「ゴーオンジャー」の例などを見ると、黒色戦士に相当するリオへの変身者はアイムでなければいけないはずです。
しかし、リオとメレの場合、戦隊の戦士風のフォルムではなく、
完全にそれぞれが男型怪人、女型怪人の姿をしているので、
男女逆転バージョンのスーツを作ることが出来なかったのだと思われます。
それで、リオにはハカセが、メレにはアイムが変身したのでしょう。

こうして変則的ゲキレンジャーに変身した5人とゴーミン軍団との乱戦となりますが、
ハカセの変身したリオの違和感が凄いです。
リオといえばクールでストイックで、覇王の風格で戦う戦士です。
もともとのキャライメージが「北斗の拳」のラオウだったというのですから、
ハカセには最も遠いキャラと言っていいでしょう。

覇王の風格そのままに、リオは百獣の王であるライオンをモチーフとした戦士ですが、
ハカセの変身したリオは、まるで猫がモチーフの戦士のように軽妙でコミカルな戦士となってしまいました。
オリジナルのリオは不動の構えから重厚な攻撃を繰り出す戦士でしたが、
ハカセのリオは壁によじ登り、飛び降りてゴーミンを捕まえて
「がお!」と猫が爪を立てるような仕草で吼える、おふざけ戦士です。
なんかガオレンジャーと間違えたようなアニマルアクションになってます。

一方、アイムの変身したメレも、なんだか妙な感じです。
こちらは凛としたメレっぽい動きをしていて、アクション的に違和感は全く無いのですが、
メレというとアクの強い悪女のイメージなので、
マーベラス一味ではアイムではなくルカのイメージに近い。
だからアイムがメレの格好をしているだけで何だか不思議な感じです。

ゴーミン達を押しまくって5人集合した時も、
ハカセがリオの姿でピョンピョン飛び跳ねてきて「あ痛て!」とすっ転び、
「大丈夫ですか?」と慌ててアイムがメレの姿で助け起こすという、
とてもリオとメレには見えない、ほのぼのとした異様な情景が繰り広げられます。

さて、ここでジョーが「フン!もう1ついくか!」と青いレンジャーキーを取出し、
続いて5人で「豪快チェンジ!!」と変身したのは、ファイブマンでした。
マーベラスがファイブレッドに変身し、ジョーがファイブブルーに変身し、ルカがファイブイエローに変身し、
ハカセがファイブブラックに変身し、アイムがファイブピンクに変身します。
「199ヒーロー大決戦」映画では豪快チェンジ済でしたが、
TV本編でマーベラス一味がファイブマンに一斉変身するのは初めてのことです。

こうして見ると、この冒頭の戦闘シーンで鎧だけに巨大戦をさせているのは、
前後篇の前篇で巨大戦のノルマをこなすという目的以外に、
鎧だけを等身大戦から除外しておいて、
変則ゲキレンジャーとファイブマンへの5人一斉変身をスムーズに見せるためだったことが分かります。

言い換えれば、この冒頭の戦闘シーンの目的には、
今回のストーリーの伏線としてハカセの心情を描くのと同時に、
変則ゲキレンジャーとファイブマンへの豪快チェンジを消化することがあったのだということになります。
つまり、豪快チェンジの未だ消化していないノルマ消化のために戦闘シーンであったのです。

まず、ここでファイブマンへの5人一斉変身をしたことで、
マーベラス一味はTV本編で34戦隊全ての5人一斉変身を遂に終えたことになります。
なお、6人一斉変身を未消化の戦隊は、あとはジュウレンジャーとマジレンジャーだけです。

そして、変則ゲキレンジャーでリオとメレに変身し、
ファイブマン一斉変身でファイブレッド、ファイブブルー、ファイブブラックに変身したことによって、
マーベラス一味がレンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士は、
これで遂にマジマザーただ1つだけとなります。

マーベラス達はファイブマンに豪快チェンジした後、ゴーミン達と再び乱戦に突入し、
ここではよく見るとファイブマン各自の個人武器を使って戦ってます。
マーベラスはファイブレッドの剣型の個人武器のVソードを使い、
ジョーはファイブブルーの鉄アレイ型の個人武器のツインアレイを使い、
ルカはファイブイエローのタクト型の個人武器のメロディータクトを使い、
ハカセはファイブブラックのナックル型の個人武器のパワーカッターを使い、
アイムはファイブピンクのフルーレ型の個人武器のキューティーサークルを使い、戦っているのですが、
いかんせん、このシーンが1〜2秒ぐらいしか無くて短すぎます。

本来はここは劇場版も含めて初めてファイブマンの5人揃っての個人アクションをしっかり見せる場面のはずで、
そのつもりで撮影時はしっかりアクションをして長めに撮ったのであろうと思われますが、
今回のエピソード全体の尺調整の結果、ほとんど編集時にカットされてしまったようです。

まぁとにかく、このファイブマンでマーベラス達が戦い始めたのを受けて、
鎧は豪獣神のコクピットで「こっちもいきますよぉ!!」と張り切って、
豪獣神の右腕のドリルをトライデントモードにして、電撃攻撃で巨大ドゴーミンを攻撃します。

一方、地上の等身大戦の方では、ファイブマンの姿のまま、マーベラス達は大技を発動します。
マーベラスが赤いボールを手にして「スーパーファイブボール!」と掛け声をかけて、
そのボールを「はぁ!」とキックしたのでした。

このスーパーファイブボールという名の技は、
あの初代戦隊ゴレンジャーのゴレンジャーストームを彷彿とさせる技で、
5人が順番に蹴って繋ぎながらエネルギーを充填していったボール型爆弾を相手にぶつける必殺技ですが、
ゴレンジャーストームのようにボールが最後は相手の苦手なものに姿を変えるというような、
ふざけた技ではありません。

ゴレンジャーストームのように、蹴った後、次の蹴るメンバーのパーソナルカラーに
ボールの色が空中で変わっていくという技で、
マーベラスが蹴った赤いボールが飛びながら青い色に変わっていきます。
この赤いボールにはファイブレッドの額の紋章も刻まれており、
それがボール色が青に変わると同時に、ファイブブルーの額の紋章に変わっていきます。
この色と紋章が変わっていくエフェクトが、「ファイブマン」放送の1990年当時には不可能だった
ハイクオリティなCGでリニューアルされているのが印象的です。

そうして青いファイブブルー仕様に変わったボールを今度は「はっ!」とジョーが蹴り返し、
これが同様に黄色いファイブイエロー仕様となって飛んでいき、ルカが「よっ!」と蹴り返し、
ボールはピンク色のファイブピンク仕様となり、それを「はい!」とアイムがヘディングで切返し、
黒色のファイブブラック仕様となったボールをハカセが「はあああ!!」と大きくジャンプしてキャッチし、
宙返りして着地してターンします。
するとハカセの手にしたボールはまた赤色に変わり、
しかもファイブマンの紋章の刻まれたプロテクターに包まれます。

この5人分のエネルギーが充填されたボール型爆弾を胸の前に突き出した手で掴んで立ったハカセが
「マーベラス!」と合図をすると、「はっ!」と跳び上がったマーベラスがこのボールを飛び蹴りして
「喰らえ!!」と、ゴーミン達の群れに向かって発射、
これが大爆発を起こして、ゴーミン軍団は全滅します。

これで地上で残るは2人のドゴーミンだけです。
ゴーカイジャーの姿に戻ったマーベラス達5人は、
「トドメだ!」とバックルから出した光を合体させてゴーカイガレオンバスターを構えます。
前回はアイムがメインで構えましたが、今回はいつも通りマーベラスがメインで構えて、
通常通りのライジングストライクを発射します。
一方、巨大戦の方でも鎧がアバレンジャーの大いなる力である豪快電撃ドリルスピンを発動し、
ドリルを構えて高速で巨大ドゴーミン2人に突っ込み、
巨大戦でも等身大戦でも同時にドゴーミン達を撃破して、戦闘に終止符を打ったのでした。

その戦闘の模様を遠く離れた地球上空の宇宙空間に浮かぶギガントホースの指令室で
モニターしていたダイランドーは「ちょいちょいちょいちょ〜い!何なのさ!?海賊どものあの余裕は!?」と
苛立ちを露わにしてゴーミンの頭を殴って、インサーンに不満をぶつけます。
それを冷ややかに受け流したインサーンは
「・・・奴らの力は本物です・・・我々は、負けるはずのない戦いに、悉く敗れてきました・・・」と応えます。

どうも今回のドゴーミンを中心とした作戦の推進者はダイランドーであったようです。
ダイランドーは前回のザツリグの敗北が信じられず、
マーベラス一味のごとき海賊風情が皇帝親衛隊の精鋭を倒すだけの実力を有していると
は認められなかったようなのです。
だから、マーベラス達がザツリグに勝ったのは、ザツリグの油断や不調など、あるいはまぐれであるとか、
とにかくマーベラス一味が実力でザツリグに勝ったわけはないと主張し、
それを確かめるためにドゴーミン達にゴーミン部隊を引き連れて出撃を命じ、
マーベラス一味を襲撃させたのでしょう。

しかしドゴーミンぐらいでは、ワルズ・ギルを倒した戦いで更にパワーアップを果たした現在のマーベラス一味は
倒せないということはインサーンは承知していますから、この戦闘結果に驚くでもなく、平然としています。

インサーンとて、最初は海賊風情にザンギャックの正規軍が負けるはずがないと思っていた。
というより、海賊風情がザンギャックの正規軍の地球侵略に立ちはだかる障害になるなど、
想像もしていませんでした。
しかし、マーベラス一味は明らかにザンギャックの宇宙征服事業そのものを否定する存在になりつつあり、
しかもそれに見合っただけの実力を有して、今やザンギャックの大きな目の上の瘤になろうとしています。
無論、このまま放置しておいていいとはインサーンも思ってはいない。
しかしドゴーミン程度を送り込んでもどうにもならないということは分かっているので、
インサーンは最初から今回の作戦には反対のようでした。

ダイランドーはドゴーミンの率いる部隊が全滅したことで
インサーンの言い分を認めざるを得なくなったことが腹立たしく、思わず声を荒げましたが、
確かに今回の結果を見た限り、マーベラス一味の実力は本物であることは認めざるを得ないとは思いました。
つまり、ザツリグを倒したのもマーベラス一味の実力だということです。

ダイランドーもさすがにそれを認めざるを得ないと思うと、クルリと後ろの司令官席の方に振り向き、
「こうなったら!いよいよ、このミーの出番でやんしょ!?アクドス・ギル様・・・」と恭しく頭を下げます。
ザツリグでも勝てなかった相手となれば、ザツリグと同等の実力者である自分が相手をするしかない。
親衛隊には自分とザツリグ以上の実力者は現在いないのだから、
自分以外にマーベラス一味の相手が務まる者はいないというのがダイランドーの考えでした。

ザツリグが負けたのだから自分も負けるかもしれないなどと弱気なことは考えていません。
そんな軟弱な精神で皇帝親衛隊員など務まるはずがない。
だいたいザツリグが負けたといっても、実力的にはザツリグの方が勝っていたが、
マーベラス一味の作戦がザツリグの裏をかいて勝負が決したようなものです。
ザツリグを相手にその作戦を実行出来るという時点でマーベラス一味は大変な実力者であるのは間違いないが、
それでも勝負は紙一重で決したようにダイランドーは思ったのです。

それに、やはりザツリグに油断が無かったかというと嘘になる。
相手の実力が本物だと認めて、もっと慎重に戦えば勝てたかもしれない。
だからダイランドーは、自分ならばザツリグよりももっと慎重に、
もっと上手い作戦でマーベラス一味を倒すことは出来るという自信は持っていました。
だから出撃を志願したのでした。

そのダイランドーが頭を下げた先の司令官席には皇帝アクドス・ギルがじっと黙って座っていました。
アクドス・ギルもまた、当然マーベラス一味とドゴーミン達との戦いをモニターしていたのですが、
ダイランドーのように敗北に驚いてはいませんでした。
アクドス・ギルは前回のザツリグの敗戦時にマーベラス一味の実力が本物であることは認めていましたから、
今回、ドゴーミンを繰り出しても勝つことは難しいだろうとは思っていました。

が、今回はとにかくダイランドーの好きなようにやらせたのでしょう。
アクドス・ギルとしてももう少しマーベラス一味の戦い方を観察しておきたいとも思っていたので、
出撃を許可したのでしょう。
しかし、ダイランドーが自ら出撃を申し出ると、アクドス・ギルは微動だにせず、じっと黙って考え込みます。
さすがにダイランドーに出撃を命じるのは躊躇されたのでした。

ダイランドーが大変な実力者であることはアクドス・ギルももちろん分かっています。
しかし、そのダイランドーの実力は、あのマーベラス一味に敗れたザツリグと互角という程度です。
もちろんアクドス・ギルもマーベラス一味のザツリグとの戦いを見て、
それが紙一重の勝利であったことは分かっていますから、
マーベラス一味の戦い方を二度観察したダイランドーならば
マーベラス一味に勝てる可能性が高いことも分かってはいます。

しかし、そもそもザツリグだって勝てる可能性が高かったはずなのに、逆転されて敗北した。
紙一重であっても結果として敗北したのは事実です。
「負けるはずのない戦いに悉く敗れてきた」というインサーンの言葉は真実なのだろうと、
アクドス・ギルは思いました。
どうして海賊風情にそんな力があるのか、アクドス・ギルには全く分かりませんでしたが、
とにかくこの海賊たちには何か得体の知れない、予測不能な強さがある。
つまり想定外のことが起きる可能性が高い。

その予測不能な怖さを軽く見て、軽率に重要な戦力を海賊との戦いに投入して失ってきた結果、
地球侵略軍は弱体化していったのだと、皇帝には事の次第がだいぶ分かってきました。
その同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。
ダイランドーは確かにマーベラス一味に勝てる可能性は高いが、
相手が予測不能な強さを持つマーベラス一味だけに、何が起きるか分からない。
もしザツリグに続いてダイランドーまでも失えば、皇帝親衛隊までも一気に弱体化して、
自分自身の身の安全、いや、それ以上に帝国の威信が維持出来なくなってしまうということを、
アクドス・ギルは心配したのでした。
かといって、このまま帝国の皇太子を殺害したマーベラス一味を放置しておくことも
帝国の威信の低下を招くから、それもまた出来ない。
さて、どうしたものかとアクドス・ギルは思案します。

しかし、ここでこのように冷静に思案するというのも、
アクドス・ギルがワルズ・ギルの仇を討とうとしているのは、
別に息子の仇をとりたいという親の心によってなのではなく、
あくまで帝国の威信を守るための皇帝の公務としてであるというのが分かります。
何が何でも親衛隊員を全員特攻させてでも息子の仇を討ちたいとまでは考えていない。
あくまで親衛隊の温存が優先なのです。

そうしてアクドス・ギルが黙っていると、そこに「お待ちください!」とインサーンが進み出ます。
そしてアクドス・ギルに向かって恭しく頭を下げつつ
「ワルズ・ギル様の死を一番無念に感じているのは、ダマラス様です!」と言い、
跪くと「ぜひ!ダマラス様に・・・!」と頭を再び下げて、
ダマラスの出陣とマーベラス一味への復讐に許可を与えてくれるように嘆願したのでした。

インサーンは前回のエピソードでアクドス・ギルがギガントホースへ到着するなり反逆を疑われて
拘束されて船内の牢に連行されてしまったダマラス参謀長のことを、あれからずっと気にかけていました。
ワルズ・ギルが第38話でマーベラス一味に倒されてから、
インサーンとダマラスは共にマーベラス一味への復讐を企図していました。
ところがダマラスだけは反逆の罪に問われて拘束されてしまった。

ダマラスが皇帝に反逆の意思など無かったことはインサーンには分かっています。
これはもともとは亡きワルズ・ギルの誤解が生みだした不幸な行き違いなのです。
だから、ダマラスがこんな誤解のために、
あれほど熱意をもって取り組んでいた海賊への復讐の機会を奪われたのは、
インサーンから見れば、さすがに気の毒で仕方なかったのでした。

特に武人としてのプライドが誰よりも高いダマラスは、
地球に来てからワルズ・ギルによってずっと出陣を禁じられ、
そして今またアクドス・ギルによって拘束されて出陣出来ない。
このまま戦う機会無く罪人として生涯を終えるのは、あまりにも気の毒です。
せめて戦いの場を与えてあげてほしいとインサーンは思いました。

それに、皇帝親衛隊でも手に余る事態となった以上、
頼れるのはダマラスしかいないだろうという読みもインサーンにはありました。
だから、今このタイミングでダマラスの助命嘆願をするのが有効だと、
インサーンは瞬時に判断したのでした。

これを受けてアクドス・ギルはじっとしたまま「ううむ・・・」と小さく唸ります。
アクドス・ギルはギガントホースに乗り込んできてからの一連の作戦におけるインサーンの言動を観察して、
インサーンが事態を正確に把握していることに気付いていました。
そのインサーンがここまで反逆者として牢に入れられたダマラスを庇うということは、
ダマラスはインサーンの言うように潔白なのかもしれないとアクドス・ギルは思ったのでした。

ダマラスの拘束の際にもインサーンはダマラスが実はワルズ・ギルに出撃を禁じられていただけだと言って
ダマラスを弁護しようとしてザツリグに制裁を加えられています。
反逆者として疑われたダマラスに肩入れするということはそれぐらい危険なことだと
インサーンもその時、骨身に沁みたはずです。
それなのにまたこうしてダマラスに肩入れする発言をするということは、
インサーンは偽りを言っているわけではないということはアクドス・ギルには分かりました。

そして、これまでの地球侵略軍の戦いを全て正確に把握しているインサーンが言うのだから、
実際、息子のワルズ・ギルがダマラスに出撃を禁じていたのだろうとも思いました。
アクドス・ギルは自分の亡き息子が愚か者であったことは分かっています。
だから、亡き息子ならばそういう愚かな命令を下していたとしても不自然ではないとも思いました。
そうなると、ダマラスは別に皇帝である自分の命令に逆らっていたわけではなく、
むしろ皇太子の愚かな命令にも律儀に従っていた忠義者ということになる。

ただ、どういう事情があったにせよ、
皇帝である自分が信頼してワルズ・ギルの補佐役につけたというのに、
その期待を裏切ってみすみすワルズ・ギルの傍についていながら見殺しにしてしまったことには変わりはない。
本来は許すわけにはいかない。

だが、今はとにかく、ワルズ・ギルの仇討ちを果たして帝国の威信の回復を図らねばならない。
どうしようもない愚か者ではあったが、あれでも皇太子なのだ。
ザンギャック軍の手で仇を討たないわけにはいかない。
しかしこれ以上皇帝親衛隊の無駄な消耗は避けたいところです。
だからアクドス・ギルはダイランドーは温存して、
代わりにダマラスに海賊の討伐を命じるのが良いかもしれないと思いました。

ダマラスなら、どうせ処罰する予定だった者だから、
万が一、海賊に倒されたとしても皇帝親衛隊の痛手にはならない。
いや、そもそもダマラスが海賊に敗れるなどということは、
さすがに万が一にも有り得ないだろうとアクドス・ギルには思えました。

さて、ギガントホースの船内にある牢内では、
拘束されて牢内に放り込まれて以降、ダマラスはじっと同じ場所に座って俯いていました。
そこにドゴーミン達を引き連れてダイランドー、そしてインサーンがやって来ます。
それでもダマラスはじっと下を向いたまま、興味を向けようともしません。
あらぬ嫌疑をかけられて、どうせ不毛な尋問でもされるのであろうが、
そんなことにはもはや何の興味も湧かないとダマラスは思っていました。

ダマラスが無視するのでダイランドーは苛立った様子で牢の鉄柵を手の鉤爪で叩いて甲高い金属音を響かせ、
「ヘイ!ユー!出てこいな!」と怒鳴ります。
ダマラスは予想外のダイランドーの言葉に、初めて「うう・・・?」と反応して顔をゆっくり上げます。
いや、あるいは処刑が決まったのかもしれないと思ったのでした。
尋問もせずに処刑とは、あまりにも酷いとも思ったが、
煩わしいことが無いのは幸いかもしれないともダマラスは思いました。

ところが、ダイランドーの横に立つインサーンは厳粛な面持ちで
「ダマラス様・・・誤解が解けました」と、ダマラスに伝えました。
つまり、牢を出るようにという命令は、処刑のためではなく、
嫌疑が晴れたから釈放されるということのようだとダマラスはようやく理解したのでした。
しかし、ダイランドーはインサーンの言葉にケチをつけるように「認めるのはまだ早いっしょぉ!」と怒鳴ります。

皇帝アクドス・ギルはインサーンの嘆願を受け入れて
ダマラスを牢から出して海賊討伐のために出陣させるという命令を下しましたが、ダイランドーは不満のようです。
ダイランドーにしてみれば、自分で海賊を倒すつもりでいたので、
それを止められて代わりに罪人のダマラスが出撃するのが、
まるで親衛隊員の自分が罪人のダマラス以下の扱いを受けたようで不満なのです。
つまり、ダイランドーから見れば、まだダマラスは罪人のままなのです。
そして、皇帝もそのように考えているのだとダイランドーは解釈している。
だからインサーンの軽率な物言いにいちいち突っかかりたくなるのです。

ダイランドーはインサーンに対してきつい口調で
「よいか?ワルズ・ギル様の仇を取ってからっしょぉ?」と言うと、牢の鉄柵を乱暴に叩いて、
「ダマラス!ユーに出来るのかいな!?」と怒鳴りつけるのでした。
ザツリグが倒されたような強敵を相手に、
ワルズ・ギルの補佐も満足に出来なかったような無能が本当に勝てるのか?と
ダイランドーは疑問を呈しているのです。

座ったままそれを聞いたダマラスは、だいたい事態が呑み込めてきました。
インサーンがあのように言うということは、確かに反逆の疑いは解けたようだが、
自分は相変わらず罪人のままであるのは変わらない、無罪放免ではないのだということが分かったのでした。
結局、ワルズ・ギルを見殺しにしてしまった補佐役としての無為無策の罪は消えてはいない。
その罪を償うために自分は海賊討伐に出撃させられるのであり、
海賊を討伐してワルズ・ギルの仇を討って初めて、自分の罪は帳消しになるのであり、
現時点ではまだ仮釈放の身の罪人であるのだと、ダマラスは自分の置かれた立場を理解しました。

しかし、ダマラスには何ら不服はありませんでした。
自分が無為無策の無能な参謀長であったことは紛れもない事実であり、
そのせいでワルズ・ギルをみすみす見殺しにしてしまった罪は永遠に消えることはないと、
ダマラス自身が認めていました。
そして、その無能な参謀としての罪は消えないが、
せめて自分の地に堕ちた誇りを取り戻すためには、武人としての誇りで埋め合わせるしかないと思っていました。

地球に来てからというもの、ワルズ・ギルの命令で出撃できない状況で、
海賊たちにやりたい放題されて何ら有効な対応策も打てず、
遂には司令官のワルズ・ギルまで討たれてしまったという屈辱は、
忌々しい海賊たちを武人として討ち果たすことでしか晴らしようがありませんでした。

ダマラスがワルズ・ギルの仇討ちをしようとしていたのも、要するに海賊を討つための大義名分に過ぎませんでした。
もしワルズ・ギルが討たれていなかったとしても、とにかく出撃禁止命令さえ解除されていれば、
ダマラスはすぐにでも海賊討伐に向かったはずです。
それぐらいダマラスの海賊に対する鬱憤は溜まりに溜まっていました。

それはワルズ・ギルの出撃禁止命令によって溜まった鬱憤もかなりのものでしたが、
それにしたところで海賊の出現さえなければ、こんなに悔しい想いを募らせなくても済んだのであり、
ダマラスにとっては全ては海賊のせいという思考になっていました。
こうしてあらぬ嫌疑をかけられて牢に入れられたのも、元はといえば海賊が地球征服の邪魔をして、
挙句ワルズ・ギルを殺したりしたからであり、やはりダマラスから見れば、海賊たちのせいでした。
だから、とにかくダマラスにとっては全ての恨みの元凶は海賊たちであり、
海賊たちを自分の手で討ち果たすことで武人としての誇りを取り戻すことだけが、
今のダマラスにとっての唯一の救いでした。

自分が前線に出て戦えば、必ず海賊など討ち果たせる。
なのに今までその機会が無かった。
そのおかげで失敗を繰り返し自分のプライドはズタズタにされてしまった。
だから海賊をこの手で討って誇りを取り戻したい。
それがダマラスの本音でした。
そのためにもともとワルズ・ギルの仇討ちをしようとしていたダマラスです。
だから、今こうして改めて皇帝からワルズ・ギルの仇討ちを命じられて、
ダマラスとしては願ったり叶ったりでした。
そう思うと、先ほどまで、もう戦う機会は無いかもしれないと諦めかけていた心が嘘のように、
また戦える悦びに、ダマラスの心には見る見る力がみなぎってきます。

ダイランドーが無能な参謀の自分に仇討ちなど出来るわけがないと決めつけて
小馬鹿にしているということはダマラスにも理解出来ました。
確かに自分はそのように小馬鹿にされても仕方ないほど無能な参謀ではあった。
が、武人としての自分は違う、とダマラスは思いました。
武人としての自分はダイランドーごときに小馬鹿にされるような存在ではないし、
小馬鹿になどされてはならないはずでした。
それなのに、ダイランドーごときのこのような罵声を浴びねばならなくなったのは、
これもまた全て海賊たちのせいだとダマラスは思い、ますます海賊たちへの怒りが募ります。

ダイランドーをじろりと睨み返すと、
ダマラスは「・・・誰に向かって言ってる・・・?」とドスの効いた低い声を上げながら、ゆっくりと立ち上がると、
両腕を繋いでいた手錠を一瞬で引きちぎり、「ふうん!!」と気合を発し、気当たりだけで牢屋の鉄柵を粉砕し、
ダイランドーやインサーン達も吹っ飛ばします。
ダイランドーに対してというより、その怒りの矛先はほとんどマーベラス一味に向けられたものでした。

吹っ飛ばされそうになった「うおっ!?」と慌てて持ち堪えたダイランドーは、
身体の埃を払いながら「・・・って、いきなりかよ!?・・・ったく!」とぼやきます。
ダマラスの凄まじい気当たりを受けて平気な顔をしているダイランドーも確かにかなりの強者のようですが、
やはりダマラスの方がダイランドーよりも実力は上であるようです。

ダイランドーも本当はダマラスの方が自分よりも実力者であることは認めているようですが、
ワルズ・ギルをみすみす見殺しにした大失態があるだけに、
ダマラスがよほど腑抜けたのだと舐めてかかっていたようです。
ところがいきなりダマラスが凄まじい迫力を見せたものだから、
ダイランドーも少なくともダマラスの武力に関しては、全く錆びついてはいないことをようやく認めたようです。
先ほどまでの高圧的な態度が消え、旧友に接するような態度に変わっています。

そうしてダイランドーが「ほい!」と差し出したマーベラス一味の手配書をダマラスは乱暴に奪い取ります。
ダイランドーはダマラスがマーベラス一味の手配書を見たことがないのかもしれないと思って
わざわざ持ってきたのだが、もちろんダマラスは手配書など今さら見る必要など無いほど、
マーベラス一味のことは熟知しています。
しかし、それでもダマラスはあえて手配書を1枚1枚めくって見つめます。
自分がこれから倒すことになる海賊たちの賞金首としての値打ちを確認し、
それを倒すことによって自分の武人としての誇りがどれほど満たされるのか確認することで、
少しでも自分の心を癒そうとしているのでした。

まずダマラスは6枚の手配書を重ねた1番上にあるマーベラスの手配書を睨みつけ
「・・・赤き海賊団の生き残り、キャプテンマーベラス・・・」と独り言を言い、
1枚めくってジョーの手配書を見て「裏切り者、ジョー・ギブケン・・・」、
更にめくってアイムの手配書を見つめ「ファミーユ星の王女、アイム・ド・ファミーユ・・・」、
そして次にめくってルカの手配書を見て「女盗賊、ルカ・ミルフィ・・・」、
更にめくって鎧の手配書を睨んで「そして、この星で加わった、伊狩鎧・・・」と、
ブツブツと恨みがましい声で独り言を言っていきます。

そして最後にめくってハカセの手配書を一瞥すると
「・・・こいつはどうでもいいが・・・覚悟しておけ・・・海賊ども・・・!」と殺気を漲らせて
6枚の手配書をクシャクシャに丸めて潰してしまい、
やはり手配書を見ているだけでは満足できないダマラスは
さっさと海賊どもを実際に討ち取らねば到底自分の武人の誇りは満足せず心が癒えることもないと思い、
歩き出して行動を開始したのでした。

なお、1人だけ無視されてしまったハカセですが、これはハカセの賞金額が安すぎるからでしょう。
以前、第8話の時、ダマラスとインサーンとでマーベラス一味の手配書を見ながら
海賊の行動の分析をした場面がありましたが、
あの時もダマラスはハカセのことは全く相手にしていませんでした。

どうやらダマラスから見れば、ハカセのような賞金額も低い小者は、
相手にする価値すら無いと見なしているようです。
だから、今のダマラスにとってはハカセは、
倒しても自分の武人の誇りを満足させることが出来るような相手ではないので、眼中に無いわけです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:57 | Comment(0) | 第42話「宇宙最強の男」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月20日

第42話「宇宙最強の男」感想その1

今回はスーパー戦隊シリーズ毎年恒例の
クリスマス商戦に向けての販促用の一大決戦エピソード前後篇の前篇です。

戦隊の玩具というものは欲しがるのは子供ですが、買うのは大人です。
子供が欲しがる時でも大人に買う気が無ければ結局売れないので、
大人が買いたがる時期が一番売れる時期になります。
でも大人が買いたがる時期に肝心の子供が欲しがっていなければ意味は無い。
だから大人が子供に1年で最も玩具を買ってあげたくなるクリスマス商戦の時期に、
子供が戦隊玩具を欲しくなるように誘導するために、玩具を猛烈にプッシュするエピソードを作るのが、
玩具販促番組であるスーパー戦隊シリーズでは毎年恒例行事となっています。

ただ戦隊関連玩具といってもたくさん種類がありますから、全部をプッシュするわけにもいきません。
メインスポンサーの玩具会社のバンダイがプッシュしたい玩具が何なのかが問題です。
とにかく売れれば何でもお金に変わるのだから何でもいい、というわけにはいきません。
バンダイが玩具を消費者に直売しているのならそういう理屈も成り立ちますが、
玩具メーカーの商売相手は一般消費者ではなくて実質的には小売店ですから、小売店との信頼関係が大切です。
つまり買い取ってもらった玩具を出来るだけ売り残らせないようにして、
小売店が損をしたと思わないようにするのが大事なのです。

このクリスマス商戦というのは小売店は在庫を一掃するチャンスと捉えているので、
バンダイとしても小売店の抱えている在庫商品の玩具をプッシュするのが
メーカーとしては最も誠実な姿勢といえます。
まぁ実際、クリスマス前にちょっとだけ画面に玩具が登場したぐらいで、
その玩具が急に飛ぶように売れるとも思えないのですが、
これは実質的な効果がどうのこうのという問題ではなく、
メーカーが小売店に買っていただいた在庫を処理するために小売店さんが懸命に頑張っている時期に、
せめてもの援護射撃をするという、誠意の問題なのです。
その誠意が信頼関係を維持して、次の戦隊の玩具も引き受けていただけるわけです。

で、その小売店がこのクリスマス商戦に便乗して必死になって処理しようとする
在庫の山となっている戦隊玩具とは何なのかというと、それは大抵は巨大ロボ関連の玩具です。
「ガオレンジャー」以降、巨大ロボ関連玩具がやたらたくさん発売されるようになりましたが、
そんなにたくさん巨大ロボや巨大メカを登場させて、
毎回のエピソードでそれらを全部劇中で使用出来るわけがない。
だいたい特定の時期しか登場しない巨大ロボや巨大メカが多数派となります。

例えば「ゴーカイジャー」でも、最近はめっきりガオライオンやパトストライカーなどを見なくなりました。
シンケンゴーカイオーやハリケンゴーカイオーも一時期は毎回のように登場していましたが、
何時の間にやら、すっかりご無沙汰です。
ここらへんの玩具は、劇中でもあまりプッシュされなくなり、
新しいそれに代わる巨大ロボや巨大メカも登場してプッシュされたりして、
子供たちから忘れられていってしまい、小売店で在庫の山となっていることが多い。
だから、これらの最近登場しなくなった巨大戦力群をプッシュして小売店の在庫処理をサポートするのが、
クリスマス商戦期のエピソードに課された使命なのです。

となると、今まで劇中に登場した巨大ロボや巨大メカが総登場するような
一大決戦が繰り広げられるエピソードということになります。
そして、そのように戦隊側が戦力の全部を投入しなければいけない敵となると、大変な強敵でなければいけない。
何故なら、パワーバランス的には、その敵キャラよりも強いキャラを倒す時にも
戦力の全部を投入しなければ辻褄が合わなくなってしまうからです。

これ以前のエピソードで戦力の全部投入など、やっていないわけですから、
少なくともこのクリスマス商戦期の一大決戦エピソードで倒される敵は、
それまでのエピソードで出てきたどの敵キャラよりも強くなければいけない。
そして、この後はクライマックス篇に突入していくわけですが、
クライマックス篇でも毎回毎回、全戦力の投入なんてやっていたら作劇が制限されてしまうので、
基本的にクライマックス篇でも、このクリスマス商戦期の一大決戦エピソードで倒される敵よりも強い敵は
登場しないということになります。

唯一の例外は最後の最後に倒されるラスボスですが、
ラスボスの場合は戦力の全部投入でも倒すことが出来ず、更にプラスアルファの力で倒すとか、
全く別種の力で倒すとか、そういう1回限りの工夫をして、
このクリスマス前の一大決戦エピソードの敵を凌駕する強さを演出します。
つまりラスボスはある意味、イレギュラーな存在、想定外の存在なのであって、
戦隊が普通の戦い方をする限りにおいての「最強の敵」は、
実はこのクリスマス商戦期の一大決戦エピソードで倒される敵キャラなのです。

そういうわけで、この一大決戦エピソードには今までで最強の敵がでてきます。
最強の敵ならば、その強さを示すためには戦隊側が今までにないような大ピンチに陥らねばならない。
そうなると1エピソードだけでは大ピンチ描写に説得力を持たせることは出来ないので、
だいたい2エピソードにまたがる前後篇構成となるのです。
その前篇にあたる今回のエピソードは、
その最強の敵によってゴーカイジャーが大ピンチに陥るところまでが描かれます。

その今回登場する最強の敵というのがダマラスです。
ということは、やはりダマラスは次回の後篇でゴーカイジャーの戦力総投入によって倒されて退場となるわけです。
特筆すべきことは、このダマラスは第1回から登場しているにもかかわらず、
ゴーカイジャーと顔を合わすのは今回初めてであり、そして次回には倒されて退場してしまうということです。
こういう扱いの敵キャラというのは、あまり記憶にありません。

強いて言えば、ラスボスにはこういう扱いの者がいます。
ただダマラスはラスボス型のキャラではないし、
そもそも序盤から登場しているラスボスの場合は、当然ながら戦隊側はその存在を知っており、
会っていなくても名前ぐらいは知っています。
ところがなんとダマラスの場合、第1話から登場しているにもかかわらず、
マーベラス達はダマラスという奴がザンギャック地球侵略軍の中にいるということすら知らなかったのです。

今回、元ザンギャック兵のジョーがたまたまダマラスの噂を聞いたことがあるので、
いきなり現れた謎の敵がダマラスという名前だということを知ることが出来ましたが、
ジョーがいなければ最後までマーベラス達はダマラスの名を知らなかった可能性すらあります。
これほど主役戦隊と縁の薄い敵幹部というのも前代未聞といえます。
いや、終盤に唐突に現れた新幹部ならばそういう立ち位置であっても不思議ではないのですが、
ダマラスは第1話から登場していて、ダマラスの方はやたらマーベラス一味については詳しかったりするのですから、
この非対称っぷりは、冷静に考えたらかなり異様です。

こういうダマラスの扱いが物足りないという人もいるでしょう。
もっと戦隊側と敵組織の幹部のライバル関係を盛り上げるような作品の方が好みだという人から見れば、
確かにこのダマラスの扱いは物足りないと思います。
いや、私も正直、正義と悪のライバル対決が好きなので、ダマラスの扱いは物足りませんでした。

ただ、それは単に好みの問題で、作品の評価とは関係の無い話です。
自分の好みとは違っても出来の良い作品というものはあります。
大事なことは、その作品が目指している形が明確かつ良質なものであり、
その目指す形が実現出来ているかどうかです。
そうして出来上がった物が自分の好みと会わなかったとしても、非難するにはあたらない。

例えば「ゴーオンジャー」と「シンケンジャー」は両方とも目指すところが全く違う作品だが、
共に良質な目標を実現した名作だと思います。
「ゴーオンジャー」においても、「シンケンジャー」においても、
自分の嗜好とは合わない描写は幾つかありましたが、
それがあるからといって、この2作品の評価は全く下がることはありません。
「ゴーカイジャー」も同様なのであり、このダマラスの扱いが自分の嗜好に合うかどうかは全く重要ではなく、
大事なのは、このダマラスの扱いがこの作品の目指す形に合致したものであるのかどうかです。

ここまで「ゴーカイジャー」という作品を観察してきた印象では、
あくまでこの作品の主要なセールスポイントは、
歴代戦隊への多段変身アクションと、
お尋ね者の宇宙海賊がヒーローになって地球を守るに至るまでの成長物語、
そこに歴代戦隊のレジェンドゲストが関与して歴代シリーズ作品との
クロスオーバーワールドが広がっていく壮大な世界観、
そして「宇宙最大のお宝」を巡る宝探しアドベンチャー、
まぁだいたいこんなところでしょう。

こうして見てみると、この作品においては、ザンギャックという敵組織はあまり重要な要素ではないように思えます。
当初はザンギャックも「宇宙最大のお宝」争奪戦に絡んでくるのかと思っていましたが、
そのようにはならず、単に「ゴーカイジャーの敵」という扱いに落ち着きつつあります。
ゴーカイジャーが地球を守るヒーローへと成長していく過程で、
当然「地球を侵略する敵」が必要だから、そのために配置された敵役という印象です。

かといって、決して記号的な描かれ方をしていないというのがザンギャックの特徴で、
かなりリアルに描かれています。
リアルといっても、現実にあんな化け物揃いの宇宙帝国が存在するわけがないので、
そういう意味では現実的ではないのですが、
見た目は化け物だが中身は妙に人間臭く、現実世界の人間の組織と同じような描かれ方をしているという点で、
リアルなのです。

つまり、破壊や殺戮のみを目的とするのではなく、
破壊や殺戮はあくまで征服のための1つの手段であり、軍事作戦はあくまで政治の一部である、
あくまで普通の軍事帝国なのです。
そもそも怪人が倒された後で巨大化するシリーズのお約束的展開にしても、
ザンギャックにおいてはこれは地球侵略軍の技官インサーンが発明した独自の技術であり、
地球侵略軍でしか使われていないローカルな技術に過ぎません。
その他の地域のザンギャック軍では行動隊長は巨大化して怪物になったりせず、
普通に戦艦や決戦機を操って戦う軍人なのです。
見た目が化け物っぽいだけで、決して本当に化け物なのではない。あくまで人間的なのです。

今回ダマラスは「宇宙最強の男」という触れこみで登場しますが、
それにしても、全宇宙を破壊し得る暗黒エネルギーを体内に持っているとか、
そういう化け物じみた意味での「宇宙最強」なのではなく、
あくまで等身大戦で武器を手にして戦う場合における「宇宙最強」なのであって、
「宇宙最強の武人」であるに過ぎない。

そんな程度でも「宇宙最強」を名乗れてしまう世界観なのです。
つまり「ゴーカイジャー」の物語世界というのは、圧倒的な化け物が存在しない世界なのです。
そこで展開されているのは、「海賊VS軍人」という案外ミリタリーな争いです。
考えてみれば、昔から物語世界では海賊の敵は海賊あるいは海軍だと相場が決まっていました。
この作品はその原則に忠実に作られているのです。
だからザンギャックはあくまで軍事組織であり、その成員は軍人であり、つまり極めて人間的なのです。
記号的な化け物ではない。単なる記号的な正体不明確なインベーダーではないのです。
それゆえ、ザンギャックにおいては各キャラがしっかり人物造形がされています。

そこで誤解が生じてしまうのです。
そこまで緻密に人間的に描いている以上、
きっとマーベラス一味との間で深い人間ドラマを展開するはずだと思ってしまうのです。
例えばバリゾーグなんかは絶対にそうなるはずだと目されていたキャラですが、そうはなりませんでした。

しかし、バリゾーグは確かにマーベラス一味との間で人間ドラマは描かれませんでしたが、
マーベラス一味と対比されるテーマを体現した存在として描かれてはいました。
バリゾーグというキャラが決して記号的悪役ではなく、緻密に人間的に描かれた目的は、
マーベラス一味と対比されるテーマを担わせるためであったと言っていいでしょう。

いや、普通はそのように主役と対比させたテーマを担わせたキャラは、
テーマを担わせた上で主役と深く絡めたドラマを作っていくものなのです。
例えば近年では「シンケンジャー」における腑破十臓というキャラは、
主人公の志葉丈瑠と対比されるテーマを担った上で、その丈瑠とやたら濃厚に絡んだドラマを展開しました。

ところがバリゾーグはマーベラス達と対比されるテーマを担うだけで、その先のドラマが描かれなかった。
それはバリゾーグだけではなく、ワルズ・ギルもそうであったし、今回のダマラスにしても同じです。
「ゴーカイジャー」におけるザンギャックの敵キャラは、
マーベラス達とのテーマの対立はしっかりと有るのに、
そこから展開する、マーベラス達との深いドラマが無いのです。

丈瑠と十臓のようなライバル対決のドラマが好きな人から見れば、
確かにこういうザンギャックのキャラ達は物足りないかもしれない。
しかし、そもそも「ゴーカイジャー」と「シンケンジャー」は目指す形やセールスポイントが全く違う作品ですから、
同じというわけにはいかない。

「シンケンジャー」のドラマの主眼は侍と外道衆との戦いを深く心理劇的に描写していくことでしたから、
丈瑠と十臓のドラマが深く描かれることに価値は有りました。
しかし「ゴーカイジャー」のドラマの主眼はマーベラス一味とザンギャックの戦いではなく、
マーベラス一味が精神的にヒーローへと成長していく話、そして「宇宙最大のお宝」に関するミステリーですから、
マーベラス達とザンギャック側のキャラとの人間関係を深く描く必要は無く、そこに割ける尺がそもそも無い。

個々のエピソードではそういう尺も作れる場合もあるかもしれないが、
ちゃんと人間関係のドラマを描写しようとするなら、年間通して一定の尺をそこに割くプランが無ければいけない。
そこまでの尺をマーベラス達とザンギャック側キャラとの人間ドラマに割くことは出来ないし、
その優先度も低いというのが結論だったのでしょう。
むしろ、優先度はバスコの方が高いはずです。

また、「ゴーカイジャー」という作品はそもそもドラマ重視の作風ではない。
いや、ドラマ的には深いし充実もしているのですが、
例えば「シンケンジャー」のように大河ドラマ的な物語そのものの醍醐味を追求したような作り方ではないのです。
それは手を抜いているというのではなく、「ゴーカイジャー」という作品特有の条件に従った結果だといえます。

特有の条件とは、レジェンド回というものが2回に1回ぐらいの頻度で存在して、
そこで毎回、それぞれが異なったテーマを担ったレジェンドゲストが登場するということです。
このレジェンド回では、マーベラス達とレジェンドゲスト達の絡むドラマはあまり深くは描かれません。
ドラマを深く描いて変に因縁づけたところで、
レジェンドゲスト達は1回限りしか登場しないので意味が無いし、むしろ変です。
そして、レジェンド回ではあくまでマーベラス達がメイン扱いとなり、レジェンドゲストはあくまでゲストです。
これはマーベラス達がレジェンドゲストに食われてしまわないように配慮したためです。

それらの結果、個々のレジェンド回というのは、
レジェンドゲストが担うテーマを反映したマーベラス一味を主役としたドラマが描かれることになりました。
そうなると、レジェンド回のたびにテーマの異なったドラマがオムニバス形式で描かれるようになっていき、
そういうものが2回に1回ぐらいの頻度で挿入される以上、
物語全体も1つのテーマに絞り込んで一貫したドラマを描くというような作り方は出来ません。

唯一、一貫して描くことが可能なのは、
全てのエピソードにおいてマーベラス一味をメインに据えたドラマを描き、
マーベラス一味が毎回異なるテーマを消化することによって、
ヒーローとして精神的に成長していく物語ということになります。
レジェンド回という特殊な形式のエピソードを抱えている以上、
「ゴーカイジャー」という作品のドラマはそのような作り方にならざるを得ない。

となると、メインであるマーベラス一味以外の登場キャラは皆、
レジェンドゲスト以外も、レジェンドゲストと同様に、
マーベラス一味と心理的に深く絡むドラマを見せるための存在ではなく、
マーベラス一味の成長物語に提供するテーマを担って登場する存在となるのです。

ザンギャックもその例外ではなく、
ザンギャックのキャラはしっかりと人物造形を施されることによって
マーベラス達と対立するテーマを担って登場するが、
ザンギャックのキャラとマーベラス達の人間ドラマは深くは描かれず、
あくまで描かれるのはそのザンギャックのキャラの提示したテーマをお題とした
マーベラス一味のヒーローとしての成長物語なのです。

ヒーローとライバルキャラの火花散るようなライバル対決を楽しみたいという人には物足りないかもしれないが、
「ゴーカイジャー」という作品はあくまで基本はそういうものだと思って楽しむしかないのであって、
その目指す方向性においては素晴らしい完成度の作品だといえます。

ただ、物語全体として、最後の最後までそうしたテーマ重視のオムニバス風ドラマのままで通して、
それで物語がしっかり完結するとは制作陣も思ってはいないでしょう。
だから、おそらく年明けからのクライマックス篇だけは物語の趣が変わり、
テーマが一貫した大河ドラマ風の展開となることが予想され、
そこでマーベラス一味としっかり絡ませて人間ドラマを描くために温存されているサブキャラが
バスコとアカレッドなのでしょう。
この2人は、クライマックス篇で有効に使うために、
あえてそれ以前のオムニバス風の展開の中であまり登場させずに手垢をつけさせないようにしていたフシがあります。

一方、ザンギャックの幹部連中も温存はされていましたが、
それはマーベラス一味と戦わせる機会を少なくしていたという意味の温存であり、
単に強さを損なわないようにしていただけです。
毎回登場はしていて、マーベラス一味との対立するテーマを提示する役割だけはしっかり担わされていました。
そのくせ戦わないのですから、まさにテーマ提示だけの役割を果たす、
オムニバス風ドラマ向けのキャラだったと言っていいでしょう。

何故なら、マーベラス一味と前線でガンガン戦えば、
それに伴ってマーベラス達との間の人間ドラマが生じるからです。
それを回避していたというのは、強さの温存という意味もあったのでしょうが、
あえて人間ドラマを盛り上げることを避けて、
テーマの提示役に留めておかなければいけないという
この作品特有の思考によるものであったのではないかと思います。

その点、バスコの場合は登場は少ない割に、登場するたびにマーベラス達と激しいバトルを繰り広げており、
しっかり大河ドラマ的展開の中でのライバルキャラの役目を果たしつつ、
クライマックスに向けて温存されています。
そもそもバスコが担うテーマというのが現時点では明確になっていないという点が、
バスコというキャラが最も温存されている由縁だといえます。
つまり、バスコだけが登場は少ないながらも、テーマよりもドラマ優先の敵キャラなのです。

そして、あくまでザンンギャックはテーマを担う役目の敵キャラであり、
敵キャラである以上、このマーベラス一味を主役としたヒーローの成長物語においては、
マーベラス一味というヒーローに対立するテーマを担う存在ということになります。

マーベラス一味の成長物語は、人間ドラマとしてリアルに緻密に描かれていますから、
その対立テーマを提示するためにザンギャック側の主要キャラも人間的に緻密にリアルに描かれているのです。
その結果、ザンギャックはリアルな軍事組織、軍事帝国として描写されています。
つまり、ザンギャックというのは「軍事力を行使して宇宙を征服した帝国」であるということが、
その担っているテーマと深い関係があるということになります。

マーベラス一味というのは生粋の地球人ではないので、
彼らの地球防衛の戦いは、「愛国者」的なものにはなりません。
彼らがザンギャックから地球を守る動機は、地球を守ることを通して夢や自由を尊重する精神を守り抜こうという、
一種の「解放者」的なものとなります。
となると、その対立者であるザンギャックは「愛国者」に対応する「侵略者」ではなく、
むしろ「解放者」に対応する「抑圧者」の相貌を帯びることとなります。
つまり、「暴力による抑圧」というのがザンギャックの担うテーマなのだといえます。

滅びた星の元王女と滅びた星の民である海賊たちの、
宇宙に散らばった弱き人々の希望になりたいという気高い精神によって結ばれた絆が、
ザンギャックの暴力と恐怖による宇宙統治手法の象徴的存在である
「惑星の破壊神」と呼ばれた最強の破壊工作員ともいえるザツリグを打ち破ったことによって、
マーベラス達の理念の方がザンギャックの理念よりも人々を統治する理念として正統性があることを示したのが
前回、第41話のエピソードだったといえます。

つまり言い換えれば、ザンギャックの宇宙統治の不当性を主張する存在としての
マーベラス一味の正統性を示したエピソードということになり、
簡潔に言えば、マーベラス一味がザンギャック帝国を倒しても、
それは正当なことなのだということが示されたのだといえます。

皇帝アクドス・ギルが直々に地球に乗り込んで来て、
ザンギャックの理念とマーベラス一味の理念が真っ向勝負するというのが
第41話から第43話までのテーマであろうと推測されますが、
第41話でマーベラス達はザンギャック帝国の宇宙支配の正統性を否定したことになります。
では、続く第42話、第43話の前後篇でマーベラス一味とザンギャックとの間で争点となる
理念、テーマはいったい何なのか?

そのカギは今回の前後篇でマーベラス一味に倒されることになる敵キャラである
ダマラスというキャラの担わされたテーマが何であるのかが重要な手掛かりとなるでしょう。
そのダマラスの担うテーマを考察するにあたって、
ダマラスというキャラの極めて特殊な立ち位置がポイントとなります。

それがつまり、先述したように、
ダマラスが一見すると物足りないとも思えるほど、マーベラス達と縁が薄いことです。
第1話から大部分のエピソードに登場しているのに、1度も前線に出てマーベラス達と顔を合わせたこともなく、
ダマラスはマーベラス一味のことはそれなりに調べたり戦いをモニターして知っているにもかかわらず、
マーベラス一味はダマラスの存在さえ知らないという、一種、敵幹部キャラとしては前代未聞の扱いなのです。

ダマラスが今まで前線に出てマーベラス達と顔を合わせる機会が無かった劇中における理由は、
ワルズ・ギルが誤解に基づいた思い込みでダマラスが自分の手柄を奪おうとしていると疑心暗鬼になって、
ダマラスに手柄を奪われまいとして、ダマラスの出陣を許可しなかったからです。

確かにその理屈でダマラスがマーベラス達と会っていなかったことの説明はつく。
しかし、この設定自体、第37話で唐突に出てきた設定であり、
しかも第37話と第38話のエピソードは、この設定が無くても成立はしたはずです。
単にワルズ・ギルがダマラスのことを誤解して警戒していたというだけでも第37〜38話のエピソードは成立する。

何度かダマラスが出陣していても問題は無かったはずです。
むしろ、何度かダマラスの出陣があった方が、
ワルズ・ギルがダマラスに猜疑心を向ける様子を前もって具体的に描写出来たと思います。
また、ダマラスが出陣を許可されていなかったとしても、
ダマラスがマーベラス達と顔を合わせる機会は無かったわけではない。
作劇上、そんな機会は作ろうと思えばいくらでも作れたはずです。

だから、どうも本当は制作サイドの意向としてダマラスとマーベラス達を会わせたくないというのがあって、
後付けで第37話でワルズ・ギルが出陣を禁じていたという設定
(具体的に言及されたのは第41話のインサーンの言葉が初)が作られたのではないかと思えるのです。

いや、会わせたくないというか、
単に縁の薄い敵キャラとしてダマラスを造形したかったわけではないと思います。
それならばダマラスもマーベラス一味に対して無関心なキャラとするはずだからです。
ダマラスはむしろマーベラス一味に対して、かなり興味を持っているし、
ワルズ・ギルの死以降は、強烈な恨みを向けています。
普通はこういうキャラはマーベラス一味と深く絡ませて使うのが常道です。

わざわざ恨み全開キャラにしておいて、あまり恨みの対象であるマーベラス達と絡ませないというのも不自然です。
恨み全開キャラになる予定のキャラなのに、
前もってマーベラス達との間に因縁を作っておかなかったのも不自然です。

というか、今回のダマラスの描写を見ても、ワルズ・ギルに関する言及が少ないのも意外です。
ちなみにアクドス・ギルももはや息子のワルズ・ギルの話題にはあまり触れていません。
どうもダマラスやアクドス・ギルのこだわっているのは、ワルズ・ギル個人の死ではないようです。
アクドス・ギルの場合は帝国の威信なのでしょうが、ダマラスはまたそれとは違うようです。

ただとにかくダマラスの場合、恨みといっても純粋にワルズ・ギルの仇を討ちたいという動機ではないようで、
恨み全開キャラといっても、これ以前にマーベラス達と絡ませる必要があまり無かったような気がします。
つまり、どうも恨みのポイントがズレているというか、マーベラス達とすれ違うような印象なのです。
ダマラスはマーベラス達に向けて一方通行にカッカしていて、
マーベラス達はダマラスの存在すら知らないという、よく考えると少し滑稽な非対称構図は、
このダマラスとマーベラス達の、どうしてもすれ違う、奇妙な価値観のズレを象徴しているもののようです。

単純に考えれば、制作サイドがダマラスとマーベラス達を会わせないようにしていた理由は、
両者を戦わせたくなかったからだということはすぐに想像出来ます。
戦えば、マーベラス達が主役のヒーロードラマである以上、ダマラスの完勝というわけにはいかない。
たとえ勝負には勝っても上手く逃げられたりして、
次第に「宇宙最強の男」という称号は怪しいものとなっていきます。

というか、ダマラスが「宇宙最強の男」だという称号は今回になって唐突に出てきたのですが、
もしこれまでにダマラスが前線に出て何度か醜態を晒していたら、
とてもそんな称号は恥ずかしくて出してくることは出来なかったでしょう。
つまり、これまでダマラスを前線に出してこなかったことと、
今回「宇宙最強の男」という称号が出てきたことは連動しているといえます。
ダマラスを「宇宙最強の男」という称号をもったキャラとして戦わせるために、
これまで前線に出すことを控えていたのです。

何故、「宇宙最強の男」という称号を最後の最後に突然出してきたのかというと、
もし最初から「宇宙最強の男」という触れこみであったならば、
前線に出さないのが不自然に感じられてしまうし、
かといって前線に出せば醜態を晒して「宇宙最強の男」としての価値が損なわれてしまうから、
どっちにしても「宇宙最強の男」という称号を最初から出してもメリットは無いからです。

レギュラー敵キャラで「宇宙最強の男」という称号はそれぐらい価値を落とさず使うのが難しい称号です。
結局、今回のダマラスのように、ずっと上手い理由をつけて前線に出さないようにしておいて、
いざ前線に出す時に「宇宙最強の男」という称号が登場するというのがベターということになります。

しかし、そうしてもなお、今回の「宇宙最強の男」という称号には唐突感を覚えます。
それがどうしてなのか、よくよく考えてみると、
タイミング的に唐突であるとか、前フリ不足から来る唐突感なのではなく、
そもそも「宇宙最強の男」という称号自体に、ある種の唐突感があるからなのです。

確かに宇宙最強の武人の名に恥じないだけの強さは、今回のダマラスはしっかり発揮しています。
間違いなく、これまで出てきた敵の中では最強でしょう。
今回のエピソード、その強さは見事に描写されています。
ダマラスの強さは確かに本物です。
しかし、それでもなお、そこに唐突感や、空虚な感じを覚えるのは、
強いからといって、「宇宙最強の男」という称号を送ってしまったり、名乗ってしまうセンスゆえです。
そこにある種の感覚のズレ、傲慢さを感じるのです。

あるいは本当にダマラスは宇宙で一番強い戦士なのかもしれない。
だからといって、それは本当に「宇宙最強の男」なのでしょうか?
「強い」ということの本質は単に戦闘力が優秀であること、それだけなのでしょうか?
宇宙は広く神秘に満ちているというのに、単に戦いの場で一番強いというだけで、
簡単に「宇宙最強の男」などと名乗ってよいものなのでしょうか?

つまり、「宇宙最強の男」という称号そのものに、ある種のいかがわしさ、まやかしの印象があるのです。
ダマラスがこれまで登場した敵の中で最強であるのは確かなのですが、
「宇宙最強の男」という称号がつくことによって、その強さに何となくいかがわしさが付加されてしまうのです。
それを敏感に感じ取れる人は、今回のダマラスの強さを見ても、何となく大したことがないように思えて、
一種、拍子抜けしてしまい、あまりバトル的に盛り上がってこないように思い、ガッカリしてしまう。
それは一大決戦を盛り上げようとする今回のエピソード的には失敗描写のようにも思えます。

しかし、そうではなく、それこそが制作サイドの意図通りなのでしょう。
つまり、これまでダマラスをマーベラス達に会わせなかったのは、
ダマラスに虚飾に満ちた「宇宙最強の男」という称号を付加させたままマーベラス達の前に登場させて
決戦を戦わせるためであり、
マーベラス達がダマラスの存在すら今まで知らなかったのは、
マーベラス達をその虚飾に満ちた価値観から遠ざけておくためだったのです。

要するに、ダマラスの信奉する「強さ」は偽物であり、
マーベラス達の持つ「強さ」こそが実は本物なのであり、
その価値観は交わることが無いほどレベルの違うものであるということを象徴していたのが、
ダマラスばかりが熱くなり、マーベラス達はダマラスのことも「宇宙最強の男」の称号も知らず、
興味も無かったという非対称で一方通行な描写なのです。

ただ、ダマラスの「強さ」が偽物だといっても、
ホントにダマラスが口先ばっかりの弱っちい奴だったら、ただのお笑いエピソードになってしまいます。
そうではなく、確かにマーベラス達を圧倒するほどの強さを持っていながら、
その強さには何か決定的に大事なものが欠落しているということなのでしょう。

今回の前篇では、ダマラスの圧倒的な強さばかりが強調されて終わっていますが、
しかし「宇宙最大の男」という空虚な称号が登場したことで、
ダマラスの強さが、強さに溺れた傲慢の強さであり、
それは真の「強さ」ではないということが暗示されているといえます。
そう考えて見てみると、今回のエピソードでもダマラスの自分の「強さ」への過信や傲慢は
いくらか描写されています。
ワルズ・ギルの仇討ちにこだわるのも、ワルズ・ギルを慕ってのことではなく、
結局は自分の武人としてのプライドを満足させるための行動であることが分かります。

つまり、ダマラスは徹底的な「強さ」の信奉者であり、
ザンギャック最強の武人であることも合わせて考えると、
まさにザンギャック帝国の「強さ」の象徴のようなキャラなのです。
ザンギャック帝国自体が暴力によって宇宙を支配する「強さ」を絶対的価値観として信奉する帝国であり、
その中枢にあって「強さ」を徹底的に信奉する最強の戦士ダマラスは、
まさにザンギャック帝国の「強さ」の象徴です。

すなわち、ダマラスの「強さ」こそがザンギャックの「強さ」そのものなのであり、
ダマラスの「強さ」が大事なものが欠落した偽物だということになれば、
ザンギャック帝国の「強さ」も同様に偽物なのだということが証明されるのです。

ただ、実際にはダマラスもザンギャック帝国も強い。
だからこそ、彼らは宇宙を制覇してきたのです。
だから、実は彼らの強さが偽物だという真実を浮き彫りにするためには、
彼らの偽物の「強さ」を超える本物の「強さ」を見せつけて、その「強さ」でダマラスを倒してやればいい。
そうすれば、その本物の「強さ」の前ではザンギャック帝国の「強さ」は否定されることになる。

そしてもちろん、その本物の「強さ」を備えているのはマーベラス一味ということになる。
今回の前篇ではマーベラス一味はダマラスに完敗してしまうが、
この一大決戦の前後篇のテーマは、きっとダマラスの「宇宙最強の男」などという虚飾の称号を打ち破る
本物の「強さ」をマーベラス一味が発揮して、ダマラスを葬ると共に
ザンギャック帝国の「強さ」が実は偽物に過ぎなかったという真実を白日の下に晒すことであるのは間違いない。

ここにきて「宇宙最強の男」という虚飾の称号が登場したこと、
そして、その称号を帯びたダマラスというキャラに対するマーベラス一味の異常なまでの今までの関係の薄さ、
これらの意味を読み解くと、今回の前後篇のテーマはそのようであるとしか考えられません。

アクドス・ギルが登場しての第41話、第42話、第43話は
マーベラス一味の理念とザンギャック帝国の理念が真っ向から激突するというテーマ重視のエピソードであり、
第41話でマーベラス一味はザンギャック帝国の宇宙支配の正当性を否定する価値観を提示して、
勝負に勝つことによってマーベラス一味の価値観がザンギャック帝国の価値観を凌駕したことを象徴的に示し、
ザンギャック帝国の宇宙支配を不当なものとし、それを打倒する正当性を得たといえます。

しかし、いくらザンギャック帝国の宇宙支配が不当なものだと言ったところで、
実際にザンギャック帝国は現在、宇宙を支配している。
不当なはずのザンギャックが何故、宇宙を制覇出来たのかというと、それは、その「強さ」ゆえです。
強いから、どんなに不当でも無理を押し通して道理を引っ込めてしまうことが出来る。
宇宙の多くの人々はザンギャックの宇宙支配が不当だと気付いても、
それでもやはりザンギャックが強いから逆らうのは得策ではないと思い、黙り込んでしまう。

ならば、やはりザンギャックを倒すためには、
「実はザンギャックは強くない」という認識を宇宙に広める必要がある。
第41話でマーベラス一味はザンギャックを倒す正当性を得たが、
それだけでは、まだザンギャック帝国の理念を全て打ち破ったことにはなっていません。
ザンギャック帝国の「強さ」そのものがザンギャック帝国の宇宙支配を維持している1つの理念になっているのです。

だから、第42話、第43話の前後篇では、
マーベラス一味は本物の「強さ」を示してダマラスの偽物の「強さ」、
すなわちザンギャックの「強さ」の象徴を打ち破ることによって、
ザンギャック帝国の「強さ」が実は偽物だということを白日の下に晒す。
それがこの前後篇のテーマであるに違いありません。

だから、今回の前後篇の本質的テーマは、ダマラスとマーベラス一味の戦いなのではなく、
マーベラス一味の持つ「本物の強さ」が何であるのかということになります。
そのマーベラス一味において、今回、その「本物の強さ」を担うキャラは、
前篇を見る限り、ハカセであるようです。

バトルやドラマを徹底的に熱く盛り上げたいならば、
「強さ」が服を着て歩いているようなキャラであるマーベラスやジョーをメインに据えて、
ダマラスとガチンコ対決させるのがベストなのでしょうけれど、
そういうのは、クライマックス篇においてバスコあたりとやることになるでしょうから、
ここで同じようなことをやっても仕方がない。
今回はバトルやドラマを熱く盛り上げるよりも、テーマを打ち出すことを重視するべき局面ですから、
そういうエピソードであることを前提に楽しむのが吉です。
ライバル対決の檄熱のバトルを勝手に期待して、それが得られないからといって文句を言っても仕方ありません。

そして、そういうテーマ重視のエピソードにおいては、ダマラスに対応させるのはハカセがベストチョイスです。
何故なら、ハカセはマーベラス一味で最弱の男ですから、
そういうキャラが「宇宙最強の男」であるダマラスを破る場合にこそ、
強さにこだわり信奉する者の持つ傲慢な「強さ」を超える「本物の強さ」が何であるのか、
鮮明に浮き彫りになるからです。

ところが、そのはずであるのに、今回の前篇におけるハカセは、
「伝説の勇者」という、ダマラスの「宇宙最強の男」の胡散臭さを遥かに凌駕する
トンデモない胡散臭い虚飾の称号を付加されて登場するのですから面白い。
この「ハカセが実は伝説の勇者であった」という唐突に出てきた事実(?)は
今回の劇中描写で明らかに嘘くさいことが暗示されていますが、
果たしてこれが次回の後篇でどのように落着していくのか、予測不能です。

ただ、今回の前篇におけるハカセの描写で重要なのは、この胡散臭いハカセ勇者説の方ではなく、
勇者説よりはかなり地味ですが、今回初めて明らかにされた、ハカセがマーベラス一味に加入した顛末です。
つまり、今回の前後篇は「ハカセ過去篇」になっており、
これでクライマックス篇に入る前にマーベラス一味の全員の一味への加入逸話が描かれたことになります。

ただ、これまでに描かれたジョー、鎧、ルカ、アイムの加入時のドラマがそれなりに皆、
シリアスでありドラマチックであったのに対して、
今回描かれたハカセの加入時のドラマは地味でコミカル、悪く言えば緊張感が無く非常にチープな印象のものでした。
まぁ、いかにもハカセらしいといえばハカセらしいのですが、
今回は前後篇ですから、今回の前篇の加入話の続きがまだ後篇で描かれるのだろうと思われ、
そこでドラマチックは展開も期待出来るかもしれません。

ただ、実は今回の前篇で描かれた加入話だけでも、ハカセは十分にカッコいいのです。
そのカッコよさが分かりにくいのが、いかにもハカセらしいのですが、
極めて等身大で視聴者に親近感の湧くタイプのカッコよさだという点も、またいかにもハカセらしい。
おそらく、この分かりにくいハカセのカッコよさが、
ハカセの「本物の強さ」のヒントになるのだろうということは想像がつきます。

いや、というより、ここまでのいわゆる「過去篇」、つまりメンバーの加入逸話を中心としたエピソードは、
前回考察したように、マーベラス一味の絆を描くことが主眼ですから、
ここでハカセの加入話におけるハカセのカッコよさから導き出される「本物の強さ」というのは、
ハカセ個人の「本物の強さ」ではなく、
マーベラス一味の絆の生み出す「本物の強さ」ということになるのでしょう。
それがどういう形の強さであるのかについては、
次回の後篇で、ダマラスの強さと対比してハッキリと描かれていくのだと思われます。

今回はその他は、結構バトルシーンが多く、アクション的に充実しており、
更にダマラスとバスコの関係についても興味深い展開がありますが、
これについては次回の後篇で一波乱ありそうな様子ですので、次回を楽しみにしたいところです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:14 | Comment(0) | 第42話「宇宙最強の男」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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