2012年01月31日

第48話「宿命の対決」感想その2

では本編ですが、まずは前回のダイジェスト映像を流しながら
「34の大いなる力を手に入れるため、バスコはなんと相棒のサリーを犠牲にして、ゴーカイジャーを撃破!
・・・さらにゴーカイガレオンを乗っ取り、ナビィをも手中にした
・・・このままでは、宇宙最大のお宝はバスコが手に入れてしまう!もう止められる者はいないのか・・・?」
というナレーションで前回の粗筋を振り返ります。

ダイジェスト映像としては、サリーの爆死に巻き込まれるマーベラスと、
バスコに吹っ飛ばされて敗北するジョー達5人、
バスコに奪われたゴーカイジャーのレンジャーキー、捕らわれたナビィ、高笑いするバスコ、
そして地面に倒れたまま動かないマーベラス達6人に降り始めた雷雨が降り注ぐという
前回のラストシーンまでが流れます。

そして、その前回ラストの倒れた6人のシーンからそのまま今回の本編が始まり、
まず雨粒が顔に当たってジョーが目覚めます。
バスコに倒されたジョーは死んではおらず、気絶していただけであったようです。
バスコは前回、戦いに勝利した後、倒れた6人に向かって歩いていきましたが、
6人からレンジャーキーを奪っただけで、トドメは刺していなかったようです。
どうして6人にトドメを刺さなかったのかというと、おそらくそんなことにはもともと興味が無いからでしょう。

バスコが興味があるのは「宇宙最大のお宝」を手に入れるということだけであり、
そのために必要なものはどうやら「34の大いなる力の宿ったレンジャーキー」、
「ゴーカイガレオン」、「ナビィ」の3つのアイテムだけであるようで、
バスコはそれさえ奪えれば、他のことにはほとんど興味は無いようです。
それで、ジョー達を倒して、手応えを感じたバスコは、サリーの爆発に巻き込まれたマーベラスも含めて、
虫の息の6人はすぐに死ぬだろうと思って、念のためにレンジャーキーだけ奪って、
おそらく6人のうちの誰かのモバイレーツを使ってガレオンの位置を調べると、
6人は放置して急いでガレオンに向かったようです。

バスコはマーベラス達はどうせすぐ死ぬと思っており、
仮に生きていたとしても、レンジャーキーを奪っておけば変身出来ず刃向うことは出来ないし、
万が一、もし万全の状態で再び挑んできたとしても勝てる自信はありました。
だからマーベラス達に構っている時間は惜しかったのでしょう。
もともとバスコはお宝探しに関係ない殺人や破壊活動などには一切興味は無いので、
この場合、既にお宝探しの障害となり得ないであろうマーベラス達6人を確実に殺すことよりも、
まず一刻も早くガレオンに向かいたかったのです。

早くしなければ、ナビィが異変に気付いて、
バスコの来襲に備えてガレオンを移動させてモバイレーツとの回線を遮断してしまうかもしれない。
そうしてナビィがガレオンを動かしながらひたすら隠れて逃げ回る作戦に出れば、
既に巨大戦力を喪失して、しかもその容器であるサリーまでも失ったバスコは、
ガレオンを捕捉出来なくなってしまう危険がありました。

だからバスコはとにかく念のために慌ててマーベラス達からレンジャーキーだけを奪うと、
ガレオンに向かったのです。
その結果、バスコはナビィがマーベラス達との連絡がとれないことに気付いて
ようやく慌て始めた頃にガレオンに辿り着くことが出来て、
ガレオンを乗っ取り、ナビィを捕えることには成功しましたが、
焦って戦いの場を後にしたために、ジョー達のダメージの度合いを見誤ることになったのです。
バスコの攻撃を喰らって吹っ飛ばされたジョー達5人はそれほど深刻なダメージは受けておらず、
ただ単にショック状態で長く気絶していただけでした。

目覚めるとジョーは、まず自分が倒れて気絶していたことを知り、
つまりバスコとの戦いに敗れたのだと知り、悔しがって地面を拳で叩きます。
仲間のサリーを非情にも爆殺してマーベラスともども吹っ飛ばしたバスコに対して激怒したジョーは、
マーベラスとサリーの仇を討つために絶対にバスコを倒してやりたかった。
しかし、それは叶わず、返り討ちにあってしまったことが口惜しくて仕方なかったのでした。

だが、悔しさに浸っている場合でないことは分かりますから、
すぐにジョーは傍で倒れているアイムと鎧に気付き、駆け寄ると、
2人が生きているのか確かめるように「アイム!鎧!」と2人の身体を揺すって大声で呼びかけます。
するとアイムと鎧は目を覚ましたので安堵したジョーは、その傍で倒れているマーベラスに気付き、
一番心配なのはマーベラスだということを想い出しました。

ジョー自身が割とピンピンしているということは、
一緒にバスコに倒された他の4人も同じ程度のダメージということです。
現にアイムと鎧は簡単に目を覚ましました。
そしてアイムと鎧はそれぞれルカとハカセを揺すり起こしていますが、
ほどなくルカとハカセも目を覚ましました。

しかしマーベラスだけは状況が違います。
マーベラスは戦いの前にサリーと一緒にバスコの仕掛けた爆弾で吹っ飛ばされ、
サリーはバラバラになってしまい、
何故かマーベラスは身体に大きな損傷は無かったが、意識不明状態になっていたのです。
すぐ隣に居たサリーがバラバラになるほどの爆発ですから、
外見上は大きな損傷は無いといってもマーベラスは深刻なダメージは受けているはずです。

バスコも間違いなくマーベラスは致命傷を負ってすぐに死ぬだろうと判断して、
あえて生死を確かめる手間さえ省いたようです。
ジョーもマーベラスは格別に深刻な状態だと気付き、
慌ててマーベラスに駆け寄ると、あまり揺すっては危険だと思い、静かにマーベラスの肩に手をかけて
「マーベラス!・・・大丈夫か!?」と呼びかけました。

ハカセを起こした鎧も慌てて駆け寄り「マーベラスさん!目を開けてください!」と呼びかけ、
アイムもルカもハカセもマーベラスが危険な状態であったことを思い出し、慌てて駆け寄って、
マーベラスの様子を固唾を呑んで見守ります。
戦いが始まる前、既にマーベラスは意識不明状態だったのであり、
あれから更に自分達が戦っている間も、戦いに負けて気絶していた間も放置されていたわけで、
もはや取り返しのつかない状態になってしまっているのではないかと、5人は不安になります。

ところがマーベラスは「う・・・く・・・」と呻き声を上げて顔を動かし、意識を取り戻したのです。
そして更に起き上がろうとしますが、これはさすがに厳しいようで、
身体の痛みに顔を歪め、完全に身を起こすことは出来ません。
やはりジョー達に比べて大きなダメージを受けているようですが、
それにしても隣でサリーがバラバラになるほどの爆発に巻き込まれた割には、
ダメージは妙に軽いと言えます。

何らかの事情で爆風がほとんどサリーの方に向かい、マーベラスは致命傷を受けるのは免れたようですが、
そんな奇跡的な偶然が起こっているとは普通は気付きませんから、
爆発の直後にマーベラスに駆け寄った5人は、マーベラスが倒れて動かないので、
さぞや深刻なダメージを受けたのだと早合点したようです。
実際はマーベラスは死ぬようなダメージは受けていなかったようです。

ただ、爆発のショックはやはりそれなりにあるようで、
「無理なさらないで・・・」と気遣うアイムに向かって、
マーベラスはまず「・・・バスコは・・・?」と小さな声で問いかけます。
爆発の瞬間、マーベラスはサリーを助けようとしていたのだから、
目を覚まして最初に気遣うべきはサリーの安否であろうが、
マーベラスはサリーのことではなくバスコのことを気にしています。
これはおそらく爆発のショックで一時的に記憶が飛んでしまっているのであり、
マーベラスの覚えている記憶はバスコと対峙しているところで途切れているのでしょう。
そしてサリーの存在は今のマーベラスの頭からは何処かに飛んでしまっているようです。

アイムはマーベラスが意外に無事であることに喜びを感じつつも、
少し記憶が混乱している様子を察し、どう応えようか迷います。
とりあえずサリーのことは、あまりに悲惨な結果となったので
マーベラスにサリーが死んだことを伝えるのは憚られ、
マーベラスがサリーの安否を質問してこないことはむしろ好都合だと思いましたが、
バスコがどうなったかについても、今のマーベラスにどう説明すればいいものか、アイムは少し迷います。
アイムも自分達がバスコに負けてしまったことは分かっていますが、
それがあまりに申し訳なくて、どのように説明したらいいものか一瞬分からなかったのです。

一瞬の気まずい沈黙の後、アイムに代わって答えるようにルカが
「・・・ゴメン・・・負けちゃった・・・レンジャーキーも奪われたみたい・・・」と、目を伏せて悔しげに言いました。
皆、目を覚ましてからすぐに自分の手持ちのゴーカイジャーのレンジャーキーが
奪われていることに気付いていたようです。

レンジャーキーというものは基本的には使い終わるとカーギーロードを通って
ガレオンの宝箱に戻るようになっているようです。
前回のバスコに敗れた戦いの際にジョー達5人が次々に使っていた
ダイレンジャー、ハリケンジャー、ギンガマンのレンジャーキーは使い終った後、
それぞれ宝箱に戻ったようですが、
銀河の戦光をバスコに弾き返されてギンガマンの変身が解除された後、
バスコに倒された際の5人はゴーカイジャーの姿に戻っていました。
このゴーカイジャーのレンジャーキーだけは変身解除後も宝箱には戻らず、
常にマーベラス達の懐に収納されているようです。

その有る筈のゴーカイジャーのレンジャーキーが無いことは皆、すぐ分かるようになっているようで、
マーベラスも自分のゴーカイレッドのレンジャーキーも無くなっていることに気付きます。
自分が気を失っている間にジョー達がバスコに負けて、レンジャーキーを奪われたということは、
自分のレンジャーキーを奪ったのもバスコの仕業だと、まだぼやけた頭でマーベラスは悟りました。

一方、ハカセは「ガレオンのコンピュータにアクセス出来ない!」と焦りながらモバイレーツを操作して、
次いで「・・・ナビィも・・・ダメだ・・・」と落胆します。
どうやら6人ともレンジャーキーは奪われたものの、モバイレーツは奪われていないようです。
バスコは以前に第16話でジョー達を捕えた時や、第42話でダマラスと一緒にマーベラスを捕えた時には
レンジャーキーと共にモバイレーツを奪っていますから、
今回モバイレーツを奪わなかったのは不自然であるようにも思えます。
しかし、これは整合性のとれた行動だと思います。

これまでの描写を整理してみると、
まず、例えば第44話でルカが生身から直接マジマザーに変身したように、
別に最初にゴーカイジャーに変身しなくても、モバイレーツにレンジャーキーを挿せば、
どの戦士にも変身は出来るようです。
同じケースとしては第16話でハカセが生身から直接シンケングリーンに変身したケースがありますが、
しかし、この第44話と第16話はよく見ると状況が違います。

第44話のルカは地上の公園に居て、
ガレオンの宝箱からマジマザーのレンジャーキーを取り寄せてモバイレーツに挿しました。
一方、第16話のハカセは人質交換の場にやってきたマーベラスが持参した宝箱の中にあった
マーベラスのモバイレーツに、同じく宝箱の中にあったシンケングリーンのレンジャーキーを挿して変身しました。
つまり第44話はいつものゴーカイジャーに変身後に
カーギーロードで他のレンジャーキーを転送させてくるのとほぼ同じ行程を経て変身しているのに対して、
第16話ではずいぶんと回りくどいことをしています。

これは第16話の時はハカセ達はバスコに自分自身のモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーを奪われて、
それはサリーが持っていたからです。
ハカセはシンケングリーンに変身してからサリーを攻撃して
自分達のモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーを奪還したのです。

第44話のケースと第16話のケースの大きな違いは、
モバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーの有無といえます。
これが有れば宝箱からカーギーロードでレンジャーキーを転送できるが、無いと転送が出来ないのです。
そして第16話ではハカセがマーベラスのモバイレーツを手に入れた後も
レンジャーキーをわざわざジョーが拾って挿してあげているので、
モバイレーツにはレンジャーキーを転送させる能力は無いようです。

第19話冒頭でナビィが鎧にカーギーロードを接続する際にわざわざゴーカイシルバーに変身させていることや、
常にマーベラス達がゴーカイジャーのレンジャーキーだけは宝箱に戻さずに
持ち歩いていることなども考え合わせると、
おそらくカーギーロードを通して宝箱からレンジャーキーを転送させる能力は
ゴーカイジャーのレンジャーキーの方に宿っていると思われます。
もしモバイレーツにその能力があるのなら、マーベラス達はモバイレーツだけを持ち歩けばいいはずです。
それなのにゴーカイジャーのレンジャーキーを持ち歩いているということは、
ゴーカイジャーのレンジャーキーがカーギーロードと繋がっているということです。

そして第44話のルカのケースで見たように、
ゴーカイジャーのレンジャーキーさえ持っていれば、別に変身していなくても、
宝箱から別のレンジャーキーを取り寄せることは出来るようです。
第2話で少年にレンジャーキーを見せてほしいと乞われたマーベラスが生身の状態で
シンケンレッドやマジレッドなどのレンジャーキーを懐から取り出したのも、そういう仕組みだったのです。

ちなみにあの時の少年はシンケンレッドのレンジャーキーをモバイレーツに挿して
生身から直接シンケンレッドに変身し、
怪人に敗れて変身解除した際にシンケンレッドのレンジャーキーをその場にモバイレーツと共に落としていますが、
これは少年がカーギーロードに繋がっているゴーカイジャーのレンジャーキーを持っていなかったから、
使用後のシンケンレッドのレンジャーキーが宝箱に戻ることが出来ず、その場に落ちたのだと解釈出来ます。

このように考えると、おそらくアカレッドが作ったのであろう変身機能付きモバイレーツは、
集めた34戦隊のレンジャーキーを宝箱に入れたまま有効活用するために、
最初からゴーカイジャーのレンジャーキーと対になっていたのだと思われます。
つまり、変身機能付きモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーはセットで開発されたのです。
そして、ゴーカイジャーのレンジャーキーさえあれば他のレンジャーキーを宝箱から手元に転送したり、
武器をガレオンの武器庫から転送したり出来るのです。

変身機能付きモバイレーツは、通常のバスコも持っている通信端末の機能に、
ゴーカイジャーのレンジャーキーや他の転送してきたレンジャーキーを挿して変身するための機能を
プラスしたものであり、
宝箱から離れた状態でゴーカイジャーのレンジャーキーとセットになっていなければ、
単なる通信端末としての機能しかない普通のモバイレーツ同然の存在でしかありません。
だからバスコはもし万が一マーベラス達が生き延びたとしても、
ゴーカイジャーのレンジャーキーさえ奪っておけば変身は出来ず脅威にはなり得ないと思ったのでしょう。

第16話でレンジャーキーだけでなくモバイレーツも奪ったのは変身を封じるためというよりも、
人質のジョー達がマーベラスと独自に連絡をとったりしないように
通信端末としてのモバイレーツを取り上げるのはむしろ当然の措置であったに過ぎず、
第42話でダマラスに捕らわれたマーベラスのモバイレーツをレンジャーキーと一緒に奪ったのは、
あの場合は後でマーベラスに返すことが前提だったのでまとめて預かっていただけであり、
むしろセットにして持っておかねばならない事情があっただけのことです。

変身能力を奪うという目的だけなら、モバイレーツまで奪う必要は無く、
ゴーカイジャーのレンジャーキーさえ奪えばいいのです。
念には念を入れてモバイレーツまで奪う必要はバスコはほとんど感じなかったのでしょう。
ゴーカイジャーのレンジャーキーさえ奪えばマーベラス達の変身能力は封じたも同然であるし、
それよりも一刻も早くガレオンに向かう方を優先したかったのでしょう。
何より、バスコはマーベラス達はどうせすぐに息絶えるだろうと思っていたのだから、
レンジャーキーを奪ったこと自体が念には念を入れた行為だったといえます。
だから、そこに更にもう1つ念を入れるということはしなかったのでしょう。

ただ、変身能力を封じるという目的だけならば、
バスコはマーベラス達のゴーカイジャーのレンジャーキーを破壊した方が良かったのかもしれません。
いや、そもそもレンジャーキーというものが破壊可能なものなのかよく分からないのですが、
破壊が不可能だとしても、わざわざガレオンの宝箱にしまったバスコの行為を見ると、
バスコはゴーカイジャーのレンジャーキーや大いなる力も
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要だと思っているのかもしれません。

小津魁がハカセに語った言葉が真実だとするなら、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なのは34の大いなる力だけですから、
ゴーカイジャーのレンジャーキーや大いなる力は関係無いはずです。
しかしバスコはそこまで詳細な話は知らないので、
とにかく全部のレンジャーキーを揃える必要があると思い、
そういう意味合いもあって、マーベラス達からゴーカイジャーのレンジャーキーを奪ったのでしょう。

しかし、このようにバスコがマーベラス達からゴーカイジャーのレンジャーキーさえ奪えば
その変身能力を封じることが出来るということを知っていたとするなら、
バスコはもともとアカレッドの作った変身機能付きモバイレーツと
ゴーカイジャーのレンジャーキーのセットについて知っていたということになります。
おそらくアカレッドの行動に探りを入れていく過程でバスコはその存在や使い方に関する情報は知ったのでしょう。

だから、それも裏切り決行の際に奪おうとしていたのでしょうけれど、
これに関しては隠し場所がよく分からず、奪えなかったのでしょう。
そして、ゴーカイジャーがラッパラッターの召喚戦士よりも強いとは知らなかったのでしょう。
一方、マーベラスは何も知らず、アカレッドの死後、ガレオンで脱出した後で
ナビィからその隠し場所を聞いて、初めてゴーカイジャーの変身システムの存在を知ったのだと思われます。

さて、こうしてゴーカイジャーのレンジャーキーを奪われてしまったマーベラス達は、
ガレオンの宝箱からレンジャーキーを転送してくることも、
ガレオンの武器庫から武器を転送してくることも出来ないので、
モバイレーツを持っているだけでは戦う力は無いも同然です。
そうなれば、ガレオンに戻って宝箱から直接レンジャーキーを取り出してモバイレーツに挿して変身したり、
ガレオンの武器庫から直接武器を手にとるしかありません。

それでハカセは、ゴーカイジャーのレンジャーキーが奪われたことを知ると、
いつもマーベラスがやっているようにモバイレーツに「5501」と入力して
ガレオンをこの場の上空に呼び出そうとしたのですが、ガレオンに通信が繋がらないのです。
そこで続けて、ナビィに直接通信しようと試みましたが、これもダメだったようです。

ガレオンへ繋がる回線とナビィに繋がる回線は別々であるようですが、
これが両方繋がらないということは、ガレオンとナビィの双方に異変が生じたということを意味します。
片方だけならば偶然ということも有り得ますが、
両方ダメということは間違いなくガレオンで何か異変が起こったと見ていい。

ハカセの報告を聞いて、ジョーは愕然とし、
「・・・バスコが・・・ガレオンを乗っ取ったってことか・・・!」と、悔しげにワナワナと震えながら、
最悪の事態が起きたことを認めざるを得ませんでした。
「多分・・・」とハカセも沈痛な顔で頷きます。
自分達に勝ったバスコが、トドメを刺すのも忘れるぐらい急いで何処かへ行ったとすれば、
それはバスコの喉から手が出るほど欲しがっている192個のレンジャーキーと29の大いなる力の置いてある
ゴーカイガレオンしか考えられないと、ジョーもハカセも気付いたのです。

実際、バスコはガレオンを乗っ取っており、
もし万が一マーベラス達が生きていた場合、彼らの唯一の挽回のチャンスとなる、
モバイレーツを使ってのガレオンの召喚を不可能にするために、
念のためにガレオンとモバイレーツの回線を切っていたのです。
もともとガレオンの乗員であり変身機能は無い通常版とはいえモバイレーツの使用者であるバスコならば、
それぐらいの手を打つのは当然でした。

そしてナビィですが、ジョーとハカセの沈痛な表情から察するに、
彼らはナビィもガレオンで既にバスコの毒牙にかかって機能停止してしまったと思っているようです。
実際はナビィはバスコにとっては「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なものであるようなので、
バスコはナビィを殺したりはしていないのですが、
ジョーやハカセ達はそのあたりはあまりよく分かっていないようなので、
てっきりナビィはバスコに殺されてしまったので連絡がとれないと思っているようです。

ジョーとハカセの遣り取りを聞いて、まだ頭がぼんやりするマーベラスも、
自分が意識を失っていた間に、事態は最悪な状態になっていることに気付き、愕然とします。
アイムも途方に暮れて「レンジャーキーを奪われ・・・ガレオンも奪われ・・・」と呟いて立ち上がり
「・・・これから・・・どうしたらよいのでしょう・・・?」と天を仰ぎます。
その天からは、遂に雷雨が激しくなり、大きな雨粒を6人に叩きつけてきました。

6人はバスコにゴーカイジャーのレンジャーキーを奪われて、
宝箱からレンジャーキーを転送してくることも出来ず、変身して戦うことは出来ない。
かといってガレオンに戻って宝箱や武器庫に行って態勢を立て直そうにも、
そのガレオンをバスコに乗っ取られてしまい、ガレオンを呼び寄せることも出来ない。
当然バスコはガレオンを何処か別の地点に移動させてしまっているはずだが、
回線が切られているからモバイレーツでその位置を調べることも出来ない。
ガレオンの場所が分からない以上、
もちろんガレオンに居るバスコからゴーカイジャーのレンジャーキーを奪い返すことも出来ない。
そして、こういう時の最後の頼みの綱のナビィまでもバスコによって葬り去られてしまった。

そのガレオンでは今頃、バスコが宝箱の中の192個の全てのレンジャーキーと29の大いなる力を手中に収めており、
バスコのもともと持っていた5つの大いなる力と合わせて、
遂に「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な条件を満たす、34の大いなる力を揃えているはずである。
つまり、このままではバスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れてしまう。
いや、既にもう手に入れている可能性もある。

全く最悪の状況で、万事休す、お手上げと言っていい。
それどころか住処であるガレオンすら失い、6人は行き場所さえ無い状態であり、
これまでずっと目標としてきた「宇宙最大のお宝」が奪われてしまうとなると、
やるべきことすら見つからない状態です。

急にどしゃ降りになってきた雨に打たれながら、仰向けに寝転がったままマーベラスは、
いったいどうしてこんな最悪な結果になってしまったのだろうかと考えました。
だいたい、どうしてそんな最悪なことになっている間、自分はずっと呑気に寝ていたのだろうかと考えると、
記憶が次第に甦ってきて、自分がサリーを爆弾の爆発から守ろうとしていたことを想い出しました。
そうしてこの場にサリーがいないことに気付きます。

あの状況でサリーが再びバスコに付いて行ったとも思えず、
マーベラスは自分はサリーを助けられなかったのだと悟りました。
ジョー達はサリーのことを一言も云わないが、
それはつまり、サリーはもうこの世には居ないということなのだとマーベラスは悟り、
自分が気を失っていたのは、サリーを吹っ飛ばした爆発に巻き込まれたのが原因だと理解しました。
その後、ジョー達が5人でバスコと戦い、敗れた結果、今の最悪の状況に至ったのです。
ならば、この最悪の状況は、自らが招いた結果だったのだとマーベラスは気付きました。

バスコは強敵であり、6人がかりで戦ってようやく互角の勝負に持ち込める相手だった。
それなのに戦いの前にマーベラスが爆発に巻き込まれて戦線離脱したから
ジョー達は5人でバスコと戦う羽目になって敗れてしまったのです。
爆弾の起動に気付いた瞬間、その場を跳び退いていれば、マーベラスは爆発に巻き込まれることはなく、
バスコとの戦いに参加することは出来ました。
そうなれば結果は全く違っていたかもしれない。
つまりサリーを見捨てていれば、マーベラスは爆発に巻き込まれることもなく、
バスコにも勝てていたかもしれないのです。

もちろん仲間になる道を選んでくれたサリーを見殺しにすることが正しい行為であるはずはない。
しかし、そのマーベラスの仲間想いの行為が、
仲間であるジョー達に不利な戦いを強いる結果をもたらし、
仲間で力を合わせて追い求めてきた夢を失う結果に繋がったのです。
あの時、サリーを見捨てて逃げていれば、夢は手に入ったかもしれない。

いや、そもそもサリーを追ってこの森に来なければ、バスコと危険な等身大戦をする羽目にもならなかった。
サリーを助けたいと思ったから危険を承知でこの森に来たのです。
サリーを見殺しにしてガレオンに篭っていれば、バスコとは常に有利に戦うことは出来た。
そうしていれば、どう間違ってもこんな結果にはならなかっただろう。
つまりサリーを仲間にして救いたいというマーベラスの気持ちが仇となって、
マーベラス達は夢を失う羽目になったのです。

マーベラスは確かに以前に巨大な幽霊船の船長ロスダークとの戦いの際に、
夢を捨てて仲間を選んだことがあります。
あの時はジョー達仲間を見捨てていれば、マーベラスは「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来たはずです。
しかしマーベラスは手に入れたゴッドアイがただ1つ叶えてくれる願い事で仲間を助けて、
「宇宙最大のお宝」は諦めました。

だからマーベラスという男は基本的には「夢よりも仲間を選ぶ」男なのかもしれない。
ただ、あの時は確実に「宇宙最大のお宝」を手に入れることの出来るチャンスをフイにしただけのことであって、
「宇宙最大のお宝」を誰かに奪われたわけではなく、それを手に入れるチャンスは繋がっていたのです。
マーベラスは夢を諦めたわけではなかった。
ただ、夢は1人で叶えるのではなく、仲間と一緒に叶えなければ意味が無いと思っただけなのです。
だから正確に言えば、あの時はマーベラスは「夢よりも仲間を選んだ」のではなく、
「1人で掴む夢よりも仲間と共に掴む夢を選んだ」のです。

ところが今回のマーベラスは、サリーを助けるために「仲間と共に掴む夢」を失ったのです。
サリーはサルであり「夢」の意味は理解出来ない。
しかしマーベラスはサリーを仲間にしようと思った。
それは、マーベラスにとっての仲間というものの本質は、一緒に夢を掴むための存在ではなく、
一緒に絶望的な宇宙でささやかな幸せを目指す存在であったからです。
それならサルでも仲間になり得ることにマーベラスは気付いたから、サリーを仲間にしようとして、
サリーもそれに応えて仲間になった。
その直後に悲劇が起き、マーベラスは仲間になったばかりのサリーを守ろうとしたのです。

しかしサリーは確かに仲間だが、共に夢を掴む仲間ではなかった。
そのサリーを助けることを優先して夢を失ったのならば、
やはりマーベラスは「夢よりも仲間を選ぶ」男だったのかもしれない。

これが個人的な問題ならば、それがマーベラスという男の本質であったということで済ますことは出来ますが、
そのマーベラスがサリーと引き換えに捨てた夢は、「仲間と共に掴む夢」だったのですから、
マーベラスは仲間を裏切ったことになる。
となると、マーベラスは「仲間を選ぶ」男ですらない。
結局、甘い考えで夢も仲間も裏切ってしまった男だということになる。

しかし、サリーを助けようとした行為が誤りだったとは決して思えない。
マーベラスはバスコに夢を奪われそうだというのに、
その原因になったサリーの一件を激しく悔やむ気持ちにはなれませんでした。
つまりは、自分は夢よりもサリーを選ぶような男だったのだとマーベラスは思いました。
一方、サリーを捨てて殺したバスコは許し難い外道だが、
サリーを捨てて夢を選んだ分、少なくとも自分よりは夢を掴む気持ちが強かったのだろうと
マーベラスには思えました。

つまり、マーベラスは夢を掴もうとする想いの強さでバスコに負けていた。
何時の間に負けてしまっていたのだろうかと考えて、
マーベラスは自分がサリーの一件で夢と共に仲間を裏切ってしまったことを
悔やんでいることに気付きました。
悔やんでいるということは、それが間違っていたと思っているからです。
要するにマーベラスは仲間を夢に巻き込んで落胆させてしまったことを悔やんでいるのです。

もともと「宇宙最大のお宝」はマーベラスの夢だった。
マーベラスが5人をその夢に巻き込んで、その挙句、自分で勝手に失敗して
夢を台無しにして他の5人を落胆させたのです。
マーベラスが悔やんでいるのはそのことでした。
単にマーベラス1人が夢を追い掛けて、仲間のサルを助けるために夢を失ったとしても、
それは自分はそういう人間だったのだと思って納得出来ます。
しかし他の仲間を勝手に自分の夢に巻き込んで、さんざん迷惑をかけて落胆させてしまったと
マーベラスは悔やみました。

どうして仲間を夢に巻き込んだのか?
マーベラスは仲間というのは一緒に夢を掴もうとするものだと思っていました。
赤き海賊団だってそういう仲間だったはずです。
だからマーベラス一味でもマーベラスは同じようにして、
仲間と一緒に「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしました。

しかし、マーベラスは今回のサリーの一件で、仲間の本質を知ったのです。
仲間は一緒に夢を掴むものではなく、絶望の中で一緒に幸せや希望を目指すためのものだったのです。
マーベラスはジョー達を一緒に苦しい境遇の中でも希望を忘れずにやっていける
心の強さを持った連中だと思ったから、一緒に旅をする仲間に誘ったのです。

ならば、それだけで良かったはずです。
「宇宙最大のお宝」探しに巻き込む必要は無かったはずです。
なのに、どうして仲間を自分の夢に巻き込んだのだろうかと考えたマーベラスは、
それは自分が1人で夢を掴む自信が無かったからであり、
有体に言えば、夢を1人で追うのは寂しかったからなのだと思いました。

それだけ自分は心が弱く、夢を掴もうとする気持ちが弱かった。
それに比べて、バスコは仲間を切り捨てて1人になっても夢を掴もうとする強い気持ちを持ち続けた。
むしろ仲間を切り捨てることで夢を掴もうとする気持ちを強くしていった。
そんな生き方が正しいとも羨ましいとも思わないが、
マーベラスは確かに夢を掴もうとする想いの強さでは自分はバスコに負けていたし、
赤き海賊団もマーベラス一味も、1人で夢を掴もうとしたバスコには勝てなかったのも道理だと思いました。

仲間を大切にする自分の生き方は決して間違ってはいないが、
自分には「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れるほどの資格は無かったのであり、
ましてや、その夢に仲間を巻き込む資格など無かったのではないかとマーベラスは思いました。
結局、仲間を選んで夢を失い、勝手に夢に巻き込んだ仲間に苦労ばかりさせた挙句、
失望させただけで終わってしまった。
激しい雷雨に打たれながら、マーベラスは天を仰いで、虚しい気持ちに苛まれていくのでした。

ここでOPテーマが始まります。
最初のOPナレーションは通常回バージョンで、このバージョンはあるいは今回が最後かもしれません。
OPテーマが始まり、脚本は荒川稔久氏で、
これはもう間違いなく、最終話まで5話連続荒川脚本でしょう。

そしてOPテーマが終わり、CM明け、今回のサブタイトル「宿命の対決」が出ます。
もはや何の捻りも無い、一切の説明不要のド直球のサブタイトルで、
サブタイトルにさんざん凝ってきたこの作品の最終盤がド直球のサブタイトルだらけというのも、
いかにもこの作品らしいと言えます。

さて本編が再開し、激しく雷雨が降りしきる中、ゴーカイガレオンが渓谷のような場所に停泊しています。
前回の最後に遂にガレオンを乗っ取ったバスコは、
やはりガレオンを元の場所とは違う場所に移動させていました。

いつもはすぐに発進出来るように宙に浮かんだ状態で錨を地上に下ろして停泊していますが、
この渓谷ではガレオンは地面に船体を接して不時着しています。
これは船体を隠しているようです。
万が一マーベラス達が生きていた場合に備えて、
たまたまガレオンを在り処を知られてしまう危険を無くすためというのもありますが、
ザンギャックに見つかって攻撃されることを避けるためというのもあります。

何せ今やガレオンでは働き手はバスコしかいませんから、
空を飛ばしながら別のことをするわけにはいかず、
安全な場所に停泊させておいて、バスコはじっくりと他のことに取り組まねばならないからです。
それはもちろん、さっそく「宇宙最大のお宝」を手に入れる作業に着手するということです。

船室の床にはロープでグルグル巻きにされてナビィが「う〜、う〜・・・!」と呻いて転がされています。
嘴までロープで塞がれたナビィは声を出すことも出来ず、全く身動きも取れません。
ハカセがナビィに通信を試みてもダメであったのは、ナビィが身動き出来ない状態であるからのようです。
おそらくこの体勢では通信回線を開くことも出来ないようになっているのでしょう。

しかし、やはり前回の最後にバスコに捕らわれてしまったナビィは、始末されてはいませんでした。
何故ならバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れる作業にはナビィが必要だと知っているからです。
これもおそらくバスコが赤き海賊団の時代にアカレッドの周辺を探っていく中で知った情報なのでしょう。
つまりは、バスコはアカレッド抜きで1人でも
「宇宙最大のお宝」を手に入れるための方法を一生懸命探っていたようで、
その過程で、その作業にはナビィとガレオンとレンジャーキーと「大いなる力」という謎の物が
必要であることを知り、「大いなる力」を集めるための道具であるラッパラッターの存在、
そしてゴーカイジャーのシステムのことも知ったのでしょう。

そうして赤き海賊団を裏切り、全てを奪うことには失敗したもののラッパラッターは奪い、
その後、地球でマーベラス達と争い、
アカレッドの遺したゴーカイジャーのシステムの意外な手強さに苦戦はしたものの、
こうして遂に「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な物を全て揃えたバスコは、
満足そうに笑いながらガレオンの窓から外の雷雨を眺めた後、
船室の方に向き直り、床に転がって呻いているナビィを一瞥すると、
ナビィに背を向け、テーブルに向かいます。

テーブルの上には、宝箱から抽出した5つの戦隊のレンジャーキーが並べてあります。
それは、サンバルカンの3戦士のレンジャーキー、チェンジマンの5戦士のレンジャーキー、
フラッシュマンの5戦士のレンジャーキー、マスクマンの5戦士のレンジャーキー、
ファイブマンの5戦士のレンジャーキー、合計23戦士のレンジャーキーでした。

つまり、バスコがそれらの戦隊の元レジェンド戦士たちからラッパラッターで奪った
大いなる力を珠状にして持っている5つの戦隊のレンジャーキーです。
このテーブルの上の5戦隊23戦士のレンジャーキーを見下ろして、
バスコは「まずは俺が奪った、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
大いなる力を、レンジャーキーに・・・」と言って、
懐から5つの戦隊の大いなる力の珠を取出し、テーブルの上にかざします。

そうしてバスコが背を向けている間、床でもがいていたナビィは
ソファーの傍のテーブルの下に意外なものを発見しました。
何故か床に果物ナイフが突き刺さっているのです。

これは昨晩、サリーが誤ってテーブルから落とした果物カゴの中に入っていたナイフで、その時、床に突き刺さり、
その後、宝箱を持って出て行ったサリーも、そのサリーを追って外に出て行ったマーベラス達も、
留守番のナビィも、そして侵入してきたバスコも、
このソファー脇のテーブル下のナイフには誰も気付いていなかったのでした。
そのナイフに、床に転がされたナビィは初めて気付いたのです。
これはチャンスだと思ったナビィはロープに縛られたままソファーの方に転がっていきます。

一方、そのナビィに背を向けたままテーブルに向かったバスコの掌の上の5つの珠は、
金色の光を発して浮き上がり、テーブルの上のそれぞれの戦隊のレンジャーキーに吸い込まれて消えていきました。
「・・・これで全てのレンジャーキーに大いなる力が入った!」とバスコは満足げに言います。
どうやら、一度ラッパラッターで吸い出した大いなる力は、もう一度ラッパラッターを使わなくても、
そのまま近づければレンジャーキーに注ぎ込むことが出来るようです。

ともかく、これで34の大いなる力は全てレンジャーキーに宿ってこの場に集まったことになり、
この部屋にあるレンジャーキーの全てに大いなる力が宿った状態となりました。
小津魁が言っていたことが真実だとするなら、
これで「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来る条件は満たしたことになります。
しかし、それだけでは特に何も起きません。
まだ何か作業が必要であるようです。

そしてバスコはその作業の内容を知っているようで、
「お次はナビィちゃんを・・・」と言って背後に向き直ります。
次の作業にはナビィが必要であるようです。

ところが床にはナビィはいません。
バスコは「・・・ナビィちゃん?」と慌ててキョロキョロと船室内を見回し、
床に伏せてソファーの方を覗き込んで「マジ!?」と目を見張ります。
ソファーの傍のテーブルの下の床には果物ナイフが突き刺さっており、
その傍にはナイフで切断されたロープの残骸だけが散乱していたのです。
ナビィが床に刺さった果物ナイフの刃に自分の身体を縛るロールをこすりつけて切断し、
縛めを脱して逃げたに違いありませんでした。

どうしてこんなところにナイフが刺さっているのか、バスコにとってはなんともアンラッキーでしたが、
これはもともとはバスコが利用して捨てたサリーが偶然落としたナイフだったのですから、
バスコにとっては因果応報というか、なんとも皮肉な偶然でした。

が、バスコはそんなことは知りませんし、
そもそも、こんなことぐらいでメゲたりはしません。
素早く立ち上がると「・・・ったく、面倒かけんなって!」とボヤキながら、
メインコンピュータを操作してガレオンの出口を全部遮断します。

ついさっきまでナビィが床に転がっていたのはバスコは確かに見ています。
だからナビィが逃げ出したのはついさっきのことであるはずです。
ならば、まだガレオンの外には出ていないはず。
すぐに出口を遮断してしまえば、ガレオン内にナビィは閉じ込めることは出来たはずです。
そうなれば、後は船内をくまなく捜してナビィを見つけ出してもう1回捕まえれば済む話です。

しかしガレオン船内は居住区以外のスペースも合わせると、かなり広い。
バスコ1人で探すのは大変ですし、そもそもバスコはそんな面倒くさいことをする気は無い。
というか、もしバスコがこの船室を留守にしている間にナビィがこの部屋に来て
宝箱やメインコンピュータに何か細工でもしたら面倒ですから、
バスコ自身はこの船室を動くわけにはいかないのです。

そこでバスコはラッパラッターを吹き鳴らします。
つまり召喚戦士を使ってナビィを捜索させ捕えさせることにしたのです。
幸い、この部屋には腐るほどレンジャーキーがありますから、
バスコは久々にラッパラッターで召喚戦士を出しました。

しかも、なんとここでバスコは、
よりによってゴーカイジャーのレンジャーキーをラッパラッターのシリンダーに挿して、
ゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、
ゴーカイピンク、ゴーカイシルバーの6人の召喚戦士を出したのでした。

その6人の召喚戦士に対して「ナビィちゃんを捜して、ここに連れ戻す!・・・OK?」と命令を下すバスコ。
心を持たない6人の召喚ゴーカイジャーは無言で頷き、一斉に船内の各所に散っていきます。
それを見送ってバスコは意地悪く笑って「頑張ってねぇ〜!」と手を振るのでした。
おそらくバスコがここでわざわざゴーカイジャーの召喚戦士を使ってナビィを捜索させたのは、
普段馴染のあるゴーカイジャーによって追い回される恐怖をナビィに味あわせてやろうという
悪戯心のようなものだったのでしょうが、
サリーの遺したナイフに続き、これがバスコの計画の第二の綻びとなったのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:06 | Comment(2) | 第48話「宿命の対決」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月30日

第48話「宿命の対決」感想その1

今回は前回の話からの続きで、バスコとの決着篇の後篇です。
やはり、クライマックス篇の5篇は、まず前半の2篇を使ってバスコとの決着を描き、
後半の3篇を使ってザンギャックとの最終決戦を描くようです。

ただ、この「ゴーカイジャー」という作品の35作記念のお祭り企画という特性上、
もしかしたらバスコ決着篇で「宇宙最大のお宝」の正体まで明かして、
「ゴーカイジャー」という作品としてのテーマは完結させて、
「ゴーカイジャー」という物語の実質的な最終篇とするのかもしれないとも思っていました。
そうしておいて、最終3篇は、実質的に「スーパー戦隊シリーズ35作品」の最終篇という扱いとして、
「VSシリーズ」的な特別篇のようにするつもりかもしれないと、危惧すると共に期待もしていました。
つまり「ゴーカイジャーVSスーパー戦隊」の全戦隊拡大版をTV本編で3話使って構成するというような感じで、
お祭り企画で、全戦士が変身しての完全なる共闘篇で、
「35戦隊VSザンギャック」の大戦争を派手に描くだけの話にするのかもしれないと思っていたのです。

それをどうして危惧すると共に期待していたのか?
まず危惧というのは、それはもはや「ゴーカイジャー」の物語とは別物になってしまうので、
せっかくここまで作ってきた物語が最後にやたら盛り上がるだけの派手なお祭り企画で終わってしまうのは
勿体ないという意味で危惧していたということです。
そして期待していたというのは、
そう危惧しながらも、この35作記念のお祭り企画というものに自分自身が当初から潜在的に期待していたものが、
まさにそういう内容だったからです。

この「ゴーカイジャー」という作品の一番物足りない点は、
せっかく過去作品の戦隊のメンバーのオリジナル役者に出演してもらいながら、変身して戦わせていないことです。
この作品はあくまで現在の子供たちに向けた物語であり、その主役はあくまでゴーカイジャーですから、
過去作品の戦士が目立ってゴーカイジャーの物語がしっかり作れなかったら意味は無い。
だから、ここまで描かれてきた「ゴーカイジャー」の物語は正しい作り方だったと思います。
ゲスト戦士をいちいち変身させて戦わせていたら、
1年間通してゴーカイジャーの物語をしっかり描くことは出来なかったはずです。

しかし、過去作品ファンとしては、せっかくのお祭り企画だけに、
もっと歴代戦隊の活躍も見たかったという気持ちもあります。
そのあたりは物足りなかったと感じる人も確かにいます。
だから、「ゴーカイジャー」の物語はテーマ的にはバスコ決着篇で終えてしまい、
残り3話は長らくスーパー戦隊シリーズを応援してくれたファンへのサービス企画のようにして、
ひたすら35戦隊とザンギャックのバトルを描くというのもアリなのではないかと期待もしていたのです。

しかし、今回のエピソードで「ゴーカイジャー」の物語はテーマ的にまだ完結していません。
「宇宙最大のお宝」の正体は相変わらず謎のままであり、
むしろアカレッドの謎など、新たな謎まで発生してしまいました。
だから「ゴーカイジャー」の物語はまだまだ続きます。
おそらく最終話までしっかり続くのでしょう。

よって、お祭り企画で残り3話を消費するという可能性は無いと思います。
最後まで、あくまで「ゴーカイジャー」の物語を描ききるのです。
正直、危惧と期待のどちらが大きかったかというと、危惧の方が大きかったので、こうなって安堵しています。
やはり「ゴーカイジャー」という作品は一貫してゴーカイジャーの物語を丁寧に描いてきたのだから、
最後までその方針を貫いてほしいと思います。

しかし、今回のエピソードですが、確かに「ゴーカイジャー」の物語は完結しなかったとはいえ、
前回に引き続き、異常に濃い、極めて重厚なエピソードでした。
前回と今回の前後篇は、まさに神回というやつで、
シリーズ史上屈指の傑作エピソードと言って良いのではないかと思います。

今回、なんといっても凄いのはアクションです。
バスコに既に巨大戦力が無く巨大化アイテムも無いこともあって、
この作品のエピソードで初めて巨大戦シーン無しという、等身大戦に特化したアクションが盛り沢山で、
その質が高いのはもちろんのこと、それぞれのアクションシーンのアイディアが素晴らしいの一語に尽きます。

「素面ゴーカイジャーVS召喚ゴーカイジャー」、
「多段変身歴代オールレッド戦隊VS召喚ゴーカイレッド」、
「マーベラスVSバスコの敵同士の武器交換アクション」という、
この「ゴーカイジャー」という作品の特徴的アクションの積み重ねがあったからこそ映える
変則的アクションの連続は、素晴らしいアイディアの連発でした。
これだけでも殿堂入りクラスであるのに、
更にマーベラスとバスコの決闘の決着シーンがストーリーやテーマと連動した見事なもので、
アクションでしっかり物語を紡いでいました。

このように今回のエピソードはアクションシーンが多く、全体的にドラマ部分は少な目でした。
ストーリーとしては、マーベラス達が前回バスコに奪われたレンジャーキーやガレオンを取り戻すために
戦いを挑み、バスコと決着をつけて、それらを取り戻すという、
至ってシンプルなものでありましたが、ドラマ的に薄かった印象は一切ありません。
むしろ極めて濃厚であったといえます。

今回アクションシーンが多めでドラマシーンが少なめであったのと逆に、
前回はドラマシーンが多めでアクションシーンは少なめであり、
この前後篇は完全に2話で1つのストーリーになっているのでしょう。
前回の豊富なドラマ部分を受けて、今回のドラマ部分の意味が深まっており、
それがまた今回のアクション部分の意味を深いものにもしていると解釈すべきなのでしょう。

その今回のドラマというのは、一見すると、
「正義は勝利し、悪は敗れる」という因果応報の分かりやすいドラマが描かれていたように見えます。
確かに最終的にはそうした正邪の対照がくっきりするような結末にはなりましたが、
それはあくまで今回のエピソードの着地点に過ぎず、
マーベラス達の物語が今回のバスコに勝利した要因を
自分達の物語の最終的な着地点として受け入れたわけではないと思います。

それがどういう着地点に行きつくのかというドラマは次回以降に持越しになったわけですが、
どうしてそれが持越しになったのかというと、
この作品においてバスコというキャラは全否定されるようなキャラではないからです。

登場当初はバスコというキャラには裏の事情が有るのかとも思っていました。
例えば裏でザンギャック皇帝と繋がっているとか、
「宇宙最大のお宝」を使って何か良からぬことを企んでいるとかです。
それはつまり、純粋にお宝を求める、純粋に夢を求めるキャラではないという意味で、
真の意味での「海賊」ではないキャラという解釈です。

つまり、マーベラスが本物の海賊であり、それに対比されるキャラとして、バスコは偽物の海賊であり、
最終的にバスコがマーベラスに敗れる時というのは、
バスコが所詮は偽物であったということが弱点となって敗れるのだろうと予想していました。
いや、今回のエピソードをそのように解釈することも十分に可能であるし、
実際、バスコは所詮はある意味では邪道の偽物の存在だったと私も半ば思っています。
物語の最終的な結論はやっぱりそのように「バスコ的」なるものは否定されて終わるのではないかとも思っています。

いや、そうあるべきなのではないかというニュアンスで、
どうも私自身、この「ゴーカイジャー」の物語の今後の展開がよく分からなくなってきました。
最終盤になってここまで迷わされるというのは、
それはつまり、この作品の構成が素晴らしいということの証明でもあるのですが、
それにしても痛し痒しというやつです。

迷わされている原因は、バスコが当初予想していた裏のあるキャラではなかったことです。
バスコが「宇宙最大のお宝」をどうして執拗に狙うのか、どうして赤き海賊団を裏切ったのか、
そのあたりの、「海賊」のポリシーを裏切るような、
云わばバスコの「邪悪な偽海賊」としての底が見えるような情報がいつ出てくるのかと待ち構えているうちに、
何時の間にやら終盤になってしまい、どうも思ったよりもバスコは普通の奴っぽいという印象に変わってきました。

これは実はこの後の最終3話の敵となるザンギャックについても言えることで、
どんな邪悪な意思や目的を持った悪の組織かと思って、
その隠された禍々しい真の目的がいつ判明するのかと待ち構えているうちに、
終盤になってもそんな情報は全く出て来ないどころか、
序盤からお馴染みの幹部連中までも次々と倒されていき、
ゴーカイジャーとの因縁すら薄い、普通に地球を侵略しようとしている巨大軍事帝国になってしまいました。

そこで、途中から、ザンギャックがこのような普通っぽい敵として描写されたのは、
ゴーカイジャーが宇宙の抑圧的な秩序に対する反逆者の戦隊であるという
キャラクター性を際立たせるためであると考察するようになり、
バスコはそうではなく、もっとドラマチックな設定が描かれるのだろうと予想しました。

ところがバスコも意外に普通の奴でした。
バスコとの決着篇と思しきエピソードの前篇である前回においても、
未だバスコ関連の隠されていた驚愕の設定などが全く匂わされないことから、
これはバスコは間違いなく、ややこしい裏設定などの無い普通人キャラなのだと悟り、
これまでのバスコ関連の描写を全て考察し直してみたところ、
確かにバスコが普通人キャラであると見なした方が全ての辻褄が合うことが分かりました。

これは一見面白くない。
背景に分かりやすい邪悪なドラマを抱えていた方が、明確に悪として分かりやすく、
それを倒す正義のヒーローの物語が盛り上がります。
だから、バスコが予想していたよりも普通っぽいキャラであったことは、
一見すると、単に悪役として描写不足のように感じられます。
いや、バスコが悪ではないというわけではなく、とんでもないゲスなのですが、
予想していたものよりも背景描写が薄いように感じられるのです。
しかし、今回のエピソードで、バスコが普通っぽく描かれたのは、
この最終盤の展開の中で、マーベラス達のキャラに更なる深みを持たせるためであったのだと分かりました。

となると、ザンギャックが終盤になって異様に薄い普通っぽい敵組織として描かれているのも、
同じ理由なのではないかと、ふと感じられました。
基本的にはマーベラス一味の反逆者ヒーローというキャラクター性を際立たせるために
ザンギャックは普通に描く必要はあったのでしょうけれど、
それにしても終盤に来てのザンギャック描写のいっそうの薄さというのは妙で、
実はとんでもない凄い裏設定があるとかいう流れにはおそらくならないでしょう。

それでいてラスボスがザンギャックであり、
バスコを倒しても未だ「宇宙最大のお宝」の正体が判明していないということを考え合わせると、
どうやら「宇宙最大のお宝」に絡めてマーベラス達のキャラを更に深く一段掘り下げるために、
今回のバスコのように、ザンギャックという普通の敵が活用されるのではないかと思えてくるのです。

要するに、悪が普通の存在として描写されることによって、
悪の存在に格別の理由が必要無い世界、
すなわち悪の優位な世界を描くことが出来るのであり、
そうした世界で正義のヒーローを描く場合には、
正義は自明の存在ではないので、正義の存在に格別の理由が必要となり、
結果的に正義のヒーローの本質が描かれることになるということです。

その場合、正義が自明でない世界では
正義のヒーローは最初から正義のヒーローではない。
正義のヒーローではない者が正義のヒーローとなっていく「ゴーカイジャー」の物語は
こうした物語構造に合致した物語なのだといえます。

そうしてザンギャックという普通の悪との対比でゴーカイジャーが正義のヒーローの本質に到達して、
ゴーカイジャーの物語は完結するのでしょう。
今回のエピソードは一旦マーベラス達の物語にその前段階として必要な揺らぎを生じさせたように見えます。
そして、そこで活用されたのがバスコというキャラであったのです。

もちろんバスコにしてもザンギャックにしても、
そこらへんにいるような普通の一般人と同じように描写されているわけではなく、
特殊な悪人キャラには描かれています。
ここで言う「普通」というのは、特に入り組んだ背景描写を描くわけではなく、
普通に存在し得ると思わせるぐらい、背景描写が薄いということです。

背景描写が薄い場合は単なる印象の薄いキャラになってしまう危険があるのですが、
それと対比される形で主人公キャラがしっかり描かれていれば、
そこから逆算される形で悪人キャラの方もどういう意味を持ったキャラであるのか、腑に落ちてきます。
そうして腑に落ちれば、どうしてそのキャラが背景を薄く描かれていたのか、その意味も分かってきます。

バスコの場合、今回において遂に、そのキャラが腑に落ちて、その意味もハッキリと分かりました。
それと同時にバスコは退場なのですから、腑に落ちるように描くのが遅いと言われれば遅いのかもしれませんが、
キャラの完成と退場が同時であるというのは、脇役だからこそ出来る贅沢な描き方であり、
バスコというキャラは終わってみれば、全く余分な使われ方はせず、有終の美を飾った名悪役であったと思います。
ザンギャックも同様であってほしいと願います。

ただザンギャックとバスコの場合、この作品においては全く意味の違った敵役であります。
ザンギャックはマーベラス一味と全く相容れない水と油のような間柄であり、
それゆえ最終的にマーベラス一味が正義のヒーローとなるに際して、その敵役として必要なのでしょう。
ただ、ザンギャックは絶対悪としては描かれていないし、マーベラス一味も絶対善としては描かれていません。
絶対悪でないものと絶対善でないものとの戦いで、マーベラス一味を正義のヒーローとして描くに際して、
「宇宙最大のお宝」というアイテムが何らかの役割を果たすのだと予想出来ます。
そこにおいて、「正義のヒーロー」とは一体何なのか、最終的な答えが出るのでしょう。

ただ、普通に1年間、ヒーロードラマを描いていくと、主人公は絶対善に自然になっていきますし、
その敵は自然に絶対悪になっていきます。
毎回毎回、主人公が悪の怪人を機械的に倒していけば、どうしてもそのように見えていくものです。
しかし1年間、ヒーロードラマを保つためには、どうしてもその積み重ねは必要です。
だが、この「ゴーカイジャー」という作品では、最後に「宇宙最大のお宝」を使って
「正義のヒーロー」というものの答えを描くためには、
ザンギャックは絶対悪に描きたくないし、マーベラス一味は絶対善には描きたくはない。

だから、そのために何らかの工夫が必要です。
そのように考えると、この「ゴーカイジャー」という作品において描かれてきたドラマの
幾つかの要素が、その工夫のためにも機能していたということに気付きます。

この「ゴーカイジャー」という物語は主要な要素は3つ有ります。
「ゴーカイジャーVSザンギャックの戦い」
「宇宙最大のお宝探し」
「宇宙海賊の主人公たちが正義のヒーローに成長していく物語」の3要素です。
そして、この3要素がそれぞれ関わり合いながら
「通常回」と「レジェンド回」の2本立てで物語が進行していきます。

マーベラス一味は「宇宙最大のお宝」を手に入れるために
34個のスーパー戦隊(レジェンド戦隊)の大いなる力を次々と集めていきます。
これは「宇宙最大のお宝探し」という物語の要素を描いていくロールプレイングゲーム仕立ての舞台回しであり、
この要素が描かれるエピソードが「レジェンド回」なのですが、
その「レジェンド回」の都度、マーベラス一味はそれぞれのスーパー戦隊の元戦士たちと出会って、
地球を守ってきた伝説のヒーロー達の持っていた精神と同じ精神が自分達の中にも存在することを
1つずつ知っていき、そのたびに少しずつ彼らはヒーローとして成長していきます。

これが「宇宙海賊の主人公たちが正義のヒーローに成長していく物語」という要素の描写なのですが、
この要素を描くにあたっての大前提が、彼らが基本は宇宙海賊であるということです。
この部分を主に描いているのが「通常回」という、
レジェンド戦士は登場せず、マーベラス一味のキャラを掘り下げつつ
「ゴーカイジャーVSザンギャックの戦い」を描いていくエピソードです。

ゴーカイジャーとザンギャックの戦いはレジェンド回でも描かれますが、
レジェンド回の場合のザンギャックは単にマーベラス一味とレジェンド戦士との絡みのきっかけとなったり、
単に倒されるべき敵として登場するという程度の扱いであり、
ザンギャックというキャラの本領が発揮されるのは通常回の方です。

通常回というのは、宇宙を支配するザンギャック帝国の非道に対して戦いを挑む、
お尋ね者の宇宙海賊であるマーベラス一味の反骨のヒーローとしての心意気を主に描くエピソードであり、
この通常回で、マーベラス一味は反骨の宇宙海賊であることが強調され、
そのマーベラス一味の反骨精神が、
レジェンド戦隊の正義のヒーローの精神と重なり合うことが描かれるのが「レジェンド回」なのです。

つまり、この通常回とレジェンド回が交互に連なっていくことによって、
「宇宙海賊の主人公たちが正義のヒーローに成長していく物語」が描かれる構造になっているのです。
そして、その流れの中で、「レジェンド回」でマーベラス一味がレジェンド戦士と精神の一致点を見出すことで
獲得される「大いなる力」は、「宇宙最大のお宝探し」のカギとなって確保されていくと同時に、
「ゴーカイジャーVSザンギャックの戦い」におけるゴーカイジャーの追加武装としても活用されていくのです。

このように「ゴーカイジャーVSザンギャックの戦い」「宇宙最大のお宝探し」
「宇宙海賊の主人公たちが正義のヒーローに成長していく物語」の3要素がそれぞれ関わり合いながら
「通常回」と「レジェンド回」の2本立てで物語が進行していくという基本構造で、
「ゴーカイジャー」の物語は十分に面白く機能するようになっています。

ただ、それは単に「ゴーカイジャー」の物語のフォーマットを
ローテーション的に回して機能させることが出来るというだけのことです。
物語というものは綺麗に終わらせなければいけないのであり、
それは物語を単に回していくのとはまた違った作業です。

上記のような通常回とレジェンド回のローテーションを回していくだけならば、
マーベラス一味は次第に正義のヒーローへと成長していき、
34個の大いなる力を集め終ると同時に完全なる正義のヒーローとなり、
正義の敵である悪の組織ザンギャックを滅ぼして大団円という、
当たり前すぎる終わり方をすることになります。

まぁこれはこれで面白くないこともないのは、
もともと基本構造だけでもかなり面白い物語なのだから当然なのですが、
やはりさすがに捻りが無さすぎます。
クライマックスの盛り上がり感があまりにも無い。
やはりクライマックスには山場が必要です。

そこで、34個の大いなる力を集めてもなお、
マーベラス一味は絶対善の正義のヒーローとはなっておらず、
倒されるべきザンギャックも絶対悪の必ず倒すべき敵というわけではないという、
ヒーロードラマとしてはある意味、危機的状況を作り上げておき、
そこでクライマックスになって登場する「宇宙最大のお宝」が大きな役割を果たして、
善悪の対決が一気に盛り上がるという構造にしたのではないかという気がしています。

そのように思う根拠として、
この「ゴーカイジャー」の物語は、終盤になっても通常回とレジェンド回の連動がイマイチ悪いのです。
おそらくわざと悪くしているのではないかとも思えます。

つまり、普通はレジェンド回を重ねていくにつれて
マーベラス一味はどんどん正義のヒーローらしくなっていくはずであり、
その正義のヒーローらしさの増大は通常回の描写にも反映されて、
人々を守って戦う描写が増えていくはずなのですが、あまりそういう傾向は顕著ではありません。
終盤になっても通常回においては、相変わらずマーベラス達はダーティーな反骨のヒーロー然とした姿勢を維持し、
ザンギャックから人々を守るためというよりは、降ってくる火の粉を払うための抗争や、
逆境から立ち上がるリベンジに明け暮れているように見えます。

レジェンド回を重ねるたびに内面的には確かに正義のヒーローになっていっているのですが、
あくまで通常回での描写にはそれを実際の行動としては反映させないように制作サイドが努めているようです。
これはつまり、クライマックスにおいてあまりマーベラス達が絶対善、ザンギャックが絶対悪という
絶対的な対立構図が最初から見えてしまっていない状態を作るための伏線なのではないかと思えるのです。

そのような思惑が存在すると考えれば、
ゴーカイシルバー伊狩鎧という追加戦士が中盤で登場した意義というものも分かってきます。
最初、鎧というキャラが現れた時、
これはレジェンド回でマーベラス達とレジェンド戦士の橋渡しをするために機能するキャラなのだと思いました。
しかし、実際はあまりそのように機能することはありませんでした。
確かに鎧が加わってレジェンド関連の知恵袋になったり、
レジェンド関連の小ネタが増えたりして愉快な描写は増えましたが、
鎧の加入がレジェンド回の構造自体に根本的な変化をもたらすことはありませんでした。

むしろ鎧の存在意義は通常回の方にあったといえます。
鎧という地球人のスーパー戦隊マニアのキャラはマーベラスたち宇宙海賊とは違って、
真っ当な正義のヒーローとして動かせる、この作中の唯一のキャラなのであり、
鎧はマーベラス一味のレジェンド回で増大していった正義のヒーローとしての側面を
通常回で一身に肩代わりさせるためのキャラとして用意されたのです。

鎧が正義のヒーロー役をしっかり担ってくれるお蔭で、
マーベラス一味の正義のヒーロー性が高まっていった後でも、
マーベラス達5人は、登場時とあまり変わらない反骨ヒーローとして振る舞うことが可能になったのでした。
また、マーベラス達の鎧との考え方の違いを対比して描くことで、
マーベラス達の反骨ヒーローらしさを際立たせるというテクニックもたびたび使われました。

鎧というキャラの存在意義はそういうことであったのだと思います。
つまり、鎧もまた、マーベラス一味をクライマックスまで絶対善として描かないようにする
工夫の一環として機能したキャラであったといえます。

そして、一方、ザンギャックを絶対悪として描かないという工夫のために機能したのが、
ワルズ・ギル、ダマラス、インサーン、バリゾーグ、アクドス・ギル、ダイランドーなどの
ザンギャック帝国幹部陣の人間ドラマでした。

このザンギャック内のドラマは、主要3要素の連動したこの作品の物語の基本構造とは
ほとんど関係ありませんでした。
これらのメンツのうち、主役のマーベラス一味と因縁があったのはバリゾーグぐらいなもので、
そもそもこの幹部連中はマーベラス一味と直接顔を合わせることさえ稀であり、
ひたすら本筋とは関係ない内輪のレベルの意外に人間臭いドラマに終始したように見えます。
こういうことは珍しいといえます。
これも、マーベラス一味との対立関係をあまり先鋭化させず、
内輪の人間ドラマを描くことで、極端な絶対悪として印象づけることを回避してきたという意味があったのでしょう。

そうやって振り返っていくと、この物語の中における、残る存在意義が不明な要素はバスコだけです。
他にレジェンド戦士たちやアカレッドもいますが、
レジェンド戦士たちはあくまで各話におけるゲスト扱いであり、
その存在意義は既に物語の基本構造の中で、マーベラス一味にヒーロー性を示し、
マーベラス一味のヒーロー性を見出す者として十分に機能しています。
また、アカレッドは重要キャラですが、結局クライマックスまで、未だまともに登場しておらず、
謎の多すぎるキャラであり、現状ではマーベラスの回想の中のキャラでしかありませんから、
ここまでの物語の中での存在意義が何であったのか考察するような対象ではありません。

そういうわけで、バスコだけがよく分からない。
一見、「宇宙最大のお宝探し」の競合者という存在意義があるように見えますが、
別に競合者はバスコでなくてザンギャックであっても良かったはずですし、
競合者自体が物語の構造上、絶対に必要だったとも思えません。

だから、どうもバスコの存在意義が分からず、
ものすごい巨悪に成長してラスボスになるのかとも思ったが、そういうわけでもなかった。
マーベラス達が正義の海賊であるのに対して、悪の海賊として配置されているのだろうという
印象は受けていましたが、
マーベラス達が海賊であることや正義であることを強調すること自体が、
この物語の中で大して重要な要素とは思えず、
そんなことはバスコというキャラを使わずとも、普通に描写出来ており、
そもそもバスコのようにたまにしか出ないキャラでは、そんな目的に大して役に立つとも思えませんでした。

しかし、クライマックスまでマーベラス達とザンギャックの間の
絶対善と絶対悪の絶対的対立関係を際立たせないようにするという思惑が存在するのではないかという
視点を導入することによって、バスコの存在意義というものが見えてきたのです。
いや、実は話は全くの逆であり、
今回のエピソードを見たことによって、バスコというキャラの真の存在意義が分かり、
その結果、クライマックスまでマーベラス達とザンギャックの間の
絶対善と絶対悪の絶対的対立関係を際立たせないようにするという制作陣の思惑が
存在するのではないかという推論が生まれたのです。

すなわち、バスコというのは、
マーベラス一味を絶対善にしないためにブレーキ役として
機能していたキャラだったのではないかと、
今回感じたのです。

通常回を反骨ヒーロー系のエピソードにするよう努めたり、
正義のヒーロー性を鎧に肩代わりさせたりして、様々に工夫していっても、
それでもレジェンド回を重ねていくにつれて、
どうしてもマーベラス一味の正義のヒーローらしさというのは自然に大きくなっていってしまいます。
特に最近の終盤のエピソードでは、かなり善良で人々のために戦うヒーローっぽくなってきていました。

もちろん基本的にはそれは良いことなのであり、
最終的にはその方向で物語は着地するはずだと思うのですが、
そこにこのままなだらかな曲線で軟着陸してしまっては物語の流れとして面白くないので、
一旦逆方向に引き戻さないといけない。

そのためには、正義のヒーローの甘さを思い知らせる、超辛口のキャラが必要です。
それが激辛の香辛料をその名に持つ男、バスコ・タ・ジョロキアだったのです。
バスコというキャラはマーベラス達が正義のヒーローっぽくなりすぎないように、
定期的に現れてマーベラス達の甘さを否定して、「海賊」に引き戻すためのブレーキ役のキャラであり、
ブレーキ役だからたまにしか登場する必要が無かった。
いや、基本的にはマーベラス達が正義のヒーローであるドラマであるこの作品においては、
たまにしか登場してはいけないキャラだったのです。

つまり、バスコは実は「偽海賊」ではなく、超辛口の「真の海賊」であったのであり、
バスコと戦うことを通して、マーベラス一味は自らが「正義のヒーロー」ではなく、
もともとは「海賊」であることを定期的に確認させられていたのです。

そのバスコが今回の最後の最後の出番において、
ザンギャックとの最終決戦前にめっきり正義のヒーローっぽくなっていたマーベラス達を
一旦大きく「海賊」へと引き戻しておくという役目を最大限に果たしたのだといえます。
ただ、それだけではなく、バスコは一旦「海賊」に引き戻した後のマーベラス達に、
彼自身の敗北を通して、その先の、最終3篇においてマーベラス達が本当に辿り着くべき答えのヒントも
示したような気もします。
前回と今回のバスコとの決着篇の前後篇というのは、そういう趣旨のエピソードであったのではないかと思います。

前回のエピソードを振り返ってみると、
サリーの一件を巡ってマーベラス一味とバスコの考え方の違いが浮き彫りになったことが分かります。
どんな絶望的状況でも未来のささやかな幸せを願う仲間たちとの絆を第一に考え、
時にはそれを夢よりも優先させるマーベラス一味。
一方、絶望的な世界の中で夢を掴むためには、大切な仲間さえも切り捨てるために存在するという考え方のバスコ。
この両者がサリーを巡って対立し、サリーはマーベラス一味を選んだ。

つまりマーベラス一味の理念がバスコの理念に勝利した。
そのように見えた瞬間、サリーを仲間として迎え入れたことが仇となり、
マーベラス一味は逆転負けを喫してしまったのです。
夢を仲間よりも優先させるバスコの夢を掴もうとする執念が、
仲間を夢よりも優先させるマーベラス一味の甘さを凌駕したのです。

普通のヒーロードラマならば、これは悪の善に対する一時的勝利に過ぎないことは明白ですが、
この「ゴーカイジャー」の場合、事情が違います。
何せ、ゴーカイジャーは夢を追い求める海賊の戦隊なのです。

本当はマーベラス達は夢を掴むことを優先するならば、サリーにここまでこだわる必要は全く無かったはずです。
一方、バスコは夢を掴むために、とことんサリーを道具として利用し尽くした。
どちらが「夢」というものに対して真摯であったかというと、それはバスコの方でしょう。
ならば、当初の予想とは全く逆で、バスコこそが真の海賊であり、マーベラス達は紛い物の海賊ということになる。
となると、この物語が海賊の物語である以上、バスコがマーベラス達に勝利したのは
正当なことということになります。

ただ、これがこの物語の結論ではありません。
何せ、この物語は「海賊がヒーローになる物語」だからです。
そしてゴーカイジャーは「夢を掴むために集まった仲間たちの絆」そのものなのです。
しかし「海賊」と「ヒーロー」という概念、「夢」と「仲間」という概念は、
前回のサリーを巡る対峙でも明らかなように、なかなか相容れるものではありません。

バスコはそれが相容れないということを知っており、見切りをつけている者であり、
その結果、とことん「海賊」と「夢(という名のエゴ)」に徹したダークヒーローです。
純粋に夢の力で戦うヒーローというのはバスコのような者を言うのでしょう。
バスコが5つの戦隊の大いなる力を奪うことが出来ているのも、彼が単純な悪ではなく、
夢の戦士、ダークヒーローだからです。

ヒーローはたとえ変身能力を失っていても、単なる悪に簡単に屈したりはしない。
しかし相手がダークヒーローであるなら話は別です。
この「海賊」と「夢」に徹したダークヒーローに対抗するには、
「ヒーロー」と「仲間」にとことん徹する必要があります。
スーパー戦隊はまさにその資質を持った戦士たちなのですが、
残念ながら変身能力を失っているので、それがハンデとなってバスコに勝つことが出来なかった。

一方、唯一変身能力を持ってバスコに対抗し得る存在のゴーカイジャーは、
「海賊」と「ヒーロー」、「夢」と「仲間」の間で中途半端に揺れ動き、バスコに敗れました。
そこで今回、マーベラスはそのことを悔いて、自分も海賊としての原点に戻り、
「海賊」と「夢」に徹してバスコと決着をつけようとします。

しかし、その決着は意外な形でつくことになります。
そこで示される価値観は、非常に月並みでありながら、
これまでこの「ゴーカイジャー」の物語の中であまりテーマとして取り上げられて来なかったもので、
その極めて月並みなテーマをセリフで言ってしまうと白けてしまいがちですが、
その説明を一切セリフ無しに表現した今回の脚本と演出は極めて秀逸といえます。
神回というのはこういうエピソードを言うのでしょう。
もちろん、この着地点に持っていくための周到な種蒔きをした前回のエピソードも合わせた、
前後篇の総合的な評価としての神回ですが。

そのことを踏まえて、「ゴーカイジャー」の物語を俯瞰してみると、
どうして34のスーパー戦隊はレジェンド大戦でザンギャックを完全に倒すことが出来ず
戦う力を失う羽目になったのか、なんとなく分かってきます。
おそらく「ヒーロー」と「仲間」に徹したヒーローではザンギャックは倒せないのです。
また、バスコがザンギャック支配下の宇宙で絶望から抜け出せなかったのは、
「海賊」と「夢」に徹したヒーローでもザンギャックには勝てないからなのでしょう。

それらがどうしてなのか、そもそもザンギャックとは何を表しているのか、
それは現時点ではよく分かりません。
それはおそらく最終3篇を見ると、見えてくるのでしょう。

ただ、おそらくザンギャックを倒すことが出来るのは
「海賊」と「ヒーロー」の両面を兼ね備えた、「夢」と「仲間」を両立させることの出来る
ヒーローだけなのでしょう。
だから、この物語は「海賊がヒーローになる物語」なのであり、
海賊でありながらヒーローであるマーベラス一味という主人公たちが設定されたのです。

ただ、「海賊」と「ヒーロー」、「夢」と「仲間」を両立させることは困難であり、
それゆえ、マーベラス達は単に中途半端となって、
とことん「海賊」と「夢」に徹したバスコに一旦敗れ去った。
今回、マーベラスがその雪辱を果たしてバスコに勝利したのは、
バスコと同じく「海賊」と「夢」に徹したからではなかった。
マーベラスはそうして勝とうとしたが、結末はそうではなかった。

おそらく、そのバスコに対する勝利の決め手として今回のエピソードで示された価値観こそが、
「海賊」と「ヒーロー」、「夢」と「仲間」を両立させるもののヒントとなるのでしょう。
だから、ザンギャックとの決戦前にそのヒントが示される必要があった。
そういうわけでマーベラス一味とザンギャックとの決戦の前に、
マーベラス一味とバスコとの決着篇が挿入される必要があったのではないかと思います。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 11:08 | Comment(2) | 第48話「宿命の対決」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月28日

第47話「裏切りの果て」感想その6

ここからようやく今回のエピソードで最初の等身大戦闘シーンとなります。
やはりこの終盤エピソードは次作との兼ね合いもあってアクションシーンを絞り込んできます。
ただ、その絞り込んだ分、クオリティを上げてくるのが終盤エピソードのアクションシーンの特徴です。
今回、強敵のバスコとの戦いで、しかもバスコにゴーカイジャーが敗れる戦闘シーンなのですが、
ゴーカイジャー側も強く見せることによって、それに勝つバスコをより強く見せるという演出になっています。
よって、かなりクオリティの高いアクションシーンとなっていて、嬉しい限りです。

まずは意識不明で倒れているマーベラス以外の5人はゴーカイジャーの姿でのアクションで、
バスコを取り囲んで「はああっ!!」と攻撃しますが、
さすがにバスコは強くて、剣1本でこの5人の攻撃を寄せ付けません。

「ほ〜ら!どうしたの〜?」と調子に乗るバスコに返り討ちにあった5人は一旦距離を置き、
1列に並び、そこでルカが「余裕かましてくれちゃって!」と言って
取り出したレンジャーキーはキリンレンジャーです。
「みんな!こいつでいくよ!」というルカの音頭で5人が変身したのはダイレンジャーでした。

ジョーがテンマレンジャー、ルカがキリンレンジャー、ハカセがシシレンジャー、
アイムがホウオウレンジャー、鎧がキバレンジャーで、当然マーベラスのリュウレンジャーはいません。
ダイレンジャーはよく豪快チェンジされている戦隊です。
ここでは鎧以外の4人は共通武器のダイレンロッドを最初から持っており、鎧は白虎神剣で戦います。

ダイレンロッドと白虎神剣を振るって襲い掛かるゴーカイジャー5人に対して、
バスコは「フン!」と余裕で迎え撃ちます。
ダイレンジャーのアクションとしてはかなり最強の型での攻撃なのですが、
取り囲んで攻撃してくる5人を全く寄せ付けないバスコは、やはり恐ろしく強いです。

「うおおおお!」とダイレンロッドで打ちかかったルカも、
ダイレンロッドを奪われて、さんざん斬られて蹴り飛ばされて地面に転がります。
ところが、ここでルカは起き上がると「天時星!時間返し!」と掛け声をかけ、
両手を身体の前で特殊な形で組み、気力技を出したのです。

スーパー戦隊シリーズの数々の技の中でも特に人気の高いダイレンジャーの気力技、
なんと、この局面で登場させてきました。
ダイレンジャーといえば特徴的な気力技が印象的でしたので、
どうしてダイレンジャー篇の時に気力技をやらなかったのだろうかと不思議に思っていたのですが、
なるほど、ここで使ってきましたか。
確かに、ダイレンジャーの気力技はスーパー戦隊シリーズの各戦士の個人必殺技の中では
最強の部類に入る技ですから、
この技を出してもなお勝てないバスコの強さを際立たせるという意味では有効な使い方です。

まず、ここでルカが使った「天時星・時間返し」という技は、
キリンレンジャーの気力技で、時間を操る技です。
かなり反則技で、敵の攻撃を喰らった時、敵が攻撃を繰り出す前まで時間を巻き戻して、
敵が攻撃する前に先にこっちから攻撃してしまうという技です。

ルカがこの技を発動すると、映像が逆回しスピード再生され、
ルカがダイレンロッドで打ちかかる前まで時間が戻り、
ルカはこの後のバスコの動きを知っていますから、どうせ通用しないと分かっているダイレンロッドを捨て、
大輪剣を手にして「やられる前にやり返す!」という、
オリジナルのキリンレンジャーの知のこの技発動時の決めゼリフを言って、
大輪剣を「はぁっ!!」とバスコに投げつけます。

バスコの方はこの先のルカの動きはもちろん予測はついていませんから、ルカの方が当然有利で、
大輪剣の攻撃はバスコにヒットしますが、
それも1回だけで、後はブーメランのように何度も襲う大輪剣にバスコは反応し、
剣で撃ち返してルカに命中させ、ルカは「ううっ!!」と逆に吹っ飛びます。

時間返しも万能技というわけではなく、
相手の動きをあらかじめ知った上で不意打ちを喰らわせる技であり、
同等の実力の者同士であれば絶大な威力を発揮しますが、
相手がバスコほど強い場合は、途中から修正して動きについてきてしまうので、
不意打ちも最初の方しか通じないのです。

そこで吹っ飛ばされたルカに代わってバスコの前に飛び出したのはハカセでした。
ハカセは手を突き出し「天幻星!霧隠れ!幻新幹線!」と掛け声をかけて、
これまたシシレンジャー得意の気力技を発動します。

「天幻星・霧隠れ」という気力技は、手から霧を吹き出して敵に幻影を見せる技ですが、
この幻影が気力で出来ているので攻撃力も持っており、敵を幻影で攻撃することが出来ます。
ここでハカセがバスコに見せた幻影は新幹線でした。
オリジナルのシシレンジャーの大五は幻戦闘機や幻戦車を出したりしていましたが、
特に面白かったのは幻山手線や幻総武線を出して敵を轢いた技でした。
このハカセの幻新幹線は、このオリジナルの幻山手線や幻総武線の強化版と言っていいでしょう。

しかし本当に新幹線を出しているわけではないので、
結局はハカセの放つ気力の強さに比例した技の強さになるのであって、
バスコはこの幻新幹線に当初は翻弄されますが、すぐに技を見切って剣でハカセの気力を弾き返し、
幻影を消すとハカセに飛び掛かり、斬って吹っ飛ばします。

すると、そこにすかさずバスコの背後にカポエラのような足技重視の動きで飛び込んできたのはジョーでした。
これはオリジナルのテンマレンジャーの足技主体の動きを意識したものでしょう。
なんだかダイレンジャー篇よりもよほどダイレンジャーのアクション再現度が高いです。
スタッフにとって一種の雪辱戦なのかもしれません。

ジョーもここは気力技で「天重星!重力逆転破!」と掛け声をあげて、手を前に突き出します。
するとバスコの周囲の地面から大きな岩が飛び出してきて、バスコを押し潰そうとして飛んできます。
テンマレンジャーの気力技「天重星・重力逆転破」は重力を操る技で、
物体を宙に浮かせて攻撃に使う技です。
まぁダイレンジャーの気力技というのは一種のサイキック技なのですが、
その中では比較的、分かりやすい物理攻撃技です。

とにかくここは岩でバスコを圧し潰そうというわけなのですが、
バスコは必死で次々と襲い来る大岩を剣で砕いていき、
技の効力が切れたところでジョーは「うおおおお!!」と足技でバスコを攻撃し、
岩との戦いで疲れたバスコはジョーの攻撃を何発か喰らいますが、
最後は剣で一閃してジョーを退けます。

そこに今度はアイムが「天風星!一文字竜巻!」と叫んで、竜巻を起こします。
ホウオウレンジャーの気力技「天風星・一文字竜巻」は嵐を起こす気力技で、
ここでは竜巻を発生させてバスコを捕え、吹き飛ばそうとしますが、
バスコは剣でアイムの気力で出来た竜巻を斬り抜けて脱出し、
アイムに迫りネックハンギングを決めて、
苦しむアイムを見上げて「ハッハッハ・・・」と愉快そうに笑うと、放り投げます。

そこに今度は鎧が白虎神剣を振りかざしてジャンプして、
「吼新星!乱れやまびこ!」と叫び、気力技を発動します。
このキバレンジャーの気力技「吼新星・乱れやまびこ」は第33話でも使われましたが、
あの時はこの技本来の演出になっておらず、単なる斬撃技になっていましたから、
今回、遂に本来の乱れやまびこが再現されました。

この技は本来は音を操る気力技で、破壊音波で敵を倒す技です。
オリジナルのキバレンジャーのコウはハードロックや銃声などの破壊音波を使いましたが、
ここで鎧は工事現場の騒音を発生させ、その破壊音波でバスコを攻撃します。
破壊音波に苦しむバスコでしたが、なんとか持ち直し、鎧と斬撃戦に突入すると競り勝って、
鎧は「ぐあああ!!」と吹っ飛ばされます。

こうして5人とも最強技ともいえるダイレンジャーの気力技を繰り出しながら、
個別攻撃ではやはりバスコには通じず、追い込まれます。
リュウレンジャーの気力技「天火星・稲妻炎上破」はマーベラスが寝てるので繰り出してはいないものの、
この気力技の波状攻撃を破ったのは「ダイレンジャー」本編でも道士・嘉挧のみであり、
バスコがいかに強いか分かります。

バスコは「もうボロボロじゃん・・・いい加減諦めな!」と茶化しますが、
鎧は「諦めねぇよ・・・絶対に!!」と凄い気迫でシュリケンジャーのレンジャーキーを出し、
ここで5人はハリケンジャーに豪快チェンジします。
正確にはハリケンジャーに変身したのはジョーのハリケンブルーとルカのハリケンイエローで、
ハカセのカブトライジャーとアイムのクワガライジャーはゴウライジャーであり、
鎧はシュリケンジャーに変身しました。

ここで5人が繰り出したのは合体必殺技の「超忍法・影の舞」です。
が、障子の影絵の中でバスコは5人の攻撃を全て受けきり、
遂には障子ごと5人を吹き飛ばし、「影の舞」までも破ったのです。
「影の舞」が破られたのは「ハリケンジャー」本編でも、
暗黒七本槍最強のサンダールと戦った時だけであるから、
まぁマーベラスがいない分、技の威力が落ちるとはいえ、バスコの強さはやはり並ではありません。

吹っ飛んだ5人を見て「フッフッフ・・・」とほくそ笑むバスコを睨み返し、
ジョーは不屈の闘志で「もう一度いくぞ!!」とギンガブルーのレンジャーキーを出し、
今度は5人はギンガマンに豪快チェンジします。
ジョーがギンガブルー、ルカがギンガイエロー、ハカセがギンガグリーン、
アイムがギンガピンク、鎧が黒騎士に変身します。

ここでふと気付きましたが、まぁどうでもいいことですが、
今回のアクションシーンでは、ハカセが(というより竹内さんが)面白アクションをやっていません。
やはり、ここはシリアスな場面なので空気を読んだのでしょう。

さて、ここで5人が変身するなり、すぐにダッシュしながら繰り出した技は「銀河の戦光」です。
この技はギンガマンの合体必殺技で、
ギンガマン全員が体内に取り込んだギンガの光をフルパワーにして身体を光弾に変形させて
合体して敵に体当たりする技です。
敵怪人を倒すギンガマン最強の決め技ですから、普通の怪人なら耐えることは出来ない技ですが、
バスコはこれに押されながらも耐え抜き、弾き返します。
マーベラスがいない分、技の威力が落ちているとはいえ、これもやはり大したものです。

「ああっ!!」と地面に叩きつけられた5人を眺めて、
バスコは「そろそろ終わりにしようか・・・」と言うと、
第31話で見せたような超高速の攻撃で5人の間を縦横無尽に駆け回りながら斬りまくり、
「うわああああっ!!」と5人は変身解除して吹っ飛び、
マーベラスの倒れている近くに落ちて、皆、気を失ってしまいました。

変身を解除して人間態になったバスコは、倒れて動かなくなった5人を見て、
「・・・ま、こんなところか・・・!」と満足げに笑うと、
にわかに雲行きが怪しくなって雷鳴が轟き始めた中、
マーベラスも含めて、気を失って倒れている6人に向かってゆっくり歩いて近づいていきます。

さて、それから少し後、雷鳴が轟く中、停泊中のゴーカイガレオンの船室では、
1羽残ったナビィが操作盤を弄りながら、焦った様子で
「みんなどうしたの!?返事してよぉ!」と、マーベラス達に呼びかけています。
サリーを追い掛けて、バスコと戦いに行った6人からの連絡が全く無いので、
ナビィが心配になって連絡を取ってみようとしても誰も応答してくれないのです。

「鎧!アイム!ハカセ!ルカ!ジョー!マーベラス〜!」と必死に呼びかけるナビィに突然、
「よぉ!ナビィちゃん!ごぶさたぁ〜!!」と声をかける者がいるので、
ナビィが見てみると、なんと船室にバスコがニヤニヤ笑いながら入ってきます。
「バ・・・バ・・・バスコォ・・・!?」と仰天したナビィは「やあああ!」と飛んで逃げますが、
バスコは「逃げても無駄だよ〜!・・・もう、誰も助けに来ない!」と言って、
手に握った6つのレンジャーキーをナビィに見せます。
それはゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、
ゴーカイピンク、ゴーカイシルバーのレンジャーキーでした。

本来はマーベラス達が持っているはずのこれらのレンジャーキーをバスコが手にしているのを見て、
ナビィは船長椅子の上にとまり、「マーベラス達をどうしたんだぁ!?」とバスコを問い詰めます。
バスコと戦いに行ったマーベラス達と連絡が取れず、
バスコがマーベラス達のレンジャーキーを持ってガレオンに乗り込んできたということは、
マーベラス達がバスコに敗れたということを意味することはナビィにも察しはつきます。
しかしレンジャーキーを奪ったという行為が何を意味するのか、いまひとつ分かりません。
バスコがマーベラス達を殺したのか、そうでないのか、ちょっと分からないのです。

しかしバスコはナビィの質問には答えず、船室にどんどん入ってきます。
ナビィは怒って飛び立ち、「勝手に入ってくんなぁ!!お前なんか!お前なんか・・・」と
バスコの前でジタバタしますが、バスコはいきなりナビィを思いっきりぶん殴って床に叩きつけ、
「ぎゃっ!!」と悲鳴を発して床に転がったナビィを踏みつけると、
満足そうに笑って「やぁっと揃った!」と言って船長椅子にどっかと腰かけ、
「34の大いなる力・・・」と言いながら隣にある宝箱の蓋を開きます。

中にはぎっしりと192個のレンジャーキーが入っており、
そのレンジャーキーのうち、29戦隊分のレンジャーキーには、大いなる力が宿っています。
そしてバスコが珠状にして持っている5個の大いなる力も合わせると、
遂にこの場に34個の大いなる力が揃ったことになります。

そしてバスコは「全てのレンジャーキー・・・」と言いながら、
マーベラス達から奪ってきたゴーカイジャーのレンジャーキー6個を、
宝箱の中のレンジャーキーの山の上に置きます。
これで宝箱の中には198個の全てのレンジャーキーが揃ったことになります。
ゴーカイジャーのレンジャーキーが「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なのかどうか、
よく分かりませんが、とりあえずバスコは全てのレンジャーキーを1ヵ所に集めたようです。

そしてバスコは船室を見渡して「ゴーカイガレオン・・・」と呟き、
更に足元で踏みつけられてジタバタしているナビィを見下ろし「そしてナビィ・・・!」と嬉しそうに言うと、
「宇宙最大のお宝は・・・この俺のもんだぁ!」とニヤニヤします。
そしてバスコは船長椅子でそっくり返って「ハッハッハッハッハッハッハァッ!!」と高笑いするのでした。

確かにこれで「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なものは全てバスコの手中に落ちたことになります。
ただ、バスコがこれらのものを使って「宇宙最大のお宝」を見つける具体的な方法を果たして知っているのかどうか、
よく分かりません。
まぁおそらく、アカレッドの持っていた情報を探ったりして、その方法を掴んでいるからこそ、
バスコはここまで有頂天なのでしょう。

ただ、もう1つ気になることは、バスコは「宇宙最大のお宝」の正体を知っているのかどうかという問題です。
これについては、どうも知らないのではないかという気がします。
これまでにもバスコが「宇宙最大のお宝」の正体を知っているかのような描写は全く無く、
単に「宇宙最大」のお宝だから欲しいというだけであるように見えます。

また、バスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れた後の展望の話も全くしたことはありません。
つまり、バスコというのは「宇宙最大のお宝」で何かの利益を得ようとしているわけではない。
例えば大金持ちになろうとか、その超パワーで宇宙の支配者になろうとか、そういう思惑は無いのです。
ただ純粋に宇宙最大のお宝を手に入れたいだけ、
つまり、大きな夢を掴むことそのものが望みの、真に純粋な夢想家なのでしょう。
あまりに純粋ゆえに、ここまで歪んだのだともいえます。
まぁ次回、バスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れたかった全く別の理由が突然語られる可能性もまだ有りますから、
まだそのように断定することも出来ませんが。

そして、次回に向けてもう1つ気がかりなのは、マーベラス達の安否です。
ここでラストシーンは、さっきの森の中に倒れたマーベラス達の姿が映されます。
外は雷雨が降り始めてきており、倒れたままのマーベラス達の身体にも雨粒が落ちてきていますが、
マーベラス達6人は、さっき倒れていた姿のまま、ピクリとも動きません。

ただ、さっき倒れたままの姿勢で、何ら変わっていないということは、
バスコはマーベラス達に近づいてレンジャーキーを奪っただけであり、
トドメを刺したりはしていないようです。
確かに、もしトドメを刺すつもりなら、マーベラス達に近づく前に人間態に戻る必要は無かったはずですから、
バスコにはトドメを刺す意思は無かったのだろうと思います。

とはいっても、倒れ込んだ段階でジョー達が絶命していた可能性もありますから、
完全に生きているとも断言は出来ないのですが、
マーベラスに関してはサリーの爆発の段階では死んでいなかったのは明らかですから、
バスコはそのマーベラスのトドメも別に刺す気は無かったということになるので、
やはりジョー達のことも殺してはいないのだと思います。

しかし、何故バスコはマーベラス達を殺さなかったのでしょうか?
これは結局、バスコがあくまで「宇宙最大のお宝」しか興味が無い、単なる普通の人間だからなのでしょう。
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには何でもする男だが、
基本的には悪人ではないし、殺人を楽しむような人間でもないのです。
だから、ガレオンに乗り込んで全てを手に入れることが出来るとなったら、
もうマーベラス達を殺す必要すら感じないのでしょう。
もはや、そんなことはする意味は無いのです。

ただ、ガレオンやレンジャーキーなどの奪還に来られると面倒だから、
変身出来ないようにレンジャーキーを奪ったのでしょう。
いや、レンジャーキーは宝箱に入っている限り、カーギーロードで取り出すことは出来るし、
モバイレーツがあれば変身出来るので、
明確な描写はありませんでしたが、バスコはレンジャーキーだけでなく
6人のモバイレーツおよびゴーカイセルラーも奪っているのかもしれません。
もしそうでないとしたら、カーギーロードの切断とか、レンジャーキーを宝箱から他に移すとか、
何らかの措置を講じるのかもしれません。
とにかく、マーベラス達を殺していない以上、
バスコはマーベラス達のリベンジを警戒して、変身能力は奪っているはずと見ていいでしょう。

とにかく次回、マーベラス一味とバスコの決着がつく気配が濃厚ですが、
マーベラス達は死んでいないとしてもダメージは深刻そうであるし、
バスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れてしまいそうだし、まさに絶体絶命という状態です。
その両者の決着とともに、「宇宙最大のお宝」の正体も遂に判明するのかどうか、
そのあたりも興味津々というところです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(1) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第47話「裏切りの果て」感想その5

やがて陽が沈み、夜となりました。
地上にはバスコが森の中に1人で腕組みをして立って、夜空を見上げています。
おそらく今頃ガレオンの中に潜入しているサリーのことを考えているのでしょうけれど、
いつもの飄々とした悪巧み顔ではなく、何やらシリアスな表情です。
それほど重要な任務をサリーに与えており、作戦の成否が気になっているという風にも解釈出来ますが、
作戦は順調に進んでいるわけですから、もう少し得意そうな顔をしてもよさそうなものです。
しかしバスコはあくまで厳しい表情で、やはりサリーを心配する気持ちが多少はあるのでしょうか?

そういえば、第39話のメガレンジャー篇の時、
ジョー達に叩きのめされたサリーが絶体絶命となった時、バスコは珍しく狼狽えていました。
あの時は一見、サリーを心配しているように見えましたが、
薄情者のバスコがサリーにだけ人間的な感情を向けるというのも不自然であったので、
サリーには何か重大な秘密があって、
バスコはサリーを失うわけにはいかない事情があるのかもしれないとも考えました。

しかし、今回、もしマーベラスがサリーを助けなければ、バスコは自らサリーを殺していたわけですから、
サリーがどうしてもバスコにとって失うわけにいかない事情があるというわけではなさそうです。
となると、あの時、バスコがサリーの危機に狼狽したのは、
単に反射的にサリーを失いたくないという感情が現れたと考えるしかない。
ロイドの入れ物という意味でサリーの利用価値は確かにあったが、
それだけの価値を失うのを恐れてバスコがあんな狼狽するというのも妙で、
役に立つ立たないは別にして、バスコもサリーを大切に思っていたと考えた方が正解ではないかと思います。
だから、バスコはサリーのことを心配して夜空を見上げているのでしょう。

そのバスコは顔を下ろし、目を閉じて下を向いて、昼間のサリーとの遣り取りを想い出します。
それは、カンゼンゴーカイオーによって2体のロイドが猛攻を受けているのをビルの屋上から眺めながら、
次の作戦をどうしようか思い悩んだバスコが、サリーを見て良い作戦を思いついた後の場面、
先ほどのそのシーンでは画面に映らなかった場面の回想です。

バスコはサリーに向かって「いいなサリー!奴らの船に入って宝箱を盗んでこい!」と話しかけます。
どうやらバスコの狙いは、やはりレンジャーキーの宝箱を盗み出すことであったようですが、
サリーは「ウキッ?」と、あまりよく分かっていない様子です。
そこでバスコはサリーの目の前にしゃがみ込んで「宝箱だ!た・か・ら・ば・こ!」と、
ガレオンにあるレンジャーキーの宝箱の大きさぐらいに両手を広げて、サリーになんとか理解させようとします。
するとサリーはどうやら理解したようで「ウキッ!ウキ〜ッ!」と大きく頷きました。

サリーは一応、人間の言葉は理解出来るようですが、
知能は低いので難しい抽象的な概念や、見たことがないような物は理解出来ないようです。
ただ、ガレオンの宝箱ならば、第16話の時に人質のジョー達との交換の偽装のために
マーベラスが持ってきたのをバスコは見ていますから、
なんとか、あの時の箱をコッソリ持って帰ればいいのだということは理解出来たようです。
ただ、どうやってガレオンに侵入すればいいのかサリーには分かりませんし、
そもそも侵入方法をどうしようかなどと悩むというレベルまで知能が達してはいません。
目の前に見覚えのある宝箱があれば、それを盗み出せばいいという程度の認識です。

そうしたサリーに対してバスコは陽気に「そうすれば宇宙最大のお宝が手に入る!バナナだって喰い放題だぁ!」と、
サリーの好物のバナナで釣って、サリーのやる気を煽り、
サリーは見事に盛り上がって「キッ!ウキ〜ッキッキッ〜!!」とクルクル回って跳びはねて大喜びです。
しかし、これはほとんど調教の延長であるような気がします。
サリーの好物がバナナであるというより、バスコがバナナでサリーを餌付けして調教した結果、
サリーはバスコの命令を聞くたびにバナナを与えられて、結果的にバナナが好きになっただけのようです。

動物を使役するというのは現実としてそういうものではありますが、
それにしてもガレオンに侵入して宝箱を奪うなどというのは大変に危険な任務です。
そういえば「199ヒーロー大決戦」では同じことをやったゴセイレッドのアラタが
マーベラスにボコボコにされていましたから、どう考えてもサリーには荷が重い。
サリーはそれがどれほど危険なことなのか分かっていないから無邪気なものですが、
バスコはその危険性が分かっているはずです。

そんな危険な任務に送り出すのだから、いくら相手が動物だといっても、
愛情があるのなら少しは真心のこもった言葉をかけてあげてもよさそうなものですが、
バスコはいつも通りにバナナで釣るだけです。
ただ、それでもバスコはサリーのことを大切に思っているし、愛着もあるのでしょう。
つまりは、バスコの愛情というものは何かが歪んでいる。

バスコは懐からペンダントを取り出して、ニッコリ笑って「・・・じゃあ頼んだよ、サリー!」と言って、
そのペンダントをサリーの首にかけてあげます。
サリーはどうしてそんなものを首からぶら下げられたのかよく分からず、
「ウキ?・・・キ〜ッ?」と鳴いて、その銀色のペンダントの飾りを触って首を傾げますが、
バスコはニコニコ笑って「・・・お守りだ!」とペンダントの意味を説明しながら銃を取出し、
いきなりサリーに突きつけます。
サリーは予想外のバスコの行動に驚き「ウキ〜ッ!?」と吠えて跳び退きます。

この後、ロイド達を撃破したマーベラス達が目撃した、
バスコがサリーに銃を突き付けて「サリー!ロイドが品切れになった以上、君に食べさせるバナナは無いよ!」
と言う場面に繋がるわけです。
つまり、バスコはサリーにガレオン侵入のためにお芝居で銃で撃つという説明はせずに、
いきなりサリーを撃ったのです。
これではサリーが驚くのも当然でしょう。

ただ、サリーに下手に作戦内容を説明してしまうと、
サリーはマーベラス達の前で被害者のフリを演じなければならなくなる。
ただ、知能の低いサリーが中途半端にマーベラス達を欺こうとして演技をすれば、
それこそ白々しい「サル芝居」というやつになってしまい、すぐに作戦はバレてしまいます。
その点、サリーに何も言わずにいきなり撃てば、サリーは正真正銘の被害者ですから、
被害者として全く自然で、マーベラス達もサリーを被害者と信じ込んで油断してガレオンに連れて行ってくれる。
そのようにバスコは期待したのでしょう。

しかし、このバスコの目論みは半分しか成功していません。
ハカセとアイムと鎧はサリーの迫真の被害者ぶりを見て、サリーが完全なる被害者だと信じ込んでいますが、
マーベラスとジョーとルカにはバスコの企みはバレてしまっているからです。
それでもガレオンに侵入出来たのですから、まぁ上出来とは言えますが、
マーベラス達にサリーが何か企んでいることがバレてしまっている以上、
バスコの作戦の成功は難しい状況といえます。

それに大問題は、予告も無しにいきなりバスコに撃たれたサリーが、
バスコに捨てられたと思ってしまい、バスコに命じられた作戦を放棄してしまう可能性があるということでした。
しかしバスコはそれは大丈夫だと思っています。
相手が人間であれば、いきなり撃たれたら怒って離れて行ってしまうでしょうけれど、
散々これまでに仕込んできたサルのサリーならば、多少酷い目にあったとしても、
バナナをちらつかせて命じた指令は条件反射のように忠実に実行するはずだと思っていました。
だからバスコはサリーに命令を刷り込んだ後、安心してサリーをいきなり撃ったのです。

なんて酷いことかと思われるかもしれませんが、確かに銃で撃つのはやり過ぎだとしても、
基本的に人間の動物に対する態度というものそういうものです。
優しくしているだけでは動物は何もしない。
躾けて、命令を刷り込んで実行させるという行為が必要であり、
支配する人間と支配される動物という関係を確立することが、お互いの利益になるものなのです。

ただ、それでもやはり銃でいきなり撃つのはやり過ぎです。
動物にだって、知能は無くても心は有る。
怯えもあるし怒りや憎しみだって生まれるのです。
だから、バスコがここまでやった以上、バスコとサリーの関係は完全に盤石かというと、そうとも言い切れない。
しかしバスコは宝箱を手に入れるためには、ここまでするしかなかった。
しかも、そこまでしてもマーベラス達を完全に騙して油断させることが出来るかどうかも、
バスコは完全な自信があるわけではない。

これはバスコにとって、様々な可能性に転び得る、一種の賭けだったのです。
ただ、その状況の中で、サリーが首尾よく宝箱を盗み出して戻ってくるための最善の策を
バスコは選んだつもりでいました。
バスコは目を閉じたまま、口元を歪めてニヤリと笑うと、
目を開き「さぁ〜て・・・どう転ぶか・・・?」といつものバスコらしい皮肉な笑いを浮かべる、
森の奥へと消えていきました。

その頃、夜間停泊中のゴーカイガレオンの明かりの消えた船室では、ソファーでサリーが1匹で寝ていました。
手当てされて包帯だらけの姿のまま眠ってしまっていたのです。
呑気に鼻提灯を膨らませて寝ていますが、鼻提灯が弾けて、
その音でサリーは「ウキッ?」と驚いて目を覚まします。
まるでマンガみたいです。

呑気なサリーは自分が何処で何をしているのかさえ忘れてしまっていたようで、
寝ぼけながら暗がりの中でソファー脇のテーブルに手を伸ばして何か掴もうとしますが、
そこにあった果物かごを思いっきり引っ張ってしまい、勢い余って床に身体ごと落下し、
床に果物が散乱し、果物ナイフはテーブル下の床に突き刺さり、サリーは床で思いっきり身体を打って、
その痛みでようやく完全に目が覚めて、あくびをしながら「ウキ〜・・・」と船室を見回して、
自分がマーベラス一味にガレオンの船室に連れてこられたことを想い出しました。

船室は薄暗く、他に誰もいません。
その時、部屋の中を見回していたサリーの視線が「ウキッ!」と止まりました。
見覚えのある宝箱が船室の真ん中に置いてあったのです。
サリーはその宝箱を盗み出してくるようにバスコに命じられていたことを思い出し、
キョロキョロと周囲に注意を払いながら、「ウキ〜・・・」と用心深く、少しずつ宝箱に近づいていきました。

それにしても、宝箱はいつも通りに船長椅子の脇の台の上に置いてあり、
その部屋にサリーが寝ていることが分かっていながら、誰も見張っていないことも含めて、
どうもマーベラス達は不用心すぎるように思えます。
マーベラスとジョーとルカはサリーが怪しいことは分かっているのですから、
もう少し用心してもよさそうなものですが、
重傷のサリーがまだ動けないと思って油断したのかもしれません。

そうしてサリーはそろそろと宝箱に手を伸ばし、掴み取ろうとしたところ、
自分の両手が包帯でグルグル巻きにされていて、宝箱を掴むことが出来ないことに気付き、
「ウキッ!」と手を止めます。
そして困ったように両手の包帯を見つめて「ウキ〜・・・」と呻きながら、
その両手の包帯を見ているうちに、サリーの脳裏に、昼間、その包帯を巻かれていた時の記憶が甦ってきました。

それは、ソファーに座らせたサリーの腕に包帯を巻きながら
「信じられません!・・・どんな理由があったとしても、自分の仲間をここまで傷つけるなんて・・・」と憤慨する
アイムの姿でした。
アイムはバスコのサリーへの仕打ちに憤って、皆に同意を求めていたのです。

ルカはバスコがサリーを撃ったのは自分達に何らかの罠を仕掛けるためであり、
サリーも共犯だと思っているので、バスコがサリーを傷つけるに足る理由は有ると思っています。
もちろん許し難い非道だとは思っていますが、傷つけるだけの合理的理由は存在する。
それを本当ならアイムに教えてやりたいところなのですが、
この時点ではルカはマーベラスの真意がよく分かっていないので、
迂闊にサリーを警戒させるようなことも言えず、とりあえず騙されたフリをしていますので、
「さぁ〜ねぇ〜・・・仲間とも思ってないんじゃないの?」と生返事で応えます。

同じくジョーも憮然として「ま・・・サルだしな・・・」と適当にお茶を濁すようなことを言いますが、
アイムはジョーのあまりに適当な発言に憤って「そういう問題じゃありません!!」と、
思わず手に力が入って、サリーの手の傷口を包帯で締め上げてしまい、
サリーは痛みのあまり「ウキ〜ッ!!」と絶叫。
鎧が慌てて「ああ、アイムさん!」とアイムを制止し、
アイムも「あ!ごめんなさい!」とサリーに謝罪したのでした。

そういう昼間の遣り取りをふと思い出して、薄暗い船室の中で1匹、サリーは
「ウキ〜・・・」とか細い声で鳴きながら、両手の包帯を見つめます。
バスコが自分のことを仲間とは思っていないんじゃないかと言っていた、あのルカの言葉が
実はサリーの心に引っ掛かっていました。

サリーもさすがにいきなり飼い主のバスコに撃たれてショックを受けていました。
そんな時に自分に同情的なアイムが、バスコの行動を非難し、
それに対してルカが(本当は適当な生返事だったのだが)それはバスコがサリーを仲間だと思っていないからだと
言ったのを聞き、サリーも本当にそうなのかもしれないと思ったのです。
もしルカの言う通り、バスコがもう自分のことを仲間だと思ってくれていないとしたら、
宝箱を持って戻っても、もう可愛がってもらえないかもしれない。
バナナももう貰えないかもしれないと思い、サリーは心配になりました。

それで迷っていると、サリーの脳裏に今度はバスコの
「奴らの船に入って宝箱を盗んでこい!」「バナナだって喰い放題だぁ!」という言葉が甦ってきます。
ちゃんと撃つ前にバスコが宝箱を持って帰ればバナナをくれることを
約束してくれていたことを想い出したサリーは、安心しました。
バスコが撃ってくれたお蔭でこうして敵の船に忍び込むことが出来た。
これは作戦だったのだとサリーは理解しました。
だから、作戦通りに宝箱を持って帰れば、きっとバスコはバナナをくれるはずだとサリーは思ったのでした。

また、バスコが自分を仲間だと思っていないなどということは無いということもサリーは想い出しました。
何故ならバスコは自分を撃つ前にお守りのペンダントを渡してくれた。
きっと、バスコは作戦で仕方なく自分を撃つ前に、
自分が死なないように願いを込めたお守りのペンダントをかけてくれたのだとサリーは思いました。
サリーは自分の首から下がったペンダントを手にして見つめながら、
やっぱりバスコは自分に優しいのだと確信し、思い直して宝箱に手を伸ばします。

しかし、うっかりまた手の包帯をほどいていなかったため、
再びサリーは宝箱を掴めないことに「ウキッ!」と気付いて、手を止める羽目になります。
その瞬間、また手の包帯を見てしまったサリーの脳裏に
「どんな理由があったとしても、自分の仲間をここまで傷つけるなんて・・・」というアイムの言葉が甦ってきました。

「ウキ・・・」とサリーは戸惑います。
これは作戦なのだと理解しながらも、やはり撃たれてサリーは傷が痛くて辛くて苦しかった。
アイムの言う通り、作戦だからといって、仲間をこんなに苦しめるものなのだろうかと、
サリーは疑問に思いました。
もしかしたら作戦じゃなくて、バスコは本当に自分を殺そうとしたのかもしれない。
しかし、バスコはお守りもくれたし、バナナもくれると言った。

そうした考えがサリーの頭の中をぐるぐる回り、
サリーは「ウキッ・・・ウキ〜・・・」と、部屋の中をウロウロ歩き回って、
どっちが自分にとって得なのだろうかと迷いに迷います。

しかし最終的には、「じゃあ頼んだよ、サリー!」というバスコの言葉を思い出したサリーは心を決めました。
バスコは自分を信頼してくれた。
それは自分がバスコの言いつけをちゃんと守ってきたからです。
今までだってバスコの言う通りにやってきたら上手くいって、そのたびにバナナを貰えた。
その実績を信頼するのが正解なのであり、所詮は敵のマーベラス達の言うことなど信用してはいけないのだと思い、
サリーは「ウキッ!ウキッ!」と未練を断ち切るように手の包帯をほどいて捨て、宝箱を掴むと、
「ウキッ!ウキ〜ッ!」と吠えながら、船室を出て行ったのでした。

そうして夜が明けて、朝となりました。
ガレオンから宝箱を盗み出したサリーは、包帯だらけの重傷の身体を引きずって、
かなりの距離を駆けて、夜明けまでかけて、ようやくバスコの待つ森へと到着したようです。
この森はバスコが今回の対マーベラス一味作戦を行う間、アジトにしている場所であったようで、
サリーとしてもバスコの元に戻るということは、この森に戻るということだと理解していたようです。

そうして宝箱を脇に抱えたサリーがひょこひょこと身体を引きずって森の中を近づいてくるのを見て、
木の陰から現れたバスコは「来たね、来たねぇ〜!宝箱ちゃん!」と喜びます。
そのバスコの姿を発見して、サリーも「ウキ〜ッ!」と喜び、
「ウキッ!ウキッ!」とバスコの方に駆けよっていきますが、
もう少しでバスコのもとに辿り着こうかというところで、
サリーの脳裏に、バスコに銃口を向けられて撃たれた瞬間の記憶が突如甦り、
サリーは思わず恐怖心を覚えて「ウキ・・・」と立ち止まってしまいました。

バスコは不思議そうに「・・・どうしたの?サリー・・・とっととおいで!」と呼びかけますが、
サリーはまた撃たれるのではないかと怖くなり、「ウキ〜・・・」と躊躇します。
銃弾そのものがそこまで怖いわけではないのです。
しょっちゅうサリーはマーベラス達にも撃たれたりしていますから。
怖いのは、飼い主のバスコに見捨てられて、心が傷つくことであったのです。

サリーは昨日バスコに撃たれたことが辛く苦しかったのではなく、
撃たれた後、バスコが何も言わず去っていったことがとても辛かったのでした。
バスコに育てられてきたサリーには、バスコに守ってもらえない生活など考えられませんでした。
だからバスコが自分を見捨てたかもしれないと思った時、とても辛く苦しかった。
そのことに今こうしてバスコの顔を見てサリーは気付いたのでした。
だから余計に、また昨日みたいにバスコに撃たれて置いてきぼりにされたらどうしようかと
不安になってしまうのでした。
作戦であることは理屈では分かっていても、それでも一旦見捨てられたサリーの心は傷ついており、
大きなトラウマが残っていました。
バスコの顔を見ると、サリーは再び見捨てられる不安に心が苦しむようになってしまったのです。

ただ、それでもバスコ無しには生きていけないことも分かっていますから、
サリーは意を決して「ウキッ」と応えてバスコに向けて一歩踏み出そうとした、その時、
「本当にいいのか?」という声がサリーの背後から投げかけられました。
「ウキッ!?」とサリーが驚いて振り返ると、そこにはマーベラス一味の6人が立っていたのです。
さっきの声の主はマーベラスであり、
サリーに向かってマーベラスは「悪いな・・・後を尾けさせてもらった・・・」と言いました。

マーベラス達はバスコがサリーに何かをさせるためにガレオンに潜入させたのだと見抜いていましたから、
サリーを見張りながら泳がせていたのであり、
宝箱を盗んでガレオンから出て行ったサリーをこっそりと尾行してきていたのでした。
サリーの後を尾行していけば、そこにバスコが待っていることは分かっていましたから、
マーベラスはそこで一気にバスコとの決着をつけるつもりでした。
つまり、サリーはまんまとバスコのもとへマーベラス達を案内してくるという失態を犯したことになります。

「あ〜らら〜・・・マベちゃん達までついて来ちゃったんだ!?」というバスコの呆れたような声を背後で聞いて、
サリーは無言で身を竦めます。
失態を犯してバスコの機嫌を損ねてしまったのではないかと、怖くなったのでした。
同時にサリーはマーベラス達の顔もまともに見れませんでした。
自分は怪我の手当をしてもらったのに、その恩を裏切って宝箱を奪ってしまったのだと、
恥ずかしい気持ちになったのです。
本来は敵であるマーベラス達に対してそんな感情を抱くのはおかしいのだが、
バスコとの絆が揺らいでいるサリーはマーベラス達に対する敵意も妙に薄らいでいました。

しかし、サリーはそんなに大きな罪の意識を感じる必要はありませんでした。
バスコがサリーの抱える宝箱を見やりながら「・・・てことは、その宝箱は・・・?」と尋ねると、
ルカが怒気を含んだ声で「偽物に決まってるでしょ!」と答えたからです。
サリーは「ウキ?」と宝箱の蓋を開けてみて、中身が空であることに気付き「ウキ〜ッ!!」と驚きます。
マーベラス達はサリーの狙いはおそらく宝箱だろうと推測し、船室の宝箱を偽物とすり替えておいたのでした。
それにしても中身も確認しないサリーも相当迂闊ですが、まぁサルですし、
バスコにはとにかく宝箱を盗んでくるようにしか言われていないのですから、これはまぁ仕方ないでしょう。

ただ、偽物を掴まされたにしても、サリーがマーベラス達の厚意を裏切ったのには違いない。
特にハカセとアイムと鎧の3人は、サリーが本当にバスコに捨てられた被害者だと信じ込んで
親身になって世話していたのですから、サリーの背信行為を知って激怒して当然です。
しかし、この3人も含めて、マーベラス一味の6人は激しい怒りの形相ではあるものの、
その怒りの視線は全てバスコに向けられています。

それは、船室で宝箱を盗み出すまでのサリーの苦悩を6人は隠れてずっと見ていたからです。
おそらくハカセ達3人は最初にマーベラス達から、サリーが撃たれたのは芝居であり、
サリーは何か企んでいるに違いないと聞かされた時は信じようとはしなかったでしょう。
しかし夜になってサリーが宝箱を盗もうとして動き出したのを見てショックを受けたが、
その後、サリーが長々と苦悩し逡巡している様子を見て、
ハカセ達は、いやマーベラス達も、バスコとサリーは完全に示し合わせているわけではなく、
おそらくバスコがサリーをいきなり撃ったのだと察したのでした。

サリーが宝箱を盗もうとしている以上、バスコがサリーに宝箱を盗むよう指示していたのは明白でしたが、
それだけならばサリーは盗むことを躊躇などするはずがない。
サリーが躊躇したのはバスコへの忠誠心が揺らいでいるからであるとしか思えず、
それはつまり、サリーが撃たれることを予想していなかったからだとマーベラス達は気付いたのです。
だから、マーベラス達はサリーの行動を秘かに監視していたことによって、
バスコがサリーに予告も無く、いきなり死ぬほどの銃弾を撃ち込んだのだという事実に気付き、
サリーはやはり実質的には被害者であり、しかもバスコの呪縛から逃れようとする心が生じて、
これまでのバスコに従ってきた自分との間で葛藤しているということもマーベラス達は知ったのでした。
それゆえ、マーベラス達6人は激しい怒りをバスコに向けているのです。

そして、サリーに対してそこまで非情な仕打ちをしたバスコのもとにサリーが偽物の宝箱を持って帰ったりすれば、
きっとサリーはバスコに殺されるということも予想がついたので、
サリーを助けなければいけないと思い、後を尾けてきたのでした。
まぁサリーをひとまず助けたいだけならば、サリーがガレオンを出る前に拘束してやってもよかったのですが、
サリーを苦しめているバスコの呪縛を断ち切るためには、
やはりバスコを倒さなければいけないとマーベラス達は思い、
サリーを尾行してバスコのもとに案内させたのです。

バスコを倒すということだけで考えるならば、本当はこのやり方はあまり上手な方法ではありません。
バスコは既に巨大戦力をほぼ喪失していますので、
マーベラス達としてはガレオンに乗ったままバスコを探し出して叩くのが有利な戦い方です。
バスコだって「宇宙最大のお宝」を諦められるわけがないので、いずれ必ずちょっかいをかけてくる。
その時にガレオンを拠点にしてバスコを迎え撃ち、返り討ちにするというのが賢い方法でした。
等身大戦では、やはりバスコの方がまだいくらか優位なのだから、
「大いなる力」を揃えることを優先する限りは、まともに等身大戦で戦う必要はありません。

しかしサリーの苦しみを解消してやるためには早くバスコを倒さねばならず、
サリーをわざと行かせてバスコのもとに辿り着くしかない。
その場合、ガレオンで追跡すればバスコにもサリーにも気づかれてしまうので、
ガレオンを降りて徒歩で尾行するしかありませんでした。
そうなると必然的にバスコと遭遇すれば、マーベラス達にとってやや不利な等身大戦となりますが、
重傷のサリーがバスコ側の戦力として計算出来ない以上、
マーベラス達は完全に6対1でバスコと戦うことが出来る。
それならば、今の自分達ならば、互角の勝負に持ち込めるはずだとマーベラス達は考えていました。

しかし、それにしても危うい賭けではあります。
本当はやはりガレオンに篭って戦う方が安全であり、
サリーをとりあえずガレオンに拘束しておいてバスコの次の仕掛けを待つ作戦でも良かったようにも思えます。
しかし、それでもマーベラス達が性急にバスコとの決戦を望んだのは、
やはりバスコのサリーに対する非道な扱いに対する怒りが限界点を超えて、頭に血が昇っていたからでしょう。

特にマーベラスはもともとバスコとの宿命の決着を早くつけたいという潜在的な欲求を普段から我慢していますから、
今回のサリーの件の怒りで、そのタガが外れてしまい、
同様に頭に血が昇っている他の5人も、マーベラスを止めることもなく、
むしろ一緒になって危険な作戦に突っ込んでいったといえます。

怒り心頭のルカは「・・・こんなことだろうとは思ったけど・・・アンタ、やりすぎよ!!」と、
宝箱が偽物だと気付いて驚くサリーの背後に立つバスコを睨みつけて、
「あたし達が手当てしてなきゃ・・・そのサル、本当に死んでたのよ!?」と詰問します。
しかしバスコは「でも、それくらいしなきゃ、船には乗せないっしょ?」と、しゃあしゃあと言い返しました。

確かに中途半端に怪我させてもマーベラス達はサリーを相手にしなかったであろうし、
手当てするにしてもガレオンまで連れ帰って泊めることはしなかったでしょう。
だから、現在の厳しい状況下であくまで「宇宙最大のお宝」を手に入れるための作戦としては、
バスコのやったことは全く正しいといえます。
マーベラス達も「宇宙最大のお宝」を手に入れるために今まで様々な努力をしてきた。
バスコだって同じように努力しているだけのことであり、
バスコとしては、同じお宝目当ての海賊同士、マーベラス達にとやかく文句をつけられる筋合いはありませんでした。
ルカが偉そうに文句を言ったところで、バスコから見れば、
単に騙されて悔しいから吼えているようにしか扱いようがない。

しかし、お宝の競合者であるマーベラス達に対してはそういう態度をとるのは仕方ないにしても、
サリーの目の前で言う分にはバスコの言葉は残酷でした。
これはつまり、バスコが、ついやりすぎたとかいうわけではなく、
最初から手当しなければ死ぬぐらいの怪我を狙ってサリーに負わせたのだと告白していることに等しいからです。
マーベラス達はおそらくそうなのだろうと予想はしていましたが、
サリーはそこまで酷い話だとは思っていなかったでしょう。いや、思いたくなかったのでしょう。

さんざん逡巡しても、それでも最終的に宝箱を盗んでいったのは、
あくまでサリーがバスコを仲間として信じたいと思ったからに違いない。
そのサリーの気持ちを真っ向から踏み躙るようなことを平然と口にするバスコに対して、
マーベラスは怒りを通り越して呆れ果て、
ここまで腐りきったかつての仲間にもはや何を言っても仕方ないと思い、
バスコはあえて相手にせず、サリーに歩み寄って
「サリー!・・・そいつは本当にお前のことを仲間だと思ってくれてんのか・・・?」と問いかけます。

いくらサルでも、ここまで仲間の絆を踏み躙られれば、
バスコが本当の仲間などではないことに気付くべきだとマーベラスは思ったのでした。
いや、かつてマーベラスもバスコに酷い裏切りを受けた後も、
それでもまだバスコに捨てられたことを引きずって、前に進めない気持ちは残っていました。
その呪縛を断ち切ってくれたのは、ジョー、ルカ、ハカセ、アイム、鎧という本当の仲間たちとの出会いでした。
だからサリーをバスコの呪縛から救うのも、やはり本当の仲間しかない。
ならば自分がサリーの仲間になってやろうとマーベラスは思って、
それゆえ「サル」ではなく、初めて「サリー」と名前で呼びかけているのです。

そうしたマーベラスの心境の変化を察したのか、
バスコは「あれ?マベちゃん何考えてんの?・・・まさかサリーを引き抜くつもり?」と、マーベラスに絡んできます。
すると鎧が「お前は黙ってろ!・・・いくら作戦だとしても、仲間をワザと傷つけるなんて酷すぎる!!」と、
ドスの効いた声でバスコに怒鳴りつけて、バスコを黙らせようとします。
鎧も含めて、全員がさっきのバスコのサリーの仲間意識を踏み躙るような発言に激怒しており、
もはやサリーの前でバスコが仲間のサリーを貶めるような発言をすることは
一切許せないという気持ちであったのです。

しかしバスコは逆に鎧に対して「関係ないねぇ!そんな事!!」と即座に怒鳴り返しました。
「サリーは俺が苦労してここまで仕込んだんだ!傷つけようがどうしようが!俺の命令に従うこと・・・
イコール、サリーの幸せなんだ・・・!」と喚き散らすバスコは、いつになく感情的になっているように見えます。
どうもバスコは、第31話でもわざわざ鎧の腕を折ったりして、鎧のことを嫌っているようです。
それはどうしてなのか色々と考察もしてきてみましたが、
この発言を聞いて、なんとなくバスコが鎧をどうして特に嫌うのか分かったような気がします。

おそらくバスコは鎧の青臭く正論を堂々と言うところが大嫌いなのでしょう。
正論というか、それはバスコから見れば綺麗事に見えるのでしょう。
といっても、単に綺麗事を聞いただけでバスコもいちいち激昂したりもしないでしょう。
バスコが特に鎧が綺麗事を言うのが許せないのは、鎧が地球人だからなのでしょう。
地球は何だかんだ言って、まだザンギャックに支配されていない。
だから地球人は本当の宇宙の厳しい現実を知らないから、そんな綺麗事を言えるのだと思い、
バスコは鎧が正論を吐くのを聞くと虫唾が走るのだと思われます。

ザンギャック支配下の宇宙は絶望的な苦しみの中にあり、そこでは本当の幸せなど存在しない。
世界は苦しみに満ちているのです。
その中で自由や夢を掴もうとすれば、更なる苦しい戦いを強いられることになる。
それでもあえて夢を掴もうとするなら、大きな苦しみの中で生きていく覚悟が必要です。
そこには、生ぬるい仲間意識など存在し得ない。
仲間というものは利用したり、蹴落としたり、服従させたりするものでしかない。
弱い者はそうやって強い者に、頭の悪い者は頭の良い者に、そうやって使役されることによってしか、
この苦しみに満ちた宇宙で生きていく術は無いし、
この絶望の宇宙で夢を掴むためには、そうするしかない。

そうして主人の夢を掴む事業の役に立つことが仲間という名の奴隷の幸せなのだというのが、
バスコの考え方なのでしょう。
実際、サリーのような頭の弱いサルが自分の庇護を離れて、
この宇宙で生きていく術など無いとバスコは思っています。
それは確かにその通りかもしれない。

バスコはこの宇宙で夢を掴もうとするということは、そういう厳しいことだと思っている。
だから、バスコにとって「夢を掴むための仲間」というのは、あくまで都合よく利用する相手でしかない。
かといって、相手を嫌っているのでもないし、大事に思っていないわけでもない。
根本的にバスコにとっての「仲間」というものが都合よく利用し合うものでしかないので、
そのバスコの常識の範囲内においては、確かにかけがえの無い大切な仲間なのです。

バスコがかつてマーベラスやアカレッドに対して抱いていた仲間意識も
確かにそういう意味で本物ではあったのです。
バスコにとって、とても大切な「都合よく利用できる仲間」であったのです。
バスコがマーベラスに対して心の底から誠意をもって接しながら、
それでも決して自分は戦わず、マーベラスやアカレッドばかり戦わせようとしていたのも、
自分が楽をして宝探しをするために2人ばかり戦わせた方が都合が良かったからであり、
マーベラスの怪我の心配をしていたのも、自分の大切な手駒が無くなることを恐れたからであったのでしょう。

そのようにバスコの仲間意識が根本的に歪んだものであるので、
バスコはそうした薄情なことをしながらも、バスコなりにマーベラスやアカレッドのことを大切に思っていたのです。
だから、最後に2人を裏切った時も、大切な仲間の2人を失うことを悲しく思いながら、
同時に、仲間とはそういうものだというのがこの宇宙の現実だとして受け止める意識もあったのです。

この根本的に苦しみに満ちた宇宙で、あえて夢や幸せを掴もうとするのなら、
大きな苦しみの代償は必要なのです。
その苦しみとは、仲間すらも最後まで利用し尽くして失うものでなければならないということが
バスコの信念なのでしょう。

そのバスコの信念の根本に存在するのは、ザンギャック支配下の宇宙のどうしようもない絶望です。
宇宙は苦しみに満ちており、強大なザンギャック帝国の前ではバスコのような者ですら弱者でしかない。
バスコは自分の弱さを知っており、
そんな自分がどうしようもなく夢を掴みたいと思ってしまっていることも知っています。
いや、どうしようもない絶望の中だからこそ夢を掴みたいと思ったのかもしれません。
しかし本来は苦しみに満ちた宇宙で弱い自分が夢を掴もうとするなら、
その代償に大きな苦しみを生み出すことは仕方ないことなのだと、バスコは一種の諦念を持っているといえます。

ただ、ちょっとよく分からないのは、
こんな歪んだ心の持ち主であるバスコをどうしてアカレッドは赤き海賊団の仲間にしたのかという点です。
単にアカレッドに人を見る目が無かったとか、
アカレッドに何か深い思惑があったというような可能性もありますが、
最初はバスコはここまで歪んでなかったのかもしれません。

根本的には心の奥底にある宇宙の現実に対する深い絶望や諦念を抱えつつも、
それは当初は大してバスコの精神を歪めてはいなかったのかもしれません。
最初は単に夢に憧れつつ、自分で戦うことは何となく面倒に思う程度のちょっとニヒルな男だったのかもしれない。
しかし、レンジャーキーが集まっていき、
どんどん「宇宙最大のお宝」という巨大な夢が現実味を帯びてくるにつれて、
バスコの心の中で「宇宙最大のお宝」をどうしても手に入れたいという想いが強くなっていき、
それに触発されるように、「でもこの絶望の宇宙でそんな大きな夢を当たり前の方法で
掴むことが出来るはずがない」という絶望と諦念が肥大化していき、
バスコの精神を歪めていったのかもしれません。

そのあたりの過去の経緯は不明ながら、
とにかくバスコのこうした厳しくも歪んだ仲間意識の背景には、
世界は苦しみと悲しみに満ちており、その現実は変えることは出来ないのであり、
夢や幸せは苦しみを生まずには達成出来ないという認識があります。

そうした宇宙の現実を知らない鎧が青臭い正義感を振りかざすのがバスコは生意気だと思っており、
そして、宇宙の現実を知るサリーは、鎧の意見よりも、やはりバスコの意見の方に説得力を感じてしまい、
しょぼくれて下を向きます。
が、その時、バスコに向かってアイムが
「そんな幸せありません!・・・掴もうとするなら、幸せは何処にでも生まれます!」と声を大にして反論しました。

しかし、このアイムの言葉には、一見、あまり説得力はありません。
何故なら、アイムは全く幸せではないからです。
故郷の星は滅ぼされて、父母も殺され、自分は賞金首のお尋ね者となっており、
戦いはいつ果てるともなく続き、目指すお宝もまだ手に入っていません。
アイム自身の夢である「宇宙に散ったファミーユ星の人々の希望の象徴となりたい」という生き方も、
実際に人々がアイムを希望の象徴として生きているのかどうか分かりませんし、
仮にそうであったとしても、だからといってアイムが幸せかというと、それは違うようにも思えます。
客観的に見て、アイムの人生は不幸であり、苦しみに満ちていると言えます。

しかしアイムは、自分は不幸であり、この世は苦しみに満ちており、
その現実は簡単には変わらないことを前提にして、
それでも掴もうとすれば幸せを生み出すことは出来ると言っているのです。
それは本当にささやかな幸せに過ぎず、大きな夢とは比べようもないほど、ちっぽけなものですが、
それでも、絶望的な状況の中でも少しずつでも現状を改善していこうという、ささやかな希望の意思です。
その意思を無くさない限り、人はどんな絶望的な状況においても、幸せを生み出すことは出来る。
そういうことをアイムは言いたいのです。

そして、その絶望の中で怯まず状況を良くしていこうという意思は、
今バスコが一笑に付した鎧はしっかりと持っていることをアイムは知っています。
だから鎧のバスコへの非難は決して宇宙の現実を知らない者の戯言などではない。
現実の苦しさに負けてしまっているのがバスコであり、
現実の苦しさを知りつつ、それでも前に進もうとしているのが鎧なのです。

第40話で鎧が未来少年に語ったように、鎧は辛い現実の中でも明日を変えるために頑張る少年であった。
そして第44話でも身を挺した行動で、小夜に絶望の中でも希望を持つことの大切さを教えました。
それはまた他の仲間たちも同じです。
それゆえ、皆、アイムと共に心を同じくしてバスコを睨みつけています。
マーベラスもジョーもルカもハカセも、故郷の星を滅ぼされて、それぞれ流転の人生を送っていたが、
どんな不幸の中でも、少しずつでも幸せを生み出そうとしていました。
そうしてもがいていたからこそ、マーベラス一味の面々は出会えたのだといえます。

マーベラスと出会った時、ザンギャックの脱走兵のジョーは追手に囲まれて殺される寸前でした。
女盗賊のルカはザンギャック兵に囲まれて絶体絶命の状況でした。
技術者のハカセはガレオンの修理を請け負ったためにザンギャックに追われる立場になっていました。
亡命王女のアイムはお尋ね者としてザンギャックに追われていました。
地球人の鎧は自分の星がザンギャックの侵略を受けて困り果てていました。

これは全て哀れで切羽詰った状態であり、不幸な状態なのであり、
マーベラスは結局彼らに同情して仲間にしたかのようにも見えます。
しかし、本当はそうではない。
ジョーが脱走したのも、ルカが盗賊になったのも、ハカセが海賊への義理を果たしたのも、
アイムが亡命する羽目になったのも、鎧が地球を守りたいと思ったのも、
全て、この宇宙の絶望的な状況の中で少しずつでも良いことをして状況を変えていこうという意思を持ったからです。

そんな意思を持ったお蔭で彼らは更に不幸になったが、それでも彼らはその意思を捨てなかった。
だからこそ、彼らはマーベラスに出会い、マーベラスは彼らのその意思を感じて、仲間にしたいと思ったのです。
何故ならマーベラスもまた、酷い裏切りによって不幸のドン底に落とされてもなお、
状況を良くしていきたいという意思を持ち続けたからです。

この世は決してバラ色ではなく、苦しみに満ちている。
しかし決して消えることのない苦しみを乗り越えて生きていこうとする、たゆまぬ意思があれば、
人は幸せになれる。
そして、その意思を持ち続けるために、人は夢を持つのです。

マーベラスは自分と同じ、消えることのない苦しみを乗り越えて
少しずつ自分の周りの世界を良くしていこうとする意思を持った者達と出会って、
彼らと一緒にささやかな幸せを作りたいと思った。
だから彼らと仲間になりたいと思ったのであり、
仲間全員の幸せになりたいという意思を持ち続けるために、
「宇宙最大のお宝」という共通の夢を掲げたのです。

そして、マーベラス達が地球に親近感を持ち、地球のために戦いたいと思うようになったきっかけも、
地球人がザンギャックによる支配を拒んで、
ささやかでも、より良い明日を求める意思を捨てていないことを知ったからでした。
それを教えてくれた象徴的な相手が第2話の時に出会った少年であり、
マーベラスは彼が祖父をザンギャックに殺された不幸の中から立ち上がって苦しみながら戦う姿を見て、
自分の中にある不幸の中で幸せを築こうとする意思と同じものを感じたのです。

あの時、マーベラスが少年に問いかけた「この星の守るべき価値」とは結局何だったのかというと、
それは「絶望的な状況下でも幸せを目指す意思」でありましょう。
それが地球には「何処にでもある」と少年は言い、「海賊なら自分で探せ」とマーベラスに言いました。
そしてマーベラス達はその直後の第3話で元マジレッドの小津魁と出会い、
その後、スーパー戦隊の戦士たちと出会いを繰り返し、
そのたびに様々なスーパー戦隊の持つ価値観を知っていくことになり、
それが自分達にも備わっている価値観でもあることを知っていきました。

その価値観が結局、マーベラス達が海賊として自分で探していた「この星の守るべき価値」だったのでしょう。
何故なら、「199ヒーロー大決戦」映画の中で、
元デンジブルーの青梅と元リュウレンジャーの亮と元デカピンクのウメコが
リストラされたサラリーマンに自分達スーパー戦隊のポリシーを
「どんな絶望的状況でも少しずつでも状況をよくしていきたいという希望を持ち続ける」と言っており、
これは結局、第2話の少年の言っていた「この星の守る価値」と同じだからです。

どんな状況でも希望を捨てない心が地球人の心にある限り、この星を守る価値はあるのです。
その価値を信じて戦うのがスーパー戦隊なのだといえます。
そして、そのどんな状況でも希望を捨てない意思は
マーベラス一味の各自の絶望的状況で幸せを作っていこうとする意思と通じており、
だからこそマーベラス一味はスーパー戦隊と心を通わせて大いなる力を受け取ることが出来たのであり、
マーベラス一味もまたスーパー戦隊の1つとなり、大いなる力を持つことが出来たのです。

つまり、マーベラス一味とは、
「絶望的な苦しみに満ちた世界において、苦しみを乗り越えて幸せを生み出そうとする仲間」なのだといえます。
そういう仲間が一緒に旅をして幸せを生み出していくために、夢が旗印として掲げられているのです。
だから、本当に大事なのは「夢を掴むこと」ではなく「幸せを生み出そうとする意思」なのであり、
その幸せは仲間と一緒だからこそ生み出せるものなのです。

マーベラスが夏映画「空飛ぶ幽霊船」で、夢を捨てて仲間を選んだのは、
マーベラス一味にとっては夢を掴むことよりも、
本当に大事なことが仲間と共に絶望の世界で目指すささやかな幸せの方であるという、
この作品の根本的なテーマを先取りした形で表した場面であったのだといえます。

このように夢を捨てても仲間との幸せを生み出そうとするのがマーベラスだとすれば、
その対照といえる存在が、夢を掴むために仲間を捨てて苦しみを生み出すことを良しとするバスコです。
だからバスコはマーベラス一味の思想を代表して投げかけられたアイムの言葉の意味は全く理解出来ず、
不機嫌そうな顔で「サリー!どうでもいいから、とっととこっち来な!」と、
バナナをぶら下げてサリーを呼びました。

サルが自分の意思で幸せを掴もうとするなど有り得ない。
サルにとっての幸せは、目の前にぶら下げられたバナナ程度のものでしかないとバスコは思っていました。
そうやって自分の意思など持たず、飼い主の言いなりに動くのがサルにとっての幸せだというわけです。
いや、サルだけではない。この世は基本的にそんなものなのであり、
自分の意思で夢を掴むことが出来るのは、大きな苦しみを生み出す覚悟のある自分のような選ばれた者だけだと
バスコは思っています。
確かに、ここまでゲスに徹することが出来るというのも、ある意味あっぱれであり、
歪んではいるものの、夢を掴もうとする意思の強さではバスコの方がマーベラスよりも上なのかもしれません。

このバスコのぶら下げたバナナを見て、サルの本能なのか、調教の成果なのか、
サリーは思わず「ウキッ!キ〜ッ!」とバスコの方に向かって駆け出してしまいました。
結局、バナナを見ると自分の意思など消し飛んでしまう、悲しい動物の習性といえます。
しかし、マーベラスが「サリー!!」と大声を上げてサリーを呼び止めると、
サリーはマーベラスとバスコの真ん中あたりでピタリと立ち止まり、
「ウキ〜・・・」とマーベラスの方に振り返ります。

マーベラスはサリーを真剣な眼差しでじっと見つめました。
マーベラスの中ではさっきの見張り台でのジョーとの会話の際の疑問点は全て解消していました。
自分がジョー、ルカ、ハカセ、アイム、鎧を仲間に選んだ理由は、
哀れな境遇に同情したからでもなければ、
大きな夢を掴むことの価値を理解出来る奴らだと見込んだからでもない。
どんな辛い状況にあっても、自分の意思で幸せになろうという気持ちを決して捨てない連中だったからでした。
そんな奴らと一緒なら、こんな苦しみに満ちた宇宙の中でも幸せを生み出せるかもしれないと思ったから、
マーベラスはジョー達を仲間にしたのです。

だから、サリーが夢を理解出来ないサルでももう関係ない。
サリーが自分の意思で幸せになりたいと思ってくれるなら、
サリーと仲間になって一緒に幸せを作っていこうとマーベラスは思っていました。
だから、そのためにはサリーが自分でバスコの呪縛を断ち切って、
バスコに与えられる偽りの幸せという見せかけの苦しみではなく、
本当に自分の意思で幸せになりたいと思ってくれないことにはどうしようもない。
マーベラスは祈るようにサリーをじっと見つめ、
マーベラスの後ろではジョー達5人も並んで同じようにサリーを真剣な眼差しで見つめます。

その6人の真摯な眼差しを見て、サリーは6人が恩を仇で返した自分を仲間にしようとしているのだと悟り、
動揺してバスコの方を見ます。
バスコはバナナをぶら下げたまま、怖い顔でサリーを睨みつけています。
命令をちゃんと聞けばバナナを与えるが、
命令を聞かずにサリーが自分の意思を出そうとすれば恐ろしい折檻を加えて、
サリーの意思を封じ込めてきたのがバスコのこれまでのやり方でした。
だから、もし命令通りに戻ってこなければ、酷い折檻をしてやるぞ、という脅しの顔なのです。
これにサリーは震え上がり、しかしマーベラス達の気迫も物凄いものがあり、
サリーは立ち尽くして「ウキ・・・ウキ〜・・・」とさんざん迷ってしまいます。

そうしているとサリーの脳裏に、再びバスコに撃たれた時の恐怖の記憶が甦ってきて、
同時に「信じられません・・・どんな理由があるにせよ、自分の仲間をここまで傷つけるなんて・・・」という
アイムの言葉も甦ってきました。
そこでサリーは、ようやくさっきのアイムの言葉の意味が分かったのでした。

アイムはサリーでも幸せは生み出せると言った。
そして仲間を傷つけることが信じられないと言った。
そしてマーベラスやアイム達はサリーを仲間にしようとしている。
つまり、マーベラス達は自分を仲間にして幸せを生み出そうとしているのだとサリーは理解したのです。
つまり、仲間というものは幸せを生み出すためのものなのであり、苦しみを生み出すためのものではない。
ところがバスコは自分を撃って苦しめた。
だからバスコは仲間じゃないのだと、サリーは気付いたのでした。

それでサリーは顔を上げて「ウキッ」と決意して、
「ウキ〜、ウキ〜!」と吠えながらマーベラスの方に駆けていき、
マーベラスの背後にくっついて、バスコから身を隠して怯えるような仕草をしたのでした。
これを見てバスコは呆気にとられ、バナナを掲げた手を力なく下ろしました。
これまでアメとムチでさんざん調教してきたサリーが自分の意思を持つなど、あまりに意外であったのです。
しかし、確かにサリーはバスコの呪縛を断ち切って、自分の意思で幸せを生み出す道を選び、
マーベラスの仲間となり、バスコを敵だと認識するようになったのです。

マーベラスは後ろに隠れるサリーの方を見ながら「・・・最後の最後に大逆転てとこだな・・・」と言うと、
バスコを睨みつけ「人を裏切り続けてきたてめぇが悪いんだよぉ!!」と怒鳴りつけます。
アカレッド、マーベラス、ダマラスなど、今までさんざん知能の高い人相手に裏切りを繰り返してきたバスコが、
こうして最後の最後に逆に裏切られ、しかも裏切られた相手はバスコよりも遥かに知能の低い、
忠実に調教したペットのサルだったというのが、なんとも皮肉であり、哀れでもありました。

マーベラス自身、信じていた相手に裏切られた痛みは他ならぬバスコのお蔭で嫌というほど知っていますから、
まさか自分を裏切るとは夢にも思っていなかったであろうペットのサルに裏切られたバスコの
心の衝撃な大変なものだろうと、さすがに少し同情しました。
しかし、それは全て、勝手にこの世に絶望して人を信じることを止めてしまった、かつての仲間、
バスコの自業自得なのだと思い、マーベラスは何故こんなバカなことをしたのだという苛立ちと共に
バスコを怒鳴りつけ、この禍々しい因縁に終止符を打つべく、戦いを開始しようとします。

ところがバスコは何を思ったか「ハッハッハッハッハッハァッ!!」と愉快そうに高笑いをしたのでした。
そしてバスコは笑い終わると、なおも可笑しそうに
「・・・マベちゃあん・・・人を裏切り続けてきた俺が、サルを信じてるとでも思う?」と言いながら、
マーベラスに背を向けて数歩、遠ざかります。

マーベラスはバスコの言っていることの意味がよく分からず「なにぃ?」と問い返し、
サリーも「ウキッ?」と首を傾げます。
するとバスコは続けて、マーベラス達に背を向けたまま
「サリー、よくやったよ!・・・あいつら全員ガレオンから引き離した上に、
一番面倒なマベちゃんを簡単に片づけられる・・・!」と愉快そうに言うと、
手にした小さな装置のボタンを押します。

すると、サリーの首から下げていたペンダントの飾りの真ん中の部分に光が灯って
「ピ、ピ、ピ、ピ・・・」と電子音が鳴り始めたのでした。
「ウキッ!?」と驚くサリーを冷ややかに見つめながら、
バスコが「何かを得るためには・・・何かを捨てなきゃ・・・!」と言うのを聞いて、
マーベラスは、かつて自分が同じ言葉をバスコに投げかけられた時の状況を思い出し、
電子音がテンポを加速度的に上げていく中、「まさかっ・・・!?」と驚愕して、
焦ってサリーのペンダントに手を伸ばして引っ張ろうとし、サリーは首が締まって「ウキッ!」と驚きます。

が、次の瞬間、マーベラスとサリーのいる場所で爆発が起きて、
マーベラスは「うわああああ!!」と絶叫を残し、
サリーも「ウキイイイ!!」と叫び声を残して吹っ飛んでしまったのでした。
なんと、サリーの首にかけられたペンダントはリモコン式の爆弾だったのです。

このペンダントをバスコがサリーの首にかけたのは、
サリーを撃ってマーベラス達に手当てをさせる仕掛けをする前でした。
つまり、バスコは最初からサリーの首に爆弾をかけて送り出したということになります。
しかし、最初からサリーをサル爆弾として破壊工作を行うために
このペンダント爆弾の仕掛けをしたわけではないでしょう。
もしそうであれば、最初にマーベラス達がサリーを拾った時に爆発させていたはずです。

バスコの今回の作戦の目的はあくまでサリーをガレオンに潜入させて宝箱を奪うことだったのであり、
サリーが宝箱を盗んで戻ってくるのが最も望ましい結末であったはずです。
そして結局、サリーが偽物の宝箱を掴まされてマーベラス達の尾行まで許すという失態を犯した後も、
バスコは一応真面目にサリーを取り戻そうとしていたと思われます。
まだまだサリーは手駒として使えると思っていたのでしょう。
だから、鎧やアイムと激しい言葉の応酬があったのも、
あれは別にバスコはわざとサリーを裏切らせるように仕向けていたわけではなく、
本気でああいうアメとムチのやり方でサリーを引き戻せると思っていたのだと思います。

そういうわけで、サリーがバスコを裏切ってマーベラスの方に駆けていったのを見て、
バスコは心底驚き、ショックを受けました。
バスコは、あくまで都合よく利用できる手駒としてではあったが、本気でサリーを大切に思っており、
失いたくないと思っていたからです。

しかし、バスコは絶望しつつ、ほくそ笑んだのです。
何故なら、大切なサリーを失うという苦しみを自分が受けるということは、
かつて大切な仲間のアカレッドとマーベラスを捨てた時と同じく、
「宇宙最大のお宝」という大きな夢を獲得する時が来たことを意味するからでした。

その、大切なサリーを捨てる時というのを、バスコはもう少し先の局面に想定していたのかもしれません。
だから現時点ではサリーを失いたくないと思っていました。
しかし、もし万が一、サリーが失われた時、その局面を最大限に活かすために、
万が一のための備えをしていたのです。
それがペンダント爆弾であったのです。

もし作戦が失敗してサリーがマーベラス達に倒された場合は、
おそらくマーベラスからサリーの件で連絡があるだろうから、
サリーの死体の引き取りなどの駆け引きをして、上手くマーベラス達をサリーの死体と共におびき出して
爆発に巻き込もうと思っていたのでしょう。
また、万が一、サリーが寝返った時は
、マーベラス達とサリーが一緒にいるところで爆弾を爆発させようとしていたのでしょう。

そのようにサリーが死んだり寝返ったりするのは、
今回のバスコの作戦においては本来はあってはならないことで、最悪の事態の想定であったので、
最悪の事態に備えるという意味でバスコは、あのペンダント爆弾を「お守り」と言ってサリーの首にかけたのです。
つまり、あのペンダントはサリーが死なないようにする、サリーのための「お守り」だったのではなく、
サリーの死や裏切りという事態を想定した、バスコのための「お守り」であったのです。

そうしてバスコは、万が一しか有り得ないはずの予想外のサリーの裏切りに驚愕すると同時に、
自分を裏切ったサリーがマーベラスにくっついて立っているのを見て、
今がチャンスと思い、「お守り」を活用し、マーベラスもろともサリーを吹っ飛ばしたのでした。

突然の出来事に驚いて爆風が収まった後、前方を見たジョー達5人は、
吹っ飛んで倒れているマーベラスを見て、驚いて「マーベラス!?」と叫んで駆け寄ります。
そして5人でマーベラスを囲んで抱え起こし、
ハカセが「大丈夫!?しっかりして!!マーベラス!!」と懸命に呼びかけますが、
マーベラスは目を閉じたまま、ピクリとも動きません。
「・・・どうしよう?・・・意識が無いよ・・・」とハカセは狼狽えます。
マーベラスは息はあるようですが、意識は無い状態であり、危険な状態であるように見えました。

それにしても大きな爆発だった割にマーベラスは一応外見上は大きな怪我はしていないようです。
爆弾が小型でさほど高性能ではなかったのと、
マーベラスが慌ててペンダントを引っ張ったため、
サリーが驚いて逆にペンダントの爆弾部分を自分の身体に抱え込んでしまったようで、
結果的にサリーの身体がクッションになって、マーベラスに向かう爆風がいくぶん抑えられたようです。

そういうわけで、サリーの方はモロに身体に爆風を浴びてしまったようで、
画面に映すことも出来ないような酸鼻極まりないバラバラ死体になってしまっているようで、
もちろん既に事切れています。
そのサリーの死体を青い顔で見ながら、アイムは
「・・・信じられません・・・今まで一緒にやって来たサリーを・・・こんな・・・」と絶句します。

バスコが自分を裏切ったサリーの命を奪おうとしてくることは、アイム達にも当然予想はついていましたから、
バスコがサリーを殺したこと自体を驚いているわけではありません。
驚いたのは、バスコが最初からサリーの身体に爆弾を仕掛けていたことでした。
つまり、バスコはまだサリーが裏切っていないうちから、最初から殺すことを想定していたということになります。
そのあまりの非情さにアイムは驚き呆れたのでした。

一方、ジョーは「・・・バスコォ・・・貴様ああああ!!」と異常に激昂して絶叫します。
ジョーはバスコのサリーへの非情な仕打ちにももちろん怒っていましたが、
ジョーにとってはサリーの最期は他人事には思えなかったのでした。
ジョーもまた、ザンギャックを脱走した頃、首に発信器をつけられて、
巨大な悪の逃れることの出来ない呪縛に苦しめられていました。
あのまま首に発信器がついたままであったなら、ジョーはほどなく死んでいたでしょう。
手を伸ばしてその呪縛を断ち切ってくれたのがマーベラスだったのです。

そして今またマーベラスが爆発の寸前、慌てて手を伸ばして
サリーのペンダントを外そうとしているのをジョーは見ていました。
おそらく、そんなことをせずにすぐに飛び退いていればマーベラスは助かったはずです。
しかしマーベラスはわざわざ危険を承知で手を差し伸べてサリーの呪縛を断ち切って助けようとした。
電撃を受けながらジョーの首の発信器を破壊した時のマーベラスと同じ行動だったのです。

それがマーベラスという男であり、甘いといえば確かに甘い。
夢を掴むために非情に徹したバスコの執念が、
夢よりも仲間を選んでしまうマーベラスを超えたといえるかもしれません。
しかし、そんなマーベラスがバスコのような男に負けるということは、
そんなマーベラスに命を助けられた男であるジョーには絶対に許せないのでした。
そんなマーベラスという男の背中を守ると誓ったはずなのに、
守れなかった自分に対する悔しさも相まって、ジョーの怒りは最高潮に達していました。

同様の怒りは仲間全員に共通しており、
鎧は「・・・許さない・・・絶対に許さないっ!!」と叫んで立ち上がり、
ルカも怒りのあまりの大きさにひきつった笑顔で「マーベラス・・・ちょっと待ってて!」と言いながら
マーベラスを地面に寝かせて、バスコを睨みつけながら
「・・・すぐにこいつ、ぶっ倒してガレオンに連れて帰るから!!」と言って、怒りの形相で立ち上がります。

それに対してバスコは「でっきるかなぁ〜?」とニヤニヤ笑って怪人態に変身します。
バスコとしては、これはまたとないチャンスです。
基本的にバスコ優位の等身大戦では、
マーベラス達が6人がかりでもバスコとはようやく互角に持ち込めるかどうかというところです。
それなのに6人の中で最強のマーベラスが戦えない状態なのですから、バスコの優位は明白です。

バスコはここで6人を倒せば、無人のガレオンにやすやすと侵入して、
レンジャーキーも、大いなる力も、ナビィも、ゴーカイガレオンも、全部奪うことが出来るのです。
つまり、一気に形勢逆転するだけでなく、
バスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なものが全部手に入るのですから、
ここはバスコとしても確実に残り5人を仕留めたいところです。

もちろん5人の方もバスコを倒さねば怒りが収まらないし、
怪我人のマーベラスを抱えてバスコから逃れられるはずもない。
ここは真っ向勝負しかない。
5人はマーベラスを地面に寝かせたまま、並んで前に進み出て、
モバイレーツにレンジャーキーを挿して「豪快チェンジ!!」と叫び、ゴーカイジャーに変身、
バスコに向かって突っ込んでいくのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:57 | Comment(0) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月27日

第47話「裏切りの果て」感想その4

ここで場面は飛んで、夕景の中、街の上をゆっくり飛ぶゴーカイガレオンの船室となります。
マーベラス一味はバスコに撃たれて重傷を負ったサリーをガレオンに連れ帰って傷の手当をしてあげて、
手当てを終えたサリーは意識を取り戻し、包帯でグルグル巻きにされた身体を
苦しそうにソファーに横たえています。

そのサリーの頭の上を飛びながら、ナビィが「わぁ〜っ!でかっ!サル!でかっ!」と大騒ぎでしています。
ナビィは宇宙猿というやつを間近で見たのは初めてであるようで、意外に大きいので興奮しているようです。
これを鬱陶しがってサリーは「ウキ〜ッ!!」と怒ってナビィを追い払い、ナビィは大慌てで飛んで逃げ、
興奮して追いかけようとするサリーは傷が痛くてソファーの上でのたうち回ります。
サルと鳥のレベルの低い喧嘩です。

それにしても、あれほど銃弾を撃ち込まれた割にサリーは元気ですが、
まぁ普段からちょくちょくマーベラス達と戦って撃たれたり斬られたりしてるサルですから、
宇宙猿というやつは生命力がすごいのでしょう。
それに身体能力も異常に高いし、そのクセ、知能は低いので、
バスコとしては手なずけて仕込んで手下として使うにはちょうどいい存在であったのでしょう。
人間と違って裏切りませんし。

しかし、その宇宙猿のサリーの逞しい生命力をもってしても、今回はいくらなんでも酷いダメージであり、
あのまま処置しなければサリーは死んでいたはずです。
そして手当てはしたとはいえ、まだ動き回るのは危険です。
アイムはサリーをからかうナビィを「ダメですよ!ナビィ!」とたしなめて、
「サリーさんもほら!・・・傷口が開いちゃいます!」と、サリーに安静にするよう言い聞かせますが、
サリーはソファーに寝っ転がって興奮して手足をジタバタさせたままです。

「そうですよぉ・・・」とアイムの横で鎧も慌てて安静にするようサリーに伝えようとしますが、
サリーが自分達の言ってる人間の言葉が理解出来ないのではないかと思い至り、
「そうか!」と言って立ち上がり、後ろに立って眺めているジョーとルカの方に向き直って、
大真面目に「やっぱ、サル語で話さないとダメですよね!?」と確認します。

鎧は地球人で、宇宙に出たことは一度も無いので、宇宙猿という生き物のことは全く知りません。
鎧の知っている地球の猿は人間の言葉は理解出来ませんから、
宇宙猿もやはり人間の言葉は理解出来ないのかもしれないと鎧は思いました。
宇宙人のジョーやルカなら宇宙猿のことも知っているのではないかと鎧は考えて質問したのです。

しかしジョーもルカも宇宙猿のことはあまりよく知らないようで、困惑します。
単にジョーやルカが無学というわけではないようで、
以前に第16話でバスコに捕まった時にアイムもハカセもサリーとコミュニケーションをとる方法が
よく分かっていなかったようですから、宇宙猿という生物は宇宙でも希少で、あまり生態は知られていないようです。

ただ、サリーはいつもバスコの指示を受けて行動しているので、一応は人間の言葉は理解出来るような印象があるが、
サリーを調教したバスコしかサリーに意思を伝えることが出来ないのかもしれないようにも思える。
何だかよく分からないのでジョーもルカも鎧の質問には答えられません。
というか、そんなことはこの際どうでもいいことだろうと思い、「・・・サル語ってアンタ・・・」とルカは呆れます。
鎧がまるでサル語が話せるかのように言うので驚いたのです。

しかし鎧は勝手に納得してサリーの前に立ち、
いきなりサルの動きの真似をしながら「ウキッ!ウキッ!」とサリーに話しかけました。
というよりボディランゲージしながら吠えてるだけなのですが、
サリーは一瞬驚いた後、「ウキキキ〜ッ!!」と立ち上がり何やら反応してきます。
一見コミュニケーションが成立しているようにも見え、全然噛み合っていないようにも見えます。

そこに厨房からサリーに飲ませる温かい飲み物を持ってきたハカセの顔をじっと見て、
ルカは「・・・なぁ〜んか、デジャブ感が・・・」とポツリと独り言をつぶやきます。
第16話でバスコにフリージョーカーの牢屋に閉じ込められた時、
ハカセが看守のサリーに今の鎧のようにサル語でコミュニケーションをとろうとしていたことを想い出したのでした。

しかしルカ達と鎧の遣り取りを聞いていなかったハカセはルカの言葉の意味が分からず、
「・・・なんだよぉ?」と不思議そうな顔をしながらサリーの横に歩いていき、
当たり前のように「ウキッ!ウキキキッ!」とサル語でサリーに話しかけながら、笑顔でポンと肩を叩きます。
経験者(?)の貫録のハカセの態度に、サリーも「ウキキ〜!」と従順に従い、
ソファーに腰かけると、ハカセの指示に従って飲み物を呑み始めたので、
鎧も「おお〜・・・」と感心して、ハカセに尊敬の眼差しを向けるのでした。

そうやって、なんだかんだサリーと仲良くしているアイムや鎧やハカセを見て、ジョーとルカは呆れます。
以前に牢屋に閉じ込められたりして酷い目にあわされた敵なのに、気を許し過ぎだと思ったのでした。
そもそもジョーとルカはサリーを助けること自体反対でした。

一方、ハカセとアイムと鎧がサリーを助けたいと思った理由は、
ハカセ達自身にも最初はよく分かりませんでした。
敵を助ける必要など無いし、サリーには今まで散々酷い目にあわされたことも忘れてはいません。
しかし、それでも何故かサリーを助けたいと思った自分の心情が最初はよく分からなかったハカセ達でしたが、
サリーの手当をしながらようやく自分達がサリーを助けたいと思った理由が分かってきました。
それは仲間を平気で裏切るバスコの行為への反感と、裏切られて捨てられたサリーに対する同情心でした。

敵であるサリーが単に死にかけていただけなら、ハカセ達は助けなかったでしょう。
しかし、バスコの汚い裏切り行為を見過ごすことが出来ず、怒りの矛先がバスコに集中し、
裏切られて捨てられたサリーはもはや敵ではなく、哀れな被害者なのだと思えたのでした。
そうするとサリーに対する憎しみは消え、もともと優しい性分のハカセ達は
サリーにまるで仲間のように親身に接するようになったのでした。

どうしてハカセ達がバスコの裏切りへの激しい怒りと、
裏切られたバスコへの深い同情を覚えることになったのかというと、
それはおそらく、彼らの慕う船長のマーベラスがかつてバスコに裏切られて捨てられた境遇であるからでした。
ハカセ達にはマーベラスとサリーが重なって見えていたのです。

しかし、ジョーとルカはそれこそがバスコの思う壺なのだと思い、苛立っていました。
もちろんジョーもルカもバスコの仲間を平然と痛めつける下劣な行為には嫌悪感を持っていました。
しかしサリーが可哀想な被害者かというと、そうは思わない。
何故なら、わざと自分達に見せつけるようにサリーを撃ったバスコの行為は、
自分達にサリーを助けさせるための罠に間違いないからでした。
おそらくサリーをガレオンに潜入させて何か仕掛けをしようとしているのだろう。

サルのサリーが何処までバスコの作戦の詳細を把握しているのかよく分からないし、
死にかけるまでムチャクチャに撃たれるとまでは思っていなかったのかもしれない。
実際、もし自分達が助けなければサリーは死んでいたのだから、
バスコがサリーに非情な扱いをしたことには違いない。
だが、サリーが何らかの使命を帯びているのも間違いない。
だからサリーに対して警戒を怠ってはいけないのだ。

しかし、バスコは自分達がサリーに同情して助けることも、親切にすることも見通している。
だからこそ、こんなミエミエの罠を仕掛けられるのであり、
サリーがたぶん放置されることもないと計算出来たのだ。
何故、バスコが自分達がサリーに同情するということを予想出来たのかというと、
マーベラスがバスコに裏切られた過去を持っていることを他ならぬバスコは熟知しているからです。
そういうマーベラス自身、そしてマーベラスの過去を知る仲間たちが
同じようにバスコに裏切られたように見えるサリーに同情することをバスコは見越しているのです。

そのバスコの思考のいやらしさにジョーとルカは激しい嫌悪感を抱きつつ、
ハカセ達がバスコの狙い通りにサリーへの疑惑や警戒心をほとんど解除してしまっていることに
苛立ちを感じていました。
また、怪我の手当をしてもらいながら、裏で何かを企んでいるに違いないサリーを腹立たしく思いました。

これではバスコの思う壺だと焦りつつ、何故ジョーやルカがそのことをこの場でハッキリと指摘しないのかというと、
こうしてサリーを船内にまで招き入れてしまった以上は、
バスコの作戦をこちらが見破っていることをサリーにわざわざ教えるのはあまり得策でないと思っているからでした。
むしろ泳がせた方が何か情報は得られる。

しかし、それにしてもサリーを船内に置くことがそもそも危険なことでした。
本来は何か企んでいるに違いないサリーなど助ける必要は無かったのに、
どうしてマーベラスはサリーを助けようと思ったのだろうかと、ジョーとルカは不審に思っていました。
まさかマーベラスがこれがバスコの罠だと気付かないはずはない。
だから何か考えがあってサリーを船内に入れたのであろうが、そのマーベラスの思惑がどうもよく分からず、
ジョーとルカはマーベラスの本心を確かめるまでは、サリーは当然としても、下手にハカセ達にも、
これがバスコの罠だということを指摘することが出来ないで困っていました。

ただ、マーベラスの思惑がどうであれ、
何をしでかすか分からないサリーはこうして手当ても終わった以上、
早めに船から降ろすのが得策だとは、ジョーもルカも思っていました。
一方、マーベラスは船長椅子に腰かけて、ハカセ達とサル語で会話(?)しているサリーを黙って見て、
少し後悔していました。

マーベラスももちろん、これがバスコの罠だということは分かっています。
しかし、あのまま放置していたらサリーは死んでいた。
サリーは何か使命を遂行するようにバスコに言われていたのだから、
当然、自分は死なないようにバスコがしてくれるものだと信じていたはずです。
それなのにバスコに撃たれてそのまま死んでいくことになったとしたら、
サリーは自分はバスコに騙されて捨てられたのだと気付いて、惨めで悲しい気持ちになるだろう。
それがマーベラスは許せなかった。
バスコなどのために自分を卑下する者は人でもサルでも、決して居てはならない。
だからサリーは生きのびてバスコの方が間違っていることを知るべきだと思って、
マーベラスはサリーを助けた。

しかし、結局こうして命をとりとめたサリーは、バスコの命令を忠実に遂行するのだろうとマーベラスは思いました。
人間なら説得も出来るかもしれないが、所詮は言葉も通じないサルだ。
バスコの命じた通りにまんまと船に侵入に成功したと思って、
バスコの思惑のままに動くことを止めたりはしないだろう。
結局サリーはバスコに裏切られたとも思わず、バスコに呪縛されたままなのです。
かといって、マーベラスはあのままサリーが死ぬことによって、
バスコの裏切りで誰かがまた傷つくのを放置も出来なかった。

そう考えると、マーベラスは自分のそうしたこだわりも含めて、
全部バスコの計算通りなのかもしれないと思いました。
まんまとバスコの計算通り、サリーをガレオンに潜入させてしまっただけなのかもしれないと、
マーベラスは自分の愚かしさにウンザリしました。

しかし、これが罠だと分かっている以上、今の状況でバスコが考えることはだいたい予測はつきます。
ロイドを失ったバスコはもはや正面からガレオンを攻撃する手段も無い。
それでもレンジャーキーと、それに宿った大いなる力を奪うためには、宝箱を盗み出すしかない。
あるいはナビィを盗むか、ガレオンの乗っ取りを企んでいるのかもしれない。
とにかくバスコの欲しいものがこれら3つに限定されている以上、
潜入したサリーはこれら3つのどれかを奪おうとしてコソコソと動くはずでした。

その狙いが分かっている以上、簡単に奪われたりはしない。
サリーがおかしな動きをすれば、戦って倒してやってもいいし、
警戒を厳しくしてサリーが何も手出し出来ないままならば、
もう手当ても終わったし、さっさと船から降ろしてしまってもいい。

いや、余計な危険を早めに排除する意味でも、もうさっさとサリーは船から降ろしてしまおうかと思いました。
どうせサリーはバスコの言うことしか聞かないようなヤツだし、
バスコだってサリーにこんな使命を与えるぐらいだから、一応頼りにしているのであろうから、
あの捨てるような態度はあくまで芝居であり、つまりはサリーにはバスコという帰る場所はあるのだから、
別に放り出しても問題は無い。

よく考えたらダマラスとの戦いの時にバスコの思惑であったとはいえ、
サリーには一応ジョー達を助けてもらった恩をありました。
だから今回だけは命は奪わず放り出してやる。
それで貸し借りは無しで、次に戦場で会った時はどうせ敵同士であり、容赦はしない。
そのようにマーベラスは自分を納得させようとしました。

が、その時、サリーの包帯でグルグル巻きになってソファーで介抱されている姿を見て、
ふとマーベラスは昔のことを想い出したのでした。
それは、同じゴーカイガレオンの同じ船室の同じソファーでの想い出でした。
ただし、まだガレオンが赤き海賊団の乗艦だった頃のことです。

その回想シーンの中で現在のサリーのように包帯を巻いてもらって
ソファーで手当てを受けていたのはマーベラスでした。
そして隣に腰かけてマーベラスの腕に包帯を巻いているのは赤き海賊団時代の、
まだ仲間だった頃のバスコでした。

バスコはマーベラスの腕に包帯を巻きながら
「・・・たく、マベちゃんさぁ・・・弱いんだからカッコつけて、アカレッドの真似してると死んじゃうよぉ?」と、
からかうように言います。
おそらく、第21話のボウケンジャー篇の回想シーンでもあったように、
赤き海賊団に入りたての頃のマーベラスは、やたらと張り切って早く一人前の海賊になろうとして先走ることが多く、
よくケガをしていたのでしょう。
この時もそんな感じでケガをしたマーベラスの手当をしながら、バスコはやんわりと苦言を呈しているようです。

バスコは皮肉家で毒舌家ですから、「弱い」だの「死ぬ」だの、いちいちマーベラスの気に障ることを言うもので、
血気盛んなマーベラスは「うるせぇ!自分だって大して強くねぇクセに!」と言い返す。
一応先輩格にあたるバスコですが、基本はメシ炊き係であり、あまり戦闘には参加しません。
だからマーベラスはバスコはあまり強くないのだと思っています。

しかしマーベラスが知らないだけで、バスコは本当は強いのです。
バスコが本当は強いことも、真の姿は怪人態であることも、
第31話の時にバスコが言っていた通りならば、アカレッドは知っているようです。
しかしアカレッドは何故マーベラスにバスコの真実を教えなかったのか?
また、バスコもどうしてマーベラスに自分の真実を教えなかったのか?
そもそもどうしてバスコは強いのにメシ炊き係に甘んじて戦おうとはしなかったのか?

強さを隠そうとしていたのではないはずです。
何故ならアカレッドには強さはバレていたのだし、
バスコの賞金額がその時点で300万ザギンもあったということは、
バスコが恐ろしく強い怪人であることはザンギャック側にも周知のことであったはずだからです。
要するにバスコの正体を知らなかったのはマーベラスだけだったのです。
言い換えれば、バスコはマーベラスにだけは自分の正体を知られたくなかったのだと言えます。
そしてアカレッドがマーベラスにバスコの真実を教えなかったのは、
バスコのそうした気持ちを汲んでのことだったのでしょう。

要するに、赤き海賊団においてはバスコは単なる「多少は戦えるメシ炊き係」という存在で通すというのが
暗黙の了解だったようなのです。
それはバスコが望んだことだったのでしょう。
とはいってもアカレッドはそれが偽りだということは知っているわけですから、
本当にバスコの偽りの姿を信じていたのはマーベラスだけであり、
バスコにとっては、心底から自分が望む自分でいることが出来る場というのは、
マーベラスの前だけであったと思われます。

だからバスコは「強くないクセに」というマーベラスの悪態を
なんだか嬉しそうに苦笑しながら「まぁね・・・」と受け止めて、
「でも俺がメシ作んないと、みんな飢え死にしちゃうよ?」と自己弁護っぽいことを言います。
マーベラスの悪態の中には「アンタが戦わないから、俺がその分、無理して戦ってるんだ」という不満が
多少含まれていました。
バスコはそれを察して、戦わない代わりに、自分はメシを作るという大事な仕事で
海賊団の役に立っているとアピールしたのです。

ただ、別にバスコは自己弁護のためにそういうことを言ったわけではなかったのでした。
続けてバスコはマーベラスに向けて
「せっかく仲間なんだからさ・・・自分の出来ることをやればいいんじゃないの?」と言ったのです。
つまりバスコが本当にマーベラスに伝えたかったのはこのことだったのです。

完全な強さを持った人間などおらず、むしろ、この宇宙でザンギャックに逆らって生きる海賊は皆、
強者に立ち向かう弱者の立場だ。
そういう弱い者同士が自分の出来ることをして助け合っていくのが海賊の仲間というものであり、
自分1人の強さを誇示したり、実力を遥かに超えた無茶をして突っ走るのは間違っているんじゃないか?
俺がメシ炊きで仲間に貢献しているように、マベちゃんもアカレッドの真似ばかりするんじゃなくて、
まず自分の出来ることで仲間に貢献できることを探すべきじゃないのか?
そういうのが海賊の仲間同士の絆なんじゃないのか?
そういう風にバスコはマーベラスを諭したのです。

そのようにバスコに言われて、マーベラスは「・・・仲間か・・・」と考え込みます。
それまでマーベラスは自分がアカレッドみたいな一人前の海賊になりたい一心で、
海賊の仲間というもののことをよく考えたこともありませんでした。
また、バスコのこともハッキリ言って、弱いヤツだと思って見下していました。
それは本心では自分がまだまだ弱くて半人前だという劣等感から目を背けるための虚勢でもあったのです。
しかしバスコにそのように諭されて、マーベラスは目から鱗が落ちたような気分になりました。
弱くて半人前の自分でも無理に背伸びしなくても、仲間のために役に立つことは出来る。
それが本当に海賊になるということなのだと、初めてマーベラスは気付いたのでした。

何かマーベラスは救われたような気分になりましたが、礼を言うのも照れ臭いので、
乱暴な口調で「分かってるよ!」とバスコに応えました。
するとバスコは「・・・なら、いいけど!」と微笑んで、
話題を変えるように、マーベラスの腕に包帯を巻き続けながら
「どうする?メシ食べさせてあげようか?フーフーして!」と冗談めかしてマーベラスをからかいます。
マーベラスが鬱陶しそうに「そんぐらい自分で出来る!」と強がって怒鳴ると、
バスコは面白がって包帯をギュッと強めに締め、
マーベラスは傷の痛みで「いってぇ〜!?・・・てめぇ〜!!」と絶叫し、バスコは面白そうに笑い転げるのでした。

さて、この回想シーンでバスコがマーベラスに諭した
「各自が自分の出来ることをやって助け合う」という海賊の仲間の絆というのは、
第43話のハカセ加入時の回想シーンでマーベラスやルカがハカセに説明した海賊の仲間の絆と同じものです。
つまり、マーベラスはバスコに教えられた海賊の仲間の絆を、
マーベラス一味においてもそのまま実践しているのです。
それはつまり、マーベラスが昔のバスコのことを
真にかけがえのない海賊の仲間であったと認めているということであり、
昔のバスコもまたマーベラスのことを真にかけがえのない海賊の仲間だと見なしていたということです。

そして、この回想シーンでもう1つ分かるのは、
バスコが海賊というものに求めていたのが、自分の出来ることをやって助け合う仲間だということです。
それは各自が弱い存在だということが前提です。
しかしバスコは本当は強い。
その強さをマーベラスには隠して、マーベラスに弱い者同士が助け合う仲間の絆を求めたのです。

これは要するにバスコは自分は本当は弱いと思っているということです。
本当は弱いから、弱い者同士が助け合う仲間の絆を求めたのであり、
自分がなまじ多少強いということを知られると、マーベラスに弱い者同士の絆を求める説得力が欠けてしまうので、
本当の強さを隠して、マーベラスの前では弱いメシ炊き係を演じていたのです。
つまり、バスコはマーベラスと助け合う海賊仲間になりたくて、強さを隠してメシ炊き係に徹していたのです。

それはバスコが真にそうした海賊の絆を求めていたからであり、
その前提としてバスコは自分が本当は弱いと思っていた。
しかしバスコは本当は当時のマーベラスなどよりも遥かに強かったはずです。
だがバスコはそれでも自分は弱いと思っていたのです。

それはつまり、自分個人の戦闘力がどれほど高かろうが、
ザンギャックの支配する宇宙の中でザンギャックに反旗を翻して夢や自由を求めている限り、
周りは全て敵であり、自分は弱者に過ぎないと思っていたからです。
バスコほどの戦闘力を持ちながら、そんなに弱気になるということは、
よほどザンギャックの支配を跳ね除けることは出来ないという絶望が深いのであり、
この世は辛く苦しいものだという諦めの気持ちが強かったのだといえます。
それでいながらバスコがザンギャックの支配から離れて海賊になったのは、よほど夢を掴みたかったからです。
つまり「宇宙最大のお宝」が欲しくて欲しくて仕方なかったのです。

赤き海賊団の3人のうち、マーベラスは第16話の回想シーンにあったように、
アカレッドに諭されるまでは、「宇宙最大のお宝」のことは単なる伝説だと思って冷笑していました。
そのアカレッドにしても、バスコやマーベラスは知らないが、もともとは地球のスーパー戦隊関連の戦士であり、
どこまで本気で「宇宙最大のお宝」を求めていたのかよく分かりません。
そう考えると、3人の中で最も真摯に「宇宙最大のお宝」を求めていたのはバスコだったのではないでしょうか?

バスコは「宇宙最大のお宝」が欲しくて海賊になったが、
海賊としてザンギャック支配下の宇宙で生き延びていくためには、
自分個人の戦闘力など大して役には立たないと思っていました。
だから自ら戦うことにはあまり興味も無く、戦うこと自体に興味もありませんでした。
あくまでバスコは宝探しにしか興味は無かったのです。
そこでは自分の戦闘力などどうでもよかった。
そんなものに頼るよりも、宝探しのために助け合える仲間が必要だと思ったのです。
だからバスコは仲間を心から大切に思っていました。
しかし、それはあくまで「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要だったからです。
「宇宙最大のお宝」と仲間とを天秤にかければ、あくまで「宇宙最大のお宝」の方が重いのです。

マーベラスはサリーの包帯だらけの姿を見て、
かつての自分とバスコの海賊の仲間の絆が生まれた時のことをふと思い出し、
自分とバスコの仲間の絆は確かに本物だったと気付きました。
バスコは仲間のフリをして自分達を騙していたわけではない。
本当に正真正銘の、かけがえのない仲間でした。
それなのにバスコは裏切ったのです。

マーベラスは、あの赤き海賊団の壊滅した夜のことを再び思い返しました。
「宇宙最大のお宝だよ?・・・独り占めしたいじゃない!」と嘯くバスコに対して
アカレッドが「そのために私たちを裏切るのか!?」と問い質すと、
バスコは「そういうこと!」とニヤニヤと答えました。
それを聞いて、信じていた仲間の予想もしない裏切りに激昂したマーベラスは
「てんめぇえええ!!」と叫んでバスコに襲い掛かろうとして、バスコに撃たれ、
「ぐあっ!?」と吹っ飛び階段を転がり落ちました。
その後、バスコは「・・・何かを得るためには・・・何かを捨てなきゃ・・・!」と言って、
マーベラスを見下ろして「俺・・・あんた達を捨てるよ・・・」と言ったのでした。

マーベラスはあの時のバスコの顔を思い出し、決して目が笑っていなかったことに気付きました。
バスコはあの時、大真面目だった。
あれはバスコにとっては重大な意味をもった言葉だったのです。
だから、わざわざ、あんなことを言ったのだ。
つまり、バスコにとっては、仲間であるマーベラスやアカレッドを捨てるということは、
決して軽いことではなかった。
とても大切な仲間だと思っていたからこそ、その仲間を捨てるのはバスコにとって非常に重い決断だったのでしょう。

しかし、その大切な仲間を捨ててこそ、「宇宙最大のお宝」を得ることが出来るという、
何かそういう信念がバスコにはあったようだと、マーベラスは気付きました。
それだけバスコにとっては「宇宙最大のお宝」は欲しくて欲しくてたまらないものであり、
自分の一番大切なものを失ってこそ、手に入るという信念のようなものがあるのではないかと思えました。

もちろんマーベラスはそんな信念は間違っていると思います。
仲間と一緒に「宇宙最大のお宝」を手に入れればよかったじゃないかとマーベラスは思いました。
実際、あのまま3人で力を合わせていれば、順調に「宇宙最大のお宝」は手に入ったはずだ。
何かの事情があって、バスコがどうしても「宇宙最大のお宝」を独り占めしたいというのなら、
事情を言ってくれれば、手に入れたお宝をバスコに譲ってもいいと思ったかもしれない。
マーベラスとアカレッドは単に「宇宙最大のお宝」を見つけ出したいだけだったのだから、
バスコがどうしてもと頼めば、手に入れた後、譲った可能性も高かったはずです。
だから、あそこでいきなり仲間を捨てたバスコの信念は狂っているとマーベラスは思いました。

しかし、ともかく、どうやらバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには
自分にとって大事なものを捨てなければいけないという変なポリシーに凝り固まっているようだということは
マーベラスには分かったのでした。
そこでマーベラスはハッと気づいたのでした。
あの時、自分を撃った時のバスコの気持ちと、今回サリーを撃った時のバスコの気持ちが
同じなのではないかと思い至ったのです。

自分が今回、最初からサリーに対して自分と重ね合せて見てしまっていたのは、
同じようにバスコに裏切られて撃たれた場面だからだと思っていましたが、
よく考えたらサリーの場合はお芝居の作戦なのだから、本当は全然違うケースのはずでした。
それなのに未だに自分とサリーを重ねて見てしまっているのは、
違う意味で同じケースだと直感していたからだったのです。

それはつまり、撃った側のバスコの感情に共通点があることを感じ取っていたからなのです。
大事な仲間との絆をあえて断ち切るバスコの心情が、
あの自分のケースと、今回のサリーのケースの共通点なのだということに気付いて、
マーベラスはやはりどっちにしてもバスコはサリーを切り捨てようとしていることに気付きました。

サリーがバスコにとって大切な仲間であるからこそ、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにバスコはサリーを捨てようとしているのです。
だから、もしマーベラス達が助けなければ死んでいたに違いないほど大量の銃弾を
サリーに撃ち込んで放置しても平気だったのです。
マーベラス達がサリーを助けても助けなくても、バスコはどっちでもよかった。
もちろん助けてくれた方がより都合が良かったのでしょうが、
助けなくてそのままサリーが死んでも、それはそれで構わなかったのです。

そして結果的にサリーはまんまとガレオンに潜入することは出来たが、
任務に失敗して戻っても、いや成功して戻っても、
バスコはサリーを殺すつもりではないかとマーベラスは思いました。
つまり、結局このまま自分がサリーをガレオンから放逐しても、
サリーはバスコに裏切られて惨めな気持ちで死んでいくことになるのかもしれない。
かつての自分と同じ、バスコの裏切りによって苦しむ被害者がまた生まれることになるのです。

それはマーベラスにとって看過できないことでした。
しかし、じゃあどうしたらいいのか?マーベラスは苦悩して、
考えをまとめるために黙って立ち上がって、1人で見張り台へと昇っていきました。
そのマーベラスの様子を見て、ルカは黙って隣のジョーの顔を見ます。
マーベラスが1人になった今こそ、マーベラスの本心を聞き出すチャンスでした。
その役目を一番マーベラスと付き合いの長いジョーに任せようというルカの考えでした。

見張り台で1人で突っ立って、夕景の街並みを見下ろしながらマーベラスは物思いにふけっていました。
そこにジョーがやって来て、背後からマーベラスの上着を黙って差し出します。
マーベラスは差し出された上着を横目で見て、ジョーの存在に気付き、黙って上着を受け取ると、
羽織らずにそのまま見張り台の柵に上に掛けます。

マーベラスもジョーがサリーの件で自分の行動を不審がっていることは分かっていますから、
ジョーが何をしに来たのか想像はつきます。
しかし、そのサリーの問題が目下、マーベラスの頭の中でも結論が出ない状態なのですから、
マーベラスもジョーの来訪に困ってしまっていました。

それで憮然として背を向けたままのマーベラスに向けて、
ジョーは「どういうつもりなのか・・・聞かせてもらおうか・・・?」と問いかけます。
どうしてサリーを助けたのかという質問なのですが、
ジョーもマーベラスが自分が何をしにここに来たのかぐらいは分かっているはずだと思っていますから、
いちいち何の件についての質問なのか説明する必要など無いと思っています。
マーベラスが何の件か問い返してこないことからも、質問の意味が伝わっていることは明白でした。

しかしマーベラスはじっと黙って背を向けたままであるので、
イライラしたジョーはマーベラスの背中に向かって「罠に決まってるだろう!!」と声を荒げました。
するとマーベラスはジョーに背を向けたまま「・・・だろうな・・・」と、ボソッと応えます。
やっぱりマーベラスはこれがバスコの罠だということは気付いていたとジョーは知りました。
いや、マーベラスがバスコの罠に気付いていることぐらい、船室でのマーベラスの深刻に悩む顔を見て、
とっくに分かっていました。

分からないのは、罠と知りながら、どうしてサリーを助けてガレオンにまで連れてきたのかです。
そして、どうやらさっきからのマーベラスの煮え切らない態度を見る限り、
例えば逆にバスコを罠に嵌めるとか、そういう積極的な意図は無いようだということは分かりました。
つまり、あやふやな理由で、なんとなく、みすみす罠に嵌ったということです。
さすがにジョーは腹が立って「だったらなんで!?」と更に声を荒げてマーベラスに問い質しました。
いったいどういうつもりなのか、これからどうするつもりなのか、
とにかく展望を聞かせてもらわないことには話が始まらない。

しかしマーベラスはしばし黙って考え込んだ後、「・・・分っかんねぇ!」と天を仰ぎました。
「はぁ?」とジョーは驚き呆れますが、
マーベラスは実際、どうしたらいいものか分からなくなっていました。
ただ、どういう気持ちでサリーを助けたのかという点に関しては、だいぶ整理がついて結論は出ていましたので、
正直に「あのサルがバスコに裏切られたのが芝居だとしても・・・
あのサルはどうせこれからバスコに裏切られるんだろうなって・・・」と、ジョーに背を向けたまま、
ゆっくり説明します。

それを聞いてジョーは、確かに放っておけば死んでしまうほどにサリーに銃弾を撃ち込んだバスコは、
内心ではとっくにサリーのことは見限っているのだろうと思いました。
それに、こうしてほとんどサリーの潜入に何か邪な目的があることが分かってしまっている状況では、
サリーの企みはおそらく失敗して、サリーは何も成果は得ずにガレオンを追われることになるだろう。
そうなればバスコはおそらくサリーを生かしてはおかないのだろう。

そう思うと、ジョーは確かにサリーが少し哀れに思えました。
今まではまんまと芝居をしてハカセ達を騙しているサリーを憎たらしく思っていましたが、
サリーはバスコには一生懸命に忠誠を尽くしていて、それでハカセ達を騙しているが、
実はそのサリーはバスコには騙されていて、戻ったら見限られて殺されるのです。
なんとも惨めで哀れなものだと思いました。

ジョーは何だかサリーがかつての自分に似ているようにも思えました。
ジョーもザンギャックが正義だと信じ込んで忠誠を尽くしていたが、裏切られて殺されそうになりました。
しかしジョーは自分で過ちに気付いて、自分の本当に行くべき道を求めたから新たな運命を切り開くことが出来たが、
サリーはそうではない。
未だバスコが絶対だと思っているはずです。

ジョーのように人間ではなくサルですから、飼い主の命令は絶対なのです。だから改心などしない。
そんなサリーが殺されても、それは可哀想だが自業自得と言うしかない。
サリーが助かる唯一の道はサリーの潜入した目的を達成させてやることですが、
そんなことを許すことはさすがに出来ないとジョーは思いました。

ところが、ここでマーベラスはジョーの方に振り向いて
「心配すんな!別に仲間に入れようってわけじゃない・・・怪我が治れば、すぐに放り出すさ・・・」と
意外なことを言って、またジョーに背を向けて眼下の景色を眺めました。
マーベラスはジョーに余計な心配をさせないように気遣ったつもりだったのですが、
ジョーはマーベラスの言葉がピント外れであることに軽く驚きました。

別にジョーはマーベラスがサリーを仲間にしようとしているのではないかなどという心配はしていませんでした。
まるで思考を先回りされたかのような気がして、
考えてみると、確かにそれは有り得る危惧であることに気付きました。
何せ、マーベラスは忠義を尽くしていたザンギャックに裏切られて殺されかけていたジョーを助けて
仲間に誘った男なのです。
マーベラスならサリーを助けて仲間にするくらいのことはやりかねないとジョーは気付きました。
既に助けているわけですから、マーベラスならば仲間にしてもおかしくはない流れです。

それに、サリーを放り出したらバスコのもとに帰ることぐらい誰でも分かる。
そのバスコがサリーを裏切るだろうとマーベラスは予測していて、
それでサリーを助けたとマーベラス自身言っているわけですから、
そのバスコのもとにサリーが戻ることが分かっていて放り出すというのは、
助けたという行為と矛盾してしまいます。

結局、マーベラスはサリーを死なせたくないから助けたのであり、
サリーを死なせたくないのならバスコのもとに帰さないようにするしかない。
そのためにはガレオンから放り出すわけにはいかない。
それはつまり、ずっとサリーをガレオンに乗せていくということで、
一緒に旅をする仲間にするということです。

そう考えたジョーは、サリーを仲間にしないと、わざわざ問われてもいないのに言い出したマーベラス自身が
実はそういう解決法も既に検討しているのではないかと疑いました。
それでジョーがマーベラスの背中に向かい「・・・本当か?」と静かに問いかけると、
マーベラスは目を伏せてから、ジョーの方をじろりと睨みますが、何も言わず目を逸らします。
明らかに動揺したような風情です。

いや、マーベラスも別にジョーに嘘を言ったつもりはなく、
本当にサリーを仲間にするつもりもなく、怪我が治れば船から追い出すしかないと思っていたから、
ジョーに正直に言ったつもりだったのです。
しかしジョーに「本当か?」と問われると、確かにそんな方法も考えていた自分の本心に気付かされました。
しかし、やはりサリーを仲間にするというのは有り得ないとも思い、マーベラスの気持ちは揺れました。

そうしたマーベラスの明らかに挙動不審な様子を見て、ジョーはフッと笑うと前に進み出て、
マーベラスの顔を覗き込んで「うちの船長は・・・信じられないお人よしだからな・・・」と可笑しそうに言いました。
じろりと睨み返すマーベラスに向かってジョーは
「元ザンギャックに・・・女盗賊に・・・ロクに戦えそうもない技術者に・・・お姫様・・・通りすがりの地球人・・・!と、これまでマーベラスが一緒に旅をする仲間に選んだ者達を順に挙げていきます。

元ザンギャックとはジョー自身のことであり、女盗賊はルカ、ロクに戦えそうにない技術者はハカセ、
お姫様はアイム、通りすがりの地球人は鎧のことをそれぞれ指します。
この5人を仲間に選んだことを指して、ジョーはマーベラスのことを「お人よし」だと言うのです。
それはまるで、この5人がマーベラスの旅にとって、何のメリットも無い連中であるかのようでした。
実際のところ加入当初のハカセやアイムは本当に役に立たなかったようですが、
ジョーやルカはそれなりに戦力になったはずです。

だが、ジョーはそういうことを言っているのではなく、
そもそも「宇宙最大のお宝」を手に入れるという目的を達成するだけならば、
別にマーベラス1人でも構わなかったはずではないかと言っているのです。
現にバスコも1人で行動しており、唯一の手下のサリーのことも平然と切り捨てようとしている。
それがお宝探し目的の海賊の普通の姿なのではないのか?
マーベラスが仲間を集めたこと自体が本来はお宝探しには必要の無い余分なことだったのではないのか?
とジョーは思っているのです。

ただ、ジョーは別にマーベラスをバカにしているわけでも非難しているわけでもありません。
それがマーベラスらしい美点だと言っているのです。
「お人よし」というのはそういうことです。
一見バラバラなように見えるこの5人、そしてそもそもこの話の発端となったサリー、
この6者に共通しているのは、皆、どうしようもない切羽詰った状況に置かれていたことでした。

ザンギャックの脱走兵のジョーは追手に囲まれて殺される寸前でした。
女盗賊のルカはザンギャック兵に囲まれて絶体絶命の状況でした。
技術者のハカセはガレオンの修理を請け負ったためにザンギャックに追われる立場になっていました。
亡命王女のアイムはお尋ね者としてザンギャックに追われていました。
地球人の鎧は自分の星がザンギャックの侵略を受けて困り果てていました。
そしてサリーは遠からずバスコに始末される運命の哀れなサルです。

結局はマーベラスはそういう哀れな者達を見捨てることが出来ずに手を差し伸べてしまうだけなのではないか。
地球のために戦い始めたのも、ザンギャックにいたぶられる地球人を見捨てることが出来なかったからではないのか。
ジョーはそのように指摘しているように見えます。

そして「一度裏切られた男が・・・よくここまで集めたもんだ・・・!」とジョーは感心したように言いました。
普通は裏切られたら人間不信になり、人を簡単には信用しなくなるものです。
だから困っている無力な者をわざわざ助けようなどとは思わない。
ところがマーベラスは自分が手酷い裏切りを受けて捨てられたというのに、
惨めな境遇で喘いでいる者達を見捨てなかった。
いや、自分が捨てられた惨めな気持ちを知っているからこそ、惨めな境遇の者を見捨てられないのかもしれない。
そういうマーベラスの優しさが、マーベラスの魅力であり美点だとジョーは言っているようです。

しかしマーベラスはジョーの方に振り向いて、険しい顔で「ジョー・・・」と何か反論しようとしました。
マーベラスは、ジョーが誤解していると思ったのです。
自分がジョー達を仲間にしたのは同情が理由ではない。
一緒に「宇宙最大のお宝」という夢を掴むことが出来る仲間になれると思ったからです。
バスコのように裏切ったりはしないヤツだと思えたからです。
だから同情心で仲間を選んだわけではない。

その点、サリーは根本的に違う。
サルには夢の価値など理解出来ない。
だから一緒に夢を掴む仲間にはなり得ない。
それにバスコに忠実なサリーは信用出来る相手ではない。
だから仲間にすることは絶対に有り得ないのです。
それなのに、これまで仲間にした連中とサリーを同列に論じて、
まるで自分がサリーを仲間にしようとしていると決めつけるようなジョーの言葉に
マーベラスは違和感を覚えて、反論しようとしました。

しかしジョーが落ち着いた表情で真っ直ぐ見つめ返してくるのを見て、マーベラスは黙り込みます。
ジョーがそういうことを言っているわけではないということが、何となく分かったのです。
自分が同情心だけで拾われたのだと思っていたとしたら、
ジョーの性格上、あまり良い顔はしないはずです。
しかしジョーが満足した顔をしているということは、
マーベラスが自分達を同情心だけで仲間に選んだわけではないことは、ジョーは分かっているということです。

では、何をもってマーベラスがこれまで仲間を選んできたのかというと、
それはマーベラスが想っているような「一緒に夢を掴む仲間」という基準ではないようです。
そういう理由ももちろん有るのですが、
ここでジョーが言おうとしていることは、夢の価値など知らないサルのサリーまで含んでいるのですから、
そういうニュアンスとは少し違うようです。
それが何なのか、何故それが仲間を選ぶ基準になるのか、このあたりはどうも漠然としていて、
マーベラスにも、ジョーにも、実はよく分かっていません。

ただ、マーベラスがもしサリーを仲間にしようと思っているのだとするなら、
今までマーベラスがその独自の基準で選んで仲間にした連中に外れが無かった実績から考えて、
それは信頼して任せていいとジョーは思ったのです。
ジョーは「好きにしろ・・・!」と言うと、マーベラスの肩に手を置き、重く力を込めました。
その重みを感じてマーベラスはじっと自分の肩に置かれたジョーの手を見つめ、
その信頼感の大きさを感じ取り、手を離して去っていくジョーの後ろ姿を一瞥すると、
フッと微笑しながら見張り台の外に向き、上着を羽織って眼下の夕景を再び眺めるのでした。

確かに自分はサリーを仲間にすることも検討している。
そして、それは決して同情心だけによるものではない。
かといって、サリーが一緒に夢を掴める仲間になり得るとも思えない。
だとしたら、自分はいったいサリーに何を求めているのか、何を期待しているのか、
マーベラスは考えてみて、どうも自分が「夢」という言葉に拘り過ぎていたような気がしてきました。

マーベラス一味は、ゴーカイジャーは、「夢を掴むために集まった仲間達」というのは
決まり文句のようになっています。
だから、マーベラス一味の仲間は一緒に夢を掴めるヤツでないといけないと、つい考えがちです。
しかし実際、今までの仲間を選ぶ時、自分は「夢」のことばかり考えていたのだろうか?
マーベラス一味のスローガンに縛られずに、ジョーの言ってくれたように、
もっと好きなように考えてみてもいいのかもしれないと思うと、
マーベラスは少し気が軽くなって、眼下の景色を見ながら、笑顔になっていくのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:11 | Comment(0) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月25日

第47話「裏切りの果て」感想その3

では冒頭ナレーションが終わって今回の物語が始まります。
最初はゴーカイガレオンの船室にマーベラス一味の面々が集まって珍しく真面目顔で協議している場面です。
議題はもちろんマーベラス一味にとって最重要の「宇宙最大のお宝」探しに関することで、
これまでならばお宝ナビゲートで新たな「大いなる力」を捜しに行こうという場面なのですが、
もはや第46話においてカクレンジャーの大いなる力をゲットしたことによって、
新たな「大いなる力」を捜しに行くという段階は終了しました。

今現在、マーベラス一味が手にしている大いなる力は29個。
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために揃えなければいけない大いなる力は34個。
そして、マーベラス達が34個の大いなる力を揃えるためには、
残り5個の大いなる力を確保しているバスコから、その5個を奪うしかない。

船長椅子にはマーベラスが顎の前で手を組んで黙って座っています。
宿敵であるバスコとの決着が迫っていると感じ、心には燃え立つものがありました。
マーベラスにとってバスコはかつての赤き海賊団時代の元仲間であり、
赤き海賊団を裏切り壊滅に追いやった憎い裏切り者です。
赤き海賊団の生き残りであるマーベラスにとっては、バスコとサシでケリをつけて倒すことは宿願でした。

しかし今までは個人的復讐よりも、まずはマーベラス一味の船長として、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な「大いなる力」探しを優先して取り組む必要がありました。
「宇宙最大のお宝」を手に入れることはもともとはマーベラスの夢ですが、
マーベラス一味の他の5人はマーベラスがその「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を
一緒に掴むために仲間にした連中です。
だから、「宇宙最大のお宝」は決してマーベラス1人の夢ではないのです。
仲間の皆のためにも、「宇宙最大のお宝」を掴むまでは、個人的復讐は優先させることは出来ない。

今まではそれでマーベラスはバスコを目の前にしてもサシで戦うことは我慢してきました。
バスコと戦うのは、あくまで「大いなる力」を手に入れるためであり、バスコとの決着が最優先ではない。
だからサシの対決ではなく、とにかく「大いなる力」のために6人でバスコと戦ってきました。

今回もまだその段階です。
あくまでサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
5つの「大いなる力」をバスコから奪取するための戦いであり、バスコと決着をつけるための戦いではない。
だから、あくまで6人でバスコと戦います。

しかし、そんな我慢もこの戦いが最後になるということもマーベラスは分かっています。
5つの「大いなる力」をバスコから奪えば、その後はバスコと決着をつけることが出来る。
いや、その時しかバスコと決着をつけるチャンスは無いかもしれない。
だから、マーベラスはいよいよバスコとのサシの決闘の時が迫っていると感じ、心に期するものがありました。

そうしてじっと黙って目の前の一点を見つめるマーベラスの座る船長椅子の右脇にはジョーが立ち
「・・・まずは居場所をつきとめないとな・・・」と重々しい口調で言います。
ジョーもマーベラスとバスコの決着が迫っていることは感じていました。
マーベラスがそれで入れ込んでいるのも分かっています。
しかしバスコは昔は隠していた怪人態も出してきており、
果たしてマーベラスがサシで勝てる相手なのかどうか非常に怪しい。
いや、それどころか6人がかりでも未だに優勢に勝負出来たことすらない相手です。

たとえ不利と分かっていてもマーベラスとバスコのサシの決着を邪魔する気はジョーには毛頭無かったが、
そこに至る前の5つの「大いなる力」の奪取の方がまず大問題だとジョーは思っていました。
いや、それ以前にバスコの居場所が分からないのが問題でした。
このままバスコが姿を現さなければ、「宇宙最大のお宝」は永遠に手に入らない。

実は数日前にはマーベラス達はバスコに会っていました。
マーベラス達を庇って姿を消した宇宙刑事ギャバンの行方を何故かバスコが教えてくれたのだが、
その時はギャバン救出が優先であったのでバスコと戦って「大いなる力」を奪うことは後回しとした。
もし、このままバスコを見失うようなことがあれば、あの時のことが悔やまれる。

一方、船長椅子の左脇に立っていたルカは
「あのフリージョーカーって船・・・レーダーには反応しないんでしょ?・・・目で探すしかないってこと・・・!」
と言いながら部屋の中を歩いてソファー脇の丸椅子に腰かけて溜息をつきました。
バスコがこの「宇宙最大のお宝」がある地球から何処か余所に逃げ出すはずがない。
どうせフリージョーカーというあの乗艦に乗って地球上空の何処かに隠れているに決まっている。
自分達から隠れているというより、ザンギャックからも追われる身となったバスコが
そんなおおっぴらに姿を現すはずがないとルカは思っていました。

あのフリージョーカーは一度ルカ達が捕らわれて閉じ込められた船であり、
その時、マーベラスやナビィが懸命に探しても見つけられなかったと聞いています。
だから計器で探しても見つけるのは無理。
「目で探すしかない」とルカが溜息混じりに言っているのは、
要するに見つけるのは不可能という意味で言っているのです。

しかし、半ば諦め気味のルカに向かって、「それでもなんとか見つけないと・・・」と厳しく意見するのは
ソファーでアイムと鎧と一緒に腰かけていたハカセでした。
いつもバスコにはコテンパンにされているというのに、ハカセにしては意外に好戦的な意見かと思いきや、
ハカセは「直接戦うよりもゴーカイオーや豪獣神で戦う方が大いなる力が使える分、有利だと思う」と言うのでした。

ハカセはバスコとの戦いはどっちにしても避けられないと覚悟はしています。
ここまで来たら自分達としてもバスコから5つの大いなる力を奪わずにはもう引っ込むわけにはいかないし、
それはバスコも同じことです。
このままバスコが隠れているなんていうことも有り得ない。
絶対また襲ってくるに決まっています。

しかしバスコの怪人態の強さを骨身に沁みて知っているハカセは、
出来ればバスコ怪人態と正面からぶつかるのは避けた方が得策だと思っていました。
むしろバスコが襲ってくるよりも前に先手を打って
フリージョーカーで待機中のバスコをゴーカイオーや豪獣神で急襲して、
巨大戦だけで一気にバスコを倒してしまった方がいいと思っているのでした。

「確かに・・・厄介な相手ですもんね」と鎧もハカセの提案に賛意を表します。
悔しいが、自分達の今の力では、等身大戦ではバスコ相手に優位とは言い難い。
しかし巨大戦ならばフリージョーカーとなんとかロイドしか持たないバスコは
ゴーカイジャー側よりも脆弱な戦力といえます。
「大いなる力」を34個揃えるためには、あえて等身大戦は避けて巨大戦に持ち込むべきだと鎧も思いました。
しかし、ならばやはり急いでフリージョーカーを見つけなければならないが、
その場所が探しようがないのだから、結局、話は堂々巡りです。

その時、アイムが思い切って口を開き
「あの・・・思い切って電話をしてみてはどうでしょう?」と意外な提案をしたのでした。
一同は「え!?」と驚きます。
アイムが誰に電話をしようと言っているのか、一瞬分からなかったのでした。
まさかバスコに電話するということなのかと思ったら、アイムは立ち上がって
「・・・バスコも、私たちの持つ大いなる力が必要なわけですから、同じように私たちを捜していると思います」
と言いながらマーベラスの傍まで歩いていき、
「上手くすれば、船ごとおびき出せるかも・・・!」とマーベラスに向かって提案したのでした。

やはりアイムはバスコに直接電話して、誘い出すことを提案していたのでした。
確かに、フリージョーカーがレーダーに映らないのと同様、ガレオンもレーダーには映りません。
だからバスコもまたマーベラス達の居場所を今なんとか探しているはずですが、
賞金首のバスコとしてはそんなに大胆に姿を現して探し回るわけにもいかず、難儀している可能性があります。
だから、こちらから連絡しておびき出せば、誘い出せるかもしれませんでした。
場所を工夫すれば等身大戦ではなく巨大戦に持ち込めるかもしれない。

そのようにアイムは提案しているのですが、
皆、いくら何でも用心深いバスコがそんなミエミエの誘いに乗って出向いてくるとは思えませんでした。
が、このまま何も名案も無いままウダウダ言っているよりはマシだと思い、
マーベラスは黙ってモバイレーツを取出し、とにかく一度試しにバスコに電話をかけてみようと思いました。

バスコとは以前にも何度かモバイレーツ同士で電話の遣り取りをしています。
そもそも数日前にもギャバンの件でバスコから電話がかかってきたばかりですから、その番号にかけ直せばいい。
いつまでもバスコが同じ番号のままであるとは限らないし、
たとえバスコの電話に繋がっても、敵であるマーベラスからのいきなりの電話にバスコが律儀に出るとも思えないが、
それでも物は試しとばかりにマーベラスはバスコに向けて電話をかけてみたのでした。

すると、なんと1コールで「ヤッホ〜!マベちゃん!電話くれるなんて嬉しいじゃん!」と
バスコが通話に出たのです。
相変わらずの軽薄で相手を小馬鹿にしたような喋り方に対する苛立ちと、
いきなり電話に出てきたということに対する驚きの入り混じった声でマーベラスは
「・・・バスコ!」と思わず呻きます。

それを聞き、マーベラスを注目していた他の5人は一斉に「えぇ!?出たの!?」と驚き騒ぎます。
まさかバスコが素直に電話に出るとは、その策を提案したアイムさえ意外に思ったようです。
しかしバスコの方は、何処か屋外に立っている様子で
「大いなる力が揃ったから、決着つけようっていうんでしょ?」と、
マーベラス達の考えを見透かしたように言います。

まぁしかし、これぐらいは今の状況ならばマーベラス達とバスコの双方とも当然考えているはずのことですから、
バスコにマーベラス達の肚が読めるのは当たり前です。
そして当然、マーベラス達が自分を誘い出そうとしてきていることもバスコは分かっているはずです。
だがバスコは罠と分かっているクセに妙に積極的で、ニヤニヤして
「いいじゃない!いいじゃない!どうする?いつ何処にする?」と、
まるで友達と遊びに行く約束を決める時のように人懐っこい声で馴れ馴れしく聞いてきます。
いや、確かにこの2人はもともとは友達なのです。

マーベラスはバスコがあまりに馴れ馴れしいので少し閉口し、
「ちょっと待て!」と言ってモバイレーツから顔を離し、5人の仲間の方に振り向きつつ、
「・・・どうする?明日にするか?」と低い声で問います。
とにかくバスコが誘いに乗ってくれるというのなら好都合です。
バスコの気が変わらないうちに一気に勝負をつけようとマーベラスは思い、
あまり先に延ばさない方がいいと思ったようです。

しかし、ハカセや鎧やアイム達はいきなりの急展開にまだ心の準備が出来ておらず、
「あ、明日〜!?」と驚いて問い返しました。
まさかバスコが誘いに乗ってくるとは予想していなかったので、
明日いきなりバスコと戦うと言われると、さすがに浮き足立ってしまいます。

そのハカセ達の声が聞こえたのか、
バスコは「なになにぃ〜?明日なんてつれないじゃない?」と軽薄な口調で言ってきます。
明日というと、かなりマーベラスとしては積極的な対応のはずですが、
バスコはそれでは遅すぎるかのように不満を漏らしているのですから、これは意外です。
まるで今すぐ会いたいと言っているようですが、
電話をかけたマーベラスが準備万端で今すぐ戦おうというのなら分かりますが、
いきなり電話がかかって来た立場のはずのバスコがそこまで積極的というのは異様です。

しかしバスコは「せっかくマベちゃんが電話くれたんだから、今すぐそこに行っちゃうよぉん?」と言いつつ、
傍に立ってバナナを喰うサリーの腹のハッチを開くのですが、
これは電話の向こうのマーベラスには分かりません。
バスコの意図が分からず「なにぃ・・・!?」と問い返すマーベラス。
その瞬間、ガレオンを激しい衝撃が襲います。

一同が驚き慌て、「なんだなんだなんだぁ〜!?」とナビィが大騒ぎする中、
ハカセが急いでメインコンピュータの操作盤をいじって前方モニター映像をパネルスクリーンに映し出し、
そこに映った光景に「これは・・・!?」と息を呑みます。
そこには巨大な怪物が2体、映し出されていました。

「バスコか!?」と怒鳴ってマーベラスは立ち上がりました。
これはバスコの手持ちのなんとかロイドに違いない。
こいつらがいきなり攻撃してきたのです。
そして、バスコが「今すぐそこに行く」と言ったのは、この怪物を差し向けるという意味だったのです。

ジョーも怪物の映るスクリーンの前に駆け寄りながら
「ふざけやがって!!・・・先に見つけられてたか・・・」と忌々しそうに怒鳴ります。
つまりバスコは先にガレオンを見つけて先制攻撃しようとしているところだったのです。
そこにちょうど間抜けにもマーベラスが誘いの電話をして、
バスコはわざわざその電話に出て、まるで自分もマーベラス達の行方を捜しているかのような芝居をして
マーベラスをからかったのでした。
相変わらず、とことん胸糞の悪くなるヤツだとジョーは怒りを覚えました。

しかしマーベラスはさんざんコケにされたにしては意外に冷静に
「まぁいい・・・大いなる力、一気に手に入れるぞ!!」と仲間に号令をかけます。
何にしてもバスコがわざわざこちらに有利な巨大戦を挑んでくれるというのなら、
それは願ってもない展開だと思い直したのでした。
返り討ちにして一気に大いなる力を奪うチャンス到来です。
一方、バスコの方はガレオンが見える近くのビルの屋上でモバイレーツを閉じて、
「・・・さぁマベちゃん!・・・派手に行こっか・・・!」と不敵に笑うのでした。

前後篇特有のいきなり巨大戦パターンということですが、
ここで今回はOPテーマとなります。
通常回の最終篇の前篇といえる今回、OPナレーションは通常回バージョンです。
この通常回バージョンのOPナレーション場面ももしかしたらあと1回ぐらいしか見られないかもしれません。

そしてOPテーマが始まり、脚本のテロップは荒川稔久氏です。
カクレンジャー篇は香村純子氏でしたが、
おそらくここからクライマックス篇は荒川脚本の5連発となるのでしょう。

そういうことを既定事項として計算すると、
荒川氏の脚本を担当したエピソードは全51話中、25話ということになり、
およそ半分をメインライターが書いたというのは、まぁシリーズ的には平均的な割合といえます。
次いで多いのが香村氏の16話で、サブライターでは断トツに担当回が多く、サブメインという扱いです。
荒川・香村の両氏で合わせて41話ですから、全体の8割はこの2人が書き、
残り2割にあたる10話のうち6話をサブライターの下山健人氏が書き、
あとの4話のうち2話を書いた浦沢義雄氏、1話を書いた井上敏樹氏、1話を書いた石橋大助氏の3人は
ゲストライターという扱いと言っていいでしょう。

そしてOPテーマが終わり、CM明け、今回のサブタイトル「裏切りの果て」が出ます。
サブタイトルにも凝った工夫の多かった「ゴーカイジャー」ですが、
もはやクライマックス篇まで来ると、特に捻りは無く、文字通りそのままの意味のド直球のサブタイトルです。

これは今回の話がバスコのお話であるということを表しているのでしょう。
「裏切りに次ぐ裏切りを繰り返してきたバスコが、裏切りの果てに掴んだものは何だったのか?」というのが
今回のテーマといえますが、
実は今回のエピソードではその答えは明確には出ていません。
おそらく次回、その答えが出るのだと思われるので、
事実上はこのサブタイトルは通常回の最終篇である今回と次回の前後篇全体のサブタイトルと言っていいでしょう。

さて本編が再開し、場面は冒頭の場面の続き、
いきなりガレオンを襲ってきた2体の怪物に対して、マーベラス達はゴーカイオーと豪獣神を繰り出して対峙します。
この2体の巨大な怪物はバスコがサリーの腹のハッチの中に飼っている「ロイド」という擬似生命体で、
要するにバスコが作った人工生命体のようなもので、
いちいち1つ1つに変な愛称をつけてバスコは呼んでいます。

これまでにバスコはこの擬似生命体を5体、マーベラス達に差し向けてきて、悉く倒されてきています。
第16話で登場したのがリキッドロイドのワテル、
第20話で登場したのがムーンロイドのツッキー、
第23話で登場したのがファイヤーロイドのメラン、
第39話で登場したのがウッドロイドのモリリン、ソイルロイドのドロリンです。

よく見ると、曜日がモチーフになっていることが分かり、
「水」「月」「火」「木」「土」が既に登場済みですから、残るは「日」と「金」の2つと思われ、
今回バスコが繰り出してきている2体がこの「日」と「金」に相当する最後の2体だと想像されます。

これらの擬似生命体はバスコの貴重な巨大戦力ですから、
これが7体全部倒されると、バスコは巨大戦では著しく不利な状況となり、
マーベラス達がガレオンに篭っている限りはほぼ手出し出来ない状況になりますから、
バスコの「宇宙最大のお宝」奪取作戦は不利な状況となってしまいます。

もちろんマーベラス達もバスコを見つけ出して大いなる力を奪わねばならないので、
不利な等身大戦に持ち込まれるリスクはあるのですが、
それでも巨大戦力で優位に立っている限り、マーベラス達の優位は動かない。
だから、ここでこの2体のロイドを撃破することは、バスコとの戦いにおける天王山と言ってもいいぐらい重要です。
それゆえマーベラスはゴーカイオーのコクピットで
「こんなデカいだけの人形に負けられるか!!」と気合が入りまくっています。

そのゴーカイオーと豪獣神に向かって、2体のロイドのうちの1体が何やら金色の光を発射し、
ゴーカイオーと豪獣神は金色の膜のようなものに覆われて身動きが出来なくなります。
「何これ!?」とルカが驚き、豪獣神のコクピットでは鎧が「金粉で固まっちゃいました!!」と叫びます。
ロイドの発した金色の光は光線ではなく、大量の金粉であったようです。
その金粉がゴーカイオーと豪獣神のボディを覆って固まり、人形のように身動き出来なくしてしまったのでした。

すると、今度はもう1体のロイドが大きな炎の玉のようなものを両掌の間で作り出して、
動けないゴーカイオーと豪獣神に向けて発射し、
炎の玉は2体のロボのボディを覆う金粉の膜を破壊しつつ、2体のロボに強烈なダメージを与えます。
2体のロボのコクピットには衝撃が走り、マーベラス達6人は「ぐうあっ!?」と苦しむのでした。
なかなか見事な2体のロイドの連係攻撃で、序盤の戦闘はロイド側優勢で始まります。

それをビルの屋上で見上げるバスコは「いいよいいよ!押して押して押しまくっちゃってぇ!
サンロイドのソーラー君に、ゴールドロイドのゲロンパちゃん!」と声援を送っています。
この2体のロイドの名はサンロイドとゴールドロイドで、
やはり曜日の残り2つである「日」と「金」がモチーフでした。
ということは、やはりこの2体が最後の2体と思われます。
おそらく金粉を発射した方がゴールドロイドであり、太陽のような炎の玉を発射した方がサンロイドなのでしょう。

しかし、サンロイドの愛称が「ソーラー」なのは分かるとして、
ゴールドロイドの愛称が「ゲロンパ」とは、これは一体どういうことなのかと思いますが、
これは「ゴールド」→「金」→「キンキン」→「愛川欽也」→「うつみ宮土理」→「ケロンパ」の連想に
よるもののようです。
なんともアホらしいネーミングです。

しかし、それはさておき、バスコはどうも大真面目にこの2体のロイドを応援しているようですが、
これまでにも同じようなロイドをマーベラス達に5体撃破されてきているというのに、
こんな真正面からの力押しで勝てると思うのは、どうも甘すぎる認識でしょう。
たまたま不意打ちが決まって今は優勢ですが、
マーベラス達の巨大戦での実力はこんなものではないのはバスコだって分かっているはずです。

そうはいってもバスコの巨大戦力はこのロイド達しかいないわけですから、
残ったロイド2体で特攻を仕掛けて巨大戦を制して、
マーベラス達を等身大戦に引きずり出すというのが今のバスコの精一杯の作戦ということになるのかもしれません。
しかし、それにしても、今まで奸計の限りを尽くしてきたバスコらしからぬ浅はかな作戦のように見えます。
これは何か裏があるのかもしれません。

戦いの方は、まず鎧が反撃の口火を切ります。
いきなりガレオンを攻撃されて慌ただしくゴーカイオーと豪獣神を繰り出して、
まだ心が落ち着いていないところを狙われて思わぬ不覚を取りました。
やはり戦いというのは単純な戦闘力の比較によって勝負の決まるものではなく、
いかに自分の精神的に優位な状況を作っていくのかが重要な要素です。
その点、確かにバスコは上手い攻め方をしてきました。
しかし、ザンギャックとの長く続く戦いによって今や百戦錬磨に成長したマーベラス達だって、
単純に戦闘力に頼った戦い方だけではなく、戦闘時の精神的優位を確保していく駆け引きもお手の物です。
それも含めてのマーベラス一味の実力といえます。

ここは逆に相手を慌てさせて、相手優位の流れを止めるのが有効だと判断した鎧は
「いきなり来たら、いきなり返す!!」と叫んで、「豪獣トリプルドリルドリーム!!」と、
いきなり豪獣神の決め技を出します。
この大技は普段は弱った相手にトドメを刺す技ですから、今の状態で放っても相手に有効打は与えられません。
しかしこの技の強烈無比な破壊力は、調子に乗っていた2体のロイドの勢いを止めて大慌てさせるのは十分過ぎます。

パニック状態となって混乱するソーラーとゲロンパを見て、
ゴーカイオーのコクピットではアイムが「今です!」と合図し、
ここでゴーカイオーはデカゴーカイオーにチェンジして、
横っ飛びしながら二丁拳銃でソーラーとゲロンパを撃ちまくりました。
そして着地すると同時に今度は高く跳び上がり、降下しながら二丁拳銃を撃ちまくるという連続攻撃で、
とにかく撃ちまくります。
続いてジョーが「喰らうがいい!」と言ってデカゴーカイオーからマジゴーカイオーにチェンジ。
どうでもいいが、ジョーのこのセリフ、これって普通は悪役が言うセリフなんですけど、
海賊戦隊のマッチョキャラのジョーが言うと妙に似合います。

しかしマジゴーカイオーとデカゴーカイオーは振り返ってみると、
このように繋ぎ役で使われる頻度高かったですね。
その分「攻撃が通じない」という描写も多く、ちょっと弱体化の印象が強くなった損な役回りですが、
しかしお疲れ様でした。
実際は攻撃が通じていないわけではなく、
トドメ前の通常攻撃の代わりにデカやマジの決め技が使われてるだけなので、
しっかり相手を弱体化させていっている功績はあるのです。

ここでもマジゴーカイオーはゴーカイマジバインドを繰り出して
ソーラーとゲロンパを締めつけて押し潰す寸前に脱出されて、
逆に回転しながら突っ込んでくるソーラーとゲロンパの体当たり攻撃で
ゴーカイオーと豪獣神は翻弄されてしまいます。
しかし既にデカとマジに痛めつけられているソーラーとゲロンパの起死回生の反撃には今一つ重みが無く、
ゴーカイオーと豪獣神はこの攻撃に耐えて、
マーベラスは「んなコケおどしに負けるか!派手にいくぜ!!マッハルコン!!」とマッハルコンを召喚、
カンゼンゴーカイオーへと合体しました。

一見、一進一退の攻防のようにも見えますが、ソーラーとゲロンパは確実に弱ってきており、
一方、そうした局面でマーベラス達は最強の武器であるカンゼンゴーカイオーを繰り出してきました。
勢いは完全にマーベラス達の方にあるといえます。
こうした戦況を見て、ビルの屋上でバスコは
「あ〜あ・・・気前よく大いなる力、渡しすぎちゃったかなぁ・・・?」と、つまらなそうに愚痴ります。

バスコは大いなる力を無理に奪い取る際のトラブルで
レジェンド戦士たちと無用に争って大いなる力が損なわれることを恐れて、
最低限の分だけ保険として確保しておいて、
マーベラス達に残りの大いなる力を全部集めさせてから、
最後にまとめてマーベラス達から奪い取るという作戦を立てたのです。

レジェンド戦士たちは奪い取る時に戦いになって勢い余って殺してしまったら
大いなる力が無くなってしまう危惧がありましたが、
マーベラス達なら奪い取る際に戦いになって殺してしまっても大いなる力が損なわれることはない。
だからバスコとしても安心して全力で戦うことが出来るし、
そもそも、マーベラス達に集めさせてから奪う方が戦う回数が少なくなって断然手間が省けていい。

バスコは単にお宝が欲しいだけの男であって、
人を殺すことが好きだとか、強敵と戦うことを好むとか、そういうタイプではないのです。
手間を省いてお宝が手に入るなら、それに越したことはない。
極端に言えば、バスコはマーベラスのことが嫌いなわけでもないし、戦いたいわけでもないし、
勝ちたいわけでもないし、殺したいわけでもない。
ただ単に「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにはマーベラスから大いなる力を奪わなければならないので、
その目的達成のために戦う必要があれば戦うし、殺す必要があれば殺すというだけのことであり、
そこで目的達成のために必要なことであれば、どんな行為であっても躊躇しないのがバスコという男なのです。

だから、遂にその作戦の最終段階、
マーベラス達にわざと集めさせておいた大いなる力をごっそり頂くという局面ですから、
バスコは本気でマーベラス達を殺しにかかってきています。
しかし現在、あまり工夫無く正面突破を図ってどうもジリ貧状態になりつつある。
しかもそれを「計算通り」などとほくそ笑むというわけでもなく、
バスコは本気で困ってしまっているように見えます。
このだらしない感じは一体どういうことなのか?

だいたい、マーベラス達に大いなる力を自由に集めさせてしまったら、
その分、マーベラス達が強化してしまうことぐらい、
地球に来て最初に大いなる力の威力を見た時にバスコは分かっていたはずです。
だから、今になってマーベラス達が強くなっていることに気付いて愕然としているわけでもない。
実際、この場面でも逆に「こんなはずでは!?」なんていう焦りも見せてはいないのです。

「計算通り」でもなく「計算違い」でもなく、
ただ単にマーベラス達が強くなっているのは分かっているのに本気で正面攻撃を仕掛けて、
結局やっぱりダメだったなぁ・・・とぼやいているだけです。
これじゃ全然ダメダメじゃないですか。

しかもバスコは、カンゼンゴーカイオーに圧倒されていく哀れなソーラーとゲロンパに
早々に見切りをつけるように背を向けてしまうと、
「手持ちのロイドも品切れだし・・・ザンギャックに戦力を借りるってわけにもいかないし・・・」とぼやき出す始末です。

やはりソーラーとゲロンパでロイドは最後であるようで、
ならばバスコにとってかけがえのない貴重な戦力のはずです。
まぁロイドはまた作ったり出来るようですが、
次のロイドを用意してくるまではマーベラス達に手出し出来なくなってしまうし、
その間、マーベラス達の攻撃を受けない保証も無いのです。
だからソーラーとゲロンパを失うわけにはいかないはずなのに、
バスコは今ならまだ助けられるかもしれないソーラーとゲロンパをもう簡単に諦めてしまっています。

だいたい「品切れ」だと、まるで他人事のように言っていますが、
もともとバスコがロイドを無駄遣いしてきたから足りなくなっているのです。
これまでの戦いの際にマーベラス達の追撃を振り切るためや、
ダマラスにマーベラス達を倒す姿勢を見せるためにロイドを差し向ける必要は確かにあったのかもしれませんが、
ロイドをいちいち使わずとも他の方法もあったでしょう。

とにかくロイドの数は限られているのであり、
マーベラス達は気前よく大いなる力を譲っていけば強くなるのは分かりきっているのですから、
最後にマーベラス達を本気で倒しにかかる時に7体のロイドで総攻撃をかけるために
ロイドは温存しておくぐらい、あらかじめ考えておくべきだったのではないでしょうか?

おそらくバスコはそんなことも深く考えず、
マーベラス達と戦うたびに、行き当たりばったりにロイドを小出しにしていただけなのでしょう。
そして今も劣勢になったらもうさっさと勝利を諦めてしまっており、
最後のロイドも無謀な作戦で無駄遣いして終わりにしてしまっています。

そもそも、どうしてバスコはわざわざ不利な巨大戦などを選んだのか?
バスコの方が先にマーベラス達を発見していて、
マーベラス達はバスコを発見出来ていないという極めて有利な状況であったのだから、
バスコ有利な等身大戦に持ち込む術策は弄することも出来たはずです。
いや、実際、あまりに無策な正面攻撃なので、何か裏の策があるのだろうかとも思いました。
しかし今のバスコの様子を見ていると、単に普通に正面攻撃を仕掛けただけで、
それで失敗して普通に困ってしまっているだけであるようです。

こんな戦力の無駄遣いもありません。貴重な戦力なのに。
これでロイドもいなくなってバスコとサリーだけです。
ザンギャックに兵を借りられなくなってしまったのも、
仕方ない状況であったとはいえ、ダマラスを裏切ったバスコの自業自得です。
あの場面はああするしか無かったとはいえ、後先考えず行き当たりばったりで行動して、
後で困ってしまうという傾向が、バスコにはどうも有るようです。

これで結局バスコとサリーだけになってしまい増援も期待出来ない状況で、
圧倒的有利な巨大戦力を抱えたマーベラス一味と対峙することになってしまいます。
仮に等身大戦に持ち込めたとしても、もはや第31話の時のようには
バスコはマーベラス達6人相手に圧勝は出来ません。
際どい勝負になり、状況次第ではバスコが負ける可能性もあります。
まともに戦って、バスコがマーベラス一味から大いなる力、レンジャーキー、ナビィ、ガレオンの
全てを奪える可能性はかなり低くなってしまったと言えます。

いったいどうしてバスコはこんなジリ貧状態になってしまったのか?
「宇宙最大のお宝」を手に入れる作戦としては、
マーベラス達に集めさせた大いなる力を最後にごっそり頂くという作戦は、
非常に鮮やかな良い作戦だと思います。
ただ、そのために最後はマーベラス達を戦って倒さなければいけないのに、
その戦いに向けての戦略があまりに杜撰だったのです。

バスコがもっと緻密な戦略を練っていれば、マーベラス達に勝つことは出来たはずです。
しかしバスコはその戦略が立てられなかったのです。
おそらく、あまりに普通に戦って強いために、常に行き当たりばったりに戦っても勝ってきたので、
今まで戦いの場において緻密な戦略など立てたことは無いのでしょう。
ダマラスのようにバスコよりも強い相手もいましたが、
そういう相手に戦って勝とうなどとバスコは考えておらず、
だから戦場での戦略というものを練った経験は無いのでしょう。

つまりバスコというヤツは、戦いの素人なのです。
そういえば赤き海賊団の頃の話として、バスコは自分がメシを作ってばかりだったと言っていました。
全く戦わなかったというわけでもないようですが、
主に戦いはアカレッドとマーベラスが担当し、バスコは主に色々と雑事を引き受けていたようです。
もちろんバスコは普通に戦えば強いので、あえて戦わなかったのでしょう。

マーベラスは知らなかったがアカレッドはバスコの怪人態のことも、その強さも知っていたようですから、
バスコは弱いフリをしていたわけでもないようです。
つまり、基本的に戦うのがイヤだったのでしょう。
それは平和主義者という意味ではなく、戦うのが面倒だったというだけのことです。
バスコは単にお宝が欲しかっただけであり、
アカレッドやマーベラスが戦いをやってくれるのなら、自分は戦わずに楽をしたいという考え方だったのでしょう。

そんなわけですから、バスコは戦えば圧倒的に強いのですが、それは持って生まれた能力、
あるいは努力で身につけた強さだとしてもそれは武術レベルの強さであって、
真に戦場で強者たちとのギリギリの戦いを繰り返す中で鍛えられた強さではありません。
だから戦闘力は高いが、戦略的な戦い方というのは出来ないのです。
単に力任せに自分よりも弱い相手を倒すだけの戦いしか出来ないのであって、
実力互角以上の相手を戦い方において工夫して倒すというような芸当は出来ない。
ダマラスに簡単に負けたのもバスコのそうした戦いの淡泊さ、工夫の無さが原因です。

そんなバスコですから、互角に近い実力をつけてきたマーベラス一味を相手に上手く戦うことが出来ないのです。
特に巨大戦も込みの実力では、今はマーベラス一味の方がバスコを凌駕していますから、
バスコはなす術も無い状態なのです。

所詮、バスコはザンギャックにコバンザメのようにくっついていたからこそ、大きな顔をしてこれた、
そういう程度の男であり、
単に個人としての戦闘力が抜きん出ているだけの普通人であり、戦士ではないのです。
そんな男がこうして巨大戦力までも失って、戦場でマーベラス一味に勝てるわけがない。

しかし、そんなつまらない男が、どうしてこれまで修羅場を潜り抜けて生き延びて来ることが出来たのか?
バスコは確かにザンギャックの力を利用しているという面はありましたが、
赤き海賊団時代にはアカレッドを出し抜き、先日はダマラスも裏切り罠に陥れました。
それにマーベラス達との戦いでも、いつもマーベラス達を翻弄し、大いなる力も既に5個ゲットしています。
これはただの強いだけの普通人に出来るようなことではありません。

といって、戦士として戦略的な才能があるわけでもないバスコがここまでのことをやってのけているのは、
バスコがとにかく「宇宙最大のお宝」を手に入れたいという想いが強く、
そのためには常識を超えたような行いを平然と遂行することが出来るからでした。
普通の人間では思いつかないような常識外れのバスコの行動に皆が意表を突かれてきたのでした。
常識外れといっても、良い意味ではありません。
人の道としては絶対に有り得ないような見下げ果てた下種な振る舞いを平気でやるということです。

ダマラスのような男は基本的には非道な悪そのものですが、
それでも軍人として部下の命を預かる立場として、人間関係上の最低限のルールはしっかり守っていたといえます。
しかしバスコはそんなものは平然と捨て去ることが出来る。
善や悪は超越して、完全に道に外れた外道なのです。
だからダマラスはバスコの狡猾さを読み切れず、騙されたのです。

それが一匹狼の強みとも言えますが、群れない一匹狼がみんなバスコのように外道であるわけではありません。
バスコは自分で「人を信用しない」と言っているように、本当に心の底から独りぼっちな男なのです。
だから、お宝のためにどこまでも狡猾に人の道を外れたことが出来て、
その常識を超えた奸計に、まともな人の心を持った者は皆が皆、裏をかかれてきたのです。
だから、戦略的にはジリ貧状態になったとはいえ、決して油断していいような相手ではない。
むしろ、ここからがバスコの本領発揮といえます。

カンゼンゴーカイオーにムチャクチャにやられるソーラーとゲロンパの方を再び振り返って冷ややかに眺めながら
「さぁ〜て・・・どうするかぁ・・・?」とバスコは呟きます。
そして、チラリと視線を動かし、
傍らで「ウキッ!ウキ〜ッ!」と無邪気に飛び跳ねながらロイド達を応援するサリーの方を見ます。
サリーは猿なので知能が低く、ロイド達がなぶり殺し寸前であることもよく分かっていないようです。
そんなサリーをバスコは冷ややかに見下ろすのでした。

一方、マーベラス達の方はもはや一方的にソーラーとゲロンパを追い詰め、
カンゼンミサイル、カンゼンドリルで叩きのめしたところで、最後はゴーカイカンゼンバーストで撃破、
ソーラーとゲロンパは抱き合って大爆発して果てます。

「やったぁ!」と鎧は大喜びしますが、マーベラスは勝利の余韻に全く浸ることなく、
「それより探せ!バスコは近くに居るはずだ!」と厳しく皆を引き締めます。
マーベラス達の目的はあくまでバスコを倒して5つの大いなる力を奪うことでした。
いや、今回はとにかくバスコを倒せなくても5つの大いなる力さえ奪えればいい。

その大いなる力はバスコが大事に持ち歩いているはずです。
そして、ロイドが出現したということは、この近くにバスコがサリーを伴って潜んでいるはずです。
もし逃げていれば、もういないのであろうが、
今回はバスコは自分達の持つ大いなる力を奪いに来たのだから、戦いの途中で逃げ帰るはずはない。
ロイドの撃破を見て慌ててバスコが逃げる前に捕まえれば、
バスコを倒せるチャンスだとマーベラスは思いました。

それで急いで周囲を眺めまわすと、目の良いルカが「あ!・・・あそこ・・・」と、
すぐに少し離れたビルの屋上にバスコとサリーが居るのを発見しました。
あんな近くから戦いを見ていたのかと思い、皆がバスコに注目しますが、
「・・・様子が・・・変ですね・・・?」とアイムは首を傾げました。

ロイドが撃破されて、カンゼンゴーカイオーという脅威が迫る中、
バスコはそんな危険など全く気にしていないかのようにマーベラス達の方に背を向けて立っています。
そのバスコに向かい合うようにして立っているサリーは怯えて後ずさりしているように見えます。
その後ずさりするサリーをじりじり追い詰めるように近づくバスコの姿をマーベラス達がじっと見つめると、
どうもバスコは銃をサリーに向けて構えているようでした。

何故そんなことをしているのか意味が分からないマーベラス達の見守る中、
バスコは「サリー!ロイドが品切れになった以上、君に食べさせるバナナは無いよ!」とニヤケた顔で
冷たく言い放つと、いきなりサリーに向けて発砲、
「ウキ〜ッ!?」と悲鳴を上げるサリーの身体に執拗に向けて十数発もの弾丸を至近距離で撃ち込みます。
「ああ!?」とマーベラス達6人はカンゼンゴーカイオーのコクピットで驚愕し、固まります。

そしてバスコがありったけの弾丸をサリーに撃ち込み終ると、
サリーは「ウキ〜・・・」と力無く声を上げ、崩れ落ちたのでした。
そうして倒れ伏して、ぐったりして動かなくなったサリーを平然と見下ろしたバスコは
ニヤリと面白そうに笑うと、そのままサリーを放置してその場を去っていったのでした。

標的であるバスコが去っていくのを眺めながら、ルカは「嘘でしょ・・・?」と絶句して、
バスコを追うのを忘れて、倒れたサリーを見入ったままです。
マーベラスはじめ他の5人も同様で、あまりに予想外の出来事に驚いて、
肝心のバスコが去っていくのを追い掛けることも忘れて、
サリーがどうなったのか気になって、つい見入ってしまいました。
そして、とにかく行ってみようと、皆立ち上がります。

遠目では完全にバスコがサリーを撃ったように見えましたが、
もしかしたらお芝居であって、自分達を誘い出すための罠かもしれないとも思いました。
しかし、もしお芝居でなく、本気でバスコがサリーを撃って、見捨てて去って行ったとするなら、
そのサリーをそのまま放置して去るというのも、マーベラス達としても、どうにも後味が悪い。
とにかく事の真偽を確かめるためには現場に行くしかないとマーベラス達は思いました。

そうして現場のビルの屋上に変身を解除した姿で6人が駆け込むと、
特に何か罠が仕掛けられているという様子は無く、
そこにはサリーがさっき見たまんまの姿でうつ伏せに倒れ込んでいるだけでした。
しかし、サリーが撃たれた芝居をしているだけかもしれないと思い、
6人は駆けこんでくると、すぐにはサリーに近づかず、少し離れた場所に並んで立ち止まり、
サリーを見つめ、観察しました。

するとサリーは誰かが来たことを感じ取ったようで、「ウキ〜・・・」と弱弱しい声で立ち上がって手を伸ばします。
どうもマーベラス達のことをバスコと勘違いしているようで、
あまりに重傷でフラフラしていて目もよく見えていないようです。
起き上がったサリーの身体は無残な銃創だらけで、目も覆うような酷いことになっており、
サリーはすぐに足がもつれて倒れ込んでしまいます。

どう見てもサリーが撃たれたのはお芝居ではなく、サリーは息も絶え絶えの重傷であるのは間違いないようです。
おそらく、さっきサリーを撃つ前にバスコが言っていたように、
ロイド達を使い果たしてしまったバスコは、
ロイドの入れ物であるサリーはもはや用済みと判断して切り捨てたのでしょう。

「どうしよう・・・?」と困り果てて、ハカセはマーベラスの顔をチラリと見ます。
目の前でサリーが死にかけているのは紛れもない事実であり、
助けるのが人として当然のことであるようにも思えます。
しかしサリーは敵であり、今まで散々戦いの場でこちらも酷い目にあわされてきた。
それに自分達だってサリーを撃ったり斬ったり、散々な目にあわせてきた。
そういう間柄なのですから、今更サリーが死にかけているからといって助けるというのも妙な話です。
例えば今までマーベラス達は戦いの場で倒れているゴーミンを助けたことなどありませんでした。
だから今サリーを助けたいなどと思うのは間違っているとハカセは思いました。

それは分かっていながら、それでも何故かこのままサリーを放っておけないという気持ちが湧いてくるので、
ハカセは自分で自分の感情を持て余して困ってしまっていました。
アイムと鎧も同じような感情の揺れに襲われているようで、戸惑った表情で見つめ合い、
マーベラスの方を見ます。
3人とも出来ればサリーを助けたい、このまま死なせたくないと思っているのですが、
そんなことはマーベラスが許すはずがないと思っているのです。

マーベラスにとってはバスコは復讐すべき裏切り者であり、
その復讐を今まで散々邪魔してきたバスコの手先がサリーなのです。
マーベラスはそこらのゴーミンなどの何十倍もサリーのことを憎んでいるはずであり、
ゴーミンにすら情けを一切かけないマーベラスがサリーを助けていいなどと思うはずがない。
そして、そういうマーベラスの意見は全くの正論であり、
間違っているのは自分達の方だということはハカセ達も分かっていますから、
マーベラスの顔色を窺って、自分の得体のしれないサリーへの同情心を抑えようとしているのでした。

そのマーベラスは倒れて虫の息のサリーをじっと見つめながら、
さっき目撃した情景、サリーに銃口を向けて「君に食べさせるバナナは無いよ!」と言い放ったバスコ、
そしてバスコに撃たれるサリーの姿を思い出し、
更にそれに重ね合せるように、あの赤き海賊団の壊滅した夜、
「あんた達を捨てるよ・・・」と言って自分に銃口を向けたバスコの姿、
そして「てんめぇ〜っ!!」とバスコに殴り掛かろうとしてバスコに撃たれた自分の姿を想い出しました。

あの時、心から仲間だと信じていたバスコに突然裏切られて捨てられ、
銃弾まで撃ち込まれたマーベラスは本当に自分はバスコにとっては仲間でもなんでもない、
どうでもいい存在だったのだと思い知らされて、死ぬほど惨めで悲しい気分でした。
その苦々しい気分をマーベラスはサリーを見て想い出したのでした。
それは、サリーがあの時の自分と同じだと感じたからでした。
サリーも信じていたバスコにいきなり裏切られて捨てられて銃弾を撃ち込まれて、
さぞ惨めで悲しい気分だろうとマーベラスは思いました。

マーベラスは別にサリーに同情しているわけではなく、
サリーがそんな目にあったのはバスコなどに従っていたゆえの自業自得だとは思っていました。
それに今までサリーには散々な目にあわされてきており、ハッキリ言って憎たらしく思っていました。
だから、こうして惨めに死にかけているサリーを見て、多少はいい気味だと思っています。

しかし、もしサリーがあの時の自分と同じように、
自分がバスコにとって何の価値も無いクズのような相手だという惨めな気分を抱いているとしたら、
そのままサリーをあの世に行かせるわけにはいかないとマーベラスは思いました。
何故なら、それは間違いだからです。

マーベラスは赤き海賊団が壊滅した後、
仲間と信じていたバスコに捨てられてしまった自分のような者はもう仲間を作れないと思っていました。
しかしジョーに出会い、ルカに出会い、ハカセに出会い、アイムに出会い、そして鎧に出会い、
彼らと仲間になりたいと思うことが出来た。
そして、仲間がいるから夢を掴めるのだということに気付くことが出来たのでした。

それによってマーベラスは、狂っているのはバスコの方だということに気付いたのです。
自分がバスコにとって価値が無かったわけではない。
バスコが仲間の価値を理解出来なかっただけのことだったのです。
そんな男に裏切られたからといって、自分を卑下する必要など一切無かった。
世界には自分を仲間だと認めてくれる者はちゃんといるのだとマーベラスは思うことが出来たのでした。
そして、勘違いして惨めな気分のまま死ななくて良かったと心から思うことが出来たのでした。
それによってマーベラスは心の中でバスコの影を追い払い、バスコに打ち勝つことが出来たのでした。

ならば今、このままサリーを死なせてしまったら、
サリーはバスコに宣告された言葉通り、無価値な捨てられた者として惨めな気分のまま死んでいくことになる。
それはつまりサリーがバスコに敗北することを意味します。
言い換えればバスコの勝利です。
マーベラスはそんなバスコの勝利などという胸糞悪いことは許せなかったのでした。

サリーは生きて、バスコこそが間違っていたのだという事実を知らねばならないとマーベラスは思いました。
この世界にバスコの思い通りになることなど一切許すことは出来ない。
それがマーベラスの偽らざる心境でした。
「・・・ガレオンに連れていって手当してやれ・・・」と低い声でマーベラスは言いました。

ハカセとアイムと鎧はあまりに意外なマーベラスの言葉に驚きます。
アイムは「よいのですか!?」と確認しますが、
マーベラスは不愛想な顔で無言でじっとサリーを見ているだけで、さっきの言葉を訂正もしませんので、
助けてよいという意思表示ということになりました。
ハカセとアイムと鎧の3人は何故かサリーを助けたいという気分になっていたので、
これで堂々とその自分の気持ちに素直に行動できることに安堵の吐息を漏らして笑顔となり、
サリーに駆け寄り、助け起こしました。

一方でジョーとルカはマーベラスがサリーを手当てするように指示したことに心底驚いた顔で
マーベラスの横顔を凝視し、ルカは「ちょっと・・・!?」と文句を言おうとします。
これは単に敵に情けをかけるマーベラスの心理が理解出来ないというだけの文句ではありませんでした。

それは、確かにサリーがバスコに撃たれて死にかけているのは事実だが、
バスコが単にサリーを始末するために撃ったとは限らないとルカは思ってたからです。
単にサリーを始末するのが目的なら、人知れず始末すればいい。
どうしてわざわざ自分達の見ている前で撃ったのか?
それは自分達にサリーを助けさせるためだったのではないかとルカは推測していました。
つまり、これは何らかの罠なのだと、ルカは指摘しようとしますが、
いや、マーベラスがそんなことが分からないはずがないということに気付いて困惑して黙ります。

ジョーも最初からマーベラスがこれがバスコの罠だと見破れないはずがないと思っていましたから、
余計にマーベラスがサリーを助けようと言ったことに驚愕して
「マーベラス・・・!?」と、その真意を測りかねて問いかけます。

マーベラスもルカとジョーの言葉を聞き、確かにバスコの罠かもしれないと思いました。
それならばサリーは必ずしもバスコに捨てられたとは思っていないのかもしれない。
しかし、それでもこのままサリーを放置すれば死んでしまう。
死んでしまったら、結果的にサリーはバスコに切り捨てられたことになってしまう。
それはバスコのやり方を肯定するうような気がして、マーベラスにはやはり許せませんでした。
それでマーベラスは「手当するだけだ・・・」と不愛想に答えると、
呆気にとられ困惑しているジョーとルカに背を向け、その場を立ち去っていったのでした。

そのマーベラスの立ち去る姿を、物陰からじっと眺める者がいました。
それはバスコでした。
バスコは立ち去ったと見せかけて物陰に潜んでマーベラス達がサリーをどうするのか確認している様子です。

もしバスコがサリーを始末したいと思っているのなら、
マーベラス達がサリーを助けるのを見過ごすはずはないし、
そもそもマーベラス達が来るのが分かっていて、
マーベラス達の前でサリーを撃って放置しておくなんて真似をするはずはありません。
つまり、バスコはマーベラス達にサリーを助けさせるのが狙いだったということになります。
やはり、これは何かの罠であり計略であるようです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:55 | Comment(0) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月24日

第47話「裏切りの果て」感想その2

では本編ですが、冒頭は前回の第46話までの流れのおさらいをする映像にナレーションがかぶってきます。
まずは前回の第46話のカクレンジャーの大いなる力の獲得の場面にかぶせて
「マーベラス達は最後に残ったカクレンジャーの大いなる力を受け取った」と説明がなされる。
そして、バスコが奪取した5つの大いなる力をマーベラスに見せつけた第31話と第43話の場面にかぶせて
「あとはバスコが奪った5つの大いなる力を手にすれば、宇宙最大のお宝への扉が開く」と説明されます。

すなわち、第46話でマーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を手に入れたことによって、
これで34のスーパー戦隊の大いなる力のうち、
マーベラス達が29個を手にして、バスコが5個を手にするという状態となったのです。
つまりマーベラス達がバスコの持っている5つの大いなる力を奪えば、
宇宙最大のお宝を手に入れることが出来るというのです。

ここで少し気になるのは、ナレーションが「宇宙最大のお宝への扉が開く」という言い方をしていることです。
ナレーションが必ず本当のことを言うとは限りません。
その時点での劇中において真実とされていることに沿ってナレーションは読み上げられることが多く、
後でその設定がひっくり返るということはある。
しかし、これまで劇中で宇宙最大のお宝の状態について説明がなされたことはありません。
そこで唐突にこの大詰めになってこのようなナレーションですから、どうも気になります。

いや、単なる慣用句的な言い回しなのかもしれませんが、
もし言葉通りに受け取るとするなら、宇宙最大のお宝は何らかの扉の向こうに存在しているということになります。
「扉」というと、何処かの部屋の扉か、あるいは箱の蓋なようなものかもしれません。
それは単に宇宙最大のお宝が何処かの部屋や箱の中に保管されているという意味なのかもしれませんが、
この「ゴーカイジャー」の物語の中で「扉」を彷彿させるアイテムといえば、
レンジャーキー宝箱の蓋や、ゴーカイオーのハッチの扉があります。
そのあたりが何か関係しているのかもしれません。

だいたい、バスコが第16話でマーベラス一味からレンジャーキーを奪おうとした時、
ナビィとゴーカイガレオンも一緒に奪おうとしたということを考えると、
宇宙最大のお宝を手に入れるためにはレンジャーキーおよび大いなる力だけでなく、
ナビィとゴーカイガレオンも必須なのだということが分かります。

ナビィはナビゲートをさせるために必要だとして、ガレオンはどうして必要なのか?
レンジャーキーを使って大いなる力を引き出す装置として必要でもあるのでしょうけれど、
あるいは宇宙最大のお宝が出てくる扉がガレオンなのかもしれません。

そのあたりは現時点ではまだよく分かりません。
ただ、とにかくマーベラス達はバスコの持つ5つの大いなる力を手に入れれば宇宙最大のお宝に辿り着くらしい。
このあたり、バスコに無理矢理奪われた5つの戦隊の大いなる力の扱いがどうなっているのか微妙です。
マーベラス達が大いなる力を貰う時はレジェンド戦士との間で双方が同じヒーロー精神を持ったヒーローだと
認め合った上で大いなる力の受け渡しが行われています。
そういう経過を経た上でないとマーベラス達は大いなる力を引き出して戦闘の場面で使うことが出来ていません。

元マジレッドの小津魁はハカセに向かって
「34のスーパー戦隊の大いなる力を引き出せば宇宙最大のお宝がきっと手に入る」と言いました。
この発言自体、何処まで信用していいのか分かりませんが、これがもし本当のことだとすると、
レジェンド戦士との間で認め合うこともなく一方的に大いなる力を奪ったバスコは
大いなる力を引き出すことは出来ないはずですから、
34の大いなる力を揃えたとしても宇宙最大のお宝は手に入れることは出来ないはずです。

また、バスコが今、手にしている5つの大いなる力もレジェンド戦士の合意も得ずに無理に奪ったものですから、
当然大いなる力を引き出すことは出来ないはずで、
それをマーベラス達がバスコから奪ったとしても、
元の持ち主の5戦隊のレジェンド戦士たちはマーベラス達とも面識は無いわけですから、
マーベラス達との間でも未だ相互にヒーローとして認め合ってはいませんので、
マーベラス達はこの5戦隊の大いなる力も引き出すことは出来ないはずです。

しかし、ここでのナレーションでは、まるでマーベラス達がバスコから5つの大いなる力を奪えば、
すぐに宇宙最大のお宝への扉を開くことが出来るように言っています。
となると、バスコが奪った5つの大いなる力も、
その力は引き出すことが既に出来る状態にあるということになります。

そしてナレーションはこの後続けて、「・・・が、それはバスコも同じ」と言っており、
バスコもマーベラス達の持つ29個の大いなる力を奪えば
自分の持つ5つの大いなる力と合わせて34個揃えて宇宙最大のお宝の扉を開くことが出来ると説明されています。

このナレーションが本当のことを言っているとすれば、
やはりバスコも自分のヒーローの資質が誰からも認められていない(そもそもそんなものがあるはずがない)
にもかかわらず、大いなる力を引き出すことは出来るということになります。

ただバスコは実際にはマーベラス達のように大いなる力を引き出すことは出来ていません。
何故なら大いなる力を引き出すためにはレンジャーキーとゴーカイガレオンか豪獣神が必要だが、
バスコはこのいずれも持っていないからです。
じゃあ奪えばいいだろうという話になりますが、
今まではどうしてもカクレンジャーの大いなる力の在り処が分からなかったので
マーベラス達にそれを見つけさせるまではマーベラス達を活動しやすい状態にして泳がせておく必要があったのです。
カクレンジャーの大いなる力がどうにも見つからないということが分かったのは比較的最近のことだと思いますが、
結局はバスコは大いなる力の所在を自分でいちいち全部探すのは面倒臭かったのでしょう。

ここでちょっと根本的に整理しておくことにします。

まずバスコが「大いなる力」というものが「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要だということを
初めて知ったのは第15話の直前ぐらいにダマラスから聞いて知った時でしょう。
なおダマラスがそのことを初めて知ったのは第8話、
ガレオンに潜入させたスニークブラザースの報告を聞いた時です。

この時、スニークブラザースはマーベラス達の会話を盗み聞きしてダマラスに報告したわけだが、
この時のマーベラス達の会話においては
「34の大いなる力を集めれば宇宙最大のお宝が手に入る」という趣旨でありました。
これはまるで、大いなる力を34個集めれば安直に宇宙最大のお宝が手に入るという意味のように聞こえます。
いや、実際のところ、マーベラス達もまた、そういう認識であったのであり、
現時点でも未だにそういう認識なのかもしれません。

第3話で小津魁はハカセに「34の大いなる力を引き出せば宇宙最大のお宝が手に入る」と言っており、
「34の大いなる力を集めれば宇宙最大のお宝が手に入る」とは言っていません。
しかしマーベラス達は第8話時点では「34の大いなる力を集めれば宇宙最大のお宝が手に入る」と
勘違いしてしまっています。

マーベラス達は実際には出会った数多くのレジェンド戦士たちから
大いなる力を引き出す資質を認められて大いなる力を受け取ってきていますし、
戦いの中で実際に大いなる力を使って戦ってもきました。
しかし、その大いなる力を引き出すということが宇宙最大のお宝を手に入れるための必須条件だという認識は無く、
宇宙最大のお宝は大いなる力が34個揃えば手に入るのだと思い違いしたままでもあるのです。
小津魁以外、これまで出会ったレジェンド戦士も含めて誰ひとりとして、
この勘違いを正すようなことを言った者はいませんから、
マーベラス達はこの第47話時点でも未だにその勘違いをしたままだと思われます。

そして、このマーベラス達の勘違いした認識は第8話においてそのままスニークブラザース経由でダマラスに伝わり、
第15話の直前にダマラスからバスコに伝えられました。
だからバスコもダマラスからの情報だから、それは正確な情報だと信じ込んでいます。
つまり、マーベラス達もバスコも共に重大な勘違いをしたまま現在に至っているのです。

すると、今回の冒頭のナレーションは、マーベラス達とバスコの双方の認識に基づいたナレーションであって、
小津魁の認識する真実とはズレがある可能性があります。
マーベラス達もバスコも双方とも、単に相手の持っている大いなる力を奪えば
宇宙最大のお宝が手に入ると思っているが、実際はそれは勘違いであり、
バスコがもし34の大いなる力を揃えたとしても、
34個全てその力を引き出すことは出来ずに計画は頓挫する可能性があります。
またマーベラス達ももし34の大いなる力を全部揃えたとしても、
バスコから奪った5つの分の力を引き出すことが出来ずに頓挫する可能性があります。

このように今回の大いなる力の争奪戦、マーベラス達とバスコのどちらが勝ったとしても、
現状ではどちらも宇宙最大のお宝を手に入れることは出来ないかもしれない。
もしそうなったとしたら、今回のこの冒頭ナレーションは視聴者を騙していることになります。
あるいはそうかもしれません。
第3話の小津魁のセリフの些細なニュアンスを覚えている視聴者でなければ、
マーベラス達やバスコのように勘違いしたままである可能性が高い。
それを見越して視聴者を騙している可能性はあります。

いや、そもそも第3話の小津魁の微妙なセリフ、その後のマーベラス達の自然な勘違いも含めて、
最初から視聴者を引っ掛けるための伏線であった可能性もあります。
視聴者も何時の間にか、34の大いなる力を集めさえすれば宇宙最大のお宝が手に入ると
思い込まされてしまっているのです。
そういう仕掛けである可能性は十分あります。
「シンケンジャー」で第1話から伏線を張りつつ影武者設定を視聴者に隠し続けた宇都宮Pなら、
いかにもやりそうなことのようにも思えます。

しかし、そうではない可能性の方が高いのではないかと個人的には思います。
そのポイントはラッパラッターの存在です。

バスコが持っているものはフリージョーカー、サリー、ロイド、そしてラッパラッターです。
これらは当初、皆、大いなる力や宇宙最大のお宝に関係するものなのかとも思っていたのですが、
どうやらラッパラッター以外は皆、そうではなかったようです。
フリージョーカーもロイド達も、単にバスコが自分で駆使するために自分で作ったもののようです。
サリーは基本は宇宙猿なのですが、おそらくロイドを作った技術と同じような技術で
バスコが自分の使いやすいように改造はしているのでしょう。
まぁ何にしても全部バスコの手製のものといえます。

しかしラッパラッターはそうではない。
これはレンジャーキーや大いなる力に対応した仕様になっており、
それらのことを熟知しているわけではないバスコには作れないはずです。
当初はバスコにそのラッパラッターや追加戦士と番外戦士のレンジャーキーを与えた黒幕が
存在するのだと思っていましたが、
この大詰めの時期になってそういう存在が登場していないということは、
そんな新キャラはもう現れないと見ていい。

ならばラッパラッターを作った者はアカレッドしか考えられない。
アカレッドが赤き海賊団時代に、モバイレーツやラッパラッターを作って
ゴーカイガレオンの中に保管していたのでしょう。

バスコは第15話でマーベラスにアカレッドが仲間のバスコやマーベラスに隠し事をしていたことを告げています。
それはつまり、バスコはアカレッドの身辺を探っていたということを意味します。
バスコが最初から裏切るつもりで赤き海賊団に入ったのか、途中で裏切るつもりになったのかまだ分かりませんが、
とにかくバスコは裏切ると決めた段階からアカレッドの行動をガレオン内で探ったのでしょう。

そして、その過程でバスコはアカレッドがラッパラッターを作って隠し持っていることと、
宝箱の分以外に25個のレンジャーキーをガレオンの一室に隠していたことを知ったのでしょう。
また、その過程で断片的にレンジャーキー以外に「大いなる力」というものが
宇宙最大のお宝を手に入れるには必要だという情報も掴んだのでしょう。
但し、バスコはその「大いなる力」が何処にあるのかは掴めず、
「宇宙最大のお宝」の在り処も探り出すことは出来なかった。
また、変身機能のついたモバイレーツの存在はバスコは気付くことは出来なかったようです。

つまり、整理すると、アカレッドが赤き海賊団時代にマーベラスとバスコに秘密にしていたことは、
変身機能付きモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーの所持、
ラッパラッターの所持、
追加戦士と番外戦士の25個のレンジャーキーの所持、
「大いなる力」の存在、
「大いなる力」や「宇宙最大のお宝」の在り処やレンジャーキーの誕生場所が地球であるという情報、
以上の5つということになります。

そしてこれら5つの秘密のうちバスコは
ラッパラッターと25個の隠されたレンジャーキーと「大いなる力」というものの存在には気付いており、
マーベラスはアカレッドの秘密には全く気付いていなかった。
どうしてアカレッドがこれらのことをマーベラスやバスコに秘密にしていたのかというと、
それは一応用心のためでしょう。

そして、バスコはラッパラッターと25個のレンジャーキーを秘かに盗み出し、
その上で最後にザンギャック軍を手引きしてゴーカイガレオンを襲わせて、
ガレオンとナビィと、宝箱の中の167個のレンジャーキーを奪おうとしたのですが、
アカレッドの抵抗によって失敗し、アカレッドは死んだ(?)が、
マーベラスがガレオンに乗ってナビィと宝箱を持って逃走し、
バスコはラッパラッターと25個のレンジャーキーしか手に入れることが出来なかった。

そしてマーベラスはガレオン内で5つのモバイレーツと5つのゴーカイジャーのレンジャーキーを新たに発見し、
赤き海賊団壊滅事件の混乱の中で再び大半が宇宙に飛び散ってしまった167個のレンジャーキーを
集めるための航海を続けながら偶然出会ったジョー、ルカ、ハカセ、アイムを順番に仲間に加えていったのです。
そして167個のレンジャーキーが揃った後、ナビィが宇宙最大のお宝の在り処は地球だと告げ、
地球にやって来たマーベラス達は、
第2話でレンジャーキーが地球のスーパー戦隊の戦士たちの戦う力から生まれたという事実を知り、
第3話で地球にある34のスーパー戦隊の「大いなる力」を引き出せば宇宙最大のお宝が手に入るという
情報を聞いたのです。

それをマーベラス達は「引き出せば」ではなく「集めれば」だと勘違いし、
その勘違いはそのまま第8話にスニークブラザース経由でダマラスに伝わり、
第15話までにダマラスからバスコに伝えられ、
バスコも34の大いなる力を「集めれば」宇宙最大のお宝が手に入ると勘違いしてしまいました。
しかし、それはあまり大きな問題ではありませんでした。

バスコにとってこの時最も重大な情報であったのは、
宇宙最大のお宝が地球という星にあるということと、
マーベラスがレンジャーキーとガレオンとナビィと共に地球に居るということと、
そして謎の「大いなる力」というものもまた地球にあるということでした。
これで全ての情報が1つに繋がったとバスコは大喜びで地球にやって来たのです。

ところで、どうしてマーベラス達とバスコの双方とも、
「引き出せば」を「集めれば」に勘違いしてしまったことがそんなに大した問題でないのかというと、
まずマーベラス達は出会ったレジェンド戦士たちがマーベラス達が大いなる力を引き出すことが出来ると認めた上で
大いなる力を渡しているので、実質的にそのレンジャーキーは大いなる力が引き出された状態にあるからです。

つまり、どうやらレジェンド戦士の身体から大いなる力が出る時点で
大いなる力は引き出された状態となっているようなのですが、
そのためにはそのレジェンド戦士の所属する戦隊のレンジャーキーの持ち主が
そのレジェンド戦士と互いに同じヒーロー精神を持ったヒーローとして認め合わなければならないようなのです。

基本的には互いに同じ価値観を認め合った状態でなければ大いなる力は移動しないようですが、
特殊条件下ではレジェンド側が認めただけで移動は起こるようで、
これまでに特殊条件下でマーベラス達が受け取った大いなる力は、
「199ヒーロー大決戦」映画のレンジャーキー空間での
ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、
ターボレンジャー、ダイレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーと、
第44話のクリスマスイブの奇跡下でのバトルフィーバー隊の合計11戦隊の分でした。

これらの場合は実際に大いなる力を引き出すようになるためには
マーベラス達がその戦隊のレジェンド戦士のヒーロー性を理解しなければならない。
すると、ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、ターボレンジャーの
6戦隊に関しては「199ヒーロー大決戦」のレンジャーキー空間の中で
マーベラス達はそれぞれのレジェンド戦士である海城剛、番場壮吉、黒田官平、立花レイ、郷史朗、炎力の
メッセージを聞いているので、そのヒーロー性は理解しています。

そして、ボウケンジャーについては第21話で明石暁と出会い、
ダイレンジャーについては第33話で天火星・亮と出会い、
ゴーオンジャーについては第35話で江角走輔と出会って、
それぞれ、そのヒーロー性を理解しました。
そして、デンジマンとバトルフィーバー隊については、
この第47話の直前に「ゴーカイジャーVSギャバン」の事件の中で
マーベラス達は青梅大五郎と曙四郎と出会って彼らのヒーロー性は理解しています。

つまり、マーベラス達は現在獲得している29戦隊の大いなる力は全て引き出すことは出来る状態であり、
そのレンジャーキーをゴーカイオーのコクピットにまだ挿していない戦隊もありますが、
それは単に大いなる力をまだ発動させていないというだけのことであって、
それらのレンジャーキーもまた、既に大いなる力は引き出された状態にはあるのです。

そうなると、マーベラス達がまだ大いなる力を引き出すことが出来ない状態にあるのは、
バスコに奪われた5戦隊の分だけということになります。
これら5戦隊に関しても、もしバスコから大いなる力を奪取出来たとしても、
マーベラス達はそれらの戦隊のレジェンド戦士に会ってそのヒーロー性を知らねばならないはずです。

ただ、アカレッドは当初、そんな面倒くさいことをいちいち34回繰り返す手間を省こうとして
ラッパラッターを作ったのだと思われます。
ラッパラッターを使って吸い出せば、いちいち心を通わせて認め合わなくても、
自由にレジェンド戦士の体内の大いなる力を引き出して、
シリンダーに挿したレンジャーキーに移し替えることが出来るのでしょう。

つまりアカレッドは大いなる力を集める作業を効率化するためにラッパラッターを作ったのだと思われます。
最初はこれはスーパー戦隊の関係者であるアカレッドが使う予定だったから、
単なる作業の手間を省くためのアイテムだったのですが、
それをバスコが「大いなる力というものを吸い出すことが出来るアイテム」ということを知った上で奪ったので、
大いなる力を無理矢理奪うためのアイテムとして悪用されることになってしまったのです。
だから、バスコがラッパラッターで奪った大いなる力もまた、その力は引き出された状態にあるのだといえます。
ただバスコは大いなる力を奪った時点では当該戦隊のレンジャーキーを持っていなかったので、
奪った大いなる力をレンジャーキーに移すことが出来ず、珠状にして所有しており、
珠状ではあるものの、それらはしっかり大いなる力が引き出された状態にあるといえます。

だから、心の交流を省略して大いなる力を引き出すことが出来る特殊機器であるラッパラッターを通して
獲得された5戦隊の大いなる力はしっかり力が引き出された状態にあるので、
マーベラス達はバスコからこれを奪い、ラッパラッターを使って
該当戦隊であるサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
レンジャーキーに大いなる力を移動させれば、別にこれら5戦隊のレジェンド戦士と会う必要は無く、
「34戦隊の大いなる力を引き出した」という状態になるのです。

逆にバスコもマーベラス達から29個の大いなる力を引き出した状態のレンジャーキーを奪い、
バスコが大いなる力を持つ5戦隊のレンジャーキーも奪って
そこに5戦隊の大いなる力をラッパラッターを用いて移せば、
バスコもまた「34戦隊の大いなる力を引き出した」という状態になるわけです。

だから、マーベラス達にしてもバスコにしても
現状では「34戦隊の大いなる力を集めれば宇宙最大のお宝が手に入る」と勘違いしていたとしても、
実質的には集めた大いなる力は引き出すことは出来ているので、
別に勘違いしたままでも実質的には問題は無いのです。

またラッパラッターにはレンジャーキーを挿して戦士を実体化させて使役する機能もついており、
これが発展してモバイレーツが作られたのだと思われます。
ラッパラッターはこの機能はそもそも最初は、
アカレッドがせっかく手に入れたレンジャーキーを有効活用しようとして開発したと思われますが、
ラッパラッターの段階ではまだ発展途上のシステムであり、
召喚される戦士は心を持たずその能力もレンジャーキーのパワーをあまり引き出すことは出来ませんでした。
これをアカレッドが改良して作った変身機能付きモバイレーツは、
人間が変身することによって、その人間の鍛錬の度合いに応じて
レンジャーキーのパワーの大部分を引き出すことが出来るようになったのでしょう。

そして、アカレッドはもし宝箱の中のレンジャーキーが失われた時でも
モバイレーツを使って変身して戦って宝箱のレンジャーキーを奪還出来るようにするために、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために使うアイテムである宝箱の中のレンジャーキーとは別に
モバイレーツとセットにして使える戦闘専用の新たなレンジャーキーを作って、
それをモバイレーツと共に5つ作って35番目の戦隊という扱いにしたのです。
それが「海賊戦隊ゴーカイジャー」であったのです。

このゴーカイジャーのレンジャーキーとモバイレーツの5セットをアカレッドは厳重に秘密にして隠しておき、
バスコに見つからずに済んだのでした。
ただ、アカレッドもゴーカイジャーのレンジャーキーとモバイレーツは非常時用に作っておいただけであり、
特に誰かに使わせるつもりで作ったわけではなかったようです。
マーベラスやバスコに特に使わせるという予定ではなく、自分が使うというわけでもなく、
地球に到着してから地球人の誰かに与えようと思っていたのかもしれません。

さて、そしてラッパラッターといえば、
そのレンジャーキーを挿すシリンダー部の鍵穴が5つであるのは、
スーパー戦隊の基本人数が5人であるからであったのでしょう。
だからアカレッドはラッパラッターの鍵穴を5つにして、
大いなる力を5つのレンジャーキーに移して、
その大いなる力の引き出された5つのレンジャーキーを挿す鍵穴のついた操舵輪が5つ並んだコクピットを
ゴーカイガレオンの中に作り、
ゴーカイガレオンおよびそれをベースとする合体ロボであるゴーカイオーを大いなる力の発現装置とする、
一連のシステムを作り上げたのです。

さて、そうなると、そのシステムに対応したレンジャーキーは34戦隊分で5個ずつですから、本来は170個ですが、
サンバルカンが3人戦隊なので2個減って168個となります。
すると全てのレンジャーキー(ゴーカイジャーの5個は除く)192個のうち、24個のレンジャーキーが余ります。

この24個というのはいわゆる6番目以降の戦士のレンジャーキー、
つまり追加戦士や番外戦士のレンジャーキーということになり、
とりあえず大いなる力の発動システムから外れるのでアカレッドはこれらの余った24個のレンジャーキーを
宝箱ではなく自分の手許に隠し持っていたのです。

しかし、ここでちょっとこの数字はおかしいことに気付きます。
実際に赤き海賊団時代に宝箱の中に入っていたレンジャーキーは167個であり、
アカレッドが隠し持っていてバスコに奪われたレンジャーキーは25個です。
つまり1個余分に宝箱から抜き取って
アカレッドは隠し持っている24個の方にもう1個プラスしていたということになります。

その1個とはアバレキラーのレンジャーキーです。
宝箱の中にあったレンジャーキーの戦隊のうち、5人セットになっていなかった戦隊は
3人戦隊のサンバルカンと、4人戦隊のアバレンジャーだけでした。
しかしアバレンジャーには5番目の戦士のアバレキラーがいます。
そのアバレキラーをあえて宝箱から抜いて
アバレンジャーのレンジャーキーをわざわざ4個セットにしていた理由は何だったのか?

それは第18話でアバレキラー仲代壬琴が登場して
伊狩鎧にゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡したことと関係があると思われます。
つまり、あそこで壬琴がタイムファイヤー滝沢直人とドラゴンレンジャーのブライと一緒に現れて
「俺たちが作ったゴーカイセルラーとレンジャーキー」と言って
鎧にゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡していますが、
あれはおそらく、本当に壬琴たち3人が作ったということだったのでしょう。
何らかのスーパー戦隊の大いなる意思のような存在も関与しているのでしょうけれど、
逆にそれだからこそ壬琴たちが作ったといえるのでしょう。

つまりモバイレーツやゴーカイジャーのレンジャーキーをアカレッドが作ったとするのなら、
同じようなアイテムであるゴーカイセルラーやゴーカイシルバーのレンジャーキーを作ることが出来るのは
アカレッドと同じような存在である必要があったからです。
つまり特殊な精神生命体のような存在ということで、
戦士として戦いの中で殉職した壬琴、直人、ブライの3人は単なる死者の魂ではなく、
戦士の魂そのもののような一種の神秘的存在、
アカレッドに近い精神生命体に昇華しているのではないかと考えられるのです。

同じ殉職戦士といっても、その称号が別人に受け継がれた二代目キレンジャーの熊野大五郎や
初代バトルコサックの白石謙作や初代イエローフォーの小泉ミカは
普通の死者の魂として成仏しておりレジェンド大戦にも参加していません。

またブラックコンドルの結城凱は誰にもその称号は受け継がせてはいませんが、
戦士として殉職したのではなく、あくまで一般人として死にましたので
普通の死者の魂としてあの世に行っており、
それでいてレジェンド大戦に参加したこと自体は凄いことですが、
アカレッドのような戦士の魂的な特殊精神生命体として存在しているわけではありません。

また、殉職戦士としてはリオとメレもおり、
この2人はどうやら壬琴たちと同じく戦士の魂として精神生命体化しているようですが、
「ゴーオンジャーVSゲキレンジャー」の物語の中でゴーオンウイングス須塔兄妹の放った秘伝激技で
生前の身体に復活して戦った際、その代償に永遠に地獄を彷徨うことになったため、
壬琴たちと共にゴーカイセルラー製作の任にあたることは出来なかったようです。

そういうわけでアカレッドと同じようにゴーカイジャー関連のアイテムの製作が出来るのは
壬琴、直人、ブライの3人しかいなかったわけです。
アカレッドはこの3人に、余った24個のレンジャーキーを使って戦うシステムと、
それを担うゴーカイジャー6人目の戦士のレンジャーキーの製作を依頼したのでしょう。
どうして自分の手でそれを作らず、地球にいる壬琴たちにそれを依頼したのかというと、
アイテムを2ヵ所に分散させておいた方がイザという時のための保険になるという思惑があったからでしょう。
また、どうせアカレッドはレンジャーキーやモバイレーツを持って地球に行くつもりであったので、
地球に着いた段階でゴーカイジャーの6人分の変身アイテムや巨大メカ類が揃えばいいと思っていたのでしょう。

そして、アカレッドでさえラッパラッターを経てモバイレーツを作ったというぐらい、
アイテム製作は困難な作業であり、天才的頭脳の持ち主である壬琴は絶対に外せないメンバーであったのでしょう。
その壬琴が中心的に関わる以上、その6人目の戦士用のシステムには
当然アバレキラーのレンジャーキーも絡める必要があり、
それゆえアカレッドはアバレキラーのレンジャーキーは宝箱から抜いて、
余りの24個のレンジャーキーの方に加え、全部で25個としたのです。

壬琴たちはこの依頼を受けて、主に追加戦士の15のレンジャーキーに対応する
ゴーカイシルバー専用の変身アイテムであるゴーカイセルラーと
ゴーカイシルバーのレンジャーキーを作り上げました。
といっても、ゴーカイシルバーは他の全てのレンジャーキーにも対応可能であり、
モバイレーツもまた追加戦士や番外戦士のレンジャーキーにも対応可能なので、
単なる便宜上のシステムの分類に過ぎないのですが。
また壬琴、直人、ブライの3人は豪獣神や豪獣レックスにも変形可能な豪獣ドリルも作り上げ、
豪獣ドリルはタイムレンジャーの未来組の4人が預かって管理することになりました。

ところがこのシステムに対応している25個のレンジャーキーがバスコによって盗まれてしまったために、
マーベラス達がそれ以外の167個のレンジャーキーを持って地球にやって来た時も
壬琴たちは6人目の戦士を選ぶことはせずに機会を待ち、
バスコが25個のレンジャーキーを伴って地球にやって来た第15話時点から6人目の戦士に相応しい男を探し始め、
その結果として鎧を選び、鎧は第17話でマーベラス達の前に姿を現すことになりました。

このように考えると、やはりアカレッドは完全に死んではおらず、
何らかの方法で事の次第を壬琴たちに報告はしていると考えた方がいいでしょう。
もともと精神生命体ですから、赤き海賊団壊滅事件の際に仮の肉体が滅びたとしても、
精神的存在となって地球で同じ精神生命体である壬琴に接触することは容易であろうし、
おそらく明石暁や小津魁にも精神干渉の形で接触したのではないかと思います。

おそらくアカレッドは魁にはマーベラス達が地球にやって来た時点で接触し、
ラッパラッターが奪われた現状では、地球にやって来たマーベラス達に「大いなる力」を渡すためには、
レジェンド戦士とマーベラス達が接触して互いに共通のヒーロー性を認め合っていくしかないということを説明し、
魁に頼んでマーベラス達に会いに行ってもらい、
「34のスーパー戦隊の大いなる力を引き出せば宇宙最大のお宝が手に入る」ということを
伝えてもらったのでしょう。

どうしてアカレッドが直接マーベラスに接触しようとしないのかというのは、
おそらく自分が生きていることを知ると
マーベラスが一人前のヒーローとなることを阻害すると思っているからでしょう。
また、魁に「大いなる力」の入手手順、つまり相互理解が必要だとかいうような詳細な情報を
マーベラス達に伝えることは禁じたのは、
そういう手順を知ってしまった状態ではマーベラス達が小手先の小細工に走ってしまって、
かえってレジェンド戦士たちとの真の相互理解を妨げることになることを危惧したからでしょう。

アカレッドは魁にその情報だけ伝えてくれればいいと頼んだのでしょうけれど、
魁は独自の判断で、まずマーベラス達がマジレンジャーの大いなる力を
引き出すことが出来る者達であるのかどうかを試し、
その試練にクリアしたハカセにマジレンジャーの大いなる力を託し、
その上でアカレッドから聞いた情報を伝えたのです。

そういうことであるとすると、
マーベラス達とレジェンド戦士たちとのその後の数々の出会いを演出してきたナビィのお宝ナビゲートも
アカレッドがコントロールして、何らかのビジョンをナビィに見せているのだと思われます。
そのお告げが不定期で、しかもいつも内容が漠然としているのは、
ナビィの性能の問題や、アカレッドの能力の限界などの問題もあるでしょうし、
アカレッドも万能ではなく、全てのレジェンド戦士たちの現在の居場所が分かるわけではないからなのでしょう。

さて、バスコですが、ダマラスからの情報で地球に「宇宙最大のお宝」があることを知り、
アカレッドから探り出していた「大いなる力」という「宇宙最大のお宝」を手に入れるための
カギの1つとなる物も地球にあり、
ガレオンとナビィと167個のレンジャーキーを伴ったマーベラスが既に地球に到着して、
その「大いなる力」を集め始めているという事実を知り、
第15話の時点で地球にやって来ました。

ダマラスとしてはワルズ・ギルによって禁足令を出されている自分に代わって
マーベラス一味を退治する者として、
「宇宙最大のお宝」の競合者のマーベラスを邪魔者と思っているであろうバスコを使おうと思ったのでしょう。
ダマラスは「宇宙最大のお宝」に関する情報はスニークブラザースの報告程度の情報しか知らなかったので、
そんな程度の認識であったのでしょうけれど、
バスコにしてみれば、「大いなる力」というものの詳細が分からない状態で、
それについて自分よりは熟知しているマーベラス達を抹殺することには躊躇いはありました。

しかしレンジャーキーやガレオンやナビィはどうしても奪いたい。
とにかく早くマーベラス達を止めなければ、
すぐにでもマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手にしてしまう可能性もあると、
その時点ではバスコは思って焦ってもいました。
だから、第15話あたりのバスコというのは情報不足のせいもあって、
飄々とした態度を装ってはいましたが、かなり迷いや焦りがあったと思われます。

それでとにかくダマラスの依頼を受けて、
レンジャーキーとガレオンとナビィを奪う作戦を実行し、
マーベラス達がそれに抵抗するようなら殺してもいいと思っていたようです。
しかし、この戦いでバスコは、マーベラス達が手にしているモバイレーツで変身したゴーカイジャーが、
自分がラッパラッターで召喚した戦士たちよりも基本的に強いことを知り、
マーベラス達を確実に殺すためには自分自身が怪人態に変身して戦うしかないことを悟ります。

しかし怪人態になってしまったら、その実力を知っているダマラスに監視されている状況では、
バスコは確実にマーベラス達を殺さなければ、ダマラスから裏切り者として扱われることになります。
ダマラスが禁足令で動けないことは知っていますから
バスコはもしそうなったとしても命の危険は感じませんでしたが、
賞金首に逆戻りして地球でのお宝探しに支障がきたすのは避けたいと思いました。

かといって、マーベラス達を殺してしまって重大な情報が失われることもバスコは恐れ、
確実にマーベラス達を殺さなければいけない状況に自分を追い込むことは躊躇し、
結局、この時は変身せずにロイドでマーベラス達を足止めして撤退し、
この戦いでバスコは15個のレンジャーキーを失う羽目になってしまいました。
そしてバスコはダマラスには適当な理由を報告して言い訳し、
機会を窺って次は必ずマーベラス達を仕留めるとか何とか適当なことを言ったのでしょう。

その後、バスコはしばらく情報収集にあたったようで、
「大いなる力」というものは地球に居る「スーパー戦隊」という連中の元戦士の体内にあり、
マーベラス達はそれを1つ1つの戦隊の元戦士と接触しながら譲り受けているということをバスコは知りました。
そして自分の持つラッパラッターを使えば相手の元戦士の意思は関係無く
「大いなる力」を奪い取ることが出来るのだろうという推測も成り立ちました。
そして、それを34個揃えれば「宇宙最大のお宝」が手に入るということも知りました。
ただ、その手に入れた「大いなる力」を使って「宇宙最大のお宝」を手に入れるには、
ガレオンやレンジャーキー、そしてナビィがやはり必要だということも
バスコはもともとアカレッドから探り出して知っていました。

ナビィの本来の機能はおそらくそこにあるのであり、
レジェンド戦士の居場所を告げるなどというのはアカレッドの介入で無理にやらせていることなので、
精度が低いのだと思われます。

だからバスコとしては、やはりレンジャーキーとガレオンとナビィは手に入れたいが、
マーベラス達が意外に手強く、自分が怪人態になれば勝てるが、
そうなるとマーベラス達を殺さねばならなくなり、
まだ情報収集中のバスコとしてはそれは避けたいところでした。

そこでバスコはとりあえず手許に残った10個のレンジャーキーの中で、
これから自分がマーベラス達との戦いを避けながら手に入れることが出来そうな戦隊の大いなる力に
対応しているものが無いか調べました。
とりあえずその戦隊の大いなる力をラッパラッターでゲットすれば、
それをそのレンジャーキーに移し替えることは出来るのです。

ところがあいにく、バスコの手持ちの10個のレンジャーキーのうち、
姫シンケンレッドのシンケンジャー、
リオとメレのゲキレンジャー、
ウルザードファイヤーとマジマザーのマジレンジャー、
デカマスターとデカスワンのデカレンジャー、
シグナルマンのカーレンジャーはバスコが地球に到着する前に既に
マーベラス達が大いなる力をゲットしてしまっていました。
そしてズバーンのレンジャーキーに対応するボウケンジャーの大いなる力も、
バスコが情報収集に励んでいる間に起きた黒十字王の事件(第16話と第17話の間)の際に
マーベラス達がゲットしてしまいました。

そうなるとバスコの手持ち分で残るは黒騎士のレンジャーキーだけであり、
それゆえ、それに対応するギンガマンの大いなる力が第20話でバスコの最初の標的となったわけです。
バスコは手持ちの10個のレンジャーキーで召喚した戦士を手先に使って、
レジェンド戦士たちからラッパラッターで大いなる力を集めていく作戦を開始し、
まず手始めがギンガマンとなったわけです。

ところがこの時、ナビィがギンガの森へマーベラス達を導くナビゲートをして、
バスコはギンガの森でマーベラス達と鉢合わせすることになります。
これは偶然ではなく、アカレッドの仕業と考えた方がいいでしょう。

アカレッドはバスコが地球に来て、まずは第15話時点でナビィにビジョンを通して危険を報せ、
ナビィはそれを「デンジャー、デンジャー、デンジャラス」というお告げでマーベラス達に伝えたのでした。
そして結局、バスコとの戦いの結果、
第16話でマーベラス達がバスコから15個のレンジャーキーをゲットしたことを把握して、
アカレッドは壬琴と直人とブライに接触して、そのことを伝えて、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーをその適格者に渡すように頼み、
この時も壬琴と直人とブライは独自の判断でゴーカイシルバーの適格者の鎧に、
アバレンジャー、タイムレンジャー、ジュウレンジャーの大いなる力をも渡したのでしょう。

そしてアカレッドはバスコの次の標的がギンガマンだと知ると、
それを阻止するためにナビィに第20話でギンガの森を示唆するナビゲートをさせて
マーベラス達をギンガの森に行かせて、バスコよりも先にギンガマンの大いなる力をゲットさせようとしたのです。

そして同時に、アカレッドはバスコの出現で動揺して焦りが生じてきたマーベラスの状態を心配して、
明石暁に接触し、マーベラスをそれとなく諭してくれるよう頼んだのでした。
これはマーベラスの心のケアという側面と、
黒十字王との戦いの際にマーベラス達に言葉をかけずに大いなる力を渡してしまった明石を
いずれにせよ一度はマーベラス達に会わせなければならないという意味合いもありました。
そうして第21話で明石はマーベラス達に会いに行ったのです。
もちろんアカレッドからの依頼であるということは伏せて、
ちょうど手がけていたプレシャス探索の協力を乞うという形で明石は接触したのでした。

一方、第20話でギンガの森でマーベラス達と鉢合わせしたバスコは、
マーベラス達を殺すことを躊躇しているうちに、結局はギンガマンの大いなる力をマーベラス達に取られてしまい、
繰り出した最強の手駒であるはずの番外戦士の召喚体たちも、
ギンガマンに完全シンクロ多段変身したマーベラス達に敗れてしまい、
ここではバスコはなんとかレンジャーキーの回収はしましたが、
肝心の黒騎士のレンジャーキーは奪われてしまいました。

これでバスコはマーベラス達の未取得の大いなる力を奪っても、
それに対応するレンジャーキーを持っていないという状態になってしまいました。
しかし、それよりもバスコが困ったのは、初めて会ったスーパー戦隊の元戦士のヒュウガが
意外に頑強な抵抗をしたことでした。
もちろん変身出来ない相手ですからバスコは自分が負けることはないと思いましたが、
あくまで大いなる力を渡そうとしない元戦士たちから無理矢理大いなる力を奪おうとすれば
頑強な抵抗にあって、下手したら相手を殺してしまうかもしれないことをバスコは恐れました。

バスコはあくまでお宝が欲しいわけであって殺人がしたいわけではない。
相手を殺すことによってお宝が手に入るのであれば躊躇なく相手を殺すのでしょうけれど、
バスコはもし元戦士たちを殺したら、その体内の大いなる力も失われてしまうのではないかと危惧しました。

そこでバスコは無理なことはしないことにしました。
自分と正義の元戦士たちが理解し合うなどということは有り得ないのだから、
大いなる力を得ようとすれば、どうしても手荒なことになってしまう。
そのリスクを回避するためにバスコは、マーベラス達に自由に大いなる力を集めさせて、
集めきったところで奪ってやろうという作戦に変更したのでした。

ただ、そんなことをしていて、先にマーベラス達に「宇宙最大のお宝」までゲットされては困るので、
バスコは慎重に危険の無い作戦を立てた上で、
確実に数個の大いなる力だけはスーパー戦隊の元戦士から奪って手許に確保しておき、
マーベラス達が決して「宇宙最大のお宝」は手に入れられないように保険をかけておくことにしたのでした。

そこでまずはバスコは第23話で元ゴーピンクの巽マツリを
人質を盾にして脅して抵抗出来ない状態にして大いなる力を戦うことなく奪おうとしました。
しかしアカレッドはこのバスコの動きを察知して、
ナビィのお宝ナビゲートを通してマーベラス達をゴーゴーファイブに接触させようとしました。
この時のナビゲートはあまり出来の良いものではなかったが、
それでもなんとかルカとアイムがマツリと接触してバスコの企みを阻止することに成功し、
マーベラス達はゴーゴーファイブの大いなる力をゲットしました。

この時、バスコは作戦失敗後も召喚戦士やロイドでマーベラス達を攻撃していますが、
マーベラス達に大いなる力を集めさせるつもりならば、そんなことはする必要は無いと思われるかもしれません。
しかしバスコだって人間的な感情はあるわけで、
いつも作戦の邪魔ばかりするマーベラス達に対して腹立たしい気持ちがあるのは当然で、
殺さないまでも、腹いせに痛めつけてやりたいと多少思うのは仕方ないことでしょう。
また、監視しているダマラスに対してマーベラス達と戦う意思は有ると見せかけるポーズはとる必要もありました。
しかし結局、召喚戦士やロイドではマーベラス達には勝てないわけで、
手駒が敗れるとバスコはレンジャーキーだけ回収してさっさと撤退したのでした。

その後、バスコは何故か自分の作戦がことごとくマーベラス達に阻まれている状態を不可解に思い、
より慎重に隠密行動をとるようになり、
その結果、さすがにアカレッドも万能ではないのでバスコの動きを掴むことが出来ず、
ジェットマンやライブマン関連のナビゲートを普通にしている間に、
まんまとバスコはチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの大いなる力を奪ってしまいました。

これでバスコはひとまずマーベラス達の「宇宙最大のお宝」奪取の阻止には十分と思っていましたが、
そこに第31話で元オーレッドの星野吾郎から取引を持ちかけられました。
これも吾郎が国際空軍の諜報力を使ってバスコの居場所を突き止めたのか、
ようやくバスコの居場所を把握したアカレッドが教えたのか不明ですが、
アカレッドが吾郎をバスコに会わせたがるはずもないので、
多分これは吾郎が独自にバスコの居場所を突き止めたのでしょう。

基本的にアカレッドはレジェンド戦士たちに命令したり出来る立場ではないので、
吾郎の行動を止めることは出来ず、吾郎が桃を使ってマーベラス達と接触しようとしていることを知ると、
お宝ナビゲートでオーレンジャーを示唆だけはしておいたというところでしょう。

バスコの方は吾郎の誘いに乗せられてオーレンジャーの大いなる力を奪いに来ますが、
ここで吾郎の罠に嵌って殺されそうになったので予定していなかった手荒な真似をすることになり、
結局そこに現れたマーベラス達と戦いになってしまい、
バスコはオーレンジャーの大いなる力をマーベラス達に取られてしまい、
更に召喚戦士を全て撃破されて、レンジャーキーの回収まで失敗して、
ここでバスコはあまりに腹が立ったので、つい怪人態に変身してマーベラス達を叩きのめしてしまいますが、
マーベラス達には大いなる力を集めさせないといけないので殺すわけにはいかず、
結局は命は奪わずに撤退し、それをダマラスに監視されていたことにはバスコも気付いていました。

これでバスコは自分は裏切り者としてダマラスに狙われる立場となったと思い、
自分はダマラスにだけは勝てないことは分かっていますから、
これ以上、地球上でウロウロしている必要は無いと判断し、
一旦、手に入れた3個の大いなる力を持ったまま宇宙空間に逃れます。
ダマラスは禁足令でギガントホースからほとんど動けないから
宇宙空間に逃れれば居場所を捕捉される恐れは無く、
あとはマーベラス達が残りの大いなる力を集めるのを高見の見物で待っていればいいと、バスコは思ったのです。
そういうわけなのでバスコはもう使う必要もない番外戦士のレンジャーキーも
第31話で圧勝した時も気前よく回収せずにマーベラスにあげてしまったのです。

一方、この第31話の戦いをギガントホースから監視していたダマラスはバスコの裏切りを確信して激怒しますが、
まだバスコには利用価値はあると見て、私掠許可は取り消さず、一応はまだ味方側に置きました。
しかしもはやバスコにマーベラス一味の退治を任せる気は無くなり、
第32話において最強の盾を持つ刺客シールドンを送り込みますが、
マーベラス達はゴーカイガレオンバスターを開発してシールドンを撃破し、
逆にバスコ打倒も見据えて強化を果たします。

またアカレッドの方は3つの大いなる力を奪ったまま姿を消したバスコを捜して忙しくしており、
この後しばらくナビィのお宝ナビゲートは途絶えますが、
その間にマーベラス達は第33話から第36話までの期間において、
元リュウレンジャーの亮や元ゴーオンレッドの江角走輔などとたまたま出会って、
黒十字王との戦いの時に一方的に貰っていたダイレンジャーやゴーオンジャーの
大いなる力を引き出すことが出来るようになっていきました。

そしてワルズ・ギルの猛攻の前にマーベラス達が大ピンチとなった第38話、
遂にアカレッドはマーベラスの夢の中に姿を現し、
ゴーカイジャーの大いなる力をマーベラス達が引き出すための助言を行いました。
つまり、マーベラス達はこの時まで、ゴーカイジャーという戦隊の持つテーマを完全に理解出来ていなかったので、
ゴーカイジャーのレンジャーキーの中に込められていたパワーを
全部引き出して戦うことが出来ていなかったのでした。

第20話、第23話、第31話の手強い番外戦士の召喚体との戦いの際、
ゴーカイジャーではなく他戦隊への完全シンクロ多段変身状態で逆転してきたというのは、
それだけマーベラス達が肝心のゴーカイジャーを完全にフルパワーで
使いこなせていなかった証であったのです。
こうしてゴーカイジャーの大いなる力を得て大幅にパワーアップした第38話において
マーベラス達はワルズ・ギルを倒したのでした。

この結果、宇宙に逃れてマーベラス達が大いなる力を集め終るのを待っていたバスコも慌てることになります。
何故なら、ワルズ・ギルの死によって禁足令が解除されたダマラスが自由に地上で活動出来るようになって、
ワルズ・ギルの仇討ちとしてダマラスがマーベラス達を殺してしまうのではないかと危惧したからでした。
バスコもマーベラス達がワルズ・ギルを倒す程度には強化したことは分かっていましたが、
それでも到底ダマラスには勝てないと思っていたのでした。

しかしマーベラス達がダマラスに殺されてしまっては大いなる力を集めてくれる者がいなくなってしまいます。
マーベラス達が殺されたらバスコが集めればいいという考えもありますが、
バスコ自身がダマラスに狙われている立場なのですから、
ダマラスが地上に降りてくるようになればどっちにしても安穏と宝探しなどしている場合ではなくなってしまいます。

そこで、この時点で残りの大いなる力は5つでしたから、
バスコはダマラスがワルズ・ギル死後の混乱で身動きがとれない間に
一気に残りの大いなる力を自分の手で集めてしまって、
その上でマーベラス達と戦って倒して34の大いなる力を揃えて、
宇宙最大のお宝をゲットして地球から逃げようと考えました。

そのために第39話において、まずメガレンジャーの大いなる力を戦わずして奪うために
諸星学園高校に爆弾を仕掛けて生徒や校舎の安全を盾にして、
そこで教師をしている元メガレッドの伊達健太を脅迫して抵抗出来ない状態にして大いなる力を奪おうとしましたが、
この地球に慌てて舞い戻ってきたバスコの性急な動きはアカレッドに察知されており、
アカレッドはナビィのお宝ナビゲートでマーベラス達を諸星学園高校に行かせて、
マーベラス達はバスコの作戦を阻止し、メガレンジャーの大いなる力をゲットしたのでした。

この時、マーベラス達とバスコは戦い、第31話の時はバスコに圧倒されたマーベラス達は、
この第39話ではバスコに対してかなり善戦し、6人攻撃ではほとんど互角の勝負をしました。
これは第38話でマーベラス達が大幅にパワーアップした結果です。
バスコも予想以上のマーベラス達のパワーアップに多少驚いたようですが、
それでもバスコの方に十分に勝機はありました。
残りの大いなる力の数からしても、この時点でバスコはマーベラス達を倒して全てを奪っても良かったはずです。

しかし、実はこの時点で地球に舞い戻って来てからの調査の過程で
バスコはまだカクレンジャーの大いなる力の在り処だけは掴めていなかったので、
最悪の場合を想定して、大いなる力の収集係としてのマーベラス達を殺す決断をすることが出来ず、
やや優勢であったにもかかわらず、メガレンジャーの大いなる力は譲って撤退したのでした。

その後、あくまでダマラスの地上降臨を恐れるバスコは隠密行動をとりながら、
それでいて出来るだけ迅速に動き、サンバルカン、ファイブマンの大いなる力を奪っていき、
アカレッドもその動きを掴むことは出来ませんでした。
しかしバスコはその間もずっと調査を続けたにもかかわらず、
どうしてもカクレンジャーの行方だけは掴むことが出来ませんでした。
だから、やはりカクレンジャーの大いなる力だけはマーベラス達に見つけさせるしかないとバスコは思い、
マーベラス達がダマラスに殺されることを危惧して困り果て、
それまでにマーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を手に入れてくれるよう願いました。

しかし、実はカクレンジャーの大いなる力の行方が掴めていないのは、
ナビィのお宝ナビゲートの黒幕であるアカレッドの方も同様でした。
アカレッドも万能ではありませんので、本気で隠れたカクレンジャーの行方は全く掴めなかったのです。
また、いくら不死の精神生命体といってもアカレッドは現在の時間軸に生きる存在ですから、
未来人のドモンのように寝隠神社の秘密に気付くことは出来ませんでした。

だからカクレンジャーの大いなる力に関しては、第40話のドモンの行動が大きな転換点になったといえます。
この時、ドモンはマーベラス達に、寝隠神社に34の大いなる力を揃えるための
重大なカギが存在していることを示唆しているのですが、
未来人の制約で十分な説明は出来ず、この時点ではマーベラス達は何も気づかないまま終わりました。

そうこうしているうちに第41話になって皇帝アクドス・ギルが地球にやって来て、
マーベラス達の抹殺を図るようになり、
第42話には遂にダマラスが地上への出陣を許可され、マーベラス一味の抹殺を命じられます。
サンバルカンかファイブマンの大いなる力を奪取して、
次はバトルフィーバーの大いなる力でも奪う作戦を立てようかと考えて地上をのこのこ歩いていたバスコは
溜まりに溜まった恨みで激怒したダマラスの急襲を受け、あえなく敗北して、
マーベラス一味の抹殺作戦に無理矢理協力させられます。
ダマラスは本当はバスコを殺してしまいたいくらいであったが、
マーベラス一味を確実に仕留めるためにバスコは利用価値があると思ったのでした。

しかしバスコの方は未だカクレンジャーの大いなる力の在り処が掴めない以上、
マーベラス一味に死なれてしまっては困るので、様々な小細工を弄してダマラスを裏切り、
遂に第43話において、混乱に乗じてダマラスを謀殺しようとします。
しかし最強の戦士であるダマラスを倒すことは出来ず、重傷を与えただけで未遂に終わり、
バスコは今のマーベラス達ならば重傷を負ったダマラスを倒すことは出来るだろうと見て、
その場は逃走したのでした。

この場は絶対にダマラスを倒さなければいけない場面ですから、
マーベラス達よりも確実に自分の方がダマラスを倒せると思うならば
バスコは執拗にダマラスを殺そうとしたはずです。
それなのにマーベラス達にダマラスの相手を押し付けて逃げたということは、
バスコはマーベラス達6人の力を合わせれば
自分とそう変わらない強さを持っているということは認めていることになります。

結局、その期待(?)に応えるようにマーベラス達はダマラスを倒し、
バスコはこれで完全に罪人としてザンギャックから追われる立場となり、
身を潜めてマーベラス達が残りの2つの大いなる力を集めるのを待つことにしたのでした。

その後、第44話でマーベラス達はバトルフィーバーの大いなる力を不意打ちのように与えられ、
第45話でナビィのお宝ナビゲートは「忍者は見つけられない」という敗北宣言のような内容であったが、
マーベラス達は自力でドモンの与えてくれていたヒントを解いて、遂に寝隠神社でニンジャマンを見つけ出し、
第46話において、遂に本来の歴史では不可能だったはずのカクレンジャーの大いなる力の獲得に成功したのでした。

そして、第46話の後、マーベラス一味と宇宙刑事ギャバンとが共闘して
ザンギャックの手先と戦うという事件があり、
その過程でマーベラス達は元デンジブルーの青梅大五郎と元バトルケニアの曙四郎と出会い、
そのヒーロー性を理解し、
一方的に与えられて力を引き出すことが出来ない状態であった
デンジマンとバトルフィーバーの大いなる力を引き出すことが出来るようになっていました。
これでマーベラス達は29個の大いなる力を引き出した状態で保持していることになったのです。

そして、マーベラス達はこれであとはバスコから5つの大いなる力を奪えばいいと思っています。
実際はその5つの大いなる力を該当戦隊の元戦士との交流無しにレンジャーキーに移すためには
バスコからラッパラッターも奪わなければいけないのだが、
それはマーベラス達は気付いていないようです。

一方、バスコはラッパラッターで吸い出して力を引き出すことが出来る状態の5つの大いなる力を持った状態で、
第46話においてマーベラス達が残りの29個の大いなる力を手に入れたのを確認し、
いよいよマーベラス達から全てを奪うために攻勢をかける決意を固めたのでした。

バスコがマーベラス達から奪おうとしているものは
29個の大いなる力、全てのレンジャーキー、ゴーカイガレオン、ナビィです。
ただ、バスコも泳がせている間に予想以上にマーベラス達が強くなってしまったことも認識しているので、
どのように攻めるべきか少し困っています。
正攻法で戦ってもややバスコの方が優勢とはいえますが、もはや絶対的優位は無く、
勝負はどう転ぶか分からない。
バスコはそういう確実性の低い真っ向勝負よりも、
卑怯な手を使って確実に楽をして勝つような戦い方が好みなのです。

そこで第46話の直後、マーベラス達がひょんなことで関わりを持った宇宙刑事ギャバンに
恩義を感じているのを見て、バスコはマーベラス達をそそのかしてギャバンを救出するために亜空間に行かせて、
その隙にガレオンを襲って全てを奪おうとしました。
しかし「36番目のスーパー戦隊」と名乗る謎の3人組に襲撃されてガレオンへの侵入を阻止されてしまい、
面倒くさくなったバスコはもっと楽な作戦を考えようと思い、出直すことにしたのでした。

そして亜空間から無事に帰ってきたマーベラス一味とバスコが仕切り直して、
今回の第47話、遂に34の大いなる力をどっちが独占するのか雌雄を決する戦いが始まろうとしているのです。
そうした状況を受けて、「果たして、34の大いなる力、全てを揃えるのは、どちらなのか?」という言葉で、
冒頭ナレーションは締められます。

以上、冒頭ナレーションだけでえらく引っ張ってしまい、しかもかなり妄想も入った内容でしたが、
クライマックス篇に入る前に、やはりここまでのストーリーの中で説明されていない部分は
埋められる部分は埋めておかねばならないと思いました。

これでもまだ、宇宙最大のお宝の正体や、
そもそも何故アカレッドはマーベラスやバスコを仲間にしたのか?とか、
バスコはどうしてアカレッドの仲間になろうと思ったのか?など、
まだまだ解けない謎もありますが、
ラッパラッターや追加戦士レンジャーキーの謎や、
ゴーカイジャーやゴーカイシルバーの作られた目的などの謎、
バスコの行動の一貫性の無さの謎など、
これらぐらいは、クライマックス篇に入る前に一応の説明はつけておいた方がいいような気がしたのでした。

特にバスコ関係の謎については、
もしかしたら次回全てがひっくり返ってしまう恐れはあったとしても、
バスコというキャラに決着がつくであろう前後篇に入る前に、
現時点で出来得る限りの整合性のある考察で、その空白部分を埋めてから
今回のエピソードに臨むべきだと思いました。

ここまで最終盤になると新たな要素がこれからそう多く登場するとも思えず、
これまでに出てきた要素だけで未だに説明されていない部分を埋めていくなら、
上記のようなストーリーが、この「ゴーカイジャー」という物語、
特にバスコ絡みの物語のこれまでの真実の物語に近いのではないかと、少なくとも現時点では思います。

そして、上記のように考察してみて、その考察を前提にした上で言わせてもらえば、
バスコというキャラは狂人や極悪人ではなく、意外に普通人という印象です。
もちろん狡猾といえるほど優秀であり、異様な怪人態を持っているように、人間離れした強いヤツでもありますが、
一生懸命なクセにヘマなんかもやる、割と行き当たりばったりで愛嬌もあります。
時々ズボラな面があったり、運任せだったり、無邪気だったり、時々杜撰で感情的だったりするのです。
その一方で際立った特徴は、目的に対して極めて純粋であり、
その達成のためには一切の手段は選ばないということで、
その点においてはあらゆる倫理観を超越しており、どんなゲスな振る舞いも平然とします。

つまり、バスコというヤツは、一言でいうと、
「夢の実現に純粋すぎるために外道に堕ちた普通人」のように見えてくるのです。
これは別に「バスコは実は良いヤツ」などと言いたいわけではありません。
むしろ、普通の人間こそ恐ろしいという話です。
そして、その普通の人間を恐ろしい化け物とするものこそが「夢」だという話です。
夢によって普通の人間がここまで外道になれるという象徴がバスコであり、
普通の人間や夢の恐ろしさの象徴がバスコというキャラなのかもしれません。
そして、それは案外、現実社会の夢や目的に邁進している人の姿に似ているかもしれません。
そして、この「ゴーカイジャー」という物語の思想を根本的に否定する恐れのあるキャラともいえます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 17:37 | Comment(0) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月23日

第47話「裏切りの果て」感想その1

今回の第47話の感想の前に、その放送日の前日、1月21日に劇場公開されたゴーカイジャーの映画企画第3弾
「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」のことについて触れます。
現在公開中の映画ですから、内容の詳細なレビューなどはもちろんしませんが、
TV本編との時系列の関係など、TV本編と関係する部分だけは触れておいた方がいいかもしれないと思ったのです。

「かもしれない」という程度である理由は、
春映画の「199ヒーロー大決戦」に比べると、今回の映画はTV本編との関係は薄く、
「ゴーカイジャーVSギャバン」を見ていないとTV本編の内容が分からない部分が出てくる
というようなことはないからです。

「199ヒーロー大決戦」の場合は、第17話のマーベラス達がゴセイジャーの大いなる力を使った場面、
第21話の元ボウケンレッド明石暁が唐突に登場した場面、
第33話の元リュウレンジャーの亮が鎧以外のゴーカイジャーと顔見知りである場面、
第35話の元ゴーオンレッドの江角走輔にアイムが大いなる力の件で謝礼する場面などが、
映画の方を見ていないと意味不明になってしまうので、TV本編とのリンク度が高いといえます。

それに比べて、「ゴーカイジャーVSギャバン」はTV本編と内容的にはほとんどリンクしていないように見えます。
まぁTV本編の残り5話の展開次第ではリンクしてくる可能性はありますが、
今回の第47話を見た限りではそういう気配はあまり無いように思います。
この映画は、あくまで単品の作品として観て楽しむことを前提に作られたものといえます。

もともとはこの1月映画枠は「VSシリーズ」を上映している枠なのですが、
「ゴーカイジャー」のクロスオーバーが常態化した作品であるという性格上、
この1月の時期に「VSゴセイジャー」にせよ「VSスーパー戦隊」にせよ、
他の戦隊とのコラボ企画を劇場版でやる意味が無いので、
いっそ今年度はこの1月映画枠でゴーカイジャー絡みの企画は一時はやめようという方針であったようです。
ところがちょうど今年2012年は宇宙刑事シリーズ開始の30周年ということで、
東映では何か企画をやろうという動きがあったので、
じゃあ、いっそこの1月映画枠でゴーカイジャーと宇宙刑事ギャバンのコラボ企画をやろう
ということになったそうです。

ギャバンのみで映画を作っても、さすがに集客が読めないので
現行戦隊のゴーカイジャーとコラボすれば集客は見込めるし、
ゴーカイジャーとしても戦隊とのコラボでなければお話は作ることは出来るので、
せっかくの1月映画枠を有効活用できます。
だからお互いにメリットがあるので実現した企画なのです。

だから、ぶっちゃけて言えば「ゴーカイジャー人気に便乗してギャバン映画を作った」という作品といえます。
そういうわけで内容的にはギャバン寄りだったと思います。
いや世界観としては完全にゴーカイジャー側の世界観であって、そこにギャバンが乱入してくるのですが、
テーマ的にはゴーカイジャーらしさは無く、ギャバン寄りだったという意味での「ギャバン寄り」です。

ゴーカイジャーといえばテーマは「お宝探し」と「地球を守るヒーローとなること」の2本立てです。
春映画の「199ヒーロー大決戦」は明確に「地球を守るヒーローとなること」がテーマでした。
そして夏映画の「空飛ぶ幽霊船」は「お宝探し」に焦点を絞った映画でした。
しかし、冬映画であるこの「ゴーカイジャーVSギャバン」はこの2つのテーマのどちらもほとんど関係ありません。

この映画を貫くテーマは「父と息子のドラマ」といえます。
父がギャバンで息子がマーベラスということですが、もちろんこの2人は実の親子というわけではなく、
2人の関係性が父と息子に見立てられているという意味です。
そして、この「父と息子のドラマ」というのは、
「宇宙刑事ギャバン」という作品のメインテーマの1つであったのです。
だから、この映画はテーマ的にはギャバン映画なのです。

つまり、TV本編の「ゴーカイジャー」とは毛色の違う作品となっています。
そして、さっきは「便乗」という、あまり良いイメージではない言葉を使いましたが、
結果的には、そのようにしてゴーカイジャーがギャバン映画に登場することによって、
ゴーカイジャーの、特にその中でもマーベラスのキャラに今までにはない更なる広がりが加味されたという意味で、
十分ゴーカイジャーにとってはメリットのある企画であり、映画の出来も素晴らしいものになったと思います。

このように「ゴーカイジャーVSギャバン」はTV本編とは全く毛色が違う作品なので、
「199ヒーロー大決戦」のようにTV本編とリンクさせることは困難なのでしょう。
そういうわけでリンクはしていません。
ただ時系列的には明確で、第46話と第47話の間の出来事となります。
つまり、前回のエピソードと今回のエピソードの間に起きた出来事として位置づけられており、
現実世界の作品公開の順番がそのまま物語的な時系列と一致しているということです。
これで「ゴーカイジャー」という物語においては、劇場版映画の3本とも、
放映中のTV本編との時系列の関係は現実世界の作品公開順と一致するということになりました。

この映画が前回と今回の間の出来事と推定される根拠としては、
まず映画内でバスコがマーベラス達の持つ大いなる力をガレオンごと奪おうとすることです。
結局、映画内では意外な邪魔者によって未遂に終わりますが、
バスコはカクレンジャーの大いなる力をマーベラス達が手に入れるまでは
マーベラス達の持つ大いなる力を奪わないという方針であったはずですから、
バスコがそうした行動を起こしたということは、
この映画内の出来事は第46話でマーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を手に入れた後ということになります。
そして、映画内ではサリーがバスコと共に登場していますが、
サリーは今回の第47話のエピソード内で退場したので、映画内の出来事は第47話よりも前ということになります。
つまり映画内の出来事は第46話と第47話の間の出来事なのです。

ただ、「199ヒーロー大決戦」の時のような、
前後のTV本編エピソードとの意図的なジャンクション描写を設けるという工夫はありませんでした。
これは2010年の仮面ライダーWの夏映画の「運命のガイアメモリ」の時に使われた手法で、
映画の直前の時系列にあたるエピソードのラストシーンで
映画内で登場するT2ガイアメモリというアイテムを唐突に登場させ、
映画の直後の時系列にあたるエピソードの冒頭で、
映画内で破壊された風都タワーの改修工事のシーンを流したというやつです。

これと同じように「199ヒーロー大決戦」では、映画の直前にあたる第16話のラストシーンで、
映画内で初登場する10人の番外戦士のレンジャーキーを登場させ、
映画の直後にあたる第17話において、映画のエンディングで登場したゴーカイシルバーを登場させています。

まぁ「W」の真に凄いところは、風都タワーの改修が更に最終話のトリックの伏線になっていることであり、
「W」の場合はこのトリックがあまりに鮮やかだったので印象が鮮烈ですが、
考えてみれば「199ヒーロー大決戦」もボウケンジャー篇、ダイレンジャー篇、ゴーオンジャー篇というように、
TV本編に向けてかなり伏線をばら撒いています。
いや、これから始まるクライマックス篇にも、「199ヒーロー大決戦」と「空飛ぶ幽霊船」は
リンクしてくる可能性はあるでしょう。

しかし「ゴーカイジャーVSギャバン」は映画直前にあたる第46話にも映画直後にあたる第47話にも、
映画とのジャンクション的な描写は一切ありません。
それどころか、今回の第47話の冒頭には、まるで前後篇構成であるかのように、
前回の第46話のダイジェストを流しており、
第46話と第47話の間に「ゴーカイジャーVSギャバン」が存在するとは、
あえて思わせないように念を入れてさえいます。
だからおそらくクライマックス篇の中でも「ゴーカイジャーVSギャバン」とリンクした内容は
無いだろうと思います。

それだけ「ゴーカイジャーVSギャバン」はTV本編から見て「番外編」という意味合いが強い一篇だということです。
時系列的には確かに第46話と第47話の間ということで整合性はとれるのですが、
それでも内容的には番外編扱いと言っていいでしょう。
それゆえ、映画内の細かな描写の中にはTV本編やそれと深く繋がる2本の劇場版の内容に照らして、
首を傾げるような場面が多々あります。
このあたりは細かい設定の整合性などは考えず、
あくまで番外編のギャバンとのコラボ作品と割り切って楽しめばいいでしょう。

ただ、この映画、TV本編との整合性の部分だけでなく、ストーリー的にかなり粗く、非常に強引なお話です。
それでいて、核心となっている「父と息子のドラマ(擬似だが)」はしっかりと骨太に描かれています。
そういう意味では夏映画の「空飛ぶ幽霊船」に似ているような気がしました。

「空飛ぶ幽霊船」も核心のテーマ1つに絞って骨太にドラマを作り、
その他の描写はかなりテキトーに作っていました。
ただ、「空飛ぶ幽霊船」は全体の尺が短かったので、
そのテキトーな部分があまり目立たないうちに一気に終わってしまい、
その結果、粗さが目立たず、シンプルにまとまった骨太なお話になったのだといえます。

というか、ゴーカイジャー関連の劇場版3部作を振り返ってみると、それぞれ作り方が違っています。
劇場版というのはTV本編よりも短編で、あまり1つ1つのシーンに込める情報量を増やすことも出来ません。
だからアクション重視でドラマ部分は薄めに作ることになります。
アクション重視という点では3作品とも同じで、それぞれ特徴を変えて素晴らしいアクションを見せてくれましたが、
ドラマ部分の作り方はそれぞれタイプが違います。

春映画の「199ヒーロー大決戦」は約80分という長めの作品だったので、物語はしっかり作らねばならず、
劇場版にしては割と破綻の無い緻密なストーリー展開でしたが、
その分、ドラマは薄味で、ゴーカイジャーが絡む部分ではあまり心にガツンとくるようなものはありませんでした。
そういう泣かせ所は、サラリーマンとレジェンド3人のあたりに代行されていたといえます。

それに対して夏映画の「空飛ぶ幽霊船」は約20分の超短編であったので
物語そのものをまともに作ることがそもそも出来ず、作る必要も無いことから、
ストーリーはほとんど無いも同然の内容として、
ただ一点だけにテーマを絞って、そこだけ濃いドラマを描きました。
その核心の濃厚なドラマ以外の展開は全てテキトーに作れば、
全体的に詰め込む情報量も劇場版としての許容範囲内に収まり、
テキトー部分も大した分量にならないから粗も目立たなかったのです。

しかし今回の冬映画「ゴーカイジャーVSギャバン」は、
「空飛ぶ幽霊船」と同じように核心部分のドラマは濃厚なものにしましたが、
尺が「空飛ぶ幽霊船」の3倍ほどの約60分もあったので、しっかりストーリーを作らねばならず、
しかも物語内容は本来は緻密な設定を必要とするようなトリッキーなものであったので、
本来はそこも緻密に作らなければならなかった。
しかし核心のドラマを濃厚にした上に緻密なストーリーまで作ってしまうと情報量過多になるので、
本来は緻密に作らねばならない部分をかなりテキトーにしてしまうことになりました。

だから、ハッキリ言って今回の「ゴーカイジャーVSギャバン」はドラマはかなり粗いです。
熱くて濃くて骨太な良い話なのですが、作りはかなり粗いのです。
名作になり得るテーマを持ちながら、その作りの粗さが原因で残念な印象になってしまうタイプの作品です。

ところが、この映画は残念な印象がありません。
冷静に考えたら、かなり粗いのは分かるのです。
いや、鑑賞中でも十分に粗さは伝わってきます。
おそらく歴代の戦隊映画でも屈指の粗さ、荒唐無稽っぷりだと思います。
いくらなんでも「なんでこうなるの?」みたいな展開が多すぎる。
しかし、それでも粗さが気に障ることなく鑑賞出来てしまうのは、ゴーカイジャーのキャラの力によるものでしょう。
ゴーカイジャーのキャラがこの映画の内容に負けないぐらいに破天荒なものとして、しっかり確立しているので、
ムチャムチャなことばかりやらせても、力技で押し切ることが出来るのです。

ゴーカイジャーだからこそ、こんなムチャムチャな内容の映画を作り、
名作かと見紛うレベルにすることが可能だったといえます。
ゴーカイジャーならば、こんなハチャメチャに作っても十分に面白くなることを見越した上で、
この映画は作られたのでしょう。

どうしてゴーカイジャーのキャラがそこまで強いものになったのかというと、
TV本編でずっと無茶なことばかりやってきた中で鍛えられたからです。
つまり1年間の積み重ねの結果です。
おそらく、「199ヒーロー大決戦」や「空飛ぶ幽霊船」の時点では、まだここまでの無茶は出来なかったでしょう。
積み重ねがまだ十分ではなかったし、物語後半にゴーカイジャーのキャラは特に著しく成長したからです。
その結果、劇場版3部作の中で、ある意味、ゴーカイジャーにとっては最も難易度の高い映画であった
今回の「ゴーカイジャーVSギャバン」を成功させることが出来たのだといえます。

さて「ゴーカイジャーVSギャバン」については今回はこれぐらいにして、
その映画の具体的内容については、またDVD発売後にでもレビューすることにして、
ここからは今回のエピソード、つまり「ゴーカイジャーVSギャバン」の物語の次のエピソードにあたる、
第47話の内容について触れたいと思います。

「海賊戦隊ゴーカイジャー」も今回の第47話を含めて残り5話で、
いよいよクライマックス篇に入って物語を締めにかかってきました。
当然ながらクライマックス篇は大事です。
スーパー戦隊シリーズというのは1年間の長丁場で、販促の事情も絡んできますから、
途中で構成的に変な感じになることは多々あります。
それでも最後のクライマックス篇さえ盛り上がれば、なんだか1年間通して素晴らしかったみたいな印象が残ります。

しかし、これは最後だけ頑張って帳尻を合わせればいいということではありません。
何故なら、クライマックス篇が盛り上がるか否かは、
それ以前の物語のテーマをちゃんと拾ってクライマックス篇を構成出来るかどうかにかかっているからです。
そして、そのためには、クライマックス篇よりも前の数多くのエピソードは別に常に全力で作る必要は無いですが、
やはり一貫したテーマでは貫かれてはいないといけないのです。

だから、いい加減に作っていた物語は、クライマックス篇でどれだけ見た目はハデなことをやっても、
盛り上がることはないのです。
盛り上がりはあくまで1年間の蓄積があってこそです。
結局、1年間通してやるようなドラマの名作というものはそうやって出来上がるものなのでしょう。
その点、「ゴーカイジャー」は1年間の蓄積は文句無しでしょう。
あと問題は、いかに上手くその1年間通して来たテーマを拾って構成してクライマックス篇を作っていくのかです。

そのクライマックス篇の冒頭にあたる今回、
前回のラストでも前フリされていた通り、まずはバスコとの決着をつけようとする展開になるようです。
ただ、ザンギャック皇帝のアクドス・ギルも本国から大規模な兵力を
地球方面に集結させようとしているようですから、
そちらとの決戦もクライマックス篇では描かれることになります。
そういう状況でまずはバスコと戦うとなると、
まずバスコとの決着を描いてから、アクドス・ギル率いるザンギャックとの決戦を描くという
順番になることが予想されます。

となると、バスコはラスボスではなく、アクドス・ギルがラスボスということになります。
しかし、アクドス・ギルは確かにラスボスの風格は十分ですが、マーベラス一味との因縁が薄く、
対決がドラマとして盛り上がるのはどう考えてもバスコの方です。
だからアクドス・ギルは先に倒されるか、あるいはバスコに倒されるかして早く退場して、
最終決戦はマーベラス一味とバスコの戦いになるのではないかとも思っていました。

まぁそういう展開になる可能性もまだまだ十分にあります。
今回のマーベラス一味との戦いに結局バスコが勝利して、
その勢いでアクドス・ギルまで倒して最大最悪の存在として君臨しようとするところに、
生き延びていたマーベラス一味が立ち向かうという展開も、物語としては有り得る想定です。
むしろゴーカイジャー単体の作品なら、そうすべきでしょう。
マーベラス一味のドラマが最も盛り上がるのはバスコとの最終決戦であろうと思えるからです。

しかし、この「ゴーカイジャー」という作品においてはゴーカイジャーだけでなく、
他に34のスーパー戦隊も登場しますから、バスコを倒して物語が終わるというわけにはいかない。
やはり最後は34のスーパー戦隊も登場しての第二次レジェンド大戦で終わる
ということになるのではないでしょうか。
そのためにアクドス・ギルは増援の大兵力を呼び寄せているようなものです。
そうなると、第47話と第48話でマーベラス一味とバスコとの決着を描いて、
第49話、第50話、第51話の三篇でゴーカイジャーも含む35のスーパー戦隊とザンギャックとの
第二次レジェンド大戦を描くという流れになるのではないでしょうか。

ゴーカイジャーという戦隊は「宝探し」と「地球防衛」という2つの目的を持った戦隊であり、
「ゴーカイジャー」という物語はOPナレーションを2パターン持っているように、
「通常回」と「レジェンド回」の二部構成になっている物語でありました。
となると、第47話と第48話の前後篇というのは、「宝探し」の決着を描く「通常回」の最終篇であり、
OPナレーションは通常回バージョンが流れるのでしょう。
そして、第49話、第50話、第51話の三部作は「地球防衛」の戦いの決着を描く「レジェンド回」の最終篇であり、
OPナレーションはレジェンド回バージョンが流れるのでしょう。
ゴーカイジャー単体の物語としての最終回は第48話で、
35のスーパー戦隊の物語としての最終回は第51話と言ってもいいかもしれません。

それだけ今回の第47話のテンションは、
次回の第48話が実質的に最終回だと言っても違和感の無いような高さであったのです。
つまり、この「ゴーカイジャー」という作品には最終回が2回存在するようなもので、
通常のスーパー戦隊シリーズで見慣れたようなタイプの従来型の最終回は
次回の第48話でのマーベラス一味とバスコとの因縁の決着であり、
その後の残り3話というのは、これまでのスーパー戦隊シリーズで見たことがないような物語となる可能性が高く、
真の最終回である第51話の展開は予想もつかないといえます。

おそらく、そのようにくっきりと、
通常回の最終篇とレジェンド回の最終篇は分けてくるつもりではないかと思います。
バスコの動きとザンギャックの動きが同時進行していって大河ドラマ風に流れていくということにはせず、
まずバスコとの決着をじっくり描いて、
その後、ザンギャックとの最終決戦をじっくり描いていくという形にするような気がします。
今回のエピソードの丁寧な作り方を見る限り、そのように予想出来るのです。
そのようにクライマックス篇が二部構成になっていると考えると、
次回がゴーカイジャー単体の物語としての最終話とも解釈出来るのであり、
実際、その前のエピソードである今回は、最終話直前と言っておかしくない締まった内容でした。

「ゴーカイジャー」という物語は、
お宝探しのために地球にやって来た宇宙海賊が地球を守るヒーローになっていくという物語ではありましたが、
それは身勝手な海賊が心を入れ替えて人々のために戦うように変化していくという物語ではなく、
彼らが人々のために戦うようになる根っこの部分には海賊としての彼らのポリシーがあるという物語です。
彼らは「海賊なのにヒーローになった」のではなく、「海賊だからヒーローになれた」のです。

だから結局、彼らのヒーローとしての本質は「海賊」であるということになり、
海賊といっても海賊行為をするわけではなく、その正体はお宝探しの冒険者なのですから、
彼らを海賊たらしめているのは「お宝探し」です。
彼らは確かに地球を守るヒーローですが、やはりその本質は「お宝探し」にあるわけです。
だから、ゴーカイジャーの戦いのクライマックスは、
「お宝探し」のライバルであるバスコとの決着を通して描かれることになるのが自然です。

マーベラス達の「お宝探し」のポリシーとバスコの「お宝探し」のポリシーがどう違うのか、
そこにゴーカイジャーの物語の本質があるのでしょう。
もしかしたら、次回でこの「ゴーカイジャー」という物語は、
マーベラス一味とバスコの因縁の決着と共にテーマ的に完結するのかもしれません。

では、もしそうなったら残り3話は何が描かれるのかというと、
それは間違いなく、ここまでずっと引っ張ってきた「宇宙最大のお宝」の謎解きと
ザンギャックとの最終決戦、34のスーパー戦隊が復活するのかどうか、
そのあたりがメインとなるのでしょう。
つまり、盛りだくさんなのであり、その前にバスコと決着をつけて、
ゴーカイジャーの物語のテーマも結論を出しておいた方がいいのかもしれません。

まぁ最終3話に関しては、あまりに未知の展開なので、とんでもないテーマが飛び出してくる可能性もあり、
まだ何とも言えないのが実情ですが、
第38話で定義されたゴーカイジャーのテーマである「夢を掴むために集まった仲間の絆」というものに関しては、
今回と次回のバスコとの決着篇の中で完結すると見ていいのではないかと思います。
つまりバスコが「夢を掴むために集まった仲間の絆」と対極に位置するキャラとして描かれ、
そのバスコを倒すことでマーベラス達のテーマの優位性が証明されるということになるのでしょう。

これまで、このマーベラス達の「夢を掴むために集まった仲間の絆」というテーマに
対比されるキャラとして扱われた者は他にもいます。
まずはそれはワルズ・ギルでした。
第37話から第38話にわたった話においてワルズ・ギルを打ち破る過程において、
どうしてマーベラス一味がワルズ・ギルに勝つことが出来るのかという根拠として、このテーマは生まれたのです。
ここではワルズ・ギルは「夢を掴むことが出来ない者」として描かれており、
マーベラス達の「夢を掴むために集まった仲間の絆」が
「夢を掴むことが出来ない者」であるワルズ・ギルに逆転勝利を収めるというドラマが描かれました。

次いで、マーベラス達の「夢を掴むために集まった仲間の絆」というテーマに対比されるキャラとして登場したのは
アクドス・ギルでした。
というより、実際にマーベラス一味と激突したのは第41話のザツリグ、第42話、第43話のダマラスであり、
それらの上に君臨するアクドス・ギルに象徴されるザンギャック帝国そのものが
マーベラス達のテーマに対比する形で扱われたと言えます。

ここにおけるザンギャック帝国は
「夢を掴むことを禁ずる世界秩序そのもの」として描かれていると言っていいでしょう。
この第41話〜第43話の一連の対ザンギャック帝国篇においては、
マーベラス達の「夢を掴むために集まった仲間の絆」が
「夢を掴むことを禁ずる世界秩序そのもの」をひっくり返して、
世界を変えることが出来る可能性を示したといえます。

但し、それはあくまで可能性を示しただけのことであり、
ザツリグとダマラスを失ったアクドス・ギルは、全く動じることなく、
圧倒的な数の暴力でその可能性を封殺しようとしています。
マーベラス達は「夢を掴むために集まった仲間の絆」の持つ力を見事にアクドス・ギルに見せつけたはずなのですが、
アクドス・ギルは全く動じておらず、絶対に夢の持つ力を認めようとはしていません。

アクドス・ギルが物語世界の中でラスボスとしてどうしてもキャラ立ちしない原因はこのあたりにあります。
その点、息子のワルズ・ギルの方がラスボスとしての素質はまだ有ったと思います。
ラスボスというのは、結局、ヒーロー側のテーマに付き合ってしまうものなのです。
ヒーローが示したテーマを自らの力で否定したくなるのです。
それは内心ではそのテーマに共感、あるいは強く反発してしまう部分があるから、必死で否定したくなるわけです。
そうして、自分の手でヒーローを葬り去って自らの正しさを証明しようとして、
のこのことヒーローの前に現れて、最初は圧倒するものの、結局はやられてしまうのです。
ワルズ・ギルはまさにそういう行動をとり、散っていきました。
それゆえワルズ・ギルの最期はそれなりにドラマチックでした。

しかしアクドス・ギルはマーベラス達の持つ「夢の力」をいくら知っても全く動じることはなく相手にしません。
マーベラス達のポリシーへの反発心すら無く、ただ単に邪魔者として機械的に排除しようとするだけです。
自らの手で倒さねばならないなどと思っている様子は微塵もありません。
数の暴力で押し潰せばいいとしか思っていない。
こんなにつまらない敵はかつて存在しなかったというぐらい、つまらない敵です。
しかし、これほど倒すのが難しい敵もいません。
だから、アクドス・ギルというのは、究極につまらないラスボスですが、
ある意味、究極に手強いラスボスとも言えます。

この「ゴーカイジャー」という物語の最終的な着地点は、
このアクドス・ギルを倒し、ザンギャック帝国を倒して、
「夢を掴むことを禁ずる世界秩序そのもの」をひっくり返して、
OPテーマの歌詞にあるように「世界を変える」ところであろうと思うのですが、
そこに至るには、まだマーベラス一味の力は足りないと思われます。

マーベラス達の持つテーマは確かにザンギャック帝国の持つテーマを超えています。
そのことは第41話〜第43話で証明されました。
普通はそのテーマの優位がそのまま物語に反映されて、敵を倒すことが出来るのですが、
アクドス・ギルという異様に付き合いの悪い敵は、テーマ合戦をそのままタイマンバトルに繋げてくれず、
数の暴力で押し切ろうという、非常につまらないことをしてくれます。
この厄介な敵を倒して物語を終えるためには、マーベラス一味の力はまだ足りないようです。

だから、物語展開上、その前にバスコと戦う必要があるのでしょう。
バスコと戦い、勝利することでマーベラス達はアクドス・ギルに勝つための何かを手に入れることになるのでしょう。
それこそが「宇宙最大のお宝」だという意見もあるでしょう。
まぁそれは確かにそうなんでしょうけれど、
単に「宇宙最大のお宝」だけ手に入れたらいいというのなら、
いきなりバスコにガレオンバスターを喰らわせて勝って、
バスコの持っている5つの大いなる力をゲットしてもいいはずです。

つまり大切なのは、今回と次回において描かれるバスコに勝利する過程の描写なのです。
バスコもまた、マーベラス達の「夢を掴むために集まった仲間の絆」というテーマに対比されるキャラだからです。
ではバスコはどういう意味合いでこのマーベラス達のテーマに対比されるのかというと、
ワルズ・ギルやアクドス・ギルとは根本的に違う意味合いの対比キャラといえます。

ワルズ・ギルやアクドス・ギルは結局は「夢を掴まない」タイプなのですが、
バスコはマーベラス一味と同じく「夢を掴む」ことが出来るキャラなのです。
ただ、その方法論が正反対なので、
そういう意味でマーベラス一味とは最も先鋭的なテーマの対立関係にあるキャラといえます。

つまり、マーベラス達は「夢」の力で戦っており、
ワルズ・ギルやダマラスは「夢」の力を持たないのでマーベラス達とまともに戦って敗れたわけです。
アクドス・ギルの場合は「夢」の力を持たないゆえに「夢」の力が有利に働くような勝負の土俵に降りていかず、
別次元の戦いで圧倒しようとします。
しかしバスコは「夢」の力を持っており、マーベラス達との「夢」の力を使った戦いで勝つことが可能なのです。
だから、マーベラス達にとってはアクドス・ギルに負けることは単なる物理的敗北に過ぎないが、
バスコに負けることはアイデンティティーの崩壊の意味合いもあるのです。
だからマーベラス達は絶対にバスコに負けるわけにはいかない。

言わば、マーベラス一味にとってバスコは全く異質な敵ではなく、
似て非なる存在、自分の闇の分身のようなネガ的存在といえます。
マーベラス達が「海賊」ならば、バスコは「偽海賊」と言っていいでしょう。
バスコがラッパラッターを使って偽レジェンド戦士を操って戦わせることが出来るのも、
バスコの偽海賊としてのキャラクター性を象徴していると解釈できます。

つまりバスコは天使に対する堕天使のような存在であり、
それゆえ、バスコにはその堕落の原因となるような、
何らかの禍々しいドラマチックな経緯が存在するものだと思っていました。
その経緯が明かされることによって、バスコというキャラは完成するのだと思っていました。

しかし、今回のエピソードを見て、それは違っていたのではないかと思えました。
実はバスコもまた、すごく普通のヤツなのかもしれないと思えてきたのです。
普通なのはバスコの方であり、むしろマーベラス達の方が異常なのだから、
バスコが光の存在から闇に堕ちたドラマチックな経緯など、そもそも描く必要は無いのではないかと
そう思えたのでした。

いや、今回のエピソードにおけるバスコの行動は外道そのものであり、
あれの何処が普通なのかと思われるかもしれませんが、
「夢を実現するために何か大事なものを犠牲にする」という考え方自体は、ごく普通の現実的な考え方と言えます。
そして今回、バスコがまたもや無抵抗のマーベラス達を殺さなかったことからも分かるように、
バスコは実は今までもマーベラス達を利用するために殺さなかったというより、
本当は殺したくなかったのだと思われます。

それは特にマーベラス達が好きだというわけではなく、
単に普通人の感覚として、無意味な殺人を好まないのでしょう。
バスコは人を殺すことに快感を覚えたりするような異常者ではなく、
目的のためなら平気で人を殺すが、目的達成に関係のないところでは
殺人なんて気持ち悪いことは本当はしたくないという、常識人キャラなのです。

こういうタイプの人間というのは、実は現実社会では我々の身近にたくさんいます。
目的や夢の達成のためなら非情になる、平気で人を裏切り、切り捨てる。
そういう人間で世の中は溢れ返っているのが現実です。

バスコが過去はマーベラスにとって良い仲間であったからといって、
その描写にも特に深い意味など無いのです。
バスコは本当に仲間想いの良い人間だったのです。
しかし、宇宙最大のお宝という大きな目標を手に入れるためには
大切な仲間を捨てるぐらいの覚悟が必要だと思っただけだったのです。
そして、そんな自分の行動からバスコは「人間は夢のためなら平気で他人を裏切る」という事実を知ったので、
人間を信じなくなったのです。

おそらくバスコがそんな人間になってしまった経緯などは次回も描かれないのではないかと思います。
何故なら、こうしたバスコのような人間は、何処にでもいる普通の人間だからです。
そんな平凡な人間の過去など描く意味はありません。
バスコは普通に夢に向かって突き進むうちに、現在のような外道になったのです。
そう考えると、むしろ異常なのはマーベラス達の方のように思えてきます。

夢は人間を狂わせて外道に落とす。これは現実です。
その現実を受け入れたくないのでマーベラス達はバスコのような普通人を憎悪しているように見えます。
今回のエピソードでもマーベラスとジョーの問答の中で、
むしろマーベラスの方が異常なのではないかと思わせるセリフの応酬もありました。

ところで先ほどバスコもまた普通であるというような表現をしましたが、
それはつまり、この「ゴーカイジャー」の物語におけるマーベラス達の敵は
他もみんな、普通の現実的な存在だからです。
ワルズ・ギルにしてもアクドス・ギルにしても、
ザンギャック帝国そのものが非常に現実的な軍事帝国に過ぎず、常識を超えた異常な存在であるわけではないのです。
普通に宇宙を支配している独裁軍事帝国であるに過ぎない。
「夢を掴むことが出来ない」「夢を掴むことを邪魔する」という、夢に対して否定的である彼らのキャラは
確かに「夢」と対極にある「現実」そのものと言っていいでしょう。
フワフワと浮ついた夢に与しない彼らは常識人ともいえます。
その常識人の極致といえるキャラが、実につまらないラスボスであるアクドス・ギルといえます。

このようにザンギャックをある意味つまらない現実的な組織に描いた理由は、
マーベラス一味がその宇宙の現実に反旗を翻して夢と自由を追う連中であるという
キャラクター性を際立たせるためでした。
そして、バスコはそれとは違って、かなり荒唐無稽な感じでキャラを立ててくるだろうと思っていたのですが、
そうではなかった。
確かにキャラは立っているが、これはマーベラス一味との際どい対比の鮮やかさと、
それを表現する細貝圭氏の演技力の賜物であって、
キャラ自体は荒唐無稽ではなく、ザンギャック同様、現実的で常識的でした。
「夢を掴むために大切なものを切り捨てていく」というのもまた、現実的で常識的な考え方なのです。

どうしてこの作品におけるマーベラス一味の敵はこのように悉く現実的なのか?
それはつまり、マーベラス一味を「現実」に対抗するキャラとして描きたかったからなのでしょう。
それはどうしてなのかというと、マーベラス一味を単に「夢を掴む」キャラとして描くのではなく、
「夢を掴むことで世界を変える」キャラとして描きたかったからなのでしょう。

というより、実際のところ、「夢を掴む」ということは「世界を変える」のと同義のはずです。
「夢」というものは単に思い描いているうちは、まさに夢の世界の中の幻のような存在に過ぎない。
それが本当に実現した、すなわち「夢を掴んだ」状態というのは、その夢によって現実を打ち破った時です。
現実という壁を打ち破らないうちは、夢は思い描いて想像しているだけに過ぎない。
夢を掴むというのは、現実を打ち破って世界の状態を変えた時のことを言います。

「現実」に勝たねば、それは真に「夢を掴んだ」ということにはならない。
だから、「夢を掴む力」で戦うマーベラス達の敵は「現実」でなければ意味は無いのです。
「現実」に逆らうドン・キホーテのような異常な連中であるマーベラス達が
夢を掴んで現実の立ち塞がる壁を突破して世界を変えていく。
しかし現実世界におけるヒーローの真の姿とは、そのようなものではないでしょうか。
だからマーベラス一味の敵はバスコも含めて「現実」を象徴したような、現実的で普通の「悪」なのです。

要するに「ゴーカイジャー」の物語世界の基本は、世界の現実は悪に満ちているということになるのです。
その悪の支配する宇宙の現実をひっくり返すためには、
最終的に最も常識的な悪であるアクドス・ギルを倒さねばならないのだが、
そのために必要な、世界を変える力である「夢を掴む力」の本質を、
バスコとの決着を通してマーベラス達は掴むことになるのではないかと思えてきます。

バスコの「夢を掴む力」は悪に染まった現実に基づいたものですから、現実を打ち破る力は無く、
実は偽物の「夢を掴む力」です。
そのバスコの偽物の「夢を掴む力」をマーベラス達の本物の「夢を掴む力」で打ち破った時、
マーベラス達は「夢を掴む力」の最も肝心の本質部分を知ることになり、
それがアクドス・ギルを倒す決め手となるのだろうと考えることも出来ます。
また、それが「宇宙最大のお宝」と何か関係があるのかもしれません。
その本質部分が具体的にどういうものであるのかは、今回のエピソードではまだちょっとよく分かりません。
だいたい方向性は見えているのですが、次回のエピソードでどうせ詳細に明らかになるのでしょうから、
その点はその時に考察すればいいでしょう。

しかし、もしこういう物語構造になっているのだとすると、
「ゴーカイジャー」という作品はなんとも重厚な作品といえます。
ザンギャックにしても、バスコにしても、私達現実世界に生きている者達にとっては、
むしろ身近に感じられる連中であり、
マーベラス達のような夢を掴んで世界を変えようとする者達は、
むしろ私達に敵対する存在のように感じられるからです。

主人公ヒーローの敵を悪意や憎しみの心の実体化した化け物のように描くのはよくある手法ですが
その敵があくまで現実として描かれているのがこの作品の際立った特徴だと思います。
それは主人公が「夢」の力で戦うヒーローだからなのでしょう。
「夢」が戦う相手は「現実」でなければならないのです。

この物語は私たちの暮らす現実社会を悪とみなして敵対するスタンスの物語なのかもしれません。
それだけ現実世界は悪に満ちており、夢や希望が欠乏した状態にあるということを示す作品なのです。
しかし、現実の問題はさておき、
将来の世界を夢の力で変えていく可能性を秘めた子供向けの特撮ヒーロー番組の主人公ならば、
それぐらいでちょうどいいのではないかという気もします。
本来、架空の物語とはそういうものなのかもしれません。

まぁそういう今回のエピソードですが、内容自体は非常に締まった展開で、
ドンデン返しの連続のスリリングな展開でもあり、
情緒も溢れていて、アクションも大充実で、大満足の内容でした。
というか、この作品は多段変身という特殊な演出が出来るために
アクションをどのようにでも面白く出来る反則みたいなドラマなので
その分、安心してドラマ部分では敵をつまらなく現実的に描いたりして、
こうした特殊な物語の方向づけが出来る、やはり特殊な作品なのです。

クライマックス篇がエピソードのクオリティが高いのは当たり前であり、
次回はもっとクオリティが高そうなので、いちいち神回などと言うべきではないのでしょうし、
話が完結していないので次回を見ないとなんともいえませんが、
神回クラスのクオリティだったと思います。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:10 | Comment(0) | 第47話「裏切りの果て」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月21日

第46話「ヒーロー合格」感想その6

遂に6人揃った上にニンジャマンまで加わった7人名乗りをしてジュジュに対峙したゴーカイジャーでしたが、
ジュジュは「人数が増えたとて同じこと・・・スゴーミン!」と2人スゴーミンを呼び出し、
スゴーミンは腕から砲弾を撃ってきます。
その砲弾をかいくぐって、鎧が「はあああ!!ギンギンにいくぜぇ!!」と前に飛び出し、
ゴーカイスピアを振り回してスゴーミン2人と大立ち回りを開始し、
「こいつら、俺に任せちゃってくださぁい!!」とマーベラス達に向けて叫ぶのでした。

これはまぁ、いつもの鎧だけ加わらない多段変身時のお約束展開です。
つまり、ここから多段変身タイムということで、
「では・・・私達はこれで!」と言ってアイムが取り出したのはニンジャホワイトのレンジャーキー。
それを見て「カクレンジャーか!」とニンジャマンが問うと、アイムは「はい!」と答え、
5人はレンジャーキーをくるっと回してモバイレーツに挿し込み「豪快チェンジ!!」と掛け声を揃え、
ニンジャマンと共に並んで駆け出します。

今回はカクレンジャー篇ですから、当然ここはカクレンジャーへの豪快チェンジです。
アイムはカクレンジャーという戦隊の本質を知った記念に、
今回はカクレンジャーに変身して戦うことにしたのでした。
カクレンジャー篇ですから、ここは「カクレンジャー」本編のOPテーマ曲のインストバージョンがかかります。
ちなみに前回のラストシーンの鶴姫登場のシーンでもこの曲はイントロだけ流れたので、
一応2回流れたことになります。

そして変身エフェクトですが、
「カクレンジャー」本編でのドロンチェンジャーを使った変身時の回転するフラッシュみたいなエフェクトではなく、
なんと本編OPテーマ冒頭の、満月をバックにダッシュしながら忍び装束を投げ捨てて変身する
エフェクトの再現というレアな趣向でした。
これはこれでカクレンジャーっぽくて良かったです。

マーベラスがニンジャレッドに変身、ジョーがニンジャブルーに変身、ルカがニンジャイエローに変身、
ハカセがニンジャブラックに変身、アイムがニンジャホワイトに変身し、
この6人とニンジャマンの合わせて7人がそのままダッシュでジュジュ率いるゴーミン軍団と乱戦に突入します。

まずニンジャマンは多数のゴーミン相手にニンジャソードを振り回して
「たああああっ!!」とパワフルな殺陣で撫で斬りしていき、
レジェンド戦士として完全復活した元気な姿を見せます。

そしてハカセは「はっ!!」と大きく跳び上がって、
両手から白い蜘蛛の糸みたいなネバネバした糸を発射して眼下のゴーミン達を固めて身動き出来なくして、
着地した後「おりゃあああ!!」とカクレマルで叩きまくるという、悪役みたいな忍術を披露。
ジライヤは本編でこんな忍術は使ってなかったような気がするのですが、
オリジナルな動きを好むハカセらしいといえば、らしい。

一方、ジョーはカクレマルを逆手に握って「うおおっ!」と華麗な剣術でゴーミン達を斬りまくり、
忍術ではなく剣術重視なところもサイゾウというより、あくまでジョーのイメージ優先という感じです。
また、ルカはアクロバチックにバック宙を舞いながらカクレマルでゴーミン達を斬り
「ど〜んなもんよ?」と、あくまでルカっぽく、こちらも忍術は見せずでした。

一方、アイムはカクレマルでゴーミン達をバッサバッサと斬った後、
迫りくるゴーミン達に向かって「隠流!折鶴の舞!!はっ!」と折鶴型の爆弾を飛ばして攻撃する
ニンジャホワイト鶴姫の得意忍術を披露しますが、
オリジナルに比べて折鶴の数がやたら多く、しかも折鶴の色がオリジナルのように白一色ではなく、
赤青黄緑桃のゴーカイジャーカラーの5色セットになっている特別版でした。
これでゴーミン達は大量に倒されます。

そしてマーベラスはゴーミン達をカクレマルで「はっ!」と斬り捨てて片付けたところに
突っ込んできたジュジュと一騎打ちとなり、
何太刀か合わせたところでジュジュの持つ槍に貫かれて「ぐあああっ!?」と絶叫します。
ここでその瞬間、一瞬画面がネガっぽくなるのが細かい。

ジュジュが仕留めたと思って見てみると、
仕留めたの思ったマーベラスは何故か藁人形に変わっており、パタンと倒れます。
「ん!?」と驚いたジュジュが「はっ!?」と周囲をキョロキョロ見回すと、
ちょっと離れた場所にニンジャレッド姿のマーベラスが背を向けて立ち、
「代わり身の術ってやつだ・・・!」とふてぶてしく説明します。
これはニンジャレッドのサスケの得意忍術で、
敵の攻撃を喰らったと見せかけて人形を身代わりにして敵を惑わせる忍術で、
まぁ敵を倒す術ではないですが、いかにも忍術らしい技です。

そうこうしているうちにゴーミン達は全部片付けられ、
スゴーミンに対してもゴールドモードにチェンジした鎧がゴーカイレジェンドリームを炸裂させて倒して、
「ニンニン!」と決めポーズととります。
「ニンニン」はカクレンジャーのメンバーの口癖ではないと思いますが、
OPテーマのフレーズに由来しているのでしょうか。

そして「宇宙水晶!いただくぜぇ!!」と言ってマーベラス達は
ゴーカイガレオンバスターを「ド派手に決めるぜぇっ!!」と構えます。
ガレオンバスターはよく考えたらダマラス退場回以来の登場なのでおよそ1ヶ月ぶりぐらいです。
このガレオンバスターでライジングストライクを発射、これがジュジュを貫き、
これによりジュジュの口から例の宇宙水晶の珠が飛び出して、粉々に砕け散ったのでした。
直後、ジュジュは大爆発を起こして、
粉々になった水晶の破片はキラキラ光りながら、あたりに舞い散るのでありました。
この結果、ジュジュの呪いは解除され、街で悪の心に支配されて暴れ回っていた人々は皆、
元に戻ったのでありました。

それにしても、ここの変身後の等身大アクションですが、
トドメの前にジュジュが追い詰められる過程が描写されていなかったり、
カクレンジャーからゴーカイジャーに戻る場面が描かれていなかったりして、
やや、端折り過ぎという印象がありました。
撮影はしていたが、他の場面との配分の関係で編集でカットしたように見えました。

カクレンジャーへ変身した後のカクレンジャー風の忍術アクションの描写も
該当レジェンド回だった割には少なかったようにも思えるのですが、
あるいはこの編集でカットされた部分に別の忍術シーンもあったのかもしれません。
ただ、せっかく撮った忍術シーンをカットはしないだろうし、
もし忍術シーンを撮っていてカットしたのだとしたら、あまり出来の良くないシーンであったのか、
あるいはそもそもここの等身大アクションシーン自体の今回のエピソード中での重要度が低いということになります。

そんな感じで、どうも今回のアクションシーンには消化不良感が残りました。
ただ、これは別に不満なのではありません。
例年、この時期のアクションシーンはこれぐらいのレベルのものが多いからです。
消化不良感が残るのは「ゴーカイジャー」という特殊な作品であることが原因なのです。
通常のシリーズ作品なら、この時期のエピソードのアクションシーンに
これぐらいのクオリティのものがあったとしても、まぁそういうものだと思って気にもしないのですが、
「ゴーカイジャー」の場合、レジェンド回のアクションは毎回、とても凝っているので、
カクレンジャー篇でも他のレジェンド回と同じレベルを要求したくなるのは人情です。
しかし、時期的にはそれはなかなか苦しいのでしょう。

時期的な問題というのは、つまりこのぐらいの時期の撮影というのは、
次の戦隊の序盤エピソードの撮影とスケジュールが同時進行になるという問題です。
この場合、特に問題なのがスーツアクターの皆さんで、
だいたい毎年スーツアクターは同じメンバーであることが多いので、
この終盤エピソード時期は、次の戦隊の序盤エピソードの時期と撮影スケジュールがバッティングするので、
スーツアクターさんのスケジュールが満足にとれずに
変身後アクションの撮影をとことん突き詰めることが難しくなり、結果的にクオリティは落ちます。

次の戦隊は赤が押川氏、青が竹内氏、黄が蜂須賀氏であろうと思われますが、
押川氏はこの「ゴーカイジャー」ではブルー、竹内氏はグリーン、蜂須賀氏はイエロー役であり、
しかもゴーカイレッド役の福沢氏は次の戦隊ではアクション監督にシリーズ初挑戦されます。
となると、ゴーカイジャー側のスーツアクターの大部分は
次戦隊ゴーバスターズの撮影の方にも行かねばならないのであり、
やはりもうすぐ終わる戦隊よりもこれから始まる戦隊の方が重視されますから、
もうすぐ終わる戦隊の終盤の変身後アクションシーンというのは、どうしてもクオリティは落ちます。

終盤というとストーリー的には非常に盛り上がってくるところなので、
本当はそれに比例してアクションも素晴らしくあるべきなのですが、
残念ながら、なかなか現実にはそうはいかないのです。
そういうわけで、せっかくのカクレンジャー篇ですから、期待は大きかったのだと思いますが、
この時期の変身後アクションシーンとしては、まぁこんなものなのではないかと思います。

この時期はこのように、どうしても現行戦隊の変身後アクションシーンは
全体的なクオリティは落ちてしまうのですが、
それでもストーリー的には終盤の大事な時期ですから、
あんまりにもアクションシーンの質が落ちては困ってしまいます。
だから肝心のところはちゃんと作ります。
その分、無駄なアクションシーンは省いて、
本当に大事な場面だけ集中して質の高い場面を撮ろうとするようになります。
つまり、変身後のアクションシーンは減る傾向にあり、
その分、素面アクションシーンが多くなることになります。

最終盤の方になると、素面役者が変身後スーツの中に入ってアクションをすることもあります。
これは毎年恒例の行事のようになっていますが、
スーツアクターの方々のこの時期の負担を減らすという目的も兼ねていると思われます。
まぁそういうわけで素面アクションの増えるこの時期、
今回も結構、組手や喧嘩など、素面アクションを見せるシーンが多くとってあったのは、
いよいよ今年もそういう時期になってきたなぁという印象です。
素面アクションに関しては「ゴーカイジャー」は非常に安定感がありますから、
これからのエピソード、大いに期待できると思います。

さて、話を本編に戻し、ジュジュが倒されたのをモニターしていたギガントホースの指令室では、
ダイランドーが大騒ぎして「オ〜!ノ〜ッ!!ちょいちょいちょいのちょいで・・・やられちゃったやんしょ?」と
インサーンに少し嫌味に指摘しますが、
インサーンは「・・・いいえ・・・まだ終わっていません!」と巨大化光線を発射、
ジュジュは復活巨大化します。

ザンギャック怪人の復活巨大化を初めて見たニンジャマンは「復活したのか!?」と驚きます。
マーベラスは「後は任せろ」と言い、ゴーカイガレオンを呼び寄せ、鎧は豪獣ドリルを召喚。
そしてゴーカイオーと豪獣神でジュジュに立ち向かいます。

「鎧!いくぞぉっ!!」とゴーカイオーのマーベラスが号令をかけて、
豪獣神の鎧も「ニンニン!」と両手でカクレンジャー風に印字を組んで応じて、
2対1でジュジュと戦います。
そしてジュジュとゴーカイオーが斬り合って戦っている隙に豪獣神がジュジュの背後に回り、
ドリルをジュジュの背中に思いっきり突き立てます。

ところがジュジュは「むん!」と突如、姿をかき消してしまい、
豪獣神の繰り出したドリルはジュジュの消えた空間を通り抜けて
そのままゴーカイオーに思いっきり炸裂してしまったのでした。
鎧は慌てて「ああ〜っ!?・・・ど、何処に!?」と周囲を見回しますが、
そこに突如として豪獣神の背後に出現したジュジュが奇声を発して豪獣神を槍で斬りつけ、
豪獣神はよろめいて後退します。

ジュジュの神出鬼没の奇妙な術によって、2対1の数的優勢は無きがごとしとなったゴーカイジャー側は、
ルカが「フン!これでも喰らいなさい!」とレンジャーキーを取出し、
ゴーカイオーをデカゴーカイオーにチェンジし、ゴーカイフルブラストでガトリング砲を撃ちまくります。
しかし、またもやジュジュは姿を消して、ガトリング砲の攻撃を避けてしまいました。
「また・・・!?」と鎧が戸惑っていると、
また死角からジュジュが奇声を発して飛び込んできてゴーカイオーと豪獣神をメッタ斬りし、
ゴーカイオーと豪獣神のコクピットは火花を散らし、マーベラス達は「うわあああ!?」と苦しみます。

どうにも正攻法の攻撃ではジュジュに対して相性が悪いと悟ったジョーは
「まともに戦うと厄介だ・・・!」と呻きます。
マーベラスも「ああ・・・」と同意しますが、
かといって何が神出鬼没のジュジュの攻撃に対して有効か、すぐに判断がつきません。

その時、マーベラスはゴーカイバックルのあたりに違和感を覚えて「ん?」と自分のバックルを見ます。
するとバックルがひっくり返ってニンジャレッドのレンジャーキーが出現したのでした。
ゴーカイオーのコクピットの他の4人のバックルからも同時にカクレンジャーのレンジャーキーが出現し、
5つのカクレンジャーのレンジャーキーは5色の光を発しながら浮かび上がります。

驚いたマーベラス達はそれらのレンジャーキーを掴み取ります。
アイムもニンジャホワイトのレンジャーキーを掴んで、
「カクレンジャーの・・・レンジャーキーが・・・!」と絶句します。
レンジャーキーが光り輝いて浮かび上がるということは、大いなる力を授かったということです。
つまり、遂に念願のカクレンジャーの大いなる力を手に入れたということになります。

そこに「お〜い!!ゴーカイジャー!!」と皆を呼ぶ声がするので振り向くと、
地上にはさっきの場所でニンジャマンが立って呼びかけており、
「カクレンジャーの大いなる力を使ってくれ〜!!」と叫んで手を振っています。
あれほど慎重であったニンジャマンが遂に認めてくれたと知り、
ハカセは「ニンジャマン・・・とうとう僕たちのことを認めてくれたんだね!」と嬉しそうに言います。

ニンジャマンはさっきのアイムやハカセとの一件の際に、
既にゴーカイジャーとカクレンジャーの共通性は認めていましたが、
さっき戦いの直前にアイムやハカセ達が言った啖呵を聞いて、
完全にゴーカイジャーのことをカクレンジャーの大いなる力を受け継ぐ者として認めたのでした。

結局、カクレンジャーという戦隊の精神性であり、戦う力の源となっているのは、
「悪に染まった世界においても善の心の持つ力を信じ、善の心の勝利を目指して戦う気持ち」といえるでしょう。
鶴姫がマーベラス一味がカクレンジャーの大いなる力を得ることは無理だろうと見越していた理由は、
宇宙海賊がたとえ地球を守るために戦ったとしても、
見知らぬ人間の善の心に興味を持ったりはしないだろうと思ったからでした。

人の善の心のために戦う精神性も持たない限り
カクレンジャーの大いなる力を引き出すことが出来るはずはないのです。
だからマーベラス一味がカクレンジャーの大いなる力をニンジャマンから受け取れるはずがないと
鶴姫は思っていたのです。

しかし、もともとマーベラス達が悪に支配された絶望の宇宙において、夢と希望の持つ力を信じて、
夢を掴むために戦い続けてきたということを、
鶴姫は何となくは把握しつつも、
それがカクレンジャーの精神に通じる可能性については考えが及んでいなかったのでした。

マーベラス達も同様に、何も無ければその両者の近さに気付くことはなかったのでしょう。
しかし、たまたまハカセと鎧がジュジュの術によって悪の心を増幅させられてしまい、
その危機をアイムがニンジャマンと共に乗り切る過程で、
マーベラス一味の絶望の中で希望の持つ力を信じる心と、
カクレンジャーの悪の世で善の心の持つ力を信じる心とが通じ合うものだと気付くことが出来たのでした。
そして、目の前にはハカセや鎧と同じく悪の心を増幅させられて苦しむ人々がまだ多くいるという状況で、
アイムはマーベラス一味の持つ力でカクレンジャーの目指す目的を達成せねばいけないと思い、
そして、それが可能であることを知ったのです。

このように、鶴姫は予想していなかったアクシデントによって、
マーベラス一味は自分達がカクレンジャーの戦う心を受け継いで戦うことが出来るということを知り、
自分達の持っている精神性がカクレンジャーという戦隊の戦うための精神性と同じであると認識したのです。
こうして、マーベラス一味はカクレンジャーの大いなる力を受け取る資格を得たのであり、
ニンジャマンはそれを認めたのでした。

そして、今回のカクレンジャー篇でこの作品の制作者が
「この時代」の子供たちに向けて示したかった生きる指針は、
カクレンジャーおよび、その力を受け継いだゴーカイジャーによって示されたヒーロー像、
すなわち、目指すべき生き方の像、
「悪や絶望が支配する世界においても、人間同士の善意や希望の持つ力を信じ合うことによって、
悪や絶望に打ち勝つ力を得ることが出来る」ということなのでありましょう。

こうしてカクレンジャーの大いなる力を遂に受け取ったマーベラスは
「よっしゃ、いくぜぇ!!」と気合を入れて、さっそくその大いなる力を引き出そうとして
「レンジャーキー!セット!!」と5人はゴーカイオーのコクピットに
カクレンジャーのレンジャーキーを挿して勢い込んで回します。
連動してゴーカイオーの背中のダイヤルが回転し、
ゴーカイオーのハッチが開いて何が飛び出してくるのか皆が待ち構えますが、なんと、何も起こりません。
ハッチすら開かないのです。

一瞬、変な間がり静寂が流れ、マーベラス達はゴーカイオーのコクピットで「・・・ん?」と固まります。
隣に立つ豪獣神のコクピットでも鎧が「え・・・ちょっと・・・?」と苦笑いし、
マーベラスは思わず「おいっ!?」とニンジャマンの方を向いて厳しくツッコミを入れ、怒鳴りつけます。
大いなる力を使ってくれと言うから、レンジャーキーを挿したのに何も起きないとは、
いったいこれはどうなっているんだと思ったのでした。

しかし怒鳴られたニンジャマンも「んん?」と戸惑います。
確かに自分の体内のカクレンジャーの大いなる力はマーベラス達に渡そうと決め、
既に自分の身体からは消えていました。
マーベラス達の持つカクレンジャーのレンジャーキーに大いなる力は移動しているはずなのです。

すると、いきなり奇妙なことが起きました。
ニンジャマンの身体の周りの空間が急にキラキラ輝き始め、
「え?・・・あ?・・・お?」と驚き慌てるニンジャマンは突然吸い寄せられるように
「ああ〜!?」とゴーカイオーの前に飛び出していき、
その瞬間、突然ゴーカイオーの前でニンジャマンは巨大化したのです。
「な・・・なんだぁ?」と仰天するニンジャマン。

いや、ニンジャマンってもともと伸縮自在のキャラで、自分の意思で巨大化出来るはずだったんですが、
さっきまではニンジャマンがカクレンジャーの戦う力をほとんど引き出せていない状態だったので、
巨大化も出来なくなっていたようです。
そしてさっきカクレンジャーの大いなる力をマーベラス一味に渡したことによって、
カクレンジャーのレンジャーキーをゴーカイオーのコクピットに挿すことによってしか
巨大化出来ない設定になったようです。

「・・・もしかしてカクレンジャーさんの大いなる力ってぇ!?」と鎧が興奮して問いかけると、
ニンジャマンは「・・・俺のことだったのかぁ!」と自分を指さして驚くのでした。
「知らなかったのかよ!?」とマーベラス達は呆れます。

つまり、ニンジャマンこそがゴーカイジャーに与えられた
カクレンジャーの大いなる力によって召喚される巨大戦力そのものなのであり、
今後はマーベラス達がカクレンジャーのレンジャーキーをゴーカイオーのコクピットに挿して回せば、
巨大化したニンジャマンが召喚されるようになったのです。
ただ、ニンジャマン自身は自分がそういう立場だということは今の今まで知らなかったようですが。

ともかく、カクレンジャーの大いなる力としてニンジャマンも巨大化して戦いに加わることになったのですが、
ジュジュは自分の術が破られるわけがないと自信満々で
「何が来ても同じだぁ!」と小馬鹿にして、襲い掛かってきます。
それを聞いてニンジャマンは「・・・そいつは聞き捨てならねぇなぁ!」とカッコよく言いながら
ニンジャソードを抜いてジュジュに躍り掛かり、「たあっ!!たああ〜!!」とジュジュをメッタ斬りします。
剣術勝負ではジュジュなどはニンジャマンの敵ではありません。

ところが更にニンジャマンが「たぁっ!」とニンジャソードを振り下ろすと、
ジュジュはまたさっきのように姿をかき消して、ニンジャソードは空を斬ります。
驚くニンジャマンの背後にジュジュが現れて奇声を発して斬りかかり、
振り向いたニンジャマンは「どああああっ!?」と斬られて倒れてしまいます。
ところが倒れたのは巨大な藁人形でした。

「ん!?・・・またしても藁人形・・・?」と逆に驚き慌てるジュジュ、
頭上に気配を感じて慌てて「うっ!?」と上を見ますが、
既にそこには「もらったぁ!!」と飛び込んでくるニンジャマンの姿があり、
ジュジュはニンジャマンが渾身の勢いで振り下ろしたニンジャソードの一撃を浴び、
「うあああ!!」と絶叫を上げて転がります。

ニンジャマンはさっきから何度もジュジュの姿を消す技を忍者の目で観察しており、
既にその術は見切っていました。
だから、わざと術にかかったフリをして逆に代わり身の術を掛け返してやったのでした。
術の掛け合い戦はニンジャマンの完勝となり、ジュジュは大きなダメージを受け、のたうち回ります。

「よぉし!今のうちだ!」とニンジャマンはゴーカイオーと豪獣神に声をかけます。
鎧が「はぁっ!!」と印字を組んで応じ、
マーベラス達も「よぉし!いくぜぇ!!」と叫び、
6人はゴーカイジャーのレンジャーキーをゴーカイオーと豪獣神のコクピットに挿し、
ここでカンゼンゴーカイオーにチェンジし、
ゴーカイカンゼンバーストでジュジュを貫き、
ジュジュは「うおおおおお!!ジュウジュウ〜!!」と断末魔の叫びを残して大爆発して果てたのでした。
鎧はどうしてだか大興奮、
ニンジャマンはニンジャソードを構えてカンゼンゴーカイオーの横に立ち、「決まった・・・!」とカッコつけます。

ゴーカイジャーがニンジャマンと共にジュジュに激勝したその戦いを、
コッソリ崖に立って眺める人影がありました。
サリーを引き連れたバスコでした。
バスコはニンジャマンの姿を見て、
「・・・カクレンジャーの大いなる力・・・やっと手に入れてくれたみたいねぇ!」と言います。
そして、「そんじゃ・・・ごっそり貰いに行きますかぁ・・・!」と言ってニヤリとほくそ笑むのでした。

今回、マーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を手に入れたことによって、
マーベラス達が手に入れた大いなる力は29個、一方、バスコが手に入れている大いなる力は5個、
この両者の持つ大いなる力を合わせて34個であり、所在不明の大いなる力はこれで無くなりました。
その状況を把握した上で、バスコはいよいよマーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているようです。

これまでバスコがマーベラス達を殺さず、レンジャーキーを奪おうともしていなかったのは、
バスコが自力では大いなる力を引き出すことが出来ないからではないかと思っていました。
だからバスコは自分の持つ5個をエサにしてマーベラス達を屈服させて
思い通りに動かそうとしているのかと思っていました。
しかし、ここでのバスコの態度を見ると、
バスコは単にマーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているようです。

もしそうだとすると、
バスコはマーベラス達の力を借りることなく、自力で大いなる力を引き出すことが出来るのかもしれない。
レジェンド戦士たちに認められなければ大いなる力を引き出すことは出来ないという指摘を受けそうだが、
よく考えたら、そもそもレジェンド戦士に認められなければ大いなる力を受け取ること自体が
本来は出来ないはずなのです。
その本来は出来ないことを可能にしているバスコならば、
レジェンド戦士に認められていない状態でも大いなる力を引き出すことは出来るのかもしれない。

ただ、もしそうだとしたら、どうして今までバスコは
マーベラス一味からレンジャーキーごと大いなる力を奪わなかったのかという疑問が生じるが、
それはどうしてもカクレンジャーの大いなる力の在り処だけが分からないから、
マーベラス達にそれを見つけさせるまではマーベラス達を泳がせて
自由に大いなる力を集めさせていたのだということになります。

バスコが何個か大いなる力を押さえている以上、
マーベラス達はどれだけ多くの大いなる力を集めても決して「宇宙最大のお宝」を先に手に入れることは出来ない。
バスコとしては最後に全部奪うつもりであったのだから、マーベラス達に好きに集めさせていたのでしょう。

この「バスコも大いなる力を引き出すことが出来る」というのが一番可能性が高そうな推論になりますが、
他にも考えられる想定としては、
まずそもそも「宇宙最大のお宝」を見つけるために大いなる力を引き出す必要は無かったという考え方も出来ます。
「宇宙最大のお宝を見つけるには大いなる力を全部引き出す必要がある」と言ったのは小津魁だけであり、
もしかしたらあれは嘘かもしれない。
本当は引き出す必要は無く、単に揃えるだけで「宇宙最大のお宝」が手に入るのかもしれない。
それならば、バスコがもし大いなる力を引き出せないとしても
マーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしていることの説明はつきます。
また、この場合も今まで奪おうとしなかった理由は
カクレンジャーの大いなる力の所在が分からなかったからという理由で説明はつきます。

またあるいは、単にバスコが「宇宙最大のお宝を見つけるには大いなる力を全部引き出す必要がある」という
事実を知らないという可能性もあります。
小津魁しかそのことは言っておらず、魁はバスコにはそのことは教えていない。
だからバスコは単に34の大いなる力を集めれば「宇宙最大のお宝」が手に入ると勘違いして
マーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているのかもしれない。
この想定の場合も今までバスコが奪おうとしなかった理由は
カクレンジャーの大いなる力の所在不明で説明はつきます。

また、そうではなく、バスコが34の大いなる力を引き出さねば
「宇宙最大のお宝」が手に入らないということを把握していて、
なおかつ自力では大いなる力を引き出せない場合でも、
バスコがマーベラス達から大いなる力を奪おうとしている行動を説明することは一応可能です。

それは、マーベラス達が一度大いなる力を引き出して使用したことのあるレンジャーキーは、
既に大いなる力が引き出された状態になっており、
それをバスコが手に入れれば、大いなる力を引き出したのと同じことになるという解釈を導入した場合です。
ただ、この場合、問題は、未だマーベラス達が大いなる力を引き出していない戦隊の
レンジャーキーが幾つか存在することです。
またバスコが手にしている5つの戦隊の大いなる力はどうするのかという問題もあります。
だから、この想定の場合は、このあたりを解決する何らかの奸計をバスコが企んでいることが前提となります。

あるいは、別の解釈として、マーベラス達がレンジャーキーで大いなる力を受け取った時点で、
実際に大いなる力を引き出して戦ったりしていなくても、
大いなる力を引き出したのと同様の状態とされるのだという解釈も出来ます。
この解釈の場合は解決しなければいけない問題はバスコ所有の5つの大いなる力の件だけとなります。
あるいは、「199ヒーロー大決戦」の時のような何らかの特殊条件下の状態を作り出して、
不正常な方法で大いなる力を引き出すことが可能なのかもしれません。

このように、バスコの行動には今だ謎が多いのですが、
次回にはそのあたりも整理されてくるでしょう。

さて今回のエピローグは、戦いが終わった後、ニンジャマンとマーベラス一味のお別れの場面です。
「じゃあ・・・世話になったな!」と言いだすニンジャマンに、
鎧が意外そうに「もう、出て行っちゃうんですか?」と問いかけます。
確かに大いなる力は貰ったが、せっかく一緒に戦ったんだから、
これからも一緒にガレオンに居てくれてもいいんじゃないかと思ったのでした。
マーベラス達ももうニンジャマンに対する悪感情は無く、
これからも一緒に戦う仲間という意識でありますから、
別にニンジャマンがガレオンに居ることに抵抗はありませんでした。

しかしニンジャマンは「もう、お前達を観察する必要は無いからな・・・」と答えて苦笑します。
もともとニンジャマンの方はガレオンに居続けたのはマーベラス達を観察するためであり、
それはそもそもそんなに必要なことではなかった。
そして今はもうニンジャマンはマーベラス達をカクレンジャーの力を受け継ぐヒーローとして認めたのです。
つまりヒーロー合格というわけで、
ニンジャマンは自分がもうガレオンに居る必要は無く、後はマーベラス達に任せて大丈夫という想いでした。

それにニンジャマンには行くべきところがあります。
「一度、お師匠様のところへ戻るよ!」とニンジャマンは言うのでした。
ヒーロー合格したのはマーベラス達だけではない。
師匠の三神将によってヒーロー失格の烙印を押されていたニンジャマンもまた、
カクレンジャーの精神を想い出したことによって、ヒーローに再び合格したはずなのです。
カクレンジャーの力を取り戻したことがその証拠といえます。

だから、まずは師匠の三神将に自分の今回の件で学んだことを報告して、
成長した自分を見せて安心させてあげなければならない。
三神将がレジェンド大戦ぐらいで死ぬということは有り得ないのであり、
おそらくカクレンジャーの戦う力が失われた関係で三神将は地上で活動出来なくなっているだけのことで、
天空の何処かに存在していると思われました。
そしてカクレンジャーの力を取り戻した自分ならば師匠の居場所を見つけ出すことが出来るだろう
とニンジャマンは確信していました。

アイムは「寂しくなります・・・」と別れを惜しみます。
ニンジャマンは口笛を吹いて筋斗雲を呼び、それに乗ります。
なんだか奇想天外のようですが、筋斗雲も「カクレンジャー」本編で多用された1つの忍術なのです。
そもそも、妖怪退治の旅をする戦隊「カクレンジャー」というのはもともと西遊記がモチーフとなっています。
その筋斗雲に乗ったニンジャマンは「用があれば、いつでも呼んでくれ!」と明るくマーベラス達に言います。
ガレオンからは去るが、いつでもカクレンジャーのレンジャーキーで
「大いなる力」として召喚されれば、すぐに巨大化して飛んでくるのですから、またすぐに会えるのです。
永遠の別れというわけではない。
ニンジャマンは「じゃあな!」と軽く挨拶して筋斗雲で飛び立ち、あっという間に空の彼方に消えていきました。

そうしてニンジャマンと別れた後、しばし沈黙の後、
ハカセが「・・・ようやく最後の大いなる力、ゲットしたね!」と言い、皆も頷きます。
これで所在不明の大いなる力は無くなった。
ジョーは「あとはあいつに奪われた5つを・・・どう手に入れるかだ・・・!」と厳しい表情で言います。
「あいつ」とはもちろんバスコのことです。

マーベラス一味としても「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
現在の29個だけではもちろん足りない。
バスコが持っている5個も手に入れなければならない。
しかし、それはきっと容易ではない。
「正直・・・一番手強い相手かもね・・・!」とルカが呟き、皆も深刻な表情になります。

マーベラス達はまだバスコに戦って勝ったことはない。
バスコの圧倒的な強さは分かっています。
ダマラスを陥れた狡猾さも要注意です。
また、こうして所在不明の大いなる力が無くなった以上、
バスコもきっと自分達の持つ大いなる力を狙ってくるであろうことも、マーベラス達は分かっていました。

おそらくバスコが「どうしても見つけてほしい」と言っていた大いなる力は今回の、
カクレンジャーが何処にいるのか分からず大いなる力をバスコが奪うことが不可能だった、
カクレンジャーの大いなる力のことであるに違いない。
それを見つけたら、その後、ゆっくり決着をつけようとバスコは言っていました。
ならば、カクレンジャーの大いなる力をマーベラス達が手に入れた以上、
いつバスコが襲ってきてもおかしくない状態となったといえます。

しかし、マーベラスにとってはそれは望むところでした。
「ああ・・・だが、勝つのは俺たちだ・・・」とマーベラスは呟きます。
必ずバスコに勝って、残りの5つの大いなる力も手に入れてみせる。
そして赤き海賊団を裏切ったバスコにオトシマエもつけさせ、恨みも晴らす。
そう心に誓ってマーベラスは「・・・待ってろよ・・・バスコ!!」と闘志を燃やします。

残りあと5話、いよいよ次回からクライマックス篇が始まるようで、
まずはバスコとの大いなる力争奪戦の最終ラウンド、
そして「宇宙最大のお宝」の謎解き篇、バスコとの宿命の対決の決着が期待されます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 03:50 | Comment(3) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月20日

第46話「ヒーロー合格」感想その5

さて、マーベラスとジョーとルカの3人が洞窟での儀式に殴り込みをかけてジュジュと戦い始めた頃、
郊外の街の空き地ではアイムとニンジャマンが
悪人化したハカセと鎧が変身までして喧嘩しているのを止めようと四苦八苦していました。

鎧は「おらああ!!離さんかぁい!!コラァ!!」と吼えながらニンジャマンを振りほどき、
邪魔をするニンジャマンに向かってゴーカイスピアで襲い掛かります。
また、ハカセは前から押しとどめようとするアイムの背中に向かって
「うらああ!!」とゴーカイサーベルの柄で散々殴りつけ、
「やめてくださぁい!」と懸命に叫ぶアイムを「この・・・ブスが!!」と悪態をつきながら前蹴りで吹っ飛ばします。
もうホント、2人ともガチで最低です。

結局、アイムに続いてニンジャマンも鎧に吹っ飛ばされてしまい、
アイムは「ニンジャマンさん!」と心配してニンジャマンを抱き起します。
やはりニンジャマンはどうにも精彩を欠いているようです。
そして邪魔者を排除したハカセと鎧はタイマン勝負を再開し、
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを振りかざして激しく戦います。

このままでは些細な喧嘩が原因で2人とも大怪我か、あるいは死んでしまうかもしれない。
いくら止めても言うことを聞かず喧嘩を止めないハカセと鎧を見て、
こうなったらもう説得は無駄だと思ったニンジャマンは堪忍袋の緒が切れて、
立ち上がると「この野郎!・・・こうなったら!」と怒って、背中のニンジャソードを抜きました。
こうなったら戦って止めるしかないと思ったのでした。

しかしニンジャマンもどうも精彩を欠いており、
今の状態でハカセ達と闘えば無事では済まないかもしれない。
また、もしニンジャマンが勝ったとしても、必死で戦う羽目になるだろうから、
ハカセ達が無事で済まない可能性もありました。
しかし、もうそこまでしなければ喧嘩を止めることは出来ないとニンジャマンは思ったのでした。

しかし、ニンジャソードを振りかざしてハカセ達に向かおうとするニンジャマンを
「待ってください!」とアイムが必死に止めました。
そして「今のハカセさん達は、いつものハカセさん達ではありません!」とアイムは言います。

アイムもハカセ達の言っていることがどれも決して嘘ではないので、
ハカセ達が正気であることは分かっています。
ただ、悪い心を抑えることが出来なくなっているという意味では決して正常な状態ではない。
そんな異常な状態でニンジャマンと戦って、もし大怪我をしたり、
逆にニンジャマンに大怪我を負わせてしまったりしたら、
きっと後でハカセ達は辛い想いをすることになります。
だからなんとか戦わずにハカセと鎧を止めなければならないとアイムは思っていました。

「・・・だとしても、このままでは・・・!」とニンジャマンは激しく戦い合うハカセと鎧を見ながら困り果てます。
確かに異常な状態であるハカセ達と戦うことはニンジャマンも気乗りはしませんでしたが、
説得はもう十分やったが2人は一向に聞き入れない。
かといって、このまま手をこまねいていても2人は戦い続けて、結局2人とも無事では済まなくなる。
ならば戦って止めるのと同じことではないかとニンジャマンは思いました。

だがアイムは「大丈夫です!・・・私に任せてください・・・」と何やら自信ありげにハカセ達の方に向けて歩み出し、
ニンジャマンは「何をする気だ!?」と驚いて問いかけます。
が、アイムはそのまま戦っているハカセと鎧の真ん中に駆け込むと、
「二人とも・・・止めなさいっ!!」と大声で一喝したのでした。

一瞬驚いてハカセと鎧の動きは止まりましたが、その後、アイムは別に何もしません。
ただ単に大声で叱っただけです。
何かされるのかと一瞬身構えた鎧は、アイムが単に怒鳴っただけだと分かると、
チンピラのように絡んできて「・・・何や?その上から目線・・・お!?元王女か何か知らへんけどな・・・
カマトトぶってんちゃうぞコラァ!!」と逆に酷いことを言って怒鳴りつけます。

ハカセも「目障りなんだよ!!消えろぉ!!」と怒鳴っていきなりアイムに斬りつけ、
ハカセと鎧は一時休戦して、2人がかりでアイムに攻撃を仕掛けてきたのでした。
慌てて防御しようとするアイムでしたが、2人がかりの攻撃に押し込まれて坂を転がり落ちてしまいます。
それを追い掛けてきたハカセと鎧は、坂の下に落ちたアイム相手に、
もうすっかりヒャッハー状態で追い打ちをかけて、斬ったり叩いたりしてボロボロにしてしまいました。

結局、アイムの策というのは単に大声で叱るだけであり、ほぼ無策と言っていいものでした。
アイムもおそらくそんなことぐらいでは効果は無いだろうとは思っていたのですが、
とにかくさっきはニンジャマンが喧嘩に加わるのを止めるために自分が説得するしかないと思って
ハカセと鎧の間に割って入ったのでした。
しかし案の定、全く効果は無く、逆にアイムが2人の悪意を向けられる羽目になってしまいました。

そうしてアイムがボロボロにされるのを見て、ニンジャマンは坂の上で「やめろぉ!!」と叫んで
ニンジャソードを振りかざしてアイムに加勢しようとします。
アイムにまで酷い罵倒を投げかけて本気で攻撃してくるとは、
やはりもうハカセや鎧には説得は無駄だとニンジャマンは思いました。

だが坂の下で立ち上がったアイムは「・・・待ってください!」と大声で坂の上のニンジャマンを制止し、
変身を解除すると「手出し無用です!!」とキッパリ言い、ハカセと鎧の方に歩き出しました。
アイムはボロボロにやられているうちに、ハカセ達の悪い心を制する、ある方法を思いついたのですが、
それは非常に危険な方法でした。
しかしアイムには成功する確信がありました。

そのアイムの言葉に込められた確信の響きが、坂の上のニンジャマンの動きを押しとどめたのでした。
ニンジャマンはアイムが変身を解いて生身で敵意剥き出しのハカセ達に向かって行くのを、
あまりに無謀だと思いましたが、アイムのあまりに確信に満ちた態度につい気圧されて、
アイムの様子を固唾を呑んで見守るのでした。

そしてアイムはハカセに向かっていきながら「ハカセさんは・・・誰よりも優しい方です!」と大声で言いながら、
斬りかかってくるハカセの刃をよけ、そこに突き出してきた鎧のゴーカイスピアを受け止めつつ、
「鎧さんは、誰よりも人の幸せを考える方です!」と必死に鎧に向けて言います。
そして鎧に振りほどかれてよろめいたところに叩きつけられたゴーカイスピアの柄を受け止めたアイムは、
その柄でハカセの振り下ろして来たゴーカイサーベルの刃を受け止めて、
その柄を握って、なんとか2人の攻撃を食い止め、「きっと何か・・・理由があるはず!」と言葉に力を込め、
「・・・私は信じています・・・お二人が自分の心を取り戻すことを!」と必死に訴えかけるのでした。

アイムは、さんざん罵倒され、本気で斬られたり叩きのめされたりしてボロボロにされて、
それがハカセや鎧の本心であることが分かっていても、
それでもなお、ハカセと鎧が自分の悪い心を自力で抑え込むことが出来ると信じているのです。
その根拠は、ハカセは誰よりも優しく、鎧は誰よりも人の幸せを考える善良な心も悪い心と共に持っており、
普段はその善良な心が悪い心を抑え込んでいるからこそ、
ハカセや鎧は善人として振る舞うことが出来ているからでした。
だからハカセも鎧もきっと今も善良な心が悪い心を抑え込めるはずだとアイムは言うのです。

しかしニンジャマンはアイムの言葉を聞いて、それは無理だと思いました。
普段は確かに善良な心が悪い心に勝っているのかもしれないが、
今は2人は普通の状態でないというのは、さっきアイムも認めていたことです。
善良な心が悪い心を抑え込むことが出来る状態にあるのなら、
とっくにハカセ達は悪い心を抑え込めているはずです。
普段通りにそれが出来ない状態だからこんなことになっているのだ。
今のハカセや鎧は善良な心で悪い心を抑えることが出来ず、悪い心に支配された状態なのだから、
安易に信じては危険だとニンジャマンは思いました。

しかしアイムは、さっき自分が言っていたようにハカセと鎧が今は普通の状態でないことも分かっています。
そしてまた、ハカセと鎧が正気であることも分かっています。
別にハカセと鎧は錯乱して前後不覚になっているわけではないのです。
ちゃんと意識もあるし理解力も判断力もある。
ただ単に悪い心が肥大して善良な心が負けている状態なのです。
ならば自分の言葉はしっかりハカセや鎧の善良な心にも届いているはずだとアイムは気付いたのです。

そしてハカセや鎧の善良な心は、自分の悪い心に勝てない現状を誰よりも正確に把握しているはずです。
言い換えれば、今の自分が他人から見てとても信じられるような状態でないことは誰よりも把握しており、
情けなく思っているはずです。
その圧倒的不利な状況にある善良な心に対して、さっきのように叱責の言葉を投げつけたりしたら、
ますます萎縮してしまうだけだったとアイムは気付いたのでした。
とても勝てそうにない戦いに立ち向かっている善良な心に
「どうしてそんなに弱いのか?しっかりしろ!」などと言っても逆効果です。

それよりも、とても勝てそうにない戦いだという現状を分かった上で、
それでも勝利を信じていると言って励ましてやれば、善良な心も奮起するはずです。
もちろん、無根拠に形だけの信頼を向けても意味は無いのであって、
勝てるだけの実力は本来はあると見込んでの上の本気の信頼でなければ意味は無く、
アイムはハカセと鎧の人並み外れて強靭な善良な心であれば、
奮起すればこの不利な状況でもきっと悪い心に勝つことが出来ると、本気で信じているのです。
ただ奮起しなければ勝てない特殊状況にあるのも事実で、
だからこそ不利を承知で逆転勝利を信じてやることで奮起を促そうとしているのです。

そういうわけで、アイムはさんざん酷い目にあって、
とてもハカセと鎧が善良な心を取り戻すとは信じられるような状況にないことが分かっていながら、
あえてハカセや鎧が善良な心を取り戻すことが出来ると信じてみせることで、
ハカセと鎧の善良な心に奮起を促したのでした。

このアイムの作戦は一定の効果を上げて、ハカセと鎧はアイムの言葉を聞いて少し苦しそうにします。
善良な心がアイムの励ましを受けて少し勢いづいて、
表層意識を支配している悪い心に攻撃を加えて、それで表層意識が苦痛を感じているのです。
ただ、それだけで肥大化した悪い心を打ち破って表層意識から追い出すことが出来るというほどではない。
そんなに簡単ではないことはアイムも分かっています。
逆転のためには、悪い心の虚を突く一撃をまずお見舞いする必要がありました。
アイムがわざわざ変身を解除して説得にあたっているのはその一撃を浴びせるためだったのです。

一方、善良な心の攻撃を少し受けて苦しそうにしたハカセと鎧の表層意識を支配する悪い心は、
気を取り直してアイムを殴り飛ばし、蹴り倒して、
起き上がってきたアイムの頭目がけて「今がチャ〜ンス!!」と叫んで
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを突き出しました。

ニンジャマンは思わず「・・・あっ!」と、両手で目を覆います。
やはり今の状態のハカセと鎧を安易に信じても無駄だった。
おかげでアイムの頭は串刺しになってしまった。
そう思ってニンジャマンが恐る恐る手をどけて、アイムの方を見ると、
意外にもアイムの顔の両側で、ハカセの突き出したゴーカイサーベルと、鎧の突き出したゴーカイスピアは
寸止めされていたのでした。

これは、午前中の公園での組手練習の時と同じように、
無抵抗の仲間に向かってのトドメの攻撃を寸止めしてしまう、いつものハカセと鎧のクセによるものでした。
相手が怪人や変身体の戦士であれば、このクセが出ることはなかったはずです。
アイムが変身を解除して、さっきの組手練習の時と同じ生身の状態であったから、
死に体になったアイムへの攻撃をハカセと鎧はつい無意識に止めてしまったのです。

このクセはハカセと鎧が普段から礼節のある態度で暮らしているゆえに刷り込まれたクセであり、
悪い心とは無縁のクセでした。
そのクセが無意識にこの場面で出たということは、
この瞬間、ハカセと鎧の表層意識を支配している悪い心に一瞬、虚をついた一撃が浴びせられたに等しい。
アイムは生身でハカセと鎧の攻撃に身を晒すことによって、この一瞬を誘導し、
そしてこの一瞬を狙っていたのです。
間髪入れず、アイムは「・・・手加減なさらずとも・・・いいんですよ・・・!」とハカセと鎧に向けて言いました。
するとハカセと鎧が「あぁ・・・」「うぅ・・・」と呻き、何か意識に変化が生じた様子になります。

表層意識の悪い心を一瞬マヒさせた一撃は、所詮は普段の礼節の習慣によって生じたクセに過ぎません。
そもそも今は組手練習をしているわけではないのだから、クセが出たのは錯覚にすぎない。
だからこのまま放置しておいたらすぐに表層意識が悪い心の理性と判断力を取り戻して、
攻撃を再開させてしまう。
だから、悪い心がクセによる一撃で麻痺している間に、
アイムは急いでクセの発動が錯覚だったということをハカセと鎧の理性に伝えてあげたのでした。

その理性とは、意識の表層で虚を突かれて未だマヒしている悪い心の方ではなく、
そのすぐ下で蠢いている善良な心の方の理性になります。
これを受けて、表層の悪い心がマヒしている隙を突いて、善良な心が表層に顔を出してきたのです。
最初はクセをもたらした礼節の無意識の方がハカセと鎧の口を借りて
「・・・何言ってんだよぉ・・・」「・・・出来るわけ・・・ないじゃないですか・・・」と何やらブツブツ言っていましたが、
これはもともと単なる礼節の生活習慣のようなものですから、
心の中にある本気の善良な心や本気の悪い心に勝てるようなものではなく、あっという間にこれは引っ込みます。

そしてハカセと鎧は変身解除し、
ハカセは「やだ・・・僕は・・・仲間を傷つけたくなんかない・・・!」とうわ言のように言い、
鎧も「俺の腕は・・・こんなことをするためにあるんじゃない・・・!」と苦しそうに呟きます。
これはまさに「誰よりも優しい」というハカセの善良な心と、
「誰よりも人の幸せを考える」という鎧の善良な心そのものです。
ハカセと鎧の善良な心が、クセで表層に現れた無意識と入れ替わりに表層意識に遂に姿を現したのです。
この表層意識に現れた善良な心によって変身は解除されたのでした。

ただ、そうは言っても、まだハカセと鎧はアイムに向けて武器を突き出したままでもあります。
つまり、まだ表層意識には悪い心も健在であり、
善良な心が表層意識に姿を現した直後、悪い心もマヒから醒めて、
表層意識上で、善良な心と悪い心が戦い合う状態となっているのです。

さっきまで表層意識の下に押し込められていた時とは違い、
表層意識に出てきた善良な心は、悪い心と対等な立場で戦うことが出来ます。
ただ、もともとは善良な心が表層にあったはずがジュジュの術によって悪い心が圧倒的に強い状態になって
表層意識を悪い心に乗っ取られたわけですから、
ジュジュの術の支配下にある現在も、結局は表層意識上での戦いでも善良な心が悪い心に勝てるはずはない。

ところが、どういうわけかハカセと鎧はアイムの頭に突き付けていた双方の武器を
「うう!」「くうっ!」と呻きながら、じりじりと引いていったのです。
つまり、徐々に善良な心の方が優勢になっているのです。
これは、悪の力に全く勝ち目の無い状況で、それでもハカセと鎧の善良な心の力を信じてくれた
アイムの信頼に応えて、ハカセと鎧の善良な心が奮起したからに違いありません。

このままハカセと鎧の善良な心が悪い心を抑え込むのかとも見えたその時、
突然、ハカセと鎧の体内の赤い水晶の欠片がひときわ大きな波動を発して、
悪い心を最大限に増幅させて逆転を図りました。
これによって鎧は「うあああ!!」と叫び、ゴーカイスピアを振り上げ、
ハカセも「くああ!!」と呻いてゴーカイサーベルを振り上げ、
2人は悪い心に操られて再びアイムに向けて武器を振り下ろします。

が、それをまたハカセと鎧は「くううっ!」と堪えて、アイムの身体の上で寸止めします。
今度はクセではなく、善良な心で悪い心を食い止めたのです。
そのまま苦しみながら、またじりじりと武器を引いていくハカセと鎧の体内で、
赤い欠片はフルパワーで悪の波動を発し続けてハカセと鎧を支配しようとしますが、
ハカセと鎧の善良な心も更に力を増して、
激しい善と悪の心のせめぎ合いによってハカセと鎧の身体は苦痛に苛まれ、身体から火花が散り、
その激しい戦いを表すような赤い光でハカセと鎧の身体が包まれたかと思った次の瞬間、
遂に「わあああ!!」という2人の絶叫と共に、
2人の身体の中にあった赤い水晶の欠片はオーバーロードを起こしたかのように砕け散りながら
体外に排出されたのでした。

それを見てニンジャマンが「ああ!?」と驚き、
ハカセと鎧は苦痛から解放され、力尽きたように、
2人の真ん中に座り込んだままであったアイムの膝目がけて倒れ込みました。
アイムの膝で膝枕のようにして頭を乗せて倒れているハカセと鎧の邪気の抜けた安らかな顔を見て、
アイムはさっきの赤い欠片がハカセと鎧を異常な状態にしていた元凶だったのだと悟り、
ハカセと鎧の善良な心がそれに打ち勝って排除して、心を元の健全な状態に戻したのだと安堵し、
その健闘を称えるように「お帰りなさい・・・ハカセさん・・・鎧さん・・・」と優しく囁きながら、
2人の頭を撫でます。

しかし、ハカセと鎧はアイムに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
自分達はさんざんアイムに悪態をついて、酷い乱暴を働いた。
しかし、何者かに操られて心にも無い言葉を口走っていたわけではない。
全て、自分の心の中にもともと有った言葉でした。
自分の中にアイムに対する悪意は確かに存在するのです。
また、アイムに乱暴をしている時、それを爽快に感じる心も確かに自分の中には存在し、
それは実は普段から自分の中に存在している感情でもあったのです。

今回は何時の間にかおそらくあの怪人に変な術にかけられて、
そうした自分の中の醜い感情が表に出てしまったが、
それによってハカセと鎧は自分の中の醜い感情の存在を強く意識させられてしまいました。
さっき身体から排出されたのは、その醜い悪意を増幅していた物体に過ぎず、
醜い悪意そのものは実はまだハカセと鎧の心の中にある。
その存在はハカセと鎧は強く意識してしまったし、アイムにもそうした醜い悪意の存在は知られてしまった。
アイムだけではない。マーベラス達にも自分の悪意を知られてしまったと、ハカセと鎧は落ち込みました。

そうして自分の中の悪い心の存在を意識してしまうと、
いつまた、悪い心に支配されてしまうか分かったものではないと、自分を信じられない気持ちにもなります。
自分自身でもそんな調子なのですから、
アイムやマーベラス達ももう自分のことを信用してくれなくなるかもしれないと、ハカセと鎧は落ち込みました。

それで、アイムに優しくされても、鎧は「アイムさん・・・」と強張った表情で呟き、
ハカセは「ごめんね・・・酷いことして・・・」と辛そうに謝るしか出来ませんでした。
しかしアイムはゆっくり首を振って
「私・・・お二人を信じていました・・・」と慈愛に満ちた表情で当然のように言います。
それを聞いて、ハカセと鎧は、このようにアイムがどんなに自分達の悪意を知っても、
それでも自分達の善の心が勝つことを信じてくれたからこそ、
自分達の善の心は悪の心に勝つことが出来たのだと改めて気づいたのでした。

確かにアイムはハカセ達の寸止めのクセを利用するという機転をきかせましたが、
それはあくまで勝利のきっかけに過ぎず、
ハカセ達が悪の心に打ち勝つことが出来た原動力は、あくまでハカセ達の善の心の力でした。
そして、そのハカセ達の善の心に大きな力を与えてくれたのは、
アイムがハカセ達の悪の心を知ってもなおハカセ達を信じたからでした。
しかし、アイムがハカセ達の悪の心の強さを知りながら、
それでもハカセ達の善の心の勝利の可能性を本気で信じて応援出来たのは、
ハカセ達の善の心がもともと人並み外れて強いのだとアイムが信じてくれていたからであり、
そうアイムに本気で信じさせるだけの善の心を実際にハカセ達が持っていたからでした。

そう考えると、ハカセと鎧は、自分達を救ってくれたアイムの信頼を裏切らないためにも、
自分達自身が自分達の善の心を信じなければいけないのだと思いました。
自分の心の中の悪の心を消すことは出来ないけれど、それで悲観などする必要は無い。
アイムの信じてくれた自分達の善の心は決して悪の心に負けたりしない。
そうした強い気持ちを持って生きていこう。
そう思うと、ハカセと鎧は自信を回復して、落ち着いた気持ちになれたのでした。

一方、ニンジャマンはニンジャソードを鞘に戻して坂の上からアイム達3人を見下ろして呆然と立っていました。
ニンジャマンはハカセと鎧が自らの悪の心が暴走している異常状態を解消までするほどの
力を発揮したことに驚いていました。
それはつまり、ハカセ達の善の心が増幅された悪の心に打ち勝ったということでしたが、
当初、善の心は完全に悪の心に屈していたはずです。
だからニンジャマンは今回のケースで善の心が悪の心に勝てるはずがないと思っていたのです。

ところがいきなりハカセ達の善の心がパワーアップして悪の心を圧倒してしまった。
いったいさっきまでと何が違うのかと考えたニンジャマンは、
アイムがハカセ達の善の心の強さを信じると呼びかけたことがポイントになったのだと考えざるを得ませんでした。
相手が悪に支配された状態だと分かった上で仲間を信じるアイムの心が、
ハカセ達の善の心の大きなパワーを引き出したとしか考えられない。

「・・・仲間を信じる・・・」とニンジャマンは呟きました。
どうして悪に染まった仲間を信じる気持ちがそれほどの力を引き出すことが出来たのだろうかと
ニンジャマンは考えました。
そして、アイムが一見悪一色に染まってしまったかのようなハカセ達の心の中に潜む
善の心の強さを信じ、その信頼がハカセ達の善の心を奮起させたのが
善悪逆転に繋がったのだと理解しました。
その瞬間、ニンジャマンはハッと大事なことに気付いたのでした。

「そうか!」とニンジャマンは思わず声を上げて頷きます。
このアイムの仲間を信じる心こそが、
他ならぬカクレンジャーの精神に通じていたのだということに気付いたのです。

ニンジャマン自身も含むカクレンジャーは、妖怪大魔王との最後の戦いで、
人間の悪の心が妖怪を生み出していたのだということを知り、
人間の悪の心は滅ぼすことは出来ず、それゆえ妖怪も根本的に滅ぼすことは出来ない以上、
封印、つまり善の心で表面に現れないように抑え込むしかないのだと悟ったのです。
そうしてカクレンジャーは強大な悪の心の化身である妖怪大魔王を自らの善の心「愛と勇気と希望」の力で抑え込み、
封印することに成功したのでした。

どうしてあの時、カクレンジャーの善の心は
本来は到底敵うはずがない強大な悪の心である大魔王に打ち勝つことが出来たのか?
それは仲間で力を合わせることでより大きな善の心のパワーを引き出せたからでした。
つまり、互いの「愛と勇気と希望」を尊ぶ善の心の強さを信じ合う絆が、
それぞれの持つ善の心を奮起させて、大魔王の悪の心を圧倒するほどのパワーを発揮することが出来たのです。

要するに、今、アイムが示したマーベラス一味の仲間を信じ合う絆は、
カクレンジャーが最後に辿り着いた精神と同じものだったのです。
ならば、ハカセや鎧の勢いを増した悪の心を抑え込むことが出来たのも道理でした。
そして抑え込まれまいとして無理をした悪の増幅因子はハカセと鎧の体内で自滅したのです。

しかし、こんな解決法はカクレンジャーの一員たる自分は真っ先に気付かなければいけないことだったのだと思い、
ニンジャマンは愕然としました。
カクレンジャーは大魔王を封印した戦いの結果、人間の善の心が大きなパワーを秘めたものだと実感し、
その大いなる可能性を知ったはずです。

大魔王を封印はしたものの、人間の悪の心が滅ぼせない以上、
再び人間の悪の心が増大すれば妖怪が世に出てきて暴れ出すことになります。
結局、人間の心の中の善の心と悪の心の戦いがどちらが勝つのかによって
世の中が乱れるのかどうかが決まるのであり、
カクレンジャーがいくら妖怪を倒しても、人間の心が悪に支配されれば元の木阿弥というわけです。

ならばカクレンジャーの戦いには意味は無いということになる。
カクレンジャーは妖怪は倒すことが出来ても、その源である人間の悪の心を直接斬ることは出来ないからです。
無意味な対症療法を延々と続けて、表面に現れた妖怪を斬っていっても、
人間の悪の心が増大すれば、その斬ったはずの妖怪がまた現れる。
そんな戦いは徒労でしかないように思えます。

そして人間というものは悪の心に支配されやすい生き物です。
だからカクレンジャーは悪に支配された人間世界で延々と無意味な戦いを続けていくことになります。
大魔王は封印したものの、そうした苦難の未来を予想するしかないカクレンジャーだったのです。
そのような未来を変えるためには、人々の心の中の戦いで善の心が悪の心に勝つようにしていくしかない。
しかし現実には悪の心の方が勝つことが多い。
世の現実は悪の方が強く、善の方が弱い。世界は悪が支配しているのです。
そんな世界で、人々の善の心が悪の心に勝つことは不可能というものです。

だが、カクレンジャーは大魔王との戦いの経験の中で、
悪の心よりも弱い善の心でも、その強さを信じ合うことで
悪の心を凌駕する大きなパワーを発揮することが可能だということを知りました。
信じることでパワーが増幅するというのは、善の心のみに可能なことであって、
悪の心には為し得ないことでした。
ならば、それだけが善の心が悪の心に逆転して打ち勝つ決め手となるのだとカクレンジャーは悟ったのでした。
そのことを悟ることが出来たという意味で、カクレンジャーの戦いは決して無意味ではなかったのです。

そして、カクレンジャーは人々の善の心が悪の心に打ち勝つようにするために、
善の心を支援することを自分達の戦いの目的としたのです。
その基本は人々の善の心の強さを信じることでした。

これは人々の心を善なるもの、常に善が勝利したものと見なして盲信するという
一種の人間礼賛の態度とは全く違います。
善の心が勝った者を信じるなど当たり前のことであって、
そんなものはあえてカクレンジャーのようなヒーローが戦いとして挑むようなことではない。
カクレンジャーは、あえて悪に支配された人間の善の心の強さを信じることにしたのです。

悪の心を滅ぼすことが出来ないのと同様に、善の心も滅ぼすことは出来ない。
悪に支配された世界にも希望は残るのと同様、悪に支配された人間の心の中にも善の心は潜んでいるのです。
その人々の心に抑え込まれている善の心の強さを信じてやることで善の心の力を高めて、
己の悪の心に打ち勝たせることがカクレンジャーの目指すこととなったのです。

これは悪に染まった人間を単に根は善人だと信じるのとは全く違う。
悪に染まった者はあくまで悪人であり、用心はしないといけない。
ただ、どんな悪人でも心の中に自分の悪い心を打ち勝つ善の心を眠らせているはずなのであり、
自分の悪の心を抑え込むことが出来るのは、結局は他人には不可能なのであって、
己の善の心しか出来ないことなのです。

だから結局は自分次第ということになるのですが、
世の悪の心を全て封印することを使命とするカクレンジャーとしては、
その各自の心の中の善の心と悪の心の戦いに介入して善の心の戦いを有利にすべく手を貸すしかない。
それしか退魔忍者である隠流忍者としての使命を果たす方法は無いのです。
そのために、あえて悪に支配された人間の善の心の強さを信じてやるのです。
それが善の心の力を高めて悪の心に逆転勝利を収める決め手となることをカクレンジャーは知っているからです。

ただ、世の中には人間の常識を超えた巨大な悪というものも存在し、
それは悪の心のパワーを増幅させる働きを持っています。
善の心を増幅させるカクレンジャーという存在があるのと同様、
悪の心を増幅させる巨大な悪というべき存在もこの世には存在するのです。

普通の人間がいくら善の心のパワーを高めても、
この巨悪によってパワーを高められた悪の心のパワーに勝つことは出来ない。
「カクレンジャー」の物語世界ではそれは妖怪であり、
他のシリーズ作品では様々な悪の組織がこれに相当します。
また、現実世界では、大震災や原発事故、不景気、戦争などの暗い世相が
人々の悪の心を増幅するということがあり、この「巨悪」というのはその暗喩と解釈することも出来ます。
その根源は、あるいは世界の悲惨な現実を見て「人間は悪の心に打ち勝つことは出来ない」と諦めてしまい、
悪の心を増幅させる認識そのものなのかもしれません。

「ゴーカイジャー」においてはザンギャックがこの「巨悪」の役割を担当するのですが、
特に今回のジュジュの使った「人間の悪の心を増幅させる呪術」というのは、
そうした普通の人間には抗えない巨大な悪の力を象徴するものと解釈していいでしょう。
ハカセや鎧がアイムに信じてもらったことによって善の心のパワーを増幅してそれを打ち破ることが出来たのは、
ハカセや鎧がまさにアイムが見込んだ通りに普通の人間を超えた強い善の心を持っていたからであり、
トラック運転者やサラリーマンにアイムが信頼を向けて、彼らがその信頼に応えて善の心を高めたとしても、
おそらくジュジュの呪術に勝つことは出来なかったでしょう。

そんな簡単に信じ合うことだけで全ての人の心の中で善の心が勝つほど、世の中は甘くないのです。
そんな簡単ならば、とっくに世の中は善意が支配しているはずです。
しかし現実には世の中は悪意が支配しています。
つまり、それだけ巨悪の力は強いのが現実なのです。
そんな現実だからこそ、ハカセや鎧のように巨悪に
打ち勝てるだけの善の心の強さを持った「ヒーロー」が存在しているのであり、
その「ヒーロー」は巨悪に打ち勝つためには互いに善の心の強さを信じ合ってその力を更に高めなければいけない。
互いに信じ合うことが出来なかったり、バラバラに戦っていたりしても、巨悪には勝てないのです。
そうしてヒーローが巨悪を倒して、普通の人々の心の中の悪の心のパワーの増幅をストップさせ、
その上で普通の人々は自分の善の心を高めて悪の心を抑え込むのです。

最後はやはり人々は自分の力で悪の心を抑え込むしかない。
ここはヒーローが手を下すことは出来ず、各自が自分でケリをつけるしかないのですが、
ここで人々がしくじって結局は悪の心に支配されたままであると、
それが集まって再び巨悪を生み出すことになるというのがカクレンジャーの考え方ですから、
カクレンジャーはその人々の心の中の戦いを支援することを常に重視するのが特徴なのです。
そのため、カクレンジャーは悪の心に支配された人々の内なる善の心の強さを信じるのです。

つまり、普通の人々の手に負えない、悪の心を増幅する巨悪を倒すために戦いつつ、
悪に支配された人々の心の内の善の心の強さを常に信じ続け、応援し続けるというのが、
カクレンジャーの戦いの精神といえます。
そして、巨悪に打ち勝つためには、人並み以上に強い善の心を持った仲間同士、
その善の心の力を信じ合い、その力を高め合っていくことが必須となります。
結論として言うと、カクレンジャーの強さの根源は、
「善の心の強さを信じること」にあるということになります。

そのことがしっかり分かっていれば、
悪の心に支配されたハカセや鎧を救うにはどうすればいいか自分はすぐに分かったはずだと
ニンジャマンは愕然としました。
しかし自分はハカセや鎧の心の中の善の心の強さを信じることが出来なかった。
それを実践しようとしたアイムの行動の意味も理解出来ていなかった。
そもそも、巨大な悪の力に抗う力がハカセや鎧には無いのだと見なしていたという意味で、
ハカセや鎧のヒーローとしての資質も自分は見えていなかった。
それどころか、悪の心に支配されたハカセや鎧に斬りかかろうとしていたのです。

それは要するに、自分が悪に支配された人間の善の心の強さを信じることが出来ていなかったからだと
ニンジャマンは痛感しました。
そして、それはカクレンジャーの一員として失格ということでした。
そう考えると、ニンジャマンは師匠の三神将がどうして自分を叱って罰を与えたのか、
その真意がようやく分かったのでした。

ニンジャマンがもともと、よく妖怪に騙されたりしていたのは、
相手の善の心も悪の心も一緒くたにして信じてしまう悪いクセがあるからでした。
それは言い換えると、相手の善の心をしっかりと見極めて、その強さだけを強く信じるという
カクレンジャーとしての基本が出来ていないということでした。
つまり相手の善の心がしっかりと見えていないのであり、
そんなことだから表面上は善人のフリをした者には簡単に騙され、
表面上は悪人のように見える者は完全なる悪人だと見なして不寛容な態度をとってしまう。

そうしたニンジャマンの未熟さを常々心配していた三神将は、
動物園から逃げ出して怯えて暴れているだけの動物を捕まえるためだけのことに過剰に暴れるニンジャマンを見て、
相変わらず動物たちの奥底にある善の心は全く見えておらず、
完全なる悪と決めつけて不寛容になり過剰に暴力を振るっているだけだと呆れて、
これではとてもカクレンジャーとしての務めは果たせないと見なして、
しばらく罰を与えてじっくりと反省させなければいけないと思ったのでした。

「正義のために熱くなり、周りが見えなくなるのがお前の悪いクセだ」という三神将の言葉の真の意味は、
自分勝手な不寛容な正義ばかり振りかざして、相手の心の奥がしっかり見えていないニンジャマンが
カクレンジャーとしては未熟だという意味の叱責だったのです。
ニンジャマンもカクレンジャーのそうした精神は理解はしていたのですが、
やはりもともと慌てん坊の未熟者ゆえ、時々うっかり悪いクセが出てしまっていたのですが、
弟子の成長を願う三神将はニンジャマンを壺に封印して猛省を促したのでした。

ところがニンジャマンは慌て者ゆえ、
師匠が怒っているのは自分が思慮が浅くて軽率な行動ばかりとるからだと思ってしまったのです。
それゆえ妖怪に騙されるのだとニンジャマンは反省しましたが、
三神将が危惧していたのは、ニンジャマンが騙されやすいということではなく、
ニンジャマンが騙されやすい原因となっている、相手の心の善悪の見極めが出来ていないという点だったのです。
しかし、そこまで深い本質まで考えの及ばなかったニンジャマンは、
とにかく騙されないように慎重になろうとしか考えず、
壺から出た後、マーベラス達の表面しか見ようとせず、疑り深く粗探しに終始してしまったのです。

本当は三神将がニンジャマンに求めていたことは、
しっかり相手の本質を見て、必ず相手の心の奥のどこかに存在する善の心を見つけ出して、
その強さを固く信じることであったのに、ニンジャマンは師匠の願いとは正反対の行動をとってしまっていたのです。
アイムの信じる心がハカセと鎧の大きな力を引き出すのを見て、
ニンジャマンはそうした自分の過ちにも完全に気づかされたのでした。

そのことを恥じたニンジャマンは慌てて駆け出し、坂を下ってアイム達3人の前に駆け込むと、
膝を地面に落とし、「すまん!!」と深々と頭を下げて土下座しました。
いきなりニンジャマンが土下座したのでアイムや、起き上がったハカセと鎧は驚きましたが、
ニンジャマンは頭を下げたまま申し訳なさそうに
「・・・俺は、悪いヤツに騙されまいとして・・・もっと大事なことを・・・」と言い、ガバッと顔を上げ、
「人を信じることを・・・疎かにしていた!」と、自分の至らなさを告白したのでした。

ニンジャマンは、アイムの行動を見て、
自分が人の善の心の強さを信じることが出来ていなかったことを思い知らされたのですが、
アイムとしてはそんな大それたことをしたという自覚はありませんでした。
アイムは単にこの危機に際して、仲間として常々信頼しているハカセと鎧の善良な心を信頼して
応援しただけなのです。
それがどうしてニンジャマンをこれほど感銘させ恐縮させているのか最初はよく分かりませんでした。
確かにニンジャマンの不寛容な態度によって多少マーベラス一味が困らされていたのは事実ですが、
何も土下座して謝るほどのこともない。

しかし、深く反省しているニンジャマンの姿を見て、
アイムは、その謝罪はマーベラス一味にだけ向けられたものではないのだろうと理解できました。
「人を信じることを疎かにしていた」ということは
ニンジャマン自身のとても大切にしている何かに対する裏切りであったのであろう。
自分の仲間を信じる行為を見て、ニンジャマンはそのことに思い至り、激しく後悔し反省しているのだろうと、
アイムは理解しました。

そして、おそらくそのニンジャマンの大切なものは
カクレンジャーの守るべき精神なのだろうともアイムは察しました。
つまり、カクレンジャーは人の善の心の強さを信じることをその精神性とする戦隊なのだろうということです。
そうした精神を大切にするニンジャマンやカクレンジャーはやはり善良な人達なのだろうと思い、
アイムは微笑んで頷くのでした。
そして、そのカクレンジャーの精神性がマーベラス一味の仲間の善良な心の強さを信じる気持ちと
通じるものがあるとニンジャマンが言っているように感じられて、アイムは少し不思議な気分になりました。

と、その時、アイムのモバイレーツの呼び出し音が鳴り、アイムが通話に出ると
「アイム!マーベラス達が大変だよ〜!」とガレオンからナビィが呼びかけてきます。
傍で聞いていたハカセと鎧も、そしてアイムも驚いて更にナビィの話を聞くと、
ナビィは「ハカセと鎧がおかしくなるなんて、ザンギャックの作戦に違いないって、
3人で向かっちゃったぁ!」と状況を説明しました。

マーベラス達3人がジュジュの洞窟へ本体の水晶を破壊しに行ったことをナビィは言っているわけだが、
マーベラス達から一向に連絡が無いので心配になったようです。
事情を聞いてアイム達も心配になり、ナビィの教えてくれたジュジュのいるらしき場所へ向かって
慌てて駆け出していきました。

それを見てニンジャマンも「よぉし!!」と立ち上がって、アイム達の後を追います。
マーベラスとジョーとルカの3人もまた、ハカセと鎧が自らの悪の心に支配されている様子を見ても、
それでもなお仲間であるハカセと鎧の隠された善の心の存在を信じて、
その善の心を苦しめる巨悪を倒すために行動していることを知ったニンジャマンは、
マーベラス達の行動もまた、カクレンジャーの精神に叶ったものだと悟ったのでした。
ならば、本家のカクレンジャーである自分も負けてはいられない。
人々の善の心を苦しめる巨悪を倒すために戦おうと心に決めた時、ニンジャマンの身体には力が漲ってきたのでした。

カクレンジャーの精神を取り戻したニンジャマンは、ようやく本来の力を発揮出来るようになってきたのです。
それ以前のニンジャマンは、壺の中での勘違いや、壺を出て以降の間違った認識によって、
カクレンジャーの精神を見失っており、
それゆえカクレンジャー本来の能力をあまり発揮出来ない状態となっていたため、
どうにも精彩を欠いていたのです。

あるいは、その体内の「大いなる力」も認識したり動かしたり出来なくなっていたのかもしれません。
それでマーベラス達に「大いなる力」を渡すように言われた時、苦悩した様子だったのかもしれません。
もちろん慎重にマーベラス達を観察してから渡さないといけないという想いもあったのでしょうけれど、
あの時のニンジャマンの苦悩の深さというのは、
もしかしたら「大いなる力」すら認識出来なくなっている自分の身体の変調に気付いて
衝撃を受けたことによる部分もあったのかもしれません。
ただ、何にしても、この一件によってニンジャマンは遂にカクレンジャーとしての力を取り戻したのでした。

さて、マーベラスとジョーとルカはどうしていたのかというと、
洞窟の外に出て、ジュジュの率いるゴーミン部隊と交戦中でした。
ハカセと鎧を元に戻すにはジュジュを倒してその体内に取り込まれた水晶玉を破壊するしかないのだが、
なかなかジュジュは手強く、マーベラス達は一旦後退して集まります。
「こいつ、なかなかやるじゃねぇか!」とマーベラスが言うと、
ジュジュは「フッフッフ!」と不敵に笑います。
ジュジュとしてはいっそこのままマーベラス達を倒してしまおうと思っていました。

そこでルカはゴーカイバックルから黄色いレンジャーキーを出して
「とりあえず・・・これでいってみる?」とそれを掲げてみせます。
そうして3人で多段変身したのは、サンバルカンでした。
マーベラスは「バルイーグル!」、ジョーは「バルシャーク!」、ルカは「バルパンサー!」と名乗りを上げます。
それに対してジュジュは「やれゴーミン!」とゴーミン達をけしかけ、
するとマーベラスが「派手にいくぜぇ!!」と号令をかけ、3人は「はぁっ!!」と、
ここでなんと懐かしの太陽ジャンプを再現します。

というか、単にこれをやりたかっただけのような気もします。
他に特に積極的にここでサンバルカンをチョイスする理由もありませんので。
まぁ3人しかいない状態なので3人戦隊のサンバルカンにしたのかもしれませんけど、
別にここで多段変身しなくてもよかったわけですから、
たぶん絶対、制作サイドとしては太陽ジャンプを一度やっておきたかったんだろうと思います。

おそらくサンバルカン篇をもしやるなら、その時に太陽ジャンプをやろうと思って、
今までサンバルカンに変身しても太陽ジャンプはやらずに温存していたんでしょうけれど、
正式にサンバルカン篇をやらないことが決まったので、
ここらで一度、太陽ジャンプだけはやっておきたいという思惑であったと思います。

実際、太陽ジャンプ以外はここのサンバルカンのアクションは
そんなに取り立ててどうこう言うような特徴も無しでした。
まぁ十分サンバルカンらしいアクションになっており、
ルカパンサーの恒例の「にゃっ!」も見れたのですが、
今までサンバルカンは割と多く変身しており、似たようなアクションは何度か見ているので
今回は特に目新しいところといえば、やはり太陽ジャンプぐらいでした。

さて、そうしてサンバルカンで戦って、ゴーミン達を蹴散らしてジュジュを追い詰めますが、
ジュジュのレーザー攻撃で反撃されて、マーベラス達は「うあああ!!」と吹っ飛んで
変身解除して生身に戻ってしまいます。
やはりジュジュはかなり手強い。
また新手のゴーミン部隊も出てきて、ジュジュは「ヒッヒッヒッヒ!消えろ!」と
マーベラス達にトドメの攻撃を繰り出そうとしました。

その瞬間、銃弾が何発も飛んできてジュジュに炸裂して、ジュジュは「うわぁ!?」とよろめきました。
マーベラス達が驚いて振り向くと、そこにはハカセとアイムがゴーカイガンを発射しながら駆け込んできていました。
後ろには鎧とニンジャマンもついて来ています。
マーベラス達の前に走り込むとハカセは「お待たせ!みんな・・・」と言いながらジュジュに睨みを効かせ、
鎧は「・・・ご迷惑をおかけしました!」とマーベラス達に向けて深々と頭を下げて謝罪します。

どうやらハカセと鎧が元に戻っているようだと悟ったマーベラスたち3人は
いささか驚いた様子で2人を見ます。
ハカセと鎧が悪の心に支配されたといっても、もともと人間には悪の心も善の心もあるのであり、
2人に悪の心があることもマーベラス達は意外には思わなかったし、
善の心が無くなってしまったとも思っていませんでした。
ただ、奇妙な術で悪の心が増幅させられてしまっている以上、
自力で元に戻ることは難しいだろうとは思っていました。
だから自分達が頑張ってジュジュを倒してやろうとしていたのに、
自分達がジュジュを倒さないうちに、いきなり当のハカセと鎧が元に戻って現れたのですから、
さすがにマーベラス達は少し驚いたのでした。

「・・・全くだ・・・!」とジョーは自力で元に戻れるなら、
さっさと戻ってくれればよかったのにとばかりに溜息をつきます。
が、おそらく自力というわけではないのだろうとは想像出来ます。
それはマーベラスも、ルカも同様に思っているようで、
ルカは「アイムもお疲れさん!」とアイムに微笑みかけ、アイムも「はい!」と応えます。
つまりアイムの力がハカセ達を元に戻すのに役に立ったのだろうとマーベラス達にも何となく分かっているのです。

もともとマーベラスがアイムだけをハカセ達のもとに行かせたのは、
第41話の時に回想シーンで描写されたように、
マーベラス達も昔から喧嘩などしていると、アイムがマーベラス達を正義の善良な海賊だと信頼してくるたびに
変な邪心が抜けていって喧嘩をする気が失せていったことがたびたびあったからでした。
つまりアイムに信頼されると、どうも悪い心が引っ込んで善い心が強くなってしまう。
だからアイムなら、悪い心に支配されてしまっているハカセ達をいくらか宥めることは出来るのではないかと、
期待はしていたのです。

しかし、ハカセ達の悪の心を増幅しているのが変な呪術のせいだと分かると、
さすがにアイムでもそんな術を解くまでは出来ないだろうと思い、
マーベラス達は自分達でなんとかしようと思って、こうして戦いに来たのです。
ところがアイムの呼びかけでハカセ達は術の呪縛を解き放つことまで成功してしまったようなので、
マーベラス達は改めてアイムの信じる力の強さ、そしてハカセと鎧の善の心の強さに舌を巻きました。

そこにニンジャマンがいきなり「すまなかった!」と頭を下げ、マーベラスとジョーの肩をガシッと抱き
「お前たちは・・・仲間を信じていたんだよな!?・・・なのに俺ときたら、冷たいなんて・・・!」と謝りはじめます。
実はマーベラス達もハカセや鎧の善の心の存在をちゃんと信じていたことを知ったニンジャマンは、
さっきガレオンでマーベラス達を冷たい野郎などと言って罵倒したことを詫びているのですが、
マーベラスとジョーはいきなりニンジャマンがベタベタしてくるので、その暑苦しさに閉口して
「・・・なんだよ?急に!」と怪しみます。

何だかよく分からないが、ニンジャマンがいきなりマーベラス達を認めているのを見て、
ハカセと鎧、アイムとルカも笑顔になります。
そしてアイムは、ニンジャマンがマーベラス達の行為もまた、
さっきの自分の行為と同じように仲間を信じる行為だと認めているということは、
悪の心に支配された仲間の善の心の存在を信じて、
その善の心を苦しめる悪の根源を倒そうとする行為もまた、
ニンジャマンの言う「人を信じること」、すなわちカクレンジャーの精神に通じるのだと悟りました。

つまり、ハカセ達は幸い信じる心の応援を受けるだけで自力で強大な悪の心を抑え込むことが出来ましたが、
もし善の力が及ばずにそれが出来ない場合は、
マーベラス達がやろうとしていたようにハカセ達を救うためにその悪の根源を叩くことが、
ハカセ達の善の心を信じた者の務めということです。

そして、今はまだ多くの人々がハカセ達のように
ジュジュの術によって心を悪に支配されて苦しんでいることを、アイムは街で目撃して知っています。
そして、それらの人々にも善の心は存在し、
その善の心は悪の心に自力で打ち勝つことが出来なくて苦しんでいる。
ならば、彼らが自らの内の悪の心とちゃんと戦うことが出来るように、
不当な方法で悪の心を増幅させているジュジュは自分達が倒さねばいけないとアイムは思いました。
そして、それはカクレンジャーの「人を信じること」にも通じるのだとアイムは理解したのでした。

そこに態勢を立て直したジュジュが、ハカセと鎧が悪の心の支配から脱していることに驚き、
「ゴーカイグリーンにゴーカイシルバー・・・何故、貴様ら2人が正気に?
・・・呪いはまだ解けていないはず・・・」と戸惑って問い質してきます。
それに対して鎧は左胸のあたりをぎゅっと握って
「人の心ってのは、悪意だけで出来てるわけじゃないんだよ!!」と鋭く言い返し、指をビシッと差し出す。
そして続いてハカセも「善い心と悪い心・・・最後にどっちが勝つかは自分次第だ!!」と言い放ちます。

ジュジュは悪の心の強大さのみを信じるような典型的な巨悪です。
この世は悪が支配すると信じて疑わない。
それはザンギャック帝国という存在を正当化する論理そのものと言ってもいいでしょうし、
この東日本大震災以降、いやそれ以前からも続く、悪がはびこる現実世界の絶望感そのものと言ってもいいでしょう。

しかし、そんな悪の支配する世界の中にも、必ず善の心は存在するのです。
そして悪の中にきっと善は存在し、
その力はきっと悪を抑え込むことが出来ると信じる気持ちがあれば、
善の心はきっと悪の心に打ち勝つ。
そして、そのような信じる気持ちが集まれば、善の心の力を高め合うことが出来る。
そうやって多くの人々が心の中で悪の心を抑え込んでいけば、
悪がいかに強大で世界を支配していようとも、その支配をひっくり返して、
善の心が支配する世界に変えることが出来る。

だがそれはあくまで可能性があるというだけの話であり、
「正義は必ず勝つ」なんていう甘い話ではない。
ハカセが「自分次第」と言ったように、善の心の力が強い者もいれば弱い者もいるのであり、
巨悪によって増幅された悪の心を抑え込める者もいれば、悪の心に支配され続ける者もいます。
今回、ハカセや鎧はジュジュの悪の呪術を跳ね返すことが出来たが、
跳ね返すことの出来ない人が圧倒的多数であるのが現状です。

だが、巨悪が不当に増幅させた悪の心で人々の善の心を苦しめるというのなら、
その巨悪は倒さねばならない。
それが出来るのは、巨悪の支配を跳ね返す強い善の心を持った戦士しかいません。
何故、ハカセや鎧は、マーベラス一味の絆は、ジュジュの悪の支配を跳ね返すことが出来たのか?
それはゴーカイジャーが悪の支配する宇宙で自分達の良心や誇りを保持し続けてきた宇宙海賊として鍛えてきた、
本当の善の心の強さを信じる力を持っている戦隊だからです。
ならば、人々の善の心を苦しめる巨悪を退治するのはゴーカイジャーの役目ということになります。

「あなたを倒して、人々を苦しみから解放します!!」とアイムがジュジュを睨みつけて宣言すると、
マーベラス一味の6人、そしてニンジャマンが横一列に並び、
マーベラスの「いくぜ!!」という号令を合図に6人は「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身し、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と名乗りを上げ、
ニンジャマンが「ア〜ンド!ニンジャマン!!」と続いて名乗りを上げます。

これはあくまでゴーカイジャーの戦いだが、
そのゴーカイジャーの戦いはカクレンジャーの戦いと目的を同じくしているのだとニンジャマンは認め、
ならばカクレンジャーの力を使ってゴーカイジャーの仲間として戦えるはずだとニンジャマンは思い、
「忍者だけどぉ!・・・派手にいくぜぇっ!!」と啖呵を切って仁王立ちするのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:54 | Comment(5) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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