2012年02月29日

Mission01 特命戦隊、集結せよ

まだゴーカイジャーの最終話のレビューの途中ですけど、
その最終話の翌週、さっそく始まった次の戦隊「特命戦隊ゴーバスターズ」についても感想をちょっと書きます。
私は基本的にはテレビ番組を毎回レビューしたりしないのですが、
記念碑的作品「海賊戦隊ゴーカイジャー」だけはスーパー戦隊ファンとしてはどうしてもレビューしたくなって
1年間ガッツリとレビューしてしまいました。
が、あんなことを毎年やるわけにもいきません。

ただ、「ゴーカイジャー」のレビューは、最終話の分が終わった後も、
まだ劇場版の分もぼちぼち続けていかねばなりませんし、ヒロイン関係もまだ未完でもあり、
結局はこのブログは今後も更新していくわけなので、
ついでに「ゴーバスターズ」のレビューも手短にやろうかと思います。
「ゴーカイジャー」みたいに細かく長くやったりはしません。毎回、総括的にやるだけです。

で、その「ゴーバスターズ」ですが、かなり気合の入った作りになっていますね。
Mission01「特命戦隊、集結せよ!」を見た印象では、
リアルなタッチの作品を作ろうという気概が非常に伝わってきました。
とにかく方向性がハッキリしてるのは分かりやすくて良いです。

スーパー戦隊シリーズというのは基本的に荒唐無稽が特徴であり、
前作「ゴーカイジャー」はその頂点を極めたような作品です。
だから、前作との差別化を図らねばならないという新番組の宿命として、
この方向性のチョイスは正しいと思います。

そして第1話の重要な役割が前作から残留している空気を一新するインパクトを視聴者に与えることですから、
その役割は十分に果たした第1話だったと思います。

第1話でやれることなどは限られていますが、その割にやりたいことはいっぱい有るものです。
だから取捨選択していくしかない。
そうなると、その作品の最重要コンセプトであり、前作との一番違う点が強調されることになります。
そういうお披露目エピソードですから、一見ストーリーや設定が説明されているように見えて、
案外第1話では実質的にはほとんど説明されていないのが最近の傾向です。

第1話でお披露目されているのは、その作品の持つムードであって、
ストーリーや設定はそのムードを演出するための小道具のようなものです。
だから第1話の段階では、まだどんな話なのか、どんな世界設定なのか、登場人物はどんな連中なのか、
よく分からないものです。
それを全部、第1話だけで説明するというのは無理であり、
そんなことをしたら、やたら説明的なだけでつまらなくなってしまいます。

「ゴーバスターズ」のMission01もあくまでムード優先で、あまり説明的ではありません。
どうやらストーリーや世界設定はかなり凝ったものであるようですから、
これからじっくり明らかにしていくのでしょう。

登場するキャラに関しては、みんな真面目っぽいみたいで、
ギャグ担当要員としてバディロイドというロボット達がいるようです。
まぁ単なるギャグ要員ではなく、これからバディロイド達の役割も明らかになっていくのでしょうけれど。

アクションに関しては、まず等身大アクションは想像していたより地味でした。
軍隊格闘術をベースとしたスパイアクション風味で、
不思議ビームや派手な大技は使わず、敵と密着して地道にコツコツ戦う場面が多かったですね。
スピード感があって良かったとは思います。

「ゴーカイジャーVSギャバン」で先行登場した時も基本はこんなアクションだったとは思いますが、
あの時は確か、3人とも特殊能力を使っていたはずです。
しかし今回はその特殊能力が使われていなかったので、その分、地味に見えたのだと思います。

あの特殊能力は等身大アクションにおける最大のセールスポイントだと思います。
だからこそ「ゴーカイジャーVSギャバン」でも見せたのでしょう。
ならば今回のMission01でも普通は見せたいと思うはずですが、あえて封印したという印象です。

これはおそらく、「ゴーカイジャーVSギャバン」に客演しての先行お披露目の映像とは違って、
「ゴーバスターズ」本編の物語が始まった以上は、安易に特殊能力を使うことは出来なかったということでしょう。
つまり、どうやら特殊能力を使うことにはリスクが伴うようですので、
そのリスク描写とセットにして特殊能力の初お披露目シーンは描きたかったということなのだろうと思います。
そうなると、それはMission01には相応しくないということなのでしょう。
また、それだけの尺の余裕もMission01には無かったとも言えます。

そういうわけで今回の等身大アクションは予想より地味でしたが、巨大戦は素晴らしかったですね。
「巨大戦に力を入れる」というのは前宣伝でも強調されていましたが、その言葉に偽りは無いと思いました。

巨大戦の内容が良いだけでなく、巨大戦と等身大戦が同時進行であるというのも大事なポイントです。
これまではどうしても等身大戦で敵を倒してから敵が復活巨大化したので
戦隊側もロボットに乗り込んでもう1回倒すというような、
巨大戦がオマケ扱いされるようなパターンが多かったのですが、
どうもそこを変革しようとしているようです。

つまりパイロットヒーローを志向しているようで、
3人チームということから、どうも戦隊版ゲッターロボみたいなのを想像してしまいます。
今回、バイクが巨大メカに収納されてコクピットになるというのも、
マジンガーZの初期案であり、ダイアナンAで実際に使われた手法であり、
なんだか凄くスーパーロボット風味のする作品のように思えました。
そういう路線でガンガン突っ走るのなら、別に等身大アクションは地味めでも個人的には好きになれそうです。

戦隊側にちゃんとした基地があって、
指揮官や支援要員もちゃんとキャラ設定されて存在しているのも良かったです。
今回なんて下手したら素面のブルーやイエローよりも
彼ら支援要員の方が出番が多かったように思えるぐらいです。

まぁ、今回の作品の場合、第1話で戦隊が集結したり実質的に初陣であったりするパターンなので、
どうしてもアクションは能力を全開で使うという描写にはならないようですから、
地味になるのは仕方ない。
初陣なのに技の名前を叫んでいきなりフルパワーで戦うというのが戦隊のありがちなお約束なのですが、
特に今回はそういう荒唐無稽な描写はあえて避けて、
初陣はあくまで初陣らしく描くというのが、今回の作品のリアル志向なのでしょう。

また、根本的に巨大戦重視なので、
あまり等身大アクションに色んな要素を盛り過ぎないように自重しているとも思えます。
つまり無駄の無い等身大アクションを目指しているのでしょう。
その大きな表れの1つが、変身バンクや名乗りの省略ではないかと思います。

まぁ名乗りに関してはMission02以降、一応はやるのかもしれませんが、
変身バンクはどうやら無いようです。
ただ、モーフィンブレスを使った現実空間での動きの中での変身シーンは文句無しにカッコいいので、
リアル志向のこの作品の場合、変身バンクは無くてもいいような気もします。

巨大戦に関しては、暗くて狭いコクピットや、リアルなミニチュア模型の街、煽り気味のカメラワーク、
火花が飛び散るロボット同士の格闘、時々入って来る司令部からの音声など、みんな良い感じでした。
巨大戦はさすがに最大のセールスポイントにしているだけあって、
シリーズの他の作品とは比較にならない素晴らしい出来だったと思います。
シリーズ最高と太鼓判を押してもいいでしょう。

褒め過ぎと言われるかもしれませんが、
スーパー戦隊シリーズのスタッフが、ちゃんとした態勢で、
その作品の最大のセールスポイントを作り上げた時、
それがシリーズ最高峰の出来になるのは、むしろ当たり前だと思います。

そして、そのセールスポイントを作り上げることによって、
どうしても他の部分にしわ寄せというものも出てくる。
そこがその作品のウイークポイントとなっていきます。

この作品ではそのウイークポイントは等身大アクションになっていくような気がしますが、
そういうことを非難しても仕方ないことです。
何処かセールスポイントを作れば、何処かにウイークポイントが生まれるのは仕方ないことだからです。
そしてセールスポイントを作り上げ維持していくのは大変な努力を要するのであり、
その作品はそうした多大な労力を払って作り上げたセールスポイントによって成り立っている作品なのであり、
受け取る側はそういう作品なのだと納得して受け入れるしかないのです。

セールスポイントが全く無いような作品が提供された時は文句を言うのは仕方ないですが、
しっかりセールスポイントがあっての上でのウイークポイントならば、
それがその作品の特色だと思うしかありません。
例えば「ゴーカイジャー」も敵のザンギャックの印象が薄いなどと言われましたが、
あれもレジェンド要素や宝探しをセールスポイントとした「ゴーカイジャー」という作品ならではの
ウイークポイントであり、そういう特色の作品なのだと思えばいいのです。

ただ、敵の印象が弱い程度だったら些細な問題なのですが、
今回の「ゴーバスターズ」のように等身大アクションがウイークポイントになるのなら、
それはかなり大きな出来事です。
いや、「ゴーバスターズ」の等身大アクションが疎かになるとは、まだ決まったわけではないのですが、
変身バンクや名乗りなど、スーパー戦隊の等身大アクションの様式美がだいぶカットされるのは確実のようですから、
スーパー戦隊シリーズらしくない等身大アクションというのは
ウイークポイントのように解釈される可能性はあります。

スーパー戦隊シリーズといえば最大のセールスポイントが等身大アクションなので、
そこがウイークポイントとなれば、かなり大問題かもしれません。
そういう意味で、今回はかなり思い切った変革なのだろうと思います。

まぁスーパー戦隊シリーズというのは、1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」を源流としていると言われますが、
実際は「ゴレンジャー」の戦隊ヒーロー路線と、
1972年の「マジンガーZ」に始まる搭乗型スーパーロボット路線が合体して、
1979年に「バトルフィーバーJ」が生まれたことから始まったシリーズです。
「スーパーロボット」の「スーパー」と「秘密戦隊」の「戦隊」を合わせて「スーパー戦隊」というのです。

だから、巨大ロボットに乗り込んでの巨大戦を重視するというのは、
別に突拍子も無いことをしているわけではなく、ある意味ではシリーズの原点回帰ともいえます。
「ゴーカイジャー」で「戦隊」としての起源である「ゴレンジャー」まで遡っての原点回帰をやりきった後の作品で、
今度は「スーパー」としての起源である「マジンガーZ」「ゲッターロボ」まで遡っての原点回帰をやっているのが
「ゴーバスターズ」という作品ではないかとも思えます。
「エヴァンゲリオン」っぽいようにも見えますが、
そもそも「エヴァンゲリオン」自体が「マジンガーZ」へのオマージュに満ちた作品です。

この「ゴーバスターズ」は原点回帰にして大胆な変革という、
スーパー戦隊シリーズの「維新」的作品なのかもしれません。

ただ等身大アクションの様式美は長い間スーパー戦隊シリーズが培ってきたものです。
それを削ってはいけないとは言いませんが、
それを削って見せるだけの価値のある新しいものを魅せなければならないのは確かです。
それはやはりストーリーが面白いとか、キャラが魅力的であるとか、
そういうものでは等身大アクションのケレン味の不足分を補うことは出来ないのであろうと思われ、
やはりこの作品であえて最大のセールスポイントとしている巨大戦の部分で魅せなければいけないでしょう。

そこで巨大戦の場面を見てみると気付いたのが、
コクピットで操縦するレッドバスターのメットのグラサン部分や腕のブレス部分が時々光ることです。
アレを見て、なるほどスタッフはこの作品の巨大戦の弱点は分かってるんだと感じました。
つまり、座ってしまうとどうしてもコクピット場面は動きに乏しい画面になってしまうのです。

これまでのスーパー戦隊シリーズ作品では巨大戦はどうしてもオマケ的扱いだったから、
操縦者が座ってしまって動きが乏しくなってもそんなに支障は無かったし、
集合コクピットにして多人数でコントさせたり、
立って操縦する不思議空間にしたりして動きの乏しさをカバーしてきたのですが、
この「ゴーバスターズ」はリアル志向だからそんなことは出来ません。
あの狭くて暗いコクピットにガチガチに固められて座ってるパイロット感覚は無くしてはいけません。

それでいて巨大戦の場面が多くなり、それを燃える場面にするためには
コクピット場面は多くならざるを得ない。
しかしコクピット場面に動きが乏しいので見栄えがしないし感情移入もしづらい。
そこでああやってグラサン部分やブレス部分を光らせたりして
少しでも動きをつけようということなのでしょう。
ただ、それで十分かというと、やや疑問です。

そもそもスーパー戦隊シリーズなどよりも、よほどコクピット描写の多い
ロボットアニメなどではどうしているのかというと、
それはパイロットの表情で動きをつけているのです。
つまりロボットアニメでは大抵はパイロットは素顔が出ているので、
座ったままでも表情で動きをつけることが出来る。

しかし「ゴーバスターズ」では変身後はメットで表情が見えないので、
それで根本的に画面上の動きが乏しいのです。
スタッフもそれが分かっているから、苦肉の策でグラサンやブレスを光らせたりしているのです。
しかし、それだけでは遠からず飽きられてしまいます。

やはり変身後スーツ姿というのは動き回ってこそ映えるものであり、
じっとコクピットに座っている姿では魅力は半減です。
ならばメットオフでコクピットに座って操縦すればいいのだが、
いくら座った姿勢での操縦アクションといえども、舐めてはいけない。
アクションの素人に簡単にカッコいい操縦アクションなど出来るものではない。
この作品の最大のセールスポイントのアクション場面をアクションの素人に任せることなど、
ヒーローアクションドラマの最高峰であるスーパー戦隊シリーズにおいて許されるわけはありません。

特にまだドラマは序盤であり、若い素面役者の皆さんはまだまだアクションに不慣れで、
等身大の素面アクションを呑み込むだけで大変な時期です。
だから、まだまだ操縦アクションをメットオフでやるわけにはいきません。

このあたり、コクピットアクションやコクピット内の心情描写をどう魅せるかが、
この作品の今後の課題ではないかと思えます。
ロボットのアクションそのものは文句無しです。
むしろ課題はコクピット内と、それと連動した司令部の描写でいかに盛り上げていくかでしょう。
そのあたりはロボットアニメでいくらでも参考になるものはあると思います。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:21 | Comment(6) | 特命戦隊ゴーバスターズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月28日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その7

マーベラス一味の6人、海賊戦隊ゴーカイジャーが晴れて35番目のスーパー戦隊となり、
ザンギャック帝国の皇帝アクドス・ギルを倒したところで、
1年間、全51話(および劇場版3本)にわたって描かれてきたこの物語も遂に終わりが近づいてきました。
残すはこの物語のエピローグだけとなります。

が、アクドス・ギルを倒してからエピローグまでの間、劇中では数か月の時間が経過するようでもありますし、
エピローグについて触れる前に、ここで一旦、最終話のこの時点までの考察を踏まえて、
改めて、この物語について色々と妄想しつつ、まとめておいた方が、
このブログ的には良いように思います。

テレビドラマの物語世界というものは私達の住む現実世界とは別の世界です。
特に現実とはかけ離れた設定の多いSF特撮ドラマの物語世界というのは明らかに現実世界とは違う世界であり、
しかもそれぞれが特色が明確でスケールも大きい世界設定なので、それぞれは別々の世界とされています。

スーパー戦隊シリーズも、同一シリーズ内の作品とはいえ、1つ1つの作品の物語世界は別々の物語世界です。
まぁデンジマンとサンバルカンの物語世界だけは連続性があるのですが、
これはスーパー戦隊シリーズが明確にシリーズ化しようという意図をもって制作された時の
戦隊がサンバルカンだったからです。
つまりシリーズ化に際して、昭和仮面ライダーシリーズのように
連続した世界観のシリーズにしようかという意図が存在したのでしょう。
しかし、サンバルカンの次のゴーグルファイブの段階で世界観を一新することによって、
その方針とは決別することになったようです。
以後はシリーズのそれぞれの作品の物語世界は全く独立した別々のものです。

例えばジャッカー電撃隊の物語世界の中にはゴレンジャーの物語世界に登場した要素は一切登場しません。
ただ、「ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー」という映画があり、そこではこの両戦隊は競演していますが、
これはそれぞれの物語世界とは別の1発企画用のパラレルワールドで、
どうして本来は競演するはずのない両戦隊が競演しているのかということについての事情説明はありません。
「何故かゴレンジャーとジャッカー電撃隊が一緒に存在する物語世界」というものが唐突に出現しているだけで、
その理由も語られることもなく終わります。

その物語世界の基盤はかなり脆弱で、お遊び企画のために無理に作られた物語世界という印象が強く、
個々の作品のTV本編の物語世界と比べると、こういうクロスオーバーの1発企画の物語世界というのは、
存在感の薄い物語世界だといえます。

スーパー戦隊シリーズには「VSシリーズ」という、
本来は別の物語世界に存在するはずの戦隊同士が出会って一緒に戦う1発企画が毎年シリーズ化されていますが、
この中で本来出会うはずのない2つの戦隊(時には5〜6個の戦隊)が出会う理由が
まともに説明されているのは、VSシリーズ映画の「シンケンジャーVSゴーオンジャー」ぐらいでしょう。

あれはゴーオンジャーが次元移動する戦隊という設定であったので、
単にシンケンジャーの物語世界に次元の壁を超えてゴーオンジャーの登場人物たちが
飛び込んできたということで説明されています。
だから「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の物語世界だけは「シンケンジャー」の物語世界そのままなのです。
しかし、その他のVSシリーズの作品の物語世界は、
それぞれの原典の作品の物語世界とは別のパラレルワールドなのだと思われます。

なお、「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の中にはゴセイジャーが一瞬登場しますが、
これはつまり「シンケンジャー」の物語世界に登場した
「この世を秘かに見守っている護星天使」のゴセイジャーであり、
「ゴセイジャー」の物語世界に登場したゴセイジャーとは厳密には別の存在ということになります。

また、シンケンジャーとゴセイジャーは
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」という別のVSシリーズ映画で出会っていますが、
これは「シンケンジャー」の物語世界とも「ゴセイジャー」の物語世界とも違う、独自のパラレルワールドであり、
この映画に出てくるゴセイジャーは「ゴセイジャー」本編のゴセイジャーとも違いますし、
「シンケンジャー」の物語世界に一瞬登場したゴセイジャーとも違います。

だから「シンケンジャーVSゴーオンジャー」において「シンケンジャー」の物語に一瞬登場したゴセイジャーが
シンケンジャーのことを見守っていたにもかかわらず、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」に登場したゴセイジャーはシンケンジャーの存在は知っていたものの、
初めて出会ったかのようにシンケンジャーと接し、
「ゴセイジャー」の物語世界におけるゴセイジャーはシンケンジャーという戦隊の存在など全く知りもしないのです。

ところで、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」というパラレルワールドには
ゴーカイジャーも一瞬登場しますが、
これは実は「ゴーカイジャー」の第40話の出来事であったことが「ゴーカイジャー」では明確に描かれています。
正確にはゴーカイジャーの物語世界の現在時間の数年前の世界にタイムスリップしたゴーカイジャーが、
ゴセイジャーとシンケンジャーが共闘していた場所の近くに出没していた時の一場面が
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」で描かれているのです。
ただ、時間軸は違っていても、同じ「ゴーカイジャー」の物語世界という
一続きの世界であることには違いありません。

ということは、「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界とは、
ゴーカイジャーの物語世界そのものだったのかとも思えてきますが、
細部のセリフが違っていたりするので、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界と、「ゴーカイジャー」第40話の物語世界の中の過去場面とは、
極めてよく似たパラレルワールド同士と考えられます。

ただ、この第40話においてはゴーカイジャーは
「ゴセイジャー」TV本編にのみ登場したマトリンティス帝国とも接触しています。
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界と「ゴセイジャー」の物語世界は別々の物語世界ですから、
これが「ゴーカイジャー」第40話において混ざり合っているのは奇妙なことです。

また、当然「ゴセイジャー」TV本編において登場したマトリンティス帝国は
ゴーカイジャーのことなど知りませんでしたから、
この「ゴーカイジャー」第40話に登場した「ゴセイジャー」マトリンティス篇の物語世界もまた、
「ゴセイジャー」本編と極めてよく似たパラレルワールドと思われます。

そう考えると、「ゴーカイジャー」の物語世界というのは、
「ゴセイジャー」の物語世界に極めてよく似たパラレルワールドと、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界に極めてよく似たパラレルワールドを共に含み、
なおかつそれらを融合させているのだといえます。

そして、それはゴセイジャー関連にとどまらず、
「ゴレンジャー」から「ゴセイジャー」までの34戦隊の物語世界および、
それらに関連する全ての劇場版やVSシリーズなどの多くのパラレルワールドの物語世界にも
及んでいるのだと考えられます。
つまり、それら全ての物語世界に極めてよく似たパラレルワールドが
「ゴーカイジャー」の物語世界の中に含まれており、それらは全て融合しているようなのです。
「ゴーカイジャー」の物語世界の構造がそのようになっていることは、
第40話を注意深く見ると垣間見えてきます。

なお、この「ゴーカイジャー」の物語世界に融合されている
多数のパラレルワールドの元になっている物語世界の中で、特異な物語世界が幾つかあります。
それは「時系列的にその物語の時点以前に登場した全部の戦隊が同時存在することが当然の世界」になっている
物語世界です。

例えば1989年の「ターボレンジャー」の第1話や、
1994年のイベント用映画「スーパー戦隊ワールド」、
2001年の「タイムレンジャー」最終話、
2006年から2007年にかけての「ボウケンジャー」ED後のミニコーナー、
2010年の「スーパー戦隊VSシリーズ劇場」などがこれに相当し、
これらはそれぞれ「ターボレンジャー」「カクレンジャー」「タイムレンジャー」
「ボウケンジャー」「ゴセイジャー」と関連の深い物語世界ではありますが、
明らかにそれらのTV本編の物語世界とは異なった世界観のパラレルワールドです。
ただ、これらはあまりにも企画色が強く、物語世界の範疇には入らないので割愛していいでしょう。

ここで注目すべきは2001年のVシネマ「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と、
2007年のVシネマ「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」(劇中時間は2006年)です。
これらはそれぞれ「ガオレンジャー」の物語世界、「ボウケンジャー」の物語世界のパラレルワールドであり、
それら原典作品をベースにして派生したVSシリーズ系のパラレルワールドのように見えますが、
他のVSシリーズ作品とは違って、2つの戦隊が一緒に登場する物語世界ではなく、
その時点における歴代戦隊が全部存在している世界観になっています。

「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」においては登場する戦士たちは6戦隊分だけですが、
劇中で歴代24戦隊の戦いについて言及されていますから、
ガオレンジャーも含めて25戦隊が26年前から連綿と存在してきたという世界観になっているのです。

また「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」でも登場する戦士たちは5戦隊分だけですが、
左胸に「30th ANNIVERSARY」のマークをつけ、
歴代レッド戦士に変身出来る謎の戦士アカレッドが登場することから、
ボウケンジャーも含めて30戦隊が31年前から連綿と存在してきたという世界観になっているようです。

つまり、どうやらこの「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」は
同じ物語世界における2001年と2006年の出来事であるようなのです。
そして、「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」に登場したアカレッドというキャラが
「ゴーカイジャー」の物語世界にも登場しており、
どうやらこのアカレッドは34の戦隊世界の融合の根幹に関係する重要キャラという扱いになっています。

そういうことから考えて、この「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」の物語世界は
「ゴーカイジャー」の物語世界にそれらに酷似したパラレルワールドが融合したというよりは、
この2つの作品の物語世界そのものが「ゴーカイジャー」の物語世界と同一の物語世界ではないかと
想像した方が適当であるように思えます。

つまり、この物語世界は
1975年以降、ほぼ毎年、新たな戦隊の物語世界のパラレルワールドを融合し続けてきた特殊な物語世界であり、
その物語世界の2001年の8月の時点(25戦隊世界融合時点)のとある事件が描かれたのが
「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」であり、
2006年秋頃の時点(30戦隊世界融合時点)のとある事件が描かれたのが
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」であったと思われます。

アカレッドという存在は1975年、世界の融合が始まった時点に生まれたのか、
それとも融合がある程度進んだ時点で生まれたのか、
あるいは形をとって動き出したのは2006年時点になってからだったのか、詳細はよく分かりませんが、
ともかく、世界の融合が生み出した特殊な存在であるのは間違いなく、
世界の成り立ちに深く関与した、ある種、人知を超越した存在であるといえます。

そして、その物語世界の2011年、34戦隊世界融合時点に
地球にザンギャック帝国軍が侵略してきてレジェンド大戦が起こり、
2013年か2014年あたりに宇宙海賊のマーベラス一味が地球にやって来て
「ゴーカイジャー」の物語が始まったのだと思われます。

さて、この「ゴーカイジャー」のようにシリーズ作品の歴代戦士が多数登場するクロスオーバー作品は、
単発映画などでは最近は多く、
最近では仮面ライダーの「ディケイド」関連の劇場版、
「レッツゴー仮面ライダー」、「MOVIE大戦MEGAMAX」や、
近年の「プリキュアオールスターDX」シリーズなどがありますが、
これらはスーパー戦隊シリーズの「VSシリーズ」同様、
大した理由も無く歴代作品の戦士が競演します。

単発映画の場合は、あくまで本編の設定があってこそ成立する
根拠薄弱なパラレルワールドと割り切って楽しめばいいので、そんな感じでいいのですが、
歴代総登場が本編設定となって長期TVシリーズとなる作品の場合は、
本編そのものが根拠薄弱とするわけにはいきませんから、ちゃんと歴代競演の理由が示されます。

そうしたクロスオーバーのTVシリーズの例としては、
まず2006年から2007年にかけてTBS系で1年間放送された
ウルトラシリーズのクロスオーバー企画の連続ドラマ「ウルトラマンメビウス」がありますが、
これはもともと同一世界観の中の年代記として位置づけられていた
初代ウルトラマンからウルトラマン80までの昭和ウルトラシリーズの一連の物語の
25年後の続編として物語世界が設定されていますので、歴代戦士競演はかなり自然に描かれていました。

それゆえ、シリーズの集大成的な作品としては、とても良く出来ていますが、
その分、どうしても主役であるはずのメビウスの独自の物語が
単なる「新人ウルトラマンの成長物語」になってしまい、
歴代戦士に学びつつ成長していく主人公というのは好印象ではあるものの、
詰まるところ歴代戦士ありきの後輩的な存在という印象となってしまい、
その印象は薄くなってしまいがちでした。

メビウス自体の描き方そのものに致命的な失敗は見られなかったのに
そのような印象となってしまっているのは、
やはりそれだけ歴代戦士というものがキャラが強く、
平板な主人公の成長物語の中に普通に登場させてしまうと主役を食ってしまう恐れがあることが分かりました。

この「メビウス」以前のクロスオーバー企画というものは、あくまで歴代全員を主役とした物語でした。
例えば「仮面ライダーストロンガー」のデルザー軍団篇の後半などは、
あれはもうストロンガーの物語ではなく、
ある種、スーパー戦隊シリーズのような7人ライダーの物語でした。
ストロンガーの物語の重要キャラであるタックルを歴代ライダー登場直前に退場させているのも、
あそこでストロンガーの物語は実質的に終わりという象徴的意味でしょう。

近年では「プリキュアオールスターズDX」も、一応は現役プリキュアに比重は置いているものの、
やはりこの「全員主役」方式です。
ただ、これは単発映画であり、しかもアニメだから使える手法です。
何せ7年前の初代作品の主役までも含めて、全員が中学生の現役プリキュアのままで登場出来るのですから、
これは実写ドラマではなかなか難しいことです。

ストロンガーのデルザー軍団篇にしても、
世界観の繋がった過去5年の作品の主役たちの総登場であったから、
ちゃんと1号ライダーの本郷猛も含めて現役戦士として描くことが出来て、
過去作のクロスオーバーというよりは、5年間のシリーズのラストエピソードとして楽しめました。

しかし「メビウス」のような
明らかに過去の作品となってしまった昭和ウルトラシリーズとのクロスオーバー企画の場合、
どうしても現役戦士のメビウスを主役とした物語とせざるを得ません。
ところがそれにしては「メビウス」の場合、過去作への愛情が強いのは非常によく分かるのですが、
本当は物語上では脇役でなければいけない歴代戦士たちの印象が変に強くなってしまって、
その分、メビウスの印象が弱くなり、メビウスを主役として1年間ドラマを描くのが辛い状態になってしまいました。

「メビウス」はちゃんと主役の成長物語を描こうとしており、
決して安易な懐古趣味だけのドラマを志向していたわけではないのは明らかなのですが、
歴代戦士というキャラの持つパワーが、その制作サイドの想像を更に上回るものであったということが、
初めてクロスオーバー企画の4クールドラマというものを試してみて分かった作品なのだといえます。
そういう意味で「メビウス」は偉大なパイオニアであり、
クロスオーバー企画の王道を示し、更にマニア受けという点では大成功を収めたものの、
その手法の連続ドラマとしての重大な欠陥も教えてくれた貴重な失敗作でもあったといえます。

一方、もともと全く別個の物語世界である平成仮面ライダーシリーズの
クロスオーバー企画の連続ドラマとして2009年に7か月間放送された「仮面ライダーディケイド」は、
9つの平成ライダーの作品世界のパラレルワールドが融合することによって起こる
世界の滅亡を食い止めるためにその9つのパラレルワールドを旅して回る
10番目の平成ライダーの物語として作られました。

これは、もともと異なったライダーの物語世界を同一世界観に収めることが無理であるという困難を
逆手にとって、不自然な物語世界の融合が世界の危機を招くという構図を作ったという意味で
斬新な企画だったといえます。

「ディケイド」において特徴的であるのは、
主人公が巡るライダー世界はパラレルワールドであって、
オリジナルの作品世界とは明確に違う世界として描写されており、
そこに登場する歴代平成ライダーもオリジナルとは別人であるという点でした。
そうすることによって、主人公のディケイドの存在感が歴代ライダーに食われてしまわないようになっており、
これは「メビウス」の失敗に学んだ措置だといえます。
しかし、ここで肝心なのは、そうして存在感を相対的に高めた主役のディケイド自体の物語が
どのようであるのかということです。

この物語はもともとはディケイドがライダー世界を巡りながら
自分の失われた記憶を想い出していくという物語であったはずであり、一種の「自分探し物語」なのです。
そしてディケイドが失われた自分の記憶を回復するカギとなるものが、
9つのライダー世界のパラレルワールドで彼が見出した9つのライダーの精神であるようであることから想像して、
ディケイドの正体とは、9つのライダー世界の融合した世界における究極の仮面ライダーなのだと思われます。

しかもそれが「失われた記憶」となっているということは、
過去において存在した1つの世界が9つに分裂して生まれたのが9つのライダー世界であるというのが、
実は「ディケイド」の物語世界の真実なのだと想像できます。

9つに分裂した世界で生まれた9人のライダーは自分達の世界の存在意義を守るために、
世界の再融合を阻止しようとしている。
ところがそれぞれの世界から生じたパラレルワールドが融合を開始してしまい、
それによって元の原初世界が復活してしまい、ディケイドが完全復活してしまい、
そうなれば9つの世界も9つの世界のライダーも存在意義を失う。

そこで9つの世界のライダー達はパラレルワールドの融合を阻止するため、
かつて原初世界の分裂と共にかつての記憶を失った状態にあったディケイドを復活させ、
記憶の無い彼に「世界が融合すると世界が滅亡する」と嘘を吹き込んで
パラレルワールドを破壊させようとする。

ところがディケイドは無意識的にパラレルワールドの破壊という道は選ばず、
巡り歩いたそれぞれの世界でライダーの精神に触れ、
記憶を取り戻すカギを彼が所持するブランクとなっていたライダーカードを復活させることで集めていく。

ディケイドと共に旅をするヒロインの夏海や、
ちょっかいをかけてくる2号ライダー的存在のディエンドや、
ディケイドによるパラレルワールドの破壊を阻止して世界の融合を進めようとする鳴滝というようなキャラも、
もともとは原初世界の住人がディケイド同様に記憶を失いながら、
世界の融合・再構築に向けて無意識的な行動をとっている者達と考えられます。
ディエンドの集めようとしている「お宝」というのも
ディエンド自身の記憶の回復や世界の融合・再構築のために必要なアイテムなのでしょう。

そうして9つのパラレルワールドを巡る旅を終えて、全てのライダーカードを復活させた時、
ディケイドの記憶は戻り、バラバラになった9つの世界を融合させて
原初世界を復活させることが自分の真の使命だということを思いだします。
そして、その原初世界の復活を阻止するためにディケイドを始末するべく、
9つの世界のオリジナルのライダー達が立ち向かい、
それぞれの世界の命運を賭けたライダー大戦が勃発する。

もともとは「仮面ライダーディケイド」というのは、
こういう物語として構想されていたのではないかと思います。

第19話で9つのライダー世界の旅を終えた後、
第20話から第31話までの物語後半はライダー大戦が描かれ、
そこにはオリジナルの9つの世界の仮面ライダーも
オリジナルキャストで登場させる構想だったのではないかと思います。
第1話で前作「仮面ライダーキバ」のオリジナルキャストの瀬戸康史を紅渡役で登場させていることからも、
そうした構想は存在したことは窺えます。

少なくともパラレルワールドだけで9つのライダー世界を描くつもりではなく、
オリジナルのライダー世界も別に存在しているという物語世界であったことは間違いない。
ならばパラレルワールドを巡る旅を終えた後は、
物語後半はいよいよ紅渡の再登場も含めて、
オリジナル9世界のライダーがオリジナルキャストで登場するというのが自然な流れです。

この物語構想であれば、主役のディケイドはメビウスのような後輩ヒーローではなく、
むしろ9つの世界のライダーのオリジナルといえる究極のライダーであり、非常に存在感の強いキャラとなります。
しかも物語前半は競演する歴代ライダーはオリジナルのライダーではないのですから、
ディケイドが食われる心配は無く、
そうやって物語前半に確立したディケイドのキャラでもって物語後半に本物の歴代ライダーと、
共闘ではなく、本当に敵として戦わせることで、
完全にディケイドを主役とした物語を貫徹しようとした企画だといえます。

これは「メビウス」の欠点を克服しようとした試みであったと思われますが、
同時に「メビウス」の長所であった「歴代作品への愛」にやや欠けると言われても仕方ないでしょう。
いや、前半のパラレルワールド篇の描写を見る限り、
制作サイドに「平成仮面ライダーシリーズ」への深い愛情が存在することは確かなのですが、
しかし過去作へのオマージュだけではディケイドの物語が成立しないというのも「メビウス」の教訓ですから、
結局は「ディケイド」においては「ライダー大戦」というカタストロフィーへと物語は進んでいかねばならない。

そうなると歴代ライダーはどうしても主役ディケイドの敵対者ということで、悪役という扱いになってしまいます。
もちろん悪役といっても単なるやられキャラなどではなく、善か悪か明確ではない扱いとなるであろうし、
結末も和解エンドや歴代側が勝利するエンドも有り得たと思います。
並の悪役ならば破格の好待遇となりましょう。
しかし、歴代ライダーはかつては主役ヒーローだった存在ですから、その扱いはやはり特別でなければいけません。

特にオリジナルキャストを呼ぶ場合、その扱いは細心の注意が必要です。
物語上は主役としては扱えないのですが、それでも主役として扱わなければいけない。
理不尽なようですが、1年間主役ヒーローを張ったキャラとはそういうものであり、
また、それが主役ヒーローを1年間務めた役者さんに対する礼儀というものです。
また、その主役ヒーローに憧れたかつてのファン達に対する礼儀でもあります。

だから、たとえ最終的に和解エンドにしようが、歴代側が勝つエンドになったとしても、
主人公と敵対する役柄では、オリジナルキャストは呼べません。
そういう点、やはり「ディケイド」には歴代ヒーローに対するリスペクトが足りなかったといえます。

この物語構想はあくまで脚本上の構想に過ぎず、
実際に物語後半の展開の中でオリジナルキャストを呼べるかどうかという問題は別問題です。
それは東映が交渉するわけですが、この内容ではオリジナルキャストが呼べずに、
脚本上の物語後半の構想は破綻し、
その過程でメインライターの會川氏と東映との間で妥協点が見いだせなくなって
會川氏が降板することとなったのでしょう。

そして物語後半は単にディケイドの次元超越の能力を活かした外伝的なエピソードで
ネガの世界やディエンドの世界という当初の物語構想とは無関係の世界まで巡り、
果てはシンケンジャーの世界にまで行って初のライダーと戦隊のコラボをするなど、
それなりに内容的には面白いけれども「ディケイド」の物語としては意味不明な展開を続けた後、
根拠不明確な昭和ライダーまで含めたクロスオーバーのお祭り企画であった夏のディケイド劇場版
「オールライダーVS大ショッカー」に近い、
大ショッカーなる奇妙な組織と戦う荒唐無稽な世界観のBLACKの世界やアマゾンの世界、
ライダー大戦の世界へと至り、物語は終わりました。

最終話になってようやく世界の融合の物語が急展開し、
紅渡や剣崎一真を一瞬だけオリジナルキャストで登場させ、
当初の構想の片鱗のようなものを見せてライダー大戦に突入した場面で終わりましたが、
これは最後に無理矢理に物語の辻褄を合わせただけという印象です。

その後、ディケイド完結篇として劇場版も作られましたが、
TV本編最終話のライダー大戦の続きではなく、ライダー大戦の後日談的な内容で、
これも「オールライダーVS大ショッカー」に近い世界観の物語であり、
結局は当初は物語後半の核となるはずだったと思われる「ライダー大戦」というものは、
まともに描かれることはなくディケイドの物語は終わりました。

この「メビウス」と「ディケイド」という先行する2つのクロスオーバー作品は
「ゴーカイジャー」に大きな影響を与えていると思われます。

「メビウス」「ディケイド」ともに商業的には大成功していますので、決して失敗作ではないのですが、
この商業的成功は、「ウルトラマン」と「仮面ライダー」という日本を代表する2大ヒーローブランドの
歴代戦士クロスオーバー企画にパイオニアとしてチャレンジしたことそのものに対する報酬のようなもので、
それだけ大きな冒険に打って出た以上、大きなリターンがあるのは当然といえます。

とにかくクロスオーバーを実現してくれただけでマニア的には大喜びなわけで、
しかもこの2大ブランドはそのマニアだけでも巨大市場を形成するほどの厚みがあります。
その結果の商業的成功であるわけで、
言い換えれば内容的にはイマイチでも大きな反響は期待出来るわけです。

まぁ実際のところは「メビウス」「ディケイド」ともに1つのヒーロードラマとしては
イマイチなどではなく、十分に水準以上の出来であったので、
商業的な大成功は当然の結果といえます。

ただクロスオーバー企画としては両作品ともに上出来とは言い難い内容であったと思います。
「メビウス」は先輩戦士に学ぶ後輩戦士の成長物語という、あまりに無難な内容であったために、
主人公が歴代戦士に食われて印象が薄くなってしまいました。
一方「ディケイド」はその反対に、
自分の世界を守るために歴代戦士と敵対する主人公戦士という斬新な設定で主人公のキャラを立てましたが、
それはあまりに歴代戦士へのリスペクトが足りず設定自体が崩壊してしまいました。

特に「ディケイド」に関しては物語後半は明らかに物語が破綻しているのですが、
むしろこの物語後半の破綻を更に決定的にした昭和ライダー世界の導入によってこそ、
商業的な成功が加速されていったわけですから、
「仮面ライダー」というブランドに対する需要が高年齢層にまで根強く、
そこに対するアピールはもはや作品の良し悪しなどは超越した社会現象となっていたのだと言えます。
「メビウス」の好評の主要な要素もこうした需要に負うところが大きかったと思います。

ならば「ゴーカイジャー」も、これらの先行2作品のように物語の完成度は多少低くても、
歴代クロスオーバーの強みで成功は約束されるのかというと、そうは簡単ではないでしょう。
「スーパー戦隊」というヒーローブランドは、ウルトラマンや仮面ライダーよりも
よほど子供向けコンテンツとしては優等生であるにもかかわらず、
いや、優等生でありすぎるためなのか、大人も含めた社会全般に対しては
ウルトラマンや仮面ライダーに比べて、あまり訴求力は無いのです。
つまり完全に子供向けブランドとして地位が確立されてしまっていて、大人があまりロマンを感じないのですね。

だから「ゴーカイジャー」は「メビウス」や「ディケイド」のような
社会現象の追い風を受けることは出来ない。
となると、物語が上出来でなければ、すぐに飽きられてしまいます。
また、昭和ウルトラマン7作品のみとクロスオーバーすればよかった「メビウス」や、
平成仮面ライダー+αの12作品(劇場版でコラボした分も含めれば21作品)とクロスオーバーした
「ディケイド」と比べ、
「ゴーカイジャー」はスーパー戦隊シリーズ34作品とコラボしなければいけない分、
クロスオーバーの方法でしくじれば、それによる物語の破綻の被害は
「メビウス」や「ディケイド」の比ではありません。

だから「ゴーカイジャー」の場合、「メビウス」や「ディケイド」の反省を踏まえて、
クロスオーバーの方法論を改良して物語の質の向上を図ることが最重要課題となったのであろうと思います。

まずプリキュアのようにアニメでなく実写作品である以上、
一緒に画面に出せば、歴代戦士たちはどうしてもゴーカイジャーよりも先輩格に見えてしまうことになるので、
何の捻りもなく新ヒーローとしてゴーカイジャーを登場させて34戦隊と絡めれば、
「メビウス」のような感じの先輩後輩ものになってしまいます。

しかし、それでは1年間ゴーカイジャーの物語を魅せることは難しいというのは
「メビウス」で既に判明しています。
ならば、それを打開する前例はというと、これまでのところ存在するのは
「ディケイド」で提示された方法論だけです。

つまり、それぞれの戦隊の物語世界が存在し、
それらの融合によって生じる危機にゴーカイジャーが対処するという形です。
そもそも「メビウス」におけるウルトラマン世界と違って、
スーパー戦隊シリーズの各作品の物語世界は、
「ディケイド」における平成仮面ライダーシリーズ9作品の場合と同じく、
もともと何の繋がりも無い別世界なのですから、
「ゴーカイジャー」における各作品の物語世界同士の関係は「メビウス」方式ではなく
「ディケイド」方式にならざるを得ない。
つまり、物語世界の融合という世界構造からは逃れられません。

そして、そこで主人公戦隊のゴーカイジャーを立てようとするならば、
ディケイドのように世界融合の危機に対処するヒーローということになります。
ただ、それは必然的にディケイドのように歴代戦士との対立構図を生みます。
しかし、それはシリーズ歴代戦隊とのクロスオーバーにおいて、
礼儀として絶対にやってはならないことだということは「ディケイド」の物語の破綻から学んだことです。

つまり、歴代クロスオーバーを成立させるためには「メビウス」方式が最適だが、
主人公戦隊の物語を1年間しっかり立てるには「ディケイド」方式が良いということになります。

そこで「ゴーカイジャー」においては、
基本的に「ディケイド」方式で物語を構築しながら、
歴代戦隊やそのオリジナルキャストへのリスペクトを保つために、
その「ディケイド」的な世界観は表には出さずに、
表向きの物語は「メビウス」と「ディケイド」の中間的なものとしたのだと思われます。

そのようにして、本当は明らかに「メビウス」とは一線を画した「ディケイド」的な物語でありながら、
「ディケイド」のような形で物語が破綻しないようにギリギリのところで
「メビウス」っぽさを狙ったのでしょう。

この「ゴーカイジャー」という物語は、歴代34の戦隊が地球を守って戦い続けてきた世界が舞台となっており、
主人公の35番目の戦隊のゴーカイジャーが、
メビウスのように礼儀正しくはない無頼で生意気なキャラではあるものの、
それでも34戦隊と接していきながら、立派なヒーローへと成長していく物語になっています。

つまり主人公が不良っぽい海賊であるという点を除いては、
一見ほぼ「メビウス」に近い物語のように見えます。
特に中盤になって「メビウス」の主人公ヒビノ・ミライ的キャラである
地球人の正統派未熟系ヒーロー伊狩鎧がゴーカイジャーに加入して以降は、
いっそう「メビウス」的な物語のように見えていくようになりました。

しかし、この物語世界は根本的に「メビウス」とは異なる、一種、異様な世界です。

シリーズ歴代クロスオーバー企画の長期テレビドラマでクロスオーバーの根拠を薄弱とすることは出来ないはずです。
ところが、そもそも34のスーパー戦隊はウルトラ兄弟とは異なり、
同一の物語世界の存在ではないはずなのに、何故かこの物語世界では全ての戦隊が一緒に存在しています。
しかも歴代戦隊は変身して戦う力を喪失しているという、一種の本来の姿ではない状態になっています。

そして主人公のゴーカイジャーは単に地球を守るために戦うヒーローとしての務めを果たすだけではなく、
むしろその主要な行動目的は「お宝」を探すことであり、
旅をして様々な戦隊と出会って、その戦隊の精神を知ることによって、
自分の中に秘められた同一の精神を目覚めさせていくことによって、
ゴーカイジャーの所持するレンジャーキーというスーパー戦隊の戦士へと変身するためのアイテムの中の
パワーを全て引き出せるようになっていき、
それが34戦隊全部コンプリートすることで、「お宝」が手に入るという物語構造になっています。

これは「メビウス」とは全く異質な世界観であり、
むしろ「ディケイド」の物語世界の構造に不気味なほど似ています。

本来同一ではない世界の住人同士の同時存在、
オリジナルと違う不自然な世界、
ヒーローと出会うために旅をするヒーロー、
ヒーローの精神を知ることによって自分のヒーロー性に覚醒してアイテムのブランクを埋めていく作業の反復、
ブランクの埋まったアイテムを揃えれば主人公の目指すものが手に入るという結末・・・

こういうモチーフは、「ディケイド」と「ゴーカイジャー」に共通しています。
「ディケイド」は「ゴーカイジャー」の2年前に同じ東映が制作した歴代クロスオーバー企画作品ですから、
これが偶然の一致であるわけはなく、
「ゴーカイジャー」は間違いなく「ディケイド」の大きな影響を受けていると見るべきでしょう。

つまり「ゴーカイジャー」も「ディケイド」同様、「物語世界の融合」を題材とした物語なのです。
但し、細部をよく見ると、この「ゴーカイジャー」の物語世界は
「ディケイド」の物語世界のように「複数の物語世界が融合しようとしている世界」なのではなく、
「既に複数の物語世界が融合した後の世界」であるようです。

そのことに気付いたのは、最終篇に入って、
「この物語世界の歴史をリセットしてやり直すためには、34戦隊の存在を消さなければならない」という、
極めて不可解な条件が提示された時でした。
これはつまり、この物語世界に融合していた34戦隊の世界を切り離すことによって、
この物語世界の危機を救い、世界を本来の姿に戻してやり直すという意味に解釈すれば、
すんなり腑に落ちます。

この物語終盤になってから、私はそうした推論をもとにして物語の考察をしてきましたが、断定は避けてきました。
それは最終話の最後の瞬間まで、もしかしたら上記したようなこの物語における不自然な点や不可解な点について、
この「物語世界の融合論」とは別の納得のいく説明がなされるかもしれないと思っていたからです。

しかし、何ら、それらしい説明はちゃんとした形でされないまま、物語は終了しました。
その結果、全ては謎に終わったのではなく、私は自分の推論が正解だったのだろうと確信しました。
他の説明が制作サイドから公式に提示されなかった以上、
私の推論以外にこの物語の不可解な点を説明出来る論理は存在しないわけですから、
自動的に私の推論が正解だったということになるのです。

もちろん公式には謎のまま終わっているのですから、
公式に私の推論が正しいと認められるべきだとは言いません。
あくまで、私のこのブログの中では自分の推論が正しかったと確信し、
断定することが出来るようになったというだけのことです。

しかし、公式に言及されてもいないことを断定するのは思い切ったことのように思われるかもしれませんが、
この推論の場合、むしろ公式に言及されていないからこそ、
それが正解だったのだと確信することが出来たのです。
何故なら、この推論が極めて「ディケイド」的な世界観そのものだからです。

「ディケイド」的な斬新すぎる世界観は、歴代ヒーローへの礼を失するものであるので、
実は「ゴーカイジャー」の物語世界の本質は「ディケイド」的なものであるということは、
「ゴーカイジャー」が歴代クロスオーバー企画として安全に物語を決着させたいのなら
公式に認めるわけにはいかないのです。

本当は「ディケイド」的な融合世界の物語の中で主人公と歴代戦士との間で緊張関係が生じていた
「ゴーカイジャー」という作品は、
そのことはあまり表には見えないようにして、
上手く「メビウス」的作品のように見せかけて終えることに成功したのです。

つまり、結局ゴーカイジャーは世界を解体しなかった。
「ゴーカイジャー」という物語は
「融合してしまったことで危機に陥った世界を解体することによって救う戦士たちの物語」だと
読み解くことが出来ます。
これは「解体してしまった世界を融合させることで救おうとする戦士の物語」である「ディケイド」と、
同じタイプの世界観でありながら、全く方向性が逆同士の物語なのだといえます。

ところが、ゴーカイジャーは世界を解体せずに融合したまま
34戦隊世界のヒーロー達と共に世界を救う真の解決策を見出した。
ならば、もしかしたらディケイドの本来構想されていた結末は、
ディケイドが世界の融合によって自分の世界を復活させることを諦め、
9つのライダー世界のヒーロー達と共に解体したままの世界を救う
真の解決策を見出すというものであったのではないかとも思えます。
いや実際、当初構想とはかなりズレた形ではあろうと思われますが、
夏の劇場版「オールライダーVS大ショッカー」の結末はそのような、
一旦世界を融合させたディケイドが最終的には解体された世界を選ぶという結末でした。

ただ、「ディケイド」はその物語世界の深層まで最初から明らかにしてしまったために、
歴代ライダーへの礼を失してしまい、クロスオーバー企画そのものが行き詰ってしまった。
その失敗を踏まえて、「ゴーカイジャー」では、その物語世界の深層、
つまり「融合世界の解体に向かっていく物語」という世界観は最初から最後まで明らかな形で語られることはなく、
ただその物語世界を裏から支え続けただけでした。
そして、ほんの一瞬、その深層が最終篇の時に垣間見えたかと思った瞬間、
物語は世界の融合を肯定した上での真の解決によって、まるで「メビウス」のように綺麗に終わったのです。

だから、何となく見ていると「ゴーカイジャー」という物語は、
まるで「メビウス」のような、真っ直ぐで爽快なヒーローの成長物語として気持ちよく見ることが出来ますし、
歴代戦隊への愛を深く感じ取ることも出来ます。
そして、それでいて「メビウス」で感じられたような主人公の印象の弱さや物足りなさは
ほとんど感じられないというのは、
この「ゴーカイジャー」という物語の本当の姿である「ディケイド」のような黙示録的世界が、
決して表に出ることなく控え目に物語世界を裏から支える程度に絶妙の按配で抑制されているからなのです。

それゆえ、ここでこの物語のエピローグに触れる前に考察すべき対象は、
当然、この「ゴーカイジャー」という物語の深層の部分ということになります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:17 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その6

ザンギャックの大艦隊を撃滅して地球の危機を救った後、
遂に完全に35番目のスーパー戦隊となった宇宙海賊マーベラス一味の6人は、
アクドス・ギルとの決着をつけるべく、ゴーカイジャーに変身するため、レンジャーキーを取出し、
「豪快チェンジ!!」と叫び、レンジャーキーをモバイレーツに挿し、「はっ!!」と前に突き出します。

するといつもの変身バンク映像が、宇宙空間を「X」「X」の文字(鎧だけは錨マーク)が飛んできて
6人のゴーカイジャースーツが装着されたところで中途半端に途切れ、
メット装着場面が無いままバンク映像が終わりました。
どうしたのかと思うと、続けて、なんとマーベラスが首から下はスーツを装着して
首から上の頭部だけが素面の状態、いわゆる「メットオフ」状態で
「ゴーカイレッド!」といつもの名乗りポーズを決め、
そこに「X」「V」の赤い文字が飛び込んできてメットが装着されるという演出が披露されたのです。

そして海賊旗が一瞬はためいて、次にジョーの名乗り場面となり、
ここでもマーベラス同様、メットオフ状態のジョーが「ゴーカイブルー!」といつもの名乗りポーズを決めてから
「X」「V」の青い文字が飛び込んできてメットが装着されます。

以下、同様の演出でルカが「ゴーカイイエロー!」、
ハカセが「ゴーカイグリーン!」、
アイムが「ゴーカイピンク!」、
鎧が「ゴオオオオカイ!シルバアアッ!」と順々に名乗りを上げていき、
最後に6人全員が完全変身状態になった段階でマーベラスが「海賊戦隊!」と号令をかけ、
全員が「ゴーカイジャー!!」と叫び、全員名乗りのポーズを決めたのでした。
同時に6人の背後で派手な爆発の演出となります。

これはいわゆる、スーパー戦隊シリーズ恒例の、最終話付近に行われる「素面名乗り」というやつです。
まぁ恒例といっても毎年必ずあるわけでもなく、実は案外少ないです。
ダイレンジャーが最初で、カーレンジャー、メガレンジャー、ゴーゴーファイブ、ガオレンジャー、
ハリケンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーにおいて実施例があり、
過去34作品の中で実は10作品しか素面名乗りはやっていません。

しかもこのうち、ちゃんとした戦闘時のシチュエーションで個人名乗り付きの例は、
ダイレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、
ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの7作品で、
恒例とは言っても、恒例化されたのは実はごくごく近年のことです。

ダイレンジャーで初めて素面名乗りが描写された時というのは
「変身不能の時に仕方なく」という理由がちゃんとありました。
いや、そんなのは理由にならんですね。
変身不能の時に戦うのは自由だけど、別に名乗りまでやる必要は無いので。

ダイレンジャーの時というのは、ダイレンジャー篇の時にも触れましたが、
「変身出来なくてもダイレンジャーだ」という心意気を示すためだったわけです。
その後、20世紀の時期に素面名乗りをやった戦隊は、
みんな劇中でちゃんと素面で名乗りを上げる理由は描かれていました。

ところが21世紀に入って、ガオレンジャー以降は劇中で特に理由も描かれることなく
最終話付近になると素面名乗りをやるようになっていきました。
つまり「お約束化」してきたのです。

ただこの時期はまだ恒例化はしていません。
よく見てみると、今はライダーシリーズの方に異動になった塚田英明氏が
チーフプロデューサーを務めた作品においては、この素面名乗りはやらない傾向にあるようです。
「名乗りはあくまで変身後にするもの」というポリシーが塚田氏にはあるのかもしれません。

もしそうであるなら、確かにそれは塚田氏の方が正論ではあるでしょう。
名乗るのはあくまで変身後のコードネームなのですから、
変身前の素面でコードネームを名乗るのも変といえば変です。
だから、理屈としては特に理由の無い素面名乗りはやらない方が正解なのでしょうけれど、
やっぱり最終話あたりで素面名乗りがあると燃えるのも事実ですから、
まぁ、あくまで娯楽番組ですから、素面名乗りもアリだと思います。

ただ、どうしてもドラマの作り手からすると、何の理由も無く素面名乗りをさせるのは抵抗があるのか、
この、今までちゃんとした素面名乗りをやったダイレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、
ボウケンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの7作品のうち、
本当に何の理由も無く素面で名乗りを上げたのは
ハリケンジャー、ボウケンジャー、シンケンジャーの3作品だけです。

この3戦隊は唐突に完全なる全身生身状態で
個人名乗りの最初から全体名乗りの最後まで素面名乗りを実施した後、普通に変身しており、
一体何のために素面で名乗ったのかよく分かりませんでした。
このパターンというのは実はかなり画的には間抜けで、
この3戦隊および、元祖素面名乗りのダイレンジャーの4戦隊の場合に、
この理由も無く長々とした完全生身素面名乗りが画的に成立しているのはどうしてなのかというと、
各自の個人名乗り時のポーズが複雑な動きであり、見栄えがするからなのです。
その見栄えの良さで唐突な印象を上手く誤魔化して生身素面名乗りを成立させているのが
ダイレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、シンケンジャーの4戦隊といえます。

すると、残りのガオレンジャー、ゴーオンジャー、ゴセイジャーの3戦隊の素面名乗りは何なのかというと、
これはちゃんと理由のある素面名乗りになっています。
というか、厳密には素面名乗りではないのかもしれません。

この3戦隊の場合、正確には変身動作の途中で名乗っているだけなのです。
敵と戦うために当然のごとく変身をするわけですが、
その途中で素顔が出ている状態の時に名乗りを入れているわけです。
これなら唐突な印象は全く無く、非常に自然な流れです。
また、この3戦隊の場合、上記の完全素面名乗り4戦隊に比べて、個人名乗りポーズがかなりシンプルであり、
このシンプルなポーズは変身スーツ姿でこそ映えるが、
私服でこのシンプルなポーズをとった場合、あまりカッコよくないと思われます。

だから、考え方としては、
個人名乗りポーズがシンプルな戦隊は変身動作の途中で名乗りを入れる形の変則的な素面名乗りが適しており、
個人名乗りポーズが複雑で見栄えがする戦隊の場合は完全生身素面の名乗りを上げてから変身する方が
適していると言えます。
で、ゴーカイジャーというのは明らかに前者ですから、
今回のような変身動作途中の素面名乗りという形になったのでしょう。

さて、そうして変身しながら名乗りを上げたマーベラス達は
「うぬうう・・・」と唸るアクドス・ギルと対峙し、
マーベラスは「最後だからな・・・ド派手にいくぜぇっ!!」と威勢よく叫び、
アクドス・ギル目がけてゴーカイガンをぶっ放し、戦闘開始の合図とします。

「最後だから」というのは、ザンギャックとの決着をつける最後の戦いであるという意味でもあり、
メタ的な意味で、この作品における最後の戦闘シーンになるという意味でもあります。
この最後の戦闘シーンは、まさに「ゴーカイジャー」という作品のラストバトルを飾るに相応しい、
この作品の最大の特徴である「歴代戦隊への多段変身アクション」の集大成のシーンとなります。

まずマーベラスの撃った弾を「うぬっ!」と剣で受けたアクドス・ギルが
「やあっ!!」と剣を一閃し、反撃の衝撃波を6人に向けて飛ばしたところ、
6人は「豪快チェンジ!!」と叫び多段変身、
鎧はシリーズ第34作「天装戦隊ゴセイジャー」の追加戦士ゴセイナイトに変身して、
ディフェンストームカードで突風の壁を作り、衝撃波を相殺して防ぎます。

ちなみに、このようにディフェンストームカードで起こした風で
敵の空気の振動を利用した攻撃を相殺するというディフェンストームの上手い使い方は
この作品でよく見られました。

こうして鎧が防御している間に鎧の背後では、
それぞれ多段変身を追えたルカ、ハカセ、アイムが左右に散り、
一方、鎧の背後から大きく跳び上がって前方に飛び出してきたのは、
シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」の赤の戦士アカレンジャーに変身したマーベラスと、
シリーズ第2作「ジャッカー電撃隊」の青の戦士ダイヤジャックに変身したジョーでした。

アクドス・ギルの頭上に飛び込んだマーベラスは
アカレンジャーの個人武器のヤリビュートを「はあっ!!」と振りおろし、
並んで飛び込んだジョーもダイヤジャックの個人武器ダイヤソードを「ふんっ!!」斬りおろします。
しかし、さすがにアクドス・ギルにこの初撃がいきなりヒットするはずもなく、
アクドス・ギルは剣でヤリビュートとダイヤソードを受け止めると、弾き返します。

するとマーベラスとジョーはその衝撃を殺すように2人並んで華麗に後方宙返りして着地し、さっと左右に散ります。
そこに突っ込んできていたのが、
シリーズ第3作「バトルフィーバーJ」の黒の戦士(緑の戦士との説もある)のバトルケニアに変身したハカセ、
そしてその後ろにピッタリくっついて続くのは
シリーズ第5作「太陽戦隊サンバルカン」の黄の戦士バルパンサーに変身したルカでした。
ちなみに、このルカのバルパンサーはこの作品では何度も登場しましたけど
「にゃっ!」という脱力系の掛け声が印象的で素晴らしかったと思います。

このハカセとルカの2人がアクドス・ギルの不意をついて懐に飛び込み、
ハカセは「おりゃあ!」とバトルケニアらしい野性味溢れる荒々しいアニマルアクション、
ルカは「よっ!はっ!」とバルパンサーらしい身軽な身のこなしのアニマルアクションをそれぞれ駆使して
肉弾戦を挑みますが、アクドス・ギルはまだまだ余裕で、2人に有効打は入れさせません。

このハカセとルカの2人が深追いはせずに、さっと飛び退いて遠ざかったところに、
アクドス・ギルの背後から飛び込んできたのは、
シリーズ第4作「電子戦隊デンジマン」のピンク戦士であるデンジピンクに変身したアイムでした。
さっき鎧がアクドス・ギルの攻撃を防いでいる間に5人が最初に変身していた戦士は、
このようにシリーズ第1作から第5作までを代表する5戦士であったことが、これで判明したことになります。

さてアイムは、この作品でデンジマンといえばこればっかりだったという印象の、
デンジマンの共通武器であるデンジパンチの渾身の一撃を
「デンジパンチ!!」と叫びながらアクドス・ギルに打ち込みますが、
振り向きざまアクドス・ギルはこれで手にした剣の刀身で難なく受け止め、
肘打ちでアイムを突き飛ばします。

「ああ!?」と転がるアイムを飛び越えてそこに飛び込んでアクドス・ギルに斬りかかったのは、
さっきと同じゴセイナイト姿の鎧でした。
鎧の振り下ろしたゴセイナイトの剣型個人武器のレオンレイザーソードは
アクドス・ギルに刀身を掴まれて止められてしまいますが、
鎧はそれは折り込み済みであるかのように、剣を振り下ろしながら
「マーベラスさん!ジョーさん!」と合図を送っていました。

その合図に応えて、
アクドス・ギルがレオンレイザーソードを受け止めたのと同時に、
鎧の背後に隠れて迫っていたアカレンジャー姿のマーベラスとダイヤジャック姿のジョーが
鎧の背後から跳び上がります。
そして2人は鎧の両肩を踏み台にして2段ジャンプをして更に高く跳びながら
「豪快チェンジ!!」と叫び空中で更なる多段変身と遂げながら
アクドス・ギルの頭上を飛び越してその背後に着地します。

そこでマーベラスが変身したのは、
シリーズ第30作「轟轟戦隊ボウケンジャー」の赤の戦士であるボウケンレッドでした。
一方、ジョーが変身したのは、
シリーズ第17作「五星戦隊ダイレンジャー」の青の戦士であるテンマレンジャーでした。

あるいはここはシリーズの歴史を順番に追っていく多段変身なのかとも思いましたが、
そういうわけでもないようで、ここで一旦、シリーズ初期作品からは離れます。
しかし、ここまでよく見たら、6人全員が普段から自分が担当している戦士に変身しながら
順調に8戦隊を消化していき、
しかもアクションの登場順に無理が無い描写でありながら、
ちゃんと剣術アクションのペア、肉弾戦アクションのペアというように、
アクションのスタイルも合わせてペアまで作っているのですから、非常に構成は巧みといえます。

ここでマーベラスは「たあっ!!」と叫び、
ボウケンレッドの槍型の個人武器ボウケンジャベリンを繰り出し、
ジョーはダイレンジャーの共通装備であるダイレンロッドを「おおうっ!!」と突き出してきます。
つまり、ここは槍と棍という違いはあるものの、柄の長い武器を使うペアで合わせてきているわけです。

これでアクドス・ギルは正面に鎧、背後にマーベラスとジョーというように二正面に敵を受ける形となりますが、
この二正面からの攻撃も素早い剣で捌いていきます。
しかし、アクドス・ギルがマーベラスのボウケンジャベリンとジョーのダイレンロッドを受け止めている間に、
さっと鎧は後ろに跳び退きます。
そこには既にルカとハカセとアイムが次の多段変身の準備のために回り込んでおり、
鎧も揃ったところで4人一斉に豪快チェンジします。

ここでルカが変身したのはシリーズ第11作「光戦隊マスクマン」の黄の戦士のイエローマスクであり、
ハカセが変身したのはシリーズ第7作「科学戦隊ダイナマン」の黒の戦士のダイナブラックであり、
アイムが変身したのはシリーズ第18作「忍者戦隊カクレンジャー」の白の戦士のニンジャホワイトであり、
鎧が変身したのはシリーズ第26作「忍風戦隊ハリケンジャー」の追加戦士シュリケンジャーでした。

この両手で印字を組んで変身した4戦士は忍者戦士カルテットです。
ニンジャホワイトとシュリケンジャーが忍者であるのは言うまでもありませんが、
イエローマスクとダイナブラックは共に忍者の末裔で、忍術アクションが得意技の戦士でした。
この2人は結構特徴的な忍術アクションが見ものだったのですが、
この作品ではあまり見せ場は無くて少し残念でしたが、ここでようやく見せ場です。

ここでは、まずハカセが「ブラック分身!!」、ルカが「影分身!!」とそれぞれ掛け声をかけて、
ダイナブラックの得意の分身の術であるブラック分身の術と、
イエローマスクの影分身の術を同時に繰り出して、
多数のハカセとルカの分身が呼び込んでアクドス・ギルの背後を襲いました。

マーベラスとジョーの攻撃に対処していたアクドス・ギルは慌てて振り返って、
突っ込んでくるハカセとルカに分身に対処します。
同時にマーベラスとジョーはあえて背後から攻撃はせずに、さっと身を翻して遠ざかり、
次の攻撃の準備に入ります。
下手に背後から攻撃してもそう簡単に通用する相手ではないことは分かっているのです。

アクドス・ギルはハカセとルカの多数の分身に剣で対処しますが、
さすがに全部の分身を捌き切れず、何発も身体に攻撃を受けますが、
まだこれぐらいでは全くダメージは受けていません。
しかし、マーベラス達の攻撃も、最初の方のごく普通の攻撃ではなく、そろそろ特殊な技を使い始めており、
小手調べは終わって本気の攻撃に移行してきています。
それと同時にマーベラス達の攻撃がアクドス・ギルの身体にまともにヒットし始めてきているのです。
これはさっきのギガントホースでの戦いの時には考えられなかったことです。

そしてダブル分身攻撃に間髪入れず続いての攻撃は忍者カルテットの残り2人です。
鎧はシュリケンジャーをファイヤーモードにチェンジして
「秘打・・・千本ノック〜!!」と掛け声をかけて、シュリケンズバットでボールを打ちまくる
宇宙統一忍者流の超忍法・秘打千本ノックをここで使います。
同時にアイムは「折鶴の舞!」と叫び、多数の白い折鶴型の爆弾を掌から発射する、
ニンジャホワイトの得意とする隠流忍術の折鶴の舞をここで繰り出します。

これは両方の術ともに、猛スピードで多数の細かいものを飛ばして敵を攻撃する技であり、
先ほどの分身への対処に引き続き、アクドス・ギルはまたも忙しく剣を動かして、
飛んでくるボールと折鶴を叩き落としていきます。
さすがにこの波状攻撃を捌ききるあたりはアクドス・ギルも大したもので、
アイムと鎧の攻撃が途絶えると、両肩から光弾を発して、アクドス・ギルは反撃してきました。

しかし、こうしたアクドス・ギルの攻撃は確かに個々の戦隊の力よりも強力ではありますが、
今はもうマーベラス一味の方も割と容易く避けることは出来るようになっています。
劣勢でも諦めることなく命を懸けて粘り強く戦っていくうちに活路を見出していくのが戦隊の戦い方なのです。

この光弾を左右に散って避けた忍者カルテットは、右手に飛んで避けたアイムとルカが次の多段変身を遂げます。
アイムが変身したのはシリーズ第6作「大戦隊ゴーグルファイブ」のピンク戦士であるゴーグルピンクであり、
ルカが変身したのはシリーズ第14作「地球戦隊ファイブマン」の黄の戦士であるファイブイエローです。
この2戦士の共通項は、リボンを武器に使うという点です。

アイムは「ピンクリボン!」と叫んでゴーグルピンクの新体操のリボン風の個人武器であるピンクリボンを振り、
ルカは「メロディタクト!」と叫んでファイブイエローのタクト状の個人武器であるメロディタクトから
リボンを射出して、ピンクと黄色の2本の長いリボンがアクドス・ギルに向けて伸びていきます。

その2本のリボンで狙ったのはアクドス・ギルの両腕でした。
おそらく本来のアクドス・ギルなら、こんなリボン攻撃で腕を絡め捕られることも無いのでしょうけれど、
忍者カルテットの分身やボールや折鶴に忙しく対処していた腕が多少疲労が蓄積していたようで、
両腕をリボンで締められてしまいました。

そうして腕が引っ張られて持ち上げられた瞬間、
がら空きになったアクドス・ギルの腹部に向かって、赤、青、黒の3つの人影が
まるで風のように凄まじいスピードで3方向から突っ込んできて、
何度も往復しながら多数の打撃を加えたのでした。

この3つの人影は、
まず赤い人影は
マーベラスが変身した、シリーズ第20作「激走戦隊カーレンジャー」の赤の戦士のレッドレーサーでした。
次いで青い人影は
ジョーが変身した、シリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」の青の戦士のゴーオンブルーでした。
そして黒い人影は
ハカセが変身した、シリーズ第13作「高速戦隊ターボレンジャー」の黒の戦士のブラックターボでした。

この3つの戦隊の共通項は、車をモチーフにした戦隊ということです。
それゆえスピードを活かした高速移動が持ち味です。
忍者カルテットの幻惑攻撃でアクドス・ギルを疲れさせておいた上で、
ルカとアイムのリボン攻撃によってアクドス・ギルの両腕の動きを封じたところに、
この車戦隊3戦士による高速移動攻撃でアクドス・ギルのボディに大きめのダメージを与えるのが、
一連の攻撃で狙いでありました。

一見したところ、アクドス・ギルは車戦隊3戦士の与える打撃にも動じた様子は見えません。
しかし表面上は平静を装っていますが、本当は確かに効いているのであり、
この後、明らかにアクドス・ギルの動きは徐々に鈍くなっていき、
ここまでで過去34戦隊のうち17戦隊への多段変身を消化しており、残りは全体の半分となり、
ここが折り返し点というところですが、ここからマーベラス達の大攻勢が始まるのです。

まずリボンでアクドス・ギルの腕を締めていたアイムとルカは
ピンクリボンとメロディタクトを手から離して、ジャンプしながら豪快チェンジし、
アイムはシリーズ第16作「恐竜戦隊ジュウレンジャー」のピンク戦士であるプテラレンジャーに多段変身し、
ルカはシリーズ第27作「爆竜戦隊アバレンジャー」の黄の戦士であるアバレイエローに多段変身します。
この2つの戦隊の共通項は恐竜をモチーフにしていることであり、
また、この2戦士はプテラノドンをモチーフとしている点で共通しています。

この2戦士に変身したアイムとルカの2人は、
変身と同時にジャンプしたまま遠距離攻撃武器でアクドス・ギルを狙い撃ちしました。
アイムは「プテラアロー!」と叫んで、
プテラレンジャーの弓矢型の個人武器であるプテラアローでエネルギーを込めた光の矢を放ち、
ルカは「アバレイザー!」と叫んで、
アバレンジャーの共通装備のアバレイザーをガンモードにして構えて、レーザーを発射します。

この光の矢とレーザーをアクドス・ギルはなんとか剣で叩き落としますが、
そこに、シリーズ第22作「星獣戦隊ギンガマン」の赤の戦士ギンガレッドに変身したマーベラスと、
同じく「ギンガマン」の追加戦士の黒騎士に変身した鎧が現れて、
「炎のたてがみ!!」と声を揃えて炎のアース技を発射します。

なんとここで「ギンガマン」最終話で披露した、
リョウマとヒュウガの炎の兄弟による「ダブル炎のたてがみ」が再現されたのでした。
しかもそれを炸裂させたのが、
さっきはギガントホースでアクドス・ギルに正攻法では全く歯が立たなかったマーベラスと鎧の2人であったのです。

アクドス・ギルはこのダブル炎のたてがみの発する炎に包まれてしまい、後退します。
もはやギガントホースで戦っていた時とは力関係は逆転しているのです。
それだけマーベラス達は強くなっており、アクドス・ギルのダメージは蓄積してきているのです。
ただ、普通の怪人ならダブル炎のたてがみを喰らった時点で倒されるのが当たり前ですから、
それでも一応は大したダメージを受けたようには見えないアクドス・ギルは
並の耐久力ではないのも確かです。

そうして少し後退したアクドス・ギルの背後に、ジョーとハカセが飛び込んできました。
ジョーはシリーズ第8作「超電子バイオマン」の青の戦士であるブルースリーに変身しており、
ハカセはシリーズ第9作「電撃戦隊チェンジマン」の黒の戦士であるチェンジグリフォンに変身しています。

ここは体当たり攻撃コンビとなります。
ジョーは「スーパースカイダイビング!」と叫びながら、
ブルースリーの得意技である高速滑空しての体当たり技のスーパースカイダイビングで
アクドス・ギルの身体の一番下の足部に突っ込んできて、
慌てて振り向いたアクドス・ギルはあまりに意外な攻撃部位に反応が遅れて攻撃を喰らってしまいました。

そうして足元に意識が向いた瞬間、
ジョーの攻撃の一瞬後に今度はハカセが「グリフォンアタック!」と叫んで飛び込んできて、
アクドス・ギルの頭部にチェンジグフォン得意の体当たり技のグリフォンアタックを決めたのでした。
ワンツーパンチの上下のコンビネーションの打ち分けのような攻撃で
アクドス・ギルにダメージを与えて突き抜けていったジョーとハカセを目で追うようにして
また逆方向に振り返ったアクドス・ギルの目の前には、もう次の攻撃が飛び込んできていました。
ここはジョーとハカセに引き続いての、5人がかりの二方向からの時間差の飛び込み攻撃で畳みかけてきます。

飛び込み攻撃の後半3人はマーベラスとルカとアイムでした。
マーベラスはシリーズ第15作「鳥人戦隊ジェットマン」の赤の戦士のレッドホークに変身しており、
ルカはシリーズ第25作「百獣戦隊ガオレンジャー」の黄の戦士のガオイエローに変身しており、
アイムはシリーズ第10作「超新星フラッシュマン」のピンク戦士のピンクフラッシュに変身しています。

この3戦士の共通項は空を飛べることです。
ジェットマンは全員空を飛べますし、ガオイエローは鷲がモチーフの戦士であり空を飛べます。
またピンクフラッシュは重力の大きな星で育った関係で地球においては宙に浮かぶぐらい身が軽い設定です。
これらの能力を使って3人は飛び立って、滑空しながらアクドス・ギルに突っ込んできます。

まずマーベラスが飛びながらジェットマンの共通装備の剣であるブリンガーソードで
「はああっ!!」と飛行斬りを決め、
次いでルカが飛び込んできてガオイエローの個人武器のイーグルソードで「はっ!」と斬りつけ、
そしてアイムがピンクフラッシュのプリズムブーツを装着して飛び込んできて
爆発エネルギーを込めたボンバーキックを「はぁっ!」と炸裂させます。
この3連続攻撃を一瞬のうちにアクドス・ギルは腹部に喰らってしまいました。

そこにすかさず走り込んできたのは、
さっき体当たり攻撃を終えた後、すぐに次の多段変身を遂げていたハカセとジョーでした。
ハカセはシリーズ第21作「電磁戦隊メガレンジャー」の黒の戦士のメガブラックに変身しており、
ジョーはシリーズ第23作「救急戦隊ゴーゴーファイブ」の青の戦士のゴーブルーに変身しています。

この2戦士の攻撃の共通項は、強化パンチです。
ハカセはメガレンジャーのパワーアップツールであるバトルライザーを右腕に装着しており、
「バトルライザー!」と掛け声をかけながら01ボタンを押して右腕のパンチ力を強化し、
ジョーはゴーゴーファイブの多機能ブレスであるVモードブレスを右腕に装着しており、
「4」「7」「8」「V」とキーを押して右腕の力を10倍に強化します。

そうして走り込んできて、ハカセは右腕でライザーパンチを、ジョーは右腕でVモードパンチを
一斉に「うおおっ!!」と放ち、アクドス・ギルはこれを剣で受けようとしますが、
さすがに強化パンチの威力は凄まじく、また先ほどからの肉弾攻撃のダメージもあり、
アクドス・ギルは剣に受けたパンチの威力に押されて「おおっ!?」とよろめきました。

そこを背後からルカとアイムが重火器で狙い撃ちします。
ルカはシリーズ第12作「超獣戦隊ライブマン」の黄の戦士であるイエローライオンに変身しており、
アイムはシリーズ第24作「未来戦隊タイムレンジャー」のピンク戦士のタイムピンクに変身しています。
ルカが構えてたのはイエローライオンのハンドキャノン砲型の個人武器のライオンバズーカであり、
アイムが構えたのはタイムピンク専用の熱線砲型のボルユニットであるボルスナイパーです。
「ライオンバズーカ!」「ボルスナイパー!」と叫んでルカとアイムが同時発射した光弾と熱線を、
振り向いたアクドス・ギルは正面からまともに喰らってしまいました。

もはやこれらを避けたり叩き落としたりするだけの身のこなしが出来なくなっているのです。
そうして苦痛に身をよじらせたアクドス・ギルの右側から「たあっ!」と走り込んできたのは、
シリーズ第19作「超力戦隊オーレンジャー」の追加戦士のキングレンジャーに変身した鎧でした。
鎧は手にキングレンジャーの個人武器であるキングスティックを剣状にして握っています。
その鎧の方に慌てて振り向いたアクドス・ギルの背後、鎧とは逆方向から
「おおおおおっ!!」と突っ込んできたのは、
同じく「オーレンジャー」の赤の戦士であるオーレッドに変身したマーベラスでした。
マーベラスは当然、オーレッドの剣型の個人武器であるスターライザーを握っています。

この両側からの走り込んでの斬撃にアクドス・ギルは対応出来ず、
鎧とマーベラスはアクドス・ギルの横ですれ違うように駆け抜けながら、
まず鎧が「やあっ!!」とキングスティックを横一閃、
一瞬遅れて逆側からマーベラスが「はあっ!!」とスターライザーを横一閃して、
アクドス・ギルの脇腹を2人で両側から斬り裂きました。

そして通り抜けた後、振り向いたマーベラスはついでとばかりに、
よろめくアクドス・ギルの脳天から大上段に「おりゃああっ!!」とスターライザーを斬りおろし、
アクドス・ギルはメッタ斬りされ、身体から大きく火花が噴き出してしまいました。
またもやギガントホース戦以来の因縁のマーベラスと鎧のコンビに
大きなダメージを喰らわされてしまったアクドス・ギルですが、
マーベラス達はギガントホースで傷を負ったアクドス・ギルの腹部を重点的に狙っているようです。

この場でのアクドス・ギルとの戦いでマーベラス達が多段変身した戦隊は、
この「オーレンジャー」で30戦隊となり、残りは4戦隊となり、
通常モードでの攻撃は「オーレンジャー」で締めとなり、
ここでマーベラス達はそろそろトドメを刺しにかかろうと、
「ヘッ!」と不敵に笑いながらアクドス・ギルに対峙して少し距離を置いて横一列に並びます。

それにしても通常の怪人ならば、ここまでの攻撃の間に2〜3回倒されていてもおかしくないぐらい
凄まじいマーベラス達の攻撃なのですが、
そこはさすがに最強の皇帝アクドス・ギルであり、
もはやマーベラス達の攻撃を防ぐことは出来なくなっていますが、耐久力にはまだ余裕があるようで、
ふらつきながらもまだ一度も膝を地面につけることすらありません。

そして攻撃力もまだ衰えてはいないようで、
ぐっと身体を持ち直したアクドス・ギルは剣を一閃して衝撃波を飛ばし、
更に両肩からの光弾も合体させて加速をつけ、
まるでゴーカイスクランブルのような強烈な攻撃をしてきます。
これはギガントホースでマーベラスと鎧を天井まで吹っ飛ばした攻撃よりも更に破壊力を増したもので、
おそらくアクドス・ギルの最強の技であると思われます。
大ピンチに追い込まれたアクドス・ギルが起死回生の最強技を放ってきたのです。

これが横一列に並んだマーベラス達6人に炸裂したかに見えましたが、
一瞬早くマーベラス達はここで「豪快チェンジ!!」と多段変身を遂げ、
アクドス・ギルの最強技は、ジョーの変身したゴセイブルーの装着した
ゴセイテクターから伸びたアーマーが6人全員を包み込んで保護し、弾き返されたのでした。
ゴセイテクターというのは、ゴセイジャーが強化形態であるスーパーゴセイジャーとなった時に装着される鎧であり、
その両肩から伸びる伸縮自在のアーマーは鉄壁の防御力を誇っています。
そのアーマーでアクドス・ギルの最強技を弾き返したのです。

この強化形態というやつはスーパー戦隊においてはしばしば見られるもので、
これまでの例としては、ファイブマン全員のファイブテクター装着形態、
ティラノレンジャーのアームドティラノレンジャー、メガレンジャー初期5人全員のメガテクター装着形態、
ギンガマン初期5人全員の獣装光ギンガマン、シュリケンジャーのファイヤーモード、
アバレンジャー全員のアバレモード、アバレッドのファイヤーアバレモードとアバレマックス、
デカレンジャー初期5人全員のスワットモード、マジレンジャー初期5人全員のレジェンドマジレンジャー、
ボウケンジャーのアクセルテクター装着形態、ゲキレンジャー初期3人全員のスーパーゲキレンジャー、
シンケンジャーのスーパーシンケンジャーとハイパーシンケンジャー、
ゴセイジャーのスーパーゴセイジャーがあります。

この歴代戦隊の強化形態で戦えば強いに決まっていますから、
これまでもマーベラス達はこれを多用しているのが自然なのですが、ここまで案外使われていません。
これは、今までは完全に歴代スーパー戦隊の力を全て引き出せていなかったので使わなかったというか、
そうした強化形態の存在すらよく分かっていなかったという解釈は出来ます。
それがこの最終決戦になって遂に使えるようになったという考え方で基本的には良いとは思うのですが、
これまでにもアームドティラノレンジャー、獣装光ギンガマン、ファイヤーモード、アバレモードは
使ったことがあるので、厳密にはその解釈は矛盾があります。
しかしまぁアクション演出の面白味優先で細かい設定は多少はテキトーにしても、それはアリだと思いますので、
そこら辺の矛盾には目をつぶりましょう。

そういうわけで、ここでアクドス・ギルへのトドメを刺す段階に来て、
マーベラス達は強化形態を繰り出してきたというわけです。
上記したような、これまで強化形態を使ったことがある戦隊である
ジュウレンジャー、ギンガマン、ハリケンジャー、アバレンジャーを省くと、
残る強化形態未使用戦隊は
ファイブマン、メガレンジャー、デカレンジャー、マジレンジャー、ボウケンジャー、
ゲキレンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの8戦隊ですが、
メガテクターはVシネマ限定装備で1回限りの使用と設定されたものであり、
アクセルテクターは基本的にデュアルクラッシャー発射時のプロテクターであり戦闘用強化形態ではないので除外し、
ファイブテクターは外見がほとんど変わらないので、出番の短いこの場面では分かりにくいので除外します。

すると残るのはデカレンジャー、マジレンジャー、ゲキレンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの5戦隊であり、
ここでマーベラス達はこれらの戦隊の強化形態に変身しています。
この5戦隊のうち、既に鎧がゴセイナイトに変身して消化済みのゴセイジャーを除く4戦隊というのは、
このアクドス・ギルとの戦いでまだ未変身の4戦隊と同一であり、
つまり、最後にこれらの戦隊の強化形態を出すために、
ここまでのバトルの流れの中でこれらの戦隊をあえて登場させていなかったのだと思われます。

ここではマーベラスはシリーズ第33作「侍戦隊シンケンジャー」の赤の戦士であるシンケンレッドの強化形態、
ハイパーシンケンレッドに変身しており、
ジョーはシリーズ第34作「護星戦隊ゴセイジャー」の青の戦士であるゴセイブルーの強化形態、
スーパーゴセイブルーに変身しており、
ルカはシリーズ第31作「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の黄の戦士であるゲキイエローの強化形態、
スーパーゲキイエローに変身しており、
ハカセはシリーズ第28作「特捜戦隊デカレンジャー」の緑の戦士であるデカグリーンの強化形態、
デカグリーンスワットモードに変身しており、
アイムはシリーズ第29作「魔法戦隊マジレンジャー」のピンクの戦士であるマジピンクの強化形態、
レジェンドマジピンクに変身しています。

そして鎧はシリーズ第35作「海賊戦隊ゴーカイジャー」の追加戦士であるゴーカイシルバーの強化形態、
ゴーカイシルバーゴールドモードに変身しています。
つまり、多段変身ではなく、いつものように自身の強化形態である
ゴールドモードにチェンジしているだけなのですが、
これもまた歴代35戦隊の強化形態の1つでもありますから、
この強化形態混成戦隊の中に一緒に入っていても良いわけです。

マーベラス達はこの6人の強化形態混成戦隊でアクドス・ギルに決定的なダメージを与えるつもりです。
まず一歩前に飛び出したのはハカセでした。
ハカセはデカレンジャーがスワットモード時のみ使用出来る強化型ビームマシンガンの
ディーリボルバーを「おりゃあああああ!!」と連射し、アクドス・ギルをハチの巣のように撃ちまくり、
まずはこのデカレンジャーで31個目の戦隊を消化します。

ディーリボルバー一丁でアリエナイザーを倒すことが出来るほどの、決め技級の威力を持っていますから、
これはアクドス・ギルも剣で受けることも出来ず、メッタ撃ちにされて「おわああ!?」と混乱し、
その隙にジョー、ルカ、アイムが「うおおおおっ!!」とアクドス・ギル目がけ突進していきます。

態勢を立て直しかけたアクドス・ギル目がけて先頭に突っ込んでいたジョーが
「むん!」とスーパーゴセイジャーの剣であるゴセイテンソードに構えると同時に、
最後尾を走っていたルカが「はあっ!!」と大きくジャンプして、ジョーとアイムを飛び越していきます。
その瞬間、アイムがレジェンドマジレンジャー共通装備の杖であるダイヤルロッドを突き出し、
「マジボルト!!」という原始魔法の呪文を唱えて、レジェンドストームを発動、
強力なつむじ風を巻き起こしてアクドス・ギルを包み込み怯ませます。
同時にジョーが突っ込みながらゴセイテンソードから発したビームをアクドス・ギルの腹に撃ち込みます。

そして、そこにルカが飛び掛かってきて、スーパーゲキレンジャー専用の鉤爪型武器スーパーゲキクローで
「はあああっ!!」とアクドス・ギルの身体を2回、斬り裂き、駆け抜けていきます。
スーパーゲキクローはこの世に斬れないものはないという武器ですから、
アクドス・ギルといえども大きなダメージを受けることとなりました。
このゲキレンジャーで32個目の戦隊クリアーです。

そして間髪入れず突っ込んできたジョーが
ゴセイテンソードでアクドス・ギルの腹を「ふぅんっ!!」と横一文字に斬り裂きながら駆け抜けていき、
続いてアイムが「やあぁっ!!」とダイヤルロッドで
アクドス・ギルの同じ腹部に更にダメージを叩き込むように斬り裂いて走り抜けました。
このマジレンジャーで33個目の戦隊まで消化したことになります。

この強化形態戦士の連続攻撃を全部まともに喰らってしまったアクドス・ギルは腹部を押さえて
「うお・・・!」と態勢を崩して俯きますが、
その瞬間、恐竜の咆哮と共に何かがアクドス・ギルに向かってしなるように飛んできて、
アクドス・ギルを思いっきり叩きのめしたのでした。
それはマーベラスがムチのように振り回して叩きつけてきたハイパーシンケンレッドのムチ状の刀、
キョウリュウマルでした。

「うりゃあ!!」というマーベラスの罵声と共に1度、2度、3度と爆炎を上げながら
キョウリュウマルはアクドス・ギルを叩きのめしていきました。
このキョウリュウマルを使うハイパーシンケンレッドは数ある強化形態の中でも特に無敗を誇る最強のものですから、
過去34戦隊の多段変身の最後を飾るに相応しかったといえるでしょう。
このシンケンジャーで34個目の戦隊まで多段変身完了です。

そして、フラフラになったアクドス・ギルにキョウリュウマルの一閃をくれてやりながら、
アクドス・ギルにくるりと背を向けたマーベラスは、
そこに駆け込んできた鎧に向かい、両手を組んで踏み台を作ってやり、
そこに駆け込んで足を乗せた鎧を思いっきり上に向けて放り上げたのでした。

「うおおおお!!」と高く舞い上がった鎧は、ここでゴーカイシルバーゴールドモードの必殺技、
ゴーカイレジェンドクラッシュを放ちます。
これはゴールドアンカーキーを構成している15のレンジャーキーの追加戦士のうちの
幾つかの戦士のエネルギー体と一緒になってゴーカイスピアの攻撃を繰り出す技ですが、
ここで鎧は空中で15戦士全てのエネルギー体を召喚します。

つまり、ドラゴンレンジャー、キバレンジャー、キングレンジャー、メガシルバー、タイムファイヤー、
ガオシルバー、シュリケンジャー、アバレキラー、デカブレイク、マジシャイン、ボウケンシルバー、
ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー、シンケンゴールド、ゴセイナイトの15戦士のエネルギー体を
空中で召喚し、そのエネルギーを全部ゴーカイスピアの槍先に込め、
「ゴーカイ!レジェンドクラッシュ〜ッ!!」と叫びながら、アクドス・ギル目がけて飛び下りつつ
槍を振り下ろしていきました。

アクドス・ギルは懸命に剣を両手で広げるように持って鎧の攻撃を食い止めようとしますが、
ゴーカイレジェンドクラッシュはアクドス・ギルの剣を真っ二つに叩き折って、
そのまま鎧は「うらああああっ!!」という気合いと共に
アクドス・ギルの身体を脳天から地面まで斬り下ろしたのでした。

見事に斬り下ろされてしまい、身体から盛大に火花を噴き上げながら
「おあああっ!?」と悲鳴を上げたアクドス・ギルは、「おお・・・ああ・・・」とよろめいて、
遂にガクッと膝を地面についてしまいました。

このゴーカイレジェンドクラッシュはゴーカイジャーの一員のゴーカイシルバーが放った
ゴーカイジャーの技ですから、
これでゴーカイジャーも加わって、35個のスーパー戦隊の全ての攻撃が
アクドス・ギルに向けて放たれたことになります。
35のスーパー戦隊の力がザンギャック帝国の皇帝アクドス・ギルを破ったのです。

苦しい息を吐きながら、アクドス・ギルは「・・・バ・・・バカな・・・?」と、現実を受け入れられない様子です。
さしもの耐久力と驚くべき生命力を誇るアクドス・ギルの身体は、
35戦隊の最大限のパワーを引き出したマーベラス達の繰り出した巧みで強烈な攻撃によって
回復不可能なダメージを負い、身体の各所から火花を噴きだして、
もはや助かる見込みの無い状態となってしまいました。

つまり、ここで自分は戦いに敗れて死ぬのだと
アクドス・ギルは、この膝をついて動けなくなった時点でようやく悟りました。
しかし、そのことがアクドス・ギルにとっては悲しいとか悔しいなどという想い以前に、純粋に驚きでした。
宇宙最強の皇帝である自分がこんな辺境の星でたった6人のチンケな宇宙海賊に殺されるなど、
考えてもみなかったことなのです。

アクドス・ギルは宇宙の大部分を支配する絶対的独裁者なのです。
つまりアクドス・ギルこそがこの宇宙の秩序そのものなのであり、
アクドス・ギルが存在しているからこそ、宇宙の平和は保たれている。
少なくともアクドス・ギル本人はそう信じ込んでいます。

だから、自分がチンケな海賊などに殺されるなどということが起こってはいけないのです。
そんなことはこの宇宙において起こってはいけないことでした。
しかし、そんな起こるべきでないことが起きようとしている。
それがどんなに大変なことなのか、この頭の悪そうな海賊どもは分かっていないのではなかろうかと、
アクドス・ギルは死を前にして妙に心配になり、
「・・・この私は全宇宙を支配する偉大な皇帝・・・アクドス・ギルだぞぉ・・・!?」と、
マーベラス達に向けて説教をし始めます。

しかし、ゴーカイジャーの姿に戻ったマーベラス達はそれを全く相手にせず、
マーベラスはアクドス・ギルが負けて死ぬのが不満で愚痴っているだけだと思い、
「愚痴ならあの世で息子に言え!」と言い捨てながら、
ゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿してファイナルウェーブの態勢に入ります。
つまり、遂にアクドス・ギルにトドメを刺して完全に息の根を止めようというつもりなのです。

ジョー、ルカ、ハカセ、アイムも同様にゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿して
ファイナルウェーブの態勢に入り、
鎧もゴールドモードのままアンカーモードのゴーカイスピアにレンジャーキーを挿して
ファイナルウェーブの態勢に入り、
6人は武器にレンジャーキーのエネルギーが充填される間、「うおおおおお!!」と気合を発します。

アクドス・ギルは話の通じないマーベラス達に腹が立ち、
折れた剣を投げ捨て、こうなったら意地でもマーベラス達のトドメの攻撃を弾き返してやろうと思い、
立ち上がり、気合いを入れました。

そうして、まず鎧が「ゴーカイ・・・シューティングゥッ・・・!!」と叫んで
ゴーカイスピアをアクドス・ギル目がけて思いっきり投げつけました。
この槍を投げつけるタイプのファイナルウェーブは、
ノーマルモードのゴーカイシルバーがスピアモードのゴーカイスピアを投げつける
ゴーカイシューティングスターはこれまでにもありましたが、
ゴールドモードのゴーカイシルバーがアンカーモードのゴーカイスピアを投げつけるのは今回が初めてです。
つまり最終話仕様の特別な必殺技というわけです。

この鎧のアンカーモードのシューティングスターに一瞬遅れて、
マーベラス達5人も「スラッシュゥゥッ!!」と叫びながら
ゴーカイサーベルを振り下ろしてアクドス・ギルに向けてゴーカイスラッシュを放ち、
この5つのファイナルウェーブが
先ほどの鎧の放ったアンカーモードのシューティングスターのファイナルウェーブと合体して、
ゴーカイジャーの海賊旗のマークの形をした巨大な金色に輝くエネルギー体となって
アクドス・ギル目がけて突っ込んでいきました。

「ゴーカイシューティングスラッシュ」という、この最終話仕様の必殺技は、
おそらくこの金色の海賊旗マークがそのまま敵を貫く技なのでしょう。
しかし執念で立ちはだかるアクドス・ギルはこの技を喰らって、すんなりとはその身体を貫かせませんでした。
金色の海賊旗マークは弾き返して砕きます。

しかし、抵抗出来たのもそこまでで、
鎧の放ったアンカーモードのシューティングスターはそのままアクドス・ギルの身体を貫通し、
アクドス・ギルは「うおおああああああっ!?」と悲痛な絶叫を上げます。
そして次の瞬間、一旦弾かれて5色のファイナルウェーブに戻った
マーベラス達の放った5つのゴーカイスラッシュも、アクドス・ギルの身体の前でクルリと向きを変え、
一斉にアクドス・ギルの身体を貫いたのです。

「ぐあっ・・・!?」と予想外の衝撃にアクドス・ギルが息の根が止まったような呻き声を上げると同時に
その身体が大きく爆発し、これで遂にアクドス・ギルを倒したとマーベラス達が思ったところ、
その爆炎の中を覗いだ鎧が「・・・あっ!?」と驚きの声を上げました。
アクドス・ギルは爆発で砕け散ってはおらず、
ゴーカイシューティングスラッシュに貫かれた姿勢のまま、立っていたのでした。
やはり最初に海賊旗マークを弾いた分、即死は免れたようです。

まさか35戦隊全ての力をぶつけて、更に渾身の決め技を食らわしても倒すことが出来ないとは、
マーベラス達もさすがにアクドス・ギルの執念には驚きました。
ズタズタの身体で立っているアクドス・ギルのことをまるでゾンビでも見るように、少し怯みました。
しかしアクドス・ギルはもはや完全に致命傷を受けており、虫の息でした。
とっくに死んでいてもおかしくない状態であり、立っているのは奇跡と言っていい状態でした。

もはや言葉も出て来ない状態で「・・・ううう〜・・・」と唸りながら、
アクドス・ギルはヨタヨタと幽鬼のようにマーベラス達の方に近づきます。
アクドス・ギルの屍同然の身体を突き動かしていたものは、激しい怒りでした。
無礼で不作法で無教養な、宇宙の秩序に反する海賊たちに対する激しい怒りが、アクドス・ギルをして、
意地でもマーベラス達だけは道連れにして死んでやるという怨念となって、彼の身体を動かしているのです。

そうして怒りと憎悪を爆発させたアクドス・ギルは「うがぁっ!!」と両肩から怨念のこもった光弾を発射し、
マーベラス達6人は「うわぁっ!?」とその爆炎に包まれてしまいました。
アクドス・ギルはさすがにゴーカイシューティングスラッシュを受けたことによって、
自分の死を心の底から受け入れました。
それによってアクドス・ギルはこの生涯最後の瞬間に、初めて自分の命を捨ててもいいと思うことが出来た。
そして自分の命と引き換えにしてでも、相討ちでマーベラス達だけは倒してやるという、
強烈な執念を発揮することが出来たのです。

つまり、ここに来て遂にアクドス・ギルもマーベラス達と同じ、
自分を捨ててでも掴みたい夢を持つことが出来たのです。
しかし、それは自分の命が無くなると気付いた最後の瞬間になってようやくのことでした。
あまりにも遅かったと言えます。
もっと早くアクドス・ギルがこの境地に到達していれば、マーベラス達は勝てなかったかもしれないし、
ザンギャックの大艦隊も撃滅出来ず、地球も滅亡していたかもしれない。
いやまぁ、そもそもアクドス・ギルがそんな血の通った人間であれば、
そもそもザンギャックの宇宙制覇や地球侵略があったかどうかも分からないのですが。

とにかく、アクドス・ギルが捨て身の攻撃に出るのは、あまりに遅すぎた。
瀕死になってから繰り出した攻撃は既にいまひとつ力が足りず、
爆炎の中から、ゴールドモードを解除されてノーマルモードのゴーカイシルバーに戻った鎧が
ゴーカイガレオンバスターを手にして「うおおおおお!!」と叫んで飛び出してきます。

「うう!?」と見上げたアクドス・ギルの懐にそのまま飛び込んだ鎧は
ゴーカイガレオンバスターの砲口をアクドス・ギルの腹にピタリとくっつけ、
「とおりゃあああっ!!」と機銃を連射し、アクドス・ギルの執念を断ち切ろうとしますが、
これだけではまだアクドス・ギルの執念を断つことは出来ません。
腹に山ほど弾丸を撃ち込まれて「おあああ・・・」と苦しげに呻きながら、
それでもアクドス・ギルはゴーカイガレオンバスターを掴んで振り払おうとしてきます。

しかし鎧もこれぐらいでアクドス・ギルの執念を上回ることが出来るとはもともと思っていません。
鎧はガレオンバスターを思いっきりアクドス・ギルの腹に押し込んだまま、
ゴーカイシルバーのレンジャーキーをガレオンバスターの後部の鍵穴に挿して回したのでした。
すると「スペシャルチャ〜ジ!!」という音声と共に、
ガレオンバスターの側面の鍵穴に挿していた金色や銀色のレンジャーキーが起き上がってきました。
鎧は爆炎の中でゴーカイガレオンバスターを召喚すると同時に、
追加戦士のレンジャーキー4つをガレオンバスターに挿してアクドス・ギルの懐に飛び込んできていたのです。

鎧が狙っていたのはゴーカイガレオンバスターのゼロ距離射撃で
最大限の破壊力を防御不可能な状態でアクドス・ギルの身体に喰らわせることでした。
しかしそんなことをすれば撃った反動も普段の比ではない。
しかも鎧はそれを1人で撃とうとしています。
下手をすれば命を失いかねない危険な行為でした。

アクドス・ギルはもはや虫の息であり、鎧がそこまでする必要も無いようにも思えます。
しかし、捨て身の覚悟でここまでアクドス・ギルを追い詰めてきた鎧は、
最後の最後にアクドス・ギルの捨て身の攻撃に気後れしたまま終わりたくはなかった。
最後まで、捨て身の覚悟であくまでもアクドス・ギルを凌駕したまま終わりたかったのです。
だから、捨て身のアクドス・ギルをそれを上回る捨て身の戦法で押さえこんで完全勝利をしてやりたいと思いました。
そのために命を落とすことになっても構わないと思いました。

すると、そこに後ろの爆炎の中からマーベラス達5人も飛び込んできて、
鎧の背中に手を添え、共に発射の反動を受ける態勢をとったのでした。
マーベラス達も鎧と想いは同じで、危険に自ら飛び込んできたのです。
最後まで捨て身で戦って、アクドス・ギルを完全に押さえこんで勝利するという想いで6人は1つになります。

必死でガレオンバスターをどかせようとするアクドス・ギルと、
そうはさせまいとしてガレオンバスターの砲口をグイグイ押し付けるマーベラス達6人の力比べが
「うおおおおおお!!」と続く中、遂にレンジャーキーのエネルギーは充填され、
鎧はガレオンバスターの引き金を引きました。

すると、「派手にウェ〜イブ!!」という音声と共にライジングストライクがゼロ距離で発射され、
アクドス・ギルの身体付近で大爆発を起き、
「うわあああっ!!」とマーベラス達6人は後方に思いっきり吹っ飛び、
地面に叩きつけられて変身解除してしまい、転がって全身を強く打ちました。

身を起こしたマーベラス達がアクドス・ギルがどうなったか見ると、
アクドス・ギルは火花が散る身体を地面から起こしつつ、
「・・・おおおのれえええ!!・・・宇宙海賊どもめええええ・・・!!」と怨念に満ちた断末魔の叫びを残すと、
そこで力尽き、再び力無く倒れ、大爆発を起こして跡形も無く砕け散ったのでした。

ガレオンバスターのゼロ距離射撃の反動で吹っ飛ばされて、起き上がったらまた大爆発に晒され、
一瞬何が起こったのか分からない6人は、地面に座ったまま、その爆発跡を驚いた顔で見つめます。
まだアクドス・ギルがそこに立っているのではないかとも思えたのでした。
ところがそこには燃え盛る炎があるだけであり、荒野には自分達の他に誰もいません。

皆が不思議そうな顔をする中、
ハカセが「・・・やったの?・・・僕たち・・・?」と確認するように皆に言います。
それを聞いて、一同はアクドス・ギルがライジングストライクのゼロ距離射撃によって、
遂に粉々になったのだと気付きました。
「・・・妄想じゃ・・・ないんですよね・・・?」と、
鎧はまたいつもの自分勝手な妄想の世界の出来事なのではないかと一応警戒しますが、
周りは明らかに現実空間であり、さっきまでアクドス・ギルと戦っていた場所に間違いありません。

勝ったのだと確信した6人の心の奥底から、大きな喜びが湧き上がってきました。
アクドス・ギルとの大喧嘩に勝利し、ザンギャックを倒して地球を守りきった。
そして宇宙の平和を取り戻すという夢を自分の手で掴んだのだという達成感に溢れた笑みが自然にこぼれてきて、
感極まった6人は大きく両手を天に突き上げて、
「うおおおおっ!!やああったああああっ!!」と歓喜を爆発させ、大声で叫び、
そしてしばらくそのまま天を仰いだ後、仰向けにひっくり返って大の字に寝っ転がり、青空を見上げました。
その空には、もはやさっきまでのようなザンギャックの脅威は無く、
ただ抜けるような青空が広がっているだけでした。

と、その青空の彼方から、何かが飛んできます。
「みんなぁ〜!!大丈夫〜っ!?」と叫んでマーベラス達のところに飛んできたのはナビィでした。
ナビィはマーベラスと鎧と一緒にフリージョーカーに乗ってギガントホースに突入した時、
爆発するフリージョーカーからマーベラスによって逃げるように言われて放り出されて、
それっきりになっていましたが、
上手くフリージョーカーの爆発を逃れてギガントホースの外に脱出することに成功していたようで、
その後、ザンギャック大艦隊撃滅による上空の大混乱を逃げ惑い、
その後、静かになった空を飛びながらマーベラス達の行方を捜していたようです。

ようやく見つけたマーベラス達が荒野の真ん中で仰向けに倒れて動かないのを遠目に見て、
ナビィはマーベラス達が死んでいると勘違いしたようで、
一目散に飛んでくるとマーベラスの顔に縋りついて「死んじゃやだよぉ〜っ!!」と喚くのでした。
マーベラスは鬱陶しそうに腕を動かしてナビィを掴むと「・・・死んでねぇって!!」と投げ飛ばし、
ナビィは皆が生きていると知り安堵します。
同時にマーベラス達もナビィの無事を知り、身を起こして安堵の表情を浮かべます。

「良かった!・・・ナビィも無事だったんだ・・・」というルカの言葉に、
ナビィは「オイラがみんなを置いて死ぬわけないだろぉ!」と胸を張ります。
これで全員無事で夢も達成して、万々歳です。
一同は爽やかな笑顔を浮かべ、
マーベラスは「ああああ〜!・・・やっべぇ〜っ!!」と大声で叫ぶと、
再び万歳をしたまま仰向けに地面に倒れ込み、大の字に寝転がり、
また青空を見上げて、大きく息をついて「・・・すっげぇ、気持ちいい・・・!!」と、
本当に気持ちよさそうに呟くのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 20:49 | Comment(2) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その5

マーベラスと鎧が敵の旗艦ギガントホースに捨て身の突入の後、
高空に浮かぶギガントホースを皇帝アクドス・ギルもろとも内部から爆破し、
高空で大爆発を起こして墜落を開始した、ここまでがAパートです。
そしてCM明けのBパートは、
巨大な燃え盛る火の玉と化したギガントホースが墜落していくのを懸命に追いかける
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人の姿から始まります。

4人は死闘の末、皇帝親衛隊のダイランドーを倒し、高空に浮かぶギガントホースを見守っていましたが、
ほどなくギガントホースが火を噴いて傾き、そのまま炎に包まれて墜落し始めたのを見て驚き、
残骸を撒き散らしながら斜め下方に向けて墜ちていくギガントホースを懸命に追いかけてきたのです。
4人が荒野に駆けてきた頃にはギガントホースはその巨大な姿をハッキリと見ることが出来るくらい
落下してきており、もはや原型をとどめていないぐらいに破壊され、
完全に炎に包まれた無残な姿を空中に晒していました。

しかし4人がその姿を確認した直後、その火の玉と化した巨体は
ジョー達の視線の遠方に広がる荒野に猛スピードで叩きつけられて、
凄まじい大爆発を起こして粉々に砕け散ったのでした。
ザンギャック大艦隊が撃滅された後、残されていた地球に対する脅威であった旗艦ギガントホースは、
こうして、その凄まじい戦闘力、膨大な兵員たち、そして皇帝アクドス・ギルと共に滅び去りました。
これで地球は救われたのです。

しかし、マーベラスと鎧の2人も炎に包まれて墜落したギガントホースの中にいたのです。
いや、ジョー達4人はマーベラス達がギガントホースに突入する姿を確認したわけではないが、
ザンギャック大艦隊が一瞬で殲滅された後、
ただ1隻残っていたギガントホースまでも爆発炎上して墜落したのですから、
これはマーベラス達がギガントホース内部への侵入に成功した結果としか考えられませんでした。
もしマーベラス達がギガントホースの艦内で敗れて殺されたか捕らわれたのであるならば
ギガントホースが爆発するわけはないので、この爆発はマーベラス達が起こしたものだと
ジョー達には分かっていました。

つまりマーベラスと鎧は皇帝とギガントホースを道連れに自爆の道を選んだようなのです。
確かに決死の作戦であったし、マーベラスもあえて必ず生きて帰るとも言わなかったわけですが、
それにしても意外な結末にジョー達は焦り、遠く前方の荒野で燃え盛るギガントホースの残骸に向かって、
アイムは「マーベラスさ〜ん!!」と大声で呼びかけ、ハカセも「鎧〜!!」と必死で叫びます。
しかし当然返答は無く、アイムとハカセはガクッと地に膝をつき、項垂れました。

ジョーとルカも呆然と立ち尽くし、燃え盛る墜落場所を見つめ、
そして、たった2人でギガントホースを内部から破壊するには、結局こうするしかなかったのだと思えてきました。
常識的に考えて脱出など不可能であり、艦を道連れに自爆するしかギガントホースを屠る方法は無い。
そんなことは皆、分かっていましたが、
それでもマーベラスと鎧ならば何とかして生き延びるのではないかと淡い期待をしていたのです。

しかし、それは所詮ははかない望みに過ぎなかった。
2人の命と引き換えでなければ地球を救うことは出来なかったのかと4人が肩を落とした、その時、
4人の背後から「呼んだかぁ!?」という聞き慣れた声がしました。
ハッとして4人が振り返ると、4人の背後の上空からゴセイレッドと合体戦士ゴーオンウイングスの2人が
ゆっくりと降下してきたのでした。

ゴセイレッドは護星天使なので翼を生やして飛ぶことが出来ます。
まぁ、飛行機や鳥のように自由に空を飛び回るというよりは
浮力を発生させて重力コントロールするという感じに近いですが。
またゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのウイングス兄妹は
専用武器のロケットダガーを使って空を飛ぶことが出来るが、これも長距離飛行が出来るわけではなく、
フルパワー使用時のジェットダガーという技で、ジェット噴射で浮力と推進力を発生させて
自由に空中を動き回って敵を攻撃するためのものです。
このウイングス兄妹の合体戦士であるゴーオンウイングスはこのジェットダガーを二刀流で使うことが出来て、
2倍の浮力と推進力を駆使することが出来ます。

ゴセイレッドは翼を広げてゆっくり降下してきて、
ゴーオンウイングスはジェットダガー二刀流の推進力で浮揚してゆっくり降りてきて、
地上近くでゴセイレッドは変身を解いてマーベラスの姿となり、
ゴーオンウイングスは変身を解いて鎧の姿となり、2人は着地しました。
そして顔を上げ、マーベラスは「よぉ!」とジョー達4人にぶっきらぼうに声をかけ、
鎧は「ただいまです・・・みなさん!」と笑顔で挨拶しました。

マーベラスと鎧は無事だったのです。
皇帝アクドス・ギルを倒した直後、ギガントホースの司令室が爆炎に呑まれた時、
マーベラスと鎧も爆炎に呑み込まれたように見えましたが、
間一髪のタイミングで2人は艦橋の窓を破って外に飛び出し、
地上に向けて真っ逆さまに落下しながらゴーカイバックルからゴセイレッドとゴーオンウイングスの
レンジャーキーを取り出して多段変身し、羽根とジェットダガーで浮力を発生させて、
地上に激突する前に落下速度を下げて無事に降りることが出来たのでした。

ギガントホースと運命を共にして死んだのかと思っていた2人がいきなり背後から現れたので
ジョー達4人は一瞬呆気にとられましたが、
鎧の達成感に溢れた爽やかな顔を見て、作戦は成功し、戦いも終わった、
そして地球は守られたのだという安堵の想いが胸の奥から湧き上がり、
4人はマーベラス達に駆け寄ります。

アイムは「おかえりなさい・・・!」と笑顔で2人を出迎え、
ルカは「・・・ったく・・・ハラハラさせないでよね!」と、照れ隠しに少し怒った顔をします。
鎧はそれを受けて、4人に申し訳なさそうにペコリと頭を下げつつ、
4人の無事な姿を見て、4人もしっかり地上でダイランドーを倒してくれたのだと悟ります。
ジョーもゆっくり駆け寄って、無言でマーベラスと鎧の方を見ます。
しかし、まだ鎧を除く5人は喜びを露わにはしていません。
まだ確認しなければいけないことがあったのです。

それについてハカセが確認するように「ザンギャックの皇帝も・・・遂に地獄に落ちたんだね・・・?」と
感慨深く、鎧に訊ねました。
4人は鎧の口から、ザンギャックを倒して地球を守るという、
かねてからの夢を叶えることが出来たという報告を聞きたかったのでした。

もちろん、それは今では6人全員の共通の夢であることは自覚されているのですが、
マーベラス達5人は「地球を守る」という意識は少なくとも地球に来てから初めて持つようになったのであり、
むしろ「平和な宇宙を作りたい」という意識の方が昔から持っていた夢であると言えます。
それにしても、そうハッキリと昔から自覚していたわけではない。
ましてや、そのためにザンギャックを倒そうという発想までは持っていなかった。

ザンギャックを倒して地球を守り、平和な宇宙を作りたい。
こういう夢をしっかり5人が持つことが出来るようになったのは、
地球に来て鎧やスーパー戦隊の戦士達と出会った結果でした。
鎧やスーパー戦隊の戦士達は、数年前のレジェンド大戦の時からずっとその夢を叶えたいと思っていた。
その夢が遂に叶ったのです。

マーベラス達5人にもそれぞれが叶えたい夢がありました。
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人は滅びた故郷、今は亡き家族や友人、それらを取り戻したいと思っていました。
しかし失われたものはもう戻ってこないし、過去は変えられない。
変えてはいけないし、受け入れないといけないのです。
だからジョー達4人の夢は叶わないのです。

そしてマーベラスはずっと宇宙最大のお宝を手に入れるという夢を追いかけていた。
しかしようやく手に入れたその宝は、過去を変えてジョー達の夢を叶えることが出来るものでした。
いや、鎧やスーパー戦隊の戦士たちの夢も労せずして叶えてくれるものでした。
しかし過去は受け入れなければならないし、
夢は過去を受け入れた上で苦境の中から自分の手で掴み取るものでなければならない。
つまり、マーベラスの追い求めた夢の宝は、その現物は無価値なものでした。

だからマーベラスはその宝を捨て、ジョー達も自分達の過去から引きずって来た夢と決別しました。
そうして自分達の本当の夢が
「命を賭けてザンギャックを倒して地球を守り平和な宇宙を作ること」だと知ったのです。

だが、それでも夢を捨てたこと、夢は叶わないと認めざるを得なかったことは本当は辛いことでした。
過去は変えられないと認めて、過去を受け入れることによって彼らは前に進めたわけだが、
救えなかった過去を想って心が痛まないわけはない。
だから、地球がまだ滅びているわけではなく、過去から抱いていた夢がまだ叶えられる段階にある鎧の夢は
自分達の捨てるしかなかった夢の分まで叶えさせてやりたいと、マーベラス達5人は思っていました。
その結果をハカセは鎧に聞きたいと思い、
それはジョーもルカもアイムも、そしてマーベラスも同じ想いでした。

それに対して鎧は「はい!」と会心の笑顔で応えます。
自分の昔からの夢を叶えさせてくれるために
ジョー達4人はダイランドーを足止めして側面支援をしてくれたのであり、
マーベラスもあのアクドス・ギルとの苦しい戦いの中で、
常に自分に花を持たせてくれるよう気を遣ってくれていたことに鎧は気付いており、
その感謝を示すためには、いちいち多言は必要なく、目一杯の笑顔で応えるのが良いと思ったのでした。

するとマーベラスは鎧の会心の笑みを見て、鎧のかねてからの夢が叶ったと知り、安堵しました。
そうすると、ようやくマーベラスの心の奥から夢が叶った喜びの気持ちが湧き上がってきたのでした。
そして、それはジョーもルカもハカセもアイムも同じでした。

これは義理の問題です。
確かにザンギャックを倒して地球を守ることが出来たということは、
マーベラス達5人にとって夢を掴んだことにあたるのですが、
その夢は鎧が5人よりも以前から抱いていた夢であり、
5人は鎧やその背後の地球人たち、スーパー戦隊の戦士達のお蔭で
この夢をハッキリ自覚することが出来たようなものです。

だから、最初に夢を叶えた喜びを示すべきは彼らであり、自分達ではないという遠慮がマーベラス達にはありました。
それゆえ、まず彼ら地球人側を代表して鎧に夢を叶えられたのかどうか確認し、
鎧が夢を叶えた喜びをしっかり示してくれたことによって、
マーベラス達は一種、義理を果たした形となり、
ようやく自分の夢を掴んだ喜びを遠慮なく表に出すことが出来るようになったのだといえます。

そうして心の底から全ての枷を取り払って存分に喜びを爆発させようとして
マーベラスが帰還後、初めて笑顔を見せた瞬間、
マーベラスは一瞬でその笑顔を引っ込めてしまい、ギロリと横目で背後に向けて意識を集中しながら
「・・・いや・・・まだだ・・・!」と呟きます。

そうして鋭い眼光をたたえて後ろに振り向いたマーベラスから少し離れた地点に1人の黒い人影が降りたちました。
「誰が地獄に落ちただと・・・?」とハカセの発言を厳しい威厳で咎めるように問い質したその黒い人影は、
アクドス・ギルでした。

ハカセは陰口を叱られたような気分で震え上がり、反射的にジョーの背後に隠れながら
「・・・生きてたぁ!?」と驚きます。
アクドス・ギルの姿はザンギャックのお札の肖像画になっているぐらいですから、
皆その顔は知っているようです。
そのアクドス・ギルが、てっきりギガントホースと共に死んだと思っていたのに
目の前に生きて現れたので、ハカセだけでなくジョーもルカもアイムも唖然として驚愕します。
鎧もまさかアクドス・ギルがあの状態から生きて脱出したとは信じがたいと驚きつつ、反射的に身構えました。

しかしマーベラスは、身構えるでもなく、傲然と胸を張って立ったまま、
せっかく存分に喜ぼうと思っていた気分を邪魔されて不機嫌そうな顔でアクドス・ギルを睨んで
「往生際の悪いヤツだ!」と呆れたように言い捨てます。

マーベラスは確かに自分達が脱出できたのだからアクドス・ギルが脱出していてもおかしくはないと思いました。
おそらく最後のファイナルウェーブを喰らった後、大爆発したのは後ろの司令官席の機械類であり、
アクドス・ギルはその爆発に紛れて逃走し、そのままギガントホースの外に逃れたのでしょう。
まさかアクドス・ギルが空まで飛べるとは思わなかったので、マーベラスも油断しており、
降下してくる時、アクドス・ギルに後をつけてこられていることに気付かなかったのでした。

それにしても、胴体を剣で斬られて槍で串刺しにされ、更にはファイナルウェーブでモロに胴体を貫かれながら、
それでも瞬時に脱出して空を飛びながらここまで追ってくるとは、恐るべきアクドス・ギルの生命力でした。
しかしマーベラスにはそのアクドス・ギルの不死身ともいえる生命力を恐れている様子はありません。
自分達が何をしてもアクドス・ギルを倒すことが出来ないのではないかというような
不安や絶望、無力感を覚えてもおかしくはない場面なのですが、全くそんな様子はありません。

むしろ、マーベラスは勝利を確信しており、
もはや勝負はついているのに、また倒されに来たアクドス・ギルのことを小馬鹿にしているようにすら見えます。
そのマーベラスの余裕の態度を見て、ジョー達もどうしてマーベラスが勝利を確信しているのか気付いたように、
瞬時に落ち着きを取り戻して、真っ直ぐ立ってアクドス・ギルを睨みつけます。
それはおよそ全宇宙を支配する皇帝を見る目つきではなく、
まるで倒されるために登場した格下の怪人の往生際の悪い足掻きを見るような目つきです。

アクドス・ギルはそんな6人の態度が気に食わず、生意気だと思い、「それは貴様たちだ!」と言い返しました。
往生際が悪いのはマーベラス達の方だというのです。
アクドス・ギルから見れば、さっきのギガントホースでの勝負は自分の方が圧倒的に勝っていました。
最後はたまたま艦の爆発に驚いていた隙を突かれただけであり、あんなものは実力の勝負ではない。
あの不意打ちで喰らったダメージも自分にとっては大したものではなく、戦うのに全く支障は無い。
アクシデントが無ければ自分がマーベラス達を殺していたはずなのであり、
自爆覚悟の無謀な攻撃で往生際悪く足掻いたのはマーベラス達の方でした。

マーベラス達はその悪足掻きがたまたま上手くいって、まんまと逃げるのに成功したに過ぎない。
しかしアクドス・ギルは大事な乗艦まで沈められて、絶対にマーベラス達を逃がすつもりはありませんでした。
執念で追いかけてきて、マーベラス一味の6人を一網打尽にして皆殺しにするためにここへやって来たのです。

アクドス・ギルは静かな怒りに身を焦がしつつ、
「運命を素直に受け入れろ・・・この私の手にかかって朽ち果てるという運命をな・・・!」と、
6人に対して得意げに処刑宣告をするのでした。
アクドス・ギルはまずここで憎きマーベラス一味を血祭りに上げて、
その後、自分1人でも地球人を皆殺しにしつつ、どうにかしてザンギャック本星から救援を呼び、
再び全宇宙に君臨するつもりでいました。

しかしマーベラスは「フッ・・・」と不敵に笑うと「そいつは無理だなぁ!」と嘲弄し、
他の5人もアクドス・ギルを睨みつけて一歩前に出て、マーベラスと横一列に並びます。
マーベラス達の妙な余裕の態度の意味が分からず「うぬ・・・?」と言うアクドス・ギルに対して、
マーベラスは「てめぇは俺たちに勝てねぇよ・・・」と静かに言い放ちます。

アクドス・ギルは「なんだとぉ?」と驚き呆れます。
さっきあれほど自分との戦いで手も足も出ていなかったマーベラスが
どうしてそんなに自信たっぷりのセリフを吐けるのか、アクドス・ギルには全く理解不能でした。
実力差はあまりに歴然としており、さっき負った手傷など、自分にはハンデにもならない。
マーベラス一味の6人のこれまでの戦いを観察してきたアクドス・ギルは、
この荒野であればさっきのようなアクシデントも起こることもなく、
今の自分がマーベラス一味に負けるなどということは全く想定出来ませんでした。
アクドス・ギルは、さてはマーベラスはさっき負わせた手傷が自分に有利に働くと思って勝てる気でいるのかと思い、
マーベラスの考えの浅はかさを内心嘲笑いました。

しかしマーベラスは、アクドス・ギルが自分達6人よりも遥かに強いことも分かっていましたし、
アクドス・ギルの生命力にとっては先ほどの傷などは大したハンデにはなっていないことも分かっていました。
それでもマーベラスが自信満々であるのには、ちゃんとした根拠がありました。
それは、今の状況でした。

アクドス・ギルは確かにマーベラスと鎧の2人よりも遥かに強かった。
しかし、それならば勝っていなければおかしい。
確かにマーベラス達はアクドス・ギルを倒すことは出来なかったが、
アクドス・ギルは大艦隊を失い、ギガントホースも失って、今はもうたった1人です。
これはアクドス・ギルの勝利とはいえないでしょう。
完全に敗北していると言っていい。

遥かにマーベラス達よりも強いはずのアクドス・ギルが、大艦隊と宇宙最強の戦艦を擁しながら、
たった6人の海賊によってその全てを失った挙句、無様に手傷を負わされ、
慌てて逃げ出して九死に一生を拾う羽目になった。
そんな程度の男がノコノコと現れて「運命を受け入れろ」などと大きな口を叩く。
マーベラスから見れば、それこそ滑稽でしかありませんでした。

アクドス・ギルが弱い皇帝ならば、
むしろ全てを失い手傷を負ってもなお追いかけてきた執念は評価してもいい。
しかしアクドス・ギルが圧倒的に強く、手傷など負ってもハンデにもならない最強の皇帝だからこそ、
この無様な結果はアクドス・ギルの決定的な弱さを示しているのです。

何故、圧倒的に強いアクドス・ギルが自分の艦隊や乗艦を失う羽目になったのか?
アクドス・ギルがその気になれば、マーベラス達の行動を阻止することは可能だったはずです。
しかしアクドス・ギルはそのチャンスを活かすことが出来なかった。
それは、アクドス・ギルが自分の命を危険に晒してまでも艦隊や乗艦を守ろうとはしなかったからです。

一方、マーベラス達は常にどの局面でも地球を守るために
ザンギャックの艦隊やギガントホースを潰すための命を賭けた行動をとっていました。
逆にアクドス・ギルは常に自分の命を惜しんでいたので、マーベラス達の捨て身の行動を予想することも出来ず、
マーベラス達の命懸けの行動に気後れして、ズルズルと妥協を繰り返した挙句、気が付けば全てを失っていたのです。

アクドス・ギルが圧倒的に実力で優っているにもかかわらず、マーベラス達を倒すことが出来ず、
逆に手傷まで負わされたのも、
刺し違えてでもアクドス・ギルを倒そうとしたマーベラス達の気迫に対して、
不測の事態に自分の命を守ることに執着して、
どんなことをしても相手を倒そうという気迫に欠けていたアクドス・ギルが遅れをとったのは
当然であったというだけのことです。

マーベラス達が刺し違えてでもアクドス・ギルを倒そうとしたのは、命を捨てても守りたいものがあったからでした。
アクドス・ギルにはそういうものが無かった。
だから命を賭けて戦うことも出来ず、命を賭けて艦隊や乗艦を守ることも出来なかった。

アクドス・ギルにとっては、部下も艦隊も自分の乗る旗艦も、息子さえも、
命を賭けて守る対象ではなかったのです。
絶対的独裁者であるアクドス・ギルにとっては、自分こそが帝国にとって最も大事な守るべき存在であり、
宇宙で最も大切な宝でした。
だからアクドス・ギルは決して自分の命を賭けて戦うことが出来ない。

今までマーベラス達が戦ってきたザンギャックの怪人や幹部たちは、
少なくとも皇帝や帝国のためには命を賭けて戦っていました。
その連中に比べてアクドス・ギルは確かに武力的には強かった。
しかし、命懸けで守るものを持たないアクドス・ギルは他の連中よりも本質的に弱い。
他の連中の方がよほど手強さを感じた。

ギガントホースの戦いの最後、艦が爆発する中、
敵を目の前にして自分の命惜しさに狼狽えて隙だらけになったアクドス・ギルの醜悪な姿を見た時、
マーベラスと鎧はそのことを確信したのでした。
だからマーベラスと鎧は今さらアクドス・ギルに負ける気が全くしなかったのです。

ギガントホースに居合わせなかったジョー達4人は
そうした具体的イメージでアクドス・ギルの弱さを掴むことは出来ませんでしたが、
マーベラスと鎧が確実に倒したと思っていたアクドス・ギルが1人で現れたのを見て、
マーベラスと鎧の会心の一撃も通用しないほどの強者であるアクドス・ギルが、
そんな自分より遥かに実力の劣る2人に艦隊や乗艦を撃滅された上に
無様に手傷まで負わされたのだという事実に気付き、アクドス・ギルの覚悟の欠如を悟ったのです。
そして、それは独裁者ゆえの歪んだ自己偏愛ゆえであり、
己の命を賭けて守るものを持ち得ない者の弱さだと知ったのでした。

ただ、それでもアクドス・ギルの戦闘力が極めて高いのも事実です。
純粋に戦闘力では確実にマーベラス一味6人を合わせた力よりも上回ります。
覚悟の差が勝敗を分けるのは腕前が互角な場合のことであり、
実力差が歴然としている場合は多少の覚悟の差は優劣をひっくり返す要素にはなりません。

ならば、実力差が埋まっていない状況で、
それでも覚悟の差で優劣をひっくり返すことが出来るとマーベラス達が確信しているということは、
その覚悟の差が圧倒的であるという自負があるからだということになります。

しかし、もともとはマーベラス達はザンギャックの連中とそう大差の無い者達であったはずです。
自分の命を賭けて守ることの出来るものなど、自分に近い、ごく限られた相手だけでした。
そんな程度の覚悟であったからこそ、ザンギャック帝国の正規軍からは逃げ回っているだけの
お尋ね者の宇宙海賊に過ぎなかったのです。
宇宙に住む全ての人々がザンギャックに対しては、
そうして汲々と自分自身と自分の周囲の少数の人々だけを守るので精一杯の覚悟しか持ち得なかったからこそ、
ザンギャックの支配は盤石であったともいえます。

そんなマーベラス達が変わったのは地球に来てからでした。
この星は特別だったのだと、今となってはマーベラス達には何となく理解出来てきました。

「・・・この星を狙ったのが間違いだったんだ!」と
ジョーがアクドス・ギルに終わりを宣告するように言い放ちます。
それはつまり、この星がこの宇宙の陰性の極ともいえるアクドス・ギルにとっては相性が最悪の、
決して近づいてはいけない星だったのだということを示していますが、
アクドス・ギルにはジョーが何を言っているのか理解出来ません。

どうせアクドス・ギルには分かるまいと思いつつ、
ルカも「この星にはねぇ、あたしたち海賊でも手を出せない、大きな力があったのよ!」と
アクドス・ギルの禍々しい姿を真っ直ぐ見据えて言います。
ルカ達のような海賊でも手を出せない、つまり奪い取ることは出来ないということは、
それは形の無いものだということです。

アクドス・ギルの戦う力はその全身凶器のような宇宙最強の身体に由来する形ある戦闘力であり、
それゆえアクドス・ギルにとっては自分こそが最も大切なものであり、
自分以上に守るべきものを持たなかった。

しかし一方、この星に存在した大きな力は、
形ある戦闘力としては確かにアクドス・ギルほどは強力なものではなかったが、
そこにはどんな危機に際しても命を賭けてこの星の人々を守ろうとする
捨て身の精神から生み出される戦う力があったのです。

それはアクドス・ギルの持つ力とは対極にある力であり、
その本質は己を捨て、己を虚しくする力であり、究極的には形を持たない力となります。
それがこの星には、まさに形を失った状態で存在していたのです。
そのことを自分達はこの星に来て知ったのだとルカは言うのですが、
アクドス・ギルには何のことやらさっぱり分からず「なにぃ・・・?」と呻きます。

自分の力のみを信じ、形あるものしか信じることの出来ないアクドス・ギルにはどうせ分かるまいとばかりに、
ハカセはアクドス・ギルに向かって真っすぐ指を突き立て、
「お前には見えないだろうけど、僕たちは6人だけじゃない!」と怒鳴りつけました。
その形のない力、形を失った力は、今やマーベラス一味の6人と共にあるのです。
ハカセにもその力が目に見えているわけではありません。
しかし、その存在はハッキリ感じることが出来ます。

しかしザンギャックの連中、特にアクドス・ギルには
それは感じることも想像することも出来ないのだろうとハカセは思いました。
おそらく、それがこの宇宙の秘密の仕組みなのです。
そのことにようやくハカセも気付いてきました。

アイムも「私達の後ろには、この星を守り続けてきた人達がいます!」と、凛としてアクドス・ギルに言い放ちます。
この星を命を賭けて守り続けてきた戦士たちの命懸けの覚悟の力が、
今や形は無く目には見えない状態になっていますが、自分達と共にあるから、
自分達は6人のように見えて、決して6人だけではない。
目には見えないが、その命懸けの戦いを連綿と受け継いできた戦士達が
自分達6人の背後にいるのだとアイムは言います。

そのアイムの言葉、いや、ジョーから始まる4人の言葉を受けて、鎧が右手を天に突き上げ、
「・・・34のスーパー戦隊がいるんだ!」と言い、下を向き瞑目して、
その現在は実体を失った34戦隊192人の戦士たちの姿を脳裏に描きます。
その鎧が突き出した右手の先の虚空には、まるでマーベラス達6人の背後から支えるように
34戦隊192人の戦士たちの力が存在することを、マーベラス達は確かに感じ取ることが出来ましたが、
アクドス・ギルにはその力は感じ取ることは出来ず「うぬぅ・・・?」と唸ります。

そして鎧は右手を下ろして顔を上げ、目を開いてアクドス・ギルを睨みつけ
「その力・・・今見せてやる!」と宣言しました。
つまり、簡単に言えば、命懸けで地球を守り続けてきた34のスーパー戦隊の力が自分達と共にある以上、
命懸けで守るものを持たないアクドス・ギルとは覚悟の差は歴然であり、
それは歴然とした実力差をひっくり返してアクドス・ギルを打ち負かす力となるのだと鎧は言っています。

しかし、それは本当にアクドス・ギルをも倒す力となるのか?
それについて鎧も含めて、マーベラス達6人は確信しています。
ザンギャックの大艦隊を撃滅する戦いを通して、
この物語世界の構造が何となく呑み込めてきたからです。

マーベラス達が見たところ、ザンギャック帝国とスーパー戦隊とは両極端な存在でした。
ザンギャックは巨大な物量の力、強靭な肉体を持った戦士の力、
すなわち形がハッキリした物質的な力が非常に強力であり、
皇帝を筆頭に自己の持てる物を重視し、命を賭けて他のものを守るということをしない傾向が強い
エゴに満ちた帝国です。
それゆえにあらゆるものを他者から奪って我が物とし、支配下に置いた者達からも収奪し尽くす、
極めて侵略的傾向の強い独裁軍事帝国となりました。

一方、スーパー戦隊(および、その影響を受けた地球の人々)は、
物質的な力はザンギャックには遥かに及ばないが、
苦しい状況でも自分の命を賭けてでも他の人々を守ろうとする想いの生み出す、
目には見えない、形にはハッキリとしていない精神的な力が強く、
レジェンド大戦の時もこのスーパー戦隊の力がザンギャックの侵略軍を撃退したのですが、
最終的にザンギャック軍に追い詰められた時、逆転勝利をもたらしたのは、
スーパー戦隊の戦士たちの身体から放出された、この精神的なパワーでした。
そして、それが宇宙に散らばってレンジャーキーとなったのです。

つまり、どうやらスーパー戦隊の力の本質は
この彼らの長い戦いの中で蓄積した精神的なパワーなのであり、
そのパワーが最大限に発揮されるのは、戦士の身体から離れて純粋な精神エネルギー体となった時なのであり、
その34戦隊分の最大限のパワーはザンギャックのパワーを凌駕し、ザンギャックを倒す力があるようなのです。

だから、ザンギャックの侵略が地球に及び、
スーパー戦隊の戦士たちの力を結集してもザンギャックの猛威を止められなくなった時、
スーパー戦隊の戦士たちの身体からその精神エネルギーが飛び出して、ザンギャック艦隊を撃滅した後、
宇宙に飛んでいったのです。

これはおそらく、40年ほど前に、この宇宙にスーパー戦隊とザンギャックが生まれた時に
プログラムされていたことなのだろうとマーベラス達は理解しました。
この両者はどういうわけなのかは分からないが、宇宙の根本的な成り立ちに関連した存在なのだ。
だから「宇宙最大のお宝」による宇宙創成のためにスーパー戦隊の存在を消費する必要があり、
そのスーパー戦隊の力だけがこの宇宙で唯一、ザンギャックの侵略を退けた実績があるのです。
スーパー戦隊の精神を理解し、スーパー戦隊と同じように地球を守るために命を賭けた自分達が
ザンギャックの大艦隊を撃滅し得たという経験を通して、
マーベラス達はその仕組みに気付いたのです。

たぶん宇宙の陰極としてのザンギャックと、宇宙の陽極としてのスーパー戦隊があり、
ザンギャックはひたすら侵略し収奪して勢力を広げ、物質的なパワーを高めていき、
スーパー戦隊は地球において命懸けで人々を守って戦い、
精神的なパワーを蓄積していくという構造であったのだろう。

そしてザンギャックの侵略が地球にまで及んだ段階で、
スーパー戦隊の戦士たちの己を捨てる覚悟でその体内のパワーを放出した時、
その身体に蓄積された精神的パワーが放出され、
そこからザンギャックを潰すためにプログラムが動き出す仕組みになっていたのでしょう。

そのことを踏まえて、ジョーはアクドス・ギルに向かって、
地球を狙ったのが間違いだったのだと言ったのです。
地球を狙ったことによってザンギャックの滅亡のプログラムは動き出していたのだ。

そのプログラムとは、
レジェンド大戦でその放出された精神エネルギーがザンギャック艦隊を撃滅したことを指すのではありません。
それは序章に過ぎないのです。
それだけでは、元マンモスレンジャーのゴウシが言ったように、
ザンギャックを地球から追い払っただけのことであり、ザンギャックを倒すことにはならないからです。
宇宙の仕組んだプログラムはザンギャックを滅ぼすことであり、
そのためにその放出された精神エネルギーは宇宙に飛んでいき、レンジャーキーと化したのです。

それは何のためなのかというと、
そのレンジャーキーに込められた34戦隊の精神エネルギーを全てまとめて最大限に引き出して戦い
ザンギャックを滅ぼすことの出来る宇宙人の戦士を見つけるためだったのです。
その戦士がどうして地球人ではなく宇宙人でなければならないのかというと、
ザンギャックを滅ぼす資格を持つ者は、ザンギャックに支配され虐げられた苦しみの中で、
平和な宇宙を作るためにザンギャックと命懸けで戦ってきた者でなければならなかったからでしょう。

ただし、ザンギャック支配下の宇宙では
本当に命懸けでザンギャックを倒して平和な宇宙を作るために戦うような者はいなかった。
だから、ザンギャック支配下の宇宙で命懸けで夢を掴もうとしている者がその候補者として選ばれて、
地球へ導かれ、スーパー戦隊の命懸けで地球を守り宇宙の平和を願う精神に触れることで、
その候補者に自らの心の中にも同様の精神が存在することに気付かせる必要があったのでしょう。
その候補者となり得る「ザンギャック支配下の宇宙で命懸けで夢を掴もうとしている者」というのが
「宇宙海賊」であったのです。

そうしたプログラムに導かれて地球へやって来た宇宙海賊のマーベラス一味は、
スーパー戦隊の元戦士達と出会い、地球人と触れ合うことによって、
彼ら戦士たちが己を捨てる覚悟で放出したことによって、
変身能力を失って戦士としては目に見えない、形になっていない状態となっている代わりに
最大限のパワーを引き出せる状態となっているスーパー戦隊の精神の大きなパワーを知り、
それと同じものが自分達の中にもあることを知り、その力を次第に引き出すことが出来るようになっていきました。

そうして最終的に第49話以降の展開の中でマーベラス達は
34のスーパー戦隊が自身の命と存在を捨ててザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうとしていることを知り、
そこに宇宙海賊としての自身の生きざまや夢がピタリと重なることを悟ったのでした。
その結果、マーベラス達はスーパー戦隊だけを犠牲にする解決策を捨て、
自分達が35番目のスーパー戦隊として、34のスーパー戦隊と同じように命懸けで戦って
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうと決意した。

それによってマーベラス達が地球へ導かれた真の目的は達成され、
マーベラス達は34のスーパー戦隊の精神的なパワーをまとめて最大限に引き出して戦い、
ザンギャックを滅ぼす戦士の資格を得たのです。

つまり、あの三角錐型の「宇宙最大のお宝」による宇宙創成のやり直しをやるかやらないか、
その価値をマーベラス達が決めるように「この星の意思」によって謎かけをされた一件は、
マーベラス達を35番目のスーパー戦隊にして
過去の34の全てのスーパー戦隊のパワーを結集した最強戦隊として完成させ、
ザンギャックを滅ぼす戦士とするための最終試練のようなものだったのです。

その試練を通してスーパー戦隊の真の想いを知り、その想いを引き継いで戦った結果、
たった6人でザンギャックの大艦隊を撃滅して地球を守りきったマーベラス達は、
それが自分達6人だけの力によるものではなく、
自分達が想いを引き継いだ34のスーパー戦隊全ての想いの力が結集したものによるのだと悟り、
その力はザンギャックの力を凌駕するのだと知ったのです。

そして、今までのレンジャーキーを巡る不思議な物語から考えて、
この結末はザンギャックが地球に侵略の触手を伸ばした数年前から動き出していた
宇宙規模のプログラムの帰結なのだと推測したのでした。

そのプログラムとは、宇宙の意思が巨大になり過ぎた悪の帝国ザンギャックを滅ぼそうとしているということであり、
そのプログラムは宇宙の両端にある地球とザンギャック本星の接触、
すなわち地球にいるスーパー戦隊とザンギャック帝国の侵略軍が接触することによって
発動する仕組みになっていたのだろう。
自分達はそのプログラムに導かれて、34のスーパー戦隊の全てのパワーを背負い、
そのザンギャックに滅びをもたらす使徒の役割を負うことになったのだとマーベラス達は理解しました。

それゆえ、マーベラスはアクドス・ギルに向かって「てめぇは俺たちに勝てねぇよ・・・」と言い切り、
ジョーは「・・・この星を狙ったのが間違いだったんだ!」と言ったのです。
アクドス・ギルは数年前に自らトリガーを引いてしまったザンギャックの滅びのプログラムに動かされて、
今こうして全てを失ってこの場所に立っている。

アクドス・ギルが運命に導かれて立つことになった、この場所とはいったいどのような場所なのか?
それは、ルカが「この星にはねぇ、あたしたち海賊でも手を出せない、大きな力があったのよ!」と言ったように、
ザンギャックの持つ物質的なパワーと正反対の性質を持ち、
それを凌駕する強大な精神のパワーが存在する特別な星だったのだ。

そしてハカセが「お前には見えないだろうけど、僕たちは6人だけじゃない!」と言い、
アイムが「私達の後ろには、この星を守り続けてきた人達がいます!」と言い、
鎧が「・・・34のスーパー戦隊がいるんだ!」と言うように、
その34のスーパー戦隊がその長く引き継いできた戦いの歴史の中で
地球の人々と共に培ってきた強大な精神のパワーは、
今やマーベラス一味の6人に完全に引き継がれているのです。

その強大な力は、スーパー戦隊の戦士たちは自覚していなかったのであろうが、
もともとは、いずれザンギャックを滅ぼすために宇宙の意思が
この地球でスーパー戦隊の戦士たちの身体の中で育ててきたものであった。
滅びのプログラムに従って地球に導かれたアクドス・ギルは、そんな自分の運命は知らずに、
今、そのザンギャックに滅びをもたらす力を全て引き継いだ6人の戦士の前に立っている。
「その力・・・今見せてやる!」という鎧の言葉は、運命の執行者によるアクドス・ギルに対する処刑宣告でした。

運命を受け入れるべき立場に立たされていたのはアクドス・ギルの方だったのです。
そのことにも気づかずにまだ足掻こうとしているアクドス・ギルを見て、
マーベラスは「往生際が悪い」と言ったのでした。

しかし、アクドス・ギルには自分の運命など分かりませんから、
あくまでこの場で優勢なのは宇宙最強の皇帝たる自分だと思っています。
本当はアクドス・ギルは見えない運命の糸によって導かれて、
殺されるためにこの場に来てしまったようなものなのですが、
あくまで自分がマーベラス達を殺すために自分の意思でこの場へ来たのだと思っています。
そして、その自分によって殺される運命を受け入れるべきはマーベラス達の方だと思っています。

だからアクドス・ギルから見れば、マーベラス達の言動は全て、弱い者の悪足掻きにしか見えません。
この場でマーベラス達がスーパー戦隊の名を出したのも、
数年前にザンギャックの大艦隊を撃滅した不思議な力を持つ戦士たちの名を出せば
相手をビビらせることが出来るとでも思ってハッタリを言っているだけだとしか思いませんでした。
そんなハッタリは自分には通用しないとばかりに、アクドス・ギルは
「ほざくだけなら誰でもほざけるわ!」と嘲笑うと、
「はぁっ!!」と両肩から6人を狙って光弾を発射します。

すると、マーベラスがゴーカイサーベルを差し出し、鎧がゴーカイスピアを差し出して、
「おらぁっ!!」とその光弾を弾いて軌道を変え、光弾は虚しく6人の背後の断崖に突き刺さり消滅しました。
「うう?」とアクドス・ギルは驚きました。
ついさっき、ギガントホースでの戦いでは、この2人はこの光弾の攻撃程度でも全くなす術が無かったはずなのです。

マーベラスはニヤリと笑って「俺たちは35番目のスーパー戦隊になった・・・海賊だからな!」と言いながら、
得意げにサーベルの峰をキュッと擦ります。

既に6人はさっきまでの6人とは明らかに違います。
命を賭けた戦いでザンギャックの大艦隊を撃滅して地球を守ったことによって、
6人は遂に過去の34のスーパー戦隊と肩を並べた存在となった。
その結果、34のスーパー戦隊の蓄積してきた全てのパワーを完全に受け継ぎ、
引き出すことが出来るようになっており、
同時にゴーカイジャーという35番目のスーパー戦隊として用意されていた戦隊のパワーも
全て引き出すことが出来るようになったのです。

それはすなわち、命を賭けて何も守ることが出来ないゆえに全てを失った
弱い心のザンギャック皇帝に引導を渡すための運命の力です。
さっき地球を守りきったことを認識した時、その運命の力を手にしたことをマーベラス達は自覚していました。

しかし、マーベラス達はここで、その宇宙的な運命のプログラムからあえて距離を置いています。
確かに自分達は宇宙の意思の定めたプログラムによって導かれてここまで辿り着いた、
運命の35番目のスーパー戦隊なのかもしれない。
アクドス・ギルはここで死ぬ運命とは知らずにここに導かれてきただけなのかもしれない。
しかし、決められた未来なんてつまらないじゃないか。

アクドス・ギルは運命に逆らう大馬鹿者かもしれないが、
自分の意思でマーベラス達を殺しに来たと信じている。
運命を自分で掴むために戦おうとしているのです。
マーベラス達は、アクドス・ギルは何もかも気に入らないヤツだと思っていたが、
それでも定められた運命をただ受け入れるような生き方に比べれば、
まだアクドス・ギルのそういう部分は親近感が持てました。

運命は自分で掴み取る。欲しいものはこの手で奪い取る。それが海賊ってもんです。
宇宙の意思のプログラムだか何だか知らないが、それはそっちの都合でしかない。
自分達はあくまで海賊だという姿勢をマーベラス達は貫くことにしたのです。
だからマーベラスは「俺たちは35番目のスーパー戦隊になった・・・海賊だからな!」と、
35番目のスーパー戦隊になったとは言いながら、
あえて「海賊」と自称することにこだわる姿勢を見せています。

定められた運命に従って、運命の執行者として戦うのではなく、
あくまで自分の意思に従って海賊として戦うのです。
相手が運命に抗って戦おうとするのならば、
自分達が定められた運命を拠り所として戦っては勝てないのだとマーベラス達は思いました。
何故なら、自分達がこれまで運命に抗って戦うことによって勝ってきたからです。
それが海賊としての自分達の戦い方であり、自分達はそういう海賊としての戦い方しか出来ないのです。
だから、ここでいきなり運命の執行者を気取って戦えば、
今度は自分達が足元を掬われるのだとマーベラス達は思いました。

宇宙の意思だろうが、定められた運命だろうが、そんなものもまた万能ではないということは、
これまでの戦い、そして「宇宙最大のお宝」の一件でもマーベラス達は学びました。
未来を開くのは、定められた運命などではなく、命を賭けて夢を掴み取る無力な人間の意思の力なのです。
それは、ついさっきマーベラス達自身がザンギャック大艦隊の撃滅によって示した真理であり、
また、35のスーパー戦隊がその長い戦いの歴史の中で示してきた真理でもあったはずです。

正義が勝利し悪が滅びるというのが宇宙の定めた運命なのかもしれない。
しかしアクドス・ギルがあくまでその運命に抗って自分の悪しき夢を掴み取ろうというのならば、
マーベラス達も運命は関係無く、正義も悪も関係無く、
ただ単にアクドス・ギルやザンギャックの目指す夢が、
自分達の目指す「平和な宇宙」という夢の邪魔になるという理由だけでぶっ潰せばいいのです。

自分達の目指す夢を自分の手で掴み取るためには、
ザンギャックやアクドス・ギルが、ただ単に邪魔で気に入らない存在なのです。
そんな奴らはこの手でぶっ潰して、夢は自分の手で掴み取る。
運命などには頼らずに、運命も自分の手で掴み取る。
そのために命を賭けて戦う。それが海賊ってもんなのです。

そこは思いっきりシンプルでいいのだとマーベラス達は思いました。
これはもはや宇宙の運命を賭けた正義と悪の戦いではない。
それはさっきもう既に終わった。
ここから先は単なる運命に抗う大馬鹿者同士が
どちらが生き残って夢を掴むかを決めるために全力で殺し合う盛大な喧嘩でいいのです。

「お前みたいな気に入らないヤツは・・・!」と鎧が目を輝かせてアクドス・ギルに向けて槍先を突きつけると、
それに呼応して、6人全員が「力の限りぶっ潰す!!」と渾身の気合いを発します。
そうして6人はレンジャーキーを取出し、「豪快チェンジ!!」と叫び、
レンジャーキーをモバイレーツに挿し、「はっ!!」と前に突き出し、ゴーカイジャーへと変身したのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:57 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月23日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その4

マーベラスがギガントホースからの一斉砲撃で
空いっぱいを埋め尽くすザンギャックの大艦隊を殲滅していったことにより、
地上からは爆散していく夥しいザンギャック艦がまるで青空いっぱいを埋め尽くす花火のように見えました。
地上でジョー達4人をいよいよ追い詰めてトドメを刺そうかとしていたダイランドーも
「ん!?」と頭上の空で起こっている異常事態に気付いて、ハッと空を仰ぎ見て、
その異様な光景に「うおおお!?」と驚愕します。

ダイランドーは「バ・・・バカな!?」と我が目を疑いました。
空一面を覆っていた自慢のザンギャック大艦隊が、悉く爆散して全滅していく様子が目に映ったのですから、
ダイランドーがその事態を落ち着いて受け取れるはずはない。
今の状況でそんなことは絶対に起こり得ないはずだったからでした。

地球には大艦隊に対抗する術は無かったはずであり、
マーベラス一味を支援する小型戦艦が1隻現れただけで、ザンギャック側の圧倒的優勢が揺らぐはずもなかった。
だから上空の大艦隊に変事が起こるなど、ダイランドーは全く予想もしておらず、
まさにこの事態は青天の霹靂でありました。
しかし目の前で起こっていることは間違いなく事実でした。
その事実を受け入れて「・・・帝国全域から集めた我らの大艦隊がぁっ・・・!?」とダイランドーは、
大空を仰ぎ見て大声で嘆きます。

帝国の支配する宇宙の全領域から無理に集めてきた大艦隊なのです。
つまりザンギャックの保有する全艦隊のほぼ大部分がこの地球上空に集結していたのです。
それが全滅したとなれば、今まで力で押さえつけていた帝国の支配領域でのパワーバランスが激変してしまう。
地球征服作戦が長引くことによって大艦隊が地球に釘づけになることだけでも
ダイランドーもアクドス・ギルも嫌がっていたのですが、
これはそんなどころでは済まない、絶対に起こってはならない最悪の事態でした。

呆然と空を見上げながら、いったい何故こんなことが起こったのか?と考えたダイランドーは、
この大艦隊を全滅させるだけの能力を有するのは、この世に旗艦のギガントホースしか有り得ないと気付き、
ただ1艦、上空で遠く艦隊中央で無事に浮かんでいるギガントホースからの砲撃で
大艦隊が蹂躙されていっているのだと知りました。
しかし皇帝アクドス・ギルがこの状況でそんなことをするはずはない。
何かギガントホースで異常事態が生じていることを悟ったダイランドーは
今すぐギガントホースに戻らねばならないと思いました。

一方、この上空の激しい爆裂音や凄まじい光によって示される変事は、
倒れていたジョー達4人にも嫌でも伝わっていましたが、
ジョーはそれよりも目の前で自分達に背を向けて空を呆然と見上げているダイランドーの姿を見て、
「今だ!!」と起き上がり、すかさず「豪快チェンジ!!」とデカマスターに多段変身し、
デカマスターの愛刀のディーソード・ベガをライフル状に構えて、柄から強力な光弾を連射して、
ダイランドーの背中をハチの巣のように狙撃します。

ディーソード・ベガは超音波振動であらゆるものを切断する特殊な刀ですから、
それと同じ原理で放たれる光弾は、いくらダイランドーでもまともに喰らえば大きなダメージを受けます。
不覚にもそれを背中に山ほど喰らってしまったダイランドーは苦しげによろめきながら
「・・・後ろからとは・・・!」と、ジョーの卑怯な攻撃に怒りを募らせます。
しかし、ルカ、ハカセ、アイムの3人も立ち上がり、
ジョーに呼応して「豪快チェンジ!!」と多段変身を遂げ、
「・・・卑怯だぞおっ!!」と振り返って激怒するダイランドーに相対しました。

マジマザーに変身したアイムはダイランドーの怒りの言葉に対して「・・・海賊ですから!」とさらりと返します。
海賊なのだから卑怯なのは当たり前。だから平気で背後からでも撃つ。
そんな風に今まで自分達を散々見下して、ありもしない罪をでっち上げて
海賊の汚名を着せてきたのはダイランドーたちザンギャック帝国の方です。

姫シンケンレッドに変身したルカもニヤリとして「そうそう!」と同意します。
今まで好き放題に人のことを海賊呼ばわりしてきておいて、その海賊に戦場で背中を見せる方が悪い。
こんな時だけ正々堂々戦うよう要求するとは、都合が良すぎるというものだ。

だいたい、真に卑怯者はどちらなのか?
無抵抗の一般市民、女子供や老人たちまで無差別に、空から砲撃して殺戮してきたザンギャックこそ
真の卑怯者ではないのか?
その卑怯者のザンギャク大艦隊は背後からマーベラスに撃たれて滅んだ。
ダイランドーも同じ運命を辿るのが当然とばかりに、
「もう貴様も終わりだ!」とジョーはディーソードベカを剣状に握り直して突っ込み、
大剣人ズバーンに変身したハカセも「ズ〜ンズン!」とズバーン風の掛け声を上げて続き、
ルカもアイムも共にダイランドーに突撃、4人はダイランドーへの猛反撃を開始したのでした。

一方、その上空では、遂にギガントホースの全砲門からの執拗に続く連射によって、
大空を埋め尽くしていたザンギャック大艦隊の全艦が跡形も無く消え去り、
ぽつんと浮かぶギガントホースの周囲には、何も無い青空が広がるだけとなりました。

ギガントホースの司令室の砲手席でずっと発射レバーのボタンを押し続けていたマーベラスは、
大艦隊の消滅を確認すると、「・・・ふぅ!」と大きく息をついてレバーから手を離し、
席を立って後ろを振り返りつつ「自慢の大艦隊も終わったぜ・・・」と、
アクドス・ギルに向けて落ち着いた態度で告げます。

しかしマーベラスが振り返った司令室の奥の方の状況は修羅場でした。
必死でアクドス・ギルを足止めしていた鎧が遂にアクドス・ギルに滅多斬りにされて
「うおおっ!!」と吹っ飛び、倒れ込みます。
しかし、そうして鎧が粘ったお蔭で、マーベラスはザンギャックの大艦隊を殲滅出来たのです。
そのことを知り、アクドス・ギルは「おのれぇ・・・!」と怒りの形相をマーベラスに向けます。

マーベラスが砲手席で何かを操作しているということは、
ギガントホースの砲で使って味方艦隊を攻撃しているのだろうということは
アクドス・ギルも察しはついていたのですが、
とにかくしつこく攻撃してくる鎧に背を向けてマーベラスに向かうわけにもいかず、
まずは鎧を片付けることを優先したところ、
焦ったアクドス・ギルは予想外に鎧を倒すのに手間取ってしまったのでした。

いや、マーベラスがザンギャック艦隊を攻撃していることは分かりきっており、
それを止めることが出来るのは、この状況ではアクドス・ギルしかいないわけなのですから、
アクドス・ギルが本気で自分の部下たちの艦隊を救おうと思ったならば、
自分は鎧に斬られるのを覚悟で、捨て身の攻撃でマーベラスを止めることに集中すべきだったのですが、
独裁者のアクドス・ギルには自分を捨てて他人を救うなどという発想は無い。
自分自身こそが帝国そのものであり、全てでした。
自分を犠牲にしてまで守る価値のあるものなど、アクドス・ギルの頭の中には何も存在しません。
だから、自分大事のアクドス・ギルはみすみす虎の子の大艦隊を失うことになってしまったのでした。

しかし別の見方をすれば、本当に大艦隊などはアクドス・ギルにとっては
自分の命を危険に晒してまで守るほどの価値は無かったのだといえます。
確かにこの大艦隊が失われたことによって、帝国の宇宙における覇権は崩れ去る。
それはザンギャック帝国の統治者であるアクドス・ギルとしては手痛い打撃でした。

しかしアクドス・ギルは自分とギガントホースさえ無事ならば、
覇権などまたいくらでも取り戻すことは出来ると思っていました。
何せギガントホースは大艦隊をあっという間に殲滅させるだけの戦力を有した艦なのです。
つまりギガントホース1隻で宇宙全体から集めたザンギャック大艦隊を凌駕する戦力なのです。

このギガントホースに自分が在る限り、無敵であり、
また宇宙の覇権など取り戻せるという計算が立つので、
アクドス・ギルは自分の身を危険に晒してまで配下の大艦隊を救おうとはしなかったのです。
大艦隊はやむなく見捨てて、優先すべきは侵入者の海賊2人を確実に始末して、
自分は生き残ってギガントホースの攻撃力を使って地球を滅ぼし、
宇宙の覇権を回復することだというのがアクドス・ギルの思惑でした。

そしてマーベラスも鎧もそのことは分かっています。
ギガントホースにアクドス・ギルがいる限り、地球の危機はまだ一向に去っていないのです。
そして、まだ戦いは終わっていないのです。

もともとマーベラス達がギガントホースに侵入して実行しようとしていたことは、
今やり遂げた大艦隊の殲滅だけではありません。
これだけでは、やろうとしていたことの半分でしかありません。

もともとマーベラス達がやろうとしていた作戦は、
まずギガントホースに突入して、警備兵と皇帝アクドス・ギルを倒して司令室を乗っ取った上で、
次にギガントホースの全砲門からの砲撃で大艦隊を殲滅し、
その後ギガントホースを強制着陸させた上で内部から爆破し、自分達は脱出するという作戦でした。

ところが司令室を占拠する段階で倒すはずのアクドス・ギルが想定外に手強くて倒せないので、
仕方なく、鎧がアクドス・ギルを足止めしている間にマーベラスが砲手席を占拠して
ギガントホースの全砲門からの砲撃で大艦隊を殲滅したのです。
だから、順序が逆になったが、やはり次はアクドス・ギルを倒さないと作戦は進まない。
つまり、まだ地球を守るための戦いは終わってなどいないのです。

マーベラスは「いくぜぇ!!」とアクドス・ギルに向かって
ゴーカイサーベルとゴーカイガンを手にして襲い掛かり、
大艦隊の殲滅に勢いづいた鎧も再び立ち上がってアクドス・ギルに攻撃を繰り出します。
しかしアクドス・ギルも2人を倒してギガントホースを操って
大艦隊の弔い合戦で地球を滅ぼす決意に燃え、マーベラスと鎧の攻撃を全く寄せ付けません。
悉く攻撃を弾き返されてしまったマーベラスと鎧は思わず後退し、
そこに怒りに燃えたアクドス・ギルは「許さん!!」と両肩の紋様から光弾を発射し、
これを喰らったマーベラスと鎧は「ぐあっ!!」と吹っ飛びます。

このように大艦隊の殲滅後もギガントホースで死闘が続いていることは、
地上でダイランドーと戦うジョー達4人も分かっています。
ザンギャック大艦隊を殲滅するだけの戦力を有したギガントホースがまだ無事に空に浮かんでいる限り、
地球の危機は去っていないのです。

ギガントホースが地上に向かって降下を開始しないということは、
まだマーベラス達は完全にギガントホースを掌握したわけではない。
おそらく皇帝はまだ生きていて、マーベラス達は皇帝と交戦中なのだろうということは、
その場にいなくてもジョー達には想像がつきました。

皇帝がそこまで手強いというのはジョー達にとっても予想外ではありましたが、
そうであるならば、なおさらダイランドーをギガントホースに帰還させるわけにはいかない。
既に重傷を負わせたとはいえ、ダイランドーはまだまだ手強い相手です。
このダイランドーがギガントホースに戻って皇帝と共に戦えば、マーベラス達が苦境に陥ることになり、
地球もピンチになるのです。
だからダイランドーはここでこのまま確実に仕留めておかねばならない。
それで4人は猛然とダイランドーへの攻撃の勢いを強めます。

ところで、この4人の豪快チェンジした4戦士は、
ジョーがデカマスター、ルカが姫シンケンレッド、ハカセがズバーン、アイムがマジマザーです。
4戦士ともに番外戦士であり、最強格の敵であるダイランドーに対抗して、
4人とも最強格の戦士である番外戦士をチョイスしたというところでしょう。

だが、どうしてこの4戦士なのかというと、
それは基本的には、この敵幹部を倒す派手な場面に見合ったアクションに合わせたチョイスでしょう。
番外戦士の10戦士のうち、ウルザードファイヤーと黒騎士はマーベラスと鎧の担当というイメージが強く、
デカスワンとシグナルマンはこの場面に映えるような大技が無く、
リオとメレはどうしてもこの2人のコンビ攻撃の印象が強いが、
ここは男同士、女同士のペアのアクション場面なので除外されます。

そうなるとデカマスター、ズバーン、マジマザー、姫シンケンレッドが残ります。
それぞれ極めて特徴的な大技を持った戦士たちで、
これらを使うことで、ここまでのエピソードでは無かったような面白い場面を作れます。

この最強格4戦士に変身して戦うジョー達でしたが、
それでも重傷を負いながらダイランドーも奮戦し、四方から取り囲んできた4人を受け止め、
ルカとアイムを弾き飛ばします。
吹っ飛ばされて「うっ・・・!」と転がったルカとアイムに向かって、
ダイランドーは両腕をジョーとハカセに押さえ込まれた状態で、
背中から突き出た砲口から「たあっ!」とレーザーを発射します。

するとアイムは起き上がって一歩前に出ながら「マジ・マジュナ!!」と呪文を唱えて、
「マジレンジャー」終盤で1回だけ使用したマジマザーの必殺技のブリザードクラッシュを
この場面で遂に使います。
これは強烈な冷気で敵を一瞬で粉砕する攻撃技ですが、
ここではさんざん4人を苦しめてきたダイランドーのレーザーの熱線を中和して
無効化する防御技として使用します。

こうしてアイムの前で炎と氷がぶつかり合い、爆発を起こして両者が消し飛ぶと、
その炎と蒸気が晴れた後方でルカが一瞬のうちにシンケンマルを烈火大斬刀に変形させ、
更にそれを大筒モードに構えて立っていました。
そういえば「ゴーカイジャー」ではこの大筒モードはまだ未使用だったような気がします。
しかも「シンケンジャー」本編でも稀にしか使われなかった簡易式のいわゆる「一人五輪弾」というやつで、
しかも姫シンケンレッドが使うパターンとしてはもちろん初披露です。

素早く構えて「大筒モード!はっ!!」とルカが叫んで発射した、この一人五輪弾は確かに大技だが、
スピード重視の技であり、ダイランドーを仕留めるほどの威力は無い。
しかしルカが狙っていたのはダイランドーの命ではなく、
その動きを止めてギガントホースに逃げられなくすることであり、
五輪弾の標的は、避けるのが難しいダイランドーの足でした。
相手の足を狙う攻撃も海賊らしいダーティーな攻撃です。

しかしダイランドーもこれに気付いて瞬時に「ほっ!」と跳び上がって避けようとしますが、
ハカセがダイランドーの肩を押さえてその動きを封じ、
ジョーは一瞬浮き上がって止まったダイランドーの無防備の左足に向けて
ディーソード・ベガの一閃を振り下ろして斬り裂きます。
更にそこに五輪弾が命中し、ダイランドーは「うあああっ!?」と絶叫して、もんどりうって転がり、
左足が完全にやられてしまったようで、起き上がるにも苦労する状態となります。

ここは一気に畳みかけるチャンスと見て、ジョーは「ハカセ!!」と呼びかけます。
するとズバーン姿のハカセは「ズンズ〜ン!」と何やらズバーン口調で張り切ったかと思うと、
なんとここで聖剣モードにチェンジしたのでした。

大剣人ズバーンは本来の姿はプレシャスで、レムリアの黄金製の聖剣であり、
「ボウケンジャー」本編でもしばしば聖剣の姿に変形してボウケンレッドの武器として使用されていましたが、
この「ゴーカイジャー」ではズバーンはここまで人型モードでしか使われていませんでした。
そのとっておきの聖剣モードへの変形をこの最終話に持ってきたのです。
しかもここの変形シーン、ハカセがいちいち変形しながら「あ!あいててててっ!?」などと
身体がパキパキ折れ曲がっていくことに苦痛を訴えているのが可笑しい。
まるで「ディケイド」のファイナルフォームライドのシーンのようです。

こうして黄金の聖剣の姿になったハカセのズバーンですが、
本来極めてハザードレベルの高いプレシャスである黄金の聖剣は、その威力は絶大です。
そしてその聖剣を手にしたのは、ジョーが変身したデカマスター、
銀河一刀流免許皆伝の、スーパー戦隊全戦士の中で最強格の剣客の1人です。

デカマスターに変身するオリジナル戦士、ドギー・クルーガーの修めた流派である銀河一刀流は、
その名の通り一刀で戦う流派ですが、
ここでデカマスターに変身しているジョーは二刀流において最強の剣力を発揮する剣士です。
ここでジョーは左手にデカマスターの愛刀ディーソード・ベガ、
右手にレムリアの黄金の聖剣を握る二刀流スタイルとなり、
デカマスターの姿をしながら戦隊最強剣客デカマスターの剣技をも超える新たな境地に突入していきます。

剣を握った両手を大きく広げて「おおうっ!!」と突っ込んだジョーは、
ようやく起き上がったダイランドーに「ふん!」と右手の黄金の聖剣で一閃、
そして続けざま「はっ!!」と左手のディーソード・ベガで一閃し、
ダイランドーを左右からの袈裟懸けに十字に斬ります。

なお、ジョーが普段の海賊スタイルで剣を握っているのは右手ですから、
二刀流とはいえ利き腕は一応右手です。
その右手に黄金の聖剣の方を握っているということは、聖剣の方で大技を放つということです。

すると、ここでジョーは「むん!」と右手で下段に構えた聖剣を
「おおおおおっ!!」と身体の前で円弧を描いて回し始めました。
そうすると聖剣の刀身が黄金色に輝き、
大きく1回転させた聖剣をジョーが胸の前に引きつけて下向きに構えると、
刀身には目いっぱいの闘気が充填されて、ひときわ眩く輝きました。

これは、シドからジョーに受け継がれた、あの円月剣の予備動作です。
ここから十字に空を斬り裂いて衝撃波を飛ばすのが本来の円月剣ですが、
ジョーは師の技を超えた証に、シドの改造された強敵バリゾーグにトドメを刺した時と同じように、
「うらあああっ!!」と裂帛の気合いと共に身体を回転させながら
横一閃にダイランドーの胸を斬り裂いたのでした。

ダイランドーは「・・・ぐあああ・・・」と絶叫して盛大に火花を噴いて吹っ飛び、これでほとんど勝負は決しました。
ジョーが右手から聖剣を離すと、
同時に聖剣はズバーン人型モードを通り越して一気にゴーカイグリーンの姿に戻り、
「・・・おあたぁ!」と痛がりながらハカセは転がり落ちて、
立ち上がると、容赦なくダイランドーの身体に叩きつけられた我が身を心配するように
「あ〜あ・・・!」とぼやきながら、身体の各所の関節をコキコキ鳴らして調整します。
そこにゴーカイピンクの姿に戻ったアイムが駆けより心配そうに「ハカセさん!」と声をかけ、
ゴーカイイエローの姿に戻ったルカも駆け寄ります。

しかし、さすがにダイランドーも大したもので、
聖剣バージョンでこの技を喰らってもまだ簡単には倒れません。
フラフラになりながらも執念で再び立ち上がってきたダイランドーに向け、
ゴーカイブルーの姿に戻ったジョーがゴーカイガレオンバスターを構え、
ジョーの背をルカとアイムが支え、ハカセはガレオンバスターを下から支えます。

ガレオンバスターは5つのレンジャーキーを挿して発射するものですが、今は4人しかいません。
どうするのかと思ったら、ここで4人はさっき変身解除した
デカマスター、ズバーン、マジマザー、姫シンケンレッドのレンジャーキーを
ガレオンバスターの側面の4つの鍵穴に挿しており、
ガレオンバスター後面のメインの鍵穴にはジョーがゴーカイブルーのレンジャーキーを挿し、
「ブル〜チャ〜ジ!!」という認識音と共にエネルギーの充填が開始されます。
最終話にして初のブルーチャージが来ましたが、
挿しているキー5つのうち4つが番外戦士のレンジャーキーであるという変則ライジングストライクです。

ダイランドーとしては、このダメージ過多の状態でライジングストライクを喰らってはひとたまりもない。
かといって、足も身体もボロボロでもはや避けることも出来ない。
もはや絶体絶命といえますが、しかしダイランドーは執念を振り絞り
「そうは・・・いかないでしょお!!」と叫ぶと、背中から出た発射口から無茶苦茶にレーザーを乱射してきて、
ライジングストライクの発射を阻止しようとします。

これがジョー達の前に炸裂し、その衝撃で「ぐうっ・・・!」と、遂に4人は変身が解けて生身に戻ってしまいますが、
4人は生身のままと必死に堪えて「うおおおおおおっ!!」とガレオンバスターを保持し、
ジョーはそのまま一気に引き金を引きます。

すると、生身ではライジングストライクの反動を抑えきれずに
4人はガレオンバスターを持ったまま後ろに吹き飛びますが、
発射されたライジングストライクは第38話のジョーとバリゾーグの決戦時のように
変身解除した4人のゴーカイジャーのレンジャーキーのエネルギーも巻き込んで
巨大なトルネード状の青い衝撃波の渦巻きとなって飛んでいき、ダイランドーを貫きます。
そしてダイランドーは「ぐあああっ!?そんなバカなぁ・・・ウソで・・・ちょおおおっ!!」と
断末魔の叫びを上げて大爆発して、遂に果てたのでした。

地面に叩きつけられた4人は身を起こして勝利を確認し、さすがに疲労困憊ですぐには立ち上がれません。
4人のダイランドーとの戦いは遂に終わりました。
しかし、まだ戦いは終わっていません。
荒い息を整えながら、ジョーは「・・・こっちはやったぞ・・・マーベラス!」と
青い空に依然として遠く浮かんだままのギガントホースの方を見上げ、自分達の勝利を告げ、
4人はマーベラスと鎧の戦いにエールを贈ります。

大艦隊を撃滅したのに、まだギガントホースが降下してくる気配が無く、
逆にギガントホースが地上を攻撃してくる気配や宇宙に逃げていく気配も無いということは、
未だマーベラスと鎧がギガントホース内で皇帝アクドス・ギルと戦っているということを
意味していることは、4人にも分かっていたからでした。

そのギガントホースの司令室では、
マーベラスと鎧が怒りの皇帝アクドス・ギルに一方的に押されまくっていました。
さっきまでのマーベラスの動きを気にしながら鎧と戦っていた時のアクドス・ギルとは違い、
今のアクドス・ギルは2人を殺すことのみに集中した迷いの無い状態です。
そこに正面からアクドス・ギルを倒しにかかったマーベラスと鎧の攻撃がぶつかり、
まさに真っ向勝負の様相となったのですが、
真っ向勝負となると、その実力差は歴然としているようで、
マーベラスと鎧の攻撃はアクドス・ギルには全く通用しません。

逆にアクドス・ギルの攻撃を喰らいまくったマーベラスと鎧は、
司令官席の前のパネルに2人並んで吹っ飛ばされて叩きつけられ、
「うおお・・・」と呻いて床に沈んでしまいました。
しかし、このまま殺されるわけにはいかない。
2人は執念で立ち上がります。

艦橋の窓側に立っていたアクドス・ギルは、それを見て「・・・しぶといな・・・」と冷たく言うと、
「ふんっ!!」と剣を一閃、強烈な衝撃波を2人に向けて発射し、
それを武器で受け止めた2人は、2人がかりで押し返そうとしますが、
アクドス・ギルの技が強烈すぎるのもあり、2人の体力がもはや限界ということもあり、
堪えきれず、「ぐああああっ!!」と吹っ飛ぶと、
後方のザンギャックの旗が掲げられた奥側の壁面の一番上に激突し、
2人は床面に落下して「・・・ぐあっ!」と呻き、鎧は遂にゴールドモードも解除してしまいます。

鎧もこれまでに無いほど長時間、無理してゴールドモードを使用し続けていましたが、
それも遂に限界で、これで多少はアクドス・ギルに脅威を与えていたゴールドモードも解除され、
ますますマーベラス達の劣勢は決定的となりました。

マーベラスと鎧は、やはりさすがに最強の皇帝というだけのことはあると、彼我の実力差を痛感しました。
2人がかりでも、到底、真っ向勝負で勝てるような相手ではなかった。
やはり、その武力で宇宙を制覇した最強の武人皇帝に、
宇宙海賊ごときがまともに戦って勝てると思ったのが間違いだった。
改めてそう思い知らされた2人は、このままでは自分達はアクドス・ギルには勝てないことを心の中で認めました。

積もり積もったダメージでもう2人の身体の疲労は限界に達しており、
アクドス・ギルはほぼ無傷であり、このまま戦っても有効打など与えられそうにない。
死なないためにはアクドス・ギルの攻撃を耐え続け、逃げ続けるしかない状況です。
しかし、そもそも、このまま戦い続けている時間すら、2人にはもはや残されていない気配が濃厚です。
そろそろフリージョーカーの突っ込んだフロアーの片付けが終わり、
下層階の夥しい兵達がこの司令室に殺到してくる頃です。
そうなれば、今のマーベラスと鎧はあっという間に殺されておしまいでしょう。

つまり、もう完全に詰んだ状態です。
勝負はもはや決した。
マーベラスも鎧も、自分はもうアクドス・ギルに勝てないことを心の中で認めて
「うう・・・」と呻いて立ち上がりました。

アクドス・ギルももはや勝利を確信しているので、
マーベラス達が立ったことに「おお?・・・まだ立つか・・・?」と呆れます。
勝負が既に決まっていることにも気づかないとは、なんと愚か者かと、
アクドス・ギルは2人のことを心中で嘲笑い、
また性懲りも無く2人が武器にレンジャーキーを挿して、
フラフラになりながらファイナルウェーブの態勢に入るのを見て、
「弾き返してくれるわ!」と剣を構えて2人の攻撃を真っ向から受け止めて遊んでやろうとします。
マーベラスはファイナルウェーブ態勢に入ったゴーカイガンをアクドス・ギルに向けて真っ直ぐ構え、
鎧も同じくファイナルウェーブ態勢に入ったガンモードのゴーカイスピアで
アクドス・ギルに真っ直ぐ狙いをつけます。

ところが、既にアクドス・ギルに真っ当に勝つことの不可能を悟った2人は、
今さらアクドス・ギルを攻撃するつもりはありませんでした。
突然マーベラスは「狙いはこっちなんだよぉ!」と嘲笑うように叫ぶと、
銃口をアクドス・ギルから逸らして、左斜め下前方に向けて「てい!」とゴーカイブラストを発射します。
鎧も同様に、銃口を右斜め下前方に向けて「おらあ!」とゴーカイスーパーノヴァを発射しました。

アクドス・ギルは「む!?」と2人の予想外の行動に驚きますが、
2人の発射した光弾は、ちょうど2人の真ん中前方にあった司令官席のコントロールパネルに炸裂し、
それを吹っ飛ばします。
すると司令室内の他の制御盤も全て火を噴き、
コントロールを失ったギガントホースの制御系統が暴走を開始して、艦内の各所で爆発が始まったのでした。

艦内に鳴り響く轟音と司令室を包み込む火花の中でアクドス・ギルは
「ま・・・まさか・・・!?」と思わず狼狽えました。
このままではギガントホースは爆発を繰り返しながら墜落するのは必至でした。
しかし、そんなことになればマーベラスと鎧の2人も爆発と墜落に巻き込まれて死ぬ可能性が高い。
だから、まさか2人がそんな暴挙に打って出るのはアクドス・ギルは予想していませんでした。

しかし、どうやらマーベラス達がギガントホースもろとも皇帝である自分を道連れにして
死のうとしているようだと気付いたアクドス・ギルはその無茶苦茶なやり方に慄然として、
とにかく早く逃げなければいけないと思い、慌てました。
すると、そこに「おおおおおっ!!」と叫んでマーベラスと鎧が突っ込んできていました。
2人は、司令官席のコントロールシステムを破壊した直後、
すぐに真っ直ぐアクドス・ギルを斬るために駆け込んできていたのです。
アクドス・ギルが逃げようとすることを先読みして、
その慌てたところを狙って一撃を食らわすチャンスだと最初から計算していたのでした。

マーベラスと鎧は自分達2人ではアクドス・ギルをまともに倒して
ギガントホースを掌握して地上に降ろしてから爆破することは無理だと悟り、
その方法には見切りをつけたのです。

アクドス・ギルを倒すことが出来ないのなら、
アクドス・ギルを倒さずにギガントホースを破壊するしかない。
つまりアクドス・ギルと戦いながら飛行中のギガントホースを破壊するしかないのです。
それは、司令室のコントロールシステムを破壊すれば出来ることですから、
アクドス・ギルと戦いながらでも十分に可能なことでした。

とにかくギガントホースを破壊して墜落させてしまえば、地球への脅威は無くなり、地球は救われる。
だからアクドス・ギルを殺してギガントホースを掌握出来ない以上、
この方法しか地球を救う方法はありません。
しかし、この方法を選べば、マーベラスと鎧もギガントホースの爆発に巻き込まれて
共に墜落することになり、命が危ない。
だから最初はマーベラス達はアクドス・ギルを倒した後、
ギガントホースを地上に降ろして自分達の退路を確保してから爆破しようとしていました。

しかし、アクドス・ギルとの戦いで追い込まれて、
やはり海賊が巨大帝国を倒そうとする以上、そんなに都合よく物事が運ぶはずはないのだと2人は悟りました。
自分の命を擲って戦わなければ
ザンギャックを倒して地球を守り宇宙を平和にするなんていう大きな夢を掴めるはずはない。
そのようにして自分たちはここまで勝ち抜いてきたのだと思い出した2人は、改めて肚を括り、
飛行中のギガントホースの破壊という危険な作戦を敢行したのでした。
そして2人は、そこまでやるのならば、とことん危険を冒してでも、
この最強最悪のザンギャック皇帝だけは沈むギガントホースの中で確実に仕留めようと決意しました。

爆発し墜落するギガントホースの中からでも、
実際のところマーベラスと鎧はその気になれば脱出できる自信は幾らかはありました。
しかし、その2人でも脱出できるということは、
アクドス・ギルだって脱出できる可能性は高いと考えた方がいい。
大艦隊とギガントホースを失ったアクドス・ギルに果たしてどれほどのことが出来るか分かりませんでしたが、
この驚異的な戦闘力を考えると、仕留められる時に仕留めておいた方がいいと思えました。

アクドス・ギルはギガントホースが沈むと知れば、間違いなく自分だけ助かろうとして注意が逸れるはず。
その瞬間を狙って斬る。
それだけで倒せる相手とも思えないが、とにかく勝負に持ち込めるところまでいけば、
この部屋に釘づけにしたまま爆発墜落に巻き込んで倒すことが出来る。

それは言い換えれば、マーベラスと鎧も脱出を諦めて爆発墜落に巻き込まれるということも意味するのですが、
そこまでしなければアクドス・ギルは倒せない。
アクドス・ギルが生き延びれば、必ず宇宙の平和に禍根を残す。
だから、この千載一遇のチャンスを、たとえ自分の命を危険に晒そうとも、
マーベラス達は逃がすつもりはありませんでした。

そうして爆発し始めたギガントホースの司令室の中でマーベラス達は脱出の道は捨て、
迷いなくアクドス・ギルに斬りかかり、
脱出のことを考えていたために一瞬迷いが生じて対応が遅れたアクドス・ギルは
慌てて剣で防御しようとしましたが、
「うりゃあ!!」と駆け抜けたマーベラスのゴーカイサーベルと鎧のゴーカイスピアが一瞬早く
アクドス・ギルの胴を斬り裂き、アクドス・ギルは久しぶりに身体に受けた刀傷の感覚に
「・・・ああっ!?」と驚き、力無く声を漏らします。

そこにクルリと振り向いた鎧が「おおおりゃああああっ!!」と気合一閃、
ゴーカイスピアを全力で突き出し、アクドス・ギルの腹のど真ん中を三叉の槍先で突き刺します。
「うあああっ!?」と悲鳴を上げたアクドス・ギルを突き刺したまま、
鎧は「おおおお!!」と全力で駆け出し、
「やあああああ!!」と叫びながらアクドス・ギルを司令官席の前のパネルにぶち当てて、
深々と串刺しにして槍先を抉ります。

その瞬間、艦橋全体で更に大きな爆発が起こり、
司令室の天井や壁を崩れてきて、各所で爆炎が巻き起こります。
その破滅的情景の中、司令官席の前のパネルにもたれかかって「・・・あああ・・・」と苦痛に足掻く
アクドス・ギルの顔を見て、鎧は「・・・へへっ!」とこの皇帝に殺された人々のことを想い
その皇帝の苦悶に満ちた顔に、彼らに代わって一矢報いてやった痛快さを覚えると槍を引き抜き、
身を翻してアクドス・ギルから離れてマーベラスと並んで、
「・・・ああああ・・・くううううっ!」と悔しげに呻きながらも身動きが出来なくなったアクドス・ギルに相対します。

そして、鎧はゴーカイスピアをガンモードにしてレンジャーキーを挿し、
マーベラスもゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿しながら
「・・・あばよ・・・最強最悪の・・・皇帝陛下!!」と一応はその恐るべき戦闘力に敬意を表します。
良くて爆発の中で相討ちと思って仕掛けた攻撃でしたが、意外にもこのまま倒すことが出来そうでした。
だからといって自分達がアクドス・ギルに勝ったわけではない。

勝負を分けたのは一瞬のことでした。
もしアクドス・ギルが自分が助かることにこだわらず、
爆発の中、相討ち覚悟でマーベラス達を仕留めに来ていれば、
おそらく自分達が敗れていただろうとマーベラスは思いました。
そうなれば、ここで屍を晒していたのは自分達であり、アクドス・ギルは脱出に成功していたであろう。

決して自分達がアクドス・ギルに勝ったわけではない。
最強の皇帝であるアクドス・ギルが独裁者ゆえに自分の命を賭ける価値を何も知らなかったために
自滅しただけなのです。
そんな気持ちの悪い存在を頂点に生み出した忌まわしき帝国も、ここで終わりとなります。

「これで最期だぁっ!!」と鎧がゴーカイスーパーノヴァを発射、
続いて「うおぉりゃあっ!!」とマーベラスが二連続で放ったゴーカイスラッシュが
スーパーノヴァに合体加速し、アクドス・ギルに突き刺さり、
アクドス・ギルは「ぐあああああっ!!」と断末魔の悲鳴を上げて大爆発、跡形も無く吹っ飛びました。

そして一瞬遅れて、マーベラスと鎧の周囲でも大爆発が幾つも起こり、
2人は「うわああああっ!?」と叫びながら爆炎の中に呑まれていき、
同時にギガントホースは艦内全体に一気に誘爆が拡大し機能を完全停止、
その巨体は全体が一気に炎に包まれて傾き、完全に推進力を失って地球の重力に引っ張られるまま、
巨大な火の玉となって墜落していったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:56 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その3

場面は変わってフリージョーカーのコクピット。
マーベラスと鎧が駆け込んできます。
2人がどうやって乗り込んできたのかという途中経過の描写は省かれていますが、
おそらく敵艦隊と交戦中のフリージョーカーを操縦するナビィにマーベラスがモバイレーツで連絡を入れ、
交戦しながら高度を下げさせて、
そこに向かって空を飛べる戦士、おそらくジェットマンあたりに豪快チェンジして
2人は空中から乗り込んだのでしょう。
かなり危険な方法ですが、この場合はその方法しかありません。

コクピットに入ってきた時にはマーベラスも鎧も生身に戻っており、
操縦席に辿り着いたマーベラスは「鳥!換われ!!」と怒鳴って、
「お〜う!!」と応えて操縦桿を離したナビィに代わって操縦席に座り、操縦桿を握ります。

マーベラスはフリージョーカーを操縦したことはないはずですが、
ナビィも初めてでもフリージョーカーを操縦出来ているところを見ると、
この物語世界の宇宙戦艦というものは基本操縦システムは全部共通であるようです。
ゴーカイガレオンはアカレッドが作ったものだと思われるので、
ザンギャックの戦艦とは規格が違うと考えるのが普通ですが、
どうも、あえてザンギャックの支配する世界における戦艦の規格に合わせてアカレッドは作ったようです。
それはつまり、ザンギャックの支配する領域で活動する宇宙海賊を仲間にすることを
最初から前提とした航海であったからであるようです。

マーベラスにしてもバスコにしても、
ザンギャック支配下の領域で海賊として普通に船の操縦などのスキルは積んでいたので、
ガレオンの装置も最初から扱えた(但しマーベラスはメンテは全然出来なかったが)のでしょう。
そんなマーベラスですから、それと同じ規格のザンギャック艦の操縦システムをそのまま使っている
フリージョーカーの操縦も問題無く出来るわけです。
もちろんナビィも普段ガレオンの装置を使いこなしているわけですから、フリージョーカーも操縦できるわけです。

そしてもちろん操船戦闘技術ではナビィよりもマーベラスの方が遥かに上ですから、
ここはマーベラスに操縦者が換わるのは当然です。
しかし、操縦者がマーベラスに換わったからといって、
この小型戦艦のフリージョーカーの性能が飛躍的に向上するというわけではありません。

「でも・・・どうするんだよ!?」とナビィもマーベラスの意図が分からず質問してきます。
フリージョーカーの火力は大したものではなく、
今戦っている相手の小型戦艦の小規模艦隊程度なら勝てるが、上空の大艦隊を相手に打ち勝つような力は無い。
ましてや超巨大戦艦のギガントホースにはフリージョーカーの火力ではロクなダメージも与えられないでしょう。

それにバスコの秘密兵器のバリアーにしても前方にしか展開しないようで、
おそらく小型で超高速が最大の長所である小型戦艦の前方にバリアー発生装置を取り付けて、
優勢な敵に襲われた時に正面突破の奇襲をかけて逃走することを目的とした仕様なのだと思われ、
いかにも大胆不敵で人を喰った一匹狼の宇宙海賊バスコの乗艦らしいシステムといえます。
同格の相手に対しては恐るべき攻撃兵器となるのでしょうけれど、優勢な相手を打ち負かすための艦ではない。
あくまで高速で敵正面を斬り裂いて突破して逃げ去るための性能の艦なのだといえます。
だから大艦隊の真ん中に留まって周囲の敵艦を相手に戦うようなことは出来ない。

おそらくフリージョーカーを使えばこの場から逃げ切ることは容易でしょう。
しかし、逃げても大艦隊による地球人への攻撃を止めることは出来ないのですから、
ここは大艦隊を撃破しなければいけない。
しかしフリージョーカーの火力で一気に大艦隊を撃破することなど出来るわけもなく、
旗艦のギガントホースに一撃で有効なダメージを与えられるわけでもない。

そうなると敵の大艦隊撃破のためにはフリージョーカーで大艦隊の中に突っ込み、
そこで留まって粘り強く戦うしかないが、
そんなことをすれば四方八方から狙い撃ちされて撃墜されるに決まっている。
今は敵艦隊の外側から攻撃を加えているから敵の攻撃は前方バリアーで防御出来ているが、
敵艦隊の中に入ってしまえば、いくら高速で動き回ったとしても、
あれだけの数の敵艦に囲まれた状況ではいずれは必ず攻撃を喰らってしまう。
それは間違いなく、フリージョーカーが敵艦隊を撃破するよりも早く訪れる事態です。

じゃあこのまま敵艦隊の外からの攻撃を続けていれば安泰なのかというと、決してそんなことはない。
まずこんな外から攻撃していても分厚い敵艦隊に微々たるダメージしか与えられておらず、
事実上敵艦隊による地上への攻撃を放置しているような状態だし、
だいいち敵の攻撃を受けまくっている前方バリアーがいつまでも保つわけがない。

この世に万能のバリアーなどあるわけはない。
いくらバスコが作ったバリアーだといっても例外は無い。
敵の攻撃を無限に受け続けられるバリアーなど無いのです。
既にかなりの敵弾を集中的に被弾している前方バリアーはいつまで保つか分からない状況となっているはずです。

だからここに留まって戦い続けていても敗北必至であり、
かといって突っ込んで戦っても勝ち目はほぼ無いし、
逃げても無意味です。
何ら先行きの見通しがつかない状況ですが、
今のところ何とか持ち堪えている前方バリアーが突破されるまでに何らかの決断はしなければならない。
そして、それまでにもうほとんど時間的猶予は無いはずです。

ナビィにはどうしていいのかサッパリ分かりませんでした。
しかしマーベラスの肚は最初から決まっています。
マーベラスは操縦桿を受け取ると、
すぐさまフリージョーカーの全性能をレッドゾーンを超えるフルパワーに設定します。
そんなことをすれば短時間でフリージョーカーは壊れて動かなくなるに決まっていますが、
マーベラスはお構いなしです。
短時間だけ敵艦の全部を凌駕する性能を発揮出来ればいいのです。

そして設定が終わるとマーベラスは操縦桿を勢いよく倒してフリージョーカーを急旋回させ、
ナビィは味わったことのない横Gを受けて「わ〜あ!?」と吹っ飛ばされそうになり驚きます。
そうしてフリージョーカーの艦首が正面に捉えたのは、敵艦隊の旗艦ギガントホースの遠くに浮かぶ姿でした。
その瞬間、「このまま突っ込む!!」と怒鳴ってマーベラスは目いっぱい操縦桿を引き、
フリージョーカーは一瞬にして驚異的スピードで真っ直ぐギガントホースに突撃を開始したのでした。

遠いといっても、アクドス・ギルはマーベラス達が艦艇や巨大ロボを喪失しているという前提で、
マーベラス達の真上にギガントホースをかなり降下させてきており、
地上から肉眼でもギガントホースの位置が分かるほどでした。
これならば、フリージョーカーの運動性能をもってすれば、すぐ近くにあるようなものです。
まさにジョーの言う通り、千載一遇のチャンスでした。

ただアクドス・ギルはフリージョーカー1隻ぐらいが登場したぐらいで全く危機感など抱いていませんでした。
フリージョーカーとギガントホースの間には膨大な数のザンギャック艦が配置されており、
たった1隻の艦が突破など出来るわけがないと予想するのが当然です。

むしろアクドス・ギルはマーベラス達がフリージョーカーを逃走用に使うと見て、
フリージョーカーの退路を断つように、周辺に艦を回して包囲網を作ろうとしており、
どちらかというと正面は手薄になっていました。
まさかフリージョーカーがギガントホースに正面から突っ込んでくるなど想像もしていなかったのでした。

アクドス・ギルはフリージョーカーのバリアーのことは知らなかったので、正面突破が可能だと思えなかったし、
そもそももしフリージョーカーが正面突破に成功してギガントホースに肉薄したところで、
小型戦艦の火力でギガントホースにダメージなど与えられるはずがない。
だから正面突破など無意味であり、そんなことをマーベラス達がするはずはないと、
アクドス・ギルは全く考慮外に置いていたのでした。

しかしマーベラスは最初から正面突破でギガントホースに突っ込む作戦を敢行するつもりでした。
現在のギガントホースまでの距離ならば、
フリージョーカーの破壊前提の片道切符のフルパワーで超高速で駆け抜ければ、
前方バリアが突破されるまでの短時間でギガントホースに到達できるかどうかは
五分五分で可能だとマーベラスは読んでいました。

確かにフリージョーカーの限界ギリギリまで引き出した運動性能と前方バリアーがあれば、
正面の敵艦隊は一気に突破可能かもしれないです。
しかし、もしそうしてギガントホースに肉薄しても、
フリージョーカーの全火力で攻撃してもギガントホースを落とすことは出来ない。
そして、無茶な設定でパワーを使い果たしたフリージョーカーはギガントホースに到達した後、
すぐに機能停止することも明らかでした。

それでは結局は無意味な玉砕に過ぎない。
しかしマーベラスはフリージョーカーでギガントホースを落とそうなどと考えているわけではありません。
フリージョーカーでギガントホースに体当たりして突っ込み、
マーベラスと鎧がギガントホース内部に侵入して、敵の司令部を内部から倒すしか、
この戦いに勝つ手段は無いと思っているのです。

敵の船に突っ込んで侵入して制圧するという、まさに海賊の戦い方といえます。
「海賊戦隊」なのですから、変にロボ戦をして終わるより、
まさにこうした海賊の戦い方の真骨頂を最終話に魅せてくれるというのは、
作品のコンセプトを最後まで貫いた制作側のナイスチョイスといえます。

しかし、この作戦はかなり危険な作戦であるのも間違いない。
まず、いくら意表を突くとはいっても、本当にフリージョーカーの正面突破が成功するのか不明です。
単純に真っ直ぐ突撃するだけでは失敗するでしょうから、
そこはマーベラスの操船戦闘技術が成否を分けると言えます。
しかしただ単に器用に逃げ回ればいいというものではない。
時間を費やせば費やすほど不利になりますから、一気に突っ込まなければいけません。

だいいち、前方バリアーがいつまで保つのは全く予想もつきません。
突撃途中でバリアーが突破されて火だるまになる可能性も十分あります。
そして、体当たりもよほど上手くやらなければ粉々になって終わりですから、ほとんどイチかバチかです。
そして侵入に成功したとしても、中にはもちろん敵兵がウヨウヨいるわけですから、
絶対的不利な勝負となります。
突っ込む場所を誤って艦橋の司令室に辿り着くのに時間がかかれば、作戦は失敗するでしょう。
出来るだけ艦橋の近くに突っ込んで短時間で勝負を決さないといけません。

それら全てが上手くいかねば成功しない作戦なのですから、恐ろしく成功の可能性の低い作戦だと言えます。
しかし、これしか今のマーベラス達が敵艦隊を倒す方法は無い。
だからこの作戦に賭けるしかないのです。

また、フリージョーカーを捨てることを前提としたこの作戦は、
マーベラス達は作戦が成功したとしても脱出は難しく、生還の可能性は低いといえます。
つまり、作戦が成功したとしても決死の作戦なのです。
敵艦隊と刺し違える覚悟の作戦と言っていいでしょう。

これはマーベラスが単に無鉄砲で思いついた作戦なのではありません。
最初はフリージョーカーの出現を予期せぬ僥倖と感じたマーベラスでしたが、
ナビィの奮戦する姿を見て、この幸運はナビィの捨身の行動が引き寄せたものだと理解しました。
そして、ナビィがフリージョーカーの隠し場所を知ることが出来た原因も、
もともとはマーベラス達がサリーを救うために危険を承知でバスコと対決しに行ったからだということを思い出し、
マーベラスは、幸運というものは待っていればたまたま起こるものではなく、
捨て身の行動によって引き寄せるものなのだということが分かったのでした。

それによって、マーベラスはバスコとの決闘の釈然としなかった結末の意味が初めて腑に落ちたのでした。
マーベラスは結局は勝負には負けていた自分が
最後は胸ポケットに入れていたサリーの遺した首飾りの欠片が銃弾を防いだという幸運で
勝ちを拾ったのだと思っていました。

しかし、そうではなかったのです。
マーベラスは幸運に救われたのではなく、サリーに救われたわけでもない。
仲間になったサリーを救いたいという一心で自分の危険も顧みずに
爆弾の仕込んだ首飾りを強く掴んで引っ張ったからこそ、マーベラスの手にその欠片が握られて遺されたのであり、
それがマーベラスの胸ポケットに収まる結果となったのです。

そうしたマーベラスの仲間を守るための捨て身の行動が無ければ首飾りはただの爆弾付きの首飾りに過ぎず、
サリーと共に消し飛んでいただけだったでしょう。
また、マーベラスが仲間みんなの夢を守るために自分を捨ててバスコに相討ち勝負を仕掛けたからこそ、
あのポケットの中の欠片はマーベラスの命を救うという幸運の作用を果たしたのであって、
マーベラスの捨て身の行動が無ければ、あれはただのポケットの中の小物に過ぎなかったはずです。

つまり、マーベラスは幸運に救われたわけではなく、
マーベラスの仲間を助けるための捨て身の行動がただの首飾りの欠片を通して幸運を引き寄せたのです。
一方、仲間を捨てて自分だけが夢を得ようとしたバスコは幸運を引き寄せることが出来なかった。
その差が、あの運次第のギリギリの勝負の明暗を分けたのです。

そのことに気付いたマーベラスは、ならば今回も同じことだと思いました。
フリージョーカーはマーベラス達が何もしなければ、
森の中でずっと放置されたままの無意味な物に過ぎなかったはずです。
マーベラス達がサリーを救うために選んだ捨て身の戦いの結果、ナビィが発見して手に入れることが出来たのです。
そしてナビィのマーベラス達を助けようとした捨て身の行動が無ければ、
フリージョーカーがこの戦場に現れることはなかった。

そうして戦場に現れたフリージョーカーは、
その時点ではバリアーがついているだけの、ただの小型戦艦1隻に過ぎない。
ザンギャックを倒す奇跡的パワーを帯びたアイテムなどではないのです。
そんな都合のいいものは存在しないし、存在したとしても使うべきではない。
三角錐の形をした「宇宙最大のお宝」のように。

現実には、人々の他人を思いやるささやかな献身が積み重なって、
ギリギリの勝負でちょっとした幸運が引き寄せられるぐらいのものなのです。
そうして現れたフリージョーカーというラッキーカードで更なる大きな幸運を引き寄せるためには、
より大きな賭けに出るしかない。
地球を守るために命を賭けたリスクの高い大勝負に打って出ることによってこそ、
フリージョーカーを使ってギリギリの一線で大きな幸運を引き寄せられる。
そう信じられたからこそ、
マーベラスはフリージョーカーを失い、自分達も生還不可能に近い、命懸けの作戦を敢行出来たのです。

マーベラスが信じたのはフリージョーカーでもなく、幸運の女神でもなく、
自分を捨てて地球の人々に残す価値のある夢と、
その同じ夢を掴もうとする仲間や人々やスーパー戦隊との絆でした。

そうしてマーベラスがフリージョーカーで真っ直ぐ自分の居るギガントホースの方に突っ込んでくるのを見て、
アクドス・ギルは司令官席から立ち上がり「撃ち落とせ!!」と、砲手席のゴーミンに向かって大声で指示します。
アクドス・ギルはフリージョーカーの正面突破には少し驚きましたが、
マーベラス達が周囲が囲まれたのを察して、意表を突いて正面突破で逃げようとしているのだと解釈して、
確実に撃墜すればいいと思い、さほど問題視はしていませんでした。

しかしフリージョーカーの突っ込んでくる速度は尋常ではなく、
しかもマーベラスのジグザグに突っ込む操艦技術は絶品で、
周囲の艦が側面や後ろから撃ってもビーム砲をフリージョーカーに命中させることは出来ません。
そうなるとフリージョーカーに攻撃を命中させることが出来るのは
正面に浮かぶギガントホースの夥しい数の全砲門と、その周囲に展開する皇帝親衛隊の艦船の砲門だけです。

これに対してマーベラスは「うおおおおおおっ!!」と猛スピードで突っ込みつつ、
操縦桿のビーム砲発射ボタンを叩きまくりフリージョーカーの全火力で応戦して、
親衛隊の艦をあっという間に多数撃破しながら、ギガントホースにもビーム砲を叩き込みますが、
ギガントホースは案の定ビクともしません。
そんなことは分かりきっているのですが、とにかく少しでも敵の攻撃を怯ませて、
もはや限界ギリギリの前方バリアーへの被弾数を少しでも減らそうという必死の努力なのです。

ギガントホースの全砲門はそれでも多数のビームをフリージョーカーに真正面から叩き込みます。
とっくに撃墜していないとおかしいのですが、何故か落ちないフリージョーカーを見て、
アクドス・ギルは驚き、その姿があっという間に目の前に迫って来た時、
それが艦の前方に張ったバリアーの能力によるものだと気付きました。
その瞬間、そのバリアーが被弾数が限界を超えて遂に砕け散り、
丸裸になったフリージョーカーに多数のビームが突き刺さり、あっという間に火だるまとなります。

次の瞬間、アクドス・ギルが凝視していた司令室艦橋の正面の窓の下側に沈むように
火だるまのフリージョーカーの姿が消えた直後、司令室に地震のような大きな衝撃が襲いました。
その揺れに「うぬっ?」と一瞬たじろいだアクドス・ギルは、
マーベラス達が撃たれて操縦不能になった乗艦もろともギガントホースに激突して果てたのだと理解しました。

しかし、マーベラスは火だるまになったフリージョーカーの中で最後の最後まで冷静に操縦桿を握り、
絶妙の減速でフリージョーカーを粉々にすることなく、
ギガントホースの艦橋、最上階のアクドス・ギルのいる司令室の少し下あたりに
フリージョーカーの機体を突っ込ませることに成功していたのでした。

マーベラスは第43話の時にダマラスに捕らわれてギガントホースに連行されて
司令室で皇帝と会っていましたから、
ギガントホースのだいたいどの位置に皇帝が居る司令室があるのか把握していました。
それはおそらく艦橋の一番上の階であり、
その下にフリージョーカーを突っ込ませれば、司令室までは最短距離に違いないと考えていたのでした。
マーベラスはそのドンピシャの位置に狙って突っ込んだのです。

しかしフリージョーカーは突入直前の被弾と突入時のショックで、やはりもう耐久力が限界であるようで、
最期の時を迎えようとしています。
前方や側面に大穴が開いてあちこち誘爆するコクピットの中でマーベラスはナビィを掴むと
「鳥!お前は逃げろ!!」と叫んで側面の穴から放り捨て、
「わ〜あ!?マーベラス〜!!」とナビィはフリージョーカーから外に放り出されて消えていきました。
マーベラスはナビィはここから先の白兵戦に巻き込むのは危険だと判断して逃がしたのです。

そしてマーベラスは「鎧!行くぞ!!」と言って前方の穴に向かって駆け出し、
鎧も「はい!!」と後に続きます。
同時にフリージョーカーは大爆発を起こし、
マーベラスと鎧は豪快チェンジでゴーカイレッドとゴーカイシルバーに変身しながら
吹っ飛ぶフリージョーカーから飛び出し、間一髪脱出に成功したのでした。

そこに上の階から多数のゴーミン達が駆けつけてきたので、
マーベラスは「行くぞ!!」と鎧に声をかけ、鎧も「はい!!」と応じて、
2人して「うおおお!!」と敵兵の群れに突っ込んでいって襲い掛かったのでした。
まさか激突したフリージョーカーの中でマーベラス達が生存しているとは思っていなかった
ゴーミン達やスゴーミン達は不意をつかれて、2人によってバタバタと倒されていきます。
そしてマーベラスと鎧の2人は、敵兵を倒しながら徐々に上の階へと昇っていくのでした。

一方、その報告を上階の司令室で受けたアクドス・ギルは「なにぃ!?侵入を許しただとぉ!?」と驚愕します。
まさか激突したフリージョーカーからマーベラス達が生存してギガントホースに侵入するなどという展開は
予想していなかったのですが、
こうなってみると最初からマーベラス達が侵入が目的で真っ直ぐ突っ込んできたのだということは
アクドス・ギルにも理解は出来ました。

ここまでは成功しているから見事な作戦ともいえるが、
ハッキリ言ってアクドス・ギルから見れば無謀な作戦でした。
こんな無茶な作戦がここまで順調に進んでいるとは、
なんとも悪運の強い連中だとアクドス・ギルは呆れ、ドカッと司令官席に座り直すと、
「・・・しぶとい奴らめ・・・!」と忌々しげに呟きます。

しかし侵入者は2人だという。
ならば悪運もここまでだとアクドス・ギルは思いました。
この超巨大戦艦のギガントホースには夥しい数の兵が乗っています。
下層階からそれらの兵員たちが登ってきて艦橋に侵入した2人をあっという間に呑み込んで
押し潰すのは時間の問題でした。
空中戦では奇跡も起きるかもしれないが、白兵戦においては圧倒的人数差は絶対であり、奇跡など起きない。
もはや勝負はあったとアクドス・ギルは思ったのでした。

そんな思惑をよそに、鎧は「おりゃああっ!!」とゴーカイスピアを振り回し、
マーベラスは「おおうっ!!」とゴーカイサーベルでゴーミンやスゴーミンを薙ぎ倒していき、
2人とも恐るべき勢いで上階に向かって前進していくのでした。

さて、ギガントホースでそうした異常事態が起こっていることは、
地上でジョー達と戦っていたダイランドーは気付いていませんでした。
フリージョーカーが突撃してギガントホースに突っ込んだのはほとんど一瞬の出来事であったので、
上空で起こった瞬時の出来事に気付けるほどにはダイランドーも余裕が無かったのでした。

かといってダイランドーが劣勢であったわけではなく、戦いはダイランドーが優勢でした。
ただ、ジョー達4人が本気でダイランドーを倒しにかかって猛攻を仕掛けていたので、
さすがのダイランドーもその4人がかりの攻撃への対処に忙しかったのです。
それでもダイランドーはジョー達の攻撃を捌ききると、ジャイアントハンマーで反撃し、
4人は「うああああっ!!」と吹っ飛ばされてしまいます。

ダイランドーは「ミーに勝てると思ってんの?」と余裕の態度で4人を嘲笑いました。
やはりダイランドーは並の強さではないので、6人揃っていれば時間をかければ倒せる程度であり、
4人では簡単に優勢な展開に持ち込める相手ではありません。
しかもジョー達はまださっきの上空からの砲撃で受けたダメージが残っている状態ですから、
劣勢になるのは仕方ないともいえました。
ダイランドーは自分の優位を確信して、余裕の態度となります。

なお、ジョー達も戦いに集中しているので、
上空のギガントホースへのマーベラス達の突入が成功したのかどうか分かってはいません。
しかしギガントホースで皇帝周辺に異常事態が生じれば、ダイランドーにも連絡があるはずで、
それが未だ無いということは、まだマーベラス達は突入していないのだろうと思いました。
あえなく失敗したという可能性ももちろんありましたが、
この場でそんなことを考えても仕方ないので、
ジョー達はまだマーベラス達は作戦を決行していないと解釈しています。

ならば、とにかくダイランドーに余裕を持たせてはいけない。
どんな劣勢でも攻め続けるしかない。
そして倒しにかからねばならないのです。
ジョーは「うう・・・まだまだぁ・・・!」と必死で起き上がります。

しかし、実際はマーベラス達はギガントホースへの突入に既に成功していました。
ならば皇帝の近くに危険が迫っているはずです。
なのに皇帝親衛隊のダイランドーにギガントホースから連絡が届かなかったのは、
アクドス・ギルがたった2人の侵入者など簡単に鎮圧出来ると思って事態を全く重大視していなかったからでした。

侵入者2人の件はもう下の階の警備の兵達に任せれば済む問題として、
アクドス・ギルは大切な自分の乗艦に傷をつけられた腹いせをするかのように
「このまま地球を壊滅させろ!・・・全艦、攻撃の手を休めるな!」と、地球への攻撃を更に強化するよう
大艦隊の全艦に命令を下します。

その瞬間、司令室の入口の扉が爆発を起こして吹っ飛び、
何事かと驚いて入口に駆け寄った皇帝護衛の2人のドゴーミンが、
吹っ飛んだ扉跡でもうもうと立ち込める煙の中から
「うりゃあっ!!」という掛け声と共に放たれた2条の閃光を喰らい、
「ド〜ゴォッ!!」と断末魔の叫びを上げて一瞬で爆死してしまいました。

「・・・なにぃ!?」とアクドス・ギルが立ち上がって入口の方を見ると、
入り口からマーベラスと鎧が駆け込んできて、あっという間に司令室の中のゴーミン達を全員倒してしまい、
司令室の中はマーベラスと鎧、そしてアクドス・ギルの3人だけとなってしまったのでした。
アクドス・ギルは司令官席から立ち上がった態勢のままマーベラスと鎧に対峙し、
鎧はゴーカイスピアを構えたまま、じっとアクドス・ギルを睨みつけています。
マーベラスはゴーカイサーベルを肩に担いで「久しぶりだな!・・・アクドス・ギル!」と言いました。
第43話以来、マーベラスはアクドス・ギルに会うのは二度目です。

マーベラスと鎧は下の階のゴーミンやスゴーミン達を倒して、一気に司令室まで駆け上ってきたのです。
ドゴーミンを一撃で倒したことから見ても分かるように、
今までにないほどのゴーカイジャーの強さを引き出しているのは間違いない。
しかし、それにしても、たった2人でギガントホースの膨大な兵員たちを全員倒してここまで来たにしては、
いくら何でも早すぎる。
しかしマーベラス達を追ってザンギャック兵達が司令室に殺到してくるわけでもなく、
司令室のフロアーは静寂に包まれているところを見ると、
部屋の外の兵達は全員、マーベラス達に倒されてしまっているようです。

これは一体どういうことなのかというと、
マーベラス達がフリージョーカーで突っ込んだ艦橋のフロアーが
フリージョーカーの爆発によってムチャクチャになっており、
下からそのフロアーを通って上の階に行くことが出来なくなっているようです。

つまりフリージョーカーの爆発したフロアーによって
艦橋のそこから上のエリアがその下のエリアと分断された状態になってしまっているのです。
それによって、ギガントホースの大部分を占める下層階に居る膨大な兵達は、
皇帝の居る司令室を含む艦橋の上層階部に救援に来ることが出来なくなっており、
マーベラス達は上層階部に居た兵達を全員倒して、この最上階の司令室に辿り着くことが出来たのでした。

ここまでの出来すぎの展開はもちろんマーベラスも最初から狙っていたはずもなく、
まさに僥倖といえます。
まさにフリージョーカーは、マーベラス達の地球を救うための捨て身の行為に応えて、
最期にその最強の切り札としての役割を果たしたのだと言っていいでしょう。

これで図らずも、マーベラスと鎧はザンギャック皇帝のアクドス・ギルを絶体絶命の窮地に追い詰めたといえます。
しかしアクドス・ギルは慌てた様子は無く、「よくぞここまで来た・・・」と余裕をもって言います。
アクドス・ギルにはどうして下層階の兵達が自分を助けに来ないのか、理由は分かりませんでした。
ただ、何らかの理由で下層階から艦橋に上がってくることが
出来なくなっているのだろうということは想像できました。

ならば他の艦に助けを求めるという手段もあるが、
他の艦に助けを求めようにも、司令室からしか他の艦に連絡は出来ない。
その司令室は今ザンギャック側はアクドス・ギルしか居ない状況であり、
マーベラス達と対峙したアクドス・ギルに他の艦に連絡している余裕は無い。

他の艦はまさかギガントホースでこんな異常事態が生じているとは夢にも思っていないであろう。
いや、もし他の艦が何らかの方法でギガントホースの異常に気が付いたとしても、
皇帝の乗っているギガントホースを外から攻撃することは出来ない。
中に兵員を送り込んで内部から反攻するしかないのだが、
下層階から艦橋に上がれない状態であるなら、結局同じことです。
普通に考えて下層階の兵達がどうにかして司令室に上がってくるまでには
アクドス・ギルはマーベラス達に倒されてしまっていることでしょう。

もちろんマーベラス達がザンギャック皇帝である自分を殺そうとしてここまで攻め込んできたことは
アクドス・ギルも分かっています。
しかし、そんなことは無意味だと思いました。
もはやマーベラス達は逃げ場など無い。
仮に皇帝である自分を憎しみのあまり殺したところで、この海賊たちももう下の階に逃げることは出来ないし、
乗って来た艦は壊れてしまい脱出も出来ない。
いずれはこの司令室に殺到してくる兵達に殺されるだけのことだと、アクドス・ギルは思いました。

そして、落ち着いた口調で「だが・・・ここが墓場となる・・・!」と言って、
アクドス・ギルはゆっくりと司令官席に腰かけました。
どう転んでも海賊たちはここで死ぬことになるのだとアクドス・ギルは思いました。
しかし、マーベラスは「ああ・・・てめぇのな!」と言い返します。
自分達の退路のことまでいちいち考えてはいない。
いや、そんなことは後で考えればどうにでもなる。
今はとにかく敵の総大将を倒して、ザンギャック帝国の屋台骨を砕くことが、
地球への侵略を止めさせ、宇宙を平和にすることに繋がるのであり、
自分達の退路確保よりも優先事項でした。

しかしマーベラスは自分の手でアクドス・ギルを討ち取ろうとはしません。
代わりに鎧が「うおおおおりゃあああっ!!」と跳び上がり、
椅子に座ったアクドス・ギル目がけてゴーカイスピアを振り下ろします。
マーベラスもジョー同様、ザンギャックを倒すという夢の言いだしっぺである鎧こそが
アクドス・ギルを討ち取るべきだと考えており、鎧に攻撃は譲ったのでした。

ところが、その鎧の渾身の一撃は、
アクドス・ギルが座ったまま「ふん!」と差し出した指先で止められてしまいました。
「ああっ!?」と驚く鎧は、そのままアクドス・ギルの指先だけで槍ごと捻られて投げ飛ばされてしまいます。
驚いたマーベラスはすぐにアクドス・ギル目がけて斬りかかりますが、
このマーベラスの攻撃もアクドス・ギルは椅子に座ったまま、片腕だけで軽くいなして寄せ付けません。

鎧も起き上がってすぐに「おりゃあ!」とマーベラスとは逆サイドからゴーカイスピアで突いてきて、
司令官席に腰かけたままのアクドス・ギルに向かって、
椅子の両側から挟み込むようにしてマーベラスが「はあっ!!」とゴーカイサーベルを振るい、
鎧が「おおりゃ!!」とゴーカイスピアで突きまくり、凄まじい攻撃を加えるのですが、
アクドス・ギルはあくまで椅子から立ち上がらず、両腕の動きだけで2人の攻撃を全く寄せ付けず、
それどころか反撃までしてきて、鎧の顔を拳でぶん殴り、鎧は「ああっ!?」ともんどりうって床に転がります。
それを見てアクドス・ギルは愉快そうに「ハハハハッ・・・!」と笑います。

マーベラスはアクドス・ギルの予想外の強さに驚きました。
てっきり老いぼれの皇帝だと思っていたら、とんでもなく強い。
そこでマーベラスは、確かザンギャック皇帝アクドス・ギルが
昔、最強の皇帝だと噂されていたことを思いだしました。

その噂を聞いた時、マーベラスはそんなものは独裁者に対しておべっかを言った者の流した噂であり、
実際は大して強くないのだろうと思いました。
仮に昔は多少強かったとしても、今はもうただの衰えた老人に過ぎないとも思っていました。
ところがこうして戦ってみると、自分よりも遥かに腕が立つことは嫌でも分かります。
それにまだどう見ても本気では戦っていないようですから、
宇宙最強と言われても、それはあながち嘘ではないのだろうと思えました。
「宇宙最強の男」と言われていたダマラスと比べても遜色ないのかもしれない。
何にしても自分と鎧の2人で倒すのが容易ではない相手であることは間違いない。

さっきアクドス・ギルが「ここが墓場になる」と言ったのは、
戦って勝てる自信があるからこそのセリフだったのだとマーベラスは納得しました。
ちなみにアクドス・ギルがマーベラス達の侵入を知りながらダイランドーに帰還命令を出さなかったのも、
2人ぐらいの侵入者ならば、仮に司令室にやって来たとしても自分1人でも倒せるという
自負の現れでもあったのです。

何にしても、司令室まで突入すれば簡単に皇帝を倒せると思っていた
マーベラス達の目算は外れてしまったことになります。
しかし鎧は挫けることなく「・・・豪快チェンジ!!」と、ここで最強形態のゴールドモードにチェンジして、
マーベラスを殴って吹っ飛ばしたアクドス・ギルの背後に向けて、
アンカーモードのゴーカイスピアを繰り出します。

これを軽く上腕で受けたつもりのアクドス・ギルは、
その槍先のさっきまでとは次元の違うパワーに「む!?」と驚き、
思わず椅子から立ち上がり、身構えました。

遂に皇帝アクドス・ギルを椅子から立ち上がらせることに成功した鎧は、
皇帝の座っていた椅子の上に飛び乗り、「この姿になった俺は一味違うぜぇっ!!」と激しく啖呵を切り、
「やあっ!!」と飛び降りながらアクドス・ギルにゴーカイスピアを振り下ろします。
これはさすがに指先や腕では受け切れないと判断したアクドス・ギルはいよいよ本気を出して剣を抜き
「むうん!」と、剣で鎧の槍を受け止めました。

アクドス・ギルは当初、自らの手でマーベラス達を倒すつもりもありませんでした。
皇帝らしく椅子に座ったまま攻撃を延々と受け流してやり、
自分の首を狙ってここまで辿り着いた海賊どもに、いかに自分達の努力が無駄であったのか思い知らせてやり、
そうして遊んでやっているうちに下層階から兵達が殺到してきてマーベラス達を仕留めればいいと思っていました。
皇帝たる自分がわざわざ仕留めるほどの価値がある敵でもないと、
これまでのマーベラス達の戦いを観察してきたアクドス・ギルは最初から見切っていました。

しかし、鎧のレジェンド15戦士分の力もプラスされたゴールドモードの攻撃を受けて、
アクドス・ギルはこれは自分が倒しておかねば他の兵達の手には余ると思い、
方針を変えて本気で戦い、倒しにかかることにしました。
それで初めて立ち上がり、剣まで抜いて鎧を攻撃してきます。
その剣技もパワーも凄まじく、鎧はゴールドモードでありながら完全に圧倒されてしまい、
遂に思いっきり肩から斬り下ろされて「うわあああ!?」と絶叫します。

更にアクドス・ギルは鎧にトドメを刺そうと、剛剣を振りおろし、
鎧はゴーカイスピアの柄でなんとか受け止めますが、
そのままアクドス・ギルは強引に押し斬ろうとして押し込んできます。
その圧倒的パワーを鎧は「ぐうっ・・・!」と必死に堪えます。

その時、アクドス・ギルは「む・・・?」と、何か妙だと思いました。
鎧のゴールドモードの強さに思わず目を奪われて一騎打ちの展開になっていたが、
敵はもう1人いたはずだということを思いだしたのです。
マーベラスの存在を忘れていたのでした。

といっても、アクドス・ギルが思わず鎧に目を奪われてマーベラスのことを失念していたのは、
ほんの十数秒ほどのことです。
しかし、その間にもマーベラスが自分に攻撃を仕掛けてくるチャンスはあったはずであり、
鎧が大ピンチなのにマーベラスが助けようともしないのは不自然でした。

それでマーベラスは何処に行ったのかと思い、アクドス・ギルが視線を素早く司令室内に巡らせると、
なんとマーベラスは前方窓際の右側のコクピットの前に座っています。
「なにぃ?」とアクドス・ギルは目を疑いました。
仲間のピンチを救おうともせずにマーベラスが向かっているコクピットは、砲手の座る席でした。
マーベラスは鎧やアクドス・ギルには目もくれず、一心不乱に砲手用のタッチパネルを操作しています。

アクドス・ギルはマーベラスの意図が分からず「何をする!?」とマーベラスに質そうとしますが、
アクドス・ギルの注意がマーベラスに逸れたのを見て、
鎧はアクドス・ギルの剣を押し返して、ゴーカイスピアで反撃し、
「・・・てめぇは俺だけ見てろぉっ!!」と怒鳴りつけました。

鎧に弾き飛ばされてしまったアクドス・ギルは、
やはりゴールドモードの鎧に対しては本気で集中して戦わねば危険だと悟ります。
本気で戦う限りは、剣技の差は圧倒的であり、アクドス・ギルが鎧に遅れをとることは有り得ない。
しかし攻撃力のパワー自体はゴールドモードはアクドス・ギルにダメージを十分に与え得るので、
アクドス・ギルとしては油断して攻撃を受けるようなことは決してあってはならない。
だから鎧が必死でアクドス・ギルに攻撃を繰り出している限りは、
アクドス・ギルはマーベラスからは目を逸らし、その行動を放置せざるを得ない。

アクドス・ギルはまずは全力で鎧を倒し、
その後、マーベラスを倒しに行くという方針にならざるを得ないのです。
つまり鎧のゴールドモードは、マーベラスがあのような行動をとることを想定しての、
その間アクドス・ギルを食い止めるための役割ということになります。
ゴールドモードならばアクドス・ギルの攻撃にある程度は耐えて、
アクドス・ギルがマーベラスのところに行かないように牽制することが出来る。
だから鎧はとにかく少しでも長くアクドス・ギルに食い下がることが至上命題だといえます。

問題は、鎧にそこまでの犠牲を強いてまでして、マーベラスが何をやっているのかです。
後ろで鎧が必死でアクドス・ギルと斬り合う間、タッチパネルを弄り続けていたマーベラスは、
その作業を終えると「よっしゃ!まとめていくぜ!!」と威勢よく叫ぶと、
棒状のハンドルを握って、その上部の発射スイッチを指で押します。
すると、ギガントホースの夥しい数の全砲門が全方位に向けて一斉に開き、
ビーム砲を延々と連射して、周囲に展開するザンギャックの大艦隊を次々と撃破していったのでした。

マーベラスが操作していたのは、ギガントホースの全砲門の全方位に向けての一斉射撃の設定であったのです。
つまり、旗艦のギガントホースからの砲撃で周囲に展開するザンギャックの大艦隊を殲滅するというのが、
マーベラスの目的であったのでした。

これはこの場で急に思いついたアイディアではない。
もともとマーベラスと鎧はこれをするためにギガントホースへの突入を敢行したのです。
その途中で皇帝を倒すことは簡単に出来るだろうと思っていたが、
それは目算が外れたのは確かに事実です。

しかし、もともとマーベラス達の真の目的はギガントホースを乗っ取って
ギガントホースの全砲門からの一斉砲撃でザンギャック大艦隊を殲滅することであったのだから、
皇帝が意外に強くて倒せないことが分かった段階で、マーベラスと鎧は皇帝を倒すことは諦めて、
まず真の目的である砲撃による大艦隊の殲滅を優先し、
ザンギャック艦のタッチパネルの操作は共通規格なので容易に出来るマーベラスが砲撃係となることは
最初から決まっていましたから、
必然的にこのケースではマーベラスがその作業を終えるまで皇帝を足止めするのが鎧の役目ということになります。
それは言葉は交わさずともこの状況に応じてお互いの役割を理解して行動した結果、この成功に繋がったのでした。

それにしてもマーベラスによって発射されたギガントホースからの砲撃の威力は圧倒的で、
ザンギャックの大艦隊はなす術もなく撃滅していきますが、
どうしてマーベラスはギガントホースにこれほど圧倒的な攻撃力が
備わっているということが分かったのでしょうか?

それは、まずは、このギガントホースだけがこの大艦隊の中で圧倒的に大きい超巨大戦艦であり、
他の艦は皆大した大きさではなかったからでした。
だからギガントホースだけが圧倒的な力を持っていると予想出来たのです。

しかし、何故ギガントホースだけが圧倒的なのか?
それはギガントホースが独裁者である皇帝の騎乗艦だからです。
独裁者は力で部下を押さえつけているため、部下を心から信用していない。
常に反乱に怯えている。
皇帝騎乗艦が他の艦によって攻撃されることを恐れている。

だから、そうした反乱を予防するため、皇帝騎乗艦以外の艦には、
皇帝騎乗艦に勝てるような装備は積むことは許さず、
皇帝騎乗艦だけが圧倒的な攻撃力を持つことになるのです。
それゆえギガントホース以外のザンギャック艦は攻撃力も防御力も大した能力は無く、
平凡な小型の規格品ばかりなのです。
だからやたらと数が多く必要なのだとも言えます。

それでも平凡な艦でも多く集まれば力になります。
それは敵にとっても脅威だが、皇帝にとっても潜在的脅威のはずです。
だからギガントホースには必ず、この空前規模の大艦隊をも殲滅出来るだけの装備が
奥の手として積んであるはずだとマーベラスは見ていました。
それは「ギガントホース」という名からも、ある程度は推測出来ました。

いや、皇帝騎乗艦にアレが積んでいないはずがないのです。
アレが他の艦に積んであって、皇帝騎乗艦に積んでいないなどということがあるわけはない。
そもそも今回、皇帝は地球を滅ぼすつもりで大艦隊を編成しており、
その旗艦であり皇帝騎乗艦がギガントホースなのだから、
絶対にアレは今回新たに積み込まれてギガントホースから発射出来るようになっているはずです。

アレとはもちろん、第10話でマーベラス達がザンギャック特別破壊部隊から奪って破壊した
ギガロリウムのことです。
これだけの数の大艦隊という名の潜在的反乱分子の真っただ中に身を置く孤独な独裁者ならば、
あの圧倒的破壊力のギガロリウム砲をギガントホースの全砲門から
味方の大艦隊に向けても発射出来るように今回新たにセットしてあるはずだとマーベラスは読んだのです。
いや、絶対そうに違いないと確信していました。

それゆえ、マーベラスはフリージョーカーでギガントホースに突っ込んで、
ギガントホースの司令室を乗っ取ることが出来れば、
きっとザンギャックの大艦隊を殲滅することが出来ると予想して作戦を立てたのでした。
その結果、やはりギガントホースには大量のギガロリウムが積んであり、
マーベラスはそれを使って全砲門からギガロリウム砲を全方位に向けて発射して、
ザンギャックの大艦隊を殲滅していくことが出来たのでした。

敵艦隊の方もいきなり味方のギガントホースからの攻撃を受け、
何が何やら分からないうちに撃破されていき、
反撃しようにも絶対的独裁者の騎乗するギガントホースを攻撃することなど出来るわけもなく、
なす術もなく一方的に殲滅される他なかったのでした。

つまり、仲間を切り捨てて自分の権力維持のみを目指す独善的な独裁者の精神ゆえに、
ザンギャックの大艦隊は、人々を守るために捨て身の作戦を敢行したマーベラス達によって敗れたのです。
これは仲間を切り捨てて宝を得ようとしたバスコが、
仲間を守るために自分を捨てようとしたマーベラスに敗れたのと同じことなのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:10 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月22日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その2

では本編です。

マーベラス達は前回、自らの命や存在を消し去ることによって宇宙を創成し直して
ザンギャックの存在しない平和な宇宙を創ろうとしていたというスーパー戦隊の真意を知り、
自分達がその平和な宇宙を創ろうというスーパー戦隊の夢を引き継いで世界を創成し直す
「夢を掴む力」を持つ者として選ばれていたことを知りました。

しかし同時にマーベラス達は、救いの無い絶望の中でも命懸けで大切なものを守るため戦おうとする
地球の人々の心の中にも、決して安易な道ではないがザンギャックを倒し平和な宇宙を実現する
「夢を掴む力」が存在することを知り、
地球の人々が「夢を掴む力」を持つようになったのは、
スーパー戦隊の長い苦難の戦いの中でも自分の犠牲を顧みずに人々を守ろうとしてきた
不屈の闘志を見てきたからであると知りました。

そしてマーベラス達はスーパー戦隊の後継者として選ばれた自分達の「夢を掴む力」「平和な宇宙という夢」も、
辛い過去を受け入れ、苦難を乗り越え、絶望の宇宙、嵐の海に漕ぎ出して宝という名の夢を求める
海賊としての冒険の航海の中でこそ培われてきたのだということを再認識した。

彼らはそうした海賊だったからこそ、
自らの存在の消滅という最大の苦難を受け入れて平和な宇宙を創成しようとする
スーパー戦隊の志を継ぐ者として選ばれた。

しかし彼らはそうした海賊であるゆえに、
地球という星の真の価値がこの星の人々の苦難に立ち向かい自らを犠牲にしても大切なものを守るため戦う
「スーパー戦隊魂」なのであることを知りました。

ゆえに、スーパー戦隊の存在を消して辛い過去の消えた宇宙を創成し直せば、
この星の人々のスーパー戦隊魂、すなわち「この星の価値」と、
マーベラス一味の海賊魂、すなわちスーパー戦隊の夢の後継者の資質が
消えてしまうことにマーベラス達は気付きました。
そうなれば、新たに創成された平和な宇宙では平和を目指す心は失われ、
スーパー戦隊の犠牲によって得られた平和は無に帰してしまいます。

ならば、海賊ゆえにスーパー戦隊の夢を引き継いだマーベラス一味の真に目指すべきことは、
今まで通りの苦難の航海であり、スーパー戦隊がやってきたように絶望を跳ね返して命懸けで戦い、
この星の価値、すなわち人々のスーパー戦隊魂を守り、人々と共に宇宙の平和という夢を掴むことであるべきです。

どんな絶望の中でも命を賭けて大切なものを守るために戦う精神を
苦難の戦いを通して絶やさず受け継いでいくことこそが、真に恒久的な平和な宇宙を創る唯一の方法であり、
それが真に自分達の海賊の夢を掴み、真にスーパー戦隊の夢を受け継ぐ道なのだと悟ったマーベラス達は、
全ての苦しみの過去を消し去って平和な宇宙を創成し直す超パワーを秘めたお宝を自ら破壊して捨て去り、
圧倒的不利な状況でザンギャックに戦いを挑み、これを倒して、
この星の価値である人々の心の中の「スーパー戦隊魂」と共に戦い、これを守り抜くという
苦難の道を選んだのでした。

つまり、絶望の中で自らを擲って大事なものを守るため戦う無力な人間の献身にこそ、
宇宙を創成する神のごとき力をも捨ててまでも得るだけの、
より良き未来を作り得る最大の価値を認めたのです。

何故なら、宇宙創成においてはマーベラス達や人々はスーパー戦隊というかけがえのない仲間を捨てるが、
苦難の戦いにおいては自らを捨てねばならない。
何かを得るには何かを捨てなければならない。
つまりその捨てる「何か」次第で得られる「何か」の価値も変わってくる。
すなわち、捨てる物の大きい者ほどより価値の高い物を得る。
ならば仲間を捨てる者と自分を捨てる者では、後者の方が価値の高いものを得るのは当然なのです。

真の夢、真の勝利、真の平和は、自らを擲った者にしか得られないのです。
それを常に実践してきた者がスーパー戦隊であり、今回も彼らはまさに自らを擲とうとしている。
その行動自体は全く間違っていません。
しかし、自分達と同じ夢を引き継ぐべき戦士や、自分達の魂を受け継いだ人々に向かい、
自分達と同じ物を得るために自らを擲つ道を閉ざすことは出来ません。

マーベラス達は彼らの夢を継ぐスーパー戦隊になるためには、自らを擲つ道を選ぶ以外無い。
そして同じように自らを擲つ人々と共に戦い、彼らを仲間として守るしかない。

まず冒頭は前回終盤のダイジェストです。

マーベラス一味の6人は、昨晩のその決意を胸に、
昨日の夕方にザンギャック皇帝アクドス・ギルが空前の規模の大艦隊の上から全地球人に予告した
地球人皆殺し作戦の開始時刻である夜明け時、
地上に現れたダイランドー率いるザンギャック地上部隊の前に海賊旗を掲げて立ちはだかりました。

そして、「命を賭けてこの星を守る・・・それがスーパー戦隊ってもんだろ!!」とダイランドーに対して、
そして何処かで見ているのであろうスーパー戦隊の戦士たちに向かい、
激しく啖呵を切ったマーベラスは、初めて自分達のことを「スーパー戦隊」と称しました。

第38話でゴーカイジャーの大いなる力「夢を掴む力」を獲得した後、
鎧が「これで俺たちも本格的にスーパー戦隊ってことですかね?」と問いかけると、
マーベラスは「さぁな・・・しかし俺たちは本当のゴーカイジャーになったってことだ!!」と答えていました。
あの時点でマーベラスは自分達ゴーカイジャーをスーパー戦隊だとは言い切ることはまだ出来ていませんでした。

第38話の時、マーベラスはこの絶望の宇宙でそれぞれ大きな夢を追いかけてきた6人が
「宇宙最大のお宝」という1つの夢で結びついて仲間となったゴーカイジャーは、
より多くの、より大きな夢を掴もうとすればするほど、その「夢を掴む力」が大きくなり、より強くなると知った。
だから「この星の人々を守るために戦う」という夢が更にゴーカイジャーを強くすると信じて、
この星の人々を守るために戦おうと心に決めた。
そうして強くなったゴーカイジャーが本当のゴーカイジャーなのだということは分かったのだが、
何となくそれだけではスーパー戦隊とはいえないと感じていたのかもしれません。

その後も様々なことがあり、
遂に第48話においてマーベラスはゴーカイジャー6人のそれぞれの夢が
「より良い未来を目指す」という共通のものであったと気付き、
みんなで1つの夢を掴もうとしている以上、自分を捨てて仲間に夢を残す戦い方が出来ることを知り、
更なる強さを獲得してバスコを破り、第49話で「宇宙最大のお宝」という夢を掴みました。
そして「宇宙最大のお宝」によって叶えられる「宇宙最大の夢」を仲間で考えた結果、
ゴーカイジャーみんなの夢が「平和な宇宙」であったことを知りました。

そして前回、第50話でマーベラスはそのゴーカイジャーの夢「平和な宇宙」が、
スーパー戦隊の夢でもあり、地球の人々の夢でもあることを知りました。
つまり、スーパー戦隊と地球の人々は同じ夢を掴もうとしている仲間であり、
それゆえスーパー戦隊は自分を捨てて人々に夢を残す命懸けの戦い方をして、人々を守って悪と戦ってきた。
そうして命懸けで戦うスーパー戦隊の姿を見続けてきたからこそ、
地球の人々はスーパー戦隊の夢を引き継いできたのです。

ならば、彼らと同じ「平和な宇宙」という夢を持つゴーカイジャーも、
同じ夢を掴もうとする仲間である地球の人々に夢を残すために、命懸けで戦うことが出来るはず。
自分達の本当の一番大きな夢を、同じ夢を掴もうとする数十億の人々に残すために命を賭けて戦う時、
ゴーカイジャーは今までで最高に強くなり、
人々を守って夢を残すことに成功した時、ゴーカイジャーは晴れてスーパー戦隊となることが出来る。

そう確信したマーベラスは、遂に自らを「スーパー戦隊」と呼び、
本当の意味でゴーカイジャーがスーパー戦隊になるために、
この戦い、必ず命を賭けて地球を守り抜いてみせると、固く心に誓うのでした。

そして「行くぜっ!!」と怒鳴ったマーベラスの号令で、
心を同じくする6人の仲間は「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身、
戦闘を開始して一気にダイランドー部隊のゴーミン、スゴーミン、そしてドゴーミンまでも片付けます。

ゴーカイジャーが自身の「夢を掴む力」やスーパー戦隊との精神的なシンクロ率が上がるほどに、
ゴーカイジャーは通常時も多段変身時も大幅にパワーアップするようで、
この時点でゴーカイジャーのパワーはかつてないほどに上昇しており、
以前は苦戦していた相手であるドゴーミンももはやほとんど敵ではないレベルとなっています。

ドゴーミンまでもほぼ瞬殺で倒したゴーカイジャーを見て、
ただ1人残ったダイランドーは「なっ!?・・・何なのこの強さ!?」と唖然とします。
以前、第44話でダイランドー自身が直接戦った際のゴーカイジャーとは全く次元の違う強さであったのです。
マーベラス達自身、自分たちが強くなっていることを自覚しており、
それがスーパー戦隊に覚醒したからだと悟ります。

「見たか!!これが海賊戦隊だ!!」と啖呵を切ってダイランドーを追い詰めるマーベラス達6人に対して、
ダイランドーは「おんのれぇ〜!」と唸ります。
最強格の皇帝親衛隊員であるダイランドーはゴーカイジャーを手強い敵とは認識していましたが、
6人全員を相手にしても不利を感じたことはありません。
しかし今、ダイランドーは自らの不利を感じて焦っています。

マーベラスは「一気に決めるぞぉぉっ!!」と叫び、それを合図に6人はダイランドーに向けて突撃を開始、
ダイランドーはレーザーを発射し、
その爆炎をものともせず、「うおおおおお!!」とまっしぐらに突っ込むマーベラス達6人のゴーカイジャー。

その場面の途中で、何故かいつものOPナレーションのBGMが流れ始め、OPナレーションが読み上げられます。
これは、第48話で最後かと思われていた通常回バージョンのナレーションかと思うと、
よく聞くと微妙に内容が違います。
通常は「冒険とロマンを求めて、宇宙の大海原を行く若者たちがいた」と始まるのですが、
今回は「冒険とロマンを求めて、旅を続けてきた6人の若者たち・・・」と始まり、
続いて通常通りの「宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら!
その名は・・・!」と続きます。

そして突進しながらマーベラスが身体の前で「てやっ!うらぁっ!!」と
2回剣を斜め十字に交差するように斬り降ろし、
その剣先が空間を斜め十字に斬った形が例のゴーカイジャーの旗印のクロスボーン型に交差した
2本のサーベルになり、そこにゴーカイジャーの旗印が重なるように飛び込んできて
「海賊戦隊ゴーカイジャー」という、いつものOPテーマ冒頭のメインタイトル画面がここできます。
同時に「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」という、いつものタイトルコールも流れます。

しかし、そのままいつものようにOPテーマが始まるのではなく、
BGMはさっきから流れているOPナレーション用のままで、
いきなり画面はいつものサブタイトル画面の背景の、たなびくゴーカイジャーの海賊旗となって、
そこに「最終話!さよなら宇宙海賊!!」というタイトルコールと共に、
「さよなら宇宙海賊」という今回の最終話のサブタイトルが画面いっぱいに出ます。

「第51話」ではなく「最終話」と、しっかり書き添えられています。
だいたいスーパー戦隊シリーズの場合、ラストエピソードの表記は他のエピソードのように数字表記ではなく、
それぞれの作品のサブタイトルのフォーマットに合わせて、
いかにも「最後」っぽい感じにしてくる場合が最近は多いです。

例えば「シンケンジャー」なら通常時は「第一幕」というような表記だが、
最後のエピソードは「最終幕」であり、
「ゴーオンジャー」なら通常時は「GP-01」というような表記だが、
最後のエピソードは「GP-FINAL」でした。
「ゴーカイジャー」の場合、ここは通常時から捻りなく「第1話」というような表記なので、
この最後のエピソードは「最終話」という表記になっています。

そして「さよなら宇宙海賊」というサブタイトルは、いかにも最終話らしい直球のサブタイトルで、
この物語が今回で終わることによって、
視聴者がこの物語の主人公の宇宙海賊のマーベラス一味と「さよなら」しなければいけないという意味であり、
同時に、劇中でもマーベラス一味が戦いが終わって地球を離れるのであろうという
ラストが示唆されているサブタイトルといえます。

それにしても今回、このサブタイトルの文字がやたら大きい。
いつもは画面真ん中に上品に収まっているのですが、
今回の最終話のサブタイトルに限っては、画面全体をほぼ埋め尽くすかのような大きさでデカデカと出されています。
これは大きすぎで、まともに考えれば、こんなにサブタイトルの文字を大きく出す必要性は全くありません。

これはもう、制作サイドの何か感極まったものを感じます。
よほどこの記念碑的作品が終わることが寂しく、
そしてなおかつ、無事に最終話を迎えられて心の底から本当に安堵して嬉しいのでしょう。
そうとでも想像しないことには、合理的説明が不可能なほどの異常な文字の大きさです。

そしてサブタイトルの画面が終わると、
いきなり「この番組は、楽しい時を作る企業、バンダイと、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」という
ナレーションの提供画面です。
しかも、ここの背景映像がいつもはレンジャーキーの映像なのに、
今回はだけは特別バージョンで、宇宙空間を飛ぶ5機のゴーカイマシンが合体してゴーカイオーになるという
映像となっています。

これはどうやら本編の方には今回は巨大ロボが登場しないから、
わざわざこの提供画面で登場させたのだろうと、容易に想像できます。
何せ、前回、ガレオンと豪獣ドリルが大破したままですから、
どう考えてもゴーカイオーや豪獣神は今回は登場しそうにありません。

そして、この提供画面が終わるとCMが始まってしまいましたから、
これで今回はOPテーマは省略されたのだと分かります。
スーパー戦隊シリーズにおいては、最終話はどうしても尺が足りなくなる場合が多く、
しばしばOPテーマが省略されて、その分、本編の時間を増やす措置がとられます。
まぁ基本的に普段のエピソードも尺が足りないことは多く、
特にこの「ゴーカイジャー」という作品は慢性的に全てのエピソードは尺不足状態であったと思いますが、
例年、このようなOPテーマ省略という措置が特別に許されるのは最終話のみとなっています。

また、スーパー戦隊シリーズにおいては最終話にOPテーマを省略する場合、
冒頭のアバンタイトルの後に一応メインタイトルだけは出すために、
メインタイトル映像の最終話バージョンを新たに作ることになります。
なお、OPナレーション付きの作品の場合は、メインタイトルの前にOPナレーションが流れますから、
「アバンタイトル→OPナレーション→メインタイトル」という順番になりますから、
ついでにOPナレーションも新たに最終話バージョンを作り直すこともあり、
今回の「ゴーカイジャー」最終話はまさにそのパターンそのままだったといえます。
ただ、メインタイトルの後にCMを挟まずにいきなりサブタイトルに続くというのは
珍しいパターンだったと思います。

その最終話特別バージョンのOPナレーションは、通常回バージョンをベースにしたものでした。
これまでこの作品においては、劇中にレジェンドゲストが登場したエピソードは
レジェンド回バージョンの「地球の平和と人々の笑顔を守り続けてきた34のスーパー戦隊!
宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもない奴らだった!」という
OPナレーションが流れ、
そうでないエピソードは通常回バージョンの「冒険とロマンを求めて宇宙の大海原を行く若者たちがいた。
宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら、その名は・・・」という
OPナレーションが流れて、それぞれメインタイトルのタイトルコールに繋がっていました。

しかし今回は実はレジェンドゲストは後で登場します。
だから本来のルールでは今回はレジェンド回バージョンのOPナレーションであるべきなのですが、
そうはならずに通常回バージョンをベースにした特別バージョンでした。

しかし実はもう1回だけ、このルールに逸脱していたエピソードがあります。
それは第1話です。
第1話も冒頭でレジェンド大戦があって、レジェンド戦士は山ほど登場していますが、
それでもOPナレーションは通常回バージョンでした。

これはまぁ当然といえば当然で、
通常回バージョンの方がゴーカイジャーという戦隊についてしっかりと説明したナレーション内容だから、
物語の始まりである第1話ではその中身がどうであるかは関係無く、通常回バージョンを流すのが正解です。
つまり、通常回バージョンとレジェンド回バージョンのどちらがメインなのかというと、
あくまで通常回バージョンの方がメインであるようなのです。

ならば物語の締めである最終話も通常回バージョンが相応しいということになります。
そして第1話との対比で、この1年間の変化を窺わせるような文言の特別バージョン
「冒険とロマンを求めて、旅を続けてきた6人の若者たち・・・」で始まるバージョンとなっています。

マーベラス一味は第1話の時と同じように冒険とロマンを求めて、あの時から1年間、旅を続けてきました。
確かに常に地球(主に日本の関東地方)にいたとはいえ、いつも同じ場所にはとどまらず、移動を続けてきたのです。
常に旅をしていた戦隊というと、
歴代ではカクレンジャー、ガオレンジャー、ゴーオンジャーに続いて4つ目でしょう。
そして人数も第1話の時は5人だったのが、何時しか6人に増えた。
そういう彼らの1年間を窺わせる最終話バージョンのOPナレーションです。

まぁ大して注目するような内容でもないのですが、
これは別にドラマ上の深い意味がどうのこうのという問題ではなく、
1年間御付き合いいただいた視聴者の皆さんへの挨拶のようなものですから、
「そうか・・・もう1年経ったんだなぁ」と思って感慨に浸ればいいのです。

このOPナレーションの始まる前の短いアバンタイトル部分は前回の終盤のダイジェストであり、
実質的にはOPナレーションのバック映像にちょっと毛の生えたようなものと考えればいいでしょう。
今回の実質的本編はこの後、CM明けから始まります。

CMが明けて本編が始まり、
さっきのアバンの続きでダイランドーに突っ込んでいきながらマーベラス達はいきなり
「ゴーカイスクランブル!!」と、ファイナルウェーブの最強技を放ちます。
ところがこれをダイランドーは「ふんっ!」とハンマーを振り下ろして弾き落とす。
パワーアップしたゴーカイジャーのゴーカイスクランブルでしたが、
さすがにザンギャック皇帝親衛隊の最強戦士のただ1人の生き残りです。
まだ無傷のダイランドーにはこれは見切られていました。

しかし、ダイランドーがハンマーを思いっきり振り下ろしたその瞬間、
ゴーカイスクランブルから一瞬遅れて、
鎧が「ゴーカイシューティングスター!!」と叫んでゴーカイスピアのファイナルウェーブを放ったのでした。
ダイランドーはハンマーを振り上げる暇も無く、慌てて避けようとしたものの、右肩に被弾してしまいます。

最初の5人で放ったゴーカイスクランブルは囮で、
ダイランドーならば弾き落とすことを見越して放たれたものであり、
本命は1テンポ遅らせて放つ鎧のゴーカイシューティングスターの方だったのでした。
しかし、さすがにダイランドーも致命傷は避けます。
だが、ファイナルウェーブも当たればやはりダイランドーもダメージは受けるのです。
「うおっ!?・・・おのれぇ・・・!!」とダイランドーは危機感を覚えます。

ダイランドーと同格の強さであったザツリグは
アイムの至近距離で放った急所へのファイナルウェーブ2連発で戦闘不能になり、
その後はなぶり殺しにされました。
ダイランドークラスであれば一発で仕留めることは難しくても、
6人がかりでファイナルウェーブで刻んでいけば、いずれは急所に攻撃を入れて、
じっくり攻撃を加えて動きを止めて、最後はゴーカイガレオンバスターで仕留められる。
ザツリグ戦よりはパワーアップしたマーベラス達としては、あの時ほどは難しいことではない。

マーベラス達にはこの場は十分に勝算はありました。
但し、戦いに一定の時間をかけられればの話です。
しかしそうは上手くいかない。
ダイランドーは横目で何かを見て「お!?・・・フン!見てろ!」とマーベラス達を秘かに嘲笑します。

その嘲笑の意味を知らず、「おおっ!!」と更に攻撃を加えるべく突撃しようとするマーベラス達6人の前に、
突然、上空からビーム砲の攻撃が炸裂し、
マーベラス達は「うわあああっ!?」と爆炎に吹っ飛ばされてしまったのでした。
地に転がり、慌てて空を見上げるマーベラス達に向かい、
ダイランドーは「カッハッハッハ!!皇帝陛下のおなりでショ〜タァ〜イム!!」と愉快そうに大笑いしました。

マーベラス達が見上げた空には、一面にザンギャックの大艦隊が飛来してきており、
その中心には旗艦ギガントホースの姿も見えます。
もともと昨日の夕方のアクドス・ギルによる地球人皆殺し宣言というのは、
地球人の心を折って戦わずして降伏させて奴隷化し、戦争をさっさと終わらせ、
大艦隊を帝国各地へ戻すために深謀遠慮でした。
だからダイランドーを地上に降ろして少し見せしめに地球人を血祭りに上げていけば、
もはや大艦隊に対抗する手段を持たない地球人は簡単に屈するだろうと読んで、
アクドス・ギルは大艦隊を上空に引き揚げて待機していたのでした。

ところが地球人は予想外に反抗的で、
しかも地球人に呼応して死んでいたはずのマーベラス一味まで現れてザンギャック部隊を攻撃してきたと
ダイランドーからの報告を聞いたアクドス・ギルは、
地球人にはもっと徹底的な破壊をもたらし、マーベラス一味は確実に仕留めておかねば、
地球人を降伏させることは難しいと判断し、
あくまで皆殺しの方針を貫く姿勢を示して、
この上空を中心として広く展開した全艦隊による大規模空爆を開始しました。

「言っただろう?・・・地球全人類を皆殺しにすると・・・」と
ギガントホースの艦橋の指令室から声を響かせたアクドス・ギルは全艦隊に地上への砲撃を開始させ、
街は徹底的に破壊され、人々が爆炎の中を逃げ惑いますが、
あっという間に炎に呑み込まれ、瓦礫の下敷きとなり、夥しい人々が死んでいきます。
悲惨な光景でありますが、ザンギャックに屈することなく戦う道を選んだ段階で覚悟はしていた犠牲でした。

そしてアクドス・ギルはとにかく今回は確実にマーベラス一味を仕留めるため、
広く上空に展開した大艦隊の中心、ギガントホースの真下にマーベラス達6人を捉え、
絶対に逃げられない状況で爆殺するべく、「宇宙海賊よ・・・この星もろとも塵となれ・・・!」と呪うように言い、
配下の攻撃艦を波状的に低空に突っ込ませて6人を狙い撃ちにしていきます。
マーベラス達がそれに対抗する艦をもはや持っていないことを見越して、一方的攻撃を仕掛けてきたのです。

これによってマーベラス達6人は何度も爆炎の中で必死で攻撃を避けつつも、
「うわああああ!!」と皆吹っ飛ばされて宙を舞い、
第一波の攻撃だけでダメージで変身解除に追い込まれ、倒れ込んでしまいました。

そこで一旦敵艦隊の攻撃が途絶えて、
マーベラスは苦しげに身を起こしながら「お前ら・・・くたばってねぇだろうな・・・?」と皆に声をかけます。
他の5人もダメージは受けながらも皆、無事ではあるようで、
ゆっくりと身を起こしながらジョーは「・・・当然だ・・・!」、
ルカは「まだまだいけるよ!」と、あくまで強気の姿勢は崩しません。

身体はかなり痛めつけられており、状況は圧倒的に不利ですが、不思議に全員全く気落ちした様子はありません。
地上への無差別攻撃に及んでいるザンギャック艦隊に対する激しい怒りは湧き上がってきていますが、
こういう状況も予想はしていたことであり、今さら動揺することもない。

とにかく何が起ころうとも、どんな状況であろうとも、余計なことは一切頭には無い。
自分の与えられた状況の中で可能なことは全てやってザンギャックを倒す。
シンプルにそれだけでした。
自分の身をザンギャックを倒す刃とする。
たとえ地面に這いつくばることしか出来なくなっても、その状況でザンギャックを倒せる策を実行するのみでした。

「そうですよ・・・でぇっかい夢・・・掴まなくちゃいけないんですから!」と
鎧も全身に力を込めて立ち上がろうとしています。
その皆の全く衰えない気力を見て、マーベラスもフッと不敵に笑いますが、
しかし実際のところ、早くも全員動けなくなりつつある。
悲観は全くしないが、この状況で自分達がザンギャックを倒せる策がさすがに思いつかず、
マーベラスも少々困ってしまいました。

さて、どうするか、と思っていると、
そこに敵の繰り出した第二波の攻撃艦隊が低空に降りてきてマーベラス達を狙い撃ちしてこようとします。
これは回避しきれないかもしれないと、マーベラス達は焦って駆け出して物陰に隠れようと思いましたが、
足がまだ十分に動かず、敵艦の攻撃を避けられない。
そこに近づいてきた敵艦がビーム砲を発射してきて、もはや万事休すかと思われたその瞬間、
突然、地面スレスレの低空、敵艦とマーベラス達の間に割って入ってきたザンギャックの戦艦が、
敵艦隊のビームの束をその身を受けたのでした。

マーベラス達は突然の謎の戦艦の乱入に驚き、身を伏せながら見上げます。
敵艦隊の放ったビームを一斉に浴びて、その戦艦が爆発炎上して自分達の真上に落ちてくると思いました。
ところが、その戦艦は何故か落ちてくることはなく、敵艦隊を撃ち落していきます。
マーベラス達はてっきり敵艦隊の一隻が操艦を誤って味方の攻撃を受ける事故を起こしたのかと思っていたのですが、
敵艦隊を攻撃しているこの戦艦はどうやら味方のようです。

どうしてザンギャック艦が自分達の味方をしているのかと不可解に思い、全員その艦を見上げてよく見てみます。
その瞬間、元ザンギャック軍人のジョーはギョッとして「・・・フリージョーカー・・・?」と呟きます。
その艦は確かに形は他のザンギャックの小型戦艦と同じ型でしたが、
その真っ赤なボディカラーは、ザンギャックの艦隊においては採用されていない色でした。
ジョーの知る限り、この世でこんな血のような濃い赤のボディカラーのザンギャック艦は1隻しかありません。
それはバスコの乗艦であるフリージョーカーでした。

しかし、バスコはマーベラスが一昨日の決闘で斃したはず。
決闘に敗れて絶命したバスコの身体が跡形もなく消滅するのを、ここに居る全員が目の前で目撃していました。
ならば、いったい誰がフリージョーカーを操縦しているのかと、
全員が唖然としてフリージョーカーを見上げました。

すると、そのジョーの呟きに反応するように、
マーベラス達を敵艦隊の攻撃から守る盾のように真上に浮かぶフリージョーカーから
「そうだよ!バスコの船が残ってたんだぁ!!これでまだ戦えるよぉ〜っ!!」と声が響いてきます。
その聞き慣れた声を聞いて、アイムが「ナビィ・・・!」と仰天します。
フリージョーカーを操縦しているのはナビィだったのです。
つまり、バスコが死んで、主を失って空船になっていたフリージョーカーをナビィが見つけて
勝手に操縦してここに飛んできたようなのです。

一体いつの間に・・・というか、一体このフリージョーカーは何処にあったのか?
「あんた、よく見つけてきたわねぇ!」とルカが唖然としてナビィに言います。
するとナビィは「オイラだってやるときゃやるんだぁ!」と快活に応え、
「派手にいくぜぇぇぇっ!!」と叫んでフリージョーカーを急発進させ、
低空に降りてきていた敵艦隊の中に突っ込んでいき
「おりゃおりゃおりゃおりゃあっ!!」とビーム砲を撃ちまくって敵艦を次々と撃破していき、
マーベラス達の上空の安全を確保したのでした。

マーベラス達はフリージョーカーの意外な強さに驚きます。
そういえばマーベラス達はバスコとあれだけ何度も戦っていながら
フリージョーカーの戦っている姿は一度も見たことがありませんでした。
考えてみれば、あのバスコの乗艦です。
普通の艦であるはずはありませんでした。

バスコはザンギャック公認の私掠船の船長でしたから、
フリージョーカーもザンギャックの量産型の小型戦艦を貰い受けて、
それをバスコが自分好みの赤色に塗っていたものです。
ザンギャックの量産型の艦ですから、もともと攻撃力も防御力も大したことはない。
だからマーベラス達はフリージョーカーなど恐れるに足りないと思っていました。

しかし、バスコはサリーの腹のハッチに変なロイドを7体も飼っていたりする、
変に器用な科学者的な才能もある男でした。
だから、どうやらフリージョーカーにも奇妙な改造を施していたようです。
さっきも敵艦からのビームを浴びたはずのフリージョーカーが全く損傷を受けていないことや、
現在もフリージョーカーが同型の敵艦に対して一方的に攻撃を浴びせていることなどから考えて、
どうもフリージョーカーは常に艦の前方に強力なバリアーを張っている仕様になっているようです。
だから敵の攻撃を受けることなく、敵艦を一方的に攻撃することが出来るのです。
慎重で用意周到なバスコらしい秘密兵器だといえます。

それにしても、よくナビィがフリージョーカーを見つけることが出来たものだとマーベラスは思いましたが、
冷静に考えてみれば、確かにフリージョーカーはバスコが決闘で死んだ後も何処かに残っていたのは当たり前であり、
単に自分達が昨日から色々なことが立て込み過ぎていて、
フリージョーカーのことに考えが及んでいなかっただけだとマーベラスは気付きました。

ナビィだけは昨晩、ハカセが「もうこの星には戦える船は無い」と言っていたのを聞いてから、
ずっと何か引っ掛かっていたようです。
それでもマーベラス達同様、昨晩の間はナビィもフリージョーカーのことまでは想い出せなかったようですが、
今朝マーベラス達が戦いに出た後、ガレオンに1羽残ったナビィはフリージョーカーの存在を想い出したのでしょう。
そこでナビィは命懸けの戦いに突入しているであろうマーベラス達には連絡せず、
自分だけ飛んでいってフリージョーカーを探したのでしょう。

ただ、これだけ短時間のうちに見つけ出して操縦してきたということは、
ナビィはフリージョーカーの置いてある場所が見当がついていたということです。
そして、その場所は今となってはマーベラスにも簡単に想像はつきました。
それは、第47話でガレオンから宝箱を持ち出したサリーをこっそり尾行していったマーベラス達が
バスコと対決した、あの森の奥です。
あそこをバスコはアジトにしており、あの森の中でマーベラスがサリーの爆発に巻き込まれ、
ジョー達がバスコに敗れて、バスコはその足でガレオンに移動してガレオンを占拠して、
そのままマーベラス達と戦って敗れて死んだのです。
ならば、あの森の奥に隠してあったはずのフリージョーカーはそのまま放置されて残っていたはずです。

ナビィもまた、あの時のマーベラス達の居場所は体内の通信機で座標軸では把握していたはずですから、
今朝フリージョーカーの存在を想い出したナビィは、
あの時バスコとマーベラス達が戦ったと思われる地点の近くにフリージョーカーがあるに違いないと睨んで、
さっそくその地点に飛び、その森の奥に隠してあった無傷のフリージョーカーを発見したのでしょう。

といっても、小型戦艦のフリージョーカー1隻だけで
ザンギャックの大艦隊の待ち受ける中に飛び込んでくるのは危険な行為でした。
それでもナビィは喜び勇んで駆けつけたのです。
ガレオンが壊れてしまい、等身大戦では足手まといにしかならないので仕方なくガレオンに留守番で残ったナビィは、
本当はマーベラス達と一緒に命懸けで戦いたいと思っていたのです。
だからフリージョーカーという自分でも戦いに参加出来る道具が手に入って、
ナビィは大喜びで危険の渦中に飛び込んできたのですから、大したものです。

マーベラスは奮戦するフリージョーカーを見上げて
「・・・あいつもやっぱ・・・海賊の端くれだな・・・」と感慨深くナビィを褒めて前へ進み出ました。
以前はナビィは「戦いになったら逃げる」などと冗談めかして言ったりしていましたが、やはり性根は海賊なのです。
本来なら自殺行為ともいえる特攻でしたが、バスコの仕掛けていたバリアー発生装置が敵の攻撃を無効化して、
一転、ナビィの操るフリージョーカーがマーベラス達の窮地を救う大活躍を見せることとなったのでした。

ナビィもまた、自分を捨てた行為によって仲間を救い、自分も救われたのです。
それが、自分が仲間のためにバスコとの相討ち勝負を仕掛けてサリーの首飾りで命拾いしたのと同じだと
思い至ったマーベラスは、「お蔭で次の手が決まったぜ・・・!」と呟きます。
ナビィの特攻が、フリージョーカーを逆転勝利を呼び寄せる切り札に変える奇策を
マーベラスに思いつかせてくれたのでした。

「・・・フリージョーカーで突っ込む・・・!」とマーベラスは大胆不敵に言い切ります。
皆、少し驚いた顔をしますが、何も言いません。
仲間たちはマーベラスの戦場における判断には今まで異論を挟んだことはほとんどありません。
それだけマーベラスの戦いに関する能力は信頼しています。
マーベラスがやれると考えているのなら、それはやれるのだろうと信じています。

それに実際、こうして地上で敵の攻撃を待っていても埒が明かない。
ようやく手に入った唯一の巨大戦力であるフリージョーカーで突っ込むしか手は無い。
ただ、今ナビィが戦っているような低空に降りてきた小規模な艦隊と違って、
大艦隊全部を倒さねば地球の危機を救うことは出来ないのだが、
いくらなんでも小型戦艦のフリージョーカー1隻で大艦隊を撃滅など出来るわけがない。
マーベラスがそこに何か成算があるのかどうかよく分からなかったが、
皆、それでもマーベラスの判断を信頼して黙っていました。

だが、鎧だけ直感したところがあったようで、息を呑んで
「・・・皇帝のいる、ギガントホースに突入・・・ですか・・・?」とマーベラスに尋ねたのでした。
マーベラスは鎧の方に視線を移すと「・・・ああ!」と答えました。
鎧は唖然とします。
あまりに危険すぎる。が、確かにそれしか大艦隊撃滅の方法は無いかもしれないと思い、
鎧は緊張した面持ちで俯きました。

その鎧の横で鎧とマーベラスの言葉を聞いていたジョーは、じっと何かを考え込んでいましたが、
意を決して「鎧!」と言うと、鎧の方に振り返って「・・・お前も一緒に行け!」と、鎧の肩を掴みます。
鎧は「俺が!?」と驚きました。
というか、こんな危険な作戦ですから、てっきり皆で行くのかと思っていたのですが、
今の口ぶりだとジョーは行かないかのようです。
つまり少人数でギガントホースに突入するということになる。

しかし、その場合は自分のような新入りがマーベラスと一緒に行くべきなのだろうかと鎧は迷いました。
この場合、マーベラスと最も信頼関係の深いジョーが一緒に行くべきなのではないかとも思い、
そもそもどうして少人数で突っ込むのかよく分からず、それではますます危険ではないかとも思い、
「あ、いや・・・でも・・・」と鎧は困惑と遠慮で言い淀みます。

が、鎧がそうしてグズグズしている間に、マーベラスは前方を睨みつけ
「・・・考えてるヒマは無さそうだ!」と呟きます。
鎧がハッとしてマーベラスの視線の先を見ると、
そこにはダイランドーが「ホントしぶといねぇ!海賊ちゃあん!」と言いながら近づいてきていました。
ダイランドーは謎の戦艦の乱入でマーベラス達への空爆が邪魔されたのを受けて、
空爆でダメージを受けて弱体化したマーベラス達を逃がさないように倒しに来たのです。

鎧はそこでようやく、まだダイランドーが残っていたことを思いだしたのでした。
一方、ルカとハカセとアイムは自分達の役割を心得ているかのように、
すっと前に出てダイランドーに立ち向かう姿勢を示します。
そしてジョーも3人と並んで一歩前に出て、片手をすっと横に出して
マーベラスと共に後ろに残った鎧に前に出ないように制します。

つまりギガントホースに突入する作戦がマーベラス一味にとっては絶対に失敗の許されない本作戦であるが、
その本作戦の最大の障害が、ザンギャック皇帝親衛隊の最強の男であるダイランドーなのです。
ただでさえ敵の本拠地中枢への突入という危険な作戦に、
ダイランドーまでも敵に加われば、作戦成功の可能性はだいぶ下がってしまう。

しかし、ここで6人全員がフリージョーカーでギガントホースに向かえば、
ダイランドーはマーベラス達の意図に気付いてギガントホースに帰還してしまう。
だから、この場で誰かが残ってダイランドーを足止めして、
戦いに集中させてギガントホースで起こる変事を察知させないようにしなければいけない。
いや、いっそこの場でダイランドーを倒してしまいたい。

そのためには1人や2人の少人数では無理です。
ダイランドーに返り討ちにあってしまう可能性が高く、
そこまでいかなくても、ダイランドーが余裕をもって戦って
ギガントホースの変事に気付いてしまう可能性が高い。
だから、この場には4人ぐらいは残らなければ話にならない。
そうしなければ本作戦の方が失敗してしまう。

だからギガントホースに突っ込むのはマーベラスと鎧の2人であり、
ダイランドーの相手はジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人で引き受けるのだとジョーは主張しているのです。
その人数の割り振りは鎧も納得しました。
しかしどうして自分がマーベラスと一緒にギガントホース突入組なのか、そこが鎧にはよく分からない。

ダイランドーの足止めぐらいならばジョーの代わりに自分が残ってもそう状況は変わらない。
しかしギガントホースにおける重要な本作戦の方は
やはりマーベラスとジョーの最も気心の知れたコンビが一番なのではないかと鎧は思いました。
何より、自分のような一番下っ端がそんな重責を担って良いのだろうかと鎧には疑問でした。

しかしジョーは鎧に背を向けたまま、ダイランドーに聞こえないよう小声で
「最前線に皇帝が出てくるなんて千載一遇のチャンスだ!」と言います。
そしてジョーは鎧の方に首だけ一瞬振り返り「夢なんだろう?・・・ザンギャックを倒すのが・・・」と言うと、
前を向き、ルカ達3人と共にダイランドーを睨みつけながら
「とっとと行け!・・・ダイランドーは、俺たちで十分だ・・・!」と鎧に向けて言うのでした。

つまり、ギガントホースに突入すれば、そこにはザンギャック皇帝がいる。
皇帝を倒せばザンギャックを倒すことが出来る。
ジョーもマーベラスの作戦が皇帝を単に倒すことが目的ではないことは大体想像はついていましたが、
作戦が成功すれば、成り行き上、皇帝と戦い倒すことになるだろうと思っていました。
ジョーは皇帝が歴戦の勇者であったということは噂で聞いていましたが、
それは所詮は遠い過去の話であり、今はただの老人に過ぎないと思っていました。
ギガントホースに突入して警備の兵たちを皆上手く倒して作戦目的を達成すれば、
ついでに容易く、侵略の元凶である皇帝の息の根も止めることが出来る。

しかし、その役目は自分のものではないとジョーは思ったのです。
自分だけでなく、ルカでもハカセでもアイムでもマーベラスでもなく、
これはどうしても鎧の役目だとジョーは思いました。

何故なら、「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢をマーベラス一味で最初に唱えたのは、
鎧だったからです。
第18話の鎧がマーベラス一味に加入し、「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢を
鎧が披露した際、他の5人は皆驚き呆れただけだった。
しかし今となっては、それこそが全員の夢だったのだとハッキリ分かっています。

ただ、鎧の夢に触れ、引っ張られていくうちに、
全員、何時の間にか自分達の夢が鎧と同じだということに内心気付いていったように思う。
だから、全員がこの本当の夢に辿り着くきっかけを与えてくれたのは鎧だった。
鎧がこの夢の出発点だったのです。いや、鎧に代表される地球人たちがマーベラス達の本当の夢を気づかせてくれた。
だからザンギャックをその手で倒して夢を直接叶えるのは地球人代表の鎧であるべきだった。
ジョーはそう思っていました。
それはルカもハカセもアイムも何も言わずとも同感でした。
だからマーベラスと鎧を行かせるために率先して前に出ているのです。

それに、今現在、地球人が数多くアクドス・ギルの命令によって無残に殺されていっている。
地球人の街や生活が破壊されていっている。
ジョーもルカもハカセもアイムも、かつて自分の故郷の星がザンギャックに滅ぼされた時、何も出来なかった。
その悔しさ、苦しさは忘れられない。

その苦しみごと、その過去は受け止めなければいけない。
無かったことにしてはいけない。
辛い過去を受け入れることで前に進めるのだと再確認したばかりだからです。
だからアクドス・ギルを討つことで自分の過去が救われるなどとは考えない。

しかし、鎧は今アクドス・ギルを討てば、自分の故郷を救うことが出来る。
救えなかった苦しさを知っている4人だからこそ、
今ならまだその苦しみを回避出来る可能性のある鎧には、その可能性に賭けてほしいと思っているのです。
だから、4人は鎧をギガントホースに行かせたいと思っているのです。

鎧はジョーの言葉で自分の夢を改めて思い出し、その自分の夢が皆の夢になったのだと実感し、
その重みを受け止めるように「はい・・・!」と返事をし、
ギガントホースへ行き、憎きアクドス・ギルを倒す決意を固めました。

一方、マーベラスはチラリとジョーの顔を見ます。
ジョーも振り向いてマーベラスの顔を見つめます。
お互い無言で少しの間、目と目で語り合ったのは、
互いに決死の戦いにはなるが、決して死なないようにという約束でした。

ジョーはとことんマーベラスの夢に付き合い、夢を追うマーベラスの背中を守る役割を自ら任じています。
だから本当はこの局面でもマーベラスの背中を守るためについて行きたかった。
しかし鎧に夢を遂げさせるために鎧をここに残すわけにはいかない。
その上、自分までマーベラスについて行くと、
この場でダイランドーを食い止めるのがルカ達3人だけになってしまい、
それでは作戦が成り立たなくなる恐れがありました。

だから今回はジョーはこの場に残らねばならず、極めて危険な作戦に赴くマーベラスの背中を守れない。
だからジョーとしては今回の作戦でマーベラスに死なれたら一生後悔する。
一方マーベラスもそうしたジョーの心情は分かるので、
ジョーにこそ生き残ってまた自分の背中を守ってもらいたいと思っている。

しかし今回は互いに決死の覚悟で戦っている以上、「死ぬな」とは互いに口に出して言うことは出来ない。
だから無言で目と目で約束し、その後すぐにマーベラスは鎧を連れて駆け出しました。
ダイランドーは2人が単に逃げたと思い、「よっしゃああ!!逃がさないよおおっ!!」と攻撃しようとしますが、
そこに銃撃に邪魔され「うぬっ!?」とひるんだ隙にマーベラスと鎧は駆け抜けていきました。

ダイランドーを銃撃したのは素早くゴーカイジャーに変身したジョーでした。
ルカ、ハカセ、アイムも変身しています。
ジョーはこうなったらマーベラスを直接守れない分、ここで必ず最大の難敵のダイランドーを倒して、
マーベラスを間接的に援護すること、そして必ず生きてマーベラスに会うことを心に誓い、
「派手にいくぞぉぉぉっ!!」と気合を発するのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:15 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その1

遂に今回は最終話でした。
前回がドラマパートが濃厚で、マーベラス一味がお宝を捨てて
ザンギャックを倒すために戦うスーパー戦隊となったことで物語のテーマとしては完結したわけで、
今回はそのザンギャックを倒すための戦いのバトルシーンが目いっぱい詰め込まれたエピソードとなりました。
しかし、普通に戦って終わりというわけではなく、色々と趣向を凝らしたバトルを最後まで楽しませてくれました。
やはりこの「ゴーカイジャー」という作品の最大の魅力はバトルシーンの面白味であり、
それを最後まで貫いてくれたと思います。

この「ゴーカイジャー」という物語全体については、また本編の考察終了後に改めて考えることとして、
まずは今回の最終話についてのみ単一エピソードとして考えていきたいと思います。

今回の最終話の構成はAパート、Bパートの最終バトル部分、Bパートのエピローグ部分という
3つに大きく分けることが出来ます。
エピローグに関しては最後にまた本編の中で考えるとして、
本編の考察に入る前に触れておきたいのは、AパートとBパート最終バトルとの関係です。

その前にBパート最終バトルに関しては予想が外れてしまったことに触れておかねばいけません。
てっきり最終バトルには、レンジャーキーが戻ったことによって変身能力を取り戻した34戦隊の全戦士が
駆けつけて、ゴーカイジャーと共にザンギャックの大軍と戦う第二次レジェンド大戦で締めるのかと思っていました。
しかし、そうではなくて、ゴーカイジャー6人による、ゴーカイジャーも含めた
35戦隊フル豪快チェンジによるコンボ攻撃でラスボスのアクドス・ギルを倒すという展開となりました。

第1話の冒頭、圧巻のレジェンド大戦のシーンから始まったこの物語、
やはり最後も復活した戦士たちが集合してのレジェンド大戦で締めた方が派手ではあったと思います。
しかし、最終3篇の冒頭、第49話の時に考察したように、
この物語は最後まで、あくまでマーベラス一味の6人の物語を描くのだろうと予想しました。
その予想通り、最後まで6人の成長物語であったと考えるならば、
ここで第1話の冒頭に戻るよりも、今回のような描写が正解だったのだと思います。

だいいち、よく考えたら最終話の限られた尺の中で第二次レジェンド大戦を描くとなると、
結局はゴーカイジャーの6人も含めて全員がモブ状態になってしまい、
物語の最終バトルとしては、かなり間抜けなことになってしまうでしょう。

そりゃあ、第二次レジェンド大戦だけで30分使えるのなら、
まだなんとか最終バトルとしてカッコはつくでしょう。
当初、私が有り得る可能性として考えていた最終3篇の構成としては、
最終話直前にレジェンド戦士の復活大集合というものがありました。
これならば、まだ最終話がちゃんとお話しになるだろうと思っていました。
しかし、この場合でもゴーカイジャー以外の戦士たちは結局ほとんどモブ扱いになると思われ、
わざわざ最終バトルに登場させておいてモブ扱いというのは失礼な気がします。

では全員がモブにならないぐらいの構成にするためには、
最終3話の冒頭からレジェンド復活大集合が始まらないといけないぐらいでしょう。
しかし、そうなると、肝心の宇宙最大のお宝に関するゴーカイジャーの物語を描く余裕が
全く無くなってしまいます。

結局、最終3篇でレジェンド大戦を描くというのは、あまり良い手法ではないのです。
あのやたら大規模だが全員モブ状態のレジェンド大戦のシーンが成立していたのは、
あくまで第1話冒頭という、物語の序章としてという前提で成立していたのです。
だから、物語の締めのバトルがレジェンド大戦というのは、一見派手で良さそうに見えて、
この物語の締めのバトルとしては相応しくない。

例えば「199ヒーロー大決戦」映画では、締めのバトルが巨大戦版のレジェンド大戦でありましたが、
あの映画は実はあまりゴーカイジャーの物語になっていません。
あれは「ディケイド」映画以降作られるようになったライダー恒例の総集合モノの同種で、
あくまで総集合企画映画ですから、レジェンド戦隊の物語だと考えていいでしょう。
だからああいう締めのバトルで良かったのです。

TV版の「ディケイド」にしても、ディケイド自身の物語が無いので、
最終バトルはライダー大戦という形で第1話冒頭に戻ってしまいました。
しかし「ゴーカイジャー」は、1年間通してじっくりとゴーカイジャーの物語を描いてきましたから、
第1話のレジェンド大戦に戻るわけにはいかないのです。

レジェンド大戦にゴーカイジャーが新たに加われば、レジェンドの成長物語になってしまいます。
そうではなく、ゴーカイジャーがレジェンド戦隊の力を使って勝利しなければ、
ゴーカイジャーが35番目のスーパー戦隊になったという、ゴーカイジャーの成長物語としては成立しないのです。
だから、物語的には今回の描写が正解なのだと思います。

ところで、この最終バトルは等身大戦だけで終わり、巨大戦はありませんでした。
前回の描写においては、真に恐るべき地球人への脅威となっているのは
アクドス・ギルやダイランドー単体の能力ではありませんでした。
確かにアクドス・ギルもダイランドーもゴーカイジャーにとっては脅威となり得る強敵ですが、
彼らだけの能力では地球人全部を滅ぼすような超常的なものはありません。

地球人を滅亡させる脅威となっているのはザンギャックの信じ難い数の大艦隊であり、
それを束ねる旗艦ギガントホースです。
真のラスボスは大艦隊と言っていいでしょう。
ならば最終バトルの相手は大艦隊であるべきのようにも思えます。
そうなると巨大戦ですから、ゴーカイジャーが巨大戦で35戦隊のパワーを使って
ザンギャックの大艦隊を撃破するのが最終バトルとして相応しいようにも思えてきます。
つまり「大いなる力」を総動員して大艦隊を撃破すればいい。

しかし、それは既に第50話で失敗しています。
第50話で失敗したのと同じことをまた最終話でやって、それで今度は勝ってしまったりしたら不自然です。
つまり、第50話で大いなる力を大盤振る舞いしながらゴーカイジャーが大艦隊に敗北した場面を描いたのは、
大いなる力を使って普通に大艦隊を撃滅するような最終バトルにはしないという制作側の意思表示だといえます。

どうして最大の強敵を普通に倒すことにしないのかというと、
最終話における最大の強敵というものは普通に倒すのではなく、
絶体絶命の状態から起死回生の大逆転で勝つ方が燃えるからです。
ならば大いなる力を使っても大苦戦して、その後、起死回生の策で大逆転勝利で大艦隊を撃滅すれば
いいようにも思えます。

シリーズの通常作品ならば、それでいいと思います。
持てる力を全部ぶつけてもビクともしない強敵に、起死回生の策で大逆転すれば燃えます。
しかし、この作品の場合はそうはいかないのです。
この作品は最終的には歴代スーパー戦隊をリスペクトする作品でなければならず、
また、ゴーカイジャーがスーパー戦隊になった証に、
スーパー戦隊の力を使って敵を倒して終わらなければいけないので、
最終バトルでスーパー戦隊の大いなる力が敗れて大ピンチになるような描写は相応しくないのです。
かといって、最大の強敵に対して、普通に大いなる力が通じてしまうのも、
最終話らしい緊張感が無くなってしまいます。

ならば、最終バトルの相手と最大の強敵は別にするしかない。
まず最大の強敵をスーパー戦隊の力が通じない大ピンチの状態から起死回生の策で倒し、
その後、最終バトルでは別の敵をスーパー戦隊の力を使って倒すのです。
そうすれば最終バトルでスーパー戦隊をリスペクトした形で綺麗に終わります。

また、最大の強敵が地球に対する最大の脅威なのですから、
それを先に倒すことによってゴーカイジャーは晴れて35番目のスーパー戦隊となり、
歴代戦隊と肩を並べる存在となります。

前回、マーベラスは「命を賭けて地球を守る・・・それがスーパー戦隊ってもんだろう!」と宣言しましたが、
これだけで真の意味で他の34のスーパー戦隊と肩を並べたわけではありません。
歴代34戦隊は皆、命を賭けて戦った末、絶体絶命のピンチから大逆転して地球を守りきった実績があります。
ゴーカイジャーもそれが出来て初めて、歴代戦隊と肩を並べる
35番目のスーパー戦隊として完成されたということになります。

だから、まず地球に対する最大の脅威であるザンギャック大艦隊を
絶体絶命の状態から大逆転で撃滅したことによって、
ゴーカイジャーは遂に35番目のスーパー戦隊として完成し、
それによって、遂に35戦隊のパワーを全て完璧に使いこなすことが出来るようになり、
真の意味で「最強戦隊」となり、「最強最悪の皇帝」といわれるアクドス・ギルとの最終バトルで
35のスーパー戦隊の力を使って圧倒的勝利を収めることになるのです。

つまり、ザンギャック大艦隊の撃滅が描かれるのが今回のAパートであり、
アクドス・ギルとの最終バトルが描かれるのが今回のBパートといえます。
そして、Aパートは絶体絶命のピンチ状態からの大逆転劇が徹底して描かれて、
Bパートの方はAパートで大逆転で大艦隊を撃滅したことによって真のスーパー戦隊となったゴーカイジャーが
Aパートとは次元の違う強さで、35戦隊の力を使ってアクドス・ギルを圧倒するのです。

アクドス・ギルというのがあまりキャラが掘り下げられずに
典型的な悪の帝王的なキャラで終わったのも、
基本的にはこうして最後は典型的な「スカッと倒されるための巨悪キャラ」として
使われる予定だったからでしょう。

そうして物語はスカッとした形でエピローグへ向かっていくのです。
だから最高に爽快感のあるのはBパートの最終バトルの方です。
実際、この最終バトルの35戦隊フル豪快チェンジは凄い。
戦士や技のチョイスやテンポが神がかっていて、
最終話にきて、これまでで最高の多段変身アクションを見せて貰いました。
1年間この作品を観てきて、いや、スーパー戦隊シリーズを観てきてよかったと思える名シーンだったと思います。

しかし、これは劇中のゴーカイジャーにとっては、スーパー戦隊になった後の一種の御褒美のようなシーンで、
彼らにとって最重要であったのは、むしろAパートの方でしょう。
このAパートの絶体絶命の状況から大逆転して大艦隊の撃滅によって地球を守ることによって、
彼らは他の34戦隊と肩を並べるスーパー戦隊となれるわけで、
彼らにとってここは最終試練といえる場面です。

だから、このAパート開始時点は絶望感が頂点でなければいけません。
何故なら、絶望的状況でも戦い抜くのがスーパー戦隊だからです。
そのために、ザンギャック大艦隊に対してはスーパー戦隊の大いなる力が通用せず、
ゴーカイジャーの巨大戦力が全滅するという第50話の絶望的描写が必要であったのです。

それに、最終話は普通に戦って大艦隊を倒してはいけないし、
大艦隊を倒した後の最終バトルでは巨大化銃が失われているのでアクドス・ギルの巨大化も無いわけですから、
最終話は必然的に巨大戦シーン無しになります。

まぁグレートアクドスというような決戦機を登場させて巨大戦をやることも不可能ではなかったとは思いますが、
その場合は最終バトルの等身大戦で35戦隊のフル豪快チェンジをしながら
アクドス・ギルを倒しきれないという描写になってしまうわけですから、
それはそれで間抜けな描写になってしまいます。

グレートアクドスを先に登場させるという手もあったかもしれませんが、
やはり尺的にそういうのは無理だったのでしょう。
だから第50話でゴーカイジャー側の巨大戦力も全滅させて支障は無かったのであり、
むしろ、第50話で巨大戦のシーンにおいて大いなる力の大盤振る舞いはしておいた方がよかったのだと言えます。

何せ、この作品の最大のセールスポイントは、等身大戦における豪快チェンジ多段変身システムと、
巨大戦における大いなる力によるロボ変形や技の使用であるのですから、
この2つは最終話で集大成的なものを見せたいところです。
ところが最終話では前者の多段変身は思いっきり見せることは出来るが、
後者の大いなる力の方は巨大戦が無いので見せられない。
ならば最終話の1つ前のエピソードで大盤振る舞いするしかないのです。

そっちの方が最終話に大艦隊撃滅後にグレートアクドスなんか出して中途半端に戦うよりも
画的に派手でいいですし、
最終話開始時点の絶望的状況も作れるわけだから、
第50話でゴーカイジャーの巨大戦力が全滅して、最終話は巨大戦が無しというので正解だったと思います。
そのお蔭で、最終話AパートのバトルもBパートの最終バトルも、ギリギリの尺で描ききれたのだと思います。

そしてまた、Aパートのピンチ描写を更に徹底させるために、
ゴーカイジャーの戦力分断という措置がとられたのも秀逸であったと思います。
そもそもダイランドーというキャラの存在意義がこれまでイマイチ分からなかったのですが、
今回腑に落ちました。

Bパートの最終バトルにおいてゴーカイジャー6人でアクドス・ギルを圧倒する予定である以上、
Aパートでゴーカイジャー6人とアクドス・ギルを戦わせるわけにはいかないのです。
もちろんAパートのゴーカイジャーはまだ地球を救っておらずスーパー戦隊として完成しておらず、
Bパートのゴーカイジャーは地球を救った後でありスーパー戦隊として完成した後なので、
強さの次元が違うのですが、そんなことは劇中で明言されているわけではないので、
6人のゴーカイジャーがアクドス・ギルと対峙していると見た目は同じになってしまいます。
しかしAパートは大ピンチから逆転しないといけないので、苦戦しなければいけません。
それなのにBパートで同じ6人が急にアクドス・ギルを圧倒すると変です。

この「ゴーカイジャー」という作品は基本的に「不思議なことが起こる」という描写は避ける傾向があるので、
急に6人に不思議パワーが宿って強くなるというような描写を明確に見せることはありません。
強くなるのには割と現実的に納得のいくようなプロセスを見せます。
しかし今回はそんなプロセスをちゃんと見せる尺も有りませんから、
Aパートでゴーカイジャー側がアクドス・ギルと6人で対峙するという構図は避けた方がいい。

そうなると、アクドス・ギル以外にゴーカイジャーが人数を割かざるを得ない強敵がもう1人必要になります。
そして少人数でアクドス・ギルと対峙したゴーカイジャーのメンバーが
アクドス・ギルに大苦戦するようにしなければいけない。

アクドス・ギル自体の強さは、今回の戦う姿を見る限り、ダマラスに匹敵するぐらい強いようです。
そうでなければ宇宙のほとんどを征服するなど出来なかったであろうし、
ダマラスのような男を配下として抱えることも出来なかったはずです。

思うに、ダマラスの「宇宙最強の男」の称号は、自称ではなく、
もともとはアクドス・ギルの称号であったものを、
老いて衰えたアクドス・ギルが配下のダマラスが相対的に自分と並ぶほどの実力者となったので、
その称号を譲り与えたものではないかと思います。
そうでなければ、普通はそんな称号で呼ばれる事自体、ダマラスの性格的には皇帝に遠慮するはずだと思うのです。

つまりアクドス・ギルは全盛期にはダマラスよりも強かったのではないかと思われます。
そして老いて多少衰えた今でもダマラスに匹敵するぐらいの力は有しているのでしょう。
実際、Bパートのスーパー戦隊として完全覚醒後のゴーカイジャーの35戦隊フル豪快チェンジ攻撃にも、
押されまくってはいたものの、途中まではしっかり防御して反撃もしてきているのですから、
恐ろしく強いのは間違いないです。

Aパートでマーベラスがアクドス・ギルのことを「最強最悪の皇帝」と呼んでいるぐらいですから、
アクドス・ギルこそが宇宙最強であるという噂は確かに宇宙には存在したのでしょうし、
実際にAパートで戦ってみて、その噂が嘘ではなかったことを、
ダマラスとも戦ったマーベラスも認めているのだから、実際にアクドス・ギルはダマラス級の強さなのでしょう。

その「最強最悪の皇帝」アクドス・ギルを結局は圧倒して倒してしまうのですから
Bパートのゴーカイジャーはまさに「最強戦隊」といえますが、
Aパートではまだゴーカイジャーはそこまで強くはありません。
そのアクドス・ギルにマーベラスと鎧の2人で挑むわけですから、
Aパートのアクドス・ギルとの戦いはかなり大ピンチの予感がします。

その恐ろしく強いアクドス・ギルのところにマーベラスと鎧だけを行かせるしかない状況とするためには、
ゴーカイジャーが4人がかりぐらいでないと太刀打ちが難しい強敵がもう1人必要となります。
ダマラスあたりでもいいのですが、この4人で結局大苦戦した末に倒してしまうわけですから、
その相手としてはダマラスはちょっと強すぎるし、
ダマラスぐらいドラマがここまでちゃんと描かれているキャラならば、
最終話のAパートのドタバタした展開の中でアクドス・ギルの戦いと同時進行で倒されてしまうような
キャラとして使ってしまうのは勿体ない。
だからダマラスは第42話、第43話でしっかり見せ場を作って退場しました。

ならばインサーンあたりならどうかというと、
インサーンではちょっとゴーカイジャー4人をピンチに追い込むほど強いかというと少し微妙であり、
インサーンの場合は最後は皇帝に忠誠を尽くしながら捨て駒にされ、
そこからゴーカイジャーが窮地に陥る流れの中で使われるべきキャラであったので、
第49話で退場させることになり、最終話では使えません。

ならばダイランドーのようなキャラがここではちょうどいいと言えます。
ダイランドーは第40話で共に登場してゴーカイジャー6人を散々苦しめた末に倒されたザツリグと同格の
強さとされているキャラですから、
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人でダイランドーと戦うとなると、ゴーカイジャー側の苦戦は必至です。
そしてダイランドーは単によく喋る皇帝の側近という役柄であり、
ダマラスやインサーンのようにキャラ自体に何か特別な価値観が象徴されているようなヤツでもないので、
割と安易に倒してしまっても問題ないキャラです。

そのため、ダイランドーというキャラをここまで生き残らせておいて、
ゴーカイジャーの戦力分断のために使ったのでしょう。
というか、最終話でのゴーカイジャーの戦力分断の必要性から生み出された、
強いけれどもあまり重要でないキャラがダイランドーであったのでしょう。

ただ、そのキャラが小者臭のするお喋りキャラとなったのは、
第40話以降のアクドス・ギル登場後のギガントホースで、
寡黙なアクドス・ギルに代わってドラマを進める役として使うためであったのでしょう。
また、第50話でマーベラス達に思いっきり啖呵を切られてしまう相手役として
小者臭のする大幹部キャラが必要だったからだとも言えます。

こうしてAパートのゴーカイジャーは、ザンギャックの大艦隊という最大の脅威に対して
対抗する手段を持たない状態で、更に戦力の分断までされてしまうという苦境に陥ります。
いや、そもそもザンギャックの大艦隊に対抗する手段が無い状況では戦力分断にさえ至らず、
アクドス・ギルにも大艦隊にも近づくことすら出来ず、
6人まとめて大艦隊に潰されるしかないという状況です。

ここで状況を打開する切り札として現れるのが死んだバスコの遺した乗艦のフリージョーカーです。
このフリージョーカーが切り札となるのであろうことは、
東映公式HPを画像を見て、あらかじめ想像はついていました。

しかし、その出現に至る経緯はもう少しドラマチックにバスコの行動なども絡んで、
少しは因縁めいた形で描かれるのかとも思っていました。
例えば、バスコがガレオンを乗っ取った時に船室に置きっ放しにしていたモバイレーツを使って
フリージョーカーと呼び出すとか、
そういうバスコの遺品が運命的な形でマーベラス達を救うというような描写で、
第48話でサリーの首飾りがマーベラスの命を救ったのと対比される形で描かれるのかとも思っていたのです。

つまり第48話でサリーがマーベラス達を救ったのと同じように、
今度はバスコがマーベラス達を救うというような、
結局サリーもバスコも広い意味ではマーベラス達の仲間であったというような
描き方の可能性もあるかと思っていました。

しかし、今回、フリージョーカーは非常にあっさりした形で登場し、
その発見の経緯などは特に語られませんでした。
単にナビィが探したら見つかったという描写になっており、
これは特に劇中でどうやってナビィがフリージョーカーを探したのか触れられていませんが、
物語的にはわざわざ触れる必要も無いぐらい、ごくごく当たり前の展開なのだろうと思います。

つまり、第47話においてバスコが隠れていた森の奥にフリージョーカーが隠してあったという、
それだけのことだったのでしょう。
ガレオンから宝箱を持って出て行ったサリーを尾行していったマーベラス達の居場所は、
ナビィも体内の通信装置を使って常に把握していたと思われ、
同じ場所で動かないマーベラス達からの連絡が一向に無いので心配してナビィが呼びかけていたところ、
ガレオンにバスコがマーベラス達のレンジャーキーを持ってやって来て、ガレオンを占拠してしまったのです。

そのことを想い出したナビィが、そのマーベラス達がずっと留まっていた地点が
マーベラス達がサリーを尾行していってバスコと遭遇した地点、
つまりバスコがアジトとしていた地点だと推理し、その地点に飛んでいったところ、
森の奥で無傷のフリージョーカーを発見したということなのでしょう。
そんな程度のことにも考えが至らないほど、マーベラス達の方は戦いに頭が集中しており
一歩引いて状況を見ていたナビィだけがフリージョーカーのことに気付いたのでしょう。

だから別にバスコの行動がマーベラス達を救ったというような形ではなく、
むしろ、この結果をもたらしたのは、
マーベラス達がサリーを救うために危険を承知でバスコと対決しに行ったという行動によるものでしょう。
あれが無ければ、ナビィがフリージョーカーの隠し場所を推理することは出来なかった。

そう考えると、サリーの首飾りがマーベラスの命を救ったという第48話における出来事も、
サリーがマーベラスを守ったというような意味合いの描写ではないのだという気がしてきます。
あれもまた、あくまで危険を承知でサリーを守ろうとして首飾りを強く握って引っ張っていた
マーベラスの行動が、後でマーベラス自身を守ることに繋がったという意味合いの出来事なのでしょう。

何故そう思うのかというと、
結局、第48話以降も最後までマーベラス達がサリーのことを悼んだり回想したりする描写は無かったからです。
これはマーベラス達が冷たいという意味ではありません。
描写されていない場面ではサリーのことを回想したりしているのかもしれません。
バスコのことにしても同様です。
しかし劇中描写としてサリーやバスコのことを回想する場面が無いということは、
物語的にはサリーやバスコ自体がマーベラス達の戦いの中で起きたささやかな幸運には
直接は関係していないという扱いということを意味しているのでしょう。

首飾りがバスコの銃弾を食い止めたことも、フリージョーカーが見つかったことも、
あくまでマーベラス達の「自分の危険を顧みずに大切なものを守るために起こした行動」に報いる形で
起こったささやかな幸運に過ぎないのです。

そう考えることによって、最終的にバスコというキャラのこの物語における意義というものが
分かったような気がしますが、それは今回の最終話とは関係無いので、後で触れることになろうかと思います。

ここで重要なことは、この首飾りにしてもフリージョーカーにしても、
あまり劇中で重大な出来事としてその後も扱われていないことです。
首飾りのおかげでバスコに勝てたとか、フリージョーカーのおかげでザンギャック大艦隊に勝てたとか、
そんな風に大袈裟に振り返られることはないのです。
それは、結局は首飾りにしてもフリージョーカーにしても、ささやかな幸運に過ぎないからです。
そんな大層な奇跡などではないのです。
日常生活の中でもいつでも起こる可能性のある、ちょっとしたラッキーに過ぎない。

この「ゴーカイジャー」という作品は本当に徹底して不思議な出来事や奇跡というようなものは排除しています。
「199ヒーロー大決戦」映画では例外的に奇跡のオンパレードでしたが、
あれはダブルメインのゴセイジャーが奇跡だらけの戦隊だった影響であり、
また、あれこそ真の意味での「何でもアリのお祭り企画」なので、
ああいう奇跡の大盤振る舞いが成立したのでしょう。
あの映画では、むしろ奇跡の連続するようなシーンではゴーカイジャー側のキャラの方が浮いていたと思います。

逆に夏映画の「空飛ぶ幽霊船」ではマーベラスは奇跡的なパワーを持つゴッドアイを台無しにするような
極めて現実的な願いをしてしまっていますし、
TV本編でもマーベラス達は奇跡的なパワーを持つ「宇宙最大のお宝」を破壊してしまいました。
つまり、どうも「ゴーカイジャー」という物語の根本的な思想として、
都合の良い奇跡というものは否定して、現実的な世界における必死の努力を重視しているという姿勢が見てとれます。
それが普通の人間のヒーローであるスーパー戦隊というものであり、
この物語は宇宙海賊がスーパー戦隊になる物語だから、特にスーパー戦隊らしさを強く追求する傾向があるのです。

サリーの首飾りがマーベラスの心臓をバスコの銃弾から守った幸運にしても、
マーベラスが自分の命を捨ててかかってバスコとの相討ちを狙いに行ったからこそ、
あの首飾りがマーベラスを救う結果になったのであり、
マーベラスが無難に戦っていれば、あの首飾りが幸運として役に立つこともなく
マーベラスはバスコに敗れていたでしょう。

つまり、「自分を危険に晒して大切なものを守ろうとした」マーベラスの行動があってこそ、
サリーの首飾りがマーベラスにとってのラッキーとして作用したのです。
要するにマーベラスの自己犠牲的な行動がラッキーを引き寄せた。
そして、その首飾り自体がもともとマーベラスの自己犠牲的行動によって手に入ったものであった。
単にそれだけの、実に人間的、現実的な出来事なのです。

この首飾りに関する一連の出来事で一貫して肯定されているのは
「不利な状況で自分を捨てて仲間を守る」という行動です。
そして逆に「自分を守って仲間を犠牲にした」バスコは敗れたのです。

これら首飾りをめぐる一連の出来事と同じ構図でフリージョーカーの一件を考えると、
フリージョーカーもまた首飾り同様、本当にささやかなラッキーに過ぎません。
フリージョーカー1隻がマーベラス達の手に入ったからといって、
大いなる力の大盤振る舞いで勝てなかったザンギャック大艦隊に勝てるはずはない。
その程度のものです。

だから、このフリージョーカーというささやかな幸運を、
本当に勝負を決する幸運の切り札として使うためには、
「自分の危険を顧みず大切なものを守るために戦う」という姿勢が必須となります。
マーベラス達がAパートで大逆転に成功するのは、フリージョーカーのお蔭ではなく、
マーベラス達の自己犠牲的な行動がフリージョーカーという切り札を、
まさにその名の通り、最強のカードにしたからなのです。

もちろんフリージョーカーを失って以降のAパート最後までのマーベラス達の行動も一貫して捨身であり、
それゆえにこそ絶望的状況から大逆転してザンギャック大艦隊を撃滅して
地球を守るヒーローとなることが出来たのです。
一方、アクドス・ギルやダイランドーは常に捨身になることが出来ず、守りの姿勢であったので、
実力では優っていながら、ゴーカイジャーに遅れをとってしまったのです。

しかもアクドス・ギルとダイランドーは、自分達の作戦をより安全確実に行うために
仲間であるインサーンを切り捨て犠牲にしました。
これはバスコがサリーを切り捨てたのと同じ行動であり、
この物語においては否定されるべき敗者になるべき者の行動となります。
こうして、第47話から最終話までのクライマックス篇の5話分の物語は1つに繋がることになるのです。

このクライマックス篇、いや、物語全体を通してのマーベラス達の行動は全て奇跡的描写は排除されていますが、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊になる最終試練とも言うべき最終話Aパートの絶対的劣勢からの大逆転劇は、
ここまでクライマックスになると、普通はついつい超常的描写が入ってきたりするものです。
もともとゴーカイジャーはレンジャーキーやアカレッドなど、
割と何でもアリな能力を持ったものと関係している戦隊ですから、
このクライマックスぐらいは突然奇跡が起きても別の不自然ではない戦隊なのです。

ところが、このAパートにおけるマーベラス一味の戦い方は、
全員が非常に泥臭い海賊アクションを展開し、ひたすら劣勢の中で知恵を絞り、自己を擲って献身します。
ここが地味なのですが、何度も見返すと極めて感動的です。

都合の良い奇跡などは起こらないのです。
そもそも、そういう奇跡をもたらす宝を捨てた上で選んだ戦いなのです。
行くべき道は、ただひたすら無力な人間が自分を擲って大切なものを守るために無様に足掻き続けるだけなのです。
それが絶望的状況から希望を掴む人間の営みというものであり、
それこそが普通の人々と同じ想いを持つヒーローであるスーパー戦隊なのです。

だから、ゴーカイジャーがスーパー戦隊になる最終試練であるAパートは6人は
ひたすら人間として泥臭く足掻く必要があったのです。
そして、彼らは見事に絶対的劣勢から大逆転してダイランドーとザンギャックの大艦隊を撃滅し、
命懸けで地球を守ることに成功し、35番目のスーパー戦隊となったのでした。
そしてBパート、しぶとく生き延びてゴーカイジャーを倒しに来たアクドス・ギルとの最終バトルにおいて、
ゴーカイジャーの6人は35のスーパー戦隊の真の力を見せつけて、最強の敵を圧倒するのです。

なお、Aパートにおけるギガントホース突入班とダイランドー足止め班を分ける際に、
鎧がマーベラスと共にギガントホース突入班に入り、
この決死作戦において、普段はマーベラスの背中を守ることにこだわるジョーが
ここでは鎧にその役目を譲る感動的な展開や、
Bパートでアクドス・ギルにトドメを刺すのが鎧であったり、
今回はまるで鎧が主役であるかのような優遇っぷりになっていますが、
これはそもそもマーベラス一味の中で最初に「ザンギャックを倒して平和な宇宙を創る」という夢を唱えたのは
鎧だからです。

この夢に関しては鎧が皆を引っ張ってきたのですから、
この夢を皆が掴もうと思えたのはもともとは鎧のお蔭と言えます。
だから鎧に美味しい役目が回ってくるのは当然といえます。

そして、この最終話のバトルにおいて勝負を決するものは
「夢を掴むために集まった仲間達の絆」だと前回考察しましたが、
あくまで空想的・神秘的描写を嫌うこの作品においては、
マーベラス達が「絶望的状況でも命懸けで戦って地球を守り、ザンギャックを倒して平和な宇宙を創る」という
夢を地球人全体と共有したことによって生じた巨大な「夢を掴む力」は
変に神秘的描写で表現も出来ないので、
その地球人の戦う心の強さの象徴としての34のスーパー戦隊への豪快チェンジと、
地球人代表としての鎧に仮託する形で描くことになったのだと思います。

だから、大逆転のAパートでの戦闘の重要な役割を鎧が果たし、
Bパートで鎧がアクドス・ギルにトドメを刺すという描写になったのも、
この物語の戦いの締め方としては、当然だったと思います。

エピローグに至る今回の最終話の大まかな流れはだいたい以上のような感じです。
一言で言って、最高の最終話であったと思います。
Aパートのテンポの良い大逆転劇は見事であり、Bパートの35戦隊フル豪快チェンジは壮観です。
これだけでもシリーズ歴代でも出色の出来だと思います。
しかし最終話はどの作品も出来は良いので、甲乙付け難いです。
というか、そもそもBパートなんかはこの作品ならではの特殊要素なので他と比べるのがそもそも反則といえます。

ただ、Aパートなどはかなり無茶な詰め込み方をしているのですが、
それがすんなり楽しめてしまえるのは、第1話から丁寧に作り上げてきた物語の積み重ねがあってこそであり、
これほど物語が丁寧に作られた作品はシリーズでもあまり無いということは誇りとしてよいと思います。

ただ逆にBパートの無茶苦茶に詰め込んだ豪快チェンジが見事なエンターテイメントとなっているのは、
シリーズの歴史の積み重ねがあってこそのものですから、
その点ではシリーズ歴代作品に深く感謝すべきでしょう。

しかし、この最終話が最高の最終話である最大の理由はエピローグの素晴らしさにあるのですが、
エピローグに関しては本編の中で触れていくことにして、
まずは本編の冒頭から考察していきたいと思います。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:56 | Comment(6) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月19日

第50話「決戦の日」感想その8

その翌朝、夜が明けて、ダイランドー率いるザンギャック部隊が
前日に大艦隊の攻撃で瓦礫だらけになった街に降り立ちます。
皇帝アクドス・ギルは夜明けと共に地球人を皆殺しにすると宣言しましたが、
その割には大した規模の部隊ではありません。
昨日は空を覆っていた大艦隊も今日は現れてはいません。

アクドス・ギルは脅しはしましたが、まだ本格的に皆殺しをするというつもりではなく、
実際には地球人が降伏するまで何度かそうした脅しを繰り返すつもりですから、
今回はさしあたり、この瓦礫と化した街で避難している人々を皆殺しにでもするつもりなのでしょう。

ダイランドーは瓦礫の街の広場に固まっている人々に向かって
「さぁ〜て、さて・・・地球の諸君!ザンギャックに逆らったことを後悔しながら、死にゃあれ!」と
楽しげに言います。
広場にはヘルメットをかぶって鉄パイプなどを手にした人々が集まっており、
「殺されてたまるか!!」などと怒鳴っており、ザンギャックを迎え撃とうという態勢です。
ダイランドーの部隊が近づいてきていることは事前に察知していたようで、迎撃準備は万端のようですが、
いかんせん装備が貧弱であり、集まっている人数も大して多くなく、
ちょっとザンギャック部隊に勝てそうにはありません。
しかし士気は旺盛のようです。

ダイランドーは抵抗しようという地球人がいることにいささか驚きましたが、
相手の装備があまりに貧弱なので「あらららら!?まさに無駄な抵抗っちょい!」と嘲笑い、
これは見せしめに丁度いいと思い、ゴーミン達に銃を構えさせて前に出します。
すると集まっていた群衆は慌てて身を伏せて銃撃を避けようとしますが、
ダイランドーは容赦なく「撃っちゃいな!」と号令をかけ、
ゴーミン達が群衆に向けて一斉射撃をしようとした瞬間、
何処からか一斉に鳴り響く銃声がして、ゴーミン達はバタバタ倒れました。

ダイランドーが驚いて「お!?」と銃声のした方向を見て、群衆も思わず、同じ方向を見ます。
すると、群衆の後ろの廃墟の二階部分に黒い海賊旗がはためくのが見えます。
その旗が前の方に進んでくると、続いて6人の人影が二階を歩いて横一列で進んでくるのが見えました。
海賊旗や何度か見たことのある独特の服装を見て、人々は「ゴーカイジャー・・・?」とざわめきます。
果たして、6人はマーベラス一味の6人、海賊戦隊ゴーカイジャーでした。

ダイランドーはマーベラス一味が現れたのを見て
「あ〜らららら!?宇宙海賊ども!まだくたばり損なっていたとは・・・」と驚きました。
昨日の攻撃で死んだかと思っていたら生きていたのも驚きでしたが、
もはや勝ち目が無いのが分かったはずなのに、今更現れて何をするつもりなのか不可解でした。
まさか、船も失ったクセに我が大艦隊を相手に戦うつもりでもないだろうと思い、
地球人を殺して回るのを邪魔されるのは鬱陶しいと思い、
ダイランドーは「とっとと消えちゃいなぁ!!」とマーベラス達を追い払おうとしました。

すると、マーベラス達6人はダイランドー達が自分達が抵抗することも想定していないのを見て、
その油断した態度を嘲笑います。
そしてルカが「うっさい!バ〜カ!!」と宣戦布告します。
ダイランドーは予想外のルカの挑発的な言葉に「な・・・なぬ?」と度肝を抜かれます。
続いてジョーが「フッ・・・消えるのはお前達だ・・・」と啖呵を切り、
アイムも「あなた達の言うことなど、聞く耳はありません!!」と毅然として言いながら、
ダイランドーを睨みつけます。

ここでのルカとジョーとアイムのセリフは第1話の最初の等身大戦闘の前に、
ザンギャックのシカバネンの部隊に対して啖呵を切った際のセリフと同じです。
しかし、第1話の時はニュアンスとしては、
本当に単に相手のことが気に入らなくて毒づいているという感じだったのですが、
今回は3人とも、明確にザンギャックを倒して平和な宇宙を作り出すという闘志が込められており、
1年間の彼らの成長が見てとれます。

この3人の激しい敵意を受けて、さすがにダイランドーも「なんだとぉ!?」と怒りを露わにしますが、
それに対して、第1話では若干ビビリ気味だったハカセが今回は非常に堂々と
「僕たちも・・・この星の人達も・・・」と、第1話とは微妙に違う始まり方でセリフを言い、
「お前らみたいなの大っ嫌いだ!!」とダイランドーをビシッと指さし、怒鳴りつけます。

ハカセの第1話のセリフは単に「僕もお前らみたいなの大っ嫌いだ」という相手を罵倒するものでしたが、
ここではハカセはマーベラス一味の総意を代表し、
地球人と共にザンギャックを相手に戦うことを宣言しているのです。
このハカセの力強い言葉に勇気づけられて、群衆も「そうだ!そうだぁ!!」と湧き上がります。
マーベラス一味が、特にハカセが人々に勇気を与えるというのも感慨深い成長ぶりだといえます。

そうして勢いづく群衆を前にダイランドーは
「オッホッホッホ!ユーたち正気!?昨日の大艦隊見たでしょお!?」と嘲笑します。
いくらマーベラス一味が吼えたところで、地球人が勢いづいたところで、
勝敗は既に見えているのだとダイランドーは言いたいわけです。

いや、早く戦いを終わらせて艦隊を引き揚げさせるためには、
早く地球人の戦意を挫かせないといけないのに、
マーベラス一味が出てきて余計なことを言われて地球人が元気になるとダイランドーとしても少し困る。
だから戦っても無駄だと強調しようとしているのです。

「滅びるのが目に見えてるこの星で!海賊ごときが何しても無駄だだだぁ!!」と言い放つダイランドーを
睨み返して、海賊旗を担いだ鎧がピシャリと「無駄なものか!!」と言い返しました。
宇宙を作り直す宝を捨ててまで選んだ「平和な宇宙」という夢をこの手で掴むための戦いに
価値が無いなどということがあるわけはない。
きっとこれは無駄ではないと鎧は確信していました。

そして続けて鎧は「それに・・・俺たちはただの海賊じゃない!!」と言い放ちます。
確かに「平和な宇宙」という夢をこの手に掴むために戦うという意味では自分達は海賊です。
しかし、自分達が戦うのはそのためだけではない。
マーベラスは「この星に・・・守る価値を見つけたからな・・・!」と言葉を継ぎ、ダイランドーを睨みつけます。

マーベラス達の見つけた「この星の価値」とは、
どんな絶望的な状況でもザンギャックと戦って大切なものを守り、平和な宇宙を創ろうとするこの星の人々の想い、
つまり、今、自分達の目の前にいるような人達こそが宇宙の希望になるのです。
そうした人々を守ることにも価値を見出して、こうして戦いに出てきた自分達は、
もはやただの宇宙海賊ではない。

ダイランドーはもう余計な問答は無用だと思い、
「戯言はそこまで!どうせユーたちは死ぬだけっちょい!!」と怒鳴りつけました。
いくら言っても減らず口をやめないなら、殺して黙らせるしかないとダイランドーは思いました。
これに対してマーベラスは「死ぬ気はねぇなぁ・・・」と不敵に応えます。

そして続けて「だが・・・命を賭けてこの星を守る・・・!」と言いながら、拳を前に突き出して握ります。
これは海賊特有の夢を自分の手で掴むことを表すポーズです。
今、マーベラスにとって、自分を捨ててでも掴みたい夢は、この星とこの星の人々を守ることになったのです。
だから、マーベラス一味、すなわちゴーカイジャーは、もはやただの宇宙海賊ではない。
マーベラスは前に突き出して固く握った拳を勢いよく振り下ろしながら
「それが・・・スーパー戦隊ってもんだろぉっ!!」と宣言しました。

この瞬間、瓦礫の街に集った人々の前に、遂に35番目のスーパー戦隊が現れたのでした。
久しぶりに地球に出現したスーパー戦隊に向かい、人々は歓呼の声を上げ、大いに士気は上がります。

ここのマーベラスのセリフも第1話の戦闘前の一連の啖呵の中のセリフのアレンジで、
第1話ではマーベラスは「気に入らねぇもんはぶっ潰す!それが海賊ってもんだろ?」と、
海賊を自称するセリフであったのですが、
今回は海賊ではなく、自らをスーパー戦隊と宣言するという、
まさにこの「海賊がスーパー戦隊に変わっていく物語」の集大成に相応しいセリフとなったのでした。

群衆の歓呼の声の響く中、マーベラスは「いくぜぇっ!!」とレンジャーキーを出し、
ジョーが「ああ・・・!」と、ルカが「あいよぉ!!」と応え、ハカセとアイムと鎧も「はい!」と応えて、
皆もレンジャーキーを出し、6人は一斉に「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身し、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と名乗りを上げます。

ダイランドーは「やれぇ!!」とゴーミン達を突撃させ、
マーベラスは「派手にいくぜぇっ!!」と号令をかけ、
6人はジャンプしてゴーミン達の群れの中に突っ込み、乱戦を開始します。

まずマーベラスはゴーカイサーベルとゴーカイガンでゴーミン達を「おおおりゃあああ!!」と蹴散らします。
そして武器交換したルカとアイムのうち、二刀流となったルカは2本のゴーカイサーベルを
繋ぎ合わせた双竜刀のようにして「それじゃあ、いくよぉっ!!」と
周囲を囲んだゴーミン達をバッタバッタと薙ぎ倒していきます。
一方、二丁拳銃となったアイムは「はああっ!!」と飛び込みながら撃ちまくり、
そのままゴーミンの群れの中に入って「はあああっ!!」と気合たっぷりに
クルクル回りながら二丁拳銃の連射でゴーミン達を倒していきます。

ハカセと武器交換して二刀流になっているジョーはゴーミン達を「うおおおっ!!」と豪快に斬り倒していき、
ハカセは「あっちゃあああ!!」と予想外の動きで跳び回りながらゴーミン達を翻弄しつつ
二丁拳銃で撃ちまくります。
鎧は「ギンギンだぜえええ!!」と元気いっぱいでゴーカイスピアを振り回して
ゴーミン達を薙ぎ払っていきます。

そしてマーベラスは襲い掛かってきたスゴーミンの攻撃を軽くいなして蹴倒すと、
ファイナルウェーブの態勢に入り、ゴーカイブラスト&スラッシュでスゴーミンを撃破。
更に鎧は2人のスゴーミンに対してゴールドモードになってゴーカイレジェンドリームを炸裂させて撃破します。
これでゴーミンとスゴーミンを一気に全滅させたマーベラス達の前に、
今度はドゴーミン2人が立ち塞がり、例の紋章レーザーで攻撃してきます。

ここで鎧はすかさず「豪快チェンジ!!」とドラゴンレンジャーに多段変身します。
今回、ジュウレンジャーのゴウシがレジェンドゲストであり、鎧がゴウシとドラマ部分で深く接したので、
ジュウレンジャーの鎧の担当戦士であるドラゴンレンジャーの出番となります。

しかし、ここは演出が秀逸で、まずは変身と同時に
鎧はドラゴンレンジャーのボデイアーマーであるドラゴンアーマー特有のバリアーを出し、
ドゴーミンのレーザーを弾き返し、さらに瞬時に「マーベラスさん!これを!」と叫びつつ、
ドラゴンアーマーを脱ぎ捨て、それに「おう!」と応じたマーベラスが
すかさずティラノレンジャーに豪快チェンジし、この鎧の脱いだドラゴンアーマーを装着し、
アームドティラノレンジャーとなったのです。

このアームドティラノレンジャーは、
ドラゴンレンジャーのブライが死んだ後、その弟であるティラノレンジャーのゲキが
ブライの装備であったドラゴンアーマーと専用武器の短剣である獣奏剣を受け継いで、
ボディアーマーを装着してゲキ専用武器の龍撃剣と獣奏剣の二刀流となった
ジュウレンジャーにおける最強戦士形態です。

ここでもマーベラスはその長剣と短剣の二刀流スタイルで「せあっ!!」と突っ込み、
「うおおおりゃああ!!」と叫びながらドゴーミン2人を瞬時に圧倒してしまいます。
そして残り5人のファイナルウエーブでドゴーミンは撃破し、
マーベラスもゴーカイレッドの姿に戻り、残る敵はダイランドーただ1人となります。

ダイランドーは「な・・・何なの!?この強さは!?」とマーベラス達の以前とは比べものにならない強さに驚きました。
命を賭けてこの星の人々を守るスーパー戦隊として覚醒したマーベラス達の強さは今までで最高潮に達していました。

「見たか!!これが海賊戦隊だ!!」と啖呵を切るマーベラスに向かい、
ダイランドーは「おんのれぇ!」と悔しげに拳を握ります。
これはダイランドーにとっては予想外の展開でした。
このままではザンギャック最強格の戦士であるダイランドーでも危ない。
マーベラスは「一気に決めるぞぉっ!!」と号令をかけ、6人はダイランドーに向かって突撃、
ダイランドーは必死でレーザーを発射して応戦し、
マーベラス達6人は「うおおおおおお!!」とレーザーをかいくぐって突っ込んでいきます。

ここで今回は終わりで、続きは最終話のお楽しみということになります。
しかし、今回はもう少し、感想を付け足したいと思います。

また勝手な妄想ですが、今回はなんだか私としては嬉しい内容でした。
この「ゴーカイジャー」の物語世界を勝手に34戦隊の世界が融合した世界なのだと仮想していたのですが、
その論理の中では、「仮面ライダーディケイド」の影響なのか、「融合世界=歪んだ世界」という発想があり、
まるでスーパー戦隊こそが世界の歪みの元凶であり、
スーパー戦隊の存在を消せば、世界は正常化して平和な世界になるという論理展開をさせていました。

これは整合性はとれるものの、我ながら結構切ない世界観だとは思っていました。
これではスーパー戦隊に救いが無いし、
仮にスーパー戦隊が救われるエンドになったとしても、
それはほろ苦いエンドになってしまいそうだと思っていたのです。
しかし、今回のエピソードは、この融合世界という仮想が救済された気持ちになりました。

今回のエピソードにおいては、スーパー戦隊の長い戦いの歴史が地球の人々を精神的に強くしたのであり、
それが平和な宇宙を生み出す「この星の価値」だったということになりました。
つまり、34の戦隊世界が融合しておよそ40年も戦いが続いている世界は決して歪んだ不幸な世界ではなく、
素晴らしい世界だったのです。

苦しみや悲しみが満ちている世界は歪んだ間違った世界ではなく、
苦しみや悲しみに満ちているからこそ、苦しみの中から希望を生み出す強さが存在する、
真っ当な素晴らしい世界だったのです。
そう考えると、この融合世界の正体が分かってきました。
この苦しみが絶えることなく続く世界は、現実世界そのものなのです。

ならば、この融合世界をリセットして、苦しみの過去を無かったことにして平和な宇宙を創ることが出来るという、
三角錐型の装置とは何だったのか?
あれこそが真っ当な現実世界を破壊する歪みの象徴であり、
現実には有り得ない理想世界の追求や逃避を象徴するものではなかっただろうか?

現実世界は苦しみに満ちており、幸せは苦しみの中でしか作り出せない。
都合よく幸せだけを生み出せる装置など、この世には存在しないのです。
この物語には、そうした教訓が込められているように思えます。

この世界における34のスーパー戦隊はこの世に争いや悪が絶えないのは世界の融合が原因であり、
自分達が元凶だと思った。だからその罪悪感から、
自分達の存在を消すことによって世界を平和にしようとした。
そして奇妙な縁で地球にやって来た宇宙海賊に、自分達の「平和な宇宙」という夢を引き継がせて、
世界をリセットさせようとした。
しかし、宇宙海賊は苦難の中で夢を掴む者達ですから、
安易な世界のリセットによる夢の実現を拒みました。
スーパー戦隊の計画は、宇宙海賊に任せようと思った時点で既に失敗していたのです。
では、どうして宇宙海賊が執行者になってしまったのか?

それは、「この星の意思」の仕業ではないかと思えます。
「この星の意思」とは「この星の人々の意思」であり、
34のスーパー戦隊の長い戦いと共にあるうちに強くなった人々の意思です。

と言いたいが、本当は強い人ばかりではないと思います。
弱い人々もいて、こんな世界はリセットして平和な世界が魔法みたいに実現したらいいという
考え方をする人もいると思います。
これは弱い夢と言ってもいい。
この星の人々のそうした弱い心が生み出したのが三角錐型のリセット装置で、
この星の人々の強い心が生み出したのが、あの少年の胸にあったような、
どんな苦難の中でも戦って夢を掴む意思です。
前者が「お宝の価値」、後者が「この星の価値」と言っていいでしょう。

そして「この星の意思」はこの星の人々の強い心と弱い心の両面から出来ており、
ニュートラルな存在なのでしょう。
「この星の意思」は三角錐型のお宝の所有者に「お宝の価値」を決めさせる役目です。
それは言い換えれば「この星の価値」を選ぶか、「お宝」を選ぶかの二者択一となります。

おそらくレンジャーキーを宇宙に散らばらせたのは「この星の意思」の仕業でしょう。
そしてレンジャーキーの回収に出たアカレッドは「この星の意思」の意向を受けて、あくまでニュートラルに、
三角錐型のお宝を手にするべき者を選んだ。
それが「夢を掴む者」である宇宙海賊のマーベラスとバスコだったのではないでしょうか。
マーベラスは「この星の価値」の方を選ぶ可能性の高い者、
バスコは「お宝の価値」を選ぶ可能性の高い者です。

この2人が地球に来て、34のスーパー戦隊がどちらを執行者に選ぶのも自由です。
ただ、世界をリセットしたいのであれば、バスコを選んだ方がいい。
しかしバスコは決して「平和な宇宙」など願ったりはしないでしょう。
一方、マーベラスは「平和な宇宙」という夢は受け継ぐであろうが、
世界のリセットという方法は拒絶するだろう。

バスコは自分の夢とする世界を掴むためならスーパー戦隊の存在や現在の世界などは平然と捨てるでしょう。
一方、マーベラスは仲間やスーパー戦隊やこの世界の人々と共に苦難の中で掴む夢のためならば、
自分やお宝を平然と捨てるでしょう。
もしかしたら、バスコはこの壮大な世界救済計画の中では、
やはり根本的にはマーベラスとは方法論の違う関係の「仲間」だったのかもしれない。

結果的にマーベラスは自分を捨てて戦って、
敵であったが仲間になったサリーの形見に救われてバスコに勝って、お宝を手に入れました。
自分を捨てるほどの価値をお宝につけたといえます。
そして「この星の価値」を守るために、今度はそのお宝を捨てました。
お宝を捨てて守るほどの大きな価値を「この星の価値」につけたことになります。
また、もちろん自分の命もバスコ戦同様、賭けています。
そうなると今度は、仲間であったが敵になり、根本的には不思議な縁の仲間であった
バスコの形見が勝利のカギとなるのかもしれない。

まぁしかし、おそらく勝利の一番大きなポイントは「夢を掴む力」でしょう。
何故ならアカレッドがマーベラスに第38話の時に
海賊とは「夢を掴むために集まったかけがえのない仲間達の絆」だと言っているからです。
これが第38話で「夢を掴む力」、すなわちゴーカイジャーの大いなる力を生み出しました。

これは第38話時点ではマーベラス一味の6人の絆でした。
しかし、この第50話において、マーベラス一味は地球の無数の「夢を掴む力」を持つ人々と
「夢を掴むために集まったかけがえのない仲間達の絆」を結ぶことになったといえます。
ならば、その発動される「夢を掴む力」のパワーは、第38話の時の比ではないはずです。

あと、一応整理しておきたいのがカクレンジャーとタイムレンジャーの件です。

まずカクレンジャーは、おそらく世界のリセットに反対だったのでしょう。
カクレンジャーのテーマは「悪を滅ぼすことは出来ない」だからです。
心の中で善が悪を押さえ込むように常に努力しなければいけないというのがカクレンジャーのポリシーですから、
鶴姫たちはマーベラス一味に「宇宙最大のお宝」を手に入れさせないように、
大いなる力を渡そうとせず、姿を隠していたのでしょう。

では鶴姫たちはどうやってマーベラス達が地球を守ることが出来ると思っていたのかというと、
今回のエピソードでマーベラス達が辿り着いた結論に、
普通にしていればマーベラス達が辿り着けると思っていたのでしょう。
だから大いなる力は渡さなくてもマーベラス達は地球を守れると鶴姫たちは見ていたのでしょう。

しかしニンジャマンはマーベラス達と接してみて、
マーベラス達が悪の存在を認めた上で善の心を信じる強さがあることを知り、
お宝を手に入れても世界のリセットはせずに、
「この星の価値」を選ぶはずだと見込んで大いなる力を渡したのでしょう。

さて、そうなると、そのニンジャマンの選んだ結論こそが
タイムレンジャーのドモンが望んだ結論だったのだといえます。
ドモンは世界のリセットなどは望んでいなかったでしょう。
そもそも、そのような反則技のような歴史改変はタイムレンジャー31世紀組の最も嫌うことだからです。

だからドモンはカクレンジャーならばマーベラス達が世界のリセットなどは選ばずに、
戦って地球を守る道を選ぶはずだと認めてくれるはずだと思って、
なんとかカクレンジャーとマーベラス達との接点を作ろうと骨を折ったのです。

つまりは、元の歴史通りの鶴姫のやり方では芳しい結果にはなっていなかったのでしょう。
やはり、今回見たように、お宝を手に入れてからの試行錯誤があっての上での
「地球人と共に戦おう」という結論なのであって、
お宝が手に入らない状態での元の歴史のマーベラス達は
鶴姫たちの期待通りには地球人と共に戦おうとはしなかったのでしょう。

その結果どうなったのかはよく分かりませんが、
ザンギャックによって地球が滅ぼされていたりはしないようです。
ただ敗戦はしたのかもしれません。
それが何か歴史に悪影響があったのかもしれませんが、
さすがにそこまでは想像するのは無理というものなのでやめておきます。

以上、かなりとりとめのない妄想ですが、最終話前ということで、まぁどうかご容赦ください。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 01:08 | Comment(1) | 第50話「決戦の日」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月18日

第50話「決戦の日」感想その7

さて、日が暮れて夜になった頃、マーベラス達6人はそれぞれ、ガレオンに辿り着きました。
ガレオンはマストや先端の剣などが折れ、胴体部分の破損も酷く、
周囲に散らばった残骸も火を噴いており、大破状態でした。
船室内も破損は酷く、照明も点かない薄暗い状態したが、船長椅子は無事に残っており、
そのシートの上には三角錐型の「宇宙最大のお宝」と、
それを守るようにして寄り添い眠っているナビィの姿がありました。

マーベラス達は口々に「ナビィ!」「起きろ鳥!」と呼びかけます。
もしかしたらナビィがガレオンの破壊時のショックで壊れてしまってはいないか心配だったのです。
しかし、呼びかけていると「・・・お!?」とナビィの目のライトが点灯して目が覚め、
「あ!」とマーベラス達の方に振り向き、
薄暗い船室内にマーベラス一味の6人が揃っているのを見て「みんなぁ〜!」と喜びます。

皆、ナビィが無事で安堵した様子で、鎧も「良かったぁ・・・」と胸を撫で下ろします。
「ありがとね・・・お宝を命懸けで守ってくれて・・・」とハカセはナビィを褒めます。
マーベラスがインサーンの襲撃に対処するためにお宝をナビィに守るように託し、
それっきり6人がいなくなっていたのに、ナビィが律儀に船長椅子の上に留まり続けて
お宝を守ってくれていた姿に、6人はいささか感動していました。
ナビィはそれに対して「いやぁ〜!・・・オイラ、絶対みんなが戻ってくるって信じてたもんねぇ!」と照れます。

そうしてナビィとお宝の無事も確認してひと段落したところで、
アイムは「・・・でも・・・ザンギャックの大艦隊に立ち向かうには、
圧倒的に不利な状況になってしまいましたねぇ・・・」と溜息混じりに船室を見回しました。
ガレオンは外観も酷く壊れていましたが、船室内も破壊されており、
メインコンピュータも動かず、そもそもメインの電源すら入らない酷い状態でした。

これではやはりガレオンは使えない。
つまりゴーカイオーも使えない状態です。
普通にゴーカイオーが使える状態でもザンギャック大艦隊に対して勝ち目が薄いことは
夕方の戦いで立証済みであるのに、ゴーカイオーも使えないのでは圧倒的不利な状況となります。
ハカセも「・・・うん・・・今のガレオンは使えないし・・・この星にはもう戦える船は無いよ・・・」と言います。

おそらく鎧も豪獣ドリルの召喚は試みてみたのでしょうけれど、豪獣ドリルも破損は酷く、
31世紀世界で修理中なのだと思われ、現在は召喚出来ないようです。
つまりゴーカイジャーが使える巨大戦力は現在無いということになります。
もちろん地球には戦闘機などの航空戦力は存在するのでしょうけれど、
ハカセが言う「戦える船」というのはザンギャックの艦隊に対抗出来るような
宇宙戦艦や巨大ロボットの類の巨大な空を飛ぶ攻撃兵器を指します。

そういうものは現在の地球には壊れたガレオンと豪獣ドリルの他には存在しない。
スーパー戦隊の大いなる力、すなわち巨大戦力も、
ゴーカイオーと豪獣神、つまりガレオンと豪獣ドリルがあってこそ使用出来るのです。
つまり、今この地球でザンギャックの大艦隊に対抗できる戦力は皆無ということです。

地上で等身大戦を単純に戦う分にはマーベラス達は十分に戦えるでしょう。
しかし、あの大艦隊に空から攻撃されれば地上のマーベラス達では対抗できない。
反撃しようにも相手は空の上ですから太刀打ち出来ません。
ガレオンや豪獣ドリルの修理を待って戦えば、まだ戦いようもあるのでしょうけれど、
残念ながらそんな時間的猶予は無い。
明日の夜明けにはザンギャック軍は地球人の皆殺しを開始すると宣言しているのです。
悠長にガレオンの修理をしていては間に合わない。
明日の朝、つまりもう半日も猶予が無いザンギャックの攻勢に対して、
マーベラス達は巨大戦力無しで対抗するしかない状況なのです。

ナビィはその絶望的状況を分かっているのか分かっていないのか
「船〜・・・?」とハカセの言葉をオウム返ししますが、
そのナビィの背後にある三角錐型の「宇宙最大のお宝」を掴み、持ち上げて、
マーベラスは「お前ら・・・このお宝のことなんだが・・・」と重々しく切り出しました。
するとジョーもハカセも、ルカもアイムも、迷ったような顔で目を伏せます。

ここは、視聴者目線で見ると、やや変な描写です。
既にガレオンに戻るまでの途中で、ルカとアイムはミク母娘と出会い、
ジョーとハカセは天知博士や山崎さんをはじめとした街の人々を見かけ、
またマーベラスも第2話の少年と出会って、
それぞれが自分のなすべきことを悟ったような場面が流れた後です。
そして、それらの場面では明確にセリフでは述べられてはいませんが、
明らかにマーベラス達はお宝を使っての歴史改変は行わずに、
地球の人々と共に戦おうという決意を固めたように見えました。

なのに、どうしてまたここで迷ったような顔をするのか?
それは、ここまでの一連の場面で彼らの決意が明確にセリフとなっていないというのがミソです。
今回はこの「ゴーカイジャー」という物語のテーマを述べられるエピソードですから、
彼らの決意はこの物語にしては珍しく、明確にセリフとなって述べられるエピソードのはずなのです。
それなのに明確にセリフにしていないということは、
ここまでの場面では、実はまだマーベラス達は完全に決意を固めることは出来ていないのです。

しかし、それぞれの場面はかなり印象的なシーンでした。
普通ならば、ここまでのシーンで決意は固まって、
一気にカタルシスのある場面に移行するような流れであるはずです。
それが今回はじっくりとした流れになっています。
それはつまり、それだけ重い決断であるということです。

というより、制作サイドはこの彼らの迷いを通じて、
今回のような選択においては正解など無いということを伝えたいのだと思います。
主人公であるマーベラス達が正しいと思ったことだからといって、
それが正しい結論というわけではないのです。

マーベラス達はここまでの一連のシーンで明らかにスーパー戦隊の力に依存せずに自ら戦おうとする人々に共感し、
その人々の心の支えになっているものがスーパー戦隊なのだと悟っています。
だからマーベラス達もお宝を使ってスーパー戦隊の存在を消すのではなく、
自分の力でザンギャックと戦おうと思ったはずです。

しかし、現実状況として、勝ち目などありません。
自分の力で戦えば、マーベラス達も、その他の人々も皆死ぬでしょう。
もちろん座して戦わなくても死ぬことになるのですから、
戦って死ぬことがそんなに際立って悪い選択であるわけでもありません。

しかしマーベラス達はお宝を使って一切血を流すことなくザンギャックに勝利して、
全ての人々は幸福で平和な世界に生きることが出来るのです。
ならば全員が戦って死んでしまう道よりも、全員が生き残って幸福になれる道があるのなら、
後者を選ぶべきではないでしょうか?
ならば、やはり結局は全員が死んでしまう道を選ぼうとしているマーベラス達は間違っているのかもしれない。
そのことが分かっているからこそ、マーベラス達はまだ迷っているのです。

このマーベラス達の迷いの中ではスーパー戦隊の犠牲というのは、
既にさして重要な要素ではなくなっています。
当初はマーベラス達は、スーパー戦隊を消さずに全員が死ぬ道を選ぶか、
スーパー戦隊を犠牲にして他の全員が生き残るかという選択で悩んでいました。
しかし、ミク母娘や天知博士たち、第2話の少年など、一般の人々を見たことによって、
マーベラス達は、スーパー戦隊と共にある地球の人々の誇りを守って全員が死ぬ道を選ぶか、
スーパー戦隊と共に地球の人々の誇りを無くして全員が生き残る道を選ぶかという選択に
苦悩するようになってきていました。

スーパー戦隊があるからこそ地球人は気高い精神で戦える。
しかしその場合は地球人は皆死んでしまう可能性が高い。
逆にスーパー戦隊の存在を消せば地球人の気高い精神も失われるが、
全員が平和な世界に生き残ることが出来る。
地球人の誇りを選ぶか、命を選ぶかという選択なのです。

そこにはスーパー戦隊自身の意思はもう既にあまり関係無かった。
スーパー戦隊自身が自分が犠牲になって地球を守りたいと言ったところで、
スーパー戦隊が消えるか消えないかによって地球人に与える影響の方が今は問題なのです。
スーパー戦隊が消えれば人々の誇りは消えるが幸福で平和な世界で生きることは出来る。
スーパー戦隊が消えなければ人々は誇りを持てるが戦争で死んだり苦しんだりする可能性が高くなる。
どちらが良いのか選ぶのはスーパー戦隊ではなく、影響を蒙るこの星の人々の意思であるべきです。
つまり「この星の意思」です。

しかし「この星の意思」は、あまりに膨大な人々の意思の集合体なので、結論を出すことが出来ない。
だから、「この星の意思」は「宇宙最大のお宝」という名の三角錐型の世界のリセット装置を
宇宙海賊のマーベラス達に託して、誇りか平和か、どちらに価値があるか、
彼らの意思で選ばせようとしています。
そこではスーパー戦隊が消える消えないは実はさして大きな問題ではありません。
宇宙の歴史をリセットし直すという行為そのものの是非が問われているのです。

その厳粛な判断に、スーパー戦隊の意思がどうであるとか、スーパー戦隊が可哀想とか、
そういう余計な感情を差し挟んでほしくないので、
「この星の意思」はマーベラス達にスーパー戦隊の行く末について教えるのを渋ったのでしょう。
しかしマーベラス達はそのことを知ってしまったために大いに迷うこととなってしまったが、
ここに来てようやく、一般の人々との触れ合いを経て、
「この星の意思」の求めた本来の選択に近づいてきています。

が、まだ核心の一歩手前であるゆえに、
この最後の決断の瞬間に、確かにマーベラス達は誇りの方に心が動いてはいますが、
それが多くの人の命を危険に晒す決断であるゆえに躊躇するのは当然であり、
まだ誇りと平和のどちらを選ぶか決めかねて、迷いの表情を浮かべてしまうのでした。

その時、しゃがみ込んだまま、ぐっと黙って考え込んでいた鎧が
「・・・使いましょう・・・!」と決意したように言います。
そして立ち上がった鎧はマーベラスの手にしていた三角錐型のお宝を掴み取り
「それが・・・スーパー戦隊の方たちの想いでもあるんです・・・!」と言い出したのでした。

そういえば鎧だけは瓦礫の街で他の5人のように一般の人々との意味ある出会いはしておらず、
スーパー戦隊の一員であるゴウシと出会っていました。
それゆえ鎧は地球の人々のこの危機に際しての気高き精神に触れていないのです。
いや、そもそも地球人であり、なおかつスーパー戦隊の魂をよく理解している鎧は
地球人の気高き精神性をもともと誰よりも理解しています。

それゆえに、それがあまりに当たり前のことになってしまっていて、
この事態に際して初めて地球人の気高さを知ったマーベラス達に比べて、鈍感になってしまっているようです。
それよりも鎧はゴウシとの遣り取りによってスーパー戦隊の戦士達の想いを知り、
そちらに心が引っ張られてしまっています。
だから、地球を救うために自分を犠牲にしようとしているスーパー戦隊の心に報いるために、
お宝を使うべきだという考えに至ったようです。

しかし、マーベラス達の現在の突きつけられている選択は、そういう論点ではない。
スーパー戦隊の意思はこの際あまり関係は無い。
地球の人々が誇りを貫いて死の危険に飛び込むか、誇りを捨てて幸福に生きるか、
どちらが人々にとって、地球にとって良いのかという問題なのです。
なので、ちょっと鎧の言葉を素っ頓狂なものと感じたルカは「何よ?・・・いきなり・・・」と驚きます。

そもそも、昼間、「この星の意思」に向かってスーパー戦隊を犠牲にして宇宙を作り直すということに
最も強く反発していたのは鎧であるのに、突然、昼間とは正反対のことを言い出した鎧に違和感を覚えたのでした。
ルカは鎧が街でゴウシと会っていたことは知らないのだから、
これは確かに鎧の突然の心変わりには違和感を持っても仕方ないといえます。
そこで鎧は「俺・・・ここに来る途中でジュウレンジャーのゴウシさんに会ったんです・・・」と、
ゴウシとの出会いから順を追ってマーベラス達に説明していきました。

ここから時間は少し戻り、夕方、鎧が瓦礫の街でゴウシと出会った後の場面の回想シーンとなります。
ゴウシが鎧の前に現れたのは、やはりスーパー戦隊の元戦士として
マーベラス一味に伝えたいことがあったからでありました。
それで、ゴウシは崩れたビルで瓦礫に埋まっていた母と子を鎧と共に救助して安全な場所へ送っていくと、
元のビルに鎧と一緒に戻り、そこで鎧に向かってスーパー戦隊の真意を語り始めたのでした。

ゴウシは鎧に背を向けて立ち、
「かつて俺たちスーパー戦隊は・・・地球からザンギャックを追い払うことしか出来なかった・・・!」と
悔しげに言います。
ゴウシの言っているのは当然、数年前のレジェンド大戦のことです。
あの時、34のスーパー戦隊は自らの戦う力と引き換えにザンギャックの地球侵略軍を撃退しました。
しかし、それだけでは不足であったかのようにゴウシは言います。

ザンギャックを地球から追い払うだけではダメなのです。
では何故スーパー戦隊はザンギャックを地球から追い払うだけではダメだと思ったのかというと、
それは地球への再侵略を恐れたからだというのが一般的な見方です。
しかしゴウシが鎧の方に振り返り「俺たちが本当に求めていたのは・・・」と言って、鎧の目をじっと見つめると、
鎧はハッと気付きました。
ゴウシが鎧を見つめながら答えを待っているのは、鎧の心の中にその答えがあるという意味だと悟ったのです。

鎧は「・・・全ての人々が、ザンギャックの理不尽な支配に怯えることのない・・・平和な宇宙・・・」と、
自分の心を見つめながら、絞り出すように言いました。
それに対してゴウシは真剣な眼差しで深く頷きました。
考えてみれば当たり前の話であったのです。
これは鎧自身が第18話においてマーベラス一味の仲間に入る時に述べた夢であり、
その鎧はスーパー戦隊を誰よりも愛する男であり、
スーパー戦隊の戦いの歴史から多くの影響を受けてきた男なのです。
だから、鎧の夢はスーパー戦隊の夢と似通っていて当たり前なのです。
そして、この夢はさっきガレオンでマーベラス一味の全員が「宇宙最大のお宝」に向かって念じようとしていた、
マーベラス一味にとっての本当の夢と同じものだったのです。

そのことに気付いて、鎧は、
だからスーパー戦隊の人達は自分達を「大いなる力」の後継者に選んだのだと分かったのでした。
スーパー戦隊はマーベラス一味が自分達と同じ夢を求めていることを知り、
自分達の夢を引き継いでくれる相手だと確信したから、「大いなる力」を託し、
「宇宙最大のお宝」を使わせて歴史を改変させてザンギャックのいない平和な宇宙を作らせようとしたのです。

ゴウシは「ゴーカイシルバー・・・」と言うと、
呆然として立つ鎧に近づき、前に立って鎧の両肩を力強く掴み
「今こそ俺たちの想いを引き継いでくれ!」と頼みます。
そして「それが出来るのは・・・夢を掴む力を持った君たちしかいない・・・!!」と、
鎧の肩を激しく揺さぶるのでした。

このゴウシの言葉で、だいぶ事情がハッキリしてきたといえます。
どうやら、あの三角錐型の物体を使って夢を叶えることが出来る者はマーベラス一味だけであるようです。
おそらく、あの物体に願いを込めて宇宙を作り替えるためには「夢を掴む力」という特殊な力が必要であり、
それはゴーカイジャーの大いなる力ですから、マーベラス一味しか持ち合わせていないのです。

つまり、もしバスコがあのお宝を手に入れていたとしても、願いを叶えることは出来ず、
バスコにとってはあの物体は何の価値も無いものであったのです。
また、スーパー戦隊の戦士たちがこのお宝を使って夢を叶えることというのは、
よく考えれば、このお宝が彼らの存在を消滅させることを前提に歴史改変パワーを発動させる以上、
これもまた不可能だと考えた方が自然でしょう。

この「ゴーカイジャー」の物語世界が融合世界であるという仮想に基づいて考えると、こうなります。
34のスーパー戦隊はレジェンド大戦時に、宇宙の歪みの原因である自分達のせいで
ザンギャックという強大な悪によって宇宙が支配されてしまったことを知り、
ザンギャックを倒して宇宙を平和にしなければいけないと思い、地球を襲ってきたザンギャックと戦いましたが、
ザンギャックがあまりに強大だったので、命と引き換えの攻撃で地球からザンギャックを撃退するのが精一杯でした。

ところがスーパー戦隊の戦士たちは死なずに、その戦う力はレンジャーキーとなって宇宙に散らばった。
これはスーパー戦隊にとっても予想外の事態だったようです。
ただ、この世界のスーパー戦隊の戦士たちは、
地球の中心に融合世界をリセットして歪みを解消した新しい世界を作る装置があることは知っており、
レジェンド大戦で九死に一生を得たスーパー戦隊の戦士たちは
戦って倒すことが出来ないザンギャックから宇宙を守って平和な世界を実現するために、
自分達の存在と引き換えにそのリセット装置を発動させることを決意したのでしょう。

そのためにはまずは宇宙に散らばったレンジャーキーを回収しなければならなかったので、
思念体の戦士であるアカレッドが宇宙にレンジャーキーの回収のために旅立ったのでしょう。
そして、このリセット装置を使って存在が消えるスーパー戦隊の戦士たちや、
その思念体であるアカレッド本人はこの装置を使って新たな世界を作ることが出来ないので、
その装置の使用者を新たに探さなければいけなくなった。
そのためにゴーカイジャーのシステムが作られて、アカレッドがその新戦士の人選を任されたのでしょう。

その装置の使用者の条件は、「夢を掴む力」という
新たに作ったゴーカイジャーのレンジャーキーの中に込められた特殊な力を引き出すことが出来る、
夢を掴もうとする特別に強い意思を持った者達であり、
なおかつ、スーパー戦隊と同じく「ザンギャックのいない平和な宇宙」を夢として抱く者達でした。

これに合致するメンバーを当初は地球人の若者から選ぶ予定だったと思われるのですが、
アクシデントによってゴーカイジャーのレンジャーキーや、その他のレンジャーキー一式などは
マーベラス一味という宇宙海賊に引き継がれてしまい、
当初秘かに選ばれていた正式メンバーの1人であった伊狩鎧だけに
急遽作った追加のゴーカイシルバーのレンジャーキーが渡されて
マーベラス一味に合流するように誘導されたのでしょう。

だからスーパー戦隊側から見れば本来の正式なゴーカイジャーは鎧だけなのであり、
だからここでもゴウシはマーベラス一味を代表して鎧にスーパー戦隊の真意を伝えているのです。
まぁ実際、スーパー戦隊の考え方に理解の深い鎧の方がスーパー戦隊の真意を正確に伝えやすいし、
ゴウシにとっては同じジュウレンジャーのブライが認めて大いなる力を託した男である鎧は
話がしやすい相手だと思えたのでしょう。

ただ、だからといってゴウシはマーベラス一味の他のメンバーを信頼していないというわけではない。
当初はアクシデントでゴーカイジャーになって地球にやって来たマーベラス一味に対して
警戒心や疑心を抱いていたスーパー戦隊の戦士たちも、
マーベラス一味と接していくうちに、彼らもスーパー戦隊と同じ精神を持った連中であり、
夢を掴む力を引き出せる可能性がある者達なのだと理解していくようになり、
リセット装置の使用者として認めて、そこに至るカギである「大いなる力」を渡していったのでした。

そうした信頼があったからこそ、この局面になって未だに装置の使用を躊躇しているマーベラス一味の対応に
焦っていたゴウシは、明日ザンギャックによって地球が滅びると知ると、
慌てて鎧のケツを叩きに天上から降りてきたという次第なのでしょう。

こうして、実は鎧たちがゴーカイジャーに選ばれ「宇宙最大のお宝」を手に入れさせられたのは
スーパー戦隊の夢を叶えるためであったのだという真実を告げ、
さっさと自分達の共通の夢である「ザンギャックのいない平和な宇宙」という夢を叶えるよう、
ゴウシは鎧に強く迫ったのでした。

鎧は自分達に課せられていた使命が想像以上に重いものであったことに衝撃を受け、
その重圧から逃げるように「・・・でも・・・!!」と目を伏せると、ゴウシの腕を振りほどき、
横に一歩踏み出すと、ゴウシから顔を逸らせて
「貴方がたは・・・消えてしまうんですよ!? ・・・そんなこと・・・出来るわけないじゃないですか!!」と叫びます。

自分達しかその使命を果たせないのなら、果たすしかない。
しかし、そのためにはスーパー戦隊の存在まで消すことになってしまう。
そうなると彼らの命だけではなく、彼らの想いまでも消えてしまう。
そんな残酷なことはない。
そんなことがゴウシだって平気であるはずがない。
ゴウシは怖いのにやせ我慢しているだけだと鎧は思いました。
そんな人を消すなんてことが出来るはずがない。
だいたいどうして自分がそんな残酷な使命を負わされなければならないのだと鎧は思いました。

しかしゴウシは鎧の肩を再び強く掴むとグイッと引き寄せ、
「ザンギャックを倒すためなら・・・俺たちはどうなっても構わない!!」と強く言います。
そして「レジェンド大戦の時に・・・捨てる覚悟だった命だ・・・!」と言って鎧の顔をじっと見つめるのでした。
鎧は「・・・ゴウシさん・・・」と、ゴウシの気持ちを悟ります。

世界を作り直した後に出現する「ザンギャックのいない平和な宇宙」こそが
スーパー戦隊の戦士の想いそのものなのだから、
自分達の存在が消えても、その世界で暮らす命の全てに自分達の想いは受け継がれている。
だから自分達は消えたりはしない。
そのようにして、新しい世界そのものに自分達の想いを転生させるために、
スーパー戦隊は自分達の夢と同じ「ザンギャックのいない平和な宇宙」という夢を持った
マーベラス一味に新しい世界を作る使命を担わせたのです。
その準備が整った以上、もはや命も存在も失っても何ら恐れるものはない。
この命と存在と引き換えに「ザンギャックのいない平和な宇宙」という夢を叶えることに躊躇は無い。
それがスーパー戦隊の真意だったのだと鎧は悟ります。
そうした鎧の気持ちを理解したように、ゴウシも真剣な眼差しで深く頷くのでした。

ジュウレンジャーという戦隊は1億7千万年前に生きていた異人類の戦士が
現代社会に甦り、彼らにとって異種族である現生人類のために戦った戦隊です。
この現代という時代は彼らにとっては、まさに「新たに作られた別の世界」であったろう。
しかし彼らはその異世界を守ることに躊躇は無かった。
それは、たとえ世界が違っており、種族も違っても、同じ命である限り、
自分たちの世界にあったような同じ想いは受け継がれていると感じられたからです。
そうした経験があるから、特にジュウレンジャーのゴウシは新たな世界に自分たちの想いが
受け継がれる確信があるのでしょう。

ここで回想シーンは終わり、再び舞台は夜の薄暗いガレオンの船室に戻ります。
ゴウシとの会話の顛末を説明した鎧は、三角錐型のお宝を持ち上げて
「・・・だから皆さん・・・これを使って、ザンギャックのいない平和な宇宙を創りましょう!」と
マーベラス達に進言しました。
そして鎧は目を伏せ、少し涙ぐみながらも
「・・・それが・・・全てのスーパー戦隊の・・・願いなんです!!」と最後は強く言葉を締めくくり、
お宝を突き出して、ぐっとマーベラスを見つめました。

鎧だってスーパー戦隊の存在を消すような決断など本当はしたくはない。
辛くて辛くて仕方ないのです。
しかし、もはやお宝を使った宇宙の作り直ししか、明日の地球滅亡を止める手段は無いのです。
ならば、「ザンギャックのいない平和な宇宙」が地球を救うことにも繋がり、
同時にスーパー戦隊の願いであり、
その願いを自分達が叶えることでスーパー戦隊の想いが新しく生まれた宇宙そのものとして
存在するようになるというのなら、まだ多少は救いがある。
それが現状では一番不幸になる人が少ない選択肢だと思い、鎧は苦渋の決断をしたのでした。

一方、マーベラスは鎧の話を聞き、
スーパー戦隊の夢と自分達の夢が同じであったから自分達がお宝の使用者に選ばれたこと、
お宝を使った宇宙の作り直しのために自分達の大いなる力である「夢を掴む力」が必要であったことなどを知り、
意外な事実に驚いていました。
しかし、それが頭の中で理解出来てくると、お蔭で、今までの苦悩があっさりと解消していくのを感じました。
それは、今まで悩んでいたのがバカバカしくなるほど拍子抜けする展開であったので、
思わずマーベラスはフッと軽く笑うと「・・・いや!・・・使う気はねぇなぁ!」と、鎧に向かってキッパリ答えます。

鎧は一瞬、何が起こったのか分からないように絶句すると、
ようやく「・・・え・・・?」と声を漏らして、マーベラスの言ったことを聞き間違えたのではないかと考えましたが、
そこに間髪入れずに、ジョーも「俺の結論も同じだ・・・」と平然として言います。
鎧が唖然としていると、ルカも「あたしも!」とサバサバした笑顔で追い打ちをかけ、
続いてハカセも爽やかな笑顔で「僕も!」と元気よくマーベラスに賛意を表し、
最後にアイムも「私もです・・・!」と澄まして言いました。

鎧は驚きのあまり目を白黒させて皆の顔をキョロキョロ見回し、
しばし固まって、全員がお宝を使って宇宙の作り直しをするつもりはないのだという事実を頭の中で整理し終わると、
その事実を到底信じられず、下を向いて「・・・そんな・・・」と呟き、
ようやく思考停止状態が終わると、慌てて5人の方に向き直り「だって!他に方法は・・・」と反論しようとします。

お宝を使ってザンギャックを消さなければ、明日、地球が滅亡してしまうのです。
お宝を使うしか、地球滅亡を食い止める方法は無い。
ガレオンが使えない以上、自分達だけ逃げるなんてことも出来ないわけですから、
お宝を使わなければ自分達も全員死ぬのです。
お宝を使わずに明日の朝の悲劇を回避する方法は無いはずです。

ところがマーベラスは鎧の突き出していた三角錐型のお宝を横から強くパン!と叩くと押さえ込んで下げさせながら
「・・・あるさ!」と不敵に言います。
そして「俺たちの手で・・・ザンギャックをぶっ潰すに決まってんだろぉ!?」と言い放ったのでした。

それを聞いて鎧は一瞬、何を不可能なことを言っているのだと呆れましたが、
その瞬間、ハッとマーベラスの言わんとすることを理解したのでした。
それは鎧もまたマーベラス一味の端くれだから理解出来たことであり、
まだ端くれの見習いだから他の5人よりも理解が遅れたのだとも言えます。

マーベラス達は、「自分達の手でザンギャックをぶっ潰す」ということが
不可能なことだからやろうとしているのです。
何故なら、それが海賊にとっての「夢を掴む」ということだからです。

一方、お宝を使って宇宙を作り直すという作業は楽なものです。
願じれば即座に願いは叶う。
そんな安易な作業に海賊の「夢を掴む力」は使えないのです。
マーベラスはお宝を使った宇宙の作り直しに自分達の「夢を掴む力」を使いたくはなかったし、
実際、上手く使えるとも思えませんでした。

もともとそのマーベラス達の夢とは「ザンギャックのいない平和な宇宙」ですが、
それはスーパー戦隊の夢と同じものであるはずでした。
ならば、スーパー戦隊はその夢を自分の命も存在も捨てて実現させようとしているのに、
マーベラス達は同じ内容の夢をお宝を手にして念じるだけで実現させようとしているというのは道理が通らない。
そんなことで「夢を掴む力」が本当に有効に働くとも思えません。

夢を実現させるためには「夢を掴む力」を使わねばならないが、
「夢を掴む力」は自分を捨てるほどの困難や不可能の中でこそ発揮されるものです。
実際、この三角錐型のお宝という夢だって、マーベラスはバスコと命を賭けて決闘をして手に入れたのです。
あれが「夢を掴む力」というものだ。
ならば、お宝を使っての宇宙の作り替えの作業で「夢を掴む力」を使って夢を実現させるというのは無理な話です。

もし「夢を掴む力」を使ってスーパー戦隊から引き継いだ「ザンギャックのいない平和な宇宙」という夢を
実現しようとするならば、命を賭けてザンギャックと戦って倒してこそ、それは実現するといえる。
だからマーベラス達は、どっちにしても「夢を掴む力」を使わねばならないのならば、
自分達が「夢を掴む力」を上手く使えそうな困難な方法を選び、
「夢を掴む力」を上手く使えそうにない安易な方法を避けたいと思っているのです。

鎧はそうしたマーベラス達の海賊としての考え方は理解しましたが、
それでも現実的に考えて、巨大戦力の無い状況で6人でザンギャックと戦って勝ち目などないと思いました。

すると、そこにアイムが静かに「私達は知りました・・・スーパー戦隊の方々の、熱い想いと戦いの歴史・・・
それがこの星の人々を強くしたんです・・・!」と言いました。
ミクのような小さな女の子にまで絶望の中で大切なものを守るため戦う気持ちの尊さを理解させているのは、
スーパー戦隊の長い苦しい戦いの歴史の積み重ねがあってこそだとアイムは感じていました。

「だから、こんな状況でも希望を捨てずに・・・力を合わせて最後まで戦おうとしてるんだ・・・!」とハカセも言います。
天知博士や山崎さんなど、街の人々の覚悟を見て、
地球の人々がザンギャック相手に戦う意思を固めているのだとハカセは見ていました。
それも、今までずっとスーパー戦隊が示していた、どんなピンチでも諦めないで戦う姿勢を見てきたからです。

鎧はその言葉を聞いて涙が込み上げてきました。
そうした地球人の心の強さやスーパー戦隊の影響というものは
地球人でありスーパー戦隊ファンである鎧ならば、
言われるまでもなく真っ先に分かっていなければいけないことでした。
その大事なことを失念していた自分が恥ずかしく、
また、自分にそれを教えてくれるほどに地球人のことを理解してくれた皆に対して深い感動を覚えたのでした。

そしてルカは「あたし達がその支えを消すなんて・・・出来るわけがないじゃない!」と言います。
地球人がザンギャックに対して戦おうとしている気持ちを支えているのはスーパー戦隊の存在なのですから、
スーパー戦隊を消したら地球人の戦う気持ちが無くなってしまう。
だからスーパー戦隊を消さないというのがルカの理屈ですが、
これはつまり地球人がザンギャックと戦うことを肯定していることが前提になっています。

そもそもスーパー戦隊を消してザンギャックも消したら地球人は戦わなくても済むはずなのです。
それなのにルカは地球人がザンギャックと戦うことを推奨し、
そのためにスーパー戦隊が必要だと言っているようにも聞こえます。
しかし、本当はそういうわけではないのです。

ジョーは「この星には・・・スーパー戦隊が必要だ・・・」と言います。
これはルカと同じことを言っているのです。
つまり地球にはスーパー戦隊が必要だから、スーパー戦隊を消しての宇宙の作り替えが出来ないから
ザンギャックを消すことが出来ない。
だから地球人はザンギャックと戦って勝つしかないということです。
そして、その地球人の戦う精神を支えているのはスーパー戦隊なのです。

このように地球人とザンギャックが戦うしかないと認める一方で、
自分達がザンギャックをぶっ潰すと言っているということは、
マーベラス達は地球人と一緒にザンギャックと戦うと宣言していることになります。
そうなると、マーベラス達は地球人の戦いに助太刀するためにザンギャックと戦おうとしているようにも見えます。

すると、地球人やスーパー戦隊を助けるために
マーベラス達が自分達の夢を本当は諦めているのではないかとも思えて、
鎧は涙ぐみながら「・・・でも・・・皆さんの夢は・・・!?」と問います。
滅びた故郷の星は元に戻らなくていいのか?
死んだ妹が甦って温かな生活を取り戻せるのではなかったのか?
自分が殺してしまった友の命を取り戻すことが出来るのではなかったのか?
そして、平和な宇宙が欲しかったのではないのか?
しかし、これに対する皆の答えにこそ、マーベラス達の考えの核心があるのです。

ルカは鎧の問いかけに対して、昼間、妹のリアが生き返ることを喜んでいた時の自分を思い返して
「・・・あの時は過去が変わればいいって思ったけど・・・」と言うと、
続けて「あたし達、その過去を受け入れて生きてきたんだよね・・・」とキッパリ断じたのでした。
そしてジョーはシドとのことを念頭に置き
「どんなに辛い過去でも・・・それを否定してしまえば・・・今の自分を否定することになる・・・」と言います。
ハカセもアイムも滅びた故郷の星を思いつつ、黙って頷きます。

しかし、ここではルカもジョーも個人的なことだけを言っているわけではありません。
マーベラス一味のメンバーは、みんな辛く苦しい過去において、
苦しいからこそ夢を掴む力を育ててくることが出来たのです。
ザンギャックによって荒れ果てた宇宙にいたからこそ、ザンギャックのいない平和な宇宙を夢見てきたのです。
だから、辛く苦しい過去を無くしてしまえば、現在持っている「平和な宇宙」という夢を掴む力も無くなってしまう。
ならば、ザンギャックという災厄を消して、辛く苦しい過去を消した新しい平和な宇宙で、
本当にマーベラス達は「平和な宇宙」というスーパー戦隊の夢を受け継いで生きていくことが出来るのか?

これはマーベラス達だけの問題ではない。
地球の人々が今、絶望的な状況でもザンギャックに戦いを挑もうとしているのは、
スーパー戦隊の戦いから受けた影響です。
それはつまり、スーパー戦隊の「ザンギャックのいない平和な宇宙」という夢を
地球の人々も共有しているということです。

そして地球の人々はマーベラス一味も驚嘆するような逆境における闘志を見せて
ザンギャックと戦って倒し平和な宇宙を作ろうとしている。
これは立派な「夢を掴む力」です。
「平和な宇宙という夢を掴む力」と言っていい。
これを無数の地球人が心の中に持っている。
それこそが、何処にでもある「この星の価値」といえます。

しかし、この地球人1人1人の心の中にある「平和な宇宙という夢を掴む力」は
スーパー戦隊の戦いの歴史の影響によって生まれて育ったものですから、
もしスーパー戦隊が最初から存在しなかった世界になれば、
この「平和な宇宙という夢を掴む力」も地球人の心から消え去る。

また、この「平和な宇宙という夢を掴む力」は
ザンギャックのような悪が優勢な世界だからこそ生まれたものですから、
ザンギャックが無くなれば地球に限らず、
宇宙の全域でそれと似た類の「平和な宇宙」を求める心は消えます。

その新しく生まれた「平和な宇宙」というのは、本当に平和になるのでしょうか?
結局は宇宙の運命を決めるのは変な三角錐の物体ではなく、そこに住む人間です。
三角錐の物体はザンギャックやスーパー戦隊の存在を消したりすることは出来るが、
1人1人の人間の感情を完全にコントロールすることなど出来ない。
せっかく作った「平和な宇宙」も、そこに住む人間たちが「平和な宇宙」を求める想いを疎かにすれば、
すぐにまた悪の芽が生まれ、戦乱が起こり、結局は今のこの世界とそう変わらない世界になるのではないのか?
ならば、わざわざスーパー戦隊を消してまで宇宙を作り直す意味は有るのでしょうか?

「過去を変えれば・・・平和な未来が約束される・・・」とマーベラスは鎧に向かって言います。
そしてニコッと微笑み、「だがな・・・決められた未来なんてつまらねぇじゃねぇか・・・?」と言うのでした。
平和を求める強い意思は、平和が約束された世界からは生まれない。
幸福を求める強い意思も、幸福が約束された世界からは生まれません。
辛く苦しく不確実な未来を切り開く時にこそ、「夢を掴む力」は生まれてきて、
自分の手で掴んだ本物の平和や幸福が世界にもたらされるのです。

だから、「ザンギャックのいない平和な宇宙」を本当に実現したいのなら、
「夢を掴む力」を使って三角錐型のお宝で過去の不幸を無かったことにするのではなく、
地球人全員の「夢を掴む力」を結集してザンギャックと戦って倒して
自分達の手で平和な宇宙という夢を掴み取る方が、「夢を掴む力」の本当に正しい使い方といえるでしょう。
そして、それは「欲しいものはこの手で掴み取る」という海賊の流儀にも叶っています。

結局、マーベラス達の選んだ道は、
お宝による宇宙の作り直しはせずに、スーパー戦隊の存在を消さずに、
地球人の「平和な宇宙という夢を掴む力」を結集して、
ザンギャックを倒して宇宙を平和にするために一緒に戦おうというものでした。

そして案外この作戦はアクドス・ギルが最も警戒している作戦だといえます。
この作戦を地球人が一丸となって選べば必然的にゲリラ戦となり、
大艦隊の空爆だけで地球を屈服させられなくなり、泥沼の地上戦が続く。
しかもゴーカイジャーが加わって地球人側と連係して動くことで地球側は地上戦では有利となります。
それでも立体戦ではザンギャック有利は動かないが、膠着状態となって大艦隊が地球に釘づけになれば、
ザンギャックの宇宙統治も揺らぎます。
これをアクドス・ギルが嫌がるというところに事態を変化させる要素があるのかもしれません。

ザンギャックという敵はスーパー戦隊シリーズでは珍しく
人海戦術を最終兵器として投入してきた敵ですが、
そのザンギャックへの対抗手段にザンギャックを更に上回る人海戦術を持ち出すというのは、
なかなか妙手といえます。

但し、これは極めて多くの流血や犠牲を伴う作戦であるのは事実です。
もちろんマーベラス達が真っ先に死ぬ可能性も十分あります。
しかし、この苦しい戦いの向こうにしか本当の夢、本当の平和は得られないのです。
だからマーベラス達は覚悟を決めました。
マーベラス達5人は1人1人、ニッコリ微笑んで鎧に向かって頷きます。

地球人がスーパー戦隊と心を1つにして存亡を賭けてザンギャックと戦おうとするところに、
宇宙海賊のマーベラス達もスーパー戦隊として参戦してくれる。
ゴーカイジャーを地球人にとってのヒーローであるスーパー戦隊にしようとして
懸命になってきた鎧にとっては感慨無量の出来事であり、鎧は思わず俯いて涙ぐみます。

しかしこれは最終決定ではありません。
「・・・鎧!」と声をかけたジョーは、顔を上げた鎧に向かって「あとはお前が・・・どうするかだ・・・!」と言いました。
驚いた鎧は「・・・俺が・・・?」と問い返しました。
マーベラス達は静かに頷きます。

マーベラス達はここまであくまでそれぞれ自分の意見を言っただけであり、
マーベラス一味の行動としては決定はしていません。
何せ地球人の多くが犠牲になるような決断です。
もしお宝を使って「ザンギャックのいない平和な宇宙」を作ったとしても、
たとえ先に待っているのが、まやかしの平和であったとしても、それは案外悪くない世界かもしれない。
地球人の鎧がスーパー戦隊の意思に従い、地球人を犠牲にせずに事態の解決を図りたいというのなら、
今回は鎧の決定に従おうとマーベラス達は心に決めていました。
それによって自分達の未来が変わってしまっても、それはそれで仕方がないとも思っていたのでした。

鎧の方は地球人全体の運命やマーベラス達の運命、そしてスーパー戦隊の想いも背負って、
手にした三角錐型のお宝を見つめながら「・・・俺は・・・」と苦悩することになりました。
スーパー戦隊の戦士として決断するなら、お宝を使うことになります。
一方、宇宙海賊として決断するなら、戦って夢を掴み取るべきです。

俯いて「俺はっ・・・!」としばし苦悩した鎧は遂に顔を上げて決心し、
「・・・すいません・・・スーパー戦隊の皆さん!!」と三角錐型のお宝に向かって頭をくっつけるようにして下げると、
宝を下に下ろして真っ直ぐ立ち、「俺は6番目の海賊・・・ゴーカイシルバーです!!」と宣言し、
「・・・夢はこの手で・・・掴み取るっ!!」と左手を前に突き出して空を掴み取るポーズをすると、
未練を断ち切るように三角錐型のお宝を後ろ向きに放り投げ、
そのままゴーカイスピアのガンモードでお宝を撃ち抜きました。
お宝は金色の結晶となって船室内の空中に飛び散り、跡形も無く消滅したのでした。

鎧はあくまで海賊として、「平和な宇宙」という夢を自分の手で掴み取るために、
苦難の戦いの道を選んだのでした。
涙ぐむ鎧の頭を後ろからマーベラスが鷲掴みにして「これでお前も一人前の海賊だ!」と褒め、
鎧は涙声で「はい・・・」と応えたのでした。

ゴウシは鎧に託した想いを裏切られた形となってしまったわけだが
ゴウシが鎧を見込んで想いを託した大きな理由に、仲間のブライが認めたように
少女を守るためにトラックの前に飛び出すような
自分を犠牲にしても人々を守る想いを持った戦士だから、
きっと自分たちの自己犠牲精神を理解してくれると思ったからでもありました。

しかし鎧は、あくまで自分が犠牲になることを受け入れる人間であり
他人の自己犠牲によって生じる安易な道を選びとるような人間ではなかった。
だからこそ、瓦礫の街で自分を犠牲にして息子を生かそうとしていた母親を助けるためにその手を伸ばしたのであり、
それは鎧には手に余る作業であった。
それでも鎧は母親の自己犠牲をそのまま受け入れることを拒み、ゴウシは思わずそれを手助けしていた。
その時点でゴウシ自身、自分の自己犠牲精神を鎧に受け入れさせる資格は失っていたといえます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:38 | Comment(3) | 第50話「決戦の日」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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