2012年03月29日

Mission05 キケンな熱暴走!

前回は割と物語の転換点となるような重要エピソードであったような印象でしたが、
今回から通常運転に入ったような感じです。

今回はリュウジの弱点である「熱暴走」というものがどういうものか描かれるお話でした。
これまでヒロムの「ニワトリを見ると5分間フリーズしてしまう」という弱点や、
ヨーコの「栄養が足りなくなると動けなくなる」という弱点は描写されていましたが、
リュウジの弱点の「熱暴走」というやつだけは実際どうなるのか描写されていませんでした。

今回描写されたその「熱暴走」というのは、
怪力を連続して使用し続けると理性が吹っ飛んで凶暴になり、最後は倒れて寝てしまうというやつでした。
症状としては酒乱のようなものと思えばいいでしょう。

ヒロムの弱点が突発的なもので、ヨーコの弱点は日常的なものであるとするなら、
リュウジの弱点は過負荷的なものと言っていいでしょう。
3人の弱点がそれぞれどうも微妙にタイプが違うようだということも気になるところですが、
とにかくリュウジの弱点は本人が気をつけてさえいれば恒久的に発現することを予防することは出来るようです。
話は簡単で、怪力を使わなければいいのです。

ヒロムやヨーコは特殊能力を使わなくても弱点は発現してしまうのですが、
リュウジの場合は特殊能力さえ使わなければ弱点は発現しない。
また、リュウジの熱暴走が3人の中で一番身体へのダメージが大きく危険であるようですから、
極力、熱暴走は起こさない方がいい。
そういうわけでこれまでリュウジは出来るだけ熱暴走を起こさないように注意してきたようです。

それでも何度か熱暴走を起こしたことがあるのは、
リュウジ自身やゴリサキやウサダやニック、それに司令官も
リュウジの熱暴走がどういうものか把握していることからも明らかです。

ヒロムはリュウジとはワクチンプログラム投与のせいで弱点が生じた直後に離れ離れになって
13年間会っていなかったわけですから、リュウジの熱暴走という弱点のことは知りませんでした。
しかしヨーコは13年間ずっと一緒にいたわけですから、熱暴走のことを把握していてもよさそうなものですが、
知らなかったようです。
一応リュウジの弱点が「熱暴走」というものであることはヨーコもリュウジ本人やウサダあたりから聞いて
知っていたようですが、実際にリュウジが熱暴走をしている姿は見たことがなかったようです。

リュウジの熱暴走時の症状をゴリサキやウサダは正確に把握しているということは、
リュウジはゴリサキ達の前では熱暴走をしたことがあると思われます。
そもそも熱暴走時、リュウジは大暴れして遂には倒れてしまい、冷やさないと身体に大きなダメージが残るのだから、
リュウジの熱暴走というのはとにかく終始、大変な騒動を巻き起こすはずです。
だから、ゴリサキ達に限らず、特命部の人達のかなり多くの人が
一度ぐらいはリュウジの熱暴走騒動には遭遇したことがあると思われます。

それなのにヨーコがそれを一度も見たことがないというのは、ちょっと異常です。
リュウジが絶対にヨーコの前では熱暴走を起こさないように細心の注意を払っていたというだけではなく、
もし自分が熱暴走してしまった時はヨーコがそれを見ることがないように
上手く処置してほしいと周囲にあらかじめ頼んでおいたと考えるべきでしょう。

そこまでしてリュウジがヨーコにだけは見せたくないと思っていた熱暴走を、
今回とうとうヨーコは見てしまいました。
凶暴な性格になってメタロイドをいたぶるリュウジの姿を見て、最初は驚くヨーコでしたが、
当初はそんなにショックを受けてはいませんでした。
それが噂の「熱暴走」の症状だということにすぐ気付いて、
ゴリサキとの通信で熱暴走が続くとリュウジの身体が危険だと聞くと、
早合点して慌ててリュウジを止めようとします。

実際はリュウジの熱暴走は一旦始まると倒れるまで止めることは出来ないので、止めようとしても無意味なのですが、
初めての経験なのでヨーコは止められると思ってリュウジに抱きついて止めようとしますが、
リュウジはヨーコを振り払い、メタロイドにトドメを刺します。
そして変身解除したリュウジに不用意に近づいて話しかけたヨーコは
未だ熱暴走状態のリュウジに暴力を振るわれて罵倒されてしまい、ショックを受けます。
そしてリュウジは倒れてしまい、そこにやって来たゴリサキの処置で事なきを得ますが、
ヨーコはショックで泣きだしてしまうのでした。

ここでヨーコは別に暴力を振るわれたことでショックを受けたわけではないでしょう。
リュウジが自分に対して憎悪の視線を向けて罵声を浴びせたことがショックだったと見ていいでしょう。
ゴリサキは熱暴走時のリュウジのことを「リュウジであってリュウジでない」とよく分からん説明をして
フォローしようとしましたが、それを聞いてもヨーコは全く立ち直っていません。
つまりゴリサキのフォローは全くフォローになっていないようです。

後に意識を回復したリュウジはヨーコに熱暴走を見られたことをその時にゴリサキに聞いて知ったようですから、
リュウジは熱暴走時の記憶は無いようです。
しかし別人格に乗っ取られているような状態でもない。
「リュウジであってリュウジでない」というのは、確かにいつものリュウジではないが、
リュウジであることも間違いない状態といえます。
まぁつまり酒乱と一緒で、酔って暴れている時は普段と全く性格が違っていて、暴れている時の記憶も無いが、
本人の人格であることも間違いないという状態と同じというわけです。

そもそもリュウジは熱暴走で性格は凶暴になって記憶がぶっ飛んだ状態になっても、
ちゃんとメタロイドと戦って倒していますし、
メタロイドを倒した後は変身解除して、ヨーコに対して暴力的になって罵声を浴びせましたが、
決してメタロイドのように殺そうとはしていません。
一応は敵と味方の区別はついているのです。
だから熱暴走時のリュウジも間違いなくリュウジ本人なのです。

13年間一緒に暮らしてきたヨーコにはそれが分かるのです。
だから、熱暴走時にリュウジが自分に向けた憎悪の視線や、
「まとわりつくな」とか「気安く呼ぶな」というような、鬱陶しがるような言葉も全部、
リュウジの本心だということが分かったのでしょう。

それゆえヨーコはゴリサキにいくらフォローされても立ち直ることは出来なかった。
それらがリュウジの本心でないと分かれば、
任務中に何時までもそんなことでグズグズと落ち込むようなヨーコでもないはずです。
リュウジが本心ではヨーコのことを嫌っていることを初めて知ったので、ヨーコはショックを受けたのです。
そして、それをリュウジの本心だとすぐに気付いたということは、
ヨーコも自分がリュウジに嫌われているかもしれないという自覚はあったのだといえます。

一方リュウジの方も自分が内心ではヨーコを嫌っていることを自覚しているので、
熱暴走時にヨーコが傍にいたら自分はヨーコを罵倒してしまうと予測し、
それを避けるためにヨーコの前では決して熱暴走しないように気をつけ、
常々、熱暴走時の自分にヨーコを近づけないように周囲に頼んでいたのでしょう。

では、どうしてリュウジはヨーコを嫌っていたのかというと、
そんなのは考えるまでもなく当たり前のことでしょう。
第1話以降のヨーコの描写を見る限り、ヨーコは嫌われて当然の言動があまりに多いのです。

ヨーコは子供っぽいキャラであり、
子供っぽいキャラといっても子供っぽさが肯定的に描かれるキャラと否定的に描かれるキャラがありますが、
ヨーコの子供っぽさは明らかに後者でした。
例えば作戦中にヒロムをフリーズさせて悪びれもしないようなヨーコの態度を見て、
リュウジは困ったものだと思っていたはずですが、あまり厳しく叱ったりはしていません。

それは優しさのせいではないでしょう。
リュウジ自身の妙に空気を読んだり気配りをしすぎる性格のせいもあるでしょうが、
遥かに年下の女の子に対してムカついている自分をカッコ悪く思って
隠したいという気持ちが強かったのだと思います。

13年間そのようにして2人は過ごしてきたのだと思います。
本当はリュウジはヨーコのあまりに子供っぽくてワガママで甘えのあるところを快く思っていなかったのですが、
それをあえて表には出さずに、優しくて物分りのいい大人でカッコいいお兄さんを演じてきたのです。

その隠されていたリュウジの本音が遂に熱暴走によってヨーコに知られてしまいました。
ヨーコの方も自分がいつもリュウジに甘えて迷惑をかけているという自覚は心の奥の方であったので、
潜在的にはリュウジに叱られることを恐れていたのでしょう。
全く自分の身に覚えの無いことで怒られても、ムカつくことはあっても、落ち込むことはありません。
ヨーコが落ち込んだということは、潜在意識では自分がリュウジに嫌われても仕方ない行為をしているという
自覚はあったと考えるべきでしょう。

結局ヨーコは自分がリュウジに嫌われていたことを知り、
リュウジはヨーコを嫌っていることをヨーコに知られてしまった。
こうなると普通は2人の仲は険悪になっていきそうにも思えます。

しかし、ヨーコはリュウジが自分を嫌っていたことを知ったことによって、
自分がこれまでリュウジに甘えて迷惑ばかりかけてきて、それを申し訳なく思っていたという、
自分の本心と向き合うことが出来ました。
だからヨーコは自分の本心に従って、
これからは子供みたいなワガママを言ってリュウジを困らせるようなことは控えようと思ったのでした。

一方、リュウジはヨーコに対して嫌悪感を抱いているという
自分の大人げないカッコ悪い姿を曝け出してしまったことによって、
自分が今まで自分のカッコ悪さを隠すために汲々としていたことに気付き、
それこそが真にカッコ悪いのだということに気付きました。

そしてリュウジは自分には心の狭いカッコ悪い面はあるが、それを必死になって隠すのではなく、
カッコ悪さも自分の側面だと認めて真っ直ぐ向き合いつつ徐々に是正していくよう
努めようと思うことが出来たのでした。

つまり熱暴走の騒動によってリュウジとヨーコは互いに自分の本心と向き合うことが出来て、
共に成長することが出来たのです。
普通は険悪になってもおかしくない事態が逆に2人の成長を促したのは、
この2人の絆が13年間培われた非常に強いものだからです。

仮にこれがリュウジとヒロムの間で起きたとしたら、
ヒロムはリュウジに罵倒されたとしても大きなショックを受けることはないでしょうけれど、
普通にリュウジが自分を嫌っていると認識してなんとなく疎遠になり、2人は特に成長することもないでしょう。

あくまでリュウジとヨーコの共に暮らした13年間の重みがあるからこそ、今回のエピソードは成立するのであり、
今回は13年前の約束に起因する3人の絆とはまた別の、
リュウジとヨーコ特有の絆に関するエピソードであったと言えるでしょう。

それにしてもこの3人の弱点ですが、最終的に機能停止になる点で共通しています。
そして、その誘因は全て心理的ストレスであるように見受けられます。
ヨーコの場合は「空腹感」というストレス、
ヒロムの場合、どうしてニワトリなのかは不明だが「恐怖心」というストレス、
リュウジの場合、「アドレナリン値の上昇による暴力衝動の暴走」というストレスで
それぞれ肉体の機能が停止するようです。

そして、3人のこれらの心理的ストレスは、
それぞれ彼らがワクチンプログラムを投与された時点の年齢における
心理的に最も弱い部分に対応しているようにも思えます。
3歳だったヨーコはとにかくお腹が空くことが一番辛い時期であったろうし
7歳だったヒロムは大人から見ると意外なしょうもないものが怖い時期であり、
15歳だったリュウジは二次性徴期男子に特有の暴力衝動に悩まされていた時期でしょう。

そのあたりがワクチンプログラムの謎を解くカギになるのかもしれません。
おそらく演出上はむしろマイナス面が多いであろう3人の奇妙な「弱点」が設定されている理由は
この物語においてワクチンプログラムの謎解きが重要な要素の1つであり、
この弱点がその謎解きの重要なカギになるからなのでしょう。
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2012年03月27日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その18

ザンギャック地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルを倒したマーベラス達は、
当然ザンギャック軍がワルズ・ギルの弔い合戦を仕掛けてくるものと思って身構えていましたが、
ザンギャック軍は当初こそインサーンがバリゾーグの素体を使って雪辱戦を仕掛けてきたものの、
その後、どういうわけかピタリと活動を止めてしまっていました。

その間、マーベラス達はメガレンジャーの「大いなる力」を巡って久しぶりにバスコに遭遇し、
今度こそバスコを倒して奪われた3つの「大いなる力」を奪おうとしましたが、
結局メガレンジャーの「大いなる力」は守りきったもののバスコを倒すことは出来ずに取り逃がしてしまいました。
その後、マーベラス達はタイムレンジャーの元タイムイエローのドモンからの意味のよく分からない依頼を受けて
4年前にタイムトラベルして、よく分からない神社を守らされたりしていましたが、
その間もザンギャック軍の活動は全く無く、不気味な静けさを保っていました。

そのザンギャック軍の方では、参謀長ダマラスや技官のインサーンなどは
マーベラス一味を討ち取ろうと準備万端でしたが、
ザンギャック本星から次の命令があるまで動くことを禁じられていたので、
じっと兵を動かすことなく本星からの連絡を待っていました。
しかし本星からはそれ以後、一切連絡は無く、ダマラス達は困惑していました。
マーベラス達が諸星学園に行ったり4年前の寝隠神社に行ったりしている間、
ザンギャック軍に全く動きが無かったのは、そういう理由であったのです。

何故、ザンギャック本星からの連絡が無かったのかというと、
既に皇帝アクドス・ギルは親衛隊を率いて本星を出発して地球方面に秘かに向かっていたからでした。
アクドス・ギルはダマラスが謀反を企んでいるのではないかと疑念を抱いており、
もし宇宙最強の男という称号を持つダマラスが帝国最大最強の旗艦ギガントホースを奪って反逆するならば、
帝国にとっての重大な脅威となると心配しました。
そうなればアクドス・ギルが帝国の全艦隊を率いて討伐しようとしても返り討ちにあってしまいます。

そこでアクドス・ギルは自ら親衛隊を率いてギガントホースに奇襲を仕掛けて奪い返し、
ダマラスを拘束する作戦に乗り出したのでした。
しかし実際はダマラスは謀反など企んでいないのですから、
まさかアクドス・ギルが奇襲を仕掛けてくるなど想像もしておらず、
急襲してきた親衛隊にあっけなくギガントホースを占拠され、
乗り込んできた皇帝によって、何が何やら分からないまま捕えられてしまったのでした。

そうしてギガントホースは本来の艦長である皇帝アクドス・ギルの指揮下に入り、
地球侵略軍と皇帝親衛隊の合同軍はアクドス・ギルが率いることとなりました。
こうして第41話から皇帝アクドス・ギル率いるザンギャック本軍とマーベラス一味との直接対決が始まり、
物語は一気に佳境に入り、マーベラス達は自分達の戦いの真の意義を見出していきます。

こうして地球上空のザンギャック軍を全て掌握したアクドス・ギルは帝国の威信を示すため、
そのまま一気に地球を征服することにして、
まずは息子のワルズ・ギルを殺した邪魔者マーベラス一味を全員血祭りに上げるよう、
配下の親衛隊の精鋭の2人の幹部、ザツリグとダイランドーに命じました。

皇帝親衛隊は以前に地球方面に派遣されてマーベラス達に倒された
親衛隊長のデラツエイガーの他に幹部怪人としてザツリグとダイランドーがおり、
その下に多数のドゴーミンで構成されている組織であり、
隊長といってもデラツエイガーが最強であったというわけではなく、
単にデラツエイガーが統率力に秀でていたので隊長であったに過ぎず、
その実力は3怪人ともにほぼ同等、むしろ戦闘力においてはザツリグとダイランドーの方が上であるようです。
いずれにしても帝国で最強格の怪人ということになります。

このうち、まずザツリグがマーベラス達を倒すため出撃し、
ちょうど買い出しに出ていたジョーとアイムと鎧は
しばらく動きの無かったザンギャック軍が見慣れないタイプの艦で空爆を開始したのを見て驚き、
その艦から地上に降り立ったザツリグと戦い、その見えない不思議な攻撃に翻弄されて惨敗してしまいます。
しかしザツリグは勝利を確信し、
皇帝の命令に忠実にマーベラス一味6人をまとめて倒すことにこだわり、
6人で戦いに来るように言い残して、その場は退きました。

ガレオンに戻ったジョー達の話を聞いて、
マーベラス達はザツリグの見えない攻撃の謎が解けない状態で戦うことの不利を感じ、
謎が解けるまでは勝負は避けることにしました。

ところがザツリグと遭遇した時からアイムの様子がおかしくなっていました。
実はザツリグこそが、かつてアクドス・ギルの命令を受けて
アイムの故郷のファミーユ星を滅ぼした張本人であり、
アイムは目の前でザツリグに両親や星の人々を虐殺されていたのです。

ザツリグの方はそのように数多くの星を始末する役目であったので、
いちいちアイムのことなど覚えていなかったのですが、
アイムはもちろん故郷の仇であるザツリグのことを忘れたことはなく、
ザツリグの姿を見た瞬間、我を忘れて1人で突っ走って攻撃してしまい、ジョーや鎧を驚かせてしまいました。
むろんザツリグの技の謎が解けない以上、3人が息を合わせて戦っていても勝つことは出来なかったのですが、
アイムは自分が頭に血が昇って皆に迷惑をかけてしまったことで落ち込みます。

しかし、マーベラス達がザツリグとの性急な勝負を避けるという決定を下したことに対して、
アイムはそれを到底許容できない気持ちになってしまい、その自分の気持ちに1人で戸惑います。
現状のままザツリグと戦うのが得策でないことはアイムにも理解は出来ます。
だからマーベラス達の判断は賢明でした。
それなのに、その決定を許せないと思う激しい感情を抑えることが出来ないアイムは、
自分がたとえ勝ち目が無くてもザツリグを倒してファミーユ星の人々の仇を討ちたいと
心から欲していることを知りました。
そして自分がファミーユ星の滅亡の日からずっと、
内心ではザツリグやザンギャックへの復讐を果たすことを願って生きてきたことに気付きました。

それまでアイムはファミーユ星が滅亡する時に自分だけ脱出させた父母の願いが、
王女として、生き残って宇宙に散らばったファミーユ星の遺民たちの希望の象徴となる生き方を
自分にさせるためであったと解釈していました。
いや、実際それが正解なのでしょう。
そのような亡き父母の想いを知った上でアイムはザンギャックと戦う生き方を選び、
マーベラス一味に入りました。

しかし、王女として遺民たちの希望になるためならば戦い以外にも道はあったかもしれない。
それでもアイムがザンギャックと戦う道を選択したのは、
本当は自分はザンギャックに復讐したかったからなのだと、アイムは自分の隠された本心に気付きました。
本当は生き残った遺民たちの希望になることなどよりも、
父母や殺された民たちの無念を晴らすために復讐をしたかったのです。
そのために戦う力を欲して、海賊団に入ったのです。

つまり、アイムは「遺民たちの希望の象徴になりたい」などと綺麗事を言って、
マーベラス達を騙して仲間入りして、彼らを自分のザンギャックへの復讐のために利用しようとしていたのです。
だから仇を目の前にしたアイムは1人必死で戦おうとし、
戦いに慎重になるマーベラス達を見て苛立ってしまっているのです。

その身勝手で執拗な復讐鬼が自分の真実の姿だったのだと思い、アイムは大きなショックを受けました。
そうした自分の真実の正体を知ったアイムは、
仲間を騙していた自分はもはやマーベラス一味に留まることは出来ないと思いました。
これ以上マーベラス達を自分の復讐に巻き込もうとしてはいけない。
自分は1人で出て行って、父母や故郷の人々の無念を晴らすため、ファミーユ星の王女としてザツリグと戦おう。
アイムはそう思いました。
勝ち目は無いであろうし、亡き父母も復讐などは望んでいないであろうこともアイムには分かっています。
しかし、それでもやはりアイムは復讐心を抑えることは出来ませんでした。

アイムが復讐心を抱くのは当然です。
ファミーユ星は全く無抵抗であったのに一方的に問答無用で滅ぼされたのです。
ザンギャック側に一分の理も無く、
ファミーユ星の生き残りがザンギャックに復讐したいと思うのは当然の心理でした。

ただアイムの父母の国王と王妃は、そんなことをしても犬死となることは分かっており、
アイムは王女として恥を忍んでも生き延びて、
生き残りの遺民たちの希望となる道を選ぶべきだと思っていただけのことであり、
復讐心まで否定していたわけではない。
アイムには復讐心をコントロールする心の強さを持ってほしいと思っていたのです。

しかしアイムは目の前で父母を殺したザツリグの姿を見たことによって
復讐心を抑えることが出来なくなってしまったのです。
そして、もはや復讐心を抑えられなくなった自分は、
せめてマーベラス達をこれ以上騙して自分の復讐に巻き込むことだけはやめようと思い、
その日の深夜、アイムは黙ってガレオンから出て行こうとしました。

しかしマーベラス達は、ザツリグがアイムの仇だということは知りませんでしたが、
それでもアイムの様子がどうもおかしいので、アイムとザツリグの間には何らかの因縁があるのだろうと思い、
アイムが1人でザツリグと戦いに行くつもりなのかもしれないと気付き、アイムの様子を見張っていました。

それで出て行こうとするアイムはマーベラス達に見つかってしまい、事情を質されて、
アイムはザツリグはファミーユ星を滅ぼした憎い仇なのだと言いました。
それを聞いて、やはりアイムが1人でザツリグと戦おうとしていると悟ったマーベラス達は、
アイムに向かって、アイムはファミーユ星の遺民たちの希望の象徴として生きねばならないのだから、
1人で死にに行くような戦いをすべきではないと言いました。

やはりマーベラス達が引き止めようとしているのだと思ったアイムは、
その「希望の象徴」というのが偽りなのであり、
自分は本当はただ復讐のために皆を利用しようとしていたのであり、
こんな自分は復讐の戦いで死ぬのがお似合いであり、
人々の希望の象徴として生きる資格など無いのだと説明しようとしますが、
皆にここまで嘘を信じ込ませてしまっていたことがあまりに申し訳なくて言葉に詰まり、泣きだしてしまいました。

しかしマーベラス達は、アイムが復讐心にずっと囚われていたことは分かっていました。
何故なら、ザンギャックに酷い目に遭わされた者で
ザンギャックに復讐したいという荒んだ心を抱かない者などいないからです。
むしろ多くの者はザンギャックに逆らう勇気が無いので、その復讐心を忘れてしまう。
しかしザンギャックに逆らって生きる勇気を持って海賊の道を選んだ者ならば
ザンギャックへの復讐心をずっと抱き続けて荒んだ心であるのは当たり前なのです。

アイムだって例外ではない。
マーベラス達も同様でした。
かつてマーベラス達も「宇宙最大のお宝」という夢は追いかけながらも、
それ以外のことに関しては、ザンギャックへの恨みつらみを常に抱えてムシャクシャして、
どうしようもない現実に失望して周囲に当たり散らす荒んだ生活を送っていました。

しかし、そんな自分達の戦いでも他人の希望になることが出来ると知ってから、
マーベラス達はあまり他人を失望させたくないと思うようになり、
そのためにまず自分自身があまり簡単に現実に失望して投げ出したりしないようになりました。
そうするとマーベラス達は幾分穏やかになり、
復讐のために戦うのではなく、少しは人々の希望になれるような戦い方をするようになりました。

それが始まりとなり、地球に来てからスーパー戦隊とも出会い、
人々の夢を守って戦おうと思うところまで自分達は変わることが出来た。
その一番最初のきっかけをマーベラス達に与えてくれたのはアイムなのです。

アイムが海賊として戦うことで故郷の星の遺民たちの希望の象徴になりたいと言ってくれた時、
マーベラス達は海賊である自分達もまた、
遠く宇宙に散らばるファミーユ星の人々の希望になり得るのだと思うことが出来たのです。
そして何より、アイムが自分達のことを希望の象徴だと思って喜んでくれているのが嬉しかった。

だからアイムが加入した後、アイムに笑顔でいてもらえるようにマーベラス達は日々の行動を改めた。
マーベラス達には海賊がどうしたら人々の希望の象徴に相応しい振る舞いを出来るのかさっぱり分からなかったので、
アイムが喜ぶ行動がそのまま人々の希望と感じられる行動なのだろうと思ったのです。
そうやってアイムを喜ばせているうちにマーベラス達の荒んだ心も解消していき、
復讐のためだけではなく、ファミーユ星の遺民たちの希望の象徴であることを心密かに誇りにも思って
マーベラス達は戦うことが出来るようになった。

そうやってマーベラス達は変わることが出来たのです。
その延長線上に地球でスーパー戦隊に出会い、今の「地球の人々の夢を守るために戦う」自分達がある。
だからマーベラス達にとっては、アイムが故郷の星の遺民たちの希望の象徴になるために海賊になったという想いは、
決して嘘ではなく真実なのです。
マーベラス達がアイムのその言葉によって変わって、現在に至っている成長が真実である以上、
誰が何と言おうと、現実として、アイムのその言葉も真実なのです。

だからアイムが復讐心に囚われていたとしても、決してアイムはそれだけの人間ではない。
やはりアイムはファミーユ星の遺民の希望の象徴、
いや、何よりもマーベラス達にとっての希望の象徴なのです。
アイム自身が否定したとしても、断固としてアイムは皆の希望の象徴なのです。
だから、マーベラス達はみすみすアイムを1人で死ぬのが分かっている戦いに行かせるわけにはいかない。

ならばマーベラス達はやはりアイムを引き止めようとしているのかというと、それは違います。
マーベラス達はアイムがザンギャックへの復讐心に囚われていることは当然のことだと理解しています。
マーベラス達だってザンギャックへの復讐心は決して捨ててはいないからです。

ただ、マーベラス達は復讐心に振り回されるよりも、
何かを守るために戦う方が気持ちいいということに気付いただけのことです。
その気持ちよさをマーベラス達に最初に教えてくれたのはアイムでした。
アイムが人々の希望を守るために戦う姿勢を最初にマーベラス達に示してくれたのです。
そしてマーベラス達は目の前のアイムの希望を守ることから変化の第一歩としたのです。
だからマーベラス達は自分達が変われたことについて、アイムに感謝していました。
その恩義は返さなければならない。

それに、アイムの加入以降、昔も今も変わらずマーベラス一味の基本ルールは、アイムの笑顔を守ることです。
ザツリグが現れてからアイムの笑顔が消えているのだと分かった以上、
マーベラス一味のやるべきことはシンプルに決まっています。
ザツリグを今すぐ排除して、アイムの笑顔を取り戻すことです。
そしてザツリグがアイムの仇と分かった以上は、単にザツリグを排除するのではなく、
アイムに仇を討たせて、自分達はその助太刀をするしかない。
それがアイムへの恩返しであり、アイムの笑顔を取り戻して
マーベラス一味の本来の姿を取り戻す唯一の方法でした。

そういうわけでマーベラス達はアイムと一緒にザツリグと戦うと申し出て、
アイムは皆を騙していたことを知ってもなお自分を受け入れてくれたマーベラス達の気持ちに深く感謝し、
改めて皆に対して、故郷の星の人々の仇であるザツリグを倒すために力を貸してほしいと
心の底から頼んだのでした。

これを快く引き受けたマーベラス達は、翌朝アイムと共にザツリグと決闘し、
6人はザツリグの見えない攻撃に苦しみますが、
途中で遂にザツリグが胸部にある目を開閉しながら攻撃を繰り出していることに気付きます。
つまり見えない攻撃は一種のサイキック技であり、それは胸部の目から発動されているのです。

そこでマーベラス達はアイム以外の5人が囮になってザツリグのサイキック技を受け、
タイミングを測ってアイムが飛び込んでザツリグの胸部の目が開いたところを破壊するという作戦を敢行し、
これを見事に成功させてアイムがザツリグの胸部の目を破壊し、
それによって技を封じられ、大きなダメージを負ったザツリグを一気に追い込み、
最後はアイムの放つライジングストライクで倒したのでした。

こうして故郷の星の人々や父母の無念を晴らしたアイムは、
もちろんザツリグにファミーユ星を滅ぼすよう命じたザンギャック皇帝への復讐心は消えてはいませんでしたが、
マーベラス達の想いに応えるためにも、今後は復讐心は抑えて、
今度こそ本当に遠く宇宙に散らばった故郷の星の人々の希望の象徴となるために、
そして彼らの誇りとなるよう、海賊として、人々の夢を守るために戦い続けていくことを心に誓ったのでした。
そしてマーベラス達もアイムの笑顔を取り戻し、海賊の誇りを守り抜いたのでした。

一方、アクドス・ギルはザツリグが倒されたことに驚きました。
以前にデラツエイガーを倒し、先日はグレートワルズに乗った息子ワルズ・ギルを倒したというので、
それなりに手強いとは予想していましたが、まさか宇宙海賊ごときが簡単にザツリグを倒すとは予想しておらず、
少しこのまま親衛隊を使って作戦を続行することに不安を覚えました。

順番的には次はダイランドーの出番であり、ダイランドーも親衛隊の雪辱戦に燃えていましたが、
もしダイランドーまで倒されたとなると、アクドス・ギルの直属の手駒である親衛隊が一気に弱体化してしまいます。
それを避けるため、アクドス・ギルはダイランドーは温存して、
インサーンの助命嘆願を受け入れる形でダマラスを閉じ込めてあった牢から出して
マーベラス達の討伐にあたらせることにしたのでした。

インサーンの話を聞く限り、
どうやらダマラスは謀反を企んでいたわけではないようだとアクドス・ギルは理解しました。
といっても、どちらにしても皇太子のワルズ・ギルを守りきれずみすみす死なせた罪は消えるわけではない。
但し、マーベラス一味を倒してワルズ・ギルの仇を討てば、その罪は許してやってもいい。
そういう条件でアクドス・ギルはダマラスを牢から出して出撃を命じたのでした。

ダマラスは「宇宙最強の男」の異名をとる、ザンギャック帝国最強の戦士でしたから、
ザツリグやダイランドーよりもかなり強く、
ダマラスならばマーベラス一味を確実に倒すことが出来ると、アクドス・ギルは期待しました。
それに、もし万が一ダマラスが敗れたとしても、
アクドス・ギルとしてはもともとダマラスは罪人として処刑するつもりの部下なので、
そんなに痛手とも感じません。

もしダマラスでもマーベラス一味を倒せなかった場合は根本的に作戦を変更せざるを得なくなりますが、
それでもまだまだ打つ手は残っていますから、アクドス・ギルはまだ余裕でした。
とにかくダマラスが負けるということが、そもそもアクドス・ギルから見て、ほぼ有り得ないことであったのです。
それほどアクドス・ギルはダマラスの強さには絶大な信頼を置いていました。

こうして第42話と第43話の前後篇は
遂に地上への出撃が許可された宇宙最強の男ダマラスとマーベラス一味が激突するお話となります。

ダマラスは地球侵略軍の参謀長を命じられて以降、愚かな司令官のワルズ・ギルに軽んじられ、
出撃を禁じられ続け、その挙句、司令官をみすみす戦死させてしまうという大失態を犯した上、
忠義を尽くした皇帝に謀反の嫌疑までかけられて投獄されてしまい、
宇宙最強の武人としての誇りはボロボロになっていました。

ダマラスはその武人としての誇りを取り戻すことに強くこだわり、
そのためには親衛隊の手にも余る真の強敵マーベラス一味を堂々と倒してみせて、
自分こそが宇宙最強であることを皇帝に見せつけるしかないと、執念の炎を燃やしました。

いや、ダマラスが見たところ、真に自分が戦うに足る強敵はゴーカイレッドのマーベラスただ1人であり、
他の雑魚はどうでもよかった。
この戦いを自分の武人としての誇りを満足させる場と捉えるダマラスにとって
マーベラスとの戦いのみが興味の対象であり、
他の雑魚との戦いに手間を取られているうちにマーベラスに逃げられてしまうことだけは避けたいと、
ダマラスは考えました。
そこでダマラスは自分がマーベラスと戦っている間、
他の海賊仲間と戦って始末させるための手駒としてバスコを使うことにしたのでした。

ダマラスは以前にバスコにマーベラス達を始末するよう命じて既にその命令を無視されており、
バスコとは断絶関係にありましたが、
それはダマラスが自由に動き回ることが出来ない状態での話であり、
こうして晴れて地上でも活動することを皇帝に許された今、
ダマラスはバスコなどは力で屈服させて使役すれば済む存在だと見ていました。

本来なら自由に動けるようになったらすぐにバスコを見つけ出して八つ裂きにしてやりたいところでしたが、
ダマラスはまずはバスコなどを私怨で殺すよりも
皇帝に命じられたマーベラス一味の始末を確実に遂行するためにバスコを有効活用することに決め、
さっそくバスコの行方を探しました。

そのバスコはどうしていたのかというと、
第39話で諸星学園から姿を消した後、すぐにサンバルカンとファイブマンの「大いなる力」を奪い、
更に急いで残り2つのバトルフィーバー隊とカクレンジャーの「大いなる力」の在り方を探していました。
ところが、バトルフィーバー隊は国防軍のガードが固くて情報が得られず、メンバーが何処にいるのか分からず、
カクレンジャーに至っては、そもそもそんな戦隊が存在するのかどうかもよく分からないぐらい、
全く何の手掛かりも得られませんでした。

これではダマラスが地上に降りてきてマーベラス達と戦う前に全部の「大いなる力」を集めるという目的は
達成出来そうにないと思ってバスコが焦っていたところ、
バスコがザンギャック軍内部に作っていた情報ルートから、
どうやら地球侵略軍の旗艦ギガントホースに皇帝が乗り込んできてダマラスは投獄されたようだという
情報が入ってきたのでした。

それを聞いてバスコは小躍りして喜びました。
皇帝はワルズ・ギルの戦死の報を聞いて激怒して乗り込んできたに違いない。
これでダマラスはもう死刑は確定であり、二度と外に出ることは出来ずに死ぬことになる。
そうなれば自分とマーベラス達の「大いなる力」争奪戦の邪魔をする厄介な存在はいなくなり、
元通り、自分はマーベラス達が残り2つの「大いなる力」を手に入れるのをじっくり見届けてから、
マーベラス達を襲って全ての「大いなる力」やレンジャーキーなどを奪うという作戦を実行すればいい。

これでひとまずは一安心だと思ってバスコがほくそ笑んで地上で歩いていたところ、
そこに突然ダマラスが現れたのでした。
この予想外の事態に愕然とするバスコをいきなり吹っ飛ばしたダマラスは
マーベラス一味を倒す作戦の手助けをするようバスコに迫ります。

慌てて変身してダメージを軽減して何とか立ち上がったバスコでしたが、
まだ所在不明の「大いなる力」が2つある以上、マーベラス達に死んでもらうわけにはいかない。
だからマーベラス達を殺す手伝いなど真っ平だと思って断ろうとしますが、
ダマラスは問答無用で、もし断ればお前を殺すと言います。

バスコは殺される前に逃げようと思いましたが、
その時、主人の危機を察知したサリーが無謀にもダマラスに襲い掛かり、ダマラスに殺されそうになります。
それを見て慌ててバスコはダマラスに斬りかかり、そのまま不意打ちで倒してやろうとしますが、
全く歯が立たずに組み伏せられてしまいました。

バスコは逃げなかったことを後悔しました。
サリーがダマラスにやられている一瞬の間に逃げようと思えば逃げられたのに、
どうして自分は逃げなかったのかと戸惑いました。
すると、バスコは自分がサリーを助けようとしてダマラスに無謀な戦いを挑んだことに気付き、驚きました。

第39話の諸星学園での戦いの時もピンチに陥っていたサリーを思わず庇ってしまいましたが、
あの時はマーベラス達の攻撃は弾き返せる自信はありました。
しかし今回はダマラスに勝ち目が無いことが分かった上でサリーを守るためにバスコは身を挺してしまったのです。
つまり、たかが宇宙猿のサリーが何時の間にか自分にとって、
かけがえのない仲間になってしまっていることに気付いて、バスコはショックを受けました。

「仲間の絆」などというものは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには邪魔なものであり、
弱さを生むものでしかない。
そんなものを信じたために自分はかつてアカレッドに裏切られる寸前だったとバスコは思っています。
だからバスコは赤き海賊団を裏切った時に「仲間の絆」などというものは捨て去り、
二度とそんな弱さを持ちたくないので仲間は作らず、
猿のサリーを調教して下僕として使役することにしていたのです。
だからサリーは仲間などではないはずでした。

しかしバスコはサリーを庇って自らを危険に晒してしまいました。
つまり、サリーは何時の間にかバスコにとって大切な仲間になっており、
その仲間の絆が弱さを生み、バスコをこうして窮地に追いやってしまったのでした。
すなわち、弱い仲間のサリーを切り捨てることが出来なかったために
バスコは弱さを抱え込むことになってしまったのです。

この時、バスコはこのままダマラスに殺されていてもおかしくない状況でした。
しかしダマラスはあくまでマーベラス一味の討伐に協力させるためにバスコを殺すことは思いとどまりました。
そこでバスコは仕方なくダマラスに協力することにしました。

よく考えたら、別にバスコが協力しなくてもダマラス1人でも
マーベラス一味を皆殺しにすることは十分に可能であり、
バスコがマーベラス一味を殺されないようにするために必死でダマラスに逆らう意味などあまり有りませんでした。
それよりも、いっそダマラスに協力するフリをしてマーベラス達を討伐する戦いの前線に立ち、
そこで小細工をしてマーベラス達が死なないようにする方が得策であるとバスコは気付いたのです。

つまりダマラスの目の前で裏切りをしようということです。
危ない賭けではありましたが、
ここはもうそれしかバスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れる方法はありませんでした。
それに、バスコはサリーとの仲間の絆が自分を弱くしたことを自覚して、
自分が以前のような強さを取り戻すためには、アカレッドという強敵を葬った時のような、
自分を仲間と信じた相手を裏切る行為が不可欠のような気がしたのでした。

裏切りの中でこそ自分は強さを取り戻すことが出来る。
その強さがあってこそ、ダマラスを出し抜き、
マーベラス達に競り勝って「宇宙最大のお宝」をこの手で掴むことが出来るのだと、バスコは強く思いました。

さて、その頃マーベラス一味は、ワルズ・ギルの仇討ちのためにザンギャックが送り込んできた
最強の刺客と思われたザツリグを倒して、
これで一旦ザンギャックの仕掛ける弔い合戦を凌ぎ切ったと思って安堵していました。

ザツリグはマーベラス達に自分が皇帝親衛隊員だと名乗っていましたから、
マーベラス達はザンギャック艦隊に新たに親衛隊が加わったことは認識していましたが、
それが単なる増援なのか、それとも皇帝も来ているのか、よくは分かっていませんでした。
ただ皇帝が来ているにしても、ただの御老体であろうし、親衛隊の最強の怪人はザツリグであり、
それはもう倒したので一安心だと思っていたのです。

マーベラス達はまだダイランドーの存在は知らず、アクドス・ギルの強さも知りませんでした。
そして、これまでずっと地上に降りることのなかったダマラスの存在すら知らなかったのですから、
ザツリグを倒したことで安心してしまっていたのも仕方ないことでした。

そういうわけでマーベラス達は呑気なもので、
ハカセが仲間内での地位向上を図って、雑誌の記事に小細工をしたりして、
自分がかつて宇宙最強といわれた伝説の勇者であり、
記憶を失っているので勇者だった頃のことを覚えていないのであるかのように装っていました。

マーベラスとジョーとルカはハカセと初めて出会った時、
ハカセが故郷の星を滅ぼされたので僻地の星に移住してきたのだという身の上話を聞いていたので、
ハカセが伝説の勇者だという話には懐疑的だったのですが、
ハカセはムキになって、その時は記憶喪失だったから作り話をしたのだと言い張ります。
どう見ても怪しげな話なのですが、アイムと鎧はハカセのことを伝説の勇者だと信じ込み、
ナビィまですっかり騙されてしまいます。

それでハカセの記憶を戻そうということになり、
ハカセが美味しいものを食べれば記憶が戻るかもしれないと適当なことを言ったので、
ハカセとアイムと鎧、そしてルカもくっついていって外食することになりました。

その外食の席上で、ルカが出会った時ものすごい臆病者だったハカセの過去が伝説の勇者だとは信じられないと言い、
ハカセが仲間に加わった時の想い出話をしました。
その話でアイムと鎧は、便利屋をしていたハカセがマーベラス達を海賊だと知って一旦怖がって逃げ出したのに、
契約を守るためには海賊やザンギャックが怖くてもとにかくガレオンの修理をやり遂げ、
それでマーベラス達に気に入られたのだいう顛末を初めて知り、
それを聞いて、アイムや鎧はやはりハカセは記憶を失っていてもそんな勇気があったのだから
伝説の勇者に違いないと言うのでした。

ルカに対してはムキになって言い返していたハカセでしたが、
軽い気持ちで皆を騙したら、アイムや鎧があまりに素直に信じたもので罪悪感を覚えました。
しかし今さら引っ込みがつかなくなってハカセは少し困ってしまいました。

ところがその帰り道、いきなり4人は恐ろしく強い謎のザンギャック怪人に襲われて大ピンチとなります。
そこにマーベラスとジョーが駆けつけ、元ザンギャック兵のジョーはさすがにその怪人が
「宇宙最強の男」の異名を持つ帝国最強の軍師ダマラスであることに気付いて、
慌てて皆にダマラスが途轍もなく危険な相手であることを伝えます。

ダマラスはワルズ・ギルの仇討ちに来たと言い、問答無用でマーベラス達に襲い掛かってきて、
マーベラス達はいきなり「宇宙最強の男」と戦う羽目になって慌て、ダマラスに圧倒されてしまいました。
すると、そこになんとバスコとサリーまで現れて、驚いたことにダマラスと連係して攻撃してきたので、
この予想外の展開にマーベラス達は完全に浮足立ってしまい、
バスコの技によってジョー、ルカ、アイム、鎧の4人は炎に呑まれて燃え尽きてしまい、
怯えて逃げ惑うハカセを庇って1人で戦うマーベラスはダマラスに完膚なきまでに叩きのめされてしまいました。

実はこの時、バスコは炎でジョー達を焼き尽くしたと見せかけて、
サリーに命じて秘かにジョー達4人を炎の中に紛れて助け出しており、
ダメージで動けなくなったジョー達を別の場所に放置してダマラスの目を誤魔化していました。
それでも肝心のマーベラスはダマラスが直接戦っていたので、
バスコもマーベラスを救出することは出来ませんでしたが、
ダマラスは自分とマーベラスの実力差が予想以上に開いており、マーベラスが意外なほどに弱いことに拍子抜けして、
こんな程度の相手をここで殺したところで武人の名誉にもならないと軽侮して、
これならいっそ生け捕りにしてギガントホースに連行して、アクドス・ギルの前に引き立てて、
アクドス・ギルの目の前で殺した方が惨めな海賊にお似合いであり、
皇帝にも喜んでもらえるだろうと思いました。

それでダマラスはマーベラスを気絶させてギガントホースに連行し、
バスコは後でマーベラスを逃がす時に上手く使おうと思い、
マーベラスのモバイレーツとレンジャーキーを奪いました。

そうしてマーベラスを連れ去ろうとするダマラスとバスコをハカセが止めようとしますが、
ダマラスもバスコもマーベラス一味で一番の弱虫で賞金額も一番低い小者のハカセなど眼中に無く、
無視して去っていき、ハカセは足がすくんで何も出来ませんでした。

マーベラスはこうして初めてギガントホースの司令室に連れて行かれて、
そこで鎖に縛られたまま初めて皇帝アクドス・ギルと対面します。
全く無礼な態度で皇帝に悪態をつくマーベラスに怒ったダイランドーはすぐに処刑するよう命じ、
ダマラスはマーベラスを殺そうとしましたが、アクドス・ギルはその場で処刑するのを制止し、
地球征服を楽にするためにマーベラスを地上で公開処刑として、
ザンギャックに逆らえる者はこの地球にはもはやいないのだと思い知らせようと考えました。

一方、1人だけ生き残ったハカセはガレオンに戻って落ち込みます。
ジョーとルカとアイムと鎧の4人は死んでしまい、マーベラスは連れ去られて多分殺されてしまっただろう。
つまり、もうマーベラス一味の旅は終わってしまった。
それがハカセにとっては一番ショックでした。

ハカセのもともとの夢は、別に大それたものは何も無かったが、
自分の信じた道を突き進める居場所を手に入れることでした。
そのために故郷の星がザンギャックに滅ぼされると
ザンギャックの支配がほとんど及ばない辺境の星に逃げていましたが、
そこで奇妙な縁でマーベラス達と旅をするようになり、
最初はイヤだったが、誰にも縛られずに自分の信じた道を行く海賊生活をハカセは気に入るようになり、
ずっとこの旅が続いて欲しいと思っていました。

それがハカセの夢だったといえます。
臆病者で、およそ海賊向きではない性格のハカセでしたが、それでも海賊が好きだったのです。
そして、マーベラス達、5人の仲間のことをハカセは本当に大事に思っていました。
だから、海賊としての旅が終わってしまい、仲間をみんな失ったことはハカセにとって大変なショックでした。
しかもその最後の瞬間、自分はその大切な仲間に
自分が伝説の勇者だったなどという嘘をついたままであったということもハカセには非常に悔やまれました。

一方でナビィはまだマーベラスの生存を信じて、
ハカセに伝説の勇者だった頃を思い出して戦ってマーベラスを助けてほしいと言いますが、
ハカセが実は伝説の勇者だったなどというのは嘘だったと告白したので驚きます。

そこに電波ジャックで全世界に向けて放送が流れ、十字架に鎖で縛られたマーベラスが映し出され、
マーベラスの公開処刑を行うことを横に立ったダマラスが告げます。
それを見てナビィはハカセに公開処刑の会場に行って処刑の前にマーベラスを助けようと提案しますが、
ハカセは拒絶しました。

公開処刑会場にはダマラスがいます。
伝説の勇者でもなんでもない、さっきの戦いでもマーベラスの足手まといにしかならなかった弱い自分1人が
ダマラスと戦って勝てるわけがない。
だから行っても無駄だとハカセは言いました。
するとナビィはいきなりハカセの横っ面を張り倒し、失望した様子で、
「海賊になりたての頃のハカセの方が今より弱くても弱いなりにもっと輝いていた」と言いました。

それを聞いて、ハカセは自分がマーベラス一味に入ったばかりの頃、
弱くても自分のやれることだけ全力でやる限り、海賊は仲間として認めてくれるのだと知って、
それで海賊のことが好きになり、海賊として旅を続けていく自信が生まれたことを思いだしました。

ハカセは最初、一味の4人の中で自分だけが弱くて足手まといなんだと思って卑屈になっていました。
でも、仲間のマーベラス、ジョー、ルカに接していくと決してそうではないことに気付きました。
3人は確かに勇ましいが、自分の弱さは分かっていました。
皆、ザンギャックに過去に酷い目にあわされてボロボロになった、その絶望から立ち上がって海賊になったのです。
だから自分達が強大なザンギャックに逆らって海賊の旅を続けていることが
ギリギリの危険と隣り合わせだということは分かっており、
自分達が決して強くないこと、優位でないことも分かっています。
だから仲間で力を合わせて、それぞれが出来ることを全力でやって補い合っていく。

それが海賊なのだということが分かったハカセは、
そうした海賊団でならば、こんな自分でも全力で出来ることをやれば皆の役に立つことが出来るということに気付き、
かつてない喜びを覚えたのでした。
そうしてハカセは海賊になり、海賊として仲間と共に旅を続けてくることが出来ました。
自分の出来ることを全力でやることに喜びを見出す限り、ハカセにとって海賊の旅は終わらないのです。

だから、今の絶対的不利な状況でも、これまでの長い航海の全てが絶対的不利な状況であったのと何ら変わりない。
自分のやるべきことは今までと同じだとハカセは思いました。
それは自分の出来ることだけ、とにかく全力でやることでした。
そう覚悟が定まったことによって、もともと奇想天外な作戦を思いつくことが得意なハカセは、
自分の現在出来ることを上手く使って、なんとかマーベラスを助け出して、
再びダマラスとの勝負に持ち込める作戦を思いつきました。
それはハカセが皆に言っていた「伝説の勇者」という嘘を真実に変えてしまうという作戦でした。

すなわち、ハカセがマーベラスの公開処刑場に現れて、
自分は本当は伝説の勇者だと名乗って大暴れすれば、
「宇宙最強の男」などという称号を誇っているダマラスは、きっとハカセを倒そうとして勝負を挑んでくる。
そうしてダマラスの注意をハカセの方に向けた隙に、
ナビィがこっそりマーベラスを縛っている鎖を斬ってマーベラスを救い出し、
マーベラスとハカセの2人でダマラスに立ち向かうという作戦でした。

絶対に上手くいくという保証は無かったが、とにかくそれが現時点でハカセが出来ることであり、
ハカセはこれをとにかく全力でやり遂げようと思ったのでした。
これを全力でやっている間はとにかくハカセの海賊の旅は終わらないのです。

一方、公開処刑場にはバスコが現れて、マーベラスの架けられた十字架の傍らにやって来ます。
結果的にはバスコはマーベラス一味の討伐の功労者ということになるのですが、
ダマラスのバスコへの対応は冷淡そのものでした。
マーベラス一味の討伐を無理に手伝わせたわけですから、
ダマラスは少しはバスコに仲間として感謝すべきところですが、
ダマラスという男は徹底的に弱者が強者に従うのは当然だという「力の信奉者」であり、
仲間の絆などというものの意味を解さないエゴイストでした。

ダマラスがアクドス・ギルやザンギャック帝国に忠義を尽くすのも、
アクドス・ギルがダマラスよりも強く、ザンギャック帝国が強大な力を持った帝国だからでした。
そしてバスコがダマラスの命令で動かされたのは、ダマラスの方がバスコより強い以上当然のことでした。
だから感謝などする必要は一切無く、2人の間に仲間の絆など全く無い。
ダマラスというのはそういう冷淡な男であり、
自分の武人としてのプライドだけを大事にして生きている、他人に対しては極めて薄情な男でした。

そういうダマラスの本質を知っていたからこそ、
バスコは初めて出会った頃からダマラスのことを大嫌いでした。
つまりは、バスコは本当は仲間の絆というものの価値を理解し、重んじることの出来る男なのです。
実際、赤き海賊団ではアカレッドやマーベラスと、それなりに助け合って仲良くやって楽しんでいました。
だから、そういう温かい心を全く理解出来ないダマラスをバスコは心底軽蔑し嫌悪していました。

そのバスコも赤き海賊団を裏切って以降は「仲間の絆」などにはお宝を探す上で価値は無いと切り捨てていますので、
自分はダマラスと同じようなものだとは思っていました。
だからダマラスに冷淡な対応をされても別に平気です。
そもそも既にバスコはダマラスを秘かに裏切っていますから、感謝などされるべき相手ではありません。

裏切りとは、バスコがダマラスに隠れてジョー達を助けたことでした。
ジョー達と、それにハカセも生き残っている以上、
マーベラスがここで処刑されても彼らが残り2個の「大いなる力」を集めてくれることも期待は繋がっています。
しかし、やはりマーベラスがいてこその「宇宙最大のお宝」探しなのだろうとバスコは思いました。
マーベラスを失ったジョー達が残り2個の「大いなる力」を探そうとする情熱を維持することが出来るとは、
あまり思えませんでした。

だから、最終的に自分が「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
ここでマーベラスを処刑させるわけにはいかないのだと思い、
バスコはダマラスを出し抜いてマーベラスを助けるためにこの処刑場にやって来たのです。
そこでバスコはダマラスを油断させるためにマーベラスの前に行き、
先日奪ったサンバルカンとファイブマンの2つの「大いなる力」を示して見せて、
これでマーベラスが死ねば残りの「大いなる力」も全部自分のものとなり、
「宇宙最大のお宝」も自分のものになるのだと言って嬉しがりました。

そうやって自分がマーベラスの処刑を喜んで見物しに来たのだとダマラスに思わせて油断させ、
バスコは隙を見つけてマーベラスの鎖を断ち切って逃がしてやろうとチャンスを窺います。
しかし、ダマラスにはなかなか隙が無く、バスコもマーベラスに手を出せません。
あれほどダマラスの圧倒的な力を見せつけられては
ハカセやジョー達がマーベラスを助けには来ないだろうとバスコは思っていましたので、
自分が助けなければマーベラスは処刑されてしまう。
だからなんとかして助けようとは思うのですが、バスコ自身が下手に動いてダマラスに討たれては意味が無いので、
バスコは行動が起こせません。

そうこうしているうちに処刑執行の時刻となってしまいます。
ところがマーベラスは勝ち誇るダマラスに対して、
まだハカセが生き残っている以上、マーベラス一味を倒したことにはならないのだと言うのです。
マーベラスはハカセがこの圧倒的不利な状況で自分を助けに来るとまでは思っていませんでしたが、
ハカセだけでも生き残っていれば、マーベラス一味の精神は受け継がれて、
きっと「宇宙最大のお宝」は手に入れることが出来ると確信していたのでした。

しかしダマラスはマーベラスがハカセが助けに来る期待に縋っているのだと思い、
その醜態を嘲笑い、あんな軟弱な奴に何が出来るものかと一笑に付します。
バスコもダマラスに同感でした。
ハカセが助けになど来るはずがない。
そう思ってバスコが焦ったその時、誰もが予想外なことに、その場にハカセが現れて戦い始めました。

しかも自分のことを「伝説の勇者」などと称してダマラスを退治すると宣言して
派手に正面突破を試みているのを見て、一同は呆れました。
マーベラスもいったい何をバカなことをしているのかと呆れましたが、
ハカセは全力でゴーミンやスゴーミン相手に奮戦し、なかなか倒されません。

そうして戦いながらしつこく「伝説の勇者」であることをアピールして
ダマラスを挑発し続けるハカセの調子に乗った態度を見て、
ダマラスは自分の武人としての誇りを踏み躙られているような気がして腹が立ってきました。
本物の「宇宙最強の男」である自分を前にして、全く取るに足りない軟弱なゴミクズのような男が
ヘラヘラと笑いながら「伝説の勇者」などと自称し、自分を退治するなどと生意気なことを言う。
こんな侮辱をこのまま見過ごすことは出来ないと思ったダマラスは、遂にハカセの前に降り立ち、
斬り捨ててやろうと迫ります。
ハカセはダマラスが罠にかかったと内心ほくそ笑みますが、
こうなると今度は自分が絶体絶命の危機です。
なんとかナビィがマーベラスを助け出すまでもちこたえようと必死で応戦します。

一方、ダマラスがマーベラスの十字架の横を離れたのを見て、
バスコは思わぬチャンスが到来したと思い、マーベラスの鎖を解き放とうとして十字架を見上げました。
すると、もう既にダマラスが十字架の横を離れた瞬間にナビィが後方から現れて
マーベラスの腕を縛っている鎖を断ち切ろうとしており、マーベラスは驚き、バスコも秘かに驚きました。
ハカセの無謀な突撃はナビィとのチームプレイであったことに気付いたのでした。

ハカセとナビィがそれぞれ弱いにもかかわらず、
それぞれが出来ることを全力でやって補い合うことでマーベラスを助け出すことに成功したのです。
そうしてマーベラスは十字架から脱出し、ダマラスに追い詰められているハカセのもとに降り立ち、
ダマラスは驚愕しました。

そしてバスコはその一部始終を黙認し、確かに「仲間の絆」には大きな力があることを認めざるを得ませんでした。
バスコはマーベラスの傍にいながらダマラスを恐れて結局動くことが出来なかったのです。
それなのにハカセはバスコよりも遥かに弱いにもかかわらず、仲間を助けるために弱いなりに全力を尽くした。
その結果、仲間の絆というものを理解出来ない冷酷なダマラスはハカセの行動の意味を理解出来ず、
まんまとハカセの罠に嵌ったのです。

ただ、それは計略が優れていたというだけの問題ではない。
ハカセが命懸けで戦ったからこそ、この計略は成立したのであり、
ハカセとマーベラスの仲間の絆の力が、仲間の絆を知らないダマラスを凌駕したのです。

バスコもマーベラスも最初、ハカセの行動の意味が分からなかった。
これはハカセの計略が巧みだったからですが、
こうして作戦が成功してしまうと、ダマラスはどうして自分の目算が狂ったのか
未だに理解出来ず混乱していましたが、
マーベラスはもちろん、バスコもまた、これが「仲間の絆」の勝利だということが理解出来ています。

どうしてダマラスにはそのことが分からないのかというと、
ダマラスは強者が弱者を従わせる覇者の論理しか知らず、
弱い者同士、出来ることを全力でやって足りない部分を補い合う「仲間の絆」というものを全く知らないからです。
そしてマーベラスとバスコがそれを理解出来るのは、2人とも赤き海賊団に居た時に
その「仲間の絆」で結ばれていた同士だったからです。
いや、もともとこの海賊流の助け合い補い合う「仲間の絆」をマーベラスに教えたのはバスコであったのです。

バスコはハカセのマーベラス救出劇を見て、
「仲間の絆」の力が「仲間の絆」を知らないダマラスの力を凌駕するのだということを思い出したのでした。
そうして、それはそのダマラスを恐れて動くことも出来なかった現在の自分の力をも凌駕していることに気付いて、
バスコは愕然としました。

一方、どうして自分がこんな弱い奴らの計略に嵌ってしまったのか理解出来ず混乱しているダマラスの前に
死んだはずのジョー達4人までもが現れたので、ますますダマラスは混乱しました。
マーベラスとハカセもジョー達は死んだものと思っていたので驚き喜び駆け寄りました。
そしてジョー達の出現はジョー達を秘かに助けて放置していたバスコにとっても一応予想外ではありました。
あれだけのダマラスの圧倒的な強さを見た後では、
ジョー達がせっかく拾った命をまた危険に晒すような真似をして、
ここにやって来ることはないだろうとバスコは思っていたからです。

しかし、それは厳密には少し前までの認識でした。
ハカセの行動を見て弱さを自覚してなお足りないところを補い合おうとする
「仲間の絆」の力を思い出したことによって、
バスコは必ずジョー達はここにやって来るだろうと確信し直していました。

そしてジョー達がここに現れれば、その瞬間、自分の裏切りがダマラスに発覚することも分かっていました。
だからバスコはジョー達が現れることを予測して、その瞬間に備えていることが出来たのです。
果たしてジョー達が現れた瞬間、バスコは素早く動いて、
愕然としてジョー達を見据えるダマラスの背後に忍び寄っていました。

そしてルカがサリーに炎の中から救い出されたのだとダマラスに教えて、
ダマラスがバスコの裏切りに気付いた瞬間、
既にバスコの剣が背後からダマラスの身体に深々と突き立てられていたのでした。

これにはマーベラス達6人も驚愕しました。
またバスコが今度はザンギャックを裏切ったのかと思ったのです。
しかしバスコにしてみたら、こんなものは本当の意味での「裏切り」ではありませんでした。
もともとダマラスは「仲間の絆」など知ろうともしない冷酷な男であり、
力で自分を屈服させて使役していたに過ぎない。
だから、隙を見つけて噛みついてやっただけの話でした。

むしろ、このバスコの行動は「仲間の絆」の持つ力を再び信じてみようとしたものだといえます。
さっき十字架の横でバスコはダマラス相手に怖気づいて斬りかかることが出来なかった。
しかしバスコはその前、サリーがダマラスに殺されそうになっている時、
咄嗟にダマラスに斬りかかることが出来ました。
つまり、バスコもまた「仲間の絆」の力によってダマラスに挑むことは出来ていたのです。

ならば、この裏切りが発覚してしまうタイミング、
先に斬らねば自分が斬られる絶体絶命の場面でバスコは難敵のダマラスに斬りかかる勇気を引き出すために、
かつてのマーベラスとの「仲間の絆」を一瞬甦らせて信じてみることにしたのでした。

マーベラスだけでもダマラスに勝つことは出来ないし、バスコだけでもダマラスに勝つことは出来ない。
でも昔のように2人が全力で戦って足りない部分を補い合えば、
ダマラスに一太刀、致命傷を与えることぐらいは出来るかもしれない。
マーベラス達に意識を集中しているダマラスの隙を突いて攻撃を仕掛ける時、
バスコは昔のようにマーベラスとの「仲間の絆」を信じて勇気を引き出したのです。

そして、さっきサリーを助けるために斬りかかった時は
ダマラスもバスコの攻撃に備えていたので一太刀も入れることは出来ませんでしたが、
今回のマーベラスへの助太刀のバスコの一撃は、ダマラスの虚を突いたため、
見事にダマラスの身体に突き刺さったのでした。

ただダマラスも「宇宙最強の男」と異名をとる化け物ですから、これだけで沈むことはなく、
逆にバスコを弾き飛ばします。
それでもバスコは十分に手応えは感じており、ダマラスはもはや本来の力では戦えないと判断しました。
そうなればもう長居は無用でした。

バスコの目的は、自分がこの場を逃げ切ることと、マーベラス達がダマラスに倒されないようにすることだけであり、
ダマラスに致命傷に近い一撃を叩きこんだことによって、その2つの目的は既に達されたようなものだったからです。

ダマラスはもうバスコを追撃する力は失っており、そもそも追撃は出来ない。
マーベラス達にこの場で倒されるからです。
マーベラス達にはダマラスの想像も及ばない「仲間の絆」の力がある。
万全な状態のダマラスならば、それすらも蹴散らしたであろうが、
もはや今のダマラスではマーベラス達の「仲間の絆」の力を凌駕することは出来ない。

そのようにバスコは判断しました。
それだけ「仲間の絆」の力というものをバスコは信じたのです。
だが、かといってバスコはマーベラスと仲間に戻って馴れ合うつもりなど毛頭ありませんでした。
そんなことが今さら出来るはずもないし、
バスコが信じたのは、あくまで「仲間の絆」というものの持つ一般論としての力でした。

自分とマーベラスの間に絆などもはや無いことはバスコも当然分かっています。
ただ単にさっきはダマラスをどうしてもこの場で始末しなければいけない必要上、
マーベラス達に助太刀する形でダマラスに斬りかかる勇気を引き出すために、
マーベラスとの仲間の絆を思い出してみただけの話です。
それさえ上手くいけば、もうそんな気分は必要ない。
だからマーベラスと馴れ合うつもりなどはバスコには毛頭ありませんでした。

ただ、「仲間の絆」が強大な力を発揮することはバスコも認めざるを得なかった。
それゆえ、マーベラス達の「仲間の絆」が、確実に手負いのダマラスを仕留めるであろうと予測は出来ました。
それでバスコは隠し持っていたマーベラスのモバイレーツとレンジャーキーをマーベラスに投げて返し、
困惑してどういうつもりなのか問い返すマーベラスに対して、
「見つけてほしい大いなる力があるから」と理由を言い、
マーベラス達が残り2つの「大いなる力」を揃えたら決着をつけると宣言し、
あくまで敵同士であることを念押ししてバスコはサリーを連れてその場を去っていったのでした。

こうしてバスコはマーベラス達の「仲間の絆」の力を認めました。
そしてバスコもまた自分とサリーの「仲間の絆」を認めました。
しかし、それではバスコはマーベラス達に勝てません。
同じように「仲間の絆」の力で戦うとしたら、6人の絆の力と、1人と1匹の絆の力では、
前者の方が強いのは当たり前です。
だからバスコは「仲間の絆」の力で戦う気などありませんでした。

バスコは今回のダマラスの一件で大事なことに気が付いたのです。
自分はダマラスのように「仲間の絆」を知らない冷酷な人間ではない。
むしろ「仲間の絆」の大切さを知っている人間なのです。
アカレッドもマーベラスも自分にとっては、かけがえのない大切な仲間だった。
その大切な「仲間の絆」を苦しみ抜いて捨て去ってでも夢を掴もうとする心の強さこそが、
自分の強大な「夢を掴む力」なのだとバスコは気付いたのです。

マーベラス達の「仲間の絆」の力の強さを認めるからこそ、
その大切な「仲間の絆」をも捨てて夢を掴もうとする自分の執念こそが、
マーベラス達の仲間の絆を凌駕して「宇宙最大のお宝」を掴む自分の力となるのだと
バスコは確信することが出来たのでした。

そして、そのためには、かつてアカレッドやマーベラスを断腸の想いで捨てた時のような、
捨てることを前提とした本当に大切な「仲間の絆」がバスコには不可欠であったのです。
それがバスコにとってのサリーとの「仲間の絆」でした。

自分は裏切りの中でこそ強くなるという直感は正しかったとバスコは思いました。
しかし、それは断腸の想いで裏切るだけの深い「仲間の絆」があることが前提となった
「裏切り」によってこその強さであったのです。

そういうわけでバスコはこれから努めてサリーとの仲間の絆を深いものにしていこうと思いました。
それは、いよいよ「宇宙最大のお宝」を掴もうとする時、
マーベラス達との決着の際に、マーベラス達の「仲間の絆」を撃ち破るために、
サリーとの大切な「仲間の絆」を捨てて夢を掴もうとする執念の強さを自らに引き出させるための下準備でした。

こうしてバスコが歪んだ決意を固めて去っていった後、
マーベラス達は手負いで怒り狂うダマラスとの決戦に突入します。
ダマラスは手負いの不利は承知であったが、
作戦を失敗してギガントホースに戻れば、アクドス・ギルはおそらく自分を許さず
処刑するだろうということが分かっていたので、そのまま戦います。

そのダマラスの最後の執念は凄まじく、マーベラス達は苦戦しますが、
それでもマーベラスとハカセのさっきとは見違えるような見事な連係攻撃など、
6人の互いに弱さを補い合う攻撃によって徐々にダマラスを追い詰めていき、
遂にはしつこく食い下がるダマラスを倒したのでした。

そしてハカセは仲間を取り戻し、再び海賊として旅を続けることが出来るようになり、
戻ってきた仲間に「伝説の勇者」の件で嘘をついていたことを告白し深く謝罪したのでした。
しかし、アイムや鎧は、怖くても勇気を出してマーベラスを助けてくれたハカセはやはり勇者なのであり、
自分達にとってはハカセはやはり伝説の勇者なのだと言ってくれるのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:56 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月25日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その17

ザンギャック帝国の皇太子でもある、地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルが
帝国最強の決戦機グレートワルズもろとも、ゴーカイジャーに撃破されて戦死したという大事件は、
各方面に大きな変化を促しました。
その結果、物語は大きく佳境に向けて動き出し、ここから起承転結の結にあたる第4部に入っていきます。

まず地球侵略軍の参謀長であるダマラスはワルズ・ギルの戦死に大きな衝撃を受けます。
ダマラスは皇帝アクドス・ギルから直々にワルズ・ギルの補佐役として付けられて、
実質的にダマラスが地球を征服し、その手柄をワルズ・ギルに献上するように命じられていたのですから、
ワルズ・ギルが戦死したとなればダマラスは皇帝の信頼を裏切ったことになり、責任を問われるのは必至となります。
ならば、せめてワルズ・ギルを殺した下手人であるマーベラス一味の首を取っておくしか、
ダマラスの名誉挽回の道はありません。

いや、海賊一味の首を取ったぐらいで帝国の後継者を守りきれずに死なせてしまった罪が
軽減されるはずもないとはダマラスも分かっていましたが、ダマラスは純粋にマーベラス一味が憎かったのです。
ワルズ・ギルには散々邪魔ばかりされたダマラスでしたが、
基本的には皇帝一族には忠誠心の篤い武人であるダマラスは、ワルズ・ギルの死を普通に悼み、
帝国に仕える武人として仇であるマーベラス一味を憎んでいました。

もともとワルズ・ギルが暴走したのは彼自身の誤解によるものでしたが、
その誤解を生んだのはダマラスがワルズ・ギルの陰口を叩いていたことが発端であり、
ダマラスは自分がワルズ・ギルを追いつめてしまったのだと責任も感じていました。

それに何より、司令官を殺されて引き下がっては、宇宙最強の武人といわれたダマラスの名に傷がつきます。
ダマラスは自分の武人としての名誉に賭けて、必ずマーベラス一味を討ち取らねばならないと決意しました。
幸い、ダマラスの出撃を禁じていたワルズ・ギルはもうこの世にいませんから、
ダマラスは地上に降りてワルズ・ギルの敵討ちの名目でマーベラス一味を相手に心置きなく
その力を振るうことが出来るようになったのです。

ただ、ワルズ・ギル亡き今、地球侵略軍の事実上のトップはダマラスですから、
まずは司令官を失って動揺する全軍をまとめて態勢を整えなければなりません。
また、ワルズ・ギルの遺体を丁重に弔い、事の次第を本星の皇帝に報せ、本星からの指示を受ければならない。
今や実質的な新司令官となったダマラスはワルズ・ギルの敵討ちをしたいという意向を皇帝に伝え、
まずは皇帝からその許可が下りてから動かねばなりません。
そこでまずはダマラスはインサーンにマーベラス一味を倒すための作戦を一任し、
自分は急ぎ全軍の掌握と本星との連絡にあたりました。

そのダマラスからのワルズ・ギル戦死の緊急の第一報はザンギャック本星の皇帝宮殿に届けられ、
それを受け取った皇帝アクドス・ギルは当然、驚愕しました。
そのダマラスからの報告には、ワルズ・ギルがグレートワルズに乗って海賊と戦い
敗れて死んだと簡潔に記してありました。

しかし、アクドス・ギルは司令官のワルズ・ギル自らがグレートワルズに乗っていたということや、
グレートワルズが海賊ロボごときに敗れたということなど、ダマラスの報告は不自然なことだらけだと思い、
ダマラスが手柄を献上するように命じたことを逆恨みして
ワルズ・ギルをわざと海賊ロボと戦わせて何か小細工でもして謀殺したのではないかと疑いました。

つまりダマラスが地球侵略軍を乗っ取って謀反でもしたのかもしれないと思ったアクドス・ギルは、
海賊討伐のために兵を動かしたいという旨のダマラスの要望も何か裏があるのではないかと疑い、
しばし考えた後、とにかく地球侵略軍は全軍、兵を動かすことも出撃することも控えて
地球上空で待機して本星からの次の命令を待つようにと、ダマラス宛てに返信させたのでした。

そうしておいてアクドス・ギルは秘かに本星での執務を整理して親征の準備を整え始め、
皇帝親衛隊に出撃準備を命じました。
ダマラスがもし謀反を企んでいるのなら、並の者を鎮圧に行かせても返り討ちにあうだけですから、
自ら親衛隊を率いて秘かに出撃して地球侵略軍を急襲してダマラスを捕えるしかないと、
アクドス・ギルは考えたのでした。

一方、地球侵略軍の方では、インサーンがジョーに破壊されたバリゾーグの残骸を回収、修理して、
バリゾーグを復活させようとしましたが、
頭脳回路が壊れてしまっていたためバリゾーグとしての意識や記憶は復活せず、
意識の無い機械人形としてしか復活しませんでした。

そこでインサーンは自作の合体銃でその空っぽのバリゾーグと鎧を合体させて操り、
海賊一味を打倒しようと考え、作戦を実行しましたが
間違ってマーベラスと鎧を合体させてしまった挙句、結局失敗し、
再び分離したマーベラスと鎧によって合体銃を壊され、バリゾーグも完全に破壊されてしまい、退却します。
このあたりのエピソードは講談社スペシャルDVD
「ギンギンにド派手にいくぜ36段ゴーカイチェンジ!!」において描かれています。

そうしてインサーンの作戦が失敗し、次は自ら出撃したいと意気込むダマラスでしたが、
まだ本星からの出撃許可が出ないので待っていたところ、
そこにようやく、「本星から次の指示があるまで全軍待機せよ」という命令が本星の皇帝から届いたのでした。

自分が帝国に対する謀反の嫌疑をかけられてしまっているとは想像もしていないダマラスは、
皇帝がワルズ・ギルの死に激しい怒りを抱いて自分に向けて謹慎を命じたのだと受け取り、
畏まって大人しく命令に従い謹慎し、次の沙汰を待つことにしたのでした。

ここで第39話に入り、こうしてザンギャック地球侵略軍の動きはここにきて完全に止まってしまったのですが、
その頃、地球から離れた宇宙の某所に潜んでいたバスコは
地球でワルズ・ギルが戦死したというニュースを知って驚きました。
そして、困ったことになったと思いました。

バスコはマーベラス達に自分の確保している3つ以外の全ての「大いなる力」を集めさせてから
全部を奪おうと思っていました。
しかし、ワルズ・ギルが死んだということはダマラスが自由に動けるようになったということであり、
ダマラスは自由に動けるようになれば間違いなくワルズ・ギルの仇討ちのために
マーベラス達を討とうとするはずです。
そしてダマラス相手ではマーベラス達は勝ち目は無い。必ず殺されてしまうはずです。

しかしマーベラス達が「大いなる力」集めの途中でダマラスに討たれてしまうと、
マーベラス達の持つ「大いなる力」やレンジャーキーやナビィ、ガレオンなどは
ダマラスに奪われたり壊されたりする危険があります。
もしそれらがダマラスの手に渡ると、バスコも今やダマラスに会えば無事では済まない関係であり、
バスコはダマラスに勝つ力はありませんから、バスコはダマラスからそれらを奪うことは出来ず、
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来なくなってしまいます。

それを阻止するためには、マーベラス達がダマラスに倒されてしまう前に
バスコがマーベラス達の集めた「大いなる力」を奪うしかありませんが、
もしマーベラス達が全部の「大いなる力」をまだ集めていないのならば、
まずバスコが残りの「大いなる力」を急いで集めてからマーベラス達と戦って、
マーベラス達の手持ちの「大いなる力」とレンジャーキーとナビィとガレオンを奪うという手順となります。

ダマラスもワルズ・ギルが死んで地球侵略軍をまとめたり
本星との遣り取りなどですぐには動けないであろうから、
急いで自分が地球に戻って「大いなる力」を集めれば、まだその手順でも間に合うはずだとバスコは考えました。

それでバスコは秘かに急いで地球に戻り、マーベラス達の様子を窺うと、
なんとマーベラス達は第31話の時にバスコが最後に会った時から
1つも新たな「大いなる力」を手に入れていないようであり、バスコはガッカリしました。

そうなると、バスコが急いで掻き集めなければいけない「大いなる力」は、
バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマン、カクレンジャー、メガレンジャーの
5戦隊の分ということになります。
そうしてバスコが探索したところ、すぐに在り処が分かったのは
サンバルカン、ファイブマン、メガレンジャーの3戦隊で、
さっそくバスコは、まずはこの3戦隊の「大いなる力」を確実に手に入れるための計略を練り始めました。

この残り5戦隊のうち、バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマンの3戦隊は、
チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、オーレンジャーと共同歩調をとって、
マーベラス一味を観察していた7戦隊の一員でした。
このグループは、もしマーベラス達が自分達の「大いなる力」を求めてやって来たら、
「大いなる力」を渡す交換条件として、お宝を使って宇宙の作り直しをするよう求めようとしていたグループです。

この7戦隊のうち、オーレンジャーはマーベラス達に無条件で「大いなる力」を渡して、
このグループを抜けましたが、
チェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3戦隊はバスコに「大いなる力」を奪われたものの、
そのままグループには残って残り3戦隊と共にマーベラス達を観察し続けていました。

その残り3戦隊、バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマンも、
マーベラス達が「大いなる力」を求めてやって来たら、
「大いなる力」を渡す代わりに宇宙の作り直しをするよう求めるつもりで待ち構えていたのですが、
この3戦隊のうち、5番目のスーパー戦隊のサンバルカンと、14番目のスーパー戦隊のファイブマンが
次のバスコのターゲットになってしまったのです。

このようにバスコが「大いなる力」を狙って動き出したのは、
もともと第31話以降、わざとマーベラス達にお宝ナビゲートをするのを止めて
バスコを焦らせようとしていたアカレッドの狙い通りの展開だったのですが、
皮肉なことにアカレッドは第38話においてグレートワルズに敗れて吹っ飛ばされたガレオンや
船内のマーベラスを守るために自らの「大いなる力」をほとんど放出してしまい、
思念体としての活動を再び停止してしまったので、
このバスコの行動を感知してマーベラス達にナビゲートで伝えることが出来ませんでした。

そしてもう1つ、今回バスコがターゲットとした戦隊である21番目のスーパー戦隊のメガレンジャーは、
サンバルカンやファイブマンとは違って、
マーベラス達に戦ってザンギャックを倒して宇宙の平和を実現し得る可能性を感じて期待していました。
メガレンジャーがそのように期待するようになったのは、マーベラス達の黒十字王との戦いを見守った時のことです。

ならば、あの時、ゴレンジャー等と一緒に「大いなる力」をマーベラス達に渡せばよかったようなものですが、
メガレンジャーはマーベラス達に大きな可能性は見出したものの、
同時にマーベラス達にはその非常に困難な目的を達成するために必要な
重大な資質が欠けているということにも気付きました。
だが、それでもってマーベラス達がやはりダメだと決めつけるのではなく、
それは学べばいいのだとメガレンジャーは考えました。
学んで身につけることが出来るならば、それもまた彼らの資質なのです。

メガレンジャーは歴代戦隊の中でおそらく変身前は最弱の戦隊でした。
もともと何の変哲もない高校生だった彼らはたまたま緊急避難的にメガレンジャーの変身アイテムの装着者となり、
スーツの戦闘能力を使って強大なネジレジアの侵攻と戦って世界を守る羽目になってしまったのですが、
正体がバレてはいけないので戦い始めて以降も普通に高校生活を送らねばならず、
戦闘訓練も出来ないので、戦士として鍛えられることもなく、
その分、精神的に最も未熟で弱い戦隊だったといえます。

だから彼らは常に苦戦を強いられていましたが、
それでも彼らがネジレジアと戦い続けることが出来たのは、
自分達が弱いと自覚しているゆえに、
同じように弱い一般の人々への共感が彼らの戦いの原動力になっていたからです。

そして、その共感を原動力としていたゆえに、
最終的に彼らは弱いと思っていた人々の強さを知ったことによって、
自分ももっと強くなれると信じることが出来て、今までに無いパワーを発揮して最強の敵に勝利したのです。
つまり、メガレンジャーの戦う力の源は、「守るべき対象への強い共感」でした。

そして、共感を持つことにより、自分の守るべき人々が戦う力は無くても強い心を持っていることを知ることが、
更なる大きな力を生むきっかけとなる。
このことの重要性をメガレンジャーは経験上、全ての戦隊の中で最もよく把握していました。
それゆえ、彼らメガレンジャーは黒十字王との戦いを見て、
マーベラス達にそうした精神が欠けていることに気付いたのです。

マーベラス達は確かにザンギャックと最後まで戦い抜いて宇宙の平和を実現しようとする道を選ぶ、
そういう資質はある。
しかし勝てなければ意味は無い。
ザンギャックが本気になり、全力でゴーカイジャーを潰しにかかってくれば、その戦力差は圧倒的です。
確かに戦い慣れしたマーベラス達はかつての高校生だった頃のメガレンジャーよりは強いかもしれないが、
ザンギャックはネジレジアよりも遥かに強大な敵ですから、
ザンギャックとゴーカイジャーの力の差は、ちょうどネジレジアとメガレンジャーの力の差と同じようなものです。
いや、もっと絶望的かもしれない。

ならば、現状のゴーカイジャーの力だけで単純にぶつかってザンギャックに勝てるわけはない。
しかし、メガレンジャーがネジレジアに勝った時のように、
守るべき対象の人々への共感がゴーカイジャーに限界を超えた大きなパワーを与えれば、
ザンギャックに勝てるはずだとメガレンジャーは考えました。

すると、地球が戦いの場に選ばれたのが運命的なことにように思えてきました。
おそらく何も無い場所でゴーカイジャーとザンギャックがぶつかれば、ザンギャックの圧勝に終わるでしょう。
しかし、地球の人々を守る戦いとなれば話は違ってくる。
もしゴーカイジャーが地球の人々に共感を覚え、その地球の人々の心の強さを知れば、
ゴーカイジャーも自分達の限界を超えた強さを引き出すことが出来るようになるはずです。

そして、地球の人々が並はずれた強い心を持っていることをメガレンジャーは知っていました。
だからこそ、この地球がゴーカイジャーとザンギャックの決戦の場として選ばれたのではないかと、
メガレンジャーの面々はふと何か見えざる巨大な意思の計らいのようなものを感じました。

だが、そうした見地でマーベラス一味の黒十字王と戦う姿を見ていると、
せっかく声援を送ってくれている地球の人々に対する共感が薄いように見受けられたのでした。
こんな状態では、マーベラス達はかつての自分達のように限界を超えた力を引き出して
ザンギャックに勝つことは出来ないと、メガレンジャーの面々はガッカリしましたが、
よく考えたらそれも仕方ないことだと気付きました。

マーベラス達は宇宙海賊として今までお尋ね者として生きてきたのであり、
基本的に仲間以外は周囲はみんな敵という環境であったのです。
そんな状態では守るべき対象への共感など生まれるはずがない。
人々を守って戦い始めたのもつい最近のことであり、
まだマーベラス達は守るべき人々がいるということの真の意味すら、よく分かっていないのです。

だからマーベラス達も自分を取り巻く環境の変化に未だ戸惑っているのであり、
戦って声援を送られるということ自体が初めてで、どう対処していいのか分からないのだろう。
黒十字王との戦いを見てそのように理解したメガレンジャーの面々は、
マーベラス達が「大いなる力」を求めて自分達のところへやって来たら、
マーベラス達に自分の守るべき人々への共感とはどういうことであるか学ばせてやろうと考えました。

そのための格好の場所としてメガレンジャーの面々は自分達の母校、諸星学園高校を選びました。
そこには元メガレッドの伊達健太が教員として在職しており、
教え子たちにスーパー戦隊と共に在る地球人の生き方というものをしっかり教えていたからです。
よって、メガレンジャーの面々は自分達の誰のところにマーベラス達がやって来ても、
まずは諸星学園に行かせて健太にマーベラス達を預けるという手筈となっていました。

ところが、バスコがメガレンジャーの「大いなる力」を奪うために目をつけたのも、この諸星学園であったのです。
バスコは学園に大量の爆弾をあらかじめこっそりと仕掛けておき、
それを爆発させると言って脅せば、教え子たちや、彼らの学び舎を守るために教師の健太は抵抗を諦めて
「大いなる力」を差し出すだろうと考えたのです。

そうしてバスコが秘かにその計画を着々と進めていた頃、
インサーンの攻撃を退けたマーベラス達は、ワルズ・ギルを倒したことで今後もしつこく
ザンギャックに狙われることは必至と覚悟しましたが、
ならばこそ少しの暇を見つけて残りの「大いなる力」を早く集めねばいけないと思っていました。
そんな時、ナビィのお宝ナビゲートが発動して、諸星学園高校に行くようにというお告げが出ました。

アカレッド思念体は行動不能になっており、バスコの行動は誰も気付いていませんから、
このナビゲートはたまたま「この星の意思」が
マーベラス達が次に出会うべき戦隊をメガレンジャーだと決めたということを示しています。
「この星の意思」によるナビゲートは、マーベラス一味の成長の段階に応じて決められるようで、
今回はマーベラス一味が「夢を掴む力」を獲得した直後というタイミングで、
諸星学園に行ってメガレンジャーに会う必要性があると「この星の意思」が判断したということになります。

言い換えれば、これまでメガレンジャーに関するナビゲートが無かったのは、
メガレンジャーの「大いなる力」は「夢を掴む力」をマーベラス達が獲得した後でなければ得ることは出来ないと
「この星の意思」が判断していたからなのでしょう。

アカレッドが自らのパワーをほとんど使い切るという代償を払ってマーベラスを救って姿を現して、
その結果、マーベラス達はゴーカイジャーのレンジャーキーの持つ力の全てを引き出せるようになりました。
しかし、それだけではまだザンギャックに勝つことは出来ない。

ゴーカイジャーの「大いなる力」を全て引き出すことが出来るようになった段階で、
その限界を更に超えた力を得る必要があり、
だからこそ「この星の意思」はこの段階でマーベラス達が出会う戦隊としてメガレンジャーを選んだのです。
メガレンジャーこそが最も「限界を更に超えた力」というものを知っており、
マーベラス達にその力を得るヒントを与えようとしてずっと準備していた戦隊なのだということを、
「この星の意思」は知っていたからです。

このナビゲートを受けてマーベラス達が諸星学園高校に行くと、健太が出迎えて、
「大いなる力」を渡す代わりにマーベラス達に1日だけ、この学校の生徒になるよう言いました。
マーベラス達は面食らいましたが、仕方なく健太の言う通りにして、学生服に身を包んで学園内に溶け込みますが、
ハカセと鎧を除いては学校というものに通った経験が無く、
マーベラス達は授業はサボって1日時間を潰せばいいと思い、フラフラと校内をうろつきます。

そうしているとマーベラス達はそれぞれ、校内で様々な生徒たちに出会い、
彼らが皆、ささやかながら夢や希望を抱いて生きていることに気付きました。
そんなことは一見当たり前のことですが、
学校に行ったことのないマーベラス達はこんなに自由に夢や希望を語れる場所があることを初めて知りました。

マーベラス達は夢を叶えるのが命懸けであるザンギャック支配下の宇宙で生まれ育ちましたから、
夢を抱いているのは自分達のようなお尋ね者の海賊ばかりであり、
一般の人々は夢など持っていないものだと思っていました。
だから地球に来ても、マーベラス達は普通の地球人が夢を持っているかどうかなど、そもそも興味も無く、
普段ガレオンで生活し、外に出るのは宝探しと戦いと、あとは買い出しと外食の時ぐらいのマーベラス達は
一般の地球人とゆっくり夢について語り合ったことなどありませんでしたから、
当然一般の地球人も宇宙の他の星の大部分の人達と同じように夢など持っていないものだと思い込んでいたのです。

しかし、こうして日常のマーベラス達では有り得ないような、のんびりとした「学園生活」を送ったことによって、
マーベラス達は初めて地球人の若者がみんな夢を抱いて生きていることを知って、新鮮な驚きを覚えました。
ただ、それは地球人の若者たちが宇宙海賊のように凄い奴らだという意味ではないのだということは、
マーベラス達にはすぐに分かりました。
あくまで地球がザンギャックに支配されていないからこそ、彼らは夢や希望を自由に持つことが出来ているのです。
それに気付いたことによって、マーベラス達は、自分達の戦いの意味が、より明確に分かったのでした。

マーベラス達はゴーオンジャー篇で異世界を巡った際に、
自分達が地球を守って戦う意味は、この宇宙においてザンギャックに支配されていない
未知の世界が失われないようにするためなのだと理解していました。
どうして未知の世界が必要なのかというと、未知の世界でしか夢は見つけられないからであり、
海賊は夢が無ければ生きていけないからです。
だから海賊であるマーベラス達は地球という未知の世界を夢の存在する世界として守るのです。
そして実際、地球には「宇宙最大のお宝」というマーベラス達の夢があります。

しかし、今回、諸星学園で1日、学園生活を送ってみて、
マーベラス達はこの地球に夢を見出しているのは自分達だけではないということを知りました。
この星はザンギャックに支配されていない未知の世界、独特の世界であるゆえに、
誰もが夢を抱くことが出来る世界だったのです。

やはり、未知の世界は夢が見つけられる世界であり、夢に満ちた世界だった。
この星に住む人々は皆、夢を持っている。
今までマーベラス達は宇宙の何処に行っても夢を追いかけているだけであったのに
海賊のレッテルを貼られて排斥されてきた。
しかし、地球では皆が夢を追いかけている、マーベラス達と同じ夢追い人の仲間だったのです。
同じように夢を追う者同士、初めてマーベラス達は普通の人々に対する「共感」を抱いたのでした。

そして、だからこそ、この星の人々の夢を守りたいと強く思いました。
この星の人々の夢を潰させないために、この星がザンギャックに呑み込まれるのを、なんとか阻止したい。
自分達と同じように、この過酷な宇宙で懸命に夢を追っているこの星の人々を守りたいとマーベラス達は思い、
それが自分達がこの星を守る意義なのだと感じました。

健太はマーベラス達にこのことを気付かせるために、
マーベラス達が「夢」を追いかけることをポリシーとしていることを知った上で、
彼らを諸星学園に1日体験入学させ、わざと授業をサボるのを放置して校内を徘徊させて、
真っ直ぐ夢に向かって生きている自分の学校の生徒たちと触れ合わせたのです。

しかし、そうしてマーベラス達が学園生活を満喫していた頃、
健太は校内でウロウロしていたサリーを追い掛けて学校の裏山に誘い出されており、
そこで待ち伏せしていたバスコに出くわしていました。
そこに健太の様子がおかしいので追いかけてきた鎧も割って入り、緊迫した状態となりますが、
バスコは健太に向かって、校内に時限爆弾を大量に仕掛けており、間もなく一斉に爆発すると伝えます。
そして、今ここで大人しく「大いなる力」を渡せば爆発は止めてやるとバスコは言います。

慌てて鎧は校内にいるマーベラスのモバイレーツに連絡して、そのことを伝えますが、
いったいバスコが何処にどれだけの数の爆弾を仕掛けているのかも分からず、
爆発まで10分を切っているという絶望的状況です。
学校や生徒たちを守るためには健太が「大いなる力」を差し出すしかない。

健太はもともとマーベラス達にお宝を使っての宇宙の作り直しをしてもらおうとは思っていませんから、
自分の持つ「大いなる力」を絶対にマーベラス達に渡さなければいけないとまでは思っていません。
健太にとっては、マーベラス達に「大いなる力」を渡すことよりも、
マーベラス達に地球の人々に共感を持って戦う気持ちを理解させることの方が重要でした。
別にメガレンジャーの「大いなる力」が欠けていてもザンギャックとの戦いに絶対的に支障が出るわけではないが、
地球の人々への共感の無いままマーベラス達がザンギャックと戦ったら絶対に勝ち目は無いからです。

その地球の人々への共感はマーベラス達に理解させる手筈は打った以上、
そのためのエサに過ぎなかった「大いなる力」はもはや健太にとってはどうでもいいものでした。
バスコに渡してしまってもいい。
もしバスコに渡してしまって、バスコが変なことをしてメガレンジャーの「大いなる力」を壊してしまったりすれば、
健太たちメガレンジャーは消えてしまうのだが、健太はそんなことは怖くなかった。
それよりも、自分が犠牲になっても、自分の大事な生徒たちの学校を爆発から守れるのならば本望でした。

それで健太は大人しくバスコに「大いなる力」を渡そうとして進み出ますが、
鎧のゴーカイセルラーを通してマーベラスが健太を呼び止めて、
「大いなる力」をバスコに渡す必要は無いと言います。
そして、「生徒たちの夢が詰まった学校は俺たちが守ってやる」とマーベラスは宣言しました。

夢を持つ地球人たちに共感を覚え、地球を守ろうと決意したマーベラス達は、
当然、この夢の詰まった諸星学園を守るということも自らに課したのでした。
だから健太の犠牲によって守られるわけにはいかない。
マーベラス達が自分の力で守らなければ意味はありません。
何故なら、地球人たちの夢を守ることがマーベラス達の夢であり、夢は自分の手で掴むものだからです。
ならば諸星学園だってマーベラス達の手で守らなければいけません。

そのマーベラスの言葉を聞いて、
健太はマーベラス達がしっかり生徒たちの夢に共感を抱いてくれたことを悟り、
マーベラス達が地球の人々への共感という、
来たるべきザンギャックとの決戦において重要になってくるものを手に入れたことを確信しました。

そして、自分がバスコに「大いなる力」を渡して自分を捨てようとしていたのは、
「宇宙最大のお宝」を使って自分の存在を消して宇宙を作り直すという行為と同じだったと気付きます。
自分はその道は選ばずに、
マーベラス達がお宝は使わずに自分の力で戦って絶対的な劣勢をひっくり返して
ザンギャックを倒す可能性に賭けたのだった。
ならば、このケースにおいても、マーベラス達が自分の力で諸星学園を守ってみせると言うのなら、
どんな絶望的状況でもそれに賭けるのが自分の選ぶべき道だったのだと思い直したのでした。

そうして健太は「大いなる力」を渡すことを拒絶し、
マーベラスから健太を守るよう託された鎧がバスコの攻撃を食い止めて健太を守って時間を稼ぎ、
その間にマーベラス達5人が諸星学園校内に仕掛けられた爆弾を全部解除して、
その後で裏山に駆けつけるということになりました。

しかし現実問題として、残り時間10分も無い状況で
数の在り処も不明の爆弾を全部解除することなど不可能です。
それでもやるしかないと、マーベラス達が校内を探し回ろうとした時、
諸星学園のデジタル研究会の部員たちが校内の爆弾の位置を瞬時に特定し、
更に全校生徒たちが爆弾の取り外しに協力してくれたお蔭で、
マーベラス達はギリギリ爆弾の解除に成功し、諸星学園の危機を救うことが出来たのでした。

そして裏山に駆けつけたマーベラス達は絶体絶命のピンチに追い込まれていた健太と鎧を救いました。
バスコは驚きましたが、健太も学園や生徒たちが無事なのか心配して
どうなったのかマーベラス達に質問します。
それに対してマーベラスが学園の生徒たちの協力のお蔭で爆弾を解除出来たと言うのを聞き、
健太は改めて自分の教え子たちの強さを実感し、
自分達メガレンジャーの時と同じように、ヒーローと一般人とが共感し合うことによって
限界を超えたより大きな力を生み出すのだと確信しました。
それが諸星学園の生徒たちとゴーカイジャーの間でも成立することが実証されたと感じて、
健太は来たるべきザンギャックとの最終決戦においても、
きっと地球人の持つ強さがゴーカイジャーの限界を超えた力を引き出すはずだと思いました。

マーベラス達の方は、確かに諸星学園の生徒たちの意外な芯の強さに驚いていましたが、
それは他ならぬ元メガレッドの健太の教え子たちゆえの特殊な例なのだろうという程度に軽く捉えており、
それが他の地球人にも広く見られる強さだとは思っていませんでした。

実際、諸星学園の生徒たちには健太の影響はありましたが、
健太に教えられただけで生徒たちが強い心を持つことが出来ていたわけではない。
それは40年ほどに及ぶスーパー戦隊の戦いを共にしてきた地球人社会全般に浸透していた
強靭な心が基礎となっていることを、健太はちゃんと分かっていました。

だから健太はマーベラス達が地球人に対しての共感を持つようになった以上は、
きっとザンギャックとの決戦時に多くの地球人の強さがゴーカイジャーの更なる強さを引き出すと確信したのですが、
マーベラス達はこの時点ではまだそれに気付いていません。
それにマーベラス達が気付いていないことは健太にも分かっていたが、
それは、いざその時になってマーベラス達が実感して気付けば良いと健太は思っていました。

さて、そうしてその場はマーベラス達とバスコとの戦いになり、バスコも変身して戦いますが、
マーベラス達が以前とは比べものにならないぐらい強くなっていることにバスコは驚きます。
前回、第31話の時はマーベラス達はバスコに全く手も足も出なかったのですが、
今回はちゃんと戦いになっています。
これはやはり第38話でゴーカイジャーの「大いなる力」を全部引き出して
戦うことが出来るようになったからでしょう。

それでもなおバスコの方が優勢ではあったのですが、
戦いのレベルが一気に上がったことによってバスコと一緒に戦っていたサリーが遅れをとってしまい、
サリーは負傷し、絶体絶命のピンチに陥ってしまいました。
それを見てバスコは咄嗟にサリーを庇ってマーベラス達の攻撃を受け、
弾き返しましたが、余計なダメージを負ってしまいました。
ダメージ自体は些細なものでした。
しかしバスコはサリーを身を挺して庇った自分に戸惑いました。

アカレッドの裏切りを知り、アカレッドを裏切ることを決めた時から、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには仲間をも捨てるしかないとバスコは心に決めました。
そんなバスコはどうせ裏切られ裏切るのだから、共に旅をする仲間など不要だと思いました。
それでも1人だと何かと不便であったので、調教すれば裏切ることのない便利な雑用係として
宇宙猿のサリーを入手して仕込んだのです。

だからバスコにとってサリーなどは仲間ですらない、ただの道具のようなもので、
いつでも平気で捨てることが出来る相手のはずでした。
サリーが死んだって、また何処かで宇宙猿を仕入れて調教すればいい。
いくらでも交換の効く都合のいい道具に過ぎない存在でした。

だからバスコがサリーを身を挺して庇うなんてことがあるはずはない。
その、あるはずのないことが起きたのですから、最も驚いたのはバスコ自身でした。
自分が何を考えてそんなことをしたのか分からず、バスコは軽く混乱しました。
何にしてもサリーは怪我のせいで戦える状態ではなく、
バスコは今の混乱した自分が怪我をしたサリーと共にマーベラス達を相手に戦うのは面倒だと感じ、
ここは撤退することにしました。

そもそも、もともとはバスコはメガレンジャーの「大いなる力」はマーベラス達に一旦渡すつもりだったのです。
ダマラスの脅威が迫っているというのに、あまりにマーベラス達の「大いなる力」集めが進んでいないので
業を煮やしてバスコが集めておこうとしているだけなのです。
だからマーベラス達がこうしてメガレンジャーの「大いなる力」を手に入れるために来ているのなら、
もうそれはそれでいい。
もうこのままメガレンジャーの「大いなる力」はマーベラス達に一旦渡しておこうとバスコは思いました。
後で他の「大いなる力」と一緒に奪えばいいのです。

そんなどうでもいい物のためにこんな場所で面倒な戦いを続けるよりも、
ここは撤退して、同時進行で奪取計画を進めているサンバルカンやファイブマンの「大いなる力」の方に
力を入れた方がいいとバスコは思いました。
それでバスコはロイドを足止めに使って、サリーを連れて撤退していきました。
こうしてマーベラス達は健太を守りきりましたが、
バスコを倒して奪われた3つの「大いなる力」を奪取するチャンスはまた逃してしまったのでした。

そしてマーベラス達の諸星学園の1日体験入学は終わり、
健太はマーベラス達が「守るべき地球人への共感」という
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作るための必修単位を取得したことに満足し、
「卒業証書代わりだ」と言って、マーベラス達にメガレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、諸星学園から撤退したバスコは、
これで自分が再び「大いなる力」を集めようとしていることがスーパー戦隊側に知られて、
警戒態勢がキツくなってくるだろうと予測し、
その前にさっさと「大いなる力」を集めてしまおうと思い、
奪取のための計略を進めていたサンバルカンとファイブマンの「大いなる力」を
立て続けにまんまと奪ってしまいました。

これでバスコはサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
5戦隊分の「大いなる力」を手に入れたことになり、
一方、マーベラス達はメガレンジャーの「大いなる力」を合わせて27個の「大いなる力」を集めたことになり、
これで未だ所在不明の「大いなる力」はバトルフィーバー隊とカクレンジャーの2戦隊分のみとなりました。

このうち、3番目のスーパー戦隊のバトルフィーバー隊は、
マーベラス一味に宇宙の作り直しをさせようとしている7戦隊のうち、
未だ「大いなる力」を誰にも渡していない最後に残った1つの戦隊であり、
国防省の秘密諜報組織であるバトルフィーバー隊のメンバーは、
神出鬼没の行動をとりながらこの7戦隊のリーダー的役割を果たしており、
オーレンジャーだけはマーベラス達に無条件で宇宙の未来を託すという方針に変わって
この7戦隊のグループから離脱しましたが、
残りの6戦隊はグループが保持する「大いなる力」がバトルフィーバー隊の分だけになった以降も、
マーベラス達の戦いを出来る範囲で観察し続けていきました。
そしてバトルフィーバー隊はバスコに「大いなる力」を奪われることがないように、
バスコに所在がバレないように細心の注意を払って行動していました。

そうなると、残る動向不明の戦隊はカクレンジャー1つだけということになります。
18番目のスーパー戦隊のカクレンジャーは完全に姿を隠していました。
ただ、バトルフィーバー隊のように「大いなる力」をマーベラス達に対する
取引材料にするために姿を隠していたわけではなく、
カクレンジャーの場合、純粋にマーベラス達やバスコに「大いなる力」を渡さないために姿を隠しており、
バトルフィーバー隊のように他の戦隊と共同歩調をとっているわけでもなく、完全に単独で隠れており、
その隠れっぷりも徹底しており、もともと忍者戦隊ですから姿を隠すのは得意中の得意で、
メンバー5人全員が体内に「大いなる力」を持ったまま完全に消息不明となっていました。

その行方はバスコはもちろん、アカレッドにも「この星の意思」にも掴むことは出来ませんでした。
つまり、カクレンジャーに関しては「この星の意思」もナビィを介して
役に立つお宝ナビゲートをマーベラス達に送ることは出来ない状態であり、
それゆえこれまでカクレンジャーに関するお宝ナビゲートは無かったのです。

そのカクレンジャーも黒十字王との戦いの際には「この星の意思」の呼びかけに応じて
マーベラス達の戦いを見守りましたが、この時を境にカクレンジャーはより徹底的に姿を隠すようになってしまい、
「この星の意思」の力をもってしてもその所在を掴むことは出来なくなってしまったのでした。

これでは一見、カクレンジャーはマーベラス一味を35番目のスーパー戦隊としては
認めていないかのようにも見えますが、
実際はカクレンジャーはマーベラス一味のことを35番目のスーパー戦隊として認めており、
しかも黒十字王との戦いを見て、アカレッドの言っていたように
マーベラス達が戦ってザンギャックを倒し得る可能性も感じていました。

それならどうしてゴレンジャー等のように「大いなる力」を渡そうとしなかったのかというと、
カクレンジャーはマーベラス達が戦ってザンギャックを倒すことを期待するからこそ、
あえて「大いなる力」を渡さないことにしたのです。
何故なら、もしマーベラス達が全ての「大いなる力」を揃えて、
彼らの望むように「宇宙最大のお宝」を手に入れてしまえば、
彼らはお宝の力を使って宇宙を作り直すという道を選んでしまう可能性があるからです。

カクレンジャーは人間の心は純粋な善意だけで出来ているわけでもなく、
常に正しい道を選ぶわけでもないということを知っています。
迷って道を誤ることは誰にでも有り得る。
だからカクレンジャーから見れば、ゴレンジャー以下の多くの戦隊がマーベラス達が
正しい道を選ぶことに賭けて簡単に「大いなる力」を渡しているのは危険だと感じられました。

マーベラス達は苦労して手に入れた「宇宙最大のお宝」が自分の好きなように宇宙を作り直す力があると知れば、
それが畏れ多いことだと思う気持ちよりも、
せっかく手に入れたその力を使ってみたいという気持ちの方に押し切られてしまうだろうと
カクレンジャーは予想しました。

だから、そういう事態を防ぐためには
マーベラス達が34の「大いなる力」を揃えられないようにすればいい。
カクレンジャーの「大いなる力」だけが手に入らない状況が続けば、
マーベラス達は地球に留まって宝探しを継続することになり、
他の戦隊の精神を受け継ぎ、自らの戦う意義にも目覚めてゴーカイジャーの「大いなる力」をも手にした
マーベラス達はザンギャックと戦い続けることになる。

そうこうしてマーベラス達が勝ち続けていれば、
遂にはザンギャックの皇帝も地球に出張ってくることになり、
マーベラス達は地球にやって来たザンギャック皇帝をも倒して、
ザンギャック帝国を打倒することが出来るはずだとカクレンジャーの面々は予想しました。

宇宙の作り直しは34の「大いなる力」が揃わなければ不可能ですが、
戦ってザンギャックを倒す場合は、別に34の「大いなる力」は全部揃っていなければいけないわけではない。
33個しか揃っていなくても、マーベラス達の戦闘力はそう大差は無いはずです。
だからカクレンジャーの「大いなる力」は無くても、ザンギャックを倒すことは出来る。
ならば、万が一にもマーベラス達が宇宙の作り直しという道を選ばないように、
わざとカクレンジャーの「大いなる力」だけは渡さないようにしよう。
そういう思惑でカクレンジャーは「大いなる力」を体内に持ったまま姿を完全に隠してしまったのでした。

確かに、カクレンジャーの予測は鋭い。
マーベラス達は今まで故郷を滅ぼされたりしてザンギャックには散々な目にあっており、
ザンギャックこそが諸悪の根源だと思っていますから、
宇宙を作り直すことが出来ると聞けば、
ザンギャックのいない平和な宇宙への作り直しの道を安易に選んでしまう可能性は高い。
だからその可能性を警戒するのは冷静な見方といえるでしょう。

それに、カクレンジャーの「大いなる力」を欠いていても
マーベラス達が地球にノコノコとやって来たザンギャック皇帝を倒すことが出来る可能性が高いことも
正確な予測でした。

マーベラス達は既にゴーカイジャーのレンジャーキーの全てのパワーを引き出すことが出来ており、
その上に、メガレンジャーの「大いなる力」を得る過程で、
地球人との共感によって更に限界を超えたパワーを引き出すためのヒントを得ています。
そのことにマーベラス達自身はまだ気付いていませんが、
きっとザンギャック皇帝が地球にやって来て地球が絶体絶命の危機に陥った時、
これまでスーパー戦隊と共に歩んできた地球人の意識が覚醒して、
それが地球人と共感したマーベラス達の意識を変え、大きなパワーを引き出すはずです。

それによってマーベラス達はきっとザンギャック皇帝にも打ち勝つことが出来る。
そこにはカクレンジャーの「大いなる力」の役に立つ余地などあまり有りません。
だから別にカクレンジャーの「大いなる力」は渡す必要は無い。
むしろ渡さない方が否応なくマーベラス達とザンギャック皇帝の全面対決しか選択肢は無くなり、
マーベラス達が戦ってザンギャックを倒すという結末に確実に至るのです。

だからカクレンジャーが姿を隠しているという選択は賢明であるように見えます。
しかし、その選択が実はあまり賢明でなかったということに気付いている者がいました。
それは遠い未来、31世紀の世界に暮らす24番目のスーパー戦隊のタイムレンジャーの
元タイムイエローのドモンでした。

ドモンは31世紀世界で時間保護局に勤務しており、過去の歴史を詳細に把握しているのですが、
このマーベラス達の関わる21世紀初め頃の歴史についてもその結末を把握していました。
ドモンも含むタイムレンジャーの31世紀人の4人もタイムワープして2011年のレジェンド大戦には参加し、
その戦いで彼らは「大いなる力」の半分を放出して変身して戦うことが出来なくなり、
「この星の意思」やアカレッドから35番目の戦隊のことや宇宙の作り直しの話などを聞き、
31世紀の未来へ戻りました。

しかし、未来人であり時間保護局員でもある彼らはその義務に従って何も言いませんでしたが、
自分達が参戦することも含めたレジェンド大戦の顛末も、その後の出来事も全てもともと知っていました。
知っていたが、歴史に不用意に介入してはいけないので、
タイムレンジャーの仲間である21世紀人の浅見竜也や、
同じく21世紀の思念体となって参戦した滝沢直人たちにも
彼ら4人は21世紀に起こる歴史の真実を話しませんでした。

「この星の意思」やアカレッドでさえも、あくまで21世紀における存在ですから、
未来の情報を教えることは出来ないので、ドモン達は余計なことは何も言わず、
豪獣ドリルの管理などの役割も31世紀世界で引き受けたりして
レジェンド戦士の一員としての役割はこなしてきていましたが、
実際は31世紀人として、21世紀の歴史において起こったことは把握していました。

ドモン達が把握していた2011年のレジェンド大戦以降の歴史においては、
2014年初めにマーベラス一味が地球に降り立ち、
スーパー戦隊の「大いなる力」を集めながらザンギャック侵略軍と戦ったということは既に分かっていました。
ただ、ドモンの把握していた歴史においては、マーベラス達は結局、
カクレンジャーの「大いなる力」だけは手に入れることが出来ず、
「宇宙最大のお宝」を見つけることは出来ませんでした。

ではその後のマーベラス達がどうなったのかというと、
まさにカクレンジャーの予想通り、2015年の初め頃、マーベラス達は
33戦隊の「大いなる力」とゴーカイジャーの「大いなる力」、
それに地球人のザンギャックに決して屈しない心の強さに共鳴して限界を更に超えた力を発揮して、
ザンギャック皇帝の率いる大艦隊に起死回生の逆転勝利を収めたのです。

ところでこの戦いの時、バスコはどうしていたのか?
ドモンの知っている歴史においては、34の「大いなる力」が揃わない段階で足踏みしていたバスコは、
バスコ自身が既にこの時、ザンギャックから追われる立場となっていたので、
何としても「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには地球を守らねばならず、
地球を滅ぼそうとするザンギャック皇帝アクドス・ギルを倒すしか道はありませんでした。

かといって1人ではザンギャックの大艦隊やアクドス・ギル相手に勝てるはずもないので、
バスコはマーベラス達と共闘するしかなくなり、
最終的には巨大戦力を失ったマーベラスと鎧とサリーと共にフリージョーカーでギガントホースに突っ込み、
皇帝を直接討ち取り大艦隊を一気に殲滅する作戦を決行しました。
しかしバスコは「宇宙最大のお宝」を独り占めするためにマーベラスとアクドス・ギルを一緒に片付けようとして、
マーベラス達を裏切りました。

バスコはマーベラスと鎧とサリーと共にフリージョーカーでギガントホースの艦橋に突っ込んだ後、
秘かに1人だけ破損したがどうにか動かせるフリージョーカーに戻ってギガントホースから離脱して、
ギガントホース艦橋内にマーベラスと共に残してきたサリーの首飾りに仕掛けた爆弾を爆発させて、
マーベラスとアクドス・ギルを一緒に片付け、ギガントホースを内部から破壊し、
その混乱に乗じてフリージョーカーでその場を逃げ、
その後で地上に残っていたジョー達を倒して全てを奪うつもりでした。

ところがサリーがバスコを追ってフリージョーカーに戻ってきていたため、
バスコがギガントホースからフリージョーカーを離脱させてすぐに起爆スイッチを押した瞬間、
フリージョーカーが大爆発を起こしてバスコとサリーは死に、
炎の塊となったフリージョーカーがギガントホースに突っ込んで艦橋と下層部を分断し、
マーベラスと鎧は艦橋でアクドス・ギルとサシで勝負することが出来るようになり、
その結果、大艦隊を殲滅し、ギガントホースも破壊し、
その後、アクドス・ギルをも倒してザンギャック相手に勝利したのでした。

こうした歴史の顛末を知っていましたから、
ドモン達タイムレンジャー31世紀組は、お宝を使っての宇宙の作り直しなど不要だと最初から分かっていました。
よって、滝沢直人の思念体が戦ってザンギャックを倒すことを期待して
鎧にタイムレンジャーの「大いなる力」を渡した時も、その判断を快く受け入れました。
というか、ドモン達は直人の思念体が鎧に「大いなる力」を渡すことも、
その鎧がゴーカイジャーの6番目の仲間になることも、全て最初から歴史上の出来事として知っていたのです。

だからドモン達はただマーベラス達が歴史の記録にある通りにザンギャックを倒すのを
未来から豪獣ドリルでサポートしながら黙って見守っていればよかったはずでした。
しかし、途中でドモンはそのマーベラス達の辿る歴史の流れが、
微妙に自分達スーパー戦隊の望んでいたものとは違うことに気付きました。
そして、それはきっとマーベラス達が望んでいた未来とも違っていたはずだということにも気付きました。

そのドモンの気づいて知った歴史の真実はどういうものだったのかというと、
マーベラス達が2015年の地球においてザンギャックの大艦隊と皇帝アクドス・ギルを葬った後も、
宇宙は混乱が続き、決して宇宙は平和にならなかったのです。
確かに地球は守られたのですが、宇宙は平和にならなかった。
しかし、もともとスーパー戦隊は宇宙を平和にしたくてザンギャックを倒そうとしていたはずです。

皇帝を地球で倒しても、その宇宙の平和の実現という目的は達成することは出来なかった。
それはまずドモンにとっても残念なことでした。
ただ、それ以上にドモンの心に引っ掛かったのは、
スーパー戦隊がマーベラス達をこの地球でザンギャックと戦わせたような形であるのに、
結果的には地球を守ることだけは成功して宇宙の混乱は放置することになってしまったことでした。

もともと地球を守る義理は無かった宇宙海賊のマーベラス達を
伝説の「宇宙最大のお宝」で釣って地球に留めてザンギャックと戦わせたのは、
スーパー戦隊やその思念体であったアカレッドでした。
そんな一種の詐欺のような行為が正当化出来たのは、
ザンギャックを倒して宇宙が平和になれば、宇宙人のマーベラス達も幸せになるはずだからでした。
マーベラス達こそが最も宇宙の平和を望んでいるのだから、
この戦いが宇宙平和のための戦いである以上、マーベラス達を多少騙して巻き込んでも問題は無い。
アカレッドやスーパー戦隊側はそういう考え方でした。

しかし、その結果、地球だけが救われて、宇宙は平和にならなかったという歴史的事実を
ドモンたちタイムレンジャー31世紀組だけは、
途中で地球以外の宇宙の2015年以降の歴史も調べた結果、気付きました。
これでは、まるでスーパー戦隊が地球を守るために宇宙人のマーベラス達を騙して利用しただけのようなものです。
マーベラス達を巻き込んでおいて、こんな結果で本当にいいのだろうかとドモンは悩みました。
どうして当初目指していた結果にならなかったのだろうかと考えた結果、
ドモンはマーベラス達が34の「大いなる力」を揃えられなかったから予定が狂ったのだと気付いたのでした。

そこから先は歴史において起こらなかった事ですからドモンの推測に過ぎませんが、
マーベラス達が34の「大いなる力」を揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れて、
宇宙の作り直しをするかどうかの選択を迫られる時、
初めて彼らが「宇宙の平和」こそが自分達の目指すべき夢だということを強く実感し、
仲間の誓いとなるのではないかと、ドモンは考えました。

ドモンはマーベラス達がザンギャックを倒す歴史を知っていたので、
マーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れることなど必要無いと考えていましたが、
実は「宇宙最大のお宝」を使うこと自体は不必要だが、
「宇宙最大のお宝」を前にして葛藤して「宇宙の平和」について深く考えることは
マーベラス達にとって必要なことだったのではないかと思えてきました。

スーパー戦隊はもともとマーベラス達を宇宙の平和を実現してくれるヒーローとして期待していたのに、
マーベラス達は「宇宙最大のお宝」を前にして「宇宙の平和」について深く考える機会を持てなかったので、
結局ザンギャック軍を地球で破った後、ずっと地球で「宇宙最大のお宝」を探し続けてしまい、
ザンギャック帝国による支配の崩壊後の混乱する宇宙に目を向けることが無かったのです。

だから、宇宙の平和の実現のためには、一旦マーベラス達に「宇宙最大のお宝」を見つけさせて、
その上で真の宇宙平和の実現のためにはお宝を使うべきではないということを自分で悟らせて、
ザンギャック軍を地球で破った後、宇宙平和のために旅立つように仕向けないといけないのだということに
ドモンは気付いたのでした。

しかし、そのようにはならなかったことはもう歴史的事実として確定してしまっていました。
ドモンのいる31世紀から見れば、マーベラス一味もスーパー戦隊も皆、1000年前の歴史上の人物であり、
もう起こってしまったことは取り返しはつきません。

しかしドモンは確かに彼らから見れば1000年後の世界の人間だったが、
同時に同じスーパー戦隊の当事者でもありました。
地球を守るためだけにスーパー戦隊が宇宙人のマーベラス達を利用しただけで良いはずがない。
出来れば、マーベラス達の2015年以降の人生を、
歴史に残っているような無意味な宝探しに費やして地球に埋もれた人生ではなく、
彼らの本来心の奥で望んでいた宇宙の平和という本当の夢を追求する夢と冒険に満ちた人生に変えてやりたい。
それが彼らを巻き込んで地球を守ってもらったスーパー戦隊や地球人としての義務だろうと思えました。

31世紀人だって同じことです。
2015年にマーベラス達が命を賭けて戦ってくれなければ地球はその時滅んでいたのであり、
31世紀の繁栄だって無いのです。
だから、たとえ歴史が変わってしまって31世紀の世界が多少変わってしまったとしても、
2015年のマーベラス達の人生の流れを変えて、
マーベラス達が宇宙平和のために2015年以降も戦い続けるように仕向ける必要があると、
ドモンは決意したのでした。
つまり、ドモンは過去の歴史を変えてやろうと思ったのです。

ただ、いくらタイムマシンで自由に時間移動出来る立場の時間保護局員のドモンであっても、
強引に未来から過去の歴史に介入することは出来ない。
それは世界の摂理が許さないのです。
未来から過去の歴史を大きく変えることを意図したような直接的な介入をすれば、
歴史の修正力が働いて、自然に歪みが修復されて、
結局は元通りの歴史の結果になるように導かれてしまい、歴史は変わらないのです。

だから、ドモンがマーベラス達に直接、宇宙の平和を実現するために戦うように指示するなど論外であるし、
そんな大雑把なことをしてもマーベラス達が素直にそんな指示に従うはずもない。
自然な形でマーベラス達が34の「大いなる力」を揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れ、
その後、彼ら自身の判断で宇宙平和のために戦おうという決意をさせなければいけないのです。

それはカクレンジャーが危惧したように、
下手したら、マーベラス達がお宝を使って宇宙の作り直しをしてしまう可能性もある道なのですが、
ドモンは仲間の直人がマーベラス一味がきっと戦ってザンギャックを倒す道を選んでくれるはずだと
期待したのだから、自分もマーベラス達を信じようと思いました。
だからマーベラス達がお宝を手に入れた後は心配のことはドモンは心配していませんでした。

むしろ問題は、ドモンの知る歴史ではマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れられなかったことでした。
その元凶がカクレンジャーです。
カクレンジャーがマーベラス達に「大いなる力」を渡さなかったから、
マーベラス達は「宇宙最大のお宝」を見つけられなかった。

ならばマーベラス達がカクレンジャーの「大いなる力」を手に入れられるようにすればいいのだが、
ドモンが調べたところ、マーベラス一味が地球に降り立って以降、
カクレンジャーのメンバーの出現記録が一切残っていません。
つまりカクレンジャーはマーベラス達に「大いなる力」を渡さないように姿を隠していたようなのです。

それ以前の歴史を遡っていけば、レジェンド大戦時など、
カクレンジャーを見つけて接触するチャンスはありましたが、
ドモンが直接カクレンジャーを説得するのは歴史の修正力の前ではルール違反行為として
引っ掛かってしまいますから、説得は無意味です。
マーベラス達とカクレンジャーのメンバーが自然に出会えるように巧妙に間接操作するぐらいまでしか
歴史の摂理上は有効な手段になり得ないのですが、
マーベラス達が地球に降り立って以降のカクレンジャーの足取りが掴めない以上、
ドモンとしてもどうしようもありませんでした。

そうして困り果てていると、
ドモンはレジェンド大戦時にカクレンジャーが5人しかいなかったことに気付きました。
カクレンジャーにはもう1人、体内に「大いなる力」を持つメンバーとしてニンジャマンがいたはずですが、
そのニンジャマンはレジェンド大戦の時、何故かいませんでした。
となるとニンジャマンは戦う力を失っていないはずですが、
それにしてはザンギャックが侵攻を再開して以降もニンジャマンの姿は一向に歴史上に現れません。

不審に思ったドモンは、ニンジャマンはレジェンド大戦以前から何らかの事情で
自由に動き回れない状態になっており、カクレンジャーの5人とは全く別行動だったのではないかと推理しました。
もしそうならば、カクレンジャーのメンバーが示し合わせてマーベラス一味から姿を隠している合意とも、
ニンジャマンは無関係ということになります。
となれば、ニンジャマンは隠れて逃げ回っているわけではないのだから、
その居場所さえ分かれば、マーベラス達をそこに行かせれば
ニンジャマンからカクレンジャーの「大いなる力」を貰うことが出来るかもしれません。

そこでドモンがレジェンド大戦以前の歴史も詳細に辿っていくと、
2004年の11月末にニンジャマンと思われる不思議な戦士が動物園から脱走した動物を捕まえた後、
姿を消したという記録が残っているのを発見しました。

この事件がニンジャマンの失踪に関係していると直感したドモンは
タイムマシンで2004年の11月末のこの日付に飛び、その事件現場をこっそりと観察していました。
するとニンジャマンが現れて派手に暴れ回って、脱走した動物たちをさんざんやっつけて捕まえた後、
ニンジャマンの師匠にあたる三神将がその場に現れてニンジャマンを連れ去って飛んで行ったのでした。

ドモンはそれを追跡して、三神将が見境なく暴れて人々に迷惑をかけたニンジャマンを
罰として寝隠神社の奥にある壺の中にぴったり10年間封印の刑に処したのを目撃しました。
これでニンジャマンがレジェンド大戦に現れなかった理由がハッキリし、
カクレンジャーの5人はこのことを知らないこともドモンには分かりました。
もしニンジャマンがここに封印されていることを知っていれば
カクレンジャーは壺を割ってニンジャマンを出してレジェンド大戦に連れていったはずだからです。

つまりニンジャマンとカクレンジャーは2004年秋以降は一切接触は無く、
カクレンジャーがマーベラス一味に「大いなる力」を渡さない方針であることもニンジャマンは知らないのです。
そして、その壺の封印が効力が切れるのが2014年11月末です。

壺の封印の効力が切れても、外から誰かによって壺を割ってもらわなければ
ニンジャマンは外に出ることは出来ませんが、
三神将はレジェンド大戦以降、カクレンジャーの「大いなる力」の半分が宇宙に飛んで行ってしまった関係で
地上で活動出来なくなっており、壺を割ることは出来ません。
しかし壺の封印の効力が切れていれば、カクレンジャーや三神将でなくても誰でも壺を割ることは出来ます。

ならば、2014年11月末といえば、まさに2014年2月にマーベラス一味が地球に降り立って以降、
ザンギャックと戦い続けている時期であり、2015年初め頃のザンギャックとの最終決戦の少し前の時期であります。
ならば2014年11月末の封印の効力の切れる日にドモンからマーベラス達にさりげなく
寝隠神社という場所に「大いなる力」を揃えるための何か重要な手掛かりがあるように
ヒントとして伝えておけば、遠からずマーベラス達があくまで自力で寝隠神社に行って
封印の壺を見つけて、ニンジャマンと出会うことが出来るのではないかと、ドモンは考えました。
それなら、最終決戦の前にマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れるという、
歴史の変更が自然に生じるのではないかとドモンは考えました。

ところが、更にドモンが歴史記録を調べていくと困ったことになりました。
寝隠神社は実は2014年11月末時点では無くなっていたのです。
いつ無くなったのかというと、2010年10月2日に謎の爆発事件が起きて吹っ飛んだのだといいます。
つまり、この時、ニンジャマンの壺も吹っ飛んでしまい、封印されていたニンジャマンも消滅してしまったようです。

ならば2014年2月に地球に降り立ったマーベラス達にニンジャマンを会わせるためには、
この爆発事件をあらかじめ阻止して寝隠神社を守っておかねばいけません。
そこでドモンは2010年10月2日の事件発生時間にタイムスリップして神社の外で見張って
事件の顛末を見てみました。
些細な事故ならば未来人のドモンでも歴史の修正力の邪魔を受けないで食い止めることは可能だったからでした。

しかし、見てみると、ちょうどこの頃活躍中だった34番目のスーパー戦隊のゴセイジャーの
敵組織であったマトリンティス帝国のマトロイドが何故か神社にやって来て、神社は破壊されました。
爆発はマトリンティスの仕業だったのだとドモンは知りました。
つまり、この爆発を阻止しようとするとマトリンティスのマトロイドと戦って倒さねばならず、
それは歴史の流れを大きく変える行為ですから、
歴史の顛末を知る未来人のドモンが手を下してしまうと歴史の修正力が働いてしまい、
結局は神社の爆発は止められなくなってしまいます。

ならばちょうどこの時期に活動していたゴセイジャーにそれとなく神社を守らせて
爆発を阻止させるというのが最も賢明な方法でしたが、
運悪くこの10月2日というのはゴセイジャーは別の重大な戦いの真っ最中で、
寝隠神社を守っているヒマはありません。

そこでドモンは歴史はあくまで当事者であるマーベラス一味の手によって、
歴史の流れは何も知らせない状態で変えさせるしかないと心に決めました。
マーベラス達もまた2010年から見れば微妙に未来人なのですが、
その神社を守る真の意味を何も知らないマーベラス達がよく知らない怪人を倒して無人の神社を守るだけならば
歴史の流れに大きな影響は無いので、歴史の修正力はギリギリ作用しないはずだと思えたのでした。

それで第40話において、
2014年11月末、ちょうどメガレンジャーの「大いなる力」をゲットした少し後の時期のマーベラス達に向けて、
ドモンは31世紀からビデオレターを送りました。
この日付は、もし寝隠神社が存在していれば、
ちょうど寝隠神社でニンジャマンの壺の封印の効力が切れるはずの日でした。

そのビデオレターでドモンはマーベラス達に、
特別にプログラムした豪獣ドリルに乗って2010年10月2日にタイムスリップして、
寝隠神社という神社を守れば「大いなる力」を全部揃えるチャンスを与えてやると伝えたのでした。

マーベラス達がその依頼に応えて過去に行って神社を守って戻ってくれば、
無くなっていたはずの寝隠神社は2014年に存在しているはずであり、
まさにこの日に壺の封印は解かれているはずなのです。
つまり、いつでも寝隠神社に行けばマーベラス達はニンジャマンを見つけることが出来るようになるのです。

但し、出来るだけ歴史の修正力が作用しないようにするために、
なるべく過去の人間には関わらないように忠告しました。
もし31世紀に繋がる歴史に重大な変更が加わるような行為をしてしまった場合、
そこに歴史の修正力が働いて、巻き添えで神社の存続の方も無効にされてしまう恐れがあるからでした。

ただ、そういう諸々の事情はドモンはもちろんあえてマーベラス達には一切説明していませんから、
マーベラス達はドモンのビデオレターの言うことの意味はよくは分かりませんでしたが、
ドモンの頼み通りに神社を守ればドモンが何か重要な情報をくれるのだろうと思い、
ザンギャックの活動も何故かパタリと止んでいてマーベラス達も余裕があったので、
ドモンの依頼を引き受け、2010年10月2日にタイムスリップしました。

そして、寝隠神社でたまたま出くわした外道衆を爆破事件の犯人と間違えたマーベラス達が
外道衆を追いかけて遠くに行っている間、鎧が1人残って、
ちょうど神社に居合わせた少年を避難させようとしたところ、
その少年は家出少年で、母子家庭に育った少年はフリーライターの母親の仕事の都合で
しょっちゅう引っ越しをしているために転校ばかりで学校で友達が出来ないで困っていると言います。
それでもう母親と一緒に暮らすのが嫌で1人で生活して引っ越ししないで
ずっと同じ学校に通いたいのだそうです。

その話を聞いた鎧は、自分も小学校の頃、同じように親の仕事の都合で転校ばかりだったが、
いっぱい友達が出来たのだと、少年に告白しました。
鎧も当初は友達が出来ないのは親のせいだと思っていたのですが、途中でそうではないことに気付いたのです。

鎧が友達が出来なかった本当の理由は、全てを親のせいにして自分で努力することを放棄していたからでした。
親の引っ越しは子供の鎧にはどうすることも出来ないことですから、
そのせいにしている限り、鎧は何も努力しないで済みます。
だから鎧は自分が怠けるために親のせいにして文句ばかり言っていたのです。
そのお蔭で鎧は努力しないで楽を出来ましたが、その代わり友達は全然出来ませんでした。

それではダメなのだと少年時代の鎧は気付いたのです。
自分ではどうしようもないことのせいにしてはいけない。
そんなことをして怠けて過ごすよりも、日々、自分の出来ることをした方がいい。
自分の出来ることは限られているけれども、何もしないで文句を言うだけでは何も状況は変わらないのに対して、
自分の出来ることをやれば、また転校するまでの短い期間だけかもしれないけど、友達は作ることは出来る。
すぐお別れしてしまうかもしれないけど、少なくともその日その日は楽しい。
文句を言って何もせず友達が出来ないよりはその方がよほどマシだと、鎧少年は気付いたのでした。

つまり、転校を繰り返す自分の運命は子供の自分には変えられないけれども、
それでも腐らずに前向きにクラスの子に話しかけていけば、
たとえ短い期間だけでも、楽しい明日を作ることは出来る。
そう考えて鎧は転校するたびにクラスの子に積極的に話しかけていくようになり、
気が付けば、全国にたくさんの友達が出来ていたのです。

運命を変えようとして変えられないと嘆くことをやめて、
運命は変えられないと諦めて、
その代わりに自分の出来ることをやって自分の明日だけでも変えていこうと努力し続けた結果、
気が付けば自分の運命も変えることが出来るのです。
そのことを鎧は自分の経験則として少年に教えてあげました。

これはまさにドモンがマーベラス一味に求めている、
自分の力だけで地道な努力を積み重ねて、あらかじめ定められた歴史をも変更して、
新たな自分の運命を切り開いていく精神そのものでした。
鎧はそうした自分の明日を変える力を持っており、
マーベラス達もまた自分の明日を変えて、結果的に運命を自分の力で掴み取ってきたのです。

そこに神社内にあるニンジャマンの壺のエネルギーに反応したマトリンティスのマトロイドが出現して、
深い意味も無く神社を破壊しようとしたので、
鎧は意味は分からないながらも、これが神社を破壊した真犯人だと気付き、
少年と神社を守り、合流したマーベラス達と共にマトロイドを倒したのでした。

こうしてマーベラス達は神社を守った真の意味は分からないまま、
着実に自分たちの明日を一歩切り開いたのでした。
そして少年は別れ際、鎧に向かって自分も頑張って明日を変えるため努力していくと約束し、
母親と一緒に帰っていきました。

そしてマーベラス達が2014年11月末の元の日付に戻ると、
過去に行く前は無かったはずの寝隠神社は存在しており、
神社が爆破されて無くなるという歴史は修正されて、
神社を守るミッションは成功したことをマーベラス達は確認しました。
しかし、よく考えたらドモンから「大いなる力」に関する目ぼしい情報を何も貰っていないことに気付き、
マーベラス達はドモンに騙されたのだと思い込み、憤慨しました。

しかし、これで寝隠神社の中に隠されたニンジャマンの封印された壺は
無事に2014年に存在するように歴史は修正されており、
その封印はまさにこの日、解除されたのです。

そして寝隠神社と「大いなる力」に何らかの関係があるというヒントは
ドモンからマーベラス達に向けて伝わっており、これが目ぼしい情報といえます。
これ以上明確な情報となると歴史の修正力が働いてしまうので、
ドモンからマーベラス一味に伝えられる情報はこれぐらいが限界であったといえます。
マーベラス達はこの時点では寝隠神社と「大いなる力」の関係に気付いていませんが、
これに気付くことが出来るかどうかは、あとはもう未来からの介入は関係無く、
マーベラス達の「自分の明日を変える力」次第といえます。

そして31世紀でもドモンは寝隠神社が2010年以降も存続し、
2014年11月末の壺の封印が解けた日以降も無事に存在しているという歴史に書き換わったことが確認され、
ドモンはひとまず神社を守るというミッションに関しては
歴史の修正力の邪魔は入らずに達成されたことを確認し、安堵しました。

そこに豪獣ドリルが戻ってきて、
ドモンは操縦席に鎧からのミッション成功を報せる手紙が置いてあるのを見つけます。
その手紙の中には神社で出会ったという母子と一緒に撮った記念写真が入っていました。
鎧が出会って「明日を変える」ことを約束して別れた例の少年とその母親の写真でした。

ドモンはマーベラス達がこの母子がもとの歴史では爆発に巻き込まれて死ぬ可能性があったのを
助けてしまったのだと気付き、危うく歴史の修正力が作用する事態であったことを知って肝を冷やします。
幸い、この子供の子孫が31世紀まで血統が繋がっているのがもともとの歴史の既定事項だったので
歴史の修正力が作動しなかったのでしょう。
しかし危ないところだったと思ってドモンがその写真をよくよく見ると、
その母親はドモンがかつて2000年の世界にタイムスリップして2001年初頭までの1年間、
タイムレンジャーとして戦った時の恋人の森山ホナミでした。
ドモンは最後は強制的に31世紀の世界に戻されて、2001年の世界にホナミを残してきました。
そのホナミが2010年の世界に生きており、10歳ぐらいの息子がいるということを、その写真は物語っていました。

ドモンはその後のホナミの消息は知りませんでした。
まさかホナミが自分の子供を身ごもっていたとも知りませんでした。
しかし、この写真を見て、ドモンはその少年が自分の息子なのだと知りました。
そして、その自分の息子の血統がこの31世紀にまで繋がっていることを知り、
かつて21世紀でドモンが夢見た自分の明日を変えたいという想いは、歴史の修正力を超越して運命を変え、
しっかり現在31世紀の自分にまで繋がっていたのだと知り、その奇跡にドモンは感動の涙を流すのでした。
そして、きっとマーベラス達も自分の運命を変えることが出来るはずだとドモンは確信したのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:53 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月23日

Mission04 特命と決意

今回、ようやく物語が動き出したという感じです。
第1話から第3話は、作品としての方向性や、物語の世界観などを示すのにほとんどの労力を費やしたという印象で、
物語がダイナミックに動く感じがありませんでした。
それが今回ようやく動き出しました。

また、登場人物も第3話までは表面的描のみに止まっていて、あまり親しみの持てるキャラとは言えませんでしたが、
今回、登場人物の描写にもようやく深みが出てきて、共感を覚えられるようになってきました。
ただ登場人物に関しては相変わらず理解するにはハードルが高いキャラばかりという状況です。
それでも前回までは平板な印象しか無かった登場人物たちに人間的側面が見えてきたのは収穫です。

とにかく今回はかなり見応えのあるエピソードでした。
この作品はアクションがメインでドラマは少しずつ進行していくという印象ですが、
ただアクションといっても演武のテキストビデオではないわけですから、
特撮ドラマの場合、ちゃんとアクションにもストーリーがあります。

そのアクション的ストーリーが前回までは割と単調でした。
まぁオーソドックスというか、ああいうのがリアルということなのか、
それともパイロット篇だったから、あえて捻りを抑制した王道アクションに徹したのか、よく分かりません。
おそらくその両方の意味が含まれているのでしょう。
つまり、この作品は基本的にリアル志向なので、あまりアクションも荒唐無稽なものにはしたくない。
そういう基本方針に最も忠実に作られたアクションが前回までのパイロット篇のアクションだったのでしょう。

それに比べて今回は比較的、荒唐無稽なアクションシーンとなっていたと思います。
まぁ通常の戦隊に比べると、それでもまだ地味でリアルなのですが、
少し普通の戦隊っぽさも取り入れた感じとなっていました。
これはこの作品としては、もしかしたら逸脱なのかもしれないですが、
個人的にはこれぐらいのバランスがちょうど良いような気がします。

前回までのアクションシーンはマトモ過ぎて、どうにも遊びが足りなかった。
今回ぐらいのサプライズが無いと、アクションシーンはやはり燃えません。
普通に戦って勝つのではなく、やはり、ピンチからイチかバチかの奇想天外な作戦で一発逆転、みたいな流れの方が
見ていて楽しいのです。
それが行き過ぎると荒唐無稽になり過ぎて、この作品のテイストが失われるのかもしれませんが、
前回までの当たり前すぎるアクションでは、やはり退屈すぎます。

まぁ今回は「ヒロムが無茶をする」ということがテーマとなったお話だったので、
それに合わせてアクションの方でも無茶な戦い方が描かれたのであり、
その分、スリリングで見応えあるアクションシーンになったのでしょう。
前回まではゴーバスターズの面々のプロっぽさが強調されたお話でしたから、
アクションもそれに合わせて落ち着いたものになっていたのであり、
アクションシーンのテンションはそれぞれのエピソードによって変動はあるのでしょう。

今回のアクションシーンでサプライズ的に見応えがあった場面は、
まず等身大戦ではリュウジとヨーコが相手の円盤型のカッターを皿回しのようにして
相手に投げ返して逆転のきっかけにした場面でした。
ああいうちょっとコミカルな動きは前回までは無かったですが、
あれぐらいのケレン味は戦隊ファンとしては欲しいところでしたから、見れて嬉しかったです。

また巨大戦では、ヒロムがバスターエースのパワーを両脚と右手だけに集中させるのを待つシーンは緊迫感があり、
その後、操縦室の空気を止めて両脚右手のパワーを100%にして突っ込み、
相手のバリアーに剣を突き刺した後、押し込む場面は非常にカッコ良かったです。
相手のカッターもバスターエースの操縦席の中に突っ込んできて、紙一重でヒロムが勝ちを拾ったのも、
サプライズ描写であり、スリリングでしびれました。

この作品の巨大戦は確かにクオリティは高くて感心するものでしたが、
前回までは感心はしても感動することは無いという印象でした。
それが今回はこうしたサプライズのおかげでちゃんと感動させてもらいました。
やはりアクションの中にも人間ドラマが無いと感動はしません。

ちょっと序盤にして苦戦しすぎのようにも見えますが、
ちゃんと「バスターマシンのパワーアップ計画」という前フリが今回ありましたから、
現状の戦力で苦戦をすることで、新しい戦い方、つまり「合体」に繋がるという流れになっているのでしょう。

今回のアクションシーンは、エンターと特命戦隊側との虚々実々の駆け引きなど、
いかにもスパイアクション的な面白さもあり、
黒木司令官の謎めいた動きや、ゴーバスターズ3人の心情描写など、
ミッション継続中にもしっかりドラマチックな盛り上がりがありました。

これは画面上のタイムカウンター表示が今回は大幅に省かれていたことと関連が深いといえます。
あれがあると時間の流れる速度がどうしても一定になるので、
ミッション途中に挿入されるドラマ描写がどうしても急ぎ足で、あっさりしたものになってしまいます。
タイムカンター表示が無ければ、上手く誤魔化して時間の流れに緩急をつけて、
ドラマを長めに挿入することも出来ますから、ドラマは描きやすいです。

今回も明らかに時間経過的に不自然な場面が山ほどあったのですが、
タイムカウンターが無ければ気にはなりません。
前回までも時間経過的に不自然なシーンはいくらかあったのですが、
どうしてもタイムカウンターがあると、そうした逸脱は控え目になり、
それでいてタイムカウンターがあることで妙に粗が目立ってしまって、あまり益が無かった印象です。

それが今回はタイムカウンターを省いたことによって、
開き直って大胆に時間経過的に不自然な場面を挿入することが出来ました。
今回はドラマを描きたかったのでタイムカウンターはあえて省いたのでしょう。
タイムカウンターを表示する目的は巨大戦とドラマを直結させることであったと思われますが、
その目的を達するためには、別にずっとタイムカウンターを出す必要は無く、
今回のようにミホが随時、メガゾード転送完了まであと何分であるのかコメントしてくれれば十分用は足りますし、
ミホのコメントのタイミングを適当に操作することで、
時間経過に緩急をつけて自由自在にドラマを挿入できます。

これは、普通の戦隊っぽい演出に近づくやり方であり、
この作品のコンセプト的には一種の後退ということになるのかもしれませんが、
個人的にはこれぐらいの感じの方が惹きこまれました。

その他、今回は変身や名乗りのあたりの微妙な間の取り方なども、
前回までのパイロット3篇と比べると、かなり従来の戦隊っぽくなっており、
これはやはり監督が普段戦隊を撮っている中澤監督であったからなのかもしれません。
パイロット3篇はライダーが担当だった柴崎監督が撮っており、
従来の戦隊との違いを強調するような演出でありましたが、
今回は全体的に従来の戦隊に近づいた感じでした。
もちろん、それでも従来の戦隊とはかなり違うのですが、個人的にはこれぐらいのバランスが良いと思いました。

さて、アクションシーン関連はそんなもんですが、
物語が動き出したというのはそっちではなく、ドラマ部分のほうです。
この作品は1話完結型のキャラメインエピソードというものは無いようで、
基本的に縦軸の1つの物語が少しずつ進行していく形式であるようです。
その縦軸の物語がどういう物語なのか、今回のエピソードでだいぶ見えてきたのです。
そして、その物語の中で登場人物がどのように動くのかも、だいぶ見えてきました。

まずヒロムは13年前に亜空間に転送されてしまった研究センターの人々を生きて助け出すことを目指しています。
ヒロムが第2話で言っていた「元に戻す」というのは、
「研究センターの人々の救出」ということを指していたことが今回ハッキリしたわけです。
この「研究センターの人々」の中にはヒロムの両親やヨーコの母親も含まれています。

第1話の描写を見ると、黒木司令官がヴァグラスの活動の活発化を察知して
ヒロムにゴーバスターズへ参加するよう呼びかけたようですが、
ヒロムがその誘いに応じた真の目的は、メサイアのシャットダウンだけでなく、
研究センターの人々の救出であったようです。

しかし黒木は、「上層部は亜空間に転送された人々に生存者はいないと見ている」と言い、
我々の目的はあくまでメサイアのシャットダウンのみだと言います。
普通の人間は転送に耐えられないので亜空間に転送された研究センターの人々は全員死んでいるはずなので、
救出の必要性は無いというわけです。
黒木や上層部は研究センターの人々を救出するつもりはなく、
ゴーバスターズの任務はあくまでメサイアのシャットダウンであるという意見です。

上層部の思惑はどういうものかよく分かりませんが、
黒木は13年前の事件の際に当時のセンター長だったヒロムの父から遺言のように
「メサイアをシャットダウンしてくれ」と頼まれた当の本人であり、
メサイアを倒すための切り札としてヒロム達、ワクチンプログラムを身体に打たれた3人を託されたのですから、
メサイアのシャットダウンを何よりも優先しているのは当然であり、
ゴーバスターズをメサイアのシャットダウン以外の目的で使って危険に晒すような真似は出来ません。

ヒロムは亜空間に乗り込んでセンターの人々を救出したいと言いますが、
マーカー無しに亜空間に乗り込むのは極めて危険なので、黒木は許可しません。
そもそも黒木も上層部も亜空間に生存者はいないと考えているのですから、
ヒロムが亜空間に救出に行っても無意味だと考えており、
そんな無意味なことのために極めて危険な亜空間への転送をする意義など見出せません。
だからヒロムの意見は却下されます。

この時、ヨーコはヒロムに同調して亜空間にセンターの人々の救出に行きたいと言いますが、
生存者はいないと聞くと意気消沈して引き下がってしまいます。
つまりヨーコはこれまでの13年の間、ヒロムのように亜空間にセンターの人々の救出に行きたいと
申し出たことはなく、そもそもセンターの人々の安否について問い合わせたこともないということになります。

しかしヨーコは「3人でセンターの人々を助けよう」という13年前の約束を覚えており、
ヒロムがその約束を覚えていてくれたことを喜んでいたはずです。
ならばヒロムが参加する以前にヨーコが特命部でセンターの人々の救出に関して
何らかのアクションを起こしていてもよさそうなものですが、そういうことは何故か無かったようです。

このあたりの謎は、リュウジの態度を見ると、なんとなく分かります。
リュウジは13年前は15歳ですから、もちろん13年前の約束は覚えています。
しかしリュウジはヒロムが亜空間にセンターの人々を救出に行きたいと申し出た時、
ヨーコのようには賛同しませんでした。
困った顔をして黙っていただけです。
リュウジもヒロムが13年前の約束を覚えていてくれたことを知った時は喜んでいたはずですが、
それにしては冷淡な対応といえます。
これは実はリュウジは「普通の人間は転送に耐えられない」という事実を知っていたからでした。
そのことを知っていたリュウジは、ヒロムの意見に同調することは出来なかったのです。

おそらくリュウジは13年前の事件の直後、黒木たちに向かってセンターの人々の救出をするよう求めたのでしょう。
15歳なら当然の行動です。
そしてその時、「普通の人間は転送には耐えられないから生存者はいない」と聞かされたのでしょう。
それでリュウジはセンターの人々の救出は諦めざるを得ず、
3人で結んだ約束は果たすことが出来ないことを知ったのです。

だから、リュウジは一緒に特命部に引き取られたヨーコには約束の話は二度としなかったのです。
ヨーコが13年前の約束を覚えていることをリュウジが知らなかったのは、
リュウジがヨーコとの間で13年前の約束の話をすることを避けてきたからです。
それは、リュウジがその約束は実現しないことを13年前の事件直後の段階で知ってしまったからでしょう。
リュウジは当時3歳だったヨーコが3人の約束を覚えていないだろうと思い、
約束の話はもう無かったことにして、13年間、自分の心に秘めていたのです。

しかし実はヨーコは約束を覚えていた。
覚えていたのにどうしてヨーコは約束の話をリュウジに向かってしなかったのか?
リュウジに対してだけでなく、ヨーコが約束の話は無かったことであるかのように
自分の心に押し殺して、周囲にも言わなかったのは何故なのか?
それは兄のように育ったリュウジをはじめとした周囲の環境がヨーコを自然にそのようにさせたのでしょう。

そもそも2人は13年前の事件のせいで、異常な能力と奇妙なリスクを背負い込んでしまった運命の子供たちであり、
一般生活など送ることは出来ないし、特命部から出て行くことも許されない人生となってしまった。
15歳と3歳にしてそうなってしまったのです。
そしてリュウジは自分の保護者であり監督者である特命部や政府上層部が自分達に望んでいることは
センターの人々の救出ではなく、あくまでメサイヤのシャットダウンであることを知り、
センターの人々の生存は絶望的だということも知りました。

その時、巨大な権力に実質1人で向き合うことになった15歳の少年は生存本能に従って、
巨大な流れに従順に生きる道を選んだのでしょう。
もう3人の約束は無かったことにして、
メサイヤのシャットダウンだけが自分のやるべきことだと自分に言い聞かせてリュウジは生きてきたのです。
リュウジの人当たりの良い、ちょっと醒めた性格はそうした人生の中で形成されたものと思われます。

そして、小さい子供というのは周囲の大人の影響を強く受けますから、
そのように約束の件を一切口にしないリュウジを見て育ったヨーコは、
自分の覚えている約束の話はしてはいけないものなのかと思うようになり、
何時しかその約束が本当の話なのか自分の思い込みだったのか、よく分からなくなっていたのでしょう。

ヨーコから見れば、成長過程で12歳年上のリュウジは全てにおいてお手本のようなものだったので、
リュウジがセンターの人々の救助の件などには一切言及せずに、
ひたすら上の命令に従順にメサイヤのシャットダウンというゴーバスターズの任務に励んでいるのを見て、
ヨーコもそれをそのまま真似ていたのでしょう。

だからヨーコは、心の中ではセンターの人々を、自分の母親を助けたいという想いを秘めながらも、
任務中はそのことを口にすることはなく、ひたすら命じられるまま
リュウジを見習って職務や訓練に励んできたのです。
そして、約束の記憶自体はあるのだが、それが現実なのかどうか自信が無いヨーコは、
その記憶の中で一緒にみんなを助けようと言っていたクセにちゃっかりいなくなっていたヒロムに対して、
13年間、言葉にならない苛立ちを募らせていたのでしょう。

それでヒロムと13年ぶりに再会したヨーコはヒロムにいちいちつっかかって、
13年も自分達を無視してきたことを非難しましたが、
「約束を破った」と明言して非難は出来ませんでした。
ヨーコ自身が、その約束が現実であったのかどうか、よく分からなくなっていたからです。

ところがヒロムは約束を覚えていました。
ヒロムはリュウジやヨーコのように特命部に引き取られたのではなく姉に育てられましたから、
メサイヤをシャットダウンするという特命などよりも、
センターの人々を救出したいという想いの方を強く抱いて育ちました。

ただ、この姉のリカがヒロムをどのように育てたのかという部分はまだ謎で、
どうもヒロムの人格に妙な欠損があるように窺えることや、
リカの特命部への態度が不自然なほどに敵対的である点など、まだまだよく分からない点は多いのですが、
ヒロムのこの13年前の約束に対する姿勢は、その決意をした7歳の頃の
少年らしい純粋さをそのまま保持していると見ていいでしょう。

どうやら、この物語の主人公3人の年齢が妙にバラバラであるのは、
13年前の約束に対するスタンスの違いを描くためであったのではないかと思われます。
リュウジは15歳から28歳への成長過程なりの消化の仕方をして、約束を果たすことを諦めていた。
ヨーコは3歳から16歳への成長過程なりの消化の仕方をして、約束を心の中に封印していた。
ヒロムは7歳から20歳への成長過程なりの消化の仕方をして、約束を果たす決意を持ち続けた。
まぁ年齢差もあるが、リュウジとヨーコのケースとヒロムのケースを大きく分けたのは、
やはり特命部で育ったか、自宅で育ったかの違いにもよるのでしょうが。

とにかく、ヒロムが13年前の約束を果たすためにゴーバスターズに入ったのだと知ったヨーコは、
自分の記憶にあった13年前の約束はやはり現実だったのだと知り、
それをヒロムが覚えていてくれた事を知って嬉しくなりました。
それは単に約束を覚えていてくれたことが嬉しいというよりも、
ずっと誰にも言うことの出来なかった封印された過去の記憶を
自分と共有してくれる仲間と出会えた喜びだったといえます。

一方、リュウジは13年前に7歳だったヒロムが約束を覚えていてくれたことが純粋に嬉しかった。
そしてリュウジは当時3歳だったヨーコも約束を覚えていたことに驚き、
13年間ヨーコが約束の話をすることをあえて封印していたことに気付きます。
しかしリュウジはその約束が果たせないことを知っています。
それでもリュウジがヒロムとヨーコを見て嬉しい気持ちの方が先行したのは、
約束を果たそうという想いを共有している2人を見て、自分には無い純粋さを感じて、好感を持ったからでしょう。
ただ、この2人がいずれは約束は果たすことが出来ないという現実を知ることになることは
リュウジの心に影は落としたと思われます。

そうして、2人がその現実を知る時がやって来たわけですが、
ヨーコはヒロムが亜空間に行ってセンターの人々を救出したいと黒木に直訴するのを見て、
今まではあえて封印してきた想いを初めて表に出して、
自分も亜空間に行ってセンターの人々を救出したいと黒木に言います。
それを見てリュウジは、遂に2人が残酷な現実を知る時が来てしまったと思い、暗い顔になります。

そして黒木が普通の人間は転送に耐えられないから生存者はいないと言うと、
ヨーコは諦めて引き下がってしまいました。
もともと13年間心の中に封印することが出来ていたわけですから、
ヨーコとしては何が何でも実現したかった望みというほどのことではなかったので、
ダメならダメで割と簡単に諦めることは出来たのです。

しかしヒロムはセンターの人々の救出を強く望んでゴーバスターズに入ってきたのですから、
それがダメだと分かればショックで戦う意義を見失ってしまうのではないかとリュウジとヨーコは心配しました。
そしてメタロイドとの戦いで無茶な特攻をするヒロムを見て、
リュウジはヒロムに黒木の言葉のせいでヤケになっているのではないかと質問しますが、
ヒロムは黒木の言葉など忘れていたと言います。

しかし「普通の人間は転送に耐えられない」という情報はヒロムも初耳であったはずで、
そんなことを聞いたら普通はショックを受けるはずであり、忘れることなど出来ないはずです。
まぁ実際、忘れてなどいなかったと思います。
ただ、ヒロムはそんなショッキングな情報に接しても全く気落ちしておらず、
センターの人々を生きて戻すという信念は全く揺らいでいないのだと言うのです。

その根拠は、「センターの人達も自分達と同じワクチンプログラムを打つことが出来たかもしれないから」
というものでした。
もし転送前にワクチンプログラムを打つことが出来ていれば、
センターの人々は転送に耐え、今でも亜空間で生きているはずだというのがヒロムの持論でした。

しかし、これはかなり可能性の低い話であり、
黒木の話を聞いてから急ごしらえで理論づけしたのがバレバレの、穴だらけの理屈だといえます。
だがヒロムにとっては、可能性が低いことなど実際どうでもいいのです。
とにかくヒロムはセンターの人達は全員、転送前にワクチンプログラムを打ったのだと信じています。
だから全員が亜空間で生きているのであり、救出しなければいけないのです。

これはもう理屈ではなく、何か別のセンターの人達の死亡を裏付ける情報が出てくれば
ヒロムはそれに反論する屁理屈を考え出して、やはり生存を信じて、救出に向かって進んでいくのでしょう。
つまりヒロムは何が何でもセンターの人達は生きていると信じており、必ず救出すると決意しており、
その信念は絶対に揺るがない。
それは13年前のあの日から全く変わっていないのだと、ヒロムはリュウジとヨーコに向かって言うのでした。

非論理的と言えばそれまでですが、
実際、センターで亜空間転送の前に何が起きたのか、誰にも分からない以上、
ヒロムの言うことが100%間違っていると証明することも出来ない。
つまり極めて低い可能性ながら、ヒロムの言うように亜空間に生存者がいる可能性はあるのです。

黒木や上層部はほぼ絶望的だと判断して救出は諦め、
それよりもゴーバスターズの力をメサイアのシャットダウンにだけ使おうとしています。
ヒロムもそれが常識的な判断だということは分かっていますから、
その黒木の判断に対して感情的に反発などはしていません。
現時点で特命部が救出ミッションに踏み切らない判断をしたという事実は受け入れています。

しかし、だからといってヒロムは救出を諦めたりはしない。
たとえどんなに可能性が低くても、自分はあくまでセンターの人々の生存を信じて、
救出ミッションを実現してみせると、心に決めているのです。
そして、それを口先で言うだけでなく本当に成功させるのは、
大変な困難を伴う茨の道であることも分かっていますから、無茶をしなければ達成は出来ない。
無茶なミッションを成功させることの出来る戦士でなければ、救出ミッションなどやらせてもらえるわけもないし、
やったとしても成功させることなど出来ないでしょう。
だから自分は常にあらゆるミッションで無茶をして成功させてみせるのだとヒロムは宣言するのでした。

しかし、どうしてそこまでしてヒロムがセンターの人々の生存を信じるのか?
両親に生きていてほしいからなのか?
いや、そういう個人的思い入れではないような気がします。
ヒロムにとっては、センターの人達が生きていると信じることそのものが決して譲れないことであるように思えます。

それがどうしてなのか、まだよく分かりませんが、
1つ確かなことは、誰かが生存を信じてやらなければ、
センターの人々を救出しようという動きは完全に消え去ってしまうということです。
彼らを助けようと思うのなら、誰かが生存を信じてやらないといけない。
そして、13年前の事件の最後まで彼らに立ち会った当事者であるヒロムとリュウジとヨーコの3人が
センターの人々の生存を信じないとしたならば、
この世の誰も彼らの生存を信じる者などいなくなってしまうでしょう。

だから、この世の誰も彼らの生存を信じないと言っても、
ヒロム達だけは彼らの生存を信じてやらないといけない。
ヒロム達が諦めた時が本当の終わりなのです。
だからヒロムは意地でも彼らの生存を信じて救出を諦めないのでしょう。

そうしたヒロムの想いを悟ったリュウジとヨーコは、自分もセンターの人々の生存を信じて、
救出を目指し、無茶をしようと決意したのでした。
こうして13年前の約束は真の意味で復活し、3人は強い絆で結ばれたといえます。
そして3人は危険なミッションに突っ込んでいき、
特にヒロムは死にかけるほどギリギリのミッションを成功させたのでした。

しかし、黒木はこの3人の命懸けのミッションに乗じて、
3人を囮にしてエネトロンにマーカーを仕込んで、それをメガゾードによって亜空間にわざと転送させ、
亜空間にマーカーを仕込もうとしました。

黒木はヒロム達のようにセンターの人々の生存を信じて彼らを救出しようとしているわけではありません。
あくまで黒木の狙いはメサイアのシャットダウンのために亜空間に乗り込むことなのです。
そのために亜空間にマーカーを仕込む必要があり、
その仕掛けをエンターに見抜かれないためには、無茶をして戦うヒロム達は囮として好都合だったのです。

そのことを知ったリュウジは、センターの人々の救出のために無茶をするヒロムの必死の想いを、
あくまでメサイヤのシャットダウンしか眼中にない黒木が利用して
ヒロムの命を危険に晒したことに対して怒りを覚え、黒木に殴り掛かります。

しかしヒロムはリュウジを制止します。
ヒロムは黒木がメサイアをシャットダウンするためならば亜空間に攻め込むリスクを恐れないことを知り、
たとえ黒木に囮にされて利用されたりして酷い目に遭わされたとしても、
黒木と共に戦っている限りは、いつか亜空間に行くチャンスが巡ってくると確信したのです。
もとより無茶をする覚悟は固めているわけですから、
ヒロムにとっては黒木は目的は違えども共に戦うに足る信頼すべき上官となったのでした。
リュウジとヨーコもそのことに気付き、黒木のもとで戦う覚悟を固めました。

今回はだいたいこういう話だったわけですが、
要するにヒロムとリュウジとヨーコの3人というのは、
13年前の事件において生存が絶望的な人達をあくまで生存を信じて救出しようとして
無茶なことをやるヒーローということになります。

対して黒木や上層部というのは、あくまでメサイアのシャットダウンを目標としています。
これは言いかえれば、この世界を脅かす敵を倒して、世界を守ろうとしている行為だといえます。
それはあくまで最終目標だとして、現状で上層部がゴーバスターズにやらせていることは、
要するにエネトロンによって支えられる快適な都市生活を守ろうとしていることだと言えます。

こうして比べてみると、
ゴーバスターズと緊張関係にあり、ゴーバスターズを利用している側のやっていることの方が、
普通に現在と未来の世界の平和を守る、前向きで真っ当な行為のように見えてしまいます。
それに対して主人公のゴーバスターズの方は、視野が狭く、過去にこだわり、後ろ向きな印象です。
これではゴーバスターズはヒーローとして一見あまり立派でない印象となってしまいます。

主役ヒーローを必ずしも世界を守るために戦うヒーローとは設定しない作品というのはしばしばありますが、
このように、世界を守るために戦うという別の行動原理と対比させる形で
主役ヒーローの行動原理を描くというのは珍しい。

いや、前作の「ゴーカイジャー」も主役ヒーローの「お宝探し」と
スーパー戦隊の「地球を守る」という行動原理が対比されていたが、
この両者は対立関係にあったわけではありません。
しかし「ゴーバスターズ」においては、主役ヒーローの目指す「生存者の救出」と
上層部の目指す「世界を守ること」は対立関係、緊張関係で描かれるように思われます。

そして、多くの人の支持や共感を得るのは、「世界を守ること」の方です。
つまり主役ヒーローの目指すことはあまり支持されません。
生存者の存在が確実であればともかく、現時点では生存者がいる根拠は非常に薄弱ですから、
どうも主役ヒーロー側の分は悪いです。

しかし、世界全体のことを考えて未来志向で前向きなヒーローだけが本当に立派なヒーローなのでしょうか?
それによって見捨てられたものをあくまで救おうとする者もまたヒーローではないのでしょうか?
この「ゴーバスターズ」という作品は、今この時代に合わせて、
そうしたヒーロー像を問いかけている作品なのではないでしょうか。

昨年3月11日以降の東日本大震災の災禍によって、様々な創作物も影響を受けました。
特にニチアサキッズタイム内の東映関連の作品「スーパー戦隊」「仮面ライダー」「プリキュア」の各シリーズは
伝統的に教育番組的な側面が強いので、
大震災を受けて子供たちに何らかのメッセージを発しようとしてきたように見えます。

昨年3月11日時点で放送していたのは
「海賊戦隊ゴーカイジャー」「仮面ライダーオーズ」「スイートプリキュア」でしたが、
このうち「オーズ」は昨年3月11日時点で既に折り返し点を過ぎており、
終盤の展開もほぼ固まっていた時期だったと思われますが、
かなり無理をして大震災に対応した何らかのメッセージを示そうとしていたように見受けられます。

「オーズ」はもともと「欲望」をテーマとした物語で、
それに見合った終盤の展開で昨年8月に最終話を迎えましたが、
最後に主人公の火野映司が気付いた自分の求めていた本当の力は「無限の絆」だったという結論に落ち着きました。
このあたりはやや強引な印象があり、
同時期に公開された「オーズ」の劇場版「将軍と21枚のコアメダル」が明確に「絆」をメインテーマとした
作品だったことも考えると、
制作サイドは、なんとかして「オーズ」を「絆」の物語として描こうとしていたと思われます。

ただ、既にほとんど出来上がっていた「オーズ」の物語はあまり修正出来ず、
「絆」の物語としてしっかり描けたわけではないと思います。
その点、劇場版の方は「絆」の物語として非常に綺麗にまとまっていたといえます。
ただ、「オーズ」本編や劇場版で描かれた「絆」というものは「手を繋ぐ」ということに象徴される絆であり、
「多くの人々が力を合わせれば難局を乗り越えられる」という、ゆるやかで広範なシンパシーという、
大震災以降しばらくの間、日本中を覆った熱情の影響を強く受けたものだったといえます。

確かに大震災の悲惨に直面した直後の段階においては、
生きていくために「絆」は不可欠の価値観だったと思います。
ただ、少し落ち着いて、ひとまず生きるか死ぬかの危機的状況を脱してみると、
手を繋ぐだけでは救いようのない悲しみや苦しみが山ほど存在するという現実に人々は直面します。

手を繋ぐことで当面の危機は脱して死なずに済む命を無駄に死なせることは防ぐことは出来ます。
その段階では手を繋ぐ無数のヒーロー達がいればよかった。
オーズはそういうヒーローの象徴だった。
少なくとも物語終盤ではそうしたヒーローとして描こうという意図はあったと思います。

しかし、オーズ的ヒーローによって救われた人々は生き残り、
生き残ってしまったために巨大な喪失感を味わうことになりました。
手を繋ぐだけでは生き残った人達の悲しみや苦しみは消すことは出来ないのです。
それは生き残った人達各自の心の中の問題なのです。

この問題に対して解答を出そうとしたのが、昨年3月11日時点で物語が始まったばかりであった
「ゴーカイジャー」と「スイートプリキュア」であったと思われます。
この2作品はまだ物語がほとんど進んでいない段階で大震災に遭遇したので、
もともとの基本設定を上手く生かしながらほとんど破綻することなく、
大震災以降の状況を見ながら随時、上手く物語を修正し続けていくことが出来たようです。
それでもよく見ると序盤の設定と中盤以降の設定の間には微妙なズレがあり、
途中で大震災の影響で物語に修正が入ったのであろうと推測出来ます。

「ゴーカイジャー」は当初は痛快な冒険物語的な色彩が濃く、
レジェンド戦士の登場も序盤だけの予定で、
そのレジェンド回のテーマもオリジナルに忠実なバラエティーに富んだものが多かったのですが、
昨年5月のシンケンジャー篇のあたりから「絶望からの再起の物語」という特色が強く出てくるようになり、
レジェンド戦士の扱いもそうしたテーマに沿った形で中盤以降も継続していくようになり、
結果的に当初の予定よりも壮大な物語に昇華したのだろうと推測されます。

最終的な形としての「ゴーカイジャー」という物語は
「故郷を失った若者たちが絶望の中で夢を抱いて立ち上がり、世界を救うヒーローとなった」という物語であり、
そこで示されたメッセージは「絶望の中で見出した夢にこそ未来を拓く大きな力がある」ということでした。

一方「スイートプリキュア」は当初は「光と闇の世界の相克と調和の物語」という色彩が濃かったのですが、
中盤のキュアビート関連のエピソード以降は「自己の内面的な闇との対決」が
テーマとして前面に出てくるようになり、
最終的には悪の根源であるノイズが人の心の悲しみから生まれたことを知ったプリキュア達が
ノイズを受け入れて浄化するという見事なラストとなりました。

ここでスイートプリキュアというヒロインの行動を通して示されたテーマは
「悲しみは消すことは出来ず絶え間なく生まれ続けるが、受け入れて乗り越え続けることは出来る」
ということであり、それは「だから悲しみに負けないで」という視聴者の女の子たちへ向けての
メッセージに繋がるのです。

「ゴーカイジャー」も「絶望の中でこそ本当の夢が見つかる」という
ゴーカイジャーとういうヒーローの姿を示すことで視聴者の男の子たちに
「だから絶望に負けるな」というメッセージを送っています。

これらは、絶望や悲しみは消すことは出来ないということを前提に、
それを受け入れた上で、乗り越えて未来に進むヒーローの姿を子供たちのお手本として示しているのです。
オーズ的ヒーローが手を繋いでも消すことは出来なかった悲しみや苦しみに向き合う羽目になった人々は、
消すことの出来ない悲しみや苦しみを受け入れて乗り越え前に進んでいくしかない。
ゴーカイジャーやスイートプリキュアは、その見本を示すヒーロー、ヒロインであったのでしょう。

既に進行していた陽気な学園青春ものの仮面ライダーという企画に
大震災を受けて修正を加えて出来上がり昨年9月に「オーズ」の後に放送開始したと思われる
「仮面ライダーフォーゼ」においても、
主人公の如月弦太郎の「気に入らないヤツだからこそダチになって立ち直らせる」という特異な性格は、
この「マイナス要素を受け入れて前に進むヒーロー」の類型に属しているといえます。

そして、ニチアサキッズタイムで大震災以降に企画をイチから立ち上げた最初の作品である
「スマイルプリキュア」は今年の2月に放送開始されたばかりですが、
「笑顔でいればハッピーになれる」という、かなり能天気なテーマが提示されてはいるものの、
実際はバッドエンドの持つ力によって荒らされてしまった世界を再生させる物語のようであり、
バッドエンドを前向きな笑顔の力でハッピーエンドに変えていく物語のように思われます。

まぁ「スマイルプリキュア」は始まったばかりでまだよく分からないのですが、
ただ、どうもこの作品は歴代プリキュアシリーズで最も明るく、おバカな作品であるように見受けられます。
この明るさ、おバカさは「フォーゼ」にも共通しており、
「ゴーカイジャー」や「スイートプリキュア」が描いていた、苦しみや悲しみに正面から向き合った、
ある意味では陰鬱とした感じはだいぶ薄らいでいます。

根っこにあるテーマは「ゴーカイジャー」「スイート」「フォーゼ」「スマイル」ともに
「マイナス要素を受け入れて前に進む」という点では共通しているのですが、
大震災に時期的に近い「ゴーカイジャー」と「スイート」は
「マイナス要素を受け入れる」という側面がより強く、
大震災から時間がより経過した「フォーゼ」や「スマイル」は
「前に進む」という側面がより強いように見受けられます。
たった1年ですが、それだけ微妙に大震災の記憶の風化が進んだということでしょう。

もちろん、この4作品はいずれも素晴らしい作品です。
「ゴーカイジャー」や「スイート」の若干暗めの重厚さも、
「フォーゼ」や「スマイル」の悲しみを吹き飛ばす突き抜けた明るさも、
それぞれの時期に合わせた、真に求められる作風だと思います。
それに、4作品に共通する「マイナス要素を受け入れて前に進む」という精神は、
まさに今の「復興」を目指すべき時代に合致した時代精神だといえます。

ただ、この4作品のヒーローやヒロイン達というのは、かなり等身大のヒーローという印象です。
もちろん劇中でやっていることは凄いことなのですが、
悲しみや苦しみを消すことは出来ないという点では、視聴者の子供たちと同じ等身大なのです。
その上で悲しみや苦しみから逃げずに受け止めて、乗り越えるという点において立派なのであり、
子供たちの良きお手本になる存在といえます。

しかし、ヒーローとは元来そういうお手本というだけの存在ではありません。
悲しみや苦しみを消してくれるのもヒーローに期待される役割のはずです。
それに比べれば、4作品のヒーローは悲しみや苦しみは消すことは出来ない、
視聴者と同じ弱さを持ったヒーローです。
そういう意味で親近感の湧く、親しみやすいヒーローであり、謙虚なヒーローであるともいえます。

あれほどの大自然の猛威とその後の圧倒的な災禍を見せられれば、謙虚にならざるを得ないのです。
気軽に「悲しみや苦しみを消してみせる」なんて言えるわけがない。
自分も悲しみや苦しみは消せないけど、一緒に立ち上がって前に進もう。
そう言うことぐらいしか出来ないのが実情だったのでしょう。

しかし、こういう言葉は時に便利で残酷です。
面倒なことは全部「辛いけど受け入れて、とにかく前に進もう」という言葉で片付けて捨て去ることが出来る。
「家族がいなくなった」「家が無くなった」「仕事が無くなった」「学校が無くなった」などと言われても、
「辛いだろうけど、全部受け入れて乗り越えるしかないよ」と言って、何もしてくれない。

自分で乗り越えろ、と弱者に丸投げして、
力を持った者達は自分達の今の地位や豊かな暮らしを守ることに夢中。
こういう偽善を私たちはこの1年間、さんざん目にしてきました。

オーズのように手を繋いで支え合う人達の絆の美しさや、
ゴーカイジャーやスイートプリキュアのように悲しみを受け入れて
それを乗り越えようと立ち上がる人々の雄々しい姿を、私達はたくさん見てきました。
しかし同時に、失ったものを取り戻そうとする人々を見捨てて、
自分の安穏だけを求めるような醜悪な人々も私たちは見てきました。
そういう醜さによって、絆も絶望から生まれた夢も、台無しにされることも多かった。

ならば、そうした醜悪に立ち向かい、
あえて失われたものを取り戻そうとするヒーロー像が提示されてもいいのではないでしょうか。
悲しみや苦しみを受け入れるのではなく、悲しみや苦しみを無くしてくれるヒーローです。
壊れた家や学校を元に戻し、皆が働ける豊かな街を取り戻し、
死んだ家族を生きて見つけ出して助けてくれる、そういうヒーローです。

それは現実を見る限り、ほとんど不可能なことです。
その不可能にあえて挑戦するヒーローは決して身近な等身大のヒーローではない。
理解してくれる人も少ない。
被害を受けた人々が大人しく悲しみや苦しみを受け入れてくれた方が
手間が省けて助かる人達の方が実は多数派で、
そういう多数派から見れば、悲しみや苦しみを無くそうとして抗うヒーローは面倒くさい存在なのです。
だからこのヒーローには敵も多く、孤高、超然とした存在にならざるを得ません。
しかし、今の時代、そういうヒーローも描かれるべきでしょう。

ゴーバスターズというのは、そういうヒーローとして造形されたのではないかと思えるのです。
エネトロンというエネルギーで繁栄する都市生活。
しかしその繁栄の裏には13年前の隠された悲劇の犠牲者が見捨てられています。
人々はその犠牲のことは仕方なかったこととして受け入れ、乗り越えて現在の繁栄を築きました。
今さら過去を振り返って犠牲者を救出するというリスクを冒して、現在の繁栄を犠牲にしたくない。

しかし、ゴーバスターズはその見捨てられた13年前の犠牲者を助け出そうとする。
それは現在の繁栄を愛する者たちからは歓迎されることはなく、
ゴーバスターズは孤立し、厳しい立場となります。
それゆえ彼らは一見とっつきにくいヒーローですが、
彼らは偽善の醜悪を憎み、真に虐げられた弱者を救う熱い心を持っている。

13年前まだ子供だった3人は成長して、
次元の彼方に消えた人々のことを皆が忘れ去り見捨てた現在、敢然と立ちあがって、
次元の彼方から絶対に生きていないはずと言われる人々を救出しようとする。

それは、津波に家族を呑まれた子供たちが、
社会や政府が被害者のことは忘れて繁栄を享受しようとする中、
その流れに抗って海の彼方から誰もが死んだはずだという家族を助け出そう、
昔の幸せを取り戻そうとする物語だと思えばいい。

絵空事のような復興プランではなく、全てを失った人たちが本当に欲しいものは、
昔の幸せを取り戻すことなのです。
美辞麗句で誤魔化して面倒くさがって、昔の幸せを取り戻すことを邪魔しようとする偽善者こそが真の悪であり、
あえて昔の幸せを取り戻すために戦うヒーローの姿は、
偽善者の言う空々しい「絆」という言葉や、
「悲しみを乗り越え前に進みましょう」という空虚なスローガンの裏で
瓦礫の処理さえ進まない現実を浮かび上がらせることでしょう。
そうした戦いに邁進するゴーバスターズの「絆」こそが「本当の絆」なのかもしれない。

エネトロンによる繁栄を享受して13年前の犠牲者のことを忘却しようとする都市生活者たちは
私達自身を象徴しているのかもしれない。
そうだとするならばゴーバスターズとは我々から見て、あまり心地よい存在ではないのかもしれません。
ゴーバスターズの3人がどうもとっつきにくいキャラ造形になっているのは
どうしてなのだろうかと不思議に思っていたのですが、
それは、そもそも彼らが偽善の未来の繁栄に向かおうとする視聴者とは緊張関係にある、
あえて無茶をして悲しみや苦しみを取り除き、昔の幸せを取り戻そうとするヒーローだからなのでしょう。

まぁ、そういうヒーローが素晴らしいと称賛するつもりはありません。
私は基本的には悲しみや苦しみは消すことは出来ないし、受け入れて乗り越えるしかないと思っています。
しかし、世の中にはそうした人間心理を利用して怠惰を決め込む偽善が存在することも事実であり、
そうした偽善を撃つために、あえて悲しみや苦しみを無くそうとする
無茶なヒーローが存在する意義はあると思います。

ゴーバスターズがそういうヒーローなのかどうか、4話が終わった段階で断定することも出来ないと思いますが、
私は個人的には彼らがそういうタイプのヒーローとして造形されているという先入観でこのドラマを見るのが、
このドラマを一番楽しめる方法であると思い至ったのです。

実は1話から3話まで見てきて、どうにもこのドラマを楽しむことが出来ず、悪戦苦闘していました。
ゴーバスターズの3人から漂うギスギスした空気がどうにも気になっていたのです。
妙な敵意を3人から向けられているような気がして、どうにも見ていて落ち着かない。
私の勝手な妄想かもしれないですが、そう感じていたのです。

だから、その敵意が彼らが現代日本の偽善にあえて敵対するヒーローゆえのものなのだと
勝手に解釈することで、私の場合は初めて彼らに感情移入することが出来た。
私もそうした偽善を憎む心は少しはあるので。
そうして初めて気持ちよくゴーバスターズの3人の活躍を見ることが出来たのであり、
今後の展開も楽しみになってきました。
だから、万人向けの解釈ではないでしょうけれど、私はこういう解釈で今後、ゴーバスターズを見ることにします。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:41 | Comment(1) | 特命戦隊ゴーバスターズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月21日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その16

オーレンジャーの「大いなる力」を巡って、バスコと4回目の戦いを繰り広げたマーベラス達は、
オーレンジャーの「大いなる力」を獲得し、バスコの持つ残り残り9個のレンジャーキーも全て奪い、
全部のレンジャーキーを揃えました。
そして後はバスコを倒して、奪われた3つの「大いなる力」をゲットしようとするところまでこぎつけますが、
ここで予想もしていなかったバスコの怪人態の圧倒的な戦闘力によって、
マーベラス達は逆襲を受けて完敗してしまいます。
そのままバスコは3つの「大いなる力」を持ったまま立ち去り、
マーベラス達はバスコが自分達にトドメを刺さなかったことを不可解に思います。

バスコは自分の奪った3つ以外の残りの31個の「大いなる力」をマーベラス達に集めさせてから、
レンジャーキーやナビィやガレオンと共に奪おうと考えており、
マーベラス達も薄々はそうしたバスコの思惑には気付きました。
何にしてもバスコから3つの「大いなる力」を奪わねば「宇宙最大のお宝」は手に入れられないのであり、
バスコの怪人態と戦う力を求めたマーベラス一味は
ゴーカイガレオンバスターという新しい必殺武器を獲得したのでした。

ところが、せっかくマーベラス達がバスコと戦う態勢を整えたにもかかわらず、
バスコは姿を現さず、その行方は全く分かりません。
バスコは怪人態になりながらマーベラス達にトドメを刺さなかったためにダマラスの依頼を反故にしたことになり、
ダマラスに捕まえられて制裁を受けることを恐れて、一旦地球を離れていたのですが、
マーベラス達はそんなことは知りません。

ただ、何にしてもマーベラス達が残りの「大いなる力」を手に入れないことには
バスコは姿を現さない可能性が高いということは、マーベラス達にも想像はつきました。
ならばマーベラス達は早く残りの「大いなる力」を揃えたいところです。
残る「大いなる力」はバトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマン、
カクレンジャー、メガレンジャーの5つです。

ところが、ナビィにお宝ナビゲートのビジョンを送っているのは「この星の意思」かアカレッドなのですが、
両者ともバスコに「大いなる力」を3つ奪われてしまったことの方を重大視して、
地上や地球上空でバスコの行方を探すことを優先しました。

それでもバスコが見つからないので、「この星の意思」やアカレッドは、
バスコがマーベラス達が「大いなる力」を残り全部揃えるのを待っているということは読み切っていましたから、
逆にマーベラス達にお宝ナビゲートのビジョンを送ることはしばらく止めて、
マーベラス達の「大いなる力」集めを進めないようにしました。
そうすればバスコが焦って姿を現すのではないかと考えたのです。

結局バスコは秘かに地球外に逃げていたので、
マーベラス達の「大いなる力」獲得状況をさしあたり把握することもなく、
バスコが焦って姿を現すことはなかったわけですが、
そういうわけで、ここからしばらくの間、マーベラス一味にはお宝ナビゲートのお告げが下されることがなく、
「大いなる力」探しは進まない状況となったのでした。

ただ、それでもマーベラス達は退屈しているヒマはありませんでした。
ザンギャックによる地球侵略の策謀は相変わらず盛んで、
マーベラス達はそれに対抗して戦う日々を送っていたからです。
そしてまた、マーベラス一味を討とうとするザンギャックの作戦や、更には意外な別の敵が現れたりして、
マーベラス達の戦いは続き、その戦いの中で、既に「大いなる力」を貰った戦隊の戦士たちともまた出会ったりして、
マーベラス達は戦う意義を再確認していき、そうこうしているうちに遂に戦いは佳境に入っていきます。

まず第33話では、バスコに重傷を負わされた腕の怪我を治すために
変身して戦うことをしばらく禁じられていた鎧が、ようやく怪我が治って戦線復帰して、
やっと仲間と一緒にヒーローとして戦えると大喜びしていたところ、
地球上の食べ物を食い尽くすという作戦のために出現した何でも呑み込んでしまうザンギャック怪人によって
変身アイテムのゴーカイセルラーを呑み込まれてしまい、再び変身出来なくなってしまい落胆します。

マーベラス達5人は怪人があちこちに姿を現して喰い物屋を襲っているのを追いかけ回して
鎧のゴーカイセルラーも取り返そうとしますが、
怪人が巧妙に逃げ回り、なかなか捕まえきれません。
そんな中、もう二度とゴーカイシルバーになれないかもしれないと落ち込んだ鎧は外でうろついていたところ、
17番目のスーパー戦隊のダイレンジャーの元リュウレンジャーの天火星・亮に偶然出会います。

亮は黒十字王との戦いの時にマーベラス達にダイレンジャーの「大いなる力」は既に渡しており、
マーベラス達が最終的には「宇宙最大のお宝」を手に入れても、
それを使っての宇宙を作り直して悪の存在しない世界を作るという道は選ばず、
あくまでザンギャックと戦って宇宙の善悪の均衡をとって
宇宙を安定した状態としてくれるものだと期待していました。

ダイレンジャーの考え方は、悪は滅ぼすことは出来ず、
善と悪が永遠に戦い合うことで均衡をとることによって世界は安定するというものなのです。
亮は強大な黒十字王の軍団に立ち向かって戦うマーベラス達の姿を見て、
マーベラス達ならば、ダイレンジャーの精神を受け継いで、
どんな不利な状況でもあくまで宇宙の悪と戦い続けてくれると期待したのでした。

ただ、黒十字王との戦いの時点では鎧はまだマーベラス一味に加わっていなかったので、
亮は鎧とは初対面でしたが、
黒十字王との戦いの後、地球人が1人、マーベラス一味に加わったという噂は亮も聞いていました。

鎧は亮の顔を見て元リュウレンジャーだと気付いて驚きゴーカイシルバーと名乗り、
亮はそれを聞いて鎧が噂の地球人海賊だと知り、
何故か異常に元気の無い鎧を心配して、自分の中華料理店に連れていきました。

そこで鎧が変身アイテムを無くして落ち込んでいることを聞いて、
亮は元気づけようとして「世界一を目指している」という自慢の餃子を勧めます。
しかし鎧は餃子を食べる元気も無く、変身出来なければヒーローになれないと言って嘆きます。
その様子を見て、亮は鎧がヒーローとして大切なものを見失っていることに気が付きました。

確かに変身出来なければザンギャックの怪人を倒すことは出来ない。
だからヒーローとして役に立たない。そのように鎧は考えていました。
しかしダイレンジャーの考え方では、この世に善がある限り、必ずバランスをとるために悪は生まれてくるのであり、
善が存在する限り、悪は永遠に滅ぼすことは出来ない。
だからヒーローは悪を根絶することは出来ず、悪との戦いには勝利は無く、永遠に続くのです。
だから悪を憎み、悪を倒すことがヒーローの存在意義だという鎧のような考え方では、
永遠に続く善と悪の戦いには耐えられません。

亮たちダイレンジャーも、かつて悪を憎み悪を倒す考え方に染まってしまい、
ダイレンジャーとして変身して戦う力を剥奪されたことがありました。
その時、亮たちは悪に打ち勝つ力を使って悪を倒すのではなく、
ただひたすら自分の大切な人々を守るために戦いたいと思い、変身できない状態で戦いました。
するとダイレンジャーとしての力が再び授けられたのです。

つまり、ヒーローにとって最も大切なのは、悪を倒すために戦うことではなく、
人々を守るために戦うことであったのです。
ヒーローの戦いが悪を永遠に根絶することの出来ない戦いである以上、
悪を倒すためではずっと戦い続けることは出来ないが、
人々を守るためならばずっと戦い続けることは出来ます。

真のヒーローとは力の有無は関係無く人々を守るために戦う者なのです。
人々を守るために戦う気持ちがあれば、悪を倒す力が無くてもヒーローなのであり、
悪を倒す力が無くても人々を守るためならば戦わなければヒーローではない。

しかし鎧は変身して戦う力が無ければヒーローではないと言いました。
それは人々を守るために勝利なき戦いを戦い続けることよりも、
ただ安直に悪を滅ぼすことがヒーローの務めだと勘違いしているということです。

そういう者が「宇宙最大のお宝」を手に入れて
「ザンギャックのいない平和な宇宙を作り直すことが出来る」と聞けばどうなるか?
おそらく安直に、ザンギャックさえいないことにしてしまえば
悪は無くなって平和な宇宙が作れると思ってしまうことでしょう。

しかし、どんな宇宙であろうと悪が根絶することはないし、平和が永遠に続くこともないのだと亮は思いました。
安直に悪を倒せば平和になると思って油断するならば、
あっという間に世界は悪に染まって平和は乱れて人々は苦しむことになるでしょう。
だから、人々を守る唯一の道は、ヒーローが人々を守るために苦しみの中で戦い続けることだけなのです。

「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、マーベラス一味はその覚悟を試されることになる。
ザンギャックに支配された宇宙で苦しい戦いを続けてきたマーベラス達ならば、
そこで道を間違えることはないはずだと亮は見込んでいました。
しかし、地球で生まれて戦いの経験も乏しい鎧にはまだその覚悟がよく分かっていないように見えました。

いや、ゴーカイシルバーの力を授けられたほどの男ですから、
本来は人々を守るためにどんなに苦しい状況でも戦い続ける覚悟のある男なのであろうが、
やはり戦いの経験が乏しいため、まだ未熟であり、
変身アイテムを失うというアクシデントの中で自分を見失っているのだろうと、亮は理解しました。
まだ若い鎧には仕方ないこととも言えましたが、
それにしても今後マーベラス一味を待ち受ける重大な役割を考えると、
その鎧の未熟さはそのまま捨て置いて良いものとも思えませんでした。

それで亮は鎧にヒーローとして一番大切なことを教えようとしたのですが、
鎧はレジェンド大戦で変身して戦うことが出来なくなった亮に向かって
「変身出来なければヒーローでないなど」と言ってしまったことで狼狽してしまいます。
鎧は亮が変身出来なくなったことで今の自分と同じように辛い想いをしているのだと思い込んでいたのです。
そんな亮に向かって傷つけるようなことを言ってしまったと思った鎧は
慌てて逃げるようにその場を立ち去ってしまいました。

それでますます落ち込んだ鎧はガレオンに戻った後、すっかり自信喪失して
マーベラス達に卑屈な態度で接するようになり、マーベラスはそんな鎧に失望しました。
マーベラスは鎧が「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」というトンデモない夢を抱き、
それを実現するために変身できない生身のままザンギャックの怪人に挑んでいたのを見て
気に入って海賊の仲間に迎えたのです。

その鎧が変身が出来なくなったぐらいで卑屈な態度をとっているのを見て、
マーベラスはそんな程度の覚悟でザンギャックを倒すなどと言っていたのかと思い、
翌日、呆れて鎧に説教をしようとしますが、怪人がまた出現したという報せを受けて出動してしまいました。

鎧もまた街に出てふらついていると、たまたま商店街のバザー会場でまた亮と出会い、
昨日酷いことを言ってしまったので亮が怒っているのかと思っていたら、
亮が平気な顔で屋台で餃子を焼いているのを見て、
変身出来なくなったことで亮がヒーローとしてのプライドも無くしてしまったように見えて、
鎧は自分もそうなるのかと思い、苛立ちました。

それで亮に向かって鎧は餃子ばかり焼いて腑抜けになったのかと、なじります。
すると亮は自分はこの餃子を世界一にするのが夢だと言い、
その理由は、世界一の餃子は世界一の笑顔を作ることが出来るからだと言います。
亮の言葉の意味が分からない鎧に対して、亮は一番大切なことを忘れているんじゃないのかと尋ねます。

亮は鎧に、一番大切なことは人々を笑顔にすることなのだと諭したのでした。
しかし、亮が高い志で餃子を作っていることは理解した鎧でしたが、
それは亮が悪と戦うヒーローであることよりも、
人々を笑顔にする餃子職人であることを選んだということであり、
鎧はそれが自分の一番大切なことと何が関係があるのか分からず考え込みます。

すると、そこに突然、例の大食い怪人がゴーミンやスゴーミン達を引き連れて現れて
バザー会場の人々を襲い始め、鎧は自分は変身出来ないから戦えないと思い一瞬尻込みしますが、
目の前で襲われている人々を見て思わず飛び出してゴーミン達と戦い始めます。
それを見て安心したように亮も変身出来ない身でゴーミン達と戦い始め、
驚く鎧に向かって、変身出来なくなった自分は世界は救えないかもしれないが、
目の前の人々が襲われているのは見過ごさないと言い、
変身しないまま、リュウレンジャーの名乗りを披露し、
変身出来なくても、戦う力が無くても、人々を守るために戦う限り、
自分は昔と同じようにヒーローなのだということを示したのでした。

その亮の姿を見て、
鎧は亮が変身出来なくなってもヒーローとしての心と身体の鍛錬を怠っていなかったことに気付きました。
それを支えていたのは、亮が人々の笑顔を守ることこそがヒーローの一番大切な使命だという
信念を持っていたことであり、
世界一の餃子を作ろうとしているのも亮にとってはヒーローとしての使命の一環なのだと鎧は悟ったのでした。

つまり、亮が自分に忘れているのではないかと指摘していたことは
「ヒーローにとって一番大切なことは変身出来る出来ないに関係なく、人々を守るために戦うこと」であることに
鎧は気付いたのでした。
そして、自分がもともとゴーカイシルバーとなってマーベラス一味の入る前は、
変身出来ない状態でも人々を守るために命を張っていたことを思い出し、
何時の間にかその初心を忘れていたのだと気付き、愕然としました。

それで鎧は二度とそのことを忘れないという誓いの意味で、
亮に倣って生身でゴーカイシルバーの名乗りを披露し、
そのまま亮と一緒にゴーミンやスゴーミンと戦い、遂には行動隊長の怪人にも戦いを挑みますが、
さすがに大ピンチとなったところでマーベラス達が到着し、2人の危機を救いました。

マーベラスは鎧が生身で怪人と戦うのを見て、呆れると同時に、
鎧が元の自分が仲間にしたかった鎧に戻ったことが嬉しく、亮に礼を言い、
怪人の腹に攻撃を加えてゴーカイセルラーを吐き出させて、
鎧はゴーカイセルラーを取り戻すことが出来ました。
そして人々を守るためにゴーカイシルバーとして戦い続けることを改めて誓った鎧は変身し、
6人揃ったゴーカイジャーは怪人を倒してザンギャックの企みを打ち砕き、
亮は改めてゴーカイジャーならば宇宙の人々の真の平和を守るためにずっと悪と戦い続けてくれるはずだと
確信したのでした。

続く第34話では、まず8000億ザギンというトンデモない資産を有する
宇宙で有数の青年実業家であるカインという男がザンギャックと取引して地球に降り立ったところ、
ザンギャックに拘束されてしまいました。

実はカインはルカの幼馴染で、故郷の星のスラムでのかつての戦災孤児の仲間でした。
かつてルカとカインはそのスラムで一緒に酷い貧乏生活を送りながら力を合わせて、
同じスラムの戦災孤児の小さな子供たちを大勢養っていたのですが、
ザンギャックの迫害によってスラムの状況はどんどん酷くなっていき、
ルカは妹が病死した後、突然スラムを飛び出してしまい、二度と戻ってきませんでした。

その後、カインは苦労して商売を始め、必死に働いたカインの事業は次第に拡大して、
遂にはカインは膨大な資産家となりました。
そのカインはルカが何時の間にかマーベラス一味というお尋ね者の宇宙海賊の一員となっていることを知り、
ルカが地球という星に居ることも突き止めました。

そしてカインはルカと会うために地球までやって来たのですが、
地球のすぐ外の宇宙空間にはワルズ・ギル率いるザンギャック軍が監視網を敷いていますから、
ザンギャック軍に隠れて地球に入ろうとしても怪しまれてしまいます。
だからカインは別の用件で地球に行くように装ってザンギャック軍の手引きで地球に入ろうとしましたが、
ザンギャック軍の方ではインサーンがカインの素性を調べてルカの旧友であることを把握しており、
カインがマーベラス一味と関係していると疑い、地球に入って宇宙船を降りたところでカインを拘束して、
地球に来た真の目的を問い質したのでした。

するとカインは、自分の財産でルカの夢を叶えるために迎えに来たのだと言います。
つまりプロポーズに来たということです。
これを聞いてインサーンはルカとカインが恋仲なのだと思い、
カインを使ってマーベラス一味を始末する作戦を思いつきました。
そして相手の額と自分の額をぶつけて相手そっくりに化けることの出来る特殊能力を持った怪人を使って
カインに化けさせてルカに接触させたのでした。

ルカは地球に来て第6話の成金親子や第23話の巽マツリらとの出会いを通して、
自分がかつて故郷の星を飛び出したのは妹を助けられなかった苦しみから逃れるために
全てを貧乏のせいにして、金があれば全て解決すると考えるようになった結果であったことに気付いていました。
故郷を飛び出して金儲けをして戦災孤児を救おうという夢を実現しようとしたと言えば聞こえはいいが、
実際は救いようもない現実を直視することに耐えられなくなり、
貧乏なスラムで苦しむ孤児たちや、地道に頑張る仲間たちを捨てて逃げ出したのです。

それが無計画な単なる逃避に過ぎなかったことは、
その後のルカが真っ当な職に就くことも出来ず、盗賊に身を落としたことでも明らかです。
もちろんルカがザンギャック相手の盗賊となったのは、ザンギャックの悪行を許せないという、
それなりの正義感に基づいた勇気ある行動であったのは事実ですが、
星を買い取って戦災孤児の楽園を作るというルカの当初の夢への最短距離の道であったとは言えません。
だからルカが故郷の星から飛び出したのは浅はかな行動でした。
この第34話時点のルカはもうそのことに気付いていますから、
故郷に置き去りにしてきた仲間や孤児たちに申し訳ないという気持ちを抱いていました。

そんな時に突然、地球でカインに会ったのでルカは驚きます。
ルカはカインが大富豪になっていることは知りませんから、
ルカの夢を叶えるために迎えに来たというカインに対して、
故郷を裏切った自分なんかの夢に未だに協力してくれようとするカインの気持ちを嬉しく思いますが、
自分にはカインのなけなしの金を使わせるだけの資格は無いと思い、遠回しに断ろうとします。

ところがカインが8000億ザギンの資産を持っていると言うのでルカは驚きます。
そんな天文学的な金額を戦災孤児出身のカインが持っているという話には全くリアリティは無く、
ルカはカインが嘘をついていると思いますが、
カインは無意味な嘘をつくような男ではないので、
ルカはカインが何かトラブルに巻き込まれているのではないかと心配して、
カインに誘われるまま、ついて行ってしまいます。

本当はこのカインはザンギャック怪人の化けたカインで、
8000億ザギンの資産を有するカインがルカの夢を叶えるために地球にやって来たルカの婚約者だと
勘違いしているので、その話をそのまま言えばルカが大喜びでついて来ると考えていました。
そうしたら案の定ルカがついて来たのでカインに化けた怪人は作戦が上手くいったと思い、
本物のカインを監禁している倉庫にルカを連れ込むと、不意をついてルカを気絶させて縛り上げて、
今度はルカに化けました。

ルカはカインが何かトラブルを抱えているのではないかと心配はしていたものの、
まさかザンギャック怪人がカインに化けているとは予想しておらず、
あっさりと罠に嵌められてしまったのでした。
怪人の狙いはルカに化けてゴーカイガレオンに潜入してマーベラス一味を殲滅することであり、
いざという時のための人質としてルカは殺さずに監禁することにしたようです。

そうしてしばらくして目を覚ましたルカは倉庫内で一緒に縛られている本物のカインと再会し、
カインが大富豪になったという話は本当だったと知り、驚きました。
カインは故郷でルカと一緒に孤児たちの世話をしていた頃は優しいが気の弱い男であったので、
大金持ちに出世するようなタイプではありませんでした。

しかしカインは故郷の星でルカが「星を買い取って孤児たちが安心して暮らせる場所を作る」という
壮大な夢をどんなことをしても実現すると強く語る姿を見て勇気づけられて、
妹を亡くしたショックでルカがいなくなった後、
ルカの夢を実現できる男になってルカを迎えに行き、ルカを助けたいと発奮し、
必死で商売に励んで、遂に星を買うには十分な財産を築いたのだと言います。

そしてカインは一緒に星を買って孤児たちを引き取ってその星で安らかに暮らし、
あの時の夢を叶えようと言って、ルカにプロポーズしました。
カインはルカが本当は優しい子供の世話好きな女性だと知っていますから、
海賊などルカには似合わないと思っており、
海賊などさっさと辞めて、本来のルカの夢を叶えて子供たちに囲まれた平和な暮らしをしようと誘ったのでした。

ルカはカインの話を聞いて、
カインが決して自分のように現実から逃げずに夢に向かって真っすぐ進んできたのだと知り、
カインを立派だと思いました。
そして、自分は現実から逃避してカインを捨てて逃げ出したというのに、
カインは自分の傷ついた心を理解し、自分を救うために強くなって迎えに来てくれたのだと知り、
そのことを素直に嬉しく思い、カインの自分への想いを自分のような者には勿体ないぐらいだと思って、
素直にプロポーズを受けた方が良いのではないかとも思いました。

確かにカインについて行けば、故郷の星で絶対に叶えると誓った夢を叶えることが出来ます。
しかし、ルカはそれではダメなのだと思いとどまりました。
確かに自分は現実逃避をして故郷を飛び出したダメ人間だが、それでも夢を叶えたいという想いは偽りではなく、
挫折を繰り返して盗賊に身を落としても、決してその夢を見失うことはなかった。
そもそも無学で不器用なルカが失敗ばかり繰り返しても誰に頼ろうともせずに茨の道を歩き続けたのは、
自分の夢は自分の手で叶えなければ意味が無いと思っていたからです。
いや、そういう強いこだわりがあったからこそ、ルカはどんな苦境の中でも夢を見失うことがなかったといえます。

誰かに夢を叶えてもらおうと思った瞬間、ルカは夢を失い、
その相手に奉仕して歓心を買うことだけを目的とする人間に堕ちたことでしょう。
ルカはあくまで自分の夢を持ち続けたいと思ったから、
決して上手なやり方ではなかったが、自分の信じた道だけを自分の力で貫き通していたのです。

そして、そんな中でルカはマーベラス達に出会い、
宇宙全体と同じ価値を持つという「宇宙最大のお宝」の実在を信じて、
星を買って多くの戦災孤児を救いたいという夢は、
宇宙全体を買って宇宙全域の戦災孤児を救いたいという、より大きな夢に変わった。

今はその夢を自分の手で掴み取るために海賊を辞めるわけにはいかないし、
カインのプロポーズに応じてカインの財産に頼って夢を叶えることは出来ないのだと、
ルカはカインの誘いを断ったのでした。

そこにザンギャック怪人が戻ってきてルカとカインを殺そうとします。
ルカに化けてガレオンへの潜入に成功したザンギャック怪人は
深夜になって停泊中のガレオンに爆弾を仕掛けて船から地上に飛び降り、
起爆装置を押してガレオンを吹っ飛ばし、マーベラス達を始末した後、
倉庫に戻ってきて、用済みとなったルカとカインを殺そうとしたのでした。

怪人からマーベラス達は全員死んだと聞かされて放心状態となるルカでしたが、
そこに突然マーベラス達が現れてルカ達を救出します。
マーベラス達は怪人がルカに化けていることに気付き、計略に嵌ったフリをして爆破を偽装し、
逆に怪人の後をつけてルカを助けに来たのでした。

マーベラス達が生きていたことを知り、大喜びするルカを見て、
カインはそのルカの笑顔がかつて故郷の星で仲間たちと共にいた頃の笑顔と同じであることに気付き、
もはやその笑顔は自分に向けられてはおらず、マーベラス一味の仲間たちに向けられたものであることを悟ります。

そして、どうしてルカの夢が故郷に居た頃よりも遥かに大きなものに成長したのか、
その理由をカインは気づいたのでした。
それはマーベラス一味の仲間が単なるならず者の海賊なのではなく、
ルカにとって共に夢を掴むための旅の仲間だったからです。
共に夢を追う仲間の絆があれば、その仲間の各自の持つ夢は更に大きく成長するのだとカインは気付きました。

もちろんカイン自身もルカにとってのそういう仲間になり得た人材ですが、
運命の巡り合わせでカインとルカはすれ違い、
ルカはマーベラス達と夢を掴む仲間の絆で結ばれて、今は以前よりももっと大きな夢を追っている。
マーベラス達と一緒にいると、ルカは自分の手でその夢を掴むことが出来るが、
カインは自分の財産を使ってルカに夢は叶えてやることは出来るが、自分の手で夢を叶えさせてやることは出来ない。
しかもその夢はもはや今のルカの夢ではない。
今のルカの夢を自分の手で掴むことがルカにとって最高の幸福なのであり、
その幸福を実現出来るのは自分の財産ではなく、マーベラス一味という場だけなのだと悟ったカインは、
ルカの幸福を願って、身を引くことを決意したのでした。

そうしてザンギャック怪人を倒したルカにカインは別れを告げ、
今後はルカから引き継いだ夢を自分の夢として、
自分なりのやり方で、自分の手でより多くの宇宙の戦災孤児たちを救っていこうとカインは心に誓います。
そしてルカにマーベラス一味の仲間との出会いがルカの夢を大きく純粋にしたのだと伝え、
その夢が叶って宇宙に子供たちの笑顔が満ちる日を来ることを願うと言いました。

それに対してルカはカインの自分に向けてくれた誠意を無駄にしてしまった代わりに、
きっとその夢を叶えてみせるとカインに約束するのでした。
そしてカインを見送った後、ルカはカインの言葉で改めて仲間と共に掴んでこその夢であることを認識し、
仲間と共に夢を叶えるために「宇宙最大のお宝」を絶対に手に入れてみせると、強い決意を新たにするのでした。

そして、第35話と第36話は前後篇で、
以前に黒十字王との戦いの際に「大いなる力」をくれたゴーオンジャーの
江角走輔と出会ったマーベラス達が異世界を冒険する物語となります。

ある日、マーベラス達がガレオンで空を飛んでいると、
空中に開いた次元の裂け目からガレオンに小型ロボットが落ちてきて、
自分は32番目のスーパー戦隊のゴーオンジャーの水先案内ロボのボンパーだと名乗り、
場所を間違えてたまたまガレオンに落ちてきたのだと言います。

それでマーベラス達はボンパーに頼まれて、元ゴーオンレッドで、今はレーサーをしているという
江角走輔のもとに連れていくことになりました。
マーベラス達は黒十字王との戦いの際にレンジャーキー空間で
ゴーオンジャーの「大いなる力」は既に受け取っていましたが、
その時、マーベラス達に「大いなる力」を渡したのは走輔ではなく、元ゴーオンイエローの楼山早輝でしたので、
マーベラス達と走輔は初対面でした。

すると、ボンパーは、「ガンマンワールド」という異世界がガイアークに侵略されて危機に瀕しており、
自分はそこでガイアークに敗れたゴーオンジャーの仲間の乗り物型生命体の炎神たちの力で
次元の裂け目を通って人間世界にやって来て、
走輔をガンマンワールドの救援のために呼びに来たのだと言います。
これを聞いた走輔は、マーベラス達と一緒にガンマンワールドを救いに行くと勝手に決めてしまいます。

しかしマーベラス達はガンマンワールドという世界も、ガイアークという敵も、全く知らないので、
どうして自分達がそんな意味の分からない戦いに行かねばならないのか分からないと言います。
走輔はゴーオンジャーの「大いなる力」を早輝が渡したということは
マーベラス達は当然、ゴーオンジャーと同じく「正義の味方」であるはずだと思っていたので、
このマーベラス達の反応は非常に意外だったようで驚きます。

ゴーオンジャーは世界の多様性を守る戦隊であり、
自分の住む世界とは異なった世界、縁の薄い世界も含めて、全ての世界を守ります。
それぞれの世界は違っていて当然であり、関係も薄くて当たり前なのであり、
異なった世界に1つの価値観を押し付けて無理にまとめようとすることこそが悪の元凶だというのが
ゴーオンジャーの考え方です。
ガイアークというのは自分とは異なった世界を自分の価値観で無理矢理染め上げるために侵略する
異世界に遍在する悪であり、
ゴーオンジャーと仲間の炎神たちはガイアークによる多次元世界の統一支配を阻止し、
それぞれの世界の異質性を守ることを目的として、そういう自分達を「正義の味方」と規定していました。

世界の多様性の中にこそ「正義」は有るという一種独特の考え方ですが、
「正義」の美名のもとの強者の価値観の押し付けが弱者を虐げてきたのが世の常であり、
強者による弱者への虐待がもっともらしい理屈のもとに行われることの胡散臭さに
ストレートに義憤を表明することの出来た単純で熱血な社会のはみだし者たちがゴーオンジャーとなり、
弱者や異端者の独自の世界で生きる価値を守ることこそが自らの信じる真の正義だと規定したのは、
非常に筋は通っています。

よって、ゴーオンジャーは彼ら流の「正義の味方」である以上は、異質な世界を守るのが当然なのであり、
自分に関係の深い世界だけを守るのは「正義の味方」ゴーオンジャーのすることではないと思っています。
知らない世界、関係無い世界だからこそ、異質な世界として、その異質性を守るために戦うのが
ゴーオンジャーなのです。

だから走輔はそのゴーオンジャーの精神を受け継いでいるはずのマーベラス達が
自分に関係無いガンマンワールドのことを守る意味がよく分からないと言うのを聞いて耳を疑い、
「お前ら正義の味方だろう?」と問い返しました。

しかしマーベラス達、宇宙から来た5人はもともと「正義」というものの無い宇宙で育ったので
「正義」というものがよく分かりません。
地球に来てスーパー戦隊の真似事のように地球を守るために戦ってはいますが、
「正義」というものを知らない自分達はスーパー戦隊のように本当の「正義のヒーロー」にはなれないと、
多少コンプレックスは抱いていました。
そういう心情であるところに、当のスーパー戦隊の元戦士である走輔から
「正義の味方じゃないのか?」などと言われて、マーベラスは馬鹿にされたような気がして腹が立ちました。

走輔はマーベラスは早輝からゴーオンジャー流の「正義の味方」が何なのか聞いていると思って
問いかけているのですが、マーベラスは早輝から何も聞いていません。
早輝は、というかゴーオンジャーの全メンバーは昔からそういうところはユルいのです。

早輝はマーベラス達が彼らから見て異世界である地球を守るために、
異世界の戦士であるゴセイジャーと力を合わせて黒十字王と戦う姿を見て、
直感でゴーオンジャーと同じ資質を持つ戦士たちだと思って、
そのまま何も言わず「大いなる力」を渡してしまっていました。

だからマーベラスは走輔の言う「正義の味方」の意味が分からず、
自分達が正義のヒーローの資格が無いとダメ出しされたと勘違いして、
逆ギレして反抗的態度をとってしまいました。
これを受けて走輔は、マーベラス達がゴーオンジャーの精神が理解出来ていないことを悟り、
早輝がまたいい加減なことをしたと気付きます。

まぁ、しっかり「大いなる力」を渡すことが出来たということは、
マーベラス達にゴーオンジャーの精神を受け継ぐ資質があるのは確かなのであろうが、
頭で理解出来ていないのだということに気付いた走輔もまた短気であったので、
いちいちマーベラス達にゴーオンジャーのことを説明するのも面倒で、
今はそれより急いでガンマンワールドを救いに行かねばならないと、
マーベラス達にはもう頼まずに1人でガンマンワールドに行くと言って、
怒ってその場を急いで去っていったのでした。

しかしマーベラス達はレンジャーキーを返すように求めもしないで去っていった走輔が
1人でどうやって戦うつもりなのかと気になって後を追います。
すると走輔は上空に開いた次元の裂け目に飛び込むためにトランポリンを使ったりしています。
これを見て、マーベラス達は走輔が全く無計画であることを知り、呆れ果てますが、
同時に、走輔が変身も出来ず、次元の壁を超える手段も無い状態でも、
自分にも仲間の炎神にも無関係の世界を救うために本気になっており、勝利を確信しているのだと気付いて驚きます。

それがあまりにも自分達の理解を超えたことであったので、
マーベラスは走輔にどうして無関係の世界のためにそんなに必死になるのか質問しました。
マーベラス達も自分達と無関係だった地球を守って戦うようになっていましたが、
それは何時しか地球のことが好きでなり、思い入れを持つようになったからでした。
ところが走輔にはガンマンワールドには何の愛着も無いはずなのです。
それなのに走輔はガンマンワールドを守るために必死になっている。
そのあたりがどうもマーベラス達にはよく分からなかったのでした。

それでマーベラスがどうして必死になるのか質問すると、
走輔は「誰かを想う気持ちに世界が違うとか関係無い」と答えます。
それを聞いてマーベラスは、自分達とスーパー戦隊の違いが何なのか、漠然と分かったような気がしました。
走輔は要するに好きだから守るというのは「正義の味方」ではないと言っているのです。
愛着など無くても世界を守りたいと思える者が「正義の味方」なのであり、
スーパー戦隊なのだとマーベラスは気付きました。

そもそもマーベラス達は自分達は第24話あたりでスーパー戦隊のようにはなれないと感じ、
それでも地球や地球の人々を守りたいと思ったから、
自分達が地球を守ろうとする理由として、第26話で「地球が好きだから」という理屈を持ち出したのです。

実際、マーベラス達は地球を好きになっていたのは事実であり、
地球を守るために無理に地球を好きになったというわけではない。
本当に地球のことは好きになっていました。
おそらく、思い返してみれば、黒十字王との戦いの辺り、
地球人の声援を受けて戦ったあたりから地球のことは明らかに好きになっていたのだとマーベラスは思いました。

ただ、もともと自分達が地球を守りたいと思った理由は、
本当は走輔と同じであったのかもしれないとマーベラスは思ったのでした。
生まれた世界が違っても愛着の有無など関係無く、地球を守りたいと思った。
でも、それがどうしてなのかマーベラス達にはさっぱり分からなかった。
それがおそらく走輔の言う「正義」というものなのだろう。
しかし宇宙育ちのマーベラス達にはその「正義」が分からなかった。
だからマーベラス達はスーパー戦隊のようにはなれなかったのであり、
その代わりに第26話では一旦「地球が好きだから地球を守って戦う」という理屈をつけて戦う心を定めたのです。

しかしマーベラスは今のまま戦い続けても
自分達はザンギャックから地球を守りきることは出来ないだろうと思っています。
今までザンギャックから自分の星を守りきった者などいないのです。
それでも地球を守って戦おうと決めた以上は、無理と分かっていても守り切りたいと思えてきます。
そう思うと、やはりスーパー戦隊のことは気になります。
何せ、スーパー戦隊だけが唯一、ザンギャックの侵略を一時的とはいえ、相討ちとはいえ、
撃退した実績がある存在だからです。

一旦、自分達はスーパー戦隊のようにはなれないと諦めたマーベラスでしたが、
走輔の言葉を聞いて、スーパー戦隊の言う「正義」というものが何なのか、
どうして世界が違っても守りたいと思えるのか、そのあたりが分かれば、
自分達もスーパー戦隊のようになれるのかもしれないと思えて、マーベラスは走輔に興味が湧いてきました。
そこでマーベラスは走輔と共にガンマンワールドに行ってみようと思い、
マーベラス一味はガレオンに走輔とボンパーを乗せて次元の裂け目を通ってガンマンワールドに行きました。

そして、そこで一行はガイアークの怪人に敗れて戦う力を失って倒れていた炎神たちを見つけて救助しました。
しかしマーベラスは、その炎神たちの惨めな姿を見て、
やはりどうして自分と関係無い世界を守るためにそこまで無茶をするのか理解出来ませんでした。
そして、炎神たちの無残な敗残の姿は自分達の地球を守って戦った末の未来を暗示しているような気がして、
嫌な気分になります。

「正義」などといっても、結局は強大な敵には勝つことは出来ないのではないかとも思えてきます。
実際、スーパー戦隊だって、ザンギャックを撃退はしたが、
目の前の炎神たちと同じように戦う力を失ってしまっている。
そう思うマーベラスの目には走輔や炎神たちは所詮は愚かなピエロや敗残者のように見えてきます。
やはり「正義の味方」などになっても、ザンギャックやガイアークのような強大な敵には勝てないのかもしれない。
マーベラスは暗い気分になりました。

ところが、再び襲ってきたガイアーク怪人が決闘を吹っかけてきた時、
走輔と炎神たちは戦う力を失っても全く怯むことなく怪人に立ち向かおうとします。
どう見ても勝ち目は無いように見えるのですが、
走輔と炎神たちは相棒がいるからまだまだ戦えるのだと言います。
つまり炎神だけだからさっきは負けたが、相棒の走輔が来たから真の力を発揮出来るということらしい。
しかし走輔はゴーオンジャーに変身も出来ないのだが、そんなことは彼らには関係無いらしい。

さっき1人で走輔がガンマンワールドに行こうとしていた時も妙に自信満々であったことを思いだしたマーベラスは、
走輔たちの戦う力の源は世界の壁を超えた絆にあるのだと気が付きました。
だから走輔たちは自分と関係無い異世界でも守ろうとするのです。

つまり走輔たちの認識では世界の壁を超えた絆で結ばれた、全ての世界を守る戦士が
「正義の味方」ということらしい。
マーベラスはそのように理解しましたが、
どうしてそんなものが「正義の味方」ということになるのか、マーベラス自身の感覚では全く理解出来ませんでした。
それに本当にそんな力で強敵を撃ち破ることが出来るのか、よく分かりませんでした。

一見すると単に走輔や炎神たちが無茶をしているバカのようにも見えましたが、
マーベラスは自分も無関係の地球を守ろうとして戦っている以上、
同じようなバカに見えても仕方ないと思いました。
ならば、自分が単なるバカなのか、それとも「正義の味方」になれるのか、
自分で戦って確かめてみようと思い、
マーベラスはあえて無関係のガンマンワールドを守るためにガイアーク怪人との決闘に志願し、
勝利を収めたのでした。

こうしてガンマンワールドを守ったマーベラスでしたが、
マーベラスには走輔の炎神のように異世界の相棒というものがいないので、
やはりどうも世界の壁を超える絆の力というものがピンと来ません。
しかもガイアーク怪人との戦いの中でゴーオンジャーの「大いなる力」を使うと不発に終わってしまい、
更には戦いの直後、人間世界に戻る通路をガイアークの害統領ババッチードに塞がれてしまい、
元の世界に戻れなくなってしまいました。

実はガイアークのガンマンワールド侵攻は邪魔なゴーカイジャーを人間世界から誘い出して締め出し、
その間に人間世界を征服しようというババッチードの計略であったのでした。
こうしてゴーカイジャーをまんまと排除したババッチードは
ガイアークの軍勢を率いて人間世界の地球侵攻を開始しますが、
ババッチードはすっかりザンギャックのことを忘れており、
ザンギャック側はいきなり地上に現れたガイアーク軍を見て驚きます。

ワルズ・ギルは地上で我が物顔で暴れ回るガイアークを見て、
思わず、どうしてマーベラス一味がガイアークの邪魔をしないのかと憤慨しました。
ワルズ・ギルとすれば自分達の侵略行為の邪魔はするクセにガイアークの侵略行為の邪魔はしないのは
不公平だと文句を言っただけだったのですが、
それを聞いたダマラスとインサーンは、もしマーベラス一味がこの突然現れたガイアークの侵攻を邪魔しに現れたら、
マーベラス達が地球を守るために戦っているということを意味するのではないかと気付いたのでした。

ダマラス達はマーベラス一味がザンギャックの行動部隊を今まで襲ってきていたのは
単に彼らが無法者の宇宙海賊で、もともとザンギャックに反抗しているような
連中だからだと軽く考えていたのですが、
もし未知の敵であるガイアークの侵攻に対してマーベラス達が立ちはだかるとしたら、
実はマーベラス一味は地球を守るために戦っているということになり、
もともと地球と無関係のマーベラス達が地球を守ろうとしているとしたら、
ザンギャックの理念を真っ向から否定するような危険思想をもって
確信的にザンギャック軍を攻撃してきていたのだということになる。
もしそうであるならば、マーベラス一味というのは今まで考えていたような甘い敵ではないのではないかと、
ダマラスとインサーンは嫌な予感を覚えたのでした。

ただ、それはマーベラス達がガイアーク相手に戦いを挑んだ場合の話であり、
その時点ではマーベラス達はババッチードの計略に嵌ってガンマンワールドに締め出されており、
地上で暴れるガイアーク軍の前には現れていませんでしたので、
ダマラスやインサーンは自分達の嫌な予感は杞憂に過ぎないと思い、
ワルズ・ギルはバリゾーグとインサーンを率いて自らガイアークを討伐しに地上に降り、
地上ではザンギャックとガイアークの戦闘が始まったのでした。

一方、ガンマンワールドで人間世界への帰り道が遮断されて戻れなくなってしまったマーベラス達は、
走輔やボンパー、炎神たちと共に、炎神たちの故郷であるマシンワールドへ行って、
そこで唯一戦う力を失っていないという炎神マッハルコンの力を借りて
マシンワールドから人間世界への次元の壁を突破しようとします。

しかし走輔の相棒の炎神スピードルの息子であるマッハルコンは強大な力を持ちながら、
両親のように「正義の味方」となることを拒否して自由気儘に暴走して暮らす不良息子でした。
案の定、人間世界の危機を救うために次元の壁を破ってほしいと頼むと、
マッハルコンは拒絶して走り去ろうとします。

そのマッハルコンをゴーカイマシンで追いかけているうちにマーベラスは、
あまりに必死に逃げるマッハルコンが実は次元の壁を突破することを怖がっていることに気が付きました。
呑気にマシンワールドで暴走行為を楽しんでいたマッハルコンは
いきなり戻ってきた両親に、次元の壁を破るという、自分が実は怖がっていることをやるように言われて
ビビって逃げているのです。
自由気儘な反抗期の不良息子を装っているが、
マッハルコンの本質は、両親のように世界の壁を超えて戦う「正義の味方」になる自信が無くて
逃げ回っている根性無しであったのです。

どうしてマーベラスが一瞬でマッハルコンの本性を見抜くことが出来たのかというと、
昔の自分と同じだったからです。
マーベラスも昔、海賊と自称して粋がっていたが、実際は未知の宇宙へ冒険の旅に出る勇気を持てませんでした。

そのマーベラスが冒険の旅に出る決心がついて真の海賊になることが出来たのは、
アカレッドに出会って、未知の世界に夢が見つけられると信じることが出来たからです。
本当は未知の世界を怖がっているクセに虚勢を張って言い訳して逃げているマッハルコンの姿に
昔の自分を重ねたマーベラスは、今のマッハルコンに次元の壁を破らせるためには、
未知の世界に夢があることを教えてやる必要があると思いました。
それはかつて、やさぐれていたマーベラスを導いてくれたアカレッドと同じ役割を果たすということでした。
そしてマーベラスは今の自分達ならばそれは出来ると思いました。
何故ならマーベラス一味の面々は、みんな未知の世界で夢を掴めると信じることが出来た真の海賊だからです。

マーベラスは最初アカレッドと出会った時、アカレッドに戦いを挑んで完敗しました。
そうして未知の世界に夢を掴もうとする勇気のある真の海賊の強さをアカレッドに思い知らされたことによって、
自分も夢を掴むために未知の世界に飛び出す強さを持つことが出来たのです。
だからマーベラスは今度は自分達マーベラス一味がマッハルコンに完勝して、
未知の世界で夢を掴もうとする者の持つ強さを教えてやり、
未知の世界は怖くない、誰でも未知の世界に夢を求めて突き進む強さを持つことが出来るのだということを
マッハルコンに教えようと思いました。

そうしてマーベラス一味は「欲しいものを本気で掴み取りに行く海賊が逃げてるだけの奴に負けるはずがない」と
宣言して喧嘩を売って、ゴーカイオーでマッハルコンを押さえこんで捕まえ降参させたのでした。
その結果、マッハルコンは今まで自分が未知の世界が怖くて「正義の味方」になることから逃げていたことを認め、
それは自分には両親のように自らが信じて突き進める夢が無いからだと言いました。
それに対してマーベラスは、「自分で探せ」と諭しました。
つまり、未知の世界に飛び出して自分で探せば夢は見つかると言ったのです。

この言葉を受けてマッハルコンは未知の世界に夢を求めて飛び出す勇気を持つ決心をしますが、
その夢はマーベラスと一緒に行くことで見つかるに違いないと思い、
海賊の仲間に加えてほしいと志願したのでした。
それはマーベラスがかつてアカレッドについて行ったことや、
ジョーやルカ達が大きな夢を掴むためにマーベラスと一緒に旅をしようと思ったのと同じことでした。
だからマーベラスはマッハルコンの申し出を快く受け入れ、
人間と炎神が仲間になることを走輔たちが「相棒」と称していることにちなんで、
マッハルコンを自分の相棒としたのでした。

そして、マーベラスはマッハルコンが海賊の仲間になり未知の世界に夢を求める決意をしたことで
「正義の味方」になったのを見て、「海賊」と「正義の味方」が本質は同じだと気付いたのでした。

海賊は未知の宇宙に夢を掴むために冒険の旅をする者達であり、
「正義の味方」は自分の信じる正しい道を貫くために次元の壁の向こうの未知の世界に飛び出して戦う者達です。
つまり、海賊も「正義の味方」も世界に未知の領域があるからこそ、彼らの強さが成り立つのです。
というより、人間の強さや尊厳というものは未知への挑戦によってこそ生じる。
だから世界や宇宙は未知であり、それぞれ違っている方がいい。

対してザンギャックやガイアークという連中は自分の価値観で世界を統一して
未知の領域を無くそうとする者であり、これこそが人間の尊厳の敵であり、真の悪だといえます。
そうした真の悪である「世界の均一化」を阻止して、全ての世界の独立を守り、
未知の世界へ挑戦する全ての世界の生きる者の尊厳を守るのが「正義の味方」なのだとマーベラスは理解しました。

そして「正義の味方」は自分達が未知の世界の独立を守るヒーローである証に、
次元の壁の向こうの未知の世界のヒーロー同士が相棒となって力を合わせて戦う。
だから、走輔と炎神たちはガンマンワールドで合流したことによって
自分達は絶対に負けないという強い確信を持つことが出来たのだと、マーベラスはようやく理解したのでした。

そしてマーベラスは自分たち海賊も同じなのだと思いました。
マーベラスにとってアカレッドも結局何者だったのかよく分からない人でしたし、
ジョーやルカの過去の話など全く聞いたこともなく、ハカセやアイムの過去も詳しいことは知りません。
鎧などはザンギャックの支配外の星である地球の住人で、
マーベラスから見れば、みんな異世界人のようなものです。
それでも仲間になったのは、全員、未知の世界で夢を掴むことが出来ると信じたからです。
言い換えれば、未知の世界でなければ夢を掴むことが出来ないから海賊になったといえます。

宇宙の多くはザンギャックの侵略によって未知の世界が失われていったからです。
ザンギャックによって未知の世界が壊されていない場所を求めて、夢の掴める場所を求めて、
マーベラス達は宇宙を転々と航海し、夢を掴むためのカギであるレンジャーキーを集めてきた。
それは自分にとってのささやかな未知の世界、夢を掴める世界を守るための戦いの日々でもあり、
その未知の世界を守る戦いの証として、マーベラス一味の面々は、
互いに未知の世界の住人同士が力を合わせる仲間となったのです。

そしてマーベラス達は夢が掴める未知の星である地球に辿り着いた。
そこでマーベラスは「この星を守る価値」に興味を持ち、
少年にそれを「海賊なら自分で探せ」と言われました。

そしてマーベラスは今、「正義の味方」になるために信じられる夢が無いと嘆くマッハルコンに向かって
「自分で探せ」と言い、
マッハルコンはそれによって自分の信じられる夢を見つけるために未知の世界に飛び込み、
「正義の味方」となり、海賊の仲間となりました。

つまり、海賊も「正義の味方」も、
夢を掴むことの出来る未知の世界を守ることが自らの信じて突き進める道なのであり、
マーベラスが海賊として地球を、すなわち「この星を守る価値」というのは、
夢を掴むことの出来る未知の世界をザンギャックによる均一化の暴力から守ることであったのです。
それは海賊の行動原理であると同時に「正義の味方」の行動原理でもあります。
マーベラスやマッハルコンが探していた価値や夢は、このことであったのです。

つまり、自分達にも「正義の味方」の資質が有ったのだとマーベラスは気付き、
どうして黒十字王との戦いの時に自分達がゴーオンジャーの「大いなる力」を受け取ることが出来たのか、
理解したのでした。

ただ、ゴーオンジャーは全ての未知の世界を守る戦隊です。
ならば、真の「正義の味方」となるためにはマーベラス達も地球だけではなく、
宇宙の全ての未知の世界をザンギャックによる均一的な支配から守って夢を掴める場所にしなければならない。
それはつまり、ザンギャック帝国の否定であり、ザンギャック帝国との全面対決、打倒です。
それが達成された時、自分達は本当の「正義の味方」となる。

そのことに思い至ったマーベラスでしたが、
もちろんそれは理屈の上だけのことであり、現実には自分たちのようなちっぽけな海賊に
ザンギャック帝国を倒す力は無いことは明白であり、
それはゴーオンジャーにしても、34のスーパー戦隊全部であっても不可能なことだと思いました。

ただ、スーパー戦隊というものはそのような行動原理を持っていた。
そんな壮大な夢を持っていたからこそ、
スーパー戦隊は一旦はザンギャックを退けて地球を守りきるという、
前代未聞の快挙を成し遂げることが出来たのかもしれないと、マーベラスは思いました。

そして自分達ゴーカイジャーにも、宇宙海賊として同じ行動原理がある。
その行動原理を貫いてザンギャック帝国ととことん戦い抜いて勝つ力は自分達には無い。
結局自分たちが意地を貫いた先に待っているのは破滅だとは思ったマーベラスですが、
それでも海賊として貫くべき意地が、かつて地球を守ったスーパー戦隊と同じであるということは、
マーベラスには少々嬉しいことでありました。

そうしてマッハルコンの協力を得て人間世界へ戻る次元の壁を突破したマーベラス達は、
マシンワールドから人間世界の地球に戻るとババッチードを倒すため、ガイアーク軍に襲い掛かりますが、そこではザンギャック軍がガイアーク軍と戦闘しているのを見て驚きます。

何だか事情はよく分からないがガイアークもザンギャックもまとめてやっつけようとするマーベラス達でしたが、
一方のザンギャック側ではインサーンがマーベラス達がガイアークを倒すために現れたのを見て、
やはりマーベラス一味が地球を守るために戦っていることを確信し、
マーベラス一味が自分に無関係の星をザンギャックに支配されるのを阻止しようとしている、
ザンギャック帝国の支配原理を真っ向から否定する危険思想の持ち主だと理解して愕然とします。

そしてインサーンはマーベラス一味を帝国にとことん逆らう危険な敵と認識し、
態勢を整えた上で徹底的に駆除せねばならないと思い、
この場は一旦引き上げるようワルズ・ギルに進言し、ザンギャック軍は撤退しました。
そしてマーベラス達は残ったガイアーク軍と激闘を繰り広げ、
マッハルコンと相棒となったことでゴーオンジャーの「大いなる力」を使いこなせるようになったマーベラス達は
ババッチードに完勝し、ガイアークの地球侵略を阻止したのでした。

そして走輔は戦いが終わった後、マーベラス一味の面々が全員違う星の生まれの異世界人のようなものだったと知り、
マーベラス達がゴーオンジャーの「大いなる力」を受け取ることが出来たことや、
マッハルコンを相棒とすることが出来たことなどに納得しました。
そして走輔は、マーベラス達ならば34戦隊の力を受け継いで「正義の味方」として戦って
ザンギャックの宇宙支配を打ち砕き、人々の夢と自由に溢れた多様な宇宙を実現してくれるはずだと
確信したのでした。

さて一方、ザンギャック本星のほうでは、
第12話において地球方面に派遣した親衛隊長のデラツエイガーが倒された後は
ダマラスに期待して地球侵略成功の朗報を待っていた皇帝アクドス・ギルが、
いくらなんでも地球侵略に手間取りすぎていることに苛立ち始めました。

現実には地球侵略軍ではワルズ・ギルが皇帝とダマラスの密談を盗み聞きした際に勝手に誤解して、
皇帝とダマラスが共謀して自分の手柄を横取りしようとしているなどという妄想を抱き、
ダマラスを遠ざけて前線にも出ることも禁じ、本星へも本当の戦況を報告しない状況が続いていました。
ワルズ・ギルの思いつきの序盤の作戦の失敗で地球侵略軍は機能不全状態で、
頼みのダマラスも前線に出ることも出来ない飼い殺し状態というのは、
さすがにアクドス・ギルも想像していませんでした。

ダマラスがアクドス・ギルに直訴しようにも、
本星への連絡はワルズ・ギルの監視下にあるのでワルズ・ギルへの非難を含んだ内容を連絡出来ませんし、
仮にダマラスからアクドス・ギルへ現状に関する報告が出来たとしても、
ダマラスにもどうして自分がここまでワルズ・ギルに疎まれるのか理由が分からない以上、
不仲の原因はダマラスの側にあるようにアクドス・ギルに解釈される恐れがあるので、
ダマラスは下手に本星の皇帝に自分の不遇を報せることも出来ませんでした。

それで、現状を知らないアクドス・ギルはさすがに痺れをきらせて、
邪魔をしてくる海賊討伐にダマラスが有効活用してくれるだろうと思い、
再び地球侵略軍に向けて増援を送ることにしました。
それがザンギャック帝国最強最新鋭の秘密兵器である決戦機、
つまり搭乗型の巨大戦闘ロボであるグレートワルズでした。

こうして第37話と第38話の前後篇においては、
まず地球侵略軍に地球征服の切り札として、本星から皇帝親衛隊の兵士ドゴーミン2人をつけて、
グレートワルズが到着します。
ところが、このグレートワルズを見て、地球侵略の手柄をダマラスに奪われまいと躍起のワルズ・ギルは
このグレートワルズを使えば遂に忌々しいマーベラス一味を倒せると確信し、
自分がこの最強の決戦機に乗り込んでマーベラス一味を倒して地球を一気に征服すると言い出します。

マーベラス一味が反ザンギャック思想にかぶれた危険分子と認識して警戒していたダマラスとインサーンは
司令官のワルズ・ギル自らの出撃を危ぶんで引き止めますが、
皇帝との密談でワルズ・ギルを軽んじた発言をしていたことを暴露されたダマラスは、
ワルズ・ギルが予想外の誤解をしていることに気付きましたが、
ダマラスがワルズ・ギルを軽んじていたことは事実であったので、すっかり立場を失い黙り込み、
ワルズ・ギルは忠実な腹心バリゾーグのみを頼りにしてダマラスや父アクドス・ギルの鼻を明かしてやると心に期し、
グレートワルズとドゴーミンを使ったマーベラス一味討伐作戦に突き進んでいきました。

一方、マーベラスは元ゴーオンレッドの江角走輔たちと共に異世界を巡った際に
自分にとっての「この星を守る価値」が、夢を掴むための未知の世界を守るという、
自分の海賊としての原点であるアカレッドの出会いから一貫した行動原理に基づくものであったことに気付きました。
すなわち、マーベラスは地球を守って戦うことに自分の宇宙海賊としての
宿命のようなものを感じ始めていたのですが、
それゆえになおさら、ザンギャック帝国という宇宙を支配する強大な敵を相手にしてその宿命を果たすには
あまりにも自分達は力不足であることを痛感していました。

それで、ふとした会話で、自分達は地球を守れてなどいないと主張するマーベラスに対して、
鎧は元リュウレンジャーの亮との出会いで再確認したように
ヒーローというものはどんな時でも人々を守るために戦うものだと強く思っているので、
自分達は地球を守って戦っているはずだと主張し、些細な口論となり、
ならばマーベラスにとって「守る」とはどういうことなのかと鎧は質問しました。
しかし何かを守りきった経験など無いマーベラス達5人は
その鎧の質問に答えることが出来ず黙り込みます。

その時、マーベラスはかつてアカレッドが「赤き海賊団」壊滅事件の時に
自分に夢を掴むように言い残し、自分を守って死んだことを思い出し、
たとえザンギャックに敵わなくてもアカレッドのように自分を犠牲にすれば
仲間の夢ぐらいは守ることは出来ると思いました。
自分の分かる「守る」というのはそれぐらいだとマーベラスは思いましたが、
それはあくまで最後の最後の覚悟の話であり、さしあたり口にする必要も無かったので、
マーベラスは鎧の質問には答えず立ち去ります。

同様にジョーにとっても自分に信念を貫いて生きるよう言い残して自分を守って死んだシドの例が
「守る」という行為の唯一の例ですから、
ジョーはシドが自分を守って死んだように、マーベラスを守るために命を賭ける覚悟でした。

このように結局マーベラスにしてもジョーにしても
自分にとっての「この星を守る価値」は何となく分かったものの、
どのようにしてザンギャックから地球を守るのか分からないままであったのです。
スーパー戦隊がどのようにして地球を守ってきたのかについてもよく分かりませんでした。
鎧の質問がどのようにして地球を守るのかについてのものであると理解していたマーベラスは
何とも答えられなかったのです。

しかし鎧はマーベラスが何も答えてくれなかったので不満に思います。
地球人の鎧はザンギャック帝国の強大さについて真に実感していないので、
マーベラスの態度が煮え切らないものと映ったのでした。
そこで不満げな鎧に対してジョーは今まで宇宙でザンギャックと戦って勝った者など存在しておらず、
自分達5人の故郷の星はそれぞれ全部、ザンギャックに滅ぼされたのであり、
自分達はザンギャックに勝って何かを守りきった経験も無く、守る方法も分からないのだと説明しました。

鎧は想像以上に厳しい宇宙の状況にショックを受けますが、
それでも鎧は、地球を守る方法が分からなくても、
あくまで地球を守ることを諦めたくはないと言うのでした。
それが鎧にとってヒーローであることの原点であるからです。

その時、バリゾーグ率いる部隊がガレオンを襲撃してきて、
6人は地上に降り立ちバリゾーグ隊と対峙しますが、ジョーはバリゾーグとの一騎打ちを望みます。
ジョーは自分がシドの悲劇を直視しながら、シドの悲劇を繰り返させないようにザンギャックの悪と戦うことこそが
シドの魂を救う道だと強く思っていますから、
シドの悲劇そのものでありザンギャックの悪行そのものである、
シドの改造体バリゾーグを倒すのは自分でなければならないと心に決めていました。

自分がシドの無念の想いを背負ってバリゾーグを倒すことがシドの魂を救う唯一の道だと確信したジョーは
バリゾーグと一騎打ちを望み、事情を察したマーベラス達はそれを許し、
マーベラス達はゴーミン達を引き受け、ジョーとバリゾーグは一騎打ちの勝負を繰り広げます。

しかしバリゾーグも改造されて強制された忠誠心といえども、
ワルズ・ギルへの忠義自体は筋金入りであり、
バリゾーグもまたワルズ・ギルの一世一代の大勝負の成功のために命懸けで戦っており、
かつてジョーを命懸けで守ったシドの剣が、今はまさにワルズ・ギルを命懸けで守る剣となり、
ジョーの繰り出すシドの無念の想いを込めたシドの必殺剣と、
バリゾーグの繰り出すシドの必殺剣は全く互角の相討ちとなって、ジョーを驚かせます。

その間にマーベラス達はゴーミン達を倒した後、初めて皇帝親衛隊のドゴーミンと戦い苦戦の末退けますが、
そこにワルズ・ギルが出現してグレートワルズに乗ってマーベラス達に襲い掛かります。
バリゾーグ達の動きは、マーベラス達をおびき寄せる罠だったのでした。
マーベラス達はゴーカイオーや豪獣神、豪獣ゴーカイオーで対抗しますが、グレートワルズに圧倒され、
絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。

マーベラスはいよいよザンギャックが本気を出してきたのだと思い、
やはり自分達の力ではここまでだったのかと覚悟し、
最後にアカレッドの行動に倣って、自分が犠牲になって仲間の夢だけでも守ろうとし、
グレートワルズの猛攻を受け止めながら仲間5人を秘かに強制脱出させます。
そしてマーベラス1人が残った豪獣ゴーカイオーはグレートワルズの攻撃で大破し、
ガレオンの姿に戻って遠くの山中に吹っ飛ばされて墜落してしまいます。

ワルズ・ギルはこれでマーベラス一味は全員死んだと思い、
6人の遺体の捜索をバリゾーグに任せてギガントホースに凱旋して祝賀会を開きますが、
脱出させられた5人だけでなく、マーベラスも実はほとんど無傷でした。

実はこの頃になると、思念体となってマーベラス達を見守っていたアカレッドのパワーもかなり回復してきており、
この戦いを見守っていたアカレッドは、宇宙の未来のためにも
このままマーベラスを死なせるわけにはいかないと思い、
もともとガレオン自体がアカレッドの「大いなる力」によって生成されたものなので、
自分の回復してきた「大いなる力」をガレオンに大量放出して、
ガレオンの船体および、中にいるマーベラスを守ったのでした。

その結果、アカレッドは再び思念体としての力をほとんど失い、活動が制限されることになってしまいました。
そしてアカレッドは最後に船内で気を失って倒れているマーベラスの意識の中に現れて、
マーベラスに語りかけました。
それは、マーベラスの今回の行動が、アカレッドが期待するゴーカイジャーの在り方とは
かけ離れたものであったからでした。

ザンギャックに敗れた事自体は仕方ない。
ザンギャックの力はやはり強大であり、連戦連勝というわけにはいかないでしょう。
まだマーベラス達はゴーカイジャーの全ての力も使いこなせていないのだから
戦いに敗れたこと自体はアカレッドは問題視はしていませんでした。

しかし最後にマーベラスが戦うことを諦めてしまい、仲間を脱出させたのはアカレッドは感心しませんでした。
戦ってザンギャックを倒して宇宙の平和を実現する戦士としてアカレッドが期待したゴーカイジャーとは、
どんな絶望的状況でも夢を掴むことを諦めない仲間の絆で結ばれた戦士たちのはずでした。
ところがマーベラスは自分の夢を諦めてしまい、仲間の夢を守るために仲間を助けました。

一見美しく男らしい行為のように思えますが、
マーベラスは自分の夢を掴むための戦いを放棄したのであり、
仲間たちの夢を掴むための戦いも妨げたといえます。
それは仲間のことを自分で戦って夢を掴もうとする力の無い弱者だと見なして、
逃がしてやろう、助けてやろうと温情をかけた行為なのであり、
普通の仲間であれば見上げた自己犠牲行動ですが、
アカレッドが期待した「どんな苦境でも夢を掴む仲間の絆で戦い抜く」という
ゴーカイジャーの在るべき姿ではありませんでした。

マーベラスともあろう者が一度の敗戦ぐらいでどうしてそんなバカなことをしたのだろうかと
不審に思ったアカレッドは、最後の力を使ってマーベラスの意識の中に現れて、
マーベラスに本当にあれでよかったと思っているのか?と問いかけました。

マーベラスはその意識空間の中で死んだはずのアカレッドに会ったので、
てっきり自分は死んだものだと勘違いし、
自分はアカレッドと同じことをした、つまり自分を犠牲にして仲間たちの夢を守ったのだと主張し、
アカレッドに非難される覚えはないと憤慨します。

それを聞いてアカレッドはマーベラスが赤き海賊団の代わりにマーベラス一味を作ったのだと気付きます。
しかし本当は赤き海賊団とマーベラス一味は根本的に違う。
赤き海賊団は「宇宙最大のお宝」という夢を共に掴もうとする仲間ではなかった。
アカレッドはマーベラスとバスコが信じる伝説の「宇宙最大のお宝」の存在を本当は信じておらず、
単に宇宙海賊を35番目のスーパー戦隊にするために2人の仲間になっただけだからです。
だから赤き海賊団は壊滅し、アカレッドはマーベラスこそが宇宙を救う希望だと最後に気付き、
それまで2人を騙していた罪滅ぼしに、自分の身を捨ててマーベラスを守っただけのことなのです。

だからマーベラスが赤き海賊団の最後を参考にする必要など無いし、
アカレッドの真似をする必要など無い。
マーベラス一味は赤き海賊団などとは全く違う、真に同じ夢を掴むために集まった仲間になり得る戦隊なのです。
だから仲間みんなで共に夢を掴むために戦うことを諦めてはいけない。
その違いをマーベラスが分かっていないから、
マーベラス達がまだゴーカイジャーの全ての力を使いこなせていないのだということにアカレッドは気付きました。

アカレッドは呆れて、マーベラス一味と赤き海賊団は違うし、お前と私も違うのだと言いますが、
どう違うのかマーベラスに説明するわけにもいきません。
全ての事情を話してしまうと、アカレッドがマーベラスを騙していたことや、
本当は「宇宙最大のお宝」は地球の中心にある宇宙を作り直す装置なのだということまで
説明せねばならなくなります。
それは今の段階のマーベラスに言っても混乱させるだけで益が無い。

それでアカレッドは、
マーベラス一味の仲間たちはお前が助けなければいけないような弱い連中なのか?とマーベラスに問いかけました。
これを聞いてマーベラスは、自分が仲間たちが絶望的な宇宙で夢を掴もうとして戦っている姿を見て、
「夢を掴む力」を持った連中だと認めたからゴーカイジャーのメンバーとして
共に夢を掴む旅の仲間に選んだのだということを思いだしました。

仲間たちは自分に助けられようとするようなヤワな連中ではなかったのであり、助けられて喜んでなどいない。
仲間たちはさっきの状況においても、きっと自分の夢を掴むために戦おうとしていたはずなのに、
自分が勝手にアカレッドの真似をして自己満足のために仲間達の戦いを邪魔して、
しかも一番肝心の自分の夢まで放棄してしまったのだとマーベラスは愕然としました。

つまりアカレッドの真似をしたのは間違いであり、
マーベラス一味と赤き海賊団は違うのだと、マーベラスは実感しました。
しかし自分は赤き海賊団しか知らないし、自分に海賊とは何なのか教えてくれたのはアカレッドだけだ。
だから「守る」ということもアカレッドが見せてくれたお手本しか知らない。
それが間違いだというのなら、じゃあ自分は何を守ればよかったのかと、マーベラスは混乱しました。

するとアカレッドは、
お前が守るべきものは、「夢を掴むために集まったかけがえのない仲間達との絆」ではなかったのかと
マーベラスに言います。
それはマーベラスが赤き海賊団にいた頃、自分なりの海賊というものの在り方として、よく言っていた定義でした。
それを聞いて、マーベラスは自分が赤き海賊団の頃から、アカレッドに教えられたわけではなく、
自分なりの正解に辿り着いており、その後、現在に至るまで一貫して
そのポリシーに従って仲間達と旅をしてきたのだということに気付きました。

自分にとっての「守る」ということ、海賊団マーベラス一味、
すなわちゴーカイジャーとしての「守る」ということは、
夢を掴むために集まった仲間の絆を守ることだったのです。

では、どうして1人でも夢を掴むために戦うことの出来る力、
すなわち「夢を掴む力」を持っていた者達が集まって仲間になる必要があったのか?
それはより大きな夢を掴むための力を得るために仲間の力を合わせる必要があったからです。
仲間の絆とは、より大きな夢を掴む力を生み出す絆なのです。

つまり「夢を掴むために集まった仲間の絆」を守るということは、
言い換えれば、「1人では掴めない大きな夢を掴む力」を獲得することなのです。
だから「仲間の絆」があってこその「大きな夢」なのであり、
マーベラス達は仲間がいてこそ大きな夢を掴む価値があると考えるのです。

その仲間の絆を守ることによって得られる「仲間と一緒だから掴める大きな夢」とは、
もちろんマーベラス達にとっては伝説の「宇宙最大のお宝」でした。
しかし、それはたまたま彼らが旅をする過程で見つけていた「仲間と一緒だから掴める大きな夢」が
伝説の「宇宙最大のお宝」だけであったからです。
今のマーベラス一味には「宇宙最大のお宝」以外にも途轍もなく大きな夢があります。
それは「ザンギャックから地球を守ること」でした。

「夢を掴むために集まった仲間の絆」を守ることによって、より大きな「夢を掴む力」を得て、
ゴーカイジャーはより大きな夢、つまり「ザンギャックから地球を守る」という夢を
掴むことが出来るようになると信じることが出来るのです。

そのことに気付いた意識空間の中のマーベラスの顔が明るくなっていくのを見届けて、
アカレッドは頷いて消えていき、マーベラスもナビィに起こされて船室で目を覚まし、
今のアカレッドは夢だったのかと思いつつ、夢の中でアカレッドに諭されたことを反芻します。

一方、ガレオンが墜落した山にマーベラスを探すために駆けつけた鎧はルカとハカセとアイムと合流します。
そして、仲間を助けるために自分を犠牲にしようとしたマーベラスの行為を
船長らしい責任感のある行為だと受け取っているルカ達3人に向かって、
鎧は自分は逃がしてもらうよりもマーベラスと一緒に最後まで戦いたかったと言い、
ルカ達に向かって、最後まで一緒に戦いたくはなかったのかと問いかけます。

しかし鎧はそれを自分が言えるのはザンギャックの恐ろしさを知らない地球人だからなのだと思い、
ルカやハカセやアイムのようなザンギャックに故郷を滅ぼされた人達に
最後までザンギャックと戦うことを求めるのは残酷だと思い、
それでも仲間一緒にザンギャックと戦うことを諦めたくない自分の心を抑えることの出来ない鎧は、
ルカ達に残酷なことを懇願する自分の事が申し訳なくて涙します。

それを見て、ルカ達は自分達の弱さが鎧を苦しめていたことを知り、
自分達が弱いと思われたからマーベラスにも守られてしまったのだと気付きます。
何時の間にか自分達はザンギャックに対して弱気になっていた。
それはきっと守りたいものが大きくなってしまったからなのだろう。
しかし、自分達はもともとザンギャックに屈することなく夢を掴もうとしてきたのだと、
ルカもハカセもアイムも思い出しました。
そして、より大きな夢を掴むために仲間になった。
ならば、仲間6人が決して夢を諦めない気持ちで1つになれば、
守るものがどんなに大きくても不安など無かったはずだ。
ならばマーベラスの行為は仲間の絆を裏切る間違った行為だったということになると気付いたルカ達は、
鎧と共にマーベラスに会ってその間違いを正して、仲間の絆を取り戻さなければいけないと心に誓うのでした。

そして同じくマーベラスを探しに山を登ってきたジョーは、
山でマーベラス一味の遺体捜索をしていたバリゾーグと遭遇し、一騎打ちとなりましたが、圧倒されてしまいます。
ジョーはマーベラスを守ろうとしていたのに逆に守られてしまった自分が情けなく弱い男だと思い、
対するバリゾーグはたとえ操り人形であってもワルズ・ギルを命懸けで守る立派な戦士だと思えて、
ジョーは気後れしてしまっていました。
ジョーの目にはワルズ・ギルを守るために必死で戦うバリゾーグが、
自分を守るために命を捨てたシドと重なって見えます。

しかし、シドはジョーを守るために戦っていたわけではない。
シドはシドの夢を掴むために戦っていたのです。
そしてシドは共に夢を掴む仲間としてジョーを選び、共に力を合わせて戦おうとした。
シドが死んだのは、単にジョーが弱くて足手まといだったからだったのです。

その目を背けていた真実にジョーは初めて向き合いました。
どうして自分は弱かったのか?
それはシドと別れる前までの自分は確固とした夢を持っていなかったからです。
単に子供を殺すのが嫌で暴れて捕まっていたらシドに助けられて一緒に逃げていただけだった。
シドは同じ志を持った仲間になれると思って自分を助けて一緒に逃げて追手と戦ってくれたが、
自分は常に狼狽えて足を引っ張ってばかりだった。

その挙句、シドが捕らわれることになったのだが、
その直前にシドが敵を引きつけて自分を逃がしてくれる時、
別れる直前に自分はシドから夢と信念を託されて、
その時初めて夢を持つことが出来たのだとジョーは思い出しました。

シドはバリゾーグのように誰かを守るために戦っていたのではなく、夢を掴むために戦っていた。
しかし共に夢を掴む仲間のジョーが夢を持てない未熟者であったため、
力を合わせて戦う仲間を得られず、シドは命を落としただけのことです。
だからシドとバリゾーグは全く別物です。

そしてシドから夢を受け継いだジョーは、今は共に大きな夢を掴むために力を合わせて戦う仲間がいる。
ジョーが一方的にマーベラスを守るために戦っているわけでもなく、
マーベラスが一方的にジョーを守るために戦っているわけでもない。
互いに背中を守り合いながら、力を合わせて大きな夢を掴むために戦う仲間なのです。
マーベラスがさっき自分を守るために命を張ったのなら、
自分はマーベラスにトドメを刺しに来たバリゾーグをここで倒してマーベラスを守る。
それで互いに背中を守り合う仲間として借りは返したことになる。

眼前の戦いの意味をそのように定義したジョーは、
自分の力は共に夢を掴むために集まったマーベラスや他の仲間たちの力を合わせたものであり、
対してバリゾーグの力は、決してバリゾーグを守ろうとはしないワルズ・ギルをただ一方的に守るための、
たった1人の力に過ぎないと気付きました。
それはシドの持っていた真の力とは全く違う、ただの1体の機械人形の力に過ぎない。

そう悟ったジョーは、ゴーカイブルーのレンジャーキーのパワーを最大限に引き出して
バリゾーグの繰り出すシドの必殺剣を全くよせつけず、
シドの必殺剣を超えるゴーカイブルーとしての独自の必殺剣でバリゾーグを撃破し、破壊したのでした。

そして、その場に現れたシドの魂は、ジョーが強くなったことを祝福し、
その力はジョー1人の力ではなく、仲間みんなの力だとジョーに教えます。
それは夢を掴むために集まった仲間達の夢を掴む力なのだといえます。

しかしジョーの夢はもともとはシドの夢であり、
シドこそがジョーと共に夢を掴む仲間となるべき相手だったはずです。
だがジョーの未熟のためにシドは死んでしまった。
そのことを申し訳なく思い項垂れるジョーに向かってシドの魂は、仲間と共に前に進むよう叱咤します。
そうしてジョーは顔を上げて夢に向かって駆け出し、
それによってシドの魂は救われて、天に昇っていったのでした。

一方、バリゾーグが生き残っていた海賊に倒されたという信じ難い情報を聞いた
ギガントホースのザンギャック首脳陣は愕然とし、
いつしかバリゾーグを心の支えとしていたワルズ・ギルは半狂乱となります。

もともと皇帝の一人息子として虚勢を張って生きてきたワルズ・ギルも本性は小心者であり、
皇帝の跡取りとして常に虚勢を張らねばいけない人生に疲れていました。
それゆえ、そんな弱い自分を無条件で受け入れて一方的に守ってくれる忠実な僕を欲していたワルズ・ギルは
弱い舎弟を守るために戦って囚われの身となっていた優秀な兵士であったシドに
自分に忠誠を誓い仕えるよう求めましたが、シドは拒否し、
怒ったワルズ・ギルはザイエンに命じてシドをバリゾーグに改造して記憶を奪い、
自分にだけ忠実な機械兵士として侍らせていたのです。

だからワルズ・ギルはバリゾーグに一方的に頼りきっていました。
そのバリゾーグを失ったと知った瞬間、ワルズ・ギルは半狂乱となり、
自分がいかにバリゾーグを愛おしく思っていたのか初めて思い知りました。
そして、自分がバリゾーグが生きている間、バリゾーグに頼るばかりで、
バリゾーグに何も報いてやれていなかったことを激しく後悔し、
せめてバリゾーグの仇を自らの手で討ってやらねばいけないと思いました。

そして海賊どもを討伐して地球を征服し、
ダマラスや父のアクドス・ギルも乗り越えて帝国の実権を握った晴れ姿を
あの世のバリゾーグに見せてやらねばいけないと夢想したワルズ・ギルは
再びグレートワルズで出撃すると言い出します。

グレートワルズの攻撃を受けても海賊が死んでおらず、
バリゾーグまでも倒されたことに得体のしれない力を感じたダマラスは危うさを感じて
必死でワルズ・ギルの出撃を止めようとしますが、
ワルズ・ギルは制止を聞こうともせず、飛び出していきました。

ガレオンの堕ちた山の中では、ジョーがルカ、ハカセ、アイム、鎧と合流したところに
マーベラスがガレオンに乗って現れ、マーベラスは自分のさっきの行為が間違っていたことを謝り、
仲間の夢を掴む力の大きさを認め、
6人はその夢を掴む力を合わせて大きな夢を掴み取るために最後まで戦い抜くことを誓うのでした。
その勢いでマーベラス達は襲ってきたドゴーミンを撃破し、
そこに怒りを撒き散らしながら降り立ったワルズ・ギルの操るグレートワルズと
ゴーカイオーと豪獣神で戦います。

もともとの圧倒的なグレートワルズの性能に加えて、
初めて他人のために戦おうとしたワルズ・ギルの気迫は凄まじく、
「大いなる力」も多数繰り出すマーベラス達の攻撃をものともせず、
グレートワルズはマーベラス達を圧倒します。

一方的展開の中、ワルズ・ギルは勝ち目の無い海賊どもがヤケになって立ち向かってきているのだと思い、
そろそろ死を迎え入れる覚悟を決めるようマーベラス達に求めました。
しかし、どんな苦境においても決して諦めず、6人の心を1つにして
夢を我が手に掴むまで突き進むだけだということを、6人は強く宣言します。

その瞬間、ゴーカイジャーのレンジャーキーが光を放ち、6人の「夢を掴む力」に反応して、
ゴーカイジャーのレンジャーキーに秘められていた全ての力が引き出され、
そのレンジャーキーをゴーカイオーと豪獣神のコクピットに挿しこむと、カンゼンソウルが出現し、
それをマッハルコンに挿し込むことで3体はカンゼンゴーカイオーに合体し、
その圧倒的戦闘力でグレートワルズを圧倒し、
ワルズ・ギルの所詮は夢を持つことのない操り人形と結んだ仮初の絆は、
ゴーカイジャーの夢を掴むために集まった仲間の絆の持つ「夢を掴む力」の前に無残に敗れ、
グレートワルズは砕け散り、ワルズ・ギルは戦場に散ったのでした。

ゴーカイジャーのレンジャーキーを作ったのはアカレッドであったが、
ゴーカイジャーはもともとは「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しをするための戦士であり、
ゴーカイジャーの力の本質とは、「平和な宇宙」という34のスーパー戦隊の夢を引き継いで、
それを実現するための力でした。
その力を引き出す資格を持つ者は、必ず夢を実現するという強い意思の力を持つ者であり、
それがつまり「夢を掴む力」を持つ者ということになります。

しかし、アカレッドはその「夢を掴む力」を
必ずしもお宝を使っての宇宙の作り直しにおいて使うものとは限定してはいませんでした。
要は34戦隊の夢と同じ「宇宙を平和にする」という夢を引き継いで実現する強い意思さえあれば、
その方法は戦って勝ちとるというものでもいいはずです。
アカレッドがマーベラス達に期待した「夢を掴む力」は、まさに後者の方であったといえます。

ただ、そんな深い事情は何も知らないマーベラス達は、
いきなりゴーカイジャーのレンジャーキーが光ってカンゼンゴーカイオーが登場したことに驚き、
戦いの後で、あれはゴーカイジャーの「大いなる力」だったのだろうかと不思議がります。

ゴーカイジャーにも34戦隊のように「大いなる力」が存在し、
その正体は「夢を掴む力」であるとするなら、
これでゴーカイジャーも35番目のスーパー戦隊になったということなのだろうかと鎧は嬉しそうにしますが、
マーベラスはそれはまだよく分からないと思いました。
まだまだスーパー戦隊というものはマーベラスから見て謎の多い存在であり、
そう簡単に自分達がスーパー戦隊の仲間入りが出来るとも思えない。

ただ、1つ確かなことは、「夢を掴む力」を持つ者が変身できるゴーカイジャーという戦士のパワーは
その仲間が「共に大きな夢を掴むために集まった仲間の絆」で結ばれて心を1つにすることによって
ゴーカイジャーという戦士に秘められたパワーを全て引き出すことが出来るのであり、
そうして引き出された、より大きな「夢を掴む力」は、より大きな夢を実現することが出来る、
それこそが真のゴーカイジャーなのだとマーベラスは思いました。

そして、この力を使えば、もしかしたら、かつてのスーパー戦隊のように
自分達の力でザンギャックの侵略から地球を守ることが出来るのかもしれない。
少なくとも、そのような希望を抱きながら今後の戦いを続けていくことが出来る。
そのようにマーベラスは少し嬉しく思えたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

Mission03 GT-02アニマル、出撃せよ!

この「ゴーバスターズ」という作品はパイロットが3話構成という異例のパターンとのことでした。
パイロット篇は企画段階から関わっているメイン監督が撮る冒頭エピソードで、
その作品のコンセプトを示すのが通例です。
普通は2話構成なのですが、今回は1話、2話、3話ともに柴崎監督で、
パイロット篇は異例の3話構成です。

しかし第3話まで見た印象としては、物語的には別に2話でも収まった程度の分量、内容だなという感じです。
第1話はゴーバスターズの3人が揃うところまでが描かれ、
第2話ではヒロムが13年前の約束を覚えていたということが分かって
リュウジとヨーコがヒロムを見直すところまでが描かれ、
第3話では、13年前の約束を一緒に果たすことが現在の3人の約束になり、
3人の絆が成立するところまでが描かれました。

これは一見、要約して書いているように見えますが、実際ほぼこのままの内容です。
肝心の13年前の約束というのが第2話で「元に戻す」というものであるというのが明らかにされただけで、
具体的に何を元に戻すのか詳しくは語られていません。
まぁ亜空間に消えた彼らの家族たちや仲間たちのことを指しているのはだいたい想像はつくのですが、
どうやって元に戻すのかという具体的方法も分かりませんし、
それが現在の彼らの職務とどういう関係にあるのかもよく分かりません。

今回の第3話に至っては、単に「約束」としか言われず「元に戻す」という言葉も強調されることもなく、
今のところ、とことん「約束」の内容はぼかされています。
ただ、やたらと「3人で約束を果たす」ということは強調されており、
どうも特命部の黒木司令官など、3人以外の支援要員や上司たちはこの約束には関係無いようです。
ならば、彼ら3人がゴーバスターズとしての職務に励むことと、彼らの約束は関係無いのかもしれません。
まぁそういう背景事情やしがらみも、このパイロット篇では特に触れられてはいません。

他に描かれたのは第2話における13年前の出来事そのものに関する
黒木による新人オペレーターのミホへの説明と、
第1話におけるヒロムがゴーバスターズになることを反対する姉のリカを振り切って
特命部へ向かう話です。

13年前に特命部の前身ともいえる研究施設が多数の研究者と共に消滅したというような大事件を
ミホが知らないことからして、その事件は政府や特命部によって隠蔽されていることが分かります。
そうなると、リカの特命部への嫌悪感や不信感もそのあたりに原因があると考えるべきでしょう。
回想シーンでヒロムを特命部に渡すまいと抵抗する少女時代のリカに対して簡単に引き下がってしまった
特命部か政府関係者なのか分からない人達の態度から察するに、
リカやヒロムは彼らから見て、やや手出ししにくい相手なのか、
彼らがリカとヒロムに何らかの負い目がある立場なのかもしれません。
黒木もリカとヒロムに対して遠慮がちであるのも、
単に2人の父親を尊敬していたからというだけの理由ではないでしょう。

しかし、このあたりも全部、パイロット篇では十分に描かれているわけではありません。
別にパイロット篇で物語全部を説明しなければいけないということはない。
そんなことをしてしまうと1年間物語を続けられませんから当然です。
しかし、どうもこの作品のパイロット篇はまとまりが悪く、喰い足りない感じです。
従来の戦隊シリーズのエピソードとしてしっかり成立していない印象なのです。

もちろん敵が出てきてエネトロンを狙ったり人々を襲ったりして、
それに対してゴーバスターズが出動して敵を倒して事態を収拾するという展開はしっかり描かれてはいます。
しかし、それはイベントをこなしているだけのことであり、
ゴーバスターズのメンバーのキャラを掘り下げての完結性の高いエピソードとしては成立してはいません。
断片が散りばめられているという感じです。
もっとしっかりエピソードを作れば3話もかけず2話で済んだような内容なのですが、
エピソードになっていないので3話に断片がばら撒かれただけなのです。

しっかりエピソードを作れていない原因は、アクションの方に尺が割かれているからでしょう。
エピソードをしっかり作ってしまうと、アクションが食い足りなくなるので、
あえてキャラを掘り下げた完結性の高いエピソードは作らないようにしているのではないかと思えてきます。

メインライターの小林氏の話によると、各自のメインエピソードというものは設けず、
3人の絡みを描いて物語を進めていくそうですので、
そもそも各自のキャラを掘り下げるつもりもないのではないかと思います。
どうもこの作品のメイン3人やその他のキャラも全員、キャラが薄いと感じていたのですが、
そもそもキャラにインパクトは求めていない作品なのでしょう。

キャラを掘り下げるエピソードも作るつもりはなく、
エピソードは状況を進めていくためのものであり、
1つ1つのエピソードの完結性が高い従来の戦隊ドラマとは違い、
普通の連続ドラマ風のストーリー展開と並行して各エピソードごとに
敵を倒すイベントを消化していくという印象です。
まぁそういう点、ガンダムやエヴァンゲリオンのようなロボットアニメに近いのかもしれません。

パイロット篇3話を観終わった結果、何となく分かってきたことは、
この作品は、群像劇の大河ストーリーなのだが、
各エピソードで完結する個別のバトルイベントは描かれるという形式であるということです。
しかもそのバトルイベントで主に描かれるのは従来の戦隊ドラマにおいては等身大戦の方でしたが、
この作品では巨大戦の比重が重きをなしています。

パイロット篇はこの作品はどういう作品であるのかという方向性を示すものですから、
パイロット篇で感じたそういう印象は、この作品全体の方向性と解釈してもいいでしょう。
あくまで私の主観ですが。

どうしてこの作品はそういう作劇にしたのかというと、
それはおそらく巨大ロボットや巨大メカの玩具を売るためでしょう。
ライダーの開始時期を半年ズラして以降、どうもライダーの玩具売上と戦隊の玩具売上の差は開き気味です。
また、近年の戦隊で玩具売上が好調だった作品はゴーオンジャーにせよゴーカイジャーにせよ、
炎神ソウルやレンジャーキーなど、収集系玩具やそれと組み合わせる変身アイテムなどの
なりきり系玩具の好調が目立ちます。

しかし、なりきり系玩具や収集系玩具はライダーの方の主力商品でもありますから、
全体的に見てこれはあまり効率的ではありません。
やはりライダーはなりきり収集系玩具、戦隊はロボ・メカ系玩具が主力商品となって
両方が好調であるのが最も健全な形といえましょう。

しかし戦隊のロボ・メカ系玩具は最近伸び悩んでいます。
これは純粋にあまりカッコよくないからでしょう。
モチーフやギミックの縛りが多く、いかにも玩具という感じのデザインのロボやメカが多く、
他のアニメなどに出てくる渋いフォルムのロボットやメカに比べて、明らかにカッコ悪い。
古臭く、安っぽく見えます。

幼児向けだからそれでいいとも言われるかもしれません。
確かに可愛い系の玩具も必要ですが、やっぱりロボットやメカはカッコいい方がいいです。
カッコいい上に子供ウケする要素があればいいのです。

しかし現状ではカッコよさの追求がなかなか出来ないように思えます。
単にデザインだけの問題ではなく、そもそも劇中で巨大戦の扱いが悪く、
ロボやメカがカッコよく活躍する場面が少ない。
ほとんどビーム発射用の置物のような扱いになってしまっていることも多々あります。
これではロボ・メカ系玩具は売れないでしょう。

特に前作の「ゴーカイジャー」は素晴らしい作品ではありましたが、
歴代戦隊総登場企画という特性上、ドラマ部分と等身大戦部分は充実せざるを得ず、
巨大戦にそのしわ寄せが全部押し寄せてきたという印象で、
巨大戦に関してはかなり軽視せざるを得ませんでした。

そこで、今回の「ゴーバスターズ」は、とにかく巨大戦重視で、
カッコいいデザインのロボやメカを登場させて、カッコよく活躍させることを主眼とした作品となったのでしょう。
そうしてロボ・メカ系玩具を売ろうというのがこの作品の至上命題といえます。
いわゆる「戦隊改革」というのは、そういうことなのだろうと思います。

この物語に敵幹部がエンター1人しか登場しない理由は、
複数の様々なタイプの敵幹部を登場させても意味は無いからです。
どんな幹部を登場させても、やることはただ1つ、メガゾードを出現させる準備をすることだけだからです。
メガゾード出現の準備しかやることが無いのなら、エンター1人で十分なのであり、
下手に複数の幹部を登場させると差別化のために色んな悪事を働かせなくてはならなくなり、
その結果、等身大戦の比重が大きくなってしまい、巨大戦が圧迫される。
それでは意味が無いのです。

この作品においては、等身大戦は巨大戦の添え物でなければならない。
等身大戦を膨らませる要素は排除しなければいけないのです。
だから敵幹部はエンター1人であり、エンターはゴーバスターズとは戦わず、
めくらましをして逃げるだけなのです。

一応申し訳程度の等身大戦をするためにメタロイドは登場させますが、
メタロイドは個性は薄く単に暴れるだけのものが多く、
割と簡単に倒されて早々に等身大戦を終えます。

ゴーバスターズの側も等身大戦をあまり膨らまさないために、
アクションは地味目の軍隊格闘術のようなもので無駄な動きを省いてスピーディーにカタをつけ、
武器も地味なソウガンブレードやイチガンバスターのみで、
いちいち描写に時間のかかる合体大型火器や変形武器など使わない。
等身大戦の尺を縮めるため、変身バンクも無く、名乗りも簡潔に済ませる。
戦闘中もいちいち余計なセリフも言わず、黙々と戦う。

そもそもゴーバスターズの人数を3人にしたのも、
人数が増えれば等身大戦の尺が自然に伸びるので、
それを嫌って最低限の人数である3人戦隊にしたというのが理由でしょう。
とにかく等身大戦はスピーディーに片づけるという方針と思われます。

エピソードの序盤でエンターが登場してエネトロンを盗み、メガゾードの転送を開始し、
特命部の司令室で転送開始を感知し、メガゾード出現までの所要時間が示され、
ここで早くもカウンター表示がなされる理由は、
余計なドラマは出来るだけ省いて、毎回のエピソードがあくまでメガゾードとの戦いを中心に
展開するように仕向けるためです。

カウンターが画面右下に表示されることで、視聴者は自然にメガゾード出現を意識しながら
エピソード内容を追うことになります。
つまり、この作品の一番のセールスポイントである巨大戦の場面まで
視聴者の意識を引っ張りたいという狙いが、あのカウンター表示には込められているというわけです。

等身大戦はカウンター表示の背景のようなもので、
メガゾード出現までの尺繋ぎのような扱いと考えればいいでしょう。
そしてカウンターがゼロになると、ミホがドアップで「来ます!」と言って、
メガゾードが出現し、カッコいいメカやロボが大活躍してメガゾードを倒すというわけです。

確かにこの巨大戦は気合いが入っています。
従来の戦隊の巨大戦とは画面の質感からして根本的に違います。
ただまぁ、私は別にロボやメカのマニアではないので、その部分に食いついて絶賛する気も無いし、
批評する能力もありません。
この作品の巨大戦重視の試みが上手くいくのかどうかも分かりません。

1つ明らかなのは、等身大戦は明らかに従来シリーズ作品に比べて魅力が減退しています。
これは確信犯なので別にいいのですが、
その失点を補えるほどの得点を巨大戦の方で上げられるのかどうかという点が、
私にはちょっと判断能力が無いので、よく分かりません。

パイロット篇を見た感じでは、タイマー表示は早くも持て余し始めているような印象は受けましたが、
とにかく巨大戦が好評でロボ・メカ系玩具が売れれば、この作品としては成功なのだろうと思います。

ただ、私はあくまでドラマに興味があるので、
この戦隊改革の試みの中でドラマ部分がどういう影響を受けるのか考えてしまいます。
おそらく、バトルそっちのけで進行するような
キャラメインのユルめのエピソードなどはあまり無いのだろうと思います。
1年も続くドラマですから毎回バトルばかりでは続かないで、
ユルいキャラ重視エピソードもやるようになるのかもしれませんが、
キャラが薄めなので、そういうのはあまりこの作品は向いていないようにも思います。
七変化したり、人格が入れ替わったり、田舎から上京してきた母親が見合い話を持ってきたり、
そういう話はあまり想像できない。
最初からそうしたキャラ重視エピソードはやらない前提でのキャラ設定のようにも見えます。

従来の戦隊シリーズの作品とはちょっと雰囲気は違うかもしれないが、
あくまで巨大戦を描くことが主眼の「ゴーバスターズ」においては、
完結性の高い入り組んだエピソード内ドラマはあまり描かれないと思います。
むしろ、毎回のエピソードで巨大戦に向かっていくアクションドラマが繰り返されていき、
その随所に一貫した群像劇の大河ストーリーの断片が挿入されていき、
少しずつ物語が進んでいくという構成になるのではないかと思います。

パイロット篇の3話分を見ても、そこで描かれたドラマはそれぞれのエピソード内では完結しておらず、
断片が挿入されただけという印象ですが、
第1話から第3話までのそれぞれの断片は1つの大河ストーリーの断片であり、
徐々にその物語が進行していっているのが分かります。
こんな調子で毎回のエピソードのバトルの日々の中、少しずつ群像劇が進行していくのでしょう。

では、その「ゴーバスターズ」における徐々に進行していく大河ストーリーはどんなものなのかというと、
ヒロムとリュウジとヨーコの3人の「約束」に関する物語でしょう。
その約束とは「元に戻す」ということがテーマであるようです。
この作品全体に漂うシリアスで暗めの雰囲気、謎だらけの設定、妙な怪しさ、
不自然さなども踏まえて、「元に戻す」というテーマについて、更に掘り下げてみたいとも思いますが、
おそらく次回のエピソードでそのあたりを考察するちょうどいいドラマが描かれそうなので、
その部分の考察は次回以降にしたいと思います。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:10 | Comment(0) | 特命戦隊ゴーバスターズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その15

マーベラス一味が地球へやって来て半年経った2014年の8月、
ちょうど「ゴーカイジャー」の地球における物語は第26話で折り返し点となり、
マーベラス達は34のスーパー戦隊の「大いなる力」のうちの23個目となる
ハリケンジャーの「大いなる力」をゲットし、
同時に、いつしか自分達が地球や地球人たちを好きになっていることを自覚し、
これからは自分の気持ちに素直に、地球をザンギャックの攻撃から守って戦っていきたいと思いました。

もちろんマーベラス達は、かつて34のスーパー戦隊がレジェンド大戦でザンギャックの侵略を跳ね返したように、
自分達もザンギャックの侵略を跳ね返せるとまでは思っていませんでした。
現在のザンギャックの侵略軍は確かにさほど強くはないが、
ザンギャックは宇宙を支配している大帝国なのだから、帝国があくまで地球を侵略するというのなら、
いくらでも増援は送ってくる可能性はあり、
そうなれば、ちっぽけな宇宙海賊のマーベラス達に勝ち目など無い。
だから勝算があるわけではないのです。

それでも地球が好きになってしまった以上、地球がザンギャックに攻撃されているのを見過ごすことは出来ない。
自分達の出来るところまで、地球に対するザンギャックの侵略行為に対抗して戦っていこうと、
マーベラス達は決意したのでした。

そういうわけで、第27話以降の「ゴーカイジャー」第3部においては、
マーベラス一味とザンギャックの抗争は激しさを増します。
第2部では、やや影が薄くなっていたザンギャックも、
この第3部では地球を守ろうとするマーベラス一味の最大の敵として立ち塞がることとなり、
言い換えればマーベラス一味がザンギャックにとっては地球侵略のためには
絶対に排除しなければいけない天敵となっていき、
更にはザンギャック帝国にとっての天敵へと成長していく過程がこの第3部であります。

第2部以前においてはマーベラス達は行き当たりばったりにザンギャックと戦うことが多かったのですが、
この第3部になると、ザンギャックが秘かに進めている侵略工作を分析して作戦を練り、
先回りしたり根拠地を突き止めて急襲してザンギャックの作戦を潰すという、
歴代スーパー戦隊と似たような行動をしばしばとるようになります。
そしてザンギャック側もこのようにますますザンギャックの侵略活動の邪魔をするようになった
マーベラス一味に対して怒りを募らせ、何度かマーベラス一味を狙った作戦も立てるようになり、
マーベラス一味とザンギャックの抗争は激化していくのです。
また、この第3部は、入れ替わり、七変化、新武器開発、成りすましなど、
戦隊シリーズ定番エピソードも盛り込まれたバラエティー豊かな時期でもありました。

そして、こうしたザンギャックとの激しい戦いの中でも、
マーベラス一味にとっての地球に来た最大の目的は「宇宙最大のお宝」を手に入れることであるという
原則は不変ですから、もちろんマーベラス達はスーパー戦隊の「大いなる力」は集めていき、
スーパー戦隊の戦士たちとも接していきます。

ただ、マーベラス達はこの第3部になると、
スーパー戦隊がザンギャックから地球を守ったことがあることは知っており、
自分達も地球を守ろうとする戦いに先行きの見えない不安を抱えた状態となっていますから、
ある種の畏怖の念をスーパー戦隊に対して素直に抱くようになっており、
第2部以前に比べて、素直にスーパー戦隊の元戦士たちから何かを学ぼうという姿勢で接するようになっていきます。

ただ、この第3部の前半において実はバスコがアカレッドの思念体の監視の目をかいくぐって
コソコソと動き回り「大いなる力」を3つ奪ってしまい、
第31話においてマーベラス達は一旦バスコに完敗してしまいます。
そのため、この後の第3部の後半になるとアカレッドや「この星の意思」はバスコの行方を探す方に集中し、
マーベラス達へのお宝ナビゲートは途絶え、
マーベラス達は以前に「大いなる力」を貰った戦隊と再会するようなことが多くなります。

そんな中、マーベラス達はバスコに敗北した後、第3部後半においてパワーアップを果たし、
自分達が地球を守って戦うことの更に深い意義を知るようになり、自分達の真の力に目覚めていきます。
同時にザンギャック側もマーベラス一味が何のためにザンギャックの地球侵略の邪魔をしているのか
なんとなく理解していくようになり、絶対に倒さねばならない敵だと意識していきます。
そして本星からの増援を得たワルズ・ギルは一気にマーベラス一味との決着をつけるべく動き出し、
マーベラス一味とワルズ・ギルの大決戦で第3部は最終局面を迎えることとなるのです。

まず第27話は、ザンギャックが人間の中身を入れ替える特殊能力を持つ怪人を使って
世界各国の要人とスゴーミンを入れ替えて一気に世界中の国をザンギャックの支配下に組み込もうという
作戦を隠密裏に進めていたところ、ルカとハカセに作戦行動を目撃されて小競り合いとなり、
その際、怪人の能力によってルカとハカセの中身が入れ替わってしまいました。

ハカセの身体を手に入れたルカは面白がって街に繰り出し、
いつも弱気なハカセをルカ好みのカッコいいヒーローに変身させようとします。
それを見てルカの身体に入ったハカセは心配してついていき、2人は街でドタバタ騒動を繰り広げます。

一連の騒動の中で、ルカは何時にも増してオドオドするハカセに呆れますが、
ハカセが預かっているルカの身体を気遣って慎重になっていたことを知り、
ルカはハカセの真の魅力が仲間に気遣いを出来る優しさなのだと思い出します。
そして、真のヒーローの魅力というのは、他人の持っているイメージに合わせることではなく、
自分の本来持っている魅力を知ることから始まるのだと悟ったのでした。

それはつまり、ゴーカイジャーという戦隊が地球を守って戦うヒーローになるにあたっては、
ただスーパー戦隊の真似をするのではなく、
自分達のもともと持っていた魅力をまず知るのが大事だということでした。
ハカセと身体が入れ替わった結果、ハカセの行動を見てそうした大事なことに気付くことが出来たルカは
ハカセに感謝しました。

一方、マーベラス達はルカとハカセが入れ替わったことや、
その際にザンギャックが襲撃していたのが国際会議出席予定の外国要人だったことなどを調べ、
ザンギャックの次の作戦目的が国際会議場を襲撃して各国要人とスゴーミンを入れ替えることだと見破り、
ルカとハカセも合流して先回りしてザンギャックを待ち伏せ、その計画を打ち砕き、
ルカとハカセも元に戻ったのでした。

一方、ザンギャック地球侵略軍の方では、マーベラス一味のことは相変わらず
「宇宙最大のお宝」という、有るのか無いのか分からないような怪しげな代物を探しに地球へやって来た海賊が
無法者ゆえにザンギャック部隊を襲撃し続けているのだと解釈していましたが、
わざわざザンギャックの作戦を嗅ぎ回って潰して回るなど、あまりに狼藉も度が過ぎ、
マーベラス一味は地球侵略の重大な障害となったと見なしたバリゾーグは、
宇宙一の賞金稼ぎのキアイドーを呼び寄せて、マーベラス一味を倒すよう依頼しました。

キアイドーは強くなりそうな相手はわざと見逃して強くなるのを待って、
戦いを楽しんだ後で殺すことを好むというバトルジャンキーのような男で、
マーベラスは赤き海賊団が壊滅した後、ジョーに出会う直前ぐらい、
まだ1人でレンジャーキーを集める旅をしていた頃にキアイドーに完敗したことがあります。
しかし今のマーベラスはその頃よりも遥かに強くなっているはずなのですが、
キアイドーと対峙したマーベラスは何故か恐怖を感じてしまい、
マーベラス達はキアイドーに完敗してしまい、またもや見逃されてしまいました。

落ち込むマーベラス一味はキアイドーへの雪辱を果たそうとしますが、
マーベラスが何故か弱気であるので、どうにも気勢が上がりません。
その6人に対してナビィが15番目のスーパー戦隊であるジェットマンの力がキアイドーを倒すという
示唆のナビゲートをしてきたので、マーベラス達はジェットマンを探し始めます。

するとマーベラス達の前に結城凱と名乗る謎の男が現れて
マーベラスとジョーのモバイレーツを奪った挙句、マーベラスを叩きのめして
「ジェットマンを探すな」と言って立ち去っていったのでした。

不思議なことに6人の中で鎧にだけは結城凱の姿は見えず声も聞こえなかったが、
マーベラスからその男が結城凱と名乗ったと聞いた鎧は驚きます。
結城凱という名はジェットマンの元ブラックコンドルだった男と同じ名であり、
元ブラックコンドルの結城凱はかつてのバイラムとの戦いの後、
全くの消息不明になっていた戦士なのだと鎧は言うのでした。

ジェットマンは特殊なスーパー戦隊で、
偶発的な事故の結果、一般人が選択の余地も無く戦士とならざるを得なかった戦隊でした。
それゆえにあくまで一般人の感覚を失わないまま戦士として成長していき、
オリジナルの物語世界のジェットマンのメンバーはバイラムとの戦いが終わった後、
完全に一般人の生活に戻っていきました。

しかし、この「レジェンド大戦の世界」のジェットマンはバイラムとの戦いの直後、
自分達の身体の中に「大いなる力」というものが生まれたことを知り、
この世界が融合世界であり、自分達が15番目のスーパー戦隊であることを
「この星の意思」という存在から教えられました。
つまり、自分達がこの世界の成り立ちに常に関係を持っている特別な戦士であり、
完全なる一般人には戻れない運命であることを知ったのです。

ただ、それでも彼らはあくまで普通の生活を大切に生きる道を選びました。
この世界がどういう世界であり、自分達がどういう存在であろうとも、
彼らがジェットマンとして戦ってきた目的は、世界の平和を取り戻して、
平穏な生活に戻っていくことだったからです。
そうしてあくまで普通の平穏な暮らしを送っていく中、
元ブラックコンドルの結城凱は事件に巻き込まれて、あくまで一般人としてひっそりと死亡し、
残された4人のジェットマンの元メンバーは結城凱を静かに葬り、
かつて共に戦った仲間のためにひっそりと墓守りを続けてきました。

しかし、その平穏な暮らしはおよそ3年前のレジェンド大戦で乱されました。
圧倒的な力で侵攻してきたザンギャックから地球を守るために他の歴代スーパー戦隊が皆立ち上がる中、
ジェットマンの4人も再びバードニックウェーブを浴びて戦いの場に赴いたのでした。
せっかく掴んだ平穏な暮らしを離れなければならなくなった昔の仲間の様子を死者の世界から見ていた結城凱は、
自分だけが死者の世界で安穏としているわけにはいかないと思い、
一時的に肉体を得て復活してレジェンド大戦に駆けつけ、仲間のジェットマン4人と共に戦いました。

ただ、戦士として死んだ仲代壬琴、ブライ、滝沢直人とは違って、
あくまで一般人としての生活の中で死んだ結城凱は、アカレッドのような思念体にはなっておらず、
ただの肉体を失った死者の魂であったので、
思念体である壬琴たちのようにレジェンド大戦時に
「この星の意思」の力で一時的に肉体が復活するということはなく、
結城凱は自身の持つ「大いなる力」を使って一時的な肉体を作り出し、戦う力も引き出して
レジェンド大戦に駆けつけたのでした。

但し、その一時的に復活した身体は地球人の目には見えないものであり、
もしその状態で死に相当するダメージを受ければ、「大いなる力」は消え、
結城凱の魂も存在も消滅してしまうという危険な賭けでありました。

結城凱はそうしてレジェンド大戦に駆けつけ、
もちろんかつての仲間のジェットマンの4人にはその姿を見てもらうことも出来ず、
会話もすることも出来ませんでしたが、ザンギャック軍相手に奮闘し、
最終的には自身の持つ「大いなる力」を半分放出し、
他のレジェンド戦士たちと共にザンギャック軍を撃退しました。

しかし、その戦いの後、「この星の意思」やアカレッドが現れ、
彼らとの遣り取りの中でレジェンド戦士たちは自分達の存在を消すことと引き換えに
宇宙の平和を実現しようという気持ちに傾き、
ジェットマンの4人も宇宙の平和のためならばそれも仕方ないと納得しましたが、
結城凱だけは、あくまで仲間の平穏な生活を守りたいと思いました。

自分達が平和な宇宙を作りたいと思うのは、普通の人々の平穏な生活を守りたいからです。
ならば一般人に戻った仲間たちの平穏な生活も守れないで宇宙の平和など有り得ない。
自分は既に死んで普通の生活を送ることの出来なくなった結城凱だからこそ、
仲間4人の平穏な生活をあくまで守りたいと思ったのでした。

だが、そうはいっても、既に死んだ身の結城凱は仲間達に話しかけることすら出来ず、
レジェンド大戦が終わると、すぐにまた死者の世界に引き戻されてしまい、
仲間達のことを案じながらも、どうすることも出来ないまま悶々としていたのでした。

そうこうしているうちに2014年の2月になってマーベラス一味が地球に降り立ち
「大いなる力」を集め始め、ジェットマンの4人も、あの世の結城凱も、マーベラス一味の存在は知るようになり、
彼らがどうやらそんなに悪い奴らではないことも分かってきました。
ジェットマンの4人は黒十字王との戦いの時はマーベラス達に力も貸しましたが、
マーベラス達に宇宙の作り直しを担わせるべきなのかどうか、「大いなる力」を渡すべきなのかどうかは、
その時のマーベラス達を見てもよく分からなかったので、
改めてマーベラス達が「大いなる力」を求めてやって来た時に観察しようと思って、
マーベラス達のやって来るのを待っていました。

一方、あの世の結城凱はマーベラス達のことを最初は冷ややかな目で見ていましたが、
マーベラス達がレジェンド戦士たちと交流しながら、
次第に地球を守って戦おうとするようになってきたのを見て、
マーベラス達が彼らに「大いなる力」を渡したレジェンド戦士たちが期待するような
「戦ってザンギャックを倒して宇宙を平和にするヒーロー」になり得るのかもしれないと思えてきました。
もしそうなれば、自分の仲間の元ジェットマンの4人は消滅を免れ、
現在の平穏な生活を失わずに済むと思った結城凱はマーベラス達への期待感を膨らませました。

しかし、よく見てみると、まだまだマーベラス達が強大なザンギャックを倒すには足りない部分が多く、
特に元ジェットマンの結城凱から見て、どうにも気に入らない部分があったので、
結城凱はマーベラス達に喝を入れるために再び自身の「大いなる力」を使って、
地球人には見えない一時的な肉体を作り出して、下界に降りてきたのでした。
するとちょうどマーベラス達がキアイドーに完敗する場面を見ることになった結城凱は、
腹を立ててマーベラスを叩きのめしてモバイレーツを奪ったのでした。

結城凱はマーベラスがキアイドーに負けたことそのものに腹を立てたわけではありませんでした。
そもそもマーベラスの現在の実力ならばキアイドーと互角以上の勝負は出来るはずでした。
それなのにマーベラスがキアイドーに遅れをとったのは、
マーベラスが勝ち目の薄い相手と戦うことに恐怖を覚えるようになっていたので、
かつて負けたことのある相手であるキアイドーへの苦手意識を克服出来なかったのが原因でした。

だからマーベラスが勝ち目の薄い相手への恐怖を感じなくなれば、
自然にキアイドーに対する過去の対戦に基づいた苦手意識など消えて、
互角以上の勝負は出来るようになるのですから、問題の根本はキアイドーではなく、
マーベラスの勝ち目の薄い戦いに対する恐怖心そのものであり、
結城凱が腹を立てていたのはマーベラスのそうした弱気でした。

そのマーベラスにとっての勝ち目の薄い相手とはザンギャックです。
実際、ワルズ・ギル配下のガタガタになった地球侵略軍はともかくとして、
宇宙を支配する大帝国ザンギャックがあくまで地球を侵略するために増援を繰り返してくるならば
マーベラス一味に勝ち目はありません。
だからマーベラスがザンギャック相手に地球を守って戦おうと思った時に、
その戦いは勝ち目が薄いと思うこと自体は事実を正確に把握しているという点では別に悪いことではありません。

結城凱が怒っているのは、マーベラスが勝ち目が薄い戦いに対して恐怖を感じて弱気になっていることでした。
そんな弱気ではザンギャックに勝って宇宙を平和になど出来るはずがない。
そんなマーベラス達がジェットマンの「大いなる力」を手に入れて「宇宙最大のお宝」を手に入れたら、
結局はザンギャックと戦うことをビビって宇宙の作り直しの道を選んでしまい、
ジェットマンの4人は消滅してしまう。
そんなマーベラスに失望した結城凱は、
今のままのマーベラスにジェットマンの「大いなる力」を渡すわけにはいかないと思い
「ジェットマンを探すな」と釘を刺し、行動を制限するためにモバイレーツも奪ったのでした。

しかしマーベラスはもともと勝ち目が薄い戦いにビビるようなヤワな男ではなかったはずです。
マーベラス自身、そう思っていましたから、
その日の夜になって再びマーベラスを諭すために現れた結城凱に
「お前ビビってるじゃねぇか」「自分の弱さに向き合えないとは情けない」などと言われても、
単にキアイドーに負けたことを貶されているのかと思い、
憤慨して結城凱を追いかけますが一晩追いかけ回しても結城凱を捕まえることが出来ず、
気が付けば墓場に来ており、そこでマーベラスや、マーベラスを追ってきた他の仲間も、
その墓場にある結城凱の墓碑を見つけ、結城凱が既に死んでいたことを知り、驚きます。

そして墓の前に供えられたジェットマンの他のメンバーの供物を見て、
結城凱が死んでもなお他のジェットマンのメンバーと強い絆で結ばれており、
結城凱は他のジェットマンの仲間の平穏な生活を守りたくて自分達のジェットマン探しを邪魔するべく、
自分達の前に現れたのだとマーベラス達は悟りました。

一方、結城凱はマーベラス達がキアイドーを倒すためにジェットマンの「大いなる力」を求めている以上、
ジェットマンの仲間を探し続けるだろうと思い、
それを阻止するために自分がキアイドーを倒すしかないと思い、
再びマーベラス達を倒すよう命じられて地上に降りてきたキアイドーに1人で戦いを挑みます。

しかし結城凱はレジェンド大戦の時の半分しか「大いなる力」を持たない状態であり、
キアイドーは強敵ですから、形勢は不利です。
しかも、もし死に相当するようなダメージを受ければ結城凱は消滅してしまうのですから、
これはかなり危険な勝負です。
しかし、それでも結城凱は仲間を守るために躊躇することなくキアイドーに立ち向かっていきます。

そこに駆けつけたマーベラス達は、
仲間の平穏な暮らしを守るために既に死んだ身で陽炎のように甦った儚い命を振り絞って
1人だけ戦う結城凱の姿を見て、ジェットマンという戦隊の強さが何なのか理解しました。

マーベラス達は自らは戦わない弱い人々を守るために命を賭けて戦うという経験はほとんどありませんでした。
ところが第26話で明確に地球人を守って戦おうと決めたことによって、
自分達の戦いが「弱い者を守りながらの戦い」となったことを自覚し、
それが意外に心に重くのしかかっていたのです。

弱い者を守りながら戦うとなると、足を引っ張られるようなことが増えて、
自分達は以前よりも不利になり、弱い立場になるのではないかと思えてきました。
しかし、ただでさえザンギャック相手の戦いが甘くないことは分かっているのですから、
自分が弱くなるなどということは考えたくなくて、
マーベラス達は自分の弱さを見ようとはせず、自分達は以前と変わらず強いのだと自分自身に言い聞かせていました。

しかし無理に心の奥に閉じ込めた弱さの自覚は不安となって心の奥に巣食うようになり、
何時の間にか強大な相手であるザンギャックに対する今後の戦いへの不安や弱気、恐怖心が生じていたのです。
それが強敵に対する苦手意識となり、
マーベラスの場合、かつて敗れたキアイドーへの弱気となって現れてしまったのでした。

この根本的な原因は、マーベラス達が自分達の戦いにおいて生じた不利や弱さを直視することを避けたことでした。
結城凱がマーベラスのことを「自分の弱さにも向き合えない」と非難したのは、
マーベラスが自分の弱さを直視出来なかったために、
逆にザンギャックへの恐怖心を生じさせる結果となったことを責めていたのです。

一方、結城凱は自分の命の儚さや弱さを直視して知っているからこそ、
平穏に暮らす仲間を守るために強大な相手であるキアイドーに立ち向かうことが出来ています。
戦士でもない一般人でありながら戦うことになった自分の弱さを知っているからこそ、
自分と同じように弱い普通の人々を守るために、自分は強くならなければいけないという想いで戦い、
強くなっていったのがジェットマンなのです。
ジェットマンは自分の弱さを知るゆえに弱い人々を守るために戦って強くなることが出来た戦隊だといえます。
だから結城凱は今の自分は非常に脆弱な存在であることを知っているからこそ、
平穏に暮らす仲間を守るためにキアイドーに立ち向かうことが出来る。

結城凱がマーベラス達に求めたのは、このジェットマンの精神でした。
弱い地球の人々を守るために途轍もなく強大なザンギャックに立ち向かうためには、
まず自分の不利や弱さを直視し、
それでも弱い人々を守るために恐怖心を乗り越えて強くなろうという強い意思を持たねばならない。
その強い意思を持てば、マーベラス達はザンギャックを倒して宇宙を平和にすることも可能かもしれないと、
結城凱は思ったのでした。

結城凱の戦う姿を見てジェットマンの力が弱さを自覚した上で恐怖心を克服する強い意思の力であると知り、
結城凱が自分に求めていたもの、今の自分に欠けていたものがそれだと気付いたマーベラスは、
もともと自分達はザンギャックに散々な目にあわされた弱い存在であり、
その弱さを直視した上で負けてたまるかという強い意思で弱さを克服して強くなってきたのだという
自らの原点を想い出しました。
それは地球の人々を守って戦うことで生じた心の弱さも同じことであり、
自分達ならばその弱さも強い意思で克服できるはずなのだと気付いたのでした。

そうしてマーベラスは仲間と共に前に進み出てキアイドーの前に立ちはだかります。
そのマーベラス達の姿を見た結城凱は、マーベラス達がキアイドーに対する弱気を克服したことに気付き、
彼らが強い意思の力で自分の弱さを乗り越え、
ザンギャックに対しても不利を承知で地球の人々を守るために戦いを挑み、
弱さを乗り越えて強くなろうという強い意思を獲得したことを知ります。

そうして満足した結城凱はマーベラスとジョーのモバイレーツを返し、
マーベラス達にジェットマンの「大いなる力」を渡したのでした。
そして、「大いなる力」を手放したことによって肉体を維持することが出来なくなった結城凱は、
ジェットマンの力を駆使してキアイドーを倒したマーベラス達に向かって
「今度はお前らがあの空を守る番だ」と言って空を見上げながら、肉体を消滅させ、
その魂は天上へと戻っていったのでした。

続いて第29話では、ザンギャック地球侵略軍司令官のワルズ・ギルが地球の風邪にかかってこじらせてしまい、
インサーンが地球人の女の幸せエナジーを集めて注射すればすぐに治ると言うので、
ワルズ・ギルは隠密行動の得意な行動隊長に命じて地上の幸せそうにしている女性を襲わせて
幸せエナジーを奪わせていきます。

この騒動に遭遇したマーベラス達は戦いますが、
怪人の伸縮自在の特殊能力に翻弄されて取り逃がしてしまいました。
この様子をちょうどマーベラス一味の様子を見に来ていた27番目のスーパー戦隊アバレンジャーの
元アバレブルーの三条幸人が近くで見ており、
もしかしてマーベラス達がアバレンジャーの「大いなる力」の使い方を知らないのではないかと首を傾げます。

アバレンジャーの「大いなる力」は黒十字王との戦いの前に
元アバレキラーの仲代壬琴から鎧に既に渡されており、
ゴーカイジャーにおいては、鎧の専用ロボの三段変形のうちの1つの豪獣神という形で既に使用されていましたが、
幸人はアバレンジャーの「大いなる力」の使い方は豪獣神だけではないはずなのに、
マーベラス達は壬琴からそのことを聞いていないのだろうかと不審に思います。

アバレンジャーの「大いなる力」を鎧に渡したことは、
おそらく鎧に渡した後すぐに壬琴から何らかの方法で他のアバレンジャーのメンバーには知らされたようですが、
壬琴と鎧の細かい遣り取りまでは伝わっていないようです。

幸人は妻で秘書の笑里が自作のアバレピンクのレンジャーキーをゴーカイジャーに渡したいという
ワケの分からない我儘を言うので、それに付き合わされる形で笑里に連れられて
マーベラス一味に接触するためにやって来たのですが、
その結果、アバレンジャーの大いなる力の使い方をマーベラス一味が不完全にしか知らないことを発見したのでした。

一方、取り逃がした怪人を捕えて幸せエナジーを取り戻すため、
ガレオンの修理をしているマーベラス達を残して、アイムは鎧を連れて囮作戦を実行します。
教会でアイムと鎧が偽の結婚式を挙げて、それに釣られてやってきた怪人の身体の伸縮を調節する装置を
銃撃で壊した後は七変化で翻弄し、アイムは怪人から幸せエナジーを奪還して、
エナジーを吸い取るアイテムを壊して、ザンギャックの作戦をぶっ潰したのでした。

そこにマーベラス達も駆けつけ、物陰で様子を見ていた幸人と笑里もアイムのアバレっぷりに満足して、
やはりゴーカイジャーはアバレンジャーの「大いなる力」を引き継いで、
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作る可能性のある者達であると思い、
アバレンジャーの大いなる力のもう1つの使い方である豪獣ゴーカイオーへのチェンジの仕方を教え、
マーベラス達は豪獣ゴーカイオーで敵怪人を撃破したのでした。
結局ワルズ・ギルは幸せエナジーを手に入れることは出来ず、風邪が悪化して寝込んでしまいました。

そして、マーベラス一味の中でアイムの身の上や一味への加入時の状況をただ1人知らない鎧は、
どうしてアイムのような清楚で可憐な美少女が海賊一味の一員なのか不思議に思っていたのですが、
この一件でアイムの意外に激しい一面を知り、
ザンギャックに苦しめられた人々を助ける時には毅然とした強さを発揮するのがアイムの魅力であり、
それゆえマーベラス達もアイムを仲間にしたのだろうと鎧は勝手に納得します。

確かにそれは半分当たりではあるのですが、
マーベラス達がアイムを仲間とした決め手となった理由は、
アイムに海賊が正しい信念を貫く人たちだと褒められ、笑顔を向けてもらったのが嬉しかったからなのですが、
それは照れ臭くてマーベラス達は鎧には教えようとはしないのでありました。

そして第30話ではナビィのお宝ナビゲートが
「スケボーが得意なライオンが近づいている」という具体的なイメージのものが出ますが、
これを聞いてスーパー戦隊に詳しい鎧はライブマンのイエローライオンに違いないと言います。
ただ、鎧はイエローライオンの正体や居場所は知らないので、
結局マーベラス達はいつものように漠然と街中をスケボーの得意そうな人物を探すことになります。

一方、ギガントホースではようやく風邪が治ったワルズ・ギルのもとに
ザンギャック本星から懐かしい来客がありました。
それはザンギャック帝国随一の天才科学者のザイエンでした。
実はザイエンはかつてワルズ・ギルの依頼によってジョーの先輩のシドをバリゾーグに改造した科学者であり、
今回は自分の作品であるバリゾーグの調子を確認しに来たのでした。

そのザイエンの用件を聞いたワルズ・ギルは
ザイエンの手によってシド同様、地球人の武道の達人を改造して
ワルズ・ギルに従順な機械兵士バリゾーグを量産してザンギャック軍の戦力アップを図る作戦を思いつき、
ザイエンにその作戦を実行するよう命じました。

さっそくザイエンは地上に降りて次々と武道の達人たちを誘拐していきますが、
何人目かの標的を誘拐しようとしたところ、ちょうど街でライブマン探しをしていたジョーとアイムが
その騒動を察知して駆けつけ、ザイエンと交戦し、ザイエンは撤退します。
ところがザイエンはうっかりその場にバリゾーグの設計図データの入った端末を落としてしまっており、
ジョーはそれを拾いますが、それが何なのか分かりません。

すると、たまたま居合わせた大原丈と名乗る男が、自分は科学者だと言い、
その端末を操作してデータを引き出し、それが機械兵士の設計図で、
さっきの怪人がこの設計図で人間を機械兵士に改造しようとしていたのだろうと指摘します。
ジョーとアイムが端末を見てみると、そこにはバリゾーグの見取り図があったので2人は愕然とします。

アイムは単にバリゾーグがもとは人間であったという事実への驚きと、
恐るべき人体改造計画への戦慄を覚えただけでしたが、
ジョーの場合は仲間には何も言っていませんでしたがバリゾーグがかつての自分の剣の師であり
命の恩人であるシドの改造された姿であるということは知っていましたから、
その設計図が手に入ったことで、もしかしたらシドを元に戻せるかもしれないと思い、
科学者だという大原丈にこの設計図で改造された人間を元に戻せるのか質問しました。
すると大原丈が設計図を解析しないと分からないというので、
ジョーは大原丈と一緒に科学アカデミアにある彼の研究室について行ってしまいました。

ジョーの意外な行動に驚いたアイムはガレオンに戻ってマーベラス達にそのことを報せ、
マーベラス達はおそらくジョーの大事な想い出の剣の師匠がバリゾーグに改造されたのだろうと悟りました。
同時にハカセが武道家が連続失踪していることを突き止め、
これらの人々をバリゾーグに改造するためにザンギャックが誘拐していると推測し、
マーベラス達はアジトの割り出し、その計画を潰そうとして動き始めました。
鎧はジョーも呼ぼうとしますが、マーベラス達は今回はまずジョーが納得いくまで好きにさせてやろうと、
あえて呼び戻さず5人で行動することにしたのでした。

このジョーがついて行った科学者の大原丈という男は
実は12番目のスーパー戦隊のライブマンの元イエローライオンだった男です。
大原丈はジョーとは初対面でしたが、ジョーが変身して戦った場面に居合わせたので
ジョーがゴーカイジャーの一員だということは分かっています。
しかし大原丈は自分がライブマンであったことはジョーには教えていませんし、
「大いなる力」の話も一切していません。

ただ、ライブマンがマーベラス一味に対して悪印象を持っているというわけでもなく、
黒十字王との戦いの際には大原丈以外のメンバーの誰かがその戦いを見守り、マーベラス達に力も貸しています。
それでもライブマンが未だにマーベラス達に「大いなる力」を渡していないのは、
ライブマンのメンバーが未だに「大いなる力」の使い方について迷っていたからでした。

確かに34戦隊の「大いなる力」を「宇宙最大のお宝」に注いで、
ザンギャックが最初から存在しなかった平和な宇宙を作ってしまえば全てが丸く収まるように思えました。
その代償に自分達の存在は消えてしまうが、そんなことはライブマンは恐れてはいませんでした。
ただ、本当にそんな解決の仕方でいいのだろうかという漠然とした疑念があり、
他の戦隊のようにマーベラス達にすんなり「大いなる力」を渡す決断が出来ずにいたのでした。

そんな時にたまたま街で出会った2人組がゴーカイジャーであり、
しかもそのうちの1人のジョーがバリゾーグという機械兵士の設計図の解析をやけに必死に頼んでくるので、
大原丈はジョーの大切な友人か家族がバリゾーグに改造されたのだろうと察し、
ジョーの熱意に押されて、ジョーを研究室に連れていき、設計図を解析しました。

しかし残念ながらバリゾーグに改造された人間を元に戻すことは不可能だという解析結果が出て、
ジョーは酷く落胆しました。
そして、既に一旦シドは死んだものだと納得したはずなのに、
未練がましく足掻いた自分が愚かだったのだと嘆き、自嘲したのでした。

すると大原丈は思わずジョーに向かって、
敵になり人間でなくなった、救いようもない友を救うために足掻いて何が悪いのかと怒鳴りつけました。
そして、ハッとして、それは今の自分自身に向かって怒鳴っているのだと大原丈は気付いたのでした。

かつて大原丈たちと共に科学アカデミアで科学者を志していた学友たちが道を誤り、
科学を悪用して世界を支配しようとし、大原丈たちはライブマンとなって戦い、
友たちを改心させて救おうとしました。
しかし結局は、友たちの野望を挫いて世界を救うことは出来たが、友たちを救うことは出来なかった。

その戦いの後、大原丈たちの体内に「大いなる力」が生じ、
「この星の意思」により、自分達がスーパー戦隊というヒーローの1つなのだと教えられたが、
大原丈たちはもともとの目的であった友を救うことも出来なかった自分達が
世界を救ったヒーローだなどと胸を張る気分にはなれませんでした。

そもそも、道を誤った学友たちはもともと邪悪な連中だったわけではなく、
科学の万能性に魅せられ、科学を操る自分の力を過信して道を誤った。
その学友たちと自分達は科学の力で戦った。
だから、自分達と学友たちはそう大差ない存在だと大原丈たちは思いました。

ちょっとしたきっかけで科学を志す者は悪に堕ちてしまい、善と悪に分かれて争う悲劇が起きる。
だから自分達はヒーローなどではなく、科学者というものは潜在的に多くの過ちを犯している存在なのであり、
一歩間違えれば悪に堕ちる、危ない存在なのだと思った大原丈たちは、
ライブマンであった過去は封印し、科学アカデミアに戻って、
二度と科学を悪用した悲劇が繰り返されないように尽くして地道に活動してきました。
大原丈は、それはライブマンとしてではなく、あくまで1人の科学者としての責務だと思ってやってきていました。

そうしてライブマンであったことは忘れて科学者として生きてきた大原丈も、
2011年にザンギャックの侵攻によりレジェンド大戦が起きると、
他のスーパー戦隊に同調し、ライブマンとして戦うことになりました。
そして大戦の終結後、自分達の存在を消すことによってザンギャックのいない平和な宇宙を作ろうという話になり、
大原丈も何となくそれがヒーローの務めであり、
かつて友を救うことの出来なかった自分達ライブマンが自らを犠牲にして宇宙を救うことが出来るならば
本望だとも思いました。
それがライブマンの務めだったのだと自分を納得させようともしました。

しかし何故か心に引っ掛かることがあり、
大原丈たちライブマンは「大いなる力」を宇宙作り直しの担い手であるゴーカイジャーに渡すことを
躊躇していました。
それがどうしてなのか、こうしてジョーと出会って、
ジョーが友を救おうとした自分自身を自嘲したのを叱り飛ばしたことによって、
大原丈は気付くことが出来たのでした。

つまり大原丈は自分が友を救うためにライブマンとなって足掻いて戦ったことを本当はずっと肯定していたのです。
そして、ライブマンとしての戦いの後、科学アカデミアに戻って、
科学が学友たちのような過ちを繰り返すことがないよう自分達が足掻いて努力してきたことも、
本当はライブマンの戦いの続きとして本当はずっと肯定していたのです。

ライブマンとは、自分自身や自分の身近に存在する悪や過ちを認め、
それが暴走して悲劇を引き起こさないように足掻き続ける戦隊であったのです。
それこそが本当はライブマンのヒーローの在り方であったのであり、
大原丈はずっとライブマンとして科学アカデミアで足掻き続けて、
学友たちの悲劇を繰り返さないように戦い続けてきたのです。

ところがレジェンド大戦の後、大原丈は悪を消滅させた平和な世界を作ろうという考え方に捉われてしまい、
それがライブマンの使命であるかのように思ってしまっていました。
しかし、それはライブマンの精神とは真逆といえます。
ライブマンは悪を知るからこそ人が悪に堕ちることがないよう戦う戦隊なのです。
悪の存在する世界で二度と悲劇を起こさないように悪と戦い続けるのがライブマンであり、
悪を消した世界を安易に作ろうとするのはライブマンの選ぶべき道ではない。

悪を無くし、悪から目を背けるのは、ライブマンとしての今までの長い年月の戦いを否定する行為であり、
ライブマンとして一番犯してはならない過ちでした。
レジェンド大戦以降、大原丈はうっかりとその過ちを犯してしまっていたのです。
そのことが無意識に引っ掛かっていたので
大原丈たちは宇宙の作り直しのために「大いなる力」をゴーカイジャーに渡すことを躊躇していたのでした。

ジョーが悪に堕ちた友を救うことを諦め、
自分の身近な悪を存在しないものとして切り捨てようとしているのを見て、
大原丈はそれは間違っていると思い怒鳴りつけましたが、
その瞬間、レジェンド大戦以降の自分がジョーと同じ過ちを犯していたことに気付き、
今、自分はジョーを叱ったのではなく、
ライブマンとしての自分がレジェンド大戦以降ライブマンというものを履き違えていた自分自身を
叱り飛ばしたのだと悟ったのでした。

そして大原丈はジョーに向かって、
かつて自分の友が道を誤って科学を悪用して世界を征服しようとし、
自分は友を救おうとしたが救うことは出来なかったので、
友の魂だけでも救ってやりたくて、科学アカデミアに戻って
科学が二度と友のような悲劇を引き起こさないように足掻き続けてきたのだと説明したのでした。

つまり、悪に堕ちて散った友を単に悪として断罪し記憶から消してしまうのではなく、
友の堕ちた悪を自分の身近な悪と認識して、
永遠にその悪と戦い続けて友の悲劇が繰り返されることを防ぐことによって、
散っていった友の魂は単なる悪として消えることはなく、悪と戦う魂として常に自分と共にあり、
いずれ善なる魂となり、救われるのだというのが大原丈の考え方であり、ライブマンの考え方なのです。

それを聞いてジョーは、
自分がシドのことを忘れてバリゾーグを単なる敵として倒そうとしていたことは過ちであったと知りました。
シドがバリゾーグに改造されて敵となってしまった悲劇はザンギャックという悪によって引き起こされたものであり、
その悲劇は宇宙全体を覆うものであり、ジョー自身の身近に存在する悲劇なのです。
その悲劇から目を背けて、単に目の前の敵を機械的に倒していくだけでは、何も周囲の状況は変わらない。
ザンギャックの悲劇なシドやジョーの悲劇であり、ザンギャックの悪はシドやジョーの悪なのです。

かつてシドとジョーはザンギャックの悪に加担してしまったことを悔いて、
ザンギャックによる悲劇を繰り返させないために戦おうとしました。
シドは悪に堕ちたのではなく、悪と戦って散ったのです。
ならばシドと共にザンギャックという悪による悲劇を阻止しようと誓ったジョーが、
シドを襲ったザンギャックによる悲劇から目を背けて戦うわけにはいかない。

シドの悲惨な運命をしっかり意識しながら、シドのような悲劇が二度と繰り返されないように
ザンギャックの悪行と戦い続けなければならない。
そうして自分がシドの無念を胸に抱きながらザンギャックと戦い続けることによってこそ、
シドの魂もザンギャックと戦い続け、シドの魂だけは救われるかもしれない。
それが自分に出来る「足掻き方」なのだとジョーは悟ったのでした。

そうしたジョーに向かって大原丈は最後に「過ちを繰り返すなよ」と言いました。
これは苛酷な現実から目を背けようとしていたジョーへの戒めの言葉であり、
これに力強く頷いたジョーを見て、
大原丈は、ジョーが悪の存在を直視しながら、悪による悲劇を繰り返さないように
戦い続けていけるのであろうことを確信しました。

それはつまり、マーベラス一味が「悪の存在しない平和な世界」に安易に逃げることなく、
悪が永遠に存在するからこそ悪の暴走を抑えるために戦い続けるライブマンの精神を引き継ぎ、
宇宙の作り直しではなく、
あくまでザンギャックと戦い続けて宇宙の平和を実現するヒーローとなるに違いないという確信を
大原丈にもたらしたということでした。

そして新たな戦いの決意を固めて研究室を出ようとしたジョーはそこに置いてあるスケボーを見て、
大原丈こそがライブマンの元イエローライオンだったのだと気付き、
大原丈に「あんたライブマンだったのか?」と尋ねますが、大原丈は「さあな」ととぼけます。

大原丈がライブマンになろうと志した時に目指した目標である友の救済は未だ達成されておらず、
未だ友の魂を救うために足掻き続けている身である大原丈は、
まだ自分がライブマンと名乗れる存在ではないと思っているのでした。
しかしジョーは大原丈がライブマンだと確信し、
大原丈はマーベラス一味にライブマンの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、マーベラス達はザイエンのアジトを見つけ出して誘拐された武道家たちを救出し、
ザイエン率いるザンギャック部隊と戦いを開始し、
そこに駆けつけたジョーは初めてマーベラス達の前でシドの名を出し、
シドの無念を胸に、ザンギャックによる悲劇を二度と繰り返させないために戦っていくと宣言し、
シドの必殺剣でザイエンを撃破したのでした。

このようにマーベラス一味がジェットマンやライブマンの「大いなる力」を獲得していた頃、
身を潜めていたバスコはスーパー戦隊の「大いなる力」を数個、奪い取る隠密作戦の準備をしていました。

第23話でマーベラス達によってゴーゴーファイブの「大いなる力」を奪う作戦を邪魔されたバスコは、
マーベラス達に嗅ぎつけられないように、より慎重な隠密作戦で、
狙いをつけたレジェンド戦士を周到な準備で罠に嵌めて「大いなる力」を奪わねばいけないと思いました。

そして、ギンガマンとゴーゴーファイブで2回連続失敗してしまった以上、
スーパー戦隊側も自分を警戒するだろうと考えたバスコは、
作戦の実施までは多少期間を空けることとして、それまでじっくりと策を練り準備を周到にすることにしました。
また、出来れば何個かの「大いなる力」を確保しておきたかったバスコは、
1つ奪われればスーパー戦隊側は警戒を強めるであろうから、
相手の警戒網が強くならないうちに立て続けに何個かのスーパー戦隊の「大いなる力」を奪おうと思い、
複数の戦隊の「大いなる力」の強奪作戦の準備を同時進行させることにしました。

そうして第23話の後、スーパー戦隊の状況を調べ始めたバスコは、
狙いやすそうな戦隊として9番目のスーパー戦隊のチェンジマン、10番目のスーパー戦隊のフラッシュマン、
11番目のスーパー戦隊のマスクマンの3つをピックアップし、
狙いをつけた戦士の行動を調べて周到に罠を張る準備を進めていきました。

そうしている間にマーベラス一味の方は
ハリケンジャー、ジェットマン、ライブマンの「大いなる力」を手に入れましたが、
マーベラス達がライブマンの「大いなる力」を手に入れた直後、
バスコは続けざまにマスクマン、フラッシュマン、そしてチェンジマンの「大いなる力」を奪ってしまったのでした。

この一連の「大いなる力」強奪作戦は、バスコの作戦が慎重を極めていたため、
バスコの動きに注意していたはずのアカレッド思念体や「この星の意思」、そしてスーパー戦隊側の方でも
予想することが出来ず、まんまと3戦隊の「大いなる力」はバスコに奪われてしまいました。
もちろんマーベラス達もこの重大事態に気付いていません。

そもそも、このチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3戦隊は
どうしてマーベラス一味に早めに「大いなる力」を渡していなかったのか?
黒十字王との戦いの際にはおそらく34戦隊全てが、メンバーの誰かはマーベラス達の戦いを見守り、
スーパー戦隊共通の敵である黒十字王を倒すために力を貸したはずであり、
この段階でマーベラス一味に対して悪い感情を持つスーパー戦隊はひとまずいなくなっていたはずです。
それなのにどうしてこの3戦隊はゴレンジャーなどの10戦隊のように
レンジャーキー空間で顔を出してマーベラス達に「大いなる力」を渡さなかったのか?

この黒十字王との戦いの時点でマーベラス達に「大いなる力」を渡すことを保留した戦隊は、
バトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、ギンガマン、
ゴーゴーファイブ、ハリケンジャーの14戦隊でした。

このうち、ギンガマン、ゴーゴーファイブ、ハリケンジャー、ジェットマン、ライブマンの5戦隊は、
それぞれ独自の理由で、すぐにマーベラス達に「大いなる力」を渡すことは躊躇していましたが、
結局はマーベラス一味と接して、彼らがザンギャックを倒して宇宙を平和にする可能性に
賭ける気になったということはここまで描写されてきました。

そうなると残るは9戦隊なのですが、
このうちギンガマンなどと同様にそれぞれ独自の理由で「大いなる力」の譲渡を保留しているのは
カクレンジャーとメガレンジャーだけであり、
残りのバトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、
ファイブマン、オーレンジャーの7戦隊は同一歩調をとって連携していました。

もともとは34のスーパー戦隊は35番目のスーパー戦隊に「宇宙最大のお宝」を使って
「ザンギャックのいない平和な宇宙」への作り直しをさせようとしていました。
しかし35番目のスーパー戦隊として地球に現れたのが
宇宙海賊のマーベラス一味であったために一時期混乱が生じましたが、
次第にスーパー戦隊はマーベラス一味を35番目のスーパー戦隊として認めていくようになりました。

ただ、その過程で多くの戦隊が、
もともとはマーベラス達のやるべきことを「宇宙の作り直し」と定めていたはずなのに、
心変わりして、マーベラス達がザンギャックと戦って平和な宇宙を作る可能性に賭けるようになっていきました。
バトルフィーバー隊以下の7戦隊は、この傾向を危惧するグループであったのです。

バトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、マスクマン、オーレンジャーは
それぞれ軍事組織をバックに持つ戦隊であり、
フラッシュマン、ファイブマンは宇宙の事情によく通じている戦隊です。
それゆえ、この7戦隊は意見交換をした結果、
マーベラス一味をスーパー戦隊の意思を受け継ぐ35番目の戦隊として認めるのは吝かではないが、
ザンギャック帝国の軍事力はレジェンド大戦時の想像を更に超えるほど強大なものと推定され、
いくら34戦隊の力をマーベラス一味のもとに集めたとしても戦って打ち破れるようなものではないと考えました。

だから、この7戦隊はゴレンジャー以下の多くの戦隊がマーベラス一味に賭けようとしていることを危険視し、
やはりお宝を使っての宇宙の作り直ししか地球や宇宙をザンギャックから守る方法は無いと考えましたが、
現状の流れではどうもそっちの方向に事態が進みそうにない。
そこで7戦隊は自分達の「大いなる力」を安易にマーベラス達に渡してしまわずに、
マーベラス達が欲しいと言ってきた時に、マーベラス達に「宇宙の作り直し」をさせるように
説得するためのカードとして保持しておくことにしたのでした。
「大いなる力」は渡すから、その代わりに宇宙の作り直しをするようにというわけです。

ただ、そのためにはこの7戦隊は「この星の意思」やアカレッドの言っていたような
「大いなる力」譲渡の際のルールに縛られることなく、
自分の意思で自在に「大いなる力」を相手に渡したり渡さなかったり出来るようになっておく必要がありました。

これについてはもともと体内のエネルギーのコントロールの専門家であったマスクマンにおいては、
昔「大いなる力」が体内に生じた時からそのコントロールは試みられており、
相手に受け取る意思さえあれば、別に精神性の一致が完全でなくても、
自分の意思で「大いなる力」を渡すことが出来る技が一応は確立されており、
7戦隊ではこの技術も急ぎ修得されていました。

そうして7戦隊はマーベラス一味の動向を監視しながら、
マーベラス一味が自分達の「大いなる力」を求めてやって来るのを待っていたのですが、
そうしているといきなりチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンが続けざまにバスコに襲われて
「大いなる力」を奪われてしまったのでした。

7戦隊はこれで動揺しました。
「大いなる力」が34個揃わなければ「宇宙最大のお宝」を手に入れることは出来ないわけですから、
バスコが3戦隊の「大いなる力」を手に入れてしまったことによって、
マーベラス一味に宇宙の作り直しをさせるという7戦隊の計画が暗礁に乗り上げてしまったからです。

まぁバスコも3戦隊分だけ「大いなる力」を持っていても仕方ないわけで、
バスコがいずれマーベラス一味の持つ「大いなる力」も狙うことになることも7戦隊には予想はつき、
バスコに怪人態があることを知らない7戦隊は
バスコとマーベラス一味が戦えばマーベラス一味の方が勝つだろうと予想していました。

だから、全部の「大いなる力」をバスコに奪われてしまうという心配はあまりしていませんでしたが、
もしバスコが7戦隊の「大いなる力」を全部奪ってしまい、
そのバスコからマーベラス一味が「大いなる力」を奪うという展開になってしまうと、
7戦隊がマーベラス一味に宇宙の作り直しをするようにと取引を持ちかけることが出来なくなってしまいます。
だから、残り4戦隊の「大いなる力」は絶対にバスコに奪われるわけにはいきません。

バトルフィーバー隊やサンバルカンなどは警戒をより厳重にすれば大丈夫だという姿勢でしたが、
19番目のスーパー戦隊のオーレンジャーの元オーレッド、現在は国際空軍の司令官になっている星野吾郎は
3戦隊を襲ったバスコの鮮やかな手口を警戒し、
守りに入っていてはいずれ「大いなる力」を奪われると判断し、
思い切ってこちらから仕掛けてバスコを罠に嵌めて始末し、3戦隊の「大いなる力」も奪還しようと考えました。

そして吾郎はバスコの乗艦フリージョーカーを探し出し、そこに向けてメッセージを送り、
ザンギャック軍の旗艦ギガントホースの位置を教えてくれれば
オーレンジャーの「大いなる力」を渡すという取引をバスコに持ちかけたのでした。
本当は吾郎はギガントホースの位置情報などどうでもよく、
国際空軍がザンギャック攻撃のためにバスコから情報を引き出そうとしているという風を装って、
オーレンジャーの「大いなる力」で釣ってバスコをおびき出す作戦でした。

バスコは当初の予定では3戦隊の「大いなる力」さえ手に入れば後はずっと隠れて
マーベラス達が残りの「大いなる力」を集めるのを待つつもりであったのですが、
吾郎によってオーレンジャーの「大いなる力」を目の前にぶら下げられて、この罠に引っ掛かりました。

バスコはギガントホースの位置情報を渡すと見せかけて偽情報を用意して、
取引場所には吾郎が単独で来るよう指定しました。
そうして1人で現れた吾郎から「大いなる力」を奪おうとバスコは企んだのでした。
しかし吾郎もバスコがそうするであろうことは読んでおり、
取引場所には自分も巻き添えにしてでもバスコを仕留めるためのトラップを仕掛けていました。
そうとは知らずにバスコは取引に応じたのでした。

しかし、この吾郎の危険な作戦は34戦隊を見守っていたアカレッド思念体の察知するところとなり、
アカレッドはナビィにオーレンジャーに関するイメージを送り、
それを見たナビィは国際空軍の略称をローマ字読みした「うあおー」というナビゲートを
マーベラス達に報せました。

だが吾郎はアカレッドがマーベラス達に情報を送って自分の動きを察知させようとするだろうことは見越して
先手を打っていました。
部下の元オーピンクの丸尾桃をガレオンの近くに派遣して、
わざとマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡すと言って接触させて、
吾郎とバスコの対決が終わるまでマーベラス達を桃と一緒にガレオンに足止めさせておくという
手を打っておいたのです。

ただ、この桃のガレオンへの派遣はマーベラス達の足止めだけが目的ではなく、
もし吾郎の作戦が失敗して、作戦開始後、一定時間が経過しても吾郎が普通の手段で
バスコを倒すことが出来なかった場合、吾郎が自力でバスコを倒すことは断念し、
桃がマーベラス達に「大いなる力」を渡し、
その後、吾郎がトラップを発動させて自分もろともバスコを始末するという奥の手のための布石でもありました。
そのために体内の「大いなる力」のコントロールに長けた桃をマーベラス達のもとに足止め要員として送ったのです。

しかし、普通に考えれば吾郎とマーベラス達が協力してバスコと戦った方がバスコを倒せる確率は高そうです。
それに比べて吾郎が1人でバスコに立ち向かうのはリスクが高すぎる。
確かに吾郎1人で取引場所に行かなければバスコは姿を現さないであろうから、
単独で取引場所に行く必要があるのは仕方ないが、
それにしても事前にマーベラス一味に作戦を報せておいた方が何かと安心なはずです。

なのに、マーベラス達までも欺いて、
こうまでして吾郎が自分1人の手でバスコから「大いなる力」を奪還しようとすることにこだわるのは、
あくまで自分の手に「大いなる力」を確保して、
マーベラス達と取引して宇宙の作り直しをさせるための切り札を確保したいからでした。

ただ、それでも万が一の時のための保険、いや、バスコが油断ならない相手であることを考えると、
かなりの確率で使う羽目になるであろう保険として、
吾郎は桃を使ってバスコに奪われる前にマーベラス達に無条件で「大いなる力」を渡すという手を講じています。

それは吾郎がマーベラス達が宇宙海賊といっても決して戦いを好む連中ではなく
平和を好む連中だと最後の最後の部分では信じているからでした。
だからきっと「大いなる力」を集めて「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、
マーベラス達はザンギャック相手の勝ち目の薄い戦いで無駄な血を流すのではなく、
宇宙を作り直して平和な宇宙を実現してくれるはずだと吾郎は信じようと思い、
もちろん条件付きで交渉して宇宙の作り直しをさせるのがベストなのだが、
最悪の場合はマーベラス達に無条件でオーレンジャーの「大いなる力」を渡してもいいという決意を固めたのでした。

このマーベラス達を最後の一線では信じることによって保険を用意する決意が固まったからこそ、
吾郎はこの危険に満ちた作戦に踏み切ることが出来たといえます。
しかし桃は宇宙海賊というものが吾郎が期待するほど、そんなに物分りがいいものだとはどうも思えませんでした。
そして本当は吾郎も本心からマーベラス達のことを信じてこの作戦に踏み切ったのではなく、
単に吾郎が意地になって危険な作戦に突き進んでいるのではないかと思えて、桃はどうも不安でありました。

一方マーベラス達は「うあおー」というオーレンジャーに関連するナビゲートの後に出会った
元オーピンクの桃が「大いなる力を渡す」と言うのを聞いて、
桃こそがナビゲートの指し示した相手だと思い込み、桃をガレオンに迎えて歓待しますが、
なかなか「大いなる力」を渡そうとせず、やたらコソコソと腕時計で時間を気にしている桃の様子を不審に思い、
何か隠し事があるのではないかと桃を問い詰めます。

すると桃は、吾郎からの連絡が入らなければ吾郎がバスコを自力で始末出来なかったと見なして
マーベラス達に「大いなる力」を渡す刻限が迫っていたので、
正直にマーベラス達に作戦内容を打ち明けました。

それを聞いてマーベラス達は驚愕しました。
バスコが既に「大いなる力」を3つ奪っていたということも衝撃でしたが、
元オーレッドの吾郎がそんな命懸けの作戦を立ててまでして
他の戦隊の「大いなる力」を奪い返さねばならないと思っていることも意外だったのです。

マーベラス達のこれまで見たところ、他の戦隊は割と気軽にマーベラス達に「大いなる力」を渡しており、
本人たちは「宇宙最大のお宝」を手に入れようなどとは考えていないように見えていたので、
スーパー戦隊にとっては「大いなる力」というのはあまり執着するようなものではないのかとも
マーベラス達は思っていました。
しかし吾郎は「大いなる力」に異常に執着しているように見える。
それがマーベラス達には他の戦隊の戦士たちとは違っているように見えて、不思議だったのでした。

しかも吾郎はそんなに執着している「大いなる力」を、
イザという時には自分達に渡せるという布石を打つことで危険な作戦に踏み切っているのだというのだから、
マーベラス達にはますますよく分かりませんでした。
どうしてそんなに大事な「大いなる力」を自分達に託そうとするのか、謎だったのです。

マーベラス達は「大いなる力」を集めて「宇宙最大のお宝」という財宝を手に入れようとしているだけの、
吾郎のような高潔な自己犠牲精神で行動するようなヒーローから見れば卑しい海賊に過ぎないはずです。
そんな自分達にどうして吾郎のような立派なヒーローがわざわざ「大いなる力」を託そうとするのか?
いったい「大いなる力」とは何なのか?
その「大いなる力」を集めれば手に入るという「宇宙最大のお宝」とは何なのか?
マーベラス達は混乱し、どうしてお宝目当ての海賊に過ぎない自分達のことをそんなに信用するのかと、
桃に尋ねました。

桃も本当はどうして吾郎がそこまでマーベラス達を信用するのか、
いや、信用しようとしているのかよく分からないのですが、
とにかく海賊というのはそう名乗っているだけであり、
マーベラス一味は本当は平和を愛する戦隊なのだと吾郎は信じているのだと答えました。

そうした問答をしている間にタイムリミットが来て、
吾郎の「大いなる力」奪還作戦は失敗し、逆に吾郎がバスコに追い詰められつつある状況と断定し、
吾郎がバスコに奪われる前に桃はマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡そうとします。

ところがマーベラスはこれを拒否してしまいます。
驚く桃に向かいマーベラスは「俺たちは海賊だ!欲しいものはこの手で掴み取る」と言い、
今すぐ吾郎の居る場所に連れて行くよう要請したのでした。

マーベラス達は桃に「海賊と名乗っているだけ」と言われ、
吾郎が命懸けで奪還しようとしている「大いなる力」を
自分達は何もせずに施しのように渡されようとしていることに、言い知れぬ不快感を覚えたのでした。
それは夢を自分の手で掴み取る旅を続けてきた自分達の海賊としての誇りをコケにされて
踏み躙られたような気分だったのです。

自分達は海賊と名乗っているだけではない。
本物の海賊であることに誇りを持っているのであり、
本物の海賊は欲しいものは自分の手で高み取りに行くのであって、
こんな施しのように受け取るべきではない。
吾郎が命を賭けて戦っている場所に自分達も行ってバスコと奪い合いをして、
オーレンジャーだけではなく他の戦隊の「大いなる力」も奪い取る。
マーベラス達はそのように心を決めたのでした。

桃はマーベラス達の物分りの悪さとつまらない意地にこだわる強情さに呆れ、
やはり海賊は信用できないと思い、思い通りに動かすことが難しいことを痛感しましたが、
このマーベラス達の強情さが吾郎の強情さに似ているような気がして、
そもそも自分や吾郎がマーベラス達を思い通りに動かそうとしたこと自体が間違いだったような気がして、
妙にスッキリした気分でマーベラス達の求めに応じて吾郎とバスコの取引場所へ案内しました。

その取引場所では案の定、バスコの持ってきた情報は偽情報であり、
バスコは吾郎から「大いなる力」を奪おうとラッパラッターを構えますが、
吾郎は仕掛けていた爆弾でバスコを吹き飛ばそうとします。
罠に嵌められたことに気付いて慌ててこれを間一髪かわしたバスコが反撃に転じ、
追い詰められた吾郎は必死に凌ぎきり、桃がマーベラス達に「大いなる力」を渡した頃を見計らい、
建物全体を吹っ飛ばしてバスコを道連れにしようと、仕掛けておいた大量の爆弾の起爆スイッチを押しますが、
バスコは吾郎がまだ罠を仕掛けていると読んで、忍ばせておいた召喚戦士に建物中の爆弾を既に解除させており、
間一髪のタイミングで吾郎の企みを不発に終わらせ、
吾郎に向けてラッパラッターを向けて「大いなる力」を吸い出しにかかります。

吾郎はこの最悪の展開をも予想して桃を使ってマーベラス達に「大いなる力」を渡しておく手を打っていたのですが、
どういうわけか自分の身体から「大いなる力」がラッパラッターによって吸い出されようとするのを感じて、
驚愕します。

そこに間一髪マーベラス達が登場してバスコの吸い出し作業を妨害し、
驚いて「どうして来た?」と問い質す吾郎に向かって
マーベラスは「俺たちは海賊だ!アンタの思い通りに動くと思うなよ!好きにやらせてもらう」と答えたのでした。
そして唖然とする吾郎の傍らに桃もやって来て、彼らの思い通りにさせてやりましょうと口添えします。

それを聞いて、吾郎はマーベラス達はあくまで欲しいものを自分の手で掴むことにこだわる海賊なのであり、
こんな連中を作戦の中で自分の思い通りに駒のように動かすことは無理だったのだと悟りました。
そして、それはマーベラス達がもし宇宙平和を望んだとしても、
それは自分の手で戦って掴み取ることにこだわるはずであり、
お宝を使ってもたらされる宇宙平和を受け入れるはずもないということでもありました。

そんなマーベラス達を相手に「大いなる力」を使って取引をして思い通りに動かそうなど、
そもそも無理だったのだと吾郎は気付きました。
そう考えると、これまで一生懸命にマーベラス達を宇宙の作り直しをしてくれるものだと
信用しようとしてきたことが全てバカバカしく思えてきて、
そもそも本当は自分はマーベラス達のことなど信じてはいなかったのだと吾郎には思えてきました。

こんな作戦、保険のはずのマーベラス達がまともにコントロール出来ない以上、失敗するのは明白でした。
そして、そのことも自分は分かっていたはずだと吾郎が思いました。
ならば何故、こんな危険な作戦に自分は踏み切ったのか?
それは本当は自分も、自分の手で「大いなる力」をバスコから奪い返してやりたかっただけだったのです。
欲しいものは自分の手で掴み取ってやりたいという、つまらない意地が吾郎にもあったのです。

でも、それがオーレンジャーの意地であり、スーパー戦隊の意地なのです。
「強大な敵に好きなようにされてたまるか」という意地があり、
戦ってやっつけてやりたい、奪われたものを奪い返してやりたい、
そういうシンプルな意地が吾郎にもあっただけのことでした。
それと同じ意地を宇宙海賊のマーベラス達も持っている。

そのことに気付いた吾郎は、自分が本当に望んでいることは、お宝を使っての宇宙の作り直しではなく、
戦ってザンギャックを倒して宇宙を平和にすることであり、
それがきっとマーベラス達が選ぶ道と同じなのだと悟りました。
それが決して成功の可能性が高くないことは吾郎には分かっていましたが、
それでもマーベラス達はおそらくその道を行くのであり、それは自分には止めることは出来そうにないし、
自分も本心ではその道を望んでいることを吾郎は知ってしまった。
ならば、いっそマーベラス達に賭けてみようと吾郎は決意しました。
そうして吾郎は、「ゴーカイジャー、後は任したぞ」と言って、
晴れて正式な方法でマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、バスコの方はオーレンジャーの「大いなる力」を欲張ったために吾郎の罠に嵌りかけ、
しかもマーベラス達まで現れて追い詰められた形になったので不愉快な気分になり、
番外戦士の召喚体を残り9人全員繰り出してマーベラス達と戦わせますが、
怒りに燃えるマーベラス達によって召喚戦士は全員撃破されてしまい、
番外戦士のレンジャーキーもマーベラス達に全部奪われてしまいました。
これでマーベラス達は34戦隊分、192個のレンジャーキーを全て手に入れたことになります。

しかしバスコはもともと3戦隊の「大いなる力」を手に入れた段階で、
後はもうマーベラス達が残りの戦隊の「大いなる力」を集めるのを待つだけのつもりでしたので、
もはや手駒の召喚戦士も不要だったのです。
バスコはゴーカイジャーの実力は見極めていたので、自分が変身して戦えば1人でも楽勝だと思っていましたから、
別に召喚戦士はもう不要でした。

むしろマーベラス達の「大いなる力」集めをスムーズに進めさせるために
レンジャーキーは全部渡してしまってもいいとすら思っていました。
どうせ後でまた全部ごっそり奪い返すのですから、今は預けておけばいいという程度の認識であったといえます。
だからバスコはレンジャーキーを奪われること自体は別に悔しくはなかった。

しかし、それでもみすみすこんなスーパー戦隊の仕掛けた罠に嵌って追い詰められた形で
レンジャーキーを渡す形になったことはバスコにとって面白いことではありませんでした。
しかもバスコはマーベラス達と吾郎たちの遣り取りを聞いて、
どうやらスーパー戦隊の連中はレンジャーキーや「大いなる力」を「宇宙最大のお宝」を手に入れるためではなく、
地球を守る戦いで使うつもりなのだと解釈し、不愉快に思いました。

バスコが「赤き海賊団」時代、「宇宙最大のお宝」を手に入れるためのアイテムだと信じて
集めていたレンジャーキーを、アカレッドやスーパー戦隊は全然違う用途のためのアイテムだと見なして
自分達を騙してコキ使っていたのだと思うと、バスコは腹が立ってきました。

それで、いつもならロイドでも出してさっさと逃げるところなのに、
ついバスコは自分を追い詰めたマーベラス達にイラついて、怪人態に変身して、
初めてバスコの怪人態を見て驚くマーベラス達6人全員を一瞬でぶちのめしてしまったのでした。

しかしバスコはマーベラス達に残りの「大いなる力」を全部集めさせてからゴッソリ頂く計画でしたから、
ここでマーベラス達を殺してしまうわけにはいきません。
かといって、完全に足元にグロッキー状態で転がるマーベラス達6人を
怪人態にまでなっておいて見逃すとなると、
この様子をおそらく監視しているであろうダマラスに不信を決定的に買ってしまいます。

これは困ったことになったと思ったバスコでしたが、
結局、マーベラス達を殺すことは出来ず、
倒れたままのマーベラスに奪った3つの「大いなる力」を見せびらかして、
そうして焦らせることで早く残りの「大いなる力」を集めさせるようにけしかけておいて、
その場を去ることにしました。

これで、ここまで適当に誤魔化し続けてきた「マーベラス一味を抹殺してほしい」というダマラスからの依頼は
完全に無視した形になり、バスコは裏切り者としてダマラスから追われる立場となってしまいました。
せっかくお宝を手に入れようかとしている時にダマラスに殺されてしまうわけにはいかないと思ったバスコは、
ダマラスが自由に動けない身とはいえ、私掠許可を取り消して追手を差し向けてくる可能性も考慮し、
マーベラス達が残りの5つの「大いなる力」を集めきる頃までしばらく地球を離れることにしたのでした。

さてマーベラス一味の方はバスコに完敗してしまったが、
何故かバスコは自分達を殺さずに「大いなる力」を集めるよう激励までして去っていったことを不審に思いました。
しかしとにかくバスコが3つ「大いなる力」を握った状態でバスコに勝算が無いままではお話にならないので、
ゴーカイジャーのバスコ怪人態に勝つためのパワーアップを図らねばならないと思い、
バスコによって腕に重傷を負わされた鎧を除く5人は各自、特訓を始めたりしますが、
ハカセは新しい強力な武器を開発し始めます。

一方、バスコ怪人態の圧倒的な強さを見た吾郎は、
仲間の力を合わせると良いというアドバイスをし、
オーレンジャーの大いなる力を使えばいいと言い残して、マーベラス達と別れました。

そうして第32話はハカセによる新武器開発を中心にお話が進みますが、
一方で、やはりギガントホースからバスコとマーベラス達の戦いを観察していたダマラスは、
バスコが怪人態となってマーベラス達をぶちのめしながらトドメを刺さずに立ち去ったのを見て、
バスコが自分の依頼を履行する気が無いことを悟ります。

バスコに対して怒りを募らせたダマラスでしたが、
まだバスコに利用価値はあると思い、追手を差し向けるようなことはせず、
一応は手駒として温存はしておくことにしました。
しかし、とにかく目障りなマーベラス一味の抹殺に関しては
バスコはもはや全く頼みにはならないことが分かったので、
ダマラスはこれまでバスコに期待して時間を空費したことを悔やみ、
邪魔なマーベラス一味をとにかく早く片付けなければいけないと焦り、
ワルズ・ギルに直談判して自分の配下の最強の行動隊長であるシールドンを
マーベラス一味の抹殺のための刺客として地上に送り込みました。

ハカセは初めての新兵器開発で失敗を繰り返して自信を失いかけますが、
たまたま知り合ったサッカー少年が自信が無くてもコツコツ1人で練習して
レギュラー目指して頑張る姿を自分に重ね合せて頑張り
試作品の強化ゴーカイガンを完成させます。

しかしいきなり襲ってきたシールドンとの戦いでハカセは強化ゴーカイガンを使ってみたものの、
シールドンのザンギャック最強の盾には通用せず、せっかくの試作品は壊れてしまい、
マーベラス達はシールドンから一旦逃げて、なんとかその盾を破る強力な武器を用意する必要に迫られます。
しかしハカセはすっかり自信喪失し、
しかも試作品が壊れてしまったために新武器を作るための材料が無くなってしまい途方に暮れます。

そんな時、例のサッカー少年の練習場に立ち寄ったハカセは
少年が結局レギュラーは取れず、努力するのを諦めかけているのを見て、
自分と重ね合せて励まして一緒に練習したところ、少年は自分でも驚くほど上手にプレー出来ました。

少年は自分が下手なので皆と一緒の練習にはついていけないと思っており、
皆に追いつくために1人で努力しなければいけないと思い込んでいたのですが、
実際は仲間と一緒に頑張ることによって実力以上の力を出すことが出来るものだということを
ハカセとの練習で初めて知ったのでした。
つまりサッカーのようなチームでやるスポーツは個々人の実力だけで戦うのではなく、
仲間で一緒に頑張ることによって各自の力を増幅させた、より大きな力を合わせて戦うものなのです。

そのことに気付いたという少年の言葉を聞き、
ハカセも、自分もマーベラス一味に入ってまだ戦う自信があまり無かった頃は
「仲間の力が1つになれば、より大きな力になる」と思うことで自分の実力の限界を超えた力を出して、
仲間と一緒に戦いながら少しずつ戦えるようになっていったのだということを思い出し、
マーベラス一味というのはもともと仲間の力を合わせて大きな力を生み出してきたのだと悟り、
1人でコツコツやるのではなく、仲間の力を借りて新武器を作ることを決意しました。

それでハカセは勇気を出して、皆に新武器を作る作業のために武器を貸してほしいと頼みます。
しかし武器をハカセに貸してしまったら、
マーベラス達はシールドンが襲ってきたら武器無しで戦わねばならなくなります。
だが、それでもマーベラス達はハカセが仲間の力を頼ってくれた信頼に応えるためにハカセを信頼し、
ハカセに武器を差し出します。

そうしてハカセが新武器を作っている最中にシールドンがガレオンを襲ってきたので、
マーベラス達はハカセが新武器を完成させることを信じてシールドンと武器無しで戦って時間を稼ぎ、
その間にハカセは新武器の最後の仕上げに取り掛かりますが、最後の決め手が見つかりません。

その時、怪我のためガレオンに残ってハカセを手伝っていた鎧が
何気なく新武器の形がオーレンジャーのオーレバズーカに似ていると言ったのを聞いたハカセは
元オーレッドの星野吾郎がパワーアップのために「仲間の力を合わせること」と、
「オーレンジャーの大いなる力を使うこと」をアドバイスしてくれたことを思い出し、
吾郎の言っていた「仲間の力」がゴーカイジャー6人のことだけを指すのではなく、
34のスーパー戦隊の大いなる力も含めたものだと気付きます。

そうしてオーレンジャーのレンジャーキーを使って、
貰ったばかりのオーレンジャーの「大いなる力」を新武器に注ぎ込むと、
新武器はゴーカイガレオンバスターという強力な武器として完成したのでした。

ハカセはすぐにこのゴーカイガレオンバスターを持って戦いの場に駆けつけ、
マーベラス達はゴーカイガレオンバスターの放ったライジングストライクで
シールドンのザンギャック最強の装甲を貫き、シールドンを倒し、
これを見てワルズ・ギルやダマラスたち、ザンギャック軍の首脳たちは驚愕し、
マーベラス一味に対する警戒感をますます高めるのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:10 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月14日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その14

黒十字王との戦いや鎧の加入以降、
スーパー戦隊というものについて以前よりもよく知るようになったマーベラス一味の宇宙から来た5人は、
スーパー戦隊が地球の人々を守ってきた正義のヒーローとして
地球の人々に信頼されてきたことを理解していきます。

しかし、マーベラス達5人の生まれ育った宇宙はザンギャックに支配されており、
ザンギャックによるザンギャックのための偽りの正義が押し付けられており、
人々を守るための真の正義など存在していませんでした。

彼らは当初は真っ当な方法で自分達の信じた正義を貫いて自分の大切なものを守ろうとしたが
挫折した者達なのであり、人々を守る正義のヒーローになれなかった者達でした。
だからといってザンギャックの押し付ける偽りの正義に従う気にもなれなかった彼らは
ザンギャックの支配する宇宙のはみだし者となり、後ろ指を指されるような存在となっていき、
遂には「宇宙最大のお宝」という夢を追いかける、お尋ね者の宇宙海賊の一味となりました。

お尋ね者ではありましたが彼らはザンギャックに押し付けられた価値観に従わずに
自分の信じる夢を追う海賊としての誇りがありました。
だが、彼らは当初から「宇宙最大のお宝」を追い求めていたわけではありません。
彼らはそれぞれが信じて求めた夢があったからこそ、
マーベラスが彼らを共に夢を掴む旅の仲間として誘ったのであり、
そのマーベラスにしても、もともとは「宇宙最大のお宝」を特に狙っていたわけでもなく、
仲間と一緒に誰もが手に入れられないような夢を掴む冒険をしたいという気持ちがアカレッドに認められて
赤き海賊団に誘われて「宇宙最大のお宝」を追いかけるようになったのです。

そうした彼らのもともとの夢というものが浮かび上がってくるようなエピソードがここから少し続きます。
特に5人の中でも、まずマーベラスは仲間全員の夢を引き受けるような存在ですから別扱いとして、
ハカセとアイムに関しては自分の夢を掴むためにさほど能動的に動いていたわけではなかったので、
もともとの夢が挫折した時にさほど大きな痛みを受けたわけではありませんでした。

それに比べてジョーとルカは自分なりに守りたいものがあって積極的な行動をしながら、
大きな挫折を味わった者たちでした。
その結果、この2人は宇宙に正義など存在しないと痛感しており、
「人々を守る正義のヒーロー」というものに屈折した心情を抱いていました。
それゆえ、ここまでのレジェンド回においても、ジョーとルカの2人は
あまりスーパー戦隊の元戦士たちと積極的に関わることはなかったのです。

しかし、黒十字王との戦いや鎧の加入以降に生じたスーパー戦隊に対する認識の変化がきっかけとなり、
ふとした事件からこの2人の心に変化が生じて、
かつて挫折した夢が少し甦ってくるエピソードが2つ続きます。

まず第22話では、マーベラス一味の面々を素晴らしいスーパー戦隊としようと燃える鎧が、
スーパー戦隊に対して冷淡な態度をとるジョーにまずは地球を好きになってもらおうとして付きまとい、
一緒に買い出しに出かけます。
その2人がたまたまザンギャックが神社で何かを盗み出しているところを目撃したせいで追われていた
自転車に乗った少年を助け、ザンギャック部隊を追い払いました。

その少年はザンギャックに追われて転んだせいで脚を怪我していたのですが、構わずに先を急ごうとします。
不審に思った2人が問い詰めると、やんちゃそうな少年は近くの山の頂上で年に一度、
今晩だけ観測できる流星群を親友と一緒に見る約束を守るために
東京から半日かけて自転車でやって来ており、夕方までに山頂に着かねばならないので先を急ぐのだと言います。

その意味不明に無謀な少年の行動に鎧は呆れ、
怪我をしている脚では自転車で山を登るのは無理だと思い、少年を引き止めようとします。
確かに自転車に乗らずとも山頂に行く方法もあるかもしれません。
しかしジョーは約束を果たすためにあえて無茶なことをやる少年を馬鹿だと言いつつも、
そういう馬鹿なところがマーベラスに似ていると感じて好感を抱き、
失敗するかもしれないが最後まで無茶をやらせてやりたいと思い、少年をそのまま行かせます。
だが、鎧は怪我をしている少年を引き止めなかったジョーが
やはり地球人に対して冷淡であるように感じて不満に思います。

そうした中、ハカセの解析でザンギャックの作戦目的が判明し、
どうやらその少年が目指している山にあるパワーストーンを使って
何か大規模な破壊工作を行おうとしている模様です。
つまり、その山にはザンギャック部隊がウヨウヨしているのであり、
そんなところに行けばあの少年が危険だと分かり、ジョーと鎧は少年を行かせてしまったことを悔やみ、
マーベラス一味は慌ててその山に向かいました。

ジョーと鎧はザンギャックに襲われていた少年を間一髪で助け、すぐに山を下りるように言いますが、
少年はどうしても約束を守ると言って下山を拒否します。
しかしザンギャックが山にいると知れば少年の親友だって約束のために危険な山に登ってくるはずがないのだから、
約束にこだわる必要は無いと鎧は諭しますが、
少年は親友は絶対に約束を守ると信じ、だから自分も行かねばならないと頑なに言います。

どうしてそこまで少年が約束にこだわるのかというと、
1年前に足に怪我をしてサッカー選手になる夢を諦めかけていた親友に、
1年後にここで一緒に流星群を見るために自分が東京から自転車で来ることを約束し、
その代わりにと、親友にも1年間リハビリ頑張って
サッカー選手になる夢を諦めないと約束してほしいと言ったからでした。

少年は親友がきっとその約束を守ってリハビリをして、サッカー選手になる夢を諦めていないと信じています。
実際さすがにこの状況で親友が山に登って来るかどうかは確信は持てませんでしたが、
そんなことはこの際どうでもよく、
少年は親友に子供にはかなり辛いリハビリをさせるのと引き換えに、
今日この時に自転車でこの山の頂上まで来ることを約束したのだから、
親友が約束を果たしたと信じる以上、少年も約束を果たさないといけないと思っているのです。

何故なら親友のリハビリはこの先も続くかもしれないのであり、
少年が約束を破ってしまえば親友は裏切られたと思って今後のリハビリに耐える気力を無くしてしまうかもしれない。
だから少年は親友の夢を守るためにも自分は山を登らないといけないと信じているのです。

しかし鎧はそれでも少年を引き止めました。
親友が約束を果たしたのかどうかも分からないのに、
少年がそんなことで命を危険に晒す必要は無いと思ったのでした。
鎧はあくまでも少年の命を優先して救いたいと思いました。

一方、ジョーは小さな身体で友の夢を守るために健気に頑張る少年の姿を見て、
自分もかつては子供の夢を守るヒーローを夢見てザンギャックの特殊部隊を志願していたことを思いだしました。
しかし実際はジョーはザンギャックに騙されていただけであり、
現実には罪も無い子供を殺す行為を強要されてしまいました。

それでジョーは同じくザンギャックに騙されていたシドと共に脱走しましたが、
ザンギャックに追われる中でシドとも生き別れてしまいました。
その時、シドはこの宇宙でザンギャックに従わずに自分の信じた正しい道を進んでいる限り、
きっと再会できると約束してジョーと別れ、ザンギャック兵たちを自分に引きつけてジョーを逃がしました。

ジョーはシドが生きている可能性はほとんど無いと思いながらも、
それでもその約束を微かに信じて、ザンギャックと戦い続け、出来る範囲で自分の信念を貫いてきました。
その結果は無残にもバリゾーグに改造されてしまったシドとの再会となり、
ジョーとシドの約束が果たされることは無かった。
シドは約束を守ることは出来なかったのです。

しかし、それでもシドとの約束があったから
ジョーは子供の夢を守るヒーローになりたいという夢を持ち続けることが出来て、
今その夢を想い出すことが出来たのです。
それはシドが死を覚悟するほどの危険を目の前にしながらも全く心が揺らぐことなく、
ジョーの夢を信じ、ジョーが約束を果たすと信じてくれたからでした。

つまり、この少年はシドと同じなのです。
親友の夢を信じ、親友との約束を果たそうとして危険に飛び込もうとしている。
シドは危険に飛び込み命を落とし、そのお蔭でジョーは夢を忘れずに済みました。

しかし夢は所詮は夢のままで、ジョーが子供たちの夢を守るヒーローになるという夢は実現出来ていません。
最初は逆に子供たちを殺す側に加担し、その後、そこを逃げ出して、意地を張って生き延びてきただけに過ぎません。
だが夢とは自分の手で掴み取るものであり、シドが遺してくれた夢は実現しなければいけません。

それがどのようにしたら実現するのか分からないが、
ジョーはまず手始めに、シドと同じように親友の夢を守るために危険に飛び込もうとしている目の前の少年が
親友のために果たそうとしている約束を手助けすることにしたのでした。
ジョーが手助けして少年が約束を果たすことによって親友の夢が守られるのなら、
ジョーは彼らの夢を守ったことになる。

シドに守られることで遺されたジョーの夢を実現させて、ジョーが子供たちの夢を守るヒーローになる第一歩として、
あの日、親友の夢を守るために約束を果たせず散ったシドの悲劇を今回は繰り返させない。
親友の夢を守ろうとする少年の命を守り約束を果たさせることによって、自分の夢を一歩進めた証としたい。
そのようにジョーは考えたのでした。

そうしてジョーは少年を山頂に向かって進ませて、
マーベラス一味は少年が到着する前に山中のザンギャック部隊を倒し、
敵怪人がパワーストーンの力で呼び寄せた隕石は鎧の豪獣神が砕き、
その欠片は流星群と共に夜空を降り注いだのでした。

鎧はジョーが少年の命を守る安全策をとらなかったことに納得出来ていませんでしたが、
戦いが終わって夜になり、山頂に上がってきた少年がリハビリの結果サッカーが出来るようになった親友と再会して
約束通りに2人で流星群を見ている姿を見て、ジョーが子供たちの夢を守ろうとしていたことを悟ります。

そして歴代のスーパー戦隊の戦士たちもみんな、
人々の命だけでなく夢をも守るヒーローであったことを思い出し、
ジョーのことを「スーパー戦隊のブルー」だと言うのでした。

しかしジョーは、今回、親友の夢を守ったヒーローは自分ではなく少年の方であり、
スーパー戦隊のブルーの資格があるのは少年の方だと思いました。
自分はその夢を守るヒーローを守っただけであり、まだ直接、人々の夢を守るヒーローになれてはいない。
まだそこまでこの星の人々と親しいわけではない、通りすがりの宇宙海賊に過ぎないのだと悟ったのでした。

ただ、自分が子供たちの夢を守りたいという夢を想い出したことによって、
そうしたスーパー戦隊やこの少年のような、人々の夢を守るヒーローが居る地球という星を、
以前よりも好きになったこともジョーは自覚していました。
それゆえ、スーパー戦隊のブルーと言われて、無感動を装いつつ、内心ジョーは少し嬉しく思えました。

当初はマーベラス一味にとっての「地球を守る意味」は、
自分達がザンギャックの無法に対して意地を通すことの確認のような意味合いであったのですが、
ここにきて初めて地球という星の存在が彼らの中で特別なものとして意識されるようになってきたのでした。

さて、その頃、また身を潜めていたバスコはギンガの森での作戦失敗を踏まえて
「大いなる力」獲得作戦の練り直しをしていました。

バスコはもともとアカレッドがスーパー戦隊と手を組んで「宇宙最大のお宝」を手に入れようとして
自分やマーベラスを騙していたと思っていました。
ところが地球に来てみると、アカレッド亡き今、
今度はスーパー戦隊がマーベラス達に「大いなる力」を渡していることが分かり、戸惑いました。

ただ、全てのスーパー戦隊がマーベラス一味に「大いなる力」を渡そうとしているわけでもないようであり、
一部にはマーベラス一味に非協力的なスーパー戦隊もあるようです。
が、基本的にはスーパー戦隊とマーベラス一味は敵対しているというわけでもないようで、
バスコには何だかよく分からない状況でした。

要するにスーパー戦隊はアカレッドが死んだので今度はマーベラス一味と手を組んで
「宇宙最大のお宝」を手に入れようと方針転換したが、
一部にはまだマーベラス一味を信用出来ない戦隊もあるのだろうとバスコは想像し、
1つ確かなことは、スーパー戦隊は自分と手を組むつもりはないということはバスコは感じました。

となると、無理矢理「大いなる力」を奪い取るしかないわけですが、
バスコにとっては第20話でのギンガの森での作戦の時、
ヒュウガをはじめギンガマンのメンバーが激しく抵抗したのは予想外でした。
変身して戦えないのですから勝ち目は無いのは明白なのに、
それでも抵抗するというのはバスコには考えられないことだったのです。
下手したら死んでしまうというのに、どうしてスーパー戦隊の戦士たちは抵抗するのか謎でした。

バスコはスーパー戦隊の戦士たちが自分の「大いなる力」が宇宙を救うための重要なカギとなることを知っており、
それを守るためには命を賭けてもいいと思っていることを知りません。
バスコは「大いなる力」のことを単に「宇宙最大のお宝」という伝説の財宝のようなものを手に入れる
カギのようなものとしか思っていませんから、
そんなもののためにスーパー戦隊の戦士たちが命まで賭けるとは思っておらず、
勝ち目が無いと分かれば命を惜しんで大人しく「大いなる力」を渡してくれると思っていました。
ところが予想外にヒュウガたちが激しい抵抗をしたためバスコは戸惑い、
その結果ギンガの森での作戦は失敗してしまったのでした。

バスコもラッパラッターで「大いなる力」を吸い出す作業はギンガの森で初めて試したのですが、
意外に長い時間、相手にラッパの口を向けて吸い続けないと
「大いなる力」を完全に吸い出すことが出来ませんでした。
だから抵抗して動き回るヒュウガ達からは「大いなる力」をなかなか吸い出すことが出来ず、
マーベラス達と鉢合わせしてしまったのです。

かといって相手を無抵抗にするために戦って制圧してしまうと、
相手の抵抗が激しい場合は、やりすぎて相手を殺してしまうかもしれない。
もし殺してしまえば「大いなる力」は消えてしまうのかもしれないと思ったバスコは、
ヒュウガ達を激しく攻撃することも出来ず、時間が無駄に過ぎたのです。

つまり、スーパー戦隊があくまで抵抗してくる以上、
力任せに「大いなる力」を奪おうとしても上手くいかないのです。
ならば計略を用いて相手を無抵抗な状態にした上で「大いなる力」を安全に吸い出すのが得策だとバスコは考え、
居場所が判明したスーパー戦隊の元戦士の中で、そうした計略を使えそうな相手を選び出して、
次のターゲットをゴーゴーファイブの元ゴーピンクの巽マツリとしました。

そしてもう1つ、先だってのギンガの森でいきなりマーベラス達と鉢合わせしたことを不審に思ったバスコは、
自分がスーパー戦隊の元戦士の周辺に近づくのを何者かに監視されているのではないかと疑い、
用心のためにダマラスからゴーミン達を多数借りて、
ザンギャックの作戦に偽装しながら手足として使うことにしたのでした。

こうして第23話、バスコの魔の手が元ゴーピンクの巽マツリに秘かに迫ろうとしている動きは、
バスコの偽装工作の甲斐あって思念体のアカレッドにも察知されてはいませんでしたが、
たまたまこの時、ナビィのナビゲートがゴーゴーファイブに関するナビゲート「人助けが出会いを導く」でした。
しかし、さっぱり意味が分からないマーベラス達は街中で手分けして無差別に人助けをします。

そんな中、ルカとアイムが公園で出会ったミクという少女と一緒にいた臨月の母親が急に産気づいて、
ルカとアイムはどうしていいか分からず狼狽えていると、
そこに偶然通りかかった女性がてきぱきと処置をして
母親とミクを近くの病院に送るためタクシーに乗り込みます。
ところがその時、ゴーミン達が現れてタクシーの出発を妨害してきたのでルカとアイムが変身して戦い、
その間にタクシーは出発することに成功しました。

この通りすがりの女性は実はその病院の所属の救急救命士であり、
23番目のスーパー戦隊のゴーゴーファイブの元ゴーピンクの巽マツリでした。

ゴーゴーファイブもマツリ以外の兄たちの誰かが黒十字王と戦うマーベラス一味を見守ってはいたようなのですが、
どうして未だに「大いなる力」をマーベラス達に渡していないのかというと、
そもそもゴーゴーファイブという戦隊が地球や宇宙を救うという発想の戦隊ではなく、
「この星の意思」やアカレッドの言うような宇宙の平和の実現などという
スケールの大きな話に乗る気があまり無かったからでした。

彼らはもともと目の前の1つ1つの命を守る職業意識をもった救命現場のプロであり、
その延長線上でゴーゴーファイブのスーツを装着して戦っていたに過ぎません。
別に地球や宇宙を救う大それたヒーローになった覚えは全く無く、
かつて災魔との戦いが終わった後、体内に「大いなる力」という妙なものを抱え込むようにはなりましたが、
それを使って何かをしようなどという発想自体がそもそも無く、
それ以降は彼らはそれぞれの救命現場に戻り、ただ愚直に1つ1つの命を救ってきました。

それが彼らゴーゴーファイブの存在意義なのであり、
自らの存在の消滅と引き換えに平和な宇宙を作るなどと言われても、
そんなことをして自分が消えてしまったら現在自分の救える命を救うことが出来なくなってしまう。
それがゴーゴーファイブの選ぶべき道であるとは彼らにはどうしても思えなかったのでした。

もちろん、明日ザンギャックによって地球が滅びてしまうというのであれば、
目の前の命も同様に消えてしまうのであるから、
彼らも目の前の命を救うために自分の存在を投げ出す覚悟は固めることは出来ます。
しかし、現状のザンギャック地球侵略軍はかなり弱体で、
ゴーカイジャーが今の勢いで戦っていれば撃退出来そうに見えます。
ならば、別に今、慌てて「大いなる力」を渡す必要も無いだろうとゴーゴーファイブの巽兄妹は考えていました。

彼らは、お宝を使うのではなく「大いなる力」を集めたゴーカイジャーが戦ってザンギャックを倒すのが
最善の道だとアカレッドが言っていたことも知っていましたが、
現状のザンギャックがそこまでしなければいけないほどの相手とも思えず、
とにかく「大いなる力」を渡してしまえば自分達が消滅してしまう可能性も生じるわけで、
変なタイミングで自分達が消滅して、人々の命を救えなくなってしまうことを巽兄妹は嫌ったのでした。

ゴーカイジャーは十分強いのだから現状のまま戦っていればザンギャックに勝てる。
そして自分達はとにかく目の前の命を救う職務に邁進するのみだというのがゴーゴーファイブの方針でした。
これは言いかえれば、マーベラス達の宝探しに協力する気は一切無いということですが、
そもそも、そのマーベラス達の目指すお宝の正体が「宇宙を作り直す装置」などという
ゴーゴーファイブから見てどうでもいいものである以上、
事情を知らないとはいえそんなものを引っ張り出そうとするマーベラス達の行動に協力する義理など、
現実主義者で江戸っ子気質の巽兄妹にあるはずもないのです。

そういうわけなので巽兄妹はマーベラス一味に接触しようともしておらず、
兄たちの誰かは人々を守るために黒十字王は倒さねばならないと思ったので、
黒十字王との戦いの際はマーベラス達に手は貸しましたが、
マツリはマーベラス一味のメンバーの素顔も知りませんでした。

だから公園で苦しんでいた妊婦の傍にいたルカとアイムのことも、
マツリはマーベラス一味のメンバーだとは当初気付いておらず、
タクシーに乗ったところで襲ってきたザンギャック相手に2人が変身して戦い始めた時点で
その2人がゴーカイジャーだと気付いて、ザンギャックはゴーカイジャーの2人を狙って襲ってきたのだと解釈し、
そのままタクシーでミク母娘と共に病院へ向かったのでした。

しかし実際はこのゴーミン達はバスコがマツリをターゲットにした作戦のために繰り出したものでした。
バスコはマツリが急患の患者と一緒にいる場面を襲って、
一刻も早く移動させなければ危ない患者の命を盾にしてマツリを言いなりにして
「大いなる力」を奪う作戦を立てたのです。

バスコは物陰に隠れてマツリを尾行していたところ、
マツリが急患の妊婦を搬送しようとしたのでチャンスと思いゴーミン達を繰り出したのですが、
どういうわけかそこにルカとアイムが居合わせたので作戦は失敗してしまいました。
しかしマツリがルカ達と離れたので、バスコは再びチャンスを待つことにしました。

一方、ゴーミン達を片付けたルカとアイムはミクの母の容体が気になって病院に行きますが、
ルカは通りすがりの女性に助けてもらわなかったら
自分達だけではミクの母やお腹の中のミクの妹を助けられなかったであろうことにショックを受けていました。
それは、ルカが仲間には打ち明けていないが、
かつて故郷の星で貧乏なスラム生活の頃、急病で苦しむ妹を助けることが出来ず
死なせてしまったことを心の中で引きずっていたからでした。

もともと自分も戦災孤児であったルカはスラムの戦災孤児たちの面倒を見ており、
以前から星を買い取って戦災孤児たちが平和に暮らせる場所を作りたいという夢を抱いていたが、
妹を死なせてしまったことで自責の念に苛まれてしまい、
罪悪感から逃げるために全てを貧乏のせいにして、とにかく早くお金を貯めて夢を叶えたいと焦るようになり、
故郷を飛び出して盗賊にまで身を落としました。
そして海賊になったが、結局未だに夢は叶っていないし、
目の前の病人を助けることも出来ないままだと、ルカは自分の無力に愕然としました。

もともとはお金が目的ではなかった。
妹や他の孤児たちを助けたかっただけなのです。
その自分の本来のシンプルな夢の形を想い出したことによって、
ルカは自分の罪悪感から逃れたいばかりに、何時の間にか地道に目の前の人を助けることよりも
お金を集めることの方を優先していたのではないかと、自己嫌悪に陥りました。

そうして申し訳なさそうに病院に見舞いに行ったルカに、
ミク母娘はマツリが救急救命士で元ゴーピンクだと教えました。
それを聞いて驚いたルカとアイムは、「大いなる力」を貰うために、マツリが出動した救急現場に向かいます。

同時にルカは先ほどのマツリのてきぱきと落ち着いた対処を思い出し、
やはり地球の人々を守り続けてきたスーパー戦隊の戦士は
自分のような人々を助ける夢を忘れて金儲けに逃げていたような者とは違って立派なのだと痛感し、
劣等感を覚えました。

ところがルカとアイムがその救急現場に着くと、バスコがゴーミンを使ってマツリ達を襲っており、
驚いたルカ達が乱入してゴーミン達を蹴散してマツリ達と共に救急車に乗り込んで車を出そうとすると、
バスコは召喚戦士を使って救急車の道を塞ぎ、
一刻を争う状態の急患の少年を病院に搬送出来ないようにしてしまいました。

相手は番外戦士の召喚体が3人で、ルカとアイムだけで戦ってもすぐに倒せそうもなく、
すぐに救急車は出せない上に、救急車に被害が及んで搬送不可能になる危険もあり、
急患の少年を抱えた状況では戦うことは出来ません。
その上でバスコはマツリに、救急車を通してほしければ1人だけこの場に残って
大いなる力を大人しく渡すように要求したのでした。

これを聞いてマツリはさっきのミク母の件も含めて、
ゴーミン達の襲撃は自分を標的としたものだったことを悟り、
目の前の命を救うために躊躇することなく「大いなる力」をバスコに渡そうとして救急車を降りようとします。
しかしルカはマツリを引き止めたので、
マツリはルカが「大いなる力」を奪われたくない、つまり下らないお宝目当てで
尊い少年の命を軽視しているのかと不快に思いました。

しかしルカはマツリは少年の命を救うために必要な力を持った人間なのだから救急車に残るべきであり、
人の命を救う力の無い自分が囮になってこの場に残ると言ったのでした。
つまり自分がマツリの身代わりになるということなのですが、
そんなことをすればルカは無事では済まないでしょう。
しかし、どんな危険な目にあっても目の前の命を救いたいとルカは思ったのでした。

その理由として、ルカはマツリに、故郷の星のスラムで妹が死んでいく時、
何も出来なかったことが悔やまれるから
自分は目の前の命を救うために自分の出来ることをやりたいのだと説明しました。
医学の知識も無い自分は戦って役に立つぐらいしか出来ない。
だからどんな不利な状況に陥ることになろうとも、戦ってこの少年の命を救いたいのだとルカは言います。

ところがこのルカに対してアイムが、それは無謀だと抗議し、
ルカがアイムが止めようとしているのかと思い、言い返そうとすると、
アイムは自分も少年の命を救うために戦いたいと思っているのだから頼ってほしいのだとルカに訴えたのでした。
アイムもルカの過去の告白を聞いて、自分も故郷の多くの人々を救えなかった悔しさゆえに、
目の前の命を戦って救いたいという想いは自分もルカと同じなのだと気付いたのです。
しかし、いつも自分を戦いの場で対等なパートナーとして扱ってくれないルカのことが不満であったアイムは
今こそ対等に助け合って戦いたいと申し入れたのです。

それを聞いて、ルカは自分がアイムのことを無意識に死んだ妹と重ね合せていたことを悟り、
反省して、改めてアイムに協力を要請し、
2人はアイムの機転でバスコの目を上手く眩ませてマツリを少年と共に救急車で逃がすことに成功し、
少年は助かったのでした。

一方、マツリはこのルカとアイムの様子を見て、
今まで宇宙の実態を知ることがなかった自らの視野の狭さを反省しました。
宇宙ではルカやアイムの故郷をはじめ、今でもザンギャックによって数多くの人の命が奪われていっていたのです。
そして、それらの命を救う現場にはマツリたち巽兄妹の手は届かない。
しかし、人の命を救う戦隊であるゴーゴーファイブとして、それを指を咥えて放置しておくことは出来ない。
やはり平和な宇宙は実現せねばいけないのです。

そして、宇宙全ての命の現場において目の前の人の命を救うために
危険に飛び込んで助け合い戦っていくことが出来る仲間であるマーベラス一味こそが、
人の命を救うために危険に飛び込み助け合う兄妹戦隊であった
ゴーゴーファイブの「大いなる力」を受け継ぐに相応しい者達であり、
その力を使って、巽兄妹の命の現場を消すことなく、
戦って宇宙の平和を実現することが出来る可能性を秘めた唯一の存在なのだとマツリは気付きました。

それでマツリはマーベラス達に宇宙の平和を戦って実現して多くの命を救う可能性に賭けることにして、
ゴーゴーファイブの「大いなる力」を託すことにしたのでした。
そして、「大いなる力」と共にマツリの「人の命は地球の未来」という想いを受け取ったルカとアイムは、
宇宙で誰の命を救うことも出来ずに逃げてきた自分達でも、
ゴーゴーファイブのように、今の自分の目の前にある命、
すなわち地球人の命を守るために戦う戦士に一歩でも近づけるよう努力することを心に誓ったのでした。

そして戦いの方は召喚戦士3人に追い詰められたルカとアイムの危機にマーベラス達が駆けつけ形勢逆転し、
マーベラス達は召喚戦士を撃破しますが、またバスコはレンジャーキーを回収して撤退しました。
せっかく周到に仕組んだ罠が破られてしまった以上、
これ以上マツリを追ったところでヒュウガの時の二の舞になるだけであり、
マーベラス達も駆けつけた以上、もうゴーゴーファイブの大いなる力はマーベラス達に奪われたものと思い、
バスコは諦めることにしたのです。

そもそもバスコは、こうして「大いなる力」集めが困難であることを知るにつれ、
無理に全ての「大いなる力」を自分の手中にする必要は無いということに気付いてきていたのです。
いくら周到に罠を仕掛けても、どうしても「大いなる力」を奪おうとすればトラブルになるし、
マーベラス達に嗅ぎつけられる確率も高くなる。
つまり数多くの「大いなる力」を狙えば、その分しくじるリスクも高くなる。
だからバスコはよほど周到な計画で確実に奪えそうな「大いなる力」だけを最大限の隠密行動で確実に奪い取り、
数個の「大いなる力」さえ手中にしておけばいいのだと、方針転換したのでした。

そのようにしてバスコが数個の「大いなる力」を押さえておけば、
マーベラス達が他の「大いなる力」を全部手に入れても「宇宙最大のお宝」は手に入れることは出来ない。
マーベラス達は最後はバスコと戦わねばならなくなる。
その時にマーベラス達に集めさせた「大いなる力」やレンジャーキー、ガレオン、ナビィの全部を奪えばいいのだと
バスコは考えたのでした。

それはつまり、バスコがゴーカイジャーに戦って勝てるという確信を得たことを意味していました。
ここまで2回、番外戦士の召喚体とゴーカイジャーの戦いを観察して、
バスコはゴーカイジャーという戦士の実力をだいたい把握し、
自分が変身すれば確実に勝てると確信したのでした。
だからこそ、今倒してしまうのではなく、泳がせて「大いなる力」を集めさせた段階で倒して
全てを奪ってやろうと決めたのです。

そしてマーベラス達に「大いなる力」を全部揃えさせないための保険として数個分だけ
「大いなる力」は確保出来ていればいい。
そのためにバスコは再び身を潜めて、より慎重に周到に隠密行動に入っていくことになったのでした。

マーベラス達としてはこれで三度、バスコを取り逃がしてしまったことになり、
バスコがまたコソコソと「大いなる力」を奪おうとして画策するのも必至な状況でした。
焦りは無いものの、いい加減鬱陶しく、スーパー戦隊にも迷惑がかかることなので、
マーベラス達は何か手っ取り早く事態を解決する方法は無いものかと思うようになりました。

そんな時、地球の上空に巨大な謎の幽霊船が現れて、
たまたまそれを目撃した鎧の目の前に幽霊船からゴーカイオーに酷似した謎の巨大ロボが現れ、
鎧は豪獣神で戦いましたが敗れてしまうという事件が起こります。
ここからお話は、夏映画の「空飛ぶ幽霊船」の物語となります。

鎧を破った幽霊船の正体はマーベラスやジョーは噂には聞いたことがあるようで、
それは宇宙を彷徨う、死者の魂を呼び寄せるという宇宙海賊の間では伝説の幽霊船であり、
その中にはゴッドアイという伝説の秘宝が積まれており、
それを手に入れた者の夢を1つだけ、どんな夢でも叶えてくれるのだそうです。

そこでマーベラス達は幽霊船に侵入してゴッドアイを手に入れて、
「宇宙最大のお宝」を手に入れたいという夢を叶えてもらおうと考えました。

但し、幽霊船に立ち向かって今まで生きて帰った者はいないという。
鎧を破った偽ゴーカイオーなど、どんな恐るべき敵が待ち受けているか分からない危険な作戦でした。
だが、お宝のために命を賭けるのが海賊だと言って、
マーベラスは幽霊船へ侵入してゴッドアイを奪う作戦を実行し、
怪我をして留守番の鎧を除く5人は幽霊船に侵入しました。

しかし、これは幽霊船の船長でありゴッドアイの所有者のロスダークの罠でした。
ロスダークはかつてこの伝説の幽霊船に侵入してゴッドアイを手に入れたが、
その時に命を失って幽霊になってしまい、
ゴッドアイは生者の夢しか叶えないため、ロスダークの「全宇宙の支配者となりたい」という夢は
叶えられなかったといいます。

それゆえ、ロスダークは再び生き返ってゴッドアイで夢を叶えるために、
強者の生体エネルギーを集めているのです。
ゴッドアイに釣られて幽霊船に侵入してきた強者たちを死者の世界に引き込んで殺して
生体エネルギーを奪い、そうしたことを繰り返して貯めこんだ生体エネルギーでロスダークが復活し、
ゴッドアイで夢を叶えて全宇宙の支配者となるという算段なのです。

それでロスダークは幽霊船であちこちの強者のいる星を巡っては、
その相手の興味を惹く姿に擬態した巨大ロボで挑発して相手を幽霊船に誘い込んで罠に嵌めてきました。
そのロスダークが次の標的を地球で暴れているというマーベラス一味に狙いをつけ、
偽ゴーカイオーで誘いをかけてきたのでした。

そのロスダークの罠にまんまと嵌ったマーベラス達は幽霊船内で死者の世界に落とされてしまい、
過去にスーパー戦隊に倒された歴代の悪の組織の怪人軍団と果てしない戦いを強要されてしまい、
このままでは身動き出来ないまま、生者の世界と死者の世界の間の通路が閉ざされて、
5人は永遠に死者の世界に閉じ込められてしまうことになってしまいます。

そこでジョー達4人が敵軍団を引きつけている隙に
マーベラス1人だけが先に生者の世界と死者の世界の僅かな隙間を通って幽霊船内部の生者の世界に帰還して、
ロスダークを倒してゴッドアイを手に入れ、
ジョー達は怪人たちを振り切って後から追い掛けるということになりました。

そうしてマーベラスは生者の世界に帰還しますが、
すぐに死者の世界との通路は完全に閉ざされてジョー達4人は死者の世界からの帰還は不可能となってしまいました。
しかしマーベラスは幽霊船の船室内でロスダークと激闘を繰り広げ、
遂にロスダークの隙をついてゴッドアイを奪取し、夢の内容を唱えます。

ここで意外にもマーベラスは「宇宙最大のお宝が欲しい」とは言わず、
「俺の仲間を元に戻せ」という願いを言い、
死者の世界で怪人軍団と戦っていたジョー達4人は突然、幽霊船の船室に戻り、
同時にゴッドアイは願いを叶えたことにより、ただの石の塊になってしまいました。

もしや、ゴッドアイを使って自分達を元に戻して、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるチャンスを棒に振ったのかと疑うジョー達に対して
マーベラスは「ゴッドアイは偽物だった」と説明し、
激怒して偽ゴーカイオーで襲い掛かってくるロスダークを6人はゴーカイオーで返り討ちにして倒し、
幽霊船も消滅したのでした。

このゴッドアイという秘宝は一体何だったのかというと、
おそらく強者でありながら利己的ではない精神を持つ者を探し求めて、
死者の国に繋がる通路を持つ巨大な幽霊船を操って宇宙を旅していた秘宝だったのでしょう。

それゆえ、この秘宝は利己的な精神を持った者には呪われた秘宝であり、
このゴッドアイに対して利己的な欲望を願った強者はその願いは叶えられずに命を奪われ、
幽霊となってこの秘宝の番人にされてしまうのでしょう。

ロスダークもかつてはこの幽霊船に侵入してゴッドアイの番人である先代船長を倒してゴッドアイを奪ったが、
「全宇宙の支配者になりたい」という利己的な願いを唱えたためにその場で命を奪われて幽霊とされて、
ゴッドアイの番人にされてしまっていたのです。

ロスダークはどうして自分がいきなり幽霊になってしまったのかよく分かっておらず、
ゴッドアイの魔力で、強者の生体エネルギーを集めれば復活出来るという嘘を信じ込まされて
踊らされていたに過ぎない。
本当はそうしてロスダークがあちこちの星で強者を幽霊船に誘い込んだ結果、
ロスダークを倒した強者がまた新たな願い事を唱えてくれるのをゴッドアイは期待していたのです。

その願い事がまた利己的な願いであれば命を奪い、ロスダークの後釜に据えるだけであり、
もしその新たなゴッドアイの所有者の願いが利己的なものでなければ、
ゴッドアイの願いは満たされ、その強者の願いを叶えた後、
ゴッドアイは永遠の眠りにつくという仕掛けになっていたのです。
だからマーベラスがもし「宇宙最大のお宝が欲しい」と言っていれば、
マーベラスは命を奪われ、次の幽霊船の船長にされていたところでした。

マーベラスは、幽霊船に乗り込んだ強者が今まで誰も生きて帰っていないこと、
ロスダークがゴッドアイの所有者でありながら「全宇宙の支配者となる」という夢を叶えないまま
幽霊になってしまっていることなどに不自然さを感じ、
ゴッドアイは利己的な願いを唱えた者の命を奪う呪いの秘宝なのではないかと推理したのです。
だからマーベラスはゴッドアイのことを「偽物」と言ったのです。
確かに、「願いを何でも叶える秘宝」とは言い難いわけですから、そういう意味では偽物ということになります。

ただ、利己的でない願いならば叶えてくれるのか、
利己的でない願いならば命を奪われないのか、
そのあたりは不明確であったわけですから、
マーベラスとしてはゴッドアイに向かって「仲間を元に戻せ」と願うこと自体が
大きなギャンブルであったのですが、マーベラスはそこは全く迷いはありませんでした。

マーベラスはもしゴッドアイが呪いの秘宝でなく、
本当に何でも1つだけ願いを叶えてくれる秘宝であったとしても、
あの状況では迷うことなく「仲間を元に戻せ」と願うつもりでした。
マーベラスにとって夢は仲間と共に掴むものだからです。

仲間がいなくなった状態で夢だけ掴んでも仕方ない。
そして、仲間と共に夢を掴むことだけがマーベラスの生きる意味ですから、
仲間を失ったまま自分だけが無事に幽霊船から脱出しても、その後のマーベラスの人生には意味は無い。
だから、死ぬかもしれないリスクを冒しても、
ゴッドアイに対して「仲間を元に戻せ」と言うことに躊躇は全く無かったのです。

こうしてマーベラスは仲間を取り戻し、
再び仲間と共に「宇宙最大のお宝」を手に入れるために「大いなる力」を集める旅を再開しました。
そして仲間たちは自分達が突如、死者の世界から脱出できたことから、
だいたいどういう事情であったのか推察し、
マーベラスが夢そのものよりも、共に夢を掴む仲間を最も大事にしており、
仲間を守るために命も賭けるのだということを確認し、嬉しく思うのでした。

こうして突然降って湧いたような幽霊船の冒険を乗り切って
再び「宇宙最大のお宝」を目指しての旅を始めたマーベラス達の前に、
以前にカーレンジャーの大いなる力をゲットした際に倒したと思っていた
ザンギャックの怪人ジェラシットが現れるのが第24話のお話です。

マーベラス達が鎧に連れられてタコ焼きという地球の名物料理を食べに行ったところ、
タコ焼き屋のペットになっているジェラシットと再会しました。
ジェラシットはザンギャックをクビになって地球に捨てられてタコ焼き屋に拾われたのだといいます。
マーベラス達はジェラシットにタコ焼き屋になったらどうかと勧め、
ジェラシットもすっかりその気になり、
タコ焼き店主のもとで修行して、宇宙人初のタコ焼き屋を開業する夢を抱きます。

ところがタコ焼き屋の店主の母親が宇宙人に対して酷い偏見を持っており、
ジェラシットの弟子入りに猛反対し、
マーベラス達も乗りかかった船ということで母親を説得しようとしますが、
あまりの母親の宇宙人差別意識の酷さに閉口します。

よく考えれば、地球は数年前にザンギャックの侵攻を受け、
そしてここ半年ほど、またザンギャックによって攻撃され続けており、
ザンギャックに対する反感が強いのは当然でした。
だから元ザンギャックであるジェラシットに対しても嫌悪感はあるのであろうし、
ザンギャック支配下の星の生まれのマーベラス達だって、
地球人から見ればザンギャックと同じようなもので、
宇宙人同士の内輪揉めを地球に持ち込んで迷惑をかけているようにも見えるのでしょう。

確かにマーベラス達はもともと、お宝を探しに地球に来ただけであり、
地球を守るスーパー戦隊のようなヒーローではない。
だからザンギャックと同類の迷惑な宇宙人だと思われても仕方ないとも言えます。
直接マーベラス達と接した地球人たちはマーベラス達のことを迷惑な宇宙人だとは思っていないであろうが、
未だマーベラス達と会っていない大部分の地球人たちは
マーベラス達のことも迷惑な宇宙人の一種としか思っておらず、根深い宇宙人への嫌悪感を持っている。
ジェラシットの夢を応援して、戦いの場でないところで普通の地球人に接したために、
マーベラス達は予想外の地球の現実を直視する羽目になってしまい、嫌な気分になりました。

ジェラシットもタコ焼き屋の母親にさんざん侮辱されて、
ザンギャックからも地球からも捨てられた無価値な自分にすっかり拗ねてしまいましたが、
そこにザンギャック部隊が襲ってきて、ジェラシットはタコ焼き屋の母親を庇って撃たれて倒れてしまいました。

どうしてさんざん酷いことを言った自分を庇ったのかと問う母親に対して
ジェラシットは、自分もあなたも同じ宇宙人だからだと言いました。
ジェラシットはもともとはザンギャックの一員として地球人を見下していた。
しかしザンギャックからも地球からも不要とされた無価値な自分を自覚したからこそ、
宇宙に住む人は本質的にはみな対等に無価値なのであり、
ザンギャックだから優れているとか、地球人の方が優れていると主張して、
他種族を見下す考え方は間違っていたのだと悟ることが出来たのでした。
それゆえジェラシットは自分の身を捨てて地球人の母親を助けることが出来たのです。

結局ジェラシットは身体が頑丈だったので死ぬことはなかったが、
このジェラシットの捨て身の行動でタコ焼き屋の母親は考えを改め、
自分の宇宙人への偏見を反省し、ジェラシットを受け入れたのでした。

この顛末を見てマーベラス達は希望を持ちました。
ジェラシットと同じようにザンギャックからも地球からも受け入れられない自分達だからこそ、
ただの宇宙人として何の義理も無い地球人を守るために命を賭けて戦うことが出来るのであり、
その行動は地球人にも理解され、
ジェラシットのように地球人と共に夢を掴むことだって可能なのかもしれないと思えたのでした。
そうしたら自分達のような宇宙海賊でも、
人々の夢を守ったり目の前の命を救うために戦うスーパー戦隊のようになれるのかもしれないと、
マーベラス達は淡い期待を抱きました。

しかし弟子入りの夢の叶ったジェラシットを激励にタコ焼き屋を訪れたマーベラス達は、
ジェラシットが母親と駆け落ちしてしまったという衝撃の事実を告げられます。
つまり、タコ焼き屋の母子はジェラシットという異邦人を受け入れたが、
世間の目は厳しく、結局はジェラシットとの関係を守るために母親がジェラシットと共に店を捨てて
姿を消すことになってしまったのです。

つまり、ジェラシットは宇宙人でありながら地球人を守るために命懸けで戦ったのに、
結局は地球人には受け入れられず、夢も掴むことも出来ず、
自分を理解してくれた地球人一家を不幸にしただけで終わってしまったのだとマーベラス達は思いました。

実際はジェラシットと母親は田舎の温泉旅館で新たな道を見出していたのですが、
そんなことは知らないマーベラス達は、ジェラシットの挫折を自分達に重ね合せて、
やはり宇宙海賊の自分達が地球の人々を守るために戦っても、
スーパー戦隊のように地球人と良好な関係を作ることは出来ず、
むしろ関わった人達を不幸にするだけなのかもしれないと、苦々しい気分になって、
ガレオンに戻っていったのでした。

そうして第25話と第26話の前後篇では、ハリケンジャーが登場して、
マーベラス一味と共闘するお話となり、
この前後篇でこの「ゴーカイジャー」の物語の第2部は終わり、ちょうど物語も折り返しとなります。

マーベラス一味に邪魔されてばかりで一向に地球侵略が進まないザンギャック地球侵略軍は
ザンギャック配下の宇宙忍者を呼び寄せ、地球での作戦を一任しました。
その宇宙忍者は、かつてハリケンジャーに倒された宇宙忍群ジャカンジャの暗黒七本槍の末裔の2人で、
サンダールとサタラクラでした。
この2人の宇宙忍者は人々を「ビッ栗」という大きめの栗に変えてしまい、
それを使ったミサイルで地球を攻撃する作戦を進めます。

そして、この宇宙忍者の気配を察知して、
身を潜めていた26番目のスーパー戦隊のハリケンジャーの元ハリケンレッドの椎名鷹介、
元ハリケンブルーの野乃七海、元ハリケンイエローの尾藤吼太の3人が動き出しました。

ハリケンジャーもまた、まだマーベラス一味に「大いなる力」を渡していませんでした。
ハリケンジャーの場合、もともとが世の悪を倒すために人知れず戦い、
人知れず消えていくのが自分達のような宇宙統一流忍者の極意と心得ていますから、
自分達の存在を消すことによってザンギャックを倒して宇宙が平和になるのならば、
それはそれで良いのではないかと思っていました。

ただ、だからといって「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しに積極的であったかというと、
そういうわけでもありませんでした。
そもそもレジェンド大戦に参加したこと自体、彼らは彼らで独自に戦っているうちに
何時の間にかレジェンド大戦の大きな流れに巻き込まれたような形で、
あまり積極的に参加したというわけでもありませんでした。
つまりハリケンジャーは、その存在は誰にも知られないのが基本ですから、
他の戦隊ともあまり積極的に関わろうという意思が無いのです。

だから宇宙の作り直しの件にしても、基本的には賛成なのですが、
それに向けて積極的に何かをしようとも思っておらず、
ただ身を潜めて、通常の忍者としての任務を果たしながら、他のレジェンド戦隊とも一切交流もせず、
推移を見守っていました。

マーベラス一味が地球に降り立った後も軽々しくは動かず、じっと隠れて彼らの様子を観察していました。
黒十字王が暴れた時は地球の人々を守るためにマーベラス達に力は貸しましたが、
それでも「大いなる力」を渡しはしませんでした。
それは、実は渡したくても渡せなかったからでした。
だから見守って観察することしか出来なかったのです。

鷹介たちにしてみれば、最初はマーベラス一味が一体何者なのか分からなかったので慎重に観察していたのですが、
そうしているうちに他の戦隊がマーベラス達に「大いなる力」を渡していき、
鷹介たちにもマーベラス達がそんなに悪い奴らではないことが分かってきました。
ならば、鷹介たちはお宝を使って宇宙の作り直しをすること自体には賛成なのだから、
本当はマーベラス達にさっさと「大いなる力」を渡してしまいたかったのです。

しかし、ハリケンジャーの「大いなる力」は
鷹介たちがマーベラス達のことをハリケンジャーの精神を受け継ぐ者と認めなければ渡すことは出来ない。
それが問題でした。
鷹介たちはマーベラス達のことを観察した結果、
どうしても彼らをハリケンジャーの精神を継ぐ者とは認めることが出来なかったのです。

それは、マーベラス達がお宝を手に入れるために地球にやって来たという事実が
どうしても引っ掛かっていたからでした。
ハリケンジャーというのは何も見返りを求めることもなく、
ひたすら己を殺して世の悪と戦うというのが基本精神でしたから、
宝探しの片手間に地球を守っている宇宙海賊のマーベラス達には
ハリケンジャーの精神は理解出来ないだろうと鷹介たちは見ていました。

それでも他のスーパー戦隊の多くはマーベラス達に「大いなる力」を渡しているわけですから、
マーベラス達を宇宙の作り直しの担い手として相応しくないと決めつけるわけにもいかず、
鷹介たちは困りました。

鷹介たちはマーベラス一味を観察していった結果、
まぁ唯一ハリケンジャーの精神が理解できそうなのは地球人の鎧ぐらいで、
特にダメそうなのはお宝探しにガツガツして地球人やスーパー戦隊に対して興味の無さそうな
マーベラス、ジョー、ルカの3人だという感想を持っていました。
つまりは、鷹介たちも根っこの部分では第24話のタコ焼き屋の母親のように
宇宙人や宇宙海賊に対する偏見を持っていたといえます。

そんな中、宇宙忍者が活動を開始したのを察知した鷹介、七海、吼太の3人は集結して
マーベラス達のもとへ向かいました。
宇宙忍者の幹部連中に勝つには今のマーベラス達では無理であり、
ハリケンジャーの力を全て使いこなさなければならないが、
そのためにはハリケンジャーの「大いなる力」をマーベラス達に渡さなければならない。
だからマーベラス達の居る場所へやって来た鷹介たち3人でしたが、
マーベラス達がサンダールやサタラクラに苦戦して取り逃がす現場を見ても、
やはりマーベラス達がハリケンジャーの精神を受け継ぐような連中に見えず、困ってしまいます。
特にマーベラス、ジョー、ルカの3人は相変わらず態度が悪いように見えました。

実際、マーベラス、ジョー、ルカの3人は前回のジェラシットの一件でちょっと拗ねてしまっていました。
ハカセやアイムはもともとレジェンド戦士と接することも多く、
レジェンド戦士に割と近い感覚を持っていることも自覚していたので、
ジェラシットの一件でもそんなに嫌な気分にはなりませんでしたが、
マーベラス達3人は最近になって急にスーパー戦隊のように地球の人々を守って戦うのも
悪くないと思い始めていたところ、
ジェラシットの一件で所詮は宇宙海賊の自分達がスーパー戦隊のように地球人に認められることはないのだという
現実を突きつけられて、面白くない気分になっていました。

それでいつにも増して不機嫌そうに戦っていたマーベラス達でしたが、
もともと彼らが最近になって地球の人々を守りたいと思うようになっていたのは、
ジョーの場合は子供たちの夢を守りたい、ルカの場合は目の前の命を守りたいというような
自分自身のもともとの夢に由来する動機からのものでした。
そしてマーベラスは仲間と共に夢を掴む男ですから、ジョーの夢もルカの夢もマーベラスは付き合うのです。

だからマーベラス達は不機嫌そうにしながらも、それでも無意識に前向きにビッ栗にされた人々を助けるために動き、
サタラクラ達のアジトを見つけ出して急襲し、ミサイル作戦を阻止してビッ栗を奪還し、
宇宙忍者の気を感じて突如現れたハリケンジャーの「大いなる力」の風雷丸の助太刀もあって
サンダールも倒しました。

しかし風雷丸も宇宙忍者を倒すために一時的に現れただけで、
マーベラス達のことを認めたわけではなく去っていきます。
そして戦いの中でマーベラスとジョーとルカの3人は、ビッ栗をサタラクラに奪い返された上に
ハカセ達を庇ってサタラクラの作ったボキ空間という変身不能の亜空間に落とされてしまい、
ビッ栗を奪い返したサタラクラによってクイズ地獄に引き込まれてしまいました。

そこで、現実世界に残されて途方に暮れるハカセ達の前に現れた鷹介たち3人は、
ハリケンジャーのレンジャーキーを渡すようハカセ達に要求します。
ボキ空間に行ってサタラクラを倒してマーベラス達やビッ栗にされた人達を救いだすためには
ハリケンジャーの「大いなる力」を使うしかないのだが、
鷹介たちがマーベラス一味に「大いなる力」を渡すことが出来ない以上、
鷹介たちがレンジャーキーでハリケンジャーに変身してボキ空間へ行くしかないと、鷹介たちは考えたのでした。

しかし、一方的にマーベラス達3人を信用できないと言いレンジャーキーを渡すよう求める鷹介たちの態度に
鎧が猛反発したので、鷹介たちは驚きました。
マーベラス一味の6人の中では唯一の地球人の鎧は当然、人々の命を守ることを何よりも優先する
ハリケンジャーの考え方に賛同してくれると鷹介たちは思っていたからです。

まず優先すべきは人々の命を守ることなのであって、
その至上命題の前にはお宝やレンジャーキーなどどうでもいいと鷹介たちは思っていました。
宇宙海賊にとってはお宝は大切なものかもしれないが、
ハリケンジャーにとってはそんなものはどうでもいい。
大切なのは、ひたすら人々を守ることです。
鷹介たちはスーパー戦隊に憧れる地球人の鎧ならばそれは理解してくれると思っていたのです。

しかし鎧はレンジャーキーはマーベラス達が命懸けで宇宙から集めてきた大切なものだと言って抗議します。
鎧は鷹介たちが宝探しをしているマーベラス達を見下して信用しようとしていないことを感じ取って
憤慨していたのでした。
それは、鎧が海賊の仲間になって共に冒険の旅をするうちに、
マーベラス達の宝探しは決して不純な動機に基づくものではなく、
命懸けで夢を掴み取ろうとする行為であり、スーパー戦隊の精神にも通じるものなのだと感じていたからでした。
それを理解せずにマーベラス達を不純な海賊であるかのように見下す鷹介たちに鎧は反発したのでした。

しかしハカセとアイムは鷹介たちがスーパー戦隊の戦士とはいえ地球人である以上、
いきなり自分たち宇宙海賊のことを偏見なく理解してもらうのは難しいことは分かっていますから、
鎧を諌めてハリケンジャーのレンジャーキーを鷹介たちに渡しました。

ただ、今までも最初は誤解していたレジェンド戦士たちも直に接するうちに自分達のことを理解してくれたことを
経験上知っているハカセとアイムは、
ボキ空間でマーベラス達とちゃんと接して見極めてほしいと鷹介たちに要請しました。
直に接すればきっと誤解は解けるとハカセとアイムは確信しているのでした。

この鎧やハカセやアイムの態度に接して、
鷹介たちは自分達が少しマーベラス達のことを偏見の目で見過ぎていたのかもしれないと思い直し、
変身してボキ空間に入り、鎖で縛られたマーベラス達3人がサタラクラにクイズを出されている場面
を隠れて観察しました。

すると、クイズに正解すればマーベラス達は解放されるというクイズなのに、
マーベラス達は真面目に解答しようともしないで罰ゲームの爆破を浴びまくるので、
呆れた鷹介たちは、やっぱりマーベラス達はいい加減な連中だと見切りをつけ、
乱入してさっさとサタラクラを倒そうとします。
ところがサタラクラはくす玉の中に隠していたビッ栗を爆破すると脅して
鷹介たちは動けなくなり捕まってしまったのでした。

事情を聞くと、クイズに正解するとくす玉が爆発する仕掛けになっていたようです。
七海と吼太はマーベラス達にビッ栗にされた人達を守るためにわざと解答していなかったのかと問いましたが、
マーベラス達は不愛想な態度で否定するだけです。

実際はマーベラス達はくす玉の中にビッ栗があることに気付いて、
ビッ栗にされた人々を守るためにわざと解答せずに爆破に晒され続けていました。
そんなことをしても自分達が地球人からスーパー戦隊のように認められるはずもないことは承知の上で、
それでも地球の人々を守りたいと思い、無茶を承知で解答を拒否し続けていたマーベラス達でしたが、
なんでこんなバカなことをやってるのだろうかと、自分がワケが分からなくなり、半ばヤケになっていました。

すると、そこに突然、本物のスーパー戦隊の戦士である鷹介たちが現れたのです。
その本物のハリケンジャー達に何をしていたのか質問されたマーベラス達は、
自分達のような宇宙海賊が地球の人々を守るために命を張っていたなどと言うのは
おこがましいような恥ずかしいような気分になって、屈折した態度になっていたのでした。

鷹介たちの方は、マーベラス達が妙に卑屈な態度で否定はしているものの、
状況的にマーベラス達が自分の身を危険に晒してビッ栗にされた人々を守ろうとしていたのであろうと確信しました。
そして、そうしたマーベラス達の本質を分かっていれば、
くす玉の中にビッ栗があることにも気付いていたはずであり、
自分達が慌てて飛び出して逆に捕らわれてしまうこともなかったはずだと、鷹介たちは気付きました。

つまり、マーベラス達の本質に気付かなかった自分達が未熟であったのです。
どうしてマーベラス達の本質に気付けなかったのかというと、
鷹介たちがマーベラス達のことを所詮は不純な宝探し目的の海賊だと見下していたからです。
しかし実際のマーベラス達3人は、鎧やハカセ達が信じていたような、
命懸けで夢を掴もうとして戦っていた戦士だったのです。

考えてみれば「宇宙最大のお宝」など、鷹介たちはそれが何なのか知っているが、
マーベラス達はそれが何なのか、何処にあるのか知らないまま宇宙を旅していたのです。
そんなものが手に入る保証など全く無い。
マーベラス一味の本質は、見返りなど期待できない夢をひたすら追いかけて戦ってきた戦士たちなのだと、
鷹介たちは悟ったのでした。
それは見返りを求めず己を殺して戦う戦士であるハリケンジャーの精神にも通じる。
だからこそ、マーベラス達はこうして見知らぬ地球人たちを守るために命を危険に晒すことが出来るのです。

マーベラス達が地球人を守るために命を張っても、
地球人はなかなかマーベラス達のことを認めはしないということは、鷹介たちも知っています。
鷹介たち自身がマーベラス達が地球を守ってザンギャックと戦っていることは知った上で、
それでも彼らのことを宝目当ての宇宙海賊と見なして蔑んでいましたし、
世間の多くの人々も彼らをそんな風に見ていることも、鷹介たちは知っています。

そして、こうしてマーベラス達の卑屈な態度を見た結果、
おそらくそれはそんな世間の冷たい視線を意識した上での屈折した態度なのだろうということも
鷹介たちには想像がつきました。

つまりマーベラス達は自分達がスーパー戦隊のように人々を守るヒーローとしては
認められないことは分かって傷ついている。
しかし、それでも彼らは自分の命を危険に晒して戦い、地球の人々を守ろうとしている。
その気高い精神は、まさに「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ」の
ハリケンジャーの精神に通じるのです。

そして、どうしてマーベラス達がその忍者の極意ともいえる気高い精神を持つようになったのかというと、
それはもともと彼らが、手に入るかどうかも分からない夢を掴もうとして
命を賭けて戦ってきた宇宙海賊だからなのだと、鷹介たちは思いました。

ならば、ハリケンジャーの忍者の極意を受け継ぎ、伝説の忍者を受け継ぐ宇宙海賊は、
あくまでハリケンジャーの夢、スーパー戦隊の果てしない夢を掴むために
命を賭けて戦う者でなければいけない。

そのことに気付いた鷹介たちは、
マーベラス達はお宝を使って宇宙を作り直すのではなく、
戦って宇宙の平和を実現せねばいけないのだと思い、
アカレッドが期待していたことが何なのかハッキリと理解しました。

それまでは鷹介たちは自分達の「大いなる力」を宇宙の作り直しのために使わせようと思っていましたが、
ここで考えを改め、戦って宇宙の平和を作り直すマーベラス一味のために「大いなる力」を渡したいと思い、
そうすることによって、初めて素直な気持ちでマーベラス達に
「大いなる力」を渡してもよいと思えるようになりました。

しかし、鷹介たちが見たところ、「大いなる力」を渡すに際してまだ1つ障害がありました。
それは、マーベラス達3人が自分達で勝手に、
自分達はスーパー戦隊のようにはなれないと決めつけて拗ねているようだということでした。
その拗ねた気持ちが、素直に地球を守って戦う気持ちの妨げになっており、
そのままではマーベラス達の方で「大いなる力」を受け取る状況とはならない。

そこで、マーベラス達のことをハリケンジャーの精神を継ぐ資格のある者と認めた鷹介は、
自分はマーベラス達のことをスーパー戦隊の後輩として認めているということを示すため、
マーベラスに頭突きで喝を入れ、
鷹介と七海と吼太は先輩として、ひねくれて出来の悪い後輩に手本を見せるように、
変身出来ない状態で見事な機転でサタラクラの罠を撃ち破り、
大逆転でビッ栗を奪還してボキ空間からマーベラス達を連れて脱出してみせました。

これに心を動かされたマーベラスは、現実世界に戻ってサタラクラとザンギャック幹部たちを相手にした戦いで、
鷹介たちと一緒に戦ってみたくなり共闘を提案し、
ゴーカイジャーとハリケンジャーは力を合わせてサタラクラを撃破したのでした。

そして、こうして先輩として意識できるスーパー戦隊と一緒に戦ってみて、
マーベラス達は誰からも認められない不安や不満から解放されました。
そうして落ち着いてみると、自分は決してスーパー戦隊のようにヒーローとして認められたくて
地球人を守ろうとしていたのではなく、
ただ地球や地球人を何時の間にか好きになり守りたいと思うようになっていたから
スーパー戦隊のように戦いたいと思っていただけなのだと気付きました。

何かを守ろうとして挫折したために、何かを守るために戦いたいという気持ちを失って久しい自分たちが
ようやく守りたいと思うことが出来たのが地球なのです。
だから守りたいと純粋に思った。
それだけのことだったのだと、彼らは気づき、
これからは余計なことは考えず、その素直な気持ちに従って戦おうと心に決めたのでした。

そうしたマーベラス達に鷹介たちはレンジャーキーを返し、
ハリケンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。
そしてマーベラスは初めて素直に地球のことを好きだと言い、
「宇宙最大のお宝」がこの星にあって良かったと言いました。

「宇宙最大のお宝」の正体を知っている鷹介たちは、
そのお宝こそがマーベラス達の本当に選ぶべき道の前に立ち塞がる最後の試練となるのだろうと予測しつつ、
それでもマーベラス達ならばきっとその試練を乗り越えることが出来ると信じ、
温かく見守り、去っていったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2012年03月12日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その13

第17話と第18話は前後篇で、6番目の戦士であるゴーカイシルバー伊狩鎧がゴーカイジャーに加入する話です。
突然襲ってきた黒十字王との戦いに勝利して、11個の「大いなる力」をゲットしたマーベラス一味に対して、
続いてアカレッドはナビィに働きかけてビジョンを見せて、凄い銀色の男が現れるというお告げをさせます。
これはアカレッドが元アバレキラーの仲代壬琴たちと共に作ったゴーカイシルバーの変身アイテムを託した伊狩鎧が
マーベラス一味に加わるために接触を図ろうとしていることを見てのことでした。

その直後、マーベラス達は街でいきなり「ゴーカイジャー6番目の仲間」になりに来たと言う
「スーパー戦隊を誰よりも愛する男・伊狩鎧」と名乗る変な男に、
ゴーカイジャーを誰からも愛される素晴らしいスーパー戦隊にしたいという意味不明な抱負を聞かされます。
しかしマーベラス達は別に自分達がスーパー戦隊になろうとは思っていないので、
この鎧という男の言うことの意味がさっぱり分からず、
頭がおかしいのだろうと思い、無視して立ち去りました。

鎧はアバレキラー仲代壬琴たち3戦士からゴーカイシルバーの変身アイテムを授けられたので、
てっきり自分がゴーカイジャーの仲間になることはマーベラス達に連絡済みなのだと思っており、
マーベラス達の冷淡な反応に呆然としますが、慌ててマーベラス達を追いかけ、
マーベラス達がザンギャックの行動部隊と出くわして喧嘩が始まりそうになったところに、
鎧はいきなり乱入してゴーカイシルバーに変身しました。

通りすがりの頭のおかしい男だと思っていた鎧がいきなり見たこともないレンジャーキーを取り出して
妙な変身アイテムにそれを挿入し、
ゴーカイシルバーという、まるでゴーカイジャーのような戦士に変身して戦い始めたので
マーベラス達は仰天しました。
マーベラス達はゴーカイジャーはマーベラスがアカレッドから受け継いだ
5つのレンジャーキーの5人分しかいないのだと思い込んでいたから、
そのゴーカイシルバーという鎧の変身した戦士が何なのかさっぱり分からなかったのでした。

しかしとにかくわけが分からないままマーベラス達は勢いで鎧と共闘してザンギャック部隊を倒し、
戦いの後、ナビィのお告げを想い出して、
鎧がナビィの言う「凄い銀色の男」ではないかと思って鎧に事情を聞いてみたところ、
鎧も銀色の男云々はよく分からないようでしたが、
何と「大いなる力」を3つ持っていると言ったのでマーベラス達は驚いて鎧をガレオンに連れていき、
更に詳しく事情を聞くと、鎧はマーベラス達にこれまでの経緯を説明しました。

スーパー戦隊の大ファンということ以外は何の変哲もない一般人であった自分が
子供を助けてトラックに轢かれて昏睡状態となって病院に担ぎ込まれた時、
夢の中で3人のレジェンド戦士からゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキー、
そして3つの戦隊の「大いなる力」というものを渡され、
目覚めたら病院のベッドに寝ていて、
手には夢の中で見たのと同じゴーカイセルラーとレンジャーキーが握られていたということ、
そして何故かほとんど無傷ですぐに退院した後、そのアイテムでいろいろ試してみたら
ゴーカイシルバーへの変身に成功したことを鎧はマーベラス達に説明しました。

信じがたい話ではありましたが、とにかく鎧が実際ゴーカイシルバーという戦士に変身している以上、
鎧の身の上に起こった話は真実なのだろうと信じたマーベラス達でしたが、
マーベラスは鎧から変身アイテムを奪ってしまいました。
レジェンド戦士の意向がどうであれ、ゴーカイジャーの仲間を選ぶ決定権を持っているのは
あくまでマーベラスなのです。

ゴーカイシルバーがゴーカイジャーの一員だというのなら、
誰をゴーカイシルバーにするのかを最終的に決めるのも
ゴーカイジャーのリーダーであるマーベラスの権利でした。
そしてマーベラスは鎧がゴーカイジャーの一員に相応しくないと思ったので変身アイテムを取り上げたのでした。

どうしてマーベラスが鎧のことをゴーカイジャーに相応しいと思わなかったのかというと、
他の4人の仲間とは違っていたからでした。
マーベラスがジョー達4人にゴーカイジャーのレンジャーキーを与えてマーベラス一味の仲間に迎えた理由は、
彼らが共に夢を掴む旅の仲間に相応しい、
ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックに逆らって自分の信念を貫くために戦う連中だったからでした。
そういう奴らがマーベラスの欲しい、共に夢を掴む仲間だったのです。

しかし鎧はザンギャックに支配されていない地球で、
単にスーパー戦隊に憧れてヒーローになりたがっていただけの男であり、
ザンギャック支配下で命懸けで信念を貫いてきたジョー達4人とは根本的に違う。
そんな者が強大なザンギャック相手に自分の信念を貫いて戦えるわけがないし、
そんなリスクを背負い込む必要も無い。

マーベラス達5人は自分達の行く道が命がけの苦難の道だと分かっていても、
ザンギャックの支配下で心まで奴隷のようになりたくなくて、
やむにやまれぬ想いで苦難の道を選んだ、ハイリスクの人生を送って来たのです。
地球人の鎧はそんなリスクを背負い込む必要は無い。
マーベラスはそう思って鎧を仲間にすることを拒絶し、変身アイテムを取り上げたのでした。

それでもしつこく仲間に入りたいと食い下がったところ
「どうしても仲間になりたければ俺が欲しいと思えるものを見せてみろ」とマーベラスに言われた鎧は
一旦ガレオンから降りて、自分に足りないものは何なのか苦悩します。
そこにザンギャック部隊が現れて人々を襲い始めたので
鎧は変身出来ないのに思わず飛び出してしまいました。

そこで生身のまま勢いで戦ううちに、
鎧は今までの自分は、変身出来ない頃は無関係の人を助けるためにザンギャックと戦うことを
避けてきたことを思い出し、
自分に足りなかったのは不可能に挑戦してでも自分の信念を貫く姿勢であったことだと気付きました。

生身で戦ってもザンギャックに勝てないことは分かりきっていますが、
それでも自分に関係の無い目の前の人々を助けるために戦いたいから戦うという姿勢に目覚めた鎧は、
自分が今まで無意識に出来そうなことだけ、やって当然のことだけやろうとしていたのだと痛感したのでした。

ザンギャックから地球を守るということだって、かつてスーパー戦隊の戦士たちが成し遂げたことでした。
しかし鎧にゴーカイシルバーの力を与えてくれた時、仲代壬琴は「一番のヒーローになれ」と言った。
ならば、レジェンド戦士たちでも不可能だったことに挑戦しなければ意味が無いと鎧は思いました。
そう思った時、鎧はかつてない心の高まりを感じ、
これが壬琴の言っていた「ときめく」ということなのだと悟ったのでした。

しかし、もちろん生身でザンギャックの部隊に勝てるわけもなく、鎧は大ピンチになります。
そこにマーベラス達が助けに入り、
マーベラスは変身アイテムをせっかく取り上げたのにあくまでザンギャックと戦おうとする鎧に呆れて
「宇宙全体を敵に回すことになるぞ」と言いますが、
鎧は「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」と、マーベラス達に自分の見つけた夢を宣言します。
鎧はレジェンド大戦において34のスーパー戦隊も達成出来なかった夢を実現することで
「一番のヒーロー」になろうと志したのでした。

これを聞いてマーベラス一味の5人は驚愕します。
「宇宙を支配するザンギャック帝国を倒す」などという発想は5人には無かったからです。
しかし、これは確かにザンギャック支配外の星である地球で生まれ育った鎧という男が
「ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックに逆らって命懸けで信念を貫く」道でした。
そういう信念を貫く者をマーベラスは今まで仲間にしてきたのだから、
この鎧の夢を知り、そのために戦う姿勢を見せられた以上、
マーベラスは鎧にも「夢を掴む力」があると認めるしかなく、
鎧を共に夢を掴む旅の仲間とするしかありませんでした。

つまり鎧は本当にゴーカイジャーになる資格を持った男だったのであり
ゴーカイシルバーという戦士は間違いなくゴーカイジャー6番目の戦士であったのだと悟った
マーベラス一味は6番目の仲間として地球人の海賊、ゴーカイシルバー・伊狩鎧を迎え、
同時にアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの「大いなる力」も得たのでした。

そして、そうした表面的に得たものだけでなく、
マーベラス達5人は「ザンギャックを倒す」という、それまで考えたことも無かったような痛快な発想に触れて、
少し心が晴れやかになりました。

もちろん、そんなことが可能だとは、この時点では5人は全く思っていません。
マーベラス達が生まれた時からザンギャックは宇宙の支配者であり、
その支配は年を追うごとに、更に強固に厳しくなってきていました。
ザンギャックの支配が揺らぐ兆候など全く無く、
さすがの夢想家のマーベラス達でも鎧の夢が実現するなどとは思えませんでした。

ただ、不可能な夢に挑戦するという姿勢は好きであったので、
鎧の大きな夢に5人は好感を持ちました。
そして、そんな自分達には想像もつかなかったような夢を鎧が思いつくことが出来たことを
マーベラス達は驚きました。
それはおそらく、鎧が地球人で、スーパー戦隊の熱烈なファンだからなのだろうと5人は思いました。

そもそも、マーベラス達は地球に来てから初めて「地球」や「スーパー戦隊」というものの存在を知ったのです。
最初はほとんどワケが分からないまま、ナビゲートに動かされるままに
スーパー戦隊の元戦士たちと出会っていきましたが、
実際のところ、そのスーパー戦隊が一体どういうものであるのか、よく分かっていなかったのです。
それぞれのスーパー戦隊の戦う力そのものは自分達で豪快チェンジして確かめることは出来ていましたが、
そういうことではなく、いったい彼らがどんな戦士であったのかということが、いまいちピンときていませんでした。

それがこの前の黒十字王との戦いの際にゴセイジャーと共に戦い、
そしてレンジャーキーの空間や、そこで出会ったレジェンド戦士たち、
スーパー戦隊バズーカや、巨大ロボの大量出現などのような数々の不思議な現象を経験したことによって、
マーベラス達はスーパー戦隊や、スーパー戦隊を応援する地球の人々には何か不思議な力があることを感じたのです。

よく考えたら、この地球という星は一旦ザンギャックの大規模な侵攻を撃退しているのであり、
それはスーパー戦隊の力によって為されたのだというのです。
マーベラスは鎧がザンギャックの支配を受けたことがないから海賊の資格が無いなどと見なしましたが、
マーベラス達がザンギャックの支配を受けてきたのは、
マーベラス達の星の人々がザンギャックから故郷の星を守ることも出来なかったからであり、
マーベラス一味も何処かの星を守りきった経験などありません。
つまりザンギャックに負け続けてきたのがマーベラス達なのです。

しかしスーパー戦隊と地球の人々はザンギャックから地球を守ったのです。
ならば、鎧たち地球人の方が本当はよほどマーベラス達よりも上等なのだといえる。
マーベラス達はザンギャックに負け続けてきたから、
ザンギャックを倒そうなどという発想をすることが出来なかった。
一方、ザンギャックから自分の星を守ったからこそ、
地球人の鎧はザンギャックを倒そうなどと発想することが出来る。

マーベラス達と鎧の違いは何によって生じたのかというと、
それはマーベラス達の星にはスーパー戦隊がいなかったのに対して、鎧の地球にはスーパー戦隊がいたからです。
このように黒十字王の戦いから今回の鎧の加入までの出来事をまとめて考えたマーベラス達は、
以前までのスーパー戦隊に対する、単なる「大いなる力」の持ち主という認識を改め、
心の奥底で、ちょっとした畏怖の感情が湧いてきたのでした。

続く第19話では、新たに見習い海賊として仲間入りした鎧が
早く仲間の役に立てる一人前の海賊になろうとして張り切った結果、
あらゆることでハカセよりも役に立ってしまい、ハカセは新入りに負けて落ち込んでしまいます。

そんな中、ザンギャック怪人が登場し、
鎧は何故かゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのレンジャーキーを合体させて新型戦士に変身して大活躍し、
片やハカセのドジのせいで怪人の特殊攻撃を受けてハカセと鎧を除く4人が骨抜きになってしまい戦えなくなり、
仲間や街の人々を元に戻すためにはハカセと鎧だけで敵怪人を倒さねばならない状況となりました。
だがハカセは鎧への劣等感に捉われてしまい、鎧と一緒に戦うことを拒絶してしまい、
鎧は自分が海賊の仲間として認められなかったのだと思って落ち込んだまま、1人で戦いに行ってしまいます。

しかしハカセはナビィから鎧が自分のことを素直に尊敬してくれていることを聞かされて、
鎧のゴーカイジャーにおける役割に気付いたのでした。

鎧がドジばかりのハカセのこともひたすら尊敬してくれているのは、
ハカセは自分がスーパー戦隊の戦士だという自覚は無いのですが、
鎧から見ればハカセもスーパー戦隊の先輩戦士だからなのです。
そのことに気付いたハカセは鎧の美点はそのスーパー戦隊の戦士たちに対する純粋な尊敬の念であり、
それがあるからこそ鎧がレンジャーキーを合体させて新しいレンジャーキーを作ることが出来たのだと
気付いたのでした。

つまりスーパー戦隊の力にはまだハカセが想像する以上の大きな力が隠されており、
それを引き出すためにはスーパー戦隊に近づこうとする純粋な気持ちが必要であり、
鎧はその力を持っており、
マーベラス一味とスーパー戦隊の更なる力との間の橋渡しが鎧の役割なのだとハカセは悟りました。

そして、自分はその鎧とマーベラス一味との間の橋渡しをし、
鎧のサポートをしようと決意したハカセは、1人で苦戦している鎧のもとに駆けつけ、
敵怪人の攻撃を1人で引きつけながら
鎧に15個の追加戦士のレンジャーキーを合体させて新しいレンジャーキーを作ってみるようアドバイスしました。
それに応えた鎧はゴールドアンカーキーを作り出し、
ゴーカイシルバーの強化モードであるゴールドモードとなり、敵怪人を撃破し、
マーベラス達や街の人々を元に戻したのでした。

このようにマーベラス一味が黒十字王との戦いや鎧の加入を通して
スーパー戦隊との関係性を微妙に変化させていきつつある頃、
身をひそめていたバスコはスーパー戦隊の「大いなる力」について密かに調査していました。

バスコがもともとアカレッドから盗んだ情報では、
「大いなる力」はレンジャーキーに宿らせて「宇宙最大のお宝」へ繋がる扉を開くために必要なもので、
ラッパラッターで吸い取ることが出来るものという程度のものであり、
それが34のスーパー戦隊が体内に持っているものということは地球に来て初めて把握しました。

つまり34戦隊の戦士を見つけ出してラッパラッターを向けて吸い込めば、
「大いなる力」を手に入れることが出来るのだとバスコは理解し、34戦隊の居場所を探し始めました。
そうして真っ先に見つかったのが、絵本でその物語が記されていたギンガマンでした。
その絵本をよく読むとギンガマンの住むギンガの森の場所が分かるようになっており、
バスコは絵本を読み解いてギンガの森へ行きましたが、そこには結界が張られていて入ることが出来ませんでした。

ただギンガマンをはじめギンガの森の住人たちが周到に張った結界ですから、
ギンガマンの能力を超える者ならば多少手間をかければこの結界は破ることが出来ます。
バスコは怪人態の本来の能力はギンガマンを超えていますから、結界を破ることは可能で、
さっそく結界の弱点を探し始めました。
そうしたバスコの動きは思念体となって34戦隊を見守っているアカレッドに察知され、
アカレッドはナビィにギンガマンのイメージを送り、
ナビィはそれを「閉ざされた森の戦士」とマーベラス達にナビゲートしました。

こうして第20話はギンガマンの「大いなる力」の争奪戦の話となります。
マーベラス達はナビィのナビゲートが新たな「大いなる力」獲得のヒントだと期待しますが、
「閉ざされた森」の意味が分からない。
しかし、それをスーパー戦隊ファンの鎧が結界で閉ざされたギンガマンのギンガの森のことだと喝破して、
鎧秘蔵のギンガマンの絵本を見てハカセがギンガの森の場所を割り出して、
マーベラス達はギンガマンの「大いなる力」を求めてギンガの森に急行しますが
結界に阻まれて立ち往生します。

そこに既に結界を破ってギンガの森の内部に侵入していたバスコが
逃げてきた黒い服の男を追って結界の外に出てきてマーベラス達の前に現れて、両者は鉢合わせしました。
バスコはどうしてよりによって自分が狙った場所にマーベラス達が現れたのかと驚きますが、
マーベラス達もバスコがレンジャーキーだけではなく「大いなる力」の存在を知り、
その在り処を突き止めて奪おうとしていることに非常に驚きました。

更にバスコがその場でラッパラッターを使って3人の番外戦士の召喚体を出したので、
マーベラス達は更に驚きました。
バスコの手持ちのレンジャーキーは第16話で奪った15個だけだと思っていたからです。

しかし鎧だけはバスコとは初対面であり、そもそも「大いなる力」探し自体が初めてであったので、
突然の険悪ムードの意味が分からず戸惑い、
バスコに追われて目の前に現れた黒い服の男が憧れのギンガマンの黒騎士ヒュウガであったので
舞い上がってしまいます。

一方マーベラス達はヒュウガがギンガマンの元戦士だという鎧の言葉を聞き、
バスコがヒュウガを狙っていると気付き、鎧にヒュウガを連れて逃げるよう指示し、
残り5人でバスコとサリーと召喚戦士たちに立ち向かいます。

確かにここで現れたのは22番目のスーパー戦隊のギンガマンの元黒騎士のヒュウガでしたが、
そもそもどうして、黒十字王の戦いをメンバーのうちの誰かは見守っていたと思われるギンガマンが
その時「大いなる力」をマーベラス達に渡していなかったのかというと、
それはギンガマンがもともと「宇宙の平和を守る戦士」だったからでした。

正確に言えば、ギンガマンに変身するギンガの森の選ばれし戦士たちは
地球で生まれた、地球を守るための戦士でしたが、
ギンガマンの戦う力の源である星獣の力は宇宙の平和を守るために戦う使命の力なのです。
だからギンガマンにとっては宇宙の平和は戦って掴み取るものであり、
もともと「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しというものには抵抗があったのでした。

ならば、黒十字王の戦いを見て、マーベラス達に戦ってザンギャックを倒せる可能性を感じた
ゴレンジャーの海城剛たちのようにギンガマンもマーベラス達の可能性に賭けてもよさそうなものです。
しかしギンガマンの場合、彼ら自身がもともと
「宇宙の平和を守って戦う使命感」の重みというものを知っている戦隊であったので、
マーベラス達が本当に強い意思をもって宇宙の平和のために戦うことが出来るのか、
もう少し見極めなければいけないと思ったのです。

確かに黒十字王との戦いはかつてない強敵との戦いであり、
勝ち目の薄い相手に立ち向かうマーベラス達の不屈の闘志は大したものであることは
ギンガマンの面々にも理解は出来ました。
しかし黒十字王との戦いはいきなり襲われて自衛のために戦ったようなものであり、
あれだけではマーベラス達が進んで宇宙の平和のために戦う強い意思を持っていると
判断することは出来ませんでした。
それで判断は保留にしていたのです。

まぁ、もし地球に切迫した危機が迫っている状況ならば、
判断の保留などという呑気なことも出来なかったのでしょうけれど、
マーベラス達とほぼ同時に地球への攻撃を開始した今回のザンギャック軍が意外と弱体で、
ゴーカイジャーだけでも地球を守れてしまいそうな状態だということは、
この頃にはスーパー戦隊の戦士たちにも理解出来てきたようで、
慌ててマーベラス一味に「大いなる力」を渡さなくても
すぐに切羽詰った状態にはならないと判断した幾つかの戦隊は
慎重にマーベラス一味を観察するようになっていたのであり、
ギンガマンもそうした戦隊の1つでした。

そうしてマーベラス一味を見極めようかと思っていた矢先、
ギンガマンの元戦士たちは予期せぬバスコの襲撃を受け、
バスコの狙いが自分達の持つ「大いなる力」だと気付くと、
「大いなる力」を守るため、ヒュウガがバスコを食い止めている間に他の5人は結界の外に逃げたのでした。
ヒュウガもその後すぐに逃げるはずでしたが、召喚戦士の攻撃で足に傷を負って逃げられなくなり、
追い詰められていたところにマーベラス達と出くわして危機を救われたのでした。

しかし鎧と共に逃げたヒュウガは、
鎧がスーパー戦隊に憧れていて子供の頃から地球や宇宙を守るヒーローになるのが夢だったと言い、
自分などはまだまだヒュウガなどに比べたらヒヨっ子だと言ってヘラヘラ笑いながら妙に謙遜するのを見て、
不満に思いました。

つまり鎧は本気で宇宙を守って戦おうとしているわけではなく、
単にスーパー戦隊の戦士になりたいという子供の時の夢を叶えようとしているだけなのではないかと
ヒュウガは疑念を抱いたのでした。
そんな甘い考え方では宇宙を守るために戦う強い意思を持ち続けることは出来ないと思ったヒュウガは、
鎧を試すために、ならばゴーカイシルバーの変身アイテムを自分に譲るようにと要求したのでした。

鎧が自分などは未熟者でヒュウガよりも戦士として劣ると思うのならば、
地球や宇宙を守るためならば鎧がゴーカイシルバーになるよりも
ヒュウガがゴーカイシルバーになった方がいいと判断し、
変身アイテムをヒュウガに譲るべきだというのが、ヒュウガの主張です。

鎧は予想外のヒュウガの要求に驚きますが、
確かに地球や宇宙のためならば自分が身を引いた方がいいのではないかと思ってしまい、
自分がゴーカイシルバーでありたいという気持ちとの間で揺れ動き、苦悩します。
ヒュウガはそうした心の迷いを示す鎧の姿を見て、
そんないい加減な気持ちで戦うつもりだったのかと思い、失望しました。

その時、マーベラスを振り切って追いかけてきたバスコが突然現れて2人を襲い、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーは弾かれて草むらに落ちます。
そしてバスコは怯んだヒュウガにラッパラッターを向け、「大いなる力」を吸い出しにかかります。
予想外の出来事に驚くヒュウガや鎧は為す術無く、「大いなる力」を奪われそうになりますが、
間一髪マーベラスが乱入してバスコに襲い掛かったので、バスコは「大いなる力」を奪うことを失敗しました。

そこでバスコは黒騎士のレンジャーキーを実体化してマーベラスと戦わせ、
ジョー達を撃破して追いついてきた他3体の召喚戦士も加わって
マーベラスは最強の番外戦士4人を相手に大ピンチとなりますが、
鎧は迷いの中にあるため、変身してマーベラスと共に戦う踏ん切りがつかず、
変身アイテムを拾いにも行かず立ち尽くし苦悩したままでした。
それを見てヒュウガは呆れて、自分が変身するしかないと思い、変身アイテムの方に向かいます。

その時、絶体絶命のマーベラスに向かってバスコがこの件から手を引いて退却するよう勧めます。
状況的にマーベラスに勝ち目は無く、このまま戦い続ければ死んでしまう。
いくら夢が大事だといっても、生きていてこそ夢は見ることは出来るのであり、
自分の命の方が大切に決まっている。命を捨てて夢を掴んでも仕方ない。
だからここは夢を諦めて「大いなる力」を譲ってくれるなら、命は助けてやってもいい。
その条件を受け入れて撤退するのが賢い選択だとバスコはマーベラスに諭したのでした。

しかしマーベラスは自分の夢は自分の手で掴み取るのが海賊なのだと言い放ち、
バスコの持ちかけた取引を拒絶し、夢を掴むためにあくまで命を賭けて戦い抜く姿勢を示します。
バスコは危険を冒してまで自分の手で夢を掴むことにこだわるマーベラスを度し難い愚か者だと思いましたが、
一方、そのマーベラスの姿を見て、鎧はマーベラスが自分を海賊の仲間として認めてくれたのは、
どんな苦難の道でも命を賭けて自分の夢を自分で掴み取る男だと認めてくれたからだと知り、
海賊となった以上は自分はその期待に応えなければならないと思いました。

ならば、第18話でマーベラス達に誓った「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢は、
自分の手で実現しなければいけない。
たとえ未熟者であったとしても、他の有能な戦士を差し置いてでも、自分がやり遂げたい。
そう強く思った鎧はヒュウガを押しのけて変身アイテムを奪い取り、
ヒュウガの分まで自分が地球や宇宙を守ると宣言したのでした。

それを聞いてヒュウガは安心し、鎧の地球や宇宙を守りたいという強い意思が、
命懸けで夢を掴もうとするマーベラス達に影響を与えて、
マーベラス一味の夢が地球や宇宙の平和となった時、
その不屈の「夢を掴む力」が本当に平和な宇宙を実現する力となるに違いないと期待することが出来たのでした。

そこにジョー達も駆けつけて、6人で戦ったゴーカイジャーは召喚戦士たちを撃破し、
黒騎士のレンジャーキーを奪い取りますが、バスコは他3つのレンジャーキーを回収して撤退しました。
バスコとしてはゴーカイジャーが意外にも番外戦士の召喚体まで破ったので、ますます慎重となり、
慌てて自分が変身して手の内を晒してゴーカイジャーと戦うことは避け、
自分の身を危険に晒すことは避け、またしても安全策をとったのでした。
それに、ヒュウガの意外に頑強な抵抗を受けたバスコは「大いなる力」を奪い取るのもそう簡単ではないことを知り、
何故かマーベラス達の邪魔が入ったことも合わせて、作戦の全体的な練り直しが必要だと思っていたので、
ここは撤退することにしたのでした。

そして戦いの後、ヒュウガは鎧にギンガマンの「大いなる力」と共に黒騎士のレンジャーキーを渡したました。
こうしてギンガマンの「大いなる力」を獲得して去っていったマーベラス一味を見送るヒュウガは、
そこに現れた弟の元ギンガレッドのリョウマから、
リョウマもマーベラス一味に賭けてみようと思ったことを告げられます。

実は召喚戦士に一旦敗れて川を流されていたジョー達を助けたのはリョウマであり、
その時、仲間を助けるためにすぐに再び戦いに戻っていったジョー達を見て、
リョウマは仲間のためならどんな危険にでも飛び込んでいこうとするマーベラス一味の仲間の絆が
宇宙の平和を実現するカギとなると直感し、彼らに賭けてみようと思ったのでした。
それを聞いてヒュウガは、マーベラス一味の夢を掴む力の根本にあるのは共に夢を掴む仲間の絆なのだと悟り、
やはり自分の決断は間違っていなかったと確信したのでした。

さて、このようにバスコとの再戦で勝利を収めたマーベラス達でしたが、
バスコが自分達の先回りをして「大いなる力」を奪おうとしていたことはマーベラス達にとっては衝撃でした。
しかもマーベラスはバスコがラッパラッターを使って
ヒュウガから「大いなる力」を強引に奪おうとしている現場を目撃してしまったので、
その衝撃は更に大きいものでした。

あんな強引な方法をバスコが使えるのなら、
自分達の方が「大いなる力」集めは不利になってしまったように思えて、マーベラスは危機感を募らせました。
それでバスコより早く「大いなる力」を集めてしまおうとして、
ナビィに早く次のナビゲートをするよう急かしますが、
どうもナビィの「大いなる力」に関するナビゲートはマーベラス一味の精神的成長の段階や、
レジェンド戦隊側の動向などに連動して、「この星の意思」やアカレッドによってコントロールされているようで、
マーベラスが望んだ通りのペースで発されるものではないようです。

むしろアカレッドはこの時、マーベラスの精神状態を心配していました。
バスコが「大いなる力」に狙いをつけ、ラッパラッターの使い方まで熟知しているというのは
アカレッドも半ば予想はしていたものの、実際にそれを見ると衝撃を受けました。
だからマーベラスも同様にショックを受けて、焦り始めるだろうということがアカレッドには予想がつきました。
しかしアカレッドはそうしてバスコとの「大いなる力」争奪戦という
予期せぬ新たな事態の影響でマーベラスが悪影響を受けることが心配になってきたのです。

つまり、マーベラスがバスコへの対抗意識に流されて、
バスコと同じように強引で性急、安直な方法で、とにかくお宝さえ手に入ればいいという考え方に
染まってしまうことを危惧したのです。
何故心配なのかというと、このまま順調に「大いなる力」を集めていき、
最終的にマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、
マーベラス達はそのお宝を使うか使わないか、選択を迫られることになるからです。

おそらくマーベラス達が34のスーパー戦隊の「大いなる力」を手に入れているということは、
その段階でマーベラス達は心の底から平和な宇宙を願うようになっているはずです。
つまりマーベラス達は「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れて、
そのお宝が自分達の夢を叶えることが出来ると知った時、
自分達の本当の夢が何なのか初めて知ることになる。
その段階で既に34戦隊の想いを引き継いだマーベラス一味であれば、
その夢は必然的に「宇宙の平和」となります。

しかし問題はここからであり、
もしマーベラス達がバスコとの「大いなる力」争奪戦の中でバスコのような考え方に染まり、
バスコのように欲しいものが手に入ればそれでいい、目的が叶えばそれでいいという
安直な考え方に基づいて「宇宙最大のお宝」を手に入れていたとしたら、
きっとマーベラス達は「平和な宇宙」という夢を最も安直に叶えてくれる、
お宝を使った宇宙の作り直しの道を選んでしまうことでしょう。

しかし、それは間違った道だとアカレッドは確信しています。
「赤き海賊団」壊滅事件の際のバスコの堕落を見て、
アカレッドは自分で傷を負って戦い掴み取った夢でなければ、その夢は歪んでしまうということを悟ったのです。
だから、宇宙の平和もお宝を使って安直に実現してしまってはいけない。
戦って掴み取らなければ意味は無いのです。

つまり、夢を実現することが大切なのではなく、その過程で自分が掴み取ることが大事なのです。
しかしバスコへの対抗意識が強くなって焦ったマーベラスは案の定、
その大事なことを忘れてしまいそうになっている。
そう見て取ったアカレッドは、まず現時点の「宇宙最大のお宝」を得るまでの過程の大切さを
マーベラス達に思い出させておかないといけないと思いました。

ただ、自分の存在をマーベラスに知らせるべきではないし、
こういうことは言葉で言っても本当に伝わるものではない。
行動の中で本人が実感するように誰かが導いてやらないといけないと、アカレッドは思いました。
そして、マーベラスにお宝を得るまでの過程の大切さを思い出すよう導く役目の最適任者の意識に向けて
語りかけたのでした。

その最適任者が30番目のスーパー戦隊のボウケンジャーの元ボウケンレッドの明石暁でした。
明石はアカレッドとは旧知の仲であり、
既に黒十字王との戦いの際にマーベラス達にボウケンジャーの「大いなる力」を渡しており、
マーベラス達にお宝を使わずに戦って宇宙を救える可能性を見出し期待していましたから、
アカレッドがまだ思念体としても不完全でレジェンド戦士たちと詳細な意思の疎通が出来ない現状においても、
明石ならばアカレッドの意図を理解してアカレッドの要請に応じてマーベラス達を導いてくれると見込めました。

そしてなんといっても明石は地球で一番の冒険家でありお宝ハンターですから、
きっとマーベラス達にお宝を得る過程の大切さを教えてくれるはずであり、
また、明石のお宝探しに関する言葉であればきっと説得力をもってマーベラス達に伝わるはずだと、
アカレッドは期待しました。

そうしてアカレッドは明石の意識に語りかけ、マーベラス一味と一緒にお宝探しに行ってほしいと伝えました。
それ以上詳細な遣り取りは出来ませんでしたが、
明石はアカレッドがわざわざ自分に頼んでくるということは
マーベラス達の関わる今後の宇宙を救う計画において何か意味があるのだろうと思い、
その依頼を引き受け、ちょうど予定していたプレシャス「黄泉の心臓」の回収ミッションに、
アカレッドの依頼であることは伏せて、マーベラス達を連れていくことにしたのでした。

そういうわけで第21話、いきなりガレオンに現れた明石は
黒十字王との戦いの際に「大いなる力」を渡したお返しに、
死者を甦らせる危険なプレシャス「黄泉の心臓」の回収を手伝ってほしいとマーベラス達に依頼します。

太古に滅びた超古代文明の遺跡が最近発掘され、
その奥には人知れず「黄泉の心臓」が眠っていることを明石の属するサージェス財団が嗅ぎ付け、
危険なプレシャスである「黄泉の心臓」を人知れず確保して悪用されないよう封印するのが
明石に下されたミッションでした。
それを手伝うよう明石はマーベラス一味に求めたのでした。

「大いなる力」も貰った恩義もあり、
ちょうどナビゲートも無い時期なので退屈していた他の仲間たちは乗り気になりますが、
バスコより早く「大いなる力」を集めることしか頭に無くイライラしていたマーベラスはこれを断ります。
しかし明石に自信が無いのかと挑発されるとマーベラスはすぐにカッとなって結局引き受けてしまい、
一行は明石の案内でその遺跡へ向かいました。

すると途中で同じく「黄泉の心臓」を狙って現れたインサーン率いるザンギャック部隊と戦闘になり、
ジョーとハカセとアイムと鎧がザンギャック部隊を食い止めている間に
マーベラスとルカと明石が遺跡に向かいました。

そうして目的地に近づくにつれて、マーベラスの余裕の無い様子を見て、
明石はマーベラスが何かに焦って自分を見失っていることに気付き、
アカレッドがそれを心配して自分をマーベラスの許に行かせたのであろうということが分かってきました。
それで、とっととプレシャスを手に入れてミッションを終わらせようという焦りのために
トラップに引っ掛かりそうになったマーベラスを助けた明石は焦りは禁物だとたしなめ、
マーベラスはかつて赤き海賊団に入りたての頃にアカレッドと共にレンジャーキーを探しに行った時、
早くお宝を手に入れたくて焦ってトラップに引っ掛かってアカレッドに助けられたことを思い出しました。

マーベラスは別に「黄泉の心臓」などには興味は無く、
早くそれを手に入れて明石の鼻を明かしたかっただけだったのだが、
その焦りからミスをして、お蔭で昔の失敗を想い出して、
自分がお宝を求める気持ちが強いあまり、焦って周りが見えなくなる
悪いクセがあることを思いだすことが出来ました。

それで落ち着きを取り戻したマーベラスの活躍もあって「黄泉の心臓」の目の前まで辿り着いた3人でしたが、
先回りしていたボウケンジャーの宿敵ジャリュウ一族によって「黄泉の心臓」は奪われ、
かつて明石によって倒されたジャリュウ一族の長であるリュウオーンが
「黄泉の心臓」によって復活して襲ってきて、3人は遺跡の中に閉じ込められて気を失ってしまいます。

そうして黄泉の心臓によって異常に強化されたリュウオーンは
宿願である人類への復讐を果たそうとして地上に出て、
手始めに交戦中のジョー達4人とインサーンを襲いました。
これを受けてインサーンは撤退し、残ったジョー達はリュウオーンの圧倒的パワーの前に大ピンチとなります。

一方、遺跡の中で目を覚ましたマーベラスは目指していた宝「黄泉の心臓」が奪われたので、
バスコに出し抜かれる未来を暗示しているように思えて不愉快になり、
こんな冒険は意味が無かったと愚痴ります。

それを聞いた明石は、かつて宝をひたすら求める欲望の狂気に取りつかれて
道を踏み外して邪道に墜ちたリュウオーンの悲劇を思い出し、
マーベラス達にも今まで冒険は宝以外の大事なものをもたらしてきたはずだと説きました。
そして、それは「冒険する喜び」なのだと明石はマーベラスに言います。

冒険は宝を得るためだけに行うものではなく、
冒険の過程で感じる喜びこそがボウケンジャーにとっては真の宝でした。
そのことが分かっていれば、かつてのリュウオーンも邪道に墜ちることは無かったが、
リュウオーンはただ宝を手に入れることだけを目的とした醜い争いの中で裏切られて復讐鬼と化して、
自身も邪道に墜ちました。
明石はボウケンジャーの「大いなる力」を受け継いだマーベラス達にリュウオーンの辿った道ではなく、
ボウケンジャーの辿った道を行くよう求めたのでした。

その明石の「冒険する喜び」という言葉を聞き、
マーベラスは自分がアカレッドとの冒険の中で学んだのは、その「冒険する喜び」、
つまりお宝そのものよりも、お宝を得る過程にこそ意味があるということであったことを思いだしました。
だからこそ自分は共に宝を探し夢を掴む仲間を求めたのでした。

逆にバスコは「赤き海賊団」時代から自身であまり積極的に冒険に出てレンジャーキーを集めようとはせず、
いつも楽してお宝を得ることばかり考えていた。
つまりバスコには「冒険する喜び」は理解出来ず、それゆえ仲間も必要としない。
自分がバスコに対して優位に立てる点は「冒険する喜び」を知っていることだとマーベラスは気付き、
お宝を得る過程に意味があるということを忘れない限り、
バスコに先を越されてもやたらと焦る必要は無いのだと悟りました。

そうして立ち直ったマーベラスに対して、明石もミッション達成まで諦めることはないことを宣言し、
リュウオーンを追撃して「黄泉の心臓」を悪用を防ぐため破壊すると言いますが、
マーベラスとルカはそれに異を唱え、遺跡を脱出した後、ジョー達と合流して6人でリュウオーンに戦いを挑み、
奇策を用いてリュウオーンの身体から黄泉の心臓を奪い取り、回収して明石に渡したのでした。

破壊と回収ならば破壊の方が安全なミッションのはずでしたが、
マーベラス達があえて危険を冒しても回収を選んだのは、
海賊にとっての「冒険する喜び」が、「欲しいものは自分の手で必ず掴み取ること」だったからでした。
その自分たち海賊の流儀を貫くことで、マーベラスはバスコとの競争での焦る気持ちを克服することにしたのでした。

一方、明石はマーベラス達が冒険で得た大事なものが
「夢は自分の手で掴み取るべきだという気持ち」であることを知り、
かつてマーベラスと共に冒険をしたアカレッドがマーベラスのこの気持ちを取り戻すために
自分をマーベラスの許に遣わしたのだと、アカレッドの真意を悟ったのでした。

何故なら、その「夢は自分の手で掴み取るべき」という想いこそが、
このマーベラス達の冒険の最終局面で受ける試練、
すなわち「宇宙最大のお宝」を手にした時に、お宝の力を使うべきか、使わないべきかの選択において、
アカレッドや明石の期待する道をマーベラス達に選ばせるポイントとなるからでした。

お宝の力を使って宇宙を作り直して楽に平和な宇宙を作る道を拒絶して、
お宝を使わずに戦って宇宙の平和という夢を自分の手で掴み取ることこそ、
アカレッドや明石がマーベラス達に期待している道であり、
マーベラス達が「夢は自分の手で掴み取るべき」という想いを持ち続ける限り、
きっとマーベラス達はアカレッドの期待に応えてくれる。

そういうことだったのだとアカレッドの真意を悟った明石は、
その後、黄泉の心臓を使った影響で暴走したリュウオーンが
ボウケンジャーの大いなる力を使ったマーベラス達に倒されるのを見て、
夢を自分の手で掴み取る喜びを知らない者の得た夢は所詮は歪んで崩れ去るのであり、
自分の身を危険に晒しても自分で夢を掴むことに意義を見出す者こそが真に夢を掴む者となるのだと確信し、
自分がマーベラス達に賭けたことは間違いではなかったと思ったのでした。

そして、このマーベラス一味のリュウオーンに対する勝利は、
リュウオーンと同じく夢を真に自分の手で掴み取る喜び、自分を危険に晒しても掴み取る喜びを知らず、
他人の犠牲の上でしか夢を掴めないバスコが
マーベラス達に最終的に敗北することも示唆していたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:21 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月10日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その12

改めて振り返った「ゴーカイジャー」の第1話から第12話までの、いわばこの物語の「第1部」というのは、
地球にやって来たマーベラス一味がザンギャックと戦ったり、スーパー戦隊の戦士たちと出会ったりしながら
「大いなる力」と「この星を守る価値」を探すという比較的シンプルな構成になっており、
この第1部においては、マーベラスとジョーとルカの3人は「宇宙海賊」としての
ブレない姿勢を示すキャラとして描かれており、
ハカセとアイムがまだ海賊として一人前でない成長キャラとして描かれています。

これはマーベラスとジョーとルカの3人をブレない海賊キャラとして描くことで
「海賊戦隊」というこの作品の主人公の独特のスタンスを視聴者に知らしめるためであり、
ハカセとアイムを半人前の海賊として描いたのは、
ともすればマーベラスたち古参組3人が視聴者の子供には親近感が抱きにくいキャラであるので、
それをカバーするために一般視聴者に近いスタンスの2人を主人公サイドに配したということでしょう。

しかしハカセとアイムにしても、あくまでその成長のベクトルは一般人の方向ではなく海賊の方向に向いています。
ハカセとアイムが一人前の海賊に成長していく過程に感情移入しながら、
視聴者も「海賊戦隊」の世界に慣れていく構成になっているのです。

そういうわけですから、この第1部においてはマーベラス一味はベクトルは完全に「海賊」の方向に向いています。
それゆえ彼らが「大いなる力」を獲得するに際しては、
マーベラス一味の方からスーパー戦隊側に歩み寄ったり、理解を示したりする描写は抑え目であり、
どちらかというとスーパー戦隊の元戦士たちがマーベラス一味の中に自分達と同じものや、
それを超える新たな可能性を見出して「大いなる力」を与えるという構成になっています。

そして「この星を守る価値」についても、
第12話の志葉薫との遣り取りにおいて、この時点での一応の結論を出しています。
つまり、マーベラス一味が地球を守ってザンギャックと戦うのは、それが自分達の戦いだからだとなっています。

最初は宝探しの邪魔者を排除するためだけに戦っていたつもりだったが、
地球に来てからザンギャックと戦っているうちに、
自分達がザンギャックと戦う理由はそれだけではないということがマーベラス達には分かったのです。
ザンギャックと戦うことは、絶望の宇宙で夢を掴むために旅をする海賊の誇りを守るための
必然の戦いであったということにマーベラス達は第12話で気付き、
一気にモチベーションを高めたマーベラス達は皇帝親衛隊隊長のデラツエイガーを撃破したのです。

この時点でマーベラス達にとって、第2話から探し始めた「この星を守る価値」は一旦回収されたといえます。
それは彼らにとっては自分達の海賊としての戦いの意義を確認させてくれるきっかけであったのです。
しかし、それはあくまで彼らにとっての「地球を守って戦う意義」であって、
第2話の少年が言っていたような普遍的な「この星の価値」にはほど遠い。
ただ、ここで一旦「この星の価値」については第12話でマーベラス一味の個人的解釈による結論を出して、
一旦この問題は脇に置いて、物語を進めていくことになります。

何故そうするのかというと、
ここで一気に「この星の価値」の普遍的な意味にまで突っ込んでいくと、
一気にマーベラス一味が「地球を守る正義のスーパー戦隊」になってしまい、物語が終わってしまうからです。
この「宇宙海賊がスーパー戦隊になる」物語を1年間もたせるためには、
そう簡単に宇宙海賊がスーパー戦隊になってしまってはいけない。
まだしばらくマーベラス一味は「宇宙海賊」のままでいてもらわないといけないのです。

だから、第12話までの展開の中でマーベラス一味はあくまで「海賊」のスタンスを維持したまま
レジェンド戦士たちに認められて「大いなる力」を貰い、
「海賊」としての戦いの意義を確認したことをもって彼らが「この星を守る価値」と解釈しました。

ここまでして彼らが「海賊」であることを強調しなければいけなかったのは、
物語の序盤なので「海賊戦隊」を強調する意義があったからだとも言えますが、
実際にはマーベラス一味がどんどん「海賊」から離れていきつつあったので、
逆に「海賊」を強調する必要があったからだと言えます。

戦隊総集合企画ということで主人公戦隊を「地球を守る義理が無い宝探しをする戦隊」ということにしたが、
そうなると物語に地球が関係無くなってしまって視聴者がいきなり序盤から感情移入出来ない。
だから主人公のマーベラス一味が戦う敵は「地球を侵略しようとする敵」であるザンギャックということにして、
この目的が食い違う者同士が成り行きで戦うことにしたのです。
こうすれば序盤からマーベラス一味の戦いに視聴者は感情移入出来ます。

しかし、そうやって地球を侵略する敵と戦っていると、
マーベラス一味はどんどん「地球を守るヒーロー」っぽくなってきて、
あまり「海賊」っぽく見えなくなってきてしまいます。
第1部はそのようにマーベラス一味の「脱海賊化」がどんどん進んでいたのであり、
それがあまりに早く進むと物語構成上でマズいので、
第1部ではことさらにマーベラス一味を「海賊」として強調する作劇がなされて調整されていたのでしょう。

しかし、やはり毎回ザンギャックの地球侵略作戦を邪魔ばっかりしている以上、
どれだけ「海賊」っぽさを強調しても、どうしてもマーベラス一味が普通のスーパー戦隊に見えてきてしまいます。
最終的にはそこに物語は着地するのですが、そのスピードを少し鈍らせないと、1年もちません。
そこで第2部からはマーベラス一味の「海賊」っぽさをより強調していくことになります。

第1部でザンギャックとの戦いをしっかり描いたことによって、
マーベラス一味に対して視聴者の感情移入を促すことには成功していますから、
ここからはマーベラス一味の直接地球の運命とは関係無い「宝探し」という
「海賊」としての本職の方にまつわる戦いを描いていっても大丈夫な段階となったので、
第2部以降は、ザンギャックから地球を守る戦いだけでなく、「宝探し」に関わる戦いが描かれることになり、
ザンギャックは第1部に比べると、やや影が薄くなります。
ここでマーベラス達の「宝探し」のライバルとして登場してくるのがバスコです。

しかし、マーベラス一味とバスコとの「宝探し」のバトルだけで終始するわけではなく、
ザンギャックとの戦いも相変わらず描かれますから、
ここでマーベラス達の「脱海賊化」は進行してしまいます。
そこで対ザンギャック戦も含めた全般的なマーベラス一味の「正義のヒーロー化」を肩代わりさせるキャラとして
第2部で投入されたのが追加戦士ゴーカイシルバーの伊狩鎧です。

第13話から始まる第2部は、冒頭の第13話と第14話は東日本大震災の影響で
「199ヒーロー大決戦」映画(時系列的にバスコ登場篇の後)の公開が遅れた影響で
バスコ登場篇の前に挿入することになったと思われるエピソードなので、
内容的には第1部の流れをそのまま引きずったものになっており、
実質的にはその次の第15話のバスコ登場篇から第2部の内容となります。

そして第21話のボウケンジャー篇までの第2部前半は、
バスコや鎧など新登場キャラに関連して物語を整理しつつ、
マーベラス一味は「海賊」としての側面が強調された描き方をされますが、
第22話以降の第2部後半は、鎧の加入によって微妙にマーベラス達の意識も変化していき、
再びザンギャックとの戦いの中でマーベラス一味にとっての地球人を守って戦うことの意義が問い直されていき、
ここでは第1部では海賊としてのスタンスに揺るぎの無かったマーベラスとジョーとルカのスタンスにも
微妙な変化が生じてきます。

また、この中で、第16話終了後に挿入される春映画「199ヒーロー大決戦」は
第1部の流れを受けた、マーベラス一味の「正義のヒーロー化」が強調された内容となっており、
一方、第23話終了後に挿入された夏映画「空飛ぶ幽霊船」は
第2部の流れを受けた、マーベラス一味の「海賊」の側面が強調された内容になっています。

さて、では第2部ですが、第1部からの話の繋がりから説明しますと、
第10話で地球を焼き払うために使おうとしたギガロリウムを
逆にゴーカイジャーによって艦隊めがけて撃ち込まれてしまい、大損害を出したザンギャック地球侵略軍は、
艦隊を使ったまともな作戦が出来なくなり、
地上部隊を送り込んでケチな破壊工作をするばかりになってしまいました。

その上、第12話でザンギャック本星から派遣された皇帝親衛隊の隊長であるデラツエイガーまで
ゴーカイジャーに倒されてしまったとの報告を受けて、本星の皇帝アクドス・ギルは驚きました。
しかしアクドス・ギルは、それでもさほど地球方面の情勢を心配はしていませんでした。
宇宙最強の男といわれるダマラスがいる限り、
たかが宇宙海賊ごときにザンギャック軍が敗れるなどということは有り得ないと確信していたのでした。

デラツエイガーを派遣したのもダマラスを発奮させるためだったのであり、
デラツエイガーを倒すほどの相手ならば、どちらにせよダマラスを差し向けるしかない。
そのダマラスが地球侵略軍に既に居るわけですから、
アクドス・ギルとしても、あとはダマラスに任せるしかないと思っていました。
そしてダマラスが海賊ごときに遅れをとるはずがないとも思っていました。

それだけ皇帝のダマラスに対する信任は厚かったというわけですが、
まさか皇帝も自分の息子のワルズ・ギルが変な誤解をしてダマラスを疎んじているとは知らず、
ダマラスも何故自分が疎んじられているのかサッパリ分からず困惑していました。

とにかくワルズ・ギルに出撃を禁じられてしまっているダマラスは
マーベラス一味を倒したくても直接戦うことが出来ない。
しかしこのまま何もしないままでは作戦失敗の全ての責任を負わされてしまう。
とにかく早く、何故か邪魔してくるマーベラス一味を片付けて地球侵略を成功させねばなりません。
といってもデラツエイガーを倒すほどの実力を持ったマーベラス一味に対して、
ダマラス自身は勝つ自信は十分にありましたが、
自分以外でマーベラス一味を確実に倒せそうな力を持つ者というと、
ダマラスの動かせる行動隊長の中では心当たりはありませんでした。
だいいち行動隊長を動かしても、どうせまたワルズ・ギルにバレてしまって邪魔をされるに決まっています。

そこでダマラスは仕方なくバスコを呼び寄せることにしました。
バスコならば実力的には申し分なく、
正規軍人でないダマラスの私兵のようなものなのでワルズ・ギルにバレないように動かせます。
それにバスコはマーベラスや「宇宙最大のお宝」を探しているので、
それらが地球にあると知らせれば喜んでやって来るはずです。

そしてバスコを呼び寄せれば、勝手にマーベラス一味の始末をするだろうとダマラスは考えました。
仮にバスコがマーベラス達の命までは取らなかったとしても
「宇宙最大のお宝」とやらをバスコが奪ってしまえば、マーベラス達が地球にいる意味は無くなり、
マーベラス達はバスコを追って地球を離れるはずだとダマラスは考えました。

しかしダマラスはバスコという男のことを根本的に信用していない。
バスコもまた内心でダマラスのことを嫌っていることは、ダマラスも分かっています。
だからダマラスはバスコを完全にコントロール出来る自信は無く、
自分が自由に身動き出来ない状況でバスコを呼び寄せるのは不安でしたが、
こうなっては背に腹は代えられないと思い、バスコを呼ぶことにしたのでした。

一方、ワルズ・ギルは戦力ダウンしてしまったザンギャック地球侵略軍で効率的な作戦を立案しようとして、
地球に大量の猛毒を発するプワゾール鉱石の隕石が落下したと聞き、
それを使って地球人を皆殺しにしようと思い、その回収を命じます。
第13話は、そんな危険なものとは知らずにたまたまこの隕石を拾った男が
金に困ってアイムをお金持ちの子女と勘違いして誘拐してマーベラス一味に身代金の要求をしてしまったために、
ザンギャックとマーベラス一味の双方から追われることになってしまうというお話です。

この時、誘拐された立場のはずのアイムが
ザンギャック怪人からこの誘拐犯の男と一緒に逃げるという成り行きになります。
そして、アイムを誘拐したために凶悪な海賊に追われ、
厄介な隕石を拾ってしまったためにザンギャックに追われるという面倒なことに巻き込まれた不運を嘆く
誘拐犯の男に対して、アイムは母星を滅亡から救うことも出来なかった自分のことを引き合いに出し、
隕石を拾ったことによって母星を救う機会を得た貴方は幸運なのだと諭しました。

そしてアイムは、母星を滅亡から救うことも出来なかった無力な自分でも
生き延びたことによって新たな道が見つかったのだから、
母星を滅亡から救うことが出来た誘拐犯の男ならば、生きていればきっと新たな道が開けるはずだと励ましました。

誘拐犯の男はアイムが追いかけてきたザンギャック部隊から自分や危険な隕石を守って懸命に戦う姿を見て、
マーベラス一味が海賊とはいってもザンギャックから弱い人々を守る海賊だと知り、
アイムの見つけた「新たな道」というのが、ザンギャックと戦って人々を守ることだと気付きました。
つまり、ザンギャックに母星を滅ぼされるという絶望を味わってもなお、
アイムがその絶望に沈むことなく跳ね返して、
ザンギャックと戦い、絶望に立ち向かっていこうとしているのだと、男は悟りました。
それによって男は自分も借金苦という絶望に立ち向かって粘り強く頑張ってみようと心に誓い、
立ち直ることが出来たのでした。

続く第14話は20番目のスーパー戦隊のカーレンジャーの元レッドレーサー、
陣内恭介に一目惚れしたザンギャックの女幹部インサーンが
友人の行動隊長ジェラシットに恭介を誘拐してくるよう依頼し、
インサーンに惚れているジェラシットが嫉妬に狂って暴走するというお話です。

この世界におけるカーレンジャーの連中というのは、
ボーゾックとの戦いが終わった後は赤青黄緑桃の5色のカーレンジャーに変身した姿で
「5色の信号機」という寸劇をして子供たちに交通安全の大切さを説いていたようです。
ところがレジェンド大戦の結果、彼らは変身出来なくなってしまったので、その寸劇が出来なくなってしまいました。
しかもいずれ宇宙を救うために存在が消滅するのだという自らの運命を知りますが、
彼らは自分達の消滅のことよりも、
子供たちに交通安全を教えることが出来なくなってしまったことに落胆してしまいました。

しかし、そんな中、元レッドレーサーの陣内恭介は別の方法で子供たちに交通安全を教えるべく、
1人で紙芝居などで奮闘していたが、そこにジェラシットが襲ってきて、
たまたま通りかかったマーベラス達に助けられます。
そして恭介はマーベラス達が変身したゴーカイジャーの姿が
カーレンジャーと同じ赤青黄緑桃の5色の戦士姿であるのを見て、
カーレンジャーの「大いなる力」を渡すのと引き換えに
マーベラス達に「5色の信号機」の寸劇をさせることを思い付き、
再び襲ってきたジェラシットを倒した後、変身したマーベラス達と共に子供たちの前で寸劇をします。

そこで開き直って懸命に信号機を演じるマーベラス達を見て歓声と拍手を送る子供たちの姿を見て、
恭介はカーレンジャーの最も大切なやるべきことは交通安全を教えることではなく、
全力でヒーローしている姿を見せて子供たちを笑顔にすることだと気付き、
マーベラス達ならばカーレンジャーとしての務めを引き継いでくれると確信し、
カーレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

ここにおいて、マーベラス一味は半ばイヤイヤながらも
子供たちと公園で遊んだりするまでに急激にデレてしまいましたが、
これはあくまで一時的なことであり、ここから実質的に第2部が始まり、
マーベラス達は「海賊」としての強面な側面を強めていきます。

そのきっかけとなったのが第15話、第16話の前後篇で、ここで遂にバスコが地球にやって来ます。
バスコはダマラスからマーベラスが新たな仲間を引き連れて地球という星に来ており、
そこで「宇宙最大のお宝」を探しているという報せを受けて驚きました。
「地球」というと、アカレッドやレンジャーキーを生み出したという星であることを
バスコはアカレッドの部屋にあったメモを見て知っていたからです。

しかも同じくアカレッドのメモにあった「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要だとされる
「大いなる力」というものについても、
現在地球でマーベラスが集めて回っており、それが全部で34個あるのだと
ダマラスの報せには書いてありました。

バスコはアカレッドが宇宙の何処かにある「宇宙最大のお宝」の在り処を探していたのだと思っていましたから、
まさかアカレッドの故郷の星である「地球」に「宇宙最大のお宝」が存在しているとは予想していませんでした。
しかしダマラスからの報せを受けて、その考え方は盲点であったことにバスコは気付きました。
アカレッドは「宇宙最大のお宝」も「大いなる力」も自分の星に存在することを知っていたからこそ、
あれだけ確信に満ちた態度でレンジャーキーを集めていたのだ。
そのようにバスコは思いました。

ずっと行方が掴めなかったマーベラスが地球に腰を落ち着けて「宇宙最大のお宝」を探しているというのなら、
それはナビィのナビゲートによるものなのであろうから、
まず地球に「宇宙最大のお宝」も「大いなる力」も有ると考えて間違いない。
そしてマーベラスが「宇宙最大のお宝」がある地球に導かれてきているということは、
マーベラスがあの「赤き海賊団」壊滅事件の時に宝箱の中にあったレンジャーキーを
全部集めて持っているということを意味していることもバスコには分かりました。
当然マーベラスはガレオンに乗ってナビィも伴っているはず。
つまり、バスコの欲しいものが今、地球に揃っているのです。

バスコはすぐにでも地球に飛んでいきたかったが、
ダマラスがわざわざ自分にそんなことを報せてくるのはどうしてなのか用心深く考えました。
バスコは基本的にダマラスのことも信用していませんから、
ダマラスに都合よく利用されるのは勘弁願いたいと思い、わざと返答を渋ってみせ、
それで業を煮やしたダマラスは自分が今ワルズ・ギルに禁足令を出されていて
マーベラス一味を退治出来ないので代わりにバスコにマーベラス達を退治してほしいのだという事情を説明しました。
そして、それさえやってくれれば地球でのバスコの行動の自由は保証し支援も惜しまないと、
ダマラスは約束する羽目となったのでした。
そうして、バスコはダマラスが自由に動き回れないのならば自分の思い通りに動ける、安心だと思い、
ようやく地球にやって来ました。

一方、ちょうど時を同じくしてアカレッドの思念体も1年半ほどの休眠状態から目覚めて地球に舞い戻ってきて、
マーベラスが新たに集めた仲間たちと共に地球に来ていることを確認すると同時に、
バスコが地球にやって来たことにも気付きました。
アカレッドはせっかく新しい仲間のリーダーとして順調に成長しているマーベラスの前に
自分が思念体とはいえ姿を現したり声をかけたりしては、その成長の妨げになると思い、
自分の「大いなる力」を使ってナビィに働きかけて、
マーベラス達に危険が迫っているというビジョンをナビィに見せ、
ナビィにマーベラス達に向けて警告のナビゲートだけ発するよう仕向けました。

そしてマーベラスはバスコと遭遇し、バスコが生きていたことにまず驚愕しますが、
バスコが地球に「宇宙最大のお宝」があると聞きつけて、お宝を奪うためにやって来たと知り、
更にマーベラス達は衝撃を受けます。
ザンギャックという邪魔者はいるものの、地球では「宇宙最大のお宝」を狙っている者は
これまでマーベラス一味以外にはいなかったので、マーベラス達は余裕をもって宝探しを出来ていました。
ところが自分達と同じように「宇宙最大のお宝」を狙うバスコの出現は、マーベラス達には衝撃的だったのです。

マーベラス以外の4人はバスコのことは何も知らなかったので、旧知の仲と思しきマーベラスに事情の説明を求め、
それに応えてマーベラスは初めて4人の仲間に「赤き海賊団」時代の話、そして、その壊滅事件の話をします。
その上でマーベラスは裏切り者のバスコを始末するのは「赤き海賊団」の生き残りである自分の務めだと言って、
サシの勝負でケリをつけると宣言し、バスコの指定した決闘場所に向かいます。

マーベラスはバスコが「赤き海賊団」時代に真面目に戦っていなかった姿しか知らないので、
まともに戦えば自分の方が強いと思っており、
ましてや今はゴーカイジャーの力を得ているので自分が負けるはずはないと思っていました。
しかしジョー達はバスコが何か罠を仕掛けているのではないかと危惧して
マーベラスの後をこっそりつけていきました。

そして決闘場所に来たマーベラスの前でバスコは追加戦士5人のレンジャーキーを取出し、
それをラッパラッターで実体化して、サシの勝負という約束を破って
5人の召喚戦士にマーベラスを襲わせました。
追加戦士のレンジャーキーやラッパラッターの存在を知らなかったマーベラスは
バスコにアカレッドの背信も示唆されて動揺してピンチに陥りますが、
そこにジョー達4人が現れて5対5の戦いとなり、
モバイレーツで変身したゴーカイジャーとラッパラッターで実体化した召喚戦士とでは
ゴーカイジャーの方が強いので、マーベラス達が完全勝利を収めました。
しかしバスコは残り10人の追加戦士の召喚体も潜ませており、
召喚戦士が倒した5人だけと思って油断したマーベラス達を2倍の人数で不意打ちで倒します。

しかしバスコはダマラスの依頼に応えてマーベラス達を殺すことよりも、
まずは自分が「宇宙最大のお宝」を手に入れることを優先し、
ジョー達4人をフリージョーカーに連れ去って、
マーベラスに仲間4人とレンジャーキー、ナビィ、ガレオンの3点セットを交換するよう取引を持ち掛けました。
バスコはマーベラスが所詮は夢よりも仲間を優先する甘ちゃんだと見なしており、
仲間を人質にすればマーベラスから最も楽に「宇宙最大のお宝」を手に入れるための3点セットを
奪うことが出来ると思ったのです。

マーベラスは苦悩して、一旦は仲間を救うために3点セットをバスコに渡すしかないと決意しそうになりましたが、
アカレッドと出会って初めて「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れる決意をした時のことを思い出しました。
アカレッドに従ったわけではなく「夢は諦めたら手に入らない」と自分で心に決めたから
マーベラスは自分で決めて「宇宙最大のお宝」を追う海賊となったのです。
それは共に「宇宙最大のお宝」を追いかけてきた仲間4人も同じはずでした。
ならば、自分で夢を掴もうと決めて海賊となった者は決して夢を諦めたりはしないのだから、
仲間たちも決して夢を諦めてこの状況を絶望視はしていないはずだと気付きました。

仲間たちはきっとどんな絶望的状況でも最後の最後まで突破口を探して
夢を自分で掴み取ろうとしているはずだと気付いたマーベラスは、自分が諦めてはいけないと思いました。
逆に自分と仲間が共に最後まで夢を諦めずに突破口を求めれば、きっと状況は打開できると思ったマーベラスは
人質交換の場で仲間4人が応えてくれることを前提とした奇策を繰り出し、
これにジョー達が応えて状況をひっくり返し、3点セットを死守した上で仲間4人を取り戻し、
更に襲ってきた追加戦士10人の召喚体も撃破しました。

戦力比は2対1でマーベラス達に不利でしたが、戦士の心を持たない召喚体は絆が弱くて連係が甘く、
マーベラス一味の強い絆で繰り出される連携攻撃の前に敗れ去ったのでした。
召喚体は倒せばレンジャーキーに戻ってその場に落ちますので、
こうしてマーベラス達は先にゲットしていた5個と合わせて、
追加戦士のレンジャーキー15個の全てを手に入れることに成功し、
バスコは人造生命体のロイドを1体捨て駒にしてその場を逃げたのでした。

バスコはアカレッドに裏切られたと思い込んで「赤き海賊団」を裏切って以降、
夢を掴むためには大切な仲間さえ捨てねばならないという信念に凝り固まっており、
だから、仲間を捨てられないマーベラスには夢を掴む資格など無いと見下していました。
それゆえバスコはマーベラスに「仲間と夢の引き換え」の取引を持ちかけ、
マーベラスに自分は夢を掴む資格など無いのだと思い知らせてやろうとしたのです。

ところがマーベラスはこのバスコの取引には応じず、仲間も夢も自分の手で掴み取ろうとしました。
マーベラス一味にとって夢を掴む旅に仲間は不可欠なのですから、この決断は必然だったのですが、
何も捨てることなく欲しいものは掴み取るのが海賊として当然であるかのように言い放つマーベラスに対して、
バスコは苛立ちました。マーベラスはアカレッドの意思ではなく実際は自分の意思で行動しているのですが、
アカレッドの裏切りも知ろうともせず、未だにアカレッドに騙されたままのマーベラスごときが
生意気なことを言っているとしかバスコには思えなかったのでした。

しかし、そうした怒りは抑え込んでバスコは今回は撤退することにしました。
バスコはまだ最強格の番外戦士のレンジャーキー10個も持っており、
自身の怪人態という切り札も持っていたわけですから、ここで撤退するのは一見不可解です。
ただ、バスコはあくまで「宇宙最大のお宝」を確実に手に入れるために慎重になっており、
ここは安全策をとったのです。

バスコはアカレッドが「ゴーカイジャー」という戦士を用意していたことも知っており、
マーベラス達がその「ゴーカイジャー」に変身して戦うようになっていることも地球に来てから把握していましたが、
その「ゴーカイジャー」がどれほどの実力を持っているのか、まだよく分かっていなかったのです。
というか、最初はかなり甘く見ていたのでラッパラッターの召喚戦士を差し向けたのです。

ところが意外にもゴーカイジャーは召喚戦士よりも強く、
15個もレンジャーキーを奪われてしまったので、バスコは自分の判断の甘さを知って少し混乱してしまい、
ゴーカイジャーの実力をしっかり見極めるまではマーベラス達に直接手を出すのは得策ではないと判断して、
慌てて撤退したのでした。
そして、34個あるという「大いなる力」の大部分はまだマーベラス達も手に入れていない模様だと
ダマラスから聞いていたバスコは、ゴーカイジャーの実力を見極めるまでの間、
先に「大いなる力」の方を集めようと、作戦を変更したのでした。

また、この失敗した作戦の時点ではバスコは3点セットを奪えば
約束を破ってマーベラス達を殺すつもりでいましたから、十分に殺意はあり、
それはダマラスも分かっていましたから、
これは単なる作戦失敗であり、次のチャンスでマーベラス一味を抹殺してくれればそれでいいと思ったダマラスは、
バスコを咎めはせずに、ワルズ・ギルに隠れて秘かに支援を続けることにしたのでした。

一方、マーベラス達はバスコに怪人態があることはまだ知りませんし、
バスコが大人しく撤退したので、バスコの手持ちのレンジャーキーも奪った15個で全部だと思い込みました。
それにマーベラス達はラッパラッターの本当の性能である
「大いなる力」の強制的な吸出し機能についても知りません。
だから、もはやバスコにはゴーカイジャーに対して打つ手が無いだろうと思い、
マーベラス達はひとまず安心したのでした。

さて、しかし思念体となって地球に舞い戻ったアカレッドはバスコにまだ奥の手があることは分かっています。
それでもマーベラス達に直接メッセージを送るわけにもいかないので、
アカレッドは肉体を失う前に手をつけようとして作業にとりかからず終わっていた、
ゴーカイジャー6番目の戦士を誕生させることにしました。
そして当初の計画通りにその6番目の戦士ゴーカイシルバーを地球人として、
マーベラス一味とスーパー戦隊の橋渡し役とすることによって、
マーベラス達に早く「大いなる力」を集めさせようと考えました。

ちょうど良いタイミングで、もともとアカレッドが6番目の戦士に使わせるために別にしていた
15個の追加戦士のレンジャーキーをマーベラス達が手に入れたので、
アカレッドはさっそく6番目の戦士の変身アイテムを作ろうとしました。
しかし、肉体を失ってしまったアカレッドは単独では変身アイテムやレンジャーキーを作るほどには、
まだ力が回復しておらず、自分と同じく肉体を失って思念体となっているレジェンド戦士の3人に協力を仰ぎました。

それが16番目のスーパー戦隊のジュウレンジャーの元ドラゴンレンジャーのブライ、
24番目のスーパー戦隊のタイムレンジャーの元タイムファイヤーの滝沢直人、
27番目のスーパー戦隊のアバレンジャーの元アバレキラーの仲代壬琴の3人でした。
この3人の力を借りて、更に「この星の意思」の力も使って、
アカレッドはゴーカイシルバーの変身アイテムやレンジャーキーを作ろうとしますが、
その前に、レンジャーキーを回収する旅であったはずのアカレッドの旅がどうして中途半端で終わって、
マーベラス一味がゴーカイジャーとして地球に降り立つということになったのか、
その経緯をアカレッドはレジェンド戦士たちや「この星の意思」に説明せねばなりませんでした。

この中では、もともと「この星の意思」は
必ずしも「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しという解決策にこだわってはおらず、
ザンギャックの支配下でザンギャックと戦おうとしている宇宙人が
事態の解決の担い手になるという考え方でアカレッドと共通しており、
そのアカレッドが選んだキーパーソンがマーベラス一味であるというのなら、
「この星の意思」としては、その判断を受け入れることに迷いはありませんでした。

ただ、「この星の意思」はアカレッドのようにマーベラスと旅をしたわけではありませんから、
アカレッドの期待するような「マーベラス一味がスーパー戦隊の力を使って戦ってザンギャックを倒す」
というような解決策に絞って賭けることは出来ませんでした。
それでもマーベラス一味がキーパーソンとなる35番目の戦隊の資格者であることは認めた「この星の意思」は、
その6番目の戦士の変身アイテムを作ることに協力することは了承してくれました。
「この星の意思」もまたアカレッドと同じ思念体ですから、そのあたり密接な意思の疎通は可能なので、
アカレッドの言わんとすることは「この星の意思」はよく理解出来たのでした。

しかしスーパー戦隊の方は、もともと宇宙人が35番目の戦隊になるとは全く想像もしておらず、
その宇宙人がスーパー戦隊の想いを受け継いでザンギャックと戦う可能性を語るアカレッドの言葉が
頭の中に語りかけてきても、どうにも実感が湧かずに戸惑うばかりで、あまり芳しい反応は有りませんでした。
しかし、その中でアカレッドと同じ思念体の戦士であるブライと直人と壬琴の3人は、
アカレッドの考え方は理解してくれて、とにかくマーベラス一味を35番目の戦隊としては認め、
その追加戦士の変身アイテム作りに協力することは了承しました。
やはり思念体同士ですから、話は通じやすいのです。

ただ、この3人も「この星の意思」と同様、マーベラス達のことをよく知らないので、
ゴーカイジャーが戦ってザンギャックを倒すことが可能とはあまり思えず、
アカレッドの期待には同調していたわけではありませんでした。
とにかく宇宙の作り直しにせよ、戦って勝つにせよ、
ザンギャックを消して平和な宇宙を作るのは彼ら宇宙海賊が適役であるということを認めたに過ぎませんでした。
だから3人はそれぞれ自分達の戦隊の「大いなる力」もマーベラス達に渡すべきかどうかも決めていない状態でした。

そもそも、それ以前にブライと直人と壬琴の3人は6番目のゴーカイジャーであるゴーカイシルバーについて、
アカレッドの意見を受け入れたからこそ、大きな疑問を抱いていたのです。
確かにマーベラス一味とスーパー戦隊の橋渡し役としてゴーカイシルバーが地球人であるというのは
便利なことだとは3人も思いましたが、
果たしてゴーカイシルバーはマーベラス一味に受け入れられるのか?
いや、そもそもゴーカイシルバーはゴーカイジャーの一員となる資格があるのか?
そのあたりが大きな疑問だったのでした。

壬琴たちレジェンド戦士たちも、アカレッドが旅に出た後、
自分達の意思を継ぐに相応しい35番目の戦隊の候補者たちを探してリストアップしていました。
しかし、そういう候補者たちを差し置いてアカレッドは宇宙海賊のマーベラスと、その集めた仲間たちを
35番目の戦隊ゴーカイジャーとして認めるべきだと言う。
壬琴たちも最初はそれを聞いた時は意外に思いましたが、アカレッドの説明を聞いて、
確かにザンギャック支配下で本当に命懸けでザンギャックと戦ってきた宇宙海賊でなければ
平和な宇宙を作る資格は無いという理屈に納得したのです。

しかし、であればこそ、地球人はゴーカイジャーの一員となることは出来ないはずです。
ならば地球人をゴーカイシルバーの変身者に選んでもマーベラス一味は仲間として受け入れないであろうし、
そもそも地球人のゴーカイシルバーがゴーカイジャーの一員として
平和な宇宙を作る役割を担えるとは思えませんでした。
だから、壬琴たち3人はゴーカイシルバーの変身アイテムやレンジャーキーを作ることには
協力する気は満々でしたが、その変身アイテムを授けるに値する地球人を選び出す自信はありませんでした。

そうしてほどなくしてゴーカイシルバーの変身アイテムであるゴーカイセルラーと、
ゴーカイシルバーのレンジャーキーが完成し、
壬琴とブライと直人の3人は一応、既にリストアップしていたゴーカイジャーの候補者ボツリストの
地球人たちの動向を見て困ってしまいました。
どの候補者もスーパー戦隊の想いを引き継ぐに相応しい正義感に溢れた若者たちばかりでしたが、
所詮は地球を守るという意識止まりで、やはり本気で命を賭けて自分に何の関係も無い宇宙全体の平和を
守ろうとまで思うような者はいないように思えたのです。

そうした時、そのリストの上位者の1人であった、
自称「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」というハイテンションキャラの伊狩鎧という男が
見知らぬ幼女を庇ってトラックに轢かれて重態となってしまうというアクシデントが起き、
鎧はそのままでは死ぬという状態となりました。
これを見て、壬琴、ブライ、直人は「この星の意思」に無理に頼んで、
鎧をゴーカイシルバーに選ぶことを条件に特別に「この星の意思」のパワーで鎧を回復させてもらいました。

どうして3戦士が鎧をゴーカイシルバーに選んだのかというと、
無関係の幼女を助けるために本当に命を捨てる行動を起こした鎧を見て、
この男ならば地球人でありながらも無関係の宇宙の平和のために命を張って戦い、
幼女の未来を命懸けで守ったように、宇宙の未来を変えることが出来るかもしれないと思えたからでした。
そして、鎧がその可能性をマーベラス一味に対して示すことが出来れば、
ゴーカイジャーの仲間になるだけではなく、ゴーカイジャーの方向性をも変える力になり得ると、
壬琴たち3人は鎧という男に賭けてみる気になったのでした。

そして、どうして自分達が鎧の行動を見て急に鎧に賭けてみたくなったのかと考えた3人は、
自分自身がかつて鎧と同じ行動をとったからだと気付きました。
壬琴もブライも直人も、もともと生前、戦い始めた頃は
自分と関係無い人々を守って戦う義理など感じていませんでした。
あくまで壬琴は自分の快楽のため、ブライは自分の恨みを晴らすため、
直人は自分の運命を切り開くために戦っていました。
それは地球人が宇宙のために戦う義理を感じておらず、
マーベラス一味が地球のために戦う義理を感じていないのと同じことです。

しかし、もともとは身勝手な理由で戦っていた壬琴、ブライ、直人が
最後は人々を守るために命を投げ出したことによって、
それがアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの残りのメンバーに大きな影響を与え、
彼らが困難な最終決戦に挑んで世界や人々を守る戦いに勝ち抜く際に後押しとなったのは事実です。

鎧の、無関係の何の義理も無い相手を守るために命を投げ出せる性格が、
マーベラス一味の戦いの意味を宝探しや夢を掴むためのものだけでなく、
地球や宇宙を守るための意味にまで拡大させる可能性を3人は感じたのでした。

その困難に挑戦し、一番のヒーローになれる男だと見込んで、
3人は病院のベッドに横たわる鎧の意識の中に現れて、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡すと共に、
それぞれアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの「大いなる力」も授けたのでした。

そうして不思議な夢から目覚めた鎧の手には夢の中で3戦士から受け取ったゴーカイセルラーと
ゴーカイシルバーのレンジャーキーが握られており、
奇跡的な急速な回復を果たした鎧は退院後、半信半疑で
ゴーカイセルラーとレンジャーキーを使って変身を試みてみたところ、驚いたことに本当に変身に成功し、
しかもそれが巷で噂の謎の宇宙海賊の戦隊「ゴーカイジャー」の仲間だと分かり、更に鎧は驚きました。

不思議な夢の中で鎧はアバレキラーに「一番のヒーローになれ」「思いっきりときめけ」としか言われておらず、
鎧はこの突然の事態に果たして自分がどう行動していいのか分かりませんでした。
あまり良い噂を聞かない宇宙海賊に合流すべきなのか、合流すべきでないのか、
迷った鎧はマーベラス一味の実態を見るために、彼らの居場所であるガレオンを探し求めて動き始めたのでした。

その頃、マーベラス一味の面々は街でザンギャックと小競り合いをしている途中で、
ゴセイジャーと名乗る5人組に、そのゴセイジャーのレンジャーキー5つを盗まれてしまい、困っていました。
ここから春映画「199ヒーロー大決戦」の物語となります。

この5人組は本当に34番目のスーパー戦隊のゴセイジャーの元ゴセイレッドのアラタ、元ゴセイピンクのエリ、
元ゴセイブラックのアグリ、元ゴセイイエローのモネ、元ゴセイブルーのハイドの5人でした。

ゴセイジャーはレジェンド大戦以前に融合した34のパラレルワールドのうち、
最後に融合したパラレルワールドの戦隊ですから、
この「レジェンド戦隊の世界」の2011年の初め頃にブラジラとの戦いを終えた後、
初めてこの世界が融合世界だということを「この星の意思」から教えられて、
自分達の体内に「大いなる力」が発生したことも自覚したのであり、
つまり、34戦隊の中で最も、この融合世界についてリアリティを感じていない戦隊です。

だから1つ前の戦隊のシンケンジャー同様、
アラタ達も「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しなどと言われても、ピンときていません。
ゴセイジャーもこの世界に自分達の前に33の先輩のスーパー戦隊が存在して
悪と戦ってきたことは噂で聞いて知っていましたから、レジェンド大戦では一緒に戦いました。
しかし、「この星の意思」という奴は、少し前にいきなり語りかけてきたことがあったが、
ゴセイジャーの面々はその「この星の意思」の言うことはまだ半信半疑であったので、
「宇宙最大のお宝」を使ってザンギャックのいない平和な宇宙を作るなどと言われても、
本当にそんなことが出来るとは到底思えず、
そんな非現実的な話をするよりも、戦って地球を守るべきだと思っていました。

しかし彼らの戦う力は宇宙に飛んで行ってしまい失われたので、
ゴセイジャーの面々はきっとまた自分達に続く35番目のスーパー戦隊が現れて
地球を守るために戦ってくれるものだとレジェンド大戦の後、信じることにしたのでした。
ところがその直後に現れたアカレッドという謎の戦士との遣り取りの中で、
35番目の戦隊こそが宇宙の作り直しの役割を担う戦隊だという認識がスーパー戦隊の間で定着してしまい、
ゴセイジャーは釈然としませんでした。
35番目の戦隊は自分達と同じように戦って地球を守る戦隊であるべきだとゴセイジャーは思っていたのです。

するとレジェンド大戦の2年半後に地球に降り立った35番目のスーパー戦隊と思しき
ゴーカイジャーという戦隊の正体は地球に何の縁の無い宇宙海賊だと聞いたので、
ゴセイジャーの面々は驚き呆れてしまいました。
ゴセイジャーは星を護る崇高な使命にひたすら真面目な護星天使であったので、
海賊などという悪人や犯罪者の類に地球を守るスーパー戦隊が務まるなどとは到底考えられず、
ましてや平和な宇宙を作る役割を担えるはずがないと決めつけて、
何かの間違いで宇宙海賊がゴーカイジャーの変身アイテムやレンジャーキーを受け継いでしまっただけだろうと思い、
偽者の戦隊など、いずれ馬脚を現すだろうと、しばらく静観していました。

ゴセイジャーの面々は宇宙の作り直しの件などはどうでもいいと思っていたので、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なアイテムをマーベラス一味が握ったままであるということについては、
他の戦隊のようには、あまり気にせず、単に分不相応なものを持っている海賊は
どうせ持て余して手放すことになるだろうという程度に見くびっていました。

ところが意外にもこのマーベラス一味がザンギャックの地球侵略を阻止してくれているようであり、
幾つかのスーパー戦隊も「大いなる力」を渡していると聞き、
ゴセイジャーの面々はマーベラス一味に興味が湧き、その戦いぶりをコッソリ見に行きました。

ところがタイミング悪く、マーベラス達がザンギャック相手に
「宝探しの邪魔するからやっつける」などと言っている場ばかりに出くわしたおかげで
ゴセイジャーの面々はすっかり裏切られた気分になってしまいました。

やはりマーベラス一味は宝探しにしか興味は無く、ザンギャックとはたまたま喧嘩しているだけであり、
根本的に地球を守る義理など無い連中だ。
しかも本来は地球を守るために使うべきレンジャーキーを宝探しの道具として使おうとしている。
そう憤慨したゴセイジャーの5人は、他の戦隊はどう思っているのか知らないが、
マーベラス一味が地球を守って戦う気が無いのならば
ゴセイジャーのレンジャーキーだけでも返して貰おうと考えました。

結局ゴーカイジャーがアラタ達の期待していた「地球を守って戦う35番目のスーパー戦隊」でない以上、
アラタ達がレンジャーキーに入った自分達の「大いなる力」を取り戻して
ゴセイジャーに変身して地球を守るため戦うしかない。
そう思ってアラタ達5人はマーベラス達の隙をついてゴセイジャーの5つのレンジャーキーを強奪し、
そのレンジャーキーを使ってアラタ達5人はゴセイジャーに変身し、戦う力を取り戻しました。

当然憤慨したマーベラス達はアラタ達にレンジャーキーを返すよう迫り
逆にアラタ達はゴセイナイトのレンジャーキーも返すようマーベラス達に要求しましたが、
マーベラス達はそんなキーは知らないと言ったので、両者の間は一気に険悪なムードとなり、
遂に両戦隊は激突してしまいます。

実はゴセイナイトのレンジャーキーは先日バスコから奪ったばかりの
15個のレンジャーキーの中に含まれていたので
マーベラス達はまだその存在をちゃんと把握していなかったので、
このあたりは誤解から諍いが始まってしまったのですが、
根本的にマーベラス達が宝探しのために地球に来ているのであって、
決して地球を守るためにこの星に居るわけでないというのは別に誤解ではなく本当のことでした。

マーベラス達も自分達の立ち位置はそういうものだと自覚しています。
ただ、ザンギャックの無法を見過ごすことが出来ずに叩くのが自分達の海賊としての誇りなのであり、
この星でザンギャックと戦うことによって自分達の海賊の誇りを貫くことが出来るという意味で、
マーベラス達にとって地球は価値のある星でした。
しかしアラタ達はそこまで深くマーベラス達の心理は知らず、
単に「地球を守ることより宝探しを優先している」という点で
マーベラス達を地球を守って戦う資格の無い、ただの無法者と見なしていました。

こうしてゴーカイジャーとゴセイジャーの抗争が始まってしまった頃、
一方、地球内部では異変が生じていました。
突如、大量の邪気が噴き出してきて黒十字王という怪物が生まれたのです。
これは何なのかというと、おそらく世界の融合を繰り返すたびに地球の中心の
「宇宙最大のお宝」が宇宙の果てにあるザンギャック本星の中心にある装置に向かって排出していた
邪悪なエネルギーのうちの一部が排出に失敗して地球内部に少しずつ溜まっていたものなのでしょう。

34世界分の悪のエネルギーが溜まっているのでそれなりに巨大なエネルギーになっていたのですが、
地球内部で不活化していたので無害であったと思われ、
それがレジェンド大戦時にもとはといえば同質の邪気の本体であるザンギャックの勢力が
地球にまで到達したことをきっかけに活性化しはじめ、
今回、ザンギャックが再襲来したことによって更に活性化が進み、
4ヶ月経ってその巨大な邪気が黒十字王という、
歴代34戦隊によって倒された悪の組織の怨念の集合体のような怪物を生み出したのだと思われます。

この黒十字王が34戦隊への復讐のためにゴーカイジャーの持つレンジャーキーに目をつけたのでした。
ゴセイナイトのレンジャーキーを巡ってゴーカイジャーとゴセイジャーが宝箱の奪い合いをしていると、
そこに黒十字王が現れて宝箱を奪い、
ゴーカイジャーとゴセイジャーを全員、3グループに分けて罠を仕掛けた別の場所に飛ばして抹殺を図り、
レンジャーキーを手中に収めて、34戦隊を完全に無力な状態としておいて、
じっくりと復讐していこうとしていたようです。

もしレンジャーキーが黒十字王に奪われてしまえば、
もともとスーパー戦隊がやろうとしていた宇宙の作り直しによる平和な宇宙の実現も出来なくなってしまいますし、
地球そのものがザンギャック以前に黒十字王によって大変な危機に晒されてしまいます。
「この星の意思」は全てのスーパー戦隊に声をかけ、急いでこの緊急事態を報せて、
一部見ることの出来なかった戦士はいたものの、大部分の戦士たちに対して
「この星の意思」が彼らレジェンド戦士の頭の中に映し出すビジョンによって
ゴーカイジャーとゴセイジャーの黒十字王に対する戦いを見守らせました。

そうして多くのレジェンド戦士が秘かに見守る中、
ゴーカイジャーとゴセイジャーは喧嘩を止めて一時的に協力して黒十字王の罠を撃ち破って元の場所に戻り、
レンジャーキーを取り戻して戦士の姿を取り戻したゴセイナイトとも合流し、
そこで黒十字王がレンジャーキーを使って実体化した176人の召喚戦士と戦うことになりました。
この黒十字王の実体化した176戦士は邪悪な力で無理に実体化したものであったので
バスコがラッパラッターで召喚した戦士よりもさらに弱く、
個々の能力ではゴーカイジャーとゴセイジャーの敵ではありませんが、とにかく数が多いので大変です。
しかしゴーカイジャーとゴセイジャーはこの激闘に勝利してレンジャーキーを全て奪還したのでした。

この戦いを見守っていた33戦隊の元戦士たちは、
この時の黒十字王による無理な実体化の影響で異常に活性化した状態のレンジャーキーに対して
「この星の意思」と共に心を1つにして想いを送り込み、
それによってレンジャーキーのエネルギーによって発生させた特殊な空間に
ゴーカイジャーとゴセイジャーを呼び寄せ、
そこで10人のレジェンド戦士がマーベラス達にそれぞれ10戦隊の「大いなる力」を託しました。

その10戦士とは、最初のスーパー戦隊のゴレンジャーの元アカレンジャーの海城剛、
2番目のスーパー戦隊のジャッカー電撃隊の元ビッグワンの番場壮吉、
4番目のスーパー戦隊のデンジマンの元デンジブルーの青梅大五郎、
6番目のスーパー戦隊のゴーグルファイブの元ゴーグルブラックの黒田官平、
7番目のスーパー戦隊のダイナマンの元ダイナピンクの立花レイ、
8番目のスーパー戦隊のバイオマンの元レッドワンの郷史朗、
13番目のスーパー戦隊のターボレンジャーの元レッドターボの炎力、
17番目のスーパー戦隊のダイレンジャーの元リュウレンジャーの天火星・亮、
30番目のスーパー戦隊のボウケンジャーの元ボウケンレッドの明石暁、
32番目のスーパー戦隊のゴーオンジャーの元ゴーオンイエローの楼山早輝でした。

彼らのうち、海城、番場、青梅、黒田、立花、郷、炎は当初、
ゴーカイジャーが本当に地球や宇宙の平和を守るために戦う資質があるのか不安視していましたが、
マーベラス達が黒十字王の配下と必死に戦い、人々を守ろうとする姿を見て、
宇宙海賊といえども地球人のヒーローと何ら変わらない正義感を持っているのだと認めることが出来ました。

また彼らはアカレッドが言うように宇宙海賊のマーベラス達が
スーパー戦隊の力を使って戦うことが出来るのか不安視していましたが、
ゴセイジャーとしっかり呼吸を合わせて戦うゴーカイジャーの姿を見て、
宇宙海賊とスーパー戦隊の力を合わせることは可能だと確信したのでした。
ならば、アカレッドの言うように彼らゴーカイジャーこそがザンギャックを戦って倒して
平和な宇宙を作ることが出来る可能性があるのかもしれないと思い、
海城たちはマーベラス一味に賭けてみようと思ったのでした。

また、ダイレンジャーの亮はもともと悪を滅ぼすことは出来ないというダイレンジャー特有の考え方に基づき、
宇宙の作り直しという解決法には疑念を抱いており、
アカレッドの言うようにマーベラス一味がザンギャックと戦い続けて
宇宙の善悪の均衡を保つ役割を果たせるのならば、それが最善の道だと思っていましたから、
ザンギャックと同質の存在と見られる黒十字王に対してもどんな不利な状況でも挑んでいく
マーベラス一味の姿を見て、ダイレンジャーの戦い方を引き継ぐことが出来る者と見定めることが出来ました。

ボウケンジャーの明石はもともと伝説のお宝を求めて宇宙を冒険してきたというマーベラス一味には
ボウケンジャーの冒険魂を受け継ぐ資格は十分に備わっていると認めていましたが、
今回のマーベラス一味の黒十字王に対する果敢な戦いを見て、
明石自身がお宝を使っての宇宙改変という安易な道よりも、
あくまでザンギャックと戦うという、より困難な冒険の道を選ぶ踏ん切りがつき、
マーベラス達に賭けてみようという気になったのでした。

ゴーオンジャーの早輝はマーベラス達があくまで宝探し目的の海賊であることを確認しつつ、
それでいて彼らにとって何の義理も無い地球の人々を守って戦う姿を見て、
マーベラス達が真の「正義の味方」だと確信し、きっと炎神の相棒となることが出来るのであり、
そしてザンギャックを撃ち破って世界を救うことが出来るはずだと確信しました。

あらゆる異世界を救おうとする戦隊であるゴーオンジャーは、
自分達の住む「レジェンド戦隊の世界」だけを救うために
自分達が消滅するという道をなかなか簡単には選ぶことは出来ないのであって、
ゴーオンジャーもまた、最初からお宝を使っての宇宙の作り直しという解決策には乗り気ではなく、
あくまで戦ってザンギャックを倒す道を模索しており、
今回マーベラス一味に賭けようという気になったのでした。

こうしてマーベラス達は思わず10個の戦隊に仲間だと認められて戸惑いつつも、
戦うために素直にその力を受け取り、
ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、
ターボレンジャー、ダイレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーの「大いなる力」を一気にゲットし、
更に34戦隊の力によってレンジャーキー空間で作り出された必殺武器「スーパー戦隊バズーカ」を使って
ゴーカイジャーとゴセイジャーは黒十字王を撃破したのでした。

ただ、黒十字王もこれではまだ終わらず、巨大化して要塞状の黒十字城となり、
巨大歴代幹部怪人を召喚して街で大暴れし始め、
ゴーカイジャーとゴセイジャーは巨大ロボで立ち向かうが劣勢となります。
ここでゴーカイジャーとゴセイジャーに対して地球の人々が声援を送ります。
ゴセイジャーはともかく、ゴーカイジャーに関しては地球の人々はまだスーパー戦隊の仲間と認めて
声援を送ったことはなかったのですが、
スーパー戦隊への復讐を公言する化け物である黒十字城に立ち向かうゴーカイジャーの姿を見て、
初めて地球の人々はゴーカイジャーをスーパー戦隊の仲間と見なして声援を送りました。

すると、この人々の声援が、歴代スーパー戦隊戦士たちの想いと共に、
もともと地球の人々の意思の集合無意識である「この星の意思」に大きなエネルギーを送り込み、
「この星の意思」は強大なパワーを発揮し、地球上にある多くの歴代戦隊の巨大ロボ玩具が依り代となって
歴代巨大ロボが総登場し、ゴーカイジャーやゴセイジャーと共闘し、遂に黒十字城を倒したのでした。

この戦いの後、ゴセイジャーの6人はマーベラス達が地球の人々を守って戦う意思があることを認め、
そしてその守る対象が地球だけにとどまらず、
宇宙全体でマーベラス達が守るべきと思った物は分け隔てなく守るのだということを知り、
ゴセイジャーの6人もマーベラス達の手許に全てのスーパー戦隊の大いなる力を集めて、
戦ってザンギャックを倒して平和な宇宙を作る道に賭けてみようと決意し、
マーベラス達にレンジャーキーを返し、ゴセイジャーの「大いなる力」を渡して去っていったのでした。

そして、この一連の戦いを見物していたゴーカイシルバー伊狩鎧は、
マーベラス一味が35番目のスーパー戦隊であり、地球を守る正義のヒーローなのだと確信し、
ゴーカイジャーへの加入を決意するのでした。

これでマーベラス達はこの黒十字王との戦いを通して「大いなる力」を一気に11個も獲得し、
既にマーベラス達が獲得していた6戦隊、
そしてマーベラス達は知らないが既に鎧に「大いなる力」を託している3戦隊を合わせると、
20戦隊がゴーカイジャーに「大いなる力」を託したことになります。

しかし、よく考えると、この黒十字王との戦いでは全てのスーパー戦隊が
ゴーカイジャーの戦いにスーパー戦隊バズーカや歴代巨大ロボ登場という形で力を貸しているのですが、
それでもまだゴーカイジャーに「大いなる力」を渡していない戦隊がまだ14個あるということになります。

つまり、あくまで黒十字王との戦いはスーパー戦隊と黒十字王の戦いなのであり、
たまたまゴーカイジャーとゴセイジャーが矢面に立っただけのことなのであり、
スーパー戦隊がバズーカや巨大ロボを繰り出したのは、あくまで自分達の戦いとしてのことであり、
この今回はまだ「大いなる力」を渡していない14戦隊に関しては、
まだマーベラス一味に「大いなる力」を託すほどの気にはなっていないということになります。
それはそれぞれの戦隊ごとに事情は様々であるようです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 06:19 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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