2012年05月31日

海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE 感想その1

この「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」という映画は
2012年1月21日から劇場公開された映画で、
2011年6月公開の「199ヒーロー大決戦」、2011年8月公開の「空飛ぶ幽霊船」に続く、
「海賊戦隊ゴーカイジャー」の映画化企画の第3弾となります。
そして同時に、「スーパー戦隊35作記念・メタルヒーローシリーズ30周年記念作品」という冠がつけられている、
一種の記念映画、アニバーサリー映画という位置づけになっています。

まぁ「ゴーカイジャー」という作品自体がスーパー戦隊シリーズ35作記念作品であり、
「199ヒーロー大決戦」もスーパー戦隊シリーズ35作記念映画だったので、
「ゴーカイジャー」絡みはなんでも35作記念という冠はつけることは出来るような感じですが、
この映画の場合はそれだけではなく、メタルヒーローシリーズとのダブル記念作という扱いです。

メタルヒーローシリーズというのは、1982年から1999年にかけてテレビ朝日系で放映されていた
東映制作の特撮アクションヒーロードラマシリーズです。
その最初期の3作品が「宇宙刑事ギャバン」「宇宙刑事シャリバン」「宇宙刑事シャイダー」という、
銀河連邦警察に勤務する宇宙刑事の活躍を描くという同一の世界観が連続した三部作で、
これは「宇宙刑事シリーズ」といわれます。

東映では1971年にテレビ朝日系で放映を開始して大ブームを起こした
石ノ森章太郎原作の「仮面ライダーシリーズ」が人気が下降して1975年にTBS系に移った後、一旦シリーズを終了させ、
代わって1975年に東映が大ヒットさせたのがライダーがTBS系に移った後の枠で放映したテレビ朝日系の、
同じく石ノ森原作の「ゴレンジャー」でした。

こうして戦隊ドラマの流れが誕生したのですが、
スーパーロボットアニメのブームに押されて後番組の同じ石ノ森原作の「ジャッカー電撃隊」が失敗して
1977年でこのテレビ朝日系の戦隊ドラマの流れも一旦途絶えます。
それが1979年にスーパーロボット的な要素を加えて復活してテレビ朝日系で
東映オリジナル制作の「バトルフィーバーJ」が放映され、
ここからスーパー戦隊シリーズが現在までずっと続いており、
現在は石ノ森原作の「ゴレンジャー」と「ジャッカー電撃隊」もシリーズに含まれるものと定義されています。

この「バトルフィーバーJ」と同じ1979年に石ノ森原作の仮面ライダーシリーズもTBS系で一旦復活しましたが、
1981年に再びシリーズは一旦終了となりました。
この1981年はスーパー戦隊シリーズの方では実質同枠での3作目の「サンバルカン」が放映していた年であり、
ようやくこの年あたりから「スーパー戦隊シリーズ」という呼称が散見されるようになった頃です。

そこで東映では軌道に乗ってきたばかりのスーパー戦隊シリーズと両輪となって特撮ヒーローブームを牽引するような、
仮面ライダーに代わる新しい特撮ヒーロー像を模索し、
1982年にハイレベルなアクションと斬新な宇宙規模のSF設定、男臭い大人のヒーロードラマを売りにして
テレビ朝日系で東映オリジナル制作の「宇宙刑事ギャバン」を放映、大人気を博して、
その後、同一世界観でギャバンの後輩宇宙刑事が活躍する
「宇宙刑事シャリバン」「宇宙刑事シャイダー」が同枠で放映され「宇宙刑事シリーズ」と呼称されました。

この宇宙刑事シリーズは1985年に三部作で完結しましたが、
同じ枠で宇宙刑事と同じメタリックボディを特徴としたSF特撮ヒーローのドラマを東映が制作を続行し、
これが作品途中で放送枠の変更を繰り返しつつ、同一シリーズの体裁を保ち続けたので、
いつしか初期の宇宙刑事シリーズも包含して「メタルヒーローシリーズ」と総称されていくようになりました。
まぁその後は必ずしもメタリックなヒーローばかりでもなかったのですが、
放送枠は細かな変遷を経て1989年にはテレビ朝日系の日曜朝8時から8時半の枠が固定し、
以後1999年まで10年間、日曜朝の特撮ヒーロー番組という市場を開拓した重要なシリーズとなりました。

つまり、メタルヒーローシリーズは1982年から1999年までの17年間、
スーパー戦隊シリーズと共に東映制作・テレビ朝日系放映の子供向け特撮ヒーロードラマの二本柱として
存在していたといえます。
そして1997年にはスーパー戦隊シリーズの「メガレンジャー」もテレビ朝日系の日曜朝7時半から8時の放送枠に
移動してきて、日曜朝7時半から戦隊、8時からメタルヒーローというラインナップが形成されました。

これにあたって相互の明確な差別化を図るために、
メタルヒーローシリーズの方は往年のフジテレビ系の「不思議コメディーシリーズ」風味の
コミカルなロボットの活躍するご近所コメデイーとなり、従来の戦うヒーロー路線ではなくなり、
1998年の石ノ森章太郎氏の死去を受けて、この枠で1999年に石ノ森原作の「がんばれ!ロボコン」のリメイク
「燃えろ!ロボコン」が放映されることになって、
東映オリジナル制作のメタルヒーローシリーズという括りのシリーズはここで終了することになったのでした。

そして、この「燃えろ!ロボコン」の後でこの日曜朝8時枠で2000年に放映されたのが
同じ石ノ森原作の仮面ライダーの新作品「仮面ライダークウガ」であり、
ここからテレビ朝日系の日曜朝8時の平成仮面ライダーシリーズが始まり、
7時半からのスーパー戦隊シリーズと合わせて日曜朝の「スーパーヒーロータイム」を形成し、
今や東映制作の特撮ヒーロードラマの新たな二本柱となって、
「ゴーカイジャー」放映の2011年ではや12年目となります。

しかしメタルヒーローシリーズはそれよりも長い17年もの間、
スーパー戦隊シリーズと共に東映の特撮ヒーロー路線を支え続けていたのであり、
スーパー戦隊シリーズに先駆けて日曜朝の特撮ヒーロー枠を開拓し、
その枠は平成仮面ライダーシリーズに受け継がれて継続中であるということも考え合わせると、
その重要性は実はかなりのものといえます。

今の視聴者である子供たちにはあまりピンとこないかもしれないが、東映的には重要なシリーズであり、
そのメタルヒーローシリーズが始まったのが1982年で、
この映画の公開時の2012年はその30周年ということになりますから、
メタルヒーローシリーズ30周年記念作品として、この2012年にメタルヒーローシリーズ第1作である
「宇宙刑事ギャバン」にスポットを当てた企画が持ち上がってくる気運はもともとあったといえます。
実際、ゴーカイジャーとのコラボ云々は抜きにして、
メタルヒーローシリーズ30周年企画でこの2012年に何かをやろうという動きはあったようです。

しかしどうして「30周年」なのか?
それは、以前に「199ヒーロー大決戦」映画の中の真っ白な空間における
レジェンドゲストの選定基準について考察した際に書いたように、
現在の特撮ヒーロー番組を視聴するような年代の子供たちの親の世代が、
自身が子供の頃に見ていた特撮ヒーロー番組というのが、
だいたい20年前から30年前の範囲の作品であることと関係があるのでしょう。

その20年前から30年前の、かつての子供たちは
その後、成長するにつれて変身ヒーローなどには興味を失い、普通に学生生活、社会人生活を送り、
結婚して子供が生まれ、その子供がかつての自分のようにテレビの特撮変身ヒーローなどに興味を持つようになり、
一緒にテレビを見る習慣が付き、それによって最近、彼らはかつて自分にも
自分の子供たちのように夢中になっていた特撮ヒーローがあったことを思い出すようになり、
懐かしく感じるようになってきた。

そういう現在のお父さん世代が懐かしく思い出すようになったヒーローというのが、
だいたい20年前から30年前あたりのヒーロー達であり、
それゆえ「199ヒーロー大決戦」の真っ白なレンジャーキー空間の場面に現れて
マーベラス達に声をかけたレジェンド戦士は、初代ゴレンジャーと二代目ジャッカー電撃隊は別格として、
あとはゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、ターボレンジャーという、
この20年前から30年前の範囲内の戦隊のレジェンド戦士たちだったのであり、
それは子供を連れて映画館に足を運んできてくれたお父さん世代へのサービスであったと解釈しました。

言い換えれば、お父さん世代には、この年代のヒーローは映画限定ならば一定の需要はあると
見込んでいたということです。
そして、メタルヒーローシリーズも30周年なのですから、
その第1作である「宇宙刑事ギャバン」は先の白い空間レジェンド組の1つである
ゴーグルファイブと同年の30年前の作品であり、
1990年代初頭のレスキューポリス三部作あたりまでは、現在のお父さん世代にとって懐かしい作品といえます。

つまりメタルヒーローシリーズの全盛期というのは現在の子供との生活の影響で
かつてのヒーローを懐古的になりがちなお父さん世代には心惹かれるものはあり、
そのオマージュが一点に集中していくところがあるとすれば、
昭和スーパー戦隊においてはそれが原点にして最大のヒット作である「ゴレンジャー」であるのと同様、
やはりメタルヒーローシリーズにおいては、それは原点にして最大のヒット作である
「宇宙刑事ギャバン」ということになるでしょう。
だから、このメタルヒーローシリーズ30周年となる2012年に
「宇宙刑事ギャバン」に焦点を当てたアニバーサリー企画を実現しようという動きが以前からあったのです。

一方、「ゴーカイジャー」に関して言うと、
TV本編の最終盤に劇場公開されることになる、
1月の「スーパー戦隊祭」の劇場公開枠をどうするのかという問題を抱えていました。

1996年に「オーレンジャーVSカクレンジャー」を作って以来、
毎年3月にリリースするオリジナルビデオとして恒例化していた「スーパー戦隊VSシリーズ」を
2009年に「ゴーオンジャーVSゲキレンジャー」を1月に先行して劇場公開して好評を得たことをきっかけに、
翌2010年から最初から1月の劇場公開を前提にフォーマットを整えて
単独上映のおよそ60分映画を上映する「スーパー戦隊祭」という上映枠でシリーズ化が志向されて、
第2弾として「シンケンジャーVSゴーオンジャー」が作られ、
2011年1月には「ゴセイジャーVSシンケンジャー」も続けて作られました。

当然、2012年1月にもスーパー戦隊祭の第4弾として「ゴーカイジャーVSゴセイジャー」が作られるべきところです。
しかし、従来のスーパー戦隊VSシリーズのフォーマットに基づいた実質的な「ゴーカイジャーVSゴセイジャー」は、
春映画の「199ヒーロー大決戦」の中のゴーカイジャーとゴセイジャーの絡みの部分で既に描かれてしまいました。
どうしてそんな変則的な事態となったのかというと、それは「ゴーカイジャー」という作品の特殊性ゆえです。

「ゴーカイジャー」の物語世界には主人公戦隊のゴーカイジャー以外に他の歴代34戦隊も存在しており、
ゴーカイジャーは他の34戦隊から順々に出会っていき「大いなる力」を受け取っていきます。
つまり、「ゴーカイジャー」の物語は、レジェンド戦隊絡みにおいては
「大いなる力」を集めていく物語だと言って過言ではないでしょう。
そうなると、ゴーカイジャーと他の戦隊との出会いに際しては、
「大いなる力」の譲渡問題は避けて通ることが出来ません。

しかし、このスーパー戦隊祭の上映枠の公開日である1月下旬というのは、
「ゴーカイジャー」の物語の本筋であるTV本編は最終盤を迎えている時期であり、
このタイミングで例年の「VSシリーズ」のノリでゴセイジャーとの出会い、
あるいは5年おきの「VSスーパー戦隊シリーズ」のノリで複数戦隊との出会いを描いてしまうと、
こんな物語最終盤でゴセイジャーあるいは複数戦隊との「大いなる力」譲渡問題も描かねばならないことになります。

だが、この1月下旬という物語最終盤の時期というと、既に「大いなる力」は全部集めていなければマズい頃であり、
もしこのタイミングで譲渡される「大いなる力」があるとすれば、
それは最後に登場する「大いなる力」あたりであるはずです。
それは本筋の物語において極めて重要な場面となりますから、当然TV本編のエピソードとして描かなければいけません。

つまり、「ゴーカイジャー」の物語世界においては、
この1月下旬の物語終盤のタイミングで「大いなる力」譲渡絡みとならざるを得ない他戦隊との絡みのエピソードは、
それが「VSゴセイジャー」であれ「VSスーパー戦隊」であれ、劇場版という形で挿入するのは難しいのです。
それをやりやすくする唯一の方法は時系列をズラすことです。

そもそも「VSシリーズ」がオリジナルビデオで3月リリースしていた頃は、
TV本編も終了した後のリリースですから、TV本編との時系列など考慮する必要も無く、
単なる前年戦隊とのコラボ企画の番外編として作っていました。
それで何となく、追加戦士や追加武装、追加合体ロボなども出揃って、
クライマックスに続く物語がまだ始まっていないタイミングあたりの設定で描いていたので、
だいたい秋頃、第35話あたりの頃の出来事としてエピソードが作られていました。
撮影もこのあたり、10月下旬ぐらいの時期に行われるのでちょうどよく、
「VSシリーズ」は伝統的に第35話付近に挿入される番外編というコンセプトで作られていました。

劇場版「スーパー戦隊祭」として1月に先行上映されるようになっても、そうした伝統は引き継がれ、
2010年1月の「シンケンジャーVSゴーオンジャー」も
2009年11月初旬放映の「シンケンジャー」第三十六幕の後あたり、
2011年1月の「ゴセイジャーVSシンケンジャー」も
2010年9月下旬放映の「ゴセイジャー」epic32の後あたりに挿入されるものだと思われます。

つまり、「シンケンジャー」の場合も「ゴセイジャー」の場合も
TV本編最終盤の時期に劇場公開された前年戦隊とのコラボ映画の内容が、
時系列的には同時進行のTV本編よりも3〜4ヶ月分も遡っていたのです。
それでもあまり違和感は無かったので、
「ゴーカイジャー」でもその伝統に則って第35話付近に挿入されるエピソードとして
「VSゴセイジャー」や「VSスーパー戦隊」を作って、1月下旬に劇場公開してもいいようにも思えます。

しかし「ゴーカイジャー」の場合はその方法は使えません。
どうしてかというと、「シンケンジャー」や「ゴセイジャー」の場合は
他戦隊とのコラボをあくまで番外編として見ることが出来たから、
時系列が不自然でもそんなに違和感は覚えなかったのであり、
対して「ゴーカイジャー」の場合はTV本編で常に他戦隊とのコラボをやっているので、
「VSゴセイジャー」にしても「VSスーパー戦隊」にしても、TV本編と同じ物語に見えるのであり、番外編には見えない。
それでいて時系列が狂っていると、見ていて混乱してしまいます。

特に「ゴーカイジャー」の物語というのは、ことにレジェンド戦隊の絡む分には、
順々に「大いなる力」が集まっていく、極めて連続性の強い物語構成になっており、
ここにレジェンド戦隊や「大いなる力」に関連して時系列が混乱すると、物語の流れ全体が崩壊する恐れがあります。
だから「ゴーカイジャー」の物語においては、エピソード重視の作風からは意外でありますが、
実は時系列は極めて重視されています。

物語の連続性が極めて強いため、時系列は厳密に作られており、
それゆえ「ゴーカイジャー」の関連映画は春映画の「199ヒーロー大決戦」、夏映画の「空飛ぶ幽霊船」、
そしてこの冬映画も、全て厳密にTV本編の放映スケジュールに合わせた時系列の内容となっています。
そういうわけなのでこの映画も第47話放映日の前日に劇場公開されましたから、
第46話と第47話の間のエピソードとなっており、
まさに全51話の「ゴーカイジャー」の物語の最終盤に挿入されるエピソードとなっています。

つまり結論的には、この最終盤時期に劇場版で「VSゴセイジャー」も「VSスーパー戦隊」もやるわけにはいかないので、
それらの要素はまだ物語が序盤から中盤に差し掛かった頃の時系列にあたる
春映画の「199ヒーロー大決戦」に入れ込まれました。

そうなると問題はこの冬映画の方で、
例年この上映枠でやっている内容を春映画で早々にやってしまったので、
この冬映画でやることが無くなってしまいました。
スーパー戦隊の劇場版といえば夏の短編映画と冬のVS映画の二本立てというフォーマットが確立していましたから、
その二本柱を春映画と夏映画でやり切ってしまったわけで、冬映画でやることがない。

ならばいっそ作らないという手もありますが、
東映は本来は映画会社なのですから、良い映画を作ってお客さんに喜んでもらうのが本分です。
せっかく毎年人気を獲得して4年目となった「スーパー戦隊祭」の上映枠を使わないのは勿体ない。

ならばこの上映枠を使って「ゴーカイジャー」以外の映画をやればいいのではないかという考え方もあるが、
春映画も夏映画もヒットした「ゴーカイジャー」の映画をやれば間違いなく集客が見込めるのに、
あえて別の映画をやるというのは商売的に考えて、どう考えても間違っています。

そうなると、やはり2012年1月21日公開の「スーパー戦隊祭」の上映枠で
「ゴーカイジャー」の新作映画を制作することになりますが、
ならばいっそ、「VS」という冬映画の従来の形にとらわれず、
ゴーカイジャー単独のオリジナルストーリーの60分ものの映画を作ればいいという考えがまず当然浮かぶでしょう。
しかし、「スーパー戦隊祭」という上映枠のブランドは
「VS」、つまり別作品とのクロスオーバー企画を看板にして確立されてきたものであって、
そこはせっかくだから今後も強調していきたいという戦略が東映としてもあったのでしょう。

東映のスーパーヒーロータイム関連の劇場版体制としては、
春に「電王+ライダー」、8月に「戦隊&ライダー」、12月に「ライダー×ライダー」、1月に「戦隊VS戦隊」
というメリハリのきいた感じで年間通してのブランド化を図っているようですから、
そのプランの一角である1月の「VS」のコンセプトが曖昧になるのはあまり歓迎すべきことではありません。
1月映画はあくまで「VS」という看板は維持してほしいところでしょう。

そこでゴーカイジャーと何かをコラボさせないといけないが、
TV本編で「大いなる力」絡みで登場している34戦隊は全部使えませんから、
それ以外の何かメジャーな東映制作の特撮ヒーローということになります。
真っ先に思い浮かぶのは仮面ライダーですが、
ライダーは現役のフォーゼ、前作のオーズ、その前作のW、更には昭和7人ライダーまでも
1ヶ月前の2011年12月に公開の劇場版「MOVIE大戦」で登場していますから、
ここでゴーカイジャーとそれらのどれかをコラボさせてもプレミア感が全く無い。

しかもゴーカイジャーを含む戦隊とライダーのクロスオーバー企画としては、
全く別系統で大きな計画が既に開始されていましたので、
この2012年1月のスーパー戦隊祭でゴーカイジャーとライダーのクロスオーバー映画を作るというわけにはいきません。

そこで、この2012年にちょうど30周年を迎えるということで
何らかの記念企画を念頭に置いて動き出していたメタルヒーローシリーズの
「宇宙刑事ギャバン」に関するプロジェクトに白羽の矢が立ち、
ゴーカイジャーとギャバンのクロスオーバー企画で
「ゴーカイジャーVSギャバン」の劇場版を作ろうということになったようです。

「ギャバン」の方は30周年ということで何かやろうとは思っていたが、
さすがに劇場版映画は難しいという状況でした。
やはり子供人気が無ければ映画の採算は見込めませんが、
ギャバン単独やメタルヒーローの看板では現役世代の子供の集客は確実には見込めません。
しかし現役の人気戦隊のゴーカイジャーと一緒ならば
現役の子供世代の集客はかなり高確率で見込めますから興行として成立します。

一方ゴーカイジャーの方はギャバンと組むことによってスーパー戦隊祭の「VS」という看板を守ることが出来ます。
また、「ゴーカイジャー」という作品の劇場版映画は「199ヒーロー大決戦」にしても「空飛ぶ幽霊船」にしても、
子供たちの付き添いで劇場にやって来るお父さん世代の懐古的な嗜好を刺激する趣向が凝らしつつ
過去作にリスペクトを捧げるというのがコンセプトの1つであり、
30年前の作品である「宇宙刑事ギャバン」とのコラボというのは、
まさにその「ゴーカイジャー」劇場版としてのコンセプトに合致します。
例えばフォーゼやオーズとコラボするよりも、ギャバンとコラボする方が、
より「ゴーカイジャー」という作品らしいと言えます。

なお、「199ヒーロー大決戦」映画に際して、デンジブルー青梅大五郎役で大葉健二氏に出演していただいた時、
予想以上に大葉氏がアクションが出来たので、
同じ大葉氏のかつての最大の当たり役である宇宙刑事ギャバン一乗寺烈役で出演して
生身アクションまでこなすことが可能だろうと判断されてこの映画に繋がったという話もあります。
しかし、そんな程度の理由で映画の興行に踏み切るとも思えず、
これは実際はちょっとニュアンスが違うのではないかと思います。

何故なら「199ヒーロー大決戦」では青梅のアクションシーンなど無かったからです。
青梅のアクションシーンが無かったのに青梅役の大葉氏がアクションが出来たということを
スタッフが認識していたというのも妙な話で、
おそらく実際は大葉氏が56歳になった現在でもアクションが出来るということを確認した上で
青梅役を依頼したのでしょう。

つまり「199ヒーロー大決戦」ではもともとは青梅はもっと出番が多くアクションもする予定であり、
だからこそアクションの出来る大葉氏が演じる青梅というキャラが「199ヒーロー大決戦」映画に登場したのでしょう。
同様のコンセプトのキャラが「199ヒーロー大決戦」の中で青梅と共に登場したリュウレンジャー亮であり、
これも演じる和田圭市氏は43歳でありながらアクションの出来る役者でした。

つまり青梅も亮も、ついでにウメコも、もともとアクションさせることを前提に、
アクションの出来る役者の演じるキャラとして登場していたと思われるのです。
それはおそらく明石や早輝や千明や源太も同様なのであろうということは
「199ヒーロー大決戦」の感想のところで考察しました。
そして、「199ヒーロー大決戦」の内容が変更になって「VSゴセイジャー」の側面が強調されたため、
残念ながら青梅や亮などのアクションシーンは無くなったのでしょう。

それについては、まぁウメコ役の菊地さんや、明石役の高橋くん、早輝役の逢沢さん、
千明役の鈴木くん、源太役の相馬くんなどには、申し訳ないと言って軽く謝れば済む話でしょう。
しかし、青梅役の大葉氏や亮役の和田氏にはそういうわけにもいきません。
大葉氏と和田氏の場合、単に「年齢の割にはアクションが出来る役者」という軽い扱いではないのです。

2人ともある意味、アクション俳優の世界においては一種の権威のような存在で、
スーパー戦隊シリーズのスタッフからの尊敬を受けている立場です。
その御二人にアクションの仕事をお願いして「無くなったのですいません」で済ますわけにはいかないでしょう。
それはやはり埋め合わせをしなければいけません。

そういうわけで「ゴーカイジャー」TV本編の第33話のダイレンジャー篇に和田氏は亮役で再登場し、
見事な生身アクションを披露する機会を得たのだと思われます。
ならば同様に大葉氏もリベンジの機会を与えられなければならないわけで、
大葉氏ならばデンジブルー青梅大五郎役での再登場か、あるいはバトルケニア曙四郎役での登場ということになります。
おそらく当初はバトルフィーバー篇で曙四郎を登場させて生身アクションをさせる案が
有力だったのではないでしょうか。

しかし、「ゴーカイジャー」の冬映画で宇宙刑事ギャバンとのコラボという案が持ち上がってきたので、
ならばそこで大葉氏をギャバンの一乗寺烈役で登場させて生身アクションもやってもらおうということになり、
それに先立つ第44話のバトルフィーバー篇では曙四郎の出番は実質1シーンに抑えられたのでしょう。

とにかくこうして実現した「ゴーカイジャーVSギャバン」の企画ですが、
これは「スーパー戦隊祭」の「VSシリーズ」としてのブランドイメージの継続のために
「VS」という文字は入っていますが、実際のところは従来のスーパー戦隊の「VSシリーズ」とは全く別物の作品です。

従来の「VSシリーズ」というのは現役戦隊と前年戦隊が出会って、
最初はギクシャクしながらも打ち解けていき、世界を守るために力を合わせて共通の敵と戦うというお話であり、
かなり定型的な様式美の世界になっています。
それはスーパー戦隊というものが基本的に様式美を重んじる作品であり、
スーパー戦隊同士のコラボの場合、似たような様式美を持った2つの作品のコラボを成り立たせる過程で、
どうしてもその共通の様式美の中に物語が落とし込まれていく傾向があるからです。

例えば互いに5〜6人の戦隊でチーム内での役割分担がなんとなく出来ています。
どちらのチームにも赤がいて、青がいて、ヒロインがいて、追加戦士がいて、マスコットや後見キャラがいて、
というように互いに対照となるキャラがいるわけで、
その似た者同士、あるいは正反対の者同士などとチームの垣根を超えて組み合わせて
バラけさせてドラマを進行させていったり、
アクション場面でも同じ色のコンビで戦ったりするという趣向がよく見られます。

他にもチームの垣根を超えた合体技や武器交換など、「VSシリーズ」ならではの楽しみというものがあり、
これらは毎年繰り返されることが決してマンネリにはなりません。
何故なら毎年の戦隊の組み合わせが違い、毎年の戦隊がそもそも趣向が違うからです。
だから、この「VSシリーズ」特有の様式美は長い間、毎年継続されてきました。

「ゴーカイジャー」の作品世界において、そういう伝統的な様式美も含んだ
真の意味での「VSシリーズ」と言えるものは、
やはりあくまで春映画「199ヒーロー大決戦」におけるゴセイジャーとの絡みの部分でしょう。
春映画における前年戦隊ゴセイジャーとの絡みの部分には
上記したような「VSシリーズ」の様式美は全て描かれていたといえます。

一方、この冬映画の「ゴーカイジャーVSギャバン」においては
そうした従来の「VSシリーズ」の様式美は成立しようがありません。
コラボ相手のギャバンは戦隊ではなく、5人組でもなく、様々な色分けキャラの集団ではないのですから、
根本的に違うのです。

だから、「ゴーカイジャー」という作品における実質的な「VSシリーズ」は
あくまで春映画における「VSゴセイジャー」なのであって、
この冬映画は一応形だけは「VS」という文字は入っていますが、
いわゆる「VSシリーズ」とは全く別物の1つのオリジナルな内容の映画ということになります。

では、この冬映画はどのような内容となるのかというと、
ここで重要なポイントは、この映画が「ゴーカイジャー」という作品のTV本編と並行した劇場版であるということです。

「ゴーカイジャー」の劇場版の大きな特徴として先述した点は、時系列が極めて厳密でなければならないという点です。
つまり、この「ゴーカイジャーVSギャバン」は2012年1月21日に劇場公開されるということは、
第46話と第47話の間に挿入されるエピソードとなるということであり、
言い換えれば第47話から始まるクライマックス篇の直前のエピソードということになる。
ならば、物語の最終盤、クライマックス篇の直前に描かれるに相応しい内容のエピソードでないといけない
ということになります。

しかし、これというのは結構、劇場版の在り方としては難題ではないかと思います。
よく見られる一般ドラマの劇場版というやつは、
だいたいはTV本編が完結した後に、その続編として上映されます。
TV本編と同時進行して劇場版が上映されるということ自体が珍しい。

子供向けの作品の場合はTV本編の放映が継続している時に劇場版が上映されることは多いが、
「ドラえもん」や「ONE PIECE」などのような長期にわたってTV本編が続いている作品は
TV本編の内容が実質的にエンドレスであり、物語展開上でのクライマックスというものが存在していないので、
そのクライマックスの流れに劇場版の内容が縛られるということはなく、
常に自由な発想で番外編と割り切った劇場版オリジナルストーリーを構想出来ます。

その点、「ゴーカイジャー」劇場版に条件が近いものとしては、
同じように1年区切りで物語が完結していく仮面ライダーシリーズとプリキュアシリーズの劇場版があります。
ただ、スーパー戦隊シリーズも含めて、これらのシリーズも
TV本編のクライマックス時期に同時に劇場版を上映するという面倒なことは避けるのが基本で、
自由な発想で番外編的な劇場版を作ってきました。

ところが近年になってスーパー戦隊シリーズと仮面ライダーシリーズでは
それぞれ別々の理由でTV本編のクライマックス時期と劇場版公開時期が重なるという異常事態が生じてきたのです。
スーパー戦隊シリーズはVSシリーズの先行上映枠としてのスーパー戦隊祭が
2009年からTV本編終盤と重なる1月下旬に公開されるようになったからであり、
仮面ライダーシリーズの場合は同じ2009年からTV本編の物語が8月末で完結するように放送時期が変更され、
その結果、8月上旬公開の夏映画の公開時期がTV本編のクライマックス時期と重なるようになってしまったからです。

こうして生じた異常事態に対して、2009年以降のスーパー戦隊祭の方はあくまで時系列をズラして、
TV本編終盤と同じ1月に上映しておきながら、その映画の内容はその3〜4ヶ月前の出来事と設定して、
あくまで自由な発想の番外編として作りました。
そもそも従来の戦隊の場合、2つの戦隊が同時存在してコラボしている「スーパー戦隊祭」の作品世界そのものが
TV本編の作品世界とは重ならないパラレルワールドであるという前提で捉えるのが自然でした。

一方、2009年以降のライダー夏映画の方は
他のライダーとコラボするMOVIE大戦とは違ってあくまで単独主役作品であり、
時系列をズラすということはせず、
あくまで物語終盤の時期に上映される映画であるという意識で映画を作っています。

言うなればTV本編のクライマックス篇とは別の「もう1つの完結篇」という感じになっています。
もちろんあくまでTV本編が本筋ですから、夏映画で全ての決着がつくわけではないのですが、
そのライダーの作品としてのメインテーマをTV本編とは別の形で描ききっているといえます。

ディケイド劇場版に至ってはTV本編とはパラレルな完全に別の形の最終話としてディケイドの旅の終わりを描きました。
W劇場版はストーリー的にはあくまでTV本編のクライマックス篇の直前のエピソードとして描かれましたが、
映画の内容は「W」という作品のメインテーマを全て凝縮して決着させた
壮大な「別のクライマックス篇」となっていました。
オーズ劇場版はその両者の中間のような感じで、TV本編とは別のパラレルな番外編ではあるものの
物語を全て決着はさせておらず、それでいて「オーズ」という作品のメインテーマを
TV本編とは別の形で見事に着地させた或る種のクライマックス篇であったといえます。

TV本編のクライマックス時期に劇場公開され、TV本編の最終話を終えてもなお劇場で上映されることもある
2009年以降のライダー夏映画の場合、こうした「もう1つの完結篇」というコンセプトが
適切な方法論として選ばれたのでしょう。

一方、同条件のスーパー戦隊祭の場合は、「VSシリーズ」オリジナルビデオの時期からの伝統もあって、
あくまで時系列をズラすという方法論をとっていたわけですが、
この「ゴーカイジャー」という作品の劇場版は従来の戦隊とは違い時系列をズラすということが出来ず、
またパラレルワールドという設定も使いにくいので別の方法論が必要となります。

ライダーと同じように「もう1つの完結篇」というコンセプトで作るのも1つの正解です。
あくまで時系列の正確さにこだわり、パラレルワールドという概念も使わないのならば、
「もう1つの完結篇」でありながらもTV本編のクライマックス篇直前エピソードとしても成立していた
W劇場版が良いお手本となります。

しかし、「ゴーカイジャー」という作品ではこの冬映画において、
あくまで「もう1つの完結篇」という方式は採りませんでした。
「もう1つの完結篇」となると「ゴーカイジャー」という作品のメインテーマを深く描くということになりますが、
それは既に「ゴーカイジャー」の場合、春映画と夏映画でやってしまっていたからです。

春映画では「お宝目当ての宇宙海賊が地球を守るヒーローとなれるのか?」というテーマが描かれ、
夏映画では「1人で掴む夢と仲間と共に掴む夢のどちらに価値があるのか?」というテーマが描かれました。
そしてこの2つのテーマがTV本編のクライマックス篇で1つの大きなメインテーマに昇華するのだろうという
流れがしっかり出来上がっています。
それなのに、そのクライマックス直前の冬映画で
改めて春や夏にやったのと同じようなテーマの映画を作ってもマンネリな印象です。

だから「ゴーカイジャーVSギャバン」では、「ゴーカイジャー」という作品のメインテーマはあえて外して、
あくまでTV本編のクライマックス篇直前の独立した重要なエピソードとして成立する作品が志向されたといえます。
そういうわけで、この映画は「ゴーカイジャー」TV本編とはちょっと毛色の違う話になっています。

「ゴーカイジャー」TV本編とは簡単に言えば、「地球を守る戦い」と「お宝探し」の二本立ての物語です。
全てのTV本編のエピソードはこの2つのテーマのどちらかが描かれており、
ここまでに作られた春映画も夏映画もこの2つのテーマをそれぞれ分担して描いてきました。
ゴーカイジャーの戦う動機は、地球や人々を守るため、宝を手に入れるため、
あとは自分に降りかかってくる火の粉を払うため、だいたいこの3つです。

ところがこの冬映画では「地球を守る戦い」も「お宝探し」もほとんど描かれていません。
ゴーカイジャーの戦う動機は地球を守るためでもなく、宝を手に入れるためでもなく、自分の身を守るためでもなく、
ギャバンという1人の宇宙刑事を監獄から救い出すためなのです。
そのために危険な亜空間にある脱獄不可能といわれる監獄にゴーカイジャーが挑んでいくというのが
この映画のお話です。

「ゴーカイジャー」というのは海賊という悪漢を主人公にした一種のピカレスクヒーロー物語なので、
制作側としてもピカレスクヒーローものの定番ネタ「脱獄モノ」は何処かでやってみたかったようですが、
TV本編ではそういうエピソードを作る機会が無く、この冬映画で実現させたという側面はあるようです。

だが、「宇宙刑事ギャバン」とのクロスオーバーワールドにおいて
「捕われた囚人を救いだす」というシチュエーションの持つ意味合いは全く別の意味を持っています。
それは、「父と子のドラマ」です。

「宇宙刑事ギャバン」の物語というのはギャバンと犯罪組織マクーの怪人との戦いのエピソード集であると同時に、
マクーによって拉致されたギャバンの父をギャバンが探し出して救出するまでの
縦軸のドラマを描いた物語でもありました。
ギャバンの父のボイサーも宇宙刑事であり、刑事としての魂が父から息子に継承される物語であったのです。

その「ギャバン」と「ゴーカイジャー」のコラボ作品において、
今度はギャバンがマクーの後継者でもあるザンギャック怪人アシュラーダによって捕われの身となり、
かつてギャバンの父のボイサーが幽閉された魔空空間の監獄に収監されて、かつてのボイサーのように拷問を受け、
そのギャバンをマーベラスが救いだすわけですから、
ギャバンがかつてのボイサーの「父」の立場に立ち、マーベラスがかつてのギャバンの「息子」の立場に立った、
新たなる「父と子のドラマ」が描かれているといえます。

もちろんギャバンとマーベラスは実の親子ではなく、昔一度出会っただけの間柄でしかありません。
それでもこの映画におけるマーベラスは明らかにギャバンに「父親」的なものを見ており、
ギャバンも「息子」に接するようにマーベラスに接しています。
この映画内でのマーベラスの役回りが「ギャバン」本編のギャバンに相当し、
この映画内でのギャバンの役回りが「ギャバン」本編のボイサーに相当していること、
2人の間で「ギャバン」本編におけるボイサーとギャバン同様にヒーローの魂の継承が認められることなどからも
ギャバンとマーベラスはこの映画において擬似的な父と息子の関係にあるといえるでしょう。

そして同時にこの映画は「ギャバン」的なモチーフを散りばめて
「ギャバン」のテーマである「父と息子のドラマ」を想起させることによって、
この映画を観に来ている劇場内の父と息子たちにある種のメッセージを発しているともいえます。

劇場にこの映画を観に来ている子供たちにとっての憧れの対象は現役ヒーローであるマーベラスであり、
劇場に子供を連れてきている父親にとっての、かつての憧れのヒーローはギャバンでした。
しかし父親たちがギャバンに憧れていた頃は、まだギャバンは今のマーベラスぐらい若く、
父親たちはまだ今の自分の息子ぐらいの少年でした。

そのかつての少年たちが成長して、かつて自分の憧れのヒーローだったギャバンの年齢を超えて大人になり、
子供が出来て、その自分の子供と一緒に劇場に来てギャバンと再会したら、
ギャバンも年齢を重ねており、彼らかつての少年たちが大人になっても、
ギャバンはまだ彼らより年上の初老の大人として仰ぎ見る存在だった。
確かにもはや若々しさは無いし衰えも感じさせるが、それでもギャバンはまだ立派なヒーローでした。

そしてそのギャバンの擬似的な息子として描かれるマーベラスは、
かつて少年の頃にギャバンに出会い、大きな大人として仰ぎ見ていたが、
劇中の現在時間では成長して背の高さではギャバンを追い越し、
ギャバンと肩を並べて戦う現役バリバリの全盛期のヒーローとなっています。

マーベラスはギャバンに追いつき、追い越しつつあります。
一方ギャバンはマーベラスに追いつかれて、追い越されようとしている。
一見ギャバンが衰えて落ちぶれたようにも見えますが、そうではない。
息子は父親を追い越す時や父親を失う時にこそ人生の一番大事なことを知るのです。
そして父親は息子に追い越される時やその人生を終える時にこそ、息子にとって重大な価値をもった存在となる。

実の父親のいないマーベラスはギャバンに再会して
その自分の成長とギャバンの人生が交差する瞬間に立ち会ったことで、大事な何かを得たことになります。
ギャバンはその父親としての役割を立派に果たし、
成長したマーベラスにまだなおヒーローとしての規範をしっかりと示しました。

ギャバンはかつてギャバンに憧れた少年たちが成長して大人になった現在の若き父親たちにも
ギャバンとしてのヒーロー像を示したと同時に、
彼ら若き父親たちに自分の将来なるべき理想的な初老の父親像をも示したといえます。

現在マーベラスを憧れのヒーローとして仰ぎ見ている彼らの息子たちが成長して、
この映画のマーベラスぐらいの年齢になって父親と肩を並べて生きていくようになった頃、
現在の若き父親たちはこの映画のギャバンぐらいの白髪混じりの初老の父親となっているでしょう。
その時、息子たちはこの映画で見たマーベラスを思い出し、父親たちはこの映画で見たギャバンを思い出して、
息子が父親を超える時に息子がどうあるべきか、父親はどうあるべきか、参考とすることが出来れば幸いだという、
あえて「宇宙刑事ギャバン」をモチーフにして「父と息子のドラマ」を描いて発した制作側の
観客へのメッセージはそのあたりにあるような気がします。

では「父と息子のドラマ」によって制作側は何を描こうとしたのか?
そして、それが「ゴーカイジャー」という物語全体の中、
TV本編のクライマックス篇直前のタイミングで挿入するべきエピソードとしてどんな意義があると考えたのか?

地球を守る戦いも、お宝探しも描くこともなく、
擬似的な父と息子のドラマを描くことによってこの映画が示したものは
マーベラスの海賊としての「原点」でした。
つまり、制作側は、TV本編の最終盤、クライマックス篇直前のこのタイミングで、
TV本編ではこれまで長々と描かれることのなかった主人公の「原点」を描いたのです。

劇場版で「原点」を描くという発想はスーパーヒーロータイムで前例があります。
それもかなり近い前例です。
2009年の12月に劇場公開された「仮面ライダー×仮面ライダーMOVIE大戦2010」の中の一篇として上映された
「仮面ライダーWビギンズナイト」です。

「仮面ライダーW」という作品は2010年9月放送の第1話冒頭アバンで
主人公の左翔太郎とフィリップのWへの初変身と思われる断片的な場面を見せた後、
本編はいきなりその1年後、既に2人がWとして活動している状態で物語が動き出します。
ですから、主人公2人がWになった原点に何があったのか、視聴者にはずっと謎であったわけです。
そのWの原点となった1年前の事件の詳細が初めて描かれたのが、
TV本編開始から3ヶ月経った12月に公開された映画「ビギンズナイト」であったのです。

但し、この「ビギンズナイト」は、単に描かれていなかった「第0話」として
Wの原点を初めて描くことだけを目的とした映画ではありません。
あくまでTV本編の時系列に沿って、初変身をしたビギンズナイトの1年3ヶ月後の
2010年のクリスマスイブに起きた重大事件によって訪れる危機を乗り越えるために、
主人公2人がビギンズナイトに負ったトラウマを乗り越える必要があり、
そのために1年3ヶ月前のビギンズナイトが想起され、
主人公2人はWの原点を思い出し、自分達がWであることの真の意義を再確認してトラウマを乗り越え、
現在のクリスマスの事件を解決して前に進む。
そういう物語が描かれている映画なのです。

「ゴーカイジャーVSギャバン」において描かれる「原点」というのも、
この「ビギンズナイト」において描かれた「原点」と同じような扱いのものといえます。
少年の頃のギャバンとの出会いに起因するマーベラスの海賊としての「原点」そのものを描くのが目的なのではなく、
そうして自らの原点を再確認したことによって、マーベラス達が自分達の海賊であることの真の意義を確認して
現在の大きな危機を乗り越えて前に進んでいくことが描かれるべきでしょう。
ところが、この「ゴーカイジャーVSギャバン」という映画においては、
「ビギンズナイト」とは違って、その「現在の危機を乗り越えて前に進んでいく」という部分が描かれていません。

といっても、この映画が中途半端な内容であるというわけではなく、
ストーリーとしては、ギャバンによるマーベラス一味の逮捕から、急転直下、ギャバンによる宇宙警察の不正の告発、
マーベラス達の解放、そしてギャバンが魔空監獄に囚われて、
マーベラス達がギャバンを脱獄させるために魔空監獄に乗り込み、見事にギャバンを救出し脱獄に成功し、
ギャバンと共に獄長のアシュラーダ達を倒すという、脱獄モノの活劇としては見事に完結しています。

しかも子供向け映画としては比較的複雑なストーリー展開であり、
ここに更にバスコと新戦隊ゴーバスターズの戦い、青梅大五郎や曙四郎も登場してのそっくりさんコント、
魔空監獄に収監されたジェラシット他ユルい怪人たちのコントなどの小ネタが挿入され、
相変わらずの充実した劇場版豪華アクションの数々、
そしてマーベラスとギャバンの擬似親子的な濃厚なドラマなど、極めて充実した内容となっています。

これはハッキリ言って、この映画はかなり濃いです。
子供向け劇場版映画はある程度は薄味でなければいけないのですが、
この映画の場合ちょっとその限度を超えて濃いので、60分という尺の中では詰め込みすぎとなっており、
しかもマーベラスとギャバンのドラマは「ゴーカイジャー」関連の劇場版の中で最も深いドラマなので
子供には深いところまでは分かりづらく、結果としてこの映画は少し難しい映画となっており、
それらをこの尺に詰め込んで無理に子供向きに描いた部分では破綻している描写も幾つかありますが、
それでも最終盤に突入している「ゴーカイジャー」という物語とキャラの持つ勢いで押し切れているといえます。

この1年間無茶なことに挑戦し続けてきた「ゴーカイジャー」という物語は、
この終盤に至って一種「何でもアリ」の突破力を備えるようになっているのです。
そういうわけで、この「ゴーカイジャーVSギャバン」は充実したアクション活劇として成立はしています。
というか非常に面白く、ゴーカイジャーファンからもギャバンファンからも評判が良く、興行成績も良く、
見事な成功作です。
「ゴーカイジャー」の劇場版の中で随一の出来という声もよく聞きます。

まぁ「199ヒーロー大決戦」もレベルの高い作品でしたが、
あれはあくまで「スーパー戦隊映画」として素晴らしい出来だったのであり、
ゴーカイジャー単体の映画として素晴らしかったわけではありません。
「199ヒーロー大決戦」のゴーカイジャーの出ている部分も実質的には「ゴーカイジャーVSゴセイジャー」であり、
ゴーカイジャー単体の物語であったわけでもないので、
ゴーカイジャー映画として高い評価を出来るかどうかは微妙です。

また「空飛ぶ幽霊船」は純粋にゴーカイジャー単独映画として素晴らしい出来ではあったと思いますが、
いかんせん尺が30分と短く、かなり脳内補完しなければ極めて薄味の映画に見えてしまいますから、
あくまでスーパー戦隊の短編夏映画としては際立って良い出来だったという程度の評価となるでしょう。

その点、「ゴーカイジャーVSギャバン」は「VS」という文言は入っているものの、
実際はギャバンをモチーフとしたゴーカイジャー単体の物語として成立しており、
どちらかというと「VSシリーズ」よりはTV本編のレジェンド回に近い構成といえます。
つまり、ギャバンの物語が土台になってはいるものの、主役はあくまでゴーカイジャーなのです。
言わば、「ゴーカイジャー」の物語のテーマから最も縁の薄い作品でありながら、
「ゴーカイジャー」のTV本編の作り方に最も近い作り方をしている劇場版とも言えます。

それで60分の尺に盛りだくさんのエンターテイメントも盛り込んで、
ゴーカイジャーという物語の魅力で押し切ることに成功しているわけですから、
この映画が「ゴーカイジャー映画」の最高峰という評価は妥当といえるでしょう。

ただ、そうではありつつも、この映画は構成的に大きな欠落があるように思えます。
それは先述したとおり、マーベラス一味の原点を描きながら、
その原点がこの映画の中で伏線として回収されていない点です。

原点を描くのは、その原点を再確認したことによって自分達が何者であるのかを再確認し、
それを現状の危機を突破するきっかけとするためであるべきです。
そのように現在で役立ててこそ、過去における原点を回想するという行為が伏線として活きてくるのであり、
物語は綺麗に完結します。
仮面ライダーWの「ビギンズナイト」はそういう点で完璧な映画でした。
主人公2人がWの原点を再確認することによって現在のクリスマスの危機を突破することに繋がって
物語は見事に完結しています。

ところが「ゴーカイジャーVSギャバン」の全篇における戦いは、
むしろマーベラス達が自分達の原点を再確認するための戦いとして描かれており、
そうして再確認した原点が活用される戦いは描かれていません。
ならば別に原点を再確認する必要は無かったのであり、
原点など絡めずに普通の脱獄ストーリーとして描いてもよかったように思えます。
そういう点で「原点」をわざわざ持ち出した意味が不明で、少し中途半端にも見えて、
再確認した原点が放置されたままの未完の印象があります。

しかし、この「未完」であるというのが、この映画の真の狙いなのです。
「原点」という伏線はこの映画内で綺麗に回収される必要は無く、この映画は綺麗に完結する必要は無い。
「ビギンズナイト」はその映画内で「原点」を再確認したことで
現状の危機を突破するところまでしっかり描きましたが、
「ゴーカイジャーVSギャバン」では、そこまでしっかり描くことはあえて避けたのです。

何故なら、「原点」を再確認した後の現状の危機の突破は、この映画の続きの物語の中で描かれるからです。
そのために「ゴーカイジャーVSギャバン」という「ゴーカイジャーの原点を再確認する物語」は、
ゴーカイジャーの最大の危機が描かれることになるTV本編のクライマックス篇の直前の時系列に配置されたのです。

つまり、この「ゴーカイジャーVSギャバン」という映画で擬似的な「父と息子のドラマ」によって
マーベラス一味の「原点」を描き、
そうして再確認された「原点」によってマーベラス一味は海賊としての真の意義を知ることになり、
それがクライマックス篇における彼らの最大の危機を突破するきっかけとなるのです。
それこそがクライマックス篇の直前の時系列に、
この映画における「父と息子のドラマ」をわざわざ挿入する意義だったのです。

もちろん全てのTV本編視聴者がこの映画を劇場に観に行くわけではありませんから、
この映画を観なくてもTV本編のクライマックス篇は話の辻褄は合うようには作られているはずです。
そして、この映画もまたこの映画単体でももちろん完結していますが
実はTV本編のクライマックス篇を見ることによって真の意味で完結するようにも作られており、
TV本編のクライマックス篇も、この映画を観ることによって、より深い味わいあるものとなるはずです。

あとは問題は、どうして「父と息子のドラマ」を描くことによって「原点」を描くことが出来るのか、
またその「原点」はどういうものであるのかについてですが、
それはもうこの映画の物語の特殊状況の中の話ですから、
映画本編の内容を追いながら考察していった方がいいでしょう。
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2012年05月29日

海賊戦隊ゴーカイジャー キンキンに!ド派手にいくぜ!36段ゴーカイチェンジ!! 感想その3

さて、その後少しして、とある倉庫でカリゾーグの応急処置を終えたインサーンは、
カリゾーグにそこらで拾ってきた野良猫を抱かせて「修理完了!さぁ・・・あらためて合体テストよ・・・」と言うと、
合体銃をカリゾーグに向けて発射しました。
すると合体光線はカリゾーグと猫を包み込み、「カカカカッ!!」と叫び声を上げたカリゾーグは、
身体を包んでいた光が無くなると、「ニャ〜オ!」という鳴き声を上げます。

インサーンはさっきマーベラスとカリゾーグを合体させることに失敗した際、
マーベラスと鎧が合体してしまったことを知らないので、
合体銃の出力設定が適切でなかったのかと思い、調整し直していたのです。
それで調整後の合体光線の効果を確かめるためにカリゾーグと猫を合体させてみたのでした。
そうすると無事に猫はカリゾーグの中身に入ったようです。

「今度は大丈夫のようね・・・」と安堵してインサーンがカリゾーグに近づくと、
なんと猫耳をつけたカリゾーグはいきなり「フシュシュシュシュ!!」と唸り声を上げて
インサーンの顔を引っ掻いたのでした。
そりゃまぁタダの野良猫ですから、いきなり変な銃で撃たれたら怒ります。
「ああああああ!?」と絶叫したインサーンは、続けて猫が中身に入ったカリゾーグに手を噛みつかれてしまいました。
驚いたインサーンは「アンタ!口あったのぉ!?」と喚きながら猫カリゾーグの頭を叩きまくります。

そういえばバリゾーグって喋ってはいましたが、開閉する口は無かったように思えるのですが、
猫が中身になったことによって口が開くようになったのでしょうか?
まぁそこらへんはどうでもいいんですが、インサーンの手に噛みついた猫カリゾーグは噛みついた口を離さず、
そのままインサーンをひっくり返してしまい、インサーンは「いやぁ〜ん!ちょっと!」とジタバタともがきます。

猫カリゾーグはさんざんインサーンを痛めつけた後、ピョ〜ンと跳びはねて倉庫の外に逃げ出してしまい、
インサーンは「ああぁ〜ん!?」と倉庫の外に吹っ飛んできて、
起き上がると「お待ち!ニャリゾ〜グ!!」と必死で猫カリゾーグを追います。
猫が中身に入ったカリゾーグのことをさっそくインサーンは「ニャリゾーグ」と命名したようですが、
いちいち変な命名をするところ、インサーンは変にお茶目なところがあります。

結局、さすがに中身が猫だけに素早く逃げ回るニャリゾーグにインサーンは振り回され、
捕まえることがなかなか出来ません。
それにしても不用意な合体実験のせいでニャリゾーグに逃げられたインサーンもインサーンでかなりマヌケですが、
第38話はあんなにカッコ良かったバリゾーグのこの描写の酷さは痛々しい。
まぁ、退場篇以外は結構コント要員であることが多かったですが。

そのニャリゾーグ、所詮は中身は野良猫で、大して行動範囲も広くないので、完全に遠くに行ってしまうわけでもなく、
倉庫の外の階段の片隅から身体を覗かせて「フニャアアアン!!」と顔をこすっています。
しかし、これを捕まえようとして追いかけると素早くまた何処かに逃げてしまうので、
インサーンは追いかけるのは諦めて、倉庫の外でニャリゾーグをおびき寄せることにしました。
「ほぉら!ほらほらほら・・・」と猫じゃらしを使ったり、
干物を取り出して「お魚よぉ!」と見せびらかしたりして懸命です。

これを見てニャリゾーグは「ギョギョギョギョ・・・?」と反応し、「ウニャアアアアン!」と飛び出してきました。
そこを狙い澄ましてインサーンは合体銃から赤い光線を発射してニャリゾーグに命中させ、
ニャリゾーグは元のカリゾーグと猫に分離し、猫は走って逃げていったのでした。
これでようやくカリゾーグの身体を取り戻し、あとはこのカリゾーグを連れて再び鎧を襲撃すればいいだけだと思い、
インサーンは「ウフッ・・・」とほくそ笑むのでした。

が、そのインサーンの頭上から「なるほどぉ!!」という鎧の声が響きます。
「うっ!?」とインサーンが驚いて見上げると、
倉庫の屋根の上にマーベラスっぽい、何か中途半端な服装をした変なヤツが立っています。
しかもその変なヤツが「やっぱりその銃で元の姿に戻れるのか!」と鎧の声で
ビシッとインサーンの方を指さしてポーズを決めるので、インサーンも「うう・・・?」と戸惑い、
とにかく自分の手にした合体銃がマーベラスだか鎧だかよく分からないヤツに狙われているということは分かったので、
反射的に合体銃を庇うように隠します。

鎧は合体した身体を元に戻すためには、
合体させた張本人であるインサーンを捕まえて合体解除の方法を聞きだすしかないと思い、
自分とカリゾーグの合体に失敗したインサーンが再び自分を狙って動き出すと想定し、
ナビィに頼んでザンギャック反応を探らせ、この倉庫にインサーンが潜んでいるのを見つけたのです。

そうして合体した身体で倉庫に来てインサーンを発見し、物陰に潜んで様子を窺っていると、
インサーンがカリゾーグの合体テストを行っているのを見たのでした。
テストということは、再び合体の解除をするはずだと考えた鎧は、
インサーンが猫と合体させたカリゾーグをどうやって合体解除させるのか見極めてやろうと思い、
コッソリ見ていました。

そしてドタバタの末、インサーンが合体銃から赤い光線を出して合体解除するのを見て、
鎧は合体解除の方法を把握しました。
これでインサーンを捕まえて口を割らせる必要すらありません。
鎧は合体した身体でビシビシッと連続してポーズを決めながら
「なら、その銃を貰うまで!」とカッコよく言い放ちます。
顔はマーベラスなので、まるでマーベラスがそこらの安っぽい正義のヒーローみたいで何だか可笑しいです。

そして、鎧はここでゴーカイシルバーのレンジャーキーを取出し、
それをマーベラスのモバイレーツに挿し込み「豪快チェンジ!」と変身コールをしました。
モバイレーツにゴーカイシルバーのレンジャーキーが挿入されるのは初めてのことですが、
さていったいどうなるのか?

すると、いつもの変身バンクの宇宙空間を赤と銀のVやXの文字が混ざって飛んできて、
マーベラスと鎧の合体した身体に次々と突っ込んでいき、
「ゴオオオオカイジャアアアア!?」と、いつもの変身時の関ボイスも微妙に疑問形で語尾が上がります。
思わず関ボイスも戸惑ってしまうはずで、
そこに現れた変身後の戦士は、身体がゴーカイシルバーで頭部だけがゴーカイレッドという、
なんとも奇妙な姿だったのです。

この合体戦士の姿に変身した鎧は「ゴオオオオカイ!レッドオオオ!!」と、
今まで見たこともないハイテンションのゴーカイレッドの名乗りをビシビシと決め、
背景には突然真っ赤に燃え盛る海賊旗が挿入されるという、マーベラスとは完全に方向性の違ったド派手ぶりです。
そして続けて鎧は「・・・でもある・・・」と断りを入れて、
「ゴオオオオオカイ!シィルバアアアアッ!!」と、いつものゴーカイシルバーの名乗りを、
いつもよりもド派手に決めたのでした。

その合体戦士の意識空間では、マーベラスと鎧がさっきと同じように背中合わせで、
今度はそれぞれゴーカイレッドとゴーカイシルバーに変身した姿で立っています。
マーベラスは合体した自分の身体が現実空間で変身してえらく変な姿になり、
いつものクールさの微塵もない恥ずかしい名乗りを決めさせられるのを見て、
やはり鎧に任せたのは間違いだったかもしれないと少し後悔して「・・・はぁ〜・・・」と溜息をつきましたが、
鎧の方はすっかりノリノリで「俺が1人でカタをつけます・・・手を出さないでください!」と颯爽と宣言します。
まぁとにかく、インサーンからあの合体銃を奪い取ればこの事件は解決ですから、
マーベラスもこうなったらやはり鎧に任せようと改めて思い、「・・・さっさと決めろ!」と指示します。

「はいっ!!」と応じた鎧は合体戦士の身体を自分の意思で動かし、
「あちょおお!セイヤァ!」と大きくジャンプして屋根から飛び降り、インサーンの前に立ちますが、
インサーンも合体戦士の異様な姿や変な名乗りを聞いて、
どうやらさっきの合体銃の暴発でマーベラスと鎧が合体してしまっていたことをようやく理解し、
「ゴーミン!」と叫んで待機させていた配下のゴーミン達を呼び出して、合体戦士の姿をした鎧に差し向けました。

とにかくインサーンの目的はカリゾーグと鎧を合体させることですから、
マーベラスと鎧が合体してザンギャックや自分に敵意を向けている状態は歓迎できるものではない。
合体銃を狙って襲ってくる鎧を倒して捕え、
マーベラスとの合体を解除した上でカリゾーグと合体させなければなりません。

あるいはいっそここでマーベラスと鎧を合体した姿のまま倒してしまえば
一気にゴーカイジャーの弱体化を図れるかもしれない。
どうせ合体した戦士は意思命令系統が混乱して大した力は発揮出来ないのではないかとインサーンは考えました。
これに対して、鎧はまたモバイレーツを取り出して「派手に!真っ赤っ赤にいくぜぇっ!!」と叫んで
ゴーミンの群れに突っ込んでいきました。

いつものように「ギンギンにいくぜ!」ではなく、「真っ赤っ赤にいく」ということは、
鎧はこのマーベラスとの合体戦士の身体を預かった戦いにおいて、
マーベラスの身体を借りている以上は、普段マーベラスが使っているレッド戦士のレンジャーキーを
今回は自分が使って勝つことでマーベラスに迷惑をかけた責任を取ろうとしたのでした。

まず鎧が変身したのはスーパー戦隊シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」のアカレンジャーでした。
アカレンジャーの姿でゴーミンの群れに突っ込んだ鎧は
「今日はスペシャルだぁぁ〜っ!!」と張り切ってパンチを繰り出してゴーミン達を薙ぎ倒し、
続いてすぐにシリーズ第2作「ジャッカー電撃隊」のスペードエースに変身し、キックや投げ技でゴーミンを倒し、
そのまま流れるようにシリーズ第3作「バトルフィーバーJ」のバトルジャパンに変身します。

いちいち変身の際に各戦隊の紋章や変身エフェクトなどが織り込まれており、見た目が楽しくなっていますが、
引き続きバトルジャパンは得意のカンフーの動きでゴーミン達を叩きのめし、
そのまま変身スーツの浮かび上がるエフェクトでシリーズ第4作「電子戦隊デンジマン」のデンジレッドに変身し、
デンジパンチの乱打でゴーミン達を吹っ飛ばしていき、
その爆炎の中でシリーズ第5作「太陽戦隊サンバルカン」のバルイーグルに変身、
ゴーミンの群れに飛び込んでいき、両手を広げて打撃を叩き込む太陽パンチを決めます。

すると今度は鎧はシリーズ第6作「大戦隊ゴーフルファイブ」のゴーグルレッドに変身し、
個人武器のレッドロープを使ってゴーミン達をまとめて縛り上げてしまい、
そのまま縛ったゴーミン達に背を向け、シリーズ第7作「科学戦隊ダイナマン」のダイナレッドに変身、
名乗り時の決めポーズをとると背後で爆発が起こり、縛っていたゴーミン達を吹っ飛ばします。
この名乗り時の爆発は攻撃技ではないのですが、「199ヒーロー大決戦」に続き、また変則的な使われ方をしました。
まぁダイナマンといえば爆発!なのでこれはこれで面白いからいいです。

ダイナレッドはこの出オチのような技だけで、
続いてすぐに鎧はシリーズ第8作「超電子バイオマン」のレッドワンに変身して、
襲い掛かってくるゴーミン達を共通装備の万能武器バイオソードを光線銃モードにして撃って倒していきます。
ちなみに戦隊メンバーの携行武器に光線銃が加わったのはこの「バイオマン」が最初です。
そして続いて鎧はシリーズ第9作「電撃戦隊チェンジマン」のチェンジドラゴンに変身し、
キックを炸裂させた後、同じく万能武器のチェンジソードを光線銃モードにしてゴーミン達を倒していきます。

銃の後は剣で、鎧はシリーズ第10作「超新星フラッシュマン」のレッドフラッシュに変身して
個人武器のプリズム聖剣を振るい、
更にシリーズ第11作「光戦隊マスクマン」のレッドマスクに変身して専用武器のマスキーブレードをを振るい、
そしてシリーズ第12作「超獣戦隊ライブマン」のレッドファルコンに変身して
専用武器のファルコンセイバーを振りおろし、その場にいたゴーミン達を全て撫で斬りにしていきました。

そうして近くにいたゴーミン達を全部片付けると、
鎧はシリーズ第13作「高速戦隊ターボレンジャー」のレッドターボに変身しながら
倉庫内部にひしめくゴーミン達の方に駆けこんでいき、
キック、パンチ、そして共通装備の光線銃のターボレーザーでゴーミン達を倒し、
その流れの中でシリーズ第14作「地球戦隊ファイブマン」のファイブレッドに変身し、
個人武器のVソードでゴーミン達を斬りまくります。

そして鎧はシリーズ第15作「鳥人戦隊ジェットマン」のレッドホークに変身してジェットウイングを使って飛び上がり、
倉庫の2階にいたゴーミン達を滑空して蹴散らし、
2階に降り立つとシリーズ第16作「恐竜戦隊ジュウレンジャー」のティラノレンジャーに変身し、
パンチとキックで戦い、シリーズ第17作「五星戦隊ダイレンジャー」のリュウレンジャーに変身して
赤龍拳の連続突きをゴーミンに叩き込みます。

そうして2階にいたゴーミン達を全部倒すと、
続いて鎧はシリーズ第18作「忍者戦隊カクレンジャー」のニンジャレッドに変身して、
再び1階に飛び降りて、忍法疾風斬りでゴーミン達を目にも止まらぬ速さで跳び回って斬り倒していき、
そこにいたゴーミン達を全部倒すと、シリーズ第19作「超力戦隊オーレンジャー」のオーレッドに変身して、
「オー・レ!」と勝利の決めポーズをとります。

オーレッドとしてのアクションはこの決めポーズだけで、戦闘アクションは無く、
そのまま鎧はシリーズ第20作「激走戦隊カーレンジャー」のレッドレーサーに変身して
高速移動で倉庫の別の場所にいた大量のゴーミン達の群れに突っ込んでいき、
フェンダーソードで斬りまくり、そのまま勢い余って倉庫の壁を突き破って奥に消えます。

その場にはゴーミン1人だけが生き残っており、鎧がいきなり壁の向こうにいなくなったので戸惑っていると、
地下から突然、シリーズ第21作「電磁戦隊メガレンジャー」のメガレッドが
ドリルセイバーを構えて出現して、そのゴーミンをぶっ飛ばしたのでした。
鎧は壁の向こうでメガレッドに変身してドリルセイバーで地下を掘ってきたのです。
そして地下から飛び出してゴーミンを倒して着地した鎧は
シリーズ第22作「星獣戦隊ギンガマン」のギンガレッドに変身し、
倉庫の外にひしめくゴーミン達に向かって、炎のたてがみを放ってゴーミン達を炎で包んで倒します。

更にその炎の向こうのゴーミン達を倒すため、
鎧は今度はシリーズ第23作「救急戦隊ゴーゴーファイブ」のゴーレッドに変身して
ファイブレイザーに消火器をつけて炎を一瞬で消し止め、
そこに飛び込んでファイブレイザーをスティックモードにしてゴーミン達を叩きのめし、
そのままシリーズ第24作「未来戦隊タイムレンジャー」のタイムレッドに変身、
ボルブラスターを撃ちながら回転し、周囲のゴーミン達を薙ぎ払い、
更にシリーズ第25作「百獣戦隊ガオレンジャー」のガオレッドに変身して鋭い爪の一閃を喰らわせます。

すると次の瞬間には「超忍法・影の舞」の障子が画面に現れて、
シリーズ第26作「忍風戦隊ハリケンジャー」のハリケンレッドに変身した鎧が
影の舞の空間に落としたゴーミン達を叩きのめし、
シリーズ第27作「爆竜戦隊アバレンジャー」のアバレッドに変身した鎧が障子を破って飛び出してきて、
ゴーミン達をティラノロッドで倒しました。

続いてシリーズ第28作「特捜戦隊デカレンジャー」のデカレッドに変身した鎧は、
二丁のディーマグナムでゴーミン達を撃ちまくり、
更にシリーズ第29作「魔法戦隊マジレンジャー」のマジレッドの姿に変身して、
マジスティックソードでゴーミン達を斬りまくります。

そして鎧はシリーズ第30作「轟轟戦隊ボウケンジャー」のボウケンレッドに変身して
ボウケンジャベリンを振り回してゴーミン達を薙ぎ払い、
続いてシリーズ第31作「獣拳戦隊ゲキレンジャー」のゲキレッドに変身して、
激獣タイガー拳でゴーミン達を叩きのめしていきます。

ここからまた剣技で魅せる鎧は、
シリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」のゴーオンレッドに変身してロードサーベルを荒々しく振り回し、
シリーズ第33作「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンレッドに変身して
シンケンマルでチャンバラ風の殺陣を力強く見せ、
シリーズ第34作「天装戦隊ゴセイジャー」のゴセイレッドに変身して
スカイックソードで西洋サーベル風の殺陣を華麗に見せ、残ったゴーミン達の大部分を一気に斬り伏せました。

そして飛び上がった鎧はシリーズ第35作「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイレッドに変身します。
さっきはモバイレーツにゴーカイシルバーのレンジャーキーを挿したので
身体がゴーカイシルバーで頭がゴーカイレッドという変な姿になったのですが、
今度はゴーカイレッドのレンジャーキーを使ったので、全身がゴーカイレッドの姿に変身できたようです。

そうしてゴーカイレッドに変身して着地すると、鎧は僅かに残ったゴーミンをゴーカイサーベルで斬り倒し、
一気呵成にアカレンジャーからゴーカイレッドまでの歴代35戦隊の35人のレッド戦士に豪快チェンジして戦い、
遂にゴーミン軍団を1人で全滅させると、
まさかマーベラスが鎧に完全に戦いを一任して意思統一を図った戦いが出来るとは想像していなかったので
見事な鎧の戦いぶりを唖然として見つめるインサーンに向かって
「見たか!怒涛の歴代豪快チェンジ!35連発!!」と言い放ったのでした。

しかし、さすがに1人で35連続豪快チェンジとは無理をしすぎたのか、鎧はすっかり息が上がっており、
遂にゴーミンを全滅させた時点で「うっ!?」と叫ぶと、「うああ!!」と崩れ落ち、膝をついてしまいました。
ゴーカイレッド姿のまま鎧は立ち上がることが出来ず、「・・・どうなってんだ!?」と自分の身体の変調に困惑しました。
確かに35段変身はハードでしたが、普段の鎧はこれぐらいで倒れ込むほどにはヤワな鍛え方はしていないはずでした。

これはどうやら鎧はなまじ戦隊の知識が豊富なので
慣れないレッド戦士35人の技を全て使いこなすことは出来たのですが、
それは頭で使いこなしたようなもので、普段身体を使って使いこなしていない戦士の技ばかりであったので、
どうしても精神的な疲労が余分に溜まってしまい、
精神的な疲弊によってもはや戦うことが出来なくなってしまったようでした。
マーベラスの身体を借りているという負い目から、
マーベラスの戦う力を使って勝つことで義理を果たそうとこだわりすぎたために
鎧は窮地に陥ってしまったのでした。

この倒れ込んでしまった鎧の姿を見て、インサーンは単に合体戦士のパワーが尽きたと見て、
「パワーを一気に使い過ぎたようね・・・」とほくそ笑むと、
待機させていたスゴーミン1人を呼び出してカリゾーグと並ばせ、
「これで形勢逆転よ!」と合体銃をこの2人に向けて発射しました。
すると、カリゾーグとスゴーミンが合体して、両腕がスゴーミンのようになったカリゾーグがその場に出現しました。
「行け!スゴゾーグ!」とインサーンはまた勝手に変な名前を命名して、
そのスゴゾーグをゴーカイレッドの姿でへたり込む鎧にけしかけました。

「スッゴォ〜!!」と吠えて突進してきたスゴゾーグを、なんとか立ち上がって迎え撃った鎧でしたが、
あっという間にスゴゾーグに圧倒されてしまい、「わあああ!?」と吹っ飛ばされ、
スゴゾーグは「スッゴ〜ゴ〜ゴ〜!!」と勝ち誇ります。
スゴーミンはちょっとマヌケではありますが、
マーベラス達が変身しなければ太刀打ちできないほどの強さを持っている、それなりに精強な戦士ですから、
これが高性能の機械兵士であるカリゾーグの中身に入ることによって、
スゴゾーグは普通の行動隊長クラスの戦士にはなれるようです。

それでも普段の鎧ならばそう一方的にやられるような相手ではないのですが、
今の鎧は思わぬ精神的疲労のために意識朦朧としているので、
合体した身体をまともに動かすことも出来ず、一方的に叩きのめされてしまったのでした。
鎧は悔しそうに地面に突っ伏して「俺が・・・俺が1人で・・・カタをつけるんだ・・・!」と叫んで起き上がろうとしますが、
そこにスゴゾーグが「スッゴ〜!!」と吠えて突進してきて、鎧は迎え撃とうとしますが、
まだ起き上がることが間に合わず、絶体絶命の危機となりました。

その時、突然、鎧の変身したゴーカイレッドの身体の脚が勢いよく蹴り上がり、
振り下ろしてきたスゴゾーグの腕を「おりゃあっ!!」と蹴りあげ、弾き飛ばしたのでした。
バランスを崩したスゴゾーグはよろめいて後退し、
「すっげぇ・・・あいや、スッゴ〜!!」と、ビックリして、なんか言い間違えたみたいなセリフを言います。
インサーンも既にマーベラスと鎧の合体戦士のパワーが尽きていたのだと思い込んでいたので、
突然生き生きとした動きで反撃してきたのを見て「なに!?」とたまげました。

一方、鎧も意識空間で「え!?・・・これって・・・?」と驚いていました。
意識空間では鎧は倒れ込んだままであり、さっきスゴゾーグに蹴りを食らわしたのは鎧ではありませんでした。
さっきまで鎧に背を向けて陰に回っていたマーベラスが倒れた鎧に代わって前に出て、身体を動かしていたのでした。
しかし、マーベラスは確か、自分に戦いを任せて手出しをしないと言っていたはずだと鎧は驚いていたのでした。
するとマーベラスは鎧に背を向けたまま、手をブラブラして見せ
「約束通り・・・手は出してねぇぜ?」と事も無げに言います。

マーベラスはもともとは鎧1人に戦いを押し付ける気など無く、
自分と仲間の身体を元に戻すために戦うつもりでありました。
だから当然手も足も出す気は満々だったのですが、
鎧が自分のミスを自分で取り戻したいと燃えているので、それに水を差すことは避けて、
とりあえず鎧にここまでの戦いを任せていたのでした。
そして鎧は十分よく戦ったとマーベラスは評価しており、
ここまでくれば自分がバトンタッチしても鎧の気は済むだろうと思い、手出ししようと思ったのですが、
一応「手出ししない」という約束だったので、まずは足だけ出すことにしたのです。

鎧の方はてっきりマーベラスが自分の不手際を怒っているのかと思っていたら、
そういうわけではなかったと気付き、「ま・・・マーベラスさぁん!」と喜びの声を上げます。
その鎧の方をチラリと振り返ってからマーベラスは「・・・フン!」と駆け出しました。
これで鎧は自分が交替して戦うことを了承してくれたのだろうという感触を得たマーベラスでしたが、
「はあっ!」と飛び出して一応はまだキック技だけでスゴゾーグを圧倒し、
「おりゃあっ!!」とスゴゾーグを蹴り飛ばし、
スゴゾーグは「ごいす〜!!」と業界用語みたいなアホなことを言いつつ、よろめいて後退していきました。

そこでマーベラスはゴーカイセルラーとゴールドアンカーキーを取出し、
「今度は俺がお前の力を借りるぜ・・・!」と意識の中の鎧に向かって言いました。
さっきまで鎧がマーベラスの身体を借りている義理を果たすために
あえて慣れないマーベラスのレンジャーキーを使って戦ったのを見ていたマーベラスは、
今度は自分が鎧の身体を借りている義理を果たすため、
慣れない鎧の力であるゴールドアンカーキーを使って戦い、
これで貸し借り無しということで、改めて自分が交替して戦うことを鎧に了承させ、
晴れて手も使って戦おうと思ったのでした。

そうしてマーベラスはゴーカイセルラーにゴールドアンカーキーを挿し込み、
「ゴオオオカイレッド!!ゴオオオルドモオオオド!!」というコールと共に、
マーベラスの動かしているゴーカイレッドの身体にゴールドモードのアーマーが装着されます。

ゴールドアンカーキーは鎧が15の追加戦士のレンジャーキーを合わせてイマジネーションで作り出すものですから、
本来は鎧にしか扱えないものです。
だからゴールドモードも本来は鎧の変身したゴーカイシルバーにしか装着されないものなのですが、
今回はマーベラスと鎧が合体しているという特殊条件なので、
今回限りでマーベラスの意思で動かすゴーカイレッドにもゴールドモードが装着されるという珍事が起こったのでした。

普段の鎧のゴールドモードと違って、右手にゴーカイサーベルを持ち、
左手にアンカーモードのゴーカイスピアを握ったゴーカイレッドゴールドモードのマーベラスは
「これで36段豪快チェンジだ!!」と言い放ちます。
スゴゾーグは「す〜ごい!!」と、もう完全に普通の日本語になってます。

そしてマーベラスはさっそくトドメを刺しにかかり、
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアをファイナルウェーブ状態にして、
ゴーカイスピアを「はああああっ!!」と指先でグルグル回し、回転させたまま前に放り投げ、
そこに「おおおりゃああああっ!!」と叫んでゴーカイスラッシュを叩き込みます。

するとゴーカイスラッシュのエネルギーがゴーカイスピアの作り出した円弧型のエネルギー場に引火して
大きな火の玉となり、それが猛スピードで押し出されてスゴゾーグに突っ込み、
「スゴオオオ!!」と叫ぶスゴゾーグを貫いたのでした。
吹っ飛んだスゴゾーグは「ああ〜あ!」と慌てて逃げようとするインサーンの横に落下、
その場で大爆発して粉々になり、インサーンも「ああん!」と吹っ飛ばされました。

その拍子にインサーンの握っていた合体銃が放り出されて、
ゴールドモードを解除したマーベラスの手許に飛んできます。
合体銃を受け取ったマーベラスは「フン・・・!」と手間はかかったがようやく作戦を成し遂げたことに安堵し、
一方インサーンは「フン!・・・今日のところは退却のようね・・・」と負け惜しみを言うと、
「キビシ〜!!」と猛ダッシュで退却していきました。
カリゾーグが失われてしまった以上、マーベラス相手に合体銃を取り戻せる公算も薄く、
取り戻す意義も大して無かったのです。

そうしてインサーンも去り、合体銃も確保して、完全勝利を確信した鎧は
また合体戦士の身体を動かして「やったぁ〜っ!!」と跳び上がり、
意識空間の中でもマーベラスに「やった!やったやった!やりましたねぇマーベラスさぁん!!」と
抱きついて歓喜します。
あまりに鬱陶しいのでマーベラスは鎧を肘打ちでぶっ飛ばしますが、
鎧はぶっ飛ばされても嬉しそうにしており、
マーベラスもとにかくお互いよく頑張ったと思い、鎧に微笑みかけるのでした。

そして今回のスペシャルDVDのエピローグは、
再びガレオンの船室に戻ってきたマーベラスと鎧がナビィの出迎えを受ける場面です。
「元に戻ってよかったねぇ!」とナビィが言葉をかけたマーベラスと鎧は
もう既にあの倉庫で合体銃の合体解除ビームを自らに向けて撃って元通りにそれぞれの身体に分離していました。

「ああ・・・」とマーベラスは戦利品の合体銃を持って船長椅子に腰を下ろし、
ようやく元通りの快適な1人だけの身体に戻った喜びを噛みしめました。
幸い、まだ他の4人は戻ってきていませんから、この恥ずかしい出来事は知られずに済みました。
すると、そこに鎧が「はい!これ!地球が好きになる超おすすめソフトです!」とマーベラスに向け、
1本のソフトクリームを差し出したのでした。
それを見てマーベラスは怪訝そうに「・・・なんか2つ混ざってねぇか?」と問いかけます。

確かにこのソフトクリーム、冒頭のシーンで鎧がマーベラスに食べさせようとして、
どっちがいいか迷っていた例のソフトクリームであり、
鎧は倉庫からガレオンに戻る途中でこのソフトクリームをちゃっかり買ってきていたようです。
ただ、さっきはバニラ味とイチゴ味の2本のソフトクリームのどちらにするか迷っていたはずなのに、
ここでは1本になっており、しかもそれはバニラ味とイチゴ味をミックスしたものとなっていました。

鎧はマーベラスの問いかけに対して
「ええ!俺たちの力を混ぜたみたいに、2つの味を混ぜた方が、よりいい感じになると気付いたもんで!」と
得意げに説明して、ソフトクリームを差し出しました。
鎧はマーベラスと合体したことによって今までに無い戦い方が出来たことを喜んでいるようです。
しかし合体している間、面倒なことばかりだったという印象しかないマーベラスは
「バカ言え!混ざるのはもうゴメンだ!」と、
その2つの味が混ざったソフトクリームもまるで縁起の悪いものであるかのように拒絶するのでした。

鎧は「そう言わずに〜・・・一口!」と無理に勧め、マーベラスは「いらねぇ!」と突っぱねます。
そうして「一口!」「いらねぇ!」「一口〜!!」と押し問答しているうちに、
鎧が押し出したソフトクリームが「いらね・・・」と言うマーベラスの口にベチャッと突っ込み、
一瞬2人は呆然とします。

しかし、そのバニラ味とイチゴ味の混じったソフトクリームを舐めたマーベラスは
「・・・うめぇ!!」と、その思わぬ美味しさを発見し、
鎧からソフトクリームを奪い取ると夢中で食べ始めます。
「でしょお!?ハッハッハ!!」と大喜びした鎧は「俺にも一口ください!」とせがみ、
食い意地の汚いマーベラスは「うるせぇ!」と独り占めしようとし、
「一口!」「うるせぇ!」と、また2人は押し問答を始めます。
それを見て溜息をついたナビィは「・・・まったく・・・仲良く出来ないなら、2人ともまた混ぜちゃうぞぉ!」と
合体銃を構えて、2人に向けて合体光線を発射したのでした。

これで本編は終了し、EDテーマとなります。
曲はお馴染みの「スーパー戦隊ヒーローゲッター」ですが、
ここで流れるのは「199ヒーロー大決戦」映画のEDで流れた、34戦隊の紹介を一気にやってしまうバージョンです。
まぁ普段のTV本編のテレビサイズEDに比べればロングバージョンということになりますが、
実際は通常の「スーパー戦隊ヒーローゲッター」のフルコーラスから
間奏と2回分のサビ部分を除いたショートバージョンということになります。
この劇場版バージョンの「スーパー戦隊ヒーローゲッター」にTV本編のEDの映像を合わせて、
34戦隊全部の紹介映像を網羅して最後にいつものTV本編EDのサビ映像を流して終わりです。

そして特筆すべきは、ライブマン部分の映像とターボレンジャー部分の映像の間、
それとタイムレンジャー部分の映像とガオレンジャー部分の映像の間にそれぞれ、短い間奏があるのですが、
ここに本編ラストシーンの続きっぽいイメージで、
マーベラスと鎧の合体したヤツが怒ってナビィを追いかけているカットや、
ナビィと合体したマーベラスに驚く鎧や、ナビィと合体した鎧に驚くマーベラスなど、何やらカオスなカットの後、
最後は結局、マーベラスと鎧とナビィは全部分離して元通りとなるというところでガオレンジャーの映像となります。

ちなみに、このようにちょっとしか登場はしませんが、
鎧がEDテーマの映像に登場したのはこのスペシャルDVDのみということになります。

そしてこのEDの最後のカットも、いつもはマーベラス達5人の変身後姿だけなのですが、
ここに鎧のゴーカイシルバーも乱入してきて、
5人の映像がワイプで小さくなっていくのを追いかけて鎧もそのワイプ目がけて飛んでいき終わりとなります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2012年05月28日

海賊戦隊ゴーカイジャー キンキンに!ド派手にいくぜ!36段ゴーカイチェンジ!! 感想その2

ではスペシャルDVDの本編ですが、まず冒頭はアバンっぽい部分があり、
そこでは鎧がとある公園で突っ立って、右手にバニラ味、左手にイチゴ味のソフトクリームをそれぞれ1本ずつ持って
「俺みたいにコクのある濃厚バニラ味か・・・マーベラスさんみたいに酸っぱいけど、ほんのり甘いイチゴ味か・・・
どっちを食べてもらうべきか・・・?」と、何やら苦悩しています。

というか、いちいち言葉に出して悩むような内容とも思えないのですが、
鎧は「バニラ!イチゴ!?バニラ!?イチゴ!」と、2つのソフトクリームの間で激しく首を左右させて葛藤し、
「うううう〜ん!悩むぅ〜!!」と喚いて仁王立ち、完全に変質者です。
そして鎧はしゃがみ込んで「マーベラスさんに地球の良さをもっと知ってもらうために、
この超おすすめソフトを食べてもらいたいんですけど・・・」とカメラ目線で独り言を言って、
丁寧に事情を説明してくれます。

まぁハッキリ言ってどうでもいいことなんですが、
鎧は相変わらずマーベラス一味の面々にスーパー戦隊の一員らしく地球を好きになってもらおうと画策中であるようで、
アイスクリームの類が好物のマーベラスへのアピールのために、とても美味なソフトクリームを食べさせようと考え、
その店の近くの公園でマーベラスと待ち合わせて、
用意したバニラ味とイチゴ味の2つのソフトクリームのどっちをマーベラスに食べてもらおうか、
鎧は真剣に悩んでいるようです。

しかし、ここで鎧は素に戻って立ち上がり
「・・・ってゆうか・・・待ち合わせの時間とっくに過ぎてるし・・・」と周囲を見回します。
公園には誰もいません。
肝心のマーベラスは待ち合わせにだいぶ遅刻しているようです。
待ち合わせ時間に間に合うように買ってきた2つのソフトクリームは、鎧の手の中で次第に溶け始めてきました。
鎧は焦ってきて「マーベラスさぁん!!早く来ないと溶けちゃいますよぉ〜!?」と大声で
まだ来ないマーベラスに聞かせるように、手を広げて大声で叫びました。

すると、その鎧の伸ばした左手に握ったイチゴ味のソフトクリームにそっと触れて
「なら私が食べて、ア・ゲ・ル!」という女の声がしたので、鎧が「ん?」と振り向くと、
なんとそこにザンギャック軍の技官のインサーンが立っていたのでした。
「・・・インサーン!?」と仰天した鎧でしたが、
インサーンがそのまま本当にイチゴ味ソフトクリームを勝手にムシャムシャ食べたので、
「あ・・・うわ・・・何その食べ方・・・?」と思わずドン引きします。

ここ、インサーンの背中側からのショットになっているので、
インサーンが実際にどんなふうにソフトクリームを食べたのかよく見えないのですが、
鎧が思わず引いてしまうぐらいのグロい食べ方であったようです。

後ずさりして、気を取り直して鎧が「な・・・なんでお前が此処に!?」と訊ねると、
ソフトクリームを食べ終わったインサーンは「お前に会わせたいヤツがいてね・・・」と答えます。
インサーンの意図を測りかねて、とにかく鎧は身構えました。
すると鎧の背後で変な声がしたので慌てて鎧が振り向くと、
なんと鎧の背後にはいつのまにかバリゾーグの姿があったのでした。
反射的に振り向いてバリゾーグの顔を見た鎧が驚愕の表情を浮かべると同時に、
バリゾーグは手を伸ばして鎧の首を「ぐう!?」と締め上げました。

ここでアバンっぽい場面は終わり、35作記念のスーパー戦隊ロゴが出て、
宇宙空間を背景に35戦隊のエンブレムが流れて、
マーベラスと鎧の2人の変身後の、ゴーカイレッドとゴーカイシルバーが登場して悠然と歩きます。

つまり普段のTV本編の5人で歩いてるOPテーマ前の場面の2人バージョンというわけで、
BGMも例のOPテーマ前のBGMが流れており、
そこに「34のスーパー戦隊の力を受け継いだ豪快な奴らの、ここでしか見られないゴ〜カイな活躍が、
今、君の前に!!」という関智一のナレーションが流れます。

そして海賊旗をバックに「こぉ〜だんしゃ!スペシャルDVD!」というナレーションと共に文字が出て、
続いてタイトル文字が出て、「海賊戦隊ゴーカイジャー!」と、いつものTV本編のタイトルコール、
次いで「キンキンにぃ!」と鎧のコール、「ド派手にいくぜぇ!」とマーベラスのコール、
そして「36段ゴォ〜カイチェンジ!!」とマーベラスと鎧のコールがあります。

TV本編ではこのタイトルコールの後、OPテーマとなるのですが、
このスペシャルDVDでは、OPテーマは無く、このまま本編が再開します。

鎧はいきなり背後に現れて首を絞めてきたバリゾーグを見て、「バリゾーグ・・・!?」と大変驚愕しています。
そして、自分の首を絞めてくるバリゾーグの腕を外そうとして掴みながら
「・・・お前は、ジョーさんが倒したはずじゃあ・・・?」と苦しい息で問い質しました。
ここでの鎧のセリフから、このスペシャルDVDのエピソードが第38話の後のエピソードであることが分かります。

第38話でマーベラス一味はザンギャック地球侵略軍の司令官のワルズ・ギルを
その搭乗する決戦機グレートワルズともども倒し、
その過程でワルズ・ギルの側近であった特務士官のバリゾーグもジョーが壮絶な一騎打ちの末、倒していました。
それを鎧が把握しているということは、このスペシャルDVDの出来事が第38話以降ということを意味しています。

そして、この後しばらくザンギャック軍に動きが無かったことをマーベラス達が第40話で証言しており、
第41話以降はザンギャック軍の状況が大きく変わることを考えると、
このスペシャルDVDの出来事は第38話の直後の後日談であり、第39話以前の出来事と考えるのが最も自然でしょう。

第38話でワルズ・ギルとバリゾーグを倒したマーベラス一味は、
当然ザンギャック軍からの報復はあるだろうとは思っていましたから、
鎧としてもインサーンが現れたのはワルズ・ギルの敵討ちであろうとは思えました。
しかし、まさかジョーが倒したはずのバリゾーグまでも現れるとは全く予想外だったのです。

それで驚き慌てる鎧に向かってインサーンは「バリゾーグではない・・・」と意外なことを言います。
そして「こいつはザンギャックの超高等技術によって再生強化されたバリゾーグ・・・」と説明しながら
鎧に背を向けて歩き、「・・・いや、まだ肝心の中身が無いから・・・そう・・・」と考え込むと、
鎧の方に振り向きながら「・・・カリゾーグといったところかしら?」と言いました。

「か・・・仮・・・?」と鎧はそのカリゾーグに首を絞められてまだ身動きが出来ず苦しみながら、
イマイチ意味が分からない様子です。
機械兵士であるバリゾーグがジョーのザンギャック軍時代の先輩のシドが改造された姿だということは
鎧も把握していました。
そしてジョーがバリゾーグを倒したことによって、
シドの魂は救われてバリゾーグに関する忌まわしい出来事は全て終わったはずだと思っていました。

しかしインサーンはジョーに倒されて山中に放置されていたバリゾーグの残骸を回収して組み立て直し、
再び元のように動けるようにし、更に強化までしたようです。
ただ、確かに一度バリゾーグはジョーによって完全に破壊されたので、
その際にシドの剣技に関する記憶以外の全ての記憶を奪った上でワルズ・ギルへの忠誠心のみを植え付けた
シドの意識を司る部位も破壊されていました。

つまり、ジョーに倒された時にシドの魂は確かに解放されてバリゾーグの身体からは去っており、
バリゾーグの身体は再生強化したものの、肝心の魂が失われた、一種の抜け殻状態であったのです。
インサーンの技術でも、さすがに一度失われたシドの魂を再生させることは出来なかったのでした。
要するに、このバリゾーグは元のバリゾーグとは全く別物なのです。

バリゾーグの強さはそのボディの性能によるものだけではなく、
心も技も優秀な兵士であったシドの魂によって身体を動かしていたからこそ発揮されていたのであり、
シドの魂の入っていないバリゾーグなど、ただの馬鹿力だけの木偶の坊に過ぎない。
それをインサーンはまだ肝心の中身が入っていない「仮のバリゾーグ」という意味で
「カリゾーグ」などと呼んでいるようで、
つまり、インサーンはシドの代わりにバリゾーグの身体を有効に使いこなせる優秀な魂を、
このカリゾーグの身体に入れようと考えているようです。

ここでインサーンは変な形の銃を取出し、
「だから、この銃でスーパー戦隊に詳しいお前をこいつと合体させ、
その知識と技で、海賊どもを倒す新たなバリゾーグを完成させるのよ・・・!」と言って、
銃を構えて鎧に狙いを定めました。

どうやらインサーンは司令官のワルズ・ギルを殺した報復のためにマーベラス一味を倒そうとしているようだが、
これまで普通の行動隊長を繰り出しても連戦連敗、
しまいには最強の決戦機のグレートワルズやバリゾーグまでも撃破されてしまい、
自分が真っ向勝負を仕掛けてもマーベラス一味を倒すのは容易ではないと悟ったようで、
奇策でマーベラス一味を倒そうと思ったようです。

その奇策というのが、歴代スーパー戦隊の力をも含むゴーカイジャーの全ての力について
最も詳しく知る男、特にスーパー戦隊に関してはマーベラス達よりも豊富な知識と、
それに対抗し得るだけの技を持つ男であるゴーカイシルバー伊狩鎧を、
かつてのシドと同じようにバリゾーグの身体を動かす中身の魂とするという作戦でした。

シドの剣技を含む卓越した戦闘力をバリゾーグの身体を動かす魂とするために、
かつてザンギャックの大科学者ザイエン(第30話でジョーによって倒された)は独自の技術を使いましたが、
インサーンはそのザイエンの技術は再現出来てはいないようです。
その代わりにインサーンはどうも別々の物を合体する銃を開発したようで、
それを使って中身空っぽのカリゾーグと鎧を合体させれば、
鎧の意識がカリゾーグを動かすことが出来るようになると考えているようです。

その上で鎧の意識をザンギャックに忠誠を誓うように洗脳すれば、
ゴーカイジャーやスーパー戦隊の全ての弱点を知りつくし、
ゴーカイシルバーの戦闘センスで強化されたバリゾーグの戦闘力を発揮できる、
以前よりももっと強い、対ゴーカイジャーの天敵となる新生バリゾーグを誕生させることが出来る。
それがインサーンの企みであるようです。

鎧もインサーンの言葉を聞いて、だいたいの状況は分かりました。
さっきから自分の首を絞めて掴まえているバリゾーグは「カリカリカリ・・・」などと意味不明なことを呟いており、
これはインサーンの「カリゾーグ」という言葉に反応してオウム返しのようにブツブツ言っているだけであり、
魂の抜けた木偶人形状態、つまり中身の無いバリゾーグであるのは間違いないようだと分かりました。

つまりインサーンの言っていることは冗談でも何でもなく本当の本気であり、
自分とバリゾーグを変な銃で合体させようとしているらしいと理解し、
鎧は唖然として「・・・マジ・・・?」とインサーンに向かって・・・ではなく何故かカメラ目線で思わず問い返します。
インサーンも何故かカメラ目線で「マジ!」と答え、
カリゾーグは今度はその言葉に反応してオウム返しで「マジマジマジ・・・」とブツブツ言い、
鎧を押さえつけて離してくれません。

このままではインサーンの変な銃によってカリゾーグと合体させられてしまうと危機を感じて、
鎧は「むむむ無理無理!やだやだや〜だ〜!!」と必死にジタバタしてもがきます。
だがカリゾーグの腕の力は強く、鎧は身動き出来ません。
インサーンは容赦なく銃を構えて今にも鎧目がけて発射しようとしており、まさに鎧は絶体絶命の窮地となります。

するとそこに「はぁっ!!」と何者かが飛び込んできてカリゾーグに体当たりをかまし、
バランスを崩したカリゾーグから鎧を引きはがして後ろに放り投げ、
そのままカリゾーグに斬りつけて蹴り飛ばしました。
「うわあああ!」と尻もちをついた鎧が自分を助けてくれた人を見ると、
それは約束時間に大幅に遅れて到着したマーベラスでした。

「マーベラスさん!」と身を起こす鎧に、マーベラスはインサーンに向けてゴーカイサーベルを構えながら
「どういうことだ!?ザンギャックと待ち合わせなんて聞いてねぇぞ!」と文句を言います。
約束時間に遅れて悠然とやって来たマーベラスは、待ち合わせ場所に鎧だけではなくインサーンと、
何故か死んだはずのバリゾーグまでが居るので驚いて飛び込んできて、
状況はさっぱり分からなかったが、とにかく鎧を襲っているっぽいバリゾーグをぶっ飛ばしたのでした。

インサーンはあと一歩で鎧とカリゾーグを合体させることが出来たのを邪魔されて激昂し、
「・・・いいところで邪魔を!」と今度はマーベラスに向けて合体銃を構え、引き金を引きます。
すると銃から光線が発射されて、マーベラスは反射的にゴーカイサーベルで防御しますが、
インサーンは光線を発射し続け、「こうなったらお前から先にカリゾーグと合体させてやる!」と、
なんだか頭に血が昇って最初の趣旨と違うことをやり始めました。

鎧とカリゾーグを合体させてゴーカイジャーの最悪の敵を作るはずが、
ゴーカイジャーのリーダーのマーベラスをカリゾーグと合体させようという趣旨に変わっている。
まぁそれはそれで強そうなので悪くもないですが。

そういうわけでインサーンは合体光線を発射し続け、
事情が分からないマーベラスはインサーンが発射しているのは破壊光線の類だと思い、
その姿勢のままゴーカイサーベルで防ぎ続けます。
そこにインサーンの命令でカリゾーグが立ち上がり、「カリ!カリ!」と呟きながら、
マーベラスに近づいてきます。

マーベラスが剣で受け止めている合体光線のところに乱入して剣をどかせて、
マーベラスと一緒に合体光線を浴びて合体するためにカリゾーグは近づいてきているのですが、
マーベラスはそんなことは知りませんから、
インサーンの光線攻撃を防ぐのに手一杯のところにバリゾーグが横から襲ってきたと思い、焦ります。

それを見て鎧は、このままではマーベラスが危ないと思い、
慌ててそれを阻止しようと「マーベラスさぁん!」と叫んで飛び込んできて、
バリゾーグを突き飛ばそうとします。

そうして三者はもつれ合い、一緒に合体光線を浴びてしまいました。
すると合体光線が3つの物を同時に合体させる仕様になっていなかったためか、
3人のいる合体光線に包まれた空間がショートしてしまい、爆発を起こし、
マーベラスと鎧は「わあああああっ!!」と叫んで吹っ飛びます。

同時にその爆発は光線を発射していたインサーンをも吹っ飛ばし、
「ううっ!?」と地面に叩きつけられたインサーンは慌てて起き上がって
「・・・何が起こったというの!?」と言いつつ、マーベラス達の居た場所に駆け寄りましたが、
爆煙が立ち込める中、公園の柵にはカリゾーグが吹っ飛ばされて引っ掛かっており、
マーベラスと鎧の姿はありません。

インサーンは「・・・合体エネルギーに耐えられないなんて・・・このポンコツめぇっ!!」と怒鳴って、
悔しげにカリゾーグの尻を合体銃で思いっきり叩きます。
合体エネルギーが予想以上に強くてカリゾーグを吹っ飛ばしてしまい、合体は失敗し、
マーベラスと鎧には逃げられてしまったとインサーンは思ったのでした。
こうなったら破損したカリゾーグを修理して、合体光線の出力を再調整して再チャレンジするしかない。
インサーンはカリゾーグを引っ立てると「もう一度、出直しよ!」とヒステリックにその頭を叩くのでした。

さて、その後少しして、停泊中のゴーカイガレオンではナビィが船室に入って来た相手を見て
「あらぁ〜・・・?」と仰天していました。
そのナビィを驚かせている相手は「なんか・・・妙な感じですねぇ・・・?」と誰かと喋っています。
この声を聞く限り、それは鎧であるようです。
しかし、船室に入ってきたのは「・・・それは俺のセリフだ」と憮然とするマーベラス1人だけです。

しかし、このマーベラス、どう見てもおかしい。
顔は確かにマーベラスですが、いつもの黒い髪の色に一部、茶髪のメッシュが入っていて、
首には鎧がしていたスカーフを巻いており、
トレードマークの赤いハーフコートは袖が無くなっており、
腕には鎧の着ていた黄色いTシャツの袖が剥き出しになっています。
また、黒のパンツもハーフパンツになっており、鎧の履いていたソックスが剥き出しになり、
足元の靴は左右別々になっていて、右足は鎧の白いスニーカー、左足はマーベラスの黒いブーツを履いています。

「あああ・・・マーベラスと鎧が1つに合体してるううう!?」とナビィは絶叫します。
このマーベラスと鎧が混ざったような変なヤツが船室に入ってくるなり、
鎧の声とマーベラスの声を交互に発して、1人で会話をし始めたものですから、
ナビィにも、この2人がマーベラスでもあり鎧でもある、2人が合体した人間だということが分かったのでした。

この何とも不思議な現象に大変驚いたナビィでしたが、
どうしてこんなことが起こったのかサッパリ見当もつきません。
それはマーベラスも同じであるようで、船室に入ってきて、
自分を見て思いっきり驚いてパニックに陥っているナビィを無視して、メインコンピュータの操作盤に手をついて、
「・・・ったく・・・」と頭を掻き、困り果てます。

マーベラスは鎧がピンチだったから助けに入ったらインサーンに光線銃で撃たれて、
鎧やバリゾーグもろとも吹っ飛ばされた。
そして起き上がったらどういうわけか自分と鎧が合体して1人の人間になっていたのです。
驚いてマーベラスはとりあえず爆発に紛れてその場を逃れて急いでガレオンに戻ってきたのでした。

マーベラスの意識空間の中にはいつもは当然、マーベラス1人だけが主役として佇んでいます。
しかし、こうして鎧と合体したマーベラスの意識空間の中には、マーベラスだけではなく鎧も佇んでおり、
マーベラスはそれが目障りで仕方ない。
が、それは鎧にしても同じことで、いつも1人で好き放題に妄想を楽しむ鎧の意識空間に
今にもキレそうな顔でマーベラスが立っているのは、どうも重苦しく楽しくない。

その真っ白な意識空間の中で、マーベラスの意識と鎧の意識は、
互いに居心地が悪そうに、背を向け合って立っています。
「・・・なんでこんな面倒なことに・・・?」とマーベラスが困り果てて訊ねると、
鎧は「たぶん・・・インサーンのあの銃のせいだと思います・・・」と自分の推理を述べ始めました。
インサーンは鎧とカリゾーグを合体させると言ってあの銃を発射しようとしていた。
だから、あの銃は2つの物を合体させる光線を放つ銃だったのではないかと鎧は思ったのです。
「俺とカリゾーグを合体させるつもりが・・・俺とマーベラスさんが合体しちゃって・・・」という鎧の推理を聞き、
マーベラスはだいたい状況は理解できました。

あのバリゾーグはジョーに倒された残骸を組み立てた中身が空っぽの人形で、
どうやらインサーンはそいつと鎧とを合体させようとしていたようだ。
どうしてインサーンがそんなことをしようとしたのかはよく分からんが、
とにかくドサクサで自分と鎧が合体する羽目になってしまい、
中身が空っぽのバリゾーグとは違い、もともと独自の意識を持った者同士が合体してしまったために、
1つの身体を2人の意識で共有するという、変な二重人格状態になってしまったようだと、
マーベラスは理解して溜息をつきます。

すると突然、鎧が「・・・ホンット・・・すみません!!」と深々と頭を下げました。
もとはといえばインサーンやカリゾーグの不意打ちを簡単に喰らってしまってピンチに陥ったのは鎧のミスでした。
その自分を助けるために飛び込んできたためにマーベラスは合体光線を浴びる羽目になってしまった。
だから自分のせいでマーベラスに迷惑をかけてしまったと鎧は思ってのでした。

それで申し訳なく思い、深々と頭を下げたのですが、
考え無しに勢いよく頭を下げたもので、2人の共有する肉体も同じように深々と頭を下げて、
操作盤の角に思いっきり額をぶつけてしまいました。
いきなりマーベラスと鎧の合体したヤツが1人で謝って操作盤の角に頭をぶつけるのを見て、
ナビィは「わあああ!?」と驚きました。
そのまま2人の合体した肉体は痛みのあまり操作盤の脇にしゃがみ込んでしまいました。

意識空間でも、マーベラスの意識も、鎧の意識も2人とも「いてぇぇ・・・」と額を押さえてうずくまり、
マーベラスはブチ切れて鎧の胸倉を掴んで「俺の身体を勝手に動かすな!!」と怒鳴りました。
これが現実空間ではマーベラスは自分の腕で自分の胸倉を掴んで怒鳴るという形になっており、
鎧は意識空間では自分の胸倉を掴むマーベラスの腕を掴んで
「でも・・・この身体は俺の身体でもあるんですから・・・!」と言い返しますが、
これも現実空間では自分の胸倉を掴んだ自分の手をもう一方の自分の手で掴んで言い返すという、
なんとも妙な情景となりました。

マーベラスも確かにこの身体は自分だけのものではなく、鎧のものでもあるのだから、
鎧に動かすなと言うのも酷だと思ったのか、ここは黙って引き下がります。
そうして憮然とした顔で佇むマーベラスと鎧の合体した姿を見て、
ナビィは「・・・なんか、ややこしいことになっちゃったねぇ・・・?」と気の毒そうに言います。

そういえば、このガレオンの船室にはこの合体したマーベラスと鎧の他にはナビィしかおらず、
ジョーもルカもハカセもアイムもいません。
おそらく今日はオフの日なのでしょう。
まぁマーベラス一味はお宝ナビゲートが出た時以外は基本的にはいつもオフのようなものですが、
それでもガレオンで何やかやと用事をこなしています。
船乗りには色々と船での用事が多いのです。
今日はそういう用事が完全オフの日で、ナビィだけ留守番に残して各自が外に出て好きなことをしているようです。
鎧がマーベラスに美味しいソフトクリームを食べに行くよう誘ったのも、そういうオフの日だったからでしょう。

その休日の用事が初っ端から思わぬインサーンの邪魔で台無しになって
慌てて2人が合体してガレオンに戻ってきたわけですから、他の4人はまだ当然ガレオンには戻っていません。
おそらく夕方まで戻ってこないでしょう。
ジョー達がいなくて良かったとマーベラスは安堵しました。
こんなカッコ悪い姿を見られたら、他の連中にどれだけ笑われるか分かったものではありません。

なんとかジョー達がガレオンに戻ってくるまでに元に戻っておかねばならないと思いましたが、
どうしたらいいのかマーベラスには見当もつきません。
「・・・で?・・・いったいどうすんだ?・・・この状況・・・」と、自分の体内の鎧に向けて訊ねながら、
マーベラスは合体した身体を船長椅子に腰を下ろしました。

するといきなり鎧の意識が合体した身体を動かし、いかにも鎧らしいハイテンションなポーズで立ち上がり
「俺がなんとかします!!」と断固とした口調で宣言したのでした。
座った途端にいきなり椅子から跳び上がって叫ぶ、その合体した身体の異様な行動にナビィは「わぁ!」と驚きました。

意識空間ではマーベラスが鎧があまりにも張り切っているので少し驚いた顔をしますが、
背中合わせに立つ鎧は「・・・こんなことになったのは・・・俺のせいで・・・」と、
自分のミスでマーベラスを巻き込んでしまったことを心から反省しているようです。
現実空間でも鎧のハイテンションは合体した身体を動かし、
「・・・だから、俺が絶対!この身体を元に戻してみせます!!」と宣言してビシッとポーズを決めるのでした。
それにしても小澤くんの身体で鎧のハイテンションなオーバーアクションをやると、なんだか違和感がすごいです。

とにかく鎧は自分のミスはマーベラスの手は煩わせずに自分で帳消しにするつもりであるようです。
それを聞いてマーベラスは黙って複雑な表情を浮かべました。
鎧は勝手に自分のミスだと思い込んで自分を責めていますが、
マーベラスは別にさっきから鎧の責任を追及などしていません。
ただ単に困ったことになったと思って不機嫌であっただけであって、
こんなことになったのは鎧が悪いからだなどとは思っていません。

仲間が危ない状況だったのだから助けに入ったのは当然のことであり、
その結果生じた事態は自分の判断の結果であり、自分で責任を負うべきことでした。
それに鎧がミスをしてピンチに陥ったのをマーベラスが助けようとしたことに鎧は負い目を感じているようだが、
マーベラスがインサーンの攻撃を受けて身動きが取れなくなっていたのはマーベラスのミスであり、
鎧はそれを助けようとして飛び込んできて、その結果こうして2人は合体してしまったのだから、
ミスをフォローし合ったのはお互い様といえました。

だからマーベラスは鎧だけに責任を押し付けて自分は何もしないなどというつもりは毛頭無く、
鎧が勝手に全部の責任をかぶろうとしているのを快くは思いませんでした。
それで鎧の言い分が間違っていると言おうかと思いましたが、
マーベラスはそれは思い止まり、「・・・フン・・・」とニヤリと笑い、「当たり前だ・・・」と言って、
合体した身体を船長椅子にゆったり腰かけました。

鎧だけが悪いわけではないのは確かだが、
鎧がせっかく自分のミスを自分で帳消しにしようとして張り切っているのだから、
海賊としての鎧の成長のためにも、ここはひとつ、鎧に出来るところまで任せてみようと思い、
マーベラスは合体した身体の命運を鎧に預ける決断をしたのでした。

鎧はマーベラスの許しを得て、ますます張り切って、
また合体した身体をいきなり立ち上がらせて「はいっ!!」と直立不動で叫び、
ナビィはまた「うわ!」と驚きます。
「頑張ります!!」とポーズを決める鎧ですが、
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2012年05月27日

海賊戦隊ゴーカイジャー キンキンに!ド派手にいくぜ!36段ゴーカイチェンジ!! 感想その1

この「海賊戦隊ゴーカイジャー キンキンに!ド派手にいくぜ!36段ゴーカイチェンジ!!」という作品は、
「講談社スペシャルDVD」というカテゴリーに属する作品です。

近年、スーパー戦隊シリーズの各作品の映像作品は、TV本編の他、
夏のライダー映画と併映の劇場版と、冬のVSシリーズ劇場版の2つが定番で作られています。
「ゴーカイジャー」の場合は春映画の「199ヒーロー大決戦」もありましたが、
これはシリーズ35作記念作品ということで作られた特別映画であって、例外的なものでした。

よって近年の戦隊はTV本編と夏映画、冬映画が定番のラインナップですが、
実はもう1つ、ちゃんとオリジナルストーリーを持ったエピソードがありまして、
それがこの「講談社スペシャルDVD」なのです。
正式名称というか、より詳細に意味の分かる名称としては
「テレビマガジン応募者全員サービスDVD」ともいいます。

テレビマガジンとは講談社から発行されている児童向けテレビ雑誌で、1971年11月に創刊されました。
この年というのは「仮面ライダー」が放送開始して大ブームとなった年です。

「仮面ライダー」は言わずと知れた石ノ森章太郎の原作です。
まぁこの頃の子供向けテレビヒーローの「原作」というのは、本当の意味の原作ではなく、
テレビで先行した企画のキャラデザインをした漫画家が
漫画雑誌でコミカライズをテレビ放送と同時進行を描くという形でした。

石ノ森氏の「仮面ライダー」のコミカライズ作品を1971年のテレビ放送と同時進行で
連載していた漫画雑誌は講談社の「少年マガジン」でした。
その「仮面ライダー」のテレビ版の方が放送開始以降、1971年夏ぐらいから一気にブームが盛り上がってきたので、
講談社はこのブームに乗って、更に仮面ライダーブームを後押しすることを目標に
1971年11月に「少年マガジン」の兄弟誌として、テレビ版の少年マガジン、
すなわち「テレビマガジン」を創刊したのでした。

日本で最初の児童向けテレビ雑誌といえますが、
当初はその創刊目的に沿って、ひたすら仮面ライダー推しの雑誌でした。
それが1970年代の特撮変身ヒーローやロボットアニメヒーローなどの大ブームに乗って、
様々な児童向けテレビ番組のコンテンツを取り揃えた雑誌となり、
付録が充実するようになってよく売れるようになっていきましたが、
競合誌は小学館の「てれびくん」で、ハッキリ言って常に「てれびくん」の方が多く売れています。

まぁしかし「テレビマガジン」「てれびくん」双方に
スーパー戦隊シリーズも、「テレビマガジン」には1979年の「バトルフィーバーJ」以降、
「てれびくん」には1980年の「デンジマン」以降の全作品が掲載されており、非常にお世話になっています。

この「テレビマガジン」では、1995年の「オーレンジャー」以降、
毎年11月発売の12月号にテレビマガジン購読者を対象とした
通信販売でスーパー戦隊のオリジナルストーリーの映像パッケージを応募者全員にプレゼントする企画を
掲載しています。
当初はビデオでしたが、それがDVDに切り替わったのでした。

つまり、毎年、テレビマガジン12月号の中に掲載されている応募要領に従って応募すれば、
応募した人全員にその年の戦隊のテレビマガジン独自ストーリーの短編ドラマの収録されたDVDが送られてくるのです。
応募受付期間は12月号が発売される11月初旬から12月初旬までの間であり、
応募したDVDが自宅に送られてくるのは、確か12月下旬ぐらいだったと思います。

どうして12月号で応募受付をするのかというと、これはテレビマガジン側の伝統のようなもので、
12月号の発売される11月というのは1971年にテレビマガジンが創刊された時の創刊月であり、
毎年テレビマガジンでは創刊を記念して12月号は特別号であり、こうした特別企画が盛りだくさんなのです。

さて、11月初旬に12月号が発行される時点ではこのオリジナルDVDの内容についての告知も掲載されていますから、
脚本は10月末までには確定していると思われます。
そうなると例年、撮影は11月あたりに行われるのでしょう。

もちろんTV本編の撮影が最優先で、例年10月あたりに冬映画の撮影が行われますから、
この辺りはTV本編の撮影も冬映画のシワ寄せを受けてスケジュールはキツい時期です。
また、この時期は例年Gロッソでのヒーローショーに素面役者も登場する時期ですから、
秋は役者陣はホントにスケジュールは厳しい時期です。
そのキツいスケジュールの中、このオリジナルDVDの撮影というのは、あまり優先順位の高い方ではありませんから、
TV本編の撮影スケジュールの空いたところを上手く見つけて撮影しているのでしょう。

もともとテレビマガジン読者のためだけのサービス品ですから、
TV本編や劇場版のような濃い内容が求められているわけではありません。
なので、TV本編の撮影に支障をきたさないように例年このDVDは尺は15分程度と短く、
登場するキャラクターも戦隊メンバー全員は出さずにレッド戦士と追加戦士の2人だけというパターンが多いです。

ドラマ内容も薄いものが多いのですが、
あまりにもどうでもいい内容にしてしまうと読者へのサービス品としての価値が無くなってしまいますから、
このスペシャルDVDでは、普段のTV本編では見ることが出来ない、
このスペシャルDVDでしか見ることの出来ない特別な戦闘フォームや戦闘スタイルを売りにして、
アクションで特徴的に魅せることが多いです。

この2011年度のゴーカイジャーのスペシャルDVDもだいたいそういった路線に忠実な作品で、
尺は14分で、しかも最後にしっかりEDテーマの「スーパー戦隊ヒーローゲッター」の
このDVD特製のロングバージョンが2分ほど収録されていますから、
実質は12分ほどの内容となっており、TV本編の1エピソード分の実質尺の21分よりもかなり短いです。

戦隊メンバーで登場するのはマーベラスと鎧だけであり、ジョーとルカとハカセとアイムは登場しません。
あと登場するのはナビィと、メインの敵役としてインサーンとバリゾーグ(の抜け殻だが)、
あとはゴーミンとスゴーミンと猫だけです。

メインはマーベラスと鎧だけであって、
他のメンバーの本編の撮影スケジュールに影響が出ないように工夫されていますが、
この作品の場合、マーベラスと鎧が合体してしまうという名目で、
実質的に鎧役の池田くんの顔出しの出番はかなり少なく、
マーベラス役の小澤くんの1人芝居の場面が多く、
結局はTV本編の撮影スケジュールで大きな影響が出るのは主役の小澤くんのみであるという、
更なる工夫がしてあります。

そして今回のスペシャルDVDのセールスポイントは、タイトルにもあるように36段ゴーカイチェンジです。
「ゴーカイジャー」という作品の最大のセールスポイントは、
やはりなんといっても毎回様々な趣向で楽しませてくれる、歴代戦隊への豪快チェンジです。
それを全戦隊分を一気に見せようというのが今回のスペシャルDVDのサービス企画らしい企画といえます。

まぁ全戦隊といっても、変身するのはマーベラスと鎧の合体したヤツであり、
実質的にはマーベラスですから、歴代レッド戦士に変身していくのですが、
歴代戦隊はゴーカイジャーも含めて35戦隊ですから、36段ゴーカイチェンジとなると1つ足りません。
ここで登場するのが、ゴーカイレッドがゴールドアンカーキーを使って
ゴーカイレッドゴールドモードになるという形態です。

鎧以外の者がゴールドアンカーキーを使うという描写はTV本編や劇場版などには見られず、
このスペシャルDVDだけでしか見られない特別サービスとなっており、
アカレンジャーからゴーカイレッドまで歴代戦隊の主役レッド戦士35人に立て続けに豪快チェンジした後、
36段目の豪快チェンジとして、このゴールドアンカーキーを使って
マーベラスがゴーカイレッドゴールドモードに変身するのです。

マーベラスと鎧が一体化している状態だからこそ出来るのか、
普段からやろうと思えば出来るがあえてやっていないのか、そこらへんはよく分かりませんが、
とにかくこのスペシャルDVDでしか見ることは出来ないので、お得感があります。

ちなみにゴーカイレッドゴールドモードは映像作品としてはこのスペシャルDVDでしか見られないが、
トレーディングカードゲームの「レンジャーズストライク」においては登場済みです。

作品タイトルの「キンキンに!ド派手にいくぜ!」というのは、
鎧とマーベラスのそれぞれの決めゼリフが合体しており、
2人が合体してしまうストーリーに対応しているように見えますが、
しかしよく考えると、鎧のいつもの決めゼリフは銀の戦士ならではの「ギンギンにいくぜ」であって、
「キンキンにいくぜ」とは普段言いません。

だから、ここのタイトルの「キンキンに」というのはゴールドモードのことを指しているのであり、
ゴールドモードをゴーカイレッドが使うということで「キンキンに」と、
マーベラスの決めゼリフの「ド派手にいくぜ」が合体しているのでしょう。

このゴーカイレッドゴールドモードを含む36段変身は圧巻であり、
このスペシャルDVDは、この36段変身を見るための作品と言って過言ではありません。
さすがに36段変身となると尺をとりますので、この36段変身を含んだ一連の戦闘シーンだけで4分半もあり、
それ以外のドラマ部分は全部合わせても8分も無い状態となっています。

「ゴーカイジャー」のTV本編や劇場版の場合、映像に込められたドラマの情報量はやたら多く、
実質的には尺の倍ぐらいのドラマ内容になっているのが通例なのですが、
このスペシャルDVDはそうした通例とは異なり、ドラマ内容は極めて薄く、
8分弱のドラマ部分の大部分は軽いギャグ描写で、実質的には大したストーリーがあるわけではない。

それゆえ、別にこのスペシャルDVDを見なくても
TV本編のストーリーを鑑賞するのに何か支障が生じるということはありません。
そもそもテレビマガジンを読んでいる子供たちの中で、このDVDを応募しようと思った子供しか見ない内容なのですから、
それがTV本編の中の欠かすことの出来ないエピソードになっていてはマズいのです。
だから、これを見なくてもTV本編のストーリーを理解する分には何ら問題ない内容になっているのは当然で、
これは劇場版の場合も同様のコンセプトとなっています。
まぁ「199ヒーロー大決戦」はかなりTV本編とリンクした内容になっていましたが。

ただ、それでも「ゴーカイジャー」の劇場版の方は、
ストーリー的にはTV本編とあまりリンクしないように作られていましたが、
それでもテーマ的にはTV本編と深くリンクしており、
むしろTV本編のメインテーマを劇場版でガッツリ描くようになっています。

それに比べ、このスペシャルDVDはストーリーだけでなくテーマ的にも完全にTV本編とは離れたものとなっており、
そもそもテーマというものは込められておらず、
あくまで36段ゴーカイチェンジを見せるためのDVDなのであって、
この作品のストーリーとしては36段ゴーカイチェンジに至るストーリーが描かれているだけのことで、
そこに特に何のテーマもメッセージもありません。

そういうわけですから、そんなに妙に気合いを入れてレビューや感想を書くようなものではありません。
例年、このスペシャルDVDというものはそういうものであって、
TV本編とは完全に別物の番外編という扱いであって、
劇場版とは違い本来はTV本編のレビューに混ぜてレビューする必要は無いのです。

しかし、今回のゴーカイジャーのスペシャルDVDは、
明確にTV本編のストーリーの流れの中に位置することが公式に認められているという珍しいパターンで、
時系列的にTV本編の第38話と第39話の間に挿入されることが判明しています。
それは、この作品の中に登場するバリゾーグが、
第38話におけるジョーとの壮絶な一騎打ちで倒された後の姿であることが明確に言及されているからです。

第38話でジョーがバリゾーグを倒すのが描かれて、それがTV放送されたのが11月13日でしたから、
第38話の脚本が完成したのは10月初めぐらいであろうと思われ、撮影が行われたのは10月の前半あたりでしょう。
それを受けて10月の後半に、このスペシャルDVDの中でジョーに倒された後のバリゾーグを登場させる内容が
決定され、
そのプレゼント告知が11月初旬発売のテレビマガジンで行われたということなのでしょう。

なお、そうなるとテレビマガジン読者は11月初旬の段階でこのDVDのプレゼント告知を見ることによって、
11月13日の第38話放送前の段階で、近いうちにバリゾーグの身に何か重大な異変が起こることを
知ってしまうことになるのですが、
そもそも「テレビマガジン」や「てれびくん」のような児童向けテレビ雑誌の情報は非常に早く、
11月初旬発売の12月号の段階ではとっくに11月に放送される第38話の内容はおよそ分かっていたりするので、
さして問題はありません。

いわば、このスペシャルDVDは第38話の直後の後日談のような扱いであり、
38.5話に相当するエピソードといえます。
だからといって、この作品を観ないと第39話以降のストーリーを理解出来なくなるなどということは全く無く、
内容的にもギャグとアクションのみの極めて軽い内容なのですが、
とにかく時系列が明確である以上、第38話と第39話の間に一応挿入して、
ごく軽くレビューしておくことにしようかと思った次第です。

なお、このスペシャルDVDの脚本はきだつよし氏、監督は中澤祥次郎氏です。
中澤氏は「ゴーカイジャー」のパイロット篇を担当したメイン監督で、スーパー戦隊シリーズでもお馴染みですが、
きだ氏も「ゴーカイジャー」TV本編や劇場版では参加していませんが、
Gロッソのゴーカイジャーショーの脚本・演出を担当してくださっている方で、
以前からスーパ−戦隊シリーズのGロッソでのショーを多く手がけてもらっている
スーパー戦隊シリーズには縁の深い方です。
TV本編としては「仮面ライダー響鬼」の前半のメインライターであった方です。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2012年05月26日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その7

巨大幽霊船の大広間のドクロの左目から奪い取ったゴッドアイに向かって
マーベラスは「宇宙最大のお宝」ではなく「仲間を元に戻すこと」を求め、
その願いは叶って、イメージ空間に閉じ込められていたジョー達4人は幽霊船の大広間に帰還、
マーベラス一味は5人が揃い、遂に幽霊船の船長ロスダークを撃破しました。
しかし、戦いが終わったと思ったのも束の間、幽霊船内にはロスダークの幻が現れ、
その不気味な声が、まだ戦いは終わっていないと告げます。

ロスダークの幻が消えた後、上の方で破壊音が響くのを聞いて幽霊船の広大な甲板に登った
マーベラス達の目の前に現れたのは、甲板を破って幽霊船内部から昇って来たゴーカイオーに酷似した巨大ロボでした。
驚く5人の中でルカは「出た!偽ゴーカイオー!」と言います。
これが噂の、豪獣神を負かしたというゴーカイオーそっくりの巨大ロボ、
偽ゴーカイオーなのだと即座に悟ったのでした。

そういえばこれがまだ残っていたということに気付いた5人でしたが、
いったい誰が偽ゴーカイオーを動かしているのか、それとも勝手に動くようになっているのか、
一瞬よく分かりませんでした。
すると、偽ゴーカイオーから「貴様らぁ・・・生きてここからは帰さん!!」と、聞き慣れた声が響きます。
ロスダークの声でした。
やはり偽ゴーカイオーを操縦していたのはロスダークであったのです。
意外にもロスダークは先ほどのマーベラス達の放ったゴーカイブラスト&スラッシュを喰らっても
まだ完全には倒されてはいなかったようです。

もともとは幽霊であるロスダークは、あの廊下で会った3幽霊のように
本来は現実世界では無力な存在に過ぎないと思われますが、
あのドクロを使ってイメージ空間に送られて幽霊たちに殺された者達の生体エネルギーを吸収することによって、
現実世界における戦闘力を持った肉体を得ていたのでしょう。

そのロスダークの現実世界における肉体は、先ほどのゴーカイブラスト&スラッシュで
肉体を構成する生体エネルギーを全部吹っ飛ばして消滅させたはずです。
あの後、大広間に現れて恨み言を叫んだロスダークの幻は、あれは所詮はロスダークの霊体に過ぎず、
肉体を失いゴッドアイの呪縛も失った霊体は普通ならばそのまま死後の世界へ行くはずでした。

ところが、ロスダークは彼が殺してきた者達から奪った生体エネルギーをまだ他にも大量に残していた。
それがロスダークがその持てる生体エネルギーの多くを注ぎこんで生成した偽ゴーカイオーだったのです。
その偽ゴーカイオーを構成する生体エネルギーにありついたロスダークの霊体は再び肉体を取り戻し、
偽ゴーカイオーを操縦してマーベラス達を倒して、その生体エネルギーを奪おうとしているのです。

ゴッドアイは失われてしまったので、
宇宙の全てを手に入れるというロスダークの野望はもはや叶えることは出来ないが、
こうなったらロスダークとしてもマーベラス達を殺して野望を潰された恨みを晴らし、
その生体エネルギーを奪って、せめて生き返ってやろうと、まだ生への執着を募らせているのでした。
しかし実際は生体エネルギーをいくら集めても死者のロスダークが生き返ることは有り得ない。
ロスダークはゴッドアイに騙されていたに過ぎないのですが、
もはや妄執の虜となったロスダークにはそんな事実は理解出来ません。

「・・・しつこい野郎だ!」と呆れたマーベラスはモバイレーツの操作で
幽霊船の船体内に停泊させていたゴーカイガレオンを呼び寄せ、
甲板を突き破って上昇してきたガレオンに向かって「いくぜぇ!ハァッ!!」と、仲間5人で飛び乗り、
そのまま上昇していくガレオンからゴーカイマシンを出し、空中で「海賊合体!!」とゴーカイオーに合体したのでした。
そしてそのままマーベラス達は幽霊船の中央マストの最上部まで跳び上がって
ゴーカイオーをマスト最上部の横柱の上に着地させ、「完成!!ゴーカイオー!!」と見得を切りました。

幽霊船があまりに巨大なので、巨大ロボであるゴーカイオーや偽ゴーカイオーが
まるで人間サイズであるかのようでした。
いや、甲板の上の階段や通路などの構造物が全て巨大ロボが通行するのに適したサイズになっていることから考えて、
おそらくこの巨大幽霊船はもともとは巨大ロボをも多数所有して運用していた
大海賊団のアジトの巨大海賊船であったのであり、
かつてはこの甲板の上で多数の海賊団所有の巨大ロボが動き回っていたのであろうと想像できます。

今は廃船となり幽霊船となった、その荒涼とした甲板の上に立つ偽ゴーカイオーの姿を
マストのてっぺんから見下ろしてマーベラスは「フン!」と鼻で笑います。
自分達を幽霊船におびき寄せるためにロスダークが念には念を入れて生体エネルギーを使って
ゴーカイオーに酷似したロボを作ったものと思われる偽ゴーカイオーを初めて目の当たりにして、
確かにゴーカイオーによく似ているものだと多少感心したマーベラスでしたが、
所詮は偽物は偽物であり、本物のゴーカイオーに敵うはずはないと思ったのでした。

倒したはずのロスダークが甦ったのは、この偽ゴーカイオーの生体エネルギーを得たからにすぎず、
後はこの偽ゴーカイオーもろともロスダークに引導を渡せば、完全にロスダークを滅することは出来る。
きっちりゴーカイオーで偽ゴーカイオーを倒して幽霊船の戦いに終止符を打つ。
マーベラス達は決意を固めました。

アイムが「海賊の海賊版なんて、著作権の侵害です!」と
偽ゴーカイオーがゴーカイオーのデザインをパクっていることを抗議すると、
ロスダークは甲板からマストの上のゴーカイオーを見上げて「俺が勝てば偽物はお前達だぁ!」と、
本物のゴーカイオーを倒して壊してしまえばこの世にゴーカイオーはこの偽ゴーカイオーだけになるのだから、
偽ゴーカイオーが本物のゴーカイオーになるのだというような、中国企業のような無茶苦茶なことを言い、
偽ゴーカイオーの左手の鉤爪で偽ゴーカイオーの足元から上に向けて張られたロープを引っ掛けて手繰り寄せ、
それを右手に握った剣で断ちました。

そのロープはゴーカイオーの立つ中央マストの最上部まで繋がっており、そこで滑車に通してあって、
滑車の下で大きな砂袋が括りつけてありました。
つまり甲板から伸びて滑車を支点にして砂袋を吊るしていたロープだったのですが、
そのロープを甲板から断ち切ったために砂袋を吊り下げる力が失われ、
砂袋は甲板に向けて勢いよく真っ直ぐ落下していきます。

同時に砂袋に繋げられたロープも一緒に引っ張られていき、
滑車を経由して偽ゴーカイオーの鉤爪を引っ掛けたロープも勢いよく上に引っ張られていき、
ロープに鉤爪を引っ掛けたまま偽ゴーカイオーはロープと一緒にマストの最上部の滑車のところまで一気に昇ってきて、
最上部の横柱の上に飛び乗って、ゴーカイオーと対峙しました。
これは海賊ものの映画などで昔からよく描かれる古典的な海賊アクションです。

こうして一気にゴーカイオーに肉薄した偽ゴーカイオーを、
ロスダークは「いくぞぉぉっ!!」と荒々しく怒鳴って突撃させ、
対するゴーカイオーのコクピットでもマーベラス達が「はああっ!!」と操舵輪を回して
ゴーカイオーを前進させ、偽ゴーカイオーを迎え撃ち、
マストのてっぺんでゴーカイオーと偽ゴーカイオーは剣と剣を激しくぶつけ合って戦い始めたのでした。

黒雲に覆い隠されて空に浮かぶ巨大幽霊船で、雲が流れる中、
マストのてっぺんの逃げ場の無い細い横柱の上で激しく斬り合うゴーカイオーと偽ゴーカイオーという
この場面を含めた、幽霊船甲板上のゴーカイオーと偽ゴーカイオーのアクションシーンの大半は
3Dのモーションピクチャーで製作されており、
巨大ロボが人間サイズに見えてしまう巨大幽霊船の甲板上という
通常では有り得ないシチュエーションにおけるアクションを
なめらかな動きでリアルっぽく見せることに成功しています。

まずマスト上の戦いの方は、
剣を2本持ったゴーカイオーと、右手に剣を持った偽ゴーカイオーの間で激しい攻防が繰り広げられましたが、
偽ゴーカイオーが意外に強くてゴーカイオーは次第に押し込まれて後退していく羽目になりました。
豪獣神を破ったぐらいですから偽ゴーカイオーは確かに強いのです。
しかし本家のゴーカイオーに乗るマーベラス達はどうしても相手を偽物だと見下してしまいがちになり、
偽物相手に本物が遅れをとるわけにいかないという妙な意地も湧いてきて、ついつい真っ向勝負に出てしまいましたが、
パワーはどうも偽ゴーカイオーの方が上回っているようです。

考えてみれば偽ゴーカイオーはロスダークがマーベラス達を誘い出すために
ゴーカイオーの姿に似せて作っただけのことであって、
別にゴーカイオーを目標にして作ったロボットというわけではない。
だから本物に劣る偽物という位置づけなのではなく、
単に外見が似ているだけの全く別物のロボットだと考えなければならない。
そして偽ゴーカイオーは確かにパワーはゴーカイオーを上回る強敵なのです。
真っ向勝負で勝てる相手だと思って舐めてかかってはいけない相手でした。

防戦一方となったゴーカイオーは狭い横柱の上を後退し、
マストの縦柱の陰に回り込んで偽ゴーカイオーの剣から逃れますが、
偽ゴーカイオーも執拗に追ってきて、縦柱を回っての追いかけっこのようになり、
一周して横柱の上を逃れようとしたゴーカイオーに向けて偽ゴーカイオーが剣を繰り出し、
これを喰らったゴーカイオーはバランスを崩して横柱から足を踏み外してしまいます。

「わああっ!?」とマストから転落しそうになったゴーカイオーはすんでのところで右手の剣を投げ捨てて、
咄嗟に右手で足場となっていた横柱を掴んでぶら下がり、なんとか転落を免れましたが、
そこにすかさず偽ゴーカイオーはゴーカイオーの右手をガシガシと踏みつけて、
ゴーカイオーを蹴り落とそうとするのでした。
「くうっ・・・!」と懸命に耐えるゴーカイオーのコクピット内のマーベラス達に向かい、
偽ゴーカイオーのコクピットのロスダークは「甲板に叩きつけられて砕け散れぇっ!」と容赦なく怒鳴って
偽ゴーカイオーはストンピングの連打、遂にゴーカイオーは右手を離してしまい
「ああああっ!」と真っ逆さまに甲板に向かって落ちていきます。

しかしジョーが「そうはいくか!」と叫び、5人は「はぁっ!!」と操舵輪を回して
空中でゴーカイオーの態勢を立て直すと、マストにかかって風にたなびいて膨らんだ帆に
左手に握っていたゴーカイケンを突き立て、帆を斬り裂きながら落下していき、
剣と帆の間の抵抗を利用して落下速度を緩めて、
帆を支点にして横っ飛びして別のマストの中段の横柱に飛び移りました。

それを見下ろしてロスダークは「ううむ・・・?」と呻くと、
ゴーカイオーをこのまま逃がすまいと思い、「くううっ!」と悔しげに叫んで
マストから甲板に繋がっているロープに偽ゴーカイオーの鉤爪を引っ掛けて一気にロープを滑り降り、
マストの横柱を飛び移りながら甲板に降りて行くゴーカイオーを追いかけます。

そうして互いに甲板のやや離れた位置に降り立ったゴーカイオーと偽ゴーカイオーは再び対峙することになりました。
マーベラスはさっきは偽ゴーカイオーを舐めていたことを反省し、
強敵と認めた上であらゆる手段を尽くして戦うことを改めて決意し、
「そろそろ本気でいくかぁ!!」と気合を入れ、5人は「はぁっ!!」と操舵輪を回して
ゴーカイオーを偽ゴーカイオー目がけて突撃させます。
ロスダークも「・・・面白い!」と、すっかり戦いを楽しんでいる風情で偽ゴーカイオーをマントをひるがえして突撃させ、
両者は甲板の真ん中で激突し、今度は十分な足場の上でがっぷり四つに斬り合います。

今度はゴーカイオーは1本残った剣を両手握りにして振り回して、
偽ゴーカイオーに対するパワー不足を補って互角の勝負に持ち込みました。
ところが真っ向からやり合っても強い偽ゴーカイオーがここで逆に奇手を使い、
右手に持った剣ではなく、左手の鉤爪でゴーカイオーの剣を引っ掛け、絡めてその動きを封じたのでした。
さすがにロスダークはかつて幽霊船に挑んで勝利しただけあって、熟達した戦士です。

剣が封じられて「・・・なにぃ?」と驚いたマーベラス達に対して、
ロスダークは「これでどうだぁ!?」と偽ゴーカイオーの目から奥の手のレーザー光線を発射、
これを喰らったゴーカイオーは幽霊船の舳先まで吹っ飛ばされてしまいました。
そのまま幽霊船を飛び出して地上に落ちていく勢いだったゴーカイオーでしたが、
「・・・なんの!」とマスト最上部と舳先を結んでいたロープに掴まり、ロープを斬って舳先と切り離すと、
ターザンのようにロープにぶら下がったまま船尾方向へ高速で突っ込んでいきます。

これに対して「逃がすか!」とロスダークは偽ゴーカイオーの左腕に仕込んだ火砲で
ゴーカイオーを狙って乱射しまくりますが、高速で移動するゴーカイオーに命中させることが出来ず、
甲板上の構造物を撃って破壊しまくっていきます。
ゴーカイオーはサーカスの曲芸のように別のロープにまた飛び移り、更に甲板の上を高速移動していき、
偽ゴーカイオーはそれを狙って乱射を続け、ロスダークはどんどん自身の幽霊船を破壊していくことになりました。

そうして遂には幽霊船の各所が火を噴き出して大破し、沈む寸前の幽霊船は完全に横倒しになった状態となり、
炎に包まれた船腹の上、船首のドクロのほど近くに偽ゴーカイオーは仁王立ちとなります。
一方、ゴーカイオーも遂に逃げ場を失い、ボロボロに横倒しになった中央マストの先端にぶら下がり、
足元には黒雲が渦巻く虚空という、逃げ場の無い状況となりました。

もはや両者とも絶体絶命の状況なのですが、
ロスダークは既にマーベラス達の生体エネルギーを奪うとか、生き返るとか、
そういう当初の目的はもう何処かに飛んでしまったようで、ただ戦いの狂気に支配されてしまったように満足げに
「久々に歯ごたえがあった・・・楽しかったぜぇ・・・!」とせせら笑うと、
「さらばだ・・・!!」と言って、偽ゴーカイオーの胸部ハッチを開いて、そこから巨大な砲身を突き出しました。

その砲身がゴーカイオーに狙いを定めているのを察して、
「・・・むっ!」とゴーカイオーのコクピットのマーベラスは呻きます。
まるでゴーカイオーの必殺武器のゴーカイホーのような砲身ですが、
偽ゴーカイオーの突き出したその砲身は5つもあり、
まともに喰らえばゴーカイオーといえどもひとたまりもないでしょう。

その5つの砲身が発射態勢に入ったのを見て、マーベラスは「させるか・・・!」とレンジャーキーを出し、
「ド派手にトドメだぁぁっ!!」と叫びます。
同時に仲間4人もそれぞれレンジャーキーを取り出して「おう!!」と応じ、
5人は一斉に「レンジャーキー!セット!レッツゴー!!」と叫んで
レンジャーキーをコクピットのカギ穴に挿して回しました。
そして偽ゴーカイオーの砲撃を避けるためにマストから手を離して落下するゴーカイオーの
胸部と両腕両脚のハッチが一斉に開き、
そこからバリブルーン、マジドラゴン、パトストライカー、ゲキタイガー、ドラゴンヘッダーが飛び出してきたのです。

マーベラスが挿し込んだレンジャーキーはアカレンジャーのレンジャーキーであり、
それによってゴレンジャーの大いなる力であるバリブルーンが召喚され、
マーベラスの乗機であるゴーカイガレオンの部分にあたる胸部のハッチから飛び出したのです。

ジョーが挿し込んだレンジャーキーはマジブルーのレンジャーキーであり、
それによってマジレンジャーの大いなる力のマジドラゴンが召喚され、
ジョーの乗機であるゴーカイジェットの部分にあたる右腕のハッチから飛び出したのです。

ルカが挿し込んだレンジャーキーはデカイエローのレンジャーキーであり、
それによってデカレンジャーの大いなる力のパトストライカーが召喚され、
ルカの乗機であるゴーカイトレーラーの部分にあたる左脚のハッチから飛び出したのです。

ハカセの挿し込んだレンジャーキーはゲキバイオレットのレンジャーキーであり、
それによってゲキレンジャーの大いなる力であるゲキビーストの1つのゲキタイガーが召喚され、
ハカセの乗機であるゴーカイレーサーの部分にあたる左腕のハッチから飛び出したのです。

アイムの挿し込んだレンジャーキーはゴセイピンクのレンジャーキーであり、
それによってゴセイジャーの大いなる力のゴセイヘッダーの1つのドラゴンヘッダーが召喚され、
アイムの乗機であるゴーカイマリンの部分にあたる右脚のハッチから飛び出したのです。

ここまでのTV本編での描写では、ゴーカイオーにおける「大いなる力」の発動時は
5人のメンバーが同じ戦隊のレンジャーキーを揃ってコクピットに挿して、
その1つの戦隊の「大いなる力」を発動していました。
このように1人1人のメンバーの挿すレンジャーキーの戦隊がバラバラというパターンは今までは一度も無く、
今回が初めての描写といえます。

この方法を使えば同時に5つの「大いなる力」を発動できるように見えます。
となると、いつもの5倍の攻撃力を発揮できているようにも見えます。
しかし、そんな便利な使い方が出来るなら、普段からこの方法は多用されているはずですが、
今まで使われていないということは、これはそんな都合のいい方法ではないようです。

よく見ると、通常はゲキレンジャーの「大いなる力」はゲキビースト5体であるはずが、
ここではゲキタイガー1体しか出ておらず、
ゴセイジャーの「大いなる力」も本来はゴセイヘッダーが多数出るはずなのに、
ここではドラゴンヘッダーしか出ていません。
つまり、それぞれの「大いなる力」はフルパワーではないようです。

おそらくゴーカイオーから放出されている「大いなる力」の総和はいつもと同じであり、
出現している5つの「大いなる力」は、それぞれ通常の5分の1のパワーなのです。
要するに、このバリブルーン、マジドラゴン、パトストライカー、ゲキタイガー、ドラゴンヘッダーは
5つが力を合わせてようやく1つの「大いなる力」と同等のパワーなのであり、
この5つの攻撃が全て合わさってようやく1つの「大いなる力」の攻撃力と同じなのです。

ならば別にこんなややこしいことをせずに、
普通に1種類の「大いなる力」をフルパワーで使えばいいではないかと思われるかもしれないが、
これは対ロスダーク、対偽ゴーカイオーを想定した特殊な技なのだと解釈すべきでしょう。

つまり、どうやらロスダークは偽ゴーカイオーを作るに際して、かなりゴーカイオーのことを研究したようであり、
「大いなる力」のことも熟知している可能性が高い。
だから普通の使い方をした場合、偽ゴーカイオーにその回避策を用意している可能性があるのです。
それを封じるために、普段は使わないような「大いなる力」の変則技を咄嗟に繰り出したというのが、
この5つの「大いなる力」をそれぞれ5分の1の出力で同時に繰り出すという変則攻撃の狙いであったのでしょう。

なお、スーパー戦隊シリーズの夏映画というのは「ガオレンジャー」以降は、
劇場版の限定、あるいは劇場版で初登場となる新ロボットや新合体形態、新武装や新武器など、
劇場版と連動した新たな玩具展開があるのがこれまで恒例となってきました。

この「ゴーカイジャー」夏映画の「空飛ぶ幽霊船」でも、
このように劇場版限定の決め技が登場したことになりますが、これは玩具展開とは絡めてありません。
その他にも劇場版限定のアイテムも登場していません。
しいて挙げれば偽ゴーカイオーが劇場版限定ロボということになりますが、これも玩具化はされていません。

つまり、この「空飛ぶ幽霊船」映画は、2001年以降のスーパー戦隊夏映画では初めて
玩具展開が絡んでいない作品ということになります。
その理由はよく分かりませんが、この映画はとにかく玩具計画とは別個に企画されたものだということは確かなようで、
それは「ゴーカイジャー」という作品がシリーズ35作記念作品ということで、
その劇場版は他のシリーズ作品の劇場版とは何らか違う特別扱いであったのであろうと推察出来ます。

さて、このマーベラス達の繰り出した変則攻撃の5つの「大いなる力」は
ゴーカイオーの5つのハッチから発射されて、猛烈な勢いで偽ゴーカイオー目がけて飛んでいきます。
ロスダークはこの想定外の反撃に対して「うぬぅっ・・・!」と偽ゴーカイオーの胸部から突き出た砲身を
この飛んでくる5つの「大いなる力」に向けて、回転式のガトリング砲のように撃ちまくりますが、
5つの「大いなる力」はこれをかいくぐって一気に偽ゴーカイオーに迫ると分散して多方面から同時攻撃を仕掛けます。

まずはパトストライカーが偽ゴーカイオーの胸部の砲身を粉砕して攻撃力を奪い、
次いでゲキタイガーが偽ゴーカイオーの剣を握った右手を撃破して防御力を奪い、
マジドラゴンが偽ゴーカイオーの脚を砕いて飛び去り、偽ゴーカイオーの回避能力を奪った上で、
最後にドラゴンヘッダーとバリブルーンが相次いで偽ゴーカイオーの胴体を貫いたのでした。

これで致命的ダメージを受けた偽ゴーカイオーのコクピットで
ロスダークは「ううっ・・・くっ・・・!」と懸命に偽ゴーカイオーを立て直そうとし、
横倒しになり爆発を繰り返す幽霊船の船首付近を偽ゴーカイオーは蠢き、
船首のドクロの口の中に「うおおっ!」と転落してしまいます。

炎に包まれた幽霊船の内部に転落した偽ゴーカイオーとロスダークに向かって、
ゴーカイオーのコクピットからマーベラスは「今度こそ大人しくしてろ!・・・永遠にな!」と別れの言葉を贈り、
ロスダークは炎の中で「・・・地獄が・・・地獄が俺を呼んでいる・・・!!」とうわ言のように叫びました。
遂に偽ゴーカイオーが最期の時を迎え、ロスダークの持てる全ての生体エネルギーは尽きようとしており、
自らの魂がこの世との繋がりを断たれて死後の世界へ旅立とうとしているのをロスダークも感じ取ったようです。

しかし、これまでに己の利己的な欲望を叶えるためだけにあまりにも多くの人を殺戮してきた
ロスダークの魂の行き着くべき死後の世界とは地獄に他ならず、
ロスダークの視線の先に見えるのは地獄の情景であるようです。
それを嫌がっているのか歓迎しているのか判然としない声色でうわ言を呟いた後、
ロスダークは「ぎゃああああああっ!!」と断末魔の絶叫を響かせ、偽ゴーカイオーもろとも爆散して果て、
直後に幽霊船も遂に大爆発を起こし、黒雲の中で大きな炎の塊となって砕け散ったのでした。

その爆炎の中からただ1つ飛び出してきたのはマジゴーカイオーでした。
偽ゴーカイオーに一撃を喰らわせた後にマジドラゴンが舞い戻って、落下していくゴーカイオーと合体し、
マジゴーカイオーとなって空を飛び、マーベラス達は無事に爆散する幽霊船からの離脱に成功していたのです。

さて、この映画の物語のエピローグは、
幽霊船での冒険を終えて、ガレオンの船室でいつものようにテーブルを囲んで夕食を摂っている
マーベラス達5人のところに、待機していた鎧が戻ってきた場面です。

マーベラス達が絶体絶命の危機に陥ったら助けに行くという手筈で待機していたと思われる鎧ですが、
結局はマーベラス達からのSOSコールはありませんでした。
まぁ実際はマーベラス達はかなりの危機的状況に陥っていたのですが、
イメージ空間からは鎧への連絡のしようもなかったし、
現実世界に戻って以降も戦いに次ぐ戦いで鎧への連絡のヒマは無いまま、気が付けば戦いは終わっていたのです。

鎧の方はそんな実情は知りませんから、SOSコールも無いままガレオンが幽霊船から戻ってきたのを知り、
てっきりマーベラス達が大した障害もなくゴッドアイを手に入れてミッションを成功させたのだと思い込んで、
大喜びでガレオンに戻ってきました。
勢い余って船室の脇を駆け抜けてしまった鎧は「おおっとっと・・・」と戻ってきて、
元気いっぱいに「待たせてごめぇぇん!」と船室に駆け込んでくると、
さっそく目を輝かせ、「・・・で、何処にあるんですか!?ゴッドアイは!」と、
テーブルで食事をしている5人に勢い込んで尋ねます。

鎧は別にお宝に興味がある類の人間ではないのだが、
それでも「なんでも夢が叶う伝説の秘宝」などという珍品に興味が無いわけはない。そ
んな世にも珍しいものを見たり触ったり出来る機会なのですから、興奮するのは当たり前です。
しかも、そのゴッドアイを使ってマーベラス達の求めている伝説の「宇宙最大のお宝」までが
遂に手に入るわけですから、鎧の好奇心は最大限に膨れ上がっていました。
しかし満面の笑顔の鎧に対して、マーベラス達5人はしばし黙って無反応のまま食事を続け、
そしてジョーが面倒そうに「・・・残念だが、無い!」とキッパリ答えます。

意外な回答に鎧は愕然として「なんでですかぁ!?」と尋ね返しました。
マーベラス達が幽霊船から無事に帰ってきて、何ら悔しそうな素振りも無く、
こうして普通にメシを食っているのだから、当然首尾は上々であるはずだと鎧は思っていました。
それが幽霊船からゴッドアイを持ち帰っていないというのですから、あまりに意外でした。

「・・・まさか、掴み取れなかったわけじゃあ・・・?」と、鎧は一転して少し落胆した口調で質問してきました。
「欲しいものは必ず掴み取る」というのがマーベラス一味の海賊としてのポリシーだったはずです。
そのポリシーをザンギャックに支配された宇宙の大海原で貫いてきた心意気に感じ入って、
鎧は正義のヒーローやスーパー戦隊としてのゴーカイジャーではなく、
海賊としてのゴーカイジャーの仲間になりたいと思ったのです。
ところがマーベラス達はゴッドアイを目の前にしながら掴み取ることが出来ず、
何事も無かったかのように平気な顔でメシを食っている。
そう思えると鎧は少し落胆したのでした。

その鎧の落胆した様子を見て、少し気の毒に思ったのか、
アイムがおずおずと「・・・それが・・・ゴッドアイは偽物だったそうで・・・」と何やら言葉を濁します。
アイムも、そしてジョーもルカもハカセも、あのゴッドアイが単なる紛い物の玩具ではなかったことは分かっています。
あの幽霊船で起こった出来事について、すなわちマーベラスがゴッドアイを使ってお宝を手に入れるのではなく
仲間を取り戻したのだということは4人ともだいたい察しはついています。

その経緯を詳しく説明すれば鎧も気持ちよく納得してくれるだろうとはジョー達にも分かっているのですが、
何せそれはあくまでジョー達4人の想像でしかなく、
真相を知る当事者のマーベラスが「ゴッドアイは偽物だった」とだけ言って、
おそらく照れて詳しい経緯を語りたがっていない様子である以上、
4人としてもあまり余計なことを言うのは気がひけるので、鎧
にゴッドアイがどうなったのか質問されて困ってしまったのです。
それで、アイムは自分の想像は交えず、マーベラスの主張をそのまま伝える形で
「ゴッドアイが偽物だった」ということを鎧に伝えたのでした。

鎧はそれを聞いて愕然とし、露骨に落胆した様子で
「・・・えええ?・・・そんなオチ、ありぃ!?」とガッカリしてブツブツ言います。
鎧は幽霊船で起きた出来事は全く知りませんから、
単にゴッドアイは所詮は伝説の産物で、幽霊船には偽物が置いてあっただけだという、
よくありがちな話だったのだと思い、アイムの言葉をすんなり信じました。
そして、マーベラス達が決して本物のゴッドアイを目の前にしながら
お宝を諦めて逃げ帰ってきたのではないと分かって安堵もしました。
しかしそれでも、てっきり本物のゴッドアイを見ることが出来ると心から楽しみにして駆けつけたので、
肩透かしを食らってそのガッカリ感は非常に大きく、
理屈では諦めても心は諦めきれないで、ウジウジと文句を言い続けていたのでした。

マーベラスはその鎧のブツクサ言っている様子を見て、
まだ鎧が「ゴッドアイは偽物だった」という自分の説明に納得せず、
事件の詳細を突っ込もうという野暮なことをしようとしているのかと勘違いして、
ややキレ気味に「なんだお前・・・文句あんのかぁ!?」とどやしつけました。

一喝されてシュンとなった鎧は「・・・無いですけどぉ・・・」と、
まだゴッドアイを見ることが出来なかった残念感を少し引きずった風情を見せますが、
そこにジョーは「いいじゃないか!」と鎧を励ますように力を込めて言葉をかけます。
ルカは鎧の様子などどうでもいい感じでジョーの皿の上の肉を狙って手を伸ばしますが、
ジョーは鎧の方を見ながらルカの手を掴んで肉を死守しつつ、
「・・・また宇宙最大の宝を探す旅が続くんだ・・・」と鎧に言い聞かせます。

これはマーベラスがあの幽霊船の大広間でゴッドアイが偽物だったと言った後にジョー達に言った
「また夢はやり直しだ」という言葉と同じことを言っているのでした。
あの時、マーベラスはお宝が手に入らなかったのに妙に嬉しそうにその言葉を口にした。
だから、マーベラスが本当に仲間である自分達に伝えたかった言葉はそっちの方であることを
ジョー達は分かっていたのです。

「そうそう!そっちの方が楽しいよ!」とハカセもジョーの言葉に賛同して、鎧に言い聞かせます。
アイムも微笑んで頷き賛同し、ルカもニヤニヤ笑って「・・・みんなで一緒に、ってのがね・・・?」と言って、
マーベラスの方をチラリと視線を向け、からかうように笑い、
ジョーもハカセもアイムも黙々と食事を続けながらほくそ笑みます。

マーベラスが1人で手に入れるお宝よりも、仲間と一緒にお宝を掴み取る旅の方に価値を見出したのだということを
4人はしっかり理解しているのであり、
4人は自分達も同じ価値観を持っているのだということを鎧に伝えつつ、マーベラスにも暗に伝えたのでした。

本当ならハッキリと互いの価値観の一致を確認し合うべきところなのでしょうが、
マーベラスが照れ屋で意地っ張りなのでハッキリとした遣り取りではなく、
このように暗示するような遣り取りにせざるを得ない。
全く世話の焼ける船長だが、これがどんなお宝にも替え難い自分達の最高の船長なのだと思い、
ルカはマーベラスをじっと見つめ、ジョーもハカセもアイムもその様子を面白がるのでした。

その4人の変な雰囲気を感じてマーベラスは「・・・なんだ・・・?」と焦って、
「・・・俺の顔になんか付いてんのかぁ!?」と慌てた顔で怒鳴りますが、
ルカは「べっつにぃ!」と鼻で笑ってそっぽを向きます。

すると、場をまとめるように「そうそう!」とナビィが口を挟み、
幽霊船に行った5人の話の内容についていけず1人唖然としている鎧の前に飛び上がって羽ばたきながら
「1人よりぃ、2人がいいさ、2人よりぃ、5人がいいさ、夢でかくなるぅ、って言うでしょ?」と
節をつけて唱えながら、鎧に言い聞かせます。

ナビィ自身はガレオン内で留守番をしていたので、幽霊船の大広間で起きたことは把握していませんでしたが、
この場での5人の遣り取りを聞いて、
マーベラスがお宝よりも仲間と共に夢を掴み取る旅を選んだのだろうと察したようです。
そしてそれが海賊として正しい選択であり、鎧も含む6人にとっての明るい未来を導く考え方だと理解したのです。

このナビィの言葉の中に出てくる
「1人よりぃ、2人がいいさ、2人よりぃ、5人がいいさ、夢でかくなるぅ」というフレーズは、
スーパー戦隊シリーズ第5作「太陽戦隊サンバルカン」の前期EDテーマの「若さはプラズマ」の冒頭の歌詞
「1人より2人がいいさ、2人より3人がいい、力も夢も、そして勇気も、それだけ強くでかくなる」が元ネタです。
サンバルカンは3人であるのに対して、今回幽霊船に乗り込んで絆を確認したゴーカイジャーのメンバーが
5人であるので、2人よりいいのは5人になっています。

そのナビィの言葉の意味するところは、
1人で掴む夢よりも、仲間と一緒に掴む夢の方が、より大きな価値のあるものだということであり、
まさに今回の映画の内容そのものであり、
マーベラス達5人が確認し合った海賊の掴むべき夢の在り方を表していますが、
それとピッタリの内容のフレーズを含んだ曲が過去のスーパー戦隊の関連曲の中にあるというのが
むしろ驚異的といえます。

そしてナビィはこの言葉を言い終ると、いきなり鎧を飛び越えてきて、
どアップになってカメラ目線で「ねぇ〜!みんなぁ!?」と、
スクリーンの向こうにいる観客に同意を求めてくるのでした。
これはつまり、ここでナビィの言った言葉こそが、この映画を観に来た観客の、特に子供たちに向けて
最も強調して伝えたい内容であったということです。
すなわち、「仲間と一緒に力を合わせて掴む夢にこそ大きな価値がある」ということが、
この映画が子供達に伝えたいメッセージであるのです。

そうした価値観を伝えたジョー達の言葉を聞き、ナビィの言葉に諭されて、鎧もその価値観に同意したようで、
確かにゴッドアイを見ることなどよりも、
これから仲間一緒に「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れるための冒険の旅の方が楽しいと納得しました。

ただ、1つだけどうにも納得できない点があって、鎧はナビィを追いかけてきて
「・・・ちょっとちょっと!そこは6人でしょお!?ナビィ!!」と抗議します。
確かにナビィは「2人より5人がいい」と言って、6人目の仲間の鎧を除け者にしています。
それが鎧には受け入れ難かったのです。
しかしナビィは「ええ〜え?6人じゃ語呂が悪いしぃ・・・」と意地悪を言って、
まだ新入りで見習いの鎧をからかうのでした。
鎧はまだ自分が見習いだから人数にカウントされないのかと落ち込み「そぉんなぁ〜・・・!」と嘆いてへたり込み、
マーベラス達は仲間の絆を再確認した喜びを胸に、満足そうに夕食を頬張るのでした。

そして夕景の中、地上に係留されたガレオンのカットから海賊旗のカットに
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」というコールと共にタイトル文字が出て、
ナビィがゴーカイジャーの6つのレンジャーキーを置きながら
「みんな〜!まったねぇ〜!」と観客に挨拶をして飛び去っていき、
6つのレンジャーキーは6人のゴーカイジャーに姿を変えて「はあっ!!」と元気よくジャンプして、
この映画、「海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船」は終わりとなりました。

さて、こうしてこの映画の内容をまとめてみると、
スーパー戦隊シリーズの劇場版としては極めて異色の作品であることが分かります。
それは、この「空飛ぶ幽霊船」という作品には、「正義のための戦い」や
「地球や世界や人々を守るための戦い」という要素が一切無いという点です。

ゴーカイジャー以前のスーパー戦隊シリーズの劇場版、
いや劇場版に限らず、TV本編も含めたあらゆるエピソードにおいて、
これらの要素が含まれなかったエピソードは一切無かったと言っていいでしょう。
何故これまでは、これらの要素の含まれなかった作品が無かったのかというと、
ゴーカイジャー以前の34戦隊は全て、正義の戦隊であったり、世界を守るための戦隊であったので、
それらの戦隊を主役にして物語を動かす以上、
どうしても正義のための戦いや世界を守るための戦いが描かれることになったからです。

それらの中で唯一、ボウケンジャーだけがやや微妙な立ち位置でしたが、
ボウケンジャーにおいてもメンバー個々の動機はどうあれ、
ボウケンジャーという組織の目的は表向き世界の平和と安定を維持するための宝探しであったので、
やはり大筋では世界の平和を守る戦いを描くものとなっていました。

ところがゴーカイジャーという戦隊は世界平和とか関係無く自分が手に入れたいからお宝探しをする戦隊なので、
ゴーカイジャーにおいては正義や世界平和は関係無く純粋なお宝探しの冒険物語を作ることが可能となるのです。
これがゴーカイジャーの夏映画である「空飛ぶ幽霊船」がここまで作られた歴代戦隊エピソードの中で唯一、
正義も世界平和も関係無いエピソードとして成立し得ている理由といえます。

ただ、それは「成立し得ている理由」であって、そんな特殊なエピソードが作られた理由そのものではない。
確かにゴーカイジャーを主役にすれば、正義も世界平和も関係無いエピソードを成立させることは可能です。
しかし、ゴーカイジャーの普段のTV本編では、そのエピソードの大部分は
「正義のための戦い」「地球を守るための戦い」になっています。
本来は地球を守る義理の無いお尋ね者の宇宙海賊であるゴーカイジャーが地球を守るために戦う羽目になるというのが
「ゴーカイジャー」という物語の面白味であり、
それゆえ基本的に「ゴーカイジャー」の物語は、やはり過去の戦隊と同じく
「地球を守るための戦い」を描くものとなっています。

そんな中、あえて正義や世界平和という要素を排除してゴーカイジャーの「海賊としてのお宝探し」のみを描いたのが、
この「空飛ぶ幽霊船」のコンセプトとなっています。
しかし、何故「あえて」そんなエピソードを夏映画で描いたのか?
劇場版だから普段のTV本編とは毛色の違った特別感のあるエピソードにしたかったというのも1つの動機でしょう。
しかし普段のTV本編とは違った感じにしようというだけなら他にも選択肢はあったと思います。
それに、普段と違った感じのエピソード、例えば宝探しがメインのエピソードであったとしても、
その中に「正義」や「世界平和」の要素が多少含まれていても問題は無いはずです。

ところが、このゴーカイジャーの夏映画は、あえて海賊の宝探しエピソードとされ、
正義や世界平和の要素を一切排除した形で作られました。
それはどうしてなのか?

実は「ゴーカイジャー」TV本編でもここまで極端なエピソードはこの映画公開時の第23話終了時点まで、
ただ1つの例外以外には存在していません。
その例外エピソード以外は、必ずストーリー内の何処かに「正義」や「世界平和」の要素が存在しています。
では第23話までのTV本編内で唯一、正義も世界平和も一切関係無く
海賊の宝探しだけが描かれたエピソードはどれかというと、それは第15話と第16話の前後篇、
すなわち、バスコが初登場してマーベラス一味とレンジャーキー争奪戦を繰り広げたエピソードです。

他にもバスコが登場するエピソードは第20話や第23話がありますが、
これらはレジェンド回でもあるので地球を守ることがテーマに含まれています。
言い換えると、純粋にマーベラス一味とバスコだけが対決するエピソードは第15話と第16話だけであり、
これだけが第23話以前の「ゴーカイジャー」TV本編で唯一、「正義」も「世界平和」も関係無い
海賊のお宝争奪戦エピソードなのだといえます。

この第15話と第16話の前後篇と、この「空飛ぶ幽霊船」、この2つのエピソードだけが、
「ゴーカイジャー」の前半の物語の中で少数派、つまり特殊な位置づけのエピソードなのだといえます。
この2つのエピソードに共通しているのは「海賊のお宝争奪戦」を描いたエピソードであり、
「正義」や「世界平和」の要素は排除されていることです。

では第15話と第16話の前後篇では具体的に何が描かれたのか?
それは、仲間を取り戻すために夢を捨てることをバスコに要求されたマーベラスが、
仲間も夢も諦めずに掴み取るのが海賊だという心意気を示したエピソードでした。
そして今回の「空飛ぶ幽霊船」は、マーベラス達が仲間で一緒に掴み取る夢こそが
海賊の目指すべき真の夢だと悟るエピソードでした。
結局、この物語前半の2つの特殊エピソードは両方とも「夢と仲間の関係」について描いたものといえます。

つまり、「ゴーカイジャー」という物語において「夢と仲間の関係」というのは
最重要テーマであるということになります。
そして、この「夢と仲間の関係」について描いた2つのエピソードは両方とも、
あえて「正義」や「地球を守ること」などの要素は徹底排除されています。

「地球を守ること」と「夢と仲間の関係」を一緒に描くことは決して不可能ではありません。
だから、「ゴーカイジャー」の物語においては、
あえてこの2つのテーマを一緒に描かないように注意していると解釈すべきでしょう。
いや、正確に言えば、「ゴーカイジャー」の物語の現状においては、
あえてこの2つのテーマは分けて描くようにしていると言ったほうがいいでしょう。

それは言い換えると、いずれは「ゴーカイジャー」の物語において、
この2つのテーマは1つに合わせて描かれる時が来るということです。
現在、それがあえて分けて描かれているということは、
その時というのはおそらくこの物語のクライマックスの時なのでしょう。

それまではあえて「地球を守ること」と「夢を仲間の関係」は別々に描かれる。
それはつまり、「地球を守るということ」と「夢と仲間の関係」という2つのテーマが、
この「ゴーカイジャー」という物語の2大テーマなのだということです。

そして、「ゴーカイジャー」という物語の構造として、この2大テーマと2つの劇場版が対応しているのです。
すなわち、第一のテーマである「地球を守るということ」というテーマを描いた劇場版が
6月に公開された「199ヒーロー大決戦」映画であり、
第二のテーマである「夢と仲間の関係」というテーマを描いた劇場版が、
この8月公開の夏映画「空飛ぶ幽霊船」だったのです。

この「ゴーカイジャー」の2つの劇場版は、
「ゴーカイジャー」という物語の2つの主要なテーマをそれぞれ描いており、
おそらくこの2つのテーマが絡まり合って「ゴーカイジャー」の物語の結末に
大きな影響を及ぼすことになると予想されます。
だから、この2つの劇場版で何がテーマとして描かれたのかを読み解くことによって、
「ゴーカイジャー」の物語の結末を読み解くヒントになるといえます。

まず「199ヒーロー大決戦」においては、地球を守って戦うということはどういうことなのかが徹底的に描かれ、
テーマ的な結論として「スーパー戦隊の戦いを通して勇気と強さと正義の心を学んだ
地球の人々のパワーこそが地球を守る戦いの最大の切り札となる」ということが示されました。
それに対して、今回の「空飛ぶ幽霊船」では、「夢と仲間の関係」が描かれ、
テーマ的な結論としては「仲間と一緒に掴む夢にこそ最も大きな価値がある」ということが示されました。

この2つの大テーマが「ゴーカイジャー」の物語の終盤にどのように絡み合っていくのか、
この物語の折り返し近くの8月時点ではハッキリしたことは分かりません。
ただ、その物語終盤で必ず物語のカギを握る最重要アイテムとして
登場することが予想されるのが「宇宙最大のお宝」ですが、
この「空飛ぶ幽霊船」では、その「宇宙最大のお宝」の正体に関するヒントが示されているように思えます。

今回の映画のラストシーンでナビィが観客に向かって語りかける、
この映画のテーマといえる最重要なセリフにおいて、
「1人より2人がいいさ、2人より5人がいいさ、夢でかくなる」と言っています。
1人で掴む夢よりも仲間で掴む夢の方が大きな価値があるという意味のことを言っているのですが、
ここでは、その仲間の人数が多くなるほどに「夢でかくなる」という意味が語られており、
つまり仲間の人数が最大限になれば、夢も最大になるということです。
つまりマーベラス達がもっともっと多くの仲間と共に夢を掴んだ時、その夢の価値は最大となる。
それはすなわち「宇宙最大の夢」であり「宇宙最大のお宝」なのではないでしょうか。

そしてもう1つ、そもそもこの映画において登場した「ゴッドアイ」とは何だったのか、
考察しておいた方がいいでしょう。

先に辿って行ったストーリーに沿った考察の中で得た結論としては、
ゴッドアイとは、古の大海賊が作った魔力を持った宝玉であり、
利己的な夢を願う者の命を奪い幽霊として宝玉の番人として使役するが、
仲間と共に夢を掴むことに価値を見出す者の仲間を守ろうとする願いだけは叶えて、
そのたった一度の願いを叶えると石ころに変わってしまうものでした。

問題は古の大海賊はどうしてそんな代物を作ったのかです。
利己的な夢を持つ者を次々と殺していくことのみを目的としたわけではないでしょう。
もしそうなら仲間を想う願いを叶える機能など付ける必要は無いからです。
おそらく真の目的はこのゴッドアイで願いを叶える者と出会うことであったのでしょう。
すなわち、自分の欲望のためではなく仲間と共に掴む夢に価値を見出す者を見つけるために
ゴッドアイは作られたのだと思われます。

何故そういう者を見つけるためにゴッドアイを作る必要があったのかと考えると、
それはつまり、ゴッドアイのような特殊なアイテムを使わなければ見つけ出せないぐらいに、
そういう者は希少であったからです。
しかし「仲間と共に掴む夢に価値を見出す者」は決してこの世界に多数派ではないでしょうが、
それなりの数は存在するはずです。
わざわざこんな危険な宝玉を作り出してまでして探すようなものではないと思えます。
ということは、ゴッドアイを作った者が探し求めていた「仲間と共に掴む夢に価値を見出す者」は
一般的な意味での「仲間と共に掴む夢に価値を見出す者」ではない。

考えてみれば、マーベラス一味の手に入れようとしている「宇宙最大のお宝」もまた、「仲間と共に掴む夢」です。
しかし、もし今回の冒険の中でマーベラス達が誰ひとりイメージ空間に落とされることもなく
順調にゴッドアイを手に入れて「宇宙最大のお宝」を欲しいと願い事をしたとしたら、
その願いは叶えられたかというと、おそらくその願いは叶えられることはなく、
マーベラス達はロスダークと同じように命を奪われていたでしょう。

何故ならマーベラス達の求める「宇宙最大のお宝」は
確かにマーベラス一味という仲間内においては「仲間と共に掴む夢」ですが、
他人から見れば所詮はマーベラス一味という6人組の海賊たちの利己的な夢に過ぎないからです。
その程度の利己的な仲間内の夢を持っている者たちなど、宇宙にはいくらでもいます。
だからゴッドアイという宝玉の、たった1回しか叶えられることのない願い事の適用される対象にはなり得ないのです。

ならばゴッドアイがこの宇宙でたった1つだけ叶えることを許す願い事とはどういうものなのかというと、
それは「仲間と共に掴む夢」の究極形だといえます。
つまり、1人よりも2人、2人よりも5人、そして5人よりも100人、1000人と仲間の数を増やしていき、
遂には宇宙の全ての人を仲間にして掴む夢です。
ナビィが言ったように「仲間が増えれば夢は大きくなる」のですから、
宇宙の全ての人を仲間にすれば、その夢は宇宙最大になる。
すなわち「宇宙最大の夢」です。
ゴッドアイというのは宇宙の全ての人を仲間にして掴む、
宇宙で至高唯一の「宇宙最大の夢」を叶えることの出来る宝玉なのだといえます。

しかし、宇宙の全ての人を仲間にして掴む夢とはいったいどんなものなのか?
ハッキリ言って具体的イメージは全く浮かんできません。
宇宙の人々はそれぞれがバラバラな嗜好、目的、欲望を持っており、
その全員が心を合わせて1つの夢を目指すなどということが有り得るとは到底思えません。

もしそれが可能となるとすれば、それは究極の自己否定を前提にしなければならないでしょう。
宇宙における全ての人が自分の欲望を捨て、自分というものを犠牲にして他者を仲間として、
その仲間のために尽くすことを心がければ、「宇宙最大の夢」は叶えられるでしょう。

ただ、そんなことが実現するとは到底思えません。
全ての人が全ての他者のために自己犠牲に徹するなど、全く非現実的といえます。
しかし、だからこそ、それは「宇宙最大の夢」なのだといえます。
そして、このゴッドアイを作ったのは古の大海賊であり、
海賊とはとても大きな無茶な夢を追う者達です。

古の大海賊は、この宇宙で一番大きな、現実には到底有り得なさそうな夢を掴みたいと思ったのではないでしょうか。
ただ、その「宇宙最大の夢」の具体的な姿はその古の大海賊には皆目見当はつかなかった。
だから、彼自身は「宇宙最大の夢」を掴むことが出来る者ではなかった。
だが、彼は自分は掴めなくても、「宇宙最大の夢」がどういうものか知りたいと願った。
それが彼の夢だったといえます。
そのために彼は「宇宙最大の夢」を掴める者を探そうとした。
そして「宇宙最大の夢」を掴むことが出来る者がいるとするなら、
それは仲間のために究極の自己犠牲が出来る者でした。
そこで古の大海賊は、その「宇宙最大の夢」を掴む資質を持つ者を探し出し選別するアイテムとして
ゴッドアイを作ったのです。

まずその資質の第一条件は「夢を信じて掴もうとすることの出来る者」であることです。
そこで古の大海賊はゴッドアイがどんな夢でもたった1つだけ叶えることが出来る宝玉だという嘘を
真実であるかのように噂として流布させました。
ただ、大抵の者はそんな噂を信じたりはしない。
どんな夢でも叶う宝玉など、あまりに胡散臭い話だからです。
言い換えれば、そんな胡散臭い噂を信じて掴み取るためにやって来る者は、
夢を信じて掴む力を強く持つ者だけだということです。
よって、ゴッドアイを奪うためにやって来る時点で一次試験はクリアしているといえます。

ただ、「宇宙最大の夢」を掴む資質は単なる夢想家というだけでは不十分です。
「宇宙最大の夢」を掴むに足る、宇宙最強の力が無ければいけない。
そこで古の大海賊は、ゴッドアイを守護するシステムとして例の壁の巨大ドクロを作り、
ゴッドアイを目指して来た者達をイメージ空間に引きずり込み、
その挑戦者たちにとっての最強の敵といえる亡霊たちと延々と戦わせる無間地獄に落とすようにしたのです。

普通に化け物やロボットなどを番人として置いても、様々なタイプの挑戦者たちの全てに対応できるわけではない。
だが、イメージ空間でその挑戦者たちに因縁のある敵や、その挑戦者の能力に合わせた敵などを、
死者の霊を呼び出して自由にチョイス出来るようにすれば、どんな挑戦者が来ても対応可能です。
宇宙のあらゆる人材を対象とした選別システムだからこそ、
そこで挑戦者に与える試練としては、こうした幽霊を使ったイメージ空間でのバトル方式が
最も効率的だったといえます。

このイメージ空間でのバトルをクリアしてゴッドアイを手に入れることが出来るだけの強さを持つ者は、
「宇宙最大の夢」を掴む者として相応しい強さを持った者として認められ、
「宇宙最大の夢」を掴む資質の二次試験をクリアしたといえます。
ただ、大抵の挑戦者は、この二次試験で脱落し、イメージ空間で命を落として、
イメージ空間内の敵幽霊キャラの一部として再利用される運命となりました。

この二次試験を突破した挑戦者は歴代でもごく少数であり、
その中で最も最近の二次試験の合格者がロスダークだったのでしょう。
しかし、この二次試験合格者に仕掛けられる最後の罠が、
「ゴッドアイは自分を犠牲にして他者を救いたいという願いしか叶えず、
それ以外の願いを口にした者の命を奪ってゴッドアイの番人としてしまう」というものでした。
これは、古の大海賊が「宇宙最大の夢」を掴む最重要の資質として
「究極の自己犠牲と仲間への愛」を据えたからです。

つまり古の大海賊の考えた「宇宙最大の夢」を掴み得る者の資質とは、
「夢を信じて掴もうとする純粋な心と、宇宙最強クラスの強さを持ち、
さらに自分を捨てて仲間を助けようという精神を宇宙規模にまで拡大し得る強大さで有する者」ということになります。
特に大事なのはこの最終試験で試される資質であり、
その前段階に試される夢を信じる心や宇宙最強クラスの戦闘力などは必要最低限の条件に過ぎないといえます。

それらの厳しい試練を経て遂に手に入れたゴッドアイを使ってどんな夢でもたった1つだけ叶える権利を手中にした時、
人間は普通はまず間違いなく、自分の夢のことだけで頭がいっぱいになり、
仲間や他人のことなど忘れてしまうでしょう。
せっかく戦い抜いて夢を叶える権利を手にしたというのに、
自分を犠牲にして他人を助けたいなどという願い事をする者はまずいないでしょう。

しかし、そんな絶対に有り得ないようなことをする者だからこそ、
この宇宙で絶対に有り得ない究極の自己犠牲を為し得る資質を持つ者として認められるのであり、
「宇宙最大の夢」を掴める可能性を持つ唯一の者になり得るのです。
そんな絶対に有り得ない者を選別して見つけ出すために、
このゴッドアイの三段構えの試練のシステムは用意されたのだといえます。

それにしても、どうして古の大海賊は「宇宙最大の夢」などを求めたのか?
それは彼が海賊だからだという説明でも十分であるようにも思えますが、さらに一歩踏み込んで考えるならば、
その古の老海賊は海賊として夢を追いかける膨大な者達を見続けた生涯の中で、
「夢」というものの持つ危うさを知ったのではないかと思えます。

「夢」というものは生きるための素晴らしい原動力となる反面、利己的な欲望として暴走していくこともある。
その利己的な欲望はいずれ宇宙を危機に陥れるのではないかと危惧した老海賊は、
その宇宙の危機を止揚するために、自己の欲望よりも、
他の人々を仲間として共に掴もうとする夢を優先することこそが必要ではないかと思い、
利己的な夢や欲望の暴走による宇宙の巨大な危機が生じた時に、
それに対抗し得る巨大な自己犠牲の仲間愛に満ちた力を見出したいと思ったのでしょう。
その力こそが「宇宙最大の夢」といえます。

そこで老海賊は、自身の支配する大海賊団を解散し、
自身の旗艦としていた巨大海賊船にゴッドアイと巨大ドクロを設置し、
巨大ドクロで召喚した死者の霊たちと共にゴッドアイの番人となり、
「宇宙最大の夢」を掴み取る資質を持った者の来訪を待つ旅を続け、
来訪した挑戦者たちに試練を与えていったのです。

そして挑戦者たちの多くはイメージ空間に落とされて幽霊に敗れて死んでいき、
僅かにイメージ空間を自力で脱してゴッドアイを掴んだ者も、
利己的な願いを叶えたために命を奪われてゴッドアイの番人幽霊として操られて、
更なる挑戦者となり得る強者を探して幽霊船に呼び込む作業に従事させられることになったのでした。
ゴッドアイの創造者である老海賊はそれらの日々の中でいつしか身は朽ちて
自身も幽霊となってこのゴッドアイに宿って幽霊船に留まり、
ゴッドアイで願いを叶える「宇宙最大の夢」を掴む資質を持つ者が現れるのを待ち続けていたのでしょう。

そうしてマーベラス一味が幽霊船にやって来て、
マーベラスはゴッドアイで何でも好きな願い事をする権利を手にしながら、
イメージ空間に落とされた仲間たちと共に夢を掴むために、
自分の命が奪われる可能性があることを知りつつ、あえてゴッドアイに仲間を元に戻すよう願い、
その結果、遂にゴッドアイで願いを叶えることに成功しました。
そして老海賊の霊はマーベラスこそが「宇宙最大の夢」を掴む資質を持つ者だと認めて、
満足してゴッドアイと共に昇天していったのです。

確かにマーベラスは、あの状況で利己的な夢を叶えることよりも自分を犠牲にしても仲間を救うことを優先し、
しかもそれは仲間と共に夢を掴むためであったわけですから、
まさに「宇宙最大の夢」を掴む資質を有した男なのでしょう。

しかしマーベラス自身は、あの判断は仲間をイメージ空間に落とされた極限状況だから選んだ道なのであって、
決して利己的な夢よりも自己犠牲的な夢の方が価値があるという固定観念を持つまでには至っていません。
つまり、今回のような極限状況で正しい判断が咄嗟に出来たという意味では
確かにマーベラスには「宇宙最大の夢」を掴む資質はあるのだが、
その自身の資質についてはまだマーベラスは無自覚であり、
「宇宙最大の夢」を掴むために最重要なポイントが「仲間と共に掴む夢のための自己犠牲精神」であることにも
まだ気付いてはいません。

というより、そもそも古の宇宙海賊がゴッドアイを通して
「宇宙最大の夢」を掴む資質を持つ者の選別を行っていたということ自体、マーベラスは知りませんから、
「宇宙最大の夢」なんて代物自体、知りません。

だが、そもそもマーベラス達の探している「宇宙最大のお宝」というものもまた、
古の宇宙海賊が流布した伝説の産物なのです。
それは結局はゴッドアイを作った古の宇宙海賊の目指した「宇宙最大の夢」と同じものなのではないでしょうか。

そうなると、マーベラス達が手に入れようとしている「ゴーカイジャー」の物語上の最重要アイテムである
「宇宙最大のお宝」を掴み取るために最重要なポイントとなるのも
「仲間と共に掴む夢のための自己犠牲精神」なのではないでしょうか。

そして、そのことをマーベラス達はまだ知らない。
この「物語上の重要ポイントでありながら主人公のマーベラス達が認識していないこと」というパターンは
「199ヒーロー大決戦」映画における
「スーパー戦隊から勇気や正義の心を学んだ地球の人々の持つ力が地球を守る大きな力となる」という
重要ポイントの時と同じパターンです。

この春映画のパターンに照応するように、今回の夏映画「空飛ぶ幽霊船」では、
「仲間と共に掴む夢のための自己犠牲精神が宇宙最大のお宝を掴み取る決め手となる」という重要ポイントが示され、
この春と夏の映画で示された2つの重要ポイントが共に主人公のマーベラス達には未だ認識されていないということは、
この2つのポイントは「ゴーカイジャー」という物語全体を貫く2大テーマなのであって、
この2つのテーマが物語終盤に絡まり合って1つに合わさっていくことを
暗示しているのではないかと推測できるのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:22 | Comment(0) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月24日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その6

第三のイメージ空間の波止場でエージェント・アブレラ率いるドロイド軍団と対峙することとなった
マーベラス一味の5人は、ジョー達4人がデカレンジャーに変身して囮となってアブレラ達を引き付けている間に
マーベラス1人がレッドホークに変身して上空のドクロの口を通って
元の現実世界の幽霊船の大広間に戻るという作戦を決行、
見事に成功し、マーベラスは上空のドクロの口に突っ込むことに成功しました。

同時に幽霊船の大広間では、ロスダークが傍らにある壁の巨大ドクロに生じた異変を察知して
「うぬうっ!?」とドクロから離れます。
すると、ドクロの口から何者かが飛び出してきて、大広間の床に降り立ち、光に包まれて変身します。
ロスダークとドクロの方に振り返って「・・・地獄の底から還ってきた!そのお宝は貰うぜ!」と、
ドクロの左目に嵌ったゴッドアイを見据えて言い放ったのは、
レッドホークの変身を解除してゴーカイレッドの姿に戻ったマーベラスでした。
マーベラスの意識体は黒雲ドクロの口から亜空間に戻り、そこで自分の真の肉体を取り戻して、
一気に壁のドクロの口を通って元の大広間に帰還したのです。
もちろんマーベラスの目的はロスダークを倒してゴッドアイを奪うことでした。

このマーベラスの言葉に対してロスダークは「お宝のためなら仲間も捨てるとは・・・」と呆れ果てたように言い返します。
マーベラスがイメージ空間で戦っている他の仲間を見捨てて、
自分1人だけがゴッドアイを手に入れるために戻ってきたのだと思ったようです。
いや、それぐらい強欲な男の生体エネルギーはさぞや強大なものであり、
それを殺して奪うことによって自分が生き返るに足るエネルギーが得られるのだと思い、
ロスダークは歓喜したのかもしれません。

しかし、このロスダークの見方はマーベラスにとっては全く心外でした。
マーベラスはジョー達が必ず自力で現実世界に戻ってくると信じ、
ジョー達はマーベラスが必ずゴッドアイを掴み取ると信じている。
その相互の信頼関係があるからこそ、マーベラスはこうして1人で先に戻ってきて
ロスダークと戦おうとしているのです。

仲間を捨ててお宝だけを得ようなどという狭い了見ではない。
そんな狭い了見では、かつて赤き海賊団を裏切ってお宝を独り占めしようとしたバスコと同じになってしまう。
かつてバスコに裏切られたマーベラスは、まるで自分をそんなバスコと同じように扱うようなロスダークの言葉に
「・・・ざけんな!!」と激しく反発しました。

しかし、その時マーベラスの目の前で無情にも壁のドクロの口は閉じてしまい、
ロスダークは「この口は二度と開かない・・・」と宣告します。
そしてロスダークは勝ち誇ったように「お前の仲間たちは絶対にこの世界には戻れないのだ・・・」と続けます。
やはりこのドクロは生きた人間の意識を死者の魂の待ち受けるイメージ空間に送るためだけの装置であって、
自力で戻らない限り、このドクロを使ってイメージ空間に墜ちた意識体を現実世界に戻すことは
出来ないようになっているようです。
そして、ドクロの口が閉じてしまった以上、ジョー達は自力で現実世界に戻ることも出来ず、
結局は現実世界に戻る方法は失われたことになります。

おそらくドクロの口が二度と開かないというのは、
この壁のドクロの口は一旦閉じた以上は、仮に再び壁のドクロの口を開いたとしても、
もうジョー達のいる亜空間からイメージ空間へのルートには繋がることはないという意味なのでしょう。
結論的には、ジョー達4人はもう現実世界に戻る手段を失ってしまったのであり、
マーベラスはゴッドアイを手に入れるためにイメージ空間に仲間を見捨ててきたという結果になってしまったのです。

それがどうしようもない現実というものであり、
マーベラスがいくら否定しようとも、マーベラスはお宝を手に入れるために仲間を捨てた
卑しい強欲な男に過ぎないのだとロスダークは強調し、
お宝に目が眩んで仲間を捨てて1人でノコノコやって来たマーベラスにはもはや勝ち目は無いと見なして、
「諦めてお前も命を捧げろぉ!」と迫ります。

イメージ空間に取り残されたジョー達4人もすぐに力尽きて死に、生体エネルギーをロスダークに捧げることになる。
そして宝に目が眩んで1人で無謀な戦いを挑んできたマーベラスもここで軽く倒して、
その欲にまみれた生体エネルギーを吸収し、今回こそ生き返ってやろうとロスダークは大いに意気込みます。

一方のマーベラスは、もはやジョー達が現実世界に戻ることが出来なくなったと知り、
完全に1人ぼっちになって、さぞや気落ちしているかと思いきや、
さにあらず、「諦めるワケねぇだろ!」とキッパリと言い返したのです。
マーベラスはこの絶望的状況においても、全く諦めてはいませんでした。

ゴーカイサーベルを右手に握りしめて、
ロスダークの肩越しに見える壁のドクロの左目の瞳、すなわちゴッドアイを見つめて、
つかつかと数歩、前に進むとマーベラスは左手を前に掲げて
「・・・俺は約束したんだ・・・この手で夢を掴むってなぁ!!」と怒鳴りながら、
拳で遠くに見えるゴッドアイを掴み取るようにギュッと握るのでした。

ここまでマーベラスの信念を揺るぎないものとしていたのは、ついさっきジョー達と交わした約束のゆえでした。
マーベラスは必ずゴッドアイや「宇宙最大のお宝」を掴み取り、
その代わり、ジョー達は必ずイメージ空間を脱出して現実世界に戻るという約束を交わしたからこそ、
マーベラスはこうして諦めずにゴッドアイに向かって前に進むことが出来るのです。
そしてマーベラスが諦めない以上、ジョー達も決して諦めたりはしない。
そういう約束だからです。

そしてジョー達が決してマーベラスが夢を諦めたりはしないと信じてくれているのと同様、
マーベラスもまたジョー達が現実世界へ戻ることを決して諦めたりはしないと信じているのです。
ジョー達が諦めないと知っている以上、マーベラスがジョー達の帰還を諦めるわけにはいかない。
そして、ジョー達もマーベラスが夢を掴み取ることを信じているからこそ、自分達の帰還を決して諦めることはない。
だから、マーベラスが夢を掴み取ることがジョー達の帰還に繋がるのであり、
マーベラスは夢を掴み取る信念を持ち続ける限り、
どんな絶望的状況であってもジョー達の帰還を信じることが出来るのです。

つまり、マーベラスの中では「夢を掴む=仲間達の帰還」という等式が成り立っており、
それゆえマーベラスはこの絶望的状況であるからこそ、夢を掴み取るため、
ゴッドアイを狙って前に出ることが出来るのですが、
ロスダークは単にマーベラスが仲間を捨てても掴もうとしたゴッドアイへの妄執の虜となっているだけだと受け取って、
「・・・フン!」と鼻で笑うと、「掴んでみろ・・・!」と嘲笑って、
ゴッドアイとマーベラスの間を引き裂くように、剣を振りかざしてマーベラスに飛び掛かったのでした。

そうして大広間を縦横無尽に動き回り、
柱に繋げて組んである足場の鉄骨にぶら下がったり、相手の身体を飛び越えたりして様々な体術も駆使しながら、
マーベラスとロスダークは激しい斬り合いを繰り広げます。
この狭い空間でのトリッキーな斬り合いは、まさに海賊アクションといえます。

斬り合いは互角であり、一旦距離をとって2人は対峙します。
ロスダークはマーベラスの執念に舌を巻きながら、
それでもこれまでにもゴッドアイを独り占めしようという欲望に囚われた強者たちを撃ち破ってきたロスダークは
所詮はマーベラスも自分には勝つことは出来ないだろうとタカをくくり
「1人で勝てると思っているのか?・・・愚か者め!!」と嘲笑しました。

対するマーベラスはさすがにロスダークが強いことは戦ってみて再確認し、
確かに1人で勝つことが容易ではない相手であることは悟っていました。
しかし、それでもマーベラスは勝利を確信していました。
勝てる根拠が特にあるわけではなかったが、
とにかく自分はロスダークに勝ってゴッドアイを掴み取るのだという確信が揺るがないのです。

それを考えてマーベラスは不思議な気分になりました。
少し前まで自分はゴッドアイは偽物なのではないかと心配しており、
ジョー達の脱出が失敗するのではないかとも不安に思っていました。
そんな自分が今ではここまで揺るぎない信念に支えられて戦うことが出来ている。
一体どうしてなのだろうかと考えて、
マーベラスはそれはさっきジョー達が自分の夢を掴み取る力を信じてくれたからであり、
同時に自分もジョー達の夢を掴み取る力を信じることが出来たからなのだと思いました。

つまり、空間は隔てられていても、共に同じ夢を掴み取るために信じ合って
それぞれ命懸けで戦っている仲間がいると感じることが出来るから、
自分は強大な力を持つロスダーク相手にも勝利を確信して戦うことが出来るのだと、マーベラスは気付いたのでした。
そうだったのだと気付いたマーベラスはロスダークに向かって
「お前には1人に見えるかもしれねぇが・・・俺はずっと5人で戦ってんだ!!」と言い放ち、
イメージ空間に取り残されても決して諦めることなく戦い続けているであろうジョー達4人に思いを馳せます。

果たして、実際にイメージ空間ではジョー達は上空のドクロの口が閉じてしまったのを見ても、
全く諦めることなく懸命に戦い続けていました。
現実世界に戻ったマーベラスが決して夢を諦めることなくロスダークと戦っているはずだと確信しているからこそ、
4人は自分達もどんな絶望的状況になろうともこの空間からの脱出を諦めるわけにはいかないと思っているのです。

そのためにまずは立ち塞がる強敵のアブレラ軍団を倒さねばならない。
まともに戦っても簡単には倒せないアブレラ軍団を相手に、
ジョーとルカとハカセとアイムは、波止場のコンテナ群の中にドロイド達を誘い込み、
狭いコンテナとコンテナの隙間を使って各所でドロイド達を分断孤立させて、
分散してデカレンジャーの得意技である物陰からの狙撃でドロイド達を順次撃破していく作戦を実行します。
そして遂にドロイド達を全部片付けたジョー達4人は合流して、一気にアブレラに対して攻勢をかけるのでした。

そうしたジョー達の方の戦況は全く分からないながらも、
現実世界でロスダークと対峙するマーベラスにも、
4人の仲間が同じ夢を掴むために決して諦めずに戦っていることは感じ取ることが出来ました。
そして、5人で同じ夢に向かって戦っていると感じるからこそ、
自分は夢を掴む信念を決して捨てずにこうして戦うことが出来ているのだと悟ったマーベラスは、
それは今だけではなく、ずっとそうだったのだと思い出したのでした。

マーベラスはさっきもゴッドアイは偽物ではないかと疑ったり、
ジョー達の脱出が失敗するのではないかと不安に思ったりしたが、
実はマーベラスはそういうところ案外、醒めた現実主義者なのです。
「宇宙最大のお宝」だって最初はマーベラスは伝説に過ぎないと思って意外に醒めた認識しか持っていませんでした。

しかしアカレッドに「夢は諦めたら手に入らない」と諭されて、
「宇宙最大のお宝」を掴み取ることが出来ると信じてみようと思ったに過ぎません。
そこでは確かにマーベラスは自分で夢を信じることを決断したのですが、
それでもあくまでそれはアカレッドという同じ夢を掴もうとする仲間の存在があってこそ
為し得た決断であるのも事実です。

そして「赤き海賊団」の一員となったマーベラスは
アカレッドとバスコという仲間と共に「宇宙最大のお宝」という夢を掴むために
夢中になって冒険をして幸福な日々を送りました。
しかしバスコの裏切りによって「赤き海賊団」は壊滅し、マーベラスは共に夢を掴む仲間を失いました。

その後のマーベラスは虚脱状態となり、自分を庇って死んだアカレッドと
「宇宙最大のお宝」という夢を掴む約束を結んだにもかかわらず、
たった1人になったマーベラスは、再びアカレッドと出会う以前のように、
夢を信じる気持ちを見失ってしまっていたのです。

そして、そんな時にマーベラスはジョーに出会って、
その一途に何かを信じようとして足掻く姿を見て、再び夢を信じて掴み取ろうとする気持ちが湧きあがってきた。
だからマーベラスはジョーを仲間にしたいと思ったのです。
再び共に大きな夢を掴もうとすることの出来る仲間を得れば、
また自分も夢を掴み取ることを信じて旅を続けることが出来ると思えたからです。

そうしてジョーを仲間にしてマーベラス一味を旗揚げしたマーベラスは、
その後、ルカやハカセやアイムも仲間に加えて地球にやって来た。
どうして彼らを仲間にしたのかというと、それはそれぞれ事情はバラバラではあるが、
基本的にはジョーの場合と同じく、マーベラスにとっては彼らが共に「宇宙最大のお宝」という
途方もない夢を掴む旅の仲間として相応しいと思えたから仲間にしたといえます。

それは一見、マーベラスが彼らの資質を認めてやって仲間にしたかのように見えますが、
実際はマーベラスが彼らの存在を必要としていたといえます。
彼らと一緒に夢を掴み取ることを信じる旅をすることによって、
実際は案外醒めた現実主義者のマーベラス自身が
「宇宙最大のお宝」という夢を掴み取ることを信じ続けることが出来たのです。

ずっと5人で旅をして、ずっと5人で戦い続けてきたからこそ、
マーベラスは夢を掴み取るという信念を持つことが出来た。
いや、マーベラスだけでなく、5人それぞれ、あるいは鎧も含めた6人の仲間全員が同じように、
仲間がいるからこそ夢を掴むことが出来るのです。

そういうことだったのだと気付いたマーベラスは、
ならば自分の掴み取るべき夢とは、単なる「宇宙最大のお宝」ではないのだと思いました。
1人で単にお宝だけを掴もうとしていたなら、自分は夢を掴むための旅をここまで続けることは出来なかったはずです。
仲間と一緒に掴む夢だからこそ、ここまで夢を掴むための旅を続けることが出来たのです。
だから、自分の掴み取る「宇宙最大のお宝」は仲間と共に掴むものであるはずなのです。
ならば、仲間がいない状態で1人で「宇宙最大のお宝」という夢を掴み取るわけにはいかない。

自分は仲間が後から戻ってくることを信じて、先に1人だけ戻ってきて夢を掴もうとしていた。
一見それは正しい手順のように思えました。
だが、それは間違いであったとマーベラスは思いました。
自分の掴む夢というのは、仲間と共に掴む夢、仲間と共に掴むお宝でなければいけない。
ならば、まずは仲間を取り戻し、仲間が揃った状態でお宝を掴まなければダメなのです。
遠回りなのかもしれないが、自分達はそもそもそういう遠回りでしか旅を続けることは出来なかった海賊なのです。
いや、それこそが真の海賊なのだとマーベラスは思いました。
そうなれば、まずは仲間を取り戻すのが海賊としての自分のやるべきことでした。

もちろんマーベラスはジョー達が帰還の希望を捨てずに戦っている以上、
ジョー達が自力で帰還できることを信じています。
しかし、それとマーベラスのやるべきことの問題は別の問題です。
ジョー達が自力で帰還出来ようが出来まいが、そんなことは関係無く、
マーベラスの立場として、仲間たちの戻っていない状態で
先に「宇宙最大のお宝」を手に入れてしまうわけにはいかないのです。

無論マーベラスは「宇宙最大のお宝」を絶対に諦めるつもりはない。
そうなると、マーベラスは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
まずは急いで仲間たちを取り戻さねばいけない。
だからマーベラスが夢を掴むためにまず第一にやるべきことは、仲間を取り戻すことなのであり、
それはマーベラスがやらねばならないことなのであって、
ジョー達が帰還してくるのを期待して待っていて良いような問題ではないのです。

つまり、今のマーベラスが夢を掴むために絶対に実現させなければいけないことは仲間の奪還であり、
それはどうも尋常な手段では実現困難な状況のようです。
そうなると、自ずと何をすべきなのか決まっていく。

そこまでマーベラスが思い至ったところに、
ロスダークはマーベラスが5人で戦っているなどと意味不明のことを言っていると見て
「ほざけぇっ!!」と銃撃をしてきます。
跳び上がって銃撃を避けたマーベラスは、大広間に置かれた鉄骨の足場に掴まり、
更に足場の上を跳びはねて、ロスダークの執拗な銃撃から逃げ回り、
再び床に飛び降りると物陰に飛び込んでそこからロスダーク目がけて銃で反撃します。

そうして今度は激しい銃撃戦となり、マーベラスの正確な射撃でロスダークが怯んだ一瞬の隙を突いて、
マーベラスは身を翻して駆け出します。
マーベラスの目指していたのは壁のドクロの方向でした。
それを見てロスダークはマーベラスが乱戦の中でドクロの左目に嵌めこまれたゴッドアイを
奪い取ろうとしているのに気付き、「くうっ・・・させるかぁっ!!」と慌てて駆け出し、
大きくジャンプして、マーベラスよりも一瞬早くステージの上に飛び降りてドクロの前に立ち、
ドクロの左目のゴッドアイを守るようにしてマーベラスの行く手を阻みました。

マーベラスはロスダークがゴッドアイを絶対に死守する姿勢を示したことに一瞬驚きます。
このゴッドアイが単にロスダークが強欲な者どもをおびき寄せるために用意した偽物であるならば、
こんなに必死になって守る必要はない。
やはりこのゴッドアイは本物だったのだと確信したマーベラスは
「どけぇっ!!」と怒鳴ってロスダークに斬りかかりますが、
ロスダークは凄まじい気迫で防戦し、逆にマーベラスを吹っ飛ばしてステージから叩き落とします。

マーベラスも床に転がって起き上がると、すかさずゴーカイガンで反撃してロスダークを狙撃して倒そうとしますが、
ロスダークはこれを凌ぐとステージから飛び降りてきてマーベラスに斬りかかり、
再び床の上で両者の激しい斬り合いが展開されます。
こうした激しい戦いの中、マーベラスは何か妙な違和感を覚えてきていました。
ロスダークがあれほど必死に守ろうとしたということは、やはりゴッドアイは本物だった。
だが、本物だとすれば何か話が変だとマーベラスは気付いたのです。

ゴッドアイはどんな夢でも叶えてくれるという。
ならばどうしてロスダークは生き返るためにわざわざ生体エネルギーなど集めているのか?
そんな回りくどいことはせずにゴッドアイに「生き返りたい」という願いを叶えてもらえば済む話ではないか。
何故ロスダークはそうしないのか?

あるいはゴッドアイは幽霊の願いは叶えないのかもしれないとマーベラスは思いました。
つまり生きている者の願いしか叶えないということです。
だからロスダークはまずは他人の生体エネルギーを奪って復活しなければいけないのかもしれない。
もしそうだとすると、ロスダークが生き返ろうとしているそもそもの動機は
ゴッドアイを使って何か願いを叶えるためということになる。

単に他人の生体エネルギーを奪うことだけが目的ならば、わざわざ本物のゴッドアイを晒す必要は無い。
ロスダークがあくまで本物のゴッドアイの傍に居ることに固執するのは、
ロスダークの目的が単に生き返ることではなく、
生き返って願いを叶えるためではないのかとマーベラスには思えました。

そもそも、もしゴッドアイが幽霊の願いも叶えるとした場合でも、
それでもロスダークが生き返るためにゴッドアイの力を使わない理由は、
ゴッドアイが1つの願いしか叶えられないからなのだろう。
つまりゴッドアイが生きている者の願いしか叶えないとしても、そうでないとしても、
いずれにせよ、ロスダークの本命の願いは生き返ることとは別にあり、
その本命の願いを叶えるためにロスダークはゴッドアイの傍を離れないのだろう。

しかし幽霊のままでその願いが叶うのなら、
とっくにロスダークはゴッドアイにその願いを叶えさせればいいはずです。
だがゴッドアイがまだロスダークが必死に守る対象であるということはその魔力を失っていないということであり、
つまり、まだゴッドアイは一度も願いを叶えていない状態であるということになる。
すなわちロスダークもまた、未だ一度もゴッドアイに願いを叶えさせてはいない。
ということは、やはり幽霊のままではゴッドアイを使って願いを叶えることは出来ないのだと思われます。
おそらくロスダークはゴッドアイを狙って来る他人の生体エネルギーを奪い続けて生き返り、
その上でゴッドアイを使って何か願いを叶えようとしているのではなかろうかとマーベラスは推測しました。

そのロスダークの願いとはどんな願いなのか、そんなことはマーベラスは興味はありませんでした。
むしろ問題は、もし自分の推測が当たっているとすれば、
どうしてロスダークは願いを叶えないまま幽霊となってゴッドアイの番人になっているのかという点だと
マーベラスは考えました。

ここで一旦整理すると、
まずゴッドアイが生者の願いしか叶えないとするなら、それは生者が作ったものであるはずです。
幽霊がわざわざ幽霊には使えないアイテムを作る理由は無いからです。
だからゴッドアイを作った者は生者であったはずです。
しかし、その生者はゴッドアイで願いを叶えるつもりはなかったようです。
ゴッドアイ製作者がゴッドアイで願いを叶えるつもりならば、
製作後すぐにその製作者がゴッドアイを使って願いを叶えてゴッドアイの魔力は失われているはずだからです。

その製作者がどういう考えでゴッドアイを作ったのかという問題はひとまず置いておいて、
少なくとも生前のロスダークがゴッドアイを作ったのではないと思われます。
ロスダークはゴッドアイを使って願いを叶えようとしている可能性が高いのですから、
彼がゴッドアイで願いを叶えるつもりのない製作者であったという可能性は低い。
となると、ゴッドアイはもともとはロスダークの所有物ではない。
ゴッドアイはこのもともとは巨大な海賊船であったと思しき船に、
この壁の巨大ドクロの左目にずっと嵌め込まれたままであったのであり、そこにロスダークはやって来たのでしょう。

つまり、ゴッドアイを作ったのはこの船のもともとの持ち主である可能性が高い。
それはおそらく古の大海賊と思われます。
大海賊自身に何らかの魔力があったのか、魔力を持つ者の協力を得たのかはよく分からないが、
その大海賊は自分の巨大な海賊船の内部に、生者の願いを1つだけ叶えるというゴッドアイという宝玉を作り、
更に生者の魂を死者の魂の蠢くイメージ空間に落とす巨大ドクロを船内の大広間の壁に埋め込んで作り、
ゴッドアイをその魔性のドクロの左目に嵌め込んだのでしょう。

どうしてその海賊がそんなことをしたのかよく分からないが、
その海賊は姿を消し、ゴッドアイが残された海賊船は廃船となり、
そこにロスダークがやって来たと思われます。
あるいはロスダークがやって来たことで海賊が駆逐されていなくなり、
海賊船は廃船となり幽霊船となったのかもしれず、
あるいはロスダークの前に何者かが海賊を駆逐して、ロスダークはその何者かを駆逐したのかもしれない。

そのあたりはハッキリとしたことは分からないが、
1つハッキリしていることは、ロスダークがこの船にやって来た目的です。
それはゴッドアイを使って自らの願いを叶えるためであったのでしょう。
しかしロスダークは幽霊であったので願いを叶えることは出来ず、生
き返って願いを叶えるためにゴッドアイを狙ってやって来る者達の生体エネルギーを集めるため、
ゴッドアイの番人となった。
そのようにマーベラスは先ほど推測しました。

しかし、そうだとすると話が少しおかしいのです。
この推測に従えば、ロスダークの願いというのは生き返って叶えることに意義がある願いということになり、
生者が持つべき願いということになる。
そもそもゴッドアイが生者の願いしか叶えないのならば、
その叶える願いというのは生者にとって意義のある願いだけということになる。

それに、ロスダーク自身がここまで懸命にゴッドアイの傍で生き返ろうとしているということは、
ロスダーク自身、ゴッドアイが生者の願いしか叶えない宝玉だということを知っているということになります。
それを知っていて、それでも願いを叶えるためにこの船にやって来たということは、
ロスダークはこの船にやって来た時はまだ生きていたのではないかとマーベラスは思いました。
つまりロスダークは生前、ゴッドアイを奪って願いを叶えるためにこの船にやって来て、
ここで命を落として幽霊となり、ゴッドアイの番人となった可能性が高い。

ならば、ロスダークもゴッドアイを狙って幽霊船に挑んで敗れて死んだ者なのかというと、
どうもそういうわけでもないように思えました。
何故なら、これまでにもロスダーク自身が数多くの強者たちをこの幽霊船におびき寄せて殺してきているのに、
その敗者たちの幽霊はロスダークのようにゴッドアイの番人にはなっていないからです。
つまり、ロスダークは単なる幽霊船に敗れて死んだ者ではなく、何か特別な立場であるようなのです。

ロスダークはゴッドアイを奪って願いを叶えるためにこの船にやって来たのであり、
ロスダークはこの船での戦いに敗れてはいない。
それなのにロスダークはゴッドアイで願いを叶えることは出来ずに命を落として幽霊となり、
ゴッドアイの番人をする羽目になった。

もしそうだと仮定するなら、ある1つの推測が導き出されます。
その可能性に気付いてマーベラスの背筋にゾクリと戦慄が走ります。
そして剣と剣をぶつけ合い、「くうっ・・・!」と鍔迫り合いで押し込み合うロスダークの顔が
マーベラスの顔の鼻先に迫り、マーベラスはその骸骨と化したロスダークの顔を凝視しながら、
思わず死への恐怖心が募ってきました。

しかしマーベラスはすぐに、(いや、そうではない)と思い直し、
「おりゃあっ!!」と思いっきりロスダークの顔に頭突きをかまします。
これでロスダークは怯み、マーベラスは突如湧き上がってきた迷いを吹っ切りました。
そしてマーベラスは「はぁっ!」と跳び上がって鉄骨で組んだ足場に昇って、
追ってきたロスダークとの間で激しい斬り合いを再開します。

「死ねえっ!」と突き出したロスダークの剣を間一髪避けたマーベラスは勢い余って足場から落ちかけますが、
なんとか持ち直して「おりゃあっ!!」と反撃します。
それでもロスダークはマーベラスを剣技で押し込み、大広間の逆の端の鉄骨の足場の方に弾き飛ばします。
だがマーベラスも後ろに吹っ飛びながら「うおおおお!!」とゴーカイガンを撃ちまくって、
ロスダークは剣で必死に防御し、「うぬうっ・・・!」と銃撃のお返しをしてきました。

しかしマーベラスは飛ばされていった先の鉄骨を掴んで回転してロスダークの銃撃を鮮やかに避けると
「はぁっ!!」と撃ち返してロスダークを怯ませます。
そのまま回転して鉄骨の上に立ったマーベラスは「おりゃあああっ!!」と叫んで
大広間を横切るほど大きくジャンプしてロスダーク目がけてドロップキックを繰り出しますが、
ロスダークも「くうっ!」と間一髪、マーベラスのキックを手で受け止めて投げ飛ばし、
更に強烈なキックを叩き込んできます。

まさに一進一退の攻防ですが、このキックを空中で受け止めたマーベラスは再び大広間の逆の端の足場の上に飛ばされ、
着地すると「そろそろ決着をつけてやる!!」と威勢よく叫んでゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿して回し、
「いくぜぇっ!!」とゴーカイサーベルを構えてエネルギーをチャージしながら
「はああああ!!」と気合を溜めてゴーカイスラッシュの構えに入っていきます。
これを見てロスダークも「ええいっ!・・・くたばるのはお前のほうだ!!」と忌々しそうに言うと、
口から生体エネルギーと思しき青白い闘気を吐き出して剣に吹き付けます。

そうして大広間の端の足場で青白い闘気を帯びた刀身を掲げて
「むううううん!!」とロスダークは気合いを発し、
マーベラスは大広間の反対側の足場の上で真っ赤なエネルギーを帯びたゴーカイサーベルを構えて
「はあああああ!!」と気合を発します。
そして「おりゃあああっ!!」という裂帛の気合いを込めて両者は剣を振り下ろし、
双方の剣から発した赤と青のエネルギー衝撃波が大広間の中央で衝突し、大爆発を起こしました。

この爆風を受けてロスダークは「ぐああああっ!!」と吹っ飛んで床に墜落して激しく身体を打ちつけますが、
一方マーベラスは吹っ飛んだ様子は無く、
ステージ方向で足音が響くので「ぐうっ・・・?」と驚いてロスダークがなんとか顔を上げると、
なんとステージにはマーベラスが変身解除した姿で平気な顔をして立っています。
しかもマーベラスの左手には、ステージの後ろの壁のドクロから奪い取ったゴッドアイが掴み取られていたのでした。
「な・・・なんだとぉ・・・!?」と愕然とするロスダークに向かって、マーベラスは「へっ!・・・油断したな!」とせせら笑い、
「最初から爆発に紛れて・・・奪い取るつもりだったんだよ!」と言って、両手でゴッドアイをガシッと掴むのでした。

マーベラスは手強いロスダークを出し抜いてゴッドアイを奪い取るのは、まともに戦っても至難の業だと悟り、
めくらましで奪い取る作戦を立てたのです。
一進一退の派手な勝負を演出して、ロスダークをゴッドアイから引き離しておき、
最後に自分が大技のゴーカイスラッシュを放とうとすれば、きっとロスダークも対抗して大技を放ってくる。
その2つの大技のエネルギーを衝突させればこの大広間の中で大爆発が起きて、
自分もロスダークも共にダメージを喰らって吹っ飛ばされるだろうとマーベラスは考えました。

そこで自分だけがダメージを受けずに済めば、
ロスダークがダメージで動けない間に自分だけが動いてゴッドアイを奪い取ることが出来ると思ったマーベラスは、
爆発の瞬間にわざと変身を解除して変身エネルギーを解放して自分の身を爆風から守る盾とすることにしたのです。
そうして無事に爆風を凌いだマーベラスは、床に倒れ込んだロスダークを尻目に
ステージに昇ってゴッドアイを奪い取ることに成功したのでした。

そして、ゴッドアイを手に入れたマーベラスが次にすることといえば、願い事を唱えることに決まっています。
しかしゴッドアイは1つしか願い事を叶えない宝玉ですから、
マーベラスが願い事を叶えてしまうと、もうロスダークは願いを叶えることが出来なくなってしまいます。
まだ身体が思うように動かせないロスダークは慌てて
「やめろぉっ!!それは俺が甦って・・・夢を叶えるためのもの・・・!!」と絶叫して哀願します。
それを聞いて、マーベラスはやはりそうだったのかと、自分の推測が正しかったことを確信しました。

ゴッドアイは生者の夢しか叶えない宝玉であり、
ロスダークはゴッドアイを狙って幽霊船に挑んでくる強者達の生体エネルギーを奪って生き返り、
ゴッドアイを使って自分の夢を叶えようとしていた。
しかし、マーベラスは哀れだがそのロスダークの夢は決して叶うことはないのだと確信しています。

というか、おそらく生体エネルギーを集めればロスダークが生き返れるという話自体が嘘だと思えました。
その嘘にロスダーク自身は気付いておらず、生き返って夢を叶えることが出来ると思い込んでいるようだが、
決してその望みは叶わない。
ロスダークは騙されているのです。
誰に騙されているのかというと、ゴッドアイに騙されているということになるでしょう。

おそらくロスダークはかつて自分の夢を叶えるためにこの船に挑んだ男であり、
その時、ゴッドアイの番人と戦って敗れて死んだのではなく、
番人に勝利してゴッドアイを奪い取ることに成功した男なのです。
そのロスダークがどうして夢を叶えることが出来ないまま命を落として幽霊となり、
ゴッドアイの番人になってしまったのか?
それはゴッドアイに夢を叶えるように願ったためにロスダークが命を奪われてしまい、
幽霊にされてしまい、ゴッドアイの新たな番人にされてしまったからなのです。

おそらくロスダークの倒した前の番人も同じようにその前の番人を倒してゴッドアイを手に入れて
願いを叶えようとしたために命を奪われてゴッドアイの番人にされてしまっていたのでしょう。
そうしたことが昔から何度も繰り返されてきて、その間、ゴッドアイは結局一度も誰の夢も叶えてはいないのであり、
その正体は夢を叶える宝玉などではなく、
夢を叶えようとする者の命を奪って番人としてしまう呪いの宝玉だったのです。

ロスダークも、その前の番人たちも、ゴッドアイに命を奪われた後、生前の記憶を奪われ、
ただ最期の瞬間に願った夢だけを妄執として抱き続けるように仕向けられ、
ゴッドアイを狙って幽霊船にやって来る強欲な強者たちを殺して生体エネルギーを奪い続ければ
生き返ってゴッドアイで夢を叶えることが出来ると、ゴッドアイの魔力で信じ込まされていたに過ぎない。

その殺戮のための装置として、この船にゴッドアイと共に設置されていた呪いのドクロをも受け継いだ
代々の番人幽霊たちは、それを駆使して幽霊船にやって来た強欲な強者たちを殺していき、
生体エネルギーを奪ってきた。
それらの生体エネルギーはロスダークたち代々の番人たちを強化していき戦う力とはなっていったが、
決してそれでロスダークたち代々の番人たちの死者の魂が生き返るなどということはないのです。
彼らはただ延々と呪いの宝玉に操られて強欲な者どもを殺し続けるために利用されていたに過ぎない。

彼らの終わることのない呪われた妄執と殺戮の日々が終焉を迎えるのは、
彼ら代々の番人たちの罠をも打ち破ることの出来る強者が現れた時だけであり、
そうして強者に倒された番人の魂はようやくあの世に行って成仏し、
番人を倒した強者はゴッドアイを奪い取って願いを唱えて、
その結果ゴッドアイに命を奪われて新たな番人に仕立て上げられてしまうのです。

ロスダークもそうやってゴッドアイの番人をさせられていたわけです。
だからロスダークはどうやっても生き返ることは出来ないし、
ゴッドアイで夢を叶えることも出来ないのです。

しかし、ゴッドアイが呪いの宝玉であるとするならば、
マーベラスもまたゴッドアイで夢を叶えることは出来ないはずです。
いや、それどころか、ゴッドアイを狙って幽霊船に挑んで、
番人を倒してゴッドアイを奪い取り夢を叶えようとしているマーベラスの立場は、
かつてのロスダークと全く同じであるように見えます。

つまり、このままマーベラスが当初の予定通り「宇宙最大のお宝を手に入れたい」という夢をゴッドアイに願えば、
「宇宙最大のお宝」など手に入れることは出来ず、逆にマーベラスはゴッドアイによって命を奪われて、
ロスダークに代わって新たなゴッドアイの番人幽霊にされてしまうのです。

マーベラスはそれが分かっているはずです。
戦いの中でロスダークがゴッドアイを死守しようとしたのを見た後、
そういうことなのではないかと推理していたマーベラスは、
最終的にロスダークが生き返ってゴッドアイで夢を叶えようとしていると告白したのを聞いた瞬間に、
その推理が正解であったことを確信したはずです。

それなのに、何故かマーベラスはその忌まわしき呪いの宝玉であるゴッドアイを掴んだままで、
じっとロスダークを見下ろすと、目に怪しい光を宿して「・・・叶えるのは・・・俺の夢だ!」と言い放つと
ニヤリと笑い、両手で掴んだゴッドアイを口のあたりに持ち上げて「・・・ゴッドアイ・・・!」と呼びかけます。
そしてロスダークが「やめろぉぉっ!!」と必死に止めようと叫ぶのを無視して、
マーベラスは右手に載せたゴッドアイを頭上に高々と掲げて、
ここでなんと「・・・俺の仲間を元に戻せぇっ!!」と意外な願いを大声で唱えたのでした。

その言葉に応えるようにゴッドアイは黄金色の光を放ち、ロスダークはその光に吹っ飛ばされます。
同時にイメージ空間では、例の波止場でアブレラを包囲して「はあああっ!!」と一斉に剣を振りかぶって
飛び掛かっていたジョー達4人の姿が黄金色の光に包まれて一瞬で掻き消え、
1人残されたアブレラは「うお!?消えた・・・!?」と驚愕します。

そして、現実世界の幽霊船の大広間では、ゴッドアイから放たれた黄金色の光が掻き消え、
マーベラスは不安げにゴッドアイを下ろして覗き込みます。
何故かマーベラスは命を奪われてはおらず、自分の願いが叶えられたかどうか確信は持てていないようで、
険しい顔でゴッドアイを見つめました。
するとゴッドアイはマーベラスの手の中で一瞬にして灰色の石の塊に変わっていってしまったのでした。

マーベラスが驚いてそれを見つめていると、
大広間の中央の床の上に突如、黄金色の光が出現して、
そこからジョーとルカとハカセとアイムの4人が現れ、
変身が解けた姿で剣を振り下ろすようにして着地します。

「はっ!?」といきなり周囲の情景が変わっていることに驚いた4人は「ここは・・・?」と周りを見ます。
さっきまでの波止場とは全然違う室内であり、まだ戦闘中であったはずの相手のアブレラの姿もありません。
「アブレラと戦ってたはずなのに・・・?」とハカセは困惑しました。
もしかしたらまた別のイメージ空間に飛ばされたのかもしれないと戸惑う4人の背後から
「早かったなぁ!・・・お前ら!」というマーベラスの声がしたので、
4人がハッとして振り向くと、ステージの上にマーベラスが立っています。

驚いたアイムが思わず「マーベラスさん!?」と駆け出し、
他の3人も「マーベラス!」と、ステージの上のマーベラスに駆け寄りました。
マーベラスが居ること、そしてステージや壁のドクロなどを見て、
4人はこの場所が現実世界の幽霊船の大広間だということをようやく悟りました。

しかし、4人はまだアブレラと戦闘中であったのであり、まだ現実世界に戻るために何かをやっていたわけではない。
それなのにどうしていきなり現実世界に戻ることが出来たのだろうかと4人は不思議に思いました。
そしてなんといっても気になるのは、マーベラスの安否と、ゴッドアイを手に入れることが出来たのかどうかです。
どうやらマーベラスは元気であるようで4人はまず安堵しましたが、
ゴッドアイの方はというと、例のドクロの左目部分には、さっきあったはずのゴッドアイがありません。
焦って4人が部屋の中に視線を巡らせてゴッドアイを目で探しますが、それらしいものは無い。

ふとマーベラスの手を見ると、マーベラスは何か丸い石の玉を持っています。
そんなものはもともとマーベラスは持っていませんでした。
いったいこれは何だろうと思ったルカは、
その石の玉がちょうどゴッドアイと同じくらいの大きさだということにハッと気付き、
「・・・マーベラス・・・もしかして、それを使って・・・?」と問いかけました。
確かゴッドアイはどんな夢でも1つだけ叶えてくれる宝玉だという。
ならば、その1つの夢を叶えたらゴッドアイはもはや宝玉としての機能を失い、
ただの石ころになってしまうのではないかと思えたのです。

そもそもマーベラスの余裕たっぷりの態度を見る限り、
マーベラスは首尾よくロスダークを倒してゴッドアイを奪取したように見えます。
マーベラスならきっと成功するだろうとジョー達も信じていました。
だからマーベラスはゴッドアイを手に入れたはずであり、だからこそドクロの左目部分は空になっているのです。
そしてマーベラスはゴッドアイを手に入れれば「宇宙最大のお宝」を手に入れるよう願う予定だったはずです。

ところが、この場に「宇宙最大のお宝」らしきものは何処にも無い。
つまりマーベラスはゴッドアイを手に入れたのに「宇宙最大のお宝」を手に入れるように願っていない。
しかしゴッドアイがマーベラスの手の中で石ころになっているとしたら、
マーベラスは何か別の願い事でたった1回の願い事のチャンスを使い切ってしまったことになる。
そして、突然原因も分からないまま自分達が現実世界に戻ることが出来たことから、
もしかしたらマーベラスはゴッドアイに向かって「仲間を元に戻せ」と願ったのではなかろうかと、
ルカは思ったのでした。

もしそうだとしたら、自分達のせいでマーベラスは夢を掴むチャンスを棒に振ってしまったことになる。
そう思えてルカは表情を曇らせ、ジョーもハカセもアイムも深刻な顔をして黙り込みます。
しかしマーベラスは手に掴んだ石ころを掲げて、あっさりとした顔で
「・・・いや、こいつは偽物だった・・・だからまた夢はやり直しだ・・・!」と言うと、
ニヤリと笑って階段を降りて、石ころを大広間の壁に向けて放り投げ、
壁に激突した元はゴッドアイであった石ころは、あえなく粉々に砕け散ったのでした。

さて、どうしてマーベラスは「宇宙最大のお宝」ではなく「仲間を元に戻す」という願い事をしようと思ったのか?
これはそんな難しい話ではありません。
マーベラスはロスダークと戦う中で、自分が仲間と共に夢を掴もうとしてきたからこそ、
決して夢を諦めることなく戦い続けられるのだということに気付き、
自分にとっての「夢を掴む」ということは「仲間と共に夢を掴む」ということでしかありえないと確信したのです。

だからマーベラスにとっては仲間がいない状態で「宇宙最大のお宝」という夢を掴むということはありえない。
まず仲間が居る状態を整えてから「宇宙最大のお宝」を掴み取るという順序は動かすことは出来ません。
しかしゴッドアイで叶えられる願いは1つである以上、
その最初の「仲間を取り戻す」という願いをまず叶えるしか選択肢は無かったのです。

仲間が自力で戻ってくるのを待ってからゴッドアイを使って「宇宙最大のお宝」を手に入れるというのでは、
結局はお宝の方を仲間よりも優先させたことになってしまう。
マーベラスにとって仲間とお宝は切り離せないものであり、同価値のものなのだから、
とっておきの1回のお願いのチャンスをお宝のためにキープしておいて、
本来は先にやるべき仲間の奪還を後回しにするような真似は出来なかったのでした。

その方針はロスダークと戦い出した最初の頃にもうマーベラスの中では確定していました。
むしろ問題は、ゴッドアイが呪いの宝玉であったことを確信した後において、
どうしてマーベラスがその自分の「仲間を元に戻す」という願いが叶うと確信することが出来たのかです。
ゴッドアイに願い事をしたために命を奪われて宝玉の番人幽霊にされてしまったと思われる
ロスダークという実例を目の前にしながら、
どうしてマーベラスは自分の願い事が叶って、自分は死なずに済むと確信出来たのか?

いや、確信までは出来ていなかったはずです。
ただ、賭ける価値があると思えたのでしょう。
マーベラスが何に賭けたのかというと、それは海賊の心意気でした。

このゴッドアイという宝玉を作ったのは、おそらくこの幽霊船のもともとの持ち主であり、
それは古の大海賊であるようでした。
海賊というものは夢を掴むために宇宙の大海原を自由に航行する者達です。
海賊にとって夢を掴み取るということはとても大事な、自らの存在意義そのものと言ってもいい。
だから海賊が夢を冒涜するようなことをするはずがない。
夢を叶える宝玉と偽って呪いの宝玉を作り、夢を求める者達を騙して殺戮していく、
そんな夢を踏み躙るようなことを海賊がするはずはないのです。

だから、このゴッドアイは一見、呪いの宝玉のように見えて、
実はやはり夢を叶える宝玉なのだとマーベラスは思いました。
但し、それはあくまで海賊にとっての夢を叶える宝玉なのであって、
海賊でない者にとっては呪いの宝玉へと変貌する恐ろしい一面を秘めたものなのだとマーベラスは考えたのでした。

では、「海賊にとっての夢」とは何なのか?
それは海賊であるマーベラス一味にとっての夢は何なのか考えれば、既に答えは出ています。
それは「仲間と共に掴む夢」であるはずです。
少なくともマーベラスは海賊の夢とはそういうものだと信じています。
というか、ついさっきそう確信したばかりなのです。

そのマーベラスにとっての「海賊の夢の在り方」と、
ゴッドアイを作った古の大海賊にとっての「海賊の夢の在り方」が一致している保証は全くありません。
もしかしたらゴッドアイを作った海賊は単に夢を冒涜して殺戮を楽しむ外道であった可能性もある。
もし、そうであったならマーベラスがゴッドアイにどんな願いを唱えようとも、命を奪われることでしょう。

しかし、マーベラスは古の海賊があくまで海賊としての夢を踏み躙るようなことはないと信じた。
そして、自分の得た「海賊の夢の在り方」、すなわち「海賊の夢は仲間と共に掴むものである」という確信が、
古の海賊の精神に通じるものだと信じたのです。
だから、仲間を取り戻した上で仲間と共にお宝を掴もうという自分の願いならば必ず叶い、
命を奪われるようなことはないだろうと思えたのでした。

逆に、もし仲間を見捨てたり後回しにして「宇宙最大のお宝が欲しい」などと言えば、
おそらくロスダークのように命を奪われて宝玉の番人にされてしまったのでしょう。
ロスダークや歴代の番人たちは、おそらくゴッドアイを手に入れた時、自分1人の欲望を満たす願い事をしたのであり、
それは海賊の夢の在り方に反した願いであったので、その願いは叶うことはなく、
逆に命を奪われて宝玉の番人にされてしまったと思われます。

マーベラスも、もしイメージ空間に落とされず、
イメージ空間でのジョー達との遣り取りや、ロスダークとの戦いの中での気付きが無く、
イメージ空間にジョー達を置いて来た状況ではなく、
当初の予定通りに単に「宇宙最大のお宝が欲しい」という願いを唱えていれば、
ロスダークと同じ運命を辿っていたところだったのです。

しかし、ジョー達を取り戻さねばいけない状況の中で、
お宝と仲間のどちらかを選ばねばいけない状況となり、
まず仲間を取り戻すという選択をしたことによって、マーベラスは命拾いをして、
ゴッドアイはマーベラスに微笑んで、その願いを叶えてくれて、その役目を終えて石ころに変わったのでした。

しかし上手くいく保証は全くありませんでした。
危険を察知して全く何の願い事もしないという選択肢だってありました。
そうすればマーベラス自身は確実に助かったのです。
しかしマーベラスは古の海賊の心意気と己の海賊精神を信じて、仲間のために命を賭けたのでした。

そのことにマーベラスは全く躊躇はありませんでした。
何故なら、ジョー達4人の仲間たちもマーベラスのために命を賭けてくれていたからです。
仲間が自分を信じて命を賭けていてくれているのですから、
マーベラスもまた仲間のために命を賭けることに躊躇などするはずがない。
それがマーベラス一味の絆であり、海賊の絆というものでした。

こうしてゴッドアイはマーベラスの願いを叶えてくれたのですが、
そんなゴッドアイをどうしてマーベラスは「偽物」だと言ったのか?
ルカにゴッドアイを使って仲間を助けたのではないかという疑惑を向けられて、
マーベラスはいちいち恩着せがましいことは言いたくなかったので、
その話をはぐらかすためにゴッドアイを「偽物」だと言ったとも解釈出来ます。

しかし、結果的にはマーベラスの言葉でルカ達の疑惑は全く晴れてはいません。
マーベラスがゴッドアイを使って仲間達を現実世界に移動させたことは状況的にほぼ間違いないということは
ジョー達4人には分かってしまっています。
しかし、マーベラスの「偽物だった」という言葉を聞いて、ジョー達は最初は呆気にとられていましたが、
すぐに妙に納得して微笑み合います。

これはマーベラスが仲間には決して嘘は言わない男だということがジョー達には分かっているから、
この「ゴッドアイが偽物だった」という言葉も決して嘘や誤魔化しの言葉なのではなく、
真実の言葉としてジョー達なりに解釈出来たからです。
ただ、これはあくまでジョー達なりの解釈であって、マーベラス自身の解釈とは微妙にズレています。

マーベラス自身はもちろん仲間に嘘は決して言わない主義ですから、
「ゴッドアイが偽物だった」という言葉は、自分が仲間たちを助けたという事実を隠すために
出鱈目を言ったつもりの言葉ではありません。
実際、もし「宇宙最大のお宝が欲しい」と願い事をしていれば、その願いは叶わなかったわけですから、
ゴッドアイは当初マーベラス達が噂で聞いていた「なんでも夢を1つだけ叶えてくれる宝玉」とは
全く違うものだったのであり、そういう意味では確かに「偽物」だったのです。

だから当初の予定していた願い事をすることが出来ず、
この「偽物」でも叶えることの出来る願い事がたまたま「仲間を元に戻すこと」だけであったので、
仕方ないからそれを願ったまでのことだということをマーベラスは暗に言っているのです。
そして、そういうわけだから「宇宙最大のお宝」は今まで通り、
仲間で力を合わせて地道に「大いなる力」を集めて手に入れるしかないのだと今回の事件を結論づけたのでした。

このマーベラスの言葉は確かに今回の出来事の事実関係としては正直にありのままを説明しています。
ただ、マーベラスは仲間に対して嘘はつきませんが、決して素直でもありません。
「偽物」の宝玉だったから仕方なく「仲間を元に戻す」という願い事をしたわけではなく、
ゴッドアイが本物であったとしても偽物であったとしても関係無く、
とにかくマーベラスはたった1つしか願い事が出来ない状況であれば迷いなく
「仲間を元に戻す」という願い事をしたはずだからです。

ゴッドアイの真実については何がなんだかよく分からなかったジョー達4人でしたが、
このマーベラスの心情については、マーベラス自身の素直でない表現よりもよほど真実に肉薄して
受け取ることが出来たといえます。

ここでジョー達はマーベラスがゴッドアイを「偽物」と称したのは、
仲間と一緒に掴む夢こそが「本物の夢」なのであり、
マーベラスがゴッドアイを掴み取った時に叶えようとした夢は、
仲間と一緒に掴む夢ではなかったゆえに「偽物の夢」だったという解釈に由来していると考えました。

仲間がいない状態でゴッドアイを掴んだマーベラスが夢を叶えようとした時、
マーベラスは仲間と一緒に掴めない夢は偽物の夢に過ぎないと気付き、
その夢を掴むことを拒否し、代わりにゴッドアイを使って仲間を元に戻した。
このように掴み取ったタイミングが悪かったとはいえ、結果的にゴッドアイは夢を掴むことが出来なかった。
だからゴッドアイは当初期待していた夢を掴む道具ではなく、偽物の道具だったということになった。
そういう意味でマーベラスはゴッドアイのことを「偽物」だと言ったのだとジョー達は解釈したのでした。

そして、その根底には、あくまで仲間と一緒に夢を掴むことこそが一番大事なのだという
マーベラス独特の海賊としての哲学があるのだと知り、
それこそが自分達が共に夢を掴む旅をしたいと思ったキャプテン・マーベラスという男なのだと再確認し、
ジョー達4人はお宝の獲得には失敗したというのに妙に嬉しくなって、つい微笑んだのでした。
マーベラスもジョー達に背を向け、粉々になったゴッドアイの方を見つめながら、
妙に爽快な気分になり「ヘッ!」と鼻で笑いました。

その時、その5人に向けて「お前ら・・・許さんぞぉ!」という声が聞こえてきました。
よく見ると、それは大広間の端っこの床に転がっていたロスダークが発する声でした。
爆風に吹っ飛ばされ、更にゴッドアイが発した光に吹っ飛ばされたロスダークは、まだしぶとく生きていた・・・
いや、幽霊なので生きていたというのは語弊がありますが、まだ成仏してはいなかったようです。

多少身体が動くようになってきたようで、ようやく起き上がってロスダークは「絶対にゆるさぁんっ!!」と激怒します。
生き返ってゴッドアイを使って宇宙の全てを手に入れるという夢を叶えようとしていたロスダークは、
その大事な大事なゴッドアイを石ころにされて粉々に砕かれたことで怒り心頭に達していたのです。

マーベラスはロスダークが生き返ることもおそらく有り得ないと分かっていました。
また、ロスダークの夢の内容は知らないが、
どうせその夢を叶えようとしてゴッドアイに命を奪われたような利己的なつまらない夢なのであろうと思い、
そんな夢は仮に生き返って願ったところで叶えられることはないのだとも思いましたが、
ゴッドアイに記憶を奪われて操られてきたロスダークにもう今更何を言っても分かるまいと、
いちいち説明するのは諦めました。

それに、もはやロスダークを操って番人として使役してきたゴッドアイも消滅した。
ならばロスダークも、もう役目から解放され、
この妄執の無間地獄から解放されて楽になるべき時がやって来たといえます。
自分達に出来ることは、ロスダークを倒して
ゴッドアイの番人の宿命から解放してやることぐらいだと思ったマーベラスは
モバイレーツとレンジャーキーを出して
「・・・ったく!・・・幽霊なら幽霊らしく・・・さっさと成仏しろ!」と言い放ちました。

ジョー、ルカ、ハカセ、アイムももちろんイメージ空間に落とされてさんざん苦しめられた恨みがありますから、
ステージから降りてきてマーベラスと共に変身の構えに入り、
5人は「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身し、
「ゴーカイレッド!」「ゴーカイブルー!」「ゴーカイイエロー!」「ゴーカイグリーン!」「ゴーカイピンク!」と
順々に名乗りを上げていき、最後は「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と5人全員で名乗りを上げます。
この一連の名乗りは劇場版特別版で3D対応になっていて、いつもの名乗りバンクとは若干違う感じになっています。

そして変身するなり5人はいきなりゴーカイジャーのレンジャーキー5個と
ゴレンジャーのレンジャーキー5個を放り投げ、「いつもより派手にいくぜぇっ!!」と叫びます。
これはいきなり決め技のファイナルウエーブの準備動作ですが、
ロスダークが手強いことが分かっているだけに、5人はロスダークにダメージが残っている今のうちに
一気に勝負をつけようとしているのです。

そして各自の持つゴーカイサーベルにゴーカイジャーのレンジャーキーが挿入され、
ゴーカイガンにゴレンジャーのレンジャーキーが挿入され、
それらが回って「ファ〜イナルウェ〜イブ!!」とエネルギーが充填されていき、
5人はファイナルウエーブ状態となったゴーカイサーベルとゴーカイガンを構えて
「はあああああ!!」と気合を入れます。

そして5人は「ゴーカイブラスト!!・・・ア〜ンド、スラッシュゥゥッ!!」と叫んでゴーカイガンを撃ち、
次いでゴーカイサーベルを振り下ろして、5色の弾丸型の衝撃波と5色の三日月型の衝撃波は合体し、
それがなんとアカレンジャー、アオレンジャー、キレンジャー、ミドレンジャー、モモレンジャーの姿となって
ロスダークに突っ込んでいきました。
こういう類の演出はTV本編では、第4話の五刀流ブルースラッシュ以来で、なかなか珍しいです。

ロスダークはこれをまともに喰らって「うおおおっ!?」と断末魔の声を残して
爆炎の中で消滅してしまったかのように見えました。
ところが、ロスダークが消え去った大広間でマーベラス達が安堵したように構えを解いて立ち去ろうとした時、
青白い光が大広間に中央に集まって巨大なロスダークの顔のような形になって
「まだだぁ・・・まだ俺は終わっていない・・・」というロスダークの怨念のこもった声が響いたかと思うと、
次の瞬間にはその青白い光はつむじ風のように消え去っていったのでした。

予期せぬ怪奇現象に続いて、更に天井方向から何か破壊音が響くのを聞き、
「なに?・・・なになに!?」とルカは慌てて周囲をキョロキョロ見回し、皆が戸惑う中、
マーベラスは上部の甲板で何かが起きていることを感じ、まだ戦いは終わっていないと判断して、
「甲板へ出るぞ!!」と駆け出し、5人は大広間を出て、幽霊船上部の甲板に向かいます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 06:22 | Comment(0) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月23日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その5

イメージ空間の野球場での野球仮面との勝負で、
野球仮面を見事(?)に三振に切って取って勝利したマーベラス達でしたが、
いきなりの野球仮面の爆発に巻き込まれたマーベラス達は、次の瞬間、また別の場所、
貨物港の波止場のような場所に「ぐあっ!?」と投げ出されました。

今回は変身も解除して生身に戻ってしまっていますから、
同じ断末魔の際の最後っ屁のような攻撃とはいっても合体戦闘員とは違って
野球仮面の攻撃はそれなりに強力であったようで、マーベラス達もそれなりに大きなダメージを受けたようです。

それにしても、野球仮面はマーベラス達に「自分から三振を奪えればこの世界から出してやる」と言いましたから、
野球仮面を三振にとったことでマーベラス達は元の現実世界に戻れるものだと思っていました。
しかし、もし元の世界に戻るとすれば、幽霊船の大広間に戻らないといけないはずです。
それなのに、こんな見知らぬ港に出てくるのはおかしい。
だいいち、港の上空には相変わらず例の黒雲ドクロが浮かんでおり、
その口は最初の頃よりもだいぶ狭まっており、もう完全に閉じる寸前です。
黒雲ドクロが空にあるということは、やはりここはまだイメージ空間ということになります。

ならば野球仮面は約束を破ったのかというと、おそらくそういうことではなく、
単に野球仮面を三振にとれば、あの野球場のイメージ空間をクリアして、
次のイメージ空間に進むことが出来るというだけの意味だったようです。
その次のイメージ空間がこの波止場であり、
そこにおけるマーベラス達への刺客と思しき集団が出現して迫ってきます。

その集団を先頭に立って「クックックック・・・」と笑いながら率いているのは、
シリーズ第28作「特捜戦隊デカレンジャー」に登場した宇宙武器商人のエージェント・アブレラです。
そしてアブレラに従っている集団は、「デカレンジャー」本編でアブレラの取り扱う商品であった
メカ人間のドロイド達です。
ドロイドには値段の安い順にアーナロイド、バーツロイド、イーガロイドの3種類がありますが、
ここでは3種類全部揃っており、全部で十数体います。

アーナロイドはゴーミン程度、バーツロイドはスゴーミン程度、イーガロイドは行動隊長レベルの実力と考えればいい。
更にアブレラはインサーンやバリゾーグあたりの幹部怪人レベルの実力者ですから、
意識体である分は多少は差し引いたとしても、これはかなり手強い敵集団といえます。
ロスダークはそんな手強いアブレラ軍団の死者の魂たちをこのイメージ空間に呼び寄せて
マーベラス達への刺客としたのです。

なお、アブレラの声を担当しておられるのは
「デカレンジャー」でアブレラの声を演じたオリジナル役者の中尾隆聖氏です。
中尾氏は日本声優界の草分け的存在の1人であり、この映画の撮影時は60歳、
「それいけ!アンパンマン」のバイキンマン役、「ドラゴンボールZ」のフリーザ役で特に有名な
ベテラン声優さんですが、
最近のニチアサ枠ではこの映画の後の出演となった「スイートプリキュア」のノイズ役が印象的です。
まぁこのように冷酷で妙な色気のある悪役を演じることの多い中尾氏ですが、
「デカレンジャー」のアブレラ役もハマリ役でした。

そのアブレラが中尾氏の声で幽霊として甦って再登場は視聴者には嬉しいが、
アブレラのことなど知らないマーベラス達には全然嬉しくはない。
むしろ迷惑そうに起き上がると、アブレラ達を睨みつけて「・・・またかよ・・・しつけぇなぁ・・・!」とボヤきます。

結局は野球仮面に勝っても別のイメージ空間に移動するだけだったのなら、
さっきの野球場で野球仮面と遊んだりせずに真面目に空のドクロに突っ込むよう試みた方がよかったと
マーベラス達は後悔しました。
てっきり現実世界に戻れると勘違いして野球対決に入れ込んでいるうちに
ドクロの口はだいぶ閉じてきてしまっています。
急がなければ完全に閉じてしまうでしょう。
しかし、今度の敵はなんだか手強そうで、そんな簡単にドクロに近づけさせてくれそうにありません。
マーベラス達は焦ってきました。

そんなマーベラス達を揶揄するようにアブレラは「いつまででも続きますよ?」と
特徴的な慇懃無礼な丁寧口調で嘲笑い、
「なにしろここには、スーパー戦隊に倒されてきた魂が、ざっと1500は呼び寄せられてますからねぇ・・・」と言うと、
さっと手を上げて合図をして、アブレラ軍団はマーベラス達に対して一斉に銃撃してきます。

慌てて銃撃を避けて波止場に置いてあるコンテナの陰に逃げ込むマーベラス達ですが、
アブレラの言葉には大いに驚かされました。
この幽霊船にはロスダークによって、マーベラス達へのイメージ空間での刺客用に
1500人ぐらいの歴代悪の組織の怪人たちの死者の魂が集められているというのです。
その膨大な数の死者の魂と戦って全部倒さなければ、どうやらこのイメージ空間の連鎖は終わらないようです。
しかし1500人の死者の魂ですから、それを全部倒すためには、
あといったいどれだけの数のイメージ空間をクリアしなければいけないのか、考えるだけで気が遠くなります。

「何それ!?やってもやってもキリないじゃん!」とルカは嘆き、
マーベラスとジョーがコンテナの陰から撃ち返すと、
アブレラは「それが嫌なら、大人しく私・・・エージェント・アブレラに倒されなさい!」と語気を荒げて反撃し、
コンテナの陰のマーベラス達を追い詰めるのでした。

それにしても1500人もの死者の魂とは凄い数です。
さすがにいちいち全部数えるのは面倒なので概算しますが、
1作品につきおよそ50話で、怪人は毎回登場するとは限らず前後篇で1人という場合もあるので45人ぐらいとしても、
首領や幹部を含めると1作品につき50人ぐらいにはなります。

中には「ジャッカー電撃隊」みたいに話数の少ないものや
「バイオマン」のように怪人数の極端に少ないものもありますが
「ゴレンジャー」のように話数も怪人数も多いものもあって相殺されますから、
だいたい1作品平均50人の怪人が戦隊によって倒されていると仮定し、
それが34作品ですから、全部でおよそ1700人もの敵怪人が
34戦隊によってこれまでに倒されているということになります。
更に先ほど出てきたような戦闘員の幽霊も含めるならば、もっと数は増えるでしょう。

ならば、そのうちスーパー戦隊に対する恨みを捨てきれず成仏出来ずに幽霊となって彷徨い、
ロスダークの使うドクロの魔力で幽霊船に死者の魂として呼び寄せられたのが1500人ほど居るというのは、
あながち不自然な数ではないと言えるでしょう。

なお、この出番を待機している1500ほどの死者の魂の中には
おそらく黒十字総統やブラジラやダゴンやヨゴシマクリタインのような者達も含まれていると思われますが、
ここにおける死者の魂としての彼らと「199ヒーロー大決戦」映画に登場した思念体としての彼らとは、
あくまで異質な存在といえるでしょう。

「199ヒーロー大決戦」に登場したのは彼ら悪の怪人たちの地上に残した怨念の
残留思念が現実世界に実体化したものであり、彼らの魂本体ではないのに対して、
今回の「空飛ぶ幽霊船」に登場しているのは、悪の怪人たちの死んだ後も成仏出来ていない魂本体なのです。
死者の魂そのものであるので、現実世界では何ら戦闘力は発揮することは出来ないが、
このようにイメージ空間では生前のような戦闘力を発揮することが出来る。
一方、「199ヒーロー大決戦」の方に登場した残留思念の実体化した化け物は
オリジナルとは違う一種の物の怪であるので現実世界で戦闘力を発揮することが出来たが、
不安定な存在であり、その戦闘力もオリジナルに比べて弱かった。

それに対して、この「空飛ぶ幽霊船」に登場する幽霊たちはイメージ空間限定ではあるものの、
あくまでオリジナルな存在なので生前のオリジナルの戦闘力に近い能力を発揮出来るので、
イメージ空間限定ながら極めて手強い相手なのです。
まぁ戦闘員はあくまで戦闘員らしく弱く、野球仮面はあくまで野球仮面らしくアホだったが、
アブレラ軍団はあくまでアブレラ軍団らしく強敵なのです。

こんな連中があと1500人も控えていて、様々なイメージ空間において続けざまに繰り出されてくる。
そんなものの相手をまともにしていれば、
全員を倒す前に上空のドクロの口が塞がって二度と現実世界に戻れなくなるのは確実でした。
いや、そもそも野球仮面に楽勝した後でさえもイメージ空間を変える際にそれなりのダメージを受けたのですから、
こんなことを繰り返しているうちにマーベラス達もダメージを溜めていき、
いずれは力尽きて幽霊たちに倒されてしまうのは必定でした。

「マーベラス・・・このままじゃマズい・・・」と、ジョーはコンテナの陰からアブレラ達の様子を窺いながら
マーベラスに「お前は1人で戻れ!」と言います。
ジョーの意外な言葉にマーベラスは驚いてジョーの顔を見上げました。
するとアイムも「そうです!私達が引き付けておきますから・・・その隙に・・・!」とマーベラスに向かって言います。

この無間地獄のような状況を脱するには真っ正直に戦い続けていてはダメであり、
戦いは避けて上空のドクロを目指すしかない。
しかし、間断なく襲ってくる幽霊怪人たちがなかなかそんな余裕は与えてくれそうにない。
ならば、他の4人が幽霊怪人たちを引き付けて作った隙をついて
マーベラス1人がドクロの口に突っ込んで元の現実世界の大広間に戻り、
ゴッドアイを手に入れるのが得策だとジョーやアイムは言っているわけです。

確かにそれがゴッドアイを手に入れるためには現状では最善の策だとは言えます。
しかし、マーベラスは困惑した顔で「・・・お前らはどうすんだ!?」と、皆の顔を見回します。
自分を助けるために仲間たちが自ら死を選ぼうとしているのではないかと心配したのでした。

だが、別に4人はマーベラス1人を生かすために自分達が犠牲になって死のうと思っているわけではないようです。
ルカはフッと笑って「こいつら倒したらすぐに追っかけるよ!」とあっけらかんと応えます。
ハカセも笑顔で「だから一足先に行って、お宝を手に入れて!」とマーベラスに言うのでした。
マーベラス以外の4人の想いは同じであり、
それはあくまでゴッドアイを手に入れるための最善の道を選んだというだけのことだったのです。

ジョー達もこのイメージ空間からの脱出を諦めてなどいない。
どのイメージ空間に移っても常に上空に黒雲ドクロはあることや、
敵を倒すと爆発に巻き込まれてダメージを受けてしまうことが理解出来てきたジョー達は、
アブレラを倒した後、爆発に巻き込まれないように注意して上空のドクロを目指すつもりでいるのです。

ただ、上空のドクロの口が閉じてしまう前にアブレラを倒せるかどうか確実ではないので、
保険としてマーベラス1人だけでも先に現実世界の方に戻しておくのが、
ゴッドアイを確実に手に入れるためには最善の方法だというのがジョー達の立てた作戦であったのです。

それに、最悪の場合、ジョー達がアブレラと戦っている間にドクロの口が閉じてしまったとしても、
先にマーベラスが幽霊船の大広間に戻ってロスダークを倒してドクロを操作すれば、
再びドクロの口を開くことも出来る可能性もあります。
マーベラスならば1人でもロスダークを倒せる可能性は最も高いのであり、
だから、とにかく現状ではまずマーベラスだけを先に現実世界に戻すために囮となることが
ジョー達にとっては、ゴッドアイを手に入れるためにも、生き残るためにも最善の道なのです。

その理屈はマーベラスにも理解は出来ました。
しかしマーベラスは「・・・だが・・・」と逡巡します。
もし自分を送り出した後、ジョー達がアブレラやその他の幽霊怪人たちに負けたら、
あるいはドクロの口が閉じてしまい再び開くことが出来なかったらどうしようかと不安が消えないのです。

マーベラスがロスダークを倒してドクロの操作権を奪ったとしても、
ジョー達を元に戻す操作が出来るかどうかも全く不確実です。
おそらくあのドクロは生者の魂をイメージ空間に落とすための装置なのであって、
救い出す機能はつける必要は無いので、
あの装置を操作してもジョー達を救いだせる可能性は低いと思えました。

つまり、結局はジョー達が自力で脱出するしかないのではないかと思えます。
そして状況的にジョー達がドクロの口が閉じる前にイメージ空間を脱出できる可能性は高いとはいえない。
つまり、ジョー達の作戦はかなり失敗の可能性が高い作戦といえます。
もし失敗したら、マーベラスは結果的にゴッドアイを手に入れて仲間を失うことになります。
だが、あのゴッドアイという宝に仲間を捨ててまで手に入れる価値があるのか、マーベラスには疑問でした。

ロスダークは自分が生き返るためにゴッドアイをエサにして強欲な強者たちをおびき寄せて
生体エネルギーを奪ってきた。
つまり、あのゴッドアイはロスダークが強欲な者たちをおびき寄せるために用意した
偽物である可能性が高いのではないかとマーベラスは思っていたのです。
偽物のお宝を手に入れるために仲間を失うようなことになったら自分は大変な後悔をすることになる。
それがマーベラスは不安で躊躇してしまっていたのです。

すると、そのマーベラスの躊躇を見透かしたように、
ジョーはマーベラスの肩を掴んで「迷うなんてお前らしくないぞ・・・?」と少し揶揄するように言います。
そしてマーベラスをキッと睨むと「今お前が行かなくて・・・」とパンチを繰り出し、
マーベラスが思わず差し出した掌に向けて拳を叩き込みながら
「誰が掴むんだ!?・・・俺たちの夢を・・・?」と檄を飛ばしました。

ジョー達も自分達がイメージ空間から抜け出す作戦の成功の可能性が低いことは分かっています。
そしてロスダークの持っているゴッドアイが偽物である可能性が高いことも分かっています。
それゆえマーベラスが最悪の場合を考えて躊躇する気持ちも分かります。

しかし、ジョー達はそれでも自分達はこのイメージ空間を抜け出して現実世界に戻ることが出来るという
可能性を強く信じています。
そして現実世界でゴッドアイを手に入れ、ゴッドアイに願い事をして
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るはずだと強く信じて疑っていません。
そのための最善の方法が今はまずマーベラスを先に現実世界に行かせるために囮になるということだと
強固な信念を持っています。
そこに迷いは無いのです。

どうしてジョー達が僅かな可能性を固く信じて、
絶対に上手くいくという強固な信念を揺るがせることがないのかというと、
それは彼らがマーベラス一味の海賊だからでした。

彼らにどんなに僅かな可能性でも、きっと夢は掴み取ることが出来るということを
教えてくれたのは船長のマーベラスなのです。
「宇宙最大のお宝」という途轍もない夢を掴み取ることが出来ると信じて疑わないマーベラスの姿を見て、
ジョー達はどんな不可能な夢でも掴み取ることが出来ると信じることが出来たのであり、
マーベラスと共に「宇宙最大のお宝」を手に入れてやろうと思い、マーベラス一味の仲間になったのです。

マーベラスは今回、幽霊船に乗り込むことを決める際に「お宝のために命を賭けるのが海賊だ」と言いました。
それは、一見絶対に手に入れられないと思えるお宝でも絶対に手に入れることが出来ると信じることが出来るからこそ、
僅かな可能性に迷うことなく命を賭けることまで出来るのが真の海賊であり、
マーベラス一味の強みだという意味だったはずです。

仲間たちは皆、そのポリシーに賛同し、ゴッドアイを絶対に手に入れることが出来ると信じ、
ゴッドアイを使って自分達の念願の宝である「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来ると信じたからこそ、
命を賭けて幽霊船に挑んできたのです。
そして今、マーベラスだけを先に現実世界に戻して、
残った自分達が命懸けでハイリスクな戦いに挑もうとしているのも、
ゴッドアイや「宇宙最大のお宝」を絶対に手に入れることが出来ると信じているからです。

ジョー達4人のこのような不可能に挑戦してお宝をゲットする固い信念は、マーベラスから学んだものでした。
ところがそのマーベラスがこの期に及んでゴッドアイが偽物かもしれないとか、
手に入れられないかもしれないとか、ジョー達が脱出に失敗するかもしれないとか、
そんなことでウジウジと迷うというのはジョー達にとっては考えられないことでした。

自分達を夢の旅路にここまで固い信念でのめり込ませた張本人であるマーベラスとは、
そんなヤワな男ではないはずです。
どんなに可能性は低く見えようともそんなことは一切気にすることもなく、
きっと目的を達成し、夢を掴み取り、目指したお宝を必ず手に入れることが出来ると
誰よりも強く信じて突き進む信念の男、それがマーベラスであり、
今さら信念が揺らいだマーベラスなど許さない、
というより、実際ジョー達が強固な信念を持っている以上、
その大本となったマーベラスの信念が揺らぐなどということは有り得ないことなのであって、
ジョー達は夢対する強固な信念の揺るがないマーベラス以外のマーベラスは一切受け入れられないと言っていい。

だからマーベラスは一切弁解や説明もすることは出来ない。
ジョー達の望むマーベラスであること以外にマーベラスの選択肢は無いのです。
そんな誰よりもお宝を掴み取る信念を強固に持つマーベラスだからこそ、
ジョー達は自分達全員を代表してゴッドアイや「宇宙最大のお宝」を掴み取る戦いに
マーベラスを送り出そうとしている。
いや、ここでお宝を掴むための最後の戦いに行くのはジョー達を夢の旅路に引き込んだマーベラスの義務といえます。

マーベラスはジョーに檄を飛ばされて、改めて自分のなすべきことが腑に落ちました。
そしてルカやハカセやアイムの顔を見ます。
ルカもハカセもアイムも笑顔で頷き、
マーベラスがお宝を掴み取ることを信じるからこそ、自分達も同様にお宝を掴み取ることを信じることが出来る、
すなわち、このイメージ空間を脱出できると信じて戦うことが出来るのだという意思を伝えました。

マーベラスは皆の意思を受け止め、
ここで自分のなすべきことは、必ず本物のゴッドアイを手に入れることが出来ると信じ、
必ずジョー達もイメージ空間を脱出できて現実世界で再会できることを信じて、
とにかく命を賭けて戦うことだと悟りました。

そしてマーベラスは一瞬、フッと天を仰いで苦笑いします。
ジョー達を夢の旅路に引き込んでおいて、どうして自分はこんな大事なことを忘れて迷っていたのだろうかと、
自分のことが少し滑稽になったのでした。
しかしそんなことを今は面白がっている余裕はありませんでした。
アブレラはコンテナへの包囲網を狭めてきていますし、上空のドクロの口はどんどん狭くなってきています。
方針が決まれば、すぐに行動しなければなりません。
マーベラスは「・・・分かった!」と皆に応えます。

「マーベラスさん・・・」とアイムが駆けより、ルカもハカセもマーベラスの傍に来ます。
マーベラスはその3人の肩を力強く叩きながら「お宝手に入れて!」と言い、
最後にジョーに拳を叩き込んで「・・・待ってるからなぁ!」と怒鳴り、ニヤリを笑ってジョーの目を見つめます。
ジョーはマーベラスの拳を掌で力強く受け止めて、ギュッと握り返しながら
マーベラスの顔を真剣な眼差しで見つめ返して「・・・頼んだぜ・・・マーベラス・・・!」と、
目と目で後の再会を誓い合ったのでした。

一方、アブレラは配下のドロイド達を引き連れてコンテナの前に迫ってきて
「大人しく出てきなさい!」と、無駄な抵抗はしないようマーベラス達に呼びかけます。
といっても、マーベラス達が大人しく出てきたからといってアブレラは許すつもりなど無く、
どうせこのイメージ空間の無間地獄から助かる道は無いのだから、
ここで一思いに自分に倒された方が苦しみが短くなるのでお勧めだと言っているに過ぎません。

もちろんアブレラもそんな呼びかけにマーベラス達がすんなり応じるとはあまり思っておらず、
まだもう少し悪足掻きをしてくるだろうと警戒していました。
ところが、コンテナの陰から白い布のついた棒切れが差し出されてブンブンと振られたのを見て、
アブレラは「ん?」と前進を止めました。
まるで降伏の白旗のように見えたのです。

すると、そこにコンテナの陰からジョーやルカ達がゾロゾロと出てきて、
その中でハカセがさっきの白旗を掲げているのを見て、アブレラもこれは本当に降参したようだと思い
「・・・諦めましたか・・・」とほくそ笑みます。
そして横一列に並んでアブレラ達の前に立ったジョー達が全員手にしていた武器を地面に落として、
両手を万歳して掲げたのを見て、アブレラはすっかり安心して「分かればよろしい」と言い、
さてどうやって殺してやろうかと考えて、目の前の4人を眺めます。

その瞬間、アブレラはあまりに意外な展開に少し動揺して、
そういえば相手が4人しかいないということに今まで気付いていなかったことに気が付いて、
「・・・ん?・・・もう1人はどうした!?」と慌てて訊ねます。
確か5人いたはずなのに、今目の前に立っているのは4人しかないない。
そういえばリーダーのマーベラスがいないのです。

そのアブレラの性急な問いかけに対してジョーはニヤリと笑って「フン・・・知るか!」と言うと、
足元に落としていたゴーカイガンを蹴りあげて手でキャッチして、
クルリを身を翻してアブレラ達目がけて連射します。
アブレラ達はマーベラスがいないことに動揺していたので、
このジョーの不意打ちに「うわっ!?」と焦って陣形を乱し、
その隙に4人はゴーカイジャーに変身して武器を拾い、
更に「豪快チェンジ!!」とコールして駆け出しながらデカレンジャーに多段変身して
アブレラ軍団に突っ込んでいきます。

ジョーがデカブルー、ルカがデカイエロー、ハカセがデカグリーン、アイムがデカピンクに変身しています。
相手がアブレラだからデカレンジャーという演出的意図ですが、
ジョー達自身はアブレラとデカレンジャーの因縁は知りませんから、
まぁこのデカレンジャーへの変身というチョイスは偶然ということになりますが、
アブレラは因縁のあるデカレンジャーの姿を見て「小癪なぁっ!!」と怒り心頭、
4人を迎え撃って乱戦となり、一瞬行方不明のマーベラスのことは頭の中から消えてしまいました。

その一瞬の隙をついてジョーはアブレラの身体を掴んで抑え込むと「行け!マーベラス!!」と大声で合図を送ります。
すると、ジョー達の出てきたコンテナの陰で「豪快チェンジ!」というマーベラスの声がしたかと思うと、
コンテナの陰からジェットマンのレッドホークが滑空しながら飛び出してきたのです。
もちろん、このレッドホークはマーベラスが多段変身したものです。

そのレッドホーク姿のマーベラスがゴーカイジャー4人とアブレラ軍団の乱戦場の上を飛び越していくのを見て
「うおおっ!?」と驚いたアブレラはマーベラスを攻撃しようとしますが、
ジョーに抑え込まれて攻撃の機会を逃してしまいました。
同様にルカ、ハカセ、アイムもここぞとばかりにドロイド達を攻撃し、マーベラスの戦場からの離脱を援護します。

そうしてまんまと戦場を離脱したマーベラスが飛び去っていくのを見送りつつ、
ジョーは「・・・絶対に掴めよ!マーベラス!」と力強く言うと、アブレラに鉄拳を叩き込みました。
その4人の想いを受け止めて、マーベラスはジットウイングを翻して滑空しながら、
上空の黒雲ドクロの口に真っ直ぐ突っ込んでいったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:08 | Comment(2) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月21日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その4

幽霊船の船長ロスダークの罠に嵌ってゴッドアイを嵌めこんだドクロの口の中に引っ張り込まれてしまった
マーベラス達5人は、奇妙な空間を通って真っ逆さまに墜ちていきました。
そして青空に黒いドクロ型の雲が現れ、その開いた口の部分からマーベラス達は排出され、
「わああああ!?」と絶叫して、そのまま地面に真っ直ぐ墜落しました。

地面に「ぐっ!」と激突したマーベラス達5人でしたが、
普通はそんな高さから生身のまま墜ちれば無事で済むはずはないのですが、
全員大したダメージは受けていないようです。
全員立ち上がって周囲の風景を見て驚きました。
なんだか山の中の中華風の寺院の境内のような場所で、どう見ても屋外でした。

幽霊船の船内にいたはずなのに、どうしていきなりこんな山の中の寺院にいるのか、意味がさっぱり分からず
ハカセが「・・・何なの?ここ・・・何処?」と狼狽えて問いかけますが、
マーベラスは「・・・知るか!」と困った顔で応えます。
こんな場所は見たこともないのです。

一方、ジョーは懸命に頭を働かせて「いや・・・あくまで船の中のはずだ・・・!」と言います。
生身で上空から墜落して地面に激突して普通に立ち上がれるなど普通は有り得ない。
ここは現実的な空間ではなく、ここにある自分達も現実的な肉体を持った存在ではないのだとジョーは思いました。
ドクロの口に引っ張り込まれた自分達の肉体は、あのドクロの中に発生した何らかの亜空間に送り込まれたのであり、
あの大広間から位置的には移動はしていないはずです。
そしてその肉体から意識だけが分離させられて、更に別の意識空間に飛ばされたのが
現在の自分達が意識している自分であり、その意識空間がこの山中の寺院なのだろうとジョーは思いました。

アイムもジョーの考えをだいたい理解したようで
「・・・ということは、現実ではないイメージ空間ということですか・・・?」と不思議そうに言います。
ここには実体は無く、意識だけが支配するイメージ空間であり、
だから意識だけの自分達も、自分自身を意識だけの存在とは認識せず、
あたかも肉体を伴っているかのように認識するのだと、
アイムはこんな不思議なことが起こり得るのだということに驚きました。
いや、こんなことが自然に起こるはずはなく、
あの幽霊船の壁のドクロに人間を亜空間に引き込んでから意識だけを分離して
イメージ空間に飛ばす機能が備わっていたのだろうと思えました。

ただ、この寺院がイメージ空間だとして、
自分達はこんな場所は知らないし、こんな場所に来ることは望んでいないのだから、
これは別の何者かのイメージした空間なのだろうとも思えました。
それはおそらくロスダークのイメージした空間なのでしょう。
ロスダークはあの壁のドクロに働きかけることで、望みどおりのイメージ空間を作り出して、
ドクロの中に引き込んだ人間の意識をそのイメージ空間に送ることが出来るのだと、
マーベラス達には事態が少し呑みこめてきました。

その時、ルカが空を見上げて、慌ててマーベラスの腕を叩きながら「ちょっと!・・・あれ!」と空を指さして叫びます。
マーベラスや皆がルカの指さす方の空を見上げると、そこには5人が排出されたドクロの形をした黒雲があります。
それを指さしてルカは「ドクロの口が・・・どんどん閉じてってる!」と言うのでした。
よく見ると、確かに最初にマーベラス達がこのイメージ空間に放り出された時よりも
少しドクロの口が狭くなっています。

「閉じ込めるつもりか!?」とジョーは焦って言います。
あの口から自分達の意識がこのイメージ空間に放り出されたということは、
あの壁のドクロの中の亜空間に自分達の意識が戻るためには、あの黒雲ドクロの口を通るしかないと思われます。
ドクロの中の亜空間にはマーベラス達の肉体があり、
意識が抜けているので動くことが出来ない状態にあると思われます。
意識がこのイメージ空間からドクロの黒雲の口を通って亜空間に戻れば、
肉体の中に意識が戻って肉体を動かし、あのドクロの口を通って元の幽霊船の大広間に戻ることも出来るはずですが、
もしもあの黒雲ドクロの口が閉じて意識がこのイメージ空間に閉じ込められてしまえば、
マーベラス達は二度と元の現実世界に戻ることは出来なくなります。

幸い、一気にその通路を塞ぐことは出来ないようですが、
ロスダークはドクロを操作して、徐々に意識の通路を塞いで、
マーベラス達の意識をこのイメージ空間に閉じ込めようとしているようです。
しかし、どうしてロスダークが普通にマーベラス達を殺さずにこんなことをするのか、
イメージ空間にマーベラス達の意識を閉じ込めていったい何をするつもりなのか、
マーベラス達にはよく分かりませんでした。

その時、マーベラス達の背後に何者かが奇声を発して現れました。
ハッとしてマーベラス達が振り向くと、何か戦闘員っぽい連中が集団で迫ってきます。
その連中の姿を見て「ザコっぽいのが出てきやがったな・・・!」と正直な感想を言ったマーベラスに向かって、
その集団は声を揃えて「我々はザコではない!!過去のスーパー戦隊に倒され、無念の想いを抱えたまま、
魂となって彷徨っていた、悪の精鋭だ!!」と反論します。
よく見ると、この連中はスーパー戦隊シリーズのゴレンジャーからゴセイジャーまでの歴代34作品に登場した
悪の組織の戦闘員たちが各作品から1人ずつ、合計34人集まっています。

その顔ぶれを列挙していきます。

シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」から、黒十字軍の戦闘員のゾルダー
シリーズ第2作「ジャッカー電撃隊」から、クライムの一般兵士のクライマー
シリーズ第3作「バトルフィーバーJ」から、エゴスの戦闘員のカットマン
シリーズ第4作「電子戦隊デンジマン」から、ベーダー一族の下級兵士のダストラー
シリーズ第5作「太陽戦隊サンバルカン」から、機械帝国ブラックマグマの機械兵士のマシンマン
シリーズ第6作「大戦隊ゴーグルファイブ」から、暗黒科学帝国デスダークの兵士のマダラマン
シリーズ第7作「科学戦隊ダイナマン」から、ジャシンカ帝国の兵士のシッポ兵
シリーズ第8作「超電子バイオマン」から、新帝国ギアのロボット戦闘員のメカクローン
シリーズ第9作「電撃戦隊チェンジマン」から、大星団ゴズマの戦闘員のヒドラー兵
シリーズ第10作「超新星フラッシュマン」から、改造実験帝国メスの一般兵士の兵士ゾロー
シリーズ第11作「光戦隊マスクマン」から、地底帝国チューブの雑兵のアングラー兵
シリーズ第12作「超獣戦隊ライブマン」から、武装頭脳軍ボルトの戦闘用ロボット兵のジンマー
シリーズ第13作「高速戦隊ターボレンジャー」から、暴魔百族の最下級暴魔のウーラー兵
シリーズ第14作「地球戦隊ファイブマン」から、銀帝軍ゾーンの戦闘兵のバツラー兵
シリーズ第15作「鳥人戦隊ジェットマン」から、次元戦団バイラムの戦闘兵のグリナム兵
シリーズ第16作「恐竜戦隊ジュウレンジャー」から、バンドーラ一味の兵士のゴーレム兵
シリーズ第17作「五星戦隊ダイレンジャー」から、ゴーマ族の戦闘兵のコットボトロ
シリーズ第18作「忍者戦隊カクレンジャー」から、妖怪軍団の最下級妖怪のドロドロ
シリーズ第19作「超力戦隊オーレンジャー」から、マシン帝国バラノイアの戦闘員のバーロ兵
シリーズ第20作「激走戦隊カーレンジャー」から、宇宙暴走族ボーゾックの下級戦闘員の兵士ワンバー
シリーズ第21作「電磁戦隊メガレンジャー」から、邪電王国ネジレジアの一般兵士のクネクネ
シリーズ第22作「星獣戦隊ギンガマン」から、宇宙海賊バルバンの兵士の賊兵ヤートット
シリーズ第23作「救急戦隊ゴーゴーファイブ」から、災魔一族の戦闘兵の使い魔インプス
シリーズ第24作「未来戦隊タイムレンジャー」から、ロンダーズファミリーのロボット兵士のゼニット
シリーズ第25作「百獣戦隊ガオレンジャー」から、オルグの戦闘員のオルゲット
シリーズ第26作「忍風戦隊ハリケンジャー」から、宇宙忍群ジャカンジャの戦闘員の下忍マゲラッパ
シリーズ第27作「爆竜戦隊アバレンジャー」から、邪命体エヴォリアンの下級兵士のバーミア兵
シリーズ第28作「特捜戦隊デカレンジャー」から、エージェント・アブレラ配下の安価型メカ人間のアーナロイド
シリーズ第29作「魔法戦隊マジレンジャー」から、地底冥府インフェルシアの雑兵の冥府兵ゾビル
シリーズ第30作「轟轟戦隊ボウケンジャー」から、ゴードム文明の戦闘員のカース
シリーズ第31作「獣拳戦隊ゲキレンジャー」から、臨獣拳アクガタの下級拳士のリンシー
シリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」から、蛮機族ガイアークの一般兵の蛮機兵ウガッツ
シリーズ第33作「侍戦隊シンケンジャー」から、外道衆の戦闘員のナナシ
シリーズ第34作「天装戦隊ゴセイジャー」から、ブレドラン(ブラジラ)配下の戦闘員の魔虫兵ビービ

以上の34種類の戦闘員が1人ずつ、合計34人の戦闘員軍団が登場し、自分達を悪の精鋭だと言い張ります。
まぁ、厳密に言うと、この34種類の戦闘員には言葉を喋れない設定のものが結構多いので、
ここで口を揃えてセリフを言ってること自体がちょっと変であり、
だいいちロボットとか無生物系のものも結構多く、
それらが死者の魂となっているというのも妙であるようにも見えます。

しかし無生物にだって魂はあります。
人形の幽霊なんてものがあるぐらいですから、ロボットでありながら死者の魂が生じても何らおかしくはない。
また、肉体を持っていた頃は肉体的制限によって喋ることが出来なかったような者も、
肉体の軛を脱した死者の魂となったことによって意思を言葉にして流暢に話せるようになったとしてもおかしくはない。
だから、この場面で34戦闘員が登場して喋っているのは、
彼らが死者の魂であるという前提ではそんなに奇異なことではありません。

さてマーベラス達は「199ヒーロー大決戦」映画でビービ、ゾビル、ウガッツとは戦っていますが、
いちいちその姿を覚えていないので、どの戦闘員も初めて見るような印象です。
それを見越して戦闘員の連中は「精鋭」だなどと見栄を張っているようですが、
マーベラス達はたとえ初対面でも、相手から漂う圧倒的なザコ臭で、相手がザコだということは分かります。
マーベラスは「・・・いや・・・ザコだろ!」と再度決めつけるのでした。
この不毛な遣り取りに、ルカが「どうでもいいよ!とっとと片付けて帰ろ!」と面倒くさそうに言います。
ルカにも、他の皆にもロスダークの狙いがだいたい分かってきたようで、
マーベラスも「フン・・・」と鼻で笑います。

ロスダークがこのイメージ空間にマーベラス達の意識体を送り込んだ理由は、
ここでロスダークの呼び寄せた死者の魂と戦わせるためだったのです。
そういえばロスダークはマーベラス達をドクロの口に引っ張り込む直前に、
「この先に待ち受ける我がしもべたちに敗れた瞬間、お前達の命は終わる」と言いました。
つまり、このイメージ空間においては意識が全ての世界ですから、意識体がそのまま肉体のようなもので、
普段肉体を使って戦うのと同じように戦うことは出来るが、
このイメージ空間での肉体がダメージを受けて倒されれば、それは意識体としての死に直結し、
意識が死ねば、ドクロ内の亜空間内の真の肉体も死ぬのです。

そして、どうしてロスダークがマーベラス達の命を現実空間で奪おうとはせずに、
このようなイメージ空間で命を奪おうとしているのかというと、
現実空間で戦闘力を発揮出来る死者の魂は生体エネルギーで武装したロスダークただ1人であるからであるようです。

つまり、現実空間で戦おうとすると、どれだけ幽霊船に死者の魂を呼び寄せたとしても、
マーベラス一味の5人に対してロスダークは1人で戦わねばならない。
それだとロスダークはさすがに不利なのです。
一方、イメージ空間ならば意識体である死者の魂は肉体を持っているかのように、
生前のものに近い戦闘力で戦うことが出来て、
同じく意識体であるマーベラス達に擬似的な肉体的ダメージを与えることも出来るのであり、
最終的にマーベラス達の意識体を死に至らしめることも出来るのです。

そしてロスダークはドクロの力を使って死者の魂ならばいくらでも
自分の作ったイメージ空間に呼び寄せることが出来ますから、
マーベラス達の意識体をイメージ空間に落として閉じ込めて、多数の死者の魂に襲わせた方が
数的有利な状況で戦うことが出来るというわけなのです。

あの壁のドクロにそんな恐るべき機能があったとは、これはマーベラス達の想像を遥かに超える事態だといえます。
おそらくロスダークはこれまでも同じようにして、
ゴッドアイを狙って幽霊船にやって来た強者たちをあのドクロの罠に嵌めてイメージ空間に意識を落とし、
そこで死者の魂と戦わせて殺してきたのでしょう。
そして、イメージ空間でその強者の意識体と戦わせる死者の魂は、
かつてその強者によって殺されて恨みを抱いている死者の魂を選んできたのでしょう。
その方がその強者は恐怖を感じるであろうし、死者の魂も恨みを晴らすために執念深く戦うからです。

そういうわけで今回のマーベラス一味に対しては、
直接マーベラス達に恨みを抱いている死者の魂が来るのが順当であるようにも思えますが、
ロスダークが選んだのは過去に34のスーパー戦隊に倒された恨みを抱く者達でした。
それはマーベラス達がスーパー戦隊の力を使って戦う戦士達だからです。
スーパー戦隊の力に対抗するためには、スーパー戦隊への恨みを募らせた死者の魂が最適だという判断なのでしょう。

そういうわけで34戦隊に恨みを抱く34作品分の戦闘員軍団が
このイメージ空間におけるマーベラス達への刺客として立ち塞がったわけですが、
そうと分かればマーベラス達のとるべき行動も自ずと決まってきます。
このザコ軍団をさっさと片付けて、あの上空のドクロの口が閉まってしまわないうちに、
再びあの口から元の亜空間に戻って、自分の真の肉体に戻り、
更に壁のドクロの口を通って元の現実空間の幽霊船の大広間に戻って、
5対1でロスダークをさっさと倒してゴッドアイを手に入れることです。
きっとそうしてみせると固く心に決め、マーベラス達はレンジャーキーを取出し、
「豪快チェンジ!」と5人は一斉にゴーカイジャーに変身したのでした。

ここから戦闘アクションシーンとなり、
状況的にはかなり緊迫しているはずなのですが、この後、しばらくコミカルな場面が続きます。
ストーリー展開としては不自然なのですが、
これはあくまで夏休みの貴重な日にお金を払ってこの映画を観に来てくれた
お客さんの子供たちや親たちへのサービスです。
やっぱり映画の場合、普段のTV版よりも更に楽しく笑える場面も多くないといけません。

だから、本当は上空の黒雲ドクロの口が閉じていくという緊迫した状況であるはずなのに、
出てくる敵はユルい奴が続き、マーベラス達もいきなり呑気に遊んでいるように見えてしまい、
どうも不自然なのですが、それはファンサービスのギャグシーンと割り切って楽しむことにして、
ドクロの口が閉じていくタイムリミット設定のことはしばし忘れてください。

まず、変身したマーベラス達5人はそれぞれ1人ずつで戦って、戦闘員軍団を圧倒します。
マーベラスはひたすら豪快に力強く、ジョーは鮮やかでいてクールに、アイムは華麗な身のこなしで、
ルカはスピード感あふれる余裕を見せ、ハカセは軽妙にトリッキーな動きで、
それぞれが持ち味を出して戦闘員軍団を一気に蹴散らしました。
最初は精鋭などとカッコつけていましたが、やはり戦闘員たちは個々ではザコであり、群れてもやはりザコでした。

たまらず我先に逃げ出す戦闘員たちの後ろから悠然と追いかけるマーベラス達5人の真ん中で
マーベラスは剣を担いで「おいおい・・・もう終わりかよ?」とせせら笑うように言います。
いや、こういうセリフって、普通は悪役が吐くセリフなんですけど、
マーベラスは妙にこういう悪役セリフが似合っているので面白い。

このマーベラスの軽侮を受けて、逃げようとしていた戦闘員たちは立ち止まり振り返り怒ります。
先頭に立ったナナシが「おのれぇ!!こうなったら我らの本当の力を見せてやるぅ!!」と啖呵を切り、
他の戦闘員たちも同意して大いに気勢を上げますが、それにしてもなんでナナシが仕切ってるのか?
ナナシものすごい目立ってます。

この「本当の力を見せる」という、いかにも弱いヤツが口にする負けフラグ確実なセリフに対して、
マーベラスは相変わらず口が悪く「・・・初めっから見せろっての!」と悪態をつきます。
先ほどからのマーベラスの傲慢発言もかなり負けフラグになり得るセリフなのですが、
ここはもうほとんど負けフラグ同士のヒーロー不在対決の様相を呈してきています。

戦闘員たちは「兵隊合体!!」というナナシの号令に合わせて、ナナシを中心にして身体をくっつけていきます。
だからなんでナナシが仕切ってんだよと思わずにはいられませんが、
何だかよく分からないうちに34の戦闘員は融合して「合体完了!!」と声を揃えて、
なんとも酷いデザインの1体の怪人が姿を現しました。
全身にびっしりと34戦闘員の顔がお面のように貼り付いている不気味なデザインです。
こんなことが出来るのも、この戦闘員たちが死者の魂、すなわち意識体だからなのでしょう。
もう何でもアリのこの超展開に「ああ!?合体しちゃった!?」とハカセも驚愕します。

合体戦闘員は一気に攻勢に出て、全身から34戦闘員の手と思われる触手を伸ばして
マーベラス達5人を攻撃してきました。
しかしマーベラス達はこの多数の触手をゴーカイサーベルで斬りまくり、
更にゴーカイガンの一斉連射で合体戦闘員を撃ちまくります。

この合体戦闘員、外見な恐ろしくグロテスクで大柄にもなっており、なんだか一見強そうな怪人のようですが、
元が特に特殊能力も無い34種類の戦闘員がくっついただけですから、
攻撃力は単に殴ったり蹴ったりするぐらいのようで、防御力も大したことはないようです。

34の戦闘員が束になって戦うのと、34の戦闘員が合体して戦うのと、戦力的には結局は同じであるようで、
合体戦闘員はさっきと同じようにマーベラス達にメッタ斬り、メッタ撃ちにされて「うわああ!」と無様に転がります。
まぁいつもは戦闘員はこれぐらいの攻撃でとっくに倒されているわけですから、
合体したことでそれなりに耐久力は上がってはいるようですが、
マーベラスはすっかり余裕で「おいおい・・・合体してもやっぱりザコはザコだなぁ・・・」と、
またも弱い戦闘員たちを容赦なくディスります。

これを聞いて合体戦闘員の中心にいるナナシが「おのれぇ〜!ナナシの本当の力、見せてやるぅ〜!」と激怒して、
合体戦闘員は立ち上がりますが、
なんとこれに対して、合体戦闘員の身体を構成する他の戦闘員たちが口々に
「俺だ!俺だぁ!」「俺!俺〜!」「お前じゃ無理だぁ!」「もっともっと!」と叫んで
次々と合体ボディから手を伸ばしたり身体を乗り出してきたりして、自己アピールを開始してきたのです。

どうもこの合体戦闘員は身体を動かす命令系統が複数あると混乱するので、
一応ナナシに指揮命令系統を全部一任していたようです。
ところが全くゴーカイジャーに手も足も出ないので、他の戦闘員たちは
ナナシの指揮にはもう任せておけない、自分がナナシに代わって指揮をとらねばいけないと思ったようです。
それで我も我もと合体ボディを自分の意思で動かそうとして相争うものですから、
なんだか収拾がつかなくなってしまいました。

これにはマーベラス達も唖然として見つめ、
ハカセは「・・・なんか揉めてる・・・?」と、いったい何が起こっているのかと不思議そうに呟きます。
合体戦闘員というものの存在自体がこのイメージ世界特有の不条理なものであるので、
その合体ボディのコントロール権の奪い合いで戦闘員同士が揉めるという事態そのものが
あまり想像できないマーベラス達は、事態があんまりよく分からないようで、
アイムは手足から各戦闘員たちが飛び出しては引っ込むことを繰り返すために手足が激しく動いている
合体戦闘員の姿を見て、「・・・まるで・・・ダンスのようですね?」と感心します。

確かに合体戦闘員は激しくステップを踏んで手を振りあげてジャンプしたり回転したりしており、
ブレイクダンスを踊っているようです。
その場所も寺院の中のステージっぽい場所で、何故か舞台照明のようなライトがあったりして、
ダンス感を演出しています。
これを見てマーベラスは、もしや合体戦闘員はこのダンスの動きから
攻撃を仕掛けてこようとしているのかと思いました。
ならばこちらもダンスに長けた戦士で対抗しようと思い、
マーベラスは「ダンスにはこれだ!」とレンジャーキーを取り出して、
5人は一斉に「豪快チェンジ!!」と多段変身し、バトルフィーバー隊の姿となったのでした。

バトルフィーバー隊への豪快チェンジはこれまでTV本編では登場しておらず、この映画で初披露となります。
「スパイダーマン」から引き継いだアメコミヒーローのフォーマットと
「ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」の集団ヒーローのフォーマットを合体させた
スーパー戦隊シリーズ第3作「バトルフィーバーJ」に登場する主役戦隊のバトルフィーバー隊は
アジア、ヨーロッパ、ユーラシア、アフリカ、アメリカという世界各地域をそれぞれ代表する
戦士5人組というコンセプトであり、一応色分けはしてありますが、
ゴレンジャーやジャッカー電撃隊のように色で個性づけしているのとはちょっと違う戦隊です。

白地に赤が特徴的なバトルジャパンにはマーベラスが変身し、
白字に青が特徴的なバトルフランスにはジョーが変身し、
全体的にオレンジっぽい色のバトルコサックにはルカが変身し、
全体的に黒っぽい色のバトルケニアにはハカセが変身し、
ピンクのレオタード姿のミスアメリカにはアイムが変身します。

なお、ゴーカイジャーの多段変身においてオリジナルでは男戦士であるものにアイムやルカが変身する場合、
その戦隊の女性戦士のコスチュームデザインに倣ったスーツデザインに刷新されるのであり、
このバトルフィーバー隊における女性戦士のミスアメリカがハイレグレオタード姿であることから、
ルカが変身したバトルコサックもハイレグレオタード姿になっていないとおかしいはずですが、
ここではバトルコサックは元の男戦士の時のままのスタイルになっています。
これはさすがにゴーカイイエローおよびその多段変身戦士を全て演じる超一流の女形スーツアクターの
蜂須賀祐一氏といえども、ハイレグレオタード姿では男であることを隠すのは不可能と判断されたからでしょう。

さて、ここでマーベラスがバトルフィーバー隊への豪快チェンジを選択したのは、
さっきも言っていたようにダンスにはダンスで対抗するためです。
バトルフィーバー隊はその名のとおり、世界中のダンスを採り入れた技で戦う戦隊であり、
その戦闘スタイルはかなりビジュアル的に面白いです。

ここでもそれが見たいところですが、残念ながら尺の都合なのか、
バトルフィーバー隊としての格闘シーンは無く、いきなり決め技となります。
ならば別にバトルフィーバー隊でなくても良さそうなものですが、
ダンスにダンスで対抗するという流れはバトルフィーバー隊を出すためのこじつけのようなもので、
ここで制作側は確かにバトルフィーバー隊を出したかったようではあります。
それでいて、せっかくバトルフィーバー隊を出しておいてダンス戦闘をさせないのですから、
単にこの映画でバトルフィーバー隊を出しておきたかったということなのでしょう。

それは、ここまで第23話までのTV本編で未だにバトルフィーバー隊の多段変身を登場させていないので、
使っておきたかったということなのでしょう。
ただ尺の関係で格闘シーンまでは入れることが出来ず、決め技だけとなったのでしょう。

ちなみにここの場面、「バトルフィーバーJ」のOPテーマのインストバージョンが流れます。
通常「ゴーカイジャー」のTV本編では当該戦隊のレジェンド回ではない時に
ゴーカイジャー以外の戦隊の関連曲が流れることはないのですが、映画の場合は特別であるようで、
「199ヒーロー大決戦」映画でも、ゴセイジャーとゴレンジャーのOPテーマが
ボーカル入りで劇中挿入曲として使われていました。
この「空飛ぶ幽霊船」映画でも、まずはここでインストバージョンではありますが、
バトルフィーバーのOPテーマが流れたのです。

そして5人は変身して決めポーズをとると、すぐに万能棒のコマンドバットを取出し、
「ペンタフォース!!」と叫んで上に放り投げます。
5本のコマンドバット5人の頭上で合体し、バズーカタイプのペンタフォースに合体し、降りてきました。

ペンタフォースというのはバトルフィーバー隊の必殺武器で、5本のコマンドバットを合体させて完成するのですが、
前期に使用されたミサイルを発射するバズーカタイプと、
後期に使用された敵に投げつけるブーメランタイプの2種類の合体形式があります。
ここではマーベラス達は前期型のバズーカタイプのペンタフォースを構えます。

これを見て、合体戦闘員は根拠も無く自信満々で「ふん!そんなものでやられる俺たちではない!!」と言って、
悠然とマーベラス達の方に歩いていきます。
なんだか強そうではありますが、これは全くの虚勢であり、
マーベラスは容赦なく「フィーバー!」と号令をかけ、5人はペンタフォースからミサイルを発射、
これが炸裂して合体戦闘員は「うわぁ!!」とあえなく倒されてしまいました。

しかしその爆炎の中から、「これで終わりと思うなぁ!!」という断末魔の声と共に何かが多数飛び出してきて
マーベラス達の周りで炸裂し、マーベラス達は「うわぁぁ!?」とその爆炎に巻き込まれてしまったのでした。
飛んできたのは野球のボールであり、合体戦闘員たちは倒されはしたものの、
マーベラス達をこのまますんなりとこのイメージ空間から脱出させないように、
次の罠への仕掛けをしてから果てたのでした。

合体戦闘員の最期の足掻きで飛ばしてきた野球のボールが炸裂して吹っ飛ばされたはずのマーベラス達5人でしたが、
次の瞬間、5人が倒れ込んだ場所は先ほどの寺院とは違う場所でした。
5人を呑みこんだ爆炎も無く、5人とも全く傷も負っていません。
あの合体戦闘員の倒された後の最後の一撃というのは、通常の相手を殺傷する攻撃ではなく、
イメージ空間における意識体特有の、相手を別のイメージ空間に飛ばすための攻撃であったようです。

「・・・ん?」と倒れたまま顔を上げたマーベラス達が周りを見ると、そこは平らに整地された地面の上でした。
「ここは・・・?」とマーベラス達は戸惑いながら身を起こしていきます。
なんだか見覚えがあるような無いような、奇妙な場所でした。

そこにスピーカーを通したような女性の穏やかな声が
「たいへん長らくお待たせいたしました・・・只今より試合開始でございます」と響いてきます。
その言葉の意味がよく分からず、立ち上がった5人は更に困惑し、
ハカセは「なんだなんだ!?」とキョロキョロ周りを見回しました。
そこは広いグラウンドで、観客席もある。よく見ると、そこは野球場であることにようやく5人は気付きました。
マーベラス達は野球場のピッチャーマウンドのところに並んで投げ出されていたのです。

寺院から一瞬で野球場のド真ん中に移動するとは普通ではない。
これもまた新たなイメージ空間なのであり、自分達はさっきの野球ボールの攻撃によって、
この野球場のイメージ空間に飛ばされたのだとマーベラス達は悟りました。
となると、ここにもまた新たな刺客である死者の魂、
おそらくスーパー戦隊にかつて倒された死者の魂が待ち構えているはずであり、
この野球場はその敵にとって有利な場所なのであろうと想像出来ましたが、
それにしても、どうして野球場なのだろうかとマーベラス達は困惑しました。
いったいどんな敵が待ち構えているのか?

すると、さっきの穏やかな女性の声、つまりウグイス嬢の場内アナウンスが続けて
「・・・バッターは、一番、指名打者・・・」と言うので、思わず5人はバックスクリーンの方に視線をやると、
「野球仮面!」というウグイス嬢のコールと共にバックスクリーンの電光掲示板には
「DH 野球仮面」という文字が点灯し、誰も観客はいないはずなのに球場は大歓声が沸き起こり、
「うわっはっはっはっはっは!!」という高笑いが5人の背後から聞こえます。

5人が驚いて後ろを振り向くと、三塁側のベンチから何者かが高笑いしながら出てきます。
その姿を見て、ハカセは「うわ?」と驚いて指さしました。
頭が大きな野球のボールで、身体は黒い全身スーツにマントを翻した、
なんともシュールな姿の怪人がいきなりバットを担いでベンチから出てバッターボックスに向かっているのです。
いったいこの怪人が何者なのか、これから何が始まるのか分からず、5人はその怪人の動向を見守りました。

すると、その怪人はバッターボックスに入ると、
「みごと三振を奪えれば、この世界から出〜してやろう!」と言って予告ホームランのポーズを決めて、
バットの先をバックスクリーンに向けて突き出します。
「何だてめぇは!?」と問い返すマーベラスに対して、
その怪人は「生まれ変わった野球仮面・・・とだけ言っておこう・・・」と気取って答えると、
バットを構えて「この俺と野球で勝負だぁ!!」と気合を入れます。

この怪人は野球仮面です。
野球仮面とはシリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」第53話に登場した黒十字軍の仮面怪人であり、
そのシュールな外見とコミカルな動きで仮面怪人中で随一の人気を誇るヤツです。
なお、この野球仮面、1976年に登場した時と全く同じ外見で、
しかも声をあてているのは35年前と同じ永井一郎氏です。

永井氏は日本声優界の重鎮の1人でこの映画の撮影時80歳で、なんとロスダーク役の内海氏よりも年長です。
内海氏と同じく1963年の「鉄腕アトム」第1作から参加している大ベテランで、
これまでに膨大な役を演じておられますが、代表的なものとしては「サザエさん」の磯野波平、
「ゲゲゲの鬼太郎」の子泣き爺、「ど根性ガエル」の町田先生、「宇宙戦艦ヤマト」の佐渡酒造、
「未来少年コナン」のダイス船長、「機動戦士ガンダム」のナレーション、「うる星やつら」の錯乱坊、
「ドラゴンボール」のカリン様、「YAWARA!」の猪熊滋悟郎、「らんま1/2」の八宝菜、
「はじめの一歩」の猫田銀八など、愛嬌のある老人役が多い。

特撮ドラマへの参加はあまり多くありませんが、
スーパー戦隊シリーズでは「獣拳戦隊ゲキレンジャー」のマスター・シャーフー役が有名で、
「ゴーカイジャー」第7話のゲキレンジャー篇にも1シーン登場したシャーフーの声をあてていただいていました。
その永井氏がスーパー戦隊シリーズにおけるもう1つの当たり役である「ゴレンジャー」の野球仮面の声を
35年前と同じように、この映画で相変わらずトボケた感じであてていただいております。

野球仮面は「ゴレンジャー」第53話で、そのシュールな外見からは少し意外な殺伐とした作戦を実行しようとしますが、
ゴレンジャーに阻まれ、最後はゴレンジャーハリケーンの変形技の野球対決で、
ゴレンジャーの卑怯な作戦の前に敗れ去り、大爆発して果てました。

だいたい「ゴレンジャー」という作品は2年も放送したシリーズ最長作品ですが、
1年目は比較的シリアスで2年目はかなりコミカルに路線変更しています。
この2年目に主に使われた必殺技がゴレンジャーハリケーンで、基本的にこの技は卑怯技です。
野球仮面の第53話というのもこの2年目にあたり、
野球仮面以外の怪人も2年目はだいたいはゴレンジャーハリケーンの卑怯技で倒されています。
しかし、その中でも野球仮面の時の技は特に卑怯で、
卑怯技ゴレンジャーハリケーンの代表的使用例と言っていいでしょう。

その野球仮面の死者の魂がロスダークによって呼び寄せられて、
マーベラス一味に対する第二の刺客として繰り出され、この野球場のイメージ空間で野球対決を挑んできたのは、
35年前の無念を晴らすためなのでしょう。

一方、マーベラス達は野球仮面のことは知らないが、
ゴレンンジャーの技であるゴレンジャーハリケーンのことは知っています。
それはゴレンジャーのレンジャーキーに封じられたゴレンジャーの戦う力に由来し、
それはゴレンジャーが黒十字軍との戦いの中で培ってきた能力です。

つまり黒十字軍との戦いの中でゴレンジャーが編み出していった技が
ゴレンジャーの戦う力の中にフィードバックされており、
それが現在はゴレンジャーのレンジャーキーの中に封じられているのです。
だからマーベラス達はゴレンジャーのレンジャーキーを使ってゴレンジャーに変身した際に、
ゴレンジャーの蓄積してきた技のイメージは頭の中に流れ込んできて把握しています。
その技で倒した相手のことは分からないが、技そのものは知っているのです。
特にゴレンジャーの必殺技ゴレンジャーハリケーンの代表的な変則使用例である野球戦法については、
マーベラス一味の面々の頭の中には強く印象が残っていたようです。

このイメージ空間で現れた敵怪人が野球対決を所望しており、
その野球仮面という敵怪人を三振に打ち取ればイメージ空間から脱出できると知り、
ルカはすぐにゴレンジャーハリケーンの応用技で野球対決で相手を三振に取る技があったことを思い出しました。
ルカはその技がかつてゴレンジャーが35年前にまさにその野球仮面を倒した技であることは知らないが、
野球仮面が野球対決を望むならば、ゴレンジャーのあの技が最適だと咄嗟に思い、
皆に向かって面白そうに「・・・野球仮面なら・・・アレしかないでしょ!」と言います。

マーベラスもルカと同じ技を思いついていたようで、「ああ!一気にいくかぁ!!」と応じると
ゴーカイバックルからアカレンジャーのレンジャーキーを出します。
他の4人も同様にゴレンジャーのレンジャーキーを出し、「豪快チェンジ!!」と、一斉にゴレンジャーに変身します。

ここで懐かしの「ゴレンジャー」のタイトルバックが背景となり、
5人はオリジナルのゴレンジャーに倣ってターンして変身し、
なんとBGMとしてオリジナルのEDテーマである「秘密戦隊ゴレンジャー」のインストバージョンが流れ始めました。
あの「バンバラバンバンバン」で有名な曲です。
「ゴーカイジャー」の物語の中で他作品のOPテーマ以外の曲が流れたのはこれが初めてといえます。

マーベラスがアカレンジャーに変身し、ジョーがアオレンジャーに変身し、ルカがキレンジャーに変身し、
ハカセがミドレンジャーに変身し、アイムがモモレンジャーに変身し、
5人一斉に「ふん!」と左足を一歩前に踏み出して、「5人揃って!ゴレンジャー!!」と右手を前に突き出す、
オリジナルのままのゴレンジャーの全体名乗りを決めます。

このように全体名乗りだけとはいえ、多段変身時に決めゼリフをちゃんと言うパターンは
これまでの「ゴーカイジャー」TV本編では見られなかったことで、
やはり劇場版ならではのサービスという意味合いもあるのでしょうけれど、
これはバッターボックスに立つ野球仮面にも懐かしかったようで、
「懐かしい〜!35年ぶりだのぉ!」と感激して泣くような仕草をして、
「燃えてきたぞぉぉ!!」と、いっそう張り切ってバットをブンブン振り回します。

自分を卑怯な技で殺した相手のことを懐かしんで感激して泣くというのも変な話ですが、
結局は野球仮面は今こそ35年前の雪辱を晴らすチャンスだと、ますます燃えてきたようです。
ちなみに、この野球仮面が感涙にむせぶ仕草、永井氏の当たり役である「ど根性ガエル」の
町田先生(「教師生活25年」と言って泣く人)がちょっと入ってるような気もします。

この野球仮面に対してマーベラス達はゴレンジャーハリケーンのエンドボールであるアメフトのボールを
アイムが地面に突き出し、全員が同じように手を突き出すゴレンジャーハリケーン開始時のお決まりのポーズで、
マーベラスは「ゴレンジャーハリケーン!チアガール!」と技のコードネームを言います。

なお、35年前にゴレンジャーが野球仮面を倒した時にアカレンジャーが唱えた技のコードネームは
「ゴレンジャーハリケーン!変化球!」であり、今回は別のコードネームになっています。
これは、野球仮面がゴレンジャーの名乗りを見て懐かしがったのを見て、
もしかしたら野球仮面はゴレンジャーのこの野球対決用のゴレンジャーハリケーンを知っているのではないかと思い、
マーベラスが微妙に技の内容を変更したからです。

さて、ではマーベラスが即興でアレンジした「ゴレンジャーハリケーン・チアガール」とはどんな技なのか?
まぁ、ものすごくバカバカしい技なんですが、
とりあえず途中までは「ゴレンジャー」第53話で野球仮面を撃破した「ゴレンジャーハリケーン・変化球」と
同じ流れで進んでいきます。

ちなみに、その「ゴレンジャー」第53話の「ゴレンジャーハリケーン・変化球」の時はどんなだったのかというと、
まずモモレンジャーがアメフトボール状のエンドボール(中身は爆弾)をミドレンジャーに投げると、
エンドボールは野球のボールに変わり、それを受け取ったミドレンジャーがピッチャー役になり、
キャッチャー役のキレンジャーに向かって最初にアンダースローで投げ、野球仮面が空振りしてワンストライク、
そして次にピッチャー役がアオレンジャーに変わって、アオレンジャーがスローボールを投げて
野球仮面が空振りしてツーストライク、
そして最後にピッチャー役がアカレンジャーに変わり、アカレンジャーが速球を投げ、
野球仮面はそれを打とうとしますが、モモレンジャーがボールをリモコンで操作して
いきなりボールが宙をフワフワ舞い始め、野球仮面はそれを打とうとして何度も空振りして三振し、
最後は何故か野球仮面が引退を宣言したところでボールが野球仮面の頭に当たって大爆発、
野球仮面は倒されたのでした。

何だか色んな意味でヒドい技ですが、
今回も最初、モモレンジャーの姿をしたアイムがアメフト状のエンドボールを持って
「行きますよぉ・・・ハカセさん!」と言ってクルリを回ると、エンドボールは野球のボールになります。
それをアイムはミドレンジャーの姿をしたハカセに投げ、
ハカセは「オッケェ〜イ!」と受け取って、マウンドに立ちます。

バッターボックスには野球仮面が右打席で「どんな球でも必ず打つ!」と燃えに燃えており、
その後ろではキャッチャー役のキレンジャーの姿をしたルカが「来〜い!」とミットを構えます。
なお、35年前は野球仮面は左打ちだったはずですが、ここでは右打席に入っています。

そしてハカセは「よぉし!アンダースローだ!いくよルカ!」と言って、アンダースローで第一球を投じました。
野球仮面は思いっきりバットを振りますが、ボールはバットに当たらずルカの構えたミットに収まります。
「あら?空振りだと〜!?どうしたことだぁ!?これはぁ〜!」と野球仮面はバットを振り回してわめき、
ルカはほくそ笑んで「フフ・・・ワンストライク!」と言って、
ハカセに代わってマウンドに立ったジョーに向かって「ジョー!」と言ってボールを投げます。

この一連のアイムやハカセやルカや野球仮面のセリフや動きは
「ゴレンジャー」第53話のモモレンジャー、ミドレンジャー、キレンジャー、野球仮面の
セリフや動きとほぼ同じなのですが、
その当事者であるはずの野球仮面はこれでもどうもこの流れが35年前に自分が敗れた時と
同じであることに気付いておらず、35年前と同じセリフを言っているようです。
やっぱり野球仮面はアホです。

そしてルカからのボールを「オーライ!今度は俺だ・・・」と受け取ったジョーは
「スローボール!」とわざわざ予告しながらスローボールを投じて、
「打てるものなら打ってみろ・・・」と言いながら投じたその弾はヘロヘロヘロヘロと進んでいき、
せっかくスローボールだと予告してくれているというのに「ああああ・・・・」と待ちきれずに
前につんのめった野球仮面は「うわああ!」とボールが来る前に豪快に空振りして尻もちをつき、
ルカはボールを受けて「ツーストライク!」と得意げに喜びます。

ここまでもジョーやルカや野球仮面のセリフや動きは
35年前のアオレンジャーやキレンジャーや野球仮面とほぼ同じで、
ホントに見事に再現して、現代の映像技術でリニューアルして無駄に豪華になっています。

35年前から何ら進歩も反省もなく全然ダメダメなクセに
「二度あることは三度は無い!」と意味不明なことを喚いて未だ闘志の衰えない野球仮面に向かい、
アカレンジャーの姿のマーベラスはルカからボールを受け取ってマウンドに立つと
「よぉし!これで三振だ・・・いくぞ!」と、これまた35年前のアカレンジャーと同じセリフを言います。

野球仮面は「よぉし!!」とやる気満々でバットをホームベースに叩きつけますが、
間違えて自分の足を思いっきり叩いてしまい「あいたたた!」と跳び上がって痛がります。
もうホントにどうしようもないバカです。
しかしすぐに気を取り直して野球仮面は「俺を侮るなぁ!」とバットを構え、三球目を待ちます。

そこにマーベラスは「はあああっ!!」と思いっきり剛速球を投げ込み、
「こいこいこいこい!」と待ち受ける野球仮面の目の前にボールが迫った時、
なんとボールがピタリと空中で静止したのでした。
このシーンまでずっと「秘密戦隊ゴレンジャー」のインストバージョンのBGMが流れていたのですが、
その曲もちょうどここで終わります。

元ネタの35年前の「ゴレンジャーハリケーン・変化球」の時は、
ここからモモレンジャーのリモコン操作でボールが宙を舞うことになったのですが、
今回の「ゴレンジャーハリケーン・チアガール」の場合はどうなるのか?
なんとここでいきなり空中で静止したボールが真っ二つに割れて、中から3人のチアガールが出現して
「イェ〜イ!」と元気いっぱいにボンボンを振りながら「G3!プリンセス!!」とコールしたのでした。
あまりの予想外の展開に野球仮面は「ええええええ!?」と唖然として絶句します。

この「G3プリンセス」とは何者なのか、35年前に死んだ野球仮面には知る由もないだろうが、
この3人組はシリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」に登場した期間限定アイドルユニットで、
そのメンバーはゴーオンイエロー楼山早輝と、ゴーオンシルバー須塔美羽と、
ゴーオンジャーの敵組織ガイアークの害水大臣ケガレシアの女性3人ユニットです。
確かにこの3人のチアガールの出現した場面の背景には
「ゴーオンジャー」本編で使用されていたG3プリンセスのエンブレムが浮かび上がっています。

どうして敵同士がアイドルユニットを組んでいるのか、その事情は「ゴーオンジャー」第31話を見れば分かりますが、
真面目に説明しても頭痛がするだけのような下らない事情なのでいちいち説明はしません。
とにかくこのG3プリンセスは「ゴーオンジャー」当時、実際に作品世界を飛び出して
現実世界でCDや写真集まで発売してしまうという悪ノリっぷりを見せました。

まぁとにかく、どうしてそのG3プリンセスがマーベラスの投げたボールの中から現れたのかというと、
もちろんこの3人は本物の早輝、美羽、ケガレシアではなく、
あくまでこのイメージ空間でマーベラスが作り出したイメージの産物です。
そもそも本物のG3プリンセスのユニホームはピンクのフリフリのミニスカートの衣装であって、
チアガールの格好ではありません。

これはあくまで可愛いチアガールを見せて野球仮面を幻惑してやろうというマーベラスのセコい作戦の産物であり、
単なる可愛い女の子のチアガールであれば本来は何でもいいのであって、
G3プリンセスがチアガールの格好をして出てくる必要性は無いのです。
そもそもマーベラスはG3プリンセスなど知らないのだから、
マーベラスがG3プリンセスの入ったボールを投げることが出来るはずがない。
だからこのシーンは本来は有り得ない根本的に変なシーンなのですが、
一種のお祭り映画である今回の映画では、これはお遊びのシーンとして許容するのはアリでしょう。
どうせなら普通の女の子を出すよりも、過去戦隊の人気美女ユニットであるG3プリンセスが登場した方が面白い。

ただ、歴代戦隊では他にも女性ユニットのようなものもあったと思えるのですが、
どうしてここではG3プリンセスが選ばれたのか?
それは第一に、「ゴーオンジャー」が歴代シリーズ作品の中で女性レギュラー陣のルックスのレベルが
トップレベルであり、それを集めたG3プリンセスが歴代女性ユニットの中で一番の美貌を誇っており、
しかも3年前の作品ですから、メンバーのルックス的な劣化がほとんど無いからでしょう。

そして、この「空飛ぶ幽霊船」映画の監督の渡辺勝也氏と脚本の荒川稔久氏のコンビというのが、
実はスーパー戦隊シリーズ屈指のカルトエピソードといわれる「ゴーオンジャー」第31話、
すなわちG3プリンセス誕生エピソードの監督と脚本と同じコンビなのであり、
なんでも渡辺氏がG3プリンセスをやけに気に入っているそうです。
そういうわけでここはG3プリンセスがチアガールのコスプレをして野球仮面を幻惑するという、
実にバカバカしい場面となったのでした。

バックには「ゴーオンジャー」の挿入歌でもあるG3プリンセスの楽曲
「G3プリンセスラップ」のインストバージョンが流れています。
まぁ「ゴーオンジャー」EDテーマ「炎神ラップ」のアレンジ曲なのですが、
「ゴーカイジャー」の物語の中で別の戦隊の挿入歌がBGMとして使用されるのはこれが初めてのこととなります。

G3プリンセスの3人の真ん中に立っているのは「199ヒーロー大決戦」に本物も登場した
ゴーオンイエローの楼山早輝です。
早輝を演じているのはオリジナル役者の逢沢りなさんで、この映画の撮影時19歳で、
最近は映画やドラマやグラビアなどで活躍しています。

3人の左端に立っているのはゴーオンシルバーの須塔美羽で、
美羽を演じているのはオリジナル役者の杉本有美さんです。
杉本さんはこの映画の撮影時は22歳で、グラビアやモデルでの活躍が著しいが、
コンスタントにテレビ番組にも出ています。

そして3人の右端に立っているのはガイアークの害水大臣のケガレシアで、
演じているのはオリジナル役者の及川奈央さんで、
この映画撮影時は30歳ですが、元AV女優界の女王という経歴から来る妖艶な色気と独特の若々しさは健在で、
AV女優からマルチタレントに転身後は、最近では「ゴーオンジャー」以外にも
映画の「ディケイド」完結篇に蜂女の役で出演するなど、特撮作品での活躍が目立ちます。

3人ともいずれも美女ですが、
タイプは早輝が可愛い妹タイプ、美羽が気の強い美女タイプ、ケガレシアがお色気熟女タイプというふうに
担当が分かれており、
ここでも早輝は瞳をウルウルさせてちょっと拗ねた顔で「おじ様!そんなバットで何するの?」と
野球仮面に向けて、あざとく話しかけます。
というか、なんかセリフがエロい。

続いて財閥令嬢の美羽が「ダメよぉ!ボールがボールを打つなんて!」と
Sっ気たっぷりの笑顔を振りまき、野球仮面に上から目線でダメ出し。
そしてケガレシアは甘えた視線を絡ませながら「だから・・・お願いでおじゃる!打たないで!」と
独特の「おじゃる」口調で媚びを売ります。

要するにこのボールを打たずに三振しろと要求しているわけですが、
この無茶な要求をするG3プリンセスがどうして今回はチアガールの格好をしているのかというと、
野球仮面は野球選手がモチーフの怪人だから、きっとチアガールにメロメロになるだろうという
マーベラスの安直な発想によるものでした。

しかしマーベラス以上にアホな野球仮面は
「うへぇ!かわいい〜!」とG3プリンセスにすっかりメロメロになってしまい、
「あいや・・・カワイ子ちゃんにそう言われると・・・あ、困ったぁ〜!」と、一気に陥落寸前となります。
しかしここでG3プリンセスの願いを聞いて三振してしまうと野球仮面はマーベラス達との勝負に負けてしまいます。
そのことをなんとか思い出した野球仮面は「・・・ん?・・・いかんいかんいかん!」と
バットで自分の頭を叩きまくって目を覚まし、
「ここは心を鬼にしてぇ・・・!」と再びバットを構えてボールを打とうとします。

だが、打とうにもボールは2つに割れていて、その真ん中にはG3プリンセスの3人が
「ん〜!おじ様ぁ〜!」と泣きそうな甘えた表情で抗議してきます。
これをまたまともに見てしまった野球仮面は結局ボールを打つことは出来ず、
「ん・・・いや・・・しかしぃ・・・!」と、再び苦悩し始めます。
もうホントにどうしようもないオヤジです。

頭を抱えて苦悩する野球仮面を見てG3プリンセスはしてやったりと小悪魔的な笑顔になり
「ウフッ!じゃあねぇ!おじ様〜!」と言うと、
2つに割れていたボールが元に戻ってG3プリンセスは消え、
静止していたボールはいきなりルカの構えるミットめがけて動き出します。
悩んでいた野球仮面はそれに気付いて「いかん!」と慌ててバットを振りますが、
悩んでいて動き出しが遅れた分振り遅れて、あえなく「あああ〜!」と空振り。
まぁ、まともに勝負しても打てなかったような気もしますが、
このオリジナルのゴレンジャー以上に卑怯なマーベラス達の作戦の前に野球仮面はこれで三振し、
マーベラス達は勝利をもぎ取ったのでした。

「空振り三振!やったぁ!」と立ち上がるルカの前で野球仮面は「しまったああああ!」と大声で悔しがります。
普通は抗議するところだと思いますが、抗議しないところは妙に清々しいヤツです。
野球場には試合終了を告げるサイレンが鳴り響き、マウンドでは皆は喜び、
アイムは「ルカさぁん!」とマウンドを駆け下りていき、
「試合終了〜!」と歓喜してマウンドへ走ってくるルカと勝利の抱擁をしようとしていますが、
アイムは別にピッチャーしてないはずなので、もうワケが分かりません。

マーベラスも「よっしゃぁ!」と、これで野球仮面との約束通り、
このイメージ空間から抜け出すことが出来ると思いガッツポーズをとります。
一方、敗れた野球仮面はガックリと膝をついて落ち込んでいましたが、
ようやく立ち上がり「・・・老兵は去るのみ・・・若返れ!野球界!!」と、35年前と同じく、高らかに引退を宣言、
すると35年前と同じように野球ボール(中身は爆弾)が落ちてきて野球仮面の頭を直撃し
「あいたぁ!?」と痛がった野球仮面は「うわああ!さらばあああ!!」と断末魔の叫びを上げて
いきなり不条理にも大爆発して果て、
その爆炎は「うわあああ!?」と驚くマーベラス達まで呑みこんでいったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:34 | Comment(5) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月18日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その3

幽霊船の船首に開いたドクロの口から巨大な幽霊船内部に侵入したゴーカイガレオンは、
巨大な洞窟のような船内を、船尾方向に向けて進んでいきました。
そこは誰も人はおらず、ボロ布が多数ぶら下がっている薄暗い不気味な空間で、
見た感じ、とても現在使用している船とは思えない、廃船そのものに見えました。
こんな廃船としか思えないものが飛んでいるわけですから、ますます不気味でした。

そして、その船内の空間は船尾方向へ進むにつれて狭くなっていき、ガレオンでの飛行が困難になってきたので、
マーベラス達5人はガレオンを停泊させておいて、その先はガレオンを降りて5人で徒歩で進むことにしました。
この広大な船内の何処にゴッドアイがあるのか皆目見当はつきませんでしたが、
少なくともここまで通って来た廃墟のようなスペースには無さそうでした。
この先、どんどん狭くなっていくと船首と船尾の中間ぐらいに居住スペースのようなところがあって、
そこにゴッドアイもあるのではないかと、マーベラス達は漠然と考えたのです。

しかし居住スペースといっても、こんな廃船のような船にいったい何者が居住しているというのか。
この船が何らかの意思に操られて動いている以上、何者かがこの船にいるのでしょう。
鎧が偽ゴーカイオーから「仲間を連れて出直してこい」という人の声が聞こえたと言っており、
その偽ゴーカイオーがこの幽霊船に収容されたというのですから、何者かがこの幽霊船には居るのは間違いない。
しかし、こんな廃船に住む者というと、まさに幽霊なのではないだろうかと、ハカセは何だか怖くなってきたようです。

最初はゴッドアイを手に入れて「宇宙最大のお宝」もゲットしようと張り切っていたハカセでしたが、
この不気味な船内の光景を見ているうちに、やはりジョーの言っていた噂通り、
この船には死者の魂が招き寄せられているように思えてきて、生来の臆病癖が出てきて
「うわああ・・・やっぱ止めない・・・?」と言ってガレオンに戻りたがります。

しかしマーベラス達は構わず歩きだし、
ルカは「ここまで来て何言ってんのよ!」とハカセを叱って手を引っ張って連れていきます。
幽霊船だの死者の魂だのというのは海賊の恐怖心が作り出した言い伝えに過ぎない。
この船に何者かが潜んでいてゴッドアイを守っているのは確かであろうが、それは幽霊などであるはずはない。
ハカセを除くマーベラス達はそう考えていました。

ところが、マーベラス達5人が歩いて去っていったガレオンの停泊場所の近くには、
何やら半透明のフワフワ浮かぶ、まるで幽霊のような物体が3つ行き交い、
「フハハハハ・・・」「ケケケケケ・・・」と不気味な笑い声を上げて、
マーベラス達の後ろ姿を見つめていたのです。

さて一方、ワルズ・ギルからのゴッドアイを奪ってくるようにという命令を受けて出撃したインサーンとバリゾーグは、
ギガントホースから目立たないように小型の戦艦に乗り換えて、配下の兵達と共に幽霊船に接近していました。
「目標補足・・・」と言ってバリゾーグは幽霊船への降下準備に入ります。
このゴッドアイ回収部隊の作戦は戦艦から幽霊船にバリゾーグとインサーン率いる行動部隊を降下させ、
行動部隊が幽霊船内部に侵入してゴッドアイを奪うというものであるようです。

インサーンもバリゾーグに続いて降下準備に入る前に、両手で抱えた大型の火器を愛おしそうに見つめて
「さぁ・・・お出かけの時間よ・・・」と我が子に言い聞かせるように言います。
そしてインサーンは「ゴッドアイは何としても私達が手に入れるわ・・・海賊たちに出くわしたらよろしくね・・・
ニューウェポンちゃん・・・」と色っぽく呟き、その大型火器に口づけをしました。
どうやらこの大型火器はインサーンが新たに開発した新兵器であるようです。
この実戦に初めて投入する新兵器を、もし幽霊船の中でマーベラス一味に遭遇したら使ってやろうと、
武器開発の技官らしい秘かな楽しみをインサーンは胸に秘めていたのでした。

そうして小型戦艦を幽霊船の甲板の上に停止させると、
バリゾーグとインサーンと配下のゴーミン達は降下を開始します。
ところが、なんといきなり幽霊船は右に旋回していき、降下部隊の真下にあったはずの甲板が右に移動していきます。
「なに!?・・・突然の方向転換だと!?」とバリゾーグは仰天し、
インサーンも新兵器を抱えたまま「嘘でしょお!?」と慌てます。
見ると、自分達の落下していく先は甲板ではなく、黒雲の立ち込める空となっているのです。

大慌てで空中で足掻くザンギャック降下部隊の面々でしたが、そんなことをしてもどうなるわけもなく、
「うわあああ!」という叫びを残して、そのまま真っ直ぐ、
幽霊船の左舷の空中を虚しく地上に向かって落下していったのでした。
降下部隊を乗せた小型戦艦の接近は幽霊船に察知されていたのか、あるいは単なる偶然なのか分かりませんが、
とにかくザンギャックの作戦はあっけなく大失敗に終わったのでした。

小型戦艦に設置してあったカメラからのモニター映像をギガントホースの司令室で見ていたワルズ・ギルとダマラスは、
あっという間に幽霊船の脇の空中を点のようになって落ちていく降下部隊の姿を見て、唖然として顔を見合わせました。
すると突然ワルズ・ギルは「おのれおのれおのれ〜!」と傍にいたゴーミンの頭を八つ当たりでポカポカ殴り始め、
更に作戦失敗の腹いせにキレまくって司令室内のゴーミン達に片っ端から
「おのれ〜!あいつら役立たずが!!」と殴る蹴るの乱暴狼藉を働きます。

この殿下御乱心にダマラスは慌てて「おやめください殿下!!」と縋りついて止めようとしますが、
ワルズ・ギルの大暴れは止まることなく、そこらにいたゴーミンの肩を掴んで
「お前のせいだ〜!!」と大きく振り飛ばし、プロレスのロープに投げられたレスラーのように
別のゴーミン達によって弾き返されてきたそのゴーミンに向かって、
ワルズ・ギルは豪快にドロップキックを炸裂させます。
そうしてゴーミン達ともども床に落下するワルズ・ギルに
ダマラスが情けなそうに「殿下ぁ〜!!」と嘆く声が司令室内に響くのでした。

さて、今回のこの映画、ザンギャック勢の出番はこれで終わりです。
これだけならメインストーリーに絡むこともなく、別に登場しなくても一緒だとも思えます。
そもそも31分しかない今回の映画でマーベラス一味と幽霊船の対決を描き、
その上ザンギャックまで絡めて三つ巴の戦いを描く尺的余裕は無く、
最初からザンギャックを絡めることは不可能だったのです。

だから本来はザンギャックは登場させなくてもいいのですが、
「199ヒーロー大決戦」でもやや無理矢理ザンギャックの出番を作っていたように、
この「ゴーカイジャー」の一連の劇場版にはザンギャックは必ず登場させる方針のようです。

それはやはり映画を観に来る子供たちへのサービスなのでしょう。
つまり愛すべきバカ殿下ワルズ・ギルを囲むギガントホース司令室コントが子供たちに人気があるということで、
この映画では普段のTV本編よりも更に激しくワルズ・ギルが大暴れして子供たちを楽しませる、
そういう目的のシーンだと思えばいいでしょう。

さて、こうしてザンギャック勢が人知れず退場していった頃、
マーベラス達5人は幽霊船内の居住区っぽい区画に入っていました。
この巨大な幽霊船の中に確かに人間大の生き物の生活空間のようなスペースがあったのです。
つまり、やはり何者かがここには居る。
いや、少なくとも「居た」のだろうとマーベラスには感じられました。

というのも、その居住区っぽい空間はまるっきり廃墟のようになっていて、
どう見ても現在まともにそこで誰かが生活しているようには見えないからです。
かつては何者かがここで暮らしていたのだろうが、今はその何者かはここには居ないとしか考えられない。
それでも、この船を動かして、ゴッドアイを守護している何者かは存在するのであり、
その現在ここに居る何者かと、かつてここで暮らしていた何者かの関係はよく分かりませんが、
とにかく少なくともこの場所は現在この船を動かしている者の生活の痕跡は全く無い廃墟であるのは確かでした。
こことは違う別の区画に現在のこの船の主の生活空間が有るのかもしれない。
ならば、この廃墟でかつて暮らしていた者達は何処に行ったのだろうか、
マーベラスには想像も及ばないことでした。

ただ、かつてこの廃墟で暮らしていた者がどういう者であったのか、
この廃墟の印象から、マーベラスは何となく想像することは出来ました。
それは海賊であるように思えたのです。
マーベラス自身が海賊であったので、何となくこの空間から海賊の痕跡を感じ取ることが出来たのです。
そもそも画像や突入前に見た船首の巨大なドクロのマークなどは海賊船に特有の紋章であり、
この船は現在は謎の廃船だが、昔は巨大な海賊船であったのではないかとマーベラスには思えました。

そうしてマーベラス一味の5人は廃墟のような居住区の廊下を進んでいきますが、
先頭をマーベラス、その後ろにジョーが続き、その後に続くアイムの背中にハカセがピッタリとくっついています。
別にセクハラしているわけではなく、すっかり幽霊船の不気味な雰囲気にビビってしまったハカセが
暗い廊下を1人で歩くのが怖いので、誰かとくっついていたいだけのことなのですが、
さすがに異性にここまでピッタリくっつかれてしまってはアイムとしても困ってしまい、
「・・・ハカセさん!ちょっとくっつき過ぎです・・・」と振り返ってハカセを睨んで注意し、
そのままそそくさと歩いていってしまいました。

面と向かって拒絶されてしまうとハカセとしても、もうアイムにくっつくことも出来なくなってしまい、
暗い廊下で誰とも手も繋がずに歩かないといけない。
ハカセは大いに失望して「そんなぁ〜・・・アイムまで〜・・・」と嘆くと、
身も世も無い有様で「明らかに出そうじゃん、ここ〜・・・」とブツブツ言って周囲をキョロキョロ見回します。
するとハカセの右隣に何か人影が動いたように感じて、思わずハカセがそちらを見ると、
そこには金髪の男の姿がありました。
驚きの余り「ううっ!!」と短い悲鳴を上げたハカセは硬直してその謎の金髪の男と向き合います。

その悲鳴を聞いて最後尾を歩いていたルカが、敵が現れたのかと思い「なに!?」とハカセの前に飛び込んできて、
ハカセが凝視する相手を睨みつけます。
ところがルカが見た相手はルカ自身であり、その後ろにはハカセが立っていました。
そこにあったのは朽ちかけた鏡であり、ハカセが見た謎の金髪の男は
金髪モジャモジャ頭のハカセ自身の鏡に映った姿に過ぎなかったのでした。

おおかた、ハカセは鏡に映った自分を見て幽霊と勘違いしたのだろうとルカは思い、
そのあまりにバカバカしい怖がりっぷりに呆れて溜息をついたルカは「・・・鏡じゃん!」と言って
ハカセの肩をドン!と叩いてプリプリして先を進んでいきました。

1人で鏡の前に取り残されたハカセは、確かによく見ると自分が見ていたのは鏡の中の自分だったのだと気付き、
自分のマヌケさ加減に少し可笑しくなり「ホントだ・・・なぁんだ・・・」と苦笑して、
お蔭で少し落ち着いて鏡に向かってネクタイの曲がりを直しはじめました。
自分1人だけが勝手に鏡に映った自分を幽霊だと思い込んでビビっていただけで、実際は幽霊などいなかった。
やはり、この船には幽霊などいないのだと、ハカセは気を取り直しました。

ところが、そのハカセが見つめる鏡の中の自分に重なるように、
いきなり「ユ〜レイヒ〜!」と陽気に歌いながら、角が生えた兜をかぶった半透明の小さめの物体が
鏡の中に浮かび上がってきましたので、ハカセは「うわああっ!?」と驚いて後ずさりしました。
といっても狭い廊下ですので、ハカセの背中はすぐに壁にぶつかってしまい、それ以上退がれなくなってしまいます。
「挨拶がわりだ・・・」と言って鏡の中から出てきたその物体はタコみたいに口を伸ばしてきて
ハカセの頬にいきなり濃厚なキスをしてきます。
壁に阻まれて後ろに逃げられないハカセは「ううう〜!」と呻いて、思いっきりキスされてしまいました。

この謎の喋る物体は先ほどガレオンの傍で不気味に笑ってマーベラス達を観察していた連中のうちの1つですが、
外見は妙に可愛らしく見えます。
しかし、鏡の中にその姿が現れたにもかかわらず、本体が鏡の前に立っていたわけではありません。
実体が無いのに鏡の中の虚像だけが出現したのです。
しかもその鏡の中の虚像が勝手に動いて喋って、鏡の外に飛び出してきて、ハカセに触れたのです。
これは幽霊に間違いないと思い、ハカセは恐怖にすくんで動けなくなってしまい、
無様に幽霊にキスされてしまったのでした。

角付き兜をかぶったこの幽霊はハカセの頬から口を離すと「ふはははっ!」と愉快そうにハカセを嘲笑います。
ようやく身動きが出来るようになったハカセは半ば腰を抜かしながら、
先を進んでいたマーベラス達のところに必死で這っていって追いつき
「うわぁ・・・幽霊にチューされたぁぁ〜・・・!」と半泣きでルカに縋りつきました。

ルカはまたハカセが何かを幽霊と錯覚して怯えていると思い、
「はぁ?またバカなこと言って!」と呆れてハカセの手を振りほどいて叩きますが、
そこに突然物陰から「ユ〜レイヒ〜!そうでもなかったりしてぇ!」と叫んで、
今度は1つ目の幽霊がルカの顔の前に飛び出してきたのでした。
「ひゃあああ!!」と驚いたルカは思わずその幽霊をバチンと叩いて飛び退いて、
後ろで唖然として見ているマーベラス達3人の方に逃げていきます。

ところが今度はその3人の足元に「ユ〜レイヒ〜!」と、別の女の子型の幽霊が飛び込んできて
クルクル回って風を起こし、その風でスカートを持ち上げられたアイムが
「キャアッ!?」と驚いてスカートを押さえますが、
その女幽霊はアイムのスカートの下で望遠鏡のようなものを覗いて
「ははっ!見〜えちゃったぁ!」とからかうように面白がります。

この女幽霊、スカートめくりをしてアイムのパンティーを見たようです。
何ともつまらん悪戯をするものですが、
この3つの小さな幽霊たちは、確かにさっきガレオンの辺りをチョロチョロしてマーベラス達を観察していた連中です。
どうやら幽霊船に侵入したマーベラス達に嫌がらせをするのが目的のようです。

マーベラスはこの船は幽霊船といってもそれは俗称であって、本当に幽霊などが居るわけではないと思っていたので、
本当に幽霊が現れたことに驚きました。
どうやらこの船は本当に幽霊船であり、死者の魂を呼び寄せるという噂は本当だったのだと
意外に思ったマーベラスでしたが、それは所詮はそれだけの驚きでしかありませんでした。

もともとマーベラスは幽霊など恐れてはいない。
何か危険な攻撃を仕掛けてくるなら話は別だが、
この3つの小さな幽霊は相手を驚かす悪戯ぐらいしか出来ないようでした。
ならば別に恐れる必要など無いとマーベラスは思いました。

一番幽霊を怖がっていたハカセをはじめ、他の4人も想像していた幽霊はもっと怖いものだったのであり、
その怖いタイプの幽霊が出てきたらどうしようと内心ビクビクしていただけのことですから、
出てきた幽霊が案外怖くないタイプであったことで、むしろ逆に気持ちが楽になってしまいました。

マーベラスは全く幽霊を怖がることなく「ふざけんな!」とアイムの足元の女幽霊を踏み潰しました。
しかし、さすがに幽霊だけあって、踏み潰されたはずの女幽霊はダメージは受けず、
「あはは〜!なぁんてね!」と陽気にはしゃいで飛び去り、
廊下の真ん中にさっきの角付き兜の幽霊、1つ目の幽霊と一緒に並んで浮かび上がって、
この3つの幽霊は「そんじゃまぁ!歌っちゃおう!」と、いきなり脈絡なく楽しげに合唱し始めます。

まるでミュージカルのようで、こういうディズニーっぽい演出はスーパー戦隊シリーズでは珍しいが、
かつて「長靴をはいた猫」や「空飛ぶゆうれい船」の頃の「東映まんがまつり」ではよく見られた演出手法です。
ちなみにこの3幽霊、この映画本編中で名前が呼ばれることはありませんが、
兜をかぶった奴はガツン、1つ目の奴はベロン、女の子風の奴はバチンという名という設定となっています。
そして、この3幽霊の声を担当されているのは普通の声優さんではなく、特別ゲストの3人で、
ガツンの声がささきいさお氏、ベロンの声が松原剛志氏、バチンの声が堀江美都子さんです。

ささき氏は俳優や声優としても長年大変な活躍をされている方で、
声の出演としては「ガッチャマン」のコンドルのジョー、「ヤマト」の斉藤始など、
また洋画吹替えではシルヴェスター・スタローンなど、渋い声の役で有名ですが、
なんといっても歌手として、特にアニメソングや特撮ソングの歌手として超有名な人で、
「アニメソング界の大王」と称されています。

アニメソングの代表曲は「たたかえ!キャシャーン」「ゲッターロボ!」
「宇宙戦艦ヤマト」「真っ赤なスカーフ」「銀河鉄道999」など多数あり、
特撮ソングの代表曲は「進め!ゴレンジャー」「秘密戦隊ゴレンジャー」「見よ!!ゴレンジャー」
「ジャッカー電撃隊」「いつか、花は咲くだろう」という、
スーパー戦隊シリーズの第1作と第2作のOPとEDに全て絡んでおり、
その他、近年では「デカレンジャー」のEDテーマ「ミッドナイトデカレンジャー」も担当されています。

一方、堀江さんは「アニメソングの女王」の異名を持つ、
これまた恐るべき数のアニメソングを歌っておられる歌手ですが、
声優業も活発で、「魔法少女ララベル」のララベル役、「秘密のアッコちゃん(第二期)」のアッコ役、
「愛少女ポリアンナ物語」のポリアンナ役、「私のあしながおじさん」のジュディ役、
「家なき子レミ」のレミ役などが有名です。

本業の歌手としてはアニメソングの代表作は「アクビ娘の歌」「けろっこデメタン」「緑の陽だまり」
「ぼくらきょうだいてんとう虫」「キャンディ・キャンディ」「ボルテスVの歌」「花の子ルンルン」
「ラ・セーヌの星」など、ささき氏同様アニメソング史上やアニメ史上極めて画期的な作品に関わっている一方、
特撮ソングにも女性歌手ながらかなり昔から単独歌唱でも関わっており、
代表曲は「かぐや姫先生のうた」「月光の子守唄」「それゆえタックルちゃん」「花のモモレンジャー」
「ゴレンジャー絵かきうた」などがあります。
そして水木一郎氏とのデュエットで「斗え忍者キャプター」、
ささきいさお氏とのデュエットで「進め!ゴレンジャー」という名曲にも参加しています。

つまり、スーパー戦隊シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」の主題歌
「進め!ゴレンジャー」を歌っていたのが、ここで登場したガツン役のささき氏と、バチン役の堀江さんなのです。
2人とも声優としても実力者なので当然、演技も見事なものですが、
ここでは歌う幽霊ということで歌唱力を期待されての起用であり、
しかもあえてささき氏と堀江さんを起用しているということは、
シリーズ第1作「ゴレンジャー」へのリスペクトに他ならないでしょう。

そして、ベロン役の松原氏はささき氏や堀江さんと共にアニソン四天王の1人とされる水木一郎兄貴の弟子である
特撮ソング歌手で、主にウルトラシリーズのティガやコスモスやメビウスの楽曲に参加し、
そして云わずと知れた、この「海賊戦隊ゴーカイジャー」の主題歌担当歌手であります。

つまり、スーパー戦隊シリーズ第1作の主題歌を歌った歌手と、
最新のシリーズ第35作の主題歌を歌った歌手が幽霊の声役として、この場に集まっているわけです。
松原氏もミュージカル俳優としても活躍される方なので、演技に全く問題は無いわけですが、
ここではやはりスーパー戦隊シリーズ35作の歴史の最初と最新の主題歌担当歌手の特別ユニットによる歌唱で、
シリーズの歴史をリスペクトしようというのが最重要な趣旨ということになります。

その歌はこの映画オリジナル曲の「ないしょのユーレイヒー」(作詞:荒川稔久、作曲:山下庸介)という曲で、
明るいワルツ調の曲に合わせて3幽霊は空中で陽気に飛び回りながら
「俺たちゃユ〜レイ!怖いぞユ〜レイ!ユ〜レイヒヒヒヒヒヒヒ〜!ユ〜レイヒ〜!
お宝守って〜、泣く子も黙らす〜、絶対言わない宝の場所は、この先な〜んて〜、内緒だよっ!!」と唄います。

いきなり幽霊が唄い出したのでマーベラス達5人は唖然として聞いていましたが、
こんな歌詞を歌いながら3幽霊がマーベラス達の背後の方向を指さしたものですから、
その方向にゴッドアイがあるということが分かり、
マーベラス達は歌が終わるとさっさとその方向に向けて歩き出します。

3幽霊の役目は幽霊船への侵入者を怖がらせてゴッドアイに近づけさせないで守るというものであったようなのですが、
調子に乗って歌った歌詞の中にゴッドアイの在り処を示唆する言葉が入っていたために、
逆にマーベラス達をゴッドアイの方に正確に向かわせることになってしまい、
しかもこの幽霊たちは全然怖くもなく、大した攻撃力も無いものですから、全く足止め役として機能していません。

3幽霊はスタスタと去っていくマーベラス達の背を呆然と見送って、
全く自分達のミスに気付いていないようで、
「お宝の方に」「行っちまったぞ〜」「なんで分かっちゃったの?なんで?なんでぇ?」と
呑気に言い合うばかりでした。

さて、そうして通路を進んでいったマーベラス一行は、遂に通路の終点の扉に辿り着き、
その重い扉を開くと、その向こうには何やら薄暗い広い部屋が広がっています。
その部屋にマーベラス達5人が踏み込んで数歩進むと、入り口の扉が音を立てて自動的に閉まったので、
ハカセは思わず「うわ!?」とビビりました。

閉じ込められたのかと思った瞬間、今度は部屋の中の灯りが勝手に点いて、部屋の中の様子が明らかになりました。
驚いて5人は部屋の中を見回します。
それはかなり広い大広間のようなスペースで、白黒の格子柄の床はちょっとオシャレな感じで、
端にステージのように階段でせり上がった部分があり、
その背後の壁に天井まで達するほどの大きなドクロの彫り物がはめ込まれています。

なんだか悪の組織のアジトの大広間のような感じですが、
つまり普通の客船ではなく、やはりこの船は大規模な海賊団のアジトであったようです。
この大広間に海賊団のメンバーを集めて船長があの一段上がったステージで演説でもして
仲間を統率していたのでしょう。

ただ、それはやはり遠い過去の出来事であったように思えます。
床にはホコリが溜まり、そこらにある柱やそれに繋がる足場の鉄骨は錆び、それについた布もボロボロで、
全く生きた人間の生活感のようなものがない廃墟然としています。
ここには今、昔のように海賊は誰もいないようです。

しかし勝手に扉が閉まったり灯りが点いたりもしており、何者かが居ることも確かです。
その何者かが何なのかというと、先ほど出会った幽霊のように、それは幽霊なのかもしれない。
この船の居住区の中心であり終点はここであろうと思われ、そこにこうまで生きた人間の生活感が無い以上、
やはり、この船は廃墟となった海賊船に幽霊が招き寄せられて、幽霊の巣になっている幽霊船だったのかと、
マーベラス達5人には思えてきました。

そうして5人がそのステージの方を見た時、5人は一斉に「ああ・・・!」と、あることに気付きました。
ステージの背後の壁の大きなドクロの左目の奥に何か光るものがあるのです。
それは目玉でした。
白目部分が赤く、黒目部分が青い、変わった配色の目玉です。
が、本物の目玉であるはずもなく、目玉の形を模した宝玉がはめ込んであるのでした。
つまり、これこそが「神の目」、すなわち何でも夢を1つ叶える宝玉「ゴッドアイ」だったのです。

「あれか!」とマーベラスはステージに昇ってゴッドアイを掴み取ろうとして早足で前に進み、
他の4人もそれに続きます。
ところがマーベラス達がステージの階段を昇り始めたところ、何処からか飛んできた青白い大きな火の玉が
「思い通りエサに釣られてきたか・・・愚か者ども・・・!」と声を発してマーベラス達の周りを一周すると、
マーベラス達の身体は階段の下の床に投げ出されてしまったのです。
そして、その青白い火の玉はステージの上に飛んでいき
ドクロ像の前で人間型の怪人が後ろ向きに屈んだ姿に変わります。

床から起き上がって「なんだ、てめぇは!?」とマーベラスが怒鳴ると、
その怪人は「俺は船長のロスダーク!・・・この船と共にずっと宇宙を彷徨ってきた・・・」と名乗りながら、
立ち上がりマーベラス達を見下ろすように振り向きました。

そのロスダークと名乗った怪人は、全身を鈍い光を放つメタリックブルーの甲冑に身を包んだ
不気味で威圧感あふれる怪人でした。
見るからに強そうで、船長と名乗っているところから、この船の支配者であるようです。
となると、偽ゴーカイオーを使って豪獣神と戦ったのも、先ほどの幽霊たちを使役していたのも、
このロスダークということになる。
そしてゴッドアイを守護しているのも、このロスダークなのであろう。

しかし、「宇宙を彷徨ってきた」という言い回し、そしてこの船の生者の気配の無さ、
今のまるで人魂のような登場の仕方や不思議なパワー、
そして甲冑から覗くその顔がまるで骸骨であることなどを考えると、
この船はやはり幽霊船であり、
幽霊船の船長と名乗る不気味な怪人ロスダークもまた幽霊なのではないかと思えたルカは
「じゃあ、あんたも幽霊!?」と訊ねてみました。

それに対してロスダークは「そうだ・・・だが俺は間もなく甦る・・・
このゴッドアイを狙う強欲どもの生体エネルギーを吸い取り続けてきたからなぁ・・・!」と、
幽霊であることを認めた上で、意外なことを口走ります。

「生体エネルギーって・・・?」と、その予想外の言葉の意味を反芻したハカセは、
つまりそれは生きている人間を殺して命を奪い、
その生命のエネルギーを吸い取って死者のロスダークが生者として復活するということを意味していると悟りました。
いや、どうやら今までロスダークはそれを何度も繰り返して、数多くの人間を殺して生体エネルギーを奪い取り、
自身の復活のためのエネルギーとして体内に溜め込んできたようなのです。

おそらくロスダークの身体から発する強大なパワーもその貯めこんだ生体エネルギーによるものであろうし、
豪獣神を負かしたという偽ゴーカイオーの信じがたい強さも、
偽ゴーカイオー自体がロスダークが自身の体内に溜め込んだ生体エネルギーで作り出したものだと考えれば
納得はいきます。

それほど膨大な生体エネルギーをロスダークは溜め込んでいるようで、
これまでに数多くの犠牲者を生んできたと思えますが、
それでもまだ死者であるロスダーク自身を生者として復活させるには足りないようです。
果たして死者が生き返ることなど可能なのか、よく分かりませんが、
ロスダークはそれが可能だと信じており、そのためには膨大な生体エネルギーが必要であるようです。
それだけの膨大な生体エネルギーを集めるためには強い生命力を持った者をたくさん殺して、
その生体エネルギーを奪わねばならない。
だからロスダークはゴッドアイの番人をしているのだとマーベラス達は気付きました。

死者の魂に溢れている幽霊船の中にある、何でも夢を叶えてくれる秘宝ゴッドアイを手に入れるために
ここまで乗り込んでくる者こそ、どんな危険を冒してでも自分の夢を叶えようとする欲望の大きな者であり、
欲望の大きさはそのまま生命力の強さに比例しているのでしょう。
だからロスダークはゴッドアイを奪おうとしてやって来る強欲で生命力豊かな者をこうして待ち伏せして殺して、
その生体エネルギーを奪ってきたのです。

ということは、今回まんまとロスダークの仕掛けた罠の中に飛び込んできた獲物は
マーベラス達5人ということになります。
「じゃあ今度は僕たちを!?」とハカセが慌てて問い直すと、
ロスダークは「その通り・・・!」と平然と答えます。

これはどうやら、自分達はたまたまロスダークの仕掛けた罠に迷い込んだわけではないらしいと
マーベラス達は悟りました。
ロスダークの口ぶりからして、どうやらロスダークは最初からマーベラス達を狙って、
エサをちらつかせて誘い込んだようです。

わざわざ地球にやって来て幽霊船の姿を晒して、わざとゴーカイオーにそっくりな巨大ロボを生成して、
それを使ってロスダークは暴れるつもりだったようです。
その目的はマーベラス一味の注意を惹くためであったのでしょう。
そうして偽ゴーカイオーで注意を惹いて幽霊船とゴッドアイの存在に気付かせるように仕向けて、
マーベラス一味を幽霊船におびき寄せるというのがロスダークの作戦であったようです。
鎧がたまたま偽ゴーカイオーの降下時に居合わせて豪獣神で立ち向かったのは、
ロスダークにとって手間が省けたといえます。

しかし、そこでロスダークが豪獣神を倒す力を持ちながら、あえて豪獣神を倒してしまわなかったのは、
鎧1人の持つ生体エネルギーだけでは満足できなかったからでしょう。
ロスダークの求めている獲物は、単に強欲なだけの者ではなく、強欲でいて、しかも強い者でなければいけないのです。
それこそが最も良質の生体エネルギーを大量に奪うことが出来る極上の獲物なのでしょう。

ロスダークは地球にマーベラス一味という「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしている、
途轍もなく大きな夢、すなわち欲望を持つ海賊たちが来ていて、
しかもザンギャック軍を向こうに回して堂々と戦っている強者であるということを知り、
まさに極上の獲物だと思い、マーベラス一味を幽霊船におびき出して倒して生体エネルギーを奪おうと考えた。

それで偽ゴーカイオーで暴れて誘い出そうとしたら、
マーベラス一味の1人である鎧が立ち向かってきたが、ロスダークは鎧1人の生体エネルギーでは満足できなかった。
1人ではなく全員揃わないと十分な生体エネルギーにならないし、
鎧は6人の中では一番、お宝に対する欲望が少なく、ロスダークの求める強欲な者ではなかった。
だからロスダークは鎧を殺しても仕方ないと思い、
マーベラス達に幽霊船の情報を伝えさせるためにわざと見逃したのです。
そのロスダークの仕掛けた罠にマーベラス達はまんまと嵌められたということになります。

しかも、これがロスダークの復活のための罠だとすると、
そもそもここにあるゴッドアイはロスダークが強欲な強者を誘い込むために置いてある偽物である可能性も高い。
だとしたらマーベラス達はとんだマヌケだったことになります。

しかし、さっき通路で出会った幽霊たちは本物のお宝を守っているつもりであったように見えました。
あの幽霊たちはおそらくロスダークがその生体エネルギーを駆使した魔力によって招き寄せた
死者の魂を使役していたものであり、
あの幽霊たち自身が船長であるロスダークに騙されて偽物のゴッドアイを本物だと思い込まされている可能性もあるが、
マーベラス達はやはりゴッドアイは本物であると信じようと思いました。
とにかく手に入れてみれば本物か偽物か分かるのです。

まんまと罠に嵌ったマーベラス達でしたが、このまま大人しくロスダークに倒されるつもりはありませんでした。
相手はロスダーク1人であり、マーベラス達は5人います。
たとえ相手が幽霊だとしても、負ける気はしませんでした。
お宝のゴッドアイは目の前にあるのであり、それを手に入れるのを邪魔するのならば、
たとえ相手が幽霊だろうが船長だろうがぶっ潰すのみです。
そうしてロスダークを倒してゴッドアイを手に入れれば、それが本物なのか偽物なのかハッキリする。
シンプルな話でした。

マーベラス達5人は一斉にゴーカイガンを構えてロスダークに狙いを定めて、
マーベラスは「あいにくだが・・・それは無理ってもんだ!」と言い放ちます。
逆にロスダークが追い詰められた形になったように見えました。
しかしロスダークは全く動じる様子も無く、
落ち着いた声で「この先に待ち受ける我がしもべたちに敗れた瞬間・・・」と言いながら
マーベラス達に背を向けてしまいます。

「この先」というロスダークの言葉の意味が一瞬マーベラス達には分かりませんでした。
お宝とその番人を目の前にして、マーベラス達はここから先、もう何処か別の場所に進むつもりなど、
もはやありませんでした。
ゴッドアイを目指す冒険はここが終着点であるはずなのです。

しかしロスダークは壁にある巨大なドクロの前に立ち塞がるようにマーベラス達に背を向けると、
「・・・お前達の命は終わる・・・」と言葉を続け、指をパチンと鳴らすと
「さらばだ!」と言って、いきなり横に駆け出していきました。
マーベラス達はロスダークが逃げると思って、慌ててロスダークを目で追い、正面から視線が逸れました。

その瞬間、それまでロスダークが身体で隠していた正面の壁のドクロの口がカッと開き、
そこから光の帯のようなものが飛び出してきたのですが、
ロスダークに釣られて脇を見ていたマーベラス達は一瞬、その正面から飛んできた光の帯への対応が遅れ、
あっという間に5人まとめてドクロの口から伸びる光の帯に縛り上げられてしまったのでした。
そして次の瞬間には光の帯は「うわぁ!?」と慌てる5人の身体をドクロの口の中に引っ張り込んでしまいました。

マーベラス達はまんまとしてやられたことに気付きます。
ロスダークが思わせぶりにドクロの前で後ろを向いた後、駆け出したのは、
このドクロの口の仕掛けを成功させるための布石だったのです。
5人はドクロの口に引っ張り込まれた後、何やら変な空間を吸い込まれていき、
何処かに向かって真っすぐ落ちていきました。

「あんたの思い通りになんか絶対させないんだからね〜!!」と悔しげに叫ぶルカの声が消えていき、
元の大広間には静寂の中、ロスダーク1人が残りました。
そのロスダークはドクロの左目に埋め込まれたゴッドアイを見つめると、
「命ある者の願いしか叶えぬゴッドアイよ・・・俺が甦ったら、この宇宙の全てを手に入れる夢・・・
必ず叶えてもらうぞ・・・!」とゴッドアイに向けて語りかけるのでした。

このロスダークの口ぶりからすると、どうやらこのゴッドアイは偽物ではなく、確かに本物であるようです。
ただ、ゴッドアイは生きている者の願いしか叶えることは出来ないようで、
幽霊であるロスダークの願いは叶えられないようだという新事実がここでロスダークによって語られました。
そしてロスダークには「宇宙の全てを手に入れる」という夢があるようで、
その夢をゴッドアイを使って実現しようとしているのです。

だから、そのためにはまずロスダークは生き返らなければならない。
生き返って生者になってからゴッドアイを使って「宇宙の全てを手に入れる」という夢を叶えようとしているのです。
そこでロスダークはゴッドアイをエサにして生命力の強い強欲な強者たちを幽霊船におびき寄せて殺していき、
その生体エネルギーを奪って、自分の復活のためのエネルギーを貯めてきたというわけなのです。

ロスダークの目標は単に生き返ることではなく、
生き返ってからゴッドアイを使って宇宙を手中に収めるという、とんでもない野望を実現することにあったのです。
その仕上げにロスダークはマーベラス達の生体エネルギーを奪うためにドクロの口の中に引っ張り込んだ。
さっきのロスダークの言葉によれば、そのマーベラス達が引っ張り込まれて落ちていった先には、
ロスダークの手下たちが待ち受けていて、マーベラス達を倒そうとして襲ってくるようです。
そしてマーベラス達がその手下たちに負けた瞬間、マーベラス達の命は失われて、
その生体エネルギーはロスダークに奪われるという仕組みになっているようです。

なお、このロスダークの声を担当されているのは、声優界の超ベテランで大御所である内海賢二氏です。
洋画ではスティーブ・マックィーンの吹替えで有名な内海氏は
アニメでも1963年の「鉄腕アトム」の第1作から声優として仕事をしているアニメ界の草創期からの立役者で、
「魔法使いサリー」のサリーパパ役、「新造人間キャシャーン」のブライキングボス役、
「Dr.スランプ アラレちゃん」の則巻千兵衛役、「北斗の拳」のラオウ役、「ドラゴンボール」の神龍役、
「ダイの大冒険」の大魔王バーン役、「はじめの一歩」の鴨川会長役などが代表的な役柄で、
他に数多くのシリアスからコミカルまでのキャラクターを幅広い演技力でカバーしておられますが、
渋い声の悪のボスを演じることが比較的多いです。

あまりにベテラン大物声優なので特撮ヒーロー番組が全盛期を迎えた頃には、
やられ役の怪人の声を担当してもらえるような立場ではなく、
また敵幹部の声などでもあまり出て貰う機会も無く、
スーパー戦隊シリーズでは今まで一度も声を担当されたことがありませんでした。
特撮関係でのこれまでに内海氏の目立った役というと、
「ウルトラマンメビウス」のラスボスである暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人ぐらいといえます。

この「ゴーカイジャー」という作品は、過去34のスーパー戦隊の物語世界と繋がった物語世界なので、
敵側の新登場の主要キャラの声優には、
過去のスーパー戦隊シリーズ作品に登場していない人を選ぶというこだわり
(199ヒーロー大決戦の黒十字王の神谷明氏は過去にガンマジン役はあるが)を貫いています。

そこでこのロスダーク役にも、これまでスーパー戦隊シリーズに登場したことのなく、
なおかつ敵のボスとしての風格を兼ね備えた声優ということで内海氏に白羽の矢が立ったわけで、
内海氏のスーパー戦隊シリーズ初めての役となる、この幽霊船の船長ロスダークは
内海氏特有の非常に渋い声のゾクゾクする大物悪役となっています。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:52 | Comment(1) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 感想その2

では映画本編ですが、まず東映ロゴの後、宇宙空間をバックにして
レンジャーキーが大量に画面に飛び込んできて並びます。
レンジャーキーはよくチェックすると、第1話時点でマーベラス一味が地球に持ってきた172個、
つまり追加戦士や番外戦士の分を除いた分であるようです。
こうして飛び込んで整列した172個のレンジャーキーが172人の戦士の姿に変わり、
そこから35作記念バージョンのスーパー戦隊ロゴが飛び出してきます。

この飛び込み、飛び出しで思い出しましたが、
この「空飛ぶ幽霊船」という映画、3Dと2Dの両方式で公開されていました。
3Dにも対応しているので、こうして随所に飛び出しや飛び込みなどの演出があり、
画面の奥行を強調する演出などもあります。

戦隊やライダーの劇場版は何故か数年前から、この夏の併映分のみは3D対応になってます。
戦隊の方は2009年のシンケンジャー夏映画から始まりこのゴーカイジャー夏映画で3年目、
同時上映のライダー映画も1年遅れて2010年のW夏映画から2年目です。
当初は珍しさも感じましたが、もう3年目ともなると慣れてきて、
もはや当たり前のことなので別に特筆するほどのことはありません。

さてロゴが出た後、本編のドラマ部分が始まり、まず川沿いの公園をランニングする男が現れます。
これはゴーカイシルバー伊狩鎧です。
ご丁寧に走りながら「ゴーカイシルバー伊狩鎧!今日もランニング絶好調!!」と、
思いっきり自己紹介&説明セリフを言います。

相変わらずバカっぽい男ですが、階段を駆け上がるといきなり立ち止まり、
モロにカメラ目線で、映画を観に来たお客さんに向かって指を突き立て
「お見せしよう!俺の華麗なる名乗り!」と、ものすごいドヤ顔で言います。
いきなりここで名乗りを見せる必然性は謎です。
しかもその場にはいないはずのカメラの向こうの観客に向けて名乗りをするというのですから、
これはいきなり冒頭から尋常ではないシーンです。

「よぉし!」と張り切った鎧は「ゴオオオオオカイ!シルバアアアアッ!!」といつもの、
他の5人の仲間よりもややくどい名乗りを素面で決めます。
つくづく素面で名乗るのが好きな男です。

このちょっと不自然なシーンは、この映画での鎧の出番が
この冒頭のシーンとラストシーンだけであることに関係があるのでしょう。
この映画が公開された8月6日時点ではTV本編は第23話まで放映済みであり、
第17話で登場して第18話でマーベラス一味の仲間入りをした鎧はもうすっかり番組に馴染んでいます。
この映画も時系列的には第23話の後、第24話の前の出来事と思われます。
しかし実はこの映画は第17話よりも前に撮影されています。

これは映画とTVドラマの製作スケジュールの違いによるもので、
どうしても製作に手間のかかる映画は撮影を早めにしておかないといけない。
それでこの映画の撮影は第17話の撮影よりも前だったのです。
ということは、TV本編で鎧が仲間入りする場面が作られるよりも前に、
この映画では既に鎧が仲間入りした前提で撮影が行われたことになります。

いや、そもそも第17話や第18話の鎧がマーベラス一味に加わるストーリーの脚本がまだ出来上がっていない段階で、
この映画の脚本は仕上げられた可能性が高いでしょう。
その脚本も撮影現場に至るまで、そして撮影現場でも様々な修正が入って放映エピソードが出来上がるわけですから、
この映画の脚本を書く段階から撮影をする段階においては、
実は鎧というキャラをマーベラス一味の中でどう動かしていいのか、
まだあまり構想が固まっていなかったと思われます。

そんな状態ですから、下手にマーベラス一味の既存の5人と絡めてしまうと、
実際はこの映画の撮影の後に撮影するのだが映画公開日よりも前にTV放送される
第17話から第23話における鎧の描写と矛盾が生じてしまう危険があります。
かといって、同時進行のTV本編では既に登場済みの鎧がこの映画に全く登場しないというのも、
そんな製作の事情を知る由もない観客の子供たちは奇妙に思ってしまうでしょう。
だから一応は鎧は登場させつつ、既存の5人とは出来るだけ劇中で絡めないで別行動扱いにするという
措置がとられているのです。

これまでのシリーズ作品でも、例年第17話あたりで登場する追加戦士は
夏映画ではこのように別行動で上手く処理されることが多い。
だがここ数年、ゴセイナイト、梅盛源太、須塔兄妹と、
TV本編でも基本的に初期5人とは別行動をとる追加戦士が続いていたため、
この別行動での処理は非常に自然であったのだが、
鎧の場合はTV本編ではガレオンに住んで初期5人と共に生活している設定になっているので、
この映画における別行動はやや違和感があります。

まぁそれはともかく、この映画における伊狩鎧というキャラは、
撮影現場においても「伊狩鎧」というキャラの初お目見えであったわけで、
演じる池田くんだけではなく、制作陣も含めて、
まぁいろいろとキャラのテンションや動きを試してみたかったのでしょう。
それでつい素面名乗りまでやってしまったら結構面白かったのでそのまま使ったのでしょう。

そうして誰もいない真夏の公園で、太陽の照りつける中、1人で素面名乗りを決めた鎧。
まぁどう見ても変質者や不審者の類ですけど、本人は至ってご満悦で
「・・・決まったね」と不敵にほくそ笑みます。
ところがそんな鎧に天が怒ったのか、突如空には黒雲が立ち込め雷鳴が轟きます。
「あ!?」と驚いて空を見上げた鎧は夕立かとも思いましたが、雨は降ってこず、辺りはまるで夜になったかのようです。

これはどうも異常で、自然現象とは思えない。
怪しんで空を覆った黒雲を見据えた鎧の目に、その黒雲の中から空を飛ぶ船が出てきて、
こちらに迫ってくるのが見えました。
「ザンギャック!?」と、鎧はいつものようにザンギャック艦が襲来したのかと思い、上空のその船を凝視しましたが、
近づくにつれてそれが今までに見たザンギャック艦とは全く違うことに気付きました。
それはボロボロな黒い帆船のような形で、船首に大きなドクロのマークがある、むしろ海賊船のように見えました。

「いや、違う!」と、それがザンギャック艦ではない未知の船だと判断した鎧は
「よぉし!ここは俺が!」と張り切ってゴーカイセルラーを取出し、ドラゴンレンジャーのレンジャーキーを装填し、
2番のキー(ドラゴンレンジャーが割り当てられている)を3連打して「カモォン!豪獣レックス!!」と言います。

このあたり、第17話撮影以前の実質的な鎧の初撮影時だけに、
まだゴーカイシルバー関連の設定が固まっていない段階であることが窺えます。
TV本編では鎧はゴーカイセルラーで豪獣神関係の巨大戦力を召喚する時は、
必ず最初はタイムファイヤーのレンジャーキーを使って豪獣ドリルを31世紀に繋がる時空の穴から召喚し、
その後、豪獣ドリルに乗り込んでから
ドラゴンレンジャーのレンジャーキーをコクピットに挿しこんで豪獣レックスへの変形を行ったり、
アバレキラーのレンジャーキーをコクピットに挿しこんで豪獣神への変形を行ったりしています。

だから、TV本編ではゴーカイセルラーにレンジャーキーを装填してキーの3連打をするのは
タイムファイヤーのレンジャーキーの場合だけであり、
ドラゴンレンジャーのレンジャーキーでこの動作を行ってキーを3連打するのはこの映画のこのシーンだけです。
しかもこのシーンは鎧が2番のキーを3連打すると、それに合わせてキーから
ドラゴンレンジャーの顔のCGが3連続で浮かび上がってくるという演出がなされていますが、
TV本編ではタイムファイヤーのレンジャーキーで豪獣ドリルを召喚する際にはこのような演出はなされていません。

まぁ劇場版では普段TV本編ではやらないような派手な演出がなされることは多々あり、
特にこの映画は3D対応なので、こうした飛び出す演出を採用したのかもしれませんが、
おそらくはゴーカイセルラーで直接、豪獣ドリルを経ずに豪獣レックスを召喚するという描写も合わせて、
まだゴーカイシルバー関連の演出案が固まっていなかった頃の1つの試行錯誤なのでしょう。

ここでは鎧がゴーカイセルラーで召喚すると、
まるで夜のようになったビル街に豪獣レックスが雄叫びを上げて出現します。
この段階ではまだ時空の穴とか関係無く出現する設定のようです。
その豪獣ドリルを見て、鎧は「さぁ!ギンギンにいくぜ!!」と張り切って、
ゴーカイシルバーのレンジャーキーをゴーカイセルラーに装填し、錨マークのキーを押します。

するとやはりここではゴーカイシルバーの顔のCGが浮かび上がってきて、
鎧はそのままゴーカイセルラーを突き出して跳び上がり
「豪快チェ〜ンジ!!」と、なんだかデカレンジャーっぽいようなウルトラマンっぽいような
飛び込んでくる変身バンクでゴーカイシルバーに変身。
まぁ変身バンクに関しては他の5人と同系統のTV本編のものが最初から決定していたでしょうから、
ここの場面のは完全に3D対応のこの映画専用の変身バンクなのでしょう。

そうして変身した鎧は豪獣レックスのコクピットに乗り込み、
「よぉし!豪獣ドリルになって、あの船を調査・・・」と言って、
豪獣レックスを飛行能力のある豪獣ドリルに変形させて上空の謎の船に調査に行こうとします。
だったら最初から豪獣ドリルを召喚すれば良さそうなものですが、
そうすると豪獣レックスや豪獣神の出番が無くなるので最初から豪獣レックスで登場させたのかもしれません。

このあたり、もしかしたら制作陣は販促のために豪獣レックスや豪獣神を見せたくて、
そういう思惑も絡んで豪獣レックスがいきなり召喚されるという異例の演出となっているのかもしれません。
何にしてもTV本編ではそのあたりの販促ももっと上手くやっているので、
豪獣神関連の初撮影であったと思われるこの映画では、まだ試行錯誤段階で、
いろいろと豪獣神関係の演出はまだ粗いように見受けられます。

さて、しかし鎧が豪獣レックスを豪獣ドリルに変形させようかとしたその時、
上空の謎の帆船から何かが飛び降りてきました。
地上に降り立ったものは巨大ロボットで、それはなんとゴーカイジャーの巨大ロボ、ゴーカイオーでした。

「・・・ゴーカイオー?・・・なんで?」と鎧は戸惑いました。
ゴーカイオーはマーベラス一味の居住する船であるゴーカイガレオンが合体変形したロボットです。
鎧は普段そのガレオンで生活しており、
ついさっき停泊中のガレオンから地上に降りて1人でランニングしていたら謎の空飛ぶ帆船が出現したのです。
その帆船からいきなり、さっきまで自分がいたはずのガレオンの変形したゴーカイオーが現れるというのは、
どうも変でした。

それにどうもゴーカイオーの様子がいつもとは違います。
左手は鉤爪のようになっており、脚のあたりの配色も黒っぽく、変な黒いマントもしています。
ただゴーカイオーというのは「大いなる力」を使用することで微妙にその形を変えるロボなので、
鎧はこれもまたゴーカイオーの自分の知らない1つの変形形態なのかと思い、
「マーベラスさん・・・そのマントはいったい・・・?」と、
ゴーカイオーを操縦しているはずのマーベラスに向かって訊ねます。

ところがその変な形のゴーカイオーは鎧の問いかけは無視して、いきなり豪獣レックスに斬りかかってきたのです。
不意打ちを喰らった鎧は驚き、「あうっ!?・・・ゴーカイオーじゃない・・・!」と、
ようやく目の前の巨大ロボットがゴーカイオーに酷似した別の巨大ロボットであり、
しかも自分に対して敵意を持った存在であることに気付きました。
慌てて反撃した鎧でしたが、謎の偽ゴーカイオーは右手の剣と左手の鉤爪で執拗に攻撃してきます。

それに対して鎧は豪獣レックスの尻尾の豪獣レックスドリルの一撃で偽ゴーカイオーをひるませるものの、
偽ゴーカイオーはかなり強いようで、豪獣レックスドリルでも大したダメージも受けていない様子で、
豪獣レックス目がけて機銃を撃ちまくってきます。
その激しい砲火の中、鎧は「ここで俺がやられたら地球にピンチがやって来る!でっかい未来が危ないぜ!
ギンギンにいくぜ!!」と、アバレキラーのレンジャーキーをコクピットに挿しこんで豪獣神にチェンジし、
偽ゴーカイオーに突進します。

この偽ゴーカイオーの意図はよく分かりませんでしたが、
この場に鎧がいたのは偶然ですから、もし鎧がすぐに豪獣レックスを召喚して戦わなければ、
この偽ゴーカイオーは街を無差別に攻撃しようとしていたと想像できます。
つまり地球に敵意を持った敵だということになり、ここで自分が負けたら街が攻撃されるに違いない。
だから負けるわけにはいかないと鎧は思いました。
ちなみにここの鎧のセリフの「地球にピンチがやって来る!でっかい未来が危ないぜ!」というのは
「超新星フラッシュマン」のOPテーマの歌詞のフレーズです。

こうして懸命に豪獣神で戦う鎧でしたが、偽ゴーカイオーもそれを上回るほどの強さを発揮し、
じりじりと押された豪獣神は偽ゴーカイオーの目から発したレーザー光線を喰らい、ダメージを受けて後退します。
豪獣神はこのままだとピンチです。

ところがその豪獣神の姿を見て、
偽ゴーカイオーの中から謎の声が「もっともっと・・・強くなければ話にならん!仲間を呼んで出直してこい!!」と響くと、
偽ゴーカイオーはマントを翻して豪獣神に背を向け、上空の黒い帆船に向かって跳び上がっていきました。
「待て!!」と鎧が驚いて呼び止めますが、黒い帆船は偽ゴーカイオーを収容すると飛び去っていってしまいました。

戦いは偽ゴーカイオーの方が優勢で、あのままだと豪獣神は倒されていたはずです。
それなのに偽ゴーカイオーは戦いをやめて去っていってしまいました。
街を破壊することも目的ではなかったようですし、豪獣神や鎧を倒すことも目的ではなかったようです。
仲間を呼んで出直してくるように言っているということは、強い相手との戦い自体が目的なのかとも思えましたが、
それでは別に鎧を見逃す理由にはなりません。
偽ゴーカイオーや黒い帆船の意図が全く分からず、鎧は豪獣神のコクピットを叩いて悔しがるのでした。

さて場面は変わってゴーカイガレオンの船室では、
鎧からの偽ゴーカイオーとの戦いについての報告がもたらされていました。
この場面には鎧は登場せず、この後、この映画のラストシーンまで鎧は出てきません。

どうして鎧がガレオンに戻ってきていないのかについては、
制作的な裏事情としては前述したように、この段階ではまだ鎧と既存5人をあまり絡めたくないからなのですが、
劇中説明的にはその理由はちょっと不明です。
戦いで怪我でもして帰りが遅れているとでも解釈しましょう。
それで連絡だけは外からしてきたようです。

その連絡を受けてルカが「あいつがそんな簡単にやられるなんてねぇ・・・」と船室内の仲間たちに向かって、
少し心配そうに言います。
鎧が心配というより、鎧を負かしたという謎の敵のことが気にかかるようです。
「かなりの強敵ですね・・・」とアイムも不安げです。

ただ、ルカもアイムもただ単に相手が鎧の豪獣神をも負かすほど強いという理由だけで
いつになく動揺しているわけではありません。
「・・・しかも、ゴーカイオーに似てるってのはどういうことなんだ?」とジョーが
マーベラスの方を向いて問い質したように、
その鎧が戦った相手というのがゴーカイオーと酷似していたという鎧からの報告に、
みんな何とも言えない不気味さを感じているのです。

ゴーカイオーはゴーカイジャーだけの持ち物であり、量産型の巨大ロボなどではないはずですから、
ゴーカイオーに酷似したロボットが他に存在するはずがない。
そのはずだとジョー達は思っています。
それで、ゴーカイオーに変形合体するゴーカイガレオンに赤き海賊団時代から乗っていた
船長のマーベラスならば何か心当たりがあるのではないかと思い、ジョーはマーベラスに問い質したわけですが、
マーベラスにも自分達のゴーカイオー以外に別のゴーカイオーが存在するなど皆目見当のつかない話であったので、
黙って考え込み、答えません。

そこにハカセがやって来て「鎧が送ってくれた画像、プリントしてみたよ」と言って、1枚の紙を差し出します。
そこには例の黒い帆船の姿がプリントされていました。
鎧は偽ゴーカイオーの姿を撮影する余裕は無かったようですが、
上空に浮かんで迫ってきていた黒い帆船は豪獣レックスのカメラで撮影することには成功していたようです。

そのボロボロの黒い帆船の異様な姿を見て、アイムは「これって・・・」とまるで幽霊船のようだと思い言葉を失いました。
ところが、その画像を見てナビィが何故か過剰な反応を示し、
「わあああ!!幽霊船!幽霊船だあああ!!」と大騒ぎして怯えて飛び回ります。
アイム、ハカセ、ルカはナビィの異常な怯えっぷりに怪訝そうな顔をしますが、
ジョーまでもその画像のプリントされた紙を手に取って、驚いた顔で
「間違いない・・・宇宙を彷徨い、死者の魂を呼び寄せるという噂の船だ・・・!」と言うのでした。

どうやらナビィとジョーはこの謎の黒い帆船の正体を知っているようで、
それは宇宙を彷徨う有名な幽霊船であるようです。
ナビィとジョーというと、このマーベラス一味のメンバーの中では古参メンバーであり、
この2人が知っているということは、やはりマーベラスもこの幽霊船のことは知っているようで、
画像を横目で見ると立ち上がったマーベラスは「・・・そして、この船にはとんでもねぇお宝が積まれてる!」と言って、
その画像の紙をジョーの手から掴み取り、不思議そうな顔で見守る一同に背を向けて数歩進みながら
「・・・ゴッドアイ・・・どんな夢も1つだけ叶える宝玉・・・海賊の間では有名な代物だ・・・!」と言います。

このゴッドアイという秘宝のことはジョーもナビィも知らなかったようです。
つまり、チンピラだったとはいえ、もともと一応は海賊であったマーベラスは
赤き海賊団に入る以前の昔から、この海賊業界では有名な噂となっていた幽霊船の話も、
そこに積まれているという噂のゴッドアイという秘宝の話は知っていたようですが、
別にそのことを赤き海賊団に入ってから話題にしたことも無いようです。
だからナビィもゴッドアイのことは知らなかったのでしょう。

マーベラスは赤き海賊団のアカレッドやその飼っていたオウムロボットのナビィは
もともと海賊だと思い込んでいましたが、実際はアカレッドは海賊ではなく地球のスーパー戦隊の関係者でした。
だからアカレッドは海賊ではなくナビィも海賊の仲間ではない。
よってアカレッドもナビィも幽霊船のこともゴッドアイのことも知らなかった。
マーベラスはアカレッドもナビィも海賊なのだから幽霊船の噂もゴッドアイの噂も当然知っていると思って、
赤き海賊団に入って以降も彼らの前であえて幽霊船に関する噂話などしなかったのでしょう。

そもそも赤き海賊団は「宇宙最大のお宝」一筋の海賊団だったから、
そんな幽霊船やゴッドアイのことなどどうでもよかったのです。
そういうわけでナビィは幽霊船もゴッドアイのことも知らなかった。
そしてジョーもルカもハカセもアイムも、それに鎧ももちろん、
彼らは皆、もとは海賊ではなかったのですから当然、幽霊船の噂もゴッドアイの噂も知りませんでした。

ただ、ジョーとナビィだけは幽霊船の噂だけは知っていたというのはどういうわけかというと、
おそらくマーベラス一味をマーベラスとナビィが旗揚げしてジョーが加わった後、ルカが加わるまでの時期に、
他の海賊との接触などによってナビィとジョーは幽霊船の噂を耳にする機会があったのでしょう。
それは宇宙を彷徨うボロボロの黒い大きな帆船で船首に大きなドクロのマークがあり、
死者の魂を呼び寄せるという噂であったのでしょう。

ただ、その時マーベラスもその場にいたであろうと思われるのですが、
どうしてマーベラスはその時にゴッドアイの話題を出さなかったのか?
それはおそらく、「宇宙最大のお宝」一筋のマーベラスにとっては
幽霊船やゴッドアイは大して興味のある対象ではなく、
おそらくそんな幽霊船など実在しないと見なしていたからでしょう。

夢想家であるマーベラスらしくないようにも思えますが、
もともとはマーベラスは「宇宙最大のお宝」さえ単なる伝説に過ぎないと見なしていた、意外に現実的な人間でした。
マーベラスは単に「夢は諦めたら手に入らない」とアカレッドに諭されて、
それであえて「宇宙最大のお宝」の実在を信じることにしたのです。
だから伝説のお宝ならば何でもかんでも片っ端から実在を信じるという天性の夢想家というわけではない。

マーベラスにとって実在すると信じる価値のある夢、すなわちお宝は「宇宙最大のお宝」だけであり、
根は意外に現実主義者のマーベラスは幽霊船やゴッドアイなどは実在しない、
そんなものはただの宇宙の船乗りに言い伝えられた怪談だと思っていたようです。
だからナビィやジョーと一緒にいた時に幽霊船の話題が出た時も、そんな藩士はどうでもよく、
あまり話に乗ることもなく、ゴッドアイの話題も出していなかったのでしょう。

そしてマーベラスがそんな調子ですから、ジョーもナビィも幽霊船はどうせ実在などはしない、
ただの宇宙の怪談の類だろうと思い、記憶の片隅に追いやり、
その後に仲間になったルカやハカセやアイムや鎧にも幽霊船の話などしたこともなかったのでしょう。

ところが、今回、鎧が撮影した画像を見ると、かつて噂に聞いた幽霊船そのものであったので
マーベラス、ジョー、ナビィの三者はビックリしたのです。
ナビィは幽霊船が実在して自分達の敵となったことが怖いので怯え、
ジョーは本当に幽霊船が実在していたことにただ驚き、
マーベラスは幽霊船が実在しているのならゴッドアイも実在しているに違いないと思ったのです。

そのゴッドアイは「どんな夢も1つだけ叶える宝玉」だとマーベラスはかつて噂で聞いていました。
そんな都合のいい宝玉など存在するわけがない、
だいたいそれを積んでいるという幽霊船だって、そんな怪しげなものが存在するはずがないと
マーベラスは思ってきました。
しかし幽霊船は実在した。
幽霊船が実在するぐらいならば、どんな夢も叶えるゴッドアイだって実在しているのではないかと
マーベラスは思い、ムクムクと好奇心が湧きあがってきました。

ところが、それを聞いてハカセは興奮して立ち上がり
「すごいや!それを手に入れて、宇宙最大のお宝が欲しいって願えば・・・!」と言い、
言葉を継いでルカも「大いなる力とか関係無く一気にゲットできる!やったねぇ〜!!」と大喜びで
ハカセの身体を叩きます。

マーベラスは単にゴッドアイがもし実在するのなら興味深いと思っただけだったのですが、
確かにハカセやルカの言う通り、ゴッドアイがもし「夢を叶える宝玉」だとすれば、
ゴッドアイを手に入れて「宇宙最大の夢を手に入れる」という夢を叶えるように願えば、
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るということに気付きました。

現状、「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにはスーパー戦隊の34の「大いなる力」を揃えなければならない。
その「大いなる力」はこの時点でマーベラス達は22個集めており、残りは12個です。
ペースとしては一応順調とはいえますし、その手間を特に面倒だとも思っていなかったマーベラスですが、
最近バスコという邪魔者が現れて、「大いなる力」を横取りするために何かと画策してくるのが
鬱陶しいと感じていました。

バスコに「大いなる力」を奪われること自体への焦りは、
少し前に元ボウケンレッドの明石との冒険の時に解消しました。
しかし先日、元ゴーピンクの巽マツリから「大いなる力」を奪うためにバスコは
無関係の少年の命を盾にとって脅迫してきたりしました。
「大いなる力」の奪い合いのせいでレジェンド戦士や一般人に危害が及ぶ可能性も生じてきたのです。
そのことを思い出すと、マーベラスは「大いなる力」争奪戦をスルーして「宇宙最大のお宝」が手に入るのなら
それに越したことはないと思いました。
そう考えるとマーベラスはゴッドアイをますます欲しくなり、何とか手に入れたくなってきました。

しかし、そこでアイムが「ちょっと待ってください」と慌ててハカセとルカを落ち着かせるように口を挟みました。
アイムは「・・・先ほどの噂が本当なら死者の国に引き込まれてしまう恐れがあるのではないですか?」と
慎重に確認するように問いかけます。

噂というのはジョーの言っていた「幽霊船は死者の魂を呼び寄せる」という噂のことです。
つまり幽霊船の中には死者の魂がウヨウヨいるということであり、
ゴッドアイを手に入れるために幽霊船の中に乗り込んで、そんな死者の魂の群れの中に入っていけば、
どう考えても無事では済みそうもない。
死者の魂にとりつかれて自分達も死者の国に引き込まれてしまうのではなかろうかとアイムは不安になったのでした。
というか、アイムはそういう危険が当然予想されるのに能天気にはしゃいでいる
ハカセやルカの方が見ていてちょっと怖いような気がしました。

ジョーもアイムの後ろで腕組みをして
「ああ・・・幽霊船に立ち向かって、今までに生きて帰ってきたヤツはいないからな・・・」と呟きます。
アイムにそう言われてジョーは幽霊船に関して昔聞いた噂には、
幽霊船に乗り込んで生きて帰ってきた者はいないという噂も含まれていたことを思い出したのです。
今まではその噂自体、ただの宇宙の怪談の類だと思って信じていなかったジョーですが、
こうして幽霊船そのものの実在が明らかとなった以上、その噂も本当のことなのかもしれないとジョーは思いました。

つまりこれまでにもゴッドアイ目当てに幽霊船に乗り込んだ者は本当に何人もいたが、
全員生きて戻ることは出来なかったのではないだろうか。
それはつまり全員命を落としたということであり、
噂通りに幽霊船内が死者の魂で満ちているとするならば、
アイムの言うように幽霊船に挑んだ者達は全員、死者の国に引き込まれてしまったのかもしれない。

ナビィもジョーと同じように怪談は本当の話だったのだと思い、そんな怖い場所に行くのに怖気づき、
「ああ〜怖いよぉ〜・・・どうするの?ど〜するの?みんなぁ〜・・・」と焦って船室内を飛び回り、狼狽えます。
そしてナビィは「ねぇねぇねぇねぇ!マーベラスゥ〜?」と縋るように、
皆に背を向けたまま立つマーベラスの方に飛んでいきます。

マーベラスは、さすがに死者の国に引き込まれるとか、そんなことはないだろうとは思いましたが、
幽霊船が実在してその伝説が伝わっている以上、
かつて幽霊船に挑んだ海賊たちが存在したのは事実なのだろうと思いました。
そして生きて戻った者がいないというのも事実であろうと思いました。
だからこそ死者の魂を呼び寄せるとかいうのはあくまで噂なのだと思ったのです。

何故なら、幽霊船に行って生きて戻った者がいない以上、
幽霊船の中がどうなっているかなど実際のところは誰も知っているはずがないからです。
幽霊船に挑んだ者が誰ひとり生きて戻ってこなかったことから海賊たちの間で恐怖が生まれ、
その恐怖心が死者の魂がどうのこうのという噂を生み出したに過ぎないのだとマーベラスは思いました。

しかし、となると、誰も幽霊船の内部の実態を知らないのだとするなら、
もしかしたらやはりゴッドアイも実在しないのかもしれない。
だがゴッドアイ目当てに多くの海賊が命を落としてきたのはどうやら事実のようだから、
幽霊船にゴッドアイが存在するという話にはそれだけの信頼性はあると思えました。

そして間違いない事実は、幽霊船にはとんでもない危険が待ち構えているということです。
1つ確かなことは、そこにはどういうわけかゴーカイオーにそっくりな巨大ロボットがあるらしいことです。
どうしてゴーカイオーそっくりな巨大ロボがあるのかマーベラスにはさっぱり分かりませんでしたが、
とにかくその偽ゴーカイオーは豪獣神を負かすほどの強敵であるということで、
それだけでも十分、幽霊船には危険が潜んでいると言っていい。
その上に、他にどんな危険が潜んでいるか想像もつかない。

しかしマーベラスには迷いはありませんでした。
「・・・だが!・・・お宝のために命を賭ける・・・」と言うと、マーベラスは皆の方に振り向いて
「それが海賊ってもんだろ!」とニヤリと不敵に笑います。

マーベラスはもう既にゴッドアイというお宝を手に入れたいと思ってしまっていました。
欲しいお宝は自分の手で掴み取る。それを邪魔する者はぶっ潰す。それが海賊のシンプルな行動原理でした。
相手が誰であろうが、どんな強大な敵であろうが、お宝を掴み取るためには決して逃げずに戦い、ぶっ潰す。
そのポリシーは曲げられない。
それが命懸けの戦いになろうとも、勝ち目が無かろうとも、たとえ相手が幽霊であろうとも、
とにかく一旦手に入れると心に決めたお宝を掴み取るために突き進む。
それが海賊なのであり、それを曲げてしまうと、もはやマーベラス達は海賊ではなくなってしまう。
だから、海賊である以上、ここでマーベラスが迷うということは決して無いのです。

仲間たちもマーベラスの言葉を聞いて、
マーベラスがゴッドアイを手に入れたいお宝として狙いを定めたことを悟り、
マーベラスがそうなった以上は相手が生きて帰った者のいない難攻不落の幽霊船だろうが何だろうが、
もはや突き進むしかないと悟りました。

それはマーベラスが海賊だからであり、
そして同時にジョーもルカもハカセもアイムも海賊でしたので、
マーベラスと想いは1つ、やはりゴッドアイを手に入れ、そして「宇宙最大のお宝」を手に入れたいと思った以上、
ゴッドアイ目指して突き進むことに迷いはありませんでした。
「幽霊船のお宝目指して、全速前進だぁっ!!」と号令をかけるマーベラスに、
4人は声を合わせて「おお!!」「OK!!」「うん!!」「はい!!」と力強く応えました。

ここでマーベラスが幽霊船の画像の紙を放り投げて、それが画面いっぱいに広がって幽霊船が画面に大映しとなり、
その後、マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの5人のそれぞれの紹介カットに重ねて
「宇宙最大のお宝を目指して地球に舞い降りた5人!
それは海賊の汚名をあえて名乗り、夢に向かって突き進む豪快な奴らだった!」というナレーションが流れます。

それぞれの紹介カットは宇宙空間を背景にそれぞれの変身前姿と、それぞれの手配書が配置され、
手配書の似顔絵欄にはそれぞれの変身後姿の画像という感じになっています。
そしてそれぞれの個人紹介カットに役名とキャスト紹介テロップが出ます。
なお、この映画はあくまで初期メンバー5人がメインなので鎧はこの個人紹介カットは与えられていませんで、
後で普通にテロップだけで紹介されています。

そして宇宙空間をバックにゆっくり並んで歩く5人のカットに海賊旗がバックに変わると、
同時に5人は変身後姿に変わり、この映画のタイトル文字が飛び出してきて、
「海賊戦隊ゴーカイジャー!THE MOVIE!空飛ぶ幽霊船!!」とそれが読み上げられ、
ここでタイトル文字が出て導入部が終わってここからいよいよ物語が本格的に動き出していきます。

さていつものTV本編ならば、このタイトル文字の後はOPテーマとなるのですが、
この映画の場合はこのままドラマ部分が続きます。
ただし、普通にドラマが進行していきながら、この後、ガレオンが幽霊船の中に突っ込む場面までは、
画面上にはキャストやスタッフの紹介テロップがポンポンと出ていくことになります。

まずはここで場面は宇宙空間に展開するザンギャック地球侵略軍の旗艦ギガントホースの司令室の
TV本編でもお馴染みのシチュエーションの場面となります。
この映画にも一応ちゃんとザンギャックの皆さんも登場します。まぁちょっとだけですけど。
どうやらここでは司令室に集まって幹部たちから現在の諸状況の報告を
司令官ワルズ・ギルが受けている場面のようです。

司令官席に座って幹部たちの報告を受けていた司令官ワルズ・ギルは、例の幽霊船の件も報告を受けたようで、
それを聞くと驚いて「なぁんと!?あの幽霊船が地球に!?ゴッドアイを積んでいるというアレか!?」と問い返します。
ワルズ・ギルは幽霊船やゴッドアイの言い伝えを知っていたようです。
それを聞いてダマラスが不思議そうに「・・・その通りですが・・・何か?」と
ワルズ・ギルの心中を伺うように問い直します。

ダマラスも幽霊船の伝説のことは知っていたようで、
まさかそれが実在して、こうして地球に現れたということには驚いていたものの、
だからといって自分達の地球征服事業に特に関係のあるようなことでもないと思い、さして重要視していませんでした。
まぁ一応はちょっと珍しい事としてワルズ・ギルへの報告の中に入れ込んでいただけであり、
まさかワルズ・ギルが食いついてくるような話題とも思っていなかったので
ダマラスはワルズ・ギルの鋭い反応を意外に思ったのでした。

もしかしたら幽霊船を使った何か斬新な作戦でも考え付いたのかもしれないと、
あんまり期待しすぎないようにしてダマラスが問うと、
ワルズ・ギルは指令席から駆け降りてくると得意げに
「分からないのか!?それがあれば地球征服など一瞬で終わるのだぞ!!夢のお宝ではないかぁ!!」と
興奮気味にまくしたてます。

ダマラスは案の定のワルズ・ギルの安直っぷりに失望しました。
ワルズ・ギルは何でも夢が叶うというゴッドアイを手に入れて
「地球を征服したい」という夢を叶えようとして考えているのです。
しかし何とも情けない。
確かに思わぬ海賊の邪魔で苦戦に陥ってはいるものの、
地球征服ぐらいは自力で成し遂げなければザンギャック帝国の皇太子として恥ではないか。
お宝の力に頼って何の努力もせずに地球征服の成果だけ得ようとは虫が良すぎる。

だいいち何でも夢が叶う宝が手に入れば帝国の後継者として願うべき夢ならば
他にもっと気宇壮大なものがありそうなものです。
それなのに自分の目先の課題の達成に安直に使おうなどとは、
本当に自分の目先のことしか見えていない小人物と言うほかない。
いや、そもそも徹底した現実主義者のダマラスは、
たとえ伝説通りの姿の幽霊船が実在したとしても、
何でも夢が叶うなどという都合のいいお宝がこの世に存在するなどとは到底信じていないのです。

そんな在りもしないものに頼ろうというワルズ・ギルの浮ついた考え方自体を情けなく思い、
ダマラスは進み出て「殿下!・・・そのような安易なお考えは・・・!」と意見しようとしますが、
ワルズ・ギルはまたダマラスの鬱陶しい小言が始まったと思い、
「うるさぁ〜い!!」と大声を張り上げて怒鳴り、「うるさい!うるさい!うるさぁ〜い!!」と喚き散らして
ダマラスを黙らせながら司令席に駆けあがり、椅子にしがみついて
「どんな手を使おうと、征服は征服だぁ〜っ!!」と駄々っ子のように吠えます。

ダマラスは呆れて黙り込み、
代わってインサーンが「ワルズ・ギル様・・・それならお急ぎになられた方が・・・」と進み出ます。
続いてバリゾーグも「海賊どももおそらくゴッドアイを狙っているかと・・・」と進言します。
インサーンもバリゾーグも地球征服の手段へのこだわりやゴッドアイの正体など別に興味は無い、
ただのワルズ・ギルのイエスマンですから、ワルズ・ギルがゴッドアイを所望ならその決定に従うだけのことです。

ただ、ゴッドアイを手に入れるなら早く動かねばならない。
ザンギャック軍は地球に突如現れた幽霊船がゴーカイジャーと交戦したことを既に知っていました。
つまりゴーカイジャーも幽霊船の存在を知ったということであり、
彼らが海賊である以上、ゴッドアイの伝説も知っているはずであるから、
きっとゴッドアイを手に入れようとするはずだと、インサーンとバリゾーグは読んでいました。
早く動かねばゴーカイジャーに先を越される危険があるのです。

それを聞いたワルズ・ギルは「なにぃ!?」と驚いて振り向き、「うう〜む・・・」と焦ります。
あの忌々しい海賊どもとゴッドアイを奪い合うとなると、並の行動隊長では危うい。
ゴッドアイを海賊に横取りされてたまるかと怒りを滲ませ、
ワルズ・ギルは「バリゾーグ!インサーン!ただちに出撃だぁぁっ!!」と幹部2人にこの重大任務を命じ、
インサーンとバリゾーグは「はっ!」と恭しく一礼して司令室を退出していったのでした。

一方、マーベラス一味はさっそく幽霊船の探索を開始していました。
結局、鎧は伴わずに今回は5人で幽霊船に乗り込むことにしたようです。
これは制作的な事情なのですが、まぁ一応劇中での事情を脳内補完しておくとすると、
まず鎧が先の偽ゴーカイオーとの戦いで負傷したこともあるでしょうが、負傷自体はまぁ大したことはない。
むしろ、幽霊船でどんな危険が待ち受けているか分からないので、
5人が幽霊船で最悪の事態に陥った時に鎧が連絡を受けて助けに向かうことが出来るように、
鎧を待機させていると解釈した方がいいでしょう。

また、どうして鎧が待機要員なのかというと、鎧が豪獣ドリルの操縦者であるからというのも大きな理由ですが、
鎧のモチベーションの問題も考慮したのでしょう。
鎧はあくまでザンギャックを倒して地球や宇宙を平和にするという夢を実現するために海賊になったのであり、
お宝探しに賭けるモチベーションはマーベラス達ほどは高くない。
実際、バスコとの「大いなる力」争奪戦の場合、まだあまり戦う意義が
自分の中でピンときていない様子も見受けられました。
そんな鎧を極めて危険なお宝探しの探検となる幽霊船への突入に同行させるのは、
マーベラス達も少し危険な気がしたのです。

さて、そういうわけで5人の乗ったゴーカイガレオンは地球上空の何処かにいるのであろう幽霊船を探し求めて、
どんどん空を進んでいきます。
見張り台には5人の中で一番目が利くルカと、付き添いでアイムが昇っており、空を見回していました。
そうしていると、ガレオンはやけに厚い雲の中に入っていきました。

「雲が多いですね・・・」と少し困った顔でアイムが言います。
こう雲が多くては視界が悪くて幽霊船を探すどころではない。
しかし、これだけ探しても幽霊船が見つからないということは、
幽霊船は雲の中に隠れているのではないかとルカは思い、黙って雲の隙間に目を凝らします。

その時、鋭く雷鳴が轟き、アイムは思わず「きゃあっ!」と叫んでルカにしがみつきます。
ルカは鎧が雷鳴と共に幽霊船が現れたと報告していたことを思い出し、幽霊船は近くにいるのではないかと思いました。
そうして雲の切れ目に視線を凝らし、雲の切れ目に黒い物体が浮かんでいるのを遂に発見したのでした。
「見えた!」とニヤリと笑ったルカはモバイレーツで「左舷90度!近いよ!」と操縦席のマーベラスに連絡します。
幽霊船は雲を隔てて、実はすぐ近くにいた。そのようにルカには見えたのです。

マーベラスはルカからの連絡を受けて操舵輪を回してガレオンを左に旋回させました。
すると正面に、確かに鎧から送られてきた画像と同じ黒い幽霊船が見えました。
「あれか!・・・見つけたぜ!」と、マーベラスはさっそく横付けして乗り込んでやろうとガレオンを前進させます。

ところが、ガレオンはなかなか幽霊船に到達できません。
実は幽霊船はそんなに近くにいたわけではなかったのです。
近くにあるように見えたのは目の錯覚でした。
実はかなりガレオンと幽霊船の間には距離があったのですが、
あたかも近くにあるように見えたのは、幽霊船がおそろしく巨大だったからです。

そういうわけなので、近づくにつれて幽霊船はどんどん大きくなっていきます。
船室のモニターに向かっていたハカセは「ちょ・・・嘘でしょ!?・・・どんだけ大きいの!?」と驚き呆れます。
横に立ったジョーもモニターに映った幽霊船の巨大さに唖然としながら
「・・・高さは20倍以上はあるだろうな・・・」と呟きます。
ハカセはガレオンが小舟以下の大きさに見えてしまうほどの、
予想を遥かに超える幽霊船の圧倒的な大きさに「ほえええ〜・・・!」と絶句し、
見張り台から船室に降りてきたルカもアイムも唖然としてモニターを見ます。

しかし操縦室のマーベラスは全く臆することなく、「よぉし!一気に突っ込むか!!」とガレオンを全速前進させて、
巨大な幽霊船の下に潜り、その船底の下ギリギリのところを突っ切っていきます。
ハカセの「うわあああああ!!」という絶叫がガレオン内に響き渡りますが、
難なく幽霊船を追い越してその船首の下部に出たガレオンは、
そこにある巨大なドクロの口からどうやら船内に入ることが出来るようだと判断したマーベラスによって、
ドクロの口の中に突っ込んでいったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 11:34 | Comment(2) | 海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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