2013年03月11日

海賊戦隊ゴーカイジャー妄想物語その13


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さて、レジェンド大戦終了直後に戻って、今度はザンギャック側の動向を見ていきます。

ザンギャック本星の総司令部では、地球に派遣している自軍の全軍が地球でしつこく抵抗を続けていたスーパー戦隊という連中を倒した上で最後にゴセイジャーを討伐するために全軍が集結し、いよいよ地球征討戦争を勝利して終えるところまでこぎつけたのだと理解していました。ところが地球でその最後の戦いにザンギャック全軍が突入した後、地球派遣軍からぷっつり連絡が途絶えてしまったので総司令官のワルズ・ギルや参謀総長のダマラスをはじめ、幕僚たちはみんな不審に思いました。
月面に前線基地はあり、全軍が総攻撃のために地球方面に出払っていて、月面基地には少数の警備兵と数隻の戦艦、あとは整備班などの非戦闘要員しか残っていませんでしたが、ワルズ・ギルが月面基地に状況を問い質したところ、どうやら全軍が突如激しい戦闘に巻き込まれた様子で、月面基地でもあまり状況は把握出来ていないようでした。
そうこうしているうちに地球で戦っているザンギャック軍を検知する反応が月面基地のレーダー上から見る見る減っていき、遂にはそれが全部消えてしまったので、信じがたいことだが自軍は全滅したようだと月面基地では結論を出すしかなく、その旨をザンギャック本星の総司令部に報告してきました。
0107.jpgワルズ・ギルは自分の指揮する作戦で配下の軍が全滅したなどという不名誉を現実として受け入れることが出来ず、何度も月面基地に事実確認をするよう繰り返し指示しましたが、月面基地は様々なデータを示して、どういう事情によってなのかは不明ながらとにかく地球派遣軍が月面基地の僅かな数の留守番部隊を残して全滅したのは間違いないと伝えます。それでもワルズ・ギルは信じようとはせずに月面基地の兵と押し問答を続けていましたが、参謀総長のダマラスはこれは一大事だと思い、すぐに司令室を出て皇帝アクドス・ギルに拝謁し、事の次第を報告しました。するとその話を聞いたアクドス・ギルはすぐにダマラスを伴って司令室にやって来て、緊急事態だと言ってワルズ・ギルから指揮権を取り上げて事態の収拾にあたることにしました。
アクドス・ギルは息子ワルズ・ギルが困った失態をやらかしてくれたものだと思いましたが、それでも帝国の後継者であるワルズ・ギルに非があるという形にするわけにはいかなかった。息子個人のためならばむしろ厳しく叱責する方が良いのでしょうが、アクドス・ギルが重視したのはあくまで自らの築き上げた帝国の安定であり、そのためにはただでさえあまり評価の高くない皇太子ワルズ・ギルの責任を追及するようなことは出来ません。
ワルズ・ギルは何ら欠点の無い無謬の総司令官でなければならず、それは別に虚像でも構わないというのがアクドス・ギルの考え方でした。だからこそ司令室でこれ以上息子が醜態を晒すことがないように一旦指揮権を取り上げてワルズ・ギルを退室させたのですが、ワルズ・ギルの方は指揮権をいきなり奪われて、父が怒っているのだと思い怖くなり、父に告げ口をしたダマラスを不快に思い、更に自分は父とダマラスに恥をかかされたのだと考えて腹立たしく思いました。

一方、司令室に残ったアクドス・ギルとダマラス以下の幕僚たちの許には月面基地から思わぬ報告が寄せられました。それは地球で全滅した軍の生き残りが月面基地に戻ってきたという報告でした。戻ってきたのは例のシドの上官の特殊部隊の隊長ただ1人でした。その隊長の報告は以下の通りでした。
彼の乗っていた戦艦がゴセイジャー討伐のために所定の目的地で戦闘に従事していたところ、突然背後から攻撃を受けました。既にゴセイジャー以外のスーパー戦隊は撃破したとの報告は受けていたので一体何者による攻撃なのか分からず、ザンギャック軍は混乱状態に陥り同士討ちまで始める始末でしたが、暫くすると襲ってきた敵はスーパー戦隊らしいと判明しました。信じられないことに全く何の前触れもなくザンギャック全軍をスーパー戦隊が包囲しており、凄まじい勢いで攻撃してきていたのです。
それゆえ、スーパー戦隊はザンギャック軍が把握していた比較的少数の精鋭部隊ではなく、ザンギャック軍を圧倒するほどの質と量を誇る巨大な敵であったのだとザンギャック軍の兵達は悟り(実際は誤認だが)、自分達がまんまと罠に嵌められたのだと感じてパニックに陥った。
隊長が把握している戦闘の記憶は一旦ここで途切れています。何故なら、隊長はその直後、自分の乗っている戦艦を含む一艦隊ごと、突如割れた空に呑み込まれて奇妙な空間をしばし彷徨い、その後、元の戦場の空間に戻った時には、ザンギャック軍は自分達の艦隊を除いては全滅していたからです。だから、どうやってザンギャック軍が全滅したのかは隊長には詳細には分からなかったが、状況から考えてスーパー戦隊の大軍によって全滅させられてしまったのだろうと思えました。
そのスーパー戦隊は何処に行ったのだろうかと隊長たちが不思議に思って眼下の地上を見下ろすと、スーパー戦隊の戦士たちと思しき一団が地上に立っており、自分達の艦隊を見上げているのに隊長たちは気付きました。スーパー戦隊が実はとんでもない大軍であったと思っていた隊長たちはその200人程度の戦士たちを見て斥候であろうと考え、状況はよく分からないながらも自分達の艦隊の所在をスーパー戦隊の本軍に報告されてはマズいと思い、眼下のスーパー戦隊の戦士たちを皆殺しにしようと思い攻撃を開始した。
0109.jpgすると突然、地上のスーパー戦隊の戦士たちが巨大なエネルギー弾のようなものを発射してきて、あっという間に上空のザンギャック艦隊は全滅させられてしまった。この隊長だけはさすがに特殊部隊の指揮官だけはあって、たった1人だけ間一髪の脱出に成功し、命からがら救命ポッドで戦場を離脱して、何とか月面基地に戻ってきたのでした。

慌てて逃げ出してきたゆえ、隊長はスーパー戦隊の戦士たちが戦う力を失ったことも把握していないし、そもそも戦闘の大部分の時間を豪獣ドリルの暴走のせいで起きた時空の歪みに呑み込まれていたせいで、スーパー戦隊の勢力を途轍もなく巨大なものだと誤解したままでした。そして最後にスーパー戦隊の戦士たちの放った「大いなる力」の攻撃を目撃したため、隊長はその凄まじい威力に恐れをなし、あんな少数の戦士たちでもあれほどの破壊力のある攻撃を発することが出来るのだから、スーパー戦隊の本軍がザンギャック全軍を全滅させることが出来たのも確かに納得できると思い込みました。
そうして隊長は「地球にはザンギャックの常識を超えた強大な力を持つスーパー戦隊という戦士たちが居り、それによってザンギャック軍は全滅した」と、月面基地から皇帝アクドス・ギルに報告しました。もちろんそれは内密な報告で、報告を聞いたのはアクドス・ギルとダマラスだけであり、月面基地でも隊長はそのことを他の誰にも喋っていませんでした。この宇宙にザンギャック軍よりも強大な力を持つ者が存在するなど決して知られてはいけないことであることぐらいは隊長ももちろん分かっていたのです。
ただ、そうは言っても、スーパー戦隊が途轍もない力を持っているという事実は隠蔽することが出来るとしても、ザンギャック軍が地球で全滅したという事実に関しては、既に月面基地でも本星の総司令部の幕僚たちの間でも周知のこととなってしまいました。これをどのように隠蔽して帝国の宇宙統治に動揺をきたさないようにするかが問題です。
ただでさえ帝国の中央軍をそのまま連れていった地球派遣軍が全滅したとなれば、本星の防衛も含む帝国中央部の軍備が手薄になり、その補充のために全宇宙のザンギャック軍の編成をだいぶ弄らないといけなくなり、それは帝国内の軍事バランスを混乱させることになり、帝国の統治力は低下します。そこにザンギャック軍の弱さなどが流言されると反乱なども誘発する可能性がある。そうならないようになんとか引き締めていかねばならない。そのあたりアクドス・ギルはしばし熟慮して方針を決定しました。

0108.jpgまず、もちろんスーパー戦隊が強大な力を持っていることやザンギャック軍を打ち破ったということはアクドス・ギルとダマラスと特殊部隊隊長だけの秘密として他には伝えないことにしました。ただ、もちろん地球でザンギャック軍がスーパー戦隊と戦っていたことや、その戦いの末にザンギャック軍が全滅したということは月面基地でも総司令部の幕僚たちの間でも周知の事実であったので、ザンギャック軍が地球で全滅した理由をスーパー戦隊以外に何かでっち上げる必要がありました。
かといって普通に戦って作戦の失敗で負けただけとするわけにもいきません。そうなれば総司令官であり次期皇帝であるワルズ・ギルの権威に疵がついてしまいます。また、もし普通に戦って負けたとなれば当然ザンギャック帝国としては雪辱戦をしなければならないが、地球に測り知れない力を持つスーパー戦隊が存在すると分かった以上、無計画に攻めるのは危険でした。下手したら敗北を重ねることになり、いっそう帝国の権威が地に堕ちる危険もあります。だから、地球を攻めるにしてももう少しスーパー戦隊について秘かに情報を収集してからでなければいけない。その間の時間稼ぎが何か必要でした。
そこでアクドス・ギルは現地軍の内部に裏切り者がいたのだということにしました。それもかなり大規模な帝国への反逆組織の策謀によるものだとして、まずはその反乱分子の討伐を先に行わねばならないのだということにしたのです。そうすれば当面は地球を攻撃しなくて済むので、反乱分子との戦いの間にスーパー戦隊について情報を集めればいい。現地軍に裏切り者がいたのならザンギャック軍の敗北はスーパー戦隊の謎の力無しでも説明はつきますし、作戦ミスというわけでもないので本星で指揮をとっていた総司令官のワルズ・ギルの経歴に疵もつかない。
だが実際はそんな裏切り者や反乱分子などは実在しないので、誰かをスケープゴートにしなければならない。そこでアクドス・ギルは月面基地に残っていた非戦闘員のスタッフの中に帝国への反逆組織のスパイが大量に潜入していたのだとデッチ上げることにしました。いずれにしてもザンギャック軍がスーパー戦隊と戦った上で大敗北したことを知ってしまった月面基地の者たちは生かして帰すわけにはいかない。どうせ口封じのために殺さねばならないのだから、ついでに反逆の罪を被せてしまえばいいのだとアクドス・ギルは考えました。

ただ、月面基地の者たちを皆殺しにして一件落着としてしまうわけにもいかない。それでは地球のスーパー戦隊について調べる時間稼ぎが出来ないし、ザンギャック軍の敗北やスーパー戦隊の存在を知るもう一方の存在である本星の幕僚たちの口を封じることは出来ないからです。さすがに本星の総司令部の幕僚たちを皆殺しにしたり悉く投獄したりすることは出来ない。しかしザンギャック軍の大敗やワルズ・ギルの失態を知った幕僚たちの中から皇帝一族の権威を侮り、この大敗後の帝国の混乱に乗じて不穏な動きを示す者が出てこないとも限らない。彼らを黙らせ従わせるには皇帝の圧倒的な力を示して屈服させなければならない。そのためのデモンストレーションの場が必要なのだとアクドス・ギルは考えました。
今回の権威失墜の元凶たる地球を皇帝の持つ圧倒的な力で滅ぼしてしまえば最高のデモンストレーションとなるのだということはアクドス・ギルにも分かっていましたが、何やら未知の力を持っているらしいスーパー戦隊の居る地球を不用意に攻めるのは万が一のリスクがあると、あくまで慎重なアクドス・ギルは警戒しました。デモンストレーションならば確実に成功させられる相手でなければならない。そこでアクドス・ギルは月面基地のスパイ達は幾つもの星が結託した大規模な反逆組織が送り込んだ者達であるということにして、反逆者たちの本拠地である幾つもの反逆星を叩き潰すことが急務だという事実をデッチ上げて、虚偽の征討戦争を起こすことにしたのでした。
その征討戦争の中で皇帝の圧倒的な力を幕僚たちに見せつけることがアクドス・ギルの真の狙いでした。だからそれは幕僚たちの手を借りるような通常の征服戦争ではない。あくまで皇帝だけが持つ特別な力だけで圧倒的なパワーを見せつけなければならない。そうしたデモンストレーションに格好のものをアクドス・ギルは最近手に入れていました。それは帝国艦隊の新たな旗艦である皇帝専用座乗艦ギガントホースでした。
0110.jpgギガントホースに搭載した圧倒的な数のギガロリウム砲だけで実際に星を滅ぼす様を目の前で見せつければ、幕僚たちも帝国艦隊の一部を率いて反乱など起こしたところでギガントホースを保有する皇帝一族には敵うはずもないことを悟り、愚かな野望を抱くこともなくなり、帝国は丸く治まるであろう。そのためなら反逆星の汚名を被せて幾つかの星を滅ぼすぐらい仕方のないことだとアクドス・ギルは考えました。

アクドス・ギルは極秘回線を使ってそうした計画を月面基地の特殊部隊隊長に伝え、月面基地の兵達には現地の非戦闘員スタッフ達の裏切り行為によってザンギャック軍は全滅したのだということが判明したのだと説明するよう指示しました。そして、その上で残兵たちを率いて月面基地の戦艦に乗り込み、上空に浮上して月面基地を攻撃、破壊し、非戦闘員スタッフを基地ごと皆殺しにするよう指示しました。
隊長はアクドス・ギルからのそうした指示に従い、まず月面基地の兵達に現地軍の非戦闘員スタッフ達が裏切ったので敗戦したのだと虚偽の説明をし、それを聞いた兵達は激怒して非戦闘員スタッフたちを次々と捕えていきました。突然捕らわれたスタッフたちは驚いて兵達に理由を尋ね、兵達はお前達の星が手を組んで帝国に反逆してお前達をスパイとして送り込んできたことが露見したのだと罵りました。当然全く身の覚えの無いスタッフ達は事実無根だと言い返しましたが、兵達はスパイの言うことなど嘘だと決めつけて聞く耳を持たず、抵抗するスタッフ達を殺戮していきました。
ただ、基地に残っていた非戦闘員のスタッフ達は兵達よりも圧倒的に多く、慌てて逃げ出して基地内に隠れた者達も多かったので、兵達も基地内の掃討戦に深入りする不利はすぐに悟り、特殊部隊隊長の指示に従い格納庫に行き、基地に残った数隻の戦艦に分乗すると、他の脱出用の宇宙船を全て破壊して基地内のスタッフ達の逃げる手段を奪って閉じ込め、戦艦を発進させて月面基地上空からの砲撃で基地を吹き飛ばして、スタッフ達を1人残さず虐殺したのでした。

しかしその直前、月面基地から宇宙の彼方の故郷の星に向けて必死のメッセージを送った者がいました。基地内で非戦闘員への殺戮が始まった時に驚いて物陰に隠れた例のエンジニアのドッゴイヤー家の一同は、ザンギャック軍が自分達の星が帝国に反逆したと決めつけていることに驚きました。息子たちは酷い誤解だと憤りましたが、ザンギャック帝国の遣り口に詳しい父親はそうではないと思いました。
これは誤解などではなく、何らかの陰謀なのだと直感した父親は、どんなに説明して誤解を解こうとしても無駄であり、故郷の星は問答無用で滅ぼされると予想し、もはや自分達は基地から逃げ出すことも出来ず殺されるのだろうと覚悟を決め、せめてただ1人故郷に残して来た末の息子のドンをはじめ、故郷の星の人々を少しでも多く生き延びさせたいと思いました。
そこで父親は秘かに持ち込んできていた小型メッセージカプセルに大急ぎで故郷のドン宛てのメッセージを打ち込みました。自分達は反逆者の嫌疑をかけられてこれからザンギャック軍に殺されるということ、必ず自分達の星を反逆の罪でザンギャック軍が滅ぼすだろうからすぐに人々に危険を知らせて皆で脱出するようにということ、ザンギャックが甘い態度を示しても決して信用せずに必ず逃げること、これらの事項を大急ぎで打ち込むと父親は基地の外に向けてカプセルを射出し、その直後、上空の戦艦からの砲撃で月面基地は木端微塵に砕け散りました。だが、射出されたカプセルは掌サイズの小型のものだったのでザンギャック戦艦にも感知されずに無事に宇宙空間を飛んでいき、自動的に故郷の星のドッゴイヤー家を目指して宇宙空間を航行していったのでした。

0111.jpg一方、特殊部隊隊長から首尾よく月面基地を破壊して非戦闘員のスタッフ達を皆殺しにしたという報告を受けたアクドス・ギルは、すぐに残存部隊を引き連れて本星に帰還して事後処理の顛末の詳しい報告をするよう指令し、それを受け、隊長は数隻の戦艦を率いて太陽系から去り、宇宙の彼方のザンギャック本星に向かいました。
そしてアクドス・ギルは本星の総司令部の幕僚たちに向かい、まずは中央軍の地球における壊滅を極秘事項とするよう命じ、迅速かつ隠密に宇宙各方面のザンギャック軍の再編成を行い、中央軍の抜けた穴を埋めて帝国内の軍事バランスを維持するよう厳命しました。そしてその上で、アクドス・ギルは今回の地球における敗戦の原因は現地軍の中に紛れ込んだ反逆組織のスパイの攪乱工作によるものだったことが判明したと言い、軍の再編成が落ち着いたらすぐに反逆組織の根拠地となっている星々を討伐するという方針を幕僚たちに向けて表明しました。
この全く寝耳に水のような話に幕僚たちは戸惑い、誰がそのような報告をしたのかと質問したところ、アクドス・ギルは皇帝親衛隊の独自の調査網によって判明したことだと言うだけであったので、幕僚たちは内心では全く信用しませんでした。幕僚たちはワルズ・ギルの無能な司令官ぶりをずっと見てきていましたから、敗戦の責任は明らかにワルズ・ギルおよび彼の暴走を止められなかった自分達幕僚のミスにあると分かっていました。それゆえ皇帝がとにかく不肖の息子である皇太子の権威を守るためにスパイの嫌疑などをでっち上げているのだろうということは賢明な幕僚たちには察しはつきました。

それゆえ、幕僚たちはやや白けた気分で、軍の再編成には時間もかかり、暫くは反逆組織への討伐戦争に大軍を回す余裕は無いのではないかと意見しましたが、それを聞いたアクドス・ギルはそうした幕僚たちの反応を予想していたかのように、本星の防衛に他の軍を回す余裕が無いというのならば本星の防衛は自分がギガントホースに座乗して自ら行うと言い渡したので、幕僚たちは青ざめて慌てました。帝国艦隊の最大最新鋭の旗艦ギガントホースが圧倒的な戦闘力を有していることは幕僚たちは承知しており、その艦に伝説の最強皇帝アクドス・ギルが現役復帰して完全武装で乗り込み、自分達の頭上で睨みを効かせるというのですから、思わず恐怖を感じたのです。
だがアクドス・ギルは平然とした顔で更に言葉を続け、ある程度軍の再編成が進み本星の防備に新たな戦力を投入する目途が立ったなら自分がギガントホース1艦だけで反逆星の討伐に出向くので、別に大軍を出す必要など無いが、その代わり幕僚は全員ギガントホースに同乗して討伐戦争に参加するよう言い渡したのでした。これを聞いて幕僚たちはますます緊張に身を固くしました。要するに自分達は本星の防衛においても全くアテにされておらず、むしろ留守中に反乱でも起こしかねない危険分子扱いされているのだと、彼ら優秀な幕僚たちは察することが出来たのです。
ここまで圧倒的な自信と、それを裏打ちする実力を有した皇帝に猜疑の目を向けられているのは自分達が帝国のこの手痛い敗戦を知ってしまったゆえであり、今の時期に皇帝への忠誠が疑われるような行為は自殺行為となるのだと皆が思い、震え上がりました。愚かなワルズ・ギル相手ならば侮った気持ちも内心抱いていた幕僚たちも、皇帝アクドス・ギルのこの先手を打った恫喝によって震え上がり、むしろアクドス・ギルは彼らに競って忠誠の態度をとらせることに成功したのです。

これだけでもう帝国が揺らぐ可能性は低くなったといえますが、それでもあくまで慎重な皇帝アクドス・ギルは実際に皇帝一族の持つ圧倒的な力を若い幕僚たちの脳裏に刻み込むことによって、次代まで帝国の統治を安泰ならしめることが出来ると考え、ギガントホースによる反逆星の討伐はあくまで実行するつもりでした。だが、その際にギガントホースに乗って自分が本星を離れてしまうと、やはり本星の防備が手薄になる。反乱防止のために幕僚たちをギガントホースに乗せて連れていき、本星の防衛はワルズ・ギルの下に皇帝親衛隊を半分置いて当たらせるつもりでしたが、それでもどうしても本星の防衛は戦力不足でした。
0112.jpg自分がギガントホースに乗っている以上は反乱を起こそうなどという愚か者はそうはいないだろうと思っていたアクドス・ギルですが、それでも万が一に備えて手を打っておくことにしました。以前から帝国一の科学者といわれており、行動隊長の改造手術の第一人者として知られていたザイエンが艦艇に代わる新たな決戦兵器として最近熱心に提唱していた人型の搭乗巨大ロボット「決戦機」の開発配備にゴーサインを出したのです。こうしてザイエンはアクドス・ギルの前面支援を受けて、さっそく急ピッチで決戦機を増産し、アクドス・ギルは皇帝親衛隊の隊員たちにそれら決戦機を与えて操縦させて本星の防衛体制を向上させていくことにしました。

そうした動きが始まった頃、地球での戦いが終わって1ヶ月ほど経った、地球暦で言うと2012年1月の終わり頃、月面基地から引き揚げてきたザンギャック軍の戦艦数隻の残存艦隊がザンギャック本星の近くまで戻ってきました。アクドス・ギルはギガントホースを発進させてその残存艦隊を出迎え、ギガントホースの手前で停船させると、裏切り者が何をしに本星へやって来たのかと糺しました。
このあまりに意外な皇帝の言葉に驚いた残存艦隊の兵達は裏切り者とはいったい何のことなのかと抗議しましたがアクドス・ギルは聞く耳を持ちません。アクドス・ギルは最初から月面基地の残兵たちも生かしておく気は無く、ザンギャックの敗戦やスーパー戦隊の存在を知っている彼らも反逆組織の一員であったということにして葬り去るつもりで本星に呼び寄せたのです。彼らは反逆組織の一味であって本星でのテロ計画のためにやって来たのだとの虚偽情報をアクドス・ギルから聞かされていた本星防衛隊の兵達も残存艦隊を包囲して敵意を剥き出しにしています。
だがアクドス・ギルは残存艦隊の中に例の特殊部隊隊長の姿が無い様子だということに気付き、残存艦隊の兵たちに隊長はどうしたのか尋ねました。すると兵たちの言うには、隊長は皇帝からの急に指令で自分だけ先に本星に来るように言われたので戦艦に積んであった小型高速艇で出発したはずだと言います。それを聞いて、アクドス・ギルは隊長がこの展開を先読みして逃げたのだと悟りました。

隊長は皇帝アクドス・ギルがザンギャック軍の敗戦を知った残兵たちを生かしておくはずがないと読んでいたのです。特にスーパー戦隊の謎の巨大なパワーという帝国にとっての重大機密を知ることになってしまった自分を必ず口封じのために殺すであろうことは、隊長自身がこれまでにもそうした帝国のエゴのための数々の暗殺を命じられてきただけに、嫌になるほどよく分かっていました。
だから隊長は本星には戻らずに途中で逃げたのであり、普通に逃げたのではすぐに捕まってしまうので、残存艦隊に乗る他の残兵たちを囮にして逃げるため、他の残兵たちには事情は一切説明せずに本星に行かせて見殺しにして、アクドス・ギルが残存艦隊を攻撃している間に自分だけは出来るだけ遠くに逃げるというのが隊長の作戦でした。アクドス・ギルはまんまと隊長の策に嵌ってしまったことになります。そのことを悟ったアクドス・ギルはギガントホースの砲撃で残存艦隊を乗員ごと吹っ飛ばして始末すると、ただ1人逃亡した反逆者である元特殊部隊隊長を全宇宙の指名手配犯とし、その行方を探し出して殺すよう官憲に命じました。
とはいっても相手は特殊部隊のリーダーですから、並大抵の者では探し出して捕えることは出来そうもない。そこでアクドス・ギルは特殊部隊には特殊部隊をぶつければいいと考え、特殊部隊の最精鋭メンバーを裏切り者の元隊長への追手に差し向けるよう指令を下しました。その結果、地球での怪我が癒えて現場に完全復帰したばかりの特殊部隊のエースのシド・バミックにも隊長追討の命令が下されたのでした。
それだけ措置を講じておけば、何処に逃げようともいずれは隊長も始末はつくだろうと考え、アクドス・ギルはもう隊長のことなどどうでもよくなり、後は下の部局に任せることにしました。そんなことよりも、アクドス・ギルはそろそろギガントホースを使っての一大デモンストレーションの準備の方に取り掛かることの方が大事であったのです。

0113.jpgさてそれと同じ頃、ドン・ドッゴイヤーの住む星では平和な日々が続いていましたが、ある日、ドンが学校から自宅に戻ってくると郵便受けの中にカプセルが入っていて、自宅のパソコンに繋いで中身を見てみると、それはザンギャック軍の軍属として出稼ぎに出ている家族からのメッセージでした。今回は軍事作戦に同行する仕事だと聞いており、そういう場合は軍属が勝手に外部に連絡することは基本的に許可されないことになっており、実際これまでにこういう場合に家族が自宅に連絡してきたことなど無かったのでドンはこれが異常な事態だと感じました。
いや、そもそもそのメッセージの内容が極めて異常な内容でした。よほど急いで文面が打ち込まれたようで、詳細な経緯の説明などは一切無い。そもそもドンの家族たちが何処の星に行っていたのかすらメッセージには記載されていませんでした。ただとにかくそこに書いてあったのは、ドンの家族達が反逆者の嫌疑をかけられて殺されるということと、ザンギャック軍がドンの住む星も必ず滅ぼすだろうから人々に危険を知らせてみんなで逃げるようにというドン宛てへのメッセージでした。
あまりに突拍子も無い話にドンは驚愕し、最初はとても信じられませんでした。このメッセージの内容が真実ならば、いったいこのメッセージがいつ出されたものなのかは不明ながら、おそらくドンの家族は既に死んでいるのだろうと思われましたから、そんなことが真実であろうはずがないとドンは思ったのです。
しかし、このような特殊なメッセージカプセルを使う者はその星では第一人者のエンジニアであったドンの父親ぐらいしか考えられず、これは確かに自分の父親が出したメッセージであり、父親がつまらない冗談などをメッセージカプセルに入れて送ってくるはずもないことはドンにも分かっていましたから、やはり信じたくはないがこれは本当の話なのではなかろうかとドンには思えてきました。
だとすると、ザンギャック軍はもうすぐドンの住む星を滅ぼそうとしているということになる。もちろんドンの家族たちが帝国への反逆者であったはずもなく、もし家族がザンギャック軍に殺されたのだとしても、それは間違いなく誤解に基づくものでした。その誤解に基づいてザンギャック軍がドンの住む星を滅ぼそうとしているとは、あまりにムチャクチャな話であり、ちょっと信じられない話です。実際、そのような兆候があるようにはドンにも感じられませんでした。
こんな話を他の人達に知らせたところでとても信じてもらえるとは思えない。笑われるだけだと思って尻込みしたドンでしたが、それでもこのメッセージが自分の家族が命懸けで自分に託した遺言のようなものかもしれないと思うと、やはりその託された使命を果たさなければならないような気がしてきて、ドンは思い切って周囲の人達に相談してみました。予想通り、多くの人達はまともに取り合ってくれませんでしたが、学校の先生が1人、決してドンの話の内容を信じたわけではないが、一応真面目にドンの相談に乗ってくれて、ドンの父が高名なエンジニアであったこともあって、ドンはTV局の取材を受けてこのメッセージの中身についてその星の住人みんなに向けて知らせて、警告を発することが出来ました。

だがその評判は芳しいものではありませんでした。もともとドッゴイヤー家はザンギャックに媚びていると悪口を言われるほどにザンギャック寄りであり、そんな家の者たちがザンギャックから反逆者扱いされるとはとても信じられないという懐疑的意見や、逆にそんな家の者たちがザンギャックに殺されたのならいい気味だという意地悪な意見、また他には以前はザンギャックに媚びていたクセに急にザンギャック批判をするとはとんでもない変節漢だという感情的な非難など、散々は悪意に満ちた意見がドンを襲うことになったのでした。
それはもともとドンの星ではザンギャックに対して不満が燻っていたからでもあり、それでありながら、まさかザンギャックがかなりザンギャックに従順なこの星を滅ぼしたりするはずがないという安心感もあったからでありました。
仮にドンの家族がザンギャックに殺されたのが本当だとしても、彼らが反逆者だなどとは信じられないからザンギャックは誤解していることになる。いや、仮に誤解ではなく本当にドンの家族が反逆者であったとしても、それはあくまでもドンの家族だけの問題であるというのがこの星の他の人々の意見でした。自分達まで巻き添えになって滅ぼされる理由など無い。
これまでも内心不満は抱きながらも、それでもザンギャック帝国に対して忠誠を尽くしてきたという自負はこの星の人々にはありました。そんな自分達をザンギャック皇帝が問答無用で滅ぼしたりするはずはない。もしザンギャックの方から何か言ってきたとしても、きっと誠意を尽くして事情を説明すれば誤解は解けて、この星が滅ぼされるような事態にはならない。誰もがザンギャックに対して怖くて反逆の意思など持っていなかったので、自分達がザンギャックに滅ぼされるなどという事態を想像することが出来なかったのです。それで人々は自分達の身に迫る危機には思い至らず呑気にドンの話を聞き、無責任な非難を浴びせるだけでありました。
これにはドンも参ってしまい、やはりTVなどに出て余計なことを言うのではなかったと後悔しました。周囲の身近な人達もドンを非難まではしなかったものの、これ以上世間に向けて余計なことを言わない方がいいと忠告してくれて、ザンギャック軍が何も言ってこないところを見ると、あのメッセージは何かの間違いであり、きっと家族も生きて戻ってくるだろうと言って励ましてくれたので、ドンもそうかもしれないと思うようになり、静かに家族の帰りを待つ生活に戻ることにしたのでした。
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2013年03月04日

ヒロイン画像その6

1977年に「ジャッカー電撃隊」が不人気のために途中打ち切りになったということはスーパー戦隊シリーズの歴史の中で汚点のように扱われてしまっていますが、そもそも当時はスーパー戦隊シリーズという概念もブランドも無い時代であり、不人気で途中で打ち切りになる番組など掃いて捨てるほどあった時代ですから、東映側も原作者の石ノ森章太郎も「ジャッカー電撃隊」の打ち切り程度でいちいちショックなど受けていなかったようです。いや、「ジャッカー電撃隊」が打ち切りになった後の1978年というのは実は東映にとっても石ノ森にとっても大変忙しい年でありました。
0196.jpg1977年夏にアメリカで映画「スターウォーズ」が公開されてSFブームが起こり、翌1978年夏に日本でも「スターウォーズ」が公開されると決定されると日本においてもSFブームの到来が予期されるようになりました。そこでそれに便乗しようとして日本の映画会社でもSF映画を作って1978年に公開しようという動きが起こり、1977年からその準備や製作が進められていたのでした。その中で東映は1978年春公開予定の映画「宇宙からのメッセージ」の製作を総力をあげて進めており、この企画に当初から石ノ森も原案担当として名を連ねて参加していました。
この映画は南総里見八犬伝をモチーフとしたスペースオペラで、「スターウォーズ」の模倣作品のようなものであり、「会社の総力をあげて製作した」映画にありがちなパターンとして内容的には別に大した映画ではなく、実際1978年4月に公開されたが大してヒットもしなかったのですが、東映が大変な力を入れて作った映画であったので、特撮的にはこれまでにやったことが無いようなことにもチャレンジしており、巨大ロボは登場しないものの、東映における巨大メカ戦の特撮技術はこの映画で格段に進歩しました。
この特撮技術に関しては海外でも高く評価されました。いや、海外で特撮が高く評価されるであろうことは東映も最初から見越しており、最初から海外展開を考えてこの映画の採算を取ろうとしていたようです。そのためあらかじめ海外での販路を開拓しており、この映画は最終的には日本映画で初めてメジャー配給ルートに乗って全米で封切られるようになりました。

さて、こうした「宇宙からのメッセージ」絡みでの積極的な海外での活動の中で東映は本格的な海外進出を考えたのか、アメコミの出版社であるマーヴェル社との間で提携を結び、1978年から3年間、互いの会社の版権を持つキャラクターを自由に使用してもいいという契約を交わしました。東映としては自社のキャラクターをマーヴェル社の媒体を使って大いに宣伝してもらおうという思惑があり、実際この後、コン・バトラーVなどがマーヴェル社のアメコミで描かれて海外で紹介されたりしています。
一方でマーヴェル社の方も同様の思惑があったのであり、対等な契約ですから東映側もマーヴェル社のキャラクターを使った作品を作って日本で宣伝しないといけません。そこでさっそくその第一弾企画として1978年5月から放映が開始されたのが「スパイダーマン」でした。
どうしてマーヴェル社の数多くのキャラクターの中でスパイダーマンが選ばれたのかというと、単純にマーヴェル社サイドの意向でしょう。マーヴェル社のキャラクターの中で最も有名だったものがスパイダーマンとキャプテンアメリカであり、まずはスパイダーマンを日本市場に売り込むのが得策という判断が働いたと考えるのが自然です。
ただ、それはあくまでマーヴェル社側の都合であって、実際にスパイダーマンというキャラで作品を作る東映の現場は話はそう簡単ではありません。だいたいアメコミというのは当時の日本の特撮やアニメに比べて対象年齢層が高めで、オリジナルのスパイダーマンは蜘蛛に噛まれて大きな力を得てしまって苦悩する等身大の青年キャラでした。戦う相手も人間の悪人であり、しかも世間からは誤解されて嫌われているという、とても日本の子供にウケるようなヒーローではありませんでした。

0197.jpgそこで東映ではスパイダーマンのキャラだけ拝借して根本的に違うお話を作ることにして、マーヴェル側もとにかくスパイダーマンのキャラの認知度が高まればいいと考え、イメージダウンに繋がる改変でない限りは許容することとしました。その結果、東映はスパイダーマンは正義の宇宙人から戦う力を与えられた若者であり、戦う相手も侵略宇宙人の送り込む怪人ということにしました。
そしてスパイダーマンは宇宙人から譲られた宇宙船に乗っているということにして、その宇宙船が変形して巨大ロボになるということにし、敵怪人が巨大化してスパイダーマンの操縦する巨大ロボと戦うという設定としました。敵怪人が巨大化する原理は不明です。とにかくスパイダーマンが巨大ロボで戦うという設定が先にあり、それに合わせる形で敵怪人も巨大化するということになったのでしょう。
スパイダーマンが変身して敵怪人の前に現れて名乗りを上げると、ほとんど戦わないうちに敵怪人は巨大化して、スパイダーマンは自分の宇宙船マーベラーを呼び出して乗り移り、すぐにマーベラーを巨大ロボのレオパルドンに変形させて敵巨大怪人と戦い倒す。これが「スパイダーマン」という作品のバトルのフォーマットとなりました。

後にスーパー戦隊シリーズで定番となる「敵怪人の巨大化」というシステムがここで初登場しているのも注目点ですが、なんといってもここで注目すべきは巨大ロボ、それも搭乗型の巨大ロボの登場です。スパイダーマンの力の源泉を宇宙人にしてスパイダーマンを宇宙船に乗せるというところまでは分からないこともないが、そこで宇宙船が巨大ロボに変形するという飛躍はあまりに必然性が無い。これは結局は東映が「大鉄人17」でようやく実現した巨大ロボ特撮アクションの次の実験場をこの作品に求めたということでしょう。
その目標は「コン・バトラーV」や「ボルテスV」のようなスーパーロボットアニメのレベルの巨大ロボアクションを実写特撮で実現することでしたが、当然まだコン・バトラーVのような5体合体ロボまで実現する技術はありません。しかし「コン・バトラーV」の前番組に相当する「勇者ライディーン」で実施していた「巨大飛翔体から巨大ロボへの変形」ならば可能だと判断し、この作品で試みたのでしょう。
そもそもこの「スパイダーマン」に先立つ「大鉄人17」の段階で既に東映は17の通常戦闘形態、要塞形態、飛行形態、戦闘飛行形態の4形態のフォームチェンジを実現させています。既に東映の巨大ロボ特撮技術はそこまでは進んでいたのです。だからマーベラーからレオパルドンへの変形は確実に成功させる自信はあったことでしょう。

0198.jpgただ、ここでやはり最大の注目点は、17の時点では自律型ロボであったのに、レオパルドンは搭乗型ロボになっているということです。これは石ノ森章太郎の原作ではなかったからでしょう。石ノ森章太郎氏は作劇上、ロボットを人間の姿を映す鏡のようなものと捉えており、それゆえロボットは人間に近い存在でなければならないと考え、単なる意思無き乗り物として描くことを嫌いました。またロボットを人間と似た存在と捉えていた石ノ森氏はコン・バトラーVのような角ばった形態のロボットを嫌い、丸みを帯びたフォルムを好みましたが、変形や合体を前提とする限りどうしてもロボットは角ばったフォルムになります。「大鉄人17」の段階でも変形が前提となっていたので17は角ばったフォルムにするしかなく、それに対して石ノ森氏はかなり抵抗したようです。
だから石ノ森氏が原作者として作品に関わっていたのなら、きっとレオパルドンを搭乗型ロボにすることも変形ロボにすることも反対したはずです。だが「スパイダーマン」は石ノ森氏は関与していない。石ノ森氏は映画「宇宙からのメッセージ」の続編にあたるメディアミックス企画のTVドラマ「宇宙からのメッセージ・銀河大戦」の方の準備に関わっていて忙しかったというのもありますが、それ以前の問題として、そもそも石ノ森氏が「スパイダーマン」の企画に参加できるはずがないのです。
漫画家である石ノ森氏は東映の特撮ドラマに参加する時は原則として「原作者」という肩書でしか参加は出来ない。ところが「スパイダーマン」はれっきとした原作者がアメリカにいるのだから、そこに石ノ森氏が原作者として名を連ねることは出来ません。つまり、東映がマーヴェル社のキャラクターを拝借して作品を作る場合は石ノ森章太郎は企画に参加できないのです。
こうして東映は八手三郎名義で「スパイダーマン」という作品を作り、石ノ森氏の影響力から完全に自由な立場で心おきなく念願の搭乗型ロボの巨大戦アクションを描くことが出来たのでした。そしてこの「スパイダーマン」の実質的な後番組である「バトルフィーバーJ」、それに続く「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」までが全てマーヴェル社との提携作品であり、これらの一連の作品群において東映は石ノ森氏の影響外でスーパー戦隊シリーズ初期における搭乗型巨大ロボのアクションのフォーマットを固めることが出来たのです。

0199.jpgこの「スパイダーマン」という作品におけるヒロインは、スパイダーマンに変身する主人公の山城拓也の恋人である佐久間ひとみというフリーカメラマンの女性ということになります。主人公の恋人という近しい立場のヒロインではありますが、拓也は自分がスパイダーマンとなったことは周囲に秘密にしていますから、ひとみも拓也がスパイダーマンであることは知りません。つまり第二期ウルトラシリーズによく見られたような主人公の一般人恋人ヒロインに似ているとも言えます。
だが拓也自身が一般人であり、劇中では結構頻繁に拓也とひとみの親密な様子は描かれます。しかしそれでいて、ウルトラシリーズの恋人ヒロインの場合のように主人公との間の真面目な人間ドラマが描かれるわけでもありません。「スパイダーマン」は極めてシンプルな構造のヒーロードラマであって、第二期ウルトラシリーズのように真面目に青春ドラマを描こうというような気は無いのです。
ひとみというヒロインは単に拓也の日常パートにおける「ヒーローである正体を隠さねばならない」という滑稽な描写を増幅させるために存在しているようなもので、同じように「ヒーローの正体が身近な人であることを知らない」軽めの登場人物という意味ではライダーガールズに近いが、ライダーガールズはそれでもヒーローの戦いに協力する姿勢があるのに対して、ひとみはスパイダーマンの戦いを支援するわけでもない。単に主人公の日常パートの相手役に過ぎず、これはもうヒーロードラマにおけるヒロインという定義にあてはまるかどうかも怪しいと言えます。まぁ「スパイダーマン」という極めてシンプルな作品には相応しいヒロインキャラであるとも言えるでしょう。

0200.jpgそしてもう1人、この作品にはヒロイン的な存在としては主人公の拓也の妹の山城新子も登場します。この新子もひとみと同じような立場であり、兄がスパイダーマンであることは知らず、スパイダーマンの戦いに協力するというわけでもなく、兄妹の真面目なドラマが描かれるわけでもなく、ただ単に主人公の日常パートの相手役に過ぎないキャラといえます。
まぁ主人公が一般人単独ヒーローであり自分のヒーローとしての正体を隠しているというパターンの場合、確かにこのひとみや新子のようなキャラは必要といえます。それが女性である場合に、他に目ぼしい女性キャラがいない場合は、それが作中におけるヒロインの位置を占めることになるのでしょうが、実質的には単なる脇役といえます。

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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 11:05 | Comment(1) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月03日

ヒロイン画像その5

1975年に放映開始して大ヒット作となった「秘密戦隊ゴレンジャー」ですが、この「ゴレンジャー」の成功が当時の東映制作サイドの目指していたものかというと、そういうわけではないと思います。「ゴレンジャー」はもともと「アマゾン」でライダーが枠移動した後の空いた枠をさしあたり埋めるために考えた企画であり、チームヒーロードラマはひとまずライダーの穴埋めのための手段であり、あくまで当時の東映が目指していたものはチームヒーロードラマではなかったのではないかと思います。
確かに「ゴレンジャー」のヒットを受けて、その後チームヒーロードラマがブームになったと言われます。しかし、それは「ゴレンジャー」の高視聴率を見てテレビ局側が二匹目のドジョウを狙ってチームヒーロードラマを求めたのであり、東映側は「ゴレンジャー」企画時に「チームヒーロードラマのブームを起こしてやろう」などと考えていたわけではないでしょう。
むしろ、ライダーには無くてゴレンジャーには存在したものが何なのか考えると、東映が真に目指していたものが何なのか見えてきます。ライダーに無くてゴレンジャーにある物というと、細かいものでは挙げればキリは無いが、最も明確なものは空飛ぶ要塞バリブルーンです。つまり巨大戦力なのです。東映が「ゴレンジャー」という作品で本当にやりたかったことはバリブルーンを使った巨大戦であったのではないでしょうか。

東映が当時見据えていたものは当時既に斜陽であった「仮面ライダーシリーズ」を超えることなどではなく、「仮面ライダーシリーズ」を斜陽に追い込んだ最大のライバルであるスーパーロボットアニメを超えることであった、そう考える方が自然であると思います。「実写でマジンガーZやゲッターロボみたいな巨大ロボアクションを見せることが出来れば、きっとスーパーロボットアニメに勝てる」と東映側が考えたとしても何ら無理はありません。ただ最初から搭乗型の巨大ロボアクションを実写で上手く魅せるのも難しいので、まずは「ゴレンジャー」ではスパイチームアクションと並行して試しに空飛ぶ移動要塞を使って巨大戦アクションにチャレンジしてみたというところでしょう。
この「ゴレンジャー」が予想以上のヒットとなったため、テレビ局からはチームヒーロードラマをもっとやって欲しいという要望が来るようになり、東映はその要望に出来るだけ応えつつ、巨大戦の経験値を積む場としてもそれらを活用していったというのが実情でしょう。
実際、「チームヒーローブーム」と言ってみても、「ゴレンジャー」の開始後3年間に新たに作られたチームヒーロードラマといえば「アクマイザー3」とその続編の「超神ビビューン」、そして「忍者キャプター」と「ジャッカー電撃隊」ぐらいです。3年で4作だから少なくもないが「ブーム」と言うほどでもない。
そもそもチームヒーロードラマは確かに人気は出ることは分かったが、何せヒーローがたくさん登場する分、出演料などのコストがかなりかかります。それに見合うだけの予算を確保出来ていなければ制作は出来ない。だから「人気のチームヒーロードラマをやりたいものの予算が無いので断念した」というケースも多かったものと思われます。

0143.jpgそんな状況の中、「ゴレンジャー」開始後半年でいち早く二匹目のドジョウを狙った企画が1975年10月から始まった「アクマイザー3」でしたが、案の定チームヒーロードラマをやるのに十分な予算を確保出来ておらず、役者に払う出演料が足りないので「最初から変身後の姿のヒーロー」、つまり着ぐるみヒーロー3人だけの体制となりました。いきなりこんな窮状を見せられれば「ゴレンジャー」の後追いでチームヒーロードラマをやろうとしても業界人たちは尻込みするのも無理はありません。
ただこの「アクマイザー3」は悪魔であるアクマ族の3人組ザビタン、イビル、ガブラが仲間を裏切って本来は敵である人間世界を守るためにアクマ族と戦うという、仮面ライダーを彷彿させるような石ノ森テイスト満載の作風で、もちろん石ノ森章太郎原作なのですが、これが非常に面白くて意外にもヒット作となりました。半年前に開始した「ゴレンジャー」の方では石ノ森テイストはかなり抑え目だったのですが、こっちでは思いっきり石ノ森テイストの設定であり、これが後半になると急にギャグ調に路線変更されるというのも仮面ライダー同様に石ノ森作品らしいところです。
この作品は設定的には巨大戦というものが必然であるとはとても思えないのですが、それでも「ゴレンジャー」同様に空飛ぶ移動要塞ザイダベック号が登場しており、やはりこの時期の東映の本音は巨大戦のスキルを積むことであったと思われます。

0144.jpgこの「アクマイザー3」に登場するヒロインは主人公3人と同じアクマ族の女性戦士のダルニアであり、最初は裏切り者のザビタン達を始末するための刺客として登場しながらもザビタンに惚れてしまい、その後は仲間になるというキャラで、かなり美味しいキャラのヒロインなのですが、アクマ族はみんな人間態の無い着ぐるみという設定のドラマなので当然ダルニアも着ぐるみキャラであるのが痛い。
いや着ぐるみでも良キャラは良キャラなのでドラマ的には何ら問題は無いのですが、単にこのブログ的に残念であるだけです。まぁアニメキャラに萌えられるのならば着ぐるみキャラにも萌えられなければおかしいのかもしれませんが、ダルニアの場合は着ぐるみという問題以前に人間態じゃないのがやはり画像的には痛いです。せっかく抜群の良キャラヒロインなので惜しいと思えます。なお、ダルニアの声を担当しているのは「ゲッターロボ」の早乙女ミチルや「魔女っ子メグちゃん」の神崎メグ役で有名な吉田理保子さんですので、外見は人間態ではないが美女ヒロインという設定であるのは間違いない。







0145.jpgまた、この作品にはもう1人、渚ジュンという雑誌社の女性カメラマンが登場してアクマイザー3の人間世界における協力者となりますが、こちらはライダーヒロインの類型となります。ただジュンの場合はかなり影が薄く、むしろ限りなくライダーガールズに近いキャラであり、物語中盤でフェードアウトしてその後は登場しなくなりました。














0146.jpg




















0147.jpgこの「アクマイザー3」がヒットした結果、翌1976年には続編となる「超神ビビューン」が後番組として制作され、世界観を一新して3人の主人公チームは全員が従来型の変身ヒーローとなりました。前作の最終話で敵ボスと相討ちで死んだザビタン達3人の魂が3人の人間の若者に受け継がれたという設定で、その3人がライダーやゴレンジャーと同じように戦闘形態のビビューン、バシャーン、ズシーンに変身して妖怪と戦うのです。なお、この作品でもベニシャークという飛行戦艦のようなものが使われています。





0148.jpgそしてこの作品におけるヒロインは明智リサという女性刑事で、ビビューン達の正体を知った上で協力する立場のヒロインですからライダーヒロイン的ですが、主人公たちと深い因縁や宿命があるというほどでもないのでライダーガールズに近い。要するに前作の渚ジュンと同じような立ち位置のヒロインといえますが、リサの場合は刑事なのでそれなりの戦闘力があり、アクション面ではかなり活躍したキャラといえます。













0149.jpg

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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:18 | Comment(0) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月02日

ヒロイン画像その4

一方、ビジンダー・マリやタックル岬ユリ子と近い時期の戦うヒロインキャラであり、なおかつこの2人と同じ異形のヒロインでありながら、その持っている意味合いが全く違っていたヒロイン史における特筆すべき、極めて特殊な変身スーパーヒロインが永井豪原作の戦闘美少女アニメ「キューティーハニー」の主人公の如月ハニーでした。

0115.jpg「キカイダー01」と同じ1973年に制作された「キューティーハニー」は1966年の「魔法使いサリー」から続いていた魔法少女アニメシリーズの系譜から突然変異的に生まれた作品でした。魔法少女アニメシリーズはエブリデイマジック作品であって、基本的にはコメディであり、戦闘などが描かれることはありません。だからそこに登場する主人公ヒロインたちは、サリーであれアッコであれマコであれチャッピーであれ、みんな人知を超えた不思議な能力を持ちながら決してそれを戦いのために使うことはありません。そもそも彼女らは能力はともかくとして性格的に「戦闘」というものを想定されたキャラ設定をされていないのです。
その魔法少女アニメシリーズも作品を重ねるごとにマンネリ化してきて、新たなパターンを生み出そうという思考錯誤の中で、主人公の不思議な能力の源泉が「魔法」ではなく「科学」であるという設定で立案されたのが美少女アンドロイドを主人公とした「キューティーハニー」の企画でした。これは主人公が魔法少女でなく美少女アンドロイドになっているという点で画期的な変更のように見えますが、実際のところはアンドロイドといっても外見上は人間と何ら変わらないわけで、既存の魔法少女アニメと大差ない内容で、単に設定を変えて目新しさを演出したに過ぎません。だからこの当初案のハニーは戦闘を想定したキャラではなく、従来の魔法少女と同様、ご近所コメディの呑気な主人公でしかありませんでした。

0116.jpgところがこの「キューティーハニー」の企画は美少女サイボーグを主人公とした類似企画の「ミラクル少女リミットちゃん」の企画にコンペで敗れてしまい、魔法少女アニメの枠で採用はされず、土曜夜8時30分の枠で放送することを前提に企画を練り直すことになったのでした。この土曜夜8時台というのは当時大人気番組「8時だよ!全員集合」が裏番組として存在していた枠であり、時間帯を考えても元の魔法少女アニメそのものの内容では到底勝負できるものではありませんでしたので、アダルト層の男性をも意識した大幅な内容の変更がなされました。
その結果、アダルト層向けに当時から見て20年以上前の探偵ヒーローものの名作「多羅尾伴内」のパロディの要素なども取り入れて、美少女アンドロイドのハニーが不思議な力を使って七変化して悪の組織の刺客とお色気ハードアクションを繰り広げるという、当初案とは全く違うお話になったわけですが、問題はハニーのキャラ設定が元の魔法少女企画の時のままであったという点でした。
もともと戦闘など想定していないご近所コメディ用のユルいキャラであったハニーに悪の組織とのハードなバトルをさせるわけですから、これは無理があります。ハニーは悪の組織と戦う義務があるわけではない普通の女子高生なのです。というのも、ハニーは多彩な能力を持つアンドロイドではありますが、類似作品とは一線を画した奇妙な設定として、ハニー自身はずっと自分のことを普通の人間の少女だと思い込んできたというのがありました。

0117.jpgそもそもハニーを作った如月博士は幼くして死んだ自分の娘の代わりとしてハニーを作ったのであって、ハニーを戦闘用に作ったわけではない。ハニーにはあくまで人間の娘としての記憶を作成して移植しており、ハニーの多彩な変身能力も如月博士の死んだ娘の将来の夢を全部実現させるためにわざわざ空中元素固定装置というものを発明してハニーの身体に移植した結果の産物であり、その変身のうちの1形態が女戦士キューティーハニーであるのも、死んだ娘の将来の夢の1つが「正義の女戦士」であったからに過ぎない。
つまり如月博士はハニーのことをあくまで自分の娘だと思って愛情を注いでおり、アンドロイド戦士ではなく人間であってほしいと願っていたのです。そしてハニー本人も移植された記憶によって自分のことを普通の人間の女の子だと信じて疑わず、如月博士の実の娘だと思い込んで平和に暮らしていたのでした。
こののどかな設定は、この作品がもともとはエブリデイマジックのコメディとして構想されていた名残といえます。実際、この作品はコメディチックな側面もかなりあり、ハニーのキャラはコメディ部分にも非常に適応性が高い。もともとハニーというキャラはコメディドラマの主人公として造形されていたからです。しかしそうなると、このハニーというのどかな女の子がハードなバトル展開に馴染まないのではないかという危惧が生じます。

0118.jpgだいたい、そんなふうに親からも普通の女の子として生きることを望まれ愛情を注がれ、自身もその生き方に疑問を抱いていないような女子高生が、たとえ中身は戦闘力を有した異形のアンドロイドであったとしても、悪の組織に戦闘用に作られたようなビジンダーやタックルのようにすんなりと戦いの場にその身を投じるはずもない。
またウルトラヒロインやロボットアニメヒロインのように職業的なプロ戦士というわけでもない普通の女子高生のハニーには簡単に戦いに踏み込む必然性も無いし、だいいちウルトラヒロインなどはあくまで彼女らは戦いの主役ではなく支援要員です。ところがハニーは主人公ですから彼女が戦いの主役となるので、より過酷な戦いとなります。ウルトラヒロインやロボットアニメヒロインのようなプロ戦士でもその役目は荷が重いでしょう。そこに精神的には普通の女子高生であるハニーがそう気軽に踏み込めるものではない。
実際ハニーの能力は如月博士がハニーが出来るだけ人間に近い存在であってほしいという想いから幾分セーブして設定しており、敵組織の怪人たちに比べて決定的に優勢なものではなく、かなり苦戦を強いられることが多い、つまり実際に戦いは苛酷なのです。普通の女子高生のハニーがその戦いを継続するのは並大抵の動機では無理というものです。
ハニーが戦い始めるきっかけは父である如月博士が空中元素固定装置を狙う敵組織に殺されたことであり、そういう意味ではこれは宿命の戦いともいえる。そうなるとライダーヒロインに似ていなくもないが、ハニー自身が戦いの主役であるという点でライダーヒロインとは明確に違うし、だいいちハニーの戦いの動機は正確に言えば父の仇討ちとは少し違い、ライダーヒロイン的な宿命とは少し戦いの動機は違います。
ハニーの場合、それは本人の戦いの前の恒例の名乗り文句において自分の戦士としてのスタンスとして表明されています。それは「愛の戦士」というものです。「愛の戦士」というコンセプトこそが、戦う必然性の無い普通の美少女がハードなバトルに身を投じるという難題をクリアするために捻りだされた設定であり、この「愛の戦士」というコンセプトこそが、結果的に新たなヒロイン像への道を開くことになったのです。

0119.jpgどうしてハニーが「愛の戦士」なのかというと、これは単純明快であり、ハニーという存在そのものが如月博士の娘への愛情が作り出した愛の結晶そのものだからです。ハニーは父の死に際して自分の真実の姿を知るとともに、自分が父の愛を一身に受けて生み出された存在であるということを知りました。それはハニーが苛酷な戦いの道に進むことなど父は望んではいなかったことを知ることでもありましたが、同時にハニーは自分の体内の空中元素固定装置は父が娘の、つまり自分の夢を叶えるために愛情をもって作ったものであり、決して父がその装置を悪用されることを望んでいなかったことも知ったのでした。
ハニーは父の自分に向けた愛を感謝し、その愛の思想に共感したゆえに、父の自分への愛の結晶たる空中元素固定装置を悪用しようとして策動し人々を苦しめる邪な企みを阻止すべく、戦うことを決意したのでした。それが父の愛に報いる道だと信じたハニーは「愛の戦士」と自称して戦い始めたのです。これがハニーが「愛の戦士」たる所以です。
ハニーは確かに父を殺されたという意味で敵組織に対して宿命を感じてはいます。しかしハニーは父の仇を討つという宿命的動機だけで戦っているわけではない。また職務として戦っているわけでもなく、正義の勝利を実現したり筋を通すために戦っているわけでもありません。ただ単に父に深く愛されて生まれた自分もまた父と同じように人々を深く愛したいと思い、それゆえに、人々を苦しめる悪に屈することなく戦いたいと願っているだけなのです。
ハニーは確かにスーパーパワーを持つアンドロイドであり異形の戦士ではあるのですが、その心はあくまでも普通の人間の少女であり、この「愛の戦士」として戦うという決断は普通の人間の少女である如月ハニーの心が下したものです。この「愛深きゆえに戦う」という動機こそが、戦う義務も必然性も薄弱な普通の少女が苛酷な戦いに身を投じる動機を成立させる唯一の道となり、そしてそれが新たなヒロイン像を生み出したのでした。

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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:49 | Comment(2) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月01日

ヒロイン画像その3

このように「好き!すき!!魔女先生」に出てくる月ひかる先生=アンドロ仮面は「ミニスカートの戦闘ヒロイン」の元祖としては大変重要な存在です。本来は無関係であるはずの「戦闘」と「ミニスカート(太もも露出)」を不可分の関係としたその伝統が沙織や松原真理などを経てスーパー戦隊ヒロインやメタルヒーローヒロインに引き継がれ、そしてポワトリンのような美少女ヒロインを経てセーラームーンやプリキュアにまで引き継がれていると考えれば、その元祖たるアンドロ仮面の意義は計り知れません。
だが、ミニスカート以外の要素、例えば一番肝心の「変身ヒロイン」という要素に関しては、月ひかるから直接その後の変身ヒロインへ影響を与えた要素は少ないと思います。例えば「好き!すき!!魔女先生」が終了した1972年春に始まった「ウルトラマンA」ではウルトラシリーズ初の変身ヒロインが登場していますが、これは月ひかるの影響を受けて生まれたヒロインというわけではないでしょう。

0060.jpgウルトラシリーズは1967年の「ウルトラセブン」で一旦終了していたのですが、その後の青春ドラマブームの影響を受けて、1971年に人間ドラマ重視路線で復活していました。この1971年から1975年にかけての第二期ウルトラシリーズではウルトラマンに変身する主人公の人間ドラマ、青春ドラマに焦点を当てた作劇になっており、主人公はそれぞれの所属する怪獣対策チームのメンバーよりも日常生活で一般人と触れ合う描写が重視されており、ヒロインも一般人であることが多いです。
ウルトラマンに変身する主人公には一般人の恋人がいる場合が多く、その恋人が当然ヒロインとなります。そうなるとそのヒロインは自然と、戦うヒロインからはほど遠い純粋被害者タイプのヒロインとなり、しかも主人公はその恋人にも自分の正体を隠しているので、ヒロインはあまりキャラが立たず、影は薄くなります。それに主人公の私生活を描く方針といっても、やはり主人公はウルトラマンとして戦ったり怪獣対策チームの業務などもあったりするので恋人とのドラマに割く時間はどうしても少なくなりがちで、恋人はほったらかし状態が多く、ますますヒロインの影は薄くなります。
一方で第一期ウルトラシリーズのフジ隊員やアンヌ隊員のような怪獣対策チームにおける主人公の同僚ヒロインも第二期ウルトラシリーズの各作品にも存在するのですが、何せ主人公には公認の恋人が他所にいるわけですから、フジ隊員とハヤタ、アンヌ隊員とダンの間のようなボンドガール的な大人の男と女の関係を想像させるような余地は無く、純粋に単なる職場の同僚というだけの関係になってしまっています。そういうわけで第二期ウルトラシリーズは主人公の人間ドラマがよく描かれている割には、あまり目立ったヒロインはいません。

0061.jpg1971年度の「帰ってきたウルトラマン」においては坂田アキという主人公郷秀樹の恋人ヒロインが登場しますが、さんざん怪獣の被害に巻き込まれた末、終盤になって遂に宇宙人によって殺されて退場してしまいました。まぁこれは確かに主人公の郷の人間ドラマとしては大きな意味がある展開であったのですが、アキというヒロインは結局何だか幸の薄い弱いヒロインという印象で終わってしまいました。








0062.jpg一方でMATにおける郷の同僚ヒロインとしては丘ユリ子が登場しますが、これは只の主人公の同僚という以上の存在ではありませんでした。いや、第一期のヒロインの中でも「ウルトラマン」のフジ隊員などは実際はハヤタの同僚でしかないのですが、それでも何故かボンドガール的な色気のある設定を感じさせ、その一方でこの「帰ってきたウルトラマン」の丘隊員は同僚的なムードしか感じさせない。この差は何処から来るのかというと、やはり主人公に他所に恋人がいるという設定であるかないかの差が大きい。
それに顔を見比べれば分かる。顔立ち的に作品のヒロインとしての華があるのは明らかにフジ隊員の方であり、丘隊員も美人であるのは間違いないのだが、あくまで妖艶さの無い健康的な職場の華的な存在であることは何となく顔立ちから伝わってくる。こういう顔立ちの女性はボンドガール的なヒーローとの際どい関係を連想させることはないのです。








0063.jpg




















0064.jpgまた1973年度の作品「ウルトラマンタロウ」においても主人公の東光太郎の下宿先の娘の白鳥さおりが光太郎に恋心を抱いており、さおりの場合はあくまで光太郎に片思いしているだけであり、光太郎はさおりの気持ちに気付いていないので恋人関係ではないのですが、さおりは作品におけるメインヒロインの役割を果たしています。さおりはアキのように途中で死ぬようなことはなく最後まで登場しましたが、結局は被害者型ヒロインであり、光太郎の正体にも気付くこともなく終わり、やはり影は薄かったといえます。





0065.jpg一方でZATにおける光太郎の同僚ヒロインとして森山いずみも登場し、森山隊員もどうやら光太郎に好意を持っているようなのですが、それはあくまで恋心と呼ぶには淡いものであり、大した進展も描かれてはいません。結局は森山隊員も丘隊員の場合同様、単なる職場の華的な同僚ヒロインに過ぎなかったと言っていいでしょう。
















0066.jpg



















0067.jpg




















0068.jpgそして1974年度の作品「ウルトラマンレオ」においても主人公おおとりゲンの恋人として山口百子という一般人ヒロインが登場しており、彼女が作品のメインヒロインの役割を果たしています。この百子もだいたい「帰ってきたウルトラマン」のアキと同じような存在で、基本的に被害者型ヒロインであり、やはり終盤になって円盤生物の攻撃による被災に巻き込まれて死亡して退場してしまいました。










0069.jpg一方で「レオ」においても主人公ゲンのMACにおける同僚ヒロインとして桃井晴子、白川純子、松木晴子の3人が登場しますが、彼女たちもゲンの単なる同僚以上の存在ではなく、桃井隊員は戦闘にも参加する隊員でしたが出番は序盤のみで異動という名目で退場し、白川隊員は終盤のMAC全滅までは最初から最後まで登場しますが基地で通信担当専属に近い扱いであって地上に降りての戦闘参加はほとんど無く、結構登場しないエピソードも多い。むしろ中盤から登場した松木隊員の方が中盤以降は毎回登場し、戦闘にも参加するのでメインヒロインに近い扱いでした。
だが、いずれにしても3人とも同僚、職場の華的ヒロインの域は出ず、結局は白川隊員と松木隊員も百子が死亡した時と同0070.jpgじ終盤の円盤生物の攻撃を受けてMACがゲンを除いて全滅した際に殉職して途中退場してしまいました。










0071.jpg











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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 17:08 | Comment(0) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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