2013年04月21日

海賊戦隊ゴーカイジャー妄想物語その14


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さて、アカレッドがナビィと共に1人と1羽だけの「赤き海賊団」を立ち上げて、改めてレンジャーキー探しの旅を開始した頃、ザンギャック帝国の支配下のとある惑星では、マーベラスという名の若い宇宙海賊が喧嘩三昧の生活を送っていました。
このマーベラスという男、かつて7年前に貨物船で密航しようとして宇宙空間でザンギャック軍の襲撃に遭遇して命を落としかけていたところを、たまたま通りかかった宇宙刑事ギャバンに救われた、あの浮浪児の成長した姿でした。あの時12歳だった浮浪児は、あの事件の後、それまでの名前を捨てて、自分でつけた新しい名前「マーベラス」を名乗るようになり、宇宙海賊になりました。ギャバンが自分の正体を明かさずにその場を去ったので、浮浪児は自分を助けてくれた男が宇宙刑事だったとは気付かず、宇宙海賊であったと勘違いしていました。
0153.jpg生まれてすぐに故郷の星をザンギャックに滅ぼされて家族も失い自分が何者であるのかも知らなかった浮浪児の少年は反逆星の生き残りとして酷い迫害を受け、このザンギャックに支配された宇宙で生きる希望を失っていました。そんな少年の心にギャバンの「素晴らしい未来を掴み取ろうとすれば人は勇気を持つことが出来る」という趣旨の励ましの言葉が響き、少年は生きる希望を再び持つことが出来ました。
それはザンギャック軍に立ち向かって自分を助けてくれたその男のように勇気ある宇宙海賊となることであり、その勇気を持つためには自分にも掴み取るべき「素晴らしい未来」が必要だと思った少年は、宇宙海賊の誰もが掴み取ることを夢見る素晴らしいお宝があると聞き、自分はそのお宝を掴み取る宇宙海賊になろうと心に決めました。そのお宝が、海賊なら誰もが手に入れたいと思いながら今まで誰も手に入れたことがないという「宇宙最大のお宝」であり、その素晴らしいお宝を手に入れるという決意の証として、少年は「素晴らしい」という意味を持つ「マーベラス」という名を名乗ることにしたのでした。

そうしてマーベラス少年はまずは海賊になるためには海賊団に入れてもらおうと思い、それなりの規模の海賊団を見つけて入団を願い出て、その海賊団は下働きでこき使えると思ってマーベラスを仲間に入れてやりました。マーベラスはまだ子供だったのでその海賊団ではひとまず戦闘要員としては扱われず、もっぱら炊事洗濯料理などの雑用の下働きをさせられました。
だが宇宙最大の宝を狙う宇宙一番の海賊を目指すマーベラスがそんな雑用係で満足するはずもなく、さすがに大人と対等に戦うのは今はまだ無理だと思ったマーベラスは、まずは航海技術を修得しようと決め、雑用の合間を縫って操舵室に何度も押し掛けて先輩海賊たちに頼み込んで教えてもらい、海賊船の操縦法を着々と修得していきました。3年はそのように操船術の習得に励み、15歳となったマーベラスはもともとスジが良かったのか、若くして一流の操船術を身に着けるようになっていました。
だがマーベラスは航海士に専念した方がいいという先輩海賊たちの意見に反して、そろそろ背も伸びて身体も大人並みになったので他の海賊たちと一緒に武器を持って船の外に戦いに出たいと希望しました。マーベラスは別に単なる航海士で終わるつもりなど無く、宇宙一番の海賊になるためには操船術だけでなく腕っぷしも一番でなければいけないと考えており、3年間みっちりと大人に混じって海賊式の戦闘術の訓練は積んでいました。それでも身体が小さいうちは足手まといになるので実戦には連れていってもらえていなかったのですが、成長期に入って急速に身体が大きくなってきたのでマーベラスは強く実戦参加を願い出て、遂に許可を得て初陣を飾ることとなりました。
マーベラスとしてはいよいよ自分の最強伝説の幕開けだと浮かれていましたが、初陣は拍子抜けするものでした。マーベラスを含んだ海賊団の部隊が武器を持って襲ったのは普通の商家や民家であり、やったことといえば一般人を縛り上げて恫喝して金品を奪う略奪行為でした。マーベラスは道徳的な教育を受けたことはないので、窃盗や殺人などの悪事に抵抗があるわけではない。だが、弱い一般人を苛めるような行為は、かつて自分が小さい頃にザンギャックや他の人々に苛められていたのを思い出してあまり良い気分はしなかった。それに何よりも、強敵と戦って腕を磨くことを期待していたマーベラスにとっては、この単なる弱い者イジメのような戦いは非常に期待外れなものでした。
その後もそうした略奪作戦が続き、不満を燻らせて参加していたマーベラスは、何度目かの略奪の際にザンギャックの官憲がやって来たので遂にまともな戦いが始まると期待しましたが、仲間たちがさっさと撤退するので驚きました。それでも1人残って戦おうとしたマーベラスでしたが、仲間たちに無理矢理連れて行かれて、結局逃げる羽目になってしまいました。

その後、マーベラスが戦えなかったことを不服がると、仲間たちは余計な戦いなどせずに奪うものを奪えば逃げればいいのだと言い、マーベラスもそれは確かに一理あるとは思ったものの、こんな手ぬるいことばかりしていて「宇宙最大のお宝」が手に入るのだろうかと不安になりました。それでマーベラスが仲間たちに向かって、つまらない略奪よりも「宇宙最大のお宝」を早く探しに行かなくていいのかと質問したところ、仲間たちは大笑いして「宇宙最大のお宝」などタダの伝説に決まっている、本当にあるわけがないだろうと言うのでした。
マーベラスは驚いて、伝説などではない、きっと在るはずだと言い張りますが、仲間たちは今までどんな海賊も「宇宙最大のお宝」など見たこともないし、それが何処にあるのか、どんな姿形をしているのか、どうすれば手に入れることが出来るのか、何も知らなかったのだからそんなものは単なる伝説としか考えられないと言い、逆にマーベラスに向かって、じゃあお前は「宇宙最大のお宝」について何か知っているのかと質問してきました。
マーベラスは確かに「宇宙最大のお宝」について何も知らない。てっきり仲間の誰かが何か手がかりを知っているものだと思っていたので目算は外れていました。だから返答に窮してしまい、仲間たちはそんなマーベラスを見て、その単細胞ぶりを嘲笑い、そんな在りもしない物を追いかける海賊は何処にもいないんだよと教えました。そして、目の前にぶら下がった手に入りそうな物を欲望に任せて奪い取るのが現実の本当の海賊だと仲間や先輩たちはマーベラスに言いました。
しかしマーベラスは「宇宙最大のお宝」を手に入れるために海賊になった。いや、正確には「宇宙最大のお宝」を掴み取ろうとすることによって湧き上がってくる勇気を持つ海賊になることがマーベラスの生きる意義そのものとなっていました。だから「宇宙最大のお宝」を諦めるというのはマーベラスにとって自分の人生を否定するに等しい。だからマーベラスはあくまで「宇宙最大のお宝」を諦めませんでした。
マーベラスは仲間や先輩たちに向かって、欲しいものを自分の手で奪い取るのが海賊だというのなら自分が海賊として「宇宙最大のお宝」を奪い取る生き方を選ぶのは当然だと言い、「宇宙最大のお宝」を追いかけないこの一味には用は無いと告げ、脱退して今後は1人でお宝を探すと宣言しました。
突然のマーベラスの脱退宣言に仲間たちは驚きました。アウトロー集団である海賊一味は簡単に脱退が許されるようなものではない。勝手に抜けるなどと言っても五体満足で抜けさせてくれるはずもない。それでもあくまで抜けるというマーベラスは殺気立った仲間たちに取り囲まれましたが、マーベラスは大立ち回りの末、襲ってきた一味の強者たちをぶちのめして小型艇を強奪し、そのまま強引に一味を飛び出していったのでした。

その後、その海賊団はザンギャック官憲の手入れを受けて壊滅したので、幸いマーベラスにしつこく追手が差し向けられるようなこともなく、マーベラスは弱冠15歳にして一匹狼の海賊として生きていくことになりました。その生計を支えるためにマーベラスはもともと居た海賊団で磨いた操船術を駆使して旅先であちこちの海賊団に話をつけて臨時の航海士を務めることとしました。
そうして日雇いの金を稼いで生活費や旅の費用に充てていましたが、マーベラスはそれら旅先で仕事を請け負った数々の海賊団の戦闘には参加しませんでした。それは、それらの海賊団の戦闘といっても以前の海賊団同様、弱者からの略奪ばかりであったからでした。まず基本的にマーベラスはかつて自分自身がザンギャックや世間に虐げられていた立場だったため、弱い者を苛めるような行為が好きではなかった。それにそんな弱者苛めのようなことばかりしていても「宇宙最大のお宝」を手に入れるに相応しい強い海賊になれそうにない。だからマーベラスは海賊団の戦闘には参加せず、操船の仕事だけしていました。
その代わり、マーベラスは強い海賊となるために武者修行を兼ねて喧嘩三昧の生活を送ることにしたのでした。実際、宇宙を旅しながら海賊の助っ人航海士の仕事をするといっても、絶え間なく仕事にありつけるわけでもない。操船の腕を見込まれて杯を交わして正式な団員になるよう求められることも多く、そうした方が食いっぱぐれがないのも確かでしたが、どの海賊団も「宇宙最大のお宝」の存在を本気で信じて手に入れようとしていなかったのでマーベラスは団員になる気にはなれませんでした。そんな一味の仲間になってしまったら自由にお宝探しを出来なくなってしまうからです。
だから臨時の日雇い仕事しかありつけないマーベラスは旅先で仕事にありつけずヒマな時も多く、収入も不安定でした。そこでマーベラスはそうしたヒマな時期には手当たり次第に気に入らない相手に喧嘩を吹っ掛けて回ることにしたのです。憂さ晴らしという意味合いもありましたが、喧嘩をすることで実戦訓練を兼ねていたのでした。
マーベラスは弱い者苛めが嫌いでしたので、マーベラスが気に入らない相手は大抵は弱者を苛めているような連中が多く、そういう連中というのは大抵はそこそこ強い連中だったので、武者修行の相手にはほど良い相手であったのです。またそういう連中は大抵は卑怯者であったので、そういう連中に喧嘩を売ることでマーベラスは大勢による騙し討ちのような不利な局面での戦いの経験も多く積むことが出来ました。それにマーベラスのぶっとばしたいほどに気に入らない相手には基本的に弱い者は含まれていなかったので、気に入らない相手に喧嘩を売っている限り、マーベラスは自分の嫌いな弱者苛めをしないで済みました。だからとにかくマーベラスにとっては、気に入らない相手に手当たり次第に喧嘩を吹っ掛けて損をすることはなかった。

そしてマーベラスが喧嘩を売ってやっつける相手というのは誰かを虐げて酷い目に遭わせていたような場合が多かったので、結果的にマーベラスのお蔭で助かる人というのも結構多かったのですが、そうした人々は別にマーベラスに感謝することというのはほとんどありませんでした。何故ならマーベラスは喧嘩をしてやっつけた相手から当然のように戦利品として金品を奪っていたからです。
マーベラス自身、単に気に入らない相手をぶっ飛ばしていただけであり、人助けや善行をしているという意識は全く無かった。決して育ちが良いわけでもなく海賊根性が染みついているマーベラスには喧嘩で負かした相手から戦利品をいただくのは当たり前の権利だという感覚があり、実際のところ収入が不安定であったので喧嘩相手から巻き上げる金というのもマーベラスの生活費の中で欠かすことの出来ない収入源でもありました。
ただ、金品目当てに相手を襲っているわけではなく、あくまで喧嘩することが目的であり、勝てばその場で持ち金を巻き上げるだけのことであったので、結局はマーベラスが悪者を喧嘩でやっつけても、その悪者にそれまで酷い目に遭わされていた人達は奪われた金品が戻ってくるわけでもない。その場で悪者に殺されかけていた人が命拾いするぐらいのことです。マーベラスはそれ以上の正義の行使は決してしないし、そのささやかな正義の行為も、喧嘩の後でマーベラスが相手から金を奪う行為を見ることによって人々の心の中で帳消しになってしまいます。
だから人々は結果的にマーベラスの行動によって助かった場合でも大抵はマーベラスに感謝などしませんでした。単にキレやすい無法者だと見なして恐れ、毛嫌いしただけでした。マーベラスは弱者苛めはしない主義であったのですが、そんな自分の主義をいちいち説明などしませんから、人々は今度はマーベラスが自分達を暴力で支配して収奪しようとするのではないかと誤解して恐れるのは当然でした。
マーベラス自身、自分が正義であるなどという意識は全く無く、そもそも正義とは何なのかすら全く知らないのですから、海賊である自分が一般の人々から嫌われ恐れられるのは当たり前のことだと思い、人々が自分に冷たい視線を向けることは一向に気にしていませんでした。マーベラスはただひたすら強くなるため、そして生活費の小銭を稼ぐために旅先でいつも気に入らない相手に喧嘩を吹っ掛けまくり、何処に行っても人々からは乱暴者として忌み嫌われていったのでした。
そんなマーベラスを嫌ったのは一般の人々だけではなく、当然のことながら喧嘩相手からも恨まれていきました。特にマーベラスが気に入らないと感じる相手は弱い者をいたぶるような卑怯者なのですから、そこには当然ながら宇宙各地で横暴や腐敗を極めていたザンギャックの官憲や軍の関係者も多く、すっかり気に入らない相手には誰かれ構わず喧嘩を売るクセのついたマーベラスは、さすがにザンギャック軍の正規戦闘部隊に1人で正面切って戦いを挑むようなことはしませんでしたが、それでも駐屯地の官憲や警備兵ぐらいのゴーミン相手ならば平気で喧嘩を売っていきました。そうして次第にマーベラスはザンギャックの官憲からも恨まれマークされるようになり、いっぱしの賞金首のお尋ね者となっていきました。
また、マーベラスは気に入らない相手と感じれば同業者である海賊にも平気で喧嘩を売りまくっていたので、次第に海賊業界でも鼻つまみ者となっていき、臨時の航海士の仕事も減っていき、そうなるとマーベラスとしても旅を続けていくために必要な金は喧嘩相手から巻き上げる金に依存していく度合いが更に上がっていくことになりました。
元来はマーベラスは自分の感情をコントロール出来ないほど短慮な男ではなく、意外に思慮深く繊細であり、喧嘩っ早いのも強くなるためという計算があっての行動であったのですが、こうして貧してくると何時しかマーベラスの喧嘩の目的も相手から金目のものを奪うことの方が主となっていき、一応は強い相手と戦うという原則は維持しつつも、内実はかなり荒んだものとなっていきました。

0141.jpgそうして殺伐とした生活を3年以上も過ごして、地球暦で2012年にあたるこの年が明けて、自分の誕生日も知らないマーベラスは元旦に年齢を加算することにしていましたので19歳となりましたが、背も更に伸びて顔も眼光鋭いチンピラ風情となり、もはやかつてギャバンと出会った頃の少年の面影は消え去っていました。
マーベラスがここまで荒んだ風情となってしまった原因は喧嘩三昧の殺伐とした生活や世間の冷たい風当たりなどももちろんありますが、それらはもともと「宇宙最大のお宝」という夢を掴むために自ら進んで突き進んだ道であったはずです。だから、夢に向かって着実な成果さえ上がっていればマーベラスの心がそれほど荒むはずもない。最大の問題はその「宇宙最大のお宝」探しが全く成果が上がっていなかったことでした。
何処に行って誰に聞いても、誰も「宇宙最大のお宝」について何も知りませんでした。それどころかマーベラスが「宇宙最大のお宝」の存在を本気で信じて手に入れようとしていると知ると、誰もが冷笑し、バカにしました。そうして3年以上の年月を過ごし、マーベラスは全く孤立した状態で遂に先の見えない壁にぶち当たり、彼自身が「宇宙最大のお宝」というものが本当に存在するのかどうか疑問を感じるようになってきてしまいました。
これだけ探しても手掛かりさえ見つからないということは、やはり他の海賊たちが言うように「宇宙最大のお宝」はタダの伝説に過ぎなかったのではないかとマーベラスの心は揺らぎ、結局自分は実在もしない伝説を追いかけているうちに世界中から嫌われる孤独なはみ出し者になって、自分で自分の人生を台無しにしていただけなのではないかと焦る気持ちが湧き上がってきました。そうして、その疑念を否定しようとする想いとその疑念とが葛藤し、マーベラスの心を苛立たせていっそう彼の表情を険しいものとしていたのでした。

0144.jpgそうした時、マーベラスの前にキアイドーという賞金稼ぎが現れました。マーベラスはキアイドーとは初対面でしたが、その名は当然知っていました。キアイドーは宇宙一の賞金稼ぎとして名を馳せており、賞金首となっている者でその恐ろしい名を知らない者はほとんどいなかったからです。キアイドーはマーベラスの前に突然現れて金と戦いこそが退屈を解消する薬だなどとキザな言葉を投げかけてきましたが、要するにどうやらそろそろいっぱしの賞金首となった自分を倒して賞金を稼ぐためにやって来たようだとマーベラスは解釈しました。強い奴らと戦う経験を散々積んできたマーベラスにはキアイドーが自分よりも格上の相手であることは一目で分かりましたが、そういう相手と戦うことで自分を鍛えてきたマーベラスはむしろ戦いは望むところだと思い、いきなり襲ってきたキアイドーと戦い始めました。
これまでにもマーベラスは格上の相手とも何度も戦ってきており、当然いつも勝っていたわけでもありませんでした。強い相手と戦った結果、敗走することもしばしばあった。キアイドー以前にも凄腕の賞金稼ぎとやり合って負けて逃げたこともありました。だからマーベラスはキアイドーに負ける可能性があることも十分承知していましたが、敗北を恐れてなどいませんでした。
これまでにも強敵に敗北したこと自体を糧にして自分は更に強くなってきて、最終的にはその強敵を撃ち破ってきたことも多かった。自分を強くするためには勝ち目の薄い相手とも戦って、時には負けることも必要だということはマーベラスには分かっていました。負けても生きる意思を失わずしぶとく生き延びればいいのであり、敗北の悔しさをバネにして不屈の闘志を維持すれば必ず強くなってリベンジは可能となる。もし万が一負けて死ぬのであれば、自分はそこまでの男だっただけのことであり、到底「宇宙最大のお宝」を掴む器量の男ではなかったというだけのことだとマーベラスは割り切っていました。つまり、「宇宙最大のお宝」という夢へ向かう強い意思がマーベラスに敗北すら恐れさせない勇気を与えていたといえます。
これまでもそのようにして強敵と戦ってきたので今回もマーベラスは怯むことなくキアイドーに立ち向かっていきましたが、やはり予想通りキアイドーは恐ろしく強く、マーベラスは絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。ただ、これまでならばこれぐらいの窮地でマーベラスの心はまだ折れませんでした。勝ち目が無いと判断すればマーベラスはまずはその場を逃れてリベンジに備えようと思い、何とかして相手の隙を見出してやろうとしていました。ところがこの時はマーベラスは武器を弾き飛ばされて尻もちをつきキアイドーに剣を突きつけられると身が竦んで動けなくなってしまったのです。
そして、今まで強敵に追い詰められた時には生じたことのないこうした自分の心身の異常事態にマーベラスが混乱していると、目の前でキアイドーがそれ以上の異常な行動に出ました。へたり込んでしまったマーベラスを見てつまらなそうにしたキアイドーはいきなり自分自身の胸に剣を突き立てて傷を負わせ、フラつきながら、これで自分に弱点が出来たのだから勝負が面白くなってきたと高笑いし、マーベラスに向かって自分と戦うよう迫ってきたのでした。
それを見てマーベラスはキアイドーが狂っていると悟りました。つまり、最初に嘯いていたように、キアイドーは金と戦いの快楽を得るためだけに戦い続けているのであり、それ以外に退屈な人生を生きる意味を見出せない歪んだ心の持ち主であったのです。戦いに勝って生き残り、その命を使って何かを成し遂げようなどというマトモな夢や目的など持っていないので、わざわざ自分に傷を負わせてまで戦いのスリルを楽しもうとする異常人格者がキアイドーの本質でした。それは夢のために戦い続けてきた自分とは正反対の生き方であると、それまでのマーベラスだったら感じたはずです。
だが、その時マーベラスは戦いの快楽に溺れて狂ったように喚き続けるキアイドーの姿を見て、自分も実はキアイドーと大差ないのではないかと思えました。自分も実際はただ強敵との戦いの快楽と生活の糧である金品強奪のためだけに戦っているのではないか。キアイドーの狂気に歪んだ姿を見てそんなふうに感じてしまったマーベラスは、それは自分が何時の間にか自分の夢を信じられなくなっていたからだと気付きました。「宇宙最大のお宝」など実在しない伝説に過ぎないと思うようになってしまっていたからこそ、自分の戦う意義をそんなふうに卑下して見てしまったのだと気付いたマーベラスは、だからさっき自分はキアイドーに追い詰められて身が竦んでしまったのだと理解しました。
自分は素晴らしい夢を掴む意思を持つことによって勇気を得てきた。だから夢を信じられなくなった自分にはもう勇気は湧いてこない。戦いの快楽に突き動かされて狂ったように戦い始めてみたものの、圧倒的実力差で追い詰められた時、それを撥ね返す勇気を持たなくなっていた自分は無様に恐怖心に支配されてしまったのだ。そうした自分の情けない真実に気付いたマーベラスは、キアイドーを前にして恐怖のあまり腰を抜かしてしまったのでした。

0143.jpgガクガク震えてその場を逃げ出すことすら出来なくなってしまったマーベラスの命運はもはや尽きたと思われましたが、何故かキアイドーはうわ言のように戦いの快楽に浸って喚き散らした後、マーベラスに手を出さずにその場を去っていきました。
キアイドーは最初はマーベラスとの戦いの継続を望んでいたようですが、マーベラスが戦意を喪失してしまったのを見て興醒めしました。通常ならばそのまま相手にトドメを刺して戦いを終えるところでしたが、キアイドーはマーベラスと戦ってみた結果、マーベラスの潜在能力がまだまだ底知れないことを見抜いていました。だからこそ、もっとスリリングな戦いが楽しめると思ってマーベラスに戦いを続けるよう迫ったのですが、マーベラスが戦意を喪失したのを見て、キアイドーはマーベラスの潜在能力の開花には時間がかかるのだと悟り、今回は見逃しておいて、いずれもっと強くなったマーベラスと再戦して、極上の戦いの快楽を貪りたいと考えたのでした。おそらくその頃には今よりももっと大物犯罪者となったマーベラスの賞金額も跳ね上がっているはずであろうから、その時を待ってマーベラスを倒した方が金銭的にも得だという考えもキアイドーにはあったようです。
しかし、そんなキアイドーの歪み切った考えなどマーベラスに想像も出来るわけもなく、キアイドーの立ち去った場所で腰を抜かしたまま取り残されたマーベラスは、どうして自分が見逃して貰えたのか理由が分からず戸惑いました。だが、そんな戸惑いも霞んでしまうほどにマーベラスの心にはもっと大きな困惑が広がっていきました。自分は何時の間にか勇気を失ってしまった。いや、その勇気の源である夢を信じられなくなってしまっていた。そのことを自覚したマーベラスは、夢を見失った自分はこれから先、何のために生きていけばいいのか、全く分からなくなってしまい途方に暮れるのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:44 | Comment(2) | 海賊戦隊ゴーカイジャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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