2013年05月10日

海賊戦隊ゴーカイジャー妄想物語その15


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さて、「赤き海賊団」との戦いで重傷を負って入院してしまったジョーですが、命に関わるような傷というわけではなく、足の怪我が重いのでしばらく兵士として戦うことは出来ないが、ちゃんと安静にして適正なリハビリを続ければ元通りに特殊部隊に復帰できると聞き、ジョーはひとまず安堵しました。
しかし入院生活を送っているうちにジョーは次第に焦ってきました。「赤き海賊団」に完敗してしまったジョーは自分がまだまだ未熟であることを思い知らされていました。それにお咎め無しとはいえ、戦いに敗れて入院する羽目となった自分の軍内での評価は下がったはずです。このままでは自分の夢、すなわち帝国の平和を守る立派な戦士となるという夢の実現は遠のく。まだ自分は特殊部隊内でも一人前として認められていないのに、今回の任務失敗でますます半人前の烙印を押されてしまったのではないだろうかとジョーは不安に駆られました。
早く訓練に復帰して自分を鍛え直して、まずは帝国最大の敵という「赤き海賊団」にリベンジして戦士としての誇りを取り戻したい。それが焦りだということはジョーも分かっていたのですが、これまでこんな長期の入院生活を経験したことのないジョーは病室で1人じっとしていると焦りを抑えることが出来ませんでした。それでとにかく焦りを少しでも解消して安心するためにジョーはそれまで日課としていた筋力トレーニングをやろうと思い、ベッドの上で無理をして身体を動かしていました。
ところがそれを担当の看護婦に見つかってしまい、看護婦は驚いてジョーに無茶をしないよう注意してきました。その看護婦はジョーと同じ年頃の異星人の若い女で、それまでは無愛想に黙っていることの多かったジョーのことを怖がって避けているような素振りであったのですが、ジョーが馬鹿なことをしているのを見て思わず声をかけたのでした。ジョーは看護婦に叱られたので素直に謝り、1人で病室でじっとしていると不安になって仕方ないのだと弱気な心情を吐露しました。普段は弱音など吐くことのないジョーでしたが、実戦での初めての完全なる敗北で負傷して、焦りもあって気が弱くなっていたのでした。

このジョーの入院している病院はザンギャック軍の専用病院であって医師はみんな軍医でありましたが看護婦は必ずしも全員が軍所属というわけではないようで、この若い看護婦も軍所属ではなく普段は一般病院で務めている者が人手不足で一時的にこの病院で働かされていました。それゆえ軍人に慣れておらず、ザンギャック本星人ではない彼女から見ればザンギャックの軍人は怖い存在でした。特に自分の担当するジョーのことは猛者揃いの特殊部隊の精鋭だと聞いており、実際入院してきたジョーはいつも陰気に黙り込んで鋭い目をギラギラさせており、彼女は声をかけるのも恐ろしいと感じていました。
そのジョーがいきなり素直に1人で不安なのだと告白したので、彼女はそういえば1度軍の役人みたいな人が来た以外、誰1人ジョーの見舞いに来ていないことに気付き、鬼のようなザンギャック軍人でも怪我や病気をすればやはり人並みに不安なんだなと思い至り、これまで冷たい態度をとってしまっていたことを反省しました。それでちゃんと親身に接しようと思い、何か気がまぎれるようなことがあれば一緒にやりましょうと看護婦はジョーに提案しました。
言った後で、彼女は素行の悪い者が多いザンギャック軍人にそんなことを迂闊に言って変なことを要求されたらどうしようと不安になりましたが、ジョーがならばトランプをしようと言ったので意外な展開に面食らいました。ジョーの唯一の娯楽は兵士養成所で覚えたトランプだけであり、特にポーカーは引きの強さが自慢でありました。ジョーがヒマを持て余している時に気を紛らわせるためにやることといえば、これまでの人生では筋トレとトランプだけであったのです。
それで看護婦はジョーとポーカーをする羽目となりましたが、実は彼女はポーカーのルールをあまりよく知らないほどで、全くの素人でした。それで勝負はジョーの圧勝となったのですが、素人相手に全力でポーカーの勝負をするジョーを見ていると看護婦は何だか子供みたいに思えて可笑しくなってきて、ジョーに対して当初持っていた恐怖心が無くなり、親近感を覚えました。それで、結局あまりに相手に歯応えが無いのでつまらなそうな顔をしているジョーに向かって、看護婦は今度は自分の得意なことを教えると言いました。むしろジョーにとって未知の面白いことを教えた方がジョーは退屈しないのだろうということに気付いたのです。
その看護婦の得意なことというのはケーキ作りでした。無骨一辺倒の人生を送ってきたジョーにとってケーキ作りというのは全く縁の無い世界であり、ハッキリ言って全く興味の無い分野でありましたが、だからこそむしろ今は軍の仕事のことを忘れて治療に取り組むために良い気晴らしになるのではないかと思い、ジョーも看護婦にケーキ作りを教えてもらうことにしました。
その病院には厨房もあり、そこにはケーキ作りに必要なオーブンや調理具なども揃っており、材料やレシピの本は看護婦が用意しました。ジョーはリハビリがてら松葉杖で厨房に行き、看護婦のケーキ作りを手伝いながらその作り方を学ぶことになりました。周囲の職員たちもだいたい軍の職員であったので、特殊部隊の隊員であるジョーがケーキを作っているのを奇異なものを見るようにしていましたが、ハッキリ言って特殊部隊の不愛想な兵士であるジョーは皆に怖がられていたので、ジョーがこれはリハビリなのだと強弁すると、みんなジョーに言い返すこともなく、あまり関わり合いになろうともしませんでした。
お蔭で静かな環境でケーキ作りに没頭することになったジョーは、それが武術などとはまた違った意味でなかなか奥深い世界であることを知り、予想以上にのめり込んでいきました。その結果、ジョーは早く軍務に復帰しなければいけないと焦る気持ちを忘れて、落ち着いた気分で治療とリハビリに専念することが出来ました。

0155.jpgしかし看護婦からケーキ作りを学んだ効用はジョーにとってそれだけではありませんでした。それまでジョーはほとんど軍の人間としか接したことがなく、一般人の知り合いなど1人もいませんでした。それはよく考えたら不自然なことでした。ジョーは一般の人々を脅威から守るために兵士になろうとしてこれまで頑張ってきたのですが、そのジョーが自分の守る対象である一般の人々のことをほとんど知らなかったのです。
これまでのジョーはただ単に自分のことを「人々の平和を守る兵士」だという抽象的イメージで捉えていただけであり、実質的には単に軍や帝国政府の命令に忠実に従っていただけでした。もちろん帝国の命令に従って戦うことが帝国の一般の人々の平和を維持することに繋がるのだということはジョーも理解はしていましたが、あくまで人々のために戦いたいと考えて兵士となったジョーにとっては、その守るべき人々のイメージが自分の中で確固としていなかったのは1つの欠陥であったということに今回ジョーは気づくことになったのです。
どうしてそんなことに気付いたのかというと、ケーキ作りを教わりながら看護婦と接して、看護婦の娘の屈託のない笑顔を見ているうちに、ジョーはその看護婦の娘に自分の守るべき普通の人々のイメージを初めてハッキリと感じたからです。初めてそれを感じ取ったことによって、ジョーは今までの自分がそれを知らなかった、単なる上官の命令に従うだけの戦闘マシーンのようなものだったということを自覚したのです。
守るべき相手のことを人間として知ることによって自分は戦闘マシーンではなく人間の戦士として成長することが出来るのではないだろうかと思ったジョーは、看護婦にもっと彼女自身のことを教えてもらいたいと思い、ケーキを作りながら会話をして、彼女の生活のことや故郷の話などを聞きました。

それによると、彼女はもともと故郷の小さな星で見習い看護婦をやっていたが、正式な看護婦となるためにこの星の学校に入学することになり、そこを卒業して一旦一通りの実習をこなすためにこの星の総合病院で働いていたところ、今回急遽この軍の病院に助っ人で来ることになったのだという。そして、おそらくジョーが退院すると彼女もこの病院から元の病院に戻り、その頃ちょうど実習期間も終わるので故郷の星に戻ることになるだろうとのことでした。
故郷に戻れば彼女はもともと見習いで働いていた小児科の病院に戻ることになるそうで、それが彼女のずっと目指してきた夢なのだという。子供好きな彼女は自分の星の子供たちを可愛がっており、その子供たちの命を救う仕事をしたいと思ってきたのです。今回、正式な看護婦となり実地の経験もしっかり積んだ彼女はこれから故郷に戻ってバリバリ子供たちのために働くのが楽しみだというのです。実はケーキ作りも故郷で病院の子供たちに食べさせるためにお菓子作りを始めたのがきっかけで特技となったのだそうです。
そうした彼女の話を聞いて、ジョーは彼女や彼女の周りでケーキを美味しそうに食べる多くの子供たちの居る温かい情景を思い浮かべ、それこそが自分の守るべき人々のイメージなのだと強く実感しました。思えば自分も幼い自分を救ってくれたザンギャック兵達に憧れて、子供を守るヒーローになりたいなどと思って兵士になったはずなのに、そんな温かい子供の居る情景のイメージなどこれまで全く持ってこなかった。しかしよく考えたら無理もない。自分はこれまで自分よりも小さな子供たちと平和でのどかな時間など過ごしたことはないのだと、ジョーは自嘲しました。
ジョーは看護婦の娘の話から思い浮かべた情景こそが自分の目指してきた戦士の守るべき者達の具体的なイメージなのだと実感し、それを肌で知っている彼女を羨ましく思いました。それで彼女の故郷の生活をしきりに羨ましがり、自分もその子供たちに会ってみたいものだとジョーが何となく言うと、看護婦はそれならば怪我が良くなったら一緒に行けばいいと言い出したのでした。ジョーは軍務に縛られている自分にそんな自由が許されるはずはないと思っていたので、看護婦の言葉に驚いて、そんなことが出来るのかと尋ねました。
すると彼女は、自分の星にもリハビリの施設もあるので、退院間近にリハビリ名目で自分も一緒であれば自分の故郷の星にちょっと行くぐらいのことは可能だろうと言いました。確かにそれならば何とかなりそうだとジョーにも思えました。逆に退院してしまえばおそらく軍務の縛りが厳しくて、当分はそのような自由な時間は作れそうにない。これは千載一遇のチャンスではないかとジョーは思いました。
看護婦の故郷の星に行って子供たちと穏やかな時間を過ごせば自分の中で戦う意味がより確固としたイメージを持つような気がしました。そうなれば今のような迷いや焦りもあまり感じなくなり、自分はより強くなれるのではないか。それが「赤き海賊団」に今度こそ打ち勝つことにも繋がり、自分の夢の実現にもつながる。きっとそうに違いないと思い、ジョーは是非行きたいと看護婦に伝えました。それを聞いて看護婦は、ならばその日を迎えるために今はリハビリを頑張りましょうとジョーを励ますのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:46 | Comment(0) | 海賊戦隊ゴーカイジャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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