2010年12月20日

ゴーグルピンク

ゴーグルピンク.jpg






















「サンバルカン」に続いて1982年にシリーズ4作目として作られたのが「大戦隊ゴーグルファイブ」です。
この作品は前作の3人戦隊から5人戦隊に戻りました。
理由は、後楽園遊園地のヒーローショーが3人より5人の方が盛り上がるから。
とにかく、この作品で戦隊シリーズの基本的なフォーマットは完成しました。
そして、非常に視聴率の良かった作品でもあるこの作品で、戦隊シリーズは世間的に大いに認知されるようにもなりました。

お話は至ってシンプル。
暗黒科学帝国による世界征服を阻止するために未来科学のコンピュータが選び出した5人の若者が
未来科学の粋を集めたゴーグルスーツに身を包んで正義のために戦うというもの。
単純な勧善懲悪で、他は特にひねりもありません。
戦隊メンバーの前歴が、冒険家、将棋の棋士、アイスホッケー選手、山師、新体操選手というふうに
やたらバラエティに富んでますが、特にキャラを掘り下げるということもありませんでした。
ひねりのない明快さと、アクションに新体操を採り入れた斬新さ。そして一部キャラの魅力。
これらによって、かなり無難で安定した人気を獲得した作品です。
ハッキリ言って深みは無いので後世の評価は高くないですが、リアルタイムではホントに人気ありました。

そして、この作品で「サンバルカン」では一旦無くなっていた戦隊ヒロインが復活しました。
これは女児を中心に変身して戦うヒロインを復活してほしいという要望がテレビ朝日に多く寄せられたからです。
男の兄弟の付き合いで戦隊を観る女の子もいるわけで、
そういう女児たちには感情移入できる女のメンバーはいた方が嬉しかったんですね。
5人戦隊に戻さねばならないという流れの中で戦隊ヒロインも復活という運びとなりました。
つまりゴーグルピンクに変身する桃園ミキの登場です。

ただクリアすべき問題は残っていました。
また「一般人が選抜されて戦隊メンバーになる」という設定であるため
「デンジマン」の桃井あきらの再来になってしまう可能性が高かったのです。
桃井あきらはテニスプレイヤーで、桃園ミキは新体操選手。設定からして似ています。
その桃井あきらの問題点は「一般人女性は弱い」ということでした。
授けられた戦隊の能力は強くても、基礎体力が弱く、戦士としての精神面も弱い。
普通の女性は優しくて戦いには向いていない。そういうのが当時は常識でした。
だから女は男に守られるもの。男に頼るもの。そうなると自然に色気が強調されたりします。

scan006.jpg桃園ミキもそうなった可能性はあります。
もともとは早坂あきよさんという女優さんが演じる予定でした。割と肉感的な人でした。
この作品、あんまりキャラ設定をちゃんとしてないので、役者のイメージに引っ張られた可能性が高いです。
しかし早坂さんが事情で出られなくなり、急遽、モデルの大川めぐみさんがミキを演じることになりました。
大川さんはすごく華奢で細くて、どう見ても強くなさそうで色気もあんまりありませんでした。
お色気を強調した桃井あきらタイプではやっていけそうにありません。
もうただ弱いだけのヒロインになってしまいそうです。
ここから逆転の発想で、「弱いからこそ強いヒロイン」が生まれます。

確かに桃園ミキは弱い。
弱いのにそれでも戦おうとするということは、精神的にものすごく強いのです。
ミキがそれまでの戦隊ヒロインと決定的に違う点が1つあります。
それまでのヒロインはペギーにしろカレンにしろダイアンにしろマリアにしろあきらにしろ
皆、戦隊に入る以前に、自分の親しい人が敵に殺されてました。そういうのも戦う動機になってたのです。
しかしミキにはそういう事情は何もありません。
ただコンピューターに選ばれたと聞かされて、二つ返事で了承します。普通有り得ないですね。
個人的動機も無く戦う。純粋に使命感だけなのです。

なんでそういうことが出来るのか。他の4人もそうなんですが、特にか弱い女性のミキの場合際だちます。
それは見返りを求めない愛の強さゆえです。何に対する愛かというと、人類愛みたいなものですが
この場合、見返りを求めないという女性の愛という点で、母性愛に近いでしょう。慈愛と言ってもいい。
慈愛の強さゆえに誰よりも強く純粋な精神でひたむきに戦い、それゆえ弱い女性であいながらも奇跡的な強さを発揮する。
これが桃園ミキの強さであり、女性ならではの新しい形の強さでもある。
新しいタイプのヒロイン像の誕生でした。
子供も本当はこういう「優しくて強いお母さんやお姉さんタイプ」のヒロインが好きだったのです。
クールビューティやお色気ヒロインというのは、むしろ大人が好きなヒロインなのです。

いや、こういうミキ的な「女性だからこそ強い」というタイプのヒロインの系譜も実はありました。
古くは「リボンの騎士」から始まり、「ラ・セーヌの星」に受け継がれていたタイプです。
これが桃園ミキで実写特撮ヒロインの世界に開花し、その後、戦隊ヒロインの基本的性格になります。
更に、この桃園ミキのタイプの戦隊ヒロインはポワトリンなどの美少女仮面シリーズを経て
セーラームーンやプリキュアなどの日本特有の「美少女ヒロイン」というジャンルを生み出す基にもなったのです。

そういうわけで、桃園ミキというヒロインはヒロイン史において極めて重要なキャラなのです。
だから、人気の高いヒロインで、今でも根強い人気があります。
まぁそういう事情抜きで普通に見ても可愛いんですが。
とにかく、この桃園ミキは「戦隊ヒロイン」「特撮ヒロイン」という存在を一般的に認知させることに成功した最初のキャラとなります。
つまり、大人の「戦隊ヒロインファン」「戦隊ファン」というもの、
まぁいわゆる特撮オタクというものを生み出すきっかけとなったキャラでもあります。
その点は同時期に始まった宇宙刑事シリーズの貢献も大きいですが。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:05 | Comment(0) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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