2010年12月28日

チェンジマーメイド

チェンジマーメイド.jpg























1984年の戦隊「バイオマン」は序盤でヒロイン役の女優の失踪という予期しないアクシデントに見舞われましたが
それでもスタッフやキャストの奮闘で初志である「壮大なSFロマン大作」を貫徹しました。
結果として「バイオマン」はシリーズ過去最高の成功作となりましたが、
それは深いドラマ性が評価されて、中高生あたりの割と高年齢層のファンを開拓した結果でした。
特に男子中高生あたりには、2作品前の桃園ミキからの戦隊ヒロインブームの影響もあったと思われます。

一方、戦隊シリーズの本来のメインターゲットである児童人気はそれほど高くありませんでした。
話がちょっと難しすぎたようです。
それに、やはりワンパターンでも毎回怪人が出て来て戦隊がそいつをやっつけるというパターンの方が子供ウケがいいです。
バイオマンはたいていは等身大戦で敵怪人を倒せないので、子供から見ると弱く見えるきらいがありました。
やはり子供は強いヒーローが怪人をやっつけるところを観たいのです。

そういうわけで1985年の戦隊「電撃戦隊チェンジマン」では
前作「バイオマン」で取りこぼした児童層をターゲットに据えて、前々作「ダイナマン」の路線に戻りました。
つまり悪の侵略者軍団の送り込む怪人たちを正義の戦隊が順次倒していくというやつです。
しかし、そういうのは何作品も続いていてマンネリ化しつつあったので、「バイオマン」でパターン破りをしたはずなのであって、
何の工夫も無く「ダイナマン」と同じものを再び繰り返すわけにはいきません。

「ダイナマン」では悪の組織側の人間ドラマを濃密に描きましたが、正義側の描写はシンプルでした。
正義の戦隊は分かりやすい「正義のヒーロー」のキャラクターで固定されており、
悪の側のように変にドロドロの関係を描くことは避けられていたのです。まぁ当然の措置でしょう。
しかし「ダイナマン」よりも更に一歩進むためには、正義側の描写も詳しくしていく必要があります。
ドロドロではなく健康的で、子供にも分かりやすい人間ドラマが正義側にも必要となります。
そこで「チェンジマン」において導入されたのが「戦隊メンバーの成長物語」でした。
子供にとって「成長」というのは非常に身近で共感できるドラマなのです。

成長を描くということは、戦隊メンバーは最初は未熟でないといけなくなります。
また、単に戦いに勝つことだけが目的でなく、戦士としての成長も目標となるということは
戦士としての完成形が劇中の戦隊メンバー達にも視聴者にも分かりやすく提示されていないといけません。
これ以前の戦隊では戦隊メンバーは、少なくとも戦い始めて以降は完成された戦士として描かれており、
戦隊メンバーは一種の特権的立場で戦っており、彼らに指令を出す立場のキャラはいるが、いちいち彼らを指導するキャラはいませんでした。

チェンジマンの場合、このパターンを破り、戦隊メンバーは素質は有るがまだ未完成の戦士として登場し、物語の進展に沿って成長していきます。
そして彼らの未完成ぶりが分かりやすく描かれるように、彼らを戦士の集団である軍隊組織の一員としました。
彼らは地球守備隊の精鋭部隊「電撃戦隊」の一員なのです。
つまり「電撃戦隊」は彼ら5人だけでなく他にも大勢おり、彼ら5人も他のメンバーと対等の隊員なのです。

5人はそれぞれ非常に優秀な才能は持っていますが、同時に大きな欠点も抱えており、
総合的には決して電撃戦隊の中で抜きん出た存在というわけではありません。
分野によっては彼らよりも優れた資質を持った隊員たちもいるのです。
つまり皆、対等な関係で、互いに戦士として見習うべき部分があるのです。
そして、なんといっても彼ら電撃戦隊を率いる隊長である伊吹長官は彼ら5人など足元にも及ばない優秀な戦士で、彼らを指導します。

そういう平凡な兵士ともいえる5人がどうして変身して戦う羽目になるのかというと、
「アースフォース」という地球発の不思議パワーを浴びて変身能力を得たからです。
彼らが地球に選ばれたとも言えますが、たまたまであるようにも思えます。地球が何か言うわけでもないので、まぁたまたまということになります。
変身能力を得たことで彼らは電撃戦隊の中の特別チーム「チェンジマン」となり、電撃戦隊はチェンジマンの支援組織となります。
そうして全宇宙の支配を目指して地球にも攻めてきた大星団ゴズマの送り込んでくる怪人と戦うのです。
しかし彼らは変身能力は得ましたが、中身は未熟な兵士のままなので
当初はいろいろ失敗したりして、仲間や長官らの協力も受けて欠点を克服していって成長していくのです。
彼らが成長してくれないと地球が危ないのですから、必死です。と言いつつ結構呑気だったりもするんですが。

まぁ「チェンジマン」とは、そういう若き戦士たちの青春物語です。
彼ら5人の長所と欠点があまりにも極端なため、彼らは非常にカッコ良く、同時に非常に笑える存在、親しみやすい存在となっています。
そして成長物語は非常に熱く燃える展開となっており、いかにも男児向けです。
更に「ダイナマン」から受け継いだ敵組織内部のドロドロ描写も「チェンジマン」では更にパワーアップしており
終盤には舞台を全宇宙規模に拡大し、ゴズマに支配された異星人の悲哀を描いたり
敵組織内部のレジスタンス活動や、ゴズマを裏切ってチェンジマンと共闘する者が出て来たりして
かなり濃厚かつ壮大なSF大河ドラマが展開され、高年齢視聴者層も満足させる展開となっています。
結果的に「チェンジマン」は「バイオマン」を超える大成功作となりました。
人気だけでなく、内容的にもアクション、ギャグ、シリアス全ての面で当時としては極めて完成度が高く
昭和戦隊の代表作を1つ挙げる場合、初代の「ゴレンンジャー」を除けば、この「チェンジマン」を挙げる人が多いです。

scan001-2.jpgそうしたチェンジマンは前作に続いてダブルヒロイン制を採用しています。
チェンジマーメイドとチェンジフェニックスです。
バイオマンで確立されたダブルヒロイン制の特徴は「強いヒロイン」と「弱いヒロイン」のペアだということです。
それはこのチェンジマンでも踏襲されました。
まず、ここでは「弱いヒロイン」であるチェンジマーメイドの方を見ます。

初のホワイトヒロインであるチェンジマーメイドに変身するのは渚さやかです。
チェンジマンの特徴は戦隊メンバーに極端な長所と欠点があることですが、
さやかの場合の欠点というのは「弱いこと」です。
もちろん一応軍人なので一般人よりは多少強いのでしょうが、軍人としてはかなり体力的には落ちこぼれです。
変身することによってかなり強くなりますが、それでも基本的に弱いためか、5人の中では最弱です。
つまづいて転んで気絶したりします。まぁ演じる西本ひろ子さんもどんくさかったようですが。

前作の桂木ひかるで「弱いヒロイン」がダブルヒロイン制のもとでは十分に成立することを確信した制作スタッフは
結構思い切ってさやかの弱さ描写を徹底しています。
弱さ描写と共に女性らしさの描写も強まり、美人で優しく女性らしい繊細さを持ち、
そして色気もあります。さやかは戦隊シリーズ最強のミニスカ、パンチラのヒロインとなりました。
私服の白コスチュームのミニスカっぷりも凄いですが
電撃戦隊の女性隊員制服までさやかのせいでかなりのミニスカになってしまいました。

ただ、単に虚弱なお色気担当であるならば戦隊ヒロインとして成立しないのであって
もちろん、さやかにも良い面はあります。
まず前作のひかる同様、優しくひたむきで純粋、正義感に満ちていつも一生懸命です。
桃園ミキ以降、ヒロインはこれが基本です。特に弱いヒロインには必須要素です。
ただ、チェンジマンという作品の場合、これらの要素だけでは長所としては足りません。
電撃戦隊という軍事組織の中で戦士として誇れる長所が無いといけないのです。
その虚弱っぷりという欠点を補えるだけの具体的な、軍事面で貢献出来る長所です。
単に一生懸命、ひたむき、正義感などの要素ならば他の隊員たちだって持ってます。さやかにしか無い長所が必要です。

そこでさやかに与えられた長所が「頭脳明晰」でした。
さやかは地球守備隊の元作戦部将校で、電撃戦隊の参謀として状況を冷静に分析し緻密な作戦を立案する立場なのです。
体力や戦闘力では劣るけれども、頭の良さで組織に貢献する。
こういうのは現実世界でも女性の得意分野であるはずですが、それまで戦隊シリーズではあんまりそういう傾向はありませんでした。
何故かというと、だいたい主役のレッドがチーム内で一番、沈着冷静で頭脳明晰でもあるのが常だったからです。
しかしチェンジマンの場合、レッド戦士であるチェンジドラゴン剣飛竜が「戦闘力抜群だが熱血バカで猪突猛進気味」という設定であったので
初めてさやかのような頭脳明晰ヒロインの存在意義が成立したのです。
そして、渚さやかというヒロインが人気者になったことによって、
この後、シリーズにおいて「頭脳明晰ヒロイン」というパターンが生まれてくるのです。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 20:25 | Comment(0) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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