2011年01月03日

イエローマスク

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1987年のシリーズ第9作「光戦隊マスクマン」は、ダイナマンからチェンジマンにかけて築き上げたフォーマットの上に立って、
チェンジマンとフラッシュマンでそれぞれ新たに打ち出した要素を更に発展させた作品でした。
まずチェンジマンで新たに打ち出した要素というのが、アースフォースという不思議パワーの導入だったのですが、
それがこのマスクマンではオーラパワーという不思議パワーに進化しています。

戦う相手は地底帝国チューブといって、なんだかダイナマンのジャシンカみたいな地底帝国ですが
ジャシンカよりも更に入り組んだ内部事情を抱えた組織です。
このチューブが地上侵略を目指して送り込んでくる怪人が例によって超強力なので現代科学では対抗出来ない。
敵組織の強さのインフレが起こって、バイオマン以降、こういう展開が続いてます。
そういう事態に合わせて、戦隊側の敵を超える強さの理由づけも必要になってきています。
バイオマンではバイオ星の遺産である先進科学の力、チェンジマンではアースフォースという地球由来の不思議パワー、フラッシュマンではフラッシュ星の先進科学。
こういうものを使うことで戦隊は強大な敵と対抗してきました。

そして、このマスクマンで採り入れられたのが、人体内部の不思議パワーであるオーラパワー、言い換えれば気功です。
当時、ちょうど気功がブームになってたんで、さっそく採り入れたようです。スーパー戦隊シリーズは流行を採り入れる傾向が強いのです。
気功というのは呼吸法の鍛錬によって大きなパワーを体内から得る技術で、現代科学ではそのメカニズムはあまり解明されていません。
ただ古い武術、特にカンフー、つまり中国拳法はこの気功で得たパワーを使って攻撃したり防御したりします。
マスクマンという戦隊は、この気功、すなわちオーラパワーの達人でありその研究の権威でもあり、そして超一流の科学者でもある姿三十郎という人が
オーラパワーと最先端科学を融合させて作りあげた特殊な技術体系によって成り立っている。これによってチューブに対抗するわけです。

どうして地底帝国と戦うのにオーラパワーが有効なのかはイマイチよく分かりません。
とにかくすごいパワーだから有効なのだということでしょう。
敵も悪のオーラパワーを使う武術家集団にした方がまとまりが良いような気もするのですが、
おそらく後述のストーリー的にやりたいこととの間でそれだと折り合いがつかなかったのでしょう。
まぁ一言で言うと、この作品は、やりたいことが色々多すぎてイマイチまとまりがついていない印象です。
それだけ意欲作だったのでしょうが、企画段階でもう少し整理してもよかったように思います。
それはメカニック面でも言えることで、オーラパワーという神秘的な力を使う設定でありながら
メカニック面ではいかにも普通のメカが使われてるのも少しおかしい。
だがバンダイとしてはこの作品は初の五体合体ロボを売り出したい作品であり、あくまで正統派メカで攻めたかったのでしょう。
チェンジマンの時もアースフォースと近代兵器の噛み合わせは悪かったのですが、あの時はアースフォースの存在感が作品の中で薄かったので齟齬が目立たなかった。
しかし、マスクマンにおいてはオーラパワーの存在感があまりに大きかったので、近代兵器との齟齬が目立ってしまいました。

このように、このマスクマンという作品は、世界設定、ストーリー、玩具などの思惑がバラバラなまま作ってしまったなという印象はあります。
この作品が後にあまり高い評価を得ていないのは、そこらへんに理由がありそうです。
ただ、放送当時はかなり人気が高い作品でした。
文句なしにカンフーアクションはカッコよく、当時はまだカンフー戦隊は初めてだったので、鮮烈な印象でした。
特にレッドマスクとブルーマスクの人気は高く、女性ファンを多く獲得しました。戦隊シリーズで初めて「追っかけ」のファンが生まれたのです。
このように割と若い女性層に人気のあった作品で、実際、若い女性にアピールするような作風ですが、
当時はバブル最盛期でもあり、子供向けの玩具もよく売れて、まだまだシリーズは安泰でした。

さて、このマスクマンのメンバーですが、姿長官がオーラパワーの素質を持った若い武術家を全国から集めてきた5人組です。
このうち女武術家が2名おり、ハルカとモモコといいます。つまりダブルヒロインです。
なお、どういうわけかこの作品、戦隊メンバーの姓が設定されていません。

scan012-2.jpgまず、このうちイエローマスクに変身するのがハルカですが、忍者の子孫という設定で、忍術が得意です。
他のメンバーが中国拳法をベースとした武術家であるのに比べると、ちょっと異色ですが、
まぁ忍術も古武術の一種ということなのでしょう。
実際に劇中で手裏剣、鎖鎌、マキビシ、煙幕など忍術っぽいこともしますが、基本は気功を使った武術って感じです。
忍術のイメージからして身軽な技を得意とし、ダンスも得意ということで、やはり身軽なイメージ。
そして見た感じもショートカットで、男勝りな性格。

つまりハルカは完全に翼麻衣やルーのような「強いヒロイン」の後継者なのです。
ならば、麻衣やルーのようにJACのアクション女優さんが演じているのかというと、実はそうではありません。
永田由紀さんという普通の女優さんが演じています。
それで「強いヒロイン」としてのアクションが大丈夫なのかというと、永田さんは結構運動神経の良い女優さんなので、それなりにアクションは出来ます。
それに武術アクションというのは基本的に型を覚えればそれなりに見せることは出来ます。
さすがに変身後アクションは素人に出来るような生易しいものではないですが、変身前アクションならばなんとか誤魔化せます。
特にハルカの場合、忍術という非常に便利なアイテムがあって、更に画面に映るアクションを派手に誤魔化すことが出来ます。
言い換えれば、このハルカの「忍術使い」という設定は、決してハイレベルなアクションが出来るわけではない永田さんを武術の達人に見せるための措置ともいえます。

しかし、どうにも不可解でもあります。麻衣やルーのようにアクション女優さんを使って普通にアクションをさせればいいのに、そうしていないのは不可解です。
実は、これはマスクマンという作品の特殊事情が影響しています。
マスクマンでは初めて本格的に中国拳法を作品の根幹に据えたので、戦隊メンバーの中に1人、本物の武術家を入れて、武術監修のようなこともお願いしています。
それがブルーマスクのアキラを演じた広田一成さんです。
広田さんは本職の役者さんではないので基本的に演技が出来ません。
器用な人なのでセリフを覚えてそれなりに感情を込めて喋ることは出来ますが、自分と別人格を演じることが出来ません。
だからアキラのキャラは広田さん本人のまんまとするしかなかったのですが
広田さんが非常に陽気な人で、お調子者の悪戯っ子のような人で、
しかも小柄であったので得意な武術が軽い身のこなしや武器を活かした技が主体でした。

この「身軽なアクションと陽気な性格」というのは、まさに翼麻衣やルーのような「強いヒロイン」と重なるキャラ設定なのです。
あまりに広田さんが天真爛漫であったので、その明るさというのは男性的というより、むしろ男勝りな女性に近いものがありました。
更に、当時の広田さんは17歳と非常に若く、戦隊メンバーとしては最年少にならざるを得ませんでした。
それまで基本的に戦隊ヒロインがチーム内で最年少で、「強いヒロイン」がやんちゃな末っ子の妹ポジションであるのが通例でしたから
年齢面でも広田さん演じるアキラは戦隊ヒロイン的地位にかぶってしまったのです。

つまり、アキラが男性キャラでありながら「強いヒロイン」が従来担当していたチーム内の役割を奪ってしまったのです。
そうなると、キャラかぶりを防ぐため、本来の「強いヒロイン」であるはずのハルカのキャラは微妙に変わらざるを得ません。
ハルカはアキラに近いタイプでありアキラに対して年長キャラとなりますので、やんちゃなアキラの先輩格で保護者的な落ちついた大人の女性となります。
アキラの設定年齢が16歳で、ハルカは20歳という設定です。
性格もやんちゃな天真爛漫キャラではなく、むしろ渚さやかやサラのような頭脳派キャラに近くなり推理力や洞察力に優れた、頼れる姉御キャラになります。
こういうキャラになってくると、ビジュアル的にもアクティブさよりも落ちついた雰囲気が求められますから
それなりに美人の方がいいということで、普通の女優でありながら運動神経の良い永田さんにやってもらうことになり
永田さんのアクションの足りない部分は忍術使いという設定で上手く誤魔化すということにしたのでしょう。

こうして見てみると、ハルカはシリーズ初の「劇中で姉的ポジションであったヒロイン」ということになります。
これは狙いとしては良かったと思うのですが、初めての試みであったこと、従来のヒロインのイメージがまだ強かったこと、
もう1人のヒロインのモモコと同じ姉的立場として若干キャラがかぶったこと、そもそもこの作品で戦隊ヒロインのヒロイン性が成立しにくかったという事情などがあって
ハルカは結果的にはあまり印象の強いヒロインにはなりませんでした。
タグ:マスクマン
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:37 | Comment(0) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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