2011年01月04日

ピンクマスク

ピンクマスク.jpg




















「光戦隊マスクマン」において特徴的だったもう1つの要素は、フラッシュマンにおいて新たに打ち出した要素を更に発展させたものでした。
フラッシュマンにおいて新たに打ち出した方針は、当時人気だった「大映ドラマ」の影響を受けて
敵組織側だけでなく、正義の戦隊の側においても重厚なドラマを描くというものでした。
これは子供たちよりも割と上の年代の視聴者層を開拓しようという方向性でしたが
マスクマンの場合、これを更に発展させて、敵組織の重厚なドラマと戦隊側の重厚なドラマを一体化させ、
しかもこれをロマンチックなラブストーリーにしたのです。
これまでもシリーズ作品の中でサブストーリー的に少し恋愛エピソードが存在したことはありましたが
このマスクマンの場合、何せ主人公のレッドマスク・タケルがその恋愛の担い手で、メインストーリーがこの恋愛話なのだから今までとは次元が違います。

しかもこの恋愛があまりにも濃い。
敵である地底帝国の姫とマスクマンのリーダーであるタケルとが恋に落ちるというものです。
まるで戦隊版「ロミオとジュリエット」です。
しかもこの姫は地底帝国をチューブに乗っ取られた際にスパイに身分を落とされ地上に派遣されていた時、
敵であるタケルと恋に落ちて地底帝国を裏切ろうとしたため、地底に連れ戻されて監禁されてしまい、
タケルは地上をチューブから守るために戦いながら、同時にこの恋人である姫を取り戻すためにも戦います。
この2つの目的が微妙に矛盾することが多々あり、そのたびにタケルは愛と使命の間で苦悩します。
ハッキリ言って姿長官はじめマスクマンの他のメンバーにはこのタケルの行動は度し難いものですので、迷惑に思われてます。
更にこの姫の双子の兄である地底の王子がチューブの下で幹部をやらされているのですが
この王子が妹をたぶらかした憎い相手としてタケルを怨み、執拗に命を狙ってきます。
ところが、この王子というのが実は女で、誰にも内緒で男のフリをしているとか、
更に姫に横恋慕する地底帝国側のライバルキャラが現れたり、そもそも地底帝国の正統な王家を滅ぼしたチューブの謎が絡んだり
複雑怪奇かつ壮大なラブストーリーが展開します。

ここまでくると、もう宝塚歌劇や少女漫画のような大河ロマンです。いや、まさに「大映ドラマ」の世界です。
この手のお話を男児が理解出来るとも到底思えないので、こうしたストーリー部分は明確に若い女性をターゲットにしています。
この三重苦、四重苦のような状況の中でも一途に愛を貫くタケル。
こういう男に憧れを抱く男児はいません。男児は女なんかほったらかしにして単純明快に地上を守ってくれる男が好きなのです。
まぁ結局、タケルもさんざん迷いながらも地上を守るために戦う決断をいつもするのですが、迷ってる時点で男児的にはちょっとダメです。
しかし若い女性から見るとこういう男はたまらなく魅力的です。苦悩が深いゆえにその愛は純粋で、その愛が自分に向けられているように妄想して楽しみます。

つまり、このマスクマンの壮大なラブストーリーは、その中心にいるタケルを女性から見てカッコよく見せるための舞台装置であって
カッコいいタケルを若い女性たちに見せるためのストーリーがマスクマンのストーリーです。
すなわちマスクマンはアクション面では男児をターゲットにしつつ、ストーリー面では若い女性をターゲットにした作品です。
実際、多くの若い女性がマスクマンを見てタケルのファンになりました。
更に副産物として、タケル目当てに見始めた女性たちの多くがブルーマスク・アキラのファンにもなりました。
アキラのタケルとは正反対の陽気で快活で悪戯っ子のような、カッコカワイイ感じが女性たちの心の琴線に触れたようです。
マスクマンの人気はこのタケルファンとアキラファンの若い女性たちに牽引されたものでした。
こうした、これまでの作品とは異なった女性ファン層によって支えられた作品でしたから
マスクマンにおける戦隊ヒロインというのが人気が高まるのは、そもそも難しい状況でした。

w3-2.jpgピンクマスクに変身するもう1人の戦隊ヒロインであったモモコは太極拳を得意とする19歳の女拳法家で
オーラパワーの素質を姿長官に見出されてマスクマンにスカウトされました。
太極拳という拳法は中国拳法の中でも割と静かで優美なイメージのある拳法で、いかにも女性的といえます。
しかもモモコは子供好きな優しい性格で、子供たちに拳法を教えており、更にロングヘアーの美人です。
ハルカが「強いヒロイン」の系譜のヒロインだとすると、モモコは典型的な、渚さやかやサラの後継者的な「弱いヒロイン」の系譜のヒロインだといえます。

ただ、ハルカが頭脳派キャラとなっていたので、モモコはあまり頭脳派という部分はさやかやサラのようには強調されず、
むしろ、純粋で優しくひたむきな頑張り屋さんという、桃園ミキによく似た感じのヒロインになっています。
フルートや琴、ピアノが得意という設定はお嬢様っぽく、桂木ひかるに近いかもしれません。あと料理も得意で、女性らしさがだいぶ強調されたキャラです。
年齢がチーム最年少のアキラよりもやや上なので、ハルカ同様お姉さんキャラで、おしとやかで優しく、しかし芯の強いお姉さんという感じです。
チェンジマンのダブルヒロインが「頭脳派&お転婆」だったのに対し、このマスクマンのダブルヒロインは、そこから少しキャラがシフトして「切れ者&癒し系」という感じのペアといえるでしょう。後年のアクションがあまり重視されなくなって以降のダブルヒロインはこのタイプのものが比較的多く、その起源であるといえます。

このモモコは、戦隊ヒロインとして全く非の打ちどころはありません。演じていた前田賀奈子さんもとても美人でした。
しかし、どうにもハルカ同様、影が薄いです。
これはハルカとモモコが二人ともアキラに対するお姉さん的立ち位置であったため、若干キャラがかぶったというのも一因です。
戦隊シリーズではダブルヒロインはキャラがかぶると二人とも影が薄くなる傾向があります。
ただ、キャラも全くかぶってしまったというわけではなく、明確にハルカとモモコは違うキャラでした。役割が似てしまったというだけです。
だから、これだけが影が薄くなった原因ではありません。
ハルカの場合はアキラにその本来の戦隊ヒロイン的地位を奪われてしまったというのが大きいですが
モモコの場合はアキラとはかぶる部分は無いので、そういうのはあまり関係ありません。

モモコの場合は本来は劇中で最も女性らしいキャラとしてこそヒロインとしての存在意義があったはずが、
タケルを中心としたあまりにも濃すぎるラブストーリーの中で、あまりにも女性らしさを強調したキャラが出て来た影響を喰らって影が薄くなってしまったといえます。
そもそもこのような濃いラブストーリーの中に従来型の戦隊ヒロインというのは非常にそぐわない。
どうしても薄味に見えてしまうでしょう。

ただ、それがこのマスクマンという作品の失敗であると言えるかというと、まぁそういうこともないでしょう。
マスクマンという作品のストーリーが明確に女性をターゲットにしてタケルやアキラなど男性メンバー押しを目的としたものである以上、
彼らのキャラが立って人気が出た以上は目的は達成されており、作品として成功はしています。
なにも戦隊ヒロインを目立たせることが戦隊作品の目的ではないので、それが上手くいかなかったからといって失敗とはいえないでしょう。
あくまで地味な脇役として、このマスクマンのダブルヒロインは、キャラが破綻することもなく
決して不快な描写も無く、好ましいキャラクターとして、普通にきっちり役割は果たしていたと思います。
キャラ自体には何ら問題は無いのですが、物語のメインストーリーがあまりに濃くて、そこに入っていなかったために相対的に薄い印象なのです。
タグ:マスクマン
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 11:06 | Comment(1) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モモコの美貌は戦隊に限らず、特撮界随一と思います。不撓不屈の精神力を持つ拳法の達人でもあり才色兼備の見本と云え(見事演じた女優も)、主役回の少なさが残念です。
Posted by 匿名希望 at 2015年11月09日 05:45
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