2011年01月06日

ピンクターボ

ピンクターボ.jpg






















1989年のシリーズ11作目は「高速戦隊ターボレンジャー」です。
前作ライブマンの終盤に昭和天皇の崩御があり、元号は平成に変わっていましたので、平成最初の戦隊ということになります。
ダイナマン以来6年間続いた「〜マン」という呼称をやめて「〜レンジャー」という形式にしたのは昭和から平成への切り替わりを意識したからというだけではないでしょう。
思えばダイナマンからライブマンまでの歴史というのは、ストーリーを深めて一級品のSF大河ドラマを作ろうという試みの歴史でした。
それを1作品ごとに積み上げていって、ライブマンでそれはほぼ完成の域に達したのです。
ライブマンは本当に素晴らしい出来でした。スタッフも満足したはずです。
ところがこのライブマンが商業的には歴代最低の成績しか挙げられなかったのです。
つまり制作スタッフの6年間の努力は視聴者、特にメインターゲットである男児層に拒否されたのです。
ライブマンが駄作なら仕方ないとも言えますが、ライブマンがなまじ名作であっただけにスタッフはショックを受けたことでしょう。
とにかく気分を切り替えて、子供受けのする路線に変更してやっていこうということになり、それゆえ「〜マン」の路線を捨てて切り替える意味での「〜レンジャー」であったと思われます。

ライブマンが因縁に満ちた人間同士の苦悩や葛藤に満ちた戦いのドラマを描いたせいでストーリーが複雑になりすぎて子供には分かりにくかったという反省をふまえて、ターボレンジャーはストーリーをシンプルにしようとしました。「大映ドラマ」路線からの脱却を図ったのです。
闘うのは人間と暴魔(魔族)であって、その間には何の因縁も無く、シンプルな勧善懲悪。人間であるターボレンジャーは暴魔を倒すのに何の躊躇いも無く、素直に勝利を喜ぶ。子供には分かりやすい設定です。
ライブマンの場合は人間同士の戦いだったので科学VS科学で描き切れたのですが、暴魔は本来は人間の手に負える存在ではないので、人間が暴魔と戦うには何か他の助力が必要です。
そこで子供受けを狙って「妖精」という存在を持ってきました。
未知の超科学などだと堅いし、アースフォースやオーラパワーみたいな抽象的なものだと分かりにくいので、
姿形のある小人のような妖精が手を貸してくれる方が子供には分かりやすいと思ったのでしょう。
しかもこの小人みたいな妖精がドールハウスに住んでいるという可愛らしい設定は、もう完全に子供向けを意識しています。

かつて人間は妖精と力を合わせて暴魔を封印したが、環境汚染が進んで妖精が滅亡しかけてしまい、そのせいで暴魔の封印が解けて人間社会へ侵略を開始してしまう。
そこで生き残った1人の妖精が、妖精を見ることが出来る5人の高校生にターボレンジャーとなってもらい暴魔と戦ってもらうという話です。
なんで高校生なのかというと、純粋さを残した若者でないと妖精が見えないとかいう理由らしいが、結局幼い頃に妖精の光を浴びた5人だったからということになったり、なんだかそこらへんの設定は曖昧です。

実際のところは、これも子供受けを狙って、より子供に近い年齢の一般人ヒーローの方が親しみやすいだろうということで10代の高校生にしたのでしょう。
初の高校生戦隊ということで一見斬新のようですが、今までで一番若いヒーローにしたら必然的に高校生ぐらいの年齢になり、それで一般生活を送らせるとなると高校に通わせるしかなくなっただけのことです。
それに学校の友人同士の戦隊というと前作と同じであり、単に年齢と学校のグレードが下がっただけで、二番煎じともいえます。前作からまだスタッフの頭が完全に切り替わっておらず、前作の設定を一部引きずっているとも言えます。

そして、この高校生5人組が身につける装備やマシンなどは妖精のパワーを使って太宰博士という科学者が開発したものなのですが、これが何故か車モチーフなのです。
これも子供受けする要素としてミニカー玩具の人気にあやかったものなのでしょうが、
妖精は環境汚染のせいで滅びかけてそれで暴魔が復活したというのに、その妖精と協力して暴魔と戦う戦隊が車を使うというのも変な話です。なんでも太宰博士の車は無公害らしいのですが、それにしてもやっぱ変です。
そういう設定上の矛盾点は我慢したとしても、やはり妖精という不思議な存在と車というメカニカルな存在の繋がりが不自然ではあります。
それに車の免許を取れない高校生に車という取り合わせも変です。

このように、妖精、高校生、車というように、決して個々の狙いは悪くないのですが、とにかく子供受けしそうなものを無理矢理パッチワークのように繋げてしまったのが、この作品をチグハグなものにしてしまった原因でしょう。
あまりに統一感が無い。おそらく6年間も重厚なストーリーばかり追求してきたため、子供受けする作品の作り方がよく分からなくなってしまっていたのでしょう。

scan28-2.jpgこの高校生戦隊ターボレンジャーの紅一点がピンクターボで、変身するのは森川はるなです。
ターボレンジャーはみんな同じ高校の3年A組のクラスメートで、はるなも高校3年生、セーラー服の女子高生です。
ここで5人戦隊なのにダブルヒロインに戻さずに1人ヒロインのままなのは、前作の岬めぐみのイメージが強く残っていたからでしょう。
岬めぐみがちゃんと成立していたのだから、1人ヒロインでも成立すると思ったのでしょう。

実際、はるなの設定はめぐみに酷似しています。
学校一の秀才で生徒会長、気が強くて男性メンバーを引っ張ることも多いが、美人で繊細で優しくスポーツ万能、バトン部のエースで演劇も得意、カエルが苦手という弱点もある。ハッキリ言ってスーパー女子高生です。
同じくスーパーレディだった岬めぐみを若くして高校生にしたような感じです。

そりゃあ、このキャラ設定ならばめぐみ同様、1人ヒロインでも成立するでしょう。
しかし、それはこのキャラを十分に演じきって表現出来ればの話です。
岬めぐみがスーパーレディとして成立したのは、演じたのが一種の天才俳優で演技経験も豊富な森恵だったからです。
はるなを演じた木之原賀子は森恵のような天才でもなく、若く経験も浅かったので、はるなのような難役を十分に演じきることは出来ませんでした。
結局、はるなは何の非の打ちどころも無いのに、何故か全体的に薄味のヒロインになってしまいました。
このあたりは制作側がもう少し深く考えてキャラを作るべきだったと思いますが、やはり岬めぐみという理想のヒロインの印象に引っ張られてしまったのでしょう。

こうしたキャラの薄さの問題ははるなだけではありません。他の男性メンバーも含めての構造的な問題です。
そもそも戦隊というのは5人のキャラが立っていなければいけません。それは5人のバックボーンの違いから来るものです。
バックボーンの違う、個性の違う5人が集まるから面白いのです。
しかし同じ高校の同じクラスに通うという設定では、バックボーンに大きな違いはありません。
そりゃ性格の違いぐらいはありますが、所詮は高校生なので人生経験も薄弱で、どうしても似てきます。
ライブマンの初期3人も同じアカデミアの生徒でバックボーンは同じでしたが、あれは演技上手な嶋・森。西村だからキャラを立てられたのです。

それでも不良とか落ちこぼれとか、色々とやりようによってはバックボーンの違いも多少は出せます。実際、前作の嶋と西村も落ちこぼれ役でした。
しかし、この作品の場合「妖精が見える純粋な心の持ち主」という妙な縛りがあり、5人とも真っ直ぐ純粋な生徒でないといけないのです。これでは落ちこぼれや不良という設定にするのが難しい。
結局、5人とも学園のスターみたいな、やたらメジャーな生徒たちになってしまいました。
みんな運動部のエース級のヤツばっかりで、学業もそこそこ出来て、異性にも人気のあるヤツらです。
学園のヒーローがそのまま戦隊ヒーローになってしまったという感じで、これは意外性が無くて全然面白くない。そしてみんな部活は違うが、結局は似たようなもので個性の違いが無い。
純粋を強調しすぎて結局は無個性になってしまったといえる。

更にまずかったのが「ターボレンジャーであるという正体を隠さねばならない」という設定です。
これまでの戦隊もみんな基本的には秘密戦隊だったのですが、ターボレンジャーの場合、高校に通ってますので、日常生活の中で正体を隠す努力をする場面がやたら多い。
これがコソコソしてるようで堂々としてないと見られて、子供の印象が悪いのです。
それにどうしても生身アクションが少なくなり、役者への負担は減りますが、その分、ここでも個性を見せるチャンスが減り、子供から見て弱いヒーローに見えてしまう。
また「若さ」を強調しすぎたため、未熟な面が強調されてしまい、あまりカッコいいヒーローに見えなくなってしまいました。
子供たちは頼りがいのある大人のヒーローを見たいのであって、高校生がダメというわけではないが、あまり未熟で弱そうでコソコソしているヒーローはウケないのです。

そして安易に高校生戦隊としたことで、役者陣が皆若返ってしまい、まとめ役がいなくなったのも痛手でした。
それまではだいたいレッド役あたりが少し年長で芸歴も豊富で、戦隊役者チームのまとめ役として引っ張って1年間の厳しい現場を乗り切ってきたのですが
何せみんな高校の同級生という設定ですから、みんな若く経験も浅くほぼ同年代になりました。
こうなるとまとめ役が不在となり、5人の役者はバラバラとなります。みんながベテランならばまとめ役などいなくてもバラバラにはならないのですが、何せ未熟な若者なので、まとめる者がいないとすぐバラバラになるのです。
これでは良い演技など出来るはずもなく、5人のキャラは薄いものになってしまいました。

結局、まだ6年間のストーリーの重厚化という流れから頭を切り替えきらないまま、中途半端に子供受け路線を狙おうとして、チグハグな設定と薄味のキャラを作り出してしまったといえます。
その結果、開始当初から視聴率は苦戦続きとなり、当時歴代最低の前作ライブマンさえも下回る低調ぶりとなったのでした。
この苦境の中、テコ入れのために「流れ暴魔」というキャラが登場してくるのです。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:15 | Comment(2) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
木之原賀子(犬塚賀子) 綺麗ですね。東京女子体育短期大学卒 やはり スゴイなぁ
世界的 歴史的 美女を探す会(名前検討中
Posted by 謎の村石太 at 2012年05月15日 13:55
ターボレンジャーについてはタイトルだけは幼少期から知っていましたが、物心がつく前の作品なので、ストーリーについては未だよくわからないというのが実情です。少しでもストーリーを知りたいと思ったことから、Wikipediaを検索したり画像検索したりする中で、このページに辿り着きました。

先日、テーマ音楽の作曲者が井上ヨシマサさんであることを知りました。その時、『ふしぎの海のナディア』もこの作品の影響を受けているのではないか思ったのです。何となく、はるなの雰囲気が『ナディア』のエレクトラに似ているような気がするのですが、いかがでしょう?
Posted by 旭川の自称美女 at 2012年12月18日 01:56
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