2011年02月07日

ハリケンブルー

ハリケンブルー.jpg





















「ガオレンジャー」はCGを多用した換装合体の描写が人気を呼び、玩具売上はタイムレンジャーの64億円から一気に110億円にまで増え、
以降は戦隊シリーズの玩具売上は100億以上が定番となります。
また、「ガオレンジャー」は、まるで少年ジャンプ漫画のような、シンプルでバトル中心の熱血娯楽路線のストーリーが子供から大人まで幅広い年齢層の人気を獲得し、非常に高い視聴率をマークしました。
その平均視聴率8%は朝7時半開始になって以降では最高記録となっています。

このように、確かにガオレンジャーは数字的には申し分ない完璧な結果を残したわけですが、これが戦隊シリーズの到達点というわけではありませんでした。
むしろ、かつてのゴーグルファイブのように新たな戦隊ドラマの基本型を示した作品であったといえます。
つまり、これを更に工夫してアレンジしていくのが、ここからの流れになります。

ガオレンジャーで良くなかった点というと、やはり戦隊メンバーのキャラ描写が弱かったという点でしょう。
いや実際は意外と印象は強いのですが、これは全員が熱くて濃かったために印象が強かっただけのことで、
ではどういうキャラだったかというと、イマイチよく分からないというのが実際のところです。
印象に残っているのは、とにかく熱かったことや濃かったこと、そして何度も繰り返される決めゼリフなど、かなり記号的なキャラの印象でしかありませんでした。
本当の意味でキャラクターを描いていないのです。

そこで次の作品では戦隊メンバーのキャラを生身の人間としてしっかり描くことが目標となるのですが、これがなかなか簡単には出来ないことです。
玩具展開は今回も換装合体パターンですから、それらを登場させますのでドラマ部分に割ける尺は少なめになります。
そうした限られた時間の中でやはり正義のヒーローなりの強さの理由に説得力を持たせるには、
ガオレンジャーの時と同じような熱血描写や派手な名乗り演出などは必要となり、
そうした定型表現みたいなものでもまた尺を奪われてしまいます。
そうなると残った尺で5人の戦隊メンバーの人間ドラマを描くというのは難しくなります。
人間ドラマといっても、仮面ライダーシリーズとの差別化という意味で、あまり重厚なドラマは描けませんから、
軽めのドラマということになりますので、ライダーの場合やタイムレンジャー以前の作品ほどには多くの時間が必要というわけではないのですが、それでも5人分のドラマを挿入するのは難しい。

そこで、3人戦隊にしてみようということになりました。
5人分のドラマでなく、3人分のドラマならば描けるというわけです。
ただ、ライブマンの時も3人戦隊で始めて結局は5人戦隊になったように、ヒーローショーの関係や玩具展開の関係で、やはり3人は少なすぎるので、途中から5人〜6人の編成にはしなくてはいけません。
しかし、とにかく序盤だけでも3人戦隊であれば、その3人のキャラはしっかりドラマの中で描くことが出来ます。
ただ、その場合、途中から2人追加されたとして、それ以降は初期3人は描き方が薄くなっていいのか、また、その追加2人は描き方は薄くていいのか、と何かと問題点もあります。
これはライブマンの時も問題となったことでした。

そこで、今回はあくまで主役戦隊は3人として、追加の2人は別の脇役戦隊ということにして、1ランク下の扱いにして、あえて格差をつけることにしました。
そうすれば主役3人は全篇通してしっかりドラマでキャラを描くことが出来ます。
そして追加2人に関しては、あくまで脇役で別戦隊扱いなのだから、扱いがやや悪くても不自然ではありませんし、
いくら扱いが悪くても、とにかく5人の頭数ではあるわけで、ヒーローショーの人数は増えますし、玩具の数も増やせます。

ただ、追加2人はあまりに扱いが悪いと存在意義自体が無くなってしまいますから、単なる補欠みたいな扱いにするわけにもいきません。
そこで、主役戦隊のライバル戦隊とすることにしました。
主役3人はどうせ少年ジャンプ漫画の主人公的な熱血キャラになるわけですから、
いっそ脇役2人の戦隊の方もジャンプ漫画の主人公のライバルキャラにありがちなクールでシリアスでカッコいい感じのキャラにして、互いに争わせ競わせればいいのです。
ジャンプ漫画の王道パターンというのは、熱血主人公が実力では自分よりも優れたクールなライバルと幾度も戦いを繰り返し、最終的には努力の成果や気合いや根性で実力差を跳ね返してライバルに勝利し、
ライバルも距離は置きつつも、やがて主人公のことを認めるようになり、主人公の危機の時にライバルが駆け付け、より強大な敵との戦いで共闘するというやつです。
これが一番少年たちの心を燃えさせるのです。
とにかく熱血路線でいくことは決定している以上、このジャンプの黄金パターンを使わない手はありません。

最初は未熟な熱血主役戦隊の3人組と、クールな実力者のライバル戦隊2人組とが、
最初はいがみ合い競い合うが、主役戦隊の方が優位な形で和解して、その後は共闘するという基本構想となりました。
これならば最初はライバル2人の方は敵なのですから、主人公側の視点で強さや嫌な印象だけ描ければいいので、そのキャラ描写に大して尺をとる必要はありません。
また和解以降も、あくまで主役は熱血3人組の方なので、彼ら3人メインのエピソードにそれぞれ相手役として絡ませていけば、そもそも性格が正反対なので面白いエピソードを作ることが出来て、彼らライバル2人組だけのエピソードはほとんど作らなくて済みますので、尺の節約になり、主役3人の人物を明るく熱血に軽いトーンで十分に描くことが出来ます。

一方、作品のモチーフの方は、とにかく玩具を売らなければいけませんから、これまでにシリーズで玩具がよく売れた作品のモチーフを使おうということになり、
それはだいたいファンタジー系戦隊および車関係の戦隊の方がよく玩具は売れていました。
ファンタジー系といえば恐竜(ジュウレンジャー)、動物(ダイレンジャーおよびギンガマン)、忍者(カクレンジャー)、古代文明(オーレンジャー)などがモチーフとして実績がありました。
このうち前作ガオレンジャーが動物モチーフを使っていましたから、あとは有望なのは恐竜、忍者、古代文明、そして車あたりで、
結局、今回は忍者をモチーフとすることになり、次回作は恐竜ということになりました。
こうして2002年度作品「忍風戦隊ハリケンジャー」は作られることになったのでした。

n-nanami061-2.jpg忍者がモチーフとなると、主役戦隊とライバル戦隊の争いは、2つの忍術の流派の争いということになり、
風神雷神をモチーフにして風を使った忍術の疾風流と、雷を使った忍術の迅雷流の2つの流派の忍術合戦が繰り広げられることになりました。
しかし忍術の戦いというと、まともに描くとアナクロなものになりがちなので、明るい作風とするために現代的に機械化・システム化されたネオ忍者のようなものを設定しました。
カクレンジャーのような幻術のようなものを使う忍術ではなく、カラクリ仕掛けの忍術です。
修行は超常的な能力を身につけるためのものではなく、忍術用のカラクリ器具やメカを円滑に扱うための訓練であり、そのための基礎となる体力や体術、戦闘術を鍛えるためのものです。

そうした鍛錬を行うための忍術の専門学校のようなものがあり、疾風流の学校と迅雷流の学校があって、
それぞれの学校を卒業するとその流派の免許皆伝となり、社会の様々な場所で現代の忍者の仕事に就職するのです。
それは諜報活動であったり、ボディガードのような仕事で、基本的には闇に潜んで悪を成敗する正義の仕事です。
この作品の主人公たちはそうしたプロの大人の忍者ではなく、まだ免許皆伝を受けていない忍術学校の学生たちということにし、
この物語は彼らの青春を熱く明るくケレン味たっぷりに描くことになります。

未熟で熱い主役3人組は疾風流忍術学校の落ちこぼれ3人組で、
クールで実力者のライバル2人組は迅雷流忍術学校の成績優秀だがはぐれ者のクールな2人組というふうに設定され、
クールな一匹狼気性の2人組が衝突せずに結束しているのは、この2人が血を分けた兄弟だからだということにしました。
ここで主役の疾風流の3人組が優等生だったら、この迅雷流兄弟との間で落差が生じず、物語に熱さが生じないので、どうしても疾風流3人組は劣等生でないといけません。

しかし、どうして落ちこぼれが流派を代表して戦う羽目になるのかが上手く説明がつかないので、
ここはかつて同じように落ちこぼれ3人組(正確には落ちこぼれは2人だが)が戦う羽目になったライブマンの例を真似ることにしました。
つまり、冒頭で彼らの所属する学校が彼らだけを残して壊滅してしまうのです。
ライブマンではアカデミアが壊滅して勇介と丈とめぐみの3人だけが生き残ったのですが、
それと同じように、この作品では疾風流忍術学校もろとも疾風流忍術そのものが落ちこぼれ3人組を残して壊滅してしまうのです。
壊滅させるのはライバルの迅雷流ではありません。
迅雷流がそれをやってしまうと、もう和解する余地が無くなってしまいますから、それはマズいのです。

疾風流を滅ぼしたのは宇宙から侵略してきた未知の宇宙忍者の集団で、ジャカンジャといいます。
そしてジャカンジャは迅雷流もまた同じように滅ぼし、迅雷流では実力者の2人兄弟だけが生き残ります。
このジャカンジャこそが、最終的に疾風流の3人組と迅雷流の2兄弟が共闘して立ち向かわねばならない真の敵です。
これで物語の構造は、疾風流忍術学校の生き残りの落ちこぼれ3人組を主人公とし、この3人が真の敵であるジャカンジャと戦いながら、迅雷流忍術学校の生き残りの実力者2兄弟ともライバル関係で競い合い、遂には互いに理解し合い、共闘してジャカンジャを倒すまでの成長を描くということになりました。

敵のジャカンジャの宇宙忍者という設定がブッ飛んでますが、
ドラマ部分が明るいトーンの熱血青春ドラマ風にしっかり作り込まれているのに対して、
総じてバトルシーンは前作ガオレンジャー以上に遊び心満載でケレン味たっぷりに描かれており、敵の設定もそれに合わせて結構ブッ飛んでいます。
だから宇宙忍者という有り得ないような設定もアリで、ジャカンジャは勢いで押し切ってしまえる比較的大所帯の個性派集団となっています。

このジャカンジャが忍術の究極奥義である「アレ」というものが地球に眠っていることを察知し、それを奪おうとして地球にやって来ます。
「アレ」を手に入れるためには地球を腐らせることが必要だと知ったジャカンジャの首領タウ・ザントは配下の幹部にあたる上忍の暗黒七本槍に命じて地球を腐らせる作戦を実行させ、
その邪魔となりそうな地球の忍者の2大流派の疾風流と迅雷流を奇襲して壊滅させます。

ところが疾風流の学校の落ちこぼれ3人組の椎名鷹介、野乃七海、尾藤吼太の3人は朝礼をサボっていたため難を逃れて生き残り、
ジャカンジャの襲撃を逃れた疾風流の忍者学校の日向館長の命を受けて、疾風流の伝説の忍者「ハリケンジャー」になってジャカンジャを討つべく強化スーツを授けられます。
館長はどうして戦わないのかというと、ジャカンジャの襲撃を逃れる際に変わり身の術でハムスターに化けて逃げたのですが、年のせいで元に戻る呪文を忘れてしまい、ハムスターの姿のまま元に戻れなくなってしまったからです。
それでも人間の言葉は喋れるので指令は下せるのですが戦うことは出来ません。
館長は娘で武器開発などが得意な忍者である日向おぼろの居るアジトに身を寄せ、生き残った落ちこぼれ3人にハリケンジャーになるよう指令したのです。
それは一見、背に腹を替えられなくなって仕方なく落ちこぼれに頼るしかなくなったように見えますが、
実際はハムスター館長はこの3人の潜在能力を高く買っていたのであり、だからこそこの3人にハリケンジャーとなるように命じたのです。

3人はこのハリケンジャーのスーツの力と、おぼろの開発した武器やメカを使ってジャカンジャの地球を腐らせる作戦のために送り込んでくる怪人に相当する中忍たちと頑張って戦います。ちなみに下忍は戦闘員に相当します。
潜在能力は高いものの、戦士としての意識の低い3人は最初は苦労しますが、次第に戦いにも慣れてきます。
そうした時、3人の前に謎の2人組が現れ、ハリケンジャーと似たような強化スーツの忍者姿になります。
彼らは疾風流と同時期にジャカンジャによって全滅したと思われていた迅雷流の生き残りの霞一甲、一鍬の兄弟で、実力者の彼らは迅雷流の奥義であるゴウライジャーに変身出来るのです。

鷹介たちは霞兄弟に一緒にジャカンジャと戦おうと持ちかけますが、霞兄弟は拒絶し、鷹介たち3人を攻撃し叩きのめします。
実は霞兄弟は迅雷流の中でもアウトローであり、正義や悪にはこだわらずひたすら最強の忍者を目指しており、そのためにジャカンジャ同様「アレ」を手に入れようとしていたのです。
そのためにはより強い者と手を組もうとしており、落ちこぼれの鷹介たちよりもジャカンジャと手を組み利用しようとしていたのです。
しかし、ジャカンジャと一時手を組んだゴウライジャーも、ジャカンジャが自分たちを利用しようとしているだけと気付き、離反し、独立してジャカンジャと戦い始めます。
こうして、ハリケンジャー、ゴウライジャー、ジャカンジャの三つ巴の戦いが始まったのです。

scan47.jpgこのハリケンジャー3人組の紅一点が野乃七海で、18歳の美少女ですが、ハリケンブルーに変身します。
ジェットマンのブルースワロー以来、久々のブルーのヒロインです。
どうしてブルーヒロインなのかというと、どうもこのハリケンジャーはその物語導入部の設定がライブマンのオマージュである関係なのか、3人のモチーフがライブマンに準拠していて、
鷹介は天宮勇介と同じタカがモチーフで赤いスーツ、吼太は大原丈と同じライオンがモチーフで黄色いスーツ、そして七海は岬めぐみと同じイルカがモチーフで青いスーツという風になっているのです。
だから七海はブルーのヒロインで、しかもこの陸海空の属性がこの作品の場合はそのまま空忍、水忍、陸忍という忍術のカテゴリーにも対応していて、
七海は忍術学校の水忍科に所属していた水忍という設定で、水を使った忍術を得意としています。

ハリケンジャーにおいても前作ガオレンジャーに引き続き、個人の名乗りの前に個々のキャッチフレーズが入るのですが、
七海の場合のキャッチフレーズは「水が舞い、波が踊る」で、その後「水忍、ハリケンブルー!」と名乗る。
そういう感じで3人名乗った後、「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ!忍風戦隊ハリケンジャー!あ、参〜上〜!」と全員で名乗るのですが、
変身シーンからこの名乗りシーンまで、かなり凝った映像になっていて、華美な和風テイストで、遊び心満載で、名乗り文句もポーズも複雑で、傘を投げて回したりとか、高度なことをやっています。
前作のシンプルさとはだいぶ違い、この作品が前作よりは少し対象年齢を上げているのが分かります。

七海たちハリケンジャーの3人は別に代々続いた忍者の家系というわけでもなく、全く普通の家に生まれた普通の若者で、
忍者というものを単に就職先と捉えて、忍者になるのもいいかもしれないというぐらいの漠然とした軽い気持ちで、そのための専門学校として忍者学校に入学しただけでした。
忍者学校の生徒には彼らと同じような軽い気持ちで入学している生徒も大勢いたと思われます。
ただ彼ら3人は一応学校側からスカウトされており、当初から潜在能力は認められていたようですが、入学後、予想外の厳しい修行について行けずに落ちこぼれてしまったのでした。
つまり厳しい修行があるということも予期できなかったぐらい、あまり深く物事を考えていなかったということです。
特に七海は3人の中で最も思慮の足りない子で、同じイルカモチーフのブルーヒロインでも岬めぐみとは正反対のキャラといえます。

前作ガオレンジャー同様、バトルシーンでは3人とも熱血キャラですが、
普段は鷹介が熱血で突っ走り気味キャラ、吼太は慎重で思慮があるキャラとなっており、七海も突っ走り気味のキャラなのですが、
鷹介が頭に血が昇って思慮が足りなくなるのに対し、七海の場合は飄々としていて思慮が足りない。
ちなみに吼太は思慮はあるがいろいろ考え過ぎて結局は決断出来ない。
要するにみんなダメな奴らなんですが、おそらく一番アホなのは七海です。
アホなくせに、明るく素直な性格ゆえに変にポジティブで勝気でプライドが高く、やる気満々で色々やるのですがヘマばかりという始末です。
それでも持ち前の明るさとポジティブさであまり凝りないのが七海の長所というか短所というか、何と言うべきか分かりません。

忍者学校が壊滅してハリケンジャーになるよう命じられ、しばらく普通の生活を送って待機しているように言われていたところ、
街で芸能プロダクションのスカウトに引っ掛かって、何時の間にやら新人演歌歌手としてデビューしてしまっていたりしており、
七海はどうも自分が可愛いことに変に自覚的で、尻が軽いところもあります。すぐ詐欺に遭いそうなタイプです。
ただ、何でもやる気満々になってしまう性分ゆえ、結構真面目に演歌歌手として頑張っていたりして、精力的に地道な営業活動に励み、地味な下積み生活を送っています。

こうした呑気な落ちこぼれの七海たち3人組は伝説の忍者ハリケンジャーにいきなり任命されて張り切り、ジャカンジャと戦い始め、
最初は未熟者ゆえにギクシャクしたりしますが、戦いの中で少しずつ成長していき、結束も強くなっていきました。
そこに現れたのが迅雷流の生き残りの霞兄弟、ゴウライジャーでした。
霞兄弟は迅雷流の忍者を父に持ち、最強の忍者への夢にとりつかれた父の妄執によって子供の頃からスパルタ教育を受けて歪んだ性格をしており、
そうした彼らから見れば、疾風流の落ちこぼれ3人組はふざけているようにしか見えなかったようで、軽蔑と嫌悪の対象でしかなかったのです。
だから手を組むなど有り得ない話で、もともと犬猿の仲のライバル流派ですから、叩きのめす対象でしかありませんでした。

最初はゴウライジャーがジャカンジャと手を組んでいたこともあり、ハリケンジャーの3人もゴウライジャーを敵視していましたが、
ゴウライジャーがジャカンジャと手を切ると、ハリケンジャー3人はなんとかゴウライジャーと手を組もうとし、
そのためにはゴウライジャーにハリケンジャーの強さを認めさせなければいけないということで、鍛錬してゴウライジャーに追いつこうと頑張り始めます。
物語の前半はこのハリケンジャー3人が頑張ってゴウライジャーに自分たちを認めさせ、仲間になるストーリーが描かれるわけです。

ハリケンジャー3人組のテーマは「成長」ですから、ここで制作陣はこの3人組のキャラにバックボーンをあまり与えませんでした。
つまり3人とも忍者学校に入る以前の過去はほとんど曖昧なのです。
過去の経歴などで最初にキャライメージを固めてしまわずに、物語の中でドラマを演じながら役者と共にキャラにも成長していってもらおうとしたのです。
これは、今回の作品ではしっかりとドラマを作ろうという意図があったからでもありますし、
その場合は新人同然の役者には最初にキャライメージを固定させない方が良いと思ったのでしょう。

ただ、このやり方の場合、ハリケンの3人組はほぼ全くの新人であったので、最初の頃はキャラがなかなか掴めず手探り状態となります。
それは製作サイドとしても想定内のことで、1年かけてゆっくり育っていってくれればいいと思っていたのですが、
そうやって主役3人がまだいまいちパッとしていない間に、脇役のはずのゴウライジャーの2人が非常に人気が高くなってしまいました。
ゴウライジャーは暗い過去設定など、バックボーンのハッキリしたキャラだったので演じやすくキャラも掴みやすかったのでしょう。
それに、やはりダークな部分のあるクールなヒーローって格好いいのです。
だからゴウライジャー登場当初は、ゴウライジャーばっかり美味しくて、主役のハリケンジャー3人がゴウライジャーの引き立て役のようになってしまいました。
しかし、ここで主役3人の役者がゴウライジャーに負けてはいけないと発奮することこそが制作側の狙い通りなのであり、
ここから役者陣の発奮成長と共に七海ら3人のキャラもぐんぐん成長していきます。

そうして紆余曲折あって中盤でゴウライジャーが仲間に加わったところで、物語としては1つの大きなテーマがここで一段落してしまったような形となります。
物語の根幹である2つの流派の若き忍者のライバル関係が落ち着いてしまったのです。
純粋に物語内容的には、ここから真の敵であるジャカンジャとの決戦が始まり、
味方側にも疾風流と迅雷流の奥で2つの流派をまとめる宇宙統一忍者流というものが登場してきて、それがジャカンジャの求める「アレ」の秘密とリンクしていき、ジャカンジャ内部でも「アレ」を巡って内紛が生じてくるなど、クライマックスに向けて佳境に入っていきます。
しかし、作品としての今までにない大きな特徴に2つの流派のライバル関係であったため、
それが落ち着いてしまうと、結局、前作ガオレンジャーとあまり大差無い印象となってしまいます。
この後の物語自体は非常によく練れていて面白いのですが、前半があまりに新鮮な面白さであったので、それが終わってしまっていつも通りの面白さになって、退屈と感じた人もいたようです。
前半は高い視聴率を維持していたハリケンジャーは、後半は次第に視聴率は落ちていくようになりました。
なお、玩具売上は非常に良く、前作ガオレンジャーを更に上回って、131億円もの売上を上げました。これはカーレンジャー以降の戦隊ではトップの売上です。

photo018.jpgそれはそれとして、キャラ的には、この中盤あたりにはハリケン3人の役者も役に慣れて成長もして、ここからこそ、3人のキャラはドラマの中で深まっていくはずでした。
ところが、予想以上にゴウライジャー2人が人気を獲得したため、この2人にもエピソードを割く必要が生じてきました。
また、中盤から登場した第六の戦士のシュリケンジャーが大人気となり、こちらにも尺を割くことになりました。
その上、ジャカンジャ内部のドラマも充実してきて、七本槍たちにも人気キャラが出てきて、そちらも色々描くようになり、
これらは皆、番組的には好評価を得ているということなので喜ばしいことなのですが、
せっかく主役戦隊を5人から3人に減らしてまでも深めようと思っていた3人のキャラ描写に割くドラマの時間が不足してくることになったのでした。
そうなると、どうしても割を食うのは七海と吼太になりがちで、
七海のキャラは更に成長はしていきましたが。当初予定していたほどにはその描写は深まらなかったのではないかと思います。

ただ、それでも七海というヒロインが歴代ヒロインの中でもかなり人気が高く印象深いヒロインであるのは、
その性格が明るく素直で屈託が無い点、いつでも一生懸命な努力家で、成長がハッキリと分かって強くなった点、
現役の芸能人でもあるという戦隊ヒロインとしては珍しい特徴、後半の霞一鍬との淡い恋愛描写で見せた可愛らしさなど、
ヒロインとしてハイレベルに達した点が多いからなのですが、
やはりドラマ部分の尺の不足を補う最も大きな役割を果たしたのが、変身後の姿でマスクが開いて顔が見える状態での演技がかなり多かったことです。

つまり、その形での演技の時は、七海を演じる長澤奈央がハリケンブルーのバトルスーツの中に入って演技しているわけです。
これはゴーゴーファイブでもゴーオンジャーでもそうですが、マスクオフで役者がバトルスーツ姿で顔出し演技している戦隊というのは、非常にキャラの印象は強くなります。
これは理屈ではなく、やはり顔が見える時間が長いというのは絶対的なアドバンテージなのです。
顔の一部だけ見えるゴーゴーファイブ、顔全体が見えるハリケンジャー、頭部全体が露出するゴーオンジャーという順に、どんどんそのアドバンテージは大きくなります。
それに演じている側も、スーツに入っている時間の分、他の作品で役者が演じている時間よりも長い時間、その役を演じているわけで、
演じる時間が長ければ長いほど、役との一体感は高まります。
その分、そのキャラを巧みに表現出来るようになるのは当然で、
ドラマ部分は尺が足りなくても、それをカバーして、その足りない時間でも一定程度はキャラを表現出来てしまうようになるのです。

そして更に七海というキャラがそれら顔出しが多いヒロイン達の中でも際立ったアドバンテージを得ていた最大の理由は、
その顔出し時に着るバトルスーツのデザインが秀逸、というよりハッキリ言ってエロかったからです。
身体にピッタリのソフトスーツという点では他のヒロインと同じですが、
ハリケンブルーのスーツはミニスカートから下の脚部が上体と同じソフトスーツ生地ではなく、おそらく忍者装束を意識した鎖帷子仕様なのでしょうが、
見た感じ、生足に網タイツを履いているように見えるのです。これがなんともエロい。
長澤奈央がナイスバディであったので、なおさら色っぽさを感じます。
これもやはり七海というヒロインが強烈な印象を残している大きな理由といえるでしょう。

これは、まぁ子供目線ではなく、大人目線のヒロイン人気ということになるのですが、
この頃には大人目線の人気も無視出来ない要素となっていたのです。
20世紀末あたりから少子化が進んでおり、子供番組とはいっても、子供だけをターゲットにしていては視聴率を稼ぐのは難しくなりつつありました。
そういった文脈で高年齢層にも受ける内容の平成仮面ライダーシリーズは好調だったのであり、
同じスーパーヒーロータイム枠の戦隊シリーズの方にもライダーの高年齢視聴者は流れ込んできており、そうした層のニーズにもある程度は応える必要もありました。
それに玩具だって実際にお金を出すのは若い親たちであり、少子化の厳しい時代だからこそ、そうした若い親世代へのアピールも必要でした。

そういう意味合いで、戦隊シリーズでもタイムレンジャーのあたりから明確にイケメンを戦隊メンバーにキャスティングする路線に変わってきており、
女性キャストに関しても、ガオレンジャーは冴とテトムの実質2人のヒロインが戦隊側に居り、
ハリケンジャーにおいても戦隊側には七海だけでしたが、ジャカンジャ七本槍の中にダブル悪のヒロインともいえる子ギャル系のフラビージョとグラマー美女系のウエンディーヌの2人が居り、
若いお父さん層や思春期男子層を意識して、美女系タレントのキャスティングに頼るところは多かったといえます。
七海というヒロインの人気には明らかにそういう要素があり、そういう要素が戦隊ヒロインに明確に見えた最初の顕著な例といえるかもしれません。

言わば、戦隊ヒロインを魅力的な女性として見ようとする大人の男の視線に対する「媚び」の要素が明らかに見えるヒロインというやつです。
これは別に悪い要素ではありません。女性の魅力には媚びというものも当然含まれています。
これが戦隊ヒロインとしての元来の必須の要素を損なわない限りは、媚びによって、むしろ新たな魅力が加わったと見ていいと思います。
そういう意味で、七海は媚びによって全くヒロイン性は損なわれておらず、逆に媚びの要素が加わったことによって非常に魅力的なヒロインであったといえます。
また、この媚びの要素が加わることで、恋愛描写が自然に描きやすくなります。
それで七海も一鍬との恋愛エピソードが嫌味なく描写できたのでした。
やはり女性は恋愛をすると魅力的になりますので、これも、まぁやり方次第ではありますが、ヒロインの魅力を高める1つの方法ではあります。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 02:12 | Comment(0) | 戦隊ヒロイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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