2012年11月28日

海賊戦隊ゴーカイジャー妄想物語その7


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そうして、ザンギャック軍による地球攻撃開始から3ヶ月が経とうとしていました。開戦後1週間でザンギャック地球侵略軍の司令部は壊滅しましたが、その後は司令部不在のまま、ザンギャック本星からの指示に従い、残存したザンギャック全軍による攻撃は継続しています。
といっても現地軍はスゴーミンやゴーミンばかりで、指示を出している本星の総指令部は遠く離れているので現地の細かな状況は把握出来ておらず、やっていることは当初の方針通りのシンプルな力押しです。空爆を重ねて地球側の戦力が消耗して大規模な地上軍投入が可能になったら一気に全軍降下して占領するという基本戦術をなぞるだけでした。
これは地球側の抵抗が大したものではないという前提で立てられていた初期プランのままなので、あまり適切な戦術ではないのですが、ザンギャック本星の総司令部は現地から詳細な報告を得ていないのでそのあたりはよく分かっておらず、このシンプルな力押しですぐに地球は陥落すると思っていました。
だが、スーパー戦隊を中心とした地球側の抵抗は激しく、ザンギャック側の予定通りには戦いは進みませんでした。1ヶ月以上経っても地球が落とせないので本星の総本部でも不審に思い始め、やはり新たな司令官を送った方が良いのではないかという意見も出ましたが、現地軍はメンツもあるのか処罰を恐れてなのか、もう少しで成果が出るから待って欲しいと主張し、実際今さら新たな司令官が現地に行って、既に戦い続けているあれほどの大軍を統率するのも難しく、逆に混乱を招く恐れもあり、このまま力押しを続けた方が多少時間はかかっても無難であろうという意見が勝り、総司令官のワルズ・ギルもそれに賛成したので、現状維持のままズルズルと時間が過ぎていくこととなりました。

一方、地球側の防衛軍の方はザンギャック軍の司令部を潰したことによって敵が撤退してくれることを期待しましたが、その期待は叶わず、攻撃が続いたことに落胆しました。しかし諦めるわけにもいかないので、残った敵軍を撃退すべく防衛戦を続けていくしかありません。もともと敵司令部を都合よく早々に潰せる可能性は低いと思っていましたから、それが出来ただけ上出来であり、本来の予定通りに地道に敵攻撃軍を削っていく戦い方をするだけのことでした。
そうして戦っていくうちに、ザンギャック軍の様子が当初とは微妙に違うことに海城たちは気付きました。あまりに戦い方がワンパターンで画一的、それゆえ逆にチグハグで効果的に軍を動かせていないのです。これは司令部がまともに機能しておらず、各軍がマニュアル通りに動いているだけのようだと察した海城は、敵軍は司令部が潰れた後、司令部の補充をしておらず、司令部不在のまま当初の基本戦術の力押しで戦っているに過ぎないと理解しました。その結果、当初予想していた戦いの見通しよりも、ややマシな見通しは立てられそうだと、海城は一筋の光明を見出し、早々に敵司令部を潰したのは無駄ではなかったと確信しました。
ただ、そうは言ってもその時点でザンギャック軍の残存勢力は全軍の8割ほどが残っていたので、数的には絶対的劣勢であるという事実は変わらない。当初は1ヶ月で被害甚大で無力化されると予想していた全地球の通常軍が2ヶ月は持ち堪えたに過ぎませんでした。そして通常軍が無力化された後は奮戦したスーパー戦隊も1ヶ月で敵の艦隊に対抗する戦力を喪失して地上軍の大侵攻を許してしまうだろうと海城は予想していましたが、敵軍がまともに機能していないため、通常軍無力化から1ヶ月経った2011年12月現在、まだスーパー戦隊は敵軍を食い止めることは出来ていました。
それでも戦況が優勢になったわけではない。ただ単に敗戦へのテンポが当初の予想よりも遅くなっているだけのことで、敵軍にも予想以上の損害をこれまで与えることは出来ましたが、地球側が蒙った損害も同様に大きく、まだ当初の5割ほどは残って全世界に展開して攻撃してくる敵軍に対して数的に極めて劣勢であることは間違いない。このままではあと1ヶ月も経たないうちにスーパー戦隊もその戦力を消耗して敵の艦隊を食い止められなくなり制空権を完全喪失し、そうなれば敵は大規模な地上侵攻を開始し、もはやザンギャックの地球占領を食い止めることは出来なくなるでしょう。

このまままともに戦っていけばそうなる。だから海城としては残り1ヶ月の間に、それも出来るだけ早いうちに大逆転の秘策を打つ必要があります。策としては、全世界に分散して攻撃してくるザンギャック軍を1ヵ所におびき寄せて、そこにスーパー戦隊の全戦力を集中して叩くというのがベストですが、そうした形に持っていくための仕掛けがまだまだ整っていません。
海城が考えていたのは司令部不在のザンギャック軍の指揮命令系統の混乱に付け込んで偽情報で全軍を1ヵ所に誘い出す方法でしたが、そのためにはザンギャック軍の暗号システムを解明する必要があり、それについては撃墜、捕獲したザンギャック艦を調査したり、捕えたザンギャック兵を調べたりして、そこから得た情報をI.N.E.T.の分析にかけて、この3ヶ月の間にだいぶ解明することが出来ました。
ただそれでもまだもう少し情報が足りない。それに、暗号システムが完全に解読出来て、こちらが偽情報をザンギャック軍に回せたとしても、完全な偽情報はすぐにバレてしまいますから、それは真実に基づいた偽の指令でなければならず、しかも全軍を偽指令が露見しない間に至急動かすだけの重要な事項でなければならない。ザンギャック軍においてそれが何であるのか海城にはまだ想像もつきませんでした。暗号が解読出来ればそのあたりも判明してくるだろうが、もしかしたらそんな都合の良い事項は無い可能性もある。ただ、それがきっと見つかると信じて、今は時間との勝負で急いで暗号の解読を進めるしかない。

また、この策のもう1つの問題点は、敵軍をおびき出す地点にどうやって敵に察知されないように全スーパー戦隊を集結させて待ち伏せ態勢をとらせるのかということでした。ザンギャックの全軍をもし1ヵ所におびき出すことが出来たとしても、その前はザンギャックの各軍は全世界に散って攻撃してきているのであり、全スーパー戦隊はそのザンギャック軍と世界各地で応戦中のはずです。そうでなければ不自然すぎて逆に敵に罠を警戒される。しかし、ならばどうやって世界中の戦場からおびき出し地点にスーパー戦隊が先回りしてザンギャック軍を待ち伏せするのかが問題です。
最初から姿を隠していれば敵も怪しむであろうから待ち伏せ作戦が不発となる危険もあります。だからザンギャック軍と応戦していたスーパー戦隊がザンギャック軍に気付かれないように移動して待ち伏せ地点に先回りしないといけない。これについては海城には現時点で名案はありませんが、1つだけアテが無いこともない。
スーパー戦隊の巨大戦力は全て超スピードでの移動が可能で、中には超常現象としか思えないような移動を可能とするものもあります。だが、それにしても全てこの世界の因果律の中での現象ですから、全ての戦隊の戦力を全く敵に察知されないまま自在に動かすことまでは出来ない。それを可能とするものがあるとすれば、それはこの世界の因果律の外にある存在となります。海城がアテがあるというのはそうした存在であり、それは云わば異世界の神々の力と言っていい。
ですが、これをアテにするのは現時点ではあまりに不確実なので、とりあえずは普通の方法で対応するしかありませんでした。その決戦地点に近い戦隊から順々に駆けつけて1ヵ所に固まった敵軍を攻撃し、先に到着した戦隊が持ち堪えている間に他の遠くから来る戦隊が合流して参戦していくしかない。そんな方法で敵の大軍を殲滅出来るのか未知数ですが、それでも敵が1ヵ所に固まってくれていた方が全世界に散らばっているよりも殲滅できる可能性は高いのであり、そうしたチャンスを作れた以上は攻撃するしかない。
そもそも、もし異世界の神々の力を使って1ヵ所に集めた敵軍を全スーパー戦隊が包囲して一斉攻撃出来たとしても、それすら現状では最もマシな作戦というだけのことで、それでもザンギャックの圧倒的軍勢の前では決して勝利の可能性が高いわけではないのです。それだけ敵軍の数は圧倒的なのであり、たとえ1ヵ所におびき出して全スーパー戦隊で一斉攻撃しても勝てるかどうか分からないのですから、ならば一斉攻撃できないからといって、さほど状況が大きく変わるわけではない。どちらにしても、その最後の決戦に賭けるしかないのです。
ならば海城は負ける覚悟で戦うつもりなのかというと、確かに勝利の可能性は低いが、負けるつもりはありません。最後の最後、敵軍を1ヵ所におびき出してのこの決戦でも勝てなかった時には、その場で本当の最後の手段、全く未知の巨大な力、すなわち「大いなる力」を使うしかないと覚悟を固めていたのです。

さて、その頃、ザンギャック軍の空爆ですっかり荒廃してしまった新宿で、あの16歳の高校1年生の伊狩鎧は、住民が組織した自警団の一員として働いていました。
山梨の疎開先から姉夫婦を迎えに行くために自宅のある新宿に向かっていた鎧は、あの3ヶ月前のザンギャックとの開戦の日、ザンギャック艦の空爆で火の海となった新宿を遠目に見て、家族の身を案じつつ、とにかく今は自分の出来ることをやろうと思い、歩き続けて2日後に新宿に辿り着きました。自宅のあたりは焼け野原となっており、家族はおろか近所の人たちの姿も見当たらない。仕方なく鎧はこの春に高校入学を機にバイトし始めていた新宿駅そばのスナック「ゴン」に向かいました。
すると、「ゴン」は無事でしたが当然休業しており、店が無事ならばマスターの江戸川は無事なのだろうと思った鎧は、家族の消息を聞くために江戸川を探しました。「ゴン」のマスターの江戸川権八は30年以上も前から新宿駅のそばで店を開いており、鎧の父親も若い頃、「ゴン」でバイトをしていたという。その後、料理人になって結婚した鎧の父親は江戸川の紹介の店で働いていたが、鎧が生まれた後、流しの料理人として全国を放浪するようになり、4年前に東京に戻ってきた時、江戸川に紹介してもらった新宿の物件を買って自分の自宅兼店舗としたのです。
つまり鎧の父親は江戸川にひとかどならぬ世話になっていたわけで、現在に至るまで伊狩家と江戸川とは親しく付き合っていました。その縁で鎧も高校入学後、「ゴン」でバイトをするようになっており、今年81歳になるという高齢でありながらやたらと元気な江戸川に厳しく、時には優しく指導を受けて、こき使われていましたが、7月にザンギャック騒動のせいで山梨に疎開することになり、バイトも休んでいました。
その江戸川ならば自分の家族がどうなったのか知っているだろうと思ったので鎧は店の周囲にいた人たちに「ゴン」のマスターは何処に行ったのか尋ねて、そして遂に江戸川と再会しました。もともとこのあたり一帯の顔的な存在であった江戸川は避難民たちの世話役のようになって忙しそうに立ち働いており、鎧の顔を見ると、どうして東京に居るのかと驚きました。そして鎧が自分の家族の消息を質問すると、江戸川は心苦しそうに開戦初日、すなわち2日前に新宿がザンギャック艦隊の最初の攻撃で大被害を受け、多くの人々が亡くなった時に鎧の家族が全員亡くなったと告げました。
やはりあの日は新宿でも最初のザンギャック艦隊が殲滅されたのを見て戦いが終わったと安心して多くの人々がシェルターを出て自宅に戻ったところで空爆を受けて多くの人が亡くなったようです。鎧の家族もそうした被害者に含まれていたようで、江戸川は被災後すぐに伊狩家のある場所に駆けつけて、そこで伊狩家の鎧を除く家族全員の遺骸を確認し、既に昨日手厚く葬ったところだと鎧に伝えました。

鎧は大きなショックを受けて嘆き悲しみ、江戸川は残念だが家族がもう居ない以上、空爆の標的になりやすくて危険な東京を早く出て、学校の人達のいる山梨に戻って心と身体を休めるように鎧に言いました。しかし鎧は涙を流しながら、幼い甥っ子に渡そうと思って持って来ていた「星の伝説」の絵本を握りしめて、自分はここで自分の出来ることをして、被災した人達を助けたいと言いました。
江戸川は鎧はまだ子供なのだからそんな危ないことをする必要は無いと言い、家族を殺されてムキになっているのなら止めたほうがいいと忠告しました。だが鎧は自分と同じように家族や親しい人が殺されても踏ん張っている人達がここに大勢いる以上、自分もここで自分の出来ることをしなければ自分の明日を変えることは出来ないと言い、だいたい子供ならばダメだというのならどうして剛が手伝いをしているのかと江戸川に食い下がりました。
剛というのは江戸川の孫で、12歳の少年でした。もともと江戸川は息子夫婦と一緒にゴンを切り盛りしていたそうだが、鎧が東京に引っ越してくる少し前に息子が事故で亡くなったらしく、4年前に12歳の鎧がゴンに初めて行った時には、江戸川と一緒に店にいたのは亡き息子の妻とその3人の息子で、そのうちの一番下の弟が8歳の剛でした。その後、鎧はときどき親と一緒にゴンに顔を出すにつれて、外に遊びに行っていることの多い上の2人の兄よりもこのいつも店にいることの多かった4歳年下の剛と親しくなっていき、今年から鎧がゴンでバイトするようになると鎧は剛を弟のように可愛がるようになっていました。
だが7月にザンギャック騒動が起きて、鎧が山梨に疎開する直前に、江戸川は剛たち3兄弟を母親と共に母の千葉の実家に避難させていたはずです。ところが今はどういうわけか、末っ子の剛だけが江戸川の傍にいて、街の他の大人たちや若者たちに混じって江戸川の仕事の手伝いをしているのを見て、鎧は江戸川が子供だからといって自分にここから立ち去れと言うのはおかしいと主張したのでした。江戸川はこれには困ってしまい、それでもダメだと言いましたが、鎧がなおもしつこく食い下がるので結局はその熱意に負けてしまい、剛と同じように常に自分の傍にいて決して無茶をしないという約束で鎧に新宿に残って自分の手伝いをすることを許可したのでした。

この江戸川権八という老人は、鎧も剛も知らないことですが、実は元イーグルの日本ブロック、関東支部総司令官であり、かつて初代戦隊ゴレンジャーの創設者だった男です。1975年に黒十字軍によるイーグル関東支部襲撃の際に戦死した分隊長は海城剛の兄であり、この江戸川の直属の部下でした。その後、江戸川は関東支部の秘密工作員だった海城をアカレンジャーに抜擢し、同じく黒十字軍によって壊滅させられたイーグル各支部の生き残りを集めて、秘密戦隊ゴレンジャーを結成しました。
秘密部隊であるゴレンジャーの基地であるゴレンジャールームは江戸川が経営する新宿駅そばのスナック「ゴン」の地下に隠されており、江戸川は「ゴン」のマスターという世を忍ぶ仮の姿でゴレンジャーを率いていました。そして1977年にゴレンジャーと黒十字軍の戦いが終わってから後も「ゴン」を拠点としてゴレンジャーの活動は継続し、江戸川もイーグル関東支部総司令官として、また「ゴン」のマスターとしてもゴレンジャーの活動を支え続けましたが、十数年後に江戸川が定年で退官すると、ゴレンジャーはその拠点を別の場所に移し、江戸川は「ゴン」のマスターとして余生を送ることにしたのでした。
そうして江戸川自身はイーグルの活動とは縁を切った悠々自適の生活を送るようになったのですが、「ゴン」とイーグルの関係は途切れたわけではありませんでした。江戸川の息子がイーグルの関東支部の秘密工作員となっていたので、息子は普段は「ゴン」で父の手伝いをして働きながら地下のゴレンジャールームだった場所を工作活動の拠点として使うようになりました。

そこで江戸川の息子とコンビを組んでいたイーグルの同僚の秘密工作員が実は伊狩鎧の父親でした。鎧の父親が若い頃「ゴン」で働いていたというのも、工作活動のカモフラージュであり、実際は「ゴン」の地下の元ゴレンジャールームの施設を使って江戸川の息子と共に活動していたのでした。
鎧の父や江戸川の息子は海城よりも10歳ほど年下であったので黒十字軍との戦いの頃はイーグルの工作員ではなく、ゴレンジャーの存在も知りませんでした。しかしその後、イーグルに入り秘密工作員となった後はゴレンジャーの活動のサポートもしていたので海城たちとも親しくしており、特に同じ関東支部出身の海城はこの2人を可愛がっており、江戸川の息子は自分の末の息子が生まれた時、海城と同じ「剛」という名をつけさせてもらったぐらいでした。
また、この2人は若い頃はゴレンジャーの活動を手伝うことが多かったため、スーパー戦隊への理解が深く好意を持っており、だから鎧の父親は幼い鎧に「星の伝説」の絵本を買い与えたのであり、鎧がスーパー戦隊に関する物を欲しがればそれに応えて気前よく買い与えていたのです。また鎧のために父親が作ったトレーニングメニューが優れたものであったのも、父親が本職は戦闘訓練も受けた秘密工作員であった以上、当然のことなのでした。
だが、別に鎧の父親は鎧をイーグルの工作員にしようとか、ましてやスーパー戦隊の戦士にしようなどと考えていたわけではない。ただ単に息子が自分で選んだ生き方に親として出来る形での手助けをしていただけのことであり、自分がイーグルの工作員であることも、ゴレンジャーやスーパー戦隊を知っていることも極秘事項ですから、子供たちには教えてはいませんでした。それは江戸川の息子にしても同じで、自分が本当はイーグルの工作員であることを息子の剛には教えていませんでした。
また、鎧の父親が家族を連れて流しの料理人として全国を放浪したのも、各地で任務をこなすためであったのでした。江戸川もスナックのマスターであったように、イーグルでは極秘任務のための世を忍ぶ仮の姿として料理関係がチョイスされることが多く、全国にイーグルが裏で経営している秘密の店のネットワークがあり、鎧の父親は子供たちには内緒でそれらの店を渡り歩いて各地で任務をこなしていたのでした。
ただ、江戸川の作るカレーが絶品だと評判であるのと同じように、イーグルの秘密工作員の料理の腕は見せかけではなく本当に一流でした。これは世を忍ぶ仮の姿もまた真に迫ったものでなければいけないというイーグルのモットーで、料理人になりすます工作員は料理の腕も徹底的に鍛えられていました。そういうわけで鎧の父親は本当に一流の料理人でもあり、4年前から新宿で開いている自分の店は、工作員の正体を隠すための隠れ蓑ではなく、あくまで本業としてのものでした。

実は4年前に鎧の父親は秘密工作員を引退し、イーグルを退官して、本職の料理人として人生を再スタートしていたのでした。それで長らく続いた放浪生活に終止符を打ち、東京に戻ってきたのです。その際、既にイーグルを引退していた江戸川が鎧の父親が店を購入する手助けをしたのも、鎧の父親の長年のイーグルへの貢献に謝意を表するという意味合いもあったのでした。
さて、なぜ鎧の父親はまだ50歳にもなっていない段階でイーグルを辞めたのかというと、実は4年前のある極秘任務で、共に任務遂行にあたっていた江戸川の息子が殉職してしまったからでした。それで責任を感じた鎧の父親は自分はもう年をとって工作員として限界だと感じて、退官を願い出たのです。
鎧の父親は江戸川に合わす顔が無いと詫びましたが、江戸川は逆に鎧の父親に長年の貢献を感謝し、新宿で店の物件も紹介してくれて、鎧の父親は江戸川の厚意に報いるために人生を再スタートして料理人として頑張っていたというわけです。そして鎧は新宿で暮らすようになってから父と共に「ゴン」を訪れるようになり、遂には今年からバイトまでするようになったが、もはや4年前から「ゴン」はイーグルの秘密基地の機能は失われて単なる、やけに元気な老人がマスターを務めるカレーの美味しい何の変哲もないスナックとなっており、鎧も単なる学生バイトとして勤めていただけでした。

一方、江戸川の孫息子たちも父がイーグルの秘密工作員とは知らなかったので父の死の真相は知らされず、父は突然の交通事故で亡くなったと教えられ、暫くは深く悲しんでいましたが4年も経った今はすっかり立ち直り、上の2人の兄たちは普通の大学生となっており、今年ザンギャック騒動が起きた後、母と共に母の実家のある千葉に避難し、1人だけ年齢の離れた小学校6年の弟の剛も当然それについていくこととなりました。
年老いた江戸川も一緒に千葉に行くよう勧められましたが、江戸川は老い先短い自分は多少の危険は省みず、海城たちもザンギャックに立ち向かって戦うのならば、かつて彼らと共にこの世界を守って戦った自分も、老いたりとはいえこの新宿界隈の人々を守るために最後に何か出来ることがあるだろうと思い、一人残って店を開いていました。
そしてバイトの鎧も山梨に疎開し、いよいよ店に1人っきりになった江戸川のもとに突然、末の孫の剛が戻ってきて江戸川と一緒にいると言ったので江戸川は驚いて千葉に戻るよう言いましたが、剛は年老いた祖父を1人で残すのは心配なので一緒にここに残ると言い、あまりに剛が強情なので母親も新宿に戻ることを許してしまったと聞き、江戸川も最終的にはつい一緒に居ることを剛に許してしまいました。
江戸川は表面的には明るく気丈に振る舞っていましたが、実際は4年前に息子を失ったことを今でも相当悲しく寂しく思っており、店に1人で残ると一層寂しさが骨身に沁みていました。だから、息子の面影のある剛が傍にいてくれると言ってくれて内心嬉しく、それゆえ剛に甘い顔をして一緒に居ることを許してしまったのでした。

そうして剛と2人で暮らし始めてすぐにザンギャック軍の最初の接近警報があり、急いで剛と共にシェルターに避難し、敵艦隊が殲滅された後もそのシェルターはどうも嫌な予感がした江戸川の指示で誰も自宅へ戻らず、その後にあった空爆で犠牲者は出ませんでした。そして別のシェルターに籠っていた伊狩家の人々はどうなったのか心配になり、伊狩家に行った江戸川は伊狩家の人々が空爆に遭って全員死んでしまったということを知り、また深い悲しみに襲われました。
江戸川は息子の同僚で長い付き合いの鎧の父親のことも息子同然に可愛がっており、2人目の息子を失ったような悲しみと寂しさを覚えたのでした。それゆえ、江戸川は実の息子と、実の息子のように想っていた部下のそれぞれの子である剛と鎧をその失った2人の分身のように思い、絶対に失いたくないと思ったので危険から遠ざけたいと思いつつ、同時に内心では身近にいてほしいと思ってしまい、結局は新宿で被災者の世話をする仕事の手伝いをしてもらうことにしました。



新宿で江戸川がやっていた作業というのは、要するに戦災の被災者の生活支援ボランティアのようなことです。
公的機関はザンギャックの空爆から身を守るためにシェルターを用意していましたが、それは都市に残っている人達が全員寿司詰めで入ってちょうどギリギリという程度の容量でしかなく、全面戦争が始まってしまった後はもう増設することも出来ませんでしたので、とにかくシェルター内部は全く広さに余裕は無い。つまりシェルター内部は一応安全だが、そこに住むわけにはいかない。シェルターはあくまで空爆時やザンギャック軍襲撃時にみんなが逃げ込むための一時避難所に過ぎないのです。
そうなると空爆時や襲撃時以外は人々は自宅にいるということになるのですが、空爆で住む家を失った人は多い。そういう人々のために住居を用意しないといけない。それは政府の責務であり、仮設住宅の資材などは無償で放出されています。また、戦災被災者や一般避難民への食料や生活必需品、薬剤なども無償で放出されています。
だが、ザンギャックとの全面戦争に突入したことによる大幅な社会の混乱で政府の職員や公共事業の業者なども圧倒的に人手が足りない。よって公的機関の手配だけで被災地に物資を迅速に送って公平に配ったり、仮設の住居を建てたりすることが出来ない。だが悠長に待っていても仕方ないので、そうなると被災者自身が集積場に行って受け取った物資を運び、分配し、仮設住宅の建設などをするしかない。
江戸川が新宿界隈で担っていたのはそういう作業のまとめ役のようなもので、加えて空爆時に人々の速やかな避難誘導、破壊された建物での生存者捜索や後片付け、犯罪抑止のための見回りなど多岐にわたる活動も行っていました。ただ、物資の運搬や住居の建設などというと普通の被災地ボランティアのようですが、これらをザンギャック軍による空爆がいつ始まるか分からない中で行うわけですから、かなり危険な仕事です。だが、誰かがやらなければいけないわけで、街の有志が集まって江戸川の指揮のもとで自警団となり、それらの仕事に奮闘していました。
さすがにまだ小学生の剛は大した戦力にはならず、江戸川も剛に危険な仕事をさせることもなく大抵は傍に置いていましたが、鎧は比較的自由に動き、積極的に危ない仕事も買って出て、自警団の貴重な戦力となりました。
江戸川も鎧に危険な真似はさせたくないので当初は鎧の軽々しい行動にハラハラしましたが、一見陽気で軽薄そうな普通の高校生の鎧が、よく見ると優れた運動神経と判断力、決断力、そしてなんといっても揺るぎない正義の心を持っていることに次第に気付きました。父親譲りの持って生まれた才能というものもあるのだろうが、おそらく父親にしっかりとした教育を受けてきた成果なのであろうと思った江戸川はいつしか鎧を頼りに思うようになっていったのでした。

だが、全体的な状況は決して良くなく、戦況は悪化していく一方でした。開戦後2ヶ月で通常軍が被害甚大で無力化してスーパー戦隊だけでザンギャック艦隊に対抗する状況になると、さすがに全部防ぎきることが出来なくなり、あちこちにザンギャック軍が地上軍を投下してきました。
普通ならそこから一気に地上軍が侵攻作戦を開始しそうなものですが、どうもザンギャック軍の方も司令部不在であるためまとまりがなく、各地に降下した地上軍はバラバラに動いてスーパー戦隊の奮戦によって撃退され、思うように進撃できていません。ただスーパー戦隊の方も空爆への対応で多忙を極めており、地上戦で撃退したザンギャック軍をとことん追い込んで殲滅するまでの余力は無く、ザンギャック地上軍は各地で小規模な拠点を作り、そこに閉じこもっている状況です。
つまり地上の各地にザンギャック軍の小さな占領地のようなエリアが出来てしまっているのですが、これらを使ってザンギャック軍が何か大戦略でも練っているのかというと、そんなわけではなく、単にザンギャック軍の方も降下してきたはいいものの局地戦に敗れて進退窮まって閉じこもっているだけです。
司令部が無いので大戦略は無く、ただ成り行き任せの無計画というわけですが、それでも各地にザンギャック軍の拠点があるという状況は戦況に大きな影響は与えないとしても、一般住民にとっては大きな脅威でした。お蔭で最近では頻繁にザンギャック兵が出没して略奪暴行を働くようになり、各地で人が浚われたりもしているらしく、物資の運搬の危険度が増す状況となってきて、江戸川も困っていました。
また、ザンギャック兵達が出没するようになった地域の人々がそんな所では安心して暮らせないということで逃げ出して、難民化して新宿にも逃げ込んでくるようになり、そうした人たちにも物資や住居を提供しなければいけないし、大問題はこのエリアの人口が増えればシェルターに全員が入りきれなくなることでした。そして、いずれはザンギャック兵たちがこの新宿にも直接攻め込んでくることもあるかもしれない。

そのように問題山積でしたが、江戸川はこのままではあと1ヶ月も経たずにズルズルと敗戦することは海城はじめスーパー戦隊も分かっているはずだから、おそらく何か大逆転の賭けに出るだろうと予想し、その賭けに海城たちが勝利することを期待するしかないと思っていました。
つまりあの1ヶ月以内の間に状況が一気に好転するか、あるいは一気に絶望的事態となるか、そのどちらかが決まるような決定的な出来事がある。その際、スーパー戦隊が勝って状況が好転すれば何も問題は無い。問題はスーパー戦隊が決戦に敗れ去り、絶望的事態となった場合です。江戸川としては新宿の人々の生活を守る立場としてその最悪の事態に備えないといけない。
実は「ゴン」の地下の元ゴレンジャールームは4年前まで江戸川の息子がイーグルの工作活動の拠点として使っていたため、今でもそれなりの数の銃火器や爆弾などが貯めこんであり、自警団のこれまでの活動もそれらの武器を使えば、より安全確保は容易でした。しかし江戸川はこの数に限りのある武器はスーパー戦隊が敗れ去って住民達が迫りくるザンギャック軍から完全に自分達の手で自分達自身を守らねばならない最悪の事態となった時のために温存しておかねばならないと思い、その存在はゴレンジャールームの存在と共に秘匿していました。
ただ自分に万が一のことがあった時の備えに、江戸川は国防軍の退役軍人で自警団のサブリーダーを務める男にだけは自分が元イーグル司令官であったことを打ち明け、地下のゴレンジャールームの武器類の存在も教えておき、最悪の事態になったら使うという方針も伝えていました。
そして、その最悪の事態となるかどうかが決定する1ヶ月以内の決戦の日までは、とにかく下手に人手の消耗も避けなければいけないと考え、物資の運搬にあたる人員に対しては、ザンギャック兵に出くわしたら、とにかく物資を捨ててもいいから争わずに逃げることを優先するよう指示していました。

ところが、そんなある日、物資の輸送について行った剛がザンギャック兵に浚われてしまったのです。そもそも最近は物資の輸送は危険が増しており、子供が付いて行っても足手まといになるから絶対に行かないように剛には言い聞かせておいたはずで、街の中で作業をしているはずだったのに、どうして剛は勝手に運搬作業に付いて行ったのかと江戸川は驚きました。
実は剛は自警団の中で大活躍して皆の人気者になっていた鎧を羨ましく思い、自分も鎧に負けないぐらい仲間のために役に立ちたいと思い、祖父の言いつけを破って無茶をしたのでした。そうしたら運悪くザンギャック兵の集団に出くわしてしまい、みんな荷物を捨てて逃げたのですが、ザンギャック兵達は人を浚うのが目的だったようで、1人逃げ遅れていた剛を捕えると、すぐにザンギャック兵達は去っていってしまったのだそうです。

鎧をはじめ街の自警団の仲間たちはみんな、剛を奪還しに行こうと気勢を上げましたが、江戸川は今後の最悪の事態に備えて人員に無闇に被害が出るのは良くないと思い、剛が数多いザンギャックのどの拠点に連れていかれたのかよく分からないので動きようがないと言い、皆を制止して剛のことは諦めるよう言いました。実の祖父にそう言われては皆も引き下がるしかなく、街全体のことを優先して涙を呑んで孫のことを諦めた江戸川の断腸の想いを慮って、みんな感動したのでした。
だが、実は江戸川は諦めていませんでした。自警団の仲間たちに無用の犠牲を増やさないため、そして武器弾薬の余計な損耗を避けるため、仲間たちが大勢で戦うことは止めましたが、江戸川は決して孫を見捨ててはおらず、1人で助けに行くつもりでした。
実は江戸川は万が一の事態に備えて、剛に父親の形見だから片時も外さないようにと言って嵌めさせた指輪に発信器を仕込んでおり、地下のゴレンジャールームの機器でその信号を検知して剛の居場所は把握していました。そこは新宿からだいぶ北に行った郊外のエリアで、ザンギャック軍の拠点がある場所でした。江戸川はそこに行って剛を救い出そうと思いました。
別にザンギャックの基地を攻撃しに行くわけではなく、戦いが目的ではない。ただそこに忍び込んで剛を発見して連れ帰る作戦ということになりますが、敵地のど真ん中ですから見つかれば当然戦いになります。だから大勢で行けば大勢犠牲になる可能性があり、そもそもあんまり大勢で行けば敵に見つかるリスクも大きくなります。よほど戦闘センスがあるとか、こういうミッションに慣れた者の少人数が良い。
江戸川自身、若い頃はイーグルの腕利きの秘密工作員だった男ですから、体はさすがに若い頃ほど自由には動かせませんが、こういう作戦はお手の物です。そして何より、これは全く江戸川個人の私情によるミッションでした。だから江戸川は必要最低限の武器をゴレンジャールームの武器庫から拝借して、1人で剛を助けに行くつもりでした。
さすがにサブリーダーにだけはそのことを打ち明け、もし自分が戻れなかった場合は後のことは頼むと言う江戸川に対して、サブリーダーは最初は強く引き止め、それでも江戸川の決意が固いと知ると、自分も一緒に行くと言いましたが、江戸川はサブリーダーにはもし自分がいなくなった場合に皆を率いてもらわないといけないと説得し、結局サブリーダーは江戸川の指示に従いました。

そうして江戸川が「ゴン」の地下のゴレンジャールームで1人でこっそりと出撃準備をしていると、なんとそこに鎧が降りてきたのでした。たまたま作業の合間に「ゴン」の前を通りかかった鎧が窓の外から中にいた江戸川の姿をふと見た時、江戸川が厳しい顔をして奥の方に入っていったので鎧は何か胸騒ぎがして裏口からこっそり店に入り、江戸川が今まで鎧が見たこともない隠し扉から地下に降りていくのを見たのです。
江戸川もさすがに事態が事態だけに気持ちが焦っていたのか、店に他に誰もいないと思って隠し扉を開けっ放しにしており、鎧は江戸川の後を追って地下のゴレンジャールームに降りてきて、店の地下にこんな部屋があったことに驚き、更にそこで江戸川が武器を並べて手入れしているのを見て、もっと驚きました。
何をしているのかと問いかけた鎧の姿を見て慌てる江戸川を見て、鎧は江戸川が1人で剛を助けに行くつもりだと直感しました。そこで鎧は間髪入れず、自分も一緒に剛を助けに行くと申し出ました。江戸川は最初はとぼけましたが、鎧が一緒に連れて行ってくれなければこの部屋のことも江戸川の行動のこともみんなにバラすと言って脅したので、仕方なく自分が1人で剛を助けに行こうとしていることは認め、その上で危険だから鎧を連れて行くことは出来ないと言いました。
危険なことはしないようにという約束だったはずだと江戸川は言いましたが、鎧は常に自分と一緒にいるようにとも言われたと反論し、その約束が反故ならば危険なことをしないという約束も反故だと言って食い下がりました。
そして、鎧は2人で行けば1人で行くよりもきっと危険は少なくなるはずだと主張しました。それを聞いて、江戸川も確かに鎧と2人ならば自分1人で行くよりも剛を救い出して生還できる可能性は高くなると思い、自分の命令に絶対服従で勝手な行動を一切しないという約束で鎧も連れて行くことにして、武器の使い方を教え、貸し与え、作戦行動の簡単な打ち合わせをしてから、その夜2人で出発しました。

街の他の人達に見つからないように出発するのは容易でした。地下のゴレンジャールームからは各方面に地下道が伸びていて、海城たちが黒十字軍との戦いに使っていた頃は新宿駅界隈だけに繋がっていた地下道も、その後、海城たちや江戸川の息子たちが使っていた時期にだいぶ延長されており、秘密の地下道はかなり広範囲に張り巡らされていたのです。
そのうちの1本は剛の発信機の信号が検知された地点の近くまで伸びており、そこまでだいぶ距離はありましたが、地下道の移動は徒歩ではなく、自家発電で動くトロッコのような乗り物で高速移動出来ました。
鎧は謎の地下室といい、この地下道といい、いったいこれは何なのだろうかと不思議に思いましたが、江戸川がそれらについて一切説明しようとしないので、とにかく江戸川に絶対服従という約束で同行している以上、うっかり余計な質問も出来ず、黙ってついて行きました。

さて、その翌日の早朝、この世界にようやくゴーオンジャーの7人が炎神やボンパー達と共に戻ってきました。
ゴーオンジャーの面々はプリズムワールドでガイアーク残党との決戦を始めようかという時に須塔兄妹が聞いた謎の声でヒューマンワールドで何か起こっていることに気付き、ボンパーに調べに行かせてザンギャックの侵攻が近づいていることは8月の段階で知っていました。
だが、走輔たちゴーオンジャーが戦わなければプリズムワールドがガイアークに滅ぼされてしまう瀬戸際であったので、走輔たちはプリズムワールドを離れることが出来ず、まずはプリズムワールドを守るためにガイアークを倒して、それからすぐにヒューマンワールドに戻ろうという方針を決め、あれから4ヶ月プリズムワールドで戦い続け、遂にプリズムワールドのガイアークを完全に滅ぼして、すぐに急いでヒューマンワールドへ戻ってきました。すると戻ってきた途端、須塔兄妹の耳にあの謎の声が今度はクリアな声で聞こえてきて、その声の主が臨獣殿の理央とメレであることが判明したのでした。

理央とメレは既に4年前に好敵手であったゲキレンジャーと共に無限龍ロンと戦った際に命を落としており、その魂は「大いなる力」を得たまま死後の世界へ旅立っていましたが、その後、ゲキレンジャーがゴーオンジャーと共闘して復活した無限龍ロンと戦った時、獣拳の甦りの秘伝ゲキワザを使って1日だけ復活し、2戦隊と共に戦いました。
その際、甦りの秘伝デキワザを使ったのがゴーオンジャーの一員である須塔大翔と美羽の兄妹でした。須塔兄妹は実は獣拳使いでもあり、甦りの秘伝ゲキワザの継承者であったのです。また、この兄弟は異常に第6感の発達した一種の超能力者であったので、死後の世界からの理央とメレの「甦ってゲキレンジャーと共に無限龍と戦いたい」という声を聞きとることが出来たのでした。
そうしたことが3年前にあったので、死後の世界から現世の様子を覗き見てザンギャックの侵攻が迫っていることを知り、ゲキレンジャーも他のスーパー戦隊と共に戦うことになりそうだと知った理央とメレは再び須塔兄妹のゲキワザで復活して自分達も戦いに参加しようと思いました。それで須塔兄妹に呼びかけたのですが何故か応答が無く、そのまま現世ではザンギャックの侵攻が始まってしまいましたが、それでもしつこく理央とメレは死後の世界から須塔兄妹に呼びかけ続けていました。
須塔兄妹は他のゴーオンジャーの仲間と共に2年前から異世界に旅立って戦っていたので、3年前に理央とメレの声を聞いた時のようなワケにはいかなかったのです。それでも死後の世界の境界は生きる者の世界の境界よりは敷居が低いのか、理央とメレの必死に呼びかける声はプリズムワールドにいる須塔兄妹の鋭敏な超感覚にだけは辛うじて届き、ほとんどその内容は聞き取れず、いったい誰が何を言っているのか分からなかったものの、断片的な単語を繋げて推理した結果、ヒューマンワールドで何かが起こっているようだと察したゴーオンジャーはボンパーを偵察にやってザンギャックの侵攻があるということは把握していました。
それでプリズムワールドのガイアークをようやく倒してヒューマンワールドの地球に戻ってくると、ずっと須塔兄妹に呼びかけ続けてきた理央とメレの声が真っ先に兄妹の耳にクリアに飛び込んできたのでした。これで理央とメレがザンギャックとの戦いに参戦したがっていることを知ったゴーオンジャーでしたが、須塔兄妹は理央とメレの申し出を受けるのを躊躇しました。

甦りの秘伝ゲキワザといっても、そんな便利に何度でもホイホイ甦ることが出来るわけではない。そんなことが出来るなら毎日甦らせることも出来てしまいます。だから当然制限や条件はあり、復活する死者は生前にマスタークラスの獣拳使いであった者に限るとか、年に1度しか使えないとか、この世界に戻って戦いたいという強靭な意思が必要とか、そのあたりの条件は今回の理央とメレならばクリア出来ます。また須塔兄妹の持つ激気だけでは2人を復活させるには足らないという問題も、ゲキレンジャーや、あるいは同じく獣拳をマスター済みのゴーオンジャーのメンバーの激気を足して使えば問題は解決します。
ただ問題はこのワザで1日復活すれば十年転生が遅れることと、もし復活後の戦いで死んだり日没までに死後の世界に戻れなかったりした場合は、その魂は二度と転生出来なくなり永遠に地獄を彷徨うことになるということでした。
つまり理央とメレには非常にリスクが大きい。死んだり日没までに戻れなければ最悪であり、もし日没までに無事に戻れたとしても、既に1回この禁断の技を使ってしまっている理央とメレはこれで合計20年転生が遅れることとなり、再びこの世でジャンと戦うという理央の願いが叶う確率はますます低くなってしまう。そこまでして今回2人が復活する意味があるのか、須塔兄妹には疑問だったのです。
しかし理央は今回はそれほどギリギリの戦いなのだと言い、現在スーパー戦隊が総力を上げて戦っているが、それでも戦況は劣勢で、このままでは地球は滅亡してジャンとの再戦どころではないのだと説明しました。ずっとプリズムワールドに居たのでこちらの世界の状況がまだよく分かっていないゴーオンジャーのメンバーはそれを聞いて驚き、確かによくよく見回してみると、やたらあちこち瓦礫だらけで戦況の苦しさが窺えました。
ただとにかく理央たちを復活させるとしてもたった1日だけのことであるので、詳しい戦況が分からなければ理央たちをいつ復活させればいいのかも分からない。それで理央に戦況を詳しく教えてほしいと言いましたが、死後の世界に居る理央とメレには現在の詳しい戦況までは分からないようでした。
そこでスクラッチに行ってゲキレンジャーに戦況を聞こうと走輔が言いましたが、理央はスクラッチの本社ビルはザンギャックの空爆で瓦礫と化しており、激獣拳関係者は何処かに逃げのびて潜伏していて居場所は分からず、ゲキレンジャーも他のスーパー戦隊と一緒に戦っているが現在の居場所は分からないと言いました。
だが、走輔たちはスーパー戦隊の中で実際に会ったことがあり居場所の分かるものはゲキレンジャーとシンケンジャーだけでしたので、こうなれば後はシンケンジャーの志葉屋敷を訪ねて詳しい戦況を聞くしかないということになり、さっそく走輔たちは志葉屋敷に向かいました。

志葉屋敷は郊外にあったので空爆を受けておらずまだ無事に残っており、その志葉屋敷では丈瑠を囲んで家臣一同が朝一番の軍議中でした。シンケンジャーはザンギャックとの開戦1週間目の日に明石の依頼でゴレンジャーを支援して以降、結局のところ丈瑠がまだ決断がついておらず、スーパー戦隊とは合流せずに独自にザンギャック軍と戦い続けていました。
実際シンケンジャーおよびゴセイジャーの動向はスーパー戦隊側も常にだいたい把握しており、その動向も踏まえた上で各スーパー戦隊のその都度の配置を決めたりしていたので、実質的にはこの2戦隊が合流していないことによるデメリットはそれほど大したことはなく、2戦隊の動向把握に多少手間がかかるという程度のことでした。そうした少々のデメリットは補って余りあるほどシンケンジャーもゴセイジャーも必死の奮戦を繰り広げていたので、現状特に問題はありませんでした。
だが、それはあくまで現状ではの話であり、今後の話となるとまた別です。このまま戦っていても圧倒的な数のザンギャック軍にズルズル押し負けることはシンケンジャーの面々も分かっています。それは海城をはじめとしたスーパー戦隊側も同じように分かっており、それゆえ海城は全スーパー戦隊の力を結集した大勝負という賭けに出ようとしています。シンケンジャーの面々とて、海城の計画自体は知らないものの、ここからは大逆転を狙う賭けに出るしかないことは分かっており、そのためにはスーパー戦隊の力を結集した秘策しかないということは大体予想がついています。
海城たちは既に多くのスーパー戦隊が1つの組織のようにして動いているから、そうした作戦を具体的に進めることが出来る。しかしシンケンジャーはあくまで1戦隊独自で動いているので、発想だけで終わってしまい、そこから先の具体的計画の段階にも進むことが出来ない。おそらくスーパー戦隊は何か全戦隊の力を結集しての秘策を実行しようとしているはずだということはシンケンジャーの面々にも想像はついているので、このままではこの地球の一大事に自分達だけが何も出来ずに取り残されるのではなかろうかと危機感を募らせていました。

家臣たちはやはりここはスーパー戦隊に合流すべきではないかと進言しましたが、当主である丈瑠は家臣の命を預かる身としてそう簡単に決断は出来ないと言い、未だ慎重な姿勢を崩していません。
丈瑠が何時にも増して慎重な姿勢を維持しているのは、別に死ぬことが怖いからではなく、家臣たちを死なせるのが怖いわけでもありません。侍ですからシンケンジャーはみんな戦で死ぬ覚悟は出来ています。だが、「存在が消える」という未知の現象がいったいどういうものであるのかよく分からず、自分1人ならばともかく、家臣たちにそのような状況を強いることが本当に当主として良いことなのかどうか、丈瑠はどうしても迷ってしまうのでした。
おそらく海城たちスーパー戦隊は最後の大逆転の秘策を練っているはずであり、シンケンジャーとして今後の予想される状況の中で地球を守るために何か出来ることがあるとすれば、そのスーパー戦隊の秘策に乗るしかないだろうとは丈瑠も思っていました。その秘策が成功すれば良いのだが、もし失敗した場合、おそらくスーパー戦隊は最後の切り札を使うことになるだろう。それは「大いなる力」であり、30戦隊以上がフルメンバー揃った状態ともなれば、今まで引き出すことが出来なかった「大いなる力」を引き出すことも可能なのではないかと丈瑠は思っていました。
30戦隊以上の「大いなる力」を攻撃力として使えば、ザンギャックの大艦隊を殲滅することも可能かもしれない。だが「この星の意思」は「大いなる力」を使えば世界の融合が解除してスーパー戦隊はその存在が消えると言いました。つまり自分達は消えてしまい、世界もその姿を一変させるかもしれない。それが実際どういう状態であるのか、丈瑠にはいまいちピンとこない。そんな結末に向けて当主として家臣を引っ張っていく自信が持てないのが実情でした。当主というものは何も考えずに出たとこ勝負で突き進むというわけにはいかないのです。

そうしたシンケンジャーの軍議の席に、対照的にあまり物事を深く考えない連中であるゴーオンジャーがいきなりやって来たので、シンケンジャーの面々は驚きました。そもそもザンギャックとの戦いが始まってから気付いたのだがゴーオンジャーの姿を一向に見ない。スーパー戦隊の公表されたリストにもゴーオンジャーの名が無い。いったいあのバカ連中はこの大事な時に何処で何をしているのかと、丈瑠はイライラしていました。
そこに呑気な顔で走輔たちが現れて、俺たちが来たからもう大丈夫とか言っているのを見て、丈瑠はこの地球の危機に今までいったい何処に行っていたのかと走輔に対してキレてしまい、走輔もいきなり喧嘩腰の丈瑠にムッとして、プリズムワールドを守って戦って勝ってすぐに駆けつけたのだと言い、負けそうになってるヤツに文句を言われる筋合いは無いと言い返したもので、2人は喧嘩になってしまいました。
しかし、この世界ではゴーオンジャーが戦いに遅れてきたのは事実であり、その間に戦っていた他の戦隊に迷惑をかけたのも確かで、そもそも遅れてきて事情が分からないから教えて貰いに来たのにちょっと調子に乗り過ぎた自分達が悪かったと他のゴーオンジャーのメンバーが反省し、走輔にも丈瑠に謝るよう言ったので、走輔もしぶしぶ謝り、これから頑張って挽回するから現在の詳しい戦況と今後のスーパー戦隊の作戦を教えてほしいと丈瑠に頼みました。
すると今度は丈瑠たちシンケンジャーが困った顔になってしまい、実はスーパー戦隊と一緒に戦っていないので今後の作戦はよく分からないのだと、決まり悪そうにゴーオンジャーの面々に答えました。
なんで他のスーパー戦隊と一緒に戦わないのかと不思議そうに尋ねる走輔たちに、丈瑠はザンギャック軍があまりに強大なのでスーパー戦隊は「大いなる力」を使うところまで追い込まれるかもしれないのだが、もしそうなれば自分達は存在が消えてしまうのであり、当主として家臣たちに存在まで消えるような事態まで強いる覚悟がまだ定まらないのだと説明しました。
ところが走輔は鼻で笑い、そんなのは自分達は全く平気だと言いました。正義の味方は世界を守ってナンボなのだから、世界が守れるならこの世界から存在が消えるぐらい何てことはないのだと言う走輔に、丈瑠は呆れたように、お前はバカだから存在が消えるということがどういうことかよく考えていないのだろうと言いました。ところが走輔は妙に自信満々で、むしろ自分達ゴーオンジャーこそがそのことを一番よく分かっている戦隊だと言います。

ゴーオンジャーは本来は繋がっていない別の世界の間を炎神の力で無理に繋げて移動することによって生まれた戦隊であり、ゴーオンジャー自身が今や本来は繋がっていない異世界を行き来して戦っている。実際ここ2年ほどゴーオンジャーはこの世界から消えており、ついさっきプリズムワールドから消えてきたのであり、これまでにも幾つもの世界で現れたり消えたりしてきました。
そうした経験の中で走輔たちは、自分達は世界から消えても自分達の存在そのものは消えないということに気付きました。当たり前といえば当たり前なのですが、これは案外、実際に世界から消えた立場になってみないと分からないものです。
そうした認識を踏まえて走輔たちは、「この星の意思」が言っていた「大いなる力を使うと自分達の存在が消える」というのも、単にこの世界から自分達の存在が消えるというだけのことであり、自分達の存在自体は消えないのではないかと思うようになったのでした。
確か「この星の意思」はこの世界は元の世界に多くの戦隊の世界が融合して出来上がっている世界だと言っていました。それは丈瑠たちシンケンジャーにはあまり実感の湧かない世界観であり、海城をはじめ歴代スーパー戦隊の戦士たちも皆同じような感覚でした。走輔たちゴーオンジャーの面々も当初はあまり実感は無かった。
しかし、その後、走輔たちは本格的に異世界をあちこち行き来するようになって、本来は別々の世界が並行して存在していることを実感するようになり、「この星の意思」の言っていた「世界の融合」の意味が分かってきたような気がしました。
この世界本来の元の世界というものとは別に、例えば「ゴーオンジャーの世界」というものがあり、自分達はもともとはその「ゴーオンジャーの世界」の住人であり、この2つの世界が融合したことによって、自分達はこの世界の住人となったのであり、その融合が解除されれば元の世界から「ゴーオンジャーの世界」が離れ、自分達は「ゴーオンジャーの世界」と共にこの世界から去り、この世界ではその存在は消えるが、「ゴーオンジャーの世界」では変わらず自分達は存在し続ける。そういうことなのではないかと走輔たちは考えました。

例えばプリズムワールドから去ってヒューマンワールドへ行くのと同じようなものです。プリズムワールドでは走輔たちの存在は消えるが、走輔たちはヒューマンワールドで変わらず存在し続ける。
ただ、その場合、走輔たちは再びプリズムワールドへ行くことが出来る。それは炎神たちの不思議な力によって走輔たちは異世界の間を繋ぐことが出来ているからです。言い換えれば、もし炎神の不思議な力を失えば、走輔たちは異世界との繋がりを完全に失い、異世界における走輔たちの存在は完全に消滅する。
「大いなる力」もそれと同じなのではないかと走輔たちは考えました。つまり、各ワールドの間を炎神の力が繋いでいるのと同様に、この世界の元の世界と各戦隊の世界とを「大いなる力」が繋いており、炎神の力が無くなれば各ワールドの間を行き来できなくなるのと同様に、「大いなる力」が使われて無くなってしまえば元の世界と各戦隊世界は分離して繋がりを失う。そしてその結果、元の世界ではスーパー戦隊の存在は消えるが、そこから分離した各戦隊の世界ではそれぞれの戦隊は消滅することなく存在し続ける。走輔たちは「この星の意思」の言っていた「大いなる力を使えば自分達の存在が消える」というのはそういうことなのだろうと思ったのでした。

走輔はそういう自分達の考え方を丈瑠たちに説明し、だから「大いなる力」を使っても自分達はこの世界とは別の世界で存在し続けるのであり、決して本当に存在が消えるわけではないのだから大丈夫なのだと説明しました。
しかし丈瑠は呆れたように、それでは意味が無いと言いました。自分達は別に自分の存在が消えることそのものが怖いわけではない。「この世を守る」という侍の使命を果たせなくなることを恐れているのであって、この世界から存在が消えてしまうのであれば結局ダメなのだと丈瑠は走輔に言いました。
だが走輔は、丈瑠の顔を見て目を輝かせて、だからこそ大丈夫なのだと言うのでした。別の世界であってもとにかく存在しているのならば、きっとまたこの世界に戻ってくることは可能だと走輔は言い、現に今も死後の世界からザンギャックと戦うためにこの世界に戻ろうとしている者がいるのだと理央やメレのことを説明しました。また、異世界の間を行き来することが出来るようになった自分達の相棒である炎神たちや、その炎神たちと出会って仲間となった自分たちゴーオンジャーもそうした実例として挙げられるとも言いました。
何故、理央やメレ、炎神たちやゴーオンジャーたちが世界の壁を超えることが出来たのか、それを走輔は「この世界を守りたいという熱い正義の心が世界の壁を超えたからだ」と説明しました。だから丈瑠たちがたとえ「シンケンジャーの世界」と一緒にこの世界を離れてしまったとしても、丈瑠たちが侍として「この世界を守る」という使命感を持っている限り、きっと世界の壁を超えてこの世界に戻ってくることが出来る。だから大丈夫なのであり、それは他のスーパー戦隊もみんな同じはずだというのが走輔の考えでした。

この走輔たちの独特の解釈に丈瑠は呆気にとられ、もしかしたら世界が分離したら自分達はこの世界のことを忘れるのかもしれないと指摘しましたが、走輔は正義の心があればきっと忘れても思い出すはずだと言って、全くその考えは揺らぎません。
丈瑠は走輔のあまりの単純さに呆れつつ、同時にこの単純でありながら決して揺るがない強い正義の心への確信があるからこそ、走輔たちが本当に異世界の壁を超えて戦ってくることが出来たのだと思い、自分も走輔と同じようにシンケンジャーの侍の心を信じてみようかと考えました。
自分達が侍である限り、たとえ「大いなる力」を失って別の世界に飛ばされても、きっとこの世界を守るために何らかの方法で戻ってくることが出来る。そう信じれば、一歩前に踏み出せる。丈瑠がふとそう思った矢先、偵察に出ていた黒子から小規模のザンギャック艦隊がこの近くの街の上空に向かっているとの報告があり、丈瑠はシンケンジャーの全員を率いて出陣することになり、走輔たちゴーオンジャーも助太刀すると言って付いて行きました。
そうして2戦隊の奮戦でザンギャック艦隊を撃破し、戦いを終えて地上に降りて両戦隊は変身を解き、丈瑠は走輔に向かって、今からシンケンジャーもスーパー戦隊の本部に参陣しに行くからゴーオンジャーも一緒に戦いたいのなら連れて行ってやってもいいと言い、それを聞いた家臣たちは遂に丈瑠が決断してくれたと大いに喜びました。
もちろんゴーオンジャーに異存は無く、共に海城のいるスーパー戦隊本部に行くことにしましたが、よく考えたらゴーオンジャーはもちろんのこと、シンケンジャーも誰もスーパー戦隊の現在の本部が何処にあるのか把握はしていませんでした。ならばとにかく何処かで戦っている他の戦隊を見つけて本部の場所を教えてもらうしかないということになり、一緒に他の戦場を探しに出発しようとしたその時、その街の外れにザンギャック兵達が侵入してくるのを両戦隊は発見しました。

見てみると、ゴーミンだけの小部隊で、数は大したことはなく、地球人の少年が1人、ゴーミン達に追われて逃げているようでした。丈瑠はすぐに逃げて走る少年とゴーミン達の間に割って入り、シンケンレッドに変身し、あっという間にゴーミン達を斬り捨てて倒し、驚いて見つめていた少年に近づき変身を解いて何があったのか尋ねました。
すると少年は丈瑠にスーパー戦隊の人なのかと尋ね、丈瑠がそうだと答えると、少年はイーグルの海城という人に伝えなければいけない大事なことがあるから、すぐに新宿の自分の家に連れていってほしいと言ったのでした。
イーグルの海城といえばアカレンジャーですから、この少年はスーパー戦隊の本部の場所を知っているのかと思った丈瑠や走輔たちは本部の場所を尋ねましたが、少年は自分はスーパー戦隊の本部の場所は知らないと言い、だが新宿の自分の家の地下室に行けば海城という人と連絡をつけられると聞いており、だから急いで家に行かなければいけないのだと説明しました。
そして、とても大事な情報を海城という人に伝えなければならないので、スーパー戦隊の人に出会ったら必ず一緒に行ってもらうようにするよう祖父に云われているのだと少年は言いました。その表情が真剣そのものだったので、よほど重要な情報なのだろうと思った丈瑠や走輔たちは、自分達もちょうど海城と連絡をとりたいと思っていたところでもあったので、少年と一緒に巨大メカを使ってすぐに新宿に行くことにし、途中で少年に名前を聞くと、少年は江戸川剛と名乗りました。

ここで話はまず1日前に遡ります。物資運搬中にザンギャック兵達に襲われて拉致された江戸川剛少年は、地上に点在するザンギャックの基地の1つに連れていかれ、いったい何をされるのだろうかと怯えていると、尋問を受けることになりました。尋問係のスゴーミンの質問してきたことは、およそ2年前に地球にやって来たウォースターを潰した犯人は誰なのかということでした。しかし剛には何の話かサッパリ分からなかったので知らないと答えました。
するとスゴーミンは苛立って怒り出し、少し前から本星の命令で世界中で少しずつバラバラに何の繋がりも無い地球人を誘拐して同じ尋問をしているのに、みんな、どんなに拷問しても殺されても知らないと言い張るのだと愚痴りました。
ウォースターが地球に来た以上、世界中の人間が知らないなどということがあるはずがない。だから地球人は嘘をついており、殺されても口を割らないということは、よほど知られたくない事情があるに違いないのだとスゴーミンは荒々しく言い放ちました。
そしてスゴーミンは、いくら意思の強い地球人でも子供ならば簡単に口を割るだろうと思い、子供を誘拐して尋問することにしたのだと得意げに言い、剛に殺されたくなければ白状するよう迫りました。だが剛は本当にウォースターなど知らなかったので、あくまで知らないと言い張りました。
スゴーミンは業を煮やして、明日から拷問にかけてやると言い、剛は怯えながら牢屋の中で夜を迎えました。するとその夜遅く、なんとその基地に剛の祖父の江戸川権八と店のバイトの伊狩鎧が忍び込んできて、剛を救出して脱出に成功したのでした。

まさか侵入者があるとは思わずザンギャック側も油断していたのか、江戸川と鎧のザンギャック基地への侵入はまんまと成功し、2人は誰にも気付かれることなく基地の奥まで忍び込み、剛の監禁されている牢屋を発見し、剛の無事も確認しました。
そして敵方の警備を見て救出作戦の成功を確信した江戸川は、せっかく敵基地の奥までやすやす侵入出来たのだから、ついでに情報収集してやろうと考えました。元腕利きの工作員であったゆえの余裕がそうした行動を選択させたのであり、江戸川は鎧を待機させておいて素早く重要書類のありそうな部屋に入って、そこにあった書類をスパイ用の小型カメラで撮りまくり、その画像データの入ったチップを首から下げたロケットペンダントのチャームの中に入れました。
それから急いで鎧と合流して、剛の牢屋の見張りを倒して剛を牢から出して、他に捕らわれていた人達も救い出し、江戸川たちは基地を脱出しました。しかし、さすがに脱出の際に気付かれてしまい、すぐに追手がやって来たので江戸川と鎧が応戦しながら人々を守りつつ逃げることとなりました。

2人は闇夜に紛れて上手い連係で追手のゴーミン達を撃破しながら逃げましたが、ゴーミン達も次々と新手を繰り出してしつこく追ってきて、夜が明けてもしつこく追ってくるゴーミン集団に江戸川たちは追いつかれそうになりました。そこで江戸川は足の遅い自分と剛は別行動をとるので、脚の早い鎧は大人たちを守りながら彼らと一緒に全速力で駆け去ってゴーミン達を振り切るよう指示しました。
鎧は江戸川のことを心配して嫌がりましたが、江戸川は逃げている人々をより多く助けるためにはそれが最善の策だと言い、鎧に人々を守るために今の自分に出来る最善のことをやるよう命じました。
確かにそれは人々を助けるために最善の手段でもありましたが、江戸川は鎧をなんとしてもここで死なせたくなかったのでした。鎧の父親を我が子のように可愛がっていた江戸川はその鎧の父に続いて鎧まで守ってやることが出来ないのでは申し訳が立たないと思った。そういう想いもありました。
だがそれだけではなく、江戸川は鎧と共に人々を助けて作業をしたり戦ったりしているうちに、鎧の姿に自分がかつて守りきれずに失った鎧の父や自分の息子、そして海城の兄のような元部下の優秀な戦士たちの姿が重なって見えるようになり、鎧という男の将来に大きな可能性を見出すようになっていました。だから鎧をここで死なせたくはなかったのです。
江戸川に絶対服従という約束もあったので鎧はこの江戸川の命令に仕方なく従い、人々と共にダッシュして、なんとか追手のゴーミンを振り切りました。

一方、剛と共に逃げた江戸川も上手く逃げ切ろうとして奮戦しましたが、剛が逃げ遅れてゴーミンに捕まりそうになったところに飛び込んで戦った際に深手を負ってしまいました。
もう自分は逃げ切れないと悟った江戸川は剛を1人で逃がすしかないと思い、2人で物陰に隠れて剛に自分のロケットペンダントを託して、新宿の自宅の秘密の地下室の入り方を教えて、大至急自宅に戻って地下室の装置を使ってこのペンダントのチャームの中のチップのデータをイーグルの海城剛という男に送るよう指示しました。
装置の使い方はチャーム内のメモに細かい文字で書いてあるので顕微鏡で見れば分かるということ、極めて重要な情報なので出来れば途中でスーパー戦隊など地球側の武装勢力と出会ったらイーグルの海城の名を出して協力を要請して自宅まで送ってもらうことなどを指示すると、これは地球の命運がかかった自分の最期の頼みだから絶対に実行するようにと強く言うと、江戸川は実際はまだ死ぬほどの重傷ではなかったのに力尽きて息絶える演技をしました。
これで剛は祖父の遺言を実行するため駆け出すしかなくなりました。江戸川は実際さっき自分が盗み出した情報がそんなに重要なものかどうかは分かっておらず、とりあえず何らかの役には立つだろうという程度の認識であっただけなのですが、とにかく重要な情報だと言えば剛が自分の死を悲しむ余裕も無く逃げ去ってくれる動機づけになるだろうと思っただけのことでした。
その思惑通りに剛が祖父の死を信じてその遺言の実行のために駆け去っていったのを確認すると、江戸川は武器を持って立ち上がり、その場にいたゴーミン達が剛を追うことを阻止するため、最後の戦いに打って出て、そしてその場にいたゴーミン達を全部片付けた上で遂に本当に力尽き、死にました。
だが、鎧たちを取り逃がして戻ってきたゴーミンの一隊が江戸川の死体の周りで全滅している自軍の部隊を発見し、そこに子供の遺体が無いことに気付き、剛の行方を探し回り、遂に必死で駆けて逃げている剛を発見して追いつきかけたところでシンケンジャーとゴーオンジャーに遭遇して全滅させられたのでした。そうして剛は祖父の遺言に従ってシンケンジャーとゴーオンジャーに新宿まで送ってくれるよう頼み、無事に自宅に向かうことが出来たのでした。

一方、ゴーミン達から逃げ切って、ザンギャック基地に捕らわれていた人々を無事に安全な場所に送り届けた鎧は、江戸川と剛の身を案じて来た道を大急ぎで引き返してきて、さんざん辺りを探し回った挙句、江戸川の死体を発見しました。
剛の姿はありませんでしたが、その場の状況からして、剛はザンギャック軍に連れ去られてしまったのだろうと鎧は思い、呆然とした鎧はその場に崩れ落ち、立ち上がれませんでした。剛を助けに行かなければいけないと思いつつも、江戸川の死という現実に打ちのめされた鎧は立ち上がることが出来なかったのでした。
自分がもっと戦う力があれば江戸川を死なせることはなかったと思い、自分は家族も守れず、江戸川も守ることが出来なかった無力な男だと落ち込んだ鎧は、1人で剛を救いに敵の基地に行く気力が湧いてこず、抜け殻のように江戸川の死体の前にしゃがみ込んだままでした。

そんなことは露知らず、シンケンジャーとゴーオンジャーと共に新宿に向かう剛は、鎧は無事に逃げのびただろうかと心配していました。その剛からここまでのだいたいの経緯を聞いた丈瑠は、ザンギャックが何時の間にかそんなに多くの人々を誘拐して尋問していたとは気付かなかったのは迂闊だったと悔やみつつ、剛がよくザンギャックの尋問に耐えて本当のことを言わなかったものだと感心し、剛にその意思の強さを褒めましたが、剛は不思議そうに、知らないから答えようがなかっただけだと言い返しました。
それを聞いて丈瑠は一瞬不思議に思いました。ウォースターを倒したのはアラタ達ゴセイジャーだということは地球の人達は大抵は知っているはずだと丈瑠は認識していました。丈瑠はもともとアラタと最初に出会った時にそのことはアラタから直接聞いて知っていましたが、その後、アラタ達がどういうわけか記者会見を開いて自分達のこれまでの戦いについて世界中の人々に向けて説明していたのを丈瑠は知っています。だから世界中の人々はゴセイジャーがウォースターと戦って倒したことは知っているはずだと丈瑠は思っていたのです。
ところが剛はそのことを知らないのが当然であるような顔をしている。何か変だと思った丈瑠は、ハッと重大なことに気付きました。そういえば開戦1週間目の日にアラタ達と出会った時、アラタは記憶消去の天装術がスーパー戦隊には効かないので自分達の存在を隠すという護星天使の掟を守れなくなっているとかいう話をしていた。
それは言い換えれば、スーパー戦隊以外には記憶消去の天装術は有効であり、アラタ達は護星天使の掟を守って自分達に関係する人々の記憶を消しているということでした。それで人々はみんなゴセイジャーのこともウォースターのことも覚えておらず、ザンギャックにウォースター壊滅の犯人の名を尋問されてもそんなことは知らないの一点張りなのだということに丈瑠は気付きました。
そして、これは由々しきことだと思いました。もちろん人々を誘拐し尋問し拷問の挙句殺害しているザンギャックが一番悪いのは論を待たないが、世界中で多くの人々が何のことやら分からないことで責めたてられて殺される羽目になってしまっている原因の一端はゴセイジャーによる記憶消去なのです。
記憶消去さえしていなければ多分早いうちにウォースターを潰したのはゴセイジャーだと誰かが白状して、少なくともその後に同じ目的で誘拐され拷問の末に殺害される人はいなくて済んだはずです。記憶消去のせいで無用の犠牲者を増やしたという事実は消えない。そして今も同様の犠牲者は生まれ続けており、これからも同様の犠牲者は増えていくだろう。そのことに気付いた丈瑠は、これは何とかしなければいけないと思いました。
いっそゴセイジャーがウォースター壊滅の実行者だと世界中に向けて発表するという手もありますが、ゴセイジャーがまた人々の記憶を消去すれば元の木阿弥であり、何にしても一度ゴセイジャーに話はしておく必要はある。ただ、今後はスーパー戦隊と行動を共にすると決めた以上、まずはこのことも海城に報告し相談すべきであろうと丈瑠は思いました。

そうしてすぐに一行は新宿に到着し、剛は江戸川の遺言の通りに「ゴン」の地下への隠し扉を開け、丈瑠や走輔たちと共に元ゴレンジャールームに降りていきました。丈瑠や走輔たちは何の変哲もないスナックの地下に最新機器満載の地下室があることに驚き、いったい剛の祖父は何者だったのかと怪しみましたが、驚いていたのは祖父の正体を知らない剛も同様でした。
だがとにかく急いで祖父の遺言を実行しようと、剛は祖父から託されたペンダントのチャームを開き、中からチップと小さな紙を取出し、その紙を部屋内にあった顕微鏡で覗きました。すると細かい文字がびっしり書き込まれており、部屋内の装置の操作手順が書かれているようでしたが内容が難解なので剛にはよく分からず、仕方ないのでその場にいた者の中で一番頭の良い須塔大翔が顕微鏡を覗いて読み上げる内容に従って、その場にいた者の中で一番機械の扱いに長けている香坂連が装置を操作し、ペンダントの中にあったチップを装置にセットして、手順に従って通信回線を繋げました。

その通信回線は都内某所にあるイーグル関東支部の地下秘密基地内に設けられた現在のゴレンジャールーム、今はスーパー戦隊の秘密総司令部も兼ねている部屋の中にある海城のデスクに繋がりました。
海城はその通信が旧ゴレンジャールームからのものであることに驚きました。4年前までは江戸川の息子がそこを使っていたので通信が入ることはあったのですが、4年前に江戸川の息子が殉職して以降は旧ゴレンジャールームは事実上閉鎖状態で、一応回線は残してあったものの、そこから通信が入ることなどこの4年間一度もありませんでした。
あるいは江戸川元総司令から何か緊急の連絡なのかと思い、不思議そうに海城が名乗りながら応答して回線を繋ぐと、通信先のモニターには確かに旧ゴレンジャールームの風景が映りましたが、そこにいたのは江戸川ではなく、意外にもシンケンジャーの面々、そしてもっと意外なゴーオンジャーの面々がいて、更にもう1人、どこか見覚えのある少年がいました。
これはどういうことなのかと海城が問いかけると、その少年はちょっと驚いた顔をしてモニターに映った海城の顔を見ながら、江戸川剛と名乗り、自分は江戸川権八の孫だと言いました。それを聞いて海城はその少年が何年か前までにちょくちょく「ゴン」に昔の常連客を装って何度か行った際に見かけたことがある江戸川の孫息子だと気付きました。剛の方も店で何度か見たことのある人だと思って海城の顔を不思議そうに見ましたが、今はそんな話をしている時ではないと思い、祖父から海城さんに急いで渡すように頼まれたデータを送りたいと言いました。
事態がよく分からないが、確かに相手は江戸川の孫であり、江戸川しか知らない旧ゴレンジャールームから通信してきており、しかもシンケンジャーやゴーオンジャーと一緒にいる以上、偽物のいい加減な話ではないだろうと思い、海城はデータの送信を許可しました。そうして大翔の読み上げる説明通りに連が操作してチップのデータは海城のデスクに送信され、海城はそれに目を通しました。
それはザンギャックの内部書類のようで、かなりの量でした。江戸川が孫に託して送ってくるぐらいだから何か重要な情報が含まれているのかもしれないと思い、海城はザンギャックの情報分析を担当しているI.N.E.T.の久保田博士のもとにそのデータをすぐに送り、至急内容を分析してくれるよう依頼しました。
そして、海城はモニターに向き直って、これはどうやらザンギャックの内部文書のようだが、江戸川さんはどうやってこれを手に入れたのか剛に尋ねました。すると剛は自分は祖父がそのデータを入手したところには居合わせなかったのでハッキリは分からないが、たぶんザンギャックの基地の中で手に入れたのだと思うと答えました。
海城は驚いて、どうして江戸川さんがザンギャックの基地にいたのかと問い返しましたが、剛はそこから先はもう悲しみが込み上げてきて答えられなくなってしまったので、丈瑠が代わりに剛から聞いた経緯や自分達が剛と一緒にいる経緯を説明しました。
海城は江戸川が死んだと聞き、さすがに衝撃を受けましたが、努めて平静を装い、剛に向かって、出来るだけ早くそちらに行って全ての事情を自分の口で説明したいと思うが、今は非常に忙しいのでもう少しだけ待っていてほしいと言い、大変だろうがそれまで気を確かに頑張っていてほしいと伝え、最後に今回の件に深く感謝し、弔意を伝えました。

それで剛の海城への用件は終わりましたが、最後に丈瑠は海城に向かってシンケンジャーはスーパー戦隊と共に戦うことを決意したと告げ、走輔もゴーオンジャーも当然スーパー戦隊と一緒に戦うと言い、参加が遅れたことを謝りました。
海城はゴーオンジャーが遅れたことは全く気にしていないと言い、ゴーオンジャーには実は極めて重要な仕事をしてもらいたいと言い、詳しい打ち合わせをしたいのでゴーオンジャーの面々に今すぐこの司令部に来てほしいと伝えました。
そして海城は丈瑠に対しては、本当にそれでいいのか念を押して問いかけましたが、それに対して丈瑠は迷いは完全に吹っ切ったと答え、実はゴセイジャーのことで折り入って相談したいことがあるので、自分も今すぐゴーオンジャーと共にそちらに行きたいと申し出ました。
海城はそれを了承し、すぐに迎えが行くと伝えて回線を切りました。その直後、丈瑠や走輔たちの背後で「海城のところに案内するから自分についてこい」という声がしたので、驚いて一同が振り返ると、そこにはカクレンジャーのサスケが何時の間にか立っていました。サスケはシンケンジャーの動向把握のためにくっついていたようで、この新宿の「ゴン」の外までついてきていたので、海城の指示を受けて地下室まで入ってきて姿を見せたのです。
その後、ゴーオンジャーの7人と丈瑠はサスケの案内で海城のもとへ向かい、シンケンジャーの他のメンバーは身寄りの無くなった剛を自警団のサブリーダーのもとに送り届けた後、薫の指揮のもと志葉屋敷に戻って戦いに備えることにしました。
そして丈瑠や走輔たちが海城のいるスーパー戦隊司令部に到着した時には、既にI.N.E.T.から海城のもとに先ほどの江戸川の遺したデータの解析結果が届いていました。それは驚くべき内容で、先ほどのデータの中にはザンギャックの暗号に関する重要な情報が含まれていて、どうやらこれで以前から進めていた暗号解読が完成しそうだというのです。完成次第すぐにそちらに報告に行くという久保田博士からの連絡を受け、海城は江戸川が命と引き換えに手に入れた情報は極めて重大なものだったことを実感しました。

そこに走輔たちがやって来たので、海城はさっそく本題に入り、目下スーパー戦隊ではザンギャック軍を1ヵ所におびき出して殲滅する秘策を計画しているのだが、その作戦においてゴーオンジャーの持つ炎神たちの力が是非必要なのだと言いました。つまり、海城がアテにしていた「異世界の神々の力」というのはマシンワールドからやって来たゴーオンジャーの相棒、炎神たちの持つ力のことであったのです。
全てのスーパー戦隊が全世界に散らばってザンギャック軍と戦っていながら、1ヵ所に向けて移動したザンギャック軍を気付かれることなく先回りして待ち伏せするという、そんなこの世の因果律を完全に無視した作戦を可能にするためには、この世の因果律を超えた異世界の力が必要、そのように海城は考えていました。
これまで35年以上にわたって様々なスーパー戦隊の戦いを観察してきた海城が知る限り、そのようなことが可能な異世界の力を持つ戦隊はゴーオンジャーただ1つであり、それゆえゴーオンジャーが不在の間はその力は当面アテに出来なかったのですが、こうしてゴーオンジャーが合流した以上、ようやくその力を使えるようになったわけです。
その力とはゴーオンジャーの相棒の炎神たちの持つ異世界の壁を超える能力でした。ただ、この場合、海城は炎神の異世界に行く能力そのものを使いたいわけではなく、正確には異世界からこの世界に来る能力を使おうとしているのです。より正確に言えば、この世界のある地点から一旦異世界に移動して、その異世界からこの世界の別の場所に戻ってくることが出来る炎神の能力を使いたいのでした。

炎神は同じ世界の中では普通の高速移動しか出来ないが、別の世界に行く場合は任意の特定のポイントに突如現れることが出来ます。これを1つの世界とそれとは別のもう1つの世界との往復を連続して行い、移動するポイントを変えることによって、1つの世界の中で瞬間移動に近いことが出来るのです。また、別の異世界での滞留時間を調節することで、こちらの世界での再出現のタイミングも自由自在であり、移動中は異世界にいるのでこちらの世界の敵に察知される心配は全くありません。
ゴーオンジャー自身、今までこの炎神の特殊能力をこのように応用して敵を出し抜く瞬間移動の能力として使ったことはありませんでした。だから今回、この戦法を予想することが出来る者はほぼいないでしょう。ましてやザンギャックとの戦いが始まってから今までゴーオンジャーは不在だったわけですから、ザンギャック軍はゴーオンジャーが異世界を移動する能力を持っていることはおろか、ゴーオンジャーの存在すら知りません。だから、この作戦が見破られる恐れは極めて低いといえます。ゴーオンジャー自身、炎神の能力をそのように使う発想は今まで無かったようで、海城の説明を聞いて驚きました。

海城の計画は、現有の33のスーパー戦隊からゴーオンジャーを除いた32戦隊を2〜3戦隊ずつの12チームに分け、全部で12体いる炎神が各チームに1体ずつ同行し、ゴーオンジャーの7人も炎神と共に7チームに1人ずつ分かれて同行し、残り5チームは仕方ないので炎神のみが同行することになるので他の戦隊とのコミュニケーションに支障の無いリーダー格の炎神をチョイスするというものでした。
そして、その12チームが世界各地で分散してザンギャック軍と巨大戦力で戦闘を展開し、何らかの方法で全世界のザンギャック軍を特定の1地点におびき寄せる作戦の発動と連動して、撃破されたと見せかけて炎神の力で巨大戦力ごと異世界に飛び、その後、ザンギャック全軍が1ヵ所に集まったタイミングで、そのザンギャック全軍を包囲する位置に12チームが一斉に炎神の力で異世界から戻ってくる。そしてそこからはゴーオンジャーも含めた33戦隊の総力を上げて全力でザンギャック全軍を殲滅するというのが海城の計画でした。
炎神はヒューマンワールドではキャストとソウルに分離した状態となり、その分離状態では異世界の壁を超えることは出来ない。だが誰かがキャストにソウルを挿し込めばその後10分間は継続してヒューマンワールドでも活動可能であり、自分の周囲の巨大戦力ごと異世界に飛ぶことは十分に可能であり、異世界にさえ行ってしまえば10分間という活動時間制限は無くなるから、その後どれだけ待機していてもまたこちらの世界に戻ってくることに支障はありません。
ゴーオンジャーと同行する7炎神はゴーオンジャーのメンバーにソウルを挿入してもらえばいいのであり、それ以外の5炎神は他の戦隊の戦士を臨時の相棒として一時的に活動すればいい。確かにこの計画ならばザンギャック軍に気付かれることなく33戦隊でザンギャック全軍を包囲することは出来ると思い、ゴーオンジャーの7人および12炎神は、海城の計画に協力することを快諾しました。
ただ、いったいどうやってザンギャック全軍を1ヵ所におびき出すのかという点に関しては海城の計画を聞いても、ゴーオンジャーの面々には分かりませんでした。そのあたりはどういう計画になっているのかと走輔が質問すると、海城はそこの部分がまだ決定していないと答えました。
おびき出す手段としてザンギャック軍の暗号を使うというのは決定しており、間もなくその暗号を完全に解読して使えるようになる予定だが、問題はどのような情報を暗号に乗せてザンギャック軍をおびき出すのかです。それについては幾つか候補となる案はあるのだが、どれも決定的なものではなく、もう少し慎重に考える必要があり、現在最終的な検討中だとのことでした。ただ、戦況は日々不利になっていっており、もうあまり時間的猶予は無いので、早急に結論は出さなければいけないと海城は言いました。

その「時間的猶予が無い」という海城の言葉を聞いて、走輔たちと共に海城の計画を呆気にとられて聞いていた丈瑠は、ハッと我に返って自分の話すべき本題を思い出しました。そして、ゴーオンジャーへの説明がそれで一段落なのであれば自分の相談をしてもいいかと海城に尋ね、許可を貰うと丈瑠は、先だって救出した剛の証言でザンギャック軍が現在ウォースターを壊滅させた下手人を見つけ出すために世界中で地球の人々を多数誘拐し尋問の末、殺害に及んでいることが判明したと報告しました。
そして、その被害が拡大している原因の1つにはゴセイジャーによる地球の人々への記憶消去があると言い、丈瑠は直ちにゴセイジャーにこの件を知らせた上で、ウォースターを壊滅させたのはゴセイジャーであることを全世界に向けて公表することを了承させるべきだと海城に進言しました。
それを聞いて海城はまずは意外な印象を受けました。ザンギャック軍がウォースターの件を未だに気にしていたとは海城も想像していなかったのです。ウォースターの一件はザンギャックにとっては地球に戦争をふっかけるための口実程度のものだったと海城は解釈しており、それゆえゴセイジャーにもそうした開戦の経緯について特に説明する必要も感じていませんでした。
実際、開戦当初、ザンギャック側からウォースターの件について何か要求や声明もありませんでしたし、ザンギャック軍に捕らわれて尋問された漢堂ジャンもウォースターの件などは何も質問されはしませんでした。それなのに今になって急にザンギャック側がウォースター潰しの下手人探しをしているとは奇妙だと海城は考えました。
ただザンギャック兵が剛少年に嘘をつく必要も無いことから、おそらく実際そういう事態になっているのは事実なのだろうと思えました。ならば、何故今になって急にそんな動きが生じたのかと考えた海城は、おそらくザンギャック側にとって予想外の苦戦、膠着状態となったので、現地軍なのか本星の司令部なのか分からないが、とにかく何か早く成果を出さねばいけないという焦りが生じて、開戦の大義名分であった「ウォースターを潰した下手人を退治する」という話が急に蒸し返されてきて、その犯人探しが目下のザンギャック軍の地球侵略作戦に並ぶ重要案件になっているのだろうと想像しました。

ならば、その下手人であるゴセイジャーをエサにして上手くやれば全ザンギャック軍をおびき出すことが出来るかもしれない。どちらにしてもこれ以上無用の犠牲者を出さないためにもウォースターを潰した者がゴセイジャーであることは明らかにしなければならないのであり、そうなればゴセイジャーは全ザンギャック軍に追われることとなる。
これは人々を守るためには仕方ないことです。ただ、どうせならこれを上手く全ザンギャック軍を一斉に1ヵ所に集める罠として使いたい。スーパー戦隊や地球当局からの発表という形にすれば、ザンギャック側もゴセイジャーを矢面に立たせた地球側の作為的な罠だと疑う可能性があり、不用意に一斉にゴセイジャーに食いつくことは躊躇するかもしれない。
ならば、地球側の当局の関与が疑われないように秘かに「ウォースターを潰したのはゴセイジャーだ」という情報を流していくかとも思いましたが、この方法ではそれを信じない地球人も多いであろうし、そんな悠長なことをしている間に多くの人々が犠牲になり、そもそも時間がかかりすぎて決戦の機を逃してしまう可能性もある。また、その方法では全世界のザンギャック軍を一斉に動かすほどのインパクトは生み出せない。
やはり「ウォースターを潰したのはゴセイジャーである」という事実は確かな事実として一斉に全世界に知られなければならない。それでいて地球当局の関与が無く自然発生的なものでなければならない。そんな都合のいい方法があるものだろうかと考え込んだ海城は、ハッとある考えが頭に浮かびました。
もし、その方法が可能であれば、ザンギャック軍をおびき出す罠としても使えるだけでなく、根本的にウォースターやゴセイジャーに関する事実の全世界的広報として最も効率的かつ確実な方法でもありました。問題はそれが本当に可能なのかどうかですが、それはおそらくゴセイジャー自身に聞かなければ分からないだろう。もしゴセイジャーに聞いてみてその方法が無理だと分かれば、丈瑠の言うように普通に事実を公表するしかない。
ただ、もしその方法が可能だった場合でも、果たしてゴセイジャーがその方法を了承するのかどうか未知数でした。どうしても了承してくれなければ、やはり普通にこちらから事実を公表するしかないが、出来ればザンギャック軍をおびき出す確度を上げるためにはゴセイジャーの協力を得てそっちの方法を使いたい。
そうなるとゴセイジャーとしっかり交渉できる者に交渉にあたらせなければならないと思った海城は、丈瑠にはゴセイジャーの件は早急に手を打つと伝え、一旦志葉屋敷に戻らせ、ゴーオンジャーの面々にも作戦の決行が決まれば連絡するのでそれまではゴーオンジャーは能力秘匿のためにこの基地内に待機しておくように指示し、一同が出て行くと、海城はボウケンジャーの明石に連絡を取りました。
明石は以前に一度独断でシンケンジャーとゴセイジャーを助っ人として呼び出したことがあり、それだけゴセイジャーにも信頼されているのだろうと思えたので、海城は明石ならば今回の交渉役にも最適だと思ったのでした。
だが明石はあいにくちょうど戦闘中で、すぐには来ることが出来ないとのことであったので、海城はその日の夕方に明石が戦闘を終えてすぐに司令部にやって来るのを待つこととなりました。

その日の夕方、新宿の駅近くのスナック「ゴン」の前にようやく伊狩鎧が戻ってきました。鎧は朝方に江戸川権八の遺体を発見した場所でしばらく呆然としていましたが、その後、とにかく江戸川の遺体をこのままにしてはおけないと思い直し、江戸川の遺体を担いでヒッチハイクして、ようやく停まってくれた物資を運搬していたトラックの運転手に頼み込んで荷台に乗せてもらい、江戸川の遺体と共に新宿に戻ってきたのでした。
鎧はとにかく江戸川を彼の長年住処としていた新宿の地に葬ってあげたくて遺体を運んできただけであり、何処に葬ればよいのかも分からず、困って自警団のサブリーダーの家に行きました。すると鎧の顔を見たサブリーダーは驚き、鎧の無事を喜びました。
サブリーダーは朝方にスーパー戦隊に送ってもらってきた剛から江戸川の死と、ゴーミン達に追われる途中で鎧と別れ別れになったことを聞き、剛を送ってきた志葉薫に剛と出会った場所を聞き、江戸川の遺体回収と鎧の捜索のために自警団のメンバーをその方面に送り出していたのです。
そのことを聞いて鎧は江戸川の遺体も自分が運んできたことを告げました。悲しみを堪えながら鎧の苦労をねぎらうサブリーダーに向かって、しかし鎧は自分を責めるように、自分は剛を守り切ることが出来なかったと悔しそうに言いました。

ところが、そこにサブリーダーの家の中から剛が出てきたので鎧は大変驚きました。鎧はてっきり剛はザンギャックに連れ去れたか殺されたのだろうと思っていたので、無事に生きている剛にこうして出会えるとは思っておらず、嬉しさと安堵の気持ちが込み上げてきましたが、同時に江戸川の死のことを伝えなければならないことに心苦しさを感じました。
だが、鎧が剛にどうやって追手から逃げのびて此処に戻ってきたのか問うと、剛が江戸川が命を捨てて自分を守ってくれたので生き延びることが出来たのだと答えたので、鎧は既に剛が祖父の死を知っていることを知り、自分の言葉で剛にショックを与えずに済んだことに少し救われた気がしました。
だが、自分と同じく、いやそれ以上に剛は江戸川の死に直面してショックを受けたことだろうと思い、江戸川を守れなかった自分が情けなくなり、鎧は剛に詫びました。剛も鎧がひどく祖父の死を悲しんでいることが分かっていましたから、一緒に悲しい気持ちになりましたが、あまりに鎧が申し訳なさそうに詫びるので、出来るだけ明るい話題にしようと思い、それでも祖父の遺言を守ることが出来たのが救いだったと言いました。
鎧が遺言とは何だったのかと問うと、剛は祖父が敵の基地で取得したデータをイーグルに送るように自分は祖父に託されたのだと言い、ゴーミン達から逃げている途中で出会ったスーパー戦隊に助けられて此処に送ってきてもらい、そのお蔭で祖父の遺言を果たすことが出来たのだと説明しました。
鎧はやはり江戸川はイーグルの関係者だったのかと思いましたが、江戸川が死んでしまった今となってはそんなことはもはやどうでもいいことに思えました。そんなことよりも、結局最後は剛を助けたのはスーパー戦隊だったという話の方が鎧には印象的でした。
鎧自身も3ヶ月前、危ないところをギンガマンに助けられた。やはり地球の人々を守るのはスーパー戦隊なのだと、鎧は改めて実感しました。そして、それにひきかえ自分は結局、自分の家族も、江戸川も、剛のことも守ることは出来なかった無力な男だと思えました。
自分はギンガマンに助けられた時、自分も人々を守るために自分に出来ることをやろうと思って頑張ってきた。だが、やはりスーパー戦隊のように戦う力が無ければザンギャックから人々を守ることは出来ないのだろうかと鎧には思えてきました。
それで、そのまま剛や他の仲間達と共に江戸川の遺体を丁重に埋葬した後、鎧は少しの間休養を取りたいと言い、「ゴン」の上の自室に閉じこもり、部屋の中で1人でじっと「星の伝説」の絵本を見つめて物想いにふけりました。

一方、スーパー戦隊の司令部の海城のもとにその日の夕方になってI.N.E.T.の久保田博士が資料を持ってやって来ました。用件はもちろん例のザンギャックの暗号解読の件で、江戸川のもたらしたデータのお蔭で遂に完全に暗号を解読し、こちら側から偽の暗号をザンギャック側に送ることも可能になったとのことで、念のために少しテストもして確かめ、今すぐ実用できる段階まで至ったという報告でした。
重要機密の報告であったので久保田博士は直接海城に説明するために資料を持参してやって来たのであり、途中で万が一のことがあってはいけないということで、メガレンジャーの面々が護衛として久保田博士に同行してきていました。そのように海城が久保田博士やメガレンジャーの面々からの報告を受けていたところに、至急の用件と聞いて戦いの後、慌てて駆けて来たボウケンレッドの明石暁がやって来ました。
そのまま海城は明石に向かって現状の説明をしました。海城は各スーパー戦隊に対して既に例のザンギャック全軍をおびき出して叩く作戦については説明済みでした。その上で海城は明石に対して、本日シンケンジャーとゴーオンジャーが仲間に加入したことを告げ、特にゴーオンジャーの加入によって、おびき出したザンギャック軍を炎神の力を使って敵に気付かれることなく包囲することが可能となったことを説明しました。そして、更にI.N.E.T.が先ほどザンギャックの暗号を完全解読して、これでザンギャック全軍をおびき出すための偽情報をこちらから流すことが可能になったことも説明しました。
そして海城は明石に向かって、これで作戦決行のための残る課題はどのような情報でザンギャック全軍をおびき出すのかという点だけだと告げ、その上で志葉丈瑠から聞いたゴセイジャーの一件について説明し、自分はゴセイジャーを囮にしてザンギャック全軍をおびき出そうと思っていると言い、そのために明石にゴセイジャーのもとに行って了承を貰ってほしいのだと依頼しました。
そして更に海城は明石に難題を持ち掛けました。それは、ゴセイジャーに過去に自分達の行った記憶消去を取り消して人々の記憶を復活させる天装術は可能なのか質問して、もし可能ならばそれを実行して人々の記憶を復活させてほしいと依頼することでした。

確かにもし天装術で人々のこれまでに消した記憶を復活させることが出来れば、アラタ達は7月に全世界に向けて記者会見を開いて自分達の過去の戦いを説明して世界中で護星天使ブームを起こしたぐらいですから、おそらく記憶が復活すれば世界中の人々がウォースターの侵略を思い出し、ウォースターを倒したのがゴセイジャーであったことも思い出すはずです。
そうなればザンギャックに尋問されている人々は多くがウォースターを潰した者がゴセイジャーであると白状するでしょう。そこに何ら作為的な気配は生じない。実際本当のことなのであるし、これまで記憶が消されていて全員がそのことを知らない状態であったことの方がよほど不自然なのであり、自然な状態に戻るだけのことであり、自然発生的現象であるので地球側当局の関与が疑われることもなく、罠だと思われる可能性も低い。
その記憶復活現象の発生に合わせて暗号を使って偽情報を流せば、現在の指揮命令系統がチグハグなザンギャック軍ならば全軍を1ヵ所におびき出すことが出来るかもしれない。明石はそう思いました。だが、それはゴセイジャーに囮になってくれという話であり、ゴセイジャーにとっては極めて危険な話です。スーパー戦隊と共に戦っているわけでもないゴセイジャーが快く引き受けてくれるのか疑問でした。
いや、ゴセイジャーのことだから地球を守る戦いよりも自分の身の安全を優先することはないだろうし、これが地球を守る天王山の戦いであることも理解はしてくれるだろう。しかし、記憶消去を無効にするというのはゴセイジャーにとっては護星天使の掟を破ることになり、自己のアイデンティティーの否定となる。
そもそも、その部分が引っ掛かっているからこそゴセイジャーはスーパー戦隊と一緒に戦うことを拒否しているのです。それだけこの記憶消去はゴセイジャーにとって妥協できない部分なのであり、それを無効にするよう求めるのは難しいように思えました。それで明石が海城に向かって、人々の記憶を消すことによって自己の存在を秘匿して戦うことが彼ら護星天使の絶対の掟である以上、説得は困難が予想されると告げました。
すると、ちょうど同席していてその遣り取りを聞いていたメガレンジャーのメンバーの中からメガレッド伊達健太が口を挟み、自分もゴセイジャーの説得に同席しようと言い出しました。明石はどうして健太が急にそんなことを言いだしたのかよく分からず戸惑いましたが、海城は少し考えて、確かにメガレンジャーがこの説得には適任なのかもしれないと言って、健太に明石と一緒にゴセイジャーの許へ行くよう頼みました。
そうと決まればゴセイジャーの現在いる場所を調べようと海城たちが思ったその時、ゴセイジャーの現在地を伝える声が部屋に響いたので一同が驚いて声のした方を振り向くと、そこには何時の間にかカクレンジャーの頭領の鶴姫が立っていました。鶴姫は午前中に海城のもとに来た丈瑠からゴセイジャーの話が出たのを聞いており、すぐにゴセイジャーの許に使者をやることになると見越して、既にゴセイジャーの動きは逐一捕捉して待機していたのでした。そこでさっそく明石は健太と共に鶴姫の案内でゴセイジャーの許に向かいました。

ここで時は5ヶ月ほど遡り、ザンギャック騒動が起きる前、2011年7月、ゴセイジャーがキングビービを倒して全世界の人々の自分達に関する記憶を再び消去して、また元のように人々の中に紛れて暮らすようになった時点に戻ります。
あの後、アラタ達は元のカフェの店員や保健室の先生など、それぞれの居場所に戻っていきましたが、ハイドだけは勤務していた研究室に休暇願を出して1人で一旦、護星界へ戻りました。ハイドは今回どうしてキングビービがあのような事件を引き起こしたのか興味を持ったのでした。
キングビービの目的はゴセイジャーを倒すことでありましたが、問題はどうしてキングビービがゴセイジャーを追い詰めるために記憶消去の天装術を封じることが有効だということを知っていたのかという点でした。
記憶消去が出来なくなると人々の護星天使への悪意があのように暴走するということは、ハイド達もこれまで知りませんでした。ハイド達はただ単に護星天使の古くから決まっている掟に従って人々の記憶を消していただけであり、本音を言えば人々の記憶を消すことはあまり気分の良いことではありませんでしたが、それでもそれは絶対に守らなければいけない掟だと言い聞かされていたのであり、どうしてそんな掟が存在するのかよく知りませんでした。なんとなく護星天使の存在を知ると人々が混乱するからだと聞いていましたが、それがこのような自分達への人々の強烈な悪意を引き起こすものだとは想像もしていませんでした。
問題はどうしてそのことをキングビービが知っていたのかです。護星天使が人々の記憶を消していること自体、護星界の者しか知らないことです。だからキングビービがそのことを知っていたのは不自然です。だがキングビービはもともとはビービ虫が超進化したものであり、ビービ虫はかつて最強の護星天使と言われていたブラジラ(ブレドラン)が作ったものです。つまり、どうやらキングビービの意思は半年前に自分達の倒したブラジラの怨念に動かされたものであるようだとハイドは気付きました。
ブラジラならば元護星天使だから記憶消去の天装術の存在を知っていてもおかしくはない。だが、自分達は記憶消去の天装術がこれほど重大なものだとは知らなかったのに、ブラジラはそれが護星天使の急所だと知っていたということになる。生前のブラジラがその急所を知っていながら、あえてそこを攻めてこなかったのは、そこまでせずとも自分達に勝てるという驕りがあったからなのか、あるいは元護星天使として、あえてそこを攻めることに躊躇いがあったのか、どちらなのか分かりませんが、とにかくブラジラが死んで暴走した怨念がビービ虫の生き残りを超進化させてキングビービとし、自分達の記憶消去の天装術という急所を攻撃してきたのだろうとハイドは思いました。

しかし、どうしてブラジラは記憶消去の持つ重大な意味合いを知っていたのかとハイドは不思議に思いました。いや、そもそもブラジラとは一体何者だったのだろうかと、ハイドはずっと不審に思っていたのです。
1万年前に幽魔獣を封印した最強の護星天使であり、護星の使命を見失い堕落して獄に繋がれ、脱走して悪に走った者だと護星界の指導者マスターヘッドは説明してくれたが、自分達はもともと彼の話は詳しくは知らなかった。
この話はブラジラの話とも一致するから、本当に1万年前にそういう出来事があったのだろう。だが、そんな重大事件を護星界では自分達は教わってはいなかった。かつて最強の護星天使が存在したという程度の話しか聞かされておらず、幽魔獣の存在すら教えられていなかったぐらいです。ブラジラがその正体を明かした後、マスターヘッドはようやくブラジラの過去の姿である最強の護星天使の逸話を自分達に教えてくれたのです。
つまり、最強の護星天使の話は護星界では触れてはいけないタブーであるようでした。そして、マスターヘッドはまだ全ての話を明かしてくれてはいないとハイドは感じていました。どうして最強の護星天使とまで言われた男が堕落したのか、そのあたりがどうも曖昧なのです。
ただ、ブラジラを倒して戦いが終わった後はハイドも嬉しさのあまり、もうそんなことはどうでもよくなってしまい、ブラジラの謎のことなど忘れて地上での生活を満喫していました。だが今回のキングビービの一件にブラジラの怨念が関わっていると感じたことによって、ハイドは再びブラジラとはそもそも何者なのかという疑問が湧き上がってきて、護星界に行ってマスターヘッドに教えてもらおうと思ったのでした。

そうしてハイドが護星界に行き、マスターヘッドをしつこく問い詰めたところ、マスターヘッドも今回のキングビービの一件は憂慮していたようで、遂に重い口を開いてハイドにブラジラに関する真実の話を教えてくれました。
それによると、1万年前はまだ護星天使たちは地球人の1種族として地上に暮らしており、人々を苦しめる幽魔獣という化け物と戦っていました。そして、その頃は護星天使たちは人々の記憶を消したりはしていませんでした。その結果、幽魔獣という脅威から人々の平和を守るため戦う護星天使たちは人々から尊敬されており、特にその中でも最強の護星天使といわれていたブラジラは人々からまるで神のように崇められていました。
だが、その結果、当初は善良で高潔であったブラジラは慢心するようになり、高慢な態度で人々や仲間の護星天使たちに接するようになった。それによって人々の心はブラジラから離れ、ブラジラに悪意を抱くようになり、ブラジラもそれに悪意で応酬し、結果的にブラジラの心は醜く歪んでいくようになり、幽魔獣との戦いに快楽を見出して、ひたすら強さを貪るようになり、遂には仲間たちを殺してその力を我が物として幽魔獣を封印しましたが、その行いがあまりに常軌を逸していたため、護星天使の長老たちはブラジラを捕えて牢獄に入れ、いったいどうしてブラジラがそんなに堕落してしまったのか調べました。
その結果、強大な力を持つ護星天使への人々の過度な称賛は護星天使を堕落させやすく、そこから悪意がエスカレートする危険があることが分かったのでした。このことを憂慮した護星天使たちは自分達が普通の人々と一緒に暮らすことは良くないと考え、地球上空の亜空間に護星界を作って移り住み、地球の人々に脅威が迫った時は天の塔を使って降りてきて戦い、戦いが終わるたびに天装術で人々の記憶を消して護星天使の存在を人々が知ることがないように処置していくようになったのです。
一方ブラジラは護星界に護送されていき拘禁されたが、ある日牢獄の中で姿が消えており、結局その後も行方は分からなかったという。実際はブラジラは時間を超える禁断の天装術を使って1万年後に逃亡して1万年後の護星界に復讐しようとしていたのですが、そのことは後にゴセイジャーとの戦いの中でブラジラが告白するまで護星界でも誰も気付くことはありませんでした。

その1万年前からやって来たブラジラも復讐に失敗してゴセイジャーに倒され、マスターヘッドもこれでようやく万事解決したと安心していたのですが、ブラジラの遺した護星天使への怨念はキングビービを生み出したのです。最初アラタ達の記憶消去の天装術が使えなくなった時、マスターヘッドもいったい何が起きているのか理解できていなかったのですが、最終的にそれがキングビービの仕業だったことが判明すると、マスターヘッドはその背後に死んだブラジラの遺した護星天使への怨念を感じざるを得ませんでした。
それはどういうことかというと、つまりブラジラの怨念が望んでいたことはアラタ達ゴセイジャーを倒すことではなく、かつての自分と同じように地上に暮らしているアラタ達を記憶消去の能力を封じることによって人々の過度の称賛と悪意に晒されるように仕向け、アラタ達をかつての自分と同じように堕落させてやろうとしたのです。つまり、再び自分と同じ堕天使を作り出すこと、それこそが護星界に対する最大の復讐になるとブラジラの怨念は考えたのだと、マスターヘッドは戦慄したのでした。
そのマスターヘッドの話を聞き、ハイドもなんと恐ろしい話だと思い、愕然としました。確かにあの時自分達はキングビービの罠にまんまと嵌り、自ら進んで人々に護星天使の存在を明かして大変な称賛を浴びることとなり、少なからず調子に乗ってしまっていたことは認めなければいけないとハイドは思いました。そして、その結果、人々の称賛はあっという間に悪意へと変わり、自分達に襲い掛かってきた。もう少しキングビービを見つけて倒すのが遅れていれば危ないところだったのだと、ハイドは肝を冷やしました。
自分達もブラジラの同じ道に堕ちていたかもしれない。そう自戒したハイドは、改めて記憶消去の天装術がいかに護星天使にとって大事なものであるか再認識して地上に戻り、事の次第を他のゴセイジャーの仲間たちにも説明し、その話を聞いたアラタ達もハイドと同じ感慨を抱いたのでした。
それから少し経ってから世間ではザンギャック騒動が起こり、アラタの許に明石がやって来てスーパー戦隊と共にザンギャックと戦うよう求めたのだが、あの時アラタや他のゴセイジャーのメンバーが自分達の記憶消去の天装術がスーパー戦隊の戦士たちには効いていなかったことを知って大きなショックを受けたのは、それに先立ってこのマスターヘッドの告白を聞いて記憶消去の掟の重要性を強く認識した直後だったからでした。だから当然、アラタ達はあの時、あくまで「護星天使は人々に存在を知られてはいけない」という原則を守ることを何より優先し、スーパー戦隊と共に戦うことを頑なに拒んだのです。

その自分達の考え方はザンギャックとの開戦後3ヶ月経った今でも変わりはないはず、とアラタ達は思っています。いや、変わってはいけないはずだと自分に言い聞かせています。というのも、ザンギャックとの開戦後、スーパー戦隊と離れて独自に戦っていく中でゴセイジャーのメンバーの気持ちは実は揺らいでいたのです。
開戦後1週間の時点で明石の依頼を受けてゴレンジャーの支援に行ったのも、実はあくまで自分達の護星天使の掟に固執する姿勢が正しいのか迷いがあったからだったのでした。その後も結局迷ったままスーパー戦隊とは別に独自に戦い続けてきているゴセイジャーでしたが、やはり心に未だ迷いはあります。
それはどうしてなのかというと、ザンギャックとの戦いがこれまでのアラタ達の戦いに比べて、かなり大規模なものとなっていたからでした。これまでのウォースターや幽魔獣などとの戦いは散発的なものが多く、敵を倒すたびに護星天使の掟に従って戦いに関わった人達の記憶を消していっても大して支障をきたすことはなかった。
だがザンギャックとの戦いは敵の規模が非常に大きく、民間人が広範に戦いに巻き込まれるだけではなく、同じ場所が何度もザンギャックの標的となります。その場合、いちいち戦闘の後に戦闘地域の人々の記憶を消してしまうと、その人々がゴセイジャーのことと共にザンギャックの脅威を忘れてしまって、次のザンギャックの攻撃の際に危険の回避が遅れてしまう可能性があるのです。
だから、ザンギャックとの戦いにおいては人々を守るという護星天使の使命を果たすためには、人々の記憶を消去するという護星天使の掟は守らない方が良いということになってしまう。これは大きな矛盾でした。
結局アラタ達はザンギャックとの戦いは始まって以降、いちいち戦闘のたびに人々の記憶を消すということはやっていません。それが現実的な手段であるように思えたからでした。それは言い換えれば自ら護星天使の掟を破っているに等しい。そうなると護星天使の掟を理由にしてスーパー戦隊に加わらなかったという自らの行動と、現在の自分達の行動はどうも矛盾しているように思えてくる。
いや、やはり掟は守るべきであり、現在戦闘後の記憶消去をしていないのは緊急避難的な一時的措置であり、ザンギャックとの戦いが終わればまとめて記憶消去するのだから問題は無いのだと、アラタ達は考えるようにしていましたが、もし今回のケースで律儀に掟を守って人々の記憶を消していたとしたらむしろ被害が拡大していたのではないかと考えると、ならば護星天使の掟とはいったい何なのだろうかとアラタ達は疑問を抱かざるを得ませんでした。
だが、マスターヘッドから聞いた、かつてのブラジラの転落劇もまた大きな教訓としてアラタ達の胸に突き刺さっており、結局アラタ達は大いに迷っていました。そうした迷いはザンギャックとの開戦時から3ヶ月ずっとアラタ達の脳裏にまとわりついていましたが、それでもまず優先すべきは目前の戦いに勝利してザンギャックから地球を守ることであったので、アラタ達は護星天使の掟の件で悩むのは二の次として、とにかく自分達の戦いに集中するようにしていました。

しかしその戦いも最近は数的劣勢は明らかとなり、このままでは遠からず負けてしまうだろうと思えてきて、アラタ達も焦りを覚えてきていました。そして今日も夕暮れ時に街を空爆に来たザンギャック艦隊を撃退するためにアラタ達ゴセイジャーは出撃していました。敵艦隊はゴセイジャーに敗れて散り散りに逃げ去っていきましたが、その前に地上部隊をいくらか降下させていたので、それを片付けるためにアラタ達が地上に降りたところ、そこに突然ボウケンレッドとメガレッドが乱入してきてゴセイジャーと共にザンギャックの地上部隊を撃滅しました。
アラタ達は意外な展開に驚きました、戦いの後、変身を解いた2人のうちの1人が明石暁であることに気付き、アラタは明石に対して、いったい急にどうしたのかと尋ねました。すると明石は大事な話があってやって来たと言い、アラタ達はそのままその夜、明石と健太を天知天文研究所に招いて話を聞くことにしました。
ザンギャックとの戦いが始まって再びゴセイナイトも含めた6人で一緒に行動するようになったアラタ達の居場所は結局、以前と同じく天知天文研究所、つまり天知博士の自宅しかアテが無かったので、アラタ達は再び天知家に居候していたのです。

その居間で健太と共にゴセイジャーの面々と向き合った明石は、今日シンケンジャーとゴーオンジャーが合流して、これでスーパー戦隊は33戦隊が共に戦うことになり、残っている別行動の戦隊はゴセイジャー1つだとまず伝えました。
これを聞いてアラタは、自分達と同じく迷っていたシンケンジャーも遂に心を決めたのかと感慨深く受け止めましたが、明石に対しては自分達はシンケンジャーと示し合わせて行動していたわけではなく、あくまで護星天使の掟を守るためにスーパー戦隊と共に戦わないことを決めたのだから、その決意は変わらないと伝えました。
すると明石はそれは分かっていると言い、33戦隊が揃ったという話をしたのは、ゴセイジャーに仲間入りを迫るためではなく、その33戦隊で近々ザンギャック軍に決戦を挑むことを伝えるためだと説明し、そして、その決戦に際して、その護星天使の掟をゴセイジャーに破ってもらえないかという依頼をするために今日はやって来たのだと言うのでした。
アラタ達も戦況の先行きが悪いことは分かっていましたから、近いうちにスーパー戦隊側が大逆転を狙った賭けに出るだろうとは予想していたので、33戦隊がザンギャックに決戦を挑むという話には驚きは感じませんでしたが、そこで急に護星天使の掟を破るという話が出てくるのが理解出来ず、しかも自分達の掟を重視する姿勢を理解してくれていたはずの明石がいきなりそんなことを言うので、大いに戸惑いました。

そこに更に明石は、まず技術的に可能かどうか確認しておきたいと前置きして、天装術で消去した全世界の人々の記憶を一斉に回復させることは可能なのかと質問しました。明石のあまりに意外な質問にエリやアグリ、モネは驚いて即座にそんなことが出来るわけがないと反発しましたが、ハイドは驚きつつも、あくまで明石の質問が技術的に可能かどうかという趣旨だと理解し、記憶消去の天装術について明石に説明しました。
実は護星天使の記憶消去の天装術は本当に人々の記憶を消しているわけではなく、人々の脳内で護星天使に関係する特定の記憶を封印して意識の表面に出てこないようにしているだけなのです。人の記憶というものは脳を破壊でもしない限り、完全に消去することは出来ない。いや死後も記憶が継続される以上、記憶を完全に消すことなど世界が消滅しない限り、本来は不可能なことなのです。
だが記憶は存在していても、それを「思い出せない」状態にすれば記憶が失われたのと同じような状態を作り出すことは出来る。天装術の記憶消去とはそういうことをやっているに過ぎないのです。だからその封印を解除する天装術を施せば、思い出せなくなっていた記憶は再び思い出されて復活する。だから技術的には記憶の復活は天装術で可能だとハイドは回答しました。
但し、記憶消去の天装術には色々と制約があるのだとハイドは補足しました。記憶を消去(封印)する時、細かく記憶の種類を指定して封印することは出来ない。例えばハイドが自分と出会ったある人と自分との会話のある特定の部分のみ記憶を封印するというような芸当は出来ない。相手の意識の表面にあるハイドと関わった記憶の全てを一括して封印することしか出来ないのです。
そして人々のハイドと関わった記憶を封印することが出来るのはハイドだけであり、ハイド以外の護星天使は人々のハイドに関わる記憶を勝手に封印することは出来ない。逆にハイドもハイド自身に関わる人々の記憶しか封印は出来ない。他の護星天使に関する人々の記憶を弄ることはハイドには出来ないのです。つまり護星天使は自分に関する人々の記憶しか弄ることは出来ない。
そして、それは記憶を復活させる場合も同様です。護星天使は今までに自分が封印した自分に関する人々の記憶しか復活させることは出来ない。そして、復活させる時も封印する時と同様、特定の記憶を選んで復活させるという芸当は出来ない。人々の心の奥底で封印されている自分に関する記憶を一括して封印を解いて復活させて意識の表面に浮上させるという方法しか取れないのです。
例えば直近の記憶消去分だけ復活させるとかいう器用なことは出来ない。ゴセイジャーはこれまでの戦いの中で何度も全世界の人々に向けて記憶消去の天装術を使っていますが、ゴセイジャー全員が記憶復活の天装術を使うと、これらが全部一気に解除されるので、ゴセイジャーに関する世界中の人々の記憶が全部復活することになります。
そして、これが最大の問題点なのですが、記憶復活の天装術はこれまで実際に使われたことがほとんど無いため、これを更に無効化する天装術は確立されていないのです。つまり、復活させた記憶を再び封印することは出来ない。「一時的に記憶を復活させて、また後で封印すればいい」というわけにはいかないのです。

こうした記憶操作の天装術に関する諸制約を全て説明した上で、ハイドは明石に向かって、記憶の復活は技術的には可能だが、それは完全に護星天使の掟に反することになる後戻りの出来ない、まさに護星天使禁断の術であるので、自分達はそれを行うことは出来ないと結論づけて回答したのでした。
明石は実は「一時的に記憶を復活させて、また後で封印すればいい」という線を最終的な落としどころとして考えていたので、このハイドの説明を聞いて内心少し困ってしまいましたが、もともとゴセイジャーに掟を破ることを求めに来ていることには違いないので、この際開き直って、それでもあえてその禁断の掟を破ってもらいたいのだと言いました。
それに対してアラタは、明石がここまで言うのは何かよほどの事情があるのだろうと思い、まずは事情を詳しく説明してほしいと言いました。

明石ももちろん事情は説明するつもりではありました。最初に事情を説明した方が話はスムーズだったかもしれない。だが、明石はアラタ達に事情を説明することをついつい躊躇ってしまい、持って回った技術的な話から入ってしまっていました。それは、事情を話すことによってアラタ達が傷つくことが分かっていたので、そこから交渉を始めるというやり方が、何か相手の弱みに付け込むようで卑怯に思えたからでした。それに、アラタ達が意気消沈してしまうのではないかという心配もありました。
だが、アラタに問われた以上、やはり事情を説明しないわけにはいかない。明石は覚悟を決めて、実はこのザンギャックとの戦争が始まったきっかけはザンギャックの友軍であるウォースターが地球で消息を絶ったことにあったのだと説明を始めました。
それはザンギャックにとっては当初は戦争を吹っ掛ける口実に過ぎなかったはずなのだが、最近になってザンギャック軍はウォースター潰しの犯人探しに躍起になっている。だからウォースターを倒したのがゴセイジャーだと分かれば、ザンギャック軍はゴセイジャーを倒すために動き出す。それを利用してザンギャック全軍を1ヵ所におびき出して包囲して叩くというのがスーパー戦隊の計画なのだと明石は説明しました。
アラタ達はいきなり自分達が以前に倒したウォースターの話が出たので、この戦争の開戦の意外な事実に自分達が関係していたと初めて知り、大変驚きましたが、それでもその話と記憶消去の天装術が何の関係があるのか一瞬よく分かりませんでした。
だが、次の瞬間、アラタ達はハッとある事に気付き、背筋がゾッとしました。もしかして、自分達が記憶を消した世界中の人々がザンギャック軍による犯人探しの尋問を受けているのではないかという最悪の事態が想像されたのでした。
ゴセイジャーに関する記憶を消された人々はゴセイジャーがウォースターを倒したということを思い出せない状態なので、ザンギャック軍にウォースター潰しの犯人を問われても何も知らないと答えるしかない。だが、ザンギャック軍がそこで大人しく引き下がるはずもない。多くの人々が口を揃えて知らないと言えば、事実を隠している、嘘をついていると疑うに決まっています。
そこから先は想像するのも恐ろしいとアラタ達は思いました。自分達が人々の記憶を消していなければ、その悲劇は起こらなかった。つまり、自分達のせいなのだとアラタ達は分かったからです。

愕然とした顔で黙って俯いたアラタ達を見て、明石はアラタ達がだいたい事態を察したようだと理解し、それ以上はあえて剛から丈瑠経由で海城に伝わった、ザンギャック軍によって事態を理解できていない多くの人々が誘拐され尋問を受け拷問の末に殺害されているという惨い話を詳細に説明はしませんでした。
アラタ達もそのような事態になることを望んで人々の記憶を消したわけではなく、悪意など無かったのです。そのアラタ達を責める気など明石にはありませんでした。現在アラタ達の記憶消去の結果起こっている惨い事態を詳しく言葉にして説明することは、アラタ達を鞭打つに等しいことだと明石は理解したのでした。
ゆえに明石は事態の説明は省いて、これ以上の犠牲者を出さないためには世界中の人々に早急にウォースターを倒したのはゴセイジャーであるという事実を認識させる必要があり、その最も早く確実な方法は天装術による記憶の復活なのであり、そしてこの方法を使えば罠と疑われることなくザンギャック全軍をおびき出すことが可能になり、人々を苦しめている元凶であるザンギャック軍を殲滅、あるいは大打撃を与えて撤退させることが可能なのだということを説明しました。

アラタ達は明石の話を聞き終わると、苦悩して黙り込みました。ザンギャックとの戦いが始まってから、やはり自分達の護星天使の掟を守ることによって人々を傷つけてしまうことが多いということは認めざるを得ない。あるいはザンギャックとの戦い以前にも同じように護星天使の掟が人々を傷つけるようなことはあったのかもしれない。
ならばこの掟は破った方が良いのだろうかとも思えましたが、ブラジラの例にあるように、護星天使の存在を人々に知られることは人々の過度の称賛や悪意を掻き立て、アラタ達にとっても人々にとっても危険なことであり、自分達が強大な力で戦う限り、やはりそのタブーは破るべきではないのではないかとも思えました。
迷いに迷って、アラタは明石に向かって、実はザンギャックとの戦いが始まってから、いや本当は地上で最初に戦い始めた時からずっと人々の記憶を消すことが正しいのかどうか迷っていたのだと告白しました。
そして、1万年前のブラジラの堕落の一件と、その結果、護星界というものが生まれたのだという話を明石に説明し、護星天使というものはそもそもその原点から強大な力の堕落を最大のタブーとした存在なのであり、堕落を防ぐためには強大な力を持つ自己の存在を人々の称賛や悪意に晒さないように隠匿するものなのだと言いました。その掟を破って力を振るう者はもはや護星天使ではない。
そうした護星天使の絶対の掟を改めて説明した上で、アラタはキングビービの一件についても明石に説明し、自分達も人々にその存在を知られることによって称賛や悪意を受け、自分達の存在が人々を惑わせ、自分達をも堕落に導き得る恐ろしさを実感し、やはり1万年守られ続けた護星天使の掟は絶対に守らねばならないのだと改めて強く思ったのだと言いました。
その上でアラタは、だが現在、自分達が掟を守ることによって多くの人々が傷ついていると悲しそうに言いました。自分達は護星天使としてこの1万年守られてきた掟は守るべきものだと信じて疑わないが、それでも現在自分達がこの掟を破って人々に自己の存在を明らかにすることによって人々が救われるのならば、自分達は自ら護星天使の1万年を否定してでも、この掟を破るしかない。
そもそも人々を守るための護星天使の掟が人々を傷つけてしまった時点で、護星天使というものは人々を守る戦士として失格なのだとアラタは項垂れ、自分たち護星天使は人々を守って戦う資格など無いと断じました。
だから自分達は人々を救うため、そしてスーパー戦隊の勝利を導くために、人々の記憶を復活させて護星天使の掟を破るが、同時に掟と共に消え去るつもりだとアラタは言うのでした。掟を破っておいて何喰わぬ顔で護星天使として戦うなどという軽薄な真似は出来ないというのです。ゴセイジャーの他のメンバーもアラタと想いは同じであるようで、思いつめた顔で頷いています。

それだけ護星天使であるアラタ達にとってこの掟は絶対的なものなのだろうと明石は思いました。その絶対的な掟が人々を傷つけてしまったことによって、結果的に人々を救うために自己否定に到達せざるを得ない。掟をそこまで絶対視しなければそこまで苦しむこともないだろうとは思えましたが、明石にはアラタ達がこの自己の存在を秘匿するという掟を絶対視する気持ちは分からないこともありませんでした。
明石のボウケンジャー自体、ザンギャックとの戦争が始まる以前はずっと、その存在を秘密にしていた戦隊でした。どうしてボウケンジャーが自己の存在を秘密にしていたのかというと、強大な力を持つプレシャスが人々を惑わせることがないように隠匿しておくためでした。つまり、プレシャスも、プレシャスを扱うボウケンジャーも、基本的にはゴセイジャーと同じでした。
プレシャスの強大な力を知れば人々は称賛もするだろうが、同時に恐れを抱き憎悪するかもしれないし、自分の利益のために悪用しようという悪意を引き起こす可能性もある。だから危険なプレシャスを回収して人々がその存在を知ることがないように隠してしまう。それがボウケンジャーという戦隊の仕事であり、そういう仕事をしているゆえ、ボウケンジャー自体が秘密戦隊であったのです。だから明石はアラタの言う「護星天使の掟」の意義はよく理解できる。アラタ達がその掟に殉じようとしている気持ちも理解できる。
明石の場合、これまで秘密戦隊であったボウケンジャーが突然秘密戦隊でなくなったことに大した戸惑いが無いのは、「プレシャス秘匿の精神」は明石にとって自分がボウケンジャーであるアイデンティティーとあまり関係無いからでした。明石や他のボウケンジャーのメンバーはハッキリ言ってワクワクする冒険さえ出来ればプレシャスがどうなっても自分がボウケンジャーである問題とはあまり関係無い。
プレシャスの秘匿にこだわっているのは明石達の雇い主のサージェス財団の方であり、今回はそのサージェス財団が自らプレシャスの隠匿方針を撤回したわけですから、明石としてはアイデンティティークライシスに陥ることは無かったわけですが、ずっと自分の正体を隠匿することが護星天使の存在そのものの基本として教えられてきたアラタ達にとって今回このようにその掟が否定されるような事態は深刻な自己否定に直結してしまうということは明石には理解出来ました。だから、アラタ達をどのように励ましていいものか、明石には適切な言葉が見つかりませんでした。

その時、明石の隣でそれまで黙って座っていた健太が突然口を開き、アラタに話しかけたのでした。健太は一緒にテーブルを囲んで座っている天知家の息子の望を指さし、護星天使は人に存在を知られてはいけないと言うが、この子は別にいいのかと尋ねました。
アラタ達は望は特別なのだと答えましたが、健太は今度は望に向かって、君は特別なのかと尋ねました。すると望は少し考えて、自分は特別ではないと言いました。そして、何故そう思うのかという健太の問いに対して、望はキングビービの事件の時に世界中の人達が自分の呼びかけに応えてくれたからだと答えたのでした。
あの時、世界中の人々の悪意にアラタ達が追い詰められていた時、データスを介した世界中に向けての通信で望がアラタ達が地球を守るためにこれまでひたすら懸命に戦ってきた想いを受け入れようと呼びかけ、それによって世界中の人々の悪意が消え去り、アラタ達は窮地を脱することが出来ました。
あれをアラタ達は望の力によって救われたと受け取っていたのですが、望はそうは思っていませんでした。望は自分は呼びかけただけであり、世界中の人達が自分と同じ気持ちになってくれたからアラタ達は救われたのだと思っていました。望はむしろ世界中の人達と心が1つになったことが嬉しかった。アラタ達にとって特別な存在でいることよりも、世界中の人達と一緒にアラタ達を救うことが出来た方が、より幸福だと感じられました。
そもそも望は決してアラタたち護星天使にとって特別な存在ではない。望だって、心の中ではアラタ達のことを過度に称賛して頼ったり、その裏返しに不満を感じたり悪意を抱いたりしたこともある。決してアラタ達といつも円満な関係だったわけではない。そういう意味ではアラタが話した1万年前にブラジラの周りにいた人々と変わりはない。
しかし、それでも望はアラタ達の良い部分や悪い部分は関係無く、天使であることもどうでもよく、嬉しかったことや嫌な想いをしたことも超越して、ただ一点、人々を守るためにがむしゃらに頑張る姿に胸打たれて応援したいと思ったのです。
では、そういう点、望は特別なのかというと、そんなことはない。キングビービの事件の時、アラタ達を憎悪していた世界中の人々が望と同じようにただ一点、アラタ達のがむしゃらに人々のために戦う姿を認めてくれた。だから、みんな同じなのだと望は言いました。
あの時、自分も含めて世界中の人達はみんな、ゴセイジャーの存在を知って喜んだり腹を立てたり怖がったり、いろいろ面倒くさい感情を撒き散らしたり、迷惑をかけたりかけられたり色々あったけれども、それでもみんな最終的には星を護って懸命に戦うゴセイジャーのことを認めて応援していた。だからアラタ達には世界中のみんながついているからブラジラみたいにはならないので、もう人々の記憶は消さなくても大丈夫だと思うと望は言いました。

その望の言葉をアラタ達は呆然と聞いていました。アラタ達はあの時、望の説得で世界中の人達がギングビービの術から目が覚めただけだと思っていたのですが、望の言うにはそうではなく、世界中の人々が愛憎を乗り越えて自分達を認め応援してくれたから自分達は勝利できたのだというのです。
人々の愛憎に翻弄されて護星天使が堕落するのを恐れて人々の記憶から自分達の存在を消すというのが護星天使の掟でした。その掟を忠実に実行して人々の愛憎のエスカレートを恐れて人々の記憶を消してきた自分達を、人々は愛憎を乗り越えた信頼で救ってくれたのだという。そんなことが有り得るのだろうかとアラタ達は戸惑いました。
そのアラタ達に向かって健太が、1万年前とは違うということだと声をかけます。そして健太は、自分も昔、人々に正体を隠して戦っていたのだと告白しました。大変だったし辛いこともあったけど、自分達が正体を隠して戦うことが周囲の人達に一番迷惑をかけない方法だと言われてそうしていた。でも結局周りにはいろいろ迷惑をかけたし、自分もしんどかった。それでも地球や世界、いややっぱり周囲のクラスメートや家族、近所の人達を守りたくて大変だったけど戦った。
そして最終的には正体がバレてしまって、周囲の仲間達が傷ついたり、自分達も学校を追い出されたり、結局正体がバレても散々なことしかなかった。正体を隠していても正体を明かしていても、戦っている限り、どっちにしても迷惑をかけたりかけられたりして、嫌われたりして面倒なことになる。でも正体を隠してた時もバレた後も、どんな時でも関係無く、自分達はみんなを守るためにがむしゃらに頑張ってたので、最後はみんなそれを認めてくれて声援を送ってくれた。
振り返ってみれば、その声援を受けて戦った時が一番今までにない大きなパワーが出たのだと健太は言い、強大な力を持った戦士と人々の間には確かにいろいろ面倒なことは起きるが、それでも人々は戦士がみんなを守るために一途に頑張っていれば認めてくれる、そしてその人々の声援を受けて戦う時に戦士は最も大きなパワーを発揮する、今はそういう時代なんだとアラタ達に向かって教え諭すように言うのでした。

その健太の話を聞いて、明石はそれが1万年前とは違う、現代、つまりスーパー戦隊の存在する時代というものなのかもしれないと思いました。ゴレンジャーから始まるスーパー戦隊の存在する時代の中で地球の人々は愛憎を超えて戦士たちのひたむきな姿勢を認めて応援するようになった。だからメガレンジャーに対しても人々は声援を送り、その声援はメガレンジャーの大きな力を引き出した。
あるいは、あの5年前のクロノスとの戦いの時に引き出された30戦隊の巨大なパワーとは、そうしたスーパー戦隊に対する人々の声援によって引き出されたパワーであったのかもしれない。明石はなんとなくそう思いました。

一方で健太はアラタ達に笑いかけながら、お前らも一度人々の声援を受けて戦ってみれば分かると言い、声援は直接受けていなくてもキングビービとの戦いでは人々がゴセイジャーを信頼する力で勝ったようなものなのだから、その時点でもうゴセイジャーは1万年前の亡霊は乗り越えているはずだとも指摘しました。
キングビービは1万年前に人々の愛憎に翻弄されて堕天使となったブラジラの怨念そのものであり、ゴセイジャーは人々の愛憎を乗り越えたゴセイジャーへの信頼の力でキングビービを打ち破った。それはつまり、1万年前にブラジラと当時の人々が越えられなかった壁を、ゴセイジャーと現代の人々は乗り越えたということです。だからゴセイジャーはもう1万年前の掟に縛られる必要は無いんだと健太は力強く言いました。
そして更に健太は、本当はお前らもずっと1万年前の掟を乗り越えようとしてきたんじゃないのかと指摘しました。だからこそ望の記憶を消そうとはしなかった。護星天使の存在を受け止めて信頼してくれる人間の可能性を信じたい、そうした人間と力を合わせて戦っていきたい、そのように心の奥底で思っていたから、望を信頼しようとしたのだろうと健太は言いました。
また、侵略者と戦う時以外は人間世界に深入りしないのが護星天使の原則であるはずなのに、どうしてゴセイジャーの5人は戦いの後も人間社会に居残ってカフェの店員や保健の先生などをやっていたのかというと、それもやはり1万年前の掟を乗り越え得る地上の人々の可能性を探りたかったからだろう。
ゴセイジャーの面々にそうした1万年前の掟を懐疑して人々との新たな関係性を模索する傾向があったからこそ、キングビービとの戦いの時、その成果が花開き、1万年前の亡霊ブラジラの呪いを乗り越えることが出来たはずだと健太は熱く語り、7月のキングビービとの戦いに勝利した時、ゴセイジャーは1万年前の掟を卒業して、今までとは違う新しい護星天使になったのだとアラタ達に諭しました。
その新しい護星天使はもはや1万年前の掟に縛られて人々の記憶を消す必要は無い。アラタたちゴセイジャーは7月に古い掟に縛られた護星天使を卒業して、称賛も悪意も超越した人々の声援を力に変えて戦う新しい護星天使となったのであり、それこそがスーパー戦隊なのだと健太はアラタ達に熱く語りました。
そして、お前らは立派な護星天使で、立派なスーパー戦隊なんだから、誰にも遠慮せず堂々と世界中の人達の記憶を元に戻して、俺たちと一緒に堂々と戦えばいいんだと健太は言いました。そして人々を苦しめるザンギャックの奴らをぶちのめして地球から追い払い、殺された人達の仇を討とうという健太の熱い言葉を受けて、アラタ達は熱いものが胸を込み上げてきて、涙の溢れ出る両眼をキッと上げて、改めて護星天使としての、そしてスーパー戦隊としての使命感を燃え上がらせながら、健太と明石に向かって、是非一緒に自分達もザンギャックと戦わせてほしいと力強く申し入れたのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:17 | Comment(2) | 海賊戦隊ゴーカイジャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
江戸川総司令死んじゃったorz
他の戦隊の司令官はどうなったんでしょう?
Posted by at 2012年11月29日 15:59
ゴーカイジャーの公式本で第2話に出てきた少年の初期設定案が
レジェンド大戦で亡くなった江戸川総司令の孫であったというのが
書いてあったのでその設定を拝借して
更に鎧がどうしてゴーカイシルバーに選ばれたのかという謎解きも絡めて
過去のエピソードを妄想してみました
Posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 2012年11月30日 00:00
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