2013年02月28日

ヒロイン画像その2

さて変身ヒーロードラマといえば1966年以降は「ウルトラマン」が代名詞のような存在となり、変身ヒーロードラマのヒロインとしてはフジ隊員やアンヌ隊員のようなグラマラスでクールビューティーなウルトラヒロインがその最先端というような感じとなっていました。しかし当のウルトラシリーズは1967年の「ウルトラセブン」以降作られなくなってしまいました。お茶の間の人気は高かったのですが、もともと目標としていた海外展開が上手くいかなかったので資金的に行き詰ってしまったのが大きな理由でした。

そうこうしている間に1960年代の終わり頃にお茶の間の人気を博していったのは青春ドラマでした。特にその中でもスポーツを題材としたいわゆる「スポ根もの」がブームとなり、お茶の間は、テレビのヒーロードラマにもより深い情念のぶつかり合いや生々しい肉体のぶつかり合いを望むようになりました。
そうなるとウルトラマンシリーズには弱点が生まれてきます。まずウルトラマンと怪獣の戦いがあまりに人間離れしすぎていて生々しさに欠けることです。そしてウルトラマンの正体を本人以外が知らないため、人間ドラマを描きにくいという点でした。特にヒロインのフジ隊員やアンヌ隊員も結局は主人公の正体を知らないまま(アンヌは最後には知るのだが)というのは、やはり人間ドラマとしては寂しいといえます。これがやはりウルトラヒロインの大きな限界であったといえます。

0024.jpgこうしたウルトラシリーズの限界を超える新たなヒーロー像を打ち立てたのが1971年に始まった「仮面ライダー」でした。これはもともと東映テレビ事業部がスポ根青春ドラマ「柔道一直線」を作る際にアクション面で協力関係を築いた大野剣友会というチャンバラ時代劇映画が廃れてきてテレビの仕事をするようになってきていたスタント集団と組んで、当時人気だった「タイガーマスク」のような「悪の組織から逃走した仮面をかぶった正義のヒーローの活躍するアクションドラマ」を作ろうとして、そこに当時「サイボーグ009」をライフワークとしていた漫画家の石ノ森章太郎が企画に加わって、「サイボーグ009」に「仮面のヒーロー」という要素を加えた「悪の組織に改造人間とされた仮面のヒーローが逃走して悪の組織と戦う変身ヒーロードラマ」という設定となり、誕生したものです。
もともとは東映が大野剣友会と組んで痛快アクション娯楽作品を作ろうとしていたわけですが、そこに石ノ森が加わることによって、深いドラマ性が付与されることになったといえます。この娯楽性とドラマ性というのは「仮面ライダー」という作品の共に重要な魅力だったのですが、同時にこの2つの特性は互いにぶつかり合うという宿命もあり、昭和の仮面ライダーシリーズの歴史はその相克の歴史そのものと言ってもいいでしょう。




0025.jpgまず「仮面ライダー」の開始当初は石ノ森のドラマ性が勝っており、悪の組織ショッカーによって改造されて普通の人間の身体を奪われて心に傷を負った主人公の本郷猛が悩み苦しみながら戦うというような重厚な物語が展開されました。ここで登場するヒロインが緑川ルリ子です。
ショッカーに利用されて教え子である本郷を改造したのが恩師の緑川博士ですが、その娘がルリ子です。緑川博士は自責の念にかられてショッカーを裏切って脳改造前の本郷を連れてショッカーを脱走して追手に殺されるのですが、この殺害現場を目撃したルリ子はそこに居合わせた本郷が父親を殺した犯人だと思い込み、本郷を憎みます。本郷は改造された身体やショッカーの粛清の魔の手という悲惨な現実と共に、このルリ子の誤解とも戦わねばならず、非常に苦悩することとなります。
結局ルリ子は第3話で本郷の正体を知り、本郷が父を殺したのではなく、むしろ父が本郷を酷い目にあわせていたことを知ります。同時に父が本郷を救ったのであり、父の仇がショッカーだということも知ります。そこでルリ子は本郷の正体やその過酷な運命を知りながら、父の罪滅ぼしと同時に父の遺志を継ぐ形で本郷を受け入れて、本郷に協力して戦うことを決意するのです。


0026.jpgこうして全く新しいヒロイン像が生まれました。「主人公変身ヒーローの異形の正体を知りながら、運命的なパートナーとして彼を受け入れて戦いに協力する普通の女性」というヒロイン像です。「異形の者とのパートナーシップ」という意味では「サイボーグ009」のフランソワーズ・アルヌールと似ていますが、フランソワーズの場合は自分自身が生身の部分は最も多いとはいえサイボーグであり異形の者であるには違いない。それに対してルリ子は完全に普通の人間であり、か弱い一般人の女性です。
もちろんルリ子はウルトラヒロインのように戦士としての訓練を受けているわけではない、むしろ旧来の被害者タイプや助手タイプのヒロインに似ているのですが、0027.jpgそういうか弱さがあるからこそ、異形のヒーローをパートナーとして受け入れ共に戦うという彼女の決断はフランソワーズよりも、ウルトラヒロインよりも更に重いものとなるのです。そしてその強いパートナーシップは人間ではなくなった者に対する禁断の愛情へと変化していきます。それは恋愛感情とハッキリ言えるようなものでもなく、あまりに運命的で重い関係であるゆえにルリ子と本郷が最終的に結ばれることもないのですが。

まぁ原作の石ノ森章太郎はそういうヒロインを描きたかったのでしょう。石ノ森は少年向けヒーローを多く生み出した人だから痛快な作風なのだろうと思う人もいるようですが、実際のところはかなり繊細な作風の人で、少女マンガも手掛けており女性キャラの描写も巧みな漫画家でした。その作風はもっぱら異形の登場人物を通して人間の本質に迫ろうというものが多く、女性キャラの多くは異形の登場人物を受け止める包容力のある優しげなヒロインが多い。「仮面ライダー」はそうした石ノ森の典型的な作風の作品であり、緑川ルリ子は石ノ森ヒロインの実写化だったのです。


0028.jpgこの緑川ルリ子が「ライダーヒロイン」の祖形となるのですが、ルリ子は「仮面ライダー」という作品の路線変更によって序盤13話で姿を消してしまいます。きっかけは本郷役の藤岡弘が撮影中のバイク事故で大怪我を負って降板してしまい、急遽、佐々木剛を2号ライダー一文字隼人役として2号ライダー篇が始まったことでした。序盤13話はドラマが重厚すぎて子供人気はイマイチだったので、もともとは痛快娯楽アクションを作りたかった東映や大野剣友会はここでテコ入れして作風を明るいものとして、変身ポーズの導入などアクション面を充実させ、一文字のキャラも本郷に比べて陽性のものとし、その周囲の人間関係も明るく賑やかなものにしていったのでした。
そうなると本郷とルリ子のようなシリアスな男女の関係などは邪魔となり、設定上ヨーロッパのショッカーを倒すために日本を旅立ったとされた本郷を追ってルリ子も日本を離れたということにして降板させ、代わりに「ライダーガールズ」という、ライダーの戦いをサポートする明るい女の子たちが登場することになります。

0029.jpgこのライダーガールズというのは基本的に助手ヒロインのタイプであって、一文字がライダーであるということは知りません。ただ仮面ライダーがショッカーと戦っているということは知っており、彼女たちは一文字をそのライダーの戦いを支援している勇気ある一般人だと認識しています。その一文字とその同志である滝和也や立花藤兵衛のアシスタント的なヒロインがライダーガールズなのです。
ヒーローの正体を知らないでその本人と共闘しているという点ではウルトラヒロインと似ていますが、ウルトラヒロインほどプロ戦士でもなく、一文字が一種のショッカー専門の私立探偵のようなものだとすれば、彼女らは探偵助手タイプのヒロインに近いといえます。ルリ子も戦いへの参加の仕方だけ見ればライダーガールズと同じようなものですが、大きく違う点はライダーの正体を知っているか知っていないか、そして、ライダーと運命的な繋がりがあるのかどうかという点だといえます。
ライダーガールズにはルリ子のようなライダーとの濃厚な関係が無いので、ドラマは非常にあっさりしたものとなり、ライダーガールズは単なる番組の華的な存在となり、その方が軽快なアクション重視の2号ライダー篇には合っていたのでした。更にこのライダーガールズから派生して少年仮面ライダー隊まで結成されるようになり、ますます子供向けにウケる要素が増幅していきます。そうして、この2号ライダー篇から仮面ライダーブームが起こり、その人気は社会現象とまでなっていきます。
そして怪我が癒えた藤岡が復帰して本郷猛の新1号ライダー篇となってからも2号ライダー篇の路線は維持され、逆に南米に去ったとされた一文字ライダーも時々帰国して登場するダブルライダー篇なども随所に盛り込み、ライダー人気はますます盛り上がっていったのでした。その一方で初期の1号ライダー篇の石ノ森テイストや緑川ルリ子のようなライダーヒロインの存在は、まるで無かったことのようにされていったのですが、この後、仮面ライダーがシリーズ化されることとなり、新たなライダーが登場するたびに石ノ森テイストは甦ることになるのです。
何故なら仮面ライダーという存在があまりにも有名になりすぎたために「仮面ライダーは改造人間である」という基本設定は不変のものとなってしまい、新たなライダーが登場するたびに、彼が改造人間となってしまうに至る重いドラマを描かないわけにはいかなくなり、序盤はどうしても重厚な人間ドラマが展開されるようになったからです。そうなると、そこに見合った、主人公と濃厚な運命的関係を持つ、緑川ルリ子のようなライダーヒロインを登場させねばならなくなります。

0030.JPGただルリ子の場合、あまりに本郷との関係が濃密であったために路線変更に対応出来ず、途中で降板させるしかなくなってしまいました。そこで1973年に放映された次作「仮面ライダーV3」では、悪の組織デストロンに襲われていたところを主人公の風見志郎に助けられ、そのせいで報復で風見の家族がデストロンに殺され、風見が改造人間になってしまうきっかけを作ってしまう女性として珠純子というヒロインが登場します。
この純子は自分のせいで風見が家族をデストロンに殺されて、復讐のためにデストロンに戦いを挑んでいることを知り、罪の意識から風見の戦いをサポートするために仲間になります。そうして共に戦ううちに風見に好意を抱いていくのです。但し、純子は風見を「仮面ライダーV3という謎のヒーローに協力して戦う一般人」と認識しており、風見と運命的な濃厚な関係は持ちながらも、ルリ子ほど深く主人公の内面に踏み込んではいません。
つまり純子は、ルリ子とライダーガールズの中間的なポジションのヒロインなのだといえます。そして風見は純子の好意に気付きつつも、自分は改造人間だという負い目から、純子に冷たい態度をとって遠ざけようとしますが、純子は自分が風見の不幸の原因を作った女だから避けられていると思い苦悩するという、人間ドラマとしてかなり上手く出来ています。この微妙な関係を維持して純子は「V3」が何度も路線変更を重ねた中でも最後まで降板することなくヒロインとして登場し続けたのでした。

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この「仮面ライダーV3」は結果としては前作「仮面ライダー」に劣らない人気を得ましたが、それは前作のようなぶっちぎりの独走ではなく、強力な競争相手とのデッドヒートを維持するために何度も路線変更を繰り返した苦闘の賜物でした。その強力な競争相手とは、仮面ライダーのもたらした「変身ヒーロー」というインパクトを更に発展させたロボットアニメでした。
0034.jpg時代順に追えば、まずウルトラマンは宇宙人が人間の身体を借りているだけで、その意識は実際は人間ではないわけです。それに比べて仮面ライダーは人間が改造された存在であり、身体は人間ではなくなっていますが、意識は人間なのです。だから視聴者から見れば、ウルトラマンよりも仮面ライダーの方が身近な存在だと感じられるのです。ところが、その仮面ライダーの「変身」を更に改良して、生身の人間が機械の身体に改造されるのではなく、機械の身体の中に入り込んで機械の装甲を纏った生身の人間が戦うというスタイルを提示したのが1972年末から放映された「マジンガーZ」だったのでした。
マジンガーZは確かに人間ではなく巨大ロボットですが、それまでの巨大ロボットが遠隔操作型あるいは自律型だったのに対して、マジンガーZは初めて搭乗型というスタイルを提示しました。こうなるとロボットの操縦者である生身の人間は戦いの傍観者ではなく当事者ということになります。分厚い鉄の装甲を纏った普通の生身の人間が改造人間でもないのに巨大な化け物相手に戦うわけで、生身の主人公である兜甲児がマジンガーZに乗り込んで、マジンガーZが甲児の分身のように動き出す瞬間は、まさに一種の「変身」シーンと言っていいでしょう。
ヒーローが改造人間と生身の人間のどちらの場合が視聴者は身近に感じるかといえば、それは当然、生身の人間の方であり、「マジンガーZ」の方が有利です。「仮面ライダーV3」はこういう強力なライバルと戦っていたわけで、そう考えると、かなり善戦した方だといえます。
0035.jpgしかし1974年になると、この「マジンガーZ」を超える強力なロボットアニメ「ゲッターロボ」が登場してきます。ゲッターロボの場合は基本的にはマジンガーZと同じ搭乗型巨大ロボットでありながら、更に集団ヒーロー制を導入して、3台のマシンが合体して1つの巨大ロボットになるという画期的設定を作りました。しかも、その組み合わせパターンを変えることで巨大ロボット自体が3つのフォームチェンジを行い、巨大ロボット自体が「変身」をするという物凄い設定で、これはもうライダーシリーズは子供人気では拮抗するのが難しくなってきました。
「マジンガーZ」はその続編にあたる「グレートマジンガー」「UFOロボ・グレンダイザー」まで合わせて1977年春まで続き、「ゲッターロボ」の方もその続編にあたる「ゲッターロボG」も含めて1976年春まで続き、これら永井豪原作のスーパーロボットアニメ作品は1976年に「コン・バトラーV」という画期的作品が登場するまでは文句無しで男児の一番人気の巨大ロボットヒーロー番組の座に君臨し続けることになったのであり、仮面ライダーやゴレンジャー、ジャッカー電撃隊など等身大特撮ヒーロー番組にとって恐るべき最強の競争相手となるのです。

0036.jpgこの「マジンガーZ」や「ゲッターロボ」にもヒロインは存在していました。「マジンガーZ」においては主人公であるマジンガーZのパイロット兜甲児のガールフレンドの弓さやか、「ゲッターロボ」においてはゲッターロボを操縦する流竜馬たち3人の学園のマドンナの早乙女ミチルというヒロインが登場します。
この2人のヒロインは共に主人公サイドの防衛チームの責任者の娘であり、自らも支援ロボや支援メカを操縦して戦場に出向き、主人公ヒーローたちの戦いをサポートするのが特徴です。このように弓さやかや早乙女ミチルのようなスーパーロボットアニメヒロインというのは、一見、ウルトラヒロインによく似ています。
つまり主人公たちをサポートする戦士チームの1人という位置づけです。決して助手や被害者キャラではなく、ちゃんとマシンや武器も扱うプロ戦士として登場します。ただ、主人公たちと対等な戦士ではなく、あくまで支援要員扱いです。ヒロインは主人公と対等な同僚でありながら、そのサポート役となります。

つまり、スーパーロボットアニメの物語世界の戦士たちというのは、ウルトラマンの怪獣対策チームがウルトラマンという超人宇宙人の力を借りることなく人間の作った自前の装備で怪獣を退治出来るようになったようなもので、ヒロインはその中での支援要員という位置づけなのです。
0037.jpgしかしそうなると同じ支援要員といってもスーパーロボットアニメのヒロイン達はウルトラヒロインとは状況が違ってきます。主人公の正体を知らないウルトラヒロインとは違い、スーパーロボットアニメのヒロインは主人公である自分のボーイフレンドが1人の人間として強大な敵と戦っているという事実を常に直視しているわけで、ウルトラヒロインよりも主人公との距離は近く、精神的パートナーとして互いに必要とし合う間柄となり、両者間の人間ドラマは深くなるのです。
まぁ、といってもゲッターロボの方は主役ロボを操縦する3人の主人公が同格に描かれているので、ヒロインのミチルも特定の1人の精神的パートナーという描かれ方はしておらず、むしろ3人を温かく見守る母親的スタンスとなっているので、主人公ヒーローとの精神的パートナーシップがより鮮明に描かれているのはマジンガーシリーズの方だといえるでしょう。
主人公の戦いを理解した上での精神的なパートナーといえばライダーヒロインも同様の狙いをもって描かれているヒロインですが、やはりこのロボットアニメヒロインの方が主人公の戦いを理解しているだけではなく、共に戦場で命を賭けている分、その絆は強いし、ライダーヒロインの方が結局はヒロインの戦いに参加する場面を上手く描くことが出来ずにパートナーシップを描くことに失敗することが多いのに比べれば、いつも戦いの場面の中で容易にパートナーシップを描くことが出来るという絶対的な強みもあります。
つまり、ロボットアニメのヒロインというのは、ウルトラヒロインをベースにしながら、ウルトラヒロインの弱点であった「主人公の正体を知らないために主人公との人間ドラマが浅い」という点を克服し、なおかつライダーヒロインの弱点であった「主人公の戦いの場からどうしても除外されがち」という点も克服した存在なのだといえます。

0038.jpg「ゲッターロボ」の場合は続編の「ゲッターロボG」になっても主人公チームはロボやメカが新しくなるだけであってメンバーはほぼ同じなので、ヒロインの早乙女ミチルも続編の「ゲッターロボG」にも続けて登場してヒロインを務めました。
一方「マジンガーZ」の場合は続編の「グレートマジンガー」になると主人公チームのメンバーが入れ替わりますので、ヒロインの弓さやかは兜甲児と共に渡米したということにして退場して、代わって炎ジュンというヒロインが登場します。ジュンの場合は指揮官の娘というようなお嬢様キャラではなく、黒人とのハーフの孤児という設定で、ちょっと不良っぽい肉食系ギャルという点はさやかとはだいぶ違いますが、チーム内での役割としては支援ロボの操縦や主人公で同じく孤児である剣鉄也の精神的パートナーである点などはさやかと同じです。







0039.jpgそして、その次の作品である「グレンダイザー」は主人公の亡国の異星の王子であるデューク・フリードが最初は戦うことを躊躇っていたり自分の正体を隠していたりした設定のために、ヒロインの牧葉ひかるもまた最初からすんなりと防衛チームの一員という設定ではなく、デューク・フリードの働く牧場の娘であり、彼に片思いする女の子というキャラだったが、結局物語後半から支援マシンの操縦者となり、デューク・フリードの精神的パートナーとなります。
ただ、この作品の場合は極めて人間関係がシンプルだった前2作と違ってちょっと複雑な人間関係になっていて、「マジンガーZ」の主役だった兜甲児が副主人公として配置されており、甲児もまた支援マシンを操縦してデューク・フリードをサポートします。そうなると、前2作ではそれぞれ甲児とさやか、鉄也とジュンのパートナーシップが明確で分かりやすかったのが、この作品ではデューク・フリードとひかる、デューク・フリードと甲児、ひかると甲児のそれぞれのパートナーシップが入り乱れる形になって、どうも整理がつかなくなってきました。
特に後半になってひかるが支援マシンの操縦者となって甲児と役割が重なってくるようになるといっそう整理がつかなくなる恐れが生じ、そこでその対策として、デューク・フリードの生き別れの妹で亡国のお姫様のグレース・マリア・フリードを登場させて防衛チームに加入させて新型の支援マシンの操縦者とし、このマリアが甲児の精神的パートナーの役割を担うことで、デューク・フリードとひかるのパートナーシップを明確にしました。

0040.jpgこのひかるや甲児やマリアの乗る3機の支援マシンというのが、シリーズ前2作の支援ロボがあくまで単体の支援ロボであったのとは違い、主役ロボのグレンダイザーに合体出来るという仕様となっており、「ゲッターロボ」的な要素が採り入れられています。これは物語前半ちょっと話がゴチャゴチャして人気が出なかったので後半にテコ入れした要素であり、そのお蔭でひかるも支援マシンのパイロットになることが出来たといえますし、マリアの登場もこのテコ入れのお蔭ということになります。
そして、ここで注目すべきことは、支援マシンが主役ロボと合体するということは、「ゲッターロボ」における隼人や武蔵のようにひかるやマリアという女性キャラが最も危険な最前線の戦いに主役のデューク・フリードと全く対等に参加するということであり、それは弓さやかや炎ジュンも経験したことのないほどの苛酷な戦いであるということです。
そのような設定を採用した背景には、おそらく同時期に放映していた「コン・バトラーV」において南原ちずるというヒロインが他の男性メンバーと全く対等に主役ロボの操縦者として戦って大人気キャラとなっていたので、その要素を取り入れたのだと想像できます。

これで物語後半においては主役デューク・フリードとヒロインの牧葉ひかるのパートナーシップもしっかり描かれるはずと思いきや、グレンダイザーと合体する支援マシンは3機のうちの1機であって、局面に応じて使い分ける設定であったので毎回ひかるのマシンが合体するわけではなく、やはり副主人公の甲児のマシンの合体回数が一番多く、結局はデューク・フリードとひかるのパートナーシップはあまり深く描ききれませんでした。
この後半のテコ入れ後の展開自体は面白くて作品の人気も回復したのですが、やはり前半ゴチャゴチャした影響は残り、前2作のヒロインである弓さやかと炎ジュンに比べると、牧葉ひかるやグレース・マリア・フリードの印象は薄めです。
ただ、マリア登場後のダブルヒロイン体制は良い感じの人間模様になり、スーパー戦隊シリーズに先駆けてヒーロードラマにおける初のダブルヒロイン体制を実現した意義は小さくはない。しかし、この「グレンダイザー」のダブルヒロイン体制は、あくまでデューク・フリードと兜甲児という主役級キャラが2人存在する変則的体制において、主役とヒロインのパートナーシップを描くというシリーズの伝統に沿うための苦肉の策として、2人の主役級キャラにそれぞれ1人ずつ対応するヒロインを配した結果に過ぎず、後のスーパー戦隊シリーズにおけるダブルヒロイン制とは根本的な発想からして異なる、全くの別物であるといえます。

0041.jpg結局、1977年春、この「グレンダイザー」が終わって永井豪原作のスーパーロボットアニメシリーズも終わりを告げ、ロボットアニメは「コン・バトラーV」から始まる長浜ロマンロボシリーズを経てリアルロボットアニメの方向に進んでいくことになるのですが、「仮面ライダーV3」が苦闘していた頃である1973年頃はまだシリーズ1作目の「マジンガーZ」が破竹の勢いの頃であり、こうした強力なロボットアニメに対抗しなければならないライダーシリーズは大変でした。「仮面ライダーV3」終了後の1974年は「仮面ライダーX」ということになりますが、ここではやはり恒例の序盤の重い展開をロボットアニメの痛快路線との差別化を図る意味でサスペンスタッチにして、ここで水城涼子と水城霧子という2人の双子の姉妹のヒロインを登場させます。
これはやはり主人公と運命的なパートナーであるというライダーヒロインの系譜のヒロインなのですが、更に捻りが効いていて、主人公の婚約者でありながら主人公を裏切り、しかもその瓜二つの女まで登場するという、かなり視聴者を惑わせる謎の女として描かれています。しかし、これは子供には難しすぎたようで、あまり人気が出なかったので早々に路線変更が図られて涼子と霧子は8話で死亡して退場し、その後は娯楽色を強めた路線となりました。


0042.jpgここで「X」にもマコとチコというライダーガール的なキャラが出てきますが、この女の子たちは主人公の神敬介がXライダーだということを知っていながら協力しています。ただ、だからといって緑川ルリ子のように運命的パートナーとして協力しているというわけではなく、あくまでマスコット的なライダーガールのスタンスです。
これは、単にいちいちライダーの正体を周囲に秘密にする描写が不要になってきたということなのでしょう。それはライバルであるロボットアニメにはそんな描写は無く、ストレートにヒーローはヒーローとして振る舞っていたからであって、「X」でもそれに対抗する意識があったということなのでしょう。











0043.JPGしかし、そんなことをしたりもしましたが、やはり「X」は新たに始まった超強力ロボットアニメの「ゲッターロボ」には勝てずに人気は上がらず、「X」は1年もたずに終了してしまいました。そうして1974年10月から「仮面ライダーアマゾン」が始まるのですが、ここではもはや娯楽路線ではロボットアニメと勝負することは難しいと判断され、原点回帰で突破口を開くことが図られ、初代1号ライダーの序盤の怪奇路線、重厚路線で制作されることとなりました。
そこで主人公の異形性が再び強調され、主人公を野生児とするという思いきった設定とし、ヒロインは緑川ルリ子と同じ「主人公の異形性を認識しつつ、それを受け入れて協力する運命的パートナー」という典型的ライダーヒロインの岡村りつ子という女性が登場します。
これは主人公のアマゾンが子供のような心の持ち主であるために、本郷とルリ子のようにその関係性が子供に理解出来ないような領域にまで深まることはなく、妙にちょうどいいところで落ち着いており、りつ子はルリ子のように途中降板ということにはならず、最後まで出続けました。
ただ、この「アマゾン」という作品自体が出来は悪くなかったものの、明らかに当時のトレンドから外れた作風であったため人気は高まらず、1975年4月のネットチェンジを機会に半年で打ち切りになってしまったのでした。

そうして1975年4月のネットチェンジによって「仮面ライダーアマゾン」の後番組として「ゴレンジャー」が誕生して戦隊ヒロインというものが生まれることになるのですが、このように、それ以前の戦うヒロインの主要なタイプというのはライダーヒロインとロボットアニメヒロインということになります。しかし、そうしたヒロインのメインストリームとは別に、1971年4月の仮面ライダーという「変身ヒーロー」の登場以降、「変身ヒロイン」というものの系譜が生じてきていました。

0044.jpgまず特筆すべきは、1971年10月開始の「好き!すき!!魔女先生」における月ひかるというヒロインです。この作品の主役は他の男性ヒーローではなく、月ひかるがれっきとした主役です。ただ、この作品はもともとは変身ヒーロードラマではなく、エブリデイマジック形式のシチュエーションコメディでした。
つまり日常生活に不思議な者が舞い込んできて様々な騒動を繰り広げるご近所コメディで、日本のテレビにおけるその始まりは1965年のTVアニメ「オバケのQ太郎」ですが、このエブリデイマジックの日本における一大ジャンルである「魔法少女もの」の展開には、もともとは1964年にアメリカでヒットしたTVドラマ「奥さまは魔女」や映画「メリー・ポピンズ」がヒントとなっています。
「奥さまは魔女」をヒントに作られたのが1966年のTVアニメ「魔法使いサリー」で、「メリー・ポピンズ」をヒントに作られたのが1967年の実写TVドラマ「コメットさん」でした。「サリー」から始まる魔法少女アニメはその後、毎年新作が作られて0045.jpgいましたが、「コメットさん」のような実写版の魔法少女ドラマはそれ以降途絶えており、東映が「コメットさん」の路線を引き継いで実写版のエブリデイマジック作品を作ろうとしたのが「好き!すき!!魔女先生」でした。

その主人公の月ひかるはアンドロメダ星雲からやって来た宇宙の平和監視員で、地球の小学校の先生をやりながら得意の魔法で子供たちのトラブル解決をするというお話なのですが、この月先生が番組後半にはA級監視員に昇格したので変身能力を得て、アンドロ仮面という仮面のヒロインに変身して悪い怪人たちと戦うようになります。前半の設定だけでも当時としてはかなりぶっ飛んでいたのですが、後半はもう斬新すぎて呆気にとられるような内容で、しかしこれが大人気だったのでした。
しかし後半になってどうしてそんなことになったのかというと、ちょうど仮面ライダーブームが凄く盛り上がっていた時期で、その影響を受けたと考えるしかないでしょう。この月ひかるのアンドロ仮面こそがサファイアのような「変装」ではなく本物の「変身」をするという意味では日本における「変身して怪人と戦うヒロイン」の第1号であり、しかも男性ヒーローとチームですらない単独ヒロインです。あまりにも斬新で、斬新すぎたせいなのか、この後、長らく同種のヒロインは登場しませんでした。
しかし、この作品は初の変身ヒロイン作品であると同時に、東映が初めて手掛けた実写版のエブリデイマジック作品でもあり、後の不思議コメディーシリーズの祖にあたる作品です。この東映の実写エブリデイマジック作品の路線はこの後しばらくは変身ヒーローブームの中で忘れられますが、1974年に「がんばれ!!ロボコン」という名作が生ま0046.jpgれて復活します。この「ロボコン」ではロビンちゃんという有名なロリータヒロインも誕生しますが、そこで「人間とは違う変なヤツが子供をはじめとしてご近所の人達とドタバタ騒動を繰り広げる」というパターンが確立され、その変なヤツがロボットであったり魔女であったりしてパターンを変えて、主に子供たちをメインとした作劇をして毎年コンスタントに作品を作り続け、1981年の「不思議コメディーシリーズ」の開始へと繋がっていくのです。
そしてその不思議コメディーシリーズにおいて1980年代末になって、ようやくこのアンドロ仮面の系譜を引くポワトリンのような変身ヒロインが復活し、それが後に「美少女戦士セーラームーン」に繋がっていくのですから、実はアンドロ仮面こと月ひかるはヒロイン史においてはとても重要な存在だといえます。

しかし、あまりに斬新であったので、影響は後世になってから表れたようで、初期の戦隊シリーズのヒロインにはほとんど影響は与えておらず、当時は月ひかるという変身ヒロインが他のヒロインの在り方に影響を与0047.jpgえて変身ヒロインが増えたというような感じではありません。
そもそも「変身して戦うヒロイン」の元祖であるというインパクトの大きさによって忘れられがちですが、月ひかるとポワトリンのような後の美少女ヒロインとは根本的にキャラが違います。「好き!すき!!魔女先生」は原作は石ノ森章太郎の「千の目先生」という漫画であり、ストーリーは原作の面影が全く無いほど改変されていますが、それでも主人公の月ひかるのキャラは一応は石ノ森テイストが残っており、石ノ森ヒロインの典型である慈母型ヒロインです。しかしポワトリンなどは慈母ヒロインではない。
一応ポワトリンをはじめ「不思議コメディーシリーズ」も原作は石ノ森章太郎なのですが、これはもうほとんどクレジットだけの名義貸し状態で、実質的には浦沢義雄シリーズと言って過言ではない。だからこのシリーズにおけるポワトリ0048.jpgンなどの美少女ヒロインのキャラには石ノ森テイストの慈母的な要素はありません。
むしろポワトリンなどには既存の魔法少女アニメや戦隊ヒロインの影響が多く見られ、その戦隊ヒロインのキャラには月ひかるはあまり影響を及ぼしてはいません。当時の戦隊ヒロインに影響を及ぼしていたのはむしろサファイアからシモーヌの系譜のキャラであったといえます。また魔法少女アニメは月ひかるから影響を受けておらず、むしろ月ひかるが石ノ森ヒロインに魔法少女アニメの影響を加えて出来上がったキャラといえます。そこに更に仮面ライダーブームの影響で単独変身ヒーローの要素を加えてアンドロ仮面としての月ひかるというキャラが出来上がったのであり、かなり特異なヒロインといえます。
だから一見同じエブリデイマジック作品の系譜上でポワトリンなどが登場したので月ひかるからの系譜のように見えますが、実際は月ひかるというヒロインはその特異性ゆえに孤高の存在であり、あまり後世に目立った影響は与えていないと思われます。ましてや同時代においてはなおさら何も他に影響は与えていなかったと思います。


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0051.jpgいや、何も影響を与えなかったということはないでしょう。1つだけ、月ひかる=アンドロ仮面が同時代のヒロインに強烈に影響を与えたことがあるとすれば、それは「戦闘時のコスチュームがミニスカート」という点でしょう。そう考えるとこれは結構後世に多大な影響を与えているようにも思えてきます。
もともと特撮ヒーロードラマを大人も対象にして作っていたアメリカなどではヒーロードラマや映画に登場するヒロインの服装は大人の男性視聴者の目も意識して、結構セクシーなものでした。しかし特撮ヒーロードラマを子供向けの物だと割り切って作っていた日本の場合は、そういう余計なことを考える必要が無かったため、ヒロインの服装を決める際には普通に機能的、合理的な視点のみで考えていました。
一般人ヒロインならば、子供向け番組に相応しいような清楚で大人しい普通の女性の普段着を着せ、比較的動き回ることの多いヒロインならばスカートよりも動きやすく怪我も少ないズボンを履かせるのが一般的でした。忍者部隊月光の三日月も銀月も男性メンバーと同じ長ズボンの軍服を着ていましたし、津川啓子も長いパンタロン着用が定番で、003フランソワーズも戦闘時は仲間と同じ長いズボンのユニホーム着用であり、ウルトラヒロイン達のコスチュームもボディコンシャスではあったが露出は少なく長いズボンかツナギのスーツで、とにかく足は生地の下に隠れていました。そういうスタイルが当たり前の時代であったのです。

しかし、この「好き!すき!!魔女先生」で月ひかりをアンドロ仮面に変身させるということになった時、困ったことになりました。変身したら激しいアクションをすることになるので、それまでの常識ならばズボンを履かせるべきです。しかし、変身するとアンドロ仮面はマスクで顔を隠してしまうので、それでズボンスタイルにしてしまうと、遠目で見ると男のヒーローのようにも見えてしまいます。せっかくの女の変身ヒーローなのに男に間違われてしまっては勿体ない。
だいたい変身前の月ひかるがいつも膝よりちょっと上ぐらいの丈のスカート姿なのに変身すると長いズボン姿になるのも変ではないかとも思えました。ならば変身後もスカート姿にするとして、しかし月ひかるが普段履いているぐらいの丈や形状のスカートにするとアクションの邪魔になりそうなので、アンドロ仮面のコスチュームはもっと短く身体にフィットして邪魔にならない超ミニのタイトスカートが良いということになりました。
すると、これが放映してみると大反響だったのでした。まぁ、よく考えてみれば、この手の子供向けヒーロー番組を見るような男児たちというのはスカートめくりに興じたりするくらいですから基本的にパンチラは大好きなのです。1972年初頭にアンドロ仮面によってその真理を悟ったヒーロー番組の制作陣たちは、その後、ミニスカートのアクションヒロイン達を量産していきます。

0052.jpgまず最も早く反応したのは1972年春から放映を開始した、低予算B級特撮の味わいの良さで名高いビープロ制作の特撮ヒーロー時代劇「怪傑ライオン丸」でした。既に前年にウルトラマンのB級版ともいえる「スペクトルマン」で好評を得ていたビープロは、前年に始まって大ブームを起こしていた仮面ライダーのB級版を作ろうと企図し、どういうわけか特撮時代劇に手を出しました。
これは戦国時代の日本で怪人軍団を率いる妖術師の侵略を阻止すべく戦う変身ヒーローの物語でありますが、この作品のヒロインは沙織という名で、主人公のライオン丸に変身する獅子丸や弟分の小助と3人一緒に同じ師匠のもとで修行した女忍者です。
沙織は変身能力は無いので主役ヒーローである獅子丸をサポートするヒロインなのですが、ちゃんと修行した一人前の忍者であり、師匠からそれなりのアイテムの小太刀も貰っているので戦闘員程度が相手ならば互角に戦えるぐらい強い。だから一見ライダーヒロイン的な立ち位置に見えますが、主0053.jpg役との力関係でいえばウルトラヒロインぐらいは戦力になる、戦うヒロインといえます。
そういうわけなので毎回、沙織のアクションシーンがあるのですが、この沙織が女忍者なのにやたらとスカートが短いのです。いや、時代劇なのでスカートではなく着物の裾がやたら短くて、屈んだだけでもインナーのパンツが見えそうなほどのミニスカート姿に見えます。
そもそも沙織以前の時代劇に登場する女忍者というのは戦闘時は他の男忍者同様に横山光輝の漫画「伊賀の影丸」で描かれたような全身黒ずくめの忍者装束に身を包むのが定番であり、当然この沙織のように脚を露出などしていませんでした。しかしこの「ライオン丸」のスタッフはアンドロ仮面の人気を見て最初から沙織をミニスカート風の着物姿にすることを決定しており、それに合わせて獅子丸や小助の衣装も決めたため、この3人組が忍者のはずなのにそもそも忍者らしく見えないようになってしまったほどです。それほどミニスカート優先の企画であった。
だいたい、アンドロ仮面は変身してミニスカートになっていたのだからまだ分からないこともないが、沙織は変身していない状態で最初からミニスカートで、そのまま戦うのですから、これは沙織以前の女忍者キャラにおいては有り得ない行動です。どう考えても従来の忍び装束で戦う方が理に適っているはずです。
しかし沙織はこの非合理極まりない生身のミニスカ女忍者アクションを貫き通し、戦いに戦いぬいて惜しみなくパンチラを晒し、大変な人気キャラとなりました。「ライオン丸」という作品は初めて主役のライバル的立ち位置のアンチヒーローを登場させたりして作劇面でも結構面白いのですが、更に沙織の太もも&パンチラ効果で予想以上のヒット作となりま0054.jpgした。





















0055.jpgこの「ライオン丸」とほぼ同時期に放映開始した、同じような感じの特撮時代劇が「変身忍者嵐」であり、こちらは天下の東映の制作、しかも原作は石ノ森章太郎です。つまり大ブーム驀進中の「仮面ライダー」と同じ布陣です。東映は石ノ森原作で仮面ライダーの特撮時代劇版を作ろうとしたのです。しかも忍者モノですから、この分野は既に東映は「仮面の忍者赤影」という実績もあります。低予算で経験不足のビープロの作るチープな「ライオン丸」などに負けるはずがないと誰もが思うところですが、結果は「嵐」の惨敗となったのでした。
原因はなまじ東映が本格的な時代劇を作る能力があったからでした。つまり意気込み過ぎて本格的な時代劇を作ってしまい、そこに更に特撮も気合いを入れて作りこんだものだから、子供が観るには暗く怖く重いものになってしまった。そのせいで序盤で一気に視聴者の子供たちが逃げてしまい、チープだが分かりやすくて楽しい「ライオン丸」の方に行ってしまった。その後は慌ててテコ入れや路線変更を繰り返して「嵐」はグダグダになっていってしまったのでした。

まぁそういう残念な作品となった「変身忍者嵐」ですが、ここに登場するヒロインは「ライオン丸」の沙織とよく似たヒロインで、その名はカスミといい、沙織と同じく主人公と共に行動する女忍者です。この沙織もアンドロ仮面の影響を受けてミニスカ姿です。こちらは沙織のようにやたら丈の短い着物という感じではなく、れっきとした忍び装束なのですが、下半身はどう見てもミニスカートそのものであり、生地もビニールで、色も紫という、ちょっと奇妙な出で立ちです。
とにかく戦うヒロインはミニスカ姿が良いというのは東映はアンドロ仮面を作った張本人で0056.jpgすから当然了解していたのでしょうが、それでも忍者という設定なのだから忍び装束をベースにしようとして色々苦心したのであろうと窺えます。
カスミの装束だけでなくて主人公のハヤテをはじめ仲間達はみんな色分けされたちょっと変な形の忍び装束を着ていましたが、これがなまじちゃんとした時代劇になってしまっているせいで劇中で衣装だけが浮いてしまい不評となり、結局途中から戦闘時は従来型の忍び装束となってしまい、しかもカスミは戦闘時以外は目立たないで行動できるように町娘の姿に変装して諜報活動をするようになってしまい、カスミの太ももやパンチラは拝めなくなってしまいました。
いや、そもそもカスミは忍術は基礎を学んでいる程度で戦闘能力はあまり無かったので、もともと沙織のように派手にアクションすること自体が少な目でした。その上で衣装が露出度の低いものになってしまったのですから、かなり地味なヒロインとなってしまい、せっかく当初はミニスカヒロインとして登場したカスミですが、遂には演者の都合で途中降板となってしまったのでした。
冷静に考えればカスミの設定の方が女忍者としては沙織よりもよほどリアリティは有ると思います。まぁリアルといっても本当のリアルではなく時代劇キャラとしてのリアルですが、一方の沙織は時代劇的視点で見ても荒唐無稽なキャラでした。しかしリアルに近い女忍者のカスミは影が薄くあまり印象に残らず、戦国時代におけるミニスカ戦闘忍者というバカバカしい設定を貫徹した沙織は鮮烈な印象を残すヒロインとなったのでした。
そして、沙織の登場以降、娯楽時代劇においては当たり前のように女忍者はミニスカ風の衣装を着て脚やアンダースコートを露出させるようになったのですから、沙織というキャラは特撮ヒロインとしてはさほど重要ではないかもしれませんが、時代劇ヒロインとしては特筆すべき存在と言えるかもしれません。

その他、1972年初頭に登場したアンドロ仮面のミニスカート姿に影響されたと思われるミニスカ戦闘ヒロインとしては、1972年夏から年末にかけて円谷プロが制作した帯番組「トリプルファイター」のオレンジファイターこと早瀬ユリ、1972年秋から放映開始したタツノコプロ制作のSFアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」の白鳥のジュン、「キカイダー01」の終盤、1973年の年末から登場したビジンダー・マリ、1975年春に開始した「仮面ライダーストロンガー」に登場した岬ユリ子の変身する電波人間タックルなどが挙げられます。
また、ウルトラヒロインも1973年度作品の「ウルトラマンタロウ」と1974年度作品の「ウルトラマンレオ」はそのコスチュームがそれまでの長ズボン型からミニスカート型に変わっていますし、1975年の「ラ・セーヌの星」のシモーヌだってフランス革命期のヒロインのはずなのに、ミニスカではないですが太もも丸出しのレオタード姿です。
前述のスーパーロボットアニメの戦うヒロイン達も、早乙女ミチルも弓さやかも炎ジュンも牧葉ひかるもグレース・マリア・フリードも、みんなロボやマシンに乗り込む時は全身をピッタリ覆う形状のプラグスーツ風のものを着用しますが、それ以外の時はミニスカート姿です。そして1976年に登場した南原ちずるや、その翌年の岡めぐみになると、ロボ操縦時でもミニスカート姿となります。

0057.jpgしかし、ミニスカ・パンチラ系の戦うヒロインとしてこの時期で最も鮮烈で生々しい印象の例としては、1973年夏から3クールの期間放映された「スーパーロボット・レッドバロン」の作中におけるヒロインである松原真理が挙げられます。
搭乗型巨大ロボといえばその起源は「マジンガーZ」に始まるスーパーロボットアニメであり、その搭乗型巨大ロボの実写特撮版の代表といえるのがスーパー戦隊シリーズであり、その起源は「スパイダーマン」のレオパルドンに遡るということはコアなスーパー戦隊ファンなら知っていることでしょう。
だからレオパルドンが実写版登場型巨大ロボの起源であるかのように勘違いする人もいますが、実際は実写版搭乗型巨大ロボ作品はレオパルドンから遡ること5年前、「マジンガーZ」アニメ版開始に遅れること1ヶ月で、永井豪とは全く別個のルートで作り出されていました。それが円谷プロ制作の「ジャンボーグA」であり、これが日本、いや世界における実写版搭乗型巨大ロボ作品第1号です。そしてそれに続く実写版搭乗型巨大ロボ作品の第2号がこの「スーパーロボット・レッドバロン」で、制作は「月光仮面」で有名なヒーロードラマ制作の老舗である宣弘社です。
「ジャンボーグA」にしても「レッドバロン」にしても企画自体は「マジンガーZ」よりも先駆けており、「マジンガーZ」の二番煎じではない。それぞれ独自に進行していた企画です。ただ、「乗り物」を基本コンセプトとして巨大ロボを捉えた「マジンガーZ」以降のスーパーロボットアニメが合体ロボやリアルロボットの方向性を生み出していって日本のメカSFの世界を牽引していった意義の大きさは揺るぎなく、その系譜の重要結節点にレオパルドンが位置しているのは確かです。それゆえレオパルドンを登場させた「スパイダーマン」およびそれに続くスーパー戦隊シリーズにおける巨大ロボの取り組みの意義の大きさが「ジャンボーグA」や「レッドバロン」の残した意義の大きさを圧倒的に凌駕していることは間違いない。

0058.jpgそうした「レッドバロン」という作品は、搭乗型巨大ロボであるレッドバロンの巨大戦アクションとスパイアクション風味の等身大戦を組み合わせたものであり、なんだかスーパー戦隊の初期作品「バトルフィーバーJ」と似た趣があるが、「レッドバロン」の場合は変身ヒーローという要素が無く、レッドバロンに乗り込む主人公の紅健を除く科学秘密捜査隊のメンバーはあくまで普通の人間であり支援要員です。そういう意味ではウルトラシリーズにおける怪獣対策チームの面々や、スーパーロボットアニメにおける主役ロボ操縦者以外の支援メンバーに似ているようにも思えます。
ただ、この「レッドバロン」における科学秘密捜査隊のメンバーは生身の人間でありながら特殊訓練によって等身大戦の戦闘力に極めて特化した戦士たちであり、ウルトラシリーズの対策チームメンバーやスパロボ支援メンバーのように兵器を操って戦いに参加するのではなく、ひたすら肉弾戦でスパイアクションを繰り広げます。こうした支援メンバーの激しい肉弾戦とレッドバロンの巨大戦アクションの両方が描かれるのがこの作品の特徴です。
この科学秘密捜査隊の紅一点が松原真理で、大変な美人なのですが、実に見事なアクションを披露してくれます。そして、彼女もまたミニスカート姿のヒロインで、激しいアクションの中、惜しげもなくパンチラを披露してくれます。
では、どうして松原真理がこの時期のミニスカートのバトルヒロインの中で最も鮮烈な印象なのかというと、それは彼女だけが我々視聴者が身近に感じられる生身の人間だからです。月ひかるは宇宙人であり、沙織やカスミは戦国時代や江戸時代の女性、早瀬ユリも宇宙人で、白鳥のジュンはアニメのキャラ、ビジンダー・マリはアンドロイドであり、タックルは改造人間であり、またウルトラヒロインは生身の女性だが滅多に肉弾戦を戦うことはないし、シモーヌはアニメキャラだしレオタードなのでパンチラはしない。そんなミニスカヒロイン達の中で松原真理だけは現代に生きる身近な生身の人間の女性であり、激しい肉弾戦の中で彼女だけが生身の身体でパンチラを披露してくれているのです。そう考えると、やはり松原真理が一番生々しいパンチラの魅力があるのだと言えます。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:15 | Comment(0) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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