2013年03月03日

ヒロイン画像その5

1975年に放映開始して大ヒット作となった「秘密戦隊ゴレンジャー」ですが、この「ゴレンジャー」の成功が当時の東映制作サイドの目指していたものかというと、そういうわけではないと思います。「ゴレンジャー」はもともと「アマゾン」でライダーが枠移動した後の空いた枠をさしあたり埋めるために考えた企画であり、チームヒーロードラマはひとまずライダーの穴埋めのための手段であり、あくまで当時の東映が目指していたものはチームヒーロードラマではなかったのではないかと思います。
確かに「ゴレンジャー」のヒットを受けて、その後チームヒーロードラマがブームになったと言われます。しかし、それは「ゴレンジャー」の高視聴率を見てテレビ局側が二匹目のドジョウを狙ってチームヒーロードラマを求めたのであり、東映側は「ゴレンジャー」企画時に「チームヒーロードラマのブームを起こしてやろう」などと考えていたわけではないでしょう。
むしろ、ライダーには無くてゴレンジャーには存在したものが何なのか考えると、東映が真に目指していたものが何なのか見えてきます。ライダーに無くてゴレンジャーにある物というと、細かいものでは挙げればキリは無いが、最も明確なものは空飛ぶ要塞バリブルーンです。つまり巨大戦力なのです。東映が「ゴレンジャー」という作品で本当にやりたかったことはバリブルーンを使った巨大戦であったのではないでしょうか。

東映が当時見据えていたものは当時既に斜陽であった「仮面ライダーシリーズ」を超えることなどではなく、「仮面ライダーシリーズ」を斜陽に追い込んだ最大のライバルであるスーパーロボットアニメを超えることであった、そう考える方が自然であると思います。「実写でマジンガーZやゲッターロボみたいな巨大ロボアクションを見せることが出来れば、きっとスーパーロボットアニメに勝てる」と東映側が考えたとしても何ら無理はありません。ただ最初から搭乗型の巨大ロボアクションを実写で上手く魅せるのも難しいので、まずは「ゴレンジャー」ではスパイチームアクションと並行して試しに空飛ぶ移動要塞を使って巨大戦アクションにチャレンジしてみたというところでしょう。
この「ゴレンジャー」が予想以上のヒットとなったため、テレビ局からはチームヒーロードラマをもっとやって欲しいという要望が来るようになり、東映はその要望に出来るだけ応えつつ、巨大戦の経験値を積む場としてもそれらを活用していったというのが実情でしょう。
実際、「チームヒーローブーム」と言ってみても、「ゴレンジャー」の開始後3年間に新たに作られたチームヒーロードラマといえば「アクマイザー3」とその続編の「超神ビビューン」、そして「忍者キャプター」と「ジャッカー電撃隊」ぐらいです。3年で4作だから少なくもないが「ブーム」と言うほどでもない。
そもそもチームヒーロードラマは確かに人気は出ることは分かったが、何せヒーローがたくさん登場する分、出演料などのコストがかなりかかります。それに見合うだけの予算を確保出来ていなければ制作は出来ない。だから「人気のチームヒーロードラマをやりたいものの予算が無いので断念した」というケースも多かったものと思われます。

0143.jpgそんな状況の中、「ゴレンジャー」開始後半年でいち早く二匹目のドジョウを狙った企画が1975年10月から始まった「アクマイザー3」でしたが、案の定チームヒーロードラマをやるのに十分な予算を確保出来ておらず、役者に払う出演料が足りないので「最初から変身後の姿のヒーロー」、つまり着ぐるみヒーロー3人だけの体制となりました。いきなりこんな窮状を見せられれば「ゴレンジャー」の後追いでチームヒーロードラマをやろうとしても業界人たちは尻込みするのも無理はありません。
ただこの「アクマイザー3」は悪魔であるアクマ族の3人組ザビタン、イビル、ガブラが仲間を裏切って本来は敵である人間世界を守るためにアクマ族と戦うという、仮面ライダーを彷彿させるような石ノ森テイスト満載の作風で、もちろん石ノ森章太郎原作なのですが、これが非常に面白くて意外にもヒット作となりました。半年前に開始した「ゴレンジャー」の方では石ノ森テイストはかなり抑え目だったのですが、こっちでは思いっきり石ノ森テイストの設定であり、これが後半になると急にギャグ調に路線変更されるというのも仮面ライダー同様に石ノ森作品らしいところです。
この作品は設定的には巨大戦というものが必然であるとはとても思えないのですが、それでも「ゴレンジャー」同様に空飛ぶ移動要塞ザイダベック号が登場しており、やはりこの時期の東映の本音は巨大戦のスキルを積むことであったと思われます。

0144.jpgこの「アクマイザー3」に登場するヒロインは主人公3人と同じアクマ族の女性戦士のダルニアであり、最初は裏切り者のザビタン達を始末するための刺客として登場しながらもザビタンに惚れてしまい、その後は仲間になるというキャラで、かなり美味しいキャラのヒロインなのですが、アクマ族はみんな人間態の無い着ぐるみという設定のドラマなので当然ダルニアも着ぐるみキャラであるのが痛い。
いや着ぐるみでも良キャラは良キャラなのでドラマ的には何ら問題は無いのですが、単にこのブログ的に残念であるだけです。まぁアニメキャラに萌えられるのならば着ぐるみキャラにも萌えられなければおかしいのかもしれませんが、ダルニアの場合は着ぐるみという問題以前に人間態じゃないのがやはり画像的には痛いです。せっかく抜群の良キャラヒロインなので惜しいと思えます。なお、ダルニアの声を担当しているのは「ゲッターロボ」の早乙女ミチルや「魔女っ子メグちゃん」の神崎メグ役で有名な吉田理保子さんですので、外見は人間態ではないが美女ヒロインという設定であるのは間違いない。







0145.jpgまた、この作品にはもう1人、渚ジュンという雑誌社の女性カメラマンが登場してアクマイザー3の人間世界における協力者となりますが、こちらはライダーヒロインの類型となります。ただジュンの場合はかなり影が薄く、むしろ限りなくライダーガールズに近いキャラであり、物語中盤でフェードアウトしてその後は登場しなくなりました。














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0147.jpgこの「アクマイザー3」がヒットした結果、翌1976年には続編となる「超神ビビューン」が後番組として制作され、世界観を一新して3人の主人公チームは全員が従来型の変身ヒーローとなりました。前作の最終話で敵ボスと相討ちで死んだザビタン達3人の魂が3人の人間の若者に受け継がれたという設定で、その3人がライダーやゴレンジャーと同じように戦闘形態のビビューン、バシャーン、ズシーンに変身して妖怪と戦うのです。なお、この作品でもベニシャークという飛行戦艦のようなものが使われています。





0148.jpgそしてこの作品におけるヒロインは明智リサという女性刑事で、ビビューン達の正体を知った上で協力する立場のヒロインですからライダーヒロイン的ですが、主人公たちと深い因縁や宿命があるというほどでもないのでライダーガールズに近い。要するに前作の渚ジュンと同じような立ち位置のヒロインといえますが、リサの場合は刑事なのでそれなりの戦闘力があり、アクション面ではかなり活躍したキャラといえます。













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一方、「ゴレンジャー」放映開始から1年が経った1976年春には「ザ・カゲスター」「忍者キャプター」「宇宙鉄人キョーダイン」がほぼ同時期に放映を開始しており、これらは全て「ゴレンジャーの成功を受けて作られたチームヒーロードラマ」などと言われていますが、カゲスターとキョーダインはヒーロー2人体制であり、2人で「チームヒーロー」と言うのは少し無理がある。この中で実質的にゴレンジャーやアクマイザーと同じ方式のチームヒーロードラマと言えるのは忍者キャプターだけでしょう。
「ザ・カゲスター」と「忍者キャプター」は初めて「八手三郎」が原作を担当した作品であり、つまり東映テレビ事業部が石ノ森章太郎と組まずに初めて自力だけで作った特撮ヒーロードラマということになります。それゆえこの2作はまだ手探り感が見受けられ、「ザ・カゲスター」の方は今までに無い新しいヒーロー像に挑戦してみようという気概が感じられる一方で、「忍者キャプター」では「ゴレンジャー」で既に成功が実証されているフォーマットを踏襲しようという保守的な姿勢が感じられます。

0150.jpgまず「ザ・カゲスター」は人間がヒーローに変身するという従来の方式とは少し違い、人間の影が分身のように独自に動いてヒーロー化して戦うというもので、つまり戦闘時にはヒーローであるカゲスターとその生み出す元となった人間である姿影夫は別々に存在するということになる。他に類似したヒーローが存在しないのでイメージが湧きにくいかもしれないが、プリキュアシリーズでよく見られる、怪物を生み出した人間が虚脱状態で別の場所に存在しているという状況によく似ているでしょう。
どうしてこんな奇妙な設定を生み出したのか不思議に思われるかもしれませんが、製作経費節減のための試行錯誤の産物だろうと思われます。特撮ヒーロードラマでなんといってもお金がかかるのは毎回登場する敵の着ぐるみであり、これを普通の人間で済ますことが出来ればだいぶ経費を安く上げることが出来るのだが、変身ヒーローが生身の人間を殴ったり蹴ったりするのは弱い者イジメみたいでイメージが良くない。ならばヒーローそのものではなく実体の無い影分身が戦うのならば多少はイメージが悪くはないのではないかという考えがあったのでしょう。実際この「ザ・カゲスター」に登場する敵は当初は人間の犯罪者でした。ただ、それでも弱い者イジメに見えるという苦情も来たようで、1クール過ぎたあたり早々に路線変更で着ぐるみ怪人が登場するようになってしまいました。

0151.JPGこの「ザ・カゲスター」に登場するヒロインは社長令嬢の風村鈴子で、主人公の姿影夫は鈴子の父である社長の秘書であり、鈴子も父の会社の秘書課に勤務しているので影夫と鈴子は会社の同僚です。だが鈴子は社長令嬢なので立場的には鈴子の方が影夫よりも上であり、2クール目からは鈴子が父からショップ経営を任されて店長となり影夫はそこの店員になるので、鈴子が上司で影夫が部下という関係になります。ヒロインが主人公の上司という設定は珍しい。
なんだか妙に優遇されたヒロインですが、優遇されているのは社会的地位だけではなく、鈴子は影夫と同じ影分身の能力保持者であり、ベルスターという影分身のスーパーヒロインを生み出して、影夫の生み出したカゲスターと共に悪人たちと戦わせることが出来るのです。鈴子と影夫の場合は鈴子の方が主人格であるのに対して、影分身のカゲスターとベルスターにおいてはカゲスターの方がメインヒーロー扱いというのが面白いところです。
何故こんなややこしい設定にしたのか詳しくは分かりませんが、おそらくこの2つのヒーローを出来るだけ対等に見えるようにしたかったのでしょう。鈴子を影夫の助手などにしてしまうと、どうしても女なので探偵助手ヒロインのように完全なる脇役扱いになってしまう。だから鈴子のキャラが埋没しないように、いっそ鈴子の方が影夫の上司であるという設定にしてバランスをとったのだと思います。
このように風村鈴子はベルスターを生み出す能力者ということで、影分身は厳密には「変身」ではないのですが、それでも実質的にはこれは変身ヒロインのようなものであり、鈴子は「普通の人間の変身ヒロイン」としてはペギー松山に次ぐ2例0152.JPG目の存在となったのでした。ただ、変身後の話ですがベルスターはタックルと同じミニスカートヒロインであり、ホットパンツヒロインのペギー松山とはタイプが違い、あくまでメインヒーローであるカゲスターのサポートヒロインです。
















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0155.jpg結局「ザ・カゲスター」は2クール目からは普通に悪の組織の怪人が出てくるようになり、同時に当初は明確に描写されていた影分身が曖昧な扱いとなって、普通に影夫や鈴子が変身しているような形となり、要するに普通の変身ヒーロー番組みたいになってしまいました。
そこで「ザ・カゲスター」が終了した後少し経った1977年2月に再び東映は急遽打ち切られた前番組の空いた枠を埋めるための番組として、今度は生身の人間が生身の悪人を退治する特撮ヒーロードラマ「怪傑ズバット」を制作放映することにして「ザ・カゲスター」で挫折した方向性をもう一度試みてみることにしたのでした。影分身が生身の人間と戦うのでも弱い者イジメに見えるというのなら、生身の人間が生身の人間と戦うというのならば問題は無いだろうというのが東映側の理屈でありましたが、そこまで徹底してしまうと既にそれは特撮ヒーローでも何でもなくなってしまうので、結局は「怪傑ズバット」の主人公の早川健は強化スーツを着用して戦います。
装着時間に制限を設けたりして生身感を出す工夫はしましたが、これではやはり弱い者イジメに見えてまた設定が破綻してしまうところですが、この「怪傑ズバット」が何となく成立してしまっているのはひとえに主人公早川健を演じる宮内洋の特異なキャラによるもので、変身前の早川が悪人相手に繰り広げるバカバカしい技比べのカルト的人気がこの番組の人気を支えていたのでした。

0156.jpgこのなんとも特殊なカルト番組「怪傑ズバット」におけるヒロインが飛鳥みどりです。主人公の私立探偵の早川健の親友の科学者飛鳥五郎の妹のみどりは保母をしており、早川のことを慕っていたが、兄の五郎が何者かに殺され、早川がその犯人を見つけ出して復讐するための旅に出たので、みどりも早川を追って旅に出るという設定になっています。そして旅先で何度も危険な目にあって早川に助けられたりするのですが、主人公が旅をするのでヒロインもそれを追って旅をすることになり、しかも基本的に別々に旅をしているという一風変わったヒロインです。だが要するにちょっと変則的な形のライダーヒロインの類型なのだと言っていいでしょう。











0157.JPGさて、この「怪傑ズバット」をやることになるきっかけとなった、急遽打ち切りになった前番組というのが「忍者キャプター」でした。「ゴレンジャー」放映開始の1年後に「ザ・カゲスター」とほぼ同時に始まった「忍者キャプター」は、放映局がテレビ東京系ではなくテレビ朝日系であったならばスーパー戦隊シリーズに含まれていてもおかしくないほどに戦隊チックな作品でした。当時はスーパー戦隊という概念はありませんでしたから、要するに「ゴレンジャー」に酷似した番組ということです。
東映テレビ事業部が石ノ森章太郎抜きで独力で「ゴレンジャー」みたいなチームヒーロードラマを作ってみたという感じの作品で、もともと東映が得意としていた忍者アクションドラマをベースとしています。物語は至って単純で、忍者の名門である天堂家が現代日本において独自に忍者キャプターという7人チームの忍者戦隊を組織して、日本征服を狙う風魔忍群や甲賀忍群など悪の忍者軍団の送り込む怪人たちと戦うというものです。

0158.jpgこの作品におけるヒロインが忍者キャプター隊の紅一点、花忍キャプター3の桜小路マリアでした。マリアは天堂家のお手伝いさんの16歳の美少女ですが、この家の関係者は全員忍者ですからマリアももちろん忍術の使い手であり、花忍キャプター3に変身して7人のキャプター隊の一員として戦います。
変身といってもキャプター隊の場合は基本的には普段から使える忍術で戦うのであり、その変身後スーツは現代の忍び装束という設定、マスクも単なるフルフェイスゴーグル付きのメットのような扱いで、しょっちゅうバイザーを上げて素顔を晒していましたから、厳密に変身といえるのか怪しいわけですが、瞬時にスーツ姿にチェンジしたりするので、やはりこれは演出的には変身でしょう。だからやはりマリアも変身ヒロインであり、ペギー松山、風村鈴子に続く「生身の人間の変身ヒロイン」の第3号と言っていいでしょう。
そのキャラ設定に関しては、そもそもこの作品がドラマ部分を掘り下げるようなものではなかったので、単に紅一点ヒロインという以上のものは特にありません。ただ元気で明るいお姉さんが変身して戦っているというだけのものだと思えばいいでしょう。ただやはりこの時代ゆえなのか、単にペギー松山の模倣なのか、このマリアも日本人とアメリカ人のハーフという設定ではありました。




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0163.jpgしかし、「ゴレンジャー」人気が燃え盛っていた時期ですから、このシンプルな類似番組「忍者キャプター」も意外に人気を呼び、当初予定よりも延長して放映されることになると、演者の都合なのかマリアは渡米することになったとかいう理由で降板することとなり、代わりに新たに二代目の花忍キャプター3が加入することとなりました。といっても、新たなメンバーが加入したわけではなく、もともと物語の最初から登場していた天堂家の当主の15歳の孫娘である天堂美樹が二代目花忍になったのです。
美樹はもともとは変身しない支援要員のような形でキャプター隊をサポートしてきており、ライダーヒロイン的な立ち位置でしたが、それがマリア退場を機に今度は変身ヒロインに格上げになったわけです。まぁもともと忍者の名門の家の娘ですから忍術の心得は十分にあり、二代目花忍として戦う能力はあったというのも説得力はあります。
美樹の場合は初代のマリアと違って純日本人ですが、この物語の設定の場合は特別な戦闘一族の家系ですから、やはりこれも普通の日本人女性とは違う立場だといえます。だから美樹が変身ヒロインであるということに不自然さは感じさせないようになっており、むしろマリア退場の後を埋めるヒロインとしては美樹はこれしかないドンピシャリの人選であったのかもしれません。


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そうしてこの「忍者キャプター」は第二期に入った後も人気を維持していたのですが、それが1977年1月に急に打ち切りになってしまったのですから不思議です。視聴率は決して低くなかったのです。打ち切りになった理由はスポンサーの玩具メーカーが突然降りてしまったからでした。それは玩具が全然売れなかったので目算が外れた玩具メーカーが番組を見放してしまったからです。
しかし作品自体の人気はあったのです。それなのに玩具が売れなかったのは、同じ時期にこの作品を遥かに超える人気のある番組で素晴らしい玩具が売り出されていたからでした。その番組とは「忍者キャプター」や「ザ・カゲスター」とほぼ同時期の1976年4月から放映開始していたスーパーロボットアニメの画期的名作「超電磁ロボ コン・バトラーV」でした。

0169.jpgこの「コン・バトラーV」のなんといっても画期的であった点は合体ロボット玩具の劇中における再現性の素晴らしさでした。合体ロボットといえばゲッターロボが先駆者でしたが、これは実は劇中であまりにも自由自在な合体戦闘の描き方をされていたため、スポンサーの玩具メーカーが発売していたゲッターマシンの玩具では合体しても劇中描写のようにスムーズにゲッターロボにならないという大変な欠陥がありました。そのためゲッターロボは玩具の売上がイマイチで、こうした玩具の劇中描写における再現性の低さはメーカーにも玩具消費者である子供たちにも不評でした。
それを改善することに成功したのが「コン・バトラーV」で、この作品においては玩具と同じ形をしたマシン群が玩具で再現可能な合体をして巨大ロボを形成するという描写を成し遂げています。現在では当たり前のことのように思えるかもしれませんが、これは当時においては画期的なことで、それを最初に成功させた記念碑的作品が「コン・バトラーV」なのです。
しかもこれをゲッターロボの3体合体を上回る5体合体で成し遂げたのですから凄い。まさに後に1980年代のスーパー戦隊シリーズにおいて実写において目指すことになった到達点のイメージは既にこの1976年の「コン・バトラーV」というアニメ作品で完成されていたと言っていいでしょう。そう考えると、この1976年頃の同時代の他の特撮やアニメ作品から見れば、「コン・バトラーV」のロボット技術はあまりに先進的で圧倒的な壁であったといえます。
0170.jpgだからもちろん「コン・バトラーV」は大人気作となり、そのマシン類の玩具は売れまくりました。その煽りを喰って「忍者キャプター」の玩具が売れずにスポンサーが呆れて見放してしまうのも無理からぬことであったといえます。いや「忍者キャプター」だけではなく、「ザ・カゲスター」や「怪傑ズバット」のような新しいヒーロー像の試みが頓挫したのも、「アクマイザー3」「超神ビビューン」と続いたチームヒーロードラマの新しい流れがそこで途絶えたのも、「コン・バトラーV」とそれに続くシリーズ第2作、1977年から1978年にかけての「超電磁マシーン ボルテスV」の人気に押し流されてしまった結果なのだといえます。

この画期的作品である「コン・バトラーV」の原作者は実は「忍者キャプター」や「ザ・カゲスター」と同じ八手三郎です。八手三郎とは実在人物ではなく東映テレビ事業部制作の作品に冠せられる架空の共同ペンネームですから、つまり東映テレビ事業部が作った作品なのであり、実質的には石ノ森章太郎を除く「ゴレンジャー」を作った人達とほぼ同じ人達が作ったのだとも言えます。そう考えると、「コン・バトラーV」はスーパーロボットアニメ版の「ゴレンジャー」、つまりチームヒーロードラマなのだとも言えます。
チームヒーロードラマをやりながらスーパーロボットアニメを超えるべく巨大戦のスキルを積むというのが東映テレビ事業部の方針だったとするなら、アニメの土俵ではあるものの「コン・バトラーV」において1つ目標を達成したとも解釈できます。

0171.jpg実際、「コン・バトラーV」は「ゴレンジャー」に似たところがあります。そもそも5体合体ロボであるというのはヒーローチームのメンバーが5人であるからです。そしてそのメンバーが熱血リーダー、キザな二枚目、太った力持ち、紅一点、青二才で構成されているところは「ゴレンジャー」とそっくりです。いや、その「ゴレンジャー」のメンバー編成自体がもともとはガッチャマンの流用であり、マジンガーZやゲッターロボでもヒーローチームのメンバー編成で同様のパターンは見られたので、別に「ゴレンジャー」の真似というわけではないでしょう。
だが、同じスーパーロボットアニメでもゲッターロボと比べてコン・バトラーVが決定的に違う点は、主役ロボの操縦者の中にヒロインが含まれていることです。ゲッターロボを操縦していたのは3体の合体マシンに乗り込んでいたリュウ、ハヤト、ムサシの3人の男性ヒーロー達であり、ヒロインである早乙女ミチルは支援マシンのコマンドマシンの操縦者であり、あくまで支援要員扱いです。マジンガーZのヒロインである弓さやかの搭乗するロボットであるアフロダイAも支援戦闘用ロボであって、主役ロボであるマジンガーZとは戦闘力において歴然とした差のあるという絶対的な区別がなされていました。
巨大な戦闘力を駆使して主人公ヒーローと共に戦うことをウルトラヒロインやライダーヒロインに比べて大きな強みとしてきたスーパーロボットヒロインでしたが、それでもゲッターロボ以前の段階ではこのように主役ヒーロー達とは歴然とした差のある支援要員として設定されていたのです。ところが「コン・バトラーV」においてはヒロインである南原ちずるは主役ロボであるコン・バトラーVを構成する5体のマシンのうちの1体の操縦者であり、合体後は他の4人の仲間と共に全く対等な戦士として最も過酷な戦いの最前線で命を賭けることとなるのです。
この「ゲッターロボ」の早乙女ミチルと「コン・バトラーV」の南原ちずるの間の大きな飛躍は、間に「ゴレンジャー」におけるペギー松山の存在というワンクッションがあってこそ可能だったのだと思えます。5人チームのヒーロー集団の紅一点であり、男性メンバーと全く対等の立場で戦いに参加する変身ヒーローであるペギー松山の設定をスーパーロボットアニメに流用するならば、他の4人の男性ヒーロー達と全く対等に5体の合体マシンのうちの1体の搭乗者であるヒロイン像に行き着くしかない。
このように「ゴレンジャー」の要素をスーパーロボットアニメに取り入れることによって、南原ちずるという画期的なスーパーロボットヒロインが生まれたのです。そして、それは後に合体ロボの搭乗員たるスーパー戦隊ヒロインの1つの原型ともなったのです。

0172.jpgただ、ここでポイントは南原ちずるはペギー松山そのものではないということです。ペギー松山的な立ち位置をスーパーロボットアニメに当てはめることによって南原ちずるは初めて主役ロボに乗り込むことの出来るスーパーロボットヒロインになったのは事実です。だが、それでもちずるはあくまでスーパーロボットヒロインです。ペギー松山的なドライなスパイアクションヒロイン系ではなく、プロ戦士ではあるものの早乙女ミチルや弓さやかのようにもう少し主人公ヒーローと男女関係での精神的距離が近い、なんとなく色気のあるキャラ、言わば「萌える要素」のあるキャラです。
注目点は南原ちずるの戦闘時のコスチュームがミニスカートであるという点です。主役男性ヒーローの強さに依存する女のしおらしさや弱さを封印するためにペギー松山が着用したのがホットパンツであったのですが、その女のしおらしさや弱さの象徴たるミニスカートを南原ちずるが着用しているということは、ちずるは主役の豹馬の前で女になるということであり、そこにはロマンスが生まれる余地が生じます。ミニスカートに象徴されるのは確かに女の弱さではあるが、それは同時に女の魅力でもあり、ドラマを生み出す元ともなります。逆にペギー松山のような男女完全対等コンセプトを貫くと何も色気のある話が無くなってつまらなくなってきたりもします。
0173.jpgもともとそうした面白味を見込んでウルトラヒロインを更に主人公と心の繋がりを深くして、より危険な戦闘に参加できるようにした感じがスーパーロボットヒロインなのであり、但しミチルやさやかにおいてはそれらの要素は適度にセーブされていた。ところが南原ちずるはその一線を超えたキャラとなりました。主人公ヒーローと全く同じ危険な戦闘に参加し、その一体感ゆえにちずるは主人公の葵豹馬と恋仲になってしまいました。
これはヒロイン類型として南夕子やユリアンと同じレベルに達したということになります。これはドラマとして面白い。しかしこれは危険なことでもあります。ここまで女らしさが前面に出てきてしまったヒロインがその一方で最も苛酷な戦いに臨む態勢であるというのは、女性らしさとヒロイン性とが衝突してしまう危険があるからです。南夕子が途中退場し、ユリアンが結局ほとんど変身しなかったのも、この危険を回避するためだったとも言えます。ところがちずるはこの危険な状態を延々と続けることになりました。

0174.jpgそうして南原ちずるというヒロインはリミッターの外れたような状態となり、その結果起こった事態は、南原ちずるというヒロインのアイドル化現象でした。それまでは「人気のあるヒロイン」というものは存在したが、作品内容を離れてアイドル的な人気が独り歩きしたようなヒロインは存在しませんでした。南原ちずるというヒロインはその最初の例となり、この後、そうしたヒロインはアニメ実写問わず、ヒーロードラマにおいてしばしば現れるようになります。
これは一種のキャラの破綻なのですが、それがアイドル人気という割と肯定的な形に昇華した理由は、ちずるの登場する「コン・バトラーV」の物語世界が次第に深い大人向けのドラマを描くようになっていったからです。それにつれて視聴者の年齢層が上がり、本来の視聴者層である幼児たちから見るとちょっと理解困難なキャラになってしまった南原ちずるというヒロインをアイドル的な存在としてマニアックに受け入れる層が視聴者として加わってきたのです。
その結果、純粋な子供向けヒーロードラマのヒロインとしてはリミッターが外れて暴走してちょっと破綻してしまった南原ちずるというヒロインは、その暴走ゆえにアイドル人気を獲得する結果となった。そのあたりの子供人気とアイドル人気が絶妙のバランスがとれていたヒロインが南原ちずるでありました。お蔭で南原ちずるは極めて印象深いヒロインとなり、これはこれで1つのヒロイン像の成功の方程式ともなりました。

0175.jpg「コン・バトラーV」が大人向けの深いドラマを描くようになったのは総監督の長浜忠夫の方針であり、この後番組の「ボルテスV」以降、いわゆる長浜ロマンロボシリーズと称されるような、大人向けのロマンチックな大河ストーリーが描かれていくようになり、そこから更にいっそうスーパーロボットアニメは対象年齢層を上げていき、1979年の「機動戦士ガンダム」以降、完全に高年齢層の就学児童向けのリアル路線となります。それに伴ってスーパーロボットアニメのヒロインはアイドル人気を見込んだ、いわゆる「萌え系」が主流となっていくわけですが、その原点にして一種の頂点ともいえるのが南原ちずるというヒロインなのです。
だから、南原ちずるのようなタイプのヒロインは対象年齢層を高めに設定した作品ならば成功するのですが、対象年齢層が低い作品の場合はあまり受け入れられない可能性が高い。「コン・バトラーV」がスーパーロボットアニメが低年齢層向けから高年齢層向けに舵を切った境目に位置する作品であり、南原ちずる自体は絶妙のバランスで成功した例であるゆえに、そのあたりが少し分かりにくくなっているのですが、ここは注意すべき点といえます。

さて、とにかく「コン・バトラーV」という作品の人気は凄かった。スーパーロボットアニメの持つ力をまざまざと見せつけられる作品でありました。それは皮肉にも東映テレビ事業部によって作り出された作品であったわけですけど、東映テレビ事業部は実写ヒーロードラマがこのスーパーロボットアニメに勝利する日を目指して「ゴレンジャー」以降、既に動き出していたはずでした。
それは実写特撮でスーパーロボットアニメに負けない巨大戦の演出をするという目標であり、そのために「ゴレンジャー」や「アクマイザー3」や「超人ビビューン」では空飛ぶ要塞や空飛ぶ戦艦などを動かしていました。また「ザ・カゲスター」や「忍者キャプター」でもカゲボーシーやヘリキャプターなどのような巨大飛行物体の運用演出のスキルは積んでいました。そんな中、東映としてスーパーロボットアニメに勝利するための新しい実写ヒーロー像の大本命として真に最も大きな期待を寄せていた作品は「忍者キャプター」や「ザ・カゲスター」と同じ1976年春に放映開始した「宇宙鉄人キョーダイン」であったようです。

0176.jpgこの作品は「仮面ライダーストロンガー」で仮面ライダーシリーズが休止した後に始まった最初の石ノ森章太郎原作作品で、スタッフ陣も仮面ライダーのスタッフ陣がそのままスライドしてきており、ポスト仮面ライダーの東映実写ヒーロードラマの本命でありました。あるいは当時大人気だった「ゴレンジャー」よりも期待されていたのではないかとも思えます。
この「キョーダイン」という作品の売りは巨大戦で、2体の主人公ロボットヒーローのスカイゼルとグランゼルが巨大メカに変形して更に合体して敵側の巨大メカと迫力満点の巨大戦を繰り広げるのが最大の見せ場となるはずでした。つまり「ゴレンジャー」のように飛行要塞をただ飛ばしてちょっとした空中戦をするような段階から一歩進めて、本格的な巨大メカバトルをやろうとしたわけです。
しかしその方針は序盤で早々に撤回されてしまい、スカイゼルとグランゼルが等身大の人型ロボット形態で戦う等身大戦主体の展開となってしまいました。その理由はよく分かりませんが、おそらくは予算的な問題なのか、あるいは巨大メカ戦に関する準備がまだ不足していたのかもしれません。何にしてもまだ態勢が整っておらず時期尚早であったのでしょう。
そうしてキカイダーみたいな単なる等身大ロボットヒーロードラマのようになってしまった「キョーダイン」ですが、当初は巨大戦中心の展開にする予定だったのでスカイゼルとグランゼルに人間態も無く、それが路線変更で人間態もあった方がいいということになって、やがてスカイゼルとグランゼルはコピー体という人間態を外部に生み出すようになり、そのコピー体がロボット本体と合体することでスカイゼルとグランゼルがヒーローロボットとして起動するというシステムとなりました。
スカイゼルとグランゼルはもともと葉山博士という科学者の長男の譲治と次男の竜治の人格がコピーされており、地球征服を企む悪の宇宙人によって拉致された葉山博士と2人の息子に代わって地球を守るために葉山博士が拉致された先から地球に残った末の息子の健治のもとに送り込んできたものです。それゆえスカイゼルが作り出すコピー体は譲治そっくりの姿をしており、グランゼルが作り出すコピー体は竜治そっくりの姿をしています。
コピー体が登場するようになってからは日常シーンではこのコピー体の活躍する場面が主となり、いざ戦う時はこのコピー体がロボット本体に入ってから戦闘開始ということになり、この場面が一種の変身シーンのようなものであり、結局は葉山譲治と葉山竜治の兄弟がスカイゼルとグランゼルというヒーローに変身するような見た目になり、普通の2人組の変身ヒーロードラマのような感じになったのでした。

0177.jpgこの「キョーダイン」という作品におけるヒロイン白川エツ子少尉で、元は葉山博士の助手をしていた女性で、もともとは科学者の卵のようなものでしたが、葉山博士が宇宙人に連れ去られてしまって以降は地球防衛軍に少尉として所属するようになり、宇宙人の地球侵略に対抗する作戦の協力者となっていました。同時に葉山一家でただ1人残された三男で小学生の健治の保護者代わりも務めており、その結果、健治の許に送られて来たスカイゼルとグランゼルの最も身近な協力者ということになりました。
単に博士の元助手で健治の保護者代わりということならば典型的なライダーガールズ的ポジションということになるのでしょうが、わざわざ地球防衛軍所属という設定にしているところを見ると、当初はエツ子はウルトラヒロイン的な役割も期待されていたのではないかと思えます。しかし当初予定していた巨大メカ戦がフェードアウトしてしまったため、エツ子はウルトラヒロイン的な役目は果たすこともなく、ライダーガールズ的な支援者ヒロインで終わったといえます。なお、この白川エツ子を演じていたのはアニソンの女王として名高い堀江美都子さんです。





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0179.jpgこうして「キョーダイン」は当初構想していた巨大戦をメインとした路線を維持することが出来ず、普通の等身大ヒーロー路線に修正して1年間の物語を終えることになったのですが、このようにモタモタしている間に「キョーダイン」と同時期に放映を開始した「コン・バトラーV」によって、「キョーダイン」が目標としていたスーパーロボットアニメは更にそのレベルを高くしてしまったのでした。
それに追いつくべく東映テレビ事業部の実写特撮ドラマスタッフと石ノ森章太郎は「キョーダイン」の後番組として1977年春から「大鉄人17」を制作し放映を開始しました。これは今度こそ念願の巨大ロボのアクションをメインに据えた作品であり、早々に巨大戦を挫折した「キョーダイン」とは違い、この「大鉄人17」は最後までしっかりと巨大ロボアクションを描ききったのでした。ただ、この作品の主役巨大ロボである17はスーパーロボットアニメのような搭乗型ロボではなく、人工知能を積んだ自分の意思で動く自律型ロボでした。要するに巨大な姿をしたキカイダーやキョーダインのようなものです。

どうして人気の高い搭乗型ではなく自律型ロボにしたのかというと、まだコクピット内描写などの搭乗型ロボの演出に必要な技術が揃っていなかったからなのかもしれません。しかし1年後には「スパイダーマン」で搭乗型ロボアクションを描くことが出来ているところを見ると、この時点でも搭乗型ロボに挑戦するぐらいは出来たのではないかと思われます。そもそも「ゴレンジャー」の段階でバリブルーンのコクピット内の場面はしっかり作ることは出来ていたのですから、巨大ロボのコクピット内の場面だってそれなりに何とかなったはずです。
だから、むしろ搭乗型ではなく自律型を選んだ最大の理由は、原作者の石ノ森章太郎のこだわりではないかと思います。人外と人間との交流から人間性の真実というものを描くことを好んだ石ノ森にとっては、主役ロボの17は単なる意思無き乗り物であるよりは、自分の意思を持って葛藤したりもする存在である方がドラマが深くなって良いのだと感じられたのでしょう。
実際、この「大鉄人17」の物語は、人間の手によって世界平和のために生み出されたにもかかわらず「人類は地球に不要だ」と判断して人類を滅ぼそうとする人工知能ブレインと、その人工知能ブレインによって作り出されたにもかかわらず「人類は地球に必要」と判断してブレインに反旗を翻して人類を守るため戦おうとする大鉄人17の両者の戦いを描くことによって深い内容となっており、これは17が自律型ロボだからこそ描ける、いかにも石ノ森作品らしいお話といえます。

0180.jpgこの物語はこのように人工知能とロボットの戦いが主軸となっており、実は主役ヒーローというものが見当たりません。主役ロボが搭乗型ロボならばその操縦者が主役ヒーローになるのですが、17は自律型ロボですから、しいて言えば17自身が主役ヒーローということになり、人間キャラで主役といえるのは、唯一17と心を通わせることの出来る中学1年生の少年である南三郎ということになります。
確かに三郎が物語の主役ということでも差し支えは無いとは思いますが、戦闘要員でない三郎は「主役ヒーロー」という感じではない。このように人間のヒーローが存在しない物語ですから、対になる人間のヒロインもなかなか劇中で存在しにくいといえます。立ち位置的には三郎少年に最も身近な女性である佐原千恵がヒロインということになるのでしょう。
千恵はもともとブレインを生み出した国際平和部隊の科学者である佐原博士の娘で、ブレインの反逆による人類への攻撃に対抗して人類を守るために戦うことを決意した父に協力するため国際平和部隊のレッドマフラー隊という軍事組織の隊員となっています。17を偶然発見して心を通わせた南三郎少年もレッドマフラー隊に所属するようになり、家族を失った三郎は佐原家に引き取られており、千恵が姉のように三郎の面倒を見ているという設定となっています。
三郎自身がまだ少年なので戦闘要員でないことや、三郎自身が巨大なヒーローに変身するわけではないことなどの違いはあるものの、この構図はウルトラマンの設定と似ています。だから対策チーム隊員の佐原千恵もウルトラヒロイン的な立ち位置にあると見ることも出来る。もし三郎がもう少し大きくてヒーローっぽければ千恵も擬似ウルトラヒロインとしてもっと機能したかもしれませんが、いかんせん三郎がまだ子供であるので、千恵も単に対策チーム所属のお姉さん的ポジションとなっており、これが本当にヒロインといえるのかどうか、ちょっと怪しいと思います。まぁウルトラヒロインの中でも主人公ヒーローとあまり深く関わらず単に職場の同僚でしかなかった人もいますから、千恵もそれぐらいのポジションだと考えればいいでしょう。

この「大鉄人17」という作品はとにかく1977年3月から11月までの8か月間、東映で初めての本格的巨大ロボアクションをやりきったのであり、「コン・バトラーV」で更なる進化を遂げてしまったスーパーロボットアニメのロボアクションのレベルに実写で到達するにはまだまだ遠い道のりではあったものの、それでも次のステップに向けて貴重な経験を積むことが出来たといえます。
そして、この「大鉄人17」が放映開始した頃、遂に2年間にも及んだ「秘密戦隊ゴレンジャー」の放映も終焉を迎え、その後番組もゴレンジャーと同じチームヒーロードラマを望んだテレビ朝日側の要望に応えて、1977年4月から後番組「ジャッカー電撃隊」の放映が開始されました。

0181.jpgこの「ジャッカー電撃隊」は基本的にゴレンジャーで成功したフォーマットをほぼ全部そのまま引き継いで作ったような作品なのですが、ストーリー的にはゴレンジャーよりも渋めでアダルト路線を志向しており、真面目で落ち着いた作風でした。ゴレンジャーの2年目がかなりギャグ方向に振りきっていることも多かったので、その反動もあったのでしょう。
なんといっても特徴的であったのは、主人公戦隊チームのメンバーが全員、生身の人間ではなくサイボーグであることでした。サイボーグとはつまり仮面ライダーと同じ改造人間であり、これは原作者の石ノ森章太郎の好む作風であり、物語をシリアスにする要素です。もともとライダーのそうしたシリアスさを排してゴレンジャーではサイボーグではなく生身の人間が変身するという設定にして明るい作風を実現したのですから、ここでまたサイボーグ設定としてしまうとせっかくゴレンジャーで作った流れに逆行するようにも思えます。しかしゴレンジャーの2年目がちょっとふざけ過ぎであったという想いもあり、ちょっとシリアス要素を入れて引き締めた方が良いという判断もあったのでしょう。
しかしゴレンジャーの2年目がギャグ色が強かったのも別にふざけていたからなのではなく、「コン・バトラーV」の人気なども意識して危機感を持ったゆえの措置であったのであり、「コン・バトラーV」の勢いがあまり削がれることなく「ボルテスV」にも受け継がれていた状況で変にゴレンジャー2年目の勢いを引き締めて削ぐ必要は無かったといえます。
仮にシリアスな設定にするにしても、それならそれで「ゴレンジャー」とは全く異なる目新しい物語を提供すべきだったでしょう。2年間も続けた「ゴレンジャー」の路線の二番煎じ丸出しのスパイアクションドラマをまだ継続しつつ、しかも「ゴレンジャー」よりも地味でパワーダウンしたような印象の作風とすることで得られるメリットはあまり無いといえます。

0182.jpg結果的に「ジャッカー電撃隊」は「ゴレンジャー」からのパワーダウンを感じさせてしまい開始当初から失速しました。決して「ジャッカー電撃隊」は低質な内容ではなく、むしろ「ゴレンジャー」よりも丁寧に作り込まれていたかもしれない。だが変にシリアスな内容にしてしまったため、子供から見て勢いが無いように見えてしまい、強力なライバルであるスーパーロボットアニメに負けたのです。
そこで慌てた東映は「怪傑ズバット」の撮影が終了するのを待って宮内洋をテコ入れで追加戦士として呼び、ジャッカー電撃隊の行動隊長として1977年10月から登場させました。そして、「怪傑ズバット」で宮内演じる早川健が繰り広げていた奇妙な技比べ合戦を彷彿させるような、これまた奇妙な変装合戦を繰り広げさせて、「ジャッカー電撃隊」という作品はここにきて突如コミカル路線となり、宮内洋に乗っ取られるような展開となりました。
しかし、こんなテコ入れの甲斐もなく人気は上向かなかったので1977年12月で「ジャッカー電撃隊」は打ち切りとなり、完結篇は映画で描かれることとなり、その映画「ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー」は1978年3月に封切られました。

「ゴレンジャー」人気からの急激な転落ぶりであり、このため「ジャッカー電撃隊」は「スーパー戦隊シリーズで唯一途中打ち切りとなった不名誉な作品」というような評価もされますが、そもそも当時は「スーパー戦隊シリーズ」という概念は無く、放送期間の短縮などは当たり前だった時代なので別にさほど不名誉でもありません。内容的にも確かに迷走後の展開はかなりムチャクチャでしたが、当初はそんなに酷い内容だったわけでもありません。
これは「ジャッカー電撃隊」という作品の出来がどうこう以前に、「アクマイザー3」のシリーズや「忍者キャプター」なども含むチームヒーロードラマ全般の退潮と一括で論じるべき問題でしょう。というより、そもそもチームヒーローブームなどというものがかなり水増しされた言説であり、その実態はさほど大したものではなかったのですが、そこに更に「コン・バトラーV」以降ますます強力となったスーパーロボットアニメの人気によって「ジャッカー電撃隊」を含むチームヒーロードラマは駆逐されていってしまったという、単にそれだけの現象だったのではないかと思います。

0183.JPGこの「ジャッカー電撃隊」におけるヒロインがジャッカー電撃隊の紅一点のハートクインに変身するカレン水木です。サイボーグ手術を受けてジャッカー電撃隊の一員になったという経緯部分を除けば、基本的にはペギー松山の設定を踏襲したようなヒロインといえます。
犯罪組織クライムに対抗すべく国際科学特捜隊が組織した秘密部隊であるジャッカー電撃隊の初期4人のメンバーのうちの紅一点で、元は麻薬取締担当刑事ということですからクールビューティーなプロ女戦士という点はペギー松山と同じです。性格も男勝りで優秀な女性であり空手が得意であるなど格闘能力も高い。その上サイボーグ手術を受けているため磁力を操ることも出来るので変身していなくてもかなり強い。
名前や風貌からも明白ですがハーフでありホットパンツも履いている、これもペギー松山と同じであり、年齢もペギーと同じ18歳で、18歳で秘密工作員や麻薬捜査官というのはどうなんだという気がしないでもないですが、そこらへんは子供番組ということで細かいことは言いっこ無しです。要するにペギー松山と同じコンセプトのヒロインということであり、強く賢い優しいオシャレな美人で、男ヒーローに依存せず対等な仲間として協力し合い、職務を淡々とこなして戦いに身を投じる完璧な女性といえます。

サイボーグではあるが少し前までは生身の普通の女性だったわけですから人格的には人間の感性を持っているのであり、同じ変身ヒロインでもビジンダー0184.jpgのような完全なるロボットとは自ずとキャラ設定は変わってきます。生身の人間の変身ヒロインと心は同じということになれば、その類型はまだペギー松山と岬ユリ子しかパターンが無かった。むしろ同じ改造人間の岬ユリ子の方が立場が近そうにも思えるが、だが悪の組織によって意に反して改造手術を受けたユリ子とは違い、カレンの場合は自ら進んでサイボーグ手術を受けており悲劇性は薄めです。
「サイボーグとなった悲しみを心に秘めて戦う」という謳い文句にはなっているが、実際はジャッカーのメンバーは悲しみを表に見せるわけではなく淡々と職務をこなしていくので、カレンもユリ子よりはペギーの方に近いキャラです。要は前作で成功したヒロインのコピーのようなキャラなのですが、決して劣化コピーではなく、カレンはペギーに負けない良キャラです。
完璧すぎて面白味が無いようにも見えるが、当時はまだ「変身ヒロイン」というだけでインパクトが十分だった時代ですからペギー同様、カレンも十分成功したヒロインといえます。カレンというヒロイン自体が失敗したわけではなく、「ジャッカー電撃隊」という作品そのものが、決して低質な作品ではなかったにもかかわらず、時代の流れの中で上手く対処することが出来ずにズルズル沈んでいっただけのことであって、ヒロインの出来自体だけ0185.jpgで見るならばカレン水木はペギー松山と遜色無いキャラであったと思います。特にアクションは、本来アクション俳優であったミッチー・ラブが演じていただけあって、素晴らしかったといえます。

















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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:18 | Comment(0) | ヒロイン画像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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