2013年05月10日

海賊戦隊ゴーカイジャー妄想物語その15


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さて、「赤き海賊団」との戦いで重傷を負って入院してしまったジョーですが、命に関わるような傷というわけではなく、足の怪我が重いのでしばらく兵士として戦うことは出来ないが、ちゃんと安静にして適正なリハビリを続ければ元通りに特殊部隊に復帰できると聞き、ジョーはひとまず安堵しました。
しかし入院生活を送っているうちにジョーは次第に焦ってきました。「赤き海賊団」に完敗してしまったジョーは自分がまだまだ未熟であることを思い知らされていました。それにお咎め無しとはいえ、戦いに敗れて入院する羽目となった自分の軍内での評価は下がったはずです。このままでは自分の夢、すなわち帝国の平和を守る立派な戦士となるという夢の実現は遠のく。まだ自分は特殊部隊内でも一人前として認められていないのに、今回の任務失敗でますます半人前の烙印を押されてしまったのではないだろうかとジョーは不安に駆られました。
早く訓練に復帰して自分を鍛え直して、まずは帝国最大の敵という「赤き海賊団」にリベンジして戦士としての誇りを取り戻したい。それが焦りだということはジョーも分かっていたのですが、これまでこんな長期の入院生活を経験したことのないジョーは病室で1人じっとしていると焦りを抑えることが出来ませんでした。それでとにかく焦りを少しでも解消して安心するためにジョーはそれまで日課としていた筋力トレーニングをやろうと思い、ベッドの上で無理をして身体を動かしていました。
ところがそれを担当の看護婦に見つかってしまい、看護婦は驚いてジョーに無茶をしないよう注意してきました。その看護婦はジョーと同じ年頃の異星人の若い女で、それまでは無愛想に黙っていることの多かったジョーのことを怖がって避けているような素振りであったのですが、ジョーが馬鹿なことをしているのを見て思わず声をかけたのでした。ジョーは看護婦に叱られたので素直に謝り、1人で病室でじっとしていると不安になって仕方ないのだと弱気な心情を吐露しました。普段は弱音など吐くことのないジョーでしたが、実戦での初めての完全なる敗北で負傷して、焦りもあって気が弱くなっていたのでした。

このジョーの入院している病院はザンギャック軍の専用病院であって医師はみんな軍医でありましたが看護婦は必ずしも全員が軍所属というわけではないようで、この若い看護婦も軍所属ではなく普段は一般病院で務めている者が人手不足で一時的にこの病院で働かされていました。それゆえ軍人に慣れておらず、ザンギャック本星人ではない彼女から見ればザンギャックの軍人は怖い存在でした。特に自分の担当するジョーのことは猛者揃いの特殊部隊の精鋭だと聞いており、実際入院してきたジョーはいつも陰気に黙り込んで鋭い目をギラギラさせており、彼女は声をかけるのも恐ろしいと感じていました。
そのジョーがいきなり素直に1人で不安なのだと告白したので、彼女はそういえば1度軍の役人みたいな人が来た以外、誰1人ジョーの見舞いに来ていないことに気付き、鬼のようなザンギャック軍人でも怪我や病気をすればやはり人並みに不安なんだなと思い至り、これまで冷たい態度をとってしまっていたことを反省しました。それでちゃんと親身に接しようと思い、何か気がまぎれるようなことがあれば一緒にやりましょうと看護婦はジョーに提案しました。
言った後で、彼女は素行の悪い者が多いザンギャック軍人にそんなことを迂闊に言って変なことを要求されたらどうしようと不安になりましたが、ジョーがならばトランプをしようと言ったので意外な展開に面食らいました。ジョーの唯一の娯楽は兵士養成所で覚えたトランプだけであり、特にポーカーは引きの強さが自慢でありました。ジョーがヒマを持て余している時に気を紛らわせるためにやることといえば、これまでの人生では筋トレとトランプだけであったのです。
それで看護婦はジョーとポーカーをする羽目となりましたが、実は彼女はポーカーのルールをあまりよく知らないほどで、全くの素人でした。それで勝負はジョーの圧勝となったのですが、素人相手に全力でポーカーの勝負をするジョーを見ていると看護婦は何だか子供みたいに思えて可笑しくなってきて、ジョーに対して当初持っていた恐怖心が無くなり、親近感を覚えました。それで、結局あまりに相手に歯応えが無いのでつまらなそうな顔をしているジョーに向かって、看護婦は今度は自分の得意なことを教えると言いました。むしろジョーにとって未知の面白いことを教えた方がジョーは退屈しないのだろうということに気付いたのです。
その看護婦の得意なことというのはケーキ作りでした。無骨一辺倒の人生を送ってきたジョーにとってケーキ作りというのは全く縁の無い世界であり、ハッキリ言って全く興味の無い分野でありましたが、だからこそむしろ今は軍の仕事のことを忘れて治療に取り組むために良い気晴らしになるのではないかと思い、ジョーも看護婦にケーキ作りを教えてもらうことにしました。
その病院には厨房もあり、そこにはケーキ作りに必要なオーブンや調理具なども揃っており、材料やレシピの本は看護婦が用意しました。ジョーはリハビリがてら松葉杖で厨房に行き、看護婦のケーキ作りを手伝いながらその作り方を学ぶことになりました。周囲の職員たちもだいたい軍の職員であったので、特殊部隊の隊員であるジョーがケーキを作っているのを奇異なものを見るようにしていましたが、ハッキリ言って特殊部隊の不愛想な兵士であるジョーは皆に怖がられていたので、ジョーがこれはリハビリなのだと強弁すると、みんなジョーに言い返すこともなく、あまり関わり合いになろうともしませんでした。
お蔭で静かな環境でケーキ作りに没頭することになったジョーは、それが武術などとはまた違った意味でなかなか奥深い世界であることを知り、予想以上にのめり込んでいきました。その結果、ジョーは早く軍務に復帰しなければいけないと焦る気持ちを忘れて、落ち着いた気分で治療とリハビリに専念することが出来ました。

0155.jpgしかし看護婦からケーキ作りを学んだ効用はジョーにとってそれだけではありませんでした。それまでジョーはほとんど軍の人間としか接したことがなく、一般人の知り合いなど1人もいませんでした。それはよく考えたら不自然なことでした。ジョーは一般の人々を脅威から守るために兵士になろうとしてこれまで頑張ってきたのですが、そのジョーが自分の守る対象である一般の人々のことをほとんど知らなかったのです。
これまでのジョーはただ単に自分のことを「人々の平和を守る兵士」だという抽象的イメージで捉えていただけであり、実質的には単に軍や帝国政府の命令に忠実に従っていただけでした。もちろん帝国の命令に従って戦うことが帝国の一般の人々の平和を維持することに繋がるのだということはジョーも理解はしていましたが、あくまで人々のために戦いたいと考えて兵士となったジョーにとっては、その守るべき人々のイメージが自分の中で確固としていなかったのは1つの欠陥であったということに今回ジョーは気づくことになったのです。
どうしてそんなことに気付いたのかというと、ケーキ作りを教わりながら看護婦と接して、看護婦の娘の屈託のない笑顔を見ているうちに、ジョーはその看護婦の娘に自分の守るべき普通の人々のイメージを初めてハッキリと感じたからです。初めてそれを感じ取ったことによって、ジョーは今までの自分がそれを知らなかった、単なる上官の命令に従うだけの戦闘マシーンのようなものだったということを自覚したのです。
守るべき相手のことを人間として知ることによって自分は戦闘マシーンではなく人間の戦士として成長することが出来るのではないだろうかと思ったジョーは、看護婦にもっと彼女自身のことを教えてもらいたいと思い、ケーキを作りながら会話をして、彼女の生活のことや故郷の話などを聞きました。

それによると、彼女はもともと故郷の小さな星で見習い看護婦をやっていたが、正式な看護婦となるためにこの星の学校に入学することになり、そこを卒業して一旦一通りの実習をこなすためにこの星の総合病院で働いていたところ、今回急遽この軍の病院に助っ人で来ることになったのだという。そして、おそらくジョーが退院すると彼女もこの病院から元の病院に戻り、その頃ちょうど実習期間も終わるので故郷の星に戻ることになるだろうとのことでした。
故郷に戻れば彼女はもともと見習いで働いていた小児科の病院に戻ることになるそうで、それが彼女のずっと目指してきた夢なのだという。子供好きな彼女は自分の星の子供たちを可愛がっており、その子供たちの命を救う仕事をしたいと思ってきたのです。今回、正式な看護婦となり実地の経験もしっかり積んだ彼女はこれから故郷に戻ってバリバリ子供たちのために働くのが楽しみだというのです。実はケーキ作りも故郷で病院の子供たちに食べさせるためにお菓子作りを始めたのがきっかけで特技となったのだそうです。
そうした彼女の話を聞いて、ジョーは彼女や彼女の周りでケーキを美味しそうに食べる多くの子供たちの居る温かい情景を思い浮かべ、それこそが自分の守るべき人々のイメージなのだと強く実感しました。思えば自分も幼い自分を救ってくれたザンギャック兵達に憧れて、子供を守るヒーローになりたいなどと思って兵士になったはずなのに、そんな温かい子供の居る情景のイメージなどこれまで全く持ってこなかった。しかしよく考えたら無理もない。自分はこれまで自分よりも小さな子供たちと平和でのどかな時間など過ごしたことはないのだと、ジョーは自嘲しました。
ジョーは看護婦の娘の話から思い浮かべた情景こそが自分の目指してきた戦士の守るべき者達の具体的なイメージなのだと実感し、それを肌で知っている彼女を羨ましく思いました。それで彼女の故郷の生活をしきりに羨ましがり、自分もその子供たちに会ってみたいものだとジョーが何となく言うと、看護婦はそれならば怪我が良くなったら一緒に行けばいいと言い出したのでした。ジョーは軍務に縛られている自分にそんな自由が許されるはずはないと思っていたので、看護婦の言葉に驚いて、そんなことが出来るのかと尋ねました。
すると彼女は、自分の星にもリハビリの施設もあるので、退院間近にリハビリ名目で自分も一緒であれば自分の故郷の星にちょっと行くぐらいのことは可能だろうと言いました。確かにそれならば何とかなりそうだとジョーにも思えました。逆に退院してしまえばおそらく軍務の縛りが厳しくて、当分はそのような自由な時間は作れそうにない。これは千載一遇のチャンスではないかとジョーは思いました。
看護婦の故郷の星に行って子供たちと穏やかな時間を過ごせば自分の中で戦う意味がより確固としたイメージを持つような気がしました。そうなれば今のような迷いや焦りもあまり感じなくなり、自分はより強くなれるのではないか。それが「赤き海賊団」に今度こそ打ち勝つことにも繋がり、自分の夢の実現にもつながる。きっとそうに違いないと思い、ジョーは是非行きたいと看護婦に伝えました。それを聞いて看護婦は、ならばその日を迎えるために今はリハビリを頑張りましょうとジョーを励ますのでした。


0156.jpgさて、一方、兎にも角にもエナジークリスタルも全部揃いギガントホース搭載のギガロリウム砲の全ての砲台のエネルギー源となるギガロリウムも全て精製されて準備万端整ったところで、この世界の地球暦でいうところの2012年4月、遂にザンギャック本星から帝国艦隊の新鋭旗艦ギガントホースが出航しました。ギガントホースの処女航海の目的はザンギャック帝国に対する反乱同盟の拠点となっている星々を討伐することとなっています。しかし実際はそんな反乱同盟などは実在せず、地球でザンギャック中央軍が全滅したという大敗北の真の事情を隠蔽するためにでっち上げられた大嘘です。
まず基本的に地球でザンギャック軍が全滅したという事実が一般市民向けには完全に隠蔽されており、ザンギャック軍が地球を攻撃したという事実そのものが無かったことにされています。だがザンギャック軍の中枢の幕僚達はもちろんザンギャック軍が地球を攻撃して全滅したことは知っており、帝国軍のかつてない大敗北と、その作戦を秘かに無能と噂される未来の帝国の後継者、皇太子ワルズ・ギルが指揮していたことは帝国軍中枢に決して小さくはない動揺を与えていました。
その動揺を鎮めるため、皇帝アクドス・ギルは地球における敗北の理由を反乱勢力の妨害によるものであって決してワルズ・ギルの作戦失敗によるものではないという嘘をでっち上げる必要があり、地球攻撃軍に参加していた軍属たちの出身の星々に反乱の濡れ衣を着せたのでした。そして、その反乱勢力と決めつけられた星々を皇帝座乗艦のギガントホースただ1隻だけで滅ぼしてみせることで一旦帝国軍中枢において失墜しかけた皇帝一族の権威を回復するというデモンストレーションがアクドス・ギルの今回の親征の最大の目的でありました。最新鋭の帝国艦隊旗艦ギガントホースにはそれを可能とする圧倒的な戦闘力が備わっています。艦長はもちろん皇帝アクドス・ギルであり、その圧倒的な力を見せつけるため、アクドス・ギルは帝国軍の主要な幕僚たちをゴッソリとギガントホースに乗船させ随行させています。
ただ何かと余計なパフォーマンスに走りそうなワルズ・ギルは総司令官として帝国軍の再編成をやり遂げるという名目で本星に留守番とし、その御目付役兼実質的な軍の再編成の指揮者として参謀総長のダマラスも本星に留守番です。また、皇帝が出征中の本星の防衛のため皇帝親衛隊の半分は隊長のデラツエイガーの指揮のもと本星に居残っており、今回アクドス・ギルは随行の親衛隊半分の指揮を隊長と同等以上の実力を持つと噂される親衛隊の最精鋭ダイランドーに任せています。
そして、本星居残りの親衛隊員に与える新装備である決戦機の開発者である帝国一番の科学者ザイエンも本星で居残ることになりましたが、これはアクドス・ギルとしては少し残念なことでした。ザイエンはギガントホースの開発者でもあるので、出来ればザイエンにもギガントホースの初航海には随行してほしいところであったのです。しかし本星の防衛体制を万全とすることも重要なので、決戦機の開発者であるザイエンが居残るのは仕方ない。そこでザイエンは自分の代役として自分の弟子のインサーンという女性技官を皇帝に随行させることにしました。インサーンもまたザイエンと共にギガントホースの開発に携わっていたので、ギガントホースにもし何か想定外のトラブルが起きた場合にはザイエンと同程度に的確な対処は可能と思われたからでした。

0157.jpgしかしこのインサーンという若い技官、なかなか自己顕示欲の強い女でした。インサーンはあのドン・ドッゴイヤーが入学を諦めたザンギャック本星の技官養成学校の出身者で、ザンギャック本星人でありましたが、その学校にゴロゴロ存在していた不正な手段で合格した支配階級のボンクラ子弟たちとは一線を画していました。彼女はむしろ本星の下層階級の出身であり、ザンギャック星人というだけで他の支配下の星の者達よりは優遇はされていましたが、支配階級からは見下される存在でした。
特にインサーンの場合はなまじ優秀で上昇志向が強いため支配階級の者達の中に混じって生きることとなり、身分差別を受けることが多く、同時に自分を擬似支配階級と見なすことでインサーンは並の支配階級の者よりもむしろ自分以下の下層階級や他星人を見下す傾向が強かった。差別感情と被差別感情がない交ぜになった屈折した心情の持ち主であったといえます。ただとにかく彼女は学業が優秀であり、それが自分のアイデンンティティとなっていた。不正入学がまかり通る技官養成学校に下層階級でありながら簡単に合格したのも彼女が飛び抜けて優秀であったからです。
そんな彼女がどうして技官養成学校を選んだのかというと、兵士の生体改造に情熱を傾けていたからです。他星人を見下していたインサーンは劣等な他星人を改造して強い兵士とすることを本気で素晴らしいことと考えて何の抵抗も抱いていませんでしたし、自分の出自への劣等感から根本的に人が生まれついての身分や能力に縛られることに理不尽を感じていた彼女は生体改造によって全ての階級の者が等しい存在となるのが理想だという極端な考えを持っていたからです。
技官養成学校では兵士の生体改造分野の最高権威であるザイエンが教官をしており、インサーンはザイエンの弟子となるために入学したと言っていい。実際インサーンは入学後ザイエンの研究室に入り、更に才能を開花させて首席で卒業後、ザイエンの助手となりました。インサーンは極めて優秀な生徒であり、そして卒業後はザイエンにとって極めて優秀な助手となったわけですが、インサーン自身はザイエンのために尽くすためというよりも、あくまで自分がいずれ帝国一番の科学者となるためのステップとしてザイエンに師事したといえます。
まぁ才能ある科学者ならば誰でも内心はそのようなものなのであり、少なくとも表面上はインサーンのザイエンに対する助手としての態度に何ら問題があったわけでもない。しかしインサーンはあまりにも優秀すぎました。師匠のザイエンはインサーンが自分を超える天才であることを看破しており、帝国一番の科学者の座が脅かされるのではないかという恐れからザイエンはインサーンの表向きとは異なる不遜な内心の野望も敏感に感じ取り、若者らしい情熱というように肯定的に捉えることなく必要以上に警戒していました。
逆にインサーンは師匠のそうした複雑な心情には無頓着で、あくまで自分の立身出世のことにしか興味が無く、ギガントホースの開発者チームの代表として皇帝の親征に随行を命じられたことでますます自分の帝国一番の科学者への道が開けたと思って有頂天でした。それで舞い上がったインサーンは一介の技官に過ぎない自分が師匠同様に皇帝に直接助言や提案を出来るかのように錯覚し、アクドス・ギルの御前で自分の最新の独自研究について演説をぶってしまったのでした。

それはとある星で採掘された特殊な鉱石から独自の技術で精製したビームを使って兵士を巨大化させて戦わせるという今までに無い画期的な技術でありました。その場に居た他の幕僚たちはインサーンの立場をわきまえない発言に眉をひそめて制止しようとしましたがアクドス・ギルは面白がってインサーンの話を続けさせました。その話の内容がなかなか興味深かったからというのも1つの理由でしたが、アクドス・ギルとしてインサーンの提案が切実に必要というわけでもなかった。それよりもインサーンという人物の方に興味が湧いたということの方が大きな理由だったといえます。
0176.jpgそのインサーンの唱える兵士巨大化技術が実用化されればザイエンの現在進めている決戦機を使った軍制は不要になるかもしれない。どちらがより良いのかは現時点ではアクドス・ギルにもよくは分からなかったが、問題はインサーンがザイエンの弟子でありながらザイエンの研究を否定するかもしれないようなことを平然と提案していることでした。アクドス・ギルが興味を引かれたのはインサーンのそうした人間性についてでした。
アクドス・ギルはインサーンにその発明は決戦機とどちらが優れているのか質問してみました。するとインサーンは自身もザイエンの助手として関与している決戦機は確かに素晴らしいと言いつつ、しかし自分の技術の方が低コストである分、より実用的であると正直に答えました。それを聞いてアクドス・ギルは実際その通りかもしれないと思いつつ、インサーンのことを帝国の中枢メンバーとして全く不適格だと内心烙印を押しました。アクドス・ギルにとって優秀な臣下とは、正しいことを意見する者ではなく、帝国の支配体制の秩序維持を最優先することが出来る者なのであり、ザイエンという上司との不和を起こしかねないようなことを平然と提案するインサーンの無神経さは無能の証としか思えなかったのです。
しかし同時にアクドス・ギルがインサーンに興味を抱いたのは、その身勝手な上昇志向を上手く突っつけば何らかの形で利用するには都合がよい人材に思えたからでした。そういう意味でインサーンという人材を気に入ったアクドス・ギルは今回の作戦の中でインサーンに技官として以外にもう1つ重要な役割を与えたのでした。それは討伐対象の星の住民達との交渉役でした。
交渉といっても真剣に談判するわけではない。もともと反逆の意思など無いことは分かり切っていますから反逆の罪を問うたりしても不毛な議論になるだけのことで、話がややこしくなります。アクドス・ギルとしては皇帝の権威維持のために幕僚たち向けに恐怖心を植え付けるデモンストレーションをするのが今回の征討戦争の目的であり、そのために罪が無いことが分かり切っている幾つもの星の住民たちをギガントホースの力で殺戮するわけですから、むしろ出来るだけ多くの住民を問答無用に無慈悲に殺す方が望ましい。だが、いきなりザンギャック皇帝が巨艦で現れれば警戒する住民もいるかもしれない。いかに強力なギガントホースといえどもたった1隻ですから惑星規模で変に抵抗されてもいささか面倒なことになります。
そこで攻撃の意思は無くあくまで友好的な訪問であるかのように言って騙して、出来るだけ多くの住民を油断させて星から逃げ出したりしないようにして、出来るだけ簡単に始末したい。そのための偽りの友好的使者の役割をインサーンにやらせようというのがアクドス・ギルの考えでした。皇帝には必死で媚びつつ他星人に対しては徹底的に酷薄な性格であり、女性技官であるために無骨な印象が無く、頭の回転が速く社交的で弁舌の立つインサーンはこのあまりに非道な任務にうってつけであったのです。

さて、その今回のギガントホースを使っての討伐戦争の討伐対象となっていた星は全部で20個ほどありました。それらはたまたま地球攻撃軍の軍属として参加していた者達がいたというだけの理由で無慈悲に選ばれてしまった罪も無き星々であり、もちろんそれらの星の住民たちはまさか自分達がそんな哀れな生贄にされようとしているとは夢にも思っていませんでした。そして、たまたまその哀れな生贄の第一号と定められてしまったのがドン・ドッゴイヤーの住む例の星でした。
ドンは月面基地で殺される前に家族たちがドン宛てに放ったメッセージカプセルによってザンギャック軍による危機を警告されていましたが、具体的な情報に乏しかったそのメッセージではその突拍子も無い話を星に住む他の人々に信じて貰うことは出来ませんでした。ドン自身も半信半疑であったといえますが、それでも自分の家族が嘘のメッセージを送ってくるとも思えず大いに不安を覚えて、家族のメッセージの求めに応じて皆に警告を発しました。
だがドンの星はザンギャック帝国にひたすら従順で協力的な星であり、それによってザンギャックとの関係は友好的で繁栄していました。だから人々はドンの警告するような危機が起こり得るとは到底信じられなかった。特にドンの家族こそがこの星でもザンギャックに最も友好的なグループに属する名士であったので、その家の末っ子であるドンがこのようなことを言い立てるということは、ザンギャックに友好的な者達からも、ザンギャックに反発する者達からも、どちら側からも評判は芳しくなかった。それで結局ドンも皆を説得することは諦めて、あるいはこれは何かの間違いで、家族も無事に戻ってくるのではないかとも思うようになっていました。
そうして2ヶ月ほど平穏な日々が過ぎた、地球暦でいえば2012年4月のある日、突然ドンの住む星の上空に見たことのない巨大な宇宙戦艦が出現したのでした。人々は一瞬ドンが言っていた警告を思い出して恐れを抱きましたが、上空の戦艦から単身で降りてきたザンギャック本星人の女が自分はザンギャック軍の技官のインサーンだとにこやかに名乗り、丁寧で物腰低い態度で説明を始めたので人々は安心しました。
インサーンの話によれば上空の戦艦はザンギャック宇宙艦隊の新しい旗艦ギガントホースであり、その完成就航を記念して皇帝アクドス・ギルが座乗して宇宙各地の友好星を巡幸しているのだとのことでした。この星がその巡幸先に選ばれたのはギガントホースにはこの星の技術も使われているからであり、この艦を作った自分から見てもこの星の技術は非常に素晴らしいと、インサーンは調子の良いおべんちゃらを言いました。
その御世辞を全部真に受けたというわけではないが、人々は少なくともインサーンに悪意や敵意があるとは思わず、あくまでギガントホースの訪問は平和的なものだと理解して安心し、明日には皇帝陛下が降り立って挨拶をするので星の住民皆で畏まって迎えてほしいというインサーンの予告を素直に信じました。

0158.jpgだがドンだけはギガントホースの出現に不吉な予感を覚えました。それはもちろん家族からの警告を未だ半ば信じていたからでありましたが、インサーンのやけに友好的な態度にも不信感を覚えたからです。ザンギャック軍の旗艦の開発者といえば本星のエリートであり、そんなエリート本星人が自分達にこんな低姿勢というのも何か妙だと思えました。家族からの警告メッセージにもザンギャック軍が友好的な素振りを見せても信用しないようにと強調されていたのでドンはインサーンの言うことを素直に信じる気になれなかったのです。
それで降り立ったインサーンの居場所にいち早く駆けつけていたドンは、自分はこの星の技術者を目指す学生なのだがギガントホースのどの部位にこの星のどんな技術が使われているのか教えてほしいとインサーンに質問しました。実はギガントホースにこの星の技術が使われているというのはインサーンのでまかせであり、本当はどこにもそんな技術は使われていない。しかも実際はギガントホースを設計したのはザイエンであってインサーンはその手伝いをしただけなのに調子に乗って設計者のような顔をしていただけなので、インサーンはドンのそこまで詳しい質問に上手く対応出来ませんでした。
それで適当な部位について、さもその星の技術が使われているかのような答えをしたのですが、ドンはそれはどうもおかしいと指摘しました。ドンは実地の技術や経験はまだまだ未熟でありましたが、一流の技術者の家族の中で育ったため、技術に関する知識だけはかなりのレベルに達しており、インサーンの適当な説明の矛盾に気付き、これはどうも変だと感じて、インサーンに本当にこの艦を設計したのは貴方なのかと問い返しました。
これがインサーンの痛いところを突いたのか、インサーンは内心ひどく動揺し、それを隠すためにとにかくこの場を誤魔化すことを焦り、ドンの優秀さを褒め称えつつ、しかしそんなドンでも理解できないレベルの技術が本星の技官の世界には存在するのだと言い張り、ドンに向かってもし望むならば本星の技官養成学校の特待生として迎えるよう取り計らってもいいと提案したのでした。
つまりインサーンは上手くドンを懐柔して、とにかくこの場でこれ以上ドンに余計なことを言わせないようにしたかったのですが、既に養成学校の受験で不当に落とされていたドンは、いきなりザンギャック側がこうまで掌を返した態度に出ることにますます不信感を覚え、それはむしろ恐怖心にまで嵩じてしまいました。生来臆病者のドンは危険察知本能が妙に発達しており、ここまでインサーンが低姿勢に出ているのを拒絶すれば恐ろしいことになると感じましたが、かといってそんな申し出を受けてもロクなことにならないとも予想できました。というより、これ以上この場で問答を続けること自体がどうも危険なことであると思えてきて、ドンは慌ててしとろもどろになり、考えておきますとだけ言って、その場を逃げるように去ろうとしました。

ところがその場にいた多くの人々の中でドンのインサーンに対する態度に不遜なものを感じた人々がおり、ドンが以前に家族が反逆の疑いでザンギャックに殺されたと言っていたことを指摘し、このようにあくまでザンギャックに反抗的な態度をとるのはこいつが本当に帝国への反逆者の仲間だからなのではないかと疑惑を提起しました。それを受けてその場にいた人々の多くが、ドンをこのまま放置していては自分達まであらぬ疑いをかけられるのではないかと言い出し、ドンを捕えて皇帝に差し出すべきではないかという意見まで出てきたので、ドンはすっかり怖くなってしまい、必死で駆けて家に戻りました。
だが、ドンが駆け去った後、インサーンの方は群衆に対してドンを捕えるように命じるでもなく静観しました。これ以上ドンと関わることによって変にボロが出ることを警戒したのです。どうせこのまま明日になればこの星の住民は皆殺しとなるのだから、今さら学生の1人がどうなろうともインサーンにとっては大した問題ではありませんでした。
一方、自宅に戻ったドンはザンギャック軍の不気味な態度や、人々の自分に向けられた悪意にすっかり怯えてしまい1人で震えていましたが、そこに悪意を持った群衆が押し寄せてきて、ドンを引っ張り出して捕えようとしました。だが、その一方でドンを擁護する人々も少数だがやって来て、ドンの家の前で双方が小競り合いを始めました。ドンを擁護する人々の一部はドンの家の中に入ってきてドンと面会し、先ほどのインサーンに立ち向かったドンの勇気ある態度を褒め称え、もしザンギャックがこの星に危害を加えようとしているのならこの星を守るために共に戦おうと持ちかけてきました。
もちろん本格的に戦争するというわけではないが、相手は現状ではギガントホース1隻であり、強気で交渉して相手が何か変なことを企んでいるのならば阻止するぐらいのことは出来るはずだというのが彼らの言い分であり、そのために先ほど見せたようなドンの勇気が必要だと言うのです。だがドンにはそんな褒められるような勇気など無い。単に疑問に感じたのでインサーンに質問しただけのことで、とことんザンギャックと戦い続けるような勇気など微塵も無く、先ほどもインサーンの態度に不穏なものを感じた途端に怖くなってその場を逃げ出したような臆病者でしかありませんでした。
そんなドンですから、星の多くの人々の悪意に晒されてすっかり怯えきってしまっており、現在このようにザンギャック側に立って自分に悪意を向けるような人々が多数派を占める中で少数の抗戦派が集まったところで何も出来ないだろうと思い、そんな勝ち目のない戦いを一緒に戦おうなどと言われても自分にはそんな勇気は持てるはずがないと感じ、むしろ擁護派の人々の話を聞いてドンはますます追い詰められてしまいました。捕われるのはもちろん嫌だが、抗戦派の神輿にされるのも困る。進退窮まってしまったドンは擁護派の人々も追い出して家の中に閉じこもり頭を抱え込んでしまいました。

そうしてドンの家の外ではザンギャック派と反ザンギャック派の群衆が一晩小競り合いを続け、眠れぬ夜を過ごして悩み抜いたドンは結局全ての状況から逃避することを決意し、自宅の地下に父親が秘かに作っていた小型宇宙船に乗り込み、夜明け前に突如飛び立ちました。家の周りにいた群衆はドンが逃げ出すのを呆気にとられて見上げましたが、その些細な出来事は上空のギガントホースでは把握はしていませんでした。もはやドンがどうなろうともそんなことはどうでもいい段階となっていたのです。
ギガントホース内部では既に搭載しているギガロリウム砲全門の初めての発射準備態勢に入っており、何せ初めてのことでもあり、乗員たちはかなりの緊張状態となっていました。皇帝や幕僚たちもこの厳かなデモンストレーションを無事に終えることに集中しており、ちっぽけな宇宙船が1隻程度、星から離脱したことなど気付くこともありませんでした。
そしてドンの乗った宇宙船がその星の大気圏を離脱した直後ぐらいのタイミングで、夜明けと共に上空のギガントホースの上に浮かび上がった巨大なアクドス・ギルのホログラム映像によって地上の人々は自分達が反逆の罪によって処刑されるという信じがたい現実を突き付けられたのです。人々は驚き、口々に謂れの無い罪への反論を叫びましたが、そのような声は全く無視され、すぐさまギガントホースの全てのギガロリウム砲の発射によって星全体が火の海に包まれて、その星の人々は全て死に絶えてしまったのでした。
ただ1人、大気圏の外に出ていたドンだけはその被害を免れることが出来ました。ドンの宇宙船にも地上の電波などは受信できる装置はついていたので、ドンもアクドス・ギルの処刑宣告は聞き、驚愕し、やはり自分の家族の送ってきたメッセージ内容は真実だったのだと悟りました。ということはつまり、自分の家族もやはりあの時点で既に殺されていたのだという事実を改めて確認し、ドンは深い悲しみに襲われました。家族を失ったことももちろん悲しかったが、それに加えて、目の間でギガントホースの発した猛烈な砲火によって故郷の星が炎に包まれ滅びる様を見たドンは、亡き家族が自分に託した使命を遂行出来なかったことを情けなく思い、猛烈に悔やみました。
ドンもまさかいきなりギガントホース1隻に母星が滅ぼされるなど予想していなかった。宇宙に逃げ出したのは単に追い詰められた自分の状況から一時的に逃避するための錯乱した行動に過ぎませんでした。母星の近くの星に潜んでおいて、しばらくして騒ぎが収まった頃にコッソリ母星に戻ろうというぐらいのつもりだったのです。
ところがその結果、母星が滅ぼされて自分だけ逃げて生き延びたという形になってしまった。偶然こうなってしまったとはいえ、残って戦うという選択肢もあったはずで、実際一緒に戦おうと誘ってくれる者もいた。しかし、その誘いからも逃げ出した結果このようになったわけで、つまりは自分に勇気が無いので逃げることしか出来ず、要するに自分は戦うことも出来ず滅びる星から自分1人逃げることしか出来なかった情けない臆病者なのだとドンは思うしかありませんでした。
そして自分に勇気が無いから、家族から命をかけて託された仕事も成し遂げることが出来なかった。そのことが悔やまれたドンでしたが、今はそんな感傷に浸っている余裕も無い。ギガントホースが自分の存在に気付いて始末しようとしてくるのではないかという恐怖の方が先行したのです。もはや母星に戻ることもない以上、母星の近くに潜んでいる意味も無い。出来るだけ早くギガントホースの目が届かない遠くに逃れなければいけないと焦ったドンは、大慌てで宇宙船を加速させて宇宙の大海原の中に飛び去っていったのでした。

0159.jpgさて、ここで「赤き海賊団」に話を戻します。「宇宙最大のお宝」を手に入れることを目指す宇宙海賊バスコ・タ・ジョロキアを新たに仲間に加えた「赤き海賊団」は、これで船長のアカレッドと水先案内ロボのナビィとバスコの3人(2人と1羽)体制となっていました。
アカレッドはかねてからの予定通り、自分がゴーカイガレオン内でやっていることの大部分をバスコには秘密としました。すなわち、モバイレーツをはじめとしたゴーカイジャーに関連する諸々のアイテムやマシン類の製作はあくまで秘密となっていたのでした。
その理由はアカレッドの旅の真の目的を隠すためでした。ゴーカイジャーに関するアイテムをバスコに見せれば、必然的にそれを何のために使うのか説明せねばならなくなり、その説明をすればアカレッドが単なる「宇宙最大のお宝」を探す宇宙海賊であるということが嘘であることが明らかとなってしまいます。そんなことになれば、バスコはあくまで伝説のお宝である「宇宙最大のお宝」目当ての海賊ですから、アカレッドの目的が別のものであると知れば、バスコはアカレッドと一緒に旅をすることをやめてしまうかもしれない。それではアカレッドは困るのです。
アカレッドの真の目的は「宇宙最大のお宝」を本気で手に入れようとしているような途方もない夢を抱いた宇宙海賊たちを地球に連れていって35番目のスーパー戦隊に仕立て上げ、34のスーパー戦隊に自身の後継者として認められた彼らに「大いなる力」を受け継がせて、最終的に全ての「大いなる力」を合わせて宇宙を作り変えてザンギャックの存在しない平和な宇宙を作らせることでした。
そのために必要なことは、まず全てのレンジャーキーを回収することと、おそらく5人組であろうと思われる35番目の戦隊「海賊戦隊ゴーカイジャー」の海賊たちを地球に連れていくこと、そしてゴーカイジャーが34のスーパー戦隊に後継者として認められるということです。
そしてそれは言い換えれば、ゴーカイジャーの5人の海賊たちが地球や宇宙の平和を守るために戦う戦士となっていなければいけないということになる。だがアカレッドがゴーカイジャーの5人の候補のうちの1人と考えて仲間に加えたバスコは、現時点ではそんな正義のヒーローには全くほど遠い存在です。ただ単なるお宝目当ての海賊に過ぎない。そしてアカレッドは一体どうしたらバスコのような男を34戦隊が納得するような正義のヒーローにすることが出来るのか、有効な方法を全く思いつけていませんでした。
頭ごなしや腕ずくで「正義のヒーローになってザンギャックと戦うように」と言ったところで、到底バスコが素直に従うとは思えません。バカバカしくなって出て行ってしまうことでしょう。だからアカレッドも迂闊な行動に出ることは出来ない。今はとにかくバスコが不信感を抱かないように調子を合わせて一緒に「宇宙最大のお宝」を探す旅を続けるフリをするしかない。

0160.jpgいや別に「宇宙最大のお宝を探す旅」というのはアカレッドにとっても決して嘘なのではない。レンジャーキーを全部集めた後にアカレッド達が向かう先の地球には実際に「宇宙最大の宝」という名の一種の「秘宝」といえる巨大な力を秘めた装置があるのだから、アカレッドは決して自分に完全に嘘をついているわけではない。ただ明らかにバスコの思い描く「お宝」とは異なるものであろうから、今はそのあたりも慎重に秘密にしておかないといけない。アカレッドはあくまでバスコの思い描くような宇宙海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」を探しているように見せかける必要がある。
また、そのお宝が地球にあることも現時点ではバスコに教えるわけにはいかない。そんなことを知ればバスコは今すぐその地球に向かいたがるに決まっている。だがアカレッドは地球に戻る前にまずは全ての「大いなる力」の封じられたレンジャーキーを回収しなければならないのだから、それを成し遂げる前に地球に行くわけにいかない。
だからバスコには地球のことは一切教えず、とにかくレンジャーキーを全部集めれば自ずと「宇宙最大のお宝」の在り処が分かるのだと言っておき、目先のレンジャーキー回収作業をまず終えることを優先させなければならない。そうしてレンジャーキーを全部集めた上でバスコを連れて地球に向かうというのがアカレッドが最低限成し遂げなければいけないことでした。
ハッキリ言って、それまでにバスコを正義のヒーローっぽく変身させることなど出来る見通しはアカレッドには無い。そんなことはこれまでアカレッドはやった経験は無いし、先人の経験で参考になりそうな事例も無い。だから成り行き任せということになる。あるいはとにかくレンジャーキーが全部集まったら今のままのバスコを連れて地球に向かうことになるのかもしれない。バスコに「レンジャーキーを集めればお宝の在り処に向かうことになる」と予告している以上、そうならざるを得ない。
そうなると、結局は地球に着いてから34戦隊との遣り取りの中でバスコが正義のヒーローとして目覚めていくことに期待するしかないのか、あるいは34戦隊が納得しなければ秘かにアカレッドが作ったラッパラッターの力を使って「大いなる力」を集めるしかないのかもしれない。

ただ、現時点の単なるお宝目当てのならず者のバスコでは、まだアカレッド自身が信頼して宇宙の作り変えをさせる気になれませんでした。もしかしたら自分の見込み違いという可能性だって大いにあると思ったアカレッドはまだあくまで慎重にバスコの人間性を見極めていかなければいけないと考えました。とにかくまだ全てのレンジャーキーを集めるまでにはかなりの時間を要する。そうして旅を続けている間にバスコが本当に35番目の戦隊のメンバーに相応しい者なのかどうか観察していくしかない。
いや、その解答が出ないままレンジャーキーが全部集まってしまう可能性もある。その場合、もし地球に着いてからバスコが35番目の戦隊に相応しくないと分かってしまって、そのバスコがレンジャーキーを全部手にしてしまったことによって何か面倒なことになるかもしれない。そういう最悪の可能性に備えて、アカレッドは新たに或る細工を施しておくことにしました。
それは集めたレンジャーキーの一部をバスコの目に触れない場所に隠しておくということでした。最悪の場合、レンジャーキーの力を使って戦うことまで可能としてしまったバスコが自分と敵対し、自分はそのバスコと戦ってその動きを封じなければいけなくなるかもしれない。その場合、バスコが手に入れることが出来るレンジャーキーがあまり強力でなく、自分だけが手に入れることの出来るレンジャーキーがより強力である方が事態の打開のためには最も面倒が無くて良いとアカレッドは考えました。
そこで強力な戦士が多い各戦隊に遅めに加入した戦士や番外戦士のレンジャーキーを見つけた場合は船室の宝箱には入れずにアカレッドは自室の隠し扉の奥に隠しておくことにしたのでした。具体的にはドラゴンレンジャー、キバレンジャー、キングレンジャー、シグナルマン、メガシルバー、黒騎士、タイムファイヤー、ガオシルバー、シュリケンジャー、アバレキラー、デカブレイク、デカマスター、デカスワン、マジシャイン、ウルザードファイヤー、マジマザー、ボウケンシルバー、大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態、ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー、シンケンゴールド、姫シンケンレッド、ゴセイナイトの25戦士のレンジャーキーということになります。
幸い、この25戦士のレンジャーキーはバスコ加入時点ではまだ1つも見つかってはいませんでしたのでバスコの目には触れていませんでした。それに成り行き上、バスコは船内の内向きの仕事担当となっておりレンジャーキー回収作業で外に出るのはアカレッドの担当ということになっていたので、アカレッドがこれらのレンジャーキーを発見回収した場合、バスコの目に触れずに隠し持つことは十分に可能でした。そういうわけでアカレッドはバスコを完全に35番目の戦隊の戦士として認めるまでの保険として25個の強力な戦士のレンジャーキーの存在を隠して自分の手許に置いておくという方針を秘かに決定しました。

同様にバスコを35番目の戦隊の戦士と認めるまでは変身用モバイレーツなどゴーカイジャーに関する情報も秘しておくこととし、バスコにはゴーカイシリンダー無しのモバイレーツやゴーカイガンやゴーカイサーベルは渡しておきましたが、ゴーカイシリンダー付きのそれらの器具の存在やゴーカイジャーのレンジャーキーの存在もまだ教えませんでした。
そしてもちろんアカレッドの旅の真の目的もバスコにはまだ秘密であり、アカレッドが地球からやって来たということも秘密でした。また旅の目的地が地球であるということも現時点ではもちろん秘密ですが、これに関してはいずれレンジャーキーが集まれば地球に向かうことになるのだから、その時点でバスコにも教えなければいけない。といってもアカレッドがもともとそのことを知っていたのに隠していたという印象を与えるとバスコがアカレッドに不信感を抱く恐れがある。
0161.jpgだからあくまで地球行きの方針が判明するのはレンジャーキーが集まったことによって自動的に判明するという形にしなければいけない。そこでアカレッドは全部で192個あるレンジャーキーのうちアカレッドが手許に隠し持っておく予定の25個を除いた167個のレンジャーキーが宝箱の中に揃った時点で、その傍にいるナビィが地球行きの水先案内を開始するというように秘かにナビィを弄って設定しておきました。それならばいかにもレンジャーキーが集まったことによって初めて地球行きの方針が判明したかのように見せかけることが出来てバスコも自分に疑惑の目を向けることもないだろうとアカレッドは考えたのでした。
もちろんそのような設定にしたことはナビィ自身も無自覚であり、ナビィは現時点ではまだ地球行きの方針は知らないし、自分が地球からやって来たことも知らない。そもそもナビィは自分の正体が「宇宙最大のお宝」に至る道を開く扉であるということも知らない。アカレッドがナビィの口から秘密が漏れることを警戒して、ナビィには自分が秘密にしていることに関する知識は一切与えていなかったからです。
だから当然、ナビィはアカレッドの正体もその旅の真の目的も知らないし、ゴーカイジャーの件をはじめとしてアカレッドが船内で秘かに進めている作業のことも知らない。レンジャーキーを幾つ集めればいいのかも知らない。ただ単にナビィはアカレッドのことを「宇宙最大のお宝」を探している宇宙海賊だと思い込んでおり、自分はその相棒の水先案内ロボであり、自然にお告げのように頭の中に浮かんでくるレンジャーキーの在り処に関する情報をアカレッドに教えるのが仕事だと自覚して張り切っている。だからナビィもバスコとほぼ同じ程度の状況しか認識していないといえます。

ナビィはバスコという新たな仲間が増えたことを素直に喜び、すぐにバスコに打ち解けました。一方バスコの方もすぐに調子よく打ち解けたように見えましたが、実際はナビィのように単純ではなく、かなり屈折した性格ですからその内心は複雑でした。子供の頃から差別と迫害に晒され、裏切りと弱肉強食が常態化した世界で生きてきたバスコには他人を心から信用して仲間になるという習慣が無かった。だから表面上の調子の良さとは裏腹に決してアカレッドやナビィに簡単に気を許してはいなかった。心の表層においてはバスコは、せいぜいお宝を手に入れるためにアカレッド達を利用してやろうと考えていました。
0162.jpgだがバスコがそもそも他人に心を許すことが出来ない根本的な原因は、他人がバスコという人間の価値を一切認めていないからであった。中にはごく少数ながらカインのように親近感を示してくれた者もいたが、彼らとて自分のカリブ人という本当の正体を知れば態度が変わるであろうことはバスコにも想像はつきました。実際カインがバスコの正体を知って態度を変えたかどうかは分からないが、少なくともバスコは長年の経験上そう思い込んでしまっているのだから仕方ない。
ところがアカレッドは自分の正体がカリブ人だと知っても全く動じなかったということはバスコには印象的でした。どうもカリブ人のことをよく知らないからであるようだが、バスコがカリブ人というものが宇宙でどういう扱いであるのか説明した後でもアカレッドはそんなことはどうでもいいという態度でした。それももともとアカレッドがカリブ人を知らず妙な偏見が無いためであろうと思われましたが、これはアカレッドの無知が悪いというわけではなく、そもそもカリブ人に対する偏見自体がザンギャック帝国が作った根拠薄弱なものなのだから、そういう誤った認識に染まっていないということそのものがむしろバスコにとっては好ましいことといえます。
ただ、それでも現実問題としてカリブ人が宇宙の嫌われ者であるのは事実であり、そんなヤツと仲間になって得るメリットなど無い。実際バスコはカリブ人というハンデがある分、あまりアカレッドのように派手に外で暴れ回ることは出来ず、主に船内の雑務しか担当できない。そういうデメリットを知ってもなおアカレッドがバスコを仲間として欲したのは、それを補って余りある価値をバスコに見出したからです。
それは本当はアカレッドがバスコを宇宙の運命を担う35番目の戦隊のメンバー候補と認めたからなのですが、アカレッドはそのことはバスコには秘していますから、バスコはアカレッドの言葉をそのまま素直に受け止めて、自分が「宇宙最大のお宝を手に入れようとしている」という意味でアカレッドと同じ志を持つ者だからなのだろうと解釈しました。つまりバスコの解釈としては、アカレッドは「宇宙最大のお宝」という同じ夢を掴もうとする同志としてバスコに価値を認めており、それはバスコがカリブ人であろうが足手まといであろうが全く揺らぐことはないということであると感じられました。
そのことはバスコの冷え切った心に小さくはない揺さぶりを与えました。もともとバスコが先だってのカインとの遣り取りの中で本気で「宇宙最大のお宝」を手に入れようと決意したのは、カインが無茶な夢を目指すことで自分の人生の価値を信じることが出来たようにバスコもまた自分自身の価値を信じたかったからでありますが、それは最終的には他人に自分の価値を認めさせるためです。そのために「宇宙最大のお宝を掴もうとすること」が必要なのだとバスコは信じたわけですが、アカレッドはその「宇宙最大のお宝を掴もうとすること」をもってバスコの価値を既に認めてくれている。そのようにバスコには受け取れました。

これはもしかして自分が心の底から求めていた人間関係そのものなのではなかろうかという想いがバスコの冷めきった心の奥底で次第に湧き上がってきました。ただ長年の苦い経験がありますから、バスコもそんな簡単に他人を信用してたまるかという変な意地もあります。仲間入りした当初はバスコはアカレッドの自分に好意的な態度も所詮は見せかけのものに過ぎないのだと無理に決めつけて、その化けの皮を剥いでやろうと考えて、わざと悪い態度をとってみました。
アカレッドにやるように言われたガレオン内の雑用である炊事、洗濯、掃除などを全く真面目にやらず、役に立たない自分に対してアカレッドが不満を爆発させて本音をぶちまけるのを待ったのでした。所詮は人間は損得で動くものだから、相手が利益にならないと分かればアカレッドも綺麗ごとを言うのをやめて自分への嫌悪感を露わにするはずだとバスコは諦念と共に変な期待をもって待ちました。
0163.jpgだが、ナビィはダラダラして何もしないバスコに対してちゃんと働けと言ってよく文句を言いましたが、アカレッドは全く怒った様子は見せず何も言いません。バスコが放り出してしまった仕事を普通の顔をして片付けるだけでした。それを見てバスコはイライラしてきて、遂にバスコの方が怒りを爆発させてしまい、どうして何も仕事をしない俺を怒らないのかとアカレッドを問い質しました。
するとアカレッドは、炊事や洗濯は自分でも出来ることだからお前がやりたくないのなら自分がやるので問題は無いと答えます。バスコはそれなら俺はこの海賊団で何もしないことになるのだが、それでもいいのかと問いかけました。それに対してアカレッドは、今はまだ自分の出来ることばかりだが、いずれレンジャーキーを集め終って「宇宙最大のお宝」を手に入れる段階になると自分では出来ないことがきっと出てくるのであり、それはお前の絶対に「宇宙最大のお宝」を掴み取ろうとする強い想いによってしか切り開けない局面になるはずだと言い、バスコの肩に手を置いて、お前はお前にしか出来ないことをその時やってくれればいい、俺に出来ることは俺がやるから気にするなと静かに力強く言葉をかけたのでした。
これはアカレッドは地球に着いてからレンジャーキーを使って「宇宙最大の宝」を使って宇宙の作り変えを行うという、自分には出来ないがバスコには可能な作業について暗に言っていたわけですが、バスコはそんなことはもちろん知りませんから、これを聞いてバスコはアカレッドが本気で自分という人間を「宇宙最大のお宝」という夢を共に掴む同志として価値を認めてくれていることを悟り、生まれて初めて仲間というものを得たことを嬉しく感じました。
そうした嬉しさを素直に言葉に出来るような性分ではなかったのでバスコは相変わらず生意気な皮肉屋というキャラは変わりませんでしたが、それ以降はバスコは自分に出来ることはちゃんとやろうと心を入れ替えて、憎まれ口を叩きながらもしっかりと炊事、洗濯、掃除などをこなすようになっていき、アカレッドやナビィとも打ち解けていったのでした。

そのようなバスコとアカレッドのちょっとした衝突と和解があったのがバスコが「赤き海賊団」に加入して1ヶ月後ぐらい、地球暦で言うと2012年4月終わりぐらいのことでした。ちょうどこの頃、ドン・ドッゴイヤーの住む星がギガントホースによって滅ぼされるという事件が起こっていたのですが、宇宙の全く違う場所を航海していた「赤き海賊団」のアカレッドやバスコはそんなことを全く知りませんでした。
いや、知っていたとしても大して興味も抱くことはなかったでしょう。バスコは本心からそんなことはどうでもいいと思ったであろうし、アカレッドも少なくとも表面上は無関心を装ったでしょう。「赤き海賊団」にとってはそんなことはどうでもいいことであったのです。彼らの目指していたのは「宇宙最大のお宝」を手に入れることであり、まずはそのために宇宙に散らばるレンジャーキーを集めなければいけない。
バスコ加入後にもアカレッドはナビィのナビゲートに従って着々とレンジャーキーを回収してきていました。ごくたまにナビゲートが間違いで空振りに終わることもありましたが、それは実際は例の25個のレンジャーキーのうちの1つが見つかったのでアカレッドがバスコとナビィには何も見つからなかったと伝えておいて自室に隠していたというケースでした。しかしそういうケースは稀であったのでレンジャーキー集めはバスコやナビィの目から見ても順調に進んでいました。
といってもバスコ加入後まだ1ヶ月で、アカレッドがレンジャーキーを集め始めてまだ2ヶ月ほどのこの2012年4月時点では、まだまだ宝箱の中のレンジャーキーの数は寂しいものでした。そしてアカレッドだけはレンジャーキー集めだけではなく、もう1つ重大な懸案事項を頭の中に抱えていました。それはバスコに次いでまた新たな仲間を見つけなければいけないという件です。
バスコにもナビィにも秘密にしているアカレッドのこの旅のもう1つの大きな目的は、35番目のスーパー戦隊である「海賊戦隊ゴーカイジャー」のメンバーを集めて地球に連れていくことです。そのために伝説の「宇宙最大のお宝」を本気で手に入れようとしている宇宙海賊を見つけて仲間にしなければいけないのですが、ゴーカイジャーのメンバーは全部で5人です。
別にアカレッドがそのように決めたわけではなく、そのように推測しているだけです。その根拠はアカレッドが記憶のビジョンを渡された地球の「この星の意思」が目撃した未来、2014年10月の光景の中に現れた「海賊戦隊ゴーカイジャー」と名乗るレンジャーキーを持った戦隊が5人組であったからです。そのビジョンだけで全てを絶対の確定事項とすることは出来ないが、とにかくゴーカイジャーが「大いなる力」を使って宇宙を作り変える35番目の戦隊である可能性は高く、それが5人組であると濃厚に推測される以上、この状況ではそれを前提として動くしかない。
0165.jpgだからアカレッドは秘かに製作中のゴーカイジャーのレンジャーキーもその未来のビジョンに登場したゴーカイジャーの5人のデザインに則って作っていました。未来のビジョンを忠実に再現するならば、ゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイグリーンと名乗った戦士3人は男性であり、ゴーカイイエロー、ゴーカイピンクと名乗った戦士は女性のようでしたから、アカレッドはこの旅の中でバスコ以外に2人の男と2人の女の宇宙海賊を見つけて仲間にしなければいけない。それはかなり困難なことだろうと覚悟していたアカレッドでしたが、幸先よくバスコという仲間を見つけることが出来た。この勢いで一気に仲間を増やしていきたいとアカレッドは秘かに気合いを入れていました。

そうした矢先の2012年4月末のある日、ナビィがまた何かのレンジャーキーに反応してナビゲートをしたのでその示す方向に向かったゴーカイガレオンはある寂れた小さな星に到着しました。そこは人の住む星でしたがあまり賑わった方ではなく、ザンギャックの小部隊が駐屯していました。ナビィのナビゲートを絞り込んでいくと、どうやらレンジャーキーはザンギャック駐屯地内にあるようです。
そういう場合は偶然そこにあるというより、ザンギャック軍がそこらの民家から巻き上げた品物の中にレンジャーキーがガラクタと共に混じっていて倉庫の中に放り込まれているというのが毎度のパターンでした。おそらく今回もそういう状況であろうと推測したアカレッドは、そうなるとザンギャック基地に忍び込んで倉庫破りをしなければいけないだろうと考え、ザンギャック兵との小競り合いは覚悟して、いつものごとくバスコをガレオンに残してナビィを連れてガレオンを出発しました。
バスコ加入後の「赤き海賊団」のこういう戦闘を前提とした作戦はだいたいパターンが決まっています。まずアカレッドがナビィを連れて目的地に潜入してナビィのナビゲートでレンジャーキーの在り処を細かく特定し、特定が終わるとアカレッドがガレオンのバスコに連絡してガレオンを目的地に突っ込ませ、アカレッドと別れて飛び立ったナビィをバスコがガレオンで回収したところでバスコがアカレッド援護のための砲撃を開始し、敵方が混乱に陥った隙にアカレッドがレンジャーキーの在り処に突入し、レンジャーキーを手に入れたアカレッドをバスコがガレオンで回収してその場を離脱するというものでした。
バスコも炊事や洗濯だけをやっているわけではなく、作戦行動時にガレオンからの援護という重要な役割を担っているのです。以前はこれをナビィが水先案内と共に兼ねていたのですが、バスコ加入後はナビィの負担が減り、お蔭でナビィは水先案内に専念することが出来てアカレッドの作業も効率が良くなっていました。

この時もいつもの手筈通りにアカレッドがナビィを連れて出発し、ザンギャック軍駐屯地に忍び込んで隠れて移動しながらナビィにナビゲートをさせようとしたのですが、様子がいつもとは明らかに違いました。その小さな駐屯地の入り口付近にはザンギャック兵のゴーミン達の死体がゴロゴロ転がっており、まるで何者かの襲撃を受けた後のようでした。その死体の中にはまだ微かに息のある者もおり、襲撃がそんなに前のことではないことを物語っていました。そして駐屯地の奥の方では激しい音や怒号が響いており、襲撃は現在進行しているようでした。
つまり、この駐屯地はちょうど何者かの襲撃を受けており、そのお蔭でアカレッドの侵入を阻む者は誰もいない状況でありました。アカレッドは一瞬どうしたものかと戸惑いましたが、この状況を利用しようと考え、ナビィにレンジャーキーの在り処をナビゲートさせると素早くその方向に駆けていきました。その途中にもゴーミン達が大勢倒れており、どうも駐屯地は全滅同然のようでした。
そして最終的にナビィが特定した場所は駐屯地の一番奥にある倉庫であり、その中では数人が争っている物音が聞こえます。襲撃者は少数であり、それと戦う基地の兵も今や少数に減ってしまっているようです。アカレッドは倉庫の外で通信用のモバイレーツを使ってバスコに連絡し、ナビィを回収するためにガレオンを回してくるように指示するとともに、今回は援護の砲撃は不要だと伝えました。これぐらいにまで人数が減ってしまっているのなら、基地側と襲撃側のどっちが生き残ったとしても、アカレッド1人で排除するのは容易と思えたのです。
そうして通信を切ってナビィを飛び立たせた後、アカレッドは倉庫の中の様子を覗き見ました。意外にも倉庫の中の襲撃者は1人であるようで、数人のゴーミンを相手に大立ち回りを演じていました。駐屯地内で倒されていたゴーミンの数は全部で50人足らずというところで、戦闘部隊の精鋭ではないにしてもそれだけの数のゴーミンを1人で倒したとなれば、これはかなりの猛者です。
剣を振り回して暴れるその男はまだ若く、ちゃんとした流派の剣術というわけでなく荒くれ者の我流の剣術という印象であったが、その力強い剣さばきで残ったゴーミン達を斬り倒し、遂に1人で駐屯地を全滅させてしまったのでした。アカレッドはもちろんその男の顔は初めて見たのですが、この男は例の一匹狼の宇宙海賊マーベラスでした。

0166.jpg「宇宙最大のお宝」を探して星から星を渡り歩く無頼の旅を1人で続けていたマーベラスは、結局お宝に関して何の手掛かりも得られず、多くの人達からありえない伝説を追いかける大馬鹿者扱いされて嘲笑われてウンザリし、その挙句遂に、もしかしたら「宇宙最大のお宝」は伝説に過ぎないのではなかろうかという疑問を抱くようになり、「宇宙最大のお宝」を手に入れるという自分の長年の夢がきっと実現するという確信が揺らいできていました。
そのことを彼がハッキリ自覚するようになったのは2ヶ月ほど前に賞金稼ぎのキアイドーに敗北した時のことでした。勝負に敗れたこと自体は実力差があったので仕方がない。また、何故かキアイドーがトドメを刺さずに姿を消したのでマーベラスは軽傷を負っただけで無事でありました。しかし問題は軽傷しか負っておらず身体はまだ十分に動いたにもかかわらず、勝ち目がないと分かった途端、マーベラスが闘志を失い、その場を逃れようとすらしなかったことでした。
これまでならばどんなに強い相手と戦って劣勢に追い込まれてもマーベラスは決して闘志を失わず戦い続けて大逆転勝利を収めることはよくありましたし、それでもどうしても勝てない強力な相手であった場合は素早く頭を切り替えてその場を離脱することに全力を注ぎ、一旦敗北した後はその相手を次には必ず倒すために猛特訓し、相手のことを徹底研究して作戦を練り、どんな手を使ってでもリベンジを果たそうとしてきていました。もちろん全ての相手にリベンジを果たし得たわけではないが、それでも少なくともマーベラス自身はリベンジを固く心に誓い努力をしてきていました。ところがキアイドーに敗れた時はマーベラスは早々に勝負を諦め、その場を逃れようともせず、結局命拾いした後もリベンジしようという意思も湧いてきませんでした。

これまでのマーベラスがどんな強い相手にも立ち向かえる勇気を持つことが出来たのは、「人間は夢を掴むためならどんな絶望的な状況でも勇気が湧いてくる」という子供の頃からの信念があったからです。それはマーベラスが12歳の時に彼の乗り合わせた貨物船がザンギャック軍に襲撃された時に命を救ってくれた勇気ある1人の宇宙海賊がマーベラスに残した言葉から直感を受けてマーベラスが悟った人間観でありました。
その宇宙海賊の言葉の詳しい内容自体はもう今となってはその顔とともにハッキリとは覚えていないのですが、とにかくその時以来マーベラスは自分が夢を目指している限り自分の勇気が決して尽きることはないと確信してきました。そして自分の目指すべき夢としてマーベラスが定めたのが「宇宙最大のお宝」を手に入れることであり、それは命の恩人の宇宙海賊と肩を並べて戦えるような勇気ある最高の宇宙海賊となるためには当然、海賊の目指す最高のお宝であるという「宇宙最大のお宝」を手に入れるという夢を目指すべきだという、命の恩人への憧れがきっかけとなっていました。
実際のところ、その宇宙海賊が何処の誰であるのかは分からない。マーベラスも旅を続けながら一応その海賊の手掛かりも探してもみましたが、もともとの7年前の記憶が既に曖昧になってしまっているのもあって、全く手掛かりも掴めていません。偶然その海賊と会ったとしてもマーベラスはその顔をもう忘れてしまっていますし、マーベラスの風貌も7年前とは全然違うので相手がマーベラスが7年前の少年だと気付くこともないでしょう。マーベラスはあの時自分の名を名乗っていないし、そもそもあの時点でマーベラスという名ではなかった。だから宇宙海賊マーベラスがあの時の少年だと相手が気付く可能性もゼロです。それゆえ、その海賊とマーベラスが再会して肩を並べて戦うなどというマーベラスの望みが叶うことはないでしょう。
だが、そんなことはもはやどうでもいいことです。7年前の事件以前はただの故郷を失った無気力で虚無的な宇宙の孤児でしかなかった少年が、世間からは嫌われてはいるものの少なくとも自分自身に誇りは持てる宇宙海賊となれたのは、きっかけは何であれ、「宇宙最大のお宝」という夢を持つことが出来て、その大きな夢に見合った強い心を持つことが出来たからです。今までも、そしてこれからも「宇宙最大のお宝」を手に入れるという夢を持っている限り、自分はもはやかつての気弱な孤児ではなく、勇気ある宇宙海賊マーベラスであり続けることが出来る。そしていつかその夢を叶えて「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、自分は宇宙最高の海賊となり、命の恩人を超える。父親の顔も知らないマーベラスにとって、その命の恩人は擬似的な父親のようなものであったので、それは息子が父を超えて一人前の男となる通過儀礼のようなものだったといえます。

0143.jpgところがその勇気がキアイドーに敗れた時にマーベラスには顕れなかった。それはつまりマーベラスが夢を持っていないということを意味していた。普段はマーベラスも自分に勇気があるのかどうかなどいちいち分からない。追い詰められた時にこそ勇気の有無というものはハッキリするのです。考えてみれば喧嘩に負けたこと自体ずいぶん久しぶりであったことにマーベラスは気付きました。
そうなると、何時の間にか自分は内心では「宇宙最大のお宝」という夢を世間の意見に流されて所詮は伝説だと思い信じなくなっていたということになる。むしろ、夢を信じられなくなっていた自分は何時の間にか勇気を失い臆病になっていたので、無意識に勝てる相手だけを選んで喧嘩していたのかもしれないとマーベラスは思いました。
マーベラスにとって喧嘩は自分が「宇宙最大のお宝」を目指す海賊に相応しく強くなるための鍛錬であり、強い相手だけを選んで仕掛けるものであるはずでした。ところがよくよく考えてみると何時の間にか自分は自分が勝てそうな相手を選んで、生活の糧として金品を奪うことを目的として喧嘩するようになっていたような気がする。それは自分がいつしか夢を信じられなくなっていたために強い相手と戦う勇気を失っていたからであり、伝説のお宝という非現実的な夢を追うことよりも目先の生活費を稼ぐことの方が大事だと思うようになっていたからではないかとマーベラスは思いました。
いや、それだけではない。キアイドーに敗れた時、マーベラスは単に勇気が湧いてこなかっただけではなく、キアイドーに激しい恐怖を感じました。殺されそうになったことだけが怖かったわけではない。戦いに快楽を見出すキアイドーの狂った姿にストレートに恐怖を覚えたのです。それは自分自身の本性をそこに見たような気がしたからです。
夢を見失った自分はただ生きるための金だけを欲しているわけではない。金だけが欲しいのなら真面目に働けばいい。自分があくまで戦いを好むのは、大した目的意識も無くただ単に戦いに快楽を覚えてスリルを味わいたい、その上で金を奪いたいという、なんとも歪んだつまらない動機によるものであったのではないか。何時の間にか自分は夢を失ってそんな下衆な男に堕落していたのではないか。キアイドーの姿に恐怖したことによって、マーベラスはそのように自分に自信が持てなくなっていました。

それでも何年も「宇宙最大のお宝」を追い求めてきたという自負もありますから、マーベラスはそうした心の揺らぎを必死で否定し、自分には夢も勇気もあるのだと言い聞かせたりもしていました。キアイドーとの戦い以後はそうした不安定な心理状態であったマーベラスは、従来のように気に入らない相手に片っ端から喧嘩を売るのが何となく怖くなって、いつもの喧嘩っ早さが鳴りを潜めていました。喧嘩に負けるのが怖いわけではなく、無意識に勝てる喧嘩相手を選んでしまうのではないかということを警戒していたのです。
それでキアイドー戦以降のマーベラスは珍しく喧嘩をせずに2ヶ月間マジメ(?)に海賊団に助っ人で加わって操船の仕事に励んでいました。だが、その海賊団との契約も終わり、報酬を受け取って降ろされたこの星でマーベラスは住民たちを悪どいやり方で脅迫して金品を巻き上げているザンギャックの駐屯地の兵たちを見かけました。弱い者イジメの嫌いなマーベラスはそのザンギャック兵たちを見て気に入らないと思いました。同時に50人ほど駐屯地に兵達がいると聞き、久々の喧嘩修行の相手として不足はないようにも思えました。一仕事終えて気分が良かったマーベラスは、ここらで久々に自分の勇気を再確認してやろうと思い、気に食わない駐屯地のザンギャック兵たちをぶちのめしてやろうと決めたのでした。

0167.jpgそうしてマーベラスはこの日、突然ザンギャックの駐屯地を襲ったのですが、兵達と戦ってみて予想外に歯応えが無いと感じました。だがそのことをマーベラスはあまり残念にも感じていませんでした。というより、戦いながらマーベラスは、本当は自分が相手に歯応えが無いことはある程度予想していたから、このような展開になったことを大して残念にも想っていないのだということに気付きました。
街中でザンギャック兵達を見た時から、緩み切った規律の中でだらけた兵達が大して強くないことは分かっていたのです。そんな奴らが50人ぐらいいたところで自分の敵ではないことはマーベラスには半ば予想できていたのです。それでもそんな連中との喧嘩をしたいと思ったのは、決して強くなるために強い相手と戦いたいと思ったからではなく、確実に勝てる相手と戦って戦いの快楽を得た上で金品を奪うことが目的だったからなのだとマーベラスは自分の本音を悟りました。
それはもはや15歳の頃、1人で「宇宙最大のお宝」を求めて旅を始めた頃の自分の喧嘩修行とは全く異なる、ただのつまらないゴロツキの姿でした。やはり自分は夢も勇気も失ってしまっていたのかと思い、ウンザリした気分で戦ったマーベラスは駐屯地のゴーミン達を全滅させると、倉庫に積まれた箱を開けてみました。すると、あまり大した金目のものはありませんでした。どうやら駐屯地のザンギャック兵達は住民たちから巻き上げた金品の多くは既に別の場所に運び出していたようです。
0168.jpgこういうことはよくあることで、またこういうパターンかと思いマーベラスはますますウンザリしましたが、箱の中の安い貨幣の山の中に何か妙なものが埋もれているのを見つけました。それは赤い小さな人形でした。何だろうと思って拾い上げてマーベラスはそれを指先でつまんでまじまじと眺めました。実はそれはアカレンジャーのレンジャーキーであり、ナビィのナビゲートが反応したレンジャーキーはまさにこれであったのですが、もちろんマーベラスはそんなことは知る由もなく、場違いな場所にある見たこともない種類の人形を不思議そうに眺めていました。おそらく何処かの民家にあったものをザンギャック兵たちが洗いざらい略奪した際に紛れ込んだものなのだろうと想像し、何にしても大して価値の無いガラクタだとマーベラスは思いました。

ところがその時マーベラスの背後から男の声がして、それを渡してほしいと言うのでマーベラスは驚いて振り返りました。そこには全身赤い戦闘用スーツを着込んだ男が1人立っています。それはアカレッドですが、もちろんマーベラスは初対面です。「赤き海賊団」はまだ活動を初めて間もなく、バスコやジョーのようなザンギャック軍内部の事情に通じた者にはその名は知られていましたが、まだ一般には名は通っていませんでした。だからアカレッドの姿を見てもマーベラスはそれが最近ザンギャック軍に赤い海賊として恐れられている男だとは気付くことはありませんでした。
ただ、その男が只者でないことはすぐに理解しました。自分に気付かれることなく背後に何時の間にか立っていたというだけでも、かなりの腕前であると推測され、更に振り返ってその立ち姿を見るだけでも達人であるのが直感できました。此処はザンギャック軍の駐屯地のド真ん中ですから、そこに突然現れたこの男はザンギャック関係者と考えるのが普通で、マーベラスも一瞬そう考えましたが、すぐにそうではないと思い直しました。ザンギャック兵と多数戦ったことのあるマーベラスは、ザンギャック軍人特有の言葉に言い表せない臭みのようなものが分かります。この男からはそうした臭みが感じられない。
何者なのかと問うと、その男は最近は海賊と呼ばれていると自己紹介しました。持って回った言い方だが、要するに海賊なのだと解釈したマーベラスは、相手がザンギャックではないということにとりあえず安堵して、同業者かと嬉しそうに言いました。これでマーベラスも自分も海賊だと自己紹介したような形になりますが、マーベラスは自分はいっぱしの名の通った海賊だと思っているので当然相手は自分が海賊であることは知っているだろうと思っています。

だがアカレッドは実際あまり海賊のことをよく知っているわけではないので、当初はただのチンピラだと思って観察していた相手の男が実は海賊だったと初めて知り、内心ちょっと驚きました。
アカレッドはここにレンジャーキーを回収するためにやって来たのですから、先にレンジャーキーを手にしたマーベラスから奪わねばなりません。最初はアカレッドも力づくで奪うつもりでありました。だがこの場の戦いを勝ち残ってレンジャーキーを手にしたのがザンギャック兵ではなくザンギャック兵と戦っていた側の者であったことから、別に自分がレンジャーキーを集めていることを知られてもマズい相手というわけでもないと考えたアカレッドは、大人しくレンジャーキーを渡してくれるのであれば手荒なことはせず、自分のことは内密にしておいてくれるように頼もうと思っていました。
それで姿を現してレンジャーキーを渡してくれるよう頼んだのですが、もちろんアカレッドも出来ればそうして穏便に事を収めたいと思っていただけのことであり、相手がそう言われて大人しくレンジャーキーを渡してくれる可能性は低いことは承知しており、その場合はやはり力づくで奪うしかないと覚悟はしていました。

0169.jpg案の定、マーベラスは大人しくレンジャーキーを渡そうとは思いませんでした。マーベラスは自分の手にした赤い人形が何なのか全く知らない。だが突然自分の背後に現れたどう見ても只者ではない赤い姿の海賊がわざわざザンギャック駐屯地まで来て手に入れようとしているというこの赤い人形がかなりの価値のあるものだとマーベラスは感じました。この倉庫に他に目ぼしい価値のありそうな品が無い以上、唯一の戦利品になりそうな人形を簡単に手放してたまるかとマーベラスは思い、これはあんたのものかとアカレッドに質問しました。
アカレッドは自分のものではないが自分に必要なものだと正直に答えました。それを聞きマーベラスは、ならば渡せないと言っていきなりアカレッドに突進して斬りかかりました。もともと海賊というものは「欲しいものは自分の手で奪い取る」ものだというポリシーを持っているマーベラスですから、もしアカレッドが人形を自分のものだと答えたとしても大人しく渡すつもりなどありませんでしたが、自分のものでないと言われれば当然この人形に関しては自分と相手は対等な立場であり、むしろ先に手に掴んだ自分の方に優先権があるはずだとマーベラスは思いました。ただ、そんなことを相手に説いて問答するつもりはマーベラスには毛頭無く、腕ずくで奪うのが海賊の流儀ですから当然まず暴力に訴えることにしました。
相手がかなりの手練れであろうことは分かっていますが、しかし見たところ赤い海賊は丸腰であり自分は剣を持っている。別にフェアな勝負などこだわりのないマーベラスは、ならば先手必勝だと思いいきなり斬りかかったのでした。ところがアカレッドはマーベラスの繰り出す刃を素手で悉く捌いて、遂には弾き飛ばして奪ってしまいました。1人で駐屯地を制したマーベラスの強さに驚いていたアカレッドでしたが、それでもまだまだ自分には及ばないということは分かっていたので平気でマーベラスの前に丸腰で現れることが出来たのです。

0170.jpgアカレッドが奪った剣を逆にマーベラスの喉元に突きつけると、マーベラスは動けなくなってしまいました。自分の実力では到底敵う相手ではないと悟ったのでした。しかし、確かに剣は奪われ勝負は決したと言えましたが、まだレンジャーキーはマーベラスの手にありました。だからマーベラスとしてはレンジャーキーを奪ってこの場を逃げる程度のことであれば、まだ打つ手が全く無くなったわけではない。まだ十分足掻くことは出来るはずです。
アカレッドも当然これぐらいで相手が抵抗をやめるとも思っていないので、剣を突きつけたまま注意深く相手の出方を窺っています。そういうアカレッドのあくまで慎重な姿勢がますますマーベラスの悪足掻きを不可能にしているとも言えますが、マーベラスが動けなくなってしまったのはそれが原因というわけではなく、あくまでマーベラス自身の闘志が急速に萎んでいったのが主な原因でした。自分が勝てる相手ではないとハッキリ分かった時点でマーベラスを諦めの感情が支配してしまい、もう何をしても仕方ないと思ってしまい、身体が動かなくなってしまっていました。
マーベラスはこれはキアイドーに負けた時と同じだと思い、やはり自分はいつしか強い相手に立ち向かう勇気を失ってしまっていたのだと再確認させられました。それはつまり自分が夢を失ってしまったからだとマーベラスは思いました。

だいたい、この戦いにしてもキアイドーとの戦いにしても、それ以前の全ての戦いにしても、自分の本当に求めている夢を掴むための戦いなどではなかった。本質的には全て目の前にある金品を奪うためであったり、単に気に入らない相手をぶちのめすためであったり、決して「宇宙最大のお宝」という夢を掴むための戦いなどではなかった。
単にその「宇宙最大のお宝」が実在すると信じていられたうちは、それらの本当は無意味な戦いを「夢に向かうための戦い」だと勝手に思い込むことが出来ていたに過ぎない。だが、いつしか世間の人々に流されて「宇宙最大のお宝」など実在しない伝説ではないかと思うようになってしまった結果、自分は自分の戦いが本当は自分にとって無意味なものであることをハッキリ悟るようになったのだ。だから、そんな無意味な戦いのために命を賭けることがバカバカしくなり、強い相手に立ち向かうことが出来なくなった。
確かにこの人形は価値のあるものなのかもしれないが、もともと自分はこんな人形が欲しかったわけではない。こんなもののためにこれ以上無理して戦う意味は無い。こんな戦いは無意味だ。そう思うとマーベラスの闘志は急速に萎んでいき、剣を喉元に突きつけられるとアカレッドに対して「負けたよ」と敗北をあっさりと認めて、くるりと背を向けて、これはアンタのものだと言って後ろ手でレンジャーキーを挿し出しました。
せっかく手に入れた戦利品を手離す悔しさはありませんでした。むしろ、これでこんな無意味な戦いは終えられると、妙にサバサバした気分でした。だが同時にマーベラスは、これでもう自分は二度と強い相手と戦うことは出来なくなるのだろうと思えてきて、なんともいえない虚しい想いに襲われました。もはや自分は12歳の時に心に誓って目指したような勇気ある海賊ではない。ただの弱い者苛めをして生きていくしか出来ないゴロツキに過ぎない。一体自分の人生は何だったのだろうかとマーベラスは虚無感に包まれました。あるいはこのままここでこの海賊に殺されるかもしれないが、もうこうなったらそれでもいいとまでマーベラスには思えてきました。

一方、いきなりマーベラスに背を向けられてレンジャーキーを差し出されたアカレッドはちょっと面食らいました。勝敗はほぼ決したとはいえ、まだ相手には抵抗の余地は十分にあります。それなのにあっさり戦意を喪失してレンジャーキーを差し出してくるとは異様でした。見たところ油断させる作戦のようでもなく本気で戦意を失っているようです。
そもそもこの相手がレンジャーキーの本当の価値を知っているはずはないのであって、おおかた金目のものだと勘違いして執着して、それでいきなり襲い掛かってきたはずです。それなのに自分から仕掛けた戦いをあっさり放棄して、せっかく手に入れた物をあっさり諦めてしまうだけでなく、無抵抗の背中まで見せて命まで投げ出してしまっている。海賊にしては諦めが良すぎる。なんとも変わった海賊だとアカレッドは思い、剣を引いて、差し出されたレンジャーキーを見つめて、しかしこんな淡泊な性格で海賊も務まらないだろうと考え、あるいはこの海賊は単なる金目の物には興味が薄いだけなのではないだろうかと思いました。
試しにアカレッドは「これじゃないんだろう?君が欲しかったものは」と問いかけてみました。その言葉にマーベラスはハッと反応して振り返りました。まさにちょうどマーベラスは自分はこんな物が欲しいわけじゃなかったんだと考えていたからです。自分の心を見透かしたかのような相手の発言に驚いてマーベラスがアカレッドの顔を見ると、アカレッドは君が欲しいものは何だと質問をぶつけました。相手が反応したのを見て、やはりこの相手は金目のものが欲しいのではないのだと悟り、アカレッドは海賊に出会うと習慣的にぶつけることにしている質問をぶつけてみることにしたのでした。
欲しいものが何なのか質問し、「宇宙最大のお宝」と答えてくれれば仲間に誘うというのがアカレッドの決めたルールであり、これまでにも何人もの海賊に同じ質問をぶつけてみました。しかし「宇宙最大のお宝」と答えた者は今のところ1人もいない。ただ1人、バスコだけが自分から「宇宙最大のお宝」を手に入れたいという想いを告白してきたので仲間にしているが、アカレッドが質問した海賊でそのように答えた者は皆無です。だからアカレッドもそんなに期待して質問したわけではない。それでもこの状況でこの質問が自然に出てきたのは、やはりこの若い海賊がどこか変わったところがあって興味を惹かれたからです。

一方マーベラスの方はアカレッドの質問を聞いて心が揺さぶられるのを感じました。自分の欲しいものは何なのか。こんな人形でもなければ金でもない。ならば何なのかと突き詰めると、それはやはり「宇宙最大のお宝」しかない。もはやそれが実在するとは信じられなくなっているのだが、信じる信じないの問題ではなく、本当に自分が欲しいものが何なのかと問われれば、それはやはり「宇宙最大のお宝」としか答えようがない。この赤い海賊の質問のお蔭で、マーベラスは自分があくまで「宇宙最大のお宝」を諦めきれていないことに気付きました。
しかし、そんなお宝は本当は実在しない。自分は宇宙の各地を飛び回って多くの海賊や冒険家や学者にまで訪ね回って結局何の手掛かりも得られなかった。誰もがそんなものを真面目に探している自分を冷笑するだけだった。だから「宇宙最大のお宝」なんて実在しない伝説に過ぎない。そんなものをまだ諦めきれていないとは、なんともバカみたいだと自嘲の溜息をついてマーベラスは誤魔化すように「別にねぇよ」とぶっきらぼうに言うとアカレッドに背を向けて数歩進みました。
0171.jpg質問にまともに答えるならば「宇宙最大のお宝」と答えるべきなのでしょうが、大きな図体をして実在しない宝を欲しがってるなんてガキっぽいことを言うのは恥ずかしかったのでした。だが、ふと釈然としない想いでマーベラスは立ち止まりました。確かに実在しない宝を諦めきれない自分は情けない。しかし、そんな自分を恥じて相手の質問からも逃げるのは更に情けないと思えたのでした。
確かに恥ずかしい子供じみた想いなのかもしれないが、それでもそれは自分の本心です。それを堂々と示せないようではますます情けないだろうと思い直したマーベラスはアカレッドに背を向けたまま、「宇宙最大のお宝」ってやつなら探してみたいと答えました。まともに正面を向いて答えなかったのは、やはりそれでも照れ臭いと思ったからで、背を向けて答えるのがやっとでありました。
実在しないと思ってしまっている以上、もはや手に入れると断言することは出来ないが、それでも諦めきれないのだから、探したいという想いはある。それが今の自分の偽らざる本心だと思ったマーベラスは「探してみたい」と表現しました。お宝が欲しいのか、お宝を探す旅を続けることを欲しているのか、よく分からない。ただ、お宝の実在を信じられない以上、どちらにしてもその欲求が長持ちするとは思えない。むしろよくここまで執着が持続するものだと、マーベラスは自分の諦めの悪さに呆れ、少し苦笑しました。
その上でマーベラスはせっかく自分が質問に答えたのに相手の赤い海賊から何のリアクションも返ってこないことに気付き、あんたも海賊なら聞いたことがあるだろうと水を向けてみましたが、それでもアカレッドは無反応でした。宇宙海賊ならば「宇宙最大のお宝」の伝説を耳にしたことはあるはずです。それなのに全く何の反応も無いとは妙です。てっきり大笑いでもされるかと予想していたマーベラスは一瞬戸惑いましたが、おそらく赤い海賊が自分のあまりに子供じみた答えを聞いて呆れて言葉も出ないのだろうと思い至り、バカなことを言ってしまったと少し後悔して、まぁただの伝説だろうが・・・と自嘲気味に呟いて手にした赤い人形を何気なしに眺め、そういえばどうして赤い海賊は差し出したこの人形を受け取っていないのだろうかとマーベラスは不審に思いました。
これは確か赤い海賊にとって必要なものだったはずです。差し出したはずなのにまだ自分が持っているのはおかしい。赤い海賊こそ、本当にこの人形が欲しいものなのだろうかとマーベラスはふと疑問に思いました。

いや実際のところ、アカレッドにとってこのアカレンジャーのレンジャーキーは絶対に必要なものでした。が、同様にマーベラスもまた先ほど「宇宙最大のお宝」を探したいと言った時点からアカレッドにとって必要なものとなっていたのです。
何か妙に気になっていた若い海賊に何が欲しいのかと質問したら、「宇宙最大のお宝」を探したいという答えが返ってきた。何せそのようなドンピシャリの答えが返ってきたのは初めてのことであったので、さすがにアカレッドも驚いて一瞬絶句していました。
だが、若い海賊の解答は厳密には百点満点の解答ではありませんでした。この若い海賊は「宇宙最大のお宝」を探したいと言いながら、ただの伝説だとも言っている。つまりお宝への憧れがあり手に入れることを諦めてはいないのだが実在を信じ切ってはいない。このままではいずれ諦めてしまうだろう。この男はバスコほどには「宇宙最大のお宝」を手に入れる確信は強くないのだとアカレッドは感じました。35番目の戦隊「海賊戦隊ゴーカイジャー」のメンバーに相応しいのは「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を本気で信じ切れる宇宙海賊だけだと思っていたアカレッドは、この目の前の若者がそのレベルに惜しくも達していないように感じて一瞬残念に思いました。
だが、それはちょっと違うと考え直しました。別にバスコだって現時点でゴーカイジャーのメンバーに相応しいレベルに達しているわけではない。誰も最初から戦隊ヒーローになれるはずはないのです。それを戦隊ヒーローのレベルへと導いていくのは自分の役目であり、単に自分が今バスコをどうすれば戦隊ヒーローに成長させることが出来るのか道筋を見出せていないだけのことだとアカレッドは思いました。そして、それはこの目の前の若者に関しても同じだとアカレッドは思いました。
確かに「宇宙最大のお宝」の実在を信じ切れていない点は少し残念かもしれない。だがそれでも、実在しないかもしれないお宝を諦めきれていないだけでも十分立派です。そもそもアカレッド自身がいわゆる宇宙海賊の伝説の宝としての「宇宙最大のお宝」が実在すると信じてなどいない。それはアカレッドだけではない。宇宙の大部分の人々も同じです。だから、そんな中でこの若い海賊は十分に特殊なのです。そこに可能性を見出さなくてはいけない。百点満点の相手だけ探していても、おそらく永遠に5人のゴーカイジャーが揃うことはないだろうとアカレッドは思いました。
0172.jpgこの「宇宙最大のお宝」を諦めきれない若者を仲間にして、35番目の戦隊のメンバーに相応しい戦士となるよう鍛え上げるのが自分の果たすべき務めだと思い直したアカレッドは、マーベラスの背中に向けて「伝説じゃない」と言葉をかけました。
相手は当然「宇宙最大のお宝」のことを伝説だと思って、伝説の宝を探したいなどと言っている自分に呆れているだけだと思っていたマーベラスは、自分の背に浴びせられた相手の意外な言葉に「え?」と振り向きました。ただ、そこでアカレッドは「宇宙最大のお宝」は実在するから一緒に手に入れようなどと優しい言葉をマーベラスにかけるつもりはありませんでした。
アカレッドが本当に欲しいものは「宇宙最大のお宝」でもなければ、「宇宙最大のお宝」を共に探す仲間でもない。アカレッドが真に欲しているものは、仲間となる者の「宇宙最大のお宝」を絶対に手に入れたいという強い意志です。バスコの場合は最初から自分でそれを強く示してくれたからアカレッドも積極的に仲間に誘うことが出来た。だが、この若者は現在その意志が揺らいでいる。揺らいでいるからといって仲間になる資格が無いというわけではないが、揺らいだままでいいはずもない。成長してもらわないといけないのです。だから今甘い言葉をかけるわけにはいかない。いきなりここが正念場となります。

アカレッドは手にしていた剣を地面に放り投げると「君が諦めたのでは手に入らない」と言って、マーベラスに背を向けて倉庫の外に向けて歩き始めました。マーベラスは赤い海賊の突然の意味不明の行動に戸惑いつつ、その「君が諦めたのでは手に入らない」という言葉を反芻しました。
それは一見まるでマーベラスが「宇宙最大のお宝」を諦めているかのような言い方だが、マーベラス自身は決して「宇宙最大のお宝」を諦めてはいない。所詮は伝説であり手に入らないと分かっているのにまだ諦めきれないのです。ところがこの赤い海賊は諦めたら手に入らないのだと言う。それは言い換えれば、諦めなければ手に入るということのようです。
その言葉には何の根拠も無い。実在の証拠も無く、何の手掛かりも見つからない「宇宙最大のお宝」がただとにかく諦めなければそこに辿り着く道が開けるなどとは到底信じられません。だが、この赤い海賊はあくまで「宇宙最大のお宝」は伝説ではないと考え、決して諦めないようです。諦めなければ夢はきっと掴める。今は何の手掛かりも無くても伝説を現実に変える手掛かりはきっと見つかるのだと固く信じているようです。
マーベラスはこれまでそんな考え方の人間に会ったことはありませんでした。みんな、伝説は所詮は伝説だと諦めており、伝説のお宝を掴もうとするマーベラスのことを冷笑する者ばかりでした。そういう者たちとばかり接しているうちにマーベラス自身も伝説のお宝は実在しないのだと思うようになっていった。だが、それでもマーベラスは他の者たちのように「宇宙最大のお宝」を諦めることは出来なかった。あくまで欲しいという拘りは消すことが出来なかった。
それは自分がガキっぽいからだとさっきまでマーベラスは思っていたが、赤い海賊の言葉を聞いてそうではないのではないかと考え直しました。赤い海賊のようなタイプの者とは会ったことがなかったマーベラスは今までそのことに気付くことがなかったのだが、赤い海賊の考え方を理解したことによって、マーベラスは自分の本質を知ることが出来たような気がした。
自分も本当は赤い海賊と同様、あくまで伝説のお宝は単なる伝説ではなく実在すると心の奥では未だに信じているのではないだろうか。何の証拠も手掛かりも無いことは承知の上で、バカみたいだがそれでもあくまで実在すると信じたいのだ。だからこそ自分は何も希望的材料も無いにもかかわらず、「宇宙最大のお宝」を諦められない、いや、諦めずにいることが出来るのだ。
では、どうして自分が何の根拠も無いのに「宇宙最大のお宝」が実在するとあくまで信じ、手に入れることを諦めないのかというと、それはおそらく自分を信じたいからだ。その夢と連動する自分の勇気をあくまで信じたいからなのです。自分が勇気ある海賊でありたい、自分がマーベラスでありたい、自分が自分でありたい、そういう強い意思が何の希望的材料が無い絶望的状況でもマーベラスに「宇宙最大のお宝」を諦めさせないのでした。
それは確かに常人とは違う強い意思の力だとは言える。だが、マーベラスの場合はそれはこの絶望的状況においては単に「諦めきれない」という程度の意思の力にしかなっていませんでした。伝説が実在すると信じて突き進む強い力にまではなっていない。その点、バスコに比べると夢を信じる意思の力、夢に拘る度合いは小さいのかもしれない。
だが、そんなマーベラスも自分以外に自分と似た考え方をする赤い海賊が存在することを初めて知り、その赤い海賊が伝説のお宝があくまで実在すると信じており、信じて諦めない限り必ず手に入ると確信していると理解したことによって、自分にも同じことが出来るのではないかと思うことが出来るようになったのでした。するとマーベラスの心の中で夢が再び甦ってくるような感覚がしてきて、勇気が湧き上がってくるような気がしました。

0175.jpg








そうして赤い海賊の歩いていく後ろ姿を見ながらマーベラスは呆然としていました。すると赤い海賊ことアカレッドは立ち止まってマーベラスの方に振り向き「あとは君の決断だけだ」と謎めいたことを言います。同時にアカレッドの背後には赤い巨大な帆船型の宇宙船が姿を現しました。それは先ほどアカレッドからの連絡を受けてバスコがアカレッドとナビィを収容するために回航してきたゴーカイガレオンでした。
驚いてそれを見上げながらマーベラスはようやく自分がどうしていつまでも赤い人形を握ったままであったのか理解しました。この赤い人形はやはりこの赤い海賊にとって必要なものなのです。その大事な人形を差し出されたのに受け取らずに自分に持たせたままであったのは、赤い海賊が自分に人形を持ったまま仲間になって一緒に船に乗って旅をするよう求めているからであったのだとマーベラスは理解しました。
ただ、赤い海賊がストレートに勧誘しなかったのは、その旅に参加するには1つ条件があるからでした。それが「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来ると強く信じて諦めないということでした。そう決意するのならば一緒に旅をしようと赤い海賊は自分に言ってきている。それはつまり、赤い海賊の旅の目的も「宇宙最大のお宝」を手に入れることであり、おそらくはこの人形はそのために必要なものであり、赤い海賊が「宇宙最大のお宝」が手に入るとあくまで信じ続けた結果、遂に掴んだ手掛かりこそがこの人形であったのだとマーベラスは思いました。
0173.jpgそう理解した上で、ではどう決断すべきか、マーベラスの答えはすぐに出ました。絶望的状況に立ちすくんで夢を諦めきれずにウジウジしていただけの自分が、絶望的状況でも夢をあくまで諦めず前に進もうとしている他人の存在を知ったことによって、自分も同じように夢に向かって進むことが出来ると思えた。ならばそうした仲間と一緒に夢に掴むための旅をすることによってこそ、自分は「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を掴む意思を持続し、そのための勇気も湧き上がってくることだろう。それこそが自分が自分らしく、宇宙海賊マーベラスらしく生きたいと真に望んだ生き方だと悟ったマーベラスは、自然に数歩進みながら赤い海賊船を見上げて、心の中が希望に満ち溢れて、歓喜が腹の底から込み上げてくるのを感じました。
そうしてマーベラスは赤い海賊に向かって、自分の名はマーベラスだと名乗り、自分の欲しいものは「宇宙最大のお宝」だと改めて答え、絶対にこの手で掴み取ると力強く宣言しました。それを聞いて赤い海賊は満足そうに小さく頷くと、自分の名はアカレッドであり、「宇宙最大のお宝」を探す宇宙海賊団「赤き海賊団」の船長だと自己紹介し、マーベラスに向かって「赤き海賊団」へようこそと言いました。
そしてアカレッドはそのレンジャーキーを持ってついて来るようにとマーベラスに言い、ガレオンから降りてきたロープに一緒に掴まるよう促しました。そうしてアカレッドと共にガレオンに乗り込んだマーベラスは「赤き海賊団」の新しい仲間となったのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:46 | Comment(0) | 海賊戦隊ゴーカイジャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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