2011年05月12日

第12話「極付派手侍」感想その1

今回は前回から引き続きのシンケンジャー篇の前後篇のうちの後篇です。
前篇がかなりドラマ的に盛りだくさんの内容だったので、この後篇も怒涛の展開かと思いきや、
非常にシンプルでアクション中心のエピソードでした。
ただ、シンプルといっても、それはスッキリして分かりやすいという意味であって、
決して薄味ではなく、むしろ濃厚で充実したストーリーでした。
しかもアクションがそれ以上に濃厚で、そのアクションの中でもちゃんとストーリーが進んでいくのが素晴らしいです。
前後篇で描くに相応しい充実ぶりだったと思います。

内容としては、バリゾーグの件にしても、ジョーの過去を皆が知る件にしても、
マーベラスの怪我の件にしても、薫の迷いの件にしても、ザンギャックの内情の件にしても、
全てもっとドラマをややこしく複雑にしていくことも可能であったと思いますが、
あえてそのようにはせずに、良い意味で非常に単純明快なまとめ方をしています。
この良い意味での単純明快さというのが「ゴーカイジャー」という作品の特色なのですが、
それと真逆の作風である「シンケンジャー」のレジェンドゲスト回ということで、
今回は特にこの「ゴーカイジャー」の単純明快さが際立って感じられました。

「シンケンジャー」がチャンバラ時代劇という縛りがあったために
ドラマが自然に大人向きに濃厚なものになっていったのとは違い、
「ゴーカイジャー」はむしろ単純明朗で豪快な、まさに「まぁ細かいことはいいじゃねぇか」的な、
「ONE PIECE」のような少年マンガを志向していると思われます。

まぁ考えてみれば、海賊をモチーフとする以上、それが賢明でしょう。
例えば侍というものは基本的に正義のヒーローのイメージがありますから、
そこにウエットで深刻なドラマを持ち込めば、思わぬキャラの深まりがあって上手くいくものです。
一方、海賊というのは元来アウトローですから、重いドラマを作ろうとすれば幾らでも作れますが、
それでは子供向けのヒーローから離れていってしまいます。
海賊というモチーフで子供向けヒーローを描くなら、今回のように重く出来る話をあえて重くせず、
単純明快に明朗なヒーローを描こうとするのが正解だと思います。
そういう方針が確固として有るので、
シンケンジャー篇だからといって、シンケンジャーの作風に引っ張られるようなことはないのです。

今回は対極的な作風の異色作「シンケンジャー」とのコラボであったため、
そのことが特に強く実感されることになったわけで、
ここで改めて「ゴーカイジャー」という作品の方向性が見えてきたように思います。
それは、あくまでこの作品はゴーカイジャーの物語を描く作品なのであって、
よく巷にあるようなシリーズ総集編的な豪華競演ものとは一線を画す作品だということです。

だから、ちゃんとレジェンドゲストの登場しないゴーカイジャー単独回をレジェンドゲスト回とほぼ同数設けており、
また、レジェンドゲスト回といっても、決してその該当過去作品の世界観に引っ張られるようなことはなく、
あくまでゴーカイジャーを中心にストーリーは進んでいき、レジェンドゲストは文字通り「ゲスト」扱いなのです。
しかし、だからこそというべきか、その該当作品の世界観が薄い分、
「ゲスト」はオリジナルキャラそのものをオリジナルキャストが演じているのでしょう。
そうしなければ、本当に単なるチョイ役程度の存在感になってしまい、
この「ゴーカイジャー」の企画自体がほとんど意味の無いものになってしまうからです。

このように考えると、「ゴーカイジャー」が同じく近年のお祭り企画である
「仮面ライダーディケイド」と対極的な発想の作品だということが分かります。
両作品とも主人公チームが「旅人」であるという点は共通していますが、
「ディケイド」の場合、それぞれの過去シリーズ作品の世界観を再現した物語世界に
主人公ディケイドの門矢士がゲストとして登場する形式になっており、
そのため、主人公の士が過去作のキャラに喰われないように、
過去作品の世界観はオリジナルと微妙に違った再構築されたものとなっており、
過去作のキャラも一部の例外を除いてオリジナルキャラではなく、オリジナルキャストが演じないようにもしています。
一方、「ゴーカイジャー」の場合は、ゴーカイジャーの物語世界に
過去作品のキャラがゲストとして登場するようになっており、
そのため、過去作キャラがゴーカイジャーの世界の中で埋没しないように、
オリジナルキャラをオリジナルキャストが演じるようになっているようです。

この2作品を比べた場合、「ゴーカイジャー」の方が主人公側の物語を重視した作り方になっています。
これは、「ディケイド」が過去作品の物語を描くことを重視した結果、
結局は主人公の門矢士の物語世界が破綻したような終わり方になってしまったことを教訓にしたものと思われます。
あくまで「ゴーカイジャー」では主人公であるマーベラス一味の物語が一貫して描かれるのです。
その結果、マーベラス一味の物語は門矢士御一行の物語に比べて格段の安定感を見せています。
そうして主人公の物語を安定させた上で、
「ディケイド」と同じことをやっているのが「ゴーカイジャー」ということになります。
つまり「ゴーカイジャー」は「ディケイド」の改良型作品ということです。

「ディケイド」は、それぞれのライダーの物語世界を訪問した門矢士が、
そこにおけるライダー達の行動を見守り、その物語のテーマを見出すことによって、
士がその世界のライダーの能力を手に入れていくというエピソードが繰り返される物語でした。
そのため、主人公の士自身の物語が薄くなってしまいました。
それを主人公の物語をちゃんと描くように改良した「ゴーカイジャー」は、
それぞれの戦隊の物語世界を作ることが出来ないので、
代わりにそれぞれの戦隊の物語のテーマを「お題」としたゴーカイジャーのエピソードを作り、
そのエピソードにレジェンドゲストが現れて、そこにおけるゴーカイジャーの行動を見守り、
レジェンドゲストがその戦隊のテーマをゴーカイジャーの中に見出すことによって、
ゴーカイジャーがその戦隊の真の能力を手に入れていくというエピソードが繰り返される物語としたのです。

つまり、物語の基本構造は「ディケイド」と同じなのですが、
主客逆転させたのが「ゴーカイジャー」ということになります。
ただ、ゴーカイジャー自身は宇宙から地球に訪れた旅人であり、
レジェンド戦隊の世界に現れて、
「地球を守る価値」というレジェンド戦隊が皆持っているテーマを探している身でもあります。
また、何だかよく分からないけど「宇宙最大のお宝」というものも探しており、
ゴーカイジャーもまた、物語全体を俯瞰して見れば「レジェンド戦隊の世界で何かのテーマを探す旅人」であり、
門矢士と同じタイプの主人公であるとも言えます。

まぁ、もともとは、主人公戦隊の物語世界に過去戦隊のゲストが現れる構成というのは、
戦隊のVSシリーズでお馴染みのものであり、
そちらの方が豪華競演ものとしてはスタンダードだといえますから、
主人公の方が過去ライダー世界を回る旅人であるという「ディケイド」の方がより斬新な挑戦であったわけです。
だから「ゴーカイジャー」も単にゴーカイジャーの住む世界にレジェンドゲストが登場するだけならば、
従来のVSシリーズを1年間分に引き延ばしただけの無難な作品と言えます。

しかし「ゴーカイジャー」は、そこに「ディケイド」から引き継いだ
「旅人が旅先の世界のテーマを発見して継承する」という要素を、
全体構成としてはそのまま採り入れ、
更に個々のエピソードにおいては主客逆転した形で採り入れているという意味で、
斬新すぎた「ディケイド」よりも安定しつつも、今までに無い新しい作品となっているのです。

ただ、まぁ、問題が無いわけではないです。
いくらゴーカイジャー自体の物語をしっかり描けるようになったといっても、
1話おきにレジェンド回で「お題」に縛られたエピソードを描かねばならないので、
全体的にはなかなか独自に大胆なストーリー展開をさせることが出来ず、
気がつけば延々と同じようなことをやっているうちに1年間が終わったなんていうことにもなりかねません。
今回、ドラマチックに膨らませることが出来そうなネタをかなり有ったにもかかわらず、
それらが割と綺麗にまとまってしまったのは、作風という理由もあるでしょうが、
あるいは膨らませても後でそれを展開させるほどのストーリーの自由度が確保出来るかどうか
未知数という理由もあるのかもしれません。

今のところ、「ゴーカイジャー」は設定、キャラ描写、アクションなど全て非常にハイレベルで、
各エピソードもいわゆる「神回」と呼べるようなものを重ねており、ほぼ死角の無い完成度となっています。
しかし案外と視聴率が伸びていないのは、前作「ゴセイジャー」の終盤がかなり視聴率が落ちて、
しかも30分後の「仮面ライダーオーズ」もあまり盛り上がっていないという状況で、
「ゴーカイジャー」に視聴者を一気に増加させるほどの、
レジェンド戦隊目当てでない普通の子供の視聴者を強く惹きつけるだけの
物語の展開のダイナミックさに欠けているせいなのかもしれません。

おそらく、もともと、例えば「シンケンジャー」のようなダイナミックな展開をするような作風は志向していないはずなので、
これを指して「ゴーカイジャー」の欠点だとか失敗点だとか言うべきではないでしょう。
内容的にはほぼ満点レベルであることは間違いないのです。
しかし、同じようにほぼ死角の無い完成度であった「デカレンジャー」が
物語のダイナミックさを欠いていたために視聴率が徐々に下がっていったという例があったり、
圧倒的な玩具売上と高いエンタメ度を誇った「ゴーオンジャー」が、
やはり物語のダイナミックさを欠いたために、視聴率が横ばいを続けて上がることがなかったという例があるように、
このままでは「ゴーカイジャー」も視聴率に関してはそれらと同じような推移を辿る可能性はかなり有ります。
それを引っ繰り返すには、このレジェンド回の「お題」の縛りというのは、
なかなか難問なのかもしれないということを言いたいだけのことです。

まぁ仮にそれが難問であり、それをクリアー出来なかったとしても、
それはこのようなお祭り企画の場合は逃れられない宿命でありましょうし、
私のような長年の戦隊ファンは、「ゴーカイジャー」はそういうリスクは覚悟で
35周年のお祭り企画をやってくれている作品だというふうに納得して、素直に楽しむことは出来ます。
また、スポンサーのバンダイもそうしたリスクは承知の上で
「ダイスオー」の販促になればいいと思ってやらせている企画なのでありましょうし、
ダイスオー関連の売上が上がれば、多少は視聴率が低くても問題視はしないでしょう。
このような企画をやる時点で、視聴率は多少犠牲にすることは覚悟しているはずだからです。

そりゃあ年配の戦隊ファンにしてみれば、昔の戦隊が出るというだけで飛びついて観ますけど、
メイン視聴者である3〜5歳ぐらいの子供たちというのは、
去年の「ゴセイジャー」ですら観ていない子がかなり多いであろうし、
彼らが「懐かしい」なんて思える最大限に古い戦隊は「ゴーオンジャー」ぐらいまででしょう。
だから子供たちから見れば、なんだかゴーカイジャーがいっぱい変な姿に変身しているというふうにしか見えないであろうし、
逆に分かりづらくなっていると思います。
レジェンドゲストにしても何だかよく分からないでしょうし、
本当はレジェンド要素は無くて、ゴーカイジャーだけで描いた方が子供受けは良いはずです。

しかし、それは承知で東映もバンダイも「ゴーカイジャー」をやっているのです。
それはバンダイ的には第一にはダイスオーの販促でありましょうし、
東映的には過去作品のDVDなどを売ろうという思惑もあるでしょうし、映画の興行収入も見込んでいるでしょう。
それに何といっても、こういうことをやっておきたかったというのもあるでしょう。
何せ35作品もやっているのです。それぐらいの感傷は持ってもいいと思います。

だから、総合的に見て、「ゴーカイジャー」の視聴率があまり上がらなかったとしても、それは想定内のことです。
ただ想定外だったのは「ゴセイジャー」の終盤の落ち込みであって、
かなり低いスタート地点から「ゴーカイジャー」は始めることになってしまったので、
上がらないのは仕方ないにしても、出来るだけ下がらないようにしないといけないので、
そのあたり今後に期待したいと思います。

で、話は戻りますが、「ディケイド」の場合は、個々のエピソードにおいて、
個々のライダー世界の物語のテーマは、過去のオリジナル作品におけるテーマとは同じようでいて、
やはり微妙に違っていました。
それはやはり、全く過去作品そのままのテーマというのは、
その過去作品のシチュエーションがあってこそ成り立つのであって、
過去作品そのままのシチュエーションではディケイドが登場する余地は無い。
だから、ディケイドを登場させるための「リイマジネーション」なのであって、
リイマジされて微妙に変えられた物語世界においては、
そのテーマもリイマジされて原典とは微妙に違うものになっていました。

「ゴーカイジャー」の場合もそれと同じで、
過去作品の物語世界そのものは登場しないのでリイマジする必要はありませんが、
ゴーカイジャーの物語世界の中に持ち込まれる過去戦隊の物語のテーマも、
ゴーカイジャーの世界の仕様に合わせてリイマジされなければいけません。
マジレンジャー篇における「勇気」も、デカレンジャー篇における「誇り」も、
ゲキレンジャー篇における「向上心」も、ガオレンジャー篇における「優しさ」も、
それぞれの原典戦隊におけるテーマそのものではなく、
ゴーカイジャーに合った形にリイマジされていました。

そして今回はシンケンジャー篇ですが、
「シンケンジャー」という作品はシリーズの中でも特にテーマが明確な戦隊の1つであり、
その物語のテーマは「絆」です。
よって、今回のシンケンジャー篇のお題は「絆」です。
しかし、シンケンジャーの絆というのは「主従の絆」です。
これはシンケンジャーが現代のチャンバラ時代劇を描いた作品であったので、
戦隊内に殿様と家臣という厳格な主従関係が存在したという、
そういう脈絡の結果、描写されたテーマなのであって、
これをそのまま「ゴーカイジャー」という作品内で再現することは不可能です。
マーベラス一味の間には主従関係は存在しませんから。

よってリイマジしなければならないのですが、
かといって、あまりに原典とかけ離れたものになってもいけません。
シンケンジャーの「絆」と形は違っても、その本質は通じ合ったものが無いといけません。
特に「絆」を単に友情や仲間意識と同義のようにまで解釈の幅を広げてしまうと、
そんなものは他の戦隊もだいたい標準装備していますから、
あえてシンケンジャー篇のテーマとして扱う必要はなくなってしまいます。
シンケンジャーの「絆」の、「主従」という部分以外でシンケンジャーらしい点が何なのかを見出し、
それをどうやって、いかにもマーベラス一味らしい「絆」とリンクさせていくのか、
今回のエピソードはそれをしっかり描き切ることに尽きるわけで、
それは見事に成し遂げられたと思います。

では本編ですが、まず冒頭は、前回のラストあたり、
ジョーが「1人でケリをつけたいことがある」と書いた置手紙を残して
ゴーカイガレオンからいなくなってしまったことに皆が気付いて驚いているシーンのそのまま続きから始まります。

「どうしたのかな、ジョー・・・?」と置手紙を見つめてハカセは心配します。
「昨夜、この船に帰ってきた時も、いつもと違う感じだったし・・・」と、ルカも何時になく不安そうです。
ここから分かることは、ハカセもルカもジョーがいきなりいなくなった理由に
全く心当たりが無いようだということです。
つまり、ハカセもルカも、ジョーが昨日の戦闘の時に
ワルズ・ギルからバリゾーグの正体がシドだという事実を聞かされたということを、
あの時ジョーと離れて戦っていたために把握していないのです。
だから「1人でケリをつける」といっても何のことやらサッパリ分からないようです。

実際のところ、このジョーが「1人でケリをつけたいこと」というのは、
話の流れ上、どう見てもバリゾーグの一件です。
確か、薫との決闘の決着もお預けになっていましたが、
薫はガレオンにいるのですから、薫との決着であればガレオンから出て行く必要はありません。

だから、これはバリゾーグとの間で何らかのケリを1人でつけようということなのですが、
「ケリをつける」という言い方である以上、これは「バリゾーグを倒す」という意味でしょう。
マーベラスはジョーを庇ってバリゾーグに斬られたのであり、
ジョーとしては自分のせいでマーベラスが斬られたわけですから、
自分1人でバリゾーグを倒してケジメをつけたいと思って当然でしょう。
だから、これはあまりに当然のことなので、
普通なら皆にそういう事情を説明して1人で仇討ちに出向いても許される場面です。
実際、第4話では皆、ジョーが詳しい事情も説明しなくても1人で戦うことを許していました。

ただ、今回はマーベラスがジョーを庇ってバリゾーグに斬られている以上、
1人で戦いに行くになると、とにかくジョーは皆にバリゾーグとの戦いで何があったのか
事情は説明せねばならなくなるでしょう。
そうなると、バリゾーグの正体が自分の元先輩だったということを言わねばならなくなり、
そんなことを言えば、ジョーがちゃんとバリゾーグと1人で戦えるのか、
皆は疑問に思って行かせてくれなくなりそうです。
だからジョーは皆に事情を説明出来ない。
かといって、このままじっとしていることも出来ないので、
ジョーは皆に何も言わずにただ「1人でケリをつける」という手紙だけ残して船を出て、
バリゾーグとの戦いに向かったのです。

いや、しかし、皆に事情を話して、皆でバリゾーグと戦うという選択肢もあったはずです。
そのようにもせずに黙って出ていったということは、
実際のところ、ジョー自身、根本的に自分が本当にバリゾーグと戦えるのか自信が無かったので、
皆に事情を話すことが出来ず、かといってじっとしていられないので、
皆に黙って隠れるように出かけるしか出来なかったのです。

傷に苦しむマーベラスを見ている時は「仇を討たねばならない」と思ったジョーでしたが、
1人になると、脳裏に去来するのは、バリゾーグがシド先輩の改造された姿だったという事実と、
シド先輩との想い出ばかりでした。
あれはもはやシド先輩ではなく、ワルズ・ギルの僕となってしまったバリゾーグに過ぎないと思い、
戦おうとも思うのですが、どうしてもシド先輩のことが頭から離れないのでした。

そんな状態で皆に事情を説明して、皆でバリゾーグを倒そうなどと本心から言える自信も無く、
かといって、バリゾーグがシド先輩だからマーベラスを斬った罪は許そうなどと皆に言えるはずもなく、
結局、ジョーは皆にバリゾーグの一件は説明出来ない状態だったのです。
ただ、それでもこのままバリゾーグを捨て置くことも出来ず、
心は揺れ続けながらも、とにかくジョーは1人でバリゾーグと戦うつもりで皆に黙って船を出て、
ある場所へ向かったのでした。

ハカセやルカも、普通に考えればこの場合、
ジョーがマーベラスを斬ったバリゾーグを倒そうとすることは簡単に予想出来そうなものですが、
そういう場合、いつものジョーなら「俺が1人でバリゾーグを倒す」と宣言するはずなので、
そういうことも言わずに、ただ「1人でケリをつけたいことがある」などという曖昧な手紙だけ残して姿を消すなど、
あまりにいつものジョーとは違うので、ハカセやルカやアイムは何か別の事情があるのかと思ってしまい、
それが何なのかサッパリ分からず戸惑ってしまったのです。

また、そうした困惑する彼らの様子を見て、
薫や丹波も特に何も言うでもなく同様に困惑しているところを見ると、
薫や丹波も昨日の戦いの時、ジョーがワルズ・ギルやバリゾーグとの間で
シド先輩の話をしていたのは聞こえていなかったようです。

「・・・連絡してみましょう!」とアイムがモバイレーツでジョーに連絡を取ろうとしますが、
そこに背後から「・・・やめとけ」という声がしてアイムを制止します。
バリゾーグに斬られた傷のため、ずっとソファーで眠っていたマーベラスが目を覚まして、
ハカセやルカの遣り取りを聞いていたのです。

アイムはハッと振り向いて、駆け寄りつつ「マーベラスさん?」と、マーベラスの真意を測りかねます。
昨日からジョーは何かおかしかった。それはジョーを庇って斬られたマーベラスが一番分かっているはずです。
それなのに、そんなジョーを1人にしてマーベラスは不安ではないのかと、アイムは思ったのでした。
するとマーベラスはソファーに横たわったまま「あいつが1人でっつってんなら放っとけ・・・」と言います。

マーベラスも当然、バリゾーグがジョーの先輩のシドの改造体だという話は知りません。
ジョーも昨日初めてそれを知ったのであり、その時はマーベラスはその話が聞こえない場所におり、
その直後にマーベラスは斬られて、その後ずっと寝ていたのですから。
だからマーベラスも、ジョーがどうして急に出ていったのか、サッパリ分かっていませんでした。
いや、何となく、バリゾーグを斬りに行ったのだろうとは思ったかもしれません。
しかし、そんなこともマーベラスは別にどうだっていいみたいです。
とにかく、さらわれたりしたわけではなく、ジョーが自分の意思で出ていったというのなら、
特に心配する必要は無いというスタンスのようです。

「でもマーベラス!・・・」とハカセが反論しようとしますが、
マーベラスはソファーの上でゆっくり身を起こしつつ
「・・・あいつなら大丈夫だ・・・絶対帰ってくる!」と断言します。
そして、苦しそうに上体を屈めながら「それよりも・・・メシだ!」と、
重傷の身でありながら旺盛な食欲を示すのでした。
てっきりジョーについて重要なことでも言うのかと思ってマーベラスの言葉を聞いていた丹波は
思わずカクッと脱力するのでした。
どうやらマーベラスはここでほとんど何の根拠も無く
ジョーが普通に戻ってくると信じているようだと薫や丹波は驚きました。

実際、マーベラスは根拠も無くジョーを信じているというよりは、
とにかくジョーに全幅の信頼を寄せているようです。
このマーベラスの無条件のジョーに対する信頼っぷりを見ると、
第4話でアイムがジョーの行動に疑問を抱いた時にマーベラスが「放っておけ」と言った場面、
あそこはマーベラスがジョーの事情を何か知っていてああいう態度だったのかとも思っていたのですが、
どうやらそうではなかったようです。

マーベラスはおそらくジョーの細かい過去をいちいち知らないで、それでもジョーを信頼しているのです。
というより、今のジョーを無条件に信頼しているから、
ジョーの過去などに全く興味は無いということなのでしょう。
つまり、マーベラスはほとんど根拠も無く、ほぼ無条件に全幅の信頼をジョーに寄せているのです。
そして、よくよく考えたら、マーベラスという男は、ジョー以外の他の仲間に対しても、
基本的には同種の信頼を寄せているように見えます。
よく考えれば、それはいったいどうしてなのか不思議です。
そうした疑問を薫も抱いたようです。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:28 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月13日

第12話「極付派手侍」感想その2

ここでOPテーマが始まり、CM明け、「極付派手侍」という今回のサブタイトルが出ます。
また漢字五文字ということで、シンケンジャー篇ですから
「シンケンジャー」のサブタイトルのフォーマットに忠実ということになります。
そして「極付派手侍」というタイトルの意味は「並はずれて派手な侍」となり、
今回のエピソードで並はずれて派手な侍が登場することを示唆していますが、
このサブタイトルは「シンケンジャー」の第二幕のサブタイトル「極付粋合体」が元ネタと思われ、
この第二幕では初めてシンケンジャーの個人メカに相当する「折神」が合体して
シンケンオーという侍巨人(巨大ロボに相当)が登場します。

ちなみに「極め付き」の同義語が「折り紙付き」ですから、
この第二幕のタイトルは実は「折神」もアナグラムで含まれて
「並はずれてカッコいい合体」と同時に「折神のカッコいい合体」という意味でもあるのですね。
まぁ元ネタはそのようにやたら凝ってますが、
この「ゴーカイジャー」のシンケンジャー篇後篇のサブタイトルの方は、
そこで登場する「並はずれて派手な侍」というのが、元ネタを参考にする限り、どうやら巨大ロボであることは想像出来ます。

そして本編が再開し、ジョーが市街地を1人で歩いているシーンとなります。
歩きながらジョーはかつてザンギャックを脱走するに至った数年前の経緯を思い返していました。
この回想シーンで、ジョーはザンギャック兵士としての初仕事をスゴーミンに命じられ、
それが、ザンギャックの侵略した星の子供たちを殺す任務だったことに衝撃を受け、命令を拒絶します。
更に、子供を殺そうとするスゴーミンに殴りかかり子供を逃がし、
これらは軍人として重大な規律違反の罪ですから、捕えられて処罰されることになりました。

ここでちょっと「おや?」と思うのは、
ジョーは確かザンギャック軍の元エリートという設定ではなかったかな?という疑問です。
なんだか、この回想シーンではスゴーミンに新兵扱いでさんざんバカにされている下っ端みたいに見えます。
ただ、確かに隊長格のスゴーミンよりは階級は下のようですが、ゴーミン達とは一線を画した存在ではあるようで、
それなりの養成所で訓練を受けていたようですから、叩き上げのゴーミンとは違い、
一応は幹部候補生を養成する機関を卒業したばかりの新米将校なのでしょう。

そしてインサーンが言っていたように特殊部隊に軍籍を置いているのでしょうけれど、
最初は最前線に配属されて前線部隊の隊長のスゴーミンの下で新人研修のようなことをするのだろうと思われます。
その初っ端でジョーはザンギャック軍の前線における非道な実態を知り、ショックを受け、
命令に逆らい、軍紀違反の罪を犯してしまったのです。
こういう青臭い点からも、ジョーが叩き上げではなく、ある種の隔離されたエリート養成施設で
嘘だらけの理想主義のようなものを吹き込まれて訓練を受けてきたことが想像出来ます。

そうした青臭いエリートが現場の歪んだ実態を知ってショックを受けるというのはよくあることですが、
普通はそこで現実を受け入れて大人しくなってしまうものです。
ここでスゴーミンがジョーに強要している「子供を殺す」というのは、
非情な兵士としての精神を叩きこむための通過儀礼のようなものなのでしょう。
それはザンギャック軍で軍人をやっていくため、特に幹部候補生としてやっていくためには、
通り抜ければならない道なのでしょう。

そんな行為が正しいとは到底思えませんが、しかしザンギャック軍においてはそれが現実であるのも事実です。
軍人なら受け入れなければならない現実なのであり、他の者はほとんど受け入れるのであろうし、
受け入れられない者は打ちひしがれて軍を辞めるのでしょう。
しかしジョーは「子供を殺す」現実を受け入れることは出来なかった上に、
上官に反逆して子供を逃がすという重大な違反行為まで犯したのです。
ここまでする者は滅多にいないでしょう。

何故ジョーがそこまでしたのかというと、それはジョーが人並み外れて弱い者に優しい人間だからです。
これが「敵兵を今すぐ百人殺してこい」などというような命令であればジョーは従ったことでしょう。
しかし無抵抗の子供を殺すという行為は出来ないし、見過ごすことも出来なかったのでした。
このシンケンジャー篇の前後篇の冒頭でジョーが足元に咲く小さく地味な花を、
何の見返りも求めず助けたシーンがここに繋がってきます。
あれはジョーが無抵抗の小さな命を奪われることは許せない、そういう優しい男であることを示す伏線だったわけです。

しかし、その優しさゆえにジョーは投獄されてしまいます。おそらく死刑になるのでしょう。
ここでジョーが簡単にスゴーミンに取り押さえられてしまっているのが、
現在のジョーの強さとギャップがあるようにも見えるかもしれませんが、
まぁジョーもこの時点ではまだザンギャックを脱走する覚悟までは無いでしょうから、
一応はスゴーミンは上官であり、多少は遠慮もあったのでしょう。
それにやはりこの時はジョーも新兵で、今よりは弱かったと考えるべきでしょう。
日頃トレーニングを欠かさない努力家のジョーですから、ザンギャックからの脱走後、かなり強くなったと思えます。
すると脱走時点では今より弱いのは当たり前のことです。

とにかく雑誌などに載っていた初期設定ではジョーは「元ザンギャックのエリート軍人」となっており、
それは地位が高かったかのような印象を与えていましたが、
第1話以降のTV本編の描写では、ジョーがザンギャックで地位が高かったという描写はされていません。
そして、ここで遂に、エリート候補生の新米兵士に過ぎなかったことが判明しました。
確かに広い意味では「元エリート軍人」と言えなくはないので雑誌情報と矛盾はありませんが、
こうして単なる脱走兵として描くなら、別にエリート候補生である必要は無く、
どうもジョーのキャラ設定が当初の予定していたものと変わってきているような印象です。

これは、もしジョーがザンギャック軍の中で活動実績があったとするなら、ジョーのドラマがかなり重いものになってしまい、
それが今後の物語の展開にそぐわなくなってきてしまうからではないでしょうか。
つまり、あまり入り組んだドラマを描くのではなく、明るく単純明快なドラマにしたいという意識の現れなのでしょう。
あるいは、「お題」縛りによって、あまり入り組んだドラマは描けないと判断したとも解釈出来ます。

まぁしかし、この判断は正解だったと思います。
どうせ今回のお題が「絆」である以上、ジョーは元ザンギャックで悪事に加担していたとしても、
それも乗り越えてマーベラス一味は結束してしまうのですから、どっちにしても、そのネタは引っ張ることは出来ないのです。
もしそういうしこりを残すのなら、今回の5人の「絆」はウソだったということになり、
シンケンジャーの大いなる力を得たのはインチキだったということになってしまいます。
だから今回の30分の間に全部解決しないといけないわけですが、
しかし、もしジョーが酷い悪事に手を染めていたとしたら、あまりに深刻な問題点となり、とても30分で解決は出来ません。
それではシンケンジャーの大いなる力が手に入らなくなってしまうので困ります。
そういうわけで、ジョーはザンギャックで活動実績が無い状態で脱走したということになったのでしょう。
まぁこれも一種の「お題」縛りだとも言えますが、
今回のジョーのキャラが非常に魅力的だったので、
変に暗い過去を抱え込みすぎたジョーよりも、結果的には良いキャラになったと思います。

さて、ジョーの回想シーンの続きでは、そうして投獄されたジョーをシドが救出しに来ます。
シドは見張りのゴーミン達を倒してジョーを救い出し、共にザンギャック軍から脱走します。
シドの言うには「俺たちはザンギャックに騙されていた」とのことですが、
シドはジョーよりも先輩ですから、ジョーよりも何年か前に前線に出て、ザンギャック軍の実態は知っていたはずです。
そしてシド自身、悪事に手を染めてしまっていたはずです。
シドはもちろん真っ当な人間ですから、その時点で「ザンギャックに騙されていた」と気付き、
苦悩はしたでしょうけれど、ごく普通に、仕方なく現実を受け入れていたタイプだと思われます。

あるいは、ジョーという純粋すぎる後輩と共に過ごす時間がシドにとっての唯一の心の慰めだったのかもしれません。
そのジョーが軍務を開始して早々、悪事に手を染めることを拒絶して事件を起こして投獄されたと聞き、
シドは悪事に染まってしまった自分を恥じ、そして、そうした純粋なジョーを
悪事の道に引き込んでしまったのは自分だったのだと自分を責め、ジョーが投獄されたのも自分の責任だと感じて、
自分が正しい人間に戻るためには、なんとしてもジョーを助けなければいけないと思ったのでしょう。
罪人であるジョーを脱走させるのはもちろん重い罪ですから、シドも逃げなければ捕まります。
だから2人一緒に脱走することにしたのでした。

そうしてザンギャック軍を脱走したシドとジョーでしたが、
ジョーは投獄される際に首に発信機となっている首輪を巻かれてしまっていますので、
追手はジョーの位置は大まかには特定出来るようです。
それで、いくら特殊部隊の2人といえども、すぐに追手に囲まれて身を潜める羽目になってしまいました。
このままでは2人とも捕まると判断したシドはジョーに二手に分かれて逃げようと提案します。

普通なら、これは発信機付きのジョーを足手まとい扱いして1人だけ逃げようとしていると勘繰られそうな発言ですが、
ジョーはシドがそんなことをする人間でないことは知っています。
というか、そんなことをするぐらいなら、そもそもシド自身は何の罪も負っていない状態で
わざわざジョーを助けるために罪を犯すはずがないのです。
シドが自分を助けるためなら何でもするつもりだということはジョーは分かっていますから、
このシドの提案は、シドが囮になってジョーを逃がそうとしているのだということは、すぐにジョーにも分かります。
だからジョーは拒否しようとしますが、シドはジョーの気持ちは分かっていながら、遺言のようにジョーに言葉をかけます。

シドは「ザンギャックに逆らったからには逃げ続けるか死ぬかだ!」と言います。
つまり、ザンギャックに逆らうということは、この宇宙では生きている限りは罪人として追われる身であり安息の日は無い、
常に命が危険に晒された厳しい人生となるということです。まさに「死ぬか生きるか」の厳しさです。
だから、死にたくなければ、甘いことは考えず、ここはとにかく逃げることを考えるべきだと、シドはジョーを諭しているのです。

しかし、ザンギャックに逆らうのがそうした厳しい道であるというのなら、
なおさら、その厳しさを知りながら命懸けでジョーを助けてくれたシドを見捨てて逃げることなどジョーには出来ません。
命の恩人のシドを今度は自分が命懸けで守らねばならないとジョーは思っているのです。
そうしたジョーの気持ちは分かっているシドは、更に
「だが、俺たちは宇宙に生きる者として正しい道を選んだんだ!・・・生きていれば、宇宙の何処かでまた必ず会える・・・」と言い、
「じゃあな」と言って、外に飛び出していきました。

ジョーは罪も無く殺されかけている子供の命を救い、
シドはそれで死刑に処されそうになっているジョーの命を救ったのであり、
これらは共にザンギャックの法律では罪にあたるのかもしれないが、人の道として正しい行為です。
少なくとも、ジョーとシドの2人にとって正しいと信じられる行為です。
それを貫いたということは、彼らは良心の自由を求めたのです。

形式上は彼らの行為は様々な罪状は成立するでしょう。
ジョーは上官を殴っていますし、シドも見張りの兵を叩きのめしています。
しかし、良心に則った行為であったのだと申し開きは出来る行為のはずです。
それが許されないのがザンギャックの実態なのです。
ザンギャックでは個人が良心の自由を求めることは罪なのです。全てザンギャック皇帝に従うことが正しいのです。
そういう世界を拒絶して良心の自由を求めた2人はザンギャックでは罪人ですが、2人は絶対に正しい道を選んでいます。

宇宙でたった2人、共に正しい道を選んだ2人なのだから、
今この場で別れ別れになったとしても、このまま会えなくなるなんてことはない。
共に良心の自由を信じて正しい道を進んでいる限り、
きっとまた自然に運命に引き寄せられて宇宙の何処かで巡り逢えるはずだ。
だから今は逃げて生き延びてくれ。お前が生きてさえいればまたきっと俺たちは会える。
このようにシドはジョーに伝え、外に飛び出していったわけです。

ジョーは押し切られたような形で、シドとは別方向に逃げましたが、
シドの逃げた方向で追手の怒号や激しい銃撃音、シドの悲鳴が聞こえました。
ジョーはシドが囮になって追手に追いつかれたことは悟りましたが、シドがどうなったのかを確認しに戻ることは出来ず、
シドの別れ際の言葉を信じ、逃げ続けて生き延びることにしました。
それは、己の良心の自由を信じて、正しい道を進んでいれば、
きっとまた同じ道を進んできたシド先輩に会えるはずだと強く信じる生き方でした。

そのように信じて生きてきたジョーですから、
ザンギャック軍の幹部であるバリゾーグの正体がシドだと勘付いた時、驚愕し混乱したのです。
あれほど自分の良心の自由を信じていたシド先輩がザンギャックの手先になどなるはずがないと思ったのです。

しかしワルズ・ギルに事情を聞かされて事態が呑み込めました。
シドはあの時、殺されずに捕えられ、あくまでジョーに別れ際に言った志を貫いて抵抗し続けたため、
ワルズ・ギルの従順な飼い犬に改造されてしまったのでした。
そして、皮肉なことにシド自身が言った通り、お互い生きて再会することになったのです。
但し、敵同士という最悪の形での再会でした。
それが昨日のことです。

その昨日、シドの改造体であるバリゾーグとジョーが対峙した場所へ、ジョーは到着しました。
そこには昨日、マーベラスの銃撃を受けて吹っ飛ばされたバリゾーグの剣が地面に突き刺さったままになっていました。
ジョーはこの剣を取り戻しにバリゾーグがやって来ると予想し、
そこでバリゾーグを倒してマーベラスを怪我させたケジメをつけようと思って、この場所へやってきたのです。

いや、そのはずでした。
しかし、道すがら、シドとのこうした脱走時の経緯、そしてシドとの最後の会話を思い返すと、
やはり自分が今までシドとまた会える日を夢見て、それを励みに生きてきたのだと思い至り、
最悪の形であったとはいえ、せっかくこうして巡り逢ったシドを
バリゾーグとして倒すのは忍びないという想いが込み上がってくるのでした。

その頃、昨日のマーベラスの銃撃によって司令官のワルズ・ギルが負傷したため、
一旦慌てて宇宙空間へ退避したザンギャック艦隊では、
ワルズ・ギルの治療が終わるまで、しばらく待機状態となっていました。
その旗艦であるギガントホースの艦橋の指令室も、主が不在のため幹部たちが待機状態であったが、
その中で1人、バリゾーグが外へ出ていこうとして、インサーンに呼び止められます。

「バリゾーグ・・・何処へ行くの?」というインサーンの問いかけには少し疑惑の色が混じっています。
インサーンは昨日の戦いをいつものようにギガントホースからモニターしていたようですから、
バリゾーグの正体についてのワルズ・ギルとジョーの遣り取りも聞いていたはずです。
しかし、とりたてて驚いた様子も無いようです。
おそらくバリゾーグがシドを改造した戦士だということはインサーンは知っていたのでしょう。
第4話ではインサーンやダマラスもバリゾーグを試すような質問もしたりしているので、
ワルズ・ギル軍の幹部連中は皆、バリゾーグの正体は知っていたと思われます。

いや、そもそもシドをバリゾーグに改造したのはインサーンなのではないでしょうか。
そして、インサーンは第8話で見たように、ジョーが脱走した経緯も知っていたようですから、
つまりジョーとシドの関係もよく知っているということになります。
だから、昨日のジョーとの邂逅によってバリゾーグの記憶に
何らかの影響があるのではないかと少し心配になったと思われます。
これはつまり、シドの記憶が甦る可能性がゼロではないということを意味するとも解釈出来ます。
ワルズ・ギルはシドの剣の腕だけは活用するために改造したと言っていましたが、
剣の扱い方だってシドの記憶があってこそのものであって、
そのあたり上手く剣の技術に関する記憶だけ残して他は除去したのでしょうけど、
この世に完璧などということはありませんから、インサーンも少しは心配なのでしょう。
まぁほとんど万が一程度の心配でしょうけど。

これに対してバリゾーグは「答える必要は無い。ボスの御命令が無いからな」と、
全く無感情な声で素っ気なく返すと、そのまま指令室を出ていきました。
つまりバリゾーグはワルズ・ギルにあまりに忠実であるようプログラミングされているので、
ワルズ・ギル以外の命令は聞かないし、質問にも答えないし、
そもそもワルズ・ギル以外と会話すら普通はしないのです。
このように何か言われたら一応言葉は返したりはするが、そこから会話が発展するようなことは言わないのです。
そうしたバリゾーグの態度を見て、インサーンは「飼い犬は、ご主人の言うことしか聞かないのね・・・」とほくそ笑みます。
いつも通りのバリゾーグなので、記憶に異常が生じているということは無いのだろうと安心したようです。

そうして、バリゾーグはジョーの待つ場所までやって来ました。
やはりジョーの予想通り、バリゾーグは剣を取り戻しにやって来たのです。
バリゾーグとしては単に剣を拾いに来ただけであり、そこにジョーが待っていることなど予想はしていなかったでしょう。
というより、そもそもバリゾーグはジョーになど全く興味はありません。
昨日はジョーがワルズ・ギルを襲ったから、ワルズ・ギルを守るためにバリゾーグは戦ったに過ぎません。
今はワルズ・ギルもおらず、ジョーと戦えという命令も無いので、バリゾーグは剣しか目に入っていません。

そのバリゾーグが近づいてくるのを待ちうけて、
ジョーは真っ直ぐな視線でバリゾーグを見つめて「待っていました・・・」と言うと、
「シド先輩!」と大きな声で呼びかけてバリゾーグに歩み寄ります。
バリゾーグもジョーが進路に立ち塞がってきたので歩みを止めます。
ジョーはバリゾーグの前で立ち止まると「ワルズ・ギルは確かに言った・・・あなたはシド先輩だ!」と言って、
じっとバリゾーグを見ます。バリゾーグもじっと動かないでジョーを見ています。
ジョーはバリゾーグが無反応なので、もどかしそうに更に一歩進んでバリゾーグの機械の肩を掴み
「目を覚ましてくれ!・・・俺を思い出してくれ!」と哀願します。

やはりジョーは、いざバリゾーグが目の前に来ると、そこにシド先輩が居るのだと思えて、
ようやく約束通り巡り逢えたシドと戦うことは、
ザンギャックを脱走してからシドに言われたことを信じて生きてきた自分を否定するような気がして、
やはりどうしてもバリゾーグと戦う気になれなかったのでした。
シドの記憶が甦れば、戦わずに済むし、シドを救い出すことも出来て、シドとの約束も恩返しも果たせる。
その一心で必死にバリゾーグに縋りつくジョーでしたが、バリゾーグは全く無反応でした。

そして突然バリゾーグは動き、自分の肩を掴んだジョーの手を跳ね上げると、
ジョーのボディに強烈なパンチを喰らわせて後退させ、
そのまま地面に突き刺さった剣を抜きとると、後ろに振り向いて無言で立ち去ろうとします。
バリゾーグにはジョーの必死の呼びかけは届いておらず、剣にしか興味は無いようでした。

しかし、よく考えたら、バリゾーグはワルズ・ギルに命令されたわけでもないのに
勝手に剣を拾いにわざわざ地上までやって来ているというのは奇怪です。
これは、つまりシドの剣に関する記憶だけは利用するために残している影響で、
剣に関連した部分だけは自由意思というものがある程度は残っているのでしょう。
ジョーもボディに強烈な一撃を喰らいながらも、バリゾーグの剣に対してだけの異常な執着ぶりを見て、
ワルズ・ギルがシドの剣の腕だけは利用していると言っていたことを思い出し、
あるいは剣に関する部分はシドだった頃の記憶が残っていて、
そこがシドの記憶を取り戻す突破口になるかもしれないと気付きました。

ジョーは執念に燃えた目でバリゾーグの背中を睨み
「先輩の記憶を・・・取り戻す!」と叫んでゴーカイサーベルを取り出します。
その異様な剣気に反応して「ん・・・?」とバリゾーグは立ち止って振り返ります。
さっきまでジョーには全く関心を持たなかったのに、
ジョーが剣を構えて凄まじい剣気を放つと反応するということは、
やはりバリゾーグは剣に関してだけは冷たい機械のバリゾーグではなく、
剣の達人であったシドの記憶が残っているようです。

それならば自分ならばシドの記憶を取り戻す突破口となり得る自信がジョーにはありました。
何せ、ジョーはその剣豪シドの唯一の剣の弟子なので、シドの剣は知り尽くしています。
剣にだけは反応するバリゾーグならば、シドの剣の技で攻撃すれば、
そのショックでシドとしての記憶が覚醒するかもしれないとジョーは思いました。
そこでジョーはシドの最大の必殺剣を繰り出すことにしました。
例の空間を十字に斬り裂いて発生させた衝撃波で相手を吹き飛ばす技、
昨日の戦いでジョーがバリゾーグに喰らった技です。

ザンギャック兵の訓練所時代にシドに見せてもらい指導を受け、ジョーもあの技を使うことは出来るようです。
しかし普段の戦いでジョーがこの技を使うのを見たことはありません。
やはりジョーにとっては特別な思い入れのある技なのでしょう。
それでもシドとの想い出の象徴のような技です。
ジョーの異常に強い剣のこだわりの原点のような技ですから、日頃から磨いている技であるに違いありません。

ジョーがその独特の構えをとるのを見て、バリゾーグは「私の真似か?」と感情も無く言いますが、
単なる猿真似ならばバリゾーグが反応して振り向くこともなかったはずですから、
ジョーの技は本物であるのは間違いありません。
これ以上にシドの唯一残された剣の記憶にインパクトを与えて揺さぶる方法は無い以上、
もうジョーとしてもこの方法に賭けるしかありませんでした。
「思い出してくれ!・・・シド先輩!!」と裂帛の気合いを込めてジョーは空間を十字に斬り裂き、
かつてシドが見せてくれたように、その衝撃波をバリゾーグ目がけて飛ばします。

しかしバリゾーグはその衝撃波を剣で受け止めて後ろに受け流してしまいました。
バリゾーグの後ろで衝撃波が弾けて大爆発が起き、ジョーはあっと驚きます。
ジョーの繰り出したシドの必殺技は、それを教えた師匠であるシド本人の改造体のバリゾーグには通用しなかったのです。
「私はバリゾーグ、完全なる機械の身体を持つワルズ・ギル様の忠実なる部下・・・シドなど知らん」と冷たく言うと、
バリゾーグは再び後ろに振り向き、去っていこうとします。
技を破られたジョーの剣気が萎えたので、バリゾーグをその場に引き止める要素が無くなったのです。

ジョーはこの方法しかないと思って繰り出した技でシドの記憶を取り戻せなかったショックで茫然としますが、
それでも「ウソだぁっ!!」と叫んで必死の形相で駆け出し「先輩!!」と、バリゾーグの肩を掴みます。
技は通用はしなかったが、バリゾーグは技の衝撃は剣を通して味わったはずです。
剣の技術だけでなく、それに付随したシドの記憶が少しでも残っているのなら、
今の攻撃で何らかの影響はあったはずだとジョーは思ったのです。
それならばあと少し呼びかければ、何か反応が起こせるはずだという希望をまだ持っていた、
いや、そういう希望に縋りたかったのです。

しかし、その希望を打ち砕くようにバリゾーグは、まるで邪魔な虫を払うように無造作にジョーに斬りかかってきます。
「思い出してくれっ!!」と必死に哀願しながらその剣を受け止めるジョーでしたが、
バリゾーグは攻撃の手を緩めず、ジョーは剣を飛ばされ、身体は弾き飛ばされて地面に転がってしまいます。
しかしジョーは立ち去ろうとするバリゾーグの足にしがみついて「シド先輩!!」としつこく叫びます。
そのジョーを持ちあげて、バリゾーグは強烈なパンチを浴びせ、遠くに吹っ飛ばしてしまい、
ジョーはダメージで起き上がれなくなってしまいます。

これでバリゾーグが立ち去るのを邪魔する者はいなくなり、
バリゾーグは動けなくなったジョーを「ふん」と一瞥すると、後ろを向いて真っ直ぐ立ち去っていきました。
ジョーは呻きながらバリゾーグが立ち去っていくのを見送るしかなく、絶望感に打ちのめされ、
うつ伏せになって獣のような声を上げながら拳を地面に叩きつけます。
そして「先輩は・・・俺の先輩は・・・もう、いない・・・!」と号泣したのでした。

あの技を浴びせ、これだけ呼びかけても全く反応が無いということは、
バリゾーグがたとえシド先輩の改造された戦士だとしても、もうその中にはシド先輩の記憶は残っていない、
ただの機械の塊にシド先輩の剣技をコピーしたに過ぎないということを、ジョーは認めざるを得ませんでした。
それはつまり、シド先輩は完全にもう死んだということです。
それをどうしても認めたくなかったから、自分は必死で足掻いていたのだとジョーは気付きました。

「正しい道を選んだ以上、いつかまた会える」と言っていたシド先輩が死んだ。
「いつか会える」という約束は果たされなかった。
一瞬、会えたと思ったが、そうではなかった。
やっぱり約束は果たされなかったのです。
そう思うと、その約束を心の支えに生きてきたジョーの喪失感は計り知れないものがありました。

正しい道を選んだ先輩が死んでしまったなら、今までの自分の良心の自由を求める苦難の道はいったい何だったのか、
単に先輩を犠牲にしただけではないか、とジョーは今までの自分の行為の意義を見失ってしまいました。
絶望的な状況だと分かってはいたものの、それでも先輩とまた会えると僅かに信じていたからこそ、
ジョーは自分の良心の自由を求める生き方を肯定することが出来ていたのです。

シド先輩が死んだのはそもそもジョーが異星人の子供を助けたせいでした。
もちろん、シドの死は直接的にはジョーを助けようとしたシドの良心の代償でありますが、
シドをそういう行動に駆り立てたのは、ジョーの示した良心の自由を求める心の影響でした。
だからシドの行動もジョーの良心が引き起こしたようなものです。
少なくともジョーにはそう思えました。
そのジョーの良心を求める心がシドを殺したのです。

本当はあの脱走した直後の銃撃音やシドの悲鳴を聞いた時、
ジョーは自分がシドを殺したのだという事実は半ば受け入れていました。
しかし、それでも、「いつかまた会える」というシドの言葉を信じることで
ジョーは自分という存在を今まで否定しないで済んでいたのです。
いや、シドがおそらく自分が死んだ後、ジョーが己を責めないで済むように、
最後に「いつかまた会える」という救いの言葉を残してくれたのでしょう。
ジョーの時折見せる影のある態度や、剣への異常なこだわりなどは、
全てシドへのこうした思い入れに起因するものであったのです。

しかし、今こうして最後の希望が打ち砕かれたことによって、
ジョーは自分の良心の自由を求める心が大事な先輩であり剣の師匠であるシドを殺したのだという現実を
全て受け止めるしかなくなったのでした。
それはジョーに自分の生きている意味すら見失わせるに足る衝撃であったのです。

しかし、ここで視聴者目線で少し気になるのはバリゾーグです。
バリゾーグはここでは全くシドの記憶は無くしているように見えますが、
第4話でジョーが二刀流だとゾドマスに教えており、
やはり剣に関するものに限ってはシド時代の記憶は多少は残っている可能性はあるのです。
まぁ現時点では、あれは設定が変わってもう無かったことになってるのかもしれませんし、
単に幹部のみ閲覧可能な資料にジョーが二刀流だと書いてあったのか、
それとも剣の達人のバリゾーグはジョーの構えを見ただけで本来は二刀流だと分かったのかもしれません。
まぁいずれにせよ、バリゾーグが実は記憶が戻っていて戻っていないフリをしているという可能性は無いでしょう。
記憶があるにしても剣の記憶が断片的に残っている程度であり、
今回はこれ以上はバリゾーグに関する描写はありません。

これは少し意外で、今回はバリゾーグ関連でもっと大きな進展があるのかとも思っていました。
事態が解決するとまでは思っていませんでしたが、
結局、ジョー以外のゴーカイジャーのメンバーが
バリゾーグの件やシドの件を知ることもなく終わるというのは意外でした。
これもあまり今後の話をややこしくせず単純明快路線を貫くという意味でしょう。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:57 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月15日

第12話「極付派手侍」感想その3

その頃、バリゾーグが出かけて留守中のギガントホースでは、
怪我の治療が終わったワルズ・ギルが司令室に戻ってきていました。
「傷が疼くぅぅぅ〜っ!」と、やたらと痛がって大騒ぎしていますが、
マーベラスに撃たれた傷は腕にちょっと包帯を巻いただけの小さなもので、
歩き回るのに支障も無いようですし、腕も動かせるようです。
要するに全然大したことはなく、こんな程度で丸1日も治療室に閉じこもって大騒ぎして、
その間、作戦も中断する羽目になっていたのです。
身体に受けた傷よりも、父親にも叩かれたことのないというワルズ・ギルの
心に負った傷がやたら大きかったのでしょうけど、これで軍司令官なのだから呆れたものです。

「作戦はしばらく中断ですか?殿下・・・」とダマラスはワルズ・ギルに指示を仰ぎます。
もともとワルズ・ギルが思いつきで始めて、しかも自分のパフォーマンスのために前線に出しゃばって、
そのせいで怪我をして腰を抜かして逃げ帰ってきたという、ハッキリ言ってダマラスにはどうでもいい作戦です。
よって、このままワルズ・ギルの心が折れて作戦中止となっても別に構わないと思っているので、ダマラスも投げやりです。

しかしワルズ・ギルは心が折れてはいませんでした。ただ単にねじ曲がってしまっただけだったのでした。
「この俺の身体に傷をつけるとは・・・許さん!許さんぞぉっ!!」と、
ワルズ・ギルは何やら鬱屈した様子で吠えて暴れては腕を押さえて痛がります。
父親にも叩かれたことのない身体に傷をつけられたのがよほど怖かったらしく、
その恐怖心が逆ギレに作用して、どす黒い怒りに変化しているようです。

「海賊どもを倒すのだぁっ!!」とワルズ・ギルは感情的に叫びます。
もともとは一気に地球を征服する作戦だったはずが、毎度のことではありますが、
海賊討伐の戦いに途中から矮小化してしまったのでした。
しかも今回は動機が100%私怨です。
なんとも情けない展開なのですが、皇帝にひたすら忠実なデラツエイガーは
その息子のワルズ・ギルにもひたすら忠実に「了解しました!」と応じます。
デラツエイガーとしても昨日仕留め損なった海賊どもを今度こそ仕留めて
殿下や陛下の覚えを良くしたいと、やる気満々だったのです。

一方、ゴーカイガレオンではマーベラスがソファーに座ってひたすらメシを喰っていました。
テーブルの上いっぱいに料理が盛った皿が多数置いてあり、
マーベラスはそのほとんどをムシャムシャと物凄い勢いで貪り食っていました。
そのマーベラスの暴力的な食欲で消費されていく料理を用意するのはハカセとアイムで、
2人は交替で料理を作って次々とマーベラスのもとへ届けていました。
ハカセはエプロンをつけたままマーベラスの前に座ってマーベラスのあまりの食欲に呆れています。

そこに「そんな無理はしない方が・・・まだ、動ける状態ではないはずです」と、
アイムがお盆に山ほど料理を乗せて持ってきて心配そうに言います。
しかしマーベラスは喰うのを邪魔されたくないのか、口いっぱいに料理を頬張ったまま「うるせぇ」と言い返す。
マーベラスの横ではルカがニコニコしながら「だ〜いじょうぶ!いつも食べまくって元気になってんだから!」と
アイムに言いながらマーベラスの肩をポンと叩くが、
マーベラスはメシを奪われるとでも思ったのか、その手を鬱陶しそうに振りほどきつつ、
更に料理を口に詰め込んでいきます。もうほとんど野生の獣のようです。

この「大怪我を喰いまくって治す」という、よい子は絶対に真似をしてはいけない独特の治療法は、
近年では同じ海賊モチーフの漫画「ONE PIECE」のルフィを彷彿させますが、
やはり、こういう描写の元祖は「ルパン三世カリオストロの城」の主人公ルパンでしょう。
「ルパン三世」は日本のTVドラマ史上におけるピカレスク・ヒーローの元祖ともいえる存在ですから、
戦隊シリーズ初のピカレスク・ヒーローものである「ゴーカイジャー」のキャラ設定が
「ルパン三世」の影響を受けていたとしても、それは何ら恥ずべきことでもなく、むしろ当然というべきでしょう。
まして、「カリオストロの城」はそのルパンシリーズの作品中でも群を抜いて知名度の高い古典的名作ですから、
その1シーンと酷似したシーンがあったとしても、そういうのはパクリではなく、オマージュと言っていいでしょう。
そう言って当然なだけの価値が「カリオストロの城」という作品にはあります。

何にしても、このマーベラスの暴力的なまでの食欲に呆れた一同は、
そのいつもと変わらぬ豪傑っぷりとお気楽っぷりに、ある意味、安心して、
ジョーが突然いなくなって困惑していた心が落ち着いてきていました。
ジョーがいなくなった理由は相変わらずよく分かりませんでしたし、
マーベラスが大丈夫だという理由もよく分かりませんでしたが、
マーベラスがこれだけガツガツ喰うことに集中出来るほど安心しているのなら、
多分大丈夫なんだろうという、奇妙な安心感が彼らにはありました。
それだけ、マーベラスのことを彼らは信頼しているのです。

ルカたちの様子が落ち着いたのを見て、薫はマーベラスが船員たちからよほど信頼されていることが分かりました。
いや、昨晩からの船員たちの献身的な看護ぶりを見て、
マーベラスがかなり仲間から慕われていることは薫には分かっていました。
そのマーベラスが大丈夫だと言うのだから、他の者たちも大丈夫だと思えるのだろう。
こうなれば別にマーベラスがジョーのことを大丈夫だと思う根拠など示す必要などありません。
そんなものは結局はマーベラスの推測に過ぎないのであり、マーベラスがそのように思う理由でしかありません。
マーベラスという人間が船員たちに信頼されていないのなら、そうした判断の根拠の説明は必要かもしれませんが、
マーベラスがこれだけ信頼されているのなら、そんなことは説明する必要は無いのです。
だから、この場はこれで収まっているのであり、部外者の薫が口出しするような状況ではありませんでした。

しかし、薫はマーベラスがジョーのことを大丈夫だと思う根拠をどうしても聞きたくなりました。
それは、薫がまだマーベラスという人間を信頼出来ていないからでした。
信頼出来ていないから、マーベラスの判断の根拠を聞きたいと思ったのです。
ただ、薫は部外者でしたから、別にマーベラスのことを信頼しなければいけない理由も無く、
マーベラスも薫の信頼を得る必要などありません。
ましてや、両者はレンジャーキーを巡って争っている立場です。
だから薫としても、いきなりここでマーベラスに判断の根拠を問うというのは気恥しいものはあったが、
どうにも昨晩から海賊衆の様子を見守りたいという気持ちが湧いてきて抑え難くなっていたのです。

マーベラスがジョーの事を大丈夫だと思う根拠を聞けば、
船員たちがマーベラスを信頼する理由が自分にも理解出来るのではないかと薫は思い、
少しためらいつつ「1つ・・・聞いてよいか?」とマーベラスに問いかける。
するとマーベラスはメシを頬張りながら「何だ?」と問い返す。
怪我の治療をしてもらった恩義を感じているのか、マーベラスも薫に対して今は敵対的ではありません。

薫は意を決して、マーベラスの顔を真っ直ぐ見て
「どうしてあの男が戻ると言えるのだ?・・・大丈夫と確信出来るのだ?」と質問しました。
マーベラスは「決まってんだろ!」と、手にしていた骨付きチキンを無造作に皿に置き、
口の中の料理をゴクンと呑み込みます。
わざわざメシを喰うのをやめて話をするつもりのようです。
他の者が話しかけてもメシを喰うのをやめようとしなかったクセに、薫に質問されたらちゃんと食事を中断するあたり、
言葉遣いは乱暴ではあるが、
一応マーベラスは争い合っていた間柄でありながら自分を助けてくれた薫に感謝し敬意を表しているようです。

それとも単に腹がいっぱいになっただけなのか。
そのあたりよく分からないのがマーベラスという男なのですが、
ともかく、マーベラスはメシを呑み込むと、ギラギラした目で薫をギロリと睨んで
「俺とあいつだからだ!」と大雑把なことを言います。
そして、ニヤリと笑い「初めて会った瞬間に、運命は決まった・・・」と、想い出話を始めたのでした。

そのマーベラスの回想は、ジョーと初めて会った時の話でした。
マーベラスがとある星に立ち寄った時のことです。
その星はザンギャックに滅ぼされたばかりの星でした。
その星にマーベラスがもともと何の用があって立ち寄ったのかは、この回想シーンでは分かりません。
ただ、この時のマーベラスはナビィを肩に乗せているだけで他には仲間もいない状態であるので、
第2話の回想シーンの「赤き海賊団」の壊滅事件の後のことなのでしょう。
ならば、アカレッドからレンジャーキーと「宇宙最大のお宝」を探すという事業を1人で引き継いだ後のことですから、
マーベラスがこの星に立ち寄ったのも、宇宙最大のお宝の手掛かりを探してのことだったのでしょう。

ところが星に降り立ってみると、その星の中心と見られる都市は瓦礫の山となって、
星からは生き物の気配は無くなっていました。
「この星も・・・ザンギャックに滅ぼされたか・・・」と、瓦礫の山を茫然と見降ろして
マーベラスはやるせなさそうに呟きます。
その言葉からは、既に同じようにザンギャックに滅ぼされた星の姿を腐るほど多く見てきたのだということが窺えます。

このマーベラスの言葉で、宇宙がザンギャックのせいで酷く絶望的な状況となっていることが実感出来ます。
そして、そうした宇宙の現状に対してマーベラスが今さら大した衝撃も受けないほどに
多くの惨状を見てきた者であることも分かります。
そして、彼の心中にはそうした現状に対する一種の虚無感が存在することも窺うことが出来ます。
それは、彼自身が仲間である海賊団をザンギャックによって壊滅させられた身であり、
宇宙の星々の悲惨な現状は彼自身の境遇とも重なる部分があるからでした。

このようなマーベラスというキャラの背景事情を考えると、ジョーとは両極端な境遇であったことが分かります。
宇宙海賊とザンギャック兵という本来敵対する立場同士という違いももちろんありますが、
マーベラスが「宇宙の悲惨な現実を誰よりも多く見てきた男」であるのに対して、
ジョーが「宇宙の悲惨な現実を知らずにいた男」であるという点は見事に好対照であるといえます。
ここは、こうした好対照の2人が運命の出会いをする場面の回想なのです。

瓦礫の山を見降ろす荒野に佇むマーベラスの耳に
「裏切り者を許すな!」「捕まえろ!!」という怒号が飛び込んできます。
声のした方をマーベラスが振り向いて見ると、
荒野の中で逃げ惑うザンギャックの特殊部隊の兵士服を着た男が、ゴーミンやスゴーミン達に取り囲まれていました。
それはジョーでした。
つまり、このマーベラスが立ち寄った星は、
ジョーがシドと共に脱走したザンギャック軍の施設があった星だったのです。
わざわざジョーを軍法会議のために他の星に移送したのでないとしたら、
あのジョーが助けた子供たちの住んでいた星がこのマーベラスの立ち寄った星ということになります。
ならば、結局、ジョーが投獄されていた間に、あの子供たちも含め、
この星の人達は皆殺しされてしまったのかもしれません。

ジョーはシドと別れた後、この星の荒野を1人で逃げ続けていたのですが、
首輪の発信機で追手はジョーの位置をすぐに把握出来るので、すぐにこうして取り囲まれてしまうのでした。
ただ、取り囲まれたジョーはかなり善戦しています。
最初にスゴーミンに捕えられた時のジョーは、まだ軍籍にありましたから、
一応は上官のスゴーミン相手に剣を振るってはいませんでした。
しかし今はもう完全にザンギャック軍と敵対する脱走者の立場ですから、遠慮なく剣を振るうことが出来ます。
おそらく倒したゴーミンから奪ったのであろう2本の剣をジョーは手にしています。本来の二刀流のスタイルです。
こうなればさすがに特殊部隊の一員であり、シドの弟子であったジョーですから、
ゴーミンやスゴーミンが少々集まっても簡単には捕えることは出来ません。
その剣の腕で何度か血路を切り開いてジョーは逃避行を続けていました。

マーベラスはもちろんジョーのことは初めて見ましたが、
ゴーミン達を相手に見せるその剣の冴えに目を見張りました。
「なんだアイツ!?・・・やるな!」とマーベラスは目を輝かせて感心します。
しかし、いくら腕で勝っても、あまりに多勢に無勢であり、
しかも次から次へと襲ってくる追手との戦いによる疲労もピークに達していたジョーは
爆弾に吹っ飛ばされて地面に倒れ込み、剣を落してしまいます。
必死で剣を拾おうとするジョーですが、思うように身体が動かないまま、
ゴーミン達に取り押さえられそうになります。

遂に捕らわれてしまうのかとジョーが絶望したその瞬間、
なんとそこにマーベラスが乱入してきてゴーミン達を斬りまくり撃ちまくってジョーの危機を救ったのでした。
身を起こして驚いて見上げるジョーの前に近付いてきたマーベラスは不敵に笑い
「ザンギャック同士で面白ぇことしてんなぁ!」と言いつつ、
ジョーの落としていた剣のうちの1本を蹴り上げてジョーにパスします。
そして剣を受け取ったジョーに向かい「手ぇ貸してやる!」と乱暴に言います。

ジョーは剣を握りしめてよろめきながら立ち上がると
「宇宙海賊か・・・俺を助けても、金はふんだくれないぞ?」と、疑いを込めた視線でマーベラスを睨みます。
ジョーももちろんマーベラスとは初対面であったが、
あるいはマーベラスの「赤き海賊団」時代の手配書は見たことがあったのかもしれませんし、
そうでなかったとしても、その風体や武器などから宇宙海賊であることを識別する程度のことは
元特殊部隊員であったジョーならば可能だったことでしょう。

ただ、それらの海賊関連の情報もまた、ザンギャック軍の嘘だらけの公式情報であるので、
ジョーの認識する「宇宙海賊」という連中は、金次第でどんな事でもする卑しい犯罪者集団でした。
目の前の男の品の無いニヤニヤ笑いや粗野な物言いは、
まさにジョーのイメージしていた悪しき宇宙海賊そのものであり、
どうせコイツは金になると思って手を貸そうとしているのだろうとジョーは疑ったのでした。

しかしマーベラスは横柄に「んなモンは要らねぇ!」と言うと、
ゴーカイサーベルを肩に担いでジョーをじっと見て「・・・俺が欲しいのは・・・お前だ!」とストレートに言います。
マーベラスというのは、こういう非常に率直な物言いの多いキャラです。
視聴者から見ると、ジョーが海賊仲間に加わった場面の回想と分かっていますから、
このセリフはマーベラスがジョーを仲間に誘ってるのだろうと分かりますが、
実際にこんな場面で初対面の男にいきなりこんなこと言われたら何のことやらワケが分からんでしょう。

視聴者目線で見ても、いきなりマーベラスがジョーを仲間に誘おうとした理由は
このセリフだけではよく分からないのですから、
ジョーにしてみればマーベラスが何を考えてるのかサッパリ分からなかったことでしょう。
ただ、こんな修羅場に飛び込んできてゴーミン相手に暴れているということは、
とにかくこの場においてはこの男が本気で自分を助けようとしていることは間違いないのだろうと思い、
2人の周囲を取り囲んだゴーミン達が襲いかかって来た待った無しの状況の中、
ジョーはこの場はこの男と共闘することにしました。

マーベラスが襲ってくるゴーミン達を撃ち、
同時にジョーが振り向きざまゴーミンを斬ると落ちているもう1本の剣も拾って跳ね起きて、
マーベラスと背中合わせになって構えます。
周囲をぐるりと囲んだゴーミンやスゴーミンの集団に対して、
2人で互いの背後を守り合って死角を無くして対応したのです。
2人の腕を考えれば、これで多勢に無勢のハンデはほとんど無くなりました。

迂闊に手を出せなくなったゴーミン達がたじろぐ中、マーベラスとジョーの背中が軽く触れあい、
マーベラスは少しジョーの方を見て、その久しぶりに味わう背中の感覚に嬉しそうに「へっ!」と笑います。
ジョーもマーベラスを一瞥すると、同じように誰かの背中を守り守られて戦うことが随分久しぶりのように感じられ、
湧きあがって来る不思議な安堵の気持ちを抑えるように「フッ・・・」とニヒルに鼻で笑います。

その直後、ゴーミン達が一斉に2人目がけて襲いかかってきて、
2人は体を入れ替えながら巧みに背後を庇い合いながら360度の敵に対応して斬りまくり、
初めて一緒に戦うとは思えないほどの息の合ったコンビネーションで
前後左右上下を分担してゴーミン達を叩きのめしていったのでした。
その表情は互いに先ほどまでとは打って変わった活き活きとしたものとなっていました。

ここでのアクションは素晴らしく、
特に最後の、2人が一瞬目配せをした後、一斉に後ろ向きに跳んで
マーベラスが空中後ろ回しハイキックを決め、
ジョーが地を這うような低い態勢で後ろ回しローキックを決めて、
位置を入れ替えつつそれぞれの背後のゴーミンを吹っ飛ばすシーンは圧巻です。
坂本監督のアクションは、やはり凄い。

そして回想シーンはその戦闘後に飛びます。
結局、2人の連携攻撃で追手のゴーミンやスゴーミンは全滅させ、
マーベラスはジョーを連れてひとまず安全な場所へ逃げて来たようです。
そこでマーベラスはジョーの前に立って「お前の剣の腕と・・・その目が気に入った!」と言ってニヤリと笑います。
これがマーベラスがジョーを仲間にしたいと思った理由であるようでした。
まぁ危険がいっぱいの海賊稼業ですから剣の腕の立つ仲間が欲しいのは当然としても、
目が気に入ったというのは一体どういうことなのか。

目というのはこの場合、目に現れる心の様子を指すと考えればいいでしょう。
ジョーの心持ちがマーベラスは気に入ったのです。
ではジョーというのはどういう心の持ち主であったのかというと、
この宇宙では持つことの許されない弱者を愛おしむ良心を持ち、それを正しいこととして押し通す純粋な性格でした。
そして、あくまでシドとの再会の約束を信じて、シドとの約束を守るために、
絶対に生き延びてやろうとする真っ直ぐな性格です。
ジョーのひたむきな目や懸命に戦う姿を見て、マーベラスはジョーの純粋さや真っ直ぐさを感じたのです。

マーベラスがどうしてジョーのそうした性格に惹かれたのかというと、
それはおそらくマーベラス自身にそれが欠乏気味であったからでしょう。
マーベラスはこの宇宙で良心の自由を押し通すことが出来ると固く信じ込むには、
いささか宇宙におけるあらゆる絶望を多く見過ぎていました。
特に、海賊団が壊滅して1匹狼の海賊になって以降は、例えばこの星のような絶望を見るたびに、
その絶望は心に沁みて虚無感を感じさせるようになりました。
このまま1人で宇宙の絶望を見続けていけば、自分は自分の正しいと信じる道を本当に貫き通せるのかどうかと、
マーベラスは少し不安になってきていたのでしょう。

その点、ジョーは今までザンギャックの養成施設で綺麗事ばかり聞かされていたため、
それが嘘だったということに大きなショックは受けたものの、
青臭い分、未だ宇宙の絶望的な現状についてはマーベラスほどは深刻に認識していません。
その分、まだ自分の良心を貫き通せる純粋さを持っています。
つまりマーベラスとは好対照であり、マーベラスには足りないものを多く持った人間だったのです。
マーベラスはジョーの目を最初に見た瞬間、ジョーがそういう人間であることを直感し、
これは運命の出会いだと確信し、ジョーを仲間にして一緒に旅をしたいと思ったのでした。

ジョーはどうやらこの宇宙海賊が本気で自分を仲間にしようとしているということは理解しましたが、
フッと溜息をついて、「俺の首を見れば、気も変わるだろう・・・」と言って、
マーベラスに自分の首に巻かれた首輪を見せました。
その首輪にはザンギャックの紋章が小さく刻まれており、その紋章の周りの4つの小さなランプが明滅していました。
発信機が作動しているという徴です。

「これは発信機になっていて、常に奴らが追ってくる・・・外そうとすると電撃が放たれて、下手したら死ぬ・・・」と
ジョーはマーベラスに説明します。
この囚人用の発信機付きの首輪は、壊して逃亡しようとする者への対策として、
外したり壊したりしようとして強い衝撃を与えると電撃を放ってその破壊作業を妨害するように作られているようです。

たとえ非人道的なザンギャック帝国であっても、本来は囚人や罪人は殺してはいけません。
殺すつもりなら捕えた時点で殺して構わないわけですから、
生かして投獄しているということは、少なくとも投獄期間中は生かしておくだけの理由は有るわけです。
ジョーのような処分決定前の未決囚であった場合も同様です。
だから、事故で死なれても困るので、絶対に死んでしまうような高圧電流を流すような首輪をさせておくわけにもいきません。
そもそも場合によっては自殺しようとする容疑者などもいるわけですから、
そんな物騒なものを首につけさせるわけにもいきません。

かといって、ちょっとビリビリする程度では脱走の抑止力にはなりませんから、
結局、生きるか死ぬかギリギリぐらいの微妙なレベルの電撃が放たれる首輪に落ち着きます。
それなら、1つしかない命を惜しんで首輪を壊そうという囚人は減るであろうし、
仮に感電死してしまったとしても、「ギリギリ耐えられるはずの電撃だったのに、
たまたま囚人の身体が弱っていたので死んだ」というふうに司法当局は責任逃れは出来ます。
だから「下手したら死ぬ」という程度の電撃に抑えられているのです。

ただ実際のところ、脱走の抑止力としては必要で、事故死の際は何とでも言い訳も出来るわけですから、
ギリギリのレベルよりもやや強めの電撃になっており、
壊そうとした囚人はかなりの確率で死んでいたと思われます。
それぐらいでないと抑止力にはなりません。
それを知っているので、ジョーも脱走後も、この首輪をつけたままだと圧倒的に不利であることは知りつつも、
首輪を外すことは出来なかったのでした。
そもそも外そうにも、ちょっと無理に引っ張ればすぐに電撃が流れ始めて、
腕に力が入らなくなって失敗することも分かっていました。

だから、この首輪は外すことは出来ないとジョーは悟っていました。
そして、自分がこの首輪を巻いているせいで自分を助けてくれたシドが
生死不明になってしまったということも分かっていました。
この首輪を巻いた自分は疫病神のようなもので、自分を助けた者は不幸になる。
もともとそうやって逃亡犯の幇助をする人間をいなくすることも目的としたアイテムなのです。
だからジョーを助けて一緒に逃げる者は不幸になります。
ジョーは自分がそういう立場だと分かっていますから、自分は1人で逃げ続けるしかないと覚悟しています。

実際のところ、この宇宙海賊に首輪のことは内緒にして海賊船に乗せてもらい、
ひとまず別の星まで逃げることも可能だったでしょうが、
この星を脱しても発信機がある限り、追手はやってきます。
そうなると、この海賊まで巻き込まれます。
別に海賊などどうなろうと知ったことではないと、今までのジョーならば思ったであろうが、
さっきピンチを救ってもらった義理もあり、この海賊に迷惑をかけたくないとジョーは思ったのでした。
それで、マーベラスに正直に首輪の話をして、恐れを抱かせてこの場を去らせようとしたのでした。

ジョーの話を聞きながらマーベラスの顔はニヤけた笑いが消えて、真顔になっています。
恐れているのか、それとも憐れんでいるのか、
何にしてももうこれで仲間になろうなんて気は無くなったことだろうとジョーが思っていると、
マーベラスはジョーの言葉が終わると、
すぐにジョーに歩み寄って身体がくっつくぐらいまで接近すると、ジョーの首輪を両手でぐいっと掴みました。

「お前・・・何する気だ!?」とジョーは焦ります。
そんな強く引っ張ったら電撃が発生すると、ついさっき説明したばっかりです。
こいつはもしかして自分の言ったことを冗談だと思って面白がっているのか?とジョーは一瞬思いましたが、
マーベラスが「ヘッ!・・・耐えろよ!」と笑って、渾身の力で首輪を引っ張った瞬間、
ジョーはマーベラスが死ぬほどの電撃が発生することを承知した上で首輪を壊そうとしていることに気付き、
真っ青になって「バカかお前!・・・」と怒鳴りつけようとしますが、
その瞬間、マーベラスによって引っ張られた首輪から強烈な電撃が発生し、ジョーの全身を感電させて、
ジョーは電撃によって命をもっていかれないように耐えるのに精一杯となり、
喋ることも身体を動かすことも出来なくなってしまいました。

そしてその電撃は当然、首輪を両手で掴んでいるマーベラスの全身も同様に感電させましたが、
「うおおおおおお!!」と絶叫して電撃に堪えながらマーベラスは両手に力を込め続け、
そのまま一気に首輪を引きちぎってバラバラにしてしまったのでした。
大した怪力ですが、それ以上に、電撃に堪えて腕の力を緩めなかったマーベラスの精神力の方が驚きです。
マーベラスが一気に首輪を破壊したことによって電撃は止まり、
2人は間一髪のところで感電死を免れたものの、酷いショック状態で身体の力が抜けてしまい、
そのまま地面に倒れて動けなくなってしまいました。

マーベラスはジョーの首輪の話を聞いて、
ジョーを仲間にして旅をするためには首輪を壊す必要があることを理解し、
その首輪を壊す際に生じる電撃は「下手したら死ぬ」という程度の
囚人の脱走抑止力のレベルのものであり、
2人で電撃を分散して受け止めている間に自分の怪力で素早く引きちぎれば首輪を破壊することはギリギリ可能で、
その場合、命を落とす確率は五分五分ぐらいだろうと瞬時に判断したようです。
それほどまでにジョーを仲間にしたかったということなのですが、
それにしても上手くやっても五分五分の確率ならば、ジョーも自分も死んでいたかもしれないわけで、
死んでしまえば仲間も旅もクソも無いわけで、あまりに無茶な行為だといえます。

しかし、こういう無茶をしなければ首輪を外すことは出来なかったのは事実であり、
首輪を外せない限り、ジョーが追手から逃げきることは無理だったはずです。
つまり待っているのは確実に死です。
ならば五分五分の確率でも生きる可能性がある方法に賭けてみる価値はあったはずです。
それなのにジョーは何故、そういう賭けに出ようとしていなかったのか。
いや、これは2人で電撃を分散し合ったからこそ生の確率が五分になったのであり、
マーベラス以外に脱走兵と致死量の電撃をシェアし合おうなどという酔狂な人間がいるはずもなく、
ジョーは賭けに出るなら1人でやるしかなかったはずで、
その場合、生き残る確率はもっと低かったはずです。
ただ、それでも確率はゼロではない。
片や、首輪を外そうとしなかった場合は生き残る確率はゼロです。

つまり、ジョーは本当のところ、何が何でも生き抜いてやろうという意志を失っていたのです。
ジョーはもちろん自分の行為を後悔などしていない。
子供を助けたのは絶対に正しかったと思っているし、
それを正しいと言ってくれたシドの言葉ももちろん固く信じています。
そして、正しいことをしている限り、また何処かで会えると言ってくれたシドの言葉も正しいと思うし、
その言葉の通り、またシドと会いたいと思っています。
そのためには生きなければいけないとも思っています。

しかし、それらは所詮は理屈に過ぎません。
この圧倒的に絶望的な現実を切り開いて「生」を掴むだけのエネルギーは、そこからは生まれてこないのです。
イチかバチかの賭けに出てまで生き残るだけの価値がこの世界における自分にあるとは、
もはやジョーは思えなくなっていました。
シドの言葉は圧倒的に正しく、生きていく支えにはなります。
しかし、死を生に無理に転換させるほどの爆発力は生まないのです。
何故なら、ジョーは内心ではもはやシドは死んだのではないかと思ってしまっているからです。

一流のザンギャック兵士になるという夢は酷い裏切りで砕け散った。
尊敬する先輩で命の恩人のシドは自分のせいで不幸になった。
そんなジョーの人生には、生きて再びシドと会ってその無事を確認するぐらいしか
生きていく希望は見出せませんでした。
だからジョーはその希望を必死で信じようとしていたのです。
そのために必死で逃げ続けている。

しかし、生か死かを賭けて首輪を外そうかと迷う時、ジョーの中から本音が顔を覗かせるのです。
どうせシドはもう死んでいるのに、そんなにまでして自分が生きようとする必要があるのか?
このまま堂々と戦い続けて死んで、シドの待つ死後の世界に行ってシドに会えばいいじゃないか・・・
と、そのようなあらぬ考えがジョーの頭に湧きあがってきて、
それでジョーは恐ろしくなって、首輪のことを考えるのを止めていたのです。
それは結局、何もしなければ死ぬ身でありながら、生き残る唯一の道を放棄しているのであって、
じわじわと死に近づいていくことを許容する道でした。
結局、必死で生きるために逃げ回っているようでいて、
ジョーは心の奥では自分の生きていく意義を見失っていたのでした。
もはや自分は死んでもいいと思ってしまっているのです。

一方、マーベラスは自分が首輪をしているわけではないのですから、
何もしなければ生は保障されている身でありながら、あえて死ぬかもしれない賭けに出ているのですから、
一見すると死んでもいいと思っているようにも見えますが、
別にマーベラスはジョーのように自分の命そのものを得ようとして賭けに出るかどうかを考えているわけではありません。
マーベラスはジョーという仲間を手に入れたくて賭けに出ているだけのことであり、
ジョーという景品に命を賭けた勝負に出るだけの価値があると見込んでいるだけのことであって、
もちろんマーベラスは勝負に勝ってジョーを手に入れたいと思っています。
だから、死んでしまってはジョーという仲間も得られないのだから、マーベラスとしては死ぬつもりは全くありません。
死ぬかもしれない賭けではあるが、マーベラスは死ぬ気は毛頭ありません。
自分は生きていく意義があると固く信じているのです。

ここもまた、マーベラスとジョーは好対照だといえます。
ジョーは自分の良心の自由を強く信じていながら、この世界で自分が生きていく意義が無いと思ってしまっています。
いや、良心の自由を信じる高潔すぎる人間だからこそ、
この汚れた宇宙の現実を見て、生きる意味など無いと思ってしまうのかもしれません。
一方、マーベラスはあまりに悲惨な宇宙の現実を見てきたために、
この世界に良心の自由など存在は許されないのが現実だと思ってしまっていますが、
それでも自分が生きていく意義はあると固く信じています。

それがどうしてなのかについて、マーベラスは地面に大の字に転がって空を仰いだまま、
「・・・俺には夢がある・・・宇宙最大のお宝を手に入れるっていうな・・・!」と、
隣で大の字になっているジョーに向かって語りかけます。
つまり、アカレッドから引き継いだ「宇宙最大のお宝を手に入れる」という夢がマーベラスの生きる意義なのです。
マーベラスはその夢を実現するために死ねない。
その夢はアカレッドが命懸けで自分に託してくれた夢だからです。
だから、生きるか死ぬかの賭けでも必ず生きてやるという気概があります。
だから死ぬかもしれない賭けも怖くはない。
絶対に仲間として手に入れたいジョーを得るためなら、平気で死ぬかもしれない賭けにも踏み切れるのです。

逆にジョーにはこの世に夢がもはや無いので、わざわざ生きるか死ぬかの賭けに臨む気概が湧いてこないわけです。
ジョー自身、首輪が外れてみて、激しい苦痛はあったものの、それは一瞬のことであり、
意外にあっけなく自由の身となったことに茫然としていました。
急に目の前に生きる道が開けて、妙に清々しい気分でしたが、
それが新鮮な感動であることから、さっきまで自分が生きようとする意思を放棄していたことに気付いたのでした。

そして、同じ電撃を受けながら、いや自ら進んで電撃を浴びようとしたこの海賊男が
自分と好対照に生きる意思に溢れていることを不思議に思いました。
こんな絶望の宇宙でどうしてこの男はこんなに生きる意思に溢れているのかと思ったら、
男の言うには「夢があるから」だとのことでした。

しかし、ここでジョーが単にマーベラスを羨ましく思うという話なら、ここまでこういう展開にはなっていないはずです。
ジョーには夢が無いので生きる意思が無い。マーベラスには夢があるから生きる意思がある。
それだけの話なら、単なるマーベラスの自慢話であり、
ジョーが頼み込んでマーベラスに弟子入りしなくてはいけないような展開です。
しかし、そうではなく、この回想シーンではマーベラスの方からジョーを誘っており、
マーベラスはジョーを仲間にするために賭けなくてもいい命を賭けた勝負にまで出ています。

じゃあその理由は何なのかというと、「ジョーの目が気に入った」からだとマーベラス自身が言っています。
それは言い換えれば、ジョーが自分の良心の自由を固く信じているからです。
つまりマーベラスにとっては、ジョーのそういうところが欲しいわけです。
では、何故マーベラスはジョーのそういうところが命を賭けてまで欲しいのか、ジョーもそこが疑問でした。

その疑問に答えるようなことをマーベラスは直接言ったわけではありません。
ただ、ジョーの方に顔を向けて「その夢を掴む旅に、お前を連れて行きたくなった・・・!」と言って、
マーベラスはジョーに向けてフッと笑いかけただけでした。
しかし、マーベラスは軽く笑っていますが、
単になんとなくジョーを連れていきたくなったというような話であるはずがありません。
ジョーを夢を掴む旅に連れて行くために、マーベラスはゴーミン達と戦い、電撃まで浴びているのです。

生きるか死ぬかの賭けで絶対に生き抜くという意思はあっても、
だからといって死の危険が無くなるはずはない。
マーベラスにとってジョーを夢を掴む旅の仲間にすることは自分の命と天秤にかけるほど必要なことなのです。
まるでジョーと一緒に夢を追わないと生きていけないかのようです。

要するに、マーベラスは確かに「宇宙最大のお宝を見つける」という夢を持っていましたが、
それがいったい何なのかよく分からなくなっていたのです。
実際、「宇宙最大のお宝」が何なのか、マーベラスはアカレッドから聞いていないのです。
いや、アカレッド自身がお宝の正体を知っていたのかどうかすら不明です。
そんなよく分からないものを見つけるという夢を、
命の恩人であるアカレッドから受け継いだ以上はやり遂げねばならないことは分かってはいても、
それでも1人で旅をしていると、時々、自分が何をしているのかよく分からなくなります。
自分にとってはアカレッドとの約束を果たすことは確かに大事なことだが、
じゃあ「宇宙最大のお宝」というよく分からないものを探す旅というのは自分にとって何の意味があるのだろうかと、
マーベラスは迷いが生じていました。

そういう時にこの星でジョーに出会ったのです。
自分が正しいと信じたことだけをやり通すというような真っ直ぐな目をして懸命に戦うジョーの姿を見て、
マーベラスはかつて同じようにザンギャックに反旗を翻して戦った「赤き海賊団」のことを思い出しました。
「赤き海賊団」も己の正しいと思ったことを行う自由を求めたことによってザンギャックと衝突し、
他の同じようにザンギャックに逆らった星々と同じように、ザンギャックに滅ぼされました。
そんな海賊団がどうして「宇宙最大のお宝」などを探していたのか、マーベラスにはよく分かりませんでした。

ただ、滅ぼされた星々を巡っていると、マーベラスはふと、
結局、赤き海賊団や滅ぼされた星々の求めたような良心の自由が
このザンギャック支配下の宇宙には存在しなかったのと同じように、
「宇宙最大のお宝」という代物も、実際は存在しないのかもしれないという考えが頭をよぎったりもしました。
そういう時にジョーと出会い、かつての「赤き海賊団」を彷彿させるような真っ直ぐさをその目に見出し、
マーベラスは考えを改めました。

つまり、この宇宙に良心の自由は存在するのです。
自分の正しいと信じた道を貫く生き方は確かに存在するのです。
それらは、確かに命懸けの道ではありますが、
この宇宙がザンギャックに制覇されたとしても、決して無くならない。
ザンギャックの内部からだってジョーのようにそういう人間らしい自然な生き方をする者は現れる。
そして、そういう者たちの見るべき夢が「宇宙最大のお宝」なのです。
そして、そういう者たちの見る夢だからこそ、「宇宙最大のお宝」は実在するのであり、
そういう者たちでなければ見つけることは出来ないのです。

「宇宙最大のお宝」というのは、その極端なネーミングや情報の決定的な不足からしても、
その実在性が極めて低いものだと見ていいでしょう。
実在性の低さというものを象徴化したコードネームのようなものとも考えられます。
だから、宇宙に普通に存在するものしか存在すると思えないような者にとっては
「宇宙最大のお宝」など実在しないものとしか見えないでしょう。
マーベラスは自分自身が1人旅で宇宙の悲惨を見過ぎたせいで、
実際は根強く存在する「良心の自由」を無いものであるかのように誤解して、
それゆえ「宇宙最大のお宝」の実在まで疑いかけていたことに気付き、反省しました。
実際は、このザンギャック支配下の宇宙で最も実在の困難な「良心の自由」の存在を信じて命懸けで戦える者だけが、
「宇宙最大のお宝」の実在を信じられるのであり、「宇宙最大のお宝」を見つけ出すことが出来るのです。

それゆえ、まずマーベラス自身が「宇宙最大のお宝」の実在を信じるために、
「良心の自由」を信じて、それを貫く、つまり、誰の指図も受けず、ザンギャックにも屈さず、
命懸けで自分の正しいと思ったことだけをやるという生き方を徹底せねばならない。
そして、更に「良心の自由」の存在を信じるため、
この宇宙で良心の自由を信じて、正しいと思ったことを命懸けで貫いている奴らを集めて仲間にして、
一緒に「宇宙最大のお宝」を手に入れる夢を共有するようにせねばならない。

何故なら、かつての「赤き海賊団」はもともとそのようなチームだったに違いないとマーベラスは悟ったからです。
アカレッドの「宇宙最大のお宝」の夢を引き継ぐということは、
そうした「赤き海賊団」の在り方も引き継ぐということです。
ならば、マーベラスは自分も同じ趣旨の海賊団を作らねばならないと思ったのでした。
このようにマーベラスが思いついた時が、「マーベラス一味」という海賊団の旗揚げの瞬間でした。

あとはそれを実行に移していくだけです。
まず手始めに、マーベラス自身がやりたいことをやりました。
それはつまり、どうしてもジョーを仲間に引き入れたいという自分の信念にひたすら忠実に振る舞うことでした。
そのためにゴーミン集団に喧嘩を売り、死にそうな電撃も受けました。
そして、良心の自由を信じて貫く男、ジョーに「宇宙最大のお宝」の夢を語り、
その夢を掴むための旅の最初の仲間としてジョーがどうしても欲しいのだと熱く勧誘したのです。

ジョーはいきなり「宇宙最大のお宝」などと言われて、まさに果てしない夢物語としか思えなかったが、
マーベラスの命懸けの行動を見た以上、マーベラスは大真面目にその夢の旅をしており、本気で自分をその夢の旅の仲間に相応しいと思っているということは分かった。
何故、自分がそんな夢の旅の同行者に相応しいと思われたのかと考えたジョーは、
自分がよほど夢想家だと思われたのだろうと思った。

そして、それは確かにその通りだとしかジョーには思えなかった。
この絶望に満ちた宇宙で、良心の自由を信じて命を賭けてその信念を貫いた挙句、
全てを失い、命の恩人まで失い、遂には自分の命も放棄しかけていた自分は、
なるほど確かにとんでもない非現実的な夢想家でした。
ではさんざん現実を見せつけられて目が覚めたかというと、相変わらず覚めることはなく、
まだ自分の良心だけは曲げることが出来ない。
自分は救いようのない、筋金入りの夢想家だと思えました。

そうした夢想家の自分が夢が挫折した今、
ひたすら絶望して暮らすか、あるいは更なる大きな夢を見つけて前へ進むか、
どちらかの道を選ぶしかありません。
そして自分はこの逃避行の中、絶望の道を選んでいたのでした。
ところがマーベラスが頼まれもしないのに勝手に命を賭けて、そのジョーの絶望の道を、
その絶望の象徴ともいえる首輪と共に破壊してしまいました。
残ったのは夢を見る道です。そしてマーベラスが誘った夢は「宇宙最大のお宝」という途方も無い夢でした。

しかしジョーは、良心の自由と言う筋金入りの夢想が挫折して、
それでもなお夢想を捨てられない自分が夢中になって生きる意味を見出せそうな夢など、
確かに「宇宙最大のお宝」ぐらいしか無いだろうと思えたのでした。
それは果てしない苦難の道となるだろうが、
もともと苦難の道を選んでいる自分には、むしろ希望となるのだろうと思えて、
ジョーはフッとマーベラスに笑いかけ「付き合うぜ・・・夢の果てまで・・・!」と応えたのでした。
これでジョーがマーベラスの最初の仲間となったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:43 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月16日

第12話「極付派手侍」感想その4

このマーベラスの想い出話を聞いて、ルカは「そんなことがあったんだ・・・」と、澄ました顔で感心します。
ハカセは目を輝かせて何か遠くに想いを馳せているようであり、
アイムは笑顔で「なんだか、羨ましいですね・・・」と言います。
3人とも、このマーベラスとジョーの最初の出会いの話は初耳だったようです。

この反応を見る限り、ジョーがザンギャックの脱走兵であったという事実に誰も驚いていないようなので、
全員ジョーが元ザンギャック兵だったということは知っていたのかもしれません。
ただ、アイムはやはり第10話の描写を見る限りではジョーが元ザンギャックとは知らなかったようなので、
ここはジョーの過去は初めて聞き、すんなり受け入れたという解釈でいいでしょう。

実際、ジョーはザンギャック兵として実務の活動実績は皆無に等しく、
元ザンギャックの新兵が脱走しただけであれば、そんなに問題視するようなことではないのでしょう。
間違いなくこの事実を知らなかったはずの薫も別にそのことを問題視もしていないのですから、
一般人ならいざ知らず、戦いの修羅場に生きる戦士たちにとって、
ジョーの過去がザンギャックの新兵であったことなど、騒ぐようなことではないのでしょう。
そう考えればルカもハカセも今回のマーベラスの話で初めてジョーの過去を知ったという解釈でも話は十分成立します。

そんな程度のことですから、ジョーも皆もジョーの過去をアイムに特に隠そうとしていたわけでもないのでしょう。
ただ単にジョーにとってザンギャック時代のことはシドの件も含めて辛い想い出ばかりで、あまり触れたくなかったので、
仮に皆がジョーの過去を知っていたとしても、それは皆の間でも自然に話題にすることがタブーになっていたため、
一番新参のアイムが知らなかっただけのことなのでしょう。

ただ何にしてもアイムに関しては今回初めてジョーの過去を知ったのは確実なのですが、
こうしてジョーのややワケありで自分の星を滅ぼしたザンギャック軍に籍を置いていたという過去をアイムが知り、
広い心で何ら問題視せずに受け入れるというほうがアイムというキャラにも合っていると思います。
アイムの場合、ザンギャックを怨んでいるというよりは、むしろ自分の無力を責めている印象なので、
ここでジョーの過去絡みでアイムの感情が揺れたりする描写は、
むしろアイムのキャラ描写を混乱させるだけだと思うので、こういう処理が正解だと思います。

それにしても、ここでのルカ、ハカセ、アイムの反応は、
初めてゴーカイジャー結成譚を聞いた反応としては、意外に落ち着いたものであり、
話の内容の主軸の部分は彼らにとっては実は馴染みのあるものであったように思えます。
つまり、話の舞台や細部は違っていても、彼らもまたマーベラスに同じように夢を掴む旅に誘われたのでしょう。
むしろ、彼らの静かな感動は、ジョーも自分達と同じだったということや、
ゴーカイジャーは最初から今と変わらないゴーカイジャーだったのだということを知り、
自分達は皆、1つの夢で繋がった仲間なのだと改めて実感したことによる感動だったのでしょう。

その中でも、2番目に加入したルカは自分も結成メンバーの1人だという自負があるので、
自分の知らないマーベラスとジョーの2人だけのゴーカイジャーの結成譚を聞くと内心では少しは妬けるようで、
それを隠すために表面上はクールに澄ましており、
逆に最も遅く加入したアイムは最古参のジョーが最も長くマーベラスと一緒に夢を掴む旅の時間を
共有していたことが純粋に羨ましいようです。
そして2人の中間の時期の加入のハカセは、普通に静かに感動して、
自分の時の加入エピソードに想いを馳せている様子です。

3人がジョーの加入話を聞いて、その話の中のマーベラスやジョーと心を1つにして感動出来ているのは、
彼らもまたその回想の中のジョーと同じだったからです。
つまり、3人とも、ザンギャックの支配する宇宙で、それぞれ立場や方法論は違えども、
自分の正しいと信じた行為を貫くことを求め、それを行動に移していたのです。
それはザンギャックの支配下では許されない罪であり、
この宇宙にはあってはならないものを追い求める命懸けの行為でした。

その彼らがマーベラスの「宇宙最大のお宝」を見つける旅の誘いに魅力を感じたのは、
それが、この宇宙に有り得ないような途方も無いものであるという点で、
自分のようなザンギャックにまつろわぬ宇宙のヘソ曲がり者が見る夢として相応しいように思えたからでした。
そして、そういう自分を信じて貫く自分だからこそ、「宇宙最大のお宝」の存在を信じて何処までも旅を続けて、
本当にその夢を掴むことが出来るかもしれないと思えたのです。

薫がマーベラスに感じた疑問を素直にぶつける質問をしてくれたお陰で、
マーベラスがゴーカイジャー結成譚を話すことになり、
ルカ達3人はそれを聞いて、改めて自分たちがどうして海賊団の一員になったのか、
また、ゴーカイジャーがどういうチームであったのか、再確認することが出来たのでした。
そして同時に、ジョーも自分達と同じである以上、この夢を捨てることなど有り得ないのであって、
ルカ達3人はマーベラスの話を聞いて、
ジョーはきっと戻ってくると思って本当に心の底から安心することが出来たのでした。

薫の質問に答えて昔話をしたら何故か周りの仲間がジョーのことで安堵して落ち着いたのを見て、
マーベラスは得意げに「フッ・・・」と笑い、
偉そうに「だから絶対戻ってくる!」と薫に対して結論を述べて質問に対する答えを締めくくったのでした。
しかし、肝心の薫にだけはマーベラスがどうしてジョーが戻ってくると信じているのか、
イマイチ意味が伝わっていませんでした。

薫とて、ジョーがこのまま戻って来ないなどとは思っていません。
置手紙に書いてあるように、何かケリをつけたいことがあり、
それが済めば仲間のもとに戻ってくるのだろうと予想はしていました。
だいいち、自分との決闘だってまだ途中であるし、
決闘をして自分に勝たねばお宝のカギは手に入らないのだから、
あれほどの気迫で勝負に挑んできたジョーがお宝を捨ててこのままいなくなるとは到底思えませんでした。

しかし、こうしてジョーのザンギャックの脱走兵という意外な重い過去を知り、
薫は決闘の時に感じたジョーの剣に込められた意外な重みの理由が分かったような気がしました。
何かよほど重い事情を背負っているのだろうと思えたのです。
そういう男が抜け殻のようになって思い悩み、仲間に黙って1人でケリをつけようと思うこととは、
おそらくよほどの重大事なのだろう。
ならば、もしかしたら戻るに戻れないような事態に陥る可能性だって有り得ないことは無いとも薫には思えました。

今、ジョーの過去を知った薫がそのように思えるのだから、
ジョーの過去を知っていたマーベラスなればこそ、なおさらジョーの決断の重大さに気付いて、
心配せざるを得なかったはずです。
それなのに、どうしてマーベラスはそんなに平然として、ジョーが戻ると確信していられるのか、
そこが薫の疑問の根幹でした。
ジョーが戻るか戻らないかの話ではなく、
どうしてマーベラスはジョーをそんなに固く信頼できるのか、それを薫は知りたかったのでした。

それに対するマーベラスの回答は「決まってんだろ!俺とあいつだからだ!」という簡潔な一言でした。
あまりに簡潔で断定的なその言葉の裏には、つまり、
「俺とジョーの間には一言では言えない特別な信頼関係があるんだぜ」
「でも、それは俺たちの仲間では常識みたいなことなんだぜ」という意味が込められています。
普通の相手ならマーベラスはその一言だけで回答を終わらせたことでしょう。
しかし薫には背中の大怪我の治療で世話になったという事情もあり、
意外と義理堅いマーベラスは彼としては破格なほど丁寧な説明を添えることにしたのです。

それがその後に続いたジョーとの出会いの時の想い出話であり、
そこにマーベラスとジョーの特別な信頼関係の、その「特別さ」「当然さ」の理由が述べられているはずでした。
確かにマーベラスの想い出話を聞いて、周囲の海賊衆の連中は皆、
大いにマーベラスの言う「特別さ」を理解しているようであり、
それはつまり、それが彼らにとって「当然さ」のある事である証拠でした。
しかし地球人の侍である薫だけは、その「特別さ」も「当然さ」もピンとこないのです。

マーベラスの話の内容を薫的に要約すれば、
ザンギャックの脱走兵だったジョーを助けたのが自分であり、
命の危険も顧みずに電撃トラップ付きの首輪も破壊してやったのも自分であり、
その後、宇宙最大のお宝を探す夢の旅に勧誘してジョーを仲間にしたという、
まぁそういう話でした。

この話ならば、ジョーはマーベラスには大きな恩義を感じているであろうし、
宇宙最大のお宝にも非常に魅力を感じているのであるから、
ジョーが必ず戻って来るという予想の根拠としては、まぁ適当ではあるでしょう。
しかし、マーベラスがジョーを信頼する根拠としてはあまり意味がありません。
この想い出話の中でジョーは特にマーベラスに対して何もしてくれていません。
だから、これをもってマーベラスが絶対的信頼をジョーに向ける理由の説明にはならないはずです。
だから、薫はマーベラスの話を聞いて、ジョーが戻ってくるであろうことは強く予想は出来たものの、
本当に自分の知りたかったマーベラスとジョーの特別な信頼関係の本質についてはよく分からないままであり、
マーベラスの回答が少しピントがズレているように感じました。

このマーベラス一味と薫の認識の差は、
マーベラス一味が宇宙海賊であり、薫が地球人であるという違いによるものなので、仕方ないといえます。
宇宙人であって地球人の事情に無知なマーベラスは宇宙人の常識に則ってしか説明が出来ないし、
宇宙人の実情をよく知らない薫はマーベラスの話を地球人の常識に則って解釈するしかないのです。

一瞬、このようなスレ違いが生じたその時、
ガレオンの船室にあるモニターがザンギャック部隊が発した電波を傍受して、その電波で送られる映像を映し出したのでした。
そこには大量のゴーミンやスゴーミンを従えたデラツエイガーが地上に降り立って
「海賊ども出て来い!来なければこの星の全てを破壊する!!」と喚いている映像が映し出されていました。

ワルズ・ギルに海賊の抹殺を命令されたデラツエイガーは、その命令を遂行すべく、
わざとガレオンに傍受させるメッセージを発して、ゴーカイジャーをおびき出そうとしているのです。
ただ、昨日こっぴどくやっつけてしまったので、単に挑発しても怖がって出て来ないのではないかと思い、
もし隠れていても地球上の全てを破壊していくから無駄なことだと言っているのです。

デラツエイガーもマーベラス達が正義の味方だと思っているわけではないので、
「地球を守りたければ出てきて戦え」と言ってるわけではありません。
単に「どこに隠れても全部破壊するから無駄なんだぞ」
「お前らが出てこないとお宝も破壊してしまうぞ」というような意味でゴーカイジャーを脅しているに過ぎません。

しかし、一同でその映像を見た後、ソファーから立ち上がってマーベラスが「・・・行くぞ!」と言い、
それに応じてルカ、ハカセ、アイムが出かけようとするのを見て、
薫は海賊衆4人が地球を守るために戦いに行くように見えて、不審に思いました。
デラツエイガーの脅迫はゴーカイジャーが地球を守る正義のヒーローではないことを念頭としたものであり、
それを聞いて戦いに行こうとするマーベラス達は単に自分自身やお宝を守るために仕方なく戦うという、
いつものスタイルであるはずです。
実際、デラツエイガーの脅迫はハッタリではないので、隠れていたところで意味は無く、戦うしかないのは事実です。
だからゴーカイジャーというヒーローの特性上、
ここはまた「巻き込まれて成り行きで仕方なく戦う」という姿勢であり、そのように見えるはずなのです。

しかし薫は昨日の戦いの時、ゴーカイジャーが別に自分たちが巻き込まれているわけでもないのに戦いに乱入してきて、
不利な状況に陥っても決して屈せず戦い抜いた姿を見て、
彼らが仕方なく戦っているようには見えなくなっていました。
彼らは何かを守るために必死で戦っているように見えるのです。
そして、元シンケンレッドである薫にとって守るべき対象とは「この世」であり、つまりはこの地球です。
だから、薫は海賊たちも地球を守るために戦っているように思えたのです。
だがしかし、宇宙海賊のマーベラス達に地球を守る義理などあろうはずがない。
それでも彼らが自分の都合やお宝欲しさではなく、
地球を守ろうとしているように見えてしまうのが薫には不思議でした。

それで、薫は出かけようとするマーベラス達に向かって
「お前達!・・・地球がどうなろうと関係無いはずだろう?」と問いかけます。
するとマーベラスは薫の方に振り返り
「ああ、関係ねぇな!・・・これは俺たちの戦いだ!」と不敵な笑顔で言ってのけます。
マーベラスと並んで立つルカ、ハカセ、アイムの3人も一切の迷いの無い、
誇りに満ちた視線を薫に向けています。

彼らは、さっきのマーベラスとジョーの出会いの時の話を聞いたことによって、
自分達が何のために宝探しの旅をしてきたのか、何のために戦ってきたのか、ハッキリと再確認して、
非常にテンションの上がった状態となっているのです。
彼らが再確認した自分達の戦う意義、旅をする意義、宝を探す意義は、
まさに第5話でマーベラスがドギーに言った「海賊の誇り」を守るためでした。

あの時はその詳しい内容は語られませんでしたが、
「海賊の誇り」とは、つまり、ザンギャック支配下の絶望の宇宙で、
普通に正しいと思ったことを実行したり夢を実現したりする自由、
人間としての普通の尊厳を求める姿勢を貫くことでした。
それはザンギャック支配下においては許されざることであり、その誇りを貫くためには命懸けの戦いは避けられません。
しかし、命を賭けて海賊の誇りを守るために戦うからこそ、
海賊の夢である「宇宙最大のお宝」を果てしなく追い、そして掴むことが出来るのだと彼らは信じているのです。
いや、本当は逆で、彼らが海賊の誇りを守るための命懸けの戦いや航海を続けるための励みとして、
「宇宙最大のお宝」という夢が据えられているのかもしれません。

そういう彼らですから、
例えば第1話でも、地球に侵攻したザンギャック軍が人間の尊厳を踏みにじるような行為を行っているのを見て、
自分達には何の利害関係も無かったのだが、それを見過ごすことは彼らの海賊の誇りを自ら裏切る行為だったので、
結局見過ごすことは出来ず、彼らは戦ったのです。
昨日の戦いも同様であったし、今回のデラツエイガーの脅迫も同じことです。
「宇宙最大のお宝」という海賊の究極の夢を追うマーベラス一味としては、
こんなふざけた脅迫を黙って見過ごすなどということは、自らの海賊の誇りが許さないのです。
だから戦いに出向こうとする彼らの顔は誇りに満ちています。

その晴れやかな顔を見て、薫は彼らが地球を守るために戦っていたのではなく、
彼らなりに命懸けで守らねばならない彼らの中の何かのために
今までずっと戦ってきていたのだということに気付きました。
やはり彼らは決して成り行きや仕方なくではなく、自分の信念を守るために戦ってきたのです。
そして、その信念を貫くことは、宇宙においてはザンギャックと敵対することになるのだろう。
それは命懸けの危険を伴うことであろうが、彼らは不屈の闘志で信念を貫いてザンギャックと戦ってきた。
その戦いが、マーベラスの言う「俺たちの戦い」というものなのだろうと、薫は理解しました。

そして、守るべき対象は違っても、そのように命懸けで信念を貫く戦いの姿勢は、
自分たち侍の戦う姿勢とも通ずるものがあると感じ、
薫は海賊衆を共に戦える相手と認め、「その傷では無理だ!・・・手を貸そう」と申し出ます。
変身出来なくなったとはいえ、薫の剣術とモヂカラ能力、それに志葉家の手勢も動かせれば、
支援戦力としてはそれなりの戦力にはなります。
マーベラスは背中に重傷を負ったままで、ジョーは不在で、
しかも相手は昨日歯が立たなかった強敵デラツエイガーです。
ゴーカイジャーの戦力ダウンの分を補ってデラツエイガー率いる部隊と渡り合えるかどうか自信はありませんが、
それでも助太刀は無いより有った方がいいと薫は思ったのでした。

ところがマーベラスは「フン・・・要らねぇお世話だ!」と素っ気なく薫の申し出を断ります。
そして「俺の背中を守ってくれるヤツが・・・ちゃんと来る!」と、
薫を睨んで確信に満ちた口調で言い、ニヤリと笑うのでした。
それを聞いて、薫はマーベラスがどうしてジョーが戻ってくると確信していたのか
その理由がようやく分かったのでした。

マーベラスにとってジョーは単なる宝探しの仲間ではなく、
命懸けの戦いにおいて背中を預けられる相手なのです。
そして、それは背中を合わせることによって必然的に、
ジョーにとってのマーベラスも同様に、背中を預けられる相手なのです。
つまりマーベラスとジョーは互いに背中を預け合う関係だったのです。
これが、マーベラスが言っていた「俺とあいつだからだ」と簡潔に言い切れる特殊な関係の正体でした。

確かによく考えれば、さっきのマーベラスの想い出話の中で、
360度周囲を囲んだゴーミン達を2人が背中合わせの戦法で蹴散らしたという武勇伝がありました。
薫が気付かなかっただけで、ちゃんとマーベラスは説明してくれていたのです。
確かにマーベラスとジョーの2人は「初めて会った瞬間に運命は決まった」のです。
それは命懸けの戦いにおいて互いに背中を預け合う絆を結び続けるという運命です。
2人は最初の邂逅の時に、既に運命に吸い寄せられるように、
自然に剣を手にして背中と背中を合わせていたのです。
「・・・なるほど・・・!」と唸って薫は笑みを浮かべます。

互いに背中を預け合い、背中を守り合うパートナーというのは、
周囲を360度、敵に囲まれた絶体絶命の過酷な状況でこそ必要なものです。
ザンギャックは宇宙を制覇して地球へ征服しに来ているとのことであり、
海賊衆たちが宇宙において信念を貫くためにザンギャックと戦ってきたというのは、
周囲は敵だらけの圧倒的不利な状況での戦いであったのでしょう。
そんな不利な戦いを貫き通すというのは、本当に命懸けの戦いとならざるを得ない。

そんな周囲を敵に囲まれた命懸けの戦いを最初はマーベラスは1人で遂行していたという。
そんなマーベラスがジョーを仲間にしたいと思ったというのなら、
それは単なる宝探し仲間ではなく、自分の背中を守ってくれるパートナーを求めてのことと考える方が自然です。
そして、それはマーベラスがそのパートナーの背中を守るということでもあるのだから、
そのパートナーは、マーベラス同様、背中の守りの必要性を強く感じている者でなければいけない。
つまり、マーベラスと同じように、ザンギャック支配下の宇宙で自分の信念を貫いたために
周りが敵だらけの命懸けの戦いの道を選んだ者です。
そういう者だけがマーベラスと互いに背中を預け合うパートナーとなれる。
そういう者同士が宇宙で偶然出会うことは極めて稀なのだろう。
まさに運命の出会いであり、二度と同じような出会いは無いかもしれません。
そんな奇跡みたいな出会いをマーベラスとジョーはしたわけです。

こんな2人の絆が強くないはずはないのです。
命懸けの戦いで互いに背中を預け合うということは、命を預け合うということです。
命懸けの戦いの場において、マーベラスの命はジョーが守り、ジョーの命はマーベラスが守る、
そういう覚悟が無ければ、ザンギャックに逆らって信念を貫いて戦いながらお宝を探すなどという
過酷な旅の道連れになどなれるわけがない。
だから、マーベラスはジョーがバリゾーグに斬られそうになっていた時、
躊躇うことなくジョーの前に飛び込み、ジョーを守ってバリゾーグの剣で斬られたのです。
それはマーベラスがジョーとの間の命を預け合う絆を信じているからです。

そしてまた、そうしたマーベラスとジョーの絆をよく理解している他の3人の海賊たちもまた、
ジョーと同じようにマーベラスに海賊の旅の仲間に誘われた身であるということは、
ジョーと同じようにかつては1人でザンギャックに対して信念を貫いて命懸けで突っ張っていた身であり、
その結果、マーベラスと背中を預け合う絆を結んだ者たちなのでしょう。
そして、彼ら同士もまた皆、互いに命を預け合う絆で結ばれているのです。
そういう宇宙における奇跡のような出会いをした5人が集まったマーベラス一味の仲間ならば、
ジョーが何も言わず何処かに行ってしまうなどと疑うはずがない。
絶対に戻ってくると確信するのが当たり前であるし、戦いの場には必ず駆け付けると信じるのが当然なのです。

「命を預け合う絆」というものがそういうものだということは、薫は誰よりもよく知っていました。
何故なら、それはシンケンジャーの絆と同じだったからです。
シンケンジャーの力の源とは、「この世を守る」という使命のためならどのような非情も行う強固な意思ではありません。
それは侍にとって非常に重要な心得ではありますが、
人間はどんな崇高な使命のためとはいえ、非情であり続けることは出来ないものです。
この世を守るためにあらゆる非情を行う必要があるからこそ、侍はそこで心が闇に屈することがないように、
この世の何よりも強固な侍の絆を必要とするのです。

その侍の絆とは「命懸けの戦いにおいて互いに命を預け合う絆」であり、
これこそが侍の、シンケンジャーの力の真の源なのです。
かつて薫はこれを欠いていたために外道衆の総大将ドウコクに敗北し、
その後、この真の侍の絆を結んだ丈瑠を中心とした侍たちと絆を結ぶことで、力を合わせてドウコクを倒した身であり、
一度挫折を味わった身ゆえに、「絆」の重要性は身に沁みて分かっていました。

ここでゴーカイジャーの「絆」とシンケンジャーの「絆」が遂にリンクします。
シンケンジャーの大いなる力のカギとなるキーワードが「絆」であろうことは、
「シンケンジャー」という作品を見ていた人ならば誰もが予想することでしょう。
しかし同時にこのシンケンジャーの「絆」というものが
チャンバラ時代劇のシチュエーションだからこそ成立していた極めてマニアックな
「主従の絆」であるということも了解しており、
それを「ゴーカイジャー」の物語の中でゴーカイジャーの持ち得る要素として
そのまま再現することがほぼ不可能であることもすぐ分かることでしょう。

ただ、逆にあまりに漠然と単なる「絆」として再現するとなると、
それは単なる友情や結束力のようになってしまい、
他の戦隊にでもそういうものはいくらでも存在するので、
シンケンジャーらしさというものが無くなってしまい、
シンケンジャー篇である意義が無くなってしまいます。

そこで、シンケンジャーの絆として明らかな特性がありながら、
時代劇というマニアックなシチュエーションに左右されないような、
シンケンジャーの絆の本質的部分を取り出してみると、
それは「命を預け合う絆」ということになります。

「シンケンジャー」本編では、「主従が敵との命懸けの戦いに臨む」という
特殊なシチュエーションにおいて「命を預け合う絆」を描きましたが、
これはもともと「シンケンジャー」がチャンバラ時代劇を描くという前提であったので
こういうシチュエーションになっただけのことであり、
別に「命を預け合う絆」というものは、命懸けの戦いの場でさえあれば、
主従関係は無くても描くことは出来ます。

そうなると、結局、この「命懸け」という要素が「シンケンジャー」という作品と
他のシリーズ作品とを分ける最大の特徴ということになります。
確かに、シリーズの他の作品も皆それなりに危険な戦いは描いていますが、
「シンケンジャー」ほど命、命と序盤から終盤まで一貫してうるさく言い続けた作品も他には無いでしょう。
またアクションに関しても独特の緊張感あふれる命のやりとりの感じが特徴的でした。

この戦いにおける独特の命の切迫感こそが「シンケンジャー」における
「命を預け合う絆」のリアリティをもたらしていたのであり、
これを「ゴーカイジャー」のシンケンジャー篇で再現し、
ゴーカイジャーの絆をこの「命を預け合う絆」とするとなると、
このシンケンジャー篇は、あくまでゴーカイジャーの世界観で描きながらも、
「シンケンジャー」本編のように命の切迫感を描いていかないといけません。

すなわち、ジョーとシドの哀しい物語や、ゴーカイジャーの初めてと言っていいピンチ描写、
マーベラスの負傷、マーベラスとジョーの回想における電撃描写、背中合わせの戦いの描写なども、
そうした命の切迫感を演出するための要素だったのです。
こうした要素を積み重ねてゴーカイジャーの「絆」は互いに命を預け合った絆としてのリアリティを獲得し、
シンケンジャーの「絆」と同質のものとなり、
それによって、「シンケンジャーの大いなる力」の獲得に説得力を与えるのです。

ただ、まだ、この段階では「シンケンジャーの大いなる力」は獲得出来ません。
まだ薫には引っ掛かっている点があるからです。
海賊衆の絆が侍の絆に劣らぬものであることは薫にも分かりました。
しかし、海賊衆にそれほどの絆があると分かったからこそ、薫にはジョーの行動が解せなかったのです。

海賊衆の絆がマーベラスの言っていたようなものだとするなら、
ジョーはマーベラスの背中を守らねばならないはずです。
しかしマーベラスは背中に重傷を負っています。
つまり、ジョーはマーベラスの背中を守らなかった。
守ろうとして守りきれなかったというのならまだいいのだが、
あの時、ジョーは明らかに戦いに集中していない状態で、正面から斬られそうになっていました。
それを救うために飛び込んだマーベラスが背中を斬られたのです。
「背中を預け合う」というのは、各自が正面は自分で責任をもって守るという姿勢が前提です。
それをジョーは明らかに怠って、そのせいでマーベラスは背中を斬られたのです。

しかも、自分が守らねばならないはずのマーベラスが斬られたというのに
ジョーはその後も心ここにあらずという様子で、
遂には内容の薄い置手紙を残して姿を消してしまい、出陣の場にも未だ戻ってきていない。
薫から見れば、ジョーは海賊衆として固く結んだはずの絆を軽視しているように見えます。
もちろん、それはよほどの何かの事情があったのでしょう。
しかし、どんな事情があるにせよ、
マーベラスたち4人のジョーとの絆を信じる確固たる想いに比べると、
薫は今のジョーは物足りなく感じました。

マーベラス達の信頼に応えて、ジョーが自力で海賊衆の絆を自分の中で回復させることが出来るかどうか、
そこを見極めないことには、
海賊衆の絆が、あの外道衆の総大将ドウコクを倒した侍たちの絆と並ぶものであるとは、
まだ薫には判定することは出来ませんでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:27 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月17日

第12話「極付派手侍」感想その5

そうしてゴーカイガレオンはデラツエイガーの軍勢が待ち構える場所の上空に廻航してきて、
マーベラス、ルカ、ハカセ、アイムの4人は甲板の上に立って軍勢を見降ろします。
「ずいぶん集めたもんだなぁ」とマーベラスはゴーミン達の数の多さに呆れたように言います。
それを受けて「ま!決戦・・・って感じ?」とルカが余裕をかまします。
「ジョーさんがお帰りになるまで、頑張るだけのことです!」とアイムも闘志を見せ、
「大丈夫!・・・やれるよ!」とハカセまで異様にカッコいい。
皆、かなりテンションが上がった状態です。
「よし!行くぞ!!ゴーカイチェンジ!!」とマーベラスの号令で4人は変身し、
デラツエイガーの軍勢と戦闘開始となります。

一方、バリゾーグが去った後、1人ポツンとその場に取り残されたジョーは、まだ茫然としていました。
バリゾーグの中のシド先輩の記憶が戻らなかったことで、シド先輩が完全に死んだという現実を突きつけられ、
「正しい道を進んでいればまたシド先輩と会える」という希望が打ち砕かれたのです。
むしろ自分の正しいと信じた道を貫く生き方がシドを殺したのだと思えて、
今までの自分の人生が無意味だったように感じられ、その絶望感に打ちのめされて号泣し、
泣き疲れて虚脱状態となったジョーは「・・・シド先輩・・・」とうわごとのように呟くと、
溜息をついて地面に大の字に寝転がり空を仰ぎ見ました。

すると、ジョーは大きく放りだした左手の先に何かが触れるのを感じました。
見てみると、それは自分のモバイレーツでした。
さっきバリゾーグに吹っ飛ばされた時、懐にしまっていたモバイレーツが転がり落ちていたのです。
思わずそれを掴んだ瞬間、ジョーは強い既視感を覚えました。
そして、同じように地面に大の字に寝っ転がった態勢でモバイレーツを掴んだ、ある鮮烈な記憶を思い出したのでした。

それは、あのマーベラスが薫に語った回想の続きの場面でした。
マーベラスとジョーの2人が首輪を破壊した際に受けた電撃によって動けなくなり、並んで地面に大の字に寝っ転がり、
マーベラスが「宇宙最大のお宝を手に入れるという夢を掴む旅にお前を連れて行きたくなった」と言い、
ジョーがそれに対して「付き合うぜ・・・夢の果てまで」と応えた、その続きの場面です。

マーベラスは寝転がったまま懐から取り出した物を持って手を伸ばし、
「こいつをやる・・・」と言ってジョーの伸ばして放りだしてある左手に渡しました。
ジョーがそれを掴んで見てみると、それは閉じた大きめの携帯電話のような器具と、青い人形でした。
「モバイレーツとレンジャーキー・・・夢を掴むための道具だ!」とマーベラスは
ジョーの方に笑顔を向けて説明してくれました。
これがジョーが初めてモバイレーツとゴーカイブルーのレンジャーキーを手にした瞬間だったのです。
この瞬間から、ザンギャックの脱走兵ジョー・ギブケンは、
海賊団マーベラス一味のゴーカイブルーことジョー・ギブケンとして生まれ変わったのでした。

そして、それが海賊団の始まりでもあったのです。
その後、ジョーと同じようにして、ルカ、ハカセ、アイムというように、次々と海賊団の仲間が加わってきた、
その経緯も全てジョーは知っています。
それらも皆、こうして寝転がってモバイレーツに手が触れたことによって次々と思い出されてきます。
そのような普段は特に意識していなかった記憶の糸が繋がり、
それによって自分の絶望が癒されていく不思議な感覚に一瞬、浸ったジョーは、
ハッと何かに気付いて、再度モバイレーツを見ます。
そしてモバイレーツを固く握りしめて上体を跳ね起こし「そうだ・・・俺は・・・!」と言うと、
立ち上がり、駆け出したのでした。

マーベラス達とデラツエイガー率いるザンギャック軍との戦いは佳境に入っており、
やはりあまりにザンギャック軍の兵の数が多く、ゴーカイジャーに変身した4人は苦戦を強いられています。
しかし、戦いながらルカは「なかなか・・・やるじゃん!」、
アイムは「けれど・・・私達は負けません!」、
ハカセは「そうだよ!・・・ジョーは絶対来る!」と、
自分たちの戦いの意義や仲間の絆を再確認した彼らは
苦戦しながらも決して気持ちを折らすことなく、逆境を跳ね返していきます。
マーベラスも背中の怪我の存在も感じさせない勢いで
「教えてやる!戦いに勝つのは・・・数じゃねぇってなぁ!」と叫びつつ、ゴーミン達を蹴散らしていきます。
その一方で、ジョーはひたすら山道を全力で駆けていました。
その胸に去来するのは、「俺には・・・仲間がいる!・・・帰る場所がある!」という万感の想いでありました。

ジョーは、大の字に寝てモバイレーツを偶然掴んだことによって、
自分が海賊団に入った日のことを思い出したのです。
いや、単に態勢が同じであったから思い出したわけではなく、
あの日のジョーも今と同じような気持ちであったので、今のジョーにあの日の記憶がシンクロしたのでしょう。

あの時、ジョーはシドと生き分かれて逃げている途中で、
実際のところ、自分のせいでシドが死んだと思い、
自分が正しいと思うことを信じて生き抜く意味を見失っていました。
あのままではいずれ追手に捕まって殺されていたでしょう。
そこにマーベラスが現れてジョーの首輪を壊して、宇宙最大のお宝を見つける夢を掴む旅に誘ってきて、
ジョーはそこに自分の信じた道を貫く新たな生きる意味を見出したのでした。
その夢を掴む旅の仲間の絆の証がモバイレーツとレンジャーキーでした。

あの時、既にジョーはシドを失った絶望は乗り越えて、新たに生きる意味を見出していたはずです。
シドとの絆を超える新たな仲間との絆を見つけていたはずなのです。
そして、その後、新たな仲間たちとの絆も築いてきたはずです。
しかし、それでもジョーの心の中にシドとまた再会出来る日が来るかもしれないという淡い期待もありました。
それが剣の師匠であるシドとの最後の約束だったのですから当然です。
そういう想いがジョーの剣の鍛錬において大きな心の支えになっていたのも確かです。
しかし、もちろんジョーにとってそれが全てであるはずがない。
今、この宇宙最大のお宝を見つける命懸けの旅や戦いを共にする仲間との絆、
命を預け合う絆がジョーにとって最も大切なものなのです。

それなのに、おそらく死んだとほとんど諦めていたシドが生きていたということを知り、
ジョーは心が乱れてしまった。
マーベラスと出会う前、シドと共に逃げていた時の心境に心が逆戻りしてしまい、
何とかしてシドを救いたいと思ってしまったのです。
それでシドとの絆で心がいっぱいになってしまい、
一時的に今の仲間たちとの絆が見えなくなってしまっていたのです。

ところが、やはりシドは死んでいた。
生きていたように見えたのは幻で、バリゾーグの中身はジョーの先輩であるシドではなかったのです。
その現実を突きつけられることによって、
シドとの絆で頭がいっぱいになっていたジョーは生きる意味を見失い、虚脱状態になってしまいました。

しかしモバイレーツに触れて、ジョーは思い出したのです。
マーベラスに出会った時、今と全く同じようにシドを失った絶望の中にいた自分が、
新たな生きる意味を見出しいていたことを思い出したのでした。
そして、あれ以来、ずっと自分は仲間との絆に支えられて生きてきたのであって、
シドとの絆によって生きてきたのではないのだと思い至ったのでした。

今回はバリゾーグがシドの改造体であったという衝撃的な事実を知ったために
ジョーは一時的に幻を追いかけて気が迷っていただけのことだったのです。
それが目が覚めて正気に戻った。
むしろ、バリゾーグの中にシドがいないとハッキリ確信出来たことで、
ジョーは仲間との絆が今の自分の全てなのだと強く再確認することが出来たのでした。

それがハッキリ分かった以上、
これで今回、ジョーが置手紙に書いた「1人でケリをつけたいこと」のケリはしっかりついたのであり、
あとは仲間のもとへ戻るだけです。
モバイレーツは各種情報を得る機能もついているようですから、
ジョーはモバイレーツでデラツエイガーの脅迫声明も知り、その位置情報も得て、
そこにマーベラス達が向かっているであろうと予測し、
その場所へ向けて全力で駆けて向かっているのでした。

そのジョーの向かう戦いの場所では、マーベラス達がザンギャック軍相手に激闘を繰り広げていました。
ここから豪快チェンジの嵐となります。
今回は4人しかいないということもあり、それに1クール最後のお祭り騒ぎということもあってか、
かなり大盤振る舞いで、いちいち戦隊チームまとめての変身には全くこだわらず、
1人1人がバラバラに戦いながらそれぞれ自分と同色の戦士に3つずつ、
立て続けに豪快チェンジしていきます。
その1つ1つの豪快チェンジ後のアクションも簡潔ながらちゃんと見せていますので、
普段より若干、豪快チェンジアクション全体の尺が長くなっています。

まずマーベラスですが、
「五星戦隊ダイレンジャー」からリュウレンジャー、
「轟轟戦隊ボウケンジャー」からボウケンレッド、
「忍風戦隊ハリケンジャー」からハリケンレッドという順番で豪快チャンジしていきます。
3つとも赤の戦士です。

リュウレンジャーはあの超高難度の名乗りポーズのフル再現は
さすがに今回は無理だったものの、その簡略版を披露します。
ここでオリジナルでは名乗りは「リュウレンジャー!天火星!亮!」となるのですが、
今回のマーベラスは「天火星!赤龍拳!」と名乗っています。
そもそもマーベラスは亮じゃないので「亮」とは名乗れず、
しかしここで「マーベラス」と名乗るのもおかしいのです。
かといって「リュウレンジャー!天火星!」で終わってしまうと、これもおかしい。
「天火星」はそれだけで意味のある言葉ではなく、本来は「亮」とセットとなる言葉です。
では単に「リュウレンジャー!」だけにするかというと、
そうなると、せっかくの拳法の型の名乗りポーズにあんまり合いません。

だから、やはり「天火星!」というチャイナテイストの名乗りは欲しいが、その後に名前をつけられないので、
代わりに亮の駆使した拳法の流派である「赤龍拳」をくっつけたのでしょう。
とにかくダイレンジャーの名乗りポーズはいちいちタメがあるのがカッコいいので、
それに合わせて名乗りのフレーズも単語2つ以上で構成されて
音節の区切りにタメがくるようにするのが一番しっくりくるのであって、
実は単語の意味は結構どうでもいいのです。

さて、このマーベラス流の赤龍拳ですが、見事にカンフーアクションでゴーミン達を倒していきます。
カンフーの動きになっていながら、亮の流麗かつパワフルなアクションと比べ、
パワフルさが強調されており、マーベラスらしい荒々しさが上手く表現されています。
むしろケンカ空手っぽいです。

続いてはボウケンレッドですが、
これは槍型の専用武器のボウケンジャベリンを振り回してのアクションとなります。
ボウケンジャベリンでゴーミンを突き刺して高々と持ち上げて地面に叩きつけるという、
槍を使ったアクションならではの魅せ方が非常にポイントを押さえていて上手いです。

そして前転して受け身をとりながらハリケンレッドに豪快チャンジするのが、
地味ながら実に忍者らしい演出です。
変身してすぐに専用武器のハンドガンであるドライガンで火炎を発射して目の前のゴーミン達を焼き尽くし、
背中に背負った忍者刀のハヤテ丸を抜いて、
いかにも忍者らしいワイヤーアクションで跳び回りながらゴーミンやスゴーミンを斬っていきます。

次にルカですが、
「光戦隊マスクマン」からイエローマスク、
「電磁戦隊メガレンジャー」からメガイエロー、
「爆竜戦隊アバレンジャー」からアバレイエローという順番で豪快チェンジしていきます。
3つとも黄色の戦士で、しかも女性戦士です。
ルカはチーム揃っての豪快チェンジの際は黄色の男性戦士を担当することが多いのですが、
今回は何の縛りも無い単独変身ですので、
心おきなく黄色の女性戦士に豪快チェンジして女の魅力全開となっています。
まぁ中身は蜂須賀さんなのですが。

まずイエローマスクはオリジナルを踏襲した名乗りポーズをとりながら「イエローマスク!」と名乗ります。
そして太極拳のような柔らかく流れるような動きでゴーミン達を打ちのめしていきますが、
イエローマスクは確かに拳法家ですが、本来は忍術アクションが最も得意だったはずで、
太極拳はむしろピンクマスクの得意技です。
まぁ今回の豪快チェンジはアクションの多彩さが狙いのようなので、
直前のハリケンレッドと似た感じの忍者アクションは避けたということでしょうか。

そしてメガイエローはイエローマスクの肉弾戦アクションから打って変わって、
メガスリングを駆使しての射撃アクションとなります。
メガスリングはメガイエロー専用のパチンコ型の武器で、エネルギー弾を発射します。

最後はアバレイエローですが、これは決めポーズを披露した後、
プテラノドンをモチーフとした戦士らしい飛行能力で飛び上がります。
そして飛び回りながらプテラダガーという専用武器の2本の短剣で
高所や地上にいるゴーミン達を斬りまくります。

続いてハカセの豪快チェンジは、
「秘密戦隊ゴレンジャー」からミドレンジャー、
「超力戦隊オーレンジャー」からオーグリーン、
「超獣戦隊ライブマン」からグリーンサイという順番です。
これも皆、緑の戦士です。

まず元祖緑の戦士であるミドレンジャーは、
あまりに有名なブーメラン型の個人武器のミドメランを使ってのアクションです。
ブーメランですから、投げてゴーミン達を薙ぎ倒していく独特のアクションとなりますが、
随所にコミカルな動きが入っているのはハカセらしいといえばハカセらしい。
が、ミドレンジャー自体が割とコミカルだったような気がするので、
結構オリジナルを再現しているのかもしれません。

続いてはオーグリーンですが、
オリジナルは元ボクサーという経歴だけあってボクシングアクションを得意としていました。
このハカセ版のオーグリーンもボクシングアクションを再現しており、
華麗なステップワークを披露して、まさに蝶のように舞い、蜂のように刺すような、
どちらかというとアウトボクシングの、ボクサータイプのアクションとなっています。

そしてグリーンサイは、オリジナルは元ラグビー選手という戦士で、
パワー・スピード・ジャンプ力に優れた非常に身体能力の高い戦士でした。
ハカセのグリーンサイも、ジャンプして飛び蹴り3連発や、ゴーミンを持ちあげて投げ飛ばしたり、
身体能力任せのストレートな肉弾喧嘩アクションを披露します。

そしてアイムの豪快チェンジは、
「電子戦隊デンジマン」からデンジピンク、
「超新星フラッシュマン」からピンクフラッシュ、
「未来戦隊タイムレンジャー」からタイムピンクという順番で、皆、ピンクの女性戦士です。
まぁピンクは女性しかいないので当たり前ですが。

まずデンジピンクは以前に変身した時も使用したデンジパンチを装着してゴーミン達を殴りまくります。
このアイムのデンジパンチアクションはボクシングアクションということで
さっきのハカセのオーグリーンと一見似ているように見えますが、
ハカセのオーグリーンがアウトボクシングのボクサータイプだったのに対して、
アイムのデンジピンクの方は直線的に相手に向かっていって力任せにぶん殴る
ファイタータイプのアクションであって、見た感じは全然違います。
普通は男性的なこっちのタイプをハカセがやりそうなものですが、あえて意表をついて逆にしているのでしょう。

続いてピンクフラッシュはオリジナルは超重力の星で育ったために
地球の重力下では空中移動まで出来てしまいくらいの異常に身の軽い戦士でした。
これをアイムも再現しており、ワイヤーアクションでふわりと宙に浮いて飛んで移動します。
アバレイエローの滑空するような感じとは違い、無重力で移動している感じです。
そして浮き上がったままゴーミン目がけて飛んできて、プリズムブーツを光らせてキックを浴びせます。
これは超重力下で鍛えた脅威的な脚力を更に強化する特殊ブーツで、
このブーツでキックを放つのがピンクフラッシュの必殺技なのです。

そしてタイムピンクは懐かしのダブルベクターでタイムピンクの必殺技ビート6の剣技を披露してくれます。
時間をモチーフとした戦隊タイムレンジャーの標準装備武器が
時計の長針と短針を模した2本の剣であるダブルベクターで、
飛び上がって、この2本の剣で真上と真下から同時に斬る技(つまりアナログ時計の6時の形)がベクター6で、
タイムピンクの最も得意とした技でした。
これを当時のエフェクトそのままに再現されています。

こうして4人で3つずつ、合計12の豪快チェンジを見てみると、1つとして同じタイプのアクションが無く、
今回はスーパー戦隊シリーズのアクションの多彩さを、
1つ1つじっくり魅せることがコンセプトになっているように思えます。
それぞれの色と性別に合わせた戦士で、アクションのタイプが重ならないようにして、
そして出来るだけ今まで豪快チェンジで使っていない戦士、というようなチョイスであろうと思います。

こうして豪快チェンジを繰り返してザンギャック軍相手に奮戦するマーベラス達でしたが、
それでもまだまだゴーミンやスゴーミン達は多く、
「あきらめろ海賊!貴様らの負けだ!」とデラツエイガーは強気です。
そこにハリケンレッドの姿のマーベラスが「超忍法・空駆け!!」と叫んでデラツエイガーに斬りかかります。
「超忍法・空駆け」というのは空忍であるハリケンレッドの得意技で、空中を超スピードで駆けまわる術です。

この技で空中から不意打ちを仕掛けてデラツエイガーに斬りかかったマーベラスでしたが、
デラツエイガーもさすがに皇帝の親衛隊長だけあって、やはり強い。
斬り結んでマーベラスを退けます。
一旦飛び退いたハリケンレッドのマーベラスの周りに、
アバレイエローのルカ、グリーンサイのハカセ、タイムピンクのユウリが集まります。
そこにデラツエイガーが剣を一閃して引き起こした衝撃波が直撃し、4人は一気に変身解除してしまいます。
ゴーカイジャーの姿に戻ることもなく、一気に非変身状態までもっていかれてしまうあたり、
やはりデラツエイガーの強さも並ではありません。

一気に大ピンチとなったマーベラス達ですが、
マーベラスは不敵に笑みを浮かべながら「ヘヘッ・・・全然・・・痛くねぇなぁ!!」と立ち上がります。
ルカも「勝つ気でいるなんて・・・バッカじゃないの!?」と嘲笑いながら立ち上がり、
ハカセも「僕たちは・・・負けないって言っただろ!!」と叫んで立ち上がります。
そしてアイムも白い上品なドレス姿で「そうです!私達は・・・絶対に!!」と、激しい闘志で立ち上がります。
皆、ジョーとの絆、仲間の絆を信じて、5人揃えばきっと勝てるという確信があるので、
ジョーが来るまで持ちこたえるという気持ちが、どんなに苦境となっても折れることが無いのです。

しかし、そのジョーはさっきモバイレーツに触れた時にマーベラスとの出会いの時のことを思い出したということは、
モバイレーツに触れるまでは仲間の絆も忘れていたということであります。
もちろん完全に忘れていたわけではないのですが、
日々の暮らしの中で常にあの日のことを考えていられるわけもなく、
つい大事な想い出を忘れがちになるのが人間の常です。
そしてその想い出に付随する絆のことも、つい忘れてしまうこともあります。

その点、しっかりジョーとの絆を意識していたマーベラスは偉いもので、
それに比べると、さっきまで絆を忘れてしまっていたジョーは、
確かに薫から見て頼りないと見えても仕方ないでしょう。
しかし、マーベラスにしても薫に質問されるまでは
意識の表面に常にジョーとの出会いの想い出があったかというと、
決してそうではなく、ジョーを絶対的に信頼するというのがもはや習慣化しているだけのことでしょう。
それはそれで凄いことですが、それならジョーも普段はしっかりマーベラスを絶対的に信頼出来ています。
それは結局「絆」が存在しているということです。

他の3人にしても、マーベラスとジョーの出会いの話を聞いて自分たちの「絆」を再確認はしましたが、
別に今まで「絆」が無かったわけではなく、普段からしっかりと彼らの中にも「絆」は存在してもいるのです。
ジョーの場合も、今まで「絆」を持てていなかったわけではなく、
今回はシドの件で特別に心が乱れて「絆」を忘れたような行動をとってしまっただけのことであり、
マーベラスとの出会いの時のことを思い出すことによって「絆」の重要性を思い出したのです。

つまり、5人はもともと「絆」という要素は持っているのですが、
それは普段は基本的には心の奥に存在しているものであり、
今回、マーベラスが薫の質問に応えて想い出話をすることで「絆」をより強く意識したり、
ルカ達3人がマーベラスの想い出話を聞いて「絆」を再確認したように、
しっかり言語化して意識の表層に浮かび上がらせなければ、
その要素を真に自分のモノに出来たとはいえないのです。
少なくとも、この作品における「スーパー戦隊の大いなる力の獲得」には繋がらないのです。

最初、この作品における「スーパー戦隊の大いなる力」を手に入れるための
「勇気」や「誇り」などの諸要素というものは、
先輩レジェンド戦士たちがゴーカイジャーに与えていくのかと思っていましたが、
デカレンジャー篇あたりから、もともとゴーカイジャーが持っているそれらの要素の存在に
レジェンド戦士の方が気付いて、ゴーカイジャーを自分たちの力の後継者と認めることで、
大いなる力が獲得されるという法則性が明らかとなっていました。

しかし、詳しく見てみると、それだけではないようです。
確かにゴーカイジャーの中にそれらの要素は存在していますが、
レジェンド戦士との触れ合いを通さなければ、
彼らの中のそれらの要素はしっかりと表面化されて彼ら自身に再確認はされなかったように思えるのです。

魁が試練を与えなければハカセの秘めた勇気は表に出て発揮されなかったであろうし、
ドギーの誇りある行動に触発されなければ、
マーベラスは海賊の誇りに基づいた行動をドギーの前でとることもなかったでしょう。
ジャンの言葉と指導がアイムの意識を変え、それによって触発されたハカセの意識も変えたのであるし、
走と衝突しなければ、マーベラス達は自分達のやりたいように正しいと信じた行為を行うという
海賊のスタンスにこだわらなかったかもしれません。

これらレジェンド戦士との接触がきっかけになってマーベラス達の中で引き起こされた変化は、
マーベラス達の奥深くにあった、それぞれのレジェンド戦隊の力の源と同質のキーワードを表面に浮かび上がらせ、
その存在をレジェンド戦士が認めたことによって、
当該のレジェンド戦隊の「大いなる力」をゴーカイジャーが獲得するという、
そういう流れになっているのです。

つまりレジェンドゲストは単にゴーカイジャーを「観察する存在」なのではなく、
非常に遠まわしな形ではありますが、
ゴーカイジャーが「大いなる力」を獲得するようになるきっかけも与えているのであり、
「働きかける存在」でもあるのです。
「ゴーカイジャーに働きかけて、彼らの中でキーワードを表面化させるきっかけを与えた上で、
その結果を見守り判定する役目」というのが、この作品におけるレジェンドゲストの役回りなのでしょう。

これは作品における役回りなのであって、物語の中でそういう役柄であるのとは違います。
だから、レジェンドゲスト達もそれぞれの思惑でゴーカイジャーに関わりながら、
無意識のうちにそうした役回りを演じてしまうという感じになっています。

今回のシンケンジャー篇でも、
薫は最初からゴーカイジャーの中に「絆」という要素を見出そうとして接触してきたわけではなく、
あくまでシンケンジャーのレンジャーキーを奪い取ろうとして接触してきて、
決闘の途中でザンギャックの攻撃に巻き込まれていき、
戦いの中で海賊衆への印象が微妙に変化していき、
成り行きでガレオンに同乗することとなった後、
マーベラスがどうして姿を消したジョーをそんなに信じるのか不思議に思って質問しただけのことです。

それがマーベラスやルカ達3人が自分達の「絆」を再確認させるきっかけとなり、
その絆を再確認した彼らの姿を見た薫が彼らの中に
シンケンジャーと同じレベルの「絆」という要素があることに気付いたのです。
そして、その結果を最終的に判定するために、
薫は丹波を伴ってガレオンを降りて、
マーベラス達が戦っている場所へと向かう一本道の通る雑木林の中で佇んでいました。

ガレオン内での遣り取りの結果、マーベラス達の海賊衆の絆は侍の絆に劣らない本物の絆のように薫には思えました。
しかし、ただ一点、その絆を共に結んでいたはずなのに、
仲間の絆を裏切るような形で姿を消したジョーのことだけが心に引っかかっていました。
そのような不心得者が出るということは、やはり海賊衆の絆もそこまでのものだったのかもしれません。
マーベラスはジョーが必ず戻ると言い、
それこそが彼のジョーに対して感じる絆の強さの証だということは分かりましたが、
肝心のジョーがその絆に応える行動をとらなければ、絆は成立していないことになります。
そのあたりが薫にもまだ最終的に判断がつきかねる部分でした。

だから、もしジョーがマーベラス達の言うように仲間との絆を思い出して戦いの場に駆け付けるならば、
やはり海賊衆の絆は本物だと認めることにしようと薫は思い、
戦いの場に通じる一本道のこの場所でジョーがやって来るのを待つことにしました。
もし海賊衆の絆を侍の絆に劣らぬものだと認めるとなれば、
ゴーカイジャーをシンケンジャーの力を使いこなせる存在であると認めることとなり、
薫はシンケンジャーのレンジャーキーを諦めねばならなくなります。

だから、これは薫にとっては勝負でした。
ジョーがこの道を通って現れれば、勝負は薫の負けであり、
薫はシンケンジャーのレンジャーキーを諦めてゴーカイジャーに任せる。
逆にこの道にジョーが現れなければ勝負は薫の勝ちであり、
薫はシンケンジャーのレンジャーキーを取り戻す。
まぁその場合、ゴーカイジャーはザンギャックに敗れるであろうから、
自然にレンジャーキーを所有することはなくなるのであろうが。

結局、あの中断した決闘の時の約束通り、
最後は薫とジョーの一騎打ちの勝負で決着がつくことになったわけです。
ただ、薫はおそらく自分がこの勝負、負けることになるのだろうと予測はしていました。
あれほどの仲間の想いがジョーに届かぬはずはないと、薫は経験上、知っているのです。

果たして、雑木林の小道をジョーは駆けてきて、目の前に薫と丹波の姿を見つけて、驚いて立ち止りました。
薫は勝負に負けたというのに清々しい気分で、「丹波・・・」と、一歩下がって立つ丹波に声をかけます。
丹波は「は・・・」と一歩前へ出て、懐から袱紗を取り出し、掌の上でそれを広げます。
するとその中から真ん中に穴の開いた円形の白いディスクが現れました。

これはシンケンジャーの武器のシンケンマルの鍔として取りつけて
様々な特殊能力を発揮するモヂカラを込めた器具で、「秘伝ディスク」といいます。
そして、この白い秘伝ディスクには「双」の文字が刻まれており、
これは丹波の手製の「双」の秘伝ディスクでした。

薫はそのディスクを手にすると、ジョーに向かって歩み寄りながら
「海賊衆の絆、見せてもらった!・・・勝負は私の負けだ・・・」と言います。
ジョーは、もしや決闘の続きでもするつもりなのかと一瞬、警戒していたので、
いきなり薫が勝負の負けを宣言したので驚きました。
薫は驚いて立ち尽くすジョーの前で立ち止まると
「その代わり・・・必ずザンギャックを倒せ!」と厳しい顔で言い、「双」のディスクを差し出します。

ここで何故、薫は「双」のディスクをジョーに渡そうとしているのかというと、
「シンケンジャー」本編において、この「双」ディスクが
シンケンジャーの最終的な絆の完成を象徴するアイテムであったからです。
ドウコクとの最終決戦時、丈瑠たちシンケンジャー6人や彦馬や黒子たちが強い絆で戦い、それでも一旦敗れた時、
丈瑠に跡目を譲って隠居した薫もまた力を振り絞って最後の切り札となるディスクを作りあげて
丈瑠たちと同じ絆で結ばれたのを見て、
最後まで内心では丈瑠を当主として認めていなかった丹波も遂に丈瑠たちや薫の絆を本物と認めて、
自らの得意とする「双」のモヂカラを込めたディスクを丈瑠に手渡し、丈瑠たちと同じ絆で結ばれ、
これによって志葉家は遂に一丸となってドウコクに立ち向かい、
苦闘の末、ドウコクを倒すことに成功したのでした。

だから、この「双」ディスクを渡すということは、
相手の「絆」を本物と認めたことの象徴という意味があります。
薫はその意味を理解した上で丹波に「双」ディスクを用意するよう命じ、
丹波も薫の命令に込められた意味を理解した上で、丹波なりに海賊衆の絆を理解して、
ディスクを用意したと思われます。

ジョーはもちろん「双」ディスクにそのような意味が込められていることは知りませんが、
薫が「海賊衆の絆、見せてもらった」と言って勝負の負けを認めて差し出している品ということは、
薫がゴーカイジャーの絆を認めた証として渡そうとしているのだということは分かりました。
しかし、まさか薫の口からいきなり「絆」という言葉が出て来るとは思っていなかったのでジョーは驚きました。

ジョーはまさに先ほど、昨日から忘れていた「絆」を思い出して
慌てて仲間のもとへ向かおうとしていたところだったのです。
そんなウッカリ者のジョーに向かっていきなり薫は「海賊衆の絆」を褒め、勝負の負けまで認めたのです。
海賊の絆の存在や意味に気付くことが出来る薫の「侍の絆」こそ本当は相当のもののはずです。
それなのに絆を失念して姿を消していたジョーに対して薫は「勝負は私の負けだ」と言うのです。

薫の言う勝負が「絆」の勝負であるとするなら、ジョーは決して薫に勝ってなどいないはずです。
今回の件での行動で見てみても、ジョーが仲間のマーベラスが斬られたのに無責任に失踪している間、
薫は敵のはずのマーベラスの世話までしてくれていました。
純粋に1人の人間、1人の武人としての勝負では、ジョーは薫に勝ってなどいません。

もちろん薫はジョーが来たことによって海賊衆の絆を本物と認めて、
自分の中での勝負には決着はつけ、勝負を降りる決断はしました。
しかし、それはあくまで薫の心の中の問題であって、
実際に薫とジョーの中断していた勝負の決着がついたわけではありません。
結局、武人としての勝負は、その後の2人の行動を比べれば、薫の勝ちといえるでしょう。
ジョーにはそれが分かる。
そして薫もまたそれは分かった上で、あえて勝ちを譲ろうとしているのだということもジョーには分かりました。
何故なのかというと、
それは「その代わり、必ずザンギャックを倒せ」と言うように、
薫がゴーカイジャーの絆の中にザンギャックを倒せる可能性を見出したからです。

その薫の気持ちを理解し受け止め、ジョーは「済まない・・・」と言って「双」ディスクを受け取りました。
あえて勝ちを譲った薫の武人としての重い決断に、
一言、同じ武人として謝意を表さないわけにはいかなかったのでした。
そしてジョーは「双」ディスクに込められた薫と丹波の自分たちの絆への期待の重さを確認するかのように
ディスクをじっと見つめると、意を決してディスクを握りしめて再び小道を駆けだし、
マーベラス達の待つ戦場へ向かったのでした。

そのジョーの後姿を見送って、丹波が「勝てますかな・・・?」と少し心配して呟く。
ジョーは一度は絆を忘れて姿を消していた海賊です。
丹波にしてみれば薫の方がやはり真の絆を知る者であり、
シンケンジャーの力を使うに相応しい人間に見えるのです。
しかし薫はジョーの去った方を見ながら
「侍たちに劣らぬ絆・・・5人揃えば勝負は見えている!」と毅然と言います。

薫は、絆は一旦綻んでも、それが真の絆ならば必ず回復するのであり、
そうして回復した絆は以前よりも更に大きな力を発揮するということを知っています。
シンケンジャーの絆もそうしてより強固になっていったのであるし、
最初は絆というものを知らなかった薫も、そうやって挫折してから絆を得て真の強さを手に入れたのです。
だから、今回の一件を経て、ゴーカイジャーの絆は更に強固になり、
シンケンジャーの絆に劣らぬものとなったのであり、
このままジョーが合流すれば、その絆の力は真価を発揮して、きっと凄いことが起こるであろうと、
薫には容易に予測出来るのです。

ここで薫にシンケンレッドの姿が一瞬オーバーラップして、
それが消えると「行くぞ・・・」と言って薫は去っていきます。
丹波も薫の賢察に恐れ入って、(そうでございましたな)というような笑顔を浮かべて
ジョーの去っていった方を少し見てから、薫の後について去っていったのでした。

ここでやはり薫にシンケンレッドのオーバーラップがありました。
オーバーラップにはそんな厳密な法則性は無いようです。
単に一番カッコいい場面でオーバーラップがあるとでも思っておいたほうがいいでしょう。
一瞬、デカレンジャー篇のバンの時みたいに、
最後に丈瑠が薫を迎えにでも現れて丈瑠にシンケンレッドがオーバーラップでもするのかもしれないとも思っていたのですが、
そういうことはありませんでした。

結果的には、そういう演出にならなくて良かったと思います。
ここまで薫が大活躍する展開で、最後にいきなり出て来た丈瑠に
シンケンレッドが重なってしまっては、薫の立場がありません。
デカレンジャー篇の時は、ドギー中心の展開でいきなり最後に出てきたバンが
デカレッドに重なって美味しかったわけですが、
ドギーはあくまでドギーでありデカマスターなのであって、
デカレッドではないので、別にあれでいいのです。
デカレッドはバン1人しかいないのですから、
バンにデカレッドが重なる展開しか有り得ないので不自然さは全く無い。

しかし薫の場合はれっきとしたシンケンレッドなのです。
シンケンジャーは本物のシンケンレッドが2人いるという前代未聞の作品なのです。
本物のレッドである薫がこれほど大活躍していて、
それで最後にちょろっと出てきたもう1人のレッドに
シンケンレッドのオーバーラップ演出を持っていかれてしまったら、
まるで薫が偽物のシンケンレッドみたいです。
むしろこっちの方が本物だったのに、それはいくら何でもあんまりです。
だから今回は薫にシンケンレッドがオーバーラップする演出で正解でした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:38 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月18日

第12話「極付派手侍」感想その6

ジョーを除くマーベラス一味の4人とザンギャック軍との戦いは、
デラツエイガーの剣の一閃で変身解除されたマーベラス達が
生身のままゴーミンやスゴーミンに取り囲まれて戦い続け、大ピンチに陥っていました。

ここでの素面役者陣たちの生身アクションが素晴らし過ぎます。
前回も見事な生身アクションを披露してくれましたが、
前回はゴーミン達をやっつけるアクションで、今回は逆に、主にゴーミン達にやられるアクションでした。
殴られたり抑えつけられたり、突き飛ばされて地面を転がったりという、結構ハードなアクションです。
そしてその中でそれなりにちゃんと反撃もしているので、
アクションが本職ではない素面役者の動きとしてはかなり高度です。

もちろん危険な部分はスタンドインがあるのですが、
前回同様、撮影と編集が巧みであることと、
素面役者の動きの技術はもちろん本職には及ばないものの、かなりキレが良いので、
編集で繋いでも全く違和感がありません。

そもそも、生身アクションのスタンドインというのは
今回の薫役の夏居瑠奈ちゃんのようなゲストキャラの場合はバックショットは全部スタンドインであろうけれども、
レギュラーキャラの場合は全身で回転したり地面に叩きつけられたりする場合のみがスタンドインであるそうですから、
ここでのハードなやられアクションの大半は素面役者陣が自ら演じているようです。
そう考えると、今年の素面役者陣のアクションスキルは例年になく高いといえます。

ゴセイジャーは素面アクションはほとんど無かったし、
シンケンジャーは素面アクションは充実していたが主に剣術アクションであって、
今回のような全身を使ったアクションは少なかった。
ゴーオンジャーは素面アクションはメットオフの設定があったから意外と多かったが、
全体的にユルい作風だったのでそんなにアクション全般がハードではなかった。
ゲキレンジャーは素面アクションは多かったが、
シンケンジャーの剣術同様、拳法という型があるので意外とハードにはならなかった。
だいたい型というものが無いアクションの方が何でもアリになってキツくなるものです。
ボウケンジャーはどちらかというと頭脳戦やハイテク戦がメインであったし、
マジレンジャーは素面でも魔法で戦う遠距離戦が多く、
デカレンジャーも素面アクションは充実してましたが、
やはりガンアクションという型があり、ゴーカイジャーほどに何でもアリの泥臭い感じはありませんでした。

こう比べてみると、やはり今年はアクションはかなり気合いが入っています。
もちろんスーツアクターさん達のアクションも凄いのですが、
今年の素面役者陣は非常に頑張っているといえるでしょう。
ここでの素面アクションでは、特にアイムの白いドレス姿で
ボコボコにやられるアクションが鮮烈な印象です。

結局、4人とも遂に立ち上がれなくなってしまい、
デラツエイガーは「どうやらここまでのようだな!消えろ!」と、
4人にトドメを刺そうとしてゴーミン達を引き連れて4人に迫ります。
その時、マーベラス達の背後から青い閃光が走り、デラツエイガーたちを吹っ飛ばします。
ハッとして4人が後ろを振り向くと、ジョーがゴーカイサーベルを手にして歩いてきていました。
ようやく駆けに駆けていたジョーが戦場に到着し、
ジョーの剣の一閃が発した衝撃波がデラツエイガー達を吹っ飛ばしたのです。

「き・・・貴様!?」とデラツエイガーはジョーの姿を見て驚きます。
というか、なんでデラツエイガーはゴーカイジャーが1人足りないことを
これまで不審に思っていなかったのか、ちょっと疑問です。
ワルズ・ギルからシドとジョーの因縁の話を聞いて、
てっきりジョーが戦意喪失したと思っていたのかもしれません。

マーベラス達4人は立ち上がって、ジョーを出迎えます。
ジョーはマーベラスの前に立ち止り「遅くなって済まない」と詫びます。
マーベラスは無言で、横でルカが「別にぃ?いい肩慣らしになったし!」と笑って言います。
「そうです!ちょうど温まってきたところです」とアイムも嬉しそうに笑いながらジョーを見つめます。
「どうせならもうちょっと遅くても・・・」とハカセも冗談を言いながら、痛そうに怪我したところを押さえます。

どう見ても大ピンチだったので、みんな虚勢を張っているように見えますが、別に強がっているわけではありません。
本心からジョーが戻ってくることを全く疑わず信じて戦っていたので、
肉体的にはキツくなっていましたが、精神的にはまだまだ余裕は有ったのです。
敵と戦いながら、しっかり敵の強さを測って、
今の自分達ならばジョーが来て5人揃った段階で一気に逆転出来るということが確信出来ているわけですから、
まだまだ調子に乗っている敵を凌ぎつつ、少しずつ敵の兵力を削っていく作業の段階だっただけのことです。
いや実際はやっぱりヤバい状態になっていたのですが、彼らの心の中は100%そういうつもりだったということです。
ジョーが来ないのではないかなどと不安に思う気持ちは微塵もありませんでした。

そういうわけで、ルカ達は全くいつもの日常と同じ気楽なノリであるわけですが、
実際のところ、ジョーは不審な置手紙を残して失踪していたわけですから、
この再会は本来はとても尋常な状態ではないはずです。
それなのに虚勢でも何でもなく、ごく自然に普段と同じ揺るぎない信頼を示しているわけですから、
ルカ達はむしろ普段とは違うといえます。
それがどうしてなのかはジョーにはよく分からなかったが、
これが薫が「海賊衆の絆、見せてもらった」と言っていることと何か関係があるのかとも思い、
フッと笑みを浮かべます。

そこでマーベラスが口を開き「背中・・・頼むぜ」とジョーに向かって言います。
普段マーベラスはこんなことは言いませんから、
やはり薫に昔話をしたことによってマーベラス自身がジョーとの絆の本質を再確認したようです。
ただ、ジョーはマーベラスが薫に昔話をした時はその場に居なかったわけですから、
いきなりこんな簡潔すぎる言葉だけ言われても意味が分からない可能性もあります。
これは、ジョーならあの時に結んだ絆のことを覚えているはずだという絶対的信頼を
マーベラスが持っているからこそ出てくる言葉です。
これに対してジョーが「ああ・・・任せろ・・・!」と力強く応えて、マーベラスはニヤリと会心の笑みを浮かべます。
この短い遣り取りで、2人は改めて強い絆で結ばれたのです。

ここで5人はモバイレーツを出して、再び豪快チェンジでゴーカイジャーに変身し、
襲いかかってくるゴーミンやスゴーミン達と戦闘を再開します。
ここで素晴らしいのがルカで、
変身するなり、「ほら、ジョー!」と、自分のゴーカイサーベルをジョーに渡してしまいます。

ここの戦闘場面、素面アクションはハカセやアイムはずっと得意の銃一丁だけで戦っており、
マーベラスとルカは剣一本だけで戦っていました。
ルカはやはり剣の方が得意であり好きなわけです。
ところがその剣を戦闘再開早々にジョーに渡してしまい、銃一丁だけで戦うのです。
これは特別な意味があっての行動と解釈せざるを得ません。
おそらくルカはマーベラスの昔話を聞いて、更にさっきの2人の遣り取りを聞いて、
今ここでマーベラスとジョーがやりたいであろうことが分かったのでしょう。
それで気を利かせたわけです。
やはり最初の2人と一番長く一緒にいるルカが、この2人のことを一番よく分かっている。
そういうことがよく分かる良いシーンです。

ルカは剣をジョーに渡してゴーミン達に向けて突撃していき、ハカセとアイムも一緒に駆けていきます。
ところがルカから剣を黙って受け取ったジョーと、そしてマーベラスはいつものように駆け出していきません。
立ち止ったまま「派手にいくぜ!」と言うマーベラスに「ああ」と応えながら、
ジョーはマーベラスの背中に自分の背中を向け、背中合わせに立ちます。
その周囲にゴーミン達がやって来て、背中合わせに立つ2人を取り囲みます。
周囲をぐるりとゴーミンに取り囲まれた2人が背中合わせに立ち、
マーベラスの手には銃と剣、ジョーの手には二本の剣というこのシチュエーションは、
まさに宇宙の彼方の惑星でマーベラスとジョーが初めて出会った時の戦いと同じです。

「覚えてるか?」と背中越しにジョーが言います。
マーベラスが忘れているはずがないことはもちろん承知で、あの時と同じようにやろうと誘っているのです。
もとよりマーベラスも同じ気持ちですので、「当たり前だ!」というマーベラスの背中越しの返事が合図となって、
2人はあの時と同じように互いの背中を預けて、
周りから襲いかかってくるゴーミン達を見事なコンビネーションで倒していきます。

2人が何故、あの時と同じ戦い方をトレースしようとしたのかというと、
それは2人とも、あの時の気持ちからまた始めようと思ったからでした。
実際、最後の背中越しに上下交差しての反転ハイキックと反転ローキックのコンビネーションまで含めて、
あの回想シーンの素面アクションをここの変身後アクションでほとんど同じようにトレースしているのは見事な演出で、
恐ろしくカッコいいのです。

ジョーの合流で勢いの復活したゴーカイジャーに兵たちが次々と倒されていくのを見て
「バカな!?あれだけ痛めつけてやったというのに・・・まだ足りないのか!?」とデラツエイガーは焦ります。
それに対し、ハカセがゴーミンを撃ちまくりながら「お前には分かんないだろうね!」と言います。
それを受け、ルカが戦いながら「言ってみれば、デザートは別腹?・・・みたいなもんよ!」と説明しますが、
アイムは「・・・それは、いかがでしょうか?」と、戦いながら、やんわりとツッコミます。

ハカセが言いたかったことは、仲間の絆を全員が完全に確認したことでモチベーションが最高潮に達して、
疲弊していた元のパワーに代わって新たな別のパワーが身体から湧きあがってきたということなのでしょうが、
ルカがそれを食べ物に譬えようとして、微妙に間違った説明をしてしまったようで、
アイムが評価に困ってしまったというところでしょう。

そんなので意味が通じたのかどうか分かりませんが、
デラツエイガーは「バカなことを!」と否定しますが、
そんなことを言ってる間にゴーミンもスゴーミンも全滅させられてしまい、
遂にデラツエイガーは1人になってしまいます。
まぁ昨日も1人で戦い始めてからデラツエイガーの圧勝だったので、まだデラツエイガーは勝てると思っています。
しかし今日のゴーカイジャーは昨日とは勢いが違います。

「とどめはこれだ!」とマーベラスが言い、5人が取り出したのは、
この流れならば、もちろんシンケンジャーのレンジャーキーです。
「豪快チェンジ!!」と叫んで5人がシンケンジャーのレンジャーキーをモバイレーツに差し込み回した瞬間、
シンケンジャーのOPテーマ曲のインストバージョンのイントロが流れ、ここから一気にテンションは上がります。
いや、この前の背中合わせアクションのところで既にテンションは最高潮だったのですが、ここで更に一段階、上がります。
レジェンドゲスト回のお約束通り、あの独特のオリジナルの変身エフェクトも踏襲して、
5人はシンケンジャーに変身します。

シンケンジャーには何度か変身しているので、もはや説明の必要は無いとは思いますが、一応言っておくと、
マーベラスがシンケンレッド、
ジョーがシンケンブルー、
ルカがシンケンイエロー、
ハカセがシンケングリーン、
アイムがシンケンピンクです。

シンケンジャーはゴーカイジャーと色の性別が完全に一致している戦隊なのですが、
各キャラのパーソナリティーはかなり違います。
それゆえ、各担当キャラの戦法と、もともとのゴーカイジャーの一員としての戦法も、各自だいぶ違うのですが、
ここでは全員あくまで、シンケンジャーのアクションをトレースするのではなく、
ゴーカイジャーの各キャラの動き重視でやっているように見えます。
ルカは花織ことはのように慎重で堅実な剣法ではなく、ルカらしく刀を担いで突進するイケイケ剣法であり、
ハカセは谷千明よりも更にトリッキーな、いかにもハカセらしい剣法であるというような感じです。

どうも前回のジョーと薫の決闘シーンにしてもそうなのですが、
このシンケンジャー篇では、シンケンジャーのアクションを再現するというよりは、
むしろ、それを超えたものを作ろうとしているように見受けられます。
まぁ超えるというか、タイプが違うということでしょうか。
シンケンジャーのアクションはあくまで正統派のチャンバラ時代劇のアクションが徹底されていて、
豪快チェンジといえども、あまりそれにこだわるよりは、
あくまでゴーカイジャーっぽくやった方がいいのかもしれません。
それで、このシンケンジャー篇ではチャンバラアクションは、
オリジナルよりもスピード感があり、ワイヤーを多用した派手で見栄えの良い、
よりメジャーな感じのものとなっています。つまり「ド派手」ということです。

その典型がマーベラスの「烈火大斬刀・百火繚乱」で、
これはシンケンマルを巨大な斬馬刀状に変形させた烈火大斬刀を用いて
巨大な炎の刃で敵を斬るシンケンレッドの大技ですが、
この技をマーベラスは巨大な烈火大斬刀を片手で振り回しながら身体を倒してジャンプして、
横回転で勢いをつけてデラツエイガーに斬り込んでいます。
「シンケンジャー」本編ではシンケンレッド志葉丈瑠はこんなド派手なことはしていません。
なお、この「百火繚乱」という技名も、「シンケンジャー」TVシリーズ本編では設定だけのもので、
実際にオンエアされた映像中ではこの技名は呼ばれたことはありませんが、
この技名をマーベラスはここで叫んでいます。

「おうりゃあああ!!」と吼えてマーベラスが振り下ろした百火繚乱の炎の刃を、
デラツエイガーは剣で受け止めようとしますが、受け止めきれず、喰らってしまいます。
デラツエイガーの剣力は相当なもののはずですが、それでも烈火大斬刀の威力は受け切れなかったようです。
そこに続いて、シンケンブルーの姿のジョーが先ほど薫から渡された「双」ディスクを取り出し
「使わせてもらう!」と言って右手に握ったシンケンマルに装着し、左手で勢いよく回します。
すると、「双」のモヂカラが発動し、
ジョーの何も持っていなかった左手にもう1本のシンケンマルが出現し、ジョーは二刀流となったのです。
「双」ディスクは、そのディスクを装着した武器をもう1つ増やす能力を持っていたのです。

「シンケンジャー」最終幕でも、丹波から「双」ディスクを受け取った丈瑠が
烈火大斬刀を「双」ディスクで2本にして、烈火大斬刀の二刀流でドウコクと戦い、
勝利への突破口を開きました。
ここではジョーは普通のシンケンマルに「双」ディスクを装着したので、
シンケンマルの二刀流スタイルとなったのです。
シンケンジャーには二刀流の戦士というものはおらず、
せっかく二刀流が得意なジョーがその能力を最大限に活かせない戦隊であったのですが、
ここで薫と丹波というキャラを使って「双」ディスクという、シンケンジャーの標準装備ではないアイテムを登場させ、
自然かつドラマチックな形でジョーのシンケンブルーでの二刀流という、
なかなか実現困難なスタイルを実現させてしまいました。これは非常に上手いです。

そして、こうして二刀流になったからには、
これはもうシンケンブルー池波流ノ介の剣術ではなくジョーの剣術ですから、
思いっきりド派手にはっちゃけます。
荒唐無稽なワイヤーアクションで空中を猛然と移動しながら
ジョーとデラツエイガーの剣と剣がぶつかり合います。
そして剣の勝負はジョーに軍配が上がり、デラツエイガーは撃墜されるように地面に叩きつけられてしまいます。

ここでマーベラス達はゴーカイジャーの姿に戻ります。
剣の勝負はついたということです。
デラツエイガーは悪者ではありますが剣に生きる武人です。
剣の勝負で立て続けに敗れ、自らの敗北を悟り、
「何故だ!?・・・何故、急にこれほどの力が!?」と悔しがります。

よく考えてみれば、デラツエイガーという怪人は登場からここまで一貫して剣だけで戦っています。
このデラツエイガーの剣術の前に、ゴーカイジャーの多彩な攻撃は全て跳ね返されてきましたが、
よく考えると、前回の勝負では、まともに剣と剣の勝負だけはしていませんでした。
最初のジュウレンジャーではマーベラスだけが龍撃剣を使って他の4人は別の種類の専用武器を使っており、
ダイナマンは体当たり技のスーパーダイナマイトを使っただけで、
続いてのギンガマンでは、やはりマーベラスだけが星獣剣を使って、ジョーはバリゾーグと戦って不在で、
残り3人はやはり剣ではない武器を使っていました。

要するに、これらのスーパー戦隊の力が弱かったわけではなく、
デラツエイガーぐらいの強者相手の場合は、豪快チェンジも相性というものがあるということなのでしょう。
この一連の戦いの中でデラツエイガー相手に善戦していたのは剣を使っていたマーベラスだけで、
それでも戦隊は5人ないし6人で戦うのが基本ですから、1対1では分が悪かったといえます。
また、前回の戦いで最後にゴーカイジャーの姿に戻ってからは
ゴーカイサーベルを使って戦って割とデラツエイガー相手に善戦していました。
つまり、デラツエイガーには剣で戦うのが最も有効だったのです。
剣には剣で対抗して、剣の力で撃ち破れば、デラツエイガーは割と簡単に倒せるのです。

だから本当はギンガマンなんかは全員が星獣剣で戦えば勝てたかもしれないのですが、
そこはあえてそうしなかったのは、
シンケンジャー篇ですからシンケンジャーに美味しいところを残しておかねばならないというストーリー上の都合でしょう。
結局、デラツエイガーという剣に特化した今回の怪人は、
最も剣に特化した戦隊であるシンケンジャーの噛ませ犬として登場したようなものといえます。

ただ、もしギンガマンで全員が星獣剣を使って5人でかかっていたとして、
それでデラツエイガーほどの強者に勝てたのかというと、それはやはり違うでしょう。
何故なら、まだゴーカイジャーはギンガマンの全ての力を使いこなしていないからです。
それはつまりギンガマンの関係者のレジェンド戦士とまだ出会っていないからです。
となると、前回の戦いの時点でシンケンジャーに豪快チェンジして戦っていたとしても、
やはりゴーカイジャーは勝てなかったといえます。
今回の戦いで勝てたのは、もちろん最も剣を極めた戦隊であるシンケンジャーであったからでありますが、
それはあくまでシンケンジャーの全ての力を使いこなしていての話です。
そこが最も大事なポイントです。

よって、ここでマーベラスはデラツエイガーに向かって
「教えてやる!俺たち5人は強い絆で結ばれた仲間だからよ!」と言い放つのです。
強い絆を再確認したことによって、
マーベラス達はシンケンジャーの力を全て使いこなすことが出来るようになり、
そのフルパワーの剣の力でデラツエイガーの剣を破り、完全勝利をおさめたのです。

「決めるぞ!!」とマーベラスが言うと、5人はゴーカイサーベルにレンジャーキーを差し込み、
ファイナルウェーブをデラツエイガーに向けて一斉に放ちます。
最後、デラツエイガーも剣でファイナルウェーブを弾き返そうとするあたりはさすがに武人の意地ですが、
既に敗北を悟った剣に力は無く、ファイナルウェーブに斬り裂かれ、爆発して果てました。

ギガントホースではワルズ・ギルが「うおおお!?バカな!デラツエイガーが!?」と喚き、
巨大化光線が毎度のごとく発射。このあたりの省略っぷりが泣けます。
復活巨大化したデラツエイガーは、ヤケになったのか
「こうなったら街を破壊しまくってやる!」と言って街に向かい、ビルを斬ったりして暴れます。
これに対してゴーカイジャーはガオゴーカイオーで攻撃します。
このあたりの省略っぷりも凄い。
ガオライオンが天から降りてくる描写も無く、いきなりもうケンタウロス状態になってます。

そして、いきなり決め技の豪快アニマルハートを発射。全く容赦ありません。
ところがデラツエイガーはなんとガオライオンの口から発射されたアニマルハートの光線を剣で受け止め、弾き飛ばします。
さすがは剣以外にはやたらと強い怪人だけのことはあります。
そして返す刀でデラツエイガーはガオゴーカイオーに斬撃の衝撃波を波状的に浴びせ、
ガオゴーカイオーは防戦一方となります。
この巨大化したデラツエイガーにも剣を使った強力な必殺技が有効なのでしょうが、
巨大戦においてはゴーカイジャーは剣に特化した必殺技はまだ持っていません。

この大ピンチに、ガオゴーカイオーのコクピットで突然、シンケンジャーのレンジャーキーが浮かんで光ります。
ジョーは驚いて浮かんでいるシンケンブルーのレンジャーキーを掴み
「シンケンジャーのカギが光った!?」と呟きます。
なんだか、まだ「大いなる力」の獲得プロセスを把握してないっぽいですが、
まぁジョーは今回が「大いなる力」獲得の初担当だったので仕方ないでしょう。
彼ら5人とも、シンケンジャーの大いなる力を獲得するカギとなる言葉が
「絆」だったことにも気付いているのかどうか不明ですが
、マーベラスは薫が自分達を認めてくれたことは分かったようで
「あいつがくれたのか・・・!」と、シンケンレッドのレンジャーキーを掴んでカギ状に変形させ
「レンジャーキー!セット!レッツゴー!」と
全員一斉にシンケンジャーのレンジャーキーをコクピットに差して回します。

すると、なんとガオゴーカイオーの下半身を構成しているガオライオンが前足部分だけ残してバラバラに分離して、
その獅子の顔がゴーカイオーの胸部ハッチに収納され、
両方の後ろ脚がゴーカイオーの両腕のハッチに収納され、
尻尾は志葉家の家紋の刻まれた兜の形に変形してゴーカイオーの頭にかぶさります。
そして両脚のパーツと共にハッチに収納された全てのパーツが展開して開くと、
胸部ハッチには獅子の口から「火」という赤い文字、
右腕のハッチには「天」という桃色の文字、左腕のハッチには「土」という黄色い文字、
右脚のパーツには「木」という緑色の文字、左脚のパーツには「水」という青い文字の
それぞれ刻まれたパーツが現れます。
そして、ゴーカイオーが持っていた2本のゴーカイケンとガオライオンの背中のパーツが繋がった
両刃の薙刀を手にしてブンブン振り回します。

これはシンケンジャーの侍巨人シンケンオーの姿に酷似した、巨大でド派手な侍の姿です。
そして、なんと波しぶき立つ岩壁に立って見栄を切るという、
「シンケンジャー」本編におけるシンケンオー登場シーンのエフェクトまで再現し、
「完成!シンケンゴーカイオー!」とマーベラスたちは叫びます。
なお、このエフェクトでシンケンゴーカイオーの横に
マーベラス一味の海賊旗がはためいているのはゴーカイジャーらしさといえます。
これがシンケンジャーの大いなる力、すなわち、「極付派手侍」、並はずれて派手な侍というわけです。
それにしてもガオライオンが変形してシンケンゴーカイオーのパーツになるというのは意外な展開で、
ゴーカイオーのハッチシステムの新たな遊び方といえます。

こうして出現したシンケンゴーカイオーに対して、
デラツエイガーは膨大な数の巨大スゴーミンを出現させて応戦します。
巨大化光線も浴びていないのに、どうしてこんなに一気に巨大スゴーミンが出現するのか全く謎ですが、
もうこの際どうでもいいです。
やっぱりシンケンジャー篇なら、巨大戦での1対多のチャンバラアクションが無ければ話になりません。

「うお〜!?何じゃこりゃあ!?」と松田優作のように驚くハカセに、
ジョーが「焦るな!これなら一気だ!!」と叱咤して全員で操舵輪をギュンギュン回します。
するとシンケンゴーカイオーは薙刀でスゴーミン達をバッサバッサと斬り伏せていき、
遂には頭上で薙刀を大きく回した剣撃でスゴーミン達を一気に全滅させます。
「バ・・・バカな!?」と驚くデラツエイガーも斬り伏せたシンケンゴーカイオーのコクピットでは
ジョーが「そろそろ終わりにするか!」と言うとマーベラスが「ああ!」と応じ、
ここでなんとシンケンゴーカイオーの手から巨大な烈火大斬刀が出現します。
ともかくデカいです。シンケンゴーカイオーの5倍ぐらいある荒唐無稽な大きさです。
巨大戦の烈火大斬刀という発想は「シンケンジャー」本編では無かったもので、これは意表を突かれました。

「おおおりゃああ!!」とマーベラスが思いっきり操舵輪を回すと、
シンケンゴーカイオーは「ゴーカイ侍斬り」という技を発動します。
まぁ技といっても、この巨大すぎる烈火大斬刀をデラツエイガー目がけて振り下ろすだけという、
まさに豪快な技なのですが、
デラツエイガーは止せばいいのにこれも剣で受け止めようとして、
剣もろとも真っ二つになって爆発四散して果てます。

エピローグは、戦いが終わって夕焼け空の下、ビルの上で並んで佇むマーベラス一味の5人のシーンです。
「やっぱりいいなぁ!5人でいるのが・・・」とハカセが嬉しそうに言います。
今回の件で、5人の絆を再確認したことを象徴したセリフです。

結局、ジョーの様子がおかしかったことや、
置手紙に書いていた「1人でケリをつけたいこと」が何だったのか、いや、そもそも置手紙の件すら、
誰もジョーに突っ込もうともしません。
4人とも、ジョーとの絆に絶対の確信を得たので、もはやそんなことはどうでもよくなったのです。
確かに何かがあったのだろうけれども、こうしてジョーが帰ってきたということは、
それはしっかりケリがついたということだと分かっているのです。
いや、ケリなどついていなかったとしても、それでもジョーはきっと戻ってきて、
何ら変わらないはずだとも思っているので、他の些細なことなどどうでもいいのです。
だから全く気にならない。
それなら、あえてジョーが言いたくない話に突っ込む必要など無いと、4人は思っています。

ジョーもまた、どういうわけか皆がやけに自分を信頼してくれていて、
もう今日の件は気にしておらず、話題にする気もないことも分かっているので、
あえてシドの話をしようともしません。
それに、シドの件はケリがついた問題なのでジョーとしてももう重要ではない話です。
あえて話題にする必要もありません。

そうして、いつもと変わらない、しかし確かに5人の絆が深まった宝探しの日常に戻っていくのです。
が、その中でアイムは少し悪戯心を出してジョーの前に歩み寄って立ち止り、じっとジョーの顔を見ます。
ジョーはアイムにそういうことをされるのが苦手で、視線を逸らして「・・・何かついてるか?」と問います。
するとアイムが「いえ・・・ジョーさんも意外と熱いセリフをおっしゃっていたんですね・・・マーベラスさんには!」と
ニコニコして答えたので、ジョーはギョッとします。

アイムはマーベラスとジョーの熱い男同士の遣り取りがちょっと羨ましいので、
ちょっと嫉妬して、何だかからかいたくなってしまうのでした。
ここでアイムの言う「熱いセリフ」とは、「付き合うぜ・・・夢の果てまで・・・」的なやつのことでしょう。
ジョーは基本的に目立った熱いセリフは言わない。
熱い心はありますけど、そういう場合は言葉より行動で表現するタイプなので、
「熱いセリフ」というのはほとんど心当たりはありません。
それでアイムが知らないでマーベラスに向かって言ったセリフといえば、
「付き合うぜ・・・夢の果てまで・・・」的なやつぐらいしか思い当たらないようでした。
というか、ジョーは実はこれはさすがに言った後でクサすぎたと思って少し後悔していたのかもしれません。

それで顔を赤くしてジョーはキッとマーベラスの方を睨み「お前・・・何を話したんだ?」と問い質します。
マーベラスはじっと前を見て少ししらばっくれてから、ジョーの方に向き直りニヤリと笑うと、
いきなりガクンと崩れ落ちました。
全員慌ててマーベラスに駆け寄ります。
そういえば、あんまりマーベラスが元気なので忘れていましたが、マーベラスは背中に重傷を負った身でした。
また傷が開いたのではないかと皆、一瞬心配したのですが、
マーベラスはしゃがみこんだ姿勢で腹をグルルル・・・と鳴らし、
顔をムクッと上げて「・・・メシだ・・・!」と言ったのでした。
また単に腹が減っただけだったようです。

あるいは、マーベラスがジョーの追及にまともに応えてしまうと、
マーベラスが昔話をしたという話題になり、すると皆がジョーを心配していたという話になって、
ジョーの置手紙の話に発展していくので、
それを上手く誤魔化すためにマーベラスが上手く演技をして話を打ち切ったというふうに解釈も出来ます。
まぁ普通のレッドならそういう解釈でいいとは思うのですが、
どうもマーベラスの場合、単に急に腹が減ったという解釈でいいんじゃないかと思えます。
まぁ精一杯好意的に解釈しても、
余計な話をしてしまってジョーが怒ってるので腹が減ったフリをして誤魔化したという程度でしょう。
いや、別にマーベラスがバカだと言ってるわけではなく、
変に腹芸をやるようなタイプじゃないということです。
マーベラスは非常に率直な男なのです。

ルカもハカセも変に深読みはせず、アイムも「もうマーベラスさんったら!」と笑い、
「腹減った・・・」と呻くマーベラスを皆で抱えて、夕食のメニューの相談をしながらガレオンへ帰ろうとします。
そうした4人の後姿を見ながらジョーは温かな気持ちに包まれていました。
どうやら自分の留守中にマーベラスが皆に自分との出会いの時の話をしていたことが分かったのです。
それはつまり、皆がやはり自分が急にいなくなったことをかなり心配してくれていたということです。
そして、マーベラスの話を聞いて、皆、自分のことを信じてくれたのです。
薫が言っていた「海賊衆の絆」というのは、そのことを指していたのだということにジョーは気付きました。

皆、そうして自分との絆を確信してくれたからこそ、
こうして普段通りに何も言わず帰っていこうとしているのだろうけれど、
それはちょっとズルいとジョーは思いました。
何故なら、そんなに普段通りにふるまわれたら、
自分もそれに合わせて普段通りに振る舞わないといけなくなります。
でも、今こうして、自分の留守中に皆に心配をかけたこと、
それでも皆が自分を信じてくれたことなどが分かってしまった以上、
何か一言、詫びなり感謝なり、
いや、せめて皆の仲間に戻って来ることの出来た嬉しさを示す言葉の1つでも言わないと、
自分の気が済まないのです。

それでジョーは帰ろうとしている4人の後姿に向かって小声でボソッと「・・・ただいま・・・」とだけ言いました。
それがあまりに小声だったので、皆、よく聞きとれず「え?」と振り向いて聞き返しますが、
ジョーは微笑んで「なんでもない・・・メシだメシ・・・!」と言うと、皆の夕食のメニューの相談に加わり、
一瞬だけ、皆に素直な気持ちを伝えた後は普段通りのジョーに戻ったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:28 | Comment(0) | 第12話「極付派手侍」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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