2011年06月22日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その1

今回は前回の第15話に続く前後篇の後篇です。
前回はバスコというマーベラスの過去の仲間で裏切り者キャラが登場して
計略をもってジョー達4人を拉致して連れ去ってしまい、マーベラスが1人取り残されてしまうというお話でした。
その後の顛末が描かれるのが今回の第16話ということになります。

そこで前回の出来事のポイントですが、大きく3つの要素がありました。
1つはバスコというライバルキャラの登場。
1つはマーベラスの過去の描写。
そして1つはレンジャーバトルです。
それらがこの後篇ではどのように継続して描かれたのかというと、
結論を言えば、大して深く突っ込んで描かれはしませんでした。

まずバスコというキャラについて深く描写されることはありませんでした。
前回の最後にバスコがマーベラスに対して言った
「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」という言葉を軸にして今回の話は進んでいくのですが、
今回に限っては、バスコというキャラはマーベラスに対してこの命題を投げかけるためだけに存在している印象です。
いや、バスコというキャラ自体のこの物語世界での存在意義の根幹がこの命題にあると思われますから、
今回はこのバスコというキャラの根幹を確かに描写しているのですが、
今回はその命題に対するマーベラスの回答を描くことに焦点を絞っており、
バスコ自体の内面はまだ詳細には描写されていません。

例えば「シンケンジャー」において志葉丈瑠が腑破十臓の出した命題に対してキッパリ切り返すことが出来ず苦悩し続けたように、
バスコのこの命題に対してマーベラスが上手く切り返すことが出来ず苦悩が続くというのなら、
バスコというキャラの存在意義は十臓のように大きく維持され続けます。

しかし丈瑠の場合は影武者であるという特殊事情と、丈瑠自身の影のあるキャラに
そうした隠れて苦悩する姿がマッチしていたので、そういう描写が成り立ったのであって、
マーベラスという陽性のキャラの場合はバスコに対して痛快に切り返す方が似合っています。
だから今回、マーベラスはバスコの命題に対してちゃんと切り返しをします。
しかし、そうなると、ある意味上手く論破されてしまったバスコというキャラの存在意義が十臓などに比べると薄らいでしまいます。
そこでバスコというキャラの存在価値をまだまだ強く維持していくために、
現時点ではまだバスコの内面にはあえて触れず、まだ奥のあるキャラとしているのでしょう。

バスコがどうしてレンジャーキーやラッパラッターを持っていたのか、
どうしてアカレッドの秘密を知っていたのか等、バスコ自身にまつわる謎も謎のままで今回は終わっています。
今後、その「奥」の部分が描写されることによって、
今回は論破されてしまったバスコの信条が再び説得力のあるものとして甦ってきて
マーベラス達に突き付けられるという展開も期待出来るというものです。

また、このバスコの登場に関連してザンギャックが「宇宙最大のお宝」争奪戦に加入してくるという展開も期待されるのですが、
そのポイントになりそうなバスコとダマラスの関係については今回の後篇では全く描写はありませんでした。
前回、かなり思わせぶりな伏線が描かれているので、この2人の関係の今後が描かれるのはまず間違いないとは思いますが、
それをいきなり今回に描いてしまうのではなく、いずれまた後の機会に回したということでしょう。
このあたりはじっくり描くのもまた良いと思います。

そして、そうしたじっくりした展開という意味では、
マーベラスの過去、特に「赤き海賊団」の過去について
前回に引き続いて更に深く踏み込んだ回想が殆どなされなかったのも同様のことでしょう。
マーベラスが前回仲間たちに語った「赤き海賊団」に関する話だけが過去の想い出話の全てであるはずもなく、
ましてや今回はかつての仲間のバスコとの対決エピソードであるだけに、
更なる過去の回想シーンが出てきても不自然ではない展開でした。
しかし、そういう回想をあまり多く出すことは自粛されている感じです。

特に前回、バスコがマーベラスに「アカレッドが自分たちに隠し事をしていた」と暴露したわけですから、
マーベラスがそのことで悩んであれこれとアカレッドの回想をして、
アカレッドの秘密に迫っていくという展開があってもおかしくありませんでした。
しかし、今回はまだ「赤き海賊団」もアカレッドも謎の部分は謎のままにしておくという方針のようです。
それはやはり、物語の展開を急ぎすぎないという大きな方針によるもののようです。

ただ、そうは言っても、マーベラスが前回バスコの言葉によってアカレッドに不信感を抱いてしまったのは事実であり、
それをそのまま放置するわけにはいきません。
特にマーベラスというキャラが「苦悩」が似合わない痛快キャラである以上、
それは他の主人公キャラよりもいっそう放置は厳禁となります。
スッキリした形でその問題に関しては決着はつけておいて、次回に持ち越しにはならないようにしないといけません。

そのために今回は1つだけ過去の回想シーンが出てきます。
それがマーベラスとアカレッドの最初の出会いのシーンであり、
ここにおけるアカレッドの言葉によって
マーベラスはバスコの突き付けた命題に対する切り返しの端緒を掴むことになるのですが、
同時に、そのことを通してアカレッドへの不信感も解消させていくことになります。

そしてレンジャーバトルに関しては、
今回は前回の鬱な終わり方を吹っ飛ばすようなマーベラス達の鮮やかな逆転勝利を描いたために、
バスコは手持ちの追加戦士のレンジャーキーを奪われてしまい、
今後のレンジャーバトルが不可能になってしまったかのようになってしまいました。
作風的には「ゴーカイジャー」は明るく痛快な活劇なので、
今回のようなマーベラス一味の完全なる逆転勝利を描くのが正解だと思います。
むしろ「仮面ライダーオーズ」のメダル争奪戦のような複雑な取ったり取られたりを繰り返す
レンンジャーキー争奪戦はあまりしつこく描かない方が良いのかもしれません。

しかし前回見たように、レンジャーバトルは非常に魅力的です。
だからそれが見られなくなってしまうのは寂しい。
そこで今回は最後にバスコがまだ他に10本のレンジャーキーを所有していたということが
視聴者に示される(マーベラス達は知らない)ことで、
再びレンジャーバトルを見ることが出来るという可能性は示しています。
もしかしたら、それを足掛かりにしてバスコがマーベラス達から
他のレンジャーキーを幾つか奪うという展開も今後は無いこともないでしょう。
まぁ結局、今後のレンジャーバトルの展開については現時点ではほとんど未知数といっていいでしょう。

ただ、どうも今回の終わり方を見て感じることは、
レンジャーバトルが今後のバトルのメインになるというわけではないという印象でした。
やはりバスコの手持ちのレンンジャーキーが残り10本では、やや寂しく、
ここから大々的なレンジャーバトルというわけにはいかない。
やるとしても要所要所での的確なレンジャーバトルを仕掛けてくることぐらいでしょう。

ただ、むしろレンジャーバトルが非常に魅力的なものであるからこそ、
あまりやり過ぎないで、要所要所で有効に使うのが正解ではないかと思います。
その方がレンジャーバトルの魅力は色褪せないであろうと思われるからです。
通常のゴーカイジャーとザンギャック行動部隊とのバトルが魅力的でないというのなら
レンジャーバトル一色にした方が良いでしょうけど、
通常のバトルもかなり面白いのであるから、レンジャーバトルは要所要所に配置するのがベストだと思います。
それならば、バスコの手持ちレンジャーキーは少ない方が正解だと言えます。

このように見てみると、前回のお話で出てきた今後の物語に向けての幾つかのポイントについては
今回はあまり深く突っ込んでいないことが分かります。
この前後篇はそれらのポイントについては前篇で種蒔きだけしておいて、
その後の展開は今後に繋げるだけに留めておくのが役割であったようです。
だから今回の後篇でそれらのポイントについて深く突っ込むことはなく、ほとんどスルーされています。

では今回のバスコ登場の前後篇において主題となっているのは何かというと、
要するにバスコがマーベラスに投げかけた「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」という命題に対して
マーベラスがどのように切り返すのかという点に焦点は絞られているといえます。
そういう意味では今回は非常にシンプルなエピソードなのですが、
そのマーベラスの回答がそのまま「ゴーカイジャーという戦隊の本質」を表しているので、
非常に今回は重要なエピソードとなっています。

その重要な回答を導き出すのに際して、主人公が思い悩む過程というのが1つのドラマの見せ場となることが多いわけですが、
マーベラスという主人公は「単純明快」「果断実行」を魅力とするキャラなので、
ああでもないこうでもないと思い悩むのは似合いません。
むしろ知能指数の低そうな行動が似合うキャラであり、今回もその悩む過程もかなり頭の悪そうな行動をとります。
要するに深く考えずにただ荒れ狂うのですが、この頭の悪そうな荒れっぷりがよく似合いますし、
こういう野蛮な振る舞いからこそ感情の深さが読み取れる、なかなか面白いヒーローとなっています。
そして嵐のように荒れ狂うのもそんなに長く引っ張らず、
アカレッドとの出会いの際の遣り取りを思い出して、すぐにそこから自分の行くべき道に気付きます。
このあたりの決断の早さもマーベラスらしい単純明快さに溢れています。

ただ悩む過程がこのようにあまりにも単純化されているため、
悩みに悩んだ末に辿り着いた結論の重みというインパクトに欠けるという点と、
そもそも悩むシーンが短すぎるために尺が余ってしまうという点、この2つの問題点があります。
この余った尺を埋めているのが、前半の多くを占める捕まったジョー達の脱走を試みる苦闘のシーンと、
後半の多くを占める大逆転から再度のレンジャーバトルのシーンです。
これらは前者はコミカル要素で、後者はアクション要素で非常にクオリティが高く、
それだけでも十分な魅力と説得力を持ったシーンなのですが、
実はこの両者ともがそれらに挟まれて存在するマーベラスの出した回答と内容的に繋がっているのが素晴らしい。
単なる尺合わせのシーンではないのです。

マーベラスの出した結論は「信じる」ということであり、
前半のジョー達の一見無意味に見える脱走計画のドタバタも、
その根本にはマーベラスを絶対的に信じているという事情があります。
また、ここでバスコが対照的に「誰も信じないキャラ」として描写されています。
そして後半になってからの鮮やかな大逆転のシーンは一見かなりマンガチックで奇想天外ですが、
これぐらい奇想天外でないと用心深いバスコを出し抜けないという事情もあります。

ただこの奇想天外な作戦の本質は、
マーベラスと仲間が固く信じ合っているからこそ成功したという点にあり、
逆に仲間を信じることの出来ないバスコはこのような作戦を予想することが出来なかったゆえに出し抜かれたとも言えます。
そういう点、前半のジョー達の行動やバスコの言動はこの大逆転シーンの伏線となっているのです。
そしてその後の再度のレンジャーバトルに関しては、
前回はマーベラス達が敗れた10人の追加召喚戦士との戦いに
今回はいかにしてマーベラス達が勝利するのかが大きなポイントになるのですが、
そこでもカギとなるのが仲間との信頼関係なのです。

このように今回は全編を通してマーベラス達の「仲間を信じる心」が
誰も信じない敵であるバスコの企みを打ち破るという流れが一貫しており、
かなり痛快で燃える、少年向けヒーロードラマの王道的な話になっています。
この燃える一貫性がマーベラスの出した回答とも一貫することによって、
別にマーベラスがあれこれと思い悩む描写などしなくても、
十分以上にマーベラスの出した回答にインパクトを付与することも出来ているのです。

どうしてそれがマーベラスの出した回答とも一貫しているのかというと、
それは、マーベラスがここで信じようとしたものが何であるのかというのが、
ゴーカイジャーという戦隊の本質に関わってくることであるからです。

詳しくは本編の方を追っていきますが、まず冒頭は前回の粗筋の紹介があり、
そこからガレオンの船室で必死でコンソールのキーボードを叩きまくりながら
モニターを睨んでいるマーベラスのシーンとなります。
マーベラスは前回の最後にジョー達4人を連れ去って飛び立っていったバスコの乗ったフリージョーカーの行方を探っているのです。
もちろん居場所を突き止めてジョー達仲間を奪還するためでした。

船室内ではナビィが「ど〜しよ!ど〜しよ!」と喚きながら狂ったように飛び回っています。
4人が連れ去られたことに動転しているようです。
もちろんマーベラスも動転しており、喚くナビィに苛立って「うるせぇ!!」と怒鳴りつけながら、
コンソールの操作を続けます。
しかし結局、マーベラスはコンソールの縁を掴んで項垂れて
「ダメだ・・・モバイレーツの位置情報が追えねぇ・・・」と悔しそうに呻きます。

例えば第13話でアイムの行方を追ったように、
普段なら4人の居場所はモバイレーツから発信される信号を追えば把握することは出来るのですが、
今回はその信号を見つけることが出来ません。
つまりフリージョーカーにはモバイレーツの信号を遮断する機能が備わっているようです。
バスコ自身が別タイプとはいえモバイレーツを持っているのですから、
モバイレーツのそうした機能は熟知しており、
今回は計画的にジョー達を拉致していった以上、モバイレーツの信号対策ぐらいは当然しているのでしょう。
もちろん海賊船であるフリージョーカーはガレオンのレーダーにも探知されないような機能も備えているのであろうと思われ、
マーベラスは現状ではジョー達を連れ去ったバスコの行方を掴むことは出来ませんでした。

直接、居場所を探知出来ないのならば、居場所を推理するしかありません。
すぐさまマーベラスはバスコの言動から居場所を推理しようとして、
さっきまでの戦いの場でのバスコの言動を思い返してみることにしました。
すると、真っ先に、ジョー達を連れ去っていった時にバスコがマーベラスに対して最後に投げかけた言葉が思い出されます。
それは「前にも言ったろう!何かを得るには、何かを捨てなきゃって!」という言葉でした。

それはかつて赤き海賊団を裏切った際にバスコが吐いたセリフであり、
あの時はバスコが宇宙最大のお宝を得るためにマーベラスとアカレッドを捨てました。
そうした自分の仲間への裏切り行為を正当化するためにバスコはそのセリフを言ったのであり、
捨てられた立場のマーベラスからすればそれは唾棄すべきセリフでした。

さっきそのセリフを言われた時は過去の出来事を思い出して怒りが湧きあがってきたマーベラスでしたが、
今改めてバスコがそのセリフを自分に向かって吐いた理由を考えてみて、
マーベラスはハッとして傍らのテーブルの上を見ました。
そこにはさっきの戦いで最初に5人で撃破して手に入れた5人の召喚戦士のレンジャーキーが置いてあったのでした。
マーベラスはその戦士名を知りませんでしたが、
それはタイムファイヤー、ドラゴンレンジャー、キングレンジャー、シュリケンジャー、デカブレイクのレンジャーキーでした。

この5人の召喚戦士を苦闘の末、マーベラス達5人は倒し、
5人の召喚戦士は5本のレンジャーキーに姿を戻して地面に転がっていました。
ところがその直後に現れた10人の召喚戦士に攻撃されてジョー達はバスコに捕まってしまい、マーベラスも倒れました。
あの時、バスコはこの最初の5人の召喚戦士のレンジャーキーも回収することは出来たはずです。
いや、そもそもマーベラスを捕えることも殺すことも出来たはずなのです。
それなのにバスコはマーベラスだけトドメも刺さずにその場に残し、
しかも最初の5本のレンジャーキーも「マベちゃんにあげるよ」と言って置いていったのでした。

それがどうしてなのかマーベラスにはよく分からず、
とりあえず5本のレンジャーキーを持ってガレオンに戻ったのですが、
今こうして思い返してみて、あの最後の捨て台詞を自分に向けて言うためにバスコは自分を生かしておき、
レンジャーキーも置いていったのではないかと思い至ったのでした。

つまり、かつてバスコがお宝を手に入れるために仲間のマーベラスやアカレッドを捨てたのと同じように、
マーベラスも今回、仲間4人を捨てたのと引き換えにレンジャーキー5本を手に入れたのだという事実を
受け入れさせるのがバスコの狙いだったのではないかということです。
要するにマーベラスに向かって「お前も自分と同類なんだよ」とバスコが嘲笑っている、
そのようにマーベラスには感じられて、激しい怒りを覚えたマーベラスはテーブルに駆け寄ると、
(ふざけんな!)とばかりに思いっきり5本のレンジャーキーを手で払って、床にぶちまけたのでした。

そうして荒々しい息をして立ち尽くすマーベラスの懐のモバイレーツの呼び出し音が鳴ります。
マーベラスが通話に出ると「やっほ〜い!マベちゃん!元気?」と、
バスコから相変わらず軽薄で馴れ馴れしい口調での連絡でした。
バスコが意味も無くジョー達を浚ってマーベラスだけ残しておくはずもなく、
何らかの狙いがあってのことであろうことはマーベラスにも分かっていることであり、
バスコの方から何らかのアクションはあるだろうと予期はしていましたから、
当然ここでモバイレーツを鳴らしてきているのがバスコであることにマーベラスは驚きはしませんでした。

しかし積年の恨みの上に仲間に乱暴されて拉致された怒り、
そして自分をとことん小馬鹿にしたバスコの態度に我慢ならないマーベラスの声は自然に激しい怒気を含んだものとなり、
今にも噛みつきそうな口調で「バスコ・・・!」とマーベラスは通話口で呻くのでありました。
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2011年06月25日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その2

ここでOPテーマとなります。
冒頭のナレーションは「冒険とロマンを求めて〜」の通常回バージョンで、今回は前後篇ですから前回から2回連続の通常回です。
そしてCM明け、「激突!戦隊VS戦隊」というサブタイトルが出ます。
今回再び、レンジャーバトルが見られることを期待させるサブタイトルです。
前回のアレを見ている後だけにワクワク感がより大きいです。
前回より今回の方がこのサブタイトルは確かに有効でしょう。

さて本編が再開し、マーベラスとバスコのモバイレーツでの会話シーンの続きです。
「バスコ・・・俺の仲間に手出ししてないだろうな・・・?」と、マーベラスは通話口の向こうのバスコ相手に凄みます。
手出ししたら容赦しないという威嚇と同時に、無事の確認をまずはしたいという意味もあります。
そんなマーベラスの意思をよく理解しているかのようにバスコは調子よく
「もちろん!・・・声、聴いてみる?」と、モバイレーツの送話口を
フリージョーカーの操縦室の中で縛り上げているジョー達4人の方に向けます。

ジョー達4人は1本の太い鎖で一繋がりで縛り上げられており、
変身アイテムであり通信アイテムであるモバイレーツは念のため取り上げられており、
宇宙猿のサリーが首から下げて管理していました。
鎖で大雑把に縛っているあたり、何とも海賊らしい豪快さであり、
バスコも何だかんだ言って、やはりマーベラス達と同じく海賊なのだなと感じさせる描写です。

ここで4人の対応がそれぞれ個性が出ていて素晴らしいです。
まずモバイレーツの通話口の向こうにマーベラスがいると分かり、声を聞かせるように促されても、
縛られている4人は決して「助けて!」などと女々しい懇願はしていません。
それは、いちいちそんなことを言うまでもなく
マーベラスが自分たちを助けようとしないはずがないという絶対的な信頼があるからです。
それよりも、まずはマーベラスが今は何よりも自分たちの安否を知りたがっているはずだという想いから、
アイムとハカセは「マーベラスさん!」「マーベラス!」と自分の無事を伝えるためにただ声を上げたのでした。

一方、ルカは安否情報以外にマーベラスが救出のためにこちらの状況も更に知りたいだろうと思い、
「大丈夫・・・ちょっと縛られてるけど、みんな無事!」と、現状を冷静に簡潔に伝えます。
バスコは4人を10人の召喚戦士に命じて殺すことも出来たはずなのです。
それなのにあえて殺さずに捕まえた。
つまりバスコは4人を捕まえることが目的であって、
それ以上の危害を加えようとしているわけではないようだった。
そのことにルカも気付いているので、ここは冷静に現状は最悪の状況ではないことをマーベラスに伝えたのでした。

しかし、そうした現状に加えてジョーが「・・・今のところな・・・!」と、
実際は危機的状況であることをバスコの様子を見て直感してマーベラスに伝えます。
ヘラヘラして一見は危害を加える素振りを見せていないが、
バスコが実は凶悪な男であることはジョーには何となく分かるのです。
バスコはそうしたジョーのことを気に食わないと感じたのか、
冷たい目をして立ち上がってジョーの前に立ち、フン!と鼻で笑うと
思いっきりジョーの頭に回し蹴りを食らわせて倒します。

ジョーはしばらく倒れたままで痛そうに蠢いています。
そしてバスコは「おおっとぉ!足が滑っちゃったぁぁ!」と
モバイレーツの向こうのマーベラスに向かってふざけた口調でおどけてみせます。
さっき手を出していないと答えたものだから、
つい足が出てしまったと言い訳しているわけで、なんとも嫌な男です。

マーベラスは通話口の向こうでいきなり誰かが乱暴されたような物音がしたものだからギョッとします。
結局、誰がバスコに蹴られたのかマーベラスには分からないまま、
バスコは間髪入れず「・・・てことでマベちゃん!俺と取引しない?」と持ちかけ、
「こいつら4人と引き換えに、あの日俺が手に入れるはずだったものを全部よこしな!」と言います。
マーベラスは「何!?」と驚愕します。
そこに更に畳み掛けるように「全てのレンジャーキーとゴーカイガレオン、あとナビィ!
・・・宇宙最大のお宝探しに必要なもの全部だ!」とバスコは一気に言います。
マーベラスは呆気にとられて絶句しました。

前回のマーベラスの回想シーンで
アカレッドがレンジャーキーが集まった時点で宇宙最大のお宝を見つけることが出来るようになったと言っており、
それを受けてバスコがお宝を独占するためにレンジャーキーを奪おうとしました。
そして実際、その後レンジャーキーを引き継いだマーベラス達が「宇宙最大のお宝」の在り処である地球にやってきてからは、
小津魁によって「レンジャーキーの大いなる力を引き出していくことがお宝に近づくステップである」と知らされました。

前回のバスコとダマラスとの会話の際の謎めいた独り言から想像するに、
バスコもまたどういうルートからであるのかは不明だが、
そうしたレンジャーキーと大いなる力、そして宇宙最大の宝との関係性のことを幾らかは知っているようです。
だから、ここでバスコがレンジャーキーを求めるのは当然のことのように思えます。
そして更にバスコによるとガレオンもナビィもお宝探しには必要なアイテムのようです。

ナビィは「お宝ナビゲート」という機能を持っていて、
お宝への近づき方やおそらくレンジャーキーの在り処のヒントを告げてくれるので、
お宝探しには必須であるのは分かりますが、
フリージョーカーという乗艦を既に所有しているバスコがあえてガレオンを欲しているということは、
ガレオンにもまたお宝探しに必要な特別な機能があるということになります。
それは何なのかと考えると、ガレオンがゴーカイオーに合体変形して、
レンジャーキーからもたらされる「大いなる力」の受け皿になっているということを指すのでしょう。

しかし、その事実はマーベラス達も地球に来てから初めて知りました。
だからマーベラスは「赤き海賊団」時代にアカレッドからガレオンにそうした秘密が隠されていたことは聞いていなかったはずです。
ならばバスコもそれは知らなかったはずです。
それなのにバスコはガレオンの秘密も知っているようなのです。
だからマーベラスは驚愕しています。

ここで視聴者目線で見ると、
マーベラスがこのバスコの持ちかけた取引に驚いていることの方が意外に見えてしまいがちです。
何故ならバスコは前回、「宇宙最大のお宝のことを諦めていない」とマーベラスに告げており、
ならばマーベラスはジョー達を浚っていったバスコがジョー達の身柄と引き換えに
レンジャーキーとガレオンとナビィを要求する取引を仕掛けてくることを予想していなければおかしいと視聴者は思うからです。
それなのに取引を持ち出されてから驚いているマーベラスがずいぶんと迂闊であるか、
仲間を浚われてよほど動転していたのかという風に見えてしまいます。

しかし、そうではないのです。
マーベラスはバスコがガレオンの秘密もレンジャーキーの秘密もナビィの秘密も何も知らないはずだと思っていたからこそ、
バスコが執拗にこの3つのアイテムを求める取引を持ちかけてくることを予想しておらず警戒していなかったのです。
だから、いきなりそれを持ち出されて驚き、焦ったのです。
どうしてバスコがアカレッドのいない今は自分と仲間しか知っていないはずの
これら3つのアイテムの秘密を知っているのか分からず、マーベラスは絶句してしまったのでした。

ガレオンもナビィももともとは赤き海賊団の船長であったアカレッドが用意したものであるようです。
だからガレオンもナビィもその秘密はもともとはアカレッドしか知らないものだった可能性は高いといえます。
ガレオンの秘密に関してはマーベラスも地球に来てから初めて知ったことですから、
バスコもまたそれを知るはずがないとマーベラスが思うのも当然です。

そしてレンジャーキーに関しても、前回の回想シーンでのアカレッドとマーベラスとバスコの遣り取りを見た感じでは、
マーベラスとバスコはレンジャーキーのことをあまり詳しく知らないまま、
単にアカレッドの指示に従ってレンジャーキー集めに精を出していた印象ですので、
実際に「宇宙最大のお宝」を探すためにレンジャーキーがどのように必要なのかは分かっていなかったようです。
実際、マーベラスも地球に来て初めてそれを知りました。
だからバスコもそれを知っているはずがないのです。
だからマーベラスもバスコが「お宝」への執着は強く持っていたとしても、
今でもずっとレンジャーキーへの執着を強く持ち続けているとは思っていなかったのでしょう。

そしてナビィに関しても、
どうもマーベラスもナビィの「お宝ナビゲート」の要領が未だよく分かっていないようであり、
ナビィの真の機能を知ってからそんなに多く使いこなしていない印象です。
つまりナビィのお宝ナビゲートも、赤き海賊団の時代にはアカレッドがマーベラスやバスコには見せないで
一人でナビィにやらせて情報を得て、それをもとにアカレッドが2人に指示を出していた可能性が高いといえます。
そしてアカレッドがいなくなった後、ナビィを受け継いだマーベラスは
初めてナビィにお宝ナビゲート機能がついていることを知ったのではないでしょうか。
ならば、バスコがナビィの真の機能を知るはずもないわけです。

マーベラスはそう思い込んでいたのです。
だから、ジョー達を浚ったバスコが何らかの取引を仕掛けてくるであろうことは予想していたものの、
まさかレンジャーキーとガレオンとナビィをまとめて要求してくるとは予想しておらず、
バスコの要求はかなりマーベラスには不意打ちであったのでした。

周到な計画を立ててジョー達を浚ってまでして、
この3つをピンポイントで「お宝探しに必要なもの」として強く求めてくるということは、
バスコはこの3つのアイテムの秘密を知っているということです。
どうしてバスコがそんな秘密を知っているのかと驚き、マーベラスは絶句しました。

前回もバスコはアカレッドが自分達には秘密にしていることが多くあったと言っていました。
それは言い換えれば、バスコはアカレッドとは別ルートでそれらの秘密を知ったということです。
そうしたバスコが知り得た秘密の一部が前回バスコが使った追加戦士のレンジャーキーやラッパラッターであり、
更にバスコはマーベラス達が赤き海賊団壊滅後に初めて知ったような秘密も、
その別ルートで知り得たということになります。

いったいどうやって何をどこまでバスコは知ったのか、
マーベラスはバスコの持っている情報の実態が掴めず、焦りました。
それでマーベラスが絶句していると、バスコは「どう?簡単っしょ?」と気軽に訊ねてきます。
バスコはマーベラスがこの取引に簡単に応じて3つのアイテムを差し出してくると決めつけているようです。
しかしマーベラスは深刻な表情で黙ったままです。

いったいどうやってバスコがその情報を掴んだのかはともかく、
その3つのアイテムを手放すということは、
マーベラスにとっては「宇宙最大のお宝」を見つけるという夢を諦めるということを意味します。
それが「簡単」なことであるわけはない。
怒鳴り返して思いっきり拒絶してやりたいところであったが、
それが仲間4人の身柄と天秤にかけられているのだ。
だからマーベラスとしては簡単に拒絶することも出来ない。
かといって夢を簡単に捨てられるわけもない。
結論を出せず、マーベラスは迷い、黙り込みました。

するとバスコは「あら?あららららぁ!?・・・まさかマベちゃん、迷ってる?」と大袈裟に驚いてみせます。
マーベラスが迷うはずはないと決めつけているようです。
何故バスコがこのような決めつけた態度をとるのかというと、
マーベラスがお宝を手に入れるために仲間を捨てたバスコのことをさんざん軽蔑し非難していることを逆手に取っているからです。
「あれほどお宝のために仲間を捨てた自分のことを非難したマーベラスならば、
この場合、もちろん迷うことなくお宝よりも仲間を選ぶはずでしょ?・・・まさか迷ってるの?
そんなわけないよねぇ?」とバスコはマーベラスを揶揄しているわけです。

そのようなバスコの揶揄を受けて、マーベラスは怒りよりも恥ずかしさが込み上げました。
確かに自分は今、一瞬、仲間とお宝を天秤にかけて迷った。
一瞬、仲間を捨てることも考えたのです。
それではバスコと何も変わらない。
黙ったまま思わず目を伏せたマーベラスは、
自分はやはりこの場合、仲間を選んでお宝を捨てるしかないのかもしれないと思い、胸が張り裂けそうになりました。
お宝を諦めるということは、死の間際のアカレッドとの約束を破ることだったからです。
そう考えると、やはり迷います。迷うと、ますます自分が情けなくなります。

そうして黙り込んだままのマーベラスに対してバスコは一方的に
「まぁでも俺はどっちでもいいけどねぇ!この手がダメなら、また他の手考えるし・・・」と言いながら
「ああ!こいつらザンギャックに売っちゃうよ?せめて賞金ぐらい欲しいもん!」と、しっかり脅しはかけてきます。
マーベラスがバスコの要求を拒否すればジョー達はザンギャックに引き渡されてしまうのです。
そうなれば、賞金首のお尋ね者の4人は、やたら賞金額の安いハカセはどうだか分かりませんが、
少なくともジョーとルカとアイムは死刑になるでしょう。
つまりマーベラスが見捨てれば仲間は死ぬのです。
マーベラスの決断は非常に重い決断になります。

マーベラスという男がこういう状況で仲間を見捨てることなど出来ないということはバスコは見切っており、
それゆえ計略に嵌めてマーベラス達を叩きのめしながらマーベラスを殺さずガレオンに戻らせ、
仲間のジョー達を生け捕りにしたのです。
バスコの目的はレンジャーキーとガレオンとナビィであり、
それらを無傷で手に入れるためにはマーベラス達を殺してしまったりガレオンに攻撃を仕掛けたりするよりも、
こうして仲間を人質にしてマーベラスと交渉するのが最も得策であると、最初からバスコは企んでいたのです。

これで十分に仕掛けは整った。あとは時間が経てばマーベラスはきっと折れてくると見たバスコは
「考える時間やるよ!・・・いい答えを期待してるからさ、そんじゃ!」と通話を切ります。
結局、最後の方は黙ったまま通話を終えた形となったマーベラスは、通話の切れたモバイレーツを無言で畳むと、
そのただならぬマーベラスの様子を心配して「マーベラス・・・」と声をかけるナビィも無視して柱に向かいます。

マーベラスは込み上げてくる怒りに満ちた状態でした。
もちろんバスコに対する怒りも大きかったのですが、
それ以上に自分に対して腹が立っていました。
さっきから仲間を捨てることや、アカレッドとの約束を破ることばかり考えている自分のことが腹立たしかったのです。
このままいけば、そのどちらかを選び実行することになります。
もしそうなれば、どちらの場合にせよ、自分はそんな自分を許せそうにない。
しかし、どちらかを選ばねばならないのです。
そう考えるとマーベラスは自分をぶちのめしたくなり、
思わず柱に向かって獣のように吠えながら思いっきり自分の頭をぶつけるのでした。

一方、フリージョーカーでニヤニヤしながらマーベラスとの通話を切ったバスコは、
背中に突き刺さる鋭い視線を感じて振り返り、
その視線がジョー達4人によって睨みつけられたものだと分かると
「おっとぉ!熱烈な視線!」とおどけてみせます。

ジョー達4人はバスコとマーベラスの通話を聞いて、バスコの卑劣な取引の持ちかけに激しい怒りを覚えていました。
「・・・宇宙最大の宝を手に入れるのはアイツの夢だ!・・・大事な人との約束なんだ
・・・その夢を・・・簡単に捨てられるわけがないだろう!」とジョーはバスコを睨みつけます。
ジョー自身、先輩のシドとの再会の約束をずっと捨てることが出来ず、
いや、むしろ大事な人との約束であるからこそ、それを心の支えにして生きて剣の腕を磨いてきました。
シドが死んだとハッキリ分かったことで、再会の約束が果たせないことが分かり、
ジョーはその再会の夢を捨てることが出来た。いや、断腸の思いで捨てることを余儀なくされたのです。

そのジョーを救ってくれたのはマーベラスが見せてくれたお宝を見つけるという夢でした。
そしてそのマーベラスの夢もまた、マーベラスにとっての大事な人との約束であったことを昨日ジョーは知ったのでした。
大事な人との約束を捨てさせられることの辛さを誰よりもよく知るジョーは、
そんな自分を救ってくれたマーベラスの夢だからこそ、その大事な人との約束を守ってやりたいと思ったのでした。
それを踏み躙ろうとするバスコを絶対に許せないとジョーは思い、猛烈な敵意を込めてバスコを睨みつけます。

バスコはそんなジョーの言う「大事な人との約束」などハナっから価値は認めていません。
しかし頭ごなしにジョーの意見を否定するのではなく、フン!と鼻で笑うと
「だったら、お前らを捨てればいいんじゃね?」と言い捨てます。
そんなに夢や約束が大事なら捨てなければいい。でもそのためにはお前らが捨てられるんだけど、それでいいわけ?
自分が捨てられても、それでもお前らは夢が大事だとか言っていられるわけ?
とバスコはジョー達に問いかけているのです。

自分が見殺しにされても、それでもマーベラスの夢が大事だなんて言っていられないはずだと、
バスコはジョーの綺麗事を否定しています。
結局、人間は自分が一番大事であって、他人の夢など二の次のはずです。
そう指摘されると、ジョー達はぐっと黙り込みます。
確かにマーベラスの夢を守ろうとすれば、今の状況では自分たちが死ぬことになります。
それでいいかと言われれば、そりゃあ人間誰だって死にたくはない。
かといって自分の命が助かるためにマーベラスの夢を捨てさせるなど、
4人にはとても耐えられることではありませんでした。
どっちにしてもイヤなので、ジョー達はバスコの問いかけに答えることは出来ませんでした。

そうして黙り込んだ4人に向かってバスコはニヤニヤしながら
「何かを得るには、何かを捨てなきゃ・・・」と諭すように言います。
このセリフはバスコのポリシーのようで、随所で言っています。
ただ別に口癖のように無意味に口ずさんでいるわけではなく、それぞれちゃんと目的があって言っています。
ここでは、この状況ではどちらもイヤだという結論は無く、どちらかの結論を選ばねばならないのであって、
どちらかを捨てて、どちらかを得るという決断をしなければいけないのだと強調しているのです。

そうやってバスコは巧みにマーベラスやジョー達を二者択一しか道が無いかのように心理誘導していっているのです。
「何かを得るには何かを捨てねばならないものだ」と相手に自然に思い込ませて、
バスコはどちらかは確実に得られるようにしているのです。

バスコがジョー達を捕まえて去っていく時にマーベラスに5人の追加戦士のレンジャーキーを渡して
「何かを得るには何かを捨てなきゃ」と言ったのも、
レンジャーキーとジョー達が交換可能なものであるとマーベラスの精神に自然に刷り込むためでした。
ジョー達を失って代わりにレンジャーキーを得たマーベラスは、
この極限状況においてはジョー達を奪還するためにはレンジャーキーを手放すのもやむを得ないと考えるようになる。
そのような狙いがバスコにはありました。

ただ、問題はレンジャーキーもまたマーベラスにとっては単なる夢ではなく、
大切な仲間であったアカレッドから引き継いだかけがえのない物だということでした。
そこでバスコはアカレッドが自分達に隠し事をしていたという事実を悪し様にマーベラスに伝えて、
マーベラスがアカレッドに不信感を持つように仕掛けたのでした。
こうしておけば、現在の仲間であるジョー達と昔の仲間で信頼感の揺らいだアカレッドとを天秤にかけて、
悩んだ末にきっとマーベラスはジョー達を助けて、レンジャーキーやガレオンの方を手放す決断をするだろうと
バスコは期待していました。

バスコに二者択一しか道は無いという現実を突きつけられて項垂れた4人でしたが、
その中で「そうね・・・アンタの言う通りだわ・・・」とルカが呟きました。
バスコがルカの方を見ると、ルカはニッコリ笑って「ねぇバスコ!あたしを雇わない?」と問いかけます。
ジョー達は驚きました。
アイムが戸惑った様子で「ルカさん!?」と言いますが、
ルカは「だって死にたくないもん!だったらあたしは命を取って、マーベラスを捨てる!」と言いながら
すっと立ち上がり、バスコの顔を真っ直ぐ見ます。

ルカが「アンタの言う通り」と納得し賛同したのは
バスコの「何かを得るには何かを捨てなきゃ」という考え方でした。
その原則を今の自分にあてはめてみた場合、
ルカは今、ザンギャックに引き渡されて命を奪われる危機に直面しており、
その危機を回避してとにかく自分の命を守りたい状態です。
ところが今の自分の命はマーベラスの決断に委ねられている状態で、
自分で自分の命を守ることが出来ない、なんとも不安な状況です。
そこでルカは他力本願ではなく自分で自分の命の安全を確保する道を探ろうとしているのです。

もしマーベラスが仲間を捨ててお宝を選んだ場合、ルカはザンギャックに引き渡されて殺されてしまいます。
しかし、その場合、実はバスコもまた手詰まりになってしまいます。
マーベラスに仲間を人質にとっての交渉が効果が無いとなると、
さっきバスコは「他の手を考えるから別にいいよ」と余裕を見せていましたが、あれは虚勢だとルカは見破っていました。
実際はこの交渉が決裂したらバスコも今のところ次の手は無いのです。
だから交渉決裂後はバスコはジョー達をザンギャックに引き渡した賞金ぐらいしか得るものはなく、
肝心の宇宙最大のお宝を手に入れる道が閉ざされてしまうのです。

その時、ルカ達をザンギャックに引き渡してしまうよりも、
ルカ達を味方に引き入れておけばバスコはルカ達からマーベラスやガレオンに関する情報も収集出来るし、
ルカ達を使ってマーベラスを騙す作戦も立てることも出来る。
バスコにとってもルカ達を仲間にするのは悪い話ではないのです。
ルカ達にしてもマーベラスに見捨てられた場合、もはやマーベラスに義理立てする理由など無く、
もともと宇宙最大のお宝を見つけるためにマーベラスと一緒に旅をしていたわけだから、
今度はバスコと一緒に宇宙最大のお宝を見つければいいのです。

だから、マーベラスが仲間を見捨てた場合は、バスコとルカ達は手を組んだ方がお互いのために利益になるのです。
そこでルカは今の段階からマーベラスが自分達を見捨てるという前提で
バスコと交渉して手を組む算段をつけておこうとしているのです。
もしマーベラスが仲間を選べば今のままでもルカ達は助かります。
しかしマーベラスがお宝を選んだ場合、今のままではバスコは短気を起こして
ルカ達をザンギャックに売ってしまうかもしれない。
そうならないように、マーベラスがお宝を選んだ場合は自分達と手を組んでマーベラスと対決した方が得なんだよと、
ルカはバスコに話をつけておこうとしているのです。
こうしておけば、どっちに転んでもルカ達は死なずに済みます。

どうしても助かりたいと思えば、ここでルカのような提案をすることは、むしろ当然といえるでしょう。
そしてルカの言っていることは確かに正論です。バスコにとって得な話です。
バスコにしてみればマーベラスが仲間を選んでお宝関連のアイテムを差し出してくれれば万々歳ですが、
そうならなかった場合は手詰まりになってしまうのですから、
そこでルカ達を仲間にして新たな作戦を立てるのは美味しい話です。
バスコが計算高い男なら、この話に乗らない手はありません。

しかし、このルカの提案は「マーベラスが仲間を見捨てる可能性がある」ということが前提条件になっています。
それゆえアイムはルカの考えが理解不能なのです。
またジョーやハカセが驚いているのもそれゆえのことです。
「マーベラスが仲間を見捨てるはずがない」というのが彼らの確信でした。
「見捨てないでほしい」という願望なのではなく、
これはもう疑いの余地の無い事実として彼らに認識されていると言っていい。
マーベラスというのはそういう男なのです。

だからアイムはルカが裏切ろうとしていると思って非難しているのではなく、
「マーベラスが仲間を見捨てる」などという想定は有り得ないことは分かっているはずのルカが、
いきなりその有り得ない想定に基づいて話をしているので、
ルカの頭がおかしくなったのではないかと戸惑っているのです。
ジョー達もルカがいきなり意味の分からない話を始めたと思い、ただ戸惑っているのでした。

アイムはルカがおかしくなったと思い、
「ルカさん・・・!」と、立ち上がったルカの背中に向けて情けなそうに声をかけます。
ところがルカはバスコに向かって話しかけながら、後ろに縛られた手を動かして、
アイム達に向けて鎖をかすかに鳴らしてブロックサインのようなものを送ってきました。
そうしてルカが指先で丸をつくってOKサインのようなものを示したのを見て、
アイム達はハッとして、表情を変えず何事も無かったかのようにしながら、納得したのでした。

そのサインにどういう意味があるのかはちょっと謎ですが、
仲間うちで簡単なサインぐらいは決めているのでしょう。
おそらく「大丈夫!考えがある」という程度の意味でしょう。
ルカはおかしくなったわけでも裏切ろうとしているわけでもありませんでした。
何か確固とした考えがあって、ジョー達から見れば意味不明な言動をとっているのです。
その考えの内容まではブロックサインで表現は出来ていなかったでしょうが、
ブロックサインを見てから落ち着いてみると、3人にも何となくルカの考えが分かってきたような気がしました。

これはルカがバスコに対して周到に仕掛けた罠なのです。
ジョー達はマーベラスという男を信頼していますから
「マーベラスが仲間を見捨てるはずがない」という確信があるのですが、
それはジョー達だからこそ持てる認識なのであって、バスコはそうではないのだということにルカは気付いたのでした。
そして、そこに付け込むスキがあるということにも気づいたのでした。

バスコは4人とは違って「マーベラスが仲間を捨てて宝をとるかもしれない」という不安を抱いているはずなのです。
「もしそうなったら別の手を考えるから構わない」とバスコは虚勢を張りましたが、
実際はバスコは不安なはずだとルカは見てとりました。
その不安に付け込んで、最悪の場合に備えて今のうちに手を組んでおこうと持ちかければ、
バスコはきっと乗ってくるはずだとルカは思いました。

しかし、もしバスコがルカの提案に乗れば、ルカ達はもはやマーベラスの仲間ではなくなってしまうわけですから、
マーベラスがいくらルカ達を助けようとしても、もはやルカ達はマーベラスのもとに戻る意味も無く、
マーベラスがわざわざ夢を捨ててまで救い出す価値も無くなるのです。
つまり自然と交渉は成り立たなくなり、マーベラスは夢を捨てる必要が無くなります。
こうなるとバスコの思惑は外れることになります。

だからバスコとしては目的達成のためには、
ここはひたすらマーベラスが仲間を選んでお宝を捨てるのだと信じて待ち続けるしかないはずなのですが、
ルカが積極的にマーベラスを裏切ろうとする態度を見せることで、
バスコはマーベラスと仲間との信頼関係がそれほど大したことがないと思い、
それならばマーベラスもやはり仲間よりもお宝を選ぶのではないかと疑心暗鬼になり、迷うことになるのです。

ルカはそういうバスコの迷いを誘い、
バスコがマーベラスに出し抜かれる前に先手を打とうとして焦り、
ルカと手を結んで自分のせっかく作り上げたマーベラスに対する罠を自分の手で台無しにしてしまうことを期待しているのです。
そしてルカはきっとバスコは疑心暗鬼に陥るはずだと読んでいました。

ルカ達4人が「マーベラスが絶対に仲間を裏切らない」という確信を持てるのは、
真に信頼し合った絆で結ばれた仲間だからです。
バスコはそうではない。むしろ、バスコはマーベラスを裏切った男です。
マーベラスとの間に全く信頼関係の無い男です。

そもそも人間というのは相手のことが信用出来ないから、相手に裏切られる前に裏切ってやろうとするものです。
バスコがかつてマーベラスやアカレッドを裏切ったのは、その2人のことを信じられなかったからに違いない。
だからバスコは根本的にマーベラスのことを信じておらず、マーベラスに裏切られることを恐れているはずなのです。
そんなバスコがマーベラスのことを絶対に仲間を裏切らない男だと確信出来るはずがない。
バスコ自身がかつてマーベラスに対してやったのと同じように、
マーベラスもお宝のために仲間を平気で裏切るかもしれないと、バスコは疑心暗鬼にかられるはずです。
自分がやったことは相手もやるかもしれないと、恐れを抱くはずなのです。
それが裏切り者の宿命というものです。

ルカはそうしたバスコの裏切り者ゆえの弱い心に付け込んで計画に狂いを生じさせようとしているのです。
バスコが誘いに乗ってきてルカとバスコが手を組むことになれば、
上手くいけばルカが逆にバスコを利用して裏切ってやるつもりでしたし、
そこまで上手くいかなくても、とにかく自分が裏切ることでバスコの計画に狂いが生じて
マーベラスはさしあたり夢を捨てずには済むことになります。
当面はそれだけの成果でも十分だとルカは考えていました。
そこまでルカの腹の内は分からなかったものの、
ジョー達にもルカがバスコの「マーベラスが夢をとって仲間を捨てたらどうしよう」という
不安心理に付け込もうとしていることは分かりました。
そしてバスコがマーベラスと信頼関係が無い以上、その誘いにバスコは乗ってくる可能性が高いと思いました。

バスコはルカの話を聞いて、ニヤリと笑って近づいてきました。
バスコが誘いに乗ってきたと思ったルカはしめたと思い、
更ににこやかに「ね、だから・・・」と誘いをかけようとしますが、
バスコはルカの話を皆まで聞かず「よ〜し!分かった!」と言って、
ルカの提案を受け入れるかのように両手をルカの肩にポンと置きます。
ルカが笑顔でバスコを見つめ、2人は一瞬見つめ合います。
すると次の瞬間、バスコはすっと上半身を乗り出して屈めて、ルカの耳元に顔を寄せ、
「・・・て、言うと思った?」と冷たい声で囁きました。
ルカはギョッとした顔をしてバスコを睨みます。
同時にバスコはルカを突き飛ばすと、「悪いな!俺、人、信じてねぇんだわ!」と言い放って背を向けます。

これはルカが裏切ろうとしていることをバスコが見破ったという意味ではありません。
ルカがいかにも裏切りそうなどというのは、ちょっと頭の良い人間なら誰でも分かります。
そんなことはこの際、問題ではないのです。
マーベラスが仲間を選ぶとは限らない以上、次の手を打つ意味でも、
ここはたとえ多少怪しくてもルカと手を組んだ方がバスコには得策のはずなのです。
だからルカも自分が完全に信用はされていないだろうということは承知で、
それでも堂々と手を組もうと提案していたのです。

つまりルカのここでの提案は客観的に見て、至って真っ当な提案なのであり、
バスコのように無碍に拒否する方が異常なのです。
バスコもそれが分かっているから、わざわざ「悪いな」と言っています。
普通のヤツならその提案は当然受けるんだろうけど、自分は特別の変わり者なので、
せっかくの真っ当な申し出だけど、悪いが拒否させてもらうよ、とバスコは言っているわけです。

で、バスコがどういう意味の変わり者なのかというと、
「他人を全く信じない」という変わり者なのです。
つまり、たとえ次の手が無かったとしても、この際ルカと組んだ方が良かったとしても、
いや、あるいはルカよりもっと誠実そうな相手の提案だったとしても、
とにかくバスコは誰とも手を組む気は毛頭無いということです。
だから当然、ルカの提案は門前払いということになります。
そんな変人相手なら、最初からルカの作戦は無駄だったということです。

しかし、他人を全く信じないとは異様です。
思わずアイムは「信じてないって・・・何故・・・!?」と問いかけます。
バスコはアイムらに背を向けたまま「何故って・・・人を信じて何か得することあんの?」と言い放ち、
椅子に腰を下ろすと「うっかり信じた相手が俺みたいなヤツだったら・・・いろんな物失っちゃうよ?・・・マベちゃんみたいに・・・」と、
振り向いて意味深そうな嫌らしい笑みを4人の方に向けるのでした。

つまりバスコは人を信じても損をするだけだという考え方のようなのです。
何故バスコがそのような考え方をするようになったのか、その理由をアイムは問うているのですが、
バスコがここでそのあたりを正直に答えているのかどうか分かりません。
何かそのようにバスコが考えるようになったきっかけは確かにあるはずなのですが、
それをアイムに真面目に回答する義務はバスコにはありませんから、別に正直に答える必要は無いのです。

その代わりというような形で、ここではバスコは、自分が過去において見たことのある
「人を信じて損をした男」の実例を挙げています。
そのバカな男を見て、バスコは人を信じることの無意味さを学習したのだと言いたげであり、
それがアイムへの答えであるかのようにしていますが、これは全く噴飯ものの意見です。
何故なら、その「人を信じて損をした男」というのはマーベラスのことであり、
マーベラスの信頼を裏切って損をさせた張本人こそバスコなのです。

バスコは自分でマーベラスを裏切って損をさせておいて、
それを理由にマーベラスを愚か者扱いして、
だから人を信用しても損するだけなのだと自分の教訓にしているのです。
これはひどいマッチポンプで、
要するにバスコは他人を信用する行為自体を損ばかりする愚かな行為だとして根本的に軽蔑しており、
自分はそういう相手をカモにする立場の人間だと決め込んで、
マーベラスのような人を信じる人間を見下ろしているのです。

ただ、ここまで確信的にマーベラスを見下すことが出来るということは、
これはある意味、バスコは人を信じないと言いつつ、
マーベラスの「人を信じる男」「仲間を信じる男」だという点だけは固く信じていることになります。
つまり、マーベラスが仲間を決して裏切らない男であり、仲間を絶対的に信用する男であることは、
バスコはよく知っているのです。
何せ、もともと仲間だったわけですから、マーベラスのそうした性格は熟知しているのです。

だから、バスコはさっきルカの心理攻撃を受けても全く揺らぐことがなかったのです。
バスコはマーベラスが絶対に仲間を助ける道を選ぶという確信があったのです。
だから「マーベラスがお宝を選んだ場合どうする?」という前提でのルカの揺さぶりには全く動じなかった。
そんな可能性はゼロだということはバスコにはよく分かっていたからです。
バスコはジタバタせずにただマーベラスの返答を待っていればいいのです。
必ずマーベラスは仲間を助けるためにバスコの求めるものを差し出してくる。
マーベラスとはそういう男であるということは、ジョー達が熟知しているのと同様、
バスコもまた熟知していたのです。

ただ、ジョー達はそれをマーベラスの美点だと解釈しているのですが、
バスコは全く逆で、そこがマーベラスの愚かな弱点だと思ってバカにしており、そこを付け込もうとしているのです。
かつても、マーベラスとアカレッドのそういうお人よしなところを突いて、
バスコはレンジャーキーを奪おうとして、結果的に赤き海賊団は壊滅し、マーベラスは師匠や居場所も失った。
そして今も、マーベラスは仲間を大切に思うがゆえにレンジャーキーやガレオンやナビィを失おうとしている。
こうした事実を見れば、人を信じることが損なことだという実例としては十分だろうとバスコは嘯いているわけです。

どうしてバスコがここまで人を信じる人間をバカにして、
そうした人間を陥れようとするようになったのかは謎のままです。
ただ、とにかくマーベラスとの関係においては、
バスコはマーベラスに対して不信感を抱いたがゆえに裏切ったというわけではなく、
最初からマーベラスが心底から仲間を大切にする信頼出来る男だということが分かった上で、
だからこそマーベラスを信頼するのではなく、
だからこそ騙しやすい愚かな相手だと判断して裏切ったのだということは、
このバスコの言動によってハッキリしました。

それだけでジョー達がバスコを決定的に憎悪するに十分な材料でした。
マーベラスのことが仲間として信用出来る人間だと思えなくて裏切ったというのならまだ分かる。
しかし、マーベラスが仲間として信頼できる相手だと思うからこそ固い信頼を寄せているジョー達から見れば、
マーベラスが人を信じやすく、仲間として信頼できる好人物であることこそが、
裏切りやカモにしたりする理由となっているバスコという男は、本当に最低の下劣な男に見えました。

ジョー達4人はバスコの下劣さの正体を見た想いがして、憎悪に燃えた目でバスコを睨みつけます。
バスコはそれを面白そうに見てほくそ笑むと、
「サリー!そいつら牢屋にぶち込んどいてぇ〜!」と、宇宙猿のサリーに指示します。
するとサリーは1本の太い鎖に繋がれた4人を引き立て、操縦室から連れ出して牢屋へと連行していくのでした。
4人は連行される時も、操縦室から出るまでずっとバスコの方を睨み続けたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:44 | Comment(0) | 第16話「激突!戦隊VS戦隊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月27日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その3

鎖で縛られて抵抗出来ないジョー達4人はサリーに牢屋に閉じ込められてしまいました。
ルカは鎖を引きちぎろうとして暴れて、それが無理と分かるとイライラして壁を蹴ります。
ルカが荒れているのは、先ほどバスコに仕掛けた作戦が失敗したからでした。
バスコがマーベラスが仲間を助けるだろうとは信じられないに違いないと思い、
ルカは人質作戦などやめて自分達と手を組もうと持ちかけ、バスコの計画に狂いを生じさせようとしたのです。
しかしバスコはマーベラスが仲間を深く信じる男であり、それゆえ仲間をきっと助ける男だということを知っており、
人質作戦の成功を確信していたのでした。

そのうえで、バスコはマーベラスは仲間を信じるゆえに損をし、
誰も信じないから自分は得をするのだとすら言いたげでした。
作戦の失敗も悔しかったが、ルカはバスコのそうした仲間の絆をバカにしたような態度が気に食わず、苛立っていました。
「信じることを・・・損得で考える人がいるなんて・・・」とアイムも唖然とした様子で呟きます。
ここでアイムやルカの考え方とバスコの考え方には大きな隔たりがあるようです。

しかし、誰も信じないというのは極端ではありますが、
バスコの言っていることはそんなに世間一般では異常なことではありません。
「人を信じると損をする」ということは実際によくあることであり、
バスコのように信じることを完全拒絶しないまでも、
世の中の人は皆、ある程度は局面ごとに相手を信じることが得になるのか損になるのか吟味しながら生きていると言えます。
だから「信じることを損得で考える」という生き方自体はむしろ世間では一般的な生き方であり、
それをまるで有り得ないことであるかのように呆れるアイム達の方がむしろ異常のように見えます。

しかし、アイム達にしても別に他人を無条件に損得抜きでいつも信じるわけではないのです。
ここでアイム達が唖然としているのは、仲間との関係という点に限定していると解釈すべきでしょう。
仲間を損得抜きで無条件で信じるマーベラス一味の彼らから見れば、
仲間を信じるのは損するから仲間を作らないというバスコの生き方は、到底相容れないものであったのです。

ただ彼ら4人も盲目的に「仲間は絶対に信じるべきもの」だと思い込んでいるわけではありません。
もちろん世間一般の集団においては仲間に裏切られることを警戒しながら生きていくのが当たり前であり、
それが賢明な生き方であることはアイム達もまた認めています。
「仲間を信じることを損得で考える」ということ自体は一般論としては間違いではないということは
アイム達も分かっているのです。

だからアイムがここでバスコのことを「信じることを損得で考えるなんて・・・」と驚いているのは、
バスコが仲間を信じていないことを指して言っているわけではありません。
では、バスコが何を信じることに損得勘定を持ち込んでいることにアイムは驚いているのか?
それはさっきのバスコの言葉をそのまま解釈すれば、
バスコがマーベラスの人を信じる心を批評するのに損得勘定を持ち込んでいることに呆れているのだということになるでしょう。
言い換えれば、アイム達から見れば、世間一般の人とは違って
マーベラスという人間に関する信頼関係というものは損得勘定抜きだという認識なのです。
つまり、マーベラス一味の仲間の信頼関係だけは世間一般とは違って損得勘定抜きなのです。

アイムをはじめ、4人全員そういう認識を持っています。マーベラスもそういう認識です。
そのマーベラスとかつて仲間であり、一緒に宝探しの旅をしていたというバスコが、
仲間の信頼関係を損得勘定で考えるということがアイムには信じがたいことであったのです。
悪の道に走ったとはいっても、自分達と同じように海賊団の一員として
マーベラスと共に宇宙最大のお宝を探していたバスコならば、
仲間に関する考え方は自分達と似たようなものなのだとアイムは思っていたのです。
ところが全然そうではなかったのでアイムは驚いたのです。
「信じることを損得で考える人がいるなんて・・・」というアイムの慨嘆は、普遍的な道徳や倫理を述べた言葉ではなく、
厳密に言葉を補うならば「マーベラスと一緒に宝探しをしていた仲間だった人の中に、
仲間を信じることを損得で考える人がいるなんて、とても信じられない」というニュアンスなのだといえます。

では何故、「マーベラスと一緒に宝探しの旅をする人間は損得勘定抜きで仲間を信じることになるはずだ」と
アイム達は認識しているのか?
それは、「宇宙最大のお宝を見つける」という途方もない夢を追いかける旅というのは、
そもそも損得勘定など真面目に考えていると、とても続けることなど出来ないものだからです。
夢というものは損得勘定抜きのものなのです。損得勘定で夢は追いかけられない。
「夢を追う」などという行為そのものが得な行為ではないからです。
だから「宇宙最大のお宝という夢を追う」という行為は損得勘定抜きであり、
その夢を追うために集まった仲間は損得勘定抜きの仲間でなければならない。

第12話の考察のところで述べたように、
ジョー達4人の仲間は、マーベラスが「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を一緒に追うことの出来る
とびっきりの夢想家たちを選んで仲間にした連中であると推測されます。
彼らはもともとザンギャックに逆らうという、この宇宙においてはまさに損得勘定抜きの夢想に生きていた4人であり、
それゆえマーベラスは彼らを夢を一緒に追う仲間としたのです。
彼らはマーベラスに新たな大きな夢を与えられて、
損得勘定抜きの夢を追うための損得勘定抜きの絆で結ばれた仲間になったのでした。

「宇宙最大のお宝」というものはそういう損得勘定抜きの絆をもたらすものであり、
その夢の主催者であるマーベラスと仲間になるということは、
そうした損得勘定抜きの仲間の絆を結ぶことを意味するのです。
少なくともジョー達4人はそのように認識しています。

ところが、同じようにかつてマーベラスと共に「宇宙最大のお宝」を追いかけていたはずのバスコはそれとは全く逆で、
仲間を信じるということを損得で考え、損なことだとまで言い切っているのです。
それでアイムは驚いたのです。
夢は損得勘定で追いかけることが出来る代物ではありません。ならばバスコは夢を追うことは出来ない。
つまり、現在バスコが追い求めている「宇宙最大のお宝」というものは、「夢」ではないのです。
その動機は何か薄汚い打算なのだということです。
「宇宙最大のお宝を夢としてでなく打算で追いかけている人がいた」ということをアイムは驚いているのです。

ジョーも当然、アイムと同じようにバスコの自分達とはあまりに異質な腐った根性に呆れたようで
「あんなヤツに・・・マーベラスの夢を奪わせてたまるか!」と呻きます。
マーベラスの夢とはつまり自分達と共通の夢、宇宙最大のお宝です。
その夢を自分達に与えてくれたのはマーベラスでした。
それに感謝しているからこそ、ジョー達はマーベラスからその夢を奪おうとするバスコを許せない。
そういう気持ちはもちろん、元からあります。

しかし、バスコの腐った性根を改めて知った今は、それだけでなく、
心底バスコには「宇宙最大のお宝」というマーベラスの夢は渡したくなかった。
何故なら、それはマーベラスにとっては「夢」だが、バスコにとっては「夢」でもなんでもないからでした。
バスコの手に渡ることで「宇宙最大のお宝」という自分達の夢の価値が汚され、夢ではないものへと貶められる。
そのように感じられて、ジョーは虫唾が走りました。

しかし、そこでハカセが「でもマーベラス・・・きっと僕らを助けようとするよ?」と呟きます。
マーベラス一味というのが損得勘定抜きに夢を追う、損得勘定抜きの固い絆で結ばれた仲間であるゆえ、
マーベラスはきっと、損得勘定抜きで無条件に自分達を助けるはずだと、ハカセには分かっているのです。
そもそも、「宇宙最大のお宝」を追いかけていたのは最初はマーベラス1人だったのです。
1人でも夢を追うことは出来たはずです。それなのにマーベラスはわざわざ仲間を増やしていったのです。
つまりマーベラスにとっては「1人で夢を追うこと」よりも「仲間と一緒に夢を追うこと」の方が大事であるようなのです。
いや、仲間と一緒でないと夢を追うことは出来ないし、夢を追う意味も無いと考えているのかもしれません。

そういうマーベラスですから、夢よりも仲間の方を選ぶ可能性が高い。
ハカセはそのように予想し、暗い気持ちになりました。
もちろんそうなれば自分達は助かるのだから嬉しいが、その引き換えにマーベラスは夢を失うことになるのです。
もちろん自分達も夢を失うことになるのだが、もともとはマーベラスの持っていた夢ですから、
自分達のせいでマーベラスが夢を失うということがまず何よりも申し訳なく、
そんなことはあってはならないことだと思えました。

「そうなる前にあたしたちがここから逃げる!・・・それしかないね!」とルカがキッパリ言います。
皆が迷った時は、大抵はマーベラスが方針を示すのですが、
マーベラス不在時はルカが前へ進む方針をまとめて言葉にすることが多い。
一同はルカの言葉に頷きます。

ここからは4人が牢屋からの脱走を試みるコミカルなシーンが続きます。
シリアスなシーンの直後でギャップが面白いです。
特にここではハカセがコミカル担当として大活躍となります。
今回は割とシリアスなエピソードですが、やはり小さい子供向けの番組ですから、
こういうコミカルなシーンも盛り込まないといけません。
そしてこういうシーンではいつもハカセのキャラは有効に使われています。
ハカセはそういう意味でも非常に欠かせないキャラです。

まず牢屋の見張りをしている猿のサリーの気を引くために
ハカセは牢屋の鉄格子に張り付いて猿の真似をする作戦を実行します。
しかしサリーは全く興味を示しません。

「・・・ねぇハカセ、こんなことして本当に意味あんの?」とルカがウンザリした顔で尋ねます。
猿の真似をしているのはハカセ1人なのにルカがウンザリするのも妙ですが、
ハカセは真剣に「分かんないけど・・・あいつが仲間だと思ってくれれば、ここ開けてくれるかもしれないだろう?」と応えます。
つまり猿のフリをすればサリーが勘違いして仲間だと思ってコミュニケーションをとれるようになれば、
牢屋の鍵を開けてくれるかもしれない、あるいは鎖の縛めも解いてくれるかもしれないと、
そういう一縷の可能性に賭けているわけです。
サリーはジョー達のモバイレーツも身に付けており、
もし牢屋から出てモバイレーツも取り戻すことが出来れば、
レンジャーキーが無いので変身は出来ないかもしれないが、とにかくマーベラスと通信することも出来ます。

ただ、そうしたハカセの期待とは裏腹に、サリーは全くハカセの猿の真似に興味は示さず、
ひたすら牢屋に背を向けてバナナを食べています。
「・・・一切、興味無さそうだぞ・・・!」とジョーが冷たく言いますが、
ハカセは「そんなことないよ!手足が使えない分、全力でやらなきゃ!」とメゲずに猿の真似を続けます。
これしか手が思いつかないのですから、とにかく根気よく必死で猿の真似をするしかない。
そうしていれば今にサリーが興味を示すと信じるしかないのです。

そのハカセの必死な姿をルカやジョーはやや冷淡に見つめますが、
真面目な性格のアイムはハカセの姿勢に感銘を受けたのか
「そうですね!では私も・・・!」と前に出てハカセと一緒に猿の真似をしようとします。
自分も役に立ちたいと思っての行動だったのですが、
ルカが「あんたはやめなさい!」と慌ててアイムを制止したので、
小池唯の猿顔というレアな映像を拝むことは残念ながら出来なかったのでした。
やはり清純派アイドルなのでそういうヨゴレ演技はNGなのでしょう。
まぁそんなことを言えば、ハカセ役の清水一希だってジュノンボーイズなのですが、
毎回思いっきり変顔を連発していますが。

結局、あんまりにもハカセの猿の真似がうるさかったのか、遂にサリーは反応を示して牢屋の方に近寄ってきました。
「まぁ・・・お猿さんが・・・!」と、こんな局面でも丁寧口調を貫くアイムが感嘆の声を上げ、
ハカセは作戦が成功したと思い、呆けた笑顔でサリーを迎え、
「ウキッ!」と鳴くサリーに応じて「ウキッ!」とアホみたいに鳴きますが、
サリーは怒ったように「ウキッ!!」と吠えるなりハカセの顔にバナナの皮をぶつけます。
そして「ウキキキキ〜!!」と吠えながらサリーは部屋から出て行ってしまいます。

ハカセの思い描いていたようにサリーと友好を深めることは出来なかったようです。
むしろ、あまりにハカセがうるさいのでサリーの機嫌を損ねてしまい、サリーは怒って出て行ってしまったようです。
「ああ!待ってよぉ!」と慌ててサリーを追いかけようとするハカセは
足元に落ちたバナナの皮を踏んづけて転んでしまいました。
これで先週に引き続きハカセがバナナの皮で転ぶのは2回目です。
完全にベタなギャグキャラとなってしまったハカセでした。

ハカセの作戦失敗を見て「バカバカしい・・・」とルカは呆れます。
しかし何故かジョーは微かに笑って「いや・・・あの猿をよく追い払った・・・」とハカセを褒めます。
「え?」とルカが不思議そうにジョーを見ると、
ジョーは黙って牢屋の奥、さっき自分が立っていたあたりに移動し、壁際に立って顎で自分の足元の壁を指し示します。
見ると、そこには人間一人が寝そべって入れるか入れないかぐらいの小さな通気孔のような穴があります。
ジョーはここから脱出しようと考えていたのですが、見張りのサリーが邪魔で実行は困難と思っていました。
しかし、ハカセの作戦のせいでサリーが鬱陶しがって部屋から出て行ってくれたので、
通気孔からの脱出が可能になったのでした。
ハカセの作戦は失敗しましたが、怪我の功名、禍転じて福となったのです。

といっても、両手ごと身体を鎖で縛られて、しかも全員がその鎖で繋がれた状態では、
通気孔からの脱出もそう容易ではありませんでした。
その通気孔が何処に通じているのかもよく分かりません。
しかしとにかくまずは牢屋から外に出ることが先決です。
ジョー達は4人が通気孔の中を連なって膝と上体の動きだけでイモ虫のように這って少しずつ前進していきました。

先頭がジョーで、その後ろにアイム、ルカ、ハカセの順に連なっていきます。
これはかなりの重労働で、ルカは「思った以上に・・・キツい・・・!」とこぼしながら
必死で身体をうねなせて足を動かします。
その足が勢い余って、何度も最後尾のハカセの顔を蹴ります。
「ルカ!・・・足!・・・足!」とハカセは何度も注意しますが、ルカも態勢を変える余裕も無く、
結局、ずっとハカセの顔はルカの靴の裏に蹴られ続けたのでした。

そして船内の他の部屋に4人は出てきます。
どうやら運よく誰もいない部屋のようでしたが、
アイムとルカとハカセの3人がもつれ合って通気孔の出口から落っこちてけたたましい音を立てます。
ルカの上にひっくり返った姿勢でハカセが落っこちてルカは下敷きになってしまい、
「ちょっと!ハカセ!どいて!」と怒鳴ります。

コッソリ逃げ出そうとしてるにしては、これはちょっと騒ぎ過ぎというもので、
ジョーがその部屋から出ようとして扉の方へ進み出ると、
扉が開いてそこにはバスコが「は〜い!お疲れさん!」と銃を構えて立っていました。
ジョーは悔しそうに溜息をつき、ハカセとアイムも脱力してルカの腿に膝枕するように倒れ込むのでした。
確かに4人は物音を立てすぎでしたけど、バスコの落ち着いた態度を見た感じでは、
バスコもジョー達が脱走を試みることは想定内だったようです。
バスコもジョー達同様、マーベラスがジョー達を助けるために夢を捨てると確信しており、
ジョー達がそれを阻止するためには脱走するしかないと考えることは分かっていました。
だから必ずジョー達はどんな悪条件でも脱走を試みるはずなので、しっかり注意はしていたのです。

さて一方、ガレオンではマーベラスがレンジャーキーの入った例の宝箱の前に佇んで考え込んでいました。
バスコによって仲間が捕えられている現状では、
自分が宇宙最大のお宝を見つけるという夢を持ち続けるためには仲間4人を見殺しにしなければならない。
同じ途方もない夢を見ることで損得抜きの固い絆で結ばれた仲間です。
そんな仲間を自分の夢だけを守るために見捨てることなど出来るわけがない。
どう考えても結論は最初から決まっています。ここは仲間を助けるしかありません。

すると、やはりバスコの要求に応じて宇宙最大のお宝は諦めなければいけません。
それはアカレッドとの約束を放棄することを意味します。
しかし、この場合、昔の仲間のアカレッドとの約束と、今の仲間との絆とを天秤にかけるなら、
今の仲間との絆の方を重んじるしかありません。

マーベラスのそうした考えが何となく分かるのか、
傍らでナビィが「・・・マーベラスぅ・・・」と心配そうに声をかけます。
マーベラスがバスコの要求に応じた場合、ナビィもバスコに引き渡されてしまうのですが、
別にそういう自分の身の上を案じているわけではなく、普通にマーベラスのことを心配しているのでしょう。

しかしマーベラスはナビィには応えず、宝箱の蓋を開けて中に山積みになったレンジャーキーを見つめます。
ほとんど結論は出ているのですが、何故かまだ心に引っ掛かるものがあり、どうにも最後の踏ん切りがつかないので、
最後の名残りを振り切るために、もう一度レンジャーキーを存分に見つめながら結論を出そうと思ったのでした。
すると、レンジャーキーの山の一番上にあるアカレンジャーのレンジャーキーが視界に入りました。
それを見てマーベラスは数年前のことを思い出します。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:33 | Comment(0) | 第16話「激突!戦隊VS戦隊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月28日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その4

その数年前の出来事の回想シーンでは、マーベラスは何処かの星の何処かの倉庫のような場所で
ザンギャック帝国の兵士であるゴーミン達数人を1人で襲って斬りつけ、倒していました。
そしてゴーミンを全員倒すと、マーベラスはその倉庫に積んである荷箱の蓋を剣先でこじ開け、
その中に入っている金貨を掴むと、溜息をついて「相変わらずショボいもんしか置いてないなぁ・・・」と渋い顔をします。
金貨の山で一見価値のあるもののように見えますが、実際のところは大した価値のあるものではないようです。

どうやらこの時期のマーベラスは、一匹狼の宇宙海賊であったようで、
ザンギャック軍の倉庫なら帝国の兵士たちがあちこちの星から分捕ってきた高価なものがあるだろうということで、
しょっちゅう襲撃していたようです。
しかし、いつも大して価値のあるものは手に入らなかったようです。
それは、おそらくこの倉庫の見張りのゴーミンが数人程度であることや、
いかにも場末の倉庫っぽいみすぼらしさであることから考えて、
マーベラスの襲撃する対象は帝国軍の末端の末端の施設ばかりで、
そんなところに大して価値のあるものなどは無かったからだと考えられます。

どうしてマーベラスがそんな場末の施設ばかり襲っていたのかというと、
この頃のマーベラスは宇宙海賊といっても名ばかりで、船を仲間も持っておらず、
特に何処かの海賊団に属しているわけでもなく、単なる一匹狼の荒くれ者であったからであるようです。
つまり、チンピラのような男に過ぎなかった。

以前、第5話でドギーの指示による特命調査でバンが調べ上げた結果、
マーベラス一味の告発されている犯罪行為というのはザンギャックがでっち上げたものであったことが判明しました。
しかし、それはあくまで「マーベラス一味」が結成されて以降、
あるいはマーベラスが有名な海賊として名を馳せるようになって以降にザンギャックが告発した罪状に関して、
それがでっち上げであったことが判明したということであり、
それ以前のマーベラスの過去も全てが全く犯罪歴の無い綺麗な経歴であったかというと、そういうわけではないようです。

基本的にマーベラスという男は育ちは良くないようで、いわゆる「ワル」、すなわちアウトローであったようです。
彼の性格からして弱い者を苛めたりしていたのではなく、
偉そうにしているザンギャック軍などに反感を抱いて喧嘩を吹っかけて、
そこから金品を強奪したりしていたのだと思われます。
相手は選んでいるとはいえ、他人の財産を強奪してそれを売りとばして生計を立てていたのであり、それはれっきとした犯罪です。
裏社会にどっぷり漬かって生きていた一匹狼のチンピラで、
しかも狙うのは場末の施設ばかりという、かなりチンケなチンピラです。
そういうチンケな小悪党生活にマーベラス自身もやや疲れているようで、
つまらなそうな生気の無い目をしています。

そのマーベラスの目に、金貨の山の中で1つ、何か小さな赤い物体の姿が映りました。何やら赤い人形のようです。
「ん?・・・何だこれ?」と剣を担いでマーベラスはその人形を手に取ってしげしげと眺めます。
それはアカレンジャーのレンジャーキーだったのですが、
その時のマーベラスはレンジャーキーというものをまだ見たことがなかった頃なので、それが何なのか分かりませんでした。

そのマーベラスの背後から「それを渡してくれないか?」という声がします。
マーベラスがハッとして振り向いて見ると、倉庫の入り口のところに全身赤いスーツに身を包んだ人物が立っています。
それがアカレッドであることは視聴者には分かるのですが、マーベラスは誰だか分からないようです。
つまり、この回想シーンはアカレッドとまだ出会っていなかった頃のマーベラスの記憶で、
つまりこれがマーベラスとアカレッドの初対面の記憶なのです。

この時、何故アカレッドがここに現れたのかというと、
レジェンド大戦後に宇宙に散らばったレンジャーキーを探す旅の一環として、この星にもやって来たということでしょう。
この倉庫にレンジャーキーがあると知り、アカレッドが駆けつけてきたところ、
そこを一足早くマーベラスが襲っていてアカレンジャーのレンジャーキーを手にしていたというわけです。

マーベラスはその見知らぬ赤い男を見て、「ザンギャック・・・じゃないよな?・・・何者だ?」と尋ねます。
男から敵意を感じなかったので、ザンギャックの兵士ではないとマーベラスは思ったのです。
その問いかけに対して、アカレッドは「今は海賊と呼ばれている」と答えます。
アカレッド本人には自分が「海賊」だという意識は無いようです。

もともとアカレッドという戦士は2007年のVシネマ「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」に初登場した時の自己紹介では
「スーパー戦隊の赤の戦士たちの平和への願いより生まれた者」と言っており、地球産の何やら超自然的な存在のようです。
そして、アカレッドはそのVシネマではスーパー戦隊の歴代の赤の戦士に変身し、
それら赤の戦士の武器も胸のエンブレムから自在に取り出すことも出来るという特殊能力も披露しており、
最後は戦いが終わって再び眠りについたということになっていました。

こうして見てみると、アカレッドというキャラはゴーカイジャーのプロトタイプのようなキャラなのだと思えます。
もともと30周年のお祭り企画用に生み出されたキャラなのですが、
それをヒントにして35周年の再びのお祭り企画において
「ゴーカイジャー」というキャラが作り出されたのではないかと思えます。
より厳密に言えば、2007年のアカレッドが2009年のディケイドのヒントとなり、
アカレッドとディケイドが2011年のゴーカイジャーのヒントになったとも言えます。

そして、この2007年のVシネマでアカレッドがやっている歴代戦士への変身というのは、
ゴーカイジャーがいつも豪快チェンジでやっていることをレンジャーキー無しで身体ひとつでやっているということになり、
言い換えればアカレッドの身体自体にレンジャーキーと同じ機能が備わっているということになります。
つまりアカレッドとレンジャーキーは共に超自然的な同質の存在ということになるのです。

スーパー戦隊の戦う力というのは「地球の平和を願う力」が原動力で、
それがレジェンド大戦時に宇宙に飛び散って具現化したものがレンジャーキーです。
一方、アカレッドも「歴代赤の戦士の平和を願う心」が具現化した存在ですから、
実はアカレッドとレンジャーキーは生成の原理は同じで、同質の存在だといえます。
アカレッドから見れば、レンジャーキーは自分の分身のような存在なのかもしれません。

いや、この「ゴーカイジャー」という物語においては、レンジャーキーこそが主役といえる存在で、
アカレッドというキャラはレジェンド大戦時にレンジャーキーを生み出した何らかの意思が
同時に生み出した(あるいは目覚めさせた)サブキャラ的な存在であり、
宇宙に散らばったレンジャーキーを集めることをその何らかの意思から使命として受けているキャラのように思えます。

その何らかの意思というのは2007年のVシネマ時のアカレッドの設定や、
この「ゴーカイジャー」におけるレジェンド大戦の設定から考えて、
「スーパー戦隊の地球の平和を願う意思」であると推測出来ます。
そして、それが「スーパー戦隊の大いなる力」と深い関係があることも想像出来ます。

ただ、その具現化した存在であるレンジャーキーが宇宙に散らばったのは何故なのかというのは謎です。
おそらく、アカレッドがそれを探すために全宇宙を旅するという展開にするためなのでしょう。
つまり、レンジャーキーとアカレッドを作り出したスーパー戦隊の大いなる意思は、
アカレッドが宇宙を旅することを望んでいたのです。
そこにどういう意図が込められていたのかは未だ謎ですが、
とにかくアカレッドにとってそれは海賊行為という自覚は全く無かったはずです。

いや、そのようにザンギャックの許可無く宇宙を航行して私的に物を収集するような行為が
ザンギャック支配下の宇宙においては「海賊」という悪名を冠せられることになることは予想していたのかもしれません。
だからアカレッドは「海賊」と自分から名乗ったわけではないが、
ザンギャックから「海賊」という汚名を被せられたこと自体、そんなに拒絶感は無いようです。
もともとアカレッドは地球を侵略してきたザンギャックの許可を得て
レンジャーキー探しをしようなどという気は毛頭無いわけですから、
ザンギャックの許可を求めずに自分の欲しいものを手に入れる作業を淡々とこなすだけであり、
そういう行為を指してザンギャックやその支配下の宇宙の人々が「海賊」と呼ぶのなら、
自分はむしろ誇りをもって「海賊」と名乗ろうと思っていたのでしょう。

いや、そのこと自体、アカレッドやその造物主である「スーパー戦隊の大いなる意思」にとっては
予定された行動であったのではないでしょうか。
アカレッドが「海賊」と名乗って宇宙を旅してレンジャーキーを集めるというのは、
もともと予定されていたことではないかと思えるのです。
宇宙でアカレッドは「海賊」でなければならなかった。
それはどうしてなのかというのは、今後次第に判明してくるのではないかとは思えます。

さて、アカレッドが「海賊」と名乗ったのを聞いて、マーベラスは「同業者か!」と少し嬉しそうに声を上げます。
実際のマーベラスはほとんど「自称海賊」のようなもので、実質的には街のチンピラ程度の存在だったのですが、
この明るめの口調には、「海賊」という存在への好感や憧れのようなものが見て取れ、
自分もその同業者だとさらっと名乗るあたり、多少の見栄のようなものが込められているように思えます。

ただ、「海賊」という存在への好感と、実際に目の前に立っている男に対する感情は一致するわけではありません。
いきなり現れてマーベラスの手にした人形を寄越すように言うこの男はマーベラスにとって敵かもしれないのです。
「・・・で、これはアンタのか?」とマーベラスは手にしたアカレンジャーのレンジャーキーを眺めながら
用心深そうに問いかけます。
アカレッドは「いや・・・しかし私に必要なものだ」と答えます。

アカレッドとレンジャーキーは同根の存在で、アカレッドにとってレンジャーキーは分身のような存在でしょう。
そしてアカレッドはレンジャーキーを集めることを使命としている。
しかし、アカレッドがレンジャーキーをもともと所有していたというわけではありません。
おそらくアカレッドは個々のレンジャーキーをじっくり見たこともない可能性も高い。
だから、そのあたりはアカレッドは正直にマーベラスに答えたのだといえます。

しかしマーベラスはこのアカレッドの答えを聞いて、この赤い人形がよほど価値のあるもので、
この男はそれを奪いに来て自分に一歩先を越されたので横取りしようとしているのだと解釈しました。
それほどの価値がこの人形にはあるということです。
そんな価値のある物を手に入れたのなら、ここは腕ずくでも渡すわけにはいかない。
マーベラスはそう思うとニヤリと笑い「だったら渡せねぇなぁ!」と言うと、
剣を振るってアカレッドに襲い掛かったのでした。

ここでアカレッドは丸腰なのですがマーベラスは本気で斬りかかっています。
それはマーベラスがアカレッドの佇まいを見てかなりの強者であることは察知しているからです。
ならばいっそ戦わずにレンジャーキーを持って逃げるという選択肢もあったと思うのですが、
マーベラスはあえて勝負を挑んでいます。
マーベラス自身、腕にはかなり自信があったというのもありますが、
欲しいものは力づくで奪い取るのが「海賊」の流儀だと聞いているマーベラスは、
この赤い男も海賊である以上、そのことは百も承知だろうと思い、
マーベラスはあえて海賊らしく決闘でこの人形の所有者を決めようとしたのでしょう。

つまり、マーベラスはそういう「海賊らしさ」に憧れて、この海賊と名乗る赤い男と決闘をしたいと思ったのです。
もちろん勝つつもりではありましたし、相手が丸腰である以上、自分が勝てると思っていたのでしょう。
ここであえて相手にも剣を渡して正々堂々の勝負にこだわろうとはしないあたり、マーベラスの育ちの悪さが窺えますが、
実戦主義でもあるとも解釈でき、そういうのが海賊流だというマーベラスなりのポリシーもあったのかもしれません。
それにアカレッドが全くマーベラスの不公平な戦い方に文句をつけずに応戦してきているのですから、
マーベラスとしても相手を気遣う必要など全く感じることはなかったのです。

一進一退の激しい攻防は一見、全く互角に見えましたが、
マーベラスが剣を持っていてアカレッドが丸腰である以上、圧倒的にアカレッドの方が技量は上ということです。
結局、アカレッドがマーベラスの手にした剣を弾き飛ばして奪い、マーベラスの喉元に突き付け、
マーベラスは動けなくなり「・・・負けたよ・・・」と降参し、
すっとアカレンジャーのレンジャーキーを「これはアンタのもんだ・・・」と差し出します。
勝負に勝った者が戦利品を得るのは海賊のルールだと自分に言い聞かせ、これも海賊流だと思い、
マーベラスはレンジャーキーを諦めることにしたのでした。

それに対してアカレッドは、差し出されたレンジャーキーには目もくれず意外なことを言います。
「・・・これじゃないんだろ・・・君が欲しかったものは?」と言ったのです。
マーベラスはハッとしたようにアカレッドの方を見ます。
確かに自分はこれがどうしても欲しかったわけではありません。
ただ単に海賊っぽい決闘をして戦利品の奪い合いをやってみたかっただけでした。
それに対して、この目の前の初対面の海賊はどうしてもこれが必要で、本気で奪いに来ていました。
それが本当の海賊の執念というやつで、自分にはそれが欠けていた。
だから剣を奪われただけで簡単に諦めて手放そうとしたのです。
技量の差だけでなく、その差が勝負の結果となって現れたのか、とマーベラスは思いました。

しかしアカレッドはマーベラスがレンジャーキーを本気で欲しがっていなかったことを指摘しようとしているだけでなく、
マーベラスには何か別に欲しいものがあることを前提に話しかけているようでした。
「君が欲しいものは何だ?」とアカレッドはマーベラスに重ねて問いかけます。

何故、アカレッドがマーベラスに何か欲しいものがあることを前提に問いかけてきているのかというと、
マーベラスがさっき「海賊」だと自称したからでした。
アカレッドの認識では「海賊」とは、何かどうしても欲しいものがあるからこそ、
それを求めて誰の支配も受けずに宇宙の大海原を航海する者のことであるようでした。
いや、実際、「海賊」というものは恐れられつつも、このザンギャック支配下の宇宙では
本来はそういうイメージで庶民から仰ぎ見られる冒険ヒーロー的な存在でもあったのです。

マーベラス自身、本当はただのチンピラでありながら、
少年の頃から知っていたそうした「海賊」という自由なヒーロー像に憧れて海賊を自称したりしていました。
もちろん実際はそんな冒険ヒーロー的な海賊は昨今では滅多におらず、
ザンギャックのお先棒を担いで私掠活動をしたりするような輩ばかりで、
そうでない者たちも多くは自分のようにつまらないチンピラのような連中ばかりであることはマーベラスは実感していました。

ところが、この目の前の赤い海賊は、
「海賊」というものをマーベラスの少年時代に本で読んで知ったような古典的な姿で定義しているようです。
「これはたまたま自分の欲しいものであって君の欲しいものではなかったが、
海賊と名乗る以上、君にもどうしても欲しいものがあるのだろう?」という趣旨で
アカレッドはマーベラスに問いかけているのでした。

しかしマーベラスは寂しそうに笑うと「・・・別にねぇよ・・・」と言い、アカレッドに背を向けて数歩歩きます。
自分はそんな冒険小説に出てくるようなカッコいい海賊ではなく、
実際はただのチンピラが海賊を自称している偽海賊に過ぎないのだと思ったのです。
もともと薄々そう感じてはいたのですが、
こうして本物の海賊に「欲しいものは何だ?」と真っ直ぐ問われて何も答えられなかったことでハッキリ分かりました。

いつも場末の倉庫を選んでショボい品物ばかり漁っている自分には、命を懸けてでもどうしても手に入れたいものなど無い。
そんな自分は確かに少年時代に憧れた海賊とはかけ離れている。
これまではそれが海賊の実態なんだと自分に言い訳していましたが、
目の前に本当に自分が少年時代に憧れたような海賊が現れたことで、
マーベラスは自分が海賊などではない、少なくとも今の自分はかつて自分のなりたかった海賊ではないということを
痛感したのでした。

そう思うと、少年時代の冒険小説で読んだような懐かしい憧れの海賊物語が思い出されました。
そう、確かに、あの頃の自分には海賊になって手に入れたい「欲しいもの」はあった。
そう思ったマーベラスは、このまま情けない態度で立ち去るのもなんだか悔しくなって、
思わず「でも・・・」と立ち止まり言葉を継いで、
「・・・宇宙最大のお宝ってやつなら・・・探してみたいかな・・・!?」とアカレッドに背を向けたまま、少し照れ臭そうに言います。

「宇宙最大のお宝」・・・それは、マーベラスが少年の頃に読んだ海賊の出てくる冒険小説に必ず登場していた、
海賊なら誰もが手に入れたいと願っているような謎の究極のお宝でした。
それは小説の中での創作物ではなく、実際に宇宙海賊の間で昔から伝説として言い伝えられているものだと
少年時代にマーベラスは大人たちから聞かされていました。
そして少年の頃、マーベラスは大人になったら海賊になってその宇宙最大のお宝を見つけてみたいと夢見ていました。
だから自分が海賊として欲しいものがあるとすれば、それなのだとマーベラスは思い出して、
アカレッドの質問の答えとしてそれを言ったのですが、さすがにガキっぽいかと思って照れ臭かったのでした。

でも、本当にそれは宇宙海賊の間では広く知られた話であって、自分の夢想なのではないんだと思い、
マーベラスはアカレッドの方に向き直り「あんたも海賊なら聞いたことあるだろ?」と同意を求めます。
が、アカレッドが黙っているので、マーベラスは自分がガキみたいなことを言ったのでアカレッドが呆れているのだと思い、
自嘲気味にアカレッドに背を向け、手にしたアカレンジャーのレンジャーキーを眺めながら
「・・・ま、ただの伝説だろうが・・・」と呟きます。

そう、そんな「宇宙最大のお宝」なんていうよく分からないものを追いかける海賊なんて、少年時代の夢に過ぎない。
現実の海賊は違うのだ。
本当の海賊というのは、このように自分には何だか正体はよく分からないが、
例えばこの人形のような具体的な姿をした自分なりのお宝を探している、目の前の赤い男のような者のことをいうのだ。
この人形は自分の欲しいお宝ではなかった。いや、自分には結局は欲しいものなど無いのだ。
そう思うとマーベラスは、ちゃんと欲しいものがあって宇宙の大海原を旅する赤い男が羨ましくなり、
それに比べて曖昧な伝説や夢を持ち出した自分はやっぱりつまらない男なのだと思えたのでした。

しかしアカレッドはマーベラスの方を向くと静かに「・・・伝説じゃない」と言います。
「・・・え?」とマーベラスが振り返ると、アカレッドは手にしていた剣を投げ捨て
「君が諦めたのでは、手に入らない・・・」と言い、マーベラスに背を向けて倉庫の外へと歩き出します。

アカレッドはここで「宇宙最大のお宝」は伝説の存在ではなく実在すると言いました。
実際、この物語世界においては「宇宙最大のお宝」はどうやら地球に実在するらしいことは
この「ゴーカイジャー」の第3話あたりから明確になってきています。
その正体は相変わらず不明ですが、とにかくそれが地球に実際に存在していることだけは、
レジェンド戦士などの数々の証言から明らかであるといえます。

ただ、その数年前にあたる、このアカレッドとマーベラスの邂逅のシーンにおけるアカレッドの
「伝説じゃない」という言葉には、根拠といえるようなものはありません。
マーベラスもこの赤い男が言った言葉によって、客観的事実として「宇宙最大のお宝」の実在を確信したわけではありません。
ただ、宇宙海賊ならば誰でもが追い求めると言い伝えられる「宇宙最大のお宝」が
伝説ではなく実在するのだと言明するこの赤い海賊は当然「宇宙最大のお宝」を求めて宇宙を旅していることになります。
「宇宙最大のお宝」の実在は客観的には証明されていませんが、
少なくとも「宇宙最大のお宝を探している海賊」の実在は目の前の赤い海賊の存在をもって証明されたことになります。

それだけでもマーベラスにとっては衝撃であったといえます。
つまり、今自分が手にしている赤い小さな人形が「宇宙最大のお宝」、
あるいはそれに連なる何らかのアイテムであるということなのです。
しかし、ここで客観的に見れば、それら全てがこの赤い海賊アカレッドの夢想であるとも解釈出来ます。
この時点では、「宇宙最大のお宝」が夢想でないという客観的証拠は何も無いわけですから、
そういう解釈は十分に可能、というか、大抵の人はそう解釈するでしょう。
アカレッドは「伝説じゃない」と言い切っていますが、
実際は「伝説じゃないと思っている」に過ぎないのだと、ここは誰もが解釈します。

しかし、そんなことはここではマーベラスにとっては大きな問題ではないのです。
マーベラスから見て目の前の赤い男は「自分のなりたかった海賊」そのものなのであり、
その赤い男がどうして「本物の海賊」であり得ているのかというと、
それは「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を「所詮は伝説」と言って諦めるのではなく、
本当に存在するものだと信じて、大真面目にそれを追い求める心を持っているからだと分かったからです。

赤い男が夢を信じて突き進む強い心が彼を真の海賊たらしめているのですから、
彼の言うことが夢想であることはむしろ海賊としては褒めるべき点といえるでしょう。
逆に夢想を非現実的で実現不可能なことだと冷笑する態度は、
普通に生きていく分には問題は無い態度なのかもしれませんが、
海賊を目指そうという人間にとしては間違った態度だといえます。
マーベラスは自分が海賊に憧れていたことを思い出し、
目の前の赤い男が「宇宙最大のお宝」という夢の実在を信じて真っ直ぐ突き進んでいることを知り、
それが真の海賊というものなのだと気づき、好感と憧れの感情を抱きました。

しかし、ここでアカレッドはその自分の追い求める夢である「宇宙最大のお宝」を見つけるために必要な
大事なレンジャーキーを受け取らずにこの場を立ち去ろうとしています。
アカレンジャーのレンジャーキーはマーベラスの手に握られたままなのです。
マーベラスはアカレッドにそれを差し出したのに、アカレッドはそれをあえて受け取ろうとせず、立ち去ろうとしている。
マーベラスは、これはアンタが大事な夢を掴むために必要なものなんじゃないのか?と疑問に思い、戸惑いました。

そこでマーベラスは赤い男が去り際に「君が諦めたのでは手に入らない」と言ったことに気付きました。
いつの間にか自分が赤い男によって「宇宙最大のお宝」の夢を追う当事者として扱われているのです。
そういえば、さっき自分は確かに「宇宙最大のお宝なら探してみたい」と言ったのであり、
それは間違いなく自分の夢であったことにマーベラスは気付きました。
ならば、自分が海賊であろうとするのならば、赤い男と同じように、その夢を諦めず、それを掴めると信じ続けるべきです。
さっきのように簡単に諦めてしまえば夢は掴めないが、諦めなければ夢はきっと掴める。
それが海賊というものなのだとマーベラスは思いました。

そしてアカレッドはマーベラスが「宇宙最大のお宝」を探したいと言ったことを受けて、
同じ夢を追いかける仲間としてマーベラスを認めたのであり、
もしその夢を諦めずに絶対に手に入れたいという気持ちがあるのなら、
そのレンジャーキーを持ったまま自分と一緒に「宇宙最大のお宝」を探す旅に出ないか?と誘っているのです。

もしマーベラスが夢を諦めず信じるつもりがあるのなら、海賊の仲間として一緒に夢を掴む旅に出よう。
そのように赤い男が誘っているのだとマーベラスは気付きました。
マーベラスは自分が今、人生の重大な岐路に立たされていることを感じ、
レンジャーキーを握ったまま、黙ってじっとアカレッドの背中を凝視します。
するとアカレッドは立ち止まり、マーベラスの方に振り向いて
「あとは君の決断だけだ・・・」と言い、マーベラスの決断を促します。

次の瞬間、アカレッドの背後の空に、陽の光を遮って何か巨大な物体が浮上してきます。
それは真っ赤な帆船型の宇宙戦艦であり、
マストにかかった帆には海賊団のマークであるカギと剣を組み合わせたエンブレムが刻まれていました。
これがマーベラスが初めて見たゴーカイガレオンであり、
おそらくこの時、ガレオンを操っていたのは一足早く加入していたバスコであろうと推測されます。

マーベラスはそのガレオンの威容に驚くと同時に、それが赤い男の所有する海賊船であるのだということを理解しました。
そして、ガレオンを見上げながらマーベラスはそれまでの暗く希望を失ったような表情から一変して、
目を輝かせた明るい表情となっていき、
自分もその赤い海賊船に乗って「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を追う海賊になろうと決意したのでした。

マーベラスのキャラが前回の赤き海賊団時代の回想シーンではやけに陽性の性格であり、
今回の海賊団加入前の回想シーンでは斜に構えた影がある性格という違いがあるのは、
赤き海賊団の加入時にアカレッドとのこうした遣り取りによってマーベラスの人生観が一変したからであるようです。

しかし、ここのあたり、どうもアカレッドの態度は妙です。
普通に考えればここでアカレッドがマーベラスを勧誘する必然性はありません。
レンジャーキーを受け取って去っていけばいいはずです。
おそらくアカレッドがこの場に現れたのはアカレンジャーのレンジャーキー目当てであったのは確かなのでしょうが、
その場にたまたま居合わせたマーベラスを急に仲間にしたいと思ったようです。

アカレッドがどういうきっかけでそういう気分になったのかと考えると、
マーベラスが海賊と名乗ったからであるようです。
レンジャーキーを先に手に入れていた若者が海賊だと名乗ったから、
アカレッドは「欲しいものは何だ?」と試すような質問をしたように見えます。
そして、その質問に対する若者の回答が「宇宙最大のお宝」という夢であったので、
アカレッドは若者を仲間にしたいと思ったようです。

つまりアカレッドは「夢を信じられる者」を仲間として求めており、
このザンギャック支配下の宇宙においては「海賊」と名乗る者の中にその候補者が多いという認識であったようです。
だからこそ、アカレッドは自身もあえて「海賊」と名乗り、
宇宙においては海賊と見なされるような行動をとるようにしていたフシがあります。
そうすれば「海賊」と名乗る者たちとの交流の機会も増え、
その中から目当ての「夢を信じられる者」を見つけて仲間に誘う機会も増えるということなのでしょう。

「宇宙最大のお宝」というものも、それは確かに地球に存在する何かであるのですが、
その「何か」を「宇宙最大のお宝」という名であえてアカレッドが呼ぶようにしているのも、
宇宙に古くから海賊の間に伝わる壮大な夢として「宇宙最大のお宝」という伝説が存在することを
知ってのことであったのかもしれません。
海賊の求める「宇宙最大のお宝」という夢は確かに実在するという物語をアカレッドが作り、
その夢を信じて一緒に探す海賊仲間を募り、
最終的には地球までその仲間たちを連れて来ようとしていたのではないでしょうか。
何故、アカレッドが宇宙において「夢を信じられる者」を仲間として集め、
彼らをレンジャーキーと共に地球に連れてくる必要があったのか、そのあたりはまだ謎です。
そのあたりは今後、次第に明らかになっていくことでしょう。

そのあたりはまぁ置いておいて、
以上、マーベラスがガレオンを見上げて赤き海賊団への参加を決断する場面までが
マーベラスがこの時、回想した内容です。
宝箱の中のアカレンジャーのレンジャーキーを見て、マーベラスはそれをふと思い出したのでした。

アカレンジャーのレンジャーキーを最初に手に入れた時が
マーベラスがアカレッドと初めて出会ってそのまま赤き海賊団に加入した時と同時だったのであり、
結果としてマーベラスの赤き海賊団の一員として最初にやった仕事が
このアカレンジャーのレンジャーキーの回収ということになったからです。
いや、マーベラスの実質的な海賊としての初仕事がアカレンジャーのレンジャーキーの回収であったと言っていい。
マーベラスにとってはアカレンジャーのレンジャーキーはそうした重要な想い出の品であり、
自分の海賊としての原点でもあるのです。

たまたまアカレンジャーのレンジャーキーを目にしたことでマーベラスは自分の海賊としての原点を思い出したのでした。
それはアカレッドに言われた「夢は諦めたら手に入らない」ということであり、
そこから自分なりに解釈した「夢は信じる心がある限り持ち続けることが出来るのであり、
きっと手に入れることが出来る」というポリシーでした。
それがマーベラスの海賊としての原点であり、そういうポリシーを持つ者というのがマーベラスにとっての海賊の定義でした。

あの時、最終的にはそのように自分で決断したからマーベラスは赤き海賊団に入り、
「宇宙最大のお宝」を見つけるという夢を信じたのです。
決してアカレッドに命じられてそう決めたわけではない。
あの赤き海賊団の壊滅の時にアカレッドと約束したから「宇宙最大のお宝」を見つけることを夢としたわけではないのです。
そのずっと前から、アカレッドに最初に出会った時から、
マーベラスは「宇宙最大のお宝」を見つけることを夢とすることを自分で決めていたのです。

だから、アカレッドがどうであろうがバスコがどうであろうが関係ない。
赤き海賊団のことも関係ない。
マーベラスは自分が海賊である以上、絶対に夢を信じることをやめることはないのであり、
信じ続ける限り、夢は失われることはない。
海賊が夢を捨てるということは不可能なことなのだ。
何かを得るために、その代償に夢を捨てるなどということは、マーベラスが海賊である限り、そもそも不可能な取引なのです。
そんな有り得ない取引を求めてくるということ自体、
バスコが既に海賊の心を失ってしまっている証拠だとマーベラスには思えました。

しかし、夢を捨てることが不可能だとしたなら、じゃあ仲間たちを捨てるのか?とマーベラスは思い、
ふと振り向いて自分以外に誰もいない広い船室を眺めました。
それが独りでこうして眺めてみると不自然なほどガランとしていることに気付いたのです。
そして、そもそもなんでこの部屋はこんなに広いのか、不思議に思いました。
この船は最初はアカレッドが独りで乗っていたはずです。
でも最初からこの部屋は無駄に広かった。独りで居るには広すぎるのです。
つまりアカレッドは宝探しの旅の最初から仲間を集めることを予定していたということになります。

何故アカレッドは最初から旅の仲間が必要だと決めていたのか、
今となってはマーベラスにはよく分かるような気がします。
それはアカレッドの旅が「宇宙最大のお宝」という大きな夢を見つけるための旅だったからです。
夢というものは、一緒に同じ夢を信じる仲間がいてこそ、実現することが出来るのです。
そのことにマーベラスは、アカレッドとバスコがいなくなって独りぼっちになってから初めて気づきました。

「宇宙最大のお宝」という途方もない夢は、独りでも信じ続けることは出来ます。
しかし、独りで夢見ているうちは、それはやはりただの夢想にしかならないのです。
その夢をリアルな実現可能なものとして常に実感するためには、同じ夢を信じる実体を持った仲間が必要だったのです。
そして同じ夢を目指す仲間として、その相手をその夢ごとひっくるめて固く信頼することによって、
その夢は自分にとってリアルな存在となる。

夢を自分の達成感や欲望のためだけに叶えたいと思っても、それはいつまでも夢想のままでリアルなものにはならない。
そんなものをリアルに感じようとすれば、それは夢ではなく単なる独りよがりな欲望になってしまう。
そのように自分のために夢を叶えようとすると、夢は夢想のまま終わるか、あるいは欲望へと堕落していきます。

一方、固い絆で結ばれた仲間を大切に想うからこそ、その仲間の夢を叶えさせてやりたいと思う気持ちは、
その夢を客観的にリアルなものとして自分に見せてくれます。
そして、その夢がたまたま自分の夢と同じであるという仲間との関係を互いに結んでおけば、
仲間で互いに相手の夢を応援しているうちにいつの間にか共通の夢を実現することが出来るのです。
「自分のための夢」ではなく「仲間のための夢」を作る。
これが夢を実現する方法なのだということに、マーベラスは独りぼっちになって初めて気づき、
それゆえ新たに、同じ「宇宙最大のお宝を見つける」という途方もない夢を信じることの出来そうな仲間を探し始めたのです。

マーベラスは船室で目を閉じてその仲間探しの想い出を振り返ります。
最初にジョーと出会い、次いでルカを迎え、ハカセを誘い、アイムを拾いました。
そうしてこの船室も賑やかになりました。4人の仲間のこの船室での笑顔が思い浮かびます。
そして仲間たちの「宇宙最大のお宝」を見つけたいという夢を叶えてやりたいという想いが
マーベラスの「宇宙最大のお宝」を見つけたいという夢を実体を伴ったものとしていき、
それは仲間たちそれぞれの中でも互いに同じ作用を生じさせ、
5人の夢は一体となって実現へ向けて突き進むことになったのです。

今こうしてアカレッドとの出会いの時のことを思い出して、そしてガランとした船室を眺めてみて、
マーベラスはあの時のアカレッドのセリフ「君が諦めたのでは手に入らない・・・あとは君の決断だけだ」を思い返しました。
そして、あの時、アカレッドが自分と同じ理由で仲間を求めていたのだと思いました。
だからアカレッドはあくまでマーベラスに決断を促したのです。

マーベラスが自分で夢を選ぶのでなければ意味が無い。
アカレッドの夢の手伝いをする意識では意味が無いのです。
あくまで仲間としてマーベラスの夢をアカレッドが実現させてやりたいと思い、
マーベラスがアカレッドの夢も実現させてやりたいと思う。
その互いの夢がたまたま同じであるというか、同じ夢を追いかける者同士だからこそ固い絆で結ばれた仲間になれるわけです。

もともとはバスコも同じ絆で結ばれ同じ夢で結ばれた仲間だったはずなのですが、
バスコは「仲間のための夢」ではなく「自分のための夢」に気持ちが傾いてしまったために、
その夢は欲望へと堕落してしまい、仲間を捨ててお宝を独り占めしたいと思うようになってしまったのです。
つまりバスコのお宝への想いはもう既に「夢」ではなく単なる「欲望」に過ぎず、
それゆえバスコは「何かを得るためには何かを捨てるしかない」という、
本来は「夢」にはあてはめることの出来ない公式を「夢」にあてはめようとしています。

それはバスコが自分のお宝への想いが「夢」から「欲望」に堕してしまったことに無自覚だからなのでしょう。
「自分のための欲望」が夢であるかのように錯覚しているから、
夢を何かと引き換えにして取引出来るようなものだと思い込んでしまっている、
ある意味、愚かで可哀想な男だと言えます。

また、夢を自分のためだけの欲望に堕落させてしまい、その堕落を自覚していないために、
バスコは夢というものが信頼し合う仲間のために尽力してこそ実現するものだということを忘れてしまっており、
そのために信頼し合う仲間の必要性というものが分からなくなっているのです。
欲望は独りよがりなものであり、夢は仲間のためにものであるのに、そのことを忘れ、
仲間を信頼することが夢の実現に不可欠だということが分からなくなっているバスコは、
仲間を信じることが損なことだとまで思ってしまっている。
それはバスコは夢ではなく欲望しか持てなくなってしまっているからです。
そんなバスコには「宇宙最大のお宝」という途方もない夢は掴むことは出来ません。

一方、マーベラスは夢を実現するためには仲間の存在が不可欠だということを知っています。
そして共通する夢があるからこそ仲間の絆があるのだということも知っています。
つまり夢と仲間は不可分であり、どっちも捨てることは出来ないのです。
どちらかを諦めれば両方を失い、諦めなければどちらも手に入れることは出来る。
かつてマーベラスは自分でそのように決めてアカレッドの仲間になり、そしてマーベラス一味の新しい仲間たちも集めたのです。
それらは全てマーベラス自身の決断したことであり、
ジョー達4人もまた同じように自分達でマーベラスの仲間になって「宇宙最大のお宝」という夢を追うことを決断したのです。

ならばマーベラス達はバスコの夢と欲望を考え違いしたような変な二者択一のまやかしの理屈に付き合う必要は無いのです。
夢も仲間も決して諦めないのだとマーベラス自身が自分で決めればいい。
そして、マーベラスが自分の意思で決めたことであれば、
それは同じ夢を信じる仲間であるジョー達もきっと同じように考えているはずであり、
マーベラスが決して夢も仲間も諦めていないということに気付くはずなのです。

そこにバスコの発想を超える活路があると、マーベラスは気付きました。
ぎゅっと拳を握りしめて上を向き「そうだな・・・決めるのは・・・俺だ!」とマーベラスは力強く呟きます。
その眼には、いつもの海賊船長マーベラスのギラギラした輝きが戻ってきていました。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 20:46 | Comment(0) | 第16話「激突!戦隊VS戦隊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月30日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その5

フリージョーカーの船内の牢屋には、脱走しようとして捕まったジョー達4人が再び叩き込まれていました。
さきほど4人が抜け出した通気孔は鉄格子で塞がれています。
牢屋の外側ではサリーを連れたバスコが「いやぁ〜、お前ら!結構頑張ったなぁ!楽しませてもらったわ!」と
楽しそうに笑っています。
バスコはどうやら4人をわざと逃がして捕まえて、マーベラスから返事が来るまでの退屈しのぎにしていたようです。
なんとも悪趣味で嫌な人間です。4人は牢屋の中からバスコを睨みつけます。

なお、さっきの脱走前のシーンと4人は牢屋内でほぼ同じ配置にいるのですが、
牢屋内に1つしかない椅子には、さっきも今の一貫してアイムが腰かけています。
こういう細かい描写からも、アイムが末っ子的に他の3人に大事にされているのが分かります。

さて、そうして牢屋内で睨みつける4人を見てバスコがせせら笑っていると、バスコのモバイレーツの着信音が鳴ります。
もちろん相手はマーベラスに決まっています。
「きたきたきたきたぁ!!」と歓喜の声を上げたバスコは勢い込んでモバイレーツを開いて通話に出て
「もしもし?マベちゃん?」と、まるで親しい友達との電話に出るように猫撫で声を出します。
バスコはマーベラスが自分の要求したものを差し出すという結論を伝えてくると確信しているのです。

やはり連絡してきたのはマーベラスでした。
マーベラスは「今から言う場所にアンタの望むものを持っていく・・・アンタは俺の仲間を連れてこい!」と言います。
つまり、バスコの要求を呑んで、仲間4人を返してもらう代わりに、
マーベラスの持っている全てのレンジャーキーとゴーカイガレオンとナビィをバスコに引き渡すということです。

その指定の場所を聞いてバスコは「・・・毎度ありぃ!」と言うと通話を切ってモバイレーツを閉じます。
予想通り、いや計画通りの展開に大いに満足しているように見えます。
そしてバスコは得意げに「・・・だってさ!」と牢内の4人の方を向いて
「良かったなぁ!」と言ってサリーを連れて部屋から出ていきます。
通話内容は4人には聞こえており、これで4人はザンギャックに引き渡されることはなくなり、
マーベラスの元へ戻って命拾いすることになったので、それをバスコは祝福したのでした。

しかしバスコが出て行って牢内に残された4人は大きなショックを受けていました。
マーベラスが仲間を優先するだろうことは予想していましたが、
それでもマーベラスが夢を諦めることを決めたという事実があまりに有り得ないことのように思えて
簡単には受け入れられなかったのです。
しかし確かにマーベラスはバスコの持ちかけた取引に応じるという連絡をしてきました。
確かにこれで4人は助かりますが、
その代償にマーベラスが夢を手放すという有り得ないようなことが起きたのだということが、次第に4人には実感されてきました。

「何かを得るためには・・・何かを捨てなければならない・・・」とアイムが呆然としながら呟きます。
バスコが言っていたこの理屈を受け入れることでしか、
今こうして起きている信じがたい出来事を説明づけることは出来ないように思えたのでした。
マーベラスもその理屈を受け入れて、夢を捨てて仲間を取り戻す決断をしたのだろうと、アイムは思いました。
アイムの言葉を聞いて、そうなのだろうと思うとルカは悲しくなりました。
それは4人にとっては一番起きて欲しくなかったことだからです。
「マーベラスが・・・僕らのために夢を・・・」とハカセも落胆し、
じっと無言で突っ立っていたジョーは無力な自分を許せない気分になり、
獣のように吼えて壁に頭を思いっきり打ちつけます。

さて、しかし、ここで疑問なのですが、バスコは本当にまともにマーベラスとの取引に応じるつもりがあるのでしょうか?
確か、バスコは前回、ダマラスと密談していた時に
「海賊たちをどうする?」とダマラスに問われて「片づけるさ」と答えています。
つまりバスコはマーベラス達を全員殺すつもりなのです。
しかしマーベラスに対しては「要求に応じれば仲間は返す」と言っているわけです。

思うにこれは罠なのではないでしょうか?
前回のレンジャーバトルの際にはマーベラス達を殺せるチャンスを得ながら殺さなかったが、
これはバスコの本来の目的であるレンジャーキー等をマーベラスに差し出させる取引をするためでした。
しかし、マーベラスが取引に応じて、バスコの望む品物を全部持ってノコノコとやって来たら、
バスコはその場でマーベラスも仲間4人も全員殺してダマラスとの約束を果たしつつ、
マーベラスの持ってきた品物を全部奪おうとするのではないかと思えるのです。

今回の冒頭のマーベラスとバスコの通話のシーンでジョーがバスコに何か危険な空気を感じて、
それに対してバスコがやや過剰な反応でジョーに暴力を振るって黙らせた場面も、
ジョーはバスコの中に殺意を直感し、
バスコはそういうジョーの察しの良さが目障りだと感じたということではないかと思えます。
また、その後のシーンでバスコが意味深な様子で
「うっかり信じた相手が俺みたいなヤツだったら色んなもの失っちゃうよ」と言っていた言葉も、
そもそも今回の取引自体をバカ正直に信じるヤツは間抜けだという感情が込められたものだったように思えます。

バスコは待ち合わせ場所にやって来たマーベラスとの約束を破って、
5人全員を殺してレンジャーキーやガレオンやナビィだけまんまと奪うつもりである可能性が高い。
ダマラスとの密談シーンとの整合性を考えるとそういうことになります。
しかし、バスコがダマラスとの約束をそんなに律儀に守るかというと、それもまた疑問です。
あの時、どう見てもバスコはダマラスを嫌っていたし、信用していませんでした。
まぁバスコはそもそも他人を一切信用しないようですから、ああいう態度も当然でしょう。
ともかくバスコはダマラスとの約束を絶対に守る必要があるわけでもないでしょう。

むしろバスコにとって大事なのは自分のポリシーのはずです。
それは「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」というポリシーです。
これは今回、バスコはマーベラスを二者択一の思考に引き込むために言っているのですが、
数年前の赤き海賊団の壊滅を引き起こした時にもバスコはこの言葉を口にしており、
そう考えると、単に今回の方便としてだけではなく、バスコにとってこの言葉はやはり大事なポリシーなのでしょう。
夢を失い欲望に堕した男が自分の裏切り行為を正当化するためにこの言葉は必要だったのでしょう。
だからバスコはこのポリシーは裏切れない。
そうなると、マーベラスが夢を捨てるのならば、仲間は無事に返してやるのが
バスコのポリシーに則った行為ということになります。

しかし、ならば何故バスコはわざわざダマラスを騙すようなことを言ったのかというのが疑問になってきます。
ザンギャックと手を組んでいるバスコとしてはわざわざダマラスを怒らせるのは得策ではないはずです。
つまりは、バスコはダマラスを騙したわけではなく、あの場は本心とは違うああいうことを言うしかなかっただけなのです。
要するにバスコはマーベラスのように真に自由な立場の海賊ではなくなってしまっているわけです。

バスコもかつては赤き海賊団の時代は自由に夢を追いかける真の海賊だった。
しかし、独りよがりな欲望に支配されて仲間を裏切って宝を独り占めしようとしたために、
ザンギャックと手を組む羽目になり、ザンギャックの顔色を窺わねばならない立場になってしまったのです。
一応ポーズとしては自由気ままな海賊のように気取ってはいますが、
真に自由なマーベラス一味とは違い、実際のバスコはしがらみに縛られている不自由な立場なのであり、
夢も自由も失った、既に海賊とは言えない存在なのです。

そんなバスコが海賊を気取るためには「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」というポリシーで
自分こそ利口な海賊であるというふうに偽装するしかないので、それでバスコはそのポリシーに縋るのです。
ところが実際は真の海賊ではないバスコはザンギャックと組まないとやっていけない立場なので、
ザンギャックの意向にも気を遣わねばならない。
それで今回はザンギャックのもたらした情報でマーベラス達の動向を掴んだという負い目もあるので、
一応ダマラスの意向に合わせて「海賊を片付ける」と言わざるを得なかった。
ところが、そのダマラスの意向に従うと、自分のポリシーに反することになってしまうのです。

バスコの立場というのは、そういうややこしいものであり、
一見したところ余裕のあるように見せていますが、実際のところはバスコは迷っているのです。
待ち合わせ場所に行った時、自分のポリシーに従ってジョー達を無事にマーベラスに引き渡すか、
それともダマラスに約束したように5人とも殺すか、どっちにしようか、決めかねているとみていいでしょう。

さて、その約束の場所である荒野にマーベラスとバスコはやってきました。
上空にはマーベラスの乗ってきたゴーカイガレオンと、
バスコの乗ってきたフリージョーカーがそれぞれ浮かんで係留してあります。
その下の地上にはレンジャーキーの入った宝箱を抱えたマーベラスが立ち、
それに対峙して少し離れた位置にバスコが立っています。
バスコの少し後ろには鎖に縛られ繋がれたままのジョー達4人が立ち、その横には見張りのサリーがついています。

ナビィの姿が見えませんが、ガレオンの中にいるのでしょう。
どうせガレオンもバスコに引き渡すので、ナビィを乗せたままのガレオンを引き渡すということでバスコも納得しているようです。
が、レンジャーキーは最も重要なものなので、人質解放の前に現物を改めるということになっているようで、
それでマーベラスは宝箱を抱えてバスコの前に現れているのです。

「マーベラス・・・」とハカセが情けなそうな表情で一歩進み出ます。
自分たちのせいでマーベラスに夢を捨てさせることになってしまって申し訳ない想いで、謝ろうとしたのですが、
勝手に動くのは許さないとばかりにサリーが吠えてハカセを威嚇します。
マーベラスは「そんな顔すんな!」とハカセに向かって言います。

マーベラスとしては実は夢も仲間も捨てる気は無い。
夢を捨てるフリをしてバスコに仲間たちをここに連れてこさせる計略に過ぎないのです。
出来ればその意図をバスコに気付かれない状態で、ジョー達には気付いてもらいたいところであったのですが、
マーベラスが見た感じ、どうやらハカセはじめ、4人とも自分が夢を捨てるものだと思ってしまっているようでした。
まぁこの場合、今まで4人にとっては経験したこともない展開なので無理も無いとはマーベラスも思いました。

すかさず、バスコは「ご苦労さん!じゃあ、とりあえずその宝箱の中、見せてよ!」とマーベラスに言います。
その宝箱はバスコも見慣れたもので、赤き海賊団の時期からレンジャーキーを入れていた宝箱でした。
あの赤き海賊団をバスコが裏切った時、奪おうとした宝箱です。
だからその宝箱の中に当然レンジャーキーが入っているとバスコは考える、
ということをマーベラスが考えて、中には何も入っていないというトリックを仕掛けてくる可能性もあることをバスコは考えて、
用心深く、まずは中身を見せることを要求したのでした。
バスコもマーベラスが何か計略を仕掛けてくる可能性は考慮しているのです。かなり用心深い男です。

マーベラスは憮然として宝箱の蓋を開けて中身をバスコに向けて見せます。
確かに中にはレンジャーキーが山盛りになって詰まっています。
それを突っ立ったままじっとバスコは見ます。不用心にマーベラスに近づこうとはしません。
近づいてきたところで何か仕掛けてくる可能性もあったからです。
それでバスコは遠目で箱の中を確認しましたが、それらは確かに偽物ではなく、
バスコにも見覚えのある本物のレンジャーキーのようでした。
バスコは少し安堵しますが、「そんじゃあ、それ置いて下がっててくれる?」と、更に用心深く、
出来るだけマーベラスとの接近を避けて宝箱を受け取ろうとします。

マーベラスはバスコがあまりに用心深いので、これはやはり下手にコソコソと作戦を実行するのは難しいと思いました。
やはり何も言わずに阿吽の呼吸というのはさすがに無理がある。
こういうのはやっぱり単純明快が一番だと思うと、
マーベラスは宝箱の蓋を閉じて、吹っ切れたように、フン!と鼻で笑い、「こいつはやらねぇよ!」と言いました。
マーベラスの意外な言葉にジョー達は驚きます。

一方、バスコは驚いた様子も見せず、すかさずジョー達の方を向いて「ふ〜ん!じゃあ、こいつら見捨てるんだ?」と返します。
バスコはマーベラスがレンジャーキーを手放すのが急に惜しくなって心が揺れているだけなのだと思い、
仲間の命を盾にして再び脅せばすぐに折れると思ったのです。
ところがマーベラスは全く動じた様子も無く、平然と「いや・・・仲間たちも返してもらう」と言います。
マーベラスに背を向けたバスコの顔が少し強張りました。
この局面までこぎつけてマーベラスが二者択一の思考から脱しているのは、バスコにとっては予想外だったのです。

これで仲間の命を盾にしての脅迫で簡単にマーベラスを屈服させることは難しくなりました。
こうなればマーベラスは意地でもレンジャーキーを渡そうとはしないだろうとバスコは思いました。
そうなればバスコとしては、まさにルカが示唆したように、打つ手が無くなってきます。
それでバスコは少し焦りました。
打つ手は実は無いでもない。ダマラスとの約束を守るために用意してある奥の手を使って
マーベラス一味の5人を皆殺しにしてレンジャーキーを奪うという方法はあります。

しかし、バスコは出来ればそれはやりたくなかった。
マーベラス達を殺したくないとかいう甘い理由ではなく、
あくまで「何かを得るには何かを捨てなければいけない」という自分のルールを守りたいからだった。
この状況でお宝もマーベラス達の命も全部奪うというのは、自分のポリシーに反していたのです。

バスコがそのルールにこだわる理由は、
心の奥では自分が独りよがりな欲望に動かされていることに負い目を感じているからでした。
かつての夢を真っ直ぐ追っていた頃の自分に比べて、今の自分は卑小であることを実は知っているのです。
そんな自分がとことん独りよがりで卑小な存在まで堕ちていないのだという言い訳のために、
その身勝手な欲望を叶える時に常に何らかの代償を払うように自分に義務づけて、
それでもってバスコは自分を正当化しているのです。
だから、ここでダマラスの望むようにお宝もマーベラス達の命も全部奪えば、
バスコは自分の卑小さを直視せねばならず、それは惨めすぎるのです。
出来れば仲間を引き渡して、その代わりにレンジャーキーを鮮やかにゲットして、
スマートにマーベラスに対して優越感に浸った勝利を得たいと思っていたのです。

その計画がぶち壊しになりそうになっているのは、
マーベラスが仲間もお宝も全部手に入れようなどというワケの分からないことを言い出したせいだと思い、
バスコはマーベラスに対して苛立ちました。
「・・・あのさぁ!マベちゃん!・・・何も捨てずに何かを得ようなんて、無理なんだって!」と
バスコはマーベラスの方に振り向いて険しい顔で言います。
自分の欲しいものを手に入れるために代償を払うのは当たり前のことだ。それのどこが間違っているんだ?とバスコは思いました。
マーベラスの言っていることの方が身勝手で非常識なのであり、
実際、今もマーベラスの仲間4人の身柄はこちらが確保しており、マーベラスは取り戻せていない。
まだ自分の優位は崩れていないし、まだマーベラスを取引に応じさせることは出来るとバスコは考えました。

ところがマーベラスは、その一見真っ当に聞こえるバスコの理屈を一蹴するように
「知ったことか!欲しいものは全部この手で掴み取る!」と言い返すと、
ニヤリと笑い「それが海賊ってもんだろ?」と言います。
これは実はバスコに向けて言ったのではなく、マーベラスはジョー達に向けて言ったのでした。
自分がバスコにレンジャーキーを渡したくなくて単にゴネているのではなく、
海賊のポリシーとして、夢も仲間も絶対に諦めないのだという確固たる意思を持って言っているのだということを伝えたかったのです。

そういう固い意志を持ってここにやって来ている。
だからそのための作戦も用意してきているのだということを伝えたかったのでした。
そうマーベラスは思い、ここは単刀直入にそれを言葉にして伝えることにしたのでした。
海賊であるジョー達にはそれが伝わるはずだとマーベラスは思ったのです。
そして、それはジョー達に伝わりました。
ジョー達はマーベラスの言葉を聞くと、マーベラスに何か策があるのだと察して、一気に表情が明るくなったのでした。

しかし、「欲しいものは全部この手で掴み取る」というと、
何やらそれこそ欲望の赴くままに自分は何の代価も支払わずに略奪をしまくるような悪い印象を与えかねない言い方ですが、
実際のマーベラスは食事を摂るためにわざわざ手持ちの(ルカの所持品だが)指輪を売ったり、
買い出しの際にもちゃんと仲間には代金を支払わせているのですから、
「欲しいものを手に入れるためには代価を支払わねばならない」という常識は分かっている人間です。
だから一般常識的にはバスコの言う「何かを得るためには何かを捨てねばならない」という理屈は分かっているのです。

だから、ここでマーベラスが言っているのは、あくまで「海賊」としての常識なのです。
ここでマーベラスの言う「欲しいもの」とは、一般的な食べ物や品物ではなく、「海賊の欲しいもの」です。
海賊が求めるものといえば、マーベラスやその属していた赤き海賊団の常識では「夢」ということになります。
そこにはもちろん「夢」を叶えるために不可欠のアイテム類も含まれます。
そして、その「夢」を手に入れるために最も必要なものは「同じ夢を持つ仲間」です。
これらが「海賊」として「欲しいもの」なのです。

これらは何かの代価を払って手に入れるようなものではないし、代価を払って手に入るようなものでもない。
逆にこれらを捨てて何かの代価を得ることも不可能です。
何とも交換することは出来ない以上、取引の対象にはならない。
ならば、それら、つまり自分なりの「夢」と「仲間」を手に入れるためには、自分の手で掴み取るしかない。

一般人の生活においては、何か欲しいものがあれば代価など、何かと交換して手に入れます。
それらの中にはその本人が「夢」だと思っているものもあるでしょう。
しかし、簡単に何かとの交換で手に入ったと感じられるようなものであるならば、それは本当の「夢」ではないのです。
それは自分だけの欲望でしかないのです。
自分が何かを捨てて手に入れたものは自分の欲望を叶えた品物でしかない。
夢のように見えても、それはそういうものでしかない。

本当の「夢」というものは、自分一人の力で掴むことなど出来ない。
共に夢を追う仲間がいてこそ掴むことが出来るものです。
そして本当の夢というものは何かと交換で手に入れることも出来ない。
ただひたすら、同じ夢を追う仲間と一緒に、その手で掴み取るしか実現する方法は無いのです。
つまり一般社会の交換ルールの中ではどうしても手に入らない。
だから「夢」を掴むためには一般社会に背を向けて、同じ夢を追いかける仲間をまず探し、
そしてその見つけた仲間と一緒に、ひたすら夢を追いかけ、それを自分の手で掴み取るまでの苦難の旅を続けねばいけない。
そういう夢追い人の集団が「海賊」なのです。

つまり、「何かを得るためには何かを捨てなければいけない」という理屈は
あくまで欲望を追いかけるだけの一般社会において適用されるルールであって、
夢追い人の集団である「海賊」には適用されないルールなのです。
だからマーベラスはバスコがしたり顔でそのルールを述べようとしたのを制して
「知ったことか!」と一蹴することが出来たのでした。

そして、「海賊」というものがそういう定義であるということは、バスコも承知のはずです。
いや、「海賊」の定義も人それぞれではあるのでしょうが、
バスコとマーベラスはもともと赤き海賊団で共にアカレッドの薫陶を受けた海賊仲間ですから、
その「海賊」観はもともと同じはずです。
だからバスコはマーベラスが「それが海賊ってもんだろ?」と言った時、
マーベラスの言わんとすることはよく理解出来たのでした。

つまり、海賊には本来、そんな一般社会風の欲望を追いかけるためのルールなど適用されないはずだと
マーベラスは言っているのであり、
それは同時に、それが適用されないことを知っていたはずなのに、それでもその一般風のルールを振りかざすバスコが
マーベラスによって「アンタはもう海賊ではない」というふうに指摘されたということも意味していました。
それはバスコにとっては痛い指摘であったようで、バスコの表情は強張り、一瞬、俯いて考え込みます。

バスコ自身、夢を失って欲望に囚われるようになって以降、
心の奥で海賊としてのアイデンティティに悩んでいる部分はあったのでしょう。
そこがマーベラスの言葉で少し揺さぶられてしまったのでした。
マーベラスを揺さぶるつもりが、逆にバスコの方が心を揺らされてしまったのです。

そういう揺れる心境の中でバスコはマーベラスが本気で海賊の誇りをかけて宝箱と仲間の両方を手に入れようとしてくるのだと感じました。
マーベラスがそこまでの覚悟で臨んできたこの場に、
マーベラスがすっかり自分の作戦に嵌ったものだと決めつけて有頂天で乗り込んできた自分が迂闊だったと
バスコは少し後悔しました。
この場ではサリーはジョー達4人の見張りをせねばいけないから、
そうなると後はマーベラスとバスコの1対1となります。サシの勝負をする羽目になるわけです。

もちろんバスコはサシの勝負でも自分が負けるとは思っていませんでしたし、
宝箱を抱えたままのマーベラスよりも両手がフリーの自分の方が有利だとバスコは思いました。
が、マーベラスもかなりの強者です。それにモバイレーツを使って変身して襲ってくる可能性もあります。
これは厄介なことになったとバスコは思い、
揺れる心を静めてマーベラスとのサシの勝負に集中しようと努めました。

と、その瞬間、なんとマーベラスは手に抱えていた宝箱を高々と放り投げたのでした。
バスコは呆気にとられました。
あれほど手放そうとしていなかった宝箱をいきなりマーベラスが無造作に捨てたのです。
これはバスコにとって全く予想外でした。
やぱりマーベラスは夢を捨てて仲間を取るつもりで、さっきまで言っていたことがブラフだったのかとか、
これでマーベラスの両手がフリーになったから警戒を強めないといけないとか、
レンジャーキーが宝箱からこぼれてしまうとか、
バスコの混乱した頭の中で一瞬、様々な思考がグルグル巡りました。

それで注意力が散漫になり、上空に舞い上がった宝箱に完全に集中出来なかったバスコとは対照的に、
ジョー達はマーベラスの投げた宝箱に視線を集中させていました。
マーベラスが夢も仲間も掴み取ると明言した以上、何かマーベラスに策があると確信していた4人は、
宝箱を投げたのも単に無造作に夢を捨てたのではなく、何らかの策があってのことだと確信していたのです。

その宝箱はバスコの頭上を飛び越えて、その後ろにいるジョーたちの方へ向かって飛んできていました。
そして空中でひっくり返った宝箱からレンジャーキーが大量にこぼれ落ちてきます。
そのレンジャーキーの中に何か別の大きなものが混じっているのをジョーは気付きました。
それはモバイレーツでした。ジョー達4人のモバイレーツはサリーが身に付けていますから、
それはマーベラスのモバイレーツに間違いありません。

「そうか!」とマーベラスの意図を察したジョーは「ハカセ!」と叫んで
横に立っているハカセの尻を思いっきり蹴りあげます。
ハカセは「いてぇぇぇ!!」と絶叫しながら、それでもハカセもマーベラスの意図には気付いていたようで、
そのまま勢いをつけて前へ飛び出して、レンジャーキーやモバイレーツが落ちてくる地点まで進み出て、
上を向いて大きく口を開きます。
そして落ちてきたモバイレーツの背面部分の出っ張りを咥えてキャッチします。

モバイレーツというアイテムは中央部にレンジャーキーを挿し込む穴があり、
そこにレンジャーキーを奥まで挿した場合、モバイレーツの厚さよりもレンジャーキーの方が長いので
レンジャーキーがモバイレーツを突き抜けてしまいます。
そうならないようにカギの挿し込み穴のある部分だけ、モバイレーツは背面に大きな出っ張りが作られているのです。
そこだけが背面が出っ張っている、ギミックとしてちょっと不恰好な作りになっているわけですが、
ここはそうしたモバイレーツの特徴的な外観を逆手にとって利用した巧みな演出だといえます。

ハカセがそうしてモバイレーツを手に入れたのを見て、慌ててサリーが邪魔をしようとして飛び込んでこようとしますが、
ジョー達同様、マーベラスの策を察していたルカがすかさず足を出してサリーの足を引っ掛けて倒し、
更にサリーの手にアイムが噛みついて、サリーは痛みで「ウキキ〜!!」と絶叫します。
これで少しの間、サリーの邪魔は入りません。
その間に変身アイテムのモバイレーツを手に入れたハカセがレンジャーキーを使って変身すれば、状況は大きく変わります。
マーベラスの作戦とは、バスコの注意を自分に引きつけておいて、
その隙を突いて仲間に変身アイテムを渡して変身させて自力で脱出させて奇襲攻撃をかけさせることだったのです。

それを見て、バスコは慌てます。
てっきり自分の対すべき敵はマーベラス一人だと思っていたところ、
突然背後で変身アイテムが出現するとは思っていなかったからです。
まさかマーベラスが大事な変身アイテムのモバイレーツを身から離してあんなところに隠していたとは
思いもよらなかったのです。

しかし、それはジョー達も同様、予想出来なかったはずです。
あんなところにモバイレーツを隠した宝箱を投げ込んだところで、一瞬で仲間がそれに気付いて行動を起こす保障など無い。
そんな可能性の低い賭けのために変身アイテムを身から離すなど、バスコには到底考えられない判断だったのです。
つまりマーベラスは仲間が自分の策に気付くはずだと確信していたのです。

そして実際、ジョー達はマーベラスの予想通り、マーベラスの策にすぐに気付いた。
これも、ジョー達がマーベラスの夢も仲間も絶対に掴み取るという強い意思を
信じることの出来る仲間であったから気付くことが出来たのです。
ジョー達がそういう仲間だということが分かっていたからマーベラスは、この作戦を敢行出来たというわけです。
つまり、共に同じ夢を信じる固い絆で結ばれた仲間同士だからこそ成功した作戦だったといえます。
そういう仲間の絆を理解出来ないバスコには、この作戦は予想することは出来ず、阻止することも出来なかったのでした。

それで驚いてハカセのところに邪魔しに行こうとしたバスコでしたが、
その前にマーベラスが立ち塞がり、斬りつけます。
バスコも応戦して一進一退の攻防となり、バスコは足止めされます。

その間にジョーは落ちてきたレンジャーキーの1つ、緑色のレンジャーキーを口でキャッチし、
それをカギ部の先端を突き出した形で咥えたまま、ハカセが咥えたまま構えたモバイレーツのカギ穴目がけて突進します。
まぁ緑色のキーを咥えたのはたまたまだったのであり、
別にハカセが変身するから緑でないといけないというわけではありません。
こうしてジョーがハカセに向かって突っ込むと、
つまりモバイレーツとレンジャーキーを挟んでジョーとハカセがまるでキスするような形になるのですが、
両手が縛られて使えない状態では2人がかりでこうするしか変身する方法は無いのです。

そうしてジョーは緑色のキーをモバイレーツの鍵穴に挿し込み、首をひねってカギを回します。
するとモバイレーツの上部の剣をクロスした部分が開き、その中心から光が飛び出してきて、
「ゴウファイフェンジ!」とハカセはモバイレーツを咥えたままなのでまともに喋れないのに律儀にコールします。
飛び出してきた光は、緑色の「木」の文字の形となり、
モバイレーツからは「シ〜ンケンジャ〜!」というコール音が発します。
つまり、この緑色のレンジャーキーは、シンケングリーンのレンジャーキーだったわけです。

シンケングリーンに変身したハカセは鎖を引きちぎり、シンケンマルでサリーに斬りつけて追い払い、
すぐにルカやアイムの身体を縛る鎖をシンケンマルで斬って捨てていきます。
劇中でジョーがシンケングリーンのレンジャーキーを咥えたのは全くたまたまでしたが、演出的にはもちろん意味はあります。
ここでシンケングリーンへの豪快チェンジという演出の意味は、
「鎖を斬る」という目的が最も明確なシンケンマルという非常に鋭利な刀を装備した戦隊
シンケンジャーの中でハカセ担当の緑の戦士という意味合いでしょう。

ここのシーンで分かることは、まずモバイレーツは個人専用というわけではなく、
別に誰のモバイレーツでも誰でも変身することは出来るということです。
そういえば第2話でも何の関係も無い少年がマーベラスのモバイレーツで変身していました。
そして、マーベラス一味がモバイレーツを使って変身する時、
別に最初の生身からの変身はゴーカイジャーの姿でなくても構わないということも判明しました。
これも第2話の少年の時に少年がいきなり生身からシンケンレッドに変身したという前例があり、
そういうことが有り得るということは既に示唆はされていました。
そして、前回、生身のマーベラス相手には互角の勝負をしていたサリーも、
レンジャーキーで変身した相手には全く歯が立たないということもここで判明しました。

一方、マーベラスとバスコは一進一退の攻防に集中していました。
そこにサリーが悲鳴を上げて吹っ飛ばされてきます。
バスコが驚いて戦いをやめてサリーに近づいて見ると、
既にサリーはハカセによって4人のモバイレーツを奪い返されていました。
シンケングリーンに変身したハカセはサリーをあっという間に圧倒してモバイレーツを奪い返したようでした。

そこで一旦ハカセは変身解除します
、奪い返した自分たちのモバイレーツで改めて、全員揃っての変身をするためです。
そこに鎖から解き放たれて自由になったルカがやって来て
「やるじゃん!」と笑顔でハカセの肩を叩いてモバイレーツを受け取り、
同じようにアイムもモバイレーツを受け取ります。

「相変わらず大胆なことするねぇ〜!」とハカセはマーベラスを冷やかしますが、
「でも、マーベラスさんらしいです!」とアイムはマーベラスの右にやって来て笑顔を向けます。
左にはルカがやって来て「あたし達が気付かなかったらどうするつもりだったの?」とニヤニヤして質問しますが、
マーベラスは「気付くだろ・・・お前らなら・・・!」となんてことはないかのように答えます。
しかし、これは同じ夢で繋がったマーベラス一味の強い信頼関係があってこそ成功した奇想天外な作戦だったといえます。
「フン・・・まぁな!」とジョーもマーベラスの左に進み出て、マーベラスの分のモバイレーツを差し出します。
クールぶってますが、捕まってる時は一番熱くいろいろ語ってたのがジョーでした。

また、このシーン、実はハカセがジョーの鎖だけ斬るのを忘れてて、
マーベラスが女子たちと会話してるシーンの裏ではジョーが鎖に縛られたまま
「・・・忘れてないか?」とハカセにツッコミを入れて、
ハカセが慌ててジョーの鎖を斬っていたという、ちょっとした小ネタが挿入されていたのでした。
そうしてジョーも晴れて自由の身となってマーベラスの横に並び、
最後にハカセも黙って笑顔でマーベラスを見つめて、その右側に立ちます。
こうして5人は並び立ち、マーベラスがジョーが差し出したモバイレーツを受け取って、
これで5人は変身可能の臨戦状態となってバスコに相対します。

一気に形勢逆転で、これで今度はバスコが絶体絶命のピンチのはずですが、
バスコは「やれやれ・・・そう来るとは思わなかった!」と、明らかに作戦失敗を認めつつも、それでもまだ余裕を見せます。
そして「・・・しょうがない!」と、すかさず懐からラッパラッターを取り出します。
見ると、既に5本のレンジャーキーがピストン部に挿入済です。
バスコは最初からいつでも召喚戦士を繰り出せる準備をして取引に臨んでいたのです。

それはつまり、マーベラスが指定のアイテムを持ってこの場に来たら、
召喚戦士を使って5人を殺してアイテムを全部奪うための準備でした。
ダマラスの要望に沿うのなら、バスコはそのようにするべきであったのです。
だからそのための準備はしていた。
しかしバスコは自分のポリシーに最後までこだわって守ろうとしたので、
その準備状態のラッパラッターを懐に忍ばせたまま、結局使うチャンスを逸していたのです。
それは既に海賊の精神を失ってしまっていたバスコが自分を賢い海賊として正当化するために縋っていたポリシーだったのですが、
そんなものにこだわってマーベラスを殺すのを迷っている間に、
そのポリシー自体が海賊でない証としてマーベラスに見事に否定されてしまい、仲間も奪還されてしまいました。

思わぬ屈辱を受けてしまったバスコですが、
こうしてジョー達を奪還されてしまった今となっては、
もはや「何かを得るために何かを捨てる」というような取引にこだわる必要もありません。
目の前にはレンジャーキーやガレオンもあるのですから、こうなったらマーベラスの言うように
「欲しいものは全部自分の手で掴み取る」という海賊流でやればいいとバスコは思いました。
つまり、力づくでマーベラス達5人全員を今度は心置きなく殺して、
この場に残ったレンジャーキーとガレオンとナビィを奪えばいい。
そう考えて、バスコは本来はこの場では使いたくはなかったラッパラッターを作戦変更ということで取り出して、
それを吹き鳴らし、まず5人の戦士を召喚しました。

その5人の戦士とは、ボウケンシルバー、ガオシルバー、マジシャイン、キバレンジャー、ゴーオンゴールドでした。
そして更にバスコは5本のレンジャーキーをラッパラッターに挿入して吹き鳴らします。
そうして召喚された戦士はアバレキラー、メガシルバー、シンケンゴールド、ゴセイナイト、ゴーオンシルバーの5人の戦士でした。
これで合わせて10人の召喚戦士、この10人がバスコとサリーを守るように立ち、マーベラス達に対峙します。
つまり、これは前回の最後にマーベラス達5人が完敗した10人の召喚追加戦士たちでした。

バスコはニヤリと笑います。
この10人で襲えばマーベラス達5人に確実に勝てるとバスコは読んでいるのです。
実際、これはマーベラス達には大ピンチの状況といえます。
ところがマーベラス達はあくまで強気です。
「マーベラス!あれもぜ〜んぶ、獲りに行くんでしょ?」とルカがクールに問いかけます。

「欲しいもの(夢や仲間)は全部この手で掴み取る」という海賊のポリシーを高らかに宣言した以上、
倒せば追加で手に入るレンジャーキーの化身である召喚戦士が目の前に立っており、
そのレンジャーキーが「宇宙最大のお宝」という自分達の夢に繋がるアイテムである以上、
戦って獲りに行くしかない。
「フン!・・・当然だ!」とマーベラスは不敵に笑って応えて、ゴーカイレッドのレンジャーキーを取出します。
そして5人全員で「豪快チェンジ!!」とコールしてゴーカイジャーに変身し、5人の名乗りの後、
いつものごとくマーベラスが「派手に行くぜ!!」と叫び5人でゴーカイガンをぶっ放し、戦闘開始となります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:27 | Comment(0) | 第16話「激突!戦隊VS戦隊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月01日

第16話「激突!戦隊VS戦隊」感想その6

ゴーカイジャー5人と召喚追加戦士10人の再度のレンジャーバトルが始まり、乱戦状態となった中を、
ニヤリと笑ってバスコは悠然と横切り「それじゃあ今のうちにレンジャーキーをっと・・・」と言って、
さっきマーベラスが放り投げた宝箱からぶちまけられたレンジャーキーの散乱したあたりへと向かいます。
マーベラス達が召喚戦士の相手で手一杯の間にレンジャーキーを手に入れておこうとしたのです。

ところがその場所へ来てみると、そこでは何時の間にか現れたナビィが散らばったレンジャーキーを咥えて集めて、
せっせと宝箱にしまい込んでおり、全部のレンジャーキーを宝箱に入れると蓋を閉め、
「ほいラスト!グッバァ〜イ!!」とバスコに声をかけて、さっさと宝箱を足で掴んで、
ガレオンに向けて飛び立っていってしまったのでした。
「あらナビちゃん・・・仕事早いねぇ〜・・・」とバスコは苦笑いし、
ナビィは「まぁ〜ねぇ〜!」と褒められて調子に乗ります。

マーベラスは最初からレンジャーキーの宝箱をぶちまけた後のフォロー要員としてナビィを待機させていたのでした。
一方、バスコはマーベラスの意外な作戦に翻弄されて、
この場にいなかったナビィの動向に注意を払うのをすっかり忘れていたのでした。
またしてやられた形のバスコですが、その気になればナビィを追撃することも出来たはずです。
しかし必死でナビィを追おうとはせず、ナビィとの間でやや緊張感に欠ける遣り取りをしている理由は、
単にナビィとも昔馴染みであるからというだけではなく、まだバスコには余裕があるからです。

バスコは単に地面に散らばって放置されているレンジャーキーを労せずして奪って
マーベラス達を嘲笑いたかっただけのことであって、
必死でナビィを追いかけてまでして今すぐにレンジャーキーを手に入れようとまでは思っていません。
そんなことをしなくても、10人の召喚戦士でマーベラス達を全員始末してしまえば、
戦いの後でゆっくりとこの場にあるレンジャーキーもガレオンもナビィも手に入れればいいと、
バスコは考えていたのでした。

つまり、それだけ10人の召喚戦士がマーベラス達に勝つことを確信しているわけです。
確かに先だっての、この10人の召喚追加戦士たちとマーベラス達5人との戦いは、召喚戦士側の圧勝に終わりました。
しかもあの時はマーベラス達を殺さないように召喚戦士には手加減させていたわけですかが、
今回は殺すつもりで全力で戦わせています。
だから、召喚戦士側が勝つに決まっているとバスコは思っているわけです。

その戦いの方は、前回の戦いと同じ対戦になっていました。
すなわち、マーベラスはマジシャインとシンケンゴールドのタッグと1対2のハンディキャップ・マッチで戦い、
ジョーはゴセイナイトとキバレンジャーのタッグと1対2のハンディキャップ・マッチで戦い、
ルカはゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのタッグと1対2のハンディキャップマッチで戦い、
ハカセはメガシルバーとガオシルバーのタッグと1対2のハンディキャップ・マッチで戦い、
アイムはボウケンシルバーとアバレキラーのタッグと1対2のハンディキャップ・マッチを戦い、
この5つの戦いがそれぞれ荒野の少し離れた場所で同時進行していくという形となっていました。

ここでマーベラス一味と召喚戦士との力関係をおさらいしてみます。
まず、ここでバスコが繰り出している召喚戦士は、
前回マーベラス達に倒されたタイムファイヤーなどの5戦士も含めて全部、いわゆる追加戦士ですが、
それぞれオリジナルの戦士よりはMAXの戦闘能力は低いとみていいでしょう。
この15の召喚戦士は全てが均質な力を持っているわけではなく、個々の強弱の差はあるようですが、
それでもそんなに大きな力の差は無く、前回の1対1の戦いを見た感じでは、
マーベラス一味の5人はそれぞれ自分の最も得意な戦闘スタイルをとった場合、
マーベラスとジョーは召喚戦士を圧倒する力を持っており、
ルカは互角に戦いながら優勢勝ちする力を持ち、
ハカセとアイムは劣勢から召喚戦士の弱点を突く頭脳プレーで逆転する程度の力を持っています。

つまり、今回の10戦士も個々の戦闘力は前回の5戦士と大差無いのだから、1対1ならばマーベラス達は勝てるのです。
しかし今回は1対2のハンディキャップ・マッチの形になっています。
前回もこの形で同じ対戦相手に5人は完敗しました。
ただ、前回の敗戦は、まずジョーとルカとハカセとアイムの4人は不意打ちで
最初に大きなダメージを受けてから一方的に嬲られたのであって、実力で圧倒されたわけではありません。
そしてマーベラスは袋叩きにあっているジョー達を助けようとして焦り、
対戦相手であるマジシャインとシンケンゴールドに集中出来ずに敗れたのでした。

だから、今回はあの時ほど簡単に敗れることはないとマーベラス達は読んでいました。
それでも強敵には違いない召喚戦士を一度に2人相手にするのですから、厳しい戦いになるのは覚悟しなければいけません。
特に前回の1対1の戦いの時に召喚戦士を圧倒していたマーベラスとジョー以外の3人は、
1対1でもかなりの苦戦であったのですから、相手が2人となれば苦戦は必至といえます。

しかも、あの1対1の戦いの際は、マーベラス達は皆、自分の最も得意な戦闘スタイルで戦っていたのですが、
今回はそうではありません。
全員が通常の「右手にゴーカイサーベル、左手にゴーカイガン」というスタイルのままです。
この形を最も得意とするのはマーベラスだけですから、今回に関してはジョーすらも苦戦の可能性が高いといえます。
おそらく今回の条件での戦いの場合、敵の2人の召喚戦士との力関係を予想すると、
マーベラスで互角、ジョーが苦戦気味で、ルカは不利、ハカセとアイムはかなり厳しい、という感じになるでしょう。

そもそも、何故、前回のように武器交換をして各自が最強スタイルにならないのか不可解ですが、
これは劇中描写としては、戦いが切迫していて武器交換をしている余裕が無いというところでしょうが、
演出意図としては前回のレンジャーバトルとはテーマを変えているということでしょう。
つまり前回はマーベラス一味の各自の「個」の力を最大限まで高めて、
「個」の力で1対1の勝負を制する5人を魅せていたわけですが、今回はそれとは趣旨が違うということです。

そうした中で5人の中で唯一、今回も「個」の力を最大限に高めて戦っている唯一のメンバーであるのはマーベラスで、
それはマーベラスがゴーカイジャーの基本装備である「右手に剣、左手に銃」のスタイルを
自らの最強スタイルとしているからです。
マーベラスはこのスタイルでマジシャインとシンケンゴールドを相手に互角の戦いを繰り広げています。
マジシャインはマジランプバスターの射撃で遠距離攻撃を仕掛け、
シンケンゴールドはサカナマルの逆手一文字の居合斬りで接近戦を挑んできます。
この遠距離と近距離のコンビネーション攻撃を
マーベラスはゴーカイサーベルとゴーカイガンを駆使して上手く凌いで反撃しますが、
マジシャシンとシンケンゴールドもなかなかマーベラスの攻撃を簡単には喰らわず、一進一退の攻防が続きます。

一方、ジョーはゴセイナイトとキバレンジャーの2人を相手に斬り合いとなっていました。
ゴセイナイトはレオンレイザーソード、キバレンジャーは白虎神剣でジョーに斬りかかってきており、
斬り合いは剣が得意なジョーには望むところのはずですが、
最強スタイルの二刀流でなく、銃は使わず実質的に右手の剣1本で戦うジョーは、
さすがに2人の召喚戦士相手では少し押され気味です。

そこから少し離れた位置、とはいっても簡単に武器交換出来ないぐらいは離れた位置では
ハカセがメガシルバーとガオシルバーを相手に大苦戦に陥っていました。
メガシルバーはシルバーブレイザーをソードモードにしており、
ガオシルバーはガオハスラーロッドをサーベルモードにしています。
つまりどちらも剣で攻撃して接近戦を仕掛けてきているのです。
この2人の召喚戦士の息もつかせぬ剣の攻撃をハカセはゴーカイサーベルで捌いているのですが、
ハカセはどちらかというと剣は苦手な方ですから、召喚戦士2人の一流の剣撃に対応しきれず、
押されに押されて慌てまくります。

さて、そのジョーとハカセの戦っているエリアや、マーベラスが戦っているエリアとは離れたエリアでは、
アイムがボウケンシルバーとアバレキラーと戦い、
それを見下ろす高台ではルカがゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのウイングス兄妹と戦っていました。
まぁウイングスには違いないのですが単に能力が実体化した存在ですから本当の兄妹というわけではないのですが、
それでもなかなかウイングスはコンビネーションが良く、ロケットダガーで息を合わせてルカに斬りつけて、
ルカもゴーカイサーベルで受け止めますが、じりじりと押されていき、
遂にはルカは弾き飛ばされて、高台からゴロゴロと斜面を転がり落ちます。

そのルカの落ちて行った先ではアイムがボウケンシルバーとアバレキラーに挟まれて攻撃を受けていました。
ボウケンシルバーの槍型武器のサガスピアと、アバレキラーの剣型武器のウイングペンタクトによって
前後から攻撃され、アイムは防戦一方で、遂にはサガスピアの一撃を喰らって地面に転がります。
それを見てルカは「アイム!」と叫び、高台から追撃してきたウイングス兄妹の攻撃を掻い潜りながら
アイムの方へ駆け寄り、「ちょっと!どきなさいよ!」とボウケンシルバーとアバレキラーを蹴り飛ばして乱入して、
「平気?」とアイムを抱え起こします。
「ルカさん・・・!」とアイムは応援に来てくれたルカに感激します。

そうして2人はボウケンシルバー、アバレキラー、ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバーの
4人の召喚戦士に囲まれてしまいます。
1対2の戦いが2つ合体して2対4の形になったわけで、ルカとアイム側の数的劣勢は変わりません。
しかしルカが「いくよ!」と合図してアイムが「はい!」と応じて繰り出したコンビネーション攻撃は、
アイムが飛び上がって回転しながら周囲の4人の召喚戦士を上から銃で狙い撃ちしつつ、
ルカが地上で低い姿勢で銃を撃ちながら得意の剣をワイヤーで振り回す攻撃で
周りを囲んだ4人の召喚戦士の身体を薙ぎ払っていくというものでした。
4人の召喚戦士は皆この時点では遠隔攻撃用の武器を使う形になっていなかったので、
距離の出来た状態ですかさずルカとアイムが繰り出した上下を分担した遠距離攻撃の
コンビネーションに翻弄され、混乱に陥りました。

つまり2対4とはいっても、魂の入っていない召喚戦士の4人の方は
単なるバラバラの4人の戦士が一緒に攻撃するという状態で連携攻撃も単調であったのに対して、
ルカとアイムの2人はちゃんと相手の状況を見て互いの役割分担を決めて
息を合わせた連携攻撃を繰り出すことによって、
2人でありながら相乗効果で4人の相手を超える力を発揮することが出来たのでした。

つまりルカとアイムは信頼し合う仲間であるゆえに、
コンビ攻撃においては単純に個々の力を足し算した力ではなく、
掛け算や二乗したような大きな力を発揮することが出来るのです。
それによって、ただの能力の実体化した人形のような存在であるゆえに信頼し合う仲間同士ではない召喚戦士たちの
単なる4人のパワーの足し算したパワーを上回ることになったのでした。

バスコは他人を信じることが出来ないゆえに信頼し合う仲間を持たず、それゆえ召喚戦士を手先として使うしかない。
しかし召喚戦士では、海賊仲間の固い絆で結ばれて信頼し合うマーベラス一味のコンビ攻撃が
上手くハマった時には太刀打ち出来ないのでした。
1対2では劣勢だったルカとアイムは、2対4の形としたことによって、仲間の絆の力の差で鮮やかに逆転したのです。

これが今回のレンジャーバトルで演出サイドが表現したかったテーマだといえます。
すなわち、マーベラス一味の仲間を信じる力が、他人を信じないバスコの企みを打ち破るというテーマを、
先ほどの変身前の対峙シーンではマーベラスの作戦を通して描きましたが、
ここではストレートにバトルを通して描いているのです。

そうして混乱状態に陥った4人の召喚戦士を見て、
すかさずルカとアイムは態勢を崩しているボウケンシルバーとアバレキラーに襲い掛かります。
ゴーオンゴールドとゴーオンシルバーはダメージですぐには動けず応援には来ることは出来ません。
これで2対2の局面を作ることが出来ました。
数が同じならゴーカイジャーと召喚戦士なら、ゴーカイジャーの方が強いことは前回の戦いで証明済みです。

しかもこれは単純な2対2ではありません。
ルカとアイムの方は連携することで1と1を足した2よりも更に大きな力を発揮出来るのに対して、
召喚戦士の方は1と1を足した2以上の力は発揮できません。
これでは勝敗は明白というもので、ルカとアイムが一斉に何度も斬りつけて、
もともと態勢の崩れていたボウケンシルバーとアバレキラーはあっという間に倒されて
レンジャーキーに戻ってしまいました。

「一丁上がり!」「ですね!」と言ったルカとアイムは
更にそこに襲い掛かってきたゴーオンゴールドとゴーオンシルバーを迎え撃ち、斬り合いに突入していきます。
これでこちらのエリアでは残る敵はこのウイングス兄妹の2人だけであり、完全に2対2の局面となります。
2対2ということはルカとアイムが有利ということになります。

一方、別エリアでメガシルバーとガオシルバーの執拗な剣の攻撃に翻弄されていたハカセは、
2人の召喚戦士を相手に正攻法では自分は勝ち目は無いと悟り、奇策に出ます。
ハカセの発想は、相手が2人いるから勝てないのであって、1人にしてしまえば勝てるというものでした。
そこでハカセは両手に持っていたゴーカイサーベルとゴーカイガンを放り投げて、
小型アンカー付きのワイヤーを取り出します。
そしてそれをブンブン振り回してから投げ輪のようにメガシルバーとガオシルバー目がけて
アンカーのついた先端を投げつけます。

召喚戦士は想定外の展開に対応するのが苦手ですから、
このハカセの意外すぎる行動に2人の召喚戦士は対応出来ず、ワイヤーは2人をぐるぐる巻きにしてしまいます。
その縛めはハカセがワイヤーのもう一方の端を両手で固く握って引っ張っていることで維持されていました。
ただ、それだけでは単に2戦士の動きを封じただけのことで、
同時にハカセの両手も封じられており、単なる膠着状態となります。
だからハカセの作戦はこれで終わりではなく、更にハカセは自分の身体にもワイヤーを巻きつけていきます。
そうすることによって、ワイヤーを身体で引っ張って2戦士の縛めを維持しながらハカセの両手はフリーになります。
そうしてフリーになった両手にハカセは「よし!」と再び剣と銃を拾って持とうとします。

つまりハカセの作戦は、2人の召喚戦士を縛って1つにまとめておいて攻撃しようというものでした。
が、メガシルバーとガオシルバーは縛めから逃れようと慌ててピョンンピョン跳ねて動き、
ワイヤーで繋がったハカセはそれに引きずられてしまいます。
するとハカセは剣と銃を取り損なってしまい、「ちょっと待って!」と慌てますが、
ピンと張ったワイヤーが自分を締め付けてほどくことが出来ず、
2人の召喚戦士が動くのに自分が縛られて引きずられていく羽目になります。
奇想天外な作戦の着想は面白いのですが、詰めが甘いところがハカセらしいと言えます。

こうして変な形でピンチに陥ったハカセを見て、
少し離れた場所でゴセイナイトとキバレンジャーを相手に戦っていたジョーが飛び込んできます。
そして縛られたままハカセを引きずっているメガシルバーとガオシルバーに斬りつけます。
一緒くたに縛られて抵抗出来ない2人の召喚戦士はジョーの攻撃を避けることが出来ず
、斬られて力無く崩れ落ちます。
これはもともとハカセが武器を拾ってやろうとしていたことですが、
ハカセが途中で失敗したのでジョーが代わりにやってあげたような形です。

2戦士が倒れ込んだことでワイヤーの張りが緩んでハカセはワイヤーの縛めから抜け出ることが出来て
「ジョー!」と嬉しそうに叫んでジョーの横に転がり込みます。
「・・・ったく!」と溜息をつきつつ、ジョーはすぐさまゴーカイガンを連射します。
ハカセも同時に同じ方向にゴーカイガンを連射します。
それはジョーを追撃しようとするゴセイナイトとキバレンジャーを足止めするための威嚇射撃でした。

弾幕でゴセイナイトとキバレンジャーの動きを止めたことによって、
ジョーとハカセはメガシルバーとガオシルバーとの間で一瞬、2対2の状況を作り出すことに成功します。
しかもメガシルバーとガオシルバーはジョーに斬られたダメージで弱っており、
ジョーとハカセは先ほどのルカとアイム同様、2人で連携することで
単なる2人の力を合わせた以上の力を発揮することが出来るのです。
ジョーとハカセはすかさずメガシルバーとガオシルバーに斬りかかり、
縛めから解放された2人の召喚戦士も反撃を試みますが、ジョーとハカセの連携攻撃の敵ではなく、
あっという間に斬り伏せられて、レンジャーキーに戻ってしまいます。

そうして地面に転がり落ちた2つのレンジャーキーには目もくれず、
ジョーとハカセは一斉に駆け出して、すぐさま今度はゴセイナイトとキバレンジャーに向かって突進していきます。
これで完全に2対2の状況となったので、召喚戦士相手に自分たちが優位に立ったことを理解しており、
このチャンスに一気に勝負を決しようとしているのです。

さてこれでルカとアイムはゴーオンゴールドとゴーオンシルバーと2対2のタッグ戦を戦い、
別エリアではジョーとハカセはゴセイナイトとキバレンジャーと2対2のタッグ戦を戦うという状況となりました。
こうなるとゴーカイジャー側の優位な状況となります。
一方、相変わらずハンディキャップ・マッチの様相を呈しているのは
マーベラスがマジシャインとシンケンゴールドのタッグと戦っているエリアでしたが、
こちらはマーベラスが最強の戦闘スタイルで戦っているので2人の召喚戦士を相手にして、
もともと互角の勝負に持ち込んでいます。

そういう意味ではマーベラスの強さが如何なく発揮されていると言えますが、
ここでは演出的にはそれが主眼となっているわけではありません。
もちろんマーベラスの強さも十分に描写されていますが、
今回のレンジャーバトルの全般的なテーマは、
仲間との信頼感に基づいた連携の力が仲間を信じる心を持たない敵を倒すということですから、
マーベラスの「個」の強さがここでのメインテーマではないわけです。
むしろ、仲間を信じる心を持たないバスコの操る魂の無い召喚戦士のマジシャインとシンケンゴールドの側の
連携の悪さが敗因となっていく様を描くのがメインといえるでしょう。

マーベラスがいくら強いと言っても、基本的には互角の勝負なのですから、
ルカとアイム、ジョーとハカセが見せたような1足す1が2以上になるようなレベルの連携攻撃を
マジシャインとシンケンゴールドが見せることが出来ればマーベラスを倒すことも出来るはずなのです。
しかし現実には魂を持たないこの2戦士の連携は悪く、そこをマーベラスに突かれて自滅していきます。
逆にマーベラスは連携の重要性が勝負を分けるということを知っているので、
そこが上手くいっていないことが逆に最大の弱点ともなることをよく理解しており、
巧みに2人を分断していきます。
それは結局、マーベラスが仲間との絆を結んで普段から戦っていることの裏返しであり、
ここでもやはり、先ほどの2つのエリアの戦いとは逆のベクトルから
「仲間の絆で戦うことの強さ」を描写しているのだといえます。

まずマジシャインとシンケンゴールドに挟まれて攻撃を受けていたマーベラスは、
マジシャインが飛び蹴りをしてきた時、自分の背後にシンケンゴールドが立っているのを逆手に取って、
上手く体を入れ替えてマジシャインの飛び蹴りをシンケンゴールドにヒットさせます。
それでシンケンゴールドが吹っ飛んでマーベラスはマジシャインと1対1となり、
しかもマジシャインの射撃攻撃の脅威の少ない接近戦に持ち込みます。

マジシャインはマジランプバスターの弾道の屈曲する独特の射撃で接近戦の不利をカバーしようとしますが、
マーベラスは自分の身体に向かってくる弾道を全て見切って身体のすぐ傍で叩き落とし、
マジシャインに身体を寄せて攻撃を加えていきます。
このあたり、やはりマーベラスの強さも描写されています。
そしてマーベラスは接近戦でマジシャインをとらえ、回し蹴りでマジシャインを蹴り飛ばし、
転がるマジシャインを飛び越えて今度は起き上がったシンケンゴールドがマーベラスに襲い掛かります。

マーベラスを休ませないための連続攻撃なのですが、
これはどうにもせっかく2人いるのに連携が悪すぎます。これでまた1対1の局面となるからです。
魂を持たない召喚戦士ゆえに状況判断が甘いのです。
のこのこと不利な1対1の戦いを挑んできたシンケンゴールドを迎え撃ったマーベラスは
居合斬りをゴーカイサーベルで受け止めながらゴーカイガンのゼロ距離射撃でシンケンゴールドにダメージを与え、
そこに追い打ちのゴーカイサーベルの一閃でシンケンゴールドを倒し、レンジャーキーに戻します。

そして1人残ったマジシャインに真っ直ぐ吼えながら突っ込んでいき、
迎撃するマジランプバスターの真っ直ぐ飛んでくる光弾を全部サーベルで叩き落としながら
全くスピードを緩めずに突進して、そのまま前蹴りでマジシャインを吹っ飛ばし、
飛ばされていくマジシャインに向けてゴーカイガンを撃ちまくり蜂の巣にします。
これはなんとも豪快な攻撃で、召喚追加戦士を1対1では圧倒するマーベラスの強さがよく表現出来ています。

斜面に激突して転がり落ちたマジシャインのもとに、
ルカとアイムに追い詰められたゴーオンンゴールドとゴーオンシルバー、
そしてジョーとハカセに追い詰められたゴセイナイトとキバレンジャーも集まってきます。
そしてマーベラスのもとにもルカ、アイム、ジョー、ハカセも集まり、
遂にレンジャーバトルもクライマックスとなります。

「いくぜ!!」とマーベラスが合図すると全員、ゴーカイサーベルとゴーカイガンの両方にレンジャーキーを挿入する
ファイナルウェーブの最強形態である「ゴーカイスクランブル」の態勢に入ります。
この、ゴーカイジャーのレンジャーキーとゴレンジャーのレンジャーキー、合わせて10本のレンジャーキーを使って
剣と銃の両方を使うタイプのファイナルウェーブは「ゴーカイスクランブル」というらしいですが、これには2タイプあり、
前回のように二刀流や二丁拳銃など各自が自分の最も得意な戦闘スタイルで放つ場合は今まで何度か使われてきました。

しかし今回はバトルのテーマが「個」の強さを描くことではなく、チームとしての強さを描くことですから、
初披露のゴーカイスクランブルもう1つの形態、
全員がマーベラスと同じように剣と銃で同時に放つタイプのものとなります。
最初に一斉射撃でゴーカイガンから撃ち出したエネルギー弾に向かって、
全員が大きく振り下ろしたゴーカイサーベルから発した三日月状のエネルギー波を飛ばして合体させ、
それを5人の召喚戦士にぶつけて倒し、5本のレンジャーキーへと戻したのでした。

こうして10人の召喚戦士に見事雪辱を果たしたマーベラス達は完全勝利を収めたのですが、
その戦いの中、いつの間にかサリーを連れて戦いを見下ろす高台に移動していたバスコは
「マベちゃん昔より強くなったじゃん!」と感心します。
バスコの予想ではマーベラス達は10人の召喚戦士には勝てないはずでした。
その予想が外れたということは、バスコがマーベラス達の実力を読み誤っていたということです。
バスコはマーベラスのことは昔から知っているので、その頃のマーベラスの実力を参考にしていたようですが、
現在のマーベラスは昔よりも強いとバスコには感じられたようです。

それは別に重い腕輪で鍛えているからというような意味合いではなく、
マーベラスがバスコと別れてから、自分で仲間を5人集めて、その仲間たちと築いた絆の重みなのでしょう。
しかし人を信じないバスコにはその意味合いなどは分かるはずもなく、
何かよく分からないが、とにかくマーベラスが正体不明のパワーアップをしているように見えたのです。
そうなると、よく分からないまま戦うのは不利に思えてきます。ましてや相手は5人揃っています。
「・・・今日のところは退散しておくか!」とバスコは撤退することを決断します。
しかし、それにしては大して危機感を抱いた様子も無いところを見ると、まだバスコには余裕があるようです。
撤退するために打つ手はまだ持っているようです。

「サリー!」とバスコが声をかけるとサリーは「ウキキィッ!」と鳴いて立ち上がります。
するとバスコはサリーの腹についているダイヤルを回してハッチを開きます。
なんとサリーはただの猿ではなく、腹にハッチを持っているのです。
ともかくそのハッチを開くと、そこから大量の水が噴き出しました。
「いらっしゃいませぇ!」とバスコが言うと、その水はマーベラス達の前に飛び込んで大きな水柱となり、
その水柱は巨大な怪物に姿を変えます。
突然の怪物の出現にマーベラス達は驚きます。

「何か出たぁ〜!?」と怯えるハカセに対し、
バスコは「リキッドロイドのワテル君だ!可愛がってやってくれ!じゃあ!」と、
ニヤニヤ笑ってマーベラス達を見下ろして言って、サリーと共に去っていきます。
「リキッド」は液体という意味で、「ロイド」は「アンドロイド」のように人造人間という意味でしょうから、
「リキッドロイド」というのは「液体人造人間」、つまりバスコが作った生物兵器のようなもののようです。
それが腹の中に入っているサリーもバスコが作った一種の生物兵器なのかもしれません。
ちなみに「ワテル君」という愛称は、水を意味する「Water」をローマ字読みしたものでしょう。

バスコはこのワテルを使ってマーベラス達を足止めしておいて、その間にこの場から逃げようという腹積もりのようで、
マーベラス達がバスコを追いかけようとしたところ、ワテルが攻撃してきてマーベラス達は身動き出来なくなります。
「・・・チッ!まずはこっちか!」とマーベラスは忌々しそうに吐き捨てると、モバイレーツでゴーカイガレオンを呼びます。
ガレオンは確か上空に係留してあったはずですが、
あるいはバトルが始まってから遠隔操作か自動操縦で退避させていたのかもしれません。
まぁこのへんはあんまり細かく突っ込んだら負けの部分でしょう。
要するにいつもの雲間からガレオンが現れるバンク映像を使いまわしているだけのことです。

こうしている間にバスコはまんまと逃げてしまいました。
マーベラス達はバスコを取り逃がしてしまったのですが、
バスコもまた狙っていたレンジャーキーやガレオンは手に入れられなかったわけで、
しかも追加戦士10人のレンジャーキーまで奪われてしまったのですから、大誤算であるはずです。
また、このリキッドロイドを出してすぐに逃げてしまうところを見ると、
リキッドロイドでゴーカイオーを倒せるとまでは思っておらず、
単なる自分が逃げる時間稼ぎ程度にしかならないと思っているようです。
つまりリキッドロイドも捨て駒で、バスコはリキッドロイドも失うことになるわけです。

しかし、その割にはバスコはあっさりと撤退していき、余裕の態度を崩していません。
つまり、まだバスコには何らかの手は残っていると見ていいでしょう。
おそらくリキッドロイドかそれに類した生物兵器はまだサリーの腹の中に隠し持っているのでしょうし、
まだ「宇宙最大のお宝」を奪う作戦を立てることは出来ると思っているようです。
それだけの余力をまだ隠し持っていると見るべきでしょう。

ここからリキッドロイドのワテル君との巨大戦となるわけですが、
等身大戦のレンジャーバトルが今回のエピソードのテーマ「仲間を信じるということ」を体現した描写であったのに対して、
この巨大戦の方は、玩具販促番組としての義務を果たしたという以上のものではない感じです。
「とりあえず巨大戦はやりました」というものです。

よく考えてみれば今回、ザンギャック関係者は全く登場しておらず、つまりあのインサーンの巨大化銃も出てきていません。
そうなると巨大戦が出来なくなってしまうので、バスコ専用の巨大戦用の生物兵器として
リキッドロイドというキャラを出す必要があったのでしょう。
これに似たものとしては近年では、「シンケンジャー」の後半の敵幹部アクマロが
配下のアヤカシを使わずに作戦を行った際に最後の巨大戦の時によく繰り出した「切神」というやつがあります。
リキッドロイドはそういう切神的な存在なのでしょうが、
第三勢力的キャラでありながら独自の巨大戦アイテムまで持っているバスコというキャラは、
「バイオマン」におけるバイオハンター・シルバや、
「アバレンジャー」における敵だった頃のアバレキラーのようなポジションのキャラだといえるでしょう。

まぁ、今回はそういうノルマをこなす的な意味合いの強い巨大戦で、
敵であるワテルもアクマロの切神同様、いつものザンギャックの行動隊長と違って喋らないので、キャラが薄目なのですが、
ともかくゴーカイジャーは5台のゴーカイマシンで海賊合体してゴーカイオーを繰り出し、ワテルと戦います。
ワテルは身体から激しい雷撃のようなものを発して攻撃してきます。
これをかいくぐってゴーカイオーは剣で斬りつけますが、
ワテルはまるでコンニャクのようにツルンツルンとした動きで剣をかわしていきます。
まるで五右衛門の斬鉄剣がコンニャクを斬れないという描写を見るようです。

そしてワテルはゴーカイオーが振り下ろした2本の剣を両手で掴み、
伸縮自在の両手の怪力でじりじりと押し返します。
水は大きな力を持っているので、ワテルも怪力の持ち主なのでしょう。
「ワテル君だっけ?なかなかやるじゃん!」「意外と・・・力持ちさんなんですね!」と、
ワテルに負けないように剣を押し返そうとしてルカとアイムが操舵輪をぐっと回して押し込みながら言いますが、
ジョーが「押してダメなら引けばいい!」という指摘にマーベラスが「だな!」と応じて、
5人は今までゴーカイオーの腕を押し込むために回そうとしていた操舵輪から一斉に手を放します。

すると一気に操舵輪が逆方向に猛烈な勢いでカラカラと回り、
ゴーカイオーの全身の力が抜けて後ろに吹っ飛び、
全力で押し込んでいたワテルは勢い余って前に吹っ飛んでつんのめって倒れます。
起き上がったワテルに対して「引いたら今度は押してくよ!」とハカセが言い、
距離をとったゴーカイオーはゴーカイスターバーストでワテルを撃ちまくります。
更にハカセは「バンバン出しちゃうもんねぇ〜!」と2種類のレンジャーキーを取出します。

全員が一斉に1つ目のレンジャーキーを挿し込むと、
ゴーカイオーのハッチが開いて「牙吠」の文字が飛び出し、ガオライオンがやってきます。
この状態で更にもう1つレンジャーキーを使うということは、それはシンケンジャーのレンジャーキーということです。
案の定、シンケンジャーのレンジャーキーでガオライオンを変形させてシンケンゴーカイオーを完成させたゴーカイジャーは、
烈火大斬刀を出してゴーカイ侍斬りでワテルを叩き斬って倒し、巨大戦を勝利で終えたのでした。

エピローグは、夕焼けに染まる街の上空を飛ぶゴーカイガレオンの船室の中でのマーベラス一味のシーンです。
テーブルの上に今回ゲットした15本のレンジャーキーを並べて、
ルカは「大いなる力は見つかんなかったけど、新しいレンジャーキーを15個もゲット出来ちゃうなんてねぇ〜!」とご満悦です。

結局、今回のバスコとの2度の戦いを通してマーベラス達は、
タイムファイヤー、ドラゴンレンジャー、キングレンジャー、シュリケンジャー、デカブレイク、
マジシャイン、シンケンゴールド、ゴセイナイト、キバレンジャー、ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー、
メガシルバー、ガオシルバー、ボウケンシルバー、アバレキラーの、15本のレンジャーキーを手に入れたのでした。
全ていわゆる「追加戦士」のレンジャーキーであり、
どういう経緯でバスコがこれらの未知のレンジャーキーの存在を知って探し出していたのかは謎のままであり、
これらの新しいレンジャーキーの戦士名もマーベラス達は知らないのであり、
これらが今後の「宇宙最大のお宝」探しの中でどういう意味を持つアイテムであるのかも、未だ不明です。
ただ、ゴーカイジャーが新たな戦う力を手に入れたことは確かであり、大きな収穫であることには違いありませんでした。

「今思えば、ナビィの占いは大いなる力のことじゃなく、このカギのことだったのかもな・・・」とジョーが感慨深げに言い、
それに相槌を打つように「そーだったんだぁ!」とナビィは調子の良いことを言います。
確かに「みんなに危険が迫ってる」というナビィの占いはバスコに拉致されてザンギャックに売られかけたことで的中し、
それがレンジャーキーの獲得に繋がったわけですから、
ナビィの「お宝ナビゲート」という占いの機能は十分に果たしていたことになります。

いや、それはこれらの新たな15個のレンジャーキーが「宇宙最大のお宝」探しに直結する意味があるものだと
証明されてから言い切れることであるのですが、それが現時点ではまだよく分かりません。
だからジョーは「かもな」と言っているわけです。
しかしこれまでにゲットしてきたレンジャーキーも、
それが「大いなる力」の触媒となることによって「宇宙最大のお宝」へと直結するアイテムとなっているのであり、
この15本も同じレンジャーキーである以上、今後、新たな「大いなる力」の触媒となっていくことが予想されるといえます。

ジョー達はもうレンジャーキーは自分達が持っている分の他には存在しないものだと思っていたので、
ナビィの占いがレンジャーキーの在り処を示していたものだとは思わず、
今回もまたレジェンド戦士との出会いを通して「大いなる力」の取得があるのだと勝手に思い込んでいたのでした。
ただ、そのあたりはお告げをしたナビィ自身も実際はよく分かっておらず、
単にいつものお告げとは少し違和感があると感じただけのことだったのに、
今になってから、さも分かっていたかのように言うのは、あまりに調子が良すぎるというものです。

新しいレンジャーキーという戦利品を囲んで歓喜に包まれるジョーとルカとハカセとアイム、そしてナビィ。
これで今回はハッピーエンドかと思いきや、マーベラスだけはその輪に加わらず、
窓際に1人で立って複雑な表情で外の景色を眺めています。
マーベラスにはまだハッピーエンドとはいかない悩める問題があるようです。

窓の外を見たまま、おもむろにマーベラスは
「悪いな、お前ら・・・面倒に巻き込んじまって・・・!」と4人に対して詫びます。
つまりマーベラスは自分がバスコとサシで勝負して落とし前をつけることにこだわったために
4人を危険な目に遭わせてしまったのだと思い、悔いていたのでした。

確かにマーベラスが最初にバスコの誘いに乗らなかったら、4人が拉致される展開にはならなかったはずです。
またマーベラスが最初にバスコを1人で倒せていたら4人が戦いに加わることもなかった。
つまり策略の面も含めてマーベラスの力がバスコに及ばなかったために4人は危険な目にあったのです。
「手出しは無用だ」などとイキがってみせたものの、結局は1人ではバスコを倒すことも出来ずピンチに陥り、
4人に助けてもらって、その挙句4人を危険な目にあわせてしまった。
マーベラスはそんな情けない自分は今後バスコが現れても、
もう「手出し無用」などと言ってサシの勝負をする資格など無いと思いました。

しかし、それでも、マーベラスはバスコとはサシで勝負をつけて、
きっちり自分の力で落とし前をつけたいという想いは強かったのでした。
過去にバスコに裏切られて屈辱を受けたのは自分であり、
その落とし前はやはり自分でつけるのが男の意地、渡世人の意地であったからです。
だが、4人をこんな目にあわせておいて、その男の意地を声高に叫ぶことも出来ない。
それでマーベラスは困ってしまっていたのです。
マーベラスには珍しく、あれこれと悩んで、
結局、4人に詫びて今後は一人で突っ走らないと誓うしかないと思ったのでした。
それが仲間の信頼に応える道だと思ったのです。

ところが、マーベラスが詫びるのを聞いて4人は唖然とした顔をします。
ジョーは呆れたように「何言ってんだ?・・・今に始まったことじゃないだろう・・・」とぶっきらぼうに言います。
ハカセは「そうそう!もう慣れちゃったよ!」とニヤニヤします。
「毎日、刺激があって楽しいですよ?」とアイムも笑顔で言ってナビィの頭を撫でて
「ね?」とナビィに話しかけます。するとナビィも「おう!そうそう!」と調子よく同意します。
そして、「嫌になったら勝手に出ていくから・・・お気遣い無く!」とルカは何やら他人行儀な言い方をして
悪戯っぽく笑います。

最初はジョー達の態度に少し驚いて振り向いたマーベラスでしたが、
ルカの言葉で4人の意図を察して、フンと鼻で笑いつつ、優しい目で4人(とナビィ)を見つめます。
そして、話を打ち切るように夕食の準備を始めるとか言って騒ぎつつ
その場をそそくさと去っていく4人の後ろ姿を見送って、
マーベラスは小声でボソッと「・・・ありがとな・・・」と感謝の言葉を囁くのでした。

ジョー達4人はマーベラスが自分がサシの勝負にこだわったことで
4人に酷い目を見せてしまったことに引け目を感じて、
今後はサシの勝負にこだわることを止めようとしていることを察して、
マーベラスの精神的負担を取り除くために、自分たちには全然今回のことは大したことでなく、
マーベラスがそんな他人行儀に気を遣う必要は全く無いのだということを強調したのです。
ルカの他人行儀な態度はマーベラスの他人行儀に対する皮肉のようなもので冗談でした。

いや実際は4人はかなり酷い目にあったのであり、全員大きな苦痛を受けていたのですが、
それを認めてしまうと、マーベラスが気にして、
今後バスコとの戦いで自分の男の意地や渡世人の意地を通せなくなってしまう恐れがあるので、
全然大したことではなかったということにしたのです。
それはつまり、4人がマーベラスに今後も男の意地を通してバスコとの戦いは心置きなく
「手出し無用」で、自力で落とし前をつけてアカレッドの恨みも晴らしてもらいたいと思っているということです。
自分たちのことなど気にしなくていいから、存分に男の意地を通してほしい。そう言っているのです。

それは、それだけ4人がマーベラスのことを信頼しているからであり、
大事に思っており、その気持ちを尊重しているからです。
その4人の気持ちが有り難くて、マーベラスは滅多に言わない感謝の言葉を囁いたのでした。
まぁ声を大にして感謝してもいいぐらいだったのですが、
4人がそれを望んですらいなかったので、小声で囁くにとどめたというところです。

この今回のエピローグの描写は素晴らしいです。
今回のバスコとの戦いを描いた前後篇は、
そのテーマは一貫して「仲間を信じて共に戦うことの素晴らしさ」を描くことでした。
そのためにそのアンチテーゼを体現するバスコというキャラを登場させ、
アカレッドとマーベラスの出会いの場面の回想シーンや、奇策での大逆転シーン、
レンジャーバトルのシーンなど、様々なシーンを使って様々な切り口で
「仲間を信じて共に戦うことの素晴らしさ」を、これでもかというほど徹底的に描写を重ねてきたのです。

その締めのシーンであるエピローグですから、
ありがちな流れならば、マーベラスが反省して今後は仲間を信頼して力を合わせていくことを誓って、
みんなが喜んで終わるという感じになりそうなものです。
ところが、このエピローグでは、最初はマーベラスがそのありがちな流れに沿った発言をしようとしたところ、
仲間たちがあえて、今回のテーマとは対極にあるはずのマーベラスの男の意地、サシの勝負を肯定するのです。

しかし、そこで今回のテーマが矛盾して崩れるのではなく、
そのような仲間の気遣いや優しさこそが、
今回のテーマ「仲間を信じること」を最終的に完成させるという構成になっているわけです。
ベタベタするだけが仲間の絆ではないのであって、
各自の意地をも尊重して包容するのも絆なのです。
こういう絆を結んでいるゴーカイジャーは極めて精神的に大人な戦隊だといえます。

このエピローグは秀逸で、
このエピローグが無くても今回の前後篇のクオリティは極めて高かったのですが、
このエピローグで締めたことによって、今回の前後篇は、いわゆる「神回」の1つとなったと言っていいでしょう。
そして、この見事な前後篇を書き上げた香村純子氏は、
今後、この作品でメインの荒川氏と並んで実質的にダブルメインライターとして捉えてもいいくらいの腕と認めていいと思います。
スーパー戦隊シリーズで今後メインライターとしてやっていってほしいと思います。

と、ここで綺麗に終わるのかと思いきや、実はまだ続きがあります。
最後、突如場面はフリージョーカーの操縦室に移り、バスコの顔のアップとなります。
ニヤニヤしながら操縦席に座ったバスコは「マベちゃん、なかなかやるじゃん?」と言います。
全く懲りていない様子ですが、それでも今回は負けたことは認めているようです。

しかし、バスコは余裕たっぷりの顔でカメラ目線で「・・・でも!」と言い、懐から右手で何かを取り出します。
その右手に握られたものは、なんと5本のレンジャーキーでした。
そして更にバスコは懐に左手も突っ込み、5本のレンジャーキーを取り出します。
合わせて10本のレンジャーキーを両手に持ったバスコは、「まだ、あったりして!」とニヤニヤ笑います。

ここの最後のバスコのシーンは今回のストーリー的にはほとんど意味の無い場面で、
終始バスコがカメラ目線であることからも、これは視聴者の子供たち向けに
「まだバスコはレンジャーキーを持っていて、きっとまたマーベラス達に何か仕掛けてくるぞ」ということを
知らしめるためのシーンです。
これでバスコが今回の使い捨てキャラでないことはハッキリし、
レンジャーバトルも今回で打ち止めではなく、また見ることが出来ると期待させられます。
今後への引きとしては、ベタですが、なかなか有効なシーンといえるでしょう。

さて、もともとバスコが持っている可能性のあるレンジャーキーというのは、
存在する可能性があって、なおかつマーベラス達が持っていないレンジャーキーですから、
ドラゴンレンジャー、キバレンジャー、ニンジャマン、キングレンジャー、ガンマジン、シグナルマン、
メガシルバー、黒騎士ヒュウガ、タイムファイヤー、ガオシルバー、シュリケンジャー、アバレキラー、
デカブレイク、デカマスター、デカスワン、マジシャイン、マジマザー、ウルザードファイヤー、
ボウケンシルバー、大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態、ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー、
シンケンゴールド、姫シンケンレッド、ゴセイナイトの27戦士のレンジャーキーということになります。

そのうち今回の前後篇で登場してバスコからマーベラス達の手に所有権の移ったレンジャーキーの15戦士を除くと、
残りはニンジャマン、ガンマジン、シグナルマン、黒騎士ヒュウガ、デカマスター、デカスワン、
マジマザー、ウルザードファイヤー、大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態、姫シンケンレッドの12戦士であり、
バスコがここで両手に持っている10本のレンジャーキーはこの12戦士のうちの10戦士の分のレンジャーキーと推察されます。

右手に持った分はアップになったのでほぼ明確にどの戦士の分であるのか分かります。
それはシグナルマン、ウルザードファイヤー、黒騎士ヒュウガ、姫シンケンレッド、デカマスターのレンジャーキーです。
これで残りはニンジャマン、ガンマジン、デカスワン、マジマザー、大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態の7戦士ですが、
左手に握った5本のレンジャーキーは金、緑、黒の各色が1つずつで、あとは白いのが2つのように見えますから、
おそらく金色がズバーンで、緑はメレ、黒はリオ、白いのはデカスワンとマジマザーでしょう。

ニンジャマンは青く、ガンマジンも深い紺色で黒に見えないこともないが、
メレのレンジャーキーがあるのなら一緒にリオのレンジャーキーもあると考える方が自然でしょう。
そういうわけで、おそらくバスコが所有しているレンジャーキーは
シグナルマン、黒騎士ヒュウガ、デカマスター、デカスワン、ウルザードファイヤー、
マジマザー、大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態、姫シンケンレッドの10戦士のレンジャーキーです。

ならばニンジャマンとガンマジンのレンジャーキーはどうなったのか?
そもそも存在しているのかも不明です。
まぁガンマジンの場合はオーレンジャーの仲間という意識は希薄で、ほとんど第三勢力的存在で、
むしろ「ボウケンジャー」におけるプレシャスのような存在なので、
レジェンド大戦には参加していない可能性が高いといえます。
だからガンマジンはレンジャーキーにはなっておらず、
相変わらず何処かで岩状になって封印されているのかもしれません。
ただニンジャマンは明確にカクレンジャーの仲間であるのでレジェンド大戦には参加していた可能性が高く、
ならばレンジャーキーになっていないのは不自然といえます。

まぁそもそも、このバスコの持っているレンジャーキーの10戦士は
第1話のレジェンド大戦のシーンではその姿が確認されておらず、
どうしてレンジャーキーになっているのか謎なのですが、
第5話でドギー(デカマスター)が、また第11話で志葉薫(姫シンケンレッド)がそれぞれ
変身出来ない状態で(ドギーは変身出来ないのかしないのか曖昧だったが薫は明確に変身出来ない状態だった)登場した以上、
彼ら10戦士もおそらくレジェンド大戦に参加しており、最後に戦う力をレンジャーキーに変えられたのだと推測されます。

ズバーンもガンマジンとキャラ的には似ているのですが、
ズバーンの場合は明確にボウケンジャーの一員という意識を持っており、レジェンド大戦には参加していたはずです。
だからレンジャーキーになっているのは理解出来ます。
リオとメレはゲキレンジャーの仲間ではないが、地球を侵略する敵に立ち向かう意識はあるであろうと思われますから、
レジェンド大戦には参加するでしょう。
まぁこの2人はもともと死んでるので、そのあたりはどうなってるのか不明ですが、
そんなこと言い出すと、他にも死んでる戦士は結構いるので、
まぁそこは「不思議なことが起こった」ということでいいでしょう。
ちょっと微妙なのはシグナルマンですが、
まぁ彼も何だかんだ言って地球(チーキュ)を守るためによく戦っていたし、
それなりに愛着があって駆けつけてくれたと考えましょう。

そうなるとニンジャマンがレンンジャーキーになっていないことだけが謎となりますが、
そのカギは、ニンジャマンは他の戦士と違って巨大化出来るということでしょう。
おそらくレジェンド大戦時に最後の等身大での大決戦の前に巨大戦があって、
そこでニンジャマンは倒されたか、あるいは行動不能になって最後の決戦に参加出来なかったのではないか?
ちなみにズバーンや黒騎士ヒュウガもそのままの姿で巨大化出来るし、
マジレンジャーなどは本人たちが巨大変身するのでニンジャマンとそう大差ないのだが、
まぁそれらの戦士たちは巨大戦でダメージをあまり受けずに等身大の決戦に参加出来たということなのでしょう。
まぁそういうことが色々と想像できる今回のラストシーンでありました。

それにしても、このバスコの持っているレンジャーキーの10戦士ですが、
シグナルマン、デカスワン、マジマザー、ズバーンの4人はまぁ普通クラスの戦士ですが、
黒騎士ヒュウガ、デカマスター、ウルザードファイヤー、黒獅子リオ、メレ獣人態、姫シンケンレッドは
それぞれの作品中でも最強レベルの戦士で、今回の15人の追加戦士よりもある意味、厄介な相手といえます。
そんな強力な切り札をまだ持っているのでバスコは余裕だったのでしょう。

しかし、バスコがこれらのレンジャーキーをどのようにして手に入れたのかは謎のままではあります。
もちろんマーベラス達はバスコがこのようにまだ他にもレンジャーキーを持っていることは知りません。
そもそもこれらのレンジャーキーの存在自体を知らないのです。
バスコはマーベラス達も知らないようなこれらレンジャーキーやお宝に関する知識を一体どこで得たのでしょうか?
そのあたりの謎も今後、徐々に明かされていくのでしょうか?

なお、今回のEDテーマの映像は、前々回が3コーラス目、前回が2コーラス目ときて、
今回は1コーラス目、つまりゴレンジャーからライブマンまでの昭和戦隊のパートでした。
「3→2→1」という順番にした理由が何かあるのかと思ったら、
相変わらず普通に「199ヒーローズ」の映画内の映像を使って各戦隊の歌詞部分に上手くかぶせてあるだけで、
映像的には特に大した意味は無かったようです。
単にカウントダウン風にしたかっただけだったのでしょう。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:31 | Comment(1) | 第16話「激突!戦隊VS戦隊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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