2011年07月10日

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その1

今回は前回に新登場してゴーカイシルバーという謎の新戦士に変身するという驚きの能力を披露した
伊狩鎧という男に関する様々な謎が一応、本人が知り得る限りにおいては説明される謎解き回であり、
その鎧がゴーカイジャー6番目の仲間になる新戦士加入エピソードなのですが、
同時にレジェンド回でもあったというエピソードです。

今回ゲスト戦士が登場して、その大いなる力をゴーカイジャー側に与えることになるレジェンド戦隊は、
「爆竜戦隊アバレンジャー」「未来戦隊タイムレンジャー」「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の3つの戦隊です。
もともとTV本編のストーリーにおいて6つの戦隊、
そして前回のエピソードの直前にあったとされる映画で描かれた黒十字王との戦いを通じて
11の戦隊の大いなる力を一気に獲得したことによって、
既に34の伝説のスーパー戦隊のうち丁度半分、17の戦隊の大いなる力を獲得しているゴーカイジャーですが、
ここでまた一気に3つの戦隊の大いなる力を持った鎧の加入によって、残りの戦隊はこれで14個となり、
残り話数の中でレジェンド回をじっくり処理していく余裕がますます生じてきたといえます。

そういう全体的なスケジュール管理の問題で、
ここで一気に3つの戦隊を処理したという側面は全く無いわけでもないと思いますが、
それにしては3つというのは中途半端に少なく、
スケジュールの帳尻合わせで一気に多くの戦隊を処理するというのなら、他にもっとやりようもあったと思います。
そもそも残数17が残数14になってもそう状況が大きく変わるわけでもなく、
ここで無理矢理3つの戦隊を一度に処理しなければいけなかった事情があるとも思えません。
だから、作品の全体スケジュールの関係で、ここで3つの戦隊のレジェンド回をまとめたわけではないと思います。

すると、よく言われるのは、レジェンドゲスト側の役者さんの出演の可否によるものだという説です。
例えば今回は3つの戦隊のレジェンド回とは言いながら、顔出し役者がレジェンドゲストとして出たのは
「アバレンジャー」のアバレキラーこと仲代壬琴を演じた田中幸太郎氏だけです。
「タイムレンジャー」からはタイムファイヤー、「ジュウレンジャー」からはドラゴンレンジャーが出てきましたが、
それぞれ変身後の姿だけで、タイムファイヤーの変身前の姿である滝沢直人を演じた笠原紳司氏、
ドラゴンレンジャーの変身前の姿であるブライを演じた和泉史郎氏は出演していません。
よって、タイムファイヤーとドラゴンレンジャーはセリフすら無く、ただ立っているだけという状態で、
鎧の回想シーン内での鎧との遣り取りはアバレキラー仲代壬琴が1人で行い、
タイムファイヤーとドラゴンレンジャーはほとんど単に一緒に居るだけという扱いです。

これはつまり、「タイムレンジャー」と「ジュウレンジャー」からはゲスト出演者の都合がつかず、
そのため、アバレンジャー篇にオマケみたいな形で変身後の姿だけ出して、
レジェンド回を消化した体裁にしたのではないかとも受け取れるのです。
しかし、そうではないでしょう。
役者のスケジュールは工夫次第でなんとかなるし、仮に顔出し役者のスケジュールが調整出来なくても、
デカレンジャー篇をドギー中心に組み立てたりしたように、レジェンド回を作ることが不可能というわけでもない。
だから役者のスケジュールの問題で3つまとめたのではなく、むしろ最初から3つまとめたレジェンド回にする予定だったから、
少ししか出番が無い役で顔出し役者に出演してもらうのは申し訳なくて、
壬琴役の田中氏以外は最初から出演交渉自体をしなかったのではないかと思う。

宇都宮Pは「ゴーカイジャー」開始当初の雑誌インタビューで
「レジェンドゲスト役者にはストーリー的に必然性の無い出演は依頼しない」と言っています。
だから、今回のタイムファイヤーとドラゴンレンジャーはセリフもあまり必要ない、あまり重要でない扱いなので、
オリジナル役者にわざわざ出てもらうのは申し訳ないという判断だったのではないでしょうか。
確かに笠原氏や和泉氏、あるいは他のタイムレンジャーやジュウレンジャーの出演者が出てくれれば、
当時の作品のファンへのサービスにはなります。
しかし、どうでもいいような役どころで彼らが登場すれば、逆に想い出を汚されたような気分にもなります。

いい役どころで使えないのであれば、オリジナル役者には出てもらわない方が
むしろ役者の方にも作品ファンにも親切であろうと思います。
逆にオリジナル役者に出てもらうとなれば、それなりに良い扱いにしないといけなくなり、ストーリーに制約が生じます。
実際、「ゴーカイジャー」への出演を熱望されている過去の戦隊ヒーローを演じた役者さん達もいます。
彼らの中にはスケジュール的に都合のつく人もいます。
しかし、そういう人達が必ずしも出演するわけではない。

宇都宮Pの方針としては、この「ゴーカイジャー」という作品は単に戦隊ファンに提供する戦隊総集編なのではなく、
あくまで今の子供たちに向けて作られる「ゴーカイジャー」の物語が重要なのであって、
その物語の流れの中で必然性のあるレジェンド回が組み込まれており、
そのエピソードに必然性のあるレジェンドゲストだけが登場するのです。

すなわち今回の第18話において3つの戦隊のレジェンド回をやったというのは、
追加戦士である伊狩鎧のキャラ説明とゴーカイジャーへの加入の過程を描くエピソードにおいて
3つの戦隊を登場させる必然性がもともとあったということであり、
それゆえどうしても尺的に3戦隊全部のレジェンドゲストにセリフを与えて芝居させることが出来ず、
代表としてセリフを与えられたアバレンジャーの仲代壬琴以外の2人に関しては、
「オリジナル役者に出演してもらう必然性無し」と判断されたということなのでしょう。

何故、鎧の登場に3つの戦隊のレジェンド回を一気に絡める必要があったのかというと、
それは玩具的な事情から説明することも出来るように思えます。
今回のエピソードで鎧の加入と連動する形で新登場する、鎧の操縦する巨大メカが
「豪獣ドリル」「豪獣レックス」「豪獣神」という3形態に変化するものだからです。
つまり巨大ロボが3段変身するわけだから、3つの大いなる力が作用するものであり、
ならば3つの戦隊から大いなる力を貰ったという設定にしなければいけない。
だからこの豪獣神の登場に合わせて3つの戦隊のレジェンド回を一気に片付ける必要があった。
この豪獣神の玩具プランが決定した時点で、鎧の加入エピソードは
3つの戦隊のレジェンド回を一度に消化することは決定していた。そのように考えることも可能です。

しかし、別に1話にまとめる必要は無いのです。
3回のレジェンド回で1回につき1つずつ大いなる力を獲得していき、
そのたびに豪獣神の新たな変形能力が覚醒していくという形でも問題は無いはずです。
だから、玩具が3段変形システムだから3つのレジェンド回をまとめたという説明は成立しない。
もちろん玩具を3段変形にしたいとか、そのうち1つは恐竜型にしたいとか、ドリルをつけたいとか、
そういうバンダイ側からの要望も早くからあったとは思います。
しかし、それに合わせて無理に「3つの大いなる力を持った追加戦士の加入」という設定が作られたのではなく、
東映の制作サイドでも追加戦士のキャラ設定が早いうちから固まっていて、
そこにバンダイ側からの要望も加えて総合的に作り上げたものが、今回のエピソードであり、
豪獣神の設定なのであろうと思えるのです。

何故そう思うのかというと、
玩具設定とキャラ設定のどちらかが先行してどちらかが無理に合わせたものであるとするなら、
それにしては今回のエピソードや豪獣神の玩具の出来が上手くまとまりすぎているのです。
ここまで綺麗にまとまっているというのは、
最初からキャラ設定と玩具プランがしっかり連動していたからに他ならないと思うのです。

つまり、最初から追加戦士は3つの、いや複数の戦隊の大いなる力を持った状態で
加入してくるという設定だったのでしょう。
本当はもっと多くても構わなかったはずです。
あんまり多いとレジェンド回を消化しすぎてしまうからマズいが、4つや5つでも良かったはずです。
セリフの無い戦士をタイムファイヤーとドラゴンレンジャー以外にあと2人ぐらい並べるのはそう難しいことではない。
ただ、「3つ」ということになったのは玩具的な事情で、「3段変形が限界」というのがあったからでしょう。

では何故複数の戦隊の大いなる力を追加戦士に持たせて登場させる必要があったのかというと、
「ゴーカイジャーの追加戦士は歴代追加戦士に豪快チェンジして戦う、
歴代追加戦士の力を受け継いだ戦士」というコンセプトがあったからでしょう。
仮にアバレンジャーの大いなる力だけを持って鎧が登場していれば、
鎧のイメージは「追加戦士の後継者」というよりは「アバレンジャーの後継者」というイメージが強くなってしまいます。
だから、あくまで「追加戦士の後継者」という第一印象を持たせるために、
アバレキラーだけではなく、複数の追加戦士から力を貰った状態で鎧を登場させておく必要があったのです。

そうして玩具的な要望もあって、その複数戦隊の数は3つということになったのでしょうが、
ここで問題はどうしてその3つの戦隊が「アバレンジャー」「タイムレンジャー」「ジュウレンジャー」であるのかです。
バンダイ側から「恐竜型にも変形するようにしたい」「ドリルをつけたい」とかいう要望があって、
モチーフ的にこれら3戦隊になったとも解釈出来ます。
確かに「恐竜」「ドリル」というキーワードで絞り込んでいくとこの3つの戦隊が浮かび上がってくる。
だが、鎧のキャラ設定との連動がこの3戦隊、いや3戦隊の追加戦士の場合、やたらと上手くいきすぎており、
たまたまこうなったという可能性は低い。

鎧のキャラ設定に合わせて、そこで絡ませる3人の追加戦士の共通項をふまえた上で
豪獣神の恐竜やドリルという要素が最終決定されたような気がします。
「恐竜」や「ドリル」はあくまでバンダイ側からの有力な要望の1つであって、
追加戦士のキャラ設定次第では他のモチーフの玩具展開とする道も用意されていたのではないでしょうか。
そうしたバンダイ側の意向も踏まえつつ、鎧のキャラ設定を決定し、
それに合わせて鎧の登場前に絡めておく3人の追加戦士を決め、
その結果、その3人が「恐竜」と「ドリル」という共通項でくくることが可能なので、
豪獣神のギミックにも恐竜やドリルを使うことが出来るようになったのではないかと思います。

具体的に言うと、鎧のキャラ設定が、おそらくマーベラス一味との対比を際立たせるためでしょうが
「自分の命を犠牲にしてまでも小さい物や弱い者を守ろうとする非常に正統派のヒーロー気質」であり、
そうした鎧を認めてヒーローとなる能力を授ける3戦士は、
彼ら自身がかつて実際に「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にした者」である必要があったということです。
それに合致する戦士がドラゴンレンジャーとタイムファイヤーであり、
それに合致する戦士と深い関わりのあった戦士がアバレキラーです。

ドラゴンレンジャーに変身するブライはもともと大昔に落盤事故で死んでおり、
時間限定の仮の命を与えられていただけであり、
時の流れの止まった部屋の外に出ると寿命が減っていく設定でした。
しかしブライは子供たちを守るために外に出て命を消費しながら奔走し、最終的に命が尽きて死にました。
またタイムファイヤーに変身する滝沢直人は色々と問題のある人物ではありましたが根は優しい男で、
最後は小鳥を持った少年を守ろうとして凶弾に倒れ、その怪我がもとで亡くなりました。

また、アバレキラー仲代壬琴もブライや直人と同じく戦いの途中で死亡した戦士ですが、
壬琴の場合は本人が小さい物や弱い者のために戦って犠牲になったわけではなく、
むしろ「アバレンジャー」ではアバレッドの伯亜凌駕が
第1話で子犬を助けるために死にかけるほどの大怪我を負っています。
この時、凌駕の手術をしたのが天才外科医だった壬琴で、
壬琴は最終的にはそうした凌駕のことを認めて、後を託して死にます。
だから「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にする」ということには縁が深く、
その価値はよく分かっています。

例えば他に劇中で死亡した戦士としては「ジェットマン」の結城凱や
「ハリケンジャー」の(死亡疑惑だが)シュリケンジャー、「ゲキレンジャー」の理央とメレがいますが、
これらは「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にした」という死に方ではなく、
そういう価値観と縁が深い戦士たちでもありません。
だから、鎧が「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にするヒーロー気質の男」であり、
それが評価されてヒーローとなる力を授けられるのならば、そこで登場してくる3人の追加戦士となると、
ドラゴンレンジャー、タイムファイヤー、アバレキラーが最も適役ということになるのです。
その結果、この3戦士の属する戦隊のロボやメカのモチーフとして恐竜やドリルが使えるので、
鎧のゴーカイジャー加入と共に3戦隊の大いなる力が発動して現れるロボが
恐竜やドリルをモチーフとした3段変形をする豪獣神という設定となったのではないかと思います。

しかし、この豪獣神ですが、何か変なのです。
豪獣神は「豪獣ドリル」→「豪獣レックス」→「豪獣神」という順に変形していきます。
つまり最終形態である「豪獣神」がメイン扱いと考えていいでしょう。
玩具も「豪獣神」という名で発売されていますから、あくまでメイン形態は「豪獣神」と考えていいでしょう。
このメインの豪獣神へはアバレンジャーの大いなる力で変形します。
しかし、この「豪獣神」という名称は、いかにもジュウレンジャーっぽい名前です。

また、タイムレンジャーの大いなる力は「豪獣ドリル」を召喚するのですが、
タイムファイヤーから授けられた大いなる力で発動するのならVレックスであるべきであり、
それならば「豪獣レックス」の方がタイムレンジャーの大いなる力で発動する設定として自然なように思えます。
むしろ「豪獣ドリル」のようなドリルを強調したネーミングは、
ドリルをメイン武器としていたアバレンジャーの方がしっくりきます。

だから、本来は発動順に並べると
「豪獣ドリル(アバレンジャー)」→「豪獣レックス(タイムレンジャー)」→「豪獣神(ジュウレンジャー)」
という感じだったのではないかと思えるのです。
そうなると、今回のエピソードの3つのレジェンド戦隊のうち、メインはジュウレンジャーということになります。

実際、「ゴーカイジャー」が放送決定して最初に出てきた宣伝用のポスターを見てみると、
ゴーカイジャー5人の下に34戦隊のレッド戦士が何列かをなしてズラリと並んでいるのですが、
最前列真ん中にいるアカレンジャーは別格として、その左右に展開して最前列を形成している他の5人は、
デカレッド、ガオレッド、マジレッド、シンケンレッドと、そしてティラノレンジャーなのです。
ティラノレンジャー以外の4人の属する戦隊はいずれも「ゴーカイジャー」本編中で
ここまでの前半のストーリー内でレジェンド回をやっており、しかも玩具展開を伴っている戦隊とピタリと一致します。
他の列は割と適当に並んでいる感じですが、最前列だけは特別の意味があるように思えます。

ポスターが刷られたのは少なくとも物語前半の玩具展開の計画は既に立っている時期であり、
それをふまえて作られたポスターの並び順ではないかと思えるのです。
となると、ティラノレンジャーの属する戦隊であるジュウレンジャーも
シンケンジャー関連に続く玩具展開の重要な役回りの戦隊であったはずで、
それは順番的にこの豪獣神ということになります。
だから、やはりそのネーミング的なことも含めて考えて、もともと玩具プランの段階では
豪獣神の最終形態「豪獣神」はジュウレンジャーの大いなる力によって発動される予定だったのではないでしょうか。

そして、いざ豪獣神を登場させるエピソード、
すなわち鎧をゴーカイジャーに加入させる第18話のエピソードのプロットを構想していく段階になって、
そのストーリーをジュウレンジャーをメインとしたレジェンド回として構成することに無理が生じて、
アバレンジャーをメインとした構成に変更したので、
流れとして豪獣神のメインである最終の人型形態の「豪獣神」はアバレンジャーの大いなる力で発動することになり、
あとの2つの形態もスライドして担当戦隊が変わり、
「豪獣ドリル(タイムレンジャー)」→「豪獣レックス(ジュウレンジャー)」→「豪獣神(アバレンジャー)」
という形に落ち着いたのではないでしょうか。
そしてその結果、メイン扱いのアバレンジャーだけレジェンドゲストを顔出しで仲代壬琴を出すことにして、
メインではないタイムレンジャーとジュウレンジャー側からは顔出しゲストは出さないことになったのではないか。

そこで問題は何故、ジュウレンジャーではなく
アバレンジャーを中心としたストーリーにしなければならなかったのかですが、
それは、タイムファイヤーとドラゴンレンジャーのキャラの持つ特徴と、
アバレキラーのキャラの持つ特徴が微妙に違っていることにも関係してきます。
タイムファイヤーとドラゴンレンジャーは「小さい物や弱い者を助けるために自分の命を犠牲にした者」そのものですが、
アバレキラーはそういうタイプの男であるアバレッドのことを理解し、アバレッドに後を託して死んだ者です。
意味の重なる部分も確かにあるが、それでも微妙に違う。
その違っているアバレキラーの方が今回のレジェンド3人の中でメインなのです。
つまり、「小さい物や弱い者を助けるために自分の命を犠牲にする」ということとは別のテーマが
今回のエピソードの最重要テーマであり、それを担うべきキャラがアバレキラー仲代壬琴だということになります。

実は今回のエピソードにおいては、2つのストーリーが描かれています。
まず1つ目が「猪狩鎧はどのようにしてゴーカイシルバーになったのか」についてのストーリーであり、
2つ目が「猪狩鎧がどのようにしてゴーカイジャーの一員となったのか」についてのストーリーです。

新登場のキャラが戦う力を得て、加入意思を示すことがそのまま追加戦士の加入に直結するのが戦隊シリーズの通例です。
迎え入れる戦隊側でも感情的に新戦士を受け入れにくい要素も無いこともないのですが、
基本的に戦う力が増すことは歓迎すべきことなので、大勢は受け入れの方向に傾きます。
今まで新戦士の加入を戦隊側が強く拒んだパターンの少数例である「シンケンジャー」の源太の場合にしても、
あくまで受け入れ側(主に丈瑠と流ノ介)の感情的問題であって、
シンケンジャーという戦隊そのものとしては戦力的に源太の加入は歓迎すべきことでした。

しかしゴーカイジャーの場合はこのパターンにあてはまらないのです。
どうしてなのかというと、他の戦隊は地球を守るために戦うためには
同じように地球を守ろうという意思を持って戦おうとする戦士の加入は歓迎すべきことであるのに対して、
ゴーカイジャーはあくまで宇宙最大のお宝を探すのが目的の戦隊なので、
その意思を共有しない者は、たとえ戦力になると分かっていても加入させる必然性は無いからです。
そういう意味ではデカレンジャーやボウケンジャーも近いのですが、
この2つの戦隊の場合は戦隊の上部組織が存在し、その上部組織が新戦士の加入を認めているので、
戦隊側としては異論を言えるべき立場ではありません。
それに比べてゴーカイジャーはマーベラスの意思で全て決定出来るので、
マーベラスに認められなければ加入は出来ません。

それで、マーベラスは「宇宙最大のお宝」探しに必要な
「大いなる力」を引き出すために必要なアイテムだけ鎧から取り上げて、鎧の加入は認めないのです。
つまり、鎧はゴーカイシルバーになることは出来たが、それでゴーカイジャーの仲間になれるわけではなく、
ゴーカイジャーの仲間になるためには、ゴーカイシルバーになったこととは全く別の要素が必要なのです。

このエピソードでまず描かれるのは「鎧がどのようにしてゴーカイシルバーになったのか」についてのストーリーです。
それは「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にする心」を
タイムファイヤーやドラゴンレンジャー、そしてアバレキラーに認められるという話です。
しかし、「小さい物や弱い者を守るために自分の命を犠牲にする心」だけではゴーカイジャーの一員としては認められない。

そこでゴーカイジャーまでも同じ理由でタイムファイヤー達と同じように鎧を仲間と認めてしまえば、
この物語が「海賊戦隊ゴーカイジャー」である必要は無い。
レジェンド戦隊の物語か、ゴーカイシルバー物語にでもすればいい。
まぁゴーカイジャーしか出てこない作品なら、ここですんなり鎧を受け入れてもいいのですが、
他のレジェンド戦隊が出てくる以上、常にゴーカイジャーは独自性を強調していかねば埋没の危険があるのです。
だから、普段のレジェンド回では、ゴーカイジャーがレジェンドに認めてもらおうとするのではなく、
レジェンドがゴーカイジャーの独自性の中に自分達との共通点を見出すという構成になっているのです。
だから今回もゴーカイジャー側はレジェンド達が認めたのと同じ理由で鎧を認めるわけにはいかないのです。
あくまでゴーカイジャーはゴーカイジャーなりの独自基準で鎧を認めなければいけない。
そういうわけで、鎧がゴーカイシルバーになれた理由である
「弱い者を守るために自分の命を犠牲にする心」では、ゴーカイジャーへの加入は出来ないのです。
鎧がゴーカイジャーに加入するためには別の理由が必要になります。

つまり、今回のエピソードは「レジェンド戦士が鎧を認める話」と
「マーベラス達が鎧を認める話」のそれぞれ独立した2部構成になっていて、
そういう意味では前者はまさにレジェンド回ですが、後者の方はレジェンド回とは異なった内容のように思えます。
そして、この物語がゴーカイジャーをメインとした物語である以上、後者の方がメインになるのは当然であり、
今回のエピソードがレジェンド回の体裁をとりながらレジェンド回としての印象が弱いのは、
そのあたりも原因といえます。

しかし、実は後者の「マーベラス達が鎧を認める話」におけるテーマ、
すなわちマーベラス達と鎧の理解し合えるテーマについて鎧に示唆を与えておくために
最初に方に登場するキャラが仲代壬琴なのです。
これが、鎧がゴーカイジャーに加入するという結果をもたらすことになるのであって、
マーベラス達はあくまでレジェンド戦士たちに対して独自の立ち位置をキープしながらも、
壬琴の示唆によって鎧の辿り着いた結論を認めることによって、
間接的にレジェンドである壬琴の価値観をも認めたことになり、
間接的にゴーカイジャーとレジェンドが分かり合うという、一種のレジェンド回としての機能を
今回は全編がきちっと果たしているのです。

これはゴーカイジャーが鎧を通してレジェンドの価値観に迎合したことにはならない。
壬琴はゴーカイジャーの価値観と自分の価値観との一致する部分を認めて、
その核心部分をゴーカイジャー加入時のポイントになると見越して、示唆として鎧に与えただけであり、
その示唆をふまえ、ゴーカイジャーと接した上で自分の考え方を決定したのは鎧であり、
マーベラス達は鎧の考え方に従うわけではなく、認めただけなのであって、
これはゴーカイジャーがレジェンドの思想に染まったわけでもなければ、その逆でもない。
あくまでゴーカイジャーとレジェンドが互いに認め合い、気持ちが通じ合ったのに相当します。
鎧というキャラの登場によって、鎧を媒介としてゴーカイジャーとレジェンド戦士が直接触れ合わなくても
レジェンド回が成立するという、新たな展開も予感させる、そういうエピソードであったといえます。

つまり、今回のエピソードの構成は、
最初に鎧の回想という形で
「アバレキラーとドラゴンレンジャーとタイムファイヤーが伊狩鎧を認める」という形のレジェンド回
(アバレンジャー篇、ジュウレンジャー篇、タイムレンジャー篇)をやり、
続いて現在の時系列で、
「ゴーカイジャーが伊狩鎧を認めることを通してアバレキラー仲代壬琴の持っていたテーマを認める」という形の
変則的レジェンド回(アバレンジャー篇)をやったものだといえます。
そして、どちらかというと重要なのは後者の方であり、
それゆえ今回は関わった3戦隊の中ではアバレンジャーがメイン扱いとなったのでした。

後者のパートのキーマンである仲代壬琴は
「弱い者を守るために自分の命を犠牲にする」というスーパー戦隊戦士としての要素とはまた別に、
ゴーカイジャーという特殊な戦隊とも通じ合える要素を鎧に示唆することが出来るキャラとしては、
今回登場の3戦士の中では最も適役でしょう。
というよりも、「アバレンジャー」という作品やアバレキラーというキャラの持っていたテーマが
ゴーカイジャーという戦隊と通じ合う部分があるというのは、
「ゴーカイジャー」のメインライターであり今回の脚本を書いた荒川氏が
「アバレンジャー」のメインライターでもあった以上、承知していることであり、
ゴーカイジャーが鎧を受け入れるというエピソードを構想するにあたって、
アバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーが絡んでくる展開という前提においては、
自然に壬琴をそのキーマンとする方向に進んでいったものだと思われます。

このように今回はかなり今までのレジェンド回とはフォーマットの異なるレジェンド回で、
レジェンド回であること自体が分かりにくいぐらいなのですが、
定型的でない分、ある意味ではこの作品の世界観の本質部分に触れているのではないかと思える面もあり、
なかなか興味深いエピソードでありました。
これはある意味ではメインライターでないと書けないエピソードであったような気がします。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:46 | Comment(0) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月13日

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その2

では本編ですが、まず冒頭は前回のラストシーンのそのまんま続きから始まります。
前回の第17話と今回の間は実は1週休みを挟んでいるので、同じシーンなのに久しぶりな印象です。
ザンギャックの行動隊長アルマドンを倒した後、
ナビィのお告げにあった「なんか凄い銀色の男」であろうと思われる伊狩鎧という男は
「大いなる力を持っているのか?」「どうして変身出来るのか?」などと
ジョー達から質問責めにあってヘラヘラ笑っています。

そこに痺れを切らしたようにマーベラスが割って入ってきて「・・・で、どうなんだ?」と訊ねます。
とにかくマーベラスは「大いなる力」、そしてその先にある「宇宙最大のお宝」のことしか頭にありません。
この鎧という男がナビィの言う「なんか凄い銀色の男」であるならば、
スーパー戦隊の大いなる力、あるいは宇宙最大のお宝に関する何らかの情報を知っているはずです。
もしそうでないのなら、たとえ鎧がゴーカイシルバーとかいう戦士に変身出来たり、
それが物凄く強かったりしても、そんなことはマーベラスにとっては、
まぁさすがに興味が無いというわけではなかったが、本質的にはどうでもいいことでした。
マーベラスはとにかく、大いなる力に関する情報を知りたかったのでした。

すると鎧はニヤリと笑い「えへっ!確かに俺、大いなる力持ってます!」と答え、
更に「しかも3つも!」と指を3本立てて付け加えたので、
これにはさすがにマーベラス達も大いに驚き、「ええ〜っ!?」と叫んで鎧に詰め寄ったのでした。

ここで今回は早くもOPテーマとなります。
冒頭のナレーションはレジェンド回バージョンの方ですから、今回はレジェンド回扱いであることが分かります。

それはCM明けのサブタイトルからも想像はつきます。
「恐竜ロボットドリルで大アバレ」というサブタイトルですが、
これは文意としては「恐竜とロボットとドリルで大暴れする」という感じで、
まさに今回の最後の巨大戦の描写そのまんまを表しています。
ただ、ここで「大暴れ」ではなく「大アバレ」とカタカナ表記になっているのがポイントで、
これは「爆竜戦隊アバレンジャー」のサブタイトルのフォーマットです。

「アバレンジャー」のサブタイトルは文章的にはほとんど共通したスタイルというものはなく、かなり破天荒なものも多いのですが、
ただ一点、毎回必ず「アバレ」という3文字は含まれているという点だけは共通していました。
「アバレ」というのは「アバレンジャー」という作品のテーマであって、
この作品における造語ですから、このカタカナ3文字を含んだ文章自体が他にそう例が無く、
この3文字が入っているだけで「アバレンジャー」のサブタイトルのフォーマットだということは一目瞭然となっています。

今回は「アバレンジャー」だけではなく「タイムレンジャー」と「ジュウレンジャー」のレジェンド回でもあるのですが、
「アバレンジャー」がメイン扱いなので、サブタイトルも「アバレンジャー」のフォーマットとしているようです。
まぁそもそも「タイムレンジャー」も「ジュウレンジャー」もサブタイトルに目立った共通フォーマットは無い戦隊なので、
これらのフォーマットを今回のサブタイトルに援用すること自体が不可能なのですが。

さて本編が再開して、場面は変わってザンギャック艦隊の旗艦ギガントホースの指令室のシーンとなります。
「どうだ?殿下は?」とダマラスがインサーンに訊ね、
インサーンが「まだお目覚めになりません・・・ご自分の渾身の作戦が阻止されたのが
相当ショックだったご様子で・・・」と答えながら自分の席に腰掛けます。

どうやら前回のラストシーンからいくらか時間が経過した後のようです。
前回のラストでアルマドンに仕掛けた爆弾でゴーカイジャー達を吹っ飛ばそうとしていた
ワルズ・ギルの作戦は鎧によって阻止されて、爆弾は空中で誤爆し、アルマドンも倒されてしまいました。
この作戦失敗のショックでワルズ・ギルは倒れて気を失ってしまい、医務室に運ばれた様子です。
かなり非道な作戦であり、およそ軍司令官が考えるような作戦ではありませんでしたが、
確かにワルズ・ギルが考えたにしては珍しく成功しそうな作戦でした。
だからワルズ・ギルはかなり自信満々だったのですが、それが失敗したのでその分ショックは大きかったようです。

「・・・まぁいい・・・いない方が静かだ」とダマラスはかなり辛辣です。
もともとワルズ・ギルの無能には呆れていたダマラスですが、
今回はワルズ・ギルの外道な側面を見せつけられ、しかもその外道な作戦までも失敗し、
そんな程度のことで倒れてしまう脆弱さも含めて、
もうダマラスから見てワルズ・ギルは救いようのない人物としか思えないのでしょう。
「いない方が静か」だとコメントするしかないような存在ということです。

そして実際、今回はワルズ・ギルは登場しません。
というか、今回はザンギャック側の描写は非常に薄く、ストーリーはマーベラス達や鎧を中心に展開していき、
ザンギャック側はそのマーベラス達や鎧にやっつけられる単なる敵兵として登場するだけの存在です。
だから、前回のようなちゃんとした作戦も描かれず、
単に地上に拠点を築きに行った行動部隊がマーベラスや鎧たちと戦って壊滅するだけですので、
ワルズ・ギルが登場しなくても全然構わないのであり、
その代わりに指揮をとるダマラスも今回は芝居らしい芝居はありません。
単なる記号的な敵幹部という扱いに過ぎません。
それだけ今回はマーベラス達と鎧の関わりに焦点を絞った話なのだということです。

さて、前回のラストから時間が経過しているということは、
今回の冒頭のシーンからも時間が経過しているということで、
マーベラス達に詰め寄られて「3つの大いなる力を持っている」と答えた鎧は、
その後、ゴーカイガレオンの船内に招かれていました。
マーベラス達はガレオン内でゆっくりと鎧の話を聞くことにしたのでした。

ガレオンの船室に入った鎧は「うおおお!!すっご〜っ!!」と大興奮。
ルカに「スゴーミンか!アンタは!?」とツッコミを入れられる始末です。
しかし鎧の興奮は収まらず、「だってだって本物ですよ!?
本物のゴーカイガレオンに乗っちゃってるんですよ!!」と喚きながら、
船室内の操作盤を弄ったり、備品の望遠鏡や剣を持ったり、ダーツをやってみたり、
とにかく好奇心が暴走している様子を露わにします。

本物もなにも、マーベラス達にとってはガレオンはこのガレオン1つであり、
普段の生活空間だから珍しくもなんともない。
しかし地球人の鎧にしてみれば、噂の宇宙海賊ゴーカイジャーが乗ってきた宇宙船であり、
いつも地球上空に浮かんでいるものの、その中身がどうなっているのかはベールに包まれた謎であったに違いない。
これまで志葉薫御一行やゴセイジャーの面々など、ごく一部のレジェンド戦隊関係者が
このガレオン内に入ったことはあるが、一般の地球人でこの中に入ったのは鎧が最初でした。
特に鎧はスーパー戦隊の熱烈なファンであるようで、
ゴーカイジャーを35番目のスーパー戦隊と見なしているようなので、
ゴーカイジャーに対してもある種のファン心理のようなものがあり、
その乗艦であるゴーカイガレオンに対する興味も一般の人よりはかなり熱烈で、ミーハー的なものがあるようです。

しかも生来のお調子者でもあるようで、
さっそく「鳥さん可愛いですねぇ〜っ!!」と満面の笑顔でナビィを煽てにかかります。
ナビィもいい気になって「君〜、なかなかいいねぇ〜!」と応じます。
すると鎧は真面目な顔で姿勢を正し「伊狩鎧です!これからよろしくお願いします!」と言って90度ぐらいのお辞儀をします。
この鎧という男、変に体育会系のノリで、しかもやたら後輩キャラです。

すっかり新入りとして加入したつもりの鎧のペースに乗せられて、
ナビィは「あ〜・・・オイラの名前は鳥じゃなくて、ナビィ・・・」と、呼び方までレクチャーし始めますが、
マーベラスがそれを遮って鎧を突き飛ばし
「挨拶はいい!・・・それより、なんでレンジャーキーを持っている?」と質問します。
マーベラスは鎧のゴーカイジャー加入など認めた覚えはありません。
鎧はガレオンに乗せてもらった以上、自分のゴーカイジャー加入を認めてもらえたと思い込んでいるようですが、
マーベラスがこうして船内にまで連れてきた理由は、鎧からじっくり腰を据えて全部の事情を聞くためでした。

最初はいつものナビィのお宝ナビゲートの時のように
鎧がレジェンド戦隊の関係者なのかともマーベラスは思ったのですが、
しかし、「スーパー戦隊を愛する男」と自称したり、ゴーカイジャーに入りたいと言ったり、
未知のレンジャーキーを使って未知の戦士に変身したり、
更にはスーパー戦隊の大いなる力を1人で3戦隊分も持っていると言ったり、
どうもこの鎧という男は今までのレジェンド戦士たちとは異質な存在のように思えました。
何かややこしい事情がありそうで、しかも話を聞くのに骨の折れそうな相手のようにも見えたので、
船内でじっくり話を聞くことにしたのです。

まず、鎧がレジェンド戦士でないとしたら、
レンジャーキーや大いなる力はもともと鎧の所有していたものではないはずです。
それらをどうやって鎧が手に入れたのかが疑問でした。
「大いなる力は何処で手に入れた?」とマーベラスは険しい顔で問い質します。

そもそも「大いなる力」は第3話の時にマジレンジャー関係者である黒い服の男(小津魁)が
マーベラス達に集めるように諭したはずのもので、
その後の何人かマーベラス達の会ったレジェンド関係者たちは皆、
何だかんだあっても最終的にはマーベラス達が大いなる力を持つことを認めてくれました。
つまりレジェンド戦士たちはマーベラス達を大いなる力の現時点での所有者として認めてくれている、
そのはずだとマーベラスは思っていました。
ところがレジェンド関係者でない鎧が大いなる力を持っているということは、
レジェンド戦士たちがマーベラス達だけでなく鎧にも大いなる力を渡していたということになります。
これはマーベラスにとっては由々しきことでした。

「しかも3つも!」とアイムも呆れたように言います。
アイムも自分達以外にもレジェンド達が大いなる力を渡していたことに意外な気持ちを抱いていましたが、
更に不可解なのは鎧が3つも大いなる力を持っていると言っていることです。
「大いなる力」はレンジャーキーを介して授かるものですから、
3つの大いなる力を授かるには最低でも3つのレンジャーキーが必要なはずです。
それなのに鎧はどうもあの戦闘時に使った「ゴーカイシルバー」というレンジャーキーしか持っていないようです。
そもそもゴーカイシルバーならばその所属戦隊はゴーカイジャーであり、
ゴーカイジャーは34のスーパー戦隊とは別の戦隊ですから、
そのレンジャーキーは「大いなる力」の受け皿にはなり得ません。
だから、鎧が3つの大いなる力を持っているという話自体、何だかよく分からないのです。

更にルカも「なんでアンタが?何月何日何時何分何秒に?誰からどうやって!?」と、
まるで小学生みたいな言い回しのしつこさで問い詰めます。
しかしルカの疑問も尤もです。なんで鎧のような一般の地球人に
「大いなる力」が託されたのかがよく分からないのです。
ルカ達の認識では「大いなる力」というのは「宇宙最大のお宝」を見つけるためのカギのようなものなのです。
34の「大いなる力」を集めれば「宇宙最大のお宝」が見つかると、あの黒服の男は言いました。
その黒服の男の出現はナビィの占いによって予言されたものであり、
その後もナビィの占いの通りにレジェンド関係者と出会い、「大いなる力」は着実に集まってきました。
それらを総合して考えると、あの黒服の男の言ったことは真実であろうと思われます。

つまり、「大いなる力」は「宇宙最大のお宝」を見つけるためのカギなのです。
だから「宇宙最大のお宝」を求めて旅をしてきた自分たちが集めているのだとルカは思っています。
ところが鎧は見た感じ、普通の地球人で、あまり「宇宙最大のお宝」に興味がありそうなタイプには見えません。
どうしてそんな男に大事な「大いなる力」が託されていたのか、ルカには意味が分からなかったのでした。

またまたさんざん問い詰められてしまった鎧は苦笑いして「OK!OK!お答えします・・・」と言うと、
ふっと遠い目をして「・・・自分で言うのもなんですが、俺はちょっと暑苦しいだけの、
ごくごく普通の人間でした・・・そう、あの日までは・・・」と、事の経緯を語り始めたのでした。
まぁ、ちなみに、鎧の暑苦しさは「ちょっと」どころではないのですが、
ともかく鎧はレジェンド関係者ではなく、ごく普通の地球の一般人であったようです。

ただ、一般人とはいっても、熱烈なスーパー戦隊ファンではあったようです。
この「スーパー戦隊ファン」は我々の住む現実世界の「スーパー戦隊ファン」とは意味が違います。
何せ、鎧の住む「ゴーカイジャーの作品世界」では34のスーパー戦隊は
実際に存在していたという設定になっているのですから、
引退したスポーツ選手へのファン心理に似た感じかもしれません。

その鎧の回想シーンで、鎧がレンジャーキーや大いなる力を手に入れた経緯が語られるのですが、
まず最初は、ある日鎧が何やら少し浮かない顔で住宅街を歩いている場面から回想は始まります。
この日が、鎧の言う「ごくごく普通の人間」ではなくなった「あの日」なのです。
その時、鎧の歩いていた歩道から見て車道を挟んで反対側の歩道を親子連れが歩いており、
その娘の方の小さい女の子が鎧のいる歩道側に植えてある花を見つけて、
それを取るために車道を横切ろうとし、そこにトラックが走ってきて女の子が轢かれそうになります。
それを見て鎧は咄嗟に「危ない!」と車道に飛び込んで女の子を押しのけて助けて、自分はトラックに轢かれてしまいます。

子供を抱いて真っ青な顔で鎧を見る母親の前に身体を引きずって近づいた鎧は「怪我・・・無いですか・・・?」と聞き、
母親が「・・・はい」と答えると、「・・・良かった」と微かに笑い、「はい・・・!」と女の子に一輪の花を差し出します。
それは女の子が取ろうとしていた歩道に植わっていた花でした。
女の子が「ありがとう」と言って鎧から花を受け取ると、鎧は道路の上にそのまま倒れ込み、救急車で運ばれます。

いや、いい話なんですが、ちょっと恥ずかしくなるぐらいベタなヒーロー物語です。
そもそも、鎧は何時の間に花を摘んでいたのかなど、細部では疑問が山ほどあり、
一輪の花を差し出すのはさすがに恥ずかしくなるほどクサ過ぎるともいえます。
ただ、これはリアルであるかどうかはこの際どうでもよく、
鎧が清く正しく美しく暑苦しい、典型的な正義のヒーロー気質を持った人間であるということを示す
演出と解釈すればいいでしょう。
つまり、ちょっとゴーカイジャーにはいないタイプの奴ということです。

そして病院のベッドに横たわる鎧。
轢かれた後の様子を見ると身体に大きな怪我は無かったようでしたが、
倒れた鎧の頭から血が流れていたので、頭を強打したみたいです。
鎧はかなり運動神経が発達しているようで、
トラックのバンパーを利用して咄嗟に衝撃を軽減させて自分の身体を跳ばしたのでしょう。
それで身体には大きな怪我は無かったようですが、跳んだ勢いで地面で頭を強打して、
脳に深刻なダメージを負ったようです。

人工呼吸器をつけて生命維持装置のようなものに繋がり、ピクリとも動かずにベッドに横たわっており、
自発呼吸が出来ない状態のようです。
深刻な状態であるのは明らかなのですが、処置する医者もおらず、看護婦がついているだけで、
これは悪い意味で安定した状態のようです。
つまり重度の脳挫傷によって植物人間状態となっており、いずれゆっくりと脳死状態に至るという感じでしょうか。
手の施しようのない状態であろうと思われます。

その鎧の横たわる病室が暗転し、ベッドの上の鎧にだけスポットライトが当たります。
もちろん実際にそんな照明が当たっているわけではなく、これはイメージシーンです。
鎧が見ている夢のようです。
「鎧・・・伊狩鎧!」と呼ぶ声がして、鎧は目を開きます。
これもホントに目が開いたわけではなく、夢の中で意識が覚醒したことを表すイメージシーンです。
そして鎧の意識は目を閉じて寝たままの身体から上半身が分離して起き上がります。
いわゆる「幽体離脱」のような現象です。

このシーンには既視感があります。
というか、ドラマではしばしば見られるベタな演出ですが、
鎧の場合、このあと、この自分に呼びかける声に導かれてヒーローとしての力を得ることになるわけで、
そういう意味合いのシーンとしての既視感ならば、これは「帰ってきたウルトラマン」です。

「帰ってきたウルトラマン」の主人公の郷秀樹は何の変哲もない青年でしたが、
少年と子犬を救うために怪獣によって殺され、それを見ていたウルトラマンが郷の勇気に感動して
自分の命と超能力を与え、郷はウルトラマンとなった。これが「帰ってきたウルトラマン」の第1話です。
この第1話での郷の意識とウルトラマンの意識の邂逅のシーンと、この鎧のシーンがよく似ているのです。

「仮面ライダー」と同年の1971年放送の「帰ってきたウルトラマン」は重厚な人間ドラマを主題とした名作で、
後の平成仮面ライダーシリーズを彷彿とさせる作風です。
「ゴーカイジャー」のメインライターの荒川氏は「帰ってきたウルトラマン」の大ファンだそうで、
平成仮面ライダーシリーズの方向性を決定づけたシリーズ第1作
「仮面ライダークウガ」のメインライターは荒川氏でした。
その荒川氏が「クウガ2」という構想でメインライターとして取り組んだ作品が「アバレンジャー」で、
その第1話で主人公の伯亜凌駕は子犬を助けようとして暗黒爆竜によって重傷を負い、
担ぎ込まれた病院で天才外科医の仲代壬琴の処置を受け、
ベッドで昏睡していた時に爆竜ティラノザウルスの呼ぶ声を聞いて目を覚まし、
爆竜たちのもとに駆けつけ、アバレッドになりました。

今回の鎧のシーンは、この「アバレンジャー」のシーンのオマージュのようになっていて、
そういうところもアバレンジャー篇らしいのですが、
凌駕は命を失うほどの状態だったわけではなく、また、昏睡状態のまま戦う力を得たわけではないので、
むしろ今回の鎧のシーンは、「帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹の場合に近いといえます。

さて幽体離脱のようにベッドから起き上がった鎧の意識は
次の瞬間には霧が立ち込め柱が何本も立つ奇妙な遺跡のような場所の中を歩いていました。
鎧の意識が見ている夢の中なのか、鎧の意識が何処か別の時空に移動したのか定かではありませんが、
とにかく鎧自身はそれがあまりにリアルな感覚なので、
夢を見ているとか自分が意識体であるなどという自覚はありません。
身体は実際はベッドに寝たままなので、それで鎧がリアルな感覚を持っているということは、
そこは現実空間でないのは確かです。

普通ならば単に「ヒーローの能力を授けるための不思議空間」と解釈してもよさそうなのですが、
鎧自身が死にかけた状態であることから考えて、これはいわゆる「近似死体験」というやつなのかもしれません。
つまり、そこは三途の川のような、現実世界と死後の世界の境目のような場所なのかもしれません。
何故そう思うのかというと、この場所に登場してくる鎧以外の者たちが皆、既に死んだ者たち、
つまり死後の世界の住人ばかりだからです。

まず鎧が遺跡のような場所に入ると、1本の柱の前にドラゴンレンジャーがじっと立っていました。
「ド・・・ドラゴンレンジャーさん?」と鎧は驚きます。
もちろん鎧とドラゴンレンジャーとは面識はありません。
ドラゴンレンジャーはかなり前のバンドーラとの戦いの際に命を落とした、まさに伝説の戦士だからです。

ただ、ここでの鎧の驚きは、既に死んだ伝説の戦士が自分の前に現れたのが理由ではありません。
何故なら、この物語世界では数年前にレジェンド大戦というものがあり、
そこで34のスーパー戦隊の全ての戦士がその姿を消して伝説の存在となっていたからです。
その際にドラゴンレンジャーも戦いに参加しています。
つまりドラゴンレンジャーはレジェンド大戦の時に復活したのです。
それは一時的復活だったのかもしれないが、とにかく復活し、
レジェンド大戦終了時にドラゴンレンジャーは他の全ての戦士たちと同じようにその姿を消しました。

「199ヒーロー大決戦」映画ではレジェンド大戦終結直後の戦場であった荒野の様子が描写されており、
そこには変身能力を失った二百人近い人間態の戦士たちがいましたが、
その中にはおそらくドラゴンレンジャーの人間態であるブライの姿は無かったのでしょう。
戦う力を失うと同時に再び死者の魂となったブライは死後の世界に戻ったのだと思われます。
しかし、そんなことはレジェンド大戦の最後の決戦の地にいた者でないと分からないことであり、
その場にはレジェンド戦士たちしかいなかった以上、鎧のような一般人の認識としては、
ドラゴンレンジャーは復活してザンギャックと戦った後、
他のレジェンド戦士たちの多くと同じように何処かへと姿を消したのだということになっています。
そのドラゴンレンジャーがいきなり自分の前に現れたので、ビックリしたというのが鎧の驚きの反応の正体です。

ただ、とにかく熱烈なスーパー戦隊ファンである鎧にとっては
レジェンド大戦に参加したレジェンド戦士たちは憧れの存在で、
そんな高く仰ぎ見る対象がいきなり自分の前に立っているということ自体が信じられないことであり、
何かの間違いではなかろうかという戸惑いもあります。
それで思わず呼びかけましたが、ドラゴンレンジャーからは何の反応も無い。
あまりに動きが無いので人形のようにも見えて、鎧は戸惑いましたが、
その耳に何かガシャッガシャッと一定のリズムで金属音が鳴り響いてきます。

鎧がキョロキョロとあたりを見回すと、柱の陰からタイムファイヤーが姿を現しました。
鳴り響いていた特徴的にリズミカルな金属音は、
タイムファイヤーが「タイムレンジャー」本編でもよくやっていたようにディフェンダーガンを弄って立てる音でした。
「タイムファイヤーさん・・・!」とまたもや鎧は驚きます。

タイムファイヤーこと滝沢直人もかつてロンダーズファミリーとの戦いの中で命を落とした戦士ですが、
レジェンド大戦には復活して参加し、その後は行方不明となっていた戦士ですから、
鎧の認識としてはドラゴンレンジャー同様、殉職戦士ではなく、行方不明になった多くのレジェンド戦士のうちの1人です。
その伝説の戦士が目の前に現れて、しかも鎧の方に歩み寄ってきます。
さっきまでじっと動かなかったドラゴンレンジャーも同時に動きだし、鎧に近づいてきます。
これで鎧はどういう理由かは不明ながら
憧れのレジェンド戦士たちが自分の目の前に本当に現れてくれているのだと確信したのでした。

その鎧の正面の柱の手前にも、もう1人、レジェンド戦士と思しき人物が背を向けて座っていました。
その白いボディに黒の鋭いギザギザ模様が入った特徴的な後ろ姿を見て
鎧はすぐにそれが誰であるのか分かり、驚きつつ笑顔になります。

「それに・・・アバレキラーさんも!?」と鎧が歓喜の声で叫ぶのと同時に立ち上がり振り向いたアバレキラーは、
鎧の方に数歩近づいてから変身を解いて人間態である仲代壬琴の姿となり
「よく知ってんなお前!」とちょっと驚いたふうに言います。
レジェンド戦士が地球を守った伝説の戦士たちだという扱いになっている世界とはいえ、
全部で二百人近くいる戦士の1人1人を一瞬見ただけで正確に名前を言えるような者は、
さすがにそう多くはいないようです。
しかし鎧は「当然ですよ!基本中の基本です!」と、やたらと人懐っこい笑顔で答えます。

それにしても鎧はまるで運動部の新入部員がOBの先輩方に尻尾を振るように腰が低く、やたら懐いています。
それにやたらと嬉しそうで、いい笑顔です。
誰に対しても腰が低いとか気が弱いというキャラではないようなので、
要するにスーパー戦隊の戦士を心の底から敬愛しており、
それゆえスーパー戦隊の戦士相手には初対面でも何でも、自然に親しみを示しつつ遜った態度になるのでしょう。

鎧はゴーカイジャーもスーパー戦隊として扱っているので、
それでマーベラス達にもやたらと親しげでいて腰が低い態度であったのです。
ただ、ここで壬琴たちに会って鎧が異常にテンションが高く嬉しそうにしているのは、
さっきの事故の前の少し沈んだ様子と比べると印象的です。

思うに、熱烈なスーパー戦隊ファンである鎧としては、
レジェンド大戦で34のスーパー戦隊が姿を消してしまった現在の状況というのは、
かなり寂しい状態だったのではないでしょうか。
しかもそんな心細い状態の地球に再びザンギャックが侵攻してきているというのに、レジェンド戦士たちは姿を現さない。
いったいレジェンド戦士の皆さんは何処に行ってしまったのだろうか?と鎧は鬱屈した気分を抱えていたように思います。

ただ、もともと正義の戦隊を熱烈に尊敬するようなタイプの男ですから、正義感は強く、
トラックに轢かれそうになっている少女を見て咄嗟に飛び出し、少女を助けた後気を失い、
その後、気が付いたら何故か見知らぬ場所に居て、
そこで3人のレジェンド戦士に出会えたというのが鎧の把握する現在の自分の状態です。
あるいは、子供を助けようとしてトラックに轢かれた自分のことを
アバレキラー達が助けて手当してくれたのかもしれないと鎧は思ったのかもしれません。

鎧の人懐っこい笑顔を見て壬琴は「フッ・・・そうか」と微笑みます。
「アバレンジャー」本編の頃はその大部分は悪役だった壬琴ですが、
終盤にはアバレンジャーの仲間となり、その後、本編中で死亡したものの、
レジェンド大戦ではやはりドラゴンレンジャー達のように復活して地球を守る戦いに加わり、
それによって伝説の戦士となったアバレキラーは、
鎧のようなスーパー戦隊ファンから見れば立派な正義のヒーロー扱いのようです。
壬琴自身も相変わらずの上から目線の俺様キャラですが、
「アバレンジャー」本編時の刺々しさは消えて、かなり柔和な印象です。

「アバレンジャー」は8年前の戦隊で、壬琴を演じた田中幸太郎氏は当時は20歳だったが現在は28歳。
「ゴーカイジャー」はとことんオリジナルキャストを使うことにこだわっているので、
もちろん今回も壬琴役は田中氏です。
28歳になっても当時とあまり印象は変わっていません。トレードマークの白いロングコートもそのままです。
まぁ28歳ぐらいだったらそう印象は変わらないともいえますし、
本編当時にそもそもあまり20歳には見えなかったぐらいでした。

壬琴は天才外科医でしたから20歳は不自然・・・かというと、
あまりに天才なのでアメリカで14歳で医師免許をとったとかいう設定だったから、
実際劇中年齢は20歳ぐらいだったのかもしれない。
ただまぁ、天才外科医であり悪役キャラでもあるわけで、
それなりの貫録が無いと不自然に見えるキャラだったせいか、
実際の田中氏よりも当時の壬琴はやや年上に感じられる役作りがされていました。
だから現在、28歳になった田中氏が演じても壬琴はあんまり違和感が無い感じでした。
むしろ本編時にはあまり無かった柔和さと28歳という田中氏の年齢がちょうどマッチしていて、良い感じです。
出番が短いのが惜しいぐらいでした。

その壬琴が鎧に向かってゆっくり近づきながら
「しかしお前、無茶なことしたもんだ・・・まだ若いのに」と、ちょっと呆れたように言います。
もちろん、それは鎧が少女を助けるためにトラックの前に飛び出したことを指しています。
鎧は「そんなことないですよ」と答えます。
鎧も自分の行為そのものは確かに危険で無茶な行為だったことは分かっていますが、
それでも目の前で小さい女の子が危険な目にあいそうになっているのを助けるのは当然の行為であって、
いちいち危険だとか無茶だとか言って逡巡するような場合ではない。
だから自分は少なくともあの瞬間は自分の行為を無茶だとは思わなかったし、だからこそ女の子を助けることが出来た。
その判断は正しかったと今でも思うから、やはり、鎧にとっては今でもあの行為は無茶などではないのです。

ただ、ここで壬琴の言っているニュアンスは、少し鎧の考えているものとは違っているようです。
「まだ若いのに」というのは、これは若くして死んだ人に向かって言うセリフです。
それに、ここでは壬琴は本気で少し呆れているようです。
つまり、壬琴は鎧が少女を庇ってトラックに轢かれて死んでしまったことに呆れているのです。
この壬琴の声はさっきベッドに横たわる鎧に呼びかけていた声ですから、
壬琴は現在の鎧の身体の方の状態を把握しています。
まだ鎧は完全に死んでいませんが、元医者の壬琴は鎧がもう助からないことは予想出来るのでしょう。

そもそも、鎧は壬琴たち3人の魂が再び死者の国に戻ったことは知らないので気付いていませんが、
こうして死者の魂である3人と対面している時点で鎧が死にかけていることは明らかです。
壬琴はそういうニュアンスで鎧に話しかけているのですが、
鎧は壬琴たちが死者であるという認識も無く、
むしろ壬琴たちに助けてもらって自分は無事でいられたのだと思っているようです。
その上で、目の前で危険な目にあいそうになっていた少女を助けた行為は、
危険な行為ではあって自分にとっては避けて通れない行為だったということを言っているわけです。

壬琴は死者の魂とはいっても別に絶対神ではないですから何でもお見通しの存在ではありません。
だから、さっき鎧の名前を呼んでいたということは、もともと鎧の名前を知っていたということであり、
もともと鎧に何か用があったようです。
それは壬琴個人が鎧に用件があったというよりは、レジェンド戦隊全体、あるいはその根源的な意思のような何らかの大きな存在が鎧に何かを伝えようとしていたのであり、
鎧に接触する予定だった者は当初は壬琴ではなかったのかもしれません。
ところが、ちょうど彼らが鎧に接触するタイミングで
鎧が少女を助けるためにトラックの前に飛び出して死ぬことになってしまったので、
レジェンド戦隊の大いなる意思のような存在は困ってしまって、
死者の国から壬琴と、鎧の行為に感銘を受けたドラゴンレンジャーとタイムファイヤーを差し向けて、
本来の用件を果たしつつ、同時に鎧の魂を死者の国に入れずに現世に押し戻すことにしたのではないでしょうか。

鎧の症状は脳の障害だけのようです。
脳というのは非常に謎の多い器官であって、脳内で処理される情報量はあまりに膨大で、
脳の物理的な容量内には全く収まらない。
つまり、魂のような形而上の存在とセットにして考えなければ脳という器官を説明することは出来ない。
よって、脳障害というものは意識の変化によって時に奇跡ともいえるような驚異的な回復を見せることがあります。
それは現代医学が単にそれが理解出来る領域に達していないだけのことであり、
現実に医療の現場で起こり得る現象なのです。

魂を鎧の身体に戻す際に、脳に対して何らかの作用を及ぼすような細工をすることは、
もちろん現代の普通の医者には出来ませんが、
死者の国からやって来た元天才外科医である壬琴ならば、それは可能なのかもしれません。
そういう事情もあってなのか、とにかく鎧が予想外の行動で生死の淵を彷徨うことになってしまったために
急遽、鎧の魂の前に現れることになった壬琴は、その鎧のあまりに無茶な行動に呆れつつ、
それを全く後悔することなく、当然の行為だとする鎧の態度に、むしろ好感を抱いたようです。

壬琴は鎧の正面に立ち止まると
「・・・自分の危険を顧みず、誰かを守る・・・俺の知り合いにもいたぜ!そういう無茶の出来るヤツが・・・」と、
少し遠い目をして言います。

ヒーローというものは基本的には自分の危険を顧みないで目的のために行動する者なのですが、
赤の他人を守るために、それも自分に何も返してくれそうもない無力な者を守るためだけに(もちろん無償で業務外で)
実際に自分の命を捨てるような行為をする者は、そう多くはいません。
それこそ真に勇気あるヒーローの中のヒーローの資質を持った者でしょう。

ドラゴンレンジャーのブライも、タイムファイヤーの滝沢直人も、実際にそれを実践して命を縮めた者たちです。
ブライは自分の残された寿命が消費されることを承知で子供のために奔走し、
直人は子供と小鳥を守るために凶弾に倒れました。
だからこそ、ブライと直人は鎧に共感し、
死者の国に住むレジェンド戦士の魂は他にも何人かいますが、
その中でも彼らが進んでこの場へやって来て鎧の魂を死者の国に入れずに押し戻そうとしているのです。

では壬琴はどうかというと、壬琴自身はそうした英雄的行為を明確にして死んだわけではありません。
むしろアバレッド伯亜凌駕が第1話で子犬を助けるために死にかけて、壬琴の処置で救われました。
だから壬琴がここで言う鎧によく似た自分の知り合いというのは、
ブライも直人もそれには含まれますが、
やはりここで壬琴が遠い目をして言っているその対象は凌駕のことでしょう。

その凌駕と壬琴は「アバレンジャー」本編を通してずっとぶつかり合い、
最終的に壬琴は凌駕のことを真のヒーローだと認めました。
それゆえ、全体的な大きな意思による指示でもありますが、
その凌駕と同じような行為をした鎧を、かつて凌駕を救ったように壬琴は医者として救いに来たのです。
そして、鎧と喋ってみて、鎧がまさに凌駕と同じような正義感の持ち主であることが分かり、
壬琴は個人的にも鎧のことが気に入ったようです。

その想いを壬琴は自分の特有の口癖を使って「久々にときめいた!」と言いました。
さっきの凌駕のことに関する回想を受けて「久々に」と言っていることから考えて、
かつて壬琴が凌駕のことを認めた時に感じた気持ちが「ときめき」であり、
それと同じ「ときめき」を鎧の行為に感じたと壬琴は言っているわけです。

しかし鎧は「ときめき」という言葉の意味がよく分からないので「・・・え?」と戸惑います。
このあたりの微妙な感じも「ゴーカイジャー」の物語世界特有のものでしょう。
仲代壬琴の言う「ときめき」という言葉の意味は、
「アバレンジャー」本編をTV放送で見ていた我々の住む現実世界の住人ならば、本放送を見ていれば分かるはずです。
しかし、鎧の住む「ゴーカイジャー」の物語世界は現実にアバレンジャーが過去に存在していた世界ですから、
「アバレンジャー」の物語がTVで放送されていたわけではありません。
つまり、鎧はかつて凌駕や壬琴というヒーローが戦っていたことは知っていても、
その戦いの中で壬琴という人間が何を考えていたのかは細かくは知らないのです。
だから壬琴の言う「ときめき」の意味が分からない。

しかし、ここで壬琴は鎧を見て自分が「ときめき」を感じたということを言っただけで、
それは単なる自分自身の感慨に過ぎない。
ここでの本題ではないのです。
だから壬琴はそれ以上ここでは「ときめき」の話題は続けず、
ここに来た本来の目的の遂行に取り掛かります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:49 | Comment(0) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その3

少女を助けるためにトラックに轢かれて瀕死の状態となった伊狩鎧の身体から抜け出た魂と
不思議な空間で出会った3人のレジェンド戦士の魂、
すなわちドラゴンレンジャー、タイムファイヤー、アバレキラーの3戦士の魂ですが、
鎧はそれを現実の出来事と思っています。

その3人の戦士の1人、アバレキラーこと仲代壬琴は「受け取れ」と言って何かを鎧に差し出します。
鎧が受け取って見てみると、それは携帯電話のような器具と、小さな人形が1つずつでした。
「これは・・・?」と鎧は壬琴に尋ねます。
それは例の鎧がゴーカイシルバーに変身した時に使った変身アイテムと
ゴーカイシルバーのレンジャーキーそのものなのですが、
この時点での鎧にとっては全く見たこともない未知の物体でした。

いや、この時点では既にゴーカイジャーは地球に来ていたみたいで、
ゴーカイジャーの登場と同時に地球人はレンジャーキーというものの存在を初めて知ったようですから、
この時点ではレンジャーキーという存在についてはスーパー戦隊ファンの鎧は知っていたかもしれません。
ただ、鎧が壬琴から受け取った人形はレンジャーキーのようには見えたものの、
34戦隊全ての戦士を把握している鎧から見れば、
全く該当する戦士のいない変な人形にしか見えなかったのかもしれません。
ましてや携帯電話のような変な器具に至っては全く未知のものでした。

その鎧の問いかけに対して壬琴は
「俺たちが生み出したゴーカイセルラーとレンジャーキーだ・・・それを使って、一番のヒーローになれ」と言うと、
鎧の横を通り過ぎていきます。
この鎧の持っていた変身アイテムの名称はゴーカイセルラーというようです。
そのゴーカイセルラーと、もう1つの人形の方はレンジャーキーだと壬琴は明言し、
それを使ってヒーローになるように鎧に言いました。
スーパー戦隊ファンの鎧には、それだけ言われれば、
詳細は不明ながら、要するにこの2つを使ってスーパー戦士に変身出来るのだということは分かります。

どうやら、壬琴がここにやって来た本来の目的は鎧にこの2つのアイテムを渡すことだったようです。
というより、もともとスーパー戦隊の大いなる意思のようなものが鎧に対してやろうとしていた用件というのが、
この2つのアイテムを渡すことであったのでしょう。
つまり鎧をゴーカイシルバーに変身出来る戦士にしようというのが、
スーパー戦隊の大いなる意思の当初から意図するところであった。

この2つのアイテムはもっと簡単な方法で鎧に渡す手筈だったのかもしれません。
あるいはレジェンド戦士を介さない方法でも鎧にアイテムを渡すことは可能だったかもしれません。
ところが鎧が事故で生死の境を彷徨うという予想外の事態が生じたため、
死者の国から壬琴とブライと直人が鎧の魂に会いに行くことになり、
その際にアイテムも渡すことになったのでしょう。

そう考えると、最初から決まっていたことはタイミングと、アイテムを渡すべき相手であったことが分かります。
このタイミングでゴーカイセルラーを使って変身するゴーカイシルバーという戦士を生み出さねばならなかったのであり、
その有資格者は伊狩鎧でなければいけなかったようなのです。
だから、言わば最悪のタイミングで事故に遭って生死の境を彷徨うというドジを踏んだ鎧のために
壬琴たちがわざわざ派遣されてきたのです。
そこまでして、今このタイミングで鎧をゴーカイシルバーにしなければならなかったのです。

まずタイミングの件ですが、それは「ゴーカイセルラー」という変身アイテムをヒントにすれば読み解けます。
まず「ゴーカイセルラー」という名前からして、
それが巷で噂の宇宙海賊ゴーカイジャーに関係のあるアイテムだということは分かります。
そこに貰った人形をセットして変身に成功すれば、
その時、関ボイスで「ゴォォォカイジャァァァ!!」という認識音もしますから、
その戦士がゴーカイジャーの一員となるべき戦士だということも鎧には分かるはずです。
ならば、きっと鎧はすぐにゴーカイジャーに接触するでしょう。

ところでゴーカイセルラーには15個のボタンがついていますが、
そこにはゴーカイシルバーを除いて15の追加戦士の顔が描かれています。
つまり、このゴーカイセルラーという変身アイテムは15の追加戦士に対応しているのです。
ならば鎧はゴーカイジャーに接触した際に、15の追加戦士のレンジャーキーのことを尋ねるのは必至です。

ところが少し前までゴーカイジャーはこの15の追加戦士のレンジャーキーを持っておらず、
その所在も、いやその存在すら知りませんでした。
その15の追加戦士のレンジャーキーがゴーカイジャーの手に入ったのは第16話終了時点です。
だから、それ以前にもし鎧がゴーカイセルラーを手に入れていたとしたら、
鎧がゴーカイジャーに接触しても話は進まない。
ということは、鎧にゴーカイセルラーを渡すのは、
ゴーカイジャーが15の追加戦士のレンジャーキーを手に入れた後の方がいいのです。
つまり第16話終了後に鎧にゴーカイセルラーを渡すということです。

実際、第16話以前には鎧もゴーカイシルバーも画面には登場してきておらず、
第16話の後にあった「199ヒーロー大決戦」映画の黒十字王との戦闘の終了後、
EDテーマの映像中、飛び去るガレオンを眺めるゴーカイシルバーの姿が初めて登場します。

つまり、スーパー戦隊の大いなる意思のような存在は、
第16話においてマーベラス達が15の追加戦士のレンジャーキーを手に入れたことを何らかの方法で確認した後、
鎧にゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡そうとしましたが、
鎧が予想外の交通事故で瀕死の状態となってしまったので、
鎧に死なれてしまっても困るし、回復にやたらと時間がかかっても困るので、
名医であった壬琴も含む死者の魂のチームを急遽組んで対応させ、
そこでゴーカイセルラーとレンジャーキーも渡して、
早期に鎧がゴーカイシルバーになれるように手を打ったというわけです。

鎧が事故にあったのはおそらく第16話終了から黒十字王との戦いの始まる前までの間の何処かの時点であり、
鎧の回復過程の間にゴーカイジャーと黒十字王との戦いがあり、
鎧は早期に回復して、映画のEDあたりにはようやく変身に成功して
自分がゴーカイジャーの一員になるべき戦士なのだと知り、
黒十字王との戦いに勝利してゴセイジャーとの別れをしつつ飛び去るガレオンを見上げていたという、
そういう時系列になるのでしょう。

次に問題は、何故そこまで苦心してまでも鎧をゴーカイシルバーにしなければいけなかったのかです。
大事なタイミングで瀕死状態になった時点で戦士候補から外すのが普通のようにも思えます。
そうしなかったのは、鎧に特別な資質があるからです。
それは壬琴が感銘を受けた「自分の危険を顧みず誰かを守る」という資質ではありません。
何故なら、それは鎧の交通事故を受けての感銘であって、
交通事故以前には鎧にそこまで極端なヒーロー気質があるということは判明していなかったはずだからです。

それに、鎧のヒーロー気質が最初から分かっていたことなら、
壬琴もあそこまで「久々にときめいた」とまで言って感銘しないはずです。
「ときめく」は壬琴にとっては特別な言葉ですから、
最初から鎧にそうした資質があると分かっていれば、あの事故を受けてわざわざ壬琴は
「ときめく」とは言わないはずです。

つまり、予想外の交通事故が起きる以前は、スーパー戦隊の大いなる意思のようなものは
鎧という人間にそうした自己犠牲的なヒーロー気質があるとまでは思っていなかった。
もちろん悪人であったり極端に弱かったりしたら論外なので、
それなりに正義感が強く身体的にも頑健であることや運動神経に優れていることは検証し、
それはもちろん合格ラインに達していたのでしょう。
しかし、それだけならば鎧以外にも地球人には適格者は存在するはずであり、
大事なタイミングで事故を起こした鎧を外して他の者に変更することは出来たはずです。

だから、そうしなかったということは、鎧にはそれら基本的資質に加えて何らかの特殊な素養があるのです。
それは、おそらく「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」と自称するぐらいの
極端な戦隊ファンであるということなのでしょう。
それがどうしてゴーカイシルバーとなるのに必要な資質なのかは現時点ではよく分かりませんが、
おそらくはゴーカイジャーに新たに加入する追加戦士がスーパー戦隊を深く愛し、
スーパー戦隊に詳しい戦士であった方が何かと都合が良いのでしょう。
それは単に知恵袋として必要という意味合いではなく、
それがゴーカイジャー全体の強化、
あるいはゴーカイジャーという戦隊の方向性を変えていく効果があるという面で有用なのでしょう。

つまり、もともとスーパー戦隊の大いなる意思のような存在は、
熱烈なスーパー戦隊ファンであり、なおかつ強い正義感の持ち主で身体頑健、運動神経の発達した男である
伊狩鎧に前からゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを託す相手として目星をつけており、
マーベラス達が15個の追加戦士のレンジャーキーをゲットしたのを確認した直後、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを用意して鎧に接触しようとしたが、
その矢先に鎧が少女を助けるためにトラックに轢かれてしまい瀕死の状態となったので、
急いで仲代壬琴やブライや滝沢直人の死者の魂を現世と死後の世界の境界に送り、
そこで鎧の魂を現世に押し戻して蘇生の処置を施すと同時に、
その場でゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡すことにしたのです。

ここで壬琴はこの2つのアイテムを「俺たちが生み出した」と言っています。
この状況だけを見れば、この「俺たち」というのは壬琴とブライと直人を指すように思えますが、それは少し変です。
壬琴たち3人は鎧の事故を受けて急に派遣されてきた雰囲気であり、
この2つのアイテムはそんな急ごしらえで作ったようには思えません。
だいたい、彼ら自身のレンジャーキーならともかく、
ゴーカイジャーの一員であるゴーカイシルバーのレンジャーキーまでもこの3人が作るというのも変で、
ここで壬琴の言う「俺たち」というのはもっと広い範囲を指すと考えた方がいいでしょう。

そもそも、この場所は壬琴のような死者の魂が出入りするような場所であり、
意識体で作られたイメージ空間のような場所でしょう。
そんな場所で死者の魂である壬琴が鎧の魂に手渡しするような物体は、
現実世界で作られた物体とは到底思えません。
壬琴も「俺たちが生み出した」と言っているのであって「俺たちが作った」とは言っていません。
つまり、このゴーカイセルラーもゴーカイシルバーのレンジャーキーも、もともとは物質的なものではなく、
何らかの精神的な存在が実体化したものと考えられます。

まぁ第1話や「199ヒーロー大決戦」映画で描かれたレジェンド大戦時のレンジャーキーの誕生シーンや、
黒十字王との戦いの際のレンジャーキーの引き起こした様々な不思議な現象を考えると、
レンジャーキーという存在がそもそも完全に物質的な存在であるとは到底思えないわけですが、
それと対になるアイテムであるゴーカイセルラーも同様であるとすれば、
ならばモバイレーツも、あるいはバスコの持つラッパラッターも
同じような精神的存在の実体化したものであるとも考えられます。
それどころか、「199ヒーロー大決戦」で宇宙空間に浮かんでレンジャーキーの誕生に立ち会っていたアカレッドも、
その乗艦であるゴーカイガレオン(つまりゴーカイオー)も、ナビィまでも、
同様に壬琴が「俺たち」と呼ぶ何らかの存在によって作り出された精神的存在が実体化したものである可能性もあります。

では、その「俺たち」とは何なのかということを考えるに際して、
ヒントになるのは壬琴や直人やブライのような殉職戦士がどうしてレジェンド大戦に参加していたのかという点です。
こうして壬琴の魂が鎧の魂と会話して昔の凌駕との想い出に思いを馳せたりしているところを見ると、
この壬琴の魂は生前の壬琴の魂と全く同一の存在であり、
つまり、この「ゴーカイジャー」の物語世界では「魂は永遠不滅である」という定義になっているようです。
雲散霧消したり輪廻の輪の中で別のものになったりはしないようです。
あるいは、これは壬琴がスーパー戦隊の戦士だったからなのかもしれません。
つまり「戦士の魂は永遠不滅となる」ということで、こっちの方が話が進めやすいような気もします。

それは直人やブライにしても同じことで、
彼らも生前の直人やブライの魂そのものがこうして鎧に会うためにやって来ているのだと解釈すべきでしょう。
ただ単に用件を簡潔に済ますために鎧と話をする役割を壬琴に一本化しているので
直人とブライは一言も喋らないのであって、別に魂が入っていない人形ではないのです。

何故彼ら2人は変身態のままなのかというのは、
そもそも鎧に一目でレジェンド戦士だと識別してもらうためには、
人間態よりも変身態の方が適しているからであるからに過ぎない。
何せ、もし人間態にするとなると、「タイムレンジャー」で11年前、
「ジュウレンジャー」に至っては19年前の作品ですから、
オリジナル役者の直人役の笠原氏、ブライ役の和泉氏らの見た目の変化はそれなりに大きなものとなっているでしょう。
その彼らをこの場に立たせて鎧にそれがかつてのレジェンド戦士だと気付かせるシーンよりも、
変身態を見せてレジェンド戦士だと気付かせるシーンの方が視聴者にも分かりやすい。

見た目があまり変化していない壬琴でも最初はわざわざ変身態で現れており、
人間態となったのは喋るためであったと解釈出来る。
おそらく彼らの魂の本来の姿は人間態であり、
変身態は鎧にレジェンド戦士だと気付いてもらうためにわざわざ姿を変えている姿だと思われ、
変身態の姿でいることはそれなりに負担であるので、
壬琴だけは会話するに際しては本来の人間態に戻ったということなのでしょう。

つまり、彼らが変身後の姿をしているのは
彼らが変幻自在の能力を持つ死者の魂ゆえに可能な単なる擬態であって、
戦う力が彼らに戻っているというわけではない。
彼らの戦う力は彼らの魂とは別にレンジャーキーの中に封じ込められ、現在はマーベラス達の手元にあるのです。
それはもちろん他のレジェンド戦士でも同じことです。

例えば映画にも出てきたボウケンレッド明石暁も、
現在の明石暁の魂は明石暁の身体の中にあり、
ボウケンレッドとして戦う力はそこから分離してボウケンレッドのレンジャーキーの中に封じられていて、
現在はマーベラス達の手元にあります。
魂と戦う力が明石の身体の中で再び1つになった時、
明石はボウケンレッドとして戦うことが出来るのですが、
それが現在はプロテクトがかかっていて戦う力が元の身体に戻らないようになっているのか、
そうではなくて戻すことは出来るがあえて戻さないようにしているのか、そのあたりは曖昧で、
まだよく分かりません。
映画ではゴセイジャーの面々はそれを可能にして変身能力を取り戻していましたが、
あれは彼らが天使という特殊な存在であったからという解釈もあり、
しかし志葉薫のようにレンジャーキーを取り戻そうとする者がいたり、
小津魁も取り戻す選択肢もあるような示唆もしていたり、ちょっとまだよくこのへんは分かりません。

ただ何にしても、戦士の魂と戦う力が1つになった時にその戦士の能力は完全復活する設定というのは間違いない。
だからこそ、レジェンド戦士たちは、ゴーカイジャーがレンジャーキーに封じられた各戦隊の能力を
完全に使いこなすことが出来るのかどうかを判定する際に、
ゴーカイジャーのメンバーの精神的な側面を試すような行為を行うのです。
つまりゴーカイジャーのメンバーの魂が各戦隊のメンバーの魂と同等の状態となることによって、
各戦隊の戦う力はそのフルパワーが引き出されるからです。
このように、この「ゴーカイジャー」の物語世界は、戦士の魂と戦う力とが1セットの扱いになっています。
だから、戦士の魂と戦う力が1つに合体した時、レジェンド戦士は完全復活するのです。

さて通常のレジェンド戦士の場合は、もともと戦士の魂と戦う力は彼らの身体の中で1つになっていました。
明石暁の魂と明石暁の戦う力は、共に明石暁の身体の中で育まれてきて一体となっていたものです。
それが現在は一時的に分離しているだけです。
しかし仲代壬琴のような一旦死んだ戦士の場合、その魂と戦う力が一体となる場である
「仲代壬琴の身体」というものがとっくの昔に失われています。
ならば壬琴の魂はともかく、戦う力は雲散霧消してしまったのかというと、決してそんなことはなく、
レジェンド大戦時には再びその戦う力は壬琴の魂と合体してアバレキラーとして戦うことが出来ており、
そして現在もアバレキラーのレンジャーキーの中にその戦う力は存在しています。
直人やブライにしても全く同様です。
ならば、彼らの身体が滅んでからレジェンド大戦までの間、彼らの戦う力はいったい何処に保管してあったのか?

「ゴーカイジャー」の物語世界におけるそのあたりの定義のヒントになりそうな描写は
「199ヒーロー大決戦」映画の中にあります。
ゴーカイジャーとゴセイジャーが黒十字王に追い詰められて大ピンチとなった時、
宝箱の中にあった176のレンジャーキーが勝手に動き出して外に飛び出し、
まばゆい光に包まれた異空間のようなものを作り出し、
その中に取り込まれたゴーカイジャーとゴセイジャーは、
その異空間の中で歴代戦士たちのビジョンからメッセージを受けます。

その複数のレジェンド戦士たちのメッセージの内容を繋げて要約すると
「俺たちは戦う力を奪われたが、この鍵に宿った想いは永遠のものだ。
地球人でなくても誰かを愛する、大切な物を守ろうとする心は同じだ。
お前たちは宇宙の何処ででも通じる、愛と勇気と希望と正義の心を持っている。
スーパー戦隊の力はその強さにきっと応えてくれるはず。未来の夢のために戦ってくれ。
地球に悪の手が伸びた時こそ、みんなの愛を寄せ合うんだ。
スーパー戦隊全ての力が集まった今、君たちに与えられた力強い勇気で、青く輝く地球を守ってくれ」
というような感じです。

かなり美辞麗句が多いのですが、更にざっくりと要約すれば、
「レジェンド戦士たちの戦う力はその魂や身体から引き離されてレンジャーキーに封じられたが、
レンジャーキーにはそれぞれの戦士たちの魂と照合する思念が残されており、
レジェンド戦士たちと同じような魂(ソウル)を持った戦士にはその思念が応えて
レンジャーキーの力を引き出してくれるはず。
だからレンジャーキーを1つに集めて、全てのスーパー戦隊の力を合わせて使い、地球を守ってほしい」
ということになります。

これは、ここまで本編の考察でも何度も述べてきたゴーカイジャーの「大いなる力」の獲得における原理を
レジェンド側からの証言で裏付けたような内容ですが、
問題はここで喋っている彼らレジェンド達は何なのかです。
彼らは「戦う力を奪われた」と言っている以上、奪われた側の魂です。
ただここに現れた彼らはまだ皆、存命中なので魂は本来は身体の中にあるはずで、
こんな不思議空間に魂だけ出てくるのはおかしい。
そういうおかしいことが起きたというのは一種の「奇跡」であって、
それぞれのレジェンド戦士たちの身体から魂が抜け出てこの不思議空間にやって来たのでしょう。
つまり、鎧のケースと同じです。

これはレンジャーキーの力で作り出した不思議空間であるからこそ可能となった一種の奇跡なのでしょうが、
単に戦う力の集合体でしかないレンジャーキーの力だけではこんな気の利いたことは出来ない。
それが可能になっているのは、レンジャーキーに宿っているというレジェンド戦士たちの「想い」が
レンジャーキー空間を制御して、それゆえ戦士の魂をこの空間に召喚するという奇跡を起こすことが出来たのでしょう。

これだけでもかなり奇跡的なのですが、このレジェンド戦士たちのメッセージに応えたマーベラスが
レジェンド達の想いに応えて黒十字王と戦うことを決意し「俺たちに力をくれ!!」と叫んだことによって、
なんと176人のレジェンド戦士が一時的に復活するという奇跡が起きたのです。
これはマーベラス達の魂がこの時、黒十字王という強大な敵を前にしてレジェンドのメッセージを聞いたことによって、
一時的にレジェンド戦士の全ての魂と完全にシンクロした結果、
いつもレジェンド回で各戦隊のOPテーマがかかる状態の完全シンクロ豪快チェンジが
176人の戦士分全てで起こった状態だといえます。

完全シンクロ豪快チェンジはある意味ではその戦士が完全復活した状態に等しく、
それゆえに完全シンクロ豪快チェンジの条件が整った状態では、
戦士の魂と戦う力が合体してレジェンド戦士が完全復活することも可能ということになります。
ただ、それはおそらくその前にレンジャーキー空間が起こした奇跡によって、
レンジャーキー空間において戦士の魂と戦う力が共存している状態が作り上げられていたからでしょう。
だから、この176戦士の復活というのは、ホントにこの時の一時限りの限定的奇跡であって、
それゆえ、すぐにこの176戦士は姿を消します。

ここから先が本来のレンジャーキー空間の起こした奇跡で、
176戦士が再びまばゆい光の中で一体化し、そこから「スーパー戦隊バズーカ」という必殺武器が生成されたのです。
つまり戦士の戦う力と想いとで形成されるレンジャーキーは集まって1つのエネルギー体のような形態をとって、
そこから物質を生成することが出来るのです。
いや、むしろ1つの巨大なエネルギー体が本来の姿であり、そこから戦士の戦う力は供給され、
それが現在はレンジャーキーという形になっているだけなのかもしれません。
ゴーカイジャーやゴセイジャーが取り込まれたのは、その巨大なエネルギー体の内部だったということでしょう。
つまりスーパー戦隊の戦う力の集合体であり、その源泉である巨大なエネルギー体が存在し、
戦士たちの戦う力はもともとはそこから戦士たちの身体に供給されたものであるということです。

そう考えれば、壬琴らの戦う力が彼らの身体が失われてからレジェンド大戦までの間、
何処に保管してあったのかの解答に辿り着きます。
壬琴や直人のような殉職戦士の戦う力は、この大いなる源泉に戻って、そこで保管されていたのです。
そしてザンギャックの侵攻によって地球が危機に陥り、殉職戦士も復活して戦う必要が生じた結果、
大いなる源泉から彼らの戦う力は再び分離して取り出され、彼らの魂と一体化して、
殉職戦士は完全復活したのです。

そう考えれば、何故、初代ミスアメリカや初代バトルコサックのような途中交替戦士たちが復活していないのかも分かります。
彼らは彼ら自身の生死に関係なく、とにかくその「戦う力」は別人に引き継がせたので、
大いなる源泉由来の「戦う力」と彼らの魂は一体化する資格を既に喪失しているのです。

このように壬琴のような殉職戦士がレジェンド大戦に復活して参加していたという事実が、
この「ゴーカイジャー」の作品世界の世界観の中では、
「戦う力」が一体化して存在する「大いなる源泉」的な超存在が存在していることの傍証となるのです。「199ヒーロー大決戦」映画における一時的な176戦士復活描写はそれを更に補完するものだと言えますが、
この映画において、その「大いなる源泉」ともいえる戦う力の集合体が
レンジャーキーが集まった空間という描写となっているのは、
戦う力がレンジャーキーへと姿を変えているからです。
レジェンド大戦時に戦士たちの身体から離れた戦う力はレンジャーキーに姿を変えたが、
それはその「大いなる源泉」的なエネルギー体の作り出す目に見えない不思議空間の中で戦う力が
レンジャーキーへと姿を変えたからなのでしょう。

つまり「大いなる源泉」の本来の姿は戦士たちの力そのものなのであって、
レンジャーキーも映画における「スーパー戦隊バズーカ」のように
その超エネルギー体が生み出したアイテムに過ぎない。
ならば、ゴーカイシルバーのレンジャーキーも、過去にそれに該当する戦士は存在しなかったが、
スーパー戦隊の戦う力の集合体である「大いなる源泉」から新たに生み出されたのだと考えることは出来ます。
それはゴーカイセルラーも同様で、モバイレーツもラッパラッターも、ガレオンやアカレッドも
そうやって生み出されたものの一種である可能性も高い。

ただ、その「大いなる源泉」である戦う力の集合体はそれらアイテムの原料となっただけのことで、
それらを生み出した主体ではありません。
生み出した主体は、その「大いなる源泉」を形成する個々の戦士たちの戦う力に宿っているという
戦士たちの想い、その集合体である「大いなる意思」というような存在でしょう。
それは1つの統一意思でありながら同時に個々の意思でもあるような存在と考えてもいい。

その「大いなる意思」が「大いなる源泉」を原料として、
例えば映画ではスーパー戦隊バズーカというアイテムを生み出したのであり、
この第18話では壬琴がゴーカイセルラーやゴーカイシルバーのレンジャーキーを生み出した主体として挙げている
「俺たち」というのは、この「大いなる意思」のことなのでしょう。

この戦う力に宿った意思は、もともとは戦士の魂と同じものだったのでしょうけれど、
レジェンド大戦で戦士の魂と戦う力が分離した際に、
身体に引っ付いた戦士の魂と、戦う力に引っ付いていった意思とは、互いに遠い存在となったのです。
しかし、もともと身体を持たなかった殉職戦士たちの魂は死後の世界に戻りましたが、
身体の束縛を受けない分、幾分は自由度が高く、
戦う力に宿った意思を自己と同一視することが可能であり、
それゆえ壬琴のような殉職戦士の魂は「大いなる意思」を自分自身も含んだものとして認識して
「俺たち」と呼ぶことが出来るのです。

つまり、ここで壬琴が鎧に言っている「俺たちが生み出した」の意味は、
壬琴や直人やブライのような殉職戦士も含むレジェンド戦士たちの戦う力に宿った意思の集合体である
「大いなる意思」が戦う力の集合体である「大いなる源泉」を原料として
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを生み出し実体化したということなのです。

しかし、この「大いなる意思」が「大いなる源泉」を使って
いつでもどんなアイテムでも自在に生み出すことが出来るというわけではないようです。
例えば「スーパー戦隊バズーカ」はマーベラスの呼びかけに応じて生み出されました。
また、「199ヒーロー大決戦」映画では、そのスーパー戦隊バズーカで撃破した黒十字王が復活巨大化した黒十字城を相手にゴーカイオーとゴセイグレートが大ピンチとなった際に、
歴代戦隊の巨大ロボや巨大飛行メカが出現するという奇跡が起きましたが、
これは地球の各地からスーパー戦隊のロボやメカの玩具に宿った持ち主の想いが集まり
実体化したものと解釈される描写となっていますが、
こんな奇跡が普通の状態でしょっちゅう起こるわけがなく、
これはやはりレンジャーキーの不思議空間=大いなる源泉および大いなる意思が活性化した状況下であるからこそ
起きた奇跡であると考えられます。

これは言い換えれば、世界中の人々のスーパー戦隊を愛する想いが
玩具を触媒にして大いなる意思とともに大いなる源泉に作用を及ぼし、
大いなる源泉から取り出したパワーで玩具を巨大ロボやメカという一種の巨大アイテムへと
変形生成させたということになります。
スーパー戦隊バズーカの場合にしても、マーベラスの想いがこの時、レジェンド戦士たちと著しくシンクロしていたため、
マーベラスの想いが大いなる意思と共に大いなる源泉に作用を及ぼしてスーパー戦隊バズーカを生み出したと考えられます。

つまり、大いなる意思が大いなる源泉から何かアイテムを生み出す時には、
レジェンド戦士たちと親和性の高い第三者の強い想いが必須ということです。
それがあってこそ奇跡が起きるのです。
ならば、ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーという2つのアイテムはどのようにして生み出されたのか?
そこで大いなる源泉に必須の作用を及ぼしたレジェンド戦士と親和性の高い強い想いを持った第三者とは誰のことなのか?
それがおそらく伊狩鎧という「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」なのでしょう。

これが実は、鎧がこの2つのアイテムを託された理由の1つの解答なのでしょう。
つまり、鎧のスーパー戦隊を強く愛する想いを受けてこそ、この2つのアイテムは生まれたのであり、
この2つのアイテムは大いなる意思と鎧との合作物なのです。
もちろん鎧はそのことは自覚していませんでしたが、
レジェンド戦士たちの意思の集合体である「大いなる意思」は
伊狩鎧という熱烈なスーパー戦隊ファンの想いを使って、
大いなる源泉からゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを生成したのです。

だから当然、このアイテムは鎧の所有物となったのです。
もちろん、このアイテムを使った鎧の果たすべき役割というものも色々と考慮されて、
それで鎧という人物が絞り込まれたのでしょうけれど、
とにかく、鎧の想いを使って生み出されたアイテムですから、
鎧にそれが手渡されたということのようです。

壬琴はこの後の「大いなる力」の譲渡の際は鎧に向かって「くれてやる」と言っており、
「大いなる力」は本来は鎧のものではないということは明示していますが、
一方で、この2つのアイテムに関しては単に「受け取れ」と言っているだけで、
まるで鎧がそれを受け取るのが当然であるかのような態度です。
そこは明らかに扱いが違うのであって、この2つのアイテムは鎧にも所有権はあるようです。

そう考えると、壬琴が「俺たちが生み出したゴーカイセルラーとレンジャーキーだ」と言いながら鎧の顔をじっと見ているのは、
つまりは、その「俺たち」には鎧も含まれるという意味ではないかと考えることも出来るのです。
つまり「自分達レジェンド戦士の意思とお前の想いが力を合わせて生み出した
ゴーカイセルラーとレンジャーキーだから、お前が受け取れ」と言っていると解釈出来るのです。

つまり、このようなアイテムを生成するような奇跡的現象が起きるための条件は、
まずレジェンド戦士の戦う力と意思が互いに集合体として作用しやすいように1つの場所に集合した状態であることで、
これはつまり言い換えればレンジャーキーが1か所に集まっているということです。
そして、そういう状態を前提として、
それに加えて、レジェンド戦士とシンクロ率の高い第三者の強い想い(魂・ソウル)が加わることによって、
新たなアイテムが生成されるのです。

この「第三者」の代表格がマーベラス一味という宇宙海賊であり、
彼らが様々なレジェンド戦隊の精神とシンクロしていくことによって、
新たなアイテムやエネルギー(すなわち「大いなる力」)を生成していく
ちょっとした奇跡の過程を描いているのが、恒例のレジェンド回ということになります。
そうした奇跡を起こす大前提が「レンジャーキーを一か所に集める」ということだったのであって、
それゆえマーベラス達は地球に来てレジェンド戦士たちと出会う前に宇宙を旅して
レンジャーキーを掻き集めておく必要があったわけです。

ただマーベラス達はそうした手順を知っていたわけではない。
彼らをそういう手順に自然な形で導いていったのは、もともとはアカレッドの残した指針であり、
直接的にはナビィのお宝ナビゲートでした。
ただナビィも自分の意思でお宝ナビゲートをしているわけではなく、
何者かに何らかのビジョンを見せられて、それを説明しているだけに過ぎない。
だからナビィが黒幕というわけではなく、
ナビィを作った者がマーベラス達をこの旅に導いてきた張本人です。
そして、それはどうも「大いなる意思」ではないかと思えるのです。

ところで、このレンジャーキーを一か所に集めることによって起きる奇跡ですが、当初はそんなに大したものではなかった。
マーベラス達の精神とレジェンド戦隊の精神がシンクロすることで
1つずつの戦隊の大いなる力をゲットしていく程度のことでした。
しかし、黒十字王との戦いの際には、スーパー戦隊バズーカや、176戦士の一時的復活や、
歴代巨大ロボの一時的出現など、かなり凄い奇跡が連発しています。
ゴセイジャーが変身能力を取り戻すことが出来たのもそうした類の奇跡の1つと言えるかもしれないし、
ゴーカイジャーが一気に11個もの大いなる力を獲得したのも一種の凄い奇跡です。

明らかに奇跡を起こす力が上がっているのです。
その原因は何かと考えると、それは明らかにレンジャーキーの一か所への集中度が高まったからです。
すなわち、バスコ登場前の第14話まではマーベラス達は
ゴーカイジャーの5個も含めて全部で197個あるレンジャーキーのうち172個しか持っていなかったのですが、
第15話と第16話でバスコから15個の追加戦士のレンジャーキーを手に入れて、
197個のレンジャーキーのうち187個まで1か所に集中させることになったのです。
これによってレンジャーキーの集中度が高まり、
第16話以降は、そこにレジェンドと親和性の高い第三者の強い想いが加わって起こる奇跡のステージが
一段階上がったようなのです。

そうした法則性があることが察しがついたからこそ、
ゴセイジャーもレンジャーキーを一か所に集めておいた方が良いと思い、
レジェンド達のゴーカイジャーへの期待を知り、
ゴーカイジャーにレンジャーキーと自分達の大いなる力も託して、
自分たちは変身せずにサポート役に徹することを決めて、ガレオンを去って何処かに行ったのです。

ゴーカイセルラーと198個めのレンジャーキーとなるゴーカイシルバーのレンジャーキーの生成という奇跡も、
このゴーカイジャーの手元に187個のレンジャーキーが集中したという新たな事態を受けて、
そこに鎧の強くスーパー戦隊を愛する想いを作用させて大いなる意思が秘かに生じさせていた奇跡であり、
その生成した2つのアイテムを鎧に渡そうとした矢先に鎧が事故で瀕死となったので、
そのアイテムを持って壬琴と直人とブライの魂が鎧の魂と死者の国の入り口で出会い、
蘇生措置を施してアイテムを渡したというわけです。

しかし、結果としては、むしろそうした予想外の鎧の無茶な行動によって、
直人もブライも、そして壬琴までも鎧のことを期待していた以上の素材だと認めたようです。
そういう気持ちを率直に表した言葉が壬琴の「それを使って一番のヒーローになれ」という言葉です。

もともと「大いなる意思」が鎧に期待していたのは、そのスーパー戦隊を強く愛する心だったはずで、
その心をもってゴーカイジャーに力を貸し、導く役目を期待していたようで、
「一番のヒーロー」になることまでは期待していなかったのではないかと思います。
ここで壬琴が鎧に「一番のヒーローになれ」と言ったのは、壬琴の一存であり、
それは、鎧が「自分の危険を顧みず誰かを守る無茶の出来るヤツ」だということを知ったからです。

それがまさに真のヒーローの中のヒーロー、すなわち「一番のヒーロー」の資質であることを壬琴は知っています。
壬琴から見れば、その場に佇む先輩ヒーローである滝沢直人やブライがまさにそうであり、
そしてかつての自分が認めた一番のヒーローである伯亜凌駕もそうであったことを知っているからです。
それらと同じ資質を持った鎧ならば、ヒーローとしての力を得れば、一番のヒーローにもなり得るだろうと壬琴は思い、
それゆえ壬琴は鎧に「それを使って一番のヒーローになれ」とエールを送ったのでした。

こういう言い方をされれば、スーパー戦隊マニアの鎧は、
それがスーパー戦士になるための変身アイテムだということは分かります。
しかし鎧は「え?・・・本当に、俺が?」と戸惑っています。
まぁいきなりこんなことを言われたら普通は戸惑うでしょうけど、
ここでの鎧は「一番のヒーロー」という言葉にも引っかかっているようです。
ヒーローに対する憧れがなまじ誰よりも強いだけに、
自分が他のヒーローを押しのけて一番のヒーローになるという発想はなかなか無いようです。
自分はそんな大した男じゃないという想いもあります。
実際、これまでそんな大したことをやってきたわけではないのです。

しかし壬琴は鎧の迷いは全く気にかけようともしない態度で鎧の横を通り過ぎると、
変身態の直人とブライの真ん中に立ち並び、3人で振り向いて鎧を見据えます。
そして壬琴が代表して「俺たちアバレンジャー、タイムレンジャー、ジュウレンジャー・・・
3つのスーパー戦隊の大いなる力も、お前にくれてやる!」と、3人の意思を示します。

これはおそらく当初は3人は予定していなかったことでしょう。
3人は当初はこの場に鎧の蘇生措置とアイテムの譲渡のためにやって来た使者のようなもので、
自分たちの戦隊の大いなる力を与える予定ではなかったはずです。
そもそもレンジャーキーも大いなる力も出来るだけ1か所に集めておいた方が良いのであって、
だからこそゴセイジャーも身を引いたぐらいなのです。
ならば、まだゴーカイジャーに加入出来るかどうか分からない鎧に大いなる力を預けてしまっては、
下手したら大いなる力がバラバラになってしまう可能性があり、
仮に鎧に大いなる力を与えるにしても、ゴーカイジャーへの加入後にした方が無難なはずです。
だから、この場で大いなる力を鎧に与えるという予定は無かったはずです。

しかし、鎧の自分の命を捨ててまで少女を助けた行為にすっかり直人もブライも、そして壬琴も感銘を受け、
共感してしまったので、自然と大いなる力を与える流れになってしまったのです。
心が通じ合うと、大いなる力は自然と与えられるのです。
まだゴーカイジャーの仲間にもなっておらず戦い始めてもいない戦士に
大いなる力を与えるほど感銘を受けるとは思っていなかった3人ですが、
感銘を受けてしまったものは仕方ない。
大いなる力は餞として与えることにしたのでした。

しかし鎧は「大いなる力」と言われても何のことかさっぱり分かりません。
「・・・大いなる力・・・って何ですか!?」と鎧は質問しますが、
壬琴は「そのうち分かる・・・」と、詳しく説明しようとはしません。

この3戦隊の大いなる力を実際に発動するには、この3戦隊のレンジャーキーが必要ですが、鎧はそれらを持っていません。
それらはゴーカイジャーが持っています。
特にこの3戦隊の大いなる力を鎧に与えた以上、鎧がそれを発動せねばならず、
鎧が発動するならゴーカイセルラーを使って発動することになります。
そうなると対応しているのは15個の追加戦士のレンジャーキーですから、
結局、この3人のレンジャーキー、
つまりアバレキラー、タイムファイヤー、ドラゴンレンジャーのレンジャーキーが必要となります。
つまり、鎧がゴーカイジャーに加入しなければ、この3つの戦隊の大いなる力は使えないのです。

このアイテムを手に入れたら鎧は間違いなくゴーカイジャーの仲間になろうとして彼らに接触するだろうけれど、
ゴーカイジャーが簡単に鎧を仲間にするとは限らない。
逆に、ゴーカイジャーが簡単に鎧を仲間にしてくれれば、そこで簡単に大いなる力も発動します。
だから問題は鎧がゴーカイジャーの仲間になれるかどうかにかかっているのです。

なお、鎧がゴーカイジャーに加入を許されず、アイテムだけをゴーカイジャーが手に入れたとしても、
3人は大いなる力を鎧に与えたのだから、アイテムだけでは大いなる力は発動しません。
もし壬琴が鎧にそういうことを最初から説明していたとしたら、鎧はマーベラス達にそう説明するでしょう。
そうなるとマーベラス達は大いなる力を手に入れるために仕方なく鎧を受け入れるしかなくなります。
しかし、それは言い換えれば、鎧が大いなる力を盾にして
マーベラス達に自分を仲間にするよう無理に迫っているという構図となり、
そんなやり方で仲間になったとしても、それは真の仲間とは言えませんし、
マーベラス達の性格的に、もし鎧が大いなる力を盾にしたような態度をとれば
ヘソを曲げて意地でも鎧を受け入れなくなる恐れもあります。

だから、ここは事前に鎧に余計な情報は与えておかない方がいいのです。
そういうわけで壬琴は鎧に詳しい説明はしようとしていません。
詳しい説明をしなくても、このアイテムだけで鎧はゴーカイジャーに接触しようとするでしょう。
その時、鎧が素直な気持ちでゴーカイジャーに入りたいという気持ちを
マーベラス達にぶつけるのが一番いいと壬琴は思い、
もはやこの場でやるべきことは終わったと判断し、
もう会話は終了だという意思を示すかのように再びアバレキラーの変身態に擬態します。

そして「思い切りときめけ!」と言い残して、全身を光で包みます。
ここで何故、壬琴が最後の最後にこのようなことを言ったのかというと、
それが鎧の今後の行動の中で最も大事なことだと思っているからです。
鎧はこの後、ゴーカイジャーに加入しようとし、加入が認められれば戦いはじめ、
壬琴の言ったように「一番のヒーロー」を目指すことになります。
実際に鎧が確実にその方向に進むかどうかはともかく、少なくとも壬琴は鎧にそうなってほしいと思っています。
そのために鎧にとって必須の要素が「思い切りときめくこと」だと壬琴は思っているのです。
言い換えれば、ゴーカイジャーの仲間入りをしたり一番のヒーローを目指すに際して、
今の鎧に決定的に足りない要素が「思い切りときめくこと」だということでもあります。
だから最後の最後に壬琴は鎧に「思い切りときめけ!」と念を押しているのです。

ただ、これについても壬琴は詳しい意味を説明していないので、
鎧には何のことやらさっぱり分かりません。
この「ときめき」に関しては、言葉で意味を説明するよりも、鎧が自分で実感して掴み取ること、
つまり鎧が理屈ではなく心の底からときめくことを自分で発見することによってしか真の答え、
すなわち、鎧ならではの「ときめき」が何であるのかという答えを得ることは出来ないのです。

そうして壬琴が光に包まれると同時に、
両脇のドラゴンレンジャー、タイムファイヤーも同様にその身を光に包みます。
そして3人は飛び上がり、3人を包んだ光はあっという間に広がって空全体をまばゆい光に染め、
その光を見上げて鎧は「待って!まだ行かないでくださぁい!!」と必死に叫び、追いかけようとします。
大いなる力のこと、アイテムの使い方、どうして自分が選ばれたのか、
何処に行けばまた3人に会えるのか、そして最後の謎の言葉の意味・・・など、
まだまだ聞きたいことは山ほどあったのです。

しかし光に包まれて去っていく3人からは何の反応も無く、
光は見る見る広がって鎧の全身も呑みこんでいきます。
光の中で一瞬意識を失い、鎧は慌てて飛び起きます。

するとそこはベッドの上でした。
口についていた人工呼吸器のような器具をむしり取って、鎧は「・・・夢・・・?」と呟きます。
自分は今までベッドで寝ていたようで、寝ている間に経験したことは、つまり夢だったのかと思ったのでした。
ふと見るとベッドの傍らに立っていた看護婦がいきなり起き上がった鎧を見て腰を抜かさんばかりに驚いて、
医者を呼ぶために部屋を飛び出していきます。
それを見て鎧はここが病院であり、トラックに轢かれた自分が病院に担ぎ込まれたのだと気付きました。

その時、鎧は自分が右手に何か握っていることに気付きました。
右手を掛布団の中から持ち上げてみると、
そこには、なんと夢の中でアバレキラーから貰ったゴーカイセルラーとレンジャーキーが、
夢の中で見たのと寸分違わぬ姿で握られていたのでした。

呆気にとられて「・・・夢じゃ・・・ない?」と鎧は呟きます。
今ここにあるアイテムは間違いなく現実です。
その現実と全く同じものを受け取った夢の中の出来事も本当は夢ではなく現実だったと考えなければ、
今ここにアイテムが現実に存在することを説明出来ません。
「俺・・・本当に力を貰ったんだ!」と鎧は言いますが、
まだそれは自分でも半信半疑の想いのこもった声でした。
あまりにも信じられない出来事だったからです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:26 | Comment(0) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月15日

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その4

さて伊狩鎧の回想シーンは終わり、現在のゴーカイガレオンの船室の場面に戻ります。
鎧のゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを手に入れた顛末の告白を聞いて、
「そんなことって・・・」とハカセは唖然として言います。
「俄かには信じられませんけど・・・」とアイムもかなり懐疑的な様子です。

この「ゴーカイジャー」という作品、宇宙海賊を主人公にしたSFヒーロードラマという体裁ではありますが、
別に大真面目に本格宇宙SFを作ろうとしているわけではなく、
登場人物のキャラ設定として主人公が宇宙からやって来た存在である方が便利だからそうしているに過ぎず、
本気でリアルな宇宙人を描こうとはしていません。
だからマーベラス達もザンギャックの連中もみんなバラバラの星の出身の宇宙人であるにもかかわらず、
科学技術の進歩の度合いが多少違うだけのことで、みんな基本的には地球人と同じパラダイムの中で生きています。
だから夢の中で受け取ったアイテムが現実にも手に握られていたなんていう話はハカセもアイムも、
その他マーベラス一味も全員がおよそ非現実的で、常識ではあり得ない話だと解釈します。

それは地球人である鎧も当然そういう常識は持っており
「俺も信じられなかったけど・・・」と言いますが、「これはこうしてちゃんとあるし!変身して戦えたし!」と、
手にしたゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを掲げてニッコリ笑います。

鎧も病院で目覚めた後、何故か脳の障害は回復していてすぐに退院し、
この2つのアイテムを使って色々と試しているうちに遂にゴーカイシルバーに変身することに成功したのでした。
それはちょうどゴーカイジャーがゴセイジャーと共に黒十字王を倒した直後ぐらいの時期で、
変身した時、ゴーカイセルラーから「ゴォォォカイジャァァァ!!」という認識音がしたので、
鎧はこの自分の変身した戦士が巷で噂の宇宙海賊、ゴーカイジャーの一員であることを確信したのでした。
「ゴーカイシルバー」という戦士名も色が銀色だったので自分でつけたものでした。

鎧は35番目のスーパー戦隊(本人たちは否定してるが)とも噂されるゴーカイジャーのことを
知らないわけではなかったが、そんなに詳しくは知りませんでした。
が、それ以降、ゴーカイジャーのことを調べてみると、
ゴーカイジャーはレンジャーキーを使って歴代レジェンド戦隊に豪快チェンジして戦うだけでなく、
「デカレンジャーの大いなる力」や「マジレンジャーの大いなる力」などというものを使って
ザンギャックと戦っていると聞き、それがアバレキラーの言っていた
「アバレンジャーの大いなる力」などと同じ種類のものだと理解しました。

それによって鎧は、やはり自分はゴーカイジャーに加わってザンギャックと戦うべきなのだと確信し、
また、当然、ゴーカイジャーの方にもアバレキラー達のようなレジェンド戦士から
自分が新たに加入するという話はとっくに通してあるのだと思い込みました。
それで鎧は初対面からマーベラス達にやけに馴れ馴れしかったのであり、
変身してみせれば当然、仲間として歓迎してもらえるものだと思い込んでいるのです。

一方、マーベラス達は別にゴーカイシルバーなどという新戦士の話は聞いたこともないし、
鎧の回想の話もあまりに非現実的な話で、どこまでが鎧の空想なのかよく分からず、
何か宇宙最大のお宝やレンジャーキーに関する新情報が判明するかもしれないという期待は
ほとんど肩透かしを食ったような感じで、やや拍子抜けしました。
ただ、鎧の言う通り、結果として鎧がこうして変身することが出来ている以上、
鎧の持っているアイテムは本物なのでしょう。
ならば大筋で話は信用してもいいと思いました。

となると、変身アイテムを貰ってゴーカイシルバーになれることはもう分かった。
あとは、そのついでに貰ったというアバレンジャーとタイムレンジャーとジュウレンジャーの
3つの戦隊の大いなる力というものが問題です。
「で?で!?大いなる力は?どんなだったのぉ!?」とルカがはしゃいで尋ねます。
それに対して鎧は「それは・・・」と渋い表情で口ごもります。
マーベラス達の最も知りたい情報はそこなのです。皆、緊張して鎧の説明を待ちますが、
鎧は「出てこないんです〜・・・」と情けない顔をしてしゃがみ込んでしまいます。

「ええ〜!?」とルカは失望の声を上げ、一同も溜息をつきます。
肝心のことだけが分からないとは、どうにもイライラする状況でした。
「・・・俺も色々やってみたんですけど・・・これだけじゃ、どうやってもそれらしいのが出てこなくて・・・」と、
鎧はしゃがんだまま、ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを、
まるでお手上げというように両手で掲げます。

鎧は「大いなる力」というものが何なのか全く知りません。
ゴーカイジャーがそれを使っているらしいとは噂で聞き、実際それを使っている様子も遠目で何度か見ましたが、
どうやらそれが巨大戦の際に使われるものであるということは分かったものの、
コクピットの中まで見たわけではないので、マーベラス達がどうやって「大いなる力」を発動させているのか知りません。

とにかくアバレキラーから受け取ったものがゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーだけであり、
その場でアバレキラーが3つの戦隊の大いなる力を渡すと言ってくれた以上、
この2つのアイテムを使って大いなる力も出すことが出来るのだろうと鎧は思いました。
それで色々と試してみたのですが、どうしてもそれらしい力が出てこないので、
もう鎧は大いなる力に関してはお手上げ状態であったのでした。

困り果てた様子の鎧は思いつきで
「きっと!アバレキラーさん達のレンジャーキーが要るんだと思います!」と言います。
どうやら鎧は初陣の勝利やらガレオン初乗船など色々なことが重なりすぎて頭がいっぱいいっぱいで、
自分がさっきマーベラス達がアルマドンと最初に戦っているのを見物した時に、
マーベラス達がアバレキラーやタイムファイヤーなどに豪快チェンジして戦っているのを
見ていたことを忘れているようです。

一方、マーベラスは「ん・・・?」と首を傾げました。
その「アバレキラー」とかいう戦士の名前のレンジャーキーには心当たりは無かったが、
鎧がアルマドンと自分達の最初の戦いを見物していたことを覚えていたのです。
マーベラスはあの時、鎧が「こっちのレンジャーキーもあったんだ」とはしゃいでいたことを思い出しました。
つまり鎧はあの時マーベラス達が豪快チェンジした戦士の名前を知っていたのです。

ところがマーベラス達はあの時に自分達が豪快チェンジした戦士の名前は知らない。
何故なら、それらはつい先日、バスコから奪った15個のレンジャーキーのうちの
5個のレンジャーキーを使って変身した戦士だったからです。
マーベラス達はもともと持っていた172個のレンジャーキー(ゴーカイジャーの5個も含む)に関しては、
それらが地球のスーパー戦隊だということは知りませんでしたが、戦隊名と戦士名だけは把握していました。
それはおそらくもともとアカレッドが「集めるべき172個のレンジャーキーリスト」のような
何らかのリストを持っていたからでしょう。
しかし、もともと集める対象からは外れていた、バスコが持っていた未知の15個のレンジャーキーに関しては、
マーベラス達はそれを奪った後も、その戦士名は分からないままだったのです。

いや、厳密に言うと、15個のうち1個だけは戦士名が判明していました。
それはゴセイナイトという戦士のレンジャーキーです。
バスコから15個のレンジャーキーを奪った少し後のこと、
レジェンド戦隊の1つであるゴセイジャーとマーベラス達が出会った時、
ゴセイジャー達は「ゴセイナイトのレンジャーキーを返せ」と言ってきて、
マーベラスはそんなレンジャーキーは知らなかったので正直に知らないと答えたのですが、
それでゴセイジャー達は怒って争いとなり、結局、そのゴセイナイトのレンジャーキーは
バスコから新たに奪った15個の中にあったことが分かりました。

つまり、マーベラス達が知らないで他の者が知っている名前の戦士のレンジャーキーは
バスコの持っていた未知の15のレンジャーキーの中にある可能性が高い。
その未知のレンジャーキーを使用した時に、それを見ていた鎧はその戦士たちのことを知っている様子だったのです。
そして鎧は夢(?)の中で「アバレキラー」とかいう戦士たち3人に会ったという。
そこでマーベラスは「あっ・・・!」と気付きました。
ならば、あのアルマドンとの戦いに使ったレンジャーキーの中に、
その「アバレキラー」とかいう戦士のレンジャーキーがあったのではないか?と思ったのです。

実際のところ、もしそうだとしたら鎧が「アバレキラーのレンジャーキーがあれば・・・」なんて
言ってるのはおかしいのですが、マーベラスはそこまで深くは考えず、
思いついたら即行動で、急いで宝箱の蓋を開けて「それはこん中にあるか!?」と鎧に訊ねます。
鎧は振り向いて宝箱の中を何気なしに見ます。
そして宝箱の中に乱雑に詰め込まれた大量のレンジャーキーの山を見て目の色を変えます。
これは熱烈なスーパー戦隊ファンである鎧には刺激が強すぎたようです。

エサに食いつく犬のように宝箱に飛びついた鎧は
ゴーカイセルラーやゴーカイシルバーのレンジャーキーを脇に放り出して、
「うわ〜!すっご〜!!」と、またスゴーミンみたいな奇声を発してレンジャーキーの山にむさぼりつきます。
そして「ゴレンジャーだ!」「うわっ!これはビッグワン!?」と、
手当たり次第にレンジャーキーを手に取って感動しまくります。
まるで「大いなる力」の件はすっかり忘れてしまったかのようです。

どうもこの鎧という男、アルマドンの首輪の罠を見破ったりして、決してバカではなく、
むしろ鋭敏な感覚を持った男のようですが、集中力が強すぎるようで、
つまり言い換えると入れ込み過ぎて視野が極端に狭くなる性質のようです。
その場その場の課題に全力投球するので、それ以外の大事なことを忘れてしまったりするようで、
今も「大いなる力」の引き出し方を思案する余り、
自分がついさっきアバレキラー達のレンジャーキーを使って戦うマーベラス達を見ていたという
大事な事実をすっかり忘れてしまっていたりしています。
特に鎧の場合、スーパー戦隊を愛する気持ちが熱烈すぎるため、
スーパー戦隊絡みの魅力的なモノを目にすると夢中になってしまい、冷静さを失い、
心はあらぬ妄想に飛んだりして、他のことが考えられなくなってしまいがちのようです。

あまりに鎧が余計なことばかりしているのでハカセはイラついて
「じゃないだろう!なんとかキラー達のを探すんだろ!?」と怒鳴ります。
常に理詰めで論理を積み重ねて行動する主義のハカセから見れば、
思いつきで行き当たりばったりのような鎧の行動は見ていてイライラするようです。
そこには、さっきアルマドンの首輪の罠を自分は見破れなかったのに鎧が見破ったことに対するわだかまりもありました。

首輪の罠を見破れなかったのは自分の注意力が足りなかったからだとハカセは反省していましたが、
その原因は鎧がいきなり変身して大活躍したのを見て
ゴーカイジャーで一番の小者である自分が焦った気持ちがあったからだということにハカセは気付いていました。
それがなんとも情けなく、鎧を見ているとイライラするのです。
それに、自分のミスはミスとして認めるが、それをひっくり返した鎧の判断の根拠が
「何となくおかしいと思った」なんていうのは、理論派のハカセとしては許せないものがありました。
ハカセはそういう適当なヤツが嫌いなのです。
それにしても、いつも格下のヘタレキャラが染みついているハカセが鎧に対してだけは
当たりが厳しくて上から目線なのが、普通は不自然であったり嫌味に感じられるものなのですが、
ハカセ役の清水くんが上手いので、なんともハカセの屈折した心情がむしろ変に人間臭くて
ハカセの器の小ささが逆に可愛らしく親近感が湧きます。

ハカセに怒鳴られて鎧は少し決まり悪そうに
「いや・・・そうなんですけどぉ・・・正義の力がこんなにぎっしりとあるなんて凄すぎて・・・」と言い訳しつつ、
どうにもだらしないニヤケ顔を崩せません。
どうにもスーパー戦隊を好きすぎるようです。
その上、「皆さん!これがどれだけ凄いことか分かってますかぁ?」と、
マーベラス達5人に説教じみたことまで言い出す始末。

しかし地球に来て間もないマーベラス一味には、それが凄いことだという感覚は無いので、
もちろん鎧の言ってることは理解出来ません。
(まったくわからない)という顔で溜息をつきます。
レンジャーキーがこれほど1か所に集まっていること自体は、実は結構凄い意味を持っているのだと思われるのですが、
その意味はマーベラス達にも、そして鎧にも分かっていません。
鎧が鼻息荒くして「凄い!」と言い張っているのは、単に個人的なマニア的感覚によるものに過ぎません。

その自分のマニアックな趣味を理解できない風情の宇宙海賊5人を見て、
鎧は(も〜!モノの価値を知らないんだな)という顔で少し蔑み、
また嬉々とした様子でガチャガチャと宝箱の中を探ります。
両者の価値観の相違はかなり大きいようです。

そうして鎧が探しているうちに、遂に「あった!・・・タイムファイヤー!ドラゴンレンジャー!」と、
鎧は立て続けにお目当ての2つのレンジャーキーを発見します。
そして、残る1つも発見して立ち上がり、「それに、これがアバレキラーです!」と、
3つのレンジャーキーを揃えてマーベラスに差し出し、ニッコリ笑います。
やはり、というか視聴者的には当然なのですが、
鎧が夢(?)の中で会った3人の戦士のレンジャーキーも、宝箱の中にあったのでした。
やはりバスコから奪ったレンジャーキーでした。

そのことを確認してマーベラスは自分の推測が当たっていたと分かり、安心したようにニヤリと笑い、
「そうか!」と3つのレンジャーキーを鎧から受け取って快活に笑いながら
「これがあれば新しく3つの大いなる力を出せるんだな?」と鎧に確認します。
鎧もニコニコ笑ってうんうん頷きます。

実際は鎧がそうではないかと推測しただけで、
本当にこの3つのレンジャーキーを使って大いなる力が出るのかどうかは試してみないと分からないのですが、
これまでの他の大いなる力もレンジャーキーを使って出しています。
特に今回はゴーカイセルラーと一緒に大いなる力が譲渡されている以上、
ゴーカイセルラーを使って大いなる力を発動するみたいですから、
その15個のボタンが15のバスコから奪ったレンジャーキーに対応しているようですから、
ここはこの3つのレンジャーキーとゴーカイセルラーを組み合わせて使うことで
3戦隊の大いなる力を発動できると考えるのが正解のようです。

マーベラスはそのように推測し、「よくやった!」と笑顔で鎧の頭をポンと掴みます。
褒めてもらえたと思った鎧は「じゃあ、俺のこと・・・!」と、
すっかり仲間として認めてもらえたと思い込んで嬉しそうに笑います。
ところがマーベラスの表情が突然、冷淡になり「甘いよ、お前!」と言うと、
鎧の頭を指先で小突いて突き飛ばし、3つのレンジャーキーを宝箱の中に放り込んで蓋を閉めると、
箱の脇に放り出してあったゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを素早く奪い取り、ニヤッと笑います。
マーベラスは最初から鎧を仲間にするつもりなどなく、
3つの大いなる力の引き出し方を聞きだし、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを取り上げるつもりだったのです。

騙されたと分かった鎧は「ウソでしょ!?そんなぁ〜!」と嘆きます。
しかし別にマーベラスは鎧を仲間にするなんて一言も言っていません。
勝手に仲間になったつもりで手の内を全部見せる鎧が甘いだけなのです。
マーベラスという男、無類の仲間想いであり、仲間には決して裏切ったりウソを言ったりしない男ですが、
それだけに他人を仲間とは簡単には認めず、仲間以外には容赦のない男でもあります。

結局のところ、マーベラスが欲しいものは
「宇宙最大のお宝」を見つけるために必要な「大いなる力」だけなのです。
もともとマーベラス達が街で「凄い銀色の男」を探していたのは、「大いなる力」を手に入れるためであり、
「凄い銀色の男」が欲しいわけではない。
こうして「大いなる力」さえ手に入れば、鎧が「凄い銀色の男=ゴーカイシルバー」だとしても、
そんなものに用など無いのです。

鎧は自分がゴーカイシルバーの変身者に選ばれたのだから、
当然、ゴーカイジャーでも自分は歓迎されるものだと思っていたようですが、
マーベラスはもともとゴーカイシルバーなんて戦士は知らないし、
そんなものを仲間に加える必然性は全く感じていませんでした。
勝手に鎧が自分が受け入れてもらえると思い込んでいただけで、
ゴーカイシルバーなどという戦士はゴーカイジャーの仲間であるという証拠など無く、
マーベラスは鎧を仲間にする義務など無いのです。

ただ、鎧を仲間に加えないという選択をするのは全くマーベラスの自由なのですが、
マーベラスがゴーカイシルバーなどという戦士がゴーカイジャーとは無関係だと言うのなら、
マーベラスがゴーカイシルバーのレンジャーキーとその変身アイテムであるゴーカイセルラーを
鎧から奪っていることには正当性は無いことになります。
それは明らかに鎧の所有物だからです。
しかし、ゴーカイセルラーは3つの大いなる力を引き出すためには必要なアイテムですし、
たとえ出自不明の未知のレンジャーキーであったとしても、
とにかくレンジャーキーと名のつくものなら全部集めておくのがマーベラス一味の基本方針です。
だから、この2つのアイテムは鎧に返すわけにはいかない。
そうなると、鎧から強奪したという形になります。鎧が嘆いて抗議するのは当然だといえます。

ただマーベラスも海賊なのですから、鎧がどう言おうが問答無用で奪い取ってもよさそうなものですが、
海賊を名乗ってはいてもマーベラスは悪者でない者から物品を強奪することは潔しとしない性質なので、
鎧に情けない声で抗議されると少し気になるようで、問答無用というわけにはいかないようです。
それでマーベラスは鎧に諦めさせようとして
「・・・偶然レンジャーキーを手に入れたかもしれねぇが、使いこなせる保証はねぇだろ!」と言います。
しかし鎧は「大丈夫です・・・頑張りますから!」と一向に諦める気配はありません。
まぁ確かに一応ちゃんと使いこなしてザンギャックの行動隊長を倒していましたから、
鎧の能力的な面を指摘して諦めさせるのは難しそうです。

しかし、よく考えれば、鎧は一応戦力にもなるわけだし、
ゴーカイセルラーやゴーカイシルバーのレンジャーキーが鎧の所有物で、
それらを無理に奪うのがマーベラスの主義に合わないというのなら、
マーベラスも素直に鎧を仲間にしてもよさそうなものです。
しかしそのようにはせずに、あくまで鎧を諦めさせようとしているというのは、
要するにマーベラスはどうしても鎧を仲間にしたくないからであるようです。
その理由は、鎧が嫌いだからではありません。
会ったばかりで、好きも嫌いもありません。
ただ単にマーベラスにとっては「仲間」というものは特別な存在であって、
鎧はその条件には到底あてはまらないと思えたのでした。

鎧がまだ諦めそうもないので、マーベラスはそのあたりを正直に言うしかないと思い
「・・・お前、俺たちの仲間になりたいとか言ってたなぁ」と鎧に話しかけます。
すると鎧はマーベラスの話の途中でありながら間髪入れず「なりたいです!」とキッパリ即答。
鎧はスーパー戦隊というものを知り尽くしているので、
「ヒーローはチームを組んで戦うものであり、銀色の戦士が追加戦士として途中から加わるものだ」
というようなフォーマットが頭の中に確固として存在しており、
明らかにゴーカイジャーの銀色の戦士となった自分が
ゴーカイジャーの仲間に加わるのは当然の成り行きなのだと思っています。

もちろん、それは鎧自身がヒーローとして戦いたい想いが強いという前提があってのことです。
スーパー戦隊ファンである鎧はもちろん以前からスーパーヒーローに憧れていました。
正義のヒーローになって悪の怪人たちをやっつけたいと思っていました。
ただ、それは実際は思うだけでした。

スーパー戦隊の戦士たちへのファン心理を持ち、レジェンド大戦でも戦士たちを応援し、
そして大戦でスーパー戦隊の戦士たちが消えると落胆し、
その後、ザンギャックが再び攻めてくると
レジェンド戦士たちがいないことで心細く感じて沈んだ気持ちを抱いていました。
トラックに轢かれそうになった少女を助けるだけの正義感がありながら、
それでも鎧は地球がザンギャックに攻撃されているのに、戦おうとはしませんでした。
何故なのか。それはザンギャックと戦えるだけの「戦う力」が無かったからです。
「戦う力」が無いので、鎧は戦うことを諦めていたのです。

ところがこうして「戦う力」が手に入ったのです。
ならば、今まで戦えなくて無念に思っていた分、余計に何が何でもスーパー戦士として
地球を守るためにザンギャックと戦いたいと鎧は思いました。
それは鎧の意思であり、また、この変身アイテムを託してくれたアバレキラー達の意思でもあると鎧は思いました。
そして、現在ザンギャックと戦っているゴーカイジャーも、
もちろんこうして戦う力を得た自分を仲間に迎え入れてくれて、
自分の戦いたいという意思を受け入れてくれると鎧は思っていたのでした。
ところが、会ってみるとマーベラス達は「大いなる力」にばかり興味を向けて、鎧にはほとんど興味を向けません。
期待が外れた鎧は焦りましたが、それでもとにかく自分の戦いたいという気持ちをアピールするしかないと思っています。

しかしマーベラスはそうしてやる気ばかりアピールする鎧に対して
「じゃあ何があんのか見せてみろ!」と言いました。
「え・・・?」と問い返す鎧にマーベラスは「こいつらはそれぞれ、俺に無い何かを持ってる」と言って、
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人の仲間の方を目で指し示します。
そして「お前にはあんのか?・・・俺が欲しいと思う、何かが!」と鎧に問いかけます。

鎧は俯いて考え込みます。
鎧は戦う力がいきなり手に入ったから、とにかくヒーローになってザンギャックと戦いたくて
慌ててゴーカイジャーに入ろうとしていた。
しかしマーベラス達は鎧がいてもいなくても、もともとザンギャックと戦ってきていたのです。
鎧が加わっても、それによって鎧の人生は大きく変わるが、マーベラス達の人生は何も変わらない。
今までと同じようにザンギャックと戦いながら宝探しをするだけです。

つまり、「ゴーカイジャーに加わってザンギャックと戦う」というのは鎧が欲していることであって、
マーベラスが欲しいと思うようなことではないのです。
マーベラスが欲しいと思うような何かを鎧が持っていなければ、
マーベラスが鎧を仲間にしたいと思うわけがない。
自分のやりたい事ばかりアピールしても、相手が受け入れてくれるわけがないのです。
相手の欲する事を自分が提供できるというプレゼンが出来てこそ、相手は自分を欲しいと思ってくれる。
それが当たり前の社会のルールです。
熱意ばかりぶつけても意味は無かったのだと鎧は悟りました。
自分のやろうとする戦いに何かマーベラス達には無い要素を見出さなければ、
マーベラス達と一緒に戦う資格は無いのです。

鎧の戦いにおいてマーベラス達には無い要素、それは確かに1つありました。
それは鎧の戦いが「地球を守るための戦い」であるという点です。
しかし、それは確かに宇宙海賊であるマーベラス達には無い要素ではありますが、
同時に、マーベラス達が欲しいと思うような要素でもありませんでした。
地球を守る義務など持ち合わせないマーベラス達には「だから何?」とでも言われそうな要素です。
単に弱い者を守るための戦いというのなら、マーベラス達だって十分にやっていますし、
正義のための戦いというのも、マーベラスにはマーベラスなりの正しいと信じることがあり、そのために戦っています。
だいたい、正義にしても守るべきものにしても、そんなものは主観で左右されるものであって、人それぞれです。
いちいち他人のそれらに関する基準を欲しがる人などいません。
だから鎧の正義や守るべき弱い者などの基準はマーベラスの欲しいモノには決してなりません。

つまり、鎧にはマーベラスが欲しいと思うような何かは無いのです。
大いなる力もゴーカイシルバーの力も、それぞれ似たようなものはマーベラス達ももともと持っていますし、
それはそもそもアイテムの持つ力ですから、
アイテムを取り上げてしまえば鎧がいてもいなくても関係なくマーベラスのものになるのです。
まぁ実際は鎧がいなければ大いなる力は発動しない可能性が高いのだが、
そのあたりは鎧もマーベラスもよく分かっていません。
しかし何にしてもアイテム絡みの力は所詮はその人間の本来の力ではありません。
ジョー達のレンジャーキーなどはもともとマーベラスが与えたものですから、
マーベラスが仲間に加える際にジョー達に感じた「俺には無いもの」というのは、
彼らの素の人間としての何かの要素なのであって、
鎧も彼らと同等にマーベラスに認めてもらおうとするなら、
アイテムではなく素の人間の力でマーベラスに「欲しい」と思わせるものをアピールしなければいけません。

しかし、それが無いのだと鎧は痛感しました。
そうして、自分が急に戦う力が手に入ったことで舞い上がっていただけの、
中身の薄い人間であったことを思い知らされたのでした。

じゃあ鎧は諦めたのかというと、そうではありませんでした。
自分がそんな中身の無い人間ではダメなのです。
それを認めて引きさがってしまったら、
「一番のヒーローになれ」と言って自分にアイテムを託してくれたアバレキラー達に申し訳ないのです。
自分がマーベラス達に何の魅力も感じさせることも出来ないような中身の無い人間のままでは、
決してそれは「一番のヒーロー」ではない。
「一番のヒーロー」になれと言ってくれたアバレキラーの想いに応えるためには、
まずここでマーベラスに欲しいと思わせてゴーカイジャーに入ることは最低限の第一歩のようなものであり、
この試練から逃れることは出来ないのだと鎧は思いました。

そもそも「一番のヒーロー」を目指すのなら、
マーベラスが驚いて欲しがるような何らかの凄い要素ぐらい持っていなければ話にならないはずです。
それをきっと見つけて、ゴーカイジャーに入ってみせる。
そう鎧は心に決めました。
「・・・時間をください・・・」と呟くと鎧は顔を上げてマーベラスを真っ直ぐ見つめて
「俺!絶対答えを持ってきます!!」と言い、決意の表情で船室を駆け出していき、
ガレオンから降りていったのでした。

さて、その後、ザンギャック艦隊の旗艦ギガントホースの指令室では少し動きがありました。
相変わらずワルズ・ギルは寝込んでいるようですが、
指令室に「行動隊長オソガイン、参りました!」と言って、何やら屈強な怪人が入ってきます。
いかにも強そうですが、要するにいかにも普通な感じの軍人タイプの行動隊長です。
そのオソガインに向かって、ワルズ・ギル不在ということで代わりに指揮をとるダマラスが
「状況は説明した通りだ。激戦に備えて、まず地球上に活動の拠点となる前線基地を作れ!」と指令を下します。

指令の内容も全く平凡なもので、
実際、この後、この平凡な怪人オソガインはこの全く平凡な作戦を遂行しようとして
ゴーカイジャーに倒されてしまうのであり、
一見すると、ここのダマラスとオソガインの遣り取りは、
後の6人でのゴーカイジャーの初戦闘シーンを作るための前フリとしてだけの意味しかないようにも見えます。
まぁ9割ぐらいはそういう要素のシーンだと思って間違いないでしょう。

ただ、少しだけ引っかかるのは、ダマラスがここで「激戦に備えて」と言っていることです。
何かダマラスは大きな作戦行動を計画していて、
このオソガインに下した地味な指令は、その大きな動きの準備の一環なのかもしれません。
つまり、何話か後に(2クール終了時あたり?)ダマラス主導の何か大きな戦闘が起こる可能性があるということです。

そして、そう考えると、冒頭の方のギガントホースの場面でダマラスが
ワルズ・ギルが寝込んでいないことについて「いないほうが静かだ」と言ったのも、
単なる悪口ではなく、ワルズ・ギルに内緒で何かを進めるのに好都合であるという趣旨の
発言だったとも解釈できるのです。
つまり、近々、ダマラスがワルズ・ギルには内密で何か大きな事を起こす可能性があるとも考えられるのです。
まぁ深読みしすぎかもしれませんが。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:40 | Comment(0) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月16日

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その5

更に時間は流れ、その日の夜になり、ゴーカイガレオンは夜空をゆっくり飛んでいます。
「俺が欲しいと思う何かがお前にあるのか?」というマーベラスの問いかけに
「時間をください」と言って飛び出していった鎧は未だ音信不通です。
マーベラスは鎧が「絶対答えを持ってきます」と言った時の眼差しが真剣そのものだったので、
きっと鎧はその約束を守るだろうと思い、一両日中にでも鎧はまたこの船に戻ってきて、
その時に鎧がゴーカイジャーの仲間入りをすることになるかどうか結論が出ると思っていました。
だから、それまでは一応の義理として、マーベラスは鎧から取り上げた
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを使うことは自粛しています。
また、アバレンジャー、タイムレンジャー、ジュウレンジャーの大いなる力を試すことも保留していました。

しかし、だからといってマーベラスは鎧が何か良い答えを見つけて戻ってきて
ゴーカイジャーの仲間入りすることになるとはほとんど思っていませんでした。
まぁおそらくダメだろうけど、あそこまで鎧が言うのなら、
一応は気の済むまで頑張らせてみようと思っているだけのことです。
とことん考えてダメなら鎧もさっぱり諦めがつき、
マーベラスも無理矢理にアイテムを奪ったという後味の悪い思いはしなくて済む。
マーベラスはそのように考えているだけでした。

「何か見つかるでしょうか?・・・あの方・・・」と、窓の外の夜景を眺めながらアイムが呟きます。
アイムは鎧のことを気にかけているようです。
いや、アイムが気にかけているのは鎧そのものではなく、鎧が見つけようとしている答えの内容でした。
つまりマーベラスが欲しいと思うものが何なのか、それがアイムの興味の対象であったのです。
何故なら、アイムにはそれが何なのか分からないからでした。

昼間、マーベラスは鎧に対して仲間4人のことを「俺に無いものを持ってる」と紹介し、
それが自分の欲しいものでもあるというように示唆しましたが、
アイム自身は自分の何がマーベラスにとって
「自分には無いものであって自分が欲しいと思うもの」なのか分かっていませんでした。

アイムは故郷のファミーユ星が滅ぼされた後、
たった1人生き残って宇宙の孤児となっていたところをマーベラスに拾われました。
つまり鎧のように自分から仲間に入れてほしいと申し入れたのではなく、マーベラスの方から誘ってきたのです。
だから、今日船室で見たマーベラスと鎧の遣り取りのようなものは新鮮な印象だったのです。
鎧のような自分から仲間になりたいと申し出てくるような人が出現したことによって、
アイムは初めてマーベラスが仲間を選ぶ時に一定の基準を設けていたことを知ったのです。

そのことはアイムにとって新鮮な驚きでした。
マーベラスは普段そんなことを言うような男ではないので、
マーベラスが仲間をそういう目で見ていたことはアイムは初めて知りました。
そして、自分の何がマーベラスの気に入ったのであろうかと気になりましたが、
どうせマーベラスに直接質問しても答えようとはしないだろうから、あえて問い詰めようとは思っていません。
わざわざ問い詰めねばいけないようなことでもないとも思いました。
そんなことが分かろうが分かるまいが、自分とマーベラスの関係に変化が生じるわけでもないからです。

こういう想いは、アイムは一番遅れて加入したので知りませんが、実はジョーもルカもハカセも皆同様でした。
そもそも悪名高き宇宙海賊マーベラスの仲間に、鎧のように自分から進んでなろうなどという者がいるわけはなく、
皆、マーベラスの方から誘って加入させた仲間ばかりなのです。
ジョーの加入場面は既に第12話で描かれていますが、あれもマーベラスから誘っています。
ルカとハカセの加入話はまだ描かれていませんが、ジョーもアイムもマーベラスから誘っていることから考えても、
また、鎧に言ったように仲間を選ぶ際はマーベラスが気に入るかどうかが最重要基準であることから考えても、
ルカとハカセの場合も、マーベラスが気に入って勧誘した可能性が高いと思われます。

前回ハカセは鎧が安易に仲間になってしまうのではないかと警戒しており、
それはつまりマーベラスが仲間を選ぶ際に厳しい基準を設けていることをハカセが知らなかったことを意味しています。
その意味するところは、ハカセは自分から仲間になりたいとマーベラスに申し出たのではなく、
マーベラスが既にハカセを気に入った状態でハカセを仲間になるよう誘ったということです。
その際おそらくマーベラスはハカセの何が気に入ったのか具体的には言わなかったのでしょう。
だからハカセから見ればマーベラスという男は割と安易に仲間の勧誘をする男であるというように見えたのでしょう。

前回、鎧の加入についてハカセ達がその会話をしていた時、ルカの態度も割と安易な感じだったので、
ルカもハカセ同様、割とマーベラスからアバウトな感じの勧誘をされて加入したと推測されます。
そして、前回のその遣り取りの時、ただ1人だけマーベラスの基準が絶対であるという発言をしたジョーだけは、
第12話でも描写されたようにマーベラスが自分の命を危険に晒してまでも
ジョーを仲間にしたいと思っていたことを知っています。
つまり、ジョーだけはマーベラスが自分がよほど気に入った者以外は仲間にしないだろうということは
何となく分かっているのです。

ただ、そのジョーにしても、あの時、マーベラスは「目が気に入った」と言っただけで、
ジョー自身は自分の具体的にどういう部分がマーベラスの欲しかった部分なのかというのは、実はよく分かっていません。
つまり、仲間4人全員、アイム同様、実は自分の何がマーベラスから見て
「自分には無いものであり、欲しいと思えるもの」なのか分かっていません。
ただ、これもアイム同様、それをマーベラスに追及して聞き出そうとも別に思っていません。

ただ、鎧が持ってきた答えにマーベラスがどういう反応をするのかに関しては、4人とも多少の興味はありました。
それによってマーベラスが仲間に求めているものの基準が少し分かるような気がしたからです。
特に4人の中でも一番マーベラスとの付き合いの短いアイムは、
鎧がマーベラスの気に入るような答えを見つけることが出来るのかどうか、我が事のように気になったのでした。

それでアイムは鎧の状況を気にかけるようなことを呟いたのですが、
船室の真ん中の椅子に腰かけたマーベラスはアイムが単に持ち前の優しさで、
思いつめた様子で出て行った鎧のことを心配しているのだと思い、「気になるか?」と声をかけます。
そして、自分が鎧に厳しい言い方をした理由を説明するように
「あいつはザンギャックと戦うってことの・・・本当の重大さをまだ分かってねぇ!」と言いつつ、
手に掴んだゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーをじっと見つめます。

「ザンギャックと戦うことの重大さ」というマーベラスの言葉を聞いて、4人はハッとした表情となります。
その重大さの意味は、実際にザンギャックと戦っている4人には、自明のこととしてハッキリ分かっているからです。
「・・・宇宙全体を敵に回すってことだからな・・・!」とマーベラスは重苦しく言葉を続けました。
4人は押し黙ってその言葉を受け止めました。それは4人が心に思い描いた言葉と同じ言葉だったのです。
そして4人は、マーベラスが鎧に何が足りないと思っているのか、何となく分かりました。
同時に、マーベラスが仲間に何を求めているのかということも何となく見えたのでした。

マーベラスは、熱心なスーパー戦隊ファンの地球人の猪狩鎧という男が
どうしてゴーカイジャーの仲間になりたがっているのか、だいたい想像はついていました。
たまたまゴーカイシルバーという、どうもゴーカイジャーのメンバーっぽい戦士に変身して戦う力を得たものだから、
正義のヒーローを気取って地球を守るためにザンギャックと戦おうと思っているのだろう。
そしてゴーカイジャーのことを地球を守るためにザンギャックと戦っている正義のスーパー戦隊だと思い込んで、
一緒に戦いたいと思っているのだろう。しかし、これはとんだ誤解だとマーベラスは思っていました。

確かにマーベラス達はもともとザンギャックとは敵対関係にあります。
ただマーベラス達の本来の目的は「宇宙最大のお宝」を見つけることです。
だから基本的に、マーベラス達はお宝探しの邪魔なのでザンギャックと戦っているに過ぎません。

しかし厳密にはそうでない場合も多いのも事実です。
ザンギャックが地球人を苦しめようとしているのを見て、ザンギャックと戦うような場合も少なくありません。
これは、もともとマーベラス達がザンギャックのそうした弱い者を虐げるようなやり方が
気に食わないからでもありますが、地球の人々を守りたいという意識があるのも確かです。

どうして地球の人々を守りたいと思うのかというと、
単純にしばらく地球にいるうちに愛着が湧いたからでもあり、
地球の人々や地球の街や自然などを見て、守るべき価値のあるものだと思えるようになってきたというのもあります。
また、そもそも根本的に地球がザンギャックに支配されたり破壊されたりすれば
「宇宙最大のお宝」を見つけることが困難になるので困ります。
そして、マーベラス達が宝探しや戦いに使っているアイテムであるレンジャーキーや「大いなる力」は
もともとは地球を守るためのスーパー戦隊の力であり、
本来は地球を守るために使われるべきそれらの力がマーベラス達の宝探しに力を貸してくれていることに
マーベラスは一種の恩義を感じており、宝探しをしながら地球を守る戦いをすることで
恩義を返しているという意識もあります。

つまり、マーベラス達は非道な侵略行為は邪魔したくなる性分であり、
地球のことは好きであるし、守るべき価値もあると思うし、
ザンギャックに侵略されては困るとも思っており、
スーパー戦隊への恩返しの意味で地球を守ることに意義も感じているのです。
こんな感じですから、結果としてマーベラス達は宝探しをしながら
実質的に地球を守って戦っているような形になっています。

ならば、地球を守るために戦いたいと思っている鎧と一緒に戦ってもよさそうなものですが、
マーベラスは鎧を仲間にすることは出来ないと思っています。
マーベラスの行動原理と鎧の行動原理が全く違うからです。

鎧は地球人ですから、地球を守るために戦うのは当たり前の義務です。
義務というと無償の行為のように思われがちですが、
実際は義務というのは、それを果たせば見返りがあるものです。
地球を守りきることによって鎧には「自分にとっての平和な日々を取り戻す」という見返りがちゃんとあります。

一方、マーベラスには地球を守る義務はありません。
つまりマーベラスは地球を守っても何の得も無いわけです。
確かに「宇宙最大のお宝」が地球に存在する以上、
地球をザンギャックから守ることによってマーベラスの得にはなります。
しかしそれは結局はお宝を守っているのであって、地球を守っているわけではないのです。
お宝を見つけてしまえば、あとはもうマーベラスは地球を守っても何の得もない。
だからマーベラスは厳密には地球を守る義務は無いのです。

鎧には地球を守る義務はあるが、マーベラスには地球を守る義務は無い。
だからマーベラスは鎧と一緒に地球を守って戦わなくていい・・・と、
そういうことをここで言いたいわけではありません。

この「ゴーカイジャー」という物語は、
「地球を守る義務を持たないゴーカイジャーがどのようにして地球を守るために戦うスーパー戦隊になっていくのか」
を描くのだということを放送開始当初、宇都宮Pが述べていました。
これについては、私は当初は割と安易な成り行きを予想していました。
地球人やレジェンド戦士たちと接していくうちにゴーカイジャー達が
次第に地球を愛するようになっていったり正義の心に目覚めていったりして、
最終的には地球を守るために戦うようになるのだろうというふうにです。

しかし、そんな安易な物語ではなかったようです。
まずマーベラス達はこの第18話時点で既にかなり地球のことは好きであり、
彼らなりのしっかりした正義感も持っており、実質的に地球を守って戦っています。
十分に彼らは正義のヒーローとして成立しているのです。
しかし、それは単に「地球を守っている」というだけのことであって、
「地球を守る義務を持たない」ということによって、
彼らは決して「地球を守るために戦う」という自覚を持って戦う戦隊にはなり得ないのです。

かといって地球を守って戦わないわけではない。
地球を守るために戦う戦隊ではないのに、地球を守って戦う戦隊として成立してしまう、
ゴーカイジャーはそういう異質な戦隊なのです。
こうなると、これだけで物語は成立してしまうのであって、
彼らは地球を守る義務は無いのに地球を守って戦う戦隊であることでヒーローとして成り立ってしまう。
別に彼らが「地球を守るために戦う戦隊」へと変化していかなくても面白い物語は作れるのです。
そういう物語がこの第18話以前は描かれてきていました。

ところが、ここで明らかに従来型の「地球を守るために戦う」というタイプのスーパー戦隊風の戦士、
ゴーカイシルバー猪狩鎧という男が登場しました。
ここで鎧とマーベラス達を対比させる狙いは何処にあるのかというと、
おそらく、地球を守って戦う義務を持つ鎧と、
地球を守って戦う義務の無いマーベラス達の間の溝が非常に大きいということを示すためでしょう。

つまり、ここで一旦、ゴーカイジャーの異質さを強調することが今回のエピソードの狙いであるようなのです。
そして、そこから急転直下、その異質極まりないゴーカイジャーが、
「地球を守るために戦う」という本来なら決してあり得ない方向性にシフトするきっかけに
なるかもしれない展開に至るのです。

つまり、地球を守る義務を持たないゴーカイジャーが地球を守るために戦うスーパー戦隊になるというのは
本来は有り得ないことであって、その有り得ないドラマを宇都宮Pは描こうとしていたのではないかと思うのです。
安易に「情にほだされて」「愛着が湧いて」とかいうお話ではなく、
ちゃんとした理由があって、その有り得ないことが起こるドラマなのではないかと思うのです。
今回はそういう意味で非常に重要なターニングポイントになるエピソードであって、
その重大なキーマンが鎧になるのではないかと思われます。

で、ここのシーンはその前段階で、ゴーカイジャーと鎧の異質性を強調するためのシーンということになります。
その異質性ゆえにマーベラスは鎧を仲間にすることは出来ないと思っています。
その異質性とは、鎧には地球を守って戦う義務があるが、
マーベラス達には地球を守って戦う義務は無いということです。

そして、それは義務が無いからマーベラス達は戦わないという意味ではない。
何故なら、マーベラス達は地球を守る義務は無いのに地球を守って戦っているからです。
つまり、鎧とマーベラス達の相違点は、義務の有無ではなく、
「義務があって戦う者」と「義務が無くて戦う者」の違いなのです。

義務を果たすと見返りは得られますから、義務が無いということは見返りは期待できないということであり、
戦いにはリスクが伴う以上、義務無しで戦う者はリスクしか負わないということになります。
つまり言い換えれば、鎧とマーベラス達の相違点は、
「見返りを求めて戦う者」と「リスクのみ負って戦う者」の違いともいえます。

まぁ「見返り」と言うと報酬や名声など私利私欲を求めて戦っているようで嫌らしい印象になりますが、
もちろん鎧はそんな人間ではありません。
しかし、それでも地球人の鎧が地球を守るために戦ってその目的を達成すれば、
鎧自身も平和な生活を取り戻すことが出来るのですから、
それは鎧にとって一種の「戦いの見返り」と言っていいでしょう。
そうした確固とした成果を求めて鎧は戦うのです。

一方、マーベラス達は地球を守り切って地球に平和が戻ったとしても、
そんなものは異星人であるマーベラス達にとっては他人事です。
マーベラス達には一文の得にもなりはしない。
しかしマーベラス達はそうであるにもかかわらず、実質的に地球を守って戦ってしまっているのです。
つまり、マーベラス達は自分の何の得にもならないことのために、危険な戦いをしてしまえる者たちなのです。

これと同じことを鎧が出来るのでしょうか?
例えば別の星が侵略されていたとして、鎧はその星を救うために命がけで戦うことが出来るのか?
「自分の生まれた星の平和」という自分にしっかり返ってくる見返りを求めて戦おうとしている鎧が、
全く見返りの見込めない戦いに飛び込むことが出来るのか?
マーベラス達は「宝探しのためだ」とか何だかんだ言って、実質的にはその見返りの見込めない、
リスクしか見込めない戦いを実践出来ているチームなのです。
鎧にそのチームに入る資格があると言えるでしょうか?

それでも「見返り」が見込めるならまだマシです。
しかし実際は見返りはほとんど期待出来ず、リスクは増大する一方です。
マーベラスが「ザンギャックと戦う重大さ」と言ったのにはちゃんと意味があります。
それはつまり、「ザンギャックを相手にして地球を守ることなど不可能である」ということです。

ザンギャックは征服すると決めた星は決して諦めません。
何度撃退しても必ずまた襲ってきます。
実際、地球もレジェンド大戦で一旦は撃退したのに、またザンギャックの侵攻を受けています。
それだけ全宇宙の大部分を支配するザンギャック帝国の物量は圧倒的なのであり、
局地戦での勝利や一時的な勝利を積み重ねたところで、最終的には物量で押し切られます。
「宇宙全体を敵に回す」というのはそういう意味です。

マーベラス達は地球でザンギャックと戦いながら、その都度、助けたい人を助けたりはしていますが、
最終的な勝利を展望などしていません。
さしあたりは「宇宙最大のお宝」を見つけるまでは地球を守ろうとは思っていますし、
その後もさっさと逃げようと薄情なことを今では考えたりはしていません。
地球に思い入れもあるし、何とか多くの地球の人々を守れればいいとは思っています。
あるいは現在来襲しているワルズ・ギル軍ぐらいは打倒して
一時的勝利を得ることも出来るかもしれないとも思っています。

しかし、それでもザンギャックは征服が完了するまでは執拗に軍を送ってくるであろうし、
自分たちも永遠に戦い続けることは出来ない。
結局は最後は地球は征服される運命なのです。
ザンギャックに勝ち逃げすることは可能だが、守り切って勝利するというのは不可能なのです。
守っている限り、ザンギャックを何度撃退しても、いくら侵攻軍を殲滅しても、
ザンギャック側は自分たちが勝つまで延々と戦いを止めない。
そして最後は守っている方が物量差で負けるのです。
つまりザンギャック相手の「地球を守るための戦い」に勝利は絶対に有り得ないのです。

そうなると、鎧の求める見返りは決して得られない。
「地球の平和」などというものは延々と来ないのです。
戦いは延々と続き、最終的には敗北し、運よく生き残れば、残るのはお尋ね者としての悪名だけです。
賞金首として、まさに宇宙全体を敵に回した、
生きる場所も無い過酷な生活という大きなリスクだけを負うことになります。
どうせ負ける戦いならば戦わずに首を潜めておけば、
征服された後も過酷な収奪にはあうであろうが、賞金首にはならずに済む。
ならばわざわざ星を守る戦いなどという無意味な戦いに参加する必要など無い。

もともと地球を守る義務に縛られて見返りを求めて戦うような鎧のようなタイプの戦士は、
そういう見返りが全く無く、リスクしか無いような戦いには耐えられるはずがない。
義務を果たせない苦しみに心が耐えられるはずがない。マーベラスはそう思っています。

では何故、マーベラス達はそんな全く展望の無い絶望的な戦いをしていて平気でいられるのか。
それは、彼らはもともと地球を守る義務というものが無いので、
「地球を守るために戦う」という義務感に縛られることが無く、
義務を果たせないことに苦しむこともないからです。
逆に彼らはどれだけ地球のことが好きになっても、「地球を守るために戦う」という意識を持つことはない。
そういう意識を持ってしまうと、この戦いに平気な気持ちで臨めなくなってしまうからです。
まぁ地球人でないマーベラス達はそういう義務感は持ちたくても持てないのであって、
結局はそういう意識になることはない。
そういうマーベラス達だからこそ平気でこの戦いを遂行することが出来ているとも言えます。

しかし、義務に縛られない戦いというのは、見返りが全く無く、リスクだけやたらと大量に負う、
全く酔狂で無茶な戦いです。
そんな戦いに平気で身を投じるというのは普通ではありません。
それが出来るのは、もともと彼らが全く見返りなど求めずにリスクだけを負う酔狂な生き方に馴れきっているからです。
彼らの人生そのものが、リスクだけを背負い込むことを自ら選び取ったようなものであるので、
何の見返りも期待出来ない、リスクだけの戦いの中でも平気でいられるのです。

では何故、マーベラス達はそんな見返りの何も無いリスクだけ負うような酔狂な人生を自ら選び取ったのか?
それは、全ての義務に縛られることで期待される見返りを捨て去ってでも、
どうしても自分の手で掴みたい1つの途方もない夢があったからです。
どうしても1つのでっかい夢を貫き通すために、何かを守ることで得られる見返りを全部捨てて、
宇宙全体の常識を敵に回すようなリスクを背負い込むしかなかったのです。
それほど、彼らの抱いた夢は、このザンギャック支配下の宇宙の常識やルールの中では
存在し得ないような途方もないもので、彼らはそれを掴むために、
全ての生活を捨て、全てのリスクを背負い込むしかなかったのです。

例えばジョーの夢は、とことん武人の誇りを貫き通す生き方をすることです。
アイムの夢は、ザンギャックに虐げられた人々を助けたいということです。
ルカの夢はとにかくお金を貯めて、そのお金で何かをするつもりのようですが、それはまだ謎です。
また、ハカセの夢に関しては今のところ全く不明です。

何にしても、彼らの夢はそれが実現したとしても彼らが何か得するというようなものではありません。
誇りやロマン、自己満足の類でしょう。
つまり損得抜きの、見返りを全く求めない、リスクだけやたら背負い込む夢です。
そんなものを掴むために普通の人生を捨ててしまったような途方もない夢想家たちだからこそ、
「宇宙最大のお宝」という途方もない無茶な夢を追いかけるマーベラスは、
自分と共に「宇宙最大のお宝」という夢を追いかける仲間として彼らを選んだのです。

マーベラスが鎧に言っていた、4人の持つという「俺には無いもの」「俺が欲しいと思えるもの」というのは、
この4人の持つそれぞれの途方もない夢のことだったのです。
夢を掴むために何の見返りも無くリスクばかり負っても平気な連中だからこそ、
「宇宙最大のお宝」という不確かな夢を見つけるためにどんな困難にも立ち向かっていけるし、
何の義務も見返りもない戦いでも、それが自分にとって意味があるものだと思えば平気な顔で突っ込めるのです。
そういう途方もない無茶な夢想家だけが、もともと宇宙全体の常識に背を向けた者であるゆえに、
ザンギャック、つまり宇宙全体と戦うというリスクに向き合えるのです。
守るための戦いではなく、奪い取り、掴み取るための戦いだからザンギャックの物量相手に勝つことも出来るのです。

マーベラスが仲間として欲しいのは、そうした独自の途方もない夢を追いかける者であって、
地球人だから地球の平和を守るために戦うなどという当たり前の義務に縛られただけの男などは
自分の仲間としては相応しくないと思っています。
そんな男は、一緒に「宇宙最大のお宝」を探すのに相応しくないし、
宇宙全体との戦いの過酷なリスクに耐えられるわけがない。
あんなただのスーパー戦隊に憧れて戦う力を得て舞い上がって、
自分の星の安全のためだけに戦おうとするような人間が、
自分が欲しいと思えるようなでっかい夢を示せるわけはないとマーベラスは思っており、
鎧の持ってくるであろう答えにはほとんど期待していませんでした。
そして、そうしたマーベラスの想いは、だいたいのニュアンスはジョー達4人にも理解されたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 01:05 | Comment(0) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その6

翌日、地上では、とある草むらで鎧が1人で寝っ転がっていました。
鎧は昨日、マーベラスに「時間をください」と言ってガレオンを降りてから、
ずっとゴーカイジャーの中で自分が出来ることでマーベラスが欲しいと思ってくれそうなことが
何かあるかと考え続けていましたが、何も思いつきませんでした。
「あ〜あ・・・何だろ?俺に出来ることって・・・」と鎧は寝転んだまま空を見上げて溜息をつきます。
するとそこに大きな爆発音が響きます。「なんだ!?」と驚いて飛び起きた鎧は、音のする方へ走っていきます。

その爆発音は、鎧の寝転んでいた草むらの近所にあった工事現場から聞こえていました。
工事現場ではオソガインがゴーミンやスゴーミン達を引き連れて暴れており、
「聞け人間ども!この地をザンギャックの地球上前線基地と定める!」と宣言しながら、
ゴーミン達に命じて現場の人々を攻撃させていました。
昨日、ダマラスに命じられた作戦を遂行しているようです。

そこへ「そんなことさせるかああああああ!!」と叫びながら鎧が猛然と駆け込んできます。
そしてゴーミン達の前に立ちはだかると、右手を高々と上に掲げ、左手を横に突き出し、
右手を左手のあたりに移動させて何やらシュシュッと動かすと両手を顔の前でクロスさせて
「豪快チェンジ!!」と叫びます。
何をやっているのかと思ったら、ゴーカイシルバーの変身ポーズでした。

しかし、ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーはマーベラスに取り上げられたままですから、
エアー変身ポーズになってます。
うっかりアイテムを取り上げられていることを忘れてしまい、
アイテムを持ったつもりで変身ポーズをしてしまったのでしょう。
アイテム無しでも同じ動作をしてしまうとは、よほど普段、たくさん変身ポーズの練習をしているようです。

しかし、さすがの鎧も目の前にクロスした両手に何も握られていないことには気づき
「あああああああ!?」と驚き焦ります。
そして、今頃ようやくアイテムをマーベラスに取り上げられていたことを思い出したようで
「そういえば今、レンジャーキーもセルラーも持ってなかったんだったぁ!!」とガクッと膝をついて悔しがります。
やっぱり、この鎧という男、思い込みが激しすぎて、肝心な時にドジを踏む男のようです。
ゴーミン達はいきなり駆け込んできた変な地球人が意味不明の行動をとっているのを見て、
ざわつきながら遠巻きに眺めています。
スゴーミンを従えたオソガインも騒ぎを聞きつけて鎧の前に来て「なんだお前は?」と質します。

これはもう変身できないのですから、どう見ても絶体絶命の状況であり、
普通は上手く誤魔化して逃げるべき場面です。
そもそも、この場では鎧は誰かに助けを求められて来たわけでもなく、勝手に乱入してきただけです。
それも、鎧は変身出来ると思い込んでいたから乱入してきたのであって、
こうして変身出来ないということが分かった以上、状況は変わったと言っていい。
ここで撤退しても誰も非難しない状況です。
無理して戦ったところで何かの役に立つわけでもない。無意味にやられるだけです。
だから、ここは戦わずに逃げた方がいい。戦う力が無いのだから仕方がない。

以前の鎧ならそのように判断したでしょう。いや、実際、以前の鎧はそういう男でした。
スーパー戦隊に熱烈に入れ込んで正義だの愛だのと言っておいて、単にレジェンド戦士を懐かしがるだけで、
ザンギャックが侵略してきているのに、戦う力が無いからと言って戦おうとはしませんでした。
それが戦う力が手に入った途端、いきなり強気になって戦いはじめ、
そしてまたアイテムを取り上げられたら戦わずに逃げるというのなら、
やはり自分は戦う力を手に入れて舞い上がっていただけで
中身の薄っぺらな人間だったということになると、鎧は思いました。

これではアイテムに頼っているだけであり、アイテムを使いこなしているとはいえない。
本当にアイテムを使いこなせる人間じゃないとマーベラスに疑われても仕方ない。
ここでアイテム無しを理由にいつものように逃げるなら、
自分はアイテム無しでマーベラスに欲しい人間だと思わせたジョー達4人には到底及ばない人間ということになります。
それは、マーベラスに向かって「絶対答えを持ってきます」と言った、その約束を破ることになります。
ゴーカイジャーに必要な仲間になるためには、ここで逃げるわけにはいかないと鎧は思いました。

そして、「一番のヒーローになれ」と言ってくれたアバレキラー仲代壬琴の期待に応えるためにも、
ここで逃げるわけにはいかない。
あの時、一文の得にもならないのに見知らぬ少女を助けるためにトラックの前に飛び出した鎧を、
壬琴は「自分の危険を顧みず誰かを守る無茶の出来るヤツ」と言って褒めてくれました。
だから壬琴は変身アイテムを託して「一番のヒーロー」になるように言ってくれたのだと鎧は思い、
ならばその想いに応えてヒーローになろうとするのなら、
ここはやはり自分の危険は顧みず、変身出来なくても、関係ない人を守るためでも、
まずはこの現場の人々を、そして地球の人々を守るためにリスクを負わねばならない。
無理かもしれないけど、挑戦しよう。

そう心に決めると、鎧はキッとオソガインを睨んですっくと立ち上がると、
「海賊戦隊6人目の男・・・の予定、の伊狩鎧!!・・・またの名を、ゴオオオオオカイ!シルバアアア!!」と、
なんと素面名乗りを披露します。
「の予定」とかいうあたりがちょっと可笑しいですが、堂々たる素面名乗りです。
普通、素面名乗りというのは終盤になって劇中キャラも役者もヒーローと内面的に一体化した頃に
やってこそ映えるものなのですが、それを登場2回目でここまでやってしまうテンションは、
伊狩鎧というキャラも、池田純矢という役者も共に結構すごい。
いや、このシーンのテンションが高いというべきかもしれない。

まぁとにかく、素面名乗りの後、鎧は「これ以上、工事の人達に手出しはさせない!」と宣言し、
ここで自分の危険を顧みない戦いの明確な目標を定めます。
漠然と正義のためや地球のために戦うのではなく、何を守るための戦いなのか、
何を目指しての戦いなのか、明確に目標を定めて、それを達成するために必要な無茶をすることを決めたのです。

オソガインは無力な地球人ごときが何を言っているのかと呆れ、
「バカかお前?ゴーミン!やれ!」と鎧に向けてゴーミン集団を差し向けます。
オソガインは地球人の男1人など、ゴーミンだけで軽くひねり潰すつもりでした。
こうして生身の鎧とザンギャック行動部隊との戦いが始まります。

いきなりの素面名乗り、かなり派手でありましたが、
どうして鎧が派手な名乗りまで挙げたのかというと、別にお調子者だからでも
テンションが上がり切っていたからでもない。
鎧の今なすべきことと定めた目標に見合った冷静な行動だったのです。
突っ込んでくるゴーミンの群れに飛び込み、自分に殺到するゴーミン達に囲まれながら殴って蹴って、
そうしてゴーミン達を自分に引きつけながら、
近くで怯えてしゃがみ込んでいた工事現場の人たちに向かって「逃げろ!!」と一喝します。
鎧に怒鳴られて我に返った現場の人々は慌てて逃げ去っていきます。

鎧は案外、簡単に目標が達成出来たことに少々驚きました。
戦う力を得る以前の自分は「どうせ戦う力が無ければ戦ったって無駄だ」と思って何もしなかった。
しかし、実は無駄なんかじゃなかった。
今も戦う力は持っていないが、目標を決めて作戦を立ててやってみれば、意外に何とかなった。
その達成感によって、鎧の胸は大きく鼓動を打ち、
締め付けられるようななんともいえない高揚感が湧きあがってきました。
その心地よさは鎧を奮い立たせます。
難しい目標を努力によって達成すると、こんなに気持ちいいのだということを鎧は実感しました。

そして、もっともっと大きな心地よさを味わいたいと鎧は思いました。
そのためには今のよりももっと難しい目標を立てて、それを克服して達成すればいい。
よし、じゃあ次の目標はゴーミンどもをやっつけることにしよう。
そう心に決めた鎧は、更に動きにキレを増していき、ゴーミン達を踏みつけながら大きくジャンプし、
着地して回し蹴り、更にバック宙からローリングソバットと、見事な攻撃を見せます。

このあたりの生身アクションは素晴らしい。
池田くん本人がやっている部分がかなり多いように思えます。
今年の役者陣は皆アクションがかなり出来るが、
池田くんの場合、格闘技経験者だけに、生身アクションは特にスバ抜けているようです。

さて、しかしそれでも変身していない生身で、しかも丸腰の鎧ですから、
四方八方をゴーミンに取り囲まれた状態で優勢を維持するのは難しく、捕まって棍棒でボコボコに殴られます。
そうして突き飛ばされて地面を転がされますが、鎧はこの劣勢の中でも全く挫けません。
むしろ目標達成が困難な状況の方が燃えてくるのでした。
何故なら、困難な状況の方が、それを克服した時の達成感が大きいことが分かるからです。
困難な情勢は、そこで努力すればもっと大きな達成感が得られることを期待させる。
ピンチは大きな達成の喜びを掴むチャンスなのです。
だから鎧はなんとしてもこのピンチを跳ね返したいと思いました。

が、ピンチはピンチです。
何か突破口は無いかと思い、倒れた姿勢から上体を起こして後ずさりした鎧の手が
地面に置いてある角材に触れました。
鎧は咄嗟に角材を掴み上げ、ゴーカイスピアのように槍に見立ててブンブン振り回して
ゴーミンの群れに突っ込み、ゴーミン達を蹴散らします。
機転をきかせての局面打開に、再び鎧の胸に達成の高揚感が少し湧きあがってきます。

ところがそこに出てきたスゴーミンに向けて振り下ろした鎧の角材は、
スゴーミンの固い身体によって真っ二つになってしまいます。
「おわぁ!?ちょっとちょっと・・・!!」と慌てた鎧は、攻撃しようとするスゴーミンに
「ちょっと待って!」と言って攻撃を止めようとしますが、そんなのが通用するわけもなく、
鎧はスゴーミンの一撃で吹っ飛ばされます。

せっかく手に入れた武器も通用しない状況となり、圧倒的な敵に打ちのめされた状況でも、
それでも鎧は諦めず立ち上がります。
当然です。困難であればあるほど、少しでも挽回すればそれだけでも大きな達成感が得られるのです。
諦めたら何も得られない。諦めず活路を見出していけば、少しずつでも達成感は得られる。
だから、ここで諦めるというのは有り得ません。
鎧はスゴーミンに何度も殴られ、投げ飛ばされて近くの重機に身体を叩きつけられても、
それでもまだ立ち上がります。

このあたりの吹っ飛ばされ殴られての派手なやられアクションと、
そこらへんにあるものを使っての反撃とか、それが簡単にへし折れてピンチになったりとか、
なんともテンポが良くて、香港のカンフー映画を彷彿させる軽妙さがあります。

しかし、スゴーミンにやられても再び立ち上がった鎧に向かって
「地球人ごときがどんなに頑張っても無駄だ!」と言ってオソガインがエネルギー弾を撃ち込んできます。
直撃はしなかったものの、周囲に着弾したその衝撃で鎧は「うわあああ!!」と打ちのめされ、
また地面に倒れ伏します。
「フン!」と鎧がもう立ち上がれないだろうと見てオソガインは傲然と見下ろします。

ところが、鎧はぐっと地面の砂を掴み
「・・・そんなことあるか!・・・頑張れば・・・必ず何かに繋がるはずなんだ・・・!」と、
オソガインの言葉に反論しながら、再びヨロヨロと膝立ちになります。
実際、情勢的にはもはや勝利はおろか反撃すら見込めない状況で、立ち上がったところで無駄といえました。
目標の達成も無理な状況で、達成感すら期待できそうにない状況です。

しかし、それでも無駄じゃないと鎧は思いました。
目標を達成した結果、達成感が得られて心が高揚したんじゃない。
その証拠に、今のこの絶望的状況でも心はますます高揚している。
つまり大事なのは結果ではなく、困難な目標を定めて、
その達成に向かって努力することによって得られる心の高揚なのです。
それを何と形容すればいいのか分からないが、今自分はそれを掴んでいる。
これがある限り、目標達成が困難でも、結果的にダメでも、
この高揚感の先に何かが繋がっているという確信があるから、自分は努力することを止めない、
むしろ、より困難な目標に向かっていくだろうと鎧は思い、
膝立ちのまま「・・・だから俺は諦めない!!最後の最後の最後まで・・・やめないんだあああああ!!」と絶叫します。

この時、鎧が掴んでいた高揚する気持ち、それが仲代壬琴の言う「ときめき」でした。
鎧は戦いながら思い切りときめいていたのです。

仲代壬琴はもともとエヴォリアンの支配者デズモゾーリャの邪命因子を体内に宿していたために
幼少時から天才的能力を発揮し不死の身体を持っていました。
それゆえに何でも簡単に達成出来てしまい、努力して目標を達成する喜びというものを知らなかった。
その虚無感を埋める「ときめき」を求めて、
壬琴はひたすら困難な状況においてギリギリの挑戦をする危険なゲームを楽しむようになり、
そのゲームをよりスリリングにするための道具としてアバレキラーの能力を獲得し、
自分をときめかせるハイレベルの危険のゲームの相手として勝手にアバレンジャーを指名し、
そのためには善悪を無視したムチャクチャな行動をとり、
地球を侵略してくるエヴォリアンの支配者になったりしたのでした。

しかし結局、壬琴の求める最高の「ときめき」はアバレンジャーの側にこそあったのでした。
アバレンジャーの行動原理は「アバレ」です。
「アバレ」とは、常に困難に挑戦し続け、それを克服するためにあがきにあがいてあがきぬいて無茶をすることです。
その不可能に挑戦するジタバタした姿が「アバレ」なのです。
壬琴がアバレンジャー、特にアバレッドを自分のゲームの相手として選んだのも、
そのゲームを「アバレゲーム」と名付け、自らも「アバレキラー」と名乗ったのも、
アバレッド伯亜凌駕を指して「お前は俺に似ている」と言ったのも、
結局は壬琴もアバレンジャーの「アバレ」の中にこそ
自分の求める最高の「ときめき」があると思っていたからなのでしょう。

最終的には壬琴の仕掛けたアバレゲームで困難な状況を努力で克服していく喜び、
つまり真の「ときめき」を得たのはアバレンジャーの側であり、
壬琴はゲームに敗れることとなります。
そうして壬琴は自分も「アバレ」を実践することで最高のときめきを得る道を選び、
アバレンジャーの仲間になります。
困難に挑戦する無茶な行為が「アバレ」であり、
それによって得られる高揚感が「ときめき」なのです。

壬琴は最後は体内の邪命因子に身体を乗っ取られてデズモゾーリャの復活体となってしまう運命が明らかとなり、
究極のアバレゲーム、自分の運命をひっくり返すという不可能に挑戦します。
そうしてアバレにアバレた結果、体内の邪命因子を消し去り、デズモゾーリャの復活を阻止しますが、
その最後の大アバレによって壬琴は最高のときめきを得ます。
結局、邪命因子の不死の作用で欠陥品の変身アイテムのダイノコマンダーの暴走爆発を食い止めていたので、
壬琴は邪命因子を消したことで自爆して死ぬことになりましたが、
最初からゲームに勝てば自分は死ぬことは分かっていました。だからこそ究極の困難への挑戦だったのであり、
壬琴はそれによって最高のときめきを得たのでした。

命がけの行為が最高の困難への挑戦とするなら、
鎧が少女を助けるためにトラックの前に飛び出したのは困難への挑戦、つまりアバレであり、
確かに壬琴は自分の命を捨てて他人を救ったわけではないが、
命の危険を度外視して困難に挑戦したという点では鎧と同じです。
だから壬琴は鎧の行為を見て、アバレッド伯亜凌駕の「アバレ」と重ね合わせると同時に、
自分の「アバレ」とも重ね合わせて、「ときめき」を覚えたのでした。

そうして鎧のことを「アバレ」て「ときめく」ことの出来る人間、
つまり「一番のヒーロー」になれる資質を持った男だと見込み、
壬琴は鎧がヒーローになりゴーカイジャーの仲間になるためには
「思い切りときめく」ことが必要だということを言い残したのでした。
何故なら、壬琴はゴーカイジャーもまた、途方もない夢、
つまりとてつもない困難に挑戦することで高揚してときめくという
ヒーローの最も大事な資質をメンバーの基本条件とした戦隊だということに気付いていたからです。

ゴーカイジャーが夢を追う者たちの集まりであるのは見れば分かりますが、
何故彼らがそんな途方もない夢を追い続けられるのかというと、
その夢に、いや、その夢に挑戦することそのものに心がときめいているからなのです。
壬琴はそのことが分かっていたから、
ゴーカイジャーはアバレンジャーの大いなる力を受け継ぐに足る立派なスーパー戦隊だと認めており、
たとえ夢でなくても、何か目標を定めて困難に挑戦することにときめくことさえ出来れば、
鎧もきっとゴーカイジャーの仲間になることが出来るのだと壬琴は伝えたかったのでした。

そして鎧は壬琴の期待に応えて、困難に挑戦することで高揚する心、ときめきを遂に自力で獲得したのでした。
しかし、それは自分をどんどん困難な状況に追い込むことで獲得した境地ですから、
必然的に鎧の置かれた状況は最高度に悪化しています。
今やそれは最大の危機的状況となって鎧に迫ってきています。
「うるさいハエめ!いい加減に身の程を知れぇっ!!」とオソガインは鎧にトドメを刺そうとして、
渾身のエネルギー弾を鎧にぶつけようとして振りかぶります。
ハッとして身構える鎧ですが、これはもう絶体絶命です。

その時、銃撃音が何発も鳴り響き、オソガインの身体が弾け飛び、後退していきます。
驚いた鎧が銃声のした方向を見ると、ゴーカイガンを構えたままマーベラスが歩いてきており、
その左右にはジョー達4人の仲間もいます。
マーベラス一味が鎧のピンチに駆けつけたのです。

といっても別にマーベラス達は鎧を助けるためにこの工事現場に来たわけではない。
ナビィがキャッチしたザンギャック反応がすぐ近くだったので、
何か仕掛けてくるつもりなのかと思い、偵察がてらやって来たところ、
なんと鎧が生身のままザンギャックの行動部隊と大立ち回りしているので驚き呆れていたところ、
鎧がまさに絶体絶命のピンチとなったので、仕方なく助けたのでした。
しかし、そうはいっても昨日会ったばかりの鎧を助ける義理はマーベラス達には無いといえば無い。
それでも助けてくれたのだから、鎧はやはりマーベラス達は地球人を守ってくれるヒーローなんだと思い、
嬉しくなり笑顔となります。

そのままマーベラス達は歩いて鎧のところに来て、マーベラスは鎧の腕を掴んで助け起こします。
そして「思った以上にムチャクチャな奴だな!」と呆れたように言います。
さすがにマーベラスも、まさか鎧が変身できないのに
ザンギャックの怪人に立ち向かっていくとは予想していませんでした。
そこまで危険を顧みないで無茶をするヤツだとは思っていなかったのです。
これでもし鎧が死んだら、半分は自業自得ですが、
もう半分は変身アイテムを取り上げたマーベラスのせいみたいなものです。
こんな無茶なことをされては堪らないと、マーベラスは少し面喰らっていました。

最初はそこまでどうしようもないバカなのかと思い呆れていたのですが、
しかし今はマーベラスの鎧に向ける言葉には少し親しみがこもっています。
それは、さっきの鎧の叫びを聞いたからです。
鎧は決してバカなのではなく、自分の行為が無茶であることは分かっており、
その無茶が勝利という結果に繋がらなくても、無茶から繋がっていく何かがあると感じているのです。
まぁそういうのを世間ではバカというのかもしれませんが、
マーベラスはそういうバカは嫌いではない。
そういう鎧の考え方は自分達の海賊の考え方に似ているように感じられたのです。

「ほんっと!信じらんない!」とルカも笑顔でマーベラスに同調して呆れてみせますが、
その白々しい言い方は、意外と無茶の出来る鎧が、昨晩のマーベラスの見立てとはだいぶ違うようだということを
少し茶化したニュアンスがこもっています。
ルカ自身も鎧が意外と無茶の出来るヤツだと分かって少し驚くと同時に親近感が湧いており、
相変わらずツンとした態度をとるマーベラスも内心では鎧のことを認めているんだろうと想像して、
茶化したい気持ちを抱いています。

そうしたルカの言葉のニュアンスを引き継いで、ジョーは含み笑いをしつつ、もっと直截に
「まるで・・・どっかの海賊そっくりだ!」と言います。
これはもう鎧に向けてというより、完全にマーベラスに向けた皮肉で、
昨晩マーベラスが批評していた鎧という人間のイメージと、
さっき怪人の前で無茶に意味があると絶叫していた実際の鎧は全く違っており、
むしろ目の前の鎧の言動は、普段のマーベラスの無茶を楽しむ態度と通じるものがあるんじゃないかと
ジョーは思っていました。

ルカとジョーの古参メンバー2人は鎧に向けてというよりは、むしろマーベラスに向けて言葉を発しており、
それゆえ鎧はイマイチ2人の言っていることがよく分からず「え・・・?」と戸惑います。
その鎧に向かって「私は・・・!」とアイムが声をかけます。
アイムはストレートに鎧に向けて言葉を発しようとしたのですが、一瞬言葉に詰まります。
鎧のさっきの叫びや行動に対する感想を言おうとしたのですが、
上品な育ちのアイムは初対面に近い殿方にそういう言葉を言うのは少し良くないのではないかと少し躊躇ったのでした。
しかし、やはり正直に言った方がいいと思い、少し照れつつニッコリ笑って「・・・素敵だと思いました!」と言います。
巨大なザンギャック帝国に対して、精いっぱい意地を張って頑張ってきたアイムにとって、
鎧の「頑張れば何かに繋がる。だから頑張ることをやめない」という魂の叫びは、大いに共感できるものだったのです。

そしてアイムの正直さに後押しされたように、隣のハカセは
「ま!・・・とりあえず根性は認めてやるよ!」と、かなり意固地さの滲む上から目線で、鎧のことを褒めます。
ハカセも鎧の言動から意外に、いやそれどころか、かなり鎧に根性があることは分かりました。
しかしハカセは鎧のような根性や気合いで突き進んでいこうとするような人間はあまり好きではないのです。
が、海賊というものはそもそも無茶でなければなれないような存在ですから、
無茶を突き破っていくような根性は必須です。
ハカセにだってそういう根性はもちろんあって、海賊に根性が必須であることも分かっています。
だから、自分が海賊である以上、そこは素直に認めてやらねばならないと思い、根性は褒めたのですが、
それでもそこには根性だけじゃ海賊としては認められないというニュアンスは込められています。

何が足りないかというと、やはり、それは昨晩マーベラスの話から感じ取れた「夢」です。
単に根性があって、どこまでも頑張り抜けるのだとしても、
一途に追い求める夢が無ければ頑張りにも限度は生じてくるはずだとハカセは思いました。
それが無い限り、やはりまだ海賊の仲間としては認められない。
そう思っていたのはハカセだけではなく、鎧に好意的な反応を見せていたアイムやルカやジョーも
基本的にはまだそういう考え方です。

それはマーベラスも同じで、「どうする?・・・これを使えばザンギャックを・・・宇宙全体を敵に回すぞ?」と、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを取り出して、厳しい顔で鎧に問いかけます。
ここではマーベラスは鎧を仲間に入れようなどとは、まだ考えていません。
昨日、マーベラスが鎧に言ったように、
マーベラスが仲間と認めるのは自分が欲しいと思えるものを持っている相手だけです。
それはつまり、自分とは違う途方もない夢です。
鎧がかなり無茶の出来る男で、根性があることは分かりました。
でもこれではまだマーベラスが欲しいと思えるような人間ではありません。

ここでのマーベラスは単に鎧のあまりのムチャクチャさに負けて、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを返さなければいけないと思うようになっているだけです。
何せ、このまま変身アイテムを取り上げたままだったら、
鎧は生身のままザンギャックに立ち向かって死んでしまいかねないからです。
それではマーベラスが間接的に鎧を殺したようなものになってしまいます。
だからマーベラスは鎧に変身アイテムを返すのも仕方ないと思っています。

しかし、変身してザンギャックと戦い始めたら、鎧はもう後戻りは出来なくなります。
自分達と同様、宇宙全体を敵に回した絶望的な戦いをすることになる。
自分達はもともと夢を掴むために全てを捨てた身だからそれでいいのだが、
鎧は全てを捨ててまでも追いかける夢も無く、果たしてそんな過酷な戦いに耐えられるのか、
マーベラスは疑問でした。
だからアイテムを返す前に最終的にそのことは念押しして確認しなければいけないと思ったのでした。

ところが鎧は意外な回答をします。
じっとマーベラスの顔を見つめてから鎧は「違いますよ・・・マーベラスさん・・・」と静かに言うと、
「ザンギャックを倒し、宇宙全体を平和にするんです!!」と物凄い気迫で言い切ったのでした。

どうして鎧がいきなりこんな突拍子もないことを言い出したのかというと、
鎧がついさっきのオソガイン達との戦いを通じて、「アバレ」と「ときめき」を知ったからです。
困難に挑戦することによって高ぶる気持ちがヒーローの証なのだということを、
困難に挑戦する実体験の中で湧き出る喜びと共に実感したからです。

ならば、これから目指すべき目標も、より困難な方がいい。
一番のヒーローならば、自分の危険は顧みず他人を助ける無茶をするべきです。
ならば、地球人の自分は地球を守る戦いではなく、他の星を助ける無茶な戦いをしなければならない。
地球を守るだけの戦いではなく、より困難で無茶な、宇宙全体を守る戦いに挑戦しなければならない。
それが「アバレ」であり、そこにこそ「ときめき」が感じられるのです。
壬琴の言ったように一番のヒーローとして思い切りときめくためには、
鎧は宇宙を守るヒーローになろうと思うようになっていたのでした。

そうした鎧にしてみれば、マーベラスの言っていることは見当違いだったのです。
鎧にとっては宇宙は敵ではなく、守るべき対象です。
もちろん敵は宇宙全体を支配して苦しめているザンギャックであり、
ザンギャックを倒して平和な宇宙を取り戻すのが自分のヒーローとしての使命だと鎧は心に決めていました。

これはあまりに壮大な目標です。これは夢ではない。
夢というのはその人間のパーソナリティーに根付いて生じてくるものです。
Aという人間にはAという人間らしい夢というものがある。
例えば男の子は看護婦さんになりたいなどという夢は普通は持たない。
ジョーは武人だから武人らしい夢を持っており、
アイムは故郷の人々を守れなかったお姫様らしい夢を持っています。
しかし、鎧が「宇宙全体を守るヒーロー」という夢を持つ必然性は全く無い。
だから、これは夢ではなく、むしろ妄想に近い。
しかし、夢ではなく、目標でも妄想でも、そこに困難に挑戦するときめきを感じることが出来るなら、
それは夢と同じで、どんなリスクだって引き受けることは出来るのです。

しかし夢ではないので、鎧のパーソナリティーから浮き上がった妄想のようであることもまた事実で、唐突な印象は強い。
ハカセはその鎧の言葉のあまりの唐突さに「ザンギャックを・・・倒すって・・・」と絶句します。
アイムも呆気にとられます。
そもそも、強大なザンギャックを倒せるなんて、ハカセやアイムには想像がつきません。

一方、ジョーは「・・・宇宙全体をひっくり返すってことか?」と真顔で鎧に問いかけます。
ジョーは「ザンギャックを倒す」ということ自体には驚いていませんでした。
敵である以上、ザンギャックがいくら強大であっても「絶対に倒せない」などとは考えないのが武人であるジョーです。
武人ではないが百戦錬磨のルカも、「ザンギャックを倒す」という部分には驚いていません。
それが実際可能かどうかはさておき、絶対に倒せない敵などいないと考えるのがジョーとルカです。

ただジョーとルカが新鮮な印象を受けたのは、鎧の「宇宙を平和にする」という考え方の方でした。
彼らザンギャック支配下の宇宙に生きる者たちにとっては、宇宙の秩序はザンギャックによって維持されており、
それは確かに悪しき秩序ではありましたが、絶対的なものでした。
自分達はその秩序に従うことに耐えられず、秩序の外に飛び出してお尋ね者となった身であり、
ザンギャックに干渉されない自分達だけの秩序を作ってそれを守ることが自分達にとっての正義でした。
それ以上のことを求めるという発想は今まで持ったことはありませんでした。

地球人だって、地球だけの平和な秩序をザンギャックに干渉されたくなくて抵抗しているのであって、
レジェンド戦隊の連中もそういう考え方の範囲内の者ばかりのはずです。
「地球を守る」というのはそういうことでしょう。
それと同じで、マーベラス一味も自分達が自由に夢を追うことの出来る場所を守りたいと思っているだけであり、
ザンギャック側に与する者たちは基本的には敵であり、助ける対象などではない。
つまり、今まで誰もザンギャックの支配する世界の方に手を突っ込んで、
その秩序をひっくり返してやろうなんて発想をしたことはなかった。
そういうことをやろうと鎧は言っているのです。
ザンギャックに勝てる勝てないの問題よりも、鎧がそんな異様なことを考え付いたことの方が
ジョーやルカには驚きだったのです。

何故なら、この世の誰でもが自分や自分の仲間たち、同胞たちを守りたいと思うのが普通であり、
宇宙全体の人々を救おうなどと考えるはずがないのです。
綺麗事としてそういう言説を弄することはあるかもしれないが、
そんなものは実際は口先だけで終わるのが当たり前です。
宇宙全体のことを同胞のように親身になって、それを守るために戦おうなどという言動に説得力のある
パーソナリティーや背景を持った人間など、この宇宙に存在するわけはない。

ましてや鎧などは「宇宙全体の平和」と何の関係も無い一介の地球人です。
だから、ジョーやルカはまず鎧が本気でこんなことを言っているのか疑問でした。
それでジョーはハッキリと「宇宙全体をひっくり返すのか?」という言い方で、
それがどんな大それたことなのか本当に分かっているのか?と確認したのでした。
しかし鎧は、真剣な表情でジョーの問いかけに大きく頷きます。
本気で「宇宙全体をひっくり返す」つもりなのです。

いや、実際、鎧の生まれ育ちやパーソナリティーなどからは
「宇宙全体をひっくり返す」という発想には全く繋がりません。
アバレキラー達から変身アイテムを貰ったとか、ゴーカイジャーと一緒に戦ったとか、
そういうのもひっくるめても、「宇宙全体をひっくり返す」という発想は出てくる必然性は全く無い。
だから、これは鎧の妄想と言い切ってしまってもいい。

しかし、こんな大それた発想が出てくる必然性のある生まれ育ちやパーソナリティーなど全宇宙に存在しない以上、
鎧のように妄想でその発想に至る人間こそが本当は必要だったのだといえます。
鎧がこのような途轍もない妄想を思いつき、それを大真面目に実行しようと思うことが出来たのは、
鎧がもともとかなりの妄想キャラであることに加えて、
壬琴の示唆によって、より困難な目標に挑戦することにときめきを感じるようになったからでした。
その結果、「宇宙全体をひっくり返す」というトンデモない妄想が鎧の目標として設定されたのでした。

ジョーの問いかけに頷く鎧を見て、マーベラスは鎧の目指す目標の途方も無さに呆れ、
それが自分たちの持つ夢と同じようなものだと認めざるを得ませんでした。
ただ、それと同時にマーベラスは「宇宙全体をひっくり返す」という言葉を聞いて、
何か懐かしい気持ちになり、ハッと思い出したのです。
自分がどうしてアカレッドに「欲しいものは何だ?」と聞かれた時に
「宇宙最大のお宝」などと答えたのか、その理由が分かったような気がしたのです。

マーベラスも、その時、「宇宙全体をひっくり返したい」と思ったのです。
「宇宙最大のお宝」ならば、このつまらない宇宙全体をひっくり返して、
少しはマシな世の中にすることが出来るんじゃないか、とマーベラスは思って、
それで「宇宙最大のお宝」を見つけたいと思うようになったのです。
それがマーベラスの海賊としての原点でした。
そう考えれば、今、目の前で「宇宙全体をひっくり返す」と言って目をギラギラさせている鎧は、
アカレッドと一緒に旅を始めたばかりの頃、毎日がワクワクして堪らなかった頃の自分とそっくりだと
マーベラスは気付いたのでした。

実は鎧はもう既に海賊になっていたのであり、
しかもそれはかつての新米海賊だった頃のマーベラスそのものだったのです。
アカレッドと別れてから、マーベラスはそういうかつての自分を忘れていたのです。
いや、自分はもうあの頃のアカレッドの立場であり、あの頃の自分には戻りようはない。
そう思ったマーベラスは、つまり鎧という男が、自分には無い(無くなった)ものを持っており、
それは自分が欲しい(ノスタルジーを感じている)と思えるものでもあるということに気付いたのでした。

「・・・ははっ!」と思わず込み上げてきた笑いで身をのけぞらせたマーベラスは、
鎧を見つめて笑いながら「面白い!・・・気に入った!!」と言い、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを鎧の胸に叩きつけて「鎧!!」と怒鳴ります。
鎧は少し驚いて2つのアイテムを胸のところで手で掴みます。
マーベラスは鎧にアイテムを渡すと、鎧に向かって真っすぐ立ち、
「お前はゴーカイジャー!6人目の仲間だ!!」と、遂に仲間入りを認めたのでした。
かつての自分と同じ途方もない夢を追いかけようとしている男を、
かつてのアカレッドのように今度は自分が鍛えてやりたいという気分になったのです
鎧は遂にゴーカイジャーの仲間として認めてもらえて、見る見る喜びで顔いっぱいの笑顔になっていきます。

さて、今回のエピソードは、テーマ的なものはここでほぼ終わりで、
この後は新戦士加入のお披露目アクションや新ロボ玩具の販促映像が展開されていくわけですが、
ここでテーマ的なもので付け足して考察したいのは、
鎧の目標が「宇宙全体をひっくり返すこと」であり、
一方、マーベラス一味の見つけようとしているものが「宇宙最大のお宝」であるということの関係です。

そもそも「宇宙最大のお宝」というものはどんなものなのか、これまで一切謎なのですが、
レンジャーキーや「大いなる力」が集積していくことによって現れてくるものであるようですから、
それは単なる財宝の類ではなく、何らかの「戦う力」の類であるような気がします。
それは「宇宙最大」という形容がついているぐらいですから、さぞ強大な力を持っているのでしょう。
おそらくそれは、全てのレンジャーキーと全ての大いなる力と
更に何らかのプラスアルファの力が揃うことによって発動する奇跡の力のようなもので、
「199ヒーロー大決戦」映画におけるスーパー戦隊バズーカや、歴代全ロボ総登場を
更に凄くしたようなものなのでしょう。

何せ、あの時は変身態になっていたゴーカイジャーとゴセイジャーの分も合わせても、
187個しかレンジャーキーは無く、大いなる力は一切使用されていませんでしたから、
全てが揃った状態で現れる「宇宙最大のお宝」のパワーは全くケタ違いと言っていいでしょう。
まさに「宇宙最大のパワー」となると思われます。
ならば、本当にそれは「宇宙全体をひっくり返す」切り札になり得るのではないでしょうか。

歴史をひも解いても、従来の常識を超える超エネルギーや超兵器の出現は
世界の秩序をあっという間に一変させる力を発揮しています。
だから「宇宙最大のお宝」には、従来の常識的には無敵のはずのザンギャックを倒して
宇宙全体の秩序をひっくり返すだけのパワーがあるのかもしれない。

その「宇宙最大のお宝」を見つけるために地球にやって来た宇宙海賊マーベラス一味に
「宇宙全体をひっくり返す」という妄想とも見えるような壮大な目標を持った地球人の男が仲間入りし、
そういう新たな目的意識をマーベラス一味が持つようになり、
見つけ出した「宇宙最大のお宝」のパワーによって、その妄想は妄想ではなくなり現実となる、
という物語の流れなのかもしれない。

だとすれば、地球に隠された「宇宙最大のお宝」が宇宙全体を救うのであり、
それならば宇宙海賊であり「宇宙全体をひっくり返す」という壮大な夢を新たに掲げたマーベラス一味が
宇宙全体を救うためにお宝の在り処としての地球を守るという展開にも説得力は生じて、
「地球を守る義務を持たなかった宇宙海賊が地球を守って戦うようになっていく物語」というものが
成立するように思えるのです。

まぁ大まかにこういうことも考察出来るのですが、
もちろんまだまだ材料は少なくて妄想の域ではありますので、まぁ話半分以下で流してください。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 17:38 | Comment(2) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月17日

第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」感想その7

ゴーカイシルバー伊狩鎧のマーベラス一味への仲間入りをマーベラスが認めた後、
先ほどマーベラスの銃撃で吹っ飛ばされたオソガインが「おのれぇ!海賊どもめぇ!」と
ゴーミン達を引き連れて迫ります。
こうなるともう完全にやられに出てきた感が強くなってきますが、
これを迎え撃つため、マーベラス達はずらっと横一列に並び立ちます。
初めての6人揃い踏みです。

いつもの5人揃い踏みの時はマーベラスが真ん中で、左側に端からルカ、ジョーが立ち、
右側に端からアイム、ハカセが立っていたのですが、
6人揃い踏みになってマーベラスの右に鎧が立ち、マーベラスと鎧の2人が列の真ん中を形成するようになります。
追加戦士の立ち位置というのは、もとの5人の並びの横に普通に追加される感じで端に立つ場合と、
レッドと共に真ん中に立つようになる場合の2つのパターンがあるようですが、
今回は後者のパターンのようです。
一概には言えませんが、追加戦士が物語上、重要な役割を担う場合は真ん中立ちである場合が多いようです。

ここでマーベラスがゴーカイレッドのレンジャーキーを出しながら「いくぞ!!」と横に立つ鎧に声をかけ、
鎧が「はい!!」と応え、さっき返してもらったばかりのゴーカイシルバーのレンジャーキーを掲げます。
マーベラスの眼差しが既に新入り船員を厳しく温かく指導する船長のそれに変わっているのが良い感じです。

そして初の6人揃っての豪快チェンジのシーンとなります。
こうして並べて同時に変身するシーンを見ていると、
変身アクションが鎧だけ微妙に違っているのが程よいアクセントになるように振り付けがちゃんと考えられているようです。
最後のモバイレーツやゴーカイセルラーを前に突き出して光が飛び出してくるカットは
今回は真ん中のマーベラスと鎧だけツーショットです。

変身バンク映像は今回はシルバーだけ個別扱いで、他5人は同一画面5分割ですが、
これがシルバー新加入回だからシルバーだけ個別扱いで、いずれは6分割画面にまとめられるのか、
それとも今後もずっと追加戦士なのでシルバーだけは別扱いなのか、
そのあたりは今後を見てみないと分かりません。

そして個別名乗りは、レッドからブルー、イエロー、グリーン、ピンクまではいつも通りで、
その後にシルバーの名乗りが同じ宇宙空間バックで普通にくっつくだけです。
前回のような「真っ赤な太陽(以下略)」の長い長い名乗り口上は今回は無し。
というか、おそらくあれはゴーカイジャー加入前限定の1回限りの名乗りでしょう。
ここではキャッチフレーズも無く、他の5人と同じように素っ気なく戦士名を名乗るだけです。
といっても、「ゴオオオオカイ!シルバアアア!!」という感じで他の5人よりもややクドいのは前回のままです。
ここの部分の動作は前回と同じです。

そして全員名乗りは、やはり立ち位置はレッドの横がシルバーで、シルバーは左手を高々と上げるポーズで、
全員が「海賊戦隊!ゴーカイジャー!」と名乗ります。
ちなみにここで何故かグリーンのポーズがリニューアルされており、
以前よりもいっそうふざけたお猿さんみたいなポーズになっています。

「小癪なぁ!」と言うオソガインに対して鎧が「ギンッギンにいくぜ!!」と言って6人揃って突っ込み戦闘開始です。
この「ギンギンにいくぜ」はシルバーならではの決めゼリフみたいです。

ここでのゴーカイジャーの姿での初の6人揃い踏み戦闘シーンのコンセプトは、
鎧と既存メンバー5人のそれぞれ1人とのペア戦闘を見せることです。
まぁつまり、新戦士ですから当然なんですが鎧中心ということになります。
ただ、単に鎧を華々しく見せるのではなく、鎧と他メンバーとの関係性を表現しようというシーンになっています。
ここでの鎧がまるでファミレスか何かの熱血新人バイトが初日から張り切ってシャカリキに働いている姿のようで、
前回のやたら自己アピールな戦い方もウザかったが、今回もややウザめです。
5人それぞれが単独で戦っている場所に次々と乱入して助太刀する鎧を見るシーンと言っていいでしょう。

まず最初に鎧が飛んで行ったのはルカが多数のゴーミンに囲まれて重機の上で戦っている場所で、
鎧は助っ人として張り切って飛び込んできますが、ルカは余裕でほとんどのゴーミンを倒した後であり、
1人だけ残ったゴーミンをゴーカイスピアで突き刺して放り投げ
「どうでしょう?」と何故か自己アピールしつつ媚びる鎧に、
ルカは余裕の態度で「サ〜ンキュ!」と軽く礼を言います。
あんまり役に立ってないのに礼を言ってあげるあたり、ルカは鎧がやはりお気に入りみたいです。
姉御肌のルカは鎧のことを可愛い弟分のように思っているようです。

続いてアイムの戦っている場所に乱入した鎧は、ここではまだかなりの数のゴーミンが残っていたので、
大張り切りでゴーカイスピアを振り回してゴーミン達を薙ぎ倒し、猛烈アピールします。
アイムのゴーカイサーベルの剣アクションと鎧のゴーカイスピアの槍アクションが見事なコンビネーションを見せ、
ここは非常に画的に綺麗です。
周りのゴーミン達を2人協同で片付けた後、アイムが無言でゆっくり鎧の方を見上げて、
鎧は「よっしゃ!」とガッツポーズをとって締めとなりますが、
このあたりスーツアクトレスの野川さんが上手いのか、
小池唯ちゃんと野川さんのアイムへのシンクロ率が高いせいなのか、
マスクオンでもちゃんとアイムが鎧に上品に微笑みかけているように見えます。
アイムは鎧のことを良き仲間になれると、かなり好意的に見ているようです。

そして次はハカセの戦っている場所ですが、
ハカセは相変わらず意味不明にトリッキーな戦い方をしており、
倒れ込んで重機の下に隠れたりして、分かりにくいアクションをしています。
あまりにマニアックな動きなので、一見するとハカセが劣勢のように見えてしまいがちで、
いきなり乱入した鎧はハカセがピンチだと思って、ハカセを助けるような戦い方をします。
しかしハカセはハカセなりの他人には非常に分かりにくい計算に基づいて戦っていたのであり、
逆に鎧のせいでペースを乱されて少しカリカリして「大丈夫だから!」と怒鳴って鎧を追い払います。
そして相変わらず変な戦い方を続けるのでした。
叱られた鎧は「はい・・・」と不承不承、去っていきます。
どうもまだハカセと鎧の間はギクシャクした空気のようですが、
鎧の方は素直に親しもうとしているのにハカセの方が鎧を苦手としている感じです。

そしてジョーはひたすら自分の剣を突き詰めるように1人で剣のみを使って戦っており、
スゴーミンに一撃を加えた剣を切り返して逆方向に一閃してピタリと止めます。
そこには鎧が立っており、ジョーの剣は危うく鎧の首を斬り裂くところでしたが、
寸前で気付いたジョーがピタリと止めたのでした。
実はとっくに鎧はジョーの戦う場に乱入していたのですが、
ジョーは全くマイペースで鎧のことを無視しながら戦っていたので、
鎧はどう連携していいか分からず不用意に近づいたところで危うくジョーに斬られかけたのでした。
もしかしたら鎧がゴーミンと色が似ているのでジョーは間違えかけたのかもしれません。
本当はこれはジョーが謝るべき場面だと思うのですが、鎧が思わず反射的に「すいません・・・」と謝ったので、
ジョーも一瞬驚いた後「・・・気をつけろ」と言って鎧の肩を肘で小突いて注意するという滑稽なシーンになっています。
ジョーと鎧の関係は体育会系の先輩後輩関係のようです。

そしてマーベラスの場合ですが、
ここは乱入してきた鎧がスムーズにマーベラスと息の合ったコンビネーションを見せ、
背中越しにマーベラスが「やるな!」と褒めると、
鎧が嬉しそうに「ありがとうございます!!」とやけに甲高い声で感激するという、
鎧のテンション上がりまくりのシーンとなります。
昨日はあれほど拒絶していたのがウソのように、すっかりマーベラスは鎧よ良き兄貴分のようになっています。
まぁこのあたりの切り替えの早さは、いかにもマーベラスらしい。
もともと仲間思いのマーベラスですから、一旦仲間にすると決めた以上は扱いは豹変するのです。

こうしてゴーミンやスゴーミンの大部分は倒し、残るはオソガインと2体のスゴーミンだけとなります。
ここで何故か鎧が仕切って「皆さん!ここはシンケンジャーでいきましょう!」と提案します。
新入りのくせに豪快チェンジのことを知っており、しかも34戦隊に妙に詳しいヤツですから、
ちょっと図に乗ってきたようです。

ここは6人揃い踏みでの初の他戦隊への豪快チェンジ場面ですが、
どうやら宇都宮Pはかなり早くからこの場面はシンケンジャーでやろうと考えていたと思われます。
何故なら、この工事現場のロケ地は、「シンケンジャー」の第十八幕で使ったロケ地と同じだからです。
しかもこの第十八幕は、シンケンジャーの追加戦士であるシンケンゴールド梅盛源太が
やはり今回の鎧と同じように仲間入りを認められた後、6人揃い踏みでの初陣を飾ったエピソードであり、
その時の初陣の場所がこの同じ工事現場なのです。
今回、話数も同じ、ロケ地も同じで新戦士を含めた揃い踏み初陣をやって、
しかもその初の豪快チェンジがシンケンジャーで、シンケンゴールドが(味方としては)初登場するとなると、
これはもう偶然の一致であるはずはない。絶対に狙ってやっています。
特にロケ地まで揃えているとなると、かなり前からその方針は決定していたということになります。

これは別にPが同じ宇都宮氏だからシンケンジャーを贔屓しているというわけではなく、
最初からこの追加戦士も揃っての初の他戦隊への豪快チェンジ場面で、
スーパー戦隊に無知なマーベラス達と、スーパー戦隊ファンの追加戦士の鎧との間のギャップを使った
コントシーンを作る方針が決まっており、
そのコントのネタは「シンケンジャー」放送当時に散々戦隊ファンの間で語り草となっていた
「あるネタ」を使おうということは、
「シンケンジャー」放送時にチーフPとして散々そのネタを耳にする機会のあった宇都宮氏が決めたことであろうと推測されます。
そして、そのネタをやるとすれば必然的にここはシンケンジャーへの豪快チェンジということになり、
話数もだいたい毎年追加戦士加入エピソードはこの第18話あたりで揃うし、
それならばいっそ、シンケンジャーの時とロケ地も揃えてしまおうという遊び心が働いたのでありましょう。

「シンケンジャーでいきましょう」と鎧に言われて、素直にベルトのバックル部から
シンケンジャーのレンジャーキーを取り出すマーベラス達5人ですが、
それを見て鎧が「えっ・・・あっ・・・」と焦ります。
鎧のベルトのバックルにはそういう機能は無いようです。
もともとそういう機能が無い仕様なのか、それともまだそういう機能が追加されていないのか分かりませんが、
とにかく鎧だけ変身に使うべきシンケンジャーのレンジャーキーを持っていない状態になってしまったのです。
自分からシンケンジャーへの豪快チェンジを提案しておいてこれでは迂闊にも程がある。

困っている鎧に向かって「お前のは?」とマーベラスが尋ねると、
「あるでしょ?顔に漢字が書いてあるやつ!」と鎧は自分の分のレンジャーキーをリクエストします。
アバレキラーやタイムファイヤーのような追加戦士のレンジャーキーもゲットしているということは、
きっとシンケンジャーの追加戦士であるシンケンゴールドのレンジャーキーも
マーベラス達の手元にはあるに違いないと鎧は読んでいるのです。

「顔に漢字」というのはなんともテキトーなようでいて、実はかなり簡潔かつ的確な指定であり、
戦闘中ですから長々と説明していられないわけですから、
これはさすがに鎧がスーパー戦隊に詳しいだけのことはあるといえます。
何せ顔に漢字が書いてある戦隊などシンケンジャーぐらいしかなく、
追加戦士のレンジャーキーの中から選ぶのならば、顔に漢字の書いてある戦士は自動的に、
顔に「光」の字を書いた戦士であるシンケンゴールド1つに絞り込まれるはずなのです。

これを「金色でちょっと青い色が入っていて」とか言うと
スーパー戦隊に詳しくなくて追加戦士のレンジャーキーの種類をよく把握していないマーベラス達は
マジシャインと間違えたりする可能性が高いので、
シンケンゴールドを指定するなら、この場合「顔に漢字」がベストなのです。

但し、これはマーベラス達が漢字というものを把握していることが前提なのですが、
この「ゴーカイジャー」の物語世界に出てくる宇宙人は
やたらと現代日本の文化風俗に通じていたり通じていなかったり、もう設定が異常にご都合主義で、
これが独特の味になってるので、この際、漢字は宇宙でもメジャーな文字ということにしましょう。

で、マーベラスは「顔に漢字」と聞いて、すぐに「これだな?」と1つのレンジャーキーを取り出して
握ったまま「ほらよ!」と鎧に渡します。
鎧も受け取ったレンジャーキーを当然シンケンゴールドだと信じ切っているので
そのまま確認もせずにゴーカイセルラーに挿入して、皆と一緒に「豪快チェンジ!!」と変身動作に入ります。
ここでレンジャーキーを画面に映さないようにしていたり、鎧が確認してない時点で、もう絶対ネタ臭いのですが、
テンポが良いので嫌味な感じは全然ありません。
むしろオチが来ることが予感される分、このテンポの良さが気持ち良いといえます。

マーベラス達がモバイレーツにレンジャーキーを挿し込んで回すと
文字が飛び出して1人1人シンケンジャーに変身していきます。
ここは何故か1人ずつ変身シーンを丁寧に、それでいてテンポ良く見せていきます。
「シ〜ンケンジャー!!」という認識音が発してモバイレーツから出た「火」の文字が飛び込み、
マーベラスはシンケンレッドになり、
次いで同じように「シ〜ンケンジャー!!」で「水」の文字が飛び込みジョーがシンケンブルーになり、
「シ〜ンケンジャー!」「土」の字でルカがシンケンイエロー、
次いで「シ〜ンケンジャー!!」「天」の字でアイムがシンケンピンク、
次いで「シ〜ンケンジャー」「木」の字でハカセがシンケングリーン、
そして「オ〜レンジャー!!」「王」の字で鎧が黒い戦士に変身します。

・・・明らかにシンケンゴールドではありません。
しかも「光」ではなく「王」とは?
しかし鎧はすっかりシンケンゴールドのつもりで、
シンケンゴールドの居合斬り特有の低く腰を落とした構えをとり、
サカナマル・・・ではなく何やらスティック状の武器を居合い刀のように腰の後ろに回して、すっかりその気です。
そしてそのスティックを前に持ってきてその姿を見ると、
「そうそう・・・このキングスティックで、バッサバッサと居合い斬り・・・」と、
どう見てもキングスティックにしか見えない武器を逆手一文字に振り回して、
「・・・って、違ぁ〜〜〜う!!」と、見事なノリツッコミを披露。
そしてシンケンレッド姿で鎧の一人芝居を珍しそうに見ているマーベラスに向かって
「・・・もう!これも漢字だけど違います!これはオーレンジャーのキングレンジャー!!」と猛抗議。

確かにこの黒い戦士は「オーレンジャー」に出てきた追加戦士で、キングレンジャーです。
これもバスコとの戦いでゲットした15個の追加戦士のレンジャーキーの中に確かに入っていました。
そして顔には「王」の漢字が書いてあります。
だからマーベラスは「バスコからゲットしたキーの中で顔に漢字のやつ」というので
キングレンジャーのレンジャーキーを選んでしまったのでした。
まぁキングレンジャーの「王」の字は実際は漢字ではなく
リキ(キングレンジャーに変身する超古代戦士)の紋章という設定だったはずですが、
ここでは鎧は「漢字」と言っており、まぁ漢字は漢字なのでしょう。

つまり鎧の指定が少し簡潔すぎて曖昧さがあったわけですが、
これはスーパー戦隊に詳しすぎるゆえに指定を簡潔にし過ぎて起こったミスでもあり、
また、地球のスーパー戦隊には無知なマーベラスだけに起きたミスでもあるといえます。

変身解除してゴーカイシルバーの姿に戻って鎧は
「シンケンジャーのは、金色のピカピカのやつです!」と仕方なくもう少し詳しく説明します。
マーベラスも今度は慎重に「金ピカで顔に漢字のやつ」を選んで、「これか?」と鎧に見せて確認させます。
なんかシュールなシーンですが、そのキーは今度こそシンケンゴールドのレンジャーキーでした。

「ははっ!これこれ!これですよ!」と歓喜した鎧はそれを受け取ってゴーカイセルラーに挿入し、
「豪快チェンジ!!」と両手をクロスした変身ポーズをとって、
ゴーカイセルラーのシンケンゴールドのボタン(6のボタン)を押して前に突き出します。
するとゴーカイセルラーから「光」の文字が飛び出し、それが鎧に飛び込み、
鎧の姿がゴーカイシルバーからシンケンゴールドにチェンジします。
これでようやくシンケンジャー6人揃い踏みです。

実はこのコントシーンは厳密に言うと成立しないので不自然なのです。
何故ならゴーカイセルラーは単にレンジャーキーを挿入するだけでは変身は不可能で、
その挿入したレンジャーキーに対応した特定のボタンを押さないといけない。
鎧は間違ってキングレンジャーのレンジャーキーを挿入して、
シンケンゴールドに変身するつもりだったから6番のボタンを押したはずで、
本来はキングレンジャーのレンジャーキーを挿入した場合はそれに対応した4番のボタンを押さなければ
キングレンジャーへの変身は完了しないはずなので、
このシーンで鎧がキングレンジャーに変身出来てしまっているのは不自然なのです。
しかしまぁ、テンポが良いのでそういう不自然さは全く感じさせない面白いシーンに仕上がっているので良いのです。

このコントシーンが終わるまで律儀に待っていてくれたオソガインと2体のスゴーミンがここで一斉に攻撃してきます。
これをシンケンマルとサカナマルで弾き落とし、マーベラス達6人はオソガイン達向けて突進を開始し、
「六連斬り!行きましょう!!」という鎧の提案を受け、
6人のシンケンジャーが順々に連続して敵を斬っていく、シンケンジャー本編においても
源太が加入した後になってから使えるようになった技でスゴーミン2体を一気に撃破し、倒します。

特に最後に斬りまくった鎧のサカナマルの連続居合い斬りは凄まじく、
技が終わった後、ハカセは鎧からサカナマルを取り上げてそのサンマみたいな刀身を珍しそうに眺めます。ジョーも六連斬りの威力に感心し「これは凄いな・・・」と呟き、
アイムも「今まで5人では出来なかった技ですもんね!」と楽しそうです。
マーベラスも新しい技が使えたことが気に入ったらしく
「面白ぇなぁ!お前、なかなかいいぞ!!」と鎧の肩に肘を乗っけて、ますます鎧のことが気に入った様子です。
すっかり鎧の加入で勢いづいた感のゴーカイジャーです。
昨日はあれだけ嫌がってたのに、ノリ重視の戦隊ということがよく分かります。

「んじゃ、お祝いということで!大サービス!」とルカが言って、
鎧以外の5人が取り出したのは5つの銀色のレンジャーキーでした。
マーベラスがボウケンシルバー、
ジョーがゴセイナイト、
ルカがメガシルバー、
ハカセがガオシルバー、
アイムがゴーオンシルバーです。
そして5人とも一斉に豪快チェンジして、それらの戦士に変身します。
この時、一瞬の変身シーンでそれぞれの戦隊らしい変身エフェクトが結構細かく再現してあって、凝っています。

これらは皆、追加戦士で銀色のスーツカラーの戦士であり、つまり鎧と同じような戦士ばかりということで、
一応、これが鎧の加入祝いの大サービスということらしい。
よく考えたら、マーベラスが赤色以外の戦士に変身するのはこれが初めてで、
おそらく今後のことを考えても、かなり異例のことであろうと思う。
そういう意味では確かに大サービスなのかもしれない。
鎧は「うわぁぁ!オールシルバーだ!すっごぉぉい!!」と大喜びですから、
スーパー戦隊マニアの鎧にとってはこれは最高のプレゼントだったようです。

鎧はこの5人の戦士がどういう戦士たちであるのか熟知しているのですが、
マーベラス達はこれらの戦士についてはほとんど知らない。
しかし、知らないなりに、鎧を喜ばせてやりたいと思って頭を捻ったのは
鎧と同じ銀色で揃えるということだったのであり、
マーベラス達にはこれが精一杯の工夫だったのかもしれない。
単純といえば単純だが、そういうのも含めて鎧には嬉しかったようです。
はしゃぐ鎧の頭を掴んで、ボウケンシルバーの姿のマーベラスが「ギンギンでいくんだろ!」と言います。
なるほど、鎧の口癖の「ギンギンでいくぜ」に引っ掛けて全員銀色にしたというわけでもあるようです。
確かにこれはギンギンです。ちょっと子供じみた発想がマーベラス達らしい。

こうして鎧のゴーカイシルバーに加えて、マーベラスのボウケンシルバー、ジョーのゴセイナイト、
ルカのメガシルバー、ハカセのガオシルバー、アイムのゴーオンシルバー、合わせて6人の銀色の戦士が
ただ1人残った敵のオソガインに突っ込んでいきます。
まず6人は打撃斬撃系の武器で接近戦でオソガインを囲んで攻撃します。
鎧はもちろん槍状のゴーカイスピアをスピアモードで使い、
マーベラスはボウケンシルバーの専用の槍型武器のサガスピア、
ジョーはゴセイナイトの専用の剣状武器のレオンレイザーソード、
ルカはメガシルバーの専用武器シルバーブレイザーのソードモード、
ハカセはガオシルバーの専用のガオハスラーロッドのサーベルモード、
アイムはゴーオンシルバーの短剣状武器のロケットダガーを使います。

これでオソガインを攻撃するのですが、
よく見ると攻撃しながらハカセのガオシルバーがさりげなく腕立て伏せをしているように見えます。
相変わらず変なことばっかりしてます。

そして、シルバー系戦士の個人武器というのは接近戦用と遠距離戦用武器とで切り替え可能なものが多く、
ここで出てくるシルバー戦士たちの武器もそういうものばかりです。
5人は一瞬でオソガインから距離をとって包囲網を少し大きめの円にすると、
マーベラスはサガスピアを銃型武器のサガスナイパーに瞬時に変形させ、
同様にジョーはレオンレイザーソードを銃型のレオンレイザーに変形し、
ルカはシルバーブレイザーをガンモードに切り替え、
ハカセはガオハスラーロッドをスナイパーモードに切り替え、
アイムはロケットダガーにウイングトリガーを装着して銃型のウイングブースターにして、
そして鎧はゴーカイスピアをガンモードに切り替え、
6人は全方位からオソガインに向けて一斉射撃。
ちなみにこの時もまた、何故かハカセだけ古タイヤを銃座にして撃っている。

撃たれたオソガインは吹っ飛んで「なんだ?このパワーは・・・」と
6人となったゴーカイジャーの予想外の強さにお手上げ状態となります。
そして「トドメ!いっちゃってください!」とアイムはさっきの借りを返す機会を鎧に与えます。
このあたり、やっぱり口調な丁寧で元お姫様だけどアイムも海賊なんだなと思わせる漢気溢れるシーンです。
まぁ玩具販促的には、ゴーカイスピアの販促期間をわきまえて、
鎧にファイナルウェーブを撃つよう促してるわけでもあるのですが。

「はい!」と素直に応じた鎧はゴーカイスピアをスピアモードにしてオソガインに突っ込み、
槍で薙ぎ払ってオソガインを吹っ飛ばします。
そして再びガンモードに戻し、ゴーカイシルバーのレンジャーキーを挿し込み回します。
今回はゴーカイスピアのガンモードでのファイナルウェーブということになるわけです。
これは巨大なエネルギー弾を放つ「ゴーカイスーパーノヴァ」という派手な技で、
前回のスピアモードで放つファイナルウェーブがゴーカイシューティングスター、つまり「流星」であったのに対し、
今回は「超新星」ですから、宇宙関連の技名でまとめているようです。
このゴーカイスーパーノヴァを喰らってオソガインはあえなく爆散。
まず等身大戦はゴーカイジャー6人の初陣の勝利となります。

ここで「まだ終わりじゃないのよ」とインサーンの巨大化光線が発射され、
オソガインは復活巨大化し、しかも多数の巨大スゴーミン軍団を従えています。
「毎度毎度懲りねぇ奴らだ!」と言うマーベラスに向かって
鎧は「あいつらは俺にやらせてください!」と申し出ます。
マーベラスは「よし!お前の持ってる大いなる力ってのを見せてみろ!」と、
アバレキラー、タイムファイヤー、ドラゴンレンジャーの3つのレンジャーキーを取り出します。
鎧がこれらを使えばアバレンジャー、タイムレンジャー、ジュウレンジャーの大いなる力を
出せるはずだと言っていた3つのレンジャーキーです。
鎧はそれらを受け取ると「はい!行ってきます!!」と前へ進み出て、
ここから追加戦士登場に伴う恒例の新ロボのお披露目、販促タイムの開始です。

まず鎧はタイムファイヤーのレンジャーキーを手にすると
「時を超えて出でよ!タイムレンジャーの大いなる力!!」と叫び、
ゴーカイセルラーにタイムファイヤーのレンジャーキーを挿入し、
タイムファイヤーの顔の絵が描かれた0のボタンを3回押した後、
通話ボタン(ゴセイナイトの絵が描いてあるボタン)を1回押し、
空に向けてゴーカイセルラーを掲げます。
このあたりの細かい手順をどうして鎧が知っているのかなどという細かいツッコミはこの際無しです。
販促場面ですから。

なんとここで「タイムレンジャー」本編でお馴染みの30世紀の未来都市のシーンとなり、
「発進!!豪獣ドリル!!」というコールと共に、
そこを先端に大きなドリルをつけた巨大装甲車のようなマシンが飛び出してきて、
時空の壁を突破して鎧たちのいる場所の上空に突如出現します。
いきなり何の前フリもなく懐かし(?)の30世紀の風景が出てきたので驚きましたが、
タイムレンジャーの大いなる力ですから、それは当然30世紀由来のものでなければ逆に不自然というもので、
かといって何処からともなく現れたメカを30世紀由来のものだと言っても説得力が無いので、
ここは30世紀から実際に飛んでくるシーンを挿入するのが一番正解でしょう。
ただ、贅沢を言わせてもらえば、プロバイダスにぶっ叩かれてタイムゲートを突破するシーンを入れてほしかった。
まぁ多分もうプロバイダスの着ぐるみは無くなってるのでしょう。

ちなみにこの「豪獣ドリル」は、ネーミングはゴーカイジャーの「豪快」と
ジュウレンジャーの「獣」を合わせた「豪獣神」がベースとなっていて、
そのドリル装甲車への変形バージョンということで「豪獣ドリル」ということなのでしょうが、
形は「タイムレンジャー」に登場した、第三総合研究所所属の都市防衛メカ・ライメイによく似ています。

この豪獣ドリルに乗り込んだ鎧は車体上部の二門のキャノン砲(豪獣キャノンというらしい)と
先端の巨大ドリルでスゴーミン達を撃破していきます。
豪獣ドリルの操縦室は鎧専用の1人用のコクピットがあるだけですが、
そのコクピットには2つの操舵輪がついていて、それをクルクル回して鎧は豪獣ドリルを操作していきます。
豪獣ドリルはゴツい外見の割にかなり機動性が良く、車高が低いのでクルクルとよく回転しながら
ドリルでスゴーミン達の下半身を薙ぎ払い、突いていきます。
「まぁすごい!」とアイムは感激して見ています。

「次はこれだ!」とコクピット内で鎧が取り出したのはドラゴンレンジャーのレンジャーキーで、
今度はこれをカギ型に折り曲げて、「出でよ!ジュウレンジャーの大いなる力!豪獣レックス!!」と叫んで
コクピットにあるカギ穴に挿し込み回します。
すると「豪獣レックス!!」というコール音と共に、メカの変形バング映像となります。

これがかなり印象的な変形描写で、豪獣ドリルがその先端の巨大ドリルを地面に突き立てて、
ドリルを下にして倒立するような形で車体を宙に高々と持ち上げ、
車体横のパーツが展開して広がり両脚のようになり、
車体後部パーツが起き上がってティラノザウルスのような肉食恐竜の顔が現れ、
更に車体側面からパーツが起き上がって両腕のようになり、
ドリルを太く大きな尻尾のように引きずった大型肉食恐竜型の巨大ロボットが出現したのでした。

現在は科学的に否定されていますが、昔は恐竜というのは直立して尻尾を引きずって歩いていたと思われており、
映画やTVなどで出てくる恐竜はみんなそんな感じでした。
「ジュウレンジャー」でも恐竜型ロボ(守護獣)は出てきますが、それらも直立型でした。
だから、この直立した感じは「ジュウレンジャーの大いなる力」っぽいとも言えます。
この豪獣レックスは、「ジュウレンジャー」に出てきたティラノレンジャーの守護獣ティラノザウルスに似た感じですが、
力強くゴリラのように胸を叩いたり、いきなり怪獣っぽい声で吠えるあたり、
なんだかゴジラっぽく、カッコいいです。

なお、コクピット内で鎧が「完成!豪・獣・レックス!」と叫ぶのですが、
その時のアクションがジュウレンジャーがダイノバックラーを使って変身する時の
印象的なアクションを模したものとなっているのは、芸が細かい。
さすがスーパー戦隊を誰よりも愛する男です。

この豪獣レックスは、腕は実際の肉食恐竜と同じく貧弱で、主に太くて長い尻尾を武器として戦います。
ジュウレンジャーの守護獣ティラノザウルスも同じように尻尾がメイン武器でした。
しかもこの豪獣レックスの場合、その尻尾が巨大ドリルになっているわけですから、破壊力は倍増で、
どんどんスゴーミンを尻尾ドリルで倒していきます。
変形しても結局ドリルが主武器であるという点は変わらないようです。
まぁあれだけ巨大なドリルがついていればどうしてもそうなるでしょうが。

ただ豪獣レックスは尻尾ドリルだけでなく、
口から豪獣レーザーという破壊光線も発射してスゴーミンを倒します。これが必殺技のようです。
まるでゴジラの放射能火炎を彷彿させる技ですが、
守護獣ティラノザウルスも口から放つティラノソニックが必殺技でした。
この豪獣レックスの戦いぶりを見上げてハカセが
「やっぱり恐竜は何時の時代でも強いなぁ」と妙に感心していますが、
今回は巨大戦ではマーベラス達5人は完全に見物人といえます。

そして最後はアバレンジャーの大いなる力です。
鎧はアバレキラーのレンジャーキーを取り出してカギ型に変形させると
「出でよ!アバレンジャーの大いなる力!」と言ってコクピットのカギ穴に挿し込み回します。
すると、また変形バンク映像で、豪獣レックスの両腕と頭部と尻尾が離脱して、
両腕は背中に装着され、頭部は左腕となり、尻尾は右腕となります。
そして脚は恐竜の屈んだ姿勢から人間型のまっすぐ立った形になり、
胴体部から新しい人型の頭部がせりあがってきて、
右腕に巨大ドリルを備えた人間型の巨大ロボ「豪獣神」が完成します。
なお、「完成!豪獣神!!」と叫んで鎧がコクピットで決めるポーズは、
アバレキラーの「ときめきの白眉」の決めポーズに似ているようにも思えます。
「うおおお!!燃えるぅ!驚異の三段変化!!」とルカは思いっきりはしゃいでいますが、
さっきのハカセといい、このルカといい、もう完全にバンダイの回し者状態です。

豪獣神も当然ながら右手の巨大ドリルが主武器です。
そりゃこれだけでかいドリルをつけてれば使うでしょう。
ドリルはゲッターロボ2号の頃からずっと男のロマンですから。
「アバレンジャー」の爆竜合体形態であるアバレンオーも人型で腕に巨大ドリルを備えていましたが、
アバレンオーの場合は左腕にドリルがあり、右腕に恐竜の顔がありましたから、
それとは豪獣神は逆になっています。

この右腕のドリルでスゴーミン達を倒していった後、
鎧は「ときめく〜!」と言いながら、右腕のドリルと左腕の恐竜の頭を回転させて、
突き刺したり齧り付いたスゴーミンをグルグル回して豪快に投げ飛ばし、
これでスゴーミンは全て倒し、残るはオソガインのみとなります。
「やるな!」とジョーが感心し、マーベラスも「ああ!」と応じます。

更にこの右腕のドリルは優れもので、縦に2つに割れて真ん中から銛のようなものが現れ、
全体として見て三又の槍先のようになります。
これは「トライデントモード」といって、「トライデント」は三又の槍という意味ですから、
そのまんまの名称です。
豪獣神の操縦者である鎧自身が三又の槍であるゴーカイスピアを使って戦う戦士ですから、
それに合わせたモードでしょう。
このトライデントモードは電撃を放つモードであるようで、電撃を放ちながら斬りつけてオソガインを攻撃します。
オソガインは距離をとってエネルギー弾を放って反撃しようとしますが、
今度は鎧は右腕のドリルを大きく傘のように広げて展開した「シールドモード」でバリアーを発生させて
エネルギー弾を弾き返してオソガインは逆にエネルギー弾を喰らってしまいます。

そして、鎧はコクピットにある3つのカギ穴に
アバレキラー、タイムファイヤー、ドラゴンレンジャーの3つのレンジャーキーを挿し込み回し
「豪獣トリプルドリルドリーム!!」と、長く言いにくい名前の技名を叫びます。
なんか、いかにも凄そうな技です。豪獣神の必殺技であるようです。
どんな技なのかと見ていると、なんと豪獣神から豪獣ドリルと豪獣レックスの分身が現れて、
3体が並んでそれぞれがドリルでオソガインを攻撃し、
その3つのドリルが合体して1つの超巨大ドリルになってオソガインを貫き、倒してしまったのでした。
かなり不可解な技ですが、ドリルの持つ特異な説得力で強引に持っていってしまったような感じです。
やはりドリルは男のロマン、男の夢です。
とにかく豪快な大技で大勝利。
鎧はコクピットで「よっしゃよっしゃあ!やったぜぇ〜っ!!」と大はしゃぎです。

エピローグは戦いが終わった後、空飛ぶゴーカイガレオンの船室の中、
正式に仲間入りを果たした鎧が船室の中で
「俺・・・嬉しいんです!皆さんに仲間って認めてもらえて!」と5人に自分の嬉しさを述べています。
しかしジョーやハカセの鎧を見る目は意外に冷ややかです。

考えてみれば鎧を仲間にすると言ったのはマーベラスだけであり、
マーベラスは他の仲間の意見を受けてそういう決断をしたわけではなく、
全くの独断で鎧を仲間にすると急に決めたのです。
だからジョー達は鎧を仲間にしたいと思っていたわけではない。
しかし、マーベラス一味においてはマーベラスが仲間として認めれば仲間として受け入れるのがルールだから、
ジョー達は鎧の仲間入りに異論をはさむつもりはない。
それに鎧のことが嫌いというわけでもない。
さっきの戦いで、なかなか見所があるヤツだということも分かった。

ただ、ジョーやハカセにしてみれば、仲間入りは確かに認めたが、
今いる5人のような心と心が絆で結ばれたような仲間になれるかどうかはまだ分からないと思っています。
それはこれからの鎧次第だと思っています。
皆そうやって時間を積み重ねて真の絆で結ばれた仲間になっていったのであって、そう簡単なものではない。
それなのに、入ったばかりでちょっと浮かれすぎではないか?というニュアンスで
ジョーやハカセは鎧を冷ややかに見ているのです。

そんな仲間たちの気持ちを代弁するようにマーベラスも
「仲間は仲間だけどな・・・まだ、海賊としては見習いだ・・・!」と鎧に言います。
まぁ当たり前のことです。そもそも鎧は海賊稼業なんかやったことも無いわけで、
マーベラス一味の本来のやるべきことである「宇宙最大のお宝」探しのことも全く知らないのだから、
最初は見習いであるのは当然です。
しかし鎧はまだ正式な仲間じゃなかったのかと思い「そんなぁ〜・・・」と落胆してしゃがみこみます。

そんな鎧にアイムは手を差し伸べて「すぐに見習いではなくなりますよ・・・
共に力を合わせてザンギャックと戦いましょう!」と優しく励まします。
アイムは5人の中では一番最後に加入しており、割と最近まで見習いだったようですから、
見習いの気持ちはよく分かるようです。
だから鎧がちょっとガッカリした気持ちも分かるのであり、共感する部分はあるのでしょう。
ただ、アイムも元お姫様でそれこそ海賊稼業など縁もゆかりも無かったはずで、
そんな自分でもすぐに海賊稼業に馴れて見習いを卒業出来たのだから、
きっと鎧もすぐに見習いではなくなるはずだという確信がアイムにはあるのです。

そして、アイムは鎧の「ザンギャックを倒して宇宙全体を平和にする」という
とんでもない志に何だか好感を持ったようです。
アイムがこんなにハッキリと「ザンギャックと戦う」という決意を表明したのは
今までになかったことです。
あの鎧の衝撃的な発言は、少しマーベラス一味の心を変えていきつつあるようで、
まず最初にアイムの心が目に見えた形で変わりつつあるように思います。

鎧の方は単純にアイムの優しさに感激し「・・・アイムさん」と言って笑顔になると
「嬉しいですうっ!!」と叫んで感激のあまりアイムに飛びついてがばっと抱き締めます。
アイムは何せ元お姫様ですから、いきなり男に抱きつかれるなどという経験が無く、
鎧の予想外の行動にどう反応していいやら分からず、戸惑って固まってしまいますが、
ルカが慌てて割って入って「ちょっと何やってんの!」と怒鳴りつけて
鎧を引きはがして突き飛ばしたので、とりあえず救われました。
ルカはアイムのことを大事にしてるのだとよく分かります。
そして鎧がどうしようもないバカであることもよく分かります。
やっぱ、いくら感激したからって、いきなり女の子に飛び掛かって抱きついたらいけません。

慌てて必死で「すいません!」と頭を大きく下げて鎧は謝り、
気を取り直して「でも・・・よろしくお願いします!」と改めて皆に挨拶をします。
とにかくアイムの言ってくれた通りです。
見習いからでも前向きに頑張ろうと思い、その気持ちで改めて皆に新入りとして挨拶しようと思ったのです。

まず鎧はマーベラスの前に立ち「マーベラスさん・・・」と言うと、マーベラスは笑顔で「おう!」と応じます。
どうやら少し謙虚な気持ちで頑張る気になったようだと思い、
マーベラスは鎧が良い感じになったなと思いました。
そして鎧は「よろしくお願いします!ジョーさん」とジョーにも笑顔で挨拶します。
ジョーは鎧の顔は見ずにそっぽを向いたままで「・・・ああ」と愛想なく返事をします。
ただ、別にジョーも鎧が嫌いというわけではないようです。
もともとクールであまり他人とベタベタしない性分であり、人見知りも割とするタイプのようなので、
こういう態度がジョーの普通なのでしょう。

鎧も別にジョーの不愛想な態度に落胆することもなく、
笑顔でルカの方に向き「ルカさんも!」と、ルカにも挨拶します。
ルカはさっきはアイムへの破廉恥行為で鎧を叱りつけましたが、
今はもう姉御肌っぽいサバサバした感じで「あいよ!」と笑顔で応じます。

そして鎧はハカセの前に立ち「よろしくです!ドンさん!」と言います。
ハカセは「ド・・・ドンさん!?」と目を剥いて派手に驚きます。
鎧はハカセが驚いたことに少し驚いたようで
「・・・はい・・・だって、そういうお名前・・・ですよね?」と恐る恐る聞き返します。
名前を普通に呼んだだけなのに、なんで驚いているのだろう?
もしかして名前間違ったかな?と思ったのです。
しかし鎧は別に間違っていません。
ハカセの本名はドン・ドッゴイヤーといって、第8話でもインサーンが手配書を見ながら確かにそう言っています。

「確かにそうだけど・・・なんか僕だけ違和感・・・」とハカセは何かグズグズ言っています。
普段、誰もハカセのことを本名で呼ばないから、いきなり本名で呼ばれると、
自分の名前なのに猛烈な違和感があるようです。まぁそういうもんでしょう。
鎧としてはニックネームで呼ぶよりも本名に敬称をつけて呼ぶ方が
礼儀にかなっていると思っているのでしょうし、その考えは間違っていません。
だから鎧は全く悪気は無いので、ハカセがそんなにイヤなら「ハカセさんでいいよ」とか言えばいいのですが、
それも何か抵抗があるようで、どうもハカセの鎧に対する態度はグズグズしています。
やはりちょっと苦手なタイプのようです。

そういうグズグズしたハカセをからかうのが大好きなマーベラスは
「いいじゃねぇか!ドンさんよぉ!」と茶化し、ナビィも「ドンさんドンさん!」と囃し立てます。
「マーベラスまでぇ!」と慌てて抗議するハカセを受け流して、
マーベラスは「よぉし!じゃあ、これから宴会だぁ!朝まで騒ぐぞぉ!!」と立ち上がって号令をかけ、
一同は「おおお〜っ!!」と元気に応じます。
というか、相変わらずクールなジョーは座ったまま小さなガッツポーズで応じただけで、それがまた妙に可笑しい。
何か祝い事があると朝まで酒盛りというのは、いかにも豪快で、まさに海賊って感じです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:21 | Comment(1) | 第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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