2011年07月26日

第20話「迷いの森」感想その1

「海賊戦隊ゴーカイジャー」の、この第20話開始時点での現状をちょっとまとめておきますと、
レジェンド回がこれまで8話で、「199ヒーロー大決戦」映画をゴセイジャー篇としてカウントするならば、
レジェンド回は9話ということになります。
となると、ゴーカイジャー単独で話を構成する通常回は11話あったことになります。

ただ、この「ゴーカイジャー」という物語は、一貫してゴーカイジャーの物語をしっかり描いており、
レジェンド回といっても基本的にゴーカイジャーをメインとしたストーリーが展開されますから、
レジェンド回と通常回を分けてまとめることに、最近はそれほど大きな意味があるとは思えなくなってきました。
特に2クール目に入ってからはバスコ登場篇や鎧登場篇など、
1クールのようにくっきりとレジェンド回と通常回とが分かれていないような展開のエピソードが増えてきました。
やはり1クール目とはかなりパターンを変えて、物語を動かしてきているようで、
これは物語全体で見ると、とても良い傾向だと思います。

ただ、相変わらず冒頭のナレーションがレジェンド回と通常回は分かれているので、
とりあえずレジェンド回と通常回の区別は何らかの意義はあるとして、
その9つのレジェンド回でこれまでに扱われたスーパー戦隊は、
第3話でマジレンジャー、第5話でデカレンジャー、第7話でゲキレンジャー、第9話でガオレンジャー、
第11話と第12話でシンケンジャー、第14話でカーレンジャー、
「199ヒーロー大決戦」映画でゴセイジャー・シンケンジャー・ゴーオンジャー・ボウケンジャー・
デカレンジャー・ダイレンジャー・ターボレンジャー・バイオマン・ダイナマン・ゴーグルファイブ・
デンジマン・ジャッカー電撃隊・ゴレンジャーの13戦隊、
第18話でアバレンジャー・タイムレンジャー・ジュウレンジャーの3戦隊であり、
デカレンジャーとシンケンジャーが本編と映画で重複しているので、
ここまでに登場したレジェンド戦隊は20戦隊となります。

すると当然、マーベラス一味がゲットした「スーパー戦隊の大いなる力」も、20戦隊分あることになります。
ならば、残る「大いなる力」は14戦隊分であり、
レジェンド回もあとはその14戦隊分やればいいということになります。

但し、実際にマーベラス一味が戦闘時に使用した「大いなる力」はゲットした20戦隊の半分の10戦隊分で、
カーレンジャー、ゴーオンジャー、ボウケンジャー、ダイレンジャー、ターボレンジャー、バイオマン、
ダイナマン、ゴーグルファイブ、デンジマン、ジャッカー電撃隊の10戦隊の「大いなる力」はまだ使用してはいません。
そうなると、これら「大いなる力」未使用の10戦隊に関しては、
「大いなる力」の初使用に絡めてのレジェンド回で再登場の可能性はあるといえます。

まぁ第14話でマーベラス達とガッツリと絡んだカーレンジャーと、
レジェンド回が作りにくいので映画でまとめて処理した感の強い
ターボレンジャー、バイオマン、ダイナマン、ゴーグルファイブ、デンジマン、ジャッカー電撃隊あたりは
再登場の可能性は低いとして、
ゴーオンジャー、ボウケンジャー、ダイレンジャーの3戦隊に関しては
改めてレジェンド回をやる可能性は高いと見ていいでしょう。
また、第18話の3戦隊のうち、レジェンドゲストが登場したのはアバレンジャーだけであり、
タイムレンジャーとジュウレンジャーは「大いなる力」は発動したが、
ゲストを招いてのレジェンド回を改めてやる可能性は無いこともないと思います。

その5戦隊を加えて、残りのレジェンド回をやる可能性のある戦隊は、
バトルフィーバーJ、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、ファイブマン、
ジェットマン、ジュウレンジャー、ダイレンジャー、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、
ギンガマン、ゴーゴーファイブ、タイムレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーの
19戦隊ということになります。

ただ、「ゴーカイジャー」の物語はおそらく年が明けて2012年1月に入るとクライマックス篇に突入していき、
レジェンド回をやる余裕は無いでしょうから、
実質的には12月25日の第44話までにレジェンド回は消化しないといけません。
ならばそこまでの年内残り話数は25話ですから19戦隊残っている状態は少し多いといえます。

おそらくゲスト役者の都合のつきにくいマスクマン以前の5戦隊はまたどこかでまとめて消化される可能性が高く、
映画の分に関してはボウケンジャーとゴーオンジャーは確実にレジェンド回をやるとしても、
ダイレンジャーは映画で結構、亮のセリフも多かったし、
あれでレジェンド回を消化したということにするのかもしれません。
第18話分も、タイムレンジャーはテーマが明確なのでレジェンド回をやる可能性はまだ高いと思うのですが、
ジュウレンジャーはやはり難しいかもしれません。

そうなると、この後レジェンド回をちゃんとやる可能性が高い戦隊は、
ライブマン、ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、
ギンガマン、ゴーゴーファイブ、タイムレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーの
12戦隊となります。
25話残っていて12戦隊ですから妥当なペースでしょう。

まぁ結構レジェンド回を作るのが大変そうな戦隊がいくつかありますが、
メガレンジャー以降の7戦隊は戦隊のテーマが明確なので、
そのテーマを「お題」に設定してマーベラス一味との絡みを作りやすいと思います。
そして、その中で玩具展開がほぼ確実に予想出来るのが
玩具売上実績の高かったハリケンジャーとゴーオンジャーの2つですから、
この2戦隊はシンケンジャーのように節目のイベント篇でそれなりに大きな扱いとなるのではないでしょうか。
すなわち、2クールの締めと3クールの締めあたりです。

さて一方、大いなる力と並んでマーベラス一味が収集しているアイテムであるレンジャーキーですが、
この第20話開始時点で、番組中でその存在が確認されているレンジャーキーは、
第19話で鎧が一時的に作ったゴーオンウイングスキーやゴールドアンカーキーのような
一時的にしか存在しないものは除くと、全部で198個です。

この中にはゴーカイジャーの6人のレンジャーキーも含まれていますから、
レジェンド大戦時に生成されたレジェンド戦士の分としてならば、192個が存在が確認されているといえます。
そして、「199ヒーロー大決戦」映画で描かれたレジェンド大戦の描写を見る限り、
レンジャーキーがレジェンド大戦時に生成されたものに限る(ゴーカイジャーの6個は除いて)ならば、
もうこれ以上、未知のレンジャーキーが現れることはないでしょう。
ゴーカイシルバーのレンジャーキーのように新たに生成されない限りは、ですが。

で、さしあたり現在はゴーカイジャーの6個も含めて198個のレンジャーキーが全数だとして、
そのうち188個がマーベラス一味の手元にあり、10個がバスコの手元にあります。
ただ、マーベラス達はバスコが10個のレンジャーキーを持っていることも、
自分達の188個以外に10個のレンジャーキーが存在することも把握していない一方、
バスコは未知のレンジャーキーもマーベラス達の持ち分も、
更には大いなる力や宇宙最大のお宝についてもマーベラス達の知らない何らかの情報をしっかり把握しています。
どうしてバスコがそのような情報を把握して未知のレンジャーキーを持っているのか?
どうしてアカレッドは25個のレンジャーキーを手に入れようとはしていなかったのか?
そのあたりは相変わらず謎のままです。

が、バスコが25個のレンジャーキーを入手していたのは戦力として使うためというよりは、
「宇宙最大のお宝」を見つけるためのアイテムとしてであるようですから、
レンジャーキーを全部集めることは「宇宙最大のお宝」を見つけるための必須条件なのでしょう。
少なくともバスコはそう思っているようです。
そして「大いなる力」も34戦隊分を全て集めなければ「宇宙最大のお宝」を見つけることは出来ないようです。
小津魁はそのように言っており、マーベラス達はそれを信じています。

バスコもダマラスからの情報で、マーベラス達が「宇宙最大のお宝」を見つけるために
「大いなる力」を集めていることを知っていますが、
どうやらダマラスからの情報を得る以前からバスコは「大いなる力」の存在や、
それが「宇宙最大のお宝」やレンジャーキーと関係があることはいくらか知っていたようです。

詰まる所、レンジャーキーも「大いなる力」も両方とも、
全部集めなければ「宇宙最大のお宝」を見つけることは出来ないわけです。
だから所有している数が多いからといって優位とは限らない。
1つを握っているだけでも、それ以外の全てを持っている相手と対等に渡り合うことが出来るのです。
かといって、1つを持っているだけでは、相手がお宝を手に入れることを阻止出来ているに過ぎない。
自分がお宝を手に入れるためには、相手から全てを奪うしかない。
つまりマーベラス達もバスコも、「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには
レンジャーキーと大いなる力の争奪戦をするしかないのです。

ただ、マーベラス達はこの第20話開始時点では、
バスコがまだ他にもレンジャーキーを持っていることは知りません。
自分達の持っている188個が全てのレンジャーキーだと思っています。
そして、この前のバスコとの戦いの際、バスコは「大いなる力」について一言もマーベラス達に喋っていません。
だから、マーベラス達はバスコが「大いなる力」の存在を知っているとは思っていません。
但し、「大いなる力」の存在がザンギャックにバレている(第8話)ことはマーベラス達も把握しており、
バスコがザンギャックと繋がっている以上、バスコが「大いなる力」の存在を知っている可能性があることも
一応、分かってはいます。

ただ、もしバスコがザンギャック情報で「大いなる力」のことを知っていたとしても、
ナビィがいない限り、「大いなる力」の在り処をバスコが知ることは出来ないし、
バスコがレンジャーキーを持っていないのなら、「大いなる力」の受け皿が無いわけだから、
バスコは「大いなる力」を手に入れることは出来ない。
そもそも、今までの「大いなる力」の獲得の経緯を見る限り、
バスコのような邪悪な男がレジェンド戦士たちに認められるはずがなく、
「大いなる力」を手に入れることなど出来るわけがない。

だから、マーベラス達は、バスコが再び自分達の持つレンジャーキーを狙って何か仕掛けてくる以外は、
特には警戒はしていませんでした。
バスコから何か仕掛けてこない限りは、さしあたりバスコのことは無視して、
自分達は「宇宙最大のお宝」を見つけるために全力を尽くそうというのがマーベラス一味としての方針でした。
もちろんマーベラス個人としては、バスコは許すことの出来ない裏切り者ですから、
本当は地の果てまで追いかけて殺してやりたいのですが、それはあくまで個人的感情であり、
たまたま出会えばもちろん戦いますが、わざわざお宝探しを後回しにしてバスコを探し回るつもりはありません。
むしろ「宇宙最大のお宝」を狙うバスコは、マーベラス達がお宝探しをすれば、宝を奪おうとして現れるはずであり、
その時にバスコを仕留めればいいとマーベラスは思っていました。

今回はそうしたマーベラス一味の側の目論みが崩れるエピソードです。
バスコが未知のレンジャーキーをまだ何個も持っていて、
「大いなる力」の存在も知っており、
しかも「大いなる力」の在り処を独自に探ることも、
「大いなる力」を強制的に奪い取ることも出来るということをマーベラス達は知ることになります。
こうしてマーベラス達とバスコはお宝争奪戦において対等な立場に立つことになり、
ここから残り14戦隊分の「大いなる力」をマーベラス一味とバスコが奪い合い、
同時にバスコの持つレンジャーキーをマーベラス達は狙い、
バスコはマーベラス達の持つレンジャーキーを狙うという、
大いなる力とレンジャーキーを巡っての争奪戦の幕が開きます。
今回は全体ストーリーの中ではそういう意義のエピソードだったと思います。

今回はその「大いなる力とレンジャーキー争奪戦」の第一回戦なのであり、
それは「大いなる力」の獲得が絡んでくる以上、必然的にレジェンドゲストの登場するレジェンド回となります。
「ゴーカイジャー」という物語の素晴らしい点は、単なる戦隊総集合的な作品なのではなく、
しっかりゴーカイジャーの物語が一貫して存在し、
レジェンド回はそのゴーカイジャー物語の流れの中での必然性のあるものとして作られていることです。
まぁカーレンジャー篇みたいな純粋なギャグ篇もありましたが、他はだいたい皆そういう感じです。
今回も同様に、ゴーカイジャー物語の流れに合ったレジェンド回というものが用意されています。

今回はまずマーベラス一味とバスコの「大いなる力」争奪戦の開始ということで、必然的にレジェンド回となります。
そして、レジェンド回というと、マーベラス一味の誰かとレジェンドゲストが絡むことになるのですが、
それが今回は鎧ということになります。
鎧というと17話で登場して以降、このところ3話にわたってメイン扱いでした。
前回の第19話はどちらかというとハカセがメインでしたが、鎧もほぼメインと言っていい扱いでした。
だから今回も鎧がメインというのはしつこすぎるような印象もあるかもしれませんが、
「ゴーカイジャー」における鎧の場合、今回はこれで妥当だと思います。

何故なら、「ゴーカイジャー」というのは、
やはりストーリーの柱となるのはゴーカイジャーのメンバーとレジェンド戦士たちの交流であり、
それが描かれる「レジェンド回」というものを中心に構成されるからです。
レジェンド回というのは、お宝ナビゲートに従って行動を開始したゴーカイジャーがレジェンド戦士と出会い、
そこで起こる試練のようなものを乗り越えていくことを通して、
ゴーカイジャー達がレジェンド戦士からスーパー戦隊の想いを受け継ぐ者として認められるという
特殊な構成がパターン化されています。
マーベラス一味の既存メンバーの5人はこのレジェンド回の構成にそろそろ慣れてきています。

一方、鎧はまだこれを経験したことがありません。
アバレキラー仲代壬琴たちとの出会いは、通常のレジェンド回とはかなり異質な構成でしたし、
あの段階での鎧はまだゴーカイジャーの一員ではなく、
「大いなる力」を求めてレジェンド戦士と会うという形式ではありませんでした。
だから、ゴーカイジャーの6人の中で鎧だけがレジェンド回を未経験なのです。

今回が鎧が加入して最初のレジェンド回ということになります。
そうなると、いっそ鎧をメインにしてレジェンド戦士と遣り取りさせる方がいいでしょう。
せっかくの初めてのレジェンド回参加であるのに、端っこの方でチョロチョロしているだけでは、
鎧が加入した意義があまり有りません。
それに、鎧が参加したことでゴーカイジャーにも当然、変化が生じているはずであり、
そうなればレジェンド回の描写も多少変わってくるはずです。
それを今回描かない手はありません。
どうせ何れは描かなければいけないエピソードなのですから、
鎧が加入して最初のレジェンド回で、そういうことは早々に消化しておいた方がスッキリしていいのです。
それによって、6人になったゴーカイジャーのレジェンド回というものの方向性も
早めに視聴者に示すことが出来て良い。だから今回は鎧がメインで正解なのです。

そして鎧をメインで描くとすれば、
この第20話時点における伊狩鎧という男において描くべきドラマは何なのかということをまず考えて、
その鎧のドラマに噛み合わせの良いテーマを持った戦隊からレジェンドゲストを出すべきなのです。

レジェンド回におけるレジェンドゲストの作劇上の役割は、
ゴーカイジャーのメンバーのスーパー戦隊の力を継ぐべき者としての資質において疑問の感じられるような部分を見出し、
そこに注目して観察し、時には試練を与えてみたりすることです。
つまり、ゴーカイジャーのメンバーの何か資質の欠けたように見える部分が
エピソードのストーリーの焦点になっていくのです。

例えば第3話は最初のレジェンド回だけに、レジェンド回の構造が非常に典型的で分かりやすい形で示されており、
そこでは「ハカセの臆病さ」という資質の欠落に小津魁が注目して試練を与え、
それをハカセが克服する話となっています。
今回も6人となった新生ゴーカイジャー最初のレジェンド回であり、
鎧の初めて参加するレジェンド回でもあることから、
レジェンド回の構造として極めてシンプルかつ典型的なスタイルとなります。
つまり「鎧の資質の欠落に対してレジェンド戦士から与えられる試練を鎧が克服する」という構造です。

では、スーパー戦隊の想いを継ぐ者としてこの時点の鎧に欠落しているものとは何なのか?
それは鎧のこれまでを振り返ってみれば見えてきます。
まず第17話は単に初登場しただけであり、
第18話では、ある日急にレジェンド戦士の仲代壬琴らから戦う力を与えられたスーパー戦隊ファンの鎧が
ゴーカイジャーの仲間に入ろうとして、マーベラスの出した試練をクリアして
「宇宙を守るヒーローになる」という戦士としての独自の目標を持つようになり、
その結果ゴーカイジャーの一員として認められました。
そして第19話では、スーパー戦隊を純粋に尊敬する謙虚な気持ちゆえに
レンジャーキーを合体させて強力な新アイテムを生み出せるという鎧の特殊な能力が明らかになりました。

まず、この第19話で示された鎧の最大の長所ともいえる特殊能力ですが、
無謬の存在というものはこの世には無く、最大の長所は最大の短所ともなり得ます。
ここでの鎧の最大の長所は謙虚さですが、
確かにこれはゴールドアンカーキーを生み出すなど、素晴らしい長所として作用することもありますが、
レジェンド回において「大いなる力」を取得する際にはこれは長所として作用するのかというと、疑問です。

これまでのレジェンド回を振り返ってみると、
謙虚とは最も対極ともいえるタイプの人間であるマーベラスの言動が
レジェンド戦士たちの心を動かすことがしばしばありました。
マーベラスが関わらない場合はハカセが関わることが多かったですが、
ハカセの場合も決して謙虚さが認められたわけではありません。
むしろ、ハカセの気持ちが弱さから強さへと切り替わる時、レジェンド戦士たちの心は動いたように見えます。
つまりレジェンド戦士たちは自分達の戦う力を継ぐ者には謙虚さよりも、
自分達を超えるような気持ちの強さを求めているのです。
まぁ陣内恭介だけは何を考えていたのかよく分かりませんが。

しかし、謙虚だからといって必ずしも気持ちが弱い印象を与えるわけではありません。
鎧のレジェンド戦士に対する謙虚さが気持ちの弱さに見えてしまう真の原因は、
むしろ第18話で語られた経緯の方にあるでしょう。
ここでは鎧は、最初、訳が分からないまま壬琴から戦う力を与えられて、
戦う力を得てから戦おうと決意し、戦うためにゴーカイジャーに入ろうとして、
ゴーカイジャーに入るために「宇宙を守るヒーローになる」という目標を立てたのでした。

しかし、これって、ちょっと順番が変です。
普通は「宇宙を守るヒーローになる」という目標を立てて、
努力を積んでからゴーカイジャーに入って戦う力を得るはずです。
実際、マーベラス一味の面々は、それぞれの夢が最初にあり、その夢に向かって努力をしているうちに
マーベラス一味に誘われて、夢を叶える力としてゴーカイジャーの戦う力を得ています。
鎧とは全く逆なのです。

鎧は戦う力を突然与えられる前までは、「宇宙を守るヒーローになる」という目標は無かった。
いや、一応は心の中にあったかもしれないが、せいぜい身体を鍛えるぐらいしか努力をしてはいなかったはずです。
マーベラス達のように戦う力を得る前から夢を追いかけるために命がけの勝負をしていたわけではないのです。

また、マーベラス達は宇宙を旅して危険な戦いを何度も潜り抜けながらレンジャーキーを集めてきたのです。
レンジャーキーはマーベラス達にとっては戦う力であり、彼らは戦う力は自力で命がけでその手に掴んできたのです。
鎧のように寝ている間に貰ったりはしていません。
その分、やはりマーベラス達は自分の戦う力は自分のものだという自負心が強い。
必死の努力の結果、夢を叶えるために勝ち取ったものなのです。
それだけ苦労して得た力ですから、その力を使って絶対に夢を叶えてやるという強い気持ちを持っています。
それは必然的に勝利へと繋がっていくでしょう。

一方、鎧はレジェンド戦士の壬琴に戦う力を貰って「ヒーローになれ」と言われたからヒーローになったのであり、
その上で自分のヒーローとしての目標を「宇宙を守る」ということにしたのであって、
鎧の戦う力は自力で得たものではなく、宇宙を守るという目標を達成するために身に付けたものでもない。
レジェンド戦士への強い尊敬の念があるから、その想いに応えたくて戦おうとはしていますが、
本当に鎧自身がその力を使ってとことん戦い抜いて
宇宙を守るという目標を絶対に達成するという気概があるかというと、少し心許ない。
自分の目標を達成するために戦う力を自力で掴み取ったという自負心が無いのです。
これはやはりマーベラス達に比べると、鎧の弱い部分でしょう。

ただ、実際は鎧のような経緯で戦うようになった戦隊は意外に多いのです。
突然に戦う力を与えられて最初は戸惑うが、
次第に自分がこの戦う力を使ってやるべきことを実感していって、
いつしかその戦う力は自分のものとなり、後から設定した目標も自分の決して譲れない目標になっていくという、
そういうドラマが描かれる戦隊が実はほとんどだったりします。

だから、この鎧の弱さを即座に弱さとは解釈しない戦隊もあります。
一般人が突然戦う力を与えられた戦隊であるジェットマンやメガレンジャーならば
鎧の境遇には大いに共感したであろうし、
もともと戦士的な立場にあった者が戦隊となったオーレンジャーやゴーゴーファイブやハリケンジャーなどの場合も、
変身して戦う戦士となる能力を与えらえたのは突発的出来事であったという点では鎧とそう大差はありません。
そういう戦隊のメンバーであれば、自分達の経験に照らして考えて、
鎧の現時点での心の弱さは戦っていくうちにきっと克服されていくものだと判断し、
あまり資質の欠落として見ることはないでしょう。

しかし、そうはいっても現時点ではそれはマーベラス達に比べて弱い部分であるのは確かです。
必ず克服されるとも言い切れない。
本当は克服されつつあるのかもしれないが、そのように思わない者もいて当然です。
むしろ、鎧の現時点の弱さを弱さとしてしっかりと真正面から指摘する者がいてこそ、
鎧はその弱さを克服することが出来て、
その結果、スーパー戦隊の大いなる力を受け継ぐ資格を認められるのではないか。

つまり、自分の目標を達成するために自力で戦う力を掴み取ったという自負心の欠如こそが
鎧の現時点での最大の欠点であり、
それに注目して試練を与える者が今回のレジェンド回のレジェンドゲストに相応しいといえます。
そして、そのレジェンドゲストは最も鎧に試練を与えるに足る資格を持った戦隊の戦士であるべきです。

今後レジェンド回をやる可能性の高い戦隊のうち、大いなる力を未だマーベラス達が獲得していない戦隊となると、
ライブマン、ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、
ギンガマン、ゴーゴーファイブ、タイムレンジャー、ハリケンジャーの10戦隊となりますが、
その中で今回、鎧に試練を与える資格が最もあるのは、やはりギンガマンでしょう。
何故ならギンガマンこそがこの10戦隊の中では最も鎧とは真逆の存在だからです。

ギンガマンというのはギンガの森の戦士たちが変身した戦隊ですが、
このギンガの森の戦士たちというのは、ギンガマンになるために研鑽を積んだ戦士たちです。
そもそもギンガの森というのが、宇宙海賊バルバンの復活に備えて地球を守るために
ギンガマンという戦士を生み出すためだけに世間から自らを隔離して数千年も存在してきた特殊な世界で、
しかもここで代々選ばれるギンガの森の戦士というのは
シンケンジャーやカクレンジャーなどのように世襲ではなく、完全に実力主義で選ばれるのです。
つまり、別に嫌ならギンガの森の戦士にはならなくてもいい。なりたいと思った者だけがなれるのです。
ただギンガの森自体がギンガの森の戦士を選び出すためだけに存在しているようなものですから、
そこに住む若者は皆、ギンガの森の戦士の資格を勝ち取ることを望みます。
そうして努力に努力を重ねて技量を競い合い、最終的に勝ち残った5人がギンガの森の戦士となり、
ギンガマンとなる資格を得ます。

ただ、バルバンが復活しない限り、ギンガの森の戦士が実際にギンガマンとして戦いに赴くことはありません。
何時その時が来るか誰も予測がつかない中、
そうしてギンガの森の民は数千年、百数十代にもわたってそうした営みを続けてきたのです。
そうした先祖たちの想いを背負って生まれた時から戦士となることを目指して研鑽に研鑽を重ね、
命の危険を何度も潜り抜け、競争相手を打ち破って戦士の資格を得て選ばれた
133代目のギンガの森の戦士たちがバルバンの復活に巡りあわせて、
遂に変身して戦った戦士たちがギンガマンだったのです。

つまりギンガマンは地球を守るという確固とした目標を据えた上で
幼少時から戦う力を磨きに磨いて、競争相手を打ち破って自力で戦士の資格を得て、
ギンガマンとしての戦う力を獲得した者たちだったのです。
だから彼らは自分の目標を達成するために自力で戦う力を掴み取ったという自負心の権化のような連中です。
というより、彼らの人生はそれしかないと言ってもいいくらい、
純粋なる戦士の自負心の塊がギンガマンなのです。

ここまで自意識の強い戦士は歴代戦隊でも他にはいないでしょう。
一般人が突発的に戦う力を得た戦隊は論外として、
軍隊警察レスキュー系の戦隊も子供の頃から戦士を目指していたわけではないし、
入隊後も別に変身ヒーローになることを目指していたわけではないはずであり、
また彼らにはギンガマンと違って戦士修行以外のちゃんとプライベートの生活もあります。
武術系の戦隊も子供の頃から修行に明け暮れていたという戦隊は無い。
シンケンジャーだけは子供の頃から修行しているが、
あれは世襲なのでギンガマンのように激しい競争を勝ち抜いた戦士ではなく、
内心イヤイヤだったりして自負心はギンガマンよりは低いし、元は別の仕事も持っていたりします。
過去がイマイチ不明なジュウレンジャーとゴセイジャーは
もしかしたらギンガマンのような生い立ちだった可能性もあるが、
描写されていない以上、そういう印象が視聴者には無いわけだから、
彼らが鎧に試練を与えてもギンガマンほどの説得力は無いはずです。

ギンガマンはこのように歴代で最も戦士としての自負心を持った戦隊です。
彼らの「ギンガマンの戦う力」は、彼らの「地球を守る」という目標を達成するために
彼ら自身がその手で掴み取ったと強烈に自負しているものです。
彼らはギンガマンの戦う力を使って自分こそがこの地球を守るのだと強く自負していたのです。

そのギンガマンの連中が、
自らの戦う力を自分で掴み取ったという自負心も無く、
その戦う力を使って絶対に自分が目標を達成してやるという気概も感じられないような人間に、
大事な「ギンガマンの戦う力」を引き継がせることを快く思うはずがない。
「ギンガマンの戦う力」はそんな弱い心の人間が持つべきものではない、とギンガマンの戦士が考えるのは当然です。
だから、相手の自負心や心の強さを確かめるために試練を与えるのは非常に自然な流れです。
だから、今回、鎧に試練を与えるレジェンド戦隊はギンガマンとなるのです。

つまり、ギンガマンという戦隊のテーマは「戦士の自負心」であって、
それが今回のレジェンド回、ギンガマン篇の「お題」となります。

そして、そのギンガマンの戦士の中から、
今回のレジェンドゲストとして鎧に試練を与える役がヒュウガとなっているのは、
ヒュウガがその「戦士の自負心」に関する栄光から挫折まで含む様々なドラマに最も深く触れてきた戦士であり、
それらの経験を踏まえて「戦士の自負心」の必要性を誰よりも身に染みて知っている戦士だからです。
何せ、誰よりも厳しい研鑽の末に掴んだ戦士の資格を、誰よりも大切なものだと知りながら
他人に譲ったり、自ら手放したりするという数奇な経験を何度も経て、
最終的に戦士の自負心に救われた男がヒュウガだといえます。
そういうヒュウガですから、鎧を見て歯がゆい気持ちになるのは当然でありましょう。

まぁ鎧と同じ追加戦士だからヒュウガが鎧の相手役となったとも考えられますが、
どうも鎧の最初のメインのレジェンド回はギンガマンで、その相手役はヒュウガだということは、
かなり前から決まっていたような気がします。
何故ならヒュウガの変身する黒騎士はどう考えても6番目の完全に味方の戦士であり中盤参加の追加戦士であり、
メガシルバーやタイムファイヤーなどと同じように
バスコが最初に繰り出した15個のレンジャーキーのグループに入っているべき戦士であるのに、
そこにあえて含まれていなかったからです。

むしろアバレキラーが本来はそのグループに入っているべきではないタイプです。
ゴーカイセルラーやゴールドアンカーキーとの関連で15戦士という数が前提条件であったとしたなら
本来ならアバレキラーを除外して黒騎士を入れて15個の追加戦士レンジャーキーとすべきでしょう。
ところがアバレキラーは第16話でマーベラス達がゲットする15個のレンジャーキーの中に入れておき、
そこから黒騎士は除外しておいて第20話でゲットするように仕向けるということは、
早いうちからアバレキラー仲代壬琴と、黒騎士ヒュウガの、
鎧というキャラの登場時に果たすべき役割分担が決まっていたからではないかと思えるのです。

とにかく、鎧は壬琴によってゴーカイシルバーの資格者として認められ、
マーベラス達によってゴーカイジャーの一員と認められ、
そして今回ヒュウガによってスーパー戦隊の後継者として認められ、
ここで一旦、鎧の戦士としての立ち位置は安定し、鎧の登場篇は終わるのです。

なお、レジェンドゲストはヒュウガだけでなく、
「ギンガマン」の主役であったギンガレッドのリョウマも登場しますが、
リョウマを演じる前原一輝氏は既に俳優業を引退されており、
今回はヒュウガ役の小川晃輝の熱烈なオファーによって出演が実現したとのことです。
つまり、あくまでレジェンドゲストのメインはヒュウガなので、
今回の主役の鎧と絡むのもヒュウガなのですが、
リョウマも「ギンガマン」本編の主役だったわけで、それなりの意義のある使い方をしなければいけません。

それでリョウマは鎧とマーベラスを除く4人と絡ませて、
こちらはこちらで簡単な形ではあるものの、ちゃんとゴーカイジャーの良さをリョウマが認める
レジェンド回らしさを演出しています。
前原氏はさすがに俳優業を引退しているのでヒーローとしてのオーラは陰りが見えていましたが、
むしろリョウマの持ち味だった「優しさ」は良い味になっていたと思います。

このリョウマとジョー達との簡単な遣り取りも含め、
もともと今回のエピソードはバスコ再登場篇とレジェンド回としてのギンガマン篇という
異なる2つの要素を詰め込んだもので、なかなか処理が難しかったはずですが、
今回はもはや荒川氏と並んでダブルメインライターと見なして差支え無いほどの盤石の安定感の香村純子氏が、
相変わらず綺麗にまとめてくれています。

バスコとヒュウガを同時に登場させて、
その後は場面をバスコの繰り出す再びのレンジャーバトル場面と
ヒュウガと鎧のレジェンド場面に分けて同時進行させて、
レンジャーバトルの流れでリョウマとジョー達の邂逅を演出し、
最後に再び2つの流れが合流したところでマーベラスがバスコと再対決して
改めて海賊としての価値観の違いを見せつけ、
それが鎧のヒーローとしての覚醒を促してヒュウガによる認めを導きだし、
主題歌付き変身のギンガマンの真の力の発現でゴーカイジャーがレンジャーバトルを制し、
鎧は黒騎士の召喚体との戦いに勝つことで象徴的にヒュウガと並び立つ存在となり、
一旦ヒュウガのもとに還った黒騎士の戦う力を、ギンガマンの大いなる力と共にヒュウガから託されるという、
まさに流れるような綺麗な分かりやすいストーリーに仕上がっています。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 08:43 | Comment(0) | 第20話「迷いの森」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月27日

第20話「迷いの森」感想その2

では本編ですが、まず冒頭、ガレオンのいつもの船室でナビィのお宝ナビゲートがいきなり始まります。
「レッツ!お宝ナビゲ〜ト!」と言って船室内をビュンビュン飛び回るナビィを見て、
鎧が「お宝ナビゲート・・・?」と不思議そうな顔をします。
鎧はどうやら、お宝ナビゲートのことを教えられていない様子です。
そりゃあ何の予備知識も無しにナビィが奇声を発して部屋中を飛び回る姿を見れば驚くのも当たり前です。

その鎧に向かって、ルカが「言ったでしょ?あたしたちの目的は宇宙最大のお宝だって!」とニヤニヤ笑って言います。
どうも鎧はマーベラス一味が何をするために地球に来たのか正確に把握していなかったようで、
何となく宇宙海賊がスーパー戦隊のレンジャーキーや大いなる力を使って
ザンギャックと戦っているという程度の認識であったようです。
それでマーベラス達は新入りの鎧に、自分達が「宇宙最大のお宝」を見つけるために地球にやって来たことや、
そのためにレジェンド戦士達からスーパー戦隊の大いなる力を集めているというような
基本的なことはレクチャーしたのでしょうが、お宝ナビゲートのような細かい手順までは教えていなかったようです。

ルカの言葉で鎧は、この「お宝ナビゲート」という変な儀式のようなものが、
お宝探しの開始を告げるものであることを悟り
「・・・ってことは、今から大いなる力を探しに行くんですね!?」と目を輝かせます。
もともと宝探しに大して興味も無さそうだった鎧にしては妙に浮かれていると思えば、
「スーパー戦隊の偉大な先輩がたに会いに行くんですねぇ〜!!」と部屋の中を小躍りして
ルカの肩を掴んでブンブン前後に揺すって大興奮しています。
鎧は大いなる力そのものよりも、その過程でレジェンド戦士たちに会えるということに大興奮しているのです。
熱烈なスーパー戦隊ファンの鎧ですが、先日の臨死体験の際の壬琴たちを除けば、
本物のレジェンド戦士たちに生で会ったことは無いようです。

まぁどう見ても、お宝探しの本質が分かっていない喜び方であり、
また頭の中はあらぬ妄想で一杯になっているに決まってます。
それに、そもそもルカの首が千切れそうなほど乱暴に揺すり過ぎです。
ルカが鎧の目を覚まそうとして顔面にパンチを叩き込もうとしますが、
それより一瞬早く、鎧の後頭部に飛んできたナビィが激突し、鎧は昏倒します。
そしてナビィも何かに頭をぶつけてお告げを言うことが多いのですが、
今回は鎧の頭にぶつけてのお告げであったようで、フラフラになりながら
「閉ざされた森の戦士に会うべし!・・・だって〜!」とお告げを言います。

「・・・閉ざされた森とは何でしょう?」とアイムは意味が分からず悩み、
「相変わらず、分かり辛いのよ!」とルカもナビィのお告げに文句をつけます。
いつも大いなる力が見つかるとナビィのことを持ち上げるクセに、お告げが出た時点では最も手厳しいのがルカです。
ただ、確かに「閉ざされた森」というのは意味が分かりません。

しかし「分かったああああ!!」と鎧は元気よく跳ね起きます。
後頭部を打って悶絶していたはずなのに回復の早い男です。
鎧は「閉ざされた森」というフレーズで何か気付いたようです。
そして起き上がると「閉ざされた森の戦士といえば、星獣戦隊ギンガマン!」と、得意げに絵本を取り出します。
その絵本の表紙にはギンガマン6人や星獣たちの姿が描かれており、
タイトルは「星の伝説」、著者名は「青山晴彦」と書いてあります。

「絵本・・・!?」とジョーは少し驚きます。
確かに絵本の表紙の6人の戦士のうちの5人は何度か自分達が豪快チェンジしたことのあるギンガマンでした。
地球でスーパー戦隊が有名な存在だということは最近分かってきましたが、
まさか子供用の絵本にまでなっているとは、さすがに驚きだったのです。
「こんなものまであるのですか?」とアイムも鎧から絵本を受け取って中身を見ながら目を丸くします。

アイムやジョーは他のスーパー戦隊も絵本になっているのかと思っているのかもしれませんが、
ギンガマンの場合は実は特別なのです。
この「星の伝説」という絵本の作家である青山晴彦という人物は、「ギンガマン」本編のレギュラーキャラで、
ギンガの森から世俗世界に取り残されてバルバンと戦うことになったギンガマン達の暮らしをサポートした、
元チェッカーズの高杢氏が演じた人物です。
青山氏はギンガマンと宇宙海賊バルバンの戦いを描き続けて、
戦いが終わってギンガマン達がギンガの森に帰っていった後、
それらのスケッチをもとに「星の伝説」という絵本を出版したのです。
この「ゴーカイジャー」の物語世界も「ギンガマン」の物語世界の設定をそのまま受け継いでおり、
それゆえ「星の伝説」は世に出回っており、
当然、スーパー戦隊を誰よりも愛する男である伊狩鎧もそれを所有しているのです。

他の戦隊に関してもその本編の物語世界の設定をそのまま受け継いでいるとしたら、
その多くはもともとはあまり世間に広くは知られていなかったと思われ、
個別で絵本や書籍になったりしているものはギンガマン以外には無かったのではないかと思われます。
34のスーパー戦隊が「伝説」となるほど有名になったのは数年前のレジェンド大戦後のことであり、
それ以前は「知る人ぞ知る」という程度の存在がほとんどではなかったかと思います。

それぞれの戦隊はだいたい派手に活動した期間は1年程度で、
その間、戦隊の存在は公然のものでしたが、その正体を積極的に世間に向けて明かすこともなく、
思いっきり公的組織であったデカレンジャーと、
ファンサイトまであってしょっちゅうメットオフしていたゴーオンジャーのような例外はあれど、
ほとんどはレジェンド大戦前は都市伝説的な存在であったのでしょう。
ただ、それでも一部で知っている人はおり、鎧のような熱心なファンもいるわけですから、
スーパー戦隊全般を研究したような書籍などはそれ以前から存在したのではないかとも思われます。

そういう中ではギンガマンは、たまたま絵本化されていたことからも、
比較的ポピュラーな戦隊であったと思われます。
しかし、比較的ポピュラーな戦隊だといっても、
「閉ざされた森」というフレーズだけでギンガマンを即座に連想するあたり、
鎧はさすがにスーパー戦隊を誰よりも愛する男を自称するだけはあります。
おそらく鎧は子供の頃からこの絵本に親しみ、
あるいは鎧にとってスーパー戦隊への興味の入り口となったのがこの絵本であり、
ギンガマンは鎧にとって特に思い入れの強い戦隊なのではないかとも思われます。

ただ、思い入れが強いのはいいのですが、鎧も頭を打って倒れて飛び起きて、
いきなり絵本を取り出すなど、あまりにも動きがマンガチックです。
「てゆーか、何処から出したの!?」と、さすがにハカセは的確なツッコミを入れますが、
鎧はそのツッコミはさらりとスルーし、アイムの絵本に関する質問に対して、
「はい!ギンガマンは宇宙海賊バルバンから、この星を守って戦ってくれた伝説の戦士ですから!」と、
クルクル舞いながら答え、「ですから・・・ですから・・・!」と何故か目を閉じて
エコー風のリフレインを自分で入れているところを見ると、また何か心地よい妄想にふけっている様子です。

一方、ハカセは鎧の説明を聞いて「宇宙海賊と戦ってたの?・・・僕らと相性悪そう・・・」と少し心配顔になります。
もし鎧の言う通り、今回のお宝ナビゲートの対象がギンガマンの大いなる力だとするなら、
ギンガマンに自分達がその大いなる力を託しても大丈夫だと思ってもらわないといけないわけで、
そんな過去に宇宙海賊と戦った戦隊ならば、自分達が宇宙海賊であるというだけで
悪印象を持たれてしまうのではないかとハカセは心配なのです。

しかしマーベラスは「ヘッ!それはそれで面白そうじゃねぇか!」と、あくまで強気です。
これまでにもレジェンド戦士たちに会った時も最初に相手に与えた印象は最悪だったケースは多いが、
それでもマーベラスは相手に迎合など一度もしたことはない。
自分達は自分達の流儀を貫き通してきた。それで結果的に上手くいってきた。
だからマーベラスは悪印象上等なのです。

マーベラスはジョーの方を向いて同意を求めますが、
ジョーはそんなギンガマンの話よりも、まずは大いなる力の在り処に興味があるようで、
マーベラスのことは無視して、シリアスな表情で
「・・・そんなことより、どうしてギンガマンが閉ざされた森の戦士なんだ?」と、鎧に訊ねます。
そもそも鎧は断定的に「閉ざされた森の戦士=ギンガマン」と決めつけていますが、
それが本当に正解なのかどうか、ジョーにはよく分かりませんでした。
まだ鎧から何ら説得力のある説明を聞いていないのです。
鎧は特に根拠も無く思いつきで喋っている可能性もあるのです。

鎧も「ああ・・・」と、説明不足だったことに気付き、ジョーの方に振り向いて
「はい!ギンガマンの暮らしているギンガの森には結界が張られていて、普通の人では入れないんです!」と
スラスラと答えます。
なるほど、確かにそれが本当なら「閉ざされた森」そのものです。
鎧がスーパー戦隊に関する情報でマーベラス達にウソを言う理由も無く、
ギンガマンに関してそういう情報があるのは確実なのでしょう。
ならば、それは重大なヒントになるのは間違いない。

「凄いよ鎧!あんた超使えんじゃん!」とルカは鎧に飛びついて大喜びです。
このままいけば、いつものように当て所なく彷徨うことなく、
真っ直ぐ目的地に行くことが出来そうだと思ったのです。
マーベラスも同じように思ったようで、「で、そのギンガの森ってのは、何処にあるんだ?」と鎧に質問します。
鎧の情報でその場所が判明すれば、さっそくそこに行くつもりです。
他の皆の表情もパッと明るくなります。
今回はとにかく目的地を探す苦労はしなくて済みそうだと思うと、ウキウキしてきたのでした。

しかし鎧はおもむろに皆に背を向けて黙り込みます。
その場所を教えることを躊躇っているのかと思いきや、
なんと鎧はアッサリと「さぁ!・・・そこまではちょっと・・・」と、ギンガの森の場所は知らないことを告白します。
一同は見事にコケます。まさに吉本のように見事なコケっぷりです。
さんざん豆知識を披露しておいて、一番肝心の情報を知らないとは・・・
「使えな〜い!!」とナビィは皆の心の叫びを代弁するように絶叫するのでした。

ここの冒頭の場面で、鎧が仲間に加わったことで「大いなる力」探しに少し変化が生じていることが分かります。
鎧のスーパー戦隊に関する知識があれば、
ナビィのお宝ナビゲートがどの戦隊の「大いなる力」を対象としたものであるのか、
だいたい絞り込むことが出来るのです。
そして、その戦隊に関する予備知識を得た状態で、レジェンド戦士と出会うことが出来るのです。
これはマーベラス一味にとっては、一見とても宝探しを進めやすい環境であるように思えます。

しかし、鎧の持っているスーパー戦隊に関する知識はかなり中途半端で表面的なもののようです。
マニア的に過去のスーパー戦隊の戦いの記録は頭の中に入っているようですが、
現在彼らが何処にいるのかという肝心な情報は知らないので、
どの戦隊の戦士と会うことになるのか予想はついても、いつ何処で誰と会うのかまで予想出来るわけではないし、
自分から相手を見つけることも出来ないので、結局はいつも通り、あてもなく彷徨うことになるわけです。
マーベラス達にとってはどの戦隊の戦士と出会うのかということはあまり大した問題ではなく、
鎧の知識を基にして、出会う相手の大まかなタイプぐらいは予想をつけて心の準備をしておけるぐらいしか
今までと変化は無いといえます。

また、この「ゴーカイジャー」の物語世界は現実に過去においてスーパー戦隊が
基本的に人知れず戦っていた世界ですから、
彼らの細かい心情描写までTV放送で見ていた我々の現実世界とは異質な世界です。
我々現実世界のスーパー戦隊ファンは、
例えばマジレンジャーならば勇気を最重要の価値観としていたことは知っていますが、
鎧の生まれ育った「ゴーカイジャー」の物語世界のスーパー戦隊ファンは、
マジレンジャーの戦いの記録は知っていても、マジレンジャー達の心理までは知らないわけです。
インタビュー記事でも残っていれば話は別ですが、そんなものはありません。
だから、鎧から得られる情報では、出会う予定のレジェンド戦士がゴーカイジャーに求める要素が何であるのか、
予想することは出来ません。

つまり、鎧の加入によって「大いなる力」探しにおいて変化が生じたことといえば、
その回の対象のスーパー戦隊の名前とその戦隊の過去の戦いに関する
通り一遍の知識が手に入る程度のことでしかありません。
それもナビィのお告げの内容次第では鎧でも戦隊を絞り込めないこともあるでしょうし、
間違うこともあるかもしれません。
そしてその情報の受け手であるマーベラス達はスーパー戦隊や地球のことについてほとんど無知なので、
その鎧からの情報はあまり有効活用されない可能性が高いです。
むしろ、レジェンド戦士に実際に出会った時には、スーパー戦隊に無知なマーベラス達5人と、
スーパー戦隊の熱狂的ファンである鎧との間の温度差が新たなドタバタ要因になるだけのような予感がします。

また、鎧ぐらいの熱心なファンになるとレジェンド戦士たちの素顔を把握しているので、
鎧のアドバイスによって今までのマーベラス達が全然見当違いの相手に声をかけまくっていたような類の
ドタバタシーンが減ってしまう可能性は危惧(?)されますが、
これもまた、あくまでこの物語世界はスーパー戦隊が過去に実在した世界ですから、
正体は一般には積極的に明かしていない戦隊の方が多いのであり、
鎧が素顔を知らない戦士の方が多いと考えていいでしょう。

それでも鎧は熱心なファンですからレジェンド戦士たちの変身前の特徴的な服装や、
なんとなくの人相ぐらいは把握しているのかもしれませんが、
その鎧の持っているイメージを他の5人に周知徹底させることは難しいと思われます。
何せ鎧はすぐに妄想に走る慌て者であるし、
マーベラス達はスーパー戦隊のことよりもお宝のことばかり考えるような連中ですから、
上手く情報の遣り取りが出来るとは思えないのです。
だから結局、マーベラス達は今後も大いなる力を求めて見当違いの行動を繰り返すであろうし、
そこに鎧の暴走も加わって、むしろドタバタは増すのではないかと思います。

さて、ここでOPテーマとなり、
冒頭ナレーションは「地球の平和と人々の笑顔を〜」のレジェンド回バージョンです。
冒頭で今回がギンガマン篇であろうことはほぼ確実になっていますから、この流れは当然でしょう。

そしてCM明け、サブタイトルは「迷いの森」というのが出ます。
これは一見、何の変哲もない通常回のようなタイトルのようにも見えますが、
実はこれこそ「ギンガマン」のサブタイトルのフォーマットに忠実なのです。
「ギンガマン」のサブタイトルは全50話、すべて「○○の××」というように、
名詞と名詞の間を助詞の「の」で繋いだフォーマットとなっているのです。
例えば第1話は「伝説の刃」、最終話は「明日の伝説」という感じです。
ちなみに第1話のサブタイトルはOPテーマの歌詞、
最終話のサブタイトルはEDテーマの歌詞にそれぞれ登場するフレーズを使っています。

というわけで、今回の「迷いの森」というサブタイトルは、
しっかり「ギンガマン」のフォーマットに沿ったものだったわけですが、
単に名詞と名詞の間を「の」で繋ぐだけではなく、
「迷いの森」という言葉自体がファンタジックな物語であった「ギンガマン」のサブタイトルっぽいといえます。
ギンガマンは森の戦士だったわけですし、いろんな意味で「迷う戦士たち」でもありました。

それと同時に、この「迷いの森」というサブタイトルは今回のエピソードの内容にも合致したものとなっています。
結界によって侵入した者を迷わせる奇怪な森を舞台としたエピソードであるからです。
が、それだけではなく、今回がこの森を舞台にして
鎧が大いに戦士として迷うことになる話であるということも示唆しており、
このサブタイトルは二重、三重の意味が込められている、
かなり優れモノのサブタイトルと言っていいでしょう。

さて本編が再開し、マーベラス達6人はあの冒頭のシーンの後、地上に降りて何処かの森の中を歩いています。
「絵本の内容から考えると、このあたりだと思うけど・・・」と、
鎧の例の絵本「星の伝説」を手にして歩きながらハカセが呟きます。
鎧がギンガの森の場所を知らないという役に立たなさであったので、
仕方なくハカセが「星の伝説」の内容を参考にしてギンガの森の場所を割り出したようです。

たかが絵本の内容でギンガの森の場所を割り出すなんて有り得ないと思われるかもしれませんが、
「星の伝説」の作家の青山晴彦はもともと伝説の「不思議の森」を発見しようと思って
ギンガの森に近づき、ギンガマン達と出会ったという経緯があり、
そうした経緯も含めて絵本にしているわけで、
だから「星の伝説」を参考にすれば、だいたいギンガの森の位置が分かるようになっていても不思議ではないのです。

それでも初めて見た絵本を参考にしてこんな短時間で場所を絞り込むあたり、
やはりハカセの思考能力は人並み外れていると言っていいでしょう。
一方、その絵本の持ち主でありながら、全くギンガの森の場所が見当もつかなかった鎧は不甲斐ない。
やはり論理的思考力はかなりハカセには劣るようです。
その鎧は呑気に「さっすがドンさん!」と言いながら、やたら陽気に歩いています。
もうすぐ憧れのギンガマンに会えると思って浮かれているようです。

しかし、ギンガの森のおおよその所在地はこうして分かっても、事態はそんな楽観は出来ない状況です。
ギンガの森は確かにここに存在しているのでしょうが、
それはこの世俗世界と重なって目に見えない形で存在しており、
結界が張られていて普通の人間はギンガの森には入れないのです。
だからマーベラス達は結界の入り口が何処かに無いものかと思い探しており、
そんな都合の良い入口など見つからないかもしれない。
普通の人間は入れないというのなら、マーベラス達が入ることの出来る都合の良い入口など
見つからない可能性の方が高い。

ならばギンガマンの方から結界の外に出てきてくれるのを待つしかないが、
そんな都合よく出てきてくれるものとも思えず、
この森の何処にいればそんな都合の良い出会いがあるのかも分からない。
とにかく歩き回るしかない状況でした。
状況はどう考えても楽観できる状況ではない。
そのことをマーベラス達に伝えたのは鎧本人だったはずですが、鎧が一番能天気に浮かれているのですから、
確かにこの男、お宝探しではあんまり役に立ちそうにはないです。

「でも、こんな歩いてるだけでホントに見つかんのかなぁ?・・・ギンガの森!」と
ルカは森の中をアテもなく歩き回っているだけの状況に痺れを切らせてきたようです。
このルカの愚痴に対して体育会系のジョーは
「他に手がかりが無いんだ・・・地道に足で探すしかない・・・」と冷淡に対応し、さっさと先に歩いていきます。
つまらなそうに立ち止まるルカをアイムが「ピクニックみたいで楽しいですよ!」と元気づけて、
道端に咲く花を指さして「ほら!お花も綺麗ですし・・・」と、とにかくルカを明るい気分にさせます。
確かに道端に紫色の珍しい形の可愛らしい花が咲いています。
ルカはそれをじっと見て、道端の花でも見て楽しみながら歩いてみようかという気分になって、再び歩き出します。

そうして暫く歩いていると、マーベラスが先頭を歩くハカセが手に提げている小さな箱を見て
「ハカセ!その箱は何だ?」と質問します。
どうもマーベラスの顔がいつもの腹減り顔になっています。
ハカセはそれに気づかず不用意に「ドーナッツ!ギンガマンへのお土産だよ!
宇宙海賊だぁっ!、ていきなり襲われないように・・・」とニコニコと答えてしまいます。
マーベラスはその言葉を聞いてニヤリとします。

ハカセはギンガマンと宇宙海賊の相性の悪さを考慮して、
お土産を見せることで友好の意を示す作戦を考えてきたようです。
それはスムーズに大いなる力をゲットしたいという思惑はもちろんありましたが、
鎧の先日のゴールドアンカーキーの一件などを考えても、
自分達もスーパー戦隊と友好的にやっていく方が何かとメリットがあると
思うようになってきていたという想いもあります。

「最初の印象が肝心だから・・・」と言ってハカセは箱の中のドーナツを見せますが、
そうしたハカセの真面目な考えを全く無視してマーベラスはいきなり箱の中に手を突っ込んで
ドーナツを1個鷲掴みにして、そのまま自分の口に放り込もうとします。
やっぱり腹が減ってきたのでハカセが食い物を持っていると読んで、声をかけてきたようです。
相変わらず欲望に忠実で、しょうもないことしかしない男です。
ハカセは慌ててマーベラスの手を掴み「食べちゃダメ!」と言いますが、
マーベラスはハカセの手を振りほどくと悪ガキのようにニヤニヤ笑い
「いいじゃねぇか1つくらい!・・・減るもんじゃねぇし!」とワケの分からんことをほざいて
ドーナツを持ったまま進行方向の先の方へ逃げ出します。
ハカセは「減るから!」とツッコミつつマーベラスを追いかけていきます。

そうしてマーベラスとハカセが揉み合った際に、
弾みでハカセが手にしていた「星の伝説」の絵本が地面に落ちてしまいますが、
マーベラスを追うのに夢中でハカセはそれに気づいていません。
一方、ハカセの横にいた鎧はそれを見て「ああっ!俺の・・・俺の・・・!」とオロオロして絵本を拾い、
必死で本についた土を払います。
どうも、やはりこの絵本は鎧にとって、非常に大切なもののようです。

この先の見えない大変な状況において、列の先頭で子供の喧嘩のような騒ぎを起こした3人を見て、
ジョーとアイムは立ち止まって溜息をつきます。
ルカも一緒に立ち止まりますが、ふと道端を見て「あれ?あの花・・・さっき見なかった?」とアイムに聞きます。
見ると、道端にはさっきアイムがルカに綺麗だと言って指し示した紫色の花が咲いていました。
ルカはさっきからずっと道端の花を観察しながら歩いていたので、
さっきと全く同じ花にまた巡り合ったことに気付いたのでした。
他にあの種類の花は見ておらず、色といい形といい、咲き方といい、あの時の花に間違いなかった。

アイムもさっき見た花であることに気付き「まぁ!」と驚き、
「・・・元の道に戻ってきてしまったのでしょうか?」と考え込みます。
それを聞いてジョーは「おかしいな・・・ずっと真っ直ぐ歩いていたはずだが・・・?」と腕組みして戸惑います。
ルカとアイムがそう言うのなら、ここは一度通った地点なのだろう。
しかし、曲がり角など無かったし、道もカーブしていない。
どうして真っ直ぐ一方向に歩いていて元の場所へ戻るのか、ジョーにはよく分かりませんでした。
鎧も絵本を手にしてジョー達の会話を聞いて不思議そうにしています。

そんな風に4人が悩んでいる間に道の先の方に駆けていったマーベラスとハカセの姿は
いつの間にか見えなくなっていました。
ところが、なんとジョー達の背後から何か叫びながら走ってくる人の声が聞こえてきたかと思うと、
マーベラスとハカセが駆け込んできたのです。
ジョー達4人はもちろん、駆け込んできたマーベラスとハカセもギョッとした顔で驚きます。
マーベラスとハカセは一本道の先の方に走っていったはずです。
それがどうして道で立ち止まっていたジョー達の背後から現れるのか?
まるでこの道の少し先で行く手を阻まれて、道の後方に瞬間移動させられてしまったかのようです。

そう考えて全員、ハッと気づきました。
自分達も同じように、気付かないうちに後方に瞬間移動させられていたのです。
だから、真っ直ぐ一本道を進んでいながら同じ花の横を通っていたのです。
この道の先少しいった地点で自動的に少し後方に戻されるのです。
そうして同じ方向に進む限り、同じ道を何度も何度も歩くことになり、
まるで道に迷ったかのように錯覚して、違う道を選んでしまうようになっているのでしょう。
つまり、これは、「この道の先に誰も行かせたくない」という意思が込められた仕掛けなのです。
ならば、この道の少し先に何か、他人を近づけたくないモノがあるということになります。
しかし何もそれらしいモノは見当たりません。
が、すぐ傍に何かが在ると感じた6人は思わず背中を預けあい、周囲を警戒する態勢に入ります。

その中で鎧は「もしかして・・・これがギンガの森の結界・・・?」と呟きます。
この森の中に、その先に人が進むことを拒むものがあるとすれば、
それこそがギンガの森ではないかと思い至ったのです。
となると、この他者の侵入を拒むシステムこそが、
いわゆるギンガの森の結界なのではないかと、鎧は気付きました。
マーベラスはそれを聞いて(なるほどな)という感じでフッと不敵に笑います。
つまり、ここがギンガの森の境界線のすぐ外というわけだ。
とうとう見つけたぞ・・・だが、どうやったら中に入れるのか?そのようにマーベラスが考えを巡らせようとした矢先、
いきなりすぐ傍に生い茂る木々が割れました。

いや、木々が割れたというより、木々や空が存在する空間そのものがガラスのように割れたのでした。
しかもただ割れたのではなく、その割れ目から人が飛び出してきたのです。
まるで空間の向こうに別の部屋があって、そこから窓ガラスをぶち破って人が飛び出してきたみたいです。
突然の出来事にマーベラス達が呆気にとられて飛び出してきて地面を転がる人を見ていると、
すぐにまた別の地点の空間を破って別の人物が出てきました。
「ああもう!手間かけさせないでくれよ!」と言って歩いて出てきた男は、
最初に飛び出してきた人を追いかけている様子でした。

その追手の男の姿を見てマーベラス達は驚愕します。
その男は憎むべき裏切り者バスコ・タ・ジョロキアだったからです。
後ろにはしっかり宇宙猿のサリーもついてきています。
「バスコ!!」とマーベラスが驚きつつ怒鳴ると、バスコはちょっと意外そうな顔をしつつ
「あれ?マベちゃん奇遇だねぇ・・・こんなとこで会うなんて!」と相変わらず馴れ馴れしく軽い調子で応えます。

しかしマーベラス達の反応は冷ややかです。
何せ鎧を除く5人にとってはバスコはこの前罠に嵌められて殺されかけた相手です。
あの後形勢逆転でトドメを刺そうとしたところで逃げられてしまったが、
再び出会う機会があれば当然復讐すべき相手です。
絶好の復讐の機会を得たことで5人は殺気を漲らせています。

ただ一人、鎧だけはそうした経緯は知らず、バスコの口調がやけに親しげであったので、
バスコが敵だとは認識出来ず「何?・・・マーベラスさん達、お知り合い?」と尋ねます。
マーベラスはバスコを睨みつけながら「そんな呑気なもんじゃねぇよ・・・
コイツは宇宙最大のお宝欲しさに仲間を裏切ってザンギャックと手を組んだゴミ野郎だ!」と鎧に説明します。
ゴミ野郎・・・さすがに口が悪い。
でも確かにバスコはゴミ野郎としか言いようがないヤツです。

鎧はまだ事態をよく呑み込めていないようで
「宇宙最大のお宝を欲しがってるってことは・・・?」と言いながらマーベラスの説明を頭の中で反芻します。
鎧は宇宙の平和を守るために戦おうと思っているのであって、
そういう観点ではザンギャックは明確に敵ですが、
宇宙最大のお宝を狙っているということをもってバスコを敵視するという感覚にまだ馴染めていないようです。
「つまり、あたし達ゴーカイジャーの敵ってこと!」とルカが鎧に念を押すように言います。
が、「敵・・・」と、鎧はまだどうもピンときていないようです。

鎧という男、確かに正義感は強く、自分が正義だと信じたことを貫くためには凄まじい闘争心を発揮しますが、
基本的には善良で平和主義的な人間であるようで、
マーベラス達のように常に危険に晒された生活を送ってきたわけではないので、
こうして確実に危機的状況が目の前に迫っているというのに、
危機意識でもって戦うという心持ちにはなれていないようです。
これは戦い慣れしていないので仕方ないといえます。
まずは理屈で相手を敵だと自分に納得させなければ闘争心が湧いてこないのです。

その時、ルカが自分達のことをゴーカイジャーだと言ったのを聞いて、
さっき最初に空間を破って飛び出してきて地面に倒れていた人物が身体を起こし
「ゴーカイジャー?・・・そうか・・・君たちが・・・!」と、ハアハアと苦しそうな息の中、顔を上げて呟きます。
その人物は壮年の男性で、闘士型のすらりとした長身で、黒っぽい変わった服装をしていました。
男はゴーカイジャーのことを知っているようです。

その男の顔や独特の風貌を見て、鎧は仰天して「ヒュウガさん!?」と叫びます。
「ヒュウガ?誰だ?」とジョーが訊ねると、鎧は大事そうにずっと抱えていた絵本を掲げて
「黒騎士ヒュウガさんですよ!ギンガマンと一緒に地球を守ったすっごい人ですよぉ!!」と、
すっかり取り乱した状態となります。

この男、確かに「ギンガマン」に登場したギンガマンと協力して戦った戦士、黒騎士に変身していたヒュウガです。
もちろん演じているのは「ギンガマン」本編のオリジナル役者の小晃輝氏です。
1998年作品の「ギンガマン」は今から13年前の作品で、
当時29歳で戦隊メンバー中の最年長キャストであった小川氏は現在は42歳です。
しかし、常にアクションで鍛えているせいか、実に若々しく、ヒーローのオーラに溢れています。
何せ、「カクレンジャー」のニンジャレッド・サスケ役も含めて2回も戦隊ヒーローを演じた
生粋のヒーロー役者ですから、そのオーラはハンパではないです。

ここでヒュウガの姿に恒例のオーバーラップで黒騎士の姿が重なります。
ちなみに黒騎士というのはもともとは異星の戦士であってギンガマンとは関係ない戦士だったのですが、
紆余曲折あってギンガマンのリーダーのギンガレッド・リョウマの兄であるヒュウガが黒騎士の能力を受け継いで
ギンガマンと共に地球を守るために戦ったのでした。
つまりもともとはヒュウガもギンガの森で生まれ育ったギンガの森の戦士だったわけで、
バルバンとの戦いが終わった後は他のギンガマン達と一緒にギンガの森に戻って暮らしていたのです。

その後、ヒュウガも黒騎士に変身してレジェンド大戦に参加し、
最後はその戦う力をレンジャーキーへと変えられて、黒騎士としての戦う力を失い、
再びギンガの森に戻っていたようです。
ヒュウガやリョウマのようなギンガの森の戦士は、地球がよほどの危機にならない限り
基本的にはギンガの森から離れない。

何故なら彼らの戦う力の源は「アース」というパワーなのだが、
それは地球の大自然の全ての命を守る優しい気持ちがあってこそ生まれるので、
現代文明社会に染まるとアースを維持出来なくなってしまうからです。
現在は彼らの戦う力はレンジャーキーに封じられていますが、
いずれはその力が彼らのもとに戻ることもあるでしょう。
その時に肝心のアースが失われていては元も子も無いので、彼らは基本的にギンガの森の中に暮らしているのです。

ザンギャックの再侵攻で地球は危機にありますが、
レジェンド戦士たちは現在は基本的にはゴーカイジャーに戦いを託そうという方向で一致しているようで、
それでギンガマン達もギンガの森で暮らしてアースを維持していたと見ていいでしょう。
それゆえゴーカイジャーがレンジャーキーを使ってザンギャックと戦っていることも、
大いなる力を集めていることも知ってはいるようですが、
ゴーカイジャーのメンバーの顔までは把握していないような感じです。

そのヒュウガが空間の割れ目から突然飛び出してきて、
しかもバスコが追いかけてきたということは、何か大変なことが起きていることは明白なのですが、
鎧は憧れのレジェンド戦士の1人であるヒュウガに出会えた嬉しさで、
現在の危機的状況が頭から飛んでしまったようで、周りが見えなくなって狂喜してしまっています。
鎧はヒュウガのもとに駆けて行ってしゃがみこんでヒュウガの手をとり
「はじめまして!俺、伊狩鎧です!この間、ゴーカイシルバーとして戦隊デビューしました!!」と、
痛々しいぐらいはしゃぎ回って一方的に自己紹介を早口でまくしたてます。

この空気を読まない鎧の行動に、人格者のヒュウガは少し困惑しつつも一応は笑顔で対応しますが、
鎧が無理矢理握手した時は痛そうに顔をしかめており、何処か怪我をしているように見えます。
が、鎧はよほどヒュウガに会えたのが嬉しいようで、ヒュウガの怪我のことに気付く様子もなく、
「あ、よかったらですね、これにサインを!」と言いながら例の絵本をヒュウガに差し出します。
目の前に敵のバスコがいて、しかもそのバスコはヒュウガのことを狙っている様子だというのに、
呑気にサインなんか書いている場合じゃないはずです。
というか、素朴な森の民であるヒュウガがサインをする世俗の習慣など知るわけもない。

もう完全に浮ついてしまっている鎧の醜態を見かねて、
ハカセが「今はそんなこと頼んでる場合じゃないだろ!」と怒鳴って鎧を連れ戻しに行こうとしますが、
マーベラスがハカセを制しながらバスコに向かって話しかけます。
今は鎧とゴチャゴチャやっているヒマはない。
それよりも目の前のバスコが問題だとマーベラスは思ったのでした。
まぁそれでもハカセは鎧のところに行って頭をはたいてましたが。

マーベラスは「どうしてここが分かったのかは知らねぇが・・・俺たちより先に大いなる力を集めようって肚か?」と
バスコに質します。
ここはギンガの森と世俗世界との境界線であり、
そこからいきなり飛び出してきたということは、この鎧がヒュウガと呼ぶ男はギンガの森の住人だろうと
マーベラスは思いました。
鎧の説明でも、このヒュウガという男はギンガマンの仲間であるようですし、
ギンガの森から出てきたと考えて間違いない。

問題は、どうしてそのギンガの森の側の空間からバスコまで一緒に出てきたのかです。
それはつまり、マーベラス達よりも一足早くバスコがギンガの森を見つけ出して侵入したということです。
どうやってバスコがギンガの森の場所を知ったのか?
どうやってバスコがギンガの森の結界を破って侵入に成功したのか?
そのあたりの事情は全く分かりませんでしたが、
少なくとも偶然たまたまバスコがギンガの森に迷い込んだなどというわけではなく、
何か目当てがあってギンガの森に侵入したことは間違いない。

バスコがギンガの森で用がある相手となればギンガマンしか考えらません。
ギンガマンの仲間であるヒュウガを追いかけていることから考えてもそれは間違いないでしょう。
となると、同じ「宇宙最大のお宝」を目指す者同士ですから、
マーベラスにはバスコもまた自分達同様スーパー戦隊の大いなる力を手に入れようとしているのだということが
容易に想像はつきました。

「宇宙最大のお宝を見つけるにはスーパー戦隊の大いなる力を全部集めなければならない」という情報は
第8話時点でザンギャック上層部にも知られてしまっています。
だから、ザンギャックとつるんでいるバスコの耳にもその情報は入っている可能性が十分あることは
マーベラスも分かっていました。
だからバスコが「大いなる力」を手に入れたいと思っている可能性はあるとマーベラスは思っていました
が、それでも自分達とは違って、その在り処を調べる手段が無いバスコには手の打ちようがないはずだと
タカをくくっていたのも確かです。
それがどうもそういうわけではなかったようで、
バスコもまた何らかの方法で大いなる力の在り処を探ることが出来るようだということが分かったのでした。

ただ、バスコがどうやって大いなる力の在り処を探ったのか、どうやって結界を破ったのか、
そんなことはもうこの際どうでもいいともマーベラスは思っていました。
どっちにしても、次にバスコに会えば、裏切りのケジメをとってぶち殺してやるつもりでいたのです。
どうせ今からバスコをぶち殺してしまうのだから、バスコが何をどうしてきたのかなど、どうでもよくなる。
いや、バスコが大いなる力まで狙っていると分かった以上、ますます絶対に殺さねばならなくなったと言っていい。
マーベラスはバスコに関する謎の解明などには興味はなく、問答無用でバスコを始末するつもりでした。
ジョー達ももちろんそのつもりで戦闘態勢に入ります。

その殺気を受けながらバスコは「ピンポ〜ン!他にも手はあるって言ったっしょ!」と相変わらず飄々としています。
そういえば確かにバスコは第16話の時、
マーベラスがレンジャーキーを渡さなかった場合でも他に手はあると言っていました。
あの時点では取引を優位に進めるためのハッタリとして言っていたのかと思われました。
が、確かに優位に立つために言ったセリフであったのは事実ですが、
全く根拠の無いハッタリではなかったようです。
レンジャーキーを全部手に入れられなかったとしても、
「大いなる力」をバスコが1つでも押さえておけばマーベラス達との取引には持ち込めるのです。
なるほど確かに、ちゃんとバスコは「他の手」は持っていたことになります。

つまり、バスコという男、その自信にはハッタリではなく根拠はあるということです。
となると、ここでのやけに余裕のある態度にも根拠はあるということになります。
ふっとバスコは冷酷な表情になって「・・・悪いけど、邪魔しないでくれる?」と言って懐から何かを取り出します。
「あれは・・・!?」と鎧が驚きます。それは3本のレンジャーキーだったのです。
マーベラス達以外にレンジャーキーを持っている者がいるとは、鎧は想像もしていなかったのでした。

マーベラス達にしても、バスコがこの前失った15個以外に
まだレンジャーキーを持っていたとは全く想像もしていなかったので、鎧とそう驚き自体は変わりません。
「まだレンジャーキーを持っていたのか!?」と驚きの声を上げながら、ジョーは身構えます。
マーベラス達は、バスコがレンンジャーキーを手にした場合、
次に何が起こるのか、先日の経験上、予測はつくのです。その点は鎧とは違います。
バスコは案の定、ラッパラッターを取出し、3つのレンジャーキーをピストン部に挿すと、
ラッパラッターを吹き鳴らします。
するとラッパラッターの吹き口から飛び出した3つの光球が3人の戦士の姿に変わり、地上に降り立ちました。
それはデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーの召喚戦士であったのです。

第16話のラストシーンでバスコが持っていた10個のレンジャーキーは、
シグナルマン、黒騎士ヒュウガ、デカマスター、デカスワン、ウルザードファイヤー、マジマザー、
大剣人ズバーン、黒獅子リオ、メレ獣人態、姫シンケンレッドのレンジャーキーでした。
そのうちの3つを今回、ゴーカイジャーに対抗するために繰り出してきたわけです。

「うっそぉ!?そんなこと出来るのぉ!?」と鎧はたまげます。
鎧はこの3人の戦士のことはもちろん知っていますが、それはあくまで地球を守るスーパー戦隊の戦士としてです。
レジェンド大戦に参加していたデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーのレンジャーキーが
マーベラス達の手元に無いことには鎧は気付いていましたが、
それはたまたままだ集まっていないだけのことだろうと思っていました。
まさかそれが敵だというバスコの手元にあって、召喚して使うことが出来るとは、全く想像していませんでした。

ただ、鎧の隣にいるヒュウガはこの召喚戦士を見ても驚いた様子は無く、
むしろ非常に警戒して立ち向かおうとして怪我の痛みで苦しみます。
ここまで警戒しているところを見ると、ヒュウガは既に召喚戦士のことは知っており、
それが強力な悪の手先であることも知っているようです。
考えてみればヒュウガは生身でもかなりの手練れの戦士であり、
そのヒュウガがここまで一方的にボロボロにされているというのは、バスコの仕業なのかどうか、
ちょっとよく分からないところです。
バスコもかなりの腕の戦士なのでしょうが、それにしてもヒュウガと対等の勝負で
変身しないバスコがここまで一方的に勝てるとも思えない。
おそらく、ヒュウガをボロボロにしたのはこの3人の召喚戦士なのではないかと思われます。

一方、マーベラス達にとってはこの3人の召喚戦士は全く未知の戦士たちです。
しかし召喚戦士そのものは未知の敵ではありません。
むしろ、召喚戦士との戦い方のコツは先日のバスコとの一連の戦いの際に把握したという自負はあります。
「倒せばレンジャーキーに逆戻り!・・・土産に持って帰るわよ!」とルカは自信満々で気合いを入れます。
そしてアイムは「鎧さん、ヒュウガさんを連れて逃げてください!」と、鎧に指示します。

鎧は召喚戦士と戦ったことはなく、しかも今は浮き足立っている。
ヒュウガへの思い入れも強いようなのでヒュウガが気になって戦いに集中出来ない可能性も高く、
怪我人のヒュウガをこの場から誰かが避難させる必要もある。
そう考えれば、ここは鎧にヒュウガの避難を任せて、
残り5人で召喚戦士やバスコと戦うのがベストの選択です。
「分かりました!」とアイムの指示に従って鎧はヒュウガの肩を担いでその場から走りだし、
マーベラス達5人はゴーカイジャーに変身し、3人の召喚戦士との戦闘を開始したのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:32 | Comment(0) | 第20話「迷いの森」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月30日

第20話「迷いの森」感想その3

森の中ではゴーカイジャーに変身したマーベラス達5人と
デカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーの3人の召喚戦士とのレンジャーバトルが始まりました。
前回のバスコとの戦いの際のレンジャーバトルは5対5であったり5対10であったりして、
マーベラス達の側は常に余裕の無い戦いを強いられてきていました。
それが今回は5対3ですから、マーベラス達の方はゆとりがあります。
どうしてバスコが不利を承知でレンジャーキーを小出しにしているのかというと、
残りの手持ちのレンジャーキーが10個しかないので、一度に多くを失うことを恐れているからでしょう。
ただ、むざむざ負ける戦いをするバスコでもないわけで、それはそれなりに勝算もあるようです。

まず5対3で戦い始めて、すぐにジョーはマーベラスに「行け!」と言います。
3人の召喚戦士との戦いは自分達4人で十分だから、お前はバスコを倒せ、という意味です。
あくまで裏切り者に対するケジメとして1対1の決闘でバスコを倒したいというマーベラスの意地を、
ジョー達4人の仲間は尊重するスタンスなのです。
これを受けてマーベラスは単身バスコに向かって突っ込みますが、その前にサリーが立ちはだかります。
「邪魔だぁっ!!」と怒鳴ってゴーカイサーベルをバスコ目がけて振り下ろすマーベラスですが、
サリーはシンバルを駆使してマーベラスの攻撃を防いでバスコを守ります。
バスコはサリーの防御力に信頼を置いているのか、それともサリーが突破されても紙一重でかわす自信があるのか、
マーベラスが目の前で殺気をぶつけて剣を何度振り下ろしてきても微笑を浮かべたまま微動だにしません。
このあたり何とも得体の知れない感じがして悪役として魅力的です。

サリーは前回の戦いの際はシンケングリーンに変身したハカセを捕まえようとして
逆に返り討ちにあってしまった程度の実力ですから、
ゴーカイレッドに変身した状態のマーベラスに勝つ力はありません。
ただ防御に徹する限りはそれなりの力は発揮出来るようで、
マーベラスはバスコを倒すためにはまずはサリーを倒さねばならない羽目に陥ってしまいますが、
防御に徹したサリーは意外にしぶとく、バスコを目の前にして手を出せない状態にマーベラスはイライラしてきます。

一方、マーベラスをバスコのもとに走らせて4対3の戦いを選択したジョーとルカとハカセとアイムは、
3人の召喚戦士たちと戦いながら森の茂みを抜けて川の近くの岩場に戦いの場を移していました。
ジョー達は召喚戦士が相手なら4対3で十分勝てると見ていました。
前回の召喚戦士軍団とのレンジャーバトルの際は、
5対5の局面でのタイマン勝負でも、5対10の局面でのチームワーク勝負でも、
いずれの場合も召喚戦士を打ち破ってきました。
だから、召喚戦士の戦闘力のレベルは把握しているつもりでおり、
自分達の方が数が多い状況ならばまず負けることはないという、ちょっとした慢心があったのでした。

ところが、このデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーという3人の戦士は、
前回ジョー達が戦った15人の召喚戦士よりは格上の戦士でした。そのことはジョー達は知りません。
鎧がいればそれを知ることは出来たのかもしれませんが、
鎧をヒュウガを避難させるために別行動をとらせてしまったので、
ジョー達は気の緩んだ状態で予想外に強い戦士と相対することになってしまったのでした。

デカマスターは「特捜戦隊デカレンジャー」に登場した宇宙警察地球暑の署長ドギー・クルーガーの変身する戦士です。
ドギー自身は変身能力を失った状態で「ゴーカイジャー」第5話に登場してマーベラスと熱いドラマを演じましたが、
ここで出てきているデカマスターはもちろんドギー本人ではなく、その戦う力が実体化しているだけの召喚戦士です。
ただドギーの変身するデカマスターは地球暑でも最強の戦士で、
部下を育てることを使命とする管理職としての意識で、部下たちに依存心を生じさせないために
基本的に変身しない方針を貫くほどでした。

つまりデカマスターに変身して戦えば
「もうボスだけでいいんじゃないか?」と言われてしまいそうなぐらい強いということです。
その強力無比な戦う力はレンジャーキーにそのまま封じられており、
召喚戦士には戦士の魂が無い分、その戦う力の全てを引き出せるわけではないが、
それでももともと封じられている戦闘力が強大であるため、
例えば前回のレンジャーバトルで登場した同じデカレンジャー戦士であるデカブレイク召喚体よりも確実に強いのです。

同じことはウルザードファイヤーとマジマザーの召喚体にも言えます。
この両名とも「魔法戦隊マジレンジャー」に登場する戦士で、しかもこの2人は夫婦なのですが、
デカマスター同様、いわゆる別格扱いの戦士でした。
ウルザードファイヤーはマジレンジャーの小津兄妹たちの父親で、
人間ではなくて天空聖界マジトピアに住む天空聖者にして伝説の勇者ブレイジェルの変身した戦士でした。
天空聖界の最高の実力者であり、最強の魔法使いです。
前回のレンジャーバトルで登場したマジレンジャー戦士であるマジシャシンはこのウルザードファイヤーの弟子にあたり、
当然、ウルザードファイヤー召喚体はマジシャイン召喚体よりも強いのです。

まぁマジレンジャーが最強形態であるレジェンドマジレンジャーになればウルザードファイヤーよりも強いようですが、
ゴーカイジャーはレジェンドマジレンジャーにはなれておらず、
今のところ通常版のマジレンジャーを基準に考えるべきであり、
そうなるとウルザードファイヤーは「マジレンジャー」という作品においては最強の戦士ということになります。

マジマザーはそのウルザードファイヤーに変身する天空聖者ブレイジェルの妻である小津深雪が変身する戦士です。
つまりマジレンジャー小津兄妹の母親です。
ブレイジェルは人間になりきって人間界に暮らしていた頃は小津勇と名乗っており、
それで妻も小津姓なのですが、深雪は天空聖者ではなく人間界生まれの普通の人間でした。
ですが、ブレイジェルが姿を消した後、深雪はブレイジェルの師匠である、
かつて天空聖界において最強だった天空聖者に弟子入りして魔法の修行を長年積んでおり、
その魔法力は強大で、おそらく人間界における最強の魔法使いです。
通常版のマジレンジャーよりは確実に強いと思われ、しかも終盤に再登場した後は謎のパワーアップをしており、
ウルザードファイヤーに迫るほどの戦士という感じの描写でした。
だから、レンジャーキーに封じられた戦う力もかなりのものであろうと思われ、その召喚体も恐ろしく強いはずです。

ジョー達は召喚戦士はみんな前回戦ったぐらいのレベルだと思っており、
しかも相手の数が少ないものだから安心してしまっている部分があります。
そういう状態でこの3戦士と戦う羽目になったのですから大変です。
ジョーはデカマスターと1対1で戦い、ハカセはウルザードファイヤーと1対1で戦っていましたが、
どうも相手の強さが只事ではないと気付き、慌てて武器交換して、
ジョーはハカセから剣を受け取り二刀流になり、ハカセはジョーから銃を受け取り二丁拳銃スタイルになり、
それぞれ自分の最も得意とするスタイルで相手を迎え撃とうとします。

一方、マジマザーと戦っていたルカとアイムも武器交換でルカは二刀流、アイムは二丁拳銃スタイルという
自分の最も得意とするスタイルになって戦おうとしますが、
マジマザーのマジスティックから発した冷気の攻撃を受けてしまいます。
ハカセは二丁拳銃スタイルになってもドーナツの箱を手放さず、
頭に載せて戦ったり、片手に提げて戦ったりしていました。
見た目は面白くていいのですが、こんな舐めた戦い方でウルザードファイヤーに勝てるはずもなく、
ハカセの攻撃は全てジャガンシールドに弾かれてしまい、
ウルザードファイヤーの強烈な炎の剣の一閃を受けてしまいます。

ジョーもデカマスター相手に剣の勝負を挑みますが、何せデカマスターは銀河一刀流の免許皆伝の腕前ですから、
召喚体といえどもその剣の腕は冴えており、
剣の道を究めようとするジョーといえども未だ発展途上ですから、まだデカマスターの剣の腕には及ばないようです。
剣の腕といえばシンケンレッド志葉薫という最強クラスの剣術家とも対等の勝負をしていたジョーですが、
あれは互いに変身していない状態で、しかも互いに本気を出した勝負ではありませんでしたから参考にはなりません。
姫シンケンレッドとデカマスターのどちらが剣の腕が上かというと、流派が違うので何とも難しいですが、
純粋に剣力だけならば実戦経験が圧倒的に多いデカマスターの方がやや上ではないかと思われます。

だから志葉薫と模擬試合で互角だったからといってジョーがデカマスターに勝てるというわけもなく、
じりじりと追い込まれてしまいます。
そこに劣勢に陥ったルカとアイム、そしてハカセも追い込まれてきます。
気が付けばそこは崖っぷちで、ジョー達は油断していたことを悔いますが、もはや完全に袋のネズミで、
豪快チェンジで局面打開する暇もなく、3人の召喚戦士の攻撃を喰らって崖下に転落し、
崖下の川の流れに呑みこまれてしまいました。

そのジョー達4人が川に転落した音に、やや下流の方の河畔で気付いた者がいました。
ここでは後ろ姿しか映りませんが、その特徴的な白と赤の服装は、ヒュウガと同じ系統の衣装で、
つまりギンガの森の民であることが分かります。
まぁギンガマンを見ていた視聴者ならば、
衣装を見ただけでこれがギンガレッド・リョウマであることは分かるはずですが。

つまりリョウマということはヒュウガの弟です。
ヒュウガと共にギンガの森で暮らしていたはずのリョウマが
ギンガの森の外に出て河畔に佇んでいるというのはよく考えると変な話です。
まぁもともとリョウマは結界の外に遊びに出ることが好きな男ではあったのですが、
ここでは遊びではなく、兄のヒュウガの行方を探していると解釈するべきでしょう。

ギンガの森がバスコの襲撃を受けてもリョウマは無事のようでヒュウガだけが傷ついているということは、
バスコはヒュウガだけをピンポイントで襲ったようです。
つまりヒュウガがギンガマンの「大いなる力」を手に入れるためのカギとなる存在であるということであり、
バスコはそれを知って襲ってきたのでしょう。
リョウマは当然、兄のヒュウガがいきなり侵入してきた何者かに襲われて結界の外に逃げたということを知り、
心配になってヒュウガを探しに結界の外に出てきて物音に耳をこらしていたようで、
そこにジョー達が川に落ちた音が聞こえてきたのです。
ヒュウガが川に落ちた音ではないかと思い、リョウマは川の上流の方に向かっていったのでした。

さて、その頃、ヒュウガの肩を担いで逃げた鎧の方は、森を出て少し離れた荒地に差し掛かっていました。
そこでヒュウガが急に苦しそうに呻いたので鎧が見てみると、
ヒュウガが肩に刀傷を負って出血していることに気付きました。
「・・・ヒュウガさん!?」と驚いて立ち止まり、鎧は近くの岩のところにヒュウガを座らせ、怪我の手当をします。
「すいません!気が付かなくて・・・」と鎧は恐縮します。
肩を貸していたわけだから、ヒュウガが足をひきずっていることには気づいていた鎧ですが、
肩にそんな大きな傷があったことには気づいていませんでした。
しかしそんなことは少し見れば気付きそうなもので、そんなことにも気づいていなかったことからも、
ヒュウガに出会ってからの鎧が相当舞い上がっていたのが窺えます。

しかし、ヒュウガは「いや・・・俺の方こそ、世話をかけて済まない」と謝ります。
どうもヒュウガが相当痛んでいる傷のことを言おうとしていなかったのは、
鎧に出来るだけ世話をかけたくなかったからのようです。
それは単なる遠慮というわけではなく、自分の世話に手間をとらせたくないという気遣いであったようです。
それはヒュウガも元スーパー戦隊の戦士だからこその気遣いです。

仲間が敵と戦っている最中に怪我人の避難のために戦線離脱しなければいけない時というのは
気持ちが焦るものだということはヒュウガはよく知っています。
早く戻って仲間の力になりたいし、敵を倒して被害の拡大を食い止めたいと思いながら、
目の前で苦しんでいる人を放っていくことも出来ない、そういうジレンマに苦しむものなのです。
鎧をそういうジレンマで苦しめたくはない。早く仲間たちの戦いの場に戻してやりたいと思っていたヒュウガは、
怪我が酷いことは黙っていようとしていたのです。
ところが怪我の状態がバレてしまって鎧にまた余計な手間をかけさせたことがヒュウガは心苦しかったのでした。

ところが鎧は「とんでもない!お役に立てて光栄です!」と明るい調子で言ってのける。
ヒュウガの気を軽くするために無理をして言っているようにも受け取れるが、
ヒュウガは相手が無理をしているかそうでないかぐらいは分かります。
鎧は本気でヒュウガの手助けを出来たことを光栄に思っており、
マーベラス達の戦いの手助けを出来ていないことに負い目は感じていないようなのです。
そのことを感じ取ってヒュウガは違和感を覚えました。
そこまで先輩戦士である自分を慕ってくれているのは確かに嬉しかったが、
だからといって自分の本当の仲間をほったらかしにして平気というのは、
地球を守るスーパー戦士として、ちょっと違うんじゃないかと思い、ヒュウガは複雑な気分になり苦笑いします。

鎧は続けて、どうして自分がそこまでヒュウガを大事に思っているのかについて説明します。
「俺・・・ヒュウガさん達スーパー戦隊の皆さんに憧れてて・・・
小さい頃からこの星を・・・宇宙全体を守るヒーローになるのが夢だったんです!」と鎧は目を輝かせて言います。
ある種の告白のようです。

そういえば鎧はさっき森の中でヒュウガに出会ってからずっとヒュウガのことを「ヒュウガさん」と呼んでいます。
当たり前のことのようですが、確か臨死体験でアバレキラー仲代壬琴たちに会った時は
彼らのことを本名では呼んでおらず、変身後の戦士名で呼んでいました。
特に壬琴は変身前の姿に戻って素顔を晒したにもかかわらず、
その後もずっと鎧は壬琴のことを「アバレキラーさん」と呼び続けていました。
これは要するに鎧は壬琴の名前を知らないということなのでしょう。
いや、変身前の顔すら知らなかった可能性もあります。
だからこそ、壬琴と直人とブライは変身後の姿に擬態して鎧の前に現れたのでしょう。

この「ゴーカイジャー」の物語世界は実際に過去に34のスーパー戦隊が
我々の住む現実世界でTV本編で放送された物語の設定のまま存在していた世界ですから、
例えば秘密戦隊であったゴレンジャーのメンバーの変身前の顔や名前はこの世界の住人は知らないのです。
同様に非公然戦隊であったアバレンジャーのメンバーに関する情報も、
変身後の戦士名は把握していても、変身前の顔や名前などは広く知られていない可能性が高い。
大抵の戦隊はそんな状態でしょう。
その気になれば色々と調べる手段などもあり、ある程度は判明している情報もあるのかもしれませんが、
鎧ほどのスーパー戦隊の熱心なファンでも、この物語世界においては
知らないこともかなりあると見た方がいいでしょう。

ところが鎧は「小さい頃からスーパー戦隊に憧れていた」と言っています。
しかし、「スーパー戦隊シリーズ」という子供向け番組が35年間放送されている現実世界ならばいざ知らず、
この鎧の生まれ育った物語世界では「スーパー戦隊シリーズ」は放送されておらず、
スーパー戦隊というものはそんなに小さい子供に馴染みのあるものではないはずです。
むしろある程度の年齢に達して分別のつくようになった人がマニア的に愛好するもののように思えます。
例えば第1話でもスーパー戦隊に詳しいのは大人の保母さん達の方であり、
子供たちはあまりスーパー戦隊のことを知らなかった。

だから、鎧は確かに小さい頃からスーパー戦隊に憧れ始めたのでしょうが、
34のスーパー戦隊について広い知識を身に付けるようになったのは、
それなりに自分で書籍やネット情報などを使いこなすことが出来るようになって以降のはずです。
それ以前のもっと小さい頃というのは、
スーパー戦隊というものの存在を知って漠然とした憧れを抱いていただけだったと思われます。

だから鎧が小さい頃に最初に憧れたスーパー戦隊というのは、
小さい子供が理解しやすい形でまとめられた戦隊であったはずです。
すなわち、この「ゴーカイジャー」の物語世界において34のスーパー戦隊の中でただ1つ、
絵本でその戦いの物語がまとめられていた戦隊であるギンガマンがそれに該当するはずです。

鎧は今、「小さい頃からスーパー戦隊に憧れて地球や宇宙を守るヒーローになりたいと思っていた」と言いましたが、
それはつまり「星の伝説」という絵本に描かれたギンガマンの物語への憧れから始まっているのです。
つまり鎧はこの「星の伝説」という絵本を子供の頃に親にでも買ってもらって愛読していたのでしょう。
この絵本は鎧にとってスーパー戦隊への憧れの原点であり大切な想い出の品なのです。
ですから、やたらと大切にしているのです。
そして、鎧が初対面のヒュウガの変身前の姿を見て、すぐにヒュウガだと判別出来たのは、
「星の伝説」に描かれていた登場人物のヒュウガそっくりだったからです。
まるで絵本の中から子供の頃に憧れたヒーローが飛び出してきたような感覚で、鎧は舞い上がっていたのです。

そのように考えると、鎧の過剰なまでのはしゃぎっぷりも、無理もないような気もします。
鎧にとってヒュウガをはじめとするギンガマンは、
単なるスーパー戦隊の先輩戦士という域を超えた特別な存在、
幼き日に仰ぎ見たヒーローなのです。

また、そう考えると、どうして鎧が第18話で自分の戦いの目標を
「宇宙を守るヒーロー」としたのかというのも腑に落ちます。
あれは直接的には、アバレキラー仲代壬琴に示唆された「ときめき」を鎧が自分なりに追求した結果、
出てきた考え方でした。
「ときめき」をもたらすものは「困難な目標に挑戦すること」(すなわち「アバレ」)であることに気付いた鎧は、
地球を守るだけでなく、いっそ宇宙を守るヒーローになることが、より大きな「ときめき」を得る道だと思ったのです。

しかし、困難な目標といえば他にも様々なものは思いつくはずです。
それなのにどうして鎧は「宇宙を守るヒーローになる」「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という
ビジョンが真っ先に浮かんだのか?
それは、やはり鎧にとっての憧れのヒーローの原体験が「星の伝説」に描かれたギンガマンだったからでしょう。

ギンガマンは、宇宙の平和を守る伝説の動物である星獣の力で戦う、まさに「宇宙の平和を守るヒーロー」であり、
実際、宇宙全体を荒らし回って星々を滅ぼしていた宇宙海賊バルバンを地球における戦いで倒して、
宇宙の平和を回復したのです。
つまり、鎧の打ち立てた目標は、バルバンをザンギャックに入れ替えただけで、
それ以外はギンガマンのやったことと全く同じなのです。
自分にとって最も大きな「ときめき」を得られる、最も困難な目標とは何だろうか?と鎧が考えた時、
瞬間的に脳裏に浮かんできたのが、子供の頃、遥か高みに仰ぎ見ていた絶対的ヒーロー、
ギンガマンの成し遂げた偉業にチャレンジすることであったのでした。

ただ、鎧の頭の中でその発想がすんなり出てきたのは幼い頃のそうした想いがあったからでしたが、
鎧がその道を最終的に選び取ったのは、単に「幼い日の夢を実現するため」などではなかった。
現在の地球や宇宙の状況を考えて、やはりザンギャックを倒すべきだと思ったからでした。
幼い日の夢があったからこそ、無意識的にザンギャックを倒すという困難に挑戦する道を発想することは出来たけれども、
第18話の時、鎧は幼い日の夢のことを意識して「宇宙を守るヒーロー」への道を決断したわけではないはずなのです。

ところが、鎧はこの森で幼い頃に憧れた絵本のヒーローであったヒュウガと現実に出会い、
すっかり舞い上がってしまいました。
憧れのヒーローであったヒュウガと普通に喋り、肩を担いでヒュウガのピンチを救うなんて、
ゴーカイシルバーになる以前の鎧では考えられない夢のような経験でした。
あまりにそれが心地よく感じたために、鎧は自分がずっとこのような経験をすることを望んでいて、
その夢が叶ったかのように錯覚してしまっていました。
つまり、自分は子供の頃からずっとスーパー戦隊の戦士の仲間になることを夢見ており、
ゴーカイシルバーになったことでその夢が叶ったのだと思ったのです。
その高揚感で、鎧はヒュウガの手助けをすることが光栄なことで、
それが地球や宇宙を守るスーパー戦隊の仲間入りという夢を果たした自分のやるべきことであるかのように感じ、
夢を達成した喜びをヒュウガに伝えたのでした。

しかし本当は鎧がゴーカイシルバーになったのは、
「スーパー戦隊の仲間入りをするため」などではなかったはずです。
別の目的があったはずです。
だが、その認識が実はイマイチ曖昧なのです。
何故なら、鎧がゴーカイセルラーを貰って変身出来るようになった時点では、
鎧には特には戦う目的は無く、ただ何となく地球を守る(と鎧が思っていた)スーパー戦隊の
現役戦隊であるゴーカイジャーの仲間になることが目的となっていたからです。
その後、マーベラスに「俺が欲しいと思う何かを見せろ」と言われて一旦仲間入りを拒絶され、
それによって、鎧は自分独自の戦う目標「宇宙を守るヒーロー」としてのゴーカイシルバーというものを確立し、
ゴーカイジャーの仲間入りを果たしたのでした。

だから本当はこの時点で鎧は「宇宙を守るヒーロー」としてのゴーカイシルバーという
独自のヒーロー像を掴んでいるはずなのです。
この時、真の意味でのゴーカイシルバーというヒーローが誕生したのですが、
それ以前に変身アイテムを貰って変身は出来ていたので、
最初に変身して戦った時点がゴーカイシルバー誕生の瞬間という解釈も出来るわけで、
その解釈だと、ゴーカイシルバーの当初の目標は
「スーパー戦隊の仲間入りをすることだった」という風にも解釈出来てしまいます。

こういう曖昧さがあるため、
本当は鎧はゴーカイジャー加入時に「宇宙を守る」という独自の目標を確立していたにもかかわらず、
ヒュウガに会って舞い上がってしまった結果、
自分がゴーカイシルバーになったのは「スーパー戦隊の仲間入りをするためであった」と錯覚してしまったのでした。

鎧はここでヒュウガに「小さい頃から地球や宇宙全体を守るヒーローになるのが夢だった」と言っていますから、
これは一見、鎧が「宇宙を守るヒーロー」という自分の目標をしっかり把握出来ているように見えますが、
これはちょっと意味合いが違います。

鎧が第18話で「宇宙を守るヒーロー」を目標とした際、
別に小さい頃の夢を実現しようという意識など無かったはずです。
小さい頃は確かにそういう夢はあったのかもしれないが、ずっとそんな夢を持ち続けていたのかどうかも怪しい。
スーパー戦隊ファンではあり続けていたようですが、
自分がスーパー戦隊と同じように戦おうと言う意識があったかというと、それは疑問です。
「子供の頃の夢」で終わっていたのではないかと思います。
よって、鎧がゴーカイシルバーになってから「宇宙を守るヒーロー」になろうと心に決めたことと
子供の頃の夢は全く関係は無い。
現在の鎧が独自の判断でその目標を目指すことを決断したのです。

ところがヒュウガと出会ってから舞い上がってしまった鎧は、
今の自分が「宇宙を守るヒーロー」を目指しているゴーカイシルバーたり得ているのは、
子供の頃からの「スーパー戦隊の仲間入りをしたい」という夢が叶った結果であると錯覚しています。
何故なら、スーパー戦隊とはギンガマンのように地球や宇宙全体の平和を守るヒーローだからです。
そういう「宇宙を守るヒーロー」であるスーパー戦隊の仲間入りをしたいと夢見ていた自分だからこそ、
「宇宙を守るヒーロー」であるゴーカイシルバーとなって、
スーパー戦隊の仲間入りをすることが出来たのだと、鎧は解釈しているのです。

これは錯覚であって、実際は鎧が「宇宙を守るヒーローになりたい」と思ったことと
スーパー戦隊とは全く関係はありません。
でも今の鎧はそれを結び付けてしまっており、
スーパー戦隊の仲間入りという夢を実現した自分だからこそ
「宇宙を守るヒーロー」になることが出来るのだと思ってしまっているのです。
つまり、「宇宙を守るヒーロー=スーパー戦隊の戦士」なのであり、
鎧は自分自身が独自に「宇宙を守るヒーロー」となり得るのではなく、
自分はスーパー戦隊の仲間入りをすることによってのみ
「宇宙を守るヒーロー」となり得るのだと思ってしまっています。

しかしヒュウガはそういう鎧の錯覚に基づいた考え方には気付かず、
鎧のことを「子供の頃から自分達スーパー戦隊を見習って
地球や宇宙を守りたいという使命感を持っていた感心な若者」だと思い、
さぞ独自の努力を積み重ねた結果、ゴーカイシルバーとなるという目標を達成したのだと思い、
にこやかに笑い「それでゴーカイシルバーに・・・?」と問いかけます。

これに対して鎧は快活に「はい!これ貰って変身出来るようになりました!」と言って、
ゴーカイセルラーを取り出して掲げます。
これにはヒュウガは再び苦笑します。
ヒュウガとしては、鎧がどんなに苦労してゴーカイシルバーになったのか、
そういう話になると思っていたもので、拍子抜けしたのです。
ヒュウガは単に鎧が説明が下手なだけで、苦労話をすっ飛ばして
いきなり変身アイテムを手に入れた話に飛んでしまっただけだと解釈したのですが、
実際は苦労話など無く、本当に鎧は唐突に変身アイテムを与えられただけだったのでした。
星を守る戦士となることを目指しての厳しい修行と競争、試練や試験を潜り抜けて
ようやく変身アイテムのギンガブレスを手にする資格を得たギンガの森の戦士であったヒュウガには、
鎧のような安易な変身アイテム入手のケースは理解の外にあったのです。

しかし、実際は鎧はヒュウガのように確固とした「星を守る戦士となりたい」という目的意識も、
それに見合ったほどの努力もしていない状態で、いきなりゴーカイセルラーを与えられたのでした。
この、あまりに何の目的意識も苦労も無く、いきなり変身出来るようになったというのが、
鎧が自分がゴーカイシルバーになった意義を曖昧にしか解釈出来ず、
ヒュウガに出会って舞い上がっただけで「子供の頃の夢を叶えるため」などという錯覚をしてしまう
最大の原因となっているのです。

確かにゴーカイジャー加入時に「宇宙を守るヒーローになる」という目標は独自に定めたはずなのですが、
それもまだ頭で考えたものに過ぎず、
実際に鎧はゴーカイシルバーになるに際してレジェンド戦士のアバレキラーからその資格を与えられただけで、
自分の手で苦労してゴーカイシルバーになる権利を掴み取っていないから、
どうしても基本的にはゴーカイシルバーというヒーローはレジェンド戦士たちに属しているもののように感じられ、
まだ鎧自身のものになっていないのです。
だからゴーカイシルバーという戦士はスーパー戦隊の仲間入りをするのが当たり前のように錯覚されがちで、
「宇宙を守るヒーロー」という目標も、ゴーカイシルバーである鎧の独自の目標ではなく、
スーパー戦隊全体の「宇宙を守る」という目標の中で新入り戦士としてその役割を担当しているに過ぎない
というような錯覚した卑屈な意識となってしまいがちなのです。

そうした卑屈な意識で鎧が続いて発した言葉には、さすがにヒュウガも異常を感じずにはいられませんでした。
鎧は「まぁ、でもヒュウガさん達に比べたら、俺なんか全然敵わないっていうか・・・まだまだヒヨっ子です!」と
照れ臭そうに言ったのでした。
鎧としてはこれは「大先輩に向かって正直に本心を吐露した」という意識での発言であり、
同時にそれによって先輩を持ち上げることにもなるという、ある種の媚びも含まれた発言でした。

言っていることは鎧の本心であり、一切ウソはありません。
また、事実でもあります。
百戦錬磨のヒュウガや他のレジェンド戦士達に比べれば、
鎧がまだまだヒヨっ子のような未熟者であることは紛れもない事実で、
それを言ったからといって、それは見え透いたお世辞やお追従というわけではない。
鎧としては大先輩の前で正直でありたいと思って言ったのでしょう。
しかし、こんなことはあえて言う必要性は無い言葉です。
それをあえて言ったというのは、そう言うことで
「正直な後輩だと思われたい」や「遠まわしに強いと褒められることで先輩が喜んでくれる」というような
効果を内心では見込んでいないこともない。
そういう先輩に対する後輩の甘えや媚びが含まれた発言です。
内容に悪質なウソや不誠実が無い以上、これは普通は全く問題ない発言です。
むしろ後輩としては可愛げのあるタイプだといえるでしょう。

しかしヒュウガはこの鎧の発言を聞いて、急速に表情を険しくしていきます。
それはヒュウガがスーパー戦隊というものを
そういう後輩戦士が先輩戦士に甘えたり媚びたりする組織めいたものとは捉えていないからです。
もちろん人間同士ですから長幼の序や上下関係というものはあります。
プライベートではそれに基づいた甘えや媚びなども駆使して円滑な人間関係をこなしていく必要はあります。
しかしスーパー戦士の場合、戦士としては上とか下とかは無いのです。

地球を守るとか宇宙を守るとか、目標は何であれ、自分が達成すると決めた目標に向かって戦う限り、
それは自分の戦いなのであり、その自分の戦いを遂行出来る者は自分しかいない。
他人は自分の戦いの当事者にはなってくれないのです。
だから、相手が先輩だとか格上だからといっても、自分の戦いの代わりをしてくれるということはない。
だから上とか下とか比べるのは無意味なのです。
どんな実力者でも、他人の戦いを他人よりも上手に出来る者など存在しません。
自分でやると決めた自分の戦いは自分がやり遂げるしかないのです。

もちろん戦隊はチームで戦いますが、
それはそれぞれの自分の戦いが目的がたまたま一致していたり、
協力できるもの同士である場合に力を合わせているだけのことで、
1人1人の戦士は自分の決めた自分の戦いは自分がやり遂げるという自負心を持った者であるべきなのです。
というより、目の前の戦いを自分の戦いだと自覚している者であれば、自分でやり遂げようと思うはずであり、
他人はそこに関係ないことも分かっており、他人と比べて上だとか下だとか言ったりはしません。

そういうことを言うということは、自分の戦いだという自覚が出来ていないということであり、
そういう者は他人が自分の戦いを助けてくれるものだと思い、必ず他人に依存しようとします。
その結果、自分の戦いを自分1人の力でやり遂げることが出来ない。
もちろん他人も自分の戦いの領域まで来て助けてくれませんから、その戦いは中途半端で終わってしまいます。
結局、そういう戦士の自覚なき者と一緒に戦うことは、周りの仲間にとっても危険なことなのです。

鎧が自分のことを他のスーパー戦士たちと比べてひよっ子のようなものだと言ったのを聞いて、
ヒュウガは鎧が「宇宙を守るヒーローになるのが夢」だと言いながら、
それを自分の達成すべき目標として強い意志で自覚出来ていないことに気付きました。
では何故、鎧は「宇宙を守るヒーローになるのが夢」だなどと言うのかと不思議に思ったヒュウガは、
さっきの鎧の言葉から、鎧が自分達スーパー戦隊に強い憧れを抱いていたことを想い出し、
それでどういうことなのか分かりました。

つまり鎧は「宇宙を守ること」自体が夢なのではなくて、
「宇宙を守るスーパー戦隊の仲間に入ることが夢」なのだとヒュウガは気付いたのです。
だから、さっき戦いに行くことよりも、スーパー戦隊の先輩戦士であるヒュウガの役に立つことの方を
光栄だと言ったのです。
また、鎧が変に先輩であるヒュウガに甘えたり媚びたりする態度も、
要するにスーパー戦隊の仲間内の可愛い後輩であろうとする姿勢なのだということにヒュウガは気付きました。

「宇宙を守る戦い」よりもそのようなことを優先するということは、
つまり鎧は単にスーパー戦隊に憧れているだけの男であり、
本気で「宇宙を守りたい」と思って努力してゴーカイシルバーになったわけではないとヒュウガは思いました。
本気でそう思って努力したのならば、今の鎧のような態度にはならないはずだからです。
おそらくいきなり変身アイテムを貰って、まだ戦士としての心構えが出来ていない状態で戦士になってしまったのだろう。
それゆえ鎧は「宇宙を守る戦い」を自分だけがやり遂げるべき自分の戦いと自覚することが出来ておらず、
スーパー戦隊全体の戦いとして捉えており、自分はその中で新米として働いている意識でいる。
そのような意識で戦う者は結局は他の者に依存しようとして自分の戦いを完遂出来ず、
自分にも他人にも危険を招くことになります。

そのようにヒュウガが危惧していると、
案の定、鎧はヘラヘラ笑いながら「俺、もっとヒュウガさん達の戦うところ見たかったです!」などと言います。
「宇宙全体を守るヒーロー」というと並大抵のものではない厳しい戦いを覚悟せねばいけないはずです。
その厳しさを自分1人で受け止めようという姿勢とはほど遠い、
単なるファン心理か、スーパー戦隊の末席に仲間入り出来たことで舞い上がって満足してしまっているかのような
鎧の態度にヒュウガは苛立ち、鎧の軽口を遮るように声を荒げて
「・・・じゃあ!・・・それ、俺にくれよ・・・!」と言います。

いきなりヒュウガの声の調子が変わったので鎧は少し驚き「えっ!?」と問い返します。
それに応えるようにヒュウガはすっと手を伸ばして
鎧の持っているゴーカイセルラーの前に掌を上に向けて差し出し、
「俺がゴーカイシルバーに変身する・・・」と冷たい声で言ったのでした。

鎧は呆気にとられてヒュウガの顔を眺めます。
つまりヒュウガは鎧にゴーカイセルラーを譲るよう頼んでいるのです。
その目的は鎧に代わって自分がゴーカイシルバーに変身して戦うことだというのです。
確かに鎧はヒュウガの戦う姿を見たいと言ったし、それは本心でそう言ったのですが、
それはあくまで黒騎士に変身して戦うヒュウガの姿を見たいと言ったのであり、
ヒュウガがゴーカイシルバーに変身するということを想定はしていませんでした。
鎧はあまりの意外な展開に驚き、言葉を無くして立ち尽くします。

さてここで場面は変わって、森の中でのマーベラスとサリーの戦いですが、
サリーはマーベラスを攻撃しようというわけでもなく、バスコを守るために防御に徹していました。
それでバスコに近づけなくて苛立ったマーベラスはまず邪魔なサリーを片付けてやろうとムキになって、
サリーを倒しにかかります。
するとサリーは今度は防御しながら巧妙に逃げ回り、マーベラスもサリーを追い詰めながら移動していきます。
そしてとうとうサリーがマーベラスの猛攻にたまりかねて木の上に跳んで避難すると、
マーベラスは振り向いて「バスコ!!」と怒鳴ります。これでバスコとようやく戦えると思ったのです。

ところがバスコの姿はいつの間にか消えていました。
ハッとして周囲を見渡しますが、何処にもバスコは見当たりません。
木の上ではサリーが小馬鹿にしたような鳴き声を上げています。
バスコはサリーを囮にしてマーベラスの目を引きつけておいて、その隙に何処かへ移動したようです。
どうやらまんまとバスコの作戦に嵌められたようだと気付いたマーベラスは、
「チッ!どこ行った!?」と舌打ちしながら、
きっちり背面撃ちで木の上のサリーをゴーカイガンで撃ち落として腹いせはしておいて、
鎧がヒュウガを避難させるために向かっていった方向へと駆け出していったのでした。
おそらくバスコはギンガマンの大いなる力を手に入れるためにヒュウガを追って行ったに違いないと、
マーベラスは判断したのでした。

一方、3人の強力な召喚戦士に敗れて崖から転落して川に落ちたジョーは、
ハッと目覚めると川岸に倒れている自分に気付き、起き上がります。
すぐ傍にはルカとアイムも川岸に打ち上げられて倒れています。
「おい!しっかりしろ!」とジョーはルカとアイムを揺すり起こし、
2人とも気を失っていただけのようで、ほどなく目を覚ましました。
ジョーは崖から落ちる前に召喚戦士たちから喰らったダメージのせいで、ずっと意識が無かったようで、
崖から落ちてからの記憶が全くありませんでした。
ルカとアイムも見たところ同じような状態だったようです。

つまり意識の無いまま川を流されていたと思われ、
そんな状態で無事に岸に上がっていること自体が奇跡的である上に、
3人揃って同じ場所に打ち上げられるなどという偶然があるとも思えない。
これはいったいどういうことなのか?とジョーが考え込んでいると、
背後で川の中を歩く水音を立てながら「気がついたかい!?」と声をかけてくる者がいます。
振り向いて見ると、白と赤のあしらった変わった服装の男が、ハカセを担いで川から上がってくるところでした。
「良かった・・・!」と安堵した様子で爽やかに笑うこの男が、
どうやら自分達を川の流れから救い出してくれたようだとジョー達は気付きました。

この男、服装を見れば分かるように、さっきジョー達が川に落ちた音を聞いて下流の方で反応していた男です。
そして、あの時点で想像がつく人には想像がついていた通り、ここで遂に正面から顔が映りましたが、
やはり元ギンガレッド・リョウマでした。
演じているのはオリジナル役者の前原一輝氏で、
13年前の「ギンガマン」で主役リョウマを演じた時は24歳であった前原氏も今は37歳で、
既に俳優業を引退しておりブランクがあるためか、ややセリフ回しや立ち姿に違和感はあったが、
爽やかな笑顔は当時のリョウマそのままでした。

このリョウマ、誰かが川に落ちる音を聞いて、
謎の暴漢に襲われて結界の外へ逃れた兄のヒュウガが川に落ちたのではないかと思い、
慌てて上流の方へ駆けていったところで、意識を失って流されていくジョー達4人を発見したようです。
心優しい男であるリョウマがこれを見過ごすことが出来るはずもなく、4人を助けたようです。
岸に置かれた3人の位置を見ると分かるが、やはりレディファーストで助けたようです。
一度に1人しか運べないので、リョウマ1人で川を流れていく4人を助けるのはかなり大変であったと想像出来ますが、
「あんたが助けてくれたのか?」というジョーの問いかけに対して
リョウマは「ここまで運んだだけさ・・・大したことはしてないよ!」と答えます。

ジョーは不愛想というか不器用な性格なので、こういう場面で素直に感謝の言葉を言うのが苦手で、
アイムが「ありがとうございます!この御恩は忘れません!」と丁寧にお辞儀をして
皆を代表して感謝の意を伝えます。
ルカはリョウマからハカセを受け取り、気を失っているハカセを揺すって起こしていますが、
ハカセはなんと意識を失って川を流されながらドーナツの箱を手に持ったままです。
なんというか変に凄い執念を感じます。

そのハカセも意識を回復したことを確認するとジョーは「行くぞ」と言って出発しようとします。
まだ体力が回復していないはずだと思って「まだ無理しない方がいい!」と言って止めようとするリョウマでしたが、
それに対してルカは「あたし達、無理でもなんでもやらなきゃならないことがあるから!」と応えつつ、
横でリョウマの顔を見て驚いた様子で突っ立っているハカセを肘で小突きます。
ハカセもそれで自分達のしなければいけないことを思い出したように笑顔で頷きます。
「大事な仲間が待ってるんだ・・・」とジョーもリョウマに向かって言い、アイムもそれに応えて頷きます。
ジョー達もまだ自分達のダメージが抜けきっていないことは分かっていますが、
それでも、仲間のマーベラスや鎧があの召喚戦士たちを操るバスコを相手にまだ戦っている以上、
助けに行かなければいけないと思っているのです。

リョウマはジョー達が仲間のために危険を顧みず行こうとしていると悟ると、
それ以上は何も言わず、止めようとはしませんでした。
かつてリョウマ達ギンガマンも仲間を助けるために危険を顧みない戦隊だったからです。
リョウマはジョー達がゴーカイジャーであることは知りませんでしたが、
何か大事なことのために戦う大切な仲間同士であることは分かり、
そういう者たちを止めるということは自分達の場合同様、無理であることを知っているのです。

そうして黙って見送るリョウマの横を4人は通り過ぎていきますが、
最後に1人残ってリョウマに近づいたハカセは「あの・・・これ、良かったらお礼に!」と言って
ドーナツの箱を差し出します。
リョウマは驚いた顔で「何これ?」と聞きます。
ギンガの森で文明と隔絶した暮らしをして育ったリョウマはドーナツを知らないようです。
ハカセは笑顔で「ドーナツです!」と言うと、
「え!?」と相変わらず驚いているリョウマを残して、ジョー達の後を追って駆け去っていきました。

気を失って川を流れながらもギンガマンに渡すために手放さなかったドーナツを、
ここでハカセがあっさりリョウマに手渡したのは、
ハカセがリョウマの正体に気付いたからなのでしょう。
何故ならハカセはギンガの森の位置を割り出すために鎧の持っていた絵本「星の伝説」を丹念に読んでおり、
そこに描かれていたギンガレッド・リョウマの姿が記憶に残っていたであろうと思われるからです。

もちろん登場人物の風貌などは単に絵本の創作に過ぎないと当初は思っていたハカセでしたが、
先ほど絵本に描いてあったそのままの姿のヒュウガが現実に出現したのを見て、
あの絵本が極めて写実的に描かれたものだということに気付いたのです。
だから自分を川から引き揚げてくれた男がリョウマであることは、
その風貌を見てすぐにハカセには分かったのでした。
だから、ギンガマンに渡すために大事に持っていたドーナツを、
ギンガマンの一員であることが分かったリョウマに渡したのです。

しかし、何故ハカセはリョウマがギンガレッドであることを皆に教えたり、
自分達がゴーカイジャーであることをリョウマに知らせなかったのでしょうか。
そのようにして互いに何者なのかを明らかにした上でドーナツを渡して、
「大いなる力」をくれるように交渉した方が良かったのではないかとも思えます。

ただ、今はそんなことをするよりも、まずはマーベラスと鎧を助けに行くことが先決であったので、
いちいちリョウマの正体や自分達の正体の話をしている場合ではないと判断したのでしょう。
それは状況判断として正解だと思いますが、
それならば何故ドーナツだけ渡してしまったのかが少し謎です。
どうせなら後で改めてゴーカイジャーだと名乗りながら、その時にドーナツも渡した方が、
ドーナツをわざわざ持ってきた本来の目的に叶っているように思えます。

これはつまり、ハカセにとってもはやその本来の目的が無意味なものとなったので、
ドーナツが不要になったということを意味しているのです。
ハカセがドーナツを友好の証のお土産として持ってきたのは、
自分達が宇宙海賊であるというだけでいきなりギンガマンに敵視されるのではないかという危惧からでした。
しかし、こうして実際に出会ったギンガマンの一員のリョウマは、
自分の危険を顧みずに見知らぬ相手の自分達を助けてくれるような心優しい人間でした。
こんな心の広く穏やかそうな相手ならば、
いきなり宇宙海賊というだけで問答無用で襲ってくるようなことはないだろうとハカセは思いました。
だからご機嫌取りのためのドーナツなど不要になったとハカセは思ったのです。

もともとドーナツでご機嫌をとって「大いなる力」が貰えるなどとはハカセも思っていません。
だから、いきなり敵視されるという心配が杞憂だったと分かった時点でドーナツはもはや用済みなのです。
ならば、捨てるよりも、もともと渡そうと思っていた相手が目の前にいるのだから、
あげてしまおうと思ったというわけなのです。

リョウマとしてはハカセのそうした考えはよく分かっていないので、
いきなり大事そうに持っていたドーナツをプレゼントされて面喰らったわけですが、
走り去っていくハカセ達を見送りながら、
仲間のために危険を顧みないで走っていく彼らの姿に、かつての自分達ギンガマンの姿を重ねて思い出し、
思わずフッと笑みを漏らすのでした。

つまり、このシーンはヒュウガと鎧の絡みのシーンとは別の独立したシーンで、
こっちはこっちでレジェンド回っぽく作ってあるのです。
ハカセはリョウマの行動を通して
ギンガマンという戦隊が自分の危険を顧みずに他人を助ける心優しい戦隊であることを知り、
リョウマはジョー達の言動から、
彼らが仲間を助けるために危険を厭わない熱く優しい心を持った連中だということを知り、
互いに似たところのあることを認め合っているわけです。
ここでリョウマはまだハカセ達がゴーカイジャーであるということは知りませんが、
ギンガマンとゴーカイジャーの心はこのシーンにおいてはほぼ通じ合っています。

今回、ギンガマンの「大いなる力」の獲得において重要な役割を果たすのはヒュウガと鎧の関係の方なのですが、
わざわざ小川氏の熱烈なオファーに応えて俳優業を引退した前原氏がリョウマ役で出演してくれているわけですから、
それに敬意を表して、リョウマのパートはリョウマのパートで、
独自にレジェンド戦士とゴーカイジャーの心が通じ合っていく、
小規模ながらレジェンド回らしい構成にしているのだといえます。
ここではヒュウガと鎧のパートの方のテーマとは別テーマがお題となっており、
ここでのお題は、戦隊の普遍的テーマである「仲間を想う強い気持ち」で
無難に綺麗にまとめていると見ていいでしょう。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:41 | Comment(0) | 第20話「迷いの森」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第20話「迷いの森」感想その4

さて、一方、今回のレジェンド回のメインメニューであるヒュウガと鎧の遣り取りの方ですが、
これは先ほどの場面の続きとなります。
ふとヒュウガの戦っている姿を見たいと言った鎧は、
ヒュウガにゴーカイセルラーを譲るように要請されてしまい、驚いています。
しかもヒュウガはゴーカイセルラーを使って自分がゴーカイシルバーになると言うので、
鎧はますます困惑しました。

鎧は確かに絵本の中ではなく実際にヒュウガの戦う姿を見たいと思いましたが、
それはあくまで黒騎士に変身したヒュウガの戦う姿です。
ゴーカイシルバーに変身するヒュウガというと、どうもピンときません。
何かの勘違いではないかと思い、鎧は「ヒュウガさんが・・・ゴーカイシルバーに・・・?」と、
確認するように問いかけます。
ヒュウガはさきほどゴーカイセルラーに向けて差し出していた手を下ろし、
鎧から顔を逸らして下を向いたまま「・・・そうだ」と答えます。

鎧は本当にヒュウガが黒騎士ではなくゴーカイシルバーになろうとしていることに驚きました。
鎧の中でのイメージでは、ヒュウガはあくまで黒騎士であるはずでした。
そのヒュウガが黒騎士でなくなると考えると、鎧は無性にモヤモヤとした気分になりました。
「・・・でも、ヒュウガさんは黒騎士じゃ・・・?」と思わず鎧は反論しますが、
ヒュウガは鎧から顔を逸らしたまま、すっと立ち上がると、
「俺は黒騎士でありたいわけじゃない・・・この星を守りたいんだ・・・!」と言って、
じっと自分の左手を見つめ、その左手をぎゅっと握りしめます。

「星を守る」というのはギンガマンという戦隊の最重要テーマです。
地球から星を守る力であるアースを与えられて星を守るために戦う選ばれた戦士がギンガマンなのです。
だからギンガマンであることは彼らにとって大変な名誉ではあるのですが、
星を守る戦士であるからこそのギンガマンなのであって、
星を守ることが出来なければギンガマンを名乗る意味も無い。
逆に、星を守ることが出来るのならば、ギンガマンの名さえ捨てても構わない。
そこまで星を守る想いに一途な者こそが真のギンガマンの資格があるのです。

鎧はヒュウガのことを黒騎士のイメージで見ていますが、
そもそもヒュウガは当初は黒騎士ではありませんでした。
ヒュウガこそが本当はギンガレッドになるはずの戦士だったのです。
それが最初のバルバンの襲撃の際にヒュウガが地割れに呑みこまれて姿を消したため、
ギンガレッドの候補落選者であった弟のリョウマがギンガレッドを名乗ったのです。
中盤でヒュウガは黒騎士となって復帰しますが、
本来の有資格者であるヒュウガはリョウマからギンガブレスを返してもらえば
当初の予定通りにギンガレッドに復帰することも可能でした。

しかしヒュウガはリョウマにギンガレッドを譲り、
自分は黒騎士としてギンガマンと共に戦う道を選んだのでした。
ギンガレッドはリョウマが立派に務めている以上、
リョウマを押しのけて自分がギンガレッドに復帰するよりも、自分はギンガレッドを捨てて黒騎士となり、
リョウマのギンガレッドと共に力を合わせて戦う方が
「星を守る」という目的に寄与出来るとヒュウガは思ったのでした。

ヒュウガはもちろん子供の頃からギンガレッドになりたくてなりたくて堪らないぐらいギンガレッドに憧れ、
ギンガレッドになる夢を叶えるために必死の努力をしました。
しかし、その必死の努力を支えたのは、ギンガレッドへの憧れ以上に、
この星を何としても自分の手で守りたいという熱い想いがあるからこそでした。
だから、最終的にギンガレッドになることよりも、実質的にこの星を守るために最も自分が力を尽くせる立場である
黒騎士となる道を自分で掴んで選び取ったのです。

「ギンガレッドであることよりも、星を守るためにあえて黒騎士となった」というのがヒュウガの生き方であり、
そういうヒュウガだからこそ「黒騎士であることよりも、星を守るためにあえてゴーカイシルバーとなる」という生き方も選ぶことは出来るのです。

ヒュウガにそのように言われると、
鎧もギンガマンとは確かに「星を守る」ということを何よりも優先する戦士たちであったことを思い出しました。
いや、ギンガマンに限らず、スーパー戦隊は皆、地球を守るということを
何よりも優先するのが当たり前だったと鎧は思い「そう・・・ですよね・・・」と呟きます。
そして、黙りこんでゴーカイセルラーをギュッと握って、
鎧は(そうか・・・ゴーカイセルラーがあればヒュウガさんは昔みたいに戦えるんだ・・・)と心の中で呟きます。

考えてみれば、この「ゴーカイジャー」という作品はシリーズの他の作品とは1つ際立って違う特徴があります。
それは、モバイレーツやゴーカイセルラー、レンジャーキーを使えば誰でも変身出来るという点です。
シリーズの他の作品ではだいたいは主人公チーム以外は変身出来ないという設定なのですが、
ゴーカイジャーはそうではありません。誰でもその気になればゴーカイジャーになれるのです。
しかもこの作品は主人公チームのメンバー以外にも
ヒーローの資質を持った人間がゴロゴロ出てくるという特殊性があり、
こうした環境の中で主人公チームのみがゴーカイジャーに変身し続けるというのは、
それだけ主人公チームのメンバーは他の作品に比べて、
特に精神面におけるヒーローとしての資質を問われ続けるということを意味します。
つまり、この物語は主人公チームのマーベラス一味がヒーローたる資格を問われ続け、
真のヒーローへと成長していく物語なのだといえます。

ここでは鎧が、自分よりもヒーローの資質を持った相手であるヒュウガに
変身アイテムを渡すよう迫られて試練に晒されているわけです。
しかもヒュウガは鎧にとって子供の頃からの憧れのヒーローです。
鎧の知るヒュウガをはじめスーパー戦隊の戦士たちは、
確かに地球を守ることを何よりも優先するヒーローたちだったと鎧は思い出しました。
ならば、ヒュウガが今は変身して戦うことが出来ない黒騎士にこだわるよりも、
ゴーカイシルバーになって戦う道を選ぶのは当然のことであると、鎧には納得できました。
むしろ、鎧の憧れたヒーローであるヒュウガならばそうして地球を守るために戦うべきだとさえ、
鎧には思えてきました。

そうすると鎧の頭の中でムクムクと妄想が膨らんできて、
そこではヒュウガがゴーカイセルラーを使ってゴーカイシルバーに豪快チェンジし、
ゴーミン達を一掃する颯爽とした姿が思い描かれます。
ここでのゴーカイシルバーの名乗りが「ゴーカイシルバー、ヒュウガ!」と、ギンガマン風になっていることや、
ヒュウガの変身したゴーカイシルバーのアクションがいつもの鎧っぽいアクションとは違って、
ちゃんとヒュウガっぽいスマートなスタイルのアクションになっているあたり、
非常に芸が細かいといえます。

この妄想の中のヒュウガ版ゴーカイシルバーを思い描き、鎧はそのあまりのカッコ良さに陶酔してしまいました。
(ヤバい!カッコいい〜!!)と思い、鎧はニヤケた顔でヒュウガの凛々しい横顔を覗き込みます。
ヒュウガのカッコいいゴーカイシルバーの姿を現実に見てみたいとまで思ったのでした。
ところが、その鎧のヘラヘラした顔の方にヒュウガが急に振り向き、鎧はヒュウガと目が合うと、
その瞬間、鎧は思わず硬い表情になり、プイッとヒュウガから目を逸らし、
クルリとヒュウガに背を向けてしまいます。

これはさっきまでの、ヒュウガがゴーカイセルラーを渡すように言ってくる以前の鎧ならば
考えられないような無礼な態度でした。
さっきまでの鎧ならば、ヒュウガと目が合った後もヘラヘラし続けて
ヒュウガのカッコ良い姿を妄想したことを素直に告白して、
その感想を美辞麗句で飾って述べていたことでしょう。

しかし今の鎧はそんな妄想に浸ってヘラヘラしていた自分が非常に愚かしく思えて、
ヒュウガを下手にカッコいいなどと思わないようにしてヒュウガから目を背けようとしたのでした。
そんな自分の不可解な心の動きを鎧は怪しみ、ヒュウガをカッコいいと思った自分を弁護するように、
(そりゃそうだよ!ヒュウガさんは既にこの星を守ったスーパーヒーローの1人なんだぞ!?
ヒュウガさんがゴーカイシルバーになったら強いに決まってる!)と自分に言い聞かせます。
だからヒュウガのゴーカイシルバー姿をカッコいいと思うのは当たり前のことであり、
それがどうしてそんなにヒュウガから顔を背けなきゃいけないぐらい抵抗を感じる必要があるのか?と
鎧は自分に問いかけました。

その自分への問いかけに応えて、鎧の心の奥底から浮かび上がってきた回答は、
(でも・・・そしたら俺はゴーカイシルバーじゃなくなる・・・)という感情でした。
つまり、ヒュウガがゴーカイセルラーを渡すように求めている現状で、
鎧自身がヒュウガのゴーカイシルバーとなって戦う姿を肯定してしまえば、
ゴーカイセルラーはヒュウガの要望通りに渡すことになり、
ヒュウガが今後はゴーカイシルバーとして地球を守るためにザンギャックと戦うことになるのは必定です。
ヒュウガならばそうすべきであり、その資格も十分にある。
何より鎧自身がそうして戦うヒュウガを見てみたいと思っている。

しかし、鎧の心の中に、もしそうなったら自分がゴーカイシルバーでなくなるのが嫌だと思う感情があり、
その感情がヒュウガのカッコ良さや強さを素直に認めようとしていないのだと、鎧は気付いたのでした。
自分の本心は、自分がゴーカイシルバーであることに執着し、
ゴーカイシルバーに変身出来なくなることを嫌がっているのだということに鎧は気付いたのです。

その上で、鎧は(けど・・・この星を守るためには、俺より・・・俺より、ヒュウガさんの方が・・・!)と苦悩します。
確かに自分がゴーカイシルバーでなくなるのは嫌だし、ゴーカイシルバーであり続けたい。
しかし、ヒュウガはこの星を守るために黒騎士である自分を捨ててゴーカイシルバーになってもいいと言っている。
スーパー戦隊の戦士ならばそのように自分のことよりも
「地球を守る」という使命を最優先すべきだろうと鎧には思えました。

今の自分は私情に流されているだけであり、本当にこの星を守りたいならば、
自分もヒュウガを見習って、私情は殺して、
自分よりも強いヒュウガにゴーカイシルバーの地位は譲るべきなんじゃないかと鎧は考えました。
それがスーパー戦隊の戦士の正しい在り方なのであり、
自分もスーパー戦隊の仲間になった以上は、そうすべきではないかと鎧は思い、
それでもゴーカイシルバーでありたいという想いも強く、迷いに迷った挙句、
自分の戦士としての道を確かめるように、鎧は迷いの表情でヒュウガの顔を見ます。

ヒュウガは落ち着いた様子で佇んでおり、真っ直ぐ鎧を見据え、
「どうした?・・・伊狩鎧・・・」と静かに鎧に問いかけます。
それが鎧には、まるでスーパー戦隊の戦士としての決断を促しているように見えて、
鎧はやはりここは私情を殺してこの星を守るために自分は身を引くべきなのかと、大きく心が傾きます。

しかし、ここでのヒュウガの態度はよく考えたら変です。
ヒュウガは鎧に向かってゴーカイセルラーを渡すように求めたのであり、
その後、鎧が黙り込んでしまった後、
鎧に向かって更に強くゴーカイセルラーを渡すよう求めていかないとおかしい。
しかしヒュウガは最初は鎧の顔をまともに見ようともせず、
その後、ようやく鎧の方を向いた後も、じっと黙って、落ち着いた表情で鎧を見つめていただけなのです。
それは、自分の要求に対する鎧の判断をあくまで待ちながら、
その反応を確かめているかのような態度だといえます。

つまり本当はヒュウガは何としてもゴーカイシルバーになりたいというわけではないのです。
ならば最初に強い調子でゴーカイセルラーを渡すよう要求して、
ゴーカイシルバーになりたがったのは何だったのかというと、あれはお芝居ということです。
そう考えると、ヒュウガが最初の方はずっと鎧から顔を背けていたことも腑に落ちます。
ヒュウガは根は純粋なギンガの森の民なのでウソをつき慣れていないのです。
だからお芝居であることがバレないように、鎧に顔を見せたくなかったのです。
そして、鎧が黙り込んで、もう問答しなくても済みそうになったので安心して
鎧の顔を見ることが出来るようになったというのが真相でしょう。

しかし、ヒュウガがもし鎧のことを完全に戦士失格だと思っていれば、
鎧の様子など観察せずにさっさとゴーカイシルバーを奪おうとするはずですから、
ヒュウガがこんなお芝居をしてまで鎧の様子を観察しているということは、
ヒュウガは鎧が立ち直ってくれる可能性があるとまだ信じているということになります。

そのためにヒュウガはメッセージも発しています。
それは「俺は黒騎士でありたいわけじゃない・・・この星を守りたいんだ・・・!」という
ヒュウガの言葉に込められたメッセージです。
ここでヒュウガは、ギンガマンという名誉のあるヒーローの称号にこだわらず、
黒騎士という形で自分のこの星を守る戦いを完遂する道を自分で掴み取った自分の経験を踏まえて、
スーパー戦隊の戦士であることなどにこだわるのではなく、
この星を守るために自分で戦おうという気概を持つように鎧に示唆したつもりだったのです。

そのままストレートに甘く言うと、鎧のようなタイプはデレデレになってしまって
真意がちゃんと伝わらないから、あえて厳しい態度の中で謎かけのように言い、
鎧が自力で考えてその結論に辿り着いてくれるようにヒュウガは願ったのでした。
あの時、ヒュウガが左手を見つめてギュッと握りしめていたのも、
「自分の戦う道を自分の手で掴み取れ!」というヒュウガの隠されたメッセージであったのでした。

それらのメッセージを鎧が読み取って、
ヒュウガが黒騎士という形でなくてもこの星を守るために戦おうとしているということを鎧が受け止めてくれて、
それによってそれを自分に置き換えて、鎧もまたスーパー戦隊の戦士という形にこだわらず、
この星や宇宙を守るための自分独自のゴーカイシルバーとしての戦いに目覚めてくれればいいと
ヒュウガは期待していたのです。

ところが、鎧はそのヒュウガの言葉を誤って解釈してしまい、
スーパー戦隊の戦士ならば地球を守ることを最優先すべきであり、
そのためには自分はゴーカイシルバーであることに執着すべきではないのだというふうに
解釈してしまったのでした。
そして、自分よりも強い戦士であるヒュウガにゴーカイシルバーを譲るのが
スーパー戦隊の戦士としての自分の正しい道であると自分に言い聞かせ、
ゴーカイシルバーとして戦いたいという自分の本心を無理に押さえ込もうとしていました。

これは結局、鎧がスーパー戦隊の戦士への思い入れが強すぎて、
そのせいでヒュウガに会って舞い上がってしまって、
スーパー戦隊の戦士になるのが自分の子供の頃からの一貫した夢であったと思ってしまっているからでした。
そうして遂に鎧はゴーカイセルラーをヒュウガに差し出そうとして、
ゴーカイセルラーを持ってヒュウガの方へ向けてゆっくり歩み出します。

その時、突然、銃撃が2人を襲い、2人は吹き飛ばされます。
慌てて2人が銃撃音のした方向を見ると、崖の上でバスコが銃を持って立っていて
「大いなる力、いただきに上がりましたぁ!!」と楽しそうに言います。
やはりバスコはギンガマンの大いなる力を狙ってヒュウガを追ってきたようです。
鎧はさっと立ち上がってファイティングポーズをとり、
ヒュウガもゆっくり立ち上がり、
そして「ギンガマンの大いなる力を手に入れられるのは、俺たちが認めた者だけだ・・・お前などには渡さない!!」と
バスコに向けて啖呵を切ります。

それを聞いて鎧は複雑な表情になります。
「大いなる力」がそのようにして手に入れるものだと初めて知ったのですが、
それなら自分は今まで何をしていたのだろうかと思ったのです。
本来ならヒュウガに認めてもらって「ギンガマンの大いなる力」を受け取らなければいけなかったはずなのに、
自分ときたら「ギンガマンの大いなる力」を貰うどころか、
ゴーカイセルラーまで差し出すように言われてしまう始末で、
全くヒュウガに認められるような戦士ではなかったのだと痛感されました。
それでますます情けなくなり、そんな自分がゴーカイシルバーを続けるなど、
やはり間違っているような気になりました。
ただ、そうはいっても、とにかく今は目の前に敵が現れている状況ですから、
多少は気落ちしたものの、鎧は必至で気を取り直してファイティングポーズをとります。

それにしても、バスコがここまで執拗にヒュウガを追ってくるということは、
ヒュウガが「ギンガマンの大いなる力」を持っているということなのでしょう。
バスコはどういうわけなのか、そう信じており、
ヒュウガの態度を見る限り、バスコの読み通り、ヒュウガが「大いなる力」を持っているようです。
どうやってバスコがその秘密を知ったのかも謎ですが、
「大いなる力」を持ち運べるというのも今までには無いパターンといえます。

ただ、「ギンガマンが認めた者にしかギンガマンの大いなる力は渡せない」という法則は
他の戦隊の場合と同じであるようです。
これは現在の「大いなる力」の持ち主であるヒュウガ自身の意思でも
自由に譲渡は出来ないという意味でもあるのでしょう。
例えばヒュウガが実際は認めていない相手でも何らかの事情で大いなる力を譲ろうと思っても、それは無理なのであり、
ヒュウガの個人的な判断で渡したり渡さなかったりを決められるのではなく、
ヒュウガ達ギンガマンが誰かをギンガマンの後継者と心の底から認めた時、
自動的に「大いなる力」は移動してレンジャーキーに宿るのでしょう。

だから、仮にヒュウガがバスコに捕らわれて拷問されたり、
命と引き換えに「大いなる力」を渡すように迫られたとして、
仮にヒュウガの心が屈したとしても、
それでもバスコは「大いなる力」を手に入れることは出来ないことになります。
そういうわけで、ヒュウガはこの絶体絶命の危機にあってもバスコに対して強気なのでした。

ところがバスコは平然としたもので、
「ところがどっこい!認めるとか認めないとか、関係無いんだよねぇ〜!!・・・無理矢理奪っちゃうから!」と言います。
ヒュウガはバスコの意外な言葉に「何ぃ!?」と驚きます。
ただ、そんなことが本当に可能だとは到底思えませんでした。
鎧もバスコの余裕の態度に警戒しますが、バスコはここでラッパラッターを取り出し、口に含みますが、
いつもと違ってラッパラッターを吹くのではなく、吸い込み始めたのでした。
当然、いつもの伸びやかな音ではなく、不快な不協和音が鳴り響きますが、
そのラッパラッターの不快な音の漏れる吹き出し口(いや、この場合は吸い込み口)が向けられた
ヒュウガが突然苦しみだします。

驚いて「ヒュウガさん!?」と駆け寄った鎧ですが、
ヒュウガの身体は発光し始めたかと思うと、突然、爆発したように炎を吹き出し、鎧は吹っ飛ばされてしまいます。
「バカな・・・ギンガマンの大いなる力がこんな形で・・・!?」と驚愕しつつ戸惑うヒュウガの身体は
その全身から噴き出した炎に包まれています。

こうしてヒュウガの体内から引っ張り出されて表面に噴き出した夥しい炎が「ギンガマンの大いなる力」のようで、
このままだとバスコのラッパラッターの吸い込む不思議な術によって吸い取られる様子です。
といっても、これは本物の炎ではなく、「炎のアース」です。
「アース」というのは、ギンガの森の戦士が持つ星を守るための力です。
炎のアースというのはそのうちの一種で、ヒュウガやリョウマはこの炎のアースの使い手で、
炎のアースを使って炎熱系の攻撃を繰り出すことが出来るのです。
だからヒュウガが体内に炎のアースを保持しているのはそんなに不思議なことではありません。
アースはギンガマンに変身しなくてもギンガの森の戦士なら皆使えるのであり、
レジェンド大戦で変身能力を失った後でもヒュウガもリョウマも普通に炎のアースは使えるはずです。

ただ、ここでバスコが吸い取ろうとしているのは「大いなる力」ですから、
そうした通常の炎のアースとは少し違うはずです。
そもそも「大いなる力」というのは巨大戦の戦力のことですから、
ヒュウガが普段、等身大戦で駆使していた炎のアースとは別物です。

ここまで登場した「大いなる力」は大別してパーツ系と必殺技系とに分かれます。
例えばマジレンジャーの大いなる力であるマジドラゴンはパーツ系ですが、
ゲキレンジャーの大いなる力であるゴーカイ大激激獣
(およびそれを構成するゲキビーストのエネルギー体)は必殺技系です。
つまりパーツ系は玩具展開がある分の「大いなる力」であり、
ギンガマンの大いなる力は玩具展開は無いので必殺技系となります。

では、ギンガマンの巨大戦における必殺技の中で炎のアースに関係ありそうなものはというと、
やはり「ギンガマンの大いなる力」の称号に相応しいものとなると、
「ギンガマン」最終話で使用された超装光ギンガイオーの最強必殺技「ギンガ大火炎」でしょう。
これは炎のアースの他、ギンガマンと星獣のアースをギンガイオーに集めて
その両手から発射する技で、炎のアースを大量使用する技でした。
この「ギンガ大火炎」に類したような技を放つ能力が「ギンガマンの大いなる力」であり、
それが炎のアースの形でヒュウガの身体に保管されてあったのでしょう。
今回、結局ギンガマンの大いなる力の使用する描写が無かったのでこれはあくまで想像ですが。

今まで「大いなる力」がレジェンド戦士の体内に保管されてあった描写は無かったので、
これは一見奇妙な印象もあるかもしれませんが、
「ギンガマンの大いなる力」の場合は、これは全く不自然な描写ではありません。
何故なら、ギンガマンの場合、巨大戦で星獣やギンガイオーの放つ技は、
ギンガマン達が等身大戦で使うのと同じアース技であり、
ギンガマンが星獣やギンガイオーに乗り込むことでその巨大戦のアース技は増幅され、
つまり、ギンガマンの体内のアースと星獣やギンガイオーのアースは一体となっているからです。

この「ゴーカイジャー」という作品における「大いなる力」というものは、
もともとは各戦隊の巨大戦の戦力であったものが、
レジェンド大戦の前半において全戦隊の巨大戦力がザンギャック艦隊主力と差し違えて全滅し、
その後も各戦隊の戦う力が宇宙に散らばったために巨大戦力も回復しなかったため、
その巨大戦の戦力のエネルギー化したものだけが何処かに保管されており、
それがゴーカイジャーの手元のレンジャーキーに順次宿っていっているようです。

その保管場所はそれぞれの「大いなる力」の特性に合った場所なのでしょう。
だから、「ギンガマンの大いなる力」がギンガの森の戦士たちの体内のアースと同質のものであるとするなら、
それがギンガの森の戦士の体内に保管してあったとしても全く不自然ではなく、
その「大いなる力」が「ギンガ大火炎」に類したものであるのなら、
その保管場所は炎のアースの使い手の体内が最も適切であり、
炎のアースの使い手でありギンガの森で最強の戦士であるヒュウガの体内に保管してあるのは、
むしろ当然といえるでしょう。

しかし、その「ギンガマンの大いなる力」はバスコの予想外の手段によって
ヒュウガの体内から吸い出されていこうとしています。
このラッパラッターの脅威の能力の原理は現時点では全くの謎ですが、
何となく制作サイドが打ち出しているラッパラッターおよびそれを使うバスコという男のコンセプトは理解出来ます。
それは、「心や魂の不介在」とでも言えるものでしょう。

ゴーカイジャーの場合、戦士の力の結晶体であるレンジャーキーとマーベラス達の心が結合して
戦士として動くのであり、
更にそのマーベラス達がオリジナルのレジェンド戦士たちと心を通わせて、
心と心のシンクロ率が上がるとレンジャーキーに大いなる力が宿って使えるようになるのです。
つまり「心」というものがゴーカイジャーにおいては必須の要素なのです。
それを象徴するようにマーベラス一味は仲間同士の心と心の絆を非常に大事にした戦隊です。

それに比べ、バスコの場合は戦う力の結晶体であるレンジャーキーに心を結合させることなく、
純粋に戦う力だけを召喚して心の無い戦士を動かすことが出来る。
それを可能にする器具がラッパラッターであり、
そのラッパラッターを使って、心と心の通い合いという経過を経ずに、
純粋に物理的に「大いなる力」を吸い上げることが出来るのです。
そういう意味でラッパラッターという器具はレンジャーキーの力や大いなる力を動かすのに際して、
心の必要性を否定することをコンセプトとした器具として設定されているようです。
そして、そのラッパラッターの持ち主であるバスコは、それを象徴するように、
他人を全く信用しない、心と心の繋がりを否定しようとする人間として登場しているのです。

さて、鎧が「ヒュウガさぁん!!」と叫ぶ中、遂に「大いなる力」はヒュウガの身体から飛び出して
ラッパラッターの吸い込み口に向かって飛んでいきます。
もはやこれまでかと思われた瞬間、バスコの背後に飛び込んできたマーベラスが怒号を発して
バスコに向かって猛然と斬りつけ、バスコはラッパラッターを口から離してしまいます。
それによって、あと少しでラッパラッターに吸い込まれるところであった
「ギンガマンの大いなる力」はヒュウガの体内に一気に戻ります。

マーベラスは「知らなかったぜ!大いなる力をゲットするのに、そんな強引な手があったとはなぁ!!」と
怒鳴りながらバスコに斬りかかります。
それが「大いなる力」を競合して奪い合う自分達にとっては大変な脅威となる能力であることは
マーベラスには分かっていますから、
ますますバスコをこの場から生かして帰すわけにはいかないと思い、マーベラスは殺気をまき散らします。
バスコは「ちぇっ!サリーの奴、もうちょっと粘るかと思ったけど・・・!」と舌打ちすると、
ジャンプしてマーベラスと離れた場所に移動します。

さっきの「大いなる力」を吸い込む作業はどうも一定の時間バスコがじっとしていないと出来ないようで、
邪魔者のマーベラスがこの場に居る限り、再開することは出来ないとバスコは判断したようです。
それで、まずはマーベラスを排除するためにバスコはレンジャーキーを1つ取り出して
ラッパラッターに装着して吹き鳴らします。
そうして実体化した召喚戦士を見て、鎧とヒュウガは愕然とします。
その召喚戦士は黒騎士だったからです。
つまり、ヒュウガ自身のもともと変身していた戦士です。
その戦う力がヒュウガの身体から離れて結晶化した黒騎士のレンジャーキーをバスコが持っており、
ここで召喚戦士として繰り出してきたのです。

おそらくバスコは黒騎士がヒュウガの変身していた戦士であることなどは知らないで、
偶然、手持ちの残り7個のレンジャーキーの中から黒騎士のレンジャーキーを選んだだけのことでしょう。
1個しか使わないあたり、結構残り数が少ないので大事に使っている印象です。
鎧はマーベラスの宝箱の中に黒騎士のレンジャーキーが無いことには気づいていましたが、
まさかバスコが持っているとは予想しておらず、非常に驚きます。
ヒュウガももちろん驚いて「黒騎士のレンジャーキーも持っていたのか・・・!」と呻きます。

一方、マーベラスにとっては黒騎士は未知の戦士なので特に驚いた様子も無く、
ヒュウガに「あんたは大人しくしとけ!」と言って、黒騎士の召喚体に向かって突っ込んでいきます。
ラッパラッターの召喚戦士との戦い方は慣れているという自信もあり、
相手はたった1人だけなので、マーベラスは楽に勝てると思っています。
黒騎士はブルライアットをショットガンモードにしてマーベラスに向けて銃撃し、
それをゴーカイサーベルでさばきながらマーベラスは黒騎士の懐にまで一気に突っ込み、
黒騎士はブルライアットをセイバーモードにしてマーベラスと斬り合いを開始します。

マーベラスと黒騎士との戦いが始まったのを見て、鎧は「俺も・・・!」と言って、
自分も変身してマーベラスの助太刀をしようとしますが、ゴーカイセルラーが見当たりません。
周囲を見回すと、少し離れた草むらにゴーカイセルラーは落ちていました。
さっきのバスコの銃撃で吹っ飛ばされた時、放り出されていたのです。
草むらに行ってゴーカイセルラーを拾おうとして駆け出した鎧でしたが、
駆け出してすぐ、ヒュウガの横を通り過ぎた時、
さっきバスコの銃撃でゴーカイセルラーを吹き飛ばされた直前、
自分がヒュウガにゴーカイセルラーを譲ろうとしていたことを思い出し、思わず立ち止まります。

さっき自分は、バスコの襲撃が無かったら、あのままゴーカイセルラーをヒュウガに渡していたのであり、
それがスーパー戦隊の一員として正しい決断だと思っていたのです。
それなのに、ゴーカイセルラーを使ってゴーカイシルバーに変身して戦ってもいいものなのか?と鎧は迷った。
やはりヒュウガがゴーカイシルバーに変身した方がいいのではないか?と思ったが、
かといって、そのことをハッキリとヒュウガに伝えるのも躊躇われました。
結局、自分はヒュウガの方がゴーカイシルバーに相応しいと認めながら、
同時にまだ自分がゴーカイシルバーになることを諦めきれておらず、
迷っているのだと鎧は痛感して立ち尽くします。
ヒュウガも自分のすぐ近くで鎧が立ち尽くしていることに気付きます。

その時、鎧とヒュウガの近くにマーベラスが吹っ飛ばされてきます。
マーベラスは黒騎士に押されているようです。
マーベラスは、やはりジョー達と同じく
前回の召喚戦士と同じぐらいのレベルの敵だと思って黒騎士を甘く見ていたため、苦戦していました。
ヒュウガの変身した黒騎士はやはりギンガマンの中では群を抜いて強く、
召喚体といえどもその強さは並ではなかったのです。

それでもさすがにマーベラスは劣勢になってから気合いを入れ直し、互角の勝負に持ち直します。
ところが、そのマーベラスが突然の謎の攻撃を浴びてしまいます。
鎧とヒュウガは驚き、ヒュウガは「ゴーカイレッド!」と叫びますが、
よほどのダメージを受けたのか、マーベラスは変身解除して倒れ込んでしまいます。
見ると、マーベラスの背後には何時の間にかウルザードファイヤーとマジマザーの召喚体が立っています。
マーベラスを突然襲った攻撃はこの2人の召喚戦士が発した不意打ちであったのです。
さらに倒れ込んだマーベラスを正面から見下ろす黒騎士の横にはデカマスターの召喚体まで現れ、
マーベラスはダメージを受けて変身解除状態で、4人の最強クラスの召喚戦士に囲まれるという
最悪の事態に陥ってしまいます。
マーベラスも、ジョー達が戦っていたはずの3人の召喚戦士がここに現れたということは、
ジョー達が不覚をとったということであり、
それだけこの3人の召喚戦士もまた予想外に強かったということだと悟りました。
つまり、どうやらかなりヤバいことになってるということは分かりました。

そのマーベラスとそれを囲む4人の召喚戦士を高台から見下ろして、
バスコは勝利を確信して「マベちゃん!ここらで諦めた方が賢いと思うけど?」と言います。
バスコはマーベラスを簡単に殺したくはないようです。
もちろん、あくまで抵抗するなら殺すしかないとは思っていますが、
出来れば、マーベラスの心を折って取引に引き込みたいと、まだ思っているようです。
何せマーベラスは大部分のレンジャーキーと半分以上もの「大いなる力」を持っており、
マーベラスを殺してから残党からそのアイテムを奪うよりも、
マーベラスを生かしたまま屈服させて取引に応じさせた方がバスコにとっては得なのです。
そして取引に応じればマーベラスも命を拾うことが出来て得なのです。
お互いに得なのだから、ここは諦めて取引に応じた方が賢いと、バスコはマーベラスをそそのかしているのでした。

一方、バスコの言葉を聞いて、鎧は下を向いてしまいます。
今もこのようなピンチに陥っても、自分がまだこうして立ち尽くして何の役にも立てていないのは、
自分が迷っているからだと思い、
迷いを断ち切るためには、まさにバスコの言うように、いっそ諦めてしまった方が良いと思えたのでした。
ヒュウガにも認めてもらえないようなこんな情けない自分がゴーカイシルバーに変身して戦うよりも
ヒュウガがゴーカイシルバーに変身して戦った方が戦力として上なのだから、
そっちの方が地球を守るためには賢い選択なのです。
その明らかに賢い選択に向けて物事が動き出さないのは、
自分がいつまでも未練がましくゴーカイシルバーを諦めきれないでいるせいなのだと鎧には思えました。
バスコの言うように、まさに今の自分こそ「諦めた方が賢い」状況なのだと思い、
鎧は下を向いて目を伏せてしまいます。
もう諦めてしまおうと思ったのでした。

ヒュウガはゴーカイレッドの大ピンチに焦り、鎧の方を見ますが、
鎧が目を伏せてしまっているのを見て、
自分の施した荒療治が逆に鎧の心を折ってしまったのだと気付き、後悔します。
しかし、こんな程度で折れてしまう心ならば、どちらにしても何れは同じ事態に陥ったのだとも思いました。
むしろ、こうして自分が傍にいる状態で最悪の事態の時を迎えることが出来たのは不幸中の幸いかもしれないとも思い、
ヒュウガは意を決して回れ右をして、足を引きずりながらゴーカイセルラーの落ちている地点へ向けて歩き出します。
こうなったら本当に自分がゴーカイシルバーに変身してゴーカイレッドを助けるしかないと決意したのでした。

そうしてヒュウガがゴーカイセルラーを手に取ろうとして歩き出したことは鎧は感じ取っていましたが、
変わらず呆然と立ち尽くしていました。
もはやそれを止めようという気力は無くなっていました。
むしろ、早くヒュウガがゴーカイシルバーに変身して、
早く自分を完全に諦めさせてくれればいいとまで思っていたのでした。

その時、その場に、「ヘヘヘッ!」と不敵にせせら笑う声が聞こえました。
絶体絶命の状況でどういうわけかマーベラスが可笑しそうに笑っているのです
。鎧が驚いてマーベラスの方を見ると、マーベラスは笑いつつゆっくり起き上がりながら
「どうしたら賢いなんて考えてたら、海賊なんかにならねぇよ!・・・宇宙最大のお宝は、俺の夢だ!!」と言い、
落ちていたゴーカイサーベルとゴーカイガンを拾い、「夢を掴むことを誰が諦めるか!!」と宣言すると、
生身のまま4人の召喚戦士相手に戦いを始めたのでした。

つまり、マーベラスはバスコがまた「宇宙最大のお宝」に関する取引を持ちかけようとしたのを、
あっさり拒否したのです。
損得を勘定したり賢い道を選ぼうとするのなら、バスコの持ちかける取引に乗るべきなのかもしれませんが、
夢というものは損得勘定で取引出来るようなものではない。
取引で手に入れられるとしたら、それはもはや夢ではないのです。
夢というものは自分の手を掴むことでしか手に入れることは出来ない。
夢を追いかける生き方、すなわち自分の手で夢を掴む生き方を選んだからこそ自分は海賊になったのであり、
だから海賊ならば賢い生き方とか損得勘定で夢を手に入れられると思うのは間違っている。
自分は「宇宙最大のお宝」を夢として追い求めて自分の手で掴もうとしているのだから、取引には応じられるわけがない。

そういうことをマーベラスは言っているのであり、
これはバスコのような生き方を海賊の生き方として全否定する考え方でもあります。
よって、マーベラスにこのように言われるとバスコの表情は険しくなり、
取引は諦めてマーベラスを徹底的に倒すしかなくなります。

このようなマーベラスとバスコの遣り取りは、第16話で既に一度、同じようなものをやっており、
今回はそれの焼き直しのようなものであって、
マーベラスとバスコの2人の関係性に関して言えば、今回のこのシーンはあまり意味はありません。
今回、第16話の焼き直しのようなこういうシーンを入れたのは、
ひとえに鎧のためであったと言っていいでしょう。
何故なら、第16話の時点では鎧はまだ登場しておらず、
マーベラスの夢や海賊というものに関する考え方を詳しく聞くのは、鎧にとってこれが初めてだったからです。
鎧はマーベラスの宣言をハッとした顔で聞いていました。

鎧はマーベラス一味に入って、マーベラス達と一緒に戦うことになりましたが、
マーベラス一味のことを全て把握していたわけではありませんでした。
マーベラス達がどうして宇宙最大のお宝を見つけようとしているのかもよく分かっておらず、
そのためにお宝探しのライバルであるバスコへの敵意というものもピンときていなかったのでした。
しかし、今のマーベラスの言葉を聞いて、
鎧はマーベラスが自分の手で夢を掴む生き方というものを何より大事にしており、
その生き方を貫くための目指す夢こそが「宇宙最大のお宝」なのだということを知りました。
そしてバスコという「敵」は、単なるお宝探しのライバルなのではなく、
夢を自分で掴む生き方そのものを否定し、夢の価値を否定するゆえに
マーベラスから見て許されざる敵なのだということも分かったのでした。

そのマーベラスがどうして自分の海賊団への仲間入りを認めてくれたのか、
鎧には実は今までよくは分かっていませんでした。
単に自分の熱意がマーベラスを感動させたのだという程度に考えていたのでした。
しかし、今のマーベラスの話を聞いて、鎧はマーベラスが一旦自分の加入を拒否した時に言っていた
「俺には無いもの」「俺が欲しいと思うもの」というものが何なのか分かったのでした。

マーベラスが海賊として最も大事だと思っているのは「夢を自分で掴む生き方」なのですから、
マーベラスが海賊団の仲間に加えたくなるような人間というのは
「自分とは違う何かの夢を自分の手で掴もうとしている人間」のはずです。
ジョー達4人はそういう人材だったのであり、
そしてマーベラスが仲間入りを認めてくれたということは、
鎧もまた「自分の夢を自分で掴もうとしている人間」だとマーベラスが認めたということなのです。

つまり、あの加入が認められた時、鎧は自分の夢を語っていたのです。
その自分が語りマーベラスが認めてくれた夢とは何だったのかというと、
それは「ザンギャックを倒して宇宙全体を平和にする」ということだったのです。
あの時、鎧はそれを「夢」という意識では語ってはいませんでした。
しかしマーベラスはそれを「夢」だと認めてくれたからこそ、自分を仲間に迎え入れてくれたのです。
だから、やはり、あれは自分の夢だったのだと鎧は初めて気づきました。
「スーパー戦隊の仲間になる」などという幼い頃の夢とは全く関係ない、
鎧がゴーカイジャーに入る時に自分で決めた夢でした。
マーベラスが認めてくれた自分の夢には、スーパー戦隊もヒュウガも関係はありません。
その「ゴーカイシルバーとして戦い宇宙全体を救おう」という自分の夢を自分で掴もうとしている鎧を
マーベラスが認めてくれたのです。

そのマーベラスが絶体絶命のピンチにおいても小賢しい取引を拒否して
自分の夢を自分で掴む姿勢を示したのを見て、
鎧は自分も小賢しい損得勘定は捨てて、自分の夢を自分で掴む姿勢を示さなければいけないと思いました。
いや、マーベラスのように自分の夢を自分で掴む生き方をしたいと思ったのです。
そうしてこそ、あの加入を認められた時に語った自分の言葉は
初めて本当の意味で「夢」になると鎧は思いました。

そうして、4人の召喚戦士と戦うマーベラスの前に立ちながら鎧は
(俺の・・・夢は・・・俺が掴みたい!)という強い想いが湧きあがってきて、
その想いを噛みしめるように左手をギュッと握って見つめました。
それはまさにさっきヒュウガが鎧にこっそり示してみせた
「自分の戦う道を自分の手で掴み取れ!」というメッセージの込められた動作そのものでした。
鎧はマーベラスの言葉を聞くことによって、
スーパー戦隊とは関係なく自分の独自に抱いた「宇宙を守るヒーロー」という夢を
自分の手で掴もうという気概を獲得出来たのでした。
この時、初めて鎧は海賊としての夢を獲得し、マーベラス一味の本当の一員になれたといえます。

そして左拳を握りしめたまま、(夢は!!)と再び心の中で繰り返し、
鎧はキッと強く視線を上げ、ゴーカイセルラーの落ちている地点に向かって振り返ります。
そこにはヒュウガが到達しようとしていましたが、鎧はそこに猛然と駆け込んでいくと、
ゴーカイセルラーを拾おうとしているヒュウガを後ろから突き飛ばし、地面に倒しました。
「うわっ!?」と思いっきり尻もちをついて驚いた顔のヒュウガの前でゴーカイセルラーをさっと奪い取ると、
鎧はヒュウガに向かって「すいません!!」と深々と頭を下げます。

依然として驚いた顔で見つめるヒュウガに向かい、
鎧は「・・・この星を守るためなら、ヒュウガさんが変身する方がいいかもしれません・・・
でも俺・・・ゴーカイシルバーやりたいんです!・・・俺がやりたいんです!!
・・・だから、すいません・・・ヒュウガさんでも、譲れません・・・」と熱い想いをぶつけます。

それが地球を守ることを何より優先するべきスーパー戦隊の戦士としては間違っている
私情の優先であることは鎧にも分かっていました。
でも自分が今回見つけた「宇宙を救うヒーローになる」という夢は、
スーパー戦隊の戦士になりたいという子供の頃の夢とはまた別の、
初めて見つけた海賊としての夢なのです。
海賊ならば、その夢は自分の手で掴み取らないわけにはいかない。
それがスーパー戦隊の戦士としては非効率な考え方であったとしても、
海賊としての誇りに初めて目覚めた鎧は、たとえ相手が幼い頃に憧れたヒーローのヒュウガであっても、
もはや一歩も譲ることは出来ませんでした。

ただ、その自分の夢がヒュウガの「この星を守りたい」という夢の邪魔をすることだという自覚も鎧にはあります。
自分の夢を押し通すことで他の人の夢を潰すのなら、
自分はその人の夢も背負って戦っていかねばならないと鎧は思いました。
自分の意思でヒーローとして戦う道を選び取るということは、
それだけの責任があることなのだと、鎧は知ったのでした。
そうした想いを込めて、鎧は大きな声を張り上げて
「この星は!ヒュウガさんの分まで!俺が守ってみせます!!」と宣言しました。

いつしか驚いた顔から真面目な表情に変わって、
座って鎧の言葉をじっと聞き、鎧の顔を真っ直ぐ見上げていたヒュウガは、
鎧の宣言が終わると、すっと立ち上がり、いきなり鎧の胸倉を荒々しく掴み、グイッと引き寄せます。
もちろんあれだけゴーカイシルバーになって地球を守ることを希望していたヒュウガですから、
この自分のスーパー戦隊や地球の事情を優先しようとしない宣言を快く思うはずはない、
きっと酷く詰られるに違いないと鎧は思っていました。
しかし、それでも自分の夢を自分で掴む生き方のためには、一歩も退くつもりはない。
その強い決意で鎧は胸倉を掴まれながら抵抗することもなく、
ヒュウガの睨みつけてくる視線を真っ直ぐ強い視線で見つめ返しました。

そうして厳しい視線と視線がぶつかり合った少しの時間の後、
ふっとヒュウガの視線が緩み「・・・その言葉が聞きたかった!」と言って微笑みかけたので、鎧は驚きました。
最後にヒュウガが鎧の胸倉を乱暴に掴んだのも、ヒュウガのお芝居で、
鎧の決意が口先だけのものでないのか確かめたのでした。
鎧の言葉が口先だけのものならば、先輩戦士に胸倉を掴まれて睨まれれば
少しは気後れした様子を見せるだろうと思って試したら、
鎧が真っ直ぐしっかり睨み返してきたのでヒュウガは鎧の本気を確信して安堵したのでした。

驚いて目を白黒させている鎧に向かって、
ようやく鎧から期待していた言葉が返ってきたことに安堵の笑みを浮かべながら、
ヒュウガは「自分がやると言えないヤツに、この星は任せられないからな!」と言うと、
少しお芝居をしていたことが鎧に分かってしまったことの照れ隠しで、鎧の頬を軽くパンチで小突いて、
鎧が「ヒュウガさん・・・」と言うと、それに応えて照れたように笑います。
そして(任せたぞ)という表情で頷きます。

ヒュウガはダメかもしれないと諦めそうになりつつ、
鎧から「自分がやりたい」という言葉が出てくるのを待っていて本当に良かったと思えました。
何故なら、その鎧の言葉は、かつてバルバンとの戦いの時、
弟のリョウマから聞いた言葉を思い出させる懐かしいものだったからでした。
その時も、黒騎士となって復帰してきたヒュウガにギンガレッドの座を返すべきではないかと
散々悩んだリョウマが、それでもやはり自分がギンガレッドとしてこの星を守りたいと、
初めて兄であるヒュウガに強い意見を言ってきたのでした。
それを聞いてヒュウガはリョウマが一人前の戦士になったのだと実感し、
安心してギンガレッドを任せて、自分は黒騎士として協力していこうと思えたのでした、

思えば、鎧の煮え切らないヘラヘラした態度への苛立ちは、
かつて優しすぎる弟リョウマに感じたもどかしさに通じるものがあったようにもヒュウガには思えたのでした。
このように今回の鎧の宣言を聞いて、ヒュウガはギンガレッド・リョウマを思い起こしたのでした。
そのことは、ゴーカイシルバー伊狩鎧という戦士が
ギンガマンの大いなる力を託すに足る戦士だと認めることにつながっていきます。
そうした万感の想いを込めてヒュウガは頷いたのでした。

鎧はヒュウガがずっと自分が自分の意思で戦うと言うことを期待して待っていてくれたのだと悟り、
感激してヒュウガの想いを受け取って頷き返します。
そして、もはや迷いの無くなった鎧はキッとマーベラスと召喚戦士たちの戦いの場の方に振り向き、
マーベラスの横に駆けつけます。
マーベラスは細かい事情は一切分からなかったが、鎧の表情をチラリと一瞥し、
すっかり海賊っぽい表情になっているのに気づき「ヘッ!」と嬉しそうに笑います。

そこに「マーベラス!」「鎧さん!」と口々に呼びかけて
ジョーとルカとハカセとアイムが駆けつけてきて合流します。
「皆さん!」と鎧が驚いたように言い、
「無事だったか・・・」と、少々はジョー達の安否を心配していたマーベラスが言うと、
「少々ピンチでしたが、親切な方に助けていただきました」とアイムが答えます。

「こっから挽回させてもらうよ!」とルカはニヤリとして、
対峙する4人の召喚戦士たち、そして高いところから見下ろすバスコに向かって言います。
さっきは油断してやられたが、今度は上手くやらせてもらうと、
ルカも、ジョーも、皆が反省した上で心に期していたのです。
バスコはまた厄介なことになったと思い、チッと軽く舌打ちします。
そして、6人揃っての豪快チェンジの後、
6人のゴーカイジャーと4人の召喚戦士の戦いが開始されるのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:25 | Comment(0) | 第20話「迷いの森」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月31日

第20話「迷いの森」感想その5

マーベラス一味の6人揃い踏みでの豪快チェンジのシーンって、よく考えたら前回は無かったんですよね。
前回は最初は鎧とハカセの2人揃っての豪快チェンジ後、マーベラス達は変身済で駆けつけて、
その後マーベラス達は骨抜きになって戦えなくなったので、鎧とハカセでウオーリアンを倒した後、
術が解けてマーベラス達が変身済でゴーカイガレオンに乗って駆けつけて巨大戦したという展開で、
要するに鎧とハカセ以外の変身シーン自体が無かったわけです。
その前の回が鎧の加入後の初陣だったので鎧だけ変身バンクが別扱いであったので、
通常時の6人変身の場合はどういうバンクになるのか前回はちょっと興味があったのですが、
見事に肩透かしだったのでした。

それで今回が初めての6人揃い踏み変身の通常バージョンの初お披露目となりました。
追加戦士だけ変身バンクが独立しているパターンの作品というのもあるのですが、
この「ゴーカイジャー」は今までの5人用のバンク映像に鎧の分を足した6人バンク映像でした。
つまり鎧は別格戦士扱いではなく、あくまでゴーカイジャーの新入りというポジションなのです。

あと、前回もそうだったのですが、鎧の新加入というのが敵サイドで無視されすぎであるのがちょっと可笑しい。
前回もウオーリアンは鎧という新メンバーが増えていることについて何のコメントもありませんでしたが、
今回もバスコは、鎧という見知らぬ男がマーベラス一味の中に増えていることに驚く様子も無く、
全く何のコメントすら発していません。
しかもその見知らぬ男が見たこともないレンジャーキーや変身アイテムを使って変身までしたのですから、
バスコはもう少し驚いてもよさそうなものです。
それなのに完全に無視しているというのが、ちょっと笑えます。
まぁザンギャックは地球征服しか興味は無く、バスコは宇宙最大のお宝しか興味は無く、
本質的にはマーベラス一味の個々のメンバーについてなどは全く興味は無いのでしょう。

よく考えたら、今までのシリーズ作品では悪の組織側は戦隊チームにもう少し興味を持って、
しっかり倒しにかかってきていたと思うのですが、
ゴーカイジャーの場合、かなり敵側に軽視されています。
ザンギャック内でマーベラス一味を真面目に倒そうとしてるのはダマラスぐらいで、
ワルズ・ギルはマーベラス一味を憎んではいますが、
あまりに作戦が気まぐれなので倒そうとしているといえるようなレベルではなく、
バスコの場合はマーベラス一味のことをあくまでレンジャーキーや大いなる力を手に入れるために
邪魔するなら排除したり取引を仕掛けたりする対象としか見ていません。

そして、そのマーベラス一味もあくまでベクトルはお宝探しに向かっており、
ザンギャックやバスコは敵ではあるが、とりあえず二の次という扱いです。
こんな妙な関係性の連中を動かして、毎回熱いバトルを描いているのですから、
これはなかなか見事なストーリー展開だと言えるでしょう。

さて、ゴーカイジャー6人と召喚戦士4人のレンジャーバトルは、
マーベラスとデカマスターが1対1の勝負、
ジョーとルカがマジマザーと2対1の勝負、
ハカセとアイムがウルザードファイヤーと2対1の勝負、
そして鎧と黒騎士が1対1の勝負という4つの局面となりました。

鎧は黒騎士と斬り結びながら「スーパー戦隊の力、悪いことには使わせなぁい!!」と怒りを込めて叫びます。
これはスーパー戦隊を誰よりも愛する男である鎧の素直な感情といえるでしょう。
鎧は召喚戦士と刃を交えるのはこれが初めてのことで、
いざ戦ってみると、子供の頃から憧れていた黒騎士と戦うのはやはり辛いことでした。
以前の鎧ならば気後れして、しっかり戦えなかったかもしれません。
しかし、その黒騎士の本来の姿であるヒュウガに対して、現在の自分の夢を絶対に譲らないと宣言まで出来た鎧には、
既に子供の頃の夢の存在に対する気後れはありませんでした。
この星や宇宙を守るため、戦士の魂を蔑にしてスーパー戦隊の力を悪用する者は倒すのみでした。

召喚戦士は倒せばレンジャーキーに戻るとルカが言っていたのを聞いていた鎧は、
黒騎士の戦う力を本来の黒騎士の魂の持ち主であるヒュウガのもとへ返すために、
迷いなく倒しにかかっていきました。
そのため、黒騎士と戦う辛さに負けはしなかったのです。

一方、他の5人の方は、ルカがバックルからギンガイエローのレンジャーキーを取り出して
「今日はこれでいくよ!」と言い、5人はギンガマンへの豪快チェンジをします。
今回はギンガマン篇ですから、ここで「ギンガマン」のオリジナルのOPテーマのBGMがかかります。

前回のレジェンド回のアバレンジャー篇は変則的な構成だったのでアバレンジャーへの豪快チェンジ自体が無く、
当然オリジナルテーマ曲が流れることもありませんでした。
またその前のレジェンド回であるカーレンジャー篇は豪快チェンジ時とエピローグ時に
オリジナルテーマ曲が流れましたが、
あの時はかなりギャグ的に処理されており、そんなに燃えませんでした。
正統派のレジェンド回で燃えるオリジナルテーマ曲の使用例は第12話のシンケンジャー篇以来のような気がします。
そういう久しぶり感もあって、このギンガマンのテーマ、かなり燃えました。

まぁ、そうでなくても、このギンガマンのテーマ曲は歴代でもイントロの燃え指数が極めて高い部類なので、
一気に心が持っていかれました。
やっぱレジェンド回はこれが有るからズルいです。
通常回でどんな見事なストーリーを作っても、レジェンド回はここのテーマ曲で全部持っていってしまうのですから。

もちろんゴーカイジャーの姿からギンガマンの姿への変身バンク映像もオリジナルに準拠したもので、
青い背景の場面でパートナー星獣の紋章の下に立った5人が
足元から立ち上って回転するアースの円筒形状の渦の中で高々と手を上げて変身するというものです。
そして変身後は特徴的な野生動物をイメージしたギンガマンの決めポーズをとります。
襲い掛かってくるデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーに対して
「行くぜ!!」とマーベラスの号令のもと、5人は一斉に星獣剣を抜いて突っ込んでいき、
また先ほどの3組の対戦カードに分散していきます。

第15話、第16話のレンジャーバトルは、あくまで「ゴーカイジャーVS召喚戦士」でしたが、
今回はレンジャーバトルは新たな展開を見せます。
今回はここから「ゴーカイジャーが多段変身したレジェンド戦隊VS召喚戦士」という局面になるのです。
さて、ここでどうしてわざわざ他戦隊、それもギンガマンへの豪快チェンジを選択したのかというと、
今回がギンガマン篇だから当然といえば当然ですが、
それはあくまでメタ的な視点での話であって、劇中における必然性ではありません。
その劇中における必然性が今回はちゃんとあります。

ジョー達は先ほど、この今回の彼らから見て謎の召喚戦士たちに敗れています。
マーベラスも不意打ちとはいえ、負けたようなものです。
そこでマーベラス達が学んだことは、今回の召喚戦士は確かに前回の召喚戦士たちよりは強いということです。
だから、まともに戦ってもなかなか勝つのは難しい。
それなら弱点を狙っていくしかない。
そして、いくら前回のものより強力だといっても、所詮は召喚戦士である以上、召喚戦士特有の弱点はあるはずです。

召喚戦士特有の弱点、それは心が無い操り人形であるため、臨機応変の対応が苦手ということです。
つまり予想外の事態への対応が鈍いのです。
前回の15人の召喚戦士との戦いでもマーベラス達はこの召喚戦士の弱点も狙って攻撃していました。
今回も同様にしていたのですが、今回の召喚戦士には通用しませんでした。
それは、今回の召喚戦士にその弱点が無いわけではなく、
弱点をカバー出来るだけの実力者であるに過ぎないのです。
だから、もっと厳しく弱点をついていけば、
実力者である今回の召喚戦士でもそこに生じる綻びを完全にカバーすることは出来ず、崩れていくはずなのです。

つまり、今回の召喚戦士たちにとって、極めて想定外の攻撃を仕掛けることが出来れば、
彼らがカバーしきれないぐらいの厳しい攻撃を仕掛けたことになるのです。
先だっての戦いにおいてゴーカイジャー側の仕掛けた攻撃では、
まだ今回の召喚戦士たちの想定の範囲内の攻撃であったのでした。
それはつまり、彼らの戦闘スタイルとゴーカイジャーの戦闘スタイルが
それほど大きくかけ離れていないということです。
いや、ゴーカイジャーの戦闘スタイルはかなり個性的で、
決して召喚戦士たちの戦闘スタイルと似通っているわけではないのですが、
それだけ今回の召喚戦士たちの対応範囲が広いということです。
もっと極端に彼ら召喚戦士たちの戦闘スタイルと大きくかけ離れた戦闘スタイルで攻撃を加えなければ、
彼らにとっての「想定外」にはならないのです。

デカマスターにしてもウルザードファイヤーにしてもマジマザーにしても、
いかにもスマートで動きに無駄や隙の無い正統派の達人タイプですから、
彼らにとって想定外の動きとなると、その対極にあるような
野生の獣のような野蛮で荒々しく勢い重視の予測不能の動きをする戦い方でしょう。
そうなると、独特のスタイルでありながら洗練されているゴーカイジャーの動きでは、
なかなかそこに当てはまる動きにはならないので、
ゴーカイジャーの動きで今回の召喚戦士の弱みをつこうとしてもイマイチ成功しなかった。
ならば野生の動きを特徴とした戦隊に豪快チェンジすればいい。
そういう発想でギンガマンへの豪快チェンジということになったのだと思います。

ギンガマンに変身するギンガの森の戦士は正統派の洗練された動きをする戦士たちであり、
ギンガマンへ変身した後も、そうした正統派戦士の動きもします。
それがよく現れたのが、例えば第13話の時のギンガマンへの豪快チェンジの際の、
星獣剣やアース技を駆使した流れるような連携攻撃でした。
そういうスマートな戦い方も出来るギンガマンですが、ギンガマンにはそれとは別の顔もあります。

それはギンガマンに変身能力を授けるパートナー星獣が乗り移ったような野生の獣そのものの荒々しい戦闘スタイルです。
今回の豪快チェンジは、ギンガマンの野生の獣のような戦闘スタイルを駆使して、
極端な正統派戦士である3人の召喚戦士にとっての予想外の動きで慌てさせて
召喚戦士特有の弱点を露わにする作戦であったのです。

ギンガレッドに変身したマーベラスはデカマスターの身体を肩と頭を踏み台にして素早く駆け上ってジャンプして
真上から「炎のたてがみ」を放ち、飛び降りて星獣剣で豪快に袈裟斬りします。
ギンガイエローに変身したルカはマジマザーを喉輪で押し倒してそのまま四つん這いで駆けて、
仰向けのマジマザーを引きずり回すというギンガイエロー得意の技を使い、
その勢いでマジマザーを放り投げて、そこにギンガブルーに変身したジョーが飛び込んできて、
空中で星獣剣でマジマザーを斬ります。
ギンガピンクに変身したアイムがウルザードファイヤーと斬り合っているところに、
ギンガグリーンに変身したハカセが、空中から飛び掛かってくるギンガグリーン得意の動きで
ウルザードファイヤーに不意打ちを食らわせて斬りつけ、
そこにアイムとハカセが何度も地面を滑りながら星獣剣で斬りつけるような
スピード感あふれる波状攻撃で何度も執拗に炸裂させます。

どれもこれも、普通の武道ではあり得ないような規格外の動きばかりです。
本物のデカマスター達であれば、それでも対応はするのでしょうが、
召喚戦士ではこれはさすがに臨機応変な対処は困難なようで、
3人の召喚戦士はこのマーベラス達のギンガマンの野生の攻撃を次々と喰らって、
深刻なダメージを負っていきます。

一方、鎧の方の戦いは、こちらは敵側の方がギンガマンの戦士の黒騎士であるという、
マーベラス達の方とは逆の形になっています。
しかし、マーベラス達の方がギンガマンの等身大戦における潜在能力を引き出したような戦い方が出来ているのは、
OPテーマが流れたことからも分かるように、
ゴーカイジャーの心がギンガマンの心とシンクロ率を高めているからです。
そして、今回、そのシンクロ率を高めたのは主には鎧によるものでした。
鎧の「自分が地球や宇宙を守りたい」という新たに持つようになった夢が、
ヒュウガの「自分の力で地球を守りたい」という想いとシンクロしていたのです。

だから、今の鎧はヒュウガと同じ心を持った存在です。
片や、それに対する黒騎士の召喚体は、
ヒュウガの心を持たずにヒュウガの戦う力だけが実体化した存在に過ぎません。
一進一退の攻防の中で、その心の有無の差が勝敗を分け、
ヒュウガの想いを背負った鎧の渾身の一撃で黒騎士は吹っ飛ばされ、崖に激突し、崩れ落ちます。

そして鎧はここで15戦士のレンジャーキーをゴーカイバックルから取り出し、
それを1つにまとめてゴールドアンカーキーとし、
「豪快チェンジ!!」と叫んでゴーカイセルラーのカギ穴に挿し込みます。
このあたりは前回、長々と苦労してやったことを、要領が分かったので短縮してやっているのでしょう。
変身バンク映像の中で一瞬で処理されています。
そしてそのまま変身バンク映像で、鎧はゴーカイシルバーゴールドモードに強化変身し、
いきなりゴーカイシルバーのレンジャーキーをゴーカイスピアのカギ穴に挿し込み、
ファイナルウェーブの準備に入ります。
やはりゴールドモードは心身への負担が大きいので基本的にはトドメ用に使われるようです。

そうして必殺技の「豪快レジェンドリーム」を炸裂させて、鎧は黒騎士を倒します。
これは、まるで鎧が少年時代の憧れのヒーローを倒すことで、
少年時代の夢を乗り越える通過儀礼をクリアしたかのような印象の残るシーンです。
もちろんその夢は否定されたわけではなく、鎧の新たに獲得した夢の中に発展的に引き継がれているのです。

そして倒された黒騎士の戦う力のエネルギーはそのまま小さな光球となって
本来のその力の持ち主であるヒュウガの方へ飛んでいきます。
ヒュウガがその光球を受け取ると、光球はヒュウガの掌の上で黒騎士のレンジャーキーへと姿を戻しました。
そして、ヒュウガの身体から炎のアース状となった「ギンガマンに大いなる力」が出現し、
掌の上の黒騎士のレンジャーキーに吸い込まれていきます。

普通は召喚戦士を倒したら一瞬エネルギー体となった戦う力は
すぐにその場でレンジャーキーへと結晶化してその場に落ちるものなのですが、
ここで召喚戦士を倒した後の戦う力がレンジャーキーに戻る前のエネルギー体の状態でヒュウガの方に飛んで行ったのは、
ヒュウガの持つ「ギンガマンの大いなる力」に黒騎士の戦う力のエネルギー体が
レンジャーキーに戻るまでの間、引っ張られたという解釈でいいでしょう。
そして掌の上でレンジャーキーに結晶化したので動きを止めたのです。

では何故、戦う力のエネルギー体が「大いなる力」に引っ張られたのかというと、
「ギンガマンの大いなる力」がその「黒騎士の戦う力」と一体化しようとしたので、
質量の小さい「戦う力」のエネルギー体の方が引っ張られる形になったということなのでしょう。
「大いなる力」がレンジャーキーに宿るということは言い換えると、
「大いなる力」ともともとレンジャーキー内にあった「戦う力」のエネルギー同士が一体化するということです。
ということは、要するに鎧が黒騎士の召喚体を倒した瞬間、
ヒュウガの体内の「ギンガマンの大いなる力」は黒騎士のレンジャーキーに宿って
ゴーカイジャーの許に託されることを望んだのです。

そのタイミングが鎧が黒騎士の召喚体を倒した瞬間であった理由は、
そのタイミング以前は黒騎士のレンジャーキーの所有権はバスコにあったからです。
鎧が召喚体を倒すことによって黒騎士の所有権はゴーカイジャー側に移りますから、
そのタイミングで「ギンガマンの大いなる力」は黒騎士のレンジャーキーに宿ることにしたというわけです。

しかし、別に黒騎士のレンジャーキーでなくても、
他のギンガマンのレンジャーキーを媒介にしてもいいはずなのであり、
それをあえて黒騎士のレンジャーキーの所有権が移ったタイミングを選んだということは、
黒騎士のレンジャーキーに宿っているヒュウガの想いを媒介とした反応によって
「ギンガマンの大いなる力」が動かされたということを意味しているのでしょう。
正確に言えば、黒騎士のレンジャーキーに宿ったヒュウガの想いとゴーカイジャーの側の想いがシンクロしたので、
「ギンガマンの大いなる力」はヒュウガの身体を出て黒騎士のレンジャーキーに宿って
ゴーカイジャーの手元に移ることを望んだのです。
これはヒュウガの意思でどうこう出来る反応ではなく、自然に生じた反応でした。
そして、そのヒュウガの想いとシンクロした想いを持ったゴーカイジャー側の人間は鎧しか考えられません。
つまりヒュウガの想いと鎧の想いはシンクロしたのです。

しかし、いつ、そんなシンクロが起きたのか?
「自分の夢は自分で掴む」という考え方は確かに鎧とヒュウガと共通のものでしたが、
それはマーベラス達も同様のはずですから、
マーベラス達の手持ちのギンガマンのレンジャーキーにその作用は生じてもよかったはずです。
鎧とヒュウガだけに生じたシンクロが他にあるはずなのです。
それは、おそらく、捨てようとしてもどうしても捨てられなかった「地球を守る想い」は
何よりも強いのだという点でしょう。

ヒュウガはバルバンとの戦いの終盤において、
敵の首領ゼイハブを倒すためには星を守る力であるアースを持つ戦士では触れることが出来ない
ナイトアックスを使わねばならあないと知り、
星を守る心の証であるアースを捨て、星を守る戦士たる資格を放棄します。
そしてギンガマンからも去って単身でナイトアックスによる攻撃でゼイハブを倒すことに全てを賭けるのですが、
それも失敗し、全てを失った失意の中で、それでも星を守りたいという想いが甦ったヒュウガにはアースが復活し、
その心の奥底から復活した純粋なる星を守りたい心は強力なアースとなり、
リョウマとの同時攻撃でゼイハブを倒すことが出来たのでした。

一度、戦士の資格も捨てて、星を守る戦いも諦めたヒュウガは、
一度それを失うことによって、そのかけがえのなさを知り、
それでも「この星を自分が守りたい」と湧き上ってきた自分の想いの尊さを誰よりも認識することが出来たのです。
だから、そこから先は決してヒュウガは揺るがないのであり、
どんな困難も突破して、きっと星を守る戦いに勝利出来ると確信できたのでした。

鎧もまた、今回、一度はゴーカイシルバーとなって地球や宇宙を守って戦うという夢を
ヒュウガに譲ろうとして、心の中ではその夢を放棄しました。
そして諦めてしまおうとしていたのですが、
それでも心の奥底から、やっぱりその夢を捨てたくない、
自分で夢を掴んで、自分の力で地球や宇宙を守りたいという、
強い強い想いが湧きあがってきたのでした。
それは、一度は夢を捨てただけに、もう二度とこの夢は諦めたくないという強い決意を伴っています。
だから、鎧のこの夢も二度と揺らぐことはなく、鎧は必ず地球や宇宙を守る戦いに勝利すると確信出来たのです。

こういう面において、ヒュウガと鎧の想いはシンクロし、
その結果、ヒュウガの想いの宿った黒騎士のレンジャーキーを鎧が取り戻した時、
「ギンガマンの大いなる力」がヒュウガの身体を出て、
ヒュウガの想いを媒介として黒騎士のレンジャーキーに宿って
鎧の属するゴーカイジャーの許へ移るという現象が起こったのです。

ヒュウガは、自分の身体から「ギンガマンの大いなる力」が出て
黒騎士のレンジャーキーに移るという現象を感じ取ることが出来たので、
自分と鎧との想いのシンクロがこの現象を引き起こしたのだということは悟りました。
そして、それがおそらく「一度は捨てた星を守る想いを復活させた者同士」のシンクロであることも
何となく分かりました。
そして、それゆえに「ギンガマンの大いなる力」が鎧を認めたのだということを理解しました。

一方、鎧はこの現象が見えていたわけでもなく、
レンジャーキーや大いなる力のこともよく知らなかったので、
自分が召喚体を倒した結果、黒騎士のレンジャーキーが本来の持ち主であるヒュウガの手元に戻ったのだと想い、
無邪気に喜んで「やりましたよぉ!ヒュウガさぁん!」と、駆けてきます。
ヒュウガはそんな鎧を頼もしそうに見つめて「あぁ・・・!」と答えます。

さて、マーベラス達の戦いの方は、
ギンガマンの攻撃で崩していって痛めつけた3人の召喚戦士が抵抗が出来なくなってきたのを見計らって、
ゴーカイジャーの姿に戻り、「とどめだ!」とマーベラスの号令のもと、
レンジャーキーを挿し込みファイナルウェーブの態勢に入ります。
今回はゴーカイガンを使ったゴーカイブラストで、
これが炸裂してデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーの召喚体は倒され、
3つのレンジャーキーがその場に転がり落ちます。

「これでまた新しいレンジャーキー、ゲットだねぇ〜!」とルカがウキウキした様子で
落ちたレンジャーキーを拾おうとして駆け寄ると、その前に突然、何者かが飛び込んできます。
「ああっ!?」とルカが驚いて立ち止まって見ると、それはサリーでした。
サリーは落ちている3つのレンジャーキーを拾うと「ウキッ!ウキッ!」と吠えて
大きくジャンプして高台にいるバスコの横に移動し、3つのレンジャーキーをバスコに献上します。

どうやら森の中でマーベラスに倒されたと思われていたサリーが何処かに潜んでいて、
召喚戦士が倒された場合にレンジャーキーを素早く回収するという段取りになっていたようです。
もちろんそれをあらかじめ命じておいたのはバスコでしょう。
バスコはサリーをマーベラスの足止め係として使いつつ、
更にマーベラスに振り切られた場合は戦場近くに潜んでレンジャーキー回収係もするよう
二重の任務を命じていたわけで、これはなかなか狡猾といえます。

ただ、黒騎士のレンジャーキーだけは地面に落ちずに光球の状態でヒュウガの手に移動するという
予想外の動きをしたためにサリーも回収するチャンスを逃してしまったようです。
これでバスコは4つのレンジャーキーを回収するはずが3つしか回収できず、
手持ちのレンジャーキーは9つとなりました。
一方、マーベラス達は4つのレンジャーキーをゲットする直前だったのですが、
サリーの邪魔で3つのレンジャーキーは手に入れることは出来ませんでした。

悔しがるマーベラス達を見下ろして、
バスコは「しょうがないからギンガマンの大いなる力は譲ってやるよ!」と言います。
バスコもヒュウガ同様、黒騎士のレンジャーキーが奇妙な動きをしたのは
「大いなる力」の譲渡に関する動きだと悟っているようです。
どうもバスコはやはり色々なことを知っているようです。

ただ、これで「ギンガマンの大いなる力」は手に入れられなかったというのに、
バスコはあまり悔しそうではありません。
それには理由があります。
バスコは「俺は先に他の奴らの集めちゃうからさ!」と続けて言ったのでした。
つまり、バスコはやはり「大いなる力」の在り処を独自に知る方法を持っているようで、
他の戦隊の大いなる力をマーベラス達よりも早く見つけ出して手に入れるつもりのようなのです。
だから、別に今回ギンガマンの大いなる力を手に入れられなかったからといって、
そんなに痛手ではないと言っているのです。

ただ、それにしてもよく分からないのが、バスコがいつも自分自身は戦おうとはしないことです。
かなりの腕は持っているようですから、
自ら戦えばこの局面でも工夫次第ではレンジャーキーを奪取するぐらいの挽回も不可能ではないはずです。
しかし、そうしようとはせず、手駒が倒されたら、あっさりと目的を諦めて去っていこうとする。
臆病なのだといえばそれまでですが、
さっきもマーベラスを倒すチャンスに取引を持ちかけたりしており、
どうも基本的にとことん戦うことよりも有利な取引に持ち込むことが好きのようです。
まぁバスコ流に言えば、その方が「賢いやり方」ということなのでしょう。
だから、ここでも、とことんギンガマンの大いなる力を狙って特攻を仕掛けるよりも、
無難に撤退して他の大いなる力を狙う方が賢いと、そういう考え方をするのがバスコなのでしょう。

そしてバスコは前回と同じく、サリーの腹のハッチを開いて
「いらっしゃいませぇ〜!!」と叫び、巨大生物兵器を召喚します。
今回は頭に曲がった角を生やした金色の怪物です。
「おおお!?な、何ですかアレ!?」と、初めてバスコの召喚生物兵器を見る鎧は驚いてマーベラス達に尋ねる。
バスコはそれに答えるように「ムーンロイドのツッキーくんだ!仲良くしてやってくれ!そんじゃ!」と
言い捨てて去っていきます。
また生物兵器にマーベラス達の足止めをさせている間に自分は逃げようというつもりのようです。
バスコが歩き出すのが合図のようにツッキーくんは頭の三日月のような角から破壊光線を発射して
マーベラス達を攻撃し始めたので、マーベラス達はバスコを追撃することが出来ず、
また取り逃がしてしまいました。

それにしても、第16話に登場したバスコ召喚の巨大生物兵器の第1号がリキッド(液体)ロイドだったので、
次は固体とか気体モチーフのものがくるかと思っていたら、ムーンロイドというのは意外でした。
もしかしたら、前回がワテル(水)で、今回がツッキー(月)なので、曜日縛りなのかもしれません。
つまり「月」「火」「水」「木」「金」「土」「日」に相当する名前の召喚生物兵器がサリーのハッチの中にあり、
それぞれに見合った「〜ロイド」という通り名があるのかもしれません。
となると、バスコの残りの手持ちの生物兵器はツッキーくんを入れてあと6つということになります。

ただ、どうもこの生物兵器たちの出てくる場所がサリーの「ハッチ」というのが気になる。
「ハッチ」といえばゴーカイオーも「ハッチ」から「大いなる力」を出します。
そう考えると湧いてくる疑問は「バスコは大いなる力をゲットした場合、どこにそれをしまっておき、
どこから取り出して使うのだろうか?」というものです。
あるいは、バスコはサリーの腹部ハッチに、ゲットした「大いなる力」をしまっておくつもりなのかもしれません。
いや、もしかしたら、もともとはその目的でサリーの腹部ハッチを作ったのであって、
生物兵器を入れているのは、ついでに過ぎないのかもしれません。

まぁそこらへんはまだほとんど憶測なので、これぐらいにしておくとして、
とにかくこのバスコの生物兵器たちはあんまり喋らないので、どうしても巨大戦は淡泊めになります。
鎧は豪獣ドリルを呼び寄せて乗り込み、ツッキーくんを攻撃し、
更にマーベラス達もゴーカイオーで参戦し、シンケンゴーカイオーへと変形します。
鎧も豪獣ドリルを豪獣レックスに変形させ、更に豪獣神へと変形します。
今回は豪獣ドリルは少し戦闘しましたが、豪獣レックスは変形バンクのみの登場で、
実質的な戦闘はシンケンゴーカイオーと豪獣神によるものとなります。

そして戦いはほとんど一方的でとなります。
シンケンゴーカイオーと豪獣神って、ちょっと強すぎなタッグだといえます。
薙刀とドリルで一方的にやられまくったツッキーくんは、
最後はゴーカイ侍斬りと豪獣トリプルドリルドリームで粉砕されて倒されます。

エピローグは戦いの後、ヒュウガとゴーカイジャーとの別れの場面です。
ヒュウガは再び結界の中のギンガの森に帰っていき、
マーベラス達はガレオンでまた宝探しの旅に旅立っていくのです。

マーベラス一味の6人と向き合って立つヒュウガは「伊狩鎧!」と鎧を呼びます。
「はい!」と返事する鎧に向かって歩み寄り、
ヒュウガは「ギンガマンの大いなる力とともに・・・これを君に託す・・・!」と言って、
黒騎士のレンジャーキーを鎧に向けて差し出します。
黒騎士のレンジャーキーは一瞬光を放ち、そこに「大いなる力」が確かに込められていることを示します。

ヒュウガの言葉に鎧は「えっ・・・でも・・・?」と意外そうに驚きます。
さっき、黒騎士の召喚体を倒した後、レンジャーキーのエネルギーがヒュウガの方に飛んで行ったのは、
レンジャーキーが本来の持ち主であるヒュウガの許へ戻ることを望んだからだと、鎧は思っていたのです。
だから、ヒュウガが黒騎士のレンジャーキーを自分に託すのは
レンジャーキーの意思に背く行為なのではないかと鎧は思ったのでした。

それに対してヒュウガは「今、スーパー戦隊の力は1つに集めておいた方がいい・・・」と言います。
これと同種の発言は「199ヒーロー大決戦」映画のラストシーンでゴセイジャー達も言っていますが、
ゴセイジャー達はそれを確信をもって言っていたわけではなく、
「1つに集めておいた方がいいんじゃないかな?」と推測していただけでした。
それはスーパー戦隊バズーカを生み出す奇跡などを起こしたレンジャーキーの不思議空間の経験から来た判断であり、
当初はゴーカイジャーから自分達のレンジャーキーを奪い返そうとしていたぐらいですから、
ゴセイジャーは「スーパー戦隊の力を1つに集めておいた方がいい」という発想は当初は無かったはずです。

他にも今まで出てきたレジェンド戦士たちの行動がバラバラである点を考えても、
レジェンド戦士たちの間で「スーパー戦隊の力をゴーカイジャーのもとで1つに集めておいたほうがいい」
という前提的な共有情報があったというわけではないと思われます。
よって、ここでもヒュウガは当初はそういう認識は持っていなかったと思われます。
おそらく、「ギンガマンの大いなる力」がまるで自ら望むように、鎧のことを認めて、
鎧が倒した黒騎士のレンジャーキーに移っていったのを見て、
ヒュウガは黒騎士のレンジャーキーは鎧に託すべきだと判断し、
スーパー戦隊の力をゴーカイジャーのもとに集めようとする大きな意思を感じ取ったのでしょう。

ヒュウガとしても、それはあくまで推測で言っているのであり、
それを不思議そうな顔をしている鎧に分かりやすく説明することは出来そうにない。
しかし、ヒュウガはそんな込み入った説明はしなくても、
鎧にレンジャーキーを納得して受け取らせる言葉を別に持っていました。

ヒュウガは鎧の手をとって「それに・・・」と言うと、
鎧の掌の上に黒騎士のレンジャーキーを置き、
「・・・俺の分までこの星を守るんだろ?」と言って鎧の目を見つめます。
確かに、さっき鎧はそう熱く宣言しました。
だったら、鎧はヒュウガのこの想いは受け取らないわけにはいきません。
鎧は少し感極まったように目を充血させつつも、強くヒュウガの目を見つめ返し、
「はい!!」と力強く返事したのでした。
ヒュウガはその返事を聞くとニッコリ微笑み、鎧の手から自分の手を離します。
残された鎧の手は、自分1人だけの力で黒騎士のレンジャーキーを握りしめ、
その託された想いの重さを噛みしめるのでした。

ここまでで今回のエピソードのテーマは完結しています。
この後のシーンは、13年ぶりに実現した「炎の兄弟」のツーショット、
およびそれを喜ぶギンガマンファンのためのサービスシーンのようなものです。

飛び去っていくガレオンを見送るヒュウガの横にリョウマがすっと進み出て
「まさか宇宙海賊が35番目のスーパー戦隊になるなんてな・・・」と感慨深そうに呟きます。
リョウマはあの川辺でジョー達と別れた後、やはりジョー達の様子が気になって後を追いかけ、
ここでの戦いを見ていたようです。
すると、そこには自分が安否を案じて探していたヒュウガもおり、
リョウマも黒騎士のレンジャーキーの起こした奇妙な現象を見て、
だいたいヒュウガが感じたのと同じようなことを感じていたのでした。
そして、ゴーカイジャーとの別れ際にヒュウガが「ギンガマンの大いなる力」を
ゴーカイジャーに託したのも見ていました。

ヒュウガももちろんリョウマがそれを見ていたことは気付いていますから、
いきなりリョウマが出てきても驚きません。
リョウマも自分がいたことはヒュウガも当然気付いていたと思っていますから、ごく普通に喋りかけます。
ただ、ヒュウガも、自分としては確信をもってゴーカイジャーに大いなる力を託したものの、
その確信を他人に完全に納得させる形で伝えられる自信はありません。
だから、もしリョウマがその自分の判断に異議があるようなら、少しややこしいことになるかもしれないと思い、
「やっぱり海賊は信用出来ないか?リョウマ・・・」と問いかけます。
ちなみにここで今回のエピソードでは初めて「リョウマ」という固有名詞が登場します。

まぁ、あれだけ激しいバルバンとの戦いを経験したリョウマですから、
宇宙海賊への不信感はあっても当然であり、
そのためにゴーカイジャーは信用出来ないということも有り得ることだとヒュウガも思っています。
しかしリョウマは「いや、兄さんが認めた戦士なら大丈夫さ!」と言ってニッコリ笑います。
ヒュウガは弟リョウマがあくまで自分を絶対的に信用してくれているのを感じて、少し照れ臭そうに笑います。

そうしてヒュウガと共に和やかに笑いながら、
リョウマは続いて真顔になり「それに・・・俺も信じたいと思ったんだ!
・・・仲間のために自分の身を顧みず、走り出したあいつらのこと・・・!」と言います。
そのリョウマの姿にギンガレッドの姿がオーバーラップする演出がここでも使われています。

リョウマは、マーベラスや鎧を助けるためにダメージの残った身体で走り出したジョー達を見て、
それが自分達ギンガマンに通じると思い、好感を持ちました。
それゆえジョー達の身を案じて後を追ったのです。
その結果、リョウマはジョー達が宇宙海賊でありゴーカイジャーであることを知ったのです。
確かにリョウマは宇宙海賊というものに好印象は持っていません。
ですが、彼らを信じたいと思った自分を信じたいとリョウマは思ったのでした。

そのリョウマの手には、さっきハカセから貰ったドーナツの箱が握られており、
ヒュウガは最初に森の中でマーベラス達と会った時にハカセが同じ箱を持っていたのを思い出し、苦笑いします。
どうやら自分の知らない間にリョウマもゴーカイジャーと出会っていたのであり、
「ギンガマンの大いなる力」がゴーカイジャーの許へ移ったことの背景には、
自分が彼らを認めたということだけがあったのではなく、
リョウマが彼らを信じたいと思ったことも影響していたのだと気付いたのです。
それで、つくづく似た者同士の兄弟なんだなぁと思い、ヒュウガは苦笑します。
リョウマも釣られて笑い出し、炎の兄弟2人は笑顔で、飛び去っていくゴーカイガレオンを見上げるのでした。

なお、今回からEDテーマの時に流れる映像が変わりました。
第14話から前回までは「199ヒーロー大決戦」映画の宣伝のためのダイジェスト映像版でした。
その「199ヒーロー大決戦」映画も公開してだいぶ経ち、公開終了する映画館もボチボチ出始めている頃なので
そろそろ通常版のED映像に戻る頃であろうかと思っていました。
そうなれば、鎧の加入によってED映像も何らかの変更はあるのであろうかとも思ったりしていたのですが
なんと今回から夏休み映画「海賊戦隊ゴーカイジャーTHE MOVIE空飛ぶ幽霊船」の
宣伝用のダイジェスト映像版に変わったのでした。

考えてみれば、この「空飛ぶ幽霊船」映画は8月6日公開ですから
この7月10日オンエアの第20話あたりからEDテーマの映像でダイジェスト映像を流して
前宣伝するのは例年通りのタイミングです。
今年はその前に「199ヒーロー大決戦」映画があるというのがイレギュラーであっただけのことです。
そういうわけで通常版ED映像はおそらく9月ぐらいまでおあずけということになりそうです。

それにしても、この「空飛ぶ幽霊船」のダイジェスト映像ですが、
これを見る限り、この映画、かなり面白そうです。
見どころが非常にたくさんありそうで、
ホントにこれで例年通り、20分ちょっとの尺なのか?と疑ってしまうくらいです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:53 | Comment(0) | 第20話「迷いの森」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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