2011年08月03日

第21話「冒険者の心」感想その1

今回は前回のギンガマン篇に引き続きレジェンド回で、ボウケンジャー篇です。
レジェンド回が2回続くわけですが、最近のエピソードは15、16話のバスコ登場の前後篇は通常回でしたし、
17、18話の鎧登場の前後篇は18話がレジェンド回でしたが、あまりレジェンド回っぽくないレジェンド回であり、
そして19話は通常回で、しかも15話の前のレジェンド回が完全コメディー回だった14話のカーレンジャー篇だったし、
そのため前回20話のギンガマン篇がずいぶん久しぶりの真っ当なレジェンド回という印象でした。
だからここらでレジェンド回が2回連続してもレジェンド回が多すぎるという印象にはなりません。

なお、今回のボウケンジャー篇では、「大いなる力」の獲得がストーリーの軸にはなっていません。
何故なら、既に今回のエピソード開始時点でマーベラス一味は
「ボウケンジャーの大いなる力」は獲得済という設定になっているからです。
つまり「199ヒーロー大決戦」映画でマーベラス達が獲得した11個の「大いなる力」のうちの1つが
「ボウケンジャーの大いなる力」であったということになっているのです。

確かにあの映画でレンジャーキーの作った不思議空間でマーベラス達とゴセイジャーの前に
ビジョンの形で姿を現した12の戦隊のレジェンド戦士たちの中にボウケンレッド明石暁の姿もあり、
あれをもって「大いなる力」の譲渡が行われたという解釈のようです。
そうなると、あの時姿を現した戦士たちの属する12の戦隊のうち、
あの時点で既にマーベラス達が「大いなる力」を獲得済だったデカレンジャーとシンケンジャーの2つを除く
10の戦隊、すなわち、ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、
バイオマン、ターボレンジャー、ダイレンンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーの
「大いなる力」は、あの時にマーベラス達に与えられたということで確定であると見ていいでしょう。

そして、あの映画の中でもう1つ最後にマーベラス達が獲得した「ゴセイジャーの大いなる力」が
映画のエピソードの直後にあたるTV本編の第17話で使用され、
そしてまた今回の第21話において「ボウケンジャーの大いなる力」もまた
あの時に獲得したのだということが明言された以上、
「199ヒーロー大決戦」映画のエピソードと、TV本編のストーリーとの間には
かなりの連続性があるということが示されたといえます。

まぁ私的には、ライダーや戦隊のTV本編と劇場版の関係はあくまでパラレルだという解釈をするのが原則なので、
この「ゴーカイジャー」においても基本的にはパラレルという解釈です。
ただ、パラレルとはいっても限りなくそっくり同士なパラレルワールドというものもあるわけで、
TV本編の第16話と第17話の間に、「199ヒーロー大決戦」映画で描かれた物語と全く同じ出来事が
起こったという解釈でいいと思います。
そして、今回のボウケンジャー篇が制作されたことによって、
「大いなる力」を既に獲得した戦隊でも、改めてレジェンド回を設けることも
有り得るということも証明されたといえます。

ただ、今回のボウケンジャー篇ですが、「大いなる力」を獲得した後ならではのストーリーであったわけではなく、
話の展開としては、ごく普通のレジェンド回であったと思います。
つまり、ボウケンジャーという戦隊の持つテーマがお題となったストーリーの中で、
ゴーカイジャーとボウケンジャーが理解し合うという構成です。
一応「ゴーカイジャーがボウケンジャーから以前に大いなる力を貰っていた」ということを前提として
ストーリーが開始されていますが、
今回のエピソードでボウケンジャーの大いなる力を獲得するという展開であっても、
そう違和感の無い構成になっています。
「大いなる力」を獲得していようがしていまいが、とにかく基本的にはレジェンドゲストが出てくる場合は、
こうした相互理解へと進んでいくストーリーでやっていくということでしょう。

そして今回のボウケンジャー篇で特徴的であったのは、かなりボウケンジャー色が濃かったことです。
元ボウケンレッド明石暁が相変わらずサージェス財団のもとでプレシャス収集のミッションをやっていて、
今回のミッション「黄泉の心臓」というプレシャス回収作業の助っ人をマーベラス一味に依頼するというお話です。
マーベラス達はこれに協力することになり、明石とマーベラス一味のチームが
「黄泉の心臓」を回収するための冒険に出発し、
その先でかつてのボウケンジャーの敵であったリュウオーンの復活体と戦う羽目になるという、
ほとんど「ボウケンジャー」の続編と言ってもいいような話でした。

「ゴーカイジャー」のレジェンド回は基本的には「ゴーカイジャー」の世界観でゴーカイジャーのストーリーを描き、
レジェンドゲストはあくまで「ゴーカイジャー」の世界観の中にゲストとして登場するというのが特色になっています。
マジレンジャー篇、ゲキレンジャー篇、ガオレンジャー篇、シンケンジャー篇、アバレンジャー篇、ギンガマン篇は
そういう傾向の強いレジェンド回で、そこに登場したレジェンドゲスト達は、皆、
そのキャラがオリジナル作品で占めていた立ち位置とは違った立ち位置でストーリーの中で機能しており、
オリジナル作品の世界観の再現を求めていた過去作品ファンから見ると、
どうしても少し物足りない印象だったと思います。

ただ、その分、各レジェンド回のメインストーリーであるゴーカイジャーの物語は充実しており、
よく見れば、レジェンドゲスト達はオリジナル作品からレジェンド大戦を経ての連続性の中で
しっかり整合性のとれた描写がなされており、
そのレジェンドゲスト達の描写がゴーカイジャーの物語と綺麗にリンクしており、
作劇としてかなりハイレベルだといえます。

カーレンジャー篇は、オリジナルの「カーレンジャー」の物語との連続性もほとんど無く、
かといってゴーカイジャーの物語の要素もほとんど無く、独立した純粋なるギャグ篇であり、
あれはある意味で「カーレンジャー」的な不思議コメディー世界の中にゴーカイジャーが入り込んだ話でした。
しかし、あくまで、あの話はカーレンジャーの物語の世界観そのものではありませんでした。
まぁカーレンジャー篇は特殊すぎて、例外的存在としておいた方がいいでしょう。

そうなると、ここまででただ1つタイプの違っていたレジェンド回は第5話のデカレンジャー篇です。
あれは、レジェンドゲストで出てきたドギー、ジャスミン、バンの3人は皆、
相変わらず宇宙警察の刑事で、地球暑に勤務して宇宙人犯罪を取り締まるという日常を送っており、
彼ら3人の周辺事情は「デカレンジャー」本編の世界観がそのまま維持されていました。
だから、彼らレジェンドゲスト達に関わると、
必然的に「デカレンジャー」の世界観の中に入り込んでいくことになります。
つまり、マーベラス一味の方が「デカレンジャー」の物語世界の中にゲストとして参加するような形になるのでした。
今回のボウケンジャー篇も、そういう意味で久しぶりに
このデカレンジャー篇と同じタイプのレジェンド回ということになり、
マーベラス一味は「ボウケンジャー」の物語世界の中に参加するような形となります。

もともと「ゴーカイジャー」という作品が過去34戦隊の戦士たちがゲストとして登場する作品になるという話を聞いた時、
このボウケンジャー篇やデカレンジャー篇のような、過去作品の世界観が大いに再現されるようなエピソードが
連続していくような展開を期待した人は多かったのではないかと思います。
同じ過去作品とのコラボ企画として「ゴーカイジャー」にとって先行企画となる
「仮面ライダーディケイド」もリイマジという特殊な形ではあったものの、
過去作品の世界観を再現することを重視しており、過去作品ファンには涙モノの展開でした。
スーパー戦隊シリーズにおいては「VSシリーズ」というVシネマや劇場版の企画が、やはり過去作品とのコラボ企画で、
ここでもやはり、出来るだけ過去作品の世界観や空気感を再現することにこだわった作りとなっています。

こういった作り方というのはシリーズを見続けているファンには感激モノであって、非常にウケがいいのです。
だから「ゴーカイジャー」にもそういうものを期待した人が多かったと思います。
しかし、そういう作り方というのは、結局サプライズ頼みであって、物語の質を上げようという作り方ではありません。
一種の単発モノのお祭り企画ならばそれでいい。
「VSシリーズ」はまさに単発のお祭り企画であるし、
「ディケイド」も、本来は「キバ」の後に「W」をやる予定だったところに
突発的なお祭り企画として挿入された半年限定企画でした。

それでも、半年限定企画の「ディケイド」ですら、
サプライズ重視路線のために大人気は獲得したもののメインストーリーの綻びが半年の間に限界を超えてしまい、
最後はかなりムチャクチャな感じになってしまいました。
それに比べ、「ゴーカイジャー」はちゃんと1年間通して放送する企画であり、単発モノのお祭り企画とは違います。
過去戦隊を大活躍させるサプライズ路線ではなく、
ゴーカイジャーのメインストーリーを重視した企画でなければ
1年間という長丁場でクオリティを維持することなど出来ません。
だから、過去戦隊の世界観の再現を重視したデカレンジャー篇やボウケンジャー篇のようなエピソードは
あくまで異端であって、基本的にはレジェンド回といえどもゴーカイジャーの物語世界の中で繰り広げられるのです。

それでは何故、デカレンジャー篇やボウケンジャー篇のようなものが作られたのか?
実はデカレンジャー篇とボウケンジャー篇とでは、その意味合いはだいぶ違います。
デカレンジャー篇は確かにデカレンジャーの世界観の中にゴーカイジャーが入り込んだようなお話には見えますが、
それでも「大いなる力を獲得する」という確固とした目的をもってゴーカイジャーが行動している限り、
あくまでゴーカイジャーが物語を動かす主体として機能していることは明白なのです。

これは「ディケイド」の各ライダー世界の話と一緒で、
各ライダー世界は過去作品の世界観そのままの世界であって、
主人公のディケイドはそこに迷い込んだゲストに過ぎないのですが、
それでもその世界に自分の世界を見出そうとしてディケイドが行動する限りにおいて、
ディケイドが物語を動かしていく構造になっているのは明白だったのです。
デカレンジャー篇というのは、そういう「ディケイド」の各ライダー世界篇と同じ構造で、
主人公であるゴーカイジャーは確かにゲスト的立場にはシフトしているものの、
主人公としての姿勢自体は全くブレていません。
「ゴーカイジャーが大いなる力を求めて行動する」というストーリーのベクトルは維持されているのです。

むしろ、デカレンジャー篇というのは、そのレジェンド回の基本構造を、
最も視聴者が喜ぶ形で、最も明快に示すためにディケイド方式で作られた特別篇、
一種のレジェンド回のパイロット版だったように思えます。
何故なら、デカレンジャー篇が実質的なレジェンド回の第1弾だったからです。
それに先立つマジレンジャー篇というのは、レジェンド回のプロローグのようなもので、
マジレンジャー篇の最後になって「大いなる力を集めれば宇宙最大のお宝が見つかる」という
レジェンド回におけるマーベラス一味の行動の前提となる認識が登場するのです。
だから「大いなるお宝」を探して行動するという意味でのレジェンド回の実質的な1回目はデカレンジャー篇なのであり、
そこで視聴者が当初最も期待していた、過去作品の世界観の再現率の高い形でのディケイド方式のレジェンド回を、
一種のレジェンド回のパイロット特別版としてやったのでしょう。

ただ、この過去作品世界観重視方式をずっと続けると、
まさにディケイドのように、メインストーリーが崩壊していくので、
最初のデカレンジャー篇でやった後は封印しているのでしょう。
また、このパターンをあまりやり過ぎると、マニアックな人気は盛り上がりますが、
肝心のメイン視聴者の低年齢児童層は冷めてしまう可能性もあります。
だから、1年という長丁場を考えてもデカレンジャー篇以降は封印しているという前半の現状は正解だと思います。
もしかしたら今後、後半には何度かデカレンジャー篇と同じタイプのレジェンド回も
随所で挿入されるのかもしれません。

ただ、今回のボウケンジャー篇は、そうしたデカレンジャー篇のようなタイプのレジェンド回とは
意味合いが全く違います。
何故なら、今回は「大いなる力を探して行動する」という
ゴーカイジャーのレジェンド回における基本方針そのものが忘れ去られてしまっているようなお話だからです。
では、レジェンド回として不完全なエピソードであったかというと、そんなことはありません。
いつも通りのレジェンド回でした。
また、ボウケンジャーの世界観の中で「大いなる力」探しもしないことによって
ゴーカイジャーの物語が全く描かれなかったかというと、
全く逆で、しっかりゴーカイジャーの物語の核心が描かれていました。

つまり、今回のエピソードというのは、「大いなる力」が絡まなくてもレジェンド回は成立するし、
ゴーカイジャーの物語もしっかり描くことが出来るということを証明するためのエピソードだったということになります。
「大いなる力」は「宇宙最大のお宝」へと至るステップなのですから、
これは言い換えれば「宇宙最大のお宝」は実は「ゴーカイジャー」の物語の真の核心ではないということです。
本当に大切なものは「お宝」なのではなく、
今回のエピソードの中で明石が「冒険する喜び」と表現していたもの、
すなわち、「お宝を手に入れるまでの過程を楽しむこと」なのです。

今回のエピソードは、表面的なストーリーは、
前回のバスコの再登場によって「大いなる力」を横取りされる危険が高まったことを受けて焦りを募らせたマーベラスが、
いつもは彼の持ち味としている「お宝を手に入れるまでの過程を楽しむ気持ち」を忘れてしまい、
明石との冒険を通して、それを思い出すという展開となっています。

お宝を目指した冒険で困難が立ちはだかった時、その困難を楽しんんだり喜びと感じる心の余裕があってこそ
困難を突破してお宝を手に入れることが出来るのであって
そういう「冒険する喜び」こそがお宝探しにとって最も重要な要素だということをマーベラスは思い出すのです。
その流れでボウケンジャーへの豪快チェンジ、そしてボウケンジャーの大いなる力の初めての発動へとつながります。

そこで倒される敵がリュウオーンであるというのもある意味象徴的です。
リュウオーンは元は人間で冒険者であり、仲間に裏切られたことから復讐心が暴走して怪物と化して
人類を滅ぼそうとまでした男の末路の姿でした。
それは裏切り者バスコへの復讐心が嵩じて生じた焦りで
一番大事な「冒険する喜び」を忘れてしまったマーベラスが辿るかもしれなかった末路の姿そのものだといえます。
そのリュウオーンの宿敵であったボウケンジャーの「冒険する喜び」に触れたことで
本来の自分を取り戻したマーベラスが「ボウケンジャーの大いなる力」を使って
道を誤っていた自分の分身ともいえるリュウオーンを倒すというお話です。

しかし、今回のお話はそれだけのお話ではありません。
その奥に結構「ゴーカイジャー」全体のストーリーの中で重要な意味合いのあるお話であったと思います。まず、今回のプレシャス回収作戦自体がゴーカイジャーにとっては全く無意味な、
本来の彼らの目的とは何の関係も無い余計な作業であったということがポイントです。
これでザンギャックと戦うのなら、
一応はザンギャックと敵対する彼らとしてはまだ多少はその戦いに意義はあるのですが、
今回戦う相手はジャリュウ一族のリュウオーンで、ゴーカイジャーにとっては戦う必要も無い相手です。
では何故戦ったのかというと、
リュウオーンが彼らが明石から依頼されたミッションの目的のプレシャスを体内に取り込んでいたので、
ミッションを遂行するには戦うしかなかったからです。
結局、ゴーカイジャーは本来は受ける必要も無い余計なミッションを引き受けてしまったために、
余計な冒険をして意味の無い戦いをする羽目になった。今回はそういう話でした。

しかし、その結果、マーベラスは大切な「お宝を手に入れる過程を楽しむ気持ち」を取り戻したのでした。
つまり、意味の無い宝探しや戦いであっても、その過程に意義は有るということが
今回はストーリー構成を通して暗示されているのです。
これは言い換えれば、宝探しや戦いよりも、その過程の困難の中で得るものこそが
真に大切なものだという考え方の暗示です。

今回はストーリーの中で明石のセリフで具体的にそのような思想が示され、
マーベラスがそれに共感するという描写がなされると同時に、
このように今回のストーリー自体が「過程において得るものの大切さ」を暗示する構成ともなっているのです。
困難が立ちふさがった時に湧き上がってくる「冒険する喜び」というものは今回のエピソードのテーマではありますが
全体ストーリーの中では「過程の中で得られる大切なもの」を象徴する1つの例でもあるのです。

そのためには、今回のゴーカイジャー達の行動は彼らにとって全く無意味なものである必要があった。
無意味な宝探しや戦いの困難の中で大事なものを得たからこそ、
目的よりも過程の方に重要なものがあることが明確になるのです。
そういうわけで今回はとことんゴーカイジャーにとっては縁の薄い
「ボウケンジャー」の世界観の中でのストーリー展開とする必要があったのです。

今回のボウケンジャー篇が一見、デカレンジャー篇に似ているように見えるのはそのためであって、
実際はデカレンジャー篇とは全く目的も意義も違う、今までに無い特殊なレジェンド回であったといえます。
この特殊性は、「ゴーカイジャー」の物語全体の中で今回のエピソードが
地味ながら1つのターニングポイントとなるエピソードだからであろうと思います。

何故、そこまで二重の形で徹底的に今回のエピソードで
「過程において得るものの大切さ」を示す必要があったのかというと、
おそらくそれが「ゴーカイジャー」の物語の核心だからです。
だからこそ、今回、ラストシーンでこの物語の最重要のキーパーソンである
アカレッドへの言及もなされたのだと思います。

つまり、今回の一見どうでもいいミッションは、一種の象徴のようなものなのです。
今回手に入れた秘宝「黄泉の心臓」は、
ゴーカイジャーの物語全体を通しての目的物である「宇宙最大のお宝」に対応しており、
「黄泉の心臓」を手に入れる過程でマーベラスが得たものにこそ価値があったのと同様、
「宇宙最大のお宝」を手に入れる過程でゴーカイジャーが得るものにこそ、
この物語の核心となる真の価値があるということなのです。

そういう今後の展開を、今回のエピソードは暗示しており、
また劇中でマーベラス自身がそのことに何となく気付き、今後に向けて意識を変えていっているのです。
単に焦って見失っていたものを取り戻しただけではなく、
マーベラスは意識を新たにして、しっかり今回成長しているのです。

どうも前々回のハカセ、前回の鎧、そして今回のマーベラスと、
このところゴーカイジャーの各メンバーの成長エピソードが続いている印象です。
そして、それらは一連のストーリーが繋がっている印象でもあります。
第1話から第12話までの1クール目は、冒頭のゴーカイジャー登場篇以降は、
単発エピソードで各キャラを掘り下げながら
視聴者に馴染みの深い21世紀戦隊のレジェンド回を挿入していって
レジェンド回のフォーマットを視聴者に浸透させていき、
最後のシンケンジャー篇でゴーカイジャー結成譚と初めての大ピンチを描いて盛り上げて締めた印象です。
ここまでで「ゴーカイジャー」という作品の基本形は完全に出来上がったといえます。

そして続いて第13話以降の2クール目は、
1クール目からこぼれた感のアイム主役回と、完全ギャグ回のカーレンジャー篇の2つの単発エピソードの後は、
第15〜16話のバスコ登場篇、「199ヒーロー大決戦」映画のエピソード、第17〜18話の鎧加入篇というように
相互に繋がりの深いエピソードが連なり、
更に、仲間に加わった鎧が海賊としての自覚を持つようになるまでの一連のストーリーの中で
第19話のハカセ成長篇(ゴールドアンカーキー篇)と第20話の鎧成長篇(ギンガマン篇)を描き、
第20話で再登場したバスコへの対抗心によって焦ったマーベラスが結果的に成長するお話が
今回の第21話のボウケンジャー篇で描かれるわけです。
ギンガマン篇に必ずしも登場する必然性の無かったバスコが出てきたのは、
ギンガマン篇の中で必要な要素であったからではなく、
この第21話のボウケンジャー篇(マーベラス成長篇)への伏線として登場する必要があったからであるようです。

このように見てみると、2クール目というのは
ゴーカイジャーのメンバーの成長、あるいは変化を描くのが主眼であるようです。
問題はその成長や変化の方向性なのですが、
その2クールにおけるマーベラス一味の向かうべき変化の方向性を象徴するキャラとして登場したのが鎧であり、
その方向性のアンチテーゼを象徴するキャラとして登場したのがバスコであるといえます。

鎧の登場とその持つ特殊な役割を知ることによって、
第19話でハカセはスーパー戦隊や地球人との心の繋がりが自分達にとって重要であることに気付きます。
鎧の登場に先立つ「199ヒーロー大決戦」映画でゴセイジャーと共闘して、「地球を好きになってほしい」と言われたり、
レジェンド戦士たちのビジョンとマーベラス達が遣り取りしたこともその伏線になっているのでしょう。

そして鎧自身は本人がその名(伊狩=錨)の通り「ゴーカイジャーと地球・スーパー戦隊を繋ぐ者」ですから、
彼自身がスーパー戦隊との絆、ゴーカイジャーとの絆を共に強めていくのが彼にとって最も必要な変化となります。
それが描かれたのが第20話であり、
その第20話では既に第15話で登場を果たしていたバスコが再登場し、
その言動や、彼自身の特徴を象徴する器具ラッパラッターの性能などを通して、
彼が人間同士の心の繋がりや絆を否定する役割を担ったキャラであることが強調されます。

そのバスコに対抗心を燃やすマーベラスは、焦りから思わずバスコと同じ道に堕ちそうになりますが、
「199ヒーロー大決戦」映画の時にビジョンとして現れて遣り取りしたボウケンレッド明石暁が再登場して、
マーベラスに他人との繋がりが大切だということを思い出させ、
そこから地球人やスーパー戦隊との繋がりがマーベラス達にとって必要なことだという
認識に至るきっかけを作るという、そういう全体的な流れがあるようです。

問題は、どうしてそこでボウケンレッド明石暁が出てきてボウケンジャー篇である必要があるのかです。
また、どうして明石がマーベラスにそのような心境の変化をもたらすことが出来るのかも謎です。
それは、ボウケンジャーという戦隊のテーマが、
この今回のマーベラスの過ちからの反省と今後の宝探しへの指針に繋がるテーマと一致するからです。
しかも、このテーマは歴代戦隊において普遍的なテーマでありながら、
それが特に強調されるということはほとんど無く、
それが唯一主要なテーマとして強調されていた特殊な戦隊がボウケンジャーなのです。
だから今回はボウケンジャー篇である必要があったのです。

では、そのボウケンジャーという戦隊のテーマとは何かというと、それは「余裕」です。
そして、ボウケンジャーの中でも、特に「余裕」を持つ男こそ、ボウケンレッド明石暁であり、
それゆえ今回は明石が登場する必然性があったのです。

「余裕」というのは、まぁだいたいどの戦隊でも持っていましたが、
それは通常は実力があるゆえの余裕であったり、
あるいは弱みを見せないための虚勢の要素も含んだ余裕である場合もあります。
しかしボウケンジャーにおける「余裕」というのは、
こうした他の戦隊における「余裕」とは根本的に意味合いが違います。
他の戦隊の「余裕」は、彼らのやるべき課題(地球を守る戦い等)に全力で取り組んだ結果、
自分の実力がその課題のクリアに十分と分かった結果、自然に生じてきたり、
あるいは課題のクリアに自分の実力が及ばないと分かった結果、
そのことを悟られないようにするために表面的に装ったりするものです。
つまりは、まずは彼らの全力で取り組むべき課題があり、
それに取り組んだ結果、生じてくるものが「余裕」なのです。

ところがボウケンジャーの場合は、彼らの取り組むべき課題とは関係なく、
常に「余裕」というものを持つべきだとされます。
むしろ、この「余裕」の方が大事なのであって、課題は実はあまり重視されていません。
彼らの取り組む課題とは、つまり秘宝(プレシャス)回収のミッションですが、
ボウケンジャーのメンバーはこのミッションを実はあまり尊重してはいません。
彼らにとって、それはサージェス財団から回ってくる依頼なのであって、
しかも歩合で請け負っているわけではなく、
サージェスに属している以上、好きなミッションだけやるというわけにはいきません。
だから中には嫌々やるミッションもあり、くだらないことだと公言して反発を露わにする場合もあります。

他のスーパー戦隊が地球を守るために常に一生懸命、戦いに取り組んでいるのとは大違いです。
デカレンジャーも仕事で犯罪を取り締まる戦隊なのでボウケンジャーには似ていますが、
彼らは社会正義を守る使命が広く世間に知られた公然戦隊で、社会から治安維持の義務を負わされているため、
その裏返しに大きな責任と権限も持ち。基本的に彼らの正義が揺らぐことは無く、
彼ら自身、非常に強い誇りをもって職務に取り組んでいました。
実際、「ゴーカイジャー」におけるデカレンジャー篇も、そのテーマは「誇り」でした。

ところがボウケンジャーの場合、サージェスが抱えている秘密組織であるため、
世間に彼らの業務はあまり知られず、まぁ一種の裏業務みたいなもので、
一応は地球の平和を守るために危険な秘宝を回収するのが業務ですが、
そんな危険な秘宝が存在するのは彼らの責任でもなくサージェスの責任でもなく、
彼らがそれを回収保管しなければいけない義務を負っているわけでもありません。
当然、社会から尊敬されるわけでも権限を与えられているわけでもなく、
ボランティア的に地味な仕事をこなすだけのことです。

また、秘宝を回収するといっても、それはいわゆる「お宝」のように金銀財宝の類のものではなく、
「厄介な危険物を処理する」という業務に過ぎず、大して夢も誇りもある仕事ではありません。
しかもサージェス財団の秘密主義的性格のため、
ボウケンジャーはあまりプレシャスやミッションに関する情報を与えられず、
納得出来ない状態のままミッションを始めなければいけない場合も多々ありました。
これでは自己満足感すら無い状態です。
いわば「またどうせ変なミッションだろ?」みたいな、変に醒めた白けた感覚で構えている戦隊がボウケンジャーです。
「地球を守るために自分達の全てを賭けよう」というような他の戦隊の意識とは、だいぶかけ離れています。

しかし、それでも彼らは何だかんだ言ってボウケンジャーを辞めないし、
ブツブツ言いながら、しっかりミッションはこなします。
使命感も夢も誇りも自己満足すら無い業務なのにです。
それは、彼らがミッション以外の部分でボウケンジャーである自分に価値を見出しているからです。
チーフの明石は純粋なる冒険バカですから、
プレシャス回収ミッションに伴って生じる冒険をサージェスの経費で存分に楽しめることが目当てで
ボウケンジャーをやっていました。
つまり「冒険を楽しむこと」が明石にとってのボウケンジャーである自分の価値だったのです。
まぁ人並みの「危険なプレシャスの悪用は防いで地球の平和を守りたい」という善意ぐらいはあったとは思いますが。

一方、他のメンバーは別に明石みたいに「冒険を楽しみたい」なんて思っていたわけではありませんでしたが、
明石は冒険バカなので、他のメンバー個々の「ミッション以外の部分でボウケンジャーである自分の価値を見出す挑戦」を
全部ひっくるめて「冒険」と呼び、
そうして見出される彼らの「ボウケンジャーであることによって得られる価値」こそが、
業務としてのミッションで回収するプレシャスとは別に、
それに伴う自分達の「冒険」で得ることの出来る「自分だけのプレシャス」だと呼びました。

つまりボウケンジャーという戦隊は、さして魅力的でもない業務であるミッションをこなしながら、
その過程で得られる自分にとっての宝物のような大事な価値観を見つけることをテーマとした戦隊だったといえます。
これはずいぶん変わった戦隊のようにも見えますが、実は他の戦隊も根本的部分では同じようなものなのです。
というより、作品を作る姿勢としては基本的に同じであると言った方が正確でしょう。

例えば「ゴレンジャー」はゴレンジャーと黒十字軍との戦いを描いた作品だが、
ひたすら戦いの記録映像を淡々と流すことが目的なのではない。
戦いを描くのは、いわば方便であって、
戦いに取り組むゴレンジャーのメンバーの友情や正義感や情熱などを描くのが目的なのです。
つまり作品的には、戦いよりも、戦いの過程で戦隊メンバーが得る何らかの価値観を描いて
視聴者である子供たちに見せようとしているのです。
だから「ボウケンジャー」と作品の方向性としては根本的にはそう変わらないのです。
ただ、「ゴレンジャー」の場合は劇中で登場するゴレンジャーのメンバーは
そんな自分探しみたいなことのために集まって戦っているわけではなく、
とにかく必死で(時にはふざけてるようには見えるが)世界の平和を守るために戦っているのです。
そして結果的に戦いの過程で何か大切な価値観を得ていたといえます。

しかし、そのように戦いが最優先事項となっていると、
本人も自分の得たものが何であるのかハッキリ気付きにくいし、
視聴者もそれがよく分からなかったりもします。
それで、戦隊の取り組むべきミッションを比較的つまらないものに設定することによって、
ミッション遂行を必ずしも最優先事項とはせず、
ミッションの過程で得る価値観を見出すドラマをクローズアップしたのが
「ボウケンジャー」という作品だったのです。
そういう意味では非常に特殊な作品であり、特殊な戦隊ではありますが、それは手法が特殊であるのであって、
そこで描こうとしていた景色は、子供向けヒーロードラマの王道中の王道であったとも言えます。
ただ、やはり劇中のボウケンジャーは特殊な戦隊であります。
だからボウケンジャーという戦隊のテーマが「余裕」という一風変わったものになるのです。

ボウケンジャーは正義感も夢も誇りも自己満足感も無いミッションに従事し続けています。
だから、ミッション遂行に伴ってミッションの達成以外に何か自分が得られるものがあると思わなければ、
ミッションに従事し続けることは出来ません。
というより、そもそもミッション達成以外に何かを見出そうと思っているからこそ、
彼らはボウケンジャーになったと言っていいでしょう。
だから、彼らにとってはミッション達成に伴って何か自分にとって得られる価値観を見出すことが大事です。
これはミッションそっちのけで価値観探しをするのではなく、
あくまで「ミッション達成に伴って得られる価値観」ですから、ミッション達成が前提条件とはなります。
だから決してボウケンジャーはミッションを軽視するいい加減な戦隊ではありません。
ミッション達成に向けての困難の中で他に大事な価値をも探すという「冒険」の中でこそ
「自分だけの宝物」といえるような大事な価値観が見えてくるのです。その一例が「冒険する喜び」です。

つまり、彼らにとってはミッション達成が全てではないのです。
ミッション達成だけで満足していてはいけない。
その過程で得られる価値観や心の動きを見逃したり取り逃がしたりしてはいけないのです。
だからミッションだけに集中していてはいけない。
与えられた指令をこなすだけなどという怠惰な姿勢ではダメなのです。
他の戦隊の場合は戦いに集中することが美徳となるのですが、
ボウケンジャーの場合は、積極的に「よそ見」をすることが推奨される戦隊なのです。
といって、ミッションを疎かにしていいわけではないので、
ミッションン達成のための困難の中でも視野を広くして、
ミッション達成のためだけならば本来は注意しなくていいようなところまで
しっかり興味を持って観察するだけの「余裕」が常に求められるのです。

つまり他の戦隊は戦いに集中した結果、たまたま余裕が生じる余地が残ることもあり、
そこにおいて何らかの価値観を得た自分を自覚することも時々あるという程度であるのに対して、
ボウケンジャーの場合は最初から積極的に余裕を持ってミッションに取り組む姿勢を基本とし、
必ず毎回、ミッション達成と同時に他に自分にとって価値のあるものを得ようとするのだといえます。

よくボウケンジャーとゴーカイジャーは似ていると言われます。
確かに、両方とも戦うことが第一目的ではなく、
「お宝」を見つけることを第一目的とした戦隊という意味ではよく似ています。
しかし、「お宝」といってもボウケンジャーの回収するプレシャスはむしろ厄介な危険物であり、
ボウケンジャーのメンバーはプレシャスを欲しいと思っている者などいません。
ボウケンジャーがプレシャスを探すのは封印するためであって、回収封印したらあとは全く興味もありません。
一方、ゴーカイジャーは「宇宙最大のお宝」を手に入れるのが夢です。
だから夢に向かってまっしぐらで集中していきます。
つまり戦いに集中して最優先事項とする他の戦隊と、むしろゴーカイジャーは似ています。

ゴーカイジャーはお宝にひたすら集中していくのであり、
対してボウケンジャーはプレシャスにのみ集中せず、余裕をもってその過程で得られるものを見ます。
しかしゴーカイジャーだって、他の戦隊が戦いに集中する中で確かに何かを得ていくのと同様、
お宝探しの中で得ていくものがあるはずです。
だが、お宝に一生懸命になり過ぎると、それが見えなくなりがちです。
そこで必要なのがボウケンジャーのような「余裕」の姿勢なのです。

お宝にだけ集中して、お宝さえ手に入ればいい。他には興味は無い。お宝させ手に入れば他はどうでもいい。
こういう姿勢ではバスコと同じです。
お宝のために仲間を捨てた男と同じになってしまいます。
逆に言えば、バスコにはお宝探しの過程で得られるお宝以外の価値あるもののことなど理解出来ないでしょう。

しかし、そこにこそマーベラスとバスコの違いがあったはずです。
マーベラスは仲間と一緒だからこそ夢を追うことが出来るということを知っていたはずです。
夢というのはそういうものであって、だから取引することなど出来ないはずです。
こういう「仲間と共に見てこその夢」という価値観というのが、
マーベラスがここまでのお宝探し(レンジャーキー探しの段階)の過程で得てきた、
お宝以外の価値観なのではないでしょうか?

そして、それを得てきたということは、
無意識ながらマーベラスにはボウケンジャーのような「余裕」があったはずなのです。
この「ゴーカイジャー」の物語は、そういうマーベラス一味だからこそ
「宇宙最大のお宝」に辿り着くことが出来るという物語であるはずです。
だから、バスコの脅威を感じて焦った結果、その「余裕」を見失ったマーベラスに、
その「余裕」の価値を思い出させる役割を担って、
「余裕」をテーマとした戦隊ボウケンジャーのチーフにして、
ボウケンジャー流の「余裕」を最も持った男であるボウケンレッド明石暁が登場する必要があったのです。

そうして改めて「余裕」の価値を思い出したマーベラスは、
明石の「余裕」と想い出の中のアカレッドの「余裕」とに何故か通じるものを感じ、
「宇宙最大のお宝」を見つけるために「余裕」が重要な意味を持つということを直感するのです。
今回のラストシーンで明石とアカレッドが裏で繋がっていたことが示唆されて、
このマーベラスの直感は正しかったことが裏付けられます。
但しマーベラスはそのことは知りませんが。

ともかく「宇宙最大のお宝」を見つけるということは一種の冒険であって、
そのステップである「大いなる力」探しも一種の冒険です。
もちろんボウケンジャーとマーベラス一味の「冒険」の意味合いは微妙に違っており、
それは今回の話の中でもハッキリと主張はされていますが、
それでもそこに伴うべき「余裕」は同じようなものです。

冒険の目的物をゲットするだけに集中してしまわずに、
その過程の困難の中で自分達が得たものに興味を持ち価値を見出していくというのが
ボウケンジャー流の「余裕」であり、本来マーベラス達が持っていた「余裕」でもあります。
では、当面、マーベラス達がバスコと競合しながら進めていくべき「大いなる力」探しという冒険における
「余裕」の果たすべき役割は何なのかというと、
「大いなる力」探しの過程でマーベラス達が得た価値観にこそ真に重大な意味があるということに気付かせることです。
それはつまり、「大いなる力」獲得の過程でレジェンド戦士たちの心とマーベラス達の心が繋がったことこそが、
「宇宙最大のお宝」を見つけるに際して真の重大なポイントになるということではないかと思えるのです。

何故なら、心と心の繋がりを否定したような手法で
お宝や大いなる力という「モノ」を得ることしか考えないバスコという競合者には、
その価値観は理解出来ないからであり、
そこにおいてこそ、このお宝争奪戦の勝敗を分けるポイントがあるような気がするからです。

まぁだいたい、そういうところが今回のエピソードの要点ではないかと思えるのですが、
その今回のエピソードの脚本は下山健人氏です。
第10話「トランプ勝負」以来、この作品において2度目の登板となりました。
下山氏、もっとたくさんのエピソードを書くかと思ってたんですが、
どうも荒川氏と香村氏の実質ダブルメインに近い体制となり、下山氏はあんまり書いてませんが、
今回非常に良かったです。
ただ、テンポの良さや勢いが魅力ともいえる下山氏にしては意外に綺麗に落ち着いた感じでまとまっていたので、
かつて「ボウケンジャー」のサブPをやっていた宇都宮Pが、
「ボウケンジャー」のことをあまり知らない下山氏に細かいプロットを提供した結果なのかなと思います。

それでもここまで上手くまとめるというのは、なかなか流石で、
ネタキャラ好きっぽい下山氏は明石の使い方も巧みで、大いに楽しませてもらいました。
そして前回担当回の「トランプ勝負」でルカのことが気に入ったのか、
今回、明石とマーベラスの間でルカを非常に上手く動かしてくれました。
下山氏はルカというキャラの魅力や意義というものをよく分かっているようです。

今回のルカの立ち位置は絶妙で、
あくまで海賊としてマーベラス側に与して、ボウケンジャーとは一線を画した態度をとりつつ、
実は今回のテーマであるボウケンジャー流の「余裕」というものを
ゴーカイジャーの中で一番持っているのがルカであるというのがしっかり描かれています。

それはおそらくルカが守銭奴キャラであることと関係があるのでしょう。
ルカはマーベラスのように夢をストレートに追っているのではなく、金を集めることが目標で、
その集まった金を使って何かの夢を叶えたいようなのです。
だから夢追い人であるのは間違いないのですが、まずは金を集めるのが目標となっており、
金のためには自分の好まないことも我慢してやることも有り得るのです。
マーベラスの場合は自分の意に添わないことはやらないでしょうが、
ルカは金のために嫌なことも出来るのです。

第6話で少し描かれたルカの過去を見ると、かなり辛い貧乏生活だったようですから、
生きていくためには自分の好まないようなことも山ほどやってきたのであろうと思われます。
そういうルカは、ボウケンジャーの境遇に意外に近いといえます。
つまらない嫌なことをやって生きていかねばならないのならば、
その困難な過程で得られる価値観に目を向けるだけの「余裕」が無ければ生きていけません。
つまりルカは非常に辛い過去で大きな我慢をして生きてきたため、誰よりも「余裕」を持っているのです。
いや、持たざるを得なかったので、自然に「余裕」を持って冒険を楽しむクセが身に付いているのでしょう。

だからルカはマーベラスの「余裕」の無さにいちはやく気が付き、
それが良くないことであると憂慮して、
本来は守銭奴キャラのルカならば絶対に乗り気になるはずのない明石の依頼にあえて乗ってマーベラスを引き込み、
冒険先では明石以上の余裕を見せて冒険を自然に楽しみ、それによってマーベラスの余裕の復活に一役買ったのです。
マーベラスと明石の描写も秀逸、最後のアカレッドに繋げるまとめ方も鮮やかでしたが、
このルカの使い方が地味ながら見事でした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 02:06 | Comment(0) | 第21話「冒険者の心」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月04日

第21話「冒険者の心」感想その2

まず冒頭、前回のギンガマン篇からあまり日数は経っていない、ある日の朝です。
地面に錨を下ろして停泊中のゴーカイガレオンが錨から見上げるような印象的なアングルで映ります。
このアングルは以前にも使われており、監督が単にこのアングルを好きなのかと思ってたんですが、
このアングルが今回は伏線になってました。
もしかしたら以前に使ったのも今回のための伏線だったのかもしれません。

そのガレオンのいつもの船室に、不機嫌そうな顔のマーベラスが入ってきて、
「おい鳥!さっさと次の占いを出せ!」と、椅子の上にとまっているナビィに向かって乱暴に言います。
しかしナビィは「今日はちょっとお休み!出ない時は出ないんだよねぇ〜」と気楽そうに応えます。

そういえば以前から不思議だったのは、
どうしてナビィは2週に1度ぐらいのペースでしかお宝ナビゲートをしないのか?という点でした。
いや、まぁ、それは実際のところは制作側の事情であるのですが、
劇中ではそこにどういう整合性のある説明をするつもりなのだろうか?という興味があったというのが正確な表現です。

その答えがここでナビィによって示されたことになります。
「出ない時は出ない」とのことです。
要するにナビィ本人の意思でお宝ナビゲートをしているわけではないようです。
マーベラスがお宝ナビゲートを要望した時にたまたまナビゲート可能な状態になっていればその要請に応じるが、
可能な状態になっていなければやらないようです。
また、第14話のカーレンジャー篇のように、ナビゲート可能な状態になったら
勝手にナビィの中でナビゲートが始まることもあるようです。
そして一度ナビゲートをすると、次にナビゲートが可能になるのが基本的にはおよそ2週間後のようです。
どうしてそういうペースなのかは、この際深く突っ込まないことにします。

とにかく、先日、ギンガマン篇で「閉ざされた森の戦士に会うべし」というナビゲートをした以上、
ナビィはまだナビゲートが出来る状態でない様子です。
しかしマーベラスは「休んでるヒマなんかねぇ!」とナビィをいきなり平手で叩き、
「いつものワケ分かんねぇのじゃなく、もっと具体的で、結果にすぐ繋がる占いを出せ!!」と、
イライラした様子でナビィを責め立てます。
ナビィは出来ないと言っているのにマーベラスは全く問答無用で、
しかも普段のナビィのお告げの内容が抽象的であることへの不満も爆発させます。

しかしお告げの内容が抽象的なのはナビィとてわざとやっているわけではなく、
ナビィの仕様がああいう抽象的なお告げをするようになっているのだから仕方ないと思われます。
よって、ナビィは「そんなのムリだよぉ〜!」と困ってしまいます。
それでもマーベラスは「無理でもやるんだ!!」と無理を言って怒鳴りつけます。
この大騒ぎを聞きつけて他の仲間たちも船室に集まってきて、驚いてマーベラスの様子を遠巻きに見つめます。

あまりにマーベラスの剣幕が凄まじいので直接声をかけるのは憚られてルカとアイムは呆然と見つめ、
鎧も「だいぶ苛立ってますね・・・マーベラスさん・・・?」と隣のハカセに向かってボソッと呟きます。
鎧はまだお宝ナビゲートのことをそんなに詳しく知らないので、
マーベラスが何をそんなにイライラしているのか意味は分からなかったのでした。
それでハカセならマーベラスが怒っている理由が分かるのではないかと思って尋ねたのですが、
ハカセもマーベラスの心中はすぐには測りかねるようで戸惑って黙っています。

確かにナビィのお宝ナビゲートが内容がやたらと抽象的な上に間隔が開きすぎるというのはハカセも分かっており、
それに不満を持つマーベラスの気持ちは分からないでもありませんでしたが、
それにしても、普段はそんなことにイライラした様子など見せたことのないマーベラスが、
どうして急にあそこまで苛立った態度を示しているのか、そこらへんがハカセにはよく分かりませんでした。
そこにジョーが階段を下りてきて「・・・この間のバスコが原因だろうな・・・」と指摘します。
それを聞いて、ハカセはハッと気づきます。

「そうか・・・バスコって、大いなる力の持ち主さえ見つけ出せば、その力を奪うことが出来るんだよね」と、
ハカセは先日のギンガの森の近くで鎧とマーベラスが目撃したと聞いた出来事を思い出しました。
その時、ハカセ達はその場には居合わせませんでしたが、
バスコはラッパラッターを使ってヒュウガの身体から強制的に大いなる力を吸い取ろうとしたとのことでした。
幸いマーベラスがバスコを急襲したので未遂に終わったのですが、
そのままだったら大いなる力は横取りされるところだったといいます。
そして、その後、バスコは他の戦隊の大いなる力を奪うことを宣言して姿を消しました。
それでマーベラスは焦っているのだということにハカセは気付きました。

実際、マーベラスはバスコのあの驚異の能力のことを考えて焦っていたのでした。
あのような強引な手法で大いなる力を奪うことが出来るのならば、
自分達が居合わせて邪魔しない限り、バスコがまんまと大いなる力を手に入れてしまう可能性は高い。
問題は大いなる力を持っているスーパー戦隊の元戦士たちを
自分達とバスコと、どちらが早く見つけ出すかにかかっているのだが、
バスコは先日もギンガの森に自分達よりも一足早く乗り込んでいました。
つまりバスコもどのようにしてなのかは不明だが、大いなる力を探す独自の手段を持っており、
それはナビィのお宝ナビゲートよりも具体的で分かりやすい情報を得る方法であると推測出来ました。

しかもバスコの方の「大いなる力」探索の方法がどのくらいの頻度で探索可能なのかも不明で、
こうしてナビィのお宝ナビゲートを待っている間にも
バスコは大いなる力の場所を特定して動き出しているのかもしれませんでした。
もし仮にその頻度がナビィのナビゲートと同等であったとしても、
情報の精度がバスコの方が上なのであれば、
結局はバスコの方が先に「大いなる力」の持ち主の元に辿り着いてしまいます。

そんなことになれば、あの憎むべき裏切り者に「大いなる力」を何個か握られてしまう。
「大いなる力」を34個集めなければ「宇宙最大のお宝」が見つからない以上、
マーベラス一味にとっては、バスコにたとえ数個でも「大いなる力」を握られることは大打撃となります。
そんなことになれば、バスコは必ずまた取引を持ちかけてきます。
マーベラスはバスコとの取引など応じるつもりはありませんでしたが、
それにしても厄介なことになるのには違いありません。

しかもバスコはレンジャーキーもまだ少なくとも3つは持っています。
先日のギンガの森付近の戦いでマーベラス達が苦戦の末に倒したが、
サリーに回収されてしまった謎の3戦士のレンジャーキーがそれでした。
マーベラスは鎧に聞いて、それらがやはりスーパー戦隊の戦士のレンジャーキーで、
デカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーという
極めて強力な戦士のレンジャーキーであったことを知りました。
しかも鎧の話では、まだ他にも強力な戦士のレンジャーキーが存在する可能性はあり、
あの3戦士と黒騎士のレンジャーキーをバスコが持っていたということは、
その他の戦士のレンジャーキーもバスコが押さえている可能性はあるとのことでした。

もしバスコがそれらを押さえていなかったとしても、
バスコが手持ちのレンジャーキーをどうやって集めたのかも不明である以上、
その残りのレンジャーキーも相手の手の内が見えないまま
バスコと奪い合いの競争をしなければいけないということです。
何にしてもレンジャーキーも全部集めなければならない以上、
既にバスコに押さえられている分は奪い取らねばならなくなってしまっています。

その上、「大いなる力」まで押さえられるようなことになれば、
あの裏切り者のゴミ野郎に好き放題されてしまう。
そう思うとマーベラスは気が狂いそうなほど腹が立ってきます。
あの時、バスコを取り逃がしてしまったことが悔やまれました。
バスコを仕留められなかった自分のミスだということは分かっているのですが、
それでも今はとにかくバスコより早く残りの「大いなる力」を押さえることが大事です。

残る「大いなる力」の数は、
バトルフィーバーJ、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、
ゴーゴーファイブ、ハリケンジャーの分、合わせて13個です。

この13個の「大いなる力」をまずはバスコよりも早く押さえてしまわねばならない。
残りのレンジャーキーのことも気がかりではあったが、
まずは「大いなる力」を何とかしようとマーベラスは考えました。
そうなると、ナビィのお宝ナビゲートを急がせて、
しかもバスコの方法に負けないぐらい、すぐに「大いなる力」の在り方が分かるような
具体的情報を出すようにさせなければいけない。
出来る出来ないではなく、やるしかない。やらなければ、今までの苦労が水の泡になってしまうのだ。
だからマーベラスはナビィに無理強いさせてでも早く正確な情報を出すようにしてやろうと焦っていました。

「確かに僕たちも悠長に構えていられないかもしれないけどさぁ・・・」と、
ハカセはマーベラスの焦る想いは理解しつつも、
嫌がるナビィを乱暴に鷲掴みにして苛立ちをぶつけるマーベラスを遠巻きに見て眉をひそめます。
その時アイムは黙って立ち上がって、マーベラスに意見しに行くのかと思いきや、
そのまま部屋から出ていきます。

その後、マーベラスのナビィへのあまりの乱暴な態度を見かねてルカが溜息をついて立ち上がり、
マーベラスに近づくとナビィを奪い取って助けて、
マーベラスに向かって「ちょっと!・・・落ち着きなよ!」とたしなめます。
マーベラスはルカを睨みつけますが、少し感情的になりすぎたと思い、決まり悪そうに下を向きます。
そこにアイムがワゴンに紅茶を載せて部屋に入ってきて、穏やかに笑いながら
「マーベラスさん!お茶でも飲んで、一息つきませんか?」と言います。
アイムは紅茶タイムで一息入れてマーベラスを落ち着かせようとして、紅茶を淹れに厨房に行っていたのです。
女性陣2人のそれぞれのキャラに合ったマーベラスへのアプローチがしっかり描き分けられています。

マーベラスはアイムの笑顔を見て、かえって自分が場違いな暴力で場を荒らしていたのだと悟り、
拗ねたように黙り込みますが、その時、「すまんが、俺にも1つくれないか?」と、
マーベラス一味の6人のものではない声がマーベラス達の耳に聞こえて、
驚いてマーベラス達はその声のした方向に振り向きます。
それは船室の入り口の柱の陰でした。
そこにはカーキ色と赤色のツートンカラーのジャケットを羽織ったガッシリした長身の男が
柱にもたれて背を向けて立っています。

全員の視線が自分に注がれたのを感じると、その男はスッとマーベラス達の方に向き直ります。
「お前は・・・!」とマーベラスはこの突然の侵入者に警戒の目を向けつつ、
その男の顔に何処か見覚えがあるような気がして、少し戸惑います。
一方、男の方は勝手に不法侵入してきたクセに妙に堂々としています。
しかも自分の分の紅茶までリクエストするとは図々しい。

この余裕たっぷりの不法侵入者こそ、愛すべきネタキャラ、元ボウケンレッド明石暁だということは、
マーベラス一味は気付いていませんが、
スーパー戦隊ファンならばその顔を見れば、というか後ろ姿を見て声を聞いただけですぐ分かります。
演じているのはもちろんオリジナル役者の高橋光臣氏です。

「轟轟戦隊ボウケンジャー」はスーパー戦隊シリーズ30作記念作品、
すなわち「ゴーカイジャー」の5年前、2006年の作品です。
「ボウケンジャー」当時は24歳だった高橋氏は現在29歳で、まぁまだ若いです。
この「ゴーカイジャー」にゲスト出演されている他のレジェンドゲストの大先輩役者さん達が
驚異的な若々しさを披露している中、まだ20歳代の高橋氏が老け込んでいるわけにいくはずもなく、
当然、「ボウケンジャー」当時と全く変わらない姿を見せてくれました。

いや、実は「199ヒーロー大決戦」映画にも、
レジェンド大戦のシーンと街中のシーン、レンジャーキー空間のシーンと、
短い出番ながら何シーンか出ていたのですが、
その時はちょっと「ボウケンジャー」当時とは若干違った印象がありました。
老けた感じではなかったのですが、ちょっと別人っぽいような違和感が若干あったのです。
それが今回はしっかり「明石暁」の役作りをして出てきてもらえたようです。
もうホントに2008年3月リリースの「ゲキレンジャーVSボウケンジャー」の明石暁が
その翌日に現れたぐらいの感覚でした。
まぁこの時一緒に出てたジャン役の鈴木裕樹氏(現在27歳)も、
「ゴーカイジャー」第7話で再登場した時、全然変わってなかったですけど。

さて、ここでOPテーマとなり、
今回はもちろん早々とレジェンド戦士が登場したのでレジェンド回であることは明白で、
もちろんOP前ナレーションはレジェンド回バージョンです。
そしてOPテーマが終わり、CM明け、「冒険者の心」という今回のサブタイトルが出ます。

今までの例でいくと、
これは「ボウケンジャー」のサブタイトルのフォーマットに沿ったものであるということになりますが、
実は「ボウケンジャー」はサブタイトルのフォーマットがいまいち固定していない戦隊です。
一応全49話のうち37話は「○○の××」という、
名詞と名詞の間を助詞「の」で結ぶというパターンとなっていますので、
今回の「冒険者の心」もそのパターンに沿ったものであるようです。

まぁ「○○の××」のパターンではない場合も、
形容詞あるいは形容動詞の後に名詞をつけた簡潔な体言止めというのがフォーマットとなっているようですが、
「ボウケンジャー」の場合、サブタイトルのフォーマットの本質は、
その形式よりもむしろ言葉の中身の方にあるようで、
一部の例外は除いて、だいたいその回のエピソードで登場するプレシャス(秘宝)を
直接表現したり比喩的に表現した文言となっています。

例えば第1話に相当するTask.1のサブタイトル「魔神の心臓」は
このエピソードで出てくるゴードムという古代文明の残した巨神像を動かす心臓、
ゴードムの心臓というプレシャスのことを暗示しています。
またTask.5のサブタイトル「帝国の真珠」というのは、
このエピソードで登場するプレシャス、帝国の真珠をそのままサブタイトルとしています。

Task.10の「消えたボウケンレッド」のように、時々このフォーマットから完全に外れたサブタイトルもあって、
そういう点、やはりサブタイトルのフォーマットの徹底性は低いのですが、
基本的には「ボウケンジャー」のサブタイトルはその回に出てくるプレシャスを表すという
フォーマットは存在しており、そういうものだと視聴者も認識していました。

そうなると最終話に相当するLast Taskは当然、そのフォーマットで綺麗に締めると予想されるところですが、
そのサブタイトルは「果て無き冒険魂」でした。
これはこのエピソードに実際に登場するプレシャス、ゴードムの脳髄とは何の関係も無い文言です。
しかし、これは、ボウケンジャーの6人がこの1年間の物語を通じて見つけた
「自分だけのプレシャス」であるそれぞれの冒険者としての魂を最終話にして披歴するエピソードであったので、
このエピソードに登場する真のプレシャスは「果て無き冒険魂」でいいのです。

これこそが、「自分だけのプレシャス」を見つけることを真のテーマとしていた作品「ボウケンジャー」の
最終話のサブタイトルに相応しいのであり、
ここに至る各エピソードのサブタイトルをプレシャスを表す文言で原則的に統一してきたのは、
この最終話のサブタイトルに至るための伏線であったとも言えます。

そう考えると、今回の「ゴーカイジャー」のボウケンジャー篇のサブタイトル「冒険者の心」も、
このオリジナル最終話のサブタイトルと同じ発想のものだといえます。
普通に登場プレシャスをサブタイトルにするならば、今回は「黄泉の心臓」というサブタイトルにすべきですが、
そうではなく、今回のエピソードでゴーカイジャーが、
いや、その代表として今回はマーベラスが真に見出すプレシャスが「冒険者の心」であるということを表す
サブタイトルであると解釈すればいいと思います。

さて本編が再開します。
この突然の不法侵入者が元ボウケンレッド明石暁であることは、
スーパー戦隊ファンの視聴者には分かっていても、
マーベラス一味は一度レンジャーキー不思議空間で顔は合わせているものの思い出せないようです。
が、マーベラス一味の中に以前に顔を合わせていないにもかかわらず、
その男が明石だと気付く者が1人だけいました。
それが「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」伊狩鎧です。
鎧は黒十字王との戦いの際にはまだゴーカイジャーの一員にはなっていませんでしたから、
明石とは顔を合わせていません。全くの初対面です。
しかし振り向いた明石の顔を見るなり「あああああああ!?」と明石を指さして絶叫します。
スーパー戦隊ファンの地球人である鎧は明石の顔も、明石が元ボウケンレッドであることも知っていたようです。

しかし、同じスーパー戦隊ファンといっても、我々視聴者と鎧とでは意味合いが全然違います。
鎧の住む「ゴーカイジャー」の物語世界では
当然「轟轟戦隊ボウケンジャー」というTV番組は放送されていませんでした。
しかもボウケンジャーはサージェス財団が秘かに組織した秘密戦隊で、
明石たちは表向きはサージェスの経営する博物館の学芸員として勤務しており、
自分達がボウケンジャーだということは明かしていません。
ミッション中はコードネームで呼び合うというルールがあるほど秘密戦隊なのです。
だから鎧が明石がボウケンレッドだったと知っているのはおかしいし、
明石の顔を知っているのもおかしい・・・はずなんですが、ボウケンジャーの場合はこれはアリなのです。

そもそもミッション自体はちゃんとこなすボウケンジャーの面々ですが、
組織人としては不真面目な連中が多く、
サージェスの意向で作った「ミッション中はコードネーム」というルールも全然守らないメンバーが半分ほどいました。
そしてボウケンジャーの存在そのものは広く知られており、
しかも敵組織のうちダークシャドウやジャリュウ一族は生き残って活動を続けており、
特にダークシャドウなんてのは普通に会社(零細だが)形式で存在しています。
その敵の側にボウケンジャーの正体はバレバレで、
しかも明石はボウケンジャーになる以前は冒険者としてその業界では非常に有名人でもあったので、
「ボウケンレッド=明石暁」というのは、
スーパー戦隊に興味を持っていろいろ調べたりする人々の間ではほとんど公然の事実であったと見ていいでしょう。
だから、この物語世界に存在すると思われる、
スーパー戦隊についての研究書のようなものに目を通しているであろう鎧ならば、
明石が元ボウケンレッドであることも、明石の顔も、知っていたとしても全く不自然ではないのです。

鎧が「ああああああ!?」と叫んで明石を指さす中、
明石はマーベラスたちに向かって歩き出してさっさと自己紹介してしまいます。
「俺はボウケンジャーのボウケンレッドだった明石暁だ・・・以前お前たちに大いなる力を託しただろう?」
と言う明石の言葉を聞いて、マーベラスはこの怪しげな侵入者が元レジェンド戦士なのだと知ります。
そして記憶を辿ります。

ボウケンジャーの大いなる力というと、
確か先だっての黒十字王との戦いの際にゲットした11個の大いなる力のうちの1つでした。
ということは、あのレンジャーキーの作り出した不思議な光の空間の中で
ビジョンとなって現れて語りかけてきた十数人のレジェンド戦士たちのうちの1人なのか?と
マーベラスは思いました。
あの時、実は出現したレジェンド戦士たちは自分が何の戦隊の誰だとかいう
自己紹介はしていない(明石は頷いてただけ)ので、
あの時現れたレジェンド戦士の誰が、あの戦いの後で大いなる力の獲得が確認されたレンジャーキーの戦隊の中の
どの戦隊のメンバーであるのか、マーベラス達は個々に把握してはいなかったのでした。
それであの時のことをよく思い返してみると、
確かに今目の前に立っている男と同じ顔があの時、ビジョンとなって現れていたことを思い出したのでした。

ここでマーベラスの回想の中のレンジャーキー空間に現れた明石の顔に
ボウケンレッドの変身後姿がオーバーラップします。
「199ヒーロー大決戦」映画のこのシーンでは、確かオーバーラップ演出は無かったような気がするのですが・・・?
いや、あったかもしれないし、何せTV本編と違って録画もしてないので
細部の描写はうろ覚えなので間違ってるかもしれませんが、
私の記憶ではオーバーラップ演出は無かったような気がします。

このオーバーラップ演出、レジェンド回では毎回ノルマのようなもので、
今回に関してはこの回想シーンに被せてきたのでしょう。
あるいはもともと映画の方にオーバーラップ演出があったのなら
上手く流用してノルマをこなしたということになります。
まぁ何にしても、このオーバーラップ演出は視聴者向けのビジュアルサービスのようなもので、
劇中でゴーカイジャー側にこのオーバーラップが見えているのかどうかも不明です。
ただ、見えていたとしても見えていなかったとしてもどっちでもいいぐらいに、
このオーバーラップ演出はストーリー上は全く重要ではないので、ここではそんなに深く考える必要も無いでしょう。

とにかくマーベラスはこの明石という男が確かにあの時のレジェンド戦士のうちの1人であることを思い出し、
本人がボウケンレッドだったと名乗っている以上、
あの時実際に自分達が託されたボウケンジャーの大いなる力を託したのは
この明石という男であったということは納得しました。
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムも同様に思い出し、納得はしたようです。
それでも5人は警戒の態勢は緩めません。
その元ボウケンレッドがどうしてガレオンに無断侵入しているのか、その目的がまだ不明だったからです。

その中でただ1人、鎧だけが「皆さん・・・明石チーフとお知り合いだったんですかぁ!?スゴォ〜ッ!!」と
錯乱して部屋中をあたふたしながら盛り上がっています。
前回、レジェンド戦士たちに気後れすることなく自分が宇宙を救うヒーローになろうという決意を新たにした鎧ですが、
やはり素顔を知って長年尊敬の的としていたレジェンド戦士をいきなり目の前にすると興奮してしまうようです。

鎧は明石の前に行くと「はじめまして、俺、伊狩鎧です!よかったらですね、これにサインを・・・」と言って、
ヘラヘラ媚びた笑いをしつつノートを取り出して明石に渡します。
前回のヒュウガに引き続き、またもやサインをねだる鎧、すっかり単なる1人のスーパー戦隊ファンとなっています。
鎧にしてみれば、明石が「大いなる力を託した」と言っているのだから、
てっきり前回のギンガマンのヒュウガと自分との間のような感じの交流が
明石とマーベラス達の間にあったものだと思い込んで、さぞ友好的関係なのだろうと思い込んでいるようですが、
実際のところ、お知り合いと言えるほどのものではなく、実質的に初対面に近い。

そんな程度の関係なのに勝手に船に侵入してきている明石に対して
他の5人は当然まだ厳しい視線を注いだ状態であり、
ジョーは「どうやってこの船に入ってきた?」と問いただします。
これに対して明石は「俺にしてみれば、この船に侵入するなど朝飯前だ」と相変わらずエラそうなことを言います。
まぁおそらくガレオンのレーダーに何の反応も無かったところを見ると
空から乗り物で接近して飛び移ったのではなく、
ガレオンから地上に下ろしてある錨の鎖を地味に昇ってきたのでしょう。
普通の人間には到底無理だと思いますが、明石はもともと最強の冒険家として名を馳せた男ですから、
こういう身体ひとつで地味に登ったり下ったりするのは得意です。

しかしここは遺跡じゃなくてマーベラス一味の居住区ですから、
そこに勝手に入ってくるのは泥棒と変わりありません。
エラそうにしてるのはちょっと筋違いというもので、
ジョーも無断侵入を咎めるニュアンスも込めて言ったのですが、
明石は無礼を謝罪するつもりもないようです。

しかも鎧が差し出したノートとペンをひょいと受け取って、
ソファに勝手に腰かけてサラサラとサインを書き始める余裕っぷりを示します。
前回、鎧にサインを求められて戸惑っていた純朴なヒュウガとはえらい違いです。
マーベラス一味にいつの間にか見知らぬ男が加わっていて、
その男がいきなりサインを求めてきたら普通は多少驚くところですが、
平然とサインに応じるあたり明石はやっぱり常に盤石の平常心です。

鎧はまるで犬が尻尾を振るように明石になついていますが、
他の5人はこの明石の挑発的な態度にますます警戒心を募らせます。
「朝飯前だか晩飯前だか知らないが、いったい何の用だ?」とマーベラスは
カリカリして椅子にドカッと腰を下ろしながら問い質します。
しかし明石は無言でサインを書いていて、マーベラスの問いかけを無視して焦らします。

ますます怪しいと思ったハカセが「まさかレンジャーキーを取り戻しに来たのか!?」と、
料理で使っていた泡立て器を構えます。
そういえば最近もゴセイジャーのアラタが自分達のレンジャーキーを取り戻すために
ガレオンに忍び込んできたことがあったので、ハカセはそれを思い出したのでした。
しかし明石は「それはお前たちが宇宙を冒険して集めたものだろう?
他の戦隊は知らないが、俺たちボウケンジャーは手を出さない・・・」と言うと、
サインを書き終わって鎧にノートとペンを返します。
鎧は前回ヒュウガにサインを貰いそこなってしまいましたが、
今回は遂に念願のレジェンド戦士のサインをゲットして猛烈に感激します。

それにしても明石のこの理屈は、さすがにボウケンジャーだけあって、スーパー戦隊の中では一風変わっています。
今までレンジャーキーと取り戻そうとしたシンケンレッド志葉薫やゴセイジャーは、
「レンジャーキーはもともと自分達の戦う力であって、それは地球を守るために使うものなのだから、
宇宙海賊などには渡したままにしておけない」というような理由でレンジャーキーを取り戻そうとしました。
それは一応筋の通った意見ですが、結局は薫にしてもゴセイジャーにしても、
マーベラス達の中に自分達と同じ精神性を見出して、レンジャーキーを預けることにしました。
しかし明石の場合、最初っから地球を守る戦いのための物だとか、自分達の所有物だとか、
レンジャーキーに対してそういうこだわりは持っていないようです。

レンジャーキーとはつまり「戦う力」であり、
ボウケンジャーの戦う力はストレートに地球を守るために使われるものではなく、
冒険をして秘宝を奪取するための力であり、
しかもその秘宝はボウケンジャーから見て他人のモノだったりするので、
ボウケンジャーが自分達の戦う力を地球を守るためとか、
自分達のものだからとか言って取り戻そうとするのは無理があります。
むしろゴーカイジャーがレンジャーキーを冒険して手に入れたというのなら、
それは自分達と同じであるのでゴーカイジャーがレンジャーキーを持つことは認めるしかない。

そういう意味で明石が「レンジャーキーには手は出さない」と言っているようにも見えます。
が、単に「冒険して奪った者に所有権がある」というシンプル思考であるのなら、
ゴーカイジャーの手許から再度冒険して奪い返せば
レンジャーキーを所有する権利はボウケンジャーのものになるのですから、
ここで明石はそんなシンプルな思考をしているわけではありません。

明石がここで言っている「冒険」というのは、おそらく文字通りの「冒険」なのではなく、
というか、明石は「冒険」という言葉を自分流の解釈でしか使いません。
明石やボウケンジャーにとっての「冒険」とは
「自分だけの大切なものを見つけるための困難への挑戦」なのであって、
明石はどういうわけかゴーカイジャーのことを
そういう意味での「冒険」をしてきた連中なのだと見なしているのです。
そして、そういう「冒険」をしてきたゴーカイジャーにボウケンジャーと同じ精神性を感じた明石は、
ボウケンジャーのレンジャーキーも「大いなる力」も預けても大丈夫だと思っているのです。

ただ、こうした明石のゴーカイジャーに対する認識というのは、
「199ヒーロー大決戦」映画の黒十字王との戦いの際にゴーカイジャーの前に現れた時に
既に出来上がっていたのかというと、それはどうも怪しい。
あの映画の中で現れた明石がゴーカイジャーのことを詳しく知っていたような様子はありません。

そもそも、あの時、ゴセイジャー以外の10戦隊は
どうしてゴーカイジャーに「大いなる力」を与えようという決断をしたのか、
通常のレジェンド回のように詳しい経緯は描かれていません。
ただ、あの光の空間の中に出現したレジェンド戦士たちが言ったことを総合すれば、
「ゴーカイジャーもスーパー戦隊同様、愛と希望と勇気と正義の心、
そして、大切なものを守りたいと思う心を持っている」という評価によって、
「大いなる力」を与えようと決意したようです。
そして、その評価の根拠は、ゴーカイジャーが黒十字王からスーパー戦隊の戦う力を、
そして地球の人々を懸命に守ろうとして戦う姿勢を彼らレジェンド戦士たちが感じ取ったからです。

あの時、ゴーカイジャーに対する評価の言葉を口にしたのは、
元アカレンジャー海城剛(ゴレンジャー)、
元ビッグワン番場壮吉(ジャッカー電撃隊)、
元ゴーグルブラック黒田官平(ゴーグルファイブ)、
元ダイナピンク立花レイ(ダイナマン)、
元レッドワン郷史朗(バイオマン)、
元レッドターボ炎力(ターボレンジャー)の6人であり、
元デンジブルー青梅大五郎(デンジマン)、元リュウレンジャー天火星・亮(ダイレンジャー)、
元デカピンク胡堂小梅(デカレンジャー)、元ボウケンレッド明石暁(ボウケンジャー)、
元ゴーオンイエロー楼山早輝(ゴーオンジャー)、
元シンケングリーン谷千明、元シンケンゴールド梅盛源太(シンケンジャー)の7人はその後頷いただけでした。

頷いたということは、先の6人の先輩戦士たちのゴーカイジャーに対する評価に同意したということであり、
特に同じ戦隊の他のメンバーが既に「大いなる力」をゴーカイジャーに与えた後であるウメコと千明と源太以外の4人、
すなわち青梅、亮、明石、早輝の4人は
その時点でゴーカイジャーに対する「大いなる力」を与えるに足る根拠が他に言いたいことがあれば言っているはずで、
それを特に何も言わず頷いていただけということは、
あの時点では4人は、ゴーカイジャーが黒十字王と戦う姿を見て、
だいたい海城以下の先輩戦士6人と同じような評価をしたのでしょう。
それで自分達の戦隊の「大いなる力」を与えるに足る連中だと判断したのです。

言い換えれば、この時点で既にゴーカイジャーに「大いなる力」を与えていた6つの戦隊、
この黒十字王との戦いで「大いなる力」を与えた11の戦隊、
そして、この黒十字王との戦いの少し前に鎧に「大いなる力」を与えていた
アバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの3つの戦隊、
これら合わせて20戦隊を除いた残り14戦隊は、
この海城らのゴーカイジャーへの評価に同調して
ゴーカイジャーに「大いなる力」を託そうという決断には踏み切らなかったということになります。

そもそもあのようにビジョンの形でレジェンド戦士たちがゴーカイジャーの前に登場するという現象自体が奇跡的なので、
あそこにビジョンとなって登場するために意識が引っ張られたこと自体、
海城に代表されるああいうゴーカイジャー評に同調しそうな戦士たちが
何らかの大きな意思によって選抜されて呼ばれたのかもしれません。
だから最初から同調してくれなさそうな戦士は呼ばれなかったのかもしれませんし、
忙しくて行けなかった戦士もいたかもしれず、単に気付かなかった戦士もいたのかもしれません。

そういう残り戦隊はさておき、あの場に出現した戦士たちは海城らの意見に賛同しやすそうなメンバーなのです。
デンジマンやダイレンジャーは戦隊のテーマが明確ではなく
単に「地球や世界を守るために戦う」という戦隊ですから、
青梅や亮あたりは海城や番場らと考え方はほぼ一緒でありましょう。
ウメコと千明と源太はもともとドギーや薫姫がゴーカイジャーのことを認めているので、
海城の意見に同調するというよりも、単にゴーカイジャーを励ますために現れた意味合いの方が強いでしょう。

ゴーオンジャーは基本的に単純おバカ戦隊なので、
「地球を守るために戦っている」という1点だけでもってあまり深く考えず
早輝はシンプルにゴーカイジャーを認めたようです。
一方、ボウケンジャーは「地球を守るために戦う」ということを基本的に良いことだと認識しつつ、
そのことに強いこだわりを持っていないため、あまり深く悩まず海城たちの意見に賛同し
「大いなる力」をゴーカイジャーに渡したようです。

よって、ゴーオンジャーとボウケンジャーに関しては、
それぞれの戦隊のテーマとゴーカイジャーの精神性との間での葛藤と和解を経ることなく、
気軽に「大いなる力」の譲渡が済んでいます。
ゴーオンジャーの場合は単純さゆえ、ボウケンジャーの場合はこだわりの無さゆえに、そのようなことになったのであり、
よって、「大いなる力」の獲得とは関係なく、
まだこの2戦隊に関してはその戦隊のテーマに絡んだゴーカイジャーとの葛藤を描いたレジェンド回が
作られる可能性が高いのです。
そのうちの1つ、ボウケンジャー篇が今回こうして実現したので、
おそらくゴーオンジャー篇もいずれ実現するのでしょう。

つまり、今回のボウケンジャー篇に登場する明石は、
黒十字王との戦いの際にビジョンで現れた時とは、少し意識が違うのです。
あのビジョンで現れて「大いなる力」をゴーカイジャーに与えた時には、
海城らの意見に単に同調していただけでした。
もちろん、それはいい加減な気持ちで「大いなる力」を与えたのとは違っていて、
「ゴーカイジャーは地球を守るために戦う資質を持った戦隊であるようなので、
ボウケンジャーの大いなる力を使わせてやってもいい」と見極めた上でしっかり決断はしています。
その決断を間違っていたと後悔なども別にしていません。

ただ、あの時はゴーカイジャーをそんなにボウケンジャーの身近な戦隊だと感じていたわけではないようです。
単に「地球を守る戦いを任せることが出来そうな戦隊」と見なしただけのことであり、
ボウケンジャーとの共通点などには気づいていなかったようです。
実際、そんなことは会ってみないと分からないものです。
ところが、今回の明石はマーベラス達とは実質的には初対面であるにもかかわらず、
最初からボウケンジャーの「冒険」とゴーカイジャーの「冒険」を同質のものだと見なしているようです。

つまり、黒十字王との戦いと今回のガレオン侵入の間、
1か月ちょっとの間に明石はゴーカイジャーに対する認識を新たにするような出来事を経験したのだと思われるのです。
それが何なのかはここでは謎ですが、
ともかく明石はそれによって猶更、ゴーカイジャーにレンジャーキーや「大いなる力」を預けるという
自身の判断に確信を強くしているようです。

非常に上から目線でエラそうな態度ではあるものの、
明石がマーベラス達のことをそれなりに高く評価し、信頼しているということはマーベラス達にも伝わりました。
それでどうやら敵意は無いようだということは分かって、少しマーベラス達の警戒心は緩みました。
しかし、どう見ても仲良くしようとしてやって来たようにも見えない。
ますます明石の意図が分からなくなった5人の中、
ルカが進み出て「ふ〜ん・・・だったら何しに?」と問いかけます。
ルカの小脇にかかえられたナビィも「そうだ!」と同調して明石を問い詰めます。

すると明石は「実はプレシャスの回収を手伝ってもらいたい」と意外な申し出をします。
というか、鎧はともかく宇宙から来た5人とナビィはプレシャスという言葉自体を聞いたこともない。
「プレシャス?」とルカ達は声をそろえて疑問の声を上げます。
いや、マーベラスだけは憮然と黙って座ったままなのですが、
明石は4人とナビィに答えるように
「現代の科学では制御出来ない、危険な力を持った秘宝・・・それがプレシャス・・・」と説明します。

要するに正体不明の超古代文明のオーバーテクノロジーで作られた、
現代の科学力では制御不能な様々なオーパーツを総称してプレシャスと呼ぶのです。
そんなものが現代社会に出現して使われたら大きな災害を引き起こす恐れがあるので、
回収し使われないように封印して保管しておくのがサージェス財団の事業であり、
その回収ミッションの実行部隊が冒険家の秘密戦隊ボウケンジャーなのです。

そうしたプレシャスはかつて超古代文明の研究をしていた者たちからは超古代文明の残した「秘宝」と称されており、
様々な伝説が粉飾されて多くの冒険家や金の亡者や権力亡者らの目指すものとなっていましたが、
実際の姿は「宝」なんて可愛いものではない。
その強大なパワーを制御出来ずに持ち主を破滅に導く厄介な危険物である場合がほとんどです。
しかし、お宝の類に目の無いルカはその表面的な字面に釣られて「秘宝って・・・お宝!?」と目を輝かせます。

明石はあくまで冷静なまま「そんないい物ばかりじゃない」と釘を刺しておき、
「・・・今回回収するプレシャスは、黄泉の心臓・・・!」と、今回の依頼の核心の説明に入っていきます。
わざわざルカの希望的妄想に釘を刺すところを見ると、
まぁ「ボウケンジャー」的には毎度のことなのですが、今回もロクでもないプレシャスのようです。
ただ、ロクでもないと同時に、強大な力を秘めた大変なものでもあるようで、
明石の真剣な口調に、それまで憮然として座っていたマーベラスも
思わず興味のありそうな表情をチラリと覗かせます。

さて、ここで場面は突然、宇宙空間に浮かぶギガントホースの指令室に飛びます。
前回はバスコ回だったので、ザンギャック指令部のみなさん久しぶりです。
「ワルズ・ギル様・・・インサーン率いる部隊がようやく位置の特定に成功しました」とバリゾーグが恭しく報告すると
「うおお!そうか!」とワルズ・ギルは身を乗り出します。
ここで説明キャラのダマラスさんが登場し
「・・・死者を甦らせるという黄泉の心臓・・・まさか地球にあろうとは!」と言います。

要するに、ザンギャックも黄泉の心臓を狙っているという設定にして、
黄泉の心臓に関する説明をちゃっかりダマラスにやらせようという演出意図でした。
この後、ザンギャックは簡単にこの作戦に失敗してフェードアウトしていきますので、
ワルズ・ギルたちは今回、この説明セリフの会話を言わされるためだけに登場したようなものです。

まぁとにかく、これで黄泉の心臓の持つ能力が明らかになりました。
「死者を甦らせる」という能力であるとのことです。
そして、それは何故か宇宙にも伝説的に知られていたようで、何処にあるのかは謎だったようです。
それが最近になって地球のとある場所にあることが判明したようです。
サージェス財団とザンギャックがほぼ同時に黄泉の心臓の所在を知ったということは、
おそらく最近になって何らかの遺跡において何らかの変化が生じて
その中に黄泉の心臓があるようだということが分かったようです。
もちろん世間一般には知らされていない極秘情報ですが、
とにかく情報として発信された以上はサージェスやザンギャックのような巨大組織の独自の情報網を使えば
キャッチすることは可能というわけです。

しかし、ザンギャックはどうして黄泉の心臓が必要なのか?
ワルズ・ギルは「上手く使えば我々の侵略作戦を一気に進められる!必ず手に入れるのだ!」と言います。
要するに人手不足なのでしょう。
黄泉の心臓でも使ってゴーカイジャーに倒された行動隊長やゴーミン達をどんどん甦らせて
人手不足を解消したい。そういうことなのでしょう。
これはまぁ、結局、黄泉の心臓というものがどういうものかよく分かっていないのでしょう。

プレシャスというものは、そんな上手く制御して使えるような代物でないのが殆どなのです。
そもそもザンギャックでも制御困難な超科学が太古の地球に存在していたとするなら、
その文明が宇宙を制覇していてもおかしくないはずです。
しかし、そうはなっておらず、プレシャスと遺跡だけを残して文明は滅びている。
これが何を意味するかというと、超科学の粋であるプレシャスの暴走を制御出来ずに文明は破滅したということです。
そんな危険な代物を悪用しようとして気軽に手を出すのは危険極まりないのです。

そういう浅はかな悪党のせいで結果的に大災害が生じるのを防ぐために
サージェス財団はボウケンジャーにそのプレシャスの回収ミッションを命じるのです。
ザンギャックが黄泉の心臓を狙っているということはサージェスも明石もまだ気付いていないが、
何にしても放置しておけばそういう不心得者が遠からず現れるのは間違いなく、
早急に回収封印しなければならない。
だから今回、サージェスから明石にミッション指令が下ったのでした。

場面は再びガレオンに戻ります。
明石は黄泉の心臓が死者を甦らせる能力を持ったプレシャスであること、
早急に回収封印しなければ危険であること、
ところが今回、事情があってミッションに参加出来るボウケンジャーチームのメンバーが明石1人であること、
だからゴーカイジャーに助っ人を頼みたいということをマーベラス達に向かって説明しましたが、
ただ、マーベラス達は明石を手伝わねばならない義務があるわけではありません。
それに黄泉の心臓というプレシャス、やたら危険そうな代物で、売りとばしてお金に換えることも出来なそうです。
つまりゴーカイジャーにとってはあまり魅力的な作業とはいえない感じです。

普通の人はこんな依頼を引き受けようとは思わない。
だから、さすがにハカセは逡巡します。
しかし、「・・・どうしようか?」と逡巡しつつ、
「・・・こっちも大いなる力貰っちゃった借りがあるしね・・・!」と、結局何だか微妙に乗り気のようです。
ヘタレのハカセがこんな引き受ける義務も無いミッションを簡単に断ろうとはしていない。
「大いなる力」を貰った借りを感じるあたりは、スーパー戦隊との繋がりを重んじるハカセらしいといえますが、
ジョーもルカもアイムもハカセと同じように、何となく微妙に乗り気のように見えます。
鎧はもちろんボウケンジャーのミッションに興味津々の様子です。

鎧はともかくとして、他の4人が乗り気っぽいのは、要するにヒマだからなのです。
マーベラス一味の日常をよく見てみると、2週に1度ぐらいのナビィのお宝ナビゲートの時以外は、
ヒマを持て余しています。
そのたびにザンギャックと出くわして喧嘩しているのでヒマでなさそうに見えますが、
基本的にはお宝ナビゲートの時以外は彼らはヒマなのです。
もともとは宇宙を駆け回って冒険に明け暮れていた彼らですから、
この地球に来てからののんびりとした展開に少しヒマを持て余しているというのが実情です。
だから、自分達には関係ない件ではあるが、冒険を楽しめるのではないかという期待感が少しはあるようです。
ハカセあたりはそういうウズウズする気持ちはありながらも、何やら危険な予感もして逡巡しているのです。

ところがただ1人、マーベラスだけは皆と違って全然乗り気ではないようで、
「ヘッ!・・・悪いが今、そんなヒマは無いなぁ!」と、キッパリ断ってしまいます。
マーベラスは、今はバスコの先回りをして残り13個の「大いなる力」をいかに早く集めることが急務であり、
そんな自分達と関係ない厄介そうな秘宝などに関わっている場合ではないと考えたのでした。

このマーベラスのきっぱりした拒絶を受けて、場には少し白けた空気が流れます。
ジョー達は少し乗り気になりかけていたのですが、船長のマーベラスが断るのなら、その決定に従うしかない。
しかし、マーベラス一味で一番の冒険好きといえばもちろんマーベラスです。
だからジョー達は、自分達が少し興味が湧いていた今回の明石の冒険への誘いに、
マーベラスが全く興味を示さないというのは意外な印象を受けたのです。
そしてそれはやはりマーベラスがバスコの一件のせいで焦っているせいなのだろうと想像がついて、
ジョー達はまたマーベラスのことが少し心配になったのでした。

一方、明石はマーベラスにキッパリと断られてしまい、「・・・そうか・・・」と少し残念そうに言うと、
ソファに深々ともたれながら
「海賊だというからこの程度のことは朝飯前と思ったが・・・」と愚痴めいた皮肉を言い、
すっと立ち上がってマーベラスに背を向けて立ち去る態勢に入り
「自信が無いんなら仕方がない!」と吐き捨てるように言います。
これを聞いてマーベラスの目の色が変わります。
「・・・なにぃ?」と怒りの声を上げるマーベラスに向かって少し振り向いて、
明石は「違うのか・・・?」と蔑むような目でマーベラスを見下ろします。
マーベラスは怒りの形相で立ち上がり、明石に掴みかからんばかりに近づきます。
明石もマーベラスを真っ直ぐ見据えて見下ろすような視線で睨み、一触即発の状況となりました。

マーベラスは明石が海賊のことをバカにしたと感じてキレたのでした。
いや、海賊というものが皆に尊敬されるような者でないことはマーベラスも分かっていましたが、
マーベラスが許せなかったのは、
明石が海賊には自分達ボウケンジャーのような冒険は出来ないのだと蔑んでいることでした。
海賊の冒険など冒険者の冒険に比べれば大したことはないと見なして、明石は海賊を小馬鹿にしている。
そうマーベラスは思いました。
だいたい最初から、これみよがしにガレオンに忍び込んで、
自分の冒険の能力の前では海賊など子供のようなものだと言わんばかりの明石の高慢さが鼻についていたのです。
(なんてイヤな野郎だ!)と思い、マーベラスは明石を睨みつけます。
そのマーベラスを挑発するように睨み返してくる明石の嫌味な態度にますますマーベラスは腹が立ちます。

その一触即発の2人の間にルカはすっと入ってきて、
「自信無いわけないじゃん!・・・ね!マーベラス?」と、軽く笑いながらマーベラスの肩をポンと叩きます。
そして「ここまで言われたら、やるっきゃないでしょ!」と、
明石を一瞬キッと睨んでからニヤニヤしてマーベラスに言います。

マーベラスはもちろん自信が無いわけはない。
宇宙に多少は名を馳せた宇宙海賊マーベラスです。これまでにも数々の冒険をやり遂げてきました。
黄泉の心臓だか何だか知らないが、そんなものの回収など余裕だと思っています。
ただ単に今はそんなヒマは無いだけのことです。
しかし、この嫌味な男はヒマが無いからだと説明しても信じようとはせずに海賊のことをコケにし続けるだろう。
そして海賊など大したことはないと言い続けるに違いないとマーベラスは思いました。
こいつを黙らせるには、とにかくその黄泉の心臓とやらをさっさと回収して、
自信があることを証明するしかない。

本当はそんな余計なことをしているヒマは無いのだが、
とにかくこのままでは腹が立って悶々として、どっちにしてもバスコ対策もまともに考えられそうにない。
ならば、こんなヤツと一緒に行くのは癪だが、とにかくさっさと黄泉の心臓とやらを回収して、
こいつの鼻を明かしてやろう、
そう考えてマーベラスは「・・・ちぇっ!仕方ねぇ!」と舌打ちし、
乱暴にルカの手を払うと、明石に背を向けてふんぞり返ります。
一同はとにかく喧嘩が回避されて良かったと安堵すると共に、冒険を少し楽しみに感じます。

ルカも自分自身、冒険に行ってみたいと思っていたので
マーベラスをけしかけるようなことを言って割って入ってきたわけですが、
単に自分が行きたいためだけでなく、
「マーベラスもいっそ今は自分達の宝探しとは関係ない宝探しの冒険でもすれば良い気分転換になるのではないか」と
考えたからでもあります。

マーベラスが焦ってしまって本来の自分を見失っていることを感じて、
どうにかしないといけないと感じつつも、どうしていいか分からず困っていたルカにとっては、
この明石のいきなりの侵入とミッションの依頼、そしてやたらと上から目線の嫌味な態度は、
ルカ自身あまり快くは思っていませんでしたが、
マーベラスを上手く乗せて気分転換を図るためにはちょうど良かったのでした。
それでルカは上手く煽ってこの状況を利用させてもらったのでした。

一方、明石はマーベラスが嫌々ながらミッションを引き受ける羽目になったのを見て、
何やら秘かにほくそ笑んでいます。
いかにも計算通りという感じで、
明石がわざとマーベラスを挑発して引くに引けない状況に追い込んで
ミッションを引き受けさせようとしていたことが分かります。

だいたい、明石は確かに空気の読めない冒険バカの俺様キャラではありますが、
いくら何でも普段はここまで無礼ではありません。
人の住んでいるところに無断侵入して全く謝らずに高慢な態度を取り続けるとか、そんな常識知らずではありません。
ただ、明石は「ボウケンジャー」本編でもボウケンジャーのメンバーに対して
時々わざと理解に苦しむ暴言を吐いたりして挑発して、
それによって自分への反発心や対抗心で相手の行動や本音を引き出したりするテクニックを使っていました。
まぁつまり、かなり腹芸を使える男なのです。リーダーの資質が非常にあるといえます。
だから今回も、最初にガレオンに侵入したことから始まって、高慢な態度も含めて
全て計算づくでマーベラスを挑発する目的の行動だったわけです。

それにしても、そこまで手の込んだことをしてまで、
明石はマーベラス達と一緒に黄泉の心臓の回収に行きたかったということになります。
それだけ大変なミッションだと言ってしまえばそれまでです。
しかし、明石という男、冒険者としての自分には絶対の自信を持っていますから、
自分1人しか行けない状況であれば1人で行ったはずです。
わざわざ部外者に助っ人を頼むような男ではなかったはずです。

そう考えると、どうにも明石の行動は不可解で、
マーベラス達と一緒にプレシャス回収の冒険に行くこと自体が目的であるようにも思えます。
ただ、ザンギャックも動いていることからも分かる通り、
黄泉の心臓を巡る状況が切迫しつつあることもまた事実でした。
黄泉の心臓の回収をしなければならないのは確かなのですが、
そこにあえてこんな回りくどいことをしてマーベラス達を巻き込む何らかの必要があるということです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:48 | Comment(0) | 第21話「冒険者の心」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月07日

第21話「冒険者の心」感想その3

明石とマーベラス一味6人の7人連れは、さっそく黄泉の心臓の回収に向かいます。
目的地は、とある山中の遺跡であり、ガレオンで近くまで移動した7人は
目的地近くでガレオンを降りて、山登りを開始します。
先頭を明石が案内役として行き、その後ろをムカムカしながらマーベラスがズンズン進んでいきます。
それを後ろからついて行って眺めながらハカセが
「・・・なんか上手いこと乗せられたって感じだね・・・」と溜息をつきます。
ふと、結局、マーベラスが明石に挑発されて妙に頑張る羽目になっているように見えたのでした。

しかし「でも、こういうのも楽しいですよ?」とアイムは楽しそうです。
自分達の本来やるべきことである「宇宙最大のお宝」探しとは確かに違う、
自分達にとってはさして重要ではない宝探しでしたが、
さして重要でないからこその程よい気軽さが、良い気分転換になっていました。
また、変に焦ってギスギスしていたマーベラスが少し元気になったように見えたのもアイムは嬉しいようです。

ルカもいつもとはちょっと違った感じの宝探しが楽しいようで
「あたしも結構乗り気だなぁ〜!秘宝だなんて、なんかそそらない?」とマーベラスの横に並んで話しかけますが、
マーベラスは憮然として「そんなことはどうでもいい・・・さっさと終わらせるぞ!」と言って、
つまらなそうな顔をして足早になり、明石を追い越して先頭に出ようとします。

マーベラスはこんな自分に関係のない宝探しを呑気に楽しむ気など毛頭無い。
だいたい明石みたいな嫌な奴と一緒では楽しめるわけもない。
自分がここに来ているのは、秘宝を回収して明石の鼻を明かしてやるためであり、
さっさとそれを終わらせて気が晴れたら、
また「大いなる力」を早く集める方法を考えなければいけないと、マーベラスは思っています。
だから、呑気にピクニックを楽しもうという気分ではない。マーベラスはさっさと先を急ごうとします。

そのマーベラスに向かって「そう慌てるな」と明石が声をかけます。
もちろんマーベラスは無視です。
早く秘宝を回収しなければいけないと明石がいうからこうして来ているというのに、
急がないように言うとはふざけていると思ったのでした。
妙に余裕ぶって、また自分をからかうつもりなのかと思い、マーベラスは不愉快でした。

そこにいきなり「これは奇遇ねぇ!賞金首の海賊ども!」と言ってインサーンがゴーミン達を連れて出現します。
さっきギガントホースでバリゾーグが報告していた通り、
黄泉の心臓を手に入れようとしてインサーン率いるザンギャック部隊もこの山に辿り着いていたようで、
マーベラス達が山を登ってくるのを発見したのでした。
インサーンはどうして黄泉の心臓のある山にマーベラス一味が来ているのかと驚き、
もし作戦の邪魔をしようとしているのなら排除せねばならないと思い、姿を現したのでした。

もちろんマーベラス達も明石も突然のザンギャック部隊の出現に驚き、
ハカセは「なんでこんな所にザンギャックが!?」と慌てます。
さっきまでの半分ピクニック気分の楽しい気分は台無しです。
インサーンの方は姿を現した以上、もうすっかり戦う気であり
「もしかして、あなた達も黄泉の心臓を狙っているのかしら?」と言うと、
さっと合図をしてゴーミン達を集め、「悪いけどあたし達が手に入れるわ・・・」と、
ゴーミン達の戦闘態勢を整えます。

マーベラス達はインサーンが黄泉の心臓のことを知っていて、
しかも手に入れようとしているのだと知って驚きますが、
これでせっかく宝探しに来ていたのに、結局、ザンギャックと戦う羽目になってしまいました。
明石もこの場での戦いが避けられないことは悟りましたが、
同時に、ザンンギャックが黄泉の心臓を狙っていて既にこの山に入っているということは、
既に遺跡に向かった別働隊もいると考えなければならないと気付きます。
ならば、早く遺跡に向かわねば最悪の事態になりかねない。

そこで「ここで足止めされるわけにはいかない」と言う明石の意見を受け、
ジョーが「・・・仕方ない・・・ここは俺たちに任せて、先に行け!」と、
この場の敵は引き受けて明石を先に行かせる役を買って出ます。
とにかく明石のミッションを手伝うと約束した以上、ミッション遂行のために協力はしないといけません。
どうせこの場での戦いは避けられそうにないのだから、
自分達が戦っている間に明石を先に行かせることでここは協力するしかない。

明石は「すまん!」とジョーに礼を言うと、
「・・・行くぞ!」とマーベラスに一声かけて、先に向かって進みだします。
マーベラスはジョー達と一緒に戦うつもりでいたので「ああ!?」と不機嫌そうに嫌がります。
明石と一緒に遺跡に向かうよりも、
ここでザンギャック相手に大暴れした方が楽しそうだとマーベラスは思っていました。
しかしルカに「行くよっ!」と言って押されて嫌々ながら明石の後に続く羽目となります。
もちろん明石達を行かせまいとしてゴーミン達が追いかけようとしますが、
振り向きざまルカはゴーカイガンをぶっ放してゴーミン達の足を止めると
「後はよろしく!」と、ニッコリとジョーに笑いかけ、マーベラスの身体を押して明石の後を追いかけていきます。

これで遺跡へは明石とマーベラスとルカが向かい、
この場でザンギャックと戦うのはジョーとハカセとアイムと鎧の4人となりました。
ジョーはルカが何か思惑があるのだろうと思いました。
おそらくマーベラスをいつもと同じ戦いではなく、いつもとは違う宝探しの方に行かせたくて、
明石と2人っきりではマーベラスが行きたがらないであろうから、一緒に行ったのだろうと察しました。

いろいろとルカも気遣いをしているのだなと思ってジョーはフッと笑うと、
表情を引き締めて「行くぞ」と豪快チェンジし、
ゴーカイジャーに変身した4人はゴーミン達と戦い蹴散らしていきます。
そこにスゴーミンも何人か出現して攻撃してきます。
「全く、面倒な海賊どもね・・・」とインサーンは忌々しそうにゴーミンやスゴーミンの態勢を整え直し、
更に攻撃させようとします。
まずはこの4人を倒して、先に進んだ3人を追撃せねば黄泉の心臓の奪取作戦の邪魔をされてしまいます。
毎回毎回、海賊に鉢合わせする呪いでもかかっているかのようなザンギャック軍です。

ここで鎧は「皆さん!ここは一丁、忍者でいきましょう!」と張り切って
シュリケンジャーのレンジャーキーを取出し、ゴーカイセルラーにセットします。
これにアイムが「承りました!」と応え、残り3人もレンジャーキーを取り出し、
4人揃って豪快チェンジで多段変身します。
が、「シュ〜リケンジャア!」というコールでシュリケンジャーに変身した鎧の後ろで
変身した3人のモバイレーツから聞こえてきたコールは「カ〜クレンジャア!」というもの。
しかも3人ともコールの後に「見参!」というカクレンジャー独特の決まり文句まで言ってます。
慌てて鎧が振り返って見ると、
ジョーはニンジャブルー、ハカセはニンジャブラック、アイムはニンジャホワイトに変身していました。
「あれ!?カクレンジャーじゃないですかぁ!?」と頭を抱える鎧に対して、
ジョーは「忍者だろ!何か問題あるのか?」と、グダグダ文句を言う鎧に半ギレしています。

まだまだ鎧の加入によって豪快チェンジで混乱が起こるシリーズは続くようで、
今回は同じ忍者モチーフ戦隊ということでカクレンジャーとハリケンジャーの混乱というネタできたようです。
確かに鎧は「忍者」というキーワードしか言わなかったので、ジョー達がカクレンジャーを選択するのは当然で、
これはジョー達がスーパー戦隊に無知な宇宙人だから起こるミスの類ではなく、単なる鎧の説明不足でしかありません。

というより普通は「忍者」と言われれば「忍者戦隊カクレンジャー」の方を選ぶでしょう。
ただ鎧の手持ちの16個(黒騎士も含めるなら17個?)のレンジャーキーの中には
カクレンジャーの戦士のものが含まれていないので、
鎧にとっては「忍者」という指定の場合はハリケンジャーの仲間のシュリケンジャーの一択なのです。
カクレンジャーという発想自体が無い。
だから、つい自分と同じようにジョー達もハリケンジャーを選んでくれるものだと思ってしまったのでしょう。

そういう自分の思い込みによるうっかりミスだったことに気付いて、
鎧はジョーに「問題あるか?」と言われると返す言葉もありません。
ジョー達に全く非は無く、こうなると一人だけ違う戦隊のシュリケンジャーに変身して
浮いてる自分だけがバカみたいです。
鎧は腕組みして首を傾げて「それだと俺の席が無いっていうか・・・」とボヤくしか出来ません。
今からカクレンジャーに豪快チェンジしようにも、カクレンジャーのレンジャーキーは5つしかなく、
それぞれマーベラス達5人の担当分のようになっていますから、
後輩の鎧としては勝手に変身するわけにもいきません。

そうして鎧が悩んでいる間にジョー達は背中のカクレマルを抜いてゴーミン集団に突っ込んでいきます。
アイムは「参ります!」と丁寧語で手裏剣を投げてゴーミンを攻撃しますが、
これは鶴姫専用の鶴手裏剣で、くの字型になっているやつです。
一瞬しか映らないのにしっかり再現されていて芸が細かいです。
しかも手裏剣が「SHU!」という書き文字になって飛んでいくという、
「カクレンジャー」本編における特徴的な演出も再現されています。これは非常に懐かしい。

そしてハカセは「隠流!大地隠れの術!」と、
地面の中を突き進んだ後、地上に飛び出してゴーミン達を攻撃します。
これも「カクレンジャー」本編でジライヤが得意としていた忍術で、
同じ術を第3話でルカもニンジャブラックに変身して披露していますが、
ここでのハカセ版の大地隠れの術は、地上に飛び出した後のハカセの素早い動きが黒い線状の描写になっていて、
これもオリジナルの再現度高いです。

その横に飛び込んできたジョーは、普段のジョーではあまり見られない、
さすが忍者らしい軽快な動きでバック宙を決めて、
カクレマルでゴーミンやスゴーミンを切り捨てます。
ただ忍者になっても変に忍術は使わず、あくまで剣で戦うあたりは剣豪のジョーらしいといえます。
ここでもジョーの太刀筋が「ZBAAAAAA」という書き文字に変わるという、
「カクレンジャー」本編の再現度高い演出がなされています。

一方、目的地の遺跡へと向かった明石とマーベラスとルカの3人組の方は、
ゴーミン達の邪魔もなく順調に山道を進んでいました。
ところどころに変な石像などもあり、遺跡に近づいてきたことも分かります。
こうなってくると「ボウケンジャー」テイストがだいぶ濃くなってきます。
ルカは珍しそうに石像などを眺めて余所見することが多く、
そういうものは見慣れていていちいち興味を示さない明石や、
さっさとミッションを終わらせることしか興味の無い様子のマーベラスに置いてきぼりを食うこともしばしばでした。
こうして見ると、一見ルカが一番頼りないように見え、何しについてきたのか意味不明のようにも感じられます。

そして3人は目指す遺跡の外周の塀のようなところに辿り着き、
先頭の明石が立ち止まって塀に手を触れて何かを探っているのを見て焦れたマーベラスは
「まだか!?プレシャスってのは・・・」と、後ろから明石にせっつきます。
明石は「慌てるなと言ってるだろう・・・急ぐのと慌てるのは違うぞ」と何やら説教臭いことを言います。
しかしマーベラスは明石の言葉をまともに取り合おうとしません。
ザンギャックまで秘宝を狙ってるのなら先に奪われないように急ぐのは当然であるし、
もともと明石がそういう危惧があるから早く回収したいと言っていたはずです。
それに、そもそもマーベラスはこんなお遊びは早く終わらせて自分の宝探しに取り掛かりたいのです。
「悠長なこと言ってられるか!」と吐き捨てるように言うと、明石を追い越して先に進み始めます。

そのマーベラスの足を明石は自分の足で引っ掛け、更にマーベラスの背中を突き飛ばし、
マーベラスは無様に前へつんのめって倒れ込んでしまいます。
いきなりの明石の狼藉にカッとなったマーベラスは倒れたまま振り返り、
「何すんだっ!?」と怒りを爆発させますが、
その目の前を何か光るものが猛スピードで飛んでよぎったのでした。
ハッとして目で追うと、その光る物体は短い金属音を発して塀の岩肌に突き刺さりました。
見ると、それは長く鋭い金属製の針のようなものでした。
その刺さった岩肌の位置を見ると、そこはマーベラス達の腹のあたりの高さであり、
飛んできたタイミングを考えると、マーベラスがあのまま歩いていたら
腹にあの針が深々と突き刺さっていたに違いありません。

つまり、ここには一種のトラップが仕掛けられていたのです。
マーベラスは愕然としました。
トラップに恐怖したわけではありません。
むしろ、こんな程度のトラップに気付いていなかった自分に驚いたのです。
明石はトラップの存在には気づいていたようで、
それで立ち止まって、ここを突破する方法を思案していたようです。
そこに考え無しにマーベラスが突っ込んだわけですが、
明石は咄嗟にマーベラスを突き飛ばして地面に伏せさせてトラップから守ると同時に、
ちょうど考え無しに突っ込んでくれたマーベラスを上手く使ってトラップを発動させて無効化させたのでした。

明石はマーベラスの前にしゃがみ込んで
「気をつけろ・・・こういう冒険には、この手のトラップがよく仕掛けてあるからな!」と少し得意げに言います。
ところが、その明石の首根っ子を後ろから掴んでルカがいきなりグイッと乱暴に引き立てたので、
明石はさすがに少し驚いた表情になります。
明石のあまりに俺様な態度にルカが怒ったのかと思いきや、
明石がルカに引き立てられた直後に、ちょうど明石のしゃがんでいた場所に例の金属針が飛んできて
岩肌に突き刺さったのでした。
驚く明石の首根っ子を離して、ルカは「・・・そうみたいだね!」とニヤリと笑います。
「・・・やるじゃないか!」と明石は内心、少し焦りつつ、チーフの威厳を保ってルカを褒めます。

明石はマーベラスに反応して飛んできたトラップでこの場所のトラップは終了したと思い込んで
少し気を抜いてしまっていたのです。
ところがここのトラップは二重に仕掛けられていたのか、
あるいは時間差で発動するようになっていたのか分かりませんが、
最初の1発で終わりではなかったのです。

この巧妙なトラップにうっかり明石も引っかかってしまったのですが、
ルカもこの巧妙なトラップを見破っていたわけではありません。
明石が引っかかってしまうぐらいの高度なトラップですから、ルカといえども簡単には見破れません。
ではどうしてルカは飛んでくる針を防ぐことが出来たのかというと、
第7話でもルカ自身が日常的に鍛えていると言っていた、類稀な目の早さ、つまり優れた動体視力のゆえです。
明石目がけて飛んでくる針をいちはやく見つけたルカは、
急いで明石の首根っこを掴んで引き立てて間一髪ピンチを救ったのでした。

ただ、いくら目が早いルカといえども、
何処に仕掛けてあるか分からないトラップから発射された瞬間の細い針の放つ光を
瞬時に見つけるのは大変なことです。
それが出来たのは、ルカがよほど周囲に目を配っていたからだといえます。
つまり、この3人の中で一番、周囲に目を奪われて楽しそうに余所見ばかりしているように見えたルカこそが、
実は目的地に意識が向かいがちな男2人に比べて一番周囲の状況がよく見えていたのでした。

つまり、このトラップは簡単なトラップと見せかけておいて、
それをクリアしたと思って安心した侵入者を時間差で仕留めることを真の目的とした巧妙で高度なトラップであり、
明石が「やるじゃないか」と言ったのは、ルカに対してだけではなく
トラップを仕掛けた者の腕前に対する賛辞の意味も含まれていたのでした。

これほど高度なトラップなのだから明石が引っ掛かりそうになったのも仕方ないとはいえますが、
それにしてもいただけないのは、その最初の見破られることを前提とした囮のトラップにさえ
全然気づかなかったマーベラスの方です。
これは、海賊の冒険の凄さを明石に見せつけようとしていたマーベラスとしては、
信じられないくらいダサいといえます。
マーベラスは自分のあまりのカッコ悪さに愕然とし、完全に面目が潰れてしまいました。

いくら何でも普段のマーベラスならば、最初の囮のトラップ程度ならば簡単に見破れるはずです。
それが出来なかったということは
自分はいつもの自分ではなくなっていたのだということにマーベラスは気付きました。
その原因は何だろうかと考えたマーベラスはすぐにその原因に見当がつきました。
それは、こんな簡単なトラップに引っ掛かって明石に助けられてしまって、完全に面目が潰れて、
まぁハッキリ言って明石に完敗したような形となり、
また、自分を助けてくれた明石が別に自分に対して悪意が無いのだということも分かったので、
マーベラスの中で明石への怒りや対抗意識というものが急速に萎んでいったおかげでした。

つまり、マーベラスは明石への怒りや対抗意識が強すぎて早く成果を上げてやろうと焦るあまり、
周囲をよく見るゆとりを無くしていたのであり、
そのことにマーベラスは気付いたのでした。
そして、なんて無様なんだろうとマーベラスは思い、こんな無様なのは随分久しぶりのことだと思い、
一瞬、昔のことを思い出したのでした。

それは、まだマーベラスが赤き海賊団に入って間もない頃、まだ駆け出しの海賊だった頃のことでした。
今回と同じように、とある星の遺跡の中にレンジャーキーがあることを知ったアカレッドが
マーベラスを連れてその遺跡の中に入っていった時のことです。
その頃、マーベラスは早く海賊として成果を上げたくて焦っていて、
その時も遺跡の地下通路の中でレンジャーキーを見つけたように思って慌てて走り出し、
アカレッドが今回の明石のようにマーベラスの身体を掴んで引き止めてくれなかったら
トラップに引っ掛かって大怪我を負うところでした。

その記憶をマーベラスが更に辿ろうとした矢先、
腰を下ろしたまま黙っているマーベラスを不審に思ったルカが
「マーベラス・・・どうかした?」と尋ねてきたので、
マーベラスは慌てて「・・・いや、なんでもねぇ・・・!」と言って立ち上がり、
また遺跡に向けて進み始めます。
まさか明石に助けられたことが昔のアカレッドに助けられた想い出とオーバーラップしてました、なんて
カッコ悪いことが言えるわけがない。

しかし、その後、マーベラスは変に明石を意識してカッカしなくなったせいか、
少し気持ちが落ち着いて、トラップにも引っかかることなく進み続けました。
山道はますます険しくなり、崖をよじ登るようになり、
目的地の山頂近くの遺跡が近づきつつあることが感じられるようになりました。

崖を登りきった場所で最後尾のルカがよじ登ってきた手を明石が受け止めて引き上げてあげようとして、
すっとスマートに手を差し出します。
明石は普段は別に紳士でもフェミニストでもありませんが、
危険な冒険先ではあえてそういうキザで紳士的な振る舞いをすることを好むのです。
これは余裕を見せつけるため、というか、見せつけるのが目的ではなく、
常に冒険先の危険の中では余裕を持つように心がけている明石の一種のスタイルであり、美学のようなものです。
実際、明石と一緒に冒険をする者は、こうした明石の常に余裕を示そうとする態度によって
危険の中で安心感を覚えるのですが、
ある意味では明石よりも余裕のあるルカにはそんな気遣いは全く無用のようで、
明石の差し出した手をパン!と叩いて素っ気なく拒否し、そのまま軽快な足取りで先に進みます。

ルカは別に明石と馴れ合うつもりはなく、かといって実は黄泉の心臓という秘宝にも大して興味は無い。
ルカが今回積極的に動いている動機は、秘宝探しというなんだかワクワクする行為そのものと、
マーベラスと一緒にそういうワクワク感を味わうことであったようです。
だから明石に安心感など与えてもらわずとも、ルカには十分余裕はあるのでした。

そうしてマーベラスは少し進んだところで石室のような空間への入り口を発見して立ち止まり、
明石が「ここだ!」と言います。
遂に3人は遺跡の入り口に辿り着いたのでした。
その入り口を見るルカが「あれ何!?」と叫びます。
遺跡の内部の暗闇から何者かが歩いてくるのが見えたのです。
マーベラスらが目を凝らして見ていると、
その何者かは外の日光の届くあたりまでゆっくりと近づいてきて、その姿が明らかになってきました。

「スゴーミン・・・!?」とルカは驚きます。
それは1人のスゴーミンでした。やはりザンギャックが先にこの遺跡に先遣隊を到達させていたのです。
ところがこのスゴーミンからは敵意が感じられません。
不審に思った途端、そのスゴーミンは遺跡の入り口のところで崩れ落ちて前のめりに倒れて息絶えたのでした。
見ると、背中に深々と赤い蛮刀のような大きな刃物が刺さっています。これが致命傷のようでした。
このスゴーミンはマーベラス達の前に現れた時点では既に半分死んでいるような状態だったようです。

それにしても誰が何のためにスゴーミンを殺したのか?と、
マーベラスとルカがスゴーミンの遺体を観察している間に、
明石は遺跡の入り口の奥を覗き込み、「おい・・・こっちも見てみろ」と2人を呼びます。
2人も遺跡内部を覗き込むと、そこにはスゴーミンやゴーミンの死体がいくつも転がっています。
どれもこれも無残に殺されており、先遣隊は全滅しているようでした。
そして幾つかの遺体には最初のスゴーミンと同じ赤い蛮刀が刺さっています。

「どういうこと?」というルカの問いかけに、
明石は「この先に何かが待っているのは間違いないようだ・・・」と答えます。
こんな赤い蛮刀はザンギャック軍の武器ではないので、
これはザンギャック軍の喧嘩や内輪揉めの類ではありません。
また、ゴーミン達が戦って抵抗した形跡があることから、
いきなりトラップに引っ掛かったというような死に方でもない。
別の何者かによって殺害されたと見るべきでしょう。

その何者かがここに最初に居て、そこにザンギャック部隊が鉢合わせしたのか、
ザンギャック部隊が居るところにその何者かが急襲してきたのか、詳細は分かりませんが、
とにかく致命傷を負っていたスゴーミンがついさっき息絶えたということは、
その何者かによるザンギャック部隊員への殺戮はほんの少し前に行われたと見ていいでしょう。
この遺跡よりも先には進むことは出来ず、ここへ来る道は一本道で、
明石たちはここで来るまで誰ともすれ違っていません。
つまり、ついさっきザンギャック部隊を全滅させた何者かは、まだこの遺跡の内部に潜んでいると見ていい。

それにしても、小規模な先遣隊とはいえスゴーミンも含むザンギャック部隊を全滅させるとは、
普通の地球人に出来るようなことではありません。
そんなヤツが潜んでいる遺跡の中に入っていくことになるとは、
当初予想していたミッションよりもかなり難易度が上がったといえます。
しかしマーベラスは「フン!面白ぇじゃねぇか!」と不敵に笑います。
それぐらいの危険や困難を突破してお宝を手に入れる方が
張り合いがあって丁度いいとマーベラスは思ったのでした。
明石も少し嬉しそうに笑い、「ああ!ちょっとした冒険だな!」とマーベラスに向かって言います。
それを聞いて、ルカは「ん・・・?」と少し違和感を覚えて明石の顔を見ます。

ルカは明石の自分達に対する不遜な態度をいちいちマーベラスのように怒ってなどいませんでした。
おそらくそれはマーベラスを挑発してミッションに協力させるためにわざとやっていることで、
明石は本当はそんなに悪意のある人間ではないとは思っていました。
明石の挑発が演技であることが半ば分かっていて、
まんまとマーベラスが挑発に乗ることを止めようともせず、むしろ煽るようなことをルカが言ったのは、
ルカがあえて明石の挑発を利用してマーベラスに気分転換をさせたかったからです。
ならばルカは明石に好印象を持っていたのかというと、全然そんなことはなく、
確かにマーベラスが誤解しているような悪人ではないとは思っていましたが、
つまらない人間だと思っていたといえます。

明石の話を聞く限り、要するに明石という男は、雇い主の忠実な飼い犬のような男で、
自分が魅力も感じていないような秘宝を淡々と業務として回収して献上しているだけの、
つまらないサラリーマン冒険家でした。
つまり明石の冒険は自分のための冒険ではなく、自分の欲しいものを手に入れようとしているわけではない。
それが結果的に地球の平和を守ることに繋がるとはいえ、
単に雇い主からの報酬のために盗掘のようなことをしているだけなのです。
それは自分の夢として宇宙最大のお宝を手に入れようとしている自分達ゴーカイジャーとは正反対だと
ルカは思ったのでした。

いや、ルカもかつては明石と同類のようなものでした。
ルカにも自分だけの何らかの夢はあるというのは第6話でも示唆されていますが、
その夢のためにはお金を貯めなければいけない。
そういうこともあってルカはかつてザンギャックを専門に対象とした泥棒稼業に励んでいました。
全宇宙で弱い者をいたぶって財物を奪い取っているザンギャックから物を盗むことには
全く罪悪感は感じませんでしたが、
それらの盗品そのものはルカが本当に欲しいものではありませんでした。
欲しいのはその盗品を売りとばして得られるお金であり、
そのお金そのものが欲しいわけでもなく、お金を貯めて辿り着く夢がルカの本当に欲しいものでした。

だから盗み出そうとする品物に対してルカが情熱を持つことはありませんでした。
それは次第につまらない生活となっていったのでしょう。
そういうルカがどうしてマーベラス一味に加わって海賊となったのか?
そのあたりの経緯はまだ詳しくは描かれていません。
ただ、何となく想像するに、ルカは自分が欲しくもない物を盗むだけの生活に疲れていくようになり、
そんな時にマーベラスがルカの途方もない夢を目指す姿勢が気に入って仲間に入るように誘ってきて、
ルカは自分の夢そのものを手に入れようとして突っ走るマーベラスの生き方に惹かれたのではないかと思います。

それで、自分の夢は夢で目指すことは継続し、そのためにお金も貯めていく一方で、
ルカも宇宙最大のお宝という夢をマーベラスと共に追いかけたくなって、
それで仲間に加わったのではないかと思うのです。
それによってルカの心は救われたように思います。
マーベラスはルカに夢に向かって真っすぐ突き進む生き方をもたらしてくれた恩人のようなものです。
だからルカはマーベラスに感謝しており、
それゆえに、ギンガの森でバスコと会って以降の今のマーベラスの姿を見て釈然としていません。

確かに今のマーベラスは夢に向かって真っすぐ過ぎるゆえに焦ってしまっている。
これは本来ルカがマーベラスに惹かれた要素そのものです。
夢に向かって一生懸命だからマーベラスは魅力的なはずです。
だから、本来は今のマーベラスをルカは肯定すべきです。
しかし、ルカには今のマーベラスはちっとも魅力的であるように思えない。
それがどうしてなのかルカにもよく分からないが、とにかく今のマーベラスには納得出来ないので、
明石の持ってきた遊びがてらの気軽な冒険に連れ出して気分転換させて、
いつもの楽しいマーベラスに戻ってくれることを期待しているのです。

ところが、その遊び半分のはずの冒険が急にややこしい状況になってきたのは
ルカにとっては想定外のことでした。
しかし、そうして冒険の難易度が上がると、何故かマーベラスが少し楽しそうになってきた。
いや、それよりもルカが意外だったのが、明石まで妙に楽しそうにしはじめたことです。
明石にとっては黄泉の心臓という秘宝は厄介物のような扱いであり、
自分がなんとしても欲しいようなものではないはずです。
仕事だから仕方なく回収しようとしているだけのはずです。
ならば、回収作業の難易度が上がれば余計な面倒が増えるだけのことで、
普通はウンザリするのが当たり前の反応です。
それなのに明石は「ちょっとした冒険」などと言って、何だか嬉しそうにしています。
それがルカにはどうもよく分かりませんでした。

マーベラスにしても、さっきまですごく面倒臭そうにしていたぐらい、
黄泉の心臓そのものには何の興味も無いはずなのに、困難な状況になってからむしろ楽しそうにしている。
「面白くなってきた」というのはマーベラスの口癖ですが、
それはあくまで自分の夢の実現のために進んでいく時に
困難を突破して進んでいくことを喜んでいる発言なのだとルカは解釈していましたから、
こういう場面でマーベラスが面白がるのも少し意外でした。
そのマーベラスと明石が、この変な面白がり方において、微妙に意気投合しているように見えて、
ルカは不思議な感じがしたのですが、
さっさと明石が遺跡の洞窟内に入っていき、マーベラスもそれに続いて行ってしまったので、
ルカも思考を中断して慌てて後を追います。

ここでの明石の「ちょっとした冒険だな!」というセリフは
「ボウケンジャー」本編では明石の決まり文句としてよく使われていた言葉です。
ルカやマーベラスはその言葉に込められた意味を知らないので、
なんだか意味不明なことを言っているという風にしか思わなかったようです。

明石は確かにルカの思ったように、自分が欲しいと思えないような秘宝を回収して報酬を得る冒険家でしたが、
それで人生がつまらないということは全くありませんでした。
何故なら、明石がサージェスから得ていた報酬は金銭ではなく(まぁ金銭も貰っていたが)、
自分にとっての冒険そのものだったからです。
冒険の困難度が上がれば上がるほど、明石は冒険のスリルを楽しむことが出来ました。
だから、明石はミッションをこなすことによって、
その場で直接、ミッションの対象物の秘宝と共に、自分の欲しいもの、
すなわち冒険のスリルを得ることが出来ていたのですから、
興味を持てないつまらない秘宝目当てのミッションであっても虚しさなど感じることはなかったのでした。

最高度のスリルに満ちた冒険をするためには、それなりに資金も資材も自由になる時間も必要です。
サージェスの下で働いていれば、それらを保障してもらえるから
明石はサージェスと組んで冒険しているのです。
といって、いつもサージェスの依頼の仕事で冒険のスリルを味わえるとは限らない。
簡単に終わってしまうミッションであれば、逆に明石にとっては冒険のスリルを得られず、つまらないのです。
どうすればつまらないミッションを成功させつつ面白く出来るかというと、
よく周囲の状況を見て、スリルの種を見つけていくことです。

そして今回も明石はザンギャック部隊を全滅させた何者かの存在を知り、
ようやくスリルの種を見つけて、冒険が楽しくなってきたのです。
いや、明石はスゴーミンの背に刺さっていた蛮刀の形状を見て、実はその何者かの正体におよその見当がついており、
ますます面白くなってきていたのでした。

遺跡内部の地下通路を進んでいくと、3人は広く天井の高い空間に出ました。
まるで大きな部屋のようです。
暗がりの中で明石がライトで壁を照らして見回りますが、
入ってきた一本道の地下通路以外、この部屋から外に繋がっている出口は見つかりません。
ただ一か所、大きな紋章が刻まれた扉のように見える部分があり、
ルカがそこが開くかどうか調べてみますが、全く開くような感じではありません。

「行き止まりだよ!」と困ってルカが報告し、明石も行き詰ってしまい、下を向いて考えようとします。
すると、その時、床を通り過ぎる自分のライトの光が何かを映し出したことに明石は気付きました。
ハッとしてそこを再度照らしてみると、床に円形の紋章が刻まれています。
それはルカが調べている扉のような部分に刻まれた紋章と同じ模様でした。
しゃがみ込んで床の紋章を触った明石はその触感に妙な違和感を覚えて、
ある仮説を閃き、「お前たち・・・この上に立ってくれ」とマーベラスとルカに指示して、
明石自身、まずその床の紋章の上に立ちます。

続いてマーベラスが乗り、そしてルカが乗ると、なんと床の紋章が光を放ち、
同時にさっきの扉のような部分の紋章を縦に光が走ります。
ハッとして下を見て、そして扉の方を見た3人の見ている前で、
その扉のような部分の紋章が一瞬走った光の線を中心線として、ゆっくりと真っ二つに割れたのでした。
つまり紋章の刻まれた岩が真っ二つに割れたのであり、扉が開いたのです。
開いた扉の向こうには何か別の部屋のような空間があります。
「重さを利用した仕掛けになっているようだな・・・」と明石が言います。

明石は床と壁の紋章が同じであることから、
床の紋章が壁の紋章に何らかの作用を及ぼす仕掛けではないかと推理し、
床の紋章を刻んだ岩が少し浮いた感じの触感だったので、
岩の下に何かの仕掛けがあるということに気付き、
ならば自動ドアのように重さを感知する仕掛けなのかもしれないと思ったようです。
ただ、1人が乗ったぐらいで開くのなら、偶然でも開いてしまう。
おそらくこの紋章の大きさに乗ることが出来る最大限の人数分の重さに反応するのだろうと目星をつけ、
それならば3人というところだろうと仮説を立てたのでした。

「ナイス!」と喜んで、ルカは開いた扉へ向かって駆け出します。
が、ルカが駆け出して紋章の外に出た瞬間、扉が閉じ始め、
ルカが扉に辿り着く前に扉は完全に閉じてしまいました。
ルカが床の紋章を離れて紋章にかかる重さが3人分未満になったことによって、
扉を開いておく仕掛けが無効になり、扉は閉じてしまったようです。
「これじゃ開いても入れないじゃん!どうすんの!?」とルカは閉じてしまった扉を叩いて苛立ちます。

明石もちょっと困ってしまいました。
扉を開くためには3人以上が床の紋章の上に一旦立たねばならない。
しかし床の紋章から扉まで走っている間に扉は閉まってしまう。
3人が床の紋章から離れても扉を開きっぱなしにするためには、
3人分の重量に相当する物体を床の紋章の上に置くしかないが、
この部屋はガランとしており、そんな重量のありそうな物体は見当たらない。
こうなったら長い地下通路を引き返してゴーミン達の死体3つでも持ってくるしかないが、
正体不明の敵が侵入しているこの遺跡内でそんな大荷物を背負って歩くのは無防備すぎるし、
あまり悠長なことをやっていると、侵入者が何か妙なことをやり始めるのではないかと明石は危惧しました。
なんとかこの場で問題を解決する方法は無いものかと明石は思案しました。

すると、その横でマーベラスはニヤリと悪童のように笑って「こうすりゃいい!」と、ゴーカイガンを取出し、
いきなり真上に向かって連射し始めました。
驚いて明石とルカが上を見ると、マーベラスは高い天井の岩肌を銃痕で円形を描いて撃ちぬいています。
そんなことをすれば、綺麗に円形の岩塊が深くくりぬかれて、
脆くなった天井の岩肌から重力で剥離して落下し、
真下にいるマーベラスと明石は分厚い岩塊の下敷きになってしまうでしょう。

予想通り、轟音を立てて分厚い円柱形の岩塊が落下してきて、明石は慌てて飛び退きます。
マーベラスも同様に飛び退き、2人の立っていた位置に岩塊が落ちました。
そこはつまり、床の紋章の上でした。
床の紋章の上に3人の人間の体重分は遥かに超えるであろう大きな重い岩塊が乗ったのです。
その途端、呆気にとられてそれを見ていたルカの背後で扉の紋章の中心線に再び光が走り、
次の瞬間、ゆっくりと扉が開いたのでした。
ハッと振り向いてニコッと笑ってルカは「やりぃ!」と喜びます。
マーベラスもしてやったりという顔で笑い、明石も(なるほど)と思い、フッと笑みを漏らします。

この何も無い部屋で3人分以上の重量の物体を用意するとなると床や壁の岩盤をくり抜くしかないが、
それだけの重量のものをくり抜くのも床の紋章の上まで運ぶのも大変な手間となります。
しかし、ただ1つだけ、それらの手間を省いて一瞬で作業を終わらせる方法があることに
マーベラスは気付いたのです。
それは天井の岩盤を真下から円形にくり抜くように撃ちぬくことでした。
そうすれば重力によって自然に岩盤は落ちてくるので、くり抜く工程が一瞬で済む。
更にその撃ちぬく天井の場所が床の紋章の真上であれば、
紋章の上に落下してくれるわけだから、運ぶ手間まで省ける。
これが一番手早い方法だったのです。

ただ、この方法は斜めから天井を撃っても岩肌の表面を削るだけのことで、
岩盤を深くくり抜いて分厚く重い岩盤を落とすことは出来ないので、
必ず真下から真っ直ぐ上へ向かって撃たねばなりません。
そうなると必ず自分の頭上に岩塊が落ちてくるので、極めて危険な方法です。

ルカはマーベラスに駆け寄り、「無茶するねぇ〜!・・・でもノッてきたじゃん!」と
嬉しそうに肘でマーベラスを小突きます。
こういう思い切った有効な打開策が思いつくということは、
マーベラスが落ち着いてきて周りがよく見えるようになってきたということです。
それに、このような危険を伴う方法を咄嗟に選ぶとは、
いつもの危険を楽しむマーベラスらしさが復活してきたようです。

また、今のやり方の場合、明石も危険に晒すことになったはずなのですが、
マーベラスは明石に事前に危険の可能性を説明していませんでした。
何となく明石のノリを見て、マーベラスは明石ならこれぐらいの岩塊ぐらい避けるであろうし、
これぐらいの危険ならばむしろ楽しむのだろうと勝手に判断していました。
そういうマーベラスのテキトーなノリは、
まさに普段の自分達の宝探しでの仲間たちに対する信頼の態度と同じであったのです。
ルカはそういういつものマーベラスのノリが戻ってきた理由はよく分かりませんでしたが、
このミッションが良い気分転換になったのだろうと嬉しがっています。

マーベラスの方はルカに「ノッてきた」と言われて、
自分がいつものお宝探しのように何時の間にか楽しんでおり、
明石のことを仲間たちのように信頼するような行動をしていたことに気付き、焦ります。
なんで自分がこんなどうでもいい秘宝のために、
どうしてこんな偉そうなヤツと意気投合してるんだ?と思い、
ルカから慌てて目を逸らせて「・・・誰がだよ!」とぶっきらぼうに吐き捨てます。

明石はそんな2人の方をフッと微笑して見た後、開いた扉の向こうに目を凝らします。
この部屋の出口はこの扉しかなかった。そしてこの部屋にも誰もいなかった。
ならば自分達よりも先に入った侵入者も、何らかの方法で扉を開き、この奥の部屋に移動しているとしか思えない。
つまり、この扉の向こうに何かが居るはずなのです。

そうして3人が奥の部屋を見た時、奥の方で何かが光りました。
見ると、部屋の奥に1人の赤い身体のトカゲのような怪人が、
鼓動のような音を発して明滅して光る物体を手に握って立っています。
その怪人は「黄泉の国の神よ!我が主を今ここに甦らせたまえ〜っ!!」と叫ぶと、
その物体を下にある台のようなところに叩きつけます。
その瞬間、その物体から強烈な光が発して
部屋の中や、入り口から覗き込んでいた明石やマーベラスたちを包み込みます。

強烈な光に思わず目を覆った明石たちは、微かに開いた目で、
その光の中で断末魔の叫びを上げて先ほどの赤い怪人が溶けて消えていくのを見ました。
強烈なエネルギーの至近距離で浴びたため、蒸発してしまったようです。
そして、その光は急速に萎み、先ほどの怪人の持っていた物体の中に吸い込まれて消えていきました。

その光の消えていったあたりに自然に視線が向いた3人はぎょっとしました。
萎んでいった光は消え去る前の一瞬、台の上に寝ている人型に光を発していたのです。
そこに誰かが寝ているのです。
先ほどの赤い怪人とは違う誰かなのですが、さっきの怪人に似ているようにも見えます。
しかし、さっきのよりもかなり大きい。がっしりした巨体の赤い怪人です。
鼓動の音は相変わらず続いており、光は最後はその横たわる怪人の胸のあたりに消えていきました。
それはつまり、先ほどの鼓動を打っていた変な物体はこの巨体の怪人の胸に叩きつけられ、
怪人の身体から激しい光を放った後、その光を消したことになります。

しかし、何が起きたのかゆっくり不思議がるヒマはありませんでした。
光が消えると同時にその怪人が呻き声を発して起き上がったのです。
驚いてマーベラスとルカが目を見張る一方、明石はその怪人の姿を見て、意外に冷静に1歩前に出て、
「リュウオーン・・・!」と呼びかけます。
しかし、その怪人は明石の声は耳に入っていないようです。
怪人自身、自分の身に何が起こっているのかよく分からない様子で、身体の感触を確かめているようです。
そして、自分が生きていることを確認すると
「フハハハハ!!甦った!甦ったぞぉっ!!」と両手を広げて哄笑します。
その怪人に向かって、相手が聞いているか聞いていないかお構いなしに、
明石は「・・・やはりお前たちだったのか・・・ジャリュウ一族!」と更に渋い顔で話しかけます。

ジャリュウ一族とは、「ボウケンジャー」本編に登場したボウケンジャーの敵組織の1つです。
「敵」といっても、ボウケンジャーの場合はお宝争奪戦の競合組織であり、
しかもこれが別個の4組織あり、これらを総称して「ネガティブ・シンジケート」といいます。
ジャリュウ一族はそのうちの1つで、恐竜や幻獣のクローン技術を使って作られた人工生命体の集団であって、
プレシャスを悪用して人類を滅ぼして新たな世界の支配者となることを目論んでいました。

そのジャリュウ一族の長がリュウオーンでした。
ジャリュウ一族の者たちは皆、リュウオーンによって作り出された生命体であり、
まさに造物主としてジャリュウ一族においてはリュウオーンは絶対的存在だったのです。
ですから、「ボウケンジャー」の終盤においてリュウオーンが爆死した後、
ジャリュウ一族は勢力が極端に衰えてしまったようです。
そこでジャリュウ一族の民であり兵士である竜人型の人工生命体のジャリュウが、
死者を甦らせるという黄泉の心臓に目をつけて、この遺跡にやってきたのでしょう。

さっき部屋の中で叫んで消滅したのがジャリュウです。
ジャリュウはリュウオーン自身の血液から作り出された生命体であり、
リュウオーンの作る数々の幻獣の素体ともなるだけあって、
もちろんボウケンジャーには敵わないが、そこらの戦闘員よりはかなり強い。
まぁ個体差もかなりあるのですが、
優れた個体の場合はゴーミンはもちろんスゴーミンを圧倒するほどであってもおかしくはない。

リュウオーンが死んだ後も生き残っていたジャリュウは「ボウケンジャー」最終話では2人確認されていますが、
今回のジャリュウはそのうちの1人でしょう。
ちなみにクローンなので見た目は皆同じで声も同じであり、
それゆえジャリュウの声をあてる声優さんは「ボウケンジャー」の時も常に西脇保さんでした。
今回のオリジナルキャストということで西脇さんに喋ってもらったようです。

やはり2人生き残ったジャリュウのうちの1人ですから、優秀な個体であったようで、
それでゴーミンやスゴーミンを1人で全滅させることが出来たのでしょう。
そして、ジャリュウはもちろんリュウオーンの遺体を持参してきていたようです。

粉々に爆死したはずのリュウオーンですが、
ジャリュウ一族はもともと人工生命体を作ることを生業とする一族であり、
ジャリュウはその生命操作実験の従事者でもあります。
だからジャリュウ達は早くからリュウオーンの復活を目論み、
粉々になったリュウオーンの身体の細胞を集めて培養させて復活させようとしてきたのでしょう。
しかし、新しい生命を作ることは出来ても、
死んだ者を生きていた頃の記憶を持った状態で甦らせることは出来ず、
仕方なく培養した遺体だけを保存しながら、試行錯誤をずっと繰り返していたと思われます。

明石もジャリュウ達のそうした動きは一応は把握していたと思われます。
そういう事前の予備知識に加えて、
スゴーミンの背中に刺さっていた赤い蛮刀がジャリュウ一族のものとそっくりであったので、
明石はジャリュウ一族が黄泉の心臓という死者を甦らせるプレシャスが発見されたことを聞きつけて、
リュウオーンの復活を目論んで黄泉の心臓を狙ってこの遺跡にやって来たのであろうことは、
遺跡の入り口の時点で察していました。

その復活儀式はこの遺跡でなければ行えないのでしょう。
だからジャリュウはリュウオーンの遺体も持参してきた。
リュウオーンとジャリュウの体重を合わせれば人間3人分よりも重くなりますから、
あそこの紋章の仕掛けで扉を開けることにも成功したのでしょう。
そして、ジャリュウの運動能力ならばリュウオーンの遺体を抱えていたとしても、
床の紋章の位置から扉が閉まるまでの数秒間で扉を通り抜けることも可能でしょう。
そうして奥の部屋に入ったジャリュウはそこに保管されていた黄泉の心臓を手に入れ、
それを使って、あらかじめ調べていた手順に則って、リュウオーンを復活させる儀式に取り掛かったのでした。
あのジャリュウが手にしていた、鼓動を打って光る物体こそ、黄泉の心臓であったのです。

そしてリュウオーンの胸に黄泉の心臓を埋め込み、
そのエネルギーを解放してリュウオーンの身体にエネルギーを通したと同時に、
その解放されたエネルギーに焼き尽くされてジャリュウ本人は消滅してしまったのでした。
自分の身を犠牲にしてもリュウオーンの復活を絶対視するのは、
リュウオーンによって作られた生命体であるジャリュウにとっては当たり前のことなのです。

そうして残されたリュウオーンは黄泉の心臓のエネルギーによって甦ったのです。
リュウオーンの魂は自分の死は自覚しており、死者の国を彷徨っていたと思われます。
彼は人類への強烈な憎悪と破壊衝動を固持したまま死んだので、いわゆる成仏などはせず、
その魂は亡者の怨念のようにずっと死者の国で彷徨っていたのでしょう。
だから自分が死んでいるということは知っていたはずです。
それが突然、現世に甦ったのですから、リュウオーンも最初は戸惑ったようです。
そして身体の感触を確かめ、自分が生きて甦ったということを理解し、大喜びしたという次第です。

なお、リュウオーンの復活した身体は、生前の姿とは多少違っていました。
角や腕の一部が黒ずんで欠けていて、完全な復活というわけではありません。
これはジャリュウが爆死したリュウオーンの遺体の細胞を十分に集めることが出来なかったのか、
培養する過程で何らかの不具合が生じたのか、そのいずれか、あるいは両方の理由によるものでしょう。
が、それはあくまで器である身体のことであり、その身体に漲るパワーは完全復活しているようです。

そのリュウオーンは生きている実感を得て少し気持ちが落ち着き、
目の前で自分に話しかけてくる男をようやくまともに見ました。
そして、それが自分が爆死する前に最後に会った人物であることに気付きます。
「おお・・・久しぶりだな・・・ボウケンレッド・・・いや、明石暁・・・!」と言うリュウオーンには、
こうして甦るまで長い長い死の虚無の記憶があったということになります。
ちなみにリュウオーンの声も、オリジナル声優の森田順平氏があてています。

「何なんだ?アイツは・・・」と尋ねるマーベラスに、
明石は「ヤツはジャリュウ一族の長、リュウオーン・・・爆発に巻き込まれ、死んだはずだった・・・!」と、
リュウオーンをじっと見据えながら説明します。
そのリュウオーンが死んだ爆発に明石も一緒に巻き込まれたのだから、これほど確かな証人もいません。
というか、リュウオーンの方が明石が生きているのを見て少々驚いたはずです。
明石はてっきりあの爆発で自分と一緒に死んだのだとリュウオーンは思っていたはずだからです。

しかし、もう明石が生きていようが死んでいようが、そんなことはリュウオーンにはどうでもいいことでした。
そんなことよりも自分が生き返ったことのほうが重要なのです。
明石の言葉に応えるように「ああ、死んださ・・・一度な!」とリュウオーンは言って、
「しかし今ここで虚無の底から舞い戻ったのだ!・・・これの力でな・・・」と、
自分の胸の空洞に剥き出しのまま埋め込まれた黄泉の心臓を触ります。
すると黄泉の心臓は刺激に反応するように大きく鼓動を打ち、光を放ちます。

その光に目がくらみ、思わず顔を背けたルカが「あれは・・・?」と、初めて目にする黄泉の心臓を見て驚きます。
それに応えるように明石は「・・・黄泉の心臓・・・俺たちが回収しようとしていたプレシャスだ!
・・・死者を甦らせ、無限の力を与えるという・・・!」と悔しげに言います。
つまり、一足遅れで黄泉の心臓の回収というミッションは失敗してしまったのです。
黄泉の心臓はジャリュウ一族の目論みの通り、リュウオーンの身体に取り込まれて、
リュウオーンを復活させてしまったのでした。
しかも無限の力までリュウオーンは得たようなのです。

ところで、さっきからの物言いを聞く限り、リュウオーンはどうやら黄泉の心臓のことも知っているようです。
そしてそれが無限の力を与えるものであることも知っているようで、
「ちょうどよい!甦った我が力、試させてもらう!」と言うと、
目にも止まらぬ速さで移動して明石たちを吹き飛ばして部屋の入口に移動して明石たちの背後をとります。
そして「さらばだ明石暁!何処ぞの馬の骨と共に死すがいい!」と叫ぶと、
部屋の天井に向かって手から光弾を発射して、天井を崩します。
明石たちを生き埋めにして自分は外に出ようとしているのでした。

ちなみに「馬の骨」とはマーベラスとルカのことを指しています。
ずっと死んでいて、自分の死んでいた間の現世の事情を知らないリュウオーンは、
マーベラス達のことを知らないのです。
一方、マーベラスとルカもリュウオーンといういきなり現れたこの怪人が
敵なのかどうかもよく分からないうちにいきなり襲われたので、不意打ちのような感じでやられてしまいました。

明石はリュウオーンが敵であることは分かっていましたが、一瞬判断が遅れました。
生き返ったリュウオーンがもしかすると敵ではないのかもしれないと一瞬思ってしまい、
それが隙となったのでした。
そのように明石が思うような経緯がリュウオーンの爆死直前にあったのでした。
まぁ予想以上に黄泉の心臓を得たリュウオーンが素早かったというのもあるのですが。
こうしてリュウオーンが崩した天井から落下した岩塊が降り注いで、
この奥の石室は崩壊し、明石とマーベラスとルカの姿は見えなくなってしまったのでした。

しかしリュウオーンはどうして黄泉の心臓のことを知っていたのか?
自分が死んでいる間にジャリュウ達が黄泉の心臓を奪って自分を甦らせようとしていたことは見ていないはずですから、
リュウオーンが黄泉の心臓で甦ったという経緯を知っているのは妙です。
これはつまり、もともとリュウオーンは黄泉の心臓のことを生前から知っていたということなのでしょう。
リュウオーンが知っているということは、ジャリュウ一族も知っているということであり、
だからジャリュウは黄泉の心臓でリュウオーンを甦らせることが出来るということを知っており、
儀式の方法まで知っていたのです。

但し、生前のリュウオーンもジャリュウ達もその在り処を掴んでいなかったので
実際に黄泉の心臓を使って復活の儀式を行うことが出来なかった。
それが最近になってその在り処が判明したので、
黄泉の心臓を使ってリュウオーンを復活させることにしたのでしょう。
甦ったリュウオーンも最初は自分がどうやって甦ったのか分からなかったが、
自分の胸を見て、自分がもともと知っていた黄泉の心臓であること気付き、
ジャリュウが黄泉の心臓で自分を甦らせたのだという事情を把握したのでしょう。

となると、黄泉の心臓というのは古代レムリア文明の遺産なのかもしれません。
何故なら、ジャリュウ一族の技術というのは、
基本的には古代レムリアの幻獣製造法を応用してリュウオーンが作りあげた技術だからです。
黄泉の心臓がそのジャリュウ一族が把握していたプレシャスであるとするならば、
もともとは古代レムリアの幻獣製造法の技術体系の一環として
黄泉の心臓は存在していたのかもしれません。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:44 | Comment(0) | 第21話「冒険者の心」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月09日

第21話「冒険者の心」感想その4

さて、山麓途中の山道でのジョーとハカセとアイムと鎧の4人の方の戦いは、
ゴーミン達を4人が全滅させて、ザンギャク部隊で残る敵はインサーンだけとなります。
なお、ここで鎧がゴーミン達に対してシュリケンジャーの技である、
シュリケンズバットの刀身から火炎を発射するファイヤー剣を使っています。

インサーンは「こうなったら私自ら手を下すしかなさそうね!」とジョー達に対峙して戦闘態勢に入りますが、
背後に突然の殺気を感じて反射的に身体を投げ出して避けます。
するとインサーンの背後から途轍もない威力の剣圧が飛んできて、
インサーンをかすめて突っ切り、ジョー達にまともに当たったのでした。
これでジョー達は吹き飛ばされ、
その衝撃でカクレンジャーやシュリケンジャーの変身が解けてゴーカイジャーの姿に戻ります。
真正面からジョー達が受けてしまうような速度の攻撃を、より至近距離で背後で感知して
避けてしまうあたり、本気のインサーンの戦闘力も並々ならぬものであることが分かります。

しかし、そのインサーンでも避けるのが精一杯なほどの攻撃を放ったのは一体何者なのかというのが問題ですが、
果たしてインサーンの背後から現れたのはリュウオーンでした。
リュウオーンは明石やマーベラスらを生き埋めにして自分だけ地上に出てきたようなのです。
そして手にした剣を眺めて「おお!なんと素晴らしい力・・・!」と感嘆します。
黄泉の心臓のもたらす無限のパワーがどれほどの威力を発揮するのかテストするために、
リュウオーンはたまたま見かけたインサーンに向かって攻撃したようです。
避けられはしたが、その向こうにいたジョー達を吹き飛ばした剣の威力にリュウオーンは満足しているようです。

「貴様・・・何者!?」とインサーンは起き上がって、この見たこともない赤い怪人に質します。
これを聞き、「・・・あいつ、ザンギャックじゃないのか!?」とジョーは驚きます。
自分達を攻撃してきたから、てっきりザンギャックの怪人なのかと思っていたら、
インサーンはこの怪人を知らないようなのです。
となると、この謎の怪人はインサーンも含め、無差別に攻撃してきたということになります。
しかし、何のためにそんなことをするのか?とジョー達は不審に思いました。

自分の得た無限のパワーの威力を確かめて満足したリュウオーンは
「フン!我の前に立つ者は、このプレシャスの力で全て排除してやる!」と、無差別破壊を宣言し、
胸に埋め込んだ黄泉の心臓のパワーを解放して周囲に放射します。
すると莫大なエネルギーが放射され、ジョー達もインサーンも吹き飛ばされてしまいます。

インサーンは黄泉の心臓が地球ではプレシャスと呼ばれており、
死者を甦らせるだけでなく無限のパワーももたらすことも知っていました。
もともとザンギャックが黄泉の心臓を狙っていた理由は死者の復活よりもむしろ、
この無限のパワーを手に入れることが主目的であったのでしょう。
だからインサーンはこの圧倒的なパワーを見て、
先遣隊が倒されて、この謎の怪人に黄泉の心臓を奪われて体内に取り込まれてしまったことを悟りました。

そうなれば、ここでサシで勝負しても到底勝ち目は無い。
この怪人は目の前の全てを破壊しようとしており、到底ザンギャックの仲間になりそうもない。
となれば、この強大なパワーと敵対することになるわけで、これは一旦ギガントホースに戻って対策を練るしかない。
インサーンは悔しげに「・・・黄泉の心臓を吸収されるとは・・・仕方ない!退くしかないわね・・・」と言って
姿を消して撤退していきました。

ジョー達はインサーンの言葉を聞き、この謎の怪人が黄泉の心臓を奪って体内に取り込み、
おそらくそのせいで強大なパワーを得たのだと分かりました。
つまり、かなりの強敵です。しかも目の前の者は問答無用で倒そうとする残虐な相手のようです。
ここはインサーンのように一旦退くという手もありますが、
黄泉の心臓をこの怪人が奪ったということは、
黄泉の心臓を目指して先に進んだマーベラス達がどうなったのか心配でした。
何かアクシデントに襲われた可能性が高い。
この化け物がいる山中にマーベラス達だけを残して逃げるわけにもいかない。
ジョー達はリュウオーンと戦って倒し、マーベラス達を助けに行くという道を選び、
剣を構えて立ち上がります。
リュウオーンは「何者かは知らんが、我の邪魔はさせん!」と言って、ジョー達に襲い掛かるのでした。

しかしリュウオーンはいったい何をしようとしているのか?
それは「ボウケンジャー」本編を見ていれば簡単に分かることです。
リュウオーンはプレシャスの力で自分達ジャリュウ一族を強化して、
人類を滅ぼして新世界の支配者となろうとしていたのです。
今、死んでいたはずのリュウオーンは思わぬ復活を果たし、更に無限のパワーも得たのです。
ならば今こそ宿願の人類皆殺しを実行すべき時だとリュウオーンは思っていたのでした。

目の前の相手が宇宙海賊であるとかゴーカイジャーであるとか、そういうことはリュウオーンは知りませんが、
何となく恨み一杯のボウケンジャーに似ているような気はしており、忌々しく感じていました。
まぁそうでなかったとしても、どちらにせよリュウオーンは
目の前に立つ者は抵抗しようが降伏しようが、皆殺しにするつもりであったので、
黄泉の心臓を得てパワーアップした我が力で目の前の4人を軽く一蹴するつもりでおりました。

その頃、遺跡の一番奥の部屋でリュウオーンによって生き埋めにされたマーベラス達ですが、
天井から崩れ落ちてきた岩塊は部屋の全てを埋め尽くしていたわけではなく、
奥の方の空間は岩が転がってはいましたが、埋まってはおらず無事でした。
マーベラス達3人はそこに逃げ込んで倒れて気を失っていたのでした。

ようやくマーベラスとルカが目を覚まし、
明石も気が付いて起き上がって「・・・大丈夫か?」とマーベラス達に尋ねます。
マーベラスは明石を睨んで「海賊を舐めんな・・・!」と答えます。
マーベラスはこれぐらいでへこたれることはありません。
それよりも、これぐらいで弱音を吐くのではないかと海賊が舐められることの方が許せないのでした。
明石はマーベラスがあまりに負けず嫌いで誇り高いので少し可笑しくなって、
ルカに「そっちは?」と聞かれると、「冒険者を舐めるな!」とマーベラスの真似をしてみせて笑います。

別にマーベラスはここに閉じ込められたからといって悲観はしていません。
これぐらいの苦境なら今までだって何度でも切り抜けてきました。
ただ、今回は自分が無事に帰ればいいとか、敵を倒せばいいとか、そういうものではありません。
今回はプレシャスの回収のために来たはずです。
いや、明石のミッションの都合などマーベラスには知ったことではありませんでしたが、
マーベラス自身、途中からこのミッションが面白くなってきていたのです。
どうして面白く感じてきたのか、それは次第に困難な状況になってきたからでした。

その目の前の困難な状況と、今自分が苦悩している宇宙最大のお宝探しの困難な状況とが重なり合って感じられ、
このミッションを見事に成功させれば、宇宙最大のお宝探しの方の良い打開策も浮かぶのではないかと
マーベラスは何となく思うようになっていました。
ところがミッションは失敗してしまいました。
プレシャスは変な怪人に奪われ、無様にこんなところに閉じ込められてしまい、
結局、困難な状況をひっくり返すことは出来なかった。

そう思うとマーベラスは急に白けた気分になり、
「・・・しかしプレシャスは奪われた上に、ここに足止めじゃあ、お前の言う冒険ってのも意味ねぇなぁ・・・」と愚痴ります。
こうして失敗してしまえば、変に成功を目指して頑張っていたのがバカバカしくなり、
無意味なことをしていたとマーベラスは後悔したのでした。
逆に、こういう何も得ることが出来ずにポツンと取り残された状況が、
自分の宇宙最大のお宝探しの方でもバスコに出し抜かれて取り残される暗い未来を暗示しているようで、
嫌な気分になりました。
こんな嫌な気分になるんだったら、こんな冒険に来た意味も頑張った意味も無かった。
無意味な冒険に来るんじゃなかったとマーベラスは悔やみました。

しかし明石は「・・・意味が無い・・・?」とマーベラスの言葉を繰り返し、考え込みます。
冒険が意味が無いというマーベラスの言葉は、今の明石には見過ごせない発言だったのです。

明石はさっきリュウオーンに不意打ちを食らって部屋の中に閉じ込められながら、
リュウオーンに対する自分の反応が甘かったことを悔やんでいました。
明石はリュウオーンがもしかしたら人間らしい心を取り戻したまま生き返ったのではないかと、
僅かながら期待してしまっていました。
それはリュウオーンが爆死した時の経緯に原因がありました。

実はリュウオーンはもともと200年前に生きていた人間で、
古代レムリア文明を調べていた学者であり冒険者だったのです。
それが財宝に目が眩んだ仲間に裏切られて殺されかけて、
信頼していた仲間に裏切られたことにショックを受け、人類の強欲さに絶望したリュウオーンは
プレシャスの力を使って人類を滅ぼそうという歪んだ思考の虜となり、
古代レムリア文明の研究過程で発見した技術を用いて自らを怪物化し、
更に配下のジャリュウや幻獣たちを生み出していったのです。

そうしたリュウオーンと戦い続けた明石率いるボウケンジャーは遂にリュウオーンを追い詰め、
リュウオーンは起死回生を狙って計略を用いてサージェスのプレシャス保管庫に忍び込んだが、
その計略を見破っていた明石と保管庫内で一騎打ちの死闘を演じて倒され、
力を使い尽くしたリュウオーンは人間の姿に戻ってしまいました。

リュウオーンの過去を知った明石は、冒険する喜びを思い出せば、誰でも冒険者の心を取り戻し、
プレシャスを手に入れることが目的化したり、
プレシャスを手に入れることで復讐を果たそうなどという歪んだ考えは無くなり、
やり直すことが出来るのだということを説きましたが、
リュウオーンはそれを拒絶し、あくまで人類への復讐を諦めないと宣言、
その直後、リュウオーンの侵入に慌てたサージェスがプレシャス保管庫を爆破し、リュウオーンは爆死しました。
明石も爆発に巻き込まれて死んだと思われていたのですが、
明石が携帯していたズバーンが咄嗟に人間態となって明石を爆風から守ったので明石は生き残っていたのでした。

明石はあの時、リュウオーンは最後には拒絶はしたが、
それでも自分の呼びかけはリュウオーンの心に届いていたと思っており、
あるいは死んだ後のリュウオーンの魂は自分の生前の妄執を反省して、
生き返ったリュウオーンは人間への復讐の意思は捨てているのかもしれないと少々期待したのでした。
ところがリュウオーンはいきなり襲い掛かってきて、自分達を生き埋めにして外へ出ていきました。
やはりリュウオーンは歪んだ復讐心は捨てていなかったのです。
今頃は外へ出て、黄泉の心臓によって得た無限の力を使って人類への無差別攻撃を開始していることだろう。
そう思うと、明石は自分の判断の甘さを悔やみつつ、
リュウオーンの妄執の深さを苦々しく思わざるを得ませんでした。

どうして復讐心に囚われて、冒険の喜びも感じようともせずに、
ただプレシャスを利用するために手に入れようとするのか?
そうしてプレシャスを手に入れるためなら手段を択ばない、
そういうやり方の果てに破滅に至ったという事実がどうして分からないのか?
それほど仲間に裏切られたことが衝撃であったのか?
ならば、冒険の喜びよりも財宝を得ることが目的化してしまい、
財宝欲しさに仲間であるリュウオーンを裏切った200年前の仲間たちこそが元凶であり、
それによってリュウオーンもプレシャスのみを求めて冒険の喜びを忘れ、
かつて自分を裏切った仲間と同類に堕ちたということだ。

明石は別にリュウオーンに同情しているわけではなかったし、
リュウオーンの行為そのものが直接許せないというわけではなかった。
ただ、リュウオーンや、リュウオーンのような怪物を生み出した酷い裏切りをした仲間たちのような、
冒険の価値を理解出来ない下らない破滅的な連中を、
明石の愛する「冒険」が生み出したことが許せなかったのです。

その明石にとって、「プレシャスを奪われて足止めを食っては冒険に意味は無い」という
マーベラスの言葉は看過できないものでした。
「・・・本当にそう思うのか?」と明石は思わずマーベラスに突っ込みます。
妙に真面目な顔で睨んでくる明石に少々面喰らって、
マーベラスは「何が言いたい?」と問い返します。

明石が言いたいことは、冒険の意味は宝物を手に入れることなのではなく、別にあるということです。
だから宝物を奪われたからといって冒険に意味が無いなどということはない。
そのような狭い考え方の者はリュウオーンと同じように、
冒険の真の意味を理解出来ないゆえに破滅への道を歩む、偽の冒険者に過ぎない。
ただ、明石は冒険者の資格の無いような者がそういう誤った考え方に陥ったとしても、
別にいちいち構ったりはしない。
冒険の意味を知っているはずの者が道を誤った場合のみ、構ってしまうのです。

リュウオーンの場合だってそうでした。
本来のリュウオーンはレムリアの秘密を探ることに喜びを見出す純粋な冒険者だったはずだと
明石は思ったからこそ、リュウオーンを説得しようとしたのです。
それと同様に、明石はマーベラスが冒険の真の意味を知っているはずだと確信しているからこそ、
マーベラスのおかしな発言を看過できず、リュウオーンのように道を誤ることを危惧して、
こうして話しかけているのです。

「お前たちは今まで数多くの冒険をしてきたんだろう?
・・・その冒険は宝以外に大事な何かをもたらしてきたはずだ・・・お前たち自身にな!」と
明石はマーベラスとルカに向けて語りかけます。
マーベラスは「・・・俺たち自身に・・・?」と問い返します。
ルカもじっと明石の言葉を聞き、2人は今までの自分達の冒険がレンジャーキーや「大いなる力」以外に
自分に何をもたらしたのだろうかと自問自答しますが、よく分かりません。

そうしたマーベラスとルカに向かって、更に明石は言葉を続けて
「冒険者は目の前に困難が立ちはだかった時こそ心が奮い立つ・・・
冒険をする喜びこそ、かけがえのない宝なんだ・・・!」と言います。
これは冒険者、つまり明石自身のことを言っているのです。
つまり、今までの数多くの冒険が明石にもたらしてきた大事な何かについて、明石自身が説明しているのです。

それは「冒険をする喜び」だと明石は言います。
そして、その「冒険する喜び」があるからこそ、困難な時に心を奮い立たせることが出来るのだと明石は言うのです。
だから冒険者にとって「冒険する喜び」はかけがえのない宝なのです。
そういうことを明石が言っているということはマーベラスにもルカにも理解は出来ました。
何だか分かったような分からんような話だが、冒険者というものはそういうものなんだろうとは思えました。
ただ、自分達は海賊であって冒険者ではない。
だから、明石の冒険者としてのかけがえのない宝の話が、
冒険が海賊である自分達にもたらしてくれた物の話とどういう関係があるのか、よく分かりませんでした。

しかし、更に続けて明石がマーベラスに向かって「お前もそうじゃないのか?」と問いかけた瞬間、
マーベラスとルカはハッとした。
明石が、さっきマーベラスが遺跡の入り口で危険が待ち受けているのを面白がったり、
扉を通る方法が無くて困った時にリスクの高く効果的な方法を選んだことなどを指して
言っていることが分かったからです。

マーベラスも困難な時に心を奮い立たせていたではないか?と明石は言っています。
それは言い換えれば、マーベラスも「冒険をする喜び」を知っているということです。
だからこそ困難な時に心を奮い立たせることが出来たのだと明石は言っています。
あの時、明石も「ちょっとした冒険だな!」と言って楽しそうにしていた。
それがつまり明石の言う「冒険をする喜び」だとするなら、
その明石とあの時、息を合わせていたマーベラスも同じような「冒険をする喜び」を持っていたはずなのです。

マーベラスは、自分が何時の間にそんなものを持つようになっていたのかと思い、
「・・・冒険する・・・喜び・・・」と呟きながら過去の記憶を辿りました。
すると記憶に甦ってきたのは、さっき遺跡の外周のトラップのところで思い出した
アカレッドとの冒険の時の記憶の続きでした。

あの時、マーベラスは駆け出しの海賊で、お宝を手に入れて手柄を立てることしか頭に無かった。
それで慌てて前に進んでトラップに引っ掛かってしまいアカレッドに助けられました。
それでマーベラスは反省して肩の力を抜いて、お宝のことはとりあえず忘れて
周囲をよく見ながら一歩一歩進んでいくことにしたところ、
アカレッドを襲ってくるトラップをいちはやく発見して、
今度は咄嗟にマーベラスがアカレッドに飛びついて、その窮地を救ったのでした。
一緒に倒れ込んだアカレッドは(それでいい)とでも言うように黙って頷き、マーベラスも自然に笑みが漏れた。
思えば、あの時自分は初めて「冒険する喜び」を知ったのだとマーベラスは思い出したのでした。
そして同時に海賊として本当の意味で独り立ち出来たのだと
アカレッドに認められたのだということも思い出しました。

宇宙最大のお宝を見つけるために海賊となったマーベラスでしたが、
その目的であるお宝ばかりを見て、そこに至るまでの過程に目を配る余裕を持てていなかった。
この時の失敗と成功によって、マーベラスはお宝探しの中でも肩の力を抜いて
周囲の状況や過程の1つ1つに目を配る余裕を持つことを心がけるようになりました。
それがマーベラスの海賊としての原点であったと言っていいでしょう。
その結果、お宝探しが上手くいくようになったので、
冒険が楽しくなっていったのだとマーベラスは思っていたのですが、
実際はあの時のことをよく思い出してみると、そうではなかった。
あの時、お宝はまだ見つかっていない段階から、マーベラスが余裕を持つようになった時から、
既にマーベラスは冒険を心から楽しんでいたのです。
つまり、「冒険する喜び」を手にしていたのです。
そして、そのことを評価してアカレッドは黙って頷いていたのだとマーベラスは今になって気付いたのでした。

マーベラスは周囲や過程に目を配れるだけの余裕を持つことによって宝探しが上手くいって、
それが自分に冒険する喜びをもたらすことは分かっていましたが、
その余裕がどのようにして生じてくるのか、イマイチ分かっていなかったのです。
そうなると結局、マーベラスの余裕は、宝探しが上手くいっているという順調な状況の中でこそ
維持されるだけの脆いものであったのです。
だからバスコの出現によって宝探しの状況が困難な状況になってくると、
途端にマーベラスは余裕が無くなり、お宝を手に入れることばかりに必死になって
周囲の状況が見えなくなっていたのでした。

その焦りに拍車をかけたのは、裏切り者のバスコに対する復讐心の強さでした。
裏切り者のバスコにだけは絶対に先を越されたくないという対抗心の強さゆえに
マーベラスは焦っていたのです。
もちろんバスコを絶対に許してはいけないのであり、バスコへの復讐心は捨ててはいけない。
だからこそ、その強い復讐心を抱えたまま冷静さを保つだけの心の強さが必要であるのに、
今回、マーベラスにはそこまでの心の強さが不足していることが露呈してしまったのでした。

そのことを痛感させられたのは、遺跡の外周のトラップに引っ掛かった時でした。
あの時、マーベラスは明石に対する怒りのために対抗心が先走っており、
冷静に周囲を見ることが出来なくなってしまっており、
それゆえあんな簡単なトラップに引っ掛かってしまったのです。
それはまるで、お宝以外の周囲の状況を見る余裕すら無かった駆け出しの頃に戻ってしまったかのような醜態でした。
そのことを痛感したマーベラスは、明石への対抗心に流されないように自分をコントロールして、
初心に帰って周囲に目を配る余裕を持つよう努めたのでした。

しかし、結局、ミッションは失敗してプレシャスは奪われてしまった。
それでマーベラスは余裕を持つよう努めたことなども含めて、
全ての努力は無意味だったと思ってしまったのでした。
しかし、明石は余裕を持って周囲を見ながら進んでいた時のマーベラスを指して、
「冒険する喜び」を手にしていたと評したのです。
そう言われると、マーベラスは確かに自分はまだプレシャスを手に入れていない段階から、
周囲を見る余裕が生じることによって冒険の過程を楽しんでいたことに気付きました。
つまり「冒険する喜び」を手にしていたのです。

そして、明石の物言いだと、その「冒険する喜び」こそが
困難な状況で心を奮い立たせて打開策を見出すことの出来る「余裕」の源泉なのだということになります。
つまり、「余裕」があるから「冒険する喜び」が生じるのではなく、
「冒険する喜び」があるからこそ「余裕」が生じてくるというのです。

確かに「余裕」から「喜び」が直接生じるというのは変な話です。
だからマーベラスは「余裕」が「お宝の獲得」という結果を生み、
その満足感によって「冒険する喜び」が生まれているのだと思っていました。
しかし、こういう考え方は詰まる所、結果至上主義に陥り、
結果が得られているうちは上手く回るが、結果が得られない状況となることによって焦りが生じて
「余裕」を打ち消してしまうという悪循環を生みます。

明石がマーベラスとは違ってどんな困難な状況でも常に余裕を維持しているのは、
結果至上主義ではなく、「お宝の獲得」という結果とは関係なく、
もともと「冒険する喜び」を心の中に持つ者は、冒険の過程を楽しもうとする「余裕」を持つことによって、
「冒険する喜び」を感じることが出来るという考え方だからです。
言い換えれば、「冒険する喜び」を感じることが出来るからこそ「余裕」を持ち続けることが出来るといえます。
「喜び」を伴わない「余裕」など単なる無理にカッコをつけたポーズ、虚勢に過ぎません。
常に心に喜びや満足感が得られているからこそ、それは真の「余裕」の姿勢となり得るのです。

つまり、「余裕」というものは、
もともと心の中に「冒険する喜び」を持つ者がその喜びを感じるために持つべき心の姿勢であり、
「冒険する喜び」を感じることによって維持される心の姿勢であるのです。
そして、その「余裕」があるからこそ困難が立ち塞がった時に心が奮い立ち、
困難を打開していくことが出来るのです。
それゆえ「余裕」は冒険する者にとって宝物のような存在なのですが、
その「余裕」は「冒険する喜び」があってこそ生じて維持されるものなのですから、
結局、冒険する者にとって最も大事な宝物は、冒険の結果の戦利品そのものではなく、
「冒険する喜び」、すなわち、冒険の過程や周囲の状況に目を配って、そこに意義を見出して楽しむ姿勢なのです。

明石はマーベラスにその「冒険する喜び」があるのだと言うのです。
自分にそんな「冒険する喜び」があるのだろうかと思ったマーベラスでしたが、
アカレッドとの最初の本格的なレンジャーキー探しの冒険の時のことを思い出し、
あの時、自分はまだレンジャーキーという戦利品を手に入れていない段階から、
心に余裕を持つようにした時点から、既に冒険を楽しめるようになっていたことに気付きました。
余裕を持つだけで急に冒険を楽しいと思えたからこそ、余裕をずっと保ち続けることが出来たといえます。
つまり、マーベラスはもともと「冒険する喜び」を心に持っていたのです。

「冒険する喜び」を心に持っていたからこそ、余裕を持つことが出来て、
どんな困難も打開していくことが出来るのです。
結果や戦利品など関係なく「冒険する喜び」がある限り、心の余裕は不動なのであり、
その結果、困難な状況を打開して戦利品は獲ることが出来る。
逆に冒険の過程における喜びも知らず、結果や戦利品しか見ていないような者は、
いくら余裕のあるように見せかけていても、それは虚勢に過ぎない。
それゆえ困難を打開していく力が無く、結局は戦利品は手にすることが出来ない。

明石の知るそのような者の典型がリュウオーンであり、
マーベラスの知るそのような者の典型がバスコでした。
だから「冒険する喜び」を持つ明石は決してリュウオーンに負けることはない。
少なくともそう明石は信じることが出来るので、今は出し抜かれている状態だが、
最後に勝つのは自分だと確信出来る余裕がある。
同様にマーベラスも、自分が「冒険する喜び」を持っていたことを知ることによって、
自分が決してバスコに負けることはないのだと確信出来たのでした。
そう思うことによって、マーベラスの焦りは完全に解消していきました。

あのままバスコに負けることを恐れて焦り続けていれば、
いつしか結果や戦利品だけを追い求めるバスコと同じ誤った道に陥るところでした。
そこから救われたような気分になってホッとしたマーベラスは、
ふと、あの時、アカレッドと一緒に最初に見つけたレンジャーキーが
ボウケンレッドのレンジャーキーであったことを思い出し、
まるでアカレッドと元ボウケンレッドの明石が示し合わせて
自分の行くべき道を示してくれたかのような奇縁を感じました。
もちろん、もうこの世にいないアカレッドがそんなことを出来るはずもなく、
変な妄想をしてしまった自分に少々照れた笑いを漏らしつつ、
マーベラスは「・・・ったく!説教くせぇヤツだ!」と明石に向かって笑いかけます。

明石はマーベラスが「冒険する喜び」を思い出してくれたと悟り、安心したように微笑みます。
その2人の後ろで座っていたルカは、もちろんマーベラスのアカレッドとの想い出の話は知りませんが、
2人の遣り取りを聞いていて、マーベラスもまた明石と同じように、
今までの宝探しの冒険の過程でもたらされてきた「冒険する喜び」を持っており、
それゆえにどんな困難も打開してくることが出来たのだということは分かりました。

そして、マーベラスが最近おかしかったのは、バスコへの対抗意識で焦り過ぎて、
その「冒険する喜び」を見失っていたからであり、
今、こうして明石と話をすることでマーベラスは「冒険する喜び」を想い出し、
元のマーベラスに戻ったのだと悟り、ルカは安心して微笑みます。

そして、自分もまたマーベラス同様、今までのマーベラスら仲間たちとの冒険の中で
「冒険する喜び」を得てきたのだと思いました。
というより、ルカがそもそも最初にマーベラスに惹かれたのは、
宇宙最大のお宝そのものではなく、本当はこの「冒険する喜び」を強く求めたからなのだろうとルカは思いました。
何故なら、ルカは明石の話を聞いて、明石の気持ちがよく分かったからでした。

マーベラスのように自分の夢を真っ直ぐ追いかけているだけの男とは違い、
明石は自分の欲しいわけではないお宝を集めなければならない立場です。
冒険をずっと続けていくならば、冒険をして得た宝が常に自分の欲するものとは限らないでしょう。
それでも冒険を続けていこうと思うのならば、「冒険する喜び」は必須です。
何故なら結果や戦利品のことだけ考えていれば、そこには喜びは無く、
その冒険には価値を感じることは出来ず、絶対に行き詰ってしまうからです。
かつて泥棒時代のルカも、どうしてもお金を集めねばならなかったゆえに、
必ずしも自分の欲するものでないものを盗み続けて同様の空しさを感じていました。

だから、明石は冒険の過程の中に喜びを見出し、自分の中の喜びを常に発見するために
余裕を持って冒険することを心掛けたのだろう。
その、冒険の中に自分だけの喜びを見出す試みを、
明石は「ちょっとした冒険」と呼んで大切にしているのだろうと、ルカは理解しました。

一方、ルカ自身はマーベラスの「冒険する喜び」に惹かれて、共に宝探しの冒険をすることによって、
自分の「冒険する喜び」としてきた。
仲間は皆そうであり、それがマーベラス一味の「冒険する喜び」なのだと改めて思い、
ルカはフッと笑うと、表情をキッと引き締めて
「それで?・・・あのプレシャスっての、どうすんの?」と明石に尋ねます。

「冒険する喜び」を持つ冒険者ならば、困難が立ちはだかった時こそ心が奮い立つのである。
ならば、この今の困難な状況でこそ、
明石は心を奮い立たせてミッションの完遂を決して諦めていないはずだとルカは思ったのでした。
案の定、明石は全くミッションの完遂を諦めてはいませんでした。
「リュウオーンの身体に吸収された以上、回収は不可能だ・・・破壊するしかない!」と答えます。

明石の、というよりボウケンジャーのミッションの目的はあくまでプレシャスの悪用を阻止して封印することであり、
回収が不可能ならば破壊するというのが通例です。
黄泉の心臓を得たリュウオーンは絶大なパワーを振るっているはずであり、下手に近づくのは危険です。
近づかなくてはリュウオーンの体内から黄泉の心臓を取り出すのは無理ですが、
そんな危険を冒してリュウオーンに近づいて黄泉の心臓を取り出す必要など無い。
要は黄泉の心臓の悪用さえ阻止出来ればいいわけだから、
無理にリュウオーンに近づいて危険を冒すよりも、
遠くから巨大な破壊力を用いてリュウオーンごと黄泉の心臓を破壊してしまえばいい。
サージェスのエージェントでありプロの冒険者であるボウケンジャーとしては全く当然の判断でした。

しかし、その明石の判断に対して、マーベラスが「いいや、まだ終わってねぇ!」と異議を唱えました。
「なに!?」と明石は驚きます。
確かに黄泉の心臓を回収できる可能性がゼロになったわけではない。
そういう意味では終わっていないといえば終わっていない。
しかし、それは極めてリスクの高いミッションになるのは間違いない。
それをやるのはマーベラス達なのです。

黄泉の心臓を出来れば回収したいと思っているのは明石であり、
マーベラス達は黄泉の心臓などどうなっても関係ないはずだ。
いや、明石も別に本当は黄泉の心臓など破壊しても全然構わないと思っている。
欲しがっているのはサージェスであり、明石はサージェスから、イザという時は破壊を選ぶ権限も一任されている。
だから、ここは破壊で全く問題は無い。
そのように依頼主の明石が「安全策をとって破壊してもいい」と言っている以上、
マーベラスが自らの危険を冒してまで回収にこだわる必然性が明石にはどうも理解出来なかったのでした。

もちろんマーベラスも急に黄泉の心臓が欲しくなったわけではない。
黄泉の心臓などどうなってもいい。
ただ、マーベラスは自分の「冒険する喜び」を思い出した以上、
この場合、どうしても譲れない海賊のポリシーがあったのでした。
マーベラスはニヤリと笑い、「見せてやる!俺たち海賊の流儀をなぁ!」と言って立ち上がります。
ルカもマーベラスと全く同感の様子で「そうこなくっちゃ!」と嬉しそうに立ち上がると、
2人並んでゴーカイガンを構え、部屋の出口を塞ぐ岩塊に向かって発砲し、外への通路を切り開いたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 20:38 | Comment(2) | 第21話「冒険者の心」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月11日

第21話「冒険者の心」感想その5

さて山麓でのジョー達とリュウオーンの戦いの方は、
リュウオーンの圧倒的強さの前に4人は散々にやられてしまい、遂には変身解除にまで追い込まれてしまいました。
リュウオーンは「フハハハハハ!無残だな!!」と勝ち誇ります。
そして「散れ!甦りし我が力の前に!」と、剣を振るって4人にトドメを刺そうとします。
その時、銃声が轟き、リュウオーンの剣を持つ手を銃弾が弾きます。
少し態勢を崩したリュウオーンが銃声のした方を見ると、マーベラスがゴーカイガンを構えて立っていました。
脇にはルカと明石もいます。

マーベラスとルカはそのままジョー達の倒れている所へ駆けていき、
マーベラスはリュウオーンに対峙し、ルカはアイムをまず助け起こします。
「生きていたのか?・・・大人しく死んでおけばよいものを・・・」と、リュウオーンはかなり上から目線です。
てっきり生き埋めになって死んだと思っていた3人が生きていたことは少し意外でしたが、
いずれにせよ自分の圧倒的な力の前に死ぬことになるのだと、完全に舐めきっています。
しかしマーベラスは「へっ!」と不敵に笑います。
リュウオーンは何処ぞの馬の骨風情が生意気だと思い、
「我に勝つことがいかに困難なことであるか、教えてやる必要があるようだな!」と凄みます。
これに対してマーベラスは「目の前に困難が立ちはだかった時こそ、心が奮い立つらしいぜ!」と切り返しました。

実際、「冒険する喜び」を思い出したマーベラスは、
単にリュウオーンを倒すこと以上に困難な「黄泉の心臓を破壊せずにリュウオーンを倒す」という
最高度に困難なことに挑戦することによって、最高に心が奮い立っていました。
しかし、あえて「らしいぜ」と言って、その「冒険する喜び」は自分だけの力で取り戻したのではなく、
明石の導きによって見出したものであることを示唆しています。
ここで明石の言った言葉をそのまま自分の言葉のように言ってしまわないあたり、
マーベラスの妙に義理堅いところといえます。

また、明石の言っていた言葉をそのまま自分の言葉として言ってしまうのは、
自分が完全に明石と同じ考え方になってしまったと認めるようで、マーベラスには少々抵抗もあったのでしょう。
あくまで自分は海賊であって冒険者と完全に同じというわけではないという自負があるのです。
だから、明石の言葉は明石の言葉として客観的に伝聞形式で使っているのでしょう。
そういうマーベラスの意地っ張りなところや、変に義理堅いところを見て、
明石は背後で可笑しそうにニッコリ笑います。

ジョー達にもこのマーベラスの言葉は響きました。
実はジョー達も困難に挑んでいたのです。
ジョー達もインサーンの残した言葉によって、リュウオーンの胸に黄泉の心臓が埋め込まれていることを知り、
なんとか黄泉の心臓を破壊しないでリュウオーンを倒そうとしていたのです。
それゆえ、どうしても攻撃は全力というわけにはいかず、
その中途半端な攻撃では黄泉の心臓でパワーアップしたリュウオーンには全く通用せず、
一方的に痛めつけられる展開となってしまったのでした。

どうしてジョー達がそこまで危険を冒してまで
黄泉の心臓などという自分達にとってどうでもいいプレシャスを手に入れようとしていたのかというと、
そうした困難に心を奮い立たせるのが海賊の流儀だからでした。
そして、ジョー達はバスコの影に怯えて焦っているような最近のマーベラスを見て、
その海賊の流儀を忘れてしまったのではないかと危惧していました。
そのマーベラスが「困難が立ちはだかった時こそ心が奮い立つ」と言ってくれたことによって、
ジョー達はマーベラスが海賊の流儀を忘れずに、
黄泉の心臓を奪回するという困難に挑もうとしていることを悟りました。
それによって心が鼓舞されてジョー達4人も、マーベラスと共に困難に挑んで海賊の流儀を貫こうとして立ち上がります。

そして6人並んで豪快チェンジ、ゴーカイジャーに変身し、名乗りを上げます。
剣を構えて突っ込んでくるリュウオーンに対し「派手にいくぜ!!」というマーベラスの号令のもと、
一斉に突っ込んだ6人はリュウオーンを取り囲んで攻撃しますが、
やはりリュウオーンには全く通用しません。
鎧を除く5人は蹴散らされ、いつの間にか鎧が1人でリュウオーンに食い下がる形となります。
懸命に食い下がる鎧ですが、一方的にやられてしまい、
遂にはリュウオーンが大きく剣を振るうと鎧は吹っ飛ばされます。

しかし鎧は吹っ飛ばされながら「皆さん!今です!」と合図を送る。
見ると、いつの間にかマーベラス達5人は並んでファイナルウェーブの発射態勢に入っています。
鎧が時間稼ぎをしている間に他の5人はやられたように見せかけておいて
ファイナルウェーブの準備をしていたのでした。
しかもこれは、マーベラスが銃と剣を構え、ジョーとルカが二刀流、ハカセとアイムが二丁拳銃という、
ファイナルウェーブの最強技、ゴーカイスクランブルです。

しかしゴーカイスクランブルでリュウオーンを吹っ飛ばしてしまうと黄泉の心臓も破壊してしまいます。
そこでマーベラス達は工夫をしたのでした。
5人が発射した10のエネルギー波を発射後に1点に収束させてサッカーボールほどの大きさに濃縮し、
それをリュウオーンの頭部めがけて突っ込ませたのです。
そうして頭だけを吹き飛ばせば、いくら無限のパワーや不死のパワーを得ているとはいっても
少しの時間は動きが止まるし攻撃力も激減するはずです。
その間に飛び込んで黄泉の心臓を取り出せばいい。そういう計算でした。

ところが、なんとリュウオーンは頭部目がけて飛んできたエネルギー弾を剣で受け止めると、
それを弾き飛ばしたのでした。
そしてリュウオーンの反撃の剣の一振りで、逆にマーベラス達6人は吹っ飛ばされてしまいました。
「黄泉の心臓を得た我に敵う者などおらん!」と凄むリュウオーンを見て、
ハカセは「やっぱ並の強さじゃないよ!」と呆れます。
ゴーカイスクランブルを弾き返されたことなど初めてでした。
これでは黄泉の心臓を破壊する覚悟で戦っても勝てるかどうか分からないぐらいです。

つまり、正攻法では勝てそうもない。
むしろ勝機があるとすれば、黄泉の心臓をリュウオーンの身体から切り離すことしか有り得ないといえます。
黄泉の心臓さえ切り離せば、もともと黄泉の心臓で甦った身体なのですから自動的に機能停止します。
なんとか隙を作って黄泉の心臓を奪うことでしか勝機は開きそうにありません。
しかし、どうすれば、このリュウオーンの隙を作ることが出来るのか?
この困難な状況を前にして、マーベラスの心はますます奮い立ち、「面白ぇじゃねぇか!」と言うと、
バックルからボウケンレッドのレンジャーキーを取出し「なら、これだぁっ!!」と掲げ、
全員でボウケンジャーへ豪快チェンジします。

今回はボウケンジャー篇ですから、
当然、ここの変身シーンは「ボウケンジャー」のOPテーマのインストバージョンが流れ、
モバイレーツから飛び出した方位磁石をモチーフとしてボウケンジャーの紋章の方位針が
くるっと回ってマーベラスらの身体に吸い込まれていくと、
6人のボディスーツがまずボウケンジャーのものに変わり、
そしてメット部分が構成されていくボウケンジャー独特のエフェクトと、
メット部分構成の後、全員がカメラ目線になる懐かしい演出も再現されます。
やはり、こういうのは燃えます。

全員でのボウケンジャーへの豪快チェンジというのは初めてであり、
マーベラスがボウケンレッド、ジョーがボウケンブルー、ルカがボウケンイエロー、
ハカセがボウケンブラック、アイムがボウケンピンク、鎧がボウケンシルバーとなります。
よく考えたら、鎧が加入して6人体制になった後、
6人揃い踏みでまともに1つの戦隊に豪快チェンジしたのは、最初のシンケンジャー以来のこととなります。
あの時も最初ゴチャゴチャと揉めたので、
すんなり6人で同じ戦隊に豪快チェンジ出来たのは、何げに今回が初めてです。

リュウオーンは「なんだと!?・・・ボウケンジャー?」と驚愕しました。
リュウオーンは今までずっと死んでいて甦ったばかりで、ゴーカイジャーの存在すら知らなかったぐらいですから、
マーベラス達が他の戦隊に多段変身出来るということも知りません。
そもそもレジェンド大戦のことも知らないのですから、
当然、明石がボウケンレッドのままだとリュウオーンは思っています。
それなのに、明石がそこに変身していないまま立っているのに、
別の6人組がいきなり目の前でボウケンジャーに変身したのですから、心底驚きました。

「海賊版だがな!」とマーベラスは嘯きます。
これは海賊戦隊の変身したボウケンジャーという意味で「海賊版」であり、
偽物のボウケンジャーであるという意味で「海賊版」とを掛けた単なる軽いシャレのように聞こえますが、
実はマーベラスはそれなりに真面目な意味があってこういうことを言っています。

そもそもボウケンジャーへの豪快チェンジをチョイスしたのも、
今回ボウケンジャー篇だからというだけではありません。
ちゃんと理由はあるのです。
それは、あくまで外見はボウケンジャーだが中身は海賊だという
一種のフェイクとしてのボウケンジャーであるという意図が込められています。
明石はマーベラスが「海賊版」と言うのを聞いて、その作戦意図を察して、
(なるほど)という感じで少し微笑みます。

「アタック!」と明石が「ボウケンジャー」本編でやっていたのと同じように
マーベラスが指を鳴らしながら号令を発すると、
ジョーはボウケンブルーのグローブ型の個人武器ブロウナックルを拳に装着して
最大出力でナックルキャノンという技を放ちます。
アイムはボウケンピンクの水圧銃型の個人武器ハイドロシューターを手にして
最大出力でシューターハリケーンという技を放ちます。
そして鎧はボウケンシルバーの銃型の個人武器サガスナイパーを構えてサガストライクを放ちます。

こうして、3人はこれら遠距離からの3つの攻撃技をリュウオーンに浴びせます。
リュウオーンはこれらを剣で払いますが、更にそこにルカとハカセが突っ込んできます。
ハカセはボウケンブラックのハンマー型の個人武器ラジアルハンマーを振り下ろす
ハンマーブレイクという技を繰り出し、
ルカはボウケンイエローのショベル型の個人武器バケットスクーバーを叩きつける
スクーバーファントムという技を繰り出します。
こちら2人は接近して放つ技です。

ボウケンジャーがいきなり出現したことで動揺したリュウオーンは、
先ほどよりもやや動きが鈍く、3つの遠距離技を防いだ後の隙を突かれて
ルカとハカセに懐に入られてしまいますが、なんとか剣で2人の技を受け止めると、
剣を振り切って2人を後ろに弾き飛ばします。
ところが、その剣を振り切ってがら空きになったリュウーンの胴体めがけて、
後ろに飛んでいくルカとハカセの真ん中から入れ違いに、
ボウケンレッドの槍型の個人武器ボウケンジャベリンの槍先が飛び出してきたのでした。

もちろん、これはマーベラスが繰り出したものです。
マーベラスはルカとハカセの後ろに隠れてリュウオーンに接近していたのです。
そして、ルカとハカセが弾き返されることは折り込み済で、
リュウオーンがルカとハカセへの反撃によって作った隙を突く作戦であったのです。
ここでマーベラスが繰り出した技は、ボウケンジャベリンの最大出力で放つ技である
レッドゾーンクラッシュでした。

いきなりの奇襲に「うおおお!!」と慌てたリュウオーンでしたが、
なんとリュウオーンの左手が素手でボウケンジャベリンの槍先を掴んで止めたのでした。
見ると、槍先はリュウオーンの胸に埋め込まれた黄泉の心臓の寸前で止まっています。
「・・・チッ!」とマーベラスは舌打ちしました。
ボウケンジャーへの豪快チェンジで慌てさせた後、
間髪入れず5人の個人武器を使って距離感を狂わせる見事な連携攻撃で、
あと一歩のところまでリュウオーンを追い込んだマーベラス達でしたが、
惜しくもリュウオーンに防がれてしまいました。

リュウオーンもさすがにこの攻撃には慌ててしまい、危ないところでした。
しかしリュウオーンはマーベラス達の攻撃の目的を予想出来たので、最終的に対処することが出来たのでした。
それはつまり、敵は必ず黄泉の心臓を破壊しようとしてくるという確信があったということです。
だからリュウオーンは完全に押し込まれた状態で、
とにかく黄泉の心臓めがけて繰り出される槍先の軌道を予測して、そこに手を差し出すだけで対処出来たのです。
もちろんレッドゾーンクラッシュを素手の片手だけで受け止めることが出来たのは、
黄泉の心臓によるパワーアップの賜物だったといえます。

危機を逃れ、「お前の狙いは分かっている!黄泉の心臓を破壊させると思うか!?」と
リュウオーンは勝ち誇ったように言います。
今度は逆に状況は逆転し、槍先を掴まれて動きを止められてしまったマーベラスの方が
絶対的に不利な状況になってしまったといえます。
リュウオーンは「終わりだ!!」と叫ぶと、槍先を掴んだまま
ボウケンジャベリンごとマーベラスを空中に持ち上げて、振り回して投げ飛ばそうとします。

ところが明石は空中で真っ逆さまになりながら「今だ!」と言うと、
ボウケンジャベリンの先端をマジックハンドに変形させてボウケンボー形態とし、
そのマジックハンドでリュウオーンの左手の手首を掴み、着地しながら捩じりあげます。
「なにぃっ!?」とリュウオーンは驚きます。
ボウケンジャベリンをわざわざ破壊力の無いボウケンバーの形態としたマーベラスの意図が
よく分からなかったのでした。

そこに間髪入れずマーベラスは「まだ終わりじゃねぇぜ!鎧!!」と指示を出します。
鎧はマーベラスの指示に「はい!」と応え、もう既にデュアルクラッシャーの発射態勢に入っていました。
マーベラスはボウケンジャベリンを防がれることは折り込み済で
ボウケンバーのマジックハンドでリュウオーンの腕を封じることをもともと狙っており、
自分を囮にして、鎧のデュアルクラッシャーの攻撃でリュウオーンを仕留めるのが
本命だったということにリュウオーンは気づきました。

このデュアルクラッシャーはボウケンジャーの等身大戦の必殺武器で、
威力は凄いのですが反動もまた凄く、発射する者を後ろから4人がかりで支え、
更に発射する者はアクセルテクターという防具を装着しないと
命中させることが出来ないという設定だったのですが、
ここでは鎧はアクセルテクターまでは装着していません。
ただ、ジョー達4人はさっと鎧の後ろに回り込み、反動を受け止めるために鎧の身体を支えます。

しかしアクセルテクターが無いので、命中させることが出来たとしても
完全な威力のデュアルクラッシャーではない。
そういう不完全なデュアルクラッシャーならば、過去にリュウオーンは弾き返したことはあります。
しかも今は黄泉の心臓でパワーアップしているのです。
だからリュウオーンもまだ終わりではないと思っており、
鎧の発射したデュアルクラッシャーのビームを咄嗟に振り向きざま右手の剣で迎え撃ち、
なんと右手一本で弾き落とすことに成功したのでした。

ところが鎧は発射する瞬間「ミキサーヘッド!!」と叫んでいました。
確かに鎧が構えていたデュアルクラッシャーのヘッド部分は
デュアルクラッシャーの2つのモードのうちの1つ、ミキサーヘッドの形態だったのでした。
リュウオーンはマーベラスにマジックハンドで腕を掴まれて慌てていたので、
そのことに気づいていなかったのです。

デュアルクラッシャーにはドリルヘッドとミキサーヘッドの2つのモードがあり、
ドリルヘッドは破壊ビームを発射するのですが、
ミキサーヘッドは敵を拘束する拘束ビームを発射し、ハイパーコンクリートで敵を固めてしまいます。
敵を倒す時に使うのはもちろんドリルヘッドの方で、
ボウケンジャーの決め技としてのデュアルクラッシャーというのは、このドリルヘッドの方を指します。
ミキサーヘッドというのはボウケンジャーがお宝の回収を任務とすることから設定されている装備で、
敵と戦うためというより、お宝の回収に使用するモードといえます。
先ほどのボウケンバーのマジックハンドも同様の用途の武器設定ですが、
「ボウケンジャー」本編では結局はプレシャス回収を断念して敵ごと破壊するようなパターンが増え、
ミキサーヘッドやマジックハンドなどはあまり使われなくなりました。

だからリュウオーンもボウケンジャベリンやドリルモードには馴染はあっても、
ボウケンバーやミキサーモードのことはつい忘れがちになってしまいます。
それで、てっきりドリルモードだと思って迎撃してしまったところ、不意をつかれた形となり、
飛んできたミキサーヘッドの拘束ビームを撃ち落してしまったため、
飛び散ったハイパーコンクリートがリュウオーンの両脚にかかってしまい、
両脚は地面に固められて動けなくなってしまったのでした。

やることなすこと全て裏目に出てしまい、
「おのれぇ・・・冒険者どもめ・・・!」とリュウオーンは忌々しそうに呻きます。
それに対してマーベラスは「悪いな!俺たちはただの冒険者じゃない・・・海賊だ!」と、
リュウオーンの思い違いを正します。
そう、リュウオーンはマーベラス達の正体を知らなかったため、
ボウケンジャーに変身したマーベラス達をボウケンジャーの仲間の冒険者だと思い込んでしまっていたのでした。

リュウオーンの知るボウケンジャー、つまり冒険者たちというものは
プレシャスの悪用を決して許さない者たちであったので、
敵に奪われて体内に取り込まれたプレシャスは破壊するというのがお決まりのパターンでした。
そもそもリュウオーン自身がかつて死んだのも、
プレシャスを奪われるぐらいならいっそ爆破してしまった方がいいという
サージェスの冷酷な判断によるものであったのです。
しかもボウケンジャーのチーフである明石も巻き込むことも承知の上でです。

それぐらい「プレシャスの悪用阻止のためならプレシャスは破壊すべし」という思想が徹底しているのが
サージェスの配下の冒険者たちであるということは、リュウオーンは自分の死をもって知っているのです。
だから、目の前に現れた新手の冒険者たちもきっと自分の体内に取り込んだ黄泉の心臓を
破壊しようとしてくるに違いないとリュウオーンは思い込み、
破壊目的の攻撃を予測してそれに合わせた対処をしていったのです。
ところが一方のマーベラス達は黄泉の心臓を破壊するつもりはなく、
あくまで回収しようとして、それに見合った技を繰り出していただけなのです。
だから、リュウオーンの対処は全て、読み違いのもとに行われ空回りとなり、
裏目裏目の結果になってしまったのでした。

というより、マーベラスがボウケンジャーへの豪快チェンジを選択したのは、
もちろんボウケンジャーがプレシャス回収のために特化した技や武器も装備しているからでもありましたが、
最大の理由は、こうしたリュウオーンの読み違いを誘発するためだったのでした。
マーベラスは遺跡の奥の部屋で明石がプレシャスの破壊を提案したことから、
ボウケンジャーとは奪われたプレシャスは悪用阻止のために破壊するのが通例であることを知りました。
そして、そうしたボウケンジャーというものの行動パターンを旧知のリュウオーンがよく知っているはずだと思い、
ならばボウケンジャーに豪快チェンジすればリュウオーンが自分達のことを冒険者だと誤解して、
黄泉の心臓の破壊のみを警戒し、回収への動きには考えが及ばなくなり、
必然的に自分達の黄泉の心臓回収作戦は常にリュウオーンの裏をかいて成功するはずだと読んだのでした。

マーベラスは別にジョーや鎧たちとこの作戦の打ち合わせなどしていません。
ただ、全員が黄泉の心臓を回収するためにベストを尽くすだろうということは分かっており、
ボウケンジャーに豪快チェンジすれば、だいたい全員がどのような行動をとるか、
およその見当はついていたのでした。
それは全てプレシャスの破壊ではなく回収を優先した作戦になるはずであり、
最初にボウケンジャーに豪快チェンジすることによってリュウオーンの勘違いさえ引き起こしておけば、
あとは各自が自然に回収作戦を進めていけば、それが自然とリュウオーンの裏をかくこととなり、
リュウオーンは勝手に自滅していってくれるだろうと、マーベラスは思っていました。

では、何故マーベラスはいちいち打ち合わせなどしなくても、
他の仲間たちが黄泉の心臓の破壊ではなく、あくまで回収にこだわるはずだと信じることが出来たのかというと、
それが海賊というものだからです。

マーベラスは自分達のことをただの冒険者ではなく海賊だと言います。
つまり冒険者でもあるとは認めているのです。
冒険者とは「冒険する喜び」を持つ者です。
自分が「冒険する喜び」を持っていたということを
マーベラスはさっき明石の言葉とアカレッドとの最初の冒険の時の記憶によって気付きました。
だからマーベラスは冒険者です。
しかし、何故マーベラスはアカレッドとの最初の冒険の時から「冒険する喜び」を持ち合わせていたのか?

それは、マーベラスが自分の夢を自分の手で掴むために海賊になったからです。
マーベラスはバスコのように「お宝さえ手に入ればいい」という考えの持ち主ではありません。
そもそも海賊とはそんなものではないと思っています。
海賊とは、自分の夢であるお宝は自分の手で掴むものであり、
取引の結果、お宝だけ手に入れればいいというわけではないのです。
つまりマーベラスにとっては「お宝」よりも「お宝を自分の手で掴むこと」の方が大切なのであって、
自分の手で掴んだお宝でなければ意味は無い、
いや、自分の手で掴んだ物でなければ、それは真のお宝とはいえないというポリシーの持ち主なのです。

「冒険する喜び」というのは冒険の過程を楽しみ意義を見出すことなのですが、その細かな内容は人それぞれです。
明石には明石の「冒険する喜び」があり、
マーベラスにはマーベラスの「冒険する喜び」があります。
そしてマーベラスの「冒険する喜び」とは、
お宝を手に入れるための冒険の過程における喜びや意義であるのですから、
それはまさに「お宝を自分の手で掴むこと」なのだと言えます。

「お宝を自分の手で掴むこと」を喜びだと感じたからこそ、
マーベラスはアカレッドに誘われて海賊になったのであり、
海賊になった時からそのような「冒険する喜び」を持っていたからこそ、
アカレッドとの最初の冒険の時にマーベラスは焦りを振り払い余裕を持つことによって
「冒険する喜び」をすぐに見出すことが出来たのです。
アカレッドも宇宙最大のお宝を自分の手に掴む海賊の旅への道を選んだマーベラスならば、
きっと「冒険する喜び」をすぐに見出すだろうと確信して、マーベラスを冒険に連れていったのでしょう。

つまり、海賊とは「冒険する喜び」を持つ、一種の冒険者なのですが、
海賊の「冒険する喜び」とは、「欲しいお宝を自分の手で掴み取ること」なのです。
海賊ならば、「欲しいお宝を自分の手で掴み取ること」という「冒険する喜び」を必ず持っているはずなのです。
それを持っていない者は海賊という名の冒険者ではない。

マーベラスはそのことに気付き、
自分が海賊であるならば、手に入れると一旦決めた物は必ず自分の手で掴み取らねばならないと思いました。
明石のような普通の冒険者はプレシャスを破壊してミッションを完遂しても
「冒険する喜び」を得られるのであろうが、
マーベラスのような海賊は目的物を自分の手で掴むことによってしか「冒険する喜び」を得られない。
だから今回、プレシャスの破壊をしてしまえば、マーベラスは「冒険する喜び」を自ら放棄することとなり、
まさに今回の冒険の意味を否定することになってしまいます。

せっかく自分のことを「冒険者」だと認めてくれた明石のためにも、
マーベラスは「冒険者」でありたいと思いました。
いや、それ以上に、せっかく冒険に来て、冒険する喜びを感じたのだから、
その喜びを最後まで追求したいとも思いました。
そしてマーベラスは海賊である以上、海賊としての「冒険する喜び」でしか満足することは出来ない。
海賊としての冒険する喜び、それは、やはり「お宝を自分の手で掴み取ること」であったのです。
それがマーベラスが明石に言った「海賊の流儀」であり、
ルカもそのことは元から理解していたようです。

そもそもマーベラスは「自分の夢を自分の手で掴み取ること」にこだわっていた者たちだけを仲間に選んでおり、
マーベラス一味で海賊を名乗っている以上、全員、マーベラス同様に
「お宝を自分の手で掴み取ること」を「冒険する喜び」とする海賊の流儀の持ち主であるはずでした。
だから、マーベラスはジョー達と打ち合わせなどせずとも、
全員が黄泉の心臓を奪還することを諦めないはずだと確信出来たのでした。

マーベラスは動きを封じられて悔しがるリュウオーンに向かって自分達は海賊だと言いながら、
リュウオーンの左手を捩じりあげていたボウケンバーを手放してしまいます。
リュウオーンは海賊の流儀や、海賊の冒険する喜びが何であるのかなど到底分かりませんから、
相変わらずマーベラス達が黄泉の心臓の破壊を狙っているものだと思い込んでいます。
だから、武器まで手放してしまったマーベラスの行動が全く意味不明で、ますます戸惑ってしまいます。

その虚をつくように、マーベラスは「欲しい物はこの手で・・・必ず掴み取る!!」と叫ぶと、
いきなりボウケンバーを手放してフリーになった左手をリュウオーンの胸にズボッと突っ込み、
黄泉の心臓を掴んだのでした。
「なにぃっ!?」とリュウオーンは驚きました。
てっきりマーベラスが黄泉の心臓を破壊するつもりなのかと思っていたので、
いきなり破壊の難しい素手で黄泉の心臓を掴むという行為に出るとは全く予想していなかったのでした。

今まで敵の体内に取り込まれたプレシャスを素手を突っ込んで回収しようとした冒険者など
見たことはなかったので、リュウオーンはマーベラスの突然の行動に対処出来ませんでした。
そしてマーベラスの意図に気付いて対処しようとした時には、既にもう手遅れで、
マーベラスに掴まれた黄泉の心臓はその苦しさからなのか盛んにエネルギーを放射し、
それがリュウオーンの体内の機能を著しく阻害し、
リュウオーンは思ったように身体を動かせなくなってしまったのでした。

もちろん、黄泉の心臓を掴んでいるマーベラスも大変な苦痛を受けていましたが、
それでも体内に黄泉の心臓に収めているリュウオーンよりは受けるダメージは小さく、後はもう根競べです。
こういうところで困難が立ちはだかった時の心の強さの差が出るようです。
「冒険する喜び」、いや海賊流に言えば「欲しいものを自分の手で掴み取る喜び」を知るマーベラスは
その掴み取るものから発される苦痛は激しいものであっても、その困難を乗り越えることは出来る。
しかし、「冒険する喜び」を知らないリュウオーンは、困難に打ち勝つことは出来ない。

リュウオーンの動きは止まり、なすがままとなり、
マーベラスは苦痛の中でも黄泉の心臓を引っ張り続け、
遂にはリュウオーンの身体から黄泉の心臓を掴み出したのでした。
これにより、リュウオーンは元の単なる死体に戻り、崩れ落ちるように仰向けに倒れ、動かなくなりました。
一方、リュウオーンの身体から取り出された黄泉の心臓は宿主から離れて元の遺跡に安置されていた状態に戻り、
ただの静かなひなびた心臓に戻りました。

その黄泉の心臓を握りしめながら、マーベラスはそれを全く見ようともしません。
もともとマーベラスにとって、黄泉の心臓など、何の興味も無いものだからです。
だから、実際はマーベラスが「欲しい物はこの手で必ず掴み取る」と言った対象物は、
黄泉の心臓のことではないのです。
やはりあくまでマーベラスの「欲しい物」は「宇宙最大のお宝」という大きな夢なのです。
それを自分の手で掴み取ることにこそ意義があるわけです。

では何故、マーベラスはこんなに必死になって黄泉の心臓を掴み取ろうとしたのか?
それは明石の依頼を一旦受けたという義理もあります。
ジョー達が頑張っていたのは主にそっちの理由でしょう。
あとはジョー達はマーベラスがあくまで黄泉の心臓の回収を目指す姿勢を示したから
最後まで気持ちを奮い立たせることが出来たのでしょう。
ですが、マーベラスの場合、依頼主の明石が「破壊しよう」と言っていたのを聞きながら、
それを拒否してまで苦労して掴み取ろうとしたのは、やはり別の理由があります。

それは、「一度強大な敵に奪われてしまった秘宝を奪還して、あくまで自分の手で掴み取る姿勢を貫く」という
今回の困難が挑戦するに値するものだと判断されたからでした。
いや、その困難は今の自分が絶対に乗り越えなければいけないものだとマーベラスは思ったのです。

その今回の強大な敵であるリュウオーンがボウケンジャーの因縁の敵であるということは、
それは冒険者の敵であり、言い換えれば「冒険の喜び」を持たない者であるということになります。
マーベラスは「冒険の喜び」を持つ冒険者たる自分が
「冒険の喜び」を知らずに秘宝を奪った偽の冒険者から秘宝を奪還しないわけにはいかない、
絶対に自分の手で掴み取ってやらねばならないと思ったのでした。
黄泉の心臓という秘宝そのものには何の興味も無かったが、
そのことだけは今回はこだわってやり抜きたいと思ったのでした。

それは何故なのかというと、
「冒険の喜び」も知らずに秘宝を手に入れることのみを目的とする偽冒険者のリュウオーンは
バスコと同じタイプの敵だったからでした。
バスコの場合、偽冒険者でありますが、もっと限定して言えば偽海賊のようなもので、
「お宝を自分の手で掴み取る喜び」を持たない男です。
常に狡猾な取引を仕掛け、正面切って戦おうともしない男です。
賢く立ち回って宝をかすめ取ろうとする。お宝を手に入れるためならば仲間を平然と裏切る、そういう男です。

そのバスコがマーベラス達よりも先に「大いなる力」を奪ってしまうかもしれない。
レンジャーキーも何個か先に奪ってしまっている可能性がある。
そのことによって生じる困難を恐れて、マーベラスは焦りを感じていました。
しかし、焦る必要など無かったのです。
「冒険する喜び=お宝を自分の手で掴み取る喜び」を知っているマーベラス達は
どんな困難でも心が奮い立ち打開していける冒険者であり海賊なのです。
一方、バスコは「冒険する喜び=お宝を自分の手で掴み取る喜び」を知らない偽海賊であるゆえに、
困難を突破することは出来ない。
だからマーベラス達があえて困難に飛び込んで勝負すれば、必ずマーベラス達が勝つのです。

つまり、バスコに仮に「大いなる力」を先に奪われたとしても、
あくまで自分の手でそれを掴み取るためにマーベラス達が奪還の戦いを仕掛ければ、
必ずマーベラス達は勝利し、バスコは敗北する。
真の冒険者は偽の冒険者には決して負けないし、真の海賊は決して偽物の海賊には負けないのです。
自分たちが海賊の流儀を貫く限り、
仮に偽の冒険者や偽の海賊に宝を一旦奪われたとしても決して負けることはない。

そのことを自らに向かって立証するために、
マーベラスは偽の冒険者であるリュウオーンに奪われた秘宝、黄泉の心臓を、
真の冒険者にして海賊である自分達が奪還してこの手に掴んでみせることを自らに課したのでした。
そして、こうしてそれを成し遂げた今、
マーベラスは今後のバスコとのお宝争奪戦における不安を完全に払拭することが出来たのでした。

最悪の場合、バスコに先回りされて「大いなる力」を押さえられても狼狽える必要など無い。
「お宝を自分の手で掴み取る」という冒険する喜びを知らない偽海賊のバスコが
困難を乗り越えて海賊の夢である「宇宙最大のお宝」に辿り着くことなど到底不可能なのであり、
必ず行き詰って先に進むことなど出来なくなる。
そこに追いついて、この手でバスコから「大いなる力」を奪い取ってやればいい。
それだけのこと。簡単だ。そうマーベラスは思えたのでした。

その確信こそが今回の冒険で自分が手に入れた宝物だとマーベラスは思い、
もはや用も無くなった黄泉の心臓を高々と掲げると「受け取れ!!」と叫んで、
明石に向かってそれを放り投げたのでした。
明石はそれを受け取って見つめると、顔を上げてマーベラスに向かって
親指を突き立てた右手を突き出し「グッジョブだ!」と言いました。

これは「ボウケンジャー」本編でも毎回のように出てきた明石の口癖ですが、
別にプレシャスの回収に成功したことを褒めているだけの意味の言葉ではありません。
良い冒険をした者を称える言葉であり、エールの言葉なのです。
明石はバスコの件は知りませんでしたが、
マーベラスが黄泉の心臓を一瞥もせずに堂々とした態度で放り投げてきたのを見て、
このリュウオーンからのプレシャス奪還という困難への挑戦は、
マーベラスに彼だけの何らかの宝物をもたらしたのであろうことは想像できたのです。
自分の手で欲しい物を掴み取ることを喜びとする冒険者が海賊なのであり、
そのことを再確認してマーベラスが改めて海賊としての自信を得た、
それが今回のマーベラスの冒険の成果なのだろうと思い、明石は心から「グッジョブ」と称えたのでした。

こうしてミッションは終了したかに思えました。
マーベラス達もボウケンジャーの変身を解いてゴーカイジャーの姿に戻りました。
その時、倒れていたリュウオーンの手がピクリと動いたかと思ったら、
いきなりリュウオーンが起き上がり、胸の空洞部分から強烈なエネルギーを発したのでした。
マーベラス達と明石は驚きます。
黄泉の心臓を抜き取った以上、リュウオーンはただの死体のはずです。
動くはずがないのに、どうしてこんなことになったのだろうかと戸惑うマーベラス達に向かって、
明石はリュウオーンの胸から発するエネルギー波が黄泉の心臓から発していたものと同種であることに気付き、
「ヤツの身体にはまだ黄泉の心臓の再生能力が残っている!・・・今のうちに倒せ!」と切迫した様子で指示します。

リュウオーンは自意識は無くしているようで、単に身体が動いているだけのような状態で、
暴れる様子も無く、大人しいものです。
それなのに妙に明石の様子が切迫しているのは、最悪の事態を危惧してのことでした。
現在、黄泉の心臓から漏れ出た再生エネルギーがリュウオーンの中にある生への執着心と結びつき、
その執着心を養分にしてリュウオーンの身体と意識を支配しかけた状態となっていると明石は判断しました。
リュウオーンの命を早く断ってしまわないと、その生への執着心の養分を更に得た再生エネルギーが
無限に暴走する可能性があると思い、
明石はまだ再生エネルギーがリュウオーンを支配しきっていない今のうちに
急いでリュウオーンを倒さなければいけないと判断したのでした。

「はい!俺がやります!」と鎧が進み出てリュウオーンを蹴り飛ばして転がして、
その間にゴールドアンカーキーを生成してゴールドモードに強化変身します。
そしてゴーカイレジェンドリームを繰り出し、リュウオーンを撃破した・・・と思いきや、
なんとリュウオーンは倒されず、そのまま獣のような雄叫びを上げて巨大化してしまったのでした。
信じられないような出来事に仰天するマーベラス達の中で、
「まずい!・・・再生能力が暴走している!」と明石は予想していた最悪の事態へと進んでいることを指摘します。

おそらくゴーカイレジェンドリームでリュウオーンは死の淵まで一旦堕ちかけたのでしょう。
ところが、死の一歩手前で生への執着心が最高潮に達し、
それに力を得た再生エネルギーが一気に勢いを増し、リュウオーンの身体と心を乗っ取って、
暴走を開始してしまったのです。
その結果、リュウオーンは巨大化してしまったのですが、
これはまだ巨大化によって暴走が一定の歯止めがかかっている状態であり、
更に暴走が進めばリュウオーンの身体を吹っ飛ばし、
無限の再生エネルギーが大爆発を起こして、どれほどの被害をもたらすか想像もつきませんでした。
だから、なんとしても巨大化したリュウオーンを倒して本当の最悪の事態だけは回避しなければいけません。

そこで鎧は豪獣ドリルを召喚して乗り込み、豪獣レックスへと変形させます。
また、マーベラス達はゴーカイオーに乗り込み、デカゴーカイオーへと変形し、
豪獣レックスと共に巨大化リュウオーンに対峙します。
しかしリュウオーンはもはや相手が何者であるのかも分かっていないようで、
狂ったように吼えながら、無差別に身体から周囲に向けて暴走したエネルギーを発散し続けます。
完全に理性を失ったリュウオーンを見て、
ハカセは「怪物みたいになっちゃってんじゃん!」と驚きます。

マーベラスは「構うか!」と、デカゴーカイオーの必殺技「ゴーカイフルブラスト」を発射しますが、
リュウオーンは理性は失いながらも生存本能だけは凄まじいようで、
信じられないような速度で剣を振るい、フルブラストの銃弾を全弾叩き落としてしまいます。
そこで豪獣レックスが尻尾のドリル攻撃と、口から発射する豪獣レーザーでリュウオーンをひるませた隙に、
デカゴーカイオーはマジゴーカイオーにチェンジし、
必殺技「ゴーカイマジバインド」でリュウオーンを倒しにかかります。

これは遂に決まったかと思われたところ、リュウオーンはマジバインドの囲みをぶち破って脱出してしまい、
マジバインドまで破ってしまったのでした。
これには一同「何だと!?」「まさか!?」と仰天します。
そしてリュウオーンは狂ったように周囲にエネルギーをまき散らしながら剣を振るい、
その剣圧でゴーカイオーも豪獣レックスも圧倒されてリュウオーンに近づくことも出来なくなります。
再生エネルギーの暴走がリュウオーンをとんでもない怪物としてしまったようで、
これではゴーカイジャーの持っている「大いなる力」をもってしても
まともに倒すことは不可能であるように思えました。

「どうすんの!?マーベラス!」とルカに迫られ、マーベラスも何か策は無いものかと考え込みます。
そして狂ったように暴れるリュウオーンの姿を見て、ハッと一縷の可能性に気付きます。
しかし上手くいくかどうか確信は持てない。
一瞬躊躇したマーベラスでしたが、「よし!」と意を決して
バックルからボウケンレッドのレンジャーキーを出して「ボウケンジャーの大いなる力を使う!」と宣言します。

マーベラスの気付いた一縷の可能性とは、
ボウケンジャーの大いなる力を見てリュウオーンに幾らか理性が戻れば、
再生エネルギーの暴走を理性がいくらか抑制して、付け入る隙が生まれるのではないかというものでした。
しかしボウケンジャーの大いなる力は使ったことがないので、
一体どんな技が発動されるのか想像もつかない。
この切迫した状況でマーベラスの計算通りに上手くいくという保証はありませんでした。

しかしマーベラスは、今回の一件で、「宇宙最大のお宝」探しの冒険の意味が何となく分かってきていたのでした。
「お宝」そのものが大事なのではなく、
それを掴み取るための過程に喜びを見出していくことが困難を乗り越えて「お宝」に近づくために必須なのです。
その過程における喜びといえるものが、つまり「大いなる力」なのです。
「大いなる力」というものを見つけて活用していくことによって困難を乗り越えて
「宇宙最大のお宝」に近づいていくのです。
冒険の中で、その過程に喜びを見出していく試みを「ちょっとした冒険」というのなら、
「大いなる力」を得ること自体が「ちょっとした冒険」なのであり、
「大いなる力」も、自分達にとっての一種の宝物なのです。
そのように「大いなる力」もまた個々の局面で掴み取るべき宝物であるとするならば、
「大いなる力」を掴むまでの過程において喜びを見出していく試みも「ちょっとした冒険」といえます。

では、「大いなる力」をゲットする冒険の過程で自分達が今までに見出した喜びとは何なのかというと、
それはレジェンド戦士達との心と心の繋がりでした。
そして、この「ちょっとした冒険」で得た喜びこそが、
困難が立ちはだかった時に心を奮い立たせて事態を打開していく原動力となるのです。
つまり、レジェンド戦士達と心が通じ合うことこそが、
困難を突破するための「大いなる力」の真のパワーの源なのです。
これまでは何となく「大いなる力」を与えられて、
最初の使用はレンジャーキーに導かれるようにして行ってきました。
しかし、レジェンド戦士達との心が通じ合うことが「大いなる力」のパワーの源であると考えれば、
今までの場合も全てそれにあてはまるといえました。

ならば、今回ボウケンジャーの大いなる力を得たわけではなく、もともと持っていたわけだが、
今回の「ちょっとした冒険」によって、
ボウケンジャーの冒険者の心と自分達ゴーカイジャーの海賊の心が通じ合った今こそ、
ボウケンジャーの大いなる力がその真価を発揮する時なのだと思えたのでした。
だから、きっとボウケンジャーの大いなる力はこの困難を乗り越える力となってくれるはずだとマーベラスは確信し、
積極的に使ってみようと思えたのでした。

ハカセはこの絶体絶命の局面で今まで使ったことのない「大いなる力」に賭けることを恐れ、
「そんな!・・・いけるかな?」と不安がります。
それに対してマーベラスは「・・・ちょっとした冒険ってやつ!」と、周囲には意味不明なことを言います。
今回の「ちょっとした冒険」でゲットした冒険者の心、
その困難を心を奮い立たせて乗り越えていく力に賭けてみようという意思表示なのですが、
ジョー達は明石とマーベラスの遺跡での遣り取りを知りませんからマーベラスの言ってることがよく分かりません。
ただ1人、遺跡でマーベラスと一緒に明石の話を聞いていたルカだけが意味を理解して
「フフッ!」と可笑しそうに笑います。

他3人、ジョー、ハカセ、アイムは不思議そうにしますが、
マーベラスは「行くぞっ!!」とさっさとボウケンレッドのレンジャーキーを
コクピットに挿す態勢に入りましたので、他の皆も慌ててボウケンジャーのレンジャーキーを取出し、
5人一斉にボウケンジャーのレンジャーキーをコクピットに挿して回しました。

すると、ゴーカイオーの5つのハッチが開き、そこから5つのエネルギー体が飛び出します。
それはボウケンジャーの巨大メカであるゴーゴービークルのNo.1からNo.5までの5台のメカ、
ゴーゴーダンプ、ゴーゴーフォーミュラ、ゴーゴージャイロ、
ゴーゴードーザー、ゴーゴーマリンのエネルギー体でした。
その5つのエネルギー体が合体し、そこに現れたのはダイボウケン、
すなわちボウケンジャーの1号巨大合体ロボのエネルギー体でした。

「うわああああ!?ダイボウケンだぁっ!?」と豪獣レックスのコクピットでは
スーパー戦隊マニアの鎧がビックリします。
一方、リュウオーンの方も突如出現したダイボウケンのエネルギー体を見て何やら驚いた様子で動きが止まり、
ダイボウケンのエネルギー体が振り下ろす轟轟剣の斬撃をまともに喰らってしまい、苦しみます。
どうやら、マーベラスの推測の通り、かつての強敵であったダイボウケンの姿を見て驚きのあまり、
リュウオーンに少しばかり理性が戻って、その理性が再生エネルギーの暴走を少し押さえ込んで、
その分、とんでもない強さに陰りが生じたようです。

そしてダイボウケンのエネルギー体は姿を消しますが、
ただ、その手にしていた轟轟剣だけは実体となってその場に残っていました。
ゴーカイオーは進み出て、それを手にしてリュウオーンに向かって構えます。
リュウオーンはゴーカイオーを攻撃しようとしますが、
ゴーカイオーの手にした轟轟剣を見て、再び怯えたような仕草を見せ、スムーズに力が出てこない様子です。

その隙にマーベラス達は「豪快アドベンチャードライブ!!」と叫んで思いっきり操舵輪を回し、
ゴーカイオーは轟轟剣を構えて、ダイボウケンの必殺技であるアドベンチャードライブの態勢に入ります。
そして剣を回してから振り下ろし、リュウオーンを一刀両断し、倒します。
そのゴーカイオーの雄姿を見上げて、黄泉の心臓を収めたプレシャスボックスを小脇にかかえて、
明石はボウケンジャーの大いなる力を見事に使いこなしたゴーカイジャーを称えて、力強く頷くのでした。

エピローグは戦いが終わった後、
夕方のガレオンの船室に戻ってきたマーベラス達は、
船長椅子の上にとまって「ううううう!」と苦しんでいるナビィを見つけます。
「どうしたのナビィ?」とハカセが近づいて尋ね、
アイムも「ずいぶん、うなされていますね・・・」と心配そうにのぞき込みます。

ナビィは「具体的で結果に繋がる占いを出そうと頑張っているんだよぉ・・・」と苦しげに言います。
どうやら、朝方マーベラスに散々責められて、ナビィなりに自分のことを不甲斐ないと思ったようで、
皆の宝探しの役に立とうとして、留守番をしている間、1人で色々と悩んでいたようです。
ところがその元凶であるマーベラスはもうすっかり焦りが解消してしまったので、いい気なもので、
椅子に腰かけると後ろのナビィに向かって
「あんまり結果を急ぐな!ショートして焼き鳥になるぞ!」とニヤニヤと、からかうように言います。

これにはナビィも愕然として「ええっ!?酷いよ!マーベラスが出せって言ったんじゃん!」と猛抗議します。
これは確かにマーベラスがどう考えても悪い。
ルカもやって来て「そうだよマーベラス!ちゃんと謝んなさい!」と諭しますが、
マーベラスは「なんで俺が!・・・こんな鳥に!」と意地になって謝ろうとしません。
これに我慢ならないナビィが「謝れ!謝れ!」と迫り、
マーベラスも「ぜってぇ、謝るか!」と意固地になり、掴み合いの喧嘩となります。

まるで悪童のようなマーベラスの様子を見て、ルカはフッと笑うと、
ソファに座るジョーの前に来て「ね!マーベラス、いつもの感じに戻ったでしょ?」と言って、ニッコリ笑います。
ジョーもマーベラスのことを内心、心配していたことをルカは気付いていたようです。
ジョーはちょっととぼけたように「・・・のようだな・・・」と言ってフッと安心したように笑い、
ハカセ、アイム、鎧も元の元気なマーベラスが戻ってきて嬉しそうです。

さて、ここでエピローグが終わりかと思いきや、最後に驚きのシーンが残っていたのでした。
6人を乗せて飛び去っていくゴーカイガレオンを地上に立って見上げる明石が
「・・・これでいいんだろ?・・・アカレッド・・・」と言ってから、クルリと背を向けて立ち去っていったのです。

明石はアカレッドの意思を受けて、今回ゴーカイジャーに接触してきたようです。
ちなみに明石とアカレッドは面識があります。
2007年3月リリースのVシネマ「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」に
明石とアカレッドは共に登場しているからです。
だから、ここで明石が「アカレッド」と言っていることによって、
この「ゴーカイジャー」の物語でマーベラスの回想シーンの中に登場する「アカレッド」というキャラクターは、
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」に登場した「アカレッド」というキャラクターと同一人物であることが、
ほぼ確定したといえます。

まぁ、その点に関しては、
これまでもそうであることを前提にアカレッドの正体について考察してきているので、ここでは別にいいでしょう。
問題は、明石が「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」でアカレッドと面識があるといっても、
そんなに接点があるわけではないということです。
あのVシネマではアカレッドと主に絡んだボウケンジャーのメンバーは、ボウケンシルバーの高丘映士であり、
明石はアカレッドとはほとんどすれ違いに近い関係でした。
会話らしい会話も無く、姿は認識していて、後は映士から話は聞いていたという程度でしょう。
その映士にしてもアカレッドのことは「何だかよく分からないヤツ」という程度の認識であったようで、
明石は結局、あの時点ではアカレッドのことをよく知らなかったと言っていいでしょう。
しかもアカレッドは「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」の最後には「再び眠りについた」とされており、
その後、明石と接触したことがあるとも思えません。

そもそもアカレッドが明石にマーベラス一味への接触を依頼したとするなら、
それはマーベラス達が地球にやって来て以降のことと考えた方がいいでしょう。
しかも「199ヒーロー大決戦」映画の時の明石の態度からして、
あの時点でアカレッドと接触していたとも思えず、
アカレッドが明石と接触したのは「199ヒーロー大決戦」映画以降のことであり、つい最近と思われます。
となると、マーベラスの回想シーンでは死んだという扱いになっているアカレッドは、実は生きていて、
マーベラスらの動向を見守っている可能性が高いということになります。

明石はもともとアカレッドと特に深い親交があるわけではなく、
「199ヒーロー大決戦」映画の時にマーベラス達にボウケンジャーの大いなる力を託した後、
突然アカレッドの訪問あるいは連絡を受けたと思われます。
明石はアカレッドが宇宙へレンジャーキーを集める旅に出ていたことは知らなかったと思いますが、
おそらくこの時、アカレッドがマーベラスと共にレンジャーキーを集める冒険をしていたことを初めて聞き、
理由あってその後、アカレッドが姿を消して、
マーベラスが新たに仲間を集めて冒険を繰り返してレンジャーキーを集め直し、
地球へやって来たのだということも聞いたのでしょう。

「大いなる力」や「宇宙最大のお宝」などの詳しい話をレジェンド戦士たちが何処まで知っているのか、
それは現時点ではよく分かりません。
個々の戦士によって知っている内容にはかなり開きがあるようにも思えます。
ただ明石はもともとはあまり詳しい事情は知らない方であり、
このアカレッドとの再会時に聞いた話もそんな深い話ではなかったと思います。
ただ単に、マーベラス一味は「冒険する喜び」を知っている冒険者たちであり、
レンジャーキーは彼らの正当な冒険によって獲得してきたものだということはアカレッドから聞いたのでしょう。
冒険至上主義者の明石にとってはそれだけで情報としては十分であったと思われます。

そして、その上で、自分のことは内密にしてマーベラス一味と共にプレシャス探しの冒険に行ってほしいと
アカレッドから頼まれたのでしょう。
理由はアカレッドは言わなかったようです。
明石はあえて理由は問い詰めず、「それもちょっとした冒険だ」というぐらいの気持ちで
アカレッドの依頼を受けたのでしょう。
明石としてもゴーカイジャーに対して興味も多少あったし、
アカレッドが冒険者だと認める者たちならば一緒に冒険に行くのに不足があるわけでもない。
だから明石は理由はよく分からないながらも、とにかくアカレッドの依頼を受けて、
ちょうど回収指令の出ていた黄泉の心臓の回収ミッションにマーベラス達を引き込む計画を立て、
ガレオンに忍び込んでわざとマーベラスを挑発したりしたのです。

そして、今回のエピソードで描かれたような冒険の結果、
マーベラスが見失いかけていた「冒険する喜び」、
そして海賊としての「欲しいものを自分の手で掴み取る喜び」を思い出して、
変に焦る気持ちを解消したことに明石は気付きました。
更に、マーベラスがボウケンジャーの大いなる力を積極的に引き出して使いこなした様子を見て、
マーベラスが「宇宙最大のお宝」探しの過程で
レジェンド戦士たちとの心の交流に意義を見出すようになったことにも明石は気付きました。

それで、明石は、自分と冒険をすることによってマーベラスの心にそれらの変化が生じるということを見越して、
アカレッドが自分にマーベラス一味との冒険を依頼したのであろうと思い、
「こうなることを望んでいたんだろう?」という意味合いで、
「これでいいんだろ?・・・アカレッド・・・」という最後のセリフを呟いたのでしょう。

もちろん、それは独り言ではなく、アカレッドに話しかけている言葉でした。
明石はアカレッドが常に何処からか自分達レジェンド戦士たちやマーベラス達を
見守っているのであろうということに何となく気付いており、
だから自分が呟いたセリフもきっとアカレッドは聞いているのだろうと思ったので、
「これでいいんだろ?」と問いかけたのです。
もちろん返事はありませんでしたが、返事を求めての問いかけでもなかったので、
明石はそのまま黙って立ち去っていったのでした。

ところでアカレッドがどうしてこのタイミングで明石にそんな依頼をしたのかですが、
それはやはりバスコの動向と関連しているのでしょう。
「199ヒーロー大決戦」映画の直前にバスコが地球にやって来てマーベラスに接触しており、
その後、アカレッドは明石に接触してマーベラスと冒険に行ってくれるように依頼しています。
おそらく、その依頼はごく最近行われたと思われるが、
最近といえばバスコがギンガの森でマーベラスに驚愕の能力を披露して、
マーベラスがやたら焦り始めた頃と重なります。

アカレッドはバスコとの競争によってマーベラスが焦って、
大事な冒険する喜びや海賊の流儀を見失ってしまうことを危惧して、
明石との冒険によってそれらを取り戻してくれることを期待したのでしょう。
となると、アカレッドはバスコの動向も把握していることになります。
どうもアカレッドとバスコの間にも何か謎があるように思えてきます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:24 | Comment(0) | 第21話「冒険者の心」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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