2011年08月28日

第23話「人の命は地球の未来」感想その1

今回はゴーゴーファイブ篇ですが、ルカとアイムのダブルヒロイン篇でもあります。
「ゴーカイジャー」の場合、レジェンド回は基本的にゴーカイジャー自体の物語の
流れの中の必然性でチョイスされているので、
今回もルカとアイムのダブルヒロイン篇であることにまずは意義があります。
その意義とは、第19話以降の一連の各メンバーの成長・変化に関するドラマの中における、
今回はルカとアイムの成長・変化を描くエピソードということです。

前回のジョー篇で考察したように、ゴーカイジャーのメンバーの成長・変化の在り方として、
レジェンド戦隊とゴーカイジャーとの距離感に関する変化に関係するのがハカセとマーベラスと鎧ですが、
一方でジョーはレジェンド戦隊との関係は薄く描写されていて、
地球を守るために戦っていくようになるという意味合いでの変化が描かれる、
少なくとも前回の第22話はそういった変化が描かれたエピソードでした。
今回もレジェンド回ではありますが、前回と同じように
ルカとアイムの2人が地球を守るために戦っていくようになる変化が描写されています。

つまり、第19話以降、マーベラスとハカセと鎧において生じた変化は
レジェンド戦隊と自身の関係を考え直して、今までよりもレジェンド戦隊を身近に感じるようなものでしたが、
ジョーとルカとアイムに関しては直接的にレジェンド戦隊に近づこうというような変化ではない。
しかし、だからといってレジェンド戦隊と全く関係ないということはありません。

例えばジョーは前回、「子供の夢を守るヒーローになりたい」という
自分の元来の夢を再び目指そうと決めたのですが、
それはつまり単なる宇宙海賊からスーパー戦隊の方により近づいたということになります。
そのことは前回のラストシーンで鎧のセリフで示唆されています。
仮に前回「子供の夢を守る」ということをテーマとした戦隊のレジェンド戦士がゲストとして登場して、
鎧が演じたような役回りでジョーと絡んでいれば、
あの鎧のようにジョーとぶつかり合いながらも
最終的にはジョーの辿り着いた結論を自分の戦隊のテーマと重なるものとして認めて
「大いなる力」を託すという、1つのレジェンド回として十分に成立するお話でありました。

今回はつまり、そういうことを実際にやったエピソードだといえるでしょう。
基本的にはルカとアイムの変化を描きながら、
その変化が特定のレジェンド戦隊の持つテーマへと彼女たちが近づくという変化となっており、
それを見たレジェンドゲストが彼女たちを自身の持つテーマと重なる存在だと認めて
「大いなる力」を託すという構成です。
そして、そのレジェンドゲストが今回はゴーゴーファイブの巽マツリであったということは、
ルカとアイムの変化がゴーゴーファイブやマツリの持つテーマと重なる考え方への変化であったということでしょう。

ゴーゴーファイブは極めてテーマが明確な戦隊ですが、
そのテーマをお題として、今回そこから逆算してルカとアイムの成長ポイントを決定したわけではないはずです。
そんなことをすればこれまでのルカとアイムのキャラ描写と整合性がとれなくなってしまうからです。
あくまで前回のジョーと同様、彼女たちにとって現在必要な変化が何なのかということが考察され、
そうして導き出された成長ポイントに合致するテーマを持っていた戦隊がたまたまゴーゴーファイブであり、
合致する戦士がマツリであったということになります。

これまでのエピソード内におけるルカとアイムに関する断片的描写から繋がる形で
両者の成長すべきポイントが明らかになるのが今回であり、
2人がそれを完全に克服するわけではないが成長への一歩を踏み出すのをマツリが見て、
それがゴーゴーファイブの精神と通じるものだと気付いて「大いなる力」を託すことになるのが今回のお話です。

ではルカとアイムの成長すべきポイントとは何なのかですが、
これは前回のジョー同様、「ゴーカイジャー」の物語が「宇宙海賊が地球を守って戦うようになる」という
変化を描く物語である以上、
ここで描かれるべき変化とは、「地球を守るために戦うようになる」ために必要な変化しか有り得ません。
もちろんもともと地球と縁の無い宇宙海賊ですから、
いきなり「地球を守って戦うことにした」と言われてもリアリティがありません。
彼ら自身のパーソナリティーに根差した変化や成長が結果的には
「地球を守って戦う」ということに通じるという構造である必要があります。

例えばジョーの場合は「子供の夢を守りたい」という、
ジョー自身の宿願を再び目指そうと決意したに過ぎないのですが、
それが結果的には「地球を守る」というスーパー戦隊のテーマに通じるのだということが
鎧によって示唆されて終わるという、前回の構成は見事でした。
今回もルカとアイム自身のパーソナリティーに根差した何らかの宿願を
彼女たちが実現しようとして動き出すドラマが描かれ、
それが結果的には「地球を守って戦う」ということに繋がり、
その中でも特にゴーゴーファイブのテーマと重なるのです。

これは言い換えると、ルカとアイムはこれまではその何らかの宿願を、
ジョーの場合と同様、諦めていたのだということになります。
何かが心の中でブレーキになっていて、その衝動を止めていたが、
今回、何らかのきっかけでそのブレーキを取り払って、自分の本来やるべきこと、やりたかったことに
素直に向き合うようになるということです。
そのあたりが描かれたのが今回のエピソードということになります。

そのあたりの細かい脈絡は本編の中で考察しますが、
結果的にそれと重なってくるゴーゴーファイブのテーマの方をここで少し考察します。
ゴーゴーファイブといえば、今回のサブタイトルにもなっている「人の命は地球の未来」という、
あまりにも明確なテーマがあります。
常に人命を優先するというのが彼らのポリシーであり、
今回はマツリが目の前の少年の人命と「大いなる力」を天秤にかけて、
ほとんど躊躇なく「大いなる力」を捨てようとするなど、まさにゴーゴーファイブらしさを見せてくれます。

しかし、この人命優先というポリシーは
巽兄妹がゴーゴーファイブとして戦うことによって培ったポリシーというわけではありません。
それはもともと人命救助の最前線で戦っていた巽兄妹が
ゴーゴーファイブになる以前から持っていたポリシーです。
むしろ彼らは悪者と戦うヒーローなどになりたかったわけではない。
本当はずっと誇りある人命救助の現場で働きたかったのです。
しかし災害を起こし人命を奪うことを目的とする災魔の襲来という現実の前に、
災魔を倒すことが人命救助に繋がると判断して、ゴーゴーファイブとして戦うことを決断したのでした。

だから「人の命は地球の未来」というスローガンは、
巽兄妹があくまで戦いの中で元来の自分達らしさを維持するために強調した言葉であって、
それはゴーゴーファイブになる以前に既に確固として確立されているポリシーなのであって、
ゴーゴーファイブとして戦っていく中で彼らが培ったポリシーではないのです。
「救急戦隊ゴーゴーファイブ」とは彼らが戦隊として戦っていく中で人命の尊さを改めて知るとか、
そういうドラマではないのです。

例えばメガレンジャーのような素人戦隊や、ギンガマンのような純粋な戦士の戦隊などが
戦いの中で改めて人命の尊さを知って成長するという展開はアリですが、
ゴーゴーファイブの場合、彼らは人命救助の現場では完成されたプロですから、成長する余地は無いし、
そんな描写はチグハグになってしまい、彼らのヒーロー性を損なうだけのことです。
そこは彼らは確固としていないといけません。
つまり「ゴーゴーファイブ」においては、「人命の尊さ」は作品のテーマとして訴えることは出来ても、
戦隊メンバーの成長ポイントとしては描写出来ないのです。

この戦いの中で戦隊メンバーが培っていく成長ポイントこそが、その戦隊のテーマです。
例えばマジレンジャーの「勇気」、デカレンジャーの「誇り」、シンケンジャーの「絆」など、
最初は不完全だったものが一緒に戦っていく中で磨かれていき、より完全なものになっていく。
そして彼らは戦隊としての戦いの中でその尊さを学んでいくのです。
メタ的には、彼らが戦隊となった意義は、単に地球や世界を守るためだったのではなく、
そうした尊い価値観を学ぶためだったということになります。これが戦隊のテーマです。

ではゴーゴーファイブにおけるそれは何なのかというと、それは「人命の尊さ」ではない。
それは彼らの中で最初から完全な価値観だからです。
むしろ彼らが戦いの中で学んでいったものは、
彼らのもう1つのポリシーである「助け合うのが家族です」に象徴される、「家族の結束力」の方でしょう。
それもただ単に家族が仲良く力を合わせているというような漠然としたものでないのが
ゴーゴーファイブの特徴です。

ゴーゴーファイブにおいて極めて特徴的であったのは、各自の得意分野の明確さと有用性です。
レスキュー隊員、化学消防隊員、ヘリコプター部隊員、警察官、救急救命士という、
それぞれバラバラの特徴を持つ救命現場のエキスパートだった5人兄妹が
1つの戦隊に集まってそれぞれの得意分野を活かし合いながら助け合って戦っていく戦隊がゴーゴーファイブでした。
それぞれの着用するスーツの特性も、各自の得意分野に対応した能力に特化しており、
この5人は真に助け合い、力を合わせていくことに意義があり、
助け合うことで非常に大きな力を発揮するという描写に説得力のある戦隊でした。

そして彼ら自身、それまではバラバラの現場で働いていたバラバラの得意分野を持つ兄妹が
1つの戦隊となって互いの能力を信頼し合って助け合い力を合わせて戦うことによって、
今までにない大きな力を発揮するということを
それまで多少現場で協力し合っていた時以上に強く実感するようになり、
行方不明となった母親の残した「信じ合うのが家族です」という言葉の真の意味を学んでいったのでした。

そういったニュアンスでの「助け合い」がゴーゴーファイブという戦隊の真のテーマだったといえるでしょう。
心の繋がりとか支え合いとか絆とか、そういう漠然としたものではなく、
実用的な意味での得意分野を持ち寄っての助け合いを通して結束していく仲間たちというものが
「家族」を切り口として描かれていたといえます。

その「助け合い」の精神が、今回ルカとアイムが辿り着く結論であり、
今回がルカとアイムの2人主役回となっているのも、テーマが「助け合い」だからです。
「助け合い」を描くためには2人の主役が必要なのです。
その「助け合い」の心を持つことによって、心の中のブレーキを解除して、
2人が自分達の本来やりたかったことを目指すことが出来るようになり、
そのやりたかったことというのが「人の命を守ること」であり、
しかもそのドラマに「家族」が絡んでいるわけですから、
全てのテーマがスッキリとゴーゴーファイブに繋がってくるようになっています。

これらがゴーゴーファイブのテーマから逆算して作られたプロットとしてではなく
あくまでルカとアイムのこれまでに積み上げてきたパーソナルストーリーの延長線上に作られており、
しかもその2人のストーリーを上手く絡めて同時に処理し、
それを結果的にゴーゴーファイブという戦隊のテーマに綺麗に落とし込んでいる腕前は見事です。

更に、今回のナビィのお宝ナビゲートのキーワード「人助け」が
最初のアイムが少女の手助けをしたことだけではなく、
その本当の意味が「仲間同士の助け合い」というゴーゴーファイブに繋がるものであったのに、
マーベラス達の方は誤解して街中の人達に親切にしたりするギャグ描写も秀逸ですが、
このあたりは視聴者も騙されており、
せいぜいマツリが出てきたあたりで「人命救助」がテーマとなると誤解していたと思われます。
ところが急転直下、ルカとアイムのドラマから
「人助け=助け合い」だと真の意味が判明するというトリックはなかなか見事でした。

その他、豪快チェンジがゴーゴーファイブと同じ兄妹戦隊で統一されていたり、
マーベラス達が助け合いをやたら強調していたり、
モチーフ的に気の利いた描写の多い、ダブルヒロイン篇らしいオシャレなエピソードであったと思います。

なお、前回の「大いなる力」獲得エピソードであったギンガマン篇に引き続き、
今回も「大いなる力」を横取りしようとする競合者としてバスコが登場し、
「大いなる力」争奪戦が繰り広げられますが、
そのギンガマン篇も香村氏が脚本を書いており、
よく考えたらバスコ登場篇であった第15話、第16話も香村氏が脚本を書いており、
今のところバスコが登場するエピソードは全て香村氏が担当しています。

もしかしたら、バスコが敵として出てくるエピソードは香村氏が担当するという構成になっているのかもしれません。
まぁ最後までそこまで極端ではないにしても、
バスコの登場期の数回を香村氏が悉く担当しているということは、
バスコのキャラを固めるのは香村氏の割り振られた仕事であったようです。
何せ今回はダブルヒロイン回でもあるわけで、
ヒロイン回を書くのが大好きなメインライターの荒川氏がそれを譲っているわけですから、
バスコ絡みで香村氏が担当するという事情の方が勝っていたのでしょう。
そう考えると、やはりバスコは後半に向けて重要なキャラなのだろうとは想像出来ます。
まぁ今回はあんまりバスコに関しては掘り下げられるようなエピソードではありませんでしたが。

さて本編ですが、冒頭はガレオンの船室の掃除の場面です。
この船室も居住空間である以上、当然、定期的に掃除をします。
といっても、掃除をしているのはハカセとアイムと鎧の3人で、
ルカとジョーはソファーに座ってポーカーをしており、マーベラスはいません。
古参メンバーは掃除をしなくていい決まりなのか、
あるいは単に掃除当番が決まっているだけなのかよく分かりませんが、
とにかく3人が掃除をしています。

すると、床に雑巾をかけていたアイムが「痛たっ!」と小さく声を上げたので、
ルカが立ち上がってアイムの傍に駆け寄って「どうしたのアイム?」と心配そうに尋ねます。
アイムは「いいえ・・・指に棘が刺さって・・・」と、そんな大したことではなさそうに答えますが、
ルカは「ええ!?」と血相変えて驚き、「ちょっと見せてみ!」とアイムの手をとって指先をじっと見ます。
アイムも一緒になって自分の指先を見つめます。

そうした2人の様子を見て、鎧が「ルカさんって、いかにも姉御って感じですけど・・・
アイムさんには特に優しいですよね」とハカセに耳打ちします。
今回、鎧は完全に脇役なのですが、最も新入りの仲間ということもあって、
旧来のメンバーでは当たり前のように思って気が付かないようなことに気付くという役割を今回は果たして、
こことラストシーンで意味のあるセリフを言います。

旧来メンバーには慣れっこになっているルカとアイムのベタベタした仲の良さも、新入りの鎧には新鮮に映るようです。
ハカセは鎧にそう言われると、確かにルカがアイムには特に優しいということに気付き
「そういえばルカ、アイムがこの船に乗ってきた時から一番気にかけてたっけ・・・まるで妹みたいに・・・」と思い返します。

ちなみにハカセもルカの後輩にあたるわけですが、むしろ最もルカに虐げられていると言っていい。
つまりルカは後輩だからといって平等に可愛がる人ではなく、歴然と差別的扱いをするわけです。
もちろんハカセのことを嫌っているわけではなく、苛めたりするのも一種の愛情表現なのですが、
それにしても男性と女性の差はあるとはいっても、ルカによるハカセとアイムの扱いには差がありすぎです。
むしろルカの男勝りのまさに姉御風のキャラならば、ハカセに対するようなキツめの態度の方が
素のルカに近いのではないかとも思えます。
つまりルカのアイムに対するやたらと母性溢れる優しく可愛がる態度は、
むしろルカの本来のキャラには合っていないようにも見えます。

まぁそれだけアイムが、つい構ってあげたくなるような可愛らしい妹キャラだからなのでしょうが、
ジョーなどは照れ屋ということもあり、また異性であるということもあり、
ルカのようにアイムにベタベタするわけではありません。
ジョーにとって別にそれで何ら問題は無いのであって、
そういうジョーから見れば、やはりルカのアイムへの溺愛っぷりは、少々過剰なように見えます。

鎧の言葉を聞いて、やはりジョーも同様の違和感は感じました。
そもそもジョーはアイムが意外にしっかり者であることは折に触れて見て知っており、
それはルカも同じように知っているはずだと思っています。
それなのに、やたらとアイムを子供扱いして可愛がるルカにはジョーは少々違和感を覚えるのでした。
が、アイムがそれを喜んで受け入れているのなら、別にことさら問題にするほどのことでもない。
女の子2人が仲が良いことにゴチャゴチャ文句をつけても仕方ないと思い、
ジョーは軽く眉をひそめて2人の様子を眺めます。

そこに「おお!揃ったか!それじゃあ、さっそくお宝探しといこうか!」と言って
マーベラスが張り切って船室に入ってきます。
そして「鳥!」とナビィにお宝ナビゲートをするよう促し、
ナビィは「鳥じゃないのにぃ・・・」と文句を言いつつ、「レッツ!お宝ナビゲ〜ト!」と飛び回り、
天井に頭をぶつけて落下、「人助けが出会いを導くぞよ〜・・・てな感じぃ?」とお告げをします。

いつもながら意外な内容のお告げにハカセは「人助けぇ!?」と素っ頓狂な声を上げます。
人助けというと、慈善活動や奉仕活動のような面倒臭そうなものが頭に浮かびました。
そういうことをしていたらレジェンド戦士の誰かと出会うという意味なのかと思いましたが、
いつもながら、あまりに具体性が無いお告げなので、
どういう場所でどういう人助けをしたらいいのか皆目見当がつきません。

ジョーは立ち上がり「・・・これはつまり、何処で何戦隊を探せばいいんだ?」と鎧に訊ねます。
いちいちナビィのお告げの曖昧さに付き合って、当てずっぽうで人助けをしまくるよりも、
ギンガマンの時のように鎧のスーパー戦隊の知識を使って対象の戦隊を絞り込めば、
その戦隊の居そうな場所に行って、その戦隊と関係の深そうな人助けをやればいい。
そのようにジョーは思って訊ねたのですが、
しかし今回は鎧もギンガマンの時のように即答とはいかず、「う〜ん・・・」と腕組みして考え込みます。

実際、この「ゴーカイジャー」の物語世界の戦隊マニアである鎧の知識というのは、
そんなに各戦隊内部の情報に通じているわけではありませんから、あまり過度に期待されても困ってしまいます。
前回はたまたまギンガマンが絵本になるほど有名な戦隊であり、その絵本を鎧が所有しており、
お告げの内容もその絵本がヒントになって突き止めることが出来るものだったから上手くいっただけです。
そもそも今回のお告げの内容は、その戦隊の特徴を表したものではなく、
「人助けをすれば出会える」というだけのことであり、それだけで戦隊名を特定するのは無理でした。

まだ「大いなる力」をゲットしていない戦隊は
バトルフィーバーJ、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、
ゴーゴーファイブ、ハリケンジャーの13個ですが、
人助けをしていてこれらのうちのどの戦隊と出会ってもおかしくはないのです。
また、「人助け」というキーワードだけでどの戦隊なのか絞り込むのは困難でした。

もしデカレンジャー篇の時に鎧がいれば「警察」というキーワードでデカレンジャーを絞り込んで
宇宙警察の地球暑に直行したであろうし、
シンケンジャー篇の時なら「侍」というキーワードだけで志葉屋敷に行ったはずです。
但し、ガオレンジャー篇の時ならば、天空島の存在は一般には知られていなかったので
「空飛ぶ島」というキーワードでガオレンジャーが対象戦隊であることが分かったかどうかは微妙であり、
ましてや天空島や獅子動物病院の場所は特定出来なかったはずです。
鎧の知識というのはそういう、公然戦隊を特定できる程度ですから、
対象戦隊がゴーゴーファイブだと絞り込むことさえ出来れば、巽兄妹には辿り着けた可能性は高いといえるでしょう。

ゴーゴーファイブは当初は正体は秘密になっていましたが、途中で正体がバレてしまい、
マッドサイエンティストで有名な巽世界博士の5人の子供たちが
ゴーゴーファイブの正体だということは、防災関係者には周知の事実となっていました。
だから「ゴーゴーファイブは巽兄妹」という事実はそれなりに資料にあたれば辿りつく情報であり
ボウケンレッドが明石暁だということを知っていたぐらいの戦隊マニアの鎧なら
知っていても不自然ではなかった程度の情報でしょう。

ちなみに1999年から2000年初頭にかけての災魔との戦いの8か月後の設定の
「タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ」においては、
タイムレンジャーの唯一の現代人のタイムレッド浅見竜也は
トゥモローリサーチに父親の捜索を依頼しに来た巽兄妹の顔を見てもゴーゴーファイブとは気付かなかったが、
彼らが父親の巽世界博士の名前を出すとすぐに目の前の5人がゴーゴーファイブだと気付いており、
その程度にはゴーゴーファイブと巽一家との関係は一般人に認知されていたようです。

なお巽兄妹は竜也らが変身するのを目撃するまで彼らがタイムレンジャーだとは気付かなかったが、
タイムレンジャーそのものの存在はしょっちゅう災害現場などでも目撃しており
「気合いが足りねぇ」などとケチをつけていました。

まぁそういうわけなので鎧も対象戦隊がゴーゴーファイブだと絞り込めれば話は早かったのですが、
「人助け」というキーワードだけではそれは困難でした。
確かに「救急戦隊」なのですから、これ以上ドンピシャな戦隊は無いのですが、
実際、残った13戦隊のどれも、悪の組織の怪人の悪事から人々を助けることを使命としている戦隊であり、
そういう意味では「人助け」はどれも当てはまるのです。

「人助けって、全部のスーパー戦隊に当てはまるんで・・・」と、
鎧は今回のお告げの情報と自分の知識では戦隊を絞り込むことは出来ないのだと告げます。
まぁ、そもそも「人助けをする戦隊」を探すわけではなく、
「人助けをすれば戦隊に出会える」というお告げなのですから、
キーワードで絞り込めない以上、お告げに従って人助けをしてみるしかない。
むしろ、「迷いの森に行け」というお告げで「迷いの森」の場所が分からずに手詰まりになることに比べたら、
とにかく人助けをしていればいずれは出会いが到来するわけですから、こっちの方が救いがあります。

「とにかく、やってみましょう?人助け・・・」とアイムは立ち上がり、皆に向かって「ね?」と促します。
最近はアイムはこうやって仕切ることが意外に多いのです。
やはり、もともと王族だけあって、意外にリーダーシップもあって、しっかりしています。
「フン・・・そうだな!」とマーベラスも賛同します。

ここでOPテーマが始まり、今回はレジェンド回バージョンの冒頭ナレーションです。
そしてOPテーマが終わり、CM明け、「人の命は地球の未来」というサブタイトルが出ます。
「救急戦隊ゴーゴーファイブ」という作品はサブタイトルの法則性が全く無い戦隊でした。
むしろサブタイトルに法則性の無い戦隊の方がシリーズでは多いのですが、
「ゴーカイジャー」のレジェンド回でサブタイトルに全く法則性の無い作品のレジェンド回は初めてのことです。

ちなみに「ゴセイジャー」もサブタイトルに全く法則性が無い作品でしたが、
実質的にゴセイジャー篇だった「199ヒーロー大決戦」映画は、あくまで映画であったので
サブタイトルをつける必要が無かったので、
今回、全くサブタイトルに法則性の無い戦隊の初めてのTV本編におけるレジェンド回で、
サブタイトルをどのようにつけるのか注目されるところでした。

しかし、法則性が無いからといって、エピソード内容に沿ったサブタイトルを普通につけてしまうと
通常回と何ら変わらない印象になってしまいます。
そこで、あくまでレジェンド回として通常回と区別するために、
エピソード内容とはあまり関係なく、単にゴーゴーファイブらしさを追求したサブタイトルにしたようです。
「人の命は地球の未来」という言葉はゴーゴーファイブの標語のようなもので、
毎回の名乗りで繰り返し唱えられたフレーズですから、
ゴーゴーファイブを表すフレーズとしてこれほど相応しいものはないといえます。

これでエピソードの内容ともリンクしていれば素晴らしいのですが、
エピソード内容とはあまり関係ありません。
ただ劇中でマツリが1回、このセリフを言うので、そういう意味では全くリンクしていないわけではありません。

まぁ、サブタイトルの法則性が無い場合の対処の仕方として、これはこれで1つの考え方であろうと思います。
要は、その戦隊っぽい印象になればそれでいいのです。
サブタイトルの法則性に従うというのも、そのための1つの手段であり、
戦隊のキャッチフレーズをそのまま使うのもアリだし、
何かその戦隊を象徴する印象的な単語を入れ込むだけでもそれっぽくは見えるものです。
例えばボウケンジャー篇の「冒険者の心」だって、厳密には法則性に従っていたわけではないが、
「冒険者」というフレーズが入るだけで、どう見てもボウケンジャー篇のサブタイトルとして
認知出来るわけですから、あれはあれで正解なのです。
今回の「人の命は地球の未来」というサブタイトルも、ゴーゴーファイブ篇だと明らかに分かる時点で、
これは成立しているのだといえます。

では本編が再開し、マーベラス一味の6人は3組に分かれて街で人助けをして回ることにしました。
まずマーベラスと鎧のチームですが、鎧は「上手くやれんのかな?マーベラスさん・・・」と心配そうにぼやきます。
何故か自信満々のマーベラスは鎧ごときに舐められてるのが心外のようで
「何言ってんだ?俺に任せろ!」と言い放つと、「お?」とさっそくターゲットを発見してニヤリと笑います。

マーベラスの視線の先には、歩道橋の階段をヨロヨロしながら上がっていくお爺さんの姿がありました。
マーベラスはひょいひょいと階段を駆け上るとお爺さんの前に回り込み
「おい爺さん!俺が上まで運んでやるよ!」と、威圧感たっぷりに申し出ます。
どう見てもチンピラが老人にたかろうとしているようにしか見えません。
当然、お爺さんは「いいえ・・・結構です」と躊躇せず断ります。

慌てて飛んできた鎧は「ダメですよ!マーベラスさん!」とマーベラスの腕を掴み、
お爺さんに向かって笑顔で「大丈夫!お爺さん、この人、こう見えて良い人なんですよぉ!」と
必死にアピールしますが、その横でマーベラスは棒立ちで眺めているので、
鎧は「ほら笑って!笑って!」と笑顔でお爺さんを安心させるようマーベラスに促し、
それでもマーベラスが上手く応じてくれないので、
鎧はマーベラスの頬の肉を無理矢理持ち上げて笑顔を作らせます。

マーベラスが他人に親切にすることにとことん慣れていないので危惧していた鎧でしたが、
笑顔ひとつ満足に作れないほどダメだとは思っていなかったようで、
必死でフォローしてなんとかお爺さんを安心させてマーベラスの親切を受け入れてもらおうとします。
お爺さんはマーベラスの無理矢理に作らされた笑顔に応じて、一応笑顔になります。
マーベラスが本心で笑っているようには見えなかったでしょうが、
少なくとも、鎧のことは良い人間のように見えたようで、
その鎧に顔をいじくりまわされても怒ったりしないマーベラスも、
まぁそんなに悪い人間でもないのだろうと、一応認めてくれたようです。

そこですかさず鎧はマーベラスをお爺さんに背を向けてしゃがませて
お爺さんをマーベラスの背に乗せ、マーベラスはお爺さんを背負って階段を昇っていきます。
ようやく人助けが出来たマーベラスの後ろ姿を見上げつつ、鎧は溜息をついて
「やっぱり俺が手伝わなきゃ・・・」とこぼします。
マーベラス1人に任せていては人助けなど出来そうにありません。
自分の手伝いが必要だと痛感した鎧は、一気にやりがいを感じてきました。

マーベラスの背負ったお爺さんは意外に重く、階段を昇りきった頃にはマーベラスは少し息が乱れましたが、
降ろしたお爺さんが「どうもありがとうございました」と、きちんと礼を言ってくれたので
マーベラスも「フフン!」と笑顔になります。
するとそこに鎧が階段の下から「マーベラスさぁん!!」と大声で呼びかけてくるので
「ん!?」とマーベラスが下を見ると、鎧は階段の一番下まで降りており、そこで7人ほどの老人に囲まれて
「階段昇りたい人、集めておきましたぁ!!どんどんお連れしましょう!!」と笑顔で大張り切りです。
途端にマーベラスは表情が険しくなり「マジか!?」と慌てます。
というか、鎧は張り切ってマーベラスが背負う老人を集めるばかりで、自分で背負うわけではないのか?

それにしても、マーベラスの態度や口調は決して褒められたものではありませんが、
それでもお年寄りをおぶって階段をしっかり真面目に昇りきる場面を描写したのは好感が持てます。
スーパー戦隊シリーズは子供向けの教育番組でもあるわけですから、
こういうところは変に崩さずにしっかり子供のお手本となるような描写とするのは良い姿勢だと思いました。

まぁ暴走気味の鎧はともかく、
マーベラスはあくまで「大いなる力」を手に入れるために人助けをしているという意識なので、
内心は困りながらも、集まった老人たちをおぶって階段を上がるのであろうし、
それは結果的にはまぎれもなく親切な行為なので、子供番組の描写としてはこれでいいのです。
無償の親切しか価値が無いということはなく、世の中の親切の大部分は見返りを求めてのものです。
それでも親切は親切なのであり、そういう親切で世の中は上手く回っているのですから、
それを是として子供たちに見せるのは正解なのです。

さて一方、ジョーとハカセのチームですが、
「困ってる人、いないかなぁ・・・」とハカセがぼやきながらキョロキョロして歩く横で、
並んで歩くジョーは目の前を歩くロングヘアーの若い女性がイヤリングを落としたのに気づきました。
「ん?」とそれを見たジョーは、これを拾って女性に渡してやったら人助けをしたことになるのではないかと思い、
さっとイヤリングを拾うと女性に駆け寄り「落としたぞ!」と後ろから声をかけます。

ところが振り返ったのは女性ではなく、女装したオカマでした。
「なにぃっ!?」と愕然としたジョーに向かって、
オカマは「やだイケメン!これって運命の出逢い?」と勝手に話を進めていきます。
ジョーはオカマが怖いのか、すごすごとハカセの後ろに回り込んで隠れ
「ハカセ!ハカセ!」とハカセをオカマの矢面に立たせようとします。
ジョーは以前にもショップの店員のオバチャンに押し切られており、
押し出しの強いオバチャンやオネエ風のキャラに弱いのかもしれませんが、特にオカマは苦手のようです。
何か昔、オカマに酷い目にあったことでもあるのだろうか?

とにかくハカセの後ろで声も出せない状態になってしまったジョーの代わりに
オカマと相対することになったハカセも目を白黒させています。
もしかして地球以外にはオカマというのは居ないのか?
そのオカマはハカセの顔を見て、
「あら!この子も可愛い!いやぁん、どっちにしようか迷っちゃうぅ!」とクネクネして迫ってきますが、
ハカセは固い笑顔を作りながら「僕らに迷いは無いです!・・・さようなら!」と逃げようとします。
しかしオカマは、回れ右して逃げ出そうとするジョーとハカセに「逃がさないわよぉ!!」と飛びつき、
結局、2人はオカマに捕まってしまったのでした。
というか、普段ザンギャックと戦ってるぐらいなんだから、オカマの攻撃ぐらいかわして逃げろと思うが、
ここはまぁギャグパートなので、これでいいのです。

さて今回は男性陣はギャグ担当ということで、
ここからのルカとアイムのダブルヒロインのチームのシーンからまともなドラマが描かれます。
だいたいダブルヒロイン篇というのは、ギャグ的な描写で男性メンバーが活動不能になって、
残った女子2人で動かざるを得なくなるというシチュエーションが作られることが多いのですが、
今回も、マーベラスと鎧はたくさんのお年寄りをおんぶして階段を昇る羽目になり、
ジョーとハカセはオカマに捕まって逃げられなくなるという、
歴代作品の中でもとびっきりのくだらない理由で
その「女子だけ活動可能」シチュエーションを作ることになったわけです。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:47 | Comment(0) | 第23話「人の命は地球の未来」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月30日

第23話「人の命は地球の未来」感想その2

男性陣がナビィのお告げに従って人助けをしようとしてアホなことをしている頃、
ルカとアイムのヒロイン2人は海の傍の公園に来ていました。
そこで水飲み場で蛇口の栓が固くて困っている小学生ぐらいの女の子を見つけて、
アイムが栓をひねって「どうぞ」と水を出してあげます。これも人助けというわけです。
女の子は「ありがとう!」と笑顔でお礼を言ってハンカチを水で濡らします。

そういうアイムの人助けを眺めて立っていたルカは「あ〜あ!」と溜息をつき、
「こんなことで大いなる力が見つかるのかな?」と文句を言います。
毎度のことながらナビィのお告げが曖昧すぎて、先が見えない努力をさせられる羽目になることが多く、
それがルカは不満なのです。
ルカはとにかくいつも楽して儲けたい守銭奴キャラなので、
無駄な労力を払うのはイヤで、とにかく早く「大いなる力」を手に入れたいのであって、
こんなつまらない慈善活動みたいなことには興味は無いのです。

そうしてブツクサ言うルカと、それについて行くアイムの2人が公園から去っていこうとして歩き出したところ、
さっきの女の子が「ママ!」と声を上げて、
水に濡らしたハンカチを持ってベンチの方に駆けていったのを2人は目にとめます。
見てみると、女の子は母親と一緒に公園に来ていたようで、
濡らしたハンカチは母親の暑さ対策のためのものであったようで、
女の子からハンカチを受け取った母親はベンチに腰かけたまま、それを頬にあてて
「冷たくて気持ちいい!ミクは頼りになるなぁ!」と、ミクという名のその女の子を褒めています。

どうして自分はベンチに腰かけたままで、自分でハンカチを濡らしに行かずに
娘に行ってもらっていたのかというと、その母親は妊娠しているようで、
かなり大きなお腹をしていて、動くのも大変そうだったからでした。
「へへ!だってミク、もうすぐお姉ちゃんだもん!」と褒められたミクは得意げに笑います。
そこにルカとアイムはやって来て、「お子さんが産まれるんですか?」とアイムはにこやかに尋ねます。
2人とも、自然に足がこの母娘の方に向いてしまったようです。
幸せそうな家族の姿というものに何か心惹かれるものがあったのでしょう。

母親は見知らぬ2人組にいきなり声をかけられて一瞬驚いたようでしたが、
「ええ、そうなんです」とにこやかに大きなお腹を触りながら、幸せそうに答えます。
本当にお腹は大きく、臨月間近という感じです。
「妹が出来るんだよ!」とミクは無邪気に答えます。
最近は産まれる前から子供の性別は分かるようになってますから、
お腹の中の子が女の子であることは既に分かっているようです。

ところが、そのミクの無邪気に発した「妹」という言葉を聞いて、ルカは何やら深刻な表情となります。
どうも昔のことを想い出しているようです。
ここでルカの回想シーンが挿入されます。
それは、第6話の貧乏生活の回想や、第8話のインサーンのルカの泥棒時代の説明に重ねて流れた映像と
同じような服装のルカが登場する回想シーンですから、おそらくルカの生まれ故郷の星での想い出のようです。
その内容はあまりに断片的なのでここでは詳細は分かりませんが、
土砂降りの雨の中、小さい女の子を背負って走るルカ、その女の子がぐったりしていて、
立ち止まり背中から下ろして「リア」という名前を何度もルカが呼びかけますが、反応は無く、
ルカの悲痛な叫びがこだまするというようなシーンです。

なんだかよく分かりませんが、「妹」というフレーズに反応して思い出したシーンですから、
このリアという小さな女の子はルカの妹なのでしょう。
で、おそらく、病気なのか怪我なのか分かりませんが、
このリアというルカの妹はルカがおぶって運んでいる途中で容体が急変して死亡したのではないかと思われます。

ルカにそうした肉親の不幸があったということはここで初めて明らかとなりましたが、
それはこの時点ではルカと視聴者だけが知っていることであり、
アイムやミク母娘はそんなことは知りません。
だから、その回想に突き動かされてルカがミクの前にしゃがみ込んで厳しい表情で
「いい?妹のことはアンタがしっかり守ってやるんだよ!」といきなり説教し始めたのに対して、
ミクは少しびっくりした様子でしたが、
ただルカの言っていることは別に間違ったことではないので、
ミクも真面目な顔になって「うん!」と頷きます。
するとルカは満面の笑顔になって「よし!」とミクの頭を撫でてあげ、ミクも嬉しそうに笑います。

ルカは別にミクを叱ったわけではなく、
ミクにかつての自分のような「妹を助けられなかった」という辛い想いをさせたくなくて、
親切心で説いただけだったようです。
つまり、ルカにとって「妹」から連想されるものは不幸な想い出なのであり、
もうすぐ妹が出来るというミクという少女もまた自分と同じような「妹を失う」という不幸な想い、
そして「妹を助けられなかった」という後悔の念を持つようになると思えるのです。
目の前のいたいけな少女にそんな辛い想いはさせたくないと思ったルカは、
それを防ぐためには、このミクという少女は自分とは違って絶対に妹を守りきらねばならないのだと思い、
その心得をミクに説いたのでした。

ミクもルカの言うように生まれてくる妹を自分が守ろうと決意し、
ルカはそうしたミクの決意を褒めてあげて、ミクと妹の幸せな未来を願ったのでした。
姉が妹を守ろうと思うこと自体は美しい姉妹愛であり、素晴らしいことです。
だからルカの言っていることは何ら間違ってはいない。
ミクも素直に受け入れるのは当然であり、ルカとミクの遣り取りに関しては、
何ら問題なく完結しているといえます。

ただ、その前提となっているルカの
「妹」というフレーズから「妹を助けられなかった」という不幸が連想されるという認識は、ちょっと異常です。
歪というか、何かハードです。
それはそれだけハードな過去があるからなのですが、
その過去を明らかにしないまま、突然、妙にシリアスな態度でミクに説諭するような形になったため、
一瞬、歪な印象を周囲に与えていました。
ミクの表情が一瞬固くなったのもそのせいだったのですが、
その後、ルカが素晴らしい笑顔になったので、その歪な印象はミク母娘に関してはすぐに解消しました。

ただ、アイムだけは微妙な表情のままでした。
それは、ミク母娘にとっては所詮はルカは通りすがりのよく知らない人であるのに対して、
アイムにとってはルカは一緒に旅をしている仲間だったからでした。
いきなり見ず知らずの少女に対して厳しい表情になって「妹をしっかり守るように」と説諭するというのは
何か歪で、普通ではないとアイムは感じました。

よほど「妹」というものに思い入れが強くないと、そういう態度にはならない。
妹のいない家族構成の人は、担任の先生でもない限り、
決してこんなことを真面目に他人の子供相手に説諭などはしないものです。
だからルカには妹がいるのだろうということはアイムには分かりました。
しかし、これほど「妹をしっかり守るように」と強く言うルカが、
その妹から離れて海賊の一味になってあてのない旅をしているというのも変な話です。
それに、これほど妹に思い入れが強いルカが、自分の妹の話を今まで一度もしたことがないというのも異様でした。

そこから導き出される結論は、つまりルカは妹を守りたくても守ることが出来ない境遇であり、
妹と引き離された立場なのだということです。
それは生別なのか死別なのかは不明で、あるいはルカが賞金首となっていることも原因なのかもしれないが、
とにかくルカは妹を不本意な形で失った人間なのであり、
そして、そのことでルカは苦しんでおり、
だからミクという少女には自分の苦い想いから来る教訓として、
妹の傍にいて守ってあげるように説諭しているのだということは、
今のルカの言葉からアイムは悟ることが出来ました。

いや、もしかしたらルカは単に一般論として「姉は妹を守るべき」ということを言っているだけなのかもしれないが、
アイムには何となくルカが妹を失ったのだということが分かったのでした。
何故なら、アイムもまた肉親を失った人間であり、
ルカのミクに対する態度の独特のシリアスさから、自分と同じ妙にリアルな雰囲気を感じ、
決して一般論を言っているわけではないと直感したからでした。
それでアイムはルカの横で微妙な表情で目を伏せます。
思わずルカの触れてはいけない過去に触れてしまったような気がして戸惑ったのでした。

しかし、その微妙な空気は一瞬で破られます。
それどころではない事態が急に持ち上がったのです。
なんとミクの母親が急にお腹を押さえて苦しみだしたのです。
ルカとアイムは突然の事態に慌てます。
苦しむ母親と心配そうに母親に縋りつくミクを前にして、
お産に関する知識の無い2人はどうしていいのか見当もつきません。

「もしかして・・・産まれるのですか!?」とアイムは狼狽えてルカに縋って質問しますが、
ルカも「・・・いや、あたしに聞かれても、分かんないよぉ!!」とパニックになります。
このまま放置しておいたら最悪の事態になるかもしれないと思い、焦りますが、どうしていいのか分からない。
自分達で処置など出来ないし、医者に連れていくべきなのかもしれないが、
かといって安易に母親をこの場から動かしていいのかも分からないのです。

その時、つかつかと歩み寄って「どうしました?」と1人の女性が話しかけてきます。
「妊婦さんなんです!急に苦しみだして・・・」とルカが説明すると、
女性はしゃがみ込んで「大丈夫ですよ!落ち着いて・・・」と優しい口調で母親に話しかけて落ち着かせ、
「かかりつけの病院は?」と質問します。
母親は苦しげに「国立・・・臨海病院です・・・」と答えます。
女性は母親の状態を素早く観察し、「臨海病院ならタクシーが早いわ」と言います。

この女性、救急戦隊ゴーゴーファイブの元ゴーピンクの巽祭です。
ゴーゴーファイブのメンバーである巽5兄妹は名前は皆、ちゃんと漢字が設定されているのですが、
纏とか鐘とか、子供には難しい字のヤツが多くて、
OPでのキャラ紹介や関連書籍などではカタカナ表記で統一されていました。
だから巽祭というのが正式な名前なのですが、ここでも「マツリ」で表記します。

マツリは巽5兄妹の末っ子で、
今から12年前の1999年度の作品「救急戦隊ゴーゴーファイブ」の劇中設定で
1980年2月21日生まれと設定されています。
ゴーゴーファイブはメンバー全員の生年月日や血液型まで細かく設定されている珍しい戦隊で、
いかにも救急戦隊らしく、また家族戦隊らしいといえます。

つまりマツリは「ゴーゴーファイブ」放送時点で19歳ということになります。
19歳で救急救命士をやっていたというのは、
2〜3年制の専門学校卒業で国家試験の受験資格が得られるわけですから
現実的には少し無理のある設定なのですが、
救命現場で実働経験のある人に6ヶ月の研修で資格を与える制度もありますから、
まぁ完全に有り得なくもない。

その19歳だったマツリも現時点では31歳ということになります。
31歳というと、まだまだ全然、女盛りですので若々しい美女です。
演じているのはもちろんオリジナルキャストの柴田かよこ氏(「ゴーゴーファイブ」出演時は坂口望二香という芸名)で、
このマツリの生年月日の設定というのは、実は柴田氏の生年月日と全く同じで、つまり柴田氏も現在31歳、
19年前は可愛らしい末っ子マツリを演じていましたが、
すっかり大人の女性の風格を漂わせ、より美しくなっています。

まぁ柴田氏は一昨年の「シンケンジャー」に保母さん役でゲスト出演しており、
その時、相変わらず若く美しいことは見て知っていたので、
別に今回、容姿的には特にインパクトはありませんでした。
ただ今回、12年経って成長したマツリの雰囲気はよく出ていたと思います。

そのマツリですが、12年前は国立臨海病院に所属する救急救命士という設定でした。
というか、「ゴーゴーファイブ」第1話で父親に勝手に辞表を出されてしまい
強制的にゴーゴーファイブの一員にされてしまったので、最終話まで肩書は「元救急救命士」だったわけですが、
最終話、災魔との戦いに勝利した後、再び臨海病院所属の救急救命士として復職し、
その8ヶ月後の設定の「タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ」でも救急救命士として普通に働いていました。

医療系の国家資格の職業で30歳そこそこでリタイアする人というのは稀であり、
救急救命士というのは足りないのが現状ですから、寿退職というのも可能性は低く、
よほどのことがない限り、マツリは現在も救急救命士を続けている可能性が高く、
東京ベイサイドにある国立臨海病院が12年後の今も健在であり、
そこにタクシーですぐ行ける距離の場所にマツリの生活空間があるということは、
マツリは現在も臨海病院所属の救急救命士なのだと思われます。

救急救命士の場合の「所属」というのは、別に臨海病院所属といっても臨海病院で働いているわけではなく、
実質的にはマツリは首都消防局の所管する救急隊の救急隊員です。
ただ、医師免許無しで救急車内でオンラインで医師の指示を仰ぎながら指定された医療活動を行うために、
肩書上は病院に所属している職員と言う形になっており、
臨海病院の救命科の医師が形式上はマツリの上司ということになっているに過ぎません。
だから、マツリがこの東京ベイサイドの救急隊で救急救命士を続けている限り、
この界隈で国立臨海病院が救急患者の主要な受け入れ先である以上、
マツリの所属は継続して国立臨海病院であるはずです。

このシーンのマツリは救急隊の制服ではなく私服で登場しているので、
おそらく非番なのか夜勤に向けての出勤途中であったと思われます。
苦しんでいる妊婦に対する的確な対処も、マツリが今も現役である証といえます。
ミクの母親の状態を見て、臨海病院や救急隊への距離なども計算して、
この場合なら救急車を呼ぶよりもタクシーで移動した方が臨海病院へ行くなら早いという計算をして、
自分が付き添ってタクシーで母娘を臨海病院へ運ぶという結論をさっと出したのは、
さすがに救命現場のプロらしい的確さだといえます。

ただ、マツリが元ゴーピンクだということも、救急救命士だということも、
ルカとアイム、ミク母娘は知りません。
マツリとしても、この程度の事態でいちいち救急救命士だと名乗る必要も無いと思っていますので、
あくまで単なる親切な一般人として行動しています。
だから、というわけでもなく、まぁ仮に医師が付き添っていたとしても心配なものは心配ですから、
タクシーに乗り込むミク母娘を見送ってルカとアイムは心配そうな顔をして落ち着きがありません。

「後は任せて!」と言ってミク母娘に続いてタクシーに乗り込むマツリを見送って
アイムは「お願いします!」と、あたふたと頭を下げますが、
ルカに至っては沈痛な面持ちで俯いたままです。
しかし、アイムはまぁこういうキャラだからこれでいいとして、
普段はお宝優先でドライで明るいムードメーカーのルカが、
ここまで初対面の妊婦の容体を沈痛に心配するというのも妙であり、
しかも、いくら心配しているといっても、何もここまで落ち込む必要は無いと思われ、
何やらルカの様子はいつもと違って変です。

と、そこに急にゴーミンの集団が出現して攻撃態勢をとります。
「ザンギャック!?」とアイムは驚き、
ルカは不機嫌そうに「・・・ったく、嫌なタイミングで現れたもんね!」と言い、
2人はさっそくレンジャーキーを取出し、ゴーカイイエローとゴーカイピンクに豪快チェンジして戦い始めます。
ルカとアイムは、またザンギャックが街で何か不穏な企みをしており、
そのための行動部隊がたまたま賞金首の自分達を発見したので襲い掛かってきたのだと思ったのでした。
よりによって、急いで病院へ向かわねばいけないタクシーの前で襲い掛かってくるとは、
なんとタイミングの悪い連中だと思い、ルカとアイムは憤慨し、
とにかくまずはタクシーの前に立ち塞がるゴーミン達を排除してタクシーを病院へ向けて発車させねばいけないと、
2人はゴーミン達を叩きのめしていきます。

タクシー内のマツリは、公園で妊婦の傍にいた若い女性の2人組が突然変身して戦い始めたので驚き、
その姿を見て「あれは・・・!」と、2人がゴーカイジャーであることに気付き、更に驚きます。
ゴーカイジャーの姿形は前回も翔太少年が知っていたぐらいですから、地球では広く知られているようで、
元レジェンド戦士であるマツリは当然、知っています。
しかし、だからといって2人に何か話しかけているような場合ではない。
今は患者であるミクの母親を病院へ一刻も早く運ばねばならない時です。
ゴーミン達を押さえ込みながら「早く行って!!」と叫ぶルカに向かって頷くと、
マツリは「お願いします!」とタクシー運転手を促し、タクシーを発車させて、
タクシーはルカとアイムによって作られたゴーミン達の群れの隙間をついて突っ切っていき、
臨海病院へ向かったのでした。

この後、ルカとアイムのダブルヒロインとゴーミン部隊との戦闘シーンとなります。
行動隊長の怪人やスゴーミンはいないようで、ゴーミンだけの部隊です。
いつもならザンギャック反応を感知したナビィの連絡を受けて
ゴーカイジャーの他のメンバーが駆けつけてくるところですが、
ザンギャック反応は行動隊長クラスでないと感知されないのか、
あるいは男子メンバーは今お年寄りとオカマの相手で忙しくてナビィから連絡を受けることも出来ないのか、
あるいはナビィがサボっているのか、何だかよく分かりませんが、
とにかくダブルヒロインだけがゴーミン達と戦うシチュエーションとなります。

もともと遭遇地点がベイサイドの公園脇の道でしたから、戦いの場はその近くの突堤に移っていきました。
アイムはどちらかというと腕力勝負の接近戦は苦手なので、
突堤に繋がる細い橋の上でゴーミン達と乱戦になって、ついドジを踏んで橋の欄干に押し込まれてしまいます。
それを見てルカは「アイム!」と叫んで、アイムを助けようとして突っ込んできてゴーミン達を倒していきますが、
狭いところでの乱戦の中、ゴーミンの振り回した棍棒がルカの肩に当たり、
ルカは痛みのあまり一瞬ひるみますが、すぐにゴーカイガンでゴーミンを倒します。

「ルカさん!大丈夫ですか!?」とアイムは慌ててルカに尋ねます。
自分を助けるためにルカが怪我をしてしまったと思い、申し訳なく思ったのですが、
ルカは「平気!」と軽く応じ、襲い掛かってくるゴーミンもルカとアイム2人が海に蹴り落とし
、橋の上のゴーミンを一掃します。
しかし、まだ岸と突堤の方にいるゴーミンが橋の真ん中に立つ2人目がけて
両側から挟み撃ちするように迫ってくるので、
ルカはゴーカイバックルから黄色いレンジャーキーを取出し
「アイム!これ使ってみよ!」とアイムにそのレンジャーキーを見せます。
アイムは「・・・ええ・・・!」と、まだルカの怪我を心配していて少々釈然としない様子ですが、
ルカの申し出に応じてピンクのレンジャーキーを取り出し、2人は豪快チェンジします。

2人が変身したのはファイブイエローとファイブピンク、すなわち地球戦隊ファイブマンのダブルヒロインでした。
「199ヒーロー大決戦」映画ではファイブマンへの5人揃っての豪快チェンジはありましたが、
TV本編ではファイブマンへの変身はこれが初めてと思います。
ファイブマンは1990年の戦隊で、シリーズ初の兄妹戦隊で、
今回ファイブマンをチョイスしたのは、ゴーゴーファイブ篇ということで、
同じ兄妹戦隊繋がりという意味合いでしょう。

ルカが変身したファイブイエローは、
もともとはファイブマン星川兄妹の第四子で次女の星川レミが変身した戦士で、
個人武器はメロディータクトでした。
本来は打撃武器なのですが、リボンを射出して敵を縛ることも出来る武器で、
ここではルカはこのリボンを使って突堤側から橋の上を走ってくるゴーミン達をまとめて縛り、海に放り投げます。

そのルカと背中合わせに立ったアイムの変身したファイブピンクは、
もともとは星川兄妹の第三子で長女の星川数美が変身した戦士で、
個人武器はフェシングのフルーレ状のキューティーサークルでした。
アイムはこのキューティーサークルを振るって岸の側から橋の上を走ってくるゴーミン達を倒していきます。

更に突堤の脇から回り込んでこようとするゴーミンの集団を見つけて、
ルカは「もういっちょ、これで決めるよ!」と次のレンジャーキーを取り出してアイムに示し、
アイムも「はい!」と応じてレンジャーキーを取出し、2人揃ってジャンプしながら豪快チェンジ、
今度はマジイエローとマジピンクに変身して突堤に着地します。

スーパー戦隊シリーズに兄妹戦隊は3つあり、
ファイブマンとゴーゴーファイブ、そしてマジレンジャーですから、
これで今回はこのうち2つは豪快チェンジしたことになり、
当然ゴーゴーファイブ篇ですから後でゴーゴーファイブへの豪快チェンジもあるわけで、
1回で全部の兄妹戦隊への豪快チェンジを網羅し、
今回は兄妹戦隊への豪快チェンジで統一するということになります。

マジレンジャーに関してはこれまでにも豪快チェンジは多めの戦隊なので、技などはもうかなりお馴染みで、
もともとは小津兄妹の第四子で次男の小津翼の変身したマジイエローにはいつも通りルカが変身し、
マジスティック・ボーガンから雷撃矢を放つイエローサンダーという魔法技を使います。
そしてもともとは小津兄妹の第二子で長女の小津芳香の変身したマジピンクにはいつも通りアイムが変身し、
突風を巻き起こすピンクストームという魔法技を使います。
2人はこれらの技で周囲を囲んだゴーミン達を一掃し、これでゴーミン部隊は全滅し、戦いは終わりました。

そのまま変身を解いた2人でしたが、
ルカは「・・・ったく!ザンギャックの奴ら!何処にでも現れるんだから!」とプリプリしています。
しかしアイムは深刻な顔をしてルカの方を見て
「あの、ルカさん・・・先ほどはありがとうございました!」と、いきなり頭を深々と下げます。
「え・・・?」とルカは不思議そうにアイムを見ます。
さっき何かあったっけ?という感じで少し考えたルカは、
アイムがちょっとピンチだったことを想い出し、「ああ・・・大丈夫?怪我とかしてない?」と
アイムがあの時に怪我でもしてないか心配します。

しかしアイムは自分を助けようとして突っ込んできたルカが
ゴーミンの棍棒で殴られたことを申し訳なく思って頭を下げたので、
逆に自分の怪我の心配などされてしまったのが心外で、
「いいえ!私よりルカさんが・・・」と、さっきルカの殴られた右肩のあたりを手で示します。
するとルカはクスッと笑って「こんなの平気だってぇ!!」と右腕を大きくグルグルと回してみせ、
アイムに快活な笑顔を見せます。
確かにあの後も平気で戦っていたし、ルカの殴られたところはどうやら本当に大した怪我ではなかったようです。

しかし、アイムもルカの怪我が大したことはないことぐらいは一緒に戦っているうちに承知はしていました。
だがアイムにとってそれは問題の本質ではないのです。
自分を助けるためにルカを危険な目にあわせてしまったことは事実であり、
そのことはちゃんとルカに謝りたかったのです。
もちろん仲間同士なのだから多少の自分の危険は冒してでも相手を助けるのは当然のことですが、
それでも助けられた側が恩を感じるのも当然であるし、
自分のせいで相手が殴られたりすれば負い目を感じるのも当然です。

だから負い目を解消するためには謝るしかない。
謝らなければ心に負い目を抱えたままで苦しいのです。
普通は謝ったら償いをするものですが、
謝られた方も仲間同士で相手に償いを要求するわけにもいかないのですから、
そこは笑って「お互い様だよ」と言ってくれれば、
謝った側も「いつか相手のピンチに助けることで借りを返せばいい」と考えて、負い目が解消するのです。
仲間同士というのはそういうものだとアイムは思っています。

ところがルカは明るく笑ってはいますが、決して「お互い様だよ」とは言ってくれない。
自分がアイムを助けるために危険な目にあうことは当然のことであって、
全くアイムが負い目に感じる必要は無いのだと言わんばかりの態度なのです。
その上、ルカはアイムの怪我の心配までしてくれます。
それらはルカとしては親切のつもりで言ってくれているのでしょう。
そりゃあルカの言うように全くアイムがルカに負い目を感じないで平気でいられるなら、それで丸く収まります。

しかし、アイムはルカが自分を助けるためにゴーミンに殴られれば、どうしても平気ではいられないのです。
ルカに負い目を感じ、申し訳なく思ってしまいます。
それは仲間同士だから当然なのです。
だからルカが笑って怪我の軽いことをアピールして、アイムに何も気にする必要は無いと言ってくれても、
アイムの心に負い目は残ってしまうのです。
それがアイムは苦しい。
それを解消するには、ルカに「お互い様だよ」と言ってもらいたいのですが、ルカはそれは言ってくれない。

それでアイムの心はモヤモヤするのですが、
ルカが自分に対して全くの親切心で接してくれていることは分かっていますから、
こんなことでルカに抗議するのはおかしいとも思ってしまいます。
ルカが悪気が無い以上、こんなことでいちいち苦しむ自分の心の方が弱いのであり、
自分が我慢してルカの善意を受け入れるのが正しいのだとアイムは自分に言い聞かせ、黙り込みます。

そんなアイムの心中は知らないルカは、笑顔から一転して、すっと厳しい顔になり
「それより、臨海病院行ってみない?・・・ちょっと気になるし・・・」とアイムに言います。
ルカが気にしているのは、もちろん先ほど公園のベンチで苦しんでいたミクの母親、
およびそのお腹の中の赤ちゃんのことです。
もしかしたら流産とか、最悪の事態の可能性もあるのではないかとルカは心配であったのです。

しかし、確かにミクの母親は心配ではありますが、
病院に行ったのならばそこで出来得る限りのことは出来る環境にあるはずであり、
ルカが行こうが行くまいが事態にそう変化は無いでしょう。
それにルカが行ったところで、通りすがりの仲でしかないわけですから、
そんなにミク母娘を元気づけられるわけではありません。
結局、ルカは事態を傍観するぐらいしか出来ないはずなのです。

それでも行きたいというのは、単にルカがあの母娘のことを心配しているという気持ちが高まっているので、
それを満足させるためだけのようなものです。
もちろん、それは悪いことではないのですが、自己満足に近く、大した意味のある行動でもありません。
ルカがヒマでしょうがないなら、そういう無意味な行動もアリでしょう。
しかしルカ達は今、大事な宝探しの途中のはずです。
その最中にそんな無駄なことをするというのは、あまり感心できることではないし、
ルカのようなお宝第一主義の人間らしからぬ行動といえます。
だいいち、どうしてルカがそこまで通りすがりのあの母娘のことを気に掛けるのかがまず不可解だといえます。

しかしアイムもミク母娘のことは気になっていたので、結局その足で2人は国立臨海病院へ行き、
ミクの母親の病室に見舞いに行ったのでした。
ミクの母親は臨海病院に到着後、そのまま入院していましたが、別にどこか悪いというわけではないようで、
ルカとアイムが訪ねてくると、ミクと一緒に病室で笑顔で出迎えてくれて、
「やっぱり陣痛だったみたい・・・予定日より早いけど、問題無いみたいだし、このまま出産に入りましょうって!」と
ウキウキしています。
ちょっと出産予定日が早まっただけのことであり、ルカが心配するような事態ではなかったようです。

アイムは「ああ、良かった・・・」と、ベッドの脇に腰かけて安堵の溜息を漏らして、笑顔でルカの方を見ます。
一方、ルカはベッドから離れて壁にもたれて立っており、何やら複雑な表情をしています。
ルカもちろん大事にならなくて良かったと安堵はしているのですが、
あまりにもミク母娘が楽しげにしているので、やたらと心配していた自分がバカみたいだと思い、
ちょっと決まりが悪いのです。

しかし、ミクの母親は「ありがとう・・・お世話になりました」と、ちゃんと2人に礼を言います。
それに対してアイムは(どういたしまして)という感じでニッコリ笑って頭をペコリと下げて会釈します。
このあたりは元王女らしい品の良さといえます。
しかし一方、ルカは「いいえ!・・・あたし達は、別に何も・・・」と、恥ずかしそうにして、
しょんぼりしてしまいます。

しかし、ルカとアイムは何もやっていないなどということはありません。
あのままミク母娘が2人きりで苦しんでいたままだったり、
誰も構ってくれる人がいなければどうなっていたか分からないわけですから、
傍にルカとアイムが居てくれたこと自体がミク母娘にとっては助けになっていたのであるし、
あの時、2人が騒いでいたからこそマツリも何事かが起こっていると気付いてくれたのです。
それに、ゴーミンが邪魔でタクシーが出られなかった時、
2人が変身して戦ってくれたのでタクシーは出発して病院に着くことが出来たのです。
また、こうして通りすがりの自分の身を案じて駆けつけてくれていること自体が
お産を前にした母親にとっては励まされることなのです。

だから、2人は2人の出来る限りのことはしっかりやってくれていたのであり、
ミク母娘が2人に感謝するには十分な理由がありました。
ミク母娘も巷で噂の宇宙海賊のことは噂には聞いていましたが、
通りすがりの親切な2人がその宇宙海賊の一員だったと知り、
驚くと同時に、宇宙海賊のことを見直していました。

そうした相手からの誠意のこもった感謝の気持ちを素直に受け止めるのが
相手にとって親切なのだというのがアイムの考え方です。
さきほどの戦いの後のルカとの遣り取りの時も、
アイムは今のミク母のような気持ちでルカに感謝の意を伝えたのです。
ところが、さっきアイムの感謝の意を受け止めなかったのと同様、
ここでもルカはミク母の感謝の気持ちを素直に受け取ろうとはしませんでした。
自分は感謝されるほどのことは出来ていないと思っているのです。
それはつまり、ルカが自分のやるべきことのハードルをやたらと上げているからです。

ルカは自分が昔、妹を助けられなかった苦い記憶を思い出したことから、
ミクに対して妹を必ず守るように説教したのですが、
その直後にミクの母親のお腹の中のそのミクの妹が大変なことになっているかもしれない事態が持ち上がり、
そこでルカは狼狽えてしまって有効な対処が出来なかった。
ミクにあれだけ妹を守るように偉そうに説教しておいて、自分はその妹を守るために何も出来なかった。
たまたま親切な人が通りかかったから助かったが、自分だけだったら何も出来なかった。
そう思うと、ルカは自分は無力だと痛感したのでした。

やはり自分の妹を為すすべも無く助けられなかった昔と同じで、
自分が守ってやらねばいけない命を守りきることも出来ない無力な自分のままなのだと思うと、
情けなくなったのでした。
それでますます心配になって来てみれば、全く心配するような状態ではなく明るく出迎えられてしまった。
つくづく自分の医学的な知識の欠如を痛感して、余計に情けなさをルカは感じてしまったのでした。

もちろん医学の勉強を積んできたわけでもないし、
貧しい環境で生まれ育ったルカにはそんな勉強をすることも出来なかったわけだから、
そんなことは仕方ないことです。
しかし、自分の妹を助けることが出来なかったルカにとっては、
そのことを「仕方ない」などと割り切ることは出来ませんでした。
あの時、自分しか妹を守ってやることは出来なかったのに、その自分が仕方なかったなどと諦めてしまえば、
妹は産まれてくる価値が無かった命だったと認めるようなものです。

だからルカは妹を助けられなかった自分を許せなかったし、
自分が守ってあげたいと思うか弱い存在を自分の力で助けられる人間でありたいと常に願っている。
だから自分が多少傷ついてもアイムを助けることなど当たり前のことであり、
それぐらいのことで妹を見殺しにした自分の罪悪感が消えることもなく、
自分は助けた相手から感謝されるような資格のある人間にはなれていないと思っているのです。

しかし、そのように誰かを助けようとするたびに、ルカは自分の無力を思い知らされることの方が多い。
そのたびに自分にはやはり弱い者を助けることなど無理なのではないかと落ち込んでしまう。
今回も大したことが出来なかった自分の無力を思い知らされてしまい、
所詮は自分の妹も助けられなかったダメな人間のままなのだと思い、落ち込んでしまったのでした。
それでルカは「自分達は何も出来ていない」というような自分を蔑むようなことを言ったのですが、
アイムはそれをルカが謙遜しているのだと思い、それに同調するように
「あの女性が通りかかってくれて助かりましたね・・・」と、ミク母に向かって笑顔でマツリの貢献を称えました。

すると、ミクの母親は思い出したように
「・・・あっそうそう、あの方、巽マツリさんといって、救急救命士さんなんですって!」と言います。
やはりマツリは救急救命士を現在も続けているようです。
そのことをミクの母親が知っているのは、マツリ本人が言ったのか、
あるいは臨界病院の医師か看護師がマツリのことを知っていて、
ミク母娘にそのことを教えたかのどちらかでしょう。

「救急救命士」という概念が例えば「トランプ」のように宇宙で共通の概念なのか、
あるいは「カレー」や「侍」のように地球独特の概念なのか、
「ゴーカイジャー」の物語世界ではどっちの扱いであるのかは不明ですが、
ルカとアイムにも、その語感やミク母の言葉のニュアンス、そしてマツリのあの時の立ち居振る舞いからして、
少なくともそれが救命現場での専門家であることは理解出来たと思われます。

なるほど、そういう専門家であるのなら、あの冷静で的確な対処も当然のことだったのだと2人は思い、
マツリとの出会いが思わぬ幸運であったのだと少し驚きましたが、
それに続くミク母娘の言葉に、更にそれがもっと重大な運命の出逢いだったのだと知り驚かされました。
ミク母は少し悪戯っぽくニヤリと笑って
「しかも・・・あのレジェンド大戦で戦った・・・」と言い、
ミクがその言葉を継いで「ゴーゴーファイブのゴーピンクだったんだって!」と2人に笑いかけたのです。

「ええっ!?」とルカとアイムは驚いて棒立ちになって顔を見合わせます。
ミク母娘にマツリがゴーピンクだったのだと教えたのはマツリ本人か、
あるいは臨界病院の医師か看護師でしょう。
そんなことを軽々しく教えていいものかとも思われるかもしれませんが、
マツリが元ゴーピンクであったというのは、12年前から既に救命現場の関係者の間ではバレていたことなので、
今さら秘密にするほどのことではないのです。

ただ、それにしても、患者にペラペラと喋るのはあまりに軽薄であるようにも思えますが、
救命現場や臨床においては、患者やその家族の不安を和らげたり意識をしっかり保たせるために
救命士や医師らが他愛も無い面白そうな身の上話や世間話をしたりすることは多々あることです。
ましてやミク母娘はザンギャックに襲われて不安になっていた状態ですから、
安心させるためにマツリが自分は昔ザンギャックを追い払ったレジェンド戦士だったのだと
ミク達に言い聞かせたとしても何ら不自然ではありません。

だからミク母娘はマツリが元ゴーピンクだと知ったのであり、
ルカとアイムがゴーカイジャーの一員だということもさっき見て知っていますから、
そのことを告げたのでしょう。
ミク母娘のような一般の地球人から見ても、
ゴーカイジャーとレジェンド戦隊の間には何らかの関係があることは明白だったので、
あの救急救命士が元ゴーピンクだと教えれば2人は驚くだろうと思い、
少し面白がってミク母はその話を2人に向かって切り出したというわけです。

ミク母娘はルカとアイムが今まさにお宝ナビゲートに従って
「大いなる力」を探している最中だとは知りませんから、
そういう軽いニュアンスで話をしたのですが、
ルカとアイムは、まさにあのマツリとの出会いこそがナビィの言っていた
「人助けが出会いを導く」の「出会い」だったのだと気付き、愕然としたのでした。

あの時、ルカとアイムはミクの母親を助けようとしていたし、
そもそもミク母娘と出会ったのもアイムがミクの水汲みを手助けしてあげたのがきっかけでした。
そこから導かれた出会いがマツリとの出会いであり、
そのマツリとの出会いが「ゴーゴーファイブの大いなる力」の獲得へと導いてくれるはずだったのだと、
2人は気付きました。

ところが自分達はマツリとその場で別れてしまった。
せっかくのナビゲートの示したチャンスを逸してしまったのです。
なんてことをしてしまったんだと、2人は焦り、困惑した顔を見合わせます。
とにかく早くマツリと再会しなければ、もう2度とチャンスは巡ってこないような気がします。
それでミク母娘や病院の関係者に聞くと、マツリはミク母娘を病院に送り届けた後、
いつも通り、救急隊に出勤しており、
今は救急車に乗って、とある事故現場から怪我人を搬送する作業に向かっているとのことです。
ルカとアイムはさっそくマーベラス達にそのことを連絡し、
自分達はその現場へいち早く駆けつけることにしました。

ルカ達からの連絡は先ほどの歩道橋でお年寄りを担いで階段を昇っていたマーベラスと鎧のもとに届き、
鎧は「ゴーゴーファイブさんがぁ!?」と敬礼をしながら歓喜します。
いちいちゴーゴーファイブの名乗りポーズである敬礼をするところが戦隊マニアの鎧らしいところですが、
鎧は「大いなる力」のゲットはもちろん、憧れのゴーゴーファイブに会えると期待して大喜びの様子です。
マーベラスもこれで「大いなる力」が手に入ると思い、ルカとの通話を切ると、
張り切って「行くぞ!!」と鎧を連れてルカ達と合流するために出発しようとしますが、
駆け出そうとした先の階段の下にいる数十人のお年寄りの姿を見て、ハッとして立ち止まります。

それは鎧が調子に乗って階段をおんぶして運ぶために集めたお年寄り達でした。
ルカ達がマツリと接触した以上、もはやここでマーベラス達が人助けをする意味は無く、
お年寄り達を担いで階段を昇る必要など無いのですが、
お年寄り達は階段を担いで昇ってもらえると期待して待っています。
今さらその期待を裏切るわけにもいかない。
こうなったら、今集まっているお年寄りをみんなピストン輸送で階段の上に運んでから出発するしかない。
それにしても鎧、大変な数のお年寄りを集めたものです。2人は息を呑みました。

マーベラス達がそういう思わぬ道草を食う羽目に陥っているとは知らず、
ルカとアイムは走りながらジョーとハカセにも連絡し、
事情を説明して「とにかく急いで!」「お願いいたします!」と、早く目標地点で合流するよう呼びかけます。
連絡を受けたジョーは「よし分かった!すぐに行く!」と応えるとモバイレーツをたたみ、立ち上がります。
そして向かいの席で同時に立ち上がったハカセの顔を見て「ああっ!」と叫びました。
ハカセもジョーの顔を見て、しまったという顔をします。

2人とも酷い厚化粧だったのです。
ジョーとハカセはお互いの顔を見て、さっき捕まったオカマから逃げきれずに
無理矢理デートに連れ回されて、その挙句、化粧をされてしまっていたことを想い出したのでした。
こんな顔のままではマーベラス達と合流など出来ないし、街中に出ることすら恥ずかしくて出来ません。
まずはこの厚化粧を落とさなければいけない。
そういうわけでジョーとハカセの2人も思わぬ手間ですぐに出発することが出来なくなってしまったのでした。
というか、お年寄りを担いで階段を昇っていたマーベラスと鎧はまぁいいとして、
ジョーとハカセは無理矢理とはいえ、ずっとオカマと遊んでいたわけで、全然、人助けしてませんね。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:19 | Comment(1) | 第23話「人の命は地球の未来」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月01日

第23話「人の命は地球の未来」感想その3

マツリは救急隊に加わって、とあるビル内の何らかの事故で首に重傷を負った少年を搬送していました。
少年の意識は混濁しているようで、マツリたち3人の救急隊員は
ストレッチャーに載せた少年に懸命に声をかけながら運んできて、
ビルの外に停めていた救急車に移し替えようとしました。

ところが、なんとそこにゴーミンの集団が現れて、マツリたち救急隊員に襲い掛かってきます。
予期せぬ事態に驚くマツリでしたが、さすがに元スーパー戦隊のヒロイン、
変身出来ないながらもゴーミンに反撃します。
ここで久しぶりにマツリのアクションが見られます。
なかなかキレがあって良いです。
まぁ劇中設定では数年前のレジェンド大戦ではバリバリに戦ってるはずなので、
動きにキレが無い方が不自然なのですが、柴田さんはよく頑張って演じていただいたと思います。

ここで一緒にいた救急隊の隊長もゴーミンに襲われてボコられてしまいますが、
こちらを演じているのは歴代戦隊ヒロインのスーツアクターを多く務めた中川素州さんです。
最近では「ボウケンジャー」でボウケンピンクを1年間務め、
「ゴーカイジャー」第1話のレジェンド大戦のシーンでもボウケンピンクを演じておられたようです。
そして、この中川氏は「ゴーゴーファイブ」においてはゴーピンクのスーツアクターも務めており、
マツリ役の柴田さんとは2人でゴーピンクというキャラを作り上げた間柄で、
今回、顔出しで救急隊長を演じて柴田さんと遊び心溢れる共演となりました。

さて、ゴーミンに反撃したマツリですが、隊長がボコられてしまい、
それが気になったのか、大勢のゴーミンに囲まれてしまい捕まってしまいます。
すると、そこにルカとアイムがゴーカイイエロー、ゴーカイピンクに変身して飛び込んできて、
ゴーミン達を蹴散らします。
ルカとアイムはマツリに会うために出動先のビルまでやって来たところ、
いきなりゴーミン達がマツリ達を襲っているのを見て驚き、変身して飛び込んできたのでした。

どうしてまたゴーミンが暴れているのか意味が分からなかった2人でしたが、
ゴーミン達から解放されたマツリたち救急隊員と搬送中の少年を敵から守るように周囲を警戒して見回します。
マツリは自分の正体は言っていないはずなのに
さっきの公園で会ったゴーカイジャーの2人がまた現れたのに驚き、
2人の意図を図りかねて「あなた達は!?」と尋ねますが、
ルカは戦いながら、搬送中の重症の少年がいることに気付いており、
「早く!今のうちにこの子を!」と、まずは重症の少年を救急車でこの場から逃がすよう指示します。

「大いなる力」を貰いに来たはずなのですが、予期せぬゴーミン部隊の出現で危険な状況となっており、
こんな状況に重症患者の少年を巻き込むわけにはいかない。
まずは何をおいても患者の搬送が優先で、「大いなる力」のことはルカの頭からは飛んでいました。
マツリもとにかく今は早急に患者を搬送せねばいけないと思い、急いで少年を救急車の中に移し、
救急隊は救急車を出そうとしますが、その救急車の前方に何者かが現れて、
救急車に向けて掌から何かを発射してきました。

救急車の後ろで周囲を警戒していたルカとアイムはその怪しい人影に気付き、慌てて救急車の前に飛び込み、
その飛んでくるものをゴーカイサーベルで防ごうとしますが、
それは極めて強力なエネルギー弾のようなもので、2人はサーベルを弾かれ、
エネルギー弾の直撃を喰らって吹っ飛ばされ、衝撃で変身が解除して倒れ込んでしまいます。
顔を上げた2人がその新たに現れた敵を見ると、
そこには黒い怪人、緑色の怪人、金色の怪人、合わせて3人が立っています。
「あれは・・・?」とアイムは、その見たこともない敵の3人組を見て怪しみます。

そこに背後から高笑いの声が聞こえてきて、2人が振り返ると、
なんと物陰からバスコがサリーとゴーミンを連れて現れて「やっと捕まえた!」とニヤニヤしながら言います。
「バスコ!?」とルカは驚き、どうしてここにバスコが現れるのか分からず混乱します。
確か自分達はザンギャックと戦っていたはず。
その場にゴーミンを連れてバスコが現れるというのは、あまりに意外な展開だったのです。

バスコの方も実はルカとアイムがここに現れたのは予想外だったようで
「あ〜あ!ザンギャックのフリしてこっそりやろうと思ってたのに・・・結局こうなっちゃうんだもんなぁ・・・」と
渋い顔をしてぼやきます。
そして、「わざわざ借りてきたのに・・・ほ〜んと、使えないねぇ!」とバスコが冷たく言うのを合図としたように、
サリーが齧っていたバナナの皮を放りすてて、傍に立つゴーミン達をぶん殴って倒していきます。
一種の制裁なのでしょう。

つまり、バスコはザンギャック(おそらくダマラス)からゴーミン部隊を借りて、
自分は裏に隠れて、ゴーミン達だけを表に出して操り、
ザンギャックがいつものように街で暴れているように見せかけておいて、
その陰で何かをやろうとしていたのですが、
肝心の場面でルカとアイムが現れたため、
自分の計画がゴーカイジャーにバレてしまったのだと思っているようです。
そして、それは表で動いていたゴーミン達のミスによるものだと見なして、
ゴーミン達に怒りをぶつけて制裁を加えたわけです。

ただ、バスコは自分の計画がバレたからルカとアイムが現れたと思っているようですが、
実際のところはルカとアイムはたまたまこの場に来ただけで、
バスコがこの場に居ることすら想像していなかったのです。
それでもバスコが自分の計画を2人に見破られたに違いないと思い込んで
姿を現してペラペラ計画を喋り始めてしまったのは、2人に計画を邪魔されたのが2度目だったからです。
2度も偶然は普通は続きません。
だからバスコは2人の出現を必然だと思ってしまい、計画がバレたのだと思ってしまったのでした。
しかし実際は2度とも偶然だったのです。そういう意味ではバスコはツイてなかったといえます。

では2度目は今回だとして、1度目は何だったのかというと、
今日ルカとアイムがゴーミン達に遭遇したもう1つのケース、つまりベイサイドの公園脇の道での出来事です。
あの時も実はバスコは物陰に潜んで何かをやろうとしていたのです。
そこまで考えて、ルカとアイムはすぐにバスコの狙いが分かりました。
公園脇の一件と今回の一件、どちらにも共通して襲われた人物はマツリでした。
つまり、バスコはマツリを狙っていたのです。

「・・・では、ゴーミンは無差別に人を襲ったわけではなく・・・!」とアイムがバスコを睨みつけて問いかけると、
バスコは人差し指を立てて「ピンポ〜ン!」と、アイムの推理が正解だと示して余裕綽々に笑います。
つまり、バスコはゴーミンを使ってマツリを襲って捕まえるのが狙いだったのです。
そして、もちろんバスコの目的といえば、前に現れた時同様、「大いなる力」しかありません。
マツリを捕えて「ゴーゴーファイブの大いなる力」を奪うことがバスコの狙いだったのです。

おそらく公園でマツリを襲った時は、
自宅からマツリが出て人気の無い場所に差し掛かるのを狙ってゴーミン達が仕掛けた際に、
たまたまルカとアイムと遭遇した直後のタイミングになってしまったのでしょう。
また、今回の件も、マツリの救急隊の管轄内のビルで事故を引き起こして少年に重傷を負わせたのも
バスコがゴーミン達にやらせたことであり、
そうやって出動してくるマツリを襲う計画だったのでしょう。
そこでマツリに会うためにやって来たルカとアイムに鉢合わせしてしまったのです。

それにしても、どうしてバスコは自分で動かずにわざわざゴーミンを使って
ザンギャックの仕業にカモフラージュしようとしたのでしょうか?
それは、前回のギンガの森における失敗の結果、
自分が「大いなる力」を狙っているということがレジェンド戦士たちの間で知られるようになってしまって、
警戒されているのではないかと思ったからでしょう。
だから単なるザンギャックが暴れている事件のように見せかけて、
レジェンド戦士たちの「大いなる力」に関する警戒心を緩めておいて襲うという、
慎重な作戦を立てたのであろうと思われます。

そして、どうしてまずゴーゴーファイブを狙ったのかですが、
これは前回がギンガマンであったことも併せて考えて、
おそらくバスコはレジェンド戦士たちの居場所を探知する特別な手段は実は持っていないようです。
何故なら、ギンガマンもゴーゴーファイブも、その気になれば普通に資料などを当たれば
居場所をある程度特定出来る戦隊だからです。

ギンガマンはハカセがやったように絵本「星の伝説」をよく分析すれば
ギンガマンの住むギンガの森の場所は絞り込めるようになっています。
バスコもおそらくギンガマンの居場所を特定するために「星の伝説」を入手して調べたのでしょう。
ただ、どのようにして結界を破ったのかは謎ですが、
それは多分ラッパラッターの何らかの能力を使ったのではないかと思います。

そしてゴーゴーファイブは、12年前から巽兄妹がゴーゴーファイブだということは一部では知られており、
巽一家は普通に東京の下町に住んでおり、割と簡単にその居場所は特定することが出来る戦隊だったといえます。
ただ、この兄妹はやたら仕事熱心で、しかも公共機関所属の準戦闘集団のような組織に身を置いて、
常に屈強な仲間たちと共にいることの多い連中で、
しかもギンガの森のような田舎ではなく東京のど真ん中にいつもいるので、
あまり目立った行動をしたくないバスコにとっては厄介な相手であったようです。
そこで、一番手強くなさそうな組織に属していて、一番弱そうな末っ子のマツリが狙われたのでしょう。

ちなみに、残りの12戦隊、
バトルフィーバーJ、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、ハリケンジャーに関しては、
ほとんどが一般には正体は秘密となっていた戦隊ばかりなので、バスコも探し出すのはそう簡単ではないはずです。

一応ファイブマンはその正体が星川兄妹であることは世間には知られていましたが、
星川兄妹はゾーンとの戦いが終わった後、宇宙への旅に出てしまったので、
レジェンド大戦のために一旦数年前に地球に帰ってきたとしても、その後、また宇宙へ旅立ったかもしれず、
また仮に地球に残っていたとしても、その居場所は21年前とは違って、よく分からなくなっているはずです。
ただメガレンジャーは最終回の少し前に正体がバレてしまったので、もしかしたらちょっとヤバいかもしれません。

まぁとにかく、こうしてバスコはマツリを捕捉することに成功はしたものの、
ルカとアイムという思わぬ邪魔がまたもや入ってしまったことになります。
おそらくマーベラス達もすぐに現れる可能性が高いということもバスコは分かっています。
それでもバスコが余裕綽綽なのは、先ほど救急車の前方に出現した3人の怪人の存在があるからでしょう。
バスコが手駒としているということは、それは例のラッパラッターにレンジャーキーを挿して
実体化させた召喚戦士ということだと、ルカとアイムは悟りました。

ギンガの森の一件の時に使っていた3つの戦士とはまた違う3つの戦士でした。
ただ、前回も極めて強力な戦士を繰り出してきたことを考えると、
今回の召喚戦士も強力なのだろうとは想像出来ました。
実際、先ほどのエネルギー弾は凄まじいものでした。
そんな強力な召喚戦士が3人いて、それに対してルカとアイムは2人です。
どういうわけか、マーベラス達はまだ到着していません。
いや、男性陣はしょうもない理由で遅れているのですが、
彼らもまさかこの場にバスコが現れるとは思っていないので、
割と呑気にしょうもない用事を片付けてからここに向かっているのです。
そんな彼らの事情は知らないルカとアイムはどうしてマーベラス達が来ていないのか戸惑いましたが、
とにかく2人で3人の強力な召喚戦士の脅威に対処しなくてはいけない羽目となったのでした。

その3人の召喚戦士ですが、これはルカとアイムは初めて見る戦士でしたが、
視聴者にはもちろん馴染のある戦士たちです。
黒い戦士は黒獅子リオ、緑の戦士はメレ獣人態、そして金色の戦士は大剣人ズバーンです。
この3人の戦士のレンジャーキーもバスコが所有していたことは、第16話のラストで示唆はされていました。
あの時、バスコが持っていた10個のレンジャーキーのうち、
黒騎士のレンジャーキーはゴーカイジャーに奪われ、
残り9個のうちデカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーは既に1回使用しており、
今回はリオとメレとズバーンを使ったということは、
これでまだバスコ所有分で未使用のレンジャーキーは
シグナルマン、デカスワン、姫シンケンレッドの3個ということになります。

リオとメレは「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の敵組織である臨獣殿の首領と幹部で、
最終回直前にゲキレンジャーの仲間になった戦士で、最後は戦死したのですが、
アバレキラーたちと同様、何らかの方法で甦ってレジェンド大戦にも
レジェンド戦隊側の別働隊の一員として参戦しており、
それゆえレジェンド戦士の中にカウントされています。

大剣人ズバーンも「轟轟戦隊ボウケンジャー」に登場した極めてハザードレベルの高い危険なプレシャスである
レムリアの黄金の剣が人型に変形した戦士です。
本来の姿は剣なのですが、何故か明石に懐いてボウケンジャーの仲間になったという戦士で、
ズバーンもまたレジェンド大戦に別働隊で参戦しており、
そのパワーはレンジャーキーに姿を変えてバスコの手中にあるわけです。

リオは「ゲキレンジャー」では最強レベルの戦士であり、その腹心であるメレもリオに次ぐ実力者です。
先ほどのルカとアイムを吹っ飛ばしたエネルギー弾はリオの「剛勇吼弾」という技で、
練り上げた臨気を弾丸状にして敵にぶつける技であり、
その威力の凄まじさから、召喚戦士といえども、やはりリオとメレは強敵だということが分かります。
またズバーンも邪悪な意思のもとではパワーが発揮出来ない設定であったので
本編では面白キャラになっていましたが、本来は極めて強力なプレシャスであり、
そのパワーのみが封じられたレンジャーキーを使う場合は
邪悪な意思の持ち主であるバスコの命令下でも動けるようで、そうなるとかなり厄介な相手となります。

3人の召喚戦士のそうした詳細な情報は知らないルカとアイムでしたが、
バスコが繰り出す召喚戦士がそこらの怪人とは比べものにならない強敵であることは分かっています。
それが3人もいるのに対して自分達は2人で、
しかもマツリを守って、重傷の少年を一刻も早くこの場から搬送させなければならない。
そのためには2人で3人の召喚戦士をすぐにでも蹴散らす必要があるが、
勝つことさえ苦労しそうな相手をすぐに蹴散らすというのは至難の業です。
2人は険しい顔でバスコを睨みつけて身構えますが、実際のところ、現状では打開策が思いつかない状況でした。

そうした有利な状況を見透かして余裕綽々のバスコは
「・・・てことで、元ゴーゴーファイブのお姉さん!その子供を助けたかったら、
ゴーゴーファイブの大いなる力を渡しな!・・・あんたさえ素直に俺んとこ来れば、
その子は病院へ運ばせてやる!」と救急車内のマツリに向けて要求します。
バスコとしても、この場にルカとアイムが居るということは
ゴーカイジャーもゴーゴーファイブの大いなる力を手に入れようとして動いているのだろうということは
分かっています。
それならどうして女の子2人しかいないのだろうかとも不思議に思いましたが、
とにかく現状は自分が圧倒的に有利です。

ただマーベラス達が来てゴーカイジャーが全員揃うと厄介なことになることも分かっていますから、
それまでにさっさとマツリを捕えたい。
力押しでも可能だろうが、ルカとアイムが死に物狂いで抵抗すれば思わぬ時間がかかって
その間にマーベラス達がやって来る危険がありました。
そこでバスコは重傷の少年が居るという状況を利用してマツリにお得意の取引を持ちかけたのです。
マツリは救急救命士ですから少年の命を守ることを優先するはずです。

このまま戦えば、ルカとアイムの勝機があるとすれば
マーベラス達が来るまで持ちこたえる持久戦しかないわけですが、
その間、救急車はこの場を動くことは出来ず、一刻も早い処置が必要な少年はいつまでも病院へ行けない。
ならば抵抗はせずに、マツリがバスコのもとに行くのと引き換えに
少年を乗せた救急車をすぐに出発させてもらった方が、少年の命が助かる可能性は高くなるはずです。
バスコとしても、マツリが今すぐその条件を呑んで自分の手許に来てくれれば、
マーベラス達が来る前に「大いなる力」を手に入れることが出来て最も好都合なのでした。

マツリはバスコのこの要求を聞いて、
ここで初めて、この突然現れた謎の男が自分の持つゴーゴーファイブの大いなる力を狙っていることを知りました。
そして同時に、おそらくゴーカイジャーの2人も何らかの方法、
おそらくミク親子にでも聞いて自分の正体を知った上で
「大いなる力」を求めてここにやって来たのだろうということも想像できました。
つまりこの場が自分の持つ「大いなる力」を巡っての対決の場となっているということを悟ったのでした。

レジェンド戦隊の各戦隊同士の連絡というのは、彼らのあまりにもバラバラな行動を見る限り、
どうもあまり密ではない印象で、
第20話で「大いなる力」をバスコに奪われそうになったギンガマンのヒュウガからの情報というのは、
案外マツリは知らなかったのではないかと思います。
レジェンド戦士たちはゴーカイジャーの存在や、
ゴーカイジャーに「大いなる力」を渡すべきかどうか決断しなければいけないという認識は
共通して持っているようですが、
その「大いなる力」を集めると「宇宙最大のお宝」が見つかるということに言及したのは小津魁だけであり、
他の登場したレジェンド戦士たちはそこまで知っているわけでもないようでした。

例えばヒュウガやゴセイジャーなどは
「スーパー戦隊の力は1ヵ所に集めておいた方がいいような気がする」と言っているだけで、
「宇宙最大のお宝」のことを知っていれば、こういう言い方にはならないでしょう。
このように各戦隊で細部の認識はバラバラなのですから、連絡は密ではないと思われます。
そういえば、「199ヒーロー大決戦」映画でも道端で出会った青梅と亮とウメコが
随分と久しぶりに会ったようにお互い驚いていたところを見ると、
どうも彼らはレジェンド大戦以降、会ったり連絡したりもしていなかったようです。

だからヒュウガのところに「大いなる力」を奪いにバスコが現れたこともマツリは知らなかった可能性が高い。
まぁ仮にそういう「大いなる力」を奪おうとしている奴がいると知っていたとしても、
その名前や人相風体は知らなかったことでしょう。
だから、マツリはバスコが「大いなる力」の要求をしてきた時点で初めて、
この救急車襲撃事件が自分の持つ「ゴーゴーファイブの大いなる力」を
奪うために仕組まれたものだったことを知ったのでした。
そして、バスコの物言いからすると、
おそらく先だってミク母を運ぼうとしたタクシーがゴーミン達に襲われたのも、
バスコの差し金だったということも想像がつきました。

「そう・・・タクシーが襲われたのも、この救急車が襲われたのも、私がいたからなのね・・・」と、
マツリは下を向いて呟きます。
マツリの表情は苦しげですが、苦悩しているわけでも迷っているわけでもありません。
「大いなる力」を奪われたくないが、少年を早く病院に運びたいので、
どっちを選ぶべきか苦悩しているというわけではないのです。
ただ、自分が「大いなる力」を持っていたせいでミクの母やこの少年など、
苦しんでいる患者を危険なことに巻き込んでしまったことを後悔しているのです。

「大いなる力」を奪われたくない、奪われてはいけない、というような苦悩はそこにはありません。
もちろんマツリも「ゴーゴーファイブの大いなる力」が大切なものだという認識はあるのですが、
それよりも自分の目の前の患者の命の方が遥かに大切なのです。
むしろ、「大いなる力」はマツリにとってはこの場合、
患者の命を守るためには足枷になってしまっているという認識といっていいでしょう。

そういうわけで、「分かった!今そっち行くわ!」と、
マツリは全く躊躇なく、バスコの要求に従うことを伝えたのでした。
そして救急車内で並んで座って少年の容体を見ている隊長に向かって
「必ずこの子を病院に送り届けてください・・・!」と頼み、隊長も「分かった!」と応じます。
そしてマツリはルカとアイムの方に振り向いて「頼むわよ!ゴーカイジャー!」と微笑みかけます。

もちろんマツリも悪党に簡単に「大いなる力」を渡すつもりはありません。
相手の要求通り、出て行くことは出て行きますが、救急車さえ無事にこの場を離れたら、
たとえ変身出来なくても抵抗し戦うつもりでした。
その場合には自分や「大いなる力」を守るために戦ってほしいということを
ルカとアイムに向かってマツリは頼んだのでした。
そして、同時に、たとえ自分の身に何が起きても、
救急車が無事にこの場を離れるまでは決して手出しはしないようにという念押しでもありました。

バスコはラッパラッターを相手に向けて咥えて息を吸い続けることで「大いなる力」を抜き取るのですが、
そこまで細かい情報はマツリは知らないと思われます。
だから、かなり手荒なことをされる可能性は考えているはずで、マツリの覚悟はかなり悲壮なものと思われます。
それに、第20話でヒュウガに対してこの方法を用いた際は未遂に終わっていますので、
実際に「大いなる力」を抜き取られた場合、抜き取られた者はどうなるのかについてはまだよく分かっていません。

これは案外、バスコも分かっていないのかもしれません。
まだバスコはラッパラッターで「大いなる力」を完全に奪うのに成功した経験は無いからです。
それに、バスコにとっては「大いなる力」さえ奪えればそれでいいのであって、
その抜き取られた人間がどうなろうが、例えば死んでしまったとしても、
そんなことはどうでもいいことのはずです。

そういう状態ですから、誰も「大いなる力」をラッパラッターで強制的に抜き取られた人が
どうなるのかについては分かっていない。
下手したら死ぬかもしれないのです。
だから、マツリが仮にヒュウガから事前に情報を得ていたとしても、悲壮な覚悟に変わりはないはずです。

一方、ヒュウガがラッパラッターで「大いなる力」を抜き取られそうになっているのを
目撃していた鎧とマーベラスはルカとアイムにもその情報は伝えていますから、
ルカとアイムはバスコの手口は一応把握はしています。
しかし、実際に自分の目で見たわけではない(もしかしたら第22話でジョーがやったような
ゴーカイスーツの記録映像機能でそのビジョンは見たかもしれないが)ので、
その全貌を把握しているわけでもないし、
鎧とマーベラスの見たのはあくまで未遂事件ですから、
ルカとアイムも「大いなる力」を奪われた人がどうなるのか分かっているわけではない。

そんな危険な状況に自ら飛び込もうとしているマツリに暗黙のうちに
「救急車がこの場を離れるまで手出し無用」という念を押されて、
その悲壮な覚悟を見せられて、思わずアイムは「マツリさん・・・」と何か言いかけますが、
マツリは何も心配する必要は無いとばかりに笑顔で頷きます。
そのマツリの姿に、ここで恒例のオーバーラップ演出で、ゴーピンクのスーツ姿が一瞬重なります。
つまり、ここがマツリのゴーゴーファイブの一員である面目躍如の場面ということであり、
ゴーゴーファイブという戦隊のテーマが表現された場面であるという意味合いです。

そのテーマとは、どのような状況でも常に人命を守ることを優先するということです。
まぁ歴代のスーパー戦隊の戦士ならば誰でも、このような二者択一を迫られれば
最終的には人命の方を優先するとは思います。
どう転んでも人命の方を捨てて「大いなる力」だけを守るという結論にはならないでしょう。
しかし、地球を守るべきスーパー戦隊の力の尊さもまた彼らにとっては重いものですから、
それこそ身体を掻き毟るような葛藤があるはずであるし、
さもなければ全身全霊をかけて「大いなる力」も人命も両方手放さないような
アイディアを絞り出そうとするはずです。

しかし、マツリの場合、一応は抵抗はするつもりではいますが、
「大いなる力」を奪われる可能性が非常に高くなる状況に自らをあまりにもあっさりと追いやろうとしています。
無抵抗で奪われるつもりはないものの、絶対に奪われたくないという強い意志があるというようには見えない。
とにかく人命を優先することが第一で、そのためならば最悪の場合「大いなる力」は奪われても仕方ないし、
自分の身に危険が及んでも仕方ないという感じです。

自分の身の危険を顧みないというのは正義のヒロインとして当然としても、
スーパー戦隊としての「大いなる力」を手放すことについて、あまりにもあっさりしすぎているように見えます。
つまり、スーパー戦隊の特別な戦士としての拘りが無さすぎるといえます。
しかし、この拘りの無さがゴーゴーファイブの最大の特徴なのです。

例えばゴレンジャーやオーレンジャーやデカレンジャーのように
もともと世界を守る戦士であった者が未知の脅威に対抗するために
特命でスーパー戦隊の力を与えられた場合は、
その特別な力は自らの職責と切り離せないものとして重視せざるを得ません。

また、ジュウレンジャーやギンガマンやシンケンジャーのように
長年の修行の末であったり、宿命によってスーパー戦隊の特別な力と資格を得た者、負わされた者は、
その特別な力は自らの人生そのものと言ってもいいわけで、特別な思い入れを持つのは当然でしょう。

また、メガレンジャーやマジレンジャーやゴーオンジャーのように、
ごく普通の一般人が突然特別なスーパー戦隊の力を持つことになり人生が一変したような者は、
その驚きの日々の中で培ってきた戦士としての自覚は彼らの中で特別なものとなっていき、
その力はそう簡単には手放し難くなるものです。

また、タイムレンジャーやハリケンジャーやボウケンジャーのように、
スーパー戦隊の特別な力を使ってヒーローとして活動することが彼らの人生の中で、
成長や新たな道の模索など、大きなターニングポイントとなるような場合、
その力には格別の思い入れを持つようになり、
それを簡単に手放すことには抵抗があるのは当然でしょう。

しかしゴーゴーファイブはこれらのどのパターンとも違う。
彼らはもともと人命救助のエキスパートであって、地球を守る戦士という自覚があったわけではないので、
ゴーゴーファイブの力に職責として拘りを持ってはいない。
彼らはもともとの人命救助の仕事に職責としての拘りを持っているのであって、
それはゴーゴーファイブの力を使ってもその職責は果たすことは出来るが、
ゴーゴーファイブの力を使わなくても職責は果たすことは出来る。
ただ、ゴーゴーファイブのプラスエネルギーの力を使った方が
マイナスエネルギーの力を使う災魔の起こす災害を食い止めるのに便利だったから
その力を使っていたに過ぎない。
災魔がいない状況ならばゴーゴーファイブの力は無くても彼らの職責は果たすのに何ら支障はありません。

そして、ゴーゴーファイブの力は彼らが修行の末に身に付けたものではなく、
父親から装備を与えられたものに過ぎません。
まぁ父親が懸命に開発し自分達もそれに多少は協力したりもしたから、それなりの思い入れはありますが、
自分達の鍛えてきたそれぞれの救命現場における技術の方が彼らにとっては
人生において思い入れの強いものでしょう。

そして、彼らはゴーゴーファイブの力を得たことで
突然ヒーローになるような人生の大変革が生じたりはしていません。
彼らはもともとの救命仕事の意識の延長線上でゴーゴーファイブをやっていただけであって、
自分がヒーローになったという自覚がそもそも無く、
もしゴーゴーファイブがヒーローだというのなら、
それは彼らがもともと人の命を救うという意味でヒーローであったということです。

彼ら自身は自分達がゴーゴーファイブになったことによって
「人の命を救うヒーロー」から「地球を守るヒーロー」に格上げになったというような自意識は無く、
やっていることは災魔怪人との戦いではあったが、
相変わらず人の命を救うために災魔を倒して災害を未然に防ぐという意識は徹底していました。
それが彼らの合言葉「人の命は地球の未来」です。
敵に打ち勝つことや優位を得ることが彼らの目標ではなく、
あくまで人の命を救うことが彼らの目標であり、
目の前の人の命を救えないような戦いならば、たとえそれが地球を守るための戦いだとしても
自分達にとっては無価値だというのが彼らのポリシーなのでした。

それが彼らのなりたいヒーローの姿なのであり、
彼らはちっぽけな力しか持たなかった頃からそうしたヒーローとして完成されており、
ゴーゴーファイブになったことによってヒーローになったわけではありません。
そして彼らはそうした「あくまで人命を救いたい」という人生に心底満足をしており、
それを変革したいという考えもありませんでしたので、
ゴーゴーファイブとなることは彼らにとって「災魔の起こす災害阻止に便利」という以上の意味は無く、
むしろ彼らが彼ら自身の本当に望む形の人生を送るためには
災魔もゴーゴーファイブの力も本来は不要なものだったといえます。

だから、普通はスーパー戦隊シリーズの各作品の最終回は戦いが終わって、
もう戦うこともなくなって別れなどもあったりして一抹の寂しさで終わるものですが、
ゴーゴーファイブの最終回にはそうしたしんみりした空気は全く無く、
職場に復帰した5人が厄介事から解放されて
本来の人生に復帰して充実した人生に向かっていく姿を明るく描いて終わっています。

ゴーゴーファイブとはこういう戦隊ですから、
自分達がゴーゴーファイブの力の持ち主であるということに対して、
全く拘りを持っていない連中だと言っていいでしょう。
「大いなる力」に関しても、そういうものを預かっていることが
レジェンド戦隊全体として何らかの意味があることに関連する1つの役割だという自覚はマツリにもあり、
レジェンド戦隊全体に迷惑をかけたくないという意味では
それを簡単に奪われたくはないという程度の意思はあると思われますが、
自分の持つ「ゴーゴーファイブの大いなる力」に対する拘りそのものは極めて希薄であるため、
さっき公園の脇でルカとアイムがゴーカイジャーだと知っても、
その後、他のレジェンド戦士のようにゴーカイジャーを見極めようとして彼女らに接触しようという動きも見せず、
いつも通りに出勤していつも通りに仕事をしていたのです。

そんな感じで「大いなる力」について、かなり無頓着なマツリにとっては、
「大いなる力」が地球を守るために必要だといっても、
それを守るために目の前の少年が犠牲になっては全く意味が無いわけで、
「大いなる力」とそれを持つ自分を危機に晒してでも、
まずは少年を乗せた救急車を病院に向かわせるためにバスコとの取引に応じようとしたのでした。

ところが、そうして覚悟を決めた目でキッとバスコの方を見て、
マツリが救急車の中から外に出ようとした時、
「ダメ!!」と叫んでルカがマツリを救急車の中に押し戻し、そのまま救急車の中に乗り込み、
アイムもそれに続き、内側から救急車の後部の扉を閉じて、籠城するような形となったのでした。

それを見て、あと一歩でマツリが出てくるところを邪魔された形のバスコは
「おいおい・・・」と呆れたように呟きます。
せっかくマツリが取引に応じようとしてくれたのに、
あくまで「大いなる力」を奪われたくないルカとアイムが邪魔したように見えたのです。
こんな状況でまだ「大いなる力」を死守しようとは、やはりマーベラスの仲間だけはある、
とんだしぶとさだとバスコは呆れましたが、所詮は悪あがきに過ぎないと思いました。
だいいち、それはあくまで少年を助けたいマツリ本人にとっては迷惑以外の何物でもないはずだと
見越したバスコは、「その子がどうなってもいいのかぁ?」と、
すぐさま、マツリとルカアイムの間を分断しようとします。

マツリは「大いなる力」を捨ててでも少年を救おうとしているわけですから、
あくまで「大いなる力」を守りたいルカとアイムと意見が合うはずはない。
少年の命のタイムリミットは刻一刻と近づいているのです。
そのことを強調してマツリを揺さぶれば、救急車内の女子3人は勝手に内部分裂を起こして、
ルカとアイムは排除されるはずだとバスコはほくそ笑みました。

マツリは焦って救急車内から大声で「分かってる!すぐ行くわ!」とバスコに返答すると、キッとルカを睨んで
「何するの!?人の命は地球の未来よ!この子の命を救うためなら、大いなる力なんて・・・」と非難し始めました。
マツリはルカとアイムの行動を見て失望していました。
もともとマツリのように人の命を救うためにだけ戦っていたような者から見ると、
お宝を探して宇宙を戦いながら旅をしている宇宙海賊が
スーパー戦隊の「大いなる力」を受け継ぐべき者かもしれないなどと聞かされても、
そんな者達が自分達ゴーゴーファイブと共通した要素があるとは思えず、ピンときませんでした。

しかし、さっき公園でゴーカイジャーの2人が妊婦を助けようとしていたのを見て、
宇宙海賊も命の大切さをちゃんと分かっているのだと少し見直し、親近感を覚え始めていたのです。
ところが自分が少年の命を救うためにやむなく「大いなる力」を持ったまま救急車から出て
バスコの前に立とうとしたところ、
ルカとアイムが「大いなる力」を他の者に奪われるのを阻止しようとして
無理矢理、自分を車の中に押し込めたのだとマツリは思ったのでした。
それで、マツリは、やはり宇宙海賊は自分の欲しいものを手に入れるためには
人の命など犠牲にしても何とも思わない冷酷で身勝手な連中なのだと失望し、
やはりこんな連中にはゴーゴーファイブの大いなる力は相応しくないと思い、
とにかく早く2人を車から追い出してバスコの要求に応じて外に出ようとしました。

ところが、ルカはマツリの非難を遮って「そうじゃない!!アンタ救急救命士でしょ!?」と叫びました。
ルカは別に大いなる力が惜しくてマツリが車を降りるのを邪魔したわけではなく、
マツリが救急救命士だから車から降りるべきではないと判断したというのです。
アイムも同じような気持ちでルカに従って行動したようです。
マツリは予想外のルカの言葉に驚き、ルカの顔を見つめます。
「救急救命士」という自分の根幹ともいえる言葉を突きつけられて、マツリは動転しました。

続けてルカは「この子を無事に病院に連れてくには、アンタが必要なの!!」と必死で訴えます。
ルカが救急救命士の制度をどこまで理解してこういうことを言っているのかは不明です。
おそらくルカとアイムは漠然とマツリが少年の救命に必要な人材だと思って言っているだけなのでしょう。
しかし、ルカの言葉でマツリはハッと現状の問題点に気付かされたのでした。

救急隊というのは1隊が3人で構成されており、
そういう点、このシーンはちゃんとリアルに描かれているのですが、
この3人のうち1名が機関員、つまり救急車の運転手で、
これはこのシーンでも既に運転席に座ってスタンバイしています。
残りの2人が隊長と隊員で、2011年現在、このうちの1人を救急救命士とすることが
全国的な目標とされているのが現状で、実際は救急救命士の数が少なくて、
1名も救急救命士が乗っていない救急車もまだ多いのが現状です。

ですから、ただでさえ不足気味の救急救命士が1つの救急隊に2名も割り振られるということは稀であり、
この救急隊ではマツリが救急救命士の有資格者である以上、
他の2名、つまり隊長と機関員は救急救命士の資格は持っていないはずなのです。
そして救急救命士でなければ救急車内での医療行為は法的に禁止されているのですから、
マツリが救急車を降りた状態で重傷の意識の混濁した少年を救急車で搬送するとなると、
搬送中は少年は一切の医療行為を受けることが出来なくなってしまうのです。

そんなことはマツリは承知しているはずでしたが、
自分のせいで少年をトラブルに巻き込んでしまったという罪悪感のせいで、
自分がとにかく少年から離れるべきなんだという思い込みが強くなり、
冷静な判断を少し忘れてしまっており、
変にヒロイックな行動に酔ってしまい、逆に少年を危険に晒し、
隊長に負担を強いるような判断をしてしまっていたことに気付き、マツリは愕然としたのでした。
それに比べて、お宝第一のはずの宇宙海賊の女の子の方が、自分よりもよほど、
ひたすらに少年の命のことだけを考えてくれていたことにマツリは意外な印象を受けたのでした。

その意外な印象は、アイムも同じように感じていました。
いつもの陽気でガメつい実利優先主義者のルカとは全く違うルカが目の前にいたからです。
ルカの頭の中からは「大いなる力」のことは消えてしまったかのようです。
「宇宙最大のお宝」はマーベラスと共に追いかけるルカの夢でもあるはずです。
いや、アイムの夢でもあるはずでした。
なのに、その「宇宙最大のお宝」に繋がる重要なカギとなる「大いなる力」を目の前にしながら、
そんなことはどうでもいいかのように、ルカは1人の少年の命を救うことだけ考えており、
自分もそんなルカを見て間違っているとは全く思えないのです。

そうした自分のことも含めて、アイムは意外な印象を受けて戸惑います。
ただ、自分はともかく、ルカがここまで普段とかけ離れた態度を示すということは、
この少年の命を守りたいということに関して、何かよほどの事情があるのだろうと思いました。
この少年そのものはルカとは全く関係ない子供ですから、
さっきの公園でのミクへの変な態度も併せて考えて、
何かルカの心の中に小さく弱い子供を守らなければいけないという強迫的な想いがあり、
そして、それはルカの妹に関する想い出に関係しているのではないかと、アイムは思いました。

ルカは確かにアイムの想像した通り、
公園でミクと会話した時に甦ってきた妹を死なせてしまった時の辛い想い出がコンプレックスになっており、
ミクの母親が苦しんだ時にも何も出来なかったことも相俟って、
自分の目の前で危険に晒されている小さな命を救いたいという強い想いと、
自分にはそんな力は無いというどうしようもない無力感とで揺れ動いた状態でこの場へやって来ており、
そこで重傷の少年の姿を見てしまったため、
「大いなる力」のことよりも、とにかくその少年の命を救いたいという気持ちでいっぱいになり、
自分はどうせ大したことは出来ないが、救急救命士のマツリがいるのだから何とかなるとは思っていました。

他の隊員に救命士がいるとかそういうことまで考える余裕は無く、
そもそも救命士というものが具体的に何をするものなのかまで詳しくルカは知りません。
ただ、先ほどの公園でのミクの母親を前にして何も出来なかった自分と比べて、
テキパキとした対処をしていたマツリならば安心して少年を任せられると一途に思っていたのです。
それなのにバスコのせいでマツリが少年の傍から離れようとしているのを見て、
ルカは思わずそれはダメだと思い、無理にマツリを車の中に押し戻したのでした。
だから何か冷静な成算があっての行動ではなく、半ばパニック的な行動でありました。

その混乱した状態のまま、ルカはマツリを少年の傍から離したくない一心で、心情を吐露し続けます。
「あたしには・・・何も出来なかった・・・妹が倒れて・・・医者に連れていく途中で急変して・・・
でも、素人のあたしじゃ何が起こってるのか分かんなくて・・・そのまま、あの子は帰ってこなかった・・・」と、
過去の出来事を語るルカの言葉を聞いて、
マツリは、ルカが妊婦のお腹の中の子や、この少年のような小さい子供の命を救うことに強くこだわる理由が、
自分の肉親である小さな妹を助けられずに死なせてしまった苦い想い出によるものだと分かって、
目を見張りました。

家族を失う辛さは、マツリにも心当たりはありました。
マツリも、かつては11歳の時に父親、13歳の時に母親が生死不明でいなくなってしまい、
辛く寂しい想いをして大きくなりました。
それでも兄たちがいたし、結局、19歳の時に父親が生きて帰ってきて、
20歳の時に母親も生きて帰ってきましたから、
ルカのように本当に妹が死んでしまったのに比べれば大した辛さではなかったのですが、
それでも相当に家族の命が存在して傍にいてくれることの大切さを噛みしめて育つことになり、
それがマツリを命を救う現場への道へと進ませる力ともなりました。
ルカは自分の場合よりももっと辛い想いをしており、
それゆえに亡くなった妹のような小さな命を救いたいという想いがひときわ強いのであり、
自分と根本は同じなのだとマツリは思いました。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:06 | Comment(0) | 第23話「人の命は地球の未来」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月02日

第23話「人の命は地球の未来」感想その4

さて、ここでルカが昔、自分の妹を病気で死なせてしまったという衝撃的な過去
がハッキリと明らかにされたわけですが、ここで少し整理してみたいと思います。

このルカの妹のリアの死というのは、第6話のルカの回想シーン、
すなわち、孤児のような子供たちをルカが養っていた場面と時系列的にどういう関係になっているのでしょうか?
あの第6話の子供たちの中にリアがいなかったことから考えて、
おそらくリアの死の後、ルカは孤児たちを集めて養うようになったのだと思われます。

おそらくルカの両親はリアが産まれてすぐぐらいに亡くなっており、
ルカとリア自身が姉妹の孤児であり、ルカがリアを養って育てていたと思われます。
そういう生い立ちだから、ルカは他人に頼るクセがついておらず、
自分が自分よりも小さな庇護すべき存在の世話を一方的に焼くことに馴れきっており、
それが当たり前だと思っているのです。
その自分しか守る人間のいないはずのリアを救うことが出来ずに死なせてしまい、
ルカは自分が守らなければいけない相手を守れなかった無力感に打ちのめされ、
まだ幼かった頃の両親の死の時はあまりよく分からなかった、
真の意味での肉親を失う悲しみを初めて知ったのでした。

それでルカは自分と同じように家族を失った戦災孤児たちを集めて養おうとしたのでしょう。
それは家族を失った子供たちの辛い気持ちが理解出来るので、放っておけなかったからでもありますが、
同時に、リアを救えなかった自分自身の無力感や喪失感を、
擬似家族としての孤児たちを養うことで埋め合わせようとしたのだといえます。
しかし、子供の頃から自分一人で責任を背負い込んで小さい子の世話をすることに馴れきっていたルカは、
更にリアを失った喪失感のあまりの大きさのために、
自分の稼ぎで養える限界を超えた多くの孤児たちを抱え込んでしまい、
その子たちを養うために、おそらく両親の死にも関係してもともと恨みの対象でもあった
ザンギャック軍から物品を盗む泥棒稼業にまで身を落とし、
ギャンブルでイカサマなどで稼いだり、金のためなら何でもやるようになりましたが、
結局は孤児たちを養いきれずに最後は孤児たちの餓死や衰弱死など悲惨な結末となったのではないかと思います。

その時、ルカは更に深く傷ついた心の中で、もっとお金があれば孤児たちを救うことが出来たと思い、
「世の中はお金が全てだ」と心に刻んだのです。
結局、医術など何らかの子供たちを救う技術を持たないルカが、子供たちを救うために出来ることといえば、
金を多く稼いで子供たちにつぎ込むことしか出来なかったからでした。
お金さえされば食料も薬も買えるし、子供たちを存分に医者にだって診せることも出来るのですから、
ルカは金を稼ぐことが自分が子供たちに出来る唯一のことだと思うようになっていったのです。

それが第6話で春日井小牧に対して言った
「世の中、お金で回ってるのよ!お金が無きゃ出来ないことがいっぱいあんのよ!
お金が無くても幸せなんて、ただの綺麗事!・・・簡単に言わないでよね!!」というセリフに繋がってくるわけです。

そして、その第6話でルカとジョーとの遣り取りの中で、
「金にこだわるのは夢があるから」と以前にルカがジョーに言っていたことが明かされ、
その夢が何なのか知らないながらもジョーはそれを肯定的に評価しています。
ここから、ルカがリアや養っていた孤児たちの不幸の末に、
金を使って何らかの夢を叶えようという考えに辿り着いたことが想像できます。
その詳細は分かりませんが、莫大なお金を使って宇宙中の孤児たちの安全で豊かに生きていける
楽園のようなものを作ろうというような夢かもしれません。

ただ、ここで確かなことは、
そのルカの夢というのは「宇宙最大のお宝を手に入れる」という夢とは全然違う夢だということです。
そしてジョーがそういう夢のためにお金にこだわるのなら、それは恥ずべきことではないと肯定的に評価したのは、
ルカが夢を持っていることを肯定的に評価、というより、
この第6話時点のジョーは自分自身が自分のもともとの夢を諦めていた状態であったので、
ルカの生き方がある意味、羨ましかったのだと思われます。
ちなみに、そのジョーの夢というのは「子供たちに夢を守るヒーローになること」であり、
それは前回、第22話においてジョーは再び目指すために動き始めたといえます。

ところが、そのジョーに肯定的に評価されたルカの生き方というのは、
実はジョーが思うほどには確固としたものではなく、
ジョーの好評価に対して「言ったっけ?」ととぼけるほど、曖昧なもので、
実際はその夢に向かって全く動いている形跡は無かった。

そして小牧に対して「お金が全て」と言って切った啖呵も、その後、揺らいでおり、
小牧の父の高蔵の「お金で子供を満足させるのが最も大事」という考え方と、
小牧の「親子で支え合って生きていきたい」という考え方のうち、
小牧の考え方の方に与するような態度を示し、それでルカ自身も何かスッキリしたような結末となりました。

この後も結局、ルカが「宇宙最大の夢」以外の何らかの夢に向かって動き出すような描写は無かったが、
結局この第6話でルカは「お金で夢を叶える」という考え方への極度の傾倒からは脱したのだといえます。
夢を叶えるためには、お金はもちろん必要だが、お金さえあれば夢が叶うわけではない。
お金が唯一の解決手段という考え方は、言い換えれば、
お金が無ければ何をやっても無駄なので何もやらないということです。
つまり夢に向かって動き出さない言い訳として「まだお金が貯まってないから」という言い方が出来るわけです。

「お金が全て」というのは、夢に向かって何もやらない人間の言い訳ともなるのです。
ルカの「お金が全て」「夢の叶えるためにお金が必要」という考え方は、
実はルカが孤児たちのためにやろうとしている夢を諦めるための言い訳だったのではないか、
そういう後ろめたさをルカも意識していたから、
あの第6話においてルカは高蔵の意見ではなく小牧の意見の方を選んだのではないでしょうか。

つまり、孤児たちのために自分だけが責任を背負い込んでお金を貯めてから夢を叶えるのだから、
お金が貯まらないうちは夢を叶えるために自分はまだ動き出さないでいいという考え方は、
実際は叶うかどうか分からない夢に挑戦することが怖いので、
それを凍結して生きていくために都合の良い考え方なのです。

そして、そういう都合のいい考え方ではなく、
小牧の言うように、お金は無くても家族や仲間と力を合わせれば
夢に向かって動き出す勇気を持つことは出来るのです。
ルカがあの時、小牧の意見の方が正しいと決断したのは、
自分の今までの生き方がお金を言い訳を使って夢を諦めておくための生き方であったことを無意識に認めて、
そろそろ諦めていた夢を実現するために動き出そうかという意思の芽生えであったのです。

このように考えてみると、ジョーの場合にしてもルカの場合にしても、
そもそもマーベラス一味とは何なんだろうかと思えてきます。
マーベラス一味というのは「宇宙最大のお宝」を掴むという同じ夢を共有した仲間たちという触れこみであり、
そういうものなのかと最初は思っていました。

しかし、例えば第16話でバスコがマーベラスに「宇宙最大のお宝」を諦めるよう要求した時、
ジョー達はひたすらマーベラスのために憤っていました。
「宇宙最大のお宝」が彼ら自身の夢でもあるのなら、それは彼ら自身にとっても重大な問題だったはずで、
彼らは自分自身の問題として憤らねばならないはずです。
しかし、そうではなく彼らはひたすらマーベラスの夢を守ろうとして行動しました。
つまり「宇宙最大のお宝」はあくまでマーベラスの夢なのであって、仲間たちはその夢の協力者なのです。

確かに第12話のジョーを誘った時の回想シーンを見ても、
マーベラスは自分の夢を掴む旅に彼らを連れて行きたいと思っただけであり、
ジョー達はその夢に付き合うというスタンスで同行したようです。
そしてマーベラスは自分はひたすら「宇宙最大のお宝」まっしぐらだが、
仲間たちが「宇宙最大のお宝」と関係ない行動をとることを別に禁止しようとか非難しようとかはしていません。
むしろ、さりげなく応援したり見守ったりしていることが多いといえます。

そしてマーベラスはジョーを仲間にする時は、「宇宙最大のお宝」は関係なく、
ジョーの目が気に入って仲間に誘っており、
鎧が仲間に加わりたいと言ってきた時も、「自分には無い何か」が無ければ仲間には入れないと言い、
ジョー達4人にはその何かがあると言いました。
そして結局、鎧が「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢のような目標を宣言したことで
鎧を気に入って仲間に加えています。
鎧はこの時点で「宇宙最大のお宝」には全く興味は示していません。

つまり、これらを総合的に考えると、マーベラスは何らかの途方もない夢を持った者たちを、
自分の途方もない夢である「宇宙最大のお宝」を一緒に追いかける仲間として勧誘してきたのであり、
仲間たちにはそれぞれの夢があるのは当然という考え方のようです。
ただ、鎧を除いては、仲間となった4人は皆、自分自身の夢は挫折している状態でマーベラスの仲間に誘われて、
マーベラスの夢を手伝いながら一緒に追いかけることで代償的に自分を癒してきたように思えます。

その間、自分自身の夢は封印したような形であったのですが、
第1話で地球まで辿り着いて第3話で小津魁の示唆で「大いなる力」を集めていくという方向性も定まって、
マーベラスの夢がいよいよ現実味を帯びてくるにつれて、
仲間たちの各自の夢も次第に各自の心の中で蠢きだすようになり、
単にマーベラスの夢に協力していた頃とは違う、様々な心の揺れを見せるようになってきたのでしょう。

それが例えばジョーの場合は第4話で見せたような剣の師匠(シド)に対する拘りであったり、
ルカの場合は第6話で見せたようなお金を絶対視する考え方の揺らぎであったり、
アイムの場合は第7話で見せたような強くなりたいという切なる想いであったりしたのでしょう。
ハカセの場合は過去が全く描写されていないので、
序盤のハカセのどのような描写がハカセの夢に関連した心の動きなのかイマイチ判然としませんが、
おそらく第3話で勇気を振り絞ったり、第7話で新しい自分に変わりたいと思うようになったりしたことが
それに相当するのでしょう。

ただ、これらの各自の心の動きはすぐに各自の夢の復活へと直結していくのではなく、
第1クールはむしろ、マーベラス一味の絆が深まっていく様子が主に描かれています。
その集大成が第1クールの締めの第11、第12話のシンケンジャー篇で、
ここで彼らの絆が「共に夢を掴もうとする者同士の絆」だということが明示されます。
そして、その流れを受けて第2クールに入って、第15、第16話のバスコ登場篇で、
「仲間と一緒だからこそ夢を掴むことが出来る」というテーゼが提示されます。

仲間の絆に関する話はここで一段落して、
この直後の「199ヒーロー大決戦」映画から新たな展開となり、
この映画におけるレジェンド戦隊との不思議な交流と、
その直後に仲間に加わったレジェンド戦隊を深く愛する男である伊狩鎧の影響によって、
ハカセやマーベラスはレジェンド戦隊と心理的距離を縮めていきます。

同時に、「宇宙最大のお宝」とは明確に違うベクトルの夢である
「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢を掲げる鎧の加入に伴って、
マーベラス一味のメンバー各自の夢も表面化してくるという流れが生じてきたように思えます。
それが前回の第22話のジョーの「(シドと約束した)子供の夢を守るヒーローになるという夢」の再確認であり、
今回のルカの「子供たちの命を何とかして救いたい」という想いの湧き上りなのであろうと思えます。
これらの夢は、ザンギャック支配下の宇宙では挫折を余儀なくされた夢であり、
鎧の「ザンギャックを倒す」という夢が、
彼らのかつて挫折した夢を復活させる1つのきっかけになったということは十分に有り得ることです。

そして、これらの各自の夢が復活することによって、マーベラス一味の方向性は大きく変わります。
何故なら、マーベラス一味とは、第1クールから第16話までの流れの中で示されたように、
「共に夢を掴もうとする仲間」であり、「仲間と一緒だから夢を掴める」からです。
つまり、仲間の夢は一味の全員が力を合わせて協力して実現させることになるのです。
マーベラスの「宇宙最大のお宝を手に入れる」という夢に他の仲間が協力するのと同じように、
ジョーの夢にも、ルカの夢にも、ハカセの夢にも、アイムの夢にも、鎧の夢にも、
全員が協力していくことになります。

今までのところ、マーベラスの夢を除いては、その輪郭がぼやけていたので、
マーベラス一味は「宇宙最大のお宝を手に入れる」という
マーベラスの夢だけを求める海賊団のように見えていましたが、
他の仲間たちの夢が明確になってきて各自がそれを目指すために動き出せば、
マーベラス一味の方向性はもっと幅広いものとなります。
そして、6人の夢は1つに重なり合って、
地球や宇宙を守って戦うヒーローへと彼らを変化させていく可能性は十分にあるといえます。

「ゴーカイジャー」という物語の1つの大きなテーマは
「地球を守って戦う義理の無い宇宙海賊の一味がどうやって地球を守るヒーローになっていくのか」
という点であるのですが、だからといって、それだけを描いて終わってしまっても仕方ない。
彼らが地球を守るヒーローになった時点で最終回になってしまっては話は中途半端で終わってしまいます。
「本来は地球を守る義理が無かったのに地球を守って戦うようになった宇宙海賊一味」の
地球を守る戦いを描写するのが、実はこの作品の最大の見どころなのだと思います。
彼らがヒーローになっていく過程も面白いが、
ヒーローになってから、この独特の性格を持ったヒーローが如何に戦って
「宇宙最大のお宝」を手に入れて無敵の宇宙帝国ザンギャックを倒していくのか、
そこが最大の見せ場でしょう。

だから、彼らが「地球を守るヒーローになっていく」過程の描写は早いうちに描き切ってしまうと思われ、
おそらく第2クールの終わりまでにその方向性は明確に示してしまうのでしょう。
そして物語の後半、第3クール、第4クールは、「宇宙最大のお宝」を探す宇宙海賊でありながら
地球を守り宇宙を救うために戦うヒーローでもあるゴーカイジャーが
ザンギャックと戦っていく物語が展開されていくのだと思われます。

ならば、第2クールもそろそろ終盤となってきた今回の
ルカの本来の夢の復活は重要なポイントとなるのだと思われますが、
これはなかなか上手くいっていません。

もともとルカは妹のリアのことも、養っていた孤児たちのことも、
何としてもその命を守ってやりたいと願っていたのですが、
とにかく自分が彼らを守ってやらなければいけないという想いが強すぎて責任を1人で抱え込み過ぎてしまい、
それで追い詰められてしまって破綻し、結局彼らを守りきることが出来なかった。
それで絶望してしまい、子供たちを守ることは自分には無理だと思い、その夢は諦めようとしたのです。

そのために「世の中は金で回っているのだから、金が無ければ子供たちを守ることは出来ない。
だからまずは金を貯める。金が貯まるまでは子供たちを守る資格は自分には無い。
だから金が貯まるまではその夢の実行は後にしよう」と思うようにしたのです。
そしてルカは仲間になるように誘ってきたマーベラスと一緒に宇宙最大のお宝を探す旅に出て、
旅をしながらお金を貯めていくつもりで、
いつの間にかマーベラスの夢に付き合うことに夢中になり、自分の夢のことは忘れかけていました。

しかし、地球に来て春日井親子と会った時、
お金だけで子供たちを守ろうとしていたのは間違いだったと気付き、
お金は足りなくても、子供たちを守るためには今出来ることを精一杯やればいいのではないかと
心の中で思うようになっていったのでした。
ただ、「宇宙最大のお宝」を探す生活に慣れ切っていたルカは、
かつての夢を復活させようというきっかけもなく、宝探しと戦いの忙しい日々を送っていたのです。

そこに今回、ミク母娘やマツリやこの重傷の少年との出会いによって、
ルカは昔のように自分の前にある小さな弱い者の命を
何としても守りたいという強い想いが湧きあがってきたのでした。
しかし、これでは単に昔に戻っただけです。
昔、自分を追い詰めすぎて失敗した時と同じ精神状態に戻っただけのことで、
このままではまた同じ失敗を繰り返し、その挙句、また何かが足りないせいにして言い訳して、
夢を諦めてしまうだけです。

今もルカは、かつての孤児たちの時と同じように、妹を救えなかった分、
この少年の命をなんとしても救いたいと必死に思っています。
でも、こんなに救いたいと思っても、自分にはこういう時、
医療的には何も役に立つことが出来ないことが妹の時と同じで、なんとも情けなくて仕方ない。
だから、自分と違って少年に医療行為を施すことが出来るマツリに必死で頼み込むことでその穴埋めとし、
更に自分がこの少年のためにしてやれることはないものかと考え、
バスコの邪魔を排除して何とかこの救急車が病院へ行けるように何かしようと決めます。

そうして「お願い!この子にはアンタがついててやって!ここはあたしが何とかするから!」と
ルカはマツリに必死で言いますが、具体的にどうやってこの状況を打開するか、
良い知恵があるわけではありません。

「でも・・・何とかって・・・?」とマツリは疑問を呈します。
ルカのこの少年を守りたいという気持ちはよく分かったし、
そのためには自分が少年について治療するのがベストな判断であることも分かったが、
しかしバスコは自分が救急車に乗ってこの場を去ることは絶対に許さないだろう。
かといって少年をこの場に自分と一緒に残すわけにもいかない。
とにかく早く病院へ連れていかねばならないのです。
また強行突破しようにも、敵の方が数が多く苦戦は必至で、
突破出来たとしても時間はかかるであろうし、少年の身に危険が及ぶかもしれない。
そうなると結局、ルカの誠意は分かるものの、
最初の自分の判断、つまり自分が救急車を降りることで少年を一刻も早く病院へ送るというのは
ベストではないがベターな判断ということになるとマツリは思いました。

しかしルカはあくまで少年にベストな状況を提供したいという方針にこだわり、
「・・・あたしが囮になる!」と口走ります。
突然そういう考えが閃いたのですが、ルカはそれを慌ただしく頭の中で整理して
「・・・そうよ!・・・あたしがアンタの服借りて、外に出て行くから、そのうちに救急車を!」と
マツリに向かって申し出ます。

が、マツリは下を向いて首を振ります。
どう考えても、そんなチャチな変装で誤魔化せる相手ではなさそうです。
すぐにバレて救急車は止められてしまうだろうと思ったのです。
これは確かに上手くいきそうにない作戦で、いつもは知恵者のルカらしからぬ作戦です。

「無茶です!そんなの、すぐに気付かれてしまいます!」とアイムは反対しますが、
ルカはアイムの反論を遮るように「そしたら力づくでも食い止める!」と言い返します。
ルカも変装がバレる可能性が高いことは分かっています。
だから、もしバレたら自分がそのまま戦って血路を開いて、
その隙に救急車が包囲網を突破出来るようにするつもりなのです。
最終的にはおそらくそうなるだろうとルカは思っており、
そうして戦うことがこの少年のために自分が出来ることだと思っているのです。

しかし、「ルカさん!!」とアイムはまだ食い下がります。
ルカも召喚戦士3人相手に力づくで血路を開くのは難しい、成功の可能性は高くないことは分かっていますから、
アイムが自分のことを心配してくれて無茶を止めようとしているのだと思いました。
しかしルカは、今は自分の身を惜しんでいる場合じゃない、
この少年の命を守るためなら自分が何だってやってあげないといけない、
どうしてそれがアイムには分からないのかと苛立って、
「無茶でも何でも、あたしがやるしかないの!!」と思わず怒鳴りつけました。

が、アイムはそれに対して大きな声で「私もいます!!」と怒鳴り返したのでした。
ルカはアイムに怒鳴られたことなど今まで無かったので、
驚きのあまりアイムの顔を見据えたまま呆気にとられて黙り込んでしまいました。
そして、どうやらアイムが言おうとしていたことは
自分が想像していたこととは違っていたようだと気付きました。

アイムは救急車内で寝かされた少年の方をじっと見るとルカの方を向いて
「・・・この子を救いたいのは、ルカさんだけじゃありません!」と言います。
ルカはハッとしました。
自分は今、少年の命を救うためと言いながら、
アイムのように少年の方を少しでも見ていたであろうかと思ったのです。
いや、自分は少年のことを全く見ていなかった。
ならば、自分は少年のためではなく、
ただ自分のやりたいことを喚いていただけだったのではないのかと思えたのでした。

一方、アイムは少年の方をしっかり見ていた。
アイムが心配していたのはルカのことではなく、あくまで少年のことだったのです。
ルカは華々しく戦えば少年のために何かしてあげた自分に満足することが出来るかもしれない。
が、そうして安易に少年の居る場で戦い始めて、
もし重傷で逃げられない少年の身に危害が及んだらどうするのかということをアイムは心配していたのでした。

だから、とにかく今は、少年をマツリと一緒に救急車に乗せて
確実にこの場から逃がすことの出来る方法を考えなければいけない。
「バレたら戦えばいい」というような乱暴な作戦では困るのです。
アイムがルカに言いたいことは、1人で勝手に全部抱え込んで焦って乱暴な結論を出すのではなく、
自分の意見も聞いてほしいということなのです。
そうして知恵を合わせて、少年のために最良の作戦を考えたいのです。

それなのにルカが1人で抱え込んでしまうのは、
自分がルカから信頼されていないからだとアイムは思っていました。
それがアイムは耐えられず「もっと頼ってください!・・・もっと信じてほしいです」と
声を大にしてルカに訴えました。

アイムは、さっきの突堤での戦いの時、ルカは自分のことを一方的に守るのが当然というような態度で、
自分はひたすら守られてばかりで申し訳ない気持ちになり、モヤモヤしていました。
それはルカが後から海賊団に入って来た自分のことを妹分扱いして可愛がってくれているからであり、
あくまでルカの善意なのだと思って、アイムは自分のモヤモヤした気持ちを押さえ込みました。
今までも似たようなことがあっても、そのようにしてアイムは自分の気持ちを押し殺してきました。
そのように相手の善意に素直に感謝して従うことが正しい生き方だと思ってきたのです。

しかし、こうして傷ついた少年の命を守らねばならない場で、
自分が相変わらず妹分扱いされて意見も聞いてもらえない状況にアイムは耐えられなくなり、
怒りを爆発させることで、自分がどうしてルカの善意に対してモヤモヤした気持ちを抱き続けてきたのか、
ハッキリと分かったのでした。
アイムのモヤモヤの正体は「後悔」でした。

アイムの場合のマーベラス一味に加わる前の本来の夢は何だったのかというと、
それは第13話で何となく分かっています。
ザンギャックに滅ぼされるファミーユ星から1人で逃げるしかなかったアイムは、
その時、ザンギャックに殺されていく星の人々を助けることが出来なかったことを後悔し、
ザンギャックに虐げられている人々を助けるために戦いたいと願っていたのです。
しかし、願ってはいたものの、1人宇宙の孤児となった身で大したことが出来るわけもなく、
無力感に打ちのめされ、いつしかほとんど諦めてしまっていました。

第9話で走に対して、アイムは自分のことを何も出来ない者だと卑下していましたが、
あの頃はまさにそういう心境であったのでしょう。
実際、序盤のアイムは例えば第2話でレンジャーキーを盗んだ少年がザンギャックと戦うと言った時に
無理だと言ったり、かなりマイナス思考に描かれています。
それゆえ、無力な自分が仲間の役に立てていないと思い込んで、
第7話では拳法修行に取り組んだりもしていたのです。

この「役に立てていない」「役に立ちたい」というアイムの想いは、
ファミーユ星が滅びる時に自分は星の人々や家族のために何の役にも立てなかったという
コンプレックスも大いに影響していると思われます。
この第7話の時点では「役に立つ者になりたい」という向上心は見せており、
それはかつて抱いていた「ザンギャックに虐げられる人々を助けたい」という夢の
復活への蠢動のようなものでもありますが、この時点ではまだそれは表面化しておらず、
単に仲間のために役に立ちたいという形で現れていました。

このアイムの夢が輪郭を現してくるのは第13話で、
ザンギャックの大量虐殺計画をたまたま邪魔することになった男が
事件に巻き込まれた不幸を嘆いていたのを励ますために、
人々を守ることが出来ることを幸福だとアイムが言った時のことでした。
その時、アイムは自分がやはりかつてザンギャックにファミーユ星を滅ぼされる時に
戦わなかったことを悔やんでおり、
ザンギャックによって虐げられようとしている人々を助けるために戦うことを
自分が望んでいることに気付いたのでした。

しかし、それ以降もアイムは、その自分の夢を真っ直ぐ目指そうというほど強い気持ちを持てませんでした。
自分はまだ無力で、そんな無力な自分を拾ってくれた海賊団にお世話になっている身です。
もう王女ではない、ただの海賊団の一員に過ぎない。
だから宝探しを一生懸命やって、自分を拾って親切にしてくれている仲間のために役に立つのが
正しい生き方なのだとアイムは自分に言い聞かせていたのでした。

しかし鎧が仲間に入ってきて「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」と宣言して、
それをアイムは素敵な夢だと思いましたが、
マーベラスまでそれを面白がったりしている様子を見ると、
海賊団で自分の夢を目指してもいいのだということがアイムにも分かってきました。

そういう時に今回、ザンギャックの仲間のバスコのせいで傷ついた少年を
何とか救うために戦いたいとアイムは望んだのですが、
ルカが自分のことを信頼してくれずに1人で戦おうとしているのを見て、無性に腹が立ち、
普段は声を荒げたことなどない相手のルカに向かって怒鳴ってしまったのでした。

どうして怒鳴ってしまったのだろうかと考えたアイムは、
自分が腹が立ったのはルカに対してではなく、自分自身に対してだと気付きました。
自分を共に戦うパートナーとして信頼し頼ってくれない相手に抗議することを遠慮し、
自分を優しく守ってくれようとする相手の善意に甘えようとする、
それが相手に対して良い子でいる方法なのだと計算して、いつまでも可愛い妹分として振る舞おうとする、
自分の根っからの末っ子気質に腹が立ったのです。

アイムは滅びる星からたった1人逃げるように命じられたことから考えて、
おそらく王族の中で末の王女だったと思われます。
他の王子や王女は統治階級の責任として戦って星と運命を共にする道を選んだのでしょうが、
ファミーユ星人の国がもし何らかの形で再興する時、王族が全滅していてはいけないという事情で
末の王女のアイムだけは生き延びるよう命じられたと思われます。

何故アイムが生き延びる役目に選ばれたのかというと、それは単に末っ子で、
王族の皆に最も可愛がられ愛されていたから、死なせるのは忍びないと判断されたからでしょう。
つまり、可愛い娘として妹として、皆に愛され守られて、アイムは1人逃げることになったのです。
しかしアイムの本音は、星の人々を守るために自分も父母や兄妹たちと共に戦いたかったのです。
ならば、どうしても戦いたいと主張すればよかったのです。
それでも無理矢理脱出させられたかもしれないが、
最後まで戦いたいと言い続ければ後悔はさほどではなかったでしょう。

しかしアイムは、皆が末の妹である自分を慈しんで戦いから遠ざけて守ろうとする善意を
無碍にすることが出来なかったのです。
それで皆の好意を受け入れて脱出に同意してしまった。
その結果、自分の星の人々がザンギャックに皆殺しにされるというのに
誰も救うために戦うことも出来なかった無力感に苛まれることとなってしまったのでした。
その時の苦い想いが、今こうしてザンギャックに傷つけられた少年を救おうとしているのに、
共に戦いたいと思うパートナーのルカから対等なパートナー扱いされず、
庇護すべき妹分としてしか扱われないもどかしさと重なって感じられたのでした。

ファミーユ星が滅ぼされた時、
アイムは自分を可愛い妹扱いして守ろうとした家族の善意を撥ねつけることが出来ず受け入れてしまい、
人々を守る戦いから逃げたことで取り返しのつかない後悔をする羽目になってしまいました。
もうあんな後悔は味わいたくない、ザンギャックによって傷つけられる人々を救うために戦いたいと
アイムは思いました。

そして、今回少年を守るためにアイムが戦おうと思った時、
かつての家族がアイムにしたように、アイムを妹分扱いして守ろうとし、
アイムを戦いの勘定に入れずに1人で戦うつもりでいるルカの態度に苛立ちを感じたアイムは、
かつて自分が本当は家族に対して一緒に戦わせてくれなかったことに対して
憤りを感じていたことに気付きました。

ならば、あの時、強く抗議して、末っ子扱いはイヤだと駄々をこねて、家族の優しさを撥ねつけて、
一緒に戦いたいと強硬に主張すればよかった。
そうせずに家族の甘い善意を受け入れてしまったのが後悔の原因なのだとアイムは気付き、
ならば、二度と後悔したくないのなら、
もう妹扱いの善意に甘えて受け入れるのはやめなければいけないとアイムは思いました。
そういうわけでアイムは「・・・私は、いつまでも守っていただくばかりの、妹分でいたくありません!」と、
キッパリとルカに抗議の言葉を叩きつけたのでした。

それは、かつての自分のファミーユ王家における「妹」という立場と、
それに起因する苦い後悔の想い出を多分に意識した物言いであったのですが、
言われた方のルカは「妹」という言葉に別のニュアンスで心を深く抉られました。
自分がアイムのことを無意識に死んだ妹のリアと重ねあわせて見ていたことに気付かされたのです。
そのことをキッパリとアイムに拒絶されたような気がして、アイムの言葉はルカの胸に突き刺さり、
ルカは何とも言えない疾しさを感じて「アイム・・・」と言い、アイムを見ながら目を泳がせます。

ルカはアイムが海賊団に入ってきた時、
アイムが滅びた星のたった一人の生き残りの元王女様で、天涯孤独の宇宙の孤児だと聞いて、
かつて自分が養っていた孤児たちと同じように思えたのでした。
そうして何時の間にか、自分と同じように家族を失った悲しみを持った小さく哀れな存在を、
かつて失った妹の身代わりに、その空虚を埋めるように新しい家族に見立てて
守り養っていた孤児たちと同じような感覚で、
ルカはアイムのことを実の妹のように可愛がり、守ってやらねばいけないと思うようになっていたのでした。

しかし、それは自分が勝手に死んだ妹に囚われてアイムにそのイメージを押し付けていただけで、
アイムにとっては迷惑な独りよがりに過ぎなかったのだとルカは思いました。
それは常にアイムを「守ってやるべき弱い半人前」として扱い、戦う仲間として真の意味で信頼していない、
それでいて仲間だとか絆だとか言っている、何とも薄っぺらい関係であったのです。

普段、マーベラス達と一緒に戦っている時にはその欠陥は目立たなかったが、
こうして2人っきりでギリギリの戦いとなった時、
アイムを信頼し頼ることの出来ない自分が独善的な戦い方で自滅への道を走りそうになり、
それをアイムに叱責されるという形で、自分のアイムに対する欺瞞が露呈してしまったのでした。
全ては亡き妹の幻影に縛られた自分の情けなさが招いた結果であり、
知らないうちにアイムに嫌な想いをさせてしまっていたことにルカは恥じ入りました。

マツリはアイムの言葉に動揺するルカを見て、
ルカが昔死なせてしまったという幼い妹をアイムに重ねあわせて接していたのであろうことを理解しました。
つまり家族を失ったルカにとってゴーカイジャーは擬似家族のようなものだったのです。
それは同様に家族を失ったアイムにとっても擬似家族であったのですが、
マツリはアイムの生い立ちは知りませんので、そこまでは分かってはいません。

ただ、アイムは擬似家族の心地よさに安住するのを脱しようとして初めてルカに反抗し、
ルカはアイムの思わぬ自己主張を受けて、
自分が擬似家族の心地よさに安住していたという事実を突きつけられたのでした。
ルカがそうした事実を突きつけられて狼狽えているということはマツリには分かっていたのでした。
何故なら、擬似家族はしょせんは擬似であり、まやかしに過ぎないということはマツリにはよく分かるからでした。
それはゴーゴーファイブが本物の生きている家族の戦隊だったからです。

生きている人間は絶対的な存在ではない。長所もあれば短所もある。
そして成長していくにつれて長所は伸びていき短所は根深くなっていきます。
過去の想い出の中で永遠に変わらない存在とは違うのです。
幼い頃に死んだルカの妹のリアは永遠に「ルカに守られなければ生きていけない弱い妹」のままであり、
想い出の中のルカ自身は「妹を1人で守らなければならなかった姉」のままなのでしょう。
しかし、現実世界で生きている人間は成長し変わっていくのです。
リアが仮に生きていたとしても、ずっと「守られるだけの弱い妹」であるはずはない。
リアは死んだから、ずっと弱い妹のままのイメージで変わらないだけなのです。

生きている人間はそうではない。
マツリにとっても幼い頃は兄たちは絶対的に頼れる存在で、
自分は兄たちにいつも大事にされて守られていました。
しかし成長するにつれて、兄たちは決して絶対的存在ではなく、長所もあれば短所もあり、
いろいろ失敗しながら常にいっぱいいっぱいで生きている弱い存在だと知りました。
特に、父と母が突然いなくなった後、狼狽える兄たちを見て、
兄たちの弱さをまざまざと見せつけられたのでした。

でも、そんな弱いクセに、兄たちはいつも自分のことを守ろうとしてくれていたのです。
だから、兄たちが本当は弱く情けないと知った時、
むしろマツリにとって兄たちは真の意味で絶対的に信じられる存在となったのです。
そして父や母がいなくなって同じように狼狽えて弱さを曝け出していたマツリ自身も、
自分も今のままではいけない、自分もしっかりして
そんな兄たちを心の底から守り支えたいと思うようになったのでした。
そして自分が兄たちに対して感じたような絶対的な信頼感を兄たちにも感じさせたいと
思うようになったのです。

その時、マツリは初めて兄たちと真の意味で、
信じ合い助け合うことの出来る本物の家族になれたのだと思ったのでした。
それが母が言っていた「信じ合うのが家族です」という言葉の通りの、
ごく普通の本当の家族の在り方であり、
その家族の在り方を災魔との人の命を守るための戦いの中で再確認していくことで、
ゴーゴーファイブは戦いに勝利することが出来たのでした。
生きている普通の家族はそういうものであり、信じ合い助け合うから強いのです。
だからゴーゴーファイブも強かった。

しかし、ルカの中ではゴーカイジャーは擬似家族であり、
死んだ幼い妹との家族の想い出しかないルカは、成長した家族同士の信じ合い助け合う関係というものを知らない。
だから自分の擬似家族であるアイムに幼くして成長せずに死んだ妹との関係を投影して、
自分が1人で何でも背負い込んで守ってやらねばいけないと思ってしまっていたのです。
しかしアイムは幼いリアではない。常に成長し、姉貴分であるルカの弱さを知って、
ルカを守り支えたいと思うようになったのです。
だからルカの擬似家族観はまやかしだと露呈してしまったのでした。

そのことにマツリも気付き、ルカもそのことは自覚せざるを得ませんでした。
「そうだね・・・そうだよね!・・・アンタは、あの子とは違うんだもんね・・・」と
ルカは寂しそうにアイムに向かって言います。
それを聞いてアイムはハッとした顔で目を伏せます。
ルカが自分に死んだという妹を重ねあわせていたことに気付き、
そんなルカに向かって、妹でいることを強く拒絶するようなことを言ってしまい、
ルカを深く傷つけてしまったのではないかと思ったのでした。
アイムは単に自分のすぐ妹分に甘んじてしまう性格を否定し改めるために声を荒げたのですが、
それが思わずルカの昔の辛い記憶を抉るようなことになってしまったのではないかと、
申し訳ない気持ちになったのでした。

しかしルカはひたすら我が身を反省していました。
死んだ人間のイメージを生きて成長していく人間に投影していた自分の愚かさが身に染みたのでした。
死んでいく妹に何もしてやれなかった無力感を解消したいばかりに、
自分は守るべき相手を勝手に「何も出来ない無力な存在」と決めつけて、
自分1人で相手を守ってやろうとしたのです。
心の奥では、そうすることで、自分に対する誇りを取り戻すことが出来るという
独りよがりな考え方に支配されており、本当に守るべき相手のことを考えていたわけではなかった。
自己満足だったのです。

その失敗はアイムに対してだけではない。
孤児たちも自分1人で養おうとして、結局背負い込み過ぎて失敗し、死なせてしまったのです。
彼らが何か仕事をしたり稼いだりして家計を助けてくれるような才覚があると信じることすらしなかった。
ただひたすら自分が稼いで養うということしかルカは考えなかったのです。
食料が手に入らず困り果てた時もルカは最初は強がり、
そしてどうしようもなくなったら彼らに謝り泣くばかりで、
結局彼らにどうしたら生きていけるのか相談しようとはしなかった。
また、周囲の人間に助けを求めようともしなかった。
最後まで自分で背負い込み破綻させてしまったのです。

それは自分が結局、彼ら孤児たちを1人1人の生きた人間として見て信じようとはせず、
死んだ妹の代わりとしてしか見ておらず、
自分のことをいつまでも「妹を1人で守るべきだったのに守れなかった無力な姉」としてし
か見ることが出来なかったからでした。
その失敗にその時本当は気付くべきだったのです。

が、ルカは失敗はお金が足りなかったせいだと決めつけ、
お金を貯めて子供たちを救う夢を叶えようと考えるようになりました。
それは結局はお金を貯めるという行動に逃げて、夢から遠ざかろうという行動だったということは、
春日井親子の一件の時に気付かされました。
しかし、本当はその時、小牧の言葉から本当に一番大事なことをルカは学んでいたはずだったのです。
それは「お金が無くなっても一緒に頑張っていくことが出来れば幸せな家族になれる」ということでした。

あの時、小牧がそういうことを言って春日井親子が抱き合った時、
ルカはその空気を苦手だと言って去っていったのですが、
それをルカが苦手だと感じたのは、それがルカに最も欠けていた感性であったからです。
そして、だからこそ、それはルカにとって最も必要な考え方でもあったのです。

しかし、せっかく学んだその小牧の言葉を生半可にしたまま、
ルカは今回、再び、重傷の少年に妹のイメージを投影して、自分1人で守らないといけないと思い込み、
また失敗して少年を死なせてしまうところでした。
そして、それによってルカは再び絶望して夢を諦めてしまうところでした。

その危ないところでルカはアイムの「信じてほしい!頼ってほしい!」という
切なる願いを聞くことによって救われたのです。
アイムの言葉によって、死んだ妹との家族の想い出しかないルカでも、
小牧から生きて成長していく本物の家族の在り方、
すなわち「信じ合い助け合うのが本当の家族だ」ということを学んでいたことを
想い出すことが出来たのでした。

だから、目の前の命を本当に救いたいと思うのならば、自分1人で全部抱え込んではいけない。
アイムを信頼して、アイムに助けを求めなければいけない。
かつてはその一言が言えずに、孤児たちを死なせてしまった。
いや、リアももしかしたらそれで死なせてしまったのかもしれない。
自分が妹を守らなければいけないという想いが強すぎて、視野が狭くなっていたのかもしれない。
もうそういう過去の自分は乗り越えなければいけないと思い、
ルカは「どうしようアイム!どうしたらいい!?」と、
今まで言えなかったセリフを遂に口にすることが出来たのでした。

アイムはルカに酷いことを言ってしまったと思い、下を向いていましたが、
ルカがその自分を頼って相談してきてくれていると知り、顔を上げてルカの言葉を聞きます。
そして、その信頼に応えるために懸命に考え込み、
ハッと何かに閃いたようにルカの方をキッと見つめます。
何か名案が浮かんだようです。

マツリはそうした2人の様子を見て、
ゴーカイジャーが本当に血の繋がった家族ではない擬似家族ではありながら、
人の命を救うために信じ合い助け合う、ゴーゴーファイブと同じ、本物の家族になったのだと感じました。
そして、その本物の家族の力、すなわち「互いの力を合わせ信じ合い助け合う心」こそが、
ルカとアイムの「ザンギャックに傷つけられた小さな命を守りたい」という今まで叶わなかった困難な夢を
叶えることを初めて可能とするのだと確信したのでした。
1人で背負い込むことで限界を感じて諦めてしまっていた夢でも、
家族や仲間と信じ合い助け合うことで叶えることはできるのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:09 | Comment(0) | 第23話「人の命は地球の未来」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月03日

第23話「人の命は地球の未来」感想その5

さて、救急車から少し離れた地点でマツリが出てくるのを待っていたバスコは、
先ほどマツリがすぐ出てくると言ってから数分が経って、そろそろしびれをきらせてきました。
すぐに出てくると言った割には時間がかかりすぎています。
もしかして、時間を引き延ばしてマーベラス達が来るのを待とうという作戦なのかもしれないという疑惑が
バスコの頭の中に生じてきました。

時間を引き延ばすということは、その分、少年の病院への搬送が遅れるわけですから、
救命士のマツリがそんな作戦を選ぶはずはないと思って、当初はそれは考慮外でした。
しかし、もしかしたら救急車内ではルカとアイムが主導権を握ってマツリを従わせている可能性もあります。
もしそうなら面倒なことになると思い、バスコは少し焦り始めました。
「・・・しょうがない!・・・力づくってのは趣味じゃないけど!」と、バスコは銃を構えて救急車に狙いを定めます。
まずは威嚇射撃で一発当て、それでも反応が無ければ召喚戦士3人を強行突入させて
ルカとアイムを排除してマツリを連れ出すつもりでした。

その時、救急車の後部ハッチが開きました。
(ん?)とバスコが見ると、後部ハッチを開けて中からマツリが降りてきます。
固い表情をして無言のまま地上に降り立ったマツリは後部ハッチを閉め、数歩バスコの方へ進んで立ち止まります。
同時に救急車が発進します。
バスコはニヤリと笑って銃を下ろし、召喚戦士たちに進路を開けさせて、
救急車を通してやり、この場を去らせてやりました。

どうやら結局、マツリがルカとアイムを押し切って、1人で救急車を降りてきたようです。
そしてルカとアイムは邪魔をしないように救急車の中に居るように言われたようです。
ならばバスコとしても、心変わりしてまたルカとアイムが邪魔できないように、
ルカとアイムを載せたまま救急車はこの場をさっさと去らせた方がいい。
そして誰も邪魔の入らないうちに、さっさとマツリから「大いなる力」を奪ってしまおうと、
「そんじゃあ遠慮なく!」とバスコはラッパラッターを取り出すと、
マツリの方に向けて咥えて、例の変な音を立てて息を吸い込み始めます。

しかし、ヒュウガの時のようにマツリの身体には何の異変も起きません。
「・・・あれ?」とバスコはラッパラッターに何か異常でもあるのかと思い、
口を離してラッパラッターをじっと見ますが、特に異常がある様子も無い。
首を傾げてバスコは再びラッパラッターを咥えて息を吸い込んで、
「大いなる力」をマツリの身体から吸い出そうとしますが、
吸っても吸っても、やはりマツリの身体から「大いなる力」らしきものは出てきません。

バスコはさすがに異常に気付き、ラッパラッターを吸うのをやめて口を離し、マツリを睨みます。
何かマツリが細工をしているに違いないが、いったいどういう細工なのか、バスコには見当がつきませんでした。
バスコは冷たい笑いを浮かべますが、その笑いは歪み、目は笑っていません。
そのままマツリの方に歩み寄り、バスコは「おい、お姉さん!・・・アンタ・・・大いなる力をどうした?」と、
凄味を効かせて問い質しますが、マツリはバスコを小馬鹿にしたようにニッコリ笑うと、
「どうもしていません!」としらばっくれます。

バスコはフンと鼻で笑うと、問答しても埒が明かないと悟ったのか、
いきなりラッパラッターを持った手でマツリに殴りかかります。
「力づくが趣味じゃない」とか言ってたので案外フェミニストなのかと思ったら、
いきなり凶器で女性の顔を殴りつけようというのですから、とんだ大嘘つきです。

マツリはそのバスコの手を受け止めると弾き返し、
バスコが更に弾き飛ばされた手を返して裏拳で顔を殴ろうとするのをしゃがんでかわし、
逆の手でバスコが殴りかかってくるのをまた下から受け止めます。
ここはバスコもかなり執拗ですが、マツリもよく反応して防いでいます。
しかし、そこでバスコの蹴りがマツリの脇腹に入って、マツリは弾き飛ばされますが、
これはわざと跳んだような感じで、地面に転がって身を起こしたマツリはダメージはほとんど受けていません。

ここでバスコは、いくら元レジェンド戦士だといっても
今は実戦からは遠ざかっているはずのマツリの動きがあまりにキレが良すぎることに違和感を覚えました。
一応バスコは本気で攻撃したのです。それなのにマツリはまるでダメージを負っていない。
これではまるで現役で今でも連日実戦をこなしている戦士の動きです。
そう考えた時、バスコはある可能性に気付いたのです。
これは実はマツリではなく、別人なのではないかという可能性です。
「お前は・・・!?」とバスコは思わず口にします。

すると、マツリはすっと立ち上がり、なんと変身したのでした。
しかもゴーピンクではなくマジピンクです。
といっても、バスコにはゴーピンクだのマジピンクだの、いちいち細かい区別はつかないようですが、
とにかく変身したということは、これはマツリではなく、ルカかアイムなのだろうということは理解出来ました。
しかし、さっきまでは確かにマツリの姿でした。
これはいったいどういうことなのだろう?とバスコは唖然として目の前の桃色の戦士を見つめます。

すると、そこに突然、ゴーカイイエローが跳んできて、バスコに向かって飛び蹴りをかまし、
慌てて間に入ったサリーが身を挺してバスコを庇い、
ゴーカイイエローは弾き返され、くるっと空中で回転してマジピンクの傍に着地し、
不意打ちが不発に終わって悔しそうに腕を振ります。

ゴーカイイエローはルカだから、そうなるとマジピンクはやはりアイムということになる。
ルカは走り去った救急車がバスコから見えなくなった地点で救急車から変身して飛び降りて、
ここまで舞い戻ってきたのでしょうが、
アイムはやはり最初に後部ハッチを開けて降りてきたマツリに化けていたということになります。
案の定、着地したルカの横に「ルカさん!」と身を寄せたマジピンクは、
その変身を解いてゴーカイピンクへと姿を戻します。これはやはりアイムでした。
しかし、そのアイムが最初にマツリの姿に化けていた、その方法が分からないバスコは
相変わらず不思議そうな顔をして、「・・・やるじゃん!・・・一体どんな手を使った?」と質問してきます。
それに対してルカは得意げに「ズバリ!魔法よ!」と答えます。

さっき、救急車の中でルカがアイムに打開策を相談した時、アイムが思いついた作戦がこれだったのです。
それは、一旦ゴーカイピンクに変身したアイムが更に多段変身でマジピンクに変身し、
「マージ・マジーロ」の変身呪文で目の前のマツリとそっくりな姿に変身し、
マツリになりすまして救急車を降り、約束を守ったように見せかけて
救急車を本物のマツリと重傷の少年を乗せたまま出発させてこの場から離脱させるという作戦でした。

つまり基本的にはルカが最初に言った「マツリに変装してバスコを騙す」という作戦と同じなのですが、
単なる変装ではなく、魔法を使っての全く同じ姿形への変身ですから、
最初から一定の時間バスコを完全に騙すことに成功し、救急車をこの場から逃がすことに成功したのでした。
もちろんずっと騙し続けることは出来ず、
ちょっと経てば本物でないことはバレてしまい戦う羽目にはなるのですから、
ルカは救急車が現場から離れた後、すぐに変身して車を飛び降り、
アイムの加勢をするために戻ってきたのでした。

これはつまり、魔法戦隊のピンクであるマジピンクならではの
「何にでも変身できる」という特殊能力を有効活用した鮮やかなトリックだったのでした。
なお、他に変身能力を持った戦士としてはゴセイブルーなどもいますが、
今回は兄妹戦隊への豪快チェンジがコンセプトになっており、
しかもアイムが変身するわけですから、やはりピンクが良いわけで、
そうなるとマジピンクしかここは有り得ないわけです。

ちなみにこのマジピンクの変身魔法は、「マジレンジャー」本編では
必ず身体の一部にピンク色が残ってしまうという欠陥があったのですが、
このアイムの変身したマツリにはそういう欠陥はありませんでした。
どうやら、あの欠陥は魔法そのものの欠陥なのではなく、芳香のふざけた性格のせいであったようです。

ただ、この方法、視聴者目線で見ても意表を突かれた鮮やかな作戦ではありましたが、
さすがにアイムが変身魔法を解いてマジピンクの姿になった瞬間、
視聴者目線では「なるほど、マジピンクの変身魔法を使ったわけか!」と作戦内容はほぼ理解出来ました。
それは視聴者である私がマジピンクの変身魔法のことを知っていたからです。
もちろん小さい子供の視聴者など、マジピンクのことを知らない視聴者も多いと思うので、
わざわざルカによる説明と車内での回想シーンを入れる必要があったわけですが、
少なくともアイムは自分の受け持ち戦士であるマジピンクの変身魔法のことを知っており、
ルカもアイムに言われて思い出す程度には知っていたようです。

ところがバスコはマジピンクの姿を見ても、まだ変身魔法を使ったということに気付かなかった。
それはつまり、バスコがスーパー戦隊の戦士たちの個々の能力について、あまり把握していないということです。
バスコは宇宙最大のお宝にしか興味は無く、レンジャーキーも大いなる力も、その内容には興味は無く、
単なる宇宙最大のお宝を手に入れるための道具としか見なしていません。
それが今回、レンジャーキーや大いなる力の中身をしっかり把握しているゴーカイジャーとの決定的な差となって、
出し抜かれる敗因となってしまったのでした。

「そ〜んな手があったとはねぇ!・・・覚えとくよ!」と虚勢を崩さず余裕を見せるバスコでしたが、
見事に出し抜かれた屈辱は深く、このままでは済ますつもりはありません。
指をパチンと鳴らし、3人の召喚戦士をルカとアイムに向けて襲い掛からせます。
こうなったら腹いせにルカとアイムを倒してしまおうという腹積もりです。
ルカとアイムもこの場に残ったということはこうなることは覚悟の上ですから、迎え撃ち、
3度目のレンジャーバトルの開始となります。

救命士のマツリを重傷の少年の傍に置いて病院へ向かわせるためには
ルカとアイムがバスコのいる現場に残ることになり、その結果、戦わねばならないことは、
病院へ急ぐ救急車内のマツリも当然、承知しています。
マツリは少年への処置を施しながら
「頑張って!今、肝を助けるためにゴーカイジャーも戦ってるわ!」と少年に声をかけます。

かつてはマツリ達ゴーゴーファイブも怪我人の救助や搬送を消防隊や救急隊に任せて、
消防隊や救急隊が自由に動けるように災魔の怪人と戦っていました。
それも1つの役割分担をした上での信頼関係に基づいた助け合いでした。
同じ命を助けるために心を1つにした一種の「家族」だったのです。
だから、救急隊の隊員は、自分も患者も、そしてゴーゴーファイブも共に戦っているという意識で、
ゴーゴーファイブの頑張りが自分達の励みになるのと同様に、
患者にとってもゴーゴーファイブの頑張りが励みになると思い、
「ゴーゴーファイブも戦っている」と言って意識の混濁した患者を励ましていたのでした。

そして今、マツリがその救急隊の立場となり、
ゴーカイジャーがかつてのゴーゴーファイブの立場となって戦い、
共に1人の少年の命を救うために役割を分担して信じ合い、助け合う「家族」になっている。
マツリは少年に呼びかける言葉にゴーカイジャーの名を使うことで、
ゴーカイジャーをゴーゴーファイブの力を受け継ぐべき「家族」の一員、
スーパー戦隊の1つとして認めたのでした。

さて戦いの方は、ルカはリオとメレの2人を相手に戦い、アイムはズバーンと戦っていました。
レンジャーバトルとはいっても、リオとメレは本編の大部分は敵キャラであり、
ズバーンも本来は得体の知れないプレシャスであり、
3人とも、正義のヒーローとして造形されたキャラではありませんから、
過去2回のレンジャーバトルほどの強烈な違和感は無く、普通に敵怪人と戦っているようには見えます。
ただ、見た目は悪者でも、強さに関してはレジェンド戦士の中でも上位の方にある3人ですから、
召喚戦士といえども1対1や、1対2で相手にするのはかなり骨の折れる相手です。

これは普通に戦っても分が悪いと思ったルカとアイムは、早々に武器交換をして、
ルカは二刀流、アイムは二丁拳銃の最も得意なスタイルとなります。
ところがレムリアの宝剣がベースとなっているズバーンの装甲はやたら頑丈で、
アイムの放ったゴーカイガンの銃弾をことごとく弾いてしまい、アイムは肉弾戦に持ち込まれてしまいます。
銃が通じず肉弾戦となると逆に両手に銃で塞がれているアイムの方が不利になってしまいます。

一方ルカの方は2本のゴーカイサーベルをワイヤーで操って振り回し、リオとメレを攻撃しますが、
リオとメレはこのゴーカイサーベルの波状攻撃を受けながら、全てガードしてダメージを受けません。
やはり臨獣拳の達人の2人は格闘能力が別次元です。
逆にメレが口から臨気弾を放ってルカを攻撃してきて、ルカはこれをゴーカイサーベルで弾いて防御しますが、
そうしてメレに意識が向いた隙をついてリオが突っ込んできて
臨気の込められた拳、肘、蹴り、掌底の高速連続技でルカを叩きのめします。ここのリオ様の動きが凄い。

ルカはリオの攻撃を喰らって吹っ飛ばされ、
アイムもまたズバーンに腕を掴まれて蹴りを喰らい吹っ飛ばされます。
ちなみにズバーンは蹴り技主体で戦う戦士で、ここでも主にアイムを痛めつけているのは蹴り技です。
そして同じ場所に吹っ飛ばされて集まったルカとアイムの2人が起き上がろうとするところに、
リオとメレとズバーンの3人は並んで攻撃してきます。

リオは先ほどの臨気を弾丸状に練り上げて敵に向けて放つ剛勇吼弾で、
メレも同じように臨気を練り上げて放つ技で連携攻撃します。
そしてズバーンも何故か同じようにエネルギーを弾丸状に練り上げて放ちます。
ズバーンは「ボウケンジャー」本編ではこんな技は使っていなかったと思うのですが、
これは臨気ではなくズバーンそのものに秘められたレムリアの聖剣のパワーを練り上げて発射したものと解釈し、
まぁズバーンの不思議能力の一環ということで納得することにします。

この同時攻撃を喰らったルカとアイムは吹っ飛ばされて宙を舞い、
そのダメージで空中で変身解除して落下していきます。
すると、そこに間一髪、マーベラス達、男性陣4人が駆け込んできて、
ルカをマーベラスが、アイムをジョーが、それぞれお姫様だっこの形でキャッチして、
2人が地面に激突するのを阻止して守ったのでした。

ジョーはすぐにアイムを静かに地上に下ろしますが、
マーベラスはルカを抱っこしたまま「よお!待たせたな・・・」と何やらカッコをつけています。
しかし男性陣があまりに遅いので怒り心頭のルカは
「待ったわよ!!」と怒鳴ってマーベラスを叩き、自分で地上に下ります。
「ゴメン!ちょっと色々あって・・・」とハカセは顔をこすりながら謝ります。
化粧を落とすのに時間がかかって遅れてしまったのですが、
遅刻したと思って慌てて駆け込んできたところ、ゴーゴーファイブの人はおらず、
なんとルカとアイムがバスコ一味と戦っており、皆、何がどうなっているのやら分からず驚いていました。

ただ、おそらくバスコが現れているということは
ゴーゴーファイブの大いなる力を狙って現れたということであり、
そのゴーゴーファイブのマツリがこの場にいないということは、
ルカとアイムが機転をきかせて安全な場所へ避難させたということでしょう。
ならば劣勢な状況でルカとアイムが戦い続ける必要は無いはずなのですが、
それでも2人が逃げずに戦い続けているということは、
何か2人なりの戦う意義があってのことなのだと男性陣は感じました。

それで「ここからは、俺たちにも手伝わせてください!」と鎧は申し出ます。
それに対してアイムが「はい!よろしくお願いします!」と頭を下げるのを見て、
ジョーはアイムとルカが自分と同じように何かお宝以外にも戦う意義を見出したのだと感じ、
「フッ・・・任せろ!」と少し笑って応じて気合を入れます。

そこにバスコが召喚戦士たちを引き連れてやって来て
「ヤッホー!マベちゃあん!また俺に会いに来たのぉ?」と、相変わらずふざけた口調で挑発してきます。
マーベラスは憎むべき裏切り者の挑発に怒りの形相で一歩前へ出ますが、
ルカが「マーベラス・・・!」と制止するように言うと、
フン!と鼻で笑い「分かってる!」と言って、自分よりも更に1歩前へ出ていた鎧の襟首を掴んで引っ張り戻し
「今日は人助けしねぇとな!」とニヤリと笑います。

過去にバスコに裏切られたマーベラスよりも、
レンジャーキーを悪事に使うバスコを許せない鎧の方がバスコに対して攻撃的であるのも面白いですが、
ここでマーベラスまでも「人助け」という今回のお宝ナビゲートのテーマに引っ掛けて、
「助け合い」モードになっているのが興味深いです。
バスコへの個人的復讐よりも、マーベラスの中では
仲間同士のそれぞれのやろうとしていることを助け合うことの方が優先されてきているようです。
もともとゴーカイジャーはそういう戦隊なのですが、
ことバスコへの復讐となると、そちらを優先する傾向が強かったマーベラスも、
バスコへの復讐よりも仲間同士の助け合いの方を重視するようになってきているようです。
それは、それだけ最近、より仲間同士の絆が強くなってきているからですが、
それだけでなく、各自のやりたいことが表に出るようになってきたことも影響していると思われます。

ここで6人はゴーカイジャーへ豪快チェンジします。
今回は個人名乗りは省略で全体名乗りだけ。
バスコはそれに対してまだ隠していたゴーミン部隊を繰り出して、
3人の召喚戦士との混成部隊でゴーカイジャーと戦わせます。
ゴーカイジャー6人に対して、いかに強いとはいえ召喚戦士が3人だけでは、分が悪いと判断したのでしょう。
「派手に!」「参りましょう!」とルカとアイムが真っ先に駆け込んでいき、
マーベラス、ジョー、ハカセが続き、鎧は「な・・・なんでゴーミン!?」と、
バスコがゴーミンを操っていることに驚きつつ、後に続きます。

そうして乱戦となりますが、ゴーミン達を倒していきながら、次第に戦いは3つの局面に絞られていきます。
まずリオに対してはマーベラスとジョーとハカセがあたり、
メレに対してはルカとアイムがあたり、ズバーンとは鎧が戦うことになりました。
まぁ3人の召喚戦士の強さの順番からいうと順当な割り振りといえます。
さっきズバーンにアイムが苦戦したのは武器の選択ミスが大きな原因であり、
鎧はゴーカイスピアをスピアモードにして、力押しでがっぷり四つに組んで戦います。
真に厄介なのはリオとメレの2人で、
特にリオは男性陣3人がかりを相手にしても互角に戦うだけの力を持っています。

一方、メレの方もルカとアイムを相手に互角に戦い、口から臨気弾を連射して2人を吹き飛ばします。
「大丈夫、ルカ!?」とハカセが駆け寄り、更にマーベラスとジョーも倒れた2人に駆け寄ってきて、
局面は5対2となります。
むしろ3対1と2対1に分かれているよりも、
5対2の方が心を持たずチームワークに弱点を持つ召喚戦士相手には戦いやすい。
更にアイムは先ほどから喰らっているリオとメレの臨気技の気持ち悪さから、あることに気付き、
「これでいきましょう!」とゴーカイバックルからレンジャーキーを取り出します。
それはゴーピンクのレンジャーキーでした。
5人はそれに応じて、ゴーゴーファイブのレンジャーキーを取出し、
「豪快チェンジ!!」と叫びモバイレーツに挿し込み、ゴーゴーファイブに変身します。

ここでレジェンド回恒例の、「ゴーゴーファイブ」本編OPテーマのインスト版がかかり、
「ゴーゴーファイブ」本編と同じ燃え盛る変身バンク画面の中で、
5人がオリジナルと同じように火消装束の半纏をバサッと纏うようにエネルギー体を「着装」し、
ヘルメットが展開して頭部を覆っていくという演出がなされます。
オリジナルでは素顔の巽兄妹の頭部をヘルメットが覆っていくのですが、
ここでは既にゴーカイジャーのメットを装着した5人の頭部を
更にゴーゴーファイブのメットが覆っていくという、ややシュールな画となっています。

ただ、その後、5人が並んで正面を向いたところで一瞬、
ゴーゴーファイブ特有の演出「顔透け」があったのが嬉しい。
ゴーゴーファイブのスーツやメットは消火作業時の特殊防護服をモチーフとしているので、
前面ゴーグルの奥にある素顔が透けて見えると言う演出が多用されたので有名な戦隊なのです。
それが今回、マーベラス達5人の素顔が透けて見えるという形で再現されたのでした。
主題歌や変身バンクの再現に加えて、これはサプライズで、ますます燃えます。
これはもしかして、ゴーオンジャー篇の時はメットオフ演出があるのかもと、ついつい期待してしまいます。

一方、その後の名乗りは「救急戦隊!ゴーゴーファイブ!」とシンプルなもの。
あの暑苦しい「人の命は地球の未来!燃えるレスキュー魂!救急戦隊ゴー!ゴー!ファイブ!出場!!」という
オリジナルの名直りではありませんでした。
どうもレジェンド回における当該戦隊の名乗りの場合、
オリジナルのキャッチフレーズ入りの正式名乗りはやらない方針のようです。
やはりオリジナル名乗りは、オリジナル戦士のパーソナリティーがあってこそ成立するものなのでしょう。
確かにレスキューでもないマーベラス達が「燃えるレスキュー魂!」とか言ってもおかしいです。

ゴーレッドにはマーベラス、ゴーブルーにはジョー、ゴーグリーンにはハカセ、
ゴーイエローにはルカ、ゴーピンクにはアイムが変身しており、
ゴーゴーファイブも5人版のゴーカイジャーと配色が同じ戦隊です。
第6話でルカがゴーイエローに変身したことはありましたが、
5人揃ってゴーゴーファイブに変身するのは初めてです。

名乗りのシーン、敬礼をするのがゴーゴーファイブの決めポーズで、
ここでも5人は名乗りを上げながら敬礼をしますが、
ハカセ(というより竹内さん)のゴーグリーンだけ相変わらず変なポーズをとってます。
両手を額に添えた挙句、そのまま片手を前に突き出し、片足を後ろに突き出す、
ふざけているとしか思えないポーズです。
まぁ今後もどんなポーズで笑わせてくれるのか楽しみです。

さて今回、ゴーゴーファイブへの豪快チェンジが選択されたのは、もちろんゴーゴーファイブ篇だからです。
が、ここまでにファイブマンとマジレンジャーという2つの兄妹戦隊への豪快チェンジで統一していたので、
ここでゴーゴーファイブを持ってくることで兄妹戦隊を全部制覇という綺麗な形に収まり、
また、5人戦隊のゴーゴーファイブの場合に余ってしまう鎧をズバーンと一騎打ちという形で
別戦線に置き、余ってる感を見せないように演出されているのも巧かったです。
まぁ、これはギンガマン篇の時もやってた手ですが。

そして、このゴーゴーファイブへの豪快チェンジは、いつものことですが、
今回もちゃんとバトルにおける必然性もあります。
リオとメレがすかさず発射した臨気弾の爆炎をものともせず、
5人は炎を突っ切ってリオとメレに突っ込んだのでした。
この炎を突っ切るというのがいかにもレスキューソルジャーのゴーゴーファイブらしい演出ですが、
問題はここでは炎よりも、さっきまで散々吹っ飛ばされてきた臨気弾を完全に克服していることです。
これはゴーゴーファイブのスーツの特有の性質によるものです。

ゴーゴーファイブはもともと巽兄妹の父である巽世界博士が宇宙に存在するマイナスエネルギーを発見し、
それが地球に大災厄をもたらすことを予測して、
それに備えて人々を守るために装備を研究開発して生まれた戦隊です。
よって、ゴーゴーファイブのスーツはマイナスエネルギーに対する耐性が極めて強い。
そのマイナスエネルギーというのは、負のエネルギー、邪悪なエネルギーであり、
人々の嘆きや苦しみがその発生源となっています。
一方、リオやメレの使う臨獣拳の力の源となっている臨気という精神エネルギーも、
人々の嘆きや苦しみでその勢いを増す邪悪なエネルギーであり、一種のマイナスエネルギーと思われます。
以前に臨獣拳と対になる正義の拳法である激獣拳の修行を少ししたことのあるアイムは臨気の邪悪な性質に気付いて、
ゴーゴーファイブの装備のアンチマイナスエネルギー性質が有効ではないかと考えたのでした。
ゴーゴーファイブの装備のそうした特性については、おそらく鎧の「スーパー戦隊大百科」で学んだのでしょう。

そうして臨気の炎を突破してきたマーベラス達の素早い動きを予測していなかったリオとメレは
防御体勢を整えるのが遅れ、
そこを一気に5人はゴーゴーファイブの薙刀状の共通武器であるブイランサーを振るって襲い掛かり、
刃にプラスエネルギーを集中させて斬るブイスラッシュという技をリオとメレに炸裂させます。
これによってリオとメレの臨気の外装は斬り裂かれて、
奥深くまで大きなダメージを喰らわせることに成功したのでした。

一方、鎧とズバーンの戦いの方は、階段での一進一退の攻防の中で
ズバーンの一瞬の隙を見つけた鎧がゴーカイスピアの一突きでズバーンを階段から突き落とし、
着地してバランスを崩しているズバーンに追い打ちをかけた鎧の渾身の一撃が
遂にズバーンの身体を斬り裂いたのでした。
これで鎧の優勢は決定的となります。

そして、マーベラス達は劣勢となったリオとメレに向かって
ゴーゴーファイブの大技「ブラザーシップスマッシュ」を放ちます。
これはメンバーの1人を他のメンバーが持ち上げて敵に向けて投げつけて、
その投げられたメンバーが投げられた勢いを利用して敵に接近しつつ攻撃するという技で、
武器を持ったまま投げられるパターンも多かったが、素手でパンチやチョップを喰らわす場合も結構ありました。
今回はルカとアイムが男性陣3人に持ち上げられて素手のまま投げられるパターンであり、
投げられたルカとアイムはリオとメレにプラスエネルギーを込めたパンチを炸裂させ、吹っ飛ばします。

そこに鎧にやられたズバーンも逃げてきて、
「ど〜んなもんよ!」と腕をブンブン振ってゴーカイジャーの姿に戻ったルカとアイムが手を叩きあい、
そこに同じくゴーカイジャー姿に戻ったマーベラス達も集まって、
リオ達3人の召喚戦士を追い詰め、いよいよトドメとなります。
ズバーンを追って5人に合流した鎧が「さすが5人の合体必殺・・・」とまた興奮して講釈を始めようとするのを
「うるさい!」とルカが肘打ちして黙らせ、苦しげに咳き込んだ鎧は
「さて!トドメといきますかぁ!!」とゴールドアンンカーキーでゴールドモードに豪快チェンジします。

また、ルカが「ラスト一発!!」とゴーカイイエローのレンジャーキーを出して合図すると、
マーベラス達5人はゴーカイジャーのレンジャーキーをゴーカイサーベルに挿して
ファイナルウェーブの態勢に入り、ゴーカイスラッシュをリオとメレに向けて炸裂させます。
そして鎧も豪快レジェンドリームをズバーンに喰らわせ、これによって遂に3人の召喚戦士を倒し、
リオ、メレ、ズバーンはレンジャーキーへと姿を戻して、地面に転がり落ちます。

これでレンジャーキーを3個ゲット・・・かと思った瞬間、サリーが飛び込んできて、
「ウキ〜ッ!!」と吠えて3つのレンジャーキーを拾い、
ジャンプして階段の上から6人を見下ろすバスコのもとへ戻っていきます。
前回のギンガの森でのレンジャーバトルでも、
デカマスター、ウルザードファイヤー、マジマザーの召喚戦士を倒しながら、
そのレンジャーキーをサリーに奪われてしまったマーベラス達ですが、
今回も同じように、またサリーにレンジャーキーをさらわれてしまったのでした。
やはり、まだまだ簡単にバスコのレンジャーキーを減らすことにはならないようで、
レンジャーバトルは今後もまだまだ続くということのようです。

サリーの頭を撫でてレンジャーキーを受け取ったバスコは今回はもう潮時と思ったのか、
「あ〜あ・・・今回は女の子2人にしてやられちゃったなぁ・・・」とニヤニヤして言うと、
悔しがる6人を見下ろして鼻で笑い、サリーの腹のハッチを開いて、
「いらっしゃいませぇ〜!!」と、また何かの生物兵器を召喚します。

サリーの腹部からは火の玉が飛び出していき、
放物線を描いて少し離れたところの地面に着弾した火の玉は、炎を帯びた赤い巨大な怪物となりました。
「ファイヤーロイドのメランちゃん!」とバスコはその生物兵器の名前を紹介します。
ファイヤー、つまり「火」です。
前回が「ムーンロイドのツッキーくん」で「月」、前々回が「リキッドロイドのワテルくん」で「水」でしたから、
「月」「火」「水」と続き、こうなると、やはり曜日縛りである可能性が濃厚です。

すると、あとは「木」「金」「土」「日」をモチーフとした4つの生物兵器が繰り出されるということになり、
バスコとのバトルが、さしあたりあと4回はあるということでしょうか。
ただ、未使用のレンジャーキーはあと3つで、
それ以外に持っている6つのレンジャーキーは全て一旦敗れたものばかりということになり、
このあたりもどう使ってくるのか見ものです。

とにかく今回はまた退散するつもりのようで、
バスコは「あとはよろしくねぇ!!」とメランちゃんに投げキッスをすると、サリーを連れて去っていき、
メランはそれを合図に炎を吐きだしてゴーカイジャーを攻撃します。
バスコを追いかけるどころではなくなったゴーカイジャーは炎から逃げ惑い、
アイムが「マーベラスさん!!」と呼びかけるとマーベラスは「分かってるって!!」と
モバイレーツでゴーカイガレオンを呼び、ここから巨大戦となります。

メランにはゴーカイオーと豪獣神とで立ち向かいます。
今回のメインのダブルヒロイン、アイムが「鎧さん!!」、ルカが「いっくよぉ〜!!」と檄を飛ばし、
鎧が「気合いだぁぁっ!!」と、ゴーゴーファイブのマトイ兄貴の決めゼリフで応じます。
こういう小ネタもしっかり入れてくれるのは嬉しい。

そして戦闘開始となりますが、このメランちゃん、どう見ても炎を使った攻撃が得意そうです。
案の定、2大ロボに攻め込まれると、炎を吐きだして反撃してきました。
これによって、ゴーカイオーと豪獣神のコクピット内は配線がショートを起こし、
ハカセは「熱っつっつ!」と大慌て。
ムキになったマーベラスは「火ならこっちも負けねぇぜ!!」と対抗心を燃やして
マジレンジャーのレンジャーキーを使ってマジゴーカイオーにチェンジし、
マジドラゴンの口から炎を噴き出して、お返しとばかりにメランを攻撃します。

ところがメランはなんだか元気になって目が煌めき、
さっきよりも大きな炎を全身から噴き出して吠えています。
「ちょっと!前より元気じゃない!?」とルカは激しくマーベラスにツッコミを入れ、
ジョーが「・・・火を吸収して、パワーアップしたか・・・!」と推理すると、
マーベラスはあっさりと非を認め「悪りぃ!ミスった!」と詫びます。なんとも豪快な潔さです。

しかし、さっきの通常の炎でもダメージをかなり受けたのに、
大幅にパワーアップしてしまったメランの炎はかなり厄介で、これは大ピンチになってしまいました。
「どうしよう・・・!?」とハカセも対抗策が思いつかないようで困り果てます。
そこに豪獣神のコクピットから鎧が「皆さん皆さ〜ん!防火対策、任せてください!」と呼びかけてきて、
豪獣神の右手のドリルをシールドモードにして、メランの噴き出してきた炎を食い止めます。
そして、「皆さん!今のうちに!!」とマーベラス達に言います。
鎧の作戦は一時的に炎を食い止めるだけのもので、それ以上反撃するようなものではなかったようです。
そうして自分が一時的に炎を食い止めている間に
ゴーカイオーのマーベラス達に反撃の作戦を実行に移してほしいというのが、鎧の考えでした。

「ああ!!」と応じたマーベラスでしたが、いきなり名案も思い浮かびません。
これまでに手に入れた「大いなる力」のうちで、
あれほど燃え盛る炎を鎮めるような能力に特化したものは思いつかなかったのです。
ちょっとマーベラスが困ってしまったその時、ベルトのバックルが光ったのでした。
「ん?」と下を見ると、5人のバックルから勝手に1つずつのレンジャーキーが飛び出してきて、
空中に浮かんで光を放ちます。
アイムが手に取って見てみると、それはゴーピンクのレンジャーキーでした。

「ゴーゴーファイブのカギが・・・!」と、
アイムはこれがいつもの「大いなる力」を受け取った時に起きる現象であることを悟り、
マツリが自分達をゴーゴーファイブの大いなる力を受け継ぐに相応しい者として認めてくれたことを理解しました。
それは、つまり、自分達がマツリの最も大事にする
「命を救うこと」の手助けが出来たということを意味するのであり、
要するに、あの少年が無事に病院に到着したということを意味するのだと気付いたアイムは
「ルカさん!」と、歓喜の声でルカに呼びかけます。

アイムも、そしてルカもずっとあの少年のことを気にかけて戦っていたのでした。
3人の召喚戦士を相手にした不利な戦いから2人が決して逃げようとしなかったのは、
命がけで怪我と戦っている少年の励みになるよう、少年が助かるよう願って
自分たちも命がけで戦おうという意思の表れだったのでした。
ゴーゴーファイブのレンジャーキーが光ったことで、その願いが叶ったことを2人は知ったのでした。

ルカもゴーイエローのレンジャーキーを掴んで、それがあの少年の無事を告げるものだと悟ると、
「うん・・・ありがと・・・!」と、少年の命を守り通してくれたマツリに感謝の言葉を捧げ、
共に助け合って1つの命を守った絆の証である「ゴーゴーファイブの大いなる力」の込められた
レンンジャーキーを構え直し「力借りるよぉ!」と気合を入れてレンジャーキーをコクピットに挿します。
そして同時に全員、ゴーゴーファイブのレンジャーキーをコクピットに挿して回し、
ゴーゴーファイブの大いなる力が発動します。

すると、なんとゴーカイオーの胸部と両手足の5つのハッチが開いて、
そこから5本の巨大な消火ホースが出現したのでした。
ゴーゴーファイブの1号ロボであるビクトリーロボには消化液も発射可能な小型砲が装備されていましたから、
確かにこれもゴーゴーファイブの大いなる力といえるでしょう。

鎧の方はメランの炎を防ぐのはもう限界のようで
「皆さん!まだですかぁ!?」と必死の訴えをしてきますので、
すかさずマーベラス達は「ビクトリースプラッシュ!!」と掛け声をかけて、
5本の消火ホースから猛烈な勢いの放水を開始、あっという間にメランの放つ炎を鎮火してしまい、
メランを水浸しにしてメラン自体の炎も鎮火、遂には放水の勢いでメランをきりきり舞いにします。
ちなみにこの時もコクピットでハカセはまたVサインとか変な動きをしてます。

そしてゴーカイオーは無抵抗になったメランに向かって突っ込み、
ゴーゴーファイブの紋章をバックに炎の円弧を2本の剣で描き、そこから十字斬りを炸裂させる
「ゴーカイプロミネンス」という技を繰り出し、メランを斬り裂きます。
これはゴーゴーファイブの1号ロボのビクトリーロボの必殺技
「ビクトリープロミネンス」をベースとした技のようですが、
これでメランを倒してしまわないところが素晴らしい。

何故なら、オリジナルのビクトリープロミネンスは
円弧を描いて剣にプラスエネルギーを集めて災魔獣を倒す技であり、
これはマイナスエネルギーの塊である災魔獣には必殺技として機能する技でしたが、
実体を持った敵には致命傷を与えるまでの威力は無い技として設定されていたからです。
だから、ゴーゴーファイブの大いなる力(プラスエネルギー)によって発動される、
それと同系統の技であるゴーカイプロミネンスで実体を持った敵であるメランを倒しきってしまうと、
描写として不自然なのです。
そういうわけで、ゴーカイプロミネンスでメランに大きなダメージは与えつつ、
完全には倒していない状態で、アイムが「鎧さん!バトンタッチです!!」と鎧に指示します。

さっきから戦いの随所でアイムが積極的に指示を出していますが、
もともとアイムが仕切ることは意外に多かったゴーカイジャーでも、今回は特にその傾向は顕著です。
やはり今回の件でアイムが一皮むけて、
遠慮せずに「戦うお姫様」の本来の性格を表に出してくるようになったのだといえます。
そして、アイムの指示を受けてトドメを担当することとなった鎧は「はい!」と敬礼して
3本のレンジャーキーをコクピットに挿し、
豪獣トリプルドリルドリームでメランにトドメを刺して戦いを終わらせ、
勝利を確認するとアイムとルカは「やりました!」「やった!」と喜び合うのでした。

エピローグは数日後の国立臨海病院の中庭、
無事に産まれた、例のミク母娘の赤ちゃんに会うためにルカとアイム、そしてマツリもやって来ています。
「可愛い〜!」と赤ん坊を見て喜ぶアイムとマツリの横では、
あの重傷の少年が目の前にしゃがんだルカに向かって「ありがとう!お姉ちゃん」とお礼を述べています。
あの少年も臨海病院へ搬送され、救急処置を受け、幸い大事には至らなかったようで、
頭に包帯を巻いて車椅子に乗っていますが、経過は良好で、すぐに元気に退院できそうです。
ルカとアイム、マツリは少年のお見舞いも兼ねて来ていたのでした。

「あ〜、良かった!」と安堵の笑顔のルカは立ち上がると
「赤ちゃんは産まれたし、この子も元気になったし・・・」と満面の笑顔で言うとアイムと並んで立って
「アイムは一人前の海賊に一歩近づいたしぃ?」と、からかうように言います。
あの救急車の中でのアイムのキツい言葉での決意表明をからかっているのです。
アイムは照れて「もう!ルカさんったら!」とルカに身体を軽くぶつけて苦笑し、
ルカも楽しそうに笑ってアイムと腕を組み、2人はくっついてじゃれ合い笑いあいます。
その家族の一員であるかのような仲の良さを見て、マツリは嬉しそうに微笑むのでした。

そのやたら女子率の高い集団を遠目に見る位置にマーベラスたち男性陣4人が立っています。
ミク母娘や少年とは面識が無いので、集団の中に加わるのは遠慮しているようです。
楽しそうな女子軍を見てハカセは微笑んで「大いなる力も手に入れたし、めでたしめでたしだね!」と
マーベラスたちに言いますが、鎧だけは何故か「う〜ん・・・」と悩んでいる様子です。
「・・・どうした?」とジョーが訊ねると、鎧は楽しそうにくっついて笑いあうルカとアイムの方を見ながら
「ん、いや、今日はいつもと逆っていうか・・・ルカさんが妹で、アイムさんがお姉さんみたいな・・・?」と
何やらブツブツ言います。

冒頭のシーンでルカが姉でアイムが妹のように見えた鎧は、
アイムに亡き妹を重ねていたルカと、末っ子気質から抜け出せていなかったアイムの
双方の本質を無意識に見抜いていたわけですが、
その印象が数日で一変してしまっていることに戸惑っているのです。
それは、数日前の一件でルカもアイムもそれぞれの課題を乗り越えてそれぞれ成長した証であり、
アイムは妹であることの甘えを解消し、ルカは姉であることによる気負いから脱却しようとしているので、
鎧の鋭い直観力はアイムから姉的なムードを感じ取り、ルカから妹的なムードを感じ取って、
しかし事情が分かっていないので、数日でコロコロ印象が変わっているような気がして首を傾げているのでした。

ハカセとジョーはそんな鎧の言葉を聞いて、(またワケの分からんことを・・・)というような顔をしていますが、
マーベラスはニヤリと笑って「どっちでもいいじゃねぇか!」と言います。
マーベラスも鎧の言ってることは何だかよく分かりませんでしたが、
どっちが姉でもどっちが妹でも、とにかく家族みたいに仲良く見えるのなら、
それは良いことだと思えたのでした。
そして、マーベラスの目から見ても、今のルカとアイムは以前よりもいっそう絆が深まったように見える。
ならば、もし鎧が感じたような何かの変化が2人の間にあったのだとしても、
それはきっと良い変化なのだろうとマーベラスには思えたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:45 | Comment(1) | 第23話「人の命は地球の未来」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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