2011年09月17日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その1

今回はハリケンジャー篇の後篇で、
最後はまるで「ゴーカイジャーVSハリケンジャー」という名のVSシリーズ劇場版のような
ド派手な9戦士共闘シーンが展開されます。
しかし、今回はあくまでVSシリーズではなく、
「ゴーカイジャーのハリケンジャー篇」として、しっかり成立しています。
対等な立場の2つの戦隊が邂逅して自然な形で共闘するのではなく、
あくまでハリケンジャーは他のレジェンド戦士と同じように、
ゴーカイジャーを自らの精神を継ぐ者として相応しいのかどうか見極める立場を崩してはいません。

前回の前篇はハリケンジャー篇としては意外なほどの重苦しさでした。
「ハリケンジャー」という作品は基本的にはナンでもアリの痛快な作風であったので、
前回のシリアスっぽい展開はやや意外でした。
サタラクラJr.がさんざん掻き回してくれたのでそれなりに賑やかな話にはなっていましたが、
マーベラス、ジョー、ルカの3人が常に不機嫌な様子であったので、
全編にわたって妙な刺々しさがあったといえます。

さらに加えて、レジェンドゲストとして登場した元ハリケンジャーの3人も変にツンツンしていました。
3人ともシリアスな演技が上手で、しかも貫録十分だったので、
それはそれで一般的な意味での先輩戦士としてはカッコよかったのですが、
本来ハリケンジャーの魅力とはそういうものではなかったはずです。
マーベラス達3人の妙な不機嫌と、ハリケンジャー3人の変なツンツンぶり、
この双方の意外なローテンションによって、
前篇はハリケンジャー篇とは思えないようなシリアスなトーンとなっていたのでした。

もし前篇だけで終わっていたなら、
ハリケンジャー篇らしからぬエピソードであったという評価であったと思います。
しかし、前後篇ですから、この前篇のシリアスなトーンのまま終わるわけがないとは思っていたら、
やっぱり案の定、後篇は前半はコミカル、後半は痛快アクションで見事にハジケてくれました。
そうなると、この前篇のシリアスさは後篇のハジケっぷりを際立たせるためだったのかとも思えますが、
それだけではないでしょう。
この前篇のマーベラスたちと鷹介たちの双方のローテンションには、
レジェンド回のハリケンジャー篇としての構造的な意味は、しっかりあったのです。

まずマーベラス達の不機嫌は彼らの海賊なりの、ある苦悩によるものであり、
今回の後篇になって初めて鷹介たちがマーベラス達と絡むことによって、
鷹介たちはマーベラス達の苦悩に気付き、マーベラス達の真実の姿、そして海賊の真実の姿を知るのです。
そして、そこに鷹介たちは自分たち、つまり忍者の最も核心となる部分との共通項を見出すのです。

ただ、この「最初はゴーカイジャーに不信感を持っていたレジェンド戦士が
ゴーカイジャーと接することによって彼らの中に自分たちとの共通項を見出す」というのは
レジェンド回の典型的な構造なのですが、今回はそれだけでは終わらないのです。

まず、鷹介たちは単にマーベラス達の行動の中に自分たちとの共通項を見出すわけではなく、
マーベラス達の苦悩の中に自分たちとの共通項を見出すのです。
つまり、鷹介たちも同じように苦悩している、というより、かつては同じような苦悩を抱いていたのです。
そして、鷹介たちはその苦悩を解決して一人前の忍者になった。
つまり、その苦悩を解決するものは忍者の核心ともいえる極意なのだということを鷹介たちは知っているのです。
マーベラス達が海賊であるがゆえに抱く悩みは、
かつて鷹介たちが見習い忍者として戦う日々の中で一人前の忍者になるために
解かねばならなかった命題と同じなのです。

マーベラス達の苦悩は忍者を目指す者の抱く苦悩と同じであり、
つまりマーベラス達は海賊でありながら、本人たちは無自覚ながら忍者的なものを目指す者となっていたのです。
というより、彼らの場合、海賊であるから忍者的なものを目指す羽目になっており、
海賊でありながら忍者的なものを目指す羽目になっているから苦悩が生じるのだともいえます。

ただ、海賊に限らず、忍者以外の者が忍者になろうとするのは苦悩が生じるものなのです。
ならば、それは9年前のハリケンジャーと同じです。
鷹介たちはそうしてマーベラス達がかつての自分たちと同じだと知ったのです。
そして鷹介たちはその苦悩を解消する解答を知っています。
それが忍者の核心であり極意なのですが、それは誰しも忍者を目指した時に最初に持っているものであり、
それを何時しか意識しなくなっていくものです。

だから鷹介たちも今回、実はそれをうっかり忘れていたのでした。
彼らが前篇において本来のキャラでなかったのはそのためで、
鷹介たちはマーベラス達の苦悩を知ることによって、かつての自分達の苦悩も思い出し、
自分たちがいつの間にか意識しなくなっていた忍者の核心を思い出すことが出来たのでした。

つまり、マーベラス達の苦悩を知ることによって、鷹介たちは本来の自分を取り戻し、
マーベラス達の苦悩を解決する解答である忍者の核心を意識することが出来たのです。
そして、その忍者の核心は誰もが忍者を目指した時に最初から持っているものですから、
マーベラス達もそれを持っているのだと鷹介たちは確信し、
マーベラス達に忍者の核心を意識させるべく、導き手として行動をもって忍者の在り方を示すのです。

それによってサタラクラJr.のボキ空間を破った鷹介たちは
マーベラス達を連れてボキ空間を脱出して現実世界に戻ります。
そのボキ空間脱出の過程でマーベラス達は忍者の核心を体現する者の強さを実感し、
現実世界に戻った後、忍者の核心の持つ強さを再度確認するため、ハリケンジャーに共闘を申し込むのです。

つまり、マーベラス達はここで初めて、レジェンド戦士から何かを学びたいと思ったのです。
それはマーベラスがわざわざ断っているように「今回は特別」なのであり、
今回がマーベラス一味の地球における活動のスタンスの大きな転換点なのであり、
そこにおいて、ハリケンジャーの持つ忍者の核心が
マーベラス一味にとってどうしても必要なものであったということを意味します。

こういうわけで、通常のレジェンド回とは違って今回のハリケンジャー篇では、
VSシリーズのような2戦隊の共闘シーンが生まれることとなったのですが、
それは単にハリケンジャーがフルメンバー揃ったからやってみたというようなものではなく、
この物語の折り返し点におけるマーベラス一味の地球における戦い方の姿勢の大きな転換にとって
相応のインパクトが必要であって、そこでこうした特別版の共闘シーンが必要だったのだといえます。
まさにサブタイトルにあるようにTHE SPECIALだったわけです。

しかし、これは「ハリケンジャーの持つ忍者の核心」というやつが何なのか分からないと
何のことやら分からないです。
というか、実際に今回のエピソードを見ても、「忍者の核心」が何なのかサッパリ分かりません。
そんなことは全く言及されていないからです。
これは、「忍者」という存在がそもそも理屈を、いや言葉の介在すら拒否するような性質を持っているからであり、
忍者とは何なのか説明するのは非常に難しい。

しいて言えば「無」といえます。
「ハリケンジャー」の劇中で最もそれを象徴したキャラクターが
結局最期まで顔さえ不明のままであったシュリケンジャーであり、
同時に最も純粋で何でもアリのハイテンションキャラだったのがシュリケンジャーでした。
シュリケンジャーというキャラが忍者という存在を最も象徴していたのであり、
「ハリケンジャー」という作品を最も象徴していたと言っていいでしょう。
途轍もない虚無と、虚無であるゆえの純粋さと融通無碍が同居しているのが忍者であり、
また、それが「ハリケンジャー」という、深遠でありながらハチャメチャな作品でした。

そのハリケンジャーの世界観を濃厚に持ち込んだ今回のハリケンジャー篇の後篇は
一見、コミカルで痛快なアクション篇のように見え、
単にマーベラス達の秘めた優しさに鷹介たちが気付いてヒーローとして認める話のように見えますが、
そういう単純なアクション篇なのではなく、
前篇の重い展開でマーベラス達の虚無を描き、
後篇で、忍者の持つ虚無ゆえの純粋さと融通無碍がマーベラス達の虚無に救いをもたらして、
宇宙海賊でありながら地球を守って戦っていくという、
一見すると理にかなわない彼らの行動の今後の指針となっていくという流れを、
ハチャメチャな展開の中で描いているのだと思います。
いや、それはハチャメチャな流れの中でしか描けないともいえますし、
いちいちきっちりと言語化して描くことも難しいのだろうと思います。

そう考えると、マーベラス一味の今後の矛盾に満ちた行動の指針を提供する今回のレジェンド回が、
忍者という矛盾に満ちた存在を描くことをメインテーマとしていた
「ハリケンジャー」篇でしか有り得なかったというのも納得いくというものです。

ただ、矛盾矛盾と言いますが、その矛盾ゆえに生じる純粋さこそが実はヒーローというものの核心なのであり、
「ハリケンジャー」という作品が優れたヒーロードラマとして高い評価を得た由縁です。
よって、今回のハリケンジャー篇は、マーベラス一味が苦悩を乗り越えて真のヒーローへ脱皮する
非常に重要なエピソードなのだといえます。

なんだか禅問答のようなよく分からない事前レビューになってしまいましたが、
それだけ今回のハリケンジャー篇、言語化することが難しいのです。
他にもコミカルな面やアクション面も異様に素晴らしい出来で、テンポも最高に良く、
サブキャラのハカセやアイム、鎧も実に良い味を出しており、
更にバリゾーグやインサーンまで前線に出てきて思いっきりバトルしており、大充実の神回なのですが、
海賊や忍者の本質ともども、素晴らしい諸々の点も本編の方でいろいろ触れていきたいと思います。

なお、今回のハリケンジャー篇の脚本は、やはり節目の前後篇ということで、
前回も今回もメインライターの荒川稔久氏の担当でした。
荒川氏は9年前の「ハリケンジャー」の脚本にもサブライターで参加しており、
今回のエピソードのモチーフとなっている巻之二十一は荒川氏の脚本によるものでした。

まず冒頭は前回のダイジェストで、
マーベラス、ジョー、ルカの3人がサタラクラJr.のボキ空間に落とされて、
助けるためにはハリケンジャーの大いなる力を使わねばならないが、
マーベラス達を信用出来ない元ハリケンジャーの3人、鷹介、七海、吼太が
自分たちがハリケンジャーに変身して助けに行くと主張し、
ハカセ達にハリケンジャーのレンジャーキーを渡すよう迫り、
それに対して鎧が反論、抗議したところまでの流れが、ざっと紹介されます。

鎧の反論の核心は
「マーベラス達が命がけでレンジャーキーを集めてきたからレンジャーキーはここにある」ということです。
この「命がけ」というのは、単に宇宙を航海するのが命がけであるというような気軽な話ではありません。
「ゴーカイジャー」の物語世界では宇宙というのは自由で平和な開放的空間ではなく、
ザンギャックに支配された圧政と殺戮の世界です。
しかもマーベラス一味はザンギャックに賞金首にされており、
レンジャーキーを求めてあちこちに出向くだけで生命の危機に晒されるのです。

もちろん、それはマーベラス達が自分たちが宝を手に入れるためにやったことであって、
鷹介たちのためにレンジャーキーを集めたわけではない。
だが、マーベラス達がやったことと同じことを鷹介たちが出来たかというと、それは出来なかった。
いや、出来たかもしれないが、やらなかったのは事実です。
実際にマーベラス達しか為し得ていないわけなのですから、その功績は尊重しないといけません。

それだけの功績を上げた者を信用できないと言って簡単に切り捨てて、
その成果だけは利用させてもらうという姿勢は、
あまりに人の道に外れているのではないかと、鎧は憤っているのです。

その成果を利用しようというのなら、その成果を上げた者をまず信用するのが筋でしょう。
もしどうしても信用出来ないというのなら、その成果だけを利用するべきではない。
だから、鷹介たちがマーベラス達を信用出来ないというのならレンジャーキーを使うべきではないし、
レンジャーキーを使いたいのならばマーベラス達を信用すべきだということになります。
しかしマーベラス達を信用するのならばゴーカイジャーにハリケンジャーの大いなる力を渡せるはずであり、
それならば別に鷹介たちが変身してボキ空間に行かなくても、ハカセ達がボキ空間に行くことが出来るので、
どっちにしても鷹介たちはレンジャーキーを使う必要は無いはずです。

だから、鎧から見れば、この状況で鷹介たちがレンジャーキーを使いたいと言うこと自体が、
マーベラス達に対して非常に失礼なことであり、
自分の憧れるスーパー戦隊の戦士がそのような非礼な人達であることは許容できないことでした。

鷹介たちがマーベラス達を信用出来ないのならばレンジャーキーは使うべきではないし、
鷹介たちがマーベラス達を信用出来るのならばレンジャーキーを使う必要は無い。
この鎧の理屈の正当性は鷹介たち3人の心にも響きました。
つまり、自分たちにはレンジャーキーを使う権利は本来は無いのです。
その権利をこの場で持っているのはハカセとアイムと鎧の3人の方です。
だから本当は、どうしてもビッ栗にされた人達とマーベラス達をボキ空間から助け出そうというのなら、
ここで鷹介たちがやるべきことは、ゴーカイジャーを信用して
ハリケンジャーの大いなる力を渡すことのはずなのです。

ところが鷹介たちはどうしても海賊を、特にマーベラスとジョーとルカの3人を信用出来ない。
もちろんレンジャーキーを集めてきた功績は認めているし、
人間的にそんな悪い連中だと思っているわけでもありません。
ただ、ハリケンジャー、つまり忍者の後継者として相応しい者だとは思えないのです。
むしろ、レンジャーキーを宇宙から集めてきたという功績ゆえに信用出来なくなっているという要素もある。

マーベラス達が命がけでレンジャーキーを集めることが出来たのは、
どんな危険を冒してでも自分が宇宙最大のお宝を掴みたいという想いが強かったからです。
自分の夢を実現したいという強い気持ちがあったからです。
しかし、それが忍者としては最も相応しくないのだと鷹介たちは思う。
忍者というのは、名も顔も晒さずにひたすら影として己を殺して、悪を倒し世を守るために戦う存在です。
とことん自分を殺して守るべき他者のために戦うのが忍者です。
自分の夢やお宝を求めたい気持ちが強すぎる海賊は忍者にはなれない。
海賊と忍者の違いをなんとなくそう思ってしまうから、鷹介たちはどうしてもマーベラス達を
ハリケンジャーの大いなる力を使いこなせる戦士として信用し認めることが出来なかったのでした。

だから、本当はこの状況ではハカセ達に大いなる力を渡さなければいけないのに、渡すことが出来ない。
それでどうしようもなくなって、
自分たちが変身してボキ空間に行くからレンジャーキーを貸してほしいと言ったところ、
その矛盾を鎧に突かれてしまい、鷹介たちは言葉に窮して黙り込んでしまったのでした。

そうして鎧と鷹介たちが黙って睨み合う状況となった時、
鎧の肩をハカセがポンと叩いて前に立ち「もういいよ・・・ありがとう」と礼を言ったのでした。
「ええ・・・?」と鎧は驚きます。
ハカセ達に対する鷹介たちの非礼な態度に抗議しているのに、
当の本人であるハカセが穏やかな顔をしているのが意外でした。

しかしアイムも「今は・・・私達が対立している時ではありません・・・」と言って少し鎧をたしなめつつ、
ハリケンジャーの3つのレンジャーキー、すなわちハリケンレッド、ハリケンブルー、ハリケンイエローの
レンジャーキーを掌の上に乗せて、鷹介たちに向けてすっと差し出したのでした。
鷹介、七海、吼太の3人は黙ったまま驚きます。
鎧も少し理解しがたいというような顔で「アイムさん・・・ドンさん・・・」と2人の顔を続けて見ますが、
アイムはレンジャーキーを差し出したまま鎧の方を少し見て目をすっと伏せて微かに感謝の意を表し、
それを見てハカセも鎧に向かって穏やかに微笑んで頷き、アイムも自分と想いは同じであることを鎧に伝えます。

ハカセにしてもアイムにしても、本当は鎧に自分達の不満を代弁してもらって感謝していたのです。
それで少し救われた気がしてハカセも礼を言ったのですが、
それでもこのまま睨み合っていても仕方ない状況だと思ったのです。

確かにレンジャーキーの所有権は鎧の言う通り、今はハカセ達にあります。
しかし、鷹介たちがマーベラス達を信用出来ない以上、
ハカセ達がハリケンジャーの大いなる力を使ってボキ空間に入ることは出来ないのです。
無理に信用しろと言ったところで、心から信用することは出来ないであろうし、
心から信用出来なければ大いなる力は移動しません。
そのことはハカセ達も以前に獅子走に言われて分かっています。

もしかしたら鎧はそのことはまだ把握していないのかもしれません。
鎧が立ち会った大いなる力の移動はギンガマンの時のものだけで、
あの時はヒュウガの自由意思で大いなる力が移動したように見えたのかもしれません。

鷹介たちだって自分の表面的な意思だけで自由にならない状況に苛立っているのであろうし、
申し訳なく感じているはずです。
それをとにかく信用しろと言って責めたてても意味は無い。
鷹介たちが心の底からマーベラス達を、いや自分たちも含めてゴーカイジャーを信用出来ないという以上、
この状況でボキ空間に行ってマーベラス達やビッ栗にされた人々を救い出せることの出来るのは
鷹介たち3人だけなのです。

しかし、今の鎧の反論によって、
鷹介たちはレンジャーキーを使うことは出来ない状況に追い込まれてしまいました。
これでは結局、誰もボキ空間に行って皆を助けだすことは出来ません。
これではいけないと思ったハカセとアイムは、
あくまでレンジャーキーの使用権を持つ自分たちからの依頼という形で
鷹介たち3人にレンジャーキーを使ってもらうという形をとることにしたのでした。

鎧は確かに鷹介たちに向かって正論を言ってはいます。
確かにレンジャーキーの所有権は鎧の言う通り、マーベラス一味にあります。
しかし鎧の主張を厳密にあてはめれば、この場ではハカセとアイムだけが所有権を持っていることになります。
鎧自身はレンジャーキーを集める宇宙の旅には同行していないからです。
しいて言えばゴーカイシルバーと黒騎士のレンジャーキーだけは鎧にも正当な所有権はありますが、
その他のレンジャーキーの取得には、
マーベラス達5人がバスコと命がけで戦って手に入れた15個の追加戦士のレンジャーキーも含めて、
鎧はマーベラス達からレンジャーキーを借りて使わせてもらっている状態ということになります。

だから、この場では鎧が何と言おうとも、ハカセとアイムが鷹介たちにレンジャーキーを貸すと言えば、
鷹介たちは鎧と同じ立場なのであって、鎧がそれについて異論を挟めるものではないのです。
鎧としてはハカセとアイムがレンジャーキーを差し出した以上、それは納得するしかなく、黙り込みます。

アイムはレンジャーキーを差し出したまま鷹介たちを見つめて
「ビッ栗にされた方々と一緒に、マーベラスさん達も助けてください・・・!」と言うと、
「お願いします・・・」と頭を下げます。

鷹介たち3人はアイムの言葉を聞いて少し動揺します。
表向きは自分達の提案をアイムが呑んで頭を下げている形になっていますが、
実際は進退窮まっていた自分たちにアイムとハカセが助け舟を出してくれたことは
3人にも分かったからです。
自分たちが冷たく「信用できない」と切って捨てた相手から助け舟を出されて、
大局的な見地から大人の対応をされてしまった。
さすがに鷹介たちも自分たちが一本取られたということは自覚して動揺したのでした。

一方、ハカセ達の方は譲歩した形で実質的には一本取っているのですが、
鎧の正論を無にしないためにも、その表面的譲歩すら実はするつもりはありません。
ハカセはアイムが頭を下げると、にこやかに笑いながら
「ついでに、マーベラス達のことをちゃんと見て、どんなヤツらか確かめてきてください」と
鷹介たちに向かって言ったのでした。

これはつまり、ハカセは鷹介たちに条件をつけたのです。
ただ状況的に仕方なく自分達の所有権を譲歩しているのではなく、
あくまで自分たちの依頼でボキ空間に行ってもらうという形を強調したのです。
ハカセの言い方はやんわりした嘆願調ではあるが、
自分たちが助け舟を出された形になって負い目を感じている鷹介たちは
それを拒絶することは出来ないということはハカセにも分かった上で柔らかく言っているのです。

これで、鷹介たちがボキ空間に行くのは、皆を助けるためであると同時に、
マーベラス達が信用出来る人間であることを確かめるためでもあるということになります。
鎧は鷹介たちがマーベラス達を信用しようとしないのにレンジャーキーを使おうとしていることに憤慨し、
スーパー戦隊の戦士として幻滅していたのですが、
鷹介たちがマーベラス達を信用するためにレンジャーキーを使うというのならば、
少し順序は逆になっていますが、まだ鎧も納得出来るでしょうし、
鷹介たちも鎧から幻滅されずに済みます。

この条件がいきなり出てきたので、鷹介たちはまだアイムの差し出したレンジャーキーに手は伸ばしません。
なるほど上手く考えたものだと鷹介たちは感心しましたが、1つ気に入らないことがあったからです。
ハカセの言いようは、まるで鷹介たちがマーベラス達に接してよく見れば、
必ず信用するようになるとでも言いたげだったからです。
そんなに簡単に上手くいくものか?と思い、鷹介は内心少しムキになって、
表面上はクールな態度で「・・・いいのか?・・・逆に返す気が無くなるかもしれないぞ?」と問いかけました。

もちろん、仮にマーベラス達が信用出来なかったとしても、
そのままレンジャーキーを取り上げるような卑怯な真似はする気は鷹介たちには無い。
だが、ハカセがそこまでマーベラス達を信用し、自分たちがマーベラス達を信用するようになると
確信している態度が虚勢ではないかと思い、少しキツい言葉で揺さぶって、
その確信の度合いを試してみたくなったのです。
そこで少しでもハカセ達が揺るげば、その条件は重く受け止める必要は無いと思ったので、
レンジャーキーを手にする前にそのテストだけしようと思ったのでした。
すかさず条件をつけたハカセもしたたかですが、鷹介たちもその条件をそのまますんなりとは呑みません。
骨抜きにしてから呑もうとするしたたかさを発揮してきたのです。

とにかくマーベラス達を見てどのように感じるかは鷹介たちの主観次第なのですから、
鷹介たちにこのように言われれば、普通は不安になるものです。
しかしハカセの表情は全く変わらず、
アイムもニッコリ笑って「心配いりません!」と自信満々に答えます。
ハカセも確信に満ちた笑顔で頷きます。
それはあくまでマーベラス達の良い部分が鷹介たちに理解してもらえるものだと確信しているという意味の態度、
そのように鷹介たちは一瞬解釈しました。

しかし、それに続くアイムの言葉は鷹介たちを驚かせました。
アイムはすっと真顔になって「その時は、力ずくで取り戻します・・・!」とキッパリと言ったのです。
ふんわりしたお姫様風の少女のこの突然の凛とした変貌に鷹介たちは驚き、
このアイムという元お姫様もまた海賊なのだと実感すると共に、
アイムとハカセのマーベラス達への信頼が絶対的なものであることを痛感したのでした。

アイムが「心配いらない」と言ったのは、
「鷹介たちがマーベラス達のことを信用しないということは有り得ないので心配していない」という意味ではなく、
「鷹介たちがレンジャーキーを返却しないということは有り得ないので心配していない」という意味だったのです。
つまり、マーベラス達が鷹介たちに信用されるかどうかという部分はもはや議論の対象から外れているのです。

まぁこれは議論の趣旨がズレてしまっているので、一種のアイム特有の天然ボケな対応でもあるのですが、
そういう天然ボケを引き起こしてしまうほどに、
アイムの中ではマーベラス達が鷹介たちに信用されないという可能性は完全にゼロになっていて、
既に思考の外に消えてしまっているということです。
それほど、アイムやハカセのマーベラス達への信頼は厚いということで、
鷹介たちに信用してもらえることは確信というレベルではなく、もはや既成事実化しているようです。
これでは鷹介たちの揺さぶりで揺らぐわけがない。

そして、アイムはマーベラス達が鷹介に信用されることは既に既成事実として捉えているので、
もし鷹介たちがレンジャーキーを返さないとすれば、
それは鷹介たちが自分の気持ちを偽ってウソをついてレンジャーキーを奪おうとする場合だけだと思っており、
その上で鷹介たちは決してそんなことはしないと信じているのです。
こちらはさすがにマーベラス達に対するように既成事実化するほどまでの絶対的信頼ではないので、
こちらは「確信」というレベルです。
だから「万が一」という場合は有り得る。
その「万が一」の場合は、残念ながら邪悪に堕ちてしまった鷹介たちと戦って
奪い返すしかないと考えるあたりは、さすがにアイムも海賊っぷりが板についてきたといえます。

ただ、それでも限りなく絶対に近いほどの信頼を鷹介たちに向けているのは事実です。
鷹介たちはさっきもアイム達のことを信用出来ないと言い、
それで進退窮まったところで助け舟を出され、
その後もこうしてアイム達のマーベラス達への信頼を疑い、試すようなことをしている。
それに対するアイムとハカセの解答が、鷹介たちへの信頼だったのですから、
これは鷹介たちは再び見事に一本取られた形になりました。

いや、というより、鷹介たちは呆気にとられました。
忍者の戦いというものは騙し合いですから、今の鷹介たちのやったように常に相手を疑ったり試したりします。
それが普通なのです。
だから、それに対してこういう真っ直ぐな信頼を向けられるというのは、
忍者である鷹介たちはあまり慣れていません。

なるほど海賊はやはり忍者とは違う・・・とも思いましたが、
鷹介たちの心に思い描いていた海賊の姿とは、どうもこれは違うようだと思われ、戸惑いが生じました。
自分達は海賊とはどういうものであるのか、本当に分かった上で判断しているのだろうかと、
逆に鷹介たちの確信の方が揺らいできたのでした。
これは確かに、確認してみる必要があるのかもしれないと、
鷹介たちはハカセに突き付けられた条件としてではなく、
とうとう自分自身の意思でマーベラス達が信用出来る相手かどうか
ボキ空間で見極めたいと思うようになったのでした。

それにしてもアイムやハカセはどうしてここまでマーベラス達が鷹介たちに信用してもらえると
絶対的に確信することが出来たのでしょうか?
もちろん日頃のマーベラス一味の絆は非常に強固なものですから、
ハカセやアイムがマーベラス達のことを信頼できる素晴らしい人間だと
確信しているのは当たり前のことでしょう。

しかし、ここでポイントとなっているのは、
そのマーベラス達の良さを鷹介たちに理解してもらえるかどうかなのです。
鷹介たちの評価ポイントがアイム達の評価ポイントと同じとは限らないので、
アイム達がマーベラス達のことを素晴らしいと感じても、
その部分で鷹介たちは評価しないかもしれないのですから、
ハカセやアイムがここまで確信を持っているということは、
鷹介たちの評価ポイントを特定出来ているということです。

確かにハカセやアイムはそれを特定していました。
しかし、それは実は多少、早合点の結果だったのです。

ハカセとアイムは鎧が鷹介たちに反論した際に七海が言った
「地球人のあなたが一番理解してくれると思ったのに」という発言に注目しました。
そして、その前に七海が「ビッ栗にされた人達を助けたい」と言っていたことから類推して、
鷹介たちは「地球人である鎧ならばビッ栗にされた地球人を助けたいという想いを理解してくれる」と
思っていたのであろうと判断しました。
それは言い換えれば、
「宇宙人であるマーベラス一味の他の5人は地球人を助けることなどあまり重視していない」と
鷹介たちが思い込んでいるということでした。

そして、その中でも特にマーベラス、ジョー、ルカが信用されていないのは、
一見、ぶっきらぼうで自分勝手に見えるあの3人が
自分の意地や怒りに任せて戦っているように見えるからであろうと思えたのでした。
確かにあの3人は今回は特に何やらイライラしていて乱暴な態度が目立っていますが、
それでも決して自分のことしか考えていないなどということは無いとハカセとアイムは確信していました。

それは、さっきサタラクラJr.にボキ空間に落とされそうになった時、
マーベラス、ジョー、ルカの3人がそれぞれが咄嗟に鎧、アイム、ハカセを突き飛ばして助けてくれて、
自分たちは穴に落ちていったからでした。
自分のことしか考えていないのなら、決してあのような行動は出来ないはずです。
だから、今回の戦いでマーベラス達が自分のためだけに戦いにのめり込んでいるということはない。
もともと戦い始めた動機もきっとビッ栗にされた人達を助けるためであり、
それは今までずっと一貫しているはずだとハカセとアイムは確信していました。
ただ遠目で見ていてもそれは伝わりにくいので、
鷹介たちが直にマーベラス達に接すれば、それは必ず理解してもらえると確信していたのでした。

しかし、確かに鷹介たちはマーベラス達が地球人を助けることを軽視しているのではないかという
疑惑は持っており、それゆえ信用出来なかったのですが、
マーベラス達をハリケンジャーの力を受け継ぐ者として信用出来ていない理由はそれだけではなかったのです。
もっと根本的な忍者と海賊の違いに関わる不信感が根底にはあったのですが、
それはハカセやアイムには想定外のことでした。
というより、それは鷹介たちにとっても漠然とした不信感であり、
それを具体的に言葉にするまでに至っていなかったのですから、
他人であるハカセやアイムにそれが想定出来なかったのは無理の無いことだったといえるでしょう。

さて、一方、ボキ空間と思しき場所で目覚めて立ち上がった
マーベラス、ジョー、ルカの3人の周囲の明かりが灯って、その部屋のような空間の全容が明らかとなります。
そこは、まるでTVのクイス番組のセットのような場所で、
下手側の方に解答者席と思しきスペースが3つ並んでいます。
その解答者席、まるでマーベラス達3人に対応するかのように
背もたれ部分に赤、青、黄の配色が施してあります。

「ん・・・?」と不思議そうにそのセットを見回すマーベラス達でしたが、
そこに突然、鎖が飛んできてマーベラス達3人の身体に巻きつきます。
そして鎖はまるで意思を持っているかのように3人を引っ張り、クイズの解答者席のようなところに座らせます。
ご丁寧に3人のそれぞれのパーソナルカラーの配してある席にそれぞれ座らされた3人は
身動きが取れなくなります。

「何よ!?これ!」とルカが鎖をほどこうともがきつつ叫びますが、鎖はほどけそうにありません。
そこに高らかな笑い声を上げながらサタラクラJr.が登場します。
上手側の出題者席のような場所に立って
「ようこそ!ボキの愉快なクイズ空間へ!」と恭しく一礼したサタラクラJr.は、
マーベラス達の座らされた解答者席の周りを陽気に舞い踊ったりしながら
「これから出すクイズに正解すれば、なぁ〜んとなんとぉ〜!漏れなく、この空間から脱出のチャァ〜ンス!!」と、
これから行うゲームのルール説明をして、出題者席に戻ります。

つまり、どうやらこのボキ空間というのはサタラクラJr.が宇宙忍法で作り出した亜空間で、
サタラクラJr.の出すクイズに正解すればここから脱出出来るということのようだと
マーベラス達には分かりました。
ただ、それはサタラクラJr.が自分で望んで作ったルールですから、
そのルールに従ってクイズ大会に参加するということは、サタラクラJr.の思惑に乗るということです。

もちろん敵であるサタラクラJr.の思惑ですから、そこには何らかの罠があるのは確実です。
そんなリスクの大きなクイズに参加するぐらいなら、
サタラクラJr.を倒して宇宙忍法を解除した方が脱出には手っ取り早そうです。
しかしこうして縛り上げられて身動きできない状況では戦ってサタラクラJr.を倒すことも出来ない。
ならば、罠と知りつつクイズに参加するしか選択肢は無いことになります。

真っ当なゲームのようなことを言っているが、結局は縛って無理矢理言うことを聞かせているだけです。
卑怯なヤツだと思い、ルカやジョーはサタラクラJr.を憎悪の目で睨みますが、
マーベラスはこうなっては仕方ないと思い、
「フン!やってやろうじゃねぇか!」とクイズ大会への参加を了承するのでした。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:19 | Comment(0) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月19日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その2

ここで前回に引き続き、当然ながらレジェンド回バージョンのOPナレーションからOPテーマが始まり、
そしてCM明け、「シュシュッとTHE SPECIAL」という今回のサブタイトルが出ます。
これは「ハリケンジャー」本編のサブタイトルのフォーマットに沿ったものではなく、
2002年夏に公開された劇場版「忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE」の
タイトルに準拠したものといえるでしょう。

ちなみに「シュシュッと」というのは「ハリケンジャー」のOPテーマのサビで使われている印象的なフレーズで、
まぁ「ハリケンジャー」という作品を象徴するフレーズと言ってもいいでしょう。
それで劇場版のタイトルにも使われてるわけです。
意味は・・・特に無いと思います。単に忍者の手裏剣を投げる擬音という以上には特に深い意味は無いでしょう。

なお、今回のサブタイトルの後半部分の「THE SPECIAL」の「スペシャル」という言葉も
「ハリケンジャー」の2本のVシネマ(「ハリケンジャーVSガオレンジャー」
「アバレンジャーVSハリケンジャー」)においては印象的に使われていたフレーズで、
ハリケンジャーのメカニック担当の日向おぼろ博士がVシネマオリジナルのロボの合体形態を登場させる時、
毎回「スペシャルやしな」と言っており、これが印象的なので、
この「スペシャル」というスレーズも、ある意味「ハリケンジャー」という作品を連想させる言葉であります。
意味は「Vシネマの特別版なので特別なことをしてみた」というような感じで、
それはそのまま今回のハリケンジャー篇が「ゴーカイジャー」の物語の中で
特別版であるということを意味しているといえます。

特に今回、内容的には前回のサブタイトル「海賊とニンジャ」の方がピッタリくる内容であるのに、
あえて「ハリケンジャー」本編のサブタイトルのフォーマットを外して、
劇場版のサブタイトルに準拠させてあるのは、
今回が「ゴーカイジャー」の中の特別な一篇であるということです。
それは、まるでVSシリーズのような2戦隊揃い踏みで共闘する展開になることも含めて、
今回のエピソードが非常に重要な節目であることの表れでしょう。

また、これは言い換えれば、
「ゴーカイジャー」においては今後もレジェンド回でVSシリーズのような共闘展開は基本的にはやらない
という意思表示ともとれます。
今回はあくまで「特別」なのです。
それは後にマーベラスのセリフでも「今回は特別だからな」と改めて強調されています。

そういうわけで、今回のサブタイトルもまた、
まさにコンセプトそのもののバッチリのサブタイトルになっています。
改めて思いますが「ゴーカイジャー」のサブタイトルは秀逸なものが多いです。
サブタイトルって普通はサブPあたりが付けるんだと思うんですが、すると大森Pでしょうか。
なかなかセンスが良いと思います。

さて本編が再開し、まず場面はギガントホースの指令室です。
前回、結局、ザンギャックによる宇宙忍者2人を行動隊長としたビックリミサイル作戦は
その実行直前にマーベラス達の殴り込みでミサイルを全部破壊されて台無しにされたのでした。
しかも行動隊長の1人のサンダールJr.は豪獣神と突如出現した風雷丸によって倒されてしまっています。
まぁハッキリ言って作戦は大失敗に終わったといえます。
しかし戦果もあり、サタラクラJr.はマーベラス達3人をボキ空間に閉じ込めることは出来ました。
そこでサタラクラJr.はギガントホースへ今後の作戦方針について報告してきました。
それをダマラスがワルズ・ギルに伝えます。

「ビックリミサイル作戦を阻止した海賊ども3人を、絶対に正解が出ない意地悪クイズで苦しませ、
地獄へ突き落すとのこと・・・」と真顔でワルズ・ギルへ報告するダマラスさん。
・・・意地悪クイズって、そんな回りくどくてシュールな作戦について
何ら批評も交えず普通に報告するのがちょっと笑えます。
ワルズ・ギルもワルズ・ギルで「うう〜ん!いいぞ、いいぞ〜!
大事な作戦をダメにしたヤツらだからなぁ!」と大絶賛、ノリノリです。

まぁワルズ・ギルは普段からアホなので、これは通常運転ですが、
「おっ!そうだ!バリゾーグ!インサーン!」と何か思いついたようで2人の幹部を呼びます。
また余計なことを思いついたのかと思いきや、
「サタラクラJr.が戻るまで、お前たちも地球に降りて、残りの海賊どもをいたぶってやれ!」と、
意外にまともな作戦を指示します。

確かに、マーベラス達強い方の3人がいない今、
地上に残ったハカセ、アイム、鎧の3人を徹底的に叩くチャンスです。
この3人も大事なビックリミサイル作戦を阻止した憎むべき相手で、
サンダールJr.が始末するはずだったのですが、
そのサンダールJr.がヘマをして返り討ちにあってしまった。
ならばザンギャックの2幹部自ら部隊を率いて出撃して一気に叩こうということです。
これは大ピンチであり、またいかにも特別篇らしく盛り上がるシチュエーションでもあります。
ワルズ・ギル、これはナイスです。

さてその頃、ボキ空間ではマーベラス、ジョー、ルカの3人を解答者席に鎖で縛りつけたまま、
サタラクラJr.主宰のクイズ大会が始まろうとしていました。
サタラクラJr.は「司会者」と書かれた、ロフトで売っていそうなタスキを肩からかけて
「ボキ印クイズ ヒントでビビッと〜!!」とクイズ番組のようにタイトルコールを叫びます。
すると観客席からは大きな拍手喝采が起こりますが、
パイプ椅子の観客席に座っているのはマゲラッパ達のサクラ軍団。

サタラクラJr.はクイズ番組形式でクイズ大会をやるつもりのようです。
セット中央背景のパネルにも「ボキ印クイズ ヒントでビビッと!!」と大きく書かれています。
これは、どう見ても、かの土居まさる司会の往年の長寿クイズ番組
「象印クイズ ヒントでピント」のパロディです。

マゲラッパ達の拍手喝采を浴びて浮かれまくるサタラクラJr.に対して、
マーベラスは「とっととやれ!」と憮然として早くクイズを出題するよう促します。
とにかくクイズに正解すればこの鬱陶しい空間から脱出できるのだから、
とっとと正解して出て行こうと思っていたのでした。

まぁサタラクラJr.が敵であるマーベラス達に親切にする必要は無いので、
簡単に正解出来るような問題を出すつもりはないのであろうが、
ともかくこの遊び好きな宇宙忍者がわざわざ「正解したら脱出」というルールを設けて
ゲームを仕掛けてきている以上、そのルールは守るつもりなのでしょう。
何故なら、ルールを無視したゲームほど白けたものは無いからです。

もしマーベラス達が正解しても「ルールなど守るつもりはない」とサタラクラJr.が開き直ってしまえば、
それはサタラクラJr.にとってもゲームの醍醐味は全く無くなってしまい、
そもそもゲームをしている意味が無くなってしまいます。
サタラクラJr.はこの空間で鎖で縛ったままマーベラス達を殺すことなど簡単に出来るはずです。
それなのにそうはせずに、わざわざゲームをしようとしている。
それはサタラクラJr.がゲームを楽しみながらマーベラス達を殺そうとしているからなのです。
ただ殺すだけでは楽しくない。ゲームを楽しみながら殺したいのです。

とにかくサタラクラJr.は父親同様、
「楽しくなければ悪じゃない。愉快じゃなければ戦う意味は無い」というポリシーの持ち主であるようです。
ならば、その裏には父親同様、本当は卑屈で残忍な自分の本性を嫌っているゆえに
常に楽しみを求めずにはいられないという病んだ心を抱えているということなのでしょう。
だから、ここでもサタラクラJr.は本気でゲームを楽しもうとしている。
そしてゲームを楽しむにはルールは不可欠なのです。
だからサタラクラJr.は必ず決めたルールは守る。
ならば、「正解すればこの空間から脱出できる」というルールを反故にするということは有り得ない。
だから、どんな難問であっても正解出来る可能性はゼロではない限り、チャレンジする価値はあります。
マーベラス達はこうなったら真面目にクイズの正解目指してチャレンジしてやろうと思っていました。

やる気になっているマーベラス達を見てサタラクラJr.は司会者席で「フン!」と鼻で笑い
「まずは頭の準備体操、オープニングクイズ〜ッ!!」と、
これまた「ヒントでピント」そのものの流れでクイズ大会を開始します。
決めゼリフまで一緒です。

ちなみに本家の「ヒントでピント」では
このオープニングクイズは画面に映ったある人物に最初モザイクがかかっていて、
そのモザイクが次第に解像度が上がっていってその正体が分かりやすくなっていくのですが、
その間に早押しで一番最初に正解の人物名を答えた人にポイントが与えられるというシステムになっていました。
その本家版オープニングクイズと同じようにサタラクラJr.はセット中央に置かれた大きなモニターを指さし
「これから映し出されるのは誰でしょうか?」と言います。

マーベラス達はもちろん「ヒントでピント」の本家版は知りませんが、
頭の準備体操なんて言っても正解してしまえばこの空間から脱出出来てしまうわけですから、
サタラクラJr.がそんなことを簡単に許すはずもないので、
さぞ難問が来る、つまり自分たちには到底分からないような人物の映像が映し出されるのだろうと身構えます。

ところがモニターに映し出された映像の人物は、なんとアカレンジャーでした。
アカレンジャーがこちらに振り向いてポーズを決めている映像です。
モザイクも全くかかっていません。どこからどう見てもアカレンジャーです。
いくら鎧のスーパー戦隊講座に熱心でないマーベラス達でも、アカレンジャーぐらいは楽勝で分かります。
アカレンジャーが振り向いたところまで見て、すぐさま3人は「分かった!」と同時に言います。
「おっとぉ〜!では3人揃ってお答えをどうぞ!」と、すっかりクイズ番組のノリになって、
サタラクラJr.は3人を指さします。
3人もクイズ番組の解答者のノリで、声を揃えて「アカレンジャー!」と答えますが、
サタラクラJr.は両手で大きな×印を作って「ブ〜〜〜〜〜!!」と、不正解だと告げます。

しかし、映像に映っているのはどう見てもアカレンジャーですから、
当然「なんで!?どう見てもアカレンジャーじゃない!!」とルカは猛抗議。
ところがサタラクラJr.は平然として「続きを見てちょ!」と言います。
するとポーズを決めて静止していたアカレンジャーが映像の中で動きだし、
両手を頭に持っていき、頭部のメットをスポッと脱いだのでした。

そしてメットの下から現れた素顔は、なんとサタラクラJr.であり、
そのアカレンジャーのスーツを着たサタラクラJr.は
「正解は、アカレンジャーになりすましたボキでした!」と言って愉快そうに大笑いします。
その映像を見ながら司会者席のサタラクラJr.も腹を抱えて大笑い。
つまり、アカレンジャーという解答は不正解ということで、
マーベラス達3人は答えを間違ったということにされてしまったのでした。

「そんなの分かるはずないだろ!」とジョーは怒りますが、
サタラクラJr.は「最後までちゃんと見てないからよ!」と言います。
確かに、早押しクイズでもないのに焦ってすぐに答えてしまったマーベラス達も迂闊だったとは思いますが、
こういう「続きを見たら違っていた」パターンというのは、
それなりに最初に映ったものと後から出てくるものとの間に必然性のある繋がりがあるものです。
例えばアカレンジャーかと思ったら、ぐっとカメラが引くとゴレンジャー全員が映っていたりするという、
そういうものならアリでしょう。

しかし、メットを脱ぐと実はサタラクラJr.だったなんていうオチでは、
アカレンジャーに扮するのは誰でも可能になりますから、
最初の「アカレンジャー」と解答の「サタラクラJr.」の間に何の繋がりも無く、
最初に映る「アカレンジャー」が何のヒントにもなっていないのですから、
「ヒントでビビッと」というクイズのタイトルから連想される趣旨からは外れてしまいます。
最初の「アカレンジャー」を見て「サタラクラJr.」という解答を連想出来る者は存在しないのですから、
こんなのは反則です。

ただ、よほど捻くれた発想の持ち主で、サタラクラJr.の遣り口を熟知した解答者ならば、
「アカレンジャー」から「サタラクラJr.」という解答を連想する者もいるかもしれません。
しかし、それでもこのクイズで正解を得ることは出来ないでしょう。
何故なら、このような出題形式である限り、サタラクラJr.は解答を自由に操作することが出来るからです。

もし「アカレンジャー」の映像を見て誰かが「サタラクラJr.」あるいは何か他の者の名を答えたとしたら、
司会のサタラクラJr.はそこで映像を止めて正解は「アカレンジャー」だと言うでしょう。
そして、もし「アカレンジャー」だと答えれば、映像を先に進めてサタラクラJr.がメットを脱ぐ映像を見せ、
「アカレンジャー」を不正解にするでしょう。
誰も何も答えずに映像を眺めていれば、アカレンジャーの映像の決めポーズの映像で止めて
タイムアップで全員を不正解にするでしょう。

このように、サタラクラJr.は2つの解答を用意しておいて、
解答者がどちらを答えても答えなくても、どうあっても、不正解にすることが出来るのです。
つまり、これは一見すると単なる「ひっかけ問題」のように見えますが、
実際は正解の無いクイズであり、司会者という絶対的存在の権限を悪用した卑怯なゲームなのでした。
サタラクラJr.がダマラスに報告した「絶対に正解が出ない意地悪クイズ」というのは、
こういうことだったのでした。
まさにボキ空間の支配者であり絶対的存在であるサタラクラJr.の言うことは全て正しく、全て現実化する、
その立場を悪用した卑怯で不公平なゲームであったのでした。

しかし、極端に不公平で、正解を自在に操作できるとはいえ、
「正解したら空間脱出、不正解なら脱出できない」というルール自体は違反していない。
正解は自在に操作できるとはいえ存在するのであり、
マーベラス達が不正解したという事実は確かに事実なのです。
だからゲーム性は損なわれておらず、サタラクラJr.は楽しめることが出来るのでした。

そして不正解の場合、単に脱出出来ないというだけではなく、
やはりクイズですから当然ペナルティは課されます。これも当然のルールです。
「はい!罰ゲーム!」とサタラクラJr.が司会席の台をバン!と叩くと、
マーベラスたち不正解した3人の頭の上から水が落ちてきました。
これはまた何とも古典的な罰ゲーム。
ちなみに本家の「ヒントでピント」はこんな卑怯なシステムではなく、
こんなベタな罰ゲームは存在しません。

水は解答者席のセットの上から大道具係の3人のマゲラッパがバケツで降り注いており、
更にマゲラッパ達は空になったバケツを落としてマーベラス達の頭にぶつけます。
もう完全にバラエティー番組のノリです。
しかもルカの頭に降ってきたバケツはすっぽりとルカの頭にかぶさって、
ルカはバケツ女になってしまいましたが、両手を鎖で縛られたルカはどうすることも出来ず、
屈辱に耐えるしかないのでした。
この罰ゲームの3人の惨めっぷりには司会のサタラクラJr.や客席のマゲラッパたちは大爆笑。
いや、ルカのバケツ女には視聴者の私もさすがに爆笑してしまいました。

「愉快!愉快!」と散々楽しんだサタラクラJr.は今度は
「ではでは!スペシャルステージショー!場所チェンジ!!」と唱えて、セットチェンジを行います。
すると一瞬にして周囲の情景が一変します。
ボキ空間ですからそういうことも自由自在なのです。
「ヒントでピント」風のセットや観客席のマゲラッパ達も消え、
マーベラス達3人の縛りつけられた3つの解答者席と、サタラクラJr.の居る司会者席だけを残して
周囲の情景は、まるで屋外の空間のようになります。
しかし、これも現実世界に戻ったわけではなく、ボキ空間の作り出した亜空間なのです。

その空間はまるで、だだっ広い採石場の広場のように見えます。
そこにポツンと解答者席と司会者席が登場したという形です。
何のためにこんな戦闘シーンの撮影場所みたいなところにクイズ空間を設けたのか?
しかも、マーベラス達の解答者席とサタラクラJr.の司会者席が不自然なほど遠く離れている。
これは・・・激しくイヤな予感がします。

「何ここ・・・?」とルカもイヤな予感を感じたようで、不安そうに言いますが、
サタラクラJr.は「間違えたら、更に過激な罰ゲームがあるから注意してねぇ!」と、
ますますイヤな予感を持たざるを得なくなるようなことを言います。
過激な罰ゲームって・・・やっぱりアレでしょうね。

更にサタラクラJr.は「その代わり、正解してボキが・・・」と言いながら
「ピンポーン」と書いた看板を掲げて「ピンポーン!」というチャイム音を鳴らし、
「・・・って言ったら、無事解放されるよ!」と、新たなルールを説明します。
要するにサタラクラJr.がマーベラス達がクイズに正解したのを受けて「ピンポーン」と言えば、
マーベラス達の身体を縛り付けている鎖は解除されるということなのですが、
わざわざ看板を使って自分の口で「ピンポーン」と言わないようにしているのは、
それを今言ってしまうと鎖が解除されてしまうということを意味しています。

何故サタラクラJr.がそんな新しいルールを設けたのかというと、
巧妙に「クイズに正解すること」と「マーベラス達が解放されること」を分離するためでした。
つまり、マーベラス達がクイズに正解しても、それだけではマーベラス達は自由になるわけではなく、
サタラクラJr.が「ピンポーン」と言わなければ自由にはなれないということです。

そして、更にサタラクラJr.はご陽気に「おまけに、このくす玉を爆発させてお祝いしちゃおう〜!」と、
司会者席からやや離れた位置に設置してある金色のくす玉を指し示します。
正解のお祝いにくす玉を開くというのは定番の企画ですが、くす玉を爆発させるというのは珍しい。
確かにそのくす玉の下にはいかにもという形の爆弾が仕掛けてあります。
マーベラス達がクイズに正解すると、サタラクラJr.はその爆弾を爆発させてくす玉を吹っ飛ばすつもりという、
これまた新ルールです。

爆弾を見てマーベラスは嫌な顔をしますが、
まぁそもそもこのクイズは、サタラクラJr.がダマラスに報告したように
「絶対に正解は出ない」はずなので、
サタラクラJr.が「ピンポーン」と言ったり、くす玉を爆発させたりというような展開にまで
行きようがないのです。
マーベラスがいちいちサタラクラJr.のこの2つの新ルールに反応しているということは、
サタラクラJr.の意地悪クイズの仕組みにまだ気が付いていないということなのでしょうか。

一方、現実世界の方では元ハリケンジャーの鷹介、七海、吼太の3人が
アイムから受け取ったレンジャーキーを握りしめて立っていました。
結局、ハカセと七海の依頼を受けてボキ空間へ行き、ビッ栗にされた人達とマーベラス達を助けると同時に、
マーベラス達が信用に値する人物かどうか確かめるという条件を呑んだ鷹介たちでありました。
それは結局、鷹介たちはハカセとアイムの人柄に直に接してみて、
宇宙海賊について自分達が持っていたもともとのイメージが揺らぎ、
先入観で誤解していた部分があったのかもしれないと思い直す部分もあり、
マーベラス達についてももう少し傍で見て確かめてみなければいけないような気がしたからでした。

それでようやく鷹介たちもアイムから差し出されていた3つのレンジャーキーを受け取り、
鷹介はハリケンレッド、七海はハリケンブルー、吼太はハリケンイエローのレンジャーキーを
それぞれ握りしめて立ちます。
それはもともと自分の身体や心と一体化していた「戦う力」そのものでありましたから
感慨もひとしおでしたが、
同時にそれは鎧の言うようにマーベラス達が命がけで宇宙から集めてきたものでもあり、
そう考えると複雑な心境でもありました。

「じゃあ、確かめさせてもらうよ・・・」と鷹介はハカセやアイムに向かって言います。
「はい」と応えるアイムを一瞥すると、鷹介は「行こう!」と七海と吼太を促して数歩前へ出ます。
そして、ぐっと掌でレンジャーキーを握りしめ、掌を開きます。
すると3人の持つレンジャーキーが光を放って掌の上から浮かび上がり、更に空中で大きく光り輝き、
その光は鷹介たち3人の身体を包んでいきます。
そしてそれは何時しか赤、青、黄色の一陣の竜巻のようになって
それぞれが鷹介、七海、吼太の身体を包んで渦を巻き、
ひときわ激しい光と共にその3色の竜巻が消え去ると、
そこにはハリケンレッド、ハリケンブルー、ハリケンイエローに変身した3人の姿が現れたのでした。
まさに「風の忍者」らしい変身の仕方で、本物の忍風戦隊ハリケンジャーが復活したのでした。

モバイレーツを使わずにレンジャーキーだけを使って変身するというのは
「199ヒーロー大決戦」映画のゴセイジャーに次いで2組目です。
ゴセイジャーは天使という謎設定のヒーローだったので、
レンジャーキーだけで変身することも可能なのではないかという解釈もされたりしていましたが、
今回のハリケンジャーの変身シーンによって、
「レジェンド戦士はレンジャーキーを使うだけで完全な変身をして元の戦う力を取り戻すことが出来る」という
事実が確定したといえます。

それならレンジャーキーを使って全てのレジェンド戦士が変身して
ゴーカイジャーと共に戦うという方法もアリだと思うのですが、
あえてレジェンド戦士たちはそのようにはしていないようです。

中にはレンジャーキーを取り戻そうとしていたゴセイジャーや志葉薫(シンケンジャー)のような例もありますが、
この2つの戦隊は34番目の戦隊と33番目の戦隊であり、つまり最新の2戦隊です。
言い換えれば、第一線から引いた後、他の戦隊の活躍を見守ったりしていた経験が
ほとんど無いのがこの2つの戦隊で、それだけ「自分たちがやらねば」という意識が強い。
だから宇宙海賊のゴーカイジャーと共闘しようという意思が最初からほとんど無かったのが
ゴセイジャーとシンケンジャーだったといえます。

それでもシンケンジャーの方は一応は決闘を申し込んで勝てばレンジャーキーを奪い返すという、
まぁどっちにしても喧嘩売ってるだけなのですが、
それでも正々堂々の勝負をしようとはしてましたが、
ゴセイジャーなんて不意打ちでスリ取ったり忍び込んで盗もうとしたり、
もうやってることムチャクチャで、それだけ極端にゴーカイジャーと協力する意思が皆無だったのだといえます。
まぁアラタだけは一応ちょっとは共闘を希望してたっぽいですが、
それにしては一番ノリノリで戦ってたようにも見えましたが・・・

つまり、ゴーカイジャーと共闘しようという意識の無い戦隊の方がレンジャーキーを奪い返そうとしており、
ゴーカイジャーに好意的で協力しようという意思のある戦隊の方が
レンジャーキーをゴーカイジャーに預けたままにしておこうという意識が強いのだといえます。
しかし普通にゴーカイジャーと共闘しようとするのなら、
「レンジャーキーだけでレジェンド戦士がオリジナル変身出来る」という設定なのだから、
ゴーカイジャーに事情を説明して、彼らの所有権は認めつつも、
必要に応じて頼み込んでレンジャーキーを借り受けて変身して一緒に戦った方が、
総合戦力的にはアップするはずです。

いくらゴーカイジャーがレンジャーキーを使って多段変身出来るといっても、
分身して一度に複数戦士に変身出来るわけではなく、人数的には6人のままなのですから、
レジェンド戦士が皆変身して一緒に戦った方が総合的に強くなるのは当然です。
その当然のことをレジェンド戦士たちは何故かしようとしていません。
つまり、やはりレンジャーキーは単純に変身に使うよりも、もっと有効な使い方があり、
そのためにはゴーカイジャーが1ヵ所に集めて持っていることが必要なのだといえます。
だから、ゴーカイジャーが多段変身に使っているのも、あれは本当は副次的な使い方なのであって、
むしろ鎧のゴールドアンカーキーのような使い方の方が本来あるべき使い方の1つのモデルなのだといえます。

そういったレンジャーキーの正しい使用法について
レジェンド戦士たちが正確に把握しているというわけでもないようです。
少なくともゴセイジャーやシンケンジャーは知らなかったようです。
一方、ギンガマンのヒュウガは大いなる力を渡す時に
「スーパー戦隊の力は1つに集めておいたほうがいい」と言っており、
これはそういうことが分かって言っているのか、それとも何となくそう判断したのか、
ちょっとよく分かりません。
ただ、ゴーカイジャーに好意的な戦隊ほどレンジャーキーを1つに集めておこうとしているところを見ると、
やはり何となくそういうコンセンサスはレジェンド戦士たちの間に存在しているのでしょう。

しかし、現在ゴーカイジャーがザンギャックの行動部隊を相手にしてやっているような戦い程度であるならば、
レジェンド戦士たちが変身して協力するだけで楽勝で対処出来そうなものです。
だから、レジェンド戦士たちがレンジャーキーをあえて1ヵ所に集めておいて狙っている成果というのは、
現在のちまちました戦いのレベルに対処するためのものではないということになります。
レジェンド大戦ですら、個々の戦士が変身した戦い方で対処可能でした。
但し最後は全員の戦う力が宇宙に散らばってしまったので、ああいう事態を繰り返さないためには、
別の戦い方が必要ではあるとは思います。
まぁとにかく、レジェンド大戦以上のレベルの戦いを想定して、
現在レジェンド戦士たちはあえてゴーカイジャーに全てのレンジャーキーを託しているのだといえます。

その目的に向かってまだレジェンド戦士たちが動き始めていないのは、
まだゴーカイジャーのもとにスーパー戦隊の全ての力が集まりきっていないからでしょう。
レンジャーキーも全部が揃った状態ではない上に、
「大いなる力」もハリケンジャーの分も含めて、まだ12個も未取得です。
だからまだレジェンド戦士たちは何らかの大きな戦いに向けて動き出していない。
ゴーカイジャーがそれを全て集めることが出来るかどうか見守っている状況だといえます。

しかしそう考えると疑問なのが、
「どうしてスーパー戦隊の力を1ヵ所に集める先がゴーカイジャーでなければいけなかったのか?」です。
別に34の戦隊のうちの何処かが責任をもって管理しても良さそうなものです。
そしてまた、何故、最初、アカレッドがそれを集めようとしていたのか?
そして何故、アカレッドはおそらく生きているのに途中で姿を消してマーベラス達にその事業を引き継がせたのか?
というのも謎です。

まぁそうした事情はあるものの、ここではとにかく、鷹介、七海、吼太の3人は緊急避難的な意味で、
レンジャーキーを借りてハリケンジャーへと変身し、ボキ空間へ急ぐことになります。
「超忍法!開けゴマ!」と鷹介たち3人が空に向けて手をかざすと、空に黒い穴が開きます。
この穴がボキ空間への入り口であるようです。
ちなみに、この「開けゴマ」という荒唐無稽な技は「ハリケンジャー」本編では使われておらず、
本邦初公開ですが、それでもしっかりハリケンジャーの超忍法として違和感無く見れます。
こういう違和感バリバリの技が違和感が無いというのが、いかにもハリケンジャーっぽいといえます。
しかし、宇宙忍法も何でもアリですが、ハヤテ流の超忍法もたいがい何でもアリですね。
この荒唐無稽さをケレン味たっぷりにやりきってしまうところがハリケンジャーの醍醐味といえます。

「行くぜ!」「おう!」と言い合って、その穴に飛び込んでいく鷹介たち3人。
3人が飛び込むと、空に開いた穴もすっと消えていきます。
どうやら上手く3人はボキ空間に侵入出来た模様です。
それを見送ってハカセ、アイム、鎧の3人は佇みます。

鎧が「・・・大丈夫・・・ですよね?」と不安げにアイム、そしてハカセの方を見ます。
鎧が心配しているのは、ボキ空間で鷹介たちがサタラクラJr.に勝てるかどうかではない。
そのことに関しては3人とも全く心配はしていません。
最初からボキ空間のことを幾らか知っており、そこに罠があることも知っているっぽい鷹介たちが
落とされるわけではなく自分の意思で隠れて侵入するわけですから、
鷹介たちがボキ空間でサタラクラJr.に遅れをとることは無いだろうと鎧たち3人には思えていました。

では鎧は何が心配なのかというと、
鷹介たちがマーベラス達をそんなに簡単に信用してくれるものだろうかという点でした。
ハカセやアイムはやけに自信満々でしたが、
鎧から見ると、確かに今回のマーベラス、ジョー、ルカの3人は
何故かいつも以上にやたらとイライラしており、余裕があまり感じられませんでした。
もちろん鎧もさっきボキ空間に落とされそうになった時、マーベラスに助けられていますから、
マーベラス達が鷹介たちが思っているような自分勝手な状態ではないことは確信しています。
しかし、それは普段からマーベラス達と身近に接しているから分かることであって、
今回のようなマーベラス達の態度では自分ですらマーベラス達の実像との間で
多少ギャップを感じて戸惑っているぐらいなのだから、
初対面の鷹介たちには誤解されてしまっても仕方ないように思えました。

だからハカセがよりによって今回のマーベラス達を見て欲しいと鷹介たちに言ったのを聞いていて、
ずっと不安だったのです。
しかもアイムは鷹介たちがもしマーベラス達を信用出来なくてレンジャーキーを返したくなくなった場合は、
戦って奪い返すとまで言ってしまっています。
それは鷹介たちがレンジャーキーを返さないと言っても構わないと言っているに等しく、
もし本当にそんなことになったら、ゴーカイジャーとハリケンジャーとで
スーパー戦隊同士で戦うことになってしまう。

しかしハカセは全く動じる様子は無く、晴れやかな笑顔で鷹介たちが消えた空の一点を眺めて
「決まってるじゃん!安心して待ってればいいんだよ!」と応えます。
ハカセがここまで絶対的な安心感を持っているのは、マーベラス達を信じているからというだけではありません。
鎧だってマーベラス達のことは信頼しているのです。
鎧の心配事はむしろ「初対面の鷹介たちが分かりにくいマーベラス達の本質を理解出来るのだろうか?」と
いう部分ですから、どちらかというと鷹介たちに関する不安なのです。
それを分かった上でハカセがここまで大丈夫だと断言しているのですから、
ハカセは鷹介たち3人を全面的に信頼しているということで、アイムも同様の想いであるようです。

しかしハカセやアイムにとっても鷹介たちは初対面であり、
全てにおいて完全に信頼できるというほどの間柄ではありません。
それでもこれほど完全な安心感を持てている理由は、
鷹介たちがマーベラス達を理解出来るという部分に関しては絶対的な確信があるからでした。
それはどうしてなのかというと、鷹介たちと問答している間にハカセやアイムは、
鷹介たち3人とマーベラスたち3人とが、根っこの部分では同じ純粋さを持っていることに気付いたからです。
そしてそれはハカセとアイムも同じでした。
だからハカセとアイムは鷹介たちのことを信頼出来たし、
鷹介たちも何だかんだでハカセとアイムの依頼に従ってくれたのも、そのせいなのだとハカセ達には思えました。
だから直接接すれば、マーベラス達と鷹介たちもお互いにきっと分かり合うことが出来るのだと、
ハカセとアイムは最終的に確信出来たのでした。

しかし、そこに突然、3人の足元で激しい火花が散ります。
驚いて身構えたハカセ達でしたが、舞い上がった粉塵の向こうにハカセが目を凝らすと、
そこにはゴーミン部隊が展開し、その奥からはバリゾーグとインサーンが現れます。
「賞金首の海賊ども!・・・今日が最期の日よ!」とインサーンは冷たく言い放ちます。
どうやらマーベラス達が不在であることを知った上で、ザンギャックが急襲を仕掛けてきたようです。

「・・・のんびりはしていられないようですね!」とアイムが言うと、
鎧も「はい!」と応じてゴーカイセルラーを取り出します。
ハカセの言うように、安心してただ待っていればいいという状況ではなくなってきたようで、
こちらもこちらで生き残るためには戦うしかないようです。
しかも相手はザンギャックの幹部怪人が2人で、
こちらはマーベラス達3人を欠いた3人だけの状態であり、苦戦が予想されますが、仕方ない。
ハカセ、アイム、鎧の3人は「豪快チェンジ!!」と、ゴーカイジャーに変身し、
襲い掛かってくるゴーミン達の群れの中に突っ込んでいき、戦闘開始となりました。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:46 | Comment(2) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その3

現実世界の方でハカセ、アイム、鎧のゴーカイジャー残留組3人と
バリゾーグ、インサーン率いるザンギャック行動部隊との戦闘が開始された頃、
ボキ空間に首尾よく侵入した鷹介、七海、吼太は
数年振りかで身にまとったハリケンジャーのスーツ姿で荒野を駆けていました。

今回のボキ空間は荒野のような仕様になっているのだろうと3人は思いつつ、
何故そんな仕様なのか意味は分かっていませんでした。
まぁもともと不条理そのものの空間なので、いちいち真面目に考えていても仕方ない。
とにかくマーベラス達をまずは探そうと思い駆けていると、崖の上で行きどまったところで、
崖下にマーベラス達3人を発見し、「いた!」と囁いて、しゃがみ込んで身を隠します。

鷹介たちが眼下に見た光景は、さきほどのサタラクラJr.が用意した採石場のような場所のクイズ空間でした。
情景はさっきのまま、マーベラス、ジョー、ルカが並んで縛られて座らされている解答者席と、
そこから結構離れた場所にポツンとあるサタラクラJr.の司会者席、
そしてその司会者席からやや離れた場所にあるくす玉だけが採石場の広場の中に点在するような感じです。
サタラクラJr.の高らかな笑い声が小さく響いていますが、
距離が遠くて鷹介たちにはそこでどういう遣り取りが交わされているのか詳細は聞こえません。
一方、距離をとって身を潜めているおかげで、鷹介たち3人が潜んでいることには
マーベラス達もサタラクラJr.も全く気付いていないようです。

ざっと見た感じ、クイズ大会をやっているようだということは、
声は聞こえなくても鷹介たちにはすぐに分かりました。
鷹介たち3人は「ハリケンジャー」本編の巻之二十一でも
サタラクラJr.の親であるサタラクラにボキ空間に落とされ、
そこでナゾナゾを出題されて散々酷い目にあったことがありますから、
やっぱり息子のサタラクラJr.も同じようなことをするのだな、と妙に感心しました。
あの時は正解しないと床が傾いていって下の溶岩に落っこちるという罰ゲーム付きだったのですが、
今回はそういう仕掛けではないようです。
しかしどうせ今回も何か悪趣味な罰ゲーム付きなのであろうということは想像出来ました。

そうして身を潜めながら七海がじっとマーベラス達の様子を遠目で見ていると、
マーベラス達3人の様子が妙であることに気付きました。
「海賊たち・・・なんかボロボロになってない?」と七海は鷹介の肩を掴んで言います。
鷹介も吼太も、マーベラス達の方をよく注意して見てみます。
すると、確かにマーベラス、ジョー、ルカの3人とも、顔も服もススだらけで汚れきっており、
しかもフラフラになっています。

これは尋常でないと思い、鷹介たちはいったい何が起こっているのか確かめるため、
印を結んで「超忍法!地獄耳!」と唱え、左耳のあたりに左手を添えます。
そうして左手をひっくり返すと、なんとそこに大きい左耳がボヨヨ〜ンと出現します。マギー審司かよ!
なんとも見た目のバカバカしい超忍法ですが、実際のところはかなり役に立つ術のようで、
遠くの音が聞こえるようです。
まぁ見たまんま過ぎる分かりやすい術ですね。
なんだか鷹介たち3人、前回登場した時はやたら渋くて落ち着いていましたが、
ハリケンジャーに変身してから、行動が昔のようにちょっと間抜けでトボけた感じになってきています。

この地獄耳で3人が聞き耳を立てると、まずサタラクラJr.の声が聞こえてきます。
サタラクラJr.は「・・・では、じゃんじゃん参りましょう!!」と張り切っています。
既に何問もクイズを出題し終わっている状況のようです。

「ジョーたんへの問題!」とサタラクラJr.はジョーを解答者に指名。
どうも最初のオープニングクイズとは違って、解答者を1人に絞って答えさせる方式になっているようです。
解答者に指名されたジョーは鋭い視線で黙ってサタラクラJr.を睨みつけています。
敵意に溢れた視線ですが、意外に落ち着いた態度です。
ボロボロになって未だに縛られているのですから、
ずっと不正解を続けている状況であることは想像出来るのですが、
それにしてはマーベラス達は3人とも、変にカッカせずに妙に落ち着いた、
というか単に元気が無いようにも見える態度です。

そのジョーに向かってサタラクラJr.は「燃えたら困るランプはな〜んだ!?」と問題を出します。
・・・というか、これはクイズというより、ナゾナゾですね。
セット替えの後、もう「ヒントでピント」のような画面を使った出題形式は止めたようで、
出される問題も、単なるナゾナゾのようになってます。
となると、かつてサタラクラがハリケンジャーを苦しめた
ボキ空間でのナゾナゾ大会と出題パターンは同じということです。
するとハリケンジャー3人としても、昔の経験から、
遠くの物陰に潜んで聞き耳を立てながら思わずその解答を考えてしまいます。

「・・・燃えたら困るランプ?・・・普通のクイズなら答えはトランプだけど・・・」と、
吼太はいちいち律儀に解答を想像します。
確かに、このナゾナゾはよくあるパターンの古典的ナゾナゾで、普通は答えは「トランプ」です。
紙で出来てますから燃えたら困りますから。
しかし、これは小学生でも分かるような簡単な解答であり、
もともとこんな感じで簡単に正解が出せるなら、
9年前にもハリケンジャーとゴウライジャーの5人は(まぁかなりバカだったが)
そんなに苦労するはずがありません。
だから、これはそんなに単純なナゾナゾではないのです。
だから吼太はそれを予想して、普通は答えは「トランプ」ですが、そうではない別の答えを模索しています。

そうこうしているうちにサタラクラJr.が黙って座ったままのジョーに向かって
「さぁ、お答えは!?」と答えるように急かします。
するとジョーは軽く冷笑すると、ぶっきらぼうに「・・・全く分からん・・・」と、なんとギブアップ宣言。
これには聞き耳を立てていた鷹介たちも「なにぃ!?」と仰天します。
「ブブ〜ッ!!」と両手で大きく×印を作ったサタラクラJr.は
「ガッカリだな!答えは・・・どんなランプでも燃えちゃったら困るに決まってんじゃん!!」と、
正解の解答を言います。

なるほど、確かにどんなランプでも燃えたら困る。
つまり、このナゾナゾはそういう引っ掛け問題のナゾナゾなのです。
しかし「トランプ」という解答でも正解ではあります。
つまり、これもまた解答が2つあるタイプのナゾナゾであり、
解答者の出す答えに応じて正解を自在に変えることが出来るので、
サタラクラJr.の言うことが絶対のこのボキ空間ならではの卑怯で不公平なナゾナゾだといえます。
9年前、ハリケンジャー達が苦しめられたサタラクラのナゾナゾ地獄も、
こうした引っ掛け問題のナゾナゾを使った正解の出ないナゾナゾ地獄であったのです。
だから鷹介たち3人には、このサタラクラJr.のナゾナゾもまた
「トランプ」で単純に正解ではないことは分かっていたのです。

サタラクラJr.は自分が恣意的に決めた正解を言うと、「はい!罰ゲーム!」と言って指をパチンと鳴らします。
するとマーベラス達の座る解答者席の周りで何発も爆発を起きて、マーベラス達3人を爆風や爆炎が襲います。
3人は悲鳴を上げてボロボロにされてしまいます。
やっぱり、採石場みたいな場所でクイズ大会をやるようにしたのは、
罰ゲームでナパームをバンバン使うためだったんですね。
3人がススだらけでフラフラになっているのは、この罰ゲームを既に何回も喰らっているからなのでしょう。

つまり、3人は既に何回もこうして不正解になっているのです。
確かにサタラクラJr.のこの卑怯な出題方法では正解することは難しいでしょう。
しかし、それにしても今のジョーのあまりに安易なギブアップ宣言はいただけないと鷹介たちは思いました。
何かを答えれば、それに対して別の答えを言おうとするサタラクラJr.の方で
何かのミスをする可能性は生じるのです。
しかし「分からん」などと言ってしまえば、正解する一縷の可能性すら放棄していることになります。

全く考える気力も無いのか?
それとも、まさか「トランプ」という簡単な方の答えさえ出てこないぐらいバカなのか?
「何やってんだよ!・・・ったく!!」と鷹介は苛立ちます。
このボキ空間に来たらマーベラス達が信用出来る連中かどうか確かめる予定のはずだったのですが、
これはもうそれどころではなくなってきています。
このままではマーベラス達は爆風に晒され続けて死んでしまいますから、まず助けださないといけない。
しかしそれ以前に、こんな程度のピンチで既に心が折れてしまっているというのならば、
確かめる以前の問題です。
いきなり、そのあたりがまず問題となってしまう事態となってしまっているのです。
鷹介たちはまずこの危機にマーベラス達が対処する気力を失っていないかどうかを
観察せねばいけなくなってしまったのでした。

その間にもサタラクラJr.は爆発に翻弄されるマーベラス達3人を見ながら大笑いすると、
「じゃあ次はマベたん!」と、今度はマーベラスを解答者に指名します。
マーベラスは鼻で笑って何やら余裕の態度でサタラクラJr.を睨みます。
サタラクラJr.は「んっとねぇ、モチはモチでも痛いモチ、なぁ〜んだ!?」と、またナゾナゾを出題します。

これを地獄耳で聞いた七海は「・・・普通は・・・尻もちよね?」と鷹介に確認します。
確かに尻もちは痛い。これは定番の答えです。
しかし、これは引っ掛け問題ですから、答えは「尻もち」だけではありません。
鷹介は「だけど、これも引っ掛けだ!」と言って、吼太に考えるよう促します。
七海と鷹介はバカなので、難しい方の正解を考えるのは向いていません。
そういうのはハリケンジャー随一(レベルは低いが)の頭脳派、吼太の担当です。
これを受けて吼太が考えた解答は「槍みたいな形にして・・・凍らせたモチ・・・かな?」という、
いくら何でもそれは無いだろうというような珍解答。
それだけ、今回は難しい問題ということです。

ところが解答者席のマーベラスは全く正解を考える様子も無く、
いきなりブチ切れて「分かるか!そんなもん!!」と、堂々のギブアップ宣言。
これには地獄耳で聞いていたハリケンジャー3人も「ええ〜!?」と愕然とします。
「ブブ〜〜〜!!」とまた×印を作ったサタラクラJr.は
「答えは、槍みたいな形にして凍らせたモチでした!」と正解を言います。
なんと吼太の珍解答は2つの正解のうちの難しい方の正解を当てていたのでした。

しかし、ギブアップしたマーベラスは当然不正解で、
憮然として座る3人に向かってサタラクラJr.はまたも非情に「はい!罰ゲーム!」と言って、
解答者席の周りは爆発の嵐となります。
「あいつら!あんな簡単なクイズも分かんないのか!?」と鷹介は
マーベラス達のあまりの不甲斐なさに呆れます。

いや、というか、今のクイズ、簡単だったか?
・・・そもそも鷹介は答えらえてないような気もするのですが・・・とツッコミたくもなりますが、
鷹介が言っているのはそういうことではないようで、
いくらなんでも簡単な方の「尻もち」ぐらいは分かるはずだと思ったからでした。
「確かに・・・せめて答える努力はしなきゃダメよねぇ!」と七海も呆れ果てます。

2問続けて安易にギブアップ宣言、特に今のマーベラスのは、全く考える素振りすら見せずギブアップです。
最初から考えるつもりが無かったのは明白でした。
彼らがボロボロになっているのを見る限り、
3人とも、もう何問もああやって無気力な態度でギブアップを続けているのでしょう。
2つの答えが分かれば2つ同時に言うとか、
難しい方の答えが分からないとしても、簡単な方だけでもいいから、
せめて何か解答を言えば活路が開ける可能性はあるのに、
マーベラス達はその活路を最初から放棄しているのです。

「・・・うん・・・確かめるまでもなかったかな・・・?」と吼太も失望したように言います。
おそらくマーベラス達は何問か真面目に解答してみた結果、
サタラクラJr.が正解をさせないように2つ答えを用意していることに気付き、
そこでもう無理だと諦めてしまったのだろう・・・そのように吼太は思ったのでした。
そんな程度のことで心が折れてしまうようでは、
ハリケンジャーの大いなる力を使いこなせるかどうかという以前の問題で、
そもそもレンジャーキーを使ってスーパー戦隊の姿を借りて戦う資格さえ怪しいといえます。
それぐらいの資格はあるはずだと今まで信頼はしてきたつもりだったが、
それすらも買いかぶりだったびかと思い、吼太も、そして鷹介も七海も非常に残念に思ったのでした。

ハカセやアイムに接して少し見直しかけていた海賊への想いが裏切られたような気がして不愉快になった鷹介は
「もういい!」と言って立ち上がり、「とにかく、サタラクラJr.を倒すぞ!」と、戦うことにします。
どちらにしても、もともと自分たちが戦ってサタラクラJr.を倒して
ビッ栗にされた人達とマーベラス達を助けるつもりだったのです。
ただ、マーベラス達の様子が気になったのでしばし観察していただけのことで、
その結果、もはや見極める価値も無いという結論に達した以上、
後はもうこの空間へ来たもう1つの目的である皆の救出を遂行するのみだと決意したのでした。
「ああ」「うん」と吼太も七海も同意し、3人は戦闘態勢に入ります。
そして、「ハッハッハ!ではでは!次はルカたん!」とクイズを続行しようとするサタラクラJr.に向かって
崖の上から飛び込んで斬りかかっていきます。

いきなり乱入してきて「こんなクイズは終わりだぁっ!!」と、
サタラクラJr.を囲んで斬りつける3人組を見て、マーベラス達は驚きます。
いきなりハリケンジャーの姿をした3人が飛び込んできたのですから、
最初はハカセ達が自分たちを助けるためにこの空間へやって来たのかと思ったのですが、
それにしても何故、赤青黄という自分たちの受け持ち色の戦士に変身しているのだろうかという疑問と、
どう見ても体型がハカセ達3人とは違うということから、
いったい何者がハリケンジャーに変身しているのか分からず、戸惑いました。
今回、マーベラス達3人はまだ鷹介たち3人とは一度も直接会っていなかったので、
まさか本物のハリケンジャーが来ているとは思いもよらないのです。

一方、いきなり襲われた方のサタラクラJr.も、ハリケンジャー本人たちのことは知りませんから、
いきなり見知らぬ3人組に誰も入ってくるはずのないボキ空間で襲撃されて驚きましたが、
おそらくマーベラス達の仲間の海賊の残りのメンバーだと思い、
上手く3人の攻撃をかいくぐって包囲の輪から逃れます。
それでも3対1では分が悪いと思ったサタラクラJr.はくす玉のところへ素早く駆けて行き、
「へへっ!これがど〜なってもいいのか〜なぁ?」と言いながら、くす玉を開きます。
するとくす玉の中から、あのビッ栗のいっぱいに入った天津甘栗風の赤い袋が出てきて、
下にぶら下げてあった爆弾と一緒に地面に落ちます。

それを見て鷹介たちは「なにっ!?」と驚きます。
まさかそんなところにビッ栗があるとは想定していなかったのです。
しかも爆弾がくっつけられており、すぐ傍にはサタラクラJr.がいます。
これではビッ栗にされた人達を助けるために迂闊に近づくことも出来ません。

ビッ栗を人質にされた形で迂闊に動けなくなってしまった鷹介たち3人に向かって
「ビッ栗を見てビックリしちゃった?」と言って大笑いしたサタラクラは
「じゃあ罰ゲーム!」と指をパチンと鳴らし、鷹介たち3人の周囲の地面が爆発し、
3人は吹っ飛ばされ、ダメージで変身が解けてしまいます。
その変身が解けて転がって苦しむ3人の姿を見てマーベラス達は、
やはりハカセ達ではない、見たこともない3人組がハリケンジャーに変身していたことが分かりました。
いったいこの3人は何者なのだろうかと、マーベラス達は驚き怪しみます。

ここで現実世界の方のハカセ達の奮戦シーンが少し挿入されます。
バリゾーグとインサーン率いるザンギャック部隊に押され気味のハカセ、アイム、鎧の3人は
ここでデカレンジャーに豪快チェンジします。
ハカセはデカグリーン、アイムはデカピンク、そして鎧はデカブレイクへと変身します。
ハカセはディーブラスター、アイムはディーショットを構えて撃ちながら、
そして鎧はデカブレイクですから肉弾戦で突っ込んでいきます。
ちなみに今回は豪快チェンジはこのデカレンジャーの分だけで、
デカブレイクへの豪快チェンジは何気にこれが初めてだったりします。

これで、今回のハリケンジャー篇の前後篇での豪快チェンジ分を加えると、
マーベラス一味がレンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士は、
レッドワン、ブルースリー、イエローフォー、ピンクファイブ、チェンジドラゴン、チェンジグリフォン、
チェンジペガサス、チェンジマーメイド、チェンジフェニックス、レッドフラッシュ、ブルーフラッシュ、
イエローフラッシュ、レッドマスク、ブルーマスク、ブラックマスク、ピンクマスク、ブラックバイソン、
ニンジャレッド、ニンジャイエロー、黒騎士、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の
21戦士ということになります。

また、鎧がゴーカイセルラーのボタンに配されている16戦士のうち未だ変身していない追加戦士は、
ガオシルバー、アバレキラー、マジシャイン、
ゴーオンシルバー(単体変身無し)、ゴーオンゴールド(単体変身無し)の5戦士ということになります。

さて、ここでハカセ達の戦いのシーンを挿入したのは、
ボキ空間の方で少し時間経過した形でシーンが変わるジャンクションとするためです。
ハカセ達の奮戦シーンからボキ空間に場面が戻った時、
さきほどの鷹介たちがサタラクラJr.のビッ栗を人質とした作戦に返り討ちにあってしまったシーンから、
既に多少時間が経過しています。
ダメージで変身解除してしまった鷹介、七海、吼太の3人はマーベラス達と同様、
解答者席から飛び出した鎖に縛られてしまい、
マーベラス達と共に解答者席に縛られて座らされてしまっています。

解答者席の中では多少動けますが、
遠く離れた司会者席にいるサタラクラJr.や
再びくす玉の中にしまいこまれて爆弾とくっつけられているビッ栗には手を出せる状況ではありません。
ボキ空間の中では変身も出来ませんから、一旦変身解除してしまった以上、変身することも出来ません。
鷹介たちの乱入で場が乱れてしまったので一旦クイズは小休止となり中断しており、
その間に解答者席に縛られた吼太や七海はマーベラス達に自分たちが元ハリケンジャーの3人であり、
ハカセ達にレンジャーキーを借りて、ビッ栗にされた人達やマーベラス達を助けるために
超忍法でこのボキ空間へやって来たことを説明しました。
それでマーベラス達もだいたい事情は理解しました。

その上で、吼太たちは、どうしてビッ栗があんな場所にあったのか事の経緯をマーベラス達に尋ねました。
ビッ栗があそこで人質にとられなければサタラクラJr.を倒すことが出来たのに、
あんなくす玉の中で爆弾の傍にあったとは、さすがに遠くからでは分からなかったので不覚を取ってしまいました。
それで、どういう経緯であんな場所にくす玉があり、どうして中にビッ栗があり、
どうしてそこに爆弾がくっついていたのか、マーベラス達に事情を確認してみたのです。

すると、マーベラス達は、ぶっきらぼうな態度で、不承不承ながら説明します。
それによると、ビッ栗のことは知らないが、
とにかくこのクイズのルールは、クイズに正解すればこの空間から脱出のチャンスが得られるというもので、
解答者がクイズに正解してサタラクラJr.が「ピンポーン」と言うと解答者の鎖は解除され、
同時に正解が出るとくす玉を爆発させることになっていたということです。

その説明を聞いて、吼太は「正解したら、あのくす玉がビッ栗もろとも爆発する仕掛けだったなんて・・・!」と驚きます。
そんな仕掛けだったのなら、クイズに正解することなど出来ない。
なんと卑怯なやり方なんだろうかと吼太は呆れました。

しかし、そこで七海は何か話が不自然であることに気付きました。
マーベラス達はくす玉の中にビッ栗があることをサタラクラJr.から教えられていないのです。
ならばマーベラス達に対して「ビッ栗を人質にとられているから正解出来ない」という脅しは効果がありません。
だから正解してしまう可能性はある。
サタラクラJr.がマーベラス達に正解させないことが狙いなのだとしたら、
最初にビッ栗がくす玉の中にあることを教えるか、示唆するでしょう。
そうしていないということは、サタラクラJr.の狙いは別のところにあるということです。

つまりサタラクラJr.はマーベラス達がクイズに正解することによってビッ栗が爆発してしまって、
それでマーベラス達がビックリする顔を見て楽しみたい。単にそういうことなのでしょう。
楽しいこと大好きなサタラクラJr.らしい遣り口だといえます。

しかし正解してしまえばマーベラス達の鎖が解除されて自由になってしまい
サタラクラJr.が危なくなってしまうではないかという疑問はあります。
が、これはサタラクラJr.にとって大した問題ではありません。
自由な身になったとしても変身は出来ないのですから、3人いてもサタラクラJr.には勝てません。
それに、サタラクラJr.は正解すれば必ず鎖を解除するとは言ってません。
「ピンポーン」とサタラクラJr.が言わなければ鎖は解除されないのです。

そして、正解すれば必ず「ピンポーン」と言うとはサタラクラJr.は言っていません。
単に「正解してボキはピンポーンと言えば」と言っているだけであり、
正解してもサタラクラJr.が必ず「ピンポーン」と言うとは限らないし、
すぐに言うとも言いきっていません。
少なくとも鎖が解除されてから慌てて行動しても、
正解と連動して自動的に起こるビッ栗の爆発を阻止することは出来ないでしょう。
そして正解しても「ピンポーン」とは言われずにそのまま鎖で縛られたままである可能性も高い。

しかし、正解すればこの空間から脱出できるのではなかったか?
だが、これもサタラクラJr.は「脱出できる」とは言っていない。
「脱出できるチャンス」と言っただけであり、
正解しても脱出するチャンスが得られるだけであって、すぐに脱出できるわけではないのです。
おそらくチャンスを得たということで最終クイズのような段階に進み、
そこで不正解にしてフリダシに戻すつもりであろうし、
仮に脱出できたとしても、それはあくまで「この空間を脱出」できるだけであって、
「元の世界に戻す」とは言っていないし「ボキ空間から脱出」とも言っていない以上、
別のボキ空間に移動するだけのことなのかもしれない。

つまりサタラクラJr.の作ったルールはいくらでもルールの抜け道が用意されていて、
ルールを違反しない形でいくらでもサタラクラJr.の恣意的解釈で
自分の都合の良い結果を操作することが出来るようになっているのです。
だからマーベラス達がクイズに正解すると、
結果的にはくす玉の中に隠されたビッ栗が爆発して、ビッ栗になった人達が皆死んでしまい、
それを見てマーベラス達がビックリするだけのことになります。
その無様な様子を見て大笑いするのがサタラクラJr.の目的でしょう。
さっさとマーベラス達を殺せばこんな余計なお遊びなどしなくて済むのですが、
余計なお遊びがサタラクラJr.の生き甲斐ですから、
すぐにはマーベラス達を殺さずに、こういう無駄なお遊びに夢中になってしまうのでしょう。

サタラクラJr.の思惑はそんなところなのだろうと想像した七海は、
しかし現実にはその思惑通りにはなっていないことに気付きました。
どうしてサタラクラJr.の思惑通りになっていないのかというと、
マーベラス達3人が「分からん」ばかり連発してまともに解答しないから、正解にできないからです。

ここで七海はハッと気づきました。
もしかして、引っ掛け問題になっているとはいえ、
簡単な方の解答ならばすぐに答えてしまえそうなクイズで
マーベラス達が不自然に「分からん」ばかり連発して思考を一切放棄しているように見えたのは、
実はくす玉の中にビッ栗があることに気付いていて、
わざとどうやっても正解にならないようにギブアップ宣言を連発していたのではないかと思ったのでした。
「・・・じゃあ、あなた達が答えなかったのは、万が一にも、ビッ栗にされた人達に
被害が及ばないように・・・?」と七海はマーベラス達に問いかけます。

それを聞いて吼太もそういうことだったのかと気付きました。
もしサタラクラJr.の狙いがマーベラス達の正解によって
ビッ栗にされた人達を吹っ飛ばすことの方だったとするなら、
普通なら不正解の答えをマーベラス達が言ったとしても、
わざとサタラクラJr.はそれを正解としてしまう可能性も十分あります。
ならば「分からん」と言って何も解答しないのが一番安全策といえるでしょう。
おそらくマーベラス達は「くす玉を爆発させる」というサタラクラJr.の不自然なルールに違和感を覚えて、
その中にビッ栗がある可能性が高いと判断し、念のためにそうした安全策を取っていたのではないかと
吼太や七海は想像しました。

しかし、マーベラスは七海の指摘を受けると、
顔を背けたまま「フン・・・関係ねぇ・・・」とぶっきらぼうに言います。
そして七海の方に振り向いて「どうせ何と答えたって、奴は正解にはしねぇよ・・・」と、
だるそうな顔で応えます。
それに続いてジョーも「そんなクイズ・・・考えるのも面倒だしな・・・!」と、
いかにも面倒くさそうな顔で言い、ルカも興味なさそうに「そうそう!」と相槌を打ちます。

つまり、マーベラス達は、自分たちが解答をしなかったのは、
どう解答してもサタラクラJr.は正解にするつもりはないのだから、拗ねて解答しなかっただけのことであって、
別にくす玉の中のビッ栗の人達を守ろうとしていたわけではないと言っているのです。

しかし、このマーベラス達の言い分はおかしい。
何故なら、くす玉の中身がビッ栗であることは知らなかったとしても、
マーベラス達はサタラクラJr.から「正解したらくす玉を爆発させる」と聞いて、
下に付けられた爆弾まで見せられていたのです。
サタラクラJr.が正解を認めるつもりが一切無いのだとするなら、
使う可能性の無い仕掛けをわざわざしたことになります。
そんなことは有り得ないわけで、普通はそういう仕掛けを見せられれば「正解はある」と考えるはずです。

もしかして本当はサタラクラJr.は正解を出すつもりはなく、
爆弾のブラフで希望を持たせて騙す作戦だったとしても、
それでもそのブラフを突きつけられた側は迷うはずです。
「何と答えても正解は無い」と決めつけることは出来ないはずです。
普通は何回か試してみるはずです。
どうせ正解にならないのならば、答えても答えなくても結果は同じなのですから、
とりあえず何回か試してみて、その結果諦めるというのなら分かりますが、
マーベラス達のように最初から諦めるというのは、この場合有り得ない。
だから、マーベラス達が最初から「どうせ正解は出ない」と諦めていたというのは嘘です。
普通なら試して何か解答してみるはずです。

でもマーベラス達はそうはしなかった。
では最初から解答をしなかった理由は何かというと、
それはわざと正解を言わないようにするためとしか考えられません。
正解を言ってしまってくす玉が爆発するとマズいと思ったからです。
どうしてくす玉が爆発するとマズいのか?
彼らがくす玉の中に自分たちにとって大切なものが入っていると思っていたからです。

そして実際にはくす玉の中にはビッ栗が入っていました。
ではビッ栗はマーベラス達にとって大切なものなのか?
ギブアップ宣言を繰り返すことによってマーベラス達は爆発に晒される罰ゲームを受け続け、
このままではいずれ死んでしまうでしょう。
そんなに自分を危険に晒してまでビッ栗は彼らが守るべきものなのでしょうか?

マーベラス達は宇宙海賊で地球人とは縁もゆかりも無い者達です。
だからビッ栗にされた地球の人達を自分を危険に晒してまで守る理由など無いはずです。
だから、そんなことは有り得ない。
マーベラス達はビッ栗ではない何か別の自分たちにとって大切なものが
くす玉の中にあるのだと勘違いして、それを守ろうとしていたのだと考える方がここは自然です。

しかし、そうなると、どうして七海の質問に対してマーベラス達はそのことを正直に言わず、
「どうせ正解は出ないから考えるのが面倒だった」などという下手くそなウソをついたのか?
ウソというのは真実を隠蔽するためにつくものです。
つまり、ウソをついて否定しようとしたことこそが真実であるということです。
マーベラス達が下手くそなウソをついて否定しようとしたのは、
七海の「ビッ栗にされた人達を守るために解答しなかったのか?」という疑問でした。
つまり、七海の指摘が真実を突いていたので、マーベラス達はそれを否定するためにウソをついたのです。
となると、マーベラス達が隠そうとした真実は
「ビッ栗にされた人達を守るために解答しなかった」ということになります。

つまり、マーベラス達はやはり、くす玉の中身がビッ栗である可能性が高いと当初から睨んでおり、
わざわざサタラクラJr.がそんな仕掛けをしているということは
正解を出してビッ栗を爆発させようとしているのだと予想し、
その企みを阻止するために、わざと解答しないようにしていたのです。
そして、そのようにした理由は、
宇宙海賊であるクセに何故かマーベラス達は縁もゆかりもない地球の人々を
自分の危険も顧みずに守りたいと思っているからだったのです。

マーベラス達3人の白々しいウソの言い訳を聞いて、
七海と吼太は即座にマーベラス達のそうした本心に気付きました。
そして、それがハカセやアイムが見せたがっていたマーベラス達の本当の姿だと理解したのでした。

ただ、そのハカセやアイムが見せたがっていた
「マーベラス達は地球の人達を身を挺して守ろうとしている」という事実だけで、
七海や吼太がゴーカイジャーを「ハリケンジャーの心を受け継ぐ者」として認めたかというと、
そういうわけではありませんでした。

確かにマーベラス達に対して抱いていた悪印象は消えました。
地球を守るために戦うヒーローになる資格も十分にあるとも思えました。
しかし、これだけではハリケンジャーの後継者として即座にピンとくるわけではないのです。
例えばマジレンジャーでもデカレンジャーでも「大いなる力」を渡す時には、
「地球を守って戦う」という戦隊の共通項ではなく
「勇気」や「誇り」などそれぞれ特有のポイントがありました。
ハリケンジャーにもそういうポイントはあるはずです。
まだ「マーベラス達が実は地球の人々を守ろうとしていた」というだけでは、
そのポイントに触れてはいないのです。

では、ハリケンジャーのそういう特有のポイントとはどういうものかというと、
それはハリケンジャーという戦隊が正義の戦隊であるための核心の部分であり、
それは彼らが忍者の戦隊であることと密接な関わりがあることから、
彼らが忍者として戦うことの核心であるといえます。
しかし、それがどうも鷹介、七海、吼太には曖昧となっていたのです。
いや、それが自分達の中で曖昧になっていたこと自体に彼らは無自覚になっていたのですが、
こうして救出作戦に失敗して捕らわれの身になってしまったことによって、
鷹介たちは自分たちが忍者としての原点を忘れてしまっていたことを自覚したのでした。

鷹介は特にそのことにショックを受け、
先ほどからの七海と吼太のマーベラス達との遣り取りにも加わらず、
1人だけ彼らに背を向けて座って考え込んでいました。
鷹介は作戦が失敗したのは、自分たちがビッ栗にされた人達を助けに来たはずなのに、
ビッ栗の所在も確認せずに突撃したからだと思いました。
ビッ栗の所在を確認する慎重さがあれば、
あんな簡単にサタラクラJr.にビッ栗を盾にした反撃を許すことはなかったはずです。

どうしてこんな初歩的なミスをしてしまったのか?
それは自分たちが守るべき対象である「ビッ栗にされた人達」に集中していなかったからです。
ボキ空間に入ってからもマーベラス達の方に気を取られたりしており、
ついビッ栗にされた人達のことを忘れてしまっていました。
昔はこんなことはなく、守るべき対象にもっと純粋に集中出来ていたはずです。
それがどうして、何時の間に出来なくなっていたのだろうかと、鷹介は反省し苦悩していました。

そうして皆に背を向けて落ち込みつつ、耳に入ってくる背後の会話で、
マーベラス達が下手くそなウソをついたせいで、
実はマーベラス達3人がビッ栗にされた人達を守るために
わざとクイズに解答せずに爆弾を喰らっていたことが判明しました。

よりによってマーベラス達を自分のことしか考えていない連中だと決めつけて信用していなかった自分達の方が
本当に助けるべきビッ栗の人達のことを一瞬忘れており、
逆にマーベラス達の方がビッ栗の人達のことをずっとしっかり考えていたとは、
なんとも恥ずかしい話だと思いつつ、
鷹介はそれにしてもマーベラス達3人のウソの下手くそっぷりに驚きました。

あれで上手く誤魔化したつもりのようだから呆れます。
言ってることは矛盾しているし、声の調子も白々しいし、それで裏の裏でもあるかと思えば何も無く、
こんなウソでは誰も騙せない。
忍者には到底なれない連中だと鷹介は思いました。
忍者の戦いというのは騙し合いの戦いですから、
こんな程度のウソもまともにつけない連中には忍者は務まりません。
やっぱり所詮、海賊は忍者にはなれないのだな、と少し可笑しく思ったところで、
鷹介はハッと気づいたのでした。

海賊たちも別に好きでこんな下手なウソをついているわけではない。
もしかしたら、宇宙海賊、いや、特にこのマーベラス一味というのは、
物凄くウソをつくのが苦手な連中なのかもしれないと思ったのです。

この「マーベラス一味はウソをつくのが苦手」というのは、
マーベラス達のぎこちないウソを同時に聞いた七海も吼太も同様に感じました。
鷹介、七海、吼太の3人とも、ボキ空間に来る前にハカセやアイムとの遣り取りで、
2人の妙な率直さや素直さに不思議な印象を抱いていたのですが、
それもまた、地球人の鎧はともかくとして、
宇宙海賊として地球にやって来たマーベラス達5人は要するに、
やたら真っ直ぐでウソをつくのが苦手な連中なのだと考えると納得がいったのでした。

考えてみれば、何故彼らは海賊になったのか?
それはザンギャックに支配された宇宙で、その圧政のもとで押し付けられる理不尽に
順応していくことが出来なかったからです。
つまり、嫌いな世界の中で、本当は嫌で嫌で仕方ない自分の気持ちを誤魔化して、
我慢して生きていくことに耐えられなかったのです。
理不尽な支配体制の中で自分のやりたいことや夢を諦めて、
自分のやりたくないことをやり、言いたくないことを言うような、
そんな自分を偽るような生き方が出来なかったので、
彼らはザンギャックの支配から外れて海賊になったのです。

つまりザンギャック支配下の宇宙における「海賊」とは、
自分を偽ることが出来ない、真っ直ぐな連中なのです。
特にザンギャックと先鋭的に対立しているマーベラス一味はそういう傾向は極端であるはずなのです。

ザンギャックが宇宙を理不尽な暴力で支配していることは、
かつて戦ったこともある鷹介たちは知っていましたから、
この時、マーベラス一味が自分を偽ることの出来ない性分の連中だということは想像できました。
だから、マーベラス達はこんなにもウソをつくことが苦手なのだと、鷹介たちには分かりました。

実際、鷹介たちはいちいち知ったことではないですが、
マーベラスなどはこれまで劇中でウソはついたことはほとんどありません。
もちろん、例えば赤き海賊団やアカレッドのことなど、色々と秘密にしていることはありましたし、
今でももしかしたら何か秘密は隠しているかもしれません。
ジョーもシドのことは誰にも言っていませんし、ルカも自分の夢については内容は秘密にしています。
しかし、それはウソを言っているわけではない。
むしろウソを言いたくないから秘密にしているとも言えます。

今までマーベラスが明白にウソを言ったのは1回だけ。
それは「空飛ぶ幽霊船」映画の中でゴッドアイを使って願い事をした後に仲間たちに仕方なくついたウソです。
しかし、そのウソは即座に見破られてしまうぐらい下手くそなウソでした。
ただ、その時も仲間たちはマーベラスにそのウソのことを明確に追及はせず、
そのまま有耶無耶に終わらせました。
つまり、どうやらマーベラス一味の間ではウソというものは表向き禁止なのでしょう。
その禁をやむをえず破ってしまった船長を、
皆して結託して大目に見てあげているという状態であったのだと思います。

もちろん、ウソをつかないといっても、別に清く正しく生きるためにウソを禁じ手いるわけではなく、
マーベラス一味は戦いの場や敵との駆け引きの場では騙しのテクニックなどは平気で使います。
ルカなどはイカサマしまくっていました。
マーベラス一味においてタブーとされているのは、戦いの場の駆け引きのウソや騙しではなく、
自分の気持ちを偽るような生き方なのであろうと思われます。
それがタブーとされている理由は、まず、自分の気持ちに正直に生きることが海賊の原点であるからであり、
そしてもう1つの理由は、もともと自分を偽ることの出来ない連中なのだから、
そんなウソをついてもどうせすぐにバレてしまいので、そんなウソはつかない方がマシということです。
どうしても言えないことがあるなら黙っていればいいのであって、
変にウソを言っても、どうせ下手だからバレるのが関の山というわけです。

そうしたポリシーを持ったマーベラス達であったゆえに、今回は苦しんでいたのです。
何故なのかというと、マーベラス達は本当は最初から
たまたま目撃したビッ栗にされた人達を助けたいと思って戦っていたのですが、
それを表に出すことを抑制していたからです。

どうして抑制したのかというと、
先日のジェラシットの件で、所詮は地球人の社会には宇宙海賊が地球人を守るために戦うなどということは
素直に受け入れられないのだと痛感したからでした。
自分達みたいな宇宙海賊が地球人を守るために戦っても、どうせ歓迎されないし、
下手したら迷惑に思われてしまう。
せっかく戦ってそんな扱いを受けるのは不愉快です。

ならば地球人を守ることなどやらなければいいのでしょうけれど、
守りたくなってしまうのだから仕方がない。
やりたいことを我慢するのは彼らの性分に合いません。
だから、守りたいから守る。
でも、地球人に自分達が地球人を守ろうとしていることを知られて迷惑がられたら、
せっかく戦っても不愉快な気分になってしまう。
だから、出来るだけ地球人に自分達が地球人を守ろうとしていることを
知られないようにしながら戦おうと思ったのです。

それで、ビッ栗にされた人達を助けようとして戦い始めたのですが、
その自分の内心が他にバレないように気を遣い過ぎて、なかなか戦いにも集中出来ないし、
そもそもそんな自分の気持ちを偽ってウソをつきながら戦うというのは、
海賊のポリシーに反しており、自分の性分にも合っていないので、
戦っているうちにどんどんイライラしてきて、冷静さを欠いた戦いをしてしまう羽目となったのでした。
鷹介たちハリケンジャーの3人や鎧から見て、
マーベラス達の態度が妙にイライラして荒っぽく、自分勝手なように見えたのは、
このように自分を偽って戦っていたことによる海賊特有のフラストレーションによるものだったのです。

事の経緯は分からないながらも、
鷹介たちはマーベラス一味という宇宙海賊が自分を偽るのが苦手な連中で、
そんな連中のうちの3人が何故かビッ栗にされた地球人を助けようとしており、
しかも何故かそのことを周囲に悟られないように必死になっており、
そんな自分に合わないことをやっているために
変にギスギスした態度になっていたのだということは分かりました。

なんとも不器用な、ややこしい連中だと思って鷹介たちは呆れましたが、
よく考えたら、こうして傍に座って会話してみてようやくそうした事情に気付いたのであって、
それまでは鷹介たちもマーベラス達のことを遠目に見る分には
単に自分勝手な宇宙海賊だと思い込んでいたわけですから、
何だかんだでマーベラス達の思惑通り、上手く騙されていたわけです。
これなら、確かに見物する地球人たちに「地球人を守ろう」というマーベラス達の真意は
隠すことも出来るかもしれません。

しかし、それがフラストレーションになって実力の発揮の妨げになっているとしたら、
それはやはりまだ未熟と言うべきでしょう。
いや、未熟ではなく、その妙な努力の方向性自体が間違っているという考え方もあります。
そうした考え方の方が一般的かもしれません。
別に無理に自分の本音を隠そうとしなくてもいいんじゃないか?というのが普通の考え方でしょう。

しかし、マーベラス達の「宇宙海賊」という特殊な立場を考えれば、
そうした特殊なこだわりを持つのも仕方ないことだと思えますし、
それより何より、鷹介はむしろ積極的に、
マーベラス達のその妙なこだわりこそが有用なのだと思えたのでした。
それはどうしてなのかというと、マーベラス達が鷹介たちが一瞬忘れてしまっていたビッ栗のことを、
ちゃんとくす玉の中に隠してあると見抜いていたからでした。

それはつまり、こんなボキ空間に落とされた極限状況の中でも
マーベラス達がずっとビッ栗にされた人達のことを心に掛けていたということです。
そして、マーベラス達はビッ栗を守るために自分達が爆風に晒され続けることになっても、
それでも心が折れることなくビッ栗を守り抜いていた。
ビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちがそれだけ集中しており、純粋で強かったということです。

そして、鷹介はマーベラス達がそれだけ守るべき対象を守ることに純粋に集中できた理由は、
その守るべき対象を守ろうとする気持ちを隠そうとしていたからだと気付いたのです。
つまり、ビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちを隠そう隠そうとするマーベラス達の変なこだわりが、
むしろマーベラス達のビッ栗にされた人達を守ろうとする気持ちの純度を高めていたということに
鷹介は気付きました。
いや、思い出したと言ってもいい。
何故なら、それこそが鷹介たちがうっかり忘れていた忍者の核心、極意であったからです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:57 | Comment(0) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その4

ハリケンジャーという戦隊は、世間に向けてその存在を最も徹底して秘密にしていた戦隊です。
他にも秘密戦隊という形式の戦隊は多くありましたが、
それらはそのメンバーが誰であるのか秘密であったり、
その組織の存在が公式には否定されていたりする程度のもので、
世間の人々は自分達を守ってくれている謎の仮面の戦隊が存在することは認識していました。

そうした戦隊の存在に関する人々の認識そのものまで消そうとしていたのは
ハリケンジャーとゴセイジャーだけであり、
ゴセイジャーの場合は天装術で人々の記憶を消している設定になっていましたが、
あまり本編でそのことが徹底して描写されていなかったので、
そのあたり黒子ロボットを使って人々の記憶を消すことを割としっかり描写していたハリケンジャーが
最も秘密徹底がされていた戦隊であったと思われます。

ではどうしてハリケンジャーはそこまで秘密徹底がなされていたのかというと、
それは例えば「シンケンジャー」の物語世界における「侍」の定義が
一般に言う「侍」とは違っていたのと同じように、
そもそも「ハリケンジャー」の物語世界における「忍者」の定義も
いわゆる一般の「忍者」の定義とは根本的に違うことに関連します。

もちろん「シンケンジャー」の物語世界にも一般的な侍も存在したのと同様、
「ハリケンジャー」の物語世界にも一般的な忍者も存在したのではありましょう。
ただ、「シンケンジャー」の物語世界における志葉一族の侍が300年前から続く特別な侍一族であったのと同様、
「ハリケンジャー」の物語世界における「宇宙統一忍者流」という忍術流派もまた
500年前から続く特別な忍者の集団であったのです。
そして、ハリケンジャーの属する疾風流はこの宇宙統一忍者流から生じた流派なのでした。

宇宙統一忍者流の開祖は覚羅という人物で、
500年前に地球に落ちた隕石の中に含まれていた闇石をメダルの形にして体内に封印し、
不老不死の身体となった女性でした。
この闇石の本来の姿は「嘆きの弓」という物体で、
宇宙の何処かにある「怒りの矢」という物体と合わさることで
宇宙に災厄をもたらす巨大な力が発生すると知った覚羅の父親がそれを阻止するために
覚羅の身体に「嘆きの弓」のメダルを封印して隠したのです。

そうしてメダルの力で不老不死となった覚羅は永遠に身を隠して生き続け、
メダルを隠し続けることが使命となったのでした。
しかも、このメダルの封印は、覚羅が悲しみを感じると解けてしまうため、覚羅は人の心に触れてはいけない。
それゆえ覚羅は人に存在を知られぬよう、人から離れて孤独に生き続けるしかなかった。
そうした覚羅を守るために組織されたのが宇宙統一忍者流という流派の忍者集団でした。
覚羅の傍に仕える宇宙統一流忍者たちもまた、覚羅同様、人に存在を知られてはいけない。
それゆえその存在を秘することが徹底されるようになったのです。

ただ、宇宙統一忍者流の目的はただ覚羅の存在を秘し、
もし覚羅の封印を解こうとする者が現れれば排除するということのみであったので、
覚羅の存在が首尾よく隠されて平穏な年月が経つうちに、
宇宙統一忍者流の忍者たちの存在意義は見えなくなっていきました。
何せ、宇宙統一忍者流の存在そのものが秘密なのですから、
活動が少なめになると存在意義自体を維持していくのが大変です。

しかし、それでもいつ来るか分からない危機に備えて宇宙統一忍者流の流派を絶やすわけにはいかない。
そこで宇宙統一忍者流はその姿を更に奥に隠し、
疾風流と迅雷流という2つの下部組織の忍術流派を立ち上げて、
そこから特に優れた人材を宇宙統一忍者流の直属の天空忍者として
極秘にスカウトするというシステムを作ったのです。

よって、宇宙統一忍者流やその領導者である覚羅の存在は、疾風流と迅雷流の双方の高位者のみしか知らず、
疾風流や迅雷流はこの世の悪を討つために人知れず戦う影の戦士の集団という建前となり、
互いにライバル流派として切磋琢磨し合うことで技を磨いていくことになったのです。
両派の忍者たちは、ごく一部の天空忍者にスカウトされて自派の高位者にも極秘にして姿を消した者以外は、
自らをそうした影の正義執行者的な存在であると信じ込んで数百年、その流派を受け継いできたのでした。

ただ、疾風流にしても迅雷流にしても、宇宙統一忍者流の伝統を受け継ぎ、
自らの存在を世の人々に対して絶対に極秘とする仕組みは受け継いでいましたが、
その本来の意味(覚羅の存在を秘するため)は分からなくなっており、
とにかく昔から秘密厳守が絶対であるという厳格なルールだけが伝わってきていた状態だったのです。

この疾風流に伝わる伝説の最強忍者が「忍風戦隊ハリケンジャー」であり、
宇宙忍群ジャカンジャの地球侵略に対抗するために、
この伝説を現代に甦らせてハリケンジャーとなって戦ったのが、
疾風流の忍者養成学校「忍風館」の第507期生であった椎名鷹介、野乃七海、尾藤吼太の3人であったわけです。

疾風流は上記のような経緯で人知れず世の悪を討つ影の忍者集団として数百年存続してきたわけで、
その伝統の中、彼らのポリシーを表す名乗り口上、
「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ」というものも生まれました。
また、そもそも「疾風流」「忍風館」「忍風戦隊」というように「風」という言葉が重要視されているのは、
彼ら疾風流が自らを「風」になぞらえているからです。

風の姿は誰にも見えない。風には実体も無く、風の名を誰も知らない。ただ吹き過ぎてゆくだけです。
しかし、風には名や実体のあるものを動かす力はある。
姿も見えず名前も残らないが、世を変える力はある。
それが風であり、風こそが忍者のあるべき姿だというのが疾風流のポリシーなのです。

というか、そうしたポリシーを持つことによって疾風流は存続してきており、
存続することによって隠された真の存在意義である天空忍者への人材供給源になっていたわけなのですが、
そんなことは疾風流の誰も知りません。
疾風流のナンバーワンであり忍風館の館長である日向無限斉さえも、
宇宙統一忍者流や覚羅という謎の上位組織の存在は知っていても、
そこまで詳細な仕組みを知っていたわけではなく、
「疾風流はこの世の悪を討つための秘密の忍者集団」という認識でありました。
だから当然、鷹介たちも自分達がどうして風のように存在を消して、影となって戦わねばならないのか、
その真の意味は分かっていない状態でした。
ただ単に疾風流というのはそういう流派なのだという認識があるだけでした。

実際は、鷹介たち疾風流の忍者たちが風のように存在を消して影となって悪と戦ってきた理由は、
覚羅の存在を秘しつつ覚羅を守る天空忍者の人材供給源を存続させるためであり、
忍風館や疾風流の掲げていた高邁なスローガンは、
その真の目的に奉仕するために配下の忍者たちを欺く空虚なスローガンに過ぎなかったということは、
終盤になって覚羅が鷹介たちの前に姿を現したことによって明らかになったのです。

いや、それが真実であるはずでした。
ところが覚羅は鷹介たちハリケンジャーおよび迅雷流のゴウライジャーに向かって、
疾風流と迅雷流の極意が何なのかを問いかけ、鷹介たちが答えられないのを見て失望します。
疾風流と迅雷流の存在意義が覚羅と宇宙統一忍者流の隠れ蓑に過ぎなかったとすれば、
そこに極意など無いはずです。
ところが覚羅は疾風流と迅雷流には極意があると言います。

つまり、もともと覚羅が疾風流と迅雷流を作ったのは自らの隠れ蓑とするためだったのではなく、
実は地球を守るために必要な何らかの極意を託したはずだったようですが、
それを鷹介たちが答えられないのを見て、
極意が長い年月の間に失われたと知り、覚羅は失望したようなのでした。

鷹介たちは極意が何なのか分からなかったが、
覚羅のピンチに身を挺して戦うハリケンジャーとゴウライジャーの姿を見て、
覚羅は彼らが戦いの日々の中で既に極意を得ていたことに気付きました。
疾風流の極意は「風のようにくじけない未来を信じる疾風の心」であり、
迅雷流の極意は「雷のように仲間との絆を貫く迅雷の心」でした。

確かに鷹介たちはその極意を風となり影となっての戦いの中で身につけていました。
ただ、何故その極意を身に付けることが出来たのか、その極意を持つ意味とは何なのか、
それが鷹介たちにはまだ分かりませんでした。
それが分からないことには、まだ忍者の極意を極めたことにはなりません。

その極意が分かったのは、覚羅が倒されてメダルを奪われ、
覚羅の側近の天空忍者シュリケンジャーをも倒された時のことでした。
最後まで顔も名前も明かさずに死んだシュリケンジャーが鷹介たちに残した最期の言葉は、
覚羅から教わった忍者の極意「花の名前を忘れても、花の美しさを人は知っている」という言葉でした。

名前を忘れるというのは、
つまり宇宙統一忍者流が自らの戦いを目撃した人達の記憶を消してきたことを指しており、
花というのが忍者のことです。
つまり自らの存在を消してきた忍者は美しい存在であり、
忍者の存在は人に知られずとも、忍者の持つ美しさ自体は人の共感を得られる美しさであるということです。
そして、その美しさは、忍者が自らを無の存在としてきたからこその美しさなのです。

その美しさとは純粋さでしょう。
守るべき対象である人々にその名も存在も知られていないということは、全く無関係ということです。
単に正体が知られていないだけではなく、
ハリケンジャーという戦隊に対する人々の思い入れそのものが存在しないのです。
この世にハリケンジャーという物は存在していないのです。
つまり守るべき対象である人々との関係は一切ゼロです。

それゆえに、よほど純粋に守りたいという想いを貫かねば、人々を身を挺して守ることなど出来ません。
そして、一旦そうした守りたいという想いが出来上がれば、
もともと無の上に成立したその想いは、一切他の条件の影響を受けることなく不変となります。
純粋ゆえに揺らぐことはないのです。

逆に、何らか自分と人間関係のある対象を守る場合は、守りたいという想いは簡単に湧き上ってきますが、
それは真に純粋な「人を守りたい気持ち」だけではなく、
「その相手だから守りたい」という私情が合わさって行動の動機を形成しているのであり、
例えばその相手と仲違いしたり、より大切に想う相手を守る行為との利害が対立したりというような、
私情絡みのトラブルが生じた場合に一気にモチベーションが下がる可能性もあります。
こういう感じの「守りたい想い」は安定した純粋な想いとは違う。
真に安定した「人を守りたい想い」を持つためには、その想いの純粋さを上げていかないといけない。

そのためには出来るだけ私情を排して、対象との関係を希薄化して守る習慣を積んでいく方がいい。
最初はなかなかモチベーションが上がらないが、
何度もそのようにして自分との関係の薄い相手を守っていくうちに、自分の想いは純粋になっていき、
それが出来上がっていくと強固なものとなり、ちょっとのことでは挫けない強い想いとなっていくのです。
警察や軍隊というのは、こうした純粋で普遍的な「守る想い」を鍛えた人達の集団であって、
私情で動く一般人に比べて、よりいっそう誰からも頼りにされる集団なのです。

しかし、それでもまだ、例えば警察を嫌いな人もいますし、軍隊に利害関係を持った人たちもいます。
そうした人達とそうではない人達とで、警察や軍隊は対応はどうしても変わってきます。
本来はそういう私情絡みの不公平はあってはならないのですが、
それでも人間関係が存在する限りは私情というものは必ず発生し、
それが行動に及ぼす影響をゼロにすることは出来ません。
つまり、守り手としての存在を世間に認識された集団の場合、純粋さを完全なものとすることは不可能なのです。

しかし、その存在を完全に秘匿することが大前提となっている宇宙統一忍者流ならば、それが可能なのです。
最初は「嘆きの弓」のメダルの秘匿のために自身と自らの流派の存在を秘匿していた覚羅だったが、
その自身を完全秘匿することによって生まれる究極の「純粋にこの地球や宇宙を守りたいという想い」を
世のために直接役立てることを目指し、疾風流と迅雷流を設立したのであろうと思われます。

そして、鷹介たちは自らの存在を消して影となって悪を討ち、人々を守る戦いを繰り返していく中で、
最初は虚しさも感じて迷いもあったが、
次第にただ純粋に人々を守りたいという想いだけに集中するようになっていき、
その純粋な想いのみを持ち、あとは己を無として迷いや余計なこだわりを無くし、
それゆえ、ただひたすら未来を信じて挫けずに進んでいったり、
想いを同じくする仲間との絆を貫くことが出来るようになったのです。

つまり、疾風流や迅雷流の極意を自分達が得ることが出来たのは、
存在を消して影となっての戦いを積み重ねる中で培われた「純粋な想い」、
すなわち忍者の極意があったからこそであったのだということに、
鷹介たちはシュリケンジャーの最期の言葉によって気付いたのでした。
こうして忍者の極意を掴んだ鷹介たちはジャカンジャ、そしてその後の最後の敵も倒して
地球を守る戦いに勝利したのでした。

その鷹介たちが今回、守らなければいけないビッ栗にされた人達の存在を
一瞬忘れてしまうという失態を冒してしまいました。
これは人々を守ろうとする純粋さが欠けていたということで、
言い換えれば忍者の極意が失われた状態です。
どうしてこのようなことになったのかというと、原因はレジェンド大戦にあるのでしょう。

鷹介たちの忍者の極意、すなわち「純粋さ」は自らの存在を秘してこそ培われるものです。
それなのにレジェンド大戦以降、ハリケンジャーという戦隊の存在は知られるようになってしまいました。
この500年間の疾風流の歴史においてかつて起こり得なかった未知の事態に鷹介たちは上手く順応しきれず、
その自らの存在を秘してこその純粋さを少々見失ってしまっていたのです。
今回の失敗で初めて自分達がいつの間にか忍者の極意である純粋さを
見失っていたことに気付かされて鷹介たちは焦りました。
そして、それはレジェンド大戦以降、自らの存在が秘密ではなくなっているからではないだろうかと戸惑いました。

ところが、そこで、宇宙海賊のマーベラス達が鷹介たちよりも純粋に
ビッ栗にされた人達を守ろうとして戦っているという事実を鷹介たちは知りました。
そして、そのマーベラス達は下手なウソをつきながら、
自分達が地球の人々を守ろうとしていることを隠そうとしています。

マーベラス達もまた、秘することで純粋さを培おうとしているのか?
確かに彼らの地球人を守ろうとする純粋な想いを保つためには、
ゴーカイジャーの地球人を守ろうとする姿勢は明らかにはしない方が良いでしょう。
そこは確かに「秘すればこそ花は美しい」のです。
そして現時点での彼らが地球人を守ろうとする気持ちの純粋さを維持しているのは、
それを隠そうとしているからではあります。

しかし、もともとの彼らの地球人を守ろうと思うようになった純粋さ全部が、
彼らの地球人を守ろうとすることを隠そうとする姿勢からのみ培われたとは思えません。
彼らのウソは忍者に比べてあまりに稚拙で、よく見ればバレバレだからです。
こんな程度の隠蔽技術でハリケンジャーを超える純粋さを培うことなど出来るはずがありません。
このマーベラス達の、いや、ハカセやアイムも含めて、いや、マーベラスが仲間と認めた鎧も含めて、
彼らの純粋さの多くはこのザンギャック支配下の宇宙で途方もない夢を追いかけようという
途方もない純粋さから生じた天然のものだったのであり、
それがただ純粋に人々を守ろうとする忍者の極意に通じていたのです。

そう気付くと、鷹介は可笑しくなってきました。
忍者の極意、すなわち「純粋に人を守ろうとする想い」は、
別に疾風流や迅雷流、宇宙統一忍者流のやり方でなくても掴むことは出来るのです。
もちろん、そうした忍者の方法論に意味が無いなどということは無い。
それは最も効率的にその極意に気付かせるシステムになっているのです。
しかし、別の道でもその同じ頂に辿り着くことは出来る。

マーベラス達のように正義の無い宇宙で己の信じた道を貫く冒険を通して培った純粋さを
地球人を守る行為に向ける方法でも同じ忍者の極意には辿り着くことは出来るのです。
いや、ハリケンジャー以外の33のスーパー戦隊も皆同じではないのか。
皆、それぞれの方法で別のルートを通って同じ頂に辿り着いて、
「純粋に人を守ろうとする想い」を掴んだ、いわば免許皆伝者の集まりではないか。

そう思うと、ハリケンジャーが存在が周知になってしまったから忍者の極意を見失ってしまったなどと
悩んでいたことが阿呆らしく思えてきます。
自分達は既に忍者の極意がひたすら純粋に人々を守ろうとする想いだということを知っている。
ならば、それはハリケンジャーがどのような立場になろうとも不変のはずです。
なのに、そんなくだらないことで悩んでいる自分が可笑しくなって、
鷹介は思わず声を上げて笑い出します。
そして笑いながら立ち上がり、鷹介はマーベラスの方へ向かって歩きます。

マーベラスは今まで背を向けて黙っていた鷹介が急に笑い出して自分の方に近づいてくるので、
警戒して座ったまま鷹介の方に振り向きますが、何せ両手を鎖で縛られた状態ですので無防備な状態です。
ただ鎖で両手が縛られているのは鷹介も同じですので大したことは出来ないだろうと思いきや、
鷹介は振り向いてきたマーベラスの額目がけて、いきなり強烈な頭突きをかましたのでした。
ゴツン!という鈍く大きな音がして、マーベラスはさすがに顔をしかめて痛がります。
「やるじゃねぇか・・・お前!」と鷹介はマーベラスに顔をくっつけたまま睨みつけます。
マーベラスも睨み返しますが、なんで自分がいきなり頭突きされたのかよく分からない顔です。

実際のところ、鷹介たちはマーベラス達のおかげで大事なことを気付くことが出来たのであり、
マーベラス達に感謝しています。
だから「やるじゃねぇか」と賛辞を送ったのですが、
とりあえず鷹介は色々と余計なことを考えて純粋に人々を守ろうとする想いが疎かになっていた自分に
喝を入れるため、何処か硬そうなものに自分の石頭をぶっつけたくなり、
見た感じ、マーベラスの頭がちょうどよく硬そうだったのでぶつけたのでした。
ただ、やはりどうも鷹介の頭の方が硬かったようです。

ただ、鷹介がマーベラスに頭突きした理由はそれだけというわけではありません。
出来の悪い後輩に喝を入れるという意味もありました。
確かに鷹介たちはマーベラス達のおかげで大事なことを思い出し、忍者の極意を再び手にすることが出来ました。
それはマーベラス達に感謝しなければいけません。
しかし、そうして忍者の極意を再び手に入れて
「純粋に人々を守ろうとする想い」に集中したハリケンジャーの目でマーベラス達を見てみると、
彼らが自分達と同じように地球の人々を守ろうとするのなら、
そのやり方は不徹底で中途半端、全くなっちゃいないものでした。

「口は悪いわ、生意気だわ・・・気にいらねぇとこばっかだが・・・」と鷹介は
マーベラスに顔をくっつけて思いっきりメンチを切りながら酷評します。
その、やたら先輩モードの鷹介の態度を見て、
七海も吼太も、鷹介が自分達の目を覚ましてくれた感謝の印に、
地球の人々を守って戦うということの手本をマーベラス達に見せて指導してやろうとしていることを悟ります。

鷹介はマーベラスから身を離すと、すっと真っ直ぐ立って「よし!俺たちが助けてやる!」と宣言し、
七海と吼太も同意するようにニヤリと笑います。
一方、マーベラスはどうにもコロコロ変わる鷹介の態度が理解困難で「はぁ?」と呆れます。
助けるも何も、自分も思いっきり鎖に縛られた状態で何を言っているのだ?と思ったのです。
ジョーも怪訝な顔をしており、
ルカも「でも、クイズに正解しないで、あいつにピンポーン!て言わせなきゃならないのよ?」と、
どうにも鷹介の思惑が分からず、確認してきます。

鷹介がこれだけ自信満々で助けると言っているということは、
全員の身体を縛っている鎖を解除するつもりのようだが、
そのためにはクイズに正解してサタラクラJr.に「ピンポーン!」と言わせなければならない。
しかし、クイズに正解してしまえばビッ栗は爆発させられてしまう。

まさか鷹介たちはビッ栗にされた人達を助けるためにここに来たとか言いながら、
こういう状況になったので自分達が助かるためにビッ栗を犠牲にしようとしているのではなかろうかと
ルカは心配になりました。
しかし、自分達はついさっきビッ栗のことなどどうでもいいというような発言をしてしまったばかりなので、
今さらビッ栗に危害が及ばないようにしてほしいとも言えず、
とりあえずルカはやんわりと確認するような口調で、
出されたクイズに正解しないで、それでいてサタラクラJr.に「ピンポーン!」と言わせて
鎖を解除させる方法でなければいけないという方向に誘導しようとしたのでした。

ただ、そんな都合のいい方法があればとっくにやっているのであり、
ルカにもそんな都合のいい方法など無いことは分かっていました。
だから余計に鷹介の考えが読めず不安で、そこでこうしてカマをかけて、
どういう作戦であるのか聞き出そうとしたのです。
ところが吼太がニヤニヤ笑いながら立ち上がって「君たちには分からないかもね・・・!」とはぐらかし、
どういう作戦か教えてくれません。
七海もニヤニヤして立ち上がり、鷹介も「ま、俺たちのやり方を見てろ!」と言うだけです。

そうこうしているうちに目覚まし時計の音が鳴り、
サタラクラJr.が「は〜い!持ち時間終了!クイズを再開するよん!」と言って、
クイズ大会を再開しようとして、司会者席に向かいます。
そのサタラクラJr.の背中に向かって、いきなり鷹介は
「サタラクラJr.!今度は俺たちのクイズに答えてみろ!!」と威勢の良い声で誘いをかけたのでした。
この悪戯っ子のような元気な喋り方は、
まさに9年前のジャカンジャとの戦いの頃の鷹介に戻ったかのような思い切りの良さでした。
鷹介たちはすっかり昔の忍者の極意を取り戻したようです。

しかし、この鷹介の素っ頓狂な提案にはマーベラス達は「はあ!?」と仰天しました。
サタラクラJr.に対してクイズを逆出題するなどという発想は
あまりにマーベラス達の発想の範囲外であったのです。
だいいち、そんな提案にサタラクラJr.が乗るはずがないと思いました。

ところがサタラクラJr.は「何!?何!?何!?ボキにクイズで挑もうっての〜!?」とピョンピョン飛び跳ねて
嬉しそうに問い返してきており、意外にも乗り気のように見えます。
鷹介たちハリケンジャーの3人はこの展開を予想していたようにニヤリと笑います。
サタラクラJr.が今、新しい楽しみに飢えていることを見通していたのです。
先ほどの鷹介たちの乱入によってくす玉の中に隠していたビッ栗を見せてしまう羽目になりましたから、
これでもう「マーベラス達がくす玉の中にビッ栗があることを知らずに正解してしまって
ビッ栗が爆発して驚く」というサタラクラJr.の楽しみは無くなってしまったのです。
この暫くのクイズの中断は、楽しみが無くなってしまったサタラクラJr.の
動揺によるものだと鷹介たちは見ていました。
だから、このタイミングで面白そうな提案をすればサタラクラJr.は興味を示すはずだと予想したのでした。

ただ、それでも警戒して簡単には誘いに乗ってこないだろうと予想していた鷹介は
更にたたみかけるようにサタラクラJr.に向かって
「問題は全部で3問!お前が全問正解したら、俺たち全員が持っているスーパー戦隊の大いなる力を
お前に全部やるぞぉっ!!」と勝手なことを言います。
俺たち全員というのはこの場にいる6人全員ですからマーベラス達3人も含まれています。

勝手に自分達の持ち物をクイズの景品にされてしまったマーベラスは更に慌てて「おい!」とツッコミます。
助けてくれるとか言うから何をするつもりかと思えば、いきなり意味不明の逆クイズを提案し、
しかも勝手にマーベラス達の持つ大いなる力を景品にするのですから、
鷹介のやっていることはムチャクチャだとマーベラスには思えたのでした。
ジョーも焦った顔になります。
そもそも大いなる力をやるなどと言っても、
そんなに簡単に譲渡し合えるものならば今まで苦労していないのであって、
こんなテキトーな約束をして、もしクイズで負けたら後でいったいどうするつもりなのかと思ったのでした。

「何バカなことを!」とルカも呆れ果てます。
てっきり逆クイズでサタラクラJr.が不正解ならば鎖をほどかせるというような
条件を出すつもりなのかと思ったら、
サタラクラJr.が正解した場合に大いなる力を渡すというこちらに不利な条件だけつけて、
肝心のこちらのメリットになる条件を一切つけていないのですから、こんなバカな取引は無い。
これでは仮にこちらが勝ったとしても何の意味も無い。
いったい何を考えているのかとルカは呆れ果てました。
しかし七海は楽しそうに笑いながら「大丈夫!お姉さんたちに任せておきなさい!」と、
妙に姉御風を吹かせて、マーベラス達の抗議を見事にスルーしてしまいます。

一方、サタラクラJr.は「いいだろう!受けて立ってやる!!」と大笑いして司会者席に陣取って
「司会者」と書かれたタスキをちぎって捨てて気合い十分、ノリノリで勝負を受けて立つことを決めます。
おそらくサタラクラJr.は「大いなる力」というものの価値をほとんど分かっていないようですが、
とにかく万が一負けた場合でも、自分の失うものが何も無いと分かって安心したようで、
この面白そうな遊びに飛びついたようでした。
ただ、それだけではなく、勝算があるので勝負に乗ったようでもあります。

しかし鷹介たち3人は自信満々でニヤニヤしてサタラクラJr.を眺めています。
よほど難しいクイズを出すつもりのようです。
だが、サタラクラJr.もかなりクイズには自信があるようですから油断は出来ません。
マーベラス達は不安げに状況を見つめます。
しかし、もうこうなっては、鷹介たちのクイズにサタラクラJr.が全問正解しないようにと祈るしかありません。
まぁもしそうなったとしても、今の状況は全く改善されないわけですが・・・

そして、そうしたマーベラス達の不安をよそに、
さっそく「じゃあ行くぞ〜!第1問!」と吼太が楽しげに声を上げます。
第1問の出題者は吼太のようです。
「うむ!」と司会者席で身を乗り出して問題に耳を傾けるサタラクラJr.に向かって
吼太は「パパが嫌いな食べ物、な〜んだ!?」と問題を出します。

この問題を聞いてマーベラス達は唖然としました。
あまりにも問題が簡単すぎるのです。
これは超有名なナゾナゾでした。
すぐさまサタラクラJr.は「はい!はい!」と手を上げて
「パパイヤ!」とあまりにも当たり前の解答を言います。

ここでマーベラス達はハッと気づきました。
確かにこのナゾナゾの答えは普通は「パパイヤ」ですが、
これはひっかけ問題でもあるのだと気付いたのです。
ひっかけ問題としての解答は「嫌いな食べ物はパパによって違う」です。
つまり、この吼太の出した問題は、先ほどサタラクラJr.が出していたような
2つの解答があって決して正解が出ないように解答を操作できる卑怯な意地悪クイズなのです。
卑怯な意地悪クイズを出していたサタラクラJr.に
同じタイプの卑怯な意地悪クイズで意趣返しをするのが鷹介たちの意図なのだと
一瞬、マーベラス達は思いました。

ところがサタラクラJr.の「パパイヤ!」という解答を聞くなり、
吼太はニコニコしながら「おお〜!正解!」と言ってしまいます。
マーベラス達は愕然としました。
今のは不正解にすることが出来たはずなのです。
1問でも不正解にすればこの勝負はハリケンジャー側の勝ちとなるのです。
それなのに、いとも簡単に正解にしてしまった。
吼太というのはそんなに愚かな男なのか?とマーベラス達は一瞬思ったが、
先ほどからの態度を見る限り、とてもそんなふうには思えない。

そこで、マーベラス達は、あっと、とんでもないことに気付いたのでした。
このボキ空間ではサタラクラJr.の言ったことは全部正しいということになるのです。
だから、サタラクラJr.の言った解答は全部正解になるのです。
サタラクラJr.はその仕組みが分かった上で絶対に勝てると踏んで勝負を受け、
鷹介たちがひっかけ問題で意趣返しをしようとしていることが分かると、
わざとまともにナゾナゾに答えて、
ボキ空間の力でそれを正解だと出題者の鷹介たちに言わせて嘲笑っているのです。

吼太は最初はひっかけ問題でサタラクラJr.を不正解にしてやろうとしていたはずなのに、
サタラクラJr.が真っ当な解答をすると、
ボキ空間の術中に嵌って、そのサタラクラJr.の答えた真っ当な答えの方を正解だと、
知らず知らず言わされてしまっているのです。

そのことに気付いたマーベラス達3人が焦って鷹介たちの方を見ますが、
続いて七海が「じゃ!第2問よ!」と進行していってしまいます。
吼太も七海も、鷹介も、本人たちは自覚しないまま、
サタラクラJr.のボキ空間の魔力に動かされてしまっているとマーベラス達には思えました。

「鳥は鳥でも太った鳥、な〜んだ!?」と、七海の問題も、一見簡単なナゾナゾのように見えて、
いくらでもひっかけ問題として捻くれた答えを作ることは出来そうな問題です。
しかしサタラクラJr.は七海を嘲笑うように余裕の態度で「簡単すぎる〜!お相撲さんの、関取〜!!」と、
このナゾナゾの定番の、当たり前の方の答えを言います。
これに対してひっかけ解答で不正解にすることも出来るはずなのに、
やはり七海は「ふう〜!正解!!」と楽しそうにサタラクラJr.の答えを正解にしてしまいます。

やはり、3人はサタラクラJr.の術中に嵌ってしまってようだと思い、マーベラス達は焦って鷹介を見ます。
そんなことは知らないかのように鷹介はノリノリで「だが!最後は難しいぞ!」と強気です。
しかしサタラクラJr.は表面上は真剣勝負を楽しんでいるように見せつつ、
内心は術中に嵌った鷹介たちを嘲笑って大笑いしています。
いくら鷹介が強がって引っ掛け問題を出してきたところで、
当たり前の解答をすればどうせそれが正解になるのだと安心しきった勝負なのです。

サタラクラJr.に内心笑われているというのに、鷹介はノリノリで
「ゴムを張った小さな木の板でプラスチックの軽いボールを打ち合うスポーツ、な〜んだ!?」と
第3問を出題します。
それに対してサタラクラJr.はまた嘲笑うように「またまた簡単すぎ〜!答えは・・・ピンポーン!!」と
当たり前の解答を言います。
そして、言ってしまった後で「・・・あっ!」と慌てた時には
解答者席に座る6人の鎖は既に解除されてしまっていました。

マーベラス達3人はこのいきなりの意外な展開にあっと驚いてほどけた鎖を見ますが、
鷹介たち3人はその展開を予想していたかのように「よし今だ!」と一斉に跳び上がり、
目にも止まらぬ速度で七海が慌てるサタラクラJr.の視力を一時的に奪う目くらましの一撃を食らわし、
同時に鷹介がくす玉を開いてビッ栗の袋だけを地面に落として、くす玉と爆弾を持って跳び上がり、
吼太がくす玉から落ちたビッ栗の袋を回収して飛び去り、
目くらましを喰らって慌てるサタラクラJr.に七海と鷹介が追い打ちの攻撃を喰らわして、
その場で駒のように回転させ、その回転するサタラクラJr.に鷹介が突っ込んで、
更に回転を加速化させる一撃を食らわし、
そのまま解答者席で自由になって立って眺めていたマーベラス達のもとへ戻ってきます。
同時に七海と吼太も戻ってきており、
吼太はしっかりビッ栗の入った袋を両手で掲げてマーベラス達に笑顔で示します。

この一瞬の間の大逆転劇を見て、さすがにマーベラスも「・・・マジか!?」と苦笑いするしかありませんでした。
ルカも呆然として「・・・すっごい・・・」と称賛の言葉を呟きます。
ジョーも「・・・メチャクチャだが、とにかくピンチは脱した・・・!」と、
クールを装おうとしつつも、目の前で起きた信じられない出来事に明らかに動揺しています。

つまり鷹介たちの立てた作戦は、
簡単に言えば逆出題のクイズの解答という形でサタラクラJr.の口から
「ピンポーン」という言葉を言わせることでした。
それならば、サタラクラJr.の設定したこのボキ空間のルールに従って、
サタラクラJr.の「ピンポーン」という言葉に反応して6人の鎖は解除されますが、
マーベラス達がクイズに正解したわけではないので、くす玉の爆弾は爆発しません。
ならば、鎖がほどけた瞬間にくす玉のところに跳んでいって、
くす玉からビッ栗の入った袋を取り出して爆弾から引き離してしまえば、
ビッ栗にされた人達は危機を脱することが出来ます。
そしてマーベラス達も自由の身となり、
とりあえずビッ栗を人質にされて爆弾罰ゲームのクイズを強要され続けるという最悪の危機を脱することが出来ます。

といっても、単純に「ゴムを張った小さな木の板でプラスチックの軽いボールを打ち合うスポーツ、な〜んだ!?」
というクイズを出して、すんなりと平常心のサタラクラJr.が「ピンポーン」と答えてくれるというのは
考えが甘すぎます。

忍者というのは正々堂々の勝負は決してしない。
相手の平常心をまず奪ってから、その心の隙をついて罠にかけるものです。
だから鷹介たちは3問クイズを続けて、
サタラクラJr.をそのクイズで出されたナゾナゾに真っ当に答えればいいという
一定の機械的なパターン付けをして思考停止状態とし、
惰性で3問目の「ゴムを張った〜」の問題に素直に「ピンポン」という答えを言わせるように仕向けたのです。

では、その「出されたナゾナゾに真っ当に答えればいい」というパターン付けをどのようにしたのかというと、
ボキ空間ではサタラクラJr.の解答が自動的に正解になるというルールの罠にあえて嵌ることによって、
サタラクラJr.の解答パターンを逆に操作したのです。
そのために第1問を「パパが嫌いな食べ物は何?」という問題にしたのです。

この問題は実は「ハリケンジャー」巻之二十一で鷹介たちがサタラクラのボキ空間のナゾナゾ地獄で
サタラクラに出題されて引っ掛けられた問題なのです。
その問題は解答者が「パパイヤ」と答えたのに対して
「嫌いな食べ物はパパによって違う」というひっかけ解答をもって不正解としてしまうという意地悪クイズであり、
これをサタラクラが以前に使ったということは、
サタラクラJr.のボキ空間においてもこの問題を意地悪クイズで使うというのは
常套手段として受け継がれている可能性が高い。

ならば、そのお株を奪うように同じ問題を逆出題されれば、
サタラクラJr.は自分の術の手口を真似されることを不愉快に思い、
意地悪クイズとしてこの問題を使わせないようにするはずです。
つまり、引っ掛け解答の方ではなく、普通の簡単なナゾナゾに貶めてしまいたくなる。
そのためにサタラクラJr.は「パパイヤ」という真っ当な解答の方を第1問の正解とするために
「パパイヤ」と解答することになる。

そして、サタラクラJr.はこの彼自身がいつも使用している意地悪ひっかけクイズを
鷹介たちが第1問で出題してきたことから考えて、
3問全問が同様の意地悪ひっかけクイズなのだと予想し、
ならば全問、真っ当な解答をして、それを簡単なナゾナソに貶めたくなる。
そこに第2問も同じく意地悪ひっかけクイズを出せば、
サタラクラJr.は二度あることは三度あると思い、
第3問も同じように意地悪ひっかけクイズだと思い込み、惰性で真っ当な解答をしてしまう。

「ボキ空間では自分の解答が正解になる」というサタラクラJr.の慢心と、
サタラクラJr.の術の一部を盗用しての挑発、
そして三問繰り返すことによる惰性など、
そうした数々の周到な罠を張って鷹介たちはサタラクラJr.に「ピンポン」という解答を言わせたのです。

このような相手の術まで利用して騙されたフリをして騙し返す、
裏の裏をかく虚々実々の駆け引きは、まさに忍者の戦い方であり、
あまりに斬新で自由な発想すぎて、マーベラス達には想像出来ませんでした。
吼太が言っていた「君たちには分からないかもね・・・!」という言葉は、
自分を偽ることが出来ない、真っ直ぐな、自分達の海賊としてのスタイルにこだわっているマーベラス達には、
この忍者の戦い方は理解できないだろうという意味だったのでした。

しかし、その斬新で自由な、こだわりの無い作戦がビッ栗にされた人達とマーベラス達の危機を救ったのです。
その事実を通して鷹介たちがマーベラス達に教えたかったことは、
守り手としての自己を秘してまで純粋に何かを守るために戦うと決めたのなら、
もはやそこには余計なこだわりは一切無用であり、
ただひたすら対象を守りたいという純粋な想いだけがあればいいということでした。
その境地に達すれば、風のように自由に、何物にも遮られることなく突き進んでいくことが出来るのです。

マーベラス達は宇宙の冒険の旅で培ってきた純粋さにより、
まるで忍者の極意のような「純粋に地球人を守ろうという想い」はあるものの、
自分が宇宙人であることや、海賊としての普段のポリシーを守らねばならないなど、
余計なこだわりが、「人々を守るために戦う」ということにおいて全力を発揮する妨げとなっているのです。
そのあたりは「人々を守るために戦う」という経験が浅いためによく分かっていないのは仕方ない。
だから鷹介たちは手本を示してやったのでした。

守るべき対象を守る戦いは、その純粋な守る想いのみに集中すれば、
ここまで自由で力強いものとなるということを、
そうした戦い方をしてきた先達である34のスーパー戦隊を代表して、
ハリケンジャーが手本を示してやったというわけです。
それは、ゴーカイジャーを35番目のスーパー戦隊であり、
忍者の極意を受け継ぐハリケンジャーの後継者なのだと鷹介たちが認めたということでありました。

「まっ!こんなもんだろう!」と鷹介はニヤッと笑って胸を張って両手をパンパンと叩きます。
そういえば、その手には、さっき抱えていたはずのくす玉とそれに引っ掛かっていたはずの爆弾が見当たりません。
見ると、さっき鷹介にぶつけられてクルクル駒のように回転していたサタラクラJr.の頭に
くす玉が乗っかっています。
となると、爆弾はいったい何処にあるのかと思えば、
なんとサタラクラJr.の手にくす玉についていた爆弾が握らされています。

回転がようやく止まったサタラクラJr.が
グルグル回る視界の中で自分の両手が何時の間にか握らされていた物体が爆弾であることに
ようやく気が付いた時は、既に鷹介が起動させていた起爆装置が作動し、
爆弾から破壊的な閃光が発し始めていたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:22 | Comment(0) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」感想その5

現実世界の方では、ハカセ、アイム、鎧の3人がデカレンジャーに豪快チェンジしたものの、
バリゾーグとインサーンの猛攻の前に押されまくって、遂には変身解除に追い込まれ、大ピンチとなります。
デカレンジャー今回は全然いいところ無しですが、
これはピンチ演出が必要なため仕方ないというところでしょう。
変身解除して地に伏してしまった3人に向かって「そろそろトドメね・・・」とすっかりいい気になるインサーン。
その時、突如、インサーン達とハカセ達との間の空間が急に謎の大爆発を起こし、
トドメを刺そうと近づこうとしていたインサーン達は爆風で弾き返されてしまいます。

その大爆発は空中に開いた大穴から生じてきており、その大穴からは爆炎の後、数人の人物が排出されてきて、
大穴は空中に掻き消えてしまい、何事も無かったかのように空間は元に戻ります。
排出されてきたのはマーベラス、ジョー、ルカの3人、鷹介、七海、吼太の3人、そしてサタラクラJr.でした。
サタラクラJr.だけは悲鳴を上げて体勢を崩して吹っ飛ばされてきて、
インサーン達の後退した方向に転がっていきましたが、他の6人はハカセ達の目の前に降り立ちます。

もちろん空間に開いた大穴はボキ空間の出口であり、
ボキ空間でサタラクラJr.が鷹介たち3人の計略によって自爆させられてしまい、
そのダメージでボキ空間を形成していた宇宙忍法の術が解けて、
消滅したボキ空間から爆風と共にその場にいた者達全員が排出されてきたのでした。

これもまた鷹介たちの狙い通りだったようです。
鎖を解いてビッ栗の入った袋を奪還しても、ボキ空間の中にいる限りはピンチの状態は続きます。
ボキ空間を脱出するためにはサタラクラJr.に大きなダメージを与えて術を解除せねばいけませんが、
変身出来ない6人ではまともにサタラクラJr.と戦っても勝負にはなりません。
そこで不意打ちで爆弾を持たせて自爆させたのです。
まさに一瞬にして大逆転したのでした。

6人の無事な姿を見て「みんな!」とハカセが歓喜の声を上げて立ち上がり、
吼太は背負っていたビッ栗の袋をすかさず脇の方の安全な場所に退避させます。
ルカもずっと大事に隠し持っていたビッ栗をその袋に一緒に入れます。
その間にマーベラスとジョーが鎧とアイムを助け起こし、鷹介と七海が歩み寄り、
ビッ栗を置いた場所から吼太とルカも戻ってきて、
ゴーカイジャー6人、ハリケンジャー3人の9人が遂に一同に会します。

「大丈夫か?」と声をかけてくる鷹介を真っ直ぐ見つめて、
アイムは「いかがでしたか?・・・マーベラスさん達は・・・」と問いかけます。
アイムは鷹介たちがマーベラス達を連れて無事に戻ってくることも、
鷹介たちがマーベラス達のことを信用するようになることも、確信はしていましたから、
別に結果がどうであったか不安に思って問いかけたわけではありません。
ただ、鷹介たちと自分達の間でマーベラス達が信用出来るかどうかという問題が見解の分かれていた部分であり、
言葉の綾とはいえ、レンジャーキーの所有をも賭けた懸案とまでなっていた以上、
その問題の決着はまずハッキリとつけておくべきだと思ったのです。

もちろんアイムは賭けは自分の勝ち、
つまり鷹介がマーベラス達のことを信用するようになることを確信していました。
アイムの傍らに立っていたマーベラス、そしてジョーもルカも、このアイムの言葉を聞いて、
鷹介たちが単に自分達やビッ栗の人達を助けに来ただけではなく、
自分達のことを見極めるためにボキ空間に来たのだと知りました。

ところが鷹介はアイムから顔を背けながら少し思案して、「・・・ムカつく奴らだった!」と言います。
アイムは「・・・えっ?」と驚きます。そういう返答は想定外だったからです。
鷹介の返答は「信用できた」か「信用できなかった」という客観的評価が返ってくると予想していました。
ところが、鷹介が自分の感情をいきなり言い出したので、アイムは意外な印象を受けたのでした。
ボキ空間に行く前の鷹介と微妙に立ち位置が違っているような気がしたのです。

一方、マーベラス、ジョー、ルカの3人は鷹介の「ムカつく」発言を聞いて、少し落ち込みました。
マーベラス達は鷹介たちの鮮やかな大逆転劇を目の当たりにしたことで、
それに引き比べての自分達のカッコ悪さを自覚させられていました。
それによってマーベラス達は今回の件における自分達の行動を振り返り、
その実態を知り、反省していました。

自分達は地球人にたとえ歓迎されなくても助けようと思った人は助けたいと思って、
ビッ栗にされた人達を助けようとしていた。
しかし自分達の立場や自分達の考え方など、色々なことが頭に引っ掛かってしまい、
ウジウジと悩んだり、イライラしたりして冷静ではなかった。
その結果、ビッ栗の人達を助ける名案も浮かばず、自分自身が絶体絶命の大ピンチに陥ってしまっていた。

あの時、七海に「ビッ栗の人達を守るために解答しなかったのか?」と問われた時、
そのことを素直に認めなかったのは、無様な自分が恥ずかしかったからでした。
あんな無様などうしようもない状態で、ビッ栗の人達を助けるつもりだったなど、
地球の人達を守る本物のヒーローであるスーパー戦隊のレジェンド戦士を相手に
恥ずかしくてとても言えたものではなかったのです。

それで意地を張ってしらばっくれたら、笑い飛ばされて鷹介に頭突きまで喰らってしまった。
その挙句、鷹介たちの作戦の意味も理解出来ずに文句ばかり言って、
結局、自分達は全く役に立たず、ただ助けられただけだったのです。
そりゃあ、鷹介たちから見ればムカついたであろうし、さぞ情けない連中だと思われたことだろうと、
マーベラス達は鷹介に酷評されても仕方ないと思いました。

ところが鷹介はアイムとマーベラスの方に笑顔で向き直ると
「けど・・・悪くないと思った!」と、爽やかに言ったのでした。
鷹介は確かにマーベラス達を見て、ムカついてもいるのです。
それは別に冗談を言っているわけでもない。
情けないとも思ったし、不甲斐ないとも思いました。
しかし、それはボキ空間に行く前の、よそよそしい感情を脱していたということを意味します。

ボキ空間に行く前にアイム達と話した時の鷹介たちは、あくまで自分達をスーパー戦隊の内部に置き、
マーベラス達をスーパー戦隊の外部に置いて、
外にいるマーベラス達が中に入ってくる資格があるかどうか、
ガラス越しに中から見極めようとする冷たい態度であったのです。
だから別に「ムカつく」というような感情も無く、ダメならダメでそれまでのことで、
関係を持つ必要も無いという距離を置いた眺め方であったのでした。

ところがボキ空間でマーベラス達に接してみて、
自分達と同じように人々を守りたいという想いを秘めて戦う純粋さを持った連中だということが分かった。
そう感じることで、鷹介たちの心の中で自分達とマーベラス達を隔てる壁は無くなったのです。
同じスーパー戦隊の仲間なのだと思えたのです。
だからこそ、せっかく純粋な想いを持ちながら、余計なこだわりに振り回されて
全力を発揮出来ていないマーベラス達を見て、腹が立ち、不甲斐ないとも思えたのでした。
しかし、それは同じスーパー戦隊の仲間だと認めたからこその叱咤激励であり、
根本に自分達と同じ「人々を守ろうとする純粋な気持ち」がある限り、
マーベラス達の現状は鷹介から見て、決してベストとはいえないが、「悪くない」と思えたのでした。

その鷹介の笑顔を見て、アイムは鷹介の気持ちがボキ空間に行く前よりも
自分達に近づいてくれていることを感じ、「はい!」とニッコリ笑って応えます。
きっと、ボキ空間で何かいい事があったに違いないと確信したのでした。
「ちゃんと会ってみないと、分からないものだなって・・・」と吼太も口添えします。
鷹介のぶっきらぼうな言い方だけでは、
結局マーベラス達のことを信用したのだということがハッキリ伝わらないかもしれないので、
そこは分かりやすく口添えしたのでした。
ハカセはマーベラス達がハリケンジャーに認められたことに対して嬉しそうに笑いますが、
マーベラスは少し恥ずかしそうに下を向き、ルカは吼太をじっと見て、ジョーはフッとニヒルに笑います。

そこに、さっき吹っ飛ばされていったサタラクラJr.が
バリゾーグやインサーン、それにゴーミン軍団やマゲラッパ軍団と一緒に戻ってきて
「よくもよくも!悔しい〜!!」と喚き散らします。
せっかくの楽しみをぶっ壊されたのがよほど悔しいようで、その仕返しをしようとしているようです。

再び一触即発の状況となって鷹介たちはサタラクラJr.の方に振り向きますが、
さて、ここで少しどうしようかと思案します。
ハリケンジャーのレンジャーキーはあくまでボキ空間にマーベラス達やビッ栗の人達を助けに行くために
借りたものであって、本来はゴーカイジャーの所有物です。
その当初の目的は達成し、マーベラス達のことも信用出来る相手だと認めた今、
このままレンジャーキーを使って変身して戦ってもよいものかどうか、一瞬、躊躇いがありました。

一方、マーベラス達は鷹介たちに助けてもらって認めてもらって、嬉しいことは嬉しいのですが、
実はそれ以上にこのままでは悔しいのでした。
確かに本物のスーパー戦隊は凄い。地球の人々を守ることにかけては自分達のように余計な迷いは無い。
だから凄いのだということはハリケンジャーの3人を見てマーベラス達も分かりました。
しかし、そのスーパー戦隊の力を借り受けてこの地球で、自分達が守りたいと思うものを守っていきたい、
いや、この地球を守っていきたいと自分達は決めてしまったのです。
それならば、スーパー戦隊のことを「凄いなぁ」と仰ぎ見ているだけでは悔しいのです。
自分達が彼らに及ばない部分があるのなら、追いつかなければいけない。

そのためにはスーパー戦隊の戦い方をまず見なければいけない。
しかし、さっきの大逆転劇はあまりに一瞬のことであり、しかも変身していない状態であったので不完全です。
もっとじっくり、変身した状態での本気のハリケンジャーの戦いを
一度だけマーベラス達は見たいと思ったのでした。

そして、ただ単に見るだけではない。
その一度だけで、それに追いついてみせようとも思っていました。
ゴーカイジャー6人が余計な雑念は払って、ただ純粋に戦い、
ハリケンジャー3人の本気の動きに追い付いて合わせてみせてやりたい。
そう思ったマーベラスは、すっと鷹介の横に進み出て「今度は9人でやらねぇか?」と言いました。
レンジャーキーを返すべきかと一瞬思案していた鷹介はマーベラスの提案を意外そうに聞きます。

すると、ルカも「あたしたちのいいとこも見て貰わないと!」と吼太に向かって言います。
9人で戦って、ゴーカイジャーもハリケンジャーの動きに今度は追いついてみせてやるという強気の表明でした。
その強気を悟って吼太は頼もしそうに微笑を浮かべます。

そしてジョーも七海の後ろで戦闘に備えて腕をいじりながら「頼んだぜ・・・先輩!」と声をかけます。
そういうわけだから、手加減無しで頼む、ということです。
それはあくまでゴーカイジャーが追いかける立場であり、ハリケンジャーが導く立場であるという
謙虚さが込められた物言いでしたが、その中にすぐに追いついてみせるという自信が込められています。
それにしてもゴーカイジャーのメンバーが(鎧は除いて)スーパー戦隊の戦士を「先輩」と呼んだのは
初めてのことで、しかもそれが今まで最もスーパー戦隊と距離のあったジョーであるというのも
なかなかインパクトがあります。
それだけハリケンジャーの戦い方を見たインパクトが生粋の戦士であるジョーには大きかったのでしょう。
そのジョーの少し生意気な後輩としての発言を、七海はニヤリと笑って受け止めます。

マーベラス達の意図を察した鷹介は
「いいぜ!忍者と海賊の豪快コラボだ!」と、その申し出を受けます。
もちろんゴーカイジャーがついてこれないぐらい全力で突っ走るつもりです。

そうして9人並んでの変身シーンとなります。
まずゴーカイジャーはいつも通り、モバイレーツおよびゴーカイセルラーにレンジャーキーを挿して
「豪快チェンジ!」とコールをします。
そして、なんと、ここで鷹介たち3人は印字を結んで「忍風!シノビチェンジ!」と掛け声をかけます。
つまり、今回の冒頭の方でみせたレンジャーキーを使っての簡易変身ではなく、
「ハリケンジャー」本編時と同じ正式の変身ポーズで変身するのです。
これはファンには堪らないサービスといえます。

そして掛け声の後の変身バンク映像は、ゴーカイジャーの6人はいつも通りで、
ハリケンジャー3人の方はこれは「ハリケンジャー」本編時のものではなく、
なんとわざわざ新しく撮影して作ったバンク映像となっています。
ハリケンジャーの本編での変身バンク映像はやたら凄いCGを使った凝ったものでしたが、
さすがにその再現ではなく、割と普通な感じのバンク映像でした。
ただ、それぞれ赤青黄のつむじ風に包まれた3人の身体にスーツとメットが
その細かいパーツごとに順々に装着されていく描写は、本編の変身バンク映像の特徴をよく再現していました。

そしてゴーカイジャーがいつも通りのシンプルな名乗りを上げた後、
ハリケンジャーもちゃんと名乗りシーンまであります。
ハリケンジャーの名乗りシーンといえば、シリーズ歴代でも最も遊び心とケレン味溢れ、
しかも長いという、有名なやつです。
それが今回、完全に新撮映像で登場します。

本編オリジナルの名乗り映像には使用する小道具によって
番傘バージョンと布バージョンという2つのバージョンがあったのですが、
今回の新撮映像は番傘バージョンのリメイクになっています。
ただ、各自の名乗り映像の直前の1カット、それぞれの紋章入りの布が画面を横切る演出で、
一応少しだけ布バージョンの再現にもなっているといえます。

まず赤い空忍の紋章入りの布が画面を横切った後、赤いライトの光のもと、
花吹雪舞い散る中で空忍の紋章入りの赤い番傘をさしたハリケンレッド椎名鷹介が
「風が鳴き、空が怒る!空忍!ハリケンレッド!」と、昔のままの決めポーズを披露。
オリジナルでは番傘を真上に放り投げていたのですが、
これはさすがに超難技なので今回は横に振り回して上手くCGで処理していました。

その後、同様に一瞬青い水忍の紋章入りの布が横切った後、青いライトの光のもと、
花吹雪の中、青い水忍の紋章入りの番傘をさしたハリケンブルー野乃七海が
「水が舞い、波が躍る!水忍!ハリケンブルー!」と、番傘を放り投げて決めポーズを披露。
「波が」のところが昔のまま「なぁみが」になっていたのがファンには嬉しい。

そして同様に一瞬黄色い陸忍の紋章入りの布が横切り、黄色いライトの光のもと、
花吹雪の中、黄色い陸忍の紋章入りの番傘をさしたハリケンイエロー尾藤吼太が
「大地が震え、花が唄う!陸忍!ハリケンイエロー!」と、番傘を放り投げて決めポーズを披露します。

そして「人も知らず!」「世も知らず!」「影となりて悪を討つ!」という
ハリケンジャーのキャッチフレーズを唱え、ド派手な赤青黄3色の幕が開くと、
3色のライトの光の下で「忍風戦隊!ハリケンジャー!」と3人で並んで名乗りを決め、
最後にお決まりの鷹介の「あ、参上〜〜〜っ!」と、いなせな歌舞伎風のポーズで締めます。

名乗りポーズに関してはスーツアクターさんがやっているので安定していて再現度が高いのは当然としても、
塩谷氏、長澤氏、山本氏の3人のあてている名乗りの声が非常に凛々しくカッコいいのが印象的でした。
ここの声に関してはオリジナルの名乗り映像のものよりもカッコよいヒーローしてたと思います。

こうして圧巻の変身シーンが終わり、ゴーカイジャー6人とハリケンジャー3人が揃い踏みしたところで、
マーベラスが「今日は特別だからな!」と念押し。
というか、これは劇場版などでも何度か見せた、この後の決めゼリフ特別バージョンの前フリです。
鷹介が「ああ!」と応じて、「いつもより!」と言うと、
マーベラスと鷹介が声を合わせて「シュシュッといくぜ!!」と叫んで跳び上がり、戦闘開始となります。

本来は特別版ということで「いつもより派手にいくぜ!」と言うべきところですが、
ハリケンジャーとの豪華コラボバージョンということで
「いつもよりシュシュッといくぜ!」という掛け声になったわけです。
これって今後も別の戦隊バージョンもあるのかもしれません。
例えば「いつもよりマッハでいくぜ!」とか。

そしてトドメは、戦闘開始と同時に順々にジャンプして飛び出していく
9人の戦士たちの映像にかぶせて流れ始める「ハリケンジャー」のOPテーマのインストです。
これでボルテージは最高潮。
やっぱりオリジナルのOPテーマは反則ですが、
特にこのハリケンジャーのOPテーマは燃える名曲です。

そしてここからバラエティ溢れるアクションが展開されていきます。
まず鷹介が「超忍法・空駆け」を披露。
文字通り、空中を駆けていく空忍特有の技でワイヤーアクションが素晴らしいです。
鷹介は空中を駆けながらゴーミンやマゲラッパをハヤテ丸で斬り倒して進んでいきます。
そして着地し、更に斬りまくる。
そこにマーベラスもやって来てゴーミンとマゲラッパをゴーカイサーベルで斬りまくります。
一瞬、背中合わせに立ったマーベラスに向かって鷹介は
「ついて来いよ!」と声をかけて更にスピードアップして斬りまくっていきます。
マーベラスも「へっ!!」と対抗心を燃やしてスピードを上げていきます。

一方、吼太は「超忍法・舞獅子」を披露。
これは陸忍特有の分身の術で、ここでは6人に分身してゴーミンやマゲラッパを一気に斬っていきます。
これには傍で戦っていたジョー、ハカセ、鎧もビックリです。
こういう何でもアリのハチャメチャな感じの戦い方が、いかにもハリケンジャーっぽいといえます。

そして女性軍の方は、ハヤテ丸をガンモードにした七海を先頭に、
脇を固めたルカとアイムがゴーカイガンを構え、3人が撃ちまくりながら
ゴーミンとマゲラッパの群れに突っ込み、突っ込んだ後は斬りまくり撃ちまくって、
更に周囲を囲んだゴーミンたちに向けて3人が背中合わせで回転しながら
つるべ撃ちで薙ぎ倒していきます。

ここでハカセはハリケンジャーにゴーカイジャーの最強の姿を見せようと思い、武器交換に踏み切ります。
ジョーに向かって「いくよ!」と合図して手にしていたゴーカイガンとゴーカイサーベルを上に放り投げ、
ジョーもそれに応じてゴーカイガンとゴーカイサーベルを上に放り投げます。
そうしてハカセはゴーカイガン二丁をキャッチし、
ジョーはゴーカイサーベル二本をキャッチするという算段だったのですが、
何故かハカセの横にいた吼太も釣られてハヤテ丸を上に放り投げてしまいます。

すると空中で5つの武器が絡み合って方向が変わり、
ジョーの手許にはゴーカイサーベル1本とハヤテ丸が落ちてきて、
吼太の手許にはゴーカイガンとゴーカイサーベルが1つずつ落ちてきます。
そしてハカセの右手はゴーカイガン一丁をキャッチしますが、左手に握るべき武器がありませんでした。
「あああ!?無い!?」と、最初より武器が減ってしまって慌てるハカセを尻目に、
吼太はゴーカイガンとゴーカイサーベルを握って「海賊の武器だ!」と大喜び、
さっそくゴーカイガンをぶっ放して戦い始めます。
ジョーもハヤテ丸を見て興味を持ったようで「・・・借りるぞ!」と張り切って振るい始めます。

こうして未知の武器で吼太とジョーがノリノリで戦う一方、
ゴーカイガン一丁になったハカセは何故か左手に大根を持って戦います。
ハカセの大根好きネタは定番化してきましたが、それにしてもいったいどこから大根を出したのか?

また、この遊び心満載の武器交換ネタから常に除外される可哀想な鎧は、
ゴーミン達を相手に戦いながら「覚悟!覚悟!覚悟しろ!」と喚くという、
ハリケンジャーのOPテーマの歌詞ネタで魅せます。
しかもこのシーンでバックで流れているハリケンジャーOPテーマのインストが、
ちょうど「覚悟!覚悟!覚悟しろよ!」の歌詞の部分になっているのですから見事です。
まぁ、この「ゴーカイジャー」の物語世界では「忍風戦隊ハリケンジャー」という番組が
放送されていたわけはないので、この歌詞を鎧が知っているはずはない。
ここは完全にお遊びネタということです。

一方、鷹介は「超忍法・影の舞」でスゴーミン達を撃破。
技を終えた鷹介がしゃがんだところにマーベラスが飛び込んできて、咄嗟に鷹介の肩に乗り、
鷹介は「いくぜぇっ!!」と声をかけてマーベラスを肩車したまま立ち上がり、
コマのように回転しながら周囲のゴーミンやマゲラッパをハヤテ丸で斬っていきます。
同時に鷹介の上に乗ったマーベラスは高い位置からゴーカイガンを撃ちまくり
周囲のゴーミンやマゲラッパを倒していきます。
そうしてマーベラスが地上に降りた時には周囲のゴーミンやマゲラッパは一掃されていました。
息がピッタリ合った攻撃を見せた2人が「やるじゃねぇか!」「あんたもな!」と称え合った瞬間、
2人を狙って放たれた攻撃をさっと2人は避けます。
それは配下が倒されて、いよいよ後が無くなってきたサタラクラJr.による攻撃でした。
サタラクラJr.はマーベラスと鷹介目がけて襲い掛かってきて、接近戦となります。

同様にゴーミンやマゲラッパを片付けたジョー、ハカセ、鎧、吼太の4人の前には
強敵バリゾーグが立ちはだかります。
4人は果敢に立ち向かいますが、バリゾーグの剣技の前になかなか突破口が掴めません。
ここでジョーが躊躇いなくバリゾーグに襲い掛かっているのが印象的です。

バリゾーグはジョーの昔の先輩で剣の師匠であり命の恩人であるシドが改造された姿です。
そのことをマーベラス一味の中ではジョーだけは知っています。
ジョーはその事実を知った第11話時点ではショックでバリゾーグとまともに戦えませんでしたが、
その後、第12話で単身バリゾーグと戦い、その際にバリゾーグの中にシドはもう存在していないことを確信し、
シドの死を受け入れています。
ですから、今のジョーにとってはバリゾーグはシドではなく、
単なる機械の塊にシドの剣技をコピーして移植したザンギャックの幹部怪人に過ぎません。
だからバリゾーグと戦うことに全く躊躇は無いのです。

さて一方、ゴーミンやマゲパッラを全て倒したルカ、アイム、七海の前には
インサーンが立ちはだかっていました。
インサーンは伸縮自在の電磁ムチのような攻撃で3人の剣の攻撃をよせつけない強さを発揮します。
よく考えたらインサーンの本格的戦闘シーンって、今回が初めてでしょう。
カーレンジャー篇の時は遊んでるようなものだったし、
ボウケンジャー篇の時はリュウオーンの攻撃を避けただけで撤退しただけだし。
今回、やはりかなり強いことが証明されたといえます。

電磁ムチで吹っ飛ばされた3人でしたが、
七海がここで「超忍法・水流破」で手から激しい水流を発射してインサーンに浴びせてひるませた瞬間、
ルカとアイムが飛び込んでゴーカイサーベルで同時に斬りつけ、インサーンを後退させます。
そこに更に七海がソニックメガホンを取出して口にあてて、
インサーンへ向けて「飛べ〜!!」と叫びます。
同時にルカとアイムもゴーカイガンでインサーンを撃ち、インサーンは大きく吹っ飛ばされてしまいます。
ソニックメガホンはハリケンブルー専用の武器で、
このメガホンを通して言った言葉で相手を操ることが出来るという凄い武器です。

そして、バリゾーグとジョー達4人の戦いの方は、
ジョーと鎧がバリゾーグと戦っているのを、
さっきもさんざんバリゾーグにやられて苦手意識のあるハカセが尻もちをついた状態で少し怯んで見ていると、
そこに吼太がロープにぶら下がってターザンのように突っ込んできて
「お〜い!こっちだ!来い!」とハカセに呼びかけます。
ハカセは「うん!」と吼太に応じて飛びつき、吼太の身体につかまって上空を移動しながら
バリゾーグ目がけてゴーカイガンを乱れ撃ちします。

これにはさすがのバリゾーグも後退し、
そこにルカ達に吹っ飛ばされたインサーンもやって来て、
バリゾーグが「サタラクラJr.が戻った時点で作戦は終了だ」が言うと、
インサーンも「長居は無用ね!」と応じて、2人は撤退していきました。

2人の与えられた任務は、サタラクラJr.がマーベラス達3人をボキ空間に閉じ込めている間に
残ったハカセ達3人を防備の手薄な状態のまま叩くというものであり、
こうしてゴーカイジャーが6人フルメンバー揃った上にハリケンジャー3人まで加わった相手と
リスクの高い戦いをするというのは本来の任務とは違うのです。
だから、とことんやり合う必要など無いので、撤退することにしたのでした。
サタラクラJr.は1人残されることになりますが、それはサタラクラJr.の作戦におけるミスであって、
バリゾーグやインサーンはサタラクラJr.と共同して作戦を進行していたわけではない。
それぞれの命じられた作戦は別々なのです。
ですから、サタラクラJr.がどうなろうが、バリゾーグとインサーンには関係ないのです。

こうして残ったのはサタラクラJr.のみとなりますが、
サタラクラJr.は「スペシャルでびろんぱ」という技で鷹介とマーベラスに襲い掛かります。
「でびろんぱ」は胴体から分離した首で攻撃するサタラクラの技でしたが、
この技はその首が巨大化して襲う技のようです。
この巨大化したサタラクラJr.の首は、口から激しい息を吐いて鷹介とマーベラスを吹っ飛ばしますが、
マーベラスは反撃してサタラクラJr.の鼻っ面を吹っ飛ばし、
サタラクラJr.は術が解けて顔を押さえて苦しんで倒れ込みます。

そのチャンスを見て鷹介は「今だ!!」と合図を叫び、
ジャンプしてサタラクラJr.に跳び蹴りを炸裂させ、その態勢のまま「超忍法・空駆け」を発動して、
足で踏みつけたままのサタラクラJr.と共に低空を移動して進んでいき、
進みながらハヤテ丸でサタラクラJr.を斬りまくります。
そして鷹介の合図に呼応してマーベラスも「行くぜ!!」と叫び、
空駆けで移動していく鷹介にピッタリくっついて走りながら
ゴーカイサーベルでサタラクラJr.をメッタ斬りにしたのでした。
ワイヤーアクションの動きに走りながらついていってアクションしているわけですから、このシーンは凄いです。

そうして鷹介とマーベラスに延々とメッタ斬りにされたサタラクラJr.は吹っ飛ばされて、
もうまともに立てない状態となります。
そこに9人の戦士は全員集合して対峙します。
「これで終わりにしましょう!」と鎧がゴールドモードになりますが、
今回はレジェンドリームではなく、普通にアンカーモードのゴーカイスピアのファイナルウェーブの一閃で
エネルギー波を放ちます。
何故なら、今回はハリケンジャーとのコラボの特別技で締めるので、
レジェンドリームのようなそれだけで完全に決まってしまうような決め技は邪魔だからという大人の事情です。

マーベラスの「ド派手に決めるぜ!!」という掛け声と共に、
マーベラス、ジョー、ルカはゴーカイサーベルに、ハカセ、アイムはゴーカイガンに、
鎧はアンカーモードのゴーカイスピアに、それぞれのゴーカイジャーのレンジャーキーを挿して回します。
するとゴーカイサーベルの刀身やゴーカイガンの弾倉部などがいつものファイナルウェーブのごとく、
エネルギー波が浮かび上がり、エネルギーが充填した状態となりますが、
同時に鷹介、七海。吼太の3人の構えるハヤテ丸の刀身もゴーカイサーベルの刀身同様に
エネルギー充填状態となったのです。

この不思議な現象は、おそらくこの時点の鷹介たち3人のハリケンジャーの力が
ハリケンジャーのレンジャーキーが具象化したものだからなのでしょう。
以前に第4話でジョーが五刀流ブルースラッシュという技を使った際に、
五本のゴーカイサーベルに挿した5つの青の戦士のレンジャーキーに対応した
5人の青の戦士の召喚体が出現して次々とファイナルウェーブを発して敵を斬りました。
また、鎧のレジェンドリームも15戦士のレンジャーキーを合わせたゴールドアンカーキーから召喚された
15戦士の召喚体が出現してファイナルウェーブを一斉に放つ技ですから、同様の原理でしょう。
つまり、ここでは鷹介たち3人の体内に入っているハリケンジャーのレンジャーキーが
ファイナルウェーブを放つモードに入っているのだといえます。

つまりゴーカイジャーとハリケンジャーの合わせて9つのレンジャーキーによって放たれる
特別版のファイナルウェーブとなります。
その技名、「ゴーカイ超忍法!ハリケンスクランブル!!」を9人が叫び、
鎧がゴーカイスピアを一閃、ハカセとアイムはゴーカイガンを撃ち、
ルカと吼太、ジョーと七海、マーベラスと鷹介がそれぞれ同時にゴーカイスピアとハヤテ丸を一閃し、
そうして放たれた9つのエネルギー波が1つに合体して火の玉となりサタラクラJr.に炸裂します。
サタラクラJr.は「テレビの前のチミ!ソリはソリでも、切れるソリな〜んだ!?」と
断末魔に律儀にお茶の間に向かってナゾナゾを出題し、爆死します。
同時にサタラクラJr.の術は解け、ビッ栗は光の塊になって元の場所に飛んでいき、
ビッ栗にされた人達は皆、元の場所で元の姿に戻ることが出来たのでした。

一方、作戦失敗を悔しがるワルズ・ギルは「おのれおのれおのれ!」と呻きながら、
ギガントホースから巨大化銃をサタラクラJr.の遺体に向けて発射します。
まだインサーンは戻ってきていないようなのでワルズ・ギルが直々に撃ったようです。

復活巨大化したサタラクラJr.に対抗するため、「あとは俺たちに任せろ!」と、
マーベラス達はゴーカイガレオンと豪獣ドリルを呼び寄せる態勢に入りますが、
その時、「待て!」と言って鷹介たち3人が変身を解きます。
そして鷹介は掌に握ったハリケンレッドのレンジャーキーを一瞥すると、
ニヤリと笑って「忘れもんだ!」と言ってマーベラスに投げて寄越します。
同時に七海もハリケンブルーのレンジャーキーをジョーに投げ、
吼太もハリケンイエローのレンジャーキーをルカに投げて寄越します。

その中に込められた戦う力は鷹介たちのものだが、
あくまでレンジャーキーはマーベラス達のものであり、
一度マーベラス達の申し出を受けて一緒に戦う務めは果たした以上、
もうこれ以上ハリケンジャーのレンジャーキーを自分達が持っている理由は無いと、
鷹介たちは思っているのです。
ただ、今はもう、鷹介たちはそのレンジャーキーの中の戦う力に関しても、
マーベラス達がそれを使うことに以前のような違和感を覚えることはなくなっていました。
「頼んだぜ!伝説の後継者・・・!」と鷹介はマーベラスに向かって言います。

それは鷹介がマーベラス達のことを、レジェンド戦隊の力を受け継いで使うに足る戦士たちであると
認めたという意味でした。
いや、確かにその通りであり、
マーベラスも「伝説」といえば「レジェンド戦隊」のことを指すのだと思い
「ああ!」と力強く応えると、そのまま5人でゴーカイガレオンに乗り込んでいき、
海賊合体でゴーカイオーを組み上げます。
そして豪獣ドリルを召喚した鎧もそのまま乗り込んで豪獣神に変形し
、ゴーカイオーと豪獣神とでサタラクラJr.と戦闘開始します。

ところが復活巨大化したサタラクラJr.はやはり手強く、
陽気に戦いながら豪獣神に大きなダメージを与え、豪獣神はやむなく後方に下がります。
こうしてゴーカイオーとサタラクラJr.の一騎打ちという形となりますが、
強敵を相手にマーベラス達はどのように戦うべきか考えあぐねます。

その時、ゴーカイオーの戦いを地上から見守る鷹介たち3人の視線を感じて、
マーベラス達は鷹介たちの方を見ます。
見ると、鷹介たちはこの苦境においてもゴーカイジャーの勝利を確信した涼しい表情で立っており、
マーベラス達に向かって3人揃って、力強く頷きました。
その瞬間、マーベラス達、ゴーカイオーのコクピットにいる5人のゴーカイバックルが一斉に反転し、
中からハリケンジャー(およびゴウライジャー)のレンジャーキーが勝手に出現したのでした。
そしてその5つのレンジャーキーは光を発して宙に浮かび上がります。
これはつまり、ハリケンジャーの大いなる力が鷹介たちからマーベラス達に向けて託されたということでした。

もともと鷹介たちはボキ空間でマーベラス達のことを、
まだ経験不足ながら、忍者の極意と同じ純粋さを持った戦士たちであり、
地球を守って戦う意思を持った戦士だと認めていました。
そして先ほどのサタラクラJr.を倒した等身大戦において、
余計なこだわりを捨てて、ただ人々を守ろうとする思いに集中して、
その持てる力を存分に発揮してハリケンジャーの全力の動きに最後まで合わせてきたゴーカイジャーの姿を見て、
鷹介たちはゴーカイジャーをハリケンジャーの後継者として完全に認めたのです。

さっき鷹介がマーベラスに呼びかけた「伝説の後継者」という呼称は、
単にレジェンド戦隊の力を使う者という意味だけではなく、
ハリケンジャーの後継者という意味合いのある呼称なのです。

ハリケンジャーは疾風流においては「伝説の忍者」とされる存在であり、
ハリケンジャーとなる者は「伝説の後継者」と呼ばれる。
鷹介たち3人は「伝説の後継者」なのです。
その「伝説の後継者」である鷹介がマーベラス達のことを「伝説の後継者」と呼ぶということは、
鷹介がマーベラス達のことを正式なハリケンジャーだと認めたということであり、
ハリケンジャーの大いなる力も含めた全ての力を使いこなせる者達だと認めたということを意味します。

つまり、先ほどの「頼んだぜ!伝説の後継者・・・!」という呼びかけは
鷹介たちからマーベラス達への一種の免許皆伝の通達であり、
あの瞬間、実はハリケンジャーの大いなる力はマーベラス達に託されていたのです。
その大いなる力が今こそ発動されるべき時だということで、
ハリケンジャーのレンジャーキーを自動的に出現させてきたのです。
目の前に浮かんだハリケンレッドのレンジャーキーを掴んで見つめたマーベラスは
そういうことだったことに気付き、「使わせてもらうぜ・・・!」と言うと、
「レンジャーキー!セット!」と、5人で一斉にレンジャーキーをコクピットに挿し込み回します。

すると、空の彼方から「ニンニンニンニンニン・・・」と言いながら何者かが飛んできます。
それは巨大な手裏剣に乗った風雷丸でした。
やはり、ハリケンジャーの大いなる力の正体は風雷丸でした。
前回、宇宙忍者の気を感じて思わず出てきてしまった時は自分の意思で勝手に出てきたのであって、
ゴーカイジャーにレンジャーキーで召喚されたわけではありませんでした。
だからゴーカイジャーに挨拶も無く、勝手に来て勝手に帰っただけだったのですが、
今回はちゃんと大いなる力としてゴーカイジャーに召喚されて正式な形で来ているので
「拙者、風雷丸!助太刀致す!」と、しっかり挨拶しています。

サタラクラJr.は前回の風雷丸の出現の際にはボキ空間にいましたから、
ダマラスからサンダールJr.が変な乱入者も加わったせいで倒されたということは聞いていたであろうが、
風雷丸の姿は見てはいません。
だから、いきなり変な物が飛んできたので、
先ほどのボキ空間における鷹介たちのようないきなりの乱入者がまた来たと思い、
「またお邪魔虫〜!?」と迷惑そうな声を上げます。

そのサタラクラJr.に対して風雷丸は上空からクナイ型大型手裏剣を投げつけ、その爆発でひるませます。
ところが、風雷丸は前回出現した時のようにそこから一気に畳み掛ける攻撃に移行しません。
その代わりに、ゴーカイオーの上空にゆっくり旋回してきて「ゴーカイオー殿!合体でござる!」と言います。

風雷丸は「ハリケンジャー」本編では、ハリケンジャーのカラクリ巨人の旋風神と、
ゴウライジャーのカラクリ巨人の轟雷神とを合体させて旋風轟雷神とする際の
ナビゲート役を務めるカラクリ武者であり、その際にこの「合体でござる!」のフレーズを使っていましたから、
その設定を活かしたセリフなのですが、
ここにおける「合体」の意味は今回はナビゲート役というよりは、
ゴーカイオーと風雷丸がそのまま普通に合体するという意味です。
いや、合体というよりは、マジドラゴンやパトストライカーのように、風雷丸も「大いなる力」として、
各パーツに分かれてゴーカイオーの胸部と手足のハッチに収まるという感じです。

初めて会った風雷丸の合体の申し出に「よし来い!!」とマーベラスが気前良く応じると、
風雷丸は「海賊と忍者、1つとなりて、天下御免の手裏剣装備!!」と唱えながら4回、印を結んでいく。
するとゴーカイジャー、空忍、水忍、陸忍の合わせて4つの紋章が風雷丸の周囲に生じて、
それが4本の刃を持つ手裏剣となり、風雷丸と一体化すると、
風雷丸のボディが5つの手裏剣型の光に分かれ、
その5つの光がゴーカイオーの胸部と両腕、両脚のハッチに入っていき、
ゴーカイオーのボディの背後にゴーカイジャーとハリケンジャーの紋章が浮かび上がり、
そこでマーベラス達がハリケンジャーのレンジャーキーを再び回すと、
ゴーカイオーの背中のダイアルがぐるっと回り、ゴーカイオーの両腕、両脚のハッチが開き、
そこから1つずつ、合わせて4つの巨大な手裏剣が出現します。

そして、ゴーカイオーの海賊帽が何処かに飛んでいくと同時に
胸部ハッチから飛び出したパーツがぐるっと回ってゴーカイオーの頭部をマスクのように覆い、
ゴーカイオーの頭部から胸部にかけてが、ハリケンジャーのカラクリ巨人である旋風神のような印象に変わります。
そしてひときわ大きな手裏剣を握ってそびえ立つ新たなゴーカイオーの形態が出現したのでした。
「ハリケンゴーカイオー推参!!」と風雷丸の声で掛け声がかかり、
ハリケンゴーカイオー登場画面の背景にはゴーカイジャー、空忍、水忍、陸忍の4つの紋章が散りばめられた
金屏風が屹立するという、ド派手なものとなりました。

突如出現したハリケンゴーカイオーを見て、サタラクラJr.は
「なんじゃこりゃああ!?」とゴリラのように胸を叩いて驚く。
「いくぜ!!」とマーベラスが号令をかけ、ハリケンゴーカイオーは
手にした巨大手裏剣でサタラクラJr.を圧倒します。
「シュシュッと手裏剣チェーン!!」とルカが叫び、
巨大手裏剣を鎖鎌のように操ってサタラクラJr.に叩きつけます。

そしてハカセが「もう一つ、オマケに!」と言って、
「ゴーカイ無限手裏剣!!」と全員がレンジャーキーを回すと、
両腕両脚のハッチから無数の細かな手裏剣が飛び出して、サタラクラJr.に向かって飛んでいき、
その身体を斬り裂いていきます。

これで決まったかと思いきや、サタラクラJr.は大きなダメージを受けながらまだ立っています。
なかなかしぶといです。
「ボキはこれぐらいじゃやられないもんねぇ〜!!」と減らず口を叩くサタラクラJr.に向かって、
マーベラスは「だったらこれでどうだ?」と言いつつ、
5人で「ゴーカイ風雷アタック!!」と一斉にレンジャーキーを回します。
この時、ハカセがハリケンジャーのように印を結んだりしてるのが芸が細かい。

ゴーカイ風雷アタックという技は、
ハリケンゴーカイオーの5つのハッチから風雷丸のパーツが飛び出してきて1つに合体して、
再びゴーカイオーから風雷丸が分離し、
「夏ではござるが、必殺奥義!乱れ桜〜!!」と印を結んで無数の風雷丸に分身し、
その無数の風雷丸がそれぞれ手裏剣を手にして突っ込んで敵を斬り刻むという技でした。
これを喰らったサタラクラJr.はさすがに堪らず、
「さっきの答えは。カミソリだよおおおん!!」と、断末魔にさっきの等身大戦の断末魔に出したナゾナゾの
解答をわざわざ言って爆発して果てたのでした。
最期は、意地悪クイズではなく、真っ当なナゾナゾの解答でありました。

戦いに勝利し、ハリケンゴーカイオーから再び分離した風雷丸は、
ゴーカイオーの肩に乗って「ふう!いい汗かいたでござるぅ!」とカラクリ武者のクセに妙に爽やかなことを言い、
「お疲れ様でした!」とアイムにねぎらわれると、
「ではまた、お目にかからんことを!」と言い、印を結んでドロンと姿を消して、
何処かへ帰っていったのでした。

エピローグは戦いの後、優雅に空飛ぶゴーカイガレオンの船室の中の場面です。
「じゃ、いっきまぁす!」とハリケンイエローの姿で「超忍法・地獄耳」の練習をするルカ。
横にはハリケンブルーの姿に変身したジョーまで並んで、同様に地獄耳の練習中です。
2人は左耳あたりを押さえた手をひっくり返してマギー審司のように巨大な耳をポヨヨ〜ンと出し、
「おおおお〜!」と吼太と七海が拍手して「筋がいいなぁ!2人とも!」「ねぇ〜!」と褒めます。
ただ、地獄耳状態で至近距離で拍手されると、やたらと大音量になるようで、
ルカとジョーはビックリしてのけぞっています。

元ハリケンジャー3人組は戦いの後、ガレオンに遊びに来ているようです。
それにしても、ルカとジョーがこんな間抜けな見栄えの超忍法の練習に真面目に取り組むとは、
前回の冒頭のスーパー戦隊講座の際のやる気の無さとは大違いです。
やはりハリケンジャーと共闘したことは彼らにとって大きな経験であったようです。
スーパー戦隊の戦いを直に経験したことによって、
ルカもジョーも、地球を守るスーパー戦隊の一員となることに前向きになり、貪欲になったようです。

そこに「私も挑戦してみました!」と言ってアイムが頭を押さえて登場。
手を離すと、そこから猫耳が出現。
「なあんてね!」とアイムはおどけます。
というか、単に猫耳のヘアバンドをしてるだけです。これでは手品とはいえません。
いや、そもそも地獄耳はマギー審司の手品みたいに見えるけど手品じゃないし、
アイムのは超忍法でも何でもない単なるコスプレです。しかもプチコスプレ。
アイムが可愛いから成立しているようなものに過ぎません。
「おお!」と身を乗り出すハカセと鎧も単にアイムのコスプレが可愛いので興奮しているだけの、
ちょっとした変態です。

「それ、ズルいよ!アイム・・・」とルカが呆れると、
七海も「確かに!お姉さんもそれは反則だと思うな!」と指摘しつつ、アイムの猫耳を突っつきます。
「反則!反則!」とナビィも調子を合わせて囃し立て、
船室内は和気藹々の歓喜ムードとなります。

それを船長椅子に腰かけて穏やかな笑顔で見つめるマーベラス。
その船長椅子の傍らに立った鷹介が船室内を眺めまわして
「いい船だなぁ・・・この船でずっと宇宙を旅してきたのか・・・」と感慨深げに言います。
マーベラス達のスーパー戦隊戦士たちと同等の純粋さを培ってきたという、
「宇宙最大のお宝」を求めての宇宙をまたにかけた冒険旅行というものが一体どんなものであったのか、
鷹介も興味を惹かれたようです。

その言葉を横で聞きながら、マーベラスはアカレッドとの出会いから別れ、
そして今の仲間たちとの出会いを経て地球に辿り着くまでの
「宇宙最大のお宝」目指しての冒険の想い出に思いを馳せ、「・・・ああ!」と感慨深げに応えます。
すると、鷹介はクルリとマーベラスの方に振り向いて「・・・この星はどうだ?」と問いかけます。
単に地球の印象を質問しているわけではない。
そのマーベラスにとっての旅の終着点がこの星であるということは、
マーベラスにとってどういう意味を持っているのか、問うているのです。

この鷹介のやや唐突に聞こえる質問にはどういう意味が込められているのか、少し意味深長のようにも思えます。
そもそもレジェンド戦士たちは自分達の戦う力が封じられたレンジャーキーが宇宙に散らばったことや、
それが何者かによって回収されて再び地球に戻ってくるということをあらかじめ知っていたのか?
それともマーベラス達が地球に来てから初めてそのことを知ったのか?
どうもそのあたりはまだ謎です。
レジェンド戦士たちの中でもその認識にはバラつきは有るようです。

鷹介が何処まで事態を把握している立場なのかは不明ですが、
マーベラスがレンジャーキーを運んで地球にやって来て、
宇宙最大のお宝を表に引っ張り出す役割を担うことになったことについて、
何らかの感慨があるようにも見受けられます。

そのレンジャーキーや宇宙最大のお宝に関わる何らかの隠された巨大な動きのキーパーソンは、
必ずしもマーベラスである必要は無かったのかもしれません。
たまたまマーベラスがその役割を担うことになったのかもしれません。
その旅は、本当にマーベラスにとって価値があったのだろうか?
地球に辿り着いたことはマーベラスにとって本当に良いことだったのだろうか?
何かを知る立場で、鷹介はマーベラスのことを気遣って、
マーベラスの気持ちを確かめるために質問しているようにも見えます。

今回マーベラス達のことをハリケンジャーの後継者として認める以前は、
鷹介自身がマーベラス達に地球の運命を託す気持ちではなかったので、
マーベラスの気持ちなどあまり気にしていなかったようですが、
鷹介が今回の一件でマーベラス達に何か大きな地球や宇宙の運命を託す気持ちになったからこそ、
本当にそれをマーベラスに負わせてもいいのか、少し躊躇しているようにも見えます。

あるいはレジェンド戦士たちはマーベラス達を何らかの形で騙しているのかもしれない。
それは第3話の小津魁の登場の時からずっと微かに存在している疑惑です。
悪意があるとは思えないが、
レジェンド戦士たちの見ている未来と、マーベラス達の見ている未来に多少のズレがあることは
ここまでの流れの中で何となく感じ取れることです。
ここの場面は、そのあたりに微かな罪悪感があるように感じさせる鷹介の態度ではあります。

あるいは、未だマーベラス達に大いなる力を渡していない戦隊というのは、
単にマーベラス達を信じられないというだけではなく、
マーベラス達にそれを負わせることを躊躇しているケースというのもあるのかもしれません。
それは気の毒という面もあり、それを背負いきれる者達ではないと評価している場合もあり、
ハリケンジャーのマーベラス達に対する「不信」というのは、あるいはこのあたりだったのかもしれません。

この鷹介の質問に対してマーベラスはニヤリと笑って率直に「気に入った!」と答えます。
今回の一件で、余計なこだわりは捨てて自分の心が純粋に求めていることを直視することにしたマーベラスは、
自分が地球のことを何時の間にか気に入っていたことを率直に認めることが出来たのでした。

そして「宇宙最大のお宝が・・・」と言いかけて一瞬言葉を止めます。
ここは一見、「宇宙最大のお宝がこの星にあるからだ!」と、
地球を気に入った理由を言うつもりなのかと見えます。
しかしマーベラスの言おうとしたことはそういうことではなく、
それがあまりに率直なので、さすがにマーベラスも照れ臭くなって一瞬、言うのを躊躇したのです。
しかし、結局少し目を伏せて照れ臭そうに「・・・この星にあってよかったと思ってる・・・!」と
率直な気持ちを込めた言葉を繋いだのでした。

マーベラスにとっては当初は地球は単に「宇宙最大のお宝のある場所」に過ぎませんでした。
だから地球には何の思い入れも無く、地球に守る価値があるとも思えませんでした。
それで第2話の時、少年に「この星に守る価値はあるのか?」と質問したのです。
あの時点でマーベラスには、あの少年や、少年が言うレジェンド戦隊の連中が
地球を守るために命がけで戦おうとする理由が本当にさっぱり分からなかったのです。

しかし少年に「海賊なら価値は自分で探せ!」と言われて、
あの日からずっと、「宇宙最大のお宝」を探しながら、この星を守る価値が何なのか観察はしてきた。
だが、それは具体的な形で見つかることは無かった。
しかし今回、湧き上ってきた「人々を救いたい」という純粋な気持ちにひたすら集中して
スーパー戦隊と同じように戦ってみて、かつて感じたことのないほどの爽快感を得たことによって、
マーベラスはこの星を守る価値が何なのか分かったのでした。

それは、地球の人々を守ろうと思う自分の純粋な気持ちそのものが
自分にとって心地よくてかけがえのない価値なのであり、
自分にそのような純粋な気持ちを湧き起こさせてくれるこの星の営みを守ることが
自分にとって価値があることだということでした。
具体的にこの星の人々の何が自分にそうした純粋な気持ちを起こさせるのかは分からないので、
具体的な価値あるものは見えないが、
結局、あの少年が言ったように、「価値は何処にでもある」というのはそういうことなのであろうし、
あの少年やレジェンド戦士たちはそのことが分かっているからこそ、
命をかけてこの星を守ろうとしていたのだとマーベラスは気付きました。

そして、こうしてその価値に気付いてみて、
マーベラスは今までレジェンド戦士たちや地球の人々と接する中で
彼らの持つそうした価値観の影響を少しずつ受けてきて、
その結果、自分が人々を守る純粋な気持ちの価値に気付くことが出来たのだと知りました。

あるいはこれが明石暁の言っていた「冒険が宝以外にもたらしてくれた大事なもの」なのかもしれない。
そして、それはもともとアカレッドが行動を通してマーベラスに教えてくれていた考え方でもあります。
ならば、地球を終着点とした冒険旅行がこの純粋に人々を守る行為の心地よさを自分に教え、
もたらしてくれたのだとマーベラスには思えました。
その場所が地球だからこそ、そうした気持ちを持つことが出来た。
地球がこの旅の終着点でなければ、この気持ちを味わうことはなかっただろう。
だから、マーベラスは目指す「宇宙最大のお宝」が地球にあった偶然に感謝しているのです。

他の星に「宇宙最大のお宝」があったとしたら、
単に「宇宙最大のお宝」を手に入れるだけで終わっていたかもしれない。
しかし地球に「宇宙最大のお宝」があったお蔭で、
「宇宙最大のお宝」以外に「大事なもの」を得ることが出来たのです。
その2つのケースを比べた場合、マーベラスには圧倒的に後者のケース、
すなわち地球に「宇宙最大のお宝」があるパターンの方が自分達には良かったと思っているのです。
逆に「宇宙最大のお宝」しか手に入らなかったとしたら、
それは今ほど魅力ある冒険にはなっていなかったかもしれないと思えました。

しかし、「宇宙最大のお宝」といえば、まさに宇宙最大の価値があるものであり、
他に比べるものなど存在するはずのない圧倒的な価値であるはずです。
だから本来はそれだけがあれば他は何も要らないぐらいのものであるはずです。
ところが、それ以外の価値が手に入ったことがそこまで素晴らしいと思えるということは、
マーベラスは「宇宙最大のお宝」を超える価値を、旅の終着点であるこの地球で見出したということです。
マーベラスの爽やかな笑顔を見てそのことを感じ取った鷹介は
「・・・そうか!」と安堵したように微笑みます。

そこに鎧が三脚付きのカメラを持ってきて
「あの・・・よかったら記念に、皆で写真を撮らせてください!お願いします!」としきりにペコペコ頭を下げます。
鎧がやたらと低姿勢なのは、存在の痕跡を残さないポリシーを持つ忍者が
外部の人間の持つ記念写真に簡単に収まるわけにはいかないということが分かっているからです。
しかし、分かってはいても頼まずにはいられないのが鎧のスーパー戦隊マニアの性です。
鎧は必死で、マーベラスにも応援を要請し「ほら・・・マーベラスさんも!」と
マーベラスからも鷹介たちに記念写真をお願いしてもらおうとしますが、
マーベラスはさすがにそこまで腰を低くするのは不慣れで、困惑します。

ところが鷹介は「よし!・・・ほら、行こう!」と逆にマーベラスの肩を叩いて促し、
進んで記念写真に参加しようとします。
七海も吼太もこだわりなく喜んで列に加わります。
鷹介たちもマーベラス一味に対してもはや分け隔ての気持ちは無く、
また、存在を秘することに絶対的なこだわりはもはや無いようです。
共に純粋な気持ちで地球の人々を守るスーパー戦隊の仲間である限り、細かいこだわりはもはや不要です。

マーベラスも少し照れくさそうに立ち上がり、鷹介たちとともに列に加わり、
8人が仲良くフレームに収まった後、セルフタイマーをセットして鎧も列に加わり、
「笑顔でお願いします〜!」と言ったところで、ナビィがフレームの真ん中に飛び込んできて
「ハイ!チーズ!」と言い、驚いた9人の顔でシャッターが切られてしまいましたが、
このスナップは、ゴーカイジャーが名実ともに35番目のスーパー戦隊となった日を記念する
大切な1枚の写真となったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:52 | Comment(2) | 第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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