2011年11月05日

第35話「次元ノムコウ」感想その1

今回はレジェンド回で、ゴーオンジャー篇です。
2008年度のスーパー戦隊シリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」は近年では最も玩具が売れた作品です。
「ゴーカイジャー」という作品は、歴代戦隊を総登場させる企画ではありますが、
あくまで現在の子供向けを意識して作る方針を貫徹している作品ですから、
古い戦隊よりも新しい戦隊重視となっています。
もともとは古い戦隊のレジェンド回自体、やる方針ではなかったようで、これは結局やることになったのですが、
それでも新しい戦隊重視路線は変わってはいません。
だから、近年の作品のレジェンド回を外すはずはありません。

しかも「ゴーオンジャー」は玩具が非常に売れた人気作品で、ほんの3年前の作品ですから、
「199ヒーロー大決戦」映画で既に「大いなる力」は獲得済とはいっても、
必ずTV本編でゴーオンジャー篇はやるとは予想していました。
それもおそらく、1クール締めの前後篇がシンケンジャー篇、2クール締めの前後篇がハリケンジャー篇ならば、
3クール締めの前後篇はゴーオンジャー篇であろうとも予想はしていました。
まさしくその予想通りとなったわけです。

これで「199ヒーロー大決戦」映画でレジェンド戦士が登場した戦隊のうち、
レンジャーキー空間のビジョンで1カットだけレジェンド戦士が登場の
ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、ターボレンジャーを除く
7つの戦隊、すなわち、デンジマン、ダイレンジャー、デカレンジャー、ボウケンジャー、
ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーのうち、
デンジマンとゴセイジャー以外はTV本編でもレジェンド回で補完したことになったわけです。

ゴセイジャーはあの映画そのものがゴセイジャー篇だったので補完の必要は無いとして、
残るはデンジマンだけですが、
デンジマンに関しては、映画に登場したレジェンド戦士のデンジブルー青梅大五郎を演じた大葉健二氏の再登場が、
冬映画で意外な形で実現することになりそうで、
その際にデンジマンの補完や、なんとバトルフィーバーJに関する何らかの処理もあるようです。

さて、ゴーオンジャー篇ですが、玩具販促などの事情からも、
この3クール締めの前後篇はゴーオンジャー篇であることというのは、
大人の事情として早くから決定していたのでしょう。
まぁストーリー的には、この前後篇で3クール目が完全に締まるのかどうかはちょっとまだよく分からないのですが、
これまでの1クール目、2クール目はレジェンド回の前後篇で締めてきたという流れからして、
一応、このゴーオンジャー篇で3クール目は1つの区切りになるような気がします。

だから、この第35話、第36話がゴーオンジャー篇となることは最初から決まっていたと思われます。
しかし、「ゴーカイジャー」のレジェンド回は全てゴーカイジャーの物語の中の必然性の上に作られているはずです。
といっても、特に玩具販促絡みのレジェンド回は、
脚本を作るよりもかなり前から、だいたいどの時期に放送されることになるか決定していたはずです。
となると、それらのレジェンド回の物語内での必然性というのは実は後付けであったようにも思えます。
しかし、それにしては物語の全体の流れに全く無理がありません。
ということは、考えられる可能性は1つです。
玩具販促スケジュールを決定すると同時に物語の大筋を作っていたということでしょう。

つまり、具体的に「ゴーカイジャー」の物語はこのように構築されていったのでしょう。
まず発売する玩具のラインアップが決定し、
おそらく、その際、「ゴーカイジャー」関連の玩具の中で
レジェンド戦隊の「大いなる力」を玩具化したものは年間で7つとすることが決定し、
玩具展開に絡むレジェンド戦隊は、
21世紀戦隊の中で玩具売上が良かった上位7戦隊がそのまま選ばれたのでしょう。
すなわち、ガオレンジャー、ハリケンジャー、アバレンジャー、デカレンジャー、
マジレンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャーの7戦隊です。

なお、豪獣神はアバレンジャー系の玩具であり、
レックスとドリルは実質的には豪獣神の変形バリエーションに過ぎないので、
タイムレンジャーやジュウレンジャーは玩具絡み戦隊には含めません。

さて、そうなると、この7戦隊のレジェンド回は必ずやることになるのですが、
その放送日は玩具発売スケジュールに合わせたものとなります。
この玩具発売スケジュールというものがスーパー戦隊シリーズにおいては
近年はだいたいパターンが決まってきています。

「大いなる力」玩具に関連する巨大ロボに絞って言えば、例年のパターンは、
まず第2話ぐらいで初期メンバー搭乗用の1号ロボが登場し、
その後、1クール目の間に換装系のパーツが3〜4個、順々に登場して、
1クール締めの第12話ぐらいに1号ロボの強化形態が登場します。
そして第18話あたりで追加戦士搭乗用の2号ロボが登場し、
2クールの締めの第25話あたりで1号ロボと2号ロボの合体したスーパー合体ロボが登場し、
更に3クール後半の第32話から第38話ぐらいの間の何処かで3号ロボ相当の大型メカが登場し、
それが1号ロボや2号ロボなどと合体する全合体ロボが登場します。

「ゴーカイジャー」の場合、このロボ系玩具発売スケジュールのフォーマットに
上記7戦隊関連の玩具を割り振っていけばいいのです。
ところが、ゴーカイジャーの場合は通常の戦隊と違って、
ゴーカイオーのハッチ部分からレジェンド系のパーツが飛び出す「びっくり箱」を玩具のコンセプトとしているので、
ゴーカイオーの形をバラしてしまうということは出来ない。
だから2号ロボと合体するスーパー合体ロボというのは無しで、
2クール締めに登場するものは1クール締めに登場する1号ロボ強化形態の第2弾という感じとなり、
この強化形態にしても、1クール途中に順次登場する換装系パーツとあまり差別化されていないものとなっています。
そもそもレジェンド系玩具が全部、基本は「びっくり箱」の発想になっているので、
換装とか強化形態という差別化はされていないのです。

だから、実際はどのレジェンド系玩具をどういう順番で登場させても、
玩具展開上はそう大差は無い状況だったといえます。
例えば、あくまで玩具面だけで見れば、別にデカゴーカイオーが1クール締めに登場してもよかったし、
マジゴーカイオーが2クール締めに登場してもおかしくはなかったといえます。
つまり「ゴーカイジャー」という作品は、
換装パーツやスーパー合体ロボなどのように個々の玩具の差別化があまり徹底されていなかったために、
どの玩具をいつ発売するのかという計画を割と自由に立てることが出来たといえます。

それは要するに、ある程度はストーリーに合わせて玩具の発売順を決めることが出来たということです。
そこで、制作サイドでは、まず最初に、この玩具絡みの7戦隊の持つテーマをパズルのピースのように用いて、
ゴーカイジャーの物語の大筋を組み上げたのでしょう。

その前にもちろん大前提として、ゴーカイジャーという主人公戦隊のコンセプトと、
物語のテーマは決定していたとは思います。
すなわち、地球と縁もゆかりも無い、お尋ね者として悪の宇宙帝国から追われている宇宙海賊が
歴代戦隊の戦う力を使うことが出来るレンジャーキーを持って、お宝探しのために地球にやって来て、
地球を侵略しようとしている悪の宇宙帝国と戦っているうちに、
変身能力を失った歴代戦隊の戦士たちとの交流を通じて、
いつしか地球を守る正義のヒーローへと変わっていく、という物語です。

このような感じの1年間の物語の中でピースをはめ込む場所は、
1クール目の途中にランダムに3つ、1クール目の最後に1つ、18話あたりに1つ、
2クール目の最後に1つ、3クール目の終盤に1つの合計7か所です。
そして、そこにはめ込む7つのピースは、7つの戦隊のテーマ、
すなわち、ガオレンジャーの「命に対する優しさ」、ハリケンジャーの「人を守る純粋な意思」、
アバレンジャーの「困難に挑戦する心」、デカレンジャーの「誇り」、マジレンジャーの「勇気」、
ゴーオンジャーの「???」、シンケンジャーの「絆」です。

この7つのテーマをお題としてゴーカイジャーの物語と絡めていくとして、
ゴーカイジャーの物語をより面白くするためにどういう順番でこれらのピースをはめ込んでいくのがよいのか?
という試行錯誤の結果、
1クール目の中で、マジレンジャー篇(勇気)、デカレンジャー篇(誇り)、
ガオレンジャー篇(命に対する優しさ)が順番に配置され、
1クール目の最後にシンケンジャー篇(絆)、
18話の追加戦士登場篇でアバレンジャー篇(困難に挑戦する心)、
2クール目の最後にハリケンジャー篇(人を守る純粋な意思)、
そして3クール目終盤にゴーオンジャー篇(???)という順番となり、
シンケンジャー篇、ハリケンジャー篇、ゴーオンジャー篇の3つは、
ゴーカイジャーの物語の大きな節目なので前後篇となったのでしょう。

そして、このようなパズルを完成させる作業を通して、ゴーカイジャーの物語の大筋が出来ていったのでしょう。
あとは、こうして出来上がった物語の大筋の中に必然性のある形で
レジェンド回を組み込むことが出来るテーマを持つ他の戦隊をピックアップして、
玩具展開の無いレジェンド回を散りばめていき、それによって更に物語の細部を詰めていったのでしょう。
こういう作り方であれば、全てのレジェンド回がゴーカイジャーの物語の中で必然性があるのは当然といえます。
まぁカーレンジャー篇だけは東日本大震災の影響で制作スケジュールに生じた狂いを
調整するために急遽追加したものであるようなので、
あれだけはゴーカイジャーの物語全体の中ではストーリー的な必然性の無いレジェンド回でしたが。

ただ、この最初の7つのピースですが、このうち3つは最初からはめ込む場所は決まっていたと思われます。
まず1つは第18話のアバレンジャー篇です。
これは豪獣神が最初からアバレンジャー系玩具であり、追加戦士用ロボであると決まっていた以上、
アバレンジャー篇だけは最初から第18話しか選択肢は無かったからです。

そうなると、玩具の仕様を決定する段階から、
第18話のテーマは「困難に挑戦する心」となることは自動的に決定していたことになります。
これは物語の大筋が決定する以前ということになりますから、
もしかしたら、後に決定する大筋と、この「第18話のテーマは困難に挑戦する心」という事実とが
上手く噛み合わなくなる危険もあります。
それを避けるため、第18話はアバレンジャー篇としての色を極力薄めて、
あくまで鎧の加入エピソードをメインとして描いたのです。
その結果、物語の大筋とエピソードのテーマとが噛み合わなくなる事態は防ぐことは出来たが、
その分、アバレンジャー篇が消化不良になってしまい、
だから第29話でアバレンジャー篇を補完する必要が生じたのです。

次に、あらかじめピースをはめ込む場所が決まっていた2つ目の戦隊は
第11話、第12話のシンケンジャー篇です。
これはシンケンゴーカイオーがガオライオンの変形パーツが無ければ成立しない合体形態だったからです。
つまりシンケンジャー篇はガオレンジャー篇の直後でないといけないのです。
最初から玩具がそのような仕様になっているということは、
シンケンジャー篇は玩具発売スケジュールがタイトめになっている1クール目の、
それも必ずガオレンジャー篇よりは後に来ることは間違いない位置であることは
最初から決定していたということになります。
それはつまり、1クール目の最後がシンケンジャー篇だということは
玩具の仕様を決定する段階では決まっていたということなのでしょう。

これは言いかえれば、物語の大筋を決める以前の段階から、
1クール目の最終エピソードのテーマは「絆」だということは決まっていたということです。
つまり1クール目は海賊の絆を描くことがメインであって、
大筋に関連した物語はまだ大きくは動かさない方針だということは最初から決まっていたのでしょう。

そして、あらかじめピースをはめ込む場所が決まっていた3つ目の戦隊が、
3クール目の終盤、すなわち今回の第35話、および次回の第36話のゴーオンジャー篇でしょう。
何故なら、このゴーオンジャー篇で登場する玩具が、全合体関連だからです。
全合体関連のメカならば、その登場は3クール目の終盤と決まっていますから、
玩具の仕様の決定段階では、ゴーオンジャー篇は3クール目の終盤に配置することは決定していたことになります。

そうなると、残るはめ込み先の決まっていないピースは
ガオレンジャー篇(命に対する優しさ)、ハリケンジャー篇(人を守る純粋な意思)、
デカレンジャー篇(誇り)、マジレンジャー篇(勇気)ですが、
まずガオレンジャー篇はシンケンジャー篇の直前でないといけないので、1クール目に入ります。
そして、1クール目はあまり大筋を動かさないわけですから、
主人公の海賊たちはまだ地球を守る意識が強くなってはいません。
ならばハリケンジャー篇の「人を守る純粋な意思」というテーマはここには入れにくい。
むしろ、デカレンジャー篇の「誇り」や、マジレンジャー篇の「勇気」ならば、
海賊であってももともと持ち合わせているものでしょうから、
それらのテーマで1クール目でもエピソードを作りやすい。

こうして1クール目の3つのピースはガオレンジャー篇、デカレンジャー篇、マジレンジャー篇となり、
後はこれらのテーマとゴーカイジャーの物語とを照らし合わせて、
この3つをどういう順番で配置していくか決めていけばいい。
さて、そうなると残ったはめ込み場所は2クール目の最後だけであり、
必然的にそこにはハリケンジャー篇が入ります。
すなわち、2クール目の締めのエピソードのテーマは「人を守る純粋な意思」ということになり、
2クール目の最後で主人公の海賊たちは自分達のことを地球の人々を守るヒーローになり得る存在だと
ハッキリ自覚するわけです。

しかし、玩具の面で言えば、
別に全合体関連のメカはゴーオンジャー系の玩具でなければいけないという縛りがあるわけではありません。
ハリケンジャー系の玩具を全合体対応のものとして仕様決定してもよかったはずです。
それなのに、どうしてハリケンジャー系ではなく
ゴーオンジャー系の玩具が全合体関連として作られることになったのかというと、
それはつまり、ゴーオンジャー篇が3クール目の最後でなければいけないという認識が、
玩具の仕様を決定する段階で存在していたからに他なりません。

つまり、シンケンジャー篇が1クール目の最後であることが大筋を作る前にあらかじめ決定されていたのと同様に、
ゴーオンジャー篇が3クール目の最後であることも大筋を作る前にあらかじめ決定されていたのでしょう。
鎧の登場絡みで第18話固定であったアバレンジャー篇はまぁ例外として、
つまりは、このシンケンジャー篇とゴーオンジャー篇というのは、
「ゴーカイジャー」の物語の中でも、特に重要な意味を持っていると言っていいでしょう。

確かに「ゴーオンジャー」と「シンケンジャー」の2作品は、
裏番組にポケモンが来て、ガオレンジャーからマジレンジャーにかけてのスーパー戦隊シリーズ絶頂期から
やや勢いが落ち着いた2006年度以降の時期において、
それぞれ玩具売上面と視聴率面で突出した、いわば近年のツートップ的な作品ですが、
それが理由となってこの2作品が「ゴーカイジャー」の物語の中で重要な意味を担っているわけではないでしょう。

また、重要な意味を担っているといっても、
それはエピソードとしての盛り上がりとか出来栄えとかが特別だという意味ではありません。
この2篇よりも盛り上がったレジェンド回は他にもありますから。
だから、そうではなく、この2篇に込められたテーマが
「ゴーカイジャー」の物語において特に重要なものなのだろうという意味です。

シンケンジャー篇は1クール目から2クール目への結節点にあるエピソードであり、
ゴーオンジャー篇は3クール目から4クール目への結節点にあるエピソードです。
あまり物語が動いていなかった1クール目からシンケンジャー篇を経て、
2クール目から物語は大きく動き出しました。
その後、2クール目から3クール目を経て、物語は活発に動いてマーベラス一味は大きく変わってきました。
そして3クール目からゴーオンジャー篇を経て、
4クール目に入って物語はおそらくクライマックスに突入していきます。

このように見ると、シンケンジャー篇というのは物語が動き出す前に
何か大切なことを確認しておくためのエピソードだったのだと思えてきます。
それはつまり「マーベラス一味の仲間の絆」でしょう。

この物語で最も重要なカギとなる言葉は「夢」だと思いますが、
「絆」というものもこの物語の重要なカギとなっているようです。
1クール目においては、マーベラス一味の「夢」に関する物語はほとんど動いていません。
なんとなくマーベラス一味が「宇宙最大のお宝」を探していて、そのために地球へやって来て
「大いなる力」を集めることになった、という物語の導入がうかがい知れるだけです。
それが、シンケンジャー篇で仲間の絆を熱く描くと同時に、
その仲間の絆が夢を掴むための絆だということがハッキリと示され、
ここからゴーカイジャーにおける「夢」の物語が動きだし、
その後のバスコ登場篇で、仲間の絆があってこそ夢を掴めるということが示されます。

つまり、どうもゴーカイジャーにおける「夢」の物語の前提として
マーベラス一味の「絆」の強さを描いておく必要があり、
「夢」の物語を始動させると同時に「絆」を濃厚に描いたのがシンケンジャー篇であったようです。
そこがどうしてシンケンジャー篇であったのかというと、
「シンケンジャー」という作品がシリーズにおいて最も明確に「絆」をテーマとして描いた作品であったからです。

つまり、「ゴーカイジャー」という物語の、
玩具を計画していくようなごく初期段階において、大筋以前のまだコンセプトの段階で決まっていたことは、
「宇宙海賊が正義のヒーローに変わっていく」ということと、
これは「夢」と「絆」の物語なのだということであったのでしょう。
だから2クール目から「夢」の物語を始動させる直前に、1クール目最後のエピソードで「絆」を描いたのでしょう。
そのために、シンケンジャー篇が1クール目最後のエピソードだということは
玩具プラン決定時点で同時に決定していたのでしょう。

ならば、玩具を決める段階でこの作品のコンセプトが「夢」と「絆」であるということが決定していたのならば、
3クール目を締めて4クール目に移行する結節点であるエピソードで登場する
全合体関連の玩具がゴーオンジャー系というのも、
このエピソードにおいて、4クール目において描かれる「夢」の物語のクライマックスの始まる直前に、
あらためて「絆」を描いておこうという意図があったのだと解釈して納得がいきます。
何故なら「ゴーオンジャー」という作品もまた、明確に「絆」をテーマとした作品だからです。

「シンケンジャー」も「ゴーオンジャー」も共に「絆」をメインテーマとして描くことに成功した作品であり、
スーパー戦隊シリーズというチームヒーロー作品においては
「絆」はシリーズの一貫したメインテーマであることを考えると、
この2作品が近年のツートップであるのも納得といえます。

ただ、とはいっても、「シンケンジャー」も「ゴーオンジャー」も
共に同じような「絆」をテーマとした作品であるのならば、
「ゴーカイジャー」におけるシンケンジャー篇とゴーオンジャー篇の位置は入れ替わっていてもよかったはずです。
しかし、そうはならずにシンケンジャー篇が1クール目の最後であり、
ゴーオンジャー篇が3クール目の最後となったということは、
同じ「絆」をメインテーマとした作品といっても、
「シンケンジャー」と「ゴーオンジャー」の「絆」の描き方は違うのでしょう。
考えてみれば、「ゴーオンジャー」の次作が「シンケンジャー」なのだから、似た作風のはずがない。

「シンケンジャー」という作品は戦いの中で「絆」が完成していく過程を丹念に描いた作品であり、
それゆえ「絆」の内面描写に特に優れていました。
だからマーベラス一味の内面的な絆を描く1クール目の最後のエピソードは
シンケンジャー篇であるべきだったのです。

そして一方の「ゴーオンジャー」という作品においては、
「絆」は最初からほぼ完成した形で存在しており、
その「絆」がもたらすものが何なのかが描かれます。
それは簡単に言えば、その「絆」がゴーオンジャーやその相棒の炎神たちを
「正義のヒーロー」たらしめているということです。

ゴーオンジャーや炎神というのは、おそらくスーパー戦隊シリーズの歴史において、
最も「正義」という言葉を多く喋った連中だと思います。
それだけ自分達を「正義のヒーロー」だと自称しまくっていたということです。
しかし、やたらと「正義のヒーロー」を自称していた割には、彼らはそんな立派な連中には見えませんでした。
特殊な能力があるわけでもなく、人格も決して高潔とは言えない。
むしろ、かなりバカで、時には軽蔑に値するような愚かな行動もとります。
使命感が特別に強いわけでもなく、時々、よく怠けます。
まぁ、追加戦士のウイングス兄妹は多少はヒーローの資質を持っていましたが、
それも初期メンバーの5人と五十歩百歩で、
炎神たちもかなり俗っぽい性格のヤツが多く、「神」などと自称していますが、欠陥だらけの連中です。
まぁ、ゴーオンジャーにしても炎神にしても、何処にでもいるような普通の連中です。

長いスーパー戦隊の歴史の中には、あんまり「正義のヒーロー」っぽくない戦隊も確かにいました。
しかし、そういう戦隊はあまり自分達のことを「正義のヒーロー」だと強調してはいません。
ところがゴーオンジャーは、まったく正義のヒーローっぽくないクセに、
やたらと「正義のヒーロー」を自称する変な連中でした。
もちろん、相手を騙そうとしているとか、自信の無さの裏返しで強弁しているというわけではなく、
彼らは本気で自分達を「正義のヒーロー」だと固く信じているのです。
そこが「ゴーオンジャー」という作品の面白いところで、なおかつ最大の特徴といっていいでしょう。

彼らが「正義のヒーロー」だと自称することは、一見、何の根拠も説得力も無いように見えますが、
実は彼ら自身は明確な根拠を持っています。
それは相棒と絆で結ばれているからです。
ただ、相棒といってもゴーオンジャーのメンバー同士の絆のことではありません。
そういう絆であれば、他の戦隊も皆、持っていますし、ゴーカイジャーも当然持ち合わせています。

ゴーオンジャーが全く正義のヒーローらしくない自分達を「正義のヒーロー」だと自称する、
たった1点の、しかし絶対的な根拠としているのは「異世界の住人である相棒との絆」です。
これはゴーオンジャー側だけでなく、その相棒の炎神にも同じことは言えます。
彼ら炎神はゴーオンジャー同様、あまりヒーローとして立派な資質を持っているわけでもなく、
そもそもパートナーのゴーオンジャーがいなければ人間世界でまともに活動も出来ません。
つまり、ゴーオンジャーと炎神は互いに異世界の壁を超えて相棒の絆で結ばれることで
正義のヒーローとしての本当の力を発揮出来ているのです。

要するに、「ゴーオンジャー」という作品が主張していることは、
本来は正義のヒーローの資質の無いような奴でも、
「異世界の相棒との絆」があれば、正義のヒーローになれるということなのです。

では、何故、本来は正義のヒーローの資質の無いような奴が
「異世界の相棒との絆」があると正義のヒーローになれるのか?
この謎の解答を得ることは、実は「ゴーカイジャー」という作品において極めて重要です。
何故なら、ゴーカイジャーという戦隊は、宇宙海賊であるので、
本来は正義のヒーローの資質が全く無いにもかかわらず、
この「ゴーカイジャー」という物語はゴーカイジャーが「正義のヒーロー」へと変わっていく物語だからです。

つまり、このゴーオンジャー篇というのは、
マーベラス一味がゴーオンジャーとの遣り取りの中で、「異世界の相棒との絆」の意味を解き、
それと自分達の中の何らかの要素との共通点を見出すことによって、
本来は正義のヒーローにはなり得ない存在のはずの自分達が
「正義のヒーロー」になれる可能性があることを知るという筋立てなのです。

ここで、玩具の仕様決定というごく初期において早々に決定していたであろう
シンケンジャー篇、ゴーオンジャー篇、
そしてそこから必然的にほぼ決定していたであろうハリケンジャー篇のピースを使って、
「ゴーカイジャー」という物語の骨格を推測してみます。

まず1クール目は物語の導入とキャラ紹介で、
1クール目の最後のシンケンジャー篇で、マーベラス一味の「仲間の絆」を描き、
2クール目はその「仲間の絆」があってこそ掴み取ることが出来る「宇宙最大のお宝」という夢の物語を始動させ、
その中で表面化してくるメンバー各自の夢とリンクする形で、
2クール目の最後のハリケンジャー篇で、
マーベラス一味は自分達が「地球を守るヒーローを目指す」ことが出来ると知り、
それを新たな夢として得ます。

そして3クール目の最後のゴーオンジャー篇で、
マーベラス一味は自分達が「異世界の相棒との絆」があってこそ「正義のヒーローを目指す」ことが出来ると知り、
これも新たな夢として加えます。
ここで「仲間の絆」と「異世界の相棒との絆」が対比関係にあることが分かります。
そして「仲間の絆」と対応関係にあるのが「宇宙最大のお宝」という夢であり、
「異世界の相棒との絆」と対応関係にあるのが「地球を守る正義のヒーローになる」という夢です。

ならば、もしマーベラス達が今回のゴーオンジャー篇で、
「異世界の相棒との絆」というものが、
シンケンジャー篇で確認した自分達の「仲間の絆」と同じものだと気付くことが出来たならば、
マーベラス達は「仲間の絆」と「異世界の相棒との絆」を一体化した「絆」を持つことになり、
それによって「宇宙最大のお宝」と「地球を守る正義のヒーローになる」という2つの夢を一体化した
「夢」を掴むことが出来るようになるのです。

ゴーオンジャー篇において、こうした結論に至るための前段階としてシンケンジャー篇は必要だったのだといえます。
というか、シンケンジャー篇において得た結論があってこそ、
ゴーオンジャー篇のテーマをマーベラス達は読み解くことが出来るのでしょう。

そして、ゴーオンジャー篇で、シンケンジャー篇の時よりも大きく膨らんだ「絆」を得たマーベラス一味は、
シンケンジャー篇の時よりも大きく膨らんだ「夢」を掴む力を得たこととなりますので、
ゴーオンジャー篇以降の4クール目は、
その巨大になった「夢」を掴むためのクライマックスのストーリーが展開することになるのです。
すなわち、「宇宙最大のお宝」を手に入れて、地球を守ってザンギャックを倒す正義のヒーローとなるという、
彼らの夢が実現するわけです。

そのための重大なポイントとなるゴーオンジャー篇ですが、
その前篇にあたる今回は、
マーベラス達が「ゴーオンジャーの大いなる力」を使うことが出来ないという事実が判明して、
それによって、彼らがまだゴーオンジャーのテーマを理解出来ていないという事実が示されたところで終わります。
その点の解決、つまりゴーオンジャーのテーマの謎解きは後篇に持越しになるわけです。

ただ、マーベラス達は既に黒十字王との戦いの際に「ゴーオンジャーの大いなる力」を
元ゴーオンイエローの楼山早輝から貰っていますから、
早輝はその時点で既にマーベラス達にゴーオンジャーの大いなる力を引き出せる資質は見出していたことになります。
だからマーベラス達が自覚していないだけで、彼らはその資質は既にしっかり持っており、
見る人が見れば分かるほど、それは明確なのです。

だから、後はマーベラス達は「ゴーオンジャー」というものをよく観察して考えればいい。
そういうわけで、今回のゴーオンジャー篇は、通常のレジェンド回とは少し異なった構成となっています。
通常のレジェンド回は、あくまで「ゴーカイジャー」の世界観の中で
マーベラス一味のドラマがメインとなって進んでいくのですが、
今回は完全に「ゴーオンジャー」の世界観の中にマーベラス一味が入り込み、
「ゴーオンジャー」世界を最も体現する男である元ゴーオンレッド江角走輔をはじめ、
「ゴーオンジャー」世界特有のキャラたちの織り成すドラマを第三者的に眺めることになります。
これは「ゴーオンジャー」のテーマをより前面に押し出すためですが、
「ゴーオンジャー」の作品世界に入り込んでしまえばマーベラス達のドラマが動かなくなるので、
その分、余計にストーリーが「ゴーオンジャー」のテーマ一本に絞れるので好都合です。

ただ、本来はこのように主役戦隊のゴーカイジャーの方の動きを止めてしまうというのは邪道であって、
本来はレジェンド回でこのような作り方をしてはいけません。
今回はゴーオンジャー篇だから特別なのだといえます。
それはゴーオンジャー篇が物語全体の中で、テーマ的にはおそらく最重要のレジェンド回だからです。
だから今回だけは、多少はマーベラス達のドラマの動きを殺してでも、
じっくりテーマ性を前面に出したいということなのでしょう。

また、それが可能となっているのは、物語も終盤に差し掛かってきて、
マーベラス一味のドラマが盤石となってきていて、
多少ドラマが描かれずにゲスト戦隊の世界に呑み込まれた状態でも、
もはや全くキャラ負けしないところまできているからです。

そして、「本来は正義のヒーローの資質の無いヤツがヒーローをしている」という点で、
ゴーカイジャーとゴーオンジャーというのは共通しており、
実は案外、この2戦隊は相性が良く、
ゴーオンジャーの世界観の中でゴーカイジャーというのは違和感無くハマる存在なのです。

それに、今回はゴーカイジャーがゴーオンジャーの世界観の中に入ってしまっても
埋没してしまうという事態にもなっていません。
何故なら、「自分達の世界と違う世界を守るために戦う」ということ自体が、
まさにゴーオンジャー的世界の追体験であり、ゴーオンジャーのテーマを理解するために必要なことなのであり、
その体験をしていること自体が、今回のエピソードにおける「ゴーカイジャーのドラマ」の一環だからです。
つまり、今回は全然別の世界に来ても、実はゴーカイジャーのドラマはしっかり動いているのです。
ただ、それはあくまでゴーオンジャーの世界に沿う形で展開しており、不協和音を生じさせないので、
ゴーオンジャーのテーマの邪魔にはなっていません。

こうした今回のゴーオンジャー篇の前篇は香村純子氏の脚本です。
香村氏は「ゴーオンジャー」でもサブライターとして1つエピソードを書いていますし、
劇場版の「ゴーオンジャーVSゲキレンジャー」の脚本も書いていますから、
「ゴーオンジャー」の世界観はしっかり分かっており、それゆえ今回のゴーオンジャー篇を任されたのでしょう。
今回、まさにゴーオンジャー篇らしく、単純明快で楽しいエピソードに仕上がっています。

ただ荒川氏も「ゴーオンジャー」は書いていましたから別に今回は荒川氏でもよさそうなものなのですが、
まぁ前回はヒロイン回なので書いていたが、どうもこのところ、荒川氏があんまり書いていません。
冬映画の脚本に集中していたのでしょうが、
結構休みが多いので、それだけでもないような気もしてきました。

1つは、宇都宮Pが今回の作品で新しいメインライターを本気で育てたいと思っていて、
香村氏や下山氏に積極的に多く、重要回も書いてもらっているということ。
そしてもう1つは、クライマックスの一連のエピソードを念入りに作るために、
荒川氏には負担を与えないため、クライマックスの前のエピソードは極力書かせないようにしているということです。
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2011年11月06日

第35話「次元ノムコウ」感想その2

では本編ですが、冒頭は毎度のごとくゆっくり空を飛ぶゴーカイガレオンの船室で皆が昼食後、くつろいでいると、
ハカセと鎧が厨房からデザートの果物を皿に山盛りにして持ってきます。
まぁなんてことはない日常風景なのですが、同時刻、ガレオンの上空では非常識な出来事が起きていました。

なんといきなり空が少し割れて、その割れ目から何やら小さいロボットのようなものが
「よいしょっ」と出てきますが、何も無い空中ですから、そのまま自然落下します。
「わあああああああ!?」と驚きながら落下するロボットでしたが、
運よくちょうど真下にガレオンが飛んでいたので、マストについた見張り台に、
まるでホールインワンのようにスッポリ入っていきます。
この時、一瞬、上空から見た完全俯瞰のガレオンの画が映りますが、貴重なショットです。
というか、こんな一瞬のカット用にわざわざCG作ったのかと思うと、頭が下がります。

マーベラス達が船室のテーブルで果物を貪っていると、上で大きな音がします。
そのロボットが見張り台に落下した音なのですが、
そんなことは想像だにしないマーベラス達は何の音か分からず不思議そうな顔をします。
すると今度は見張り台へと続く階段を何かが転がり落ちてきます。
一同が驚いて見ると、何やらクリーム色の四角っぽい物体が階段を落ちてきて船室の床に叩きつけられます。

マーベラス達6人が唖然として見る中、「なんだなんだ?」とその物体に近づいたナビィは、
その物体がいきなり自力でムズムズッと動いたので「うわあっ!?」と驚いて跳び退きました。
てっきりタダの機械の落下物だと思ったら、自力で動いたのでビックリしたのです。
マーベラス達もギクッとしてその物体を見つめ、身構えますが、
90度回転して起き上がったその物体が「あれ〜・・・?」と言うのを見て、
その物体が実は小型のロボットのようなものだと気付きます。
起き上がった姿を見ると、前面上部に大きな丸いクラシックカーのヘッドランプのような目が
2つ、ついていたのです。

「ゴーカイジャー」の物語世界には「ロボット」といえるようなキャラはあまり出てきませんが、
ゴーカイオーや豪獣神は搭乗型の巨大ロボットでありますし、
ナビィは喋るオウム型の小型ロボですから、
マーベラス一味は「ロボット」というものの概念はもちろん持っており、
ナビィのような自分の意思を持つ小型ロボの例も知っています。

キョロキョロしながら変に可愛らしい声で「ここは何処?・・・君たちは誰・・・?」と問いかけてくる、
この変な侵入者ロボットを見つめて、マーベラスはブドウを頬張りながら
「・・・お前が、誰だ?」と逆に問い返して睨みつけます。
ロボットであることは分かったが、いきなり空の上でガレオンに入り込んできているわけですから、
偶然通りかかって間違えて入ってしまうなどということは有り得ない。
当然、この船に用があって侵入してきた者だと思い、警戒するのは当たり前です。
まさか空に開いた変な裂け目から急にこのロボットが落ちてきたとは、
宇宙を旅して回ってきたマーベラス達といえども、そんな不可解な現象は想像の範囲外であったのでした。

しかし、このロボットはガレオンのこともゴーカイジャーのことも知らないようにも見えます。
となると敵ではないようです。
だが正体不明の得体の知れない侵入者であることには変わりはありません。
マーベラス達はまずはこのロボットが何者であるのか問い質すことにしたのでした。

このロボットは、マーベラス達はもちろんのこと、同様に警戒して見つめている鎧も知らないようですが、
実は2008年度作品「炎神戦隊ゴーオンジャー」に登場した、ゴーオンジャーの水先案内ロボ、
つまりサポートロボのボンパーです。
クリーム色のずんぐりむっくりの丸みを帯びたボディはクラシックカーがモチーフとなっています。
なんともレトロな雰囲気のロボットで、見た感じ、あまり役に立たなそうですが、意外に役に立つロボです。
というか、このボンパーがいなければゴーオンジャーは何も出来ないに等しいという、非常に重要キャラでした。

もともとはマシンワールドの炎神ジャン・ボエールによって作られたとのことですが、
「ゴーオンジャー」という作品、世界観の設定が緻密な部分と悪ノリで暴走した部分がゴッチャになっていて、
そこらへんは細部まで真面目に考えると深みに嵌ってしまうので、適当にスルーしておくのが無難です。
大雑把に「マシンワールドからやって来たゴーオンジャーのサポートロボ」「炎神が作った」
という把握の仕方でいいです。
ともかくここで気にすべき点は、ボンパーは何処から来たのかです。

ゴーオンジャーという戦隊はかつてガイアークというマシンワールド出身の機械生命体の集団の侵略から
ヒューマンワールド(マーベラス達のいる人間世界)を守るため、
マシンワールドの別種の乗り物型の機械生命体である炎神と一緒に戦い、ガイアークを倒したのですが、
その数か月後、ガイアークの残党が別の世界ガンマンワールドを侵略したと炎神から聞かされて、
炎神たちと共にガンマンワールドを救うために旅立ちました。
ここまでが「炎神戦隊ゴーオンジャー」という作品で語られたゴーオンジャーの戦いの記録です。

ボンパーはガイアークがヒューマンワールドを侵略し始めた時からゴーオンジャーと共に行動しており、
一旦ガイアークを倒した後は炎神たちと共にマシンワールドに戻って、ゴーオンジャー達とは別れていました。
この期間はゴーオンジャーのメンバーも戦いを離れて、変身アイテムもボンパーに返して、
元の生活に一旦戻っていたので、ボンパーや炎神たちとも別れたのです。
それはガイアークが滅びたからもう大丈夫だと思っていたからです。

しかしガイアークが復活して他の世界であるガンマンワールドを侵略したと聞かされて、
ゴーオンジャー達は再び炎神やボンパーと共に行動することを決め、ガンマンワールドに旅立ち、
このガンマンワールドの戦いの時はボンパーもずっとゴーオンジャーと一緒にいたようです。
そして、その後、ガンマンワールドのガイアークをほぼ倒したものの、
最後に残った敵の首領の害統領バッチードの計略でメンバーがバラバラに様々な世界に飛ばされ、
ヒューマンワールドに飛ばされたゴーオンレッドの江角走輔とボンパーは、
ヒューマンワールドで外道衆と戦っていた志葉丈瑠たちシンケンジャーと共闘し、
外道衆と手を組んだバッチードと戦い、仲間たちもヒューマンワールドに集結して、遂にバッチードを倒しました。
しかし既に他の世界でもガイアークの残党が暴れているという情報を掴んでいたゴーオンジャー達は、
更に他の世界を守るために炎神たちやボンパーと共に旅立っていったのでした。
このあたりは劇場版「侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー」で描かれています。

34戦隊の作品世界が全部年代記として繋がっている「ゴーカイジャー」の作品世界においては、
このゴーオンジャーのヒューマンワールドからの2度目の旅立ちのおよそ2年後に
この世界(つまりヒューマンワールド)の地球へのザンギャックの侵略があり、レジェンド大戦が勃発しました。
おそらくゴーオンジャーはこの時までずっと他の世界でガイアークと戦っていたのでしょうが、
ザンギャックの侵攻の情報を聞いて、急いで炎神たちやボンパーと共にヒューマンワールドに戻り、
レジェンド大戦に参加して、ここで変身能力を失ってしまいました。

そうなると、以前に最初にガイアークを倒した後の時と同様、変身能力の無い状態ですから、
炎神たちやボンパーとは別れてヒューマンワールドに残って普通の生活を送るしかないでしょう。
いや、そもそもレジェンド大戦の際に巨大戦力である炎神たちは無事であったのかについても今まで不明でした。
そうなるとサポートロボのボンパーもレジェンド大戦後、何処でどうしているのか、今まで不明でした。
次元の壁を超えて異世界間を移動することが出来るのは炎神だけですので、
もし炎神たちがレジェンド大戦で全滅していれば、ボンパーもヒューマンワールドに居残ったままであるはずです。

しかし今回、空に開いた裂け目、すなわち次元の壁の穴からボンパーがこちら側の世界、
つまりヒューマンワールドに落っこちてきたということは、
ボンパーはレジェンド大戦以降、別の世界に居たということです。
ということは炎神のうちの誰かは無事であり、ボンパーと共に行動しているということであり、
今回の空に開いた次元の裂け目にしても炎神の力によるものでしょう。
ただ、次元の壁を移動するのはあくまで炎神であり、ボンパーは普通は炎神と一緒に移動するはずです。
しかし今回はボンパーだけが次元の裂け目から落っこちてきた。これは少し異常といえます。

さて、ここでひとまずOPテーマとなり、
ボンパーがいきなり落っこちてきた以上、今回がゴーオンジャー篇であることは明白なので
冒頭ナレーションはもちろんレジェンド回バージョンです。
そしていつも通りのOPテーマ、CMの後、今回のサブタイトル「次元ノムコウ」が出ます。
これはまさしく「ゴーオンジャー」のサブタイトルのフォーマットそのものです。

「ゴーオンジャー」はサブタイトルのフォーマットがスーパー戦隊シリーズで一番徹底している戦隊で、
全50話すべて「漢字2文字+カタカナ(記号を含むこと有り)4文字」というフォーマットが徹底しています。
例えば第1話に相当するGP−01は「正義ノミカタ」、GP−02は「無茶ナヤツラ」、
最終話に相当するGP−FINALは「正義ノロード」という感じです。

ここまでサブタイトルのコンセプトだけでなく文字数まで揃えて徹底してこだわった作品は、
シリーズ史上他に例はありません。
今回も完全にそのフォーマットに沿っており、
「漢字2文字(次元)+カタカナ4文字(ノムコウ)」となっています。
意味は今回の内容そのままで、次元の壁の向こう側の世界へ行って戦うエピソードであることを表しています。

しかし、このシリーズ史上最も徹底しているフォーマットですが、
どうしてこんな奇妙な書式が徹底されているのか、実はあまりよく分かっていません。
例えばマジレンジャーならば魔法戦隊だから魔法の呪文が必ず入っているとか、
デカレンジャーはハリウッド映画のような派手なポリスアクション志向だから全部英語だとか、
シンケンジャーは和風戦隊だから全部漢字だとか、
そういう作品のコンセプトがストレートに表現されているサブタイトルのフォーマットは非常に意味が明快です。
しかし、この最も徹底されているゴーオンジャーのサブタイトルのフォーマットの持つ意味は
実はあまり明確ではありません。

考えるに、このフォーマットが表現しようとしているのは「異世界感」なのでしょう。
「異世界とのコラボ感」と言った方が正確かもしれません。
「漢字にカタカナが混じっている」という表記は、
漫画なんかで外国人キャラが日本語を喋っているセリフの表記のような感覚です。
つまり、炎神という異世界の住人がこの世界にやって来て、
この世界の住人であるゴーオンジャー達と相棒になってコミュニケーションしている感覚が、
この漢字カタカナ混じりサブタイトルの持つ意味なのでしょう。

さて本編が再開し、一旦地上の原っぱに錨を下ろして停泊したガレオンの船室のシーンとなります。
停泊しているガレオンの上空にはさきほどの空の裂け目があるところから見て、
緊急降下して錨を下ろしたようです。
いきなり船室に転がり込んできた変な小型ロボットは
どうやら本当にガレオンのこともゴーカイジャーのことも知らずに焦っているようなので、
敵というわけではないようであり、
まずは念のため錨を下ろしてガレオンを停泊させた上で、
このロボットが何者なのか問い質してみることにしたのです。

するとロボットはボンパーと名乗ります。
その名を聞いて、鎧が驚いて
「ええ〜っ!?それじゃあ君が、あの炎神戦隊ゴーオンジャーと一緒に戦った・・・?」と叫んでしゃがみこみ、
ロボットに問い返します。
するとそのロボット、ボンパーは「水先案内ロボ、ボンパーだよ!ボンボン!」と答える。

鎧はゴーオンジャーにボンパーというサポートロボが存在していたということは知っているようですが、
そのボンパーの姿を画像などで見たことは無いようです。
まぁ確かにボンパーは大抵はギンジロー号というゴーオンジャーの移動基地であるキャンピングカーの中に居たので、
外で人々に目撃されることもほとんど無かったのでしょう。
一方でゴーオンジャーの連中の方は全然世を忍ぶ秘密戦隊という連中ではなく、
しかも口が軽い奴らだったので、何かの機会にボンパーの名はよく他人にも喋っていたのでしょう。
それでボンパーは名は知られているけど姿は不明という存在として
鎧のような戦隊ファンの間では認識される存在となっていったのでしょう。

なお、「ボンボン!」というのはボンパーの口癖です。
「ゴーオンジャー」という作品は登場するキャラのほぼ全てに口癖があるという稀有な作品ですが、
このボンパーの「ボンボン!」は劇中で最も多く使われた口癖といえましょう。
まぁどうでもいいことなんですが、アイムはこの口癖がツボだったようで
「まぁ、可愛らしい!」と微笑みます。
これに対して「へん!オイラの方が可愛いけどね!」とナビィが変なところで張り合います。

サポートロボの可愛らしさというのは、やはりデザインや動きに左右されるもので、
それは小道具の製作技術や操演技術、撮影技術の進歩したものの方が有利だといえます。
だからどうしても歴代サポートロボの中で可愛らしさの順位をつけるならば
基本的にはより最新の作品のものが有利になります。
だから3年前の作品のボンパーもナビィも同じくらい可愛く、ややナビィの方が可愛いかもしれません。
ただアイムがここで可愛いと思っているのは口癖ですから、ナビィの張り合い方はちょっとズレているのですが、
アイムはナビィの頭も撫でてあげます。

そうこうしていると、ルカがしゃがんでいる鎧の首根っこを掴んで立たせて、
「・・・ねぇ、ゴーオンジャーってなんだっけ?」と耳元でボソボソ聞いてきます。
戦隊知識がかなり怪しいルカは自分だけ「ゴーオンジャー」という戦隊がどういう戦隊だったか
思い出せないでいるのではないかと不安になったようです。
が、鎧はおそらく分かっていないのはルカだけではないのは分かっていますから、
落ち着いてルカを手で制して、皆に向かって、特に重点的にマーベラスとジョーとルカに対して語り始めます。

「世界を汚そうとする悪い奴ら、ガイアークと戦ったスーパー戦隊です!」と、
鎧はゴーオンレッドの名乗りポーズをとりながら説明しますが、
やたら腕を振り回すのでジョーの顔面を殴りそうになってしまい、ジョーに手を叩かれて注意されてしまいます。
それに怯まず鎧は「マシンワールドから来た炎神が相棒なんですよ!」と言いながらボンパーの横に座って
「ねっ?」とボンパーに確認します。
「ボンボン!」と相槌を打つボンパー、やはり可愛いです。

しかしこの説明は大雑把すぎて、皆にはあまりよく分からなかったようです。
「・・・マシンワールド・・・?」とジョーは不思議そうに首を傾げます。
そんな星の名は聞いたこともないと思ったのです。
するとボンパーは「この世界は11の次元が薄い膜のように重なって出来てるんだ!
君たち人間の居るこの次元はヒューマンワールド、炎神たちが住んでるのがマシンワールド、
他にもサムライワールドやクリスマスワールド・・・色んな次元があるんだよ!」と説明します。

この独特の世界観が「ゴーオンジャー」という作品世界の基本となっています。
これは「ブレーンワールド」という実在の最新理論物理学の概念が基礎となっているのですが、
元来のブレーンワールド理論は超難解な宇宙論であって、
このボンパーの説明するような楽しげなものではありません。
「複数の薄い膜状の時空が並列して更に高次元の時空に存在している」というブレーンワールドの理論を借用して、
その複数の時空世界を子供向け番組らしくバラエティ豊かな異世界として描いたのが
「ゴーオンジャー」の世界観です。

だから、別にブレーンワールド理論の難しいところまで理解する必要は無い。
また、「ゴーオンジャー」の物語に登場する11の異世界の個々の描写もかなり適当でふざけているものが多く、
いちいち真面目に考察する必要も無い。
まぁこの「いちいち真面目に考察する必要が無い」というのが「ゴーオンジャー」という作品の大原則ですが、
それでも意外に一本芯が通った物語なので、
押さえておかねばならない点がしっかり存在するのもこの作品の特徴です。

「ゴーオンジャー」という作品は、表面上の物語は「カーレンジャー」に匹敵するほどのギャグ一辺倒なのですが、
基本設定は非常に練り込んで作られているのが特徴なのです。
この11の異世界設定にしても、どうしてわざわざブレーンワールド理論を基礎としているのかが
実は押さえておくべきポイントです。

こうした現実世界とは違った時空に存在する異世界が登場する作品というのはスーパー戦隊シリーズには結構あり、
「ジェットマン」の裏次元、「メガレンジャー」のネジレ次元、「アバレンジャー」のダイノアース、
「マジレンジャー」のマジトピアやインフェルシア、「シンケンジャー」の三途の川などが例として挙げられます。
これらは別に超難解なプレーンワールド理論などというものは使わずに、
普通に「現実世界に重なって異次元世界が存在している」という説明だけで視聴者に受け入れられてきました。

だから別に「ゴーオンジャー」においてもマシンワールドやサムライワールドなども、
このような簡単な説明で設定づけることは出来たはずなのです。
ところがそのようにはせずに、わざわざ超難解なブレーンワールド理論を基礎にした世界観を構築したのは
ちゃんとした理由があります。

それはブレーンワールド理論においては、
並列して存在するそれぞれの膜状の4次元時空は余剰次元といわれる5次元時空によって隔てられていて、
素粒子や電磁場は膜状の世界から余剰次元に出ることは出来ず、
余剰次元で移動することが出来るのは重力のみということになっているからです。
といっても何のことやら分からないかもしれませんが、
要するにプレーンワールド理論においては、膜状に並列するそれぞれの世界は
根本的に互いに全く無関係の世界であり、
それぞれの世界の物質がそれぞれの世界間を移動することは事実上不可能なのです。

これまでのスーパー戦隊シリーズに登場した様々な異世界は、それなりに現実世界と関係のある世界でした。
例えば三途の川は死んだ人間の魂が行く場所でしたし、
マジトピアは魔法力を高めた人間が移行する世界であり、
ダイノアースはもともとは現実世界から分離したもう1つの地球でした。
また、現実世界とそれら異世界との行き来も割と簡単に行われていました。
普通の人間はもちろん移動は出来ませんが、
ネジレ次元やインフェルシア、三途の川など、悪の組織側はその異世界を本拠地として
現実世界に出兵してくるという感じで、日常的に移動をしていました。

しかし「ゴーオンジャー」の場合、悪の組織ガイアークはマシンワールドからやって来ましたが、
あくまで本拠地は現実世界に置いており、日常的に異世界間の移動はしていません。
ブレーンワールド理論の場合、異世界間の移動は不可能なのですが、さすがにそれでは話が始まらないので、
「ゴーオンジャー」の物語においては、おそらく重力を活用した何らかの特殊な方法なのでしょうが、
異世界間の移動は可能であるようです。
ただ、わざわざブレーンワールド理論を基礎としているわけですから、
その異世界間の移動はかなり無理をしてようやく可能になるようです。

だから、「ゴーオンジャー」の物語における異世界間の移動は、
かなり労力と時間をかけて達成されるものであったり、
極めて特殊な能力によって可能になったり、突発的な事故のように起きるものであったり、
何らかのリスクや制約を伴うものであったりして、決して日常的な現象としては描写されていません。
つまり、「ゴーオンジャー」における11の異世界は、本来は互いに関わりを持ってはいけない世界同士なのです。

で、ガイアークという連中はその異世界間を移動できる能力を使って、
異世界に干渉して、異世界を自分達の好みの世界に作り替えようとしているわけで、
だからガイアークは宇宙のルールに反する大問題なのです。
しかし、このガイアークに対処するためには、
その対処する側も宇宙のルールに反して異世界に干渉しなければいけない。
そこから「ゴーオンジャー」の物語は始まるわけです。

そうした「異世界間の根本的な隔絶感」を表現するために
「ゴーオンジャー」の世界観の基礎はブレーンワールド理論である必要があったのです。
しかし、子供はおろか大人でもブレーンワールド理論がすんなり理解出来るはずもなく、
子供向け番組でこのようなこだわりの世界観設定を行うというのも、
そこまでしなくても・・・と思うぐらいの徹底ぶりです。
が、こういう緻密さや厳密さというのが子供向け番組の良作を生み出すのでしょう。

で、当然、このボンパーの語る11の異世界の並列する世界観は、
どちらかというとバカの多いマーベラス一味の面々にすんなり理解出来るはずもない。
皆、ポカ〜ンとした顔で聞いています。
物知りのハカセも「へぇ〜え!そんなの初めて聞いたなぁ・・・」と驚いた顔をしており、
ジョーは「・・・意味が分からん・・・」と全く理解できない様子です。
もうなんか頭から煙が出そうになってます。いや、最近、ジョーのこういう細かい演技が面白すぎます。

まぁジョーやルカはともかく、
それなりに教養のありそうなハカセやアイムもただただ驚いているところを見ると、
このヒューマンワールドの宇宙でこの理論を唱える学者は今まで存在しなかったのでしょう。
つまりザンギャック側もそのような異世界の存在は知らないようです。
ただ地球ではゴーオンジャーの戦い以来、一応はこの理論は知られるようになったようで、
鎧だけはボンパーの話を聞いて、うんうん頷いています。
にしても、まぁあんまり深いところは理解できていないと思いますが。

そして、当然マシンワールドとか異世界とかいう話はほとんど理解出来ていないマーベラスは
そんな話にはいかにも興味無さそうに
「・・・で、お前なんでこの船に落ちてきたんだ?」とボンパーに問いかけます。
とにかくレジェンド戦隊の1つであるゴーオンジャーの関係者であることは分かった以上、
自分達に何か用があるのかと思ったのです。

どうも状況を考えると、ボンパーは空から落ちてきたようだが、
いったいどうやって空から落ちてきたのかというのはともかく、
まずは何の用なのだろうかとマーベラスは思ったのでした。
確かゴーオンジャーの大いなる力は黒十字王との戦いの際にゲットしているので、
大いなる力を渡してくれるという話でもないようです。

ところがボンパーは意外なことを言います。
「それが・・・ちょっと出るとこ間違えちゃったみたいで・・・」とモゴモゴ言うのです。
なんと、ボンパーはガレオンやゴーカイジャーに用があるわけではなく、
場所を間違えてガレオンに落ちてきただけだったのです。
というか、あんな空の上に間違えて出てきて、もしたまたまガレオンが下に飛んでいなければ
ボンパーは地面に落下してバラバラになっていたでしょう。なんとも運の強いヤツです。

しかし、命拾いしたはいいが、
本来の目的地に行かねばならないのに、間違えて違う場所に出てしまったせいで、
どうやったらその場所に行けるのか分からないで、
しかも見知らぬ船で見知らぬ怖そうな人たちに囲まれて、ボンパーは困っていたのでした。
しかし、話をしてみると、ゴーオンジャーのことも自分のことも好意的に見てくれる人たちだと分かり、
少し安心したボンパーは思い切って「みんなお願い!連れてってほしいところがあるんだ!」と、
マーベラス達にお願いすることにしました。

ボンパーが連れていってほしいと頼んだ場所は、そこからそう離れていない、とあるレース場でした。
そこでレースが終わった後の客の帰ったスタンドでボンパーと、付き添いのマーベラス達が待っていると、
そこに「ボンパー!」と声をあげて、レーシングスーツを着た男が駆けてきました。
ボンパーは振り向いてその男の顔を見ると「走輔〜!!」と歓喜の声を上げます。
駆けてきたのは元ゴーオンレッドの江角走輔でした。
走輔は元レーサーだったので、レジェンド大戦で変身能力を失った後はレーサーに復帰しているようです。

走輔というキャラは「ゴーオンジャー」の劇中では年齢設定は特に無かったですが、
ゴーオンレッドになる前は若手レーサーとして活躍していたようなので、
それからレジェンド大戦までおよそ3年、そしてそこからさらに数年経っている現在、
まぁ20歳代後半というところでしょう。

演じているのはオリジナル役者の古原靖久氏で、
現在25歳で、当然ながらまだまだ全然、現役のヒーローに見えます。
というか、つい最近、映画「電人ザボーガー」で主人公ヒーローの大門豊を演じていますから、
実際に現役ヒーロー役者です。
「ゴーオンジャー」当時の走輔のトレードマークであった赤いツンツンヘアーではなくなっており
黒い髪で髪型も落ち着いたものになっていますが、
それでも何処からどう見ても走輔に見える役作りをしてきてくれています。

さて走輔といえば、熱血で単細胞でお調子者、猪突猛進で喧嘩っ早い、
優しく面倒見がいいガキ大将がそのまま大人になったような、おバカなキャラとして知られています。
この走輔の了見が狭くカッコ悪くておバカな、それでいて妙に魅力のあるキャラが
「ゴーオンジャー」という作品を象徴するといわれて、未だに語り草となっているようですが、
まぁいわゆる「バカレッド」の代表的人物です。

レッド戦士が明らかに他のメンバーよりもおバカなキャラとして描かれているパターンというのは、
歴代ではメガレッドの伊達健太、ゴーレッドの巽マトイ、デカレッドの赤座伴番、
マジレッドの小津魁、ゲキレッドのジャン、そしてゴーオンレッドの江角走輔でしょう。
ニンジャレッドのサスケやレッドレーサーの陣内恭介もかなりバカに描かれていますが、
他のメンバーでそれ以上におバカに描かれているヤツもいますので「バカレッド」には含まれません。
ただ、このバカレッドの面々、大抵はあまりにおバカなキャラなので戦隊内でのリーダーではありません。
バカレッドのクセにリーダーをやっていたのはマトイ兄貴と走輔だけです。

しかしマトイ兄貴は性格はバカですが一応レスキュー隊の隊長をやっていたほどの
リーダーとしての実績と能力があり、
しかもゴーゴーファイブには指揮官として優秀な父親のモンドがいましたから、特に問題は無いでしょう。
だから、本当に一番バカがリーダーをしている戦隊はゴーオンジャーだけであり、
そういう意味でもゴーオンジャーという戦隊は特異であり、走輔というキャラも特異だといえます。
まぁゴーオンジャーの場合、みんなバカだったので一番バカの走輔がリーダーでもあんまり違和感無かったのですが。

しかし、この走輔によく似た感じの単細胞でガキ大将みたいな性格のおバカなキャラのレッドが
リーダーをしているのがゴーカイジャーです。
つまり、マーベラスは走輔と案外よく似たレッドであり、
ゴーカイジャーも意外にゴーオンジャーに似ているのだといえます。
ちなみに走輔役の古原氏は、マーベラス役の小澤亮太くんとプライベートで仲良しだそうです。

走輔はボンパーに駆け寄ると「久しぶりだなぁ!元気だったか?おい!」と抱きつき、
ボンパーも「会いたかったぁ〜!ボンボン!」と大喜びです。
どうも2人は長い間会っていなかったようで、
つまりレジェンド大戦の後、走輔はヒューマンワールドに残ってレーサーに復帰し、
ボンパーは炎神たちと共にマシンワールドに帰っていたのでしょう。

乗り物型の機械生命体の炎神たちはヒューマンワールドでは本来の巨大な姿を維持することが出来ず、
小型の乗り物玩具のような意識の抜けたキャストと、
意識に相当する、自力でほとんど動けないタブレット状のソウルに分離してしまい、
相棒のゴーオンジャーがキャストにソウルを挿し込まないと元の姿には戻れません。
その元の姿も10分しか維持することは出来ず、再びキャストとソウルに分離してしまいます。
また、ヒューマンワールドでは炎神はゴーオンジャーが搭乗しなければ能力を発揮出来ません。

だから炎神にとってヒューマンワールドでの活動にはゴーオンジャーという相棒は不可欠なのですが、
レジェンド大戦で変身能力が失われて走輔たちがゴーオンジャーになることが出来なくなって、
炎神たちは事実上、ヒューマンワールドで活動が出来なくなってしまったので、
マシンワールドへ撤退していたのでしょう。
レジェンド大戦では炎神たちはダメージは受けながらも生き残ったようですが、
そういうわけでヒューマンワールドには来ることが出来なくなったということのようです。

そしてボンパーはもともと炎神たちがヒューマンワールドで活動しやすくするために
相棒であるゴーオンジャーの戦いをサポートするために炎神たちが作ったロボットだったわけですが、
ゴーオンジャーが活動出来なくなった以上、ボンパーも走輔たちにくっついていても仕方ないので、
レジェンド大戦の後、生まれ故郷といえるマシンワールドへ、炎神たちと一緒に帰っていったのでしょう。
だから走輔とボンパーはレジェンド大戦以来、数年ぶりの対面となります。

その2人の感動の再会の場面を横で見ながら、
「あ・・・あのお方は・・・まさか・・・!?」と鎧は何やらオシッコをちびりそうなのを我慢しているような、
猛烈に感動した表情で枯れた声を発します。
それが聞こえたのか、走輔はおもむろに立ち上がると
「へっ!俺はマッハ全開!ゴーオンレッド!」と、いきなりゴーオンレッドの素面名乗りをポーズ付きで披露し、
「・・・の江角走輔だ!よろしくな!」と、鼻を軽くこする走輔得意のポーズを決めながら自己紹介します。
この「ゴーオンレッド!」とポーズを決めたところに
ゴーオンレッドのスーツ姿がオーバーラップする演出が使われます。
レジェンド回恒例のオーバーラップ演出ですが、名乗りポーズのオーバーラップは初めてです。

それにしても、あの元リュウレンジャーの亮があれだけ満を持した形で深い意味を込めて披露した素面名乗りを、
登場して数秒で簡単にやってしまうとは、
なんともまぁ、相変わらず勢いのノリ優先で何も考えていない走輔らしいとはいえますが、
まぁ走輔なりにこれには理由はあるでしょう。

亮の場合は、あくまで変身能力は失っても人を守りたいという気持ちがあればヒーローなんだということを
示すために素面名乗りを披露したのですが、
それでも自分は今のこの世界を守る宿命を負った現役のヒーローではないという意識もあり、
それなりの遠慮はあるのです。
だからこそ、亮は鎧に見せるために特別の意味を込めるからこそ生身名乗りを披露したのです。
別に出会ってすぐに名乗りをしたりはしませんでした。

しかし走輔の場合、確かにこの世界、すなわちヒューマンワールドを守るヒーローは
亮の言うようにどんどん後輩たちにその宿命は引き継がれていっているのかもしれませんが、
走輔たちゴーオンジャーはその他のワールドにおいては今でも現役のヒーローなのです。
今はたまたま変身能力が失われているから戦いに行けないが、
変身能力が戻れば当然また戦いに行くつもりです。
だから、走輔の場合は変身は出来なくても、心は完全に現役ヒーローなのです。
だから素面名乗りなど、挨拶程度にやってしまうのでしょう。

といっても、誰かれ構わず素面名乗りを披露しているわけではなく、
自分のことをゴーオンレッドだと認識している相手にだけ、素面名乗りで挨拶するようです。
すなわち、この世界の誰もが走輔のことを元ゴーオンレッドだと認識しているわけではないようです。
鎧が走輔がやって来てボンパーと抱き合っているのを見て初めて
走輔のことを元ゴーオンレッドだと気付いている様子であることからもそれは窺い知ることは出来ます。

当然、このレース場でこうしてボンパーと走輔を引き合わせることが出来ている以上、
マーベラス達はこのレース場の係の人に
「マーベラス一味がボンパーを連れてきたと江角走輔に伝えてくれ」と言ったはずです。
ならば、マーベラス達はボンパーから「江角走輔」という人間に会いに行きたいということは聞いてから、
ここにやって来たはずであり、鎧は走輔の名はこの段階で既に知っていたはずです。
なのに鎧が走輔の顔を見て初めて元ゴーオンレッドだと気付くということは、
鎧はゴーオンレッドの生身の正体が「江角走輔」という名であることは知らなかったということになります。

確かに名前は知られていなかったようです。
走輔たちがヒューマンワールドで戦っている時、
ゴーオンジャーはケータイサイトで人気投票があるくらい有名な戦隊でしたが、
それでも本名はいちいち明かしてはいなかったようです。

では、本名も明かしていないのに、どうして鎧は走輔の顔は知っていたのかというと、
それはゴーオンジャー特有のメットオフ姿を頻繁に披露していた影響でしょう。
メットオフというのは、変身した状態のままで頭部のメットパーツだけ外して素顔を出すという行為のことで、
そこまで完全に頭部を素のままで晒すのはゴーオンジャーだけに特有の現象でした。
だから、鎧のような戦隊ファンはゴーオンジャーの変身前の正体は知らないが、素顔だけは知っているのです。
そういうわけで、駆け寄ってボンパーと抱き合った「江角走輔」という男の顔を見た瞬間、
それが自分の知っている「ゴーオンレッドの素顔」と同じ顔だったので、鎧は仰天したのです。

しかし、素顔が分かっているのなら、正体もすぐに分かりそうなものです。
もちろん走輔たちゴーオンジャーのメンバーをもともと知っていた人達は、
走輔たちのメットオフ姿や普段のジャケット姿などを見て、
一部ではゴーオンジャーの正体を知っていた人達もいたことでしょう。

しかし、走輔たちは、ヒューマンワールドでのガイアークとの戦いが終わった数か月後、
ヒューマンワールドから姿を消して異世界に行ってしまい、
その後はずっと(シンケンジャーと共闘した1日を除いて)異世界を転々として戦っていたため、
ゴーオンジャーはすっかり「消えた戦隊」扱いになっており、
レジェンド大戦で久々に姿を現したと思ったら、またすぐに姿を消してしまっており、
正体探しどころではない状況が続いていたといえます。
だから、ゴーオンジャーのメンバーの素顔は戦隊ファンの間では知られているが、
その正体はよく分からないし、名前も分からないという、なんとも奇妙な状態であったのです。
そういうわけで鎧はこの時、初めてゴーオンレッドの正体が江角走輔というレーサーだと知ったのでした。

一方、走輔の方はレース場の人から「マーベラス一味という連中がボンパーを連れて会いに来ている」と聞かされて、
当然、6月の黒十字王との戦いの際にゴーカイジャーと接触した元ゴーオンニエローの楼山早輝から聞いて
「マーベラス一味=ゴーカイジャー」ということは知っていますから、
ゴーカイジャーが自分のことをゴーオンレッドだと分かった上でやって来ていると思っており、
ならばヒーロー同士の挨拶ということで、大張り切りで素面名乗りをしたという次第なのでしょう。

走輔の素面名乗りの自己紹介を受けて、鎧は「や、やっぱりぃ〜!!」と大感激して、
自分も素面名乗りで挨拶せねばいけないと思ったのか、
「あ、俺、ゴオオオオカイ!シルバァッ!!」と素面名乗りをして
「・・・こと、伊狩鎧です!よろしくお願いします!!」と、走輔の真似して鼻をこすって自己紹介し
走輔と握手、そしてハイテンションでヘラヘラ笑い続けながら握った手を離そうとしません。

走輔はさすがに、あまりの鎧のハイテンションに引きまくって、
「・・・ヘンなのキタァ〜ッ!」と言いながらボンパーの方を見ます。
走輔はゴーカイジャーに地球人の新メンバーが入っているということは聞いていなかったので、
鎧が地球人の名を名乗り、しかも変に幸せそうに手を握って離さないので
変なヤツが混じっていると思ったようです。
それでいったいどうなっているのかと確認するようにボンパーの方を見たのですが、
ボンパーはボンパーで「え?じゃあ、君たちが噂のゴーカイジャーだったの!?」と、
あまりにも今さらなことを言います。

「なんだよ!お前、知らずに連れてきてもらってたのかよ?」と走輔は相変わらずのボンパーの呑気さに苦笑しつつ、
鎧の手を鬱陶しそうに払いのけようともがいています。
ボンパーは「だって、すごく慌ててたから・・・」と言います。
そういえば、確かにマーベラス達は自分達がゴーカイジャーだとはボンパーに名乗ってはいません。
そんなことは別に名乗る必要も無かったし、
そもそもボンパーは「江角走輔」に会いたいと言っただけであり、
ゴーオンレッドに会いに行きたいなどとは言っていないので、
マーベラス達にしても、まさかここで元ゴーオンレッドに会うとは思っていなかったのです。

そもそも、地球では「マーベラス一味=ゴーカイジャー」とはよく知られた話ですから、
別に改めてゴーカイジャーなどとボンパーに名乗る必要性自体を感じなかったのでしょう。
しかしボンパーはマーベラス達が地球に来た頃にはヒューマンワールドにはもういなかったわけで、
今回久々にヒューマンワールドに来たわけですから、
マーベラス一味がゴーカイジャーだなどと知るはずもない。

いやしかし、ちょっとここで変なのは、
ならばどうしてボンパーは「ゴーカイジャー」という名は知っているのでしょうか?
しかも「噂の」と言っている。
ボンパーはヒューマンワールドにはおらず、ずっと炎神たちと一緒に行動していたはずですから、
炎神たちが噂していたということなのでしょうか?

おそらく考えられる可能性としては、
レジェンド大戦の終了後、レジェンド戦士たちやその関係者(炎神も含む)の間で
「ゴーカイジャー」という将来的に地球にやって来るはずの戦士たちに関する情報が共有されており、
それについて炎神やボンパー達はヒューマンワールドから去った後も時々、噂していたということです。
だからボンパーは「ゴーカイジャー」という噂の戦士のことは知っていても、
マーベラス一味がその「ゴーカイジャー」だとは気付かず、
今の鎧の名乗りを聞いて初めて、
たまたま出会った親切な海賊のマーベラス一味が「ゴーカイジャー」だったことを知ったのでしょう。

ということになると、レジェンド大戦終了直後ぐらいに、
マーベラス一味はまだ結成されていませんから、当然マーベラス一味のことは誰も知らなかったでしょうが、
その時点で既に「ゴーカイジャー」という戦士の概念はレジェンド戦士たちには知られていたことになります。
では、誰がそれをレジェンド戦士たちに教えたのか?
それはアカレッドではないでしょうか?

まぁそこらへんはまだよく分かりませんが、
とにかく、この場だけでもかなりややこしい人間関係です。
とはいっても、ようやく互いが何者であるのか分かったといえます。
そこで改めて、鎧の手をようやく振りほどいた走輔に向かってアイムがにこやかに歩み寄って
「お礼が遅れましたが、先日は大いなる力をありがとうございました!」と丁寧にお礼を言います。

6月の黒十字王との戦いの際に、
元ゴーオンイエローの楼山早輝がゴーオンジャーの大いなる力を託してくれたことへのお礼です。
アイムもまさかここで元ゴーオンジャーの戦士に会えるとは予想していなかったので、驚きましたが、
そうとなれば、大いなる力を託してくれたことへのお礼を言わねばならないと思ったのでした。

走輔は「ああ・・・いいってことよ!」と爽やかに笑うと、
マーベラス達が自分達のパーソナルカラーと同じ色のイスに散らばって腰かけているスタンドの階段を
軽い足取りで昇りながら「あ、そうだ!・・・大いなる力っていえばよぉ・・・」と、
何かを思いついてマーベラス達に向けて話しかけようとしますが、
そこにボンパーが「走輔!それより大変だよ!ゴーカイジャーのみんなも聞いて!」と急に切迫した声の調子で
話し始めたので、走輔は話を中断してボンパーの方に振り向きます。
マーベラス達もボンパーの方に注目します。

そういえば、歓喜の再会シーンのせいで思わず忘れていましたが、
もともとボンパーは走輔に急いで会いたがってここに来たわけで、
何か切迫した用件があったのだということを想い出したのでした。
それで走輔もマーベラス達もボンパーの話に耳を傾ける中、
ボンパーは「ガンマンワールドにガイアークの生き残りが現れたんだ!」と衝撃的な話をし始めたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:57 | Comment(0) | 第35話「次元ノムコウ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月08日

第35話「次元ノムコウ」感想その3

「ゴーオンジャー」の世界観について、いちいち真面目に考察する必要が無いと言いましたが、
ここでやはり、ちょっと真面目に考察してみることにします。
「ゴーオンジャー」という作品そのものを楽しむためには、この真面目な考察は全く不要なのですが、
「ゴーカイジャー」のゴーオンジャー篇を読み解くためには、
「ゴーオンジャー」という作品を俯瞰で眺めてみる必要があり、
そのためには「ゴーオンジャー」の世界観を真面目に考察する必要はやはり有るからです。

「ゴーオンジャー」の物語の発端は、11のブレーンワールドの中で最も機械文明の発達した、
機械生命体の住む世界、マシンワールドでの炎神とガイアークの戦いに遡ります。
乗り物型の機械生命体である炎神と、人型の機械生命体の蛮機族であるガイアークとは、見た目は全く違います。
双方がどういう進化を辿ったのかとか、そもそもどうやって彼らが生まれたのかなど、
そういうことは考察する必要はありません。
「ゴーオンジャー」という物語はギャグが前面に出ていて、それだけで十分に楽しめてしまうので、
ついつい忘れられがちですが、実は現代機械文明の環境破壊を風刺した一種の寓話なのであり、
だから登場人物は何らかの寓意の象徴と考えればいいです。

つまり、機械生命体の世界で生まれた2種類の機械生命体は、機械文明の2つの側面を象徴した存在なのです。
すなわち、機械文明の善の側面を象徴した存在が炎神であり、
悪の側面を象徴した存在がガイアークということになります。
ヒューマンワールドの人間の心に善悪の両面があり、
それゆえ人間世界で善と悪の戦いは永遠に続くのと同様、
マシンワールドでもその住人である機械生命体の心の中にも善と悪の両面が存在し、
機械生命体の善の心が形を成したものが炎神であり、
悪の心が形を成したものがガイアークと考えればいいでしょう。

それはそれぞれ機械文明の善の側面と悪の側面、すなわち功罪に対応している。
だから、炎神は有用、便利で快適なものとして描かれ、
ガイアークは汚染を撒き散らして環境を破壊するものとして描かれます。
ただ、「便利で快適」と「環境を破壊する」というのは、機械文明のコインの表と裏です。
機械文明が続く限り、この両者の葛藤は永遠に続きます。
同様に、機械生命体の世界でもこの両者の葛藤は永遠に続く善悪の宿命の戦いなのだといえます。

おそらく機械生命体の負の側面である「環境破壊」という因子が肥大化して出現したのがガイアークであり、
ガイアークの出現によって崩れた善悪のバランスを修復するために
同じ機械生命体の炎神たちはガイアークと戦うことになったのでしょう。
「ダイレンジャー」におけるダイ族とゴーマ族の永遠に続く善悪の戦いのようなものです。
また、「ライブマン」における、科学を悪用した親友の暴走を止めようとして戦い、
親友の死後も科学の負の側面を知るゆえに後進に科学の過ちを繰り返させないように足掻いて戦いを続ける
大原丈とも同じようなものです。
こういう自分にも悪の側と同じ因子があり悪の恐ろしさを知るゆえにこそ、
悪を止めるために戦う者は「正義のヒーロー」です。
炎神たちも、まさにマシンワールドにおける「正義のヒーロー」であったのです。

しかし、機械文明における負の側面のうち最悪のものは「環境破壊」ではありません。
それは「傲慢」です。
機械文明の便利さや快適さこそを至上の価値として、
何処までも際限無くその価値観を拡大させていこうという肥大した傲慢さ、これが一番の害悪であり、
環境破壊にしても真の原因はこの傲慢さによるものです。
この傲慢さは自らの機械文明の価値観だけを正しいと見なして、
自らと異なる他者を認めず、全てを自らと同じ色に染め上げようとします。
それゆえ、機械生命体の負の側面の象徴たるガイアークは、あらゆる世界を自らの価値観で染め上げようとします。

11の世界は本来はお互い全く無関係で不干渉でなくてはならない。
これは世の中は1つの価値観で染め上げてしまってはいけない聖域というものは存在するものであり、
互いの価値観を尊重しなければいけないという考え方の寓意と考えればいいでしょう。
しかし、ガイアークはその機械生命体の負の側面の肥大した傲慢さのゆえに、このルールを無視して、
他の全ての世界を自分達の好むような汚染された世界に変えようとするのです。
ガイアークはそうしたタブーを超える傲慢さが極端に肥大した存在であるゆえに、
異世界の壁を突破して移動することが出来るようになったのでした。

マシンワールド以外の他の10の世界は、マシンワールドほどは機械文明が発達していない
牧歌的な世界が多く、それらの世界はそれらの世界で素朴ながら楽しく暮らしているのですから、
そこに無理に機械文明を押し付けて独善的に振る舞い、素朴な世界を汚していくというのは傲慢そのものであり、
まさにこれは現代機械文明の傲慢そのものだといえます。

このガイアークを止めるべき存在が、ガイアークという悪、すなわち機械生命体の負の側面をよく知る
同じ機械生命体の正義のヒーローの炎神なのですが、
それはあくまで彼らの世界であるマシンワールド限定の話です。
11の世界は本来は不干渉が原則であり、炎神とガイアークの正義と悪の宿命の戦いは
あくまでマシンワールドにおいてのみ成立するものです。
マシンワールドにおける正義と悪の戦いを他の世界に持ち込むこと自体が傲慢といえます。

マシンワールドにおいて突出した悪となったガイアークを倒して、
ガイアークをマシンワールドから放逐して、マシンワールドの正義と悪のバランスを保って、
マシンワールドの平和を守った炎神たちは、マシンワールドにおける正義のヒーローとしての
本来負うべき使命は果たしたことになります。
しかしガイアークはその傲慢さゆえに、異世界に干渉してはいけないというルールを破って
ヒューマンワールドに侵略を開始し、ヒューマンワールドを自分達好みの
汚染された世界に変えようとし始めました。
炎神たちはこれを知って、機械生命体の傲慢さによって他の世界で過ちが繰り返されることがないよう、
正義のヒーローとしてヒューマンワールドへ行ってガイアークと戦おうとします。

機械文明というものの持つ本来的な傲慢さというものは異世界の壁を超えるパワーを秘めているようですので、
機械生命体には異世界の壁を超える力があるようです。
ただ基本的には異世界への干渉は本来はルール違反であり、
ガイアークのように機械生命体の負の側面である傲慢さが極端に肥大した者は
完全な姿で異世界の壁を超えることが出来ますが、
ガイアークみたいに負の側面が肥大していない炎神たちは異世界に行くと本来のパワーは発揮出来ず、
不完全な姿となってしまうのです。
だから異世界でガイアークと戦っても炎神たちは勝ち目は無い。
それでも炎神たちはヒューマンワールドへやって来た。
ガイアークを倒してその暴走を止めるのは自分達しかいないという、
同じ機械生命体としての熱い正義感や使命感があるからです。

結果、炎神たちはヒューマンワールドにおいては
小型化して玩具のようなキャストとタブレット状のソウルに分離してしまい、
水先案内ロボのボンパーにキャストとソウルを預けて身動きもとれなくなってしまいました。
この姿では異世界の壁も超えることは出来ず、
炎神たちはヒューマンワールドで野垂れ死にするしかない状況となりました。
つまり、あまりに熱い正義感ゆえに彼らは異世界のタブーを犯すという無茶をしてしまったのです。

ヒューマンワールドで炎神たちがガイアークと戦うためには、
ヒューマンワールドの住人である人間を炎神の相棒とするしかなかった。
つまりマシンワールドの正義と悪の宿命の戦いをヒューマンワールドに持ち込むこと自体が
異世界間の不干渉のルールを無視した傲慢な行為であり、
そのような傲慢さを持ち合わせていない炎神たちにはそもそも無理なことだったのです。

だから、ヒューマンワールドでガイアークと戦う主体はあくまでヒューマンワールドの住人の人間が
「ヒューマンワールドを守るため」の戦いでなければならない。
しかし、それだけではガイアークという巨大な悪には対抗出来ない。
やはり正義の力は必要なのです。
そこでその戦いに炎神が加わって、「正義の戦い」という要素を足して、
人間と炎神のチームで、この世界を守って正義を実現するのです。

炎神たちはその相棒となる人間をゴーオンジャーとして、自らのソウルとキャストを託すしかなかったが、
自分の身を託すことの出来る人間を探し始めた時、炎神たちは走輔たちに巡り合いました。
ガイアークが最初に人間を襲った時、居合わせた走輔たちは自らの危険も顧みず、
見ず知らずの人々を守るために戦ったのです。
その無茶に熱い「人々を守りたいという気持ち」を見て、
炎神たちは自分達の無茶に熱い正義感と通じるものを感じて、
走輔たちに「正義の味方になってくれないか?」と申し出ます。

走輔たちはガイアークというものをそもそも知らず、
ゆえに正義のために悪と戦うというような意識は無く、ただ人々を守ろうとしていただけだったのですが、
炎神たちの自分の身を顧みない熱い正義感に感動し、
炎神と相棒になって自分も彼らのような正義のヒーローになろうと思うようになりました。

こうして走輔たちと炎神たちは相棒の絆を結び、共にヒューマンワールドでガイアークと戦うようになりますが、
この戦いの中で、人間と炎神という異世界の住人同士が相棒として心を通わせたことによって、
走輔たちも炎神たちも、たとえ異世界の住人同士であっても、自分の世界の価値観を傲慢に押し付けることなく、
互いに違いを認め合ったまま心を通じ合わせることが出来るということを知ったのでした。
これによって、彼らは自分の世界以外の世界も自分の世界と同じように守りたいと思えるようになり、
ガイアークが独善的に他の世界を滅ぼしたり汚したりするのを阻止するための正義の戦いを、
マシンワールド限定ではなく他の世界でも行えるようになったのです。

つまり、彼らは異世界の壁を超えた絆を結んだことによって、真の倒すべき「悪」というものを知ったのです。
「悪」が憎むべきである最大の理由は、単に正義の宿命の敵であるからなのではなく、
価値観の違いを認めようとせずに世界を単一に染め上げようとする傲慢さゆえなのでした。
自分以外の価値観を認めない傲慢こそが倒すべき最大の悪なのです。
異世界の相棒との絆を結ぶことで自らの心の中の「他者との違いを認めない」傲慢、
すなわち最大の悪に打ち勝ったゴーオンジャーと炎神は、
特定の世界限定の宿命の戦いの縛りを超越することに成功したのです。
すなわち、世界を自分の思うまま1つに染め上げようとする「真の悪」であるガイアークと戦う、
全ての世界を守る「真の正義の味方」であるゴーオンジャーと炎神がこうして誕生したのでした。

要するに「ゴーオンジャー」という作品の主張しようとしているテーマは、
「本当の正義の味方とは、自分と無関係の者や見た目や考え方の違う者でも
その違いを認めたまま分け隔てなく愛する者であり、
そうした違いを認めようとせず異なった者を抑圧しようとする偏狭な悪と戦う者である」ということです。

そうした「偏狭な悪」の象徴としてこの作品では分かりやすく現代機械文明、
特にその中でも「汚染で世界を染め上げようとする悪」を象徴するガイアークを登場させたわけであり、
別にこの作品は環境破壊そのものをテーマにした作品というわけではなく、
真に描こうとしたのは悪の偏狭さであったのでした。

ガイアークの連中が決して悪人とまで言えない気のいい連中でありながら、
決してガイアーク的な価値観以外の価値観を認めようとしない、
というより認めることが出来ないように造形されていることや、
異世界の住人同士の炎神とゴーオンジャーが心を通わせて一緒になった時に真のパワーが発揮されることなど、
ガイアークや炎神、ゴーオンジャーなどのそれぞれの設定も、
こうした「真の悪」や「真の正義」を表現するための寓意であったのでした。

「ゴーオンジャー」という作品がギャグ主体でありながら、異常に熱い作風でもあるのは、
こうしたテーマ性が込められているからであり、
そのテーマの根本に「世界の違いを超えるほどの熱い絆」が据えられているからなのです。

そういうわけで走輔たちと炎神たちはヒューマンワールドでの戦いでガイアークを倒し、
その数か月後、今度は走輔たちも炎神たちにも何の関係も無いガンマンワールドへ戦いに行き、
フルパワーでガイアークと戦うことが出来たわけです。
これは実は凄い奇跡で、ガイアークのような強引な方法ではなく、異世界の絶対的な壁を超えて、
全ての世界を守る戦士たちが生まれたのです。
この奇跡は彼らの異世界を超えた絆が生み出した奇跡であり、
ゴーオンジャーや炎神の能力とは全く別次元の、世界のルールを変えた凄い現象だったのです。
だから、彼らは何よりもこの「異世界の絆」の持つ力に全幅の信頼を置いているのです。

その後、レジェンド大戦が起きるまで、
ゴーオンジャーと炎神たちは様々なワールドを転戦してガイアークと戦っていましたが、
レジェンド大戦でゴーオンジャーが変身能力を失った後は
炎神たちだけで様々なワールドでガイアークと戦っていたようです。
もともとは炎神だけではマシンワールド以外の世界ではまともに活動出来なかったのですが、
走輔たちと異世界を超えた絆を結んで以降は炎神も全ての世界を守る「正義の味方」になっていますから、
炎神だけでも異世界で戦うことは出来るようになったのです。

それで最近はガイアークの保蛮官チラカシズキーという奴と激しく様々なワールドで戦っていたようですが、
これはガイアークの幹部クラスでなかなか強敵である上に、
「正義の味方」になったとはいっても、やはりゴーオンジャーが搭乗していなければ
フルパワーでは戦えない炎神たちは劣勢に陥り、
最終的にはガンマンワールドを支配するために攻め込んで暴れているチラカシズキーを倒すために
駆けつけたスピードル、バスオン、ベアールVの3体の炎神が激しい戦いを繰り広げましたが、
結局、スピードル達は敗れて、チラカシズキーにパワーを奪われてキャスト状に小型化してしまったとのことです。
ボンパーはそこから逃れて、戦いでたまたま生じた次元の裂け目を通ってヒューマンワールドに逃げてきたようです。
それで走輔に助けを求めに来たわけです。

このボンパーの説明する回想シーンでは、スピードル達3体の炎神たちが
ガンマンワールドでチラカシズキーと戦う姿が描写されています。
この3体が今回のゴーオンジャー篇で本来の巨大な姿で戦う場面はここだけですので、なかなか貴重な場面です。
最終的に敗れたとはいえ、なかなか活躍しており、スピードルは特異の滑空を披露しています。
もちろん、この3体の炎神もレジェンドゲストで、その声優の方々もオリジナル役者で、
スピードルが浪川大輔氏、バスオンが江川央生氏、ベアールVが井上美紀氏です。
また、この回想シーンのガンマンワールドは
「シンケンジャーVSゴーオンジャー」におけるガンマンワールドのシーンと同じく、
西部の荒野に夕陽が沈もうとしている情景で、いかにも西部劇の舞台という感じにしてあります。

そうしたボンパーの話を聞いて、走輔は腕組みをして「よぉ〜し、分かった・・・」と言うと、
右手を高々と天に突き上げ、
「野郎ども!マッハで駆けつけて、俺たちでガンマンワールドを助けるぞぉっ!!」と号令をかけます。
「マッハで」とか言ってて相変わらずの走輔節ですが、
これはマーベラス一味にも一緒にガンマンワールドへ行こうと言っています。
というより、走輔は当然マーベラス達も行くものだと思っているようです。

しかし「はぁいっ!!」と一緒に手を上げて応じたのは鎧1人だけで、他の5人は無反応です。
ルカはポツリと「・・・なんで?」と言います。
「はい?」と鎧は不思議そうに返事しますが、ジョーも「どうして俺たちが行かなきゃならない?」と問い返します。
ルカもジョーも、そんな見たことも聞いたこともない、自分達とは何の関係も無い
ガンマンワールドなどという別の世界を、
どうして自分達がわざわざ助けに行かないといけないのか分かりませんでした。

まぁ、これが普通の感覚でしょう。
鎧はスーパー戦隊ファンなので、そういう行為が正義の味方の行為として当然だという想い込みが強いので
走輔の呼びかけに素直に応じられたのですが、
ごく普通の感性の持ち主ならば、
何の関係も無い別次元の世界を助けるためにいきなり戦いに行けと言われれば戸惑うのが当たり前です。

そうしたルカやジョーの当然の疑問なのですが、
それに対して走輔は驚いた様子で「・・・どうしてって・・・お前ら、正義の味方だろ!?」と言います。
いくらバカな走輔でも、そこらの一般人相手にいきなり異次元の無茶な戦いに同行を強要したりはしない。
走輔がマーベラス達に一緒に行こうと言ったのは、マーベラス達が「正義の味方」であるはずだったからでした。
何故なら、黒十字王との戦いの際に早輝がマーベラス達にゴーオンジャーの大いなる力を渡しているからです。
それはつまり、早輝がマーベラス達のことをゴーオンジャーと同じ資質を持った者達だと認めたということであり、
ということはゴーオンジャーが「正義の味方」であるのと同様、ゴーカイジャーも「正義の味方」であるはずです。

この場合の「正義の味方」というのは、走輔たちゴーオンジャーの言うところの「正義の味方」ですから、
つまり単なる「正義のために戦う戦士」ではなく、「全ての世界を守る戦士」です。
だから、走輔はゴーカイジャーがゴーオンジャーと同じ「正義の味方」である以上、
ボンパーの話を聞けば当然ガンマンワールドを助けに行くはずだと思っていました。
だから「なんで俺たちが行かないといけない?」などと言われるのは心底、予想外だったのでした。

しかし、マーベラス一味の面々が早輝に「大いなる力」を貰った時、
早輝はビジョンで黙って微笑んでいただけだったので、
マーベラス達はどういう理由で自分達が「ゴーオンジャーの大いなる力」を託されたのか分かっていません。
そもそもゴーオンジャーがどういう戦隊なのかもよく分かっていないのです。
鎧にしても、通り一篇の知識があるだけで、ゴーオンジャーという戦隊の本質が分かっているわけではありません。

だから、マーベラス達も鎧も、走輔の言う「正義の味方」という言葉に込められた真の意味が分かりません。
単に鎧は「正義の味方」という言葉だけで「正義のために戦うヒーロー」と簡単に解釈して
ほぼ無条件に肯定しているだけであり、
逆にマーベラス達は「正義の味方」を「正義のために戦うヒーロー」と単純に解釈して反発を覚えます。

正義など存在しない宇宙で育ったマーベラス達5人は、「正義」というものがよく分からない。
ところが地球に来ると、レジェンド戦隊という「正義のヒーロー」という連中が存在し、
どういうわけか自分達がその力を受け継ぐ羽目になっていました。
そうなると、自分達も正義のヒーローにならなければいけないのかと思えてきます。
しかし「正義」というものがマーベラス達にはよく分からない。
地球を気に入ったので守りたいという気持ちはあるのだが、それは「正義」とは少し違うようです。

鎧の言うようなイメージだと「清く、正しく、美しく、老人から子供にまで愛される」というような、
やたら優等生的なイメージでしたが、マーベラス達にはそういうのは少し億劫であったのです。
だから、ここでもマーベラス達は走輔がそういうニュアンスで「正義の味方」と言っているのだと思い、
少し鬱陶しく感じました。

ハカセは「いやぁ・・・僕たち、海賊なんですけど・・・」と少し皮肉な笑いを浮かべます。
正義の味方とか、そういう堅苦しいものを押し付けないでほしいという意思をそれとなく表明したのでした。
一方、マーベラスはもっと露骨に不快そうに
「なんで、そんなよく分からん世界に行かなきゃなんねぇんだよ・・・!」と喧嘩を売るような口調で言います。
よく分からん「正義の味方」としての行動を押し付けられることにかなりムカついたようです。

それに対して走輔は「全ての世界を守る正義の味方」とは思えないマーベラスの言葉に驚き、
思わず頭に血が昇って「・・・お前なぁ!」と掴みかかろうとしますが、
鎧が必死で走輔にしがみついて「ちょっと止めましょうよ!」と制止します。
あわやマーベラスと取っ組み合いの喧嘩になる寸前で止まった走輔は、
マーベラスの顔を睨みつけながら、なんとか怒りを抑えて、少し考えます。
というか、少しじゃなくてたくさん考えれば、
お互い何か認識の行き違いがあるのだということに気付くと思うのですが、
走輔はバカなので少ししか考えられません。

少しだけ考えて走輔が分かったことは、どうやらマーベラス達は「正義の味方」ではないということでした。
「正義の味方」ではないヤツらにどうして早輝が「大いなる力」を渡したのか?
いや、どうして渡すことが出来たのか?
そのあたりは走輔にはよく分かりませんでした。
とにかく、そんな分からないことを考えるよりも、
今はマーベラス達は「正義の味方」としての行動が期待出来ない以上、
これ以上、相手していても無駄だと走輔は思いました。

分からないことを考えたり、期待出来ないヤツと喋ったりしているヒマは無い。
今は一刻も早くガンマンワールドを救わなければならない。行動あるのみだと走輔は思い、
マーベラスに向かって指を突き出して
「・・・あぁ、そうかよ!分かった!もうお前らの手なんか借りねぇ!」と言うと、
階段を駆け下りて「いくぞボンパー!」とボンパーを抱き上げて急いで行動を開始します。
ボンパーはまた走輔が後先考えずに突っ走りだしていると感じて「走輔!?」と慌てますが、
走輔はもう行動し始めたら止まらないので「あぁもううるせぇ!・・・あいつら怖いんだってよ!」と言って、
ボンパーを抱えて去って行ったのでした。

スタンドに残された5人は、いきなりキレて去っていった走輔にいささか唖然とします。
確かに全然関係ない世界を助けに行くということの意味は分からなくて反発はしましたが、
別に喧嘩しようと思っていたわけではない。
マーベラスにしても、思わずちょっとムッとして口調が汚くなってしまっただけだったのです。
そんなことぐらいでいきなりあんなに走輔がキレるとはマーベラスもちょっと予想していませんでした。

今まで出会ってきたレジェンド戦士たちは皆、精神的に大人であり、
むしろマーベラス達自身の方がやや精神的に幼い印象でした。
だから走輔ももっと大人なのだとマーベラスは勝手に思っていたのですが、そうではなかった。
自分よりも精神的に未熟なレジェンド戦士もいるのだと、マーベラスは新鮮な驚きを覚えていました。

そうなると、「もう!なんであんなこと言うんですかマーベラスさん!?
いいじゃないですか!一緒に助けに行きましょうよぉ!!」と鎧に説教されて、
マーベラスは後味が悪い気持ちになりました。
「正義の味方」という走輔の言葉に対して、ついカッとなってしまった自分の僻んだ気持ちが、
喧嘩腰の口調となって現れて、それが走輔をキレさせてしまったのだということが分かったのでした。
いや、普通はそれだけであそこまでキレないんですが、走輔なのでこういうことになっていまい、
逆にマーベラスに自分の失敗を思い知らせる結果となったのでした。

それでもマーベラスは内心は自分の行動の迂闊さは認めつつも、決まり悪そうに
「・・・だから、理由がねぇだろ!」と鎧に言い返します。
確かに言い方は悪かったが、自分の言った内容自体は正論だと主張しているのです。
よく分からない世界を救うためにどうして自分達がわざわざ戦わないといけないのかという
疑問自体は至って正論なのだから、俺は間違ったことは言っていないのだと、
マーベラスは意地を張るのでした。

そんな遣り取りの最中もアイムは、駆け去っていく走輔の後ろ姿を呆然と見ています。
「・・・どうしたのアイム?」とルカが訊ねると、
アイムは「あの方・・・レンジャーキーを返せとは、仰いませんでしたね・・・?」と不思議そうに言います。
走輔は自分1人でガンマンワールドを救いに行くと言って戦いに出掛けていったわけですが、
以前に同じように戦いに赴くシチュエーションでハリケンジャーの3人は
緊急避難的にレンジャーキーを貸すようにアイム達に求めてきました。
世界を救うために戦うには変身して戦う力が必要だからです。
だから今回、走輔もレンジャーキーの力で変身する必要があるはずなのです。

「そうか・・・あの人、今、ゴーオンジャーにはなれないんだよね・・・」と、
あの時、アイムと一緒にハリケンジャーと交渉したハカセも走輔の今の状況を想い出します。
レンジャーキーが無ければ走輔はゴーオンレッドになれないのに、
生身のままでどうやってガンマンワールドを救うつもりなのだろうかとハカセは不思議に思ったのでした。

マーベラスはその遣り取りを聞いて、チラリと決まり悪そうに走輔が去っていった方向を見ます。
マーベラスは走輔が「お前らの力は借りない」と言っていたのを思い出し、
走輔が怒りのあまり意地になって、レンジャーキーを返してくれとは言わずに、
生身でガンマンワールドで戦おうとしているのだと思いました。
自分の短慮で走輔を怒らせてしまったと内心少し悔いていたマーベラスには、それは少々困ったことでした。
自分が怒らせたせいで結果的に走輔が無茶な戦いで死んだりすれば、どうにも寝覚めが悪い。
走輔が生身で戦いに行こうとしているのなら、これはちょっと放っておくわけにはいかないと、
マーベラスは罪悪感を覚えました。

ただ、これは実はマーベラスの考えすぎというもので、
確かに走輔は生身でガンマンワールドを救おうとしていますが、
別に意地になってレンジャーキーを使おうとしていないわけではありません。
おそらく走輔は単にレンジャーキーを使えば変身出来るということを知らないのでしょう。バカですから。

しかし、それは走輔が生身でも絶対にガンマンワールドを救えると本心から信じているということでもあります。
もちろん困難な戦いとなることは覚悟していますが、きっとなんとかなると希望は持っています。
それはガンマンワールドにはスピードルたち炎神がいるからです。
炎神と自分達との異世界を超えた絆の力があれば、どんな不可能でも可能になると走輔は思っています。
それだけの絶対の信頼を「異世界を超えた絆」に置いているのだといえます。

その走輔は、レーシングスーツからゴーオンジャーのジャケットに着替えて、
空に開いた次元の亀裂の下の原っぱに立っていました。
「僕・・・あの次元の亀裂から来たんだ・・・炎神がいないと自由に次元を移動できないから・・・」と
傍らでボンパーが説明します。

異世界への移動が出来るのは炎神とガイアークだけであり、
ボンパーやゴーオンジャー達は炎神と一緒でなければ異世界への通路を開くことは出来ません。
だから今回、スピードル達がチラカシズキーに倒されてしまった状況で
ボンパーがヒューマンワールドへ移動してくることは本来は出来ないはずです。
しかし、スピードル達とチラカシズキーとの戦いの影響で
ガンマンワールドからヒューマンワールドへ繋がる次元の亀裂が生じて、
そこを通ってボンパーはヒューマンワールドへ逃れてくることが出来たということのようです。

だから、その同じ亀裂を通れば、ヒューマンワールドからガンマンワールドへ行くことは出来ます。
炎神がヒューマンワールドにおらず、ガンマンワールドでスピードル達も動けない現状では、
他に通路を開くことは出来ないので、その亀裂を通って移動するしかない。
ところが、その亀裂な空の上にあります。
遥かに上の亀裂を見上げていた走輔は、足元のボンパーに振り向いて
「大丈夫だ!俺一人でもガンマンワールドへ行ってみせるぜ!」と自信満々な笑顔を見せます。
飛行機でも使うつもりなのでしょうか?

・・・と、思ったら、なんと走輔が持ち出してきたのはトランポリンでした。
原っぱの上に置いたトランポリンの上に乗ってそのスプリングを何度か確認した走輔は
「よし・・・いける!!」と自信満々です。
どうして自信を持てるのかよく分かりませんが、とにかく走輔はしっかり助走距離をとって、
「GO!!」と掛け声をかけてダッシュ、「はっ!!」とトランポリンに飛び乗って、
ビヨ〜ンと跳び上がり、空の亀裂に手をかけようとします。
しかし当然、空中で失速して「どああああ!?」と落下し、地面に身体ごと思いっきりダイブします。
トランポリンなんかで空の上まで跳べるはずありません。

それでもめげずに走輔は今度は棒高跳びの棒を持ち出してきて、
「よぉ〜し・・・」と、また何の根拠も無く自信たっぷりに「おおおおおお!!」と駆け出します。
トランポリンがダメだったので今度は棒高跳びで空の亀裂に飛び込もうという作戦のようですが、
そんなもん無理に決まってます。
ボンパーは暴走する走輔を見て「ああ〜・・・」と心配しますが、
走輔は躊躇なく「たああっ!!」と踏み切り、大ジャンプを敢行、
しかし当然、空の亀裂には届かず「どああああ!!」と地面に落下し、
また思いっきり身体を打ちつけて原っぱに倒れ込みます。
このあたり、もう完全に「ゴーオンジャー」の暴走ギャグテイストの再現となっています。
いや、久しぶりに走輔役をやって、このテンションを演じきれる古原氏に脱帽です。

倒れ込んだ走輔にボンパーが近づいて「走輔、大丈夫・・・?」と心配そうに声をかけますが、
走輔は「なんのこれしき!」と全くめげずに立ち上がります。丈夫な男です。
その走輔の姿をマーベラス達6人が呆れて眺めていました。
意地を張って生身のまま走輔が戦いに行くつもりかと心配になったマーベラス達は、
走輔の後を追って様子を見に来たのです。
が、走輔があまりにバカなことばかりやっているので唖然としてしまいました。
しかもふざけているわけではなく、
大真面目にこんなことで空の上の亀裂に飛び込めるのだと信じているのですから、
これは正真正銘のバカだと呆れました。

ボンパーは「ねぇ走輔、やっぱり無理だよぉ・・・」と走輔の身体を心配して、
これ以上無茶なことをしないように気遣いますが、
走輔は笑顔で「一度でダメなら、何度でもキメるだけさ!・・・俺がガンマンワールドを救いに行くんだ!」と、
自分の「正義の味方」としての使命を微塵も疑いません。

マーベラスは走輔のあまりの頑固さに呆れ果てて、走輔の方に近づくと
「なんでそんな必死なんだ?・・・ガンマンワールドはお前の世界でも、お前の相棒の世界でもないんだろ・・・?」
と問いかけます。
走輔が途轍もないバカなのは分かったが、
真にバカなのは、全然自分と関係ない世界のためにこんな無意味なことをやって
自分を痛めつけていることだとマーベラスは思って、心底呆れたのです。
そして、あまりに理解不能だったので思わず好奇心が湧いてしまい、問いかけたのでした。

すると走輔はマーベラス達がこの場に来たことに一瞬驚きますが、
マーベラス達が自分を冷やかしに来たのかと思い、ムッとした顔で
「世界が違うからなんだってんだ?」と言い返します。
そして、マーベラス達のような薄情者には分かるまいと思いつつ
「助け合ったり、友達になったり・・・誰かを想う気持ちに、生まれ育った世界が違うとか、
そんなこと関係ねぇだろ!」と非難するように怒鳴ります。

これはまさにゴーオンジャー流の「正義の味方」の前提条件のようなもので、
生まれ育った世界が違っても心は通じ合い、絆を結ぶことは出来るのだから、
別の世界が危険に晒されていると聞けば、助けたいと思って必死になるのは当たり前だろうということです。
しかしガンマンワールドを「よく分からん世界」呼ばわりしたような連中には言っても分かるまい、
とも走輔は思っています。

しかし、この走輔の言葉をじっと真顔で聞いていたマーベラスは、フッと軽く笑うと
「・・・なるほど・・・!」と言います。
走輔の言っていることは自分達にも当てはまるのだと気付いたのです。
自分達も皆、生まれ育った星が違うのに、仲間になって、助け合ったり、大切に想い合って、絆を結んでいる。
確かに生まれ育った世界が違うとか、そんなの関係ない。
それに、自分達も自分が生まれ育った星でもないのに、地球を守ろうとして一生懸命になったりしている。
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムも顔を見合わせて笑っており、
マーベラスと同じように自分達と走輔が実は似ていることに気付いたようです。
それで親近感が湧いているのを感じて、鎧もニッコリ微笑みます。

マーベラスは「気が変わった!」と言うと、走輔に背を向けて、ニヤリと笑いながら
「・・・連れてってやるよ!・・・ガンマンワールド!」と言って、そのまま真っ直ぐ歩いて去っていきます。
マーベラスは走輔の言葉を聞いて、自分達と走輔が似ているとは感じましたが、
その一方で、相変わらずガンマンワールドへの親しみの感情も湧かなかったし、
走輔の行動は相変わらずバカみたいだとは思えていました。
むしろ、走輔の自分の世界でもないガンマンワールドを救おうとする滑稽な行動を見て、
自分達が自分の星でもない地球を守るために戦っているのも、
傍から見たら相当おバカで滑稽なのだろうとも思えました。
しかし自分達はそういうバカなことをせずにはいられない、救いようのないバカなのだと改めて実感できて、
同じバカ同士、走輔に妙に親近感が湧いてきて、手を貸してやりたくなったのでした。
が、さっき思いっきりガンマンワールドをバカにした手前、
あまりデレた態度も見せられないので、背を向けて不愛想を装って立ち去っていっているのです。

そんなマーベラスの内心は分からない走輔は、突然の意外なマーベラスの申し出に
「え・・・?」と驚き、呆然としますが、
マーベラスは振り向きもせず、そのまま背を向けて(ついて来い)という感じでどんどん進んで遠ざかっていきます。
ルカもマーベラスと同じように走輔のバカさ加減に共感したようですが
「別の次元だなんてちょっと面白そうだしね!」と言って、
照れて去って行くマーベラスのために、その本心を誤魔化してあげます。

「ホントにぃ!?」とボンパーはとにかくマーベラス達が連れて行ってくれるということに大喜びです。
これで走輔の無駄なハイジャンプとかもう見なくて済むからです。
走輔は「なんだよ急に・・・?」と、まだマーベラスの気持ちには全然気付いていない様子です。
もともと空気を読んだりするのが極度に苦手な男ですから、これは仕方ない。
ジョーもさっきの言葉で走輔のバカさに親しみは感じていましたが、
照れ屋なので「ま・・・とりあえず連れていくだけだ!」と不愛想に言って、
さっさと歩きだしてマーベラスの後を追います。
それを合図にルカもハカセもアイムも歩きだし、
鎧はボンパーを抱き上げて「さ!行きましょうボンパーさん!」と言って、笑顔で皆の後を追います。
1人、走輔だけ相変わらず急な展開に頭がついていかないようで、呆然と立ち尽くしていましたが、
ボンパーまで連れていかれて「ちょ・・・ちょっと、おいおいおい!」と慌てて皆の後を追いかけていきました。

こうしてマーベラス一味の6人と走輔とボンパーを乗せたガレオンは錨を上げて飛び立ち、
空に開いた次元の裂け目に突っ込んでいったのでした。
ところが、それを地上から「フフフフフ・・・」とほくそ笑んで見送る謎の影があったのでした。
この身体の一部に「蛮」の文字の紋章をつけた謎の人物、ザンギャックではないようです。
何故なら「蛮」の文字を紋章としているのはガイアークの怪人の特徴だからです。
このガイアーク怪人と思しき者、何処かで見覚えのあるシルエットです。
どうやら何かを企んでいるようであり、ガレオンが次元の裂け目に消えていくのを見て、喜んでいるように見えます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:25 | Comment(0) | 第35話「次元ノムコウ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月09日

第35話「次元ノムコウ」感想その4

マーベラス達はガレオンに走輔とボンパーを乗せて次元の裂け目を通ってガンマンワールドへやって来ました。
そうしてガレオンを係留しておき、ガンマンワールドの地上に降りたったのでした。
そこは西部劇のまんまのような風景で、一同で固まって歩きながら、
ルカは「へぇ〜・・・ここがガンマンワールドか・・・」と興味津々な様子。
「いやぁ〜、いかにもカウボーイとかいそうな感じですよね!」と、鎧もワクワクしています。

一方、走輔は昔、ガイアークと戦うためにここには来たことはありますから、
そんなに珍しがってはおらず、厳しい表情をしています。
とにかくまずやるべきことは、行方不明になったスピードル、バスオン、ベアールVの3体の炎神たちを
見つけ出して合流することでした。
しかし、いったい何処にいるのかよく分からない。

そうして歩いていると、アイムが荒野の風景を見ながら
「私たちの世界がザンギャックに侵略されているように、
ここではガイアークによって人々の安全が脅かされているのですか・・・」と感慨深げにつぶやきます。
理不尽な侵略者によって虐げられた人々への同情心が強いアイムは、
こうしてガンマンワールドを実際に目にして、地球に来た最初の時のように、
ザンギャックの侵略によって生まれ故郷の星を滅ぼされた自分の身の上に
ガンマンワールドを重ねあわせて見るのでした。
アイム同様にザンギャックの侵略に晒された宇宙の星々を嫌と言うほど見てきたマーベラス達も、
厳しい表情となります。

その時、人々の悲鳴が聞こえて、見てみるとガンマンワールドの住人達が2体のウガッツに襲われていました。
ウガッツというのはガイアークの戦闘員ロボットです。
走輔は「へっ!さっそく現れたな!ガイアーク!」と張り切って前へ進み出て啖呵を切り、
いきなり突進して「たぁっ!!」と叫んでウガッツに飛び蹴りし、
更に空手のようなアクションであっという間にウガッツ2体を叩きのめして倒します。
ここのアクションはお見事。
最近、大門豊役をやっていた成果が出ているようで、
なんだか「ゴーオンジャー」当時よりもアクションのキレが良いように思えるくらいです。

しかも、ここで走輔はマーベラス一味の6人と一緒にいながら、
全く加勢を求めようともせず躊躇なく1人で飛び出しました。
あくまでマーベラス達はこの世界へ送ってくれただけだという約束をしっかり律儀に走輔は信じており、
本当に自分1人でガンマンワールドを守る意識でいるのです。

走輔は2体のウガッツを倒して気分を良くして、
ちょっとカッコつけて「ガンマンワールドは俺一人だって守ってみせるぜ!」と見栄を切ります。
すると、その走輔の肩を今しがた助けたガンマンワールドのカウボーイ風の男が叩きます。
「ん?」と走輔が男の方を見ると、男は「あっちだ・・・」と近くの道の方を指さします。
走輔が見ると、ウガッツの大群が攻めてくるのが見えました。
驚いた走輔は「うわああああ!!」と住民ともども一目散に逃げ出します。
ここはまた、さっきとは打って変わって情けない。まぁこういうのもいかにも走輔らしいです。

ただ、走輔も確かにバカですが、戦いに関しては勘が鋭くバカではありません。
とにかく自分1人でガンマンワールドを救うつもりで、しかもそれは可能だと本気で信じている走輔ですが、
それでもさすがに変身できない自分1人で正攻法で戦ってなんとかなるとは思っていません。
ウガッツの大群相手に1人で突っ込む愚は冒しません。
ここは一旦逃げるが勝ちという作戦です。

ところが、走輔が逃げるのと入れ違いにマーベラス達が前進してきて、
ウガッツ達をゴーカイガンで撃ち倒したのでした。
「あれがガイアークか・・・」とジョーは呟きます。
ジョーは「199ヒーロー大決戦」映画で復活したヨゴシマクリタインと戦った時にウガッツとも戦っています。
また夏映画の「空飛ぶ幽霊船」でも戦闘員軍団のうちの1体としてウガッツと相対もしています。
ただ、これらの時は、それがウガッツという名であることや、
ガイアークの戦闘員であることも分からない状態で戦っていました。
そもそも「ガイアーク」という組織の名を今日初めてジョーは知ったぐらいです。
だから、今日初めて、何度か見たことのある変なロボット兵士がガイアークという組織の戦闘員だったと
ジョーは、というか鎧を除くマーベラス一味の面々は知ったのでした。

走輔はいきなり自分を追いかけていたウガッツが撃ち倒されたのを見て、いい気味だと思い
「へっへ〜ん!」と嘲笑いますが、
ハッとして「あれ?でも確かお前ら、連れてくるだけって・・・?」とマーベラス達に問いかけます。
そんなもん、送ってくれた後もこうして一緒にゾロゾロ歩いてくれている時点で、
何も言わずとも空気を察するべきなのですが、走輔は空気を読むことがない男なので、
本気でマーベラス達は送ってくれるだけだと信じ込んでいたのです。

マーベラスは面倒臭そうに「・・・気にいらねぇもんはぶっ潰す!・・・それが海賊ってもんだろ?」と答え、
ニヤリと笑います。
マーベラスは別にガンマンワールドを守ろうという意識で戦おうとしているわけではありません。
ただ走輔が自分に関係の無いガンマンワールドを守ろうとしている戦いに、
自分が全く縁の無い地球を守ろうとしている戦いが妙に似ていると感じて、
親近感を感じているので助太刀をしたいと思っているだけです。
だから決してガンマンワールドそのものをマーベラス自身が守りたいと思っているわけではない。

そういう後ろ向きな心境は今となっては地球を守る戦いではマーベラスには存在しません。
地球を守ることに関しては今はもう確固たる意思はあります。
今のマーベラスのガンマンワールドに向ける目線に近いのは、
第1話あたりのマーベラスの地球に向ける距離を置いた目線と同じぐらいのものです。
だから、マーベラスはつい第1話の時、ザンギャックに襲われていた園児を助けるために
ザンギャックと戦った際に発した啖呵と同じセリフをここで口にしたのでした。

しかし、第1話の時と同じということは、
つまりは表面上は自分が戦いたいから戦うというように装っていながら、
本当は虐げられている住人を救いたいと思って戦っているということを意味しますが、
マーベラス自身、あまりそこまで意識して喋っているわけではありません。

一方、走輔はマーベラスのそのセリフが単純にカッコいいと感じたのか、
素直に「カッコいい!」と笑います。
マーベラスが何のために戦うのかなど、あんまり深くは考えないのが走輔らしい。
何でもいいからここはとにかくウガッツを倒してガンマンワールドの住人を守れたらそれでベストなのです。

ここでマーベラス達6人はゴーカイジャーに変身して、名乗りを上げてウガッツ軍団と戦い始めます。
走輔も勢いづいてウガッツ達と戦い始めますが、
鎧が「走輔さん!まずは住民の皆さんを!」と住人の避難誘導を一緒にするよう走輔に頼みます。
まだ住人の方々が多くその場に残っていて、思い切って戦うことが出来ないでいたからです。
走輔は「任せろ!みんな!逃げろ〜!!」と、住人たちを連れて走り去り、
それを守るように鎧もついて行きます。

これでやっと残り5人が思い切って戦える状態となり、
アイムが「今日はこれを使ってみましょう!」と、なんとミスアメリカのレンジャーキーを出します。
まさかアイムがハイレグレオタードを自分で選ぶとは・・・といっても、
この海賊版ミスアメリカは脚は思いっきりタイツ履いてますけど。

というわけで「豪快チェンジ!」と叫び、5人はバトルフィーバーJに変身します。
ここでお馴染みの5人連続ジャンプのアオリのショットが入りますが、約2名、跳び方が変です。
変なきりもみ状に跳んでいくバトルフランスと、脚を揃えた直立姿勢で飛んでいくバトルケニアです。
バトルフィーバーJは、「ダンスで戦う」という面白設定のため、かなりアクションで遊べる戦隊なので、
スーツアクターの皆さん、テンションが上がっているようです。

なお、バトルフィーバーJは夏映画「空飛ぶ幽霊船」で5人一斉の豪快チェンジ済ですが、
TV本編では今回が初登場です。
「空飛ぶ幽霊船」の時は、必殺技のペンタフォースのバズーカタイプを披露するのみという扱いでしたので、
せっかくの面白設定の各自のダンス技を見ることは出来ませんでした。
今回はその雪辱のようにダンス技をそれなりに披露してくれています。

まずマーベラスが変身したバトルジャパンは、これは本来はカンフーダンスという、
格闘技系のダンスで戦うのですが、
ここでは個人武器の槍を使った華麗なアクションとマーベラスらしい荒々しい足技を披露し、
バトルフィーバーらしさはあまり無しです。
まぁカンフーダンスはあんまり面白くないのでこれでいいでしょう。

続いてジョーの変身したバトルフランスは、
フランスなのに何故かスパニッシュダンスが得意技という面白設定です。
ここでは短いシーンながらフラメンコのような動きで、
ウガッツとペアでダンスを踊るような動きを披露して、笑わせてくれます。

そしてルカの変身したバトルコサックは、コサックダンスが得意という戦士であり、
コサック回転キックで、周りのウガッツに連続足払いをかけます。
また、ハカセの変身したバトルケニアはトリッキーな動きで敵を翻弄するアニマルアクションを披露します。
これは結構、普段のハカセのアクションに近い動きですが、オリジナルのバトルケニアもこんな感じなので、
相性の良いアクションであったようです。
そしてアイムの変身したミスアメリカは、オリジナルではディスコダンスが得意という設定ですが、
ここでは普通に蹴り技などで華麗に戦っています。

一方、ウガッツも劣勢を挽回すべく、固まって距離をとって一斉射撃で応戦してきます。
これに対してマーベラスはコマンドバットを手にして「いくぞ!!」と号令を発します。
コマンドバットは各自の個人武器に変形する万能棒ですが、
それだけではなく5人のコマンドバットを合わせて必殺技のペンタフォースを発動することが出来ます。
5つのコマンドバットを砲台状に合体させて砲弾を発射するバズーカタイプは「空飛ぶ幽霊船」で披露しましたから、
今回はもう1つのブーメランタイプの披露となります。

5人が一斉に上にコマンドバットを放り上げると
「ペンタフォース!!」という掛け声と共に5本のコマンドバットが放射状に連結され、
クルクル回転しながら5人の前に下りてきます。
それを「はっ!!」と弾き飛ばして一斉射撃してきたウガッツ達にぶつけて倒しました。

そして「次はこれいってみようよ!」とハカセが取り出したのは、
待望のチェンジグリフォンのレンジャーキーです。
「豪快チェンジ!」と5人はチェンジマンに変身、これで遂に全戦隊で5人一斉変身は完了となりました。
ただ、今回最初に変身したバトルフィーバーJもTV本編初の5人一斉変身ですから、
TV本編で未だ5人一斉変身を披露していない戦隊という意味では、
ファイブマンだけが残っているということになります。

また、ここでチェンジグリフォンにハカセが遂に変身したことで、
マーベラス達が第1話時点で所持していたレンジャーキーの戦士は全員変身完了となりました。
これでマーベラス達がレンジャーキーを所持していながら未だ変身していない戦士は
黒騎士、ゴーオンゴールド(単体変身無し)、シグナルマン、デカマスター、デカスワン、
ウルザードファイヤー、マジマザー、大剣人ズバーン、リオ、メレ、姫シンケンレッドの11戦士となります。
ただ、TV本編で未変身という意味では、ファイブレッド、ファイブブルー、ファイブブラックも追加されます。

さて、ここでのチェンジマンのアクションは、
マーベラスのチェンジドラゴンがドラゴンアタック、
ジョーのチェンジペガサスがペガサスアタック、
ルカのチェンジマーメイドがマーメイドアタック、
ハカセのチェンジグリフォンがグリフォンアタック、
アイムのチェンジフェニックスがフェニックスアタックというように
体当たり技を5連続で披露するという扱いでした。
なんだか簡単な扱いですが、この前4人変身の時はこの体当たり技が一斉に描写されていたので、
まだマシといえます。

体当たり技でウガッツ軍団を全滅させ、着地(ハカセだけ姿勢が変)し、
ザコ相手に余裕の完勝でルカが「ざっとこんなもん?」と言いながら、全員変身解除します。
そこに「皆さ〜ん!こっち!こっちです!」と鎧の呼ぶ声がして、
草むらの裏に呼ばれて5人が行ってみると、
そこには走輔がうずくまって「スピードル!バスオン!ベアール!大丈夫か!?」と呼びかけています。
どうやらスピードルたちを発見したようです。
走輔に拾い上げられたスピードル達はパワーを失ってだいぶ弱っており、
苦しそうに呻いて「走輔・・・」と言います。

マーベラスは炎神という連中を見るのは初めてでしたが、
まるで玩具の車のように随分と小さくて弱そうな姿に少しショックを受けました。
いや、本来は大きくて強い戦士なのだろうということは分かるのですが、
それが分かっているだけに、どれほど強い戦士でも世界を征服しようとしているような強大な敵を相手にして戦えば、
いずれはこのような無残な姿を晒すことになるのだと実感されて、嫌な気分になったのでした。

それは、かつてザンギャックに逆らって無敵を誇っていたものの、
結局はザンギャックに敗れてしまった赤き海賊団やアカレッドの姿と重なって見え、
また、ザンギャックに逆らって何の縁も無い地球を守るために戦っている現在の自分達も、
いずれはこの炎神たちのように、見知らぬ世界で意味の無い戦いの末の
無残な敗北の姿を晒すことになるのではないかとも思えたのでした。

マーベラスから見て、自分に関係の無い世界でこんな酷い目にあうまで戦っている炎神たちは、
やはりバカのように見えました。
そして、それは自分達も同じことです。
バカみたいといっても、勝っているうちは笑い話で済むが、負けたら悲惨なものだと、
炎神たちを見てマーベラスは思ったのでした。

さて、さっきマーベラス達が助けた住人の1人がレストランの店主だったようで、
一行は店主の経営するウエスタン風のレストランに招かれて食事を振る舞われました。
「さっきは助かったよ、ありがとう!たらふく食ってくれ!俺のおごりだ」と言って
店主が出してきた料理は豪勢な肉料理で、一行は歓喜してさっそくいただくことになりました。

その席上、走輔がスピードルを手にして立ち上がり「こいつが俺の相棒!炎神スピードルだ!」と皆に紹介します。
スピードルも「よろしくな!ドルドル!」と皆に挨拶します。
スピードルは赤いボディカラーのスーパーカー型でコンドルがモチーフとなっている炎神で、走輔の相棒です。

続いてテーブルの上ではバスオンが「オンオン!おいら炎神バスオンでぇい!」と
相変わらずの江戸っ子口調で挨拶し、
ベアールVも相変わらずの関西弁で「ブイブイ!うちは炎神ベアールVや!」と挨拶します。
バスオンは青いボディカラーのバス型でライオンがモチーフの炎神で、ゴーオンブルー香坂連が相棒です。
また、ベアールVは黄色いボディカラーのRV車型で熊モチーフの炎神で、相棒はゴーオンイエロー楼山早輝、
つまりマーベラス達に「大いなる力」をくれた女性戦士です。
なお、「ドルドル」「オンオン」「ブイブイ」というのは彼らそれぞれ特有の口癖です。

先ほど草むらで発見された時はだいぶ弱っていたように見えましたが、
3体とも走輔に会って、いくぶん元気を取り戻しているようです。
実際はパワー不足でキツいのでしょうが、久しぶりに走輔に会えてテンションが上がっているようで、
敗北の後とはいえ、意外に明るい印象です。
というか、ゴーオンジャーと炎神は皆、やたらとポジティブで前向きなので、
よほど苦しい時以外はだいたいこんなものです。

鎧も炎神を生で見るのは初めてで、「はじめまして!よろしくお願いします!」と、
この小さい玩具の車のような炎神たちにペコリと頭を下げて挨拶します。
鎧から見れば炎神たちもスーパー戦隊の先輩戦士のようなものでした。
一方、隣でハカセはバスオンたちを眺めて
「へぇ〜・・・すごい!君たちみたいな生き物、初めて見たよ!」と感心します。
ヒューマンワールドにはロボットはいても、このような乗り物型の機械生命体のような生き物はいませんから、
ハカセは炎神たちを実際に見て改めて驚いていました。
バスオンとベアールVはハカセの言葉を聞いて照れます。

なんだかマーベラス一味と炎神たちはやたら友好的ですが、
スピードルたちもボンパー同様、ゴーカイジャーという戦士のことはあらかじめ知っており、
今回助け出された際に、そのゴーカイジャーが実は宇宙海賊で、
その宇宙海賊のマーベラス一味が今回の走輔のガンマンワールドへ来るのを
手伝ってくれたのだと聞かされたのでしょう。
そうなれば友好的であるのは当然といえましょう。

ルカも走輔の手の中にいるスピードルのデザインが気に入ったようで
「なかなかカッコいいじゃん!」と指で突っつきます。
すると、それを見てベアールVがテーブルから跳び上がって、
照れて顔を赤らめるスピードルの頬を突っつくルカの指を弾き飛ばすと、ルカの手に乗って、
ビックリするルカに向かって「おっと!うちのダーリンに手ぇ出さんといてな!」とキツい口調で言って、
スピードルを弾き落としながら一緒に下のテーブルに降下します。

走輔はベアールVが昔は言ったことのないような言い方をしたことに驚いて
「ダーリン・・・?」と唖然として問い返します。
ベアールVがスピードルのことを「ダーリン」と呼んだような気がしたが、
昔はそんな呼び方はしなかったはずです。
すると、テーブルに降下したスピードルは走輔に背を向けたまま
「ドルドル・・・実は俺たち結婚したんだ」と小声で言って、
隣に降下したベアールVともども、走輔に背を向けたまま頬を赤らめ、ハートマークを飛ばします。

走輔はあまりに意外なスピードルの告白に「なんですと〜っ!?」と驚愕して大声で叫び、
テーブルにしがみついてしゃがみ込みます。
走輔が大袈裟に驚くので更に照れ臭くなったのか、ベアールVはモジモジと動き回りながら
「そりゃあ男と女やもん!長いこと一緒におったら色々あるやん!」と言いますが、
「色々って何かな?・・・知らなかった!お前ら、何時の間に・・・?」と走輔は、
まるで同窓会で友人同士の結婚報告に戸惑う同級生のように動揺しまくっています。

どうやら、走輔たちゴーオンジャーがレジェンド大戦で変身能力を失って
異世界での戦いに参加出来なくなり、炎神たちだけで戦う日々が続いたこの数年の間に、
戦友同士であるスピードルとベアールVは何時の間にか色々あったようで、結ばれたようです。
炎神の社会にも「結婚」という社会制度はあるというのも驚きですが、
確かに炎神にも恋愛という概念があることは、
「ゴーオンジャー」本編でもベアールVがゴーオンシルバー須塔美羽の相棒の炎神のジェットラスに
片思いするという騒動のエピソードもありましたから、実証済ではあります。
あの時の印象ではベアールVはかなり惚れやすく尻軽な印象だったのですが、まぁ落ち着いて何よりです。

2人の結婚生活は円満なようで、今もテーブル上でラブラブ光線を発射しまくっています。
ただベアールVは嫉妬深いようで、スピードルに女のルカが触れただけでイラッとしたようです。
人間と炎神ですから恋愛に発展するはずもなく、嫉妬する必要は無いようにも思えますが、
ベアールVがイラッときたのはルカの方よりも、
むしろルカに突っつかれて顔を赤らめていたスピードルの方に対してであるようでした。
まぁ、なんというか、ラブラブで何よりですが、
こんなアツアツの2人と一緒に戦っていたバスオンがちょっと気の毒な気がしないでもないです。

そんな中、ふと、ジョーが「仲間の炎神は、これで全員なのか?」と質問します。
するとボンパーは「もっといるよぉ!でも今はみんな、チラカシズキーとの戦いで傷ついた身体を休めてるんだ!」
と答えました。
炎神はここにいる3体も含めて、全部で12体います。
というか、マシンワールドに行けば山ほど炎神はいるのですが、
ここでジョーが質問しているのは、ゴーオンジャーの相棒になっているという仲間の炎神の数ですから、
そういう意味では12体です。

他の炎神たちはあくまでマシンワールドで普通に暮らしていて、
スピードル達のようにゴーオンジャーと一緒に全ての世界を守るためにガイアークと戦っている炎神は
あくまで12体だけなのです。
そして、その12体全てが、ここにいるスピードル達も含めて、
皆、チラカシズキーにやられて動けない状態にされているというのです。

おそらくここにいる3体以外の9体は何処か別のワールドでチラカシズキーに敗れて動けなくなり、
スピードル達に助け出されてマシンワールドで療養中なのでしょう。
そして遂にこのガンマンワールドでスピードル達3体がチラカシズキーに敗れて動けなくなってしまい、
誰もチラカシズキーからガンマンワールドを守ることが出来なくなったばかりでなく、
スピードル達も助けを呼ぶことも出来ず途方に暮れることとなり、
そのため、走輔が変身出来ないことは承知の上でボンパーが走輔に助けを求める羽目になったのでしょう。

おそらくもっと早くに助けを求めていれば、
走輔はたとえ変身出来なくてもスピードル達と共に戦うために異世界について行ったはずです。
しかし、スピードル達が戦えない走輔を気遣って、ギリギリまで自分達だけで戦おうとした結果、
今回のような事態になったのだと思われます。
それにしても、いくらゴーオンジャーを欠いているとはいえ、炎神たちをこうまで一方的に倒すとは、
チラカシズキーというガイアークの怪人はかなり手強い相手のようです。

そのチラカシズキーの名前が会話に出てきたので、
結局、チラカシズキーに惨敗してしまったことを悔しく思ったのか、
バスオンが「ちぇっ!マッハルコンの奴がいれば、こんな無様な負け方しなかったかもしれなんだがなぁ・・・!」
と愚痴ります。
それを聞いてスピードルとベアールVは何故か申し訳なさそうにションボリしてしまいます。

一方、ハカセはバスオンの意味ありげな言葉に反応して「マッハルコンって?」と問い返します。
何やらバスオンの言葉を聞く限り、そのマッハルコンという炎神はかなりの戦力であるようでした。
ガンマンワールドでの戦況がどう考えても思わしくない状況で、
それが何かの突破口になるのではないかとハカセは思ったのでした。
しかし走輔は「・・・そんな炎神、俺も知らねぇぞ?」と不審な顔をします。
確かに、「ゴーオンジャー」本編に登場した12体の炎神の中には「マッハルコン」などという名の炎神はいません。
走輔は自分のいない間に新しく仲間入りした炎神がいたのか?とも思いました。

ところがボンパーは意外なことを言います。
「実は、スピードルとベアールの息子なんだ!」と、またもや衝撃の告白でした。
走輔は「なんですとぉ!?」と驚いて尻もちをついてしまいました。
他の皆もこれには驚きました。
ルカは「うっそ!子供までいんの!?」と仰天してスピードルとベアールVに問いかけます。
いったいどうやって子供を作るのだろうか?と素朴に驚いたのでした。
いや、実際、機械生命体がどうやって子供を作るのか、何だかよく分かりません。
まぁ、あまり深く想像するのはやめましょう。
鎧は興味津々で「いったい、どんな方なんですか?」と尋ねますが、
スピードルとベアールVの夫婦は何やら困った様子で「それが・・・」と口ごもるのでした。

実はスピードルの言うには、息子のマッハルコンはグレてしまっていて、
マシンワールドで暴走行為を繰り返す毎日で、親の言うことも聞かないとのこと。
ここでマシンワールドでのマッハルコンの暴走行為のイメージ映像がインサートされます。
スピードルの回想シーンという扱いなので、ここに映るマッハルコンの姿は
走輔やマーベラス一味には見えていませんから、
マッハルコンの姿形は彼らには未だ知られてはいませんが、一足早く視聴者にはお披露目となります。

「おらおら!どけどけぇ〜い!!」とマシンワールドのハイウェイを爆走中のマッハルコンは、
白と赤のツートンカラーのフォーミュラマシンのような隼モチーフのカッコいいボディですが、
なんと猛スピードで逆走しているようで、ちゃんと走っている他の自動車型の炎神を跳ね飛ばして
「バリバリぶっちぎるぜぇ〜い!!」と調子こいて走っています。
そんな逆走したらマッハルコンの方が危なそうなものですが、
見てみるとマッハルコンは他の炎神よりもかなり大きな身体をしており、
他の炎神とぶつかってもビクともしないようです。

大型の炎神ともいえないスピードルとベアールVの息子なのにどうしてそんなに大きいのか?
というか、なんでそんなに成長が早いのか?
また、スピードルとベアールVに全然似ていないのは何故なのか?
など疑問点は山ほどありますが、
まぁゴーオンジャー篇ですし、玩具的な事情もあるので、こういう点は細かくツッコむ必要は無いでしょう。

とにかくマッハルコンは巨体を利用して乱暴を繰り返す、とんでもない不良息子だということです。
そして、そんな不良息子なので両親と一緒に戦おうともせず、
それゆえチラカシズキーとの戦いにも参加していなかったのでしょう。
もしマッハルコンが真面目に正義の味方をやっていて、戦力に加わっていれば、
その巨体を活かして重要な戦力となっていたのではないかとバスオンは愚痴っていたのでした。

まぁしかし、それはあくまで仮定の話であって、
実際はそんな不真面目な不良息子ではどうしようもない。
戦力として期待は出来ません。
そもそも、スピードル達のような「正義の味方」としての精神が無ければ、
炎神はマシンワールド以外の世界ではまともに長時間の活動は出来ないのだから、
「正義の味方」として戦う両親の気持ちも理解出来ないバカ息子は
所詮はマシンワールドで暴走行為を働くぐらいしか能が無いゴクツブシということになります。

「・・・というわけなんだ!」とスピードルの説明を聞いた走輔は、
「なんでグレてんだよ!?」とスピードルを責めます。
要するにマッハルコンがちゃんと親の言うことを聞き、親を見習ってちゃんと正義の味方をしていれば、
加勢に来てもらうことも出来たし、そもそもチラカシズキーに負けなかったかもしれない。
つまりは、息子をしっかり教育出来なかったスピードルの責任だと、
走輔はまるで親戚のおじさんのように文句をつけるのでした。
しかしスピードルにも息子がどうしてグレたのかよく分からず「知るかぁ!!」と言い返します。
自分はちゃんと正義の味方としての生き方の手本は示してきたつもりであり、
息子がグレるような悪いことは何もしていないのだとスピードルは思っています。

と、その時、突然、レストラン内を1発の銃声が響き渡ります。
ハッとして皆が銃声のした入口の方を見る中、マーベラスは自分の手許のカップを見て息を呑みます。
銃弾はマーベラスのカップを貫通しており、カップの穴からはミルクがボトボトこぼれていたのでした。
マーベラスもその銃弾の発射された入口の方を見ると、
そこに立っている怪人が「町で暴れたならず者がいるってのは、ここか・・・?」と言います。
その怪人が銃弾をいきなり発射したのです。

マーベラス達が驚いてその怪人を見る中で、走輔はすっくと立ち上がり、キッとその怪人を睨みます。
その怪人は「俺はガイアークの保蛮官、チラカシズキーだ!・・・貴様らに決闘を申込みに来てやったぜ!」と、
右腰のホルスターに大きな拳銃をしまいながら言います。
なんと、この怪人が噂のガイアークのチラカシズキーという怪人であるようです。
なるほど保蛮官というだけあって、保安官のようなテンガロンハットをかぶった
全身黒っぽいボディの機械生命体です。

ガイアークの怪人は蛮機獣といって「〜バンキ」という名がつくのが普通で、
そうではない名のものはだいたい幹部クラスの蛮機族で、通常の蛮機獣とは一線を画した能力を持っています。
また、ガイアークの幹部はだいたい、「総裏大臣」とか「害統領」などのように、
偉い人の肩書を少し悪い意味の文字に入れ替えた変な肩書をつける習性があり、
このチラカシズキーも保蛮官という、保安官をもじった肩書をつけているところを見ると、
やはり幹部クラスだといえます。
確かにマーベラス達に気配を感じさせずに抜き撃ちを決めたその銃の腕前はなかなかのものであるようです。

そのチラカシズキーが襲ってきたのかと思えば、意外にも決闘を申込みに来たという。
「決闘・・・?」と走輔は少し不思議そうに問い返します。
するとチラカシズキーは「貴様らが勝ったら、俺たちガイアークはここから出ていく!
・・・俺が勝ったら、住民もろとも、まとめて処刑だ・・・!」と、
その決闘が抗争の決着をつけるための決闘だと説明します。

しかし、チラカシズキーは負けてもガンマンワールドを出て行くだけで済み、
走輔たちは負けたら処刑され、しかも無関係の住民の人達まで処刑されるって、ムチャクチャな話です。
その条件を聞いて住民の皆さんは怯えて悲鳴を上げてしまっています。
「それ・・・ぜんっぜん公平じゃないんだけど?」とルカが文句を言うと、
チラカシズキーは「嫌なら今すぐ全員処刑したっていいんだぜ?」と嘯きます。

要するに、チラカシズキーは手強そうな援軍がやって来たようだと察して、
住民を人質にした形で決闘の場に誘い出して、決闘で勝って
合法的に全員を始末してやろうという考えであるようです。
チラカシズキーは走輔たちが決闘を断れば住民を処刑と称して襲撃して犠牲者を出すつもりであり、
走輔たちは決闘を断るわけにはいかない。
無論、勝てば問題は無いが、こんな卑怯で強引なやり方で決闘に引き込もうというのだから、
まず間違いなく決闘には何か汚い仕掛けがあるに違いない。

なんと汚いヤツだと思い、スピードルがエンジンを吹かして
「てめぇ〜!!」と叫んで猛然とチラカシズキーに飛び掛かろうとして突っ込みますが、
チラカシズキーは素早い抜き撃ちでスピードルの鼻先に銃弾をぶち込み、その突進を止めます。
いくらいきり立っても、今の玩具のような大きさのスピードルでは、
チラカシズキーに近づくことすら出来ないのが現実です。

走輔が慌てて「スピードル!」と叫んでスピードルを持ち上げて、無事を確認しますが、
チラカシズキーは自分に向かってこようとした小さな者が
自分が戦いで負かしてパワーを奪った炎神だと気付き、
「また貴様か・・・懲りないヤツだ!・・・そんな身体で何が出来る!?」と嘲笑います。

しかしスピードルは全く気後れすることなく、
「ドルドル!今度は相棒がいる!」と、チラカシズキーに向かって闘志を剥き出しにします。
異世界の壁を超えた絆で結ばれた相棒、正義の味方の走輔と自分が一緒になれば、
たとえ玩具のような小さな身体になっても十分に戦えるのだとスピードルは固く信じているのです。
だから決闘の申し出はスピードルにとっては願ったり叶ったりでした。
走輔ならきっと何とかしてくれるとスピードルは思っているのです。

「そうだ!俺たちが揃えば、まだまだ戦える!」と走輔もあくまで勝利を信じて強気です。
しかし走輔は変身出来ない身体であり、不利な勝負のはずなのです。
それなのに走輔にもスピードル同様、全く迷いが無く、凄い気合いです。
ここで勝負に勝って、一気にガイアークを追い出してガンマンワールドを救ってやろうと思っています。

しかし一方のチラカシズキーも「フッフッ・・・」と余裕の笑いです。
まず間違いなく罠を張っているのでしょうけど、罠以前に、腕にも相当の自信はあるのでしょう。
また、仮にチラカシズキーが決闘で負けたとしても
素直にガンマンワールドから出て行くという約束を履行するとも到底思えない。
そんなことは目に見えています。
つまり走輔はリスクの高い勝負をやるだけ損な状況であるのは明白です。
それでも走輔はそこに活路が開けると信じている。
いや、決闘の申し込みがあろうが無かろうが、最初から活路が開けることを一切疑っていないのが
走輔やスピードルでした。

そういうわけで、結局、このまま流れ的に走輔とチラカシズキーの決闘ということになるのかと思われたその時、
意外にもマーベラスがすっと立ち上がり、「いや、俺がやる・・・!」と言って、
チラカシズキーを睨みつけながら前に出て、
「よくもせっかくのメシの時間を台無しにしてくれたな・・・!」と言ったのでした。
チラカシズキーは誰が相手でも関係ないという様子で
「噂の海賊か・・・いいだろう!表に出な!」と言い捨てて、さっさと店の外に出ます。
チラカシズキーはマーベラスが海賊だと知っているようですが、ウガッツか住人から聞いたのでしょうか。

ま、これで、急遽、決闘はマーベラスVSチラカシズキーということになったわけですが、
いったいどうして急にマーベラスは決闘をするつもりになったのか?
メシの時間を台無しにされたり、ミルクをこぼされたとかいう理由で
腹を立てているからというわけではないでしょう。
まぁそれはそれで腹は立っているでしょうけれど、
そもそもそんなに腹が立ってチラカシズキーをやっつけたいのであれば、
決闘などでなく、いきなりこの場で撃ち返してやればいいだけのことです。
何もマーベラスがリスクの大きい決闘に臨む必要は無い。
だからマーベラスは別の理由があって決闘を望んでいるのです。
それは走輔が決闘に応じようとしていたからでした。
つまり走輔がやろうとしていたことをそのままやることがマーベラスにとって意義があるのだといえます。

そもそも、この食事のシーン、マーベラスは一言も喋っていませんし、
冒頭で料理が出てきてそれを食べ始めるカット以外、マーベラスは顔すら画面に映っていません。
その次にマーベラスの顔が映るのは、チラカシズキーにミルクカップを撃ち抜かれて
息を呑んでいるシーンになります。
それまではマーベラスは画面にまともに登場すらしていません。

食事中のこのマーベラスの存在感の無さは少し異常で、
いつも食事中は楽しそうに動き回り喋り回すことの多いマーベラスにしては珍しい。
ましてや今回の食事は店主のおごりで御馳走は出ているし、
炎神という珍しい生き物との楽しいお喋りもあったりして、他の皆は盛り上がっていたのですから、
マーベラスだけがひっそりしてテンションが低かったのは、かなり不自然です。
「せっかくのメシの時間を台無しにしてくれたな」などとは言っていますが、
そもそも、いつもに比べればマーベラスはあんまり楽しんで食事をしていたようにも見えません。

それに、呑もうとしていたミルクカップを撃ち抜かれるという恥辱を与えられて、
すぐに怒りを露わにせずに座ったままであったのも、あまりマーベラスらしくない行動だといえます。
いつもの傲岸不遜のマーベラスではなく、なんだかビビっていたようにも見えなくもありません。

いや実際マーベラスはチラカシズキーにミルクカップを撃たれた瞬間、ビビってしまっていました。
思わず身がすくんで動けなくなってしまった。
その瞬間、マーベラスは自分がこんな程度のことにビビっていることに気付き、愕然としました。
そして、ミルクカップを撃たれたぐらいで自分がビビってしまったのは、
もともと弱気になっていたせいだと気付きました。
食事中も楽しく食べようと心掛けたものの、何だかテンションが上がらなかったのも、
弱気に支配されていたせいだと分かりました。

その弱気の原因は、草むらで動けなくなっていたスピードル達の惨めな敗残の姿を見て、
心の中で自分と重ねあわせたからでした。
ガンマンワールドを守るためにガイアークと戦ったスピードル達と、
地球を守るためにザンギャックと戦っている自分達を重ね合せたのです。
スピードル達にとってガンマンワールドが何の関係も無い世界であるのと同様、
マーベラス達にとっても地球はもともと関係の無い星でした。
そして戦う相手は果てしなく侵略を繰り返す強大な敵であり、
勝っても勝ってもキリがなく攻めてくる。

そして自分と関係ない世界を守るために巨大な敵と戦っても、
最後にはこうしてスピードル達のように惨めに負けてしまう。
その時になってきっと自分は道化だったと後悔することになる。
そのように自分の暗い未来の姿のことを考えてしまい、マーベラスは気分が落ち込み、
食事中もなんだか元気が出ませんでした。
そこにチラカシズキーの銃撃を受けて、自分がビビってしまっていたことに気付き、愕然としたのです。

ところがその瞬間、走輔とスピードルが闘志を剥き出しにしてチラカシズキーに立ち向かったのを見て、
マーベラスは走輔たちと自分の違いに気付いたのでした。
走輔やスピードルは全く弱気になどなっていなかったのです。
しかし、惨めに負けたのはスピードルや走輔たちの方であって、マーベラスではない。
マーベラスは彼らの敗残の姿を見て弱気になったのです。
それなのに当の本人であるスピードルや走輔たちは全く心が挫けていない。

それは彼らが自分達のことをバカや道化だなどとは思っていないからだとマーベラスは思いました。
それはつまり、彼らが自分達のことを本気で「正義の味方」だと信じているからなのだろう。
だから一旦敗北しても全く挫けることなく、自らの勝利を疑うことがない。

どうして関係ない世界のためにそこまで一生懸命になれるのか?
それはさっき走輔が言っていた「世界が違っても心は通じ合う」ということが根拠になっているようでした。
確かにマーベラスにもそういうことは分かる。
だから仲間たちと出会うことも出来たし、地球を守って戦うようにもなった。
しかし、たったそれだけのことで、巨大な敵を相手に戦い続けるというのは難しい。
やはり、巨大な敵と戦い続ける場合、守るべき対象を守るに足るだけの根拠は必要です。

いや、根拠といっても、そんな高尚なものである必要は無い。
単に自分にとって大事だとか価値があるというようなものでいいのです。
例えばマーベラスが仲間や地球を守ってザンギャックと戦い続けていられるのは、
仲間や地球が好きであり気に入っているから、愛着があるからです。

しかし走輔やスピードル達はガンマンワールドに対して愛着があるというわけではないようです。
ただ単に「世界が違っても心は通じ合うのだから、守りたいと思うのは当たり前」という
信念だけで戦っているのです。
そんな理由だけで巨大な敵と戦い続けるというのは、マーベラスにはやはり理解出来ませんでした。
つまり「自分にとって価値の無いもののために命を賭ける」ということです。
そんな理解し難いことをやるのが「正義の味方」というヤツらしいとマーベラスは気付きました。
それはやはりマーベラスから見ればバカで道化のようにしか見えませんでした。

マーベラスは確かに自分にも似たようなバカな面があることは認めていましたが、
走輔たちほどはバカに徹することは出来ない。
とことん戦い続けるためには自分は守るべき対象に自分にとっての価値や愛着を求めてしまう。
いや、それが人間として当たり前だろう。
「正義の味方」の方が異常なのだとマーベラスは思いました。

しかし、無残な敗北という現実に直面した時、
マーベラスは自分の地球を守る戦いの将来に不安を感じて弱気になり、
敗北の当事者である走輔やスピードル達は全く心が挫けず、本気で勝つつもりでいる。
これは、仲間に対してはともかく、マーベラスの地球に対する愛着には限界があるということです。
所詮は生まれた星でも育った星でもない、もともとは無関係の星です。
いくら気に入ったからといって、本当に自分がボロボロになるまで地球のために戦って、
それでも最後まで後悔しないかというと、マーベラスはスピードル達の無残な姿を見た時、
そんな自信は無くなってしまったのです。
それで弱気になり、チラカシズキーに一瞬ビビってしまった。

しかし走輔やスピードル達は敗北を経てもなお挫けずに本気で戦おうとしている。
つまり、自分にもともと関係ないものを守るために戦う場合、
その対象に自分にとっての価値を見出して守ろうとするマーベラスのような者よりも、
その対象が自分にとって価値が無いことを知った上で、それでも世界の全てを守るべきだと思って戦う
「正義の味方」の方が、心が強いのです。
マーベラスはそのことを痛感させられたのでした。

つまり、自分の心の弱さを知ったのです。
そして、自分の弱さを知った場合、どのようにすべきか、マーベラスは既に結城凱から学んで知っています。
弱さを知れば、その弱さは乗り越えなければならない。
心の弱い者は、更に弱い者達を守るために戦って、自分の弱さを克服する。
ならば、今、マーベラスは弱き人々を守るために戦わなければならない。
今、マーベラスの目の前にいる弱き人々とはガンマンワールドの人々でした。
確かに自分の弱さを乗り越えるための戦いならば、その守るべき対象に愛着があるかどうかは関係ない。

そして、今、マーベラスが欲しいと思っている「強さ」は、走輔たちの持つ「正義の味方」の心の強さでした。
だからマーベラスは、走輔がやろうとしているガンマンワールドを守るための戦いを
自分が代わりにやってみたくなったのです。
つまり、チラカシズキーとリスクの高い決闘に臨むということでした。
それをやり遂げることによって、自分も走輔たちと同じ強さを得ることが出来ると思ったのでした。

それでマーベラスは立ち上がり、チラカシズキーとの決闘を自分が受けました。
しかし、いざ決闘が決まって、自分が見知らぬガンマンワールドの人々のために命を賭けるのだと実感すると、
やはりマーベラスは自分がバカみたいに思えてきました。
そうして自分自身で「正義の味方」の行為のバカバカしさを実感することによって、
ますます改めて、そんなバカみたいなことをやろうとしていた走輔やスピードル達のバカさ加減に呆れてしまい、
「・・・お前らバカだな・・・よその世界のために、そんなに必死に・・・!」とマーベラスは吐き捨てるように言います。

それに対して走輔はクスッと微笑んで「お前もな!・・・結局、みんなのこと助けてんじゃんか!」と言います。
バカだとか言って、結局はマーベラスも「正義の味方」と同じようなことをしていることを走輔は揶揄したのですが、
マーベラスは「正義の味方」の真似事をしてみて、ますます「正義の味方」のバカバカしさが実感出来たので、
「正義の味方」の価値など認めようという気は起きませんでした。

マーベラスはやっぱり走輔たちはバカだと思いました。
そして、どうしてだかは分からないがバカだから心が強いのだと思いました。
ならば自分も弱さを克服して強くなるためには、とことんバカになるしかないと覚悟を決め、
「じゃ・・・俺たちもバカだろぉ・・・!」とぶっきらぼうに呟いて、店の外に出て行きます。
とにかくバカでもなんでもいいから、マーベラスは走輔たちの本気の闘志が欲しかったのです。
もうこうなったら、とことんバカになって、本気でガンマンワールドを救ってやろう。
マーベラスは心を決めたのでした。
そのように頑なに「正義の味方」を拒絶するマーベラスの後ろ姿を走輔は面白そうにフッと笑って見送るのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:53 | Comment(0) | 第35話「次元ノムコウ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第35話「次元ノムコウ」感想その5

チラカシズキーはマーベラス達を決闘場所の岩場に囲まれた広場に連れていきました。
その乾いた風が吹き寄せる荒野でマーベラスとチラカシズキーは15mほどの距離を置いて向き合って立ちます。
まさに西部劇の決闘っぽいシチュエーションといえます。
スーパー戦隊シリーズにおいては昔は結構、ウエスタン篇みたいなコスプレ回があったものですが、
最近はあまりやらなくなっていたので、こういうシチュエーションは久々な感じです。

ただ、劇場版では「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の冒頭で、
このガンマンワールドでの巨大ロボ同士の早撃ち勝負が描写されており、
「シンケンジャー」のオリジナルDVDではウエスタン調のシチュエーションで
荒野の寿司握り対決なんていうヘンテコな企画もありました。
しかしTV本編ではこういうのはなんだか久々な気がして嬉しくなってきます。

ところで機械生命体であるチラカシズキーに対して、マーベラスは変身せずに生身のまま対峙しています。
相手が怪人だけに、別に生身で戦う必要は無いのです。
どっちにしても、まともな勝負になるとも予想出来ないので、勝負の公平性など考えても仕方なく、
マーベラスはマーベラスで一番強い姿で戦えばいいようにも思えるのですが、
ここでのマーベラスはチラカシズキーとの勝負というより、自分の弱さと勝負しようとしているので、
生身で戦う必要があるのです。

何故なら、マーベラスがこの勝負で掴み取ろうとしているのは、
圧倒的不利な状況でも生身でチラカシズキーと決闘して勝利しようとしていた走輔の
バカみたいな「本気で自分と無関係のガンマンワールドを救いたい」という心の強さであったからです。
その心の強さを得るためには、変身してチラカシズキーに勝っても意味は無い。
マーベラスも生身のまま戦ってチラカシズキーに勝つ必要があったのです。

その決意の表情で腕組みして立つマーベラスの後ろには少し距離を置いて5人の仲間たち、
そしてボンパーが「ボンボン・・・」と心配そうな声を上げて立っており、決闘を見守ろうとしています。
そのマーベラスとチラカシズキーのちょうど真ん中に走輔が立ち、
「こいつが地面に落ちたのを合図に勝負だ!」と、
懐かしのゴーオンジャーのマーク入りのコインを指先につまんで差し出します。

「ゴーオンジャー」本編では走輔は強運キャラで通っていて、
よくこのコインでコイントスをして、かなりの確率で表を出すことが出来るという特技を自慢していました。
今回はこのコインを走輔が弾いて地面に落とし、
コインが地面に落ちた瞬間にマーベラスとチラカシズキーの両者が銃を抜いて撃ち合う、
つまり早撃ち勝負ということです。
やはり西部劇の決闘といえば、早撃ち勝負ですね。

チラカシズキーはこの走輔提案のルールを「いいだろう・・・」と了承し、
マーベラスは無言で両手を下に垂らして同意します。
そうして走輔がコインを弾くのを待つ姿勢で2人は向かい合って互いに構え、
チラカシズキーは右手を右腰のホルスターの上でピクピク動かし、
マーベラスも赤いジャケットの裾を払って、右腰のホルスターを露出させます。
マーベラスは普段の銃と剣を持つ戦闘スタイルの時は銃は左手で構えますが、
利き手は右手ですから今回の早撃ち勝負では銃を入れたホルスターは右腰に回して、右手で銃を抜くようです。

なお、マーベラス一味のメンバーは基本的に銃と剣を持つ時は右手に剣を持ち、左手に銃を持ちますが、
銃だけを扱う時は右手で引き金を引きます。
しかしマーベラスだけは普段、銃だけを持つ時も左手で引き金を引きます。
だから、マーベラスが右手で銃を撃つのを見るのは誰もが初めてであり、
利き手の右手で引き金を引くマーベラスの腕前というのは誰も知りません。
つまり初めて見せるマーベラスの本気の射撃というわけです。

マーベラスは本気の射撃を普段はあえて封印しているわけですが、別にもったいぶっているわけではありません。
普段の実戦ではマーベラスは右手で剣を振るう方が力強い剣撃を発することが出来るし、
左手の銃撃でも実戦で支障は無いほどの精度と速さの射撃は出来ました。
そんな極端に高速で精度の高い射撃は普段の実戦では必要ではないのです。
ですからマーベラスは戦いの場では銃は左手射撃で十分だと判断し、
銃だけを使う時も出来るだけ左手の射撃に慣れるために、あえて左手で撃っているのです。
そういう姿勢がマーベラスの実践スタイルなのだといえます。
しかし今回は右手で撃ちます。
それは、マーベラスにとって、この決闘は実戦ではなく、あくまで本気の決闘だったからです。

一同が固唾を呑んで見守る中、一瞬、静寂が場を支配し、
マーベラスとチラカシズキーの視線が走輔の指先に乗ったコインに注がれた刹那、
走輔が勢いよく弾いたコインがクルクル回転しながら真っ直ぐ上へ高々と舞い上がり、
マーベラスとチラカシズキーの視線は必然、コインの軌跡を追いかけて上へ向かいます。
そうして最高到達点まで達したコインは勢いを失い、
今度はクルクル回りながら重力に引かれて地面へ向かって急降下していき、
対峙した2人の視線はコインを追いかけて地面スレスレまで下がっていき、
コインが地面につく瞬間を見逃すまいと、その瞬間を待ってコインに釘づけとなります。

ところが、まさにコインが地面につくその直前、チラカシズキーの右手が一瞬早くフライング気味に動き、
素早くホルスターから拳銃を抜くと同時に「ぬぅん!」と引き金を引き、マーベラス向けて銃弾を発射したのでした。
マーベラスも、走輔も瞬間的にそれに気付きます。
そして、後ろの仲間たちやボンパーもチラカシズキーがコインが落ちる一瞬前に動いたことに気付き
「あっ!」と思わず声を上げます。

つまりチラカシズキーは正々堂々の勝負など最初からするつもりはなく、
コインが落ちる前に引き金を引いてマーベラスを撃ち殺すつもりだったのです。
その動き出しをコインが落ちるギリギリ直前まで待ったのは、
自分はちゃんとコインが落ちてから動いたと強弁するための姑息なアリバイ工作であり、
一瞬早く動けば、自分の抜き撃ちの速さならば確実に勝てるという自信の表れでもありました。
それだけ銃の腕に自信がありながら、それでもなお正々堂々とは勝負しないあたり、筋金入りの悪といえます。

しかしマーベラスは慌てず、走輔のコインが地面に表を上に向けて落ちた瞬間、
マーベラスの右手は電光石火の速さでホルスターからゴーカイガンを抜き、
そこに同じく電光石火の速さで左手を添えて正確な狙いをつけて、引き金を引きます。
しかし、その時はもう既にチラカシズキーの銃が放った銃弾はマーベラスの身体の手前まで到達しており、
早撃ち勝負ではマーベラスは完全に出遅れた状態となってしまっており、
いくら正確に狙いをつけても、良くて相討ちという状況です。

ところがマーベラスの放った銃弾はチラカシズキーを狙ったものではありませんでした。
その銃弾は真っ直ぐ、飛んでくるチラカシズキーの銃弾に正面から激突し、
絡まり合うと、共に軽い金属音を立てて地面に落下したのでした。

一瞬の静寂の後、この信じられない曲芸にチラカシズキーは
「・・・バカな!?弾丸を弾き落としただと!?」と驚愕します。
マーベラスは(どうだ?)という感じでニヤリと笑い、走輔もフッとマーベラスに笑みを向け、
後ろでは仲間たちが湧きたちます。
一応、相討ちという形ではありますが、
卑怯な作戦で必勝態勢のはずであったチラカシズキーは大恥をかいた形で激昂し、
「えぇ〜い!偶然に決まっている!!」と叫んで続けざまに何発も銃弾を発射します。

コインが落ちた後は、決着がつくまで、まだ勝負は続いているのです。
騙し討ちで勝てなかったチラカシズキーは、このまま対等の勝負となれば勝ち目があるとは思えず、
焦って撃ちまくるのですが、
マーベラスの右手に握られたゴーカイガンは今度は余裕を持って、
そのチラカシズキーの放った銃弾を全て自分の放った銃弾で撃ち落とします。
そしてクルクルッと銃を回して右肩に担ぐとマーベラスは
「どうした?これで終わりか・・・?」とニッコリ笑います。

もはや格の違いは明らかでした。
今までヒューマンワールドでは一度も見せたことのない本気の右手の射撃をマーベラスが初めて人前で使ったのは、
なんとマーベラスが全く守る価値を見出すことの出来ない
ガンマンワールドを守るための決闘においてであったのです。

いや、正々堂々の勝負であれば、おそらくいつも通りの左手の射撃であってもマーベラスは勝っていたでしょう。
しかし、マーベラスは走輔の本気に追いつくために、
自分もこの無関係の世界を守るためにあえて本気で戦おうと決めたのです。
それは何の意味も無いバカみたいなことだと思えたが、
マーベラスは今の自分には、とことんバカになって本気で戦うことが活路なのだと思えたのです。
そうして普段は封印している右手で、かつてないほど極限まで集中して決闘に臨んだ結果、
チラカシズキーの汚い作戦によってフライング気味に飛んできた銃弾に銃弾を当てて落とすという
神業のような精密射撃で迎撃することが可能となったのでした。

つまりは、マーベラスの本気が引き寄せた奇跡であり、
マーベラスの本気を引き出したのは走輔とスピードル達の
あくまで本気でガンマンワールドを守ろうとする「正義の味方」の強い気持ち、
そして異世界を超えた絆の力であったといえます。
世界の壁を超えた絆がまたも奇跡を引き寄せ、走輔の強運を証明したのは、
地面に落ちたコインがまたも表向きであったことからも立証されたのだといえます。

さて勝ち誇るマーベラスに対してチラカシズキーは「うるせぇ〜い!」とキレて、
「ウガッツ!!」と号令をかけます。
すると広場を囲んだ岩場の上に一斉にウガッツ軍団が出現してマーベラスに銃口を向けます。
卑怯にも伏兵まで忍ばせていたチラカシズキーはこれで形勢逆転、
一気にマーベラスをハチの巣にして終わりだと思い「ハッハッハ・・・」と嘲笑います。
が、その瞬間、一斉に轟いた何発もの銃声で全滅したのは岩場の上のウガッツ軍団の方でした。
撃ったのはジョー達、マーベラスの仲間5人でした。

もはや勝負は無効と判断した走輔は「後は任せたぜ!マーベラス!!」と言って一時避難し、
ジョー達5人は前へ進み出てマーベラスと並び、
「あなた方のような悪党のすることなど、お見通しです!!」とアイムは凛々しく啖呵を切ります。
罠が仕掛けられていることは予想していたジョー達は、岩場の陰の伏兵のウガッツ達にも最初から気付いており、
ウガッツが決闘に加勢するために出てきたら撃って倒す準備はしていたのでした。

卑怯な手を全て破られてしまったチラカシズキーは
「おのれぇ〜・・・こうなったら勝負など知ったことか!」とバズーカ砲みたいな大潟火器を取り出します。
いや、勝負をムチャクチャにしたのはチラカシズキーの方であって、
とっくにコイツのせいで勝負なんてどっかにいってしまっている状況なのですが、
今さらコイツは何を言っているのやら、全く勝手なヤツです。

チラカシズキーの発射したバズーカの砲弾の爆煙の中、
「豪快チェンジ!!」と叫んでゴーカイジャーに変身した6人はチラカシズキーに突っ込み、
チラカシズキーは新たに出てきたウガッツ達に「処刑だぁ〜っ!!」と号令をかけて、
マーベラス達に向けてけしかけ、再びここで乱戦が始まります。

しかしノリノリのゴーカイジャーはウガッツ達を圧倒し、
マーベラスはチラカシズキーに躍り掛かって、
今度はいつも通りに左手に握った銃と、右手に握った剣との波状攻撃で圧倒してしまいます。
チラカシズキーは幹部クラスですから本来かなり強いのでしょうが、
得意の決闘で負けたために混乱しているのか、全く一方的に押されまくって後退し、
バズーカも失ってしまいました。

しかし後退して態勢を整え直したチラカシズキーは「えぇ〜い!負けてたまるかぁ!!」と叫ぶと、
なんと身体中からミサイルを無数に発射して6人を攻撃してきました。
どうもこれがチラカシズキーの奥の手であるようです。
爆炎に包まれた6人をこれで倒したと思い、
チラカシズキーは「ハァッハッハッハ!!」と勝ち誇って大笑いしましたが、
6人は無事で、しかもデカレンジャーに豪快チェンジしています。
よくこういうふうに敵の攻撃を受けながら変身するというシーンがヒーローものでは見られますが、
だいたい変身エネルギーが敵の攻撃から身体を守るバリアの役目も兼ねているので、
ゴーカイジャーの豪快チェンジ時に飛び出るエネルギー体も同じようにバリアの役目も果たすのでしょう。

デカレンジャーとなった6人が無事であることを確認したチラカシズキーは
「おのれぇ〜!」と右腰のホルスターから銃を抜こうとしますが、
同時に両腰のホルスターからディーマグナム01とディーマグナム02を抜いたデカレッドの
二丁拳銃の抜き撃ち連射によって、
チラカシズキーはホルスターから抜いた銃を構えるヒマさえ与えられずに弾き落とされ、
身体は後ろに吹っ飛ばされてしまいました。

地面にガックリ膝をついたチラカシズキーは「速い・・・!」と思わず唸ります。
先ほどのマーベラスの右手射撃でもここまで圧倒的な力の差は感じなかったようですが、
さすがに変身状態で、しかもガンアクションのエキスパートのデカレンジャーが相手では、
たとえ銃が得意なガイアーク怪人といえども、早撃ち勝負で太刀打ち出来るわけがありません。
「おせぇんだよ!!」とデカレッドに変身したマーベラスが斬り捨てるように叫ぶと、
デカレンジャーに変身したマーベラス一味は一斉にチラカシズキーに襲い掛かっていきます。
マーベラスがデカレッドに、ジョーがデカブルーに、ルカがデカイエローに、
ハカセがデカグリーンに、アイムがデカピンクに、鎧がデカブレイクに変身しています。

なお、デカレンジャーに6人一斉変身するのはこれが初めてのことであり、
これでゴーカイセルラーに割り振られたボタンに対応した戦士のみに鎧が変身出来るという前提で、
6人一斉変身が可能でありながら未だに6人一斉変身をしていない戦隊は
ジュウレンジャーとマジレンジャーのみということになりました。

今回の豪快チェンジは、最初のウガッツ軍団と戦ったバトルフィーバーJとチェンジマンは、
特にバトル的な必然性は無く、
TV本編で未だに5人一斉変身をしていない戦隊を処理していったという意味合いであり、
このデカレンジャーは銃が得意なチラカシズキーに対して
ガンアクションのデカレンジャーをぶつけたという意味合いが大部分と、
6人一斉未変身戦隊を1つ処理するためという意味合いが少々というところでしょう。

そしてここからの戦いの方は、機関銃を持ち出して応戦するチラカシズキーに対して、
デカレンジャーの姿の6人はあえて銃撃戦ではなく肉弾戦に挑みます。
これは理にかなっており、機関銃のような両手の塞がる大きな火器を持った相手には
周囲を囲んで波状的に懐に入って攻撃を加えた方がより効果的です。

ジョーとハカセは警棒型のディーロッドで、ルカとアイムは十手型のディースティックで
チラカシズキーを叩きのめしていき、
マーベラスだけはディーマグナムの二丁拳銃で至近距離からの射撃でチラカシズキーを撃ち、
そして、肉弾戦となれば本領発揮のデカブレイク姿の鎧が
「おりゃあ!」と回し蹴りでチラカシズキーの手から機関銃を弾き飛ばすと
「保蛮官なんて警察の偽者!ジャッジメントです!」と言いながら
ブレスロットルのハンドルグリップを吹かしながら絞って、灼熱拳ファイヤーフィストを食らわし、
チラカシズキーを思いっきり吹っ飛ばします。

そこで鎧はゴーカイシルバーの姿に戻って
「みなさん!トドメです!」とゴールドモードにチェンジ、
そして豪快レジェンドリームをチラカシズキーに喰らわせます。
一方マーベラス達5人もゴーカイジャーの姿に戻り、
「こっちもいくぞ!!」とゴーカイガレオンバスターを出し、
ライジングストライクでチラカシズキーを撃破、チラカシズキーが大爆発を起こして倒されます。

「やった!へへへ!」と勝ち誇るハカセでしたが、
「いや・・・待て!」とジョーはチラカシズキーが爆発したあたりを見て言います。
なんとゴーカイガレオンバスターの一撃を喰らってもチラカシズキーはバラバラになっておらず、
「・・・ガイアークの保蛮官である俺が・・・負けてたまるかぁ!」と立ち上がると
「産業革命〜っ!!」と叫んで巨大化します。

ゴーカイガレオンバスターの威力は確かにザンギャック最強の装甲を突破するほどの威力なのですが、
マシンワールドの機械生命体であるガイアーク怪人のボディの構造は
ヒューマンワールドのものとは違って特殊なのです。
等身大状態では倒されるほどの決定的ダメージを受けても機能停止するだけでボディは砕け散ることはなく、
その後、体内のビックリウムエナジーの発動によって機能回復し巨大化した後で決定的ダメージを受けると
爆発して粉々になるのです。
つまり巨大化した状態でなければバラバラにすることは出来ない構造になっているといえます。

また、一般の蛮機獣は自分の意思では体内のビックリウムエナジーを発動することは出来ず
幹部怪人によって発動されるのを待つしか出来ないが、
幹部怪人の場合は自分の意思でビックリウムエナジーを発動させて巨大化することも出来ます。
今、チラカシズキーは自分の意思でビックリウムエナジーを発動させて巨大化しました。
これが「産業革命」というシステムなのです。
この独特のシュールなネーミングセンスが、いかにもガイアークらしいというか、ゴーオンジャーらしいというか。

いきなり巨大化したチラカシズキーを見上げて
「まぁ・・・やはりガイアークも巨大化出来るのですね!」とアイムが少々メタ的発言をしたのを受けて
ハカセが「そこはどうでもいいでしょ!」と軽くツッコみ、
マーベラスは「・・・ったく!」とガレオンを召喚します。

こうしてガンマンワールドにおける巨大戦に突入し、
巨大化したチラカシズキーに対して、ゴーカイオーと豪獣レックスが立ち向かうという構図となります。
それにしても、30世紀から飛んでくる豪獣ドリルが、
このガンマンワールドにも普通に飛んでくるのは、ちょっと不自然のような気もしますが、
アバウトなノリのゴーオンジャー篇なので、そういう細かいことはもうどうでもいいです。

さて戦いの方は、二丁の銃を取り出したチラカシズキーがゴーカイオーと豪獣レックスを撃ってきますが、
豪獣レックスが口から豪獣レーザーを発射して、チラカシズキーにダメージを与えて形勢を逆転します。
ここで一気にトドメを刺そうとしてゴーカイオーのコクピットではルカが
「ゴーオンジャーの大いなる力、使ってみよ!」と、ゴーオンイエローのレンジャーキーを出します。
今回は元ゴーオンレッドの走輔も見ているので、サービスのつもりで、
貰ってから一度も使ったことのなかったゴーオンジャーの大いなる力を使ってみる気になったのでした。
皆も賛同し、ゴーオンジャーのレンジャーキーを出すと
「レンジャーキー!セット!」と言ってコクピットの鍵穴に挿し込んで回します。

するとゴーカイオーの背中のダイアルがぐるっと回り、
ゴーカイオーの両腕、両脚、胸部の5つのハッチがパカッと開きます。
さて、どんな大いなる力が飛び出すのか・・・と思って待ち構えていると、なんと何も起きません。
開いた5つのハッチの中身は空っぽだったのです。

コクピットではしばしの沈黙の中、なんとも微妙な空気となり、
「・・・何も・・・出ませんねぇ・・・?」とアイムが戸惑います。
「おかしいなぁ・・・確かに大いなる力を貰ったはずなのに・・・?」とハカセもどういうことか分からず混乱します。
まさかの大いなる力の不発とは、ゴーオンジャーらしいといえばらしいですが、それにしてもこれはおかしい。
マーベラスも意外な展開に首を捻るばかりです。

そこに「スキあり!」と、チラカシズキーがバズーカを撃って反撃してきました。
ゴーオンジャーの大いなる力の謎の不発でマーベラス達がモタモタしている間に
チラカシズキーが態勢を整え直してしまったのでした。
「ちょっとの油断が命取りだ・・・」とカッコつけて言うチラカシズキーを相手に身構える豪獣レックスの中から
鎧が「皆さん!大丈夫ですか!?」と呼びかけると、
ゴーカイオーのコクピットでは気を取り直したジョーが「ああ・・・」と応え、
マーベラスは「よし!こいつで一気に決めるぞ!」と言い、5人は別のレンジャーキーをコクピットに挿し込みます。

すると「ニンニンニンニンニン!」と飛んできたのは風雷丸。
挿したのはハリケンジャーのレンジャーキーだったのです。
ゴーオンジャー篇なので今回からトドメはゴーオンジャーの大いなる力になるのかと思っていたら、
まさかのゴーオンジャーの大いなる力に不発のせいで、またハリケンジャーの大いなる力でトドメとなるようです。
しかし、さっきの豪獣ドリル同様、風雷丸もガンマンワールドに飛んでくるのはおかしいのですが、
まぁこれもあえてツッコミません。
いやまぁ、よく考えたら豪獣ドリルも風雷丸も次元の裂け目を通ってガンマンワールドへ来たと考えればいいか・・・

ゴーカイオーは風雷丸と合体してハリケンゴーカイオーとなり、
更に豪獣レックスもここで豪獣神にチェンジします。
まずゴーカイ無限手裏剣でチラカシズキーに無数の手裏剣を飛ばし、
チラカシズキーは「貴様ら!ちょっと散らかしすぎだぞ!」と言いながら拳銃で手裏剣を撃ち落していきます。
このあたりのセリフはシャレが利いていて、ガイアーク怪人らしさがあるといえます。

ところが手裏剣を撃ちすぎて拳銃の弾が無くなり「なに!?弾切れ?」と焦るチラカシズキーに対して、
豪獣神はトライデントモードで攻撃を加えて、更に豪獣トリプルドリルドリームを喰らわせ、
最後はハリケンゴーカイオーがゴーカイ風雷アタックでトドメを刺し、
チラカシズキーは「俺は・・・ガイアークという名前が大好きです・・・!」という断末魔のセリフを残して
爆発して果てたのでした。

ガイアークの怪人は倒される時、いつも変なダジャレとか、何かのパロディや風刺のきいたセリフを言う習性があり、
ここではチラカシズキーは、いかにも西部劇に出てくる保安官タイプの怪人らしく、
西部劇映画「荒野の決闘」のラストシーンで主人公の正義の保安官ワイアット・アープが言った
「私はクレメンタインという名前が大好きです」というセリフのパロディを言っています。
ちなみにクレメンタインとは、この映画のヒロインの名前です。

さて、ここで場面は突然、ガンマンワールドからヒューマンワールドに切り替わり、
ビルの屋上に出現した謎の怪人、
どうやら今回の前半にガレオンがガンマンワールドへ行く場面を見てほくそ笑んでいたのと同じヤツと思われる
ガイアーク(?)怪人が、「フッ!」と嘲笑うと、
プラスドライバーのような形の腕を空に開いたガンマンワールドに繋がる亀裂に向けて突き上げ、
「はあああ!!」と気合を発して亀裂に向けて光線を発射します。
すると、なんとヒューマンワールドの空からこの亀裂が消えてしまったのでした。

さて、今回はゴーオンジャー篇は前後篇であり、
ここでまた謎の展開もあったりして、ここで話は締まらないのでエピローグというわけではないのですが、
ここはひとまずマーベラス一味や走輔たちの居るガンマンワールドの方では、
侵略者のチラカシズキーの一味は一掃して一件落着という、
一見したところエピローグかと思われるような場面となります。

戦いが終わり平和の戻ったガンマンワールドの人々は皆嬉しそうにしており、
それを見てボンパーは「よかったね走輔!」と喜び、走輔も嬉しそうです。
そこにルカが近づいて「そういえばさぁ!さっきゴーオンジャーの大いなる力、何にも出なかったんだけど!」と
走輔に文句をつけます。

そのトゲのある言い方に過敏に反応した走輔は「ん!?」と不機嫌そうな顔で振り返ります。
ルカも全くひるまず「ホントにくれたの!?」と喧嘩腰です。
走輔は不機嫌そうに腕組みしてルカのことを見下ろし、
「なんだカワイ子ちゃん!俺たちのことを疑ってんのか?」と睨みつけます。
ルカも睨み返します。

確かにゴーオンジャーの大いなる力をマーベラス達に渡したのは走輔ではなく早輝ですが、
走輔の体内にあった大いなる力が無くなっているわけですから
確かに大いなる力がマーベラス達に渡っているのは走輔にも分かっています。
だから走輔は疑われるのは心外でした。

しかしルカとしても、ゴーオンジャーの大いなる力が発動しなかった以上、
いったいどうなっているのか、納得のいく説明をしてもらわないと収まらない。
別に走輔たちが嘘をついているとか、渡してくれていないとか疑うわけではないが、
何かの手違いでこちらに渡っていないということもあるのかもしれないと思ったのです。
もしそういうことなら、「宇宙最大のお宝」を見つけるのに大変な支障となるかもしれないのですから、
ルカとしてはそのあたりはキッチリしておきたかったのでした。

確かにゴーオンジャーの大いなる力が出てこなかったというのは異常事態であり、
そういう異常事態がある以上、その原因は明らかにすべきであり、
ルカが走輔に事情の説明を求めるのは当然でした。
そして、それは何かの手違いなのではないかとルカが疑うのも当然のことのように思えます。

しかし走輔がやたらと偉そうに喧嘩腰なのは理由があります。
それは走輔がゴーオンジャーの大いなる力が出てこなかった原因を知っているからであるようです。
しかも、それは決して走輔や早輝などのようなゴーオンジャー側に非がある問題ではなく、
むしろゴーカイジャー側に問題があってのことであると走輔は解釈しているようです。
つまり、せっかく渡したゴーオンジャーの大いなる力をマーベラス一味が使いこなせていないのであり
それはマーベラス一味がゴーオンジャーの精神が分かっていないからだと走輔は思っているのです。
だから走輔は上から目線なのです。

大いなる力は渡されたからといって必ず使いこなせるわけではありません。
渡す側は自分の戦隊の精神をマーベラス達が持っていると実感すればマーベラス達に渡すことは出来る。
それは同時に大いなる力をマーベラス達が使いこなせると思うということでもあるのですが
だからといって必ず使いこなせるとは限らない。
渡してみたら使えないという可能性だって無いことはないのです。
どうやら早輝はマーベラス達がゴーオンジャーと同じ精神を持っていると判断はしたようだが
それは大いなる力を使いこなせるほどの域には達していなかったようだと走輔は思っていました。
このガンマンワールドでのマーベラス達を見て、だいぶ彼らのことを見直していた走輔でしたが
それでもまだ、大いなる力を使いこなせるレベルではないと思っています。

走輔は呆れたようにルカに背を向け
「おいおい・・・いいか!よく聞け!俺たちゴーオンジャーの大いなる力を使いこなすにはなぁ・・・」と、
ルカやその後ろにいるゴーカイジャーの面々に向かって説教調で何かを説明し始めます。
ところが、その時、ガンマンワールドの空に何か大きな音は響き、
空を見上げたボンパーは「ああ?」と驚きの声を上げます。

皆が見上げる空では、マーベラス達がガレオンに乗ってヒューマンワールドから通って来た次元の裂け目が
異様な音を発しながら、見る見る縮んでいくのでした。
「あれ?・・・次元の亀裂が塞がっていくよ!?」とボンパーが戸惑い、一同が驚いて空を見上げる中、
遂に次元の亀裂は塞がり、無くなってしまいます。
それと同時に空に広がった暗雲の中に奇妙な怪人の顔がビジョンとして浮かび上がり
「ごきげんよう!ゴーカイジャーの諸君・・・余はガイアークの害統領(二代目)ババッチードであ〜る!」
と自己紹介したのでした。

この怪人は先ほど、ヒューマンワールドで空に開いた次元の裂け目を消してしまった、あの怪人です。
ここでその顔が初めてハッキリと映ったのですが、
この顔は走輔やボンパーやスピードル達には見覚えがありました。
見知らぬ怪人を見て驚くマーベラス達の横で「・・・ババッチード!?」と呟く走輔は、
その怪人がかつてシンケンジャーと共闘して倒したガイアークの害統領バッチードに
そっくりだということに気付きました。
スピードルも「ドルドル!害統領に二代目なんていたのか!?」と驚きます。

このババッチードは見た目も「シンケンジャーVSゴーオンジャー」に登場したバッチードにそっくりだが、
声もバッチードと同じ銀河万丈氏であり、口癖の「であ〜る」まで同じという怪人で、
まぁパチャカマック13世やサタラクラJr.らと同じようなコンセプトの、
過去作品に登場した怪人のそっくりさんの後継者怪人と考えればいいでしょう。
但し、パチャカマック13世やサタラクラJr.がザンギャック所属だったのとは違って、
このババッチードはあくまでガイアークの首領クラスの怪人であって、ザンギャックとは異質な存在であることから、
スタンス的にはボウケンジャー篇に出てきたリュウオーンと同じようなものと見ればいい。
まぁリュウオーンは後継者でなく本人でしたが。

そのババッチードは続けて「たった今、余が鎖国バリアでヒューマンワールドを封鎖したのであ〜る!」と
マーベラス達に向けて言います。
ただ、その意味がよく分からず、アイムはキッとババッチードを睨みつけて
「どういうことです!?」と問いただします。
それに対してババッチードは
「つまり、貴様たちはもうヒューマンワールドへ戻ることは出来ないのであ〜る!」と答えます。
鎧は「なんだってぇ!?」と驚き、他の皆も唖然とします。

どうやらババッチードはヒューマンワールドから次元の壁を超えて
ガンマンワールドに居るマーベラス達に話しかけているようです。
その言葉によれば、ババッチードによってバリアが張られて、
ヒューマンワールドと他の世界との通行が出来なくされてしまったようなのです。
それで、あの次元の裂け目も塞がってしまったのです。
そうなると、マーベラス達はこのガンマンワールドからヒューマンワールド、
つまりもともと居た世界に戻ることが出来なくなってしまう。

こうしてわざわざ自分達にその事実を告げるということは、
ヒューマンワールドを封鎖したのは自分達をヒューマンワールドから締め出すためであったのだと
ハカセは気付きました。
でも、どうしてガイアークの害統領がそんなことをするのだろうか?とハカセは不審にも思いました。
ガイアークが狙っていたのはガンマンワールドだったはず。
ならば、ゴーカイジャーがガンマンワールドに居座ればガイアークとしては困るはずではないか?
そう考えて、ハカセはハッと何かに気付いて「・・・まさか・・・!」と言います。

すると、まさにババッチードがハカセが気付いたことと同じことを言ったのです。
「ガンマンワールド侵略はゴーカイジャーをヒューマンワールドから追い出す囮作戦だったのであ〜る!」
とババッチードは自慢げに言います。
「なんだと!?」と走輔は愕然としました。

そう、ハカセが気付いたように、
ガイアークの真の狙いはガンマンワールドではなくヒューマンワールドの方だったのです。
ところがヒューマンワールドにはゴーカイジャーがいて、侵略の邪魔をしそうだと判断したババッチードは、
まずガンマンワールドに侵入して、そこで炎神を倒してガンマンワールドを危機に陥れ、
わざと次元の裂け目を作ってボンパーが走輔に助けを求めに行くように仕向け、
走輔がゴーカイジャーに助けを求めて、ゴーカイジャーがガンマンワールドを助けに行くように仕向けたのです。
そしてゴーカイジャーがヒューマンワールドを去った後、
ヒューマンワールドに現れたババッチード一派はヒューマンワールドを鎖国バリアで封鎖して、
ゴーカイジャーが戻ってこれないようにしたというわけです。

ただ、この作戦はかなり穴だらけの作戦ではあります。
まずボンパーが予定通り、最初に走輔に会っていれば、
走輔はゴーカイジャーに応援を求めずに自分1人でガンマンワールドへ行ってしまった可能性が高いということ、
またもし走輔がゴーカイジャーに助けを求めに行ったとしても
マーベラス達が断ってしまった可能性が高いことなどが問題点として挙げられます。

今回、ボンパーがたまたまガレオンに落っこちてきて、走輔とマーベラス達を引き合わせる形になったことや、
一旦ガンマンワールド行きを断ったマーベラスが心変わりしたことなど、
様々な偶発的要因があって、ようやくババッチードの作戦は成功したといえます。

しかし、それでも結果的にはまんまとババッチードに踊らされて
ゴーカイジャーをヒューマンワールドから引き離してしまう手助けをしてしまった形となった走輔は愕然とします。
また、まんまと作戦に嵌ってしまったマーベラス達も愕然として空に浮かぶババッチードのビジョンを見上げます。
ババッチードは勝ち誇ったように「これからじっくりヒューマンワールドを征服させてもらうのであ〜る!
貴様らはそこで指を咥えて見ているのであ〜る!」と告げるのでありました。

マーベラスはこのガンマンワールドで、
自分と無関係のガンマンワールドを救うために本気になることが出来たことによって、
これで再び地球を守って戦うに足る強さを取り戻した、そんな気がしていたところでありました。
なのに、その地球のあるヒューマンワールドに戻ることが出来ないのだという。
しかも、その地球にガイアークの侵略の魔の手が迫っているのだというのです。

次元の壁を超えた世界にやって来たことによって、
自分の弱さを知り、それを克服して、そういう事態に対応するための力を取り戻したばかりだというのに、
次元の壁に阻まれて、その肝心の事態に手をこまねいて何も出来ないのだということに対して
マーベラスは大いに衝撃を受けたのでした。

ここで今回のゴーオンジャー篇の前篇は終了となり、続きは後篇、第36話となります。
が、最後に何故かマシンワールドで「バ〜リバリだぜぇ!!」と暴走中のマッハルコン、
すなわちスピードルとベアールVの不良息子の姿が映ります。
つまり後篇のキーマンはこのマッハルコンというわけです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:50 | Comment(2) | 第35話「次元ノムコウ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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