2011年11月23日

第38話「夢を掴む力」感想その1

今回は前回からの続きで、前後篇の後篇でした。
そして、前回の冒頭にちょっとだけ話題に上って、そのまま忘れ去られていた
「ゴーカイジャーの大いなる力」というやつが、今回ゲットされることになったので、
結局、終わってみれば前回と今回の前後篇というのは、まさに「ゴーカイジャー篇」であったということになります。

このゴーカイジャー篇で「ゴーカイジャーの大いなる力」を得て、
ゴーカイジャーという戦隊が完全なるゴーカイジャーとなる。
その象徴が「カンゼンゴーカイオー」という巨大戦の新戦力である全合体ロボであり、
これがすなわち「ゴーカイジャーの大いなる力」が発現した姿というわけです。
このあたり、なんとも明快です。

そして、ゴーカイジャーが完全なるゴーカイジャーとなったということは、
これでゴーカイジャーのヒーローとしての形が一応は出来上がったということであり、
明確にこの「ゴーカイジャー篇」こそが3クール目の締めであったと言いきってよいでしょう。
これで晴れて次回からクライマックスの最終クールに突入していくことになります。

というか、今回のエピソードでゴーカイジャーは圧倒的な力を獲得して、
第1話から地球を侵略している敵のボスを、その敵の最強兵器と共に倒してしまうわけですから、
事実上、敵軍を壊滅させて地球を守りきったことになり、
普通の作品なら今回が最終回でもおかしくないぐらいの内容になっています。
実際、ドラマ的なテンションも、ほとんど最終回と言ってもいいくらいの高揚度、充実度でした。

しかし「ゴーカイジャー」という物語はここで終わりません。
まだ登場していない「大いなる力」もありますし、「宇宙最大のお宝」もまだ見つけていません。
バスコとの決着もついていませんし、ザンギャックには地球侵略軍の残党もおり、
前回初めて登場した皇帝もいます。
残り数話の状況でこれだけ積み残しがあれば中途半端に終わる失敗作だったと判断してもいいのですが、
残り11話という状態ですから、それらの要素は全て処理するつもりということです。

それは、まだこの先、今回の戦いを超える激しい戦いが待っているということであり、
その試練を乗り越えるためには、まだゴーカイジャーはこれから先、
獲得していかなければいけない力があるということです。
つまり、実は今回、完全なるゴーカイジャーとなったマーベラス一味は、
まだ真の意味で地球を守り切って「宇宙最大のお宝」を掴むための完全なる力は手に入れてはいない。

最終クールは単にクライマックスのバトルで敵との決着をつけるだけではなく、
まだマーベラス一味の成長物語は続いていくのであり、
今回、完全なるゴーカイジャーになったというのは、その最終試練に挑む資格を得たようなもの、
最終決戦に勝利する力のヒントを得たようなものと考えたほうがいいでしょう。
今回、マーベラス一味が獲得した「ゴーカイジャーの大いなる力」というものは、
物語全体の流れの中で見ると、そうした「最終試練のパスポート」的な意味合いが強いのだと
解釈した方がいいでしょう。

では、その「ゴーカイジャーの大いなる力」は何なのかというと、
それは劇中のマーベラスのセリフでは「夢を掴む力」だと明言されています。
しかし、ゴーカイジャーとはもともと夢を掴む意思を持った者達が集まった戦隊ですから、
もともと、そういう精神性を持っていたはずであり、
自分達がそうした精神性を持っていることに自覚的であったはずです。
ならば、もっと前から「ゴーカイジャーの大いなる力」は引き出せていないといけないはずです。

しかし今回ようやく「ゴーカイジャーの大いなる力」が引き出せたということは、
マーベラス一味が自分達が夢を掴もうとする精神を持っているのだと気付くだけでは
「ゴーカイジャーの大いなる力」は引き出すことは出来なかったということです。
要するに「夢を掴もうとする精神」なのではなく「夢を掴む力」を持っていると自覚しなければ
「ゴーカイジャーの大いなる力」は引き出せないようです。
つまり「夢を掴もうとする精神」はあくまで「精神性」であり、「力」ではないから
「大いなる力」そのものではないのです。
それに対して「夢を掴む力」は「力」ですから「大いなる力」とイコール関係で結ばれるのです。
すなわち、「夢を掴む力」=「ゴーカイジャーの大いなる力」=「カンゼンゴーカイオー」なのです。

ならばマーベラスの言う「夢を掴む力」というのは「夢を掴むための力」ではない。
カンゼンゴーカイオーは夢を掴むための力ではないからです。
カンゼンゴーカイオーはあくまで巨大戦における戦う力です。
だから、ここでマーベラスの言っている「夢を掴む力」というのは、
「夢を掴もうとする精神がもたらす戦う力」と解釈すべきでしょう。
もう少しマーベラスの言葉に近いニュアンスで言えば「夢を掴む精神には力がある」ということであり、
その力が「ゴーカイジャーの大いなる力」であり「カンゼンゴーカイオー」なのです。
カンゼンゴーカイオーそのものは夢とは何の関係も無い物体であり、
夢を掴もうとする精神が生み出した「戦う力」なのです。

言い換えれば、「夢を掴もうとする精神は戦う力を生みだす」という事実に気付くことによって、
自分の持つ夢を掴もうとする精神から強大な戦う力を生みだすことが出来るようになる、
それが「ゴーカイジャーの大いなる力を引き出す」ということなのです。

つまり「大いなる力を引き出す」ということは、
「自分の持つ特定の精神性が戦う力を生みだすということを認識する」ということなのです。
そして、その「大いなる力」が特定の戦隊の「大いなる力」である場合は、
「自分の持つある特殊な精神性が特定の戦隊においては戦う力を生みだしていたということを認識する」
ことによって、その特定の戦隊の「大いなる力」を含む戦う力の全てを
レンジャーキーから引き出すことが出来るようになるのです。

例えば、「勇気」がマジレンジャーの戦う力を生みだしていたのだということをマーベラス一味が認識し、
自分の心の中にそれと同じ「勇気」があることを認識することによって、
自分の心の中の「勇気」によって、レンジャーキーの中のマジレンジャーの戦う力を
全て引き出すことが出来るようになり、「大いなる力」も引き出すことが出来るようになるのです。

つまり、単にマーベラス達が「自分は勇気がある」と思っているだけでは
「マジレンジャーの大いなる力」は引き出せない。
「自分には勇気がある」と認識した上で、
「マジレンジャーは勇気から戦う力を生みだして使っていた」という事実を認識することによって、
「勇気は戦う力を生みだすことが出来る」という一般的事実を知り、
「ならば同じ勇気を持つ自分達ならばマジレンジャーと同じように勇気から戦う力を生み出すことが出来るはずだ」
ということに気付き、それによってマジレンジャーのレンジャーキーから
マジレンジャーの大いなる力を含む、マジレンジャーの全ての戦う力を引き出すことが出来るようになるのです。

実はこの法則を第3話の時、小津魁は全てしっかりハカセに説明してくれています。
まず「不思議な海賊だねぇ・・・君は・・・宝物じゃなくて、仲間のために勇気を出すなんて・・・」と言うことで、
ハカセに「勇気」があるということを教え、
続いて「勇気・・・・それが魔法で戦うマジレンジャーの本当の力なんだ・・・」と言うことで、
マジレンジャーが「勇気」から戦う力(魔法)を生み出していたことを教え、
「今の君なら、マジレンジャーの大いなる力を引き出せるよ」と言うことで、
ハカセの心の中の「勇気」がマジレンジャーと同じ戦う力(大いなる力)を生み出すことが出来るということを
教えています。

そういう予備知識を魁から聞かされた上だったからこそ、
魁が姿を消した後の巨大戦の時にマジレンジャーのレンジャーキーが突然光って浮き上がった時、
ハカセは、さっきの謎の男(魁)が言っていた通りに、
自分の心の中の「勇気」がマジレンジャーの「大いなる力」を引き出したのだと気付いたのです。
そうしてマジレンジャーのレンジャーキーをゴーカイオーに挿してみたところ、
本当にマジドラゴンという「大いなる力」が出現した結果、
ハカセをはじめマーベラス一味の一同は魁の言っていた法則を本当の話だとして受け入れることになったのです。
つまり、あそこで魁がしっかり道筋は示してくれていたのです。

その後は、第5話のデカレンジャー篇になると、
マーベラスがドギーとの遣り取りの中で自分の「誇り」とドギーの「誇り」がよく似たものだと悟り、
ドギーの「誇り」が彼の戦う力を生み出しているのだということも認識し、
その上で巨大戦時にデカレンジャーのレンジャーキーが光り、
ドギーに「今のお前達ならデカレンジャーの大いなる力を引き出せる」と言われたことで、
マーベラスはドギーがデカレンジャーの元戦士だったと悟り、
ドギーの示していた「誇り」が生み出す戦う力こそが「デカレンジャーの大いなる力」だったのだと知り、
自分の「誇り」も「デカレンジャーの大いなる力」を引き出すことが出来ることを悟ったのでした。
これによって結果的にパトストライカーという「デカレンジャーの大いなる力」を出現させることが出来た。

そうしてこれ以後はもうマーベラス達もこの「大いなる力」獲得の法則をだいぶ呑み込んでいくようになり、
同時に視聴者も慣れてきて、そのことを見越して
かなり簡略化された形で、いきなり巨大戦時にレンジャーキーが光って、
マーベラス達が「大いなる力」をゲットしたと喜んですぐにゴーカイオーに挿すというのがパターン化されました。

ただ、エピソードを厳密に見ると、
マーベラス一味のうちの誰かは必ず元レジェンド戦士と出会って、
その元戦士が戦う力を生み出していた源の精神が何であったのかを知り、
その元戦士の精神と自分達の中に同じ精神が存在すると認識するという描写が
大抵は盛り込まれていました。
その上でレンジャーキーが光ったので、
マーベラス達は自分達の中のその精神がレジェンド戦隊同
様に、戦う力を生み出すことが出来るのだと認識することが出来たのです。

ただ、そのマーベラス達とレジェンド戦士との精神性の一致について、
ハッキリとした説明が毎回レジェンド側から必ずなされるわけではないので、
マーベラス達は本当に精神の一致があったのかどうか自信は無いのです。
そういう状態でレンジャーキーが光ることによって
マーベラス達は自分達とレジェンド戦士との、その精神の一致が確実になされたのだと
確信することが出来るのであり、
その結果、マーベラス達の心の中のその精神がその戦隊の大いなる力を引き出すことが出来るのです。
つまり、レンジャーキーが光るのは精神性の一致によって大いなる力を引き出すことが出来る
確信をマーベラス達の心に与えるための現象だといえます。

ただ、例外的な扱いであったのは、
黒十字王との戦いの際にレンジャーキー空間の中のビジョンの中に現れた元レジェンド戦士たちの中で
マーベラス達に何も語りかけず黙って頷いていただけの
デンジマン、ダイレンジャー、デカレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャーのうち、
既に「大いなる力」を譲渡済だったデカレンジャーとシンケンジャーを除く4戦隊でした。

4戦隊の方はマーベラス達を見て、
自分達の戦隊の大いなる力を引き出していた精神と同じ精神を持っていると判断して
安心して「大いなる力」を渡していましたが、それは一方的な譲渡であり、
この4戦隊はマーベラス達に何も語っていないから、
その戦隊のどういう精神が戦う力を生み出していたのかマーベラス達は分かっていなかった。
だから当然、自分達の中のどういう精神がその戦隊と同じ戦う力を引き出せるのか想像もつかないので、
結局、その戦隊の「大いなる力」を引き出すことは出来なかったのです。

そういうわけで、ダイレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーに関しては
補完のレジェンド回が設けられて、
そこでマーベラス達はそれら3戦隊の元レジェンド戦士と接触して、
彼らが戦う力を生み出していた精神を知り、自分達にもそれと同じ精神が存在することを知ったので、
その精神から戦う力である「大いなる力」を引き出すことが出来るようになったのです。

となると、デンジマンも同じように補完をする機会は必ず設けなければいけないということになります。
何故なら、34戦隊の「大いなる力」を全部引き出せないと「宇宙最大のお宝」は手に入れられないからです。

また、既にバスコに「大いなる力」を奪われたチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンについても、
何らかの方法でマーベラス達に彼らの戦う力の源になっていた精神が何であったのか知らせないといけません。
それは「199ヒーロー大決戦」映画のゴレンジャーやジャッカー電撃隊のように
ビジョンで登場させて一言ずつコメントを言わせるだけでもいいし、
ジュウレンジャーやタイムレンジャーのように黙ってスーツ姿で佇んでいる横で
誰か他の者(あの場合は仲代壬琴)が簡単に代弁するような形でもいいでしょう。
言葉は無くてもマーベラス達が彼らの精神を悟るような場面は作ることは出来ます。
だからまぁ、何とでもなるでしょう。

また、デンジマンについては
TV本編で補完レジェンド回があるかどうかは分かりませんが、
冬映画の方に登場するらしいので、そこで簡単に補完することは出来るでしょう。

まぁ少し話が逸れましたが、
要するに「スーパー戦隊の大いなる力を引き出す」というのは、
「ある戦隊の戦う力を生み出していた精神と同じ精神を持っている自分をマーベラス達が自覚し、
自分もその精神から戦う力を生み出すことが出来ると思うことによって、
レンジャーキーから大いなる力を引き出す」ということなのです。
言い換えれば、
「自分が持っている精神と同じ精神をある戦隊が戦う力を生み出す源として使っていたことを知ることによって、
自分もその戦隊の全ての戦う力を引き出すことが出来るようになる」ということです。

では、この「ある戦隊」をゴーカイジャーに置き換えてみるとどうなるかというと、
ゴーカイジャーはまだ「大いなる力」を使用していないわけですから、
ゴーカイジャーがどういう精神を戦う力を生み出す源として使っていたのかを探すのではなく、
ゴーカイジャーの戦う力を生み出す源となり得る精神は何なのかを探すことになります。
ただ、これは「ゴーカイジャーの大いなる力」を積極的に探している場合の思考法であって、
今回は「ゴーカイジャーの大いなる力」を積極的に探しているお話ではありません。
たまたま「ゴーカイジャーの大いなる力」を見つけてしまったという話です。
しかもゴーカイジャーとマーベラス一味は同一人物ですから、精神性の一致は最初から既にしています。
だから精神性の一致点を探る必要は無い。

そうなると必要な作業は、
マーベラス達が自分達の持っている最も根本的な精神が戦う力を生み出す源になっていることに気付くだけでいい。
つまり、彼らを彼らたらしめている根本的な彼ら独自の精神であれば、
それは他の戦隊の精神と一致した精神ではないから、ゴーカイジャー独自の精神なのです。
ゴーカイジャー独自の精神が生み出す戦う力とは、すなわち「ゴーカイジャーの大いなる力」というわけです。
つまり、マーベラス達は彼らの根本的な精神が戦う力を生み出すことが出来ることを知ればいい。
そうすれば自動的に「ゴーカイジャーの大いなる力」は引き出されるのです。

その彼らの根本的な精神とは「夢を掴もうとする心」であり、
マーベラス達は「夢を掴もうとする心」が戦う力を生み出すことに気付けばいいということになります。
そうすることによって「ゴーカイジャーの大いなる力」が引き出される。

例えばマジレンジャーの場合、「勇気」が戦う力を生み出すことに気付くことで
「マジレンジャーの大いなる力」を引き出すことが出来ますが、
この「マジレンジャーの大いなる力」とは、「勇気が生み出す戦う力」であり、
簡潔にまとめると「勇気の力」です。

それと同様に、ゴーカイジャーの場合、
「夢を掴もうとする心」が戦う力を生み出すことに気付くことで
「ゴーカイジャーの大いなる力」を引き出すというのなら、
この「ゴーカイジャーの大いなる力」とは「夢を掴もうとする心が生み出す戦う力」であり、
簡潔に言えば「夢を掴む力」となります。
マーベラスが言う「ゴーカイジャーの大いなる力」=「夢を掴む力」とは、こういう意味の力なのでしょう。

すなわち、今回、マーベラス達が「ゴーカイジャーの大いなる力」を引き出すことが出来たのは、
自分達に「夢を掴む力」があることに気付いたからですが、
それは単に自分達に「夢を掴もうとする心」があると気付いたからではありません。
そもそも自分達にそうした「夢を掴もうとする心」があることなど、
マーベラス達はマーベラス一味に加わった段階で既に知っています。
だからそうなのではなく、彼らが今回、「ゴーカイジャーの大いなる力」を引き出すことが出来たのは、
自分達の「夢を掴もうとする心」がどんな強大な敵との絶望的な戦いでも戦い抜くだけの、
大きな「戦う力」を生み出すことが出来ることに気付いたからなのです。

つまり、マーベラス達はこれまで、「夢を掴もうとする心」は持っていたが、
それが「戦う力」を生み出すということを知らなかった。
今回、自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに気付き、
マーベラス達は「ゴーカイジャーの大いなる力」を引き出したのです。
前回と今回の前後篇の「ゴーカイジャー篇」のエピソードは、
マーベラス一味の面々が自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに気付くまでの
過程を描いたエピソードなのだと言っていいでしょう。

但し、今回のエピソードでは誰かが彼らにそれを教えてくれるわけではない。
何か価値観を一変させるような強烈な出来事があるわけでもない。
まぁ確かに前回グレートワルズに敗北したことは強烈な体験ではあったが、
「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに気付かせるような出来事ではありませんでした。

また、今回ジョーがバリゾーグを倒すということも強烈な出来事ではありますが、
これはむしろジョーが自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに気付いた結果、
バリゾーグに勝利することが出来たのであり、
バリゾーグと戦ったことによってジョーが何かを学んだということはないのです。

またマーベラスは今回、アカレッドと夢の中で会話していますが、
アカレッドはマーベラスに何か目新しいことを教えてはいません。
マーベラスがじっくり自分の心の中を見つめるように示唆しているだけです。
そしてマーベラスは自力で自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに気付いています。

つまり、マーベラス達は既に自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があることに
心の中では気付いていたのです。
ただ、今まではそれをハッキリ意識していなかった。
今回、グレートワルズに敗戦した混乱の中で自分の気持ちを整理した結果、
実は自分達は何時の間にか自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があるという認識に
辿り着いていたということに気付いたのです。

つまり再確認に近い。
その再確認の結果、自分達の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出す力があるという確信を初めて得て、
その結果、「ゴーカイジャーの大いなる力」が引き出されたのです。
その心の軌跡を描くのが前回と今回の「ゴーカイジャー」篇のメインテーマです。

では、どうして彼らは何時の間にか自分達の「夢を掴もうとする心」が
「戦う力」を生み出す力があることに気付いていたのか?
実はそのことに彼らが気付いていく過程はじっくりこれまでの物語の中で描かれていました。
その過程を描いていたのが、実はレジェンド回だったのです。

そもも何故、「大いなる力」はマーベラス一味の持つ精神とレジェンド戦士の持つ精神の一致が認められて
譲渡されるという設定になったのか?
最初は、その方がドラマを作りやすいからなのかと思っていました。
また、マーベラス一味が知らないことをレジェンド戦士から一方的に教えられる描写ばかりになると、
マーベラス一味の影が薄くなるから、それを避けるためかとも思っていました。
まぁそれらの動機も無かったわけではないでしょう。
しかし、どうやらもっと根本的な理由があったようなのです。

それは、「地球と無関係のお宝目当ての宇宙海賊が地球を守る正義のヒーローに変わっていく」という
物語の大筋に関係があったのです。
つまり、お宝目当てということは、夢を追いかけるのが本性で、
地球を守って戦うことなど興味の無い連中ということです。
そういう連中を地球を守って戦うヒーローに変えていくためには、
その本性である「夢を追いかける」というのを「地球を守って戦う」というのと
同じ意味合いにしてやらないといけない。

そのために、彼らの本性である「夢を追いかける」という精神と関連のある彼らの中の様々な精神、
例えば「勇気」「誇り」などが、
実は「地球を守って戦う」ためにも使われる精神なのだということを彼らに教えていくのです。
そのために、「勇気」を地球を守るための戦う力の源泉として使っているマジレンジャーや、
「誇り」を地球を守るための戦う力の源泉として使っているデカレンジャーなどのレジェンド回をやり、
そこでマーベラス一味もそれらの戦隊と同じ精神を持っているという描き方をするのです。

そうすれば結果的にマーベラス達は自分の「勇気」や「誇り」が宝探しだけでなく、
地球を守って戦う力にもなるということを知り、
そのようにしてレジェンド回を重ねていくにつれて、
マーベラス一味の「夢を追いかける」という本性に関連する精神はどんどん
「地球を守って戦う」ための精神という意味合いも帯びるようになっていき、
その結果、最終的には本性である「夢を追いかける」という精神までも
「地球を守って戦う」ための精神の意味合いも帯びるようになるという算段なのです。

そういう狙いで作られたレジェンド回を重ねてきて、
マーベラス達は自分達の「夢を掴もうとする心」に関連の深い様々な精神と同じ精神を持ったスーパー戦隊を見続け、
自分達の「夢を掴もうとする心」に関連の深い様々な精神が「戦う力」を生み出す力があることに気付いてきました。
そうなれば自然な成り行きとして、
「夢を掴もうとする心」も「戦う力」を生み出す力があることに気付くようになるのです。

つまり、マーベラス達はもともとはザンギャックから何かを守って戦うことからは逃げて、
単に「夢を掴もうとする心」でお宝を探そうとしていた連中だったが、
地球に来てレジェンド回を重ねて、
自分の精神の中に「戦う力」を生み出す要素が多く存在することに少しずつ気付いていき、
その過程の積み重ねの中で、
今回遂に自分の精神の中心である「夢を掴もうとする心」もまた「戦う力」を生み出すことに
何時しか気付いていたのです。
そのことを今回、ハッキリと認識した結果、「ゴーカイジャーの大いなる力」が引き出せたのです。

つまり、これまで多くのレジェンド回を重ねて、
様々な戦隊の「大いなる力」を引き出してきたのは、
今回の「ゴーカイジャーの大いなる力」を引き出すに至るまでのステップだったということになります。

それらの中で、特に重要なステップであったのがシンケンジャー篇とゴーオンジャー篇、
そしてゴーオンジャー篇の前段階としてのハリケンジャー篇でしょう。
それゆえ、この3篇は、シンケンジャー篇が1クール最終エピソード、
ハリケンジャー篇が2クール最終エピソード、
そしてゴーオンジャー篇がゴーカイジャー篇とセットで3クール最終ユニットを構成しているというように、
物語の節目に配置されていたといえます。

このうちハリケンジャー篇はゴーオンジャー篇へ至るステップであるので、
シンケンジャー篇の「絆」と
ゴーオンジャー篇の「自由の尊重」という2つの要素が特に重要です。

すなわち、マーベラス達はシンケンジャー篇でシンケンジャーという戦隊を知って
「絆が戦う力を生み出す」と知り、
ゴーオンジャー篇でゴーオンジャーという戦隊を知って
「自由を尊重する精神が戦う力を生み出す」ということを知りました。
そして、マーベラス達の心の中にも「絆」も「自由を尊重する精神」ももともと存在しており、
それらはもともと「夢を掴もうとする心」と非常に深い関係にありますが、
普段はそれは常に意識されているわけではありません。
今回、そのことを強く確認することによって、
マーベラス達は自分達の「夢を掴もうとする心」もまた「戦う力」を生み出すことが出来ることに気付くのです。

そのようなマーベラス一味の面々の心の軌跡を描いているのが前回と今回のゴーカイジャー篇ですが、
今回は「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出すことを視聴者に示すため、
前回からの流れの中で複数のドラマを並行して進める手法をとっています。
「マーベラスとアカレッドのドラマ」、
「ジョーとバリゾーグ(シド)のドラマ」、
「鎧とルカ・ハカセ・アイムのドラマ」、
そして「ワルズ・ギルのドラマ」という4つのドラマが描かれています。

これら4つのドラマがそれぞれの切り口で「夢を掴もうとする心」こそが
真に強大な「戦う力」を生み出すのだということを示しつつ、
最後は1つに集束していって、
「ゴーカイジャーの大いなる力」=「夢を掴む力」が
ザンギャック最強の決戦機グレートワルズを倒してワルズ・ギルを葬り去り、
ゴーカイジャーがザンギャックの地球侵略の野望を一旦、打ち砕くという結末に至るのです。

この4つのドラマを30分番組の中で並行して進めるというのは、
「詰め込みすぎ」という意見もあるかもしれません。
特にジョーとバリゾーグのドラマは1つの独立したエピソードで味わいたかったという人もいるでしょう。
まぁ確かにそのこと自体は同感ですが、
しかし今回のエピソードに関しては「詰め込みすぎ」という印象は不思議とありません。

それはどうしてなのかと考えると、それはこの4つのドラマは、
4つのドラマがバラバラに進行しているのではなくて、
1つのテーマのストーリーを4つのドラマでリレー形式で繋いでいるからなのでしょう。
だから流れが非常にスムーズで、ゴチャゴチャした印象が無いので
「詰め込んだ」という感じがしないのです。
そして、凄いのは、だからといって、個々のパートだけで繋げ直した時に
話が飛んでしまって意味が通じなくなるということはなく、
ちゃんと個々のパートはパートで、しっかり完成したストーリーとなっていることです。

いや、この4つのドラマが1つのストーリーでリレー形式でうまく繋がるということは
もともとこの4つのドラマは1つにまとめて描写すべきなのであり
だから別にそもそも「詰め込みすぎ」ではないのです。
おそらく今回、この4つのドラマでそれぞれの切り口で「夢を掴む力」を描こうという
順当でありながら超難易度の高いプロットを提案したのは宇都宮Pでしょうけれど、
この4つのドラマを絶妙なリレーで1つの「夢を掴む力」のストーリーに繋いで、
これだけの詰め込んだ内容でありながら、むしろ余裕を感じさせるスケールの大きなエピソードに仕上げたのは、
前回と今回のゴーカイジャー篇の脚本を担当された下山健人氏の力によるものでしょう。

下山氏は最近は、アカレッドの登場したボウケンジャー篇や、
バスコ完全体が登場したオーレンジャー篇、ゴーカイガレオンバスター登場篇など、
物語の縦糸に絡む重要回を担当しており、
それに加えて今回の節目のゴーカイジャー篇ですから、
もうめっきり香村氏と並んでダブルメインライターであるかのような大活躍といえます。

綺麗で巧いと唸らせて安心感が抜群なのはどちらかというと香村氏の方ですが、
下山氏は香村氏ほど綺麗にまとめてはいないものの、
大きなスケールのお話が得意のように見受けられます。
特に前回と今回のゴーカジャー篇は実に素晴らしい。
シンケンジャー篇に匹敵する神回だと思います。

というか、今回のゴーカイジャー篇は、
夢と絆、ジョーとバリゾーグの対決、ワルズ・ギルの出陣、ザンギャック本国からの増援など、
シンケンジャー篇と似た要素が多く、シンケンジャー篇の完結篇として捉えることも出来るでしょう。
だからもともとこれら複数のテーマは一体化したものであり、だから並行して描こうということになるのです。

確かに、ここまでのレジェンド回というのはほぼ全てハリケンジャー篇を経て、
あるいは直接、ゴーオンジャー篇に集約されてゴーカイジャー篇に回収された印象がありますが、
シンケンジャー篇だけは異質な印象のレジェンド回として残っていた印象があります。
おそらくシンケンジャー篇はゴーカイジャー篇に直接繋がって完結するものとして
最初から設定されていたのでしょう。
それゆえ、レジェンド回の出来としてはシンケンジャー篇よりも上のものは幾つもあったにもかかわらず、
制作サイドではシンケンジャー篇はどうも特別視されていたのでしょう。

そして、こうして今までの全てのレジェンド回がこうして今回、ゴーカイジャー篇に回収されて、
ゴーカイジャーが自分の「夢を掴もうとする心」が「戦う力」を生み出すと気付いて
「ゴーカイジャーの大いなる力」を獲得し、ゴーカイジャーが地球を守るスーパー戦隊として完成したとすると、
その後のレジェンド回というのは、
ゴーカイジャー篇以前のレジェンド回とは根本的に形式も意味も違うものとなることが予想され、
そこでテーマとなってくるのは、最終決戦を勝ち抜くためにゴーカイジャーが
今回の完全なるゴーカイジャーという状態からさらに加えて
獲得しなければいけない力に関するものとなるのでしょうが、
それについてはおそらく次回に考察することになるでしょう。

さて、この節目のゴーカイジャー篇、下山氏の脚本に大満足ではありますが、
それにしても、本来ならこうした節目のエピソードを担当するはずの
メインライターの荒川氏の姿がめっきり見えません。
今回、遂に本編終了後のCMで告知がありましたが、
1月に「ゴーカイジャーVSギャバン」というものすごい映画企画があるようで、
そちらの脚本で荒川氏は大変なようですね。

もちろん、それだけでなくTV本編のクライマックスの方もまとめて荒川氏が担当するのでしょうから、
それも大変なのでしょう。
特にこの「ゴーカイジャー」はあまりにもスケールの大きな物語なので、
どうまとめるのか非常に頭を悩ませておられることと思います。

そして、「ゴーカイジャーVSギャバン」にバトルケニアの曙四郎が登場するらしいので、
どうもこの映画、戦隊の冬映画の恒例のパターンとは少し違うのかもしれない。
戦隊の冬映画は、だいたいいつもは劇中設定では32〜36話のどこか、
つまり放送日でいうと10月ぐらいの何処かに挿入されるエピソードなのですが、
「ゴーカイジャー」においてはこの第38話現在において未だバトルケニアは登場していないし、
バトルフィーバーJの大いなる力についての言及も無い。

つまり、「ゴーカイジャーVSギャバン」は、
「ゴーカイジャー」TV本編の結構終盤に挿入されるエピソードになる可能性があるのです。
もしかしたら「仮面ライダーW」の夏の劇場版だった「AtoZ運命のガイアメモリ」のように、
TV本編終盤の展開に深く関係するような使い方をする可能性もあります。
もしそうであるならば、「ゴーカイジャーVSギャバン」の脚本とTV本編終盤の脚本の製作は
一貫した大変な作業となっている可能性が高く、
それならば荒川氏が3クール目ほとんど姿を見なかったのも納得がいくというものですが、
まぁ詳細は分かりません。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(0) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月25日

第38話「夢を掴む力」感想その2

では本編・・・と、その前にまず本編前、今回は通常通りに8時から「フォーゼ」はあるのですが、
やはりスーパーヒーロータイムのミニコーナーは無し。
このままフェードアウトの模様です。

そして7時30分ジャストに開始された本編ですが、冒頭は前回の粗筋の紹介ナレーション。
ジョーとバリゾーグが戦う中、ワルズ・ギルが現れてグレートワルズでゴーカイジャーを圧倒、
マーベラスは仲間を脱出させて、6人はバラバラになったという、
前回の粗筋というよりは、今回の冒頭に繋がる前回の後半部分の粗筋紹介という趣です。

そのナレーションに被せてジョーとバリゾーグの対決シーン、
グレートワルズが豪獣ゴーカイオーを圧倒するシーン、
そして山中に墜落したゴーカイガレオンの中で生死不明で横たわるマーベラスの姿という前回のラストカットに続き、
ジョーとルカ・ハカセ・アイムと鎧という、3か所にバラバラに脱出させられた仲間たちが
別々に山中を走るカットが挿入されます。

豪獣ゴーカイオーから強制脱出させられて地上に不時着した時は皆、
街の中で豪獣ゴーカイオーが見える位置にいたのですが、
豪獣ゴーカイオーが吹っ飛ばされてガレオンに変形して遠くの山中に消えていくのを見て、
5人ともすぐに駆け出していましたから、山中に墜落したガレオンを探しに山中に入っていったようです。

一応ちょっと気になる点を挙げると、
豪獣ゴーカイオーが吹っ飛ばされた後、ゴーカイオーを構成するパーツがガレオンに戻っていったのは分かるとして、
豪獣神を構成していたパーツの方はどうなったのかという疑問点はあります。
まぁこれは、爆発して合体が解けた瞬間、30世紀に戻っていったのでしょう。

というか、そもそも豪獣ゴーカイオーになった時点で余剰パーツは何処で何をしてるのかという問題があります。
ゴーカイオーの余剰パーツはガレオン(胴体部分)に収納されたと考えるべきでしょうが、
豪獣神の腕以外のパーツは、これもやはり30世紀に戻っていったと考えるしかないでしょう。
つまり豪獣神関連のパーツは分解して使用しなくなった途端、
全部、30世紀へ移動するのだと解釈すればいいでしょう。

そう考えると、豪獣ドリルがタイムレンジャーの大いなる力によって召喚されるというのも、
なかなか便利な設定です。
「タイムレンジャー」本編でもロボのパーツの出し入れは
この「30世紀の世界に基地が存在する」という設定を上手く使って
貧乏便利屋の5人組が正義の戦隊をやるという世界観に説得力をもたせていました。

そしてもう1つ、疑問点は、
どうしてバラバラになった6人はモバイレーツやゴーカイセルラーで連絡を取り合わないのかという点です。
これは、おそらく発信した電波をザンギャックに傍受されることを恐れているからでしょう。

普段ならば電波を傍受されて位置を捕捉されても、ガレオンですぐに遠方に移動できるし、
もし戦う羽目になっても勝てる自信があるので平気なのでしょう。
それに普段のザンギャック軍は勝てる可能性も低いのに
マーベラス一味を襲うようなことにはあまり積極的ではないし、
地球侵略作戦の方が忙しいのでマーベラス一味にとってそんなに深刻な脅威ではないのでしょう。

しかし今はザンギャックは明らかにマーベラス一味の抹殺を狙って動いていますし、
ガレオンは動けない状態で、もし電波を傍受されて位置を特定されて戦うことになって、
またあのグレートワルズで襲われるのは脅威です。
仮に襲ってくるのがゴーミンなどの雑魚であったとしても、
今は戦うよりも早くガレオンに辿り着いてマーベラスを助けなければいけないと思っているので、
5人はマーベラスに連絡を取ろうとしたり、互いに電波を飛ばして連絡を取り合おうとはしていないのでしょう。

ガレオンが落ちた山はだいたい分かるので、
そこへ行けばガレオンの巨体を見つけること自体は目視でさほど難しいことではないので、
まずは一目散にその山へ向かって5人は駆けているというところでしょう。

さて一方、街中でのゴーカイジャーとの戦いに勝利したグレートワルズのコクピット内のワルズ・ギルは
「これで海賊どもの船は沈んだ!」と大満足です。
そしてモニター越しにバリゾーグに向かって「バリゾーグ!ゴーミンと共に奴らの死体を見つけてこい!」と命じ、
モニターの向こうではバリゾーグが「イエス、ボス」と応じます。

これを見た感じでは、ワルズ・ギルはマーベラス達が全員死んだと思い込んでいるようです。
マーベラスが他の仲間5人を脱出させたことにも気付いていないようです。
激しいビーム攻撃の中だったので分からなかったのでしょうし、
5人を脱出させた後、マーベラスが1人で少しの間持ちこたえて、それから爆発して吹っ飛んでいったので、
ワルズ・ギルは爆発した豪獣ゴーカイオーの中に6人全員が居たものと思っているようです。

まぁそれはマーベラスが上手くやったのでワルズ・ギルが騙されても仕方ないことだとは思いますし、
爆発して吹っ飛べば乗っていた海賊6人は全員死んだとワルズ・ギルが思うのも無理はないでしょう。
実際、バリゾーグをはじめ他のザンギャック幹部も皆、
爆発した海賊ロボットの中の海賊たちが生存しているのではないかと疑う者はいませんでした。
猛烈な勢いで吹っ飛んでいった海賊船は山中で残骸になっており、
そこに海賊たち6人の死体が転がっていると思っているようです。

しかし、本当にその予想が当たっているのかどうか、
グレートワルズで山の中を探しに行けばすぐに判明しそうなものなのですが、
ワルズ・ギルは自らそのようにして調べに行こうとはせず、
バリゾーグにゴーミンの地上部隊を率いて死体回収に行くように命じただけでした。
つまり、ザンギャック側は全員、自分の目で確かめたわけでもないのに、
マーベラス達は全員死んだと決めつけているのです。

確かにそう思い込むのも無理もない状況ではありますが、実際はそうではないのですから、
ここはより慎重に、マーベラス達の生死をすぐに確認すべきでした。
そうした慎重な確認を怠ったのは、
それだけグレートワルズの能力をザンギャック側の全員が絶対視しすぎていたからでしょう。
ザンギャック最強の決戦機であるグレートワルズの決め技で爆発して吹っ飛んで、
生きていられるわけがないと、百戦錬磨のダマラスさえも思い込んでしまったのです。
それはつまりザンギャック帝国の驕りでした。
そうした思い込みがある以上、司令官自らが死体探しなどという下らない作業をしようと思うわけがない。
死体は逃げていったりはしないのだから、地上部隊でゆっくり探せばいいということになります。

そんなことよりもワルズ・ギルの頭の中を占めていたのは、やはり「政治」でした。
マーベラス達と戦っている最中から既にワルズ・ギルは目の前のマーベラス達は眼中に無く、
父である皇帝や腹心のダマラスが自分を裏切ろうとしているという妄想に捉われて、
海賊を退治して地球を征服して英雄となり、父やダマラス達の鼻を明かして、
一気に彼らを超えて帝国の実権を握ってやろうという野心の虜となっていました。

だからマーベラス達との戦いに勝利して、海賊たちの死を確信したワルズ・ギルの頭の中からは
ほとんどマーベラス達のことは消え去り、
後で晒し者にするための死体をバリゾーグに拾いに行かせるよう指示しただけで、
ワルズ・ギルの頭の中はまずは凱旋将軍としての自分をいかに華々しい英雄らしく演出するのかというプランと、
その後の地球征服作戦のプラン、そして悔しがる父やダマラスを嘲笑う気持ちでいっぱいでした。

ここでOPテーマとなり、今回はもちろんOPナレーションは通常回バージョンで、
CM明け、「夢を掴む力」という今回のサブタイトルが出ます。
これは通常回ですから特にフォーマットは関係なく、
言葉の意味も今回のテーマそのものズバリの直球のサブタイトルです。

さて本編が再開し、ギガントホースの格納庫にグレートワルズが戻ってきています。
ワルズ・ギルは結局、マーベラス達の死体探しをバリゾーグに任せて、
自分はさっさと宇宙空間のギガントホースへ戻ってきたようです。

しかし、前回もこうした格納庫のシーンはありましたが、
ギガントホースにはこうして決戦機を格納するためのスペースがあるということに改めて気付きました。
考えてみれば、「最強の決戦機」ということは最強ではない普通の決戦機が他にも有るということです。
そもそも地球侵略軍の怪人を再生巨大化させる巨大化銃はインサーンが独自に作ったもののようなので、
ザンギャックの他の軍においては、この怪人巨大化システムは使われておらず、
そのかわりに決戦機が使われているのでしょう。

といっても、マーベラスも「決戦機」というものを知らなかったところをみると、
そんなに量産されて何処の戦場でも使われているというわけではないようです。
おそらく一般的なザンギャック軍では巨大戦兵力というのは戦艦がメインで、
決戦機を使っているのは本国の主要な軍だけだと思われ、
決戦機は最新兵器であり、その数はさほど多くはないのでしょう。
そして、その中でも最新で最高性能のものがグレートワルズなのです。

だから本来は地球侵略軍は戦艦のみで編成されており、
旗艦のギガントホースはワルズ・ギル専用艦なので本国仕様で決戦機を格納するスペースもあるのでしょうが、
地球方面には決戦機は積んできていなかったので、その格納スペースはこれまでは空になっていて、
インサーンの怪人巨大化システムは、決戦機の代用的な意味合いが強いのではないかと思われます。

つまり、ということはザンギャック本国の最精鋭部隊、例えば皇帝親衛隊などは
他の決戦機を所有しているということであり、
あるいはこれから物語終盤に皇帝アクドス・ギル自身が地球方面にやって来た場合、
また別の決戦機が登場して、
またゴーカイジャーとの間で巨大ロボ同士の戦いを展開してくれる可能性はあるということになります。

また、いずれ来るであろうバスコとの決着の時、
バスコはインサーンの巨大化光線を浴びて巨大化することはないでしょうから、
バスコ自身は巨大化しないと思われ、
そうなるとバスコ自身との決着バトルの巨大戦は、
バスコが独自の決戦機を使用するという可能性もあるかもしれません。

まぁともかく、話を戻して、
ワルズ・ギルはギガントホースに戻ってきました。
そして軽い足取りで格納庫の階段を昇ってくるワルズ・ギルを
「見事な勝利です、ワルズ・ギル様・・・」と、インサーンが出迎えます。
それに対してワルズ・ギルは上機嫌で「俺が自ら出撃したのだ!これぐらいは当然のこと!」と、
まるで自分の腕で勝ったかのような口ぶりです。

実際は最強の決戦機であるグレートワルズの性能あってこその勝利であり、
ワルズ・ギルの能力で勝利したわけではありません。
しかしワルズ・ギルは自分の戦闘能力が高いから勝利したのだと本気で思っているようです。
だが、そんなに戦闘能力が高いなら普段からもう少し前線に出ていても良さそうなものですが、
最強の決戦機が手に入った途端、急にそれに乗って出撃するという時点で、実は臆病者なのだということは明白です。
いや、そもそも大した必要性も見受けられないのに司令官自ら決戦機に乗って出撃したということ自体、
司令官としてはあまり褒められたことではない。
そんなことを自慢している幼稚さが司令官として一番問題だといえます。

ただ、司令官としては全く幼稚な行動ではありますが、
本来は臆病者であるワルズ・ギルが、たとえ最強の機体であるとはいえ、決戦機に乗って出撃して戦い、
しかもあの手強い海賊相手に完勝したわけですから、
ワルズ・ギルという個人としては、これは確かに結構、快挙です。
だからワルズ・ギルがいささか高揚しているのもやむを得ないかもしれません。

そして、そもそもワルズ・ギルがそんな危険な行動に打って出た理由は、
海賊をどうしても退治したいからというよりは、
ダマラスが父である皇帝と結託して自分の手柄を横取りしようとしているという誤解から、
ダマラスや皇帝の付け入るスキの無い明白な自分の手柄を立てて
自分の帝国政界における地位を高めたいという利己的動機に基づくものでした。
だからこうしてワルズ・ギルが自画自賛しているのは、そうした政治的な意図を含んだ発言と見るのが正確でしょう。

そして、それに対してインサーンは何やら調子の良い態度で
「祝賀会の用意が整っています」と媚びた口調でへつらうのでした。
ワルズ・ギルはその自分の誤解した皇帝とダマラスの陰謀について、
他の部下たちが居る場でダマラスに向かってぶちまけており、
インサーンもその場に居たので、事の真偽はどうあれ、ワルズ・ギルが皇帝やダマラスへの反感が動機となって
今回、司令官でありながら自ら出撃したということは了解しているはずです。

しかし、その軽率を諌めようともせず、
むしろインサーンはこうして積極的に媚びてワルズ・ギルに取り入ろうとしています。
今までインサーンは割とダマラスに距離が近く、
ダマラスに対して明白な敵意を示したワルズ・ギルに取り入るということは、
ダマラスを裏切ろうとしているということになります。
しかもワルズ・ギルの話を信じるとするならば、ダマラスのバックには皇帝がついているはずなのです。
つまりワルズ・ギルに取り入るということは、皇帝やダマラスを敵に回すということであり、
バカで無能なワルズ・ギルに擦り寄って皇帝やダマラスに睨まれるというのは、あまり得な選択とは思えませんが、
いったいインサーンはどうしたというのか?

まずインサーンは、実際のところ現状の地球侵略軍の戦力でどうやってマーベラス一味を始末すればいいのかと、
困り果ててしまっていたところなので、
こうしてマーベラス一味を始末してくれたワルズ・ギルの戦果によって肩の荷が下りて、
本心からホッとしていました。
そして、インサーンは実際にワルズ・ギルの思惑通りに、
この海賊討伐と地球侵略成功はワルズ・ギルの帝国内の地位を押し上げることになると読んでいました。
だから、ワルズ・ギルに取り入っておいて損は無いと思っているのです。

ただ、それだけの理由で皇帝やダマラスに睨まれる危険のある賭けに打って出るほど
インサーンは軽率ではありません。
インサーンはワルズ・ギルが今回の一件で確かに成長したことを感じ取ったのです。
皇帝やダマラスの陰謀の事の真偽はよく分からないが、
とにかくワルズ・ギルはダマラスや皇帝への反発によって自ら決戦機に乗って戦い勝利したわけで、
これは今までのワルズ・ギルでは考えられない勇気ある行動でした。
インサーンもワルズ・ギルがヤケクソ気味の行動によって大失敗でもするかと危惧していたのですが、
意外にもワルズ・ギルはグレートワルズを上手く使いこなして危なげなく完勝したのでした。

これを見て、あるいはワルズ・ギルはダマラスや皇帝を乗り越えようとすることで
今までにない成長を遂げたのかもしれないとインサーンは感じたのでした。
あるいはこの勢いで一気に帝国を掌握することも有り得ると思い、
インサーンはワルズ・ギルにとりあえず媚びておくことにしたのでした。

ワルズ・ギルはそうしたインサーンの態度の変化を敏感に感じ取ります。
まぁ敏感も何も、インサーンは意識してそういう自分の擦り寄る心を見せようとしているわけですから、
気付くのが当然なのですが、これですっかりワルズ・ギルはいい気になります。
海賊を倒したことで周囲の連中の自分を見る目が変わり、どんどん自分に心酔する連中が増えていくことが実感され、
出撃前の孤独感など吹っ飛んでしまって、
上機嫌で「おお〜、用意が早いな!さすがはインサーンだ!」と調子に乗ったことを言いながら、
指令室に向かって歩き出したのでした。
祝賀会という晴れの場で自分が多くの者達にチヤホヤされるのが楽しみで仕方ないようです。

しかし、このようにワルズ・ギルが浮かれまくっている傍ら、
バリゾーグは祝賀会にも参加せずにゴーミン達と海賊の死体探しを命ぜられているのです。
それが部下の仕事だと言われればそれまでですが、
しかしワルズ・ギルは出撃前はダマラスや皇帝に逆らって、誰からも守ってもらえなくなった孤独感から
バリゾーグに「俺にはお前しかいない」みたいなことを言って頼りきり、
海賊を探し出しておびき出す作戦をさせています。

つまり今回の作戦の影の功労者はバリゾーグなのです。
そのバリゾーグに死体探しのような泥臭い作業を丸投げしておいて、
自分は再び自分に擦り寄ってきたお調子者たちと一緒に浮かれて祝賀会で英雄気取りとは、ちょっと呆れます。
なにもバリゾーグと一緒に死体探しまですべきとは思いませんが、
せめてバリゾーグの帰還を待ってから祝賀会を開くぐらいの気遣いはあってもいいのではないかと思います。

もともとそういう気遣いの出来るような男ではないのは百も承知ですが、
それにしても今回は、あれほどバリゾーグに精神的に守ってもらって、それでやっと成功した作戦なのですから、
この軽薄な掌返しを見ると、やはりワルズ・ギルにとってバリゾーグは
常に絶対服従して守ってくれる便利な機械に過ぎず、その便利さゆえに重宝しているように見えてしまいます。

しかしワルズ・ギルはすっかりバリゾーグのことなど忘れたかのように有頂天に
「フッハッハッハ!」と笑いながら指令室に凱旋してきます。
指令室の中には豪勢な料理が並べられており、祝賀会の準備は整っています。
すると、その入って来たワルズ・ギルに向かってダマラスが歩み寄り頭を下げ
「お見事です、殿下!」と言ったのでした。

今回の作戦からは外されてしまっているダマラスですが、それでもワルズ・ギルの部下であることには違いないし、
それより何より、ワルズ・ギルは皇太子であり、ダマラスは皇帝一族に仕える重臣であるのですから、
ワルズ・ギルの勝利を称えて頭を下げるのは当然のことでした。
しかし、ワルズ・ギルはダマラスの顔を「ん・・・?」と見ると、
「チッ!!」と舌打ちしながら露骨にそっぽを向いて、軽蔑の意を示します。

インサーンの追従は自分への賛美だと肯定的に受け取ったワルズ・ギルも、
ダマラスの祝賀の言葉は卑屈な追従だと見なして軽蔑したようです。
それは結局、ダマラスが本心では自分を陥れようと画策している敵だと見なしているからであり、
自分が海賊に勝利して英雄になったから途端にダマラスが本心を隠して掌を返して取り入ろうとしていると、
ワルズ・ギルは見なしているのです。

ワルズ・ギルにソッポを向かれてしまい、
自分が相変わらず酷い誤解を受けたままであることを痛感し、ダマラスは苦しげに呻きます。
このままワルズ・ギルに誤解されたままでは自分の身が危うくなると思ったのでした。

確かにこの海賊討伐作戦の成功によって地球征服作戦の成功も間違いない状況となり、
全てはワルズ・ギルの手柄となります。
もともと地球征服作戦の手柄は全てワルズ・ギルの手柄となる手筈ではありましたが、
それはダマラスの予定としては自分が実質的には成し遂げた地球征服の手柄を
ワルズ・ギルに献上するはずのものでした。
そうなれば自分は次期皇帝のワルズ・ギルに恩を売ることになり、
自分にとってもそう悪い話ではないと思っていたのです。

ところがこのままではワルズ・ギルは自力で地球征服の手柄を立ててしまい、
しかも酷い誤解で自分のことを憎んでいる。
そうなるとダマラスは英雄となり次期皇帝となったワルズ・ギルにいずれは粛清されてしまう可能性が高い。
それでダマラスは困り果てているのです。

しかし困っていると同時に、ダマラスは1人のザンギャックの重臣として喜びも感じていました。
それは、今回の海賊討伐作戦でワルズ・ギルがグレートワルズを見事に操って
あの手強い海賊に完勝するとまではダマラスは予想していなかったのですが、
それが意外にも上手くいったので、
自分や皇帝に敵意を抱くことでワルズ・ギルが今までの甘いボンボンから脱却して
大きく成長したことが分かったからでした。

それが分かっているからこそ、
ダマラスはワルズ・ギルがこのまま自分の力を借りることなく地球を自力で征服して英雄となり
文句無しの次期皇帝となることを予期したのであり、
それゆえにこそワルズ・ギルに誤解されて憎まれた自分の将来を悲観する羽目となっているのですから、
非常に複雑な心境でした。
帝国の忠臣としてはワルズ・ギルの成長は嬉しいが、
自分の身はもちろん可愛いので今の展開は非常にマズいとも想うのでした。

ただ、こうして自分に向けられるワルズ・ギルの酷薄な敵意を実感することで、
ダマラスは、このあまりに巨大なザンギャック帝国、
広大な宇宙を1人の独裁者として一手に統治するために必要な資質は、
決して人間的な温かみなどではなく、こうした酷薄さや冷酷さなのだろうと思えてくるのでした。

多様な世界を併合して1つのルールで縛って統治する広大な帝国の独裁者は、優しくては務まりません。
むしろ冷酷なまでの厳しさが必要であり、恐ろしく孤独な立場です。
それに耐えるだけの酷薄な精神が無ければいけない。
今までのワルズ・ギルはあまりに甘えていて、その酷薄さが徹底していなかった。
あるいは自分が犠牲となることでワルズ・ギルの酷薄さが完成するというのなら、
それも自分のザンギャックの重臣として帝国に貢献する1つの運命であったのかもしれない、
などともダマラスは考えてしまうのでした。

さて、ここで場面は変わって、ガレオンが墜落したと思しき山中では、ゴーミン達が大勢走り回っています。
こいつらはバリゾーグに率いられた、マーベラス一味の死体を回収するための部隊であり、
どうやら山中の何処にガレオンが墜落しているのか、まだ掴めていないようで、あちこち走り回って探しています。

そのゴーミン達の様子を岩陰に隠れてハカセが窺って「うわぁ・・・どうしよう?」と困っています。
豪獣ゴーカイオーからの強制脱出の際にハカセはルカとアイムと一緒の地点に飛ばされて、
それから3人で一緒にこの山中までやって来てガレオンを探していたのですが、
そこにゴーミン達が大勢やって来たので慌てて隠れたのです。

ハカセは岩の上から出してゴーミン達を眺めていた頭を引っ込めて、
岩陰の奥の方に隠れているルカとアイムのところへ戻ってくると、
「ザンギャックの奴ら、僕たちを探してるみたい」と報告します。
それを聞いてルカも悔しそうに「落ち武者狩りならぬ、落ち海賊狩りってヤツね・・・」と呟きます。

ザンギャック側はマーベラス一味は皆死んだと思っているので
ガレオンの中に転がる死体を探しているだけなのですが、
ハカセやルカにはそんな事情は分からないので、
てっきり自分達がこの山中に身を隠しているのを見つけようとしているのだと思い込んでいます。
むしろ、このガレオンが墜落した山の中がそういう状況になることは半ば予想していたようです。

そういう危険な状況となることが分かりきっているなら、
わざわざこの山までやって来ることもないはずなのですが、
自分達を脱出させた後、1人でガレオンと共に墜落したマーベラスが心配なので
3人はこの山へ来ないわけにはいきませんでした。

「マーベラスさんは大丈夫でしょうか・・・?」と、
アイムはこんなにゴーミンがウロウロしている状況では既にマーベラスは捕らわれているのではないかと心配します。
というより、グレートワルズのワルズギルティを喰らって大爆発を起こして
ガレオンが吹っ飛んでいったのを3人とも見ているので、
本当はマーベラスが生きているのかどうかも心配な状況なのですが、
とにかくマーベラスがきっと生きているという前提でここまで懸命に駆けてきているのです。

しかしアイムの言葉で、その最悪の可能性が3人の頭をよぎり、沈黙が少しその場を支配します。
その空気をかき消すようにハカセが「大丈夫だよ!マーベラスだもん・・・」と努めて明るく言います。
マーベラスが死んだりするわけがないと、ハカセは思おうとしました。
しかし、3人は微妙な表情のままです。
あの大爆発では無事だという保証は無いということは分かっているのです。

そう考えると、どうしてマーベラスはあんな行動をとったのだろうかと考えざるを得ません。
つまり、他の仲間を脱出させて自分だけガレオンに残ったことです。
確かにあの敵のロボットには全く歯が立たなかった。
あのまま戦い続けていたら全員あの場で死んでいたでしょう。
だから「脱出」というマーベラスの判断自体は正しかったと思う。
しかし何故、マーベラスだけが残る必要があったのか?

もちろん1人だけ残って持ち堪えている間に他のメンバーが脱出する方が他のメンバーは安全に脱出できるが、
それでは残った1人が危険すぎます。
どうせ脱出するなら全員で一斉に脱出すればよかった。
危険度は増すから誰かは犠牲になるかもしれないが、それはもう賭けでやるしかない。
戦いに負けた以上、全員それぐらいのリスクは覚悟している。
全員で一斉に脱出して、運の悪い者は死んで、運の強い者が生き残るという形でよかったのではないかと
3人は思いました。
何もマーベラスだけが犠牲になって他の5人を守る必要は無い。

それに3人から見て不可解だったのは、
マーベラスが自分達を脱出させた後、
爆発するまでの間に自分が脱出するように努力したように見えなかったことでした。
つまりマーベラスは最初から自分が犠牲になって他の仲間を守ろうとしていたように見える。
どうしてマーベラスはそんなことをしようと思ったのだろうかと3人は不思議に思い、
おそらくあの船室でのマーベラスと鎧の遣り取りを聞いた時に感じた違和感が関係しているのだろうと思いました。

あの時、マーベラスは鎧にマーベラスにとっての「守る」ということが何なのか質問されて、答えられなかった。
あの時、ルカ達3人も自分にとっての「守る」ということを考えてみて、
やはりマーベラス同様、答えは出せなかった。
ザンギャックから逃げ続けてきた自分達は「守る」ということはよく分からないのです。
それはマーベラスだって同じはずであり、だからマーベラスが答えられなかったのは当然でした。
しかしマーベラスは妙に長時間考え込んでいました。
ちょっと考えれば答えが出せないことは分かるはずなのに、
変に長く悩んでいるので変だとはルカ達も違和感は覚えていたのです。

しかし、あのマーベラスの自己犠牲的行動を見た今となっては、
ルカ達はその違和感が何であったのかハッキリ分かりました。
マーベラスはきっとあの鎧に質問された時、
我が身を犠牲にして戦ってマーベラスの夢を守ってくれたアカレッドのことを考えていたに違いない。
そして、アカレッドに憧れて海賊になったマーベラスは、
そういうアカレッド的な行動こそが自分が見習うべき「守る」という行動なのだと思ったのだろう。
ちょうど鎧との会話の時にそういうことを考えていたものだから、
その直後にグレートワルズの攻撃に絶体絶命に追い込まれた時、
マーベラスは咄嗟にああいう「自分が犠牲になって戦って、仲間の夢を守る」という行動に出たのだろう。

そう考えると、ルカは少し呆れてしまい、
「・・・まったく、独りで無理しちゃってさ!」とマーベラスの行動に文句をつけます。
アカレッドへの憧れが強すぎてそういう行動に出たのだろうけど、
あの状況で1人残って戦うなんて無茶もいいところで、
全員で一斉に脱出するか、あるいはマーベラスが最後に遅れて脱出すべきだったと思ったのです。

あれほど強大な相手と戦って何かを守るなんて、そもそも無理なのです。
いや、マーベラスは無理は承知でやったのでしょう。
だから死は覚悟していたのでしょう。
だから5人を守ることは確かに出来たのかもしれない。
しかし、今まではザンギャック相手にヤバい状況になったら逃げて生き延びてきたのです。
それなのに急に死ぬ覚悟なんか持って、しかも自分達を助けるために戦われても困ってしまう。

ルカはマーベラスに自分達を守るために死んでほしくはないのです。
だからマーベラスは逃げて生き延びようとしてほしかった。
そうした自分の気持ちが分かってくれないマーベラスがルカは少し腹立たしかった。
それでつい文句も言いたくなるのでした。

一方、ハカセとアイムもマーベラスに逃げて生き延びるという努力をしてもらいたかったという点では
ルカと同感でしたが、
ああいう行動をとったのはマーベラスが「船長」という立場の責任を
「仲間を守ること」だと考えていたからなのだろうと肯定的に評価していました。
ガレオンの前の船長であったアカレッドが、
その死をもってマーベラスに船長としての責任の取り方を教えたような形になっているので、
マーベラスとしてもそれを見習って、今回は船長の責任をとったつもりなのだろうと思っていました。

もちろんハカセもアイムも船長の責任をとるよりも、
マーベラスが生き延びるために脱出してくれた方がよかったと思っていますが、
マーベラスが船長の責任をとることを選んだとしたら、
それは確かにマーベラスらしい行動ではあるというふうに、一定の理解はしていました。

そうこうしていると、ゴーミン達がルカ達3人の隠れている岩陰の方までやって来ます。
慌てて3人は更に奥の岩陰に隠れます。
戦えば勝てないわけでもないが、とにかく今はマーベラスを助けだすのが先決であり、
ザンギャックと戦って消耗したり警戒を強めてしまうことは避けねばならない。
今はとにかく追手からは逃げるしかない。
「とにかく戦ってるヒマは無い!急ぐよ!」とルカはハカセとアイムに声をかけて、
ゴーミン達とは反対側に駆け出します。

ハカセもアイムもそれに続いて駆け出し、
アイムは「ジョーさんと鎧さんも、探さなくてはいけませんね・・・」と応じます。
脱出時に別々の場所に不時着して今は所在不明のジョーも鎧も、
きっと自分達と同じようにマーベラスを助け出そうとして、この山に来ており、
この山中のガレオンを探して、自分達がガレオンに近づいていけば
ジョーや鎧ともきっと自然に出会えるに違いないと、ルカ達3人は思っています。

そのジョーですが、やはりアイムの言う通り、同じ山の中を駆けていました。
ただジョーの駆けている辺りはルカ達のいた辺りよりは見晴らしがよく、ゴーミン達はいませんでした。
それゆえジョーは未だザンギャック軍がこの山中に展開していることは知らず、
とにかくひたすらガレオンの姿を求めて走り回っていたのでした。
この山中に墜落しているであろうガレオンを見つけて、
その中でマーベラスが生きているのを確認して救出するためにジョーは必死で駆け回っているのです。

ジョーもワルズギルティを喰らったガレオンが爆発して吹っ飛んでいくのを見ていますから、
マーベラスが生きていると確信は出来ていません。
マーベラスが生きていることを確信しているというより、
生きていてほしいという切なる願いがジョーを動かしていると言っていいでしょう。
「マーベラス・・・生きてろよ!」と切羽詰って呟きながらジョーは駆けます。

そこまでジョーが切なる想いでマーベラスの生存を願うのは、
もちろん単純に仲間だから生きていてほしいというという想いもありますが、
このままマーベラスに死なれては自分が惨めすぎるという想いが、
ジョーに強くマーベラスの生存を念じさせていたのでした。

ジョーもまたルカ達と同様に、鎧とマーベラスの船室での「守る」ことについての問答を聞きながら、
自分の「守る」について考え、
シドが自分の夢を命を捨てて守ってくれたことこそ、自分が目指すべき「守る」という姿勢だと悟り、
イザという時は自分もシドのように仲間の夢を守るために命を張ろうと思いました。
このザンギャックの支配する宇宙で逃げ回ってきた自分の守れるものなど、それぐらいのものだと思ったのであり、
それだけは守り抜くのがせめてもの自分の意地だと思ったのでした。

ところがマーベラスも同じようなことを考えていたことにジョーは気付いておらず、
不意打ちのようにマーベラスの方が命を張ってジョーを守ってしまった。
そうなると、ジョーはこれでシドの時に続いて、
また仲間の命を張った行為によって守られてしまったことになります。
仲間の夢を命を張って守るなんて言いながら、結局はまた守られてしまったのです。

つまり自分は全然誰も守れてはいない。
シドの命を捨てさせた時と何も変わらず、「守る」ことなんて出来ない弱い人間だったのです。
弱い人間だから守られてばかりで、
自分が弱いせいで仲間が自分を守るために命を落としていく。
そう思うとジョーはあまりに自分が情けなかった。

だから、それを必死で否定したかったのです。
自分は弱くない、仲間を守ることが出来る強い人間だと思いたかった。
そう心から思うためには、今度こそ仲間を守らなければならない。
自分を守るために命を張ったマーベラスがこのまま死んでしまえば、
自分は弱い負け犬であることが確定してしまう。
だからマーベラスを今度は自分が助けなければならない。
マーベラスを助けることが出来れば、自分は仲間を守ることが出来る強い人間に成長したといえる。

だから、ジョーは自分のプライドを取り戻すために、
必死でマーベラスを救い出そうとして走っているのでした。
しかし、マーベラスがもし爆発時や墜落時に死んでしまっていては、もうどうしようもない。
だから、ジョーはガレオンを探して駆け回りながら、
マーベラスがまだ生きていることを願わずにはいられないのでした。

ところが、そうして全力で山腹の台地に駆け入ってきたジョーの前に予期せぬ敵が立ちはだかります。
そこに立っていたのはバリゾーグでした。
ジョーはその姿を見て「バリゾーグ・・・!」と驚きの声を上げて立ちつくします。
まさか、ここで因縁の相手であるバリゾーグに会うとは予期していませんでした。
が、冷静に考えれば、ガレオンが墜落したこの山に
ザンギャックが自分達の生死の確認のために山狩りをかけてくるのは当然のことだとジョーは悟りました。
その指揮官がバリゾーグなのだろうが、
それにしてもこんな時にバリゾーグにバッタリ出くわすとは、ツイてないとジョーは思いました。
今はとにかくマーベラスのもとへ急がねばならないのであり、バリゾーグと戦っている場合ではない。

一方、バリゾーグの方も、いきなりジョーに出くわして
「ゴーカイブルー・・・生きていたのか?」と少し驚いた様子です。
グレートワルズの攻撃を喰らって、ジョーをはじめ海賊たちは皆、死んだと思っていたようです。
おそらくバリゾーグは死体回収だけの簡単な任務ということでゴーミン達にガレオンを探させて、
自分は1人でこの台地に待機して山の中に展開した各隊からの報告を待っている状況だったのでしょう。
そこにいきなりジョーが生きた姿で飛び込んできたものですから、少々驚きました。

そのバリゾーグの質問に、ジョーはバリゾーグに向かい合って立ち、
「ああ・・・不本意ながら、仲間に守られてしまってな・・・」と答えます。
皮肉なことに、ジョーがかつて不本意ながら仲間の命を犠牲にした行為で守られてしまった時、
そのジョーを守ったシドのなれの果ての姿が目の前のバリゾーグでした。
ジョーの言葉にはそうした感慨が多少込められていたが、
シドとしての記憶を奪われたバリゾーグにはそんなことは分かるわけもなく、
「ワルズ・ギル様のためだ・・・私がここで始末する・・・!」とジョーに向けて剣を構えます。

今回の作戦はワルズ・ギルが海賊を排除することが目的です。
だから海賊の一味の者がこうして生きて動き回っているのを許すことは出来ない。
自分の手でジョーを始末してワルズ・ギルの作戦の成果を完璧なものにしなければいけないと
バリゾーグは思ったのでした。
それに、海賊の分際でどういうわけか帝国の皇太子ワルズ・ギルの忠臣である自分と同じ技を使う
この目障りな男の存在そのものがワルズ・ギルへの冒涜であると思っていたバリゾーグは、
今度こそジョーの息の根を止めることがワルズ・ギルへの忠義の証であり、
ワルズ・ギルを守ることになるとも思ったのでした。

そうして剣を構えたバリゾーグに対して、ジョーはゴーカイブルーのレンジャーキーを出して
「・・・そうはいかない・・・!」と強く言います。
こうなれば戦いは避けられない。
今、自分は仲間に守られて生きながらえてきた弱い自分を乗り越えて、
仲間を守ることが出来る強い自分になろうとしてマーベラスのもとへ駆けている。
その「弱い自分」というものを自分の心に刻みつけた根源の想い出がシドの死でした。
そのシドの亡霊といえるバリゾーグが、
あくまで自分の「強い自分」への成長を阻止しようとして立ちはだかるというのなら、戦って突破するしかない。
いや、今こそ、シドの亡霊を倒して乗り越えなければならない時なのだとジョーは思いました。

そうして戦う決意を固めて、
ジョーはバリゾーグに向かって駆け出しながら
モバイレーツにゴーカイブルーのレンジャーキーを挿し、
「豪快・・・チェンジ!」と掛け声をかけ、ゴーカイブルーに変身し、
ゴーカイサーベルを振りかざして突っ込んでいったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 09:33 | Comment(0) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月26日

第38話「夢を掴む力」感想その3

さて、ジョーがバリゾーグと戦い始めた頃、鎧はどうしていたのかというと、
やはり鎧もマーベラスを助けるためにこの山の中に入ってきており、
そこにゴーミン達が出現して山狩りを始めたので、
他の仲間の安否が分からない状態で騒ぎを起こすのは得策ではないと思い、
慌てて姿を隠して逃げ回っていました。

山道をウヨウヨ歩いているゴーミン達を木の上に登って見下ろしていた鎧は、
ゴーミン達がその場を去って別の場所へ行くと、地上に降りてきて
「ザンギャックの奴ら・・・いったいどんだけ居るんだよぉ・・・?」とブツブツ言います。
マーベラスはガレオンと共に吹っ飛んで安否不明で、
他の仲間は自分と同じようにその直前にマーベラスによって強制的に脱出させられたと思われますが、
無事なのかどうか分からない。

ただ、脱出した仲間に関しては、自分がこうして無事なのだから、
おそらく同じように安全な場所に不時着はしたのだと思うが、たぶん皆バラバラになっており、
そして皆、自分と同じようにマーベラスを助けるためにこの山に向かっているはずだと鎧は確信していました。
しかし、これだけ山の中にザンギャック兵達がいるとなると、
バラバラに行動する仲間たちは既に山中でザンギャックに発見されて捕らわれてしまったかもしれない。

それにこの山に落ちたはずのガレオンが沈黙しているということは、
マーベラスが生きていたとしても動けない状態にある可能性は高く、
それならザンギャックに既に捕らわれているのかもしれない。
もし、そうなれば自分はもうこの山の敵の中で独りぼっちなのかもしれないと、鎧は不安な気持ちになりました。

その瞬間、背後から鎧の肩を誰かが掴んで「鎧!」と呼びかけます。
鎧はビクッとして、何時の間にか敵に囲まれて背後から肩を掴まれたと思い、
反射的に「うわっ!わ〜!わ〜!」と騒いで必死で肩の手を振りほどき、
振り向いて自分の身を守ろうとして手で自分の身体をガードしますが、
肩を掴んでいた者は素早く鎧の首に腕を回して締め付けてきます。

それで鎧も一瞬、必死に抵抗しますが、
「・・・大声出したらゴーミンに気付かれるでしょ!」と耳元で怒鳴る声を聞いて、
横目でチラリとその声の主を見ると、それはルカでした。
ルカは鎧の姿を発見して声をかけたら鎧がいきなり大声を出して暴れたので、
ゴーミン達に気付かれてはいけないと思って、慌てて鎧を黙らせようとして首を絞めていたのでした。

鎧は思わずガバッとルカの肩を抱き「ルカさぁん!?」と喜びますが、
馴れ馴れしくお触りしたのでルカにビンタを喰らい、「いて!」と顔をそむけます。
すると、その視線の先にはハカセとアイムも立っています。
それを見て、鎧はルカとハカセとアイムが既に無事に合流済みであったことを理解しました。
「ドンさんに、アイムさんも!・・・皆さん、無事だったんですね!」と鎧は安堵して笑顔になります。
3人の無事が確認出来た安堵と、仲間と合流出来たことによって
孤独感から解放された安心感が鎧を明るい気分にさせたのでした。

しかし、ハカセはどうやら鎧が1人で行動していたらしいということが分かると、
「・・・まだ、ジョーがいないけどね」と、未だ合流出来ていないジョーのことを心配して、笑顔にはなれません。
鎧の姿を発見した時、あるいはジョーも一緒なのかとも思ったのですが、
鎧の様子を見ると、どうやらジョーとは一緒ではないことが分かったのです。

鎧も無事でこの山に来ているということは、おそらくジョーも無事で、
別ルートでこの山に来ているはずだとハカセは思いましたが、
自分達と鎧がそれぞれ山中を彷徨っていて未だにジョーと遭遇していないということは、
ジョーはもしかしたらザンギャックの拠点の近くを彷徨っているうちに、
自分達と遭遇する前にザンギャックと遭遇してしまい、身動きが出来ない状況なのかもしれないとも思えたのです。

そして、それ以上に心配なのがマーベラスの安否です。
アイムもハカセに続いて重い口調で「それに・・・マーベラスさんも・・・」と、
まだ自分達はマーベラスの安否が確認出来ていないことを鎧に伝えます。
鎧はアイムの口からマーベラスの名が出たことで表情を変え、笑顔は引っ込んで沈んだ表情になってしまいます。
マーベラスとジョーが未だに見つかっていないと知って安堵している場合ではないと分かったこともありますが、
鎧が沈んだ顔になったのは、それだけが原因ではありません。
マーベラスの名を聞いたことで、
自分が必死になってマーベラスを見つけ出そうとしている理由を想い出したからでした。

それはマーベラスに生きていてほしいという想いだけではない。
鎧はマーベラスに会って、聞きたいことがあったのです。
そして、それは鎧にとって非常に深刻な問題だったのです。
鎧はルカ達3人に背を向け、数歩進んで
「あれが・・・マーベラスさんにとっての、“守る”って意味だったんでしょうか・・・?」と問いかけます。
これが鎧がマーベラスに聞きたいことでした。

「あれ」というのは、つまりマーベラスが自分だけ豪獣ゴーカイオーに残って仲間を脱出させたことです。
鎧は自分との問答でマーベラスが「守る」ということについてのマーベラスなりの答えを示さなかったのは、
ジョーに事情を聞いて、それがザンギャックから何かを守るということが
非常に困難なこの宇宙においては大変な難問であるからだと思っていました。
しかし、実際はマーベラスは自身にとっての「守る」ということがどういうことであるのか、
答えを秘かに出していたのではないかと鎧は思いました。
だから、マーベラスはああいう自己犠牲的な行動に出たのではないかと鎧は考えていました。
つまり、「自分の命を犠牲にしてでも仲間の命やその夢を守る」ということが
マーベラスの「守る」ということなのではないか?
マーベラスはそういうつもりなのではないか?と鎧は疑念を抱きました。

何故そう思えるのかというと、
ジョーからマーベラスにとってのアカレッドの行動の意味の持つ重さを改めて教えられたからです。
つまり、ジョーの話を聞いた上であのマーベラスの行動を見て、鎧は気付いたのです。
アカレッドが自分の命を捨ててマーベラスの夢を守ったことが、
マーベラスにとっての唯一知り得る「ザンギャックから何かを守りきった実例」だということに気付いたのです。
だから、マーベラスにとっての「守る」とは、
「自分の命を犠牲にしても仲間の命や夢を守ること」なのではないかと鎧は思ったのでした。

ルカ達3人も、マーベラスがあの時、自分を犠牲にして仲間を守ろうとしたのだと理解しており、
マーベラスがそれをアカレッドを倣って自分にとっての「守る」という行為なのだと
思い込んでいるのだろうということも想像していました。
鎧はほぼそれと同じことを言いつつ、
ルカ達に、そうした行為は本当にマーベラスにとっての「守る」ということに当たるのだろうかと疑問を呈している。
そのように3人は解釈しました。

ただ、どうして今そんなことを鎧が言い出すのか、
しかも背を向けて深刻そうな声で質問してくる意味が3人にはイマイチよく分かりませんでした。
それでルカはちょっと不思議そうな顔をして
「さあ?・・・自分がアカレッドにしてもらったことを、あたし達にしたってことでしょ?」と、
少し呆れた口調で答えます。

ルカは、確かにあれは自分達を守ってくれた行為だったとは認めていましたが、
マーベラスが単にアカレッドに憧れて、その真似をしただけの行為だと思っていました。
だから行為自体は「守る」行為としては立派ではあるが、
本来のマーベラスらしい行為ではないと思っていました。
だから、あれが本当のマーベラスにとっての「守る」ということなのかと問われれば、
それは違う、いや、違うはずだというのがルカの答えでした。

一方、ハカセとアイムはもう少し肯定的に、
あれはマーベラスがアカレッドから引き継いだ船長としての責務を果たして
仲間を守ろうとした行為だと見なしており、
「ああ見えて責任感強いからね!」「マーベラスさんらしいです・・・」と苦笑いしつ、視線を落とします。
つまり、個人的にはマーベラスが自分の身を危険に晒すような行為は決して嬉しくはないが、
あれがマーベラスなりの「守る」という行為であるという考え方自体は認めており、
実際にそれによって自分達が助けられたのも事実だと認めているのがハカセとアイムのスタンスだといえます。

ルカもハカセもアイムも、3人ともマーベラスの自分の命を粗末にした行動は歓迎してはいなかったし、
マーベラスが犠牲になって自分達が助かったとしても、嬉しくはなかった。
自分だけカッコつけて残って、もし死んだりしたら、残された自分達がどれだけ悲しむか、
マーベラスは何も考えていない。
どうして自分達と一緒に脱出してくれなかったのかと、3人はマーベラスに対して不満を抱いていました。

というより、マーベラスがそういうバカみたいに責任感の強いヤツだということが分かっていながら、
マーベラスの行動を予測出来ず、マーベラスを見殺しにしてしまった自分達を情けなく思っていました。
自分達がもっとよくマーベラスを観察して、その様子がおかしいことに気付いていれば、
マーベラスを助けることが出来たかもしれない。

そう、結局、ルカ達3人を突き動かしていたのは、マーベラスを守ることが出来なかったという後悔でした。
むしろ、自分達が船長のマーベラスを守るべきだったのに、守れなかった。
だから、これ以上悔やみたくないから、今からでも急いでマーベラスを助けようと思っているのです。

つまりルカ達は自分達がマーベラスと同じように自分にとっての「守る」ということを
確立出来ていなかったのが間違いだったと思っているのです。
自分達もマーベラスのように「自分の命を捨てても仲間を守る」という想いを強く持てていれば、
マーベラスに先を越されることもなく、結果的には全員脱出できたかもしれない。
それが出来なかったのは自分達が「守る」ということを心の中に確立できていなかったせいだ。
だから今、非難されるべきは、マーベラスの「守る」という意識がどうであるかではなく、
自分達の「守る」という意識が曖昧で薄弱であったことでした。

そして、その原因は、自分達が今までザンギャック支配下の宇宙で
何も守りきった経験が無いせいだということも分かっています。
逃げてばかりいた自分達には「守る」という意識が希薄で、そのせいで結局マーベラスを助けられなかった。
だから、今、問われるべきは自分達の「守る」という意識であるはずでした。

ところが鎧はマーベラスの「守る」という意識を問題視し、どうやらそれが不満な様子なので、
ルカ達は不思議に思いました。
マーベラスの行為はどう見ても立派に「守る」行為のように思えました。
「自分を犠牲にして仲間を守る」という行為はどこからどう見ても「守る」行為そのものであり、
それをまんまと1人でやられてしまったことが自分達の後悔の元となっているのだと、ルカ達は思いました。
非難されるべきは、マーベラスと同じ「守る」行為が出来なかった自分達の方であり、
マーベラスの行為そのものが非難されるのはおかしいとルカ達は思いました。

ところが鎧がマーベラスの行為を、まるでそれは「守る」行為ではないかのように非難がましく言うので、
ルカ達は何か妙だと思いましたが、一応鎧に対して、
マーベラスの行為は「守る」行為にあたるという見解を述べ、一応マーベラスを弁護したような形となりました。

ところが、そうすると鎧はルカ達の方に振り向いて
「・・・皆さん、それでいいんですか?」と真剣な表情で問いかけてきます。
ルカ達3人は「え・・・?」と呆気にとられました。
さっきまで鎧がマーベラスを非難していたと思ったら、今度は急に自分達が非難されたのですから、
よく意味が分かりませんでした。
それに、どうしてマーベラスのあの行為が「守る」行為にあたるとしたら、自分達に不都合なのか、
その理屈がさっぱり分かりませんでした。

むしろ自分達はマーベラスの行為を立派な「守る」行為だと認めて、
それを見習って今度は自分達が自らが犠牲になってもマーベラスを助けようとして、
こうしてザンギャックがウロウロする山中を進んでいるのです。
鎧だってそのつもりでこの山に来ているはずではないか。
そうした自分達の行為まで否定するつもりなのか?とルカ達は鎧の発言に驚いたのでした。

そうして呆気にとられる3人に向かって鎧は必死な眼差しで
「確かに、マーベラスさんらしいかもしれません・・・すっごい男らしいかもしれません・・・!」と言います。
鎧は実はマーベラスの「自分を犠牲にして仲間を守る」という行為が自分達を「守る」行為だったことは認めている。
それは確かに立派であり男らしい、責任感溢れる行為であり、マーベラスらしい行動だったと認めています。
つまり、ルカ達の言っていることを否定しているわけでも非難しているわけでもないのです。
ただ、どうしてもそれを受け入れることが出来ないのです。

鎧は苦しそうに首を振って「・・・でも・・・俺には納得がいきません!」と絞り出すように言うと、
またルカ達に背を向けてしまいます。
鎧は、ルカ達の言い分はよく分かるし、
自分もルカ達のようにマーベラスの行動を自分を守ってくれたのだと素直に認めるべきだと思っています。
それを認められないのは自分のエゴだと思っています。
しかし、それでもどうしてもマーベラスの行動が自分を本当の意味で守ってくれたとは納得が出来ない。

しかし、その自分の考えをルカ達に理解してもらえる自信は無い。
というより、そのような考えを主張すること自体がいけないことのように思える。
それだけ自分とルカ達とは根本的に感性の違いがあるのです。
マーベラスの行為について考えれば考えるほど、語り合えば語り合うほど、
ルカ達と自分との間を隔てる距離のあまりの遠さに、鎧は悲しい気持ちになってしまうのでした。
それでルカ達を正視出来ずに、鎧はこうして核心に触れる話をするたびに3人に背を向けてしまいたくなるのです。

しかし、ルカは鎧が何を言いたいのかよく分からず「・・・納得?」と聞き返します。
鎧は背を向けたまま、自分の考えを3人に言っていいものかどうか少し躊躇し、そして遂に思い切って
「俺は・・・マーベラスさん一人に背負ってほしくなかったです・・・」とゆっくり自分の心境を語り出しました。
そして、勇気を出して3人の方に振り向くと、
「仲間なら!・・・俺たちを守るんじゃなくて・・・最後まで一緒に、戦いたかったです・・・!」と声を絞り出しますが、
自分を見つめるルカ達3人の視線に驚きと戸惑いの色を感じ、
そこに共感の色を感じ取れなかったことに、やはり言い知れぬ悲しみと孤独感を感じて、
思わず下を向いて鎧は涙ぐんでしまうのでした。

一方、ルカ達3人は鎧のその言葉を聞いて驚きました。
鎧はマーベラスが自分達と一緒に脱出しなかったことが不満なのではなく、
マーベラスが1人だけで戦おうとして、鎧を一緒に戦わせてくれなかったことが不満だったのです。
そして、その鎧の本心を知って、
3人はどうして鎧がマーベラスの行為を自分を守る行為として納得することが出来なかったのか、理解出来ました。

何故なら、マーベラスは自分が命を張ってまで鎧の夢を守ったつもりかもしれないが、
本当は鎧の夢を否定しているからです。
鎧の夢とは「地球や宇宙を救うためにザンギャックと戦って勝つこと」です。
鎧をザンギャックとの戦いの場から排除するということは、
マーベラスは鎧を守ったつもりかもしれないが、実際は鎧の夢を否定しているのです。
夢を否定された鎧が、マーベラスの行為を、守って貰えたなどと感謝出来るはずがない。

そういう鎧の気持ちは3人には瞬時に理解出来ました。
しかし問題はそこではありません。
鎧が「皆さんはそれでいいんですか?」と必死に問いかけてきたのは、
本当は鎧は自分達にも同じ気持ちであってほしいと思っているからだということが、
ルカ達3人には分かったのでした。

つまり、マーベラスが逃げなかったことを非難したり、
マーベラスを守れなかったことを悔やんだりするのではなく、
マーベラスと一緒に最後まで戦えなかったことを残念に思ってほしい、と鎧は自分達に求めてきているのです。
そういえば、あのグレートワルズに完全に追い詰められた時、
マーベラスをはじめ全員が絶望的な心境となった中で、鎧だけはあくまで戦おうとしていました。
だから鎧は戦いを諦めてしまったマーベラスや自分達を残念に思っているのだと、ルカ達は悟りました。

しかし、それは無茶だと3人は思いました。
あんな状況で鎧が諦めなかったのは、鎧が単に怖い物知らずなだけじゃないかと思いました。
鎧は地球人だから、ザンギャックの本当の恐ろしさを知らないのだ。
地球はまだザンギャックに征服されていないから、
だから地球人はザンギャックと戦って勝てるかもしれないなどと気軽に考えるのだ。

実際は宇宙でザンギャックに勝って星を守ることが出来た者など存在しない。
自分達はそのことを嫌というほど知っている。
だから、ザンギャックと戦って何かを守り抜けるとは思えない。
ずっと戦えばいずれは負けると思ってしまう。
グレートワルズに追い詰められた時、その時が来たと思ってしまった。
それで諦めムードになったのだ。

要するに自分達はザンギャックの強大さを知っている分、
どうしても鎧ほどは強い気持ちを持つことが出来ないのです。
悔しいけど、自分達は弱い人間なのだとルカ達は思った。
だから、ザンギャックの怖さを知らないゆえに怖い物知らずの強気を持っている鎧に、
自分と同じ強さを求められても困ってしまうと3人は思いました。
そして、やはり鎧と自分達は根本的に違うのだと、少し醒めた気持ちになって、3人は鎧をじっと見つめます。

しかし、下を向いて涙ぐんでいる鎧を見て、そうではないということに気付いたのでした。
そんな能天気な物を知らないゆえの強気で発言しているのなら、どうして鎧は涙ぐむ必要があるのか?
どうしてあんなに背を向けたりして躊躇して話をする必要があるのか?
だいいち、そんな無知ゆえの強気であったなら、グレートワルズの猛攻によって簡単に心は折れていたはずです。

つまり、鎧は誰かから聞いて、宇宙の現実は知っているのです。
そして、ルカ達が宇宙でどんな酷い目にあってきて、
それゆえ心の弱い人間になってしまっていることも知っているのです。
それらを全て知った上で、鎧はそれでも恐怖や絶望を乗り越えて、強い心をもって戦おうとしている。
そして、ルカ達のことを恐怖や絶望を乗り越えられない弱い人間だと見なして、
同情し、遠慮し、気遣ってくれているのだ。
酷い目にあったせいで心の弱くなってしまった3人に自分の強さを押し付けるのは申し訳ないと思って遠慮して、
自分の苦しい本心を言うのを躊躇して、結局それを言ってしまったことでルカ達を苦しませると思って、
それが申し訳なくて、涙ぐんでくれているのです。

そうした鎧の本心を全て悟ったルカ達3人は、なんとも惨めな気分になりました。
自分達は何時の間に、そこまで後輩に気遣わせる弱く情けない人間になってしまったのか?
3人は愕然として黙って立ち尽くすのでした。
そうして自分の弱さを自覚することによって3人は
自分達は弱いからマーベラスに守られたのだということに気付いたのでした。
マーベラスは自分達を見て、弱いから守ってやらないといけないと思ったのだ。
そして自分達は弱いから、それをマーベラスの立派な「守る」行為だと素直に受け入れてしまったが、
鎧だけは強いから、守られることが納得出来ず、自力で夢を掴もうとした。
自分達と鎧の真の相違点はそこだったのだと、3人は悟ったのでした。

さて、その頃、ジョーとバリゾーグの一騎打ちの方はどうなったのかというと、
なんとジョーはバリゾーグに押しまくられてしまっていました。
さっき倉庫の中で戦っていた時はほぼ互角の勝負に持ち込めていたというのに、いったいこれはどうしたことなのか?

剣の勝負でジョーを圧倒した挙句、バリゾーグが剣を地面に突き刺すと、地面を伝って電撃がジョーを襲い、
ジョーは崖から転落して「ぐわっ・・・!?」と一段下の台地の地面に思いっきり身体を打ちつけます。
そこにバリゾーグも飛び降りてきて、再びジョーに対峙して、いよいよジョーを追い詰めにかかります。
ジョーは立ち上がって「うおおおっ!!」と吼えて斬りかかりますが、
また斬り負けて吹っ飛ばされ、地面にうつぶせに倒れ込んでしまいます。

いったいこれはどういうことなのかというと、ジョーはバリゾーグに気後れしてしまっていたのです。
さっき倉庫の中で円月剣のぶつけ合いの勝負を演じた際、ジョーの円月剣とバリゾーグの円月剣は互角の威力でした。
ジョーにとっては、これはショックでした。
ジョーは自分こそがシドの魂を受け継ぐ者、
つまり自分の命を張ってでも仲間を守るために剣を振るう戦士なのだと思っており、
それゆえ自分はシドの技である円月剣を完全に使いこなせると自負していました。
対してバリゾーグは所詮はシドの剣の技だけをコピーした戦士であり、そこにシドの魂はこもっていない。
だからバリゾーグの放つ円月剣は偽物の円月剣であり、
真っ向からぶつかれば自分の本物の円月剣が負けるはずはないと思っていました。

ところが実際に真っ向からぶつけてみると、互角だったのです。
つまり、バリゾーグの円月剣も本物であり、
バリゾーグもまた誰か(おそらくワルズ・ギル)を本気で命を張って守ろうとして
剣を振るっているという点では自分にひけをとらない本物の戦士だったと認めざるを得ないとジョーは思いました。
つまり、ジョーとバリゾーグは互角というわけです。
実際、倉庫では互角の勝負でした。

それが何故、この山中の戦いではここまで一方的にバリゾーグ優勢になってしまっているのかというと、
ジョーがマーベラスを守ることが出来ず、逆に守られてしまったからでした。
これによってジョーの心の中で、自分がシドの魂を継ぐ本物の剣士だという自信が揺らいでしまい、
むしろワルズ・ギルを命を張って守る気持ちに嘘偽りは無く、
それをひたすら実践しているバリゾーグの方が、真にシドの魂を受け継ぐ戦士のように思えてきて、
倉庫では自分が本物のシドの後継者であり、バリゾーグをシドの偽物と見なして見下ろしていたジョーが、
ここでは心理的立場が逆転してしまい、
シドの偽物であったことが露呈してしまった自分が、
本物のシドの化身であるバリゾーグに追い詰められているような気分になってしまっていたのでした。
それで心理的に位負けしてしまい、押しまくられることになったのです。

バリゾーグは倒れ伏したジョーを見て勝利を確信し、
「残念だったな!せっかく仲間に救われた命だったのに・・・」と小馬鹿にしたように言います。
バリゾーグはワルズ・ギルに忠義を尽くしてひたすら守るようにプログラムされ、
それが戦士の誇りなのだと信じ込んでいますから、
先ほどジョーが「仲間に守られて生きながらえた」と言ったのを聞いて、
戦士の誇りの無い奴だと思って軽蔑していたのでした。
だから、仲間に救われて拾った命を必死になって守ろうとしているジョーの姿を見て、醜態だと思い、
からかうような言葉を浴びせて侮蔑したのでした。

ジョーはバリゾーグの言葉に込められた侮蔑の意思を感じ取り
「仲間に救われた命・・・」と、その言葉を復唱して怒りに震えます。
が、確かに自分で復唱してみて、惨めな響きだと思いました。
仲間に守られて生きながらえたような弱い自分の命をこうして地べたに這いつくばって必死で守って、
自分は何をしようとしているのか?
自分が必死になっているのは、マーベラスを救いに行くため、つまりマーベラスを守るためでした。
しかし、それは結局、マーベラスの命を「仲間に救われた命」としてしまい、
今の自分同様、マーベラスを弱い惨めな人間に貶める行為なのではないかということにジョーは気付きました。

自分は「守る」ということは立派な行いだと思っていた。
シド先輩の行為は立派だと思っていたからです。
いや、確かにシド先輩は立派な人だった。
だが、シド先輩が立派な人だったから、シド先輩の行為は全て立派な行為だと自分は思い込んできたのではないか?
シド先輩が自らの命を捨てて自分を守ってくれた行為は本当にこれ以上無いほどの立派な行為であったのか?

もちろんシド先輩の自己犠牲の精神は尊い。
だが、シド先輩に守られて命を救われたことによって、自分は弱い人間になってしまったのではないか?
いいや、そうではないだろう。シド先輩が自分を弱くするためにそんなことをするはずはない。
そうではなく、あの時の自分が弱かったから、シド先輩は自らの命を犠牲にして守るしかなかったのだ。
もしあの時、自分がもっと強ければ、2人とも自分の身は自分で守って、
2人一緒に戦って囲みを突破出来たかもしれない。

そう考えると、ジョーの脳裏にシドの最後の言葉が思い起こされます。
シドはジョーに「ザンギャックに逆らったからには逃げ続けるか死かだ」と言いました。
つまり、それはあの時点のジョーとシドの2人の運命を言っていたのです。
シドは死に、ジョーはその間に逃げるということです。
ジョーは弱かったから、シドの命を犠牲にして逃げるしか生きる道が無かった。
そして、そのジョーの弱さとは、ザンギャック支配下に生きる人間全ての持つ弱さでもありました。

しかし、その言葉に続いてシドは
「だが、俺たちは宇宙に生きる者として正しい道を選んだんだ!生きていれば宇宙の何処かで必ずまた会える」
と言ったのです。
これは今まで、ジョーは単にシドが自分たちの掲げた正義の正しさを主張しただけだと思っていましたが、
そうではなく、「だが」という言葉で結ばれている以上、
この「だが」以後の文は「だが」以前の文を否定する意味のはずです。

つまり「宇宙に生きる者としての正しい道」を貫くことによって、
「逃げるか死か」というザンギャック支配下の宇宙の現実を超える第三の道、
つまり「逃げずに戦って生き抜く」という道を選べるほどに強くなれるのだということを
示唆していたのではないかとジョーは気付きました。
今は逃げて、生きながらえて信じた正しい道を貫き通して強くなれば、
きっとまた出会って、今度こそ一緒に戦えるという、そういうシドからのエールだったのでしょう。

だから本当に一番立派な道は「自分を犠牲にして仲間を守ること」ではなく、
「仲間と一緒に逃げずに戦うこと」だったのです。
本当はシドはその道を選びたかった。
でもまだ仲間のジョーが弱い人間だったため、仕方なくシドは自分の身を犠牲にしてジョーを守るしかなかった。
そして、遺言でシドはジョーに「仲間と一緒に逃げずに戦うこと」が出来るような
真に強い人間になるよう求めたのだ。

そのシドの真意に気付いてジョーは立ち上がると「うおお!」と叫んでバリゾーグに突進して斬りかかり、
刃と刃をぶつけ合い、剣を絡めあって押し合いながら
「シド先輩!・・・いや、バリゾーグ!!」と呼びかけます。

目の前にいるのは確かにかつてのシド先輩のように
大切な相手を命を張って守ろうとする戦士であるバリゾーグだった。
そういう意味ではバリゾーグは確かに本物の戦士であり、決して偽物のシドではなかった。
大切に想い守る対象はすり替えられてしまっているが、
命を張って大切なものを守る一途さはシドそのものであり、シドの生まれ変わりと認めてもいい。
偽物のシドではなく、バリゾーグはある意味、本物のシドだったのだ。

しかし、それはシドという人間のほんの一部であり、シドの本当に理想としていた姿ではない。
本当のシド先輩はもっと大きく強い戦士を目指していた。
シドの遺言の本当の意味を知った今のジョーはそう断言できる。
だから、やはり目の前にいるのは本当のシド先輩ではない。
これはあくまでバリゾーグでした。
そのバリゾーグにジョーは問いたいことがあった。
ジョーは体を入れ替えて再びバリゾーグの刃に自分の刃をぶつけて激しく斬り合いながら、
バリゾーグに向かって
「・・・お前が忠義を通すワルズ・ギルは!・・・お前を命を張って守ってくれるのか!?」と問いかけます。

するとワルズ・ギルはジョーの刃を自分の刃で受け止めながら動きを止め、
ジョーの意外な問いかけに少し面食らったような風情となります。
バリゾーグにはワルズ・ギルがバリゾーグを守るために命を張るなどという事態は想定できない。
何故なら、あくまでバリゾーグはワルズ・ギルに忠義を尽くし守りきるためにプログラムされているのであり、
もし自分のためにワルズ・ギルが危険に晒されるのであれば、
バリゾーグはワルズ・ギルを守るために自分自身を排除しなければいけなくなるからだ。
それはつまり自分の存在意義を否定するということだ。
そういう結論に至る以上、バリゾーグはそのような危険なことは想定しないようになっている。
つまり、ワルズ・ギルがバリゾーグを守るという事態の想定は
バリゾーグのプログラムの中では除外されているのです。

ゆえに、一瞬の間のあと、バリゾーグは
「・・・ボスは私が守るべき存在・・・私をワルズ・ギル様が守ることは有り得ん・・・!」と機械的に答えて、
ジョーの刃をどかせて、ジョーの胴を剣で払って弾き飛ばします。
その攻撃を喰らって「うわっ!」と叫んで10mほど宙を舞って再び地面に倒れ伏したジョーですが、
「そうか・・・やはり俺たちとは違うな・・・!」と、何やら確信を持った口調で言いながら、
ぐぐっと身を起こしてきます。
バリゾーグはジョーの言葉の意味が分からず「なに・・・?」と言います。
しかし、もはやジョーはバリゾーグと会話はしておらず、心に中である確信に達していました。

この宇宙が今、過酷な状態となっているのはザンギャックが原因だとジョーは今まで思っていました。
ザンギャックさえいなければ、弱い者を守ろうとした勇敢な者が命を捨てる必要もないのだと思っていました。
しかし、それは自分の弱さゆえにシド先輩を死なせてしまった罪悪感を誤魔化すために
全てをザンギャックのせいにしていたに過ぎない。

実際は、世界は過酷な弱肉強食が現実なのであり、
ザンギャックが存在しなくても、その現実は何も変わらないのです。
過酷なようだが、この世界で弱い者は自力で生きていけない。
その弱い者を守ろうとすれば、命を捨てる羽目になる。
命を捨てなければ弱い者を守ることは出来ないのです。

むしろザンギャックはそうした宇宙の過酷な法則を利用して征服を進めて大帝国を築いたと言っていい。
つまりザンギャックは世界の弱肉強食の摂理に極めて忠実なのです。
まずザンギャックは決して弱い者を守ろうとはしない。
弱い者を守ると自分が破滅することを知っているからです。
そうして、執拗に弱い者を攻撃する。
すると、見かねて優しく強い人間が弱い者を守ろうとする。
優しく強い人間はザンギャックにとっては手ごわい敵なのですが、
弱い者を守ろうとすることで命を捨てなければならなくなり、ザンギャックから見れば弱体化して倒しやすくなる。
そうして優しく強い人間はいなくなり、ザンギャックは残った弱い者たちを脅して従わせればいい。

そうしていくうちに、大抵の強い者たちは弱い者を守って戦って犬死にすることの無意味を悟り、
弱い者を守らなくなり、ザンギャック側に与して弱い者を虐げるようになる。
こうして帝国の支配層を形成する酷薄な強者と、被支配層を形成する惨めな弱者に分化され、
見事に弱肉強食の法則に忠実な、非常に安定した支配体制が出来上がる。
この宇宙の弱肉強食の法則に逆らって弱者であるジョーを守ろうとしたためにシドは死ぬことになった。
つまり、ジョーの弱さがシドを殺したのです。残酷なようですが、これが真実なのです。

この宇宙の摂理に忠実なザンギャックの支配体制は一見盤石のように思えます。
しかし、それは宇宙の弱肉強食の摂理に支配されているゆえに不安定にならざるを得ないのです。
何故なら、宇宙の摂理は絶対なので、
どんなにザンギャックの支配体制によって保護されようとも、弱者は絶対的に弱者なのであり、
どんなに被支配態勢によって抑え込まれようとも、強者は絶対的に強者だからです。

すなわち、自らの意思で支配層の地位を勝ち取った者は確かに強者であり、
自らの意思で被支配層に落ちていった者たちは確かに弱者なのでしょうけれど、
それはあくまで第一世代の話であり、
そうした支配体制が出来上がった後に生まれた第二世代になると、
支配層に弱い者が生まれることもあれば、被支配層に強い者が生まれることもあり、
そういう者達はそれぞれ自分の住む階級に馴染めず、せっかく安定していた支配体制を乱す要因となるのです。

ジョーは自分の問いかけに対するバリゾーグの答えを聞いて、
バリゾーグの思考の中にワルズ・ギルがバリゾーグを守るために戦うという想定が
なされていないことを悟りました。
大原丈がバリゾーグの設計図を解析した結果、
バリゾーグの中でシドの剣技以外は全てシドの要素は消去されていると言っていたことをジョーは覚えています。
つまり、そうしたバリゾーグの思考は、シドの思考を引き継いだものでもなければ、バリゾーグ独自の思考でもない。
それはワルズ・ギルの意向で組まれたプログラムのはずです。
それゆえ、バリゾーグの答えを聞いてそこからワルズ・ギルという人間の人間性がジョーには分かったのでした。

つまり、ワルズ・ギルは自分を命を張って守ってくれる存在を欲しながら、
自分がその相手のために戦うことは絶対に無いという状況も欲したのです。
それはまさにザンギャックにだらしなく支配されていった弱い者たちの思考そのものでした。
要するにワルズ・ギルは強者の集まりであるザンギャック帝国の支配層の中枢の中の中枢、
よりによって皇帝の後継者という立場でありながら、弱い人間として生まれてきてしまったのです。

ザンギャック帝国の支配層を構成する強者たちは弱者を決して守ろうとはしない酷薄な連中ですから、
そんな連中の真っただ中で生きるのは、弱者であるワルズ・ギルにとっては辛いことのはずです。
表面上は優しく接してくれたとしても、酷薄な強者たちの弱者に対する本質的な冷酷さは
ワルズ・ギルは敏感に感じ取り、気が休まることは無かったでしょう。
だからワルズ・ギルは弱者を守ってくれる優しい強者を求めた。
弱い自分を守ってくれるヒーローを求めたのです。
それがバリゾーグだったのです。

そもそもワルズ・ギルはどうしてシドをバリゾーグに改造したのか?
剣技の優れた者なら他にもいたでしょう。
手当たり次第にたくさんのバリゾーグを作って自分の傍に侍らせることも出来たはずです。
しかしワルズ・ギルはバリゾーグを1人しか作らず、その素体はシドであることにこだわった。
それはつまり、シドが「弱い者を命を張って守って戦い捕らわれた戦士」であることを知っていたからであり、
そんな奇特な戦士は他に帝国中枢のワルズ・ギルの手の届く場所にはいなかったからでしょう。

ワルズ・ギルはシドならば弱い自分をひたすら命を張って守ってくれるヒーローになってくれると思い、
シドに自分への忠誠を求めたが、シドは当然拒絶し、
シドをどうしても自分を守る存在としたいワルズ・ギルは
シドをその戦士の武器である卓越した剣技だけ残して、自分の求める人格を植え込んでバリゾーグに改造したのです。

だから、ワルズ・ギルがシドをバリゾーグに改造したことと、
そのバリゾーグが一方的にワルズ・ギルを命がけで守るようプログラムされており、
ワルズ・ギルがとても大切な存在であるはずのバリゾーグを守るために何かをするという想定が
そのプログラムから全く抜け落ちていることから考えて、
ワルズ・ギルが本質的に極めて弱い人間であることが浮き彫りになってきたのでした。

そして、宇宙の弱肉強食の摂理は冷酷なほどに絶対であり、
それはたとえザンギャックの皇帝であろうが皇太子だろうが、その摂理の拘束力から逃れることは出来ない。
当然、バリゾーグもその拘束力から逃れることは出来ない。
すなわち、弱い者を守って戦う者は命を捨てる羽目になるのです。
バリゾーグは絶対的弱者であるワルズ・ギルを命を張って守って戦う限り、
ジョーを守って死んだシドや、マーベラスを守って死んだアカレッド同様、
そして地球を守りきる自信が無くて敗北の運命を予感するマーベラス一味の面々同様、
敗れ去り死んでいく運命から逃れられないのです。

ジョーは、そうしたバリゾーグの本質的な儚さ、脆さ、弱さを感じ取り、
バリゾーグは決して強くないのだと知ったのです。
それはジョーを守って死んだシドと同程度の強さであり、
シドが本当に目指していた強さには遠く及ばない弱い戦士でした。

現実にはバリゾーグはこれまで全ての戦いで勝利してきているが、
それは単に剣技があまりにも卓越しているからに過ぎない。
並の腕の相手ではバリゾーグの本質的な脆さなど発見する間もなく瞬殺されてきたのだろう。
しかし、同じレベルの剣技を有するジョーが押されるほどに強いというのはどういうことなのか?
それについてはジョーは、自分が今回初めて本気でバリゾーグと戦った際、
ちょうど船室での鎧とマーベラスの問答の影響を受けて、
かつてのシドのように命を捨てて仲間を守ろうという気持ちになっていたのがいけなかったのだと気付いていました。

それは仲間を自分が守らなければいけない弱者だと見なす考え方であり、
弱者を命を張って守ろうとするという点で、
弱肉強食の摂理に照らせば敗北が約束された脆弱な戦士の思考でした。
つまり、わざわざバリゾーグと同じ弱さのレベルまで自分で降りていってしまって、
心理的に対等の立場で勝負してしまったのです。
そうなると、悔しいが剣技は師匠のシドの技を完全にコピーしたバリゾーグの方が少し上なので、
どうしてもジョーはやや押され気味となったのです。
それが倉庫での戦いの真実でした。

そしてマーベラスに守られてしまったことで自分の弱さを強く感じてしまったジョーは、
ワルズ・ギルのような守られるべき弱者のレベルにまで心理的に劣勢となり、
この山中での戦いではバリゾーグに圧倒されてしまったのです。

ならばジョーはやはり今回も勝てないのではないかとも思えますが、
ジョーは先ほど、シドが真に目指していた強い戦士「仲間と一緒に逃げずに戦う戦士」を知ってから、
再び心理的に盛り返して、バリゾーグとそれなりに斬り合えるようになっています。
確かに劣勢ですが、その差は倉庫の時のように剣技の差による程度の僅かなものになってきつつあります。

つまり、自分が本来なるべきであった「仲間と一緒に逃げずに戦う戦士」という真に強い戦士となれば、
弱い者を守って戦う脆弱性からは解放されてバリゾーグよりも心理的優位に立ち、
剣技がほぼ互角の自分ならば、その心理的優位によって僅かな剣技の劣勢を跳ね返して
バリゾーグに勝利できると、ジョーは理解しているのです。

問題は、ジョーがその「仲間と一緒に逃げずに戦う戦士」となれるのかどうかです。
ジョーはかつてシドに守られた時はワルズ・ギル同様、単なる弱い者でした。
そして、命を捨てて仲間を守ろうとしていたジョーは
バリゾーグと同じように「弱い者を守ろうとする者」でしかありませんでした。
だから今のところ、ジョーはバリゾーグとそう変わらないように見えます。

しかしジョーはバリゾーグに向かって「俺たちとは違う」と言っていますから、
ここで明らかに自分はバリゾーグとは違うと思っている。
その違いとは、自分がマーベラスに守られたことを「不本意」だと感じていることでした。

シドに守られた時は悲しかったが「不本意」とは感じなかった。
それは心の奥で自分の弱さを認めていて、自分はシドに守られるべき存在だと見なしていたということです。
ところが今はマーベラスに守られて「不本意」だと感じているということは、
自分の身は自分で守れるぐらい強いのだという自負があるということです。
ところが強いはずなのにマーベラスに守られたことで弱い者扱いされたので「不本意」なのです。
このまま自分が弱い者として扱われるのが不満なのです。

そう考えると、どうして自分がこんなに必死にマーベラスを助けようとして走っていたのか、
ジョーは本当の気持ちが分かってきました。
本当はジョーはマーベラスを助けようとか守ろうとか思っていたわけではないのです。
マーベラスのことを自分が守らなければ生きていけないような弱い者だとは思っていないのです。
何故なら、強いはずの自分を守ったマーベラスが弱いはずがないからです。

そして、強い自分を守ったマーベラスが死ぬはずがない。
宇宙の摂理では、死ぬのは弱い者を守った者だと相場が決まっているからです。
マーベラスがもし死んだとしたら、それはジョーが弱いからだということになるが、
ジョーは自分が弱いなどとは毛ほども思っていないのだから、
ならばマーベラスが死ぬわけはない。
だから、きっとマーベラスは生きており、
生きている以上、強いジョーを守ったりするほど強いマーベラスがジョーに守ってもらう必要などあるわけがない。

つまり、「ジョーが強い」という前提ならば、
マーベラスは生きているし、他人の助けなど必要無い状態ということになります。
そしてジョーは守られて不本意だと思うくらいに自分のことを強いのだと自負しています。
それなら、何故ジョーはマーベラスのもとへ走っているのか?
それは自分が強いことを証明するためでした。
不本意でもなんでも一旦守られてしまったジョーは
自分が守られて終わりの弱い人間ではないということを証明しなければ、
弱い人間であることを認めることになってしまうのです。

そして、もしジョーが自分が弱い人間だと認めてしまえば、
「ジョーが強い」という前提で成り立っていた
「マーベラスが生きており強い状態である」という論理が崩れ去ってしまう。
だから、ジョーが自分が強いということを証明しなければマーベラスの生存が危うくなる。
だから、今、ジョーが最もすべきことは、自分が強いのだと証明することなのです。

では、今、どうすればジョーが自分の強さを証明できるのかというと、
マーベラスに守られてしまったことで「弱い」という不本意な負債を負ってしまったわけで、
この負債を返せばチャラです。
つまり、借りを返せばいい。
では借りを返すにはどうすればいいか?

マーベラスを守り返せばいいのかというと、
ジョーが自分が強いと自負しなければ借りを返すアクションは起こすことが出来ないが、
ジョーが自分が強いと思う限り、マーベラスも強くて助けの必要無い状態なので、
マーベラスを守って借りを返すのは無理です。
そうなると話はシンプルで、マーベラスの目の前でジョーは自分の強さをただ見せつけてやればいい。
つまり一緒にとことん戦えばいいのです。

マーベラスが逃げない限り、ジョーも絶対に逃げない。
マーベラスよりも1秒でも長く戦い続ければジョーの勝ちです。
それぐらい意地になってマーベラスに強さを見せつけてやれば、
もうマーベラスに「弱い」なんて思わせないで済み、借りは返したことになるのです。

要するに自分は自分の身は自分で守れるぐらい強いのだと思っているのです。
しかし仲間として一緒に戦ったりしていると、ふとしたことで助けられたりして借りを作ってしまうことはある。
それをチャラにしないと自分が弱くなったみたいで落ち着かないから、
一緒に戦って絶対に逃げない強さを見せつける。
そうやってお互い意地になって強さを見せつけ合うというのが、
結局「仲間と一緒に逃げずに戦う」ということなのであり、
マーベラス一味というのはもともとそうやって戦って強くなってきたのではないかと、ジョーは思いました。
それは地球を守る戦いだからといって、そのスタイルは変わるものではないはずであり、
自分はあくまでそれを貫くだけだとジョーは思いました。

そして立ち上がると、ジョーは自分に言い聞かせるように
「俺は絶対にここで倒れるわけにはいかない!」と叫んで剣を構え、
いつも通りのゴーカイブルーの名乗りポーズの時のように頭の帽子を押さえる仕草をすると
「仲間のために命を張った大馬鹿野郎に、借りを返すためにもなぁっ!!」と叫んで
バリゾーグ目がけて真っ直ぐ突っ込んでいきました。

マーベラスが仲間を守るために命を張ったせいで、自分はマーベラスに大きな借りを作ってしまった。
この大きな借りを返すためには、マーベラスと合流して一緒にとことん最後まで逃げずに戦ってみせるしかない。
そのためにこんな場所でバリゾーグに負けるわけにはいかないのです。

この強い気持ちは、守られることを当然と思うワルズ・ギルと、
命を捨てて守ることを当然と思うバリゾーグとの関係性の中では理解できないはずです。
バリゾーグは常に弱いワルズ・ギルを守るために命を張って戦っている。
しかし一緒にとことん戦ってくれる仲間はおらず、誰かと一緒に戦い抜こうという気持ちも無い。
そんな儚い剣に、自分の強い気持ちのこもった剣が負けたりはしないという思いで突っ込むジョーに向けて、
バリゾーグは「フン!お前は私に勝つことは、出来ない!」と言いながら渾身の円月剣を繰り出します。

バリゾーグはジョーの言っている「借りを返す」などという概念は全く理解出来ず、
ジョーが錯乱して意味不明のことを言っているだけとしか思えず、
自分のワルズ・ギルへの絶対忠義の捨身の剣こそが最強だと自負していますから、
勝利を微塵も疑ってはいません。

こうして繰り出された円月剣に対して、ジョーは今回は同じ円月剣で迎え撃とうとはしません。
シドの捨身の剣に同じ捨身の剣で挑んでも相討ちにしかならない。
勝って前へ進むためには、マーベラス一味で磨いた自分の剣で勝負しなければいけないとジョーは決意したのです。
そして円月剣の3段構えの衝撃波の1つ目の衝撃波を、なんとジョーは剣で弾き飛ばしました。
次いで2つ目の衝撃波も弾き飛ばし、しかし3つ目の大きな錐揉み状の衝撃波を受け止めたものの、
その勢いを止められず、それを弾いた反動で「ぐわっ!!」とまた10mほど吹っ飛ばされ、
また地に伏してしまいます。

さすがにバリゾーグの捨身の剣も凄まじく、ジョーも完全には防ぎきれませんでしたが、
それでも最後の紙一重及ばなかっただけで、実際のところは普通に剣を払うだけで
ほとんど円月剣を止めていたと言っていいでしょう。
とはいっても、バリゾーグはもうこれでジョーも限界だろうと見て、「これが終局だ・・・」と勝利を確信します。

しかしジョーは傷だらけになって、また懸命に身体を起こしながら、
まだバリゾーグの捨身の剣に勝つには、
絶対にバリゾーグに勝ってこの場を突破してマーベラスに借りを返しに行くという想いの強さが足りなかったと思い、
マーベラスに作った借りの大きさを再確認するために、
マーベラスがグレートワルズとの戦いの際に1人残ると言った時のことを想い出し、
「俺は・・・絶対に勝つ!!」と心の中で気合いを入れます。
そして剣を握りしめて「・・・借りを作ったまま死ねないからな・・・!」と呟きつつ立ち上がります。

借りを返さないまま自分が死ねば、自分は弱かったと認めることになる。
それは、弱い仲間を守るために命を捨てようとしたマーベラスの行為の正当性を認めることになってしまう。
つまり、マーベラスが命を捨てるのは正しいということになる。
しかし自分がバリゾーグに勝てば話はひっくり返る。
さすがにバリゾーグは恐ろしく強い。ここまでジョーが全力を絞り出してまだ劣勢とは、さすがというしかない。
しかし、だからこそ、このバリゾーグを倒すことで
自分の強さをマーベラスに圧倒的に示すことが出来るとジョーは思いました。
マーベラス一味の仲間の強さを知って、
マーベラスは命を捨てて仲間を守ろうとした自分の行動の無意味さを知ることだろう。

つまり、自分がバリゾーグに勝って強さを示すことが、
マーベラスを死なせない道だとジョーは心に定めたのでした。
「待っていろ・・・マーベラス!!」と剣を提げて再びジョーはバリゾーグへ向けて、ゆっくりと進みます。
バリゾーグは倒したと思ったジョーがまた迫ってくるので再び円月剣の構えに入って
「むぅん!」と衝撃波を発しますが、ジョーは剣で防ごうともしないで静かに歩き続けます。

衝撃波はジョーを直撃したかと思われましたが、
続けざまに3つ、ジョーの身体に当たって軌道を変えて後方に弾かれて飛んでいき、
後方の岩塊が3つ、続けざまに爆発を起こしました。
それでもジョーは最初と全く変わらず、剣を提げたまま悠然と歩いてバリゾーグへ迫ってきます。
これはゴーカイジャーのスーツが円月剣の衝撃波を弾いたとしか思えない。
しかし、ゴーカイジャーのスーツにそこまでの強度は今まで無かったはずです。
これはどうやら、仲間の強さを示すことがマーベラスを救う道だとジョーが悟ったことによって、
ゴーカイジャーのスーツに何か異変が起きたようです。

予期せぬ事態に「・・・なんだと!?」と仰天したバリゾーグは慌てて
再び円月剣を「とあっ!!」と至近距離でジョーに向けて放ちますが、
ジョーは今度は剣でその衝撃波を「むうっ!」と受け止めて、気合いを込めてそのまま保持します。
こうなればもう弾いて軌道を変えて処理することは容易なはずですが、
衝撃波の推進方向の真正面から押し返す力を加えながら、
なんとジョーの姿が頭の先からあっとういう間に下に向かって変身が解除して生身に戻っていきます。
そして、その変身に要していたエネルギーが
円月剣の衝撃波を受け止めたままのゴーカイサーベルにどんどん吸収されていくのでした。

これは要するにレンジャーキーのエネルギーがゴーカイサーベルの刀身に取り込まれていっているという意味で
ファイナルウェーブと同じ状態なのですが、
レンジャーキーを鍵穴に挿さずにそういう現象が起こっているというのも、かつてない事態といえます。
しかも通常はファイナルウェーブの時にレンジャーキーから注入されるエネルギーは
変身に要するエネルギーは含まれないはずですが、
どうやらこれは変身に要するエネルギーも含んだゴーカイブルーのレンジャーキーの
全エネルギーが注入されているようです。
しかも、さっきの円月剣を弾いたスーツの状態からして、
現在のゴーカイブルーのレンジャーキーの状態は何か異常に活性化した状態にあるようですから、
これはなかなか凄まじいエネルギーのファイナルウェーブだといえます。

そうして一気に全身の変身を解除しながらゴーカイブルーの全エネルギーをゴーカイサーベルに込めると、
ジョーは「うおあああああっ!!」と裂帛の気合いを発して、
ゴーカイサーベルを高エネルギーのファイナルウエーブを炸裂させながらその勢いで振り抜き、
ファイナルウェーブの爆発力を使って、剣に受け止めていた円月剣の衝撃波を全て余すところなく
1つの凝縮されたエネルギー弾にしてバリゾーグ目がけて超高速で撃ち返したのでした。

このエネルギー弾をバリゾーグは避けることも出来ず、
エネルギー弾はバリゾーグの胸の真ん中を撃ち抜きます。
「うっ!?・・・あ・・・!」と何が起きたのかも分からずよろめくバリゾーグに
ジョーは生身のままゴーカイサーベルを振りかぶって突っ込み、
「うああああ!!」と絶叫して袈裟斬り、
そして「はあああああっ!!」と横一閃にバリゾーグの胴体を撫で斬りにしたのでした。

「ああ・・・」と一瞬呻いたバリゾーグはジョーの顔をそのモニターに捉えますが、
その画像はあっという間に歪み、ブラックアウトしてバリゾーグは機能を停止して倒れ込み、
その直後、大爆発を起こして、遂にバリゾーグは最期を迎えたのでした。

一方、爆発炎上するバリゾーグを見て自らの勝利を確信したジョーは、
「マーベラス・・・!」と心の中で、この山中の何処かに生きているであろうマーベラスに向け、
この自分の示した、マーベラス一味の仲間の強さこそ、
マーベラスの生きる希望の灯になるのだと知らしめるように呼びかけたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:40 | Comment(1) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月27日

第38話「夢を掴む力」感想その4

ジョーがバリゾーグを倒し、
その強敵に逃げずに立ち向かった自分の強さこそが自分達の希望なのだと訴えるように
マーベラスの名を心の中で呼びかけていた頃、
ガレオンの中で倒れ込んで動かないマーベラスに向けて
「マーベラス!・・・マーベラス!」と呼びかける声がありました。

ジョーの声がマーベラスに届いたかと思いきや、その声はジョーの声ではない。
という以前に、倒れているマーベラスの周囲の様子がなんだか変です。
冒頭のシーンでガレオンのコクピットの床でマーベラスが倒れていた態勢のまま動いていないので、
一見すると同じシチュエーションのように見えてしまいますが、すぐにそこは全然違う場所だと分かります。

そこは真っ白な空間のようです。
その白い空間に響くマーベラスを呼ぶ声に反応して、マーベラスが呻き声を上げて微かに動き、
遂には目を覚まして自分の傍らに立つ何者かを見上げます。
マーベラスがあの大爆発の中、生きていたということもいささか驚きですが、
そのマーベラスの横に立っている人物の姿は、更に驚きでした。
その人物を見上げてマーベラスは「・・・アカレッド!」と驚きの声を上げます。
なんと、白い空間でマーベラスの横に立っていたのはアカレッドだったのです。
そういえばマーベラスを呼んでいた声もアカレッド(古谷徹氏)の声でした。

マーベラスはアカレッドとは例の「赤き海賊団」の壊滅事件の際、
自分を守るためにザンギャック兵の群れに飛び込んでいって炎の中に消えた後ろ姿を見て以降は、
会っていませんから、当然アカレッドはその時に死んだと思っています。
だから自分の横にアカレッドが立っているので驚いて「どうして・・・?」と尋ねながら起き上がりました。
まず、アカレッドが実は生きていたのか?と思ったのです。

ところが起き上がって周囲を見てみると、見渡す限り真っ白な空間であることに仰天します。
そして自分が目を覚ます前、何をしていたのか想い出しました。
豪獣ゴーカイオーでザンギャックの決戦機グレートワルズと戦って完敗し、
コクピットで大爆発に巻き込まれて、そこから先の記憶がありませんでした。
だから目覚めるとしたらコクピットの中であるはずなのですが、実際は目が覚めたら真っ白な空間だった。
しかも横には死んだはずのアカレッドが立っている。

「・・・俺は、死んだのか・・・?」とマーベラスは呟きます。
自分は豪獣ゴーカイオーの爆発の中で死んで、ここは死後の世界なのではないかとマーベラスは思ったのです。
ならば、死んだはずのアカレッドが居るのも納得できる。
しかし、いくら何でも寂しすぎる世界だとも思いました。他の死者は誰もいないのか?と考えた時、
マーベラスはハッと大事なことを想い出し、「あっ・・・みんなは!?」と叫び、慌てて周囲を見回します。

そう、豪獣ゴーカイオーが爆発する直前、マーベラスは仲間5人を強制脱出させたのです。
ただ、とにかくあの時は混乱していて、
5人が上手く脱出して逃げのびることが出来たのかどうか確認は出来ていません。
もしかしたら、5人のうちの誰かも脱出に失敗して死んで、この死後の世界に来ているのではないか?と考えて、
マーベラスはヒヤリと背筋が寒くなりました。

すると、マーベラスが目を覚まして以降は黙って立っていただけだったアカレッドが
マーベラスの背後で「大丈夫だ・・・5人とも生きている」と言ってくれます。
マーベラスはどうしてアカレッドがそんなことが分かるのだろうかと一瞬不思議に思いましたが、
ここが死後の世界ではないかと思っているマーベラスは、
アカレッドは死後の世界から自分達のことを見守ってくれていたのだろうと解釈し、
ならばアカレッドがそう言うのなら間違いないだろうと思い、
「・・・そうか・・・よかった・・・!」と安堵の声を漏らします。

が、同時に、「5人とも生きている」というアカレッドの言葉の響きから、
その5人がここにおらず、自分1人だけがここにいるということは、
これはもう間違いなくここは死後の世界であり、自分は死んだのだと実感し、
内心少し死んだことが悔やまれます。

すると、アカレッドはマーベラスの正面に回り込んで来て「・・・本当にそう思うか?」と尋ねてきました。
マーベラスが5人の仲間が生き残って自分1人だけが死んだと思って、それを良かったと言っていることに対して、
それがマーベラスの本心なのか?とアカレッドは確認してきているのです。
それは、まるでマーベラスが今、内心秘かに少しそのことを後悔したことを見透かしたかのような質問でした。

マーベラスは少し慌てて、
「どういう意味だ?・・・俺はあの時のあんたみたいに、あいつらを守ったんだ!」と強く反論しますが、
これはアカレッドに反論しているという感じではない。
アカレッドは「本当にそう思うか?」とマーベラスの心の中がどうなのか問いかけてきているだけだから、
本当にそれで良かったと思っているなら、堂々と良かったと思うと再度強調すればいいだけのことです。
慌てて反論するなど、本当は後悔していると白状しているようなものです。

だいたいアカレッドに反論するというのもおかしい。
確かにマーベラスの行動はアカレッドを模倣したものでしたが、アカレッドに頼まれてやったわけではない。
マーベラスが勝手にやったことであって、アカレッドは何も責められるようなことはやっていない。
マーベラスは自分で勝手に決めた行動に、自分で勝手に後悔しているだけのことです。
そして、心の中の後悔している自分に対して、
あれはアカレッドのように自分を犠牲にして仲間を守る立派な行動なのだと、必死に抗弁しているのです。

そんなマーベラスに呆れたようにアカレッドは脇を向いて
「お前は私ではないし・・・ゴーカイジャーは赤き海賊団ではないだろう・・・」と言います。
アカレッドはどうして他人の真似をするのか?と呆れているかのようです。
ゴーカイジャーのマーベラスなのだから、マーベラスらしい、ゴーカイジャーらしい
「守る」ということは何なのか考えればいいことだろう。
そうすれば後悔などしなかったはずだ。
そうアカレッドは言っているかのようです。

じっとアカレッドの顔を睨んでその言葉を聞いていたマーベラスも、
そう言われると、確かにそれはその通りだと認めるしかなく、視線を下に落とします。
確かに、元はといえば、鎧に「守る」とは何なのか質問されて答えられなかったから、
アカレッドが自分を守ってくれたという、自分の知る「守る」の唯一の例にとびついただけのことで、
それが自分に合っているか、ゴーカイジャーに合っているのかなど、全く吟味はしていなかった。
しかし、それは仕方ないだろうとマーベラスは言い訳したい気分でした。
宇宙海賊であるマーベラスは他に「守る」ということの実例など知らないのですから、
自分らしい「守る」ということや、ゴーカイジャーらしい「守る」ということなど知るわけはない。

しかし、ここのアカレッドのセリフは結構、意味深なような気がします。
というか、この場面のアカレッドとマーベラスの遣り取りはここから、かなり意味深になってきますから、
じっくり考えた方がいいでしょう。

ここでアカレッドは、「アカレッド」と「マーベラス」の違い、
そして「赤き海賊団」と「ゴーカイジャー」の違いを強調していますが、
これらはどのように違うものなのでしょうか?
もちろん、同じものでない以上、確かに違うものなのでしょうけれど、
共通点が多ければ、行動に模倣があっても悪くはないと思います。

例えば、もともとマーベラスがアカレッドの真似ばかりしているような人間ならば、
今回もアカレッドの真似をしたとしても、
アカレッドから見れば「いかにもマーベラスらしい」と評して良い行動のはずです。
ところが、アカレッドはマーベラスが自分の真似をしたことを呆れて、
それについてマーベラスもグウの音が出ない様子なわけですから、
もともとマーベラスがアカレッドの真似をするなど有り得ないことであるかのような認識が
アカレッドとマーベラスの間には存在するということになります。
「赤き海賊団」と「ゴーカイジャー(マーベラス一味)」にしても、
「ゴーカイジャー」が「赤き海賊団」を模倣して作られたものならば、
リーダーのマーベラスがアカレッド的な行動をとったとしても、ここまで呆れられる必要は無いでしょう。

つまり「赤き海賊団」と「ゴーカイジャー」は全く異質な集団ということです。
しかし、「ゴーカイジャー」を作ったマーベラスは「赤き海賊団」の出身なのですから、
「ゴーカイジャー」は「赤き海賊団」に似ている方が自然です。
しかし、それが根本的に違うというのは妙な話です。

それは「赤き海賊団」のリーダーがアカレッドであり、
「ゴーカイジャー」のリーダーがマーベラスであり、
アカレッドとマーベラスが全然違うタイプだからなのだからということで納得出来ないこともないが、
では、マーベラスはアカレッドの下で一緒に旅をしながら、
どうしてそんなにアカレッドと違ったタイプのままでいることが出来たのか?
普通は大きな影響を受けるものですが、
アカレッドの物言いだと、マーベラスがアカレッドの影響を受けるのは、まるでナンセンスであるかのようです。

何かこの2人、どうも変な距離感があるのです。
単なる師匠と弟子という関係ではないように思えます。
そもそも、ずっとつきまとっている違和感なのですが、どうしてアカレッドが宇宙海賊などをやっているのか?

アカレッドはマーベラスと初対面の時、「最近は海賊と呼ばれている」と自己紹介しており、
アカレッド自身は海賊という自意識は無いようなのです。
単なる「レンジャーキーを集める冒険家」であったのを、
チンピラ海賊のマーベラスが勝手に海賊だと誤解して一緒に行動するだけになっただけのように思えます。

そうなると、「赤き海賊団」などという名ではあるものの、本当は海賊ではないアカレッドが船長である限り、
「赤き海賊団」は海賊ではないということになります。
マーベラスは楽しい想い出だったように語っていましたが、
結局、バスコは裏切り者であったし、アカレッドは裏で何かよく分からないことをやっていたようです。
となると、一番下っ端のマーベラス1人だけが海賊団のつもりではしゃいでいただけなのかもしれない。
そう、ちょうど、海賊団の一番下っ端の鎧が1人だけ正義のヒーローのつもりではしゃいでいるようなものです。

そうなると、ゴーカイジャーこそがマーベラスが作った正真正銘の初めての海賊団ということになり、
エセ海賊だった「赤き海賊団」とは全く異質であるのは当たり前ということになります。
アカレッドは海賊ではなく、マーベラスは海賊であり、
「赤き海賊団」は海賊団ではなく、ゴーカイジャーは海賊団であるとするなら、
アカレッドがそういうニュアンスで
「お前は私ではないし、ゴーカイジャーは赤き海賊団ではないだろう」と言うのは大いに納得できるし、
マーベラスがその突き放したようなアカレッドの言葉を素直に聞いているのも自然だといえます。

つまり、アカレッドは自分がマーベラスを命を張って守ったのは、あくまで非海賊的な行動なのであって、
海賊であるマーベラスがそれを模倣すべきではないと言っているのです。
海賊には海賊の守るべきものが他にあるだろうと言っているわけです。
マーベラスもそういうニュアンスでアカレッドの言葉を受け止めて、
海賊らしい守るべきものとは何なのか考えます。

しかし、マーベラスにはそれが何なのか分からない。
海賊というのは、守るものを持たないから海賊なのです。
何も守らず、逃げ続けるのが海賊なのです。
だから、しいて守るものがあるとすれば、それは一緒に旅をする仲間達であり、
仲間達の夢だとマーベラスは思った。
だからそれを守ろうとしたのに、それはアカレッドは海賊らしくないと言う。
それで結局、マーベラスはいったい海賊は何を守るべきなのか分からなくなってしまいました。

するとアカレッドはマーベラスの方に振り向いて
「お前が選んだ仲間たちは、本当にお前に守ってほしかったのか?」といきなり妙なことを問いかけたのでした。
しかし、本来そんなことは当の本人の仲間たちに聞くべきことであって、
マーベラスに質問するのはお門違いのようにも思えます。
仲間たちが本当はマーベラスに守ってほしかったのかどうかなど、マーベラスが知るはずはない。
しかしアカレッドがそれをわざわざマーベラスに質問するということは、
マーベラスがそれを知っているはずだと分かっているからです。

そう、実際、マーベラスはそれを知っていた。
知っていたはずなのに忘れていたのです。
それをアカレッドの突然の問いかけに咄嗟に答えようとして、思い出したのです。
仲間たちは皆、マーベラスに守ってほしいとは思っていないということをマーベラスは知っていた。
いちいち面談して質問して把握したわけではありません。
他人に守ってほしいと思っているような者が仲間に選ばれるわけがないというだけの話です。
つまり、マーベラスは自分のことは自分で守れるような強い者ばかりを選んで仲間にしてきたのです。

ただ、それは単に強い仲間が欲しかったからではないし、
仲間を守るのが面倒くさかったからでもない。
それはマーベラスが「宇宙最大のお宝」を手に入れるという、
ほとんど実現不可能な夢に挑戦しようとしていたからです。

実はマーベラスは、「赤き海賊団」が壊滅して、アカレッドが死んで、バスコには裏切られて、
1人ぼっちになって、その途方もない不可能への挑戦を1人で成し遂げる自信が無かったのです。
だから不可能への挑戦の旅の仲間を求めた。
それで、既に不可能な夢に挑戦しているような人間を旅をしながら探した。
「宇宙最大のお宝」がどれぐらいの不可能に挑戦しないと手に入らないのか途方も知れないものであったので、
とにかく自分とは異なるタイプの不可能に挑戦している者を複数、仲間にしたいと思っていたのです。

それでジョー、ルカ、ハカセ、アイムを仲間にして、地球に来て鎧も仲間に加わった。
皆、マーベラスとは異なったタイプの、宇宙のルールの壁を超えて、
ほとんど不可能でリスクの高い自分の信じた道を突き進もうとしている者達でした。
いや、マーベラスも、鎧を除いては彼らの夢が具体的に何であるのかは知らない。
ただ彼らが宇宙のルールからの自由を強く求める行動をとっていたことから、
決して我儘や欲得のためではなく、命を賭けて何か信じた道を突き進んでいることが分かったので、
それだけで「宇宙最大のお宝」探しの仲間とするには十分だったのです。

そういう連中ばかりを選んで仲間にしていったのですから、
もともと自分の信じた道を突き進むため、自由を求め、夢を求めて不可能と危険に挑んでいた者達ですから、
自分の身や自分の夢は自分で守る者達に決まっています。
そういう強い者達ばかりが集まっているのであり、
マーベラスによって守られることを望むような者はいないはずなのです。

アカレッドの問いかけでマーベラスは自分の仲間たちはそういう連中ばかりだったことを想い出しました。
だから、ゴーカイジャーの仲間を自分1人が犠牲になって守ってやろうなどと考えるのが
根本的な間違いだったのです。
そんな弱い者はマーベラス一味にはもともと存在しないのであり、
マーベラス一味の仲間にそんな扱いをするのは失礼な扱いであったのです。

それはマーベラスにもよく分かった。
しかし、では結局、海賊が守るべきものは何も無いということになるのか?
結局は自分にとっての「守る」ということは不明のままで、
ザンギャックの圧倒的な力から地球を守る方法もよく分からないままだ。
やはり海賊が何かを守るというのは無理なのか。

そうマーベラスが思った時、アカレッドはマーベラスに背を向け、
「お前が本当に守るべきものは、夢を掴むために集まった、かけがえのない仲間たちとの絆じゃないのか?」
と言ったのでした。
それを聞いてマーベラスはじっと考え込みながら「・・・俺とあいつらの・・・絆・・・!」と呟き、目の色が変わります。

マーベラスは、限りなく不可能に近い夢を掴むために集めた仲間達の持つ力を結集してこそ、
絶望的状況を切り開き不可能を可能とすることが出来ることに気付いたのでした。
それは不可能に近い夢に挑戦する者同士の絆だけが持つかけがえのないパワーです。
自分達は「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにその力をこの地球に持ってきたが、
今や自分達の夢は「宇宙最大のお宝」だけではない。
ザンギャックから地球を守って、
この宇宙でザンギャックのルールに縛られない自由を実現することも自分達の夢です。
その夢を掴むために、どんな絶望的な状況でも仲間の絆の力で突き進むという道がまだ有る。
つまり、最も大切な守るべきものは「夢を掴む仲間たちの絆」だったのです。
だから自分1人が犠牲になって仲間との絆を断ち切るなど、絶対にしてはいけないことだったのです。

しかしマーベラスは取り返しのつかないことをしてしまったという想いは湧いてこなかった。
何故なら、アカレッドがこんな話をするということは、
どうやらここは死後の世界ではないということが分かってきたからです。
かといって、この真っ白な空間が何なのかはよく分からないし、
このアカレッドがどういう存在なのかもよく分からない。
が、自分が死ぬという実感はもう無くなっていました。
とにかく、今の自分に求められているのは、猛烈に失敗を反省して、
夢を掴むために集まったかけがえのない仲間たちとの絆を回復させることだと思いました。

すると、アカレッドが振り向いてマーベラスに向かって
「マーベラス・・・それが海賊ってものじゃなかったのか・・・?」と軽く問いかけます。
それを聞いてマーベラスはフッと笑うと、アカレッドを見つめて
「・・・そうだな・・・それが海賊ってもんだ!」とニヤリとします。

おそらく、「夢を掴むために集まったかけがえのない仲間たちとの絆」という言葉は、
赤き海賊団の頃から、マーベラスが「海賊とは何なのか?」というアカレッドの問いかけに対して、
いつもその言葉を答えて「それが海賊ってもんだ」と得意げに説明していた言葉そのままだったのでしょう。
そして自分はとっくの昔に海賊が守るべきものが何なのか、答えを知っていたのだと気付き、
マーベラスは懐かしそうに微笑んだのでしょう。

アカレッドはそのマーベラスの姿を見て満足そうに頷くと、
すっと白い空間に溶け入るように消えていき、
白い空間に残されたマーベラスは小さく頷いて、決意の表情で見送るのでした。

マーベラスが謎の真っ白い空間で、
自分達の守るべきものが「夢を掴むために集まった仲間たちとの絆」であったことに遂に気付いた頃、
ルカとハカセとアイム、そして鎧の4人はマーベラスがいるはずのガレオンを探して山道を進んでいました。
先を歩くルカとハカセとアイムの3人から、数歩遅れて鎧は1人、悲しげな表情です。

さっき3人に対して、マーベラスの自分だけが犠牲になって他の仲間を脱出させた行動について納得できない、
最後まで一緒に戦いたかったという自分の不満に思っている気持ちを言ってしまったことを鎧は後悔していました。
あれから3人は黙り込んで、ずっと自分に背を向けて歩いているのです。
きっと呆れられたに違いないと鎧は思いました。

皆、マーベラスに命を助けられたことを感謝して、そのマーベラスの安否を心配して必死で探しているのです。
そんな時にマーベラスの行動に文句をつけるなんて無神経だと思われたことだろう。
だから自分のことなど無視して、3人はさっさと先を急いでガレオンを探しているのだと鎧は思います。
そして、それは仲間として当然の行動であり、
マーベラスが仲間を庇ったのも、もちろん仲間として当然の行動なのであり、
自分1人だけが仲間としておかしい言動をとっているのだと鎧は思いました。

しかし、鎧も別に軽い気持ちでふざけてマーベラスへの不満を言っているわけではない。
どんな絶望的な状況だとしてもザンギャックから地球を守るために
マーベラス達と一緒に戦い続けたいと心に決めていたからこそ、
一緒に戦わせてくれなかったマーベラスに納得が出来ないのです。

だが、それは本当はマーベラス達5人には迷惑だったのかもしれないと、鎧は思いました。
マーベラス達、宇宙から来た5人はザンギャックから地球を守ろうとしても絶対に勝てないという現実を知っており、
今まで十分にザンギャックから絶望を味あわされているのです。
だから負けると分かっていて最後まで地球を守るために戦い続ける気にはなかなかなれないのが当然です。
ということは、もしかしたら自分1人が盛り上がって、
皆を本当は関わる必要のない危険なことに巻き込んでしまっているのかもしれない。
いや、今回もしマーベラスに万が一のことがあれば、それは自分が煽ったせいなのではないか?

しかし、そう考えても、それでも鎧は絶望的な戦いを止める気は起きないのでした。
そんな自分と一緒に居る限り、大事な仲間たちをまた危険に巻き込んでしまう。
でも仲間たちと離れたくはない。

そうして散々悩んだ末、
鎧はやはり、仲間のことを心配するよりも一緒に戦えなかった自分の不満を優先する自分が醜く感じて、
そんな自分が皆の仲間であり続ける資格は無いと思い、
これ以上皆を無謀な戦いに巻き込まないために身を引いたほうがいい、
戦うなら1人で戦おう、と思いました。

そう結論を出すと、鎧は立ち止まって悲しげに「・・・俺だけなんでしょうか・・・」と目を伏せて呟きます。
3人は立ち止まり振り返りますが、
鎧は3人の顔を見るのが辛くて横を向き、
「マーベラスさんに・・・納得できないなんて・・・」と自分を責めるように言います。
そんな自分は皆の仲間の資格は無いのだと鎧は言おうと思いました。

しかし、じっと黙って鎧の顔を見ていたハカセが決意した表情で「・・・鎧だけじゃないよ!」と言います。
そして、続いてアイムも「私たちも一緒です!」とキッパリと言うので、
鎧は驚いてハカセ達の方に振り返りました。
ハカセは真剣な眼差しで鎧を見つめ、頷きます。
そしてルカもハカセの横を進み出て
「だから急ごう?・・・ゴーカイガレオンまで!」と笑顔で言いながら鎧の横に来て、
「マーベラスに文句言わなきゃ!」と、鎧の脇腹に軽くパンチを入れるのでした。

3人は、鎧がマーベラスと一緒に戦いたかったのに戦えなかったのを悔しがる姿を見て、
自分達が勝ち目の無いザンギャックとの戦いから逃げようとしていたことに気付いていました。
そして、その弱い心をマーベラスや鎧に気遣われていたのだと知り、ずっと歩きながら黙って考え込んでいたのです。
自分の弱い心に気付かされて、いい気分のはずがない。
3人はずっとモヤモヤして歩いていました。
そして、本当に自分はそんなに弱かったのだろうかと考えました。

そして、いや、そんなはずはないと気付いたのです。
何故なら、自分達は「宇宙最大のお宝」を手に入れるという、
ほとんど不可能な夢を掴むために集められた仲間だからです。
他の誰でもなく、自分達が、
この仲間達ならばどんなに不可能な夢でも掴むことが出来る強さを持っているのだと
マーベラスに見込まれたはずなのです。

そして自分達も、きっと自分ならば、その途方もない夢を掴めるという気持ちになったから、
マーベラスの仲間になったのです。
どうしてそんな自信を持てたのかというと、夢に向かって突き進むことにかけては自信があったからです。
夢といっても将来の立身出世とか私利私欲を追求するというようなものではない。
それも確かに夢だが、自分達の夢は特別に大きな夢だったのです。
それは不可能に挑戦することであり、命がけで成し遂げるものでした。

つまりザンギャックの作った宇宙のルールに縛られない自由な生き方を求めたのです。
というより、本当に自由な生き方というものを求めた結果がザンギャックへの反逆であったのです。
ザンギャックの支配下でも自由が全く無いわけではない。
そうした自由を満喫する生き方だって上手く立ち回れば有ったかもしれない。
そちらの方が快適な人生であったのだろうと思いました。

でも、真の自由というのは、世界を規定するルールを超えた危険な場所でしか手に入れることは出来ないのだと、
このマーベラス一味の仲間たちは皆それぞれがそれぞれの過程でその結論に辿り着いていたのです。
そして、そういう場所でこそ、大きな夢を追いかけることが出来る。
そういう強い意思を持った連中が集まればこそ、
「宇宙最大のお宝」という、まさに宇宙で一番大きな夢を掴むことが出来る。
そういう趣旨で集まったのがマーベラス一味だったはずです。

マーベラスは常にマーベラス一味のことを「夢を掴むために集まった仲間たち」と言っています。
だから、もともと世界全体を敵に回すような絶望的な危険の中でも夢を掴むために突き進む仲間なのであり、
その仲間が力を合わせることで絶望的な状況を切り開いて進む力を発揮するはずなのです。

つまり、鎧が絶望的な状況でもザンギャックと戦って地球を守ろうとするのは、
まさにマーベラス一味らしい夢であり、
マーベラス一味の仲間たちならば、力を合わせてその夢を掴むために突き進んでいかなければいけないはずです。

いや、実際はそれは鎧だけの夢ではなく、
ザンギャックから地球を守るというのは、まさに不可能への挑戦という意味でも、
宇宙の自由の追求という意味でも、ルカやハカセやアイムにとっても立派に夢となっていたのです。
これを実現が難しいなどと言って諦めてしまえば、「宇宙最大のお宝」など手に入るわけがない。
というより、「宇宙最大のお宝」に遂に迫りつつある自分達が、
ザンギャックから地球を守るという夢を簡単に諦めてしまえるわけがない。

それなのに、マーベラスはそんな自分達と一緒にザンギャックと戦おうとはせず、自分達を守ろうとした。
しかし、それは自分達の夢を否定することなのです。
そのことに気付かなかったマーベラスは夢を掴むための仲間の絆を裏切ったに等しい。
そう思うと、ルカもハカセもアイムも、鎧と同じようにマーベラスの行動に納得は出来ず、
不満を抱かざるを得ない。
早くマーベラスを見つけて、まずは安否を確認した上で、
仲間の絆についていったいどう考えているのか質問しなければいけない。
3人はそれぞれがそう考えて、懸命にガレオンを探し求めて山道を進んでいたのでした。

3人がそのように自分と気持ちを同じくして、
ザンギャックの圧倒的な力を知りながら、それでも前向きに戦おうとしてくれていることを悟り、
鎧は胸がいっぱいになり、ガレオンへ急ごうと言うルカの言葉に「・・・はい・・・!」と涙ぐみながら応え、
そして笑顔を向けるハカセとアイムの方を見ます。
その鎧のメソメソした様子をまだるっこしそうに、
ルカが「ほら、いくよぉ!」と鎧の頭をグイッと押し下げてから駆け出し、
ハカセとアイムもそれに続き、鎧も涙を拭って走り出したのでした。

一方、同じ山中の別の場所、さっきまでジョーとバリゾーグの決闘が行われていた台地では、
戦いの終わった後の静寂がその場を支配していました。
そこには、敗者であるバリゾーグの黒焦げになった残骸が転がり、
その傍らにはジョーが呆然と突っ立って、眼下に横たわるバリゾーグの残骸を見つめていました。
バリゾーグの残骸やその周囲からはまだおびただしい白煙が上がっており、
勝負が決着した時の爆発の凄まじさを窺わせています。

ジョーはバリゾーグに勝利したことで、
シドが自らを犠牲にしてジョーを守ってくれた時に示した自己犠牲的な強さを乗り越えて、
仲間と共に逃げずに戦い抜く真の強さを遂に獲得したといえます。
ならばすぐにマーベラスを探し出して、命を張って守られてしまった借りを返すべく、共に戦うべきところです。
しかしジョーはバリゾーグの残骸の傍に棒立ち残骸に目が釘付けになり動けませんでした。
そして、バリゾーグの残骸に向かって「・・・シド・・・先輩・・・!」と呟くと、
ガクッと膝から崩れ落ちて、残骸の横にしゃがみこむのでした。

ジョーは別に自分が倒したバリゾーグの死を悼んでいるわけではなく、
無我夢中でバリゾーグを倒した後、
自分がもともとバリゾーグを倒してシドの魂を救おうとしていたことを想い出したのですが、
もちろん魂は生きている人間の目には見えませんから、
シドの魂が本当に救われたのかどうか分かりません。

普通の人の死んだ場合は、その人がどう生きたか、どう死んだか、最期の言葉はどうであったかなどで
なんとなく判断するものですが、
シドの場合、それはかなり救われるには絶望的な状況であり、
最期の言葉も残せる状態ではありませんでした。
そうなると、死に顔を覗き込んで確かめたりするしかない。
もちろん死に顔を見たからといって、魂が救われたかどうか本当に分かるわけではない。
が、それでも死に顔が安らかであれば見送る側も少しは安心するものです。

それでジョーは無意識に死に顔を確かめるために近づいているのですが、
分かりきったことですが、ジョーが覗き込んでみたその死に顔は無表情なバリゾーグの機械の残骸に過ぎないわけで、
これではシドの魂が救われたかどうか分からない。

いや、シドの魂が救われたかどうかなど、結局は自分がそのように納得するしかないことはジョーも分かっている。
もしバリゾーグの残骸が粉々になっていれば、自分はわざわざ覗きになど行かなかったはずだとジョーは思いました。
結局、自分はもう一度シドに会いたいという未練を完全に断ち切れてはいなかったのだ。
だから、こんな醜い残骸の下からシドの顔が現れるのではないかなどと、あらぬ期待を抱いてしまったのだと思い、
ジョーは情けなくなって目を閉じます。

ところが、そのジョーの耳元で何者かが「・・・ジョー・・・」と呼びかけます。
その声にジョーは聞き覚えがありました。
それはさっきまで戦っていたバリゾーグの声でしたが、バリゾーグはもはや機能を停止している。
この声はもっと優しく、懐かしい、シド先輩の声でした。

ジョーが目を開くと、周囲は今自分が立っている山の中の風景ではなく、真っ暗な空間でした。
はっとしてジョーが後ろを振り向くと、
そこには共にザンギャック軍を脱走した時の戦闘服に身を包んだ姿でシドが立っていました。

なんとも不可解な現象ですが、ジョーはこれはシドの魂が自分の意識に見せている情景だと理解して受け入れ、
シドの魂が自分に会いに来てくれた嬉しさで微笑みながら「シド先輩・・・」と言います。
そして真っ暗な空間の中でジョーは歩いてシドの前に移動して、シドに向かい合って立ち、
その目をじっと見て、「俺・・・あなたの魂だけでも・・・救えましたか・・・?」と、
ゆっくりと一言一言、噛みしめるように畏まって尋ねます。

シドは黙ってジョーの顔を見つめ、それからゆっくり1回頷き、
「・・・強くなったな、ジョー・・・」と優しい声で言います。
シドの魂はバリゾーグを倒したことで救われたわけではないようです。
ジョーが自分の願っていたように強くなったことでシドの魂は安堵して救われたようなのです。
生前のシドの分身ともいえるバリゾーグを倒すことで
ジョーの強さがシドの生前の強さを超えて、シドの目指していた強さに到達したことの証となって
シドの魂が救われたわけですから、
結局、バリゾーグを倒すことでシドの魂が救われるという考えそのものは間違ってはいなかったわけです。

しかし、そのジョーの強さを実感できる位置にシドの魂はいたわけですから、
やはりシドの魂はバリゾーグの身体と共にあったと見ていいでしょう。
魂というものは身体にくっついているものであり、霊のように自由度の高いものではありません。
魂は身体からは基本的には離れないものです。
もちろん実際はどうだか知りませんが、物語などの設定ではだいたいそうです。
バリゾーグは身体のほとんど全部を機械に変えていましたが、高性能サイボーグのようなもので、
命はシドの命を使っています。
だからその身体はあくまでシドの身体ですから、シドの魂もそこにくっついていたのでしょう。

ただ、普通の身体ならば肉体の脳の中に魂からのコントロールを受ける部分が機能しているのですが、
バリゾーグの場合、脳の大部分を機械化することによって、シドの魂の干渉を完全に排除していたのでしょう。
だからバリゾーグの身体の機能が停止して肉体が死んだことでシドの魂もその束縛を離れて自由にはなりますが、
魂が救われたかどうかは別問題で、
シドの場合はジョーが立派に強くなったことで救われたようです。

しかし続いてシドは「でも、その強さはお前一人のものじゃない・・・お前と仲間のものだ・・・!」と、
ジョーに向かって謎めいたことを言います。
シドはさっきの戦いの時、ジョーが「命を張って自分たちを守ってくれた仲間に借りを返すために戦う」と言って、
そしてその力でバリゾーグを倒したのをバリゾーグの体内から見ていて、
それがジョーだけの力ではなく、ジョーと仲間の力だと言っているのです。

ジョーも、さっきのバリゾーグとの戦いの途中で、自分がバリゾーグを超える真の強さを持っていることに気付き、
それによって勝利することは出来ましたが、
その強さがいったいどういうものなのか、そして、それがどうして自分の中に存在したのかについては
よく分かっていませんでした。
シドがそのことについて話していることに気付き、
ジョーは「俺と・・・仲間の・・・?」と不思議そうにシドの言葉を繰り返して、考えます。

確かにマーベラスに借りを返して、マーベラスと一緒に戦い抜くことを目指して戦うことでバリゾーグに勝利したが、
それは結局は自分の意地のような気がした。
それが自分と仲間の力というのはどういうことなのだろうかと、ジョーは考え込みます。

するとシドは「いい仲間を見つけたな・・・!」と柔らかく言うと、
一呼吸置いて、グッと言葉に力を込め「その手で掴め!・・・お前達みんなの夢を・・・!」と言ったのでした。
この言葉を聞いてジョーはハッとして「シド先輩・・・」と言い、シドを見つめます。
シドは、自分の分身ともいえるバリゾーグを倒すほどのジョーの中の強い力は、
夢を掴むために集まった仲間たちの絆の生み出す力なのだと言っているのです。

確かに、マーベラス一味は「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を掴むために集まった仲間たちであり、
それゆえ全員が不可能に挑戦する強い意思を持っている。
もともと不可能に挑戦する夢を持っていた者達が集まって、
力を合わせることで、より大きな夢を掴もうとするようになり、
より困難な夢への挑戦が自分達の意思を更に強くしてきたのだとジョーは気付きました。
つまり、これは個人の力ではなく、夢を掴む仲間の絆が生み出す力なのだ。

そうして獲得した強さで「宇宙最大のお宝」を掴み、
そして、地球をザンギャックから守って宇宙に自由を実現するという夢も実現できる。
ゴーカイジャーにはその力がある。

夢を掴む仲間の絆にそれほどの力があることをシドは知っていたのです。
それは、シドのジョーとの逃走時の別れ際の最後の言葉であった
「俺たちは宇宙に生きる者として正しい道を選んだんだ。生きていれば宇宙の何処かでまた必ず会える」
からも分かります。
自分の信じる道を突き進む強い意思は、どんな世界の壁をも超える強い絆の力を生むのです。

ジョーはそのシドの言葉を支えに自分の信じる道を貫き、
そうしてマーベラス一味の仲間と出会い、ここまでやって来た。
でも本当はその果てに巡り会い、共に夢を掴み、信じる正しい道を突き進んで戦う仲間はシドである予定だった。
しかし、こうして信じた道を突き進んだ結果、
逃げずに仲間と共に戦う力を得た自分と約束通りに会うことが出来たシドとは、
このような悲しい再会となってしまった。

シドの無念を想うと、ジョーはいたたまれず、下を向き、瞑目します。
しかしシドは真っ暗な空間の中の1点を指さして「行け!・・・ジョー!」と厳しく、少し悲しい顔で叱咤し、
ジョーは目を開いて顔を上げ、シドの指さす方向を向きます。
するとその指し示す1点から小さく光が漏れてきます。

そこに行くことはつまり、このシドの魂が情景を見せる意識状態から脱するということであり、
現実世界に意識が戻り、マーベラスや仲間たちのもとへ行くために走り出すということを意味しています。
そして、それは自分のゴーカイジャーとしての夢を掴む道でもあります。
「・・・はい・・・!」とシドに返事をしてジョーは光に向かって駆け出し、
シドはそのジョーの後ろ姿を見て、少し安堵したように表情を緩めて、潤んだ目で走り去るシドを見つめ続けます。

すると、見る見る暗闇が晴れていき、周囲の景色が元の山中の風景に変わっていき、
バリゾーグの残骸の上に立ち上がっているシドの身体が見る見るうちに透明になっていき消えていくのでした。
シドの魂が救われ、そしてもう二度と会えない別れの旅に出たことを背中で感じ取りながら、
ジョーは振り向くことはせず、ただ前に向かって駆けながら、
「シド先輩・・・ありがとうございます・・・」と、
シドの遺した言葉に導かれて信念を貫いた結果、素晴らしい仲間と大きな夢を得たことに感謝し、
その夢を必ず仲間の絆で掴んでみせると固く誓うのでした。

さて、こうして他の仲間が皆、ゴーカイガレオンの中のマーベラスを探して山の中を駆けだしているというのに、
肝心のマーベラスはさっきは妙な白い空間でアカレッドと会っていたりして、なんだか状況が不明だったのですが、
ここで場面が変わって、山中に墜落しているゴーカイガレオンが冒頭の場面以来、久しぶりに映ります。
そしてそのコクピットでは冒頭の場面と同じ態勢でマーベラスが床に倒れています。

そして、冒頭のシーンや前回のラストシーンの同一シチュエーションではナビィの姿は無かったのですが、
ここではナビィが登場します。
ナビィは基本的にはいつも船室の方におり、コクピットには滅多に来ることはありませんから、
墜落したばかりの場面ではまだコクピットには来ておらず、
その後、船室からコクピットまで飛んでやって来たのでしょう。

ナビィはグレートワルズとの戦闘中はコクピットにはいませんでしたから、
何処までこの状況を把握しているのかよく分かりませんが、
もしガレオン船内でコクピットの状況が逐一船室の方に伝わるシステムがあったとしても、
それは墜落時にシステムダウンしているでしょうから、
墜落後のコクピットの状況はナビィはコクピットに飛んで行って目視するまでは
よく分かっていなかったと思われます。
だから、コクピットに着くとマーベラスが床に倒れているのを見てビックリしたようです。

マーベラスが死んでいるのかと慌てたナビィは
「マーベラス!マーベラス!ねぇ!マーベラス!」と叫びながら、
マーベラスの頭を嘴でひたすら突っつきまくるのでした。
その痛みに反応してマーベラスは「うぅ・・・いてぇ・・・」と呻きながら頭を上げ、
けだるそうに上体を起こして座り込み、周囲を見回します。
マーベラスはやはり死んではいなかったようです。

「よかった!死んでなかった!マーベラス!」と喜ぶナビィに向かって、
「・・・死ぬか!」とマーベラスはぶっきらぼうに言います。
マーベラスはさっきまでアカレッドと立って喋っていたという意識なので、
自分が死んでいるなどという意識はありませんでした。
最初に目覚めた時は真っ白い空間だったので死後の世界かと思ったのですが、
アカレッドと喋っているうちに自分は死んだわけではないと気付いていましたので、
次の瞬間いきなりナビィに頭を小突き回されて、死んでないと大喜びされて逆に面喰らってしまいました。

しかしナビィは倒れて動かないマーベラスを見て驚いていたのですから、
マーベラスの戸惑いなどお構いなしで「オイラを置いて死んだら承知しないからなぁ!」と
マーベラスの懐に潜り込んでシャツに縋りついて喚き、
マーベラスは「鳥・・・!」と照れつつ戸惑うのでした。

そして、ナビィがあまりにうるさいので気を取られていましたが、
ようやく周囲をゆっくり見回し、マーベラスは「・・・夢だったのか・・・?」と不思議そうに呟きます。
周囲はどう見ても、いつものガレオンのコクピットであり、
自分はどうやらここの床に倒れていたようです。
ということは、あのグレートワルズとの戦いで、仲間たちを強制脱出させた後、
コクピットの爆発の際に気を失って倒れ込み、そのまま倒れ伏していたのを、
今ナビィに起こされたということになると、マーベラスは状況を理解しました。

しかし、そうなると、あのアカレッドと会った白い場所は何だったのか?
まぁ普通に考えれば、気絶している間に見ていた夢だということになります。
やけにリアルな印象であったので妙でしたが、
そもそも死んだはずのアカレッドが出てくるという時点で現実世界の出来事とも思えない。
現実世界とリンクした内容であったのは、単に自分の意識が作用した結果なのだろうと、
マーベラスはあれは夢だったのだと結論づけました。

しかし、さっきの真っ白なシーンは、果たして本当にマーベラスの見た夢の場面なのでしょうか?
この「ゴーカイジャー」に登場するアカレッドというキャラは、
マーベラスは単に自分を冒険の旅に導いてくれた「赤き海賊団」の船長だと思っていますが、
実際はマーベラスの知らない側面が何かとあるキャラであります。

「199ヒーロー大決戦」映画のレジェンド大戦のシーンでは、
スーパー戦隊192戦士の戦う力がレンジャーキーとなって宇宙に散らばっていくのを、
なんと宇宙空間に浮かんで見送っており、どうも普通の人間とは思えない。

また、第21話のボウケンジャー篇では、
元ボウケンレッドの明石暁がアカレッドとごく最近接触したらしいことが示唆されており、
数年前の「赤き海賊団」壊滅事件時に死亡したというマーベラスの認識とは矛盾しています。
しかも明石暁はもともと「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」というOV作品で
「アカレッド」という、この作品のアカレッドと酷似しているキャラと面識があり、
ほぼ間違いなく、この「ゴーカイジャー」のアカレッドは
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」のアカレッドと同一人物です。

となると、「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」ではアカレッドは
「スーパー戦隊の赤の戦士の平和への願いより生まれし者」と自己紹介しており、
一種の思念体であると思われますから、
この「ゴーカイジャー」のアカレッドも実は思念体であり、
それならば宇宙空間に浮かんでいたり、死んだはずなのに明石に接触したりするのも理解できます。

そのように、アカレッドが思念体であるとするなら、
実はアカレッドは「赤き海賊団」壊滅事件の際には死んでおらず、
ガレオンに現れてマーベラスに真っ白い空間の幻覚を見せてそこに登場するぐらいのことは出来そうですし、
あるいはマーベラスの夢の中に無理矢理に登場するということも出来そうです。

というか、あの白い空間は幻覚でない可能性もあるのではないか?
真っ白い空間というと、「199ヒーロー大決戦」映画の中で出てきたレンジャーキー空間や、
第19話で鎧がゴールドアンカーキーを生成した空間を想い出します。
あれらは皆、レンジャーキーが関係した空間でした。
そして、ガレオンには現在、198個のレンジャーキーが存在しており、
そのうち「大いなる力」が26戦隊分も揃っている状態なのです。

ただ、映画の時のようにレンジャーキーが異常に励起した状態ではなく、
また、第19話の時の鎧のようにレンジャーキーに特殊に働きかける能力はマーベラスにはあまり無いと思えます。
しかし、スーパー戦隊に深い関わりのある思念体であるアカレッドが介在するならば、
198のレンジャーキーを使って真っ白な空間を作ることは出来たのかもしれません。

いや、そもそも、マーベラスに話しかけるためだけならば、
アカレッドはレンジャーキーを使って白い空間など作る必要は無い。
普通にコクピットで話しかければいいでしょう。
だから、もしあの白い空間がアカレッドがレンジャーキーを使って生成したのだとすれば、
それは別の目的があってのことではないでしょうか?

そこで不思議なのが、どうしてマーベラスは無事なのかです。
しかもどうやらガレオンも無事のようであるし、ナビィまでピンピンしています。
ザンギャック最強の決戦機であるグレートワルズの決め技であるワルズギルティを
あれだけ至近距離で長時間浴びて爆発を起こして遠くの山まで吹っ飛ばされて墜落した割には、
あまりに損傷が軽微に過ぎるのではないでしょうか?

ザンギャック側はワルズ・ギルはともかくとして、
ダマラスやインサーンのような慎重な策士タイプの者達まで全員揃って、
マーベラス達は死んだと確信しています。
脱出した5人は計算外としても、マーベラスはダマラスらの想定通りに船内に居たのだから、
ダマラスらが死んだと信じ込んだのに生きているのはダマラスらの見通しが単に甘かったということなのか?

いや、雁首揃えてそこまで間抜け揃いということはないでしょう。
つまり、普通はグレートワルズのあれだけの攻撃を受けたら死ぬのでしょう。
運よく死ななかったとしてもここまで損傷が軽微というのは考えられない。
となると、何らかの力で防御されていたのではないかとうことになり、
198個のレンジャーキーを使ってアカレッドが何かをした可能性はあるでしょう。
そして、その空間の中でアカレッドがマーベラスに話しかけたのかもしれません。

ただ、もしそうだとしたらナビィは何も気づかないのでしょうか?
いつもレンジャーキーの宝箱のすぐそばにいるナビィなら、
もしレンジャーキーに何か異常があれば気付くはずです。
というか、ナビィはどうしていつもレンジャーキーの宝箱の近くにいるのでしょうか?
ナビィという存在そのものがもともと謎だらけなので、いちいち細かい謎はマヒしてしまうのですが、
ちょっと気になるところではあります。

まぁ、ここではナビィは相変わらず呑気そうに、
マーベラスが夢だったのかとブツブツ言うのを聞いて「は?何が?」と問いますが、
マーベラスはいちいち自分の夢の話などしても仕方ないと思い、
「・・・いや、こっちの話だ!」と言って、話題を変えて
「それより鳥・・・今ザンギャックが襲ってきたらどうする?」とナビィに質問します。

マーベラスは白い空間でのアカレッドとの会話で
自分達ゴーカイジャーの守るべきものは「夢を掴むために集まった仲間たちの絆」なのだと気付き、
その夢を掴む仲間の絆の力でザンギャックから地球を守ることも含めたどんな困難な夢でも
仲間一緒に突き進むべきだと悟りましたが、
あれが自分の見ていた夢の中の出来事だったのだと思ったことによって、
あるいは自分勝手な妄想なのかもしれないと思ったのでした。
マーベラス自身は、その考え方でいいという確信は持っていましたが、
もしかしたら仲間にとっては、こんなボロ負けの後でまだザンギャックとこれ以上戦うなど迷惑な話かもしれない。

だからとりあえずこの場にいるナビィにザンギャックと戦う気力があるかどうか聞いてみようと思ったのでした。
するとナビィは「決まってるだろぉ!2人で戦うよぉ!!」と威勢よく答えて、
目の前にあった操舵輪を思いっきり回します。
が、それは冗談だったようで「・・・なぁ〜んてね!オイラだけ飛んで逃げちゃうかな?」と言って、
とぼけて飛んでいきました。
いや、こっちが冗談なのか、どっちがどっちなのかよく分かりません。

結局、ナビィに質問した意味があんまり無かったマーベラスは「・・・お前なぁ!」と苦笑して、
回っている操舵輪を掴まえて止めて、
コクピットの鍵穴にゴーカイレッドのレンジャーキーを挿して回し、ガレオンを起動させます。
ガレオンは正常に起動するようで、やはり損傷はほとんど無いようです。

ナビィはマーベラスがガレオンを起動させて発進準備をするのを見て「どこ行くんだよ?」と質問しますが、
それに対してマーベラスは操舵輪をガシッと掴んで「フン!決まってんだろ!」と言うと、
目を輝かせて操舵輪を思いっきり回してガレオンを発進させるのでした。
やはり自分が集めたメンバーというわけではないナビィに聞くよりも、自分の集めた5人の仲間たちに直接、
こんな酷い負けの後でもまだザンギャックと戦えるのかどうか聞くのが手っ取り早いと思い、
マーベラスは仲間を迎えに行くため、ガレオンを発進させたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:35 | Comment(0) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月28日

第38話「夢を掴む力」感想その5

グレートワルズに撃破されて山中に墜落していたゴーカイガレオンが再び動き出した頃、
宇宙空間のギガントホースの指令室では、てっきりマーベラス一味は皆死んだと思い込んで
ザンギャック幹部や兵士一同は祝賀会の真っ最中でした。
すると、そこにインサーンが深刻な顔でワルズ・ギルのもとにやって来て悲報を告げます。
「なに!?・・・バリゾーグが死んだだと!?」とワルズ・ギルは腰を抜かさんばかりに驚きました。
もたらされた情報は、マーベラス一味の死体捜索のために海賊船ゴーカイガレオンの墜落した山に
派遣していたバリゾーグが死んだという、ワルズ・ギルには信じられないような内容のものでした。

ワルズ・ギルの叫んだ声を聞いて、一斉に祝賀会場は静かになります。
インサーンは沈痛な面持ちで「・・・はい・・・先ほど、バリゾーグの生体反応が途絶えました・・・
どうやら海賊どもは生きていたようです・・・!」と説明します。
バリゾーグの身体の生体反応は常に異常が無いかどうかギガントホースでチェック出来るようになっているようで、
それが途絶えるのはバリゾーグが死んだ時しか考えられないというほど厳密なチェック体制であるようです。
それで技官のインサーンは現場に行かずとも
バリゾーグが死んだことをほぼリアルタイムで知ることが出来たようです。

たぶんこの生体反応検知システムというのは巨大化銃と連動しているシステムと思われ、
モニターでの戦場チェックと二重チェック体制となっているのでしょうけれど、
今回は戦闘が前提となっていないのでモニターでチェックはしていなかったのか、
そもそも巨大化銃を撃つという前提でなかったのか、どちらかでしょう。
そして、実際、バリゾーグが倒されても巨大化銃を撃とうという話にならないことから、
やはりバリゾーグに巨大化銃は使わないのが前提であるようです。

これは作劇的な理由としては、
おそらくこの「ゴーカイジャー」という作品は幹部怪人は巨大化させない方針であるように思えることがあり、
劇中設定的な理由としては、
以前考察したように、全身が改造体のバリゾーグは復活巨大化させると、
バリゾーグの姿は維持出来ないということなのでしょう。

結局、巨大化銃のシステムを使えばバリゾーグをシドに戻すことも可能で、
そこにインサーンが一役買うのではないかという推理は的外れに終わったようで、
バリゾーグおよびシドはこのまま退場くさいです。

ただ、巨大化銃と連動した生体反応検知システムならば、その生体反応の途絶えた地点は特定出来るはずなので、
バリゾーグが息絶えた場所は分かるのでしょう。
そして、その場所が海賊船ゴーカイガレオンが墜落した山であり、
バリゾーグに危害を加える者はそのあたりでは海賊ぐらいしか考えられないので、
インサーンは海賊たちが実は生きていて、死体捜索にやって来ていたバリゾーグと遭遇して戦いとなり、
バリゾーグは戦死したのだろうと推測しているのです。

ダマラスもインサーンの言葉を聞いて驚いて振り向きます。
まさかグレートワルズのトドメの攻撃を喰らって爆発して吹っ飛んでいった海賊船に乗っていた海賊が
生きていたというのも到底信じられない話でしたが、
その海賊がバリゾーグを倒したというのも耳を疑うような話でした。
ということは海賊は半死半生というわけではなく、全くピンピンしているということです。
いや、そもそも海賊がピンピンしていたとしても、
ザンギャックでも最強格の戦士の1人であるバリゾーグが海賊ごときに倒されるとは、
ダマラスには到底信じられませんでした。

しかしインサーンが死んだと言う以上、バリゾーグが死んだのは事実であろうし、
その犯人は海賊に違いないのだろう。
それにしても不可解な海賊たちの強さにダマラスは驚異を感じました。

まぁ実際はバリゾーグを倒したのは確かに海賊一味の1人であるジョーでしたが、
ジョーは豪獣ゴーカイオーが爆発寸前に脱出させられているので無傷なのは当然なのです。
しかし最後まで豪獣ゴーカイオーに残っていてガレオンと共に爆発して吹っ飛んだマーベラスも
全く無事なのですから、あながちダマラスの感じた驚異は見当違いというわけではありません。

一方、インサーンの説明を呆然と聞いたワルズ・ギルはバリゾーグが死んだという事実に大きな衝撃を受け、
「・・・あ・・・ああ・・・」と絶句してよろめき、インサーンを押しのけて、
つんのめって壁に掴まると「うあああああ!!・・・バリ・・・ゾーグ・・・!」と号泣し、壁を抱いたまま崩れ落ちました。

ワルズ・ギルは自分を命を張って守らせるためにシドを改造してバリゾーグというサイボーグ兵士を作らせました。
それは本質的に弱い人間であるワルズ・ギルが自分を絶対的に守ってくれる存在を求めたからでした。

実際のところ、ワルズ・ギルの周囲の重臣たちや皇帝はワルズ・ギルを思いっきり守ってくれているのだが、
彼らは過酷な弱肉強食の宇宙のルールに従って勝利した強者たちですから、
本質的に弱者を守ろうとする傾向はありません。
だから本質的に弱者であるワルズ・ギルには何となく居心地が悪く、
重臣たちや皇帝と良好な関係を維持していくためには、彼ら
の願望やおだてる言葉に乗っかって万能の強者のように振る舞う、
というか自分自身が万能の強者だと信じ込むしかありませんでした。

彼らは決して弱い者に優しくしようとはしない連中であり、強者としか仲良くしようとはしないからです。
むしろ相手が弱者と知れば襲い掛かってくるような連中です。
弱者であるワルズ・ギルは本能的にそれを感じ取っており、重臣たちや父の皇帝を恐れていた。
だから今回のような誤解が生まれたりしたわけです。

そのように内心怯えながら必死で虚勢を張って生きるというのはワルズ・ギルにとっても疲れることです。
それで、自分を弱者として扱った上でひたすら守ってくれる存在として
バリゾーグを作って甘えることで、精神的に安定を保ってきたのだといえます。

今回、ワルズ・ギルが勝手に誤解してダマラスや皇帝を敵視して
勝手に自分の中で味方を無くしてしまったのでバリゾーグしか頼る者がいなくなってしまい、
それで弱気になってバリゾーグに「お前しか頼る者がいない」というようなことを言ってしまったのですが、
それを聞いたバリゾーグは自分のプログラムされた唯一の価値観である
「ワルズ・ギルを守らねばならない」という想いを、いつもよりもいっそう強く持つようになったのかもしれません。
その結果、ワルズ・ギルが自分の地位を上昇させる起死回生の作戦として推し進める海賊討伐作戦を
なんとしても成功させなければいけないと必死になって、命を張って戦ったために、
遂には命を落としてしまった。

本当はそうではなく、バリゾーグはいつも通りに命令をこなしていただけかもしれません。
バリゾーグがどのような想いで戦っていたのかなど、
ギガントホースにいたワルズ・ギルやダマラス達に分かるはずはありません。
だからダマラスやインサーンらは、
バリゾーグが任務遂行中に不幸にも海賊に殺されたというふうに捉えただけだったのですが、
ワルズ・ギルはそうは考えませんでした。
出撃する前にワルズ・ギルに自分の起死回生の作戦への協力を特に強く頼んでいたからです。
そのせいで自分に絶対忠義のバリゾーグが無理をして、そして死んだのだと思いました。
つまり、自分の弱気がバリゾーグを殺したようなものだと思ったのです。

そこまでワルズ・ギルが思いつめたのは、
やはりもともとバリゾーグの存在によって心が支えられてきたワルズ・ギルにとって
バリゾーグの死がそれだけ衝撃的だったからでしょう。
バリゾーグを失ったことによってワルズ・ギルの心は支えを失って一気に弱気になり、
弱気を自覚することで、自分の弱さを意識せざるを得なくなり、
その弱さがバリゾーグを殺したのだと、ワルズ・ギルは思ったのでした。

まぁ、もともとワルズ・ギルの心の弱さがバリゾーグという存在を作り出し、
その弱いワルズ・ギルを守ろうとする存在であったゆえにバリゾーグはジョーに敗れたわけですから、
ワルズ・ギルの考えは根本的には間違っていません。

ただ、これまでワルズ・ギルはここまで徹底的に自分の心の弱さに向き合ったことはありませんでした。
自分が強ければ、バリゾーグは死ななくて済んだのではないかと、悔やまれて仕方ありませんでした。
また、海賊を倒したと思い込んでバリゾーグに後始末を押し付けて自分は祝賀会で浮かれていたというのも、
あれほど出撃前は絆を確認したはずのバリゾーグに対する酷い裏切りをしてしまったという
後悔の感情も湧きあがってきました。
こうして、ワルズ・ギルは弱い自分を守るために命を張って戦い死んでしまったバリゾーグに対して、
返しようがないほどの大きな「借り」を作ってしまったと感じたのです。

これまでのワルズ・ギルの人生で誰かに「借り」を感じたことなど一度もありません。
全ての者は自分に奉仕するのが当然だと思っていたし、
自分が満足するほどの献身を捧げてくる者など1人もいなかったからです。
だから不満を感じることはあっても「借り」を受けたと感じるようなことは一度もありませんでした。
だから、初めて自分の弱さをハッキリ自覚し、その自分の弱さのために死んだバリゾーグのことを想った時、
ワルズ・ギルは生まれて初めて他人に「借り」を受けたと感じたのです。

そしてワルズ・ギルはその借りを返さなければいけないと思いました。
つまり、ジョーがマーベラスに守られた借りを返そうとしたのと同じです。
ジョーはバリゾーグに「ワルズ・ギルがお前を命を張って守ってくれるのか?」と問いかけ、
バリゾーグは「私をワルズ・ギル様が守ることは有り得ん」と答え、
その絆の弱さをジョーに見破られて、ジョーに逆転のきっかけを与えました。
つまりバリゾーグはワルズ・ギはル自分に守られる弱者で構わないと思ってくれていたわけなのですが、
ワルズ・ギルはバリゾーグに命を張って守られてしまった自分の弱さを悔やみ、
強くあらねばいけないと思ったのでした。

ジョーの場合はその借りを返すためにマーベラスと共に戦おうと思ったのですが、
ワルズ・ギルは既にバリゾーグが死んだという事実を知ってしまっていますから、
一緒に戦いたくても戦えない。
だから心だけでもバリゾーグと共にあると仮定して、
バリゾーグに自分の強さを見せるために戦おうと決意したのでした。
つまり、バリゾーグに捧げるための戦いに行こうということです。
いわば、バリゾーグの弔い合戦であり、
ワルズ・ギルはバリゾーグのために初めて本当の意味で強くなりたいと思ったのです。

そうしてワルズ・ギルは「うおお!俺が自らカタをつける!!」と吼えて立ち上がり、
ゴーミンに向かって「グレートワルズを用意しろぉっ!!」と激しい怒りの形相で命令します。
これを見て、ダマラスは慌てて「・・・で・・・殿下!・・・お待ちください・・・!」と言って、
ワルズ・ギルに抱きついて止めようとします。

ダマラスはワルズ・ギルが海賊がまだ生きていると知って、
相変わらず自分で海賊を倒すことに拘っているだけだと思っていました。
そして、それが自分に対する誤解に基づいた憎悪が原因になっているのだと自覚してもいます。
その誤解はダマラスにとってはやるせないものでしたが、
それでも、それがきっかけとなって、自分への憎悪を糧として
ワルズ・ギルが帝国の後継者として相応しい冷厳な指揮官に成長したようにも思えて、
それはそれでもいいと思っていました。

何より、その憎悪によって成長したワルズ・ギルが自分の予想を遥かに超える強さを発揮して
海賊たちを圧倒したのですから、
ワルズ・ギルが自分への当てつけで海賊と戦うことにこだわることを、
ダマラスは結果的には成功だと思っていたのです。
だから、ここでダマラスがワルズ・ギルを引き止める必要など無いはずです。
今度こそワルズ・ギルはグレートワルズで海賊たちにトドメを刺すはずだからです。

しかし、それでもダマラスが慌てて引き止めようとしたのは、
ダマラスにもハッキリとは理由は分かりませんでしたが、海賊に何か得体の知れない怖さを感じたからです。
バリゾーグほどの戦士が海賊に倒されるなど、考えられないことだったからです。
また、グレートワルズの攻撃を喰らって爆発し吹っ飛んだはずの海賊たちが無事というのも不可解でした。
何かマーベラス一味には得体の知れない力が秘められているのではないかと、ダマラスは嫌な予感がしたのでした。

しかしワルズ・ギルは「止めるなぁっ!!」とダマラスを掴んで強引に退かせて、
扉の前に進むとダマラスを睨みつけて「俺は戦うぞぉっ!!」と叫ぶと、
背を向けて「バリゾーグの弔いだぁっ!!」と喚きながら扉の外に出て行き、
格納庫に向かって駆けていったのでした。
ダマラスは驚いて立ち尽くし、それから慌てて「殿下!」と後を追いますが、
ワルズ・ギルが出て行った扉が閉じられると、ダマラスは追いかけることを諦めて立ち止まり、
下を向いて立ち尽くしてしまうのでした。

ダマラスはワルズ・ギルの言葉を聞いて驚いたのでした。
てっきり自分の手柄や意地のために戦おうとしていると思っていたワルズ・ギルが、
バリゾーグのために戦おうとしていることを知ったからです。

バリゾーグなどは所詮は機械仕掛けでワルズ・ギルに忠誠を誓わされた人形に過ぎない。
しかも既に死んでしまったのであり、もはやワルズ・ギルにとって何の意味も無い者でした。
そんな何の得にもならない者のために司令官であり皇太子であるワルズ・ギルが自ら戦うというのですから、
ダマラスにとってはあまりに意外でした。

ダマラスはワルズ・ギルが冷酷になったと思っていたのです。
しかし、ワルズ・ギルは冷酷になっていたわけではなく、
バリゾーグに対して強い絆を求めて、それによって力を得て戦っていたのだと、ダマラスは気付きました。
そして、ワルズ・ギルはバリゾーグとの絆に報いるために、今また更に強くなりつつある。
そのようにダマラスは感じました。
そして、機械人形などに絆を求めるほどにワルズ・ギルが孤独だったことに胸を痛め、
自分が傍にいながら、そこまでワルズ・ギルを孤独にしてしまったことを恥じました。

ただ、ワルズ・ギルが強くなったのだとするなら、不安要素は無いはずです。
が、それでもダマラスはマーベラス一味の得体の知れない力に不安を抱き、止めようとしたのですが、
ワルズ・ギルがバリゾーグとの絆のために戦おうとしていると知ってしまった以上、
ワルズ・ギルとの間に絆の存在しない自分などの意見で出撃を止めることなど不可能だということに気付き、
追うのを諦めてしまったのでした。

さて、場面は地上に変わり、例のガレオンが墜落した山中、
バリゾーグを倒し、シドの魂との別れも済ませたジョーは、ガレオンの行方を探して山腹の荒れ地を駆けていました。
そこに「ジョー!」と呼ぶ声がするので振り向くと、ルカ、ハカセ、アイム、鎧の4人が駆けてきます。
ジョーも、他の仲間もたぶんマーベラスを探してこの山に来るだろうとは思っていたので、
大した驚きはせず「お前ら・・・!」と言って、立ち止まって4人と合流します。

4人の方も当然ジョーもこの山に来ているだろうとは思っていましたが、
あまりに消息が不明だったので何かトラブルに巻き込まれているのかと心配しており、
ジョーに駆け寄ったアイムは「ジョーさん!大丈夫ですか?」と問いかけます。
ハカセはジョーの額から血が流れているのを見て「その傷・・・!」と驚いて手を伸ばします。
バリゾーグとの戦いの際に負った傷なのですが、
ハカセは詳しい事情は分からず、やはりジョーはザンギャックと遭遇していたのだと悟ります。
が、ジョーは「大したことはない」とハカセの手を掴み、
「・・・それに、俺の心配している場合じゃないみたいだ」と言って、後ろを振り返りました。

ジョーの視線の先、荒れ地の真ん中には、スゴーミンやゴーミン達が大量に現れて迫ってきていました。
バリゾーグが率いてきていた、マーベラス一味の死体を回収しに来ていた部隊が何時の間にか結集して、
遂にジョー達と遭遇したようです。
おそらくバリゾーグが倒されているのを発見して、マーベラス一味が生きていることを悟り、
一味を倒すべく結集してきたところでジョー達と鉢合わせしたのでしょう。

ジョーに気を取られてザンギャック部隊の接近に気付かなかった鎧は「何時の間に?」と身構えます。
ようやく5人揃い、あとは急いでマーベラスを探すのみとなったところで、
とうとうザンギャックと遭遇してしまい、
戦うべきか、逃げてマーベラスを探すべきか、どちらかを選ばねばならない場面です。
しかし5人は躊躇することなく、一斉にモバイレーツとレンジャーキーを出し、変身の態勢に入ります。
もはや全員、どんな絶望的な敗戦の後でも、ザンギャック相手に逃げずに戦い、
突破してマーベラスのもとへ行く覚悟は決まっているのです。

ザンギャック側も5人に向けて砲撃しようとし、まさに戦闘開始の瞬間、
突然、砲弾が降り注いでザンギャック部隊のいる場所が大爆発を起こしたのでした。
ハッと驚いてジョー達5人が上空を見上げると、
ゴーカイガレオンが低空飛行で迫ってきながら
舷側のガレオンキャノンを全門ぶっ放して地上のザンギャック部隊目がけて
砲弾を雨あられと撃ち込んでいたのでした。

この掟破りの巨大戦力による等身大戦力に対する直接攻撃(シリーズで時々ある)で、ザンギャック部隊は全滅し、
ガレオンからロープを伝って降りてきたのは、マーベラスでした。
ガレオンも無事で、マーベラスも生きていたことを確認し、
5人は「マーベラス!」と喜びの声を上げて、地上に降りたったマーベラスに駆け寄ります。

マーベラスは仲間を迎えに行こうとして、
さっき5人を強制脱出させた街に向かって飛んでいこうとしてガレオンを発進させ、
山腹の上に浮かび上がったところ、そこでいきなりザンギャック部隊と戦おうとしている5人の仲間を見つけて、
慌ててガレオンキャノンを発射してザンギャック部隊を蹴散らし、5人に会うため地上に降りたのでした。

そして地上に降りたったマーベラスは「待たせたな!」と、駆け寄ってきた5人に言います。
しかしジョーは「いいや・・・待っていないさ・・・!」と言います。
確かにこれはジョーが正しい。
マーベラスは街で待っている5人を迎えに行くつもりで用意していた第一声をそのまま言ってしまったのですが、
実際は5人は街で待つことなく、こうして山までマーベラスを探しに来ており、
もう少しマーベラスが寝ていたら、ジョー達に揺すり起こされるところだったぐらいです。

5人は完敗を喫してバラバラになったにもかかわらず、
逃げるわけでもなく、迎えを待つでもなく、自分の意思で前へ進み、
ザンギャックの山狩りする山の中をマーベラスを探しに来たのです。
そして、逃げずにザンギャックと戦おうとしていたのです。
そのことはマーベラスを驚かせました。

そして続けてジョーが「お前がモタついてたお蔭で・・・俺は決着がつけられた・・・」が言うと、
マーベラスも、他の仲間も思わずジョーの顔を見て、厳粛な面持ちとなります。
ジョーが山中でバリゾーグと遭遇し、戦って倒したことを悟ったのでした。
つまりジョーの本懐は遂げられたわけです。

続けてマーベラスを見据えて行った「借りは返す・・・!」というジョーの言葉には、
不本意にも命を守られてしまった借りを返すという意思と共に、
シドの魂を救う機会を貰えたこと、
その際にマーベラスや仲間たちとの絆の力が自分の後押しをしてくれたことも含めて、
借りは返すという意思が強く示されていました。
それは、もう決して逃げずに仲間と一緒に戦い抜くということです。
マーベラスは「・・・そうか!」と真剣な眼差しでジョーの気持ちを受け止めました。

そこに、ザンギャックの新手の部隊が現れます。
バリゾーグが率いていた部隊とは別に、ワルズ・ギルがグレートワルズで現地に到着するまでの間、
マーベラス達に立ち向かわせるために放った新手の部隊です。
そこに降り立ったゴーミン達を率いるのは、あの倉庫の戦いの際に撤退して姿を消したドゴーミン2人でした。
ドゴーミンは「全員生きていたのかドゴ!」「だが、ここがお前たちの墓場だドゴ!」と言います。

マーベラス達6人は横一列となり、そのザンギャック部隊の方に向き直ります。
そして真ん中に立つマーベラスは横に立つ鎧に向けて「鎧・・・俺が間違ってたみたいだ・・・」と言ったのでした。
鎧は敵との戦いに集中しようとしたところだったので、
いきなりマーベラスに話しかけられて少し面食らってマーベラスの方を見ます。
が、マーベラスは5人に会って確かめたいと思っていたことが、質問する間もなく早々に結論が出てしまったので、
戦う前に皆に謝っておかねばならないと思ったのでした。

それは、「守る」ということに関して、海賊としては間違った判断をしてしまい、
自分がもともと認めて求めていたはずの仲間の強さを忘れてしまい、
皆を自分が守らなければいけない弱い者扱いして守ろうとしたことでした。
どうしてそれが謝らねばいけないほどのことなのかというと、
それが海賊の絆、すなわち、夢を掴むために集まった仲間の絆を裏切る行動だからです。

それはもともとマーベラスが求めた絆であり、それを今回マーベラスは裏切ってしまった。
いや、ザンギャックの圧倒的な力の前に、
自分の求めた絆を仲間に強要して、それで仲間が命を落とすことが申し訳なくて、
自ら絆を断ち切ってしまったのです。
だから、もう一度、この絆のせいでどんな危険な目にあってもいいのか、仲間に確認したかった。
そして、一度皆を裏切った自分と再び絆を結んでくれるのか確かめたかったのでした。

しかし、5人が自分を探しにこの山に来て、
完敗の後でもザンギャックと戦うことも厭わないという姿勢であるのを見て、
マーベラスはもはや言葉で何も確認する必要は無いと思いました。
後はもう、一言謝れば、絆は元通りとなることは分かりました。

マーベラスは自分の過ちを認め、
「お前らや、お前らの夢は・・・俺に守られるほどヤワじゃねぇもんな!」と言います。
それで鎧はマーベラスが自分の地球を守りたいという夢の強さを認めてくれて、
それを実現可能だと認めてくれたのだと思い、嬉しそうに「・・・はい・・・ないっス!!」と元気に返事します。

ハカセはマーベラスが仲間の絆の基本となる皆の夢を掴もうとする力の強さを想い出してくれたことを喜び
「分かってんじゃん!」と笑顔で応え、
アイムも「それでいいと思います・・・!」と、
慣れない地球を守る戦いでどんな絶望的状況となっても今までと変わらず、
夢を掴むための仲間の絆の力で突き進むという方針で良いと、マーベラスに了承の意を示します。
また、ジョーは、夢を掴もうとする仲間の絆の力がバリゾーグを打ち破ったのだというシドの言葉に想いを馳せ、
黙って頷きます。

そして、マーベラスに思いっきり文句を言ってやろうと少し楽しみにしていたルカはちょっと残念そうに
「・・・じゃあ、文句は言わないであげるか!」と言うと、
マーベラスを横目で睨み、「で、どーすんの?・・・マーベラス!」と問います。
マーベラスが仲間の絆をもう一度結びたいという気持ちは分かっており、
もちろんルカも絆を結び直すつもりだが、
それでもさっき一緒に戦うのを拒否したのはマーベラスの方ですから、
再び一緒に戦いたいというのならマーベラスからハッキリそう言うよう促したのでした。

それに対してマーベラスは照れ臭いセリフは避けて「フン!決まってんだろ!」と
ゴーカイレッドのレンジャーキーを出します。
これがマーベラスから仲間への言葉の代わりでした。
それを見て、鎧はまた全員で一緒に戦えることに目を輝かせ、ゴーカイシルバーのレンジャーキーを出し、
ハカセもゴーカイグリーン、アイムもゴーカイピンク、ルカもゴーカイイエロー、ジョーもゴーカイブルーの
レンジャーキーをそれぞれ出して掲げます。
これが6人の絆の再確認となりました。

そしてマーベラスのいつもより一際、気合いの入った「派手にいくぜ!!」の掛け声を合図に
全員、レンジャーキーをカギ型に変形し、
「撃て!」というドゴーミンの号令で降り注ぐザンギャック部隊の砲火の中、
「豪快チェンジ!!」と叫んで、6人はゴーカイジャーに変身します。
そして、「うおおおお!!」と叫んでザンギャック部隊に向けて突っ込み、
「かかれ!」とドゴーミンに号令されて迎え撃つゴーミン達と乱戦に突入するのでした。

ここは名乗りのバンクシーン無しでいきなりアクションシーンに突入していますが、
今回は戦いながら名乗りを上げていくというチャンバラ時代劇風の演出で、かなり燃えます。
1人ずつが周りを囲むゴーミン達を蹴散らすアクションシーンを映しながら
1人ずつ名乗りを上げていくというもので、
アクションの感じとしては、鎧はゴーカイスピア、他の5人はゴーカイサーベルとゴーカイガンという、
最もオーソドックスなスタイルで、各自はいかにも各自らしいアクションを披露しながら、
カッコいいポーズでトメを入れて
「ゴーカイレッド!!」「ゴーカイブルー・・・!」「ゴーカイイエロー!」「ゴーカイグリーン!」
「ゴーカイピンク!」「ゴオオオオカイ!シルバアアアッ!!」と順番に名乗りを上げていきます。
ただ相変わらずハカセの動きが妙にせわしなくて笑えます。

そうしてゴーミンの群れを突き抜けてきて6人が並び立ち、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と全体名乗りを上げてポーズを決めると、
6人の背後で倒されたゴーミン達がバタバタと倒れ込みながら爆発し、
大量のゴーミン達が一斉に爆発したので6人の背後で大爆発となり、
名乗りポーズの背後に華を添える効果となるという、これまたチャンバラ時代劇チックな演出となります。

なお、この全体名乗りの6人のポーズは、いつものポーズとは全然違っていますが、
これは普段とは違って武器を持った形でのポーズだからです。
これも皆、クールに決まっているのですが、
ハカセだけ銃と剣を持った両手を思いっきりバンザイしていて、あまりに豪快すぎて、可笑しいです。

さて、これでゴーミン達は全滅し、残るはドゴーミン2人だけです。
「おのれぇ〜!」「こうなれば!」とドゴーミン2人は例の槍を交差させて繰り出す
ザンギャックの紋章型のエネルギー波の連続攻撃を繰り出しますが、
これをマーベラス達6人はことごとく弾き返します。
さっきの倉庫の戦いの時はこれを1発だけの攻撃でもマトモに喰らっていたのですが、
一度見たとはいえ、連続攻撃を全部弾き返すとは、
やはり、ゴーカイジャーの力はここにきてじわじわと上がってきているようです。

マーベラスは「残りの奴らもぶっ叩くぞ!」と言うと、ゴーカイガレオンバスターを出し、
鎧を除く5人で構えてライジングストライクを喰らわせ、
鎧はゴールドモードで豪快レジェンドリームを繰り出し、
この必殺技コンボを同時に喰らい、さすがのドゴーミン2人も
「そんなバカなぁっ!?ドゴォ!!」と断末魔の絶叫を残して大爆発して果てたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:58 | Comment(0) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月29日

第38話「夢を掴む力」感想その6

ドゴーミンの率いるザンギャック部隊を全滅させたマーベラス達でしたが、
そこに「負け犬の分際でバリゾーグを倒し、俺様に噛みついたこと、今度こそ後悔させてくれる!!」と
怒り狂いながら、グレートワルズに乗り込んでワルズ・ギルが飛んできます。
これに対して、マーベラス達は「今度こそ、あの七光り野郎を倒す!!」と、
ゴーカイオーと豪獣神で立ち向かいます。
皇帝の息子というだけでバカ息子のクセに司令官をやってることを「親の七光り」と評しているわけです。
ただ、さっきは完敗したというのにマーベラス達は非常に強気です。

ここで何故か戦いの舞台が山中からビル街に変わりますが、
まぁ戦隊シリーズではよくあることなので、このへんは細かく突っ込みません。
とにかく相変わらず白い騎士っぽくてカッコいいグレートワルズでビル群の間を闊歩しながら、
コクピットでワルズ・ギルは「このグレートワルズには、貴様ら程度の力では敵わん!!」と吼えます。
確かにさっきはゴーカイジャー側はグレートワルズに全く歯が立たなかったので、
ワルズ・ギルの言うことの方が説得力はあります。

しかし、マーベラス達はさっきはグレートワルズのパワーとスピードに圧倒されて
全力を出し切る前に諦めて敗れてしまったので、今回は最初から全力を出していくつもりです。
つまりスーパー戦隊の「大いなる力」を使って決め技をいきなり出していくというわけです。
「まずは俺がいきます!」と言って、まず鎧が豪獣神を使って「豪獣トリプルドリルドリーム!」と、
いきなり決め技を出します。

これはアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの3つの戦隊の「大いなる力」を同時に使う大技で、
今まで破られたことは無い。
おそらく「大いなる力」関連の技の中では最強技といえます。
しかし、こういう大技というのはいつもはだいたい相手が弱ってきて動きが鈍くなってから使うものであって、
パワーもスピードも豪獣神よりも勝っているグレートワルズがまだ全くピンピンしている状態で使っても、
そうそう上手くいくものでもありません。

案の定、豪獣神から豪獣レックスと豪獣ドリルが分離して3つのドリル攻撃が始まり、
ドリルがグレートワルズに達する前に、ワルズ・ギルはワルズアローを撃ってきて豪獣神を攻撃し、
ドリル攻撃を止めてしまいました。
これは相手に命中させる前に攻撃を止められてしまっているので、
3つの戦隊の「大いなる力」を合わせたパワーがグレートワルズに通用しなかったというわけではなく、
単に豪獣トリプルドリルドリームという技が破られたということになります。

しかし、続いてマーベラスが「マジゴーカイオーでいくぞ!」と号令をかけて
ゴーカイオーをマジゴーカイオーにチェンジし、
マジドラゴンを放って豪快マジバインドをグレートワルズに喰らわせたものの、
ワルズ・ギルは「もはや俺の怒りは、その程度では消せん!!」と、凄い気迫でグレートワルズを操って、
周りを囲んだ3つの魔法陣を粉砕し、マジドラゴンを払いのけてしまいました。
これは完全に豪快マジバインドを喰らった上で破っており、
グレートワルズの能力はマジレンジャーの「大いなる力」よりは上なのだといえます。

スーパー戦隊の個々の力にそんな大きな差は無いはずですから、
つまりこれは、単独のスーパー戦隊が全力で戦っても
グレートワルズには勝てないということを意味するのだと思います。
ザンギャック最強の決戦機というのはそれほどの能力を有しているのであり、
さすがにワルズ・ギルの地球侵略軍ではなくザンギャック本軍の力は
歴代の悪の組織を超える途轍もないものだといえます。

確か「199ヒーロー大決戦」映画の冒頭のレジェンド大戦のシーンで
大破して動かなくなったゴセイグレートの姿が映っており、
あそこで描写された最後の等身大戦の前に巨大戦が行われたことが窺い知れますが、
そこにはゴセイジャーの「大いなる力」に相当するゴセイグレートを倒すだけの敵が存在したということでしょう。
他のスーパー戦隊の巨大戦力も姿を消していたので、ゴセイグレート同様に潰されたと思われ、
おそらくその相手は戦艦程度ではなく、ザンギャック軍の決戦機だったのでしょう。

といっても、グレートワルズは帝国の最後の切り札的な決戦機なので、
レジェンド大戦には参戦していなかったのであろうと思われ、
それより格下の決戦機が34のスーパー戦隊の巨大戦力と戦ったのでしょう。
となると、おそらく1対1でスーパー戦隊の巨大ロボを倒すほどの能力があったわけではなく、
34のスーパー戦隊の繰り出す巨大ロボや巨大メカの数を遥かに上回る数の決戦機が投入され、
それらの決戦機もいなくなっていたところを見ると、相討ちで両方とも全滅したのでしょう。
となると、あるいはザンギャック帝国には今はグレートワルズ以外の決戦機は存在していないのかもしれません。

しかしともかく、1機でスーパー戦隊1つの力を凌駕するグレートワルズのような
決戦機を作れるだけの軍事的能力がザンギャック帝国には有るわけですから、恐るべき相手だといえます。
まぁ豪獣トリプルドリルドリームならば3つの戦隊の力を合わせた技ですから、
グレートワルズにも通用するのかもしれませんが、
これは厳密には3つの戦隊の大いなる力を同時に発動してから合体させる技なので、
その分テンポが遅れて、スピードのあるグレートワルズには通用しない技となっているといえます。

そういえば「空飛ぶ幽霊船」映画で別々の戦隊の5つのレンジャーキーを同時に挿して、
5つの戦隊の大いなる力を同時に出現させて攻撃したこともありましたが、
あれはおそらく、各戦隊の「大いなる力」を5分の1にしたものを同時発動させていただけであり、
総パワーとしては1つの戦隊の「大いなる力」と同じなのでしょう。

つまり、結局は、通常攻撃もダメで、「大いなる力」を使った攻撃もダメとなり、
ゴーカイジャーにはグレートワルズに通用する技は無いということになります。
これで優劣は完全に決したといえます。
もはやゴーカイジャー側に打つ手はありません。

しかし、マーベラス達は全くひるむことなく、今度はハリケンゴーカイオーにチェンジして、
「ゴーカイ風雷アタック!」と、今度はハリケンジャーの「大いなる力」である風雷丸を放ちます。
「拙者にお任せくだされ!必殺奥義、乱れ桜!参らん!!」と分身して
巨大手裏剣を掲げて飛び立つ無数の風雷丸でしたが、
ワルズ・ギルはワルズギルティをグレートワルズの胸の顔から発射し、
風雷丸たちは「うわああ!?」と蜘蛛の子を散らすように蹴散らされてしまいました。
やはり、マジレンジャーの「大いなる力」に引き続いて、
ハリケンジャーの「大いなる力」もグレートワルズには通用しなかったのでした。

そして今度は、打つ手の無いゴーカイジャー側に対してグレートワルズが攻勢に転じて、
ワルズアローを連射してゴーカイオーと豪獣神をメッタ撃ちして追い詰めます。
ゴーカイオーと豪獣神のコクピットでは、また前回の戦いと同じように火柱が上がり、
またもや絶体絶命の状況となります。
結局は前回と変わらない完全に劣勢の展開となり、前回はここらで諦めてしまっていた6人でしたが、
今回はまだ諦めたりはしないようで、
マーベラス達は「マッハルコン!!」と、今度は猛攻に晒される中で
ゴーオンジャーの「大いなる力」であるマッハルコンを召喚して、グレートワルズに突っ込ませます。

しかしマッハルコンは前回の戦いでグレートワルズには全く歯が立たず、
ワルズアローを喰らって次元の壁の向こうに追い返されてしまっています。
それでも今回はマッハルコンは「またアイツか!今度は命張っていくぜ!!」と果敢に突っ込み、
ワルズアローを巧みに避けてグレートワルズに迫りますが、
結局、ワルズギルティを喰らって吹っ飛ばされます。

遂には一度敗れた「大いなる力」まで繰り出して攻撃してくるマーベラス達に
ワルズ・ギルは「どこまでも往生際の悪い奴らだ!」と呆れますが、
マーベラス達はまだ立ち向かう姿勢で、マッハルコンも今回は次元の壁の向こうに撤退はせず、
「このままで終わってたまるかよ!」と踏みとどまってゴーカイオーの前に降り立ちグレートワルズを睨みつけます。

ワルズ・ギルはマーベラス達のあまりのしつこさに驚きました。
そもそも前回の戦いでグレートワルズに完敗しているのですから、
海賊たちがまともに立ち向かってくるとも予想していなかったのです。

ワルズ・ギルの認識ではザンギャックは堂々たる宇宙の覇者であり、宇宙の統治者です。
つまりワルズ・ギルの中ではザンギャックこそが正義であり、宇宙の平和を維持する存在なのであり、
海賊などはその平和を乱して帝国の臣民を苦しめるどうしようもないチンケな悪党に過ぎないのです。
だから卑怯な連中に決まっており、バリゾーグが倒されたのも海賊の卑怯な騙し討ちにあったのだと思っていました。
そうでなければバリゾーグが海賊などに負けるわけがない。
だからきっとグレートワルズで討伐しようとしても、一度完敗しているのですから、
絶対に敵うわけがないと思って海賊たちは逃げて、それを追い駆けないといけないとワルズ・ギルは思っていました。

ところが予想に反して海賊どもが立ち向かってくるので、
まだ勝ち目が無いことが分かっていないのだと思い、
ワルズ・ギルはわざと海賊たちの技を受け、それを破って海賊たちの勘違いを正してやろうとしたのでした。
それで、海賊たちの決め技を次々と破ってみせて、
実力差を思い知って慌てて逃げようとする醜態を晒したところを仕留めてやろうと思っていたのですが、
いくつもの決め技を破られて、もう完全に勝ち目が無いことは分かったはずなのに、
まだ海賊が立ち向かってくるのでワルズ・ギルは驚いたのです。

そして、海賊たちは勘違いして勝てると思っていたわけではなく、
負けると分かっていて、死を覚悟して突っ込んできているのだと思い、更に驚きました。
ワルズ・ギルの認識では、海賊などはザンギャックの正規軍が攻めてくれば姑息に逃げ回り、
防御の弱いところばかりを狙って奇襲を繰り返すような卑怯な連中でした。
正規軍に正面からぶつかって戦うなど絶対にしないし、そもそも海賊がそんなことをする必要など無い。

しかし、こうして明らかな劣勢であるのに正面から立ち向かってくるということは、
どうもこれは普通の海賊ではなく、何かよほどの覚悟があって、
この地球でザンギャックと戦う意思があるようだとワルズ・ギルも気付いたのでした。
それはつまり、ザンギャックによる宇宙の制覇に反対する意思なのだということです。

今まで、自分の星の異質性を守ろうとしてザンギャックによる統治を拒んで抵抗してきた者達は宇宙にも多くいたが、
そのような者達はワルズ・ギルから見れば愚か者でした。
宇宙はザンギャックによる統治の下でこそ平和が維持されるのであり、
その恒久平和の大義のために多少の不自由や不便があるのは仕方ないことであり、
そのザンギャックによる平和に逆らう者を討伐することは宇宙の平和を維持するためには仕方ない、
微々たる犠牲でしかない。
そういう考え方に染まったワルズ・ギルから見れば、
ザンギャックによる支配を拒んで自分の星を守ろうなどといって戦う者は愚か者でしたが、
単に知恵の足りない連中なのだろうと見下すだけで済む連中でした。

ところが、この海賊たちは自分と何の関係も無い星である地球を
ザンギャックに支配されないようにしようとして戦っている。
それはつまり、真っ向からザンギャック帝国の存在そのものを否定する思想でした。
それはワルズ・ギルから見れば宇宙の平和と安定そのものを否定する狂気の思想でした。
つまり、このマーベラス一味という海賊は、普通の無法者ではなく、
狂ったアナーキストの集団であったのです。
そして、その狂信は自分達こそが正義だという勘違いを生み、
この海賊たちは自分達こそが正義だと信じ込んでいるので、
その正義に殉じて死ぬことなど恐れていないのだろうと、ワルズ・ギルは思いました。

それによって、ワルズ・ギルはどうしてバリゾーグが海賊に不覚をとったのか分かった気がしました。
たぶんバリゾーグは海賊どもが死を覚悟して突っ込んでくるような
狂信者であることに気付いていなかったのだろう。
だから普通なら逃げる場面で逆に襲い掛かってきた海賊の行動を予測出来ず、
不意打ちを喰らったのだろうと思いました。

そして同時に、ならば自分はそんな不覚はとりはしないと心に決めました。
相手が死を覚悟して捨身で襲ってくることが予測出来ていれば、決して不意打ちは喰らわない。
相手が死を覚悟して突っ込んできてくれるならば、それが分かっているならば、
考えようによっては逃げる相手を追いかける手間が省けていいとも言えました。
それでワルズ・ギルは余裕と威厳をもって
「忌々しき海賊ども・・・死を迎え入れる覚悟は出来たか!?」とマーベラス達に向けて言いました。

ところがそのワルズ・ギルの言葉を受けると、
間髪入れず、鎧は豪獣神のコクピットで「そんな覚悟なんて要らない!!」とピシャリと言い返します。
これには「・・・なにぃ!?」とワルズ・ギルは驚きました。
死ぬ覚悟も無く、この絶望的状況の中、勝ち目の無い突撃を繰り返していたとは、
いったいどういうことだと不可解に思ったのでした。

すると、ゴーカイオーのコクピットではルカは「この程度で、あたし達がひるむと思ってんの!?」と、
いつも通り、腕を回して軽く言います。
この圧倒的な劣勢は、ルカにとっては劣勢と感じるようなものではないようです。
そしてジョーは気迫を込めて「打つ手が無くとも・・・絶対に逃げたりしない!!」と応じます。
ジョーも打つ手が既に無いことは分かっているのです。それでも逃げはしないという。
かといって死を覚悟しているわけでもない。
これは確かに不可解です。

その謎を解く言葉は、ハカセが「なんてったって、僕たち海賊だもんね!?」と冗談めかして言います。
ワルズ・ギルから見れば、海賊というのはちょっとした劣勢ですぐに怯んで逃げ出すような連中ですから、
このハカセの言葉は全く理解不可能でしたが、
ハカセをはじめマーベラス一味の皆にとっては「海賊」とは、強者が弱者を支配する世界の摂理から抜け出て、
自由、つまり、強者の支配を受けずに自分の意思で自分の人生を決定することを目指した者達でした。

それがつまり「夢を掴む」という行為なのであり、
それは強者が弱者を支配する世界の摂理に反した行為ですから、世界を敵に回す危険な行為です。
そうした危険に挑み、夢や自由を掴もうとすることで、
もともと弱かった者が本当の強さを得た者達が「海賊」なのです。

だから自らを「海賊」と認識し、「海賊」の誇りを持つ者は、
自分よりも強い者には絶対に屈してはいけない。
相手が強いからこそ、怯んではいけないし、逃げてもいけない。
そういうのは、「海賊」の生き方に反するからです。
とにかく強者によって動かされることがあってはいけない。
常に強者の意思に逆らい続ける反骨精神こそが海賊の強さなのだといえます。
だから、相手が殺しにかかっている時に死の覚悟を持つなど、絶対にあってはならないのです。
海賊のやるべきことは常に1つ、自分の自由な意思に従って、夢を掴むために突き進むことのみです。

しかし、そうはいっても、実際はワルズ・ギルが考えるように、
マーベラス一味の他の海賊たちも結局はザンギャック帝国という究極の強者の前では
怯み、逃げ回り、挙句の果てには死の覚悟を決めるところまで追い込まれて、
強者のいいようにその自由や夢を蹂躙されてきました。
いや、さっきグレートワルズに敗れた時までのマーベラス達は、まさにそのようでありました。

それがどうして今は怯まず、逃げず、死の覚悟すら拒絶できるほど強くなれたのか?
どこで、マーベラス一味と他の海賊たちの差はついたのか?
さっきまでのマーベラス一味と今のマーベラス一味の違いは何なのか?
それはマーベラス一味が自分達の「絆」の持つ力を知ったことです。

「自由」や「夢」というと、何か字面は美しいが、
自分の意思で自分の人生を決定するというと、それは解釈のしようによっては、
己の欲望のままに規律を破って悪事を働いてもいいということでもあります。
それは結局は他人に自分の欲望を押し付けて、他人の自由や夢を踏み躙ることにもなります。
だから、実は自由な者同士や夢を追う者同士が絆を結ぶというのは難しいことです。
自由や夢を求める者はエゴが強くなりがちだからです。

だから、もともと自分の夢を掴もうとして海賊となった連中が寄せ集まった海賊団は、
それぞれのエゴがぶつかり合って仲間割れして、強さを発揮することは出来ず、
ザンギャックに敗れていきました。
赤き海賊団だって、バスコという裏切り者がお宝を独り占めしたいというエゴを通すために
他の仲間の夢を踏み躙って壊滅しました。
これが他の海賊たちの実態でした。

いや、海賊だけではなく、結局、人間は互いのエゴをぶつけ合って、
力を合わせることが出来ずに強い者に支配されていってしまうことになりがちであり、
ザンギャックはそうした人間の愚かしさに付け入って宇宙を支配したのだといえます。

ならば、互いにエゴで争うことのないように、皆が同じ夢を目指すことにすればいいという考え方もあります。
しかし、実はこれこそがザンギャックの思想であり、
1つの夢に全ての者を従わせようという発想へと繋がっていきます。
人間は1人1人違うのですから、他人と同じ夢を持つことは出来ません。
それを1つの夢だけにまとめようとすれば、結局は最も強い者の夢を除いて、他の夢は圧殺され、
自由は奪われることとなるのです。

だから、ザンギャックのような強大な力を持ち、自分以外の自由や夢を認めようとしない者に対抗するためには、
各自が自由に夢を追いながら、力を合わせていけるような絆を結ばなくてはいけません。
今、マーベラス達がザンギャックに決して屈しない強い気持ちを宣言することが出来るようになったのは、
自分達の絆にその力があることが分かったからなのです。

その根源といえるのはマーベラスが「宇宙最大のお宝」という、実態もよく分からない、
とにかく宇宙最大の夢を掴もうとしている稀有な人間だったことです。
マーベラス自身が「宇宙最大のお宝」が何なのか知らずに本気でそれを掴もうとしているため、
結局はマーベラス」という人間の中身は、
夢を求める強い意思、自由を求める強い意思そのもののようになってしまい、
他の独自の夢を持つ5人は、そのマーベラスの夢や自由を求める意思の強さに惹かれて、
「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を追いかけることで、
自分もマーベラスのように夢を掴もうとする強い意思を持つことが出来るかもしれないと思い、
それでマーベラスの仲間になろうと思ったのです。

一方、マーベラスも、「宇宙最大のお宝」という正体も分からない夢を掴むためには、
とにかく、バラバラな方向性の夢を掴もうとする強い意思を結集する必要があると思い、
目指す夢が何であるのかはどうでもよく、
とにかく世界を敵に回して強い意思で夢と自由を掴もうとして突き進んでいる者を仲間にしたいと思っており、
そのお互いの想いが一致した者達が仲間に加わった5人なのです。

つまり、このマーベラス一味の6人は、夢を同じくする仲間なのではなく、
お互いの夢や自由を掴もうとする想いの強さを尊重し合う仲間なのです。
そういう仲間同士だから、お互いの夢を求める気持ちや自由を求める気持ちを尊重し、
自分のエゴを押し付けることなく力を合わせることが出来て、
互いの夢を掴むために協力し合うことが出来る。
そうした気持ちを同じくした6人であったのです。

アイムは「私達、6人の気持ちは1つです!!」と凛とした声でワルズ・ギルに向けて言い放ち、
そうした互いの夢を尊重する気持ちこそが自分達を真の「海賊」とし、
ザンギャックに対しても決して怯むこともない強さをもたらしたことを示します。

そうして、その6人の気持ちが1つになった結果、
6人の夢は1つになるのではなく、6つの夢のまま、6人皆の夢になったのです。
シドの魂がジョーに言った「お前達みんなの夢」とはそういう夢であり、
そうして多くの夢を掴もうとするようになり、夢が大きくなればなるほど、6人は強くなっていきました。

その結果、夢を掴むために集まった仲間の絆が自分達にある限り、
自分達は夢を大きく膨らませれば膨らませただけ、無限に強くなることが出来るのだと
マーベラス達は気付いたのです。
さっきグレートワルズに敗れた後、ルカとハカセとアイムと鎧は互いの遣り取りの中で、
ジョーはバリゾーグとの戦いとシドの魂との会話の中で、
そしてマーベラスはアカレッドとの不思議な会話の中で、それぞれがそのことに気付き、
そして、6人が揃った後のドゴーミン達を撃破した戦いの中でそれを確信したのです。

つまり、夢を掴むために集まった仲間の絆で結ばれた海賊は夢の大きさの分だけ強くなるのです。
だから、今までの自分達では勝てない強敵に打ち勝つためには、
今までの自分達が掴もうとしていた夢よりももっと大きな夢を掴もうとすればいい。
その夢とは「地球を守り、人々の自由を守り、人々の夢を守りたい」という
海賊には不相応なほどに大きな夢です。
だからこそ、それを掴むために突き進めば自分達は強くなり、強敵を倒すことが出来る。

そのことを確信したマーベラスは、右手をぐっと前に突き出して、拳を固く握り締め、
「ああ!・・・夢をこの手で掴むまで、俺たちは突き進むだけだぁっ!!」とワルズ・ギルに向けて
強く宣言したのでした。
すると、その瞬間、ゴーカイオーのコクピットに座る
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの5人のバックルがひっくり返って光を発したのです。
「これは・・・!?」と驚く5人の目の前を、バックルから浮かび上がってきたレンジャーキーが光を発します。
そのレンジャーキーは、なんとゴーカイジャーのレンジャーキーでした。

「ゴーカイジャーのレンジャーキーが・・・光った!?」とアイムが驚きの声を上げると、
豪獣神のコクピットから「こっちもです!!」と鎧も言ってきます。
鎧のバックルからも同様にゴーカイシルバーのレンジャーキーが光を発して浮かび上がってきたようです。
これは、いつものレジェンド戦隊の「大いなる力」が初めて引き出された時に起きる現象と
同じだと気付いたルカは「もしかして・・・!」と言います。
そういえば、巨大スゴーミン軍団との戦いの時にマッハルコンに質問されて、
結局よく分からなかった「ゴーカイジャーの大いなる力」というやつなのかもしれないと思ったのでした。

マーベラスも、何だかよく分からないが、
これはゴーカイジャーのレンジャーキーをコクピットの鍵穴に挿せということなのだろうと思い、
「よしいくぞぉ!!」と浮かんでいるゴーカイレッドのレンジャーキーを掴んでカギ型にして号令をかけ、
6人は一斉に「ゴーカイ!レンジャーキー!セット!!」と叫びつつ、
ゴーカイジャーのレンジャーキーを自分のコクピットの鍵穴に挿して回しました。

すると、ゴーカイオーからはゴーカイジャーの海賊旗のマーク、豪獣神からは錨のマーク、
そして何故かマッハルコンからも「13」の数字を模したマッハルコンのマークの、
それぞれの形の光が浮かび上がったかと思うと、次の瞬間には、3体は眩い閃光を発します。
この閃光に視界を奪われ、グレートワルズのコクピットのワルズ・ギルは「うう?・・・なにぃ!?」と怯みます。
マーベラス達と問答していたら突然、ゴーカイオーと豪獣神とマッハルコンが閃光を発し、
いったい何が起こったのか、ワルズ・ギルには理解出来ませんでした。

その閃光の中、ゴーカイオーと豪獣神の胸部ハッチがそれぞれ開き、
それぞれのハッチから光が照射されて空中で交差します。
「・・・何が起こった!?」と戸惑うワルズ・ギルの前で、その2つの光線の交点に、
1つの巨大な金色のタブレット状の物体が出現し、ゴーカイオーと豪獣神がそれを掴みました。
それは、マッハルコンの炎神ソウルと同じ形で、
しかしそれよりもかなり巨大な、金色の炎神ソウルのような物体でした。
そこには真ん中にゴーカイジャーの海賊旗のマークが刻印され、
その上に「KANZEN SOUL」と刻まれており、やはり巨大な炎神ソウルのようでした。
しかもやたら巨大ですから、これは巨大化したマッハルコンに挿すためのソウルのようでした。

そのカンゼンソウルの表面のゴーカイジャーのマークを見て、
マッハルコンは「なぁんだよ!無いとか言ってあるじゃねぇか!」と言うと、
急スピンしてゴーカイオーと豪獣神の方へ走りながら
「これがお前らゴーカイジャーの大いなる力だろぉ!?」と威勢よく問いかけます。
てっきりマッハルコンはマーベラス達がゴーカイジャーの大いなる力のことを自分に隠していたと思ったようですが、
マーベラス達は別に隠してなどいません。
こんな巨大なソウルは初めて見たので驚いていたところです。

しかしマッハルコンにそう言われると、「俺たちの大いなる力・・・」と、マーベラスは考え込み、
そして確かにこれはゴーカイジャーのレンジャーキーが光って挿した結果出現したものであるので、
ゴーカイジャーの大いなる力と考えるしかないと思いました。
34のスーパー戦隊のレンジャーキーのように、ゴーカイジャーのレンジャーキーにも
「大いなる力」が秘められていたということも意外でしたが、
どうしてそれが今まで自分達には引き出すことが出来ておらず、
急に今のタイミングで引き出されたのだろうかと不思議に思いました。

自分達がスーパー戦隊の大いなる力を引き出す時、
そのスーパー戦隊の何らかの精神を自分達と共通したものと感じることが、
その引き出される条件であったようにマーベラスも思っていたのですが、
何せマーベラス達自身がゴーカイジャーであるわけですから、精神の共通など感じる必要は無いわけです。
だから何がきっかけなのかよく分からないが、
タイミング的には、ワルズ・ギルに海賊の絆の力の話をしている時に
ゴーカイジャーの大いなる力が発現したようでした。

そこでマーベラスはハッと気づいたのでした。
今までのスーパー戦隊の「大いなる力」が引き出されたきっかけとなっていたのは、
自分達の中の何らかの精神とスーパー戦隊の最も大事な精神が一致していると感じたことではなく、
自分達の中の何らかの精神が、スーパー戦隊と同じように戦う力として使うことが出来ることに
気付いたことがきっかけだったのではないかと思ったのです。

そう考えると、まさにその通りでした。
マーベラス達は例えばマジレンジャーに出会うまでは「勇気」が強大な敵と戦う力になるとは思っていませんでした。
マーベラス達にとっての「勇気」はあくまで冒険のために使うものでした。
しかし、マジレンジャーという地球を守るためにザンギャックと戦ったという34のスーパー戦隊の1つが
「勇気」を戦う力に変えて戦っていたと知った時、
自分達も自分達の「勇気」を使ってザンギャックと戦えるかもしれないと思ったのです。
そうしたら、マジレンジャーのレンジャーキーが光ってマジドラゴンが出現したのです。
そうして今まで26個の戦隊の「大いなる力」を引き出してきたのだ。

ならば、今回も同じことです。
マーベラスはバックルから光ってゴーカイジャーのレンジャーキーが飛び出してくる直前、
「夢を掴むために集まった仲間の絆を持つ自分達ならば、大きな夢を掴もうとする力は強大な敵と戦う力になる」
という確信に達しました。
つまり、「夢を掴む力が戦う力に変わる」と覚ったのです。
そしてその瞬間、ゴーカイジャーの大いなる力が引き出された。
つまり、そういうことなのです。

「・・・夢を掴む力かぁっ!!」とマーベラスは思わずコクピットで大声で叫びました。
「夢を掴む力」こそがゴーカイジャーの大いなる力の源だったのです。
そして、その具現化した姿がこの巨大なソウルでした。

どうしてゴーカイジャーの大いなる力が、ゴーオンジャー風の炎神ソウルの形をしているのかとか、
どうしてこんなに巨大なのかなど、そういう細かい疑問点は、
まぁそれらはいろいろと玩具的事情や作劇的事情があるので、細かくツッコむのはやめておきましょう。

とにかくそういう形をしている以上、それはマッハルコンに挿入するるためのものであるのは明白で、
マッハルコンは走り込んできてゴーカイオーや豪獣神に車体の左側を寄せ、
「そのカンゼンソウルを俺様にぶっ挿せぇ!!バリバリィ〜!!」と叫びながら、車体左側のソウル挿入口を開きます。

マッハルコン自身の炎神ソウルを挿入するのは車体右側の挿入口であり、
そこにマッハルコンソウルを挿入することでマッハルコンは巨大化します。
そうして巨大化した状態で左側の挿入口を開き、
そこに巨大なカンゼンソウル=「ゴーカイジャーの大いなる力」を挿入すると、
何かとんでもないことが起きるようです。

どうしてマシンワールドで暴走族をやっていたマッハルコンがそんな都合のいい仕様になっているのかについては、
あえて突っ込むのはやめておきましょう。
とにかくここはもう勢いです。
そもそも、もう既にここは何処なのかというぐらい、真っ暗なバンク画面になっており、
ノリと勢いに任せるべき場面です。

6人の「カンゼンソウル!セット!!」というコールと共に
ゴーカイオーと豪獣神はカンゼンソウルを投げてマッハルコンの左側の挿入口に入れ、
挿入口を閉じてカンゼンソウルを取りこんだマッハルコンはバンク画面の中で走り出し、
ゴーカイオーと豪獣神も走ってその後ろに続きます。
そして「海賊合体!!」という掛け声と共にジャンプしたゴーカイオーと豪獣神は
それぞれ胴体と腕のパーツを切り離し、空中で豪獣ゴーカイオーとなり、
そこでいきなりハイウェイのバンク映像に切り替わって、
マッハルコンが「海賊合体!!」と叫んで5つのパーツに分解します。

そしてマッハルコンのボディ後部のパーツは縦に2つに分かれて豪獣ゴーカイオーの両脚にブーツのように連結し、
マッハルコンの後部マフラー部は5つの排気口を5本の指としたビッグハンドとなって
豪獣ゴーカイオーの左手の先に連結し、
マッハルコンのボディ前部のパーツは豪獣ゴーカイオーの開いた胸部ハッチに突っ込み、
マッハルコンの最後部パーツは兜となって豪獣ゴーカイオーの頭部にかぶさり、
そこにゴーカイケンが兜の前立てとしてくっつきます。
ちなみにマッハルコンの前輪は豪獣ゴーカイオーの背中につきます。
そうして豪獣ゴーカイオーの背中のダイヤルが回ると、
胸部ハッチに突っ込んでいた前部パーツが展開して胸のアーマーのようになり、
これで新たな巨大ロボが完成します。

「完成!!カンゼンゴーカイオー!!」と、
豪獣神からコクピットごと移動してきた鎧を含む6人が一堂に会したコクピットで叫んだ
その新合体の巨大ロボは、右手がドリル、左手がビッグハンド、両脚がタイヤで高速移動する、
ゴーカイオーよりも一回り大きい、堂々たる巨大ロボでした。

このカンゼンゴーカイオー、かなりカッコいいです。
いつもこの時期というのは、いわゆる「全合体ロボ」というやつが登場する時期なのですが、
余剰パーツを全く出さずにそれまでに登場した全ての巨大メカを合体させる「全合体ロボ」というのは、
どうしても不格好になりがちなので、
今回は余剰パーツを出すことは前提で、カッコよさを追求したデザインになっているようです。
だから、あまりバカでかいわけでもなく、これは全合体ロボというよりは、
1号ロボと2号ロボが合体する、いわゆる「スーパー合体ロボ」というやつに相当する大きさといえます。

近年のシリーズ作品では夏ぐらいに「スーパー合体ロボ」が登場して、
その後、秋に「全合体ロボ」が登場することが多かったのですが、
この「ゴーカイジャー」では、スーパー戦隊の「大いなる力」を換装パーツにして
ゴーカイオーにつけていくパターンが基本であるため、
通常はスーパー合体ロボが登場する時期に登場したハリケンゴーカイオーは普通に換装型ロボであり、
2号ロボである豪獣神とのスーパー合体ではありませんでした。

その後に登場した豪獣ゴーカイオーは、一応は1号ロボのゴーカイオーと2号ロボの豪獣神との合体でしたが、
実質的には豪獣神の腕パーツをゴーカイオーにおいて換装パーツとして使っているに過ぎず、
あくまでゴーカイオーをベースにした換装型ロボの1バリエーションでした。
そういうわけで結局は「ゴーカイジャー」においては
1号ロボと2号ロボの「スーパー合体ロボ」というのは登場せず、
むしろ、今回登場したカンゼンゴーカイオーというのは、
1.5号ロボとも言える豪獣ゴーカイオーと3号ロボともいえるマッハルコンとの
変則的な「スーパー合体ロボ」と言った方が適切かもしれません。

そして、なんといってもこのカンゼンゴーカイオー、
右手がドリル、左手が何やらゴッツいビッグハンドですから、何だかワクワク感があります。
しかも登場時のBGMがどう聞いてもこれは渡辺宙明サウンドです。
調べてみると「KANZEN TREASURE」という曲で、
作詞が八手三郎、作曲が渡辺宙明、唄が水木一郎という、なんとも素敵なラインアップです。
今回はインスト版ですが、今後、唄入りのものも期待しましょう。

ところで、このカンゼンゴーカイオーとは何なのか?
ゴーカイジャーの大いなる力はカンゼンソウルですから、
カンゼンゴーカイオーはゴーカイジャーの大いなる力ではないようです。
カンゼンゴーカイオーは、ゴーオンジャーの大いなる力であるマッハルコンと、
そのマッハルコンに挿入されて合体の触媒となったゴーカイジャーの大いなる力であるカンゼンソウル、
そしてアバレンジャーの大いなる力である豪獣ゴーカイオーが合わさったものです。
つまり、ゴーカイジャーとゴーオンジャーとアバレンジャーの3つの戦隊の大いなる力が合わさったものが
カンゼンゴーカイオーといえます。

ゴーカイジャーの大いなる力が
ゴーオンジャーとアバレンジャーの大いなる力を合体させる触媒となったようにも見えますが、
完全に触媒だけというわけでもなく、
ゴーカイジャーの大いなる力そのものにも大きな戦う力は存在しているようですから、
3つの戦隊の力が合わさったものといえます。

ただ、これは豪獣トリプルドリルドリームのような技とは根本的に違うものです。
豪獣トリプルドリルドリームは3つの戦隊の大いなる力を同時に別々に発動してから合体させる技ですが、
このカンゼンゴーカイオーは3つの戦隊の大いなる力を合体増幅させて1つの巨大な力にして
スムーズに運用するシステムであり、
豪獣トリプルドリルドリームよりもパワーもスピードも格段に優れています。

これは、第32話の時に考察したファイナルウェーブとゴーカイガレオンバスターとの違いに似ています。
ファイナルウェーブは複数のレンンジャーキーのエネルギーをバラバラに発射して
空中で合体させる非効率な技だったが、
ゴーカイガレオンバスターは複数のレンジャーキーのエネルギーを集束して
1つの巨大なエネルギーを生み出す効率的な武器でした。

つまり、ファイナルウェーブは豪獣トリプルドリルドリームに相当し、
ゴーカイガレオンバスターはカンゼンゴーカイオーに相当するわけです。
そして、ゴーカイガレオンバスターの完成に際しての重要なテーマは「力を1つに合わせること」であり、
それがあの時、ゴーカイジャーの大いなる力の最初の発現に繋がっていた。
そして今回、カンゼンゴーカイオーにおいても、ゴーカイジャーの大いなる力が全て引き出された結果
出現したカンゼンソウルがあってこそ3つの「大いなる力」が1つに合わさることになったのであり、
やはりゴーカイジャーの大いなる力は「力を1つに合わせる」という特性があるようです。
そして、それはやはり、ゴーカイジャーの大いなる力の本質が「夢を掴む力」であり、
それは夢を掴むために集まった仲間の絆が前提となっており、
つまり、夢を掴む仲間の力を1つに合わせるのがゴーカイジャーの大いなる力の特性であるようです。

さて、このカンゼンゴーカイオーの突然の出現に、グレートワルズのコクピットのワルズ・ギルは
「なんだと!?・・・これはいったい・・・!?」と驚愕します。
一方、カンゼンゴーカイオーのコクピットのマーベラスは「ド派手に突っ走るぜぇっ!!」と号令をかけて、
6人は操舵輪を回し、カンゼンゴーカイオーはグレートワルズに襲い掛かります。
グレートワルズはその攻撃を受け止めようとしますが、
カンゼンゴーカイオーの右腕のドリル、左腕のビッグハンドの攻撃は共に凄まじいパワーとスピードで、
グレートワルズは攻撃を受け止められず、モロに喰らってしまい「おわっ!?」とワルズ・ギルは驚きます。

そこで距離をとってワルズアローでカンゼンゴーカイオーを攻撃しますが、
カンゼンゴーカイオーはワルズアローを何発喰らっても全く動じることなく、
両脚のタイヤで走り前進し、グレートワルズに迫ります。
さすが、3つの「大いなる力」を1つに合わせてより大きな力としているだけのことはあります。

ワルズ・ギルはこの突然現れたカンゼンゴーカイオーというロボットが
以前の海賊ロボットとは比較にならないほど強いことは認めざるを得ませんでした。
そして、その強さが引き出されたきっかけとなったのが、
マーベラス達がこの不思議な現象の直前に言っていた「夢を掴む仲間の絆」だということも
だいたい想像はつきました。

しかし、もし「夢を掴む仲間の絆」が巨大なパワーを引き出すのだとするなら、
それは自分にも引き出せるはずだと思いました。
何故なら、ワルズ・ギルもまた前回の戦いの出撃前にバリゾーグと、
父やダマラスたち重臣を超えるという夢を語り、絆を結んだはずであり、
バリゾーグは死んでしまったが、今の自分はバリゾーグを心に抱いて共に戦い、
強くなろうとしていると、ワルズ・ギルは思っていました。

だから、父や重臣たちを超えてザンギャック帝国の皇帝となるという
大きな夢を掴もうとする自分とバリゾーグの絆は、
海賊ごときの絆など遥かに凌駕する強さを引き出すはずであり、
もともと最強の決戦機であるグレートワルズにその強大なパワーが加われば、
カンゼンゴーカイオーなどは物の数ではないと思い、
ワルズ・ギルは「俺は超える!ダマラスも父上も!・・・見ていろバリゾーグ!!」と気合を込めて
グレートワルズを操り、高速で移動して攻撃態勢に入ろうとします。

ところがマーベラス達は「カンゼンミサイル!!」と掛け声をかけ、
カンゼンゴーカイオーの左手のビッグハンドの5本の指からミサイルを連続発射し、
高速移動するグレートワルズを的確に捉えて悉く命中させるのでした。
フィンガーミサイルとは、なんとも昭和テイストで素晴らしいですね。
ドリルが腕の豪獣神とかとか、ゲッタースリー状態のゴーオンゴーカイオーとか、
この作品のロボットはなんとも男のロマンがよく分かってます。

一方、ミサイル攻撃を浴びてしまったグレートワルズのワルズ・ギルは「うわっ!?」と驚き、
「あああっ・・・ウソだ!どういうことだ!?・・・こんな虫ケラどもに・・・!?」と混乱します。
自分も「夢を掴む仲間の絆」は持っているはずなのに、
どうしてザンギャック皇帝の息子である自分の方が海賊より劣勢なのか、理解が出来ないのです。
しかし、これは当然の結果なのでした。

ワルズ・ギルは、あくまでザンギャック帝国という強者が弱者を支配する仕組みの中での
支配者を目指しているのであって、弱肉強食という世界の摂理を超えることが出来ていない。
だから、その世界の摂理を超えて、世界と敵対して戦う自由な世界で鍛えられた
マーベラス達の強さには勝てないのです。

また、ワルズ・ギルが絆を結んでいると思っているバリゾーグのワルズ・ギルへの忠誠は
機械的に強制されたものであり、彼の自由意思に基づいたものではない。
つまりバリゾーグは決して自分の意思で夢を見ることは出来ないのですから、
ワルズ・ギルとバリゾーグの絆は「夢を掴む仲間の絆」には絶対になり得ないのです。
よって、ワルズ・ギルの「父や重臣を超えて皇帝になる」という夢は、
仲間との自由や夢を掴もうとする意思を尊重し合うものとはならない、単なるエゴにしかならない。
単なる自分の欲望のためだけのエゴはワルズ・ギルに何の力ももたらしはしないのです。

ワルズ・ギルがさっきから自分の強さだと思っていたものは、単にグレートワルズの性能であったに過ぎず、
そもそも皇帝の息子だから無条件に使うことが出来る最強の決戦機の力に頼っている時点で、
ワルズ・ギルは帝国の壁はおろか、父も重臣も超えることなど到底出来る可能性は無かったのです。
だから、操るロボットの能力が逆転した今、ワルズ・ギルの脆弱な精神では、
この劣勢をひっくり返す強さなど引き出せるはずもなかった。

「カンゼンドリル!!」と掛け声をかけて、
今度はマーベラス達はカンゼンゴーカイオーの右腕のドリルを回転させながら振りおろし、
グレートワルズを叩きのめし、
ワルズ・ギルは「何故だ!?・・・何故、グレートワルズが押されている・・・?」と、
ただただ事態が呑み込めず混乱するのみとなりました。

そしてマーベラスはグレートワルズから距離をとると、「このまま一気に決めるぞ!!」と、
カンゼンゴーカイオーの左腕を思いっきり後ろにスイングバックし、
反動をつけて前にパンチを繰り出しながら「レッツゴー!!ゴーカイ!カンゼンバースト!!」と叫び、
なんとここで左手のビッグハンドを手首から切り離して発射、
ロケット噴射でグレートワルズ目がけて飛ばします。
これは、マジンガーZばりのロケットパンチです。これぞ男のロマンです。

このゴーカイカンゼンバーストのロケットパンチがグレートワルズを貫き、
「うおっ!?・・・なあああっ!?」と何が起きたのか分からず混乱するワルズ・ギルの周囲で
グレートワルズのコクピットは爆発を起こし火柱を噴き上げ、
「俺は・・・俺はこのまま・・・終わってしまうのかぁっ!?」というワルズ・ギルの諦めの絶叫の響く中、
グレートワルズは火花を散らしてのたうった後、ガクッと機能を停止して倒れ込み、
大爆発を起こし、ワルズ・ギルの断末魔の「うああああああっ!!」という絶叫が響き渡ったのでした。

こうしてザンギャック帝国の皇太子であり地球侵略軍の司令官のワルズ・ギルは
帝国最強の決戦機グレートワルズと共に壮絶に散ったのでした。
この模様をギガントホースのモニターで見ていたインサーンやダマラスは仰天します。
「・・・そんな・・・まさか、グレートワルズが・・・!?」とインサーンは信じられないものを見たように絶句します。
司令官の戦死よりも、帝国最強の決戦機が敗北したことの方が、
技官であるインサーンには大きな衝撃であったようです。

一方、ダマラスは、嫌な予感はしていたものの、
まさかワルズ・ギルが戦死するような結果になるとまで思っておらず、大変な衝撃を受け
「殿下・・・!」と絶句し、ガックリ肩を落とし、
「くうっ・・・!」と悔しげに、むなしく空席となった司令官席の方を見ます。
自分がついていながら、むざむざとワルズ・ギルを戦死させてしまった無力感ももちろんありましたが、
最後にワルズ・ギルの孤独を知ってしまった分、
ダマラスは長年それを理解することが出来ず、一緒に地球までやって来ていて
ワルズ・ギルに何もしてやれなかった自分を恥じ、悔やんでいたのでした。

さて、エピローグは戦いが終わって夕焼け空を行くゴーカイガレオンの船室です。
ソファのところにはルカ、ハカセ、アイム、鎧が集まりスーパー戦隊大百科の
シンケンジャーやゴセイジャーあたりのページを見ています。
そうしてアイムが「つまり・・・34のスーパー戦隊と同じように・・・私達にも大いなる力が
あったってわけですね・・・?」と頭の中を整理するように言います。
ゴーカイジャーにも「大いなる力」があったという事実が未だあまりピンときていないようです。

「なんだかちょっとピンとこないけどね」とハカセも微妙な顔をして言います。
確かにゴーカイジャーの大いなる力であるカンゼンソウルは3つのスーパー戦隊の力を合わせて
カンゼンゴーカイオーを出現させる力となり、これでゴーカイジャーは強大な力を得たことにはなります。
ただ、「大いなる力」というものはもともとは「宇宙最大のお宝」を手に入れるために
34個を引き出すためのものだったはずで、
そこに予想していなかった35番目の「大いなる力」としてゴーカイジャーの大いなる力が現れたというのは、
「宇宙最大のお宝」探しにおいてどういう意味があることなのか、
ハカセはちょっとよく分からなかったのでした。

これについては、おそらくゴーカイジャーの大いなる力の特性である「力を1つに合わせる」というのが、
34戦隊の大いなる力を合わせて何かをする時に必要になってくるような気がするのですが、
まだ詳細は分かりません。

今回、ちなみに一度も他戦隊への多段変身も無く、召喚戦士の登場も無く、
つまり「ゴーカイジャー」で初めて、ゴーカイジャー以外の戦士が登場しない珍しいエピソードでした。
これは、ゴーカイジャーの大いなる力の登場するエピソードですから、
徹底的にゴーカイジャーの力だけで戦った結果、ゴーカイジャーの大いなる力が引き出されるという
流れにしたかったという演出的な狙いでしょう。

ただ面白いのが、そうして引き出されたゴーカイジャーの大いなる力が、
他の戦隊の力を合わせる触媒として作用しているという点です。
そして今回のほとんど最終回のようなバトルで、決して物語は終わりにならず、
今後のクライマックスは今回よりも激しいバトルとなるということです。
その今回においてゴーカイジャーの全ての力が引き出され、それで勝利したということは、
今後のクライマックスの戦いにおいては、
ゴーカイジャーの力にプラスアルファで別の力も足さなくては勝てないほど
強大な敵が登場する可能性があるということです。
その別の力というのが34戦隊の力であるのかもしれず、宇宙最大のお宝であるのかもしれませんが、
そこでゴーカイジャーの大いなる力は何らかの役割を果たすのではないでしょうか。

一方、鎧は「これで俺たちも本格的にスーパー戦隊ってことですかね?」と嬉しそうです。
鎧の解釈としては、「大いなる力」を使いこなしたということは、
かつて「大いなる力」を含む全ての力を駆使して地球を守って戦った歴代34戦隊と
ゴーカイジャーは同等となったのだと誇らしいようです。

それに対してマーベラスはいつもの船長椅子でくつろぎながら
「さぁな!・・・しかし、俺たちは本当のゴーカイジャーになったってことだ!」と満足げです。
スーパー戦隊の一員になったかどうかは分からないが、
マーベラスにはそんなことよりも、
夢を掴むために集まった仲間の絆が自分達の戦う力になっていることに気付いたことが嬉しいことであったのです。
そして、その力でザンギャックの侵略から人々の自由と夢を守るという、
ゴーカイジャーの守るべきものを見つけたことでマーベラスの心は晴れ晴れしていました。

そのマーベラスにルカがニヤニヤ近づいてきて
「・・・でも、独りでゴーカイガレオンに残るなんてね!・・・ちょっとは寂しかったんじゃないの?マーベラス・・・」と、
からかうように聞いてきます。
マーベラスは「フン!・・・んなわけねぇだろ!」と鼻で笑いますが、
船長椅子の後ろに立っているジョーも身を乗り出してきて「実際のところ・・・どうだったんだ?」と聞いてきます。

すると椅子の後ろにとまっているナビィが「もう、心細くて泣きじゃくってたよぉ!」と酷いウソを言うので、
マーベラスは後ろに手を伸ばしてナビィを掴んで目の前に置き「鳥・・・」と睨むと
「ウソをつくなぁぁぁっ!!こらぁっ!!」と思いっきり押さえつけて揺さぶります。
しかしナビィは全く懲りた様子もなく
「泣いちゃってぇ!寂しい!寂しい!みんな何処行ったのぉ?って泣いてたよぉ〜!」とデタラメばかり言って
飛び回るので、マーベラスは「待て!泣かすな!泣いてねぇ!」と喚きながら船室の中を走り回り、
ナビィを追いかけ回し、仲間たちをそれを楽しそうに眺めるのでした。

さて、一方、大爆発を起こして破壊され、瓦礫の街に横たわるグレートワルズの残骸の中から、
夜になってようやくダマラスはワルズ・ギルの遺骸を運び出しました。
ここで遺骸が出てきて、これで完全にワルズ・ギルが死亡したことは確定したと見ていいでしょう。
実は生きていたとか、そういう可能性は無いと思います。

そして、ダマラスは抱き上げたワルズ・ギルの遺骸を見て、
「殿下・・・私がついていながら・・・!」と詫び、空を見上げます。
そこには満月があり、その月の前を横切るように、かなり遠くをゆっくりゴーカイガレオンが飛んでいます。
それを恨みのこもった射ぬくような視線で睨みつけながらダマラスは「・・・海賊めぇ・・・!」と呻くのでした。

ちなみにダマラスさんは今回初めて地上に降りたような気がしますが、どうも敵討ちとかしそうな気配です。
この人も最初はワルズ・ギルに対して二心ありそうな印象もあったのですが、
単に人間関係が上手くいっていなかっただけで、基本的には忠臣だったみたいですね。
ただ、バスコとの妙な関係や、皇帝との関係などは、まだまだ何か屈折したものがあるような気もして、
マーベラス一味への今回生じた恨みの感情も含めて、やはり注目すべきキャラとなってきました。

そして今回、EDテーマと次回予告の後、驚くべき告知がありました。
来年1月21日公開予定の新作映画「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン」の告知が来ました。
今回の告知映像では内容は全く分かりませんが、とにかくこのあまりに意外なコラボ企画、非常に楽しみです。

従来ならこの時期の冬映画は前年戦隊とのVSなのですが、
今年はゴセイジャーとのコラボは6月の「199ヒーロー大決戦」映画でやってしまったし、
記念作品らしく「VSスーパー戦隊」をやろうにも、
「ゴーカイジャー」の場合、TV本編が「VSスーパー戦隊」のようなものだし、
じゃあゴーカイジャー単独のお話にするのかとも思っていたのですが、
それは夏映画「空飛ぶ幽霊船」でやったし、
どうせまた「帰ってきたゴーカイジャー」のVシネ企画もあるのだろうし、
どうするのだろうかと思っていたら、意表をついて宇宙刑事とのコラボとは意外でした。
ただ、実質的にはゴーカイジャーがメインの話になりのかなぁという気はしています。よく分かりませんが。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:58 | Comment(0) | 第38話「夢を掴む力」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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