2011年12月06日

第40話「未来は過去に」感想その1

この「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品は、
スーパー戦隊シリーズ歴代35作品の物語世界が全部クロスオーバーした物語世界が舞台となった、
極めて特殊な作品です。
おそらく日本テレビドラマ史上だけでなく、テレビドラマというものの歴史に残る作品でしょう。

まぁこういうシリーズ作品のクロスオーバー企画というもの自体は昔から各コンテンツにしばしば存在しており、
それを連続ドラマでやって強烈なインパクトを残したものとしては
東映でも「仮面ライダーディケイド」という直近の先例もありますから、
「ゴーカイジャー」の際立って凄い点はクロスオーバー企画そのものではなく、
そのクロスオーバーしている物語の数の多さということになります。

そうなると、凄いのは「ゴーカイジャー」ではなく「スーパー戦隊シリーズ」という
長期連続シリーズだということになります。
それが37年の歴史に渡っており、しかもオリジナル出演者が老化していく実写作品で、
オリジナルキャストを出演させる形でやっているわけですから、
この「ゴーカイジャー」という作品を超えるクロスオーバー作品が
今後制作されることは無いと断言していいでしょう。
唯一可能性があるとするなら、スーパー戦隊シリーズ40作記念にまた類似企画をやった場合でしょうけれど、
まぁ多分やらないでしょう。

ただ、「スーパー戦隊シリーズ」の35作品の歴史は確かに凄いが、
それをあえてクロスオーバーさせている「ゴーカイジャー」という作品も確かに凄い。
というか、この35作品のクロスオーバーというのは、
クロスオーバー作品としては空前絶後であると同時に悲劇でもあります。
おそらく「スーパー戦隊シリーズ全作品のクロスオーバー企画」というコンセプトさえ無ければ、
誰もこんな「35作品のクロスオーバー」などという暴挙に踏み切ることはなかったでしょう。
おそらく、クロスオーバー作品として最も上手くまとまるのは
10作品程度までのクロスオーバーであろうと思われるからです。

この無理のありすぎる「35作品のクロスオーバー」を1年間視聴に耐え得る物語とするために、
「ゴーカイジャー」という作品は、この作品特有のルールを設定して、それをきっちり守っています。
それは、「あくまで主役であるゴーカイジャーの物語を描く」という路線を徹底することです。
だから、そういう意味では「ゴーカイジャー」という作品は従来型のクロスオーバー作品を期待する人から見れば、
真っ当なクロスオーバー作品ではないのかもしれません。

確かにそれは否定出来ません。
本来のクロスオーバー作品というのは、複数の作品の世界観が均等な割合で混ざり合っているものだからです。
それに比べて「ゴーカイジャー」は、35番目の作品である「ゴーカイジャー」の世界観が
突出して勝ちすぎています。

しかし、あえてそうするしかなかったのです。
例えばこれが10作品のクロスオーバーであれば、
それらの要素を均等に配分したとしたら現役作品の要素は10分の1となり、
それぐらいならキャラ立てはギリギリ可能でしょう。
しかし、35分の1になってしまえば、もうキャラをまともに描写することすら不可能です。
歴代34戦隊の方は既にそれぞれ1年かけて作り上げた世界観がありますから、
それを35分の1に圧縮されてしまっても観る側は脳内補完してくれますが、
現役戦隊はまだ世界観を全く描いていない状態で、いきなり35分の1に圧縮されてしまっては、
全くこれは勝負になりません。
現役戦隊は歴代戦隊の中に完全に埋没して終わりでしょう。

だから、「ゴーカイジャー」の場合は、作品全体の世界観の2分の1はゴーカイジャーが確保した上で、
残り2分の1を34分割して(といっても各戦隊平等な配分ではないが)歴代34戦隊の世界観を描いているのです。
そういうわけで各エピソードにおける歴代34戦隊の要素は非常に小さい。
特に通常回と呼ばれるゴーカイジャーのオリジナルストーリーを描くエピソードでは
ごく短時間の豪快チェンジぐらいでしか歴代戦隊の要素は登場せず、
レジェンド回と呼ばれる、ゴーカイジャーと歴代戦隊ゲストがコラボするエピソードでも、
歴代戦隊の要素はかなり抑えられています。

そうやって「海賊戦隊ゴーカイジャー」という史上最大のクロスオーバー作品は成立しているのです。
その路線は成功しており、この路線しか有り得なかったとも思います。
ただ、それでも、もったいないという印象は残ります。
それは、せっかくの35個もの戦隊の世界観が同時存在することが許容された
シチュエーションが最大限に活かされた本来のクロスオーバーの作劇、
すなわち全ての戦隊の世界観が均等に扱われていないことです。

それをやってしまうとこの作品が成立しなくなるということは重々承知の上で、
それでもこんな機会がおそらくもう二度と無いであろうことを考えると、
クロスオーバー作品としての完全な形での「ゴーカイジャー」も観てみたいとも思ってしまいます。
特に、「ゴーカイジャーが35番目のスーパー戦隊として完成した」といえる第38話のゴーカイジャー篇以後は、
ゴーカイジャーのメンバーのキャラも見事に立ち、ゴーカイジャーのオリジナルの世界観も完全に確立しており、
別に他の戦隊の世界観優位のシチュエーションにゴーカイジャーを放り込んでも
十分に物語は成立する状況となっているといえます。

いや、この38のエピソードを重ねて確立されたゴーカイジャーという戦隊の特色に
「歴代戦隊とマルチにコラボすることが出来る」という唯一無二の特性がある以上、
今こそ、「ディケイド」のような真っ当なクロスオーバー作品のような作劇をやってみたくなる
タイミングといえます。

それは「ゴーカイジャー」の物語の本筋においては別に必要は無い試みです。
だから、いわば「ゴーカイジャー」の特別篇のようなものですが、
「ゴーカイジャー」でなければ作れない特別篇である以上、
ドラマ作りに携わる人間ならば、このせっかくの機会を逃さずに、
やはり手を出してみたくなるのではないでしょうか。
ただ、それは「ゴーカイジャー」のここまで積み上げた、
あくまでゴーカイジャーがメインとなった世界観の中では成立しない特別篇だといえます。
まぁ、だからこそ特別篇なのですが。

ならば、「ディケイド」のように、別の戦隊の世界をパラレルワールドとして設定して、
ゴーカイジャーがそこを訪れるという形にすればいいということになる。
実はゴーオンジャー篇はそういう手法であったのですが、
あれはあくまでゴーオンジャーの世界観の中に存在する異世界をゴーカイジャーが訪問したのであって、
ゴーオンジャーの世界観の本体はゴーカイジャーの世界観からは分離していませんでした。
だからゴーカイジャーはゴーオンジャーの世界観を異世界として訪問したわけではないのです。

何故そういうことになってしまうのかというと、それは簡単な話であって、
「ディケイド」の場合はそれぞれのライダー世界は並行して別々に存在していたのに対して、
「ゴーカイジャー」のそれぞれの戦隊世界は、全てゴーカイジャーの世界に内包されているからです。
それらはゴーカイジャーの物語世界の過去の出来事として、
過去から現在に至る40年ほどの縦の時間軸上に連なって存在しているのです。

だから、「ゴーカイジャー」の物語世界の中で他の戦隊世界にゴーカイジャーが訪問しようとするならば、
ゴーオンジャーやディケイドのような横軸の次元移動では無理なのであって、縦軸の次元移動をするしかない。
つまり、タイムスリップをするしかないのですが、
ゴーカイジャーにはタイムスリップをする能力は無いので、それは無理ということになります。
しかし、スーパー戦隊シリーズには1つだけ、その難問を解決できる戦隊があります。
それが「未来戦隊タイムレンジャー」なのです。

そういうわけで今回、タイムレンジャー篇です。
ただ「タイムレンジャー篇」とは言っていますが、
これは「ゴーカイジャー」という物語における「レジェンド回」としてのタイムレンジャー篇とは、
だいぶ趣が違うといえます。
何せ、タイムレンジャーの「大いなる力」は既にゴーカイジャーは獲得済であり、
しかもボウケンジャーやゴーオンジャーのように補完レジェンド回をやるまでは
「大いなる力」が未使用だったわけではなく、
普段から「豪獣ドリル」という形で思いっきり使ってます。
だから補完するためのレジェンド回をやる必要は無いのです。

似た例といえば、既に獲得して使用していたアバレンジャーの「大いなる力」の別の使い方を補完した
2回目のアバレンジャー篇がありますが、今回のタイムレンジャー篇はそれとも全然違います。
あの時は一応、本質的にはアイムの七変化篇だったのですが、
その七変化のアバレっぷりがアバレンジャーの大いなる力を引き出すきっかけとなるという、
かなり無理矢理ではあるものの、
ちゃんと「ゴーカイジャーの行動が大いなる力の獲得あるいは発現に繋がる」という
レジェンド回の基本パターンはふまえていました。

しかし今回のタイムレンジャー篇は、
最初にタイムレンジャーの「大いなる力」の別の使い方とも解釈出来るような能力として
タイムスリップ能力は登場しますが、
それは今回のエピソードにおけるゴーカイジャーの行動によって発現したものではなく、
単に作劇の都合上、タイムスリップが必要だったから唐突に登場した能力に過ぎません。
そして今回のエピソードにおけるゴーカイジャーの行動は、
既に獲得使用済みのタイムレンジャーの「大いなる力」の状況に一切の変化をもたらしていません。

そういう意味で、今回のタイムレンジャー篇は、
これまでの「ゴーカイジャー」におけるレジェンド回のパターンからは完全に逸脱した
変則的なレジェンド回といえます。
ハッキリ言ってしまえば、ゴーカイジャーを他の戦隊の世界にゲストとして登場させる特別篇なのであり、
そのためにタイムスリップが必要だったので、
その能力を持つタイムレンジャーを絡める作劇にしたというだけのことです。
つまり、本当の意味でのタイムレンジャー篇ではなく、
特別篇のゲストとしてタイムレンジャーが登場するという形といえます。

レジェンド回の最大の特徴である「ゲスト戦隊のテーマの発見に至るまでのドラマ」というものが無い以上、
厳密にはレジェンド回ではなく、通常回のレジェンド登場特別篇といえるようなものかもしれません。
ただ、そうはいっても、ちゃんとレジェンドゲストがオリジナルキャストで登場していただいている以上、
これはやはりれっきとしたレジェンド回なのであり、
変則的な形ながら、しっかりそれに見合った作劇がなされています。

結局、今回、ゴーカイジャーが他の戦隊世界である過去の世界を訪問するというエピソードが
「ゴーカイジャー」という物語全体の中で描くべき必然性があったかというと、
それは確かにあまり無かったと思えます。
ただ、そんなことを言えば、七変化篇も入れ替わり篇も、
ストーリー的に絶対に必要なエピソードであったかというと、そんなことはないわけで、
そういう一種のバラエティー篇と考えれば、今回の他の戦隊世界訪問篇も、
「ゴーカイジャー」ならではのバラエティー篇として、やっておく価値はあるエピソードといえます。

物語は今回で第40話です。
次の戦隊に関する情報がそろそろ出始めており、それによると次戦隊の放送開始は来年の2月26日だそうで、
そうなると、「ゴーカイジャー」の最終話は2月19日となり、当初予想していた2月5日よりも2週後です。
特別企画作品なので通常よりも2週延長なのか、あるいは東日本大震災で1話減ったことも影響しているのか、
事情はよく分かりませんが、2月第1週で終了という通常のフォーマットとは異なり、
この作品は2週長くやるようです。

そういうわけで「ゴーカイジャー」は全51話で終了となる可能性が濃厚で、
そうなると、今回も含めて残り12話です。
物語のスケールがやたら大きいこともあって、
クライマックスの盛り上がりの展開は通常作品よりもやや長めであろうと思われ、
何にしても年明け以降の7話分は全部クライマックスの怒涛の展開でしょう。
そして年内の5話のうち何話かはクリスマス商戦向けの大決戦エピソードとなるのは恒例であり、
そうなると、もう最終話までの間でバラエティー篇を入れる機会はもう1〜2回程度しか残っていません。

だから、第38話でワルズ・ギルを倒して、
皇帝アクドス・ギルが地球へ乗り込んでくる来るべき展開の始まる前のちょっとした幕間である、
この第40話のタイミングで「ゴーカイジャー」にしか出来ないバラエティー篇としての
異世界訪問篇を持ってきたのでしょう。

そして、そのゴーカイジャーが今回訪問する異世界、すなわち、他の戦隊の作品世界は、
ゴセイジャーの作品世界となっています。
それはおそらく深い理由は無く、1回限りの他の戦隊世界への訪問エピソードならば、
視聴者の子供たちに一番馴染の深い他の戦隊世界、
すなわち、最も直近の作品であるゴセイジャーの作品世界が一番無難というのが理由でしょう。

そして、それならばちょうど、実はゴーカイジャーはゴセイジャーの作品世界に一度登場済みであるので、
それを上手く引っ掛けたストーリーにしようということになったのでしょう。
すなわち、「ゴーカイジャー」の放送開始の3週間前に封切られた劇場版
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の中で、ゴーカイジャーがちょっとだけ登場して先行顔見世したシーンです。

あれは「ゴセイジャーVSシンケンジャー」のメインストーリーとはほとんど関係無く、
唐突にゴーカイジャーが登場して、唐突に去っていくという演出になっていました。
あのシーンは他のシーンが全部出来上がった後で、
新戦隊のお披露目が目的のCM的に劇場公開前に挿入されるシーンですので、
ストーリー的には本来全く脈絡も無く、意味も無いのです。
だから、本来は、どうしてゴーカイジャーが「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界の中に
唐突に登場したのかについて説明がなされる必要などありません。
あれはああいう先行顔見世シーンだったのだということでいいのです。

しかし、今回は、せっかくゴーカイジャーをゴセイジャーの作品世界に登場させるのならば、
全く新たなエピソードを作るよりも、
あの「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の先行登場シーンの裏事情を補完して説明しつつ、
更にそこから派生するゴセイジャーの世界におけるオリジナルストーリーにおける
ゴーカイジャーを描こうということになったのでしょう。

なお、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」のゴーカイジャー先行登場シーンにおける
ゴーカイジャーのセリフが意味深なので、
もともと、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の中の先行登場シーンを撮影した段階で、
後で「ゴーカイジャー」本編の1エピソードでこの場面を補完する予定だったのではないかという
意見もあるようですが、さすがにそれは考えにくいと思います。

実は劇場版の戦隊VSシリーズの前作にあたる「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の中でも、
次戦隊であるゴセイジャーが唐突に登場する先行お披露目シーンは存在しており、
ここでもゴセイジャーは「ゴセイジャーVSシンケンジャー」におけるゴーカイジャーと同じような
意味深なセリフを言っていましたが、
これに関しては「ゴセイジャー」本編で一切補完されることはありませんでした。

このゴセイジャーの先行登場シーンと、ゴーカイジャーの先行登場シーンは、非常に酷似した演出となっており、
一種のお約束的な場面として、ゴーカイジャーの先行登場シーンは
大して深い考えも無く制作されたと考えたほうが自然でしょう。
実際、今回のエピソードにおける当該シーンと、「ゴセイジャーVSシンケンジャー」における当該シーンとは
微妙にセリフや動きが違っており、もし当初から補完する予定で作られていた場面だとすると不自然です。
つまり、深い意図も無く制作したVSシリーズ劇場版における先行お披露目映像に上手く繋げたエピソードを
今回作ったというのが実際のところなのです。

ただ、今回こういうことをやった経験を活かして、
次のVSシリーズ劇場版における新戦隊の先行お披露目映像は、
後に新戦隊のTV本編でタイムスリップネタを盛り込んで補完することを想定して
制作されるようになる可能性はあると思います。
つまり来年1月21日に封切られる「ゴーカイジャーVSギャバン」に次の戦隊が先行登場するシーンに
注目ということです。

このように、今回のエピソードはゴーカイジャーが過去の出来事である
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界に入り込んで、
その物語世界の裏側で起きていたもう1つの戦いを繰り広げるということがメインストーリーとなります。
ここでのゴーカイジャーと戦う敵は当然ザンギャックでもバスコでもなく、
なんと「ゴセイジャー」のTV本編の終盤に登場した敵組織である機械帝国マトリンティスとなります。

そして、そのサブストーリーとして「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の中で描かれた
ゴーカイジャーと外道衆別働隊との戦いも描かれます。
外道衆とは言うまでもなく「シンケンジャー」TV本編に登場した敵組織であり、
ここでゴーカイジャーと戦う骨のシタリは「シンケンジャー」に登場した外道衆幹部の唯一の生き残りで、
「シンケンジャー」の後日談でもある、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」にも登場しています。

「ゴセイジャーVSシンケンジャー」はゴセイジャーとシンケンジャーが共闘して、
外道衆の力を得て復活したゴセイジャーの宿敵である元幽魔のブレドランと戦うというのが
メインストーリーなのですが、
ブレドランと当初は手を組んでいたものの途中で袂を別ったシタリが
独自に外道衆別働隊を率いてゴセイジャーとシンケンジャーを攻撃しようとしていたところを
突然現れた未知の戦隊であるゴーカイジャーの5人に襲われる悲劇に見舞われるというのが
サブストーリーとなっています。

今回のエピソードはこのシタリ事件をゴーカイジャー側の視点で描いたものが
サブストーリーとして組み込まれていて、
それと同時進行のメインストーリーの方は1人だけ別行動となった鎧が
マトリンティス帝国の怪人と遭遇して戦う羽目になるというものです。
これにシタリを片付けた後のマーベラス達5人も合流して、
このマトリンティスの怪人を何だかよく分からないが倒すという結末となります。

「ゴセイジャー」という作品は4つの敵組織が順番に登場してゴセイジャーと戦う4部構成になっていて、
ウォースター篇、幽魔篇、マトリンティス篇、ブラジラ篇に分かれています。
そして「ゴセイジャーVSシンケンジャー」という映画の物語は、「シンケンジャー」の後日談であると同時に、
「ゴセイジャー」における幽魔篇とマトリンティス篇の間の幕間の挿話としても描かれています。

そしてマトリンティス篇の中でブレドランがサイボーグに改造されて再登場した際に、
その経緯として、ゴセイジャーとシンケンジャーによって倒されたブレドランの遺体を
マトリンティスの幹部エージェントのメタルAが偶然回収したということが示唆されており、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語のタイミングでマトリンティス帝国は既に動き始めていて、
その戦いの陰で暗躍していたようです。
その「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語の中で描かれることはなかったマトリンティスの物語の一部を
ゴーカイジャーと絡めることで描いたという側面も、今回のエピソードにはあると思います。

このように、今回のエピソードでゴーカイジャーが絡む相手は
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」というゴセイジャー時代の出来事の裏側で動いていたキャラが主であり、
ゴセイジャー本人達やシンケンジャー本人達は、一応登場して変身後アクションシーンが挿入されますが、
ゴーカイジャーとは直接絡みはしません。

まぁ今回のエピソードの大筋はそんなところなのですが、
そもそもゴーカイジャーが数年前の出来事である「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の戦いの裏側に
登場する羽目になったのは、
元タイムレンジャーのタイムイエローことドモンの31世紀の未来からのビデオレターの指示によって、
ドモンが特別に設定した豪獣ドリルのタイムスリップ機能を使って過去に飛んだからでした。

それは「2010年10月2日に起こった謎の神社爆発事件を阻止すれば大いなる力を34個揃えるチャンスを与える」
という指示であり、指示に従えば「大いなる力」を貰えると思い込んだマーベラス達はドモンの言う通りに
2010年10月2日に飛んで、そこでちょうどその日に起こった
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の戦いに巻き込まれ、いや、引っ掻き回しつつ、
見事に与えられたミッションに成功するものの、期待していた成果は得られなかったという話です。

つまりゴーカイジャーは大して得るものは無かったのであり、
また、この戦いの中でゴーカイジャーのメンバーのドラマが特に深く描かれたということもありません。
唯一、鎧だけが神社で出会った少年に向かって過去を少し語り、教訓めいたことを口にしますが、
それに関連して鎧のドラマが描かれたわけでもありません。
つまりゴーカイジャーは今回は、ただ単に派手に戦っただけであり、ただ単に語っただけであり、
ゴーカイジャーはドラマの主体にはなっていないのです。

もちろん、それは非難されるようなことではありません。
それでも十分に今回は派手な内容で、視聴者がアクション篇として楽しめる内容になっており、
また、鎧と少年との交流は、一般的な子供の視聴者に向けて秀逸なメッセージを含んだものであり、
ハイレベルな教訓話として鑑賞可能だからです。
そのように基本的にレベルの高いエピソードに、多彩な過去作品のゲストが登場し、
過去作品とのリンクが随所に散りばめられているのでマニアックな楽しみ方が出来るようにもなっており、
バラエティー篇としては傑作エピソードと言えるでしょう。

ただ、単純にアクションや単一エピソードとしての面白味以上の
「ゴーカイジャー」の連続ドラマの深みを楽しみたいと思っている人にとっては物足りなかったかもしれません。
それはゴーカイジャーのドラマが描かれていないからです。
その物足りなさを補う意味で、過去作品の要素が大きく採り上げられているわけですが、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」や「タイムレンジャー」を未見の人にとっては
意味不明のシーンが多かったとも言えます。

まぁクロスオーバー作品というのは、
このように過去作品を見ていない人には意味不明シーンが増えるというデメリットもあるものであり、
そういうデメリットも折り込んだ上で作るものですから、それは大して気にするような瑕疵ではありません。

ただ、「ゴーカイジャー」という作品がそのクロスオーバー作品の欠点を克服して、
クロスオーバー設定においてはあえてゴーカイジャー側のドラマを常に濃厚に描いてきた作品であるだけに、
今回のゴーカイジャー側のドラマの淡泊さが、
今回登場した他の戦隊世界の濃厚さに比べて妙に際立って見えたのも確かです。

今回のエピソードに違和感を覚える人がいるとすれば、その違和感の原因はそのあたりにあるといえるでしょう。
クロスオーバー作品としてはこんな程度が普通、いや普通以上の出来なのですが、
「ゴーカイジャー」にしては妙に淡泊に過ぎるのではないか?という、そういう違和感があるのです。
そして、そういう違和感が生じるということは、それこそが今回のエピソードが
「タイムレンジャー篇」として見事に成立している証なのです。
何故なら「タイムレンジャー」という物語は違和感の塊のような物語であったからであり、
今回のエピソードはその世界観を見事に継承しているからです。

宇都宮Pは第14話のカーレンジャー篇の東映公式HPでの紹介文の中で、
「シリーズ作品の中には下手に触るとヤケドする作品もある」と言い、
その1つがカーレンジャーだと述べていました。
そして第28話のジェットマン篇の際にも、ジェットマンをその危険な戦隊リストに加えていました。
予告文の中であえて宇都宮Pがそう言及しているということは、
言い換えれば、その危険を正面から捻じ伏せて
傑作エピソードを作り上げたという勝利宣言と受け取っていいでしょう。

そして、この極めて独特の世界観を持つ2つの戦隊を正面から捻じ伏せるために、
宇都宮Pはカーレンジャー篇は浦沢義雄氏、ジェットマン篇は井上敏樹氏という、
それぞれの作品のメインライターに脚本を依頼しています。
確かにこの2人でなければこの2作品の世界観を完全に咀嚼した上で
ゴーカイジャーの物語として描くことは出来なかったとも言えます。

しかし別の言い方をすれば、この2人以外にそれをやらせた場合に
公式HPで高らかに勝利宣言をすることが果たして妥当なのかというと、それはやはり違うだろうとも思います。
それはやはり本来のメインライターである浦沢氏や井上氏に対して不遜というものでしょう。

確かに浦沢氏と井上氏だからこそ、あそこまで完璧なカーレンジャー篇とジェットマン篇を
作ることが出来たのですが、
浦沢氏と井上氏に書いてもらったからこそ、宇都宮Pは誰憚ることなく堂々と勝利宣言が出来たのだとも思います。
ということは、本当は内心では達成感を感じつつも、脚本を書いてもらえなかったメインライターに遠慮して
「ヤケドしそうな作品だった(が、今回は傑作エピソードとなった)」という勝利宣言をしていない
危険作品が他にもあるはずです。

傑作エピソードといっても、「ゴーカイジャー」のレジェンド回は傑作エピソード揃いなのですが、
ここでピックアップすべきは単に完成度が高かったレジェンド回ではなく、
元ネタの作品の世界観があまりに特異であるので触るのが危ない作品を上手く処理したパターンです。
過去34作品の中で、そういう危険度の高い作品の四天王は、
ジェットマン、ダイレンジャー、カーレンジャー、そしてタイムレンジャーでしょう。

このうち、全編シュールギャグのカーレンジャーは別として、
あとは皆、ラストが異彩を放っているのが特徴であり、
それゆえ「後日談」ともいえるレジェンド回を作るのが難易度が高くなるのです。
この危険4作品のうち、カーレンジャーとジェットマンは本編のメインライターにお願いして
正式な続編ともいえるレジェンド回を作り上げて、公式HPで勝利宣言をしましたが、
ダイレンジャーに関しては本編のメインライターの杉村升氏が既に故人であるので、
脚本をお願いするわけにもいかず、正面からダイレンジャーの特異すぎる世界観を描くことは避けて
アクション篇として処理しながら、その世界観のエッセンスをストーリーの中に込めるという、
云わば搦め手から攻めるような手法で石橋大助氏に脚本を任せたようです。

すると残るはタイムレンジャー篇をどうするかということになりますが、
タイムレンジャーはもちろんシリーズ屈指の名作であり、極めてテーマも明確なので、
レジェンド回を是非ともやりたい作品であったはずです。
そもそも、オーレンジャー以降の戦隊は全てレジェンド回をやっている中、
よりによってあれほどテーマが明確なタイムレンジャーだけが正式なレジェンド回が無いという状況は、
やはり不自然であったともいえます。

前回のメガレンジャー篇の最終クール冒頭エピソードとしての必然性に満ちた完成度の高さを考えると、
当初からメガレンジャー篇はここに予定されていたとしか思えず、
そうなると、少なくともメガレンジャー以降の戦隊は全部レジェンド回をやる構想であったのではないかと思います。
それなのにタイムレンジャー篇だけがいつまでも処理されていなかったのはどうしてなのか不思議にも思えます。

おそらく、本当はタイムレンンジャー篇ももちろんやりたかったのでしょうけれど、
万事アバウトだったダイレンジャーとは違って、
特異な世界観に基づいた設定でガチガチに固めたストーリーであったタイムレンジャーのレジェンド回の場合、
やはり当初は宇都宮Pは本編のメインライターであった小林靖子氏に書いてもらいたかったのではないかと思います。
しかし小林氏は今年夏までは「仮面ライダーオーズ」にかかりっきりであり、
それ以降も「オーズ」の冬映画などもあって、結局はタイムレンジャー篇はお願い出来なかったのでしょう。

それで今回、「ゴーカイジャー」の実質的にはサブメインライターと言ってもいい香村純子氏に脚本をお願いして、
あえて「タイムレンジャー」の世界観に正面からゴーカイジャーのドラマをぶつけるという冒険は避けて、
ゴーカイジャーが過去の他の戦隊世界にタイムスリップするというバラエティー篇において、
タイムスリップ繋がりでタイムレンジャーを必然性をもって絡めて、
そこにおいて「タイムレンジャー」という作品のエッセンスを巧く描写することにして、
念願のタイムレンジャー篇とすることにしたのでしょう。

そして、その試みは今回、とても上手くいったと思います。
今回のエピソードにおけるゴーカイジャーの行動が結局、
何のための行動であったのかよく分からないまま終わっている、
このモヤモヤした違和感や説明不足感というのが、
まさに「タイムレンジャー」の世界観の再現になっているからです。

「タイムレンジャー」という物語は、一見、浅見竜也という20世紀の現代人と
ユウリ、アヤセ、ドモン、シオンといいう4人の30世紀の未来人によって構成されるタイムレンジャーの5人、
および竜也の友人である現代人のタイムファイヤー滝沢直人の、
合わせて6人の物語であるように見えました。

しかし実際は、物語にはほとんど登場しないが、
この6人には真意を隠して6人の行動を陰からコントロールしていた真の黒幕であるリュウヤという
30世紀の世界の時間保護局の幹部が存在し、
実際はそのリュウヤの物語も合わせて考えなければ
「タイムレンジャー」という物語の全ては説明がつかないような構造となっていました。
それが最終的には解き明かされて「タイムレンジャー」という物語は完結したのですが、
それが解き明かされるまでは、常に竜也たち6人の行動には何か説明しきれない違和感がつきまとい、
その謎がまた物語を深みのあるものとしていたのです。

今回はゴーカイジャー6人は、おそらく31世紀の時間保護局の幹部に出世したと思われる
元タイムイエローのドモンの指示に従って過去に飛んで与えられたミッションをこなしますが、
結局はドモンに騙されたような形で終わります。
そういうところ、ドモンの行動は、かつてタイムレンジャーを騙し続けたリュウヤの行動を彷彿させ、
同じ時間保護局幹部という立場からして、
今回のエピソードにおけるドモンと「タイムレンジャー」におけるリュウヤが相似形の存在として
設定されていることが分かります。

そして、今回のエピソードもドモンの物語という要素を加えずに単にゴーカイジャーの物語としてだけ見れば
物足りなさや違和感を覚えるようになっているという点も、
「タイムレンジャー」におけるリュウヤの扱いと似ているといえます。
そうなると「タイムレンジャー」がリュウヤの物語として読み解くことでその物語の全てが解明されたのと同様、
今回のタイムレンジャー篇も、ドモンの物語として読み解くことで、その全貌を解明することが出来るといえます。

そういう視点で今回のエピソードのドモンの行動を観察していくと、
実はドモンとリュウヤには根本的な違いがあることが分かります。
一言で言えば、リュウヤは「運命を変える」ということを重視した男であり、
ドモンは「明日を変える」ということを重視している。
ドモンが何故「運命を変える」ではなく「明日を変える」ことを重視するのかというと、
それがかつてのタイムレンジャーという戦隊のテーマであり、
そのタイムレンジャーのテーマがリュウヤの人々の運命を歪めようとした行為を凌駕して、世界を救ったからです。

そしてドモンをはじめ未来に戻ったタイムレンジャーの面々は、
リュウヤの失敗を教訓にして「運命を変える」のではなく「明日を変える」ために
戦い続けることになったのでしょう。
彼らタイムレンジャーがレジェンド大戦に参加したのも、
変身能力を失った後もゴーカイジャーに「大いなる力」を渡して協力しているのも、
それが彼らの「明日を変える」戦いの一環だからだと思われます。

それは、今回のエピソードの中で鎧がタイムレンジャーのテーマである「明日を変える」という精神を
神社で出会った少年に説くという描写で、
鎧がタイムレンジャーの精神をもともと持っている者であったことが示唆されており、
それゆえ鎧にタイムレンジャーの「大いなる力」が託され、
その鎧を受け入れたゴーカイジャーにもタイムレンジャーの「大いなる力」が託されたという脈絡が
示唆されています。

そして、かつて1人の女性の運命を変えてしまった行為の報いなのか、
ドモンが過去に置き忘れてしまった自分の「未来」に、
彼らタイムレンジャーが「明日を変える」戦いを託した鎧やゴーカイジャーを仲介して、
その「明日を変える」というテーマを伝えることが出来た偶然や、
その過去に置き忘れた自分の「未来」の姿をドモンが見ることが出来たのは、
運命を歪めることなく「明日を変える」戦いを続けたドモンに対して、
運命の神様がくれたささやかなご褒美であったのではないでしょうか。

このように考えると、まさに今回のエピソードは「タイムレンジャー」の後日談として
見事に成立しているといえるでしょう。
公式HPのこのエピソードのページでは宇都宮Pはタイムレンジャーを「手を出すのを迷った作品」と紹介しており、
これはつまり、本編のメインライターであった小林靖子の脚本でなくても、
十分に良い出来のものが出来たと誇っていると見ていいでしょう。

ただ、あくまで「タイムレンジャー」と「ゴーカイジャー」を真正面からクロスオーバーさせたわけではないので、
あくまで変則的レジェンド回としての成功を誇るという形で、
一応は本編メインライター小林氏への遠慮も示すことは出来ているでしょう。

また、公式HPで宇都宮Pも述べているように、
今回のエピソードを「タイムレンジャー」の後日談として完成させる代償として、
今回のラストシーンは、「タイムレンジャー」本編を未見の人には意味が分からないシーンとなってしまっており、
これは宇都宮P曰く「反則」であるそうです。

これはラストシーンにその反則感が象徴されて語られていますが、
基本的に今回のエピソードがドモンの物語の要素を加味しないと違和感が生じるようになっている時点で
「ゴーカイジャー」としては「反則」なのでしょう。
ただ、クロスオーバー作品というのは普通はこうした「反則」は当然のように犯されているものであり、
あくまで過去作未見の人でも全シーンを理解出来て楽しめるようにという拘りを徹底している
「ゴーカイジャー」の方が稀有なのであり、
確かに「ゴーカイジャー」ルールではこのシーンは「反則」なのでしょうが、
実際はあえて問題視するような部分でもないでしょう。

それをあえて「反則」として公式HPに書くというのも、
その反則を帳消しにしてくれたドモン役の和泉宗兵氏の名演を称える意味と同時に、
多少はやはり小林氏へ向けた謙遜の意味合いもあるのでしょう。

ただ今回のバラエティー溢れるエピソードの仕掛けはこれだけにとどまりません。
ドモンは結局、ゴーカイジャーにチャンスを与えると言って過去に行かせて、
マーベラス達が望むような「大いなる力」を渡すことなく、
マーベラス達は騙されたと思って悔しがるわけですが、ドモンは騙してなどはいないのです。

ドモンはちゃんと「チャンス」は与えているのです。
そして、それは「運命を変える」のではなく「明日を変える」チャンスです。
つまり、過去に戻って反則的な方法で運命を変えるのではなく、
マーベラス達が自分の明日を自分の力で変えることが出来るよう、
そのお膳立てを整えるためのチャンスをドモンは与えただけなのです。
それがタイムレンジャーのテーマに則った正しい行為なのだといえます。

となると、そのマーベラスが現代に戻って自分の力で掴む「明日」は
タイムレンジャーとはまた無関係のものということになり、それが何なのか最後に示唆されています。
それはタイムレンジャーともゴセイジャーともシンケンジャーとも違う、
また別の戦隊の「大いなる力」と思われるものであり、
この「ゴーカイジャー」という作品の冒頭のレジェンド大戦のシーンからずっと存在していた
「ある疑問」に解答を与えてくれるものであるのだと思われます。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:06 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月07日

第40話「未来は過去に」感想その2

では本編ですが、まず冒頭は例によってゴーカイガレオンの船室で
楽しく昼食中のマーベラス一味の面々のシーンです。
前々回、ザンギャックの地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルを倒して以降、
ザンギャックもすっかり大人しくなっており、
更に前回、強敵バスコに競り勝ってメガレンジャーの「大いなる力」もゲットして、
これで「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なスーパー戦隊の「大いなる力」も
あと残るはバスコに奪われたチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3つと、
所在不明のバトルフィーバーJ、サンバルカン、ファイブマン、カクレンジャーの4つ、合わせて7つとなりました。
マーベラス一味にとって、まずまず順調な状況といえます。

それで6人でご機嫌で昼食をとっていると急に窓の外に奇妙な閃光が走り、
大きな音がして船室を大きな揺れが襲います。
「うわっ!?」と6人は慌て、「何事?何事〜!?」と床に落っこちたナビィは騒ぎます。
「まさか、ザンギャックの襲撃!?」とハカセは、ザンギャックがワルズ・ギルの弔い合戦に来たのかと怖がります。
その時、ルカがガレオンの窓のすぐ外に空を遮るように何か巨大な物体が横付けされているのを発見し、
「なんかある!?」と驚きの声を上げます。
マーベラス達もこれはザンギャックの戦艦に気付かないうちに接近されていたものだと思い、
慌てて窓に張りついて外を窺いました。

ところが全員が窓に張りついて見てみたところ、窓の外に浮かんでいたのは敵艦ではなく、
味方メカである豪獣ドリルでありました。
「・・・豪獣ドリル!?」とアイムは驚きと安堵の混じった声を上げました。
鎧の乗機である豪獣ドリルは変形すると豪獣神になるだけあって、
ガレオンと同じぐらいの全長のある空中戦艦メカで、
さっきの突然の閃光は豪獣ドリルが時の壁を超えて31世紀からこの21世紀の空に出現した時に
生じたものであったのです。
つまり、こんな巨大なものがいきなりガレオンの横に時の壁の穴を開けて現れたのです。
そりゃあ、ガレオンが衝撃で揺れても当然でした。

「ちょっと!鎧!」とルカは鎧に肘打ちを喰らわしました。
鎧がガレオンの至近距離に豪獣ドリルを召喚したと思ったのです。こ
んな至近距離にいきなり出現させたら危ないだろうと腹が立ったルカは鎧を睨みつけます。
しかし鎧は慌てて「違います違いますよぉ!俺、呼んでないですよ!」と、ルカの思い込みを否定します。
確かに鎧は豪獣ドリルを召喚はしていません。

しかし、今まで豪獣ドリルが出現した時というのは必ず鎧がゴーカイセルラーを使って
召喚した場合に限られています。
それ以外の方法で豪獣ドリルが現れたことなどありませんし、
そんな方法があるとはマーベラス達はもちろん、鎧本人も知りません。
「じゃあ、勝手に来たってのかぁ?」とマーベラスが疑わしそうに鎧の方を見ます。
他の皆もじっと鎧の方を見ます。やっぱり鎧がうっかり間違えて召喚してしまったのではないかと疑っているのです。

鎧は全く身に覚えが無いので言い返そうと思いましたが、
ここで押し問答しても事態は解決しないと思い直し、
「・・・ちょっと俺、見てきますぅ・・・」と、豪獣ドリルに向かうことにしました。
豪獣ドリルの中に行けば自分が召喚したのではないという証拠が見つかるのではないかと思ったのでした。
例えば、31世紀から誰かが操縦してやって来たのかもしれない。

そういうわけで鎧はガレオンから横付けされた状態で停止している豪獣ドリルに飛び移り、
息を潜めてコクピットの外まで行き、そろっと扉を開き、コクピット内を窺いました。
もし誰かがコクピット内に居たとして、それが味方とは限らないし、
とんでもない化け物かもしれませんでした。
何せ鎧は31世紀の世界のことを何も知らないのです。
どんな相手が扉の向こうに待っているのか想像もつかないので、怖いのは当たり前です。

それでも勇気を出して思い切ってコクピット内に飛び込み、操縦席に向かって身構えますが、
操縦席には誰も座っていませんでした。
「誰もいない・・・?」と目を丸くして、鎧は操縦席の周囲も見回りますが、やはり誰の姿も見えません。
いつもと全く変わりない豪獣ドリルのコクピット風景でした。

「やっぱり、勝手に来ちゃったのかなぁ・・・?」と鎧は首を傾げます。
絶対にそういうことが無いとも言い切れはしません。
普段はゴーカイセルラーに、タイムファイヤーのレンジャーキーをセットし、
0のボタン(タイムファイヤーのボタン)を3回押してコールボタンを押すと
タイムレンジャーの「大いなる力」である豪獣ドリルは31世紀の未来から飛んできます。
つまり、豪獣ドリルは現代にやって来る時は誰が操縦するわけでもなく
自動航行でやって来る仕様にはなっているのです。
だから操縦席に誰もいない以上、いつものように自力でやって来たのは間違いない。

しかし、鎧が召喚していないのに勝手にやって来るというのは前例が無いことでした。
ということは、鎧が召喚する操作をしていないのに、
召喚されたように豪獣ドリルの計器が誤作動してしまったのかもしれません。
鎧は自分の使い方が粗っぽくて計器を壊してしまったのかもしれないと思い、
「それとも・・・もしかして壊れちゃった・・・」と険しい顔をして、計器を覗き込もうとしますが、
その途中で「ん?」と妙なものに気付いて鎧は視線を止めます。

それはなんだか平べったいオニギリのような形の、掌サイズの金属製の物体でした。
その奇妙な物体が操縦席の台座の上に置いてあったのです。
「・・・ん?・・・なんだこれ?」と拾い上げて鎧はまじまじと見つめます。
その物体の平べったい面には何も無い平板な面と、真ん中に三角形の図形がある面とがあり、
三角形のある面が表側のようでした。
その表側の三角形の周囲には見たこともないような文字のようなものが刻まれています。

鎧が不思議そうにその物体を弄っていると側面のスイッチを押してしまい、
突然、その表側の三角形がパカッと周囲に向けて広がり、
三角形の真ん中にあった小さなランプが激しい光を鎧の目に浴びせたので、鎧は驚き目を逸らします。
その瞬間、裏面の真ん中から発したと思われる光線が鎧から数メートル離れた位置に光の像のようなものを結び、
それが瞬時に人の形に変わり、鎧が逸らした視線を再び前方に戻した時には、
そこには1人の白い服を着た、見知らぬ大柄な男性が立っていたのでした。
突然目の前に出現した男性を見て、鎧はビックリして「あああああ!?」と叫んで跳び退きます。
その鎧の恐怖に怯えた顔を見て、その白い服の男性はニヤリと微笑みを浮かべるのでした。

ここで今回はOPテーマが始まります。
OPナレーションはレジェンド回バージョンで、
冒頭の白い服の男はレジェンド戦隊関係者だと想像できます。
というか、「タイムレンジャー」を見たことがある人ならば、
冒頭の白い服の男が元タイムイエローのドモンであることは分かるはずであり、
あの白い服は31世紀の未来人の標準服あるいは時間保護局員の制服であることも分かるはずです。
そして、あの平べったい謎の物体はタイムエンブレムで、時間保護局員の身分証であることも
「タイムレンジャー」を見ていた人ならば分かるはずです。

そしてOPテーマが終わり、CM明け、「未来は過去に」という今回のサブタイトルが出ます。
今回、冒頭に元タイムイエローのドモンが登場したことでタイムレンジャー篇であることは判明していますが、
「未来戦隊タイムレンジャー」という作品にはサブタイトルのフォーマットは有りませんでした。
だから、このサブタイトルは何らかのフォーマットに沿ったものではありません。

が、これがどの戦隊のレジェンド回のサブタイトルかというクイズがあれば、
35のスーパー戦隊を漠然と知っている人ならば大抵の人は
「未来戦隊タイムレンジャー」という正解を答えることが出来るでしょう。
「未来」と「過去」というのは「タイムレンジャー」という作品の物語世界そのものだからです。

そのようにフレーズだけでタイムレンジャー篇であることを示している秀逸なサブタイトルでありますが、
例えばジェットマン篇の「翼は永遠に」というサブタイトルが
「翼」というフレーズだけでジェットマン篇であることを示しながら、
同時に「翼は永遠に」という言葉の意味そのものがエピソード内容を追っていくと、
もっと深い意味を示していたのだと後で判明したのと同じように、
この「未来は過去に」というサブタイトルも、エピソード内容を追っていくと、
最終的により深い意味がそこに込められていたことが判明するという、
非常に粋なサブタイトルといえます。

さて本編が再開しますが、場面は先ほどの豪獣ドリルのコクピットの場面ではなく、
突如、ガレオンの船室の場面に変わっています。
船室にはマーベラス達はもちろんのこと、さっきは豪獣ドリルにいたはずの鎧も戻ってきています。
さっきの冒頭のシーンのラストから少し時間的に飛んでいるようです。
しかし、そうなると、さっき鎧の目の前に突如現れた白い服の大男(ドモン)はどうなったのだ?と
疑問が湧いてきます。

が、それについては続く描写で説明されていきます。
このガレオンの船室に戻ってきた鎧が皆に見せるようにして手にしたタイムエンブレムの側面のスイッチを押すと、
先ほどと同じように裏面から光のビームが飛び出し、そのビームがまた先ほどのようにドモンの姿になり、
ドモンがマーベラス達6人の前に現れたのでした。

「ああ!?」とマーベラス達5人は驚きの声を上げますが、鎧はニコニコ笑っており、驚いた様子はありません。
先ほどと同じように突如出現したドモンも、ニヤリと笑って
「やあやあ、ゴーカイジャー諸君!」と手を上げてにこやかに挨拶をします。
そして「俺はタイムレンジャーのタイムイエロー、ドモンだ!」と自分の胸を軽く小突いて自己紹介し、
その姿に例の変身後スーツ姿がオーバーラップする演出がなされます。

更にドモンは「タイムレンジャー一のパワーファイター・・・」などと自己紹介を続けますが、
船長椅子に座ったマーベラスは目の前のドモンを無視して、胡散臭そうな顔で「なんだこれ・・・?」と、
横に立つ鎧に訊ねます。
よく聞くとドモンの声は微妙に機械を通した声のように聞こえ、肉声そのものではない。
姿は全くリアルでそこに立っているかのように見えるが、
声を聞く限り、どうもこれはリアルな存在ではないと気付いたのです。
鎧はそれに応えて「31世紀から、時を超えて届いたビデオレター・・・みたいです、ハイ!」と
目を輝かせて説明します。

つまり、さっき鎧が豪獣ドリルの操縦席の上で発見したタイムエンブレムには
未来の31世紀の世界にいる元タイムイエローのドモンから送られた、
ドモン自身の姿を映した立体映像のビデオレターのメッセージが入っていたようなのです。
冒頭のシーンでいきなりその立体映像のドモンが出現して、
31世紀の立体映像ですから超リアルで、まるで本物の人間がそこに立っているように感じられるものなので、
当初は鎧も非常に驚いたのですが、立体映像のドモンが一方的に喋るだけであることや、
その話の内容からして、これは自分達ゴーカイジャーに宛てた一種のビデオレターなのだと気付き、
鎧はタイムエンブレムを持ってガレオンに戻って、マーベラス達にその映像を見せることにしたのです。

そして、そういうような事前説明無しにいきなり鎧がさっきと同じようにして立体映像を再生したものですから、
皆いきなり人が現れて、さっきの鎧のように驚いたのでしたが、
鎧の説明を聞いて、それが未来から来たものだと知って、更に大きく驚きました。

ナビィは「未来からの手紙?すっご〜い!」と興奮して、
「・・・それがこの俺だ!」と何やら得意げに喋り続けているドモンの映像目がけて飛んでいき、
そのドモンの身体をすり抜けて「ホントに立体映像だ〜っ!」と子供のように大喜びです。
それにしても立体映像のドモン、一生懸命自慢話をしていたようですが、
可哀想に、マーベラス達は雑談をして全然内容を聞いてくれていません。

このドモンは本人が自己紹介している通り、スーパー戦隊シリーズ第24作、
2000年度作品の「未来戦隊タイムレンジャー」に登場したタイムレンジャーの1人、
タイムイエローに変身していた男です。
ただ「タイムレンジャー」という作品、非常にややこしい設定であり、
特にそのラストが複雑なので、最初にちょっと状況を整理しておく必要があります。
それに、今回のエピソードでは結局はドモンが登場するのはこのビデオレターの場面と、
あとはラストシーンだけなので、「タイムレンジャー」という物語をおさらいするのはここのタイミングしか無く、
そういうわけで、ここでざっと「タイムレンジャー」の物語をまとめておきます。

「タイムレンジャー」という物語は、西暦2990年頃にタイムマシンが実用化されて
時間移動が可能になった約10年後の西暦3000年が物語の発端となっています。
タイムマシンの実用化以後、過去に戻って歴史を改変しようとする行為が頻発して、
それによって正しい歴史の流れが捻じ曲げられて現代(30世紀末の世界)の状況が影響を受けてしまうという、
歴史改変の懸念が生じたため、そうした行為を取り締まって、
そうした犯罪者によって捻じ曲げられた歴史を正しい歴史に戻すことを目的として
「時間保護局」という公的機関が生まれました。

その歴史保護局が設立されて10年弱ほどとなる西暦3000年、
時間保護局の特殊部隊「タイムレンジャー」の新入隊員の4人は隊長のリュウヤに連れられて
脱獄囚のマフィアのボスを逮捕しようと出向いたところ、
リュウヤはマフィアの一味が変装した偽物であり、マフィアの策略によって時間保護局の時空移動船を奪われて、
西暦2000年の日本に移動させられて、そこでマフィアのボスの収監されていた圧縮冷凍刑務所ごと、
数多くの囚人を取り逃がしてしまいました。
この4人の不手際によって2000年の世界に未来世界の犯罪者たちが大量に野に放たれた形となり、
大幅な歴史改変が生じてしまう危険が高まったので、
4人は脱走した囚人たちを全員逮捕するまで2000年の世界に留まるように命じられてしまいました。

この4人、ユウリ、アヤセ、ドモン、シオンはもともと30世紀末の世界で不幸な境遇にあり
自分の人生に行き詰って時間保護局員として人生をやり直そうとしていたが、
いきなりの大失敗と達成不可能な任務を与えられて途方に暮れてしまいましたが、
こうして取り残された2000年の世界で偶然出会って一緒に戦うことになった浅見竜也という若者に
「未来の運命は変えられないかもしれないが、自分に出来ることをやれば自分の明日を変えることは出来る」
と励まされて、2000年の世界で竜也と共に便利屋を営みながら脱獄囚たちを逮捕していく
タイムレンジャーとしての活動を開始したのでした。

また、その後、3000年の時空移動実験の失敗によって2000年の世界に出現した
ブイレックスという巨大ロボとその操縦者であるタイムファイヤーの変身アイテムを
竜也の友人の滝沢直人がたまたま手に入れ、タイムレンジャーと競合しながら共闘していくようになりました。

そうして未来の世界の脱獄囚たちを逮捕していく生活を続けていたタイムレンジャーの5人でしたが、
2000年12月になって30世紀の時間保護局から真の任務が存在したことを明かされます。
実は未来のマフィア一味が2000年に逃亡することは歴史に定められた運命で、
それを逮捕するためにドモン達4人の未来人が20世紀人に居残って竜也と共に戦うことは、
タイムレンジャーの隊長リュウヤが仕組んだ出来事だったのです。
つまり、彼らが自分の明日を変えようとして頑張っていたのは、
他人の敷いたレールに乗った行動に過ぎなかったわけです。

そして、リュウヤが彼らを2000年に行かせた真の目的は、
2994年の時空移動実験の失敗で2000年12月の日本に出現したGゾードという巨大メカの
エネルギー炉の暴走によって生じた時空の歪の影響で3000年の世界が消滅することを防ぐため、
2000年に出現したGゾードを破壊するためだったのです。

苦闘の末、その任務を果たした彼らでしたが、
未来への帰還命令に逆らって年が明けた2001年に居残って脱獄囚の逮捕を続けていくことにしました。
が、その直後、2001年の世界が消滅することが判明し、それを阻止するために彼らは奔走します。
その混乱の中、マフィア一味は壊滅し、一味の生き残りの機械化人間のギエンが暴走し、
ギエンのエネルギー炉とブイレックスのエネルギー炉が戦闘によって反応して
2001年の大消滅が起きるということが判明します。
それを阻止することが難しいと知った竜也は未来人の4人を巻き込まないように、
4人を強制的に未来に送り返し、1人で大消滅を食い止めるために戦うことを決意し、
一方、タイムファイヤーの直人は暴走するギエンとの戦いの中で死亡してしまいました。

そして3001年の未来に戻った4人は、
Gゾードを破壊したことによって3000年の大消滅は回避されていただけでなく、
修正されて本来あるべき正しい歴史に戻った結果、
自分達の身に起こった不幸も全て解消されていることを知りますが、
同時にその正しい歴史においては2001年に大消滅が起こってしまったことも知ります。

実は2994年のGゾードの時空移動実験の失敗の際、リュウヤもその時に生じた時空の歪に一時巻き込まれて、
2つの異なった歴史の流れを目撃してしまったのでした。
正しい歴史の流れにおいては、2001年にギエンとブイレックスが戦うことで生じた時空の歪で
2001年2月に大消滅が起こり、3000年の世界では大消滅は起こりません。
一方、時空移動実験の失敗によって生じた誤った歴史の流れにおいては
2000年12月にGゾードが暴走してギエンを殺し、ギエンが死んだことで翌年2月の大消滅は起こらず、
代わりに2000年のGゾードの暴走で生じた時空の歪の影響で3000年の世界が大消滅を起こす。

この2つの歴史の流れをリュウヤは目撃し、
30世紀人であるリュウヤはもちろん2001年に大消滅が起こり、3000年に大消滅が起こらない、
正しい歴史に誘導する方を選択しました。
つまり、4人が戻った3001年の快適な世界は、その「正しい歴史」の上に存在するのであって、
もし彼ら4人が2001年に戻って2001年の大消滅を阻止してしまうと歴史が変わってしまい、
3001年の状況は変わってしまい、彼ら4人の不幸が解消された状態もまた変わってしまう危険があるのでした。
つまり、せっかく良い方向に変わった運命がまた元に戻ってしまうかもしれない。

ならばいっそ2001年に戻って大消滅を阻止した後
そのまま2001年の世界に留まればいいのかというと、そうもいかない。
一旦修正された3001年に戻ってしまった彼らは2001年の大消滅が起こった前提での時間軸上の存在なので、
2001年の大消滅を阻止して歴史を変えてしまうと、その変更された歴史上には存在出来なくなり、
新たに変更された3001年に戻されて、2001年に大消滅が起きなかったことが前提での時間軸上の
人生を送ることになるのです。
しかもその新しい3001年の彼らの人生が、
Gゾード破壊によって修正された「正しい歴史」における快適な人生と同じである保証は無いのです。

ならば、彼らの人生が31世紀にしか無いのならば、
せっかく変わった快適な運命なのだから、それをそのまま受け入れるのが正解のように思えます。
しかし、4人は21世紀に戻って大消滅を阻止する道を選びました。
それは、彼らが他人に動かされて運命を変えることよりも、自分の力で自分の明日を変える道を選んだからでした。
そして、彼らにとっての「自分の力で変えていく自分の明日」は、
いつしか2001年の世界に存在するようになっていたのでした。

そのような考え方を最初に彼らに気付かせてくれたのは竜也でした。
だから4人は竜也が2001年の大消滅という歴史の運命を知ってもなお、
自分の明日を変えて守るために1人で戦っているのならば、
自分達も一緒に自分達の21世紀の明日を変えていき守るために戦おうと決意したのでした。

それゆえ4人は彼らの歴史改変を阻止しようとするリュウヤ率いる時間保護局に反逆して戦うことになり、
その混乱の中でリュウヤは銃の暴発で命を落としてしまいます。
その死の直前、リュウヤが実は自分の運命を変えるために歴史に干渉して捻じ曲げていたことが発覚しました。
それは、リュウヤが見た2つの歴史の流れのどちらにおいても、自分が死ぬ運命であったことでした。

正しい歴史においては2001年2月にギエンと戦って共に大消滅に巻き込まれて死ぬ
ブイレックスの操縦者であるタイムファイヤーはリュウヤであり、
誤った歴史においても、2000年12月に暴走するGゾードと戦って敗れて死ぬ
ブイレックスの操縦者であるタイムファイヤーもリュウヤでした。
つまり本当はタイムファイヤーの変身者はリュウヤであり、
タイムファイヤーとして活動する限り、リュウヤは死ぬ運命だったのです。

だからリュウヤはブイレックスとタイムファイヤーの変身アイテムを2000年の世界に送り、
誰かが自分の代わりにタイムファイヤーになり、自分の代わりに戦って死ぬように仕向けたのでした。
たまたまその道を選んでしまったのが直人であったのです。
それで死亡時の詳細な状況には違いはあるが、結局、直人は死ぬことになった。
そのはずだったのですが、結局リュウヤは非業の死を遂げることになり、自分の運命は変えられなかった。
ということは直人が死んだのもリュウヤの身代わりではなく、それが直人の運命だったということになります。

これを見て、4人はやはり運命は変えられないと悟りました。
つまり、リュウヤの計画に従うことで変えられた自分達の新しい快適な人生もまた、
リュウヤの運命と同じように脆弱なものだと悟ったのです。
しかし一方で、確かに2000年から2001年の世界において自分達は明日を変えることは出来ていた。
つまり自分の出来ることをやって明日を変えることこそが確かな道なのです。
ならば、2001年の明日を守るために大消滅を食い止めて、その時間軸上に存在する未来ならば、
それが本当の自分の未来なのだと4人は思いました。

1つ1つ着実に自分の出来ることをやって明日を変えていけば、その先にこそ未来はある。
それは運命論など超えるのです。
つまり、「自分はどうせこんな運命だから」とか決めつけて諦めるのは無意味なのです。
逆に自分の運命を勝手に悟って諦めてしまうような者は明日を変える地道な努力を放棄して、
リュウヤのように強引な手段で運命を変えようとして失敗するのです。
「自分の出来ることをやって明日を変える意思を持ち続ければ、運命など乗り越えることが出来る」、
そういうことが「タイムレンジャー」という作品のテーマであったと思います。

結局、ドモン達4人は2001年2月4日の大消滅の日の日本に舞い戻り、
竜也と合流して5人で苦闘の末、ギエンを倒して大消滅を阻止することに成功しました。
そして歴史が変更されたことによって4人は2001年の世界から消滅し、
その時間軸上に存在する新たな31世紀の世界において新たな4人の人生を送ることになりました。
その結果、新たな31世紀で彼らがどうなったのか「タイムレンジャー」の本編では描かれていません。

ただ、「自分の出来ることをやって明日を変える意思を持ち続ければ、運命など乗り越えることが出来る」
というのが「タイムレンジャー」のテーマであるとするならば、
明日を変えるために懸命に戦った彼らの運命はきっと悪い方向には転がっていないはずです。
だから新たな31世紀での彼らの人生はきっと運命が好転していたのだろうと思います。

少なくとも「ゴーカイジャー」の物語世界の中ではそのように解釈していいのだと思います。
その傍証が第1話や「199ヒーロー大決戦」映画のレジェンド大戦の場面でタイムブルーが参戦しており、
マーベラス達の持っているレンジャーキーの中にもタイムブルーのレンジャーキーが存在することです。
つまりタイムブルーはレジェンド大戦に参加していたのです。

タイムブルーのアヤセは実は30世紀の世界でも治療法が確立されていない
オシリス症候群という不治の心臓病に罹患しており、数年も命がもたない状況だったのですが、
Gゾード破壊によって修正された3001年ではオシリス症候群の治療法が確立されていて、
アヤセは命が助かるようになっていました。
アヤセはつまり自分が再び不治の病を抱える状況となることを覚悟で2001年の大消滅を阻止しようとしたわけです。

しかしそうして変更された新たな31世紀からやって来たと思われるレジェンド大戦時のタイムレンジャーに
タイムブルーがいたということは、アヤセは死んでいないということであり、
新たな31世紀でもオシリス症候群の治療法は確立されていたようです。
ならば、おそらく他の3人についても新たな世界でも運命は好転していたのでしょう。
ただしシオンだけは宇宙人なので運命に変更は無かったと思われ、
そうなるとアヤセはレーサー、ユウリは警察官、ドモンは格闘技選手として生きる
本来の順調な人生が用意されていたと思われます。

しかし、今回ドモンが時間保護局員の制服を着て立体映像で現れ、
しかもその立体映像が時間保護局員の身分証でもあるタイムエンブレムに仕込んであったことを考えると、
少なくともドモンは本来の天職であった格闘技選手には戻らずに時間保護局に改めて務めたようです。
いや、レジェンド大戦にタイムレンジャーが全員参戦していることから考えても、
結局、ユウリもアヤセもドモンもシオンも、全員、新たな31世紀でも時間保護局員として勤めているようです。

ついでに言えば、豪獣ドリルにドモンがビデオレターを仕込んで送ってきたということは、
豪獣ドリルは、大消滅が阻止された2001年からレジェンド大戦やマーベラス達のザンギャックとの戦いなどの
歴史の延長線上にある31世紀の時間保護局のドモンやユウリ達、
元タイムレンジャーの面々が管理して送り出しているということになります。

ドモン達はおそらく、新たな31世紀に戻った段階で、
そこに自分にとっての本来の快適な人生が待っていることをまずは喜んだでしょう。
家族を皆殺しにされていたユウリは家族が無事である生活を受け入れたであろうし、
アヤセはまずはオシリス症候群の治療に専念したことでしょう。
しかし、4人はその上であえて時間保護局でタイムレンジャーとしての務めを果たす道を選んだのだと思います。

それはつまり、過去に行っていた際の記憶をあえて消去せずに残したということも意味します。
しかし覚えていても良いことなど無いのです。
時間保護局員は歴史の改変を阻止するのが任務ですから、
何者かのタイムマシンを使った違法行為でもない限り、自ら過去に行くことなど出来ないのです。
つまり、21世紀の竜也たちのことを覚えているということは、
1000年前に自分の明日が存在して、そこには行くことが出来ないと認識しながら生きていくことを意味します。
彼らが時間保護局員として生きていくということは、そういう悲哀を噛みしめて生きるということを意味します。

それでも彼らが時間保護局員の道を選んだ理由は、
やはり、彼らにとっては、過去が自分の明日であり、その明日が未来、すなわち彼らの居る現在に
繋がっているからなのでしょう。
だから、彼らは時間保護局員の仕事を通じて、自分の明日である過去を守り、
それによって31世紀の世界も守りたいと思ったのでしょう。

そして、運命の改変よりも明日を守ることを選んだ彼らほど、
歴史の改変による運命を弄ぶ行為を憎み、過去の歴史を守る時間保護局員として相応しい
資質を持った者達はいないのだといえます。

31世紀の歴史を守ることのみを考えて過去の人々を蔑にするというのは、
過去の積み重ねの上に現在や未来が存在するという真理に背を向け、
神の視座に立ったかのように勘違いした浅はかな行為です。、
一方、歴史を改変しないギリギリの範囲を見極めながら
過去の人々の明日を自分の明日と同列に見て守っていこうと努力するのが
人間としての在るべき道といえるでしょう。
彼らはその竜也と共に戦いの中で培った精神で
新たな31世紀でも時間保護局員として全ての歴史の中の人々を守る戦いを続けてきたのでしょう。

21世紀の世界に行って、竜也や一時復活した直人と共にレジェンド大戦に参戦したのも、
彼らの時間保護局員としてのポリシーに則った行為であったのでしょう。
おそらく彼らが未来から参戦することによってレジェンド大戦の歴史に
大きな変化が生じることはないことは彼らも分かっており、
むしろ、自分達が参戦することは歴史上の出来事として知っていたのではないかと思います。

自分達が参戦して、変身能力を失って相討ち程度にしかならないという運命は分かった上で、
その運命を変えようとはせず、ただ21世紀のレジェンド大戦の場で自分の出来ることをやって、
それで少しでも明日が変わることを願って、ドモン達は参戦したのだと思います。

そもそもリュウヤがあれほど画策しても自分の運命すら変えられなかったという事実を知っている彼らは、
歴史の修正力の巨大な力を知っており、
そうそう人間が時を超えて足掻いたところで歴史を変えることなどなかなか出来ないということは知っています。

歴史を変えることが出来るものがあるとするなら、それは未来からの介入者などではなく、
その時代を生きる人間の「明日を変えたい」という強い意思しか有り得ない。
だからドモン達は自分達のような未来人がレジェンド大戦に参戦して何かやったところで
簡単にその結末が変わるものではないという、ある種の安心感をもって大胆に動くことは出来たのだといえます。

そうしてレジェンド大戦で変身能力を失い31世紀に戻ったドモン達は、
タイムレンジャーの「大いなる力」である豪獣ドリルを31世紀の時間保護局で管理して、
タイムレンジャーの「大いなる力」を直人から与えられた鎧が召喚すると、
それに応じて豪獣ドリルを21世紀のゴーカイジャーのもとへ送り出し、
戦いが終わって豪獣ドリルが戻ってくるとメンテナンスなどしているようです。

「大いなる力」には様々な種類があり、
単なる技やエネルギー体がゴーカイオーのハッチから出てくるだけのようなものや、
マジドラゴンやパトストライカーのようにハッチから実体化して出現するようなのもあります。
ゴーカイジャーの「大いなる力」であるカンゼンソウルもその一種といえます。

その中で特殊な位置づけなのが何処か別の場所から召喚されてくる「大いなる力」で、
これにはガオライオン、風雷丸、マッハルコンがあります。
ガオライオンは天空島、マッハルコンはマシンワールドというようにそれぞれ本拠地があり、
風雷丸は何処から来ているのかよく分かりませんが、
何処か遠くで元素固定機能で実体化してから飛んでくると思われます。

で、よく考えたら豪獣ドリルもまたマッハルコンのように別世界から穴を開けて飛んでくるという点でよく似ており、
マッハルコンが並行世界から飛んでくるのに対して、
豪獣ドリルは未来世界から飛んでくるという違いがあるだけで、基本的にはそんなに違いはありません。
だから豪獣ドリルも召喚系の「大いなる力」であり、
マッハルコンは自立した意思を持った機械生命体であるのに対して、
豪獣ドリルはあくまで搭乗型メカであり、それを管理する人間組織と一体化した存在であるという
違いがあるといえます。
その豪獣ドリルを31世紀世界の本拠地で管理しているのが時間保護局であり、
担当者が元タイムレンジャーの4人なのでしょう。

そして、例えばシンケンジャーの「大いなる力」がガオライオンを変形させて
ゴーカイオーに合体させてシンケンゴーカイオーにするという作用に設定されているのと同じように、
アバレンジャーの「大いなる力」やジュウレンジャーの「大いなる力」も、
豪獣ドリルを変形させて豪獣神や豪獣レックスにする作用に設定されているのでしょう。

その豪獣ドリルが今回、鎧が召喚していないのに勝手に飛んできたというのはどういうことかというと、
それはドモンが21世紀の空に浮かぶゴーカイガレオンに横付けするように飛ばしたのでしょう。
召喚系の「大いなる力」というのは、別に召喚しなくても飛んでくることは出来ます。
風雷丸も最初は召喚もしていないのに勝手に飛んできていました。
マッハルコンもガオライオンも別にその気になれば呼ばれてもいないのに
ゴーカイジャーのところに来ることは出来るはずです。
だから同様に、豪獣ドリルの場合は自分の意思では来ることは出来ないが、
ドモン達の意思で送り込むことは出来るわけです。

今回、ドモンがわざわざ豪獣ドリルを送り込んできた理由は、
ビデオレターをマーベラス達に見せるためであり、
そのビデオレターの中に込められた自分の意思を伝えるためでした。

なお、このドモンは「タイムレンジャー」本編の物語中の設定では22歳で、
このビデオレターを送ったドモンのいるのは3011年らしいので、
3001年に22歳で未来に戻ってきたドモンも10年経って32歳になっているようです。

演じておられるのはもちろんオリジナルキャストの和泉宗兵氏です。
和泉氏は「タイムレンジャー」でドモンを演じていた頃は小泉朋英という芸名でしたが、
現在は和泉宗兵という芸名に変えておられるようです。
和泉氏は現在34歳で、まだまだ若々しく、10年前のドモンとちょっと髪が伸びている以外は印象は変わりません。

今回、どうしてドモンがレジェンドゲストなのかというと、
それはやはり、ドモンが一番、後日談を作りやすいキャラであったからでしょう。
それについてはラストシーンで詳しく言えばいいでしょう。

このドモンは元格闘技選手だけあって、体育会系で、真っ直ぐな人情家だが、
俺様キャラで明るくお調子者のムードメーカーでした。
それでこのビデオレターでも何だか調子に乗って自慢げな自己紹介を最初に延々としているようですが、
ほとんどマーベラス達には無視されてしまっています。
マーベラス達の興味はドモンがどうして今回このようなビデオレターをわざわざ送ってきたのかについてです。

マーベラス達が本題を待つ中、ようやく少し口調を変えて
「さて、今日はお前らにチャンスをやろう!」と立体映像のドモンは言ってニヤリと笑います。
「チャンス・・・?」とハカセは不審げに言い返し、ドモンに聞こえるはずもないが、
そういう問い返しがあるのが分かっているかのようなタイミングで
「34の大いなる力を揃えるためのな!」とドモンは言葉を続けます。
レジェンド戦士としては当然というべきか、31世紀にいるドモンもまた、
マーベラス達が「大いなる力」を集めていることは知っているようです。

「大いなる力」という言葉を聞いて、
マーベラス達は何か「大いなる力」に関する重大な情報でも教えてくれるのかと思い、
ドモンの言葉に真剣に耳を傾けます。
ところがドモンは「西暦2010年10月2日に行って、ネガクレ神社ってとこを守ってこい!」と
意外なことを言います。
「神社を守るぅ?」とナビィはあまりに予想外のドモンの言葉に面喰って素っ頓狂に問い返します。
神社を守ることと「大いなる力」に何の関係があるのかサッパリ分かりません。
というか、1000年先の未来からのビデオレターで神社の話題というのが何とも奇妙な取り合わせでした。

しかし当然ビデオレターですから質問など受け付けるわけもなく、
ドモンの立体映像は一方的に「豪獣ドリルにタイムイエローのレンジャーキーをセットすれば、
目的の時間に行けるようにしてある・・・!」と説明を続けます。
これは要するに豪獣ドリルのコクピットの鍵穴にタイムイエローのレンジャーキーの「大いなる力」を注入すれば、
それに反応して豪獣ドリルがタイムスリップするようにチューンアップしてあるということなのでしょう。

タイムレンジャーの「大いなる力」というと本来はタイムレンジャーの巨大戦力ですから、
それらは全て時間を超えて移動する能力を備えていますから、
当然タイムレンジャーの「大いなる力」には時間を超えて移動する能力は有るはずです。
だから豪獣ドリルだって時間を超えて未来からやって来るのです。
但し、それらタイムレンジャーの巨大戦力のメカは全て、メカ単体で時間移動は出来ません。
31世紀の時間保護局の管制があって初めて、ちゃんと移動先を設定した時間移動が出来るのです。
だから今回もあらかじめ31世紀の時間保護局でドモンが豪獣ドリルを
タイムイエローのレンジャーキーの大いなる力によって2010年10月2日に移動できるように設定してから
送り出したのでしょう。
そして、おそらく1回往復したら、その設定は解除されて、
その後は再びタイムイエローのレンジャーキーを挿しても時間移動は出来ないものだと思われます。

つまり今回は特別ミッションということです。
しかし、どうして自分達がドモンにそんな命令を下されなければいけないのか、
6人はどうもよく分かりませんでした。
「大いなる力」を34個揃えるチャンスだとか言うから聞いてみたら変な命令をいきなり下された。
つまりはその命令に従えば「大いなる力」をくれるのかと思ったルカは目を輝かせて
「あんたの言う通りにしたら、大いなる力が貰えるわけ・・・?」と思わず質問します。

しかし相手は立体映像ですから返事など返ってくるわけがなく、
ドモンはルカの質問は全く無視して「ただし!」と右手を前にかざして念を押すように強調すると、
一呼吸置き、手を提げて妙に沈痛な表情となって
「・・・むやみに過去の人間に関わるなよ・・・面倒なことになるからな・・・」と言いました。

これはいわゆるタイムパラドックスを注意しているのとはちょっと違います。
そもそもドモンは歴史の修正力の凄さを知っていますから、
人間ごときが多少は過去でヤンチャなことをしても、
そうそう簡単に大きな歴史の流れは変えられないと知っているのです。
だからここでドモンはマーベラス達によって歴史が変えられてしまうことを心配しているわけではなく、
過去の人間と関わることでマーベラス達が面倒なことになることを心配しているのです。

それは自分の経験に照らしての心配でした。
つまり、深く過去の人間と関わることで、過去に心を残したまま未来に戻ることになると、
辛い想いをすることになるということを心配して、
マーベラス達は淡々とミッションだけこなして、変に過去の人間と関わらない方が賢明だと忠告しているわけです。

ただマーベラス達には、そういうドモンの真意は伝わらず、
そもそもドモンもふと感情が込み上げて言ってしまっただけのことで、
特に念押ししようとまでは思っていませんでした。
まぁ、ドモンもマーベラス達はちょっと行って帰ってくるだけですから、
過去の人間と接することもほとんど無いだろうとは思っていました。
だから、ドモンはあまり真意をしっかり伝えようとはせず、
マーベラス達はドモンが単に過去に介入して歴史に変な影響を与えないように気を付けろと言っているのだと
解釈しました。
しかも、どうせこのヤンチャなマーベラス一味はそんな注意をしてもマトモに聞くような連中ではないのですが。

そうしてドモンは最後は「それじゃあ、諸君の、健闘を祈る!」と言って、
ガッツポーズをした右腕の肘を左手でポンポンと叩く、
「タイムレンジャー」本編でドモンがよくしていたポーズを示して、映像は消えました。
「ああ〜!消えたぁ〜!」とナビィはいきなりドモンの姿が消えたので大騒ぎ。
ルカは「・・・ちょっと!」と、自分の質問が無視されて怒ります。
いや立体映像ですから質問を無視するのは当たり前ですが、
それにしても今のビデオレターの内容だけではどうも話が見えないのでイライラするのです。

「・・・ということなんですけども?」と鎧は既に1回見ている内容なので他の皆に意見を伺いますが、
皆、不審そうな顔です。
おそらくはドモンは命令を聞いてミッションをこなしてくれれば「大いなる力」をくれるか、
あるいは何らかの情報を教えてくれるという、
そういう交渉を持ちかけているのだろうということは分かりました。
それがつまり「チャンス」ということで、
ドモンの与えたミッションを成功させることが自分達にとっての「チャンス」なのだろうと
マーベラス達は思いました。

ただ、分からないのがそのミッションの内容でした。
「神社を守る」ということの意味が分からない。
「守る」といっても、一体何からどのように守るのかが分からないのです。
つまり、何をもってミッション完了と言うのかが分からない。

「・・・ネガクレ神社・・・」とジョーは、さっきドモンが言っていた奇妙な神社の名前を呟いて考え込みます。
この神社の名前にその謎を解くカギがあるのだろうと思ったのです。
そして、その時にはもう既にハカセは船室のパネルスクリーンに向かってキーボードを操作して
「ネガクレ神社」について検索を始めていたのでした。

そしてハカセは核心の情報にすぐに辿り着きました。
「これだ・・・2010年10月2日、突然爆発したんだって!」と言いながらハカセが
パネルスクリーンに映し出したのはWeb版の新聞記事のようで、
「寝隠神社 突然の爆発 2010/10/02」と見出しに書いてあります。
「なんで?」とナビィが聞くと、ハカセは「原因は不明だって・・・」と記事を見ながら答えます。

すると、その記事を見ながらルカは慎重に考えながら
「つまり、あのドモンって人は、過去に行ってそうなるのを防いで来いって言ってるわけね
・・・大いなる力と引き換えに!」と言い終わって、謎が解けたと思い、ニヤリと笑います。
あの神社が爆発すると何かドモンにとって都合が悪いことがあるに違いない。
そこで自分達に神社の爆発を阻止させて、それが成功すればご褒美に「大いなる力」をくれる手筈になっているのだ。
きっと現地でミッションが成功したら「大いなる力」を誰かが渡してくれることになっているに違いないと
ルカは思いました。

他の皆もドモンの話はそういうことなのだろうと納得しました。
しかし、アイムは不思議そうに「でも、タイムレンジャーさんの大いなる力は、鎧さんが貰ったんでは?」
と鎧に向かって質問します。
確かにドモンはミッションに成功すれば「大いなる力」をくれるのだろうけれど、
元タイムイエローならば順当に考えればそれはタイムレンジャーの「大いなる力」のはずです。
しかしタイムレンジャーの「大いなる力」はとっくの昔に鎧がタイムファイヤーから貰っており、
豪獣ドリルとして毎回使いこなしています。
それがどうもアイムには不可解だったのでした。

すると鎧は「きっと、他のスーパー戦隊のですよ!」と言って、
船長椅子に座ったままのマーベラスに向かって腕をビシッと突き出して、鬱陶しそうに叩き落とされます。
それでもメゲずに鎧はノリノリで「マーベラスさん!もちろん行きますよね!」と、
またマーベラスに向けて手を突き出します。なんともウザい。

マーベラスは再び鎧の手を叩き落とすと、「当たり前だ!」と言いながら立ち上がります。
「大いなる力」が貰えると聞いて、たとえどんな危険な場所での無茶なミッションだろうと怖気づくわけがない。
そしてマーベラスはニヤリと笑って「タイムスリップなんて、そうそう出来やしねぇしな!」と言います。
実際、タイムスリップなどしたことがないマーベラスは、
初めての過去への冒険にワクワクして楽しみで仕方なかったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:44 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月08日

第40話「未来は過去に」感想その3

そういうわけで、マーベラス達は元タイムイエローのドモンの送って来た
31世紀からのビデオレターの指示に従って、2010年10月2日という過去にタイムスリップして、
寝隠神社という名の神社を原因不明の爆発事件から守ることにしたのでした。
そのミッションをこなせば何らかの「大いなる力」をドモンから貰えるはずだと期待してのことで、
あらかじめ爆発が起きると分かっているのならば、その原因をあらかじめ突き止めて防ぐことは出来ると思いました。

その過去に行く方法はドモンの指定によれば
豪獣ドリルにタイムイエローのレンジャーキーを挿せば、あとは自動的に行けるようでしたので、
とりあえず6人はゴーカイジャーに変身してガレオンから豪獣ドリルに乗り移り、
コクピット内で鎧はいつも通りに操縦席に座り、他の5人は席が無いのでコクピット内で操縦席の周りに立ちます。

操縦席に座った鎧は「それでは皆さん!」と気合を入れて
ゴーカイバックルからタイムイエローのレンジャーキーを取出し、それをカギ型にして
「いっきますよぉ!!」と勢いをつけてコクピットのカギ穴に挿して回します。
すると、コクピット前方の外部モニターのスクリーンに
「Warp for 2010y 10m 02d Time Gate OPEN」という文字が出て、
前方の空に大きな丸い穴が開いたのでした。

この丸い穴はいつも豪獣ドリルを召喚した時に空に開いてそこから豪獣ドリルが飛び出してくるのと同じ穴です。
つまり、これが時を超える移動のための次元の扉「タイムゲート」なのです。
ここに突っ込めばいいのだと理解した鎧は「よし!時を超えよ!豪獣ドリル!」と操舵輪を回して
豪獣ドリルを発進させて、その穴に突っ込んでいきました。

すると、豪獣ドリルが突っ込んで、穴の中に姿を消すと同時に、
その穴は青い空の中に一瞬にして掻き消えていきます。
それをガレオンから見ていたナビィは「わああ!!オイラだけ留守番なんてヒドいよぉ!」と、
船室でただ1人ジタバタと文句を言うのでした。
ナビィはガレオンの留守番で残されてるんですね。可哀想に。

一方、豪獣ドリルは青い空に開いたタイムゲートから何処かの街の上空に飛び出してきました。
見た感じ、普通の現代の都市風景ですが、
丁寧に画面上に「2010年10月2日」とテロップを出してくれているので分かりやすいです。
ここが目的のタイムスリップ先の日時である2010年10月2日なのです。

なお、「タイムレンジャー」本編では、このタイムゲートを使ったタイムスリップは
特殊な次元移動の経路が指定されていて、
幾つかの別の時代を経てから日蝕などを伴って特定の場所に出現するというルールが存在していましたが、
まだあの頃はタイムマシンが実用化されて10年ほどの試行錯誤の時期であったようで、
未来世界もあれから更に10年ほどを経て、よりスムーズにタイムゲートを運用出来るようになっているようで、
別の時代を通ったり、いちいち日蝕を起こしたりしないでも
タイムゲートを開いて一瞬で別の時間に移動出来るようになったようです。

それにしても、この「2010年10月2日」という、やたら具体的な日付の指定は、
まさにこの日に謎の爆発事件が起きたという事情があるからなのですが、
この日付はそれとは別の後述のスーパー戦隊史における重大事件のあった日でもあります。
そういう二重の意味でこの日付は設定されているのですが、
その後述の事件は別にオリジナルストーリーにおいては日付はもともと指定されてはいませんでした。
また、爆発事件も別に10月2日に起こったこと自体に何か深い意味があるわけではありません。

つまり、この「2010年10月2日」という日付は、
今回のエピソードの制作過程で、そのスーパー戦隊史における重大事件がおそらく
2010年の9月末から10月初めあたりの何処かの日付の出来事であろうという推測に基づいて、
独断でそれを「2010年10月2日」の出来事であったと決定し、
その同じ日に神社爆発事件も起きたという設定にしたということになります。

つまり、今回のエピソードにおいて、
この日付は絶対に「2010年10月2日」でなければいけないというわけではなかった。
「10月1日」でも「9月30日」でもよかったはずです。
というか、ドモンは別に日付を明確に言う必要も無く、
「とにかく豪獣ドリルに乗って過去に行って神社を守れ」という指示であったとしても
今回のエピソードは成立したはずです。
ゴーカイジャー達がどの時代に行ったのかは、エピソード内容を見た視聴者が判断するし、
その正確な日付が分からなかったとしても鑑賞上はほとんど支障は無いはずです。

つまり何が言いたいのかというと、
今回のエピソードは、別に厳密な日時指定は作劇上は必須ではなかったはずなのに、
あえて日付を明確にしているということを言いたかったのです。
「ゴーカイジャー」の物語でこれまでそのように日付を明確にしたエピソードは無かったはずなのに、
今回に限ってはあえて日付を明確にしているのです。

実は、それこそが「タイムレンジャー」のフォーマットなのです。
「タイムレンジャー」という作品はサブタイトルにはフォーマットはありませんが、
それとは別に全てのエピソードに徹底したフォーマットが存在しています。
それが、全エピソードの劇中での日付を明確にしていることです。
それは「時」をテーマとした作品であるからであり、
また、終盤の展開でこの日付というものが重要な意味を帯びてくるからです。

そういうわけで「タイムレンジャー」では全エピソードの日付は明確にされており、
その徹底っぷりは、本来は番外編であるはずのVシネマ
「タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ」までも具体的に日付が指定されているぐらいです。
今回のエピソードもタイムレンジャー篇ということで、
「タイムレンジャー」のフォーマットに倣って、「ゴーカイジャー」のエピソードにしては珍しく、
劇中に明確な日付指定があるのです。

ただ、あくまでタイムスリップ先の日付指定であり、
ゴーカイジャーの物語の世界そのものの日付は相変わらず曖昧なままですが。
そもそもマーベラス達が居る「現在」の地球というのが西暦何年にあたるのかも明確ではなく、
「ゴーカイジャー」という作品はそういうところは曖昧な作品です。
まぁ「タイムレンジャー」みたいに「時」に厳密な作品の方が特別なのだと言えますが。

さて、目の前の景色が変わったので時間を移動したのだと気付いた鎧は
「着きましたぁ!2010年です!」とガッツポーズをとります。
しかし操縦席の周りに立つ5人はどうもピンときていない様子です。
時間移動があまりにも一瞬の出来事であった上に、
眼下の街並みは確かに場所は変わっているが、さっきまで居た場所から見下ろしていた街並みと同じようなものです。

「・・・ここ、ホントに過去なのぉ?」とハカセは疑わしそうに問いかけました。
単に場所を移動しただけのようにも思えたのでした。
それに対して鎧は「過去ですよ!だってスカイツリーが建設中ですし・・・」と確信をもって答えます。
「ゴーカイジャー」の「現在」が西暦年なのかハッキリとはしないが、
おそらくは2013年から2014年あたりであろうと思われ、
そんなに街並み自体は印象が変わっているはずはない。

ただ、その頃にはスカイツリータワーは完成しているのでしょう。
そのスカイツリーの建設中の姿が確かにさっき豪獣ドリルがタイムゲートから出てきた時の
風景に映り込んでいました。
鎧はそれを見て、この世界がまだスカイツリーが建設中であった2012年5月以前の世界だと確信し、
タイムスリップに成功したのだと確信することが出来たのでした。
ならば、ここは豪獣ドリルがセットしていた通りの「2010年10月2日」であるはずでした。

ただ、それは鎧が地球人でスカイツリーのことも元から知っているから分かることであって、
マーベラス達5人はスカイツリーのことなどあまり普段意識していないので、
まだどうもここが過去であるという実感は湧かない。
ルカは他に2010年の情報を鎧が知っていないのかと考えて、ハッといい事を思いつき、
「ねぇ鎧!あんた宝クジの当選番号とか覚えてないのぉ?」と鎧に擦り寄って質問します。
何か一儲けを企んでいるようですが、鎧は「いえ・・・それはちょっと・・・」と手を小さく振ります。

そんなもの律儀に覚えてる人は普通はいません。
だいいち、当たり番号が分かったからといって、その番号の札を選んで買えるわけでもなし、
あまり意味の無いことです。
そもそも、ドモンがあまり過去の人間に関わるなと言っていたように、
そういう妙な行動は慎むべきなのではないかと考えて、
アイムは「ズルはダメですよ・・・ルカさん!」とルカを注意するのでした。

その後、すぐ6人は、あらかじめ検索して調べておいた寝隠神社の場所、
いや、もともと寝隠神社があったという場所に豪獣ドリルで飛んでいきます。
それは田舎の小山の森の中でした。
小山の森の中に豪獣ドリルを着陸させて、そこから変身を解いて生身で歩いて目的地に行くと、
狛犬や石段、灯篭などがあり、確かに神社の入り口のようです。

「この上が寝隠神社だな・・・」と言いながら先頭を歩いて石段を登っていくマーベラスの後ろで
鎧が指さした鳥居に掲げられた銘板には、確かに「寝隠神社」と書いてあります。
新聞記事では2010年10月2日に爆発して無くなったという寝隠神社は、
確かに現時点ではまだ無事に存在しているようです。

6人で固まって長い石段を登りながら、
鎧は「う〜ん・・・なんか寂しいところですね・・・」と周囲をキョロキョロ見回します。
思ったよりも奥深いところにある神社であり、周囲に民家も無いし、人がいる様子すら無い。
「こんなところが何で爆発するんだろ?」とハカセも首を捻りました。
新聞記事には原因不明の爆発と書いてあり、誰か爆破した犯人が捕まったというような記録もありませんでした。
ならば、何かの事故なのかとハカセは思ったのですが、
こんな山の奥でいきなり何かが爆発するような事故がひとりでに起きるとも思えないのです。

その時、突然、「うわぁ!?」という叫び声が石段の上の方、おそらく神社の境内がある方向から聞こえてきて、
6人はハッと上を見上げます。
誰かが神社に居て、そこで何か異常が生じていることを直感したのでした。

その石段を登りきった場所にある神社の境内では、
拝殿前の賽銭箱の前で小学校3〜4年生ぐらいの少年が腰を抜かしており、「うわ・・・うわ・・・!」と怯えています。
さっきの叫び声の主のこの少年でした。
その少年が何をそんなに怯えているのかというと、少年の周囲に多数の化け物が出現してきて、
少年を取り囲んで襲おうとしていたからでした。

そこに間一髪、石段を駆け上がってきたマーベラスとジョーの放った銃弾が化け物に命中し、
賽銭箱の前の化け物たちを倒します。
他の化け物たちは驚いて左右に分かれ、マーベラス一味の6人の方に振り向き、睨みます。
その隙に鎧はダッシュして賽銭箱の前の少年のところへ行き、「大丈夫!?」と少年に声をかけました。
化け物たちは別に少年に執着は無いようで、
今度は自分達を攻撃してきたマーベラス達に向けて敵意を向けてきています。

その、あまり知能が高くなさそうな動物的な不気味さ、
何よりその見た目の気持ち悪さにハカセは思わず悪寒が走り
「うわぁ・・・何あれ?・・・気持ちわるぅ!」と嫌そうに言います。

が、この化け物のことはハカセも含めてマーベラス達は見たことはあるはずです。
これは「侍戦隊シンケンジャー」に出てきた敵組織の外道衆の戦闘員キャラで「ナナシ」というやつです。
三途の川に住む妖怪のような知能の低い、まともに言葉も喋れないような生き物ですが、
隙間から湧いて地上に出てくることが出来ます。
今も境内の中の様々な隙間から出現していました。

そしてマーベラス達は夏映画「空飛ぶ幽霊船」の中で、歴代戦闘員軍団に襲われた際、
このナナシにも一匹出会っています。
しかしほとんど一瞬だったので覚えていないのでしょう。
それに、このナナシはよく見ると普通のナナシとは違います。
普通のナナシは黄色い服を着用しているのですが、ここにいるナナシ達は黒い服を着用しています。

ともかくマーベラス達はもちろんのこと、鎧もこの化け物たちが
シンケンジャーの敵である外道衆のナナシだということは分かっておらず、
正体不明の化け物と思っているようです。
ただ、化け物の正体は不明ながらも、こんな奥深い神社にこんな化け物たちが大挙して出現しているということは、
今日この神社で起こるといわれている謎の爆発はこのナナシ達の仕業によるものだということは
マーベラス達にも容易に想像はつきます。

「・・・なるほど、こいつらから神社を守れってことか!」と、ジョーはドモンのミッションの意味を理解しました。
こんな山奥で爆発事故が勝手に起きたとは考えにくい。
やはり何者かによって爆破されたのであり、その犯人がこの化け物たちだったのだとジョーは解釈したのでした。
ならば、この見るからに雑魚っぽい化け物たちを倒せば、神社を守るミッションは成功だと思い、
マーベラス達5人はナナシ連中相手に身構えます。
その一方でアイムは「鎧さん!その子をお願いします!」と、少年を戦いに巻き込まないように
鎧に避難させることをお願いし、鎧は「分かりました!」と応じ、少年を抱きかかえます。

こうして戦いの準備は整い、今にも襲い掛かってこようとするナナシ連中に対峙した5人は
マーベラスの「いくぜ!!」という合図でレンジャーキーを出し、
「豪快チェンジ!!」と叫んで変身してゴーカイジャーの姿となります。
それを見て、少年は「・・・スーパー戦隊・・・?」と驚きました。
この過去の世界も当然、「ゴーカイジャー」の物語世界の過去の世界ですから、
34のスーパー戦隊の歴史が繋がっている世界なのです。

2010年というと、まだレジェンド大戦は起こっていませんから、
スーパー戦隊は「レジェンド戦隊」とは呼ばれるようにはなってはおらず、
そんなに有名な存在にもなっていないようですが、知っている人は知っているようで、
この少年も鎧のようにスーパー戦隊には昔から詳しいクチなのでしょう。
だから5色の仮面戦士といえばスーパー戦隊という認識はあるようです。
ただ、その少年の目で見ても、当然2010年においてはゴーカイジャーは全く未知の戦隊であり、
スーパー戦隊っぽいけど見たことのない5色の戦士の姿を見て、少年は戸惑いの声を上げたのでした。

一方、マーベラスは雑魚っぽいナナシ連中を相手に余裕の態度で
「派手にいくぜぇ?」とゴーカイガンとゴーカイサーベルを撫で合わせて殺る気満々ですが、
その時、森の中に「集〜合〜!!」と不気味な声が響き渡ります。
すると、なんと、それまでマーベラス達に敵意剥き出しだったナナシ連中が突然、戦闘態勢を解除して
一斉に跳び上がり、マーベラス達を飛び越えて石段の下の方に着地すると、
一目散に石段を駆け下りて何処かに向かって去っていったのでした。

せっかく戦う気満々であったのに、突然、敵が逃げ出したのでマーベラス達は呆気にとられますが、
すぐに「逃がすか!雑魚野郎!」と追いかけていきます。
ナナシ連中が怖気づいて逃げたのだと思ったのでした。

そうしてナナシ連中も去り、マーベラス達5人もそれを追い駆けていき、
神社の境内は静かになって、鎧と少年だけが取り残されました。
鎧は神社を爆破する犯人の化け物たちがあっさり逃げ出して拍子抜けしましたが、
これで神社を守るというミッションはほぼ成功したのだと思い、安堵しました。
あとはマーベラス達が化け物たちを追い詰めて倒せば完全にミッションは完了で、
マーベラス達ならばそれを確実に成し遂げるだろうと鎧は思いました。

それでも再びここに化け物たちが逃げてきて戦いが再開される可能性もゼロではない。
だからまずは今のうちにこの少年を安全な場所まで避難させておこうと思い、鎧は立ち上がり
「さ、今のうちに帰ろう!俺送ってくから・・・」と座り込んだままの少年の腕を掴もうとします。
ところが少年は鎧の手を慌てて振り払い、「いやだ!俺は帰らない・・・」と言います。

少年の意外な反応に鎧は「え・・・?」と驚き、少年を見つめると、
少年は鎧に警戒の視線を向けて自分の脇に置いたカバンを抱え込んで鎧から守るようにして、背を向けます。
そのカバンが荷物でパンパンに膨れ上がった大きなものであるのを見て、
鎧は少年が単に近所の子がこの神社に立ち寄っただけではないことに気付きました。

「あ・・・も、もしかして・・・家出?」と鎧は尋ねました。
そういえば、どうしてこんな山深い寂しい神社にこんな子供が1人でいるのか不可解だったのですが、
おそらくこの少年はこの近所に住んでいて、家出してきてお金が無いから遠くにも行けないので
人の滅多に来ないこの神社に隠れていようとしていたのではないかと鎧は事情を察したのでした。
それで、少年は鎧のことを自分を探して連れ戻しに来た人ではないかと疑って警戒しているのです。

どうやら鎧の想像通りだったようで、少年は鎧の言葉を聞いて、
鎧が自分を探しに来た大人ではないのだと分かると、
少年は背を向けてバッグを抱いたまま「・・・家出じゃない・・・自立だ!」と言い返します。
少年の口から、年に似合わぬ妙な言葉が出て、鎧が呆気にとられて「・・・自立?」と問い返すと、
少年は黙って頷くのでした。

一方、急に神社から駆け出していったナナシ連中を追いかけていったマーベラス達5人の方は、
途中の荒れ地のあたりでナナシ連中を見失ってしまいまっていました。
「あいつら、何処行きやがった?」とマーベラスは辺りをキョロキョロ見回します。
しかし、マーベラス達は自分達の追いかけているのが
シンケンジャーの戦っていた相手の外道衆のナナシだと分かっていないので、
何とも不思議に思っていないようですが、2010年10月にナナシが活発に動いているというのもおかしな話です。

この「ゴーカイジャー」の物語世界では、
外道衆は2010年の1月にシンケンジャーがその頭目である血祭ドウコクを倒して以降、
地上での活動は沈静化しているはずだからです。
この2010年10月というのはゴセイジャーが幽魔獣やマトリンティス帝国あたりと戦っていたぐらいの時期です。
だからナナシがあんなに神社に湧いていたのは本当は変な話なのです。
しかしナナシを知らないマーベラス達はそういう疑問を抱くこともなく、
神社を爆破しようとした犯人のよく分からない化け物としてナナシを探し回っていました。

すると、ルカが何か遠くに奇妙なものを見つけたようで
「ん?・・・見て、あれ!」と、遠くに見える断崖の上を指さします。
「ん?」とマーベラス達がその方向を見ると、その遠くの断崖の上に12人の人影が立っており、
マーベラス達5人がその12人を見た途端、その12人の背後で何だか物凄い大爆発が起きて、
それでも12人は微動だにせずポーズを決めています。
マーベラス達は唖然として12人を凝視します。
すると、その12人はなんだか見慣れた連中でした。

ジョーとハカセが「ゴセイジャーと・・・」「シンケンジャー?」と驚きの声を上げました。
なんと、12人は、いつも自分達がレンジャーキーを使って豪快チェンジしている
ゴセイジャーの6人の戦士と、同じくシンケンジャーの6人の戦士だったのでした。
どうして自分達が豪快チェンジもしていないのに、
ゴセイジャーとシンケンジャーが他に居るのだろうか?とマーベラス達が混乱していると、
アイムが「あ・・・飛びました!」と言います。

ゴセイジャーとシンケンジャーの謎の12人は断崖の上からジャンプして下の荒れ地に降りて、
そこに殺到してくる雑魚っぽい連中の群れに突っ込み、戦い始めたのでした。
そのマーベラス達が見たゴセイジャーとシンケンジャーを相手に戦ってる雑魚っぽい連中には2種類あり、
1つは緑色のヒョロい感じのヤツで、
もう1つはさっき神社を爆破しようとしていた雑魚連中とよく似ているように思えました。

これは2010年10月2日の出来事ですから、
当然レジェンド大戦前ですからレンジャーキーは存在していない時代の話です。
だから、このゴセイジャーやシンケンジャーはレンジャーキーで誰かが変身したものであるはずはない。
ということは本物のゴセイジャーやシンケンジャー以外に考えられません。
そしてその戦っている相手は、
緑色のヒョロいのはゴセイジャーの複数の敵組織の共通戦闘員であった魔虫兵ビービであり、
もう一種はシンケンジャーの敵組織の外道衆の戦闘員のナナシ連中であり、
こっちのナナシは黄色い服を着た普通のナナシでした。

本物のゴセイジャーとシンケンジャーが一緒にビービやナナシ相手に戦ったことといえば、今まで一度しかなく、
2011年1月22日公開の映画「天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピックon銀幕」の物語の中のことです。
その物語が「ゴーカイジャー」の物語の過去に起きたことという設定になっているようです。

「ゴーカイジャー」の物語は過去のスーパー戦隊シリーズ34作品を過去の時系列に置いた世界観になっていますが、
そこには「VSシリーズ」というクロスオーバーの番外編も含まれていることは、
第7話で「ゲキレンジャーVSボウケンジャー」に登場したパチャカマック12世の後継者と思われる
パチャカマック13世が登場したことで示唆はされていましたが、今回で完全に確定したといえます。

そして、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の中で描かれた戦いというのは、
ゴセイジャーの物語の時系列的には、epic32で幽魔獣軍団を倒して、
epic33で、マトリンティス帝国が登場するまでの間に起きた出来事という扱いになっており、
epic32が9月26日放送、epic33が10月3日放送であったことから、
どうやらマトリンティス帝国登場直前の2010年10月2日の出来事ということになっているようです。

というか、この映画の内容が3日間にわたるものであるので、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の映画の物語は2010年9月30日から10月2日にかけての出来事であり、
ここでマーベラス達が目撃したのはその最終日の最終決戦がちょうど始まる場面であったようです。

つまり、ゴセイジャーの宿敵であるブレドランが一旦、
「ゴセイジャー」epic29(2010年9月5日放送)でゴセイジャーによって倒されながら、
死者の行く三途の川でどういうわけかシンケンジャーが1月に倒したはずの外道衆の頭目の血祭ドウコクの
パワーを受け継いで、2010年9月30日に三途の川から復活して、
外道衆の生き残り幹部の骨のシタリを仲間に引き込んで三途の川を地上に溢れさせる作戦を進めたという事件です。

それに対して様様な紆余曲折はありながらも共闘するようになったゴセイジャーとシンケンジャーが
2010年10月2日、遂に全員揃ってブレドランに立ち向かい、
見栄を切って変身、名乗りを上げた直後の場面がマーベラス達の目撃した場面でした。
そして、それと同じ2010年10月2日にこの決戦場所にほど近い小山の森の中にある寝隠神社に
黒い服のナナシ連中が集団発生して、
そしてこの寝隠神社が本来の歴史ではこの10月2日に爆発するはずであったということになります。

ちなみに、このマーベラス達が目撃した12人が断崖に並んでの爆発シーン、
やたらド派手に爆発してますが、名乗りの後の特殊効果的な爆発で、
ゴーカイジャー自身もよく名乗り時に背後でこういう爆発を効果で入れることはあり、
劇中の流れで見ると盛り上がる場面なのですが、
こうしてマーベラス達のような第三者的な視点で見ると、名乗り時の背後の爆発って、結構マヌケで面白いです。
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」では凄く盛り上がった場面で、その映像が流用されているので、
本来は燃える場面のはずですが、
マーベラス達の遠目の視点で妙に醒めて見ているので面白味を感じるシーンとなっています。

ただ1カット、ルカが映り込んでいる爆発シーンがあるので、
どうもわざわざ爆発シーンも含めてこの後のアクションシーンに関しても
新撮して多少付け足したりしているようで、非常に凝っています。

本当は「ゴセイジャーVSシンケンジャー」では、
変身して名乗り(背後で爆発)を終えたゴセイジャーとシンケンジャーに向かって、
断崖の下にいるブレドランが「先に決着をつけてやる!かかれ!」と言ってビービとナナシをけしかけ、
アラタが「みんな行くぞ!」と号令をかけて12人が飛び降りて、ビービやナナシと戦闘開始する場面なのですが、
今回のエピソードではそういった遣り取りはマーベラス達には聞こえておらず、
爆発の後、いきなり12人が飛び降りたように見えています。
それでアイムが呆気にとられて「あ・・・飛びました!」とか言ってて、
普段自分達も同じようなことをやたら熱くやってるクセに、この温度差がなんとも可笑しい。

で、ビービやナナシ達を相手に戦うゴセイジャーとシンケンジャーを遠目に眺めながら、
ルカはゴーカイバックルからゴセイイエローとシンケンイエローのレンジャーキーを取り出して、
「レンジャーキーはあたし達が持ってる・・・ってことは・・・」と、
自分達以外の誰かがレンジャーキーを使って変身しているわけではないことを確かめつつ、考えます。
レンジャーキーを使わずに誰かがゴセイジャーやシンケンジャーに変身して戦っているということです。
そんなことが出来る者はどういう者なのか?

「本物のゴセイジャーさんとシンケンジャーさんです!」とアイムは結論に辿り着きました。
レンジャーキーを使わずにスーパー戦隊の戦士に変身出来る者とは、
レンジャーキーが生み出されたというレジェンド大戦以前の過去における
本物のスーパー戦隊戦士たち自身以外に有り得ない。
ということは、つまりここはレジェンド大戦が起きる前の世界ということです。

ハカセは興奮したようにマーベラスを押しのけて
「やっぱりここ・・・過去の世界だったんだ!」と呻きながら、
戦っているゴセイジャーやシンケンジャーの姿を見つめるのでした。
ハカセは神社が無事に存在していたのを見てもなお、
まだこの世界が過去の世界だという実感が無かったようなのですが、
こうして戦うゴセイジャーやシンケンジャーの姿を見て、
確かにここが2010年10月2日の過去の世界なのだと確信することが出来たのでした。

もちろんハカセだけでなく、他の4人もここが過去だと実感し、
そして、まさか偶然こんな場面に出くわすとは予想していなかったので、かなり驚き、少し興奮していました。
そうした中、マーベラスはふと自分達の立っている断崖の真下の荒れ地に視線をやって
「ん・・・?」と、何時の間にかそこで、ゴセイジャーやシンケンジャーの戦いとは別に、
妙な光景が繰り広げられているのを見つけました。

変なイカみたいな怪人が「おおい!こっちだ!急げ!」と声を上げて、何かを呼び集めています。
するとそこに、さっきの神社から逃げ出した化け物たちが集まってきました。
いや、さっき神社にいた連中よりも数はかなり多い。
そいつらを周りに集めると、そのイカの怪人は
「シンケンジャーもゴセイジャーもまとめて倒す絶好の機会だ!頼んだよ!」と、
化け物たちにハッパをかけています。
そこには大きな口を開いた別の化け物まで2体ほど出現してきました。

そのイカ怪人の言葉を断崖の上からコッソリ聞きながら、
マーベラスは「・・・さっきの雑魚どもを呼び出したのは、あのイカ野郎ってわけか・・・!」と、
だいたい一連の出来事がどういう繋がりになっているのか推理します。
どうやらここに集まっている化け物たちは、このイカ怪人が呼び集めたもののようで、
この中にはさっき自分達が神社で取り逃がした連中も含まれているようでした。
つまり、さっきの神社の化け物たちを「集〜合〜!」と呼び寄せた声の主はこのイカ怪人であったのであり、
イカ怪人の目的はこの化け物たちをここに集めてからゴセイジャーとシンケンジャーを襲うことであるようです。

つまり、神社を破壊することがこのイカ怪人の目的ではないようです。
おそらく、化け物たちはバラバラの場所に出現してから呼び集められたのであり、
さっきの神社の化け物たちは本来の歴史では出現場所の神社を何の考えも無しに破壊してから
召集を受けてここに来たのだろう。
その出現直後の破壊はさっき自分達が邪魔をしたから、
もうあの神社がこの連中によって破壊されることはないのだろうとマーベラスは思いました。
ならば、もうミッションは完了しているのであり、別にこのイカ怪人などに構う必要も無いように思えました。

このイカ怪人ですが、その正体はマーベラス達はもちろん知らないが、外道衆の幹部である骨のシタリです。
シンケンジャーと外道衆との熾烈な戦いを結局生き残り、三途の川に引っ込んでいたのですが、
ブレドランが血祭ドウコクの力を受け継いで復活した後、ブレドランに手を貸して一緒に地上に現れていたのです。
しかし、ブレドランはシタリを裏切って三途の川の水を
天にある護星界(ゴセイジャーの故郷であり、実はブレドランの故郷でもある)を攻撃する武器として
使おうとしたので、シタリは怒ってブレドランから離反して独自に動くようになりました。

そのシタリとブレドランが袂を別ったのは、この10月2日のちょっと前の時間のことで、
ちょうどマーベラス達が豪獣ドリルで寝隠神社の傍に着いたぐらいの頃でした。
ちょうど同じ頃、現在マーベラス達がいる荒れ地の方では、
ブレドランに操られたシンケンレッド志葉丈瑠を元に戻すために
ゴセイジャー全員とシンケンジャーの残りメンバーとが束になってかかってボコボコにされるという
ワケの分からん戦いが始まっており、
その間にシタリは自分の手下の黒い服の強化ナナシや強化ノサカマタ(口が大きい2体)を周辺各地に召喚し、
そのうちの一団がたまたま寝隠神社に出現して、そこにマーベラス達が遭遇して対峙することになりましたが、
シタリの呼ぶ声に操られて強化ナナシ達は神社を後にして駆け出し、マーベラス達はその後を追ったのです。

そんなことをしているうちに荒れ地の方ではゴセイジャーとシンケンジャー達が
姫シンケンレッド志葉薫のモヂカラのお蔭などもあって丈瑠の目を覚ますことに成功し、
12人揃ったゴセイジャーとシンケンジャーはブレドランが三途の川を地上に呼び込んだ地点、
すなわち護星界への通路の真下の地点に急行してブレドランの前に立ちはだかり、
入れ違いにマーベラス達が荒れ地に到着し、
遠目にそのゴセイジャーとシンケンジャーがブレドランに見栄を切った後、変身、名乗りを上げて
戦闘開始する場面を目撃し、
そしてシタリもちょうどマーベラス達が居る地点の真下に強化ナナシ達を集めて、
独自にゴセイジャーやシンケンジャーを倒し、ブレドランも倒して三途の川を取り戻して
地上に溢れさせようと目論んでいたのでした。

そういうわけで、このシタリと強化ナナシ達の遣り取りの場面は
映画「ゴセイジャーVSシンケンジャー」においても描写はされていますが、
当然、その裏でタイムスリップしてコソコソ動いていたマーベラス達の行動の詳細は描かれていません。
そして実は今回のエピソードとはちょっとシタリ達のセリフや描写が違っていたりします。
映画の方ではシタリは強化ナナシ達を呼び集めると「ブレドランの奴めぇ〜!」と怒りを滲ませて、
「いいかい?強化したお前さん達の力なら、三途の川の水を取り戻せるはずさ!」と
強化ナナシ達にハッパをかけており、
ゴセイジャーやシンケンジャーを倒すことよりも三途の川の水の奪還の方を重視していました。

しかし今回のエピソードではまず集めた強化ナナシ達にゴセイジャーとシンケンジャーを倒すようハッパをかけた後、
「強化したお前さん達の力なら楽勝さね!」と言っており、映画版からセリフが改変されています。
これはつまり、三途の川云々をあまり強調するのは、
「ゴセイVSシンケン」映画のストーリーを把握していない人も視聴している今回のエピソードには
そぐわないという判断でありましょう。
そして映画の方ではこの後、シタリは「あたしらが主役だよ!」と張り切って出撃しようとしたところ、
突然見知らぬ謎の5人組の襲撃を受けることになります。

一方、今回のエピソードの方ではどうなっているかというと、
その裏で謎の5人組、すなわちマーベラス達がどういう経緯で
シタリ達を突然襲ったのかという部分が描かれています。

まず、シタリが強化ナナシ達に向かって「強化したお前さん達の力なら楽勝さね!」とか言っているのを
崖の上に隠れて聞きながら、
ルカが「ね、あいつら倒しちゃえば、ゴセイジャーとシンケンジャーに借りが返せるんじゃない?」と
マーベラス達に向かって言います。

マーベラスは別に神社を守るというミッションはこなしたのだから、
別にもうあんな連中に構う必要も無いだろうと思っていたので、
ルカの提案に驚き、「・・・借り?」と問い返します。
マーベラスはゴセイジャーやシンケンジャーから借りを受けた覚えはありませんでした。
というか、それ以前にガメついルカの口から「借りを返す」などという言葉を聞くのは非常に違和感がありました。

しかしアイムは素直な性格なので、
ルカが本気でゴセイジャーやシンケンジャーに借りを感じていると解釈したようで、
「大いなる力をいただきました!」とマーベラスに言います。
アイムはルカがゴセイジャーやシンケンジャーから大いなる力を貰ったことを
借りだと感じていると解釈したようです。
ということはアイムもそれを借りだと感じているということです。

マーベラスはそれを聞いて「おお・・・」と生返事です。
確かに借りといえば借りだが、返さなければいけないような借りとはマーベラスには思えません。
自分が思っていないぐらいだから、絶対にルカも借りだなどとは思っていないはずだとマーベラスは思いました。
ルカはじっと熱い視線を崖下のナナシ達に注いでいます。
これはきっと単に暴れ足りないから戦いたがってるだけだと、マーベラスは気付きました。

一方、ハカセは「でも・・・過去の世界でそこまでやっちゃっていいのかなぁ?」と不安そうに言います。
ハカセはさっきナナシ達を追い払ったことで神社を守るというミッションは完了したと思っています。
このナナシ達が神社に戻って神社を爆破するという展開はもう無いはず。
何故ならこの連中はゴセイジャーとシンケンジャーに戦いを仕掛けるつもりであり、
そうなれば絶対に返り討ちにあって全滅するはずだからです。
つまりもう自分達がこの時代でやるべきことは終わった。
ならばこれ以上、この時代の出来事に余計に関わらない方がいいのではないかとハカセは思いました。
ドモンが注意していたのは、そうやって過去の出来事に干渉して歴史を変えてしまうことなのではないかと
ハカセは、これ以上の深入りは怖くなったのです。

しかしジョーはハカセの肩をポンと叩きながら
「どうせ倒される運命だ・・・誰が倒したって同じだろう・・・」と、結構ムチャクチャなことを言います。
まぁ確かにこのまま放っておいてもゴセイジャーとシンケンジャーに倒されるのは明白な連中ですから、
今ここで自分達が倒しても、この連中がここで死ぬという運命は変わらないわけで、
歴史は何も変わらないというジョーの理屈は、通らないこともない。

しかし、だからといって別にマーベラス達が倒さなければいけないということもないはずで、
こういう場合、どっちでも結果が同じならば、
この時代の人間たちであるゴセイジャーやシンケンジャーが手を下す方が正しいと思うのですが、
ジョーはどうしても自分の手で連中を倒したいようです。
かといってジョーがゴセイジャー達への借りを返そうという意識があるようにも思えない。
ジョーもまた単に戦いたいだけのようです。

一方アイムは本気でゴセイジャー達への借りを返すべきだと思っているようで、
ハカセに「見られなければ問題ありません!」と説きます。
これも結構ヒドい発言です。
要するにこの連中が死ぬのは運命なのだから殺すこと自体は問題は無い。
だから誰にも目撃さえされなければ死人に口無しで何の問題も無いということです。

幸いこの場には他には誰もいないので、全員殺してしまえばいいという、
このアイムのかなり黒い意見にルカも「うん」と軽く同意し、
マーベラスも「決まりだな!」と決断します。
結局、ルカとジョーは単に戦い足りないから戦いたいようであり、
マーベラス自身も皆の話を聞いているうちにそんな気分になってきたのです。

そういうわけでマーベラス達は、シタリ達が「あたしらが主役だよ!」と張り切って出撃しようとしたところ、
いきなりゴーカイガンで銃弾の雨を降らせて攻撃を仕掛けたのでした。
こうして「ゴセイVSシンケン」映画におけるゴーカイジャーの先行お披露目シーンに繋がるのです。
まさかのTV本編放送開始前のVS映画での先行お披露目シーンのTV本編での補完です。
いや、ホントにこの「ゴーカイジャー」という作品、いろいろと遊び心満載のお祭り作品です。

シタリは大慌てで周囲を見回し、崖の上に立って銃を構えているマーベラス達を発見しますが、
一体何者なのか分からず、「な・・・何者だい!?」と訊ねます。
これに対してマーベラスは「巷で噂の海賊ってヤツだ!」と、なんだかカッコいいことを言います。

考えてみたら、マーベラス達は普段はあまりに有名な賞金首であるために、
敵はだいたいは最初からマーベラス達のことを知っており、
このように敵に「何者だ?」と訊ねられるシチュエーションというものに実は憧れがあったのかもしれません。
しかし、せっかくマーベラスがカッコいいことを言っても、
マーベラス一味が地球にまだ来ていない2010年のこの時代、海賊は全く巷では噂になっておらず、
シタリは本当に海賊など何のことだか分からないので「・・・誰?」と冷たい反応です。

マーベラス達も、確かにまだ海賊が巷で噂になっていない時代だということに気づき
そこで今度は「ゴーカイレッド!」「ゴーカイブルー!」「ゴーカイイエロー!」
「ゴーカイグリーン!」「ゴーカイピンク!」と順々に名乗りを上げていき、
最後に「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と全体名乗りを上げ、
自分達がスーパー戦隊の一種だということを示してやったのでした。
てゆうか、どうせ殺すつもりだからって、過去で思いっきり名乗りまで上げるとは、とんでもないバカ共です。

これにはさすがにシタリも「なんと!?」と仰天します。
このシタリは「ゴーカイジャー」の作品世界のキャラであるシタリですから、
この2010年までの地上の歴史を三途の川の隙間からずっと覗き見続けてきたヤツです。
だからゴレンジャーからゴセイジャーまでの34の歴代スーパー戦隊のことは知っています。
そのシタリですら、「海賊戦隊ゴーカイジャー」などという5人組は見たことも聞いたこともないのです。
しかし、確かにこのような名乗りをする連中はスーパー戦隊以外はプリキュアぐらいしか有り得ませんから
シタリは大変な驚きでマーベラス達を見上げます。

さて、銃撃からこのあたりまでは、今回のエピソードのセリフは
「ゴセイVSシンケン」映画の同一シーンとセリフはほぼ同じです。
ただ、名乗りのシーンは映画版の方は「ゴーカイジャー」本編が始まる前の先行顔見世であったためか、
各自の名乗りポーズが微妙に違っていたり、
全体名乗りの前に映画版の方は全員が襟を立てて触る動きがあったのがTV本編では無くなっていたり、
動きの面では結構違っています。
まぁ全体的に映画版の方が派手です。

そしてこの後のマーベラスのセリフは映画版の方では「映画らしいからな!いつもより派手にいくぜ!」という、
まさに映画版の顔見世限定のようなセリフであったものがさすがに差し替えられて
「わざわざ過去まで来たんだ!いつもより派手にいくぜ!!」となっており、
シタリはマーベラスの言葉の意味は分からず、
「小賢しい!」と強化ノサカマタに口からエネルギー弾を発射させてマーベラス達を攻撃します。

このエネルギー弾をマーベラスは「フン!」とゴーカイサーベルで弾き飛ばし、
5人は「とおっ!!」と一斉にジャンプし、崖から飛び降りながら
「おりゃあ!!」とゴーカイガンを乱れ撃ちしてナナシやノサカマタ達を攻撃し、戦闘開始となったのでした。
なお、映画版の方ではここでいちいち「ゴーカイサーベル!」とか「ゴーカイガン!」とか
マーベラスが言ってたりするのですが、それはまさに先行顔見世ならではの演出であって、
今回のエピソードではもうさすがにそういうのはカットされています。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:53 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月09日

第40話「未来は過去に」感想その4

ここで状況を少しまとめます。

2010年10月2日の午後のこと、寝隠神社にほど近い荒れ地、護星界への入り口の真下の地点では
ゴセイジャーとシンケンジャーの合わせて12人の戦士たちが、
三途の川から引き込んだ水で護星界を攻撃しようとするブレドランを倒すための最終決戦を開始していました。

そして荒れ地の別の場所では少し遅れてその戦いに第三勢力として参戦しようとしていた
外道衆の骨のシタリの配下の軍団を、シタリ達にとっては未知の5人組が襲撃します。
この5人組は3011年の未来にいる元タイムイエローのドモンからの指示を受けて
寝隠神社を謎の爆発事件から守るために2013年(ぐらい?)から
タイムスリップしてやって来たゴーカイジャーの5人であり、
ゴーカイジャーの5人はたまたま遭遇したゴセイジャーやシンケンジャーの戦いが
どういう事情によるもので誰と戦っているのか全く把握しておらず、
シタリのことも何者なのか把握していないが、
とにかく神社爆発事件の犯人(になる予定だった者たち)だと思っています。

シタリ配下のナナシ達を神社から追い払った以上、
もうマーベラス達がドモンから与えられたミッションは成功して完了しているのですが、
暴れ足りなかったマーベラス達は、
ついでにシタリ達をドサクサ紛れに片付けてしまおうとしているのです。

そのような2つの戦いが少し離れた荒れ地で起こっているとは露知らず、
寝隠神社では同じく数年先の未来からマーベラス達と共にやって来たゴーカイジャーのもう1人、
6人目の戦士ゴーカイシルバーの伊狩鎧が、
さっき神社を襲おうとしていた奇妙な化け物たち(ナナシ達)を追い払ったことで
ドモンから与えられたミッションを達成したことに安堵して、マーベラス達の戻ってくるのを待っていました。

もはや任務が完了した以上、マーベラス達が戻ってくれば豪獣ドリルで2013年(ぐらい?)に戻るだけです。
しかし、なかなかマーベラス達が戻ってこないので鎧は待ちぼうけ状態です。
いや、普通なら待っておらずに探しに行くべきなのでしょうが、鎧は神社から動けずにおりました。
さっき神社から化け物を追い払った際に居合わせた少年が家出少年だと分かり、何かこのまま放っておけず、
鎧は神社の賽銭箱の前でそのまま少年と並んで座って、少年の身の上話を聞いていたのでした。

少年の方も鎧が何者なのかは知りません。
未来から来た変身ヒーローだとは知りませんから、
さっき化け物を追い払ったスーパー戦隊っぽい5人組の仲間であるという程度の認識であるようです。
本来なら少年はマーベラス達がいったい何者なのか鎧に質問したりするのが普通の反応だと思うのですが、
そんなことはどうでもいいぐらいに、家出してきた事情で頭がいっぱいのようです。
何かよほど思い詰めているようですが、
少年も鎧が親に頼まれて自分を探しに来た人ではないと分かって、少し安心したのか、
自分の境遇について鎧に説明し始めてくれました。

それを聞いて、鎧は「へぇ〜!それじゃ君のお母さんはフリーの記者なんだ?」と大袈裟に感心してみせ、
少年が頷くと、鎧は「アハハ・・・」とにこやかに笑います。
別に本当はそんなに感心しているわけではないのですが、
家出を自立だと言うこの少年の真意をスムーズに聞き出すため、
鎧は出来るだけ少年と打ち解けようとしているのでした。

少年は鎧が熱心に話を聞いてくれるので、心を許して
「新しい仕事が始まるたびに、すぐ引っ越しするんだ・・・じっくり丁寧に取材したいからって・・・
たまんないよ!うち、お父さんいないから、俺も一緒に行かなきゃなんないのにさぁ・・・」と、
詳しく自分が家出に至った事情を説明しながら、愚痴ります。

どうもこの少年には父親がおらず、母親がフリーの記者として働きながら少年を1人で育てているようです。
で、その母親というのが、かなりしっかりとした仕事をする人であるようです。
フリーの記者といっても雑誌社の便利屋みたいになって仕事をしている人が多いのが現実ですが、
この少年の母親は自分で見つけたネタをじっくり丁寧に取材して良質な記事をまとめて、
それを雑誌社などに売り込むことが出来る、本当の意味でのフリージャーナリストであるようでした。

実際、それぐらいの仕事が出来なければ、女手ひとつで子供を養うことは出来なかったのでしょう。
もちろん根っからジャーナリストの仕事が好きなのでしょうけれども、
彼女が徹底した仕事をするのは息子の生活や将来のためでもあるはずです。
だから母親の行為は何も避難されるようなことではないはずなのですが、
母親が仕事熱心すぎるあまり、取材のための引っ越しが多く、
それによってたびたび転校させられることが少年は不満であるようでした。

そして、それは確かに子供には酷なことだと鎧は思いました。
たぶん、この少年は転校するたびに友達と辛い別れをする羽目になっており、
そういうのがもうウンザリなのだろうと、鎧は思いました。
生活していくためにはどうしようもないことですが、子供にはそんな大人の事情は分かりませんから、
何だかよく分からないまま毎回、友達と引き離されるわけです。
それは確かに理不尽で、少年にしてみれば、母親から離れて1人で暮らした方がマシだと思っても仕方ない。
もちろん子供が1人で暮らしていくことなど出来ないのですが、
子供ですから、それが無理だということ自体が分かっていないのです。

「・・・そっか・・・転校が嫌で、家出・・・じゃない、自立・・・したいんだ」と鎧は少年に同情して呟きました。
子供らしい浅はかな考えといえばそれまでですが、
そうたびたび友達と引き離されては、子供ならば、たまにはこうしてヤケになっても仕方ない。
おそらく少年は友達と離れたくなくて、いっそ母親から離れてこの地に1人で居残ろうと思っているのだと、
鎧には思えたのでした。

ところが少年が続けて「仲良くなってもすぐお別れだろ?しかも今度はアメリカとか言ってるし!
・・・俺、このままじゃ一生友達出来ないよ・・・」と愚痴ると、
鎧は自分の考えていたのとは少し違うのだと気付きました。
少年の言い方だと、少年は友達との別れが辛いのではなく、友達を作ることが出来ないことが辛いようです。

つまり少年は転校が繰り返される生活の中で友達を作ることが出来ていないのです。
そして、それは転校を強要する母親のせいだと思っているようです。
だから少年は母親から離れて自立することで、
転校せずに友達をじっくり作ることが出来る生活を手に入れたいと思っているのです。
少年の言う「自立」というのはそういう意味なのだと鎧は気付きました。
そして、鎧は少年のそうした考え方では、少年はきっと幸せにはなれないと感じたのでした。

そこで鎧は「・・・それって、お母さんのせいなのかな?」と少年に問いかけます。
すると少年は「決まってるだろ!俺にはどうしようもないじゃないか!」と言い返しました。
確かに転校が頻繁であるのは少年のせいではなく母親のせいであり、
少年にはどうすることも出来ないことであり、少年には責任の無いことです。
だから少年はその母親から離れさえすれば事態は好転すると思っているようです。

しかし、それでは絶対に事態は好転しないと鎧は思いました。
母親から離れて子供1人で生きていけるわけがない。
子供は親の状況に左右されて生きていくしかない。
だから自立なんてもともとムリであり失敗するに決まっている。
子供は親の事情に合わせて生きていくしかないのです。
そして、そうした不自由な状況の中でも幸せを掴む方法はある。
ところが今のこの少年は、その道を自ら放棄しているのです。
その道があることに気付いてすらいない。

それではいけないと思い、鎧は
「俺も子供の頃、親の都合であちこち引っ越したけど・・・でも、いっぱい友達出来たよ!」と言って、
少年に向かってニッコリ微笑みかけました。
少年は「え・・・?」と目を丸くします。

その頃、荒れ地の方でシタリ率いる強化ナナシ軍団と戦闘開始したマーベラス達5人は
実に生き生きと戦っていました。
ここから先のシタリ軍団との戦闘シーンは「ゴセイジャーVSシンケンジャー」映画の
ゴーカイジャー先行顔見世シーンとほぼ同一シーンとなります。
細かい部分で、例えば声を後で当て直しているとか、そういう違いはあるかもしれませんが、
まぁほぼ同じと見ていいでしょう。

つまり、「ゴセイジャーVSシンケンジャー」を観たことがある人は、
一度同じシーンを劇場かDVDで観ているはずのシーンです。
ドモンからのビデオレターが届いてマーベラス達が2010年にやって来て、
ナナシ達を追ってこの荒れ地へやって来たという、ここまでの話の流れは、
こうして「ゴセイジャーVSシンケンジャー」のゴーカイジャー先行顔見世シーンに繋がったわけです。

まぁこの先行顔見世シーンは、さすがにわざわざ先行して顔見世するためのシーンに使われただけはあって、
ゴーカイジャーのアクションとして極めて質が高く鮮烈な印象のシーンでしたので、
「ゴーカイジャー」という作品のレビューの中で本来は触れておきたいシーンではありました。
が、何せ「ゴセイジャーVSシンケンジャー」という全くの別作品の中に紛れているシーンであったので
手つかずであったのですが、こうして本編で補完してもらえると有り難いことです。

ここのアクションは、もともとは先行顔見世映像であるので、
まだ設定が固まっていなかったのかどうか分かりませんが、
「ゴーカイジャー」本編でお馴染みのゴーカイサーベルを右手に持ちゴーカイガンを左手に持つという
基本スタイルで戦っているのはマーベラスだけであり、
ジョーはゴーカイサーベルのみを左手に持ち、ルカはゴーカイサーベルのみを右手に持ち、
ハカセとアイムはゴーカイガンのみを右手に持って戦っています。

ジョーがゴーカイサーベルを左手で持っているのは奇妙な印象でしたが、
ここでのジョーはナナシの腕を右腕でロックして掴まえると「借りるぞ・・・」とナナシの蛮刀を奪って右手に握り、
得意の二刀流になってナナシを斬りまくります。
つまり刀を奪うアクションを右腕の方がやりやすいから
最初はゴーカイサーベルを左手に握っていたというだけのことであったようです。

アイムは周りを囲んだナナシ達を素早く銃を連射して倒していき、
ルカは軽快なステップを踏みながらナナシ達を斬りまくり、倒れたナナシを踏みつけます。
また、ハカセは回転着地しながら下からナナシ達を撃ち、
「あ!後ろ!」とナナシ達の後ろを指さして、ナナシ達が余所見すると
「・・・な〜んてね!」と言ってナナシを撃つというトリッキーなアクションを披露します。
そしてマーベラスは激しく動いてナナシの群れに突っ込みながら撃ち、斬り、
そして「どけ!」とナナシにヤクザキックを喰らわせ、「おりゃあ!!」と豪快に斬り捨てます。

若干、武器の持ち方がTV本編の基本スタイルとは違ってはいますが、
各自のアクションの特徴はしっかり表現されており、
基本アクションのパイロット版としては極めて出来が良いです。
何といっても感心するのは、これが実は第1話よりも前の段階に撮影されたアクションだという点です。
パイロット版のアクションをそのまま第40話のタイミングで流して全く違和感が無いというのは、
なかなか凄いことだと思います。
それだけ先行顔見世の時からこの終盤に至るまでキャラのブレや演出のブレが無いということで、
特に「ゴーカイジャー」のようなお祭り要素満載でブレやすそうな作品でその状態をキープするとは、
これは称賛に値するでしょう。

そうしてナナシ連中はマーベラス達5人によって全員倒され、シタリは「ああれ?」とたまげます。
これで残るはシタリと強化ノサカマタ2体だけです。
そのシタリ達に向かって振り向き、マーベラス達は睨みつけます。
自慢の強化ナナシ達をあっさり全滅させられたシタリは「そんなバカなぁ!?」と喚きますが、
マーベラスは「冥途の土産だ・・・面白いもん見せてやる!」と、
レンジャーキーを取り出して多段変身を披露することにしました。

しかし、よく考えたら、ここは過去の世界であり、
レンジャーキーの入った宝箱は現代世界に置いてきたガレオンの船室の中ですから、
そこからカーギーロードを通してレンジャーキーを取り出すことが出来るわけです。
そう考えるとカーギーロードというのは万能の異次元通路なのですね。

さて、ここはもともと先行顔見世映像ですから、
当然ゴーカイジャーという戦隊の最大のセールスポイントである「歴代戦隊への豪快チェンジ」を
最も鮮烈な形で劇場の観客に印象づける場面です。
ここでマーベラスが取り出したのはゴーオンレッドのレンジャーキーでしたが、
他の4人が出したレンジャーキーも赤色です。
つまり、ここは第2話でも披露した全員レッドの豪快チェンジです。

「豪快チェンジ!!」と叫んで5人がモバイレーツにレンジャーキーを挿して回すと、
各自の前にモバイレーツから5つの戦隊の紋章が飛び出してきて、それが各自の身体に飛び込んでいき、
5人は変身します。
マーベラスはゴーオンレッドに変身し、
ルカはスカートを履いたゲキレッドに変身し、
ジョーはボウケンレッドに変身し、
アイムはスカートを履いたマジレッドに変身し、
ハカセはデカレッドに変身します。

このゴーオンジャー、ゲキレンジャー、ボウケンジャー、マジレンジャー、デカレンジャーというチョイスは、
ゴーカイジャーと、この先行顔見世映像の流れた映画の主役戦隊のゴセイジャーとシンケンジャーを除いた場合の
最新5戦隊ということになります。
しかも先ほどの名乗り順とはわざわざ順番を変えて
ゴーオン→ゲキ→ボウケン→マジ→デカというシリーズ作品番号順を遡る形で出していくという、
非常に分かりやすい演出でした。
いや、それならルカがボウケンレッドでアイムがデカレッドでもよかったと思うのですが、
そうしなかったのは、多分なんとなくイメージが合わないということなのでしょう。

この5人のレッド戦士への豪快チェンジを見て、
当然シタリは2010年段階でまだこの世に存在していないレンジャーキーを使った多段変身のことなど
知りませんから「そぉ〜んなのアリかい!?」と腰を抜かさんばかりに驚愕します。
ただ、マーベラス達が歴代戦士に自在に変身出来ること自体はシタリは知りませんが、
この驚きようを見る限りでは、やはり「ゴーカイジャー」の物語世界の過去のキャラであるシタリは
歴代34のスーパー戦隊のことは知っており、
マーベラス達が変身した5人の戦士がゴーオンレッド以前の最新5戦隊のレッドだということは
分かっているようです。
まぁそもそもゴーオンレッドに関しては直接の絡みは無かったが
シタリは一応は映画「シンケンジャーVSゴーオンジャー」で同じ物語世界の中に居たこともあります。

そういうわけでシタリは「海賊」と名乗っていきなり襲い掛かって来たスーパー戦隊風の5人組が、
目の前で5人全員が過去の戦隊のレッドに変身したのを見て、大いに驚いたのでした。
そうやって驚くシタリに向かって、ルカが「ま・・・海賊版ってやつ?」と上手いことを言います。
確かにスカートを履いたゲキレッドは海賊版と言うしかない。

そしてジョーは「デュアルクラッシャー!」、
ハカセは「ハイブリッドマグナム!」、
ルカは「激気技!咆咆弾!」、
アイムは「レッドファイヤー!」と、それぞれのレッド戦士の必殺技を発動して、
シタリの左右に立つ2体の強化ノサカマタに攻撃を喰らわせます。

デュアルクラッシャーの破壊ビーム、
ハイブリッドマグナムの帯状ビーム、
咆咆弾のゲキタイガー、
レッドファイヤーの炎がノサカマタ達に炸裂して致命傷を与え、
「ま・・・まさか!?」と慌てるシタリに向けて、
マーベラスがゴーオンレッドのロードサーベルを撫でつけながら「最後も派手にいくぜ!」と言うと突進し、
光のロードを突っ込み「サーベルストレート!!」と叫びロードサーベルを一閃、
2体のノサカマタが爆散すると同時にシタリもサーベルストレートで斬られて
「ぎゃああああ!!」と絶叫して空高く吹っ飛んでいきます。

しかしシタリもシンケンジャーとの戦いで生き残ったほどしぶとい外道衆幹部ですから、
サーベルストレートだけで完全に倒されはしません。
ところが、そこにマーベラスは更に追い打ちで、
なんとゴーオンジャーの等身大戦の最強必殺武器であるカンカンマンタンガンを取り出して構え、
「カンカンマンタンガン!!ゴー!オン!!」と叫び、
必殺技カンカンエクスプレスを空中のシタリ狙って放ちます。
そうして発射された3つの古代炎神のオーラがシタリに炸裂、
「こんなところであたしがあああ!?ウソだああああ!!」と断末魔の絶叫を残してシタリはあえなく爆散して、
なんと死んでしまいました。

マーベラスはどうやってキシャモスとティラインとケラインの炎神ソウルを手に入れたのか?
トイザラスで買ったのか?
ジョーはなんでアクセルテクター無しでデュアルクラッシャーを撃てたのか?
などなど、幾らか疑問点はありますが、そんなことよりシタリが死んだのが驚きでした。

「シンケンジャー」の第一幕から最終幕まで出ずっぱりの敵幹部で生き残っていたヤツだったのに、
今回、シンケンジャーと顔を合わすこともなく(いや洗脳状態の丈瑠は一瞬だけ会ってるか)、
先行顔見世登場のポッと出の新戦隊に殺されてしまいました。
せめて「シンケンジャー」第四十六幕でオボロジメに二の目の分の命をあげてなければ
巨大化した姿でまだもう少し生きられたのですが、
あの時余計なことをしたばっかりに、こうしてあっけなく死んでしまいました。

このあまりにあっけないシタリの最期は
劇場で「ゴセイジャーVSシンケンジャー」を見た時はちょっとショッキングでしたが、
今回の補完ストーリーを見て、マーベラス達の欲求不満のはけ口で殺されたと判明し、
ますますシタリが可哀想になりました。
まぁしかし、外道衆で最も生きることに執着したシタリらしい最期だったようにも思います。

さて、今回のエピソードではこのシタリの爆散を見届けてマーベラス達が満足げに
ゴーカイジャーの姿に戻るところでこの場面は終了してCMになり、
CM明けに寝隠神社での鎧と少年の場面に切り替わりますが、
実はCM明け、鎧と少年の場面の裏で、
このシタリを倒した後のマーベラス達の荒れ地での続きの場面が
今回のエピソードでは放送されていないが、確かに存在していたのです。
それは「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の方では描写されています。
以下のような感じです。

「よしっ!」とシタリを倒して満足そうに気合いを入れたルカが、
近くの岩の陰で「あああ・・・か、海賊だぁぁ・・・」と仰天してこっちを見ている何者かを発見したのです。
それは、確か、鎧のスーパー戦隊大百科のシンケンジャーのページに写真の貼ってあった、
シンケンゴールドの子分だという変な喋る提灯でした。
つまりダイゴヨウなのですが、ルカはその名前までは覚えていません。
ただ確かにシンケンジャーの提灯でした。

それでルカはダイゴヨウを指さして「あれ?シンケンジャーの提灯じゃない?」と皆に言います。
皆、その言葉を聞いて岩場の方を見ると、確かにそこにダイゴヨウがいます。
どうしてダイゴヨウがそこにいるのかというと、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の劇中では、ゴセイジャーとシンケンジャーが
ブレドランに操られたシンケンレッド志葉丈瑠と戦う直前、
シンケンゴールド梅盛源太がダイゴヨウだけ先にコッソリとブレドランのいる場所に偵察に行かせておいたのですが、
ダイゴヨウは道に迷ってシタリが強化ナナシ達を集めている場所に出くわしてしまい、
慌てて岩の陰に隠れたところ、そこにちょうどマーベラス達が現れてシタリ達を攻撃し始めたので、
ダイゴヨウはマーベラス達の登場から名乗りから、全ての一部始終を目撃してしまったのです。

そういう事情は分からないながらも、マーベラス達はダイゴヨウに一部始終を見られてしまったことは悟りました。
しかし、さっき、誰にも見られなければ大丈夫だということでシタリ達を攻撃したわけで、
どうせ皆殺しにする相手だから平気で名乗りまでしてしまっていたのです。
それが実は目撃者がいたというのであれば話は別です。
「ど、どうしよ?・・・見られたら、マズいんじゃ・・・?」とハカセは慌てふためいて、
今さら必死でジョーやマーベラスの後ろに隠れようとします。
もしかしたらこれで歴史に変な影響を及ぼしてしまったのではないかと、
気の小さいハカセはビビリまくっています。

しかし見られてしまったものは仕方ありません。
まさかシンケンジャーの提灯を口封じに殺すわけにもいかず、
アイムは「提灯さぁん!」と、ダイゴヨウに呼びかけます。
ダイゴヨウはマーベラス達の荒々しい戦い方を見て、しかも海賊だと名乗っていることから、
冷酷な無法者の集団だと思ったようで、姿が見つかって怯えていました。
そこにいきなり「さん」付けで呼ばれたものだから驚いて「えっ!?」と返事します。

するとアイムは「申し訳ありませんが、この事は御内密に!」と丁寧に、
今見たことを口外しないようにダイゴヨウにお願いしたのでした。
ジョーも「ちょっと事情があってな!頼む!」と言い、ルカも「よろしく!」と頼みます。

この2010年の段階でダイゴヨウがもし「海賊戦隊ゴーカイジャー」という戦隊がシタリと戦っていたということを
シンケンジャーやゴセイジャーに言ってしまったら、
数年後にマーベラス達が地球に来て「大いなる力」を集め始めた後で出会った志葉薫やアラタ達との関係に
何か変化が生じて、もしかしたら「大いなる力」の取得に支障が生じるかもしれなくなり、
本来の歴史とは違う方向に行ってしまう危険もありました。
それを防ぐためには、とにかくダイゴヨウに自分達のことを誰にも口外しないように頼むしかない。

今倒した連中はシンケンジャーにとっては敵であるようだったから、
ダイゴヨウにとっても敵であるはずで、
敵を倒した自分達は味方だと思ってもらえたはずで、
その味方からの頼みならダイゴヨウも応じてくれるだろうとアイム達は思いました。

ダイゴヨウもアイム達の意外に丁寧な態度に釣られて「は・・・はい・・・」と返事し、
このことは口外しないことを約束します。
まぁ自分がここでこんなことを目撃したこと自体、親分の源太も殿様の丈瑠も知らないわけですから、
誰もダイゴヨウを問い詰めたりはしないはずであり、
また、このことをダイゴヨウが皆に説明する義務があるわけでもない。
だからダイゴヨウの気持ちひとつでこのことは秘密にすることが出来るのです。
そしてダイゴヨウは一度約束したことは固く守る提灯でした。

ダイゴヨウが約束に応じてくれたので安心したマーベラスが「じゃあ、またな!」とダイゴヨウに挨拶すると、
5人は「はっ!」と駆け出して、その場を急いで去っていきました。
これ以上ここに留まって他のシンケンジャーやゴセイジャーに見つからないうちに
早々に立ち去るのが無難だと思ったのでした。

そうしてマーベラス達が去った後、1人ポツンとその場に残ったダイゴヨウは
「はははは・・・提灯は・・・また見たぁ・・・」と独り言を言うのでありました。
実はダイゴヨウは映画「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の際にも、
ゴセイジャーの先行顔見世登場シーンを目撃してゴセイジャーに口止めされていたのです。

ただ、この「シンケンジャーVSゴセイジャー」の時に実はダイゴヨウがゴセイジャーを知っていたという描写と
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」におけるダイゴヨウとゴセイジャーとの関係描写との間で
整合性がイマイチとれていないので、
このあたりは「ゴーカイジャー」の物語世界の中で34全ての戦隊の物語が1つに繋がることになるという構想が
まだ存在していない時期に作られた物語ですから、こういう部分の整合性がとれていないのは当たり前のことです。

そういう整合性の無い部分もあるので、
シタリ撃破後のダイゴヨウとの遣り取りのシーンは
今回の「ゴーカイジャー」本編におけるエピソードにおいては、あえてカットしたのでしょう。
ただ、CM前のシタリとの戦闘シーンが「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の場面と同じものである以上、
実際はその後にマーベラス達がダイゴヨウに口止めするシーンは存在したのであり、
それはCM明けの鎧と少年の場面の裏で同時進行していたと解釈すればいいでしょう。

そしてまた、それと同時にもう1つ、
相変わらず荒れ地の別の場所ではゴセイジャーとシンケンジャーの12人が
ブレドランと戦う場面も同時進行していたのですが、
これももちろん今回のエピソードでは描写はされていません。

で、今回のエピソードにおいてはCM明け、場面はさっきの寝隠神社での鎧と少年の会話の続きのシーンに移ります。
鎧が少年に向かって「俺も子供の頃、親の都合であちこち引っ越したけど・・・でも、いっぱい友達出来たよ!」
と言った後の場面です。

少年は鎧の言葉に驚いて「なんで?・・・引っ越ししてたら友達なんて出来っこないじゃん・・・」と言い返します。
少年はこれまで、転校先の学校で友達が出来そうになると、
いつも母親がそうした頃に次の取材先に転校を決めてしまうので、
結局今まで学校でちゃんとした友達を作ることが出来なかったのです。
それが少年の苦い経験に基づいて知ることになった自分の現実でした。
自分は母親と一緒に暮らしている限り、学校で友達を作ることは出来ない運命なのだと少年は思っていました。
だから、子供の頃に自分と同じ境遇だったという鎧が、学校で友達をいっぱい作ることが出来たと聞いて、
とても信じられなかったのでした。

しかし鎧はクスッと笑って「逆だよ!たくさん引っ越ししたから、たくさん友達が出来たんだ・・・色んな町に!」
と少年に向けて言います。
が、少年には鎧の言っていることがよく分からないようでした。
たくさん引っ越ししたら、何処の学校でも友達を作るヒマなんか無いはずなのに・・・と不思議そうです。

少年がやはり分かっていないようだと思った鎧は、すっと立ち上がって少年に背を向けたまま少し歩きながら、
「新しい町に行くたびに、頑張って話しかけるんだ・・・ウザいとか、しつこいとか言われたって、
色んな子にいっぱい!」と、少し苦笑しながら自分の少年時代の経験を告白したのでした。
鎧は、親の都合で自分が短い期間しか同じ学校に居ることが出来ないと分かっていたから、
その短い期間に友達を作るために、かなり積極的にクラスメートに話しかけて、
出来るだけ早く友達になるように努めたようです。

それは相手によってはウザいと思う子もいたと思われます。
それでも鎧は怯むことなく、どんなにウザがられても話しかけ、
もちろん嫌われることも多かったでしょうが、
その努力の甲斐もあって、たくさん友達を作ることも出来たようです。
どうやら鎧のウザいぐらい押しが強くて積極的、行動的な性格は、
そうした少年時代の経験によって鍛えられて培われたものであるようです。

少年は鎧の話を聞いて、鎧がどうしてたくさん引っ越ししたからたくさん友達が出来たのか分かりました。
そりゃあそれだけ積極的にクラスの子に話しかければ友達は出来るであろうし、
引っ越しの数が多ければ、そうやって各地で作る友達の数も多くなるはずです。
しかし、少年は鎧がちっとも羨ましくはありませんでした。
そんな無理して積極的に話しかけてもウザがられるだろうし、
それで友達が出来たとしても、どっちにしてもすぐに転校するのだから、
友達を作っていた方がむしろ別れは辛くなる。

そしてお別れしてしまえば、もう友達ではなくなるのです。
もう少し大きくなれば離れていても友達関係が続いたりもしますが、
小学生なんて転校してしまえば結局はそれっきりです。
つまり鎧はたくさん友達が出来たとは言っていますが、実際はたくさんの友達と別れたのであり、
鎧に最終的に残った小学生時代の友人は誰なのかと聞けば、おそらく数人程度しか挙げることは出来ないでしょう。

結局は鎧も親の都合に振り回されるという運命から逃れることは出来ていなかったのであり、
せっかくの努力も、辛い別れの回数を増やしただけであって、
ずっと友達でいてくれる相手を増やすことなどは出来なかったのです。
少年は鎧と同じ境遇だから、鎧が結局はそうなったのであろうことは想像がつきます。
そして自分が鎧の真似をしても決して本当に友達を増やすことなど出来ないのだと分かっています。

無理して友達を増やしても転校して離れてしまえば相手は自分のことよりも、
ずっと一緒にいる他のクラスメートの方を大事な友達だと思うに決まっている。
だから自分が勝手に友達だと思っているだけで、相手はそれほどは想ってくれていない。
本当はそんなのは友達じゃないのです。

結局は転校を繰り返すという自分の運命を変えない限りは、本当の友達を作ることは出来ない。
だから自分はその運命を変えるために親から離れて自立しようとしているのだと、少年は想いました。
だから少年は鎧の言葉に納得していない顔で、じっと鎧の後ろ姿を見つめます。
すると、鎧はその少年の不満が分かるかのように、横を向いて表情を引き締めて
「・・・確かに、自分じゃあ、どうしようも出来ないこともある・・・」と言うのでした。

実際、少年の想像通り、鎧は少年時代、転校先でいつも積極的に友達を作ることによって、
余計に辛い想いばかりしていました。
嫌われることも多かったし、せっかく出来た友達とも辛い別れをして、
その後は音信不通になってしまうことの繰り返しでした。
結局は親の都合に振り回される運命を変えることは出来ず、友達を作ることも出来ないのだと、
挫折しそうになることもありました。
こんなに毎回辛い想いや嫌な想いをする結果が分かりきっているのに、
無理してクラスメートに話しかけるのはもう止めてしまおうかとも、何度も考えました。

でも、鎧は転校先でクラスメートに積極的に話しかけるのを結局は止めなかった。
何故なのかというと、悔しかったからでした。
親に振り回されて友達も出来ない自分の運命が憎かった。
その運命を変えようとして頑張ってもいつも負けてしまう。
それが悔しくて悔しくて堪らなかったので、
せめてその運命の中で自分が続けることが出来ている愚直な努力だけは放棄したくなかったのです。

その努力を続けても運命は変えられないことは分かっている。
でも、その努力すら止めてしまえば、それこそ自分は完全に憎くて堪らない運命に屈したことになってしまう。
そんなことは鎧には悔しくて許すことは出来なかったのです。
だから鎧は無駄だと分かっていても、転校するたびにクラスメートに積極的に話しかけ、
嫌われながらも友達もたくさん作っていきました。
それが運命の中で鎧が自分の意思で自由に努力出来る事だったからです。

そして運命は鎧を翻弄し、再びの転校によって、そのせっかく作った友達たちとすぐに引き離しました。
そうしてその友達たちはすぐに鎧のことは忘れていきました。
これもまた運命であり、鎧にはどうすることも出来ない。
しかし友達たちが鎧のことを忘れてしまっても、
鎧は友達たちのことは忘れないようにして、ずっと好きでいるように努力しました。
何故なら、それもまた運命の中で鎧が自分の意思で努力出来る事だったからです。
それは鎧は放棄したくなかった。大嫌いな運命に屈したくなかったのです。

そうして意地になって、全国各地を転々と引っ越すたびに各地でたくさん友達を作って、
会わなくなっても鎧はその友達たちを心の中で大事に思い続けていきました。
すると、その結果、何が起きたかというと、
鎧は何時の間にか、日本中の至るところにすごく大切に想える相手を持つことが出来たのです。

でも彼らに会って、彼らを守ってあげることは出来ない。
それをもどかしく思うようになった鎧は、ならば自分はみんなを守るヒーローになろうと思うようになったのです。
日本中、世界中を守るヒーローになれば、
今はもう会うことも出来なくなった大切な人達を助けることも出来るようになる。

そういうわけで、鎧は「みんなを守りたい」と考えるようになり、
ヒーローに憧れ目指すようになり、スーパー戦隊にも興味を持つようになったのでした。
そして、トラックに轢かれそうになっていた少女を守ろうとして道路に飛び出し、
その結果、ゴーカイシルバーの戦う力をアバレキラー、ドラゴンレンジャー、タイムファイヤーから貰い、
そしてゴーカイジャーの一員になったのです。

つまり、小学生の頃、鎧が運命は変えられないことは承知しつつも、
それでも自分の出来る努力を諦めずに続けた結果、鎧はヒーローになることが出来たのです。
だから鎧は悟ったのです。
鎧は少年の方に振り向いて近づきながら、
「それでも、自分に出来ることを探して、やってみれば・・・自分の明日ぐらい変えられる!」と真剣な眼差しで
語りかけて少年の肩に手を置きます。
それは鎧が自分の経験から得た実感でした。

人は運命は変えられないかもしれないが、その中で目標に向かう自分の出来る努力さえ地道に続けていれば、
きっと目前の自分の状況を変える結果に繋がっていく。
その積み重ねがあって、何時の間にか運命も変わっているかもしれない。
大事なのは運命を変えようとして足掻くことではなく、
今自分に出来ることは何なのか見極めて、出来ることを精一杯やることなのです。
そうすれば必ず状況は良くなっていく。
そういうことを鎧は少年に言いたかったのでした。

鎧はニコッと笑って「・・・俺は、そう思ってるけどねぇ!」と少年を見つめます。
少年が家出や自立をしようとしているのは、他人に押し付けられた運命をひたすら呪い、
全てを他人のせいにして、強引に運命を変えようとしている行為であって、それはきっと上手くいかない。
それよりも今、少年がやるべきことは、友達を作りたいという自分の気持ちに素直になって、
そのために自分が出来る努力が何なのか見極めて実行することです。

徒労かもしれないし、逆に辛いことも多いかもしれない。
でも、自分の出来ることをやることによって、すぐに運命は変わらないかもしれないけど、
自分の心の在り方は必ず変わる。
心の在り方が変われば、世界は今までと違ったものに見えてくる。
それは昨日までの世界とは違った世界であり、
昨日までと違ったように明日の世界を感じられるようになった自分は、
既に昨日の自分とは違う自分に変わっている。
つまり、既にその時、自分の明日は変わっているのです。
そうして日々、自分の明日を変えていけば、何時しか運命だって変わっているはずです。

鎧はそうして小学生の時から少しずつ自分の明日を変えてきて、そして遂にゴーカイシルバーになり、
そしてまたどうしてもひっくり返せないかもしれないような過酷な地球の運命を
変えなければならない羽目になっている。
しかし鎧は小学生の頃の日々の「自分の明日を変える」という努力の積み重ねが明日を変えて、
その延長線上でこそ運命を変えられる可能性があると分かっていますから、
地球の運命をひっくり返す戦いにおいても決して諦めないし、焦らない。
日々、明日を変えていくために自分の出来る努力を愚直に実行していくのみであり、
そうしていればきっと道は開かれると確信しているのです。

優しい笑顔でありながら、その奥にそうした確信に秘めた鎧の眼差しを見つめ、
少年は心を揺り動かされつつ、「・・・自分の・・・明日・・・?」と呟くのでした。
少年は今の状況への不満ばかりが頭の中を占めていて、
今まで、「自分の明日」などというものについて真面目に考えたことが無かったのです。
だから、いきなりピンとこない。
しかし、それでも鎧が自分の明日を見つけて幸福になったのだろうということは分かりました。

ただ、まだ少年ですから、すぐに「自分の明日」が見えてくるということはない。
鎧だって、日々の愚直な努力の積み重ねの中で「自分の明日」、
すなわち「みんなを守るヒーロー」が形をとって見えてくるようになったのは、だいぶ後になってからでした。
だから今、少年がすぐに「自分の明日」が見えてくるわけではない。
少年も自分が今出来る努力の形は見えています。
でも、その先に見えてくる「自分の明日」がどういうものか少しは見えないと、
やはりどうしても努力に踏み切る、最後の踏ん切りが掴めない状況なのだといえます。
その少年に向けて鎧は笑顔で力強く頷いて励ましてあげるのでした。

それにしても、ここで少年との会話の中で、
鎧が「運命は変えられないかもしれないが、自分の出来ることをしていけば自分の明日ぐらいは変えられる」
というタイムレンジャーの精神と同じ精神の持ち主だということが判明しました。
そうして鎧が変えた「自分の明日」の1つの到達点が、
少女を守ろうとしてトラックの前に飛び出したという行為であったとするならば、
タイムファイヤー滝沢直人がどうして鎧に「タイムレンジャーの大いなる力」を渡したのか、
納得出来るような気がします。

直人は、貧しい家庭に生まれた自分の運命を呪い、
その運命を変えるためには強大な力が必要だという強い思い込みに支配されており、
力を絶対視する生き方を選んだ。
しかし本当は直人は優しい性格で、小鳥や子供を可愛がることに幸せを感じるような男でした。
それでも運命を変えたいという想いが強すぎる余り、自分の本性を押し殺して力を信奉し、
それゆえ30世紀から仕掛られたリュウヤの罠に嵌り込んでいき、
タイムファイヤーとブイレックスの力に溺れ、その力を使って更なる野心の虜となっていきました。

リュウヤは直人を自分の身代わりとして死なせたと思っていたが、結局は自分の運命は変えられずに死んだ。
つまり直人が死んだのは直人の運命だったのです。
その運命とは、運命を強引に変えようとして力に溺れて暴走した結果、運命に跳ね返されての死でありました。
まさに今、この少年が家出という暴挙によって陥ろうとしている失敗は、
かつて直人が犯した失敗と規模は全く違うが、同質のものといえます。

その直人が死を前にして竜也と問答し、
最終的には「生き残ることが出来たら、自分の出来ることをして自分の明日を変えるような生き方を選ぼう」
と思うようになり、
目の前にいた少女の鳥かごから逃げた鳥を捕まえて保護してあげるために外に出たところを
敵に撃たれて死んだのです。
直人は最後には自分の明日を変えようとして、
その直人の目指した自分の明日とは、小鳥や少女を守る生き方だったのです。

そんな直人だからこそ、自分の出来ることを積み重ねて自分の明日を変えて、
その結果、少女を守るために命を投げ出した男である伊狩鎧の中に、
竜也やユウリ、ドモン、アヤセ、シオンと同じ、
そして自分の本当に目指したかったタイムレンジャーの精神を見出し、
鎧こそが「タイムレンジャーの大いなる力」を引き出すことが出来る男だと判断したのでしょう。

そして、そうして直人によってゴーカイシルバーというヒーローにしてもらった鎧が、
今そうして得たゴーカイシルバーという「自分の明日」によって得た確信によって、
かつての直人と同じ誤った道に進もうとしている少年を、
彼なりの「自分の明日」を変える道へと導こうとしているのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:57 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月10日

第40話「未来は過去に」感想その5

さて、ここで寝隠神社に上がる石段の下に妙な連中が現れます。
「2010-10-2 14:19」という現在日時の表示のあるタッチパネルを弄って
「フッフフフ・・・ようやく見つけた!・・・この上に例のエネルギー反応があるわ!」とほくそ笑むのは、
女性型のアンドロイド風の怪人で、
この女性型怪人が「ショットのザンKT0!神社ごと破壊してしまいなさい!」と命じた、
横に立つ怪人は短く切った円筒型の穴がいっぱい開いたずんぐりした体躯のロボット怪人でした。
そのショットのザンKT0は女性型怪人の命令に「了解!」と応え、
寝隠神社へ続く石段をカチャカチャ音を立てて登っていき、
女性型怪人は「フフフフ・・・」とほくそ笑んで、その場から離れていきました。

この女性型怪人は「ゴセイジャー」TV本編の終盤(epic33〜epic44)に登場した敵組織である
機械帝国マトリンティスの元帥であり皇帝の秘書であるエージェントのメタルAという
マトロイド(一種のアンドロイド)です。
マトリンティス帝国が「ゴセイジャー」本編に初めて登場するepic33は2010年10月3日の放送であり、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語が2010年9月30日から10月2日にかけての時系列にあることから、
マトリンティス帝国の初登場エピソードであるepic33は劇中の日時も10月3日以降の出来事と思われ、
つまり、この10月2日時点のマトリンティス帝国は、まだゴセイジャーとは接触しておらず、
「ゴセイジャー」本編にも登場していない頃ということになります。

もちろん「ゴセイジャーVSシンケンジャー」映画の中にも、マトリンティス帝国もメタルAも一切登場はしません。
しかし実際は「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の10月2日の物語の陰で、
同じ時系列でほど近い場所でマトリンティス帝国は既に暗躍していたようです。

マトリンティス帝国というのは4500年前に滅んだ文明の生き残りの科学者が
海底に秘密基地を作って逃れ、自身の身体を機械化して皇帝ロボゴーグとなり、
配下のマトロイドを多数作り上げ、地上侵略の準備を進めてきたとのことで、
それが本格的に地上侵略を開始したのがepic33(2010年10月3日以降)の出来事であり、
それ以前から地上の様子は観察し続けており、秘密裏に偵察活動は行っていたようです。

例えばepic32(9月26日放送)で壊滅した幽魔獣軍団の持っていたビービ虫の巣を回収したりしており、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語の進行した2010年9月30日〜10月2日より以前の段階から
地上で活発に偵察や工作活動を行っていたのは間違いないでしょう。
だから、この10月2日、ゴセイジャーとシンケンジャーの連合軍がブレドランと最終決戦を行っている最中に、
その決戦場所の近くの神社近辺にマトリンティスの幹部のメタルAが現れても、別に不自然ではありません。

ただ、メタルAは自分の居る場所の少し離れた荒れ地で
ゴセイジャーたちがブレドランと戦っていることは把握していない模様です。
そしてもちろん、そのまたすぐ近くで未来からやって来たゴーカイジャーの5人組が
外道衆幹部のシタリを葬り去ったことも把握していません。
メタルAは単に寝隠神社に用があってこの地に来ただけであるようです。
それは寝隠神社に何か高いエネルギー反応を検知したので、
そのエネルギー源を神社ごと破壊するためにやって来たようです。
それで配下のマトロイドであるショットのザンKT0に神社の破壊を命じたわけです。

寝隠神社にマトリンティスが注目するような高いエネルギーを発する物があるとは意外でした。
そして寝隠神社を2010年10月2日に爆破した真犯人はどうやらマトリンティス帝国だったということのようです。
ということは、寝隠神社爆破事件の真相は、
マトリンティスによる神社内に隠された高エネルギー物体の破壊事件であったのであり、
ドモンがこの田舎の寂れた神社をわざわざタイムスリップさせてまでゴーカイジャーに守らせようとした理由は、
神社そのものではなく、その謎の高エネルギー物体を守るためであったのではないかと推測されます。
つまり、31世紀にいるドモンはその高エネルギー物体の正体が何であるのか知っているのでしょう。

一方、2010年においてそれを破壊しようとしているメタルAはその物体が何なのか分かっていないようです。
単に高いエネルギー反応を検知したから破壊しようとしているようです。
ずいぶんと乱暴で早まった行動のように思えますが、
マトリンティスというのは皇帝のロボゴーグの独裁体制で、しかもこのロボゴーグがかなりの気紛れな性分なので、
方針が時々意味不明で一貫していなかったりします。

この数日前には壊滅した幽魔獣軍団が使っていた怪人を巨大化させるツールであるビービ虫の巣を回収して、
それを改良してマトロイドを巨大化させる技術を開発したばかりなのですから、
同様に、この寝隠神社の高エネルギー物体も破壊せずに回収して有効利用しようとしても良さそうなものです。
しかし今回は自身の地上侵略の邪魔になると判断して破壊しようとしている。

そういうところ、ロボゴーグの気分次第で方針のコロコロ変わるマトリンティスらしいとも言えますが、
ロボゴーグというヤツが利用しようとして成功した対象物というのはもともと邪悪な性向を持った物ばかりであり、
どうもロボゴーグにはロボゴーグなりの好みというものがあるようです。
つまり、根が邪悪なロボゴーグは、やはり邪悪な物は自身の力として利用出来ると感じ取ることが出来るようで、
逆に邪悪でない物は自身にとって都合の悪い物だと感じ取る、そういう勘は働くようです。
つまり、この寝隠神社に存在する高エネルギー物体は邪悪なものではないのです。
まぁドモンがわざわざ守ろうとするのですから邪悪なものではないのでしょう。

だからロボゴーグは、たまたま検知したその物体を自身に不都合な存在だと判断し、
メタルAに命じて破壊させることにしたのでしょう。
だから、この寝隠神社の中にある高エネルギー物体はマトリンティスと何か因縁がある物体というわけではなく、
マトリンティスもその正体は把握していない。

ましてや、これで神社爆発事件には全く無関係と確定したナナシ連中やシタリが、
寝隠神社の中の高エネルギー物体の存在など知るわけがない。
ナナシはたまたま寝隠神社の隙間から出現しただけであり、
たまたまそこでマーベラス達と遭遇したために神社爆発事件の犯人だと勘違いされてしまい、
遂には全く無関係のシタリまで一緒くたにされてマーベラス達に始末されてしまったのです。

で、ついでに言えば、今まさにこの近くの荒れ地で戦っているゴセイジャーやシンケンジャー、ブレドラン達も、
寝隠神社の高エネルギー物体の存在は知らない。
そして未来からこの神社を守るためにやって来たゴーカイジャーの6人も
寝隠神社の高エネルギー物体の存在は知らないし、
鎧と一緒に神社の境内にいる少年も当然、そんなことは知らない。
寝隠神社の高エネルギー物体の存在を知っているのはマトリンティスとドモンだけであり、
その物体の正体を知っているのはドモンだけなのです。

ドモンはその物体が何であるのかを知っていながら、その物体の存在すら知らせずに、
ゴーカイジャーの6人にただ単に「神社を守れ」とだけ命じて過去に行かせているのです。
ドモンの行為は既に決定している歴史を変更する行為であり、
それは時間保護法で許される行為なのかどうか、よく分かりません。
時間保護局員であるドモンがこのようなことをしても良いのか、どうも怪しい。
そういう違法行為だから自身では手を下さずにマーベラス達を行かせているとも解釈出来ます。

だから、もし歴史を変更する違法行為なのであり、そこまで重大な決意で臨んだ行為なのだとすれば、
いっそマーベラス達にはもっと詳しい事情を明かして、
その高エネルギー物体を確実に守らせるようにした方が賢明なのではないかとも思えます。
爆破犯人であるマトリンティスは明確にその物体の破壊を狙ってきている一方で、
守る側のゴーカイジャーの方は漠然と神社を守るという意識しか無いのであれば、どうにも不利というものです。
だからドモンのやり方はどうにも意図がよく分からない。

一方、メタルAの方は明確に神社内にある高エネルギー物体の破壊をロボゴーグから命じられて来てはいるものの、
その神社の近くでゴセイジャーやシンケンジャーがブレドランと戦っているということも知りません。
この「ゴーカイジャー」の物語世界におけるマトリンティス帝国は
ゴセイジャーをはじめ歴代のスーパー戦隊の存在は知っており、
特に当時の現役戦隊であったゴセイジャーのことはかなり研究していたようですが、
その現在戦っている相手である「血祭のブレドラン」については2日前に突如出現したこともあって、
その存在すら把握していないようです。
よって、すぐ近くで繰り広げられている戦いのことは把握していません。

そしてまた、寝隠神社を守るために数年先の未来からゴーカイジャーという未知の戦隊が
この2010年10月2日にやって来ていることもマトリンティスは把握しておらず、
そのゴーカイジャーの1人であるゴーカイシルバー伊狩鎧がまさに今、
寝隠神社に居るのだということはメタルAもその手先であるザンKT0も把握はしていないのです。
そもそも当然のことながら、マトリンティスはゴーカイジャーという未来の戦隊のことは知りません。
だからザンKT0は誰もいない神社を破壊するために石段を登っていっているのですが、
登りきったところで予期せぬ敵と遭遇することになるのです。

しかし迎え撃つ形となる鎧の方も、
神社爆破犯人はさっきマーベラス達が追い払ったナナシ達だったのだと思い込んでいますから、
まさか真犯人のザンKT0に遭遇することになるとは予想もしていません。
そもそも鎧はマトリンティス帝国というゴセイジャーの戦った敵組織の名前ぐらいは把握はしていても、
ザンKT0の姿を見てもそれがマトリンティスのマトロイドだと分かるわけでもなく、
謎のロボットとしか認識出来ないでしょう。
そして神社内にある謎の高エネルギー物体の存在も知らないわけですから、
その謎のロボットが何のために現れたのかも分からないことでしょう。
だから、この鎧とザンKT0の遭遇戦は、全くお互いワケが分からないままの戦いとなることは必至です。

それにしても、本来ならば鎧はナナシ連中を神社から追い払った後、
少年を安全な場所に避難させた後、すぐにナナシ連中を追いかけるマーベラス達に合流して、
一緒になってシタリ軍団と戦って始末し、
そのまま任務完了だと思い込んで豪獣ドリルで2013年(?)に帰還していたはずです。
そうなっていれば、ザンKT0は誰もいない寝隠神社を難なく破壊し、
結局ミッションは失敗していたことでしょう。

そう考えると、少年が神社を去ることを嫌がって、
鎧が少年の身の上話を聞いていたことによって、
結果的に神社の破壊を阻止することが出来る可能性が残ったということになり、
この少年によって、ミッションも、マーベラス達も、ドモンも救われたということになります。

そのザンKT0が登ってくる寝隠神社の境内、賽銭箱の前では、鎧が少年に対して、
運命を変えられないとしても、今の自分の出来ることを頑張れば、
自分の明日は変えることが出来るのだと諭していたところでした。
少年にとっては鎧の言うような、自分の状況を変える前にまず自分の内面を変えていき、
その結果、状況が徐々に変わっていくというような考え方は非常に新鮮なものでした。

しかし、実際にそのように実践して、鎧の明日がどのように変わったのかがよく分からないので、
まだ少年にはイマイチ確信をもって踏み出せる話ではありませんでした。
それで少し微妙な表情をしている少年を見て、
鎧は、まぁ子供なのだからすぐに全てを理解することは出来ないものであり、
徐々に分かっていくだろうと思い、ニッコリ笑って隣に座ります。
これでとにかく少年は家に帰る気ぐらいにはなってくれただろうと鎧は思ったのでした。

すると、その時、鎧と少年の耳に何か奇妙なカチャカチャいう音が聞こえてきました。
鎧は不審に思い、周囲を見回しますが、どうやら何か機械のようなものが石段を登ってくる音のようだと気付き、
石段の方を見ると、そこに石段を登りきってずんぐりしたロボットが姿を現したのでした。
「うわ・・・また何か来た・・・?」と少年は驚き、鎧は反射的に少年の前に出て、その謎のロボットを向かい身構えます。

そのロボットはマトリンティス帝国のメタルAから神社破壊を命じられたザンKT0なのですが、
鎧はそんなことは知りませんから、ただ単に謎のロボットとしか認識していません。
ただ鎧の勘が目の前のロボットが邪悪なものと認識したのでした。
一方、ザンKT0の方は破壊目標の神社に到着したら、そこに人間が2人いたものの、
たかが人間2人に何も出来ないと判断し、全く意に介さず神社と一緒に始末することにして、
「寝隠神社・・・破壊!」と命令内容を復唱して攻撃態勢に入ります。

そのザンKT0の言葉を聞いて鎧は「なにぃ・・・?」と驚きます。
瞬時に、この謎のロボットこそが2010年10月2日の寝隠神社爆破事件の真犯人なのだと理解したのでした。
その直後、ザンKT0は「ショット!!」と、身体に開いた多数の穴から2発、エネルギー弾を発射、
少年は思わず「うわ!?」と叫び、膝に抱えたバッグに顔を伏せて身を竦めます。
同時に鎧は「豪快チェンジ!!」と、ゴーカイシルバーに素早く変身し、
すぐさまゴーカイスピアを「おりゃあ!!」と振り回して、エネルギー弾を2発とも上に弾き飛ばして、
空中爆発させたのでした。

「・・・なに・・・!?」とザンKT0は驚きました。
エネルギー弾が防がれて神社の破壊に失敗したことも驚きでしたが、
それより何より、目の前の人間が突然、銀色の戦士に変身したことが大きな驚きでした。
鎧は少年に向かって「ここでじっとしてろ!」と指示すると、ザンKT0に突っ込んでいき、
「おりゃあ!」とタックルしてザンKT0を掴み、そのまま大きくジャンプして神社から飛び出していきます。
神社や少年に被害が及ばない場所でこの神社爆破の真犯人の謎のロボットを倒すことにしたのでした。

少年は鎧に声をかけられてカバンに伏せていた顔を上げ、
そうして飛び出していく鎧の後ろ姿を驚いて凝視します。
その銀色の戦闘スーツに変身した鎧の姿は、さっき神社でナナシの前で変身した赤青黄緑桃の5人組と同じ、
スーパー戦隊の戦士の姿に間違いないということが少年には分かったからでした。
この瞬間、少年は鎧が自分の出来ることを重ねた末に自分の明日を変えて辿り着いたのが、
スーパー戦隊のヒーローだったのだということを知ったのでした。

一方、ザンKT0を抱えたままジャンプした鎧が飛び込んだのは、神社のある小山の近くの草原でした。
この草原で鎧はザンKT0と肉弾戦に突入し、
ザンKT0も訳が分からないまま、とにかく任務を邪魔する鎧を排除しようとして戦います。
そして鎧は「ここは一気に!」とゴーカイシルバーのレンジャーキーを出して、
ゴーカイスピアをスピアモードにしてのファイナルウェーブの態勢に入ります。
そしてジャンプして「ゴオオオカイ!シューティングスター!!」と叫び、
ザンKT0にゴーカイスピアを投げつけますが、ザンKT0は側面の硬い装甲面を向けて
「てい!」とゴーカイスピアを弾いてしまいます。

これには鎧も「なに!?」と驚きます。
さすがにマトリンティスの精鋭マトロイドだけあって、普通の怪人よりも防御力は強化されているようで、
いきなり決め技を出すのはちょっと気が早かったようです。
鎧はマトロイドを見たことが無かったので、そのあたり慣れていないのです。

弾かれて地面に突き刺さったゴーカイスピアを「そんな・・・?」と驚き見つめる鎧に向けて、
ザンKT0は「ショット!!」と身体の穴からエネルギー弾を発射、
これに対して鎧は「豪快チェンジ!!」と、シンケンゴールドに変身して、
素早く「防」の電子モヂカラで爆風を防ぎ、
逆に猛然とザンKT0に突っ込んでサカナマルを振るって逆手一文字の居合斬りで反撃に転じます。

しかしザンKT0の装甲は固く、普通にサカナマルで斬っても致命傷を負わせることは出来ません。
ザンKT0は鎧のサカナマルを持つ手を摑まえ、
腕のバルカン砲で至近距離から鎧の頭を吹き飛ばそうとして撃ってきます。
それを素早く避けながら、鎧が「豪快チェンジ!!」と、今度は瞬時にキングレンジャーに変身して、
ザンKT0の腕を振りほどいてジャンプし、空中でザンKT0の頭を蹴り飛ばし、大きく跳んで着地、
振り向きざま「キングビクトリーフラッシュ!!」と叫び、キングスティックの先端からビームを発射、
これに対してザンKT0も身体からエネルギー弾を発射、
この双方が両者の真ん中で激突して大爆発を引き起こし、両者とも「うわあああ!!」と吹っ飛びます。

鎧が起き上がり、ゴーカイシルバーの姿に戻って再び身構えたところに、
「鎧!」とハカセが鎧を呼ぶ声がします。
鎧が振り向いて見てみると、マーベラス達5人がやっと戻ってきて、
神社の小山の横の草原で炎が上がっていて、そこに鎧がいるのを見つけて
変身した姿のまま駆けてきたようです。

鎧の周りに集まった5人は炎の向こうで転がっているザンKT0に気付いていないようで、
ルカは鎧の肩を叩き「何やってんの?」と呑気に聞いてきます。
鎧はそれどころではないという感じで焦って
「あ、あいつが・・・!」と炎の向こうでゆっくり起き上がってくるザンKT0を指さします。
鎧の指さす方向を何気無しに見たマーベラス達は、
そこに見たこともない変なロボットが蠢いているのを見て、仰天しました。
「何あれ!?」と驚くハカセに、
鎧は「神社を襲ってきたんです!あいつが寝隠神社を破壊した犯人だったんです!」と、事情を説明して、
ザンKT0を指さしました。

鎧も詳しい事情は分かってはいないのですが、
とにかくこの見知らぬロボットが神社を破壊しようとしていたことは間違いない。
もし未来から自分が来て、あそこにいなければ、間違いなく神社はこのロボットによって爆破されていた。
だから、2010年10月2日にあの神社を爆破した犯人はこのロボットなのだということだけは
間違いないと鎧は確信していました。
つまり、このロボットを倒せばドモンに与えられたミッションは完了なのだということです。

片やザンKT0の方は、起き上がってみるとさっきまで1人だった敵が6人になっているので
「敵が・・・増えた・・・?」と首を傾げます。
ザンKT0はまだゴセイジャーとも遭遇していない状態ですので、
どうやらスーパー戦隊というものをまだ把握していないようです。

一方、鎧から目の前のロボットが神社爆破事件の犯人だと聞かされて、
アイムは「では・・・先ほどのイカさんと、雑魚さん達は・・・?」と首を傾げて皆に問いかけます。
確か、さっき倒したイカ怪人や雑魚怪人たちが神社爆破事件の犯人だったはずで、
あの連中を倒したことでドモンから与えられたミッションは完全に完了して、
後は元の時代に戻るだけのはずなのに、これはいったいどういうことなのか思ったのでした。

ハカセも「あっ、そうだ・・・」と、さっき倒したイカ怪人たちのことを想い出して、絶句します。
もしかして自分達はとんでもない勘違いをしていたのではないかという可能性にハカセは気付きました。
鎧がこのロボット怪人が神社を襲ってきたと言っている以上、
このロボット怪人が真犯人であるのは間違いない。
片や、さっきの雑魚怪人たちは別に神社のことは一度も攻撃していない。
これは自分達はきっと犯人と間違えて、犯人じゃない相手を殺してしまったのだとハカセは気付きました。
しかも過去の世界でそんな迂闊なことをしてしまった。

真っ青になってハカセはルカとジョーの方を睨みます。
元はといえば自分は彼らを襲うことに反対していた。
煽ったのはルカとジョーだと、ハカセは非難の目を向けます。
それを感じてジョーは「ん?」と戸惑い、ルカは「フン・・・」と知らんぷりして顔を背けてしまいます。
一方、鎧はアイムの言葉を聞いて「イカ・・・?」と不思議そうに呟きます。
結局シタリとは顔を合わせず仕舞だった鎧はイカと聞いても何のことやら分かりません。

こうして、場には何だか気まずい空気が流れますが、まぁやってしまったことは仕方がない。
ジョーはとんでもない失敗をしてしまったことは悟ったものの、
今さらどうのこうの言っても始まらないと思い、鎧にいちいち説明するのも面倒くさくなり、
溜息をついて「・・・まぁいい!」と言って前に出て、ザンKT0を睨みつけます。
それに続いてマーベラスも「俺たちは真犯人を倒すまでだ!」と、
取ってつけたようなことを言いながら鎧の肩をポンと叩いて前に出て、
ザンKT0に向かって戦闘態勢をとります。

どうやら、マーベラスやジョーはこのままなし崩しに戦闘に突入して、
さっきのシタリを誤って殺した件はウヤムヤにする気みたいです。
ザンKT0も「邪魔者は・・・排除!」と言って戦闘態勢に入ったので、なし崩しに戦闘に突入となります。
レギュラー敵幹部なのに顔見世の新戦隊に倒され、
しかも半分、欲求不満の解消のために殺されたシタリが可哀想と思っていたら、
なんと勘違いで殺されていたと判明したシタリはますます悲惨です。
その上、まるで「無かったこと」のように扱われているウヤムヤにされっぷりはあまりといえばあまりです。
シタリ、良いキャラだったのですが、最期はホントに悲惨なことになりました。
しかしシタリらしくて良いと思います。

さて、鎧はここで「皆さん!タイムレンジャーでいきましょう!」と提案、マーベラスも「ああ!」と応じて、
6人全員タイムレンジャーのレンジャーキーを出して「豪快チェンジ!!」と、
6人はタイムレンジャーへと多段変身します。
今回はタイムレンジャー篇ですから、「タイムレンジャー」のOPテーマのインストバージョンが流れます。
しかし、この曲、インストにするとあんまり燃えません。
まぁしかし、曲のことなどどうでもよくなるぐらい、変身バンク映像はやってくれました。

タイムレンジャーのオリジナルの変身バンク映像そのまんまの、
マトリックスっぽい緑色の細かい文字が流れる背景の前で、
マーベラス達はゴーカイジャーの姿のまま、それぞれヘンテコなポーズでジャンプしたポーズで静止します。
これはオリジナルの変身バンク映像では竜也やユウリたち5人はインナースーツ姿なのですが、
ここではマーベラス達はゴーカイジャーの姿です。
ヘンテコなポーズもオリジナルのものを完全再現で嬉しいです。
なお、本来はタイムファイヤーには別の変身バンク映像があるのですが、
ここでは鎧も一緒にマトリックス空間の中で立っています。

そして6人全員静止したまま画面だけがぐるっと回転し、
それに合わせて6人の身体が足元から首まで、下から上へスキャンしていくように
タイムレンジャーのスーツ姿に変わっていき、
更に続いて今度は頭のてっぺんから首まで、上から下へスキャンしていくように
タイムレンジャーのフェイスヘルメット姿に変わっていき、変身完了です。

マーベラスがタイムレッドへ変身し、ジョーがタイムブルーへ変身し、ルカがタイムイエローへ変身し、
ハカセがタイムグリーンへ変身し、アイムがタイムピンクへ変身し、鎧がタイムファイヤーへ変身します。
そして立ったまま変身を完了した鎧の前に、空中で変身完了したマーベラス達5人が降り立ち、
6人で並んでザンKT0に向かって「タイムレンジャー!」と名乗りを上げます。

ここまでは非常にクールだったのですが、ここからお笑いシーンです。
名乗りを終えた後、他の戦隊のレジェンド回の場合、一気に気合いを入れて駆け出す場面なのですが、
どういうわけか鎧を除くマーベラス達5人は両腕をだらんと下げて、
ゆっくりした足取りでザンKT0に向かって歩いていきます。
ただ1人、鎧だけは「・・・あれ?・・・あの・・・」と戸惑って、5人の後ろ姿をキョロキョロ眺めます。
まるで棒立ちのまま歩いて行く5人は敵の格好の標的にしか見えないのです。

案の定、ザンKT0は「ショット!!」と叫び、身体の複数の穴から多数のエネルギー弾を発射し、
マーベラス達の身体にエネルギー弾が迫りますが、
マーベラス達は全く逃げる素振りも無く棒立ちのまま歩いています。
鎧は慌てて5人の後ろから「ちょっと皆さん!なんで!?・・・」と大声で叫び、前へ駆けだそうとします。
なんで逃げないのか?と叫ぼうとしたのです。

ところがその瞬間、マーベラス達5人は背筋を思いっきり後ろにのけぞらせる、
いわゆる「マトリックス避け」でエネルギー弾を全て回避し、
そうしてマーベラス達のところを通り抜けたエネルギー弾は全弾、駆けだしてきた鎧に命中、
「・・・ぐはあぁぁ!?」と鎧は後ろに吹っ飛び、もんどりうって転がります。

これは「タイムレンジャー」第1話の有名なシーンのパロディです。
30世紀の世界でタイムレンジャーとしての戦闘術を学んできたユウリやアヤセ達4人が
20世紀の世界でタイムレンジャーとして初めて変身するためには
5人同時変身しなければならないという規約があったため、
たまたま居合わせた20世紀人の浅見竜也を無理矢理一緒にタイムレッドとして変身させた際、
竜也だけがタイムレンジャーの敵の攻撃を回避する際の基本動作である「マトリックス避け」を知らなかったので、
他の4人がマトリックス避けで敵の銃弾を避けるのを呆然と見ながら、
1人だけ全弾まともに喰らってしまうというお笑いシーンがあったのです。
今回はそのパロディというわけです。
なお、鎧の変身したタイムファイヤーのオリジナル変身者の滝沢直人も20世紀人ですから、
タイムファイヤーもマトリックス避けは出来ません。

こうしてひっくり返ってしまった鎧をよそに、
マトリックス避けの姿勢からぐいっと起き上がったマーベラスは「ダブルベクター!!」と言って、
長剣スパークベクターと短剣アローベクターを取出し、構えます。
そして「はっ!!」とジャンプしてザンKT0に飛び掛かり、「おりゃあ!!」と叫び斬りまくります。
ここの動きが残像を残したコマ送りになっていて、
これは「タイムレンジャー」のOPテーマの映像における
ムチャクチャ格好いいアクションシーンの再現となっています。これは懐かしい。

更に残り4人、そして起き上がった鎧も続き、ダブルベクター(鎧だけディフェンダーソード)を振るって
ザンKT0に斬りかかって走り抜けていき、
ここでも同じように残像付きのコマ送り映像の処理となります。
これでザンKT0はメッタ斬りにされて倒れますが、さすがに丈夫なのでまだ倒されず
「まだまだ!」と立ち上がり、ミサイルを発射します。

これに対してジョーはタイムブルー専用の大型ビームランチャー型武器であるボルランチャーを発射、
ルカはタイムイエロー専用のバルカン砲型武器であるボルバルカンを発射、
そして鎧はタイムファイヤー専用銃のディフェンダーガンを発射、
この3つの火器でミサイルを粉砕してしまいます。

「なにぃ!?」と驚くザンKT0の前で、
今度はこのジョー、ルカ、鎧の3人の肩を踏み台にしてマーベラス、ハカセ、アイムの3人が
「はっ!!」と大きく上に向かってジャンプし、「ベクターエンド!!」と叫んで、
それぞれが独自の型で長剣と短剣を構えます。

マーベラスはアナログ時計の3時の文字盤の形に構えたタイムレッドの得意技
「ベクターエンド・ビート3」の型で十字に斬り裂く技、
ハカセはアナログ時計の9時の文字盤の形に構えたタイムグリーンの得意技
「ベクターエンド・ビート9」の型で十字に斬り裂く技、
アイムはアナログ時計の6時の文字盤の形に構えたタイムピンクの得意技
「ベクターエンド・ビート6」の型で上下から斬り裂く技です。
飛び降りながら3人はこの3つのベクターエンドをザンKT0に同時に炸裂させて、
ザンKT0は「ぐわあああ!!」と絶叫を上げて倒れます。

この非常に洗練されたタイムレンジャーのアクションは見事で、
ザンKT0はさすがに致命的なダメージを受けたようで、もはやフラフラです。
ここで6人はゴーカイジャーの姿に戻り、マーベラスが「トドメといくぞ!」と言い、
鎧以外の5人はゴーカイガレオンバスターを構え、
鎧はゴールドモードになって豪快レジェンドリームを発動、
同時にマーベラス達5人はゴーカイガレオンバスターでライジングストライクを発射、
これによってザンKT0はあえなく爆散したのでした。

「よっしゃ!」と鎧がガッツポーズを決め、
アイムは皆に「これで神社を守れましたね・・・」と安堵したように言います。
これでミッションは完了したと思ったのです。
ところが、そのマーベラス達の姿を草原を見下ろす崖の上からコッソリと見下ろす者がいました。
それは、この戦いをじっと観察していたメタルAでした。

メタルAは「彼らは何者なの?・・・今まで収集したデータには無い存在・・・」と、大いに戸惑っています。
マトリンティス帝国はデータ至上主義な性格がある組織なのですが、
当然、未来から来たゴーカイジャーのことはメタルAが収集した過去のどのデータにもありません。
「もっとデータを集めなくては・・・!」と焦ったメタルAはタッチパネルを弄ってビービ虫を呼び寄せ、
爆散したザンKT0の燃え盛る残骸に向かわせ、
そに生じた魔法陣からザンKT0が「うおお!再起動!!」と叫び声をあげながら復活巨大化したのでした。

これを見てハカセは「うわぁ!?あいつもでっかくなれるんだ!?」と仰天して、マーベラスの後ろに隠れ、
「お前ら倒して神社も潰す!!」と喚く巨大ザンKT0に向かってマーベラスは「させねぇよ!」と言い返します。
とは言ったものの、ゴーカイガレオンは2013年(?)の世界に置いて来ていますから、
いつものようにガレオンを呼び寄せて乗り込みゴーカイオーに合体して戦うというわけにはいきません。

鎧が「皆さ〜ん!ここは俺に任せてくださぁい!!」と駆けてきて、
ゴーカイセルラーを通信機のようにして「カモン!豪獣ドリル!」と呼ぶと、
豪獣ドリルが自動操縦で地を駆けてきます。こんな呼び方も出来たのか・・・
まぁ実際、この2010年の世界に持ってきている巨大戦の戦力は豪獣ドリルしか無いのだから、
ここは鎧に任せるしかありません。
豪獣ドリルに飛び乗る鎧を見送って、ルカは「・・・そんじゃ、お任せするか!」と呑気に言います。

そういうわけで今回の巨大戦は豪獣神関連を推しまくりとなります。
前々回にクリスマス商戦の主力商品であるカンゼンゴーカイオーが登場したばかりだというのに、
今回はカンゼンゴーカイオーの登場無しとは、なかなか大胆ですが、
まぁ今回はエピソードの設定上、これは仕方ないでしょう。
それに、豪獣神関連もプッシュしたい事情があるのかもしれません。

まず鎧は「タイムレンジャーの大いなる力!豪獣ドリル!ギンギンにいっくぜぇ!!」と叫び、
豪獣キャノンでザンKT0を撃ちまくり、ザンKT0の攻撃をかいくぐって前進し、
「おりゃあ!!」と旋回して、前部の大きなドリルでザンKT0の脚を払ってひっくり返します。

続いて鎧は「まだまだ!出でよ!ジュウレンジャーの大いなる力!!」と
ドラゴンレンジャーのレンジャーキーをコクピットに挿して、豪獣ドリルを豪獣レックスに変形させます。
ザンKT0は巨大ミサイルを発射しますが、
豪獣レックスは巨大なドリル尻尾でこのミサイルを真っ二つに粉砕、ここはド迫力です。
そして口から豪獣レーザーを発射してザンKT0を圧倒します。

「最後はこれだ!出でよ!アバレンジャーの大いなる力!!」と鎧は続いて
アバレキラーのレンジャーキーをコクピットに挿し、豪獣レックスを豪獣神に変形させます。
ザンKT0も立ち上がって迫ってきますが、ここで鎧はなんと黒騎士のレンジャーキーを取出して見つめ、
「ヒュウガさん・・・今こそ使わせていただきます!」と言うと、黒騎士のレンジャーキーをコクピットに挿し、
第20話でヒュウガから受け取ってから今まで一度も使っていなかった
ギンガマンの「大いなる力」を初めて発動したのでした。

おそらくギンガマンの「大いなる力」もゴーカイオーで使えば別の形でも発動されるのでしょうけれど、
今回は豪獣神における発動バージョンということになるようです。
それは、豪獣神の右腕の巨大ドリルに黒いオーラを込めて、
豪獣神の身体を体幹を中心軸に回転させながら敵に突っ込み、ドリルの一撃を喰らわせる
「豪獣鋭断」という技でした。

これは「ギンガマン」本編における黒騎士ヒュウガが巨大化してパートナー星獣ゴウタウラスと合体した
最強形態のブルタウラスの必殺技「野牛鋭断」とよく似た技です。
野牛鋭断は槍を構えて回転して敵を斬る技でしたが、
それが「豪獣鋭断」の場合はドリルになっているわけです。

さて、この「豪獣鋭断」を喰らって爆発を起こしフラフラとなったザンKT0に向かい、
鎧は「トドメだ!」と、豪獣トリプルドリルドリームを炸裂させ、
火花を散らして倒れ込むザンKT0を前にして鎧はコクピットで掌を広げて
「タイム・・・アップ!」とクールにポーズを決め、豪獣神をザンKT0に背を向けさせます。
その4秒後、ザンKT0は爆発して果てたのでした。

これは「タイムレンジャー」の巨大戦の時のタイムロボαの時空剣でプレスブリザードを放った際の
決めゼリフを鎧が勝手に真似しているだけです。
プレスブリザードは巨大化して暴れる脱走犯を圧縮冷凍する技で、
この技をタイムロボαのコクピットで放った者が「タイムアップ」という決めゼリフを行った4秒後に
圧縮冷凍が完了するという描写があり、それをタイムレンジャー篇だから真似ているのですが、
ここではもちろん圧縮冷凍ではなく普通にザンKT0を倒しています。
ただ、「タイムアップ」のセリフの後、ピッタリ4秒後に爆発させるあたり、
さすがスタッフはよく分かってるといえます。

ザンKT0を倒して、鎧は「くはあああっ!!やったねぇっ!!」とコクピットでガッツポーズをとり大喜びです。
一方、マーベラス達は巨大戦に参加出来ずにヒマを持て余していたようで、
ハカセは石蹴りをして遊んでおり、ジョーは片手腕立て伏せ、マーベラスとルカは座り込んでダラダラしており、
真面目に立って見ていたのはアイムだけで、
アイムは「お見事です!」と鎧を褒めます。
ルカは「おっ!終わったか・・・」と立ち上がり、マーベラスも面倒くさそうに立ち上がります。
なんともだらけたムードであります。

一方、豪獣神とザンKT0の戦いを隠れて観察していたメタルAは
「・・・彼らを倒すにはデータ不足・・・ザンKTもゴセイジャーと戦わせる前に防御力のアップを図らねば・・・」と呟き、
姿を消します。
ザンKT0を巨大化させてけしかけることで謎の6人組のデータを更に収集しようとしたメタルAですが、
結局、十分なデータは集まらず、
対抗策としては味方マトロイドの防御力の強化しか無いという結論に達したようです。

というよりも、かなりあっけなくザンKT0が倒されてしまったので
メタルAとしてはザンKT0の弱点の方がいろいろ目についてしまったのでしょう。
近々、地上への本格的な侵攻を開始する予定のマトリンティス帝国としては、
まず急務はその尖兵であるザンKT0の改良ということになったのでした。

これでメタルAは急ぎマトリンティスの海底基地に戻り皇帝ロボゴーグに状況を報告しようとしますが、
その帰路、近くの荒れ地で奇妙な物を発見することになります。
それは、山ひとつ隔てた場所で行われていたと思われる別の戦いの跡地に転がっていた、
何者かの焼け焦げた遺体でした。
しかしよく見ると微かにまだ生きており、ほとんど再起不能の半死半生という状態でした。

これはつまり、ゴーカイジャーとザンKT0の戦いと同時並行して、
1つ山を隔てた場所で行われていたゴセイジャーとシンケンジャーの連合軍とブレドランとの戦いで倒された
ブレドランの無残な姿であったのです。
メタルAはこのブレドランに興味を持ち、海底基地へ回収して連れていくことにしました。

そして、マトリンティス海底基地に戻ったメタルAの報告を受けて皇帝ロボゴーグは
ザンKT0を改良したザンKTを作り上げ、
このザンKTが「ゴセイジャー」のepic33でゴセイジャー達の前に現れて猛威を振るい、
更にロボゴーグやメタルAも姿を現し、ゴセイジャーに宣戦布告し、
ここから「ゴセイジャー」はマトリンティス篇となるのです。

このようにマトリンティス帝国はザンKTの完成と同時にゴセイジャーとの戦いに突入し、
これはゴセイジャーにとってはかつてない強敵との戦いとなったわけですが、
同時にマトリンティス帝国にとってもゴセイジャーに思わぬ苦戦を強いられることになったわけで、
なんとしてもゴセイジャーを倒すことが至上命題となっていく中、
気紛れなロボゴーグは寝隠神社の高エネルギー物体のことなどどうでもよくなり、
結局、そのまま破壊せず放置することになったのです。

そして、そのマトリンティス篇のepic39において、
このザンKT0とゴーカイジャーの戦いを観察した帰路にメタルAが拾ったブレドランが
ロボゴーグによって記憶を抜き取られたサイボーグに改造されて再登場し、
マトリンティスの尖兵としてゴセイジャーを散々苦しめますが、
紆余曲折の末、記憶を取り戻したブレドランはマトリンティスを裏切り、
その結果、epic44でマトリンティス帝国は壊滅したのでした。
この結果、寝隠神社の高エネルギー物体に関するデータも失われ、
それを破壊しようとする者もいなくなりました。
また、メタルAが残していた2010年10月2日に現れた謎の6人組のデータも失われたのでした。

その後、「ゴセイジャー」の物語の方は、epic45からブレドランが本来の姿である救星主ブラジラとなり、
その地球救星計画という狂気の計画をゴセイジャーが食い止める戦いが始まり、
最終的にブラジラを倒して地球を守ったところで
2011年2月に「ゴセイジャー」の物語の戦いは終わりを告げたのでした。

そして、そのおよそ半年後にザンギャックの地球侵略が始まり、
ゴセイジャーをはじめ歴代34のスーパー戦隊が地球をザンギャックの侵略から守るために立ち向い、
レジェンド大戦が勃発することとなり、
その最終局面でザンギャック侵略軍を撃滅するのと引き換えに34戦隊の戦士たちは戦う力を失い、
その34戦隊の192戦士の戦う力はレンジャーキーとなって宇宙に散らばったのでした。
そして数年後、そのレンジャーキーの大部分を集めた宇宙海賊マーベラス一味が地球へやってくる。
ここから「ゴーカイジャー」第1話に繋がるのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:22 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

第40話「未来は過去に」感想その6

さて、今回の「ゴーカイジャー」第40話のエピソードのエピローグは、3段重ねとなっています。
まずは2010年10月2日におけるエピローグです。
場所はザンKT0を倒して神社を破壊しようとする脅威を排除し、今度こそ平穏を取り戻した例の寝隠神社です。

結局、どうして謎のロボットが寝隠神社を破壊しようとしていたのか?
そもそもあのロボットは何だったのか?
という謎はマーベラス達には残りましたが、
とにかくマーベラス達のやるべきことは、この2010年10月2日の寝隠神社の爆破事件を阻止することだけであり、
謎解きはこの時代の人間の仕事です。
マーベラス達はやるべきことをやれば、後はもう未来の元いた世界に戻るだけのことでした。

ただ、鎧はまだやるべきことがありました。
例の神社で出会った少年を母親の元へ無事に戻すことだけは責任をもってやり遂げようと思い、
少年の了承をとった上で母親の携帯電話に連絡することにしたのでした。
少年は意外に素直に母親への連絡を了承してくれて、もう家出や自立にはこだわっていないようでした。

そうして暫くして、この近所に住んでいるという母親が神社まで駆けつけてきて、
マーベラス達の見守る中、鎧は無事に少年を母親の元へ引き渡すことが出来ました。
母親は少年がいなくなって心配してあちこち探し回っていたようで、疲れ切っている様子でしたが、
少年を見つけることが出来て安堵した様子でした。

母親は少年と一緒に鎧に向かって立ち、「はいっ!」と言い聞かせるように
少年の頭をグイッと押さえつけて鎧に頭を深々と下げさせて、
「いてっ!」ともがく少年の頭を押さえこんだまま、自分も一緒に深々と頭を下げ
「本当にうちの息子がお世話になりました!!」と鎧に感謝と謝罪の言葉を送りました。

鎧は慌てて「ああ・・・いえいえ、あの・・・息子さんが無事で何よりです!ハイ!」と、
適当にこの場を終わらせようと焦ります。
実際、鎧たちは少年の命を二度ほど救っているので、母親にこれぐらい感謝されるのは当たり前なのですが、
そもそも自分達の正体や、この神社で何をしていたのか等、この母親に知られるのはマズいので、
何も事情は話していません。
これ以上、どういうお世話をしたのか等の話題が続くと少年が余計なことを言いそうで心配だったのです。
よく考えてみれば、この母親はフリージャーナリストだということであるし、
下手に話し込んだら何か感づかれるのではないかと鎧は心配にもなったのでした。

鎧がそうやって焦りつつ対応していると、
母親が顔を上げて笑顔で「ありがとうございます・・・」と改めて言います。
ここで初めて、この母親の顔が画面に映りますが、
この顔は「タイムレンジャー」を見ていた人には見覚えのある顔です。

この母親は森山ホナミです。
森山ホナミとは、「タイムレンジャー」に登場した若い女性記者で、
2000年の巷を騒がせるタイムレンジャーという謎のヒーローの正体を探るために
竜也たちが経営する怪しい便利屋「トゥモローリサーチ」の周辺を嗅ぎ回っていたところ、
ドモンと知り合うようになり、後にタイムレンジャーの正体を知り、ドモンと相思相愛の仲となり、
物語後半はトゥモローリサーチに入り浸っていた女性です。

今回、ホナミ役を演じてくださっているのは、
もちろん「タイムレンジャー」当時のオリジナルキャストの吉村玉緒さん(当時の芸名は有輝りん)で、
「タイムレンジャー」当時から10年経って母親となったホナミを見事に演じていただいています。
なお、吉村さんは2003年度作品「アバレンジャー」の第27話にも
TVレポーターになった森山ホナミ役で出演してくれています。

そして結局、「タイムレンジャー」最終話でドモンが未来に戻ることになってしまい、
ホナミはドモンとは離れ離れになってしまいました。
そして、2001年2月4日の大消滅を阻止してドモン達が未来へ戻ってからおよそ1年後、
すなわち2002年の2月頃、21世紀に1人残った浅見竜也がランニングしているシーンで
「タイムレンジャー」の物語はエンディングとなったのですが、その場面にホナミは登場しています。

その時ホナミは生後数か月ぐらいの赤ん坊を抱いており、
ランニング中に立ち寄った竜也が「どう?なんか変わったことない?」と聞くと、
ホナミは「親子そろって大元気!」と笑顔で応え、
竜也は「そうか!早く大きくなれよ・・・ドモンジュニア!」と赤ん坊の頭を撫でて走り去っていきました。

つまり、ホナミはドモンが未来に帰った後、ドモンの子を出産していたのです。
赤ん坊が生後数か月であったことを考えると、赤ん坊の誕生日は2001年の終わり頃だったと思われ、
2001年2月のドモンとの別れの際にはまだ妊娠して間もなくであり、
おそらく妊娠していることはホナミ本人も気付いていなかったはずです。
その後、自分が未来に帰ったドモンの子を妊娠していることを知ったホナミは
1人で産んで育てることを決意したのでしょう。
もちろん未来に戻ってしまったドモンにそのことを知らせる方法も無く、
ドモンもそのことは知らないままなのでしょう。

まぁレジェンド大戦の時に竜也とは顔を合わせているはずなので、
その時に竜也が子供の件は伝えていてもよさそうなものです。
また、鎧に直人の霊が「大いなる力」を渡したということをドモンが知っているのかどうか
よく分からないのですが、
ドモン達31世紀組が他のレジェンド戦士たちと全く何の連絡もとれない状態にあるとも思えず、
竜也や直人の霊と何らかの意思疎通が出来ていてもいいようにも思えるのですが、
そういう「ゴーカイジャー」的な設定の話を持ち出すと話がややこしくなって仕方ないので、
ここではあくまで「タイムレンジャー」的な設定上の話に絞ることにします。
いや、そうしないと今回のエピソードの最後の場面と矛盾が生じてしまうので、
今回のエピソードに関してはあくまで「タイムレンジャー」的な設定に限定するのが正解ということです。
そうすると、ドモンはホナミが自分の子供を産んで育てていたことは知らないはずなのです。

その子供は2001年の11月ぐらいの生まれだとするなら、
2010年10月2日の時点では9歳であり、まさにこの神社で鎧たちが出会った少年と同じぐらいです。
なお、2003年の「アバレンジャー」第27話に登場した頃のホナミはTVレポーターをしていますが、
この頃は子供がまだ2歳ぐらいで、フリーライターとしてもまだ一人前でなかったので
子供を育てるために色んな仕事に手を出していたのでしょう。

つまり、ホナミが自分の息子だと言って連れているこの少年こそ、
ドモンとホナミの間に出来た子供だったのであり、
鎧やマーベラス達は知らないうちに2010年においてドモンの息子と会っていたのです。
もちろんドモンは自分の息子が存在していることすら知りませんから、
この出会いをドモンが仕組んだなどということはなく、
寝隠神社を守るようにというドモンのミッションをこなす過程で
マーベラス達は全く偶然にドモンの息子と会っていたのです。

もちろんマーベラス達はホナミがドモンの元恋人であることや
少年がドモンの息子であることも知りませんし、
ホナミもまさか目の前にいる6人組がドモンの依頼で未来からやって来た
スーパー戦隊の戦士だなどとは想像もしていません。
そして少年は自分の父親が31世紀人だとは知りませんし、
目の前の6人組がその未来人の父親の知り合いだなどとは想像もしていません。

ただ、少年はこの6人が今まで見たことがないスーパー戦隊のヒーローであり、
自分を守ってくれたということは知っています。
そして、それは他の人に言ってはいけないということは何となく分かっています。

そもそも少年がスーパー戦隊のことを知っているのは、母親の影響もあるのでしょう。
ホナミは息子に自分が昔、タイムレンジャーというスーパー戦隊の正体を
探っていたということは話しているのでしょう。
もちろん、その正体は突き止められなかったということになっており、
息子にドモンのことを話すわけにもいかない。
息子がショックを受けるというのもありますが、そもそも歴史に影響を与えてしまう恐れもあるからです。
だから結局、ホナミは息子にはタイムレンジャーの正体は突き止められなかったと話しているのでしょう。

それはつまり、息子であるこの少年に
「スーパー戦隊は正体を秘密にするもの」という認識を植え付けることになったと思われます。
だから少年は目の前の6人が何らかのスーパー戦隊だと分かった以上、
その正体は秘密にしなければいけないと思っているので、母親に対しても余計なことは言いません。

ただ、スーパー戦隊のヒーローである鎧が、
自身の明日を変えてヒーローになった心得を教えてくれたことについては少年はとても感謝していました。
自分みたいに引っ越しばかりで友達も出来なかった鎧が、
引っ越しばかりの辛い運命の中でも自分に出来ることを頑張って
クラスの子に話しかけることで自分を変えて大切な人を増やしていき、
ヒーローにまでなったのだという話は、少年にとって見習うべき話でした。

そういう気持ちになったことは伝えたくて、顔を上げて少年は鎧に向かって
「俺も頑張ってみるよ!お兄ちゃんみたいに・・・」と笑顔で言います。
鎧のように頑張ったら自分もヒーローになれるかもしれないとも少年は思ったが、
それを母親の前で言うわけにはいかないし、
それはあまりに先の話であり、今の自分が頑張れる目標ではない。
今は目の前の状況の中で自分の出来ることを頑張ろうと少年は想って、
「今度会ったら、アメリカ人の友達、紹介してやるよ!」と鎧に向かって笑顔で言いました。

鎧はそういえば少年はアメリカに行くんだったと思い出し、
「おう!楽しみにしてるぞ!」と笑って少年の頭にポンと手を置きました。
何にせよ、今度会うことがあるとしても、それは数年後よりも後になるのは確実な別れでした。
いや、おそらく二度と会うことはないのだろうと思いましたが、
鎧は昔からそういう別れを繰り返してきて、
こうして別れた人をみんな、自分の大切な守りたい人達として心に刻んできました。

この二度と会うことのない過去の世界での出会いもまた、
鎧にとっては自分の明日を変えていく一期一会なのであり、
この過去の世界に残していく少年も、鎧の守りたい自分の明日の一部となるのです。
そして、この少年もまた鎧と同じように
自分の明日を変えていく大切な出会いと別れをこれから繰り返していくのだと思うと、
鎧は少年の未来に幸多かれと、万感の想いが込み上げてくるのでした。

そうした鎧と少年の遣り取りを見つめて、
マーベラス達5人は2人の間の親密さの理由はよく分かりませんでしたが、
とにかく少年は自分達の正体について余計なことを言う気配は無いようだと理解し、安堵します。
そしてハカセが想い出したように
「そうだ!鎧・・・記念写真撮るんだろ?神社守った証拠に・・・」と言って鎧に駆け寄りカメラを懐から出すと、
鎧は「そうでした!」と応えます。
鎧はミッション成功の証拠に写真を撮ろうと思ってカメラをハカセに持ってきてもらっていたのに、
少年の件でバタバタして元の時代に帰る前に記念写真を撮るのをうっかり忘れるところだったのです。

こうして記念写真を撮ることになりましたが、
アイムが「よろしければ、ご一緒にいかがですか?」とホナミと少年に誘いをかけます。
せっかくこうして一緒にいるのだから、一緒に写真を撮ればいいのではないかと、何となく思っただけのことでした。
ホナミも何だか意味がよく分からないながらも「はい・・・」と応じて、8人で記念写真を撮ることになりました。

そこで鎧は「そうだ!まだ名前聞いてなかった・・・」と少年に言います。
ずっと一緒にいたのに、お互い自己紹介もしていなかったのです。
一緒に記念写真まで撮るのに名前も知らないというのも妙だと思ったのでした。
まず鎧は「俺は・・・伊狩鎧!」と名乗りポーズを決めて名乗り、「君は?」と少年に問いかけます。
すると少年は元気な笑顔で「未来!・・・森山未来!」と答えたのでした。

少年の名前は「未来(ミライ)」というのだそうです。
ホナミが自分とドモンの間に生まれた子供に「未来」と名付けた理由は、
千年という時の壁に隔てられて引き離された父と子を繋ぐのは、
この子供が作っていく明日という時間であり、
そしてその子がまた子供を作り、明日をずっと無限に繋いでいく先に到達する未来において、
きっと親子は繋がっていると信じたからでしょう。

どうしてホナミがドモンの子を産もうと決意したのかというと、
千年先のドモンと繋がるためには、自分の一生だけでは無理で、
子供を作って明日を無限に繋いでいかないといけなかったからです。
そして、その21世紀から始まる明日は、ドモンが作ろうとしていたドモンの明日でもあるのです。
自分のお腹の中の子はドモンが21世紀に残すことが出来た「明日」だったのです。
だから、ドモンのためにもその「明日」を繋ぎたいとホナミは思った。
そして、その明日を無限に繋いでいき、千年先の「未来」まで繋げて、ドモンまで届けたかった。
つまり、ホナミにとって家族の絆の象徴が「未来」という言葉だったのです。

どうしてそのように思うのかというと、
「タイムレンジャー」の最終話のラストのランニング中の竜也の独白のセリフが
「ユウリ、アヤセ、ドモン、シオン・・・お前たちは千年先に居る!俺はそこへ向かってるんだ・・・
辿り着くわけないけど・・・でも、お前たちとは確実に繋がっている・・・
俺がこれから作る、明日っていう時間の中で!」となっており、
これが「タイムレンジャー」という作品の1つのテーマとなっていると思うからです。
そして「タイムレンジャー」という作品においては、
この竜也の気持ちはホナミのドモンに対する想いと同じであるはずなのです。

そして神社の前で8人で記念写真を撮り、森山親子と別れたマーベラス達は豪獣ドリルで元の時代に戻ってきました。
今回のエピローグの2段目は、このマーベラス達の現在時間におけるエピローグです。

6人が2010年から戻ってきたのは、もともと2010年に向けて旅立った日の夕方、少し暗くなり始めた頃でした。
そして6人がガレオンに戻ると豪獣ドリルは勝手に空にタイムゲートを開いて31世紀の世界へ戻っていき、
マーベラス達6人はちょっと気になったのでガレオンで寝隠神社の上空をゆっくり飛んでみることにしました。
その上空に行って窓から見下ろしてみると、
寝隠神社は、さっき2010年の世界から飛び立つ時に見下ろしたのと全く同じ姿で存在していました。

窓から覗き込みながら「よかった・・・あの神社、今でもちゃんと無事ですね・・・」とアイムは安堵したように言い、
ガレオンを操縦しているマーベラス以外の5人も微笑みます。
せっかく苦労して守った神社なので、6人とも妙に愛着が湧いていたのでした。
だから神社の無事な姿を見て安心すると共に、達成感も覚えて、6人は非常に満足でした。

マーベラスもコクピットから船室に戻ってきて、上着を脱いで船長椅子に座ると上機嫌で
「よし!メシにするか・・・!」と言います。
2010年に行ってからずっとバタバタしていて、こうしてようやく落ち着くと、無性に腹が減ってきたのでした。
「そうですね!」と鎧も元気に応じて、鎧とハカセとアイムは軽い足取りで厨房へ向かって歩きだし、
ジョーは筋トレを始め、ルカはソファで寛ごうとしました。

と、その時、ずっと留守番をしていたナビィが
「・・・で、新しい大いなる力は何戦隊のだったの?」と質問しました。
ナビィは6人が神社を守ってミッションに成功したということは
当然、ドモンから「大いなる力」を貰って帰ってきたものだと思っているのです。

そのナビィの言葉を聞いて、6人は「はっ!」「あ・・・」「ああ!」と一斉にナビィの方に振り向いて愕然とします。
そういえば、巨大化した謎のロボットを倒した後、
あまりにもいつもザンギャック相手に戦っているのと同じ展開であったため、
つい、いつも通りの感覚になってしまい、
更にあの後、少年の無事を確認して母親に迎えに来てもらったりして、
随分とそれで時間を喰われてしまい、さすがに疲れてお腹も減って、
少年と別れた後、急いで現代に帰ってきてしまったため、
結局、ドモンがミッション成功の引き換えにくれるはずだった
「大いなる力」を貰わずに戻ってきてしまっていたのです。

つまり、神社や少年を守ることに集中しすぎて、「大いなる力」のことを途中からコロッと忘れていた。
6人は(しまった!)と思い、「あああああ!?」と大声で叫び、ガックリします。
「結局、大いなる力貰ってなぁい!!」とルカが悲鳴を上げると、
ナビィは予想外の展開に「ああ〜ああ・・・?」と驚き呆れます。
ジョーは怒りに狂ったのか、「うううう!!」と唸って、ものすごい勢いで腹筋運動をしています。
ジョー大丈夫か?
シドとの物語が決着して、ガオイエローとかゴーオンゴールドみたいに一気にギャグキャラ化とかしないか心配です。

それにしても、確かに戦いの後「大いなる力」のことをコロッと忘れていた自分たちにも落ち度はあるが、
取引を持ちかけてきたのはドモンの方なのですから、ドモンがフォローしてくれるのが当然です。
ドモンの求めた成果は自分達はちゃんと達成した。
それなのにドモンから何もフォローが無かったのは不自然だとハカセは思い、
実はドモンは最初から「大いなる力」など渡すつもりはなかったのではないかと思いました。

そう思うとハカセは身体の力が抜けて「僕たち・・・騙されたってことぉ・・・!?」と嘆き、テーブルにへたり込みます。
ドモンは「大いなる力」を渡すなどと嘘をついて自分達を釣って、利用しただけだったのだ。
そして自分達はそれにまんまと騙されて、乗せられていただけだった。
皆がそうに違いないと確信し、脱力する中、マーベラスは「・・・あんの野郎!!」と激怒して立ち上がります。
まぁここまでコケにされたら、そりゃマーベラスなら激怒します。
今すぐにでもドモンのところに乗り込んでぶん殴ってやりたいが、
何せ相手は千年先の未来にいるのであり、マーベラスの拳は絶対に届かない。

怒りの持って行き場が無く、鼻息を荒くしてワナワナ震えるマーベラスに向かって、
慌てて鎧が縋りつき「あああ!!でもでもでも!ほら!タイムイエローのドモンさんが、
嘘をつくとは僕は思えないなぁ〜・・・」とヘラヘラ笑って言い、なんとか怒りを宥めようとします。
が、怒りをぶちまける矛先を探していたマーベラスに対して、
これは格好の八つ当たりの対象を与えたような形となり、
マーベラスは「現に手に入ってねぇだろうがぁ!!」と怒鳴り、いきなり鎧にヘッドロックを極めると、
ボコボコに殴る蹴るの暴行に及んだのでありました。

その凄惨な光景を横目に見ながら、ナビィは涼しい顔で
「へ〜!大いなる力を手に入れるには、やっぱりオイラが必要みたいだね!」と得意げに語るのでありました。
自分に留守番を押し付けてバカ6人だけでタイムスリップを楽しむからバチが当たったのだと、
少しいい気味であったのでした。

そうしたドタバタを繰り広げつつ、ガレオンはゆっくり現代の寝隠神社の上を飛び去っていきます。
その現在の寝隠神社は、2010年当時と同じく、あまり人が訪れることもない寂しい神社のままです。
しかし、その本殿の奥に奇妙な壺が安置されているのが、ここで突如として画面に映ります。
どうもただならぬ雰囲気の壺です。

マトリンティス帝国が検知してメタルAが破壊しようとしていた高エネルギー物体は、
この壺、あるいはこの壺の中身の何かなのでしょう。
それが本来の歴史では2010年10月2日にマトリンティスによって破壊されていたはずが、
マーベラス達がタイムスリップしてそれを阻止したため、
マーベラス達の戻ってきた現在(2013年ぐらい)でも、未だにその壺は神社と一緒に無事に存在しているのです。

そして、おそらくドモンが守ろうとしたのは、この壺です。
ただ、ドモンはマーベラス達にこの壺の存在は一切知らせなかった。
ただ神社を守らせただけであり、マーベラス達は神社の中にこの壺があることは知らずに神社を守り、
その結果、この壺は現在でも神社の奥に存在し続けることになった。
つまり、マーベラス達が神社を守らなければこの壺は現在はもう無くなっているのであり、
マーベラス達が神社を守った結果、この壺は今でも存在するということです。
マーベラス達が神社を守ることによって生じた変化というのは、
つまり、「この壺が現在存在すること」だけだと言えます。

そう考えると、ドモンがマーベラス達に神社を守るように命じた際のセリフが引っ掛かってきます。
マーベラス達はドモンに騙されたと言って大騒ぎしていますが、
実際はこれはマーベラス達が勝手に早合点して変な期待をしていただけのことです。
ドモンは「お前らに34の大いなる力を揃えるためのチャンスをやろう」と言って、
「寝隠神社を守れ」と命じたのです。
つまり、寝隠神社を守ることによってマーベラス達に与えられるものは
「大いなる力」そのものではなく、「大いなる力を全て揃えるチャンス」だったのです。

そして、寝隠神社を守ることによって、謎の壺が現在に残されることになった。
ということは、あの壺が存在することが、「大いなる力を全て揃えるチャンス」なのだといえます。
つまり、あの壺の中に何らかの戦隊の「大いなる力」が入っているのであり、
あの壺が寝隠神社に存在していることによって、
マーベラス達は34の「大いなる力」を全部揃えるチャンスを得たのだということになります。

逆に、もし寝隠神社を守ることに失敗していれば、あの壺も2010年時点で失われていたことになり、
当然現在も存在しない。
となると現在のマーベラス達は34の「大いなる力」を全部揃えるチャンスも得られないのです。
だから、2010年10月2日の寝隠神社の爆破事件を阻止したことによって、
マーベラスは確かに34の「大いなる力」を揃えるチャンスを得たことになり、
ドモンは何らマーベラス達に嘘はついていないし、
マーベラス達はドモンの期待に見事に応えて、得るべき報酬は得たことになるのです。

また、あの壺の中に「大いなる力」が存在したのだとすれば、
マトリンティス帝国があの神社で検知した高エネルギー反応も、
その「大いなる力」を検知したのだと考えれば辻褄は合います。

ところで、あの壺の中身の「大いなる力」はどの戦隊のものなのか?
既にマーベラス一味の手に入れている27個とバスコの手に入れている3個の「大いなる力」を除外すると、
残るのはバトルフィーバーJ、サンバルカン、ファイブマン、カクレンジャーの4つだけです。
この4つのうちの1つであることは間違いない。

それにしても壺の中にあるというのは変です。
これまでに登場した他の戦隊の「大いなる力」は全て、元戦士の体内に「大いなる力」は収めてありました。
壺や箱に「大いなる力」をしまっていた戦隊などありませんでした。
おそらく「大いなる力」は普通は戦士の体内以外にはしまうことは出来ないのでしょう。
となると、壺というのは妙です。

壺には「大いなる力」の手掛かりだけが入っているという考え方も出来ますが、
別に手掛かりなど無くても今までもマーベラス達はナビィのお宝ナビゲートで
「大いなる力」を見つけてきたのだから
「大いなる力」本体さえ無事ならばチャンスが失われるということにならないでしょう。
つまり、やはりあの2010年10月2日に破壊されてしまった壺には
「大いなる力」の本体が入っていたと考えるしかありません。
だから、その破壊を阻止したことによって「大いなる力」を全部揃えるチャンスが復活したのです。

しかし、「大いなる力」は普通は壺にしまうことは出来ない。
となると、考えられる可能性としては、
あの壺の中に「大いなる力」を体内に宿した戦士が入っていたのだということしかありません。
しかし、そんなことが可能とは思えませんし、
だいいち、もしあの壺にレジェンド戦士の誰かが2010年10月2日以前から現在に至るまで入っていたとするなら、
その途中、すなわち2011年秋ぐらいに起きたと思われるレジェンド大戦に
その戦士は参加していなかったということになります。

しかし「ゴーカイジャー」第1話や「199ヒーロー大決戦」映画で描写されたレジェンド大戦や、
「ゴーカイジャー」のここまでの物語の中でマーベラス達が集めたレンジャーキーのラインアップを見ても、
34戦隊192戦士の全ての戦士はレジェンド大戦に参加していたはずです。
だからずっと壺の中に入っていた戦士など、ありえないように思えます。

しかし、よく考えたら、その全ての条件をクリア出来る戦士が1人だけ居たのです。
それは「忍者戦隊カクレンジャー」に登場した6番目の戦士であるニンジャマンです。
ニンジャマンはカクレンジャーの6番目の戦士でありながら、
何故かレジェンド大戦のあらゆる画像でその姿を確認することが出来ませんし、
ニンジャマンのレンジャーキーというものも存在しません。
本当は34戦隊にはニンジャマンも含めると193戦士が存在するのに、
ニンジャマンは何故かこれまで除外されてきたのです。

つまりニンジャマンはレジェンド大戦の最終局面の戦いに参加しておらず、
全ての戦士が戦う力を放出してザンギャック艦隊を撃滅した時、その場に居なかったのです。
どうしてニンジャマンがその場に居なかったのかという謎については、
「199ヒーロー大決戦」映画のパンフで竹本監督は
「映画で描かれた最終局面の等身大戦に先だって行われた巨大戦で、
巨大化して戦えるニンジャマンは戦った挙句大破したので戦線離脱していたのではないか」とコメントしていますが、
これはあくまで竹本監督がそう解釈したというだけのことで、公式設定ではありません。

本当のところはどうだったのかよく分かりません。
本当は最初からニンジャマンはレジェンド大戦には参加していなかった可能性も十分あるのです。
むしろ、同じく巨大化出来る戦士のズバーンやウルザードファイヤーや黒騎士が
無事に最終決戦に参加していることを考えると、
最初からニンジャマンはレジェンド大戦に参加していなかったから
最終決戦時もいなかったと考えた方が自然だと思います。

もしニンジャマンが最初からレジェンド大戦に参加していなかったとしたなら、
34戦隊の全ての正規戦士の中で、
レジェンド大戦が起きていた時もずっと寝隠神社の本殿奥の壺の中に入っていることが出来た戦士は
ニンジャマンだけということになります。
しかもニンジャマンはもともとは「壺に入っていた戦士」なのです。

それは大魔王に騙されて壺に封じられていたのであって、
ニンジャマンが好き好んで壺に入っていたわけではないのですが、
それでもニンジャマンは「壺に入る」ということについては実績のある唯一の戦士ではあります。
そもそもニンジャマンは人間ではなく、昔妖怪と戦った賢人の魂から生まれた一種の霊的な生命体で、
伸縮自在で巨大化も出来れば親指ぐらいの大きさにもなれますから壺に入ることも何ら問題は無いのです。
だから、カクレンジャーの6番目の戦士であるニンジャマンが
カクレンジャーの「大いなる力」を体内に宿したまま壺の中に入って寝隠神社の奥に安置されていたとしても、
不自然な話ではないといえます。

そもそも「寝隠神社」という名前からして、
「カクレ」が「寝ている」神社という意味と解釈することが出来ます。
つまり、カクレンジャーの大いなる力を体内に宿した戦士が壺の中で寝ている神社ということです。
ただ、この神社そのものは古い時代から存在する神社であるようで、
ここでずっとニンジャマンが壺の中に入って寝ていたというわけではないようです。
おそらくは隠流忍者のゆかりのある神社であり、
隠流の極意に関する様々な物を保管し、ご神体として祀る神社であったのでしょう。
古い時代にはニンジャマンやその師匠である三神将なども祀られていたのかもしれません。

そういう寝隠神社に、いつの頃からなのか不明ですが、
ニンジャマンがカクレンジャーの「大いなる力」を体内に宿したまま小型化して入った壺が
安置されるようになったのでしょう。
それはおそらく1995年にカクレンジャーと妖怪大魔王の戦いが終わって以降の何処かの時期なのでしょう。

今回、寝隠神社の奥に姿が見えたこの壺は、よく見るとその下部に金槌がくっついています。
これは「カクレンジャー」本編でもニンジャマンの入っていた壺に見られたのと同じ特徴で、
この金槌は本編設定と同じであれば、
ニンジャホワイト鶴姫本人か、その血縁者によってしか壺から離すことは出来ず、
この金槌が壺に付属しておるということは、
この金槌によってしかこの壺を割って中からニンジャマンを出すことは出来ないということです。

つまり、ニンジャマンは自力で壺から出ることは出来ない状態になっており、
壺からニンジャマンを出すためには鶴姫(あるいはその血縁者)が壺を割るしかないようなのです。
ならば、ニンジャマンを壺の中に封じたのは鶴姫だということになります。

ただ不思議なのは、鶴姫や他のカクレンジャーのメンバーも「大いなる力」を体内に宿しているはずなのに、
どうしてニンジャマンの入った壺がそんなに重要なポイントとしてクローズアップされるのかということです。
ニンジャマンを壺から出さなくても、その壺を割るためにやって来た鶴姫本人から
「大いなる力」を貰えば済む話です。
しかし、それが出来ないからニンジャマンを壺から出さないといけないのでしょう。
ということは、カクレンジャーの「大いなる力」はニンジャマンの体内にしか無いということになります。

それはおそらくカクレンジャーの「大いなる力」がレジェンド大戦に参加していなかったからなのでしょう。
もともと歴代スーパー戦隊の戦士たちは体内に「大いなる力」などというものは宿してはいなかった。
あのような状態が生じたのはレジェンド大戦以降のことです。
レジェンド大戦の最終局面で戦う力を放出した後の戦士の身体に、
同じくレジェンド大戦に参加していた「大いなる力」が宿るという現象が生じたのだと思われます。
だから、鶴姫たちカクレンジャーの戦士たちにその現象が生じていないとするなら、
レジェンド大戦にカクレンジャーの「大いなる力」が不参加であったからと考えるしかない。

もともとカクレンジャーの「大いなる力」、つまり巨大戦力というのは三神将とニンジャマンのことであり、
これらは皆、霊的な生命体であり、
1995年以降のいつの頃からか、鶴姫の手によってニンジャマンの体内にまとめる形で
寝隠神社の壺の中に安置され、再び封印を解いて戦う日に備えていたのでしょう。

しかし、2010年10月2日、たまたま寝隠神社の高エネルギー反応をキャッチしたマトリンティス帝国が、
それがカクレンジャーの大いなる力だと知らないまま破壊してしまい、
封印状態であったカクレンジャーの大いなる力は失われてしまった。
だからカクレンジャーはレジェンド大戦に大いなる力を動員することが出来ず、
鶴姫たちカクレンジャーのメンバーはレジェンド大戦後も「大いなる力」を体内に宿していないのです。

それが本来の歴史上の出来事でした。
しかし今回、マーベラス達が2010年10月2日の神社爆破を阻止したことによって、
現在の状況は、鶴姫たちカクレンジャーのメンバーの体内には「大いなる力」は無く、
レジェンド大戦に未参加のカクレンジャーの「大いなる力」は2010年以前と同じように
壺の中のニンジャマンの体内に宿ったままということになります。

だから、現在においてマーベラス達は寝隠神社の奥の壺を見つけて、
鶴姫を探し出して壺を割って中からニンジャマンを出してもらえば、
カクレンジャーの「大いなる力」をゲット出来るはずなのです。

しかし、実はこの推論には山ほど疑問点が存在します。
まず、ドモンは明らかにマーベラス達が「大いなる力」を全部揃えることを応援しているのですが、
ならばどうして最初から「寝隠神社の中にカクレンジャーの大いなる力の入った壺がある」ということを
マーベラス達に教えなかったのか?
それをあらかじめ聞いていれば、マーベラス達は2010年10月2日に行った際に、
ザンKT0を倒した後、「カクレンジャーの大いなる力」の入った壺を手に入れることが出来たはずです。
いや、そもそも爆破を阻止する必要すらない。
神社に着いたらそのまま真っ直ぐ本殿に行って壺を回収してしまえば、
爆破事件から壺を守ることは出来るのです。

もちろん壺を手に入れたからといってすぐに「大いなる力」が手に入るわけではなく、
まずは鶴姫を探し出して壺を割ってもらい、出てきたニンジャマンとも交渉しなくてはならない。
それでも、まずは壺を手に入れなければ話は始まらないのだから、
ドモンがマーベラス達の「大いなる力」集めを応援しているのなら、
まずは壺の存在を教えるべきであったはずです。

というより、根本的な疑問だが、単に壺の回収だけで済むならば、
どうしてドモン本人がやらなかったのか?
ドモンはタイムマシンを乗りこなすことが出来るのだから、
わざわざタイムスリップに不慣れなマーベラス達に行かせるよりも
ドモンが行った方がよほどスムーズに事は済むはずです。

戦う力を失ったドモンではザンKT0と戦えないという意見もあるかもしれないが、
そもそも壺の回収だけならばザンKT0と戦う必要など無い。
前日の10月1日にでも行って壺を本殿から回収すれば済む話です。
そうやってドモンが回収した壺を豪獣ドリルに乗せてビデオレターを添えてマーベラス達に届ければいい。

また、些細な疑問ですが、どうしてドモンはわざわざビデオレターで指示をしてきたのか?
ビデオレターを送ることが出来たのなら、ドモン本人が豪獣ドリルに乗ってくることも出来たはずです。
直接話をした方が確実に指示が伝わって良いはずなのに、
どうしてドモンはマーベラス達に会おうとしなかったのか?
例えば走輔がマーベラス達と一緒にガンマンワールドへ行ったように、
マーベラス達とドモンが一緒に2010年に行くということも出来たはずなのに、
どうしてドモンはそうしなかったのか?

また、マーベラス達が2010年に行って神社爆破を阻止したことで
カクレンジャーの大いなる力はレジェンド大戦で使用可能になったはずなのに、
現在でも相変わらず壺が割られておらずに中に「大いなる力」が存在しているということは、
鶴姫たちはレジェンド大戦時に使用可能のはずの「大いなる力」を使わなかったということになります。
どうして鶴姫たちは地球存亡の危機に「大いなる力」を使わなかったのか?

いや、そもそも根本的な疑問なのですが、ドモンがマーベラス達にやらせた行為は
明らかに歴史改変行為のように見えるのですが、
時間保護局員であるドモンがこんなことをしてもいいのでしょうか?
あるいはこれは何らかのミスで生じた歴史の誤った流れを修正するための行為であったというのなら、
ドモンの行為は職務上は正当化されますが、
もしそれほど正当な行為であるならばドモンが自ら行うべきではないかと思います。
どうもドモンの行為はストレートでなく、コソコソした印象があり、
職務上正当な行為とは思えません。
だからマーベラス達を行かせて、自分は極力関わらないようにしているように見えます。

このように疑問点が山ほどあるのですが、
これらの疑問点は最も根本的な疑問点を解くことによって全て整理されることになります。
その根本的疑問点を解くカギは、まさに「タイムレンジャー」という作品のテーマそのものだといえます。

まず、その最も根本的は疑問点は「ドモンは全ての結末を知っているはずではないのか?」という点です。
31世紀人であり、しかも時間保護局でそれなりの地位にある人物であるドモンならば、
21世紀の主要な歴史上の出来事の結末は把握しているはずです。
だから、マーベラス達の「大いなる力」集めの結末も知っているはずです。

そのドモンがマーベラス達に「34の大いなる力を全部揃えるチャンスをやろう」と言ってきたのです。
もしドモンがマーベラス達が無事に34の大いなる力を全部揃えたという歴史の結末を知っていれば、
こんな言い方をするでしょうか?
もしマーベラス達が全部の大いなる力を揃えることが出来たのが歴史上の決定事項ならば、
ドモンからチャンスを与えられる必要など無いはずです。
つまり、ドモンから見ればマーベラス達はチャンスを必要としているピンチ状態の連中に見える。
つまり「大いなる力」集めには赤信号が灯っているのです。

要するにドモンの知る21世紀の歴史では
マーベラス達は結局34の「大いなる力」を揃えることに失敗する運命なのでしょう。
そして、どうしてマーベラス達が失敗したのか、その原因も31世紀では分かっているのです。
それは「カクレンジャーの大いなる力」だけがどうしても手に入らなかったからです。
では、どうしてカクレンジャーの大いなる力が手に入らなかったのか?
その理由もドモンは知っています。

マーベラス達が「大いなる力」探しを始めるより以前、2010年10月2日に
マトリンティス帝国の軽率な攻撃によって、
たまたま「カクレンジャーの大いなる力」が失われてしまっていたからです。
これではマーベラス達もどうすることも出来ない。
最初からチャンスも与えられていない状態なのです。
そこでチャンスを与えてやろうとドモンは考えたのです。

ここで謎なのが、どうしてドモンがマーベラス達の「大いなる力」集めをそんなに応援するのかです。
マーベラス達は「大いなる力」を全部揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしているのであり、
それは非常に個人的な目標といえます。
だからドモンがそれを応援する必要は無い。
それでもあえて応援しているということは、
ドモンは「宇宙最大のお宝」がどういうものであるのか、どうも分かっているようです。

おそらく、それをマーベラスが手に入れるのと手に入れないのとでは、
21世紀の歴史が大きく違ってくるのでしょう。
そしてマーベラスが「宇宙最大のお宝」を手に入れてくれた方がドモンにとっては望ましい歴史になるようなのです。

ただドモンのいる31世紀の歴史では
21世紀初めのマーベラス達の「宇宙最大のお宝」獲得は失敗に終わるということになっている以上、
それを獲得できるようにするのは、明らかに歴史の改変となります。
つまりドモンは歴史の保護が使命の時間保護局員でありながら、歴史を改変しようとしているのです。
それは職務上、許されることなのかというと、かなりヤバいことだとは思います。
単にドモンの立場がどうこうという問題以前に、
歴史が変わればドモンの住む31世紀にも重大な変化が生じる可能性もあるからです。

ただ、そういうことを承知の上で、それでもドモンが歴史を改変しようとするのは、
正史の通りに事態が進んだ場合、21世紀の地球の人々が大変な目に遭うのであり、
マーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れることによって、
その危機を回避することが出来るからなのでしょう。

31世紀を守るために21世紀を見捨てようとしたリュウヤに反逆して、
21世紀の明日を救うことで31世紀の明日を変えたドモン達タイムレンジャー未来組ならば、
このケースにおいても21世紀の人々を見捨てることなど出来ないのは当然です。
救える方法があるのならば救いたいと、当然考えます。

ただ、それが極めて困難であることもドモン達は分かっています。
31世紀のタイムマシンを使える人達が皆が皆、ドモン達のように優しくて、
過去のあらゆる時代の災厄を防ごうなどと奔走するようになり、それがことごとく成功するようになれば、
31世紀の世界など日替わりでその姿を変えていくことになるでしょう。

歴史というものはそんなに脆弱なものではない。
過去を変えようなどという未来人の思い上がった行為は全て歴史の修正力の前に弾き返されてしまい、
結局は歴史を変えたつもりでも、少し行く道を変えただけで
すぐに元のルートに復帰して元の結末に至るのです。
そして歴史を強引に弄った者には悲惨なしっぺ返しがもたらされる。
リュウヤや直人のようにです。

ドモンらの時間保護局の任務とは、実質的には歴史を守ることというよりは、
歴史を弄った者に下される歴史からの罰から犯罪者たちや巻き添えを食う人達を救い、
代わりに犯罪者には然るべき法による裁きを受けさせることになっているとも言えます。

だからドモン達は、強引に歴史を変えようとしても必ず失敗すると分かっているのです。
とにかく「マーベラス達が34の大いなる力を全部揃えて宇宙最大のお宝を手に入れることは出来ない」
という歴史は確定しているのです。
その確定した歴史を強引に弄ると、必ず歴史の修正力が働いて、同じ結末に至るのです。

例えば未来人であるドモンが2010年に行ってカクレンジャーの大いなる力の入った壺を回収して、
それをマーベラス達に渡すなどということをすれば、
確かに手っ取り早くていいですが、こんな明らかな歴史への介入をしてしまうと、必ず反作用が働きます。
金槌が無くなって壺が割れなくなるとか、鶴姫の一族が根絶やしになるとか、
ニンジャマンからの大いなる力の譲渡が上手くいかないとか、
他の戦隊の大いなる力が獲得出来なくなるとか、
下手したらマーベラス一味が壊滅するとか、様々なことが起こり得ます。
そして、その過程で一般人の大変な被害が生じる危険すらあります。

だから、下手なことは出来ないし、強引な手法であればあるほど、やるだけ無駄なのです。
リュウヤの失敗を見れば、それは明らかです。
だからドモンは自分で2010年には行かなかったし、マーベラス達に直接会うことすら控えた。

また、レジェンド大戦でカクレンジャーの大いなる力が使われないということも歴史的確定事項ですから、
神社爆破事件を阻止したことによってカクレンジャーの大いなる力をレジェンド大戦で使ってしまうと、
歴史の修正力によって不幸なことが起きる危険もありました。
だからドモン達はマーベラス達のミッション成功後、何らかの方法で鶴姫たちカクレンジャー組に連絡し、
レジェンド大戦でカクレンジャーの大いなる力を使わないように頼んだのでしょう。
詳しい事情を説明出来たのかどうかは分かりませんが、
とにかく未来からの警告ということと、将来必ずこれは吉となるという未来人からの啓示で
鶴姫たちは納得してくれたのでしょう。

さて、では、どのようにすれば歴史の修正力によって邪魔されずに歴史を変えることが出来るのかというと、
その唯一の方法はドモン達は身をもって知っていました。
ドモン達がかつて実践した方法だったからです。
それはあの「タイムレンジャー」最終話における21世紀の大消滅を阻止した時のことです。

あの時、歴史は変わったのです。
すなわち、運命を変えるものは、自分の出来ることをやって自分の明日を変えようとする者達だけなのです。
あの時、歴史に定められた大消滅を回避して、新たな歴史を創造したのは、
竜也と死んだ直人の「明日を変えたい」という想い、
そして竜也たちと一緒に生きる21世紀の明日を守りたいというユウリ、アヤセ、ドモン、シオンの想いでした。

結果、歴史は改変され、
新たな31世紀に戻されたドモン達は自分の明日を21世紀に置き去りにして生きる羽目になった。
ドモンがホナミを21世紀に残したのはその象徴といえます。
これは未来人でありながら過去の歴史を改変したことによる歴史の罰なのかもしれない。

ただ、確かに言えることは、あの2001年の歴史改変は、
(未来人4人を含めての)2001年を生きようとする者達の、
ただ自分の今出来ることをやって自分の明日を変えて、
自分の力でよりよい明日を作りたいという一途な想いだったということです。

ならば、今回ドモンがやろうとしている歴史改変も同じでなければいけない。
未来人の思惑や介入によってではなく、
この時代に生きる者達の「自分の力で明日を変えたい」という一途な想いに賭けるしか、
歴史を変える方法は無いのです。

未来人のドモンは出来るだけ本筋の歴史に介入しないようにして、
この時代の人間であるマーベラス達自身の力で一歩一歩、着実に明日を変えていき、道を開いて行き、
彼ら自身の力で明日を変えていく分には歴史の修正力は作用しない。
結局はマーベラス達の「34の大いなる力を全部揃えたい」という「明日を変える」意思が
歴史を変えるほどに強ければ、竜也たちが21世紀の大消滅を阻止した時のような奇跡が起きるかもしれない。
それを期待するというのがドモンの基本的スタンスです。

ただ、歴史の修正力が働かないギリギリのラインで、
マーベラス達の「大いなる力」を揃えるための最大の障害である「カクレンジャーの大いなる力」問題を
解決するチャンスを作るために、今回手を貸したのです。
つまり、ドモンが壺の存在を教えずにただ「神社を守れ」とだけ命じたのは、
あの寂れた神社を守ったことだけで歴史に大きな影響を及ぼすわけではないから、
それぐらいの歴史への介入ならば歴史の修正力は発生しないという計算があったからです。

但し、鶴姫たちがその結果を受けてレジェンド大戦で壺の中のカクレンジャーの大いなる力を使ってしまうとマズい。
何故なら鶴姫たちはあの神社にその壺があることは分かっているからです。
だから壺が生き残ることでストレートに歴史に影響を与えてしまう。
もしその影響が生じてしまえば、マーベラス達の行為に対しても歴史の修正力が発生してしまう。
そこでドモンは鶴姫たちに働きかけてカクレンジャーの大いなる力をレジェンド大戦で使わせないようにして、
壺は寝隠神社でずっと安置させておくようにしました。

こうしておけば、マーベラス達が2010年10月2日に神社爆破を阻止したことによる歴史への影響は
ごく小さいものに押さえられる。
何故なら、マーベラス達は神社に壺があり、
壺の中にカクレンジャーの大いなる力は存在することを知らないからです。
マーベラス達はそのことを知らずに、単に神社を守っただけなのです。
単に神社を守るというだけなら、歴史にはほとんど影響は及ぼさず、歴史の修正力は発生しない。
ただ、マーベラス達がカクレンジャーの「大いなる力」を手に入れるチャンスだけは残ったのです。

そして、マーベラス達は自分の力で神社を守ったことによって、自分の力でそのチャンスを残した。
つまり、自分の明日を変えたのです。
それが彼らが自分の運命を最終的に変えるためには外せない条件であったのです。
だから、ドモンはマーベラス達自身に神社を守らせたのです。

そして現在に戻ってきたマーベラス達が自分の力で明日を切り開いていく中で、
自力であの神社に壺があり、その壺の中に「大いなる力」が隠されているのだという事実に気付く分には、
これは歴史に介入する不正行為ではない以上、歴史の修正力は働かない。
彼らが自力で「大いなる力」を掴む分には何ら問題は無いはずです。

ただ、「マーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を獲得出来ない」ということは歴史に定められたことですから、
それをひっくり返すことは容易ではない。
様々な障害が立ち塞がるはずです。
ただ、それでも最初からチャンスが全く無い状態よりは改善されたのです。

チャンスは残った。
そして歴史の修正力に邪魔されることもない。
あとはそのチャンスを足掛かりにマーベラス達がどこまで「明日を変える」ことが出来るかです。

1つ1つ、自分の出来ることをやっていって、少しずつ「明日を変える」ということを積み重ねていけば、
いつしか運命は変わり、手に入れられなかったはずのカクレンジャーの大いなる力も手に入れられるかもしれない。
そうして34戦隊の全ての大いなる力を揃えて、宇宙最大のお宝を手に入れ、
定められた歴史をひっくり返して、新たな未来を拓くことも出来るかもしれない。
いや、「タイムレンジャーの大いなる力」を受け継いだゴーカイジャーならば、
きっと自分達がやったのと同じように歴史を改変することが出来るに違いないとドモンは信じているのです。

そして今回のエピソードのエピローグの3段目は、その31世紀におけるドモンの物語のエピローグです。

マーベラス達のもとから離れてタイムゲートを通り、
31世紀へ自動操縦で戻ってきた豪獣ドリルが時間保護局の基地へと戻ってきました。
辺りはオレンジ色の夕焼けに包まれています。
その夕陽が赤々と射し込む豪獣ドリルのコクピットに1人静かに入ってくる人影がありました。
それは例の白い時間保護局員の制服に身を包んだドモンでした。
ドモンは操縦席の背もたれに手をかけてコクピット全体を見渡して
「・・・お疲れさん!」と感慨深い表情で豪獣ドリルにねぎらいの言葉をかけます。

今回のマーベラス達へ向けて発したミッションは、時間保護局としての公式なミッションではありません。
思うに、おそらくいつも豪獣ドリルをマーベラス達のもとへ送ることは
時間保護局の任務とは別の業務として時間保護局内ではドモン達タイムレンジャー組には
許可されていることなのでしょう。
だから豪獣ドリルの運用に関しては、ドモン達はある程度自由なことが出来る。
今回はその特権を利用してドモン達がちょっと独断でマーベラス達に働きかけたミッションであったのでしょう。

豪獣ドリルは確かに時を超えて航行する能力は有るが、
マーベラス達のところに豪獣ドリルを送るのは、あくまでマーベラス達が自分の時代で戦闘に使うためです。
本来はマーベラス達が豪獣ドリルで時を超えて活動することは許容されていないはずです。
実際、勝手にそんなことをされても面倒なことになるだけです。
だからドモンも普段は豪獣ドリルの時を超える能力をマーベラス達が勝手に使えないようにロックしてある。
だが、今回は時間保護局には内緒で、こっそりと、
2010年10月2日に行って帰ってくることが出来るように設定してマーベラス達のところに送ったのです。

それは、マーベラス達が自分の力で歴史を改変することが出来るように、
歴史の修正力が作用しないギリギリとラインを緻密に計算して誘導していくためのミッションでした。
それが上手くいくかどうかは、まだ分からない。
実際、まだ31世紀時間保護局においても、歴史の流れの変更の兆候はキャッチされてはいない。
つまり、まだ元の時代に戻ったマーベラス達は神社に壺があることに気付いていないのだろうと、
ドモンは思いました。

いずれ彼らがそのことに気付き、動き出し、カクレンジャーの大いなる力を掴み、
宇宙最大のお宝までも手に入れ、それによって地球の危機を救うようになったら、
歴史は改変され、きっとこの31世紀の時間保護局でもそのことで大騒ぎになるだろう。
そんなことが時間保護局で歓迎されるはずもなく、
それゆえ、それを誘導するような今回の極秘の独自ミッションは
ドモンは元タイムレンジャーの仲間以外には秘密にしています。

確かにマーベラス達が起こす歴史の改変は、この31世紀にとっては迷惑かもしれないが、
過去の人々のそれぞれの時代を必死に明日を変えて生きてきた営みの上に現在や未来がある以上、
もしマーベラス達が自分達の力で切り開いた明日の延長線上の未来として、
この31世紀が何らかの形に改変されるというなら、それは自分達31世紀人は受け入れるべきであるし、
ドモン達がかつて21世紀の大消滅を阻止してから戻った31世紀の世界が
そんなに悪い世界でなかったのと同じように、それはきっとそんなに悪い世界じゃないはずです。

ただ、1つだけドモンの心に引っ掛かっている問題がありました。
それは、10年前に21世紀の大消滅を阻止して歴史が改変された時は、
21世紀の歴史の流れの中に居たドモン達は自ら記憶を消去しない限りは、
あの21世紀の歴史改変前の出来事の全ての記憶を保持し続けることが出来たのですが、
今回は自分達は31世紀の時間の中に居るので、
もし歴史が改変された場合、21世紀の改変前の記録は新たな31世紀では改変され、
その記憶も改変されてしまうのです。

普通の31世紀人はそうなっても何ら困らない。
しかしドモン達は困るのです。
ドモンやユウリ達4人にとってはあの2000年から2001年にかけての出来事はかけがえのない想い出であり、
2001年以降の歴史はドモン達にとってのかけがえのない「明日」だったのです。
それが改変されてしまい、下手したら全然違うものになって、
もしかしたらホナミのことや竜也のこと、直人のことなどが分からなくなってしまうかもしれない。

そのことがドモンは不安ではありました。
いや、いっそ忘れてしまった方が31世紀で楽に生きられるのかもしれない。
未来に生きる自分が過去に明日を感じて生きても、その明日は決して手を伸ばしても掴むことは出来ないのです。
だから忘れた方がいいのかもしれない。
しかし、それでも自分にとってかけがえのない明日であり、忘れたくはない。

ただ、何にしても、そのかけがえのない自分の明日に住む21世紀の多くの人々を救うため、
ひいてはホナミや竜也も救うため、今はこのミッションに賭けるしかないとドモンは改めて決意を固めます。
とにかく、これでサイは投げられたのです。
あとはマーベラス達次第。どのような結果になろうと自分は31世紀でその結果を受け入れるしかない。

そう思ってドモンが手で掴んだ操縦席の台座を見下ろすと、何かが置いてあります。
それは例のビデオレターを仕込んでおいたタイムエンブレムでした。
律儀に送り返してくれたのかと思って見てみると、エンブレムの下に何か紙が挟んであります。
「ん・・・?」とドモンが見ると、それは封筒で、その表には「ドモンさんへ」と書いてあります。

ゴーカイジャーから自分に宛てた手紙だと気付いたドモンは封筒の中の便箋を取り出して読みます。
もしかして何かトラブルでもあったのかと少し心配になったのでした。
しかし、そこには「ちゃんと神社を守ってきました。証拠写真を送ります」と下手くそな字で
ごく普通の連絡事項が書いてあります。
なんともシンプルな文面にドモンは安堵して思わず微笑み、
更に続きを読むと「P.S.今度ドモンさんのサインください。ゴーカイシルバー、伊狩鎧」と締めてありました。
手紙の送り主は鎧のようでした。

「俺のサインか・・・こいつ分かってんなぁ〜!」と、お調子者のドモンはちょっと楽しい気分になりました。
と、その時、ドモンは封筒の中に写真が入っていることに気付きました。
そういえば証拠写真が入っていると書いてあったと思い出したドモンはその写真を取出し、眺めます。
それは、例の寝隠神社で2010年10月2日、ザンKT0との戦いの後でマーベラス達が撮った記念写真でした。

ドモンが見ると、そこには確かに神社の拝殿が写っており、その前に8人の人物が写っています。
そのうち6人はゴーカイジャーの6人であることは未来人であるドモンはもちろん分かりますが、
あとの2人は女性と子供で、これはゴーカイジャーではない。
見ると、写真の両端にはホワイトペンで文字が書いてあります。
ドモンは「神社で会った・・・親子と一緒に・・・?」とその文字を読み上げると、
顔をしかめて天を仰ぎ「・・・ったく・・・過去の人間とは関わんなっつったのに・・・!」と呆れます。
あれほどビデオレターで念を押したはずなのに、全然聞いちゃいない連中だとドモンは呆れました。

いや、実際はそれどころじゃなく、シタリを勝手に殺したりしてムチャクチャやってるんですが、
まぁシタリの件は確かにどっちにしてもシタリはあそこで誰かに殺される運命だったと思いますし、
マトリンティス関係もマーベラス達と関わったことで
そんなに大きく運命が変わるというほどのことはなかったでしょう。
どっちにしてもメタルAはブレドランを拾っていたでしょうし、
ザンKT0は改良されていてもいなくても、どっちにしてもゴセイジャーに倒されたでありましょう。
また、ダイゴヨウも律儀に秘密を守ったから、
ダイゴヨウとの出会いも誰の運命にも影響は与えなかったと思われます。

しかし、とにかくドモンはどんな些細なことでも、
マーベラス達が過去の人間と不用意に関わることは気に入らないようでした。
それは、自分が過去の人間と関わって未来に戻って、
自分の明日を過去に置き忘れたような切ない生き方をすることになったからです。
自分で選んだ道とはいえ、辛くないと言えばそれは嘘です。
だから他人にはとてもお勧め出来るようなことではない。むしろ厳に戒めるべきことだったのです。

それでしっかりと警告はしたつもりだったのに、
全く忠告を聞かずに親子連れとヘラヘラ笑って記念写真まで撮っているとは・・・と呆れて、
憮然とした顔でドモンはその写真の親子の顔を見ます。
すると、その母親の顔を見るドモンの目の色があっという間に変わっていきます。
その母親の顔は、ドモンが忘れようにも決して忘れられない女性の顔だったのです。

目を見張って、ドモンは「・・・ホナミちゃん・・・」と呟きました。
そして、その横に立つ10歳ぐらいの男の子を凝視してドモンは「じゃ・・・この子は・・・!」と声を震わせました。
写真には「親子」と書いてあるので、つまりはこの男の子はホナミの子供ということです。
つまりホナミが10年ぐらい前に産んだ子です。
しかし10年前というと、ホナミと自分が別れ別れになった時です。
あの時点ではもちろんホナミに子供はいなかった。
ということは、自分と別れてから少し経ってホナミが産んだ子ということになります。
ということは、自分の子供なのだと、ドモンは直感しました。

同時にドモンの胸に嬉しさが込み上げてきて、涙が溢れそうになり、
ドモンは反射的に涙を抑えようとして笑顔で「なんだよ・・・俺に似てハンサムじゃねぇか・・・」と冗談を言いますが、
それでも込み上げてくるものが止まらないので天を仰いで堪えます。
それでようやく涙を止まり、ホッとしたドモンは操縦席に腰かけて、改めて写真をじっと見つめましたが、
結局、涙が再びあふれてきて止められなくなり、
じっと写真のホナミと自分の息子の顔を見つめて、泣き崩れるのでした。

ドモンは自分の明日が、単に21世紀に置き忘れた想い出であり、
それがもしかしたら近いうちに自分がマーベラス達に起こすように誘導した歴史改変で
消えてしまうのではないかと不安を抱いていました。

しかし、そうではなかった。
ドモンは自分の21世紀に置いてきた明日は、しっかり自分のいる未来へ向けて繋がっていたことを知ったのです。
自分の未来は過去において消えていってしまうのかという不安はもう持つ必要は無い。
未来は過去においてしっかり繋がっていくのです。

31世紀のドモンのいる未来がどう変わろうとも、必ずドモンが21世紀という過去に撒いた未来の種は、
過去において繋がっていき、未来のドモンに繋がってくるのです。
だからもう歴史の改変を恐れる必要は無い。
自分とホナミとその子供、そしてその子供も延々と、自分達は繋がっているのだと思い、
ドモンは嬉しさの余り、感涙したのでありました。

この「21世紀のドモンの未来は過去に在り、31世紀の未来のドモンに向けて繋がってくる」というのが、
今回のサブタイトル「未来は過去に」の真の意味でしょう。
そして、その21世紀のドモンの未来を31世紀のドモンまで繋げる起点となるドモンの息子の名前が
「未来」であることは象徴的なことであり、
またサブタイトル「未来は過去に」も、
「未来」という名のドモンの息子がドモンから見た「過去」に存在して、
ドモンの居る未来まで繋がっているという意味合いもあるということになります。

そして、実際、今回、この未来が寝隠神社にたまたま居合わせていなかったら、
マーベラス達はナナシ連中を追い払った段階でミッションは完了してしまったのだと安心してしまい、
おそらく神社を守ることに失敗してしまっていたでしょう。
つまり、ドモンの息子の未来がドモンのミッションを成功に導いて、
新たな21世紀の未来を拓く礎となったのだといえます。

そして、そのドモンの息子の未来の生き方に示唆を与えて彼自身の未来を拓く礎となったのが、
鎧の受け継いだタイムレンジャーの精神なのであり、
そのタイムレンジャーの精神は、もともとはドモン達が築いたものです。
つまり、ドモンは鎧という男の存在を介して、しっかり自分の息子の未来を拓くことが出来ているのであり、
そしてその息子は、しっかり21世紀の新しい未来を拓く力となっているのです。
これこそ、未来と過去を繋ぐ運命の妙であり、
まさにタイムレンジャー篇にふさわしいエピローグであったといえるでしょう。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:22 | Comment(0) | 第40話「未来は過去に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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