2011年12月13日

第41話「なくしたくないもの」感想その1

最終クールに入って、まず地味ながら最終決戦の雛形を想わせるような象徴的エピソードであったメガレンジャー篇、
そして凄まじい情報量のクロスオーバーの極致のようなタイムレンジャー篇、
この2つの極めて特徴的なレジェンド回を2つ続けて、残すエピソードは11話となったところで、
「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品も今回、第41話から遂にクライマックスに向けた展開に突入します。

そういうわけで、ここで一旦、現在の諸々の状況を整理しておきます。
まず、レンジャーキーですが、
ゴーカイジャーのレンジャーキーがゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、
ゴーカイグリーン、ゴーカイピンク、ゴーカイシルバーの6個あります。
そして、第1話や「199ヒーロー大決戦」映画の中で描かれたレジェンド大戦の最終局面に参加していた
34のスーパー戦隊の192人の戦士たちの放出した「戦う力」が
人形&カギ型に姿を変えたレンジャーキーが192個あります。
以下、その192戦士を列挙します。

アカレンジャー、アオレンジャー、キレンジャー、モモレンジャー、ミドレンジャー
スペードエース、ダイヤジャック、ハートクイン、クローバーキング、ビッグワン
バトルジャパン、バトルコサック、バトルフランス、バトルケニア、ミスアメリカ
デンジレッド、デンジブルー、デンジイエロー、デンジグリーン、デンジピンク
バルイーグル、バルシャーク、バルパンサー
ゴーグルレッド、ゴーグルブラック、ゴーグルブルー、ゴーグルイエロー、ゴーグルピンク
ダイナレッド、ダイナブラック、ダイナブルー、ダイナイエロー、ダイナピンク
レッドワン、グリーンツー、ブルースリー、イエローフォー、ピンクファイブ
チェンジドラゴン、チェンジグリフォン、チェンジペガサス、チェンジマーメイド、チェンジフェニックス
レッドフラッシュ、グリーンフラッシュ、ブルーフラッシュ、イエローフラッシュ、ピンクフラッシュ
レッドマスク、ブラックマスク、ブルーマスク、イエローマスク、ピンクマスク
レッドファルコン、イエローライオン、ブルードルフィン、グリーンサイ、ブラックバイソン
レッドターボ、ブラックターボ、ブルーターボ、イエローターボ、ピンクターボ
ファイブレッド、ファイブブルー、ファイブピンク、ファイブブラック、ファイブイエロー
レッドホーク、ホワイトスワン、イエローオウル、ブルースワロー、ブラックコンドル
ティラノレンジャー、マンモスレンジャー、トリケラレンジャー、タイガーレンジャー、プテラレンジャー、ドラゴンレンジャー
リュウレンジャー、シシレンジャー、テンマレンジャー、キリンレンジャー、ホウオウレンジャー、キバレンジャー
ニンジャレッド、ニンジャホワイト、ニンジャブルー、ニンジャイエロー、ニンジャブラック
オーレッド、オーグリーン、オーブルー、オーイエロー、オーピンク、キングレンジャー
レッドレーサー、ブルーレーサー、グリーンレーサー、イエローレーサー、ピンクレーサー、シグナルマン
メガレッド、メガブラック、メガブルー、メガイエロー、メガピンク、メガシルバー
ギンガレッド、ギンガグリーン、ギンガブルー、ギンガイエロー、ギンガピンク、黒騎士
ゴーレッド、ゴーグリーン、ゴーブルー、ゴーイエロー、ゴーピンク
タイムレッド、タイムピンク、タイムブルー、タイムイエロー、タイムグリーン、タイムファイヤー
ガオレッド、ガオイエロー、ガオブルー、ガオブラック、ガオホワイト、ガオシルバー
ハリケンレッド、ハリケンブルー、ハリケンイエロー、カブトライジャー、クワガライジャー、シュリケンジャー
アバレッド、アバレブルー、アバレイエロー、アバレブラック、アバレキラー
デカレッド、デカブルー、デカグリーン、デカイエロー、デカピンク、デカブレイク、デカマスター、デカスワン
マジレッド、マジイエロー、マジブルー、マジピンク、マジグリーン、マジシャイン、マジマザー、ウルザードファイヤー
ボウケンレッド、ボウケンブラック、ボウケンブルー、ボウケンイエロー、ボウケンピンク、ボウケンシルバー、大剣人ズバーン
ゲキレッド、ゲキイエロー、ゲキブルー、ゲキバイオレット、ゲキチョッパー、リオ、メレ
ゴーオンレッド、ゴーオンブルー、ゴーオンイエロー、ゴーオングリーン、ゴーオンブラック、ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー
シンケンレッド、シンケンブルー、シンケンピンク、シンケングリーン、シンケンイエロー、シンケンゴールド、姫シンケンレッド
ゴセイレッド、ゴセイピンク、ゴセイブラック、ゴセイイエロー、ゴセイブルー、ゴセイナイト

以上の192戦士がレジェンド大戦の最終局面において放出した戦う力が192個のレンジャーキーとなっています。
これにゴーカイジャーのレンジャーキー6個を合わせた198個がレンジャーキーの総数であり、
この198個は現在、全てマーベラス一味が所持しています。

なお、この198個とは別に、今中笑里の手製のアバレピンクのレンジャーキーもどきがアイムの手許にあり、
一応これを使ってアバレピンクのコスプレ姿に変身は出来ます。
どうでもいいといえばどうでもいいのですが、案外また再利用されかねないので補足しておきます。

そして、レンジャーキー化はしていませんが、アカレッドという戦士が別に存在しており、
現在は一応死んだという扱いになっていますが、生きているのではないかと推測出来ます。
また、カクレンジャーの6番目の戦士であるニンジャマンが
寝隠神社の本殿奥の壺の中に封じられている可能性もあります。
そして、このアカレッドにしてもニンジャマンにしても、普通の人間ではなく、
一種の精神生命体のような存在なので、もしかしたらレンジャーキー化することも出来るのかもしれません。

さて、マーベラス一味が所持する198個のレンジャーキーを用いて変身出来る戦士の数は198人ですが、
この第41話開始時点で、この中でまだTV本編において
マーベラス一味の誰もレンジャーキーを用いて変身したことのない戦士は、
ファイブレッド、ファイブブルー、ファイブブラック、ゴーオンゴールド、
デカマスター、マジマザー、リオ、メレ、姫シンケンレッドの9戦士です。

また、鎧もゴーカイセルラーを使って、その気になればどの戦士にも変身出来るようなのですが、
一応受け持ち分の戦士とされる、ゴーカイセルラーのボタンに配された戦士達のうち、未だ変身していない戦士は
ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバーの2戦士です。
但し、この2人の合体戦士であるゴーオンウイングスにはしょっちゅう変身しています。

そしてゴーカイジャーの6人が、10人の番外戦士を除いて、
5人一斉変身ないし6人一斉変身が可能な戦隊のうち、TV本編で未だ一斉変身をしていない戦隊は
ファイブマン、ジュウレンジャー、マジレンジャーの3戦隊です。

なお、番外戦士キーを使えば、カーレンジャー、ギンガマンも6人一斉変身は可能ですが、未だやっていません。
また、ゴーオンジャーは正規フルメンバーが7人なので
ゴーカイジャーの6人では一斉変身が出来ないので、未だやっていません。
但し、ゴーオンジャー5人+合体戦士ゴーオンウイングスという6人一斉変身は既に消化済みです。

次に、「大いなる力」ですが、これまでにマーベラス一味に「大いなる力」を渡した戦隊は、
マジレンジャー、デカレンジャー、ゲキレンジャー、ガオレンジャー、シンケンジャー、カーレンジャー、
アバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャー、ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、
ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、ターボレンジャー、ダイレンジャー、ボウケンジャー、
ゴーオンジャー、ゴセイジャー、ギンガマン、ゴーゴーファイブ、ハリケンジャー、ジェットマン、
ライブマン、オーレンジャー、メガレンジャーの27戦隊です。

一方、バスコに「大いなる力」を奪われた戦隊は、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3戦隊です。

そして、未だ「大いなる力」を保持したまま姿を現していない戦隊は、
バトルフィーバーJ、サンバルカン、ファイブマン、カクレンジャーの4戦隊ですが、
そのうちカクレンジャーは寝隠神社の本殿に安置してある壺の中に「大いなる力」が在るようですが、
そのことはマーベラス達もバスコもまだ気付いてはいないようです。

となると、残り11話の中でカクレンジャー篇は確実にあると思われます。
また、来年1月21日公開の映画「ゴーカイジャーVSギャバン」に
バトルフィーバーJの元バトルケニア、曙四郎が登場するようですが、
この映画はあくまでゴーカイジャーとギャバンがメインの物語であって、曙四郎はゲスト扱いのようですから、
となると、それ以前にTV本編の方で既に曙四郎がレジェンドゲストとして登場している可能性が高い。
となると、第46話以前にバトルフィーバーJ篇もある可能性は大といえます。

そうなると残るはサンバルカン篇とファイブマン篇が有るのか無いのかということになります。
残り話数的には11話で4つのレジェンド回を全部こなすことは、
今までの2話に1話の割合でレジェンド回というペースならば十分に可能ですが、
何せ物語もクライマックスですから、最後の方は「宇宙最大のお宝」が登場して、
それを巡るストーリーが何話にもわたって繰り広げられることは確実で、
その段階では「大いなる力」は全て集め終っているはずですから、もはやレジェンド回は無い。

そうなると、おそらくどれだけ遅く見積もっても、
第48話ぐらいまでには全てのレジェンド回は終了しているはずで、
実質的には8話で4つのレジェンド回ということになるが、
2話に1話ペースも苦しくなると思うので、
今後のレジェンド回は、カクレンジャー篇とバトルフィーバーJ篇と、
増えたとしても、あともう1つぐらいでしょう。
つまり、サンバルカン篇かファイブマン篇のどちらか一方は無いか、あるいは両方とも無い可能性もあります。

なお、マーベラス一味が「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
第3話に登場した元マジレッドの小津魁の説明によれば、
「34のスーパー戦隊の大いなる力を全部引き出す」必要があるようです。

その「大いなる力を引き出す」という行為を、
ゴーカイオーもしくは豪獣神のコクピットにある鍵穴に「大いなる力」の宿ったレンジャーキーを挿し込んで、
巨大戦における何らかのパワーを発動した場合だと定義するならば、
これまでにマーベラス一味が獲得した27戦隊の「大いなる力」のうち、
それを実際に引き出したケースは17戦隊分だけであり、
カーレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、
ターボレンジャー、ジェットマン、オーレンジャー、メガレンジャーの10戦隊分の「大いなる力」は
まだ引き出されてはいません。
また、それらとは別に、マーベラス一味はゴーカイジャーの「大いなる力」を既に引き出すことには成功しています。

このような状態で、「ゴーカイジャー」の物語は今回からクライマックスの展開へと突入していきます。
今回、その開始を告げたのが、
第38話でゴーカイジャーによって司令官ワルズ・ギルと特務士官バリゾーグを倒されて以降、
事実上、活動休止状態に陥っていたザンギャック地球侵略軍に、
ザンギャック帝国の皇帝アクドス・ギルが自ら指揮を執るために直接乗り込んできて、
最愛の息子を殺したマーベラス一味の抹殺と、地球征服を至上命題として掲げたことです。

今回、新たに登場したキャラは、皇帝アクドス・ギルと、側近の親衛隊員のダイランドーとザツリグで、
これに地球侵略軍の生き残り幹部の参謀長ダマラスと開発技官インサーンを加え、
更に皇帝が引き連れてきた親衛隊士官のドゴーミン軍団も合わせた陣容が、
新生ザンギャック地球侵略軍の中核となります。

おバカな司令官であったワルズ・ギルに率いられていた頃の
ギャグ描写の多かったザンギャック地球侵略軍に比べると、
全く様変わりした、緊張感あふれる武闘派集団になったといえます。
その最大の要因は、やはりなんといっても皇帝アクドス・ギルの圧倒的な存在感です。
造形、キャラ設定、そして小川真司氏の声によって、
一切の妥協もブレも無い、冷厳な宇宙の独裁者というキャラが登場と同時に既に出来上がっています。

さて、私は「ゴーカイジャー」に関してはTV本編のネタバレ情報は出来るだけ目にしないようにしており、
特撮関連雑誌などでTV本編の先取り情報を見てしまった場合も、
このブログを書く際にはそれらの情報は知らない前提で書くようにしています。
ただ、TV本編以外の情報、例えば映画関係の情報などは普通に参考にしますので、
それらだけを材料にして、ここから先のクライマックスの展開をいくらか予想してみます。

まず来年1月21日公開の「ゴーカイジャーVSギャバン」の登場キャラ一覧のザンギャックのところに
アクドス・ギル、ダイランドー、インサーンの名があるのにザツリグとダマラスの名が無いことが1つポイントです。

登場キャラの中にアクドス・ギルがいるということは、
「ゴーカイジャーVSギャバン」の物語はアクドス・ギルが地球にやって来た今回のエピソード以降、
つまり第41話以降のエピソードなのだということになります。
そして映画公開日が第47話放送日の前日であることから、
「ゴーカイジャーVSギャバン」のエピソードは第47話開始以前のエピソードと考えられます。
すなわち、「ゴーカイジャーVSギャバン」のエピソードは
時系列的には第41話から第47話開始前までの間のどこかに挿入されるべきエピソードなのでしょう。

そして、今回の第41話でザンギャック地球侵略軍の幹部が
アクドス・ギル、ダイランドー、ザツリグ、ダマラス、インサーンという顔ぶれになりますが、
まず今回でザツリグが倒されていきなり居なくなります。
「ゴーカイジャーVSギャバン」にはザツリグは登場しませんから、
映画は今回の第41話終了後のエピソードということになります。

そして更に「ゴーカイジャーVSギャバン」のザンギャック幹部の面子から
ダマラスの名だけが消えているということは、
ダマラスもザツリグ同様、近々居なくなるということなのでしょう。
そして、そのダマラスが居なくなる時期もだいたい予想はつきます。
それは、第44話が今年はクリスマス当日だからです。

戦隊の玩具はクリスマスプレゼントとして子供たちに買われることが多く、クリスマス商戦は非常に重要です。
だから玩具販促番組であるスーパー戦隊シリーズはクリスマス商戦時期、
一大決戦エピソードで盛り上げるのが恒例化しており、
だいたいこのクリスマス商戦期のエピソードは前後篇編成で敵幹部の誰かが倒されます。

で、子供へのクリスマスプレゼントというのはクリスマスイブの夜に枕元に置いておくのが通例ですから、
クリスマスの朝7時半から一大決戦エピソードの後篇を張り切って放送してもあまり意味は無い。
だから、今年は第42話、第43話を一大決戦エピソードの前後篇とし、
第44話は年内最終エピソードとして、息抜き的なエピソードか総集編エピソードとすることになり、
年明けて1週休んだ後の1月8日放送の第45話から最終決戦篇に突入していくことになるでしょう。

そうなると、おそらく第43話でザンギャック幹部の誰かが倒されていなくなるのですが、
「ゴーカイジャーVSギャバン」の登場キャラで主要キャストからダマラスの名だけが消えていることから考えて、
ダマラスは第43話で倒されて退場ということになるのでしょう。

となると、「ゴーカイジャーVSギャバン」は
第43話終了後から第47話開始前の間のどこかに挿入されるエピソードであり、
「ゴーカイジャー」TV本編が第51話で終了であることを考え合わせると、
時系列的にかなりクライマックスの時期のエピソードが映画化されるのだということになります。
これはスーパー戦隊シリーズの「VSシリーズ」においては極めて珍しいことです。

もともと、この「VSシリーズ」は2月に放送終了した戦隊が前年戦隊と共闘する特別篇を
3月にVシネマでリリースするというもので、
撮影時期はその戦隊の撮影の終盤の方、だいたい10月ぐらいであり、
そのため、物語内の時系列的にも10月ぐらいの出来事とされ、
話数的には第32話〜第33話あたりに挿入されるエピソードとして扱われていました。
なお「ギンガマンVSメガレンジャー」だけ、ビデオリリース時期に合わせて、
ギンガマンがバルバンとの戦いを終えてギンガの森に戻って以降の後日談として作られています。

この「VSシリーズ」のVシネマが2009年の「ゴーオンジャーVSゲキレンジャー」から、
1月下旬公開の劇場版としてリニューアルされ「スーパー戦隊祭」という名になり、
その第4弾が今回の「ゴーカイジャーVSギャバン」です。
ただ、このスーパー戦隊祭の過去3作品も、それ以前のVシネマ時代の伝統を受け継ぎ、
時系列的に10月ぐらいのエピソードとして作られていました。

しかし、Vシネマ時代は放送終了後のリリースだったので、
時系列的に半年ほど遡ったエピソードであっても特別篇としてそんなに違和感は無かったが、
劇場版になって以降は、映画公開時期の1月下旬といえば、
TV本編の方はラスト3話あたりの、物語も大詰めの段階なので、
劇場版の時系列が同時進行中のTV本編よりも3ヶ月以上も遡っているのは、かなり興醒めではありました。
というより、結構これは子供は混乱するはずです。

それが今回の「ゴーカイジャーVSギャバン」は第43話後から第47話前の出来事であるということになれば、
それは時系列的に12月下旬から1月中旬の出来事となり、
映画公開日の1月21日とほぼ同時期の出来事となりますから、
劇場版とTV本編の世界に大きな違いは無く、混乱が少なくて良いことだと思います。

このようにTV本編のクライマックスの展開と同じ時期のエピソードを同時期公開の劇場版で描くというのは、
これまでのスーパー戦隊シリーズでは見られなかった試みです。
ただ、これと似た前例は仮面ライダーシリーズで1回だけあります。
それは2009年夏から放送された「仮面ライダーW」の
クライマックスの展開が放送された2010年夏におけるTV本編の展開と、
同時期公開された劇場版「運命のガイアメモリAtoZ」との関係です。

「ディケイド」以降は冬映画も作られるようになったが、
もともと仮面ライダーシリーズは劇場版は夏だけに公開されており、
TV本編のクライマックスは冬でしたから、
クライマックスの展開が劇場版と同時期になるということ自体が無かったのですが、
「ディケイド」からTV本編終了が夏になるように放送期間を半年ずらすようになった結果、
これまでのところ「ディケイド」「W」「オーズ」の3作品は
TV本編のクライマックス時期に劇場版が公開されています。

しかし、その中でTV本編と劇場版の内容がリンクしているのは
「W」本編と劇場版「運命のガイアメモリ」の場合だけです。
「ディケイド」と「オーズ」に関しては劇場版はTV本編とは内容がリンクしない別作品です。

そして、今回の「ゴーカイジャー」TV本編と「ゴーカイジャーVSギャバン」の関係はどちらに近いかというと、
それはやはり「W」の方のパターンでしょう。
「ゴーカイジャーVSギャバン」には、ダマラスが出ないとか、曙四郎が出るとか、TV本編とのリンクが多い。
つまり、「W」の場合と同じように、
TV本編の第何話と第何話の間に劇場版は挿入されるというようなことが明確になっていると思われるのです。

そして、それが第何話と第何話の間であるのかについても「W」のケースを参考にして予想することは出来ます。
何故なら、それはクリエイティブな分野ではなく販促のカテゴリーに属することなので、
この「ゴーカイジャー」のケースが「W」のケースと同じTV本編クライマックスと劇場版を
リンクさせる方針である以上、「W」と似たパターンが繰り返される公算が大だからです。
特に「W」本編と劇場版「運命のガイアメモリ」が双方とも大成功作品となったという実績がある以上、
販促分野においては似たようなパターンが繰り返される可能性が高くなります。

その「W」の場合、どういうスケジュールになっていたのかというと、
7月25日放送の第44話の中で劇場版の前フリ的な描写が幾つか流れ、
8月1日放送の第45話の冒頭で劇場版のラストシーンの後日談的な描写があり、
ここからTV本編のクライマックス篇が始まり、最終話である第49話まで一連のストーリーが5話続きました。
そして劇場版は8月7日、つまり第46話放送日の前日に公開されましたが、
それは第44話と第45話の間に発生した事件の物語とされました。

これを「ゴーカイジャー」に当てはめてみると、
劇場版「ゴーカイジャーVSギャバン」の公開日は1月21日、すなわち第47話放送日の前日です。
これを「W」のパターンにそのまま当てはめると、
「ゴーカイジャーVSギャバン」の物語は第45話と第46話の間の事件を描いたものということになり、
第46話からクライマックス篇が始まるということになりますが、
「ゴーカイジャー」の場合、第45話は正月明けの来年1発目のエピソードであり、
その次の回からクライマックス篇が始まるということになると、第45話だけ中途半端に余ってしまいます。

例年、スーパー戦隊シリーズでは1月の最初のエピソードからクライマックス篇が始まるのが通例ですから、
「ゴーカイジャー」もおそらくそうなるでしょう。
となると、「ゴーカイジャーVSギャバン」の物語は
第44話と第45話の間のクライマックス篇開始直前のエピソードという扱いとなるのでしょう。
つまり、ちょうど1月1日は元旦で放送休止なので、この休止日を埋めるようなエピソードが
1月21日公開の「ゴーカイジャーVSギャバン」ということになるのではないかと思います。

そうなると、クリスマス放送の第44話の中で本筋とは別に
「ゴーカイジャーVSギャバン」の前フリ的な描写が少しあることが予想され、
また、年明け最初の放送の第45話の冒頭には、
「ゴーカイジャーVSギャバン」の後日談的な描写が挿入される可能性が高い。
そして第45話からTV本編の物語はクライマックスの一連のストーリーが始まるのでしょう。

さて、そうなると、「ゴーカイジャーVSギャバン」に曙四郎がゲストとして登場する以上、
TV本編にも第44話以前に曙四郎が登場していなければならないのだが、
今回の第41話はアイム篇、
そしておそらく第42話、第43話はクリスマス商戦のための一大決戦エピソードでダマラス退場となると、
曙四郎を登場させることの出来るエピソードは第44話しかない。
ということは、第44話はバトルフィーバーJ篇だと予想出来るのです。

つまり、第41話はアイム篇、
第42話と第43話は前後篇でダマラスとの決戦篇、
第44話はクリスマスエピソードのバトルフィーバーJ篇、
そして年末から年明け時期の「ゴーカイジャーVSギャバン」のエピソードを挟んで、
年明け最初の放送の第45話からクライマックス篇が始まり、
最終話である第51話まで一気に一連のストーリーが7話続くという予想が立ちます。
「ゴーカイジャーVSギャバン」に関する情報だけでもこれぐらいは想像することが出来ます。

そして、もう1つ、映画情報があります。
それは来年ゴールデンウィークに公開されることが決まったという「スーパーヒーロー大戦」です。
これは歴代仮面ライダーと歴代スーパー戦隊が総登場するという、クロスオーバーの極致のような映画で、
「ディケイド」と「ゴーカイジャー」をコラボさせたような物凄い企画であり、
果たしてクオリティを維持することが出来るのか、甚だ不安ではありますが、内容はまだ詳細は分かりません。
ただ、ゴーカイジャーも登場するようです。

この春の時期はもともとは毎年「仮面ライダー電王」関連の劇場版を公開しており、
「電王」もいい加減ネタ切れなので今年は「レッツゴー仮面ライダー」という、
オーズと電王の世界観を中心にして歴代全ライダーが登場するクロスオーバー映画を4月にやっていました。
今年はそれとは別にもう1つのクロスオーバー映画「199ヒーロー大決戦」、
すなわち、スーパー戦隊のクロスオーバー映画も
春(東日本大震災による延期が無ければ5月公開予定だった)にやっており、
どうやらこの2つを合体させたような映画を来年の春に公開しようということのようです。

しかもそれを毎年シリーズ化しようとのことらしく、その意図はイマイチどういうことなのか分かりませんが、
おそらく毎年歴代総集合企画をやっても大変だし飽きられると思うので、
「戦隊VSライダー」映画を毎年春恒例にしようという意味ではないかと思います。
つまり、その時期にTVで放送している戦隊とライダーがコラボして、
そこに多少は歴代とのクロスオーバー要素も絡めたり、前年戦隊とのVS要素も合わせるつもりかもしれません。
実際、今年は春映画で「ゴーカイジャーVSゴセイジャー」を実質的にやってしまったし、
来年もその「スーパーヒーロー大戦」で
「ゴーバスターズVSゴーカイジャー」をやってしまうつもりかもしれません。

ただまぁ、この「スーパーヒーロー大戦」のその後のことはあまりに曖昧な話なので、まぁどうでもいいです。
ここで重要なのは、今年の春に続いて来年の春にも歴代戦隊総集合の映画が公開されるということです。
そして、今年の春の「199ヒーロー大決戦」映画のレジェンド大戦のシーンの撮影は、
今年の2月上旬に放送された「ゴーカイジャー」第1話冒頭のレジェンド大戦のシーンの撮影と
同じ現場で撮影された映像、というか、ほとんど同じ映像の使い回しであったのです。
また「199ヒーロー大決戦」映画の中の176人の歴代戦士とゴーカイジャー&ゴセイジャーが戦うシーンの撮影も
同じ現場で行われています。

つまり、何を言いたいのかというと、
来年の春公開の映画の撮影で再び歴代戦隊の全戦士の変身スーツを着たスーツアクターさん達を
全国から掻き集めるのなら、
その映像は来年2月上旬に放送する「ゴーカイジャー」の最終3話あたりでも使えるということです。

いや、というよりも、実際は話は逆で、
「ゴーカイジャー」の最終盤で再び34戦隊全ての戦士が一堂に会して戦う場面があるから、
どうせその撮影でまた全国からスーツアクターを掻き集めなければならないのだから、
ついでにまた歴代戦隊総集合映画も作ってしまおうということになったのではないでしょうか。
それで来年春の「スーパーヒーロー大戦」映画の企画が実現したのではないでしょうか。
ライダー総集合と違って戦隊総集合はホントに大変で、
「ゴーカイジャー」最終盤で再び歴代戦隊総登場という脈絡が無ければ、
映画企画だけではこれは実現しなかったのではないかと思えるのです。

そもそも、レジェンド大戦の強烈なインパクトで始まった「ゴーカイジャー」という作品は、
そのクライマックスにも、やはり同様のインパクトでなければ締まらないのではないでしょうか。
だから、第45話から始まるクライマックス篇の最後の最後に
34戦隊の戦士が総登場してバトルを繰り広げるのではないかと思うのです。
なんとなくそういう予想はしていたのですが、「スーパーヒーロー大戦」という映画が来年春公開と聞いて
「ゴーカイジャー」のクライマックスに再び34戦隊全戦士が登場して
ゴーカイジャーと共に戦う可能性が高くなったと思えてきたのでした。
にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:48 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第41話「なくしたくないもの」感想その2

そういうわけで、今回のエピソードはクライマックスへの流れが遂に始まったエピソードではありますが、
真のクライマックス篇は年明けの第45話から第51話(最終話)までの7エピソードだと思われ、
今回の第41話はさしあたっては第43話のクリスマス商戦向けの一大決戦に向かっていくエピソードだと思われます。
その第43話の決戦で退場するのはおそらくダマラスであり、
年明けクライマックス篇の敵ラスボスは、もちろん今回登場した皇帝アクドス・ギルであろうというのが
順当な予想ということになります。

確かに皇帝アクドス・ギルは、まぁ前任者のバカ息子のワルズ・ギルが愚か過ぎたということもありますが、
貫録十分の敵の総帥に見えます。
造形、キャラ設定、声など、全てが完璧で、圧倒的カリスマと言ってもいい、
歴代の敵ボスの中でも出色の出来だと思います。
このアクドス・ギルがワルズ・ギルのように簡単に倒されるとは到底思えない。
しかし、ワルズ・ギルだって、確かにバカではありましたが、
まさか第38話で退場するとは予想も出来ませんでした。
つまり、この「ゴーカイジャー」という物語はどうも予想外のことが起きるのです。

まぁ予想といっても、例えば私がこのブログで考察して予想してきたことというのは、
その都度のタイミングで、ストーリー内で与えられた情報をふまえて、
最も順当な予想をしているだけのことであって、
やけに細かく考察しているために一見トンデモなことも書いていますが、
基本的には奇をてらうことは避けて、最もあり得そうな方向で予想しています。

つまり、当たり前のことしか予想していないわけで、
それがそのまま当たってしまうのは、どちらかというと物語としてはつまらないと言えます。
その点、新たな展開が生じて、前提条件がどんどん変わっていって、
結果として予想外のことがよく起きる「ゴーカイジャー」は物語として非常に面白い。
ワルズ・ギルやバリゾーグのああいうタイミングでの退場にしても、
唐突感よりも、物語としての醍醐味の方があったと思います。

大抵の人は「ゴーカイジャー」の物語の前半を観ていけば、
マーベラス達がワルズ・ギルを倒したり、バリゾーグとジョーの因縁の決着がついたりするのが
最終決戦のストーリーの核となると予想するでしょう。
そして、その展開を想像して楽しみにしていました。

ところが、ワルズ・ギルとバリゾーグが第38話という中途半端な時期に退場してしまう。
死体が映ってワルズ・ギルの復活の芽も潰され、
シドの魂も成仏してしまい、シドの奇跡の復活も無くなってしまった。
また、意外にもダマラスが忠臣であったことが判明して、
ダマラスが裏切るのだろうという大方の予想も外れた。
そのダマラスももうすぐ退場してしまう。

このように意外な展開の連続で、
思い描いて楽しみにしていたクライマックスのストーリーがもはや実現しないと分かると、
落胆する人もいます。
そうしたガッカリ感が作品への不満に転化して、第37話、第38話がイマイチだったと言う人もいます。
実際はあの前後篇の完成度は極めて高いのですが、
自分の思い描いていた物語とあまりにも違う展開を生じさせたエピソードであるので、
それが不満で、また、今後の物語の展開が不安になり、それでついケチをつけたくなってしまうのです。

しかし、制作者もバカではない。
中にはもちろん行き当たりばったりでドラマを作っているような制作者もいますが、
この「ゴーカイジャー」の緻密な作りを見れば、
この作品の制作者はしっかりと物語を作っていることが分かります。
ならば、クライマックスにワルズ・ギルとの決戦、ダマラスの裏切り、
ジョーとバリゾーグの決着などがあれば盛り上がることぐらい、制作者も分かっていたはずです。

それをあえて外したということは、
それ以上に面白い仕掛けがクライマックスに用意されていると見た方がいいでしょう。
何せ、この作品のチーフプロデューサーの宇都宮氏は、
近年のスーパー戦隊シリーズでは最も視聴者の予想を裏切った、
あの「シンケンジャー」のクライマックスの展開を制作した人物です。

「シンケンジャー」という作品はもともと名作であったとは思いますが、
あの最終6話があって、シリーズ屈指の名作とまで言われるようになったと思います。
ただ、あのまま志葉丈瑠が真の殿様のままで最終6話を描いても間違いなく面白くなったはずで、
そういう展開を楽しみにしていた人は、あの影武者展開を不満に思った人もいて、
今でも非難している人もいます。
確かに影武者展開にしなくても面白いものになったであろうし、
それを楽しみにしていたこと自体、間違ったことでもなく、
それが裏切られて不満に思う気持ちも分からないでもない。
ただ公平に見て、影武者展開の方が物語に深みが増して、より見応えのあるものになったのは間違いないです。

「ゴーカイジャー」もそれと同じで、当初予想されていたクライマックスの展開と違ったものとなりつつあるのは、
年明けのクライマックス篇で何か大きな仕掛けが用意されているからではないかと思えるのです。
となると、あの盤石に見えるアクドス・ギルも安泰とは言い切れません。
むしろ、今回登場したアクドス・ギルの「宇宙の帝王」としての威厳やカリスマが完璧すぎるのが
曲者のように思えてきます。
まさかあれほど完璧なラスボスとしてのキャラ付けをしておいて、
実はラスボスではないなどということは有り得ないと思わせておいて、
アクドス・ギルもまた早々に退場などということになれば、まさに驚きの展開となるでしょう。
それを見越してのアクドス・ギルの完璧すぎる帝王としてのキャラ設定のようにも思えてきます。

これは何も奇をてらって適当な予想をしているわけではなく、2つばかり理由はあっての推論です。
もちろん当たる保証は無い予想なのですが、そのように推論してしまうに足るだけの理由はあるのです。
まず理由その1は、アクドス・ギルがどうもラスボスにしては真っ当すぎるキャラであり、
しかも登場時期が遅すぎるということです。

アクドス・ギルは名前からも分かる通り、もちろん悪人なのであり、善良な人間ではないでしょう。
ただ、今回も息子が殺されて腹心に裏切られたかもしれないと疑心暗鬼になっているにもかかわらず、
一切感情に揺れが見受けられない。
かといって感情が欠落した冷血漢なのかというと、そういうわけでもなく、
しっかり息子の仇討ちをしようとしており、
ダマラスのこともそれなりの真っ当な手順で処分を下そうとしているようで、
決してすぐに殺そうとはしていない。

つまり、このアクドス・ギルという人は皇帝としてやるべきことを厳粛に遂行しているだけであり、
感情的すぎるわけでもなく、冷酷すぎるわけでもない。
自らを非常に強く律している、ある意味、立派な皇帝なのです。
ただザンギャック帝国が根本的に悪の帝国なので、
アクドス・ギルが立派な皇帝であればあるほど、アクドス・ギルは絶対的な悪の存在ということになるのですが、
アクドス・ギルという個人として見る分には、この人は決して軽蔑すべき人格ではない。
むしろ欠点を探すのが難しそうな人物です。
帝国に虐げられる者達から見れば許し難い巨悪であろうが、部下からの信頼は厚いと思われます。
そもそも小川真司氏が声を担当しているところからして、
アクドス・ギルを「悪ではあるが立派な皇帝」として描こうとしている姿勢は見て取れます。

しかし、子供向けヒーロードラマの敵のボスがこういう立派な人格であるというのは、ちょっと不自然です。
現実社会では巨悪というものはだいたいこんなものなのでしょう。
だから悪を倒したとしても、イマイチ釈然としないものは残る。
悪を処断した英雄は果たして本当に正義であったのか、曖昧なものは残ります。
そういうビターな感覚がリアルな感覚なのであり、大人向けのドラマというのはそういうものです。
しかし子供向けドラマは大抵はもっと分かりやすいものです。
悪はあくまで悪として描かれます。

もちろん100%純粋なる悪などというものも薄っぺらすぎるので、
それなりに観る者が感情移入出来るようには悪役キャラも様々な側面が描かれますが、
必ず「ヒーローに倒されるに足るだけの人格的な欠落」は描かれます。
結局ヒーロードラマというものは、正義は無条件で正義であるとか、悪は無条件で悪であるとか、
良いことをしたから正義だとか、悪いことをしたから悪役だとか、そういう単純なものではないのです。
正義も悪も、双方ともしっかり人間ドラマを描かないといけないのです。
その上で、正義のヒーローに相応しい人格を描くことが出来たキャラが
正義のヒーローとして悪を処断する資格を得るのであり、
その正義のヒーローに倒される悪役は、倒されるに足るだけの人格の欠落が描かれていないといけないのです。

特に敵のラスボスを倒すバトルは、その物語のテーマが凝縮されるシーンとなりますから、
正義と悪の対比はくっきりしていないといけません。
だから敵のラスボスが人格的に立派だというのでは困るのです。
行為などというものは何とでも言い訳は出来ますし、
実際、心ならずもやってしまう行為というものはあります。
だから憎むべきは行為ではなく人格なのです。

もちろん行為の責任は取らねばならないから、悪の侵略者が正義のヒーローに倒されることは間違ってはいません。
しかし、倒される悪の行為だけでなく人格も許し難いものでなければ、
視聴者は正義のヒーロー側の悪に対する処断行為にイマイチ感情移入できないのです。
中にはそういう同情すべき悪をやむをえず倒すというケースもあっていいでしょう。
だがラスボスはダメです。ラスボスはやはり「処断されて当然の人格的な欠落」が無ければいけません。
そうでないと視聴者はヒーローの勝利に感情移入してスカッと物語を心に中で完結させることが出来ないのです。

そういう観点で見ると、
アクドス・ギルは今までザンギャック帝国の皇帝として世に振りまいた害悪そのものは許し難いものはあるが、
人格的には立派すぎるのです。
当初はもっと粗暴で狂気に満ちた独裁者を想像していたのですが、意外に紳士なのです。
確かに悪の帝国の総帥としてはこれ以上無いほどの安定感のあるキャラなのですが、
正義のヒーローに倒されるラスボスにしては、人格の崩れが無さすぎる。

スーパー戦隊シリーズの歴代の最終バトルで倒される、いわゆるラスボス達というのは、
もっと狂気に満ちた異常な存在であり、まさに「倒すしかない」という展開に説得力のある、
ある意味、壊れた人格の持ち主でした。
それはある意味では、卑小で人間くさいところのあるキャラで、
極論すれば一種の「萌える」要素のあるキャラ達であったといえます。

ブラジラ、ドウコク、ヨゴシマクリタイン、ロン、ガジャ、ン・マ、アブレラ、
デズモゾーリャ、邪悪なる意思、センキ、ギエン、グランディーヌ、ゼイハブ、ヒネラーなど、
決して立派とはいえない、単なる邪悪そのもののような欠陥の多い連中でした。

そういう連中に比べると、アクドス・ギルは安定感がありすぎて立派すぎるのです。
その行動目的も他のラスボス連中に比べて極端に邪悪ではない。
世界の破壊や混沌をひたすら目指すというような狂気も無く、
正義や光などの正の要素に対する根深い憎悪や恨みを晴らしたいなどという心の闇も無い。
単に全宇宙の制覇と息子の仇討ちをしたいだけなのです。
息子の仇討ちは人間臭い一面だとは思いますが、
アクドス・ギルの場合、怒りに我を忘れて暴走するということもなく、あくまで安定しているので、
あまり人間臭い崩れも見せない。

もしアクドス・ギルの登場がもっと早く、例えば物語序盤から時々登場したりしていれば、
最初は完璧に見えた皇帝の人間臭いドロドロした面が次第に見えてくるという描写も出来たのですが、
こんな終盤になってから、いきなりこんな安定感のあるキャラで登場させてしまえば、
物語の終わるまでの間にキャラを崩すヒマも無い。
もし急激にキャラを崩したら、どうにも安っぽいご都合主義的展開に見えてしまう。
だから、こういう時期にこういうキャラで登場させた以上、
アクドス・ギルはずっとこの立派な人格キャラのままでしょう。

こういうアクドス・ギルが本当に「ゴーカイジャー」という物語のラスボスでいいのでしょうか?
このままゴーカイジャーがラスボスとしてアクドス・ギルを倒して物語が終わるとするなら、
自由を求める戦士たちが宇宙の独裁帝国を倒した革命物語ということになってしまう。
いや、それはそれで物語として成立するし、面白いともいえます。
個人的にはそういう物語は好きです。
しかし、ちょっと子供向けではないような気もします。
まぁしかし、従来のスーパー戦隊シリーズのカタルシスには欠けるかもしれないが、
「ゴーカイジャー」はそういう特殊なある種の「リアル」な物語なのだと言われれば、
それはそうかもしれないと納得は出来ます。

しかし、実は「ゴーカイジャー」という特殊な物語だからこそ、
アクドス・ギルがラスボスとは思えない要素があるのです。
それが2つ有ると言っていた理由の2つ目です。

それは、第37話でワルズ・ギルの回想シーンに登場したアクドス・ギルの言動から感じた違和感が
今回アクドス・ギル本人が地球に来て、やはり拭い去れていないことです。
違和感とは、アクドス・ギルが地球のこともスーパー戦隊のことも
「大いなる力」のことも「宇宙最大のお宝」のことも、どうやらよく知らないらしいということです。
アクドス・ギルが今回、地球に来たのは、あくまで息子の仇討ちと地球征服の完遂のためであるようで、
「宇宙最大のお宝」に興味は無いようです。

しかし、そうなると、今後の「ゴーカイジャー」のクライマックスのストーリーは
「宇宙最大のお宝」が焦点となってくるのは明白なので、
そのストーリー内でのアクドス・ギルの比重はだいぶ軽いものになってしまうのです。
そういう状態でアクドス・ギルがラスボスというのがどうも違和感があるのです。

以前に考察で、「宇宙最大のお宝」を巡って皇帝とダマラスとバスコが何らかの共犯関係であり
競合関係にあるのではないかと推論してみたことがありました。
ところが実際には皇帝は「宇宙最大のお宝」には興味は無く、
ダマラスも「宇宙最大のお宝」にはほとんど関わらないまま近々退場することになります。
推論は見事に外れたことになります。
いや、推論や予想が外れること自体は構いません。
それだけ予想外の面白い展開が待っているということだからです。

ただ、実際はあの時点で「宇宙最大のお宝」を追いかけていることが劇中で明確に描写されていたのは
皇帝とダマラスとバスコの中ではバスコ1人で、
皇帝とダマラスは「宇宙最大のお宝」に興味を持っていると推論するだけの根拠は劇中には存在しませんでした。
だからバスコだけが「宇宙最大のお宝」に関与しているという形で推論を進めることも可能でした。
それでも何故あえて皇帝とダマラスを「宇宙最大のお宝」と関係の深いキャラであるかのように
無理に推論したのかというと、
皇帝がラスボスであるならば、きっとこの物語のクライマックスの焦点となる
「宇宙最大のお宝」に因縁のあるキャラであるに違いないと思ったからです。

むしろダマラスに関しては、あの時点で劇中に全く登場していなかった皇帝の代理人のような形で
「宇宙最大のお宝」に関する密命を帯びて動くキャラではないかと推測していましたので、
皇帝と「宇宙最大のお宝」の関係があってこその、ダマラスと「宇宙最大のお宝」の関係なのでありました。
そして、その皇帝と「宇宙最大のお宝」との関係の根拠は、
あの時点では「皇帝がラスボスである以上、宇宙最大のお宝と関係があるはず」という想い込みがあったからです。

ところがこうしてようやく終盤に登場した皇帝アクドス・ギルは
「宇宙最大のお宝」との関係を未だに匂わせることもありません。
しかもダマラスも「宇宙最大のお宝」に関わることもないまま退場するようです。
これはどうもアクドス・ギルは「宇宙最大のお宝」とは関係ないキャラのようです。
となると、アクドス・ギルはクライマックスの「宇宙最大のお宝」を巡る物語の中では脇役にならざるを得ず、
マーベラス達との間の対立軸も不鮮明なキャラとなってしまいます。
ならば、やはりアクドス・ギルがラスボスである必要は無いのではないでしょうか。

かといって、唯一「宇宙最大のお宝」と関わりのある敵キャラであるバスコがラスボスなのかというと、
それもどうも違うような気がします。
確かにバスコは「宇宙最大のお宝」を巡る戦いが描かれるクライマックス篇の中で、
アクドス・ギルよりは重要な役割を果たすキャラとなるのでしょう。
それに、アクドス・ギルには無い、いかにもラスボス的な「人格的欠落」が存在するキャラです。

しかし、メガレンジャー篇でマーベラス達に競り負けたのを見ても分かるように、
現在のバスコにはラスボスとして不可欠の圧倒的な強さというものが欠けています。
メガレンジャー篇では内容的に負けていたわけではなく、自主的に撤退しただけですが、
それでもオーレンジャー篇の時のような圧倒的な強さは無くなっていました。
これはバスコが弱くなったわけではなく、
ゴーカイジャーの大いなる力を含んだ全ての力を引き出すことが出来るようになったマーベラス達が
オーレンジャー篇の時よりも確実に地力を引き上げているからです。
が、何にしてもマーベラス達に対するバスコの優位は未だに維持されているものの、
その優位はもはや圧倒的なものではない。

もしかしたら今後バスコが何らかの事情でパワーアップしてラスボスに昇格するのかもしれません。
あるいはバスコの背後に真のラスボスが居るのかもしれません。
いや、もしかしたら、バスコはその真のラスボスと敵対する立場である可能性もあります。
何にしてもバスコがマーベラス達は知らない何らかの重大な秘密を握っている人物であるのは間違いない。

そして、かつての赤き海賊団壊滅事件の裏にはその秘密が関わっていると思われ、
アカレッドはその秘密に関わる何らかの事情でバスコと敵対する立場であるか、
もしかしたら、バスコとは協力関係にあって、
赤き海賊団の壊滅事件が2人の仕組んだ八百長である可能性もあります。
さすがにそれは無いとは思うが、影武者設定とかやらかした人がチーフPをやっているので
念のためにそういう可能性も考えておいた方がいいでしょう。

こうして見ると、
あのド派手なザンギャックの地球侵攻と、
それに対抗するスーパー戦士たちのレジェンド大戦の強烈なインパクトで始まり、
散らばったスーパー戦隊の戦う力をアカレッドが集め、
それを引き継いだマーベラス一味が地球へやって来たところにザンギャックの地球再侵攻があり、
スーパー戦隊の力を受け継ぎつつマーベラス達がザンギャックと戦って、
いつしか地球を守るヒーローになってきた、この物語の流れからすると、
最後はザンギャック帝国を倒して物語は完結すると、誰もが思ったであろうが、
実はもしかしたらザンギャックは単なるダシのようなもので、真の敵は別にいるのかもしれません。

ただ、それはあくまでクライマックス篇を盛り上げるための仕掛けであり、
この物語のテーマがひっくり返ってしまうようなことにはならないでしょう。
夢を掴もうとする者達の絆のパワーが、夢を蹂躙する巨大な敵を打ち倒すという構図は、
物語の最初から最後まで一貫しているのであり、
そういう意味では、最後の敵がザンギャックそのものでなくなったとしても、
それはこれまでマーベラス達が戦ってきたザンギャック的な理念を持った敵であることは間違いない。
そうでなければ、その巨大な敵にマーベラス達が勝利するという結末に説得力は生じないでしょう。

だから、真のラスボスは、あるいは今回登場したアクドス・ギル率いるザンギャックではないかもしれないが、
それでもそれはあくまでも、限りなくザンギャック的なものであり、
むしろ、そちらこそが真のザンギャックなのかもしれません。
だから、ザンギャックと戦ってきたこれまでのマーベラス達の物語は、
そのクライマックス篇におけるマーベラス達の勝利の裏付けとして意味はあるはずであり、
そういう意図で描かれてきたはずです。
すなわち、ザンギャックとの戦いはマーベラス達を夢を力とするヒーローとして育てる場であったということです。

そのクライマックス篇の直前にあたる、今回からの第41話、第42話、第43話の3篇は、
おそらく、マーベラス一味とザンギャックの理念が真っ向から激突する構成となるはずです。
その激突を通してマーベラス一味の理念がザンギャックの理念に優越する、
あるいは決して相容れないことを明らかに示しておいて、
その後、クライマックス篇の怒涛の展開に入っていく。
つまりクライマックス篇の前の最後の総仕上げのような意味合いがあるといえます。

だからこそ、最も純粋にザンギャック的な揺るぎない理念を持ったキャラであるアクドス・ギルがここで登場して、
これからの3篇、アクドス・ギル率いる武闘派ザンギャックとマーベラス一味の
激突を描く意味があるのだといえます。
つまり、アクドス・ギルという皇帝をこれまで長々と登場させなかった理由は、
ここまでの「ゴーカイジャー」の物語の中で手垢をつけたくなかったからなのでしょう。

どうしてもヒーロードラマというものは毎回、ヒーロー側が勝ち、悪役側は負け続けます。
そうすると、いくら頑張って威厳を持たせても、悪役側は情けない印象になっていき、
まぁある意味では可愛げなども出てきて感情移入しやすくなり、それによって物語の深みも増したりします。
ワルズ・ギルなどはその最たる成功例だといえます。
しかし、そうなってくると、その萌えキャラ化した悪役は
ヒーローと理念と理念のガチンコ勝負をしにくくなってきます。
なんというか「今さらお前がそれを言うか?」状態になるのです。
かといって、全然感情移入も出来ないほど印象の薄い、出番の少ない悪役もまた困ったものです。

このあたりは匙加減が結構難しく、実は各作品で結構工夫されています。
例えば「ゴーオンジャー」の名悪役だったガイアーク三大臣は
おそらくシリーズ史上最高の萌え敵幹部キャラでしょうが、
あまりに毎回ギャグ的に負け続けたために最終決戦でゴーオンジャーとガチンコ対決させることすら出来なくなり、
代わりにラスボスとしていきなりヨゴシマクリタインという純粋なる悪役キャラが終盤唐突に出ることになりました。
お蔭で最終決戦はクライマックス前までは思いっきり曖昧になっていた理念対立が復活して盛り上がりはしましたが、
馴染みの無いラスボスの唐突な登場に視聴者は何処かノリきれないところはありました。
「ゴーオンジャー」という作品は三大臣という極端な成功例と、
ヨゴシマクリタインという極端な失敗例が同居している、意識して割り切って作った作品だといえます。

一方「シンケンジャー」の場合、クライマックス篇でシンケンジャー側と理念と理念のガチンコ対決をさせるための
敵キャラとして腑破十臓というキャラを設定し、
この十臓を物語の中で手垢をつけさせないために出番を限定してたまにしか出さないようにしました。
その他、ドウコクと薄皮太夫という、これもクライマックス篇で重要な役割を果たすキャラも、
色々な理由を作って出番を減らすよう工夫していました。
「シンケンジャー」という物語の実質的な敵幹部は物語前半はシタリであり、物語後半はアクマロであり、
ドウコク、太夫、十臓というのはゲスト的な扱いでクライマックスに向けて温存されていたといえます。
そういう役割分担があったため、物語全体が一定の高いレベルを維持した上で
クライマックス篇があれほど盛り上がったのでしょう。

「ゴーカイジャー」においても、ザンギャック幹部が前線に出ることは少なく、
司令室ではコント描写は多かったものの、実は結構、温存されていたといえます。
少なくとも、毎回前線でゴーカイジャーに負けて、
捨てゼリフを吐いて逃亡して株を下げる機会は少なかったといえます。
とにかく前線に出れば負ける可能性が高いのがこういう作品の悪役の宿命ですから、
株を下げたくなければ前線には出ないのが吉です。

ワルズ・ギルが第37話以前に2度だけ前線に出て無様な醜態を晒したのは、
まぁ萌えキャラのワルズ・ギルならではの一種のサービスだと思いますが、
それでもそれがたったの2度であったのは、やはり第37話と第38話を盛り上げるための配慮だったと思います。
また、明らかに武闘派キャラのバリゾーグが意外なほど前線に出る機会が少なかったのも、
ジョーとの決戦を盛り上げるための温存であったのでしょうが、
ワルズ・ギルの臆病設定と、そのワルズ・ギルを守ることだけが使命のバリゾーグの設定など、
この2人を前線に出さない巧いアリバイ作りだと思います。

また、ダマラスがこれまで一度も前線に出ていないのも、
ゴーカイジャーとザンギャックの理念が激突する第42話、第43話の一大決戦エピソードに備えての
温存であったのだろうと推測出来ますが、
これもワルズ・ギルがダマラスに手柄を立てさせまいとして足止めしていたという巧いアリバイ作りでした。

そうなると割を食ってシタリやアクマロのように酷使されそうなのはインサーンのはずですが、
インサーンもまた案外と温存されています。
確かに全幹部の中では最も温存度は低いですが、それでもあまり前線には出ませんし、
クールキャラとしてのスタンスは崩していません。
あるいはインサーンにも今後は美味しく散る機会があるのかもしれません。

ただ、ここまで敵幹部の温存を徹底出来るのならば他の作品でも同じようにしているはずであり、
本来はそうはいかない。
株を下げることは承知の上で敵幹部を前線に出さないと話が盛り上がらないのです。
「ゴーカイジャー」という作品がその縛りから自由に、全ての敵幹部キャラを温存できているのは、
これは一種の反則なのです。
すなわち、2話に1回ぐらいの頻度でレジェンドゲストが登場し、
毎回、歴代戦隊への多段変身を披露することが出来るという、他の戦隊では有り得ない特殊要素が
アドバンテージとして存在しているからこそ、それだけで十分に毎回のエピソードが盛り上がるので、
敵幹部全員の温存という無茶が出来るのです。

これだけ敵幹部を贅沢に温存しておいて、
更に完全に腑破十臓ポジションの敵キャラであるバスコが配置されていて、
これまで2ヶ月に1度程度の頻度で登場して見事に温存されており、
クライマックス篇で重要な役割を果たすことは明白です。

この布陣だけでも既にかなり盛り上がると思うのですが、
ここで更に加えて、皇帝アクドス・ギルという、これまで最も温存されてきた、
全く手垢のついていない純粋なるザンギャックの理念そのもののようなキャラを繰り出してきたのです。
これはヨゴシマクリタイン的なキャラなのですが、
巧いのは、この主人公とは因縁の薄いアクドス・ギルというキャラを
ヨゴシマクリタインのようにクライマックス篇のラスボスとして使うのではないようだということです。
純粋なるザンギャックの理念そのもので一切感情移入できないアクドス・ギルという特殊キャラを
クライママックスではなく、クライマックス篇の前の理念と理念の激突エピソードで使おうというのが巧いです。

そしてアクドス・ギルだけでは主人公側と因縁が薄すぎるので、
ここでゴーカイジャーへの恨みで凝り固まったダマラスも参戦させるというのも巧い。
また、アクドス・ギルをそこで退場させずにクライマックス篇にも登場させるというのも、
クライマックス篇の脇役キャラとして最高のチョイスだといえます。
アクドス・ギルが凄味のある帝王であればあるほど、
それを脇に押しやって登場してくる真のラスボスの恐ろしさが際立つからです。

以上は、相変わらず私の勝手な妄想であり、また見事に予想は外れるかもしれません。
むしろ外れた方がより面白いものが提供されてきたのが今までのパターンですから、
外れてもらっても全然構わないのですが、
それでも今回のエピソードの第41話から第43話のクリスマス前決戦エピソードまでは、
ゴーカイジャーの理念とザンギャックの理念がクライマックス篇の前に大激突するエピソードであろうという予想は、
おそらく当たるはずです。
というか、今回の第41話が皇帝アクドス・ギル登場に連動して、まさにそういうエピソードであったので、
残り2話もそうであろうと、そう予想しているのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:14 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月14日

第41話「なくしたくないもの」感想その3

ここからようやく本題、今回の第41話の考察です。
今回は遂にアイムの過去が描かれる「アイム過去篇」です。

もう物語も終盤ですから、これまでマーベラス一味の面々の過去については、
かなりこの物語の中でも触れられてきました。

マーベラスの過去については第15話と第16話でその核心である赤き海賊団壊滅事件と、
マーベラスの赤き海賊団加入時の事情が語られて、
赤き海賊団壊滅事件で生じた因縁の決着はおそらく物語の最終盤まで持越しとなるでしょう。

ジョーの過去については第12話でシドとの生き別れの件が描かれて、それは第38話で全て決着がつき、
現在のジョーはシドや自分の過ちを繰り返さないよう、
ザンギャックによる被害を食い止めることを自らに課していると思われます。

ルカの過去は序盤から断片的に語られてきましたが、本格的に過去が描かれたのは第34話で、
その段階でルカが過去のこだわりを既に乗り越えていたことが示唆されてはいますが、
少し疑惑を残す状態にはなっています。
ただ、もし今後ルカの予想外の行動があるとしても、
もうそれは過去とは関係ない現在のルカの問題ですから、
ルカの過去篇は第34話の時点で終わっていると見ていいでしょう。

ハカセの過去は第32話で極めて断片的に描かれたのみで、
しかもそれはマーベラス一味に加入した後、
おそらく当初は非戦闘要員であったということが想像出来る初陣の断片シーンでしたから、
実質的にハカセの過去はまだ全く描かれていないといえます。

鎧の過去は第40話で初めて、子供の頃引っ越しが多かったという点が触れられましたが、
これは単に少年との遣り取りの中で必要性があって出てきた要素であり、
むしろマーベラス一味加入前の話や、加入時の逸話などが語られるのが過去篇であるとするなら、
鎧の場合は第17話から第19話がそれに該当するといえるでしょう。

そして今回、過去が描かれたアイムですが、
アイムの場合は元ザンギャックに滅ぼされた星の生き残りのお姫様であるということは
序盤から言及されていましたが、
その母星の滅亡の詳細や、アイムがマーベラス一味に加入した経緯などは詳細には語られてきませんでした。

「亡国のお姫様」なんて、これほど美味しいエピソードが作れそうなネタはそうそうありません。
序盤からそういうネタを抱えたキャラだということが分かっていながら、
よくこんな終盤になるまでアイムの過去篇を手をつけずに置いていたものだと、まず意外に思います。
もう途中で「アイムの過去篇はやらないのではないか?」と勘繰ってしまうほどでした。

で、終盤に近づいてきてもまだアイムの過去篇が無いものだから、
もしアイムの過去篇をやるとしたら、クライマックスの展開に関わってくるような
何か重大な秘密に絡んでくるのではないかとも思っていたのですが、
今回、案外あっさりとストーリー的には決着してしまったので、
本筋に絡んだ要素があったわけではありませんでした。

せめてザツリグが生き残ってアイムの仇討ちネタが最終盤まで引っ張られるということでもあれば、
アイムの過去篇をこのタイミングでやったのも分かりやすいのですが、
そういうわけでもなくザツリグは今回で倒して、アイムの仇討ちは完了してしまった。
アイムの過去篇もまた、ルカの過去篇同様、1回で見事に完結してしまい、
ルカの過去篇よりも後に残る謎も無く、本当に綺麗に完結したといえます。

ただ、そうであるならば、どうしてこんな終盤までアイムの過去篇をやらなかったのかという謎が残ります。
それは実はアイムの過去篇だけではなく、第34話のルカの過去篇の考察の際にも呈していた疑問です。
ルカの過去篇も何故、第34話という終盤近くまで引っ張っていたのか?
そして、なんといっても未だ全く過去が触れられないハカセの問題もあります。

ルカの過去篇をどうして早めにやらなかったのかについては、
第34話の考察では、ルカが実は「宇宙最大のお宝」を独り占めして売りとばそうとしているという
マーベラス一味加入当初の企みを心の片隅で捨てきれずにいて、
そのことがクライマックス篇の中で重要な要素となるので、
そのルカの秘密を描くことになるルカの過去篇を早めに描きたくなかったのではないかという推測をしましたが、
第34話の考察の時点で、これはやはり少し苦しい考え方かもしれないとも言及していました。

そして、やはりあれからルカの秘密に関しても何のフォローも無く、
おそらくルカはもう「宇宙最大のお宝」の横取りなどは考えていないと思われます。
何故そう思うのかというと、先に考察した通り、
どうも年明けからのクライマックス篇の7篇がかなり大変なことになりそうで、
そこで解かれるべき謎が多すぎて、ルカの過去の話をそこで蒸し返すような余裕はおそらく無いからです。

ジョーのバリゾーグとの因縁を第38話で完結させたのも、
それをクライマックス篇に入れ込む余裕が無いからでもあるでしょう。
ルカの過去絡みの展開をクライマックスで描くのなら、
同様にジョーの過去の因縁であるバリゾーグとの決着もクライマックスで描くはずです。
それをやらないということは、おそらく各自の過去絡みの展開はマーベラスの分は除いて、
クライマックス篇の中には入れ込まないので、その前に完結させる方針なのでしょう。

だからルカの過去篇も第34話で完結して、あのネタはもう終わっているのです。
アイムの今回の過去篇がザツリグを生き延びさせたりせず
クライマックス篇までそのネタを引っ張らなかったのも同じ意味です。
そして、それはつまりハカセの過去篇がクライマックス篇に入る前の年内にあるということも意味しています。
つまり、次のダマラス退場の一大決戦エピソードがハカセの過去篇でもあるということです。
そして、ハカセの過去篇もその後はクライマックス篇までネタは引っ張らないのですから、
ハカセの過去はあくまで一般人であって大した過去でないことも明白です。

ただ、そうなると、結局、どうしてルカとアイムとハカセの過去篇をこんな終盤になるまで描かなかったのか、
理由がよく分からなくなってきます。
その謎を解くには、そもそも「過去篇」というものが
「ゴーカイジャー」という物語の中でどういう意味を持っているのかという
根本的な問題を考えてみる必要がありそうです。

スーパー戦隊シリーズの各作品においては、メンバーの過去が描かれる「過去篇」というものは、
各メンバーにつき最低1回ぐらいは存在します。
ただ、それらは単にそのメンバーが昔どういう人間であったのかを描いたり、
昔の出来事が現在の事件に何らかの影響を及ぼしているという点を描くためのものでした。

しかし「ゴーカイジャー」の場合の「過去篇」はそういうものではありません。
いや、そういう要素も含まれているのですが、1つ、他の作品とは決定的に違っている点があり、
その一点が「ゴーカイジャー」の場合は全メンバーの過去篇において共通しているのです。
つまり、その要素こそが「ゴーカイジャー」における過去篇の核心なのだといえます。
それは「どういう風にして彼らは海賊の一味になったのか?」についての経緯が描かれているという点です。

他の戦隊では、各メンバーがどうやって戦隊に入ったのかについて描いても、
それは必ずしも大したドラマにはなるとは限りませんし、
そもそもそれは「過去篇」として回想されるのではなく、序盤に生で描かれることが多い。
「ゴーカイジャー」においては鎧がそういう扱いです。

まぁ鎧のような追加戦士の加入エピソードは他の作品でもそれなりにドラマチックに描かれますが、
初期メンバーの加入話が序盤に描かれる場合は、作品の世界観の説明と一緒くたに処理されるのが普通で、
大してドラマチックな描き方にはなりません。

その点「ゴーカイジャー」の初期メンバー5人は第1話の初登場シーンから既にゴーカイジャーであり、
各自がどうやってゴーカイジャーになったのかについて、
それぞれの「過去篇」で回想の形で、しっかり描かれています。
しかもそれらが全てドラマチックなのです。

どうしてドラマチックになるのかというと、
ゴーカイジャー、すなわちマーベラス一味に入るということは、普通に正義の戦隊に加入するのではなく、
賞金首の海賊の仲間入りをすることを意味するからです。
つまり、それは普通に考えたらリスクだらけの、誰も好き好んで選ぶはずもない重い選択なのです。
それをあえて選び取るのであり、受け入れる側もそういう重い選択を相手に選び取らせるのだから、
それは当然ドラマチックな絆の描写になるのです。

要するに「ゴーカイジャー」という物語における「過去篇」というのは、
単に各メンバーの過去を描くことが目的なのではなく、
各メンバーがどういう風にしてマーベラス一味の仲間入りをしたのかを描くことを通して、
マーベラス一味の絆を描くことが目的のエピソードなのです。
例えばジョーの過去篇である第11話、第12話は、まさに「絆」をテーマに据えたシンケンジャー篇であり、
ルカの過去篇であった第34話も、ラストシーンを見れば分かるように、その主題は「仲間の絆」でした。

まぁスーパー戦隊シリーズは基本的にテーマは「仲間の絆」なのですが、
この「ゴーカイジャー」という作品は主人公戦隊が「賞金首の海賊」という過酷な境遇であるためか、
特に「仲間の絆」が強調して描かれています。
だから主要エピソードのテーマはだいたい「絆」が絡んでいるのですが、
この各メンバーの過去篇はその中でも特に深く「絆」を描くことをテーマとしている印象です。

実はジョーの過去篇の第11話、第12話も、ルカの過去篇の第34話も、
そして今回のアイムの過去篇の第41話も、脚本はメインライターの荒川稔久氏です。
ちなみに次回と次々回の第42話、第43話のハカセの過去篇も荒川氏の脚本です。
なお、厳密には過去篇ではありませんが、
鎧の加入前後を描いた第17話、第18話、第19話の3部作も荒川脚本です。
つまり、各メンバーのマーベラス一味への加入エピソードを通しての仲間の絆を描くエピソードは、
物語上、とても重要な扱いになっているということを意味すると思います。

確かにジョーの過去篇は重要レジェンド回であるシンケンジャー篇であり、
ハカセの過去篇もクリスマス前の決戦エピソードであるから、
メインライターの荒川氏が書くのは順当とも言えますが、
ルカ過去篇とアイム過去篇に関しては、
これらの周辺にはゴーカイガレオンバスター登場篇や、重要レジェンド回のゴーオンジャー篇、
そしてワルズ・ギルとバリゾーグの退場したゴーカイジャー篇など、
重要エピソードが目白押しであったにもかかわらず、
この期間中に荒川氏が脚本を書いたのは、このルカ過去篇とアイム過去篇だけだったのですから、
「過去篇」というものが「ゴーカイジャー」の物語の中で重要であることは明白です。

その一方でマーベラスの過去篇といえる第15話、第16話は荒川氏は書いていません。
これはつまり、マーベラスの過去篇だけタイプが違うからです。
マーベラスの過去篇は、単なる過去の出来事を描いただけであり、
マーベラス自身がマーベラス一味を立ち上げた張本人であるのだから当然ですが、
「マーベラス一味への加入エピソード」ではないのです。
だからマーベラスの過去篇は「マーベラス一味の絆」は描いていません。
一方、他の4人の過去篇および、鎧の加入エピソードは、「マーベラス一味の絆」を描いたエピソードであり、
そちらは皆、荒川氏が脚本を書いているのです。

そう考えると、どうしてルカやアイムやハカセの過去篇が終盤まで描かれなかったのか、理由も分かってきます。
それはまず第一義的には、「加入の経緯を描くことで仲間の絆を描く」という同じテーマを持ったエピソードを
まんべんなく配置したということなのでしょう。
ジョーの過去篇が第1クール、鎧の加入篇が第2クール、ルカの加入篇が第3クール、
そしてアイムとハカセの過去篇が第4クールという配置です。
こうしてクライマックス篇に入るまでに全員の過去篇を物語全体の中でまんべんなく配置したのです。

そして、どうしてこういう順番になったのかというと、
まず追加戦士加入時期は毎年第2クールの第17話あたりで固定ですから、
第2クールに配置するのは鎧の加入篇で確定となります。
そして各メンバーの過去篇の先陣を切る第1クールに配置するものをジョーの過去篇とした理由は、
ジョーの過去篇が、単なるジョーの加入篇ではなく、マーベラス一味の結成譚になっていたからです。
マーベラスがジョーを仲間にした瞬間、マーベラス一味が生まれたのですから、
これはやはり最初にやっておかないといけない。

ただ、このジョーの過去篇で描かれた「仲間の絆」は基本的にはマーベラスとジョーの2人だけの絆であり、
他のメンバーは蚊帳の外です。
だから、マーベラス一味の仲間の絆を過去篇でやるとするなら、
その最も完全な形のものは6人のメンバー全員が揃った鎧の加入篇ということになるが、
これは厳密には過去篇ではないし、玩具販促的にやらなければいけない要素も多く、
しかも時期が第17話あたりで固定で自由に動かせない。
そこで鎧の加入篇を除外すると、より多くのメンバーが揃った状態での仲間の絆を描くことが出来る過去篇は
アイムの過去篇ということになり、次いでハカセの過去篇という順になります。

そこで、第4クールのクライマックス篇の前にザンギャック皇帝アクドス・ギルを登場させての、
ゴーカイジャーとザンギャックの理念と理念のガチンコ対決を描くに際して、
このアイムの過去篇とハカセの過去篇でゴーカイジャーの絆を描き、
アクドス・ギル率いるザンギャックの理念と激突させることにしたのでしょう。
そうなると、第3クールに配置する過去篇は必然的にルカの過去篇ということになる。
このようにして配置した結果、ルカやアイムやハカセの過去篇が描かれるのが
不自然に遅いようにも感じられたのですが、実際はかなり計算づくにまんべんなく配置し、
適切な使い方をしていたことが分かります。

さて、そういうわけで、この第41話、第42話、第43話の、アイム過去篇とハカセ過去篇は
メンバーの過去篇の中でもかなり重要なエピソードとなりますが、
おそらくハカセ過去篇の方は前後篇になるとはいっても、ダマラスに関するドラマや、
一大決戦の多彩なロボ戦など、他に描かなければならない要素も多くて、
ハカセ過去篇のみに集中した作り方には出来ないでしょう。

それに比べ、今回のアイム過去篇は、
アイムの加入時の逸話に絡めた仲間の絆だけに集中してドラマを作ることが出来ていて、
非常に深い内容となっています。
だから、盛り上がりはおそらくハカセ過去篇の方が上でしょうけれど、
過去篇としての本命は今回のアイム過去篇の方なのでしょう。
だからこそ、第1話でゴーカイジャーが初登場した時の5人が揃った瞬間であるアイム過去篇を
ここに配置したのでしょう。

確かに、追加戦士の鎧の加入はあくまで物語が始まった後の出来事であり、
ゴーカイジャーの原点としてのゴーカイジャーの結成譚は確かにジョーの加入時ということになりますが、
もし第1話の前段階としての第0話というものがあるとすれば、
それはアイムの加入によって、視聴者が最初に目にしたゴーカイジャーの形が完成した瞬間なのだといえます。
実際、今回の劇中でも言及されているように、
アイム加入前のゴーカイジャーとアイム加入後のゴーカイジャーは、大きく違うようですので、
「ゴーカイジャー」というものの形が完成したのが
アイムの加入によってゴーカイジャーが5人揃った時なのだと思われます。

いわば、従来の初期メンバーが序盤にメンバー入りする作品における第2話あたりの、
戦隊がようやく1つの形になるあたりの重要エピソードに相当するのが
今回語られるアイムの加入逸話なのであって、ゴーカイジャー5人の原点です。
その原点をこの終盤になって振り返り、決意を新たにして、強大な敵に立ち向かうというのが
今回のエピソードの趣旨であり、極めて重要なエピソードなのだといえます。

そういうわけで今回のエピソードは、単なるヒロインが活躍する話とか、
単にアイムの過去が描かれる話というのではなく、
アイムの加入によって地球に来る前のゴーカイジャーが出来上がった時の
ゴーカイジャーの絆の在り方が描かれるエピソードといえます。

ゴーカイジャーとは何なのかというと、
それは第38話で「夢を掴むために集まった仲間」という結論はだいたい出ています。
つまり、ゴーカイジャーの絆は「夢を掴むために集まった仲間の絆」であり、
その絆の力でマーベラス達はワルズ・ギルやバリゾーグを倒して
ザンギャック地球侵略軍を一旦打ち破りました。

ただ、それは本当にザンギャック帝国を打ち破ったといえるのか?
確かにあの戦いでマーベラス達はザンギャック最強の決戦機グレートワルズを圧倒するほどの
実力を手に入れました。
しかし、あのグレートワルズを操縦していたのはワルズ・ギルでした。
そして、あの時、ジョーに倒されたバリゾーグも、ただワルズ・ギルにのみ忠誠を誓う機械兵士でした。
つまり、あの時、マーベラス達が撃ち破ったのはワルズ・ギルという個人であり、
ザンギャック帝国そのものではありません。

ワルズ・ギルは確かにザンギャック帝国の作り上げた最強の兵器を使って戦っていたから、
マーベラス達はザンギャックの最強の軍事力を打ち破ったとはいえますが、
それを操っていたワルズ・ギルがザンギャック帝国そのものであったかというと、それは少し違います。
むしろ、あの時、ワルズ・ギルは父である皇帝やダマラス達のような重臣達を超えてやろうとしており、
ある意味、帝国に反逆しようとしていました。

もちろんワルズ・ギル本人は自分こそがザンギャックの正統だと思っていたのでしょうが、
そんなのは思い違いというもので、
ワルズ・ギルのやろうとしていた事は帝国の体制に対する反逆以外の何物でもなかったと思います。
もちろん皇太子という特別な立場がありますから、
もしあそこでマーベラス達に勝って生き残っていれば、その後、反逆を正統として押し通して、
本当に帝国を乗っ取ることは出来たかもしれませんが、
彼の思考があの時点で反逆に傾いていたのは間違いない。

つまり、ワルズ・ギルはあの時、帝国から離れて、
その安全な壁を乗り越えて自分なりの夢を掴もうとしていたのです。
そして、だからこそマーベラス達に負けたのです。
何故なら、帝国の壁の中で我儘放題をしてきたワルズ・ギルの抱く夢などは、
所詮は共にその夢を掴む仲間もいない下劣なエゴにしかなり得ないのであって、
そのような者がたとえ帝国の最大の軍事力を使って戦おうとも、
帝国の壁の外に出て、マーベラス達と個人と個人の勝負をすれば、
マーベラス達の持つ夢を掴む仲間の絆の力に勝てるわけがないからです。
そのワルズ・ギルの個人的従者に過ぎなかったバリゾーグも同様で、
所詮は「夢を掴むために集まった仲間の絆」の力に目覚めたマーベラス達の敵ではなかったのです。

つまり、マーベラス達はザンギャック帝国に勝利したわけではなく、
ザンギャック帝国の皇太子ワルズ・ギルという個人に勝ったに過ぎない。
いわば、ザンギャック帝国の壁の中で育った、夢を放棄した「ザンギャック人」に対して
マーベラス達は優越したのです。
その「ザンギャック人」の典型であるワルズ・ギルがザンギャック最強の軍事力を用いても
マーベラス達に完敗したのですから、
おそらく「ザンギャック人」が個人としてマーベラス一味に挑んでも、
もう誰もマーベラス一味に勝つことは出来ないでしょう。
それほどの力をマーベラス一味は得ました。

しかし、それら個人としての「ザンギャック人」は所詮はザンギャック帝国に支配される立場の人間たちです。
それは帝国の皇太子としてあくまで帝国の体制を守り、帝国を背負って戦う覚悟のなかった
ワルズ・ギルも含めてです。
帝国の体制の護持者としての覚悟を放棄して自分のエゴだけを追いかけたことによって
ワルズ・ギルは所詮は帝国の1人の臣民と変わらない存在となっていたのです。

しかし、真にザンギャック帝国を統治する立場の者は、ワルズ・ギルなどとは全く異質の存在です。
それは皇帝アクドス・ギルを中心として、ザンギャック帝国の強権体制を実際に維持している非情な統治集団です。
彼らは夢など持たないし、個人的なエゴも無い。
ただひたすら圧倒的な力による支配で宇宙を治めることのみを正義と信じて、
その正義を黙々と執行する非情な組織の一員です。

彼らはザンギャックの力による平和こそ宇宙に必要なものだと固く信じて、
帝国を背負って戦う自負心、帝国に殉じる覚悟がある。
夢や自由などというものは、彼らの理想とする宇宙の秩序を乱す不穏な要素に過ぎず、
彼らは容赦無く叩き潰すことに躊躇いは持たない。
暴力による秩序の無私なる信奉者の鉄血集団といえます。

彼らの力はザンギャック帝国を背負わずにノコノコと壁の外に個人として出てきた
ワルズ・ギルなどとは全く異質です。
このアクドス・ギル率いる帝国の中枢集団の繰り出す攻撃の1つ1つには、
ザンギャック帝国を背負った重みがある。
彼らは個人ではなく組織であり、巨大な壁そのものだといえます。
壁の外に出てきた個人を倒すことは出来るマーベラス達も、
帝国の巨大なそびえ立つ壁そのものを破壊することが出来るかどうか分かりません。

夢を掴む仲間達の絆の力などといっても、
そもそもザンギャックはその夢を蹂躙することで支配を成り立たせてきた帝国であり、
皇帝から見ればマーベラス達は反逆者、敵対者ではあっても、
自らに取って代わることの出来る対等な相手ではない。
暴力という手段ではあっても、とにかく宇宙の秩序を維持してきたという自負のある皇帝から見れば、
夢だの自由だのと謳ってみたところで、所詮はマーベラス達など、秩序の破壊者に過ぎない。
自分に代わって海賊ごときが宇宙の秩序を維持することなど出来ないと、完全に呑んでかかることが出来る。
ワルズ・ギルのように舐めてかかるのとはワケが違う。そもそも格が違うのです。

あるいは1対1で戦えば、マーベラスはアクドス・ギルを倒すことは出来るのかもしれない。
しかしマーベラスはアクドス・ギルに代わって宇宙の皇帝となって宇宙の秩序維持が出来るわけではない。
ならばマーベラスがもしアクドス・ギルを殺せば、マーベラスは宇宙の秩序を乱しただけのことであり、
人々はマーベラスを憎み、アクドス・ギルの時代を懐かしむかもしれない。
そうなれば、結局はアクドス・ギルの勝ちです。

1人の個人としてはザンギャックの臣民よりもマーベラス一味の方が優越している。
あるいはアクドス・ギル個人よりもマーベラス一味の方が優越しているかもしれない。
「夢」が有る者が優越するというこの物語の法則からいえばそうなります。
しかし、統治機構としてのザンギャック帝国に対して、
マーベラス一味がいくら大きな夢を抱いていたとしても、優越することはない。
統治ということに関しては個人的な「夢の有無」はあまり関係無いからです。

それよりも重要なことは統治や秩序に関する哲学があるのかどうかです。
そういうものが無い限り、マーベラス一味はザンギャック帝国の真の中枢と戦って優越することはない。
理念が優越することがないからです。
仮に戦って勝っても、所詮は無法者に過ぎない。
ザンギャックの中枢が乗り込んできた以上、それに打ち勝つためには、
マーベラス達は帝国の理念に打ち勝つ理念を持たねばいけない。
単に「俺たちは大きな夢がある」だけではアクドス・ギルには優越しないのです。

今回、アクドス・ギルが皇帝の側近集団を引き連れて地球侵略軍に乗り込んできたということは、
マーベラス達はそうした事態に直面するということになります。
それに対してマーベラス達が打ち出す理念が、
アイムの加入の時にマーベラスたち仲間とアイムとの間に生まれた、
それまでの4人組の頃のマーベラス一味には無かった、
ある意味、マーベラス一味を普通の海賊を超越した存在へと引き上げた、
だからこそ「なくしたくない」絆の形に関係があるというのが今回のエピソードの主題となります。

そういうわけで今回はアイムの加入時の回想シーンと現在のアイムとマーベラス達のシーンが重要であり、
アイムの母星の滅亡の回想シーンなどは、さして重要ではなく、
かなりありきたりな「母星の滅亡」の記号的シーンであったと言っていいでしょう。
ただ、その後のアイムの加入時の回想シーンは、今まで予想していたものとは似ている部分もありましたが、
やはり根本的にかなり違っており、アイムの過去についても私の予想はかなり外れてしまいました。

しかし、私のありきたりの予想を見事に外して、それを超えた素晴らしい描写がなされたので大満足です。
アイムの基本的な性格や、何のためにザンギャックと戦うのかという根本的な部分は
だいたい予想通りだったとは思いますが、
海賊になった動機というのが今回は最大のポイントであり、ここは全く予想外でした。
しかし、この鮮やかな描写があってこそ、今回のエピソードは成立しています。
また、私の予想ではアイムは昔は「戦うお姫様」という
凛々しいイメージであったのではないかという感じだったのですが、その予想は見事に外れました。
しかし、この「戦うお姫様」ではなかったという点も、
今回のエピソードを成立させるためには非常に有効な要素でした。

とにかくハッキリ言って、今回のエピソードは、泣けました。
「ゴーカイジャー」のエピソードの中では珍しく、
いかにも泣かせる作り方をしているからというのも要因なのでしょうけれど、
それにしても「ゴーカイジャー」のエピソードの中で、素晴らしいと思ったり感動したりしたものは多いが、
観ていて泣けてきたエピソードは初めてでした。

ストレートに泣けたのは、今回のエピソードに込められたテーマがかなり重厚なものだったからです。
「ゴーカイジャー」のエピソードはこのブログではだいたい褒めているので、
こういうエピソードの時、どう褒めていいものか、ちょっと困ってしまいますが、
まぁこういう場合、「神回」と言っていいのではないかと思います。
「ゴーカイジャー」のこれまでのエピソードで5本の指には入るエピソードだったと言っておきます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:13 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月15日

第41話「なくしたくないもの」感想その4

では本編ですが、まず冒頭は、ある日の午後、
ゴーカイガレオンの船室でくつろぐマーベラス一味の6人のシーンです。
ルカはテーブルで宝石の整理、アイムは箒で部屋の掃除、マーベラスは船長椅子に腰かけたまま間抜け面で昼寝、
その前でジョーと鎧はそれぞれ部屋の端に向き合って座ってキャッチボールをしており、
ハカセは厨房に行っているようで船室にはいません。

鎧はジョーに向かってボールを投げつけながら「このところ・・・ザンギャックが出ませんねぇ」と言います。
マーベラスの昼寝している椅子の背もたれにとまったナビィも「そうだねぇ」と相槌を打ちます。
第38話の時、ザンギャック地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルをマーベラス達が倒し、
それ以降、ザンギャックはTV本編には登場してきていません。

ただ、公式設定上は第38話の少し後、第39話の前ぐらいのエピソードにあたる
講談社スペシャルDVD「キンキンに!ド派手にいくぜ!36段ゴーカイチェンジ!!」というエピソードがあります。
ここではザンギャックの技官のインサーンがマーベラスと鎧の前に登場して、
第38話でジョーに倒されたバリゾーグの残骸を使って、新たな怪人を作ろうとしてドタバタを繰り広げるという
ギャグテイストのストーリーがあり、これをストーリーの中に含めるならば、
ザンギャックはワルズ・ギルの死後もちょっとは活動していたということになります。

司令官の喪中だというのに、ずいぶんと楽しげなインサーンにやや違和感はありますが、
まぁ番外編ということで、これはこれでいいでしょう。
ただ番外編とはいえ、一応、第38話の顛末を受けての内容なので、
パラレルなお話ではなく、TV本編の時系列の中の第38.5話といえるエピソードです。
だから、このインサーンの出現以降、ザンギャックはマーベラス達の前には姿を現していないことになります。

あのインサーンのスペシャルDVDでのハイテンションぶりを考えると、
どうもザンギャックでは司令官の喪に服すという習慣は無いようで、活動しようと思えば出来るようなのですが、
あれ以来パッタリと活動を止めてしまっているのは少し不可解ではあります。

一方、鎧が投げてきたボールをキャッチしたジョーは
「・・・今のうちに、大いなる力を集めておきたいな・・・」と言います。
どうしてだかは分からないがザンギャックが活動していない今なら、
ザンギャックと戦うことで時間が潰されることもない。
「大いなる力」を集めて回る絶好のチャンスなのです。
残りの「大いなる力」は4つで、「大いなる力」集めもそろそろ大詰め、
「宇宙最大のお宝」に肉薄してきました。
しかし、バスコという油断ならない競合者がいるというのに、
前回は過去にタイムスリップしてまでも無駄足を踏んでしまった。
その無駄足の分も取り戻して、「大いなる力」を早く集めなければいけない。

ジョーはマーベラスの椅子の背もたれのナビィに向かって「ナビィ!」と、ボールを投げつけます。
そのボールをナビィは飛びあがってヘディングで受けて、空中に浮かんで頭でリフティングしながら
「予感はあるけど、まだピシッと来ないんだよね!」と言って、翼で叩いてボールを鎧にパスします。
ジョーはナビィに今こそ、お宝ナビゲートをするように促したのですが、
相変わらずナビィのお宝ナビゲートはナビィ本人の意のままにならないようで、
今はまだお告げが出て来ないようです。
つまり、今回は「大いなる力」探しはお預けということです。

ところがそのナビィが鎧にパスしたはずのボールが、間違って鎧の少し離れたところに飛んでいき、
そこにはアイムが部屋の掃除をしていました。
背後に飛んできたボールの気配を察知して反射的にアイムは振り向き、
手にしていた箒をバットのように振って「ふん!」とボールを打ち返し、
「あ!?」と鎧とジョーとナビィが驚く中、そのアイムの打ち返したボールは
昼寝中のマーベラスの横っ面を張り飛ばし、壁とスクリーンにバウンドして、
テーブルで宝石の整理中のルカの頭めがけて飛んでいきますが、
ルカが肩が凝ったのか、偶然首を傾げて、ボールはその上を通り過ぎ、
そこにちょうど厨房からお菓子を持ってきたハカセの顔に直撃しました。

「は!」とアイムが自分のせいでとんでもないことになってしまったと思わず口に手を当てて目を丸くして、
「うあ!?」とのけぞったハカセの手にした皿からお菓子が床にボロボロと落ち、
船長椅子ではいったいどうして顔が急に張り飛ばされたのか分からないマーベラスが寝ぼけ眼で
「?」と起き上がって周りをキョロキョロ見回していますが、
マーベラスもハカセもルカも、床に落ちたボールには気付いていません。

ナビィは「あれ〜!何かあったのぉ?」と必死で誤魔化し、
アイムは慌てて上着を手にして「私・・・そろそろ買い出しに・・・」と、その場を逃げ出し、
鎧とジョーもそそくさと一緒に買い出しに出かけていったのでした。
まぁ、ここの冒頭の船室の場面は、簡潔な現状説明と、
アイムとジョーと鎧の3人が買い出しに出かけるという展開へ導くシーンを
コミカルに描くというぐらいの意味合いです。

一方、地球と月の間の宇宙空間某所のザンギャック地球侵略軍の旗艦ギガントホースでは、
誰もいない指令室の真ん中にダマラスが1人、黙って仁王立ちしていました。
その背後、空席となった司令官席の脇にインサーンが現れ、
「ダマラス様・・・その後、皇帝陛下からのご指示は・・・?」と心配そうに尋ねますが、
ダマラスはじっと窓の外の地球を睨んだまま「・・・一切、無い・・・」と憮然として答えます。

これはつまり、ワルズ・ギルの敗死以降の状況に関する話のようです。
第38話のラストシーンや、講談社スペシャルDVDの内容から察するに、
ワルズ・ギルの遺体回収はダマラスが行い、バリゾーグの遺体回収はインサーンが行ったようです。
ダマラスとインサーンは、まさかいくらなんでも最強の決戦機に搭乗したワルズ・ギルが
マーベラス達に敗れて死ぬまでは予想しておらず、ワルズ・ギルの戦死には驚愕しました。

そして、司令官、しかも皇太子の戦死という重大な事態を受けて
ダマラスとインサーンは、自らの手でワルズ・ギル殺害犯であるマーベラス一味を倒して
敵討ちをしようとしていたようです。
それでまずはダマラスがワルズ・ギルの遺体を丁重に弔い、本国の皇帝に向けて事態を報告して、
すぐさま敵討ちをすることを報告し、
その間にインサーンはバリゾーグの残骸を再利用してマーベラスと鎧を襲い、その作戦は失敗に終わったのです。

つまり、ダマラスとインサーンは積極的に敵討ちをしようとしていたようです。
ただでさえ、インサーンはワルズ・ギルを殺した海賊たちが純粋に憎いという想いもあったでしょうが、
皇太子のワルズ・ギルをむざむざ戦死させてしまったという失態に戦慄し、
せめて殺害犯のマーベラス達を倒して失地回復を図りたいという想いの方が強かったと思われます。

ところが本国から「指示があるまで動くな」という命令が来たので、
ダマラスとインサーンは動けなくなってしまった。
ワルズ・ギルの敵討ちも出来ず、地球侵略も進められない状態で待機させられることとなり、
そのまま2週間ほど本国からは次の指示は来ない。
それでしばらくの間、地球ではザンギャック軍が姿を見せなくなっていたのです。

インサーンは、これは予想以上に自分達の立場はまずいことになっているのではないかと不安になりましたが、
失地回復の機会も与えられず、ただ処分を待つしかない状態に苛立ち、
「・・・我々はいったい、どうすればよいのでしょう・・・?」とダマラスに問いかけます。
ダマラスは「くっ・・・」と悔しさを噛みしめます。

ダマラスももちろん自分の立場が悪くなっていることは分かっています。
いや、もともとはワルズ・ギルが勝手に変な誤解をしたせいであったとはいえ、
結果的に皇帝の信頼をダマラスが裏切ってしまったことには違いない。
もはや自分は助かるまいとは思っていました。
皇太子を守るべき使命を果たせず、見殺しにしてしまった罪は重い。
ダマラスはもはや死は覚悟していました。
だが、せめて武人の意地として、ワルズ・ギルの敵討ちだけは果たして、
誇りある武人として死にたいと願っているのです。

しかし、本国からの指示待ちで動けずそれさえも許されない。
このまま不名誉な罪人として死を迎える屈辱にダマラスは悔しさを募らせていました。
ならば、どうせ死罪になるのならば、いっそ皇帝の命令など無視して出撃して
海賊を勝手に倒してしまえば武人としての意地だけは通せるのだが、
ザンギャック帝国の堅物の軍人であるダマラスはどうしても皇帝の待機命令に逆らうことが出来ない。
その自分の堅物ぶりに腹立たしささえ覚えつつ、
ダマラスはこのまま不名誉な死を待つしかない自分が悔しくてたまらないのでした。

その時、突然、ギガントホースの周りの宇宙空間に多数の閃光が走り、
ギガントホースの船体が大きく揺さぶられます。
「敵襲か!?」とダマラスは慌てますが、
それはギガントホースの周囲に猛スピードで突っ込んできて急停止した
多数の宇宙戦艦の巻き起こす衝撃による閃光や振動であったのです。

それらの宇宙戦艦は、まるでギガントホースを包囲するように停止しています。
そして、それらの宇宙戦艦の船体の色は紫色でありました。
紫色の船体といえば、第11話で親衛隊長のデラツエイガーがやって来た時に乗っていた宇宙船や、
第37話で親衛隊員のドゴーミンがグレートワルズを運んできた時に乗っていた宇宙船と同じです。
つまり、紫色の船体は、皇帝親衛隊の船であることを表しているのです。

しかし今回は大挙して、しかも大型の戦艦まで繰り出してきている。
つまり皇帝親衛隊が全員揃って地球のすぐそばまで移動してきたような感じなのです。
しかし皇帝親衛隊が皇帝を放り出して全部隊が何処か他の場所に出撃するなどということは有り得ない。
つまり、皇帝親衛隊が全部来たということは、皇帝も一緒にやって来たと考えるしかないのです。

ここでOPテーマが始まります。
OPナレーションは「冒険とロマンを求めて、宇宙の大海原をゆく若者たちがいた。
宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら!
その名は!海賊戦隊ゴーカイジャー!!」という、いつもの通常回バージョンです。

そしてOPテーマが終わり、CM明け、今回のサブタイトル「なくしたくないもの」が出ます。
通常回ですから、特に何かのフォーマットに沿っているわけではなく、
意味としては今回のエピソードのテーマが、
マーベラス達のどうしても無くしたくない大切なものが何なのかであるので、
そのままストレートな意味のサブタイトルといえます。

ただ、どうして「無くしたくないもの」ではなく、全部ひらがなの「なくしたくないもの」なのか?
「ゴーカイジャー」のサブタイトルには、特に難しい漢字表記を避けるというような
子供向けの配慮があったことは無いので、そういう意味ではないでしょう。
ひらがな表記の方が見た目が綺麗というわけでもないでしょうし、
意味を重視するならば、ひらがな表記よりも、漢字仮名混じり表記の方が良いはずです。
まぁしかし、ひらがな表記にしても不格好になるわけでもなく、意味が分からなくなるわけでもないので、
どっちでもいいといえばどっちでもいい。
だから、あまり深い意味は無いのでしょうけれど、不自然といえば不自然なので、何らかの意図はあるのでしょう。

それはおそらく、どの漢字をあてるべきなのか分からなかったという素直な気持ちの表れなのでしょう。
「無くす」なのか「失くす」なのか「喪くす」なのか「亡くす」なのか、どうしても決められなかったのでしょう。

漢字というのは厳密には日本人から見れば外国語ですから、
「なくす」という日本語にどの漢字をあてるのか決める作業というのは厳密には外国語訳なのです。
日本語を外国語に訳する時というのは、微妙なニュアンスが変わってしまうことがあって、非常に気を遣います。
それでも日本人が漢字を使い始めて、もう1500年以上は経っていますから、
日本語に漢字をあてはめる作業で悩むケースというのは、日常生活ではもうほとんどありません。
悩むのは、よほど微妙で繊細な言葉を使う場合だけです。

今回、どうしても「なくす」にあてる漢字を1つに絞ることが出来なかったのは、
その「なくしたくないもの」というのが、下手すれば漢字伝来以前にまで遡るほど、
日本人にとって語感としてかなり根源的なものであるからなのでしょう。

さて本編が再開し、揺れの収まったギガントホースの指令室で、
艦の周囲を囲んだ紫色の戦艦の群れを見て戸惑うダマラスとインサーンの背後で物音がするので
2人が慌てて振り返ると、その視線の先、空席となっている司令官席の背後の
ザンギャックの紋章を描いたスクリーンが持ち上がり、その奥に普段は使用されていない赤絨毯の通路が出現します。

同時に「宇宙帝国ザンギャック皇帝・・・」という声が響き、
ダマラスとインサーンは「まさか・・・!?」と目を見張ります。
通路の奥から、「・・・アクドス・ギル様、降臨・・・!」という声が響き、
ドゴーミン2人がゆっくり歩いてくる、その後ろ、通路中央に
少し小柄だが屈強そうな黒い体の片目の怪人が威厳を漂わせて歩いてくるのが目に入ったのです。
驚愕したダマラスは「・・・皇帝陛下・・・!」と声を上げると、慌ててその場に跪きます。
呆然としていたインサーンも同様にダマラスの横に跪きます。

司令官席の後ろの通路はギガントホースに備えてある、皇帝専用の通路であるようです。
皇帝親衛隊の戦艦に乗って来た皇帝アクドス・ギルは、ギガントホースに強制的に乗り込んできて、
皇帝専用の通路を開けさせて、一気に指令室に乗り込んできたのでした。

いきなり皇帝親衛隊の戦艦が大量に出現したことから、ダマラスももしやとは思っていたのですが、
それにしても本当にザンギャック宇宙帝国の皇帝自らが
このような宇宙の辺境まで何の予告も無く出向いてくるとは想像出来ず、
いきなりの皇帝の登場に驚愕し、いったい何故そのような事態となったのか分からず、混乱していました。

ところで皇帝アクドス・ギルですが、第37話のワルズ・ギルの回想シーンに登場はしていましたが、
あの時はほとんどシルエットだけの登場で、その姿はハッキリとは映っていませんでしたので、
今回、初めてその姿が明確に映し出されたことになります。

どちらかというと小柄だが、筋骨隆々とした引き締まった体躯、肉食獣のような獰猛そうな顔は、
圧倒的な強者のオーラを発散しており、頭や肩、襟元の飾りは皇帝の威厳を示しています。
その姿は、やはりザンギャックの紋章の中央の模様や、
1000ザギン札の真ん中に描かれていた肖像画と同じように見えますが、
紋章やお札では両目であるのに、やはりこうして現れた皇帝は右目が塞がっており、片目でした。

ともかく、一目見ただけでこの皇帝アクドス・ギルが恐ろしく強いのであろうことは分かります。
息子のワルズ・ギルとは全く違う、根っからの戦士であり、
しかもただ強いだけではなく、恐ろしく場数を踏んでいる歴戦の勇士であろうと思われます。
まさに圧倒的カリスマであり、皇帝の肩書など無くても、思わず平伏してしまいそうな恐怖感を感じさせる怪人です。

そのアクドス・ギルはゆっくりとした足取りで、ひたすら無言で歩き、
通路から指令室に出てくると、空席となっていた司令官席にゆっくりと座ります。
司令官席の前方両側には、護衛役のドゴーミンが2人、槍を持って立ち、
司令官席のアクドス・ギルの後ろには、アクドス・ギルの後ろから歩いてきていた2人の怪人が立ちます。

向かって右側に立つ赤いボディの怪人は頭を撫でつけたりしてキザっぽい仕草をして
「フン!」と平伏しているダマラスを見下すような態度で、
向かって左側の金色のボディの怪人は直立不動で微動だにしません。
皇帝の背後に立つことが許されるとは、両者とも、よほど皇帝の信頼が厚い側近だと思われ、
親衛隊員の中でも特に腕の立つ者なのでしょう。

アクドス・ギルは歩いて来て席に着くまで、平伏しているダマラスとインサーンに何ら言葉もかけず、
一瞥すらせず、着席しますが、ダマラスがゆっくり顔を上げると、
アクドス・ギルは黙ってダマラスの顔を見据え、おもむろに「ダイランドー・・・」と言います。
すると皇帝の後ろ、向かって右側に立つ赤い怪人が「イエ〜ス!」と、敬礼しながらおどけた口調で応え、
続けてアクドス・ギルが「・・・ザツリグ!」と言うと、
左側の金色の怪人が「はっ!」と、こちらは真面目一徹な口調で頭を下げ、畏まって応えます。

赤いおどけた怪人がダイランドー、金色の武闘派っぽい怪人がザツリグという名のようです。
名を呼ばれたダイランドーとザツリグはそのまま前に向かって歩きだし、
跪いたままのダマラスの方に向かいます。
そして、それと同時にアクドス・ギルは、「・・・ダマラスを拘束せよ!」と厳粛な声で
ダイランドーとザツリグに命令を発したのでした。

最初からアクドス・ギルはダマラスを問答無用で拘束することを決めており、
ダイランドーとザツリグに言い含めておいたのでしょう。
皇帝の意外な命令に驚愕したダマラスが「はっ!?」と立ち上がろうとした時には、
既に両側からダイランドーとザツリグに腕を掴まれて引き立てられていました。
ダマラスが皇帝の命令に逆らって暴れるなど普通は考えられないことだが、
アクドス・ギルは念には念を入れて、
親衛隊の最精鋭の怪人2人に不意打ちのようにダマラスを拘束させる手筈をとったのです。

無論、ダマラスは厳しい叱責を受けることも覚悟していたし、この場で死刑を宣告されることも覚悟していました。
しかし、このような騙し討ちのような形で拘束されるのは予想外でした。
これではまるで自分が皇帝に対して暴行しようとしていると決めつけられているようだと、
ダマラスは屈辱を感じました。

もとよりダマラスに皇帝に逆らう気など無い。
それなのにこのような措置を取られるとは、まるで反逆者のような扱いだとダマラスは驚愕し、
「お待ちください!陛下!」と必死で抗弁しようとして絶叫しますが、
アクドス・ギルは表情ひとつ変えず、黙ってダマラスを見据えるだけであり、
ダイランドーがアクドス・ギルの代弁をするように
「ワルズ・ギル様をお守り出来ないなんて、バカでしょ!カスでしょ!」とダマラスをからかうように
罵倒しながら手の鉤爪でダマラスの身体を何度も斬り裂きます。

ダマラスも皇帝の面前で暴れるつもりなどないので大人しく2人に拘束されていたのですが、
さすがにこのダイランドーの攻撃は強烈で、ダマラスは1人では立てないほどボロボロになってしまいました。
そのぐったりしたダマラスを無理に引き立てて、
ザツリグは「何のために補佐についたのだ!?・・・まさか貴様、何か企んでいるのではないか!?」と
厳しく問い質します。
これも、もちろんザツリグ個人の資格でこのような失礼なことを言っているわけではなく、
皇帝アクドス・ギルの意向を代弁しての発言でした。

つまり、アクドス・ギルはダマラスが反逆を企てているのではないかと疑っているのです。
まぁ確かに、アクドス・ギルとしてみれば、ダマラスには地球侵略軍の参謀長を任ずるにあたって、
ワルズ・ギルの代わりに地球を征服するようにと暗に言い含めておいたはずなのですから、
何時まで経っても地球を征服出来ないばかりか、ワルズ・ギルが前線に出て戦死したなどと報告されれば、
全く自分の命令をダマラスが無視したと思うしかない。

あるいは地球征服の手柄を全部ワルズ・ギルに献上するためだけに参謀長に任じられたのが不満で
ダマラスは反逆したのかもしれないともアクドス・ギルは思いましたが、
それにしても皇太子のワルズ・ギルまで殺すとなると只事ではない。
あるいは帝位簒奪の陰謀でもあり、それにダマラスが関与しているのではないかと疑ったアクドス・ギルは、
自ら乗り込んでダマラスを拘束して尋問せねばならないと思っているのです。

それで用心深く、しっかり準備を整えて作戦を練ってから、
親衛隊を全部引き連れてダマラスが暴発しても鎮圧出来る態勢で不意打ちのようにして乗り込んできたのです。
もちろん本当はダマラスに反逆の意思などは無く、
地球征服が遅れたのも、ダマラスが前線で戦えなかったのも、ワルズ・ギルが前線で死んだのも、
全てワルズ・ギルの誤解に基づく勝手な思い込みのせいでした。
だから、ダマラスの反逆などはアクドス・ギルの誤解なのですが、
何にしてもダマラスを拘束するには自ら乗り込まねばならないと皇帝に思わせるあたり、
ダマラスがいかに皇帝からその実力を高く評価されていたか分かろうというものです。

一方、この状況を見て、インサーンはダマラスが反逆を疑われていることに気付き、驚きます。
インサーンは第37話でワルズ・ギルが、
ダマラスと皇帝が結託してワルズ・ギルを追い落とそうとしているかのように言っているのを聞き、
何となくダマラスのワルズ・ギルへの忠誠に疑念を抱いていたのですが、
こうして皇帝に疑われているダマラスを見て、あれはワルズ・ギルの誤解であり、
実際はダマラスは忠臣であったことを悟りました。

そう気付くと、ワルズ・ギルのダマラスに対する数々の仕打ちが
いかに誤解に基づいた理不尽なものであったかインサーンにはよく分かりました。
そしてワルズ・ギルが死んだのは自業自得であり、ダマラスは何も悪くないのだと分かり、
インサーンは思わず、ダマラスを攻撃しようとするザツリグの腕に取り付いて
「恐れながら・・・ダマラス様はワルズ・ギル様に出撃を禁じられて・・・」とダマラスの弁護をしようとしていました。

しかし、皇帝の面前で一介の技官が亡き皇太子への批判をするなど、許されることではない。
インサーンを乱暴に振り払うと、ザツリグは「ええい!技官風情が口出しをするな!」と怒鳴ります。
同時にザツリグの身体から金色の光が発し、その瞬間、インサーンの身体は火花を吹いて、
「ああう!!」と絶叫を発して、真っ逆さまに倒れ伏してしまいます。
確かに思わず無礼な態度をとってしまったインサーンですが、
それにしても技官風情とはいっても、インサーンとてかなりの高官のはずです。
インサーンは別に反逆者とは疑われていないようであるのに、
問答無用で制裁を加えられるとは、只事ではありません。
皇帝アクドス・ギルがこの件には断固とした決意で臨んでいることが窺えます。

一方、ダイランドーは「連れてゆけい!」と、ダマラスをドゴーミン達に放り投げて引き渡し、
ドゴーミン達はダマラスを船内の牢に連行していこうとして指令室を出て行きます。
ダマラスは連行されながら「陛下!!この私に、今一度機会をぉぉ!!・・・陛下あぁ!!」と必死の懇願を
絶叫するのでした。

ダマラスとしては、死はもう恐れてはいません。
反逆者の汚名を着せられて死ぬことすら、
結局はワルズ・ギルを見殺しにした自分にはやむを得ないこととすら思っています。
ただ、このまま拘束されて処刑されてしまうと、海賊に復讐を果たす機会が失われる。
武人として、それだけは耐えられない。
なんとしても武人の意地を通す機会だけは得たいと、ダマラスはそれだけにこだわる復讐鬼となっていました。

しかしアクドス・ギルはそうしたダマラスの必死の懇願も完全に無視します。
アクドス・ギルにとっては武人の意地などどうでもいいことです。
アクドス・ギルにとって大事なことは、ザンギャック帝国の宇宙支配を盤石たらしめるため、
帝国の威信、皇帝の威信を保つことでした。
だから、それを揺るがす陰謀が疑われるダマラスは拘束して詮議しなければならない。
アクドス・ギルが自らこの辺境の星である地球に乗り込んできた理由の第一はそれでした。

そして、もちろん理由の第二は、ワルズ・ギルの弔い合戦です。
ダマラスを連行したドゴーミン達が指令室の外に出て行くと、
アクドス・ギルはダイランドーとザツリグを司令官席に向かって立たせ、
司令官席の背後に亡きワルズ・ギルの写真を掲げて、
「愛する我が息子、ワルズ・ギルの弔いである!・・・海賊どもの首を、直ちに捧げよ・・・!」と、
落ち着いた声で命令を下しました。

それに対してザツリグが一歩前へ進み出て折った右腕を胸の前に掲げて敬礼しながら
「このザツリグが、殿下の仇を討ち、征服した地球と共に、墓前に捧げます!」と凛々しく宣言すると、
アクドス・ギルは満足そうに「・・・うむ・・・!」と頷くのでした。

アクドス・ギルとて、もちろん息子を殺されて、1人の父親として悲しくないと言えば嘘になります。
しかし、皇帝としては私情はこの際、度外視しています。
自らの手で息子の敵討ちをしたいなどとは思っていない。
ザンギャック帝国の皇太子が討たれるという屈辱的な事態に際して、
父である皇帝自らが殺害犯を討伐したなど、確かに美談かもしれないが、
帝国の軍事力の威信は逆にガタ落ちである。

皇帝や皇太子を守り、帝国の威信を守るために存在するはずの帝国軍の精鋭は、
皇太子が殺害されて何も出来なかったのかと思われてしまう。
そんな噂が立てば、帝国軍の存在価値は無くなってしまう。
だから、ここはしっかりと、帝国軍がワルズ・ギルを殺した海賊を討たねばならない。
そして地球を帝国軍が征服せねばならない。
もし地球を征服出来なければ、むざむざ討たれたワルズ・ギルの落ち度ということになり、
それは引いては皇帝一族や帝国そのものの威信低下に繋がるからです。

しかし、ならば、皇帝自ら乗り込んでくる必要は無かったのではないかとも思われようが、
どうせダマラスの件で親衛隊を引き連れて地球方面に来ざるを得なかったのであるし、
アクドス・ギルは海賊を討伐出来るのは親衛隊だけであろうとも思っていたからです。

アクドス・ギルは決してワルズ・ギルのように海賊を軽く見て、舐めてはいない。
特にワルズ・ギルを討ったというマーベラス一味という海賊は、
帝国最強の決戦機であるグレートワルズを圧倒して倒したというのだから、
得体の知れない恐ろしい連中だということはアクドス・ギルも分かっています。
だから決して楽な戦いではないことは予想しています。

だからこそ、帝国軍の最強部隊である皇帝親衛隊を差し向けるしかない。
そして親衛隊がごっそり地球方面へ移動する以上、
皇帝である自分も一緒に移動して、親衛隊の指揮を執るしかないというのがアクドス・ギルの考えでした。
そうして引き連れてきた親衛隊の最精鋭であるザツリグならば、
必ず海賊を倒すはずだという確信がアクドス・ギルを満足げに頷かせています。
決してマーベラス一味を甘く見てはいない皇帝が、それでもザツリグの勝利を確信できる、
それほどの実力をザツリグは備えているということです。

さて、その後しばらくして、そろそろ日が傾きだした地上では、
先ほどガレオンから夕食の食材の買い出しに出たアイムとジョーと鎧の3人が、
買い物を終えて荷物をいっぱい持ってガレオンへの帰り道を歩いていました。

先頭を歩くアイムは「この星は本当に品質の良い物が安く手に入りますね!」とニコニコして言います。
マーベラス一味って、金持ちだから別に安い物にこだわって買い物はしてないと思うのですが、
おそらくどういう買い物をしても、宇宙の他の星よりも割安で物が買えるのでしょう。
それは地球の物産が豊かであるというのもあるのでしょうけれど、
ザンギャック支配下の宇宙の他の星々では不当に物の値段が釣り上げられているのかもしれません。

まぁ別に大したことではないのですが、アイムに地球の良いところを褒められて、
鎧は「そうなんです!いい星なんですよ!この地球ってのはぁ!!」と有頂天になって
荷物を振り回して飛び跳ねます。
地球人の鎧はとにかくマーベラス一味の皆に地球を好きになってもらいたくて、
日々、地球の良さをアピールしまくっていますが、
最近はもう十分にマーベラス一味の面々は地球のことは好きなので、
もういい加減そんなに地球の自慢ばっかりしなくてもいいと思い、
ジョーは「お前はそればっかりだなぁ・・・」と呆れ顔です。

しかし、アイムはニッコリ笑って「でも、良い事です!自分の星を愛せるということは・・・」と言います。
それを聞いて、鎧はハッとしたようにジョーの方を振り返り、ジョーも真顔になって目を伏せました。
鎧は第29話で見たように、アイムの過去がお姫様であることまでは知らないような印象なのですが、
アイムの生まれた星がザンギャックに滅ぼされたことは、第37話でジョーから聞かされて知っています。
だから、鎧は自分の不用意な母星である地球の自慢が、
母星を失ったアイムの心を傷つけたかもしれないと思い、慌てたのでした。
それは、なにかアイムの笑い声が少し寂しそうに聞こえたからでした。

ジョーも、彼自身、鎧の過度な地球自慢を聞くと、少し寂しい気持ちが無いかというと嘘になります。
自分達に比べると鎧は恵まれていると思い、多少は羨ましくなります。
そんな風に思わざるを得ない自分は客観的に見て不幸なのだろうと思うと、やはり少し寂しい。
だからアイムもきっと内心では寂しいのだろうと思い、
この話題はこれぐらいにしておこうというニュアンスでジョーは目を伏せて鎧にサインを送ったのでした。

実際、アイムもジョー同様、内心では鎧のことが羨ましく、自分の境遇を少し寂しく思っていました。
でも、同時に、鎧が地球を愛して、地球の人々をザンギャックから守るために戦おうとしていることを
素晴らしいことだと本心から思い、
自分のことでも自分の星のことでもないのに、嬉しい気持ちになっていたのでした。
だから別にアイムはジョーと鎧が心配するような辛い気持ちではなかったのです。

ところがその時、突然大きな音がして驚いて3人が空を見上げると、
ザンギャックの戦艦が地上を攻撃しているのが見えました。
駆け寄って街の方を見ると、大量のザンギャック艦が街にビーム砲を撃ち込んで、街は火の海となっています。
アイムは「ザンギャック・・・!?」と上空を飛ぶザンギャック艦を見て驚きます。
ザンギャックが最近動きが無いというのは、さっきも話題に上っていたことで、
アイムももしかしたら司令官を倒されたザンギャック地球侵略軍はしばらく撤退して
出て来ないのではないかとも思っていたので、この突然の猛攻には驚きました。

しかし驚いたのはそれだけではありません。
それらのザンギャク艦は、いつものザンギャック艦と違って見えたからです。
いつもは青い機体なのですが、今回のザンギャック艦は全部が紫色の機体なのです。
それを見て、ジョーは驚いた顔になり、「あれは・・・皇帝直属の親衛隊の船だ!」と言いました。
元ザンギャック兵士だったジョーは、ザンギャック艦の色で所属部隊を見分けることが出来ます。
だから紫が皇帝親衛隊の船だということは分かるのでした。

ただ、ジョーが驚いたのは、皇帝親衛隊の船が地球に来ていることそのものでした。
しかもあんなに大量ということは、皇帝親衛隊が丸ごと全部、地球に来ているということです。
それはつまり、皇帝アクドス・ギルが地球侵略軍に来ているということです。
ジョーの知る限り、皇帝や親衛隊が辺境の前線に出てくるなど、例の無いことでした。
そして皇帝親衛隊は恐ろしく精強な部隊だという噂は聞いていました。
そういえば、前回のザンギャックとの戦いの際にも皇帝親衛隊の兵士だというドゴーミンという奴が
2人混じっていたが、あれはもしかしたら親衛隊本体が来る前触れだったのかもしれないともジョーは思いました。

その時、その紫色のザンギャック艦のうちの1機が3人の立って見ている地点の上空に飛んできて、
地上にビームを降ろして、何者かが地上に送り込まれてきます。
姿を現したのは、先ほどギガントホースでアクドス・ギルの前で海賊討伐を宣言したザツリグでした。
ザツリグはマーベラス一味の手配書を手にしており、そこに立っている3人と手配書の写真を見比べて、
「見つけたぞ、海賊ども・・・」と言います。

ザツリグのさしあたっての目的は、あくまでアクドス・ギルの命令に従って、
マーベラス一味の6人を見つけ出して抹殺することでしたが、
上空から探索がてら、ついでに地上の街も適当に空爆しているようでした。
地上侵攻などを今するつもりもないのに無計画な空爆をすることには大して意味も無いのですが、
単に街を破壊したりするのが趣味なようです。
そうして破壊を楽しみつつ上空から探索していると、
手配書によく似た3人の姿が見えたので降下してきたというわけです。

3人はザツリグの言葉を聞いて、自分達を狙っているのだと悟り、慌てて振り向き身構えますが、
アイムはザツリグの顔を見て、あっという顔をして驚きます。
ザツリグの方はアイムの顔を見ても別に驚いた顔をするわけでもなく、相手が3人だと分かると、
「・・・3人だけか?」と少し物足りなそうに言います。よほど腕に自信があるようです。
戦いは必至と見て、ジョーと鎧は手にした荷物を下ろして身構えますが、
アイムはさっき驚いた顔をしたまま、唖然として「ザツリグ・・・」と呟きます。

アイムは何故かザツリグのことを知っているようですが、
ザツリグはアイムのことは特に意識していないようです。
もちろん手配書やもっと詳しいザンギャック軍の資料も今回は見ているでしょうから、
アイムの名前も、元ファミーユ星の王女だったことなども分かっているはずですが、
ザツリグはアイムのことを個人的には知らないようです。
それなのにアイムがザツリグを知っているというのも変な話ですが、
ジョーと鎧は目の前のザツリグに集中していて、横に立つアイムの様子がおかしいことには気付いていません。

ザツリグは「俺は皇帝親衛隊のザツリグ・・・数百の星を滅ぼし、惑星の破壊神と呼ばれた男だ!」と名乗ります。
ジョーは皇帝親衛隊と聞き、緊張した表情で身構えます。
ハッタリではなく、かなりの強敵に違いないと思い、警戒したのでした。
しかし、ザツリグの名乗りを聞いたアイムは、相手が確かにザツリグであることを再確認して、
ぐっと下を向き、何か思いにふけるようにしてから、顔を上げてザツリグをキッと睨みつけます。
その眼には普段のアイムには見られない、恨みがましい殺意の炎が燃えていたのでした。

そうしてアイムは、「ワルズ・ギル様の仇を討ち、このような辺境の星・・・」と長々と口上を述べている
ザツリグの無駄話を制するように、いきなり1人で駆け出していき、
「豪快チェンジ!!」と叫びゴーカイピンクに変身し、
「はぁっ!!」と、ザツリグに向かって突っ込みながらゴーカイガンを撃ちまくります。

アイムが普段、このように1人だけで突っ込んでいくことは滅多に無い。
しかも相手はどう見ても強敵です。
ここは慎重になるのが当然の場面であるのに、正面から1人で突っ込むなど無謀すぎる。
普段のアイムでは考えられない猪突猛進ぶりです。
ジョーと鎧はアイムのあまりに意外な行動に意表を突かれて、呆然とその突撃を見送ってしまいました。

そして、撃ち込んだ銃弾を難なくザツリグの腕で弾かれて、
そのまま突っ込んでゴーカイサーベルを振り回してザツリグと接近戦を繰り広げるアイムを見て、
鎧は焦って「・・・どうしちゃったんでしょう!?」とジョーに尋ねますが、
ジョーも非常に戸惑って「・・・分からん・・・とにかくいくぞ!!」と言い、
2人は駆け出しつつ変身してアイムの加勢に行きます。

どうして、さっきまで上機嫌であったアイムが急に狂ったように駆け出して無謀な突撃をしたのか、
2人には全く分かりませんでしたが、
とにかくアイムとザツリグの戦いを見る限り、
ザツリグはアイム1人で勝てるような相手ではないことは分かりました。
だからアイムを加勢しに行かなければいけない。

案の定、アイムはザツリグの攻撃を喰らて、駆け込んできたジョー達のところに吹っ飛ばされてきました。
倒れ込んでくるアイムを「アイム!!」とジョーは抱き止めますが、
アイムは無言でジョーと鎧の手を乱暴に振りほどき、再び1人でザツリグに突っ込んでいき、
ゴーカイサーベルを振り回します。
ジョーと鎧は、普段の物腰柔らかなアイムからは想像も出来ない荒々しい態度に驚き、呆然とします。

しかし、そうして挑んだアイムもやはりまたザツリグの攻撃を喰らって吹っ飛ばされ、
「きゃあ!!」と悲鳴を上げて鎧の足元に転がってきました。
アイムが完全におかしいと思い、鎧は「どうしたんですか!?」と問いかけながらアイムを助け起こしますが、
アイムはどうやらさっきから自分の身体に触れてくる相手がジョーや鎧だということが
イマイチ分かっていないようで、無我夢中で「離して!!」と喚いて暴れ、鎧を弾き飛ばすと、
また懸命に剣を構えてザツリグに突進していきます。
ちょっとした錯乱状態のようです。

アイムに弾き飛ばされて尻もちをついた鎧は「・・・いったい何が!?」と戸惑い、ジョーも困惑します。
どうもアイムは錯乱状態ながら、ザツリグと1人で戦うことには固執しているようで、
ジョーと鎧のことは誰なのか分からないような状態には陥っていますが、
少なくとも一緒に戦う仲間だとは認識していないようで、
むしろ自分の戦いを邪魔しようとする者だと思って警戒しているようでした。
こんな状態ではアイムと連携して戦うことは難しいと思い、ジョーは苦慮します。

一方、ザツリグの方はアイムの錯乱して「はあっ!!」と振り下ろした雑な剣を難なく掴むと、
正面で身動きが取れなくなったアイムに向かって「フン!海賊の力はこの程度か・・・?」と鼻で笑い、
胸の真ん中に小さな目を開き、その目が金色に光ります。
すると、突如、アイムの身体が炎に包まれ、「きゃあっ!?」と叫んでアイムは吹っ飛ばされました。

これはさっきギガントホースの指令室でインサーンの身体に火花を噴かせた攻撃と同じです。
あの時、ザツリグの身体から発した金色の光は、胸に開いた目から発したものだったのです。
そして、ザツリグはこの胸に隠した目を開くことによって攻撃を繰り出すことが出来るのです。
ただ、インサーンの時は火花で、今回のアイムには炎の攻撃ですから、
いったいどういう属性の攻撃なのかイマイチよく分かりません。

そもそも、相手は当然ザツリグの腕や足の動きに注意を払っていますから、
胸の真ん中に小さな目が開いても、戦いの中ではなかなか気づきません。
何せ、この攻撃はザツリグは全く身体を動かさない状態で発することが出来るのですから、
相手には分かりにくい攻撃です。
吹っ飛ばされたアイムも自分がどういう攻撃を喰らったか分かりませんでしたし、
後ろで見ていたジョーもアイムが邪魔になってザツリグの胸の目が一瞬開いたことには気付いておらず、
ただザツリグが全く動いていないのに急にアイムの身体が火を噴いて吹っ飛ばされたようにしか見えていません。

「何だ今のは!?」と驚くジョーの前にアイムが倒れ込んできたので、
ジョーと鎧が「アイム!」「アイムさん!」と駆け寄ります。
ザツリグは3人を「フッフッ!」と余裕の態度で嘲笑いますが、アイムは起き上がり、
まだ1人で戦うつもりで、ジョーと鎧の手をまた振りほどきにかかります。
そのアイムの腕を無理矢理掴み、ジョーと鎧は「アイム!」「アイムさん!」と怒鳴りつけます。
そしてジョーが「一緒にやるぞ!」と言い聞かせ、アイムは少し正気に戻ったようで、一瞬動きが止まりますが、
やはりジョーの手を振りほどいてザツリグに向かって突っ込みます。

ジョーと鎧はこのアイムの動きに無理に合わせて一緒に突っ込みます。
アイムが錯乱して動きを合わせることが出来ないなら、自分達が合わせるしかない。
とにかくさっきからの戦いを見る限り、確かにザツリグは強敵だが、
3人がかりならば倒せない相手ではないと思えたのです。

ところが3人が突っ込んでいくと、ザツリグは直立不動のまま
「むん!」と、さっきのように胸の小さな目を開きます。
すると、胸の目から金色の閃光が一瞬走ると、
なんとジョー達3人の身体は固まったように動かなくなってしまいました。

またもやザツリグの胸の目には気付かなかったジョー達は突然、原因不明に自分の身体が動かなくなったと感じて
「うう・・・?」「な、なんだ?・・・これ」と戸惑い、
このままではザツリグの攻撃の格好の的になってしまうと思い、焦りますが、
ザツリグは「攻撃というなら、せめてこのぐらいはやれ!」と言って、また胸の目を開いて光を発し、
その瞬間、ジョー達3人の身体はさっきのアイムのように炎に包まれ、
3人は「うあああ〜!?」激しい勢いで吹っ飛ばされて壁に打ち付けられ、
変身解除して地面に落下して、起き上がれなくなってしまいました。

その3人を見降ろして「フッフッフ・・・」と嘲笑うザツリグでしたが、
夕日が沈みかけているのを見て、「夜が来る・・・」と呟きます。
そして「夜は酒を呑むための時間だ・・・次は6人で来い・・・」とキザなことを言って、
ザンギャック艦にビーム転送させて乗り込み、その場を去っていきました。

ザツリグは3人を殺すことは出来たはずなのですが、わざと見逃したのです。
それは、ここで3人を殺してしまうと、残りの3人が恐れをなして逃げてしまう可能性が高いと思ったからでした。
かといって、3人を見逃がしても6人揃って逃げてしまう可能性もあるのですが、
とにかく慌てて3人殺して、もし残り3人が逃げた場合、自分の落ち度になってしまうのが嫌だったのです。
とにかくあくまで6人全員を殺さなければ意味は無いとザツリグは考えていました。

ならば3人相手に戦う必要など無かったはずですが、あえて戦ったのは海賊の実力を測るためでした。
そして3人と戦った結果、これなら6人全員と戦っても自分の胸の目の能力を使えば楽に勝てると判断出来たので、
ザツリグはこれ以上3人を必要以上にいたぶるのはやめて撤収することにしたのでした。
これぐらいの攻撃で止めておけば、海賊たちは6人なら何とかなると思ってくれるかもしれないと
ザツリグは期待していましたが、
もし6人が逃げても、もちろん宇宙の果てまで追いかけるつもりでいました。

そうして去って行ったザツリグに向かって、アイムは必死で起き上がって追いかけようとし、
「お待ちな・・・さい・・・!」と呻きますが、ダメージで身体が動かず、起き上がれず、
アイムは悔しさの余り、拳で地面を叩くのでした。
アイムにとってザツリグがよほど過去に因縁のある相手であるのは確かなようです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:31 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月16日

第41話「なくしたくないもの」感想その5

アイムとジョーと鎧を圧倒して打ち負かしたザツリグは、3人にトドメを刺さずに、
次は6人全員で戦いに来るように言い残して去っていき、
3人はその後、夜になってやっと係留してあるガレオンに戻りました。
3人は怪我の手当を受けましたが、さほどの大きな怪我はありませんでした。
しかし、ザツリグに手も足も出なかったことで精神的には落ち込んでいました。

ルカも3人の様子を見て、「手も出せずにやられるなんて・・・相当の相手だね・・・」と重い口調で言います。
3人がかりで攻撃して、ザツリグに近づくことも出来なかったということをジョーと鎧から聞いて、
それは只事ではないと分かったのでした。
今までそれほどまでに敵に圧倒的な差をつけられたことはない。
何か普通ではない相手だということは直感出来ました。

「皇帝親衛隊と言っていたが・・・奴の攻撃は全く見えなかった・・・」とジョーも下を向いて重々しい口調です。
ジョー達は結局、最後までザツリグが胸にある小さい目を開いて攻撃してきていることには気付かなかったのです。
だから、ザツリグが全く動いていないのに自分達が攻撃を喰らったように思っています。
つまりザツリグは確かに攻撃を繰り出しているのに自分達にはそれが見えていなかったと思っているのです。
「気付いたら吹っ飛ばされてて・・・何も出来ませんでした・・・」と鎧も落ち込みます。

ところで、ジョーと鎧はアイムのさっきの錯乱ぶりについてはマーベラス達、留守番組にはまだ何も言えていません。
確かにザツリグに手も足も出なかった第一の要因は、ザツリグの攻撃が見えないことでした。
しかしザツリグが見えない攻撃を繰り出してくる以前の段階では付け入る隙はあった。
しかし、その戦機はアイムが1人で錯乱して突っ込んで台無しにしてしまったのですから、
敗因としては、その点も報告しなければいけないところです。

しかし、アイムの様子はあまりにも普通ではなかったし、
戦いの後もアイムは深刻な顔で押し黙ったまま一言も喋らなくなってしまったので、
ジョーも鎧も声をかけることも出来ず、そのままアイムから事情も聴けずにいました。
そんな状態で、皆の前でアイムの失態について喋ったりすれば、皆でアイムを責めるようなことになってしまい、
今のアイムにはそれは酷なように思えたので、ジョーも鎧もアイムのことは皆に言えずにいました。
いや、マーベラス達にアイムの件を秘密にしておくわけにはいかなかったが、
少なくともアイムの居る場ではそのことを話題にするわけにはいかなかったのでした。

そのアイムはガレオンに戻ってきてからも疲れ切った様子で一言も喋らず、
怪我の手当が終わると、船室の中で他の5人から1人だけ離れて背を向け、テーブルに座って黙り込んでいます。
そんな調子ですから、明らかにアイムの様子がおかしいのは、ジョーと鎧が何も言わなくても、
マーベラスにもルカにもハカセにも分かっていました。
ただ、一緒にいたジョーと鎧もアイムについて何も言わず、アイムに話しかけようともしていないのを見て、
マーベラス達3人も、これはよほどのことがあったのだろうと思い、
アイムに声もかけられず、アイムの話題を出すことも憚られていたのでした。

一方、当のアイム本人は、先ほどの戦いの際の錯乱状態からは目が覚めており、
自分がジョーや鎧に大変な迷惑をかけてしまったことに酷く落ち込んでいました。
それで皆に合わせる顔が無いのです。
しかし、そんなに申し訳ないと思っているのならば、さっさと謝るべきなのだが、
アイムにはどうしてもそれが出来ない。

謝るということは、さっきの自分の行動が間違っていたと認めることになる。
つまり、もう二度とあのようにザツリグに1人で突っ込むような無謀なことはしないと誓わなければならなくなる。
しかしアイムは、確かにジョーと鎧に迷惑をかけたことは申し訳なく思っているが、
自分がザツリグに1人で戦いを挑む行動が間違っていたとは思えないのです。
だから、それをもう二度とやらないと誓うことは出来ない。

もしジョー達に謝って、それでもなお今後も1人でザツリグと戦うなどと言えば、
アイムはその理由をマーベラス達に説明しなければならなくなるが、
それはあくまでアイムの個人的な事情であったので、皆に言いたくなかったのでした。
しかし、このままでは皆に何も説明しないまま、今度は6人でザツリグと対峙することになる。
このままでは、その時、また自分は皆に迷惑をかけてしまう。
そう思うと、アイムはどうしていいか分からなくなり、皆から離れて押し黙って苦悩していたのでした。

そうしたアイムの苦悩の中身はよく分からないながら、
何かアイムが悩みを抱えていることは皆にも伝わっていました。
そうしたアイムを気にしつつ、マーベラスはジョーと鎧の話を聞いて、
「面倒くせぇ奴に・・・狙われたもんだな・・・!」とぼやきます。

ジョーと鎧が攻撃が見えないと言っている以上、自分にも見えないのだろうと思えました。
攻撃が見えないのでは対処しようがない。
そんな奴がワルズ・ギルの敵討ちだと言って自分達を狙い、6人で戦いに来るように言っている。
しかも皇帝親衛隊だということは、皇帝の命令で動いているのだろう。
つまり皇帝が息子の敵討ちに乗り出してきたということです。
どうやら、しばらくザンギャック軍の動きが無かったのは、
ザンギャックの方で色々と動きがあったからだということがマーベラスにも呑み込めてきました。

皇帝親衛隊の船が大挙して街を攻撃していたというジョーの話からして、
おそらく皇帝自らが地球に乗り込んできたようだとマーベラスは悟りました。
皇帝自らが息子の敵討ちのために親衛隊を自分達を討つために差し向けてきている。
そして、さすがに帝国の中枢の防衛にあたる皇帝親衛隊は、これまでの敵とは次元が違う強さを持っているようで、
これは確かに面倒なことになってきたとマーベラスは困りました。

「面倒くせぇ奴」とはザツリグだけを指すわけではなく、なんといっても一番面倒くさい奴は皇帝でした。
そしてその皇帝率いる帝国の最強軍団である親衛隊がとにかく面倒くさい相手なのです。
そして面倒なことになったのは自分達だけではない。
皇帝親衛隊は自分達を討つだけでなく街への攻撃も行っており、
このままでは皇帝直属軍によって地球が攻撃されることになる。
自分達と共に、地球もえらく面倒なことになってきたのです。

ワルズ・ギルを殺したりしなければ、皇帝も自ら乗り込んでくるようなことはなかったはずであり、
言うなれば、この面倒な事態を招いてしまったのはマーベラス達でした。
ワルズ・ギルを殺したりせずに、普通にワルズ・ギル軍を打ち破って撤退させた方がマシだったと、
マーベラスは少し後悔しましたが、今更そんなことを言っても仕方ありませんでした。
皇帝直属軍が地球に来てしまった以上、皇帝直属軍と戦うしかないのです。

その時、いきなり「とりあえず・・・一旦、隠れて様子を見る・・・?」とハカセが意外な提案をしました。
それを聞いてナビィも「逃げよう!逃げよう!逃げるが勝ちだよ!」と賛成し、ハカセはうんと頷いて微笑みます。
「でも・・・」と鎧は言い返そうとしますが、ザツリグと今の状態で戦っても、全く手の打ちようがないわけですから、
とりあえず戦いを避けるのは仕方ないようにも思えて、黙りました。
ジョーもルカも、そしてマーベラスも、黙り込んで考えを巡らせます。
ハカセの提案は一見したところ逃げようとしているようだが、それはそれで真っ当な駆け引きだと思えたのでした。

マーベラス達はもちろん逃げるつもりはない。
ザンギャックがどれほど強大であろうとも地球を守り抜くという決意は第38話の時点で完全に固まっています。
それはハカセも同様です。まぁナビィはちょっとよく分かりませんが。
だからハカセも別に皇帝直属軍が来たから地球から尻尾を巻いて逃げ出そうと言っているわけではないのです。
ただ、全く手の内が分からない強敵であるザツリグに正面からぶつかっていくのは無謀だと言っているのです。

ハカセはここは正念場だと考えたのでした。
ザンギャックも自分達に手を焼いて、遂に皇帝自ら乗り込んできて最強部隊の親衛隊まで繰り出してきた。
ザンギャックだって、もう後が無いところまで追い詰められているのです。
ここを凌げば、ザンギャックはもう打つ手が無くなる。
だから、遂にこの地球の戦いは天王山を迎えたのです。
そういう局面だから、こちらとしてもこの際、ありとあらゆる手を使って、とにかく勝利をもぎ取ることが大事です。

おそらくまともに戦えばマーベラス一味は皇帝親衛隊には敵わないでしょう。
しかし、戦い方によっては、敵に大きな被害を与えることは出来る。
とにかく向こうは帝国の広大な領土を背負っているのです。
こんな辺境の星で親衛隊や皇帝自身に被害が及ぶような事態になれば、手を引かざるを得なくなる。
そして皇帝親衛隊でも手を引かざるを得なくなったとなれば、もうザンギャックも地球は諦めざるを得なくなる。
つまり、延々と続くかと思われた戦いが、こうして皇帝が出てきてくれたお蔭で
終わらせることが出来るかもしれないチャンスが到来したのです。
いや、巧くやれば、皇帝を討つことも出来るかもしれない。
そうなれば、ザンギャックは地球攻撃どころではなくなる。

だから、ここは正念場なのです。
どんな卑怯な手を使ってでも、皇帝や親衛隊を叩くために頭を絞り、手を尽くすべき局面です。
そんな局面で、相手の誘いにわざわざバカ正直に乗る必要など無い。
だから、ここは一旦姿を隠して、焦って相手が動くのを見て、その隙を突いて弱い部分を攻めていって、
じわじわ追い詰めていくのが正解なのです。
とにかく皇帝は息子の敵討ちをしようとして焦っているのだから、
焦らせば隙を見せて、上手くいけば皇帝を討てるかもしれない。
だから一旦隠れようというのがハカセの作戦なのです。

マーベラス達も、少なくともザツリグに関する情報が集まるまではそれが正解のように思えました。
もちろん、相手にコケにされたまま引き下がるのは屈辱的ではありましたが、
相手がザンギャックでも最強の部類なのですから、何の工夫も無く突っ込むのも愚かというもので、
ここは一旦退いて相手を焦らせる作戦として「逃げるが勝ち」と言ってもいい局面でした。

ここは一旦隠れるのも仕方がないかもしれない。
そのようにマーベラス達が考える一方、
アイムはハカセやナビィが一旦隠れるのが良いと言っているのを聞いて、
ハッと驚いた顔をして振り向きます。
そして考え込むマーベラス達を見て、目を伏せると立ち上がり、1人でマストの見張り台へと昇っていきます。
そのアイムの行動を見て、
マーベラス達はやはりアイムがザツリグのことで何かを抱え込んでいるのだと感じたのでした。

アイムはガレオンに帰ってきてから、
ずっと次に皆と一緒にザツリグと対峙した時にどうしたらいいのか悩んでいたのですが、
ハカセの一旦隠れようという提案に皆が理解を示しているのを見て、
確かにマーベラス一味としてザツリグとすぐには戦わないという選択肢もあるということに気付いたのです。
そして、アイムもその方が作戦としては正しいと思いました。

しかし、それはあくまでマーベラス一味としては正しいのであって、アイム個人としてはそれは非常に困ります。
アイムはすぐにでもザツリグと戦いたいのです。
しかし、マーベラス一味としては今は戦わない方がいいので、アイムが戦ってしまうとマズいことになります。
つまり、アイムがザツリグと戦おうとすると、マーベラス一味として最善の選択が出来ないのであり、
アイムの存在が皆の迷惑になってしまうのです。

迷惑だと分かっているなら戦わなければいいのですが、アイムとしても簡単にザツリグとの戦いを諦められない。
こうなると、ザツリグと戦うのを諦められないのならば、
マーベラス一味から離れて1人になってザツリグと戦うしかない。
どちらにしてもザツリグとは1人で戦うべきだと思っていましたし、
ザツリグと戦うのならば自分はマーベラス一味から去るべきだとアイムは思いました。

しかし、アイムとしてはマーベラス一味から離れたいわけがない。
ならばザツリグとの戦いは諦めるか?
いっそ諦められるものなら諦めて、マーベラス一味に残りたいとアイムは思い、
考えをまとめるために1人で夜の見張り台に上り、夜空を見上げて
(お父様・・・お母様・・・)と心の中で亡き父母に呼びかけます。
ザツリグとの戦いを諦める踏ん切りをつけようと思い、まず父母に詫びようと思ったのですが、
父母のことを想うと、アイムの心には、あの日の想い出が鮮明に甦ってくるのでした。

それは、数年前のファミーユ星の滅亡した夜のことです。
宮殿に居たアイムが多数の爆発音を聞いてバルコニーへ出て外の街を見ると、
平和だったファミーユ星の国土は一面、火の海となっていました。
「こんな・・・こんなことって・・・!?」と驚くアイムの目には、
街の上空に浮かんで、街を攻撃しながら
「ファミーユ星の虫けら共!お前達はザンギャックへの忠誠を拒んだ!・・・その報いがこれだ!
・・・フッフッフッフ・・・ハッハッハッハ!!」と哄笑するザツリグの姿が映っていました。

つまり、ザツリグがファミーユ星を滅ぼした張本人だったのです。
確かにザツリグは自分で「数百もの星を滅ぼした」と言っていましたから、
そのうちの1つがファミーユ星だったようです。
皇帝親衛隊があちこちの星を滅ぼして回るということもないでしょうから、
ザツリグはもともとはザンギャックに逆らった星を見せしめに滅ぼして回る凶悪な部隊に所属していて、
強さを買われて皇帝親衛隊に昇格したのでしょう。

おそらくザツリグはあまりにも滅ぼした星の数が多くて、ファミーユ星のことはいちいち覚えておらず、
アイムがファミーユ星の元王女だと資料に書いてあるのを見ても、
自分の滅ぼした星だとは分かっていなかったか、
あるいはファミーユ星のことは覚えていたとしても、いちいちアイムのことは覚えていなかったのでしょう。

しかしアイムの方はザツリグの顔を見忘れようがなかったのです。
自分の星の人々を焼き払った憎い相手なのです。
もちろんザツリグが独断でファミーユ星を滅ぼしたわけではなく、
ザンギャック帝国の決定に従っての行動だったわけだが、
ザツリグ自身、ザンギャックへの忠誠を拒んだ星は滅ぼすことが当然だという信条の持ち主なのだから、
ザツリグが積極的にファミーユ星を滅ぼしたと見て構わないでしょう。

それにしても、ここで初めてファミーユ星が滅ぼされた理由が明らかになりましたが、
これはだいたい前々からの予想通り、「ザンギャックへの忠誠を拒んだ」という理由でした。
つまり、ザンギャックの支配下に入るのを拒んで、ファミーユ星独自の自由な価値観を重んじたのでしょう。
しかし、それはザンギャック帝国から見れば、
ザンギャックによる宇宙の統一した秩序を乱す許し難い行為であったので、
他の星に対する見せしめの意味もあり、滅ぼされたようです。
ただ、ちょっとこのケースは普通ではないようです。

ザンギャック帝国というのは最初から特定の星を滅ぼすことを目的に攻撃するということはないようで、
目的は破壊ではなく、あくまで支配のようです。
それも出来れば余計な手間をかけずに支配出来ればそれに越したことはないようです。
それで、おそらく最初は外交交渉で支配下に入るように要求し、相手が従わなければ武力で威嚇し、
それでも従わなければ実力行使で、相手の軍事力を破壊して降伏させて支配下に組み込もうとするようです。
皇帝アクドス・ギルの態度や、これまでのザンギャック軍の行動パターンを見ていると、
そういう帝国なのであろうということが分かります。
狂ったように破壊と殺戮を求める帝国ではなく、あくまで理知的に戦争と外交で相手を屈服させるようです。

現在地球に対して遂行している征服作戦も、
地球があくまでザンギャックの支配下に入るのを拒んでいるので、屈服させるために攻撃しているようです。
その戦いは一応ゴーカイジャーの動向を除いて地球軍とザンギャック軍とでいえばザンギャック優勢ではありますが、
それでもまだザンギャック軍も地球軍を完全に屈服させることも出来ていないようです。
それだけ地球軍も防衛戦においてはそれなりに手強いのであり、
そういう手強い地球軍がいるからこそ、それを屈服させるためにザンギャック軍も戦っているのです。

ところが、ファミーユ星の場合、アイムが街が火の海になっているのを見て、
事態が呑み込めないほど驚いているところを見ると、
ほとんど何の前触れも無く、ファミーユ星は一夜にして滅ぼされたようです。
これはいくら何でも脆すぎる。
つまり、ファミーユ星というのはほとんど軍事力の無い星だったと見ていい。

地球のようにそれなりに軍事力のある星ならともかく、
全く軍事力が無いのにザンギャック帝国の支配下に入るのを拒んだファミーユ星も凄いが、
そんな軍事的には無抵抗そのものの星ならば有無を言わせず占領してしまえば事足りそうなものなのに、
滅ぼしてしまうというのも乱暴な話で、
これはザンギャック帝国としても異例の措置ではないかと思われます。

あのアクドス・ギルが通常ならそういう無駄な軍事力の使い方をするとも思えません。
しかし現に無抵抗のファミーユ星を過剰なまでに攻撃して一夜で滅ぼしたのであり、
それはアクドス・ギルの意思だったのでしょう。
それはつまり、ファミーユ星が皇帝の逆鱗に触れたということなのでしょう。

おそらく、ファミーユ星というのは大変気高く高尚な精神性を持った星だったのでしょう。
軍事力が無いのにザンギャックに従うのを拒んだというところからも、それが窺えます。
たぶん、軍事力は無いので戦うことは出来なかったが、
ファミーユ星の国王は宇宙の星々の自由を重んじる思想を唱えて
ザンギャックを激しく批判したのではないかと思います。
それがアクドス・ギルの怒りを買い、報復としてファミーユ星は突如、一方的に滅ぼされたのでしょう。

国王はそこまでの事態となることを予期していたのかどうか分かりません。
おそらく、まさかザンギャックが無抵抗の星をいきなり滅ぼすような暴挙に出るとまでは
思っていなかったのではないかと思います。
もしザンギャックがいきなり攻撃してくるのではないかと思っていたとしたら、
娘のアイムにはそのことは前もって伝えているはずです。
一般民衆に公開するのは躊躇するとしても、娘に秘密にしておく必要など無い。
ところがアイムは突然のザンギャックの攻撃を全く予想していなかったようですから、
おそらく国王自身、まさかザンギャックが突然襲ってくるとまでは思っていなかったのでしょう。

それで国王は妻である王妃とアイムを連れて、執事を伴にして燃え落ちる宮殿から出てきたところで
「無駄だ!もう逃げ場は無い!」と言って降りてきたザツリグと対峙した時、
「アイム・・・すぐにこの星を出るのだ!」とアイムに向かって言ったのでしょう。

つまり、アイムの父である国王は、自分の信念に基づいてザンギャックに逆らった結果、
星が滅ぼされたことを悔いていたのでしょう。
自分の意見は間違いではないが、
自分の信念を通したせいで星が滅ぼされて星の人々が多く殺されるとまでは予想出来ていなかった。
ザンギャックとはまだ交渉は続くと思っており、
こちらが軍事的に無抵抗なのにいきなりザンギャックが滅ぼすために
襲ってくるとまでは予想出来ていなかったのです。

その自分の見通しの甘さのために星は滅び、多くの人々が死んでしまった。
だから国王はこの星や死んだ人々と共に自分はここで責任を負って死ぬべきだと思ったのでしょう。
しかし、国王はそれでも自分の信念が間違っていたとは思っていませんでした。
だから、その自分の信念がここでザンギャックによって潰されてしまっては、
まさにザンギャックの思い通りになってしまうと思い、
その信念はこの宇宙に残さねばならないと思ったのです。
しかし自分はここで自分のせいで死んでいった人々と共に死なねばならない。
だから、自分の信念を受け継ぐ者として1人娘のアイムを落ち延びさせることにしたのでしょう。
アイムは国王の自由を愛する思想を教えられており、国王の思想的後継者であったのでしょう。

しかし、いきなり星が滅び、父親が死を目前にして自分にだけ逃げるように言ってきても、
アイムがそんな指示に素直に従えるわけがない。
父親の先を見通した深い考えがいきなりこの場で分かるわけもないし、
父親もアイムにその考えを説明しているヒマもありません。
アイムは星や父母を見捨てて自分だけ逃げるように指示されたと受け取り、驚愕して
「お父様・・・何を?・・・私は最後まで残ります!・・・この星に・・・」と言い返します。

愛する星や父母が滅びるというのに自分だけが生き残っても何の意味も無い。
星が滅びて人々が死んでいくのを見た以上、
アイムも王族として責任をとってここで死ぬつもりでいたのです。
父親の国王の思想を受け継いだアイムならば、この星の滅亡に際して、
父親と同じように死を選ぼうとするのは、むしろ当然といえましょう。

自由とは自分の信念に責任を負うことです。
ザンギャックに直接逆らったのは国王だが、それはアイムも心は1つでした。
そしてこの星の殺された人々も国王やアイムと心は1つでした。
皆が自由を求めて、その結果、不幸にもこんな形で、皆その信念の責任を取らされる形となった。
しかし、それが自分の信じた道なのだから、皆、悔いは無いはずでした。
父も母も自分もここで人々と一緒に死ねば、それで自分の信じた自由を貫いたことになる。
父親ならきっとそのアイムの考えを理解してくれるはずでした。

しかし、その父がここで自分にだけ恥知らずにも逃げるように指示するのです。
アイムとしては納得出来るはずがありません。
しかし母親の王妃も「なりません、アイム・・・あなたは生きるのです!」と言い、
執事にアイムを連れていくよう促します。

母親も父親と想いは1つで、
アイムには生きて、自分達がこのザンギャックに支配される宇宙で守りたかった自由の精神を
守っていってもらいたいと思っているのですが、この状況でそのことについて問答している余裕は無い。
とにかくアイムに向けて「生きる」ことが使命であるという言葉だけ遺して、
アイム自身が自分が「生きる」ということの意味を考えてくれるよう促すしかありませんでした。
アイムなら、きっと自分が生きて何をなすべきか、必ず正しい答えに辿り着くと、
父も母も信頼していたのでした。

しかしアイムは「姫・・・!」と言って腕を掴んで引っ張っていこうとする執事に
「いやです!離して!」と懸命に抵抗します。
こんな状況でいきなり「生きろ」とだけ言われて、父母の言葉に納得出来るわけもなく、
アイムが抵抗するのは当然です。

「生きていればいいことがある」というような呑気なことを言っているような状況ではないのです。
「生きることは何より素晴らしい」などという一般論の通用するような場でもない。
命を賭けて信念を貫いて、共に命を賭けた人々が死んでいった状況なのです。
アイムだけが、ただ「生きる」ということが素晴らしいとか良いことだとか、そんなことが言える状況ではない。

だからもちろん父も母もアイムに「ただ生きてくれさえいればいい」などと呑気なことを言っているわけではなく、
生きて、やってほしいことがあるのです。
ただ、それを詳細に伝えることが出来ない状況なので、
アイムはただ命を長らえるように言われているように思い、あまりに情けなくて抵抗しているのです。

こういうアイムの抵抗は父母にも予想はつくことで、だからこそ執事が強引に連れていっているのですが、そうしてアイムが執事に連れて行かれつつ、「いやです!・・・離してぇ!!」と父母の方を振り返ると、
ザツリグの発した炎によって父と母が呑み込まれる場面をちょうど目撃することになったのでした。
一瞬、呆然としたアイムは「お父様!お母様ぁ!!」と絶叫しますが、
父も母も跡形も無く燃え尽きてしまっていました。

ザツリグはおそらくファミーユ星を滅ぼして、国王を殺すよう命令を受けていたようで、
王女のアイムには大して興味は無かったようです。
小娘1人逃げたところで何も出来るはずもなく、何処かで野垂れ死ぬのがオチだろうと甘く見ていたのでしょう。
それでアイムは逃げのびることが出来たのですが、
問題はアイムがどうして大人しく逃げのびる道を選んだのかです。

あれほど1人だけ逃げることを嫌がっていたアイムが父と母が死ぬのを見て、
急に逃げることに同意したのは何故なのか?
むしろ父や母が死ぬのを見て、自分もすぐに後を追おうとする方が自然ではないでしょうか?

ファミーユ星が滅び、父と母が死んだ夜のことを想い出したアイムも、
自身のあの時の急な心変わりが不思議に思えました。
それで改めて考えてみます。
決して父や母の殺されるのを見て怖気づいて逃げたくなったわけではない。
むしろ逆でした。
あの時、ただあの場で死のうとしていた自分が逃げのびたくなったのは、
父や母を目の前で殺されるのを見て、心の中で燻っていた怒りに火が着いたからでした。

既にあの時点で多くの人々が殺されるのを見て、心の中は怒りが燻っていた。
それが父と母の殺されるのを見て、いや、父と母がいなくなったことによってかもしれない、
解放されて炎となったのです。
それは、目の前で父と母が殺されたというのに、助けることも出来なかった自分の無力に衝撃を受けたことによる、
やはり信念を貫いて生きていくためには戦わなければいけないという確信と、
戦えるようになって、ファミーユ星の人々や父や母を殺したザツリグに復讐したいという怒りの炎でした。

だからそのためには、まずはこの場は生き延びなければいけないとアイムは思ったのです。
だから、あの場は逃げたのだと、アイムはあの瞬間の自分の気持ちを想い出したのでした。
つまり、あの時、アイムにとっての「生きる」ということは「仇を討つ」ということだったのです。
もちろん、「生きる」ということには今となっては他に大切な意味があることはアイムにも分かっています。
しかし、あの生か死かを選び取る場面で自分が「生きる」という道を選び取った際の心情は、
「仇を討ちたい」だったのです。

それが無ければ、おそらく自分はあの場で死んでいたはずだとアイムは思いました。
だから、今の自分の生きることの原点は「仇を討つこと」なのです。
それは父や母が自分に臨んだ生き方ではないこともアイムは今となっては分かっています。
それでも、アイムがあの時、自分を生きながらえさせたのは、自分の力で父や母や人々の仇を討つためでした。
それが今のアイムの生の原点でした。
だから、それは絶対に避けて通るわけにはいかない自分が自分に課した使命だったのです。

だからさっき自分はあれほど激しい感情が湧き上がってきて錯乱状態にまで陥ってしまったのだと
アイムは納得しました。
ジョーや鎧の手を振りほどこうと必死だったのは、
あの時、自分の腕を掴んでいた執事の腕と錯乱状態で錯覚していたからだったのです。
そのことに気付くまでは、アイムは自分のさっきの行動を、
単に親や星の人々を殺した憎い仇だからザツリグを自分の手で討ちたいと思うのは当然だと思っていましたが、
自分がザツリグと戦おうとした意味はそれだけではなかった。
それは自分にとっての「生きる」ということの意味の中の大きな要素だったのです。
だから、湧き上がってくる想いを抑えることなど不可能だとアイムは悟りました。

そうしてアイムは星空を見上げて、遠くファミーユ星に散った父や母、多くの人々に思いを馳せ、
(ご覧になっていてください・・・今度こそ、私のこの手で・・・)と心の中で呼びかけ、
胸の前で組んだ手にぎゅっと力を込めて真っ直ぐ前を見据えます。
そして心を決めて、(・・・仇をとってみせます!)と心の中で言い切るのでした。

その決断はつまり、マーベラス一味を去らねばいけないという決断でもあったので、
アイムは一瞬やはり躊躇しました。
しかしアイムはあのファミーユ星が滅びた夜の自分の本心を想い出したことによって、
自分にはマーベラス一味に居る資格は無いと思えたのでした。
それは、自分が何時の間にかマーベラス達を裏切っていたことに気付いたからです。
だから、アイムは自分はマーベラス一味を去って、
ザツリグと1人で戦い、父や母やファミーユ星の人々の仇を討とうと決意したのでした。

さて、ここでアイムのファミーユ星時代の過去がかなりハッキリしてきましたが、
これに関しては以前に想像していたものとは、かなり違っていました。
以前に想像していたのは、ファミーユ星は地球のようにザンギャックとそれなりに戦っていた星で、
アイムも武器をとって戦っていた「戦うお姫様」だったのではないかというものでした。
しかし、実際はファミーユ星はほとんど非武装の星で、戦闘らしい戦闘も無く一夜にしてザンギャックに滅ぼされ、
アイムも戦闘には縁の無い、普通のお姫様だったようです。

よく考えたら第9話でアイムが獅子走に向かって自分のことを
「何も知らない、何も出来ない、お尋ね者の元王女」と言っており、
第13話では誘拐犯の梨田に向かって
「王女でありながら、何も出来ず、星を失い・・・たった1人で逃げなければならなかった」と自分のことを
ほのめかしていましたから、
今こうしてファミーユ星の滅亡時の真相を知れば、これらは真実をそのまま言っていたことが分かります。

ただ、アイムが武器の扱い、特に銃の扱いに長けており、
また、作戦を立てたり、敵の作戦を洞察したりすることにも長けており、
マーベラス一味の中でも意外に戦闘時などにリーダーシップを発揮することも多いので、
てっきりアイムは戦闘や戦闘指揮の経験があるのだと思ってしまっていて、
結局は星が滅んでしまい逃げなければいけなくなってしまった罪悪感から謙遜しているだけだと思っていたのですが、
これは全く読み間違えでした。

作戦面については天性の才能で、リーダーシップについては元王族ならではの素養なのでしょう。
そして武器の扱いについてはマーベラス一味に入ってから努力して身に付けたものなのでしょう。
第7話で見た感じでは、もともとの「努力する才能」に関して言えば、
アイムはハカセよりもかなり上であるようなので、
もともと素人同然だったハカセとアイムですが、マーベラス一味に加入して以降の努力の差で、
一時、アイムはハカセよりもかなり実力は上位であったようです。
そこらへんは第32話のハカセの回想シーンで窺うことが出来ます。

また、第23話の際のルカとアイムの遣り取りから、
アイムが何人かの兄妹の末っ子ではないかと予想していましたが、
あれはどうやら深読みしすぎであったようで、アイムはどうやら1人娘であったようです。

あの第23話でアイムが「いつまでも守っていただくばかりの妹分でいたくありません」というセリフを言ったのは、
単にその言葉通り、守ってもらうばかりではいたくないという意味であり、
それはファミーユ星滅亡時に父や母に守られて何も出来なかった自分のままではいたくないという
気持ちが現れたものなのでしょう。

このように色々と予想は外れてしまいましたが、
もともとの「戦うお姫様」は確かにヒロイン像としてはカッコいいですが、
この真実のアイム像の方が、いかにもアイムらしく、独自のキャラがしっかり確立していて良いと思います。
それに、ファミーユ星やアイムの父母、アイム自身の描写もこちらの方が非常に深みがあり、
今回のエピソードを感動的なものにしています。
いやまぁ、さすがにプロのお仕事は凄いです。素人のありきたりな予想を遥かに超える見事なキャラ設定で、
嬉しい意味で予想が外れてくれたと思って、満足です。

ただ、こうしてアイムが「戦うお姫様」ではなかったということが分かってしまうと、
第29話で鎧に質問されてマーベラスがはぐらかしていた
「アイムのどういうところが良くて仲間にしたのか」についての答えを色々と推測していたのも、
かなり外れていたことになります。
それについては今回のエピソードで明らかになってくるようになっています。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:58 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月17日

第41話「なくしたくないもの」感想その6

今、ザンギャックとの戦いの正念場を迎えたマーベラス一味は、
ザツリグの誘いに乗ってまともに戦うことは避けた方がいい。
しかし、故郷のファミーユ星を滅ぼして父や母を殺したザツリグと戦い、
倒すことを生きる目的としてきたという自分の本心を知ったアイムは、
マーベラス達の邪魔にならないよう、仲間を抜けて1人でザツリグに戦いを挑もうと
見張り台で星空を見上げて決意しました。

そして、その夜、皆が寝静まった深夜、アイムは皆に黙ってガレオンを出て行くことにして、
誰もいないいつもの広い船室に立ち寄り、この部屋での皆との楽しい想い出を想い返します。
まずソファの方を見てアイムの心に浮かぶのは、ルカと一緒に毛布にくるまって眠ったことです。
ルカとアイムが一緒にソファで毛布にくるまって寝たシーンは第4話や第11話でもありましたが、
他にも何度もそういうことはあったようです。
そして、テーブルの方を見て、思い浮かぶのははしゃぎながら食事の準備をするハカセと鎧の姿でした。
また、柱の横の船長椅子の前ではマーベラスとジョーがよく腕相撲をしていたことが想い出されます。

それらの賑やかな情景と、目の前の暗く静かな船室の情景には落差がありすぎて、アイムは寂しくなります。
こんな寂しい去り方をしなければいけないのは辛いが、皆に別れを告げれば引き止められてしまう。
しかし、自分には皆に引き止めて貰えるような資格は無いのだとアイムは思っています。
だから皆に黙って去ろうとしています。
むしろ、自分のような者に親切にしてくれた皆を余計に煩わせたくない。
このまま、この暗い部屋に別れを告げるのが良いのだと思い、
アイムは誰もいない船室に向かって「・・・ありがとうございました・・・」と深々と頭を下げ、
皆のこれまでの親切に礼を述べ、頭を上げると、気持ちを吹っ切るように歩き出します。

ところが、アイムの向かおうとする船室の出口から「・・・何処に行く気だ・・・?」という低い声がして、
アイムの行く手を遮ったのです。
それはマーベラスの声でした。
アイムがハッとして出口を見ると、出口の向こう側の壁にもたれて、マーベラスが背を向けて立っていて、
その後ろ姿を少し覗かせていたのでした。
マーベラスはアイムの様子がおかしいと思って注意を払っており、
アイムが深夜、部屋を出て行くことに気付いて、様子を窺っていたようです。

皆に黙って出て行こうと思っていたのに、マーベラスに見つかってしまったことでアイムは焦りますが、
こうなれば自分の固い決意を示して強引に出て行くしかないと思い、
「止めないでください・・・ザツリグは・・・私の星を滅ぼした・・・誰よりも憎い相手です!!」と力を込めて言います。
マーベラスはきっと引き止めるつもりだろうけれど、ザツリグが自分にとって憎い仇だと知れば、
仇討ちを認めざるを得ないはずだとアイムは思ったのです。
マーベラス自身、赤き海賊団壊滅事件の恨みでバスコを倒すことを宿願としている立場なのですから、
マーベラスはアイムの仇討ちを止めることは出来ないはずです。

ところが、アイムの言葉に「・・・そういうことだったのか・・・」と返してきた声は
マーベラスの声ではなく、ジョーの声でした。
マーベラスが出口のところで振り返って姿を現すと、その後ろからジョーも姿を現したのです。
更に続いて「なるほどねぇ・・・」と言いながら、ルカも出口に姿を現し、
その後ろから「何かあるとは、思ってましたけど・・・」と神妙な顔で鎧も姿を現し、
更に無言でハカセも現れます。

どうやら5人はアイムの様子がおかしいので、
あらかじめアイムがおかしな行動をとったら皆で一緒に対応しようとして備えていたようです。
たぶんアイムが見張り台に1人でいる間に、
ジョーと鎧は今日の夕方の戦いでアイムの様子がおかしかったことをマーベラス達にも説明済みでしょう。
ただ、それを聞くまでもなく、アイムとザツリグの間に何か因縁があるのだろうということは
マーベラス達にも想像はついていたとは思います。

しかし、それがどういう因縁なのかは、ジョーと鎧も含めて、全員分かってはいませんでした。
ただとにかくアイムが夜中に何処かに行こうとするので、ザツリグと戦いに行くのだろうと思い、
皆でアイムの前に現れ、そこでアイムの言葉によって、
ザツリグがアイムの星を滅ぼした仇なのだと知って、驚いたのでした。
なおハカセが無言なのは、アイムにとって仇であるとは知らず、気軽に逃げようなどと提案してしまって
アイムを苦しめてしまったと気付き、申し訳なく思っているからでしょう。

一方、アイムはいきなり5人全員が現れたので、「皆さん・・・」と驚きます。
わざわざ全員で引き止めに来たのかとアイムは思ったのですが、
しかし、5人はそういうつもりではありませんでした。
5人が固まって船室の中に入ってきて、アイムに近づきつつ、
ジョーは「独りであいつを倒せるわけないだろ・・・」と言うのでした。

それを聞いて、アイムは皆が自分を止めに来たのではなく、一緒に戦うために来たのだと気付き、目を伏せます。
やはり自分がザツリグと戦おうとすることで、皆に迷惑をかけてしまうと思ったのです。
しかし、皆を自分の都合に巻き込むわけにはいかなかったし、
そもそもザツリグを倒してファミーユ星の仇を討つのは自分1人の力でなければダメなのだとアイムは思います。

しかしマーベラスが「あいつと闘れば・・・確実にお前は死ぬ!」と言うのを聞いて、
アイムは皆が自分を死なせたくないから一緒に戦おうとしていることを知り、ハッと顔を上げて皆の顔を見ます。
が、「それが現実だぞ・・・!」というマーベラスの言葉の後、
アイムは再び下を向いて「でも・・・私は・・・」と涙をこぼします。

確かに今の自分がザツリグに1人で立ち向かっても負けて殺されるのは確実です。
しかし、これはアイムの個人的な仇討ちであり、マーベラス達に加勢を頼むような筋合いの話ではない。
たとえ死ぬことになっても1人の力でザツリグと戦わねばならないのだ。
そのようにアイムは思いました。
いや、無理に思おうとしていました。

本当は皆が自分を大事に思い、失いたくないと思ってくれている気持ちが嬉しく、皆の好意を受け入れたかった。
しかし、自分の命は仇討ちのために生き残ったような軽い命であり、
皆を危険に巻き込んでまで守ってもらう価値のある命ではない。
結果的にそのことを今まで自分は皆に秘密にしていた。
仇討ちのことはおくびにも出さずに仲間になり、散々いい子のフリをして取り入って、
皆は情に流されて自分の仇討ちに協力する羽目になる。
それは自分にとって、あまりにも都合が良すぎるとアイムは思いました。
皆は完全に好意で言ってくれているのであろうが、自分としては皆を騙していたという後ろめたさはあります。
そんな自分の命は皆が必死になって守ってくれる価値は無いとアイムは思い、
皆を騙して、そこまで皆に思わせてしまった自分が申し訳なくて涙があふれてきたのでした。

一方、アイムが泣き出して、なお一緒に戦うことを拒むのを見て、
立ち止まってアイムと対峙していたマーベラス達は困惑します。
何故、アイムがこうまで頑なに自分達のアイムを死なせたくないという気持ちを受け入れてくれないのか
分からなかったのです。
ハカセは、やはり自分が「一旦隠れよう」などと言ってしまったから、
アイムにまだ気を遣わせてしまっているのかと思い、自責の念にかられて俯きますが、
その横ですっとマーベラスは前に進み出て、アイムの頭に優しく手を置いて、「泣くな・・・」と静かに言いました。

マーベラスもどうして急にアイムが泣きだしたのかよく分からなかった。
それほどまでに1人で仇を討ちたいのかとも思ったが、とにかくアイムの泣き顔は見たくなかったのです。
アイムにはいつも安心して笑っていてもらいたい。
そうでないとマーベラスは居心地が悪いのでした。
その何時にない優しいマーベラスの声に、アイムはハッとして涙を止めて、顔を上げてマーベラスを見ます。
そのアイムに向かってマーベラスは「お前・・・俺と初めて会った時、なんつった?」と問いかけます。
アイムはその時のことを想い返し、目を伏せます。

それは、アイムがマーベラス一味と初めて出会い、仲間入りした時の回想です。
どこかの星の廃墟のような場所でマーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人が
ゴーミンやスゴーミン達と戦っています。
といっても、ハカセはほとんど戦わず逃げ回っているばかりで、全く役に立っていませんが。

これはつまり、第12話の回想シーンにあった、マーベラスとジョーの出逢いの場面、
第34話の回想シーンにあった、マーベラスとジョーがルカを仲間に加えた場面、
そして未だ描かれていないハカセが仲間に加わった場面の後、
マーベラス一味が4人まで揃った段階での出来事のようです。

4人はレンジャーキーを集めるためにこの荒廃した星に立ち寄ったのか、
それとも別の用事で立ち寄ったのかは知りませんが、
ともかく、おそらくザンギャックによって荒廃させられたと思われるこの星に駐在する
ザンギャック部隊と、経緯は不明ですが戦闘になったようです。
なお回想シーンのマーベラス達がいつも変身せず生身で戦っているのはどうしてなのか分かりません。
まぁ単なる演出上の都合なのかもしれませんので、深い意味は無いのでしょう。

この4人の戦っている様子が、それを柱の陰から覗き見ている何者かの主観映像っぽく流れ、
その後、ゴーミン達を全部倒されて1人残ったスゴーミンが持っていた手配書の写真を見て、
相手が札付きの賞金首のマーベラス一味だと知って、
手配書を投げ捨て、慌てて襲い掛かってくるシーンとなります。
投げ捨てられた手配書は風に吹かれて地面あたりを飛んでいき、
マーベラスの分の手配書が柱の陰に立つ誰かの足元に飛んできて、
その誰かは手配書を拾い上げて、写真を見ます。

結局、1人残ったスゴーミンもマーベラス達に倒されて爆死し、
ザンギャック部隊を片付けたマーベラス達4人はその場を立ち去ろうとします。
そこに「お待ちください!」という声がして、マーベラス達を呼び止めます。
マーベラス達が足を止めて振り向くと、そこに見知らぬ若い女性が立っていました。
それがアイムでした。

つまり、これがアイムとマーベラス達の初対面だったわけですが、
こうしてマーベラス達の前に現れたアイムの手には、さっき誰かに拾われた手配書が握られています。
ということは、さっき柱の陰で手配書を拾ったのはアイムであり、
その前に柱の陰からマーベラス達の戦いを覗き見ていたのもアイムだったということになります。
「・・・何だ、お前?」とマーベラスが訊ねると、
アイムはいかにもお姫様らしくスカートの裾を少し持ち上げて恭しくお辞儀して、
「私・・・アイム・ド・ファミーユ・・・ファミーユ星の王女です!」とにこやかに微笑みます。

しかし、この場面のポイントは、マーベラス達の前に姿を現す前のアイムの顔が一切画面に映っていないことです。
つまり、マーベラス達の前ではにこやかに王女らしいロイヤルスマイルを振りまいてはいますが、
物陰からマーベラス達を見つめていた時のアイムがどんな表情をしていたのか、
わざと分からないような演出になっているのです。

そういう演出をする場合というのは、
だいたいはその後、顔が映った時の表情とギャップがあることを匂わせる狙いがあるものです。
つまり、マーベラス達に相対した時のアイムの穏やかな笑顔とは別の、不穏なムードが漂ってくるのです。
実際、アイムが覗き見ている主観映像はハンディカメラをわざとブレさせており、
よく刑事ドラマなどで犯人やストーカーなどが誰かを覗き見ている時に使われるような不穏な表現となっています。
つまり、アイムのマーベラス達の前で見せた穏やかな顔とは別の顔が存在することを
示唆していると言っていいでしょう。
といっても、このアイムの笑顔が偽りの笑顔であるというわけではありません。
ただ人間には多面性があるというだけのことで、これはこれでアイムの本心からの笑顔でした。

そうしてにこやかに自己紹介をしたアイムはマーベラス達に近づいてきます。
一方、ハカセはアイムの自己紹介を聞いて、「あの、ザンギャックに滅ぼされた星の?」と驚きます。
これで、この回想の場面はファミーユ星の滅亡時、
すなわち先ほどのアイムの回想シーンの後のことであることが確定します。
つまり、さっきの回想シーンの最後、滅びるファミーユ星から逃げ出したアイムは、
その後、どういう経緯かは不明ながら、たまたまこの星に逃げのびていたようです。

そして、ハカセがファミーユ星と聞いてすぐにザンギャックに滅ぼされたことを想い出すほど、
ファミーユ星滅亡事件は宇宙でもセンセーショナルな事件であったようです。
それは、やはり非武装のファミーユ星をいきなりザンギャック帝国が急襲して一夜で滅ぼしたというのが、
ザンギャック支配下の過酷な宇宙においても、特に異例といえるほどの悲劇的事件であったということなのでしょう。

ジョーやルカも、そしてマーベラスもファミーユ星の滅亡事件のことは噂には聞いたことはあるようで、
ジョーは「一人でここまで逃げのびてきたのか・・・」と少し驚いたように言いますが、
どうもあまり好意的な様子ではありません。
ルカも「で?・・・そのお姫様が何の用?」と冷たく問いかけます。
どうもマーベラス達4人は、この滅びた星の亡命王女に良い印象は持っていないようです。

まぁそれも無理もないでしょう。
彼らは皆、一般庶民の出身で、それぞれの星をザンギャックに滅ぼされた者達です。
直接的に彼らの故郷を滅ぼしたのはザンギャックでしたが、
ザンギャックと争って戦いを招いたのはそれぞれの星の王族や貴族などの支配層の連中でした。
その争いのとばっちりを食って、彼らは故郷を失う羽目になったのであり、
その過程で親兄弟や友人たちなどが多く死んでいきました。
その悲劇の最中、支配層の連中がどうしていたのかというと、
民の救済はそっちのけで、自分達の命を守り、財産を掻き集めて逃げることばかりに一生懸命であったのです。

その支配層たちの身勝手のために失われた命がどれほど多いことか。
その悔しさはマーベラス達は忘れていません。
そして、亡国の悲劇は最終的にはザンギャックによって完成されたが、
無責任で身勝手な支配層によって実質的には自分達は最初から国を亡くしていたのだの気付いたのでした。
だからマーベラス達にとっては故郷は確かに存在するが、自分の国などは最初から無い。
国などというものは信じていないし、国王や王女などもどうでもいい存在でした。
だからアイムがザンギャックに滅ぼされた星から逃れてきた王女だと聞き、
マーベラス達は、どうせ民を見捨てて逃げ出した卑怯者だと思ったのです。

それでマーベラス達のアイムに向ける視線は冷たかった。
アイムもそうした冷たい空気は感じて、少し怯んだ様子で下を向き「あの・・・」と言いよどみ、
手にした手配書をぎゅっと握り締めて、勇気を絞り出そうとしています。
アイムの意図がよく分からず、マーベラスは剣を担いだまま「あぁん?」と、アイムを睨みつけ、
ジョーとルカも煮え切らないアイムの態度に不機嫌な顔で睨んでいましたが、
アイムは遂に意を決してキッと顔を上げ、「私を仲間にしてください!」と言うと、
「海賊になりたいんです!」と、手にしたマーベラスの手配書を4人の前に突き出したのでした。

アイムはザンギャック軍と戦う4人組をたまたま見かけて、風に吹かれてきた手配書を見て、
その4人組が賞金首の海賊だと知り、仲間になろうと決意したようです。
しかし、マーベラス達はこのあまりに予想外のアイムの言葉に驚き呆れます。
ジョーは露骨に馬鹿にしたように苦笑し、
ルカは「バッカじゃない!?・・・お姫様なんかに出来るわけないよ?」と嘲笑います。

まずもって、王女が海賊になるということが全く意味不明で理解出来なかったので、
アイムが頭がおかしいのではないかとルカは本気で思いました。
それに、海賊は温室育ちで自分の星を捨てて逃げてきたようなヤワなお姫様に務まるような甘い稼業ではない。
ちょっと頭の弱い亡命王女の気紛れに過ぎないとジョーやルカは思い、
アイムの申し出にまともに取り合おうとはしませんでした。

しかしアイムはルカにからかわれてムキになり、
「出来ます!一生懸命頑張りますから!」と一途な目で睨みながら必死に訴えます。
ハカセはそのアイムの一途な態度を見て、頭がおかしいわけではなく、何か考えがあるのだろうと思いましたが、
何か勘違いをしているのではないかと思い、「・・・どうして、そんなに海賊になりたいの?」と質問しました。
海賊は一生懸命頑張ってやるというような健康的なイメージのものではないはずで、
どうもこのお姫様は海賊の実態というものがよく分かっていないようにハカセには感じられたのです。

もしかしたら、この王女は海賊団に潜り込んだ方が逃亡に有利だと思っているのかもしれないとハカセは思いました。
確かに亡命王女はザンギャックから見ればお尋ね者ではあり、海賊とは賞金首仲間ではありますが、
ひっそりこっそり生きていけば一生平穏に暮らすことだって出来るはずです。
しかし海賊は目立つしザンギャックと交戦することも多く、
むしろ亡命王女にとっては逮捕されるリスクは高くなってしまいます。
もし逃亡生活のために海賊団に入ろうとしているとアイムが答えたら、
それは大きな勘違いだと教えてあげようとハカセは思っていました。

ところがアイムは意外な返答をしました。
アイムはゆっくりと、一言一言、噛みしめるように
「私の故郷はもう在りません・・・けれど、他の星へ逃げのびた方はいらっしゃいます!
その方たちがファミーユ星の誇りを持ち続けられるよう、私は象徴として生き続けたいのです!」と
4人に向かって言いました。

これは、アイムが亡命生活の中で得た結論でした。
ファミーユ星の滅亡時、星と共に死のうとしていた自分に対して、
どうして父や母は生きることを求めたのか、アイムは逃げのびた後、ずっと考えていました。
亡命先で冷静になって考えてみれば、あの気高い父や母が
ただ生きながらえることだけを自分に求めたとは思えませんでした。
父と母は何か自分に対して、生きて為すべき使命を課したはずだと思い、
アイムはファミーユ星の滅亡時の状況を調べてみました。
ザツリグの名もこの過程で知ったのでしょう。

そして、アイムは自分と同じように、あの状況の中、他の星に逃げのびて
難民となっている一般の人々が少なからず存在することを知ったのです。
その時、アイムはその人々が自分と同じように滅びる母星や死んでいく同胞たちを見捨てて
逃げてしまった自身に罪悪感を覚え、惨めな気分になっているだろうということに気付いたのでした。
そして、そんな屈折した人々の想いを理解し、励ましてあげることが出来るのは、
同じ境遇にある自分しかいないと思ったのです。
それこそが生き残った王族である自分の果たすべき使命だとアイムは覚ったのでした。

だからアイムは、彼らの励みになるような存在になりたいと思った。
それはつまり、ファミーユ星の気高い精神は星と共に滅んではいないのであり、
その精神がある限り、宇宙に散らばったファミーユ星の難民たちも、ファミーユ星に眠る死者たちも、
皆、以前と変わらず1つに繋がっているのだと実感でき誇ることが出来るような象徴的存在でした。
要するにファミーユ星の気高い精神を象徴する存在です。

ルカは、アイムの言葉を聞いて、「ふ〜ん・・・」と言います。
その顔はもう先ほどのようにアイムを見下した表情ではありませんでした。
「象徴」という言葉の意味は何だか難しくてよく分からなかったが、
アイムが亡国の民のために彼らの誇りとなれるように励もうとしているという気持ちに
偽りが無いことはアイムの真摯な態度を見て理解出来たのでした。
そしてルカの見てきた悲惨な境遇に喘ぐ民衆たちには、こんなことを言ってくれる統治者は誰もいませんでした。
だから、王族にもこんな人間もいるんだと、ルカは新鮮な驚きを感じていました。

また、ハカセは「象徴」という言葉の意味も理解出来ますので、
アイムの気持ちも完全に理解して、好感を抱いたようで、笑顔になります。
ジョーは「象徴」という言葉はよく分かりませんでしたが、じっと黙って真顔でアイムの顔を見つめていました。
アイムの言葉を聞いて、それがシドが自分に託した気持ちと似ているような気がしたからでした。

ただ、マーベラスは呆れ顔で「だったら海賊なんかじゃダメだろ・・・」と言います。
マーベラスもアイムが何だかよく分からないが、宇宙に散らばった自分の星の生き残りの難民たちの
誇りに思えるような生き方をしたいと思っていることは理解して、
こんな立派な王族もいたのだと少し感心していましたが、
それでアイムが海賊の仲間入りをしようとしていることがどうも理解できないのです。

お姫様が海賊になって犯罪者として追われる立場になったりして、
難民たちが誇りに思うとはマーベラスには到底思えませんでした。
むしろ犯罪者に身を落としたお姫様を見て、難民たちはガッカリするのではないかと思えたのです。
結局、アイムの言葉は確かに立派だが、
「どうして海賊になりたいのか?」というハカセの質問の答えにはなっていないとマーベラスは思いました。
その点については、他の3人も同感でした。

しかし、アイムはマーベラスの言葉を聞いて、ニッコリ微笑んで首を振り、
「いいえ・・・海賊だから良いのです・・・」と穏やかに言います。
ますます不思議そうな顔の4人に向かってアイムは、マーベラスの手配書を胸の前に掲げながら
「だって、この手配書に顔が載れば・・・私が生きて、ザンギャックと戦っているのを
見せられますから・・・!」と言葉を続け、嬉しそうに微笑むのでした。

つまり、アイムは逃亡生活のために海賊に入ろうとしているわけではなく、
海賊がザンギャックと戦うものだと分かった上で、
ザンギャックと戦うために海賊になりたいと思っているのです。
それは、ザンギャックに対して自分の信じた道を押し通すためには、戦わなければいけないのだということを、
ファミーユ星の滅亡の時にアイムは学んだからでした。

しかし、戦うのなら海賊でなくてもいいはずです。
それなのにアイムは特に海賊としてザンギャックと戦うことこそが良いのだと言う。
それこそがファミーユ星の難民たちの誇りになるのだと信じているのです。
それはどういうことかというと、つまり、ファミーユ星では「宇宙海賊」というものは
決してマイナスイメージの存在ではなく、
むしろザンギャックに逆らって自由を求めて戦う正義の戦士のイメージだったようなのです。

そもそもマーベラス達のような冒険者達に「宇宙海賊」という汚名を着せて
賞金首として排斥したのはザンギャックであり、
ザンギャックの支配を拒んでいたファミーユ星においては
「宇宙海賊」の評価はザンギャック支配下の星々とは全く違ったものであっても何ら不思議ではない。
ましてやファミーユ星は何よりも自由な精神を重んじる気風のある星であり、
自由を求めてザンギャックに反旗を翻す宇宙海賊は、
むしろ自分達に相通じる精神を持つ、強く勇気ある英雄のように見なしていたようです。

国王ももちろんそうした考えの持ち主であり、
アイムもその教えを受けて、宇宙海賊を、ちょっと怖いけど立派な人達だと思っていたようです。
そしてファミーユ星の人達も皆、宇宙海賊を反ザンギャックの英雄だと見なしていることはアイムも知っています。
だからアイムは、自分の隠れる星に立ち寄った宇宙海賊マーベラス一味の姿を見て、
仲間に入りたいと思ったのでした。

自分が宇宙海賊の一員となってザンギャックに対して自由を求める戦いを続けていることを
ファミーユ星の散り散りになった難民たちが知れば、きっと誇りに思い、
ファミーユ星の自由を尊ぶ精神はまだザンギャックに滅ぼされてはいないのだと、
希望を持つことが出来るだろうとアイムは考えたのです。

マーベラス達は、もちろん実際の海賊の稼業はそんなに綺麗なヒーローではないということは知っています。
ファミーユ星の人々やアイムがどう思おうとも、現実的にはお尋ね者として追われ、
あちこちで後ろ指を指され、蔑まれて、迷惑がられる惨めなお尋ね者なのです。
だから、アイムの夢物語の間違いを指摘して、アイムを拒絶することは出来ました。
しかし、何故かマーベラス達はアイムを受け入れ、仲間に加えました。

そして今に至り、マーベラスは一味を去って1人でファミーユ星の仇を討つために
無謀な戦いに行こうとするアイムに、あの時、自分達に言った言葉を想い出せと言うのです。
それはつまり、アイムがあの時、自分達に向かって宣言した、
アイム自身の生きる意味を想い出すように促したのです。

「星空の向こうに、お前を支えにしている奴らがたくさんいるんだろ?
・・・そいつらのためにも、一人で死にに行くわけにいかねぇだろ?」と、
真夜中の船室でアイムの前に立ったマーベラスは、アイムの頭から手をそっと離しながら言います。
マーベラスの後ろでは、あの時アイムの言葉を一緒に聞いたジョー、ルカ、ハカセも、
マーベラスと同じ気持ちでアイムを見つめており、
1人だけその時の状況が分からない鎧も、何となくマーベラスの言わんとしていることは理解しています。

マーベラス達は、結局、何時しか、アイムの言う夢物語を一緒に信じるようになっていたのです。
アイムが宇宙海賊としてザンギャックと戦い続けることで
ファミーユ星の生き残りの難民たちは、アイムを自分達の希望の象徴として見て、
その希望を心の支えにして生きているのだと、マーベラス達も信じるようになっていたのです。
鎧も詳しい事情は分からないながらも、マーベラスの言葉を聞いて、
アイムが生きていることが誰か多くの人たちの希望なのだと理解しました。
アイムという存在がマーベラス一味の中で持つ独特の存在感が、鎧にそのように無理なく思わせたのでした。

そうして、マーベラス達4人も鎧も、アイムが人々の希望である以上、
アイムがむざむざ1人で勝ち目の無い戦いに行くのは許されないと考えているのです。
もちろん、アイムに仇討ちなど無意味だから止めるように言っているわけではありません。
この作品の良いところは、そういう知ったふうなことは言わないところです。
仇討ちや復讐という人間の自然な感情は全肯定するところは素晴らしいところです。
だからマーベラス達はアイムは仇討ちはするべきだと思っている。
しかし、人々の希望であるアイムは簡単に死ぬ道を選んではならない。
他に道が無いのならまだ仕方は無いが、
こうして自分達が手伝うと言っているのだから、
アイムの立場ならば、それは受け入れなければならないはずだと諭しているのです。

しかし、それでもアイムは下を向いて、また「でも・・・!」と言って泣き出します。
アイムは本当はあの時のことを想い出したくはなかった。
何故なら、アイムはあの時、マーベラス達に大事なことを隠していたからです。

もちろん、あの時、アイムがマーベラス達に言った言葉は全て嘘偽りの無いアイムの心からの本心でした。
しかしアイムはさっき見張り台でファミーユ星が滅んだ夜、どうして自分が生きようと思ったのか、
その根源的なところに気付いてしまったのです。
それはザツリグへの復讐のためでした。
無論、復讐そのものは何ら間違ってはいない。ザツリグは絶対に許せない相手でした。
しかしアイムは、自分の心の奥底に常に復讐心が存在したことに気付いたことによって、
あのマーベラス達に初めて出会った時も、自分を動かしていた真の動機は
復讐心であったことに気付いてしまったのです。

もちろん、ファミーユ星の生き残った人々の希望の象徴になりたいと思ったのも本心です。
ただ、それは亡命生活の中で自分の頭の中で作り上げていった自分の生きる道についての考え方であり、
もっと根源的なアイムの生きる動機は、やはりあのファミーユ星が滅びた夜にアイムを突き動かした復讐心でした。
あの滅亡の夜、アイムは皆の希望になりたいなどとは全く考えていなかった。
あの時は心の中は復讐心だけで、それによってアイムは生き残ったのです。
そしてその生の中で皆の希望になりたいという考え方を組み立てたに過ぎない。

人間の本質なんて、そんな綺麗なものではないのです。
美しい言葉で飾った理想的な動機だけで人間が生きているわけではない。
人間が生きるというのは、もっとドロドロしてエネルギッシュな得体の知れないものなのです。
かといって、理想的な動機が嘘だというわけではない。それはそれで真実なのです。
ただ、根源的なドロドロした本質もまた真実であり、それも確かに存在する。
それを無いもののように扱って生きてはいけない。
だが、それだけだと思ってしまってもいけない。そんなことをすれば人間は化け物になってしまう。
だから人間は考えて美しい生き方を追求していくのです。

アイムはちゃんと考えて、皆の希望になりたいという結論を得た。これは正しいのです。
しかし、マーベラス一味に入ってから、ずっと自分の本質である復讐心を奥底に封じ込めて忘れていたため、
それを突然想い出して、そのショックで流されかけています。
だからアイムは自分は復讐心しかなかったと思ってしまっているのです。
それで、マーベラス達に出会った時、自分は本当はザツリグに復讐する力を得たいがために
海賊の仲間になろうとしたのだと思ったのです。

さっき、回想シーンでアイムがマーベラス達を覗き見ている場面でアイムの顔が映っていなかったのは、
つまり、その時のアイムの心情をわざと曖昧にするためでした。
もしかしたらアイムはその時、復讐鬼のような表情であったのかもしれないし、
そうではなくて、皆の希望になりたいという一途な表情をしていたのかもしれない。
それが本当はどっちであったのか、結局、アイム本人にも、視聴者にも、永遠に分からないようにするために、
あのような演出としたのでしょう。
どう解釈するのも、見る人の自由なのです。
何故なら、復讐鬼のアイムも、皆の希望の象徴としてのアイムも、両方とも真実だからです。
だから、どちらかだけを肯定し、どちらかだけを否定することは避けたということなのでしょう。

ただ、ここでマーベラス達の前で泣き出したアイムは、
あの時、自分は復讐鬼のような表情でマーベラス達がザンギャック兵達を殺していくのを
見ていたのだと解釈していました。
そして、アイムは彼らのように戦う力を手に入れて、ザツリグに復讐をしたいと思ったのです。
これは確かにそう思ったのでしょう。
そういう想いを抱いてアイムはマーベラス達の前に現れ、海賊の仲間に入りたいと言った。

しかし、アイムの口から出た言葉は
「ファミーユ星の生き残りの人々の希望の象徴になりたいから」というような理由で
海賊になりたいというものでした。
これももちろんアイムの本心、むしろこちらの方が表面的な本心であったから、
アイムはこちらのロジックでマーベラス達に説明したのです。

しかし、それと同時に心の奥では確かに深いところで
ザツリグを倒す力が欲しくてマーベラス達に近づきたいという意識も存在していました。
そのことに今になってハッキリ気付いたアイムは、
自分がマーベラス達に嘘をついていたような気がして、申し訳なく思うと同時に、
あの時、自分がマーベラス達に説明した内容が果たして本当に自分の本心であるのか
自信が無くなってしまったのでした。

つまり、ファミーユ星の人々の生きる希望になりたくて海賊になろうとしていたのが自分の本心なのか、
それともザツリグに復讐してファミーユ星の仇を討つために戦うために海賊になろうとしていたのが
自分の本心なのか、どっちなのか分からなくなってしまったのでした。
その結果、本当にファミーユ星の生き残りの人々が自分のことを希望と見なして支えとしているのか、
よく分からなくなってきました。

アイムの強い信念があってこそ、
ファミーユ星の人々の想いというものもアイムの心の中では真実として成立していたのですから、
アイム自身の信念が揺らげば、自然にファミーユ星の生き残りの人々のアイムに対する想いも、
アイムの心に中では揺らぎます。
実際に彼らに会ってその気持ちを確かめることが出来ない以上、
アイムの心の中での「彼らがアイムのことを支えとしている」という信念こそが全てなのです。
だから、それが揺らげば、そうした事実自体が無いとアイムには感じられてしまう。

だから、アイムは「自分が皆の支えであって、簡単に死んではいけない」という想いを
強く持つことが出来なくなっていました。
それならばいっそ、復讐心の欲するままに無謀でもなんでもザツリグに戦いを挑むべきではないかと思えてきます。
そして、その復讐心を今まで隠していたマーベラス達を
今さら自分の復讐に巻き込むことは出来ないと思っていたのでした。

自分の復讐心の大きさに衝撃を受けたばかりのアイムは、どうしてもそういう思考に流れてしまい、
マーベラス達の優しさに応えることが出来ない。
それが申し訳なくてアイムは泣き出してしまったのでした。

その時、マーベラスが「アイム・・・顔を上げて前を見ろ!」と強い口調で言います。
その言葉に従い、アイムが泣きじゃくりながら顔を上げて、前を見ると、
5人の仲間がアイムを見つめていました。
そして一歩前に立つマーベラスが「俺たちがいるだろ!」と言いました。

マーベラスは、アイムが星空の向こうにいる連中が自分を支えにしてくれているのを感じ取れない、
それを自分の生きる動機に出来ないというのなら、
もっとすぐ目の前、触れることが出来るぐらいすぐ近くにも、
アイムのことを希望の象徴と見なして、生きる支えにしている連中は居るんだということを教えてあげたのでした。
それはつまり、マーベラス一味の6人でした。
マーベラスの言葉を受けて、ジョーは真剣な眼差しで頷き、ルカは優しく微笑み、
鎧は一途な表情で頷き、ハカセも微笑をたたえています。

実はアイムを仲間に加えてから、何時の間にか、マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人にとっても、
アイムは自分達が誇りを持ち続けるための象徴としてかけがえの無い存在となっており、
心の支えとなっていたのです。
そして鎧もそうした4人と同じ気持ちを持つようになっていました。
だから5人はアイムに死んでほしくない。だから一緒に戦いたいのです。
そして、アイムの仇を共に倒したいのです。

しかし、アイムを象徴として仰ぎ、心の支えとするという意識は、
もともとはファミーユ星の民だけに見られる傾向であり、
マーベラス達がどうしてそのような意識を持つようになったのか、理由は不明です。
ただ、その気持ちに嘘は無いということは彼らの顔を見れば分かる。
つまり、マーベラス達はある意味、アイムを自分達の君主と認めたのです。

「国」というもの、「王」というものを失い、信じなくなっていたマーベラス達は
アイムと出会うことで、自分達の「国」や「王」というものを取り戻したのです。
そしてアイムも、ファミーユ星の滅亡以来、失っていた「国」や「民」というものを再び得ることが出来たのです。

その重みを受け止めたアイムは、自分は個人的な復讐などのために死ねない立場なのだとハッキリ覚りました。
いや、個人的な復讐などはそもそも許されない。
「王」である自分の戦いは、常に多くの「民」を巻き込む公の戦争となるのです。
それでもやらなければならない時がある。
いや、その判断が正解なのかどうかは誰にも本当は分からない。
だから「王」の決断は途轍もなく重く、そののしかかってくる責任は恐ろしく重い。

父もこんなに苦しかったのかとアイムは初めて実感し、ぐっと下を向いて苦しんだ後、
意を決して顔を上げますが、まだ躊躇します。
するとマーベラスがアイムを見つめて力強く頷き、アイムの決意を後押しして、
アイムは思い切って「・・・皆さん!私に力を貸してください!・・・ザツリグを倒すために・・・!」と言いながら、
顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくります。

やはり、民の自由を踏み躙って殺戮したザツリグは許すことは出来ない。
だから「王」としては「民」に戦争への協力を訴えるしかない。
しかし、これが本当に正しい決断なのか、誰にも分からない。
アイムには重すぎる決断でした。
だからその重圧にアイムの心は耐えられず、涙がボロボロと零れ落ちるのでした。
それでも、最後まで言うことが出来たのは、
マーベラス達がアイムのことを心の支えとしてくれていると言ってくれた、
その気持ちに応えたい一心からでありました。

マーベラスはアイムがその言葉を言い終ると、フッと微笑んで「その言葉を待ってたぜ!」と言います。
それを受けてジョーも「ああ!皇帝親衛隊なんて知ったことか!」と不敵に笑い、
鎧も「あんな奴、大したことありません!」と強気を見せます。
ルカは泣きじゃくるアイムを見つめて、優しく微笑んで頷き、
ハカセは胸をドンと叩いて「僕に任せといて!」と調子のいいことを言いますが、
ルカに胸を裏拳で思いっきり叩かれて「アンタが言う・・・?」と突っ込まれます。

さっき散々隠れようとか言ってたクセに調子よすぎると指摘されてしまい、慌てるハカセを見て、
皆、笑い出して、一転、場は和やかになり、アイムの顔にもようやく笑顔がこぼれます。
それを見てマーベラスは嬉しそうに微笑み、アイムも照れたように微笑み、力強く頷くのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:42 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月18日

第41話「なくしたくないもの」感想その7

翌日、とある誰もいない波止場の一角にザツリグが現れます。
そして、そこにはマーベラス一味の6人の姿がありました。
マーベラス一味の姿を見て、ザツリグは「逃げずに来るとは大したもんだ!
海賊ども・・・今日が貴様らの最期だ!」と言います。

どうやらザツリグが何らかの方法でゴーカイジャー6人に時間と場所を指定して
自分と戦いに来るよう要求したようです。
ただザツリグとしても昨日アイム達3人をかなり痛めつけたので、
勝ち目が無いと思って海賊たちは隠れて出て来ないのではないかとも思っていたようです。
それで指定した場所に行ってみると、マーベラス達6人がしっかり来ていたので、
その度胸にはひとまず感服したというところなのでしょう。
が、同時に、これでワルズ・ギルの仇討ちという使命を果たせると、安心していました。

しかし、そのザツリグに20mほど離れて横一列になって対峙する6人の真ん中に立つアイムは
1人、数歩前へ進み出ながら「最期なのは貴方です!ザツリグ!」と言い返します。
そして「私の故郷を・・・たくさんの人々の幸せを奪った貴方を、絶対に許しません!!」と
アイムが凛として宣言すると、マーベラス達5人も数歩進み出て、アイムと肩を並べ、
6人はキッとザツリグを睨みつけます。
6人は昨晩、共にザツリグを倒すという誓いを立てたばかりですから、
ザツリグからの誘いは、まさに望むところであったのです。

一方、ザツリグはアイムの言葉を聞いて、自分がファミーユ星を滅ぼしたことや、
その時にアイムと出会っていたことなどを想い出したのかどうか分かりませんが、
とにかくアイムが自分のことを仇と見なして戦っていることは気付いたことでしょう。
ただ、もともと自分が滅ぼした星や殺した者達のことは、
ザンギャックに逆らったどうしようもない愚か者としか思っておらず、
生きていく価値など最初から認めていませんから、アイムの言葉を聞いても全く心が動じることもありません。
「フン!面白い!どう許さないのか、見せてもらおうか?」と鼻で笑うのみです。

アイムはレンジャーキーを出して「いきますよ!・・・皆さん・・・」と左右に立つ5人に声をかけ、
5人もレンジャーキーを出して「ああ!」「OK!」「はい!」と応えます。
そして「豪快チェンジ!!」と掛け声をかけてゴーカイジャーに変身し、今回は個人名乗りのシーンは無しで、
マーベラスが「海賊戦隊!」と言うと、「ゴーカイジャー!!」と全員並んでの名乗りシーンのみとなります。

しかも今回は全体名乗り時の並び方がいつもと違っており、いつもとはアイムと鎧の立ち位置が入れ替わっています。
アイムはいつもは向かって左端であり、鎧はいつもは真ん中でマーベラスの左に立っています。
それが入れ替わっているので、今回はアイムがマーベラスと共に真ん中に立つようになっており、
アイムをメインに据えた並び方になっているといえます。

エピソード毎に全体名乗りの立ち位置を入れ替えて、
その回のメインキャラを真ん中に持ってくるようにしていた作品としては過去に「ダイレンジャー」がありますが、
「ゴーカイジャー」はそこまで徹底して各回のメインキャラをプッシュしているわけではなく、
全体名乗りの並びは誰のメイン回であろうとも毎回同じ配置で通してきました。
だから今回は、単にアイムメイン回だからアイムを真ん中にしたというような軽い意味ではないのでしょう。
これはゴーカイジャーの在り方に関する重大なテーマを表す特別な並び方なのであり、
今回のエピソードで表現しようとしていることが
ゴーカイジャーにとって非常に大事なことである証なのだといえます。

また「ダイレンジャー」では個人名乗りも、
その回のメインキャラの名乗りを一番最初に持ってくるという演出になっていましたが、
「ゴーカイジャー」の今回のエピソードはあえて個人名乗りを省いており、
誰がメインであるかということはむしろ重視していない印象です。
つまり、全体名乗りのアイムを真ん中に据えた並びも、アイムがメインであることを強調するためではなく、
アイムを中心とした6人の絆を重視した描き方なのだと解釈した方が正解のようです。

さて、派手に啖呵を切ったゴーカイジャーですが、対するザツリグも「かかってこい!」と自信満々です。
アイムが「派手に参ります!」と撃ったゴーカイガンの銃弾を、
ザツリグはまたあの胸の目を開いてバリアーを発生させて弾きます。
アイムに続いて全員が撃ちまくりますが、やはりバリアーに阻まれてザツリグには銃弾は届かず、
「無駄、無駄・・・」とザツリグは嘲笑います。

この胸の目はバリアーまで発生させることが出来るようで、
これで、電撃、炎を発し、相手の動きを止め、バリアーまで張れるという、まさに万能の能力を発揮しています。
この胸の目がある限り、ザツリグはゴーカイジャーに負けることなど万が一にも無いという絶対の自信があるのです。
実際、昨日はジョー達はこの能力の前に全く手も足も出なかっただけでなく、
それが胸の目から発されている攻撃だということ自体、分かっていません。
このザツリグの謎の見えない攻撃に対して何の対策も無いまま戦いに挑んでいるのです。
それはアイムの仇討ちの相手から逃げるわけにいかないという理由によるものですが、
同時に、結局は戦いの中で相手の攻撃の正体を見極めていくしかないという考えでもありました。

ゴーカイジャー6人は発砲しながら全速で駆けてザツリグに突っ込んでいき、
今度は剣でザツリグに斬りかかろうとしますが、
ザツリグは胸の目を閉じてバリアーを解除すると、すぐに再び胸の目を開きます。
すると今度はザツリグの姿が斬り込んできたマーベラス達の目の前から突如、消えました。
いや、消えたように見えたのは超高速で移動したからでした。
ザツリグは超高速で移動しながら6人を次々となぎ倒していったのでした。

更にザツリグは倒れた6人に向かい、胸の目を開いて腕を横に払うような動作をします。
すると、触れてもいないのに6人は張り飛ばされたように横に吹っ飛ばされて、
波止場に置いてあるコンテナ群に激突させられてしまい、
起き上がったところを、インサーンがやられたように電撃攻撃を受けてしまい、また倒れます。

やはり昨日と同じように手も足も出ずに完全に好き放題にいたぶられてしまっている状況ですが、
それにしてもザツリグの胸の目の能力の多彩っぷりは驚きです。
これは胸の目から何かを発射しているというような能力なのではなく、
一種の邪眼、第3の目のような、超能力を発現あるいは増幅させるスイッチのような役目を果たす
器官、あるいは装置なのでしょう。
だから、電撃や炎、バリアー、高速移動、念動力なども全てサイキックパワーによるものであったようです。
つまり万能の超能力戦士というのがザツリグの正体であったと言っていいでしょう。
これではマーベラス達が勝てるはずもない。
それどころか、このままでは触れることすら出来ずに遠からずザツリグに殺されてしまうでしょう。

ザツリグは倒れた6人に向かって余裕綽綽で「こんなものか?」と嘲笑いますが、
アイムは「・・・まだまだです!」と気丈に言い返し、6人はまだ立ち上がります。
するとザツリグは「ならば、こんなのもあるぞ?」と言うと、胸の目を開き、指をパチンと鳴らすと、
6人の至近距離で光弾を出現させて、その光弾が6人を直撃し、
6人は「うわああああ!!」と叫んで吹っ飛ばされ、
波止場の倉庫の壁を突き破って中に突っ込んでいってしまいました。
これはなんとも強烈で、マーベラス達の突っ込んだ倉庫が半壊してしまうほどの威力でした。
これでさすがにしぶとい海賊たちも参っただろうと思い、
ザツリグは「フッフッフ・・・」とほくそ笑み、勝利を確信したのでした。

倉庫に突っ込んでいったマーベラス達は確かに強烈なダメージを受けて、変身は解除してしまっており、
廃墟のようになった倉庫の瓦礫の山の中で、なかなか立ち上がることさえ出来ずにいました。
懸命に身体を起こしながら、アイムは「大丈夫ですか?・・・皆さん・・・」と尋ねます。
納得ずくのこととはいえ、結局は自分の仇討ちに皆を巻き込み、無謀な戦いを強いてしまっているという
申し訳ない気持ちはアイムにはあります。
他の5人はアイムに気を遣わせまいと、早く起き上がろうとしますが、
さすがにすぐには立ち上がることは出来ません。

マーベラスも「・・・あったりめぇだ!いい準備運動だ!」と強がりを言って、無理に立ち上がりますが、
まだ足腰が痙攣していて、すぐにガクッと膝をつき、
鎧が慌てて「マーベラスさん・・・」と下で倒れてきたマーベラスの身体を支えました。
すると、マーベラスは鎧に支えられ、息を整えながら
「・・・それより見たか?・・・奴の胸の目を・・・!」と、目をギラリと輝かせて、皆に問いかけます。

マーベラスは遂にザツリグの胸の目に気付いたようです。
他の5人も同様に目に鋭い光を帯びています。
マーベラス同様、皆、ザツリグの胸の目には、先ほどの戦いの中で気付いていたのです。
アイムも「見ました!・・・あれが開くと、何かが起きる・・・!」と、戦いの最中に考えていたことを言います。
全員、何度もザツリグの見えない攻撃を喰らいながらザツリグをじっくり観察し続けて、
遂にザツリグが見えない攻撃を繰り出す際には胸の真ん中に目が開いていることに気付いたのでした。

「・・・ということは・・・あれを封じれば、まともに戦える・・・!」と鎧が言います。
結局、胸の目は発見したものの、見えない攻撃の原理そのものは不明のままで、
あの多彩な攻撃を避けることは出来ない。
ならば、あの目を使えなくしてしまうしか対応策は無い。
あの目さえ使わせなければ、ザツリグは見えない攻撃を繰り出すことは出来ない。
通常攻撃だけならば、かいくぐってザツリグに反撃を加えることは出来るはずでした。
だから、あの目を狙って破壊し、使用不能にすればいい。

思うに、ザツリグはあまりに万能の能力を持っていたゆえに、
本当に強い戦士たちは少しザツリグと闘えば、自分に勝ち目が薄いことにすぐに気付き、
ザツリグとの勝負を決しようとはしなかったのではないでしょうか。
真に強い者ならばザツリグの追跡を振り切って逃げることは出来るからです。
だからザツリグは本当に強い相手と長時間戦ったことが無いのでしょう。
強い相手ならば、ザツリグの攻撃を喰らっても、すぐには倒されない。
そうして何発もザツリグの攻撃に耐えているうちに、目が慣れてきてザツリグの胸の目の存在に気付く。

そういう弱点があるのですが、
今までザツリグと戦った相手は数発の攻撃で倒される者ばかりだったので、
この弱点は露呈することはなく、ザツリグはこの弱点に気付いていなかった。
そう考えると、やはりこの胸の目は改造手術で取り付けたサイキックパワー増幅装置なのだろうと思われます。
先天的能力であれば、まだ若輩の頃に何度か挫折してこの弱点を思い知らされる機会はあったはずだからです。

今回、ザツリグは自分のサイキック攻撃を何度喰らっても
なんとか耐えられる程度の強さのマーベラス達ととことん戦わねばならないという未知の戦いの中で、
胸の目の存在を知られてしまうという失態を始めて冒したのだが、
そのことにザツリグ自身は気付いておらず、自分には死角は無いと思い込んでしまっています。
だから、これはマーベラス達にとってチャンスでした。

だが、胸の目を封じるといっても、
ザツリグが胸の目を使っている限りは、マーベラス達の攻撃は一切ザツリグには届かないのです。
それでどうやって胸の目を攻撃するのか?
これは難問でした。

するとジョーが「アイム・・・お前が封じろ!・・・奴の目を・・・!」と言い、
ルカが「あたし達が囮になるから・・・その隙を突いて・・・ね?」と言葉を続けます。
どうやら何か腹案があるようです。
ただ、そのためには皆がザツリグの攻撃を引きつけて、その隙を1人が突いて攻撃する必要があるようです。
囮と本命がいる作戦の場合、どちらが腕の立つ者である必要があるのかはケースバイケースですが、
この場合は、本命の攻撃でザツリグの胸の目を破壊するのは、アイムを措いて他には考えられませんでした。

仇を取らせてやりたいなどという温情で言っているのではなく、
ザツリグへの復讐のために生きてきたアイムの執念に勝る集中力を持った者は、
この戦いにおいては他にいないからです。
アイムに本命の攻撃を任せるのがこの場合、最も成功率が高い。
そのサポートのために自分達は懸命に尽くす。
それが今回の唯一の勝機を開くのだと、皆、悟っていました。
それに対して、「・・・分かりました!皆さん、宜しくお願いします!」とアイムも鋭い眼光で応えたのでした。

そうして倉庫からダメージを回復させて、再び波止場に戻ったマーベラス達を見て、
ザツリグは「戻ったか・・・」と呟きます。
内心いい加減しぶとい連中だと辟易していましたが、
「あれで終わりでは詰まらんからな!」と小馬鹿にしたように言います。
いずれにしてもザツリグは自分の勝利は揺るがないと思っています。

しかし、5人の真ん中に立つマーベラスは「終わるのは・・・てめぇの方だ!」と静かに言います。
そのマーベラスの方を見て、ザツリグは「減らず口を・・・!」と鼻で笑いました。
既に1人、力尽きて脱落して、5人の後方のコンテナの脇でへばっているのが見えたからでした。
実際はもう海賊たちの体力は限界に達しつつあり、もう少し攻撃を続けてやれば、1人、また1人と脱落していき、
遂には全員力尽きるはずだとザツリグは思いました。

しかしザツリグが脱落したと思い込んだ後方のコンテナ脇の1人というのはアイムであり、
アイムは戦えなくなってへばっていたわけではない。
ザツリグの胸の目を攻撃する瞬間のタイミングを測るため、
後方に待機して皆の戦いを見るために後方に立っていたのです。
そのことにザツリグは全く気がついていない。

が、ザツリグがマーベラス達の体力が限界に達しつつあると見たのは、間違ってはいない。
かなりマーベラス達もギリギリの状態でした。
それでもアイムにザツリグの胸の目の開閉のタイミングを最終的に確認させるため、
そしてザツリグの注意をアイムから逸らさせるために、
ザツリグに突っ込んで行って、その攻撃を受け続けねばならない。
それが唯一の勝機であり、やるべきことは明確に決まっている。
だから真っ直ぐ励むことは出来る。

理屈の上では確かにその通りです。
しかし、そうはいっても、なかなか身体が言うことを聞いてくれない状況で、
鎧は真っ直ぐ立つことにも苦労していました。
ところがマーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人は真っ直ぐ立ってザツリグを見据えている。
4人とも自分と同じぐらいのダメージを受けているはずなのに、凄いと思った鎧は
「皆さんの気力・・・凄すぎです!」と苦笑しました。

すると、マーベラスは「・・・なくしたくないもんがあるからな・・・」と、
後ろに立つアイムを意識しつつ静かに言います。
ルカも「・・・そうだね!」とニヤリと笑い、ジョーもフッと微笑し、ハカセもニッコリ笑います。
鎧はマーベラスの「なくしたくないもの」が何なのか、そして3人の微笑の意味が分からず、
「ん?・・・ん?」と皆の顔を見回しますが、
その隙にマーベラス達が「豪快チェンジ!!」と叫んで変身してザツリグに向かって駆けだしていったので、
慌てて鎧も「ああっと・・・豪快チェンジ!」と変身して追いかけ、
6人は「うおおおっ!!」と吼えてザツリグに迫ります。

ここからのシーンは少し特殊な演出になっています。
戦闘シーンにモノローグ風の静かなセリフが重なっていて、そのセリフ同士で会話を成立させており、
それが最終的に戦闘シーンでの生の会話に繋がっていくという描き方になっているのです。
つまり戦闘シーンに重なっているセリフはモノローグでも、別の時系列での会話をあてているわけでもなく、
戦闘しながら、まるでテレパシーのような以心伝心の会話になっているのです。
リアリティは薄い描写で、深く考えると時系列的に混乱してしまう描写ではありますが、
戦闘シーンの随所がスローモーションとなり、更に随所にセリフに対応させた回想シーンも挿入されており、
非常に感動的な、この作品屈指の名シーンに仕上がっています。

マーベラス達、宇宙から来た4人が地球人の鎧には理解出来ないほどの気力をこの場で発揮できる理由を、
マーベラスは「なくしたくないものがあるから」と言い、他の3人も同意した。
しかし鎧には意味が分からない。
主にその鎧に向かって、マーベラス達4人がザツリグと戦いながら、以心伝心で静かに語りかけ、
語り合う場面が展開されます。

まずザツリグに向かって突っ込みながら、
マーベラスは「正直・・・最初は何も出来ないお姫様だった・・・」と鎧や皆に言います。
鎧はマーベラスがアイムのことを言っているのだと悟り、「えぇ?」と驚きます。
驚いたのは、普段あんなに凛々しく戦っているアイムが何も出来なかったという事実と、
そもそも鎧はアイムが元お姫様だと知らなかったからでした。

マーベラスはザツリグに向けてゴーカイガンを撃ちながら、言葉を続けます。
「銃を撃たせりゃ、反動でひっくり返る・・・」と呆れた声でマーベラスが回想するのは、
アイムを仲間に加えたばかりの頃、試しに銃を撃たせてみたら
銃の発射の反動で悲鳴を上げて真後ろにひっくり返ってしまったアイムの姿でした。

マーベラスは、大きな夢を掴もうとしている連中を仲間にしていく方針を持っていたので、
アイムの「ザンギャックと戦う姿を見せて宇宙に散らばった同胞たちの誇りの象徴になりたい」という夢を認めて、
一応アイムを仲間に加えてやることにはしました。

ただ、それまでマーベラスは何だかんだ言って、役に立ちそうな奴しか仲間にはしていませんでした。
ジョーやルカは途轍もない夢想家であるだけではなく、ちゃんと戦力になる奴らでしたし、
ハカセだって料理を作ったりメカをいじったりして役には立ちました。
しかしアイムには何ら海賊の仲間として役に立ちそうな要素は見受けられませんでした。
ただアイムが強く仲間になりたいというので、つい仲間に迎えてしまったのです。
それで試しに銃を撃たせてみた。案外使えるのかもしれないと思ったのです。
ところが予想を遥かに超えてダメでした。

マーベラスは銃も満足に撃てないアイムを見て溜息をついた時のことを想い出しつつ、
ザツリグに斬りかかり、ザツリグがマーベラスの剣を腕で払うと、そこに今度はジョーが斬りかかります。
ジョーは一旦弾き返された後、再びゴーカイサーベルを構えつつ、鎧や皆に心の声で語りかけます。

「剣を持たせりゃ・・・重さに振り回される・・・」と静かに言いつつ、ジョーが想い出すのは、
アイムが仲間に入ったばかりの頃、剣を教えた日のことです。
大上段に振りかぶったゴーカイサーベルの重みで、アイムは悲鳴を上げて後ろにひっくり返ってしまったのでした。
銃の時も剣の時も、後ろにひっくり返るのは同じのようです。
あまりのひ弱さに、剣を教えるどころではないと思い、ジョーは頭を抱えてしまいました。

その時のことを回想しつつ、ジョーはザツリグにゴーカイサーベルを振って果敢に斬り込みますが、
ザツリグは胸の目を開き、ジョーを念動力で吹っ飛ばします。
地面に転がるジョーに慌てて駆け寄る鎧の前にマーベラスが立ち、ザツリグを威嚇しつつ、
後ろの鎧に向けて語りかけ「およそ戦いには、向いてなかった・・・!」と、アイムのことを評します。
これはアイムが特に怠惰な姫だったというよりは、
やはりファミーユ星では武器を手にして戦うということ自体が
あまり盛んではなかったと解釈した方が正しいようです。

鎧は、そんな銃も剣もロクに持てなかったアイムが今のようになるまでにはどれほどの努力を重ねたのだろうかと、
思わずアイムの立つ方向を振り返ります。
するとアイムは何時の間にかコンテナ脇で1人で変身を済ませており、
しっかりさっきのザツリグの胸の目の動きを観察し、その攻撃を喰らって倒れたジョーを気遣いつつ耐えていました。
ワンチャンスをものにするためには、まだもうあと数回、タイミングを確認する必要がありました。

しかし鎧はこのままでは皆がもたないのではないかと不安に駆られ、アイムの方を見つめます。
確かに信じられないほどの努力で戦えるようになったのかもしれないが、
もともとそんなに戦いに向いていなかったのであれば、
このようなギリギリの局面でそれは弱みになるのではないかと不安になります。

その鎧の肩をポンと叩く者があり、鎧が振り向くと、それはハカセでした。
ハカセは鎧に、アイムを信頼して前を向くよう促したのでした。
確かにアイムは全く役立たずだった。
だが、マーベラス一味の宇宙から来た4人は、アイムのことを信頼しているのです。

ハカセは鎧や皆に向かって心の声で「家事をさせてもさぁ・・・もうメチャクチャだったし・・・」と語りかけつつ
ゴーカイガンをザツリグに向けて構えます。
ハカセはアイムが洗濯機に洗剤を入れ過ぎて泡だらけにされてしまった日のことを想い、
それでもあの頃から自分はアイムが特別なのだと認めていたことを想い出します。
だから自分はアイムを信頼して、しっかりこの戦いのテーマをこなすのみだと、
ハカセはザツリグに向けてゴーカイガンを連射します。
ザツリグがきっとまた胸の目を開いてバリアーを張るだろうと見越してのことです。

案の定、ザツリグはバリアーを張り、銃弾を防ぎ、
そこに間髪入れずにルカがゴーカイサーベルを構えてザツリグの背後から飛び込みます。
飛び込みつつ、ルカは鎧や皆に
「なぁ〜んかマイペース過ぎて、タイミングは合わないしね・・・!」と心の声を送ります。
ルカは同じ女性同士ということで、当初、アイムの世話役を押し付けられたが、
アイムがあまりに天然ボケなのでイライラしっぱなしだった。
それでも、ルカにとってアイムがかけがえのない存在になるのに時間はかかりませんでした。
それはいったい何故なのか、実はルカにも上手く説明は出来ません。

ザツリグに向けて剣を振り下ろそうとしたルカはザツリグの胸の目を使った力で空中で動きを止められ、
また念動力で吹っ飛ばされます。
しかし、こんな連続攻撃程度が通用するとはルカも、そしてその前の攻撃を繰り出したハナセも
最初から思ってはいない。
ザツリグに胸の目を使って連続攻撃に対応させることがこの戦いのテーマなのです。
ハカセとルカの連続攻撃はそのテーマを果たした。

その代償として吹っ飛ばされたルカは、マーベラス達5人の待ち受けるところに投げ込まれ、
ザツリグは更に胸の目を開き、5人に向けて電撃を放ち、
5人は身体から火花を発して叫び声を上げて吹っ飛ばされます。
アイムは地面に転がった5人を見て、あっと驚き、
ザツリグはこれでもう5人は立てないだろうと、ほくそ笑みます。

しかし実はマーベラス達は彼らの課されたテーマをほとんど為し終えていた。
そして、それを成し遂げたマーベラス達を見て、鎧は驚いていました。
鎧は結局、今の攻撃で完全にマーベラスたち宇宙組の4人に遅れをとってしまっていた。
それは自分がマーベラス達ほどはアイムのことを信頼出来ていなかったせいだと鎧は思った。
といって、鎧がアイムのことを信用していないわけではない。
単にアイムのことを自分は4人ほどはよく知らないからだと鎧は思った。

つまり、自分と4人の違いはアイムの本当の姿を知っているのかどうかの差であり、
この戦いでマーベラス達が鎧には理解出来ないほどの気力を発揮できるのは、
アイムを単なる仲間として以上に特別に大切な存在だと思っているからだということに由来しているのだと、
鎧は気付きました。
そして、それがマーベラスの言う「なくしたくないもの」に関係があるのだと鎧は思いました。
しかし、さっきからのマーベラス達の以心伝心の言葉を聞く限り、
結局アイムの悪口しか言っていないような気がして、なんだか鎧にはよく分かりませんでした。

マーベラス達も、鎧に自分達にとってアイムがどうして特別な存在なのか説明しようとしても、
実はそれを自分達もハッキリ説明出来るほど普段から脈絡立てて把握しているわけではないので、
いざ説明し始めたらアイムの悪口ばかりになってしまい、困ってしまっていました。
どうにも自分達は説明が下手だと思い、マーベラスはゴーカイサーベルを杖代わりにして立ち上がりながら、
半ばヤケクソ気味に「だが、アイムには、俺たちに無いものがあった・・・!」と口に出して叫びます。

鎧は、ハッとして身を起こし、マーベラスの顔を見ます。
それは鎧自身がマーベラス一味に入る際にマーベラスによってその有無を問われたことだったからです。
ただ、アイムの場合のそれが一体何なのか、鎧には分かりません。
一方、ジョーとハカセはマーベラスの言いたいことが分かるようで、顔を上げて「ああ・・・」「うん!」と頷きます。
ルカも、それが言いたかったのだとばかりに、「・・・だね!」と言ってマーベラスの方を見て頷きます。
マーベラスは「4人の頃は、喧嘩になることも多かった・・・」と言いながら、
地球に来る前の自分達のことを想い返します。

マーベラスは第16話の回想シーンでアカレッドに会った時、
単なるザンギャック軍相手の略奪行為を行う自分のことを海賊だと自称していました。
ジョーも第12話の回想シーンでマーベラスに初めて会った時、海賊であるマーベラスを蔑んでいました。
ルカも第34話の回想シーンでマーベラスやジョーと初対面の時に海賊を小馬鹿にするような態度を示していました。
ハカセに関してはまだ加入時の描写は無いが、
今回のアイム加入時の回想シーンでアイムが海賊に入りたがるのをハカセが不思議がっているところからして、
世間的にまともな稼業ではないと認識していたことは間違いないでしょう。

つまり、彼らは海賊というものは裏稼業だという認識を持っていたのです。
もちろん彼ら自身は、世間がどう言おうが、彼ら独自の価値観で、
マーベラス一味で夢や自由を求める旅をすることは素晴らしいことだと思っていました。
ただ同時に、自分達がどう思おうとも、所詮は世間から見れば
ロクデナシの犯罪者扱いされてしまうのだろうということも知っていたのです。

だからマーベラス達はある意味、開き直っていました。
どうせ悪者だと思われているのだから、カッコつけても仕方ない。
もともと自由を求めて海賊になったのです。
本能の赴くまま、好きなように生きた方がいいと思っていたのです。
だからマーベラス一味では細かいルールなどは存在せず、
その場その場の思いつきで、やりたい事をやりたい時にやればいいという風潮でした。

確かに海賊というのは、やりたい事をやるのが基本です。
そういう自由を外部に対して貫こうとすれば争いになる。
でも自分が正しいと信じたことなら戦ってでも信念を貫く。
ザンギャックに対してすらもその信念を貫くからこそ海賊なのです。
それは確かに海賊としては正しい。
しかし、それも程度問題です。

ありとあらゆる場面で自由に振る舞い、自分の信念を押し通していたら、
仲間同士でも争い合ってばかりになってしまいます。
マーベラス一味は昔そういう状態だったのでしょう。
共に大きな夢を掴もうとする者達がその自由な精神を尊重し合って集まった仲間たちですから、
基本的には結束力は強く、喧嘩ぐらいで仲間割れして空中分解するような事態にまではならなかったが、
それでも人間は常に夢や自由などの高尚な理念だけ考えて生きているわけではない。
日常生活の中ではつまらないエゴや欲望や意地に動かされるものです。

それらの些細な個人的欲望まで全て自由の名のもとに全部開放していたら、
エゴとエゴ、意地と意地がぶつかり合って喧嘩が絶えなくなり、
実に見苦しい人間関係を披露することになってしまう。
そういう日常のトラブルを律するためには、やはりルールは必要であり、節度も必要でした。

そういう風に人々の日常の低俗なエゴや意地のぶつかり合いを律するルールや節度が存在して
人間集団というものは形成されており、それが詰まるところ「国」というものも作っています。
しかしマーベラス達はその「国」やそれに準じた人間集団を失ってきた者達だったのです。
国や星を失い、1人ぼっちでザンギャック独裁帝国と対峙してきた者達が集まってきたのがマーベラス一味でした。
だからルールや節度など必要無い、自分の信じる夢や自由を求めることこそが大事だという考え方を持っており、
ルールや節度を極端に軽視する傾向があったのです。
その結果、マーベラス一味の内部もいつも、何か意見の衝突があると互いに譲ることもなく、
喧嘩や揉め事が日常茶飯事であったのでした。

しかし、アイムが仲間に入って、喧嘩している時にアイムがニコニコ笑って紅茶など持ってくると、
マーベラス達はなんだか喧嘩を続けづらくなってしまい、
なんとなく譲り合って仲直りしてしまうことが多くなったのでした。
そうして何時の間にかマーベラス一味の内部で無益な喧嘩の回数は激減し、
揉め事が起きないようにするために、当番制などの細かいルールも作られるようになって、
船内の空気はだいぶ明るいものになっていった。

マーベラスは立ち上がって、そうしたアイム加入後の変化について、
「・・・だが、アイムが来てからは、何でだか・・・いい感じになった・・・」と、鎧に向かって下手くそに説明をしますが、
鎧は「分かります!なんか・・・分かります!」としきりに頷きながら立ち上がります。
マーベラスはどうしてアイムが加わってから喧嘩が減ったのか、本当はもう少し具体的に説明は出来ますが、
そこは鎧にはわざと「何でだか」と、ぼかして言っています。
そのマーベラスがぼかしている部分が鎧には何なのか分かっているので、しきりに鎧は分かると言っているのです。

それは鎧もアイムと一緒にいる時に感じることだからです。
それはつまり、アイムの前ではみっともない姿を見せたくなくなるということです。
アイムをガッカリさせるようなことはしたくない。
アイムにはいつも安心して笑顔でいてもらいたい。
だからアイムが来ると喧嘩を止めてしまうようになり、マーベラス達はあまり無益な喧嘩をしなくなり、
マーベラス一味にもルールや規律が出来て、いい感じになったのだと
鎧は、マーベラスの話をそういうことだと解釈したのでした。

実際、マーベラスやジョー達が言おうとしていたこともそういうことでした。
だが、これはまだ理解が浅い。
これぐらいのことであれば、もともとマーベラス達はもっと上手く鎧に説明出来ていたはずです。
地球人の鎧でも全部こうして簡単に理解出来るような理屈であれば、
もともと説明に苦労などしない。
地球人の鎧には理解出来ず、マーベラス達自身もよく分からないような彼らの内心の深いところにある理由によって、
マーベラス達はアイムにいつも笑顔でいてほしいと思うようになったのです。
そのあたりがマーベラス自身にも上手く説明出来ないので「何でだか」という説明になったのでした。

マーベラス達がアイムの見ている前で喧嘩を出来なくなっていった理由は、
アイムに「海賊」というものを失望してもらいたくなかったからです。
いや、正確にはアイムも含めて、アイムの背後にいるファミーユ星の難民たちに
自分達のことを失望してもらいたくなかったのです。
といっても、その難民たちのリアクションをマーベラス達は見ることは出来ないので、
アイムのリアクションが彼ら全てを代表していると解釈するしかなかった。
だから、アイムがニコニコ笑って自分達を見ていてくれれば
マーベラス達は、星空の向こうで大勢の人間たちがニコニコ笑っているような気がして安心出来たのでした。

つまり、マーベラス達はアイムの笑顔を守ってやりたいと思ったわけではなく、
アイムの笑顔を失いたくなかったのです。
アイムのためなのではなく、自分達のためだったのでした。
どうしてマーベラス達がそんな考え方をするようになったのかというと、
アイムが、自分が海賊としてザンギャックと戦うことがファミーユ星の人々の誇りとなるのだと言ったからでした。
それを聞いて、マーベラス達は、初めて自分達のような海賊が人々の誇りや希望になり得るのだと知って、
正直嬉しかったのです。

星や国を失った自分達の夢や自由を求める戦いが、
無関係のたくさんの人達の希望になり得ることを初めて知り、誇らしく思えたのです。
そんな、誰かと繋がりたいという感情はとっくに捨て去ったと思っていたのですが、
アイムの話を聞いた結果、それが素直に嬉しくて、
マーベラス達は自分達にも、まだ自分達の夢が誰かの希望になることを嬉しく思う感情、
誰かと繋がっていたいという感情があることに気付いたのでした。
そもそも、そういう嬉しさを感じたからアイムを仲間に迎えたと言ってもいい。

だからマーベラス達はその繋がりを失いたくなかった。
ファミーユ星の人達が自分達のことを希望だと思ってくれるというのなら、
その繋がりを失いたくなかったのです。
そのためには、まずもって自分達はアイムにとっての希望でなければならない。
だからアイムが見て安心して笑顔でいられるような行動をとらなければならないのです。

よって、罵り合って喧嘩しているような姿はあまり見られたくない。
それゆえ、マーベラス達はエゴや意地を抑制するようになり、
ルールを作ってそれを節度をもって守るようになった。

また、マーベラス一味という海賊がファミーユ星の人達の希望であり続けるための絶対的な条件は、
アイムがこの一味の一員の海賊としてザンギャックと戦っていることでしたから、
アイムに海賊を辞められたり死んでしまわれたりすると、マーベラス達は困るのです。
だからマーベラス達はアイムが全く海賊に向いていないと分かっても、決して匙を投げず、
アイムと共に戦いたいと願い、根気強くアイムに戦い方を教えていき、
アイムも皆の期待があったからこそ、とことん頑張り抜くことが出来たのです。
そのじっくりと育まれた強い信頼関係、絆があるから、
マーベラス達はアイムのここ一番の集中力に全幅の信頼を置いているのです。

詰まるところ、生まれた国や生まれた星を失った孤独な海賊一味の夢や自由を求める戦いが
宇宙の誰かの希望になるということこそが、
いつしかマーベラス達の希望となり、
アイムはそのマーベラス達の希望の象徴となっていったのです。
だからマーベラス達はアイムをむざむざ1人で死なせたくなかったのであり、
自分達が会ったこともないファミーユ星の殺された人々やアイムの父や母の仇を討つために
命懸けで戦おうとも思えたのです。

このようなアイム加入後のマーベラス一味というのは、
1つの原始的なミニ国家のような形をとっていたといえます。
共同体の夢や自由自立を求める行為を希望として掲げ、
それを象徴する君主を尊び皆で盛り立て、
共同体を維持するルールや節度を持つようになり、
同じ夢や希望を持つ者達と生死を超えて繋がり、献身と信頼の絆で結ばれ、
会ったことのない先人の仇討ちまでする。

こうした希望で人々が繋がった「国」というものをマーベラス達は失っていた。
いや、そうした正しい意味の「国」というものは宇宙において
不幸にも彼らは最初から持つことは出来ていなかったのでしょう。
その希望で人々の繋がる「国」というものを、
アイムを仲間に迎えることによってマーベラス達は手にすることが出来たのです。
領土も人民も無い国ですが、それは心の中に確かに存在する「国」であったのでした。
それこそがマーベラス、ジョー、ルカ、ハカセが「なくしたくないもの」であったのであり、
この宇宙において幸いにも「国」を持つ人生を送ることが出来た地球人の鎧には、
マーベラス達のそうした切ないまでに「国」を失いたくないという想いを
完全に理解することが出来ないのは仕方ないことでありましたが、
アイムという存在を通して「国」を愛する気持ちそのものは、もちろん何となく理解することは出来たのでした。

一方、こうしたマーベラス達のかけがえのない「国」という概念を理解出来ない者が
ザツリグであり皇帝アクドス・ギルであり、ザンギャック帝国の支配層です。
何故なら、彼らの国には希望や夢は存在しないからです。
それゆえ、膨大な領土や人民を抱えてはいるが、彼らの国は「なくしたくないもの」ではない。
彼らの失いたくないものは国そのものではなく、自らの支配体制なのです。

だから皇帝の息子ワルズ・ギルの死ですら支配体制の維持のための道具に還元されてしまい、
その仇討ちは単なる支配権を維持するための政治ショーとなり、単なる皇帝親衛隊の義務に過ぎない。
皇帝の息子の死ですらそんな有様です。
彼らは支配体制を守るためならばどんなに非情にもなり人々の夢や希望を圧殺することは厭わないのであろうが、
決して自らの国の何かを命懸けで守るということはないでしょう。

だから、少なくとも、この双方の仇討ちがぶつかり合う戦いにおいて、
アイムとマーベラス達のファミーユ星の仇を討とうとする想いの強さが、
ザツリグやアクドス・ギルのワルズ・ギルの仇を討とうとする想いの強さに負けるということは
万が一にも有り得ない。
必死さも集中力も全く違うのです。
つまり、アイムとマーベラス達が昨晩、1つの国を作る者達として心を1つに取り戻した段階で、
既に勝負は決していたのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月19日

第41話「なくしたくないもの」感想その8

胸の目を使ったサイキック攻撃を何度も喰らっても、また立ち上がったマーベラス達5人を見て、
ザツリグは「ほぉ〜・・・まだ立つか・・・?」と呆れますが、
その時、遂にアイムがコンテナの脇からマーベラス達の真後ろに出てきて
「皆さん!次で参ります!」と凛とした声で作戦開始の合図を送り、ゴーカイサーベルとゴーカイガンを構えます。
ザツリグの胸の目の動きは完全に把握したので、準備は万端整い、ここからが真の戦いとなります。

「ああ!・・・いくぞ!!」とマーベラスは他の4人に号令し、
「おう!」「あいよ!」と応えた4人はマーベラスと共にザツリグに向かって駆け出します。
駆け出すと同時にマーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人は
ゴーカイサーベルとゴーカイガンのファイナルウェーブの態勢に入っています。
そして横一列で突っ込むマーベラス達から一歩遅れて鎧がついて行きます。

そしてそのまま突っ込みながらマーベラス達4人はザツリグの至近距離でファイナルウエーブを発射、
すなわち、これはゴーカイスクランブルの4人バージョンで、
5人バージョンに比べるとやや破壊力は劣るものの、
さすがにザツリグもこれはまともに喰らえば御仕舞という必殺技です。

しかし「愚かな・・・」と言うと、ザツリグは胸の目を開き、光弾を発して
ゴーカイスクランブルの光弾にぶつけて弾き返します。
これで逆に光弾は発射したマーベラス達に炸裂するかと思われた瞬間、
マーベラス達はこれを予期していたかのように左右に散って光弾を避けており、
光弾は後ろから走り込んできていた鎧を直撃します。

ところが光弾が命中する直前、鎧はゴールドモードにチェンジし、黄金の鎧で光弾を受け止め、こらえたのでした。
いや、本来はいくら黄金の鎧といえどもザツリグの念動力で繰り出した光弾を持ち堪えることは出来ないはずですが、
これはゴーカイスクランブルとまともにぶつかった後の光弾であったので威力がその分殺されており、
黄金の鎧ならば持ち堪えることが出来るレベルのまで威力が落ちていたのです。
更に鎧の、さっきまでマーベラス達に遅れをとっていた分を挽回して、
ここでアイムのために尽くそうという踏ん張りもあって持ち堪えることが出来たのでした。

つまりマーベラス達がゴーカイスクランブルを撃ったのは、
この必殺技に対してはザツリグは胸の目を使って必ず防ぐことになると読んだ上でのことであったようで、
もしバリアーでなくて撃ち返してきた時の対策として鎧のゴールドモードを用意していたのです。
だから鎧だけ一歩遅れてついて来ていたのでした。
もしバリアーでザツリグが防げば、更に追い打ちで鎧のファイナルウェーブをバリアーに食らわすつもりで、
どちらでも対応できるようにはしていたのでしょう。

つまり、このマーベラス達と鎧の二段構えの突進攻撃の目的は、
ザツリグに胸の目を開いて攻撃させることにあったのです。
そして連続した二段構えにした理由は、ザツリグに胸の目を開いて一定時間、
同じ種類の攻撃を繰り出させるように仕向けることであったようです。
それは鎧が光弾を黄金の鎧で受け止めることに成功したことで達成されました。
つまり、鎧が持ち堪えている間、ザツリグの胸の目は開いたままということになります。

すなわち、必死に持ちこたえながら鎧が「今です!」と合図を送ると、
鎧の真後ろ、ザツリグからは完全に死角から「はっ!」とアイムが跳び上がり、
空中で回転して勢いをつけて、ゴーカイサーベルを突き出して
「はああああっ!」とザツリグに向けて飛び下りてきたのでした。

「なに!?」とザツリグは驚きます。
アイムのことは戦線離脱していたものとばかり思っていて、全く計算に入れていなかったのでした。
しかもいきなり死角から飛び出してきたので、対応が遅れます。
ザツリグがアイムを見上げた次の瞬間には、アイムのゴーカイサーベルはザツリグの胸の目に突き刺さっていました。
次の瞬間、胸の目は爆発を起こし、火花を噴き上げます。
「おおおお!?」とザツリグは驚愕して絶叫します。
胸の目の存在に気付かれていたこと、胸の目を狙われていたことを今さら知り、パニックに陥ったのでした。

つまり、さっきのマーベラス達の最初の攻撃の際、
連続攻撃にザツリグが胸の目を使って対応する時、別の対象に向かって攻撃を繰り出す時には
ザツリグは一旦胸の目を閉じてから再び開かねばならないということをアイムは観察して確かめていたのです。
おそらくそういう仕組みになっているのではないかという仮説のもとに立てておいた作戦を実行する前に
最終確認をしたわけです。

そして、予想通り、ザツリグが1つの対象に対して胸の目を使った攻撃を続けている間は
他の対象に対して胸の目を使った攻撃を繰り出すことは出来ず、
しかもその間、胸の目は無防備に開いたままであるということが確認された後、
アイムは皆と示し合わせていた作戦を決行したのです。

それは、マーベラス達のゴーカイスクランブルでザツリグに胸の目を開かせ、
鎧の追加攻撃ないしは防御によってザツリグの攻撃の持続を促し、
その隙を突いて飛び出したアイムが無防備に開いた胸の目を破壊するという作戦でした。

そうしてアイムの突き立てたゴーカイサーベルで火花を噴いたザツリグの胸の目に向かい、
更にアイムはファイナルウェーブを発動、
ゴーカイガンで1人ゴーカイブラストを「はっ!!」とゼロ距離射撃でお見舞いします。
この容赦ないトドメの一撃はザツリグの背中まで突き抜け、
胸の目はこれで跡形も無く粉砕されてしまいました。
しかもザツリグは強烈なダメージを受けて「おお〜うああ!?」と叫んで吹っ飛び、無様に転がります。

ザツリグの胸の目が破壊されたことでサイキックパワーも消えて、鎧に命中していた光弾も消え、
通常モードに戻った鎧、そして左右に散っていたマーベラス達もさっとアイムの周りに集まって来て
作戦の成功を確認しました。
「よし!これでヤツの技は封じた!」とジョーが喜び、
一方、ザツリグは「うあああ〜!?俺の・・・俺の目が!?」と転がったままパニックに陥っています。
身体的ダメージもかなりのものですが、
それ以上に万能の武器がいきなり失われた精神的ショックが相当のものであるようです。

ここから怒涛の豪快チェンジによる多段変身となります。
今回の豪快チェンジのテーマは、アイムと各メンバーのそれぞれの絆であるようです。
それゆえ、アイムと各メンバーが2人組のペアとなっての豪快チェンジを相手の人数分、つまり5人分ですから、
5つのペアの豪快チェンジを順番に見せていくという形となります。
そして、その変身する戦士も絆の強いペアがチョイスされています。
このあたり非常にテーマが明確で、しかも見ていて面白味のあるペアが多く、
これまでのこの作品における豪快チェンジの中でも最も面白い演出であったのではないかと思います。

その他、条件としては近年の戦隊であることや、
5つの戦隊がかぶらないようにすること、
合体攻撃や連携攻撃の技を持っているペアであること、
性別や普段の担当戦士を出来るだけ合わせることなどは一応、
視聴者に分かりやすくするために考慮されていたようです。

「ド派手に参りましょう!」と言ってアイムは、
まず「鎧さん!」と言って銀色のレンジャーキーを取り出して鎧を呼び、
金色のレンジャーキーを出して鎧が「はい!」と進み出て、
ヨロヨロと立ち上がってきたザツリグの前で2人並んで「豪快チェンジ!!」と叫んで変身します。

ここでチョイスされたのが、アイムがゴーオンシルバー、鎧がゴーオンゴールドという兄妹戦士への変身でした。
すなわち「ゴーオンジャー」におけるセレブ兄妹である須塔兄妹、ゴーオンウイングスです。
「ゴーオンジャー」においても強い絆で結ばれた兄妹戦士であったこの2戦士は、
普段は鎧がゴーオンウイングスという合体戦士にして変身してしまうことが多いですが、
今回は普段の「ゴーカイジャー」ではありえない兄妹戦士揃い踏みとなりました。
これは兄妹の絆と普段の鎧の担当戦士という理由でのチョイスと解釈すればいいでしょう。

アイムと鎧はロケットダガーを使ってジェット噴射で飛びながら斬りつけるミッション6の技、
すなわちジェットダガーをランデブー飛行で繰り出して低空飛行でザツリグを一閃、
更にそこから一斉に急上昇して、急激に落下しながら斬り下ろすダガーアクロバットという大技を炸裂させます。

これでザツリグがよろめいたところで、アイムは今度は「ハカセさん!」とハカセを呼び、
「うん!」と応じて駆け込んできたハカセが鎧と入れ替わりパートナーチェンジし、
今度はアイムとハカセが2人並んで「豪快チェンジ!!」と変身したのは、
アイムがクワガライジャー、ハカセがカブトライジャーのゴウライジャーの兄弟戦士でした。
つまり、「ハリケンジャー」に登場した迅雷流の霞兄弟、ガテン系の兄弟です。
この2人も絆の強い兄弟戦士でした。

ハカセとアイムは普段ハリケンジャーに豪快チェンジする際には、
このゴウライジャーの2戦士を受け持ちとしていますから、
ここは普段の受け持ち通りの戦士に変身したことになります。
クワガライジャーはオリジナルでは男戦士なのですが、
アイムのスカート姿のクワガライジャーも何度目かの登場になるので幾分は慣れています。

なお、兄弟(兄妹)戦士は今回は上記の須塔兄妹とこの霞兄弟の2組だけとなります。
近年の戦隊で他に兄弟戦士といえば、「ゴセイジャー」のアグリとモネの兄妹、
「ゲキレンジャー」の深見兄弟、「マジレンジャー」の小津兄妹がいます。
ただ小津兄妹の場合は5人兄妹なので、ペアにした場合に特に絆が強調されるという印象ではないので
除外されたのであろうと思われ、
ゴセイジャーとゲキレンジャーの2兄弟に関しては
アイムとハカセor鎧以外の誰かの担当戦士が混ざっているので除外されたのでしょう。

さて、アイムとハカセはゴウライジャー兄弟の姿で合体必殺武器のダブルガジェットを構え、
雷神エネルギーで高電圧エネルギー弾を発射してザツリグに炸裂させます。
これで絶叫して膝をついたザツリグを尻目に、アイムは今度は「ルカさん!」と呼ぶと、
「あいよ!」と後ろからルカが登場し、アイムと並びます。

そして「豪快チェンジ!!」と掛け声をかけてヒロイン2人がジャンプしながら変身したのは、
アイムがゴセイピンク、ルカがゴセイイエローという、
「ゴセイジャー」におけるダブルヒロイン、ゴセイガールズでした。
このチョイスは、近年の戦隊のダブルヒロインでアイムとルカと同じ配色、
つまりピンクとイエローの女性戦士のペアというコンセプトによるものなのでしょう。

ただ、それならゴセイガールズ以外にも、「シンケンジャー」のシンケンガールズ、
「ボウケンジャー」のボウケンガールズ、「デカレンジャー」のツインカムエンジェルも候補となり得ます。
ただ、シンケンジャーとデカレンジャーは後のマーベラスやジョーとのペアと戦隊がかぶるので除外となり、
競合はボウケンガールズのみとなりますが、
ボウケンガールズの2人には、2人だけで放つことが出来る独自の合体技や連携技が無いので、
ここはそういう技を持っているゴセイガールズの方が選ばれたのでしょう。

ここでアイムとルカは、その「ゴセイジャー」の劇場版限定のダブルヒロイン合体技である
ゴセイシャイニングを繰り出します。
それはアイムがうつ伏せになって滑空して、その上にルカが乗って、
ザツリグの脇を通り抜けながらルカがザツリグの胴を一閃して斬るという攻撃でした。

これで倒れ込んだザツリグはもう瀕死に近い状態になりますが、
アイムは容赦なく「ジョーさん!」と呼びかけ、「ああ!」とジョーがアイムの横に並び、
「豪快チェンジ!!」と変身したのは、なんと「デカレンジャー」の地球暑の管理職コンビでした。
つまり、アイムがデカスワン、ジョーがデカマスターに変身したのです。
この2人の戦士も「デカレンジャー」においては長年、宇宙警察地球暑でお互いに支え合ってきた名コンビで、
大人の恋愛関係も取り沙汰されたほど、その絆は深いペアです。

なお、この2戦士ともアイムとジョーの普段の受け持ち戦士ではありませんが、
そもそもこの2戦士は番外戦士で、誰の受け持ちとかいうのは厳密には決まっていないので問題はありません。
ただデカスワンは第37話でアイムが変身しているので、一応アイムが担当戦士と考えてもいいでしょう。
そしてやはりデカマスターは剣豪戦士なのでジョーのイメージでしょう。
そういうわけで、これは妥当なチョイスといえます。

なお、番外戦士で強い絆の男女ペアといえば、
「マジレンジャー」のウルザードファイヤーとマジマザーの小津夫妻ペアと、
「ゲキレンジャー」のリオとメレの臨獣拳コンビもいます。
番外戦士というのは合体技や連携技が無い場合が多く、小津夫妻も臨獣拳コンビも地球暑ペアも、
合体技や連携技が無いという点でも同等であり、この中で地球暑ペアが選ばれた明確な理由は特に無く、
なんとなくアイムとジョーのペアのイメージに一番合うものを選んだということなのでしょう。
また、ウルザードファイヤーは第37話でマーベラスが変身しており赤の戦士ということもあって
マーベラス担当っぽく、
リオはまだ誰も変身していませんが、おそらくハカセ担当なのでしょう。

さて、そういうわけでデカスワンとデカマスターには合体技や連携技は無いのですが、
ここは2人の技を上手く組み合わせて非常に自然な連携攻撃をさせています。
アイムがスワンイリュージョンで羽状のエネルギーカッターを放出して、
ようやく立ち上がったザツリグに攻撃を加え、
その攻撃にザツリグが翻弄されている隙をついて
ジョーがデカマスターの愛刀ディーソードベガを構えて滑るようにザツリグに突撃し、
通り抜けざまに横一文字に叩き斬る銀河一刀流奥義、ベガスラッシュを炸裂させます。

これでザツリグが再び倒れ込むと、アイムは赤いレンジャーキーを手にして「マーベラスさん!」と呼びかけます。
「いくぜ!」と言いながらアイムと並んだマーベラスも赤いレンジャーキーを出して
「豪快チェンジ!!」と2人が変身したのは、なんとなんと、Wシンケンレッドでした。
つまり、「シンケンジャー」の18代目姫シンケンレッドと19代目殿シンケンレッドの義理の親子コンビです。
もちろん番外戦士の姫シンケンレッドの方がアイムの変身で、
殿シンケンレッドの方はいつも通りマーベラスの変身です。

このWシンケンレッドの義理の親子も、数奇で深い、光と影の絆で結ばれた強烈な印象の、
他に競合する例が見当たらない特殊なコンビだといえます。
まぁ赤同士コンビということでいえばタイムレッドとタイムファイヤーや、
マジレッドとウルザードファイヤーというような例もありますが、
Wシンケンレッドのように男女ペアで、しかも数奇な因縁という点では他に追随する例は無いでしょう。

特にこのWシンケンレッドの場合、「シンケンジャー」本編も含む全ての関連作品において、
意識して同じ画面上に同時に登場させることを回避してきたペアであるので、
ここでのアイムとマーベラスのWシンケンレッドが海賊版とはいえ、本邦初公開であり、レア度はMAXです。

また、忘れてはいけないのは、このアイムが変身している姫シンケンレッドのオリジナル変身者である志葉薫は、
「亡き父の仇討ちを果たそうとする戦士」であったという点です。
まさに、この父母の仇であるザツリグを叩きのめす5連続豪快チェンジの最後にアイムが変身するのに
最も相応しい戦士といえるでしょう。

なお、余談ですが、今回のエピソードでゴーカイピンクのスーツアクターは神尾直子さんで、
神尾さんはゴーカイレッドのスーツアクターの福沢博文さんの妻です。
つまり、このWシンケンレッドは演じるスーツアクターは夫婦なのであり、
ここにも実は夫婦の絆というものも忍ばせているのです。

さて、このWシンケンレッド、かつて一度も同時登場したこともないのですから、
当然ながら合体技や連携技があるはずもない。
しかし、シンケンレッドといえば、ここはもう有無を言わさず烈火大斬刀です。
「シンケンジャー」本編最終話で烈火大斬刀の二刀流という強烈なインパクトのあるビジュアルが提供されましたが、
今回はそれ以上のインパクトのある、WシンケンレッドによるW烈火大斬刀です。

「百火繚乱!」と、「シンケンジャー」本編では呼ばれることのなかった技名まで叫んで、
「はっ!!」とアイムは燃え盛る烈火大斬刀を振りおろし、
マーベラスと共に2本の燃える烈火大斬刀でザツリグをメッタ斬りにします。
ここはマーベラスは片手で烈火大斬刀を振り、アイムは両手で振るというように、
ちゃんと差別化がされているのが細かいです。

なお、今回の多段変身において、ゴーオンゴールド、デカマスター、姫シンケンレッドが登場したことによって、
これでまだTV本編においてマーベラス一味の誰もレンジャーキーを用いて変身したことのない戦士は、
ファイブレッド、ファイブブルー、ファイブブラック、マジマザー、リオ、メレの6戦士となりました。
また、ゴーカイセルラーのボタンに配された戦士達のうち、鎧が未だ変身していない戦士はこれで
ゴーオンシルバーのみとなりました。

Wシンケンレッドのリンチのような攻撃にザツリグはボロボロになって「うおおお!?」と吹っ飛んで転がります。
そしてアイムとマーベラスはゴーカイジャーの姿に戻り、
ザツリグにトドメを刺すべくゴーカイジャー姿に戻った6人はゴーカイガレオンバスターを構えますが、
今回はなんとアイムがガレオンバスターを持って構えます。
マーベラス以外の者がゴーカイガレオンバスターを構えるのは初めてのことです。

しかも構え方もよく見ると、いつものマーベラス版とは違っています。
マーベラスはガレオンバスターの船尾部分を胸に押し付けて1人で持ち上げるようにして構えて、
他の4人はマーベラスの後ろに回って反動を抑えるのですが、
アイムの場合は腹のあたりでぶら下げるようにしてガレオンバスターを保持します。
ただ、この持ち方では大きなガレオンバスターを先端まで持ち上げることが出来ないので、
船首部分の脇をジョーとハカセがしゃがんで支えます。
そしてアイムの背後で反動を抑える役はマーベラスとルカに加えて、今回のアイム版では鎧も加わります。
だから今回はやや下で構えたゴーカイガレオンバスターということになります。
これが女性戦士が撃つ場合の型なのかもしれません。

そして今回は甲板部分に挿す4本のレンジャーキーがいつものブルー、イエロー、グリーン、ピンクではなく、
ピンクの代わりにレッドが入った4本となり、
ゴーカイピンクのレンジャーキーはアイムが「レンジャーキー、セット!」と言って
最後部のカギ穴に挿して回します。
すると、認識音がいつもと違って「ピ〜ンクチャ〜ジ!!」と言い、
2つの砲口とその周囲がいつもの金色ではなくピンク色の光ぶ包まれていきます。

そして、アイムは「お父様・・・お母様・・・今こそ無念を晴らします・・・!」と呟き、引き金を弾く。
すると砲口からはピンク色のライジングストライクが発射され、
それがピンク色のガレオン型のエネルギー波となってザツリグを貫き、
ザツリグは断末魔の悲鳴を上げて爆発して果てたのでした。

そのザツリグの燃え盛る炎をじっと見つめるアイムの後ろで「よっしゃあ〜!」と鎧がガッツポーズをとり、
アイムの肩に優しくルカが手を置き、アイムはルカの方に振り向いて頭を下げ、
そして前を向いて胸のところで手を合わせてぎゅっと握りしめるのでした。

一方、この戦いをモニターで観察していたギガントホースの指令室では、全く予想外のザツリグの敗北に、
「ちょいちょいちょ〜い?俺と並ぶ凄いヤツだったはずでしょお!?ザツリグちゃ〜ん?」と
ダイランドーが大袈裟におどけた態度で驚きます。
やっぱり、どう見てもこのダイランドーというヤツは道化師キャラです。
ふざけた道化師が実は凄腕の実力者というパターンは悪の怪人では昔から1つのパターンではあります。

突然万能武器を失ったショックで最後はほとんど自失気味にやられてしまいましたが、
至近距離でファイナルウェーブを食らった後、普通の怪人なら1発で倒されそうな必殺技を5発食らって
それでもなお倒されず、最後はゴーカイガレオンバスターでやっと倒されたわけですから
確かにザツリグは親衛隊の最精鋭の名に恥じぬ今までで最強クラスの敵でした。
そのザツリグと並ぶ凄いヤツだと自称する、このダイランドーも只者でないのは明白です。

しかし、ここではダイランドーが驚いているのは本心からでしょう。
ザンギャック皇帝親衛隊の最精鋭ともあろう者がこんな辺境の星で海賊に倒されるなど、
ダイランドーには到底考えられないことだったのです。
もし、これが順当な結果だというのなら、このザツリグと同じクラスの実力者であるダイランドーもまた
海賊に敗れる可能性があるということになる。
そんなことが有り得るとは信じられないダイランドーは、
この敗北はザツリグの油断やミスによるものだと解釈しようとしているようです。

その派手に動き回るダイランドーとは対照的に、
皇帝アクドス・ギルはこのザツリグのまさかの敗北を見ても、
司令官席で肩肘をついて小首を傾げた姿勢のままで微動だにしません。

アクドス・ギルはもともとマーベラス一味の実力を過小評価などはしていない。
帝国の最強の決戦機グレートワルズを破ったというのだから、恐るべき相手だとは思っています。
だからこそ、自ら親衛隊の最精鋭を引き連れてこの辺境まで乗り込んできた。
だから、ダイランドーのように海賊を舐めてはいない。
苦戦は想定内でした。

しかし、皇帝はイチかバチかの勝負などはしない。
自分がわざわざ乗り込んできたということは必勝態勢ではあるということです。
相手の強さは認めた上で、それでもザツリグやダイランドーならば、
その海賊をも打ち負かし、帝国の落ちた威信を回復してくれるはずだと見込んでいました。
ところがそのザツリグが敗れたのですから、アクドス・ギルも実際のところ、驚かざるを得ませんでした。

「・・・これが、海賊か・・・!」と低く呻いて司令官席の椅子に深くもたれたアクドス・ギルは、
戦いを見た結果、この敗北はダイランドーの言うような
ザツリグの油断やミスによるものなどではないことは認めていました。
海賊の実力が自分が予想していたものよりも上であったということです。
その自分の見立て違いをアクドス・ギルは認めざるを得ませんでした。
ただ、その自分の予想を超える海賊の強さ、ザンギャック帝国の威信を背負った軍団の強さをも超える
マーベラス一味の底知れぬ強さの根源が何処にあるのか、アクドス・ギルには見当もつきませんでした。

一方、こうした絶体絶命の状況からの海賊の逆転劇を何度も苦々しい想いで見てきたインサーンは、
もうこうした情景には慣れており、いつも通り巨大化銃をを取り出すと、
「まだ終わりではありません・・・巨大化していただきます!」とアクドス・ギルやダイランドーに断ってから、
「宜しゅうにね・・・」というダイランドーの言葉を受けて、巨大化銃を構え、発射しました。

こうしてザツリグは復活巨大化しますが、
やはり胸の目は後付けの装置だったようで、ここでは復活しておらず、
ザツリグは胸の目を使ったサイキック攻撃は使えないようです。
しかも肉体は復活しても精神的ダメージは癒えていないようで、
ザツリグは理性が維持出来ていない様子です。

これに対してゴーカイオーと豪獣神で立ち向かうマーベラス一味でしたが、
鎧が豪獣神のコクピットから「俺がいきます!皆さんはその間にマッハルコンを!」と
ゴーカイオーのマーベラス達に申し出て、まず豪獣神だけで戦うことにします。
「ああ!」と応じたマーベラス達は、その間にゴーオンジャーのレンジャーキーでマッハルコンを召喚し、
「炎神ソウル!セット!」と、ソウルを挿入してマッハルコンは「バリバリィ〜!」と巨大化して走り出し、
「お姫様の活躍!陰ながらワクワク見てたぜぇ!」とアイムに向けて張り切って叫びます。
マッハルコン、マシンワールドでさっきまでの戦いを見ていたのか?
アイムはいきなり大声で褒められて「まぁ、そんな・・・」とゴーカイオーのコクピットでしきりに照れます。

マッハルコンは「俺もバリバリいくぜぇ〜!!」と叫びながらザツリグに突進、
ビーム砲を撃ちまくり、豪獣神を援護します。
ビーム砲を喰らったザツリグは「うおおおお!!」と絶叫して倒れ、
その間にマッハルコンはゴーカイオーと豪獣神の前に回って
「バリバリに合体だぜ!ゴーカイジャー!!」と呼びかけます。

「おう!!」と応じたマーベラス達はゴーカイジャーのレンジャーキーでカンゼンソウルを召喚し、
「カンゼンソウル!セット!」とマッハルコンに挿入、
そして「海賊合体!!」と、ゴーカイオー、豪獣神、マッハルコンは合体し、カンゼンゴーカイオーとなります。

「完成!カンゼンゴーカイオー!!」と掛け声を上げて突っ込んで行ったところにザツリグが起き上がってきて、
そこに「カンゼンドリル!!」と叫んでドリルの一撃を食らわし、
ザツリグは「うおお!?」と吹っ飛び、また倒れます。
そしてアイムが「トドメ!参ります!」と言うと、5人は「よ〜し!」と応じて、
「ゴーカイカンゼンバースト!!」と叫び、必殺のロケットパンチを発射、
これがザツリグを貫き、断末魔の叫びを残してザツリグは爆散して果てたのでした。

仇討ちを果たしたアイムは、これで心を囚われていた復讐心から解放され、
コクピットで凛として「宇宙に散った命のために・・・私は強く生き続けます・・・!」と誓います。
あのマーベラス達との出会いの日に、マーベラス達に言ったように、
宇宙に散らばった同胞たちの誇りの象徴として、夢と自由を求める航海と戦いを今後も続けていくことを、
ここに改めて、海賊となった王女として誓ったのでした。

さて今回のエピローグは、戦いが終わって川辺で寝転がってリラックスするマーベラス一味の面々の場面です。
良い天気で、冬だというのに爽やかな風が草木を揺らしています。
「いい風・・・」と気持ちよさそうにハカセが言い、「戦いの後だけに格別よねぇ!」とルカも気持ちよさそうです。

そうした皆を座って見つめながら、アイムは少し神妙に「皆さん・・・ありがとうございました・・・」と言います。
復讐心に呑み込まれて、星空の向こうに散らばった同胞たちへの想いを忘れてしまいそうになっていた自分を
正気に引き戻してくれたのは、マーベラス達が自分のことを同胞たち以上に大切に想っていてくれたからだと
アイムは思い、皆のその気持ちのお蔭で救われたことに礼を述べたのでした。

それに対して、仲間たちは寝転んだり、くつろいだ姿勢のまま、ガッツポーズなどで元気に応えます。
マーベラスもニッコリ笑って起き上がり、「良かったな・・・仇がとれて・・・」と言うと、
アイムは「・・・はい!」と笑顔で応えます。
そのアイムの笑顔を見て、マーベラスは嬉しそうに「俺たちも目的達成だ!」と言いながら、
またひっくり返って安堵した笑顔で青空を見上げるのでした。

アイムはマーベラスの言う「目的」の意味が分からず、首を傾げます。
ザツリグを倒してファミーユ星の仇を討つことはあくまで自分の目的であり、
マーベラス達はそれを加勢してくれただけだとアイムは思っていたからです。

しかし、マーベラス達はアイムを笑顔にするたびに、
生まれた星や国を失った自分達が星空の向こうの同じく星や国を失った見知らぬ人々と
希望で繋がったような気がして、喜びを感じているのです。
その喜びをなくしたくなくて今回マーベラス達は頑張った。
そして、その喜びをなくさなくて済んだ。
それがマーベラス達の言う「目的達成」なのでした。

しかし、そんなことは照れ臭くて言えないので、アイムが首を傾げる前で、
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人は黙って笑顔でくつろいでいます。
ところが、そのマーベラス達の様子を見て、鎧が「やっぱり!」と目を輝かせて飛び起きて、
寝そべっているマーベラスの傍に駆け寄って面白そうに
「マーベラスさんのなくしたくないものって・・・アイムさんの、えが・・・」と言いかけたところで、
慌てたマーベラスに押さえこまれて「言うなバカ!」と口を塞がれ、絞め技をかけられてしまいます。

鎧はマーベラス達がアイムが笑ったのを見て喜んでいるのを見て、
やはりマーベラス達は単にアイムの笑顔を取り戻したくて頑張っていたのだと解釈して、
軽い気持ちでそのことを言おうとしたのですが、
マーベラス達はそんなに軽い気持ちでないので、あえてそんなことは普段は誰も口にしていない。
そこにいきなり鎧がアイムの笑顔のことを言い出したので、照れ臭くなってマーベラスは必死に止めたのでした。

今回は鎧は軽率さが目立つ損な役回りになってしまいましたが、
これは生まれた星を失ったマーベラス達の独特の心情を際立たせるために、
生まれた星が無事な鎧を道化役として使う必要があってのことのようで、まぁ今回は仕方ないといえましょう。

自分のことを何か言おうとしていた鎧がいきなりマーベラスにシメられているのを見て
アイムは「なんですか・・・?」と困惑しますが、
ルカが傍に来てアイムをそっと抱きかかえて「いいの、いいの!」と言うので、
アイムも、マーベラスと鎧はいつものようにじゃれ合っているのだと思い、笑顔で見つめるのでした。

そして、これで終わりかと思いきや、ラストシーンは宇宙空間のギガントホース内の牢屋のシーンとなります。
牢内には、手錠で両手を拘束されて座っているダマラスが、ただならぬ雰囲気で俯いています。
武人としての誇りを踏み躙られたダマラスは相当鬱屈しているようです。
次回はこのダマラスの鬱屈が爆発することを予感させつつ、
次回へのヒキとなって今回は終わりとなります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:47 | Comment(0) | 第41話「なくしたくないもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。