2011年12月26日

第43話「伝説の勇者に」感想その1

「海賊戦隊ゴーカイジャー」という作品は独特な条件のもとに作られている作品です。
どんな複雑な設定のもとに作られた作品でも、イチから架空の世界観を作り上げることが出来るならば、
発想の自由度は保証されており、世界観を組み立てていくのは楽な作業です。
いや、別に他の作品が手を抜いているというわけではなく、
「ゴーカイジャー」があまりにも特殊すぎるという話です。

他の作品の場合も、世界観を構築していくにつれて、
その自ら作った世界観に縛られていって、どんどん発想の自由度が狭まっていきます。
むしろ最後まで自由度が高い作品というのは、
世界観が不完全であるか、世界観を無視したような雑なストーリーばかりが進行していく作品であり、
そういうのは駄作と言っていいでしょう。
真の名作というのは、どんどん発想の自由度が下がっていく中でも物語のクオリティを維持していくものです。
スーパー戦隊シリーズにはそうした名作が数多く存在します。

ただ、それらの名作群と「ゴーカイジャー」はやはり全く異質だといえます。
他の作品の場合は、それでもやはりスタート時点では完全に自由度が保証された状態であるのに比べて、
「ゴーカイジャー」の場合は最初から自由度が制限されているからです。
他の作品は何も無いゼロの状態のところにイチから世界観を作り始めることが出来るが、
「ゴーカイジャー」は過去34戦隊が登場するという約束が最初から決まっており、
それを外すことが出来ない分、発想の自由度は制限されているのです。

もちろん、それはデメリットばかりではなく、
過去34戦隊を登場させることが出来るというのは他の作品では絶対に許されない好条件であるともいえます。
その分、派手に盛り上がることは確実だからです。
過去34戦隊が登場するということはメリットでもありデメリットでもあり、
それがあるから有利だとか不利だとか一概には言えません。
だから、それをもって「ゴーカイジャー」の他作品に比べての優劣を論じる気はありません。

ただ、世界観をゼロからじっくり作り上げることが出来る作品の方が、
より深みのある物語、内容の濃い物語を作ることが出来るとはいえるでしょう。
そういう作品が一般的な意味での魅力的な物語であり、傑作といえる作品でしょう。
一方、「ゴーカイジャー」のような作品はむしろ特殊なお祭り企画であり、内容は盛り沢山ですが、
決して真の傑作のように深くもないし濃くもない、そのようになりがちです。
既に最初から世界観の中でオリジナル設定以外の部分が出来上がっている部分があるので、
その分、世界観を全部「ゴーカイジャー」の物語の世界観として突き詰めることが難しいからです。

例えば、「ゴーカイジャー」と同じ、お祭り企画の典型的作品である「仮面ライダーディケイド」は、
未だに仮面ライダーシリーズの中において不動の存在感を示す特別な作品と言っていいが、
しかし次作「仮面ライダーW」と比べてどちらが傑作かといえば、間違いなく「W」の方が傑作でしょう。
それは「ディケイド」が「W」に比べて劣っているということではない。
「W」はゼロから世界観をみっちり練り上げた作った作品であり、
「ディケイド」はもともとそういうことが出来ない状況の中で生まれた作品であり、
「ディケイド」は「ディケイド」なりの面白さを追求し、決して傑作を目指すのではなく、
あくまでお祭り企画に徹した作品であるという、そういうタイプの違いがあるだけのことです。

ならば「ディケイド」と同じお祭り企画である「ゴーカイジャー」という作品も、
「ディケイド」同様の作り方をして、傑作を目指すべきではないはずです。
しかし「ゴーカイジャー」という作品はお祭り企画でありながら傑作を志向した作品なのだといえます。
つまり、世界観をゼロからみっちり練り上げることを志向しています。

しかし、もともとその世界観の中には
「34戦隊」という「ゴーカイジャー」オリジナル要素とは異質なものが存在しているわけで、
これが一種の聖域となって、「ゴーカイジャー」の世界観の中に呑み込まれるのを拒絶しているのです。
これがある限り、「ゴーカイジャー」の世界観は完全にゼロから練り上げることは出来ない。
そして現実、34戦隊は完全には「ゴーカイジャー」の世界観の中には呑み込まれてはいませんが、
それでも「ディケイド」に比べれば、「ゴーカイジャー」は、かなりゼロに近いところから
オリジナルの世界観を練り上げることが出来ています。

つまり、「ゴーカイジャー」の世界観の中の34戦隊の要素は、
かなりゴーカイジャーのオリジナルの要素に還元されているのです。
それがどのような手法で為されているのかというと、
レジェンド戦隊のテーマとゴーカイジャーのテーマを重ねるという手法です。

つまり、例えばマジレンジャーの「勇気」と同じ「勇気」がゴーカイジャーのメンバーの物語の中にも
もともと存在しており、
それゆえ、マジレンジャーの要素もゴーカイジャーの中にはもともと含まれていたという形になっており、
ゴーカイジャーの世界観の中でオリジナル要素としてマジレンジャーの要素を扱うことが可能になっているのです。
こうした文脈で、ゴーカイジャーはマジレンジャーに変身してその力を使い、
マジレンジャーの大いなる力も使いこなしていきます。
これを34戦隊分やることで、「ゴーカイジャー」の物語の中に34戦隊の物語は呑み込まれていき、
「ゴーカイジャー」の世界観は限りなくオリジナルの世界観に近づき、
ゼロから世界観を構築することが可能になっていくのです。

この「もともとレジェンド戦隊の要素をゴーカイジャーがオリジナル要素として持ち合わせていた」という描き方は、
一見「ディケイド」も似ているように見えます。
ディケイドもまた、歴代平成ライダーの要素をもともとオリジナル要素として
使いこなせるライダーという設定となっており、
ディケイドが登場段階から記憶喪失となっているためにそれら歴代ライダーの能力を使えなくなっており、
ディケイドが旅で通りすがった歴代ライダーの世界で、
それぞれのライダーの物語のテーマを想い出すことによって、
それぞれのライダーの能力を回復していくという設定となっています。

確かに一見、ゴーカイジャーと似ていますが、
ディケイドの場合、どうしてディケイドがもともと歴代ライダーの能力を使えるのかという点に関しての
説明が劇中で一切ありません。
つまり記憶喪失であるためにディケイド自身の物語が無いので、ディケイド自身が謎のライダーであり、
歴代ライダーの世界観はディケイドの世界観の中に還元されずにそのまま存在しており、
結果的に、ディケイドは歴代ライダーの要素を拝借しているだけのように見えるのです。

「ディケイド」の物語にはオリジナルの世界観が希薄で、歴代平成ライダーの世界観が原型に近い形で存在している。
そういう意味で、やはり「ディケイド」はお祭り企画の典型的作品だといえます。
そしてディケイドは歴代平成ライダーの能力を何故か使うことが出来る謎の万能ライダーということになります。

だからこそ「ディケイド」は仮面ライダーシリーズのお祭り企画の記念碑的作品として相応しいのだといえます。
何故なら、仮面ライダーとは元来「謎の万能戦士」ともいえるミステリアスな存在であり、
ライダーの物語とは、基本的には謎解きミステリー仕立てになっているからです。
つまり、ライダーとは人知を超えた謎めいた孤高の戦士なのであり、
まさにディケイドは典型的ライダーといえます。

それゆえディケイド自身の人間ドラマを描く必要は無く、ディケイド自身のオリジナルの物語も必要ではない。
だから歴代ライダーの世界観を単に繋ぎ合わせたような世界観で作品を成立させることが出来るのです。
要するに、ライダーというのはお祭り企画が作りやすいのだといえます。

しかし、スーパー戦隊はそうではない。
もともと初代作品の「ゴレンジャー」が「仮面ライダーアマゾン」の後番組として、
ライダーシリーズとの差別化を図って考案された企画であるので、
ライダーの人知を超えた謎解きミステリー仕立ての物語とは一線を画しています。

スーパー戦隊は人知を超えた謎めいた戦士ではなく、あくまで人間が作り出した人間の戦士であり、
決して万能ではなく、人間の不完全さを持った戦士です。
それゆえ、ライダーが基本的には単体同士の戦いで敵怪人よりは能力的に優位にあるのに比べ、
スーパー戦隊の戦士は単体では敵怪人よりも能力的に劣る場合が多い。
その不完全さをカバーするためにスーパー戦隊の戦士たちはチームで戦って、
敵怪人を凌駕する強さを発揮するのです。

こうしたスーパー戦隊は戦隊メンバーの物語を描かないわけにはいきません。
チームワークを描かなければスーパー戦隊というものはヒーローとして成立しないのですが、
そのチームワークを描くに際して、
何だかよく分からない謎めいた戦士同士のチームワークというのは描きにくいのです。
それぞれの戦士の物語が明確で、ちゃんと弱いところが描けていなければ、
チームワークの物語は成立しにくいのです。

もちろんスーパー戦隊シリーズでも戦隊メンバーの個々の物語において
「実は〜だった」というようなどんでん返しを終盤に持ってくるような、
一種の謎解きミステリー仕立ての展開が生じることはあります。
「シンケンジャー」における志葉丈瑠、「ゲキレンジャー」におけるジャン、
「ボウケンジャー」における間宮菜月などが近年の例としては挙げられます。

しかし彼らの場合は単に終盤に謎解きの展開が生じるだけであり、
それ以前の物語の中では謎の存在という扱いをされているわけではなく、
物語の中で明確な役割を与えられて機能しています。
それに、彼らの謎は単に変身者としての彼らの個人的な謎であり、
彼らの変身する戦士であるシンケンレッド、ゲキレッド、ボウケンイエローなどが
原理が不明確な謎の戦士という扱いではありません。
つまり、スーパー戦隊というものは、彼らが何者で、どうしてそんな能力を持っているのか、
その能力の限界はどこまでなのか、そういう点が明確でなければいけないのです。

こんなことは当たり前のことであり、
そしてまた、それに対比される仮面ライダーというものが謎の万能戦士であるというのもまた当たり前のことで、
それぞれスーパー戦隊と仮面ライダーの「原型」といえます。
通常のシリーズ作品においては、スーパー戦隊シリーズはそうした
「不完全な人間戦士のチーム」という原型から様々なバリエーションを派生させていき、
仮面ライダーも「謎の万能戦士」という原型から様々なバリエーションを派生させていっており、
その結果、スーパー戦隊でありながらライダーに似たような作品があったり、
仮面ライダーなのに戦隊に似たような作品が生まれたりもしているのが現実ですから、
通常はこの「原型」というものはそんなに意識する必要はありません。

しかし、歴代戦士が総登場するお祭り企画作品の場合、
主役戦士が歴代戦士たちのインパクトに負けないようにするために、
主役戦士は強烈に「原型」に回帰するように思います。
ディケイドという戦士は、いろいろ酷評する向きもありますが、
最後まで何者だったのかよく分からなかった点や、
あまりに根拠不明にあらゆるライダーの能力を使える万能性など、
まさに典型的なライダーの特性「謎」と「万能」を極端に強調した戦士であり、
仮面ライダーの「原型」というものを具象化した戦士であったと思います。

「ディケイド」という作品は、このように主役があまりにも正体不明の何でもアリ戦士になってしまったために、
物語としての深みというものはあまり無く、決して傑作とはいえませんが、
これは仮面ライダーのお祭り企画において仮面ライダーの原型を追求した必然の結果なのであり、
仮面ライダーのお祭り企画としては、この形が正解なのです。
だから「ディケイド」は決して傑作ではないが、
最初から傑作であることを志向しなくてもいいという条件のもとで、
お祭り企画として収まるべき形に収まった成功作だといえます。

問題はスーパー戦隊のお祭り企画である「ゴーカイジャー」です。
「ディケイド」が仮面ライダーの「原型」に回帰したのと同様、
「ゴーカイジャー」は総登場する歴代戦隊の中に埋没してしまわないように、
スーパー戦隊の「原型」に強烈に回帰しなければならない。
それゆえ、「海賊戦隊」となったのです。

「海賊」というのはシリーズ初の悪漢ヒーローであり、異色だと言われています。
むしろ正義のヒーローであるスーパー戦隊の王道からは外れているという見方もあります。
しかし、確かに異色は異色ですが、この異色は原型を極端に強調した結果の異色なのであり、
ディケイドの異色と同じタイプの異色です。
ど真ん中過ぎて異色に見えるだけのことです。

スーパー戦隊シリーズの「原型」は正義のヒーローであるという点ではありません。
正義のヒーローという点では、仮面ライダーとの差別化は図れないのです。
スーパー戦隊シリーズの「原型」は、ライダーの「謎」「万能」「孤高」とは全く逆で、
戦士たちの物語が明確で、戦士たちは不完全であり、人間的であり、
それゆえチームであり強い絆で結ばれているということになります。

そう考えると「海賊」というのは極めてスーパー戦隊の「原型」を強調した姿であることが分かります。
海賊は全く完全無欠のヒーローではなく、人間臭く、欠陥の多いはみ出し者たちであり、
そうした社会のはみ出し者のチームであるゆえ、絆はひときわ強い。
スーパー戦隊の「原型」を極端に強調すると、海賊となるというのは一見不思議なようですが、
もともとスーパー戦隊の原型がスパイアクションチームであり、
そのメンバーは決して画一的なエリートではなく、個性的なはみ出し者の集まりであったことを考えると、
そう不自然なことではありません。

そして「ゴーカイジャー」ほど、戦隊メンバーの物語が明確で、かつドラマチックに描かれている作品は
スーパー戦隊シリーズでは他にありません。
物語が始まった当初はマーベラス一味のメンバーはその過去は謎だらけでしたが、
今になって振り返ってみれば、マーベラス一味のメンバーの物語は極めてドラマチックです。

マーベラスはザンギャックと戦って壊滅した海賊団の生き残りで、
伝説のお宝を手に入れるために宇宙を旅して仲間を集めてきた。
ジョーは元ザンギャックの脱走兵で、
ザンギャックの幹部に改造された命の恩人の先輩と悲劇の再会を果たした。
ルカはザンギャックに虐げられていたスラム出身の女盗賊で、
宇宙全体を買い取って子供の楽園を作ろうとしている。
ハカセはザンギャックに故郷を滅ぼされて辺境の星に1人移住して便利屋をしていたが、
マーベラス一味を助けたため仲間入りすることになった。
アイムはザンギャックに滅ぼされた星の王女で、宇宙に散らばった同胞の誇りの象徴となるため
マーベラス一味に入ってザンギャックと戦う道を選んだ。
鎧はザンギャックと相討ちとなって姿を消したスーパー戦隊を誰よりも敬愛する地球人で、
少女を助けて瀕死の重傷を負った際に戦う力を与えられて、
ザンギャックから地球と宇宙を救うヒーローになろうと決意した。

このように、マーベラス一味のメンバーの物語はそれぞれ異様に濃厚でドラマチックです。
比較的、普通人に近いハカセや鎧の物語にしても、
従来のシリーズ作品の戦士たちに比べれば十分にドラマチックな部類です。
個々のメンバーのストーリーだけでも十分、彼(彼女)を主人公にして
1つの物語を作ることが出来るほどと言っていいでしょう。

これに加えて、鎧を除く全員がザンギャックに故郷の星を滅ぼされた亡国の徒であり、
お尋ね者のアウトローでありながら、地球に来てから何故か地球を守るために戦うヒーローへと変わっていくという、
一味全体としても、なんともドラマチックな物語となっているのです。
今まで、スーパー戦隊シリーズで戦隊メンバーの全員にこれほど濃厚な物語が与えられたことは無いと言っていい。

これはつまり、スーパー戦隊の「原型」である「戦士の物語が明確である」という要素が極端に強調された結果、
戦隊メンバー全員の物語が極めて濃厚なものになったということなのでしょう。
そして、戦隊メンバーの物語を濃厚にしなければいけないので
「宇宙海賊」という、背景の物語を壮大なものとする自由度が極めて高い設定の戦隊となったのでしょう。

また、「宇宙海賊」でありながら、マーベラス一味の面々は「宇宙人」らしさは全く強調されていません。
「異文化人」の側面は上手く強調されて描かれてはいますが、
身体的に特殊な要素はほとんど描かれておらず、あくまで彼らは「人間」です。
つまり、「宇宙海賊」という、ある意味何でもアリな設定で物語を極めてドラマチックなものとしながら、
その物語はあくまで不完全な人間の物語の範囲内にとどめているのです。
これも、どれほど極端に強調されようとも、あくまでゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」であるゆえです。

そして、その物語で描かれる最重要テーマは「絆」です。
その「絆」は海賊の絆であり、夢で結ばれた絆であるという点で、
確かにこの物語なりのオリジナリティーは確立してはいるものの、
それでも「絆」というのはスーパー戦隊シリーズのあまりにも定番のテーマであり、
異色戦隊である「ゴーカイジャー」があまりにも「絆」「絆」と強調するのは、当初は少し違和感がありました。

しかし、ゴーカイジャーが単なるインパクト重視のためだけの異色戦隊ではなく、
スーパー戦隊の「原型」への極端な回帰の結果生まれた異色戦隊だったのだと考えると、
スーパー戦隊の最重要要素である「絆」が「ゴーカイジャー」において最重要テーマとして殊更に強調されるのは
極めて自然だということも理解できます。

このように「ゴーカイジャー」がスーパー戦隊のお祭り企画であるゆえに、
その主役戦隊であるゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」に極端に回帰した戦隊となっています。
ということは、当然ゴーカイジャーもスーパー戦隊の「原型」に忠実に、
その物語の中で彼らの戦う力の由来も説明されていなければなりません。
ところがゴーカイジャーの戦う力には歴代34戦隊の戦う力も含まれています。

ディケイドの場合は、ディケイドが歴代ライダーの能力をもともと使える理由は説明されず、
単に記憶喪失のディケイドが歴代ライダーのテーマを想い出すと、
その歴代ライダーの能力が復活するという形になっていました。
これは、一応はもともとディケイドに備わっていた能力であるという設定にはなっているものの、
実質的には、ディケイドが大した根拠も無く歴代ライダーの能力を獲得し
パワーアップをしていくという印象を与えます。
そうしたディケイドのパワーアップの根拠の無さ、荒唐無稽っぷりが、
ますますディケイドを正体不明の最強戦士としていき、最もライダーらしいライダーとしていきました。

しかしゴーカイジャーはそうはいかない。
最も戦隊らしい戦隊とするためには、ディケイドとは逆に、
ゴーカイジャーが歴代戦隊の能力を獲得してパワーアップしていく根拠を説明しなければならない。
つまり、ゴーカイジャーには歴代戦隊の能力を使えるだけの資質がもともと有ったのだという説明を、
ディケイドのように一言の設定だけで済ますのではなく、
ちゃんと物語で描かなければならない。

だから、ゴーカイジャーのメンバーの過去はしっかりドラマチックに描かれ、
そこから繋がってくる現在の彼らの心情も緻密に描かれ、
歴代戦隊のテーマと同一のテーマが彼らの中にもともと存在していたということが
視聴者に納得出来るように描かれているのです。
そうなると結果的には「ゴーカイジャー」の物語の世界観の大部分は
ゴーカイジャーそのものの世界観が占めることになり、歴代34戦隊の世界観はその分、希薄となります。

つまり「ディケイド」とはだいぶ様相が違ってきます。
「ディケイド」は歴代ライダーの世界観を繋ぎ合わせたお祭り企画と割り切って、
傑作など目指さずにお祭り企画としての成功作を目指せばよかったのだが、
同じお祭り企画でもライダーのお祭り企画と戦隊のお祭り企画では作り方が違うのです。
戦隊のお祭り企画である「ゴーカイジャー」の場合は、
主役戦隊であるゴーカイジャーの世界観を、むしろ通常の戦隊よりも濃厚でドラマチックなものとして、
しっかりと描かなければいけません。
これが成功すれば自然に、間違いなく傑作となります。

つまり、「ゴーカイジャー」という作品は、意識して傑作を志向したというよりは、
戦隊のお祭り企画を成立させようとしたら、
必然的に傑作を目指さなければならなくなってしまった作品だといえます。
ところが問題は、それでいて同時に、お祭り企画としても成功しなければいけないということです。
要するに、かなり無理のある企画なのです。

作品の評価というのは出来上がった完成品の結果のみで判断されるものであり、
「ゴーカイジャー」はまだ完結していないので評価は出来ない。
それにそもそも「ディケイド」と「ゴーカイジャー」はこのように全くタイプが違う作品です。
しかし、制作の難易度という点では、「ディケイド」より「ゴーカイジャー」の方が遥かに上といえます。
いや、「ディケイド」「ゴーカイジャー」という個々の比較ではなく、
ライダーのお祭り企画と戦隊のお祭り企画では、後者の方が難易度は高いと言った方がいいでしょう。

「ゴーカイジャー」という作品は、濃厚でドラマチックな物語でありながらお祭り企画であるという、
この両者を両立させる難作業を、ここまで様々な工夫でクリアーしてきています。
ただ、その工夫の根本的なところが実は最大の矛盾点でもあるのです。

「ゴーカイジャーのドラマチックな物語」と「歴代34戦隊のお祭り企画」を両立させる
マジックのタネとなっているのが
「ゴーカイジャーの物語の中に歴代34戦隊のテーマと同一のテーマが全て含まれている」という世界観です。
これがつまり、この作品における困難な作業をクリアーするための根本的な工夫と言っていいでしょう。

しかし、これが曲者で、
このように緻密に物語の中で
ゴーカイジャーが歴代戦隊の能力をもともと使うことが出来る資質を持っていたということを証明していくと、
ゴーカイジャーが34戦隊の力を合わせた力を持った、極めて強力な戦隊であるという証明ともなってしまいます。
つまりディケイドと同じなのですが、
そのチート性能の根拠が説明されなかったディケイドよりも、
そのチート性能の根拠が緻密に説明されてしまっているゴーカイジャーの方が、
より説得力のある強さを感じさせてしまいかねません。

実際、「ゴーカイジャー」の放送開始前に発表されたキャッチコピーは「最強戦隊」でした。
ディケイドが最強のライダーであったのと同様、お祭り企画ならばこうなるのが当然です。
そして、戦隊のお祭り企画であるゆえに、その「最強」は物語のバックボーンをも得て、
更に「最強」の説得力を増してしまいました。

しかし、「最強戦隊」というキャッチコピー自体が実は最初から違和感がありました。
「最強」と「戦隊」というのがそもそもコンセプトとして両立しにくいのです。
強さが不完全だからこそチームで戦うのが戦隊であり、
そういう弱いところを補い合う絆が戦隊の絆であるのです。
最強ならばチームで戦う必要はないし、最強な者同士の絆というのは、戦隊の絆とはちょっと違うと思います。

もちろん弱さを補い合うチームの強さが戦隊の強さであり、
そういう文脈での「最強」を謳っているというのは分かるのです。
普通の戦隊で「最強戦隊」と名乗っているのなら、そのように素直に受け取ることは出来ます。
しかし、ゴーカイジャーの「最強」は、歴代34戦隊の能力を全て合わせた「最強」ですから、
歴代戦隊の強さが印象的であるために、それが34個分揃っているとなると、
あまりにも強さに説得力がありすぎて、弱さというものが全く感じられない。
そうなると、やはり「最強戦隊」というキャッチコピーはしっくりこないのです。

ただ、そうは言っても、お祭り企画としては「最強戦隊」というのは
これ以上ないくらい大正解のキャッチコピーでもあります。
だから、やはりゴーカイジャーは「最強戦隊」なのであり、
それは戦隊として成立させるのが難しいということです。
しかし、ゴーカイジャーはスーパー戦隊の「原型」でなければいけない。
この矛盾をどう解消していくのか注目だったのです。

それは最強戦隊でありながら、
同時に戦隊特有の個々の不完全さや弱さも表現していかないといけないという難しい作業です。
そして、振り返ってみれば、この矛盾の解消のために必要とされたキャラが、
シリーズ史上稀に見るほどのヘタレキャラであるハカセだったのだと分かります。

実際のところはハカセも十分に強いし戦力になっているのですが、
とにかくハカセというキャラは過剰なまでに弱さを強調した性格に設定されていて、
アクションも変であるし名乗りポーズも変、技の決めポーズもいちいち変です。
この変身後のハカセの変態的な行動と、変身前のシャイで気弱な性格というのは矛盾しているように見えます。
いや実際、1人の人間の性格としては辻褄は合わないとは思います。
だが、これはハカセというキャラのコンセプトとしては同じ方向を向いた描写であり、整合性はとれています。

そのハカセというキャラのコンセプトとは「ゴーカイジャーのカッコ良さの足を常に引っ張る存在」です。
ゴーカイジャーが強く見え過ぎないように、ハカセが常にカッコ悪く見せるようにして、
弱さを無くさないようにして中和しているのだといえます。
これによって、普通にしていればディケイドのように万能戦士となってしまうゴーカイジャーが、
ハカセという存在を抱えているお蔭で、
不完全で弱い部分を補い合うチームという「戦隊」のラインに踏みとどまっていられるのです。

だからハカセというキャラは確かに数奇な運命のキャラではありますが、あくまで一般人キャラであり、
特殊な立場や能力のキャラではないのです。
ゴーカイジャーの濃厚でドラマチックな物語でありながら戦隊のお祭り企画でなければならないという、
この作品の矛盾を解消するためには、普通の一般人キャラが1人、マーベラス一味には必要で、
それがハカセだったのです。

ただ、単に弱い一般人であればいいというわけではありません。
それでは戦士として不要なだけです。
弱くて不完全だからこそ、仲間同士が力を合わせて強さを発揮するのが戦隊ですから、
ハカセもそのようなキャラでなければいけません。
そして、それは最初からしっかり描かれています。

それは第3話、最初のレジェンド回であるマジレンジャー篇のことです。
これはハカセの主役エピソードであり、
臆病者のハカセが仲間のマーベラスを守るために勇気を発揮して、
その勇気を元マジレッドの小津魁が認めるという話でした。

この時、ハカセは勇気に目覚めて成長したわけではありません。
今に至るもハカセは臆病なままで、相変わらず勇気があるキャラではないのです。
単にハカセは仲間を守るために勇気を発揮しただけであり、それは今も変わっていない。
前回のエピソードでもハカセは相変わらず臆病者でありましたが、
今回のエピソードではマーベラスを助けるために勇気を発揮します。

そして小津魁が認めたのは、ハカセのそうした面であったのです。
魁はハカセが勇気ある者だから認めたのではなく、
仲間を助けるために勇気を発揮したことをもってマジレンジャーの精神を受け継ぐ者として認めたのです。

では何故、ハカセが仲間を守るためだけには勇気を発揮出来たのかというと、
それはハカセが弱くて臆病者だからです。
そして、そうした不完全な自分が戦うためには仲間が絶対に必要だということが分かっているからです。
仲間を失うことは弱いハカセにとっては、あってはならないことなのです。
だからハカセは仲間を守るためならば、相手がどんなに強くても必死で勇気を振り絞って戦うことが出来る。
弱いからこそ、仲間と力を合わせた絆の力を追求するというのがハカセの強さであり、
それを魁はマジレンジャーの精神と同じだと認めて、マジレンジャーの大いなる力を渡した。

つまり、マジレンジャーの強さもまた、
強さが不完全な者同士が仲間になって力を合わせる絆の力なのだということです。
ハカセの強さがそうしたマジレンジャーの強さと同じものであったから、
魁はハカセを、そしてそのハカセの仲間であるゴーカイジャーを
「マジレンジャーの大いなる力」を引き出せる者達だと認めたのです。

さて、それだけならば、単にマジレンジャーだけのお話です。
しかし、ここで重要なのは、これが最初のレジェンド回であり、
この時、ハカセの強さを認めた魁が「34戦隊の大いなる力」について初めて言及して、
ゴーカイジャーにそれらを集めるよう示唆したということです。
ここから「大いなる力」を集める物語、ゴーカイジャーのパワーアップの物語は始まったのです。

ということは、魁はハカセの示した「不完全な戦士が仲間の絆で発揮する強さ」を、
34戦隊の強さに通じるものだと認めたということになります。
もちろん34戦隊それぞれに異なったテーマがあり、
この時にハカセが示した強さだけでは十分ではなかったわけですが、
魁がハカセの示した強さを見てから34戦隊の大いなる力の存在を明かしたということは、
ハカセの示した強さが全ての戦隊の強さの基本となるものであったということなのでしょう。

実際、スーパー戦隊の「原型」は、
まさにその「不完全な人間の戦士がチームで強さを発揮する」ということであるので、魁の判断は正しい。
というより、物語の構造上は、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊の「原型」である以上、
最初のパワーアップ時にそのコンセプトを示すために、
そのエピソードである最初のレジェンド回はマジレンジャー篇でなければならなかったのであり、
そこでの主役はハカセでなければならなかったのでしょう。

そうして始まったパワーアップイベントであるレジェンド回は、
その出発点がハカセの示した「弱い者が仲間の絆で発揮する強さ」である以上、
それぞれのレジェンド回で獲得される強さ、それに対応して示されるマーベラス一味の強さには、
常にベースには原点であるハカセのその強さが在り、
ゴーカイジャーの積み上げてきた強さのベースには「弱い者が仲間の絆で発揮する強さ」があったのだといえます。

それがゴーカイジャーの物語として緻密に描かれてきたため、
実はここまでゴーカイジャーは27戦隊分、いやゴーカイジャーの大いなる力の分も合わせると28戦隊分の
パワーアップを果たしたにもかかわらず、ディケイドのようなチート感はありません。
パワーアップの根拠がしっかり描かれている分、その強さはディケイドよりもむしろ説得力があるはずなのに、
逆にディケイドよりも万能感は過剰ではない。

それは、そのパワーアップの緻密な物語というのが、
全て、ある意味「弱さゆえの強さ」の物語になっているからです。
だから万能感は無いのです。
そして、それがスーパー戦隊の強さと同一のものであり、むしろそういう強さだから説得力があるのかもしれません。
物語によって説得力が増すから過剰に強く見えるのではなく、
「弱さゆえの強さ」の物語の説得力によって、ゴーカイジャーの強さはよりリアルな強さに見えるのでしょう。
つまり、これが本当の強さであり、
この本当の強さは「宇宙最強」などという万能感あふれる荒唐無稽な強さなどよりも強いのです。

今回の一大決戦エピソードは、クライマックス篇に入る前に物語を一旦締めるに際して、
ゴーカイジャーの強さとザンギャックの強さの優劣を示しておくという趣旨のエピソードです。
だから、ここではゴーカイジャーの強さの本質が描かれなければならない。
ならば、その象徴となるべきキャラはハカセしか考えられないといえます。

対するザンギャックの方もザンギャックの強さを象徴する、
強さや力をひたすら信奉する「宇宙最強の男」であるダマラスが主役となり、
ハカセの「弱さゆえの強さ」がこの「宇宙最強」をいかにして打ち破るのかを描くことによってこそ、
ゴーカイジャーの強さの本質を描くことが出来るのであり、
ゴーカイジャーの強さがザンギャックの強さを完全に凌駕したことを示すことが出来るといえます。
マーベラスやジョーが普通に頑張ってダマラスを倒したとしても、
それはゴーカイジャーの強さがザンギャックの強さを超えたという説得力は無いと思います。

そして、ハカセの「弱さゆえの強さ」はゴーカイジャーの強さであると同時に、
スーパー戦隊の強さにも通じているのであり、
スーパー戦隊の力がダマラスの強さを打ち破ったともいえます。
それゆえか、今回のエピソードはかなりスーパー戦隊シリーズの原点に立ち戻ったかのような
「弱い者同士でも力を合わせれば強敵に勝てる」というベタなロジックが展開される話となっており、
一種、原点回帰のエピソードとも言えます。

これは見ようによっては退屈な展開かもしれませんが、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊の「原型」である以上、
クライマックス前の締めのエピソードでこの原点回帰ともいえるテーマを示すのは必然であり、
マジレンジャー篇からぐるっと回って、戻るべくしてここに戻ってきたという印象です。
なので、今回の主役はマジレンジャー篇と同じくハカセであるのが当然であり、
また、今回、スーパー戦隊の大いなる力が大挙登場して、
力を合わせて宇宙最強の敵を倒すという販促的に必須の展開にも
物語的な必然性を付与することに成功しているのです。

そして、以上のような考察を経た上でなら、
前回から今回にかけてのストーリーの中でよく意味が分からなかった
「どうしてハカセが伝説の勇者だったという嘘話を挿入する意味があったのか?」という謎も
解けるような気がします。

前回から今回にかけて、ストーリーの本筋は
ハカセがゴーカイジャーの強さ、スーパー戦隊の強さである
「弱い者でも力を合わせれば大きな力になる」という精神でダマラスを倒す話であり、
そのゴーカイジャーの精神をハカセが想い出す経緯としては、
前回のルカの想い出話の流れから今回のハカセの回想シーンだけで十分です。

ハカセが伝説の勇者だったという嘘話は、前回のルカの想い出話の呼び水と、
今回のハカセのマーベラス救出作戦のヒント程度の役割しか果たしておらず、
必ずしもあの内容の嘘話である必要があったわけではない。
他の内容でも全体のストーリーに大した影響は無かったであろうし、
そもそも嘘話のパートは無くても本筋の方は成立する。
だから本来はあんなパートは不要なのです。

それがあえて挿入された意味というのは、
本来得られるべき正解に対するアンチテーゼの意味合いなのでしょう。
つまり「弱い不完全な人間同士が補い合う力」という本来ハカセが辿り着くべき正解の対極に位置する強さの類型が
「伝説の勇者」なのでしょう。

だから「伝説の勇者」の方は単なる嘘話だったということになり、
その嘘を真実にする、すなわち、真に勇気を示して戦うためにハカセが選んだのが
「弱い不完全な人間同士が補い合う力」という正解だったのです。

実際のところ、ハカセがダマラスを倒すという結論だけを重視するならば、
「実はハカセは本当は伝説の勇者だった」というオチの付け方でもストーリーは成立はしたはずです。
しかし、そのようにはせずに「伝説の勇者」説は完全否定されて終わりました。
むしろ、お話的な面白味でいえば、
ハカセが伝説の勇者であるという含みは多少残した方がよかったのかもしれません。
しかし、そういう含みすら残さずに完全否定したということは、
最初から「伝説の勇者」説はアンチテーゼとしてしか設定されていなかったということになります。

つまり、今回のエピソードはゴーカイジャーがあくまでスーパー戦隊であり
「弱い不完全な人間同士が補い合う力」をその強さの源とするのだということを示すのが趣旨であって、
その結論を強調するためには「伝説の勇者」説は完全否定されなければならなかったということです。

では、何故そのアンチテーゼが「伝説の勇者」でなければならず、
どうしてそれが「ゴーカイジャー」においてアンチテーゼとして完全否定されなければなかったのか?
それは、前回語られた、この「伝説の勇者」説を詳細に見れば何となく分かります。

この「伝説の勇者」説というのは、
「ハカセが記憶喪失の謎めいた伝説の勇者で、勇者としての記憶を想い出せば
勇者としての万能のパワーが甦り、1人でザンギャックを倒してしまえるかもしれない」というものでした。
これはつまり記憶喪失の謎の万能戦士が世界のテーマを想い出すと失われたパワーを取り戻すという物語、
すなわち「ディケイド」です。

要するにハカセには今回の一大決戦エピソードにおいて2つの道があったのです。
「ディケイド」のような謎の万能戦士となる道か、
あるいは「弱い不完全な人間同士が補い合う力」の道か、どちらかを選ぶことが出来た。
そしてハカセは前者は嘘だとして否定し、後者を選んだのであり、
それが正解だったというのが、今回のお話です。

つまり、制作サイドの意図として、
「ゴーカイジャー」という作品はあくまでスーパー戦隊の「原型」なのであり、
同じお祭り企画でも「ディケイド」とは明確に違うのであり、
謎の万能戦士の物語ではなく、不完全な人間の戦士たちの仲間の絆の物語なのだという、
そうしたメッセージが込められていたのではないかと推測できるのです。

さて、今回のエピソードのもう1つの大きなトピックは、バスコの立ち回りにあるのですが、
これは多くはこれまでに考察してきた内容と重なっており、
それ以外の謎の部分はまだあまりにも謎のままであるので、
今後のエピソードでもっと総合的に考察する機会もあろうと思われ、
今回は本編の考察の中で随時触れるべきところで触れるという感じでいいでしょう。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:07 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月28日

第43話「伝説の勇者に」感想その2

では本編ですが、まず今回の冒頭は、最初は前回の展開を振り返るダイジェストから始まります。
ダマラスがマーベラス一味の討伐のために繰り出されてきて、
ダマラスに駆り出されたバスコの手によってジョー達4人が倒され、
ダマラスによってマーベラスが連れ去られ、ハカセだけが取り残されたという点が手短におさらいされます。

そして今回のストーリーの初っ端は、ギガントホースの指令室に鎖で縛られて連行されて
床に転がされるマーベラスの場面からです。
指令室までマーベラスを連行してきたダマラスは、司令官席に座る皇帝アクドス・ギルに向かって
「憎っくき海賊どもの船長です・・・陛下!」と一礼します。
ダマラスにとってマーベラスは今まで散々、地球征服を邪魔されて恥をかかされてきた憎い相手だが、
皇帝アクドス・ギルにとっては息子のワルズ・ギルを殺した憎い仇です。

ダマラスとしてはマーベラスのような自分よりも遥かに弱い奴が自分に恥をかかせてきたことが許し難く、
とことん屈辱を与えて殺してやりたいとは思っています。
だから戦いの場では殺さず、こうして捕えて縛り上げて晒し者として、罪人としての屈辱を与えています。
それでもまだマーベラスを絶望のどん底に突き落とすには足りない、
これではまだ自分の気は晴れないとダマラスは思っていますが、
そもそもマーベラスを倒すよう命じたのはアクドス・ギルであり、
ダマラスは形式上はその命令に従って動いている。
だからマーベラスを捕えた以上、その処遇を決定する権利を有するのはアクドス・ギルです。

ダマラスとしてはマーベラスをアクドス・ギルの前に引き出して、アクドス・ギルの決定を仰ぐしかありません。
そして、ダマラスはアクドス・ギルは息子の仇に対して憎しみを露わにして、
すぐに八つ裂きにするよう命じるのだろうと予想していました。

ところがアクドス・ギルは息子の仇を目の前にしても「うむ・・・」と唸って落ち着いて座ったままで、
感情的な反応は見せていません。
それに対して、床に叩きつけられたショックで目を覚ましていたマーベラスは、
ダマラスが司令官席の相手を陛下と呼ぶのを聞きつけ、
ザンギャックの皇帝がギガントホースまでやって来ていることを知りました。

親衛隊が大挙して地球に出現したことから皇帝も来ていることは予想はしていたものの、
それでもこうして本当に皇帝が来ていると確認し、マーベラスは改めて少し驚きます。
そして、ボロボロになりながらも仰向けになってニヤニヤ笑い
「・・・陛下?・・・こんな辺境の星にわざわざお出ましとは・・・ヒマな皇帝もいたもんだなぁ・・・」と憎まれ口を叩きます。

あるいはマーベラスと皇帝の間に過去において何らかの因縁があって、
互いに顔を見知っているのかもしれないとも思っていましたが、どうやらそういうことはないようです。
マーベラスと皇帝には面識は無く、過去に何の因縁も無いようです。
ますますアクドス・ギルはマーベラス一味とは接点の無い存在ということになり、
アクドス・ギルはやはりラスボスではないのかという気がしてきます。
しかし前回「女星セブン」に載っていた見出しに、
ザンギャックが地球を狙う何らかの隠された理由があるかのような示唆もあり、
まだアクドス・ギルがラスボスでないと断言することも出来ない状況といえます。

それはともかく、マーベラスが初対面の皇帝にこんな憎まれ口を叩くのは、
別に何らかの策や目論みがあってのことではなく、純粋に呆れて憤慨したからでしょう。
ザンギャックの親衛隊員のザツリグや軍師のダマラスがワルズ・ギルの仇討ちのために
自分達を襲ってきたことはマーベラスは知っており、
おそらく皇帝の命令によるものだろうとは思っていましたが、
こうしてわざわざ皇帝自らが地球上空まで乗り出してきて息子の仇討ちに必死になっているのを見ると、
腹立たしく思いました。

これまでにどれほど多くの宇宙の人々がザンギャック帝国によって理不尽に親を殺され、子を殺されてきたことか。
それらの人々は仇討ちなど滅多に叶わない。
先だってアイムが親の仇を討てたのは稀に見る幸運だったといえます。
マーベラス達にとってもザンギャックは故郷を滅ぼした仇ですが、
ザンギャックの誰が仇だかも分からないし、仇など討ちたくても討てない状態です。
それなのに、単に向こうから襲ってきたので返り討ちにしただけのワルズ・ギルの仇討ちだと言って、
ザンギャック皇帝は直々にお出ましなのだから、いい気なものだとマーベラスが想ったのも無理はありません。

しかし、この憎まれ口は当然、皇帝側近のダイランドーの怒りを買い、
ダイランドーは仰向けになったマーベラスの額を靴の裏で踏みつけて
「ヘ〜イ!ユー!減らず口はほどほどにしなっちょお!!」と、怒りに震えて怒鳴りつけます。
宇宙を総べるザンギャック帝国の皇帝に罪人の海賊ごときが口を利くだけでも不遜だというのに、
皇帝を侮辱する発言までするとは、ダイランドーにとっては許し難いことでした。

当然、皇帝アクドス・ギルもマーベラスに対して激怒していると思ったダイランドーは、
アクドス・ギルの方に向き直ると「陛下!!こんな奴はとっとと殺っちゃいやしょお!!」と
マーベラスの処刑をこの場で断行することを提案し、マーベラスの頭を思いっきり蹴り飛ばします。
そしてもんどりうって転がったマーベラスをドゴーミン達が引っ張り上げて立たせます。

アクドス・ギルがそれをじっと黙って見ているので、
ダイランドーの提案が採用され、処刑をこの場で行うことが決定されたのだと、
ダイランドーもダマラスも理解しました。
ダマラスはもう少しマーベラスをいたぶってやりたい気分であったのですが、
皇帝の裁定が下った以上はもはや是非も無い。
ダマラスは剣を抜いて、縛られて身動き出来ないマーベラスの喉元に突きつけます。

そしてダマラスが剣を振り上げて、マーベラスを斬り捨てようとしたその瞬間、
「待て!」とアクドス・ギルの威厳ある声がダマラスを制止したのでした。
ダマラスは驚いて振り下ろそうとしていた剣を止めます。
マーベラスもさすがに死を覚悟していましたが、いきなり処刑が止められて意外そうに皇帝の方を見ます。
するとアクドス・ギルは「ただ地獄へ落とすのではつまらん・・・地球で公開処刑にせよ!」と
ダマラスに命じたのでした。

マーベラスはハッと目を見張って皇帝の狙いを理解します。
アクドス・ギルはマーベラスのことを憎い息子の仇として怒りに任せて殺そうという意思は無いようです。
マーベラスが憎まれ口を叩いても怒りに火が点くということもない。
アクドス・ギルはただひたすら冷徹にザンギャック帝国の宇宙征服のために
利用できるものは利用しようとしているだけなのです。

マーベラスの処刑もまた、アクドス・ギルにとっては帝国の威信を高めるための儀式に過ぎない。
だから、こんな密室で殺してしまうのではなく、地球でマーベラスを公開処刑にすることによって、
ザンギャックに逆らった者の末路を地球人たちに思い報せ、
あれほどザンギャック相手に善戦していた宇宙海賊もザンギャック皇帝直属軍にはあっけなく敗れて
処刑されたという事実を地球人の意識に刻印して、
ザンギャック帝国の圧倒的な力を知らしめて決定的な絶望感を与えて、
ザンギャック帝国への抵抗の意思を奪い、戦わずして地球を征服しようとしているのです。

息子の仇討ちさえ帝国の力の誇示に利用しようとしている皇帝の冷血ぶりを見て、
マーベラスは到底自分とは相容れないものを感じたのでした。

ここでOPテーマが始まります。
OPナレーションは通常回バージョンで、
そしてCM明け、「伝説の勇者に」という今回のサブタイトルが出ます。
「伝説の勇者」とは、前回、ハカセがおそらく記憶喪失のフリをしてなりすまそうとしていた、
雑誌に載っていた現在行方不明の勇者のことです。
「伝説の勇者に」ということは、ハカセがその勇者になるということなのか、
あるいは勇者にならないということなのか、文末の動詞が欠けているのでイマイチ分かりません。
が、まぁだいたいこのように文末の動詞を省略した場合は、「伝説の勇者になる」という意味です。

しかし、前回の描写ではハカセはどう見ても「伝説の勇者」ではないように見えました。
あるいは、そう見せかけておいて、実はハカセ自身も気付かないうちに本当にハカセは記憶喪失になっていて、
ホントはハカセは伝説の勇者であり、その記憶が今回最終的には覚醒してダマラスを倒すという、
いかにもヒーロードラマにありがちなドラマチックな展開になるのかもしれない。
そのようにも思わせるようなサブタイトルです。
ただ、曖昧な文意のサブタイトルであるので、そうではないかもしれないし、やはりハッキリとはしません。

さて、本編が再開して、マーベラスの公開処刑の実施が決定したギガントホースから舞台は変わって、
今度はマーベラス一味の乗船であるゴーカイガレオンの船室です。
マーベラスはギガントホースで囚われの身で、ジョー達4人はバスコに倒されて炎の中で消滅し、
ダマラス達がマーベラスを連れ去った後、唯一戦場に残されたハカセが、
その場に落ちていたマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルだけを持って、
とぼとぼとガレオンに帰還して、ナビィに事の顛末を報告していました。

マーベラスが連れ去られたと聞いたナビィは仰天して、
マーベラスのモバイレーツの発する信号を探って、マーベラスの居場所を必死で探し始めました。
しかしマーベラスのモバイレーツの反応はキャッチ出来ません。
それもそのはずで、ハカセやナビィは気付いていませんが、
マーベラスのモバイレーツは今はバスコが拾って持っています。

以前、バスコがジョー達を浚った時、
フリージョーカー内でサリーが持っていたジョー達のモバイレーツの信号は
ガレオンで受信することは出来ませんでしたから、
今回もバスコがフリージョーカー内にいるのならば、
マーベラスのモバイレーツの発する信号はガレオンでは検知出来ないはずです。

さっきのギガントホースの場面ではバスコはいませんでしたから、
バスコはダマラスがギガントホースまでマーベラスを護送するのに付き添った後は
フリージョーカーに戻ったと思われ、
ならばナビィがいくら探してもマーベラスのモバイレーツの在り処は分からないはずです。

「こっちかなぁ〜?こっちかなぁ〜?ダメだ!何の反応も無い〜!」と必死に翼でキーボードを叩いて
途方に暮れているナビィの背後には、ソファで膝を抱えて落ち込んでいるハカセの姿があります。
ジョー達4人が殺され、マーベラスまで捕まってしまったという絶望的状況ですから、
ハカセが落ち込むのも当然といえば当然ですが、一方、ナビィは結構頑張っています。

考えてみればナビィは戦闘能力こそ無いものの、
海賊の一員としては現在のマーベラス一味の中ではマーベラスよりも古参であるようですから、
なかなか腹が据わっています。
この悲惨な状況でも、まだマーベラスを助けられる可能性が残っている以上、
メソメソ悲しむのではなく、マーベラスの救出に向けて前向きに出来ることをやろうという精神を発揮しています。

一方のハカセは膝を抱えて黙って俯いてしまっています。
落ち込むのも当然の状況とはいえ、孤軍奮闘しているナビィから見ればもどかしく感じるのも当然で、
ナビィはハカセの傍に飛んでくると
「もうハカセ!落ち込んでる場合!?勇者でしょ!?何とかしてよぉ〜!」と文句を言って、
そのまままたすぐにキーボードのところに飛んで戻ります。

ナビィは前回のハカセが船室で皆に向かって告白した話を聞いて、
すっかりハカセが実は伝説の勇者だったと信じ込んでいます。
しかし同時に、ハカセが現在は記憶喪失で、伝説の勇者だった頃のことを覚えていないので、
今は勇者の力を発揮出来ないという風にも理解していますから、
現実に今ハカセに勇者として現状を打開してもらえるとは思っていません。

ただナビィもマーベラスの行方が掴めない八方ふさがりの状況の中でイライラして、
元勇者のクセに情けなさすぎるハカセの態度をついついなじりたくなっただけのことです。
だから一言文句を言ったらスッキリして、また作業に戻っています。
しかし一方、言われた方のハカセは頭を抱えて、ますます激しく落ち込んでしまっています。
「勇者」と言われたことが堪えたようなのですが、ナビィは全然気付いていません。

そうしてナビィがまたキーボードを必死で叩いている後ろで、ハカセは険しい顔をゆっくりと上げて、
テーブルの上に置いてある「女星セブン」を見つめます。
その「女星セブン」は、ちょうどハカセそっくりの伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーに関する
記事のページが開いています。
そのページにある勇者ドン・ドッゴイヤーの写真をじっと見つめながら、
ハカセは意を決して「・・・ウソなんだ・・・」と、ポツリと呟きます。

しかし作業に懸命なナビィにはハカセの言葉は聞き取れず、
ただハカセが何か呟いたことだけは分かったようで、
作業しながら「ああ?何か言ったぁ?」と邪魔くさそうに問い返します。
それに対してハカセが逆ギレしたように自分の腕をもう一方の腕でぶん殴りながら
「ウソなんだ!!・・・勇者なんて・・・!」と怒鳴ったので、
ナビィは「ええええ!?」と仰天して振り向き、慌ててハカセのところに飛んできて
「だって、その本は?星型の痣は?」と問いかけました。

ウソといっても、雑誌に載っている勇者は確かにハカセと同じ顔であり同じ名前であるし、
勇者の証である左腕の星型の痣だってハカセには有るのだから、
間違いなくナビィの理解では、ハカセが雑誌に載っている伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーその人であるはずでした。

しかしハカセは雑誌と痣のことを問われると、苦々しい顔をして「・・・僕が作ったんだ・・・」と言いつつ、
シャツを脱ぎ、露出させた左腕の星型の痣にハンカチを押し当てると
「ちょっとした悪戯のつもりだったのに・・・」と言いながらゴシゴシと拭きます。
すると、なんと星型の痣は消えてしまったので、ナビィは「かっか・・・書いたのおおお!?」と仰天します。

星型の痣は前回推察した通り、案の定、ハカセが自分でマジックで書いていたものであったようです。
そして、どうやら「女星セブン」の記事もハカセの自作の偽記事であったようです。
といっても、「女星セブン」という雑誌そのものを全部ハカセが捏造したわけではなく、
ハカセは自分で勇者のコスプレをして写真を撮り、それをレイアウトして文章を添えて自作した
「あの人は今どこに?いくつもの星を滅ぼした邪悪な竜を退治した勇者ドン・ドッゴイヤー」という
偽記事のカラーページを作り、それを既存の「女星セブン」の見開きの真ん中に挿し込んで
センターカラー特集記事のように見せかけたのです。

そういえば、よく考えたら、「女星セブン」の表紙には様々な記事の見出しが載っていましたが、
センターカラーのあれだけ派手な記事であった勇者ドン・ドッゴイヤーの記事の見出しは表紙にはありませんでした。
それは不自然なことです。
しかし、もともとの「女星セブン」にはそんな記事は掲載されていなかったのだとすれば、
辻褄は合います。

そうして、その偽記事の文章の中に、「勇者の証は左腕の星型の痣」という記載を含ませておき、
自分の左腕にも星型の痣を書いておいた上で、
その偽記事を挿入した「女星セブン」をさりげなく船室のテーブルの上に置いておいたのです。
たぶん、ハカセはアイムがいつもその手の雑誌を読んでいることを知っていたのでしょう。
だから「女星セブン」を入手して、そうした加工をした上で船室に置いておいたのです。

そして、かつて一味に仲間入りした時にマーベラス、ジョー、ルカの3人に自分の過去を正直に喋っていたので
疑われることを見越して、偽記事の中に「勇者は竜との戦いの際に光を浴びて行方不明になった」という
記載を含ませておき、その上で「記憶喪失だった」と告白すれば辻褄は合うと計算したのです。

ただ、これは別に「記憶喪失」ということにしなくても、
事情があって黙っていたという設定でも話は成立したはずです。
それなのにどうして「記憶喪失」という設定にしたのかというと、
これがそもそもハカセがどうしてこんな手の込んだことをして皆を騙そうとしたのかという動機に
関係してくるのです。

ここでハカセが「記憶喪失」という設定にこだわった理由は、
過去の記憶が無いということで、結局、自分の過去が伝説の勇者だったかどうかは曖昧にしようとしたからです。
伝説の勇者だと確定してしまえば、当然これからの人生を伝説の勇者として過ごさなくてはならなくなる。
しかし本当は伝説の勇者ではないハカセにそんなことが出来るわけがない。
だから「伝説の勇者かもしれないけど、違うかもしれない」という曖昧な状態にとどめておく必要があったのです。
そのためには記憶喪失という設定が便利であったわけです。

しかし、伝説の勇者として生きる覚悟も無しに、
どうしてハカセは「伝説の勇者かもしれない」というような中途半端な立場になりたがったのか?
それは、昨日のドゴーミン率いるザンギャック部隊との戦いで皆に弱いからバカにされているという
被害妄想に駆られたハカセが、仲間たちから一目置かれたいと思ったからです。

もしハカセのことを昔、伝説の勇者だったかもしれないと皆が思えば、
今みたいに弱いからといってバカにしなくなるかもしれない。
少なくともハカセがただの一般人ではなかったと皆が思えば、自分達と同格に扱うようになるかもしれない。
その程度の軽い考えで、ハカセは昨日の戦いが終わった後、
ガレオンに送られてきた「女星セブン」を見てこの悪戯を思いつき、
偽記事を作り、左腕に星型の痣を書き、記憶喪失のフリをすることにしたのでした。

そうして皆にこの記事を見てて驚かせ、
星型の痣を見せて皆にハカセが伝説の勇者だった可能性が高いと思い込ませ、
しかし記憶を失ったハカセは現在は勇者としての責務を負う必要は無いし、
本当に勇者だったのかどうか確定は出来ない。
そういう、なんとなくハカセを一目置く空気がマーベラス一味の中に形成されて話は終わると、
ハカセは目論んでいたのです。

ところがハカセがつい調子に乗って記憶喪失の演技を過剰にした結果、
鎧やアイムがハカセが勇者だったのだと完全に信じ込んだ挙句、
ハカセの勇者の記憶を取り戻そうと奮闘し始めてしまい、
サラッと曖昧なまま終わる予定だったこの嘘話が、予想外に大袈裟になり、
ハカセの戻るはずのない記憶が戻るまで続きそうになってきて、ハカセは困り果てていました。

それに、記憶を取り戻す作業として出掛けたレストランでのアイムや鎧との会話を通して、
実は皆はそんなにハカセのことをバカにしていなかったことにハカセ自身が気付いてしまい、
こんな嘘話をわざわざでっち上げる必要など無かったのだと、ハカセは後悔しました。
それで、こうなったら正直に皆にウソをついていたことを謝るしかないと思いつつも、
なかなか機会を掴めずズルズルと状況に流されているうちにダマラスとの戦いが始まってしまい、
仲間たちは殺されたり連れ去られたりしてしまい、ハカセだけが取り残されてしまったのです。

「みんなに・・・ウソついたままになっちゃった・・・」と、シャツを着ながらハカセは激しく落ち込みます。
ハカセがダマラスとの戦いの後、ひどく落ち込んでいたのは、
仲間を失ってしまったこと、仲間がやられるのに自分は何も出来なかったことも
もちろんその大きな要因でしたが、
更にハカセの落ち込みに拍車をかけていたのは、
結局、仲間たちを騙した形のままお別れとなってしまったことでした。

そのことが酷く後味が悪く、皆に申し訳ない想いでいっぱいでしたが、
もはやマーベラスはともかく、ジョー達4人については、嘘を訂正することも、謝ることも出来ないのです。
それがなんとも切ないのでした。
ナビィもハカセのそういう辛い心情を理解出来るのか、「うう〜ん・・・」と困惑してハカセを見つめます。

ハカセは自分の嘘を無邪気に信じていた鎧やアイムのことを想い出し、
それが彼らがこんな自分のことを尊敬してくれていたからであったことに思いを馳せます。
そんな彼らに対して自分は勝手に彼らが自分をバカにしてると卑屈にも思い込み、
純粋に自分を信じる彼らに「自分は伝説の勇者だった」などという嘘を吹き込んで騙していたのです。
そんな自分にハカセは嫌悪感を覚え、立ち上がって涙を拭いながら
「伝説の勇者でも何でもない・・・僕はただのウソつきだ!」と吐き捨てるように言います。

しかし、今更そんなことを正直に言ったところで、もはや鎧やアイムの耳には届きません。
すべては手遅れでした。
そうして、自分のやってしまったことの罪深さを噛みしめながら、
ハカセは苦々しい表情でマーベラスの船長椅子の前に立って、
誰もいないその椅子を見つめて、ある記憶に思いを馳せます。

それは、前回のレストランの場面でルカがアイムや鎧に語った、
ハカセがマーベラス一味に加わることになった顛末の回想シーンの、その続きの場面の想い出でした。
その場面はハカセとマーベラスとナビィしか出て来ないのでルカは見ていなかったのか、
それとも見ていたか知っていたかもしれないが、大した内容ではないと思って覚えていなかったのか、
どちらかでしょう。

実際、ルカが重要視するようなドラマチックな場面ではありません。
ハカセ自身、さっきのレストランの場面ではこの場面は想い出すことすらなかった。
今になって急に想い出したのです。
それぐらい、一見どうでもいい想い出でした。

引き受けた仕事の約束を果たすため、ザンギャックに睨まれることを承知で
ガレオンに修理にやって来たハカセを気に入ったマーベラス、ジョー、ルカの3人組は、
ハカセに当時3人組だったマーベラス一味の新たな仲間になるように言いました。
前回のエピソードの中でルカが語ったハカセ加入話はここまでの描写でした。
その後、ハカセは結局、マーベラス達の強引な誘いに押し切られて仲間になった。
そのようにルカは理解していましたし、ハカセ自身そういう理解でおりました。

しかし、実はハカセはすぐに海賊の仲間になることを承諾したわけではない。
いや、あれほど海賊を怖がっていたハカセがすぐに海賊になることを承諾する方が不自然です。
それにはそれなりの経緯というものがあったのです。
あのルカの語ったマーベラス達による強引な勧誘の場面の後、
ガレオンの船室でハカセとマーベラスが会話している場面が、ここでハカセが想い出した場面でした。

その回想シーンでは、例の便利屋の白衣を着たハカセは
「ちょっと〜!僕に海賊なんて出来ませんって!」とマーベラスに向かって激しく抵抗して、
勧誘を断ろうとしています。
いきなり海賊仲間になるよう誘われたが、ハカセにとっては全く青天の霹靂でした。
辺境の無人星で宇宙の旅人相手に便利屋を営んでいるだけの気のいい温厚な男に過ぎないハカセは、
自分が荒々しい宇宙海賊になるなど想像したこともありませんでした。

ザンギャックに逆らったり、ザンギャックに追われることが怖いから海賊になりたくないわけではない。
いや実際は怖かったが、ハカセはそれをマーベラス達の誘いを断る理由として主張出来る立場ではない。
何故なら、ハカセは自ら進んでザンギャックと敵対するマーベラス一味に手を貸すために
ガレオンにやって来たからです。
そんなにザンギャックに逆らうのが怖くて嫌なのであれば、
最初からガレオンに来なければよかっただけのことです。
こうしてガレオンに修理に来た以上、ハカセにはザンギャックに逆らう意思はあるのだと
マーベラス達に思われても、それは仕方ないといえます。

そして実際、ハカセはザンギャックのことが大嫌いでした。
故郷の星を滅ぼされたのも大きな理由ですが、
この宇宙にはザンギャックに故郷を滅ぼされた者など掃いて捨てるほどたくさんいます。
その中でハカセのような温厚な男が、よりによってザンギャックに逆らう行動に踏み切ったのは、
ザンギャックに対する感情が単なる大嫌いを通り越して、生理的嫌悪感の域に達していたからでした。

ザンギャック帝国というのはダマラスに象徴されるような圧倒的な暴力で
弱い者を屈服させて宇宙を支配してきた帝国です。
そこでは弱い者は強い者に服従するだけの無力で無価値な存在であり、
そうであらねばならなかったのでした。
強い者だけに価値があり、弱い者には価値は無い。
その極端な弱肉強食の論理がザンギャック帝国の支配体制の根幹でした。

そんな世界ではハカセのような弱い人間の人生は価値が無いと宣告されたようなものです。
しかしハカセは自分の人生に価値が無いなどとは思いたくなかった。
不幸な境遇の中でも夢や希望を捨てたくはなかったのです。
だからハカセは弱い自分の人生を無価値だと決めつけるザンギャックの支配体制を
心の中で甘んじて受け入れず、嫌悪しました。
弱い者を屈服させるザンギャックの暴力を憎みました。
だからハカセは暴力や争い事が嫌いなのであり、ザンギャックが嫌いなのです。

そして、ハカセは強い者に媚びるのではなく、
自分の引き受けた仕事を誠実に履行していくという生き方で旅人たちの信頼を得ることで、
自分の人生にも価値は有るのだと思うことが出来るようになっていました。
それはハカセの得た希望であり、自由な生き方であり、
こうして辺境の無人星で便利屋としてささやかだが満足できる生き方を続けるというのが
ハカセの一種の夢となっていました。

だからハカセはザンギャックの暴力に怯えて自分の一番大事な生き方を曲げたくなかった。
引き受けた仕事の依頼人が海賊だったからといって、
ザンギャックに怯えて、依頼人の信頼を裏切ったら、
自分はまた無価値な人間になってしまうような気がしたのです。
弱い人間が価値ある人生を送るためにどうしても譲れない意地があったのでした。
だからハカセはザンギャックに逆らってマーベラス達に手を貸した。

しかし、だからといって宇宙海賊にシンパシーを抱いているわけではないのです。
ハカセは単にハカセなりにザンギャックに対して譲れない意地を通すために、
たまたまマーベラス一味を助けたのであり、
ルカに騙されて修理の依頼を受けてしまっていなければ、
絶対に宇宙海賊などに関わり合いになりたいなどとは思わなかったでしょう。

何故ならハカセはザンギャックと同じくらい、宇宙海賊のことも大嫌いだったからです。
それはどうしてなのかというと、宇宙海賊というものもまた、ザンギャックと同じように
暴力で弱い者を屈服させて、弱い者の価値を認めない連中だと思っていたからでした。
というより、実際に大抵の宇宙海賊というのはそういう連中でした。
だからハカセは宇宙海賊が嫌いであったし、
そもそも自分のような弱い人間が宇宙海賊の中で存在価値があるとも思えませんでした。
むしろハカセはマーベラス達が上手いこと言って
自分を修理係や料理係としてコキ使おうとしているのではないかと思い、不信感を抱きました。

それでなんとかマーベラス達の誘いを断ろうとして抵抗するハカセを
「まぁいいから座れ!」とマーベラスは傍にあった自分の船長椅子に強引に座らせ、
椅子の背もたれにとまっていたナビィは「わあ!?」と驚きの声を上げます。
そしてマーベラスは憮然として座っているハカセに
「ほらよ!」とモバイレーツとゴーカイグリーンのレンジャーキーを差し出しました。

疑い深そうな顔でそれらを手に取って「・・・何ですか、これ?」と問うハカセに向かって、
マーベラスは「俺たちが夢を掴むための道具だ・・・ザンギャックとやり合う時に、結構使えるぜ!」と
笑顔で言います。
それを聞いてハカセは驚いて「え!?僕も戦うの!?」と問い直しました。
マーベラス達はハカセが弱い奴だということは分かっているはずです。
だからハカセは、てっきり弱い自分は雑用係として利用されるだけだと思っていたのです。
しかし、マーベラス達はハカセのことを他の仲間同様に戦闘要員扱いしている。
そのことがハカセには意外だったのです。

しかしマーベラスはハカセがあまりに当たり前のことを問いかけてくるので面白かったようで、
ハカセの頭を掴んで「ったりめぇだろ!海賊なんだから!」と快活に笑います。
ハカセはこのマーベラス一味という海賊は、どうも普通の海賊とは違うように感じました。
普通の海賊やザンギャックの連中は弱い者のことなどバカにしていて価値を認めようとしません。
今までハカセもそういう連中には散々バカにされてきました。
でも、このマーベラス一味は、ガラの悪い連中ではあるが、
どうしてだか分からないが弱い自分のことも対等な仲間として扱おうとしてくれている。

しかも「夢を掴むための道具」と彼らが呼ぶ、彼ら自身が使っている大切なアイテムを託そうとしてくれている。
つまり、一緒に夢を掴む仲間だと認めてくれているのです。
決してマーベラス達はハカセが弱い奴だからといって下僕のように扱おうとはしていない。
何故かは分からないが、特別にかけがえのない仲間だと認めてくれているのです。

ハカセは自分よりも強い人間からそのように扱われたことは無かったので面喰らいました。
そのことはハカセは素直に嬉しかった。
実際、マーベラス達に手を貸したためにハカセはもとの場所で便利屋を続けることは不可能になってしまいました。
だから、いっそマーベラス達となら一緒に夢を掴むための旅をしてもいいともハカセには思えました。
だが、やはり海賊の仲間となると、ハカセはそれは自分には無理だと思いました。

せっかくマーベラス達が自分のような者を対等な仲間として扱ってくれる以上、
ハカセもマーベラス達に対等な仲間に相応しい働きで報いたいと思いました。
それはつまり一人前の海賊としてザンギャックとも戦うということです。
マーベラスだってそれを期待してこのアイテムを渡してくれているのだとハカセは思いました。

しかし、ハカセは暴力や争い事が嫌いで苦手な臆病者なのです。
だからきっと満足に戦うことは出来ず、マーベラス達の好意に報いることは出来ない。
それどころか、きっと足を引っ張ってしまうに違いない。
だからやはりこんな弱い自分が海賊の仲間になるなんて無理だと思い、
ハカセは「でも・・・僕・・・」と自信無さそうな表情で、やっぱりマーベラスの誘いを断ろうとしますが、
マーベラスは事もなげに「心配すんな!」と言うと、ハカセに背を向けて
「出来ねぇことはしなくていい!出来ることだけやってくれ!」と言ったのでした。

これでハカセは少しは気が楽になりました。
マーベラスが現時点でハカセに即戦力を期待しているわけではないと理解したからです。
当面は自分の出来ることをやって、仲間の役に立てばいい。
そうして徐々に自分の出来ることを増やしていって、
マーベラス達の対等な仲間に相応しい強い人間になっていけばいいのだと、
ハカセは少し気長に考えることにして、マーベラス一味の仲間に加わることを決めたのでした。

ここで回想シーンは終わり、現在時点のハカセが船長椅子を見つめて、
かつてマーベラス一味に加入した夜、船長椅子に座って下した自分の決意を思い返します。
あの時、自分は初めて自分を対等な仲間として扱ってくれたマーベラス達の好意に感激して、
マーベラス達の役に立つ仲間になろうと心に決めたはずです。
それなのに、ジョー達4人が殺され、マーベラスが連れ去られて、
一味が壊滅状態となった今の自分の姿はいったい何なんだとハカセは愕然としました。

昔と変わらず弱くて臆病者で、戦いでもマーベラスの足を引っ張ってしまった。
そして皆はそんな自分のことをそれでも対等な仲間だと思ってくれていたのに、
自分は勝手に皆が自分をバカにしていると僻んで、伝説の勇者だったなどという、
くだらない嘘をついて見栄を張っていた。

マーベラスはハカセの加入時に「出来ることをやってくれ」と言ってくれたが、
自分は海賊の仲間になって以降、仲間の戦いの役に立つような「出来ること」を
結局は何ら増やすこともせず、弱い自分を僻んで伝説の勇者のフリをして皆を騙すという
最低の行いをもって、仲間の好意を仇で返しただけでした。
自分の辿り着いた「出来ること」とは、こんな下劣なことでしかなかったのかと思うと、
ハカセは自分が本当に最低の人間のように思えました。

そして、マーベラスを救出しなければいけないというこの一大事に、
よりによってこんな最低の嘘をつくしか出来ることのない自分のような奴しか
生き残っていないことに絶望したのでした。
船長椅子を見つめたまま「伝説の勇者でもなんでもない僕が残っちゃうなんて・・・」と呟き、
ハカセは途方に暮れて立ち尽くします。

その時、ガレオンのパネルスクリーンがアラーム音を鳴らします。
何か強力な電波を受信したようです。
「ん?」とパネルスクリーンの方を見たハカセとナビィでしたが、
いきなり画面が切り替わってダマラスの姿が映ったのでナビィは「・・・ああ!!」と驚きます。

画面の中でダマラスは「地球人ども!よく聞けい!!」と言っています。
どうやらザンギャック軍が強力な電波を発して、
地球上のあらゆる放送局や軍事基地などの受信器に強制的に電波を介入させて、
一種の電波ジャックをしているようでした。
目的は、地球人全員に対する何らかのメッセージを発することであるようです。
ハカセとナビィは驚いてその画面に見入ります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:40 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月29日

第43話「伝説の勇者に」感想その3

ハカセとナビィの見るゴーカイガレオンのスクリーンに突如映し出されたダマラスの映像は、
全ての地球人へ向けたメッセージであり、
地上のとある広場に降り立ったダマラスが喋っているのを生中継した映像で電波ジャックをしたものでした。
その広場には、ダマラスの他、ドゴーミンやゴーミン達がおり、
広場に集まった人々は、いきなり降り立って演説し始めたダマラスを、
いったい何が始まったのかと驚いて見ていました。

すると、その広場に向けて天空から光る十字型の物体が猛スピードで落下してきて、
広場を見下ろす一段高い建物の上に突き刺さり、
その落下の衝撃で、まるで爆弾が落ちてきたかのような爆風が吹き荒れ、
その場に居た人々は身の危険を感じて、悲鳴を上げて、パニックを引き起こして我先に逃げ出します。

そして、その逃げ惑う人々を満足げに眺めて、ダマラスは
「これまで、生意気にもザンギャックに刃向ってきた海賊の船長、キャプテン・マーベラスを、
これより処刑する!!」と宣言したのでした。
見ると、その落下してきた十字型の物体は十字架であり、
そこにはマーベラスが鎖で両手両脚を縛り付けられて、まるで処刑を待つ罪人のような姿で
唇を噛みしめていたのです。

その十字架上のマーベラスの姿が画面に映し出されたのを見てナビィは「マーベラスだ!」と仰天し、
ダマラスの言葉を聞いてハカセは「処刑って・・・!」と絶句します。
どうしても掴めなかったマーベラスの居場所が突然ハッキリしたのは朗報でしたが、
なんとそのマーベラスはその場所で処刑されるというのですから、
むしろ、かえって行方不明状態よりも危機的状況の深刻度、切迫度のレベルは上がったといえます。
このままでは間もなくマーベラスは確実に死ぬのであり、その死の瞬間が地球全体に向けて公開生中継されるのです。

ハカセとナビィが息を呑んで見つめる画面上には
十字架に縛られて身動き出来ないマーベラスの姿の後にダマラスが映し出され、
ダマラスは「これでもう地球征服を止められる者は1人もいない!
地球人ども!絶望し、ザンギャックに服従せよ!!」と、
この映像を見ているであろう多くの地球人に向けてメッセージを発するのでした。

皇帝アクドス・ギルがこの公開処刑で狙っている効果はまさにそれであり、
ザンギャック軍に逆らっていたマーベラス一味の悲惨な最期を見せつけることで
地球人のザンギャックに抵抗する気力を奪い、地球征服をスムーズに成し遂げることが狙いでした。
もはや、この公開処刑の場においてワルズ・ギルの名が唱えられることすら無く、
マーベラスの公開処刑はワルズ・ギルの仇討ちというもともとの大義名分は何処かに消えてしまい、
アクドス・ギルの本音である、ただひたすら全宇宙を力によって支配するという
冷徹な統治原理が剥き出しとなった儀式と化していました。

一方、逃げ惑う地球人を前にして、地球人に対する降伏勧告ともいえるメッセージを唱え終わったダマラスは、
彼自身のマーベラスに対する復讐感情も満足させていました。
この自分よりもはるかに弱いクセに粋がっていた宇宙海賊が必死に守ろうとしていた地球全体に
この惨めに十字架に磔にされた姿を晒されるという屈辱を与えたのです。

しかもその海賊が殺されようとしているのに、
地球人たちはザンギャックに恐れをなして逃げ惑うのみで、この海賊を助けようともしない。
これで、さすがにこの海賊も自分のやっていたことがいかに無意味であったのか思い知って
絶望したことだろうとダマラスは溜飲を下げました。

所詮、弱い者は自分の命が惜しくて強い者に服従して生きるしかない。
弱い者が自分の意思をもって強い者に逆らうことなど出来ないのだ。
この世は力が全てであり、強い者が全てを決定する権利を有し、
弱い者は強い者の奴隷となって生きる以外は存在価値は無い。
ダマラスは惨めに逃げ惑う地球人を見て、改めてそのことを確認し、自分の宇宙最強の力を誇りに思いました。
自分は間違いなくマーベラスなどよりも価値がある存在だ。
今のこの場における立場の明暗がそれを如実に物語っているのだと思うと、ダマラスは気分が高揚しました。

後は、マーベラスが自らの刑死によって地球人に絶望を与え、
弱い者は所詮は強い者に屈服するだけの虫ケラのような存在だということを、自らの身で教える羽目になる。
ザンギャックに対する抵抗の象徴だった男が、ザンギャックに対する屈従の象徴となる、
そのことがマーベラスに対する最高の意趣返しであり、復讐の完成となるのだとダマラスは心躍らせ、
「・・・処刑はもう間もなくだ」と、マーベラスの十字架の脇に立って感慨深く言い、マーベラスに背を向けます。

完全にマーベラスへの復讐心を満足させたダマラスには、もはやマーベラスなど眼中にはありませんでした。
ただ、地球人に絶望感を十分に浸透させるために、
この死刑宣告から死刑執行までは、一定の時間を置くというのがアクドス・ギルの方針でしたから、
死刑執行までは幾分、時間の余裕があります。
それまでしばし、このまま待つことになります。

と、そこに「よぉ!」と言って、マーベラスの十字架の横に現れた者がいました。
マーベラスとダマラスが見ると、そこにはサリーを連れて、バスコがニヤニヤ笑って立っていました。
「バスコ・・・!」と呻くマーベラスの目に憎しみの炎が燃え上がります。
一方、ダマラスは冷たく「貴様の役目は終わったはずだ・・・何をしに来た?」とバスコに質します。

バスコが手伝ってくれてマーベラス一味を倒すことが出来たというのに、
このダマラスの態度はかなりバスコに失礼といえますが、
実際戦ってみたらマーベラス一味が予想以上に歯応えが無かったので、
ダマラスはバスコの加勢にほとんど感謝などしていませんでした。

そもそもバスコは非協力的だったのであり、ダマラスはそのバスコを力で捻じ伏せて従わせていただけです。
バスコ自身にダマラスやザンギャックへの忠誠心など欠片も無いことはダマラスも分かっています。
所詮は強い自分が弱いバスコを力で従わせていただけの関係です。
つまり、自分より弱いだけの存在でしかないバスコに、ダマラスは全く価値を認めてしませんでした。
命令をして使役する、それだけの相手です。
言いつけた用事が終われば顔も見たくない。いったい今さら呼ばれもしていないのに何をしに来たのかと、
ダマラスはバスコの顔を見て不愉快になりました。

しかし冷や水を浴びせるようなダマラスの対応にもバスコはニヤニヤした顔を崩さず、ダマラスの方は見ずに、
「一応、むかぁ〜しからの友達だからさぁ・・・最期ぐらいは見届けてやろうと思ってねぇ!」と返答しながら、
十字架に磔になったマーベラスを面白そうに見上げます。
そのバスコの態度を見て、ダマラスはバスコがマーベラスをからかいに来たのだと思い、
嫌らしい奴だと軽蔑しながらも、それがますますマーベラスを惨めな気持ちにさせるのなら好都合だと思い、
バスコを死刑に立ち会わせることを暗黙のうちに認めます。

一方、マーベラスはバスコが自分をなぶっていると感じ、怒りを露わにして
「ふざけんな!・・・よくもジョー達を・・・」と、バスコを睨みつけます。
何せ、バスコはジョー、ルカ、アイム、鎧をマーベラスの見ている目の前で、さっき焼き殺した憎い仇です。
マーベラスにとっては、身体さえ自由に動かせれば、すぐにでも飛び掛かって八つ裂きにしてやりたい相手でした。

しかしバスコはマーベラスの憎悪の視線を軽く受け流して「悪足掻きはやめなって!」と苦笑し、
おもむろに懐から何かを取り出しながら
「ちなみに俺、サンバルカンとファイブマンの大いなる力はゲットしたから!」と言って、
その掌の中に握った2つの金色に光る珠をマーベラスに見せたのでした。

「なんだと・・・!?」とマーベラスは驚愕しました。
そのバスコの掌に握られた珠には、確かにサンバルカンとファイブマンの紋章が刻まれています。
といっても、マーベラスはいちいち各戦隊の紋章を覚えておらず、戦隊の名前もあまり覚えていないぐらいなので、
サンバルカンとファイブマンといきなり云われても、どういう戦隊なのかはすぐにはピンとは来ません。

ただ、そのバスコの手にした金色の珠が、以前にオーレンジャー篇の時に
バスコにチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの大いなる力だと言って見せられた珠と
同じタイプのものであるということは分かりましたから、
それがバスコが何時の間にか新たにゲットしていた2つの戦隊の大いなる力なのだということは
マーベラスには理解出来たのでした。

つまり、もともと残る所在不明の大いなる力は4つであったはずですから、
これで残る所在不明の大いなる力はあと2つということになります。
そしてバスコに奪われてしまった大いなる力は、これで5つになってしまったのです。
それだけでも十分にマーベラスを焦らせる事態ではあったのですが、今はそれどころではない、
自分が今にも死刑にされてしまいそうな状況です。

ジョー達が殺され、自分も刑死寸前という極限状況で、
ついマーベラスも大いなる力のことを忘れてしまっていましたが、
バスコの言葉で、自分が死んだら今まで集めた27の大いなる力はどうなるのかと考え、焦燥感にかられます。

そのマーベラスの焦りを見透かして、からかうかのように、バスコはマーベラスに背を向けて
「マベちゃんが死んだら、残りも全部、俺のもん!楽しみだなぁ、今から!」と愉快そうに笑いながら歩きだし、
十字架から数歩離れます。
当然、マーベラスが死ねば、バスコはマーベラスが集めていた27の大いなる力も奪うつもりのようです。
そして、残り2個の所在不明の大いなる力も遠からずゲットして、
バスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れようとするに違いない。
きっとバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるために今回ダマラスと手を組んだに違いない。
マーベラスはそう思い、「くぅっ・・・!」と激しく悔しがります。

もうこの状況では助かる可能性は低いと半ば覚悟を決めかけていたマーベラスでしたが、
自分が死んだ後、バスコに「宇宙最大のお宝」を奪われることだけはどうしても許せない、
裏切り者のバスコの思い通りだけには絶対にさせたくないと思い、
ここで自分は絶対に死ぬわけにはいかないという執念を燃え上がらせたのでした。

さて、ここでバスコがサンバルカンとファイブマンの大いなる力をゲットしていたという
驚きの事実が示されたわけですが、
これで残る所在不明の大いなる力を手にしている戦隊は、
遂にバトルフィーバーJとカクレンジャーの2つに絞られました。

これでサンバルカンとファイブマンのレジェンド回はもう無いと見ていいでしょう。
当初は古い戦隊ほどレジェンド回はやらない可能性が高いと思っていたので、
バトルフィーバーJよりはファイブマンの方がレジェンド回をやる可能性は高いと思っていただけに、
この展開は意外でした。

しかし、「ゴーカイジャーVSギャバン」の絡みでバトルフィーバーJ篇がおそらく年内に、
すなわち次回のエピソードでやるだろうということは最近では予測がついており、
更に第40話のタイムレンジャー篇のエピローグにニンジャマンの壺が登場したことから、
いずれカクレンジャー篇があることも予測はついていましたから、
残り8エピソードでレジェンド回がバトルフィーバーJ篇、カクレンジャー篇は確定で、
ファイブマン篇が有るか無いか微妙というような予測を立てていました。
そして今回のこのシーンで、ファイブマン篇はもう無いと結論づけて良いと思います。

よって、残り8エピソードでレジェンド回は後は次回のバトルフィーバー篇と、
年明け以降に何処かでカクレンジャー篇をやっておしまいということになると思います。
まぁデンジマン篇の補完エピソードをやる可能性も無いでもないが、
それは「ゴーカイジャーVSギャバン」の中でやりそうな感じでもあります。
また、クライマックス篇の中でバスコに奪われた戦隊のレジェンド戦士たちが登場する可能性も
ゼロではありませんし、
クライマックスのバトル絡みでレジェンド戦士が再び顔出しゲストで登場する可能性も無いこともないので、
レジェンド絡みのエピソードがこれで終わりということもないかもしれませんが、
とにかく、これまでのような形の「レジェンド回」というものは、
これでもうあと残りはバトルフィーバーJ篇とカクレンジャー篇の2回なのだと考えていいでしょう。

さて、それにしてもバスコはいったい何時の間に
サンバルカンとファイブマンの大いなる力をゲットしたのでしょうか?

バスコとしては、第31話のオーレンジャー篇までの時点で確保しておいた
3つの大いなる力だけ手許にキープしておいて、
残りの大いなる力はマーベラス達に集めさせて、
手許にキープしておいた3つの大いなる力を使った取引でマーベラス達に「宇宙最大のお宝」を見つけさせた挙句、
横取りしようとしていたのであろうと思われますので、
本来ならば新たにサンバルカンやファイブマンの大いなる力をゲットする必要は無かったのでしょう。

しかし、マーベラス達が第38話でワルズ・ギルを殺してしまったために、
ダマラスが地上に出動するのを妨げる要因が無くなってしまい、
ダマラスのマーベラス一味抹殺の依頼を裏切っていたバスコとしては、困った立場となってしまいました。
マーベラス達を今殺すわけにはいかないが、
そうなるとバスコより遥かに強いダマラスにバスコが狙われることになってしまう。
つまり、どっちに転んでもバスコの「宇宙最大のお宝」探し計画には赤信号が灯る事態となってしまうのです。

だからバスコはダマラスが地上に降りてくる前に残りの大いなる力を全部探し出して、
マーベラス達の集めた分と合わせて、さっさと「宇宙最大のお宝」を引き出して、手に入れてしまおうとしたのです。
それで第39話において、バスコは宇宙の何処かから舞い戻ってきて、
メガレンジャーの大いなる力を奪おうとしたが、マーベラス達と鉢合わせして、
その場はメガレンジャーの大いなる力はマーベラス達に譲った形となりました。

その後、ダマラスが皇帝の命令によってギガントホースに足止めされ、拘束されたということを知り、
バスコは少し余裕をもつようになりましたが、
それでもダマラスが赦されて地上に降りてくる可能性もゼロでない以上、
早めに残りの大いなる力を集めようとして、第40話から第41話あたりの時系列で、
バスコは独自にサンバルカンとファイブマンの大いなる力を手に入れるべく動いていたのでしょう。

そしておそらく、前回、第42話において、バスコがダマラスと遭遇した場面で、
遭遇直前にバスコがニヤニヤして地上を歩いていたのは、
サンバルカンかファイブマンのどちらかの大いなる力をゲットした帰り道であった可能性が高い。
つまりバスコは、ダマラスが地上に降りてきて自分とマーベラス達に危機が迫る前に
残りの大いなる力4つをゲットしてしまおうとしていたが、
2つの大いなる力をゲットした段階で遂にダマラスに遭遇してしまったのです。

そして、そこでバスコはダマラスに抵抗しようとしたが敵わずに屈服させられて、
前回見たように、マーベラス一味を倒す作戦に協力させられてしまいました。
つまり、バスコは結局はダマラスに負けて、
マーベラス一味を利用して「宇宙最大のお宝」をゲットする作戦を諦めてしまったように見えます。
そして、今バスコがマーベラスに言ったように、
マーベラスが死んだら、マーベラス一味の持っていた大いなる力を27個全部奪い、
それに自分の持っている5個と、更に新たに2個見つけ出して合わせて、
自力で「宇宙最大のお宝」を手に入れようという作戦に切り替えたように見えます。

しかし、これは妙です。
もともとそうして自力で大いなる力を全部揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るのなら、
バスコはとっくにそうしていたはずです。
特に第31話のオーレンジャー篇の時はマーベラス一味を倒して、
あの時点でマーベラス達が持っていた25個の大いなる力を全部奪うことは出来たはずです。
それなのにバスコはそのようにはしなかった。

ということは、バスコはたとえ大いなる力を全部集めても、自力ではその大いなる力を引き出すことは出来ず、
「宇宙最大のお宝」を召喚することが出来ない可能性が高いのです。
ならばバスコは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには今回マーベラスを殺してしまうわけにはいかないはずです。
それなのにマーベラスの処刑を面白がって見物しに来たバスコは、
やはりダマラスには敵わないと観念して、もはや「宇宙最大のお宝」は諦めてしまったようにも見えます。

しかし、ここでバスコは何故かマーベラスにサンバルカンとファイブマンの大いなる力を見せました。
もう「宇宙最大のお宝」を諦めているのなら、わざわざそんなものをマーベラスに見せて、
更にマーベラスが死んだ後、マーベラスの持つ大いなる力を奪う抱負など述べて悔しがらせる必要も無いはずです。
そもそもバスコとしては既に3つの大いなる力を持っていることをマーベラスに知らしめておけば
もともとの作戦の遂行には十分なのであって、新たにゲットした2つまで律儀に見せる必要など無い。
しかも死にゆくマーベラスに見せても何の意味も無い。
だから、ここでのバスコの行動は全く意味不明なのです。
しかしバスコのような計算高い男が意味不明な行動などするわけがない。

それに、幸いというか何というか、
ダマラスはこのバスコの大いなる力に関する言葉に対して興味は向けなかったようだが、
これは結構バスコ自身にとって危険な発言であったはずです。
ダマラスはどうやら「宇宙最大のお宝」に特別に強い興味を持ったキャラではないようだが、
それでも以前、第9話の時は「宇宙最大のお宝」に興味は示していました。
バスコが「宇宙最大のお宝」を探していることも知っています。
そのダマラスの目の前で「大いなる力」の集まり状況を喋ってしまうような不用心さはバスコらしくないと言えます。

だから、ここでのバスコの行動は、
ダマラスに余計な情報を与えてしまうかもしれないというリスクを冒してでも断行しなければならないほどの、
何らかの重大な意義があるものだったのではないかと思えます。
それは、結果的にこのバスコの言葉によってマーベラスが悔しがって
ここで死ぬわけにいかないと思っていることから逆算して、
マーベラスをわざと焦らせて、何としても生きてこの場を脱出しようという気力を
起こさせる狙いがあったのだと考えることは出来ます。

あるいはそれ以上に深い意味として、
バスコは隙を見てマーベラスを助けようと思っており、
それについてマーベラスに何らかの合図を送ったつもりだったのかもしれません。
ただ、もしそうだったとしても、残念ながらマーベラスにはその意図は全く理解されていないと思われます。

そもそも、もともと全く信頼関係の無いバスコとマーベラスの間でそんな意思の疎通が出来るはずもなく、
バスコはおそらくマーベラスをここで殺すわけにはいかないと考えて、秘かに何か画策はしているのでしょうけれど、
それは必ずしも成算があるとは言えない状況のようです。
それだけダマラスという壁はバスコにとっても厄介なのです。
ただ、バスコとしてもそんなに簡単に「宇宙最大のお宝」を諦めるわけにはいかないので、
少ない可能性に賭けて最後まで足掻こうとしているようです。

一方、このマーベラスの公開処刑を告知する映像が流れたゴーカイガレオンの船室では、
ナビィが「ハカセ!どうする!?早くなんとかしないとマーベラスが!」と大慌てです。
このままではマーベラスは処刑されてしまう。
しかし、これはハカセとナビィにとってはチャンスでもあります。
さっきまでは居場所すら分からなかったマーベラスの居場所を、
わざわざザンギャックの方が教えてくれたようなものだからです。

実はバスコが処刑現場にモバイレーツを持って現れたお蔭でもあるのですが、
ザンギャックが公開処刑という形をとってくれたお蔭で、
マーベラスを処刑しようとしている場所が何処なのか、ナビィは正確に知ることが出来ました。
もしアクドス・ギルが公開処刑という形をとらずに、あのままギガントホースでマーベラスを殺していれば、
ナビィやハカセにはどうすることも出来なかったでしょう。
しかし公開処刑という形となったお蔭で、マーベラスを救出に行くことが出来る。

もちろん公開処刑というものが地球征服の前進のために効果が大きい反面、
マーベラスを奪還されてしまうリスクが高くなることもアクドス・ギルもダマラスも分かっています。
分かった上であえてやっているのですから、よほど海賊の仲間や地球人のことを舐めているのです。
海賊一味は壊滅させたし、地球を守るスーパー戦隊とやらも戦う力を失っており、
一般の地球人は怯えて逃げ回るだけ、だから誰もマーベラスの救出に来る者などいないと、
アクドス・ギルもダマラスも確信していました。
万が一、誰かが来たとしても処刑現場には宇宙最強の男であるダマラスが待ち構えている以上、
誰もマーベラスの処刑を阻止することは出来ず、返り討ちにあうだけのことです。
だからザンギャックは自信満々でマーベラスを公開処刑という形で始末しようとしているのです。

それでもこれがマーベラスを助ける唯一の機会であるのも事実です。
そして急がなければ、その唯一のチャンスも潰えてしまう。
それでナビィはハカセにどうしようかと慌てて相談しているのですが、
ハカセは「無理だよ!!」と叫んで顔を背けてしまいます。

あまりに簡単にハカセが諦めてしまったのでナビィは「ええ!?」と驚きます。
ジョー達が倒された以上、ハカセしかマーベラスを助けに行ける者はいない。
そのハカセが諦めてしまったらマーベラスの死は確定したも同然だからです。
ハカセはマーベラスが死んでも構わないという薄情者になったのかと、ナビィは驚いたのでした。

しかしハカセはナビィから顔を背けたまま悲痛な表情で
「僕だって、マーベラスを助けたいさ!・・・ルカ達の仇だって討ちたいよ!」と涙混じりに喚き続けます。
ハカセは薄情になってマーベラス達を見捨てたわけではなく、仲間を想う気持ちは健在なのです。
だからマーベラスを助けたい。
でも、そのためには、あの処刑現場に行ってダマラスと戦って倒さなければならない。

ハカセはダマラスに自分が勝てるとは到底思えませんでした。
ナビィはダマラスの戦う姿を見ていないから気楽に考えているが、
ハカセはダマラスのとんでもない強さを知っている。
相手は宇宙最強なのです。
マーベラスですら、ほとんどダマラスに触れることも出来ずに敗れたのです。
そんなダマラスに、自分のような弱くて臆病な、卑屈な只のウソつきの偽物の勇者が勝てるわけがない。
その勝負の行方がハカセにはあまりにもハッキリと読み取れるので、
マーベラスを助けに行ってもどうせ失敗するなら無駄だと思えて、行く気が起きないのでした。
つまりもう打つ手無しだとハカセは思って絶望しているのです。

ハカセはナビィの方に向き直って
「でも・・・僕一人であいつを倒す方法なんて無いんだよ!!」と感情的に泣き喚きます。
すると、その瞬間、飛んできたナビィは「バカァッ!!」と叫んでハカセの横っ面を翼で張り飛ばしたのでした。
ハカセはよろめいて倒れ込み、後ろにあった船長椅子に尻もちをつき、
いきなり張り飛ばされたことに驚いて、目を丸くしてナビィの方を見ます。

そのハカセの鼻先に近づいて、ナビィは
「弱っちい海賊だったけど、初めて戦った時からハカセはハカセなりに輝いてたよねぇ!」とまくしたてると、
プイッとハカセに背を向けて飛び去ります。
ナビィは今のハカセは初めて海賊として戦った時のハカセよりも情けないと感じて、それが口惜しいようです。

しかし、ハカセは自分はずっと変わらず情けないままだったと思っていたので、
むしろナビィが初めて戦った時の自分をそんなに輝いていたなどと評価してくれていたことが意外で、
唖然とし、「はじめて・・・戦った時・・・」と呟いて、自分が初めて戦った日の記憶を辿りました。
それは何処かの星に立ち寄ってザンギャック部隊と戦闘になった時のことでした。

ちなみにマーベラス一味の地球に来る以前の回想シーンでの戦闘場面は、
敵として登場するのはゴーミンとスゴーミンばかりで、行動隊長の怪人が登場することはありません。
おそらくザンギャック軍の編成として、行動隊長が配属されているのは地球侵略軍のような惑星征服軍のみであり、
普通に支配下の星を守備したり治安維持を図るための部隊というのは
スゴーミンがゴーミンを率いるような編成になっているのでしょう。

おそらくマーベラス達は地球に来るまでは惑星征服軍のような精強な部隊とやり合うことは
基本的には避けてきたと思われ、
戦う相手はスゴーミンが率いる惑星守備隊レベルの相手がほとんどだったのでしょう。
そして、それぐらいのレベルの相手ならば、よほど敵兵の数が多い場合以外は、
マーベラス、ジョー、ルカならば変身しなくても勝てたのだと思われます。

第12話の回想シーンでザンギャック部隊に追われる脱走兵のジョーを助けに割って入ったマーベラスが
変身せず闘ったのも、ジョーを追っていた数のザンギャック兵ならば
自分とジョーが力を合わせれば変身しなくても勝てると判断したからでしょう。
また、第34話の回想シーンでザンギャックの守備隊の金庫に忍び込んだ女盗賊のルカを助けた時の
マーベラスとジョーが変身していなかったのも、
金庫番のザンギャック兵程度ならば変身しなくても勝てるという判断だったからでしょう。

そして、第41話の回想シーンで、亡命王女のアイムが覗き見る中、
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人がザンギャック駐屯部隊と戦っていた時、彼らが変身していなかったのも、
変身しなくても勝てるという判断であったのでしょう。
但し、この時、ハカセは逃げ惑うばかりで全く役に立っていませんでしたが。

そして、今回のハカセのこの回想シーンはアイムの姿がありませんから、
時系列的にはハカセ加入後で、なおかつ第41話のアイム加入時の回想シーンよりも前であるはずです。
この今回の回想シーンで特徴的なのは、
マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセの4人ともゴーカイジャーに変身していることです。
回想シーンで彼らが変身しているのは初めてなので印象的です。
しかし時系列的にこのシーンよりも後である第41話の回想シーンでは再び4人は変身しないで戦っていますから、
いったいどういう基準で変身したりしていなかったりするのか、少し気になります。

まず、今回の回想シーンの戦闘は、相手のザンギャック兵の数がやや多いように見えます。
だから彼らは変身しているとも解釈出来ますが、
よく見ると他の回想戦闘シーンと違ってスゴーミンがおらずゴーミンだけですから、
実質的には大して手強い相手ではないといえます。

ですので、ここでの変身にはもっと明確な意味があるのではないかと思います。
それは、ハカセが加入して初めて戦いに参加した場面であったので、
一応、安全措置として4人とも変身して戦ったのではないかということです。
というか、戦いに行くのを渋るハカセを説得するために
「変身して戦うから」という約束で戦いの場に4人で赴いたのではないかと想像出来ます。

そうして半ば無理矢理にハカセを戦いの場に連れて行ったマーベラス達でしたが、
無理にハカセを戦わせようとまでは思っていません。
ただ、今後のことを考えて、戦場の空気にも慣れておいてもらおうと思って戦場に連れて行きたかっただけで、
それでも渋るハカセを説き伏せるために4人全員で変身して出かけることにしたのでしょう。

一応は用心のために変身した上でゴーカイガンとゴーカイサーベルを持って行ったハカセですが、
実際は見学していればいい立場です。
しかし、それでも間近でマーベラス達とゴーミン達の戦いを見ていると怖くなってしまい、
「無理無理!僕には戦えないって!」と泣き言を喚いて岩の後ろに隠れてしまいます。

マーベラス一味にハカセが加入してまだ日は浅い頃のことと思われます。
出来ることをやってくれればいいというマーベラスの言葉に甘えて、
とりあえず皆の食事を作ったり、機械のメンテナンスをやっていたハカセでしたが、
戦うための変身アイテムを与えられて海賊の一員として認めてもらったにもかかわらず、
便利屋時代と変わらないことしかやっていない自分が何だか申し訳なくて、
変身して見ているだけでいいと言われたので戦いの場にくっついてきてみたが、
やはり暴力や争い事が苦手なハカセは、荒々しいマーベラス達の戦いを見ていると怖くなってしまい、
やはり自分には戦いは無理だと思いました。

そうして岩の陰から恐る恐る戦いの様子を見ていると、
ゴーミン達と戦うマーベラスが「ジョー!」と呼びかけながら、自分のゴーカイサーベルを投げ、
それを受け取ったジョーが「・・・任せろ!」と応えて、
自分のゴーカイサーベルと合わせて二刀流で戦い始めるところがハカセの目に飛び込んできました。
ハカセはその2人のスムーズな連係を見て、カッコいいと思いました。
やはり実力者同士だから、ああいう息の合った連係が出来るのであり、
あれが本当の海賊の戦い方であり、自分には到底マネが出来ないと思い、ただただ見惚れました。

ところが、後ろに何かがいる気配を感じてハカセが振り向くと、
ハカセの背後には何時の間にか大勢のゴーミン達が集まってきて、ハカセに襲い掛かろうとしています。
「うわぁ〜!見とれてる場合じゃなかったぁ〜!」と焦りまくるハカセでしたが、怖くて身体が動きません。
ハカセ絶体絶命ですが、そこにルカが飛び込んできて、
「貸して!」とハカセのゴーカイサーベルを取り上げると、
ルカは2本のゴーカイサーベルをワイヤーで振り回すTV本編でもお馴染みの技でゴーミン達を一掃しました。

ハカセはルカの強さに驚き、「あ・・・ありがとう・・・」とお礼を言います。
そして、それに引き替え、怖気づいて身体も動かなかった自分が情けなく思えました。
本物の海賊は女の子でもこんなに強いというのに、自分は海賊とは名ばかりで弱くてどうしようもない。
ハカセはこんな自分が一緒にいて、皆に申し訳ない気持ちになりました。
マーベラスもジョーもルカもとても強く、戦いに慣れている。
きっと自分なんかこの場にいない方がもっとスムーズに連係出来て、もっと気持ちよく戦えるはずだ。
せっかく連れてきたものの、あまりに自分が使えなくて、3人ともきっと失望したに違いないとハカセは思いました。

ルカだって、男のクセに情けないヤツだと思ってきっと自分のことを軽蔑したのだろう。
だから、どうせ自分が持っていても意味が無いと思ったから剣を取り上げて2本とも使ったのだとハカセは思い、
俯きながら「・・・でも・・・ゴメンね!女の子に助けてもらったりして・・・」と、卑屈な気持ちでルカに謝りました。
こんな情けない自分が仲間であること自体が何だか申し訳ない気持ちになり、
きっとルカは1人では戦えない情けない自分を助けなければいけなくなったことを怒っているだろうから、
ハカセはルカに謝らなければいけないような気がしてしまったのでした。

ところがルカは「何言ってんの!」と明るく言うと、
「海賊はね、出来る奴が出来ることを全力でやって、補い合えばいいの!」とハカセに言うのでした。
ハカセはルカの意外な言葉に驚きました。
ルカにとっては、弱いハカセを助けるために余計な手間をかける羽目になったことは、
全く迷惑なことではなく、単に補い合っているということであるようです。

補い合うということは、ルカもまた助けられることもあるわけで、
マーベラスもジョーも助けられる局面はあるという意識を常に持っているということです。
つまり、マーベラス達は皆、あれほど強いのに、
自分が誰からの助けも必要無いほど完璧な存在だとは一切思っていないのです。

もちろん本当に完璧な存在など、この世にはありません。
どんな強い人間でも現実には誰かに助けられることはあるものです。
ただ、それでもある程度強い人間というのは、どうしても自分ほど強い者はいないと思ってしまい、
1人で戦って勝てると思ってしまいがちになるものです。
ところがマーベラス達というのは、とても強いにもかかわらず、
自分の強さを誇るようなことはないことにハカセは気付きました。

いや、この回想シーンのハカセだけでなく、私達視聴者も、
そういえばマーベラス達にはそうした「驕り」というものは一切無いということに今さら気付きます。
マーベラス一味の面々が控え目な性格なのであれば、
表面上「驕り」を見せないようにしているというのも有り得ますが、
かなりストレートな性格の者が多いことを考えると、
どうやら彼らは本気で自分の強さを誇ったり驕ったりする気持ちが無いようです。
もちろん戦える力が十分にあるという、自分の能力については冷静に把握しているのでしょうけれど、
どうも本質的には自分は弱い存在だという認識はあるようなのです。
だから「補い合う」という意識が彼らの戦いの根底にはあるようです。

どうしてこんなに強いのにマーベラス達は自分のことを弱いと思っているのだろうかと
ハカセは不思議に思いましたが、すぐにそれがどうしてなのか気付きました。
それは彼らが「海賊」だからです。

ハカセは自分が弱いからといって勝手にマーベラス達を無敵の強さを持つ勇者のように仰ぎ見ていましたが、
実際はマーベラス達は宇宙を支配する強大なザンギャックに逆らって、
常にギリギリの危機を潜り抜けて戦っているお尋ね者の海賊なのであり、明日をも知れぬピンチの連続なのです。
だから自分のことを「無敵」だとか「最強」だとか思えるわけがない。
強大なザンギャックに向かい合うと、自分の弱さばかり見えてしまう立場なのです。
それでも夢を掴むための旅を続けるためには勝っていかなければならない。
弱い者が強い相手に勝つためには、チームを組んで、足りないところを補い合って、助け合っていくしかない。

実際、ルカはザンギャック兵達に捕まって殺されそうになっていたところを
マーベラスとジョーに助けられて仲間に加わり、
ジョーはザンギャックの追手に殺されそうになっていたところをマーベラスに助けられて仲間になった。
マーベラスもザンギャックによって殺されかけていたところを
アカレッドによって助けられて生き延びることが出来た。
皆、絶体絶命のピンチに陥ったところを仲間に助けてもらったのが、
マーベラス一味へと足を踏み込んだ原点なのです。
そんな彼らが自分のことを無敵の強者だと思い上がったり、弱い仲間を見下したりするはずがない。
仲間のピンチを救うことを迷惑だと思うはずがない。

強大なザンギャックに逆らう宇宙海賊というと命知らずの荒くれ者たちだとハカセは思っていましたが、
マーベラス一味の場合は実際はそうではなかった。
彼らは本当はザンギャックに比べたら自分達は弱いということは分かっていながらも、
夢を掴むために必死で踏ん張って、足りないところを補い合って、
力を合わせて頑張っている人達だったのだとハカセは気付いたのです。

だから彼らは戦いの場でも一見は余裕の戦いをしているように見えるが、
その場その場で自分の出来ることに全力で取り組むことに慣れているから、
余裕があるように見えているだけなのであり、
本質的には仲間を助けるために自分の出来ることを全力でやっているだけなのです。

マーベラスとジョーの連係だって、あまりに余裕があるので遊び半分のように見えるが、
マーベラスはジョーを助けるために自分の剣を渡して銃だけでやれるところまで頑張り、
ジョーはマーベラスの渡してくれた武器を無駄にしないために全力で戦っているだけです。
マーベラスだってジョーが武器を渡したらきっと全力で自分の武器を使って敵を倒してくれると
信頼しているから渡しているのです。

そしてルカもハカセが危ないと思ったから、その場にあった剣を手にして全力で戦っただけのことだったのです。
ハカセを助けるためには今の自分が出来る全力は二刀流をワイヤーで操ることだと判断したから、
懸命にそれを実行しただけのことでした。
マーベラス達の言う「海賊」というのはそういう仲間なのだとハカセは気付き、
ルカが自分のことをそういう「補い合う仲間」だと信じて助けてくれたのだと知りました。

ハカセはその信頼に応えたいと思った。
自分もルカと補い合う仲間になりたい。
そのためには、ルカが自分を助けてくれたように、自分もルカを助けたりしなければいけない。
もちろんルカのようにスマートに助けることは出来ないが、
今のルカの話を聞いて、ハカセは自分にも少しは出来るような気がしてきたのでした。
何故なら、強大なザンギャックの前で自分の弱さを自覚しながら
夢や希望を掴むために懸命に意地を張って強い相手に立ち向かうマーベラス達の生き方は、
弱くても自分の希望だけは失いたくなくて意地を通して来た自分の生き方と似たところがあると
ハカセには思えたからです。

マーベラス達は弱くてもその場で出来ることをとにかく全力でやって仲間で補い合い助け合ってきた。
それが海賊の助け合いなのだ。
「出来ることを・・・やる・・・?」とハカセは、自分がルカを助けて、
補い合う仲間になるためにやるべきことを確認するように呟きます。

とにかく自分も今の自分が出来ることを全力でやればいい。
マーベラス達とは戦いの踏んだ場数も違うのだから、自分がマーベラス達のようにスマートに戦えるはずはない。
カッコ悪いであろうし、大して役に立たないかもしれない。
でもそんなことを気にして、引け目を感じて逃げていてはダメだ。
ルカは全力で自分を助けてくれたのだから、
自分も、どんなに弱くてカッコ悪くても、全力で出来ることをやらないといけない。
マーベラス達だって自分が弱いと思いながらも全力を出しているのだから、
自分だって弱いけど全力を出し惜しみしていてはダメだとハカセは思ったのでした。

そこにまたゴーミン達の群れが現れて、ハカセとルカのところに殺到してきます。
ルカは今度は2本の剣を双竜刀のように繋げて左手で担ぎ、ゴーミン達を蹴散らそうとしますが、
ハカセは思い切って「僕にも貸して!」と言って、ルカが右手に持っていたゴーカイガンを奪い取り、
自分のゴーカイガンと合わせて、片手に一丁ずつ持って駆けだします。

怖がって動けないように見えたハカセがいきなり大胆な行動に出たのでルカは
「ああ!?ちょっと・・・!」と驚きますが、
ハカセは傍にあるドラム缶や瓶などがたくさん積んである場所に行くと、
それらを押したり蹴ったりして、突っ込んでくるゴーミン達に目がけて転がしていき、
同時に二丁拳銃を「あああああ!!」と絶叫しながらムチャクチャに乱射して、ゴーミン達を撃ちまくります。

その銃弾はかなり狙いを外れましたが、ドラム缶の中に燃料が残っていたようで、
ハカセの銃弾がそれに命中して引火し、大爆発を起こし、
ハカセは爆風で「うああああ!?」と吹っ飛んでしまいます。
ところが、ひっくり返ったハカセが顔を上げてみると、ゴーミン達は爆発に巻き込まれて全滅していました。
ほとんどマグレに近い勝ち方のカッコ悪い戦い方でしたが、
それでもハカセが初めてザンギャック兵を倒したのです。

ハカセは尻もちをついたまま「・・・やったぁ!倒せた!」と歓喜し、
駆け寄ってきたルカを見上げて「こんなのもあり!?」と聞きます。
ルカはお腹を抱えて大笑いしてハカセの肩を叩き
「アッハハ・・・ありあり!やれば出来るじゃん!」とハカセを引き起こします。
そこにマーベラスもやって来て「いいぞハカセ!」と褒め、
ジョーも「二丁拳銃・・・やるじゃないか!」とハカセの戦い方を認めます。
形なんか多少は変でも、ハカセが海賊らしく仲間のために全力を尽くして戦ったことが分かりますから、
皆、嬉しかったのです。

ここで回想シーンは終わり、場面は現在のガレオンの船室に戻ります。
ハカセはナビィに引っ叩かれて、初めて戦った時のことを言われ、この初陣の時のことを想い出したのでした。
そして、初めて戦った時の自分は、自分が仲間を助けるために出来ることがあれば、
とにかく全力を尽くすことが海賊の戦い方だと思って戦っていたことを思い出しました。
あの時、マーベラス達はそうしたハカセの戦う姿勢を喜んで受け入れてくれました。
それでハカセもようやく心から海賊の仲間になれたのです。

ナビィに張り飛ばされて倒れ込んだ船長椅子に座ったまま
「僕・・・すごく嬉しくなっちゃってさ!・・・最初は無理矢理だったけど、
自分も海賊なんだなぁって思えてきて・・・この船でみんなとず〜っと一緒に旅を続けていきたいって思ったんだ!」
とハカセはあの時の出来事や心境を笑顔で思い返して、ナビィに語ります。

そして、あの時からマーベラス達はハカセがどんなにカッコ悪くて弱っちくても、
仲間のために全力で何かをしようとする限りは決してバカにせず認めてくれていたことをハカセは想い出しました。
だから、今も自分を卑下して諦めちゃダメだとハカセは思いました。

確かに今の自分は最低です。
皆が自分をバカにしていると勘違いして伝説の勇者のフリをして皆を騙した。
実際は皆は弱っちい自分のことをバカになどしていなかった。
みんな、伝説の勇者なんかじゃない、弱い者同士が補い合って支え合ってこその仲間だったのに、
その皆の信頼を疑って、こともあろうに伝説の勇者などとウソをついて1人で優越感に浸ろうとしたのですから、
ハカセの行為は確かに海賊として最低でした。
だから、こんな最低のみっともないウソつきの自分にマーベラスを助けることなど出来ないと思って、
ハカセは落ち込んでしまっていました。

しかし、それではいけないのです。
どんなにみっとなくて最低のウソつきでも、それでも仲間を助けるために全力を尽くそうとする限りは、
海賊の仲間なのであり、共に夢を掴む旅を続ける仲間なのだと認められる、
それがマーベラス一味という海賊なのです。
自分のカッコ良さとか体裁とか、そんなものにはこだわらず、
今、自分がマーベラスを助けるために出来る戦い方を全力で探すべきなのだ、
その姿勢を捨てない限り、たとえジョー達が死んでしまったとしても、
マーベラス一味の仲間の旅はまだ終わらないのだとハカセは思い直したのでした。

そんなハカセを見て「ハカセ・・・」とナビィは悲しげな声を出します。
ハカセが仲間を大切に想って全力を尽くす気持ちを想い出してくれたのは嬉しいが、
4人も仲間を失ったハカセには、仲間を想う気持ちが強いほど、それは辛いことであろうと思ったのでした。

ハカセはそれでも懸命に今の自分がダマラスを倒してマーベラスを助けるために出来る戦い方を
頭の中で探しましたが、やはりあの宇宙最強のダマラスの強さを自分が打ち破る方法は見つけられません。
しかし、このままずっと悩んでいるわけにもいかない。
マーベラスの処刑は刻一刻と迫っているのです。
すぐにでも処刑現場に駆けつけなければいけないが、このままでは何の策も無いまま突っ込むしかない。
それでも全力は尽くしたことにはなるだろうが、ハッキリ言って勝算は無く、
マーベラスを助け出せない結果に終わることは明白でした。

ハカセはそれでもこのままでは何の策も無いまま行くしかないと思い、悔しそうに
「でも・・・僕一人じゃ、何も出来そうにないや・・・」と言いながら、
ソファの横にテーブルの上に置いたマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルを見て、
腰かけた船長椅子の肘掛をぎゅっと握り締めます。

探してはみたものの結局は自分1人しかいない状況では
何もダマラスを倒すために出来ること自体が見つけられない。
やはりここで旅は終わってしまうのかとハカセが悲観したその時、
ふと、マーベラスがハカセ加入時にこの船長椅子に座ったハカセに向かって言った
「心配すんな!出来ねぇことはしなくていい!」という言葉がハカセの脳裏をよぎりました。
それは今の状況に対してマーベラスが励ましてくれているようにハカセには思えました。
そうだ、ダマラスを倒すことが出来ないのなら、わざわざ出来ないことをする必要はない。
しかし、ならばどうすればいい?

すると続いてルカの「出来る奴が出来ることを全力でやって、補い合えばいいの!」という
ハカセの初陣の時の言葉がハカセの頭の中に再び響きます。
そう、出来ることを全力でやればいいのです。
更にダメ押しするようにマーベラスが船長椅子のハカセに向かって言った
「出来ることだけやってくれ!」という言葉がハカセの胸に響きます。

あの時と同じように船長椅子に座ったまま、
ハカセは目の前にマーベラスが立っているかのように虚空を見つめたまま、
「僕の・・・出来ること・・・!」と呟きました。
あの時、マーベラスが「出来ることだけやってくれ」と言った時の自分は、まだ海賊ではなかった。
まだ戦うことは出来なかった。
その自分に向かってマーベラスは「出来ることだけやってくれればいい」と言って仲間にしたのです。
ルカにしても、まだ戦うことの出来なかった自分のことを仲間として扱い、
出来ることを全力でやればいいと言ってくれたのです。
そのことにハカセは気付きました。

海賊だからもちろん戦うものだと彼らは無邪気に思っており、
ハカセが戦い始めたことを彼らは無邪気に喜んでくれたが、
もし仮にあのままハカセがずっと戦えないままだったとしても、
彼らはハカセを仲間としてずっと認めてくれていたはずです。

つまり、マーベラス達がハカセを仲間に加えたいと思った理由は、
ハカセが仲間を助けるために全力で戦えるヤツだと認めたからというだけではなく、
それも含んだもっと広い意味であったのです。

ルカに騙されて結んだ約束をザンギャックに睨まれることを承知で、
それでも約束を履行しようとしてガレオンまでやって来た、
あの、どんな困難にも屈せずに全力で約束を守るヤツ、裏切らないヤツ、嘘はつかないヤツだということをもって、
マーベラス達はハカセを海賊の仲間に相応しいと認めたのです。

そうだったのだとハカセは気付き、
自分はそのマーベラス達が認めた自分である限りは、海賊なのだと悟りました。
そして、マーベラス達が求めた自分の「出来ること」はそれなのだと理解しました。
ならば今のこの状況でも、自分はその「出来ること」をやればいい。
それは自分には出来ないことがハッキリしている、ダマラスを倒すために戦うことではなく、
マーベラス一味に加入する前の自分にでも出来たことです。

それは嘘の約束でも履行してしまうような律儀さ・・・と考えた時、
ハカセの頭に電光のようにある作戦が閃いたのでした。
しかし、それはあまりに危険な作戦でもあります。
ハカセは肘掛を掴んだ掌を更にギュッと強く握り締め、一瞬躊躇しますが、
かつてザンギャックに睨まれるのを承知で、怖かったけど、それでも約束を破りたくなく、
嘘つきになりたくなくてガレオンにやって来た勇気を想い返し、
「・・・僕やるよ!・・・」と顔を上げて決意の表情でナビィに言います。
そして、「みんなについちゃった嘘・・・真実に変えてみせる!」と力強く宣言したのでした。

つまり、ハカセは、かつて大きな困難や恐怖を乗り越えて嘘の約束を履行して真実の約束に変えてしまい、
それで海賊になった自分なら、
海賊であり続ける限りは、自分のついた嘘も嘘のままにしておいて良いはずはない。
嘘も真実に変えてしまわねばならないし、
どんな困難や恐怖に立ち向かってもそれは出来るはずだと思ったのです。
いや、正確にはそれが出来る自分ならば可能な作戦があることに気付いたのです。
それこそが真のハカセが「出来ること」でした。
その作戦ならばマーベラスを助けることが出来るかもしれない。
いや、絶対に成功させてみせると強く決意して、ハカセは立ち上がり、
「この僕たちの旅は、絶対に終わらせない!!」と凛々しく言い放ったのでした。

しかし、このハカセの言う「みんなについちゃった嘘」とは、「自分が伝説の勇者であった」という嘘のことです。
この嘘を真実に変えるということは、ハカセは伝説の勇者になるということです。
しかしハカセはもちろん伝説の勇者ではないわけで、
しかもこんな「伝説の勇者」的な存在は海賊の戦い方のポリシーとは相反するものです。
それなのに伝説の勇者になるとは、いったいハカセは何をするつもりなのか?

さて、ここで少しここの場面で登場したハカセの回想シーンに関連して考察の整理をしておきたいと思います。
今回、ハカセの初陣の回想シーンが出てきましたが、
まず、この回想シーンが変身しての戦闘シーンとなっていて、
時系列的にはこの少し後に位置すると推測される第41話のアイム加入時の回想シーンで、
再び変身しない素面での戦闘シーンに戻っており、
しかも再びハカセが役立たずに戻っているという点を整理しておかないといけません。

これは第41話も今回の第43話も同じ荒川氏の脚本であり、しかもごく近接したエピソード同士であるので、
設定の変更などによって生じた描写の矛盾やケアレスミスであるとは考えられず、
ちゃんと辻褄は合っているはずです。

そういう前提で考察してみると、
今回の回想シーンはハカセを戦場に連れ出すために特別に変身状態で出向いたのであり、
ここでマグレ的にゴーミン集団を撃破したハカセだったが、
やはりその後、素面状態でザンギャック部隊と遭遇したりすると、
まだビビってしまって逃げ回るような場面も多かったと考えれば自然だと思います。
そういうハカセのまだ戦い慣れしていない状態の一場面が
第41話のアイムとの出会いの場面の回想シーンだったのだと思います。

今回の回想シーンで海賊としての戦い方に目覚めたハカセではありますが、
もともと戦い慣れしていないハカセだけに、完全に恐怖心を克服するには、
まだ多くの時間と紆余曲折が必要だったのだと思います。

そして、もう1つ整理しておかなければいけないのが、第32話の回想シーンとの関係です。
第32話で一瞬、ハカセの回想シーンがありました。
その場面では、マーベラス一味はアイムも加わった5人編成で、場所は地球ではない何処かの星のようであり、
つまり時系列的には第41話のアイム加入の回想シーンよりも後で、
第1話のマーベラス達が地球にやって来る場面よりも前ぐらいの場面です。

そこでは素面状態の5人が追い詰められたような状態で、
1人だけ動ける状態っぽいハカセにマーベラスがゴーカイガンを意味深な顔で託して、
ハカセが決意の表情で二丁拳銃を乱射して敵に突っ込んで行くという短いシーンでした。
敵の姿を映っておらず状況が分かりにくい回想シーンでしたが、
第32話の時点の考察では、前後の現在における場面との関連などから類推して、
これがハカセの初陣シーンなのだろうと考察しておきました。

しかし、今回の回想シーンが明確にハカセの初陣シーンだと確定してしまったので、
第32話のあのシーンはハカセの初陣シーンではなかったということになりました。
しかし、あそこで意味ありげにハカセが回想していたことや、
あの回想シーンの中でのマーベラス一味の面々の態度が尋常ではないことからも、
あの場面にはあの場面なりの深い意味はあるのでしょう。

また、あの第32話の時点の考察では、
ハカセはもともとは非戦闘要員としてマーベラス一味に加入しており、
その第32話の回想シーンの戦闘でハカセは皆が戦闘不能になった状態で
やむなく初陣を飾ったのではないかと考察していました。

このハカセの一味内での立ち位置については、半ば的中で半ば外れというところでしょうか。
前回から今回にかけての回想シーンを総合すると、
ハカセは決して非戦闘要員として加入したわけではないが、
今回の回想シーンの初陣後も、意識的には海賊として覚醒はしていたものの、
それでも戦い慣れしておらず、もともと温厚な性格であるという点は如何ともしがたく、
暫くの間は、特に素面ではあまり戦力にはなっていない状態が続いていたと思えるからです。

そう考えると、第32話の素面でのハカセの振り切ったように二丁拳銃を撃ちまくるシーンというのは、
その暫く続いていたハカセの半ば戦力外状態の終わりなのではないかと思えます。
それまでもそこそこは戦ったり状況によって戦えなかったりしていたハカセが、
アイム加入後のとある星での戦闘で、自分以外の皆が負傷してしまって
自分が1人で戦わなければ仲間が助からない状況に追い込まれて、
素面状態で勇気を振り絞って戦いを決意したのがあの場面なのでしょう。

今回の回想シーンで海賊としての戦う姿勢に目覚めたハカセが、
紆余曲折を経て、仲間を助けるために戦える自分というものにようやく完全に自信を持つようになり、
戦いへの恐怖心をひとまず克服した節目が第32話の回想シーンなのであり、
それ以降はハカセは第1話以降のようにひとまずは普通に戦うことが出来るようになったのでしょう。

そして、あの第32話の回想シーンの重要なポイントは、
マーベラスがハカセにゴーカイガンを渡してハカセが二丁拳銃で戦ったことです。
あの意味深な描写を受けて、第32話の考察においては、
あれがマーベラス一味における初めての武器交換なのだろうと推測しました。

しかし今回の回想シーンで、
既にハカセ加入時点でマーベラス達は武器交換をしながら戦っていたことが判明してしまい、
第32話のその部分の考察は的外れだったということになりました。

ただ、あの第32話の回想シーンでマーベラスがハカセに銃を渡す場面で
マーベラスもハカセも何か感慨深くしていたのは事実であり、
そうなると、マーベラスは確かに以前から戦闘時に他の仲間と武器交換はしていたが、
ハカセとマーベラスの武器交換はあの時が初めてだったのではないかと思えてきます。

つまり、まだあの時点以前ではマーベラスはハカセに武器を渡すよりも
自分が武器を持って戦った方が仲間のためにも有意義だと思っていたのでしょう。
他の仲間は普通にハカセとも武器交換もしていたのでしょうけれど、
マーベラスだけは船長としての責任感もあって、皆のために最良の戦い方を選ぶ傾向が強く、
そのためそういう判断となっていたのでしょう。
つまり、マーベラスはまだハカセの心意気はともかく、実力は十分なものとは認めていなかった。

そのマーベラスが第32話の回想シーンで初めてハカセに自分のゴーカイガンを渡したのでしょう。
マーベラス自身どうやら戦闘不能状態になっていたっぽいですが、
とにかく他の者にハカセに銃を貸すように指示したのではなく、
わざわざマーベラス自身の武器をマーベラスがハカセに貸したというのは、
マーベラスがハカセを信頼してハカセに命を預けたという意思表示であり、
それを受けてハカセは恐怖心を乗り越えて1人で戦うために立ち上がることが出来た。
そういう場面だったのではないかと思います。

そして、その戦いにおいてハカセは1人で戦って実力以上の力を発揮して危機を突破することに成功し、
その経験を通して、ハカセもマーベラス達も、
仲間の力を1つに合せれば、より大きな力を生み出すことが出来るということを改めて実感したのだといえます。
こうして、いくらか読み違いはあったものの、
解釈し直した第32話の回想シーンも、ちゃんと第32話のテーマには繋がっていくのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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2011年12月30日

第43話「伝説の勇者に」感想その4

さて、マーベラスの公開処刑場では、ダマラスによる先だっての処刑予告からしばしの時間が経過して、
遂に処刑の執行の時間となりました。
マーベラスの架けられた十字架の脇に立つ2人のドゴーミンに対して、
ダマラスは待ちかねたように「よし、始めろ!」と処刑執行を命じます。
すると、十字架上のマーベラスが「おい・・・忘れてねぇか?」と口を開きました。
マーベラスはダマラスを睨んで「・・・俺の仲間にはまだ・・・1人すげぇヤツが残ってる・・・!」と、
ゆっくりと落ち着いた薄笑いを浮かべて言います。
それはつまりハカセのことでした。

これは確かにマーベラスの本心です。
マーベラスはハカセの、どんなに困難な事態でも決して約束を破らない粘り強さに惚れ込んで
仲間に誘ったのですから、ハカセがこのまま夢を掴む旅を終わらせるはずがないと信じています。
だから、ハカセはきっと何か策を練って自分を助けに来るはずだと思っていました。
それに、もし万が一、自分がここで死んだとしても、ハカセ1人残っていれば、
きっと「宇宙最大のお宝」を掴む旅を引き継いでくれるはずだとも思っています。
そういう意味で、確かにマーベラスから見てハカセは凄いヤツでした。

ただ、ここでそれをあえてダマラスに向かって言ったのには、別の意味があります。
「宇宙最大のお宝」を狙うバスコの存在がある以上、このままではハカセに危害が及ぶ恐れが大きい。
そう思うと、やはりマーベラスはここで絶対に死ぬわけにはいかない。
生き残ってバスコの企みは阻止しなければならない。
だからマーベラスなりに知恵を絞ってダマラスを挑発して死刑執行を中止させようと画策しているのです。

自分の仲間には凄いヤツがまだ残っており、そいつを倒さない限り、マーベラス一味を倒したことにはならない。
そいつを倒すためには自分は人質として使えるのだから、ここで殺してしまったらお前は損をするぞ、と
マーベラスはダマラスの心を動揺させようとしているのです。
死刑を中止までは出来なくても、少しでもダマラスやアクドス・ギルを迷わせて時間を稼ぐことが出来れば、
ハカセが救出に来るという読みもありました。

しかし、ダマラスは「まさかあの軟弱な金髪のことか?」と、ハカセのことを思い出し、
「フフッ・・・ハハッ!クハッハッハッ!・・・笑いしか起きぬわ!」と嘲笑います。
さっきの戦いの場で、確かにハカセはダマラスの攻撃を喰らって腰を抜かしたりしていましたが、
それでもマーベラスのピンチを救うために何度も身を挺していました。
相手が自分よりも遥かに強いことが分かった上で、それでも必死で立ち向かってきたのです。
だから決してハカセは軟弱ではない。
しかし、ダマラスにはそうしたハカセが軟弱に見えるようです。

単に賞金額が安い小者だから、単に自分よりも遥かに弱いから、
それだけの理由でダマラスはハカセを全く無価値な存在だと見下して嘲笑い、
どうせ生きていても何も出来ない虫ケラだから、殺す価値も無いと思い、無視したのです。
だからダマラスはハカセを完全に警戒の対象外としており、
マーベラスの挑発は不発に終わってしまいました。

無駄話は無視してダマラスは「やれ!」とドゴーミンに再度命じ、
ドゴーミン2人は槍を突き出し、マーベラスの顔の前でその穂先を交差させます。
マーベラスはさすがに策は尽き果て、やはり自分はここまでだと観念し、
アカレッドが自分に旅の続きを託したように、自分も旅の続きはハカセに託すしかないと思い、
覚悟を決めて目を閉じます。

そのマーベラスの身体に向けて2人のドゴーミンが槍を突き立てようとして振り上げた瞬間、
静寂を破って銃声が轟き、ドゴーミン達が吹っ飛ばされたのでした。
「何事だぁ!?」というダマラスの怒号に我に返ったマーベラスが目を開き、驚いて前を見ると、
マーベラスの架かった十字架を見上げる広場を警備するゴーミン達がざわめく中を、
悠然と1人のコートを着た男が歩いてきます。
よく見ると、それはマーベラスと同じデザインの船長用のコートの緑色のものを羽織ったハカセでした。

「ハカセ!?」とマーベラスは驚愕します。
「うう!?」とダマラスも驚き、その少し離れた場所で見ていたバスコも、
「・・・これはまた予想外な・・・!?」と、さすがに意表をつかれた表情をしています。
ダマラスはさっき全く歯牙にもかけず嘲笑ったばかりのハカセが現れたので、やや決まりが悪く狼狽えています。
バスコもまさか臆病者のハカセがここに現れるとは思っていなかったようです。
バスコの場合、仲間の絆などというものは軽視したヤツですから、
ハカセが勝ち目も無いのにこんな場所に来るはずがないと思っていました。

しかしマーベラスの驚きはダマラスやバスコの驚きとは少し違います。
マーベラスはハカセが自分を助けに来るだろうとは思っていました。
しかし、ハカセのことだから何か仕掛けをして搦め手から攻めてくるだろうと思っていたのです。
それがこんな真正面から堂々と来たということがマーベラスには実に意外であり、驚きだったのです。
だが、何にせよ間一髪、ハカセはマーベラスの処刑前に間に合ったのであり、
さっきマーベラスがダマラスに挑発を仕掛けた時間も決して無駄にはならなかったわけです。

そのハカセですが、この緑色のコートはいったい何なのか?
見たところマーベラスの着ている赤コートと同じデザインの色違いのようですが、
まさか今回急造したとも思えず、もともとガレオンに置いてあったものなのでしょう。
となると、あるいは緑色だけではなく、ガレオンには同じデザインの海賊コートの
青色、黄色、桃色、銀色の各バージョンも置いてあるのかもしれません。
本当はゴーカイジャーにはああいういかにも海賊風のハーフコートのユニホームが各色あるが、
マーベラス以外は普段は着ていないのかもしれません。
つまり普段は着ない海賊の正装で、いかにも強そうな海賊っぽく見せるためにハカセは着てきたようです。

そうしてゴーカイサーベルを肩に担いで、もう片方の手で発砲後のゴーカイガンをクルクルッと回す仕草や姿勢は、
まるでマーベラスの真似をしているようです。
ハカセの意図はよく分からないものの、やけにハカセが自信満々の態度であるので、
マーベラスは「・・・カッコつけやがって!」と苦笑します。

そのハカセは確かにやけに自信満々で、
「ゴーカイジャーが6人いるってことを忘れたのか?ダマラス!」と不敵な笑いを浮かべて言い放ちます。
こういう快活で不遜な感じは、やはりどうもマーベラスを意識しているように見えます。
ところがハカセはここから奇妙にも、ゴーカイサーベルを片手で握って颯爽と前に突き出し
「僕こそ伝説の勇者!ドン・ドッゴイヤーだ!宇宙の悪はこの手で退治してやる!」と宣言してニヤリと笑うという、
不可解なパフォーマンスに出ます。

このハカセの姿に伝説の勇者ドン・ドッゴイヤーの姿が
例のレジェンド回のオーバーラップ演出の如く重なるという演出までなされ、
まるでハカセの正体が本当に伝説の勇者であったかのような場面です。
しかし伝説の勇者はハカセが作った偽記事の中にしか存在しない完全に架空のキャラですから、
ハカセが実は伝説の勇者だったなどということは有り得ない。
となると、ハカセは自分の作った架空キャラの伝説の勇者になりきって戦おうとしているということになります。
ハカセがさっきナビィに言っていた「嘘を真実に変えてみせる」というのは、
つまり今から伝説の勇者となって戦うという意味であったということなのか?

しかしハカセには伝説の勇者としての無敵のパワーなどは無いのですから、
1人でダマラスに勝てるはずもない。
いや、仮にハカセが本当に伝説の勇者であったとしても、
宇宙最強といわれるダマラスに勝てる保証など無いのです。

するとハカセはダマラスに負ける可能性が高い。
もしハカセが負けてしまうならば、ハカセはさっきナビィに宣言したように
伝説の勇者であるという嘘を真実に変えることが出来るのか?
勝たなければ、結局は勇者であったというのは嘘だったということになるのかというと、
それがそうでもない。
そこらのゴーミン相手に負けてしまうようではお話にならないが、
宇宙最強のダマラスに負ける分には、伝説の勇者として戦えば、
それは伝説の勇者の敗北としてカッコはつきます。

ただ、ハカセは「僕たちの旅を終わらせない」にもナビィに宣言していますから、
負けてマーベラスを助け出せないのなら、やはり目的達成とはいかない。
つまりハカセはナビィへの宣言を履行するためには伝説の勇者としてダマラスと戦って、
なおかつ勝利しなければいけない。
しかし本当は伝説の勇者などではないハカセには到底そんなことは無理であるように見えます。
結局はハカセの行動は無謀な突撃にしか見えない。

ただ、しいて策があるとするなら、伝説の勇者というハッタリをかますことで
ダマラスを怯ませて何らかの状況変化を生み出すということです。
確かに、伝説の勇者が完全にハカセの創作した架空ヒーローだということを知っているのは
ハカセとナビィだけですから、
ハカセがあくまで自分が伝説の勇者だと言い張るのなら、この場に居る者達は、
もしかしたら本当にハカセは伝説の勇者なのかもしれないと思ってくれるかもしれない。
そうすればもしかしたらハカセを警戒してこの場は退いてくれるかもしれない。

つまり、嘘話に過ぎない伝説の勇者になりきってハッタリを押し通して、
それを真実であるかのように思わせてしまおうというのがハカセの策であり、
それが「嘘を真実に変える」ということと「旅を終わらせない」という両方を叶える方法のように思えます。

しかしダマラスもハカセが伝説の勇者だなどと名乗ったからといって、
そんなことで全く脅威は感じていません。
相手が伝説の勇者だろうが何だろうが、自分こそ宇宙最強と自負しているダマラスには
危機感を覚えさせる効果は無いのです。
いや、そもそもダマラスはハカセのことは完全に弱っちい奴だと舐めきっていますので、
ハカセが伝説の勇者だなどと言われても、そんなことがあるはずがないと決めつけており、
ハカセのハッタリを全く信じていません。
ダマラスはハカセを見下ろして「・・・せっかく見逃してやったものを!貴様ごときに何が出来る!?」と、
全くハカセのハッタリに動じることなく、ハカセのことを小者扱いしたままです。

ハッタリ作戦はダマラスには通じていない。
それは明白であるのですが、それでもハカセはキッとダマラスを睨み返して
「出来ることが出来るんだ!!」と怒鳴り返します。
ハカセの意思も全く揺らいではいません。
「出来ることをやってくれ」というマーベラスの言葉に応えたかのようなハカセのセリフです。

ハカセが今の自分に出来ることは何なのかと考えた時、
仲間に自分が伝説の勇者だったのだという嘘をついて騙していたことを思い出し、
自分には嘘をつくことが出来ると思い至ったのでしょう。
戦ってダマラスを倒すことは出来ないが、とことん嘘を真実であるかのように貫き通して、
騙しとおしてハッタリをかませば、ダマラスを迷わせ状況を動かすことが出来る。
それが今の自分に出来ることであり、それをとにかく全力でやるのみだと、
ハカセの意思は固まっているように見えます。

しかしダマラスにはそんなハッタリすら届いていないので、
ハカセの行動は無謀な玉砕戦法にしか見えない。
「やれ!」と冷たくゴーミン達に指令を発してハカセを血祭りに上げようとします。
そして同時にマーベラスの処刑を執行してしまうことも可能でしたが、
ダマラスはあえてマーベラスの処刑を執行せず、
ハカセが血祭りに上げられるのをマーベラスに見せてやろうとしました。

それはマーベラスの公開処刑を見せつけることで地球人たちに絶望感を植え付けるためには、
処刑の中継は厳粛な空気の中で行われなければならないのであって、
ハカセとゴーミン達が戦っている喧騒の中で処刑を執行するわけにはいかないからでした。
まずはハカセを片付けてからマーベラスの処刑という段取りにならざるを得ない。
それに、ダマラスがマーベラスに対する個人的憎悪が強すぎたゆえ、
目の前で自分を助けに来た仲間が無残に殺される姿を見せつけてマーベラスに深い絶望感を与えて、
その後でマーベラスを殺してやりたいとも思ったのでした。

こうして十字架に磔になったマーベラスとダマラスが見下ろす広場で、
ハカセとゴーミン軍団との戦いが始まりました。
なお、このシーン、やたら渋いボーカル曲がBGMでかかっていますが、
「海賊(つわもの)たち 〜宇宙海賊のテーマ〜」という宮内タカユキ氏の唄う劇中挿入歌でした。
なんとも普段のハカセとはイメージの違う渋い男臭い曲です。

ハカセは「はっ!はっ!」と剣を振るい、銃を撃ちまくり、
時にはハカセらしいトリッキーなアクションも交えつつ、ゴーミン達の群れを突き抜けて、
マーベラスの十字架目がけて突き進んでいきます。
ここのアクション、生身でやってるんですが、大したものです。

だが、とにかくゴーミンの数が今回は非常に多く、
ハカセ1人で一直線に突破するのは、さすがに困難です。
それは明白なのですが、ハカセとしてもここは伝説の勇者になりきらねばならない場面ですから、
いつものように怯えて逃げ回ったりするような妙な動きを見せるわけにはいかない。
正面突破しかないのです。

すると案の定、ゴーミンの分厚い群れにハカセの突進は止められて、
ハカセは脚をとられて「おああああ!?」とひっくり返され、大きく宙を舞います。
そして広場に置いてあるテーブルに激突して地面に落下しますが、
すぐさまゴーカイガンで反撃、周囲のゴーミン達を蹴散らします。
が、更にその外を包囲したゴーミン達が銃撃してくる中、
ハカセは「豪快チェンジ!」とゴーカイグリーンに変身し、「あああああ!!」と突撃を再開、
またマーベラスの十字架目がけて中央突破を試みます。

これでまた奮戦していくらか進みますが、結局またゴーミンの群れに阻まれて
「うわあああ!」と吹っ飛び、段ボール箱の山に落下したハカセは
今度はギンガグリーンに豪快チェンジして、迫ってくるゴーミンの群れに突っ込み、
見事なアニマルアクションでゴーミン達を薙ぎ倒していきます。

あくまで諦めないハカセの素晴らしい敢闘精神ですが、
それを見下ろしてダマラスは「フン・・・!」と鼻で笑います。
ダマラスから見れば、確かにハカセは小者の割には予想外に頑張っているようだとは思えましたが、
それでもまだまだゴーミンの包囲網は分厚く、今にハカセの力は尽きるはずだと見ていたのです。

一方、十字架上のマーベラスにもハカセの意図はよく分からず
「ハカセ・・・どうするつもりだ・・・?」と困惑します。
このまま1人で真っ直ぐ突っ込んできてゴーミンの群れを突破するのは難しそうであるし、
もしそれを突破出来たとしても、まだドゴーミンもダマラスも、そしてバスコまでこの場には居るのです。
どう考えてもハカセ1人で何とかなるとは思えない。
ハカセのことだから何か策があるのだろうとは思いましたが、
ハカセの戦いぶりがいつもでは考えられないぐらいに素晴らしいので、
逆に、何だか大真面目に正面突破を図っているようにも見えてマーベラスは不安が募りました。
確かに今回のハカセは素晴らしく動きがいいが、
この程度ではダマラスやバスコには通じないということは、マーベラスにはよく分かるからです。

しかも更に不可解だったのは、ハカセが口走った「伝説の勇者」というフレーズでした。
あれはどう考えてもハカセの嘘話だろうとマーベラスは思っていましたから、
完全にハッタリだということは分かりました。
あるいはハッタリでダマラスをビビらせようという作戦かもしれないともマーベラスは思いましたが、
ダマラスにそんなハッタリが通用するとは到底思えない。
そんな程度の事もハカセは読めないのかと思い、
マーベラスはハカセの状態が普通ではないのではないかと心配になります。

しかしハカセはマーベラスの心配をよそに「豪快チェンジ!」と、今度はマジグリーンに変身し、
「ジー・マジカ!」とエレメントパワーの強化呪文を唱えて、
地面から植物を伸ばしてコンクリートを割って突き出した蔦でゴーミン達の足を縛り、
身動き出来なくするグリーンバインドという魔法技を使います。
これで動けなくなったゴーミン達をハカセはマジスティックアックスで薙ぎ倒していきます。
非常に上手い戦い方です。

さて今回のハカセの豪快チェンジのコンセプトですが、
今回はハカセはいつものようなミソッカスではなく、頼り甲斐のあるキャラというスタンスですから、
歴代のグリーン戦士の中でもチーム内の年長のリーダー的ポジションだった戦士をチョイスした
豪快チェンジになっているようです。

ギンガグリーンのハヤテはギンガマンのサブリーダーでしたが、
リーダーのリョウマが当初は未熟者だったので、
当初は実質的にギンガマンを冷静にまとめていたのはハヤテでした。
そしてマジグリーンの小津蒔人はマジレンジャー小津兄妹の長男で、マジレンジャーのリーダーでした。

また、なんといっても今回はハカセは「伝説の勇者」になりきって戦っていますから、
「伝説の勇者」繋がりでギンガグリーンとマジグリーンが選ばれたのでしょう。
ギンガマンは言うまでもなく、3000年前に地球を守った伝説の勇者たちの後継者である伝説の戦士たちであり、
マジレンジャーは強化形態としてマジトピアに伝わる伝説の戦士である
レジェンド・マジレンジャーに変身することが出来ます。

さて、見事な戦いぶりを見せるハカセですが、
だからといってハカセが伝説の勇者だなどというハッタリは、この場にいる誰ひとり信じてはいません。
だから誰もハカセに恐れをなすわけでもなく、じわじわと包囲網は狭まっていきます。

しかしダマラスの方も次第にじりじりとしてきて「うう・・・」と呻きます。
予想以上にハカセを片付けるのに手間がかかりすぎていたのです。
ダマラスはハカセを取るに足りない小者と舐めきっていたので、
あっという間にハカセを血祭りに上げてマーベラスを絶望のドン底に突き落とし、
そのまま一気に公開処刑を執行しようとしていました。
しかし、皇帝アクドス・ギルの定めた公開処刑の予定時間はかなり過ぎてしまいました。
ダマラスは皇帝に見損なわれるのを恐れてイライラしてきました。
それに、あまりにハカセが健闘してしまっては、
たとえハカセを倒してもマーベラスに大した絶望感を与えられない。

どうも目算が狂ってきたことにダマラスは苛立ちます。
そもそもハカセが現れたところからダマラスの予想外の出来事なのです。
そこからどうにも目算が狂ってきている。
どうして弱っちいクセにハカセは無謀な戦いを挑んできたのか?
弱いヤツは怯えて隠れていればいいものを、余計なマネをしてくれたものだと
ダマラスはイライラしてきました。

すると、そこに横からバスコが
「これは意表を突かれたね!・・・何か策でもあるかと思ったら、真面目に正面突破する気みたいよ?」と、
ダマラスの焦燥を見透かして揶揄するように声をかけてきました。
確かにダマラスはハカセの行動に意表を突かれっぱなしでした。
ハカセのハッタリ作戦は奏功していないように見えますが、
それでもダマラスのさっさと公開処刑をしてしまおうとしていた作戦は
ハカセの行動によって阻まれてしまっています。
つまり、ダマラスの策はハカセの策に負けている。
やはりダマラスは軍師としては所詮は三流なのです。
バスコはそこを揶揄している。

同時にハカセの無謀無策な正面突破もバスコは揶揄していますが、
内心ではバスコは本当にハカセが無策なのか疑わしいとは思っています。
ただ、よく分からない。
見た感じ、やはり無策な正面突破のように思える。
ただ、ハカセの意図はともかく、バスコとしては
この「ハカセが正面突破を図っているように見える」状況は利用できると思ったのです。

ダマラスの頭の悪さを揶揄しておいて、ハカセが正面突破を図っているようだと伝えれば、
ダマラスはきっと激昂して下に降りてハカセを斬るはずだとバスコは思ったのでした。
何故なら、ハカセが大真面目に正面突破を図っているということは、ダマラスを舐めているということだからです。
ハカセが本当にダマラスを舐めているのか、それとも何か策があるのか、
そんなことはバスコにはどうでもよかった。
とにかくハカセがダマラスを舐めて正面突破を図っているようだとダマラスに吹き込めば、
ハカセのことを見下しているダマラスはきっとプライドを傷つけられて激昂するに決まっている。
その前に軍師としての無能ぶりを揶揄してやれば、
ますますダマラスは自分の剣で事態の収拾を図ろうとするに違いない。
そうしてダマラスを煽ってハカセを斬りに行かせれば、ハカセは斬られて死ぬかもしれないが、
その間に自分はマーベラスを十字架から解放することが出来るとバスコは思ったのです。

自分に対して殺意満々のマーベラスを解放することはバスコにも危険なことでしたが、
この周囲敵だらけの状況ではマーベラスも自分自身を守って逃げることを優先せざるを得ないだろうし、
それにまだバスコには隠し玉がありました。
とにかく今マーベラスに死なれてしまっては困るので、
バスコは何とかしてマーベラスの処刑を阻止してマーベラスを逃がすチャンスを窺っていたのですが、
予想外に現れたハカセが上手くそのチャンスを作ってくれた。
バスコはハカセの作った混乱を上手く利用することにしたのでした。

一方、十字架上のマーベラスは十字架脇でのバスコとダマラスの遣り取りを聞いて、危機感を覚えました。
今までハカセの相手がゴーミンだけに限定されていたのは、
ダマラスがまだハカセに何か策があるのではないかと警戒しているからだとマーベラスは解釈していました。
それでダマラスが用心して十字架脇から離れないから、まだハカセは無事でいられる。
ところがハカセに何の策も無いことをバスコに見抜かれてしまった。
ハカセに策が無いことを知れば、ダマラスはすぐにでも下の広場に降りてハカセを斬り捨てるだろう。
そう思ったマーベラスはハカセに危険を知らせなければいけないと思い、
「ハカセ!!いくらなんでも1人で正面から突っ込むのは無茶だ!!」と大声で叫びます。

ところが下でゴーミン達と戦いながらそれを聞いたハカセは
「何言ってるの!僕は6人の海賊の中でも伝説の勇者!ドン・ドッゴイヤーだよ!」とヘラヘラ笑って余裕綽々です。
あくまでハカセは伝説の勇者だというハッタリを押し通すつもりであるようです。
それを聞いてマーベラスは、まだそんなハッタリが通じるとでも思っているのかと
ハカセに対して呆れ果て、思わずハカセに対してイラッとします。
身体が自由に動けるものならハカセの傍に行ってぶん殴ってやりたい衝動にかられたマーベラスは、
ハッとそこで重大なことに気付きました。

一方、そのハカセの言葉を聞いて、ダマラスは遂にブチ切れました。
自分の無策が招いた膠着状態にイライラしていたところに、
バスコからハカセがダマラスを舐めて正面突破を仕掛けてきたと聞かされて、
弱い小者の分際で宇宙最強の武人である自分を舐めるなど、思い上がりも甚だしいと、
ダマラスはかなりハカセに対してカッカきていました。

そもそもマーベラス一味の連中は弱いクセに自分をコケにし続けてきた。
ダマラスはそう思い込んでおり、そのことがダマラスは一番許せなかったのです。
だから、その一味の中で一番の小者に舐められたとあっては、
ダマラスにとっては、それは一番許し難いことであったのです。

そこに更に追い打ちをかけるように、
せっかくマーベラスが正面突破が危険だと忠告しているのに、
伝説の勇者の自分はダマラスなど問題にしないほど強いと言いたげな
ハカセの舐めきった態度を目の前で見せられて、ダマラスの怒りは限界点を超えてしまいました。
というより、目に前でここまでコケにされて、何もしないわけにはいかない状況となってしまったのです。

ダマラスは「ええい!いつまで遊んでおる!!」と怒鳴り声を上げて下の広場に飛び降りると、
ハカセと交戦するゴーミンを張り飛ばして
「どけ!この私がやる!」と殺気立ってハカセの前に進み出ます。
ハカセは「ああっ・・・!」と焦って後ずさりします。

一方、ダマラスが飛び降りたことによって、マーベラスの十字架の傍にはバスコとサリーだけが残っていました。
マーベラスはハカセがダマラスに追い詰められるのを見下ろして息を呑みますが、
その瞬間、マーベラスの背後で「今だ!」という小さな声がしました。
十字架にマーベラスの腕を縛り付けている鎖を断ち切ろうとしていたのは、
バスコ・・・ではなく、なんとナビィでした。
ナビィがその金属製の嘴を使って鎖を断ち切っています。
ハッとして振り返ってそれを見て、マーベラスは「鳥・・・!」と驚きます。

では、バスコはどうしていたのかというと、
ナビィが現れて一瞬驚いてナビィを見ましたが、すぐにニヤリと笑って顔を背けて、
ナビィの出現に気付いていないフリをしたのでした。
バスコはここでナビィが現れてマーベラスを助けるとは予想していなかったようで、一瞬驚いたのですが、
それならそれで好都合だと思って、気付いていないフリをしてやり過ごすことにしたのです。
一応バスコはマーベラスやナビィから見ればダマラス側の人間でしたから、
バスコがナビィの存在に気付いたことがマーベラスに分かってしまうと、
むしろナビィの作業を止めてしまう恐れがあったので、それでバスコは気付いていないフリをしたのでした。

いや、もともとバスコはマーベラスを助けようとしていたのですから、
ここはナビィに手を貸してもよかったはずですが、
バスコはどうせナビィがマーベラスを助けるのならば、
自分はまだダマラス側についている形は保っておいた方が何かと便利だと判断したのでした。

十字架のあたりでナビィが秘かにマーベラスの鎖を断ち切り、
バスコがそれに気付いていないフリをして黙認しているうちに、
下の広場の方ではハカセがダマラスに圧倒されていました。
斬り倒されて「わああ!」と倒れ込み、遂に変身まで解けてしまったハカセに向かって、
ダマラスは「貴様など、所詮相手ではない!一足先に地獄へ行け!!」と、
剣を振り下ろしてトドメを刺そうとします。

その瞬間、それを遮るように「させるかぁっ!!」と叫んでマーベラスが十字架のあった上の方から飛び出します。
マーベラスはナビィによって十字架の鎖を解き放たれて自由の身となり、
羽ばたくナビィに掴まってダマラスを飛び越えると、
ハカセの傍に着地して、ハカセを助け起こします。

ダマラスはどうして十字架に縛っていたはずのマーベラスが目の前に飛び出してきたのか理解が出来ず
「おお!?・・・き、貴様ぁっ!?」と混乱しました。
すると、ダマラスを小馬鹿にしたようにニヤニヤ笑いながら立ち上がったハカセは
「ゴーカイジャーには7人目の戦士もいるんだよ!」と言います。
そのハカセの前にナビィが飛んできて「そういうこと!じゃあね!バイバ〜イ!」と得意げに言ってから、
そそくさと逃げていきます。

「うう!」とダマラスは自分がまんまとハカセの作戦に引っ掛かっていたことを悟りました。
ハカセは正面突破を図ると見せかけてダマラスを自分に引きつけ、
その間にナビィがマーベラスの鎖を断ち切って救出する作戦であったのです。

ダマラスはナビィの存在を知らなかった。
いや、マーベラス一味とザンギャックとの戦闘時にナビィが登場したことも過去にはありましたから、
ナビィの存在自体はダマラスは調べれば簡単に分かったはずです。
しかしダマラスは強さでしか敵の価値を測ることが出来ない男であるので、
完全戦力外で賞金首にもなっていないナビィについては完全にノーマークだったのです。
それでハカセがマーベラス一味の最後の1人だと思い込んでしまい、
ハカセが正面から突っ込んできている以上、搦め手から別の敵が現れるという想定を完全に消してしまったのです。

しかしナビィは実際はれっきとした7人目の海賊でした。
確かに戦う力は無い、ハカセよりも更に弱い存在でしたが、
それでもナビィはハカセが落ち込んで動けなかった時でさえ、
たった1人でもマーベラスを助けるために自分の出来ることに全力で取り組んでいました。
弱くても出来る事を全力でやって補い合う、これが海賊なのです。
となると、あるいはナビィが最も海賊らしい海賊なのかもしれない。
それゆえ、海賊というものを理解できない、強さだけしか価値を認めないダマラスやザンギャックは、
ハカセを侮り、ナビィのマークを外してしまったのです。
すなわち、この作戦においては、海賊の精神が宇宙帝国の精神を凌駕したのです。

しかし、ダマラスをまんまとハカセの傍におびき寄せることに成功したのは、
ハカセの仕掛けが功を奏したからでした。
その仕掛けというのが「伝説の勇者」というハッタリでした。
といっても、そんなハッタリがダマラスに通用するとはハカセも思ってはいませんでした。
そんなハッタリはすぐに見破られることは分かっていたのです。
むしろ、ハカセが狙っていたのは、その見え透いたハッタリをしつこく唱え続けるハカセに対する
ダマラスの不快感が増幅することだったのです。

カッコつけて海賊コートを着て不敵な態度を通したのも、正面突破にこだわったのも、
自分を強く見せるためではありませんでした。
逆に、既に弱い臆病者だということがバレているハカセがそうしてひたすらカッコつけて
ハッタリをかましてダマラスをコケにし続ける、
そうして道化を演じ続けることによって、
ダマラスはハカセのことを見下げ果てた愚か者だと見なして警戒を解いていく。
その上でダマラスの繰り出す兵達を相手に持久戦に持ち込むことが出来れば、
不快感に耐えられなくなったダマラスは自分の手でハカセの息の根を止めようとして
マーベラスの傍を離れる。
ハカセにとっても危険な作戦でしたが、その時をハカセは狙い、誘導したのです。
そうして出来たダマラスの隙を突いてナビィが飛び込んできてマーベラスを助け出したわけです。

つまりハカセの言っていた「嘘を真実に変える」というのは、
見え透いた嘘を真実だと主張し続ける道化を演じ続けるということであったのでした。
しかし、嘘から始まったバカみたいな行動でも、かつてマーベラス達との出会いの時、
ハカセはそれに全力に取り組むことによって真実の絆を繋ぐことが出来て、夢を掴む旅を始めることが出来たのです。
だから今回だって嘘から始まった道化みたいなみっともない行動を全力で行えば、
それを突破口として、再びマーベラスとの絆が繋がり、夢を掴む旅を続けることが出来るはずだと
ハカセは思えたのです。
それは確実にハカセによって「出来ること」だったからです。
出来ることだけを全力でやって、ハカセは見事にマーベラスを助けたのでした。

マーベラスも、最初はハカセの意図が分からなかったのですが、
正面突破が無理だという自分の忠告にハカセがヘラヘラと対応して、
相変わらず伝説の勇者だなどとバカなハッタリをかますのを聞いて怒りを覚えた瞬間、
ハカセの意図を理解したのです。
味方の自分がこんなにイラつくのですから、
さぞや敵のダマラスはこのハカセのふざけた態度にイライラしているはずだとマーベラスは気付きました。

つまり、このハカセの意味不明な行動は、わざと愚かな行動をとってダマラスの軽蔑を誘い、
その上でダマラスを怒らせて、ハカセのところに引きつけ、
自分のもとから遠ざけようとする行動なのだと、マーベラスは閃きました。
その一瞬後にダマラスはハカセの方に飛び降りていき、
同時にナビィがマーベラスのところに飛び込んできたので、
マーベラスはそういうことだったのかと、すぐに納得がいったのでした。

「・・・ま、ヤツを油断させるには良い作戦だったぜ!」と、腕組みをしてマーベラスは横に立つハカセを褒めます。
しかし内心ではヒヤヒヤものの作戦だったとも思っています。
あのナビィが飛び込んできた時、まだバスコが近くにいたのです。
バスコが幸いにも気付いていなかったから作戦は上手くいったが、
もしバスコが気付いていれば作戦は失敗して、自分もハカセもやられていたはずだと、
マーベラスは内心胸を撫で下ろしていました。

だが、とにかくこうしてハカセの作戦が成功した以上は、これで一気に形勢は逆転だとマーベラスは思いました。
マーベラスは成功直前まで自分も気付かなかったハカセの作戦は
明らかにダマラスの上をいっていると感心したのです。
どうやら、さっきの戦いはダマラスに急襲されたから逃げ惑うばかりだったが、
今回はハカセは周到な作戦を立てて臨んでいるようだ。
だからきっと今回は勝てるとマーベラスは確信し、腕組みしたままふんぞり返って
「・・・で、次は?」とハカセに問いかけます。
次の策が当然あるはずだが、そこで自分は何をすればいいのか、聞いておかねばならないと思ったのでした。

ところがハカセはマーベラスと同じように腕組みをしてふんぞり返り「・・・無い!」とキッパリ言います。
マーベラスは一瞬、耳を疑い、ハカセの方を振り返り「はあああ!?」と驚いて叫びました。
作戦はここまでで終わりって・・・だったら、何の策も無く、たった2人でダマラスと戦うという、
さっきコテンパンにやられた時と同じじゃないかと、マーベラスは愕然としました。

いや、今回はゴーミン軍団もいるし、バスコもジョー達の相手をしなくていいから戦いには加わってくるので、
敵はさっきよりも強力です。
それにさっきはマーベラスは変身して戦えたから、さっきの方がよほど状況はマシです。
今はモバイレーツとレンジャーキーを気絶している間に誰かに取られてしまっていて、
マーベラスは変身出来ないのです。
これじゃ勝負にならないとマーベラスは唖然としました。

しかしハカセは生き生きとした笑顔です。
作戦が成功して、やはり海賊はどんなに弱くてもカッコ悪くても、出来ることを全力でやれば、
互いのピンチを救って、助け合って道を切り開いていくことが出来るのだと再確認したのです。
だから、確かにここもピンチだけど、今までも海賊をやっている限りピンチの連続だったはずで、
互いに出来ることをやって切り抜けてきたはず。
だから、ここもきっと出来ることをやって補い合えば切り抜けられるはずだと、ハカセは確信出来ています。

「僕は出来ることをやった!次はマーベラスの番だ!」とハカセは力強く、
マーベラスにゴーカイガンとゴーカイサーベルを差し出します。
ハカセが使っていたのはマーベラスのゴーカイガンとゴーカイサーベルでした。
初めてマーベラスと武器交換して戦った時に得た確信、
すなわち、力を1つに合わせればより大きな力が生み出せるという確信を支えにハカセは戦っていたのです。

その確信が込められた武器をハカセに差し出され、マーベラスは黙ってそれらを受け取って考えます。
そういえば、自分はさっきのダマラスとの戦いの時、
ハカセの力ではダマラスには太刀打ちできないと考えて、ハカセを戦わせないようにして、
自分1人で戦おうとしていた。
つまりハカセを弱いと見なして、ハカセの助けを期待しないで戦ったのです。
しかし、それは出来ることを出来るヤツが全力でやって補い合う海賊の戦い方ではなかった。
海賊の戦い方を忘れて、一人相撲をとってしまっていたのです。

それじゃあ手も足も出ないわけだとマーベラスは思いました。
海賊が海賊の戦い方を忘れちゃあ、宇宙最強の男に勝てるわけがない。
いや、そのダマラスの「宇宙最強」という肩書に惑わされて浮き足立って、
海賊としての戦い方が出来ていなかったのです。
そしてそれは自分だけじゃない。ジョー達もみんな、浮足立ってバラバラの戦い方になってしまっていた。
バスコはともかく、サリーにまで押し込まれていたのはそのせいだと、
マーベラスはようやくさっきの戦いの真の敗因がハカセのお蔭で分かったのでした。

ハカセに海賊の戦い方を改めて教えられるとは思わなかった・・・と思いつつ、
マーベラスはハカセからゴーカイガンとゴーカイサーベルを受け取り、
「・・・へっ!こうなったら、いけるとこまで派手にいくかぁっ!!」と気合を入れて構えます。
海賊の戦い方を想い出した以上、たとえ変身出来なくても、
ハカセと2人、さっきよりはよほどマトモに戦えそうだとマーベラスは思いました。

だが、それでもダマラスに勝つことは容易ではないということは、
さっき戦ってみてダマラスの圧倒的な強さを知っているマーベラスの実感でもありました。
それでも、海賊としての戦い方を貫けば、何か突破口が見つかるかもしれない。
見つからなかったら、いけるところまでいって、派手に散るしかない。
覚悟を決めたマーベラスとハカセは互いの銃と剣を構えてダマラスに立ち向かいます。
ダマラスも「やれ!」とゴーミン達を突っ込ませ、戦闘再開・・・という瞬間、
突然広場に複数の銃声が響く中、ゴーミン達がバタバタと倒れます。

「おお!?」と驚いたダマラスは銃弾の飛んできた方向を見る。
マーベラスとハカセも驚いて、同じ方向を見ます。
すると、そこには4人の人影が立っていました。

銃を下ろして「俺たちも混ぜてもらっていいか?」と言ったのはジョーであり、
その向かって右では同じく銃を下ろしてニヤリとルカが笑っています。
左橋では鎧が「マーベラスさん!ドンさん!」と笑顔で立っています。
そして鎧の向かって右ではアイムが「お待たせいたしました!」と、いつものように丁寧に言います。

マーベラスは唖然として「・・・お前ら!?」と戸惑います。
確か、4人はバスコの剣の発した炎に呑まれて死んだはずでした。
それがどうしてここに現れて自分達のピンチを救ってくれたのか、
いったい何がどうなっているのか分かりませんでした。

一方、ハカセは「みんな〜!」と喜びが込み上げてきて駆け出します。
マーベラスも一緒に駆け出し、2人はジョー達の前に駆け込み、
ハカセは「生きてたんだね!良かったぁ〜!」と安堵した表情で喜びます。
事情はよく分からなかったが、とにかくこれで皆に嘘をついていたことを謝ることが出来るし、
これからも皆と一緒に旅を続けることも出来るのですから、
ハカセにとってこんなに嬉しいことはありませんでした。
一向に事態の呑み込めないマーベラスでしたが、ハカセが素直に喜ぶ姿を見て、
マーベラス自身も心の底から喜びが込み上がってきて、4人を感慨深く見つめます。

そうして感動の再会を果たした6人を少し離れて睨みつけながら、
「ううう・・・何故だああ!?・・・そんな・・・バカなぁっ!?」と、
ダマラスは何がどうなっているのかサッパリ分からず混乱して喚き散らします。
さっきから想定外の連続で既に混乱しきっていたダマラスの頭には、
この4人の登場は完全にトドメの大きな衝撃であったようで、冷静な思考力がほとんど失われてしまっていました。

それほどジョー達4人の登場は予想外だったのです。
この4人はバスコが始末したはずなのです。
それをダマラスもその場で目撃していた。
確かに4人はバスコの剣が発した炎の中で燃え尽きたはずでした。
それがどうしてほとんど無傷で現れることが出来るのか、ダマラスにはさっぱり分かりませんでした。

そのダマラスの疑問に答えたのは、ルカでした。
「悔しいけど・・・そっちの仲間割れのお蔭よ!」と、ルカが説明した事の顛末は、
ジョー達4人がバスコの技を喰らい、その剣が発した炎に囲まれた瞬間、
炎が4人を呑む直前にサリーが飛び込んできて4人を助け出し、そのまま瞬時に少し離れた路地裏に
4人を連れて行って横たえ(ちなみにこの場面、鎧の降ろし方だけヒドくて笑える)、
ダメージを受けて動けない4人を置き去りにして去っていったというものでした。
4人はダメージが回復してようやく動けるようになり、それからマーベラスの公開処刑の件を知って、
慌ててこの場に駆けつけたという次第でした。

その話を聞いてダマラスは「なにぃっ!?」と仰天します。
サリーがジョー達を助けたということは、それはバスコの命令ということになる。
そのダマラスが驚愕した一瞬の隙をついて何かがダマラスの背後にいきなり飛び込んできて、
驚いたダマラスが反応しようとするより一瞬早く、
その何かは「はああっ!!」と気合を発してダマラスの背に深々と剣を突き刺したのでした。
「ぐおっ・・・!!」と苦悶の声を上げるダマラスの背後で剣を突き立てた者の姿を見て、マーベラス達は驚きました。
それはバスコだったのです。

バスコはもともとマーベラス一味を殺されるわけにはいかないと思っていたので、
ジョー達を倒したように見せかけてサリーを使って助けだしておき、
その後、マーベラスの公開処刑が決まると、これをチャンスと判断して、
処刑を阻止してマーベラスを何とか逃がすために、公開処刑会場に上手く入り込んでいたのですが、
ダマラスがいる以上、マーベラスを助ける隙は見出せなくて困っていました。

そこでバスコは命を助けておいたジョー達がマーベラスを助けに乗り込んでくるだろうと予想し、
そこで生じた混乱の隙にマーベラスを助けようと考えていました。
ところがジョー達の回復に時間がかかり、処刑開始の時刻になってもまだジョー達が現れないので、
何らかの手段で処刑開始を遅らせる手を打って時間稼ぎをしなければいけないとバスコが苦慮しているところに、
予想外にハカセが1人で現れたのでした。

それでとにかく処刑開始が遅れて、意外にハカセが善戦するのを見て
バスコはダマラスを挑発してハカセのもとに行かせて、その隙にマーベラスを助けようと画策しました。
ところがダマラスが狙い通りにハカセのもとへ行った瞬間、
今度はナビィが現れてマーベラスを救出にかかったので、バスコはそれを気付かないフリをしてやり過ごし、
マーベラスの救出を黙認すると同時に、
ダマラス側に身を置くフリを続けてダマラスを油断させておくことにしたのです。

それは、たとえマーベラスが自由の身になったとしても、
ハカセと2人、あるいはジョー達も加わったところでダマラスに勝つことは難しいと予想されたので、
このまま自分が一切ダマラスを裏切らずにマーベラスが救出されるのなら、
そのまま味方のフリをして油断させて、いっそダマラスが最も焦って隙だらけになった瞬間を狙って
不意打ちで謀殺することが出来ると読んだのです。

そして、まさにその瞬間である、隠し玉であるジョー達の出現という混乱、
そしてそこで必然的に導き出される自分の裏切りの発覚という最高の混沌の瞬間を狙って
バスコは飛び込んできてダマラスの急所を刺し貫いたのでした。

「バスコ・・・裏切ったのかぁ・・・!?」と、背後のバスコに向かって苦しげに呻くダマラスの言葉を聞いて、
バスコは裏切りとは片腹痛いと思いました。
もともとバスコはマーベラス一味の抹殺については協力したくないと言っている。
それをダマラスは力づくで押さえ込んで従わせていただけだ。
だからバスコとダマラスの間に信頼関係などあるはずがなく、
ダマラスの従わせる力が緩んだと見れば、自分のやりたいように振る舞うのはバスコとしては当然の行動です。
そういう行為は裏切りとはいわない。

「言ったろぉ?そいつらを生かしておくには事情があるって!
宇宙最大のお宝を手に入れるには、そいつらの力が必要なんだよ!」とバスコは、
さっきダマラスと遭遇した時に言ったことと同じことを言って、
自分は終始一貫何も変わっていないのであり、これは変節や裏切りではないと嘯きます。

いや、バスコはここでさっきよりも一歩踏み込んだ発言をしています。
宇宙最大のお宝を手に入れるためにマーベラス一味の力が必要だから生かしているのだと、
さっきは渋って言わなかったことを口にしているのです。
その内容については後で考察するとして、
この期に及んでそれを言うということは、
バスコにとってはもはやダマラスにそれを言っても大丈夫という判断があるのでしょう。
つまり、バスコはこの一突きでダマラスは仕留めたと思っている。
死にゆく者に冥途の土産として聞かせてやっているのです。

ダマラスもバスコが自分を殺そうとしていると悟り、最初から裏切るつもりであったことも悟り、
「・・・おのれぇ・・・!」と悔しがります。
しかし、実際、確かにこれはバスコの言うように「裏切り」ではなく、
力で他人を支配していた者が力に溺れて自滅して淘汰されたに過ぎない。

「油断は禁物だよ!オッサン!」と言いながらバスコはダマラスの身体を掴んで、
更に剣を抉ってダマラス息の根を止めにかかります。
そしてハカセの方をチラリと見ながら
「宇宙で一番強いなんて思ってるから、あんな弱っちいヤツに一杯喰わせられるんだ・・・!」と揶揄します。

つまり、ダマラスの敗因は、あまりに自分の強さを誇り、ザンギャックの強さを誇る余り、
この世は力が全てであり、強い者にだけ価値があり、弱い者には価値が無いと決めつけたため、
弱い者を甘く見過ぎたことにあるのです。

確かに弱い者にはダマラスを倒す力は無い。しかし、それでも全く無力ではない。
何かに全力で取り組めば、宇宙最強のダマラスを数歩でも動かすことぐらいは出来る。
その弱い者達が互いの足りない部分を補い合って連係してダマラスに攻撃を仕掛ければ、
その効果は増幅し、ダマラスに大きな隙を作ることだって出来る。
そして、そこを突いてダマラスを倒すことだって出来るのです。

そのように弱い者だって力を合わせれば十分な脅威になり得る。
しかし、自分があまりに強すぎるために、自分より弱い者をバカにしていたダマラスは
その脅威にあまりに無警戒だった。
ハカセのことを舐めていたのでハカセを殺さずに無視し、ハカセの策にまんまと引っ掛かり、
ナビィの存在を忘れ、バスコの動向にも注意を払っていなかった。
そもそも公開処刑というリスクの高い方法をあえて選択したのもザンギャックの驕りでした。
それによってこのような事態を招いたのです。

戦いというものは強い者だけが行うものではない。
弱い者だって生きるためには戦うのです。
だから弱い者の持つ強さを計算に入れず、弱い者を下僕扱いして押さえ込みながら、
自分一人で戦おうとするような者が「宇宙最強」など、ちゃんちゃらおかしい。
ダマラスの強さも、ザンギャックの強さも、弱くても力を合わせて補い合う真の強者の強さの前では、
偽物の強さであることが露呈してしまうのです。

しかしダマラスにも意地がある。
自分がこのまま負けることは、ザンギャックの強さの理念が敗れ去るということです。
そんな重大なことを薄汚い裏切り者の海賊に決められてたまるかという激しい怒りが湧き上がり、
「・・・ふざけおってぇ・・・!」と呻くと、ダマラスは「はああああっ!!」と凄まじい気当たりを全身から発し、
突き刺さった剣ごとバスコを吹っ飛ばしてしまいます。

「ぐううっ!」ともんどりうって倒れたバスコは、さすがにダマラスの化け物っぷりに舌を巻きます。
トドメは刺し損なってしまったが、それでも確かに致命傷は与えた。
だが、ヤケクソになって暴れるダマラスの巻き添えでケガをするのもバカバカしいと思い、
起き上がると「チイッ!」と舌打ちして「ほらよっ!」とマーベラスに向けて何かを投げつけます。
マーベラスがそれを受け取って見ると、それは自分のモバイレーツとゴーカイレッドのレンジャーキーでした。

バスコはもともとマーベラスを助け出したら渡そうとは思っていたのですが、
こうしてダマラスを仕留め損なって、トドメはマーベラス達に刺させることにして、
マーベラスに変身してダマラスを倒すよう促したのでした。
つまり、今のダマラスならマーベラス達でも倒せるだろうとバスコは判断したのです。

バスコのそういう意図は理解しましたが、
それでもマーベラスは「・・・どういうつもりだ?」とバスコに問いかけます。
今回、バスコは単にダマラスを裏切って倒すことが目的だったというより、
明らかに自分達を助けることに重点を置いた行動をとっていることにマーベラスは気付いたのです。
ジョー達をあらかじめ助けていたことや、こうしてモバイレーツを保管しておいて返したこと、
そしておそらくさっきナビィが自分を助けた時も気付いていて黙認したのだろうとマーベラスは思いました。

ただマーベラスはバスコに感謝しているわけではない。
バスコが何か企んでいることは明白だからです。
現にさっきバスコはダマラスに「宇宙最大のお宝を手に入れるには、そいつらの力が必要なんだよ」と言った。
そういえば以前にもバスコは自分達を殺せるチャンスがありながら殺さなかったこともある。
バスコは「宇宙最大のお宝」に関する何か重大な秘密を知っており、
そのことに絡んで自分達を利用しようとしているとマーベラスは気付いたのです。
それはいったい何なのか、当然マーベラスは知りたい。
よく分からないまま罠に嵌められているのだとしたら非常に居心地が悪いものです。

しかしバスコはゆっくり立ち上がると
「お礼はいいよ!実はどうしても、是非マベちゃんに見つけてほしい大いなる力があるんだよねぇ〜!」と、
ハッキリ答えを言わずにはぐらかします。
そして「その後、ゆ〜っくり勝負をつけようねぇ!・・・じゃあ後はよろしく!」と言って、
サリーを連れてさっさと去っていきました。
結局、バスコの狙いはマーベラスにはよく分からないままとなってしまいました。

ただ、ここでまた新たな謎めいた言葉をバスコは残していきました。
マーベラス達に見つけてほしい大いなる力があるとバスコは言いました。
それは言い換えれば、バスコでは見つけられない大いなる力ということです。
逆に言えば、自分にはその大いなる力は見つけられないということをバスコは知っているということです。
つまり、ワルズ・ギルの死後、バスコは慌てて残りの大いなる力を集めてしまおうと思って
それらの在り処の調査をしたのでしょう。

しかし、どうしても在り処が分からない大いなる力があり、それはバスコには手に入れることは出来ない。
しかし全ての大いなる力をバスコかマーベラス一味のいずれかが手にした状況にならなければ
バスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れることは出来ないわけですから、
バスコはその大いなる力に関してはマーベラス一味に期待するしかない。
何故なら、マーベラス一味にはナビィがいて、お宝ナビゲートで大いなる力の在り処に導いてくれるからです。
その在り処の分からない大いなる力は、お宝ナビゲートでしか見つけられないのでしょう。

そして、バスコが既にサンバルカンとファイブマンの大いなる力を入手しているということは、
そのバスコには在り処の分からない大いなる力とは、
バトルフィーバーJの大いなる力、カクレンジャーの大いなる力のいずれか、
あるいはその両方ということになります。
そして、在り方が分からないということは言い換えれば
大いなる力を体内に宿したレジェンド戦士たちの居場所が分からないということですから、
その戦隊の戦士たちは何処かに隠れているということになります。

まぁレジェンド戦士の面々は、母校で教師をしていたメガレッド伊達健太や、
普通に救命士をしていた巽マツリなど、かなり不用心な連中もいますが、基本的には警戒しているはずで、
お宝ナビゲート無しで5つの戦隊の戦士たちの居場所を探し出したバスコの調査能力はかなり高いのでしょう。
そのバスコが見つけ出せないのですから、
その大いなる力の戦隊はかなり姿を隠すのに長けた連中ということになります。
それはやはり、隠流忍者であるカクレンジャーであるのではないかと想像出来ます。
まぁ、最初からそういう状況であることが分かっていたから、
バスコは絶対にマーベラス一味を殺すわけにはいかず、ダマラスの誘いを断ったのでしょう。

しかし、これは少し妙です。
確かにバスコの言う通り、通常の方法では在り処の分からない大いなる力というものがあったのでしょうけれど、
バスコとしてはマーベラス一味を倒した後、ナビィを奪ってお宝ナビゲートをさせることも出来たはずです。
お宝ナビゲートはナビィ自身の意思とは関係無く発現するようですから、
バスコとナビィの間が険悪であっても大丈夫のはずですから、
もし、バスコにとっての懸案が「見つけられない大いなる力だけ」であったならば、
バスコはダマラスに従ってマーベラス達を殺してナビィを奪えば事足りたはずです。

しかし、バスコは何が何でもマーベラス達を殺したくなかったようです。
そもそも以前にオーレンジャー篇の時にバスコがマーベラス達をあえて殺さなかった時、
あの時点では「見つけられない大いなる力」問題はまだ発生していなかったはずです。
その問題がバスコに認識されたのは第39話以降だと推測されるからです。
となると、やはりバスコがマーベラス一味を生かしておきたい理由は、
見つけられない大いなる力を見つけさせるためだけではなく、
やはり宇宙最大のお宝を見つけるためにはマーベラス一味の力が必要だからなのでしょう。

おそらくは、バスコでは34戦隊の大いなる力を集めても、その力を引き出すことが出来ないから、
「宇宙最大のお宝」を見つけることが出来ない。
だから34戦隊の大いなる力が揃った段階で今回バスコが去り際に予告したように、
マーベラス達と決着をつけて、バスコがマーベラス達を何らかの方法で言いなりにして
34戦隊の大いなる力を引き出させて、
そうして現れた「宇宙最大のお宝」を横取りしようという算段なのだろうと推測されるのです。

しかし、マーベラス達はバスコが去った後、そこまで詳しく考えているゆとりはありませんでした。
バスコがその場から去ると同時に、ダマラスがよろめきながら
「・・・許さんぞおお!!・・・この私をここまでコケにしおってえええ!!」と激怒して、
全ての行き場の無い怒りを全てマーベラス達に向けてきたのです。

全ての目論みが外れ、裏切りによって重傷まで負ってしまい、大恥をかいた。
宇宙最強の看板に泥を塗られまくった状態です。
この屈辱は、もとはといえばマーベラス一味がザンギャックや自分に逆らったせいなのだと
ダマラスは八つ当たり気味にキレまくり、
もうこうなったら重傷を負った身であろうがなんであろうが、
6人を八つ裂きにしなければ気が済まない状態となっていました。

こうして手負いの獣と化したダマラス率いるザンギャック部隊と対峙することとなった
マーベラス一味の6人でしたが、
手負いとはいえあれほど圧倒的な完敗を喫した相手ですから、決して分がいい勝負とはいえないはずです。
しかしハカセは「マーベラス・・・!」と落ち着いて、しかし強い口調で声をかけます。
それに応えてマーベラスも「分かってる・・・!」と力強く言います。

もはや、さっきの戦いの時の自分達ではない。
海賊の戦い方を取り戻した自分達は、1人1人はダマラスよりも弱いけど、
各自が互いに出来ることを全力でやって足りないところを補い合えば、さっきの何倍も強いはずなのです。
その強さは、きっとダマラスを超えるはずだとマーベラスも、
そして一度死線を潜り抜けて浮足立ったところを修正してきたジョー達も、
そしてもちろんハカセも確信していました。

「・・・俺たちのすげぇところ・・・こいつらに見せてやろうぜぇっ!!」と威勢よくマーベラスが
レンジャーキーを取出し、「豪快チェンジ!!」と叫び、6人はゴーカイジャーに変身します。
そして各自の名乗り場面が、今回は1人1人、背後で爆発が起きる、いかにも戦隊っぽい特別バージョンで、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」という全体名乗りの時にも背後で大爆発と共にゴーカイジャーの旗印が出ます。

また、この全体名乗りシーンの並びが今回はハカセがメインの特別なエピソードということで
センターにマーベラスとハカセが並び、
普段のハカセの位置である向かって左端から2番目の位置にアイムが立ち、
普段のアイムの位置である左端に鎧が立ち、
センターのハカセの決めポーズがいつもの剽軽なポーズではなく、
力強く右手を前に突き出したガッツポーズになっています。
このような全体名乗りの並び順の変更は第41話のアイムと今回のハカセだけであり、
やはり第41話から今回にかけての3篇は特別な扱いだといえます。
そして「ド〜ンといこうぜ!!」とハカセが景気をつけ、
襲ってくるゴーミン部隊に対して「はああっ!!」と6人は突っ込んでいくのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:57 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月31日

第43話「伝説の勇者に」感想その5

変身したマーベラス達6人とダマラス率いるザンギャック部隊との戦闘が始まり、
まずはマーベラス達とゴーミン集団との乱戦、
ここはトリッキーなハカセのアクションと豪快なマーベラスのアクションをフィーチャーして、
あっという間に6人はゴーミン集団を全滅させます。

そこに現れてマーベラス達の前に立ちはだかったのはドゴーミン2人。
最近すっかり速攻やられ役になってしまったドゴーミンですが、
それでも、普通の技で簡単に倒されていたスゴーミンとは違い、
かなりの大技でないと倒せないという意味で、一応スゴーミンとの差別化はされています。

ここの場面ではアイムが「皆さん!これはどうでしょう?」と緑色のレンジャーキーを取り出します。
緑色のレンジャーキーはハカセの担当ですから、
アイムが緑色のレンジャーキーを取り出したのは今まで無かったことで、不可解です。
しかし鎧はアイムの意図を察したようで「ハハハッ!いいですねぇ〜!!」と大ウケして、
アイムと同じように緑色のレンジャーキーを出します。
当然ハカセも緑色のレンジャーキーを出し、6人一斉に「豪快チェンジ!!」と掛け声をかけて
レンジャーキーを挿すとモバイレーツから6つバラバラな種類の紋章が飛び出してきて、
6人は全員、異なった戦隊のグリーン戦士に多段変身したのでした。

つまり、第2話、第40話のオールレッド戦隊、第18話のオールシルバー戦隊に引き続いての、
今回は同一色戦隊の第3弾、オールグリーン戦隊です。
今回の前のエピソードのアイム主役回ではアイムと他メンバーとのパートナー戦隊5連発という趣向でしたが、
今回はハカセ主役回ということでオールグリーン戦隊という趣向で来たようです。
ハカセがマーベラスを助けてくれたことを称えてのアイムの提案に皆が応えて、
ハカセをリスペクトしての、普段はハカセが変身している戦士で揃えたオールグリーン戦隊です。

ただ、鎧が変身した戦士だけは、もともと鎧の担当戦士で緑の戦士であるシュリケンジャーです。
シュリケンジャーへの鎧の変身自体は初めてではないのですが、
今回は変身後すぐにプロテクターを脱ぎ捨て、「フェイスチェンジ!」とマスクを前後回転させて
強化形態のファイヤーモードにチェンジします。
鎧の変身したシュリケンジャーのファイヤーモードへのチェンジは初披露となります。

そしてアイムはグリーンフラッシュに変身しています。
グリーンフラッシュはオリジナルは男性戦士で、
普段ハカセが変身している時も当然、男性戦士のままのスタイルですが、
今回はアイムが変身しているので、フラッシュマンの女性戦士と同じように、
腰回りのデザインがハイレグ風になっています。

次いでルカが変身しているのはシシレンジャーで、
これもダイレンジャーにおける緑の戦士で、オリジナルも普段のハカセ変身時も男性戦士ですが、
今回はダイレンジャーの女性戦士ホウオウレンジャーのようにスカートを履いた戦士となっています。
そしてジョーは剣豪キャラということでシンケングリーンに変身し、
マーベラスはデンジグリーンに変身し、
ハカセ自身は元祖グリーン戦士であるミドレンジャーに変身します。

「オールグリーン!」という鎧の掛け声が名乗りであり、
同時にレースにおけるスタート合図と掛け詞になっていて、戦闘開始、
まずハカセとルカ以外の4人がドゴーミンに向けてダッシュし、
ハカセはミドメラン、ルカは大輪剣を投じてドゴーミンに炸裂させ、
そこに突っ込んできたマーベラスがデンジパンチ、アイムがプリズムカイザーをそれぞれ拳に装着して
ドゴーミンにパンチの嵐を浴びせて、アッパーカットで上空に向けて吹き飛ばし、
宙に飛ばされたドゴーミンに向けて、
ジャンプしていたジョーがシンケンマルで、同じくジャンプしていた鎧がシュリケンズバットで
メッタ斬りにして、この連続攻撃のダメージによってドゴーミン2人を撃破します。

今回のオールグリーン戦士のチョイスのコンセプトは、
この連携攻撃を前提とした、
投擲武器の緑の戦士2名と、打撃系の技を持つ緑の戦士2名と、剣技に長けた緑の戦士2名という感じでしょう。
今回は仲間が補い合う海賊らしい戦い方がコンセプトですので、これは良いチョイスだと思います。

しかし、このオールグリーン戦士への多段変身ですが、
難を言えば、誰がどの戦士に変身しているのか、非常に分かりにくい。
オールレッド、オールシルバーの時も同じように感じましたが、
やはり「ゴーカイジャー」という作品において、
多段変身は基本的にゴーカイジャーのメンバーのパーソナルカラーに合わせた変身で、
担当分けを厳密にしていたのは正解であったのだと思います。
たまにその基本ルールを逸脱した例を見ると、むしろ普段の基本パターンの正しさが再認識されます。

それでも、まだレッドやシルバーの戦士というのは印象的な戦士が多いので、
誰が何に変身しているのかまだ分かりやすいのですが、
グリーン戦士となるとマイナーな戦士も多いので、ホントに誰が何に変身してるのか把握するのが大変です。
だから、オールグリーンやオールブルー、オールイエロー、オールピンクという趣向は、
全員がほぼ一通り、全戦士に変身した現段階以降でないと、なかなか出来ない趣向であったのだと思います。
そういうわけで、一通り全戦士、全戦隊への多段変身をほぼ全て消化したことによって、
今後、オールグリーンと同種の趣向が登場してくると予想されます。

さて、ゴーミンもドゴーミンも撃破されて、これで残るはダマラスのみとなり、
ダマラスもさっきの戦いとは見違えるような連係攻撃を見せるマーベラス達に「ううっ・・・!」と少し驚きます。
しかし、それでも到底自分に及ぶものではないと、ダマラスは自信満々で「はあっ!」と剣を一閃し、
6人目がけて巨大な衝撃波を飛ばしてきました。
あのビルを一撃で粉砕した衝撃波です。

さっきはこれを喰らってしまった後、ダメージの大きさに逃走を余儀なくされた6人でしたが、
今回はこれを受けて「わあああっ!!」と吹っ飛びオールグリーンからゴーカイジャーの姿に戻ったものの、
マーベラスは「フン!・・・あとはてめぇだ!」と立ち上がり、
6人は「はあああああ!!」とダマラスに突っ込んでいきます。
マーベラス救出作戦の成功によって海賊の戦い方にザンギャック帝国を超える力の手応えを感じ取った6人には、
もはや「宇宙最強」への気後れは無いので、多少のダメージでは、もはや心が折れることはない。

が、それだけではなく、ダマラスの剣圧の威力もさっきよりは確かに落ちている。
やはりバスコによって負わされた深手が影響しているようです。
それでも周りを囲んだ6人を剣技で圧倒するダマラスもさすがに化け物です。
深手を負ったとはいえ、未だダマラスはマーベラス達に自分の身体に指一本触れさせてはいません。

6人を薙ぎ倒し、「貴様らなんぞにやられる私ではない!!」と怒鳴りつけたダマラスは
「むううううん!」と気合を込めて、大技の構えに入ります。
さっきの戦いでマーベラスとハカセを吹っ飛ばして変身解除に追い込んだ竜巻状の衝撃波を発する剣技です。
この技で6人全員を吹っ飛ばして決定的ダメージを与えようと目論むダマラスは
「はああっ!!」と、その必殺剣を6人めがけて放ちます。

しかし、ジョー、ルカ、アイム、鎧の4人が前に飛び出して一塊となって、
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを構えてこの衝撃波を受けとめ「くっ・・・」と食い止めようとして踏ん張り、
結局「はああああっ!」と4人とも竜巻と共に吹っ飛んでいきますが、
衝撃波の大部分をジョー達が受け止めていったお蔭で、
その直後、マーベラスは弱まった衝撃波の中、「ふん!」とゴーカイガンを撃ち返し、
大技を放った直後のダマラスはこれを避けきれず、遂に何発も被弾してしまいます。

予想外の被弾に「ぐっ!がっ!?」とよろめくダマラス。
6人をまとめて吹っ飛ばせなかったのは、ジョー達がマーベラスの反撃を信じて踏ん張ったからだが、
ダマラスの技の威力もやはり若干落ちていた。
ゴーカイガンの被弾でよろめくのを見てもダマラスが万全でないのは明らかでした。
やはりバスコに受けた傷が影響しているのは間違いない。
それなのに撤退せずに戦い続けることを選択したのはダマラスの驕りであったが、
作戦失敗して深手を負ってギガントホースに戻ったところで、
宇宙最強の看板に泥を塗ったダマラスを皇帝アクドス・ギルが赦すという保証ももはや無かった。
だからダマラスはもうこうなったら戦い続けるしかない。
まだまだ戦況はダマラスが優勢ではあるのです。

あとはマーベラスさえ倒せばいい・・・とダマラスが思った刹那、
マーベラスの背後に隠れていたハカセが「はっ!」とゴーカイサーベルをブーメランのように
マーベラスの後頭部目がけて投げつけ、マーベラスがそれをかわすと、
ダマラスに向かって回転するゴーカイサーベルが飛んでくる形となった。
また一瞬ハカセの存在を忘れてしまっていたダマラスは慌てて剣を振って、
この大袈裟に回転して飛んでくるゴーカイサーベルに幻惑されて弾き返す。

高く舞い上がったゴーカイサーベルを慌てて一瞬見たダマラスの隙を突き、
マーベラスが「ハカセ!!」と後ろ手で素早くハカセにゴーカイガンをバックパス、
駆け込んできてそのゴーカイガンを受け取ったハカセはその勢いのまま
マーベラスの屈んだ背を回転しながら飛び越し、地面で転がりながら、
地上スレスレの低い位置からダマラスの至近距離に突っ込み、二丁拳銃を「はあああああ!!」と連射し、
全弾をダマラスのガラ空きの胴体に撃ち込みます。

上を向いた隙を突かれた意表をついたハカセの奇襲に「うわぁ・・・!?」と焦るダマラスは
慌てて地面に転がるハカセの方に視線を向けますが、
その瞬間、落下してきたハカセのゴーカイサーベルをキャッチしたマーベラスは二刀流になって
ジャンプしてハカセを飛び越し、「おおおお!!」と叫んで一気にダマラスの死角からダマラスに懐に飛び込み、
2本のゴーカイサーベルで斬りかかりました。

慌てて剣で応戦するダマラスでしたがハカセの攻撃で受けたダメージが響いたのか、
剣の動きに精彩を欠き、マーベラスの初めて見せる二刀流に競り負けて、
たまらず後退したところでマーベラスは「おりゃっ!!」と二刀を一閃してダマラスを斬り捨てました。

マーベラスとハカセの変則的でありながら流れるような見事な武器交換アクションが
ダマラスを翻弄して圧倒していく様が丁寧に描かれていますが、
これは今回のハカセの初陣の回想シーンの時にハカセがマーベラス達の武器交換アクションに象徴される
海賊の仲間を補い合う戦い方を知って海賊への道を歩み出した、
その長い道のりの末の集大成的な海賊アクションが
ダマラスに象徴されるザンギャック帝国の戦い方を凌駕したことを象徴的に示す場面といえるでしょう。

マーベラスは今まで武器交換アクションの中で
二刀流あるいは二丁拳銃のスタイルになったことはなかったのですが、
その特別感のある描写としての二刀流が、
この最強の敵との決戦時に、最弱の味方であるハカセとのコンビで披露されるという演出は上手いと思います。

このハカセの二丁拳銃とマーベラスの二刀流という珍しい組み合わせの攻撃によって、
ダマラスはガクッと大きくよろめいて後退します。
そしてその流れのまま、ハカセは「いくよ!」と二丁拳銃のファイナルウェーブを発射、
その2つのエネルギー弾とダマラスとを結ぶ軌道戦上の中間点に立ったマーベラスは
二刀流のファイナルウェーブで「おりゃあっ!!」とハカセ2つの発射した2つのエネルギー弾を
自分の放った2つのエネルギー波で押し出して加速させ、
4つのエネルギー波をまとめてダマラスに高速でぶつけます。

ダマラスはこれを剣で受け止めますが、勢いに押し込まれ、
遂にはダマラスの身体に達したファイナルウェーブが炸裂して
「おわあっ!?」とダマラスは大きなダメージを喰らってフラフラになってしまいました。
さっきの戦いでは5人の放ったゴーカイスクランブルでも一振りで弾き返していたというのに、
じわじわと蓄積したダメージによって、
ダマラスは2人の放ったファイナルウェーブさえ受け止めきれなくなるまで弱ってきているのです。

そして更にここで大きなダメージを受け、
もはや立っているのがやっとという状態にまで追い込まれたダマラスは
ここでようやく劣勢に気付き、「・・・バカな!この私が押されているだと・・・!?」とパニックになります。
今まで戦いにおいて劣勢になったことがほとんど無いダマラスは、
完全に舐めきっていたマーベラス達を相手に劣勢になっていたことに気付くのが鈍すぎたのです。
気付いた時には既に身体は満足に動かないまでに痛んでおり、もはや次の攻撃に反応するのが困難な状態です。

ここでマーベラスは一気に勝負をつけてしまおうと、
「トドメだ!!」と号令をかけてゴーカイガレオンバスターを出します。
いくら宇宙最強の男といえども、ゴーカイガレオンバスターのライジングストライクを喰らえば倒れるはずであり、
ダマラスが弱っている今ならライジングストライクを撃って命中させることが出来るはずです。

ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、
ゴーカイピンクのレンジャーキーが挿入されたシリンダー部が、
マーベラスが「レンジャーキー!セット!!」とゴーカイレッドのレンジャーキーを最後部のカギ穴に挿して回すと
跳ね上がり、「レ〜ッドチャ〜ジ!!」という認識音と共にゴーカイガレオンバスター全体が金色の光に輝き、
引き金を引くと「ラ〜イジングストラ〜イク!!」と金色のガレオン型のエネルギー波が発射され、
ダマラスを貫きます。

これでダマラスの最期かと思いきや、なんとダマラスはまだ倒れておらず、瀕死ながらまだ立っており
「ううう・・・この私を・・・なぁめるなぁぁ・・・!!」と、宇宙最強の誇りにかけて、
決して倒れない執念の絶叫を上げます。
あれだけフラフラになってゴーカイガレオンバスターを喰らい、それでもまだ倒れないとは、
さすがにダマラスは強く、そして最強の誇りを守ろうとする執念はもはや狂気の域に達するほど凄まじいといえます。

マーベラス達もダマラスのしぶとさに驚きますが、
ハカセは「今度は僕が!」とゴーカイガレオンバスターをマーベラスに渡すよう求め、
マーベラスも「ああ!」とハカセにゴーカイガレオンバスターを渡して後ろに下がり、
「決めちゃいましょお!」と鎧も張り切ります。

しかし、ゴーカイガレオンバスターというのは2連発で撃てるのでしょうか?
いや、そのあたりは、さすがにゴーカイガレオンバスターの生みの親であるハカセなので、
よく理解しているようです。
どうやら最後尾のカギ穴に挿してメインエネルギーとして使われたレンジャーキーだけは
ライジングストライクを撃った後、一旦使用不能になるようで、
そうなると今回はマーベラスのゴーカイレッドのレンジャーキーは使用不可となります。

そこでゴーカイレッドのレンジャーキーの代わりに鎧のゴーカイシルバーのレンジャーキーを加えて
5つのレンジャーキーを使える態勢を維持し、
メインキーとして今回はハカセのゴーカイグリーンのレンジャーキーを使います。
「レンジャーキーセット!」とハカセは最後尾のカギ穴にゴーカイグリーンのレンジャーキーを挿して回すと、
ゴーカイブルー、ゴーカイイエロー、ゴーカイピンク、ゴーカイシルバーのレンジャーキーを挿した
シリンダー部が跳ね上がり、「グリ〜ンチャ〜ジ!!」という認識音と共に
ガレオンバスター全体が緑色に光り、「はっ!」とハカセが引き金を引くと、
「ラ〜イジングストラ〜イク!!」と、緑色のガレオン型のエネルギー波が発射されます。

第41話のピンクチャージからのピンク色のライジングストライクに引き続き、
今回はハカセ主役回ということで、グリーンチャージからの緑色のライジングストライクの炸裂です。
しかし、これで決められなければ、次はゴーカイグリーンのレンジャーキーも使用不可ですから、
使用可能なゴーカイジャーのレンジャーキーは4つとなり、
もうゴーカイガレオンバスターは撃てないものと思われます。
つまり、ゴーカイガレオンバスターは2連発まで可能ということです。
そして、この最後の1発が瀕死のダマラスを貫き、「ぐわああああ!!」と断末魔の絶叫を残して、
今度こそダマラスはこらえきれずに大爆発を起こし、粉々になって果てたのでした。
遂にザンギャック最強の敵であるダマラスを倒して、ハカセは「やったあ!!」と歓喜の声を上げます。

一方、この戦いをモニターで見守っていたギガントホースの指令室では、
まさかのダマラスの敗北にダイランドーが仰天し、
「ちょ〜いちょいちょいちょいちょ〜い!」と大騒ぎし、
その後ろでは皇帝アクドス・ギルが黙って司令官席で動きません。

アクドス・ギルもまさかダマラスが敗れるとは予想しておらず、かなり驚いていましたが、
ショックを受けるよりも、宇宙帝国を総べる皇帝としては、
宇宙最強の男であるダマラスまでもが倒された現状における次の打つべき手を考えねばなりませんでした。
ダマラスの死を悼んでいるようなヒマは無いし、
そもそも、負けるとは思っていなかったが、負けても痛くない駒としてダマラスを送り出した皇帝としては、
ダマラスの敗死は個人的には全く痛手ではない。
が、帝国全体としては、帝国の強さの象徴ともいえるダマラスの敗死は決して歓迎すべき事態ではなく、
ダマラスを倒したマーベラス一味は、皇帝としては何としてでも倒さねばならない相手となったといえます。

ただ、まだ戦いは終わっていませんでした。
ダマラスが敗れたこと自体は否定できない事実でしたが、
マーベラス一味を倒すチャンスはまだダマラスには残っています。
インサーンは自分の開発した巨大化銃を上司であるダマラスに向けることに幾分躊躇しながらも
「ダマラス様・・・ご武運を・・・!」と呟き、地球にあるダマラスの遺骸目がけて巨大化光線を発射したのでした。

こうしてダマラスは巨大化光線を浴びて復活巨大化して、再び動き出します。
「・・・ったく!こいつもか!」と文句を言いながらマーベラスはガレオンを呼び、鎧も豪獣ドリルを召喚し、
ゴーカイオーと豪獣神で巨大化したダマラスに立ち向かいます。

一方、ダマラスの方は剣の柄をぎゅっと握りしめ「ううむ・・・これが最後の命・・・必ず貴様らを倒す・・・!」と、
マーベラス一味の打倒を改めて心に期します。
インサーンの巨大化銃のおかげて甦った命ですが、二度の復活は無い。
だから、もう一度倒されればおしまいです。
しかし、その最後の命を落とすことになっても、何としてもマーベラス一味は倒したいとダマラスは思っています。

もはや一度敗れて死んだ身ですから、自分を倒したマーベラス一味の強さは認めざるを得ない。
だからダマラスはもはやマーベラス一味を侮る気持ちはありませんでした。
マーベラス一味は確かに強い。しかし、それでも自分はそれよりも強い。
いや、強くあらねばいけないのだと、ダマラスはあくまで宇宙最強という称号に固執しているのです。
強さにこだわるしかダマラスは生き方を知らないのだから仕方ない。
とにかく最終的に命を捨ててでもマーベラス一味は倒して、
宇宙最強の称号を抱いたまま死にたいとダマラスは思っていました。

つまりダマラスにとっては命よりも宇宙最強という称号の方が大事なのです。
もはや狂気ともいえるが、しかしこうなると、相手を侮る油断もなく、捨て身で向かってくるダマラスは手強い。
しかも一旦死んで復活したことによって、バスコに負わされた傷も含めて、全てのダメージは無くなっています。

こうして、まずは完全フルパワーの本気のダマラスが「おりゃあああ!!」と襲い掛かってきて、
豪獣神とゴーカイオーを剣で圧倒しました。
「むぅん!」とゴーカイオーを押し込むダマラスの背後に回った豪獣神は
ドリルでダマラスの背中を攻撃しようとしますが、
なんとダマラスの腰から伸び出た機関砲が背後の豪獣神に狙いをつけ、撃ちまくり
「ぐわああ!!」と豪獣神のコクピットでは鎧が絶叫、豪獣神は倒れ込みます。

「鎧!」とゴーカイオーのコクピットではルカが叫びますが、
ダマラスの隠し武器の機関砲は前の方に向きを変えて、
今度はダマラスと鍔迫り合いをして動けないゴーカイオーを撃ちまくります。
そうして怯んだゴーカイオーの隙を突いて、
ダマラスは「おりゃあ!たぁっ!」とゴーカイオーを斬り下ろして、
ゴーカイオーのコクピットは火花を上げ、「うわあああ!!」とマーベラス達は絶叫します。

ゴーカイオーは一旦下がって膝をつき、「・・・なんて野郎だ!」とマーベラスは唸りました。
ダマラスはさっき倒す前に戦った時よりも確実に強くなっていたので、マーベラスは驚いたのです。
「さすがは・・・宇宙最強ということでしょうか・・・?」とアイムも戸惑います。
宇宙最強といっても、それはあくまで等身大で戦っている時の評価なのであり、
そもそもダマラスは今まで巨大化して巨大ロボを相手に戦った経験など無いはずです。
だから、巨大戦ではダマラスの宇宙最強の称号もあまり意味は無く、その強さは未知数です。
案外、巨大ロボには歯が立たないのかもしれないとも思えました。
ところが、巨大戦でもダマラスは圧倒的に強い。
それはさすがに宇宙最強と言われた男だけのことはあるかと思えました。
少なくともゴーカイオーや豪獣神では巨大化したダマラスには手も足も出ない。

ところが、「大丈夫・・・!」とハカセが確信に満ちた声で言ったので、
皆、はっとしてハカセの方を見ます。
ハカセは自分と5人の仲間に言い聞かせるように
「宇宙で一番強くても、あいつには仲間がいない!だから、僕たちが負けるはずがない!!」とキッパリと
大声で言い切り、「ね?」とマーベラスの同意を求めます。

等身大戦では6人の仲間が力を補い合ってダマラスを倒したが、
この巨大戦では鎧は豪獣神で別に戦ってはいますが、残り5人はゴーカイオーを一緒に動かしており、
そのゴーカイオーと豪獣神が連係してもダマラスには勝てていないのだから、
6人の仲間の力だけではダマラスには及ばない状況です。
しかしハカセは仲間がいるから自分達は負けないと言う。
マーベラスはそのハカセの言葉を聞いて、ハカセが何を言いたいのか、すぐに理解し、
「・・・そうだな!」と応え、6人はゴーカイオーと豪獣神を立ち上がらせます。

そうして、まずはハカセが「よぉ〜し!」とマジグリーンのレンジャーキーをゴーカイバックルから取出し、
「マジドラゴン!」と呼びかけながらコクピットの鍵穴に挿し込み回します。
いちいち画面に映っていませんが、同時に他のゴーカイオーのコクピットの4人も
マジレンジャーのレンジャーキーを挿して回しているようで、
ゴーカイオーはマジゴーカイオーにチェンジし、更にそこからマジドラゴンが分離して飛び出して、
ダマラスにゴーカイマジバインドを仕掛けます。

しかし、さすがにダマラスはこの、自分の身体を縛るようにマジドラゴンが仕掛けた
マジバインドの魔法陣を粉砕してしまいます。
つまり、通常のゴーカイオーを大いなる力で強化したマジゴーカイオーの決め技でも
ダマラスには勝てないということです。

しかし、全く手も足も出ないというわけではない。
マジバインドを粉砕した時、ダマラスは「ぐあっ!?」と叫び声を上げます。
例の腰の機関砲だけがマジバインドの締め付けによって破壊されてしまったのです。
マジゴーカイオーでもダマラスを倒すことは出来なかったが、
とりあえず隠し武器の機関砲を封じることには成功したのです。

そして、これでマーベラス一味の攻撃は終わらない。
間髪入れずにルカがデカイエローのレンジャーキーをコクピットに挿しながら
「パトストライカー!いっけぇ〜!」と言い、皆でデカレンジャーのレンジャーキーを挿し回すと、
今度はゴーカイオーはデカゴーカイオーに強化変形、
そしてそこから分離して飛び出したパトストライカーがスピンして回転しながら
タイヤのガトリングガンを撃ちまくる必殺技ゴーカイパトストライクをダマラスにお見舞いします。
機関砲を壊されて怯んでいたダマラスはパトストライクの銃弾を浴びまくって
「ぬっ!・・・うっ!?」と後退します。

更にアイムが「ライオンさんも、お願いします!」と丁寧に言いながらガオホワイトのレンジャーキーを挿して回し、
皆でガオレンジャーのレンジャーキーを挿して回すと、天空島からガオライオンが召喚されてきて、
吼えながらダマラスに向かって突進し、
その前足の鋭い爪で斬り裂かれたダマラスは「うおっ!ぐああっ!?」と悶絶します。

そしてジョーが「風雷丸・・・!」とハリケンブルーのレンジャーキーをコクピットに挿し回し、
皆でハリケンジャーのレンジャーキーを挿し回すと、
空の彼方から巨大手裏剣に乗って風雷丸が飛んできて
「風雷丸、見参!トウ!ヤァ!」とダマラス目がけて大型手裏剣を投げ、
ダマラスはこれを剣で防ごうとしますが、手裏剣の勢いに押されて腕を負傷し、剣を潰されてしまい
「ぐあああっ!!」と叫びます。

そこにマーベラスが「来い!!マッハルコン!!」と叫んでゴーオンレッドのレンジャーキーをコクピットに挿し回し、
皆もゴーオンジャーのレンジャーキーを挿し回し、マッハルコンを召喚します。
ソウルを挿入されて巨大化したマッハルコンは
「バァ〜リバリィ〜!!待ってたぜぇ!俺様もいくぜぇ!!おりゃあ!!」と駆けながら
ビーム砲をダマラスに向けて連射し、
これを喰らったダマラスは「うあああああ!?」と大きなダメージを受けます。

そして6人はゴーカイジャーのレンジャーキーを取り出して
「レンジャーキーセット!海賊合体!!」とコクピットの鍵穴に挿して回し、
ゴーカイオーと豪獣神とマッハルコンはカンゼンゴーカイオーに合体したのでした。

マーベラス達の召喚したマジドラゴン、パトストライカー、ガオライオン、風雷丸、マッハルコンの
波状攻撃によってじわじわ劣勢に追い込まれていたところに、
遂に最悪の難敵であるカンゼンゴーカイオーが立ち向かってきた状況に苛立ったダマラスは
「・・・おのれぇ〜っ!!」の拳を握りしめ、「うおお!はああ!」とカンゼンゴーカイオーを殴りつけますが、
カンゼンゴーカイオーの装甲には全く効果が無く、逆に拳が潰れてしまい、
ダマラスはドリルで殴り返され「どああああ!?」と後ろに吹っ飛びます。

そしてマーベラス達は「カンゼンミサイル!!」と掛け声をかけ、
フィンガーミサイルでダマラスを猛爆し、爆煙の中でダマラスはボロボロにされ、
「ぐあっ!ああああ!!」と悶え苦しみ、完全に追い詰められてしまいました。
そのダマラスに向かって、ハカセは「どうだ!仲間の力を合わせれば、十倍にも、百倍にもなる!!」と
勝ち誇ったように言い放ちました。

ハカセの言っていた巨大戦における「仲間」とは、歴代スーパー戦隊の大いなる力のことだったのです。
1つ1つのスーパー戦隊の力では宇宙最強の敵は倒せないかもしれないが、
仲間になって力を補い合って戦えば、宇宙最強の敵でも倒すことは出来るのです。
つまり、マーベラス達は歴代スーパー戦隊も、海賊の仲間と同じような、
力を合わせて戦う仲間であると認めているのです。
いや、仲間が力を合わせて戦うというのはスーパー戦隊の基本精神でもあるので、
仲間の力を合わせて戦う海賊戦隊が、スーパー戦隊の仲間として認められたとも言えます。

そしてトドメは、スーパー戦隊の力を合わせた新しい必殺技となります。
「レッツゴー!ゴーカイカンゼンスーパーバースト!!」という掛け声で繰り出されたその技は、
カンゼンゴーカイオーのゴーカイカンゼンバーストと同時に、
マジドラゴンが口から火炎を発射し、パトストライカーがビームを放ち、
ガオライオンが口からアニマルハートを発動し、風雷丸が無限手裏剣を繰り出すという合体技で、

これを喰らったダマラスは「ぐおっ!?うぎゃあああ!!」と悲鳴を上げます。
そしてそのまま倒れ込んで最期かと思われましたが、
「・・・バカな・・・!」と前につんのめって踏みとどまり、身体から火花を散らしながら
「・・・私は信じぬぅ!!・・・海賊ごときに・・・この私がぁぁっ・・・!」と、
最期の最期まで宇宙最強の自分が海賊に敗れるという現実を拒絶し、
弱い者が力を合わせて強い者に勝つという事実を受け入れられず、喚き散らしますが、
遂に「ぐうううあああああっ!!」と断末魔の絶叫を残してあおむけにひっくり返り、大爆発の中で散ったのでした。

最期の最期までしぶとかったダマラスに驚いていたマーベラス達も、これでようやく安堵し、
「よっしゃあああ!!」とコクピットで歓喜し、
カンゼンゴーカイオーの周りではマジドラゴン、パトストライカー、ガオライオン、風雷丸が
それぞれ喜びを表現します。

この巨大戦の場面、登場した大いなる力は、
マジレンジャー、デカレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、ゴーオンジャーの5つで、
全てゴーカイオーから分離して単独で動けるキャラを擁するものばかりであったので、
「仲間の力を合わせる」という描写から最後のゴーカイカンゼンスーパーバーストまでの描写がスムーズでした。

ただ、今回このラインアップになったのは、クリスマス商戦期の決戦エピソードであったので、
玩具展開をしている大いなる力を画面上に集めた結果でしょう。
玩具展開という意味でいえば豪獣神もアバレンジャーの大いなる力として画面上には登場していましたし、
カンゼンゴーカイオーもゴーカイジャーの大いなる力として玩具展開されています。
なお、シンケンジャーの大いなる力が登場しなかったのは、
玩具的にはガオレンジャーの大いなる力と同じであるので、わざわざ出す必要が無かったからでしょう。

さて今回のエピローグは、ダマラスを倒して戦いが終わった後、
ガレオンの船室でのマーベラス一味の夕食の場面です。
いつものようにハカセの作った夕食を「いっただきまぁ〜す!」と言って喜んで食べる5人の仲間たちの姿を見て
テーブル脇に立つハカセは「よかった・・・またみんな一緒に旅ができる・・・」と、
隣の船長椅子にとまるナビィに小声で言います。
ハカセが「皆と一緒に旅をしたい」という本心を明言した相手はナビィだけですから、
皆には聞こえないようにナビィにだけ、嬉しい気持ちを伝えているのです。
ナビィも「う〜ん!だねぇ!」と応じます。

一方、ルカは「やっぱハカセのごはん最高だわ!」と、すっかり上機嫌です。
高級レストランの豪華な食事よりも、仲間の健康をいつも気遣って作ってくれるハカセの食事の方が
マーベラス一味の面々には心のこもった御馳走なのでした。
そうしてルカがハカセの食事を褒めると、ジョーはチラリとハカセの方を見て、
「ま・・・伝説の勇者が作ったメシだからな・・・!」と真顔で言います。
それを聞いてハカセは「だから!・・・ゴメンって、ウソだったって謝ったじゃん!」と、
やや逆ギレ気味にジョーに向かって抗議しました。

どうやらハカセはちゃんと「伝説の勇者」の一件で皆を騙していたことについて謝ることが出来たようですが、
それをネタにジョーに苛められているようです。
しかし、ハカセにしてみたら少しこれは納得できない。
そもそもジョーは最初からハカセが伝説の勇者だなどとは全然信じていなかったのだから、
厳密に言えば騙されていないのです。
騙されてもいないジョーに、騙していたことをネタにチクチクと嫌味を言われるのはハカセもやや解せません。

ハカセが一番申し訳ないと思っている相手は、むしろアイムと鎧でした。
ハカセはアイムと鎧に非難されるならいくらでも甘んじて受けるつもりではいました。
むしろ、そっちの方が怖いぐらいでした。
それほど、ハカセはアイムと鎧には酷いウソをついて騙していたのです。

ところが、ハカセがジョーに言った言葉を聞いて、アイムは食事の手を止めて
「・・・いいえ・・・ウソじゃありません!」とゆっくり首を振ります。
ハカセがえっという顔でアイムの方に振り向くと、アイムはニッコリ微笑んで
「だって、ハカセさんがいなければ、マーベラスさんを助けていただけなかったのですから・・・!」と言い、
横で鎧も食事を頬張りながら「だから!俺たちにとってドンさんは、本当の勇者です!」と笑顔で言葉を続けます。

2人は別にハカセに気を遣ってそう言ったわけではなく、
実際、ハカセがウソをついていたことなどどうでもいいことであったのです。
アイムや鎧はハカセが勇者であったら素敵だと思ってハカセの話を信じていただけだったからです。
つまり、2人はハカセが正直者であってほしかったわけではなく、ハカセが勇者であってほしかった。

そして、そのハカセの話に付き合っていたお蔭で、
ハカセの素敵な過去の話を聞くことが出来て、
ハカセがマーベラスを助けるために出来ることを全力でやり通したことも知ることが出来た。
その結果、2人は、本当の勇者とは、いつも通りの共に力を合わせて助け合う海賊仲間そのものであることに
気付くことが出来たのです。
だから、ハカセはもともと勇者だったのであり、

ハカセに勇者であって欲しいというアイムと鎧の願望は叶ったのです。
だから、ハカセは2人を裏切ってなどいないのであり、何ら気に病むことはないのです。
むしろ、ハカセだけでなく、マーベラスもジョーもルカも、アイムや鎧自身も、そしてナビィも、
誰でも全力で仲間を助けるために出来ることをやれば勇者になれるのだと教えてくれたハカセに、
アイムと鎧は感謝したいくらいでした。

しかし、ハカセは2人にそう言ってもらえて、嘘が少しは真実に変えられたような気がして少し安堵して、
「・・・ありがとう、アイム!・・・ありがとう、鎧・・・!」と笑顔で礼を言います。
そこに、ハカセが勇者と認められたのを聞きつけてマーベラスが面白がって
「勇者どの!おかわりだ!」とハカセをからかうようにおかわりをよそうように要求して空になった皿を差し出し、
続いて皆、口々に「俺も!」「あたしも!」「私もお願いします!」「モゴモゴ・・・」と皿を差し出すので、
勇者といっても結局いつもと同じように皆の世話係であることにウンザリしたハカセが
「もおお!ちょっとは勇者っぽく扱え!!」とキレて、今回は終わりとなります。

そして今回からEDテーマの映像が
来年1月21日公開の「ゴーカイジャーVSギャバン」の宣伝映像バージョンになっていました。
これが非常に面白そうです。
ギャバンやその変身者の一条寺烈(演じるのは大葉健二さん)が出てくるのは当然として、
佐野史郎は出てくるわ、スニークブラザースみたいな奴も出てくるわ、バトルケニアは出てくるわ、
ロボゴーグやモンス・ドレイクも出てくるわ、赤ギャバンVSギャバンもありそうだわ、
電子星獣ドルがガレオンや豪獣ドリルと一緒に飛んでるわ、これは劇場で見るのが楽しみで仕方ありません。

次回予告映像の後にも「ゴーカイジャーVSギャバン」の予告編がリニューアルされて、
前回までの超簡易版よりも、かなり映画内容に踏み込んだものになっていました。
大葉さんは「蒸着!」って言ってるし、
ガイアーク三大臣や風のシズカ、バンキュリア、ヤツデンワニみたいな奴らがチラリと映ったし、
最後は音の切れ目が変だわで、ますます楽しみで仕方なくなってしまいます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:18 | Comment(0) | 第43話「伝説の勇者に」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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