2012年01月16日

第46話「ヒーロー合格」感想その1

今回はカクレンジャー篇の後篇でした。
今回を終えて残りエピソードは5つで、次回からクライマックス篇に突入するのは間違いないので、
クライマックス篇の中でゲスト的にレジェンド戦士が登場する可能性はあるものの、
1つの戦隊にテーマを絞った正式なレジェンド回としては、
今回のカクレンジャー篇が「ゴーカイジャー」における最後のレジェンド回となると思われます。
その最後のレジェンド回ですから、どういう作り方をするのか興味はあったのですが、
「ゴーカイジャー」のレジェンド回として、実にオーソドックスな作り方であったと思います。

最後のレジェンド回だからパ〜ッと派手に盛り上げようというような特別な気負いは無く、
淡々とカクレンジャー篇をこなしたという印象でした。
クライマックス篇の直前にしては意外なほどにスケールの小さいご近所コメディー風の作りで、
こういう作風はまさに「カクレンジャー」っぽいと言えます。
しかしストーリー内容は、あくまでゴーカイジャーのドラマとしては
かなり重厚で印象的なエピソードであったと言えます。

これまでのレジェンド回の中では割と意識してパ〜ッと盛り上げた印象のあるのは
シンケンジャー篇、ハリケンジャー篇、ゴーオンジャー篇であり、
これらはみな、前後篇構成になっていたので、
今回のカクレンジャー篇も前後篇構成なので同様の盛り上げ方を期待する向きもあったことでしょう。
そういう期待をしていた人から見れば、意外に地味な印象だったかもしれません。

ただ、今回のカクレンジャー篇の場合、前後篇構成といっても、
シンケンジャー篇、ハリケンジャー篇、ゴーオンジャー篇の場合のように
1つのテーマに沿った1つのストーリーを2話にわたって描いたわけではなく、
前回の前篇はあくまで序章に総集編がくっついたようなものであって、
カクレンジャー篇としてのテーマに沿った1つのストーリーとしては、今回の後篇だけで完結しており、
実質的なカクレンジャー篇は今回の一篇だけであったと言っていいでしょう。
だからシンケンジャー篇、ハリケンジャー篇、ゴーオンジャー篇と同じような盛り上がりを期待するのは、
ちょっと早計というものでしょう。
そもそも、次回以降はクライマックス篇として、間違いなく連続5話、盛り上がる展開となるのですから、
その直前にカクレンジャー篇をむやみに盛り上げる必要もありません。

結局、「ゴーカイジャー」という作品は、
あくまでゴーカイジャーの物語の必然性にのみ基づいて全体のストーリーの流れが作られているのです。
そんなことはゴーカイジャーが主人公である以上、わざわざ言う必要が無いほど当たり前のことなのですが、
この作品の場合はゴーカイジャー以外に過去のシリーズ作品で主役を張ったキャラが続々登場してくるので、
それらのキャラも主役として扱われ、
それらのキャラの都合でストーリーが作られるかのような錯覚が生じやすいので、
わざわざゴーカイジャーの物語の必然性のみが重視されるということを確認しておく必要もあります。

シンケンジャー篇、ハリケンジャー篇、ゴーオンジャー篇も、
実際はそれぞれあのタイミングに放送日が配されたのは玩具販促の必要性によるものなのでしょうけれど、
そのことをふまえた上で、それぞれのレジェンド回がそれぞれの戦隊のテーマに合せて
ゴーカイジャーの物語の中で必然性のある盛り上げポイントになるように、
ゴーカイジャーの物語全体が組み立てられていました。
まぁそういう意味では確かに特別扱いの3戦隊ではあったとは思いますが、
結果的には3つのレジェンド回ともに、あくまでゴーカイジャーの物語としての盛り上げポイントとなっており、
決してゴーカイジャーとゲスト戦隊が対等な扱いの「VSシリーズ」のような作り方にはなっていません。

この3篇の中で最も「VSシリーズ」に似た作りであったハリケンジャー篇にしても、
前後篇通して見ると、やはりゴーカイジャーがあくまでメインであり、ハリケンジャーはゲストに過ぎません。
それは単に扱いの大きさの問題だけではなく、
あくまでゴーカイジャーの物語のみが流れている中にハリケンジャーがゲストとして登場しているに過ぎない
というのが最大のポイントだと思います。

シンケンジャー篇にしても同様であり、
ハリケンジャー篇以前の物語前半のレジェンド回は基本的にみな、そんな感じだったと思います。
すなわち、レジェンドゲストは登場するが、彼らの物語はあまり前面には出て来ず、
あくまでゴーカイジャーの物語が進行していくという感じです。
あれほど目立ちまくったハリケンジャーにしても、
彼ら自身の物語はほとんど表には出てくることはありませんでした。
こうした物語前半のレジェンド回の在り方というのが、
「ゴーカイジャー」におけるレジェンド回の本来の基本形なのだと思います。

それが微妙に変化したのはハリケンジャー篇の後の、ジェットマン篇に始まる物語後半のレジェンド回で、
このあたりはライブマン篇やオーレンジャー篇、ダイレンジャー篇、メガレンジャー篇などのように、
あくまでゴーカイジャーの物語がメインでありながらも、ゲスト戦隊の後日談的な物語も表に出てきて、
縦糸と横糸のように織り成すストーリーが展開されるパターンが多くなりました。
アバレンジャー篇もレジェンド要素は薄めでしたが、幸人と笑里の結婚という後日談的なサプライズもあったりして、
レジェンド側の物語がクローズアップされたという点では同系統といえます。

このあたりの物語後半のレジェンド回は、
当初「ゴーカイジャー」の物語構想時には予定されておらず、後で挿入されたものが多く、
それゆえ「ゴーカイジャー」のレジェンド回の基本形から
やや逸脱した形とすることが容易だったのかもしれませんし、
あるいは最初からこのあたりの時期のレジェンド回は
前半とは少しタイプを変えようという構想があったのかもしれません。

何にしても、物語後半になってレジェンド回の傾向に少し変化を持たせて
エピソード内のストーリーを重層構造にしたことは好評であり、
このあたりのレジェンド回を好きだという人は多いようです。
実際、単体のストーリーとして非常に優れたエピソードが多いのも事実です。

だいたい、この3クール目あたりの時期というのは物語全体の流れの中では最もダレやすい時期であり、
そういう時期にそれ以前とは趣向を変えたインパクトの強いレジェンド回を連発したことによって、
物語の中だるみを避ける意味で非常に有効に作用したと思います。
それゆえか、当初からこの時期に予定されていたゴーオンジャー篇も
同じようにゲスト戦隊であるゴーオンジャーの物語の後日談とゴーカイジャーの物語が
縦糸と横糸を織り成すストーリーとなりました。

「ゴーカイジャー」というクロスオーバー企画の構想を最初に聞いた時、
多くの戦隊シリーズファンたちが「ディケイド」のような、
ゲスト戦隊側の世界観がしっかり描かれるような物語を想像し、期待もしたと思います。
そういう人達は「ゴーカイジャー」の物語前半のレジェンド回は、
レジェンドゲストが単にテーマの提示者の役割しか果たしていないことに物足りなさを覚えていたと思われ、
そういう人達から見れば物語後半の重層的なレジェンド回は、
本来見たかった形のレジェンド回に幾分かは近いイメージのものであったことでしょう。

だから長くシリーズ作品を観ているファンの人たちは後半のレジェンド回が好きな人が多い。
ジェットマン篇やライブマン篇などの評価は特に高いといえます。
私自身、その類の人間なので、もちろんジェットマン篇やライブマン篇は素晴らしいと思いますし、
物語後半のレジェンド回は印象深い話ばかりです。

しかし、これら物語後半のレジェンド回というのは、ゲスト戦隊の物語が出過ぎてしまっている分、
どうしてもその分、ゴーカイジャーの物語が薄くなってしまっており、
ゴーカイジャーがレジェンドゲストから「学ぶ」という形が多くなっています。

ちょうど3クール目というのは、
ハリケンジャー篇で遂にゴーカイジャーが「地球を守って戦う戦隊」になった後、
いかにもゴーカイジャーならではの独特のドラマの展開が小休止する時期であり、
ゴーカイジャーの物語が薄くなる時期だったので、
ゴーカイジャーの物語が薄いタイプのレジェンド回をやるのにちょうどいい時期であったと言えます。

この3クール目の時期は、そうした重層的なレジェンド回と、
戦隊シリーズ定番エピソードの通常回とで回していった時期だと思いますが、
もちろん物語の最後までその調子で通すわけにはいきません。
昔の作品のファンには3クール目のような流れは歓迎すべきものであろうとは思いますが、
あくまで「ゴーカイジャー」という作品は現在の子供たちに向けた物語であり、
その子供たちが最も大切にしているヒーローは現役戦隊であり主役戦隊であるゴーカイジャーなのです。
だから、あくまでゴーカイジャーを重視した流れに戻らなければいけません。

そういうわけで、そうした物語後半、3クール目の重層的レジェンド回の極致ともいうべき
タイムレンジャー篇の第40話を境に、
第41話に皇帝アクドス・ギルが登場して事実上のクライマックスへ向けた最終章が始まると、
以降は再び濃密なゴーカイジャーの物語が重点的に描かれる流れとなり、
レジェンド回も再び物語前半のような、あくまでゴーカイジャーの物語だけが描かれるタイプに戻り、
そこで登場するゲスト戦隊はその戦隊のテーマをエピソードのお題として提示するだけの役目に戻り、
レジェンドゲストがゴーカイジャーを「認める」という形が多くなったといえます。

第44話のバトルフィーバー篇などはその典型であり、
レジェンドゲストの曙四郎の登場シーン自体が最後にゴーカイジャーを認める場面以外に存在せず、
四郎はゴーカイジャーと顔を合わせてすらいません。
また、第40話のタイムレンジャー篇も、イベント篇なのでゴーカイジャーの物語としても薄かったのですが、
タイムレンジャー側のレジェンドゲストのドモンもゴーカイジャーと実質的に会ってすらおらず、
ゴーカイジャーはドモンから何も学んではいません。

ですから、今回のカクレンジャー篇も同様に、あくまでゴーカイジャーの物語を描くのが主眼であり、
レジェンドゲストがゴーカイジャーを認めるような形のレジェンド回となります。
それどころか今回のレジェンドゲストのニンジャマンは、なんとゴーカイジャーを認めるだけではなく、
ゴーカイジャーから逆に学んでしまうという形になっています。

しかも、一応はただ1人戦う力を持っているレジェンド戦士ですから、
大活躍してもいいはずなのですが、意外に活躍しません。
等身大戦でも巨大戦でも戦いに参加するという、一見は破格の待遇なのですが、
そんなにカッコよく描かれているわけでもなく、そんなに重要な役割を果たしているわけでもありません。
むしろスケールの小さいご近所コメディー風のシチュエーションの中であたふたする描写が多く、
まぁいかにもニンジャマンらしいといえばらしいのですが、
レジェンドゲストとしては、あまり扱いが良いとはいえません。
これはニンジャマンという、人間態の無いうっかり者キャラだからこそ成立したエピソードであったといえます。

つまり、この最後のレジェンド回は、
ゴーカイジャーがレジェンドゲストから学ぶという形ではなく、
レジェンドゲストがゴーカイジャーにしっかりと絡みながら、ゴーカイジャーを認め、
なおかつゴーカイジャーから教わることまであるという、
完全にゴーカイジャー優位のエピソードにすべきだという命題があり、
そういうゴーカイジャーより下位に置いた扱いをして視聴者に不快感を覚えさせないキャラとして、
永遠の青二才キャラであるニンジャマンが最も適役だと判断されたのでしょう。

歴代戦隊にはバカなキャラの戦隊メンバーは結構多いのですが、
彼らは皆、1年間の戦いで成長しており、最終話あたりにはそれなりに立派な戦士となっており、
やはり人間の姿をしていると成長が顔などを見てもハッキリと窺うことが出来ます。
その上、「ゴーカイジャー」の物語に登場するとなると、そのレジェンド戦士の戦いから更に何年も経っており、
演じた役者さんも年齢を重ねているわけですから、更に成長しているはずだと誰もが思うはずです。

例えば走輔や健太などもバカキャラでしたが、
根っこの部分のおバカなところは残しつつも、確実に成長した姿を見せてくれました。
走輔や健太が今回のニンジャマンのようにゴーカイジャーを一方的に認めて、
逆に大切なことを教わり、自分の不明を恥じて謝罪までするという姿は、
やはり見るに堪えないものがあるでしょう。
それがニンジャマンの場合は違和感があまり無く受け入れてしまえるのは、
ニンジャマンが成長していないという描写に説得力があるキャラだからです。

何故ならニンジャマンはそもそも「カクレンジャー」本編に登場したのが第36話と非常に遅く、
18話分しか登場していないキャラなので、
1年間出ていたキャラに比べて成長があまり描かれていないのです。
まぁ出番が少なくても志葉薫のように最初から人格者キャラならいいのですが、
ニンジャマンの場合は登場時点からうっかり者の慌てん坊の未熟者キャラでしたから、
ほとんど成長しない未熟者キャラのまま最終話を迎えてしまったようなもので、
しかも人間態が無いので成長や変化というものが目に見えないキャラです。

成長を描かなくても成立するキャラといえます。
何年後、何十年後に登場してもニンジャマンは外見は変化しておらず成長しているように見えない。
だからニンジャマンは全く成長していないキャラとして描いても、
不自然さや違和感が全く無い珍しいレジェンドゲストなのです。

人間態の無い戦士としては他にゴセイナイトやズバーン、シュリケンジャー、シグナルマンがいますが、
ゴセイナイトやシュリケンジャーは人格者キャラだし、ズバーンは喋れませんから、
ゴーカイジャーよりも下位に描いて視聴者に不快感を覚えさせないレジェンドゲストは
ニンジャマンと、同じくおバカキャラで登場回数も少なめだったシグナルマンぐらいでしょう。

しかしシグナルマンは外見は確かに人間っぽくはないですが、
ごく普通の生活を送るマイホームパパであり、等身大の人間キャラですから、
それなりに年齢を重ねて成長し変化していくはずのキャラです。
それに比べてニンジャマンは仙人のようなキャラであり寿命もやたら長いので、
時間が非常にゆっくり流れている感じのキャラなので、成長が描かれないことに最も違和感の無いキャラといえます。
そういう意味ではやはりズバーンやガンマジンの方に近いキャラなのですが、
ズバーンは喋れないし、ガンマジンはスーパー戦隊の一員ではないので除外せざるを得ません。

そうなるとやはりニンジャマンが残り、
ゴーカイジャー完全優位の最終レジェンド回のレジェンドゲストはニンジャマンしか有り得ず、
必然的に最終レジェンド回はカクレンジャー篇ということとなります。

更にこの最終レジェンド回ではご丁寧に
ニンジャマンが失敗をしでかしてレジェンド大戦すら参加せずに
ずっと壺の中に封印されていたという設定を用意することによって、
ニンジャマンがほとんど成長していない未熟者のまま登場することにダメ押し的な説得力を持たせているのです。

これがゴーカイジャーの物語の中の最終レジェンド回がカクレンジャー篇となった必然性の1つではあると思います。
ただ、これだけが必然性ではないとも思います。
確かにレジェンドゲストを明らかにゴーカイジャーよりも嫌味なく下位に置くことによって、
いかにもゴーカイジャーのレジェンド回の基本形に最も忠実な
「ゴーカイジャー優位のレジェンド回」の極致が実現するのは確かですが、
「ゴーカイジャー優位」というのは、レジェンドゲストを下位に置く方法以外でも
実現することは出来ると思うからです。

だから、これはこれで1つの必然性ではありますが、
最終レジェンド回はカクレンジャー篇であるべきだという何か別の必然性があり、
それならばニンジャマンを使えば、よりゴーカイジャー優位を演出することが出来るという
思惑があったのではないかと思えます。

その別の必然性とは、やはりゴーカイジャーの物語の流れの中での必然性ということでしょう。
ゴーカイジャーの物語の流れの中で最終レジェンド回としての第46話で描くべき何かがあり、
カクレンジャーという戦隊がそれに見合っていたからこそ、
カクレンジャー篇がこの最終レジェンド回となったはずです。
玩具販促も関係無いこの時期ですから、純粋にそういう理由によって、今回はカクレンジャー篇となったはずです。
別に最終レジェンド回はここまでまだやっていないファイブマン篇でもサンバルカン篇でも
ジュウレンジャー篇でもよかったはずです。
しかしそれらは選ばれずに最終レジェンド回にカクレンジャー篇が選ばれた必然性は必ず存在するはずです。

では最終レジェンド回というものはゴーカイジャーの物語の中でどういう意義を持っているのか?

一連のレジェンド回というのは、ゴーカイジャーの中で新たなヒーロー性が目覚めていくのに伴って、
ゴーカイジャーがパワーアップしていくという一連のエピソードでした。
その最終エピソードということは、ゴーカイジャーの持つヒーロー性の到達点がテーマとなるようにも思えます。
しかし、一連のレジェンド回というのは段階を踏んでゴーカイジャーが
成長していくという流れになっているわけではありません。

例えば第3話のマジレンジャー篇でゴーカイジャーが目覚めた「勇気」というヒーロー性があるゆえに
第5話のデカレンジャー篇の「誇り」というヒーロー性が目覚めるというような
段階的なものがあるわけではないのです。
「勇気」にしても「誇り」にしても、もともとゴーカイジャーの中に備わっている要素であり、
それがヒーローとして戦う精神性となり得るのだということを、
レジェンド戦士たちと接することによってゴーカイジャーが気付いていくのです。
だから、ゴーカイジャーの中にもともと存在する様々な要素がヒーロー性として認識されていく順番は、
単に制作サイドが決めているゴーカイジャーの物語の流れに沿って配置されているだけのことです。

ただ、それにしたところで、ゴーカイジャーというヒーローがどのようなヒーローであるのかという点に関しては、
玩具関連レジェンド回の締めとなった第35話、第36話のゴーオンジャー篇を経て、
第37話、第38話のゴーカイジャー篇とも呼ぶべきカンゼンゴーカイオー登場篇の時点で
「夢を掴むために集まった仲間の絆」という形で結論は出ています。
そして、その後に続く第39話のメガレンジャー篇でその第38話で示された
ゴーカイジャーのヒーロー性の今後の方向性も示唆されており、
この第35話から第39話までの一連の流れが、
ゴーカイジャーという戦隊のヒーロー性の到達点と考えていいでしょう。

では、それ以降のレジェンド回であるタイムレンジャー篇、バトルフィーバー篇で
描かれているヒーロー性とは何なのかというと、
タイムレンジャー篇では
「たとえ運命は変えられなくても、自分の出来ることをやっていけば明日を変えていけると信じる」
ということであり、
バトルフィーバー篇というのは
「自分の身を挺した行動によって、人々に絶望の中で抱く希望が真の希望だということを教える」ということであり、
これらはゴーカイジャーのヒーロー性でありながら同時に、ヒーローというものの根源的なイメージだといえます。

確かにゴーカイジャーのメンバーのパーソナリティーに関連づけて提示されているので、
これらはゴーカイジャーの持つヒーロー性という形にはなっており、
それだからこそ、それに対応した「大いなる力」も手に入っているのですが、
35話から39話にかけて示された「夢を掴むために集まった仲間の絆」というヒーロー性が
今後のクライマックス篇の中で大きな意味を持ってくるのが明白な一方、
このタイムレンジャー篇やバトルフィーバー篇で示されたヒーロー性は、
そのゴーカイジャーの物語のクライマックスにおいて、
ストーリー的にはあまり大きな意味を発揮しそうにないのが気になります。

タイムレンジャー篇もバトルフィーバー篇もエピソードとしては非常に素晴らしいものでした。
だからそれらの存在意義を否定するつもりは毛頭無いのですが、
しかしながら、どうしてこれらのテーマをわざわざクライマックス直前に挿入する必要があったのか、
疑問なのです。

ストーリーの流れでいえば、ワルズ・ギルの最期の後、
メガレンジャー篇の直後に皇帝アクドス・ギルが登場して最終章が始まり、
アイムの仇討ち、ダマラスの最期を経て、すぐにクライマックス篇に突入した方が、
テンポは良いと思います。

クリスマス篇や総集編を入れなければいけないとか、
「ゴーカイジャーVSギャバン」とのスケジュール調整など、諸々の事情はあったかもしれませんが、
上記のような本筋に絞った怒涛の展開を維持したままそれらの調整をすることぐらい、
そう難しいことではなかったはずです。
タイムレンジャー篇やバトルフィーバー篇は絶対にやらなければいけないようなレジェンド回ではなかったし、
絶対にあのような内容でなければいけないというわけでもなかった。

しかし、現実にはあのようなクライマックスへ向かう本筋とはあまり関係ないヒーロー性をテーマとした内容で
これらのレジェンド回をやったのです。
そして、それは前回から今回にかけてのカクレンジャー篇も同じことです。
おそらく、あえて本筋とは別にタイムレンジャー篇、バトルフィーバー篇、カクレンジャー篇を
クライマックス篇に入る前に挿入したのであり、そうしたにはそうしたなりの理由があるはずです。

それはおそらくヒーローの根源的なイメージを描いて、視聴者の子供たちに示したかったからなのでしょう。
タイムレンジャー篇やバトルフィーバー篇で示されたヒーロー像というものが、
ゴーカイジャーの物語を超えた、かなり根源的なものであったので、どうにもそのように思えてきます。

結局、「ゴーカイジャー」という作品は、
宇宙海賊であるゴーカイジャーが地球を守るヒーローへと変化していくというのが主題であり、
物語の決着をつけるという意味で、これから始まるクライマックス篇における
ザンギャックやバスコとの決着を描くことも確かに重要であるが、
作品のもともとの主題はゴーカイジャーのヒーローへの変化という描写を通して、
様々なヒーロー像を視聴者に提示してみせて、
真のヒーローとは何なのかという問題提起をすることにあったように思えます。

その「ヒーロー像の提示」こそがレジェンド回というエピソードのテーマなのであり、
第39話でゴーカイジャーのヒーロー像がほぼ確定した後の、
最後に残った3回のレジェンド回においては、
ゴーカイジャーの物語をも超越した、ヒーローの根源的な姿を本筋から独立した形で描いて、
1年間のレジェンド回の締めとしようという意図があるように思えます。

ただ、根源的なヒーロー像といっても、それは提示する側の主観によって様々な姿が存在し得るのであり、
容易に3つに絞れるものではない。
だから結局はこの作品の制作者の主観は入るのであり、
そういう意味では、確かにゴーカイジャーの物語の本筋とは関係は薄くとも、
そこで示されるヒーロー像はゴーカイジャー的なものです。
だから、ある意味、クライマックス篇とは別の意味で、
そこには「ゴーカイジャー」という物語の結論が込められています。
また、そこには2011年度に放送された「ゴーカイジャー」という作品が
視聴者の子供たちへ向けて発したかった1つのメッセージが込められています。

そのレジェンド回の最終章とでも言うべき3篇のうちの既に放送済みの2篇、
タイムレンジャー篇とバトルフィーバー篇で示されたヒーロー像は、
「たとえ運命は変えられなくても、自分の出来ることをやっていけば明日を変えていけると信じる」ということと、
「自分の身を挺した行動によって、人々に絶望の中で抱く希望が真の希望だということを教える」というものでした。

これらのヒーロー像には、明るく無謬で万能で無敵な完全無欠の正義のヒーローというイメージはありません。
むしろ暗く過酷な境遇の中でも立ち上がって前向きに突き進む者こそが真のヒーローだという考え方が、
この「ゴーカイジャー」という作品が提示したヒーロー像なのだということが窺えます。
絶望的な逆境というものが前提となっている「逆境のヒーロー」がこの作品のヒーロー像といえます。

そしてこの作品の主役であるマーベラス一味の面々は、
鎧を除く5人は皆、故郷をザンギャックに滅ぼされて失っているという逆境から這い上がった者達でした。
また、そのあまりに浮世離れしたスケールの5人の逆境に比べて、より視聴者の子供たちに近い目線での鎧の逆境は、
住居を転々として友達も出来なくて寂しいという逆境でした。
鎧もまたある意味で故郷喪失者といえます。

第38話で定義されたように、彼らは夢を掴もうとする者達の絆で結ばれたヒーロー達ですが、
それは単なる夢ではなく、逆境の中で立ち上がるために見出した夢であり希望であるからこそ、
それは彼らの絆となり戦う力になるのです。
今にして思えば第34話のルカの夢に関するエピソードも、
そういうことを描こうとしたエピソードだったのだといえます。

しかし、この番組が始まった当初、明確に故郷を滅ぼされたという設定であったのはアイムだけであり、
他のメンバーもまた故郷を滅ぼされたという設定がハッキリ明かされたのは第37話になってからでした。
また、本筋には関係の無い唐突な「引っ越しばかりだった少年時代」という
鎧の設定が飛び出してきたのは第40話でした。

第34話のルカのエピソード、そして第41話のアイムのエピソード、第42話、第43話のハカセのエピソードも含めて、
これらはおそらく当初から予定されていたものではないのでしょう。
「ゴーカイジャー」の制作者は、もともと用意していたゴーカイジャーの物語を描きながら、
同時に途中から、「故郷を失った者達が逆境から希望を抱いて立ち上がってヒーローになる物語」を
描きたいと思ったのです。いや、描かなければいけないと思ったのでしょう。

宇都宮Pをはじめ、この作品の制作関係者は、
この作品の脚本が途中で大幅に修正されたと証言していますが、
それはおそらく、この第34話以降にもともとの単なる夢を追うヒーロー物語に付け加えられるようになった
「故郷を失った者達が逆境から希望を抱いて立ち上がってヒーローになる物語」のことを指すのでしょう。

あるいは、それが付け加えられることによって、もともと用意していた物語が圧迫されているのかもしれません。
ザンギャックやバスコの描写や、レジェンド戦隊の扱いに多少の物足りなさを感じている人もいるでしょうし、
回収しきれていない伏線が多いことを心配している人もいるでしょう。
個人的には残り5話でそのあたりはしっかりまとめてくれるものと信じていますが、
おそらく当初予定したよりも苦しい状態になっているのだろうなとは、何となく思います。

しかし、そうなることは覚悟で、この作品の制作サイドは、
それでも脚本を修正しなければいけないと思ったのでしょう。
2011年3月11日に起こった東日本大震災の与えたインパクトは、それほどのものだったのだと思います。
絶対に被災地の子供たちに
「故郷を失った者達が逆境から希望を抱いて立ち上がってヒーローになる物語」を見せなければいけない。
それが子供番組の制作者の責務だと思ったのでしょう。

そういう動機でこの作品が示した「逆境ヒーロー像」は、
子供たちに向けて示した、「この時代」を生きる指針でもあるのです。
第34話から第43話までのゴーカイジャーの姿を通して、それは視聴者の子供たちに届けられました。
おそらく第47話以降のクライマックス篇でも同様にゴーカイジャー最後の戦いを通して、それは描かれるでしょう。

ただ、それとは別に、ゴーカイジャーの物語の本筋から離れて、
より明確にテーマを前面に押し出して、逆境を生きる道を示そうとしたのが、
レジェンド回の最終章ともいえるタイムレンジャー篇、バトルフィーバー篇、
そしてカクレンジャー篇であったのでしょう。

タイムレンジャー篇では、
故郷を失い家族を失った過酷な運命そのものは変えられないかもしれないが、
それでも挫けずに自分の出来ることをコツコツやっていけば、
きっと明日を良い日に変えることは出来るというメッセージが示されました。

バトルフィーバー篇では、
絶望的な状況で抱く希望こそが本当の希望なのだという真理が示され、
勇気ある行動でその希望の価値を皆に教えて元気づけることこそが、
子供たちが目指すべき立派な大人の姿なのだという道が示されました。

では、そのレジェンド回の最終章の締めとなる最終レジェンド回がカクレンジャー篇になったということは、
カクレンジャーという戦隊の持つテーマが、
この最後のレジェンド回で示されるべきメッセージに合致したということを意味します。
それが今回がカクレンジャー篇であることの真の必然性です。

1994年度のシリーズ第18作の「忍者戦隊カクレンジャー」という作品において、
最終的に示されたテーマは、前回の考察でも述べました。
すなわち、人間の心には善の心と悪の心があり、悪の心が妖怪となって現れる。
だから悪の心は消すことは出来ないが、それが表に出てこないように心の中で抑え込めば
妖怪は封印することが出来るということです。
つまり、善と悪の戦いは人間の心の中の善の心と悪の心の戦いだというのが
「カクレンジャー」という作品のテーマです。

それゆえ、人間の悪の心が消し去ることが出来ない以上、世の悪も滅ぼすことは出来ない。
表に出て来ないように封印するしか出来ないのです。
だから「カクレンジャー」最終話では悪の根源である大魔王は倒すことは出来ず、封印して終わりました。

このように敵を倒さずに終わる作品というのは、実はこの時期続いています。
「カクレンジャー」の前年の「ダイレンジャー」もダイレンジャー篇の考察で紹介したように、
敵であるゴーマを倒さずに話が終わりました。
また、その前の「ジュウレンジャー」も、最後は敵のバンドーラ一味はほとんど倒さずに封印して終わりました。
この1992年度から1994年度の「ジュウレンジャー」「ダイレンジャー」「カクレンジャー」の3作は
ファンタジー3部作とも言われ、東映不思議コメディーシリーズ、
特にその中でも1990年に始まる美少女戦士シリーズの影響を色濃く受けた作品群です。

その美少女戦士シリーズの第1作が1990年の「美少女仮面ポワトリン」ですが、
その大きな特徴は、敵である怪人はご町内の普通の人々が悪の心に染まって変身してしまったものであり、
ポワトリンは彼らを倒しても殺さずに改心させることでした。
つまり普通の人々がもともと悪の心を持っているのだが、
悪の心を抑えることが出来れば怪人から人間に戻り、もう悪事は働かなくなるのです。
つまりは人間の心がけ次第という世界観が特徴なのです。

これは1991年の次作「不思議少女ナイルなトトメス」に受け継がれ、
この作品では悪魔が人間の心の隙をついて憑依して悪さをさせるという設定になっており、
ヒロインであるトトメスはこの人間に憑依した悪魔を身体の外に追い出して捕えて封印していきます。
つまり、このトトメスも敵を倒さないタイプの戦士で、浄化・封印をする戦士でした。
このような作品思想は1993年の同じ枠の「有言実行三姉妹シュシュトリアン」に受け継がれますが、
最も注目すべきことは、「ポワトリン」「トトメス」の作品思想は1992年に漫画・アニメ双方ともに作られ始めた
「美少女戦士セーラームーン」に大きな影響を与えたことでした。

「ポワトリン」や「トトメス」が「セーラームーン」に与えた影響は
単に美少女が敵の怪物と戦うということだけではなく、
「浄化・封印をする戦士」という定義だったのです。
そして、その「セーラームーン」はシリーズ化されて1997年まで継続し、
その後、同様の浄化の美少女戦士というコンセプトを明確に「癒しの戦士」と表現し、
更にスーパー戦隊シリーズのダブルヒロインのバトルアクションの要素を加味して
2004年に「ふたりはプリキュア」が作られ、
この後継作品がプリキュアシリーズとして現在まで続いており、
スーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズと共にニチアサキッズタイム枠の一角を担っています。

この現在まで続く「癒しの戦士」の系譜の原点にあたるのが
1990年の「ポワトリン」、1991年の「トトメス」であり、
その系譜は「セーラームーン」「プリキュア」へと受け継がれた一方、
1992年の「ジュウレンジャー」以降のスーパー戦隊シリーズにも影響を与えました。

もちろんスーパー戦隊シリーズには独自の伝統も根強かったので、
ポワトリンのように毎回完全に相手を殺さないとまではいかなかったが、
「ジュウレンジャー」は最終的な物語の結末は敵を倒さずに封印し、改心させるということになりました。
ここでこの「ポワトリン」に始まり「プリキュア」に至る作品思想の肝は「殺さないこと」にあるのではありません。
実際、「セーラームーン」や「プリキュア」ではどうしても悪の心が消えない敵を殺すこともあるのです。
肝心なことは「人の心次第」ということなのです。
心が浄化されて悪の心が抑えられれば助けられるのです。

「ジュウレンジャー」の結末も、結局は敵のバンドーラ達の心が癒され浄化されたので、
悪の心を抑えることが出来たバンドーラは封印されて、壺の中で楽しく過ごすことになったのでした。
そういう意味で「ジュウレンジャー」は「ポワトリン」「トトメス」の作品思想を受け継いだ作品といえます。

そして同様にシリーズ次作の「ダイレンジャー」も、この世は陰と陽、善と悪によって構成されており、
悪を滅ぼすことも善を滅ぼすことも許されず、そのバランスを保つことが必要だということがテーマの作品であり、
悪の心を肥大化させて善を滅ぼそうとしたゴーマの野望を挫き、世界のバランスを保った、
すなわち人間の心の善の心と悪の心のバランスをとったところを物語の結末としたという点で、
やはり「人の心次第」の作品なのであり、美少女戦士シリーズの系譜を引く作品と言っていいでしょう。

その美少女戦士シリーズが「ダイレンジャー」と同年の1993年に
「有言実行三姉妹シュシュトリアン」でシリーズ終了となり、
その主役の1人だった広瀬仁美がリーダーヒロイン鶴姫となって移籍してきて、
美少女戦士シリーズや不思議コメディーシリーズのエッセンスを大増量して作られたのが
「忍者戦隊カクレンジャー」だったのです。

「カクレンジャー」という作品の結末が大魔王の封印であり、
その作品テーマが「善と悪の戦いは人間の心の中の善の心と悪の心の戦いだ」という形で明確に示されたのは、
この作品が明確に「ポワトリン」の系譜を強く受け継いだ「癒しの戦士」の作品であるからでした。

そして、翌1995年の「オーレンジャー」以降は、この「癒しの戦士」の色は薄まっていきます。
「オーレンジャー」の次の「カーレンジャー」などは不思議コメディーシリーズの色の強い戦隊といわれますが、
ラスボスのエグゾスは普通に倒しています。
確かにユルい作風でしたが、美少女戦士の「癒し」の要素よりも、
むしろそれ以前の不思議コメディーシリーズの原点により近い作風だったと思います。
そしてその次の「メガレンジャー」以降は、
メタルヒーローシリーズを原点とするハードな切り口で戦士の心の中の善と悪の葛藤を描いていく作風となり、
それが現在まで続いているといえます。

となると、スーパー戦隊シリーズにおいてかつて一時期存在していた「癒しの戦士」の系譜の極点にあったのが
カクレンジャーという戦隊だということになります。
それがカクレンジャーという戦隊の最大の特徴だとするなら、
この最終レジェンド回がカクレンジャー篇である必然性にもそれが関係していると想像できます。

つまり、カクレンジャーが「癒しの戦士」であり、ゴーカイジャーにもその要素が認められるからこそ、
カクレンジャー篇が成立するのであり、
そのカクレンジャー篇が最終レジェンド回、レジェンド回の最終章の掉尾を飾るということは、
このカクレンジャーなりの「癒しの戦士」の在り方こそが、
この「ゴーカイジャー」という作品が2011年という「この時代」の子供たちに向けて示す、
生き方の指針の最も大切な部分だということになります。

では、今回の最終レジェンド回で叙述される
カクレンジャーなりの「癒しの戦士」の在り方というものの
具体的な姿は何なのか?

「カクレンジャー」という作品のテーマであった
「善と悪の戦いは人間の心の中の善の心と悪の心の戦いだ」というのは、
あくまで作品のテーマ、世界観であって、
これは今回のカクレンジャー篇の中でも非常に分かりやすい形で描かれてもいますが、
これは今回のカクレンジャー篇のテーマではありません。
今回のカクレンジャー篇のテーマは「カクレンジャー」という作品のテーマではなく、
カクレンジャーという戦隊のテーマがそれに相当します。
「カクレンジャー」という作品のテーマは、あくまで作品のテーマに過ぎず、
カクレンジャーという戦隊のテーマと同じではありません。

「カーレンジャー」以前の戦隊の特徴は、
このように作品のテーマは明確だが、
その中で戦う戦隊のテーマが本編内であまり明確に描かれていないという点です。
だからそれは探さなければならない。

ダイレンジャー篇の考察でも、「ダイレンジャー」という作品のテーマが
「世界は善と悪のバランスによって成り立っている」という明確な形で示されていることを受けて、
ならばそうした世界観の中で戦ったダイレンジャーという戦隊のテーマは何であったのかを考察した結果、
ダイレンジャーという戦隊のテーマは「人々の平和な暮らしを守りたいという大宇宙の意思に従うこと」であり、
それがそのままダイレンジャー篇のテーマになっていることを発見しました。

同様にこのカクレンジャー篇でも
「カクレンジャー」という作品の「善と悪の戦いは人間の心の中の善の心と悪の心の戦いだ」という
独特の世界観の中で戦っていたカクレンジャーという戦隊のテーマは
いったい何であったのかを考えていくことによって、
カクレンジャーと、今回そのテーマを受け継ぐことになるゴーカイジャーが、
「この時代」に「癒しの戦士」として投げかけるメッセージの内容が鮮明になってくるのです。
そして、それは今回のカクレンジャー篇におけるゴーカイジャーの物語の中で、
極めて明確な形で描かれています。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:12 | Comment(0) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月18日

第46話「ヒーロー合格」感想その2

では本編ですが、まず冒頭はいつも通りのゴーカイガレオンの船室のシーンから始まりますが、
いつも通りではない状況が1つあります。
前回の最後にガレオンに住むと宣言したニンジャマンがまだ居るのです。
マーベラス一味の6人はいつもと変わらぬ日常生活を送っていますが、
ニンジャマンは船室のパネルスクリーンの前に仁王立ちで腕組みをして、じっと6人を見据えています。
あまりにも存在感ありすぎです。

鬱陶しくて堪らない様子で、船長椅子にだるそうに座ったマーベラスは
「はぁ〜・・・もうお前、いったい何時まで居座るつもりだ?」と溜息をついてニンジャマンに文句を言います。
「そうよ!いい加減カクレンジャーの大いなる力をくれてもいいんじゃないの!?」とルカも立ち上がって
すっかり喧嘩腰です。

なんだか2人の態度がとっても悪い。
前回はカクレンジャーの大いなる力をニンジャマンから貰うために一生懸命にご機嫌取りをしていたはずなのですが、
今回は冒頭から、すっかりキャラの地金が出てしまっています。
とっととニンジャマンから大いなる力を奪って、この船からニンジャマンを追い出したいという
本音が思いっきり出ていますが、こんな調子で大丈夫なのでしょうか?
そもそも、どうしてここまでマーベラスやルカは豹変してしまったのでしょう?
これではニンジャマンの機嫌を損ねてしまうのは明白です。

実際、ニンジャマンもマーベラスやルカの悪態に対して、
語気を強めて「い〜や!ダメだ!今度は騙されないように、簡単には信じないからな!
ちゃ〜んと傍にいて見極めるぞ!」と言い返します。
やっぱりニンジャマンはまだカクレンジャーの大いなる力をマーベラス達に渡す気は無いようです。
前回、ニンジャマンは何やら勝手に反省して勝手に慎重になってしまったように
マーベラス達の目には映っています。

ニンジャマンとしては、それなりに筋が通った理屈はあります。
自分が10年前に動物園から脱走した猛獣を退治する時に暴れすぎて
師匠の三神将に罰として壺に封印されてしまったために、
数年前に起きたというレジェンド大戦に参加することが出来なかったことを、
先日、鎧に教えられて初めて知ったのです。
レジェンド大戦の時に三神将がニンジャマンを壺から出してくれなかったのは、
ニンジャマンが師匠の三神将や仲間のカクレンジャーと共に戦う資格が無いと判断されたということです。
それはつまり正義のヒーローとして失格だと宣告されたに等しい。

何故ニンジャマンが師匠にそこまで見損なわれる羽目になったのかというと、
それは単純に猛獣退治の際に暴れすぎて被害を拡大させた罪だけによるものではないということは
ニンジャマンにも分かっていました。

ニンジャマンを壺に封印する時、
三神将は「正義のために熱くなり、周りが見えなくなるのがお前の悪いクセだ!」と言いました。
つまり、猛獣退治の際の暴走は最終的な決め手になったに過ぎず、
もともと三神将はニンジャマンの未熟さを苦々しく思っていたのであり、
ニンジャマンが封印の罰を喰らった理由の大部分は三神将を失望させ続けてきた
ニンジャマンの失態の積み重ねなのです。

ニンジャマンは壺の中で一応反省して、三神将の叱責の言葉を想い返し、
自分がすぐにカッカしてしまって深い考え無しに突っ走って失敗することが
師匠たちをガッカリさせていたのだと解釈しました。
確かにニンジャマンは「カクレンジャー」本編でも思慮が浅い慌て者であるために、
しょっちゅう妖怪に騙されて失敗しており、
ニンジャマンは自分のそうした思慮が浅く単細胞ですぐに他人を信じて騙されるところが
三神将を失望させ、正義のヒーローに相応しくないと思われていたのだと、壺の中で反省していました。

そうして10年が経ち、マーベラス達によって壺から出されたニンジャマンは、
自分が壺の中でじっとしているうちにレジェンド大戦が起きて、師匠や仲間は行方知れずになっており、
ヒーロー失格の烙印を押された自分だけが取り残されたという現実を突き付けられました。
そのことにショックを受けたニンジャマンは、ますます自分の未熟を悔やみ、
欠点を克服してヒーローとしてやり直したいと思い、
これからは深く考えずに他人を信用することはやめて、慎重に考えて絶対に騙されないようにしようと
心に決めたのでした。

そうした矢先にマーベラス達からカクレンジャーの大いなる力を渡してほしいと頼まれたニンジャマンは、
実際その時点ではマーベラス達に対して好印象を抱いていたにもかかわらず、
簡単に他人の言うことを信用してはいけないと思い直して、
騙されないように慎重にマーベラス達のことをカクレンジャーの大いなる力を受け継ぐに相応しい者なのかどうか
見極めてから判断すると宣言して、マーベラス達に大いなる力を渡さずにお預けを喰らわせたのでした。
その後、ニンジャマンはゴーカイガレオンに居座って、ずっと慎重にマーベラス達を観察しているのです。

しかし、ニンジャマンのそうした過去の経緯などマーベラス達は詳しくは知りませんから、
どうしてニンジャマンが急に慎重になったのか意味が分かりません。
マーベラス達はニンジャマンを上手く煽てて大いなる力を手っ取り早く手に入れようとして、
変なお芝居をして接待攻勢などはしましたが、
別にニンジャマンを騙して大いなる力を悪用しようとしているわけではありません。
ちゃんと地球を守るために戦っていますし、大いなる力もそのために使っています。
それにマーベラス達は大いなる力を使って自分達は「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしているという
思惑も全て正直にニンジャマンに話しています。
だからニンジャマンを騙すつもりなど毛頭ないのです。

それなのに「騙されないように慎重に見極める」などと言われて気分が良いわけはない。
自分達が大いなる力を使って「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしていること自体が
気に入らないから大いなる力は渡さないとニンジャマンにキッパリ言われたなら、まだスッキリしますが、
まるで詐欺師であるかのように疑われて、ずっと監視されているのは面白くありませんでした。

それですっかりヘソを曲げたマーベラス達は、もはやニンジャマンに丁寧に接するのもバカバカしくなって、
めっきりニンジャマンに対する態度が悪くなってしまい、
それを見てニンジャマンも、やはり最初の丁寧な対応は自分を騙すための演技だったのだと思い、
疑惑を深めてしまい、最初はマーベラス達に対して好印象を抱いていたニンジャマンも、
何時の間にかその好印象はすっかり消え去り、出来の悪い後輩戦隊に対するような厳しい接し方になってきています。
それがますますマーベラス達をイラつかせて、
すっかりマーベラス一味とニンジャマンの間は険悪なムードになってしまっていました。

何時までも大いなる力を渡さずに不機嫌な態度で監視を続けるニンジャマンに呆れて、
マーベラスは「マァ〜ジ面倒くせぇ・・・!」と溜息をつき、船長椅子でふてくされます。
するとニンジャマンはマーベラスを指さし「それだぁ!その態度!」と怒鳴ります。
そして「この1週間、お前達を見てきたが、どぉ〜も生活態度がなってない!」とお説教を始めます。
前回のエピソードでニンジャマンがガレオンに来てから1週間も経っているようです。
そりゃあ、1週間もこんな調子ではマーベラス達もウンザリするでしょう。

ただまぁ、確かにマーベラス達の生活態度は一見、あまり良いものではありません。
特に古参3人は不真面目で、マーベラスは船室ではダラダラしているかダーツでもして遊んでばかりだし、
ジョーは筋トレとトランプばかり、ルカは宝石いじりとトランプばかりです。
まぁハッキリ言って、この3人だけならば無頼の徒の巣窟のような感じです。
実際、ハカセが加入する前の3人だけの時期はこの船室もひどい汚部屋状態だったという実績もあります。

ただ本当はマーベラス達だって目立たないところで結構努力して己を高めているのであり、
ニンジャマンはそうした彼らの隠れた努力には気付いていません。
しかし確かに生活態度の悪さは指摘されても仕方ないのですが、
ジョーはトランプをいじりながら鬱陶しそうな顔で振り向き
「・・・余計な世話だ!」と反抗期の中学生のような態度でニンジャマンに悪態をつく始末。

するとニンジャマンは根が単純な熱血野郎なので、急に熱血指導に目覚めたようで、
マーベラス達に向かって「今から俺が鍛え直してやる!皆!表へ出ろ!」と言い放つと、
さっさと外に飛び出していきました。
ルカやジョーは露骨に嫌そうに「はあああ!?」と呆れますが、
何故か鎧だけ大喜びで「はいっ!!」と立ち上がったので、皆驚いて鎧を見ます。

鎧だけはニンジャマンのことをレジェンド戦士の1人として尊敬している
地球人のスーパー戦隊の熱烈なファンなので、
ニンジャマンの振る舞いがいかにピント外れであろうとも、全く気にならないようでした。
いや、というより鎧自身がニンジャマンとよく似たピント外れ野郎なのです。
マーベラス達は改めてそのことを想い知らされたのでした。

まぁ、何にしても、いくらマーベラス達がニンジャマンのことを迷惑に思おうとも、
他のカクレンジャーのメンバーが隠れてしまって出て来ない以上、
カクレンジャーの大いなる力を貰えるアテがニンジャマンだけであるという事実は変わらないわけで、
マーベラス達はニンジャマンを追い出すわけにもいかない。
それにニンジャマンと喧嘩ばかりするわけにもいかない。
しぶしぶマーベラス達もニンジャマンについて表に出るしかないのでした。

今回はここでOPテーマとなり、カクレンジャー篇の後篇ですから、
当然、OPナレーションはレジェンド回バージョンとなります。
そしてOPテーマが終わり、CMが明けて、今回のサブタイトル「ヒーロー合格」が出ます。

これは前回の「慌てん坊忍者」と同じように、
「カクレンジャー」本編の特定エピソードのサブタイトルをもじったもので、
今回の場合は「カクレンジャー」第51話の「英・雄・失・格」をもじったものだと思われます。
この「英・雄・失・格」は「ヒーローシッカク」と発音するのであり、
今回のサブタイトル「ヒーロー合格」と逆の意味の言葉となります。

ただ、この「カクレンジャー」第51話のエピソード内容と今回のエピソード内容は
ほとんど何も関連性はありません。
単に今回、ニンジャマンがマーベラス達をカクレンジャーのテーマを受け継ぐヒーローとして認めるお話なので、
その内容をふまえた上で、「カクレンジャー」のサブタイトルの中からそれに関連しそうなものを探して
第51話の「英・雄(ヒーロー)・失・格」を用い、
それをアレンジして「ヒーロー合格」にしたのでしょう。

ただ、レジェンドゲストがマーベラス達をヒーローの資質を持った者として認めるというのは
全てのレジェンド回に共通している内容なのですから、
取り立ててそれをサブタイトルにする必要も無さそうなものですが、
これは最終レジェンド回という節目だから、
マーベラス達が全ての試練をクリアして(まぁまだバスコに奪われた5つはあるわけだが)
スーパー戦隊の後継者となったという記念の意味のサブタイトルなのかもしれません。

また、今回「ヒーロー合格」したのはマーベラス達だけではなく、
ニンジャマンもまた今回のエピソードを通して、師匠の三神将が本当に自分に諭したかった内容に気付き、
ヒーローとしての資格を取り戻すというお話になっているので、
そういう意味も含めての「ヒーロー合格」というサブタイトルなのでしょう。

なお、「カクレンジャー」第51話のサブタイトルを忠実にもじるのならば、
今回のサブタイトルは本来は「英・雄・合・格」とすべきだったはずですが、
これは30分後に放送している「仮面ライダーフォーゼ」の
サブタイトルの統一フォーマットとかぶるので避けたのかもしれません。

さて本編が再開し、
場面は一転して、地球を見下ろす宇宙空間に浮かぶギガントホースの指令室の場面となります。
艦橋の窓に向かい、地球を見下ろしながら皇帝アクドス・ギルは
「・・・増援の状況は?」と後ろに立つダイランドーに質問します。

ザンギャックの皆さんは前回の総集編エピソードには登場しませんでしたから
クリスマスの第44話以来の登場です。
あの時、アクドス・ギルは「地球征服に向けて本格的に軍を立て直す」と言っていましたが、
やはりそれは宇宙に散らばるザンギャック軍を再編して地球に増援として送らせて、
一気に大軍勢を集結させて、力押しで地球を征服するという作戦であったようです。

ダイランドーは畏まって「はっ!既に地球に向かって出発したとのこと!
・・・宇宙海賊どもが絶望する姿が、目に浮かびますっちょい!」と答え、ほくそ笑みます。
ダイランドーもクリスマス回では調子に乗って地上で遊び回ってマーベラス一味にもちょっかいをかけていましたが、
あの時、マーベラス一味が思っていたより手強いと知り、
あれ以降は無意味に地上にちょっかいをかけることはせず、
大兵力で地球とゴーカイジャーを叩くという皇帝の作戦に忠実に従っているようです。

その大兵力の増援軍ですが、マーベラス達が絶望するほどの大規模なものであるようで、
これはやはりレジェンド大戦の再来といえるほどの規模が予想されます。
その増援軍は編成はようやく終えて、出陣して地球へ向けた遠征の途についたばかりである模様です。
いったいザンギャックの本国が地球からどれほど離れた位置にあるのか視聴者にはよく分からないので、
その増援がいつ地球の上空に現れるのか不明ですが、
アクドス・ギル達がやけにのんびりしていることや、
ザンギャックの連中が常々、地球のことを辺境呼ばわりしていることから考えて、
増援の出発したザンギャック本国から地球まではかなり遠いと思われ、
増援が到着するまで、まだかなり日数がかかるようです。

その増援さえ到着すれば、忌々しい宇宙海賊を絶望させることが出来ると期待して
ダイランドーは面白がっていますが、アクドス・ギルは面白くなさそうに
「・・・こんな辺境の星ひとつに・・・ここまで手こずるとはな・・・!」と呟くのでした。

大兵力の増援まで呼び寄せねばならなくなったのは、
もともと派遣していた地球侵略軍や、自分の引き連れてきた親衛隊の力では
マーベラス一味を倒すことが出来なかったからでした。
だからそんな状況を親衛隊のダイランドーが面白がる筋合いは無い。
ダイランドーは皇帝の不愉快そうな言葉を聞いて恐縮して畏まるのでした。

しかし、そもそもアクドス・ギルはどうしてそんな辺境の星に、
多大な犠牲や手間を払ってまでこだわるのか?
単純にザンギャック軍には撤退という二文字は無いという意地なのか、
あるいは何か別の理由があるのか、この時点ではちょっとよく分かりません。

すると、その時、アクドス・ギルの後方に直立不動で立っていたインサーンが急に跪き、
「恐れながら皇帝陛下・・・」と畏まります。
そしてインサーンは「増援が到着するまで、私にも一度、作戦のチャンスを!」と言うのです。
地球侵略軍の技官のインサーンも、増援まで求める羽目になった不名誉を恥じており、
何とか名誉挽回の機会を窺っていたのでした。

アクドス・ギルは結構インサーンの能力は買っていますので、
振り向いて「・・・何か策があるのか?」と訊ねます。
するとインサーンは「面白いヤツを見つけましたの・・・ヤツなら人手を割くことなく
地球人を争いの渦に巻き込めます・・・」と自信ありそうな様子です。

そういえばインサーンはクリスマス回の第44話の時、
ダイランドーが遊んでいる間も真面目に地球侵略軍の戦力の見直しを地道にやっていたようですから、
その結果、地球侵略軍に属している行動隊長の中に面白い能力を持った怪人が居ることを発見したようです。

行動隊長というのは様々な特殊能力を持った怪人たちであり、
その怪人の能力に合致した作戦を立てて送り出してやらなければ宝の持ち腐れです。
そういう点で以前の司令官のワルズ・ギルは未熟であり、怪人を無駄な使い方をすることも多かった。
そしてまた、逆に、使いようによっては有効な働きが期待できるのに、
その潜在能力が気付かれることなく干されていたような怪人もおり、
インサーンは戦力の見直しの過程で、面白い特殊能力を持っていながら、今まで使われていなかった怪人を
発見したのでした。

その怪人の特殊能力を活かした作戦をワルズ・ギルは発想出来なかったようですが、
インサーンは考えることが出来ました。
その作戦はゴーカイジャーを倒したり、地球を征服してしまえるような大それたものではありませんでしたが、
増援が来る前にある程度、地球人たちを混乱状態に陥れて
ザンギャックに抵抗する力を削ぐことの出来る作戦でした。
それを実施することによって、インサーンは地球征服作戦の中で手柄を上げて、
地球侵略軍の名誉を少しでも挽回したいと思ったのでした。

そのインサーンの自信ありげな態度を見て、アクドス・ギルも「ほほう・・・」と乗り気になります。
インサーンの言うように、増援が到着する前に地球の側を混乱状態とすることが出来ていれば、
征服はより簡単になる。
それはアクドス・ギルとしても望むところであったのです。

ダイランドーもインサーンがやけに自信たっぷりなので興味が湧いたようで、
「ちょちょいのちょい!そいつはいったい誰なんしょ?インサーンちゃあん!?」と、その怪人の名を尋ねました。
それに対してインサーンは「悪魔祈祷師・・・ジュジュ・・・!」と答えました。
結局、そのインサーンの作戦はアクドス・ギルによって認可され、
インサーンはさっそく、そのジュジュという行動隊長を地上に降ろし、作戦行動を開始させたのでした。

そのジュジュと思われる怪人、さっそく街で変な行動をしています。
コソコソと物陰に隠れて、手にした杖の先端から赤い光を発射して、
トラックの運転手、サラリーマン、OL、カップルなど、手当たり次第にその光を命中させていきます。
しかし、その光を当てられた人達は全くダメージを受けた様子も無く、
自分の身体がその変な攻撃を受けたこと自体、無自覚なまま、そのまま平気な顔で日常行動を続けています。

それらの人々の様子を物陰から覗き見て「ヒッヒッヒ・・・」と気味悪い笑い声を漏らすジュジュの姿は、
まるでインディアンの呪術師のようなカラフルな羽根飾りだらけの不気味な容姿です。
そういえばインサーンはジュジュのことを「悪魔祈祷師」と言っていました。
呪術を使うからジュジュという名なのかもしれません。
そうなると、おそらく、あの通行人に対して浴びせた光は何らかの呪いのようなもので、
即効性ではなく、後でその呪いが発動するようになっているのではないかと想像できます。

その呪いを多くの人々にかけておいて、後で一斉にその呪いを発動させることによって、
インサーンの言うような「人手を割くことなく地球人を争いの渦に巻き込む」ということが出来るのでしょう。
それはどのような争いなのかはまだ分かりませんが、
確かにジュジュがこうして手当たり次第に通行人に光を撃ち込んでいくだけで準備が整うのならば、
人手はかかりません。
それに、こうした隠密行動をしている限り、マーベラス一味に嗅ぎつけられる可能性も低く抑えることが出来ます。

さて、その頃、ハチマキを締めて気合いタップリのニンジャマンは
マーベラス一味を鍛え直すために港にある公園まで来ていました。
しかし、着いてみると、何故かそこにはニンジャマン以外はハカセとアイムと鎧しかいませんでした。
途中まで一緒に来ていたはずのマーベラス、ジョー、ルカの姿が何時の間にか無くなっています。

「おい!あとの3人はどうした!?」と訊ねるニンジャマンに対して、
鎧が空手の気合いを入れるポーズのような直立不動で「押忍!!逃げました!!」と元気に答えます。
すごい体育会系のノリで可笑しい。なんだか全員ハチマキ締めてるし、応援団の練習風景みたいです。
そして、どうやらマーベラス、ジョー、ルカの3人はやっぱり途中で面倒臭くなって逃げ出したようです。

「なに!?・・・あいつらぁ〜・・・!」とニンジャマンは激昂し、
やはりあの3人は信用出来ないと、ますます不信感を募らせます。
一方、ハカセは「マーベラス達が来るわけないよ・・・」と冷めた態度です。
あの3人はいつも、あくまで自主的に自分をしっかり鍛えているのであって、
こんな風にみんなで集まって鍛えるとかいうのは、どうも性に合わないというのはハカセには分かっています。

ハカセももちろんいきなり鍛え直すとか言われて迷惑であったし、気乗りはしていない。
ニンジャマンがいつまでも自分達を不信の目で見て大いなる力を渡してくれないことも不満でした。
しかし自分を鍛えること自体はハカセは必要だと思っていたし、
こんな風にみんなで集まって鍛え合うというのもマーベラス達とは違って抵抗はありませんでした。
だからニンジャマンの思いつきに付き合ってもいいとは思っていました。

それにニンジャマンも自分達のことをやけに疑ってはいるものの、
根は純粋で善良な人(?)であることは見ていて分かりましたから、
ハカセはそんなにニンジャマンが嫌いではありませんでした。
それはアイムも鎧も同様であったのです。
だから、この3人は案外こうしてニンジャマンと一緒に出掛けていることを楽しんでいました。

そして、ニンジャマンはとにかく気を取り直して「仕方ない!お前達だけでも始めるぞ!」と号令をかけ、
ニンジャマンの熱血指導(?)のもと、3人は鍛錬を開始したのでした。
まぁ鍛錬といってもそんなに複雑なトレーニングをするわけではなく、
単に実戦風のバトルロイヤルの組手をするだけです。

「よし!じゃあいくよ!鎧!」と言ってハカセが鎧にキックやパンチを浴びせ、
鎧がそれを受けて反撃いるところに、今度は後ろからアイムが「はっ!」と声を上げて鎧にパンチを浴びせ、
それを避けて反撃しようとする鎧を掴まえたアイムは「ふん!」と気合を込めて一本背負いを仕掛け、
鎧は「どわあああ!?」と投げ飛ばされて近くの壁に激突します。

思った以上に3人の動きが良いので、ニンジャマンは「いいぞ!」と褒めます。
というか、ニンジャマン何もしてません。
実際、普段から実戦で鍛えられている3人は実戦風の組手では
特にニンジャマンから何か教わる必要も無いほど動きが良いのは当たり前です。

いや、しかし、このシーンは生身での稽古シーンですから、
当然演じているのはハカセ役の清水一希さん、アイム役の小池唯さん、鎧役の池田純矢さんの3人なのですが、
何かもう、稽古シーンとしては無駄といえるほど動きが良いです。
池田さんのアクションがハイレベルなのは既に第18話や第33話で印象が強いですが、
清水さん、小池さん共にかなり凄いです。
今年度の戦隊は本当に素面役者のアクション能力が高かったといえます。

そこにハカセが「はぁっ!!」とアイムに向けてパンチを繰り出してきて、
それを避けながらアイムが反撃に転じて裏拳をハカセに命中させますが、
ハカセはバク宙して衝撃を受け流して着地、
そこに今度はアイムの背後から「おりゃああ!!」と鎧がローリングソバットを繰り出し、
アイムは転がって避けます。
このあたりの攻防も無駄ともいえるほどハイレベル。

そしてアイムが起き上がろうとして動きの止まったところを狙って、
ハカセと鎧は「今がチャ〜ンス!!」と両側からアイムの頭部目がけてパンチを繰り出します。
これはアイムも回避不可能で、受け流すことも出来ずにモロに喰らうしかないように見えましたが、
ハカセと鎧は共にパンチを寸止めして、アイムを殴りませんでした。
アイムは実戦さながらの組手ですからそのまま殴られることは覚悟していたのですが、
殴られなかったので意外そうな顔をして少し戸惑います。

実際さっきまでハカセも鎧もアイムに対してパンチもキックも本気で振り切って当てに来ていました。
それなのにどうしていきなり攻撃を止めたのだろうかと不思議に思い、
アイムは少し不満げに「・・・手加減なさらずとも良かったのに・・・?」と言います。
するとハカセと鎧はニッコリ笑って突き出した拳を下ろし、アイムの腕を抱えて起こします。
そして鎧は「・・・いくら本気の稽古といっても、アイムさん相手にそこまで出来ませんよ!」と笑顔で言いました。

ハカセも鎧も実戦形式の組手なので本気の攻撃を相手に仕掛けていましたが、
それはあくまで相手がそれをまともに喰らうはずがないという計算があってのことです。
相手も本気で戦っている以上、そんなに簡単に大きなダメージを受けるはずはない。
ガードしたり受け流したりして、大怪我を負うほどのダメージは受けません。
それが分かっているうちは自分も安心して本気の攻撃を繰り出すことは出来ます。
そうした本気の攻防は確かに良い練習にはなります。

しかし、完全に相手の態勢を崩して、ガードも受け流しも出来ない死に体の状態に追い込んだ上で、
それでも攻撃を振り抜くというのは、そこまでやる必要があるとは思えませんでした。
そこまでいくと、それは相手を倒すことが目的となってしまっており、
互いに高め合う練習の域を超えてしまっています。
実戦さながらの組手とはいっても、実戦そのものではなく、あくまで練習なのですから、
完全に相手を仕留める攻撃は寸止めにするのが練習相手への礼節というものです。

まぁ何が致命打であり何が致命打でないのか攻撃しながら瞬時に判断出来て、
それを出したり止めたり出来るというのは、なかなか出来ることではなく、
それが出来るということはハカセも鎧も日頃の実戦や練習の中で
かなりの腕前に成長してきているということでもあります。
そして腕だけではなく、礼節をわきまえた心を持った戦士でもあるということです。

しかしアイムの方は自分の失敗で窮地に陥り、強烈な一撃を受けるのは仕方ないと思っていました。
逆に、これは練習なのだからトドメの一撃は寸止めしてくれるはずだなどという
甘えを持って戦いに臨んでいるようでは、そもそも緊張感の伴う良い練習になるはずがない。
攻撃を止める側は、寸止めする技術も含めて良い練習になっているのですが、
攻撃を止めてもらう側はあまり甘やかされて、それで甘えた心を持ってしまっては良い練習にならないのです。

まぁそれは結局自分がミスをした結果の産物であり、
良い練習をしたければ自分が優勢になって寸止めする側に回ればいいという話なのですが、
練習といえども自分が負けた以上、寸止めされるのはあまり気分が良いものではない。
緊張感の伴う良い練習を望むからこそ、そんな気分になってしまうのです。
それでアイムは鎧の言葉を聞いてもまだ釈然としない顔をしています。

自分は本気の練習をしようとしているのに、ハカセや鎧は本気で練習をしていないように思えてしまいます。
もちろんハカセや鎧がふざけているとは思わないが、
少し余裕を持っているところに多少の傲慢さが見えてしまいます。
本当の本気ではないというところが不満でもあり、そんなことで大丈夫なのかという不安もありました。
礼節を重んじる余り、本気の組手が出来ないようでは自分もハカセ達も良くないのではないのかと
アイムは少し焦ります。

しかし、それは所詮は打ち負かされた側が抱く特有の焦りに過ぎず、
これはあくまで実戦そのものではなく練習なのだとアイムも思い直して、
助け起こされながら、すぐ笑顔になります。
練習なのだから相手への礼節があるのは当然であり、ハカセも鎧もそれを実践しただけであり、
自分が逆の立場でもやはりさっきのシチュエーションならば拳を振り抜くことはしなかったはずだと
アイムは思いました。

そして、いざ本気の戦いとなれば、自分もハカセ達も本気で攻撃を振り抜くはずであり、
振り抜かなければいけないということも分かっていました。
いや、振り抜く拳を礼節などで止められるはずがない場が本当の実戦の場での本気の戦いなのです。
だから、練習の場で礼節を重んじることがそのまま実戦の場での甘えに繋がるなどということはない。
そんな心配をする必要など無いのだとアイムは思い直したのでした。

ハカセも鎧もアイムも、そういう練習と実戦の切り替えもしっかり出来るようになるまで
成長していました。
だから、この場は実戦形式の練習とはいっても余裕をもって礼節を重んじて楽しみながら、
それでいて練習の成果は上げることは出来るはずです。

ハカセはあくまで明るく「そうそう!相手が鎧なら別にいいけど!」と冗談を言い、
鎧が「ちょっとドンさん!冷たいじゃないですか!?」とツッコミを入れ、
じゃれ合う2人を見てアイムも面白がって笑い、3人は和やかなムードとなります。

その3人を見ながら、ニンジャマンは「うんうんうん・・・この3人は、良い奴らかもしれないなぁ・・・!」と頷きます。
ニンジャマンも、やり方は不器用で体育会系のスパルタ教育のようにしか見えないが、
別に厳しいだけの指導をしたり、小姑のように生活態度を1つ1つ矯正してやろうなどと思っているわけではないし、
意地悪をしようとしているわけでもない。
また、海賊だからといってマーベラス達の事を偏見の目で見ているわけでもない。

ただ単にマーベラス達の心が荒んでいて悪人のように見えるのが不安だったのでした。
悪人ならばかつての妖怪たちのように自分を騙そうとしてくるかもしれないから
用心しなければならないとニンジャマンは思っていたのでした。
そう思っている間は大いなる力を渡そうなどという気にはなれない。
そうしたモヤモヤした気分のニンジャマンは、
マーベラス達を鍛え直して悪の心を追い出して正義の心だけの状態にしなければいけないと思い、
そのためには正義のヒーローらしく、正義の戦いに向けた「特訓」をすることで
正義の心を鍛えるしかないと単純に考えたのでした。

その結果、マーベラスとジョーとルカには逃げられて更に失望させられることになりましたが、
残ったハカセとアイムと鎧の練習に取り組む姿勢を見ると、
彼ら3人はしっかりと礼節をわきまえた正義のヒーローの心を持っているように見えました。
少なくとも、夢中で猛獣と戦っているうちに自分をコントロール出来なくなって、ついやり過ぎてしまい、
警察や自衛隊にまで被害を及ぼしてしまった過去の自分よりも、
よほど節度を持った立派なヒーローに見えました。
つまりニンジャマンが過去の自分を反省して目指そうとしているヒーロー像と同じものを
彼ら3人も目指そうとしているように思えて、ニンジャマンはハカセ達には親近感を覚えたのでした。

と、その瞬間、ニンジャマンは突然、おかしな気配を感じ取りました。
「・・・ん?・・・なんだ?この感じたことのない妙な気配は・・・?」と呟くと、
胸騒ぎを覚えたニンジャマンはその気配のした方向に向けて駆け出していったのでした。
それを見てハカセは「ちょっと!どこ行くんだよ!?」と驚き、3人は慌ててニンジャマンを追いかけます。

いきなりニンジャマンが何も言わず走り出したのを見て、
ハカセ達3人はニンジャマンの行動の意味が分からなかったのです。
つまりニンジャマンの感じた気配を3人は全く感じることが出来なかったということです。
これはさすがにニンジャマンの人間を超えた仙人のような存在であるゆえの特殊能力と言っていいでしょう。
普通の人間には感じ取ることの出来なかった異常をニンジャマンは察知したのです。

そのニンジャマン達のいた港の公園と同じ海岸線沿いの少し離れた場所では、
物陰に隠れて不気味に笑って例の杖を構えるジュジュの姿がありました。
その杖の先には少し離れたところを歩くカップルの姿がありました。
手当たり次第に人々に赤い光を撃ち込んでいるジュジュは、次は海辺を歩くカップルを標的に選んだようです。

そうしてジュジュが光を発射しようとした瞬間、手裏剣が飛んできてジュジュの杖を持つ手に刺さり、
ジュジュは杖を落とします。
驚いたジュジュが振り向くと、そこに「待て待て待て〜い!!」と叫んでニンジャマンが走り込んできます。
手裏剣はニンジャマンが投げたものだったのです。
つまりニンジャマンが察知した妙な気配はジュジュの気配であったようで、
もともと妖怪と戦っていたニンジャマンはジュジュの発する術の変な妖気に反応したようです。

変な気配を察知して来てみれば、
妖怪ではなく変な怪人がコソコソ隠れて通行人に何かをしようとしていたのを発見したニンジャマンは
「貴様がザンギャックだな!?」と問い詰めます。
これがマーベラス達が戦っている相手のザンギャックという連中に違いないと直感したのでした。
一方、ジュジュはニンジャマンが何者なのか分かりませんでしたが、
ニンジャマンの後ろから駆けてついて来たハカセ達3人の姿を見て、賞金首の海賊だと気付き、
少し驚きつつ「宇宙海賊か・・・スゴーミン!」と、スゴーミン2人を呼び出します。

マーベラス一味に見つかると作戦の邪魔をされて厄介だから人前に姿を現さずに作戦行動をとるように
インサーンに言い含められていたジュジュは、その言いつけ通りに行動していました。
それなのにどうして、まだ作戦の準備段階で自分の居場所がマーベラス一味にバレてしまったのか
ジュジュにはよく分かりませんでした。
ジュジュにもインサーンにもニンジャマンの存在や、その妖気察知の特殊能力は想定外だったのです。

しかしとにかくこうして相対してしまった以上、戦うしかない。
ジュジュはスゴーミン2人と一緒にハカセ達に襲い掛かりました。
ハカセ達3人も「豪快チェンジ!!」と、ゴーカイジャーに変身して戦いが開始されます。
3対3の戦いは一進一退の攻防となり、ややザンギャック側が押し気味となります。

ところがニンジャマンは何故か加勢せずに「怯むな!さっきの調子で戦うんだ!」と声援を送るだけです。
ハカセは加勢せずに喚くばかりのニンジャマンに、多少鬱陶しそうに
「言われなくても分かってるよ!」と言い返し戦いを続けますが、そこに銃撃があり、
ハカセに襲い掛かろうとしていたスゴーミンが吹っ飛ばされます。
マーベラス、ジョー、ルカの3人が暴れ始めたジュジュ達のザンギャック反応を感知して駆けつけたのでした。

「うおおおお!!」と駆け込んできたマーベラス達に向かってニンジャマンは「遅いぞ!お前達!」と叱ります。
そもそもマーベラス達が練習をサボっていなければ最初から6人揃った状態で戦うことが出来たわけですから、
マーベラス達が不心得のために出遅れた形になったのは事実です。
さすがにマーベラスも「・・・へいへい・・・悪かったよ!」と謝りますが、
戦ってもいないクセに偉そうに説教してくるニンジャマンが鬱陶しいので、ものすごく態度が悪いです。

マーベラスはニンジャマンが戦わないのは、こんな時でもあくまで自分達を観察するためなのかと思い、
ウンザリしますが、しかしニンジャマンは悪を前にしてそんな複雑な行動をとるようなキャラではありません。
むしろ直情径行を絵に描いたようなキャラで、真っ先に飛び込んで行って戦うようなキャラであるはずなのですが、
マーベラス達も加わって乱戦になって以降も、ずっと少し離れた場所でシャドーボクシングのように動きながら
「そこだ!」などと檄を飛ばすだけで、自分では戦おうとはしません。

これはあるいはニンジャマンは戦えない状態にあるのかもしれません。
さっきの組手の練習の時も自分は加わらずコーチしていただけであったのも、
以前のようには身体が動かない状態だからなのかもしれません。
あるいは長く封印されていたせいで、調子が戻っていないのかもしれませんが、
しかし「カクレンジャー」本編ではニンジャマンは千年の封印が解けた後、すぐに戦うことが出来ていました。
だから今回の10年の封印程度で身体が鈍るというのも変です。

このように、ちょっと謎のニンジャマンの行動ですが、
一方、ジュジュの方も何時の間にか戦いをスゴーミンだけに任せて物陰に潜んで
「・・・どいつにしようかな?」と何やら獲物を物色する謎の行動をとります。
そしてジュジュはちょうど自分の方に背中を向けたハカセと鎧を見て、
「ん!今だ!」と、例の杖から赤い光を素早く発射してハカセと鎧の背中に命中させ、
ハカセと鎧は全くそのことには気付かないままスゴーミンと戦い続けます。

まんまとハカセと鎧にも赤い光を撃ち込むことに成功したジュジュはほくそ笑んで、更に物色を続け、
「次は・・・」と呟いて今度はマーベラス目がけて赤い光を発射しますが、
マーベラスは一瞬早く、自分に向けて何かを撃ってきたジュジュの行動に気付き、
飛んできた赤い光をゴーカイサーベルで叩き斬って消し去ります。
そして「コソコソすんな!相手してほしければしてやるぜ!?」と怒鳴りつけてゴーカイガンをぶっ放しますが、
ジュジュは長居は無用と見て「ヘッヘッヘッヘ!」と不気味に笑いながら逃げ出し、
スゴーミン達も退却し、「おおい!?」と鎧は驚いて追いかけようとしますが、
ザンギャック側はあっという間に撤退したのでした。

とにかくジュジュとしてはマーベラス一味と戦うことが目的ではないのです。
インサーンに命じられた作戦の遂行が大事なのであって、この場は切り抜けて逃げることが出来ればよかったのです。
ところがハカセと鎧にまで赤い光を撃ち込むことが出来るという予想外の収穫まで得たのですから、
ジュジュにとっては上出来でした。

これ以上戦い続ける意味など無く、これでマーベラス一味に警戒されてしまった以上、
一旦準備作業は切りあげて、作戦の次の段階へ移行することとしたのでした。
そのために撤退したのですが、そんなことは知らない単純なニンジャマンは
「やるな!お前達!奴ら尻尾を巻いて逃げ帰ったぞ!」と大喜びで、マーベラス達を褒めます。

しかしマーベラス達は浮かない顔です。
いったいジュジュがコソコソと何をやっていたのか怪しいと思ったのでした。
全く形勢不利でもなかったのに撤退していったところを見ると、
自分達と戦うことが目的でないことは明白だということはマーベラス達には分かりました。
何かの作戦を遂行していたようだが、街には何ら被害らしきものは出ていません。
いったい何をしようとしていたのだろうかと思い、
ルカは「・・・気味悪いヤツだったわね?・・・何だったんだろ?」と言いますが、皆、首を傾げるばかりです。
そんな中、マーベラスはふと自分の手にしたゴーカイサーベルの刃の部分を見て、
「・・・ん?・・・」と何か違和感を覚えて、じっと刃を凝視するのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 14:43 | Comment(0) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月19日

第46話「ヒーロー合格」感想その3

変な杖から赤い光を発射して多くの人々の身体に何かの仕掛けをしていたジュジュですが、
途中でニンジャマンに見つかり、マーベラス一味に何かを企んでいることがバレてしまい、
これ以上街で暗躍するのが危険になってしまいました。
何せ、どうして自分の隠密行動が察知されたのか分からないのですから、
また街でコソコソしていて見つかってしまったら面倒です。

そこで、本当は地球で大きな争いを起こすためには、
もっと多くの人々に対して仕掛けをしなければいけないのですが、
ひとまずこれまでに仕掛けた分だけで呪いを発動させることにしたのでした。
幸い、マーベラス一味のうちの2人、ゴーカイグリーンとゴーカイシルバーにも仕掛けを施すことに成功したので、
今呪いを発動すればゴーカイジャーを弱体化させることも出来る。
そうしてゴーカイジャーを機能不全にしたら、また街に出て多くの人々に仕掛けをすればいいと
ジュジュは思ったのでした。

そういうわけで、マーベラス一味の前から逃走したジュジュは何処かの洞窟のような場所にゴーミン達を集め、
「さぁ〜て・・・仕掛けは上々!・・・儀式を始めるとするか・・・」と奇妙な儀式を始めました。
赤っぽい水晶玉を祭壇に置いて、それに向かってジュジュが
「ジュ〜ジュ〜!・・・眠れる悪しき魂よ〜・・・目覚め猛れよ、我が意のままに〜・・・」と呪文を唱え、
後ろに並んで座ったゴーミン達も水晶玉を崇めるように「ジュ〜ジュ〜!」と唱和しながら
深々と頭を下げるという、なんだかとっても怪しい儀式です。

これを洞窟で延々と続けていくわけですが、
すると街では、さっきジュジュに赤い光を撃ち込まれていた人達の身体に異変が生じていきます。
トラック運転手の体内に埋め込まれた赤い欠片のようなものから何かエネルギーが放出され、
それまで機嫌よくトラックを走らせていた運転手が一瞬、
そのエネルギーの衝撃を受けて身体をのけぞらせたかと思った、次の瞬間、
突然、運転手の形相が悪人のようになり、他に道路にたくさんの車が走っているというのに、
荒っぽい運転で他の車を邪魔して道路を大混乱に陥れ、暴走を始めたのでした。

同様に、先ほどジュジュに赤い光を撃ち込まれたサラリーマン、OL、カップルなどの身体の中でも
赤い小さな欠片のようなものが突然エネルギーを発して、
彼らの形相もまた、見る見る険しくなっていったのでした。
さっきジュジュが撃ち込んだ赤い光の正体は、どうやらこの赤い小さな破片であったようです。
あまりに小さい欠片であったので撃ち込まれた本人は虫に刺された程度にしか感じなかったようです。

この欠片が突然、エネルギーを発したのは、どうも洞窟でジュジュたちが唱え続けている呪文が原因であるようです。
あの呪文は祭壇に置かれた水晶玉に向けて注がれており、あの水晶玉に何らかの変化を生じさせているようですが、
どうして洞窟の水晶玉に変化が生じると街の人々の体内の赤い欠片からエネルギーが発するのか?

それはおそらく、あの赤っぽい水晶玉とあの赤い欠片が、もともと同じものだからでしょう。
つまり、あの欠片は水晶玉から削り取ったものであり、
呪文で水晶玉を活性化させると、同時にその欠片も活性化されてエネルギーを発し、
欠片を体内に撃ち込まれていた人々に異変を起こすのです。

そして、その異変とは、トラック運転手に起きた異変を見る限り、
なにか人間を粗暴にする作用があるようです。
そしてジュジュの水晶玉に向けて唱えている呪文が
「眠れる悪しき魂よ〜・・・目覚め猛れよ、我が意のままに〜」というものであることから考えると、
あの水晶玉およびその欠片の持つ性質は、人間の悪い心を増幅させる魔力であるようで、
ジュジュはそれを更に増幅させる呪術を使うことが出来るようです。

つまり、インサーンの作戦というのは、このジュジュの水晶玉を使った呪術によって、
水晶玉の欠片を埋め込まれた多数の地球人の悪い心を増幅させ、
地球人同士を争わせて自滅させようという作戦だということになります。
本当はもっと多数の地球人に欠片を撃ち込んでから儀式によって呪いを発動させる予定だったのですが、
マーベラス一味に隠密行動がバレたので、まずは今まで仕掛けをした人々と同時に、
さっき欠片を撃ち込んでおいたハカセと鎧の呪いも発動させて悪い心を増幅して、
マーベラス一味に混乱を引き起こして無力化し、
その間に更に多くの人々に欠片を撃ち込もうというのがジュジュの新たに立て直した作戦でした。

そういうわけで、今回の呪いの発動の重要な標的となっているハカセと鎧ですが、
ガレオンに戻って、皆と一緒に機嫌よく昼食をとっていました。
ところがそこにジュジュの呪文の効果が及んで、ハカセと鎧の体内の水晶玉の欠片もエネルギーを発し、
ハカセと鎧の身体が一瞬、大きく波打ちます。

急にハカセと鎧が揃って変な動きをしたので、ジョーが怪訝そうに「・・・どうした?」と訊ねましたが、
ハカセと鎧は何も答えず、そのまま元の態勢に戻ります。
一見、さっきまでと変わりない様子です。
しかしハカセはおもむろに隣で食事をしているマーベラスの皿にある骨付きチキンを掴み取ると、
無造作に齧り付いたのでした。

一瞬、全員呆気にとられました。
いや、実はハカセの隣で鎧だけは全く平然とした顔をしていますが、
そのことに気付かないほど、全員、ハカセがマーベラスの肉を横取りしたことに驚愕しました。
マーベラスがハカセの肉を横取りすることは日常茶飯事なのですが、
その逆の現象は決してあり得ない出来事であったからです。
喩えて言えば、人が犬を噛んだようなものです。

肉を横取りされたマーベラス本人も呆気にとられましたが、
そこは食い物への執着が並ではないマーベラスですから、「俺の肉ううう!!」と叫んで、
凄まじい形相でハカセの腕を掴み、齧られた肉を奪い返そうとします。
しかしハカセはマーベラスの手を面倒臭そうに払いのけると、
「・・・何だよ!うるせぇなぁ・・・誰が作ったと思ってんだよ!?」と、ものすごく悪い態度で言い返して、
マーベラスに因縁をつけるように睨みつけます。

確かにこの肉はハカセが作った料理ですが、
だからといってハカセが全部食べていいわけがない。
ハカセの言ってることはムチャクチャです。
マーベラスなら言いそうなセリフですが、普段のハカセなら絶対にこんなことは言いません。
まぁマーベラスは間違っても料理は作りませんが。

マーベラスはあまりにも想定外のハカセの態度に更に驚き、唖然としてしまい、
ただただハカセが肉をクチャクチャ食っているのを見つめるだけとなってしまいます。
すると、そこに今度は鎧がいきなりテーブルに足を乱暴に乗せて、
「こ〜んな生ゴミ作ったぐらいで、偉そうに!」とハカセを罵倒し始めました。
ハカセの作った料理を生ゴミとは、いくらハカセの態度が悪いからといって、これはいくら何でも酷い言い方です。
というか、食事中に料理を生ゴミ呼ばわりなんかするのは絶対にしてはいけないマナー違反です。
普段、物腰が丁寧な鎧とは到底思えない暴言といえます。

一同が唖然として見守る中、ハカセが「なんだとコラ・・・!?」と鎧の暴言に反応し、
椅子から立ち上がって鎧の方に振り向き、
「おらぁ!もっぺん言ってみろよ!?このウザオタ野郎がぁ!!」と怒鳴りながら、
ふんぞり返って座っている鎧の胸倉を掴んで引っ張り上げようとします。
確かに鎧はちょっとウザい戦隊オタクですけど、これはハカセ、あんまりにもハッキリ言い過ぎです。

これにキレたのか、鎧も「・・・ハッハッハ!」と小馬鹿にしたような高笑いをして立ち上がると、
ハカセのネクタイを引っ張って「なんやとコラ!?このモジャモジャ激ダサのヘタレが!」と、
あまりに失礼なハカセのファッションセンスに対するダメ出しをして、
「おお!?コラァ!!」とハカセの胸倉を掴み返します。
ハカセも更にキレて「んだぁ!?コラァ!?」と巻き舌で怒鳴りつけながら鎧の胸倉を更に絞って
鎧に顔を近づけてメンチを切ります。
もう完全にヤンキーかチンピラ同士の喧嘩のような雰囲気です。
しかも何故か鎧はいきなり関西弁で、すごくガラが悪いです。

「なんじゃあ!?コラ!!」「ああ!?ナメてんじゃねぇぞ!?」と胸倉を掴み合って
顔をくっつけ合ってメンチを切り合い怒鳴り合う下品な2人の振る舞いに呆れたルカは
「・・・ちょっと止めなさいよ!・・・ごはん不味くなるでしょ・・・?」と、不愉快そうな顔をして
食事をしながら2人を諭すのですが、なんとハカセと鎧は声を揃えて「うるせぇ!!バ〜カ!!」と
ルカまで罵倒します。
ルカは反射的に「はああっ!?」と立ち上がってキレかけますが、
アイムが「ダメですよ!ルカさん!」と身体を張ってルカを制止し、喧嘩が拡大することは防ぎます。

ハカセと鎧がこんなチンピラのようになってしまったのは、
もちろんジュジュに知らない間に撃ち込まれていた水晶玉の欠片のせいで
悪の心が増幅させられてしまったからなのですが、他の仲間たちはそのことには気付いていません。
ただ、アイムはハカセと鎧がルカまで罵倒するなんて絶対にありえないことだと思い、
ハカセと鎧が普通の状態ではないことには気付き、
ならば普通に説教しても素直に聞く状態ではないのだろうと思い、ルカを止めたのでした。

ルカの注意は全くの正論でしたが、
それをハカセと鎧が素直に聞かなければルカまで怒り出して収拾がつかなくなってしまう。
ここはハカセと鎧の挑発に乗ってはいけないのだとアイムは思いました。
ルカも一瞬頭に血が昇りましたが、アイムに止められて、
アイムが考えていることが分かり、落ち着きます。
マーベラスとジョーも、とにかくハカセと鎧が異常な状態であり、今は何を言っても仕方ないと悟り、
喧嘩に加わらないように無視して、食事を続けます。

しかしニンジャマンは普段のハカセと鎧をそんなに詳しく知らないので、
さっきの組手練習の時は善人に見えた2人が急に悪人のようになったことに戸惑い、
慌てて「やめろ!お前達!喧嘩は良くない!」と言って2人のいがみ合いを止めようとします。
だがハカセと鎧はニンジャマンの注意を全く聞き入れず、遂に食卓の傍で取っ組み合いの喧嘩を始め、
皿がひっくり返ったりする大惨事が発生。
しかしその前にマーベラスがちゃっかりドサクサ紛れにハカセの皿から食い物を奪うファインプレーで
食事は無駄にならずに済みました。

「あわあああ!?ハカセと鎧が不良になっちゃったよおお!?」とナビィは大慌てです。
そしてハカセと鎧は「表出ろ!!コラァ!!」「上等じゃワレ!!コラァ!!」と大声で罵り合いながら、
本格的にタイマン勝負をするために外に飛び出していったのでした。
「鎧さん!!ハカセさん!!」と必死に叫んでアイムは呼び止めますが、ハカセと鎧は出て行ってしまいました。

苦々しげな顔で食事を続けながらマーベラスはアイムに「・・・行け・・・!」と短く指示し、
アイムはハカセと鎧を追いかけて走り出します。
そしてマーベラスとジョーは憮然として食事を続け、ルカも突っ立っているだけです。
それを見てニンジャマンは意外そうに「お前達は行かないのか!?」と訊ねました。
マーベラスがアイムだけ行かせて、自分達はハカセと鎧を追いかけようとしないことに
ニンジャマンは驚いたのでした。

しかしマーベラスは平気な顔で「必要ねぇだろ!」と答えます。
ルカも不機嫌な顔をして椅子に座り「そんなことより・・・」と何か言いかけますが、
ニンジャマンは呆れたように「仲間が喧嘩してるってのに・・・なんて冷てぇ野郎だ!!」と怒鳴り声を上げ、
「やっぱり俺はお前達を信用できねぇ!!」とテーブルを乱暴に叩いて立ち上がり、
そのまま駆け出して、アイムやハカセや鎧を追いかけたのでした。

ニンジャマンはさっきからハカセと鎧が喧嘩している間も何も言わず食事を続けていたマーベラス達のことを
仲間の喧嘩も止めようとしない薄情者だと思っていたのであり、
ハカセと鎧が外に飛び出して行っても興味も示していないように見えるマーベラス達のことを
完全に見損なってしまったのでした。

そうしてキレて飛び出していったニンジャマンを見送って、
ジョーは「はああ〜・・・面倒なヤツだ・・・!」と大きく溜息をつきます。
ハカセと鎧が急におかしくなっただけでも大変なのに、
どうしてまたこんな時に、あんな面倒なヤツがいるのだろうかと途方に暮れたのでした。

マーベラス達はハカセと鎧の喧嘩を仲裁するのなら、
ケンカを止める名人のアイムに任せておけばいいと思っていました。
アイムに止められない喧嘩を自分達が止められるわけがないのだから、自分達が付いて行っても仕方ない。
普通の喧嘩ならアイム1人で止められるはずです。
ただ普通の喧嘩でないのならば、自分達はもちろん、アイムにも止められない可能性が高い。
その場合は別の解決方法が必要でした。

すなわち、どうしてハカセと鎧が急に普通でない状態に陥ったのかの謎を解明して、
根本的な解決を図るという方法でした。
むしろ自分達が今早急にやるべきことはそっちだろうとマーベラス達は思っていたのです。
アイムもそれは分かった上で、自分はとにかくハカセ達を止められるものなら止め、
もし止められなくても最悪の事態だけは避けるよう手を尽くして、
マーベラス達の謎解きを待つのが役目だと思って飛び出していったのでした。

しかしニンジャマンはそうしたマーベラス達の心中は分からない。
というか、ルカがそのあたりを説明しようとした矢先に、短気を起こして飛び出してしまったのです。
だからジョーは呆れて溜息をついたのでした。

まぁニンジャマンのことは仕方ないと思い、
マーベラスはおもむろにゴーカイサーベルをナビィに向けて突き出します。
ナビィは切り殺されるかと驚き「うわあああ!?」と叫びますが、
マーベラスは「お前の出番だ!」とナビィに言うのでした。

さて一方、ガレオンの外へ飛び出していったハカセと鎧を追いかけて駆け出したアイムとニンジャマンでしたが、
ハカセと鎧を見失ってしまいました。
アイムと一緒に街中を走りながら「あいつら何処へ行ったんだ!?」とキョロキョロするニンジャマンは、
なんとか早くハカセ達を見つけて喧嘩を止めさせねばならないと焦ります。

すると、その2人の目の前で、電器店から出てきた2人組が揉み合っている姿が目に飛び込んできました。
1人は店員であるようで、「お客さん!ちょっとちょっと!」と慌てて、
もう1人の客らしきサラリーマン風の男を押さえこもうとしています。
サラリーマン風の男が商品を堂々と盗もうとしているようで、店員は驚いて引き止めようとしているのですが、
サラリーマンは必死で逃げようとしています。

なんとも大胆な男ですが、このサラリーマン、
さっきジュジュに水晶玉の欠片を撃ち込まれた被害者のうちの1人です。
だから、例の呪いによって悪の心を増幅させられてしまって、
欲しくなったものを平然と盗んでしまったようなのですが、
ニンジャマンやアイムはそんなことは知りませんから、ビックリして男の行為を見ます。

そしてニンジャマンは悪事を見過ごすわけにはいかないと思い、
「おおい!?何やってんだ!?」とサラリーマンを掴まえますが、
サラリーマンはすっかり粗暴な性格になってしまっており、
ニンジャマンに向かって「なんだ!?この青ダルマ〜!!」と悪態をつく始末。
それにしても青ダルマは酷い。
ニンジャマンは男を抑えつけながら「私はニンジャマンだ〜!!」と言い返します。

アイムは一見普通のサラリーマン風の男が不似合いな大胆な悪事を働く姿に驚きつつ、
周囲を見回して更に驚きます。
道端では普通のOL風の女が夢中になってパトカーにスプレー缶で落書きをしており、
警官が「ちょっと!何してんの!?」と驚いて注意しても全く落書きを止めようとしていません。
このOLもまた、さっきジュジュに水晶玉の欠片を撃ち込まれた被害者の1人でした。
ただアイムはそのことは知りませんから、OLの大胆さに驚きます。
警官はそのOLを無理に押さえつけて落書きを止めさせますが、
OLは「どこ触ってんのよエロじじい!!」と逆ギレして警官に襲い掛かる始末です。
そしてその近くでは女性同士がハンドバックで殴り合いをしています。

「これはいったい・・・?」とアイムは怪しみます。
街の人々の一部が一斉に狂暴化しており、悪事を平気で働くようになっているのです。
それはハカセや鎧の状態と似ているように思われ、狂暴化したタイミングも同じぐらいであるように思えました。
ただ、いったいどうしてそんなことが一斉に起きているのか、アイムにもさっぱり分かりません。

と、その時、ニンジャマンが押さえ込んでいたサラリーマンが隙をついて逃げ出し、
ニンジャマンは慌てて「あ!ちょっと待てぇ!!」と、男を追って駆け出しますが、
そこにさっきのジュジュの呪いで狂暴化した運転手の乗る暴走トラックが突っ込んできて、
ニンジャマンは跳ね飛ばされてしまい、「おあああああ〜!?」と物凄い勢いで吹っ飛んでいってしまったのでした。
空高く飛んでいくニンジャマンを見て驚いたアイムは「ニンジャマンさぁん!?」と叫んで追い掛けます。
なんだかこのあたりはすっかり、いかにも「カクレンジャー」っぽい、ご近所コメディ風の演出になっております。

さて一方その頃、ガレオンの船室ではナビィが懸命にメインコンピュータの操作盤のキーボードを叩きまくって、
何やらマーベラスのゴーカイサーベルを解析しています。
どうでもいいけど、こんなことまでナビィ任せのこの古参3人組・・・
さすがにハカセ加入前はリセットスイッチの場所さえ知らなかったほどの機械音痴っぷりです。

まぁともかくマーベラスはさっきのジュジュとの戦いの直後に
自分のゴーカイサーベルに感じていた違和感について、ナビィに解析させているようです。
こんなハカセと鎧の一大事にわざわざそんなことをナビィに頼んで、
マーベラス、ジョー、ルカの3人が真剣な表情で立ってそれを見守っているということは、
どうやらそのサーベルの違和感とハカセ達がおかしくなった原因とが何らか関係があると
マーベラスが睨んでいるということです。
そういう自分の考えはマーベラスもジョーやルカやナビィには説明しており、
ナビィは懸命にサーベルを解析し、ジョーもルカもマーベラスの勘を信じて、ナビィの作業を見守ります。

そうしてマーベラス達が固唾を呑んで見守る中、遂にナビィが「あったぁ!」と叫び、
サーベルの刃の一部にこびりついている何かの欠片を発見しました。
マーベラスは刃に何か微細な異物がこびりついているように感じていたのですが、
やはりそれは存在したのでした。
ナビィの解析によると、「この宇宙水晶の欠片から特殊な波動が出てるみたい!」とのことでした。
サーベルの刃についていた異物は宇宙水晶の欠片だったのです。

「・・・やっぱり、あの時か・・・!」とマーベラスは呟きました。
あの時とは、つまり、この宇宙水晶の欠片がゴーカイサーベルにこびりついた時のことです。
すなわち、ジュジュの発射した赤い光を叩き斬った時です。
ということは、ジュジュは宇宙水晶の欠片を発射していたということになります。
いかし、どうしてそんな何の破壊力も無い微細なものを発射していたのか?
しかもそれが特殊な波動を今でも発しているという。

ならば、ジュジュはこの宇宙水晶の欠片を相手の身体に撃ち込んでおいて、
そこから出る特殊な波動で相手に何らかの作用を及ぼすことが目的だったという推論が容易に成り立ちます。
ただ、マーベラスに向けて発射した宇宙水晶の欠片はサーベルで叩き落とされて未遂に終わった。
だからマーベラスには何ら変化は生じていない。
しかし一方、ハカセと鎧は明らかに様子がおかしくなってしまった。
となると、マーベラスと共にあの戦いの場にいたハカセと鎧がジュジュによって
知らない間にこの宇宙水晶の欠片を体内に撃ち込まれていた可能性は大いにあると、マーベラスは思いました。

同じようなことはジョーもルカも気付いたようで、
ジョーはハッとして「ナビィ!その波動は何処から出てるか分かるか?」とナビィに訊ねます。
そんなサーベルにこびりついたような微細な欠片が自力で波動を発するというのも不自然です。
おそらく何処かに本体の大きな宇宙水晶が存在し、
そこから発する波動に共鳴しているのだということに気付いたのでした。
そして、その本体の水晶の場所は、この欠片の発する波動と同期する大きな波動を見つけ出して、
その発生源の場所を特定出来れば、突き止めることが出来る。
その場所に行けば、おそらくジュジュが居て、その本体の水晶を守っているはずでした。
ナビィは「まかしんしゃ〜い!!」とキレンジャーの口癖で応じて、
「あたたたた!!」とキーボードを叩きまくって、大急ぎでその本体の波動の割り出し作業に取り掛かるのでした。

さて、その後、少し経った頃、トラックに吹っ飛ばされた方向の郊外の道で、
アイムに肩を貸してもらってヨロヨロ歩くニンジャマンの姿がありました。
だいぶ派手に吹っ飛ばされたようで、元の街からかなり離れた地点に移動してきてしまっていました。
アイムが駆けてきてニンジャマンを助け起こして、とんだ回り道をしてしまったと思い、
元の場所に戻ろうとしているのですが、
ニンジャマンのダメージの回復が遅れているようで、あまり迅速に動けないようです。

「おああっ・・・!」と痛みを覚えてしゃがみ込むニンジャマンに
心配そうに「大丈夫ですか?」とアイムが声をかけて支えて起こし、
ニンジャマンは「ああ・・・大丈夫だ・・・!」と立ち上がります。

それにしても、ニンジャマンの状態はやはり普通ではありません。
サラリーマンには逃げられ、トラックには跳ね飛ばされ、
しかもトラックに激突したダメージが簡単に抜けないというのは、
元来のニンジャマンの能力に比べると、その力はほんの一部しか引き出せていない印象です。
それがそうしてなのかは相変わらず謎ですが、
とにかくようやく何とかダメージが回復してきたニンジャマンは急いで街の方に戻ろうと思いますが、
その時、道端の空き地で誰かが喧嘩しているような音がして、ニンジャマンとアイムがそちらを見ると、
ハカセと鎧が取っ組み合いの喧嘩をしていました。

「・・・あいつらぁ!」とニンジャマンは呻きます。
どうやら、たまたまニンジャマンが飛ばされてきた場所にハカセと鎧も来ていて、
タイマンの喧嘩を繰り広げていたようです。
漫画のような偶然ですが、まぁこれもいかにも「カクレンジャー」っぽいです。

そのハカセと鎧のタイマンの喧嘩ですが、
相変わらず無駄にハイレベルな生身アクションが繰り広げられていました。
キックやパンチの応酬はほぼ互角の勝負で、どうも延々と決着がつかない状態で戦い合っているようです。
そこでハカセは「・・・こうなったら本気の本気だぞ!?」と凄んで、遂にレンジャーキーまで取り出します。
それに対抗して鎧も「後悔すんなよ!ワレ!!」と言いながらゴーカイセルラーにレンジャーキーを入れます。
2人とも、とうとう変身して喧嘩をしようとしているのです。

そもそも些細な口論で始まった喧嘩です。
そんなつまらない喧嘩の決着をつけるためにわざわざ変身するとは、もうムチャクチャです。
「いい加減にしろ!!」とニンジャマンは飛び込んでいって2人の喧嘩を止めにかかります。
アイムも、変身して戦ったらさすがに2人とも無事では済まない可能性が高いので、
いよいよ危機感を募らせて「いくら何でもやり過ぎです!!」と呆れて、
ゴーカイピンクに変身して喧嘩を止めに入ります。

ハカセも鎧もそれぞれゴーカイグリーンとゴーカイシルバーに変身して喧嘩を再開しますが、
そこにアイムとニンジャマンが乱入してきて、
アイムは「やめてくださぁい!!ハカセさぁん!!」と必死に呼びかけながら
ハカセを後ろから掴まえて鎧から引き離します。
しかしハカセはいつもでは考えられないような野蛮な物言いで
「なんだよピンク!!てめぇ!!離せ!!」とアイムを怒鳴りつけながら大暴れします。

一方、ニンジャマンは鎧を後ろから掴まえてハカセから必死で引き離しますが、
鎧はレジェンド戦士のニンジャマンに対して「青ダルマ!!コラ!?離さんかい!!」と
信じられないような暴言で罵倒します。
それにしても、また青ダルマと言われてしまったニンジャマンがちょっと可哀想。
ニンジャマンは「青ダルマではない!私はニンジャマンだ〜!!」と必死で抗議しながら、
懸命に鎧を押さえこもうとしてもがきます。

一方、某所の洞窟ではジュジュが怪しげな儀式を続けながら
「ウヒヒヒ〜!!もっと争え〜!!ヒッヒ〜!!」と、自分の術で争い合う人間たちの姿を想像しながら
大喜びしていました。
ところが、そこに招かれざる侵入者の気配を感じたジュジュが「ん!?」と振り向くと、
そこにマーベラス、ジョー、ルカがゴーカイジャーに変身した姿で登場し、
「やっぱ、お前らの仕業か!」と言います。

マーベラス達はナビィに調べさせて、遂にジュジュが宇宙水晶を使って波動を発している場所を突き止めたのです。
まさか儀式の場所が突き止められるとは予想していなかったゴーミン達は大慌てですが、
ジュジュは「フン!嗅ぎつけたか!・・・やれ!!」と意外に落ち着いてゴーミンに指示を出して、
マーベラス達に向けてけしかけます。

ジュジュもまさかこの場所が突き止められるとは思っていなかったのですが、
その割に落ち着いているのは、相手が3人なら自分の腕なら負けることはないという自信があるからでした。
そもそもハカセや鎧に呪いをかけたのは、こうしてゴーカイジャーを分断して戦いやすくするためでもありました。
相手が3人ならば、いっそ返り討ちにすればいいとジュジュは思っていたのです。

こうして洞窟内は乱戦になりますが、マーベラス達の狙いはジュジュを倒すことではありませんでした。
そんな面倒なことはさしあたりする必要は無い。
ここに侵入した目的は宇宙水晶の本体を壊して、
ハカセや鎧に変な影響を及ぼしている波動を止めることでした。
それさえ出来れば、6人揃って今度こそ簡単にジュジュを倒せるのです。

だから乱戦の中でルカは水晶玉に近づいて、それが目当ての宇宙水晶の本体だと気付くと
「どうやら・・・その宇宙水晶を壊せば、一件落着みたいね!」と言います。
ところがジュジュは「・・・そうはさせん!」と言って、驚きの行動に出ます。
なんと、いきなり大きな水晶玉を呑み込んでしまったのです。
これにはマーベラス達も「んん!?」と驚愕します。

ジュジュは「これでワシを倒さん限り、人間どもは己の心に巣食う悪意に支配され続けるのだ!フッヒッヒ!!」
と高笑いします。
どうも儀式が中断されても水晶玉さえ無事にジュジュの体内にあるのならば、
波動は発信し続けられて、人々の身体の中の欠片は共鳴し続けてしまうようです。

マーベラス達はジュジュの言葉を聞いて、どうやらジュジュの水晶を使った術というのは
人間の悪い心を増幅させることだと知りましたが
同時に、これで3人でジュジュを倒さねばならなくなったことを悟り、計算が少し狂ってしまいました。
そうして生じたマーベラス達の一瞬の隙をついて、ジュジュは「はああっ!!」と額から光線を発し、
マーベラス達3人はそれを喰らって「うわああ!?」と吹っ飛ばされてしまいました。
やはり本気を出したジュジュはなかなか手ごわく、マーベラス達3人も苦戦が予想されます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:43 | Comment(0) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第46話「ヒーロー合格」感想その4

さて、ここまでの描写を見ると、
今回のエピソードはスーパー戦隊シリーズのある種の定番エピソードのように見えます。
それは「人格変異篇」とでも呼ぶべき、ありがちなパターンのエピソードです。
つまり、戦隊のメンバーが敵の術や戦いのおけるアクシデントによって
普段とは違う人格になってしまうというタイプのお話で、
演じる役者に普段とは違う演技が要求されるという点では、
第27話の「入れ替わり篇」や第29話の「七変化篇」や第34話の「なりすまし篇」も
広義ではこのバリエーションに含まれますが、
純粋にメンバーの人格が単体で豹変してしまうという話は「ゴーカイジャー」では初めてです。

いや、第19話の「骨抜き篇」がこれに相当するのかもしれません。
あのように無気力になってしまうというパターンも確かによく見られます。
人格の豹変を分かりやすく描くには、普段のキャラと明らかなギャップが無ければいけません。
普段は戦隊ヒーローは前向きで活動的ですから、無気力になると確かに普段とのギャップが大きく、
人格の豹変が一目瞭然です。

それと同じぐらいよく見られる人格豹変パターンが「悪人になる」というものです。
何せ戦隊ヒーローは普通は確実に善人ですから、
悪人の人格になってしまうとキャラのギャップが大きく人格豹変が一目瞭然です。

つまり、人格変異篇というのは、当たり前の話のようですが、
人格の際立った豹変ぶりを描くことが1つの大きな目的となっているのです。
その豹変した人格そのものに何らかの意味があるわけではなく、
普段と全然違うということに意味があるわけです。

例えば第19話では「普段と全然違う」無気力なマーベラス達が見所なわけで、
マーベラス達が無気力であることそのものに意味は無いのです。
あの場合はハカセと鎧のコンビのドラマを描くことがメインのエピソードであり、
そのために他の4人を戦闘不能にする必要があり、
どうせなら4人の豹変ぶりをギャップによって生じるギャグ的に描こうということで、
普段と全然違う無気力な4人が描かれたわけですが、
別にあの時、4人は無気力である必要があったわけではなく、臆病でもよかったし泣き虫でもよく、
悪人でもよかったといえます。
とにかく普段と全然違っていて、普通に戦いに参加出来ない形であればよかったのです。

このように人格変異篇によく見られるパターンとして、
人格が変わってしまったメンバーが戦闘不能になることによって、
残りのメンバーをメインに据えたドラマを展開するという、
いわば体よく脇役に追いやり、ついでに笑い物にするために使われる手法であることが多々あります。

また、そうではなく、人格変異したメンバーがメインになる場合でも、
変異した人格から元の人格にどうやって戻るのかという手法がメインとなったトリッキーな話、
あるいは熱い話が多いですが、
この場合も変異した方の人格は敵の術やアクシデントによって作り出された
イレギュラーなものとして扱われ、だいたいギャグ的に扱われて、
元の人格に戻った後は完全に無かったことにされます。
人格変異していた間の記憶が無いというパターンも多いです。

しかし、今回のエピソードは、こうした通常のありがちな人格変異篇とは少し趣が違います。
まず今回は悪人になってしまったハカセと鎧、そっちにかかりっきりになってしまったアイムを除いた
残りメンバーであるマーベラス、ジョー、ルカの3人がメインとなったエピソードではありません。
あくまでメインはハカセと鎧、そしてアイムです。

そして重大なポイントは、ハカセと鎧の変異した人格、すなわち悪人の人格が
全くギャグ的に描かれていないということです。
通常の人格変異回では戦隊メンバーが悪人に変わってしまったとしても、何処かコミカルに描くものです。
コミカルに描くことによって非現実感が増し、
「これはあくまで本当に悪人になったわけじゃない」
「本当は悪人じゃないけどロボットみたいに操られてるんだ」
「もともとは心の中に無い悪の種子を植え付けられたのであって、それを除去すれば元の善人に戻るんだ」
という印象を与えられます。
そうすれば、元に戻った後はスッキリして、何も嫌な感じは残りません。

しかし今回のエピソードのハカセと鎧の悪人演技はあまりにも正統派の悪人演技であり、
全く笑いの要素が有りません。
これはかなり見ていて引いてしまいます。
鎧の関西弁は一見コミカルな狙いのようにも見えますが、全く笑わせようという演技になっておらず、
むしろ関西出身で普段は標準語であまり罵倒セリフを言い慣れていない池田くんに
完璧な悪人キャラを演じさせるために、あえて関西弁のセリフにしているのだろうと思われます。

そうした努力の甲斐あってか、今回のハカセと鎧は迫力満点で、
本当に悪人に見えてしまい、全く笑えない描写となってしまい、今回はかなり後味の悪い印象となりました。
一部の親御さん達は眉をひそめたかもしれません。
これではハカセと鎧はまるで本当に悪人のようであり、あまり正義のヒーローっぽく見えない。
正義のヒーローがあんな酷い言葉づかいをしては子供の教育上よろしくない。
朝からあんな乱暴な態度を見て不快感が残った。
そういう意見も出てきそうです。

しかし、今回はあの不快感や後味の苦さによって本当の悪人を見せることが、
子供の教育上、必要だったのです。
今回はハカセと鎧を本当の悪人として見せることに意義があったのであり、
だから清水くんと池田くんには本気の悪人の演技が要求されたのでしょう。
そしておそらく池田くんの完全なる本気の悪人演技は、やはり関西弁の方がよりリアルだろうということで、
今回の鎧の悪人時のセリフは関西弁だったのでしょう。

では、どうしてそこまでこだわってハカセと鎧を本当の悪人として見せる必要があったのかというと、
ハカセと鎧の悪人になった後の言動が本気だということを描写するためだったと思われます。
つまり、あの悪辣な人格や言動は、決して操られたり植え付けられたものではなく、
ハカセと鎧の本当の姿なのだということを強調する必要があったのでしょう。
すなわち、あの街の人々も含めて、悪い心というのは人間の本性なのであり、
正義のヒーローといえども、それは同様なのだというのが今回のエピソードの前提条件なのです。

だから今回は一見、人格変異篇に見えて人格変異篇ではない。
何故なら人格は変わっていないからです。
悪の本性が出ただけのことです。
ジュジュも自身の術の本質を「人間どもは己の心に巣食う悪意に支配され続ける」と説明しており、
このハカセ達を支配している悪意が外から植え付けられたものではなく、
もともと彼らの心に存在するものだと明示しています。

実際、今回の罵倒セリフの中でもハカセ達は嘘は言っていません。
あれらは全て彼らの本心です。
ハカセは本音ではマーベラスが食事を作らずいつも貪り食うだけなのを快くは思っておらず、
鎧はハカセの料理が自分の料理よりも美味しくないと思っています。
ハカセは鎧のことを変な戦隊オタクだと思っており、鎧もハカセのファッションセンスは変だと思っています。
また、ハカセも鎧もルカのことを無教養なバカだと思っており、
ニンジャマンのことも青いダルマみたいだと本音では思っています。

操られて心にも無いことを喋っているわけではなく、全て彼らは本気で本音を喋っているだけであり、
本心の赴くままに行動しているのです。
トラックの運転手も快適にスピードを出して走りたかったのであり、
サラリーマンもあの電気機器が欲しかったのであろうし、
OLも何かあってパトカーが嫌いだったのでしょう。
みんな、自分の心の中の悪の本性に忠実に従った行動をとっただけなのです。

そうした本物の悪意というものは、操られた作り物の荒唐無稽な悪意とは違って、
本物であるだけに悪意を向けられた相手に大きな精神的ダメージを与えます。
だからマーベラスもルカも思わずキレそうになったのですが、
それでも彼らは完全にはキレずに踏み止まりました。

ハカセ達の悪意は本物ですから、
「これはハカセ達の本心ではない」と感じてマーベラス達は踏み止まったわけではありません。
本物の悪意だと知った上で、踏み止まって、ハカセ達の異常な状態を見破ったわけですから、
今回は真贋を見分けたというような簡単な話ではないのです。
マーベラス達はハカセ達の悪意が本物だとはしっかり認定はしています。
本来のハカセ達が悪いことをするはずがないとか、人間は本来は善なる存在だとか、
そういう人間礼賛論ではないのです。

今回のエピソードはコミカルな人格変異篇ではなく、
人間の悪の本性と向き合った重いドラマなのであり、
それゆえ最終レジェンド回たるカクレンジャー篇に相応しい重厚なドラマとなり、
「この時代」を生きる子供たちへ向けたシリアスなメッセージにも繋がるのです。

今回、どうしてマーベラス一味の中で悪人化したのがハカセと鎧であったのか?
それはマーベラスやジョーやルカのような悪漢型のキャラが悪人化しても
普段とのギャップが無くて面白味が無いからであるかのように普通は考えられます。
しかし、今回のエピソードはそもそも悪人化をコミカルに描写して、
その面白味を追求するような内容ではありません。
現にハカセと鎧の悪人化はハッキリ言って不愉快な描写でした。
だから、あえてハカセや鎧が悪人化させられたのは、普段とのギャップの面白味を追求するためではなく、
あえてマーベラス一味の良心といえるキャラ2人を狙って悪人化することによって、
この物語世界における善良な部分を潰して、より絶望感を深くするためだったのだろうと思います。

マーベラス、ジョー、ルカの3人というのは単なる悪漢ではなく、
根っこのところは筋の通った正義感を持つ極めて魅力的なキャラなのですが、
少し理解するのが難しいキャラではあります。
特にこの「ゴーカイジャー」という番組が未就学児童を対象とした番組であることを考えると、
この3人はかなり挑戦的なキャラといえます。

この3人のキャラ自体に欠陥があるという話ではなく、
受け取る側には色々な人がいるという前提で考えると、決して無難なキャラではないということです。
むしろ問題は子供よりもその親の方で、だいたいこの手の番組は親も一緒に観るものですが、
その親の一部にはマーベラスたち古参組3人のキャラはあまり受けが良くないはずです。
そういう親というのは、自分の小さな子供には綺麗なものだけ見せていたいと思っています。
子供は天使のような存在でいてほしいので、汚いものや悪いものは見せたくはないわけです。

だから正義のヒーローが悪い奴らをやっつけるのはOKなのですが、
その正義のヒーローが悪い人のように見えてしまうとダメなのです。
そういう人達から見るとマーベラス達は個人的な好み以前に、
あまり子供に見せたくない人ということになります。
言葉遣いだけの問題ではありません。
彼らの行動原理はやはり、分かりやすい正義の味方ではなく、むしろ悪人に見えてしまうからです。
決して一目瞭然な善人ではありません。

というか、この「ゴーカイジャー」という物語の構造的な問題点なのですが、
ザンギャックという敵組織に脅威があまり感じられないという問題があります。
これはよく指摘されていますが、これについてはキャラ描写やストーリーの構成の失敗ではなく、
おそらく確信犯的にやっていると思われ、だからこそ根深い問題だと思います。
ここで「問題」と言っているのは決して否定的な意味合いではなく、
この作品があまりに挑戦的であるあまり、一部には受け入れ難くなっているという意味での「問題」です。

すなわち、以前にも指摘しましたが、
この作品は出来るだけザンギャックを普通の人間の組織として描こうとしているのです。
だから極端な脅威として強調されないのです。
むしろザンギャックの真に恐ろしい点というのは、
大した脅威的存在でもないクセに、普通に宇宙を支配する「悪」であるという点です。
つまり、この世界は「悪」が支配することが普通の世界なのです。

ザンギャックが極めて危険で異常な集団として描かれているのならば、悪の支配の正統性は崩れ去りますが、
ザンギャックが何の変哲もないつまらない軍事帝国でしかないクセに宇宙を支配しているという描写によって、
この世界は悪によって支配されるのがごく当たり前の現象であるかのような印象を与えてしまうのです。
そして、その中でザンギャックの悪に逆らう者は「悪」のレッテルを貼られて、
決して「正義」の旗を掲げることは出来ず、「海賊」という汚名を誇りとして名乗るという
倒錯した行動に出るしかなくなるのです。

視聴者から見れば確かにマーベラス達は正義でありヒーローなのですが、
物語世界の中では決して堂々と正義のヒーローを名乗ることは出来ません。
そうしたスッキリしない状況に合致したキャラがマーベラス、ジョー、ルカの3人組なのであり、
まさに物語世界の要請するキャラのど真ん中ストライクのキャラであるため、
彼らは見事にキャラが立っています。
そしてマーベラス達のキャラを悪漢ヒーローとしてのキャラを立たせるためには、
そのマーベラス達の倒錯した境遇を物語世界の中で作り上げているザンギャックという敵は、
つまらない悪の軍事帝国のクセに宇宙を支配しているという存在である必要があるのです。

つまりザンギャックというのは、敵であると同時に背景でもあるのです。
この物語世界の背景を作り上げているのがザンギャックであり、
ザンギャックは単なるいきなり何処かから飛来してきた侵略者ではなく、
宇宙の支配者であり、この物語世界の秩序なのです。

そうしてザンギャックが作った物語世界の中でマーベラス一味という存在が生まれ、
そのライバルキャラは「真の悪の海賊」のバスコなのであって、
バスコはしっかりとライバルキャラとしてキャラ立ちしています。
マーベラス達とバスコの対決はちゃんとキャラとキャラの戦いです。
しかしマーベラス達がザンギャックと戦うというのはキャラとキャラが戦っているというより、
世界に対する反逆という印象です。

それは自ずと、これまでのスーパー戦隊シリーズで描かれた普通のライバル対決のようなものとは
趣は違ってくるのであり、
普通のライバル対決風の盛り上がりを期待する人から見れば違和感を覚えることにもなるのでしょう。
この「ゴーカイジャー」という物語におけるザンギャックに関する一部の人々の感じる
物足りなさというのは、そうした認識のズレが原因ではないかと思えるのです。
まぁ実際、最終的にその「世界への反逆」がどのような形で描かれるのか、私にもよく分からず不安はあるのですが。

ちょっと脱線しましたが、要するにこの作品においては、
わざわざザンギャックのキャラを物足りないものにしてまでも、
「普通に悪が支配する世界」を描きたかったのです。
そういう世界におけるヒーローは必然的にピカレスクヒーローとなります。

もちろん、そうしたピカレスクヒーローの物語で大きな人気を獲得した作品は過去にたくさん存在します。
古くは「ルパン三世」という名作があり、最近では「ONE PIECE」という顕著な成功例があります。
しかし、スーパー戦隊シリーズに視聴者が求めているものは、
これらのピカレスクヒーロー作品とは根本的に違います。
特に子供は面白ければ何でもいいのでしょうが、親にしてみれば、
このスーパー戦隊シリーズは健全な正義の味方が悪い奴らをやっつけるお話であるはずの枠なのです。
だから、スーパー戦隊シリーズにおいてピカレスクヒーローものをやろうとする
「ゴーカイジャー」は挑戦的な作品ということになり、
どうしても受け付けないという視聴者が出てきても仕方ない状況といえます。

また、そもそも、どうしてもスーパー戦隊シリーズの1作品である以上、
「ゴーカイジャー」も完全なるピカレスクヒーローものをやるわけにもいかず、
悪漢でありながら悪い奴らから地球を守るという物語にならざるを得ません。
夏映画の「空飛ぶ幽霊船」だけはマーベラス一味を完全にピカレスクヒーローとして描いた特別篇でしたが、
それ以外は基本は地球を守るヒーローとして描かれています。

しかしマーベラス、ジョー、ルカの悪漢3人組だけでは
マーベラス一味を地球を守るヒーローとして描きにくく、
また視聴者にも地球を守る普通の戦隊ヒーローっぽく見てもらえないので、
メンバー内の善人キャラとして配置されたのがハカセ、アイム、鎧だったわけです。

このように「ゴーカイジャー」という作品は、
「普通に世界を悪が支配している」という、どうしようもない暗さを抱えた作品なのです。
それゆえ、かえって作風は明るい。
暗い世界に反逆して夢と希望を抱いて生きる主人公のマーベラス一味は底抜けに明るい連中として描写されています。
そのキャラ造形は素晴らしく、そして奥深い。
奥深さの背景には世界の暗い現実があるのです。
ザンギャックの一見したところの物足りなさも、
むしろマーベラス一味の物語の背景の暗さ、奥深さを形成する主な要素となっており、
有効に作用しています。

だから、もともと「戦隊総集合企画」→「ピカレスク戦隊」→「悪が支配する暗い世界」という流れで形成された、
この作品の物語世界は上手く機能しており、
ストーリーとしてはこの作品はここまでほとんど破綻しておらず、見事な完成度を誇っているといえます。
ハッキリ言って物語としての出来栄えは非常に良いです。

ただ、どうしても根底に「暗さ」が存在するのです。
この「暗さ」はこの作品の基本要素なので、特に強調しなくても、見ていたら何となく感じてしまうものです。
そして視聴者の中には、この作品の根底から感じられる、この暗さが受け付けないという人もいると思います。
特に子供に明るく綺麗なものだけ見せたいと強く思っているような親は、
この作品はどうも苦手なのではないかと思います。

このように、もともとこの作品は根底に「暗さ」を内包していたのですが、
そうしてこの作品の放送が始まって1ヶ月ほどの時期に東日本大震災が起こり、
予定されていた物語に修正が入ったといわれています。
それは当初、こんな暗い世相の時期だから、暗さなど全く無い、バカみたいに明るい話になるのかとも思いました。
しかし、「ゴーカイジャー」の場合は、むしろもともと内包していた「暗さ」を強めて、
表に出すようになったようです。
そうして、世界には絶望的な現実があるのだということをハッキリ示した上で、
その絶望を乗り越える物語を提示しようとしたようです。

それは、1995年の阪神淡路大震災とオウム真理教事件に際して、
当時放送していた「オーレンジャー」の作風を、「暗さ」を一切排したコミカルなものに作り替えて
物語が破綻してしまった失敗に学んだという要素もあったのでしょう。
実際、「ゴーカイジャー」の物語は一切破綻することなく、むしろ重厚さを増したと思います。
ただ、物語の完成度の問題だけでなく、残酷な現実に対する子供番組の対処の姿勢として、
私は個人的には「ゴーカイジャー」の姿勢は正しかったと思います。

しかしそれはあくまで個人的感想であり、
世の中には全く逆の人もいて、
こんな暗い世相の時だからこそ、「ゴーカイジャー」の暗さがますます受け入れられなくなった人も
多々いると思います。
子供に暗いもの、残酷なものを見せたくないという親は敬遠したと思います。

あるいは「暗さ」を強めるのではなく、淡々ともともとの物語を作った方が一番無難だったのかもしれませんが、
この作品はむしろ暗さを強めて、暗さを跳ね返す力に関するメッセージ性を強める方向を選んだと思われます。
それは個人的には高く評価したいポイントですが、
一般的にはこの作品を敬遠する人を増やした一因ともなったと思います。

この「ゴーカイジャー」という作品は、玩具は比較的よく売れており、
決して不人気作ということはないのですが、視聴率は低いようです。
まぁ前作の「ゴセイジャー」の終盤の視聴率がかなり下がっていたので、
当初から低い数値でスタートしており、下落率が大きいわけではない。
人気作「ゴーオンジャー」も同じような視聴率や視聴率推移だったことを考えると、
現状の数値でもって不人気作とは言えず、
基本的にHDDレコーダー普及後の視聴率というのはかなり人気のバロメーターとしては地位が低いので、
視聴率で作品人気を測るのは危険ですが、それにしても伸び悩んでいるのは事実といえます。

これは歴代戦隊を登場させていることが視聴率的には裏目にばかり出てしまっているのが
大きな原因ではないかと思われ、当初から予想はされたことです。
歴代戦隊の出し方としては、物語的には非常に上手く処理しており、
むしろ物語の完成度を上げる要因の1つになっているのですが、
その程よい出し方が、児童層に対してもマニア層に対してもマイナス要因になってしまっています。

もちろん物語の完成度の高さを素直に楽しむ人も多いのですが、
児童の中には、よく知らない昔の戦隊が出てきても邪魔に思うだけという子もおり、
昔からの戦隊マニアの中には、レジェンドゲストが変身して戦わないことが不満だと思う人もいます。
それらの人達はこの作品から離れていく人もいるでしょう。
レジェンド戦隊の存在はこの物語の完成度は上げていますが、
視聴者にそっぽを向かれる要因にもなるというのは、当初から予想はされたことです。

いや、レジェンド戦隊の処理の仕方が難しいので、
物語も破綻し、視聴者離れも起こして、何もメリットが無いというのが当初の予想で、
それを覚悟でメモリアル企画をあえてやっておこうという趣旨だったでしょうから、
物語の完成度が上がっただけでも予想以上の収穫と言っていいでしょう。

だから視聴率が伸び悩むのは仕方ないとも言えるのですが、
視聴率の伸び悩みの原因はレジェンド戦隊の存在だけではなく、
やはり、この作品特有の「暗さ」、
そして大震災以降の変更でさらに「暗さ」を強調したことも要因であると認識しておくべきでしょう。

まぁ確信犯的にあえてやっていることなので、反省ではなく認識しておくという程度ですが、
その確信犯的傾向が最大限に達したのが今回のエピソードだったということも認識しておくべきでしょう。
何せ、今回はマーベラス一味の中の善人キャラとして設定されているハカセと鎧までも
完全に悪人キャラとして描いてしまったのです。
あの悪人描写は「あれは操られていたから本当じゃない」などと言い訳の出来るような描き方ではなく、
そもそもそんな言い訳をするつもりが最初から無いからこそ、
ああいうシャレにならないような悪人描写になったのでしょう。

つまり、最初からガチの悪人に見せるつもりだったのであり、
あれは、おそらくお茶の間で多くの子供がドン引きして、
親たちが怒ってチャンネルを替えてしまうほどの放送事故レベルのどぎつい描写でした。
それをあえてやってまで、ハカセと鎧の善人キャラを崩壊させて、悪人の本性を見せて、
この世界は悪意に満ちているという絶望感を示したのです。
それは、この現在の暗い時代の視聴者の子供たちに伝えたいことを、その先に描くためであったのでした。

あのえげつない描写で観るのを止めた人もいたと思われますが、
それでもあえて今の時代に伝えたいことを優先した、
今回のエピソードは、まさに「ゴーカイジャー」という作品を象徴するエピソードであったと言えます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 19:53 | Comment(0) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月20日

第46話「ヒーロー合格」感想その5

さて、マーベラスとジョーとルカの3人が洞窟での儀式に殴り込みをかけてジュジュと戦い始めた頃、
郊外の街の空き地ではアイムとニンジャマンが
悪人化したハカセと鎧が変身までして喧嘩しているのを止めようと四苦八苦していました。

鎧は「おらああ!!離さんかぁい!!コラァ!!」と吼えながらニンジャマンを振りほどき、
邪魔をするニンジャマンに向かってゴーカイスピアで襲い掛かります。
また、ハカセは前から押しとどめようとするアイムの背中に向かって
「うらああ!!」とゴーカイサーベルの柄で散々殴りつけ、
「やめてくださぁい!」と懸命に叫ぶアイムを「この・・・ブスが!!」と悪態をつきながら前蹴りで吹っ飛ばします。
もうホント、2人ともガチで最低です。

結局、アイムに続いてニンジャマンも鎧に吹っ飛ばされてしまい、
アイムは「ニンジャマンさん!」と心配してニンジャマンを抱き起します。
やはりニンジャマンはどうにも精彩を欠いているようです。
そして邪魔者を排除したハカセと鎧はタイマン勝負を再開し、
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを振りかざして激しく戦います。

このままでは些細な喧嘩が原因で2人とも大怪我か、あるいは死んでしまうかもしれない。
いくら止めても言うことを聞かず喧嘩を止めないハカセと鎧を見て、
こうなったらもう説得は無駄だと思ったニンジャマンは堪忍袋の緒が切れて、
立ち上がると「この野郎!・・・こうなったら!」と怒って、背中のニンジャソードを抜きました。
こうなったら戦って止めるしかないと思ったのでした。

しかしニンジャマンもどうも精彩を欠いており、
今の状態でハカセ達と闘えば無事では済まないかもしれない。
また、もしニンジャマンが勝ったとしても、必死で戦う羽目になるだろうから、
ハカセ達が無事で済まない可能性もありました。
しかし、もうそこまでしなければ喧嘩を止めることは出来ないとニンジャマンは思ったのでした。

しかし、ニンジャソードを振りかざしてハカセ達に向かおうとするニンジャマンを
「待ってください!」とアイムが必死に止めました。
そして「今のハカセさん達は、いつものハカセさん達ではありません!」とアイムは言います。

アイムもハカセ達の言っていることがどれも決して嘘ではないので、
ハカセ達が正気であることは分かっています。
ただ、悪い心を抑えることが出来なくなっているという意味では決して正常な状態ではない。
そんな異常な状態でニンジャマンと戦って、もし大怪我をしたり、
逆にニンジャマンに大怪我を負わせてしまったりしたら、
きっと後でハカセ達は辛い想いをすることになります。
だからなんとか戦わずにハカセと鎧を止めなければならないとアイムは思っていました。

「・・・だとしても、このままでは・・・!」とニンジャマンは激しく戦い合うハカセと鎧を見ながら困り果てます。
確かに異常な状態であるハカセ達と戦うことはニンジャマンも気乗りはしませんでしたが、
説得はもう十分やったが2人は一向に聞き入れない。
かといって、このまま手をこまねいていても2人は戦い続けて、結局2人とも無事では済まなくなる。
ならば戦って止めるのと同じことではないかとニンジャマンは思いました。

だがアイムは「大丈夫です!・・・私に任せてください・・・」と何やら自信ありげにハカセ達の方に向けて歩み出し、
ニンジャマンは「何をする気だ!?」と驚いて問いかけます。
が、アイムはそのまま戦っているハカセと鎧の真ん中に駆け込むと、
「二人とも・・・止めなさいっ!!」と大声で一喝したのでした。

一瞬驚いてハカセと鎧の動きは止まりましたが、その後、アイムは別に何もしません。
ただ単に大声で叱っただけです。
何かされるのかと一瞬身構えた鎧は、アイムが単に怒鳴っただけだと分かると、
チンピラのように絡んできて「・・・何や?その上から目線・・・お!?元王女か何か知らへんけどな・・・
カマトトぶってんちゃうぞコラァ!!」と逆に酷いことを言って怒鳴りつけます。

ハカセも「目障りなんだよ!!消えろぉ!!」と怒鳴っていきなりアイムに斬りつけ、
ハカセと鎧は一時休戦して、2人がかりでアイムに攻撃を仕掛けてきたのでした。
慌てて防御しようとするアイムでしたが、2人がかりの攻撃に押し込まれて坂を転がり落ちてしまいます。
それを追い掛けてきたハカセと鎧は、坂の下に落ちたアイム相手に、
もうすっかりヒャッハー状態で追い打ちをかけて、斬ったり叩いたりしてボロボロにしてしまいました。

結局、アイムの策というのは単に大声で叱るだけであり、ほぼ無策と言っていいものでした。
アイムもおそらくそんなことぐらいでは効果は無いだろうとは思っていたのですが、
とにかくさっきはニンジャマンが喧嘩に加わるのを止めるために自分が説得するしかないと思って
ハカセと鎧の間に割って入ったのでした。
しかし案の定、全く効果は無く、逆にアイムが2人の悪意を向けられる羽目になってしまいました。

そうしてアイムがボロボロにされるのを見て、ニンジャマンは坂の上で「やめろぉ!!」と叫んで
ニンジャソードを振りかざしてアイムに加勢しようとします。
アイムにまで酷い罵倒を投げかけて本気で攻撃してくるとは、
やはりもうハカセや鎧には説得は無駄だとニンジャマンは思いました。

だが坂の下で立ち上がったアイムは「・・・待ってください!」と大声で坂の上のニンジャマンを制止し、
変身を解除すると「手出し無用です!!」とキッパリ言い、ハカセと鎧の方に歩き出しました。
アイムはボロボロにやられているうちに、ハカセ達の悪い心を制する、ある方法を思いついたのですが、
それは非常に危険な方法でした。
しかしアイムには成功する確信がありました。

そのアイムの言葉に込められた確信の響きが、坂の上のニンジャマンの動きを押しとどめたのでした。
ニンジャマンはアイムが変身を解いて生身で敵意剥き出しのハカセ達に向かって行くのを、
あまりに無謀だと思いましたが、アイムのあまりに確信に満ちた態度につい気圧されて、
アイムの様子を固唾を呑んで見守るのでした。

そしてアイムはハカセに向かっていきながら「ハカセさんは・・・誰よりも優しい方です!」と大声で言いながら、
斬りかかってくるハカセの刃をよけ、そこに突き出してきた鎧のゴーカイスピアを受け止めつつ、
「鎧さんは、誰よりも人の幸せを考える方です!」と必死に鎧に向けて言います。
そして鎧に振りほどかれてよろめいたところに叩きつけられたゴーカイスピアの柄を受け止めたアイムは、
その柄でハカセの振り下ろして来たゴーカイサーベルの刃を受け止めて、
その柄を握って、なんとか2人の攻撃を食い止め、「きっと何か・・・理由があるはず!」と言葉に力を込め、
「・・・私は信じています・・・お二人が自分の心を取り戻すことを!」と必死に訴えかけるのでした。

アイムは、さんざん罵倒され、本気で斬られたり叩きのめされたりしてボロボロにされて、
それがハカセや鎧の本心であることが分かっていても、
それでもなお、ハカセと鎧が自分の悪い心を自力で抑え込むことが出来ると信じているのです。
その根拠は、ハカセは誰よりも優しく、鎧は誰よりも人の幸せを考える善良な心も悪い心と共に持っており、
普段はその善良な心が悪い心を抑え込んでいるからこそ、
ハカセや鎧は善人として振る舞うことが出来ているからでした。
だからハカセも鎧もきっと今も善良な心が悪い心を抑え込めるはずだとアイムは言うのです。

しかしニンジャマンはアイムの言葉を聞いて、それは無理だと思いました。
普段は確かに善良な心が悪い心に勝っているのかもしれないが、
今は2人は普通の状態でないというのは、さっきアイムも認めていたことです。
善良な心が悪い心を抑え込むことが出来る状態にあるのなら、
とっくにハカセ達は悪い心を抑え込めているはずです。
普段通りにそれが出来ない状態だからこんなことになっているのだ。
今のハカセや鎧は善良な心で悪い心を抑えることが出来ず、悪い心に支配された状態なのだから、
安易に信じては危険だとニンジャマンは思いました。

しかしアイムは、さっき自分が言っていたようにハカセと鎧が今は普通の状態でないことも分かっています。
そしてまた、ハカセと鎧が正気であることも分かっています。
別にハカセと鎧は錯乱して前後不覚になっているわけではないのです。
ちゃんと意識もあるし理解力も判断力もある。
ただ単に悪い心が肥大して善良な心が負けている状態なのです。
ならば自分の言葉はしっかりハカセや鎧の善良な心にも届いているはずだとアイムは気付いたのです。

そしてハカセや鎧の善良な心は、自分の悪い心に勝てない現状を誰よりも正確に把握しているはずです。
言い換えれば、今の自分が他人から見てとても信じられるような状態でないことは誰よりも把握しており、
情けなく思っているはずです。
その圧倒的不利な状況にある善良な心に対して、さっきのように叱責の言葉を投げつけたりしたら、
ますます萎縮してしまうだけだったとアイムは気付いたのでした。
とても勝てそうにない戦いに立ち向かっている善良な心に
「どうしてそんなに弱いのか?しっかりしろ!」などと言っても逆効果です。

それよりも、とても勝てそうにない戦いだという現状を分かった上で、
それでも勝利を信じていると言って励ましてやれば、善良な心も奮起するはずです。
もちろん、無根拠に形だけの信頼を向けても意味は無いのであって、
勝てるだけの実力は本来はあると見込んでの上の本気の信頼でなければ意味は無く、
アイムはハカセと鎧の人並み外れて強靭な善良な心であれば、
奮起すればこの不利な状況でもきっと悪い心に勝つことが出来ると、本気で信じているのです。
ただ奮起しなければ勝てない特殊状況にあるのも事実で、
だからこそ不利を承知で逆転勝利を信じてやることで奮起を促そうとしているのです。

そういうわけで、アイムはさんざん酷い目にあって、
とてもハカセと鎧が善良な心を取り戻すとは信じられるような状況にないことが分かっていながら、
あえてハカセや鎧が善良な心を取り戻すことが出来ると信じてみせることで、
ハカセと鎧の善良な心に奮起を促したのでした。

このアイムの作戦は一定の効果を上げて、ハカセと鎧はアイムの言葉を聞いて少し苦しそうにします。
善良な心がアイムの励ましを受けて少し勢いづいて、
表層意識を支配している悪い心に攻撃を加えて、それで表層意識が苦痛を感じているのです。
ただ、それだけで肥大化した悪い心を打ち破って表層意識から追い出すことが出来るというほどではない。
そんなに簡単ではないことはアイムも分かっています。
逆転のためには、悪い心の虚を突く一撃をまずお見舞いする必要がありました。
アイムがわざわざ変身を解除して説得にあたっているのはその一撃を浴びせるためだったのです。

一方、善良な心の攻撃を少し受けて苦しそうにしたハカセと鎧の表層意識を支配する悪い心は、
気を取り直してアイムを殴り飛ばし、蹴り倒して、
起き上がってきたアイムの頭目がけて「今がチャ〜ンス!!」と叫んで
ゴーカイサーベルとゴーカイスピアを突き出しました。

ニンジャマンは思わず「・・・あっ!」と、両手で目を覆います。
やはり今の状態のハカセと鎧を安易に信じても無駄だった。
おかげでアイムの頭は串刺しになってしまった。
そう思ってニンジャマンが恐る恐る手をどけて、アイムの方を見ると、
意外にもアイムの顔の両側で、ハカセの突き出したゴーカイサーベルと、鎧の突き出したゴーカイスピアは
寸止めされていたのでした。

これは、午前中の公園での組手練習の時と同じように、
無抵抗の仲間に向かってのトドメの攻撃を寸止めしてしまう、いつものハカセと鎧のクセによるものでした。
相手が怪人や変身体の戦士であれば、このクセが出ることはなかったはずです。
アイムが変身を解除して、さっきの組手練習の時と同じ生身の状態であったから、
死に体になったアイムへの攻撃をハカセと鎧はつい無意識に止めてしまったのです。

このクセはハカセと鎧が普段から礼節のある態度で暮らしているゆえに刷り込まれたクセであり、
悪い心とは無縁のクセでした。
そのクセが無意識にこの場面で出たということは、
この瞬間、ハカセと鎧の表層意識を支配している悪い心に一瞬、虚をついた一撃が浴びせられたに等しい。
アイムは生身でハカセと鎧の攻撃に身を晒すことによって、この一瞬を誘導し、
そしてこの一瞬を狙っていたのです。
間髪入れず、アイムは「・・・手加減なさらずとも・・・いいんですよ・・・!」とハカセと鎧に向けて言いました。
するとハカセと鎧が「あぁ・・・」「うぅ・・・」と呻き、何か意識に変化が生じた様子になります。

表層意識の悪い心を一瞬マヒさせた一撃は、所詮は普段の礼節の習慣によって生じたクセに過ぎません。
そもそも今は組手練習をしているわけではないのだから、クセが出たのは錯覚にすぎない。
だからこのまま放置しておいたらすぐに表層意識が悪い心の理性と判断力を取り戻して、
攻撃を再開させてしまう。
だから、悪い心がクセによる一撃で麻痺している間に、
アイムは急いでクセの発動が錯覚だったということをハカセと鎧の理性に伝えてあげたのでした。

その理性とは、意識の表層で虚を突かれて未だマヒしている悪い心の方ではなく、
そのすぐ下で蠢いている善良な心の方の理性になります。
これを受けて、表層の悪い心がマヒしている隙を突いて、善良な心が表層に顔を出してきたのです。
最初はクセをもたらした礼節の無意識の方がハカセと鎧の口を借りて
「・・・何言ってんだよぉ・・・」「・・・出来るわけ・・・ないじゃないですか・・・」と何やらブツブツ言っていましたが、
これはもともと単なる礼節の生活習慣のようなものですから、
心の中にある本気の善良な心や本気の悪い心に勝てるようなものではなく、あっという間にこれは引っ込みます。

そしてハカセと鎧は変身解除し、
ハカセは「やだ・・・僕は・・・仲間を傷つけたくなんかない・・・!」とうわ言のように言い、
鎧も「俺の腕は・・・こんなことをするためにあるんじゃない・・・!」と苦しそうに呟きます。
これはまさに「誰よりも優しい」というハカセの善良な心と、
「誰よりも人の幸せを考える」という鎧の善良な心そのものです。
ハカセと鎧の善良な心が、クセで表層に現れた無意識と入れ替わりに表層意識に遂に姿を現したのです。
この表層意識に現れた善良な心によって変身は解除されたのでした。

ただ、そうは言っても、まだハカセと鎧はアイムに向けて武器を突き出したままでもあります。
つまり、まだ表層意識には悪い心も健在であり、
善良な心が表層意識に姿を現した直後、悪い心もマヒから醒めて、
表層意識上で、善良な心と悪い心が戦い合う状態となっているのです。

さっきまで表層意識の下に押し込められていた時とは違い、
表層意識に出てきた善良な心は、悪い心と対等な立場で戦うことが出来ます。
ただ、もともとは善良な心が表層にあったはずがジュジュの術によって悪い心が圧倒的に強い状態になって
表層意識を悪い心に乗っ取られたわけですから、
ジュジュの術の支配下にある現在も、結局は表層意識上での戦いでも善良な心が悪い心に勝てるはずはない。

ところが、どういうわけかハカセと鎧はアイムの頭に突き付けていた双方の武器を
「うう!」「くうっ!」と呻きながら、じりじりと引いていったのです。
つまり、徐々に善良な心の方が優勢になっているのです。
これは、悪の力に全く勝ち目の無い状況で、それでもハカセと鎧の善良な心の力を信じてくれた
アイムの信頼に応えて、ハカセと鎧の善良な心が奮起したからに違いありません。

このままハカセと鎧の善良な心が悪い心を抑え込むのかとも見えたその時、
突然、ハカセと鎧の体内の赤い水晶の欠片がひときわ大きな波動を発して、
悪い心を最大限に増幅させて逆転を図りました。
これによって鎧は「うあああ!!」と叫び、ゴーカイスピアを振り上げ、
ハカセも「くああ!!」と呻いてゴーカイサーベルを振り上げ、
2人は悪い心に操られて再びアイムに向けて武器を振り下ろします。

が、それをまたハカセと鎧は「くううっ!」と堪えて、アイムの身体の上で寸止めします。
今度はクセではなく、善良な心で悪い心を食い止めたのです。
そのまま苦しみながら、またじりじりと武器を引いていくハカセと鎧の体内で、
赤い欠片はフルパワーで悪の波動を発し続けてハカセと鎧を支配しようとしますが、
ハカセと鎧の善良な心も更に力を増して、
激しい善と悪の心のせめぎ合いによってハカセと鎧の身体は苦痛に苛まれ、身体から火花が散り、
その激しい戦いを表すような赤い光でハカセと鎧の身体が包まれたかと思った次の瞬間、
遂に「わあああ!!」という2人の絶叫と共に、
2人の身体の中にあった赤い水晶の欠片はオーバーロードを起こしたかのように砕け散りながら
体外に排出されたのでした。

それを見てニンジャマンが「ああ!?」と驚き、
ハカセと鎧は苦痛から解放され、力尽きたように、
2人の真ん中に座り込んだままであったアイムの膝目がけて倒れ込みました。
アイムの膝で膝枕のようにして頭を乗せて倒れているハカセと鎧の邪気の抜けた安らかな顔を見て、
アイムはさっきの赤い欠片がハカセと鎧を異常な状態にしていた元凶だったのだと悟り、
ハカセと鎧の善良な心がそれに打ち勝って排除して、心を元の健全な状態に戻したのだと安堵し、
その健闘を称えるように「お帰りなさい・・・ハカセさん・・・鎧さん・・・」と優しく囁きながら、
2人の頭を撫でます。

しかし、ハカセと鎧はアイムに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
自分達はさんざんアイムに悪態をついて、酷い乱暴を働いた。
しかし、何者かに操られて心にも無い言葉を口走っていたわけではない。
全て、自分の心の中にもともと有った言葉でした。
自分の中にアイムに対する悪意は確かに存在するのです。
また、アイムに乱暴をしている時、それを爽快に感じる心も確かに自分の中には存在し、
それは実は普段から自分の中に存在している感情でもあったのです。

今回は何時の間にかおそらくあの怪人に変な術にかけられて、
そうした自分の中の醜い感情が表に出てしまったが、
それによってハカセと鎧は自分の中の醜い感情の存在を強く意識させられてしまいました。
さっき身体から排出されたのは、その醜い悪意を増幅していた物体に過ぎず、
醜い悪意そのものは実はまだハカセと鎧の心の中にある。
その存在はハカセと鎧は強く意識してしまったし、アイムにもそうした醜い悪意の存在は知られてしまった。
アイムだけではない。マーベラス達にも自分の悪意を知られてしまったと、ハカセと鎧は落ち込みました。

そうして自分の中の悪い心の存在を意識してしまうと、
いつまた、悪い心に支配されてしまうか分かったものではないと、自分を信じられない気持ちにもなります。
自分自身でもそんな調子なのですから、
アイムやマーベラス達ももう自分のことを信用してくれなくなるかもしれないと、ハカセと鎧は落ち込みました。

それで、アイムに優しくされても、鎧は「アイムさん・・・」と強張った表情で呟き、
ハカセは「ごめんね・・・酷いことして・・・」と辛そうに謝るしか出来ませんでした。
しかしアイムはゆっくり首を振って
「私・・・お二人を信じていました・・・」と慈愛に満ちた表情で当然のように言います。
それを聞いて、ハカセと鎧は、このようにアイムがどんなに自分達の悪意を知っても、
それでも自分達の善の心が勝つことを信じてくれたからこそ、
自分達の善の心は悪の心に勝つことが出来たのだと改めて気づいたのでした。

確かにアイムはハカセ達の寸止めのクセを利用するという機転をきかせましたが、
それはあくまで勝利のきっかけに過ぎず、
ハカセ達が悪の心に打ち勝つことが出来た原動力は、あくまでハカセ達の善の心の力でした。
そして、そのハカセ達の善の心に大きな力を与えてくれたのは、
アイムがハカセ達の悪の心を知ってもなおハカセ達を信じたからでした。
しかし、アイムがハカセ達の悪の心の強さを知りながら、
それでもハカセ達の善の心の勝利の可能性を本気で信じて応援出来たのは、
ハカセ達の善の心がもともと人並み外れて強いのだとアイムが信じてくれていたからであり、
そうアイムに本気で信じさせるだけの善の心を実際にハカセ達が持っていたからでした。

そう考えると、ハカセと鎧は、自分達を救ってくれたアイムの信頼を裏切らないためにも、
自分達自身が自分達の善の心を信じなければいけないのだと思いました。
自分の心の中の悪の心を消すことは出来ないけれど、それで悲観などする必要は無い。
アイムの信じてくれた自分達の善の心は決して悪の心に負けたりしない。
そうした強い気持ちを持って生きていこう。
そう思うと、ハカセと鎧は自信を回復して、落ち着いた気持ちになれたのでした。

一方、ニンジャマンはニンジャソードを鞘に戻して坂の上からアイム達3人を見下ろして呆然と立っていました。
ニンジャマンはハカセと鎧が自らの悪の心が暴走している異常状態を解消までするほどの
力を発揮したことに驚いていました。
それはつまり、ハカセ達の善の心が増幅された悪の心に打ち勝ったということでしたが、
当初、善の心は完全に悪の心に屈していたはずです。
だからニンジャマンは今回のケースで善の心が悪の心に勝てるはずがないと思っていたのです。

ところがいきなりハカセ達の善の心がパワーアップして悪の心を圧倒してしまった。
いったいさっきまでと何が違うのかと考えたニンジャマンは、
アイムがハカセ達の善の心の強さを信じると呼びかけたことがポイントになったのだと考えざるを得ませんでした。
相手が悪に支配された状態だと分かった上で仲間を信じるアイムの心が、
ハカセ達の善の心の大きなパワーを引き出したとしか考えられない。

「・・・仲間を信じる・・・」とニンジャマンは呟きました。
どうして悪に染まった仲間を信じる気持ちがそれほどの力を引き出すことが出来たのだろうかと
ニンジャマンは考えました。
そして、アイムが一見悪一色に染まってしまったかのようなハカセ達の心の中に潜む
善の心の強さを信じ、その信頼がハカセ達の善の心を奮起させたのが
善悪逆転に繋がったのだと理解しました。
その瞬間、ニンジャマンはハッと大事なことに気付いたのでした。

「そうか!」とニンジャマンは思わず声を上げて頷きます。
このアイムの仲間を信じる心こそが、
他ならぬカクレンジャーの精神に通じていたのだということに気付いたのです。

ニンジャマン自身も含むカクレンジャーは、妖怪大魔王との最後の戦いで、
人間の悪の心が妖怪を生み出していたのだということを知り、
人間の悪の心は滅ぼすことは出来ず、それゆえ妖怪も根本的に滅ぼすことは出来ない以上、
封印、つまり善の心で表面に現れないように抑え込むしかないのだと悟ったのです。
そうしてカクレンジャーは強大な悪の心の化身である妖怪大魔王を自らの善の心「愛と勇気と希望」の力で抑え込み、
封印することに成功したのでした。

どうしてあの時、カクレンジャーの善の心は
本来は到底敵うはずがない強大な悪の心である大魔王に打ち勝つことが出来たのか?
それは仲間で力を合わせることでより大きな善の心のパワーを引き出せたからでした。
つまり、互いの「愛と勇気と希望」を尊ぶ善の心の強さを信じ合う絆が、
それぞれの持つ善の心を奮起させて、大魔王の悪の心を圧倒するほどのパワーを発揮することが出来たのです。

要するに、今、アイムが示したマーベラス一味の仲間を信じ合う絆は、
カクレンジャーが最後に辿り着いた精神と同じものだったのです。
ならば、ハカセや鎧の勢いを増した悪の心を抑え込むことが出来たのも道理でした。
そして抑え込まれまいとして無理をした悪の増幅因子はハカセと鎧の体内で自滅したのです。

しかし、こんな解決法はカクレンジャーの一員たる自分は真っ先に気付かなければいけないことだったのだと思い、
ニンジャマンは愕然としました。
カクレンジャーは大魔王を封印した戦いの結果、人間の善の心が大きなパワーを秘めたものだと実感し、
その大いなる可能性を知ったはずです。

大魔王を封印はしたものの、人間の悪の心が滅ぼせない以上、
再び人間の悪の心が増大すれば妖怪が世に出てきて暴れ出すことになります。
結局、人間の心の中の善の心と悪の心の戦いがどちらが勝つのかによって
世の中が乱れるのかどうかが決まるのであり、
カクレンジャーがいくら妖怪を倒しても、人間の心が悪に支配されれば元の木阿弥というわけです。

ならばカクレンジャーの戦いには意味は無いということになる。
カクレンジャーは妖怪は倒すことが出来ても、その源である人間の悪の心を直接斬ることは出来ないからです。
無意味な対症療法を延々と続けて、表面に現れた妖怪を斬っていっても、
人間の悪の心が増大すれば、その斬ったはずの妖怪がまた現れる。
そんな戦いは徒労でしかないように思えます。

そして人間というものは悪の心に支配されやすい生き物です。
だからカクレンジャーは悪に支配された人間世界で延々と無意味な戦いを続けていくことになります。
大魔王は封印したものの、そうした苦難の未来を予想するしかないカクレンジャーだったのです。
そのような未来を変えるためには、人々の心の中の戦いで善の心が悪の心に勝つようにしていくしかない。
しかし現実には悪の心の方が勝つことが多い。
世の現実は悪の方が強く、善の方が弱い。世界は悪が支配しているのです。
そんな世界で、人々の善の心が悪の心に勝つことは不可能というものです。

だが、カクレンジャーは大魔王との戦いの経験の中で、
悪の心よりも弱い善の心でも、その強さを信じ合うことで
悪の心を凌駕する大きなパワーを発揮することが可能だということを知りました。
信じることでパワーが増幅するというのは、善の心のみに可能なことであって、
悪の心には為し得ないことでした。
ならば、それだけが善の心が悪の心に逆転して打ち勝つ決め手となるのだとカクレンジャーは悟ったのでした。
そのことを悟ることが出来たという意味で、カクレンジャーの戦いは決して無意味ではなかったのです。

そして、カクレンジャーは人々の善の心が悪の心に打ち勝つようにするために、
善の心を支援することを自分達の戦いの目的としたのです。
その基本は人々の善の心の強さを信じることでした。

これは人々の心を善なるもの、常に善が勝利したものと見なして盲信するという
一種の人間礼賛の態度とは全く違います。
善の心が勝った者を信じるなど当たり前のことであって、
そんなものはあえてカクレンジャーのようなヒーローが戦いとして挑むようなことではない。
カクレンジャーは、あえて悪に支配された人間の善の心の強さを信じることにしたのです。

悪の心を滅ぼすことが出来ないのと同様に、善の心も滅ぼすことは出来ない。
悪に支配された世界にも希望は残るのと同様、悪に支配された人間の心の中にも善の心は潜んでいるのです。
その人々の心に抑え込まれている善の心の強さを信じてやることで善の心の力を高めて、
己の悪の心に打ち勝たせることがカクレンジャーの目指すこととなったのです。

これは悪に染まった人間を単に根は善人だと信じるのとは全く違う。
悪に染まった者はあくまで悪人であり、用心はしないといけない。
ただ、どんな悪人でも心の中に自分の悪い心を打ち勝つ善の心を眠らせているはずなのであり、
自分の悪の心を抑え込むことが出来るのは、結局は他人には不可能なのであって、
己の善の心しか出来ないことなのです。

だから結局は自分次第ということになるのですが、
世の悪の心を全て封印することを使命とするカクレンジャーとしては、
その各自の心の中の善の心と悪の心の戦いに介入して善の心の戦いを有利にすべく手を貸すしかない。
それしか退魔忍者である隠流忍者としての使命を果たす方法は無いのです。
そのために、あえて悪に支配された人間の善の心の強さを信じてやるのです。
それが善の心の力を高めて悪の心に逆転勝利を収める決め手となることをカクレンジャーは知っているからです。

ただ、世の中には人間の常識を超えた巨大な悪というものも存在し、
それは悪の心のパワーを増幅させる働きを持っています。
善の心を増幅させるカクレンジャーという存在があるのと同様、
悪の心を増幅させる巨大な悪というべき存在もこの世には存在するのです。

普通の人間がいくら善の心のパワーを高めても、
この巨悪によってパワーを高められた悪の心のパワーに勝つことは出来ない。
「カクレンジャー」の物語世界ではそれは妖怪であり、
他のシリーズ作品では様々な悪の組織がこれに相当します。
また、現実世界では、大震災や原発事故、不景気、戦争などの暗い世相が
人々の悪の心を増幅するということがあり、この「巨悪」というのはその暗喩と解釈することも出来ます。
その根源は、あるいは世界の悲惨な現実を見て「人間は悪の心に打ち勝つことは出来ない」と諦めてしまい、
悪の心を増幅させる認識そのものなのかもしれません。

「ゴーカイジャー」においてはザンギャックがこの「巨悪」の役割を担当するのですが、
特に今回のジュジュの使った「人間の悪の心を増幅させる呪術」というのは、
そうした普通の人間には抗えない巨大な悪の力を象徴するものと解釈していいでしょう。
ハカセや鎧がアイムに信じてもらったことによって善の心のパワーを増幅してそれを打ち破ることが出来たのは、
ハカセや鎧がまさにアイムが見込んだ通りに普通の人間を超えた強い善の心を持っていたからであり、
トラック運転者やサラリーマンにアイムが信頼を向けて、彼らがその信頼に応えて善の心を高めたとしても、
おそらくジュジュの呪術に勝つことは出来なかったでしょう。

そんな簡単に信じ合うことだけで全ての人の心の中で善の心が勝つほど、世の中は甘くないのです。
そんな簡単ならば、とっくに世の中は善意が支配しているはずです。
しかし現実には世の中は悪意が支配しています。
つまり、それだけ巨悪の力は強いのが現実なのです。
そんな現実だからこそ、ハカセや鎧のように巨悪に
打ち勝てるだけの善の心の強さを持った「ヒーロー」が存在しているのであり、
その「ヒーロー」は巨悪に打ち勝つためには互いに善の心の強さを信じ合ってその力を更に高めなければいけない。
互いに信じ合うことが出来なかったり、バラバラに戦っていたりしても、巨悪には勝てないのです。
そうしてヒーローが巨悪を倒して、普通の人々の心の中の悪の心のパワーの増幅をストップさせ、
その上で普通の人々は自分の善の心を高めて悪の心を抑え込むのです。

最後はやはり人々は自分の力で悪の心を抑え込むしかない。
ここはヒーローが手を下すことは出来ず、各自が自分でケリをつけるしかないのですが、
ここで人々がしくじって結局は悪の心に支配されたままであると、
それが集まって再び巨悪を生み出すことになるというのがカクレンジャーの考え方ですから、
カクレンジャーはその人々の心の中の戦いを支援することを常に重視するのが特徴なのです。
そのため、カクレンジャーは悪の心に支配された人々の内なる善の心の強さを信じるのです。

つまり、普通の人々の手に負えない、悪の心を増幅する巨悪を倒すために戦いつつ、
悪に支配された人々の心の内の善の心の強さを常に信じ続け、応援し続けるというのが、
カクレンジャーの戦いの精神といえます。
そして、巨悪に打ち勝つためには、人並み以上に強い善の心を持った仲間同士、
その善の心の力を信じ合い、その力を高め合っていくことが必須となります。
結論として言うと、カクレンジャーの強さの根源は、
「善の心の強さを信じること」にあるということになります。

そのことがしっかり分かっていれば、
悪の心に支配されたハカセや鎧を救うにはどうすればいいか自分はすぐに分かったはずだと
ニンジャマンは愕然としました。
しかし自分はハカセや鎧の心の中の善の心の強さを信じることが出来なかった。
それを実践しようとしたアイムの行動の意味も理解出来ていなかった。
そもそも、巨大な悪の力に抗う力がハカセや鎧には無いのだと見なしていたという意味で、
ハカセや鎧のヒーローとしての資質も自分は見えていなかった。
それどころか、悪の心に支配されたハカセや鎧に斬りかかろうとしていたのです。

それは要するに、自分が悪に支配された人間の善の心の強さを信じることが出来ていなかったからだと
ニンジャマンは痛感しました。
そして、それはカクレンジャーの一員として失格ということでした。
そう考えると、ニンジャマンは師匠の三神将がどうして自分を叱って罰を与えたのか、
その真意がようやく分かったのでした。

ニンジャマンがもともと、よく妖怪に騙されたりしていたのは、
相手の善の心も悪の心も一緒くたにして信じてしまう悪いクセがあるからでした。
それは言い換えると、相手の善の心をしっかりと見極めて、その強さだけを強く信じるという
カクレンジャーとしての基本が出来ていないということでした。
つまり相手の善の心がしっかりと見えていないのであり、
そんなことだから表面上は善人のフリをした者には簡単に騙され、
表面上は悪人のように見える者は完全なる悪人だと見なして不寛容な態度をとってしまう。

そうしたニンジャマンの未熟さを常々心配していた三神将は、
動物園から逃げ出して怯えて暴れているだけの動物を捕まえるためだけのことに過剰に暴れるニンジャマンを見て、
相変わらず動物たちの奥底にある善の心は全く見えておらず、
完全なる悪と決めつけて不寛容になり過剰に暴力を振るっているだけだと呆れて、
これではとてもカクレンジャーとしての務めは果たせないと見なして、
しばらく罰を与えてじっくりと反省させなければいけないと思ったのでした。

「正義のために熱くなり、周りが見えなくなるのがお前の悪いクセだ」という三神将の言葉の真の意味は、
自分勝手な不寛容な正義ばかり振りかざして、相手の心の奥がしっかり見えていないニンジャマンが
カクレンジャーとしては未熟だという意味の叱責だったのです。
ニンジャマンもカクレンジャーのそうした精神は理解はしていたのですが、
やはりもともと慌てん坊の未熟者ゆえ、時々うっかり悪いクセが出てしまっていたのですが、
弟子の成長を願う三神将はニンジャマンを壺に封印して猛省を促したのでした。

ところがニンジャマンは慌て者ゆえ、
師匠が怒っているのは自分が思慮が浅くて軽率な行動ばかりとるからだと思ってしまったのです。
それゆえ妖怪に騙されるのだとニンジャマンは反省しましたが、
三神将が危惧していたのは、ニンジャマンが騙されやすいということではなく、
ニンジャマンが騙されやすい原因となっている、相手の心の善悪の見極めが出来ていないという点だったのです。
しかし、そこまで深い本質まで考えの及ばなかったニンジャマンは、
とにかく騙されないように慎重になろうとしか考えず、
壺から出た後、マーベラス達の表面しか見ようとせず、疑り深く粗探しに終始してしまったのです。

本当は三神将がニンジャマンに求めていたことは、
しっかり相手の本質を見て、必ず相手の心の奥のどこかに存在する善の心を見つけ出して、
その強さを固く信じることであったのに、ニンジャマンは師匠の願いとは正反対の行動をとってしまっていたのです。
アイムの信じる心がハカセと鎧の大きな力を引き出すのを見て、
ニンジャマンはそうした自分の過ちにも完全に気づかされたのでした。

そのことを恥じたニンジャマンは慌てて駆け出し、坂を下ってアイム達3人の前に駆け込むと、
膝を地面に落とし、「すまん!!」と深々と頭を下げて土下座しました。
いきなりニンジャマンが土下座したのでアイムや、起き上がったハカセと鎧は驚きましたが、
ニンジャマンは頭を下げたまま申し訳なさそうに
「・・・俺は、悪いヤツに騙されまいとして・・・もっと大事なことを・・・」と言い、ガバッと顔を上げ、
「人を信じることを・・・疎かにしていた!」と、自分の至らなさを告白したのでした。

ニンジャマンは、アイムの行動を見て、
自分が人の善の心の強さを信じることが出来ていなかったことを思い知らされたのですが、
アイムとしてはそんな大それたことをしたという自覚はありませんでした。
アイムは単にこの危機に際して、仲間として常々信頼しているハカセと鎧の善良な心を信頼して
応援しただけなのです。
それがどうしてニンジャマンをこれほど感銘させ恐縮させているのか最初はよく分かりませんでした。
確かにニンジャマンの不寛容な態度によって多少マーベラス一味が困らされていたのは事実ですが、
何も土下座して謝るほどのこともない。

しかし、深く反省しているニンジャマンの姿を見て、
アイムは、その謝罪はマーベラス一味にだけ向けられたものではないのだろうと理解できました。
「人を信じることを疎かにしていた」ということは
ニンジャマン自身のとても大切にしている何かに対する裏切りであったのであろう。
自分の仲間を信じる行為を見て、ニンジャマンはそのことに思い至り、激しく後悔し反省しているのだろうと、
アイムは理解しました。

そして、おそらくそのニンジャマンの大切なものは
カクレンジャーの守るべき精神なのだろうともアイムは察しました。
つまり、カクレンジャーは人の善の心の強さを信じることをその精神性とする戦隊なのだろうということです。
そうした精神を大切にするニンジャマンやカクレンジャーはやはり善良な人達なのだろうと思い、
アイムは微笑んで頷くのでした。
そして、そのカクレンジャーの精神性がマーベラス一味の仲間の善良な心の強さを信じる気持ちと
通じるものがあるとニンジャマンが言っているように感じられて、アイムは少し不思議な気分になりました。

と、その時、アイムのモバイレーツの呼び出し音が鳴り、アイムが通話に出ると
「アイム!マーベラス達が大変だよ〜!」とガレオンからナビィが呼びかけてきます。
傍で聞いていたハカセと鎧も、そしてアイムも驚いて更にナビィの話を聞くと、
ナビィは「ハカセと鎧がおかしくなるなんて、ザンギャックの作戦に違いないって、
3人で向かっちゃったぁ!」と状況を説明しました。

マーベラス達3人がジュジュの洞窟へ本体の水晶を破壊しに行ったことをナビィは言っているわけだが、
マーベラス達から一向に連絡が無いので心配になったようです。
事情を聞いてアイム達も心配になり、ナビィの教えてくれたジュジュのいるらしき場所へ向かって
慌てて駆け出していきました。

それを見てニンジャマンも「よぉし!!」と立ち上がって、アイム達の後を追います。
マーベラスとジョーとルカの3人もまた、ハカセと鎧が自らの悪の心に支配されている様子を見ても、
それでもなお仲間であるハカセと鎧の隠された善の心の存在を信じて、
その善の心を苦しめる巨悪を倒すために行動していることを知ったニンジャマンは、
マーベラス達の行動もまた、カクレンジャーの精神に叶ったものだと悟ったのでした。
ならば、本家のカクレンジャーである自分も負けてはいられない。
人々の善の心を苦しめる巨悪を倒すために戦おうと心に決めた時、ニンジャマンの身体には力が漲ってきたのでした。

カクレンジャーの精神を取り戻したニンジャマンは、ようやく本来の力を発揮出来るようになってきたのです。
それ以前のニンジャマンは、壺の中での勘違いや、壺を出て以降の間違った認識によって、
カクレンジャーの精神を見失っており、
それゆえカクレンジャー本来の能力をあまり発揮出来ない状態となっていたため、
どうにも精彩を欠いていたのです。

あるいは、その体内の「大いなる力」も認識したり動かしたり出来なくなっていたのかもしれません。
それでマーベラス達に「大いなる力」を渡すように言われた時、苦悩した様子だったのかもしれません。
もちろん慎重にマーベラス達を観察してから渡さないといけないという想いもあったのでしょうけれど、
あの時のニンジャマンの苦悩の深さというのは、
もしかしたら「大いなる力」すら認識出来なくなっている自分の身体の変調に気付いて
衝撃を受けたことによる部分もあったのかもしれません。
ただ、何にしても、この一件によってニンジャマンは遂にカクレンジャーとしての力を取り戻したのでした。

さて、マーベラスとジョーとルカはどうしていたのかというと、
洞窟の外に出て、ジュジュの率いるゴーミン部隊と交戦中でした。
ハカセと鎧を元に戻すにはジュジュを倒してその体内に取り込まれた水晶玉を破壊するしかないのだが、
なかなかジュジュは手強く、マーベラス達は一旦後退して集まります。
「こいつ、なかなかやるじゃねぇか!」とマーベラスが言うと、
ジュジュは「フッフッフ!」と不敵に笑います。
ジュジュとしてはいっそこのままマーベラス達を倒してしまおうと思っていました。

そこでルカはゴーカイバックルから黄色いレンジャーキーを出して
「とりあえず・・・これでいってみる?」とそれを掲げてみせます。
そうして3人で多段変身したのは、サンバルカンでした。
マーベラスは「バルイーグル!」、ジョーは「バルシャーク!」、ルカは「バルパンサー!」と名乗りを上げます。
それに対してジュジュは「やれゴーミン!」とゴーミン達をけしかけ、
するとマーベラスが「派手にいくぜぇ!!」と号令をかけ、3人は「はぁっ!!」と、
ここでなんと懐かしの太陽ジャンプを再現します。

というか、単にこれをやりたかっただけのような気もします。
他に特に積極的にここでサンバルカンをチョイスする理由もありませんので。
まぁ3人しかいない状態なので3人戦隊のサンバルカンにしたのかもしれませんけど、
別にここで多段変身しなくてもよかったわけですから、
たぶん絶対、制作サイドとしては太陽ジャンプを一度やっておきたかったんだろうと思います。

おそらくサンバルカン篇をもしやるなら、その時に太陽ジャンプをやろうと思って、
今までサンバルカンに変身しても太陽ジャンプはやらずに温存していたんでしょうけれど、
正式にサンバルカン篇をやらないことが決まったので、
ここらで一度、太陽ジャンプだけはやっておきたいという思惑であったと思います。

実際、太陽ジャンプ以外はここのサンバルカンのアクションは
そんなに取り立ててどうこう言うような特徴も無しでした。
まぁ十分サンバルカンらしいアクションになっており、
ルカパンサーの恒例の「にゃっ!」も見れたのですが、
今までサンバルカンは割と多く変身しており、似たようなアクションは何度か見ているので
今回は特に目新しいところといえば、やはり太陽ジャンプぐらいでした。

さて、そうしてサンバルカンで戦って、ゴーミン達を蹴散らしてジュジュを追い詰めますが、
ジュジュのレーザー攻撃で反撃されて、マーベラス達は「うあああ!!」と吹っ飛んで
変身解除して生身に戻ってしまいます。
やはりジュジュはかなり手強い。
また新手のゴーミン部隊も出てきて、ジュジュは「ヒッヒッヒッヒ!消えろ!」と
マーベラス達にトドメの攻撃を繰り出そうとしました。

その瞬間、銃弾が何発も飛んできてジュジュに炸裂して、ジュジュは「うわぁ!?」とよろめきました。
マーベラス達が驚いて振り向くと、そこにはハカセとアイムがゴーカイガンを発射しながら駆け込んできていました。
後ろには鎧とニンジャマンもついて来ています。
マーベラス達の前に走り込むとハカセは「お待たせ!みんな・・・」と言いながらジュジュに睨みを効かせ、
鎧は「・・・ご迷惑をおかけしました!」とマーベラス達に向けて深々と頭を下げて謝罪します。

どうやらハカセと鎧が元に戻っているようだと悟ったマーベラスたち3人は
いささか驚いた様子で2人を見ます。
ハカセと鎧が悪の心に支配されたといっても、もともと人間には悪の心も善の心もあるのであり、
2人に悪の心があることもマーベラス達は意外には思わなかったし、
善の心が無くなってしまったとも思っていませんでした。
ただ、奇妙な術で悪の心が増幅させられてしまっている以上、
自力で元に戻ることは難しいだろうとは思っていました。
だから自分達が頑張ってジュジュを倒してやろうとしていたのに、
自分達がジュジュを倒さないうちに、いきなり当のハカセと鎧が元に戻って現れたのですから、
さすがにマーベラス達は少し驚いたのでした。

「・・・全くだ・・・!」とジョーは自力で元に戻れるなら、
さっさと戻ってくれればよかったのにとばかりに溜息をつきます。
が、おそらく自力というわけではないのだろうとは想像出来ます。
それはマーベラスも、ルカも同様に思っているようで、
ルカは「アイムもお疲れさん!」とアイムに微笑みかけ、アイムも「はい!」と応えます。
つまりアイムの力がハカセ達を元に戻すのに役に立ったのだろうとマーベラス達にも何となく分かっているのです。

もともとマーベラスがアイムだけをハカセ達のもとに行かせたのは、
第41話の時に回想シーンで描写されたように、
マーベラス達も昔から喧嘩などしていると、アイムがマーベラス達を正義の善良な海賊だと信頼してくるたびに
変な邪心が抜けていって喧嘩をする気が失せていったことがたびたびあったからでした。
つまりアイムに信頼されると、どうも悪い心が引っ込んで善い心が強くなってしまう。
だからアイムなら、悪い心に支配されてしまっているハカセ達をいくらか宥めることは出来るのではないかと、
期待はしていたのです。

しかし、ハカセ達の悪の心を増幅しているのが変な呪術のせいだと分かると、
さすがにアイムでもそんな術を解くまでは出来ないだろうと思い、
マーベラス達は自分達でなんとかしようと思って、こうして戦いに来たのです。
ところがアイムの呼びかけでハカセ達は術の呪縛を解き放つことまで成功してしまったようなので、
マーベラス達は改めてアイムの信じる力の強さ、そしてハカセと鎧の善の心の強さに舌を巻きました。

そこにニンジャマンがいきなり「すまなかった!」と頭を下げ、マーベラスとジョーの肩をガシッと抱き
「お前たちは・・・仲間を信じていたんだよな!?・・・なのに俺ときたら、冷たいなんて・・・!」と謝りはじめます。
実はマーベラス達もハカセや鎧の善の心の存在をちゃんと信じていたことを知ったニンジャマンは、
さっきガレオンでマーベラス達を冷たい野郎などと言って罵倒したことを詫びているのですが、
マーベラスとジョーはいきなりニンジャマンがベタベタしてくるので、その暑苦しさに閉口して
「・・・なんだよ?急に!」と怪しみます。

何だかよく分からないが、ニンジャマンがいきなりマーベラス達を認めているのを見て、
ハカセと鎧、アイムとルカも笑顔になります。
そしてアイムは、ニンジャマンがマーベラス達の行為もまた、
さっきの自分の行為と同じように仲間を信じる行為だと認めているということは、
悪の心に支配された仲間の善の心の存在を信じて、
その善の心を苦しめる悪の根源を倒そうとする行為もまた、
ニンジャマンの言う「人を信じること」、すなわちカクレンジャーの精神に通じるのだと悟りました。

つまり、ハカセ達は幸い信じる心の応援を受けるだけで自力で強大な悪の心を抑え込むことが出来ましたが、
もし善の力が及ばずにそれが出来ない場合は、
マーベラス達がやろうとしていたようにハカセ達を救うためにその悪の根源を叩くことが、
ハカセ達の善の心を信じた者の務めということです。

そして、今はまだ多くの人々がハカセ達のように
ジュジュの術によって心を悪に支配されて苦しんでいることを、アイムは街で目撃して知っています。
そして、それらの人々にも善の心は存在し、
その善の心は悪の心に自力で打ち勝つことが出来なくて苦しんでいる。
ならば、彼らが自らの内の悪の心とちゃんと戦うことが出来るように、
不当な方法で悪の心を増幅させているジュジュは自分達が倒さねばいけないとアイムは思いました。
そして、それはカクレンジャーの「人を信じること」にも通じるのだとアイムは理解したのでした。

そこに態勢を立て直したジュジュが、ハカセと鎧が悪の心の支配から脱していることに驚き、
「ゴーカイグリーンにゴーカイシルバー・・・何故、貴様ら2人が正気に?
・・・呪いはまだ解けていないはず・・・」と戸惑って問い質してきます。
それに対して鎧は左胸のあたりをぎゅっと握って
「人の心ってのは、悪意だけで出来てるわけじゃないんだよ!!」と鋭く言い返し、指をビシッと差し出す。
そして続いてハカセも「善い心と悪い心・・・最後にどっちが勝つかは自分次第だ!!」と言い放ちます。

ジュジュは悪の心の強大さのみを信じるような典型的な巨悪です。
この世は悪が支配すると信じて疑わない。
それはザンギャック帝国という存在を正当化する論理そのものと言ってもいいでしょうし、
この東日本大震災以降、いやそれ以前からも続く、悪がはびこる現実世界の絶望感そのものと言ってもいいでしょう。

しかし、そんな悪の支配する世界の中にも、必ず善の心は存在するのです。
そして悪の中にきっと善は存在し、
その力はきっと悪を抑え込むことが出来ると信じる気持ちがあれば、
善の心はきっと悪の心に打ち勝つ。
そして、そのような信じる気持ちが集まれば、善の心の力を高め合うことが出来る。
そうやって多くの人々が心の中で悪の心を抑え込んでいけば、
悪がいかに強大で世界を支配していようとも、その支配をひっくり返して、
善の心が支配する世界に変えることが出来る。

だがそれはあくまで可能性があるというだけの話であり、
「正義は必ず勝つ」なんていう甘い話ではない。
ハカセが「自分次第」と言ったように、善の心の力が強い者もいれば弱い者もいるのであり、
巨悪によって増幅された悪の心を抑え込める者もいれば、悪の心に支配され続ける者もいます。
今回、ハカセや鎧はジュジュの悪の呪術を跳ね返すことが出来たが、
跳ね返すことの出来ない人が圧倒的多数であるのが現状です。

だが、巨悪が不当に増幅させた悪の心で人々の善の心を苦しめるというのなら、
その巨悪は倒さねばならない。
それが出来るのは、巨悪の支配を跳ね返す強い善の心を持った戦士しかいません。
何故、ハカセや鎧は、マーベラス一味の絆は、ジュジュの悪の支配を跳ね返すことが出来たのか?
それはゴーカイジャーが悪の支配する宇宙で自分達の良心や誇りを保持し続けてきた宇宙海賊として鍛えてきた、
本当の善の心の強さを信じる力を持っている戦隊だからです。
ならば、人々の善の心を苦しめる巨悪を退治するのはゴーカイジャーの役目ということになります。

「あなたを倒して、人々を苦しみから解放します!!」とアイムがジュジュを睨みつけて宣言すると、
マーベラス一味の6人、そしてニンジャマンが横一列に並び、
マーベラスの「いくぜ!!」という号令を合図に6人は「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身し、
「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」と名乗りを上げ、
ニンジャマンが「ア〜ンド!ニンジャマン!!」と続いて名乗りを上げます。

これはあくまでゴーカイジャーの戦いだが、
そのゴーカイジャーの戦いはカクレンジャーの戦いと目的を同じくしているのだとニンジャマンは認め、
ならばカクレンジャーの力を使ってゴーカイジャーの仲間として戦えるはずだとニンジャマンは思い、
「忍者だけどぉ!・・・派手にいくぜぇっ!!」と啖呵を切って仁王立ちするのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:54 | Comment(5) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月21日

第46話「ヒーロー合格」感想その6

遂に6人揃った上にニンジャマンまで加わった7人名乗りをしてジュジュに対峙したゴーカイジャーでしたが、
ジュジュは「人数が増えたとて同じこと・・・スゴーミン!」と2人スゴーミンを呼び出し、
スゴーミンは腕から砲弾を撃ってきます。
その砲弾をかいくぐって、鎧が「はあああ!!ギンギンにいくぜぇ!!」と前に飛び出し、
ゴーカイスピアを振り回してスゴーミン2人と大立ち回りを開始し、
「こいつら、俺に任せちゃってくださぁい!!」とマーベラス達に向けて叫ぶのでした。

これはまぁ、いつもの鎧だけ加わらない多段変身時のお約束展開です。
つまり、ここから多段変身タイムということで、
「では・・・私達はこれで!」と言ってアイムが取り出したのはニンジャホワイトのレンジャーキー。
それを見て「カクレンジャーか!」とニンジャマンが問うと、アイムは「はい!」と答え、
5人はレンジャーキーをくるっと回してモバイレーツに挿し込み「豪快チェンジ!!」と掛け声を揃え、
ニンジャマンと共に並んで駆け出します。

今回はカクレンジャー篇ですから、当然ここはカクレンジャーへの豪快チェンジです。
アイムはカクレンジャーという戦隊の本質を知った記念に、
今回はカクレンジャーに変身して戦うことにしたのでした。
カクレンジャー篇ですから、ここは「カクレンジャー」本編のOPテーマ曲のインストバージョンがかかります。
ちなみに前回のラストシーンの鶴姫登場のシーンでもこの曲はイントロだけ流れたので、
一応2回流れたことになります。

そして変身エフェクトですが、
「カクレンジャー」本編でのドロンチェンジャーを使った変身時の回転するフラッシュみたいなエフェクトではなく、
なんと本編OPテーマ冒頭の、満月をバックにダッシュしながら忍び装束を投げ捨てて変身する
エフェクトの再現というレアな趣向でした。
これはこれでカクレンジャーっぽくて良かったです。

マーベラスがニンジャレッドに変身、ジョーがニンジャブルーに変身、ルカがニンジャイエローに変身、
ハカセがニンジャブラックに変身、アイムがニンジャホワイトに変身し、
この6人とニンジャマンの合わせて7人がそのままダッシュでジュジュ率いるゴーミン軍団と乱戦に突入します。

まずニンジャマンは多数のゴーミン相手にニンジャソードを振り回して
「たああああっ!!」とパワフルな殺陣で撫で斬りしていき、
レジェンド戦士として完全復活した元気な姿を見せます。

そしてハカセは「はっ!!」と大きく跳び上がって、
両手から白い蜘蛛の糸みたいなネバネバした糸を発射して眼下のゴーミン達を固めて身動き出来なくして、
着地した後「おりゃあああ!!」とカクレマルで叩きまくるという、悪役みたいな忍術を披露。
ジライヤは本編でこんな忍術は使ってなかったような気がするのですが、
オリジナルな動きを好むハカセらしいといえば、らしい。

一方、ジョーはカクレマルを逆手に握って「うおおっ!」と華麗な剣術でゴーミン達を斬りまくり、
忍術ではなく剣術重視なところもサイゾウというより、あくまでジョーのイメージ優先という感じです。
また、ルカはアクロバチックにバック宙を舞いながらカクレマルでゴーミン達を斬り
「ど〜んなもんよ?」と、あくまでルカっぽく、こちらも忍術は見せずでした。

一方、アイムはカクレマルでゴーミン達をバッサバッサと斬った後、
迫りくるゴーミン達に向かって「隠流!折鶴の舞!!はっ!」と折鶴型の爆弾を飛ばして攻撃する
ニンジャホワイト鶴姫の得意忍術を披露しますが、
オリジナルに比べて折鶴の数がやたら多く、しかも折鶴の色がオリジナルのように白一色ではなく、
赤青黄緑桃のゴーカイジャーカラーの5色セットになっている特別版でした。
これでゴーミン達は大量に倒されます。

そしてマーベラスはゴーミン達をカクレマルで「はっ!」と斬り捨てて片付けたところに
突っ込んできたジュジュと一騎打ちとなり、
何太刀か合わせたところでジュジュの持つ槍に貫かれて「ぐあああっ!?」と絶叫します。
ここでその瞬間、一瞬画面がネガっぽくなるのが細かい。

ジュジュが仕留めたと思って見てみると、
仕留めたの思ったマーベラスは何故か藁人形に変わっており、パタンと倒れます。
「ん!?」と驚いたジュジュが「はっ!?」と周囲をキョロキョロ見回すと、
ちょっと離れた場所にニンジャレッド姿のマーベラスが背を向けて立ち、
「代わり身の術ってやつだ・・・!」とふてぶてしく説明します。
これはニンジャレッドのサスケの得意忍術で、
敵の攻撃を喰らったと見せかけて人形を身代わりにして敵を惑わせる忍術で、
まぁ敵を倒す術ではないですが、いかにも忍術らしい技です。

そうこうしているうちにゴーミン達は全部片付けられ、
スゴーミンに対してもゴールドモードにチェンジした鎧がゴーカイレジェンドリームを炸裂させて倒して、
「ニンニン!」と決めポーズととります。
「ニンニン」はカクレンジャーのメンバーの口癖ではないと思いますが、
OPテーマのフレーズに由来しているのでしょうか。

そして「宇宙水晶!いただくぜぇ!!」と言ってマーベラス達は
ゴーカイガレオンバスターを「ド派手に決めるぜぇっ!!」と構えます。
ガレオンバスターはよく考えたらダマラス退場回以来の登場なのでおよそ1ヶ月ぶりぐらいです。
このガレオンバスターでライジングストライクを発射、これがジュジュを貫き、
これによりジュジュの口から例の宇宙水晶の珠が飛び出して、粉々に砕け散ったのでした。
直後、ジュジュは大爆発を起こして、
粉々になった水晶の破片はキラキラ光りながら、あたりに舞い散るのでありました。
この結果、ジュジュの呪いは解除され、街で悪の心に支配されて暴れ回っていた人々は皆、
元に戻ったのでありました。

それにしても、ここの変身後の等身大アクションですが、
トドメの前にジュジュが追い詰められる過程が描写されていなかったり、
カクレンジャーからゴーカイジャーに戻る場面が描かれていなかったりして、
やや、端折り過ぎという印象がありました。
撮影はしていたが、他の場面との配分の関係で編集でカットしたように見えました。

カクレンジャーへ変身した後のカクレンジャー風の忍術アクションの描写も
該当レジェンド回だった割には少なかったようにも思えるのですが、
あるいはこの編集でカットされた部分に別の忍術シーンもあったのかもしれません。
ただ、せっかく撮った忍術シーンをカットはしないだろうし、
もし忍術シーンを撮っていてカットしたのだとしたら、あまり出来の良くないシーンであったのか、
あるいはそもそもここの等身大アクションシーン自体の今回のエピソード中での重要度が低いということになります。

そんな感じで、どうも今回のアクションシーンには消化不良感が残りました。
ただ、これは別に不満なのではありません。
例年、この時期のアクションシーンはこれぐらいのレベルのものが多いからです。
消化不良感が残るのは「ゴーカイジャー」という特殊な作品であることが原因なのです。
通常のシリーズ作品なら、この時期のエピソードのアクションシーンに
これぐらいのクオリティのものがあったとしても、まぁそういうものだと思って気にもしないのですが、
「ゴーカイジャー」の場合、レジェンド回のアクションは毎回、とても凝っているので、
カクレンジャー篇でも他のレジェンド回と同じレベルを要求したくなるのは人情です。
しかし、時期的にはそれはなかなか苦しいのでしょう。

時期的な問題というのは、つまりこのぐらいの時期の撮影というのは、
次の戦隊の序盤エピソードの撮影とスケジュールが同時進行になるという問題です。
この場合、特に問題なのがスーツアクターの皆さんで、
だいたい毎年スーツアクターは同じメンバーであることが多いので、
この終盤エピソード時期は、次の戦隊の序盤エピソードの時期と撮影スケジュールがバッティングするので、
スーツアクターさんのスケジュールが満足にとれずに
変身後アクションの撮影をとことん突き詰めることが難しくなり、結果的にクオリティは落ちます。

次の戦隊は赤が押川氏、青が竹内氏、黄が蜂須賀氏であろうと思われますが、
押川氏はこの「ゴーカイジャー」ではブルー、竹内氏はグリーン、蜂須賀氏はイエロー役であり、
しかもゴーカイレッド役の福沢氏は次の戦隊ではアクション監督にシリーズ初挑戦されます。
となると、ゴーカイジャー側のスーツアクターの大部分は
次戦隊ゴーバスターズの撮影の方にも行かねばならないのであり、
やはりもうすぐ終わる戦隊よりもこれから始まる戦隊の方が重視されますから、
もうすぐ終わる戦隊の終盤の変身後アクションシーンというのは、どうしてもクオリティは落ちます。

終盤というとストーリー的には非常に盛り上がってくるところなので、
本当はそれに比例してアクションも素晴らしくあるべきなのですが、
残念ながら、なかなか現実にはそうはいかないのです。
そういうわけで、せっかくのカクレンジャー篇ですから、期待は大きかったのだと思いますが、
この時期の変身後アクションシーンとしては、まぁこんなものなのではないかと思います。

この時期はこのように、どうしても現行戦隊の変身後アクションシーンは
全体的なクオリティは落ちてしまうのですが、
それでもストーリー的には終盤の大事な時期ですから、
あんまりにもアクションシーンの質が落ちては困ってしまいます。
だから肝心のところはちゃんと作ります。
その分、無駄なアクションシーンは省いて、
本当に大事な場面だけ集中して質の高い場面を撮ろうとするようになります。
つまり、変身後のアクションシーンは減る傾向にあり、
その分、素面アクションシーンが多くなることになります。

最終盤の方になると、素面役者が変身後スーツの中に入ってアクションをすることもあります。
これは毎年恒例の行事のようになっていますが、
スーツアクターの方々のこの時期の負担を減らすという目的も兼ねていると思われます。
まぁそういうわけで素面アクションの増えるこの時期、
今回も結構、組手や喧嘩など、素面アクションを見せるシーンが多くとってあったのは、
いよいよ今年もそういう時期になってきたなぁという印象です。
素面アクションに関しては「ゴーカイジャー」は非常に安定感がありますから、
これからのエピソード、大いに期待できると思います。

さて、話を本編に戻し、ジュジュが倒されたのをモニターしていたギガントホースの指令室では、
ダイランドーが大騒ぎして「オ〜!ノ〜ッ!!ちょいちょいちょいのちょいで・・・やられちゃったやんしょ?」と
インサーンに少し嫌味に指摘しますが、
インサーンは「・・・いいえ・・・まだ終わっていません!」と巨大化光線を発射、
ジュジュは復活巨大化します。

ザンギャック怪人の復活巨大化を初めて見たニンジャマンは「復活したのか!?」と驚きます。
マーベラスは「後は任せろ」と言い、ゴーカイガレオンを呼び寄せ、鎧は豪獣ドリルを召喚。
そしてゴーカイオーと豪獣神でジュジュに立ち向かいます。

「鎧!いくぞぉっ!!」とゴーカイオーのマーベラスが号令をかけて、
豪獣神の鎧も「ニンニン!」と両手でカクレンジャー風に印字を組んで応じて、
2対1でジュジュと戦います。
そしてジュジュとゴーカイオーが斬り合って戦っている隙に豪獣神がジュジュの背後に回り、
ドリルをジュジュの背中に思いっきり突き立てます。

ところがジュジュは「むん!」と突如、姿をかき消してしまい、
豪獣神の繰り出したドリルはジュジュの消えた空間を通り抜けて
そのままゴーカイオーに思いっきり炸裂してしまったのでした。
鎧は慌てて「ああ〜っ!?・・・ど、何処に!?」と周囲を見回しますが、
そこに突如として豪獣神の背後に出現したジュジュが奇声を発して豪獣神を槍で斬りつけ、
豪獣神はよろめいて後退します。

ジュジュの神出鬼没の奇妙な術によって、2対1の数的優勢は無きがごとしとなったゴーカイジャー側は、
ルカが「フン!これでも喰らいなさい!」とレンジャーキーを取出し、
ゴーカイオーをデカゴーカイオーにチェンジし、ゴーカイフルブラストでガトリング砲を撃ちまくります。
しかし、またもやジュジュは姿を消して、ガトリング砲の攻撃を避けてしまいました。
「また・・・!?」と鎧が戸惑っていると、
また死角からジュジュが奇声を発して飛び込んできてゴーカイオーと豪獣神をメッタ斬りし、
ゴーカイオーと豪獣神のコクピットは火花を散らし、マーベラス達は「うわあああ!?」と苦しみます。

どうにも正攻法の攻撃ではジュジュに対して相性が悪いと悟ったジョーは
「まともに戦うと厄介だ・・・!」と呻きます。
マーベラスも「ああ・・・」と同意しますが、
かといって何が神出鬼没のジュジュの攻撃に対して有効か、すぐに判断がつきません。

その時、マーベラスはゴーカイバックルのあたりに違和感を覚えて「ん?」と自分のバックルを見ます。
するとバックルがひっくり返ってニンジャレッドのレンジャーキーが出現したのでした。
ゴーカイオーのコクピットの他の4人のバックルからも同時にカクレンジャーのレンジャーキーが出現し、
5つのカクレンジャーのレンジャーキーは5色の光を発しながら浮かび上がります。

驚いたマーベラス達はそれらのレンジャーキーを掴み取ります。
アイムもニンジャホワイトのレンジャーキーを掴んで、
「カクレンジャーの・・・レンジャーキーが・・・!」と絶句します。
レンジャーキーが光り輝いて浮かび上がるということは、大いなる力を授かったということです。
つまり、遂に念願のカクレンジャーの大いなる力を手に入れたということになります。

そこに「お〜い!!ゴーカイジャー!!」と皆を呼ぶ声がするので振り向くと、
地上にはさっきの場所でニンジャマンが立って呼びかけており、
「カクレンジャーの大いなる力を使ってくれ〜!!」と叫んで手を振っています。
あれほど慎重であったニンジャマンが遂に認めてくれたと知り、
ハカセは「ニンジャマン・・・とうとう僕たちのことを認めてくれたんだね!」と嬉しそうに言います。

ニンジャマンはさっきのアイムやハカセとの一件の際に、
既にゴーカイジャーとカクレンジャーの共通性は認めていましたが、
さっき戦いの直前にアイムやハカセ達が言った啖呵を聞いて、
完全にゴーカイジャーのことをカクレンジャーの大いなる力を受け継ぐ者として認めたのでした。

結局、カクレンジャーという戦隊の精神性であり、戦う力の源となっているのは、
「悪に染まった世界においても善の心の持つ力を信じ、善の心の勝利を目指して戦う気持ち」といえるでしょう。
鶴姫がマーベラス一味がカクレンジャーの大いなる力を得ることは無理だろうと見越していた理由は、
宇宙海賊がたとえ地球を守るために戦ったとしても、
見知らぬ人間の善の心に興味を持ったりはしないだろうと思ったからでした。

人の善の心のために戦う精神性も持たない限り
カクレンジャーの大いなる力を引き出すことが出来るはずはないのです。
だからマーベラス一味がカクレンジャーの大いなる力をニンジャマンから受け取れるはずがないと
鶴姫は思っていたのです。

しかし、もともとマーベラス達が悪に支配された絶望の宇宙において、夢と希望の持つ力を信じて、
夢を掴むために戦い続けてきたということを、
鶴姫は何となくは把握しつつも、
それがカクレンジャーの精神に通じる可能性については考えが及んでいなかったのでした。

マーベラス達も同様に、何も無ければその両者の近さに気付くことはなかったのでしょう。
しかし、たまたまハカセと鎧がジュジュの術によって悪の心を増幅させられてしまい、
その危機をアイムがニンジャマンと共に乗り切る過程で、
マーベラス一味の絶望の中で希望の持つ力を信じる心と、
カクレンジャーの悪の世で善の心の持つ力を信じる心とが通じ合うものだと気付くことが出来たのでした。
そして、目の前にはハカセや鎧と同じく悪の心を増幅させられて苦しむ人々がまだ多くいるという状況で、
アイムはマーベラス一味の持つ力でカクレンジャーの目指す目的を達成せねばいけないと思い、
そして、それが可能であることを知ったのです。

このように、鶴姫は予想していなかったアクシデントによって、
マーベラス一味は自分達がカクレンジャーの戦う心を受け継いで戦うことが出来るということを知り、
自分達の持っている精神性がカクレンジャーという戦隊の戦うための精神性と同じであると認識したのです。
こうして、マーベラス一味はカクレンジャーの大いなる力を受け取る資格を得たのであり、
ニンジャマンはそれを認めたのでした。

そして、今回のカクレンジャー篇でこの作品の制作者が
「この時代」の子供たちに向けて示したかった生きる指針は、
カクレンジャーおよび、その力を受け継いだゴーカイジャーによって示されたヒーロー像、
すなわち、目指すべき生き方の像、
「悪や絶望が支配する世界においても、人間同士の善意や希望の持つ力を信じ合うことによって、
悪や絶望に打ち勝つ力を得ることが出来る」ということなのでありましょう。

こうしてカクレンジャーの大いなる力を遂に受け取ったマーベラスは
「よっしゃ、いくぜぇ!!」と気合を入れて、さっそくその大いなる力を引き出そうとして
「レンジャーキー!セット!!」と5人はゴーカイオーのコクピットに
カクレンジャーのレンジャーキーを挿して勢い込んで回します。
連動してゴーカイオーの背中のダイヤルが回転し、
ゴーカイオーのハッチが開いて何が飛び出してくるのか皆が待ち構えますが、なんと、何も起こりません。
ハッチすら開かないのです。

一瞬、変な間がり静寂が流れ、マーベラス達はゴーカイオーのコクピットで「・・・ん?」と固まります。
隣に立つ豪獣神のコクピットでも鎧が「え・・・ちょっと・・・?」と苦笑いし、
マーベラスは思わず「おいっ!?」とニンジャマンの方を向いて厳しくツッコミを入れ、怒鳴りつけます。
大いなる力を使ってくれと言うから、レンジャーキーを挿したのに何も起きないとは、
いったいこれはどうなっているんだと思ったのでした。

しかし怒鳴られたニンジャマンも「んん?」と戸惑います。
確かに自分の体内のカクレンジャーの大いなる力はマーベラス達に渡そうと決め、
既に自分の身体からは消えていました。
マーベラス達の持つカクレンジャーのレンジャーキーに大いなる力は移動しているはずなのです。

すると、いきなり奇妙なことが起きました。
ニンジャマンの身体の周りの空間が急にキラキラ輝き始め、
「え?・・・あ?・・・お?」と驚き慌てるニンジャマンは突然吸い寄せられるように
「ああ〜!?」とゴーカイオーの前に飛び出していき、
その瞬間、突然ゴーカイオーの前でニンジャマンは巨大化したのです。
「な・・・なんだぁ?」と仰天するニンジャマン。

いや、ニンジャマンってもともと伸縮自在のキャラで、自分の意思で巨大化出来るはずだったんですが、
さっきまではニンジャマンがカクレンジャーの戦う力をほとんど引き出せていない状態だったので、
巨大化も出来なくなっていたようです。
そしてさっきカクレンジャーの大いなる力をマーベラス一味に渡したことによって、
カクレンジャーのレンジャーキーをゴーカイオーのコクピットに挿すことによってしか
巨大化出来ない設定になったようです。

「・・・もしかしてカクレンジャーさんの大いなる力ってぇ!?」と鎧が興奮して問いかけると、
ニンジャマンは「・・・俺のことだったのかぁ!」と自分を指さして驚くのでした。
「知らなかったのかよ!?」とマーベラス達は呆れます。

つまり、ニンジャマンこそがゴーカイジャーに与えられた
カクレンジャーの大いなる力によって召喚される巨大戦力そのものなのであり、
今後はマーベラス達がカクレンジャーのレンジャーキーをゴーカイオーのコクピットに挿して回せば、
巨大化したニンジャマンが召喚されるようになったのです。
ただ、ニンジャマン自身は自分がそういう立場だということは今の今まで知らなかったようですが。

ともかく、カクレンジャーの大いなる力としてニンジャマンも巨大化して戦いに加わることになったのですが、
ジュジュは自分の術が破られるわけがないと自信満々で
「何が来ても同じだぁ!」と小馬鹿にして、襲い掛かってきます。
それを聞いてニンジャマンは「・・・そいつは聞き捨てならねぇなぁ!」とカッコよく言いながら
ニンジャソードを抜いてジュジュに躍り掛かり、「たあっ!!たああ〜!!」とジュジュをメッタ斬りします。
剣術勝負ではジュジュなどはニンジャマンの敵ではありません。

ところが更にニンジャマンが「たぁっ!」とニンジャソードを振り下ろすと、
ジュジュはまたさっきのように姿をかき消して、ニンジャソードは空を斬ります。
驚くニンジャマンの背後にジュジュが現れて奇声を発して斬りかかり、
振り向いたニンジャマンは「どああああっ!?」と斬られて倒れてしまいます。
ところが倒れたのは巨大な藁人形でした。

「ん!?・・・またしても藁人形・・・?」と逆に驚き慌てるジュジュ、
頭上に気配を感じて慌てて「うっ!?」と上を見ますが、
既にそこには「もらったぁ!!」と飛び込んでくるニンジャマンの姿があり、
ジュジュはニンジャマンが渾身の勢いで振り下ろしたニンジャソードの一撃を浴び、
「うあああ!!」と絶叫を上げて転がります。

ニンジャマンはさっきから何度もジュジュの姿を消す技を忍者の目で観察しており、
既にその術は見切っていました。
だから、わざと術にかかったフリをして逆に代わり身の術を掛け返してやったのでした。
術の掛け合い戦はニンジャマンの完勝となり、ジュジュは大きなダメージを受け、のたうち回ります。

「よぉし!今のうちだ!」とニンジャマンはゴーカイオーと豪獣神に声をかけます。
鎧が「はぁっ!!」と印字を組んで応じ、
マーベラス達も「よぉし!いくぜぇ!!」と叫び、
6人はゴーカイジャーのレンジャーキーをゴーカイオーと豪獣神のコクピットに挿し、
ここでカンゼンゴーカイオーにチェンジし、
ゴーカイカンゼンバーストでジュジュを貫き、
ジュジュは「うおおおおお!!ジュウジュウ〜!!」と断末魔の叫びを残して大爆発して果てたのでした。
鎧はどうしてだか大興奮、
ニンジャマンはニンジャソードを構えてカンゼンゴーカイオーの横に立ち、「決まった・・・!」とカッコつけます。

ゴーカイジャーがニンジャマンと共にジュジュに激勝したその戦いを、
コッソリ崖に立って眺める人影がありました。
サリーを引き連れたバスコでした。
バスコはニンジャマンの姿を見て、
「・・・カクレンジャーの大いなる力・・・やっと手に入れてくれたみたいねぇ!」と言います。
そして、「そんじゃ・・・ごっそり貰いに行きますかぁ・・・!」と言ってニヤリとほくそ笑むのでした。

今回、マーベラス達がカクレンジャーの大いなる力を手に入れたことによって、
マーベラス達が手に入れた大いなる力は29個、一方、バスコが手に入れている大いなる力は5個、
この両者の持つ大いなる力を合わせて34個であり、所在不明の大いなる力はこれで無くなりました。
その状況を把握した上で、バスコはいよいよマーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているようです。

これまでバスコがマーベラス達を殺さず、レンジャーキーを奪おうともしていなかったのは、
バスコが自力では大いなる力を引き出すことが出来ないからではないかと思っていました。
だからバスコは自分の持つ5個をエサにしてマーベラス達を屈服させて
思い通りに動かそうとしているのかと思っていました。
しかし、ここでのバスコの態度を見ると、
バスコは単にマーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているようです。

もしそうだとすると、
バスコはマーベラス達の力を借りることなく、自力で大いなる力を引き出すことが出来るのかもしれない。
レジェンド戦士たちに認められなければ大いなる力を引き出すことは出来ないという指摘を受けそうだが、
よく考えたら、そもそもレジェンド戦士に認められなければ大いなる力を受け取ること自体が
本来は出来ないはずなのです。
その本来は出来ないことを可能にしているバスコならば、
レジェンド戦士に認められていない状態でも大いなる力を引き出すことは出来るのかもしれない。

ただ、もしそうだとしたら、どうして今までバスコは
マーベラス一味からレンジャーキーごと大いなる力を奪わなかったのかという疑問が生じるが、
それはどうしてもカクレンジャーの大いなる力の在り処だけが分からないから、
マーベラス達にそれを見つけさせるまではマーベラス達を泳がせて
自由に大いなる力を集めさせていたのだということになります。

バスコが何個か大いなる力を押さえている以上、
マーベラス達はどれだけ多くの大いなる力を集めても決して「宇宙最大のお宝」を先に手に入れることは出来ない。
バスコとしては最後に全部奪うつもりであったのだから、マーベラス達に好きに集めさせていたのでしょう。

この「バスコも大いなる力を引き出すことが出来る」というのが一番可能性が高そうな推論になりますが、
他にも考えられる想定としては、
まずそもそも「宇宙最大のお宝」を見つけるために大いなる力を引き出す必要は無かったという考え方も出来ます。
「宇宙最大のお宝を見つけるには大いなる力を全部引き出す必要がある」と言ったのは小津魁だけであり、
もしかしたらあれは嘘かもしれない。
本当は引き出す必要は無く、単に揃えるだけで「宇宙最大のお宝」が手に入るのかもしれない。
それならば、バスコがもし大いなる力を引き出せないとしても
マーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしていることの説明はつきます。
また、この場合も今まで奪おうとしなかった理由は
カクレンジャーの大いなる力の所在が分からなかったからという理由で説明はつきます。

またあるいは、単にバスコが「宇宙最大のお宝を見つけるには大いなる力を全部引き出す必要がある」という
事実を知らないという可能性もあります。
小津魁しかそのことは言っておらず、魁はバスコにはそのことは教えていない。
だからバスコは単に34の大いなる力を集めれば「宇宙最大のお宝」が手に入ると勘違いして
マーベラス達から大いなる力を全部奪おうとしているのかもしれない。
この想定の場合も今までバスコが奪おうとしなかった理由は
カクレンジャーの大いなる力の所在不明で説明はつきます。

また、そうではなく、バスコが34の大いなる力を引き出さねば
「宇宙最大のお宝」が手に入らないということを把握していて、
なおかつ自力では大いなる力を引き出せない場合でも、
バスコがマーベラス達から大いなる力を奪おうとしている行動を説明することは一応可能です。

それは、マーベラス達が一度大いなる力を引き出して使用したことのあるレンジャーキーは、
既に大いなる力が引き出された状態になっており、
それをバスコが手に入れれば、大いなる力を引き出したのと同じことになるという解釈を導入した場合です。
ただ、この場合、問題は、未だマーベラス達が大いなる力を引き出していない戦隊の
レンジャーキーが幾つか存在することです。
またバスコが手にしている5つの戦隊の大いなる力はどうするのかという問題もあります。
だから、この想定の場合は、このあたりを解決する何らかの奸計をバスコが企んでいることが前提となります。

あるいは、別の解釈として、マーベラス達がレンジャーキーで大いなる力を受け取った時点で、
実際に大いなる力を引き出して戦ったりしていなくても、
大いなる力を引き出したのと同様の状態とされるのだという解釈も出来ます。
この解釈の場合は解決しなければいけない問題はバスコ所有の5つの大いなる力の件だけとなります。
あるいは、「199ヒーロー大決戦」の時のような何らかの特殊条件下の状態を作り出して、
不正常な方法で大いなる力を引き出すことが可能なのかもしれません。

このように、バスコの行動には今だ謎が多いのですが、
次回にはそのあたりも整理されてくるでしょう。

さて今回のエピローグは、戦いが終わった後、ニンジャマンとマーベラス一味のお別れの場面です。
「じゃあ・・・世話になったな!」と言いだすニンジャマンに、
鎧が意外そうに「もう、出て行っちゃうんですか?」と問いかけます。
確かに大いなる力は貰ったが、せっかく一緒に戦ったんだから、
これからも一緒にガレオンに居てくれてもいいんじゃないかと思ったのでした。
マーベラス達ももうニンジャマンに対する悪感情は無く、
これからも一緒に戦う仲間という意識でありますから、
別にニンジャマンがガレオンに居ることに抵抗はありませんでした。

しかしニンジャマンは「もう、お前達を観察する必要は無いからな・・・」と答えて苦笑します。
もともとニンジャマンの方はガレオンに居続けたのはマーベラス達を観察するためであり、
それはそもそもそんなに必要なことではなかった。
そして今はもうニンジャマンはマーベラス達をカクレンジャーの力を受け継ぐヒーローとして認めたのです。
つまりヒーロー合格というわけで、
ニンジャマンは自分がもうガレオンに居る必要は無く、後はマーベラス達に任せて大丈夫という想いでした。

それにニンジャマンには行くべきところがあります。
「一度、お師匠様のところへ戻るよ!」とニンジャマンは言うのでした。
ヒーロー合格したのはマーベラス達だけではない。
師匠の三神将によってヒーロー失格の烙印を押されていたニンジャマンもまた、
カクレンジャーの精神を想い出したことによって、ヒーローに再び合格したはずなのです。
カクレンジャーの力を取り戻したことがその証拠といえます。

だから、まずは師匠の三神将に自分の今回の件で学んだことを報告して、
成長した自分を見せて安心させてあげなければならない。
三神将がレジェンド大戦ぐらいで死ぬということは有り得ないのであり、
おそらくカクレンジャーの戦う力が失われた関係で三神将は地上で活動出来なくなっているだけのことで、
天空の何処かに存在していると思われました。
そしてカクレンジャーの力を取り戻した自分ならば師匠の居場所を見つけ出すことが出来るだろう
とニンジャマンは確信していました。

アイムは「寂しくなります・・・」と別れを惜しみます。
ニンジャマンは口笛を吹いて筋斗雲を呼び、それに乗ります。
なんだか奇想天外のようですが、筋斗雲も「カクレンジャー」本編で多用された1つの忍術なのです。
そもそも、妖怪退治の旅をする戦隊「カクレンジャー」というのはもともと西遊記がモチーフとなっています。
その筋斗雲に乗ったニンジャマンは「用があれば、いつでも呼んでくれ!」と明るくマーベラス達に言います。
ガレオンからは去るが、いつでもカクレンジャーのレンジャーキーで
「大いなる力」として召喚されれば、すぐに巨大化して飛んでくるのですから、またすぐに会えるのです。
永遠の別れというわけではない。
ニンジャマンは「じゃあな!」と軽く挨拶して筋斗雲で飛び立ち、あっという間に空の彼方に消えていきました。

そうしてニンジャマンと別れた後、しばし沈黙の後、
ハカセが「・・・ようやく最後の大いなる力、ゲットしたね!」と言い、皆も頷きます。
これで所在不明の大いなる力は無くなった。
ジョーは「あとはあいつに奪われた5つを・・・どう手に入れるかだ・・・!」と厳しい表情で言います。
「あいつ」とはもちろんバスコのことです。

マーベラス一味としても「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
現在の29個だけではもちろん足りない。
バスコが持っている5個も手に入れなければならない。
しかし、それはきっと容易ではない。
「正直・・・一番手強い相手かもね・・・!」とルカが呟き、皆も深刻な表情になります。

マーベラス達はまだバスコに戦って勝ったことはない。
バスコの圧倒的な強さは分かっています。
ダマラスを陥れた狡猾さも要注意です。
また、こうして所在不明の大いなる力が無くなった以上、
バスコもきっと自分達の持つ大いなる力を狙ってくるであろうことも、マーベラス達は分かっていました。

おそらくバスコが「どうしても見つけてほしい」と言っていた大いなる力は今回の、
カクレンジャーが何処にいるのか分からず大いなる力をバスコが奪うことが不可能だった、
カクレンジャーの大いなる力のことであるに違いない。
それを見つけたら、その後、ゆっくり決着をつけようとバスコは言っていました。
ならば、カクレンジャーの大いなる力をマーベラス達が手に入れた以上、
いつバスコが襲ってきてもおかしくない状態となったといえます。

しかし、マーベラスにとってはそれは望むところでした。
「ああ・・・だが、勝つのは俺たちだ・・・」とマーベラスは呟きます。
必ずバスコに勝って、残りの5つの大いなる力も手に入れてみせる。
そして赤き海賊団を裏切ったバスコにオトシマエもつけさせ、恨みも晴らす。
そう心に誓ってマーベラスは「・・・待ってろよ・・・バスコ!!」と闘志を燃やします。

残りあと5話、いよいよ次回からクライマックス篇が始まるようで、
まずはバスコとの大いなる力争奪戦の最終ラウンド、
そして「宇宙最大のお宝」の謎解き篇、バスコとの宿命の対決の決着が期待されます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 03:50 | Comment(3) | 第46話「ヒーロー合格」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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