2012年02月20日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その1

遂に今回は最終話でした。
前回がドラマパートが濃厚で、マーベラス一味がお宝を捨てて
ザンギャックを倒すために戦うスーパー戦隊となったことで物語のテーマとしては完結したわけで、
今回はそのザンギャックを倒すための戦いのバトルシーンが目いっぱい詰め込まれたエピソードとなりました。
しかし、普通に戦って終わりというわけではなく、色々と趣向を凝らしたバトルを最後まで楽しませてくれました。
やはりこの「ゴーカイジャー」という作品の最大の魅力はバトルシーンの面白味であり、
それを最後まで貫いてくれたと思います。

この「ゴーカイジャー」という物語全体については、また本編の考察終了後に改めて考えることとして、
まずは今回の最終話についてのみ単一エピソードとして考えていきたいと思います。

今回の最終話の構成はAパート、Bパートの最終バトル部分、Bパートのエピローグ部分という
3つに大きく分けることが出来ます。
エピローグに関しては最後にまた本編の中で考えるとして、
本編の考察に入る前に触れておきたいのは、AパートとBパート最終バトルとの関係です。

その前にBパート最終バトルに関しては予想が外れてしまったことに触れておかねばいけません。
てっきり最終バトルには、レンジャーキーが戻ったことによって変身能力を取り戻した34戦隊の全戦士が
駆けつけて、ゴーカイジャーと共にザンギャックの大軍と戦う第二次レジェンド大戦で締めるのかと思っていました。
しかし、そうではなくて、ゴーカイジャー6人による、ゴーカイジャーも含めた
35戦隊フル豪快チェンジによるコンボ攻撃でラスボスのアクドス・ギルを倒すという展開となりました。

第1話の冒頭、圧巻のレジェンド大戦のシーンから始まったこの物語、
やはり最後も復活した戦士たちが集合してのレジェンド大戦で締めた方が派手ではあったと思います。
しかし、最終3篇の冒頭、第49話の時に考察したように、
この物語は最後まで、あくまでマーベラス一味の6人の物語を描くのだろうと予想しました。
その予想通り、最後まで6人の成長物語であったと考えるならば、
ここで第1話の冒頭に戻るよりも、今回のような描写が正解だったのだと思います。

だいいち、よく考えたら最終話の限られた尺の中で第二次レジェンド大戦を描くとなると、
結局はゴーカイジャーの6人も含めて全員がモブ状態になってしまい、
物語の最終バトルとしては、かなり間抜けなことになってしまうでしょう。

そりゃあ、第二次レジェンド大戦だけで30分使えるのなら、
まだなんとか最終バトルとしてカッコはつくでしょう。
当初、私が有り得る可能性として考えていた最終3篇の構成としては、
最終話直前にレジェンド戦士の復活大集合というものがありました。
これならば、まだ最終話がちゃんとお話しになるだろうと思っていました。
しかし、この場合でもゴーカイジャー以外の戦士たちは結局ほとんどモブ扱いになると思われ、
わざわざ最終バトルに登場させておいてモブ扱いというのは失礼な気がします。

では全員がモブにならないぐらいの構成にするためには、
最終3話の冒頭からレジェンド復活大集合が始まらないといけないぐらいでしょう。
しかし、そうなると、肝心の宇宙最大のお宝に関するゴーカイジャーの物語を描く余裕が
全く無くなってしまいます。

結局、最終3篇でレジェンド大戦を描くというのは、あまり良い手法ではないのです。
あのやたら大規模だが全員モブ状態のレジェンド大戦のシーンが成立していたのは、
あくまで第1話冒頭という、物語の序章としてという前提で成立していたのです。
だから、物語の締めのバトルがレジェンド大戦というのは、一見派手で良さそうに見えて、
この物語の締めのバトルとしては相応しくない。

例えば「199ヒーロー大決戦」映画では、締めのバトルが巨大戦版のレジェンド大戦でありましたが、
あの映画は実はあまりゴーカイジャーの物語になっていません。
あれは「ディケイド」映画以降作られるようになったライダー恒例の総集合モノの同種で、
あくまで総集合企画映画ですから、レジェンド戦隊の物語だと考えていいでしょう。
だからああいう締めのバトルで良かったのです。

TV版の「ディケイド」にしても、ディケイド自身の物語が無いので、
最終バトルはライダー大戦という形で第1話冒頭に戻ってしまいました。
しかし「ゴーカイジャー」は、1年間通してじっくりとゴーカイジャーの物語を描いてきましたから、
第1話のレジェンド大戦に戻るわけにはいかないのです。

レジェンド大戦にゴーカイジャーが新たに加われば、レジェンドの成長物語になってしまいます。
そうではなく、ゴーカイジャーがレジェンド戦隊の力を使って勝利しなければ、
ゴーカイジャーが35番目のスーパー戦隊になったという、ゴーカイジャーの成長物語としては成立しないのです。
だから、物語的には今回の描写が正解なのだと思います。

ところで、この最終バトルは等身大戦だけで終わり、巨大戦はありませんでした。
前回の描写においては、真に恐るべき地球人への脅威となっているのは
アクドス・ギルやダイランドー単体の能力ではありませんでした。
確かにアクドス・ギルもダイランドーもゴーカイジャーにとっては脅威となり得る強敵ですが、
彼らだけの能力では地球人全部を滅ぼすような超常的なものはありません。

地球人を滅亡させる脅威となっているのはザンギャックの信じ難い数の大艦隊であり、
それを束ねる旗艦ギガントホースです。
真のラスボスは大艦隊と言っていいでしょう。
ならば最終バトルの相手は大艦隊であるべきのようにも思えます。
そうなると巨大戦ですから、ゴーカイジャーが巨大戦で35戦隊のパワーを使って
ザンギャックの大艦隊を撃破するのが最終バトルとして相応しいようにも思えてきます。
つまり「大いなる力」を総動員して大艦隊を撃破すればいい。

しかし、それは既に第50話で失敗しています。
第50話で失敗したのと同じことをまた最終話でやって、それで今度は勝ってしまったりしたら不自然です。
つまり、第50話で大いなる力を大盤振る舞いしながらゴーカイジャーが大艦隊に敗北した場面を描いたのは、
大いなる力を使って普通に大艦隊を撃滅するような最終バトルにはしないという制作側の意思表示だといえます。

どうして最大の強敵を普通に倒すことにしないのかというと、
最終話における最大の強敵というものは普通に倒すのではなく、
絶体絶命の状態から起死回生の大逆転で勝つ方が燃えるからです。
ならば大いなる力を使っても大苦戦して、その後、起死回生の策で大逆転勝利で大艦隊を撃滅すれば
いいようにも思えます。

シリーズの通常作品ならば、それでいいと思います。
持てる力を全部ぶつけてもビクともしない強敵に、起死回生の策で大逆転すれば燃えます。
しかし、この作品の場合はそうはいかないのです。
この作品は最終的には歴代スーパー戦隊をリスペクトする作品でなければならず、
また、ゴーカイジャーがスーパー戦隊になった証に、
スーパー戦隊の力を使って敵を倒して終わらなければいけないので、
最終バトルでスーパー戦隊の大いなる力が敗れて大ピンチになるような描写は相応しくないのです。
かといって、最大の強敵に対して、普通に大いなる力が通じてしまうのも、
最終話らしい緊張感が無くなってしまいます。

ならば、最終バトルの相手と最大の強敵は別にするしかない。
まず最大の強敵をスーパー戦隊の力が通じない大ピンチの状態から起死回生の策で倒し、
その後、最終バトルでは別の敵をスーパー戦隊の力を使って倒すのです。
そうすれば最終バトルでスーパー戦隊をリスペクトした形で綺麗に終わります。

また、最大の強敵が地球に対する最大の脅威なのですから、
それを先に倒すことによってゴーカイジャーは晴れて35番目のスーパー戦隊となり、
歴代戦隊と肩を並べる存在となります。

前回、マーベラスは「命を賭けて地球を守る・・・それがスーパー戦隊ってもんだろう!」と宣言しましたが、
これだけで真の意味で他の34のスーパー戦隊と肩を並べたわけではありません。
歴代34戦隊は皆、命を賭けて戦った末、絶体絶命のピンチから大逆転して地球を守りきった実績があります。
ゴーカイジャーもそれが出来て初めて、歴代戦隊と肩を並べる
35番目のスーパー戦隊として完成されたということになります。

だから、まず地球に対する最大の脅威であるザンギャック大艦隊を
絶体絶命の状態から大逆転で撃滅したことによって、
ゴーカイジャーは遂に35番目のスーパー戦隊として完成し、
それによって、遂に35戦隊のパワーを全て完璧に使いこなすことが出来るようになり、
真の意味で「最強戦隊」となり、「最強最悪の皇帝」といわれるアクドス・ギルとの最終バトルで
35のスーパー戦隊の力を使って圧倒的勝利を収めることになるのです。

つまり、ザンギャック大艦隊の撃滅が描かれるのが今回のAパートであり、
アクドス・ギルとの最終バトルが描かれるのが今回のBパートといえます。
そして、Aパートは絶体絶命のピンチ状態からの大逆転劇が徹底して描かれて、
Bパートの方はAパートで大逆転で大艦隊を撃滅したことによって真のスーパー戦隊となったゴーカイジャーが
Aパートとは次元の違う強さで、35戦隊の力を使ってアクドス・ギルを圧倒するのです。

アクドス・ギルというのがあまりキャラが掘り下げられずに
典型的な悪の帝王的なキャラで終わったのも、
基本的にはこうして最後は典型的な「スカッと倒されるための巨悪キャラ」として
使われる予定だったからでしょう。

そうして物語はスカッとした形でエピローグへ向かっていくのです。
だから最高に爽快感のあるのはBパートの最終バトルの方です。
実際、この最終バトルの35戦隊フル豪快チェンジは凄い。
戦士や技のチョイスやテンポが神がかっていて、
最終話にきて、これまでで最高の多段変身アクションを見せて貰いました。
1年間この作品を観てきて、いや、スーパー戦隊シリーズを観てきてよかったと思える名シーンだったと思います。

しかし、これは劇中のゴーカイジャーにとっては、スーパー戦隊になった後の一種の御褒美のようなシーンで、
彼らにとって最重要であったのは、むしろAパートの方でしょう。
このAパートの絶体絶命の状況から大逆転して大艦隊の撃滅によって地球を守ることによって、
彼らは他の34戦隊と肩を並べるスーパー戦隊となれるわけで、
彼らにとってここは最終試練といえる場面です。

だから、このAパート開始時点は絶望感が頂点でなければいけません。
何故なら、絶望的状況でも戦い抜くのがスーパー戦隊だからです。
そのために、ザンギャック大艦隊に対してはスーパー戦隊の大いなる力が通用せず、
ゴーカイジャーの巨大戦力が全滅するという第50話の絶望的描写が必要であったのです。

それに、最終話は普通に戦って大艦隊を倒してはいけないし、
大艦隊を倒した後の最終バトルでは巨大化銃が失われているのでアクドス・ギルの巨大化も無いわけですから、
最終話は必然的に巨大戦シーン無しになります。

まぁグレートアクドスというような決戦機を登場させて巨大戦をやることも不可能ではなかったとは思いますが、
その場合は最終バトルの等身大戦で35戦隊のフル豪快チェンジをしながら
アクドス・ギルを倒しきれないという描写になってしまうわけですから、
それはそれで間抜けな描写になってしまいます。

グレートアクドスを先に登場させるという手もあったかもしれませんが、
やはり尺的にそういうのは無理だったのでしょう。
だから第50話でゴーカイジャー側の巨大戦力も全滅させて支障は無かったのであり、
むしろ、第50話で巨大戦のシーンにおいて大いなる力の大盤振る舞いはしておいた方がよかったのだと言えます。

何せ、この作品の最大のセールスポイントは、等身大戦における豪快チェンジ多段変身システムと、
巨大戦における大いなる力によるロボ変形や技の使用であるのですから、
この2つは最終話で集大成的なものを見せたいところです。
ところが最終話では前者の多段変身は思いっきり見せることは出来るが、
後者の大いなる力の方は巨大戦が無いので見せられない。
ならば最終話の1つ前のエピソードで大盤振る舞いするしかないのです。

そっちの方が最終話に大艦隊撃滅後にグレートアクドスなんか出して中途半端に戦うよりも
画的に派手でいいですし、
最終話開始時点の絶望的状況も作れるわけだから、
第50話でゴーカイジャーの巨大戦力が全滅して、最終話は巨大戦が無しというので正解だったと思います。
そのお蔭で、最終話AパートのバトルもBパートの最終バトルも、ギリギリの尺で描ききれたのだと思います。

そしてまた、Aパートのピンチ描写を更に徹底させるために、
ゴーカイジャーの戦力分断という措置がとられたのも秀逸であったと思います。
そもそもダイランドーというキャラの存在意義がこれまでイマイチ分からなかったのですが、
今回腑に落ちました。

Bパートの最終バトルにおいてゴーカイジャー6人でアクドス・ギルを圧倒する予定である以上、
Aパートでゴーカイジャー6人とアクドス・ギルを戦わせるわけにはいかないのです。
もちろんAパートのゴーカイジャーはまだ地球を救っておらずスーパー戦隊として完成しておらず、
Bパートのゴーカイジャーは地球を救った後でありスーパー戦隊として完成した後なので、
強さの次元が違うのですが、そんなことは劇中で明言されているわけではないので、
6人のゴーカイジャーがアクドス・ギルと対峙していると見た目は同じになってしまいます。
しかしAパートは大ピンチから逆転しないといけないので、苦戦しなければいけません。
それなのにBパートで同じ6人が急にアクドス・ギルを圧倒すると変です。

この「ゴーカイジャー」という作品は基本的に「不思議なことが起こる」という描写は避ける傾向があるので、
急に6人に不思議パワーが宿って強くなるというような描写を明確に見せることはありません。
強くなるのには割と現実的に納得のいくようなプロセスを見せます。
しかし今回はそんなプロセスをちゃんと見せる尺も有りませんから、
Aパートでゴーカイジャー側がアクドス・ギルと6人で対峙するという構図は避けた方がいい。

そうなると、アクドス・ギル以外にゴーカイジャーが人数を割かざるを得ない強敵がもう1人必要になります。
そして少人数でアクドス・ギルと対峙したゴーカイジャーのメンバーが
アクドス・ギルに大苦戦するようにしなければいけない。

アクドス・ギル自体の強さは、今回の戦う姿を見る限り、ダマラスに匹敵するぐらい強いようです。
そうでなければ宇宙のほとんどを征服するなど出来なかったであろうし、
ダマラスのような男を配下として抱えることも出来なかったはずです。

思うに、ダマラスの「宇宙最強の男」の称号は、自称ではなく、
もともとはアクドス・ギルの称号であったものを、
老いて衰えたアクドス・ギルが配下のダマラスが相対的に自分と並ぶほどの実力者となったので、
その称号を譲り与えたものではないかと思います。
そうでなければ、普通はそんな称号で呼ばれる事自体、ダマラスの性格的には皇帝に遠慮するはずだと思うのです。

つまりアクドス・ギルは全盛期にはダマラスよりも強かったのではないかと思われます。
そして老いて多少衰えた今でもダマラスに匹敵するぐらいの力は有しているのでしょう。
実際、Bパートのスーパー戦隊として完全覚醒後のゴーカイジャーの35戦隊フル豪快チェンジ攻撃にも、
押されまくってはいたものの、途中まではしっかり防御して反撃もしてきているのですから、
恐ろしく強いのは間違いないです。

Aパートでマーベラスがアクドス・ギルのことを「最強最悪の皇帝」と呼んでいるぐらいですから、
アクドス・ギルこそが宇宙最強であるという噂は確かに宇宙には存在したのでしょうし、
実際にAパートで戦ってみて、その噂が嘘ではなかったことを、
ダマラスとも戦ったマーベラスも認めているのだから、実際にアクドス・ギルはダマラス級の強さなのでしょう。

その「最強最悪の皇帝」アクドス・ギルを結局は圧倒して倒してしまうのですから
Bパートのゴーカイジャーはまさに「最強戦隊」といえますが、
Aパートではまだゴーカイジャーはそこまで強くはありません。
そのアクドス・ギルにマーベラスと鎧の2人で挑むわけですから、
Aパートのアクドス・ギルとの戦いはかなり大ピンチの予感がします。

その恐ろしく強いアクドス・ギルのところにマーベラスと鎧だけを行かせるしかない状況とするためには、
ゴーカイジャーが4人がかりぐらいでないと太刀打ちが難しい強敵がもう1人必要となります。
ダマラスあたりでもいいのですが、この4人で結局大苦戦した末に倒してしまうわけですから、
その相手としてはダマラスはちょっと強すぎるし、
ダマラスぐらいドラマがここまでちゃんと描かれているキャラならば、
最終話のAパートのドタバタした展開の中でアクドス・ギルの戦いと同時進行で倒されてしまうような
キャラとして使ってしまうのは勿体ない。
だからダマラスは第42話、第43話でしっかり見せ場を作って退場しました。

ならばインサーンあたりならどうかというと、
インサーンではちょっとゴーカイジャー4人をピンチに追い込むほど強いかというと少し微妙であり、
インサーンの場合は最後は皇帝に忠誠を尽くしながら捨て駒にされ、
そこからゴーカイジャーが窮地に陥る流れの中で使われるべきキャラであったので、
第49話で退場させることになり、最終話では使えません。

ならばダイランドーのようなキャラがここではちょうどいいと言えます。
ダイランドーは第40話で共に登場してゴーカイジャー6人を散々苦しめた末に倒されたザツリグと同格の
強さとされているキャラですから、
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人でダイランドーと戦うとなると、ゴーカイジャー側の苦戦は必至です。
そしてダイランドーは単によく喋る皇帝の側近という役柄であり、
ダマラスやインサーンのようにキャラ自体に何か特別な価値観が象徴されているようなヤツでもないので、
割と安易に倒してしまっても問題ないキャラです。

そのため、ダイランドーというキャラをここまで生き残らせておいて、
ゴーカイジャーの戦力分断のために使ったのでしょう。
というか、最終話でのゴーカイジャーの戦力分断の必要性から生み出された、
強いけれどもあまり重要でないキャラがダイランドーであったのでしょう。

ただ、そのキャラが小者臭のするお喋りキャラとなったのは、
第40話以降のアクドス・ギル登場後のギガントホースで、
寡黙なアクドス・ギルに代わってドラマを進める役として使うためであったのでしょう。
また、第50話でマーベラス達に思いっきり啖呵を切られてしまう相手役として
小者臭のする大幹部キャラが必要だったからだとも言えます。

こうしてAパートのゴーカイジャーは、ザンギャックの大艦隊という最大の脅威に対して
対抗する手段を持たない状態で、更に戦力の分断までされてしまうという苦境に陥ります。
いや、そもそもザンギャックの大艦隊に対抗する手段が無い状況では戦力分断にさえ至らず、
アクドス・ギルにも大艦隊にも近づくことすら出来ず、
6人まとめて大艦隊に潰されるしかないという状況です。

ここで状況を打開する切り札として現れるのが死んだバスコの遺した乗艦のフリージョーカーです。
このフリージョーカーが切り札となるのであろうことは、
東映公式HPを画像を見て、あらかじめ想像はついていました。

しかし、その出現に至る経緯はもう少しドラマチックにバスコの行動なども絡んで、
少しは因縁めいた形で描かれるのかとも思っていました。
例えば、バスコがガレオンを乗っ取った時に船室に置きっ放しにしていたモバイレーツを使って
フリージョーカーと呼び出すとか、
そういうバスコの遺品が運命的な形でマーベラス達を救うというような描写で、
第48話でサリーの首飾りがマーベラスの命を救ったのと対比される形で描かれるのかとも思っていたのです。

つまり第48話でサリーがマーベラス達を救ったのと同じように、
今度はバスコがマーベラス達を救うというような、
結局サリーもバスコも広い意味ではマーベラス達の仲間であったというような
描き方の可能性もあるかと思っていました。

しかし、今回、フリージョーカーは非常にあっさりした形で登場し、
その発見の経緯などは特に語られませんでした。
単にナビィが探したら見つかったという描写になっており、
これは特に劇中でどうやってナビィがフリージョーカーを探したのか触れられていませんが、
物語的にはわざわざ触れる必要も無いぐらい、ごくごく当たり前の展開なのだろうと思います。

つまり、第47話においてバスコが隠れていた森の奥にフリージョーカーが隠してあったという、
それだけのことだったのでしょう。
ガレオンから宝箱を持って出て行ったサリーを尾行していったマーベラス達の居場所は、
ナビィも体内の通信装置を使って常に把握していたと思われ、
同じ場所で動かないマーベラス達からの連絡が一向に無いので心配してナビィが呼びかけていたところ、
ガレオンにバスコがマーベラス達のレンジャーキーを持ってやって来て、ガレオンを占拠してしまったのです。

そのことを想い出したナビィが、そのマーベラス達がずっと留まっていた地点が
マーベラス達がサリーを尾行していってバスコと遭遇した地点、
つまりバスコがアジトとしていた地点だと推理し、その地点に飛んでいったところ、
森の奥で無傷のフリージョーカーを発見したということなのでしょう。
そんな程度のことにも考えが至らないほど、マーベラス達の方は戦いに頭が集中しており
一歩引いて状況を見ていたナビィだけがフリージョーカーのことに気付いたのでしょう。

だから別にバスコの行動がマーベラス達を救ったというような形ではなく、
むしろ、この結果をもたらしたのは、
マーベラス達がサリーを救うために危険を承知でバスコと対決しに行ったという行動によるものでしょう。
あれが無ければ、ナビィがフリージョーカーの隠し場所を推理することは出来なかった。

そう考えると、サリーの首飾りがマーベラスの命を救ったという第48話における出来事も、
サリーがマーベラスを守ったというような意味合いの描写ではないのだという気がしてきます。
あれもまた、あくまで危険を承知でサリーを守ろうとして首飾りを強く握って引っ張っていた
マーベラスの行動が、後でマーベラス自身を守ることに繋がったという意味合いの出来事なのでしょう。

何故そう思うのかというと、
結局、第48話以降も最後までマーベラス達がサリーのことを悼んだり回想したりする描写は無かったからです。
これはマーベラス達が冷たいという意味ではありません。
描写されていない場面ではサリーのことを回想したりしているのかもしれません。
バスコのことにしても同様です。
しかし劇中描写としてサリーやバスコのことを回想する場面が無いということは、
物語的にはサリーやバスコ自体がマーベラス達の戦いの中で起きたささやかな幸運には
直接は関係していないという扱いということを意味しているのでしょう。

首飾りがバスコの銃弾を食い止めたことも、フリージョーカーが見つかったことも、
あくまでマーベラス達の「自分の危険を顧みずに大切なものを守るために起こした行動」に報いる形で
起こったささやかな幸運に過ぎないのです。

そう考えることによって、最終的にバスコというキャラのこの物語における意義というものが
分かったような気がしますが、それは今回の最終話とは関係無いので、後で触れることになろうかと思います。

ここで重要なことは、この首飾りにしてもフリージョーカーにしても、
あまり劇中で重大な出来事としてその後も扱われていないことです。
首飾りのおかげでバスコに勝てたとか、フリージョーカーのおかげでザンギャック大艦隊に勝てたとか、
そんな風に大袈裟に振り返られることはないのです。
それは、結局は首飾りにしてもフリージョーカーにしても、ささやかな幸運に過ぎないからです。
そんな大層な奇跡などではないのです。
日常生活の中でもいつでも起こる可能性のある、ちょっとしたラッキーに過ぎない。

この「ゴーカイジャー」という作品は本当に徹底して不思議な出来事や奇跡というようなものは排除しています。
「199ヒーロー大決戦」映画では例外的に奇跡のオンパレードでしたが、
あれはダブルメインのゴセイジャーが奇跡だらけの戦隊だった影響であり、
また、あれこそ真の意味での「何でもアリのお祭り企画」なので、
ああいう奇跡の大盤振る舞いが成立したのでしょう。
あの映画では、むしろ奇跡の連続するようなシーンではゴーカイジャー側のキャラの方が浮いていたと思います。

逆に夏映画の「空飛ぶ幽霊船」ではマーベラスは奇跡的なパワーを持つゴッドアイを台無しにするような
極めて現実的な願いをしてしまっていますし、
TV本編でもマーベラス達は奇跡的なパワーを持つ「宇宙最大のお宝」を破壊してしまいました。
つまり、どうも「ゴーカイジャー」という物語の根本的な思想として、
都合の良い奇跡というものは否定して、現実的な世界における必死の努力を重視しているという姿勢が見てとれます。
それが普通の人間のヒーローであるスーパー戦隊というものであり、
この物語は宇宙海賊がスーパー戦隊になる物語だから、特にスーパー戦隊らしさを強く追求する傾向があるのです。

サリーの首飾りがマーベラスの心臓をバスコの銃弾から守った幸運にしても、
マーベラスが自分の命を捨ててかかってバスコとの相討ちを狙いに行ったからこそ、
あの首飾りがマーベラスを救う結果になったのであり、
マーベラスが無難に戦っていれば、あの首飾りが幸運として役に立つこともなく
マーベラスはバスコに敗れていたでしょう。

つまり、「自分を危険に晒して大切なものを守ろうとした」マーベラスの行動があってこそ、
サリーの首飾りがマーベラスにとってのラッキーとして作用したのです。
要するにマーベラスの自己犠牲的な行動がラッキーを引き寄せた。
そして、その首飾り自体がもともとマーベラスの自己犠牲的行動によって手に入ったものであった。
単にそれだけの、実に人間的、現実的な出来事なのです。

この首飾りに関する一連の出来事で一貫して肯定されているのは
「不利な状況で自分を捨てて仲間を守る」という行動です。
そして逆に「自分を守って仲間を犠牲にした」バスコは敗れたのです。

これら首飾りをめぐる一連の出来事と同じ構図でフリージョーカーの一件を考えると、
フリージョーカーもまた首飾り同様、本当にささやかなラッキーに過ぎません。
フリージョーカー1隻がマーベラス達の手に入ったからといって、
大いなる力の大盤振る舞いで勝てなかったザンギャック大艦隊に勝てるはずはない。
その程度のものです。

だから、このフリージョーカーというささやかな幸運を、
本当に勝負を決する幸運の切り札として使うためには、
「自分の危険を顧みず大切なものを守るために戦う」という姿勢が必須となります。
マーベラス達がAパートで大逆転に成功するのは、フリージョーカーのお蔭ではなく、
マーベラス達の自己犠牲的な行動がフリージョーカーという切り札を、
まさにその名の通り、最強のカードにしたからなのです。

もちろんフリージョーカーを失って以降のAパート最後までのマーベラス達の行動も一貫して捨身であり、
それゆえにこそ絶望的状況から大逆転してザンギャック大艦隊を撃滅して
地球を守るヒーローとなることが出来たのです。
一方、アクドス・ギルやダイランドーは常に捨身になることが出来ず、守りの姿勢であったので、
実力では優っていながら、ゴーカイジャーに遅れをとってしまったのです。

しかもアクドス・ギルとダイランドーは、自分達の作戦をより安全確実に行うために
仲間であるインサーンを切り捨て犠牲にしました。
これはバスコがサリーを切り捨てたのと同じ行動であり、
この物語においては否定されるべき敗者になるべき者の行動となります。
こうして、第47話から最終話までのクライマックス篇の5話分の物語は1つに繋がることになるのです。

このクライマックス篇、いや、物語全体を通してのマーベラス達の行動は全て奇跡的描写は排除されていますが、
ゴーカイジャーがスーパー戦隊になる最終試練とも言うべき最終話Aパートの絶対的劣勢からの大逆転劇は、
ここまでクライマックスになると、普通はついつい超常的描写が入ってきたりするものです。
もともとゴーカイジャーはレンジャーキーやアカレッドなど、
割と何でもアリな能力を持ったものと関係している戦隊ですから、
このクライマックスぐらいは突然奇跡が起きても別の不自然ではない戦隊なのです。

ところが、このAパートにおけるマーベラス一味の戦い方は、
全員が非常に泥臭い海賊アクションを展開し、ひたすら劣勢の中で知恵を絞り、自己を擲って献身します。
ここが地味なのですが、何度も見返すと極めて感動的です。

都合の良い奇跡などは起こらないのです。
そもそも、そういう奇跡をもたらす宝を捨てた上で選んだ戦いなのです。
行くべき道は、ただひたすら無力な人間が自分を擲って大切なものを守るために無様に足掻き続けるだけなのです。
それが絶望的状況から希望を掴む人間の営みというものであり、
それこそが普通の人々と同じ想いを持つヒーローであるスーパー戦隊なのです。

だから、ゴーカイジャーがスーパー戦隊になる最終試練であるAパートは6人は
ひたすら人間として泥臭く足掻く必要があったのです。
そして、彼らは見事に絶対的劣勢から大逆転してダイランドーとザンギャックの大艦隊を撃滅し、
命懸けで地球を守ることに成功し、35番目のスーパー戦隊となったのでした。
そしてBパート、しぶとく生き延びてゴーカイジャーを倒しに来たアクドス・ギルとの最終バトルにおいて、
ゴーカイジャーの6人は35のスーパー戦隊の真の力を見せつけて、最強の敵を圧倒するのです。

なお、Aパートにおけるギガントホース突入班とダイランドー足止め班を分ける際に、
鎧がマーベラスと共にギガントホース突入班に入り、
この決死作戦において、普段はマーベラスの背中を守ることにこだわるジョーが
ここでは鎧にその役目を譲る感動的な展開や、
Bパートでアクドス・ギルにトドメを刺すのが鎧であったり、
今回はまるで鎧が主役であるかのような優遇っぷりになっていますが、
これはそもそもマーベラス一味の中で最初に「ザンギャックを倒して平和な宇宙を創る」という夢を唱えたのは
鎧だからです。

この夢に関しては鎧が皆を引っ張ってきたのですから、
この夢を皆が掴もうと思えたのはもともとは鎧のお蔭と言えます。
だから鎧に美味しい役目が回ってくるのは当然といえます。

そして、この最終話のバトルにおいて勝負を決するものは
「夢を掴むために集まった仲間達の絆」だと前回考察しましたが、
あくまで空想的・神秘的描写を嫌うこの作品においては、
マーベラス達が「絶望的状況でも命懸けで戦って地球を守り、ザンギャックを倒して平和な宇宙を創る」という
夢を地球人全体と共有したことによって生じた巨大な「夢を掴む力」は
変に神秘的描写で表現も出来ないので、
その地球人の戦う心の強さの象徴としての34のスーパー戦隊への豪快チェンジと、
地球人代表としての鎧に仮託する形で描くことになったのだと思います。

だから、大逆転のAパートでの戦闘の重要な役割を鎧が果たし、
Bパートで鎧がアクドス・ギルにトドメを刺すという描写になったのも、
この物語の戦いの締め方としては、当然だったと思います。

エピローグに至る今回の最終話の大まかな流れはだいたい以上のような感じです。
一言で言って、最高の最終話であったと思います。
Aパートのテンポの良い大逆転劇は見事であり、Bパートの35戦隊フル豪快チェンジは壮観です。
これだけでもシリーズ歴代でも出色の出来だと思います。
しかし最終話はどの作品も出来は良いので、甲乙付け難いです。
というか、そもそもBパートなんかはこの作品ならではの特殊要素なので他と比べるのがそもそも反則といえます。

ただ、Aパートなどはかなり無茶な詰め込み方をしているのですが、
それがすんなり楽しめてしまえるのは、第1話から丁寧に作り上げてきた物語の積み重ねがあってこそであり、
これほど物語が丁寧に作られた作品はシリーズでもあまり無いということは誇りとしてよいと思います。

ただ逆にBパートの無茶苦茶に詰め込んだ豪快チェンジが見事なエンターテイメントとなっているのは、
シリーズの歴史の積み重ねがあってこそのものですから、
その点ではシリーズ歴代作品に深く感謝すべきでしょう。

しかし、この最終話が最高の最終話である最大の理由はエピローグの素晴らしさにあるのですが、
エピローグに関しては本編の中で触れていくことにして、
まずは本編の冒頭から考察していきたいと思います。
にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:56 | Comment(6) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月22日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その2

では本編です。

マーベラス達は前回、自らの命や存在を消し去ることによって宇宙を創成し直して
ザンギャックの存在しない平和な宇宙を創ろうとしていたというスーパー戦隊の真意を知り、
自分達がその平和な宇宙を創ろうというスーパー戦隊の夢を引き継いで世界を創成し直す
「夢を掴む力」を持つ者として選ばれていたことを知りました。

しかし同時にマーベラス達は、救いの無い絶望の中でも命懸けで大切なものを守るため戦おうとする
地球の人々の心の中にも、決して安易な道ではないがザンギャックを倒し平和な宇宙を実現する
「夢を掴む力」が存在することを知り、
地球の人々が「夢を掴む力」を持つようになったのは、
スーパー戦隊の長い苦難の戦いの中でも自分の犠牲を顧みずに人々を守ろうとしてきた
不屈の闘志を見てきたからであると知りました。

そしてマーベラス達はスーパー戦隊の後継者として選ばれた自分達の「夢を掴む力」「平和な宇宙という夢」も、
辛い過去を受け入れ、苦難を乗り越え、絶望の宇宙、嵐の海に漕ぎ出して宝という名の夢を求める
海賊としての冒険の航海の中でこそ培われてきたのだということを再認識した。

彼らはそうした海賊だったからこそ、
自らの存在の消滅という最大の苦難を受け入れて平和な宇宙を創成しようとする
スーパー戦隊の志を継ぐ者として選ばれた。

しかし彼らはそうした海賊であるゆえに、
地球という星の真の価値がこの星の人々の苦難に立ち向かい自らを犠牲にしても大切なものを守るため戦う
「スーパー戦隊魂」なのであることを知りました。

ゆえに、スーパー戦隊の存在を消して辛い過去の消えた宇宙を創成し直せば、
この星の人々のスーパー戦隊魂、すなわち「この星の価値」と、
マーベラス一味の海賊魂、すなわちスーパー戦隊の夢の後継者の資質が
消えてしまうことにマーベラス達は気付きました。
そうなれば、新たに創成された平和な宇宙では平和を目指す心は失われ、
スーパー戦隊の犠牲によって得られた平和は無に帰してしまいます。

ならば、海賊ゆえにスーパー戦隊の夢を引き継いだマーベラス一味の真に目指すべきことは、
今まで通りの苦難の航海であり、スーパー戦隊がやってきたように絶望を跳ね返して命懸けで戦い、
この星の価値、すなわち人々のスーパー戦隊魂を守り、人々と共に宇宙の平和という夢を掴むことであるべきです。

どんな絶望の中でも命を賭けて大切なものを守るために戦う精神を
苦難の戦いを通して絶やさず受け継いでいくことこそが、真に恒久的な平和な宇宙を創る唯一の方法であり、
それが真に自分達の海賊の夢を掴み、真にスーパー戦隊の夢を受け継ぐ道なのだと悟ったマーベラス達は、
全ての苦しみの過去を消し去って平和な宇宙を創成し直す超パワーを秘めたお宝を自ら破壊して捨て去り、
圧倒的不利な状況でザンギャックに戦いを挑み、これを倒して、
この星の価値である人々の心の中の「スーパー戦隊魂」と共に戦い、これを守り抜くという
苦難の道を選んだのでした。

つまり、絶望の中で自らを擲って大事なものを守るため戦う無力な人間の献身にこそ、
宇宙を創成する神のごとき力をも捨ててまでも得るだけの、
より良き未来を作り得る最大の価値を認めたのです。

何故なら、宇宙創成においてはマーベラス達や人々はスーパー戦隊というかけがえのない仲間を捨てるが、
苦難の戦いにおいては自らを捨てねばならない。
何かを得るには何かを捨てなければならない。
つまりその捨てる「何か」次第で得られる「何か」の価値も変わってくる。
すなわち、捨てる物の大きい者ほどより価値の高い物を得る。
ならば仲間を捨てる者と自分を捨てる者では、後者の方が価値の高いものを得るのは当然なのです。

真の夢、真の勝利、真の平和は、自らを擲った者にしか得られないのです。
それを常に実践してきた者がスーパー戦隊であり、今回も彼らはまさに自らを擲とうとしている。
その行動自体は全く間違っていません。
しかし、自分達と同じ夢を引き継ぐべき戦士や、自分達の魂を受け継いだ人々に向かい、
自分達と同じ物を得るために自らを擲つ道を閉ざすことは出来ません。

マーベラス達は彼らの夢を継ぐスーパー戦隊になるためには、自らを擲つ道を選ぶ以外無い。
そして同じように自らを擲つ人々と共に戦い、彼らを仲間として守るしかない。

まず冒頭は前回終盤のダイジェストです。

マーベラス一味の6人は、昨晩のその決意を胸に、
昨日の夕方にザンギャック皇帝アクドス・ギルが空前の規模の大艦隊の上から全地球人に予告した
地球人皆殺し作戦の開始時刻である夜明け時、
地上に現れたダイランドー率いるザンギャック地上部隊の前に海賊旗を掲げて立ちはだかりました。

そして、「命を賭けてこの星を守る・・・それがスーパー戦隊ってもんだろ!!」とダイランドーに対して、
そして何処かで見ているのであろうスーパー戦隊の戦士たちに向かい、
激しく啖呵を切ったマーベラスは、初めて自分達のことを「スーパー戦隊」と称しました。

第38話でゴーカイジャーの大いなる力「夢を掴む力」を獲得した後、
鎧が「これで俺たちも本格的にスーパー戦隊ってことですかね?」と問いかけると、
マーベラスは「さぁな・・・しかし俺たちは本当のゴーカイジャーになったってことだ!!」と答えていました。
あの時点でマーベラスは自分達ゴーカイジャーをスーパー戦隊だとは言い切ることはまだ出来ていませんでした。

第38話の時、マーベラスはこの絶望の宇宙でそれぞれ大きな夢を追いかけてきた6人が
「宇宙最大のお宝」という1つの夢で結びついて仲間となったゴーカイジャーは、
より多くの、より大きな夢を掴もうとすればするほど、その「夢を掴む力」が大きくなり、より強くなると知った。
だから「この星の人々を守るために戦う」という夢が更にゴーカイジャーを強くすると信じて、
この星の人々を守るために戦おうと心に決めた。
そうして強くなったゴーカイジャーが本当のゴーカイジャーなのだということは分かったのだが、
何となくそれだけではスーパー戦隊とはいえないと感じていたのかもしれません。

その後も様々なことがあり、
遂に第48話においてマーベラスはゴーカイジャー6人のそれぞれの夢が
「より良い未来を目指す」という共通のものであったと気付き、
みんなで1つの夢を掴もうとしている以上、自分を捨てて仲間に夢を残す戦い方が出来ることを知り、
更なる強さを獲得してバスコを破り、第49話で「宇宙最大のお宝」という夢を掴みました。
そして「宇宙最大のお宝」によって叶えられる「宇宙最大の夢」を仲間で考えた結果、
ゴーカイジャーみんなの夢が「平和な宇宙」であったことを知りました。

そして前回、第50話でマーベラスはそのゴーカイジャーの夢「平和な宇宙」が、
スーパー戦隊の夢でもあり、地球の人々の夢でもあることを知りました。
つまり、スーパー戦隊と地球の人々は同じ夢を掴もうとしている仲間であり、
それゆえスーパー戦隊は自分を捨てて人々に夢を残す命懸けの戦い方をして、人々を守って悪と戦ってきた。
そうして命懸けで戦うスーパー戦隊の姿を見続けてきたからこそ、
地球の人々はスーパー戦隊の夢を引き継いできたのです。

ならば、彼らと同じ「平和な宇宙」という夢を持つゴーカイジャーも、
同じ夢を掴もうとする仲間である地球の人々に夢を残すために、命懸けで戦うことが出来るはず。
自分達の本当の一番大きな夢を、同じ夢を掴もうとする数十億の人々に残すために命を賭けて戦う時、
ゴーカイジャーは今までで最高に強くなり、
人々を守って夢を残すことに成功した時、ゴーカイジャーは晴れてスーパー戦隊となることが出来る。

そう確信したマーベラスは、遂に自らを「スーパー戦隊」と呼び、
本当の意味でゴーカイジャーがスーパー戦隊になるために、
この戦い、必ず命を賭けて地球を守り抜いてみせると、固く心に誓うのでした。

そして「行くぜっ!!」と怒鳴ったマーベラスの号令で、
心を同じくする6人の仲間は「豪快チェンジ!!」とゴーカイジャーに変身、
戦闘を開始して一気にダイランドー部隊のゴーミン、スゴーミン、そしてドゴーミンまでも片付けます。

ゴーカイジャーが自身の「夢を掴む力」やスーパー戦隊との精神的なシンクロ率が上がるほどに、
ゴーカイジャーは通常時も多段変身時も大幅にパワーアップするようで、
この時点でゴーカイジャーのパワーはかつてないほどに上昇しており、
以前は苦戦していた相手であるドゴーミンももはやほとんど敵ではないレベルとなっています。

ドゴーミンまでもほぼ瞬殺で倒したゴーカイジャーを見て、
ただ1人残ったダイランドーは「なっ!?・・・何なのこの強さ!?」と唖然とします。
以前、第44話でダイランドー自身が直接戦った際のゴーカイジャーとは全く次元の違う強さであったのです。
マーベラス達自身、自分たちが強くなっていることを自覚しており、
それがスーパー戦隊に覚醒したからだと悟ります。

「見たか!!これが海賊戦隊だ!!」と啖呵を切ってダイランドーを追い詰めるマーベラス達6人に対して、
ダイランドーは「おんのれぇ〜!」と唸ります。
最強格の皇帝親衛隊員であるダイランドーはゴーカイジャーを手強い敵とは認識していましたが、
6人全員を相手にしても不利を感じたことはありません。
しかし今、ダイランドーは自らの不利を感じて焦っています。

マーベラスは「一気に決めるぞぉぉっ!!」と叫び、それを合図に6人はダイランドーに向けて突撃を開始、
ダイランドーはレーザーを発射し、
その爆炎をものともせず、「うおおおおお!!」とまっしぐらに突っ込むマーベラス達6人のゴーカイジャー。

その場面の途中で、何故かいつものOPナレーションのBGMが流れ始め、OPナレーションが読み上げられます。
これは、第48話で最後かと思われていた通常回バージョンのナレーションかと思うと、
よく聞くと微妙に内容が違います。
通常は「冒険とロマンを求めて、宇宙の大海原を行く若者たちがいた」と始まるのですが、
今回は「冒険とロマンを求めて、旅を続けてきた6人の若者たち・・・」と始まり、
続いて通常通りの「宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら!
その名は・・・!」と続きます。

そして突進しながらマーベラスが身体の前で「てやっ!うらぁっ!!」と
2回剣を斜め十字に交差するように斬り降ろし、
その剣先が空間を斜め十字に斬った形が例のゴーカイジャーの旗印のクロスボーン型に交差した
2本のサーベルになり、そこにゴーカイジャーの旗印が重なるように飛び込んできて
「海賊戦隊ゴーカイジャー」という、いつものOPテーマ冒頭のメインタイトル画面がここできます。
同時に「海賊戦隊!ゴーカイジャー!!」という、いつものタイトルコールも流れます。

しかし、そのままいつものようにOPテーマが始まるのではなく、
BGMはさっきから流れているOPナレーション用のままで、
いきなり画面はいつものサブタイトル画面の背景の、たなびくゴーカイジャーの海賊旗となって、
そこに「最終話!さよなら宇宙海賊!!」というタイトルコールと共に、
「さよなら宇宙海賊」という今回の最終話のサブタイトルが画面いっぱいに出ます。

「第51話」ではなく「最終話」と、しっかり書き添えられています。
だいたいスーパー戦隊シリーズの場合、ラストエピソードの表記は他のエピソードのように数字表記ではなく、
それぞれの作品のサブタイトルのフォーマットに合わせて、
いかにも「最後」っぽい感じにしてくる場合が最近は多いです。

例えば「シンケンジャー」なら通常時は「第一幕」というような表記だが、
最後のエピソードは「最終幕」であり、
「ゴーオンジャー」なら通常時は「GP-01」というような表記だが、
最後のエピソードは「GP-FINAL」でした。
「ゴーカイジャー」の場合、ここは通常時から捻りなく「第1話」というような表記なので、
この最後のエピソードは「最終話」という表記になっています。

そして「さよなら宇宙海賊」というサブタイトルは、いかにも最終話らしい直球のサブタイトルで、
この物語が今回で終わることによって、
視聴者がこの物語の主人公の宇宙海賊のマーベラス一味と「さよなら」しなければいけないという意味であり、
同時に、劇中でもマーベラス一味が戦いが終わって地球を離れるのであろうという
ラストが示唆されているサブタイトルといえます。

それにしても今回、このサブタイトルの文字がやたら大きい。
いつもは画面真ん中に上品に収まっているのですが、
今回の最終話のサブタイトルに限っては、画面全体をほぼ埋め尽くすかのような大きさでデカデカと出されています。
これは大きすぎで、まともに考えれば、こんなにサブタイトルの文字を大きく出す必要性は全くありません。

これはもう、制作サイドの何か感極まったものを感じます。
よほどこの記念碑的作品が終わることが寂しく、
そしてなおかつ、無事に最終話を迎えられて心の底から本当に安堵して嬉しいのでしょう。
そうとでも想像しないことには、合理的説明が不可能なほどの異常な文字の大きさです。

そしてサブタイトルの画面が終わると、
いきなり「この番組は、楽しい時を作る企業、バンダイと、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」という
ナレーションの提供画面です。
しかも、ここの背景映像がいつもはレンジャーキーの映像なのに、
今回はだけは特別バージョンで、宇宙空間を飛ぶ5機のゴーカイマシンが合体してゴーカイオーになるという
映像となっています。

これはどうやら本編の方には今回は巨大ロボが登場しないから、
わざわざこの提供画面で登場させたのだろうと、容易に想像できます。
何せ、前回、ガレオンと豪獣ドリルが大破したままですから、
どう考えてもゴーカイオーや豪獣神は今回は登場しそうにありません。

そして、この提供画面が終わるとCMが始まってしまいましたから、
これで今回はOPテーマは省略されたのだと分かります。
スーパー戦隊シリーズにおいては、最終話はどうしても尺が足りなくなる場合が多く、
しばしばOPテーマが省略されて、その分、本編の時間を増やす措置がとられます。
まぁ基本的に普段のエピソードも尺が足りないことは多く、
特にこの「ゴーカイジャー」という作品は慢性的に全てのエピソードは尺不足状態であったと思いますが、
例年、このようなOPテーマ省略という措置が特別に許されるのは最終話のみとなっています。

また、スーパー戦隊シリーズにおいては最終話にOPテーマを省略する場合、
冒頭のアバンタイトルの後に一応メインタイトルだけは出すために、
メインタイトル映像の最終話バージョンを新たに作ることになります。
なお、OPナレーション付きの作品の場合は、メインタイトルの前にOPナレーションが流れますから、
「アバンタイトル→OPナレーション→メインタイトル」という順番になりますから、
ついでにOPナレーションも新たに最終話バージョンを作り直すこともあり、
今回の「ゴーカイジャー」最終話はまさにそのパターンそのままだったといえます。
ただ、メインタイトルの後にCMを挟まずにいきなりサブタイトルに続くというのは
珍しいパターンだったと思います。

その最終話特別バージョンのOPナレーションは、通常回バージョンをベースにしたものでした。
これまでこの作品においては、劇中にレジェンドゲストが登場したエピソードは
レジェンド回バージョンの「地球の平和と人々の笑顔を守り続けてきた34のスーパー戦隊!
宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもない奴らだった!」という
OPナレーションが流れ、
そうでないエピソードは通常回バージョンの「冒険とロマンを求めて宇宙の大海原を行く若者たちがいた。
宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら、その名は・・・」という
OPナレーションが流れて、それぞれメインタイトルのタイトルコールに繋がっていました。

しかし今回は実はレジェンドゲストは後で登場します。
だから本来のルールでは今回はレジェンド回バージョンのOPナレーションであるべきなのですが、
そうはならずに通常回バージョンをベースにした特別バージョンでした。

しかし実はもう1回だけ、このルールに逸脱していたエピソードがあります。
それは第1話です。
第1話も冒頭でレジェンド大戦があって、レジェンド戦士は山ほど登場していますが、
それでもOPナレーションは通常回バージョンでした。

これはまぁ当然といえば当然で、
通常回バージョンの方がゴーカイジャーという戦隊についてしっかりと説明したナレーション内容だから、
物語の始まりである第1話ではその中身がどうであるかは関係無く、通常回バージョンを流すのが正解です。
つまり、通常回バージョンとレジェンド回バージョンのどちらがメインなのかというと、
あくまで通常回バージョンの方がメインであるようなのです。

ならば物語の締めである最終話も通常回バージョンが相応しいということになります。
そして第1話との対比で、この1年間の変化を窺わせるような文言の特別バージョン
「冒険とロマンを求めて、旅を続けてきた6人の若者たち・・・」で始まるバージョンとなっています。

マーベラス一味は第1話の時と同じように冒険とロマンを求めて、あの時から1年間、旅を続けてきました。
確かに常に地球(主に日本の関東地方)にいたとはいえ、いつも同じ場所にはとどまらず、移動を続けてきたのです。
常に旅をしていた戦隊というと、
歴代ではカクレンジャー、ガオレンジャー、ゴーオンジャーに続いて4つ目でしょう。
そして人数も第1話の時は5人だったのが、何時しか6人に増えた。
そういう彼らの1年間を窺わせる最終話バージョンのOPナレーションです。

まぁ大して注目するような内容でもないのですが、
これは別にドラマ上の深い意味がどうのこうのという問題ではなく、
1年間御付き合いいただいた視聴者の皆さんへの挨拶のようなものですから、
「そうか・・・もう1年経ったんだなぁ」と思って感慨に浸ればいいのです。

このOPナレーションの始まる前の短いアバンタイトル部分は前回の終盤のダイジェストであり、
実質的にはOPナレーションのバック映像にちょっと毛の生えたようなものと考えればいいでしょう。
今回の実質的本編はこの後、CM明けから始まります。

CMが明けて本編が始まり、
さっきのアバンの続きでダイランドーに突っ込んでいきながらマーベラス達はいきなり
「ゴーカイスクランブル!!」と、ファイナルウェーブの最強技を放ちます。
ところがこれをダイランドーは「ふんっ!」とハンマーを振り下ろして弾き落とす。
パワーアップしたゴーカイジャーのゴーカイスクランブルでしたが、
さすがにザンギャック皇帝親衛隊の最強戦士のただ1人の生き残りです。
まだ無傷のダイランドーにはこれは見切られていました。

しかし、ダイランドーがハンマーを思いっきり振り下ろしたその瞬間、
ゴーカイスクランブルから一瞬遅れて、
鎧が「ゴーカイシューティングスター!!」と叫んでゴーカイスピアのファイナルウェーブを放ったのでした。
ダイランドーはハンマーを振り上げる暇も無く、慌てて避けようとしたものの、右肩に被弾してしまいます。

最初の5人で放ったゴーカイスクランブルは囮で、
ダイランドーならば弾き落とすことを見越して放たれたものであり、
本命は1テンポ遅らせて放つ鎧のゴーカイシューティングスターの方だったのでした。
しかし、さすがにダイランドーも致命傷は避けます。
だが、ファイナルウェーブも当たればやはりダイランドーもダメージは受けるのです。
「うおっ!?・・・おのれぇ・・・!!」とダイランドーは危機感を覚えます。

ダイランドーと同格の強さであったザツリグは
アイムの至近距離で放った急所へのファイナルウェーブ2連発で戦闘不能になり、
その後はなぶり殺しにされました。
ダイランドークラスであれば一発で仕留めることは難しくても、
6人がかりでファイナルウェーブで刻んでいけば、いずれは急所に攻撃を入れて、
じっくり攻撃を加えて動きを止めて、最後はゴーカイガレオンバスターで仕留められる。
ザツリグ戦よりはパワーアップしたマーベラス達としては、あの時ほどは難しいことではない。

マーベラス達にはこの場は十分に勝算はありました。
但し、戦いに一定の時間をかけられればの話です。
しかしそうは上手くいかない。
ダイランドーは横目で何かを見て「お!?・・・フン!見てろ!」とマーベラス達を秘かに嘲笑します。

その嘲笑の意味を知らず、「おおっ!!」と更に攻撃を加えるべく突撃しようとするマーベラス達6人の前に、
突然、上空からビーム砲の攻撃が炸裂し、
マーベラス達は「うわあああっ!?」と爆炎に吹っ飛ばされてしまったのでした。
地に転がり、慌てて空を見上げるマーベラス達に向かい、
ダイランドーは「カッハッハッハ!!皇帝陛下のおなりでショ〜タァ〜イム!!」と愉快そうに大笑いしました。

マーベラス達が見上げた空には、一面にザンギャックの大艦隊が飛来してきており、
その中心には旗艦ギガントホースの姿も見えます。
もともと昨日の夕方のアクドス・ギルによる地球人皆殺し宣言というのは、
地球人の心を折って戦わずして降伏させて奴隷化し、戦争をさっさと終わらせ、
大艦隊を帝国各地へ戻すために深謀遠慮でした。
だからダイランドーを地上に降ろして少し見せしめに地球人を血祭りに上げていけば、
もはや大艦隊に対抗する手段を持たない地球人は簡単に屈するだろうと読んで、
アクドス・ギルは大艦隊を上空に引き揚げて待機していたのでした。

ところが地球人は予想外に反抗的で、
しかも地球人に呼応して死んでいたはずのマーベラス一味まで現れてザンギャック部隊を攻撃してきたと
ダイランドーからの報告を聞いたアクドス・ギルは、
地球人にはもっと徹底的な破壊をもたらし、マーベラス一味は確実に仕留めておかねば、
地球人を降伏させることは難しいと判断し、
あくまで皆殺しの方針を貫く姿勢を示して、
この上空を中心として広く展開した全艦隊による大規模空爆を開始しました。

「言っただろう?・・・地球全人類を皆殺しにすると・・・」と
ギガントホースの艦橋の指令室から声を響かせたアクドス・ギルは全艦隊に地上への砲撃を開始させ、
街は徹底的に破壊され、人々が爆炎の中を逃げ惑いますが、
あっという間に炎に呑み込まれ、瓦礫の下敷きとなり、夥しい人々が死んでいきます。
悲惨な光景でありますが、ザンギャックに屈することなく戦う道を選んだ段階で覚悟はしていた犠牲でした。

そしてアクドス・ギルはとにかく今回は確実にマーベラス一味を仕留めるため、
広く上空に展開した大艦隊の中心、ギガントホースの真下にマーベラス達6人を捉え、
絶対に逃げられない状況で爆殺するべく、「宇宙海賊よ・・・この星もろとも塵となれ・・・!」と呪うように言い、
配下の攻撃艦を波状的に低空に突っ込ませて6人を狙い撃ちにしていきます。
マーベラス達がそれに対抗する艦をもはや持っていないことを見越して、一方的攻撃を仕掛けてきたのです。

これによってマーベラス達6人は何度も爆炎の中で必死で攻撃を避けつつも、
「うわああああ!!」と皆吹っ飛ばされて宙を舞い、
第一波の攻撃だけでダメージで変身解除に追い込まれ、倒れ込んでしまいました。

そこで一旦敵艦隊の攻撃が途絶えて、
マーベラスは苦しげに身を起こしながら「お前ら・・・くたばってねぇだろうな・・・?」と皆に声をかけます。
他の5人もダメージは受けながらも皆、無事ではあるようで、
ゆっくりと身を起こしながらジョーは「・・・当然だ・・・!」、
ルカは「まだまだいけるよ!」と、あくまで強気の姿勢は崩しません。

身体はかなり痛めつけられており、状況は圧倒的に不利ですが、不思議に全員全く気落ちした様子はありません。
地上への無差別攻撃に及んでいるザンギャック艦隊に対する激しい怒りは湧き上がってきていますが、
こういう状況も予想はしていたことであり、今さら動揺することもない。

とにかく何が起ころうとも、どんな状況であろうとも、余計なことは一切頭には無い。
自分の与えられた状況の中で可能なことは全てやってザンギャックを倒す。
シンプルにそれだけでした。
自分の身をザンギャックを倒す刃とする。
たとえ地面に這いつくばることしか出来なくなっても、その状況でザンギャックを倒せる策を実行するのみでした。

「そうですよ・・・でぇっかい夢・・・掴まなくちゃいけないんですから!」と
鎧も全身に力を込めて立ち上がろうとしています。
その皆の全く衰えない気力を見て、マーベラスもフッと不敵に笑いますが、
しかし実際のところ、早くも全員動けなくなりつつある。
悲観は全くしないが、この状況で自分達がザンギャックを倒せる策がさすがに思いつかず、
マーベラスも少々困ってしまいました。

さて、どうするか、と思っていると、
そこに敵の繰り出した第二波の攻撃艦隊が低空に降りてきてマーベラス達を狙い撃ちしてこようとします。
これは回避しきれないかもしれないと、マーベラス達は焦って駆け出して物陰に隠れようと思いましたが、
足がまだ十分に動かず、敵艦の攻撃を避けられない。
そこに近づいてきた敵艦がビーム砲を発射してきて、もはや万事休すかと思われたその瞬間、
突然、地面スレスレの低空、敵艦とマーベラス達の間に割って入ってきたザンギャックの戦艦が、
敵艦隊のビームの束をその身を受けたのでした。

マーベラス達は突然の謎の戦艦の乱入に驚き、身を伏せながら見上げます。
敵艦隊の放ったビームを一斉に浴びて、その戦艦が爆発炎上して自分達の真上に落ちてくると思いました。
ところが、その戦艦は何故か落ちてくることはなく、敵艦隊を撃ち落していきます。
マーベラス達はてっきり敵艦隊の一隻が操艦を誤って味方の攻撃を受ける事故を起こしたのかと思っていたのですが、
敵艦隊を攻撃しているこの戦艦はどうやら味方のようです。

どうしてザンギャック艦が自分達の味方をしているのかと不可解に思い、全員その艦を見上げてよく見てみます。
その瞬間、元ザンギャック軍人のジョーはギョッとして「・・・フリージョーカー・・・?」と呟きます。
その艦は確かに形は他のザンギャックの小型戦艦と同じ型でしたが、
その真っ赤なボディカラーは、ザンギャックの艦隊においては採用されていない色でした。
ジョーの知る限り、この世でこんな血のような濃い赤のボディカラーのザンギャック艦は1隻しかありません。
それはバスコの乗艦であるフリージョーカーでした。

しかし、バスコはマーベラスが一昨日の決闘で斃したはず。
決闘に敗れて絶命したバスコの身体が跡形もなく消滅するのを、ここに居る全員が目の前で目撃していました。
ならば、いったい誰がフリージョーカーを操縦しているのかと、
全員が唖然としてフリージョーカーを見上げました。

すると、そのジョーの呟きに反応するように、
マーベラス達を敵艦隊の攻撃から守る盾のように真上に浮かぶフリージョーカーから
「そうだよ!バスコの船が残ってたんだぁ!!これでまだ戦えるよぉ〜っ!!」と声が響いてきます。
その聞き慣れた声を聞いて、アイムが「ナビィ・・・!」と仰天します。
フリージョーカーを操縦しているのはナビィだったのです。
つまり、バスコが死んで、主を失って空船になっていたフリージョーカーをナビィが見つけて
勝手に操縦してここに飛んできたようなのです。

一体いつの間に・・・というか、一体このフリージョーカーは何処にあったのか?
「あんた、よく見つけてきたわねぇ!」とルカが唖然としてナビィに言います。
するとナビィは「オイラだってやるときゃやるんだぁ!」と快活に応え、
「派手にいくぜぇぇぇっ!!」と叫んでフリージョーカーを急発進させ、
低空に降りてきていた敵艦隊の中に突っ込んでいき
「おりゃおりゃおりゃおりゃあっ!!」とビーム砲を撃ちまくって敵艦を次々と撃破していき、
マーベラス達の上空の安全を確保したのでした。

マーベラス達はフリージョーカーの意外な強さに驚きます。
そういえばマーベラス達はバスコとあれだけ何度も戦っていながら
フリージョーカーの戦っている姿は一度も見たことがありませんでした。
考えてみれば、あのバスコの乗艦です。
普通の艦であるはずはありませんでした。

バスコはザンギャック公認の私掠船の船長でしたから、
フリージョーカーもザンギャックの量産型の小型戦艦を貰い受けて、
それをバスコが自分好みの赤色に塗っていたものです。
ザンギャックの量産型の艦ですから、もともと攻撃力も防御力も大したことはない。
だからマーベラス達はフリージョーカーなど恐れるに足りないと思っていました。

しかし、バスコはサリーの腹のハッチに変なロイドを7体も飼っていたりする、
変に器用な科学者的な才能もある男でした。
だから、どうやらフリージョーカーにも奇妙な改造を施していたようです。
さっきも敵艦からのビームを浴びたはずのフリージョーカーが全く損傷を受けていないことや、
現在もフリージョーカーが同型の敵艦に対して一方的に攻撃を浴びせていることなどから考えて、
どうもフリージョーカーは常に艦の前方に強力なバリアーを張っている仕様になっているようです。
だから敵の攻撃を受けることなく、敵艦を一方的に攻撃することが出来るのです。
慎重で用意周到なバスコらしい秘密兵器だといえます。

それにしても、よくナビィがフリージョーカーを見つけることが出来たものだとマーベラスは思いましたが、
冷静に考えてみれば、確かにフリージョーカーはバスコが決闘で死んだ後も何処かに残っていたのは当たり前であり、
単に自分達が昨日から色々なことが立て込み過ぎていて、
フリージョーカーのことに考えが及んでいなかっただけだとマーベラスは気付きました。

ナビィだけは昨晩、ハカセが「もうこの星には戦える船は無い」と言っていたのを聞いてから、
ずっと何か引っ掛かっていたようです。
それでもマーベラス達同様、昨晩の間はナビィもフリージョーカーのことまでは想い出せなかったようですが、
今朝マーベラス達が戦いに出た後、ガレオンに1羽残ったナビィはフリージョーカーの存在を想い出したのでしょう。
そこでナビィは命懸けの戦いに突入しているであろうマーベラス達には連絡せず、
自分だけ飛んでいってフリージョーカーを探したのでしょう。

ただ、これだけ短時間のうちに見つけ出して操縦してきたということは、
ナビィはフリージョーカーの置いてある場所が見当がついていたということです。
そして、その場所は今となってはマーベラスにも簡単に想像はつきました。
それは、第47話でガレオンから宝箱を持ち出したサリーをこっそり尾行していったマーベラス達が
バスコと対決した、あの森の奥です。
あそこをバスコはアジトにしており、あの森の中でマーベラスがサリーの爆発に巻き込まれ、
ジョー達がバスコに敗れて、バスコはその足でガレオンに移動してガレオンを占拠して、
そのままマーベラス達と戦って敗れて死んだのです。
ならば、あの森の奥に隠してあったはずのフリージョーカーはそのまま放置されて残っていたはずです。

ナビィもまた、あの時のマーベラス達の居場所は体内の通信機で座標軸では把握していたはずですから、
今朝フリージョーカーの存在を想い出したナビィは、
あの時バスコとマーベラス達が戦ったと思われる地点の近くにフリージョーカーがあるに違いないと睨んで、
さっそくその地点に飛び、その森の奥に隠してあった無傷のフリージョーカーを発見したのでしょう。

といっても、小型戦艦のフリージョーカー1隻だけで
ザンギャックの大艦隊の待ち受ける中に飛び込んでくるのは危険な行為でした。
それでもナビィは喜び勇んで駆けつけたのです。
ガレオンが壊れてしまい、等身大戦では足手まといにしかならないので仕方なくガレオンに留守番で残ったナビィは、
本当はマーベラス達と一緒に命懸けで戦いたいと思っていたのです。
だからフリージョーカーという自分でも戦いに参加出来る道具が手に入って、
ナビィは大喜びで危険の渦中に飛び込んできたのですから、大したものです。

マーベラスは奮戦するフリージョーカーを見上げて
「・・・あいつもやっぱ・・・海賊の端くれだな・・・」と感慨深くナビィを褒めて前へ進み出ました。
以前はナビィは「戦いになったら逃げる」などと冗談めかして言ったりしていましたが、やはり性根は海賊なのです。
本来なら自殺行為ともいえる特攻でしたが、バスコの仕掛けていたバリアー発生装置が敵の攻撃を無効化して、
一転、ナビィの操るフリージョーカーがマーベラス達の窮地を救う大活躍を見せることとなったのでした。

ナビィもまた、自分を捨てた行為によって仲間を救い、自分も救われたのです。
それが、自分が仲間のためにバスコとの相討ち勝負を仕掛けてサリーの首飾りで命拾いしたのと同じだと
思い至ったマーベラスは、「お蔭で次の手が決まったぜ・・・!」と呟きます。
ナビィの特攻が、フリージョーカーを逆転勝利を呼び寄せる切り札に変える奇策を
マーベラスに思いつかせてくれたのでした。

「・・・フリージョーカーで突っ込む・・・!」とマーベラスは大胆不敵に言い切ります。
皆、少し驚いた顔をしますが、何も言いません。
仲間たちはマーベラスの戦場における判断には今まで異論を挟んだことはほとんどありません。
それだけマーベラスの戦いに関する能力は信頼しています。
マーベラスがやれると考えているのなら、それはやれるのだろうと信じています。

それに実際、こうして地上で敵の攻撃を待っていても埒が明かない。
ようやく手に入った唯一の巨大戦力であるフリージョーカーで突っ込むしか手は無い。
ただ、今ナビィが戦っているような低空に降りてきた小規模な艦隊と違って、
大艦隊全部を倒さねば地球の危機を救うことは出来ないのだが、
いくらなんでも小型戦艦のフリージョーカー1隻で大艦隊を撃滅など出来るわけがない。
マーベラスがそこに何か成算があるのかどうかよく分からなかったが、
皆、それでもマーベラスの判断を信頼して黙っていました。

だが、鎧だけ直感したところがあったようで、息を呑んで
「・・・皇帝のいる、ギガントホースに突入・・・ですか・・・?」とマーベラスに尋ねたのでした。
マーベラスは鎧の方に視線を移すと「・・・ああ!」と答えました。
鎧は唖然とします。
あまりに危険すぎる。が、確かにそれしか大艦隊撃滅の方法は無いかもしれないと思い、
鎧は緊張した面持ちで俯きました。

その鎧の横で鎧とマーベラスの言葉を聞いていたジョーは、じっと何かを考え込んでいましたが、
意を決して「鎧!」と言うと、鎧の方に振り返って「・・・お前も一緒に行け!」と、鎧の肩を掴みます。
鎧は「俺が!?」と驚きました。
というか、こんな危険な作戦ですから、てっきり皆で行くのかと思っていたのですが、
今の口ぶりだとジョーは行かないかのようです。
つまり少人数でギガントホースに突入するということになる。

しかし、その場合は自分のような新入りがマーベラスと一緒に行くべきなのだろうかと鎧は迷いました。
この場合、マーベラスと最も信頼関係の深いジョーが一緒に行くべきなのではないかとも思い、
そもそもどうして少人数で突っ込むのかよく分からず、それではますます危険ではないかとも思い、
「あ、いや・・・でも・・・」と鎧は困惑と遠慮で言い淀みます。

が、鎧がそうしてグズグズしている間に、マーベラスは前方を睨みつけ
「・・・考えてるヒマは無さそうだ!」と呟きます。
鎧がハッとしてマーベラスの視線の先を見ると、
そこにはダイランドーが「ホントしぶといねぇ!海賊ちゃあん!」と言いながら近づいてきていました。
ダイランドーは謎の戦艦の乱入でマーベラス達への空爆が邪魔されたのを受けて、
空爆でダメージを受けて弱体化したマーベラス達を逃がさないように倒しに来たのです。

鎧はそこでようやく、まだダイランドーが残っていたことを思いだしたのでした。
一方、ルカとハカセとアイムは自分達の役割を心得ているかのように、
すっと前に出てダイランドーに立ち向かう姿勢を示します。
そしてジョーも3人と並んで一歩前に出て、片手をすっと横に出して
マーベラスと共に後ろに残った鎧に前に出ないように制します。

つまりギガントホースに突入する作戦がマーベラス一味にとっては絶対に失敗の許されない本作戦であるが、
その本作戦の最大の障害が、ザンギャック皇帝親衛隊の最強の男であるダイランドーなのです。
ただでさえ敵の本拠地中枢への突入という危険な作戦に、
ダイランドーまでも敵に加われば、作戦成功の可能性はだいぶ下がってしまう。

しかし、ここで6人全員がフリージョーカーでギガントホースに向かえば、
ダイランドーはマーベラス達の意図に気付いてギガントホースに帰還してしまう。
だから、この場で誰かが残ってダイランドーを足止めして、
戦いに集中させてギガントホースで起こる変事を察知させないようにしなければいけない。
いや、いっそこの場でダイランドーを倒してしまいたい。

そのためには1人や2人の少人数では無理です。
ダイランドーに返り討ちにあってしまう可能性が高く、
そこまでいかなくても、ダイランドーが余裕をもって戦って
ギガントホースの変事に気付いてしまう可能性が高い。
だから、この場には4人ぐらいは残らなければ話にならない。
そうしなければ本作戦の方が失敗してしまう。

だからギガントホースに突っ込むのはマーベラスと鎧の2人であり、
ダイランドーの相手はジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人で引き受けるのだとジョーは主張しているのです。
その人数の割り振りは鎧も納得しました。
しかしどうして自分がマーベラスと一緒にギガントホース突入組なのか、そこが鎧にはよく分からない。

ダイランドーの足止めぐらいならばジョーの代わりに自分が残ってもそう状況は変わらない。
しかしギガントホースにおける重要な本作戦の方は
やはりマーベラスとジョーの最も気心の知れたコンビが一番なのではないかと鎧は思いました。
何より、自分のような一番下っ端がそんな重責を担って良いのだろうかと鎧には疑問でした。

しかしジョーは鎧に背を向けたまま、ダイランドーに聞こえないよう小声で
「最前線に皇帝が出てくるなんて千載一遇のチャンスだ!」と言います。
そしてジョーは鎧の方に首だけ一瞬振り返り「夢なんだろう?・・・ザンギャックを倒すのが・・・」と言うと、
前を向き、ルカ達3人と共にダイランドーを睨みつけながら
「とっとと行け!・・・ダイランドーは、俺たちで十分だ・・・!」と鎧に向けて言うのでした。

つまり、ギガントホースに突入すれば、そこにはザンギャック皇帝がいる。
皇帝を倒せばザンギャックを倒すことが出来る。
ジョーもマーベラスの作戦が皇帝を単に倒すことが目的ではないことは大体想像はついていましたが、
作戦が成功すれば、成り行き上、皇帝と戦い倒すことになるだろうと思っていました。
ジョーは皇帝が歴戦の勇者であったということは噂で聞いていましたが、
それは所詮は遠い過去の話であり、今はただの老人に過ぎないと思っていました。
ギガントホースに突入して警備の兵たちを皆上手く倒して作戦目的を達成すれば、
ついでに容易く、侵略の元凶である皇帝の息の根も止めることが出来る。

しかし、その役目は自分のものではないとジョーは思ったのです。
自分だけでなく、ルカでもハカセでもアイムでもマーベラスでもなく、
これはどうしても鎧の役目だとジョーは思いました。

何故なら、「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢をマーベラス一味で最初に唱えたのは、
鎧だったからです。
第18話の鎧がマーベラス一味に加入し、「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢を
鎧が披露した際、他の5人は皆驚き呆れただけだった。
しかし今となっては、それこそが全員の夢だったのだとハッキリ分かっています。

ただ、鎧の夢に触れ、引っ張られていくうちに、
全員、何時の間にか自分達の夢が鎧と同じだということに内心気付いていったように思う。
だから、全員がこの本当の夢に辿り着くきっかけを与えてくれたのは鎧だった。
鎧がこの夢の出発点だったのです。いや、鎧に代表される地球人たちがマーベラス達の本当の夢を気づかせてくれた。
だからザンギャックをその手で倒して夢を直接叶えるのは地球人代表の鎧であるべきだった。
ジョーはそう思っていました。
それはルカもハカセもアイムも何も言わずとも同感でした。
だからマーベラスと鎧を行かせるために率先して前に出ているのです。

それに、今現在、地球人が数多くアクドス・ギルの命令によって無残に殺されていっている。
地球人の街や生活が破壊されていっている。
ジョーもルカもハカセもアイムも、かつて自分の故郷の星がザンギャックに滅ぼされた時、何も出来なかった。
その悔しさ、苦しさは忘れられない。

その苦しみごと、その過去は受け止めなければいけない。
無かったことにしてはいけない。
辛い過去を受け入れることで前に進めるのだと再確認したばかりだからです。
だからアクドス・ギルを討つことで自分の過去が救われるなどとは考えない。

しかし、鎧は今アクドス・ギルを討てば、自分の故郷を救うことが出来る。
救えなかった苦しさを知っている4人だからこそ、
今ならまだその苦しみを回避出来る可能性のある鎧には、その可能性に賭けてほしいと思っているのです。
だから、4人は鎧をギガントホースに行かせたいと思っているのです。

鎧はジョーの言葉で自分の夢を改めて思い出し、その自分の夢が皆の夢になったのだと実感し、
その重みを受け止めるように「はい・・・!」と返事をし、
ギガントホースへ行き、憎きアクドス・ギルを倒す決意を固めました。

一方、マーベラスはチラリとジョーの顔を見ます。
ジョーも振り向いてマーベラスの顔を見つめます。
お互い無言で少しの間、目と目で語り合ったのは、
互いに決死の戦いにはなるが、決して死なないようにという約束でした。

ジョーはとことんマーベラスの夢に付き合い、夢を追うマーベラスの背中を守る役割を自ら任じています。
だから本当はこの局面でもマーベラスの背中を守るためについて行きたかった。
しかし鎧に夢を遂げさせるために鎧をここに残すわけにはいかない。
その上、自分までマーベラスについて行くと、
この場でダイランドーを食い止めるのがルカ達3人だけになってしまい、
それでは作戦が成り立たなくなる恐れがありました。

だから今回はジョーはこの場に残らねばならず、極めて危険な作戦に赴くマーベラスの背中を守れない。
だからジョーとしては今回の作戦でマーベラスに死なれたら一生後悔する。
一方マーベラスもそうしたジョーの心情は分かるので、
ジョーにこそ生き残ってまた自分の背中を守ってもらいたいと思っている。

しかし今回は互いに決死の覚悟で戦っている以上、「死ぬな」とは互いに口に出して言うことは出来ない。
だから無言で目と目で約束し、その後すぐにマーベラスは鎧を連れて駆け出しました。
ダイランドーは2人が単に逃げたと思い、「よっしゃああ!!逃がさないよおおっ!!」と攻撃しようとしますが、
そこに銃撃に邪魔され「うぬっ!?」とひるんだ隙にマーベラスと鎧は駆け抜けていきました。

ダイランドーを銃撃したのは素早くゴーカイジャーに変身したジョーでした。
ルカ、ハカセ、アイムも変身しています。
ジョーはこうなったらマーベラスを直接守れない分、ここで必ず最大の難敵のダイランドーを倒して、
マーベラスを間接的に援護すること、そして必ず生きてマーベラスに会うことを心に誓い、
「派手にいくぞぉぉぉっ!!」と気合を発するのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 07:15 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月23日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その3

場面は変わってフリージョーカーのコクピット。
マーベラスと鎧が駆け込んできます。
2人がどうやって乗り込んできたのかという途中経過の描写は省かれていますが、
おそらく敵艦隊と交戦中のフリージョーカーを操縦するナビィにマーベラスがモバイレーツで連絡を入れ、
交戦しながら高度を下げさせて、
そこに向かって空を飛べる戦士、おそらくジェットマンあたりに豪快チェンジして
2人は空中から乗り込んだのでしょう。
かなり危険な方法ですが、この場合はその方法しかありません。

コクピットに入ってきた時にはマーベラスも鎧も生身に戻っており、
操縦席に辿り着いたマーベラスは「鳥!換われ!!」と怒鳴って、
「お〜う!!」と応えて操縦桿を離したナビィに代わって操縦席に座り、操縦桿を握ります。

マーベラスはフリージョーカーを操縦したことはないはずですが、
ナビィも初めてでもフリージョーカーを操縦出来ているところを見ると、
この物語世界の宇宙戦艦というものは基本操縦システムは全部共通であるようです。
ゴーカイガレオンはアカレッドが作ったものだと思われるので、
ザンギャックの戦艦とは規格が違うと考えるのが普通ですが、
どうも、あえてザンギャックの支配する世界における戦艦の規格に合わせてアカレッドは作ったようです。
それはつまり、ザンギャックの支配する領域で活動する宇宙海賊を仲間にすることを
最初から前提とした航海であったからであるようです。

マーベラスにしてもバスコにしても、
ザンギャック支配下の領域で海賊として普通に船の操縦などのスキルは積んでいたので、
ガレオンの装置も最初から扱えた(但しマーベラスはメンテは全然出来なかったが)のでしょう。
そんなマーベラスですから、それと同じ規格のザンギャック艦の操縦システムをそのまま使っている
フリージョーカーの操縦も問題無く出来るわけです。
もちろんナビィも普段ガレオンの装置を使いこなしているわけですから、フリージョーカーも操縦できるわけです。

そしてもちろん操船戦闘技術ではナビィよりもマーベラスの方が遥かに上ですから、
ここはマーベラスに操縦者が換わるのは当然です。
しかし、操縦者がマーベラスに換わったからといって、
この小型戦艦のフリージョーカーの性能が飛躍的に向上するというわけではありません。

「でも・・・どうするんだよ!?」とナビィもマーベラスの意図が分からず質問してきます。
フリージョーカーの火力は大したものではなく、
今戦っている相手の小型戦艦の小規模艦隊程度なら勝てるが、上空の大艦隊を相手に打ち勝つような力は無い。
ましてや超巨大戦艦のギガントホースにはフリージョーカーの火力ではロクなダメージも与えられないでしょう。

それにバスコの秘密兵器のバリアーにしても前方にしか展開しないようで、
おそらく小型で超高速が最大の長所である小型戦艦の前方にバリアー発生装置を取り付けて、
優勢な敵に襲われた時に正面突破の奇襲をかけて逃走することを目的とした仕様なのだと思われ、
いかにも大胆不敵で人を喰った一匹狼の宇宙海賊バスコの乗艦らしいシステムといえます。
同格の相手に対しては恐るべき攻撃兵器となるのでしょうけれど、優勢な相手を打ち負かすための艦ではない。
あくまで高速で敵正面を斬り裂いて突破して逃げ去るための性能の艦なのだといえます。
だから大艦隊の真ん中に留まって周囲の敵艦を相手に戦うようなことは出来ない。

おそらくフリージョーカーを使えばこの場から逃げ切ることは容易でしょう。
しかし、逃げても大艦隊による地球人への攻撃を止めることは出来ないのですから、
ここは大艦隊を撃破しなければいけない。
しかしフリージョーカーの火力で一気に大艦隊を撃破することなど出来るわけもなく、
旗艦のギガントホースに一撃で有効なダメージを与えられるわけでもない。

そうなると敵の大艦隊撃破のためにはフリージョーカーで大艦隊の中に突っ込み、
そこで留まって粘り強く戦うしかないが、
そんなことをすれば四方八方から狙い撃ちされて撃墜されるに決まっている。
今は敵艦隊の外側から攻撃を加えているから敵の攻撃は前方バリアーで防御出来ているが、
敵艦隊の中に入ってしまえば、いくら高速で動き回ったとしても、
あれだけの数の敵艦に囲まれた状況ではいずれは必ず攻撃を喰らってしまう。
それは間違いなく、フリージョーカーが敵艦隊を撃破するよりも早く訪れる事態です。

じゃあこのまま敵艦隊の外からの攻撃を続けていれば安泰なのかというと、決してそんなことはない。
まずこんな外から攻撃していても分厚い敵艦隊に微々たるダメージしか与えられておらず、
事実上敵艦隊による地上への攻撃を放置しているような状態だし、
だいいち敵の攻撃を受けまくっている前方バリアーがいつまでも保つわけがない。

この世に万能のバリアーなどあるわけはない。
いくらバスコが作ったバリアーだといっても例外は無い。
敵の攻撃を無限に受け続けられるバリアーなど無いのです。
既にかなりの敵弾を集中的に被弾している前方バリアーはいつまで保つか分からない状況となっているはずです。

だからここに留まって戦い続けていても敗北必至であり、
かといって突っ込んで戦っても勝ち目はほぼ無いし、
逃げても無意味です。
何ら先行きの見通しがつかない状況ですが、
今のところ何とか持ち堪えている前方バリアーが突破されるまでに何らかの決断はしなければならない。
そして、それまでにもうほとんど時間的猶予は無いはずです。

ナビィにはどうしていいのかサッパリ分かりませんでした。
しかしマーベラスの肚は最初から決まっています。
マーベラスは操縦桿を受け取ると、
すぐさまフリージョーカーの全性能をレッドゾーンを超えるフルパワーに設定します。
そんなことをすれば短時間でフリージョーカーは壊れて動かなくなるに決まっていますが、
マーベラスはお構いなしです。
短時間だけ敵艦の全部を凌駕する性能を発揮出来ればいいのです。

そして設定が終わるとマーベラスは操縦桿を勢いよく倒してフリージョーカーを急旋回させ、
ナビィは味わったことのない横Gを受けて「わ〜あ!?」と吹っ飛ばされそうになり驚きます。
そうしてフリージョーカーの艦首が正面に捉えたのは、敵艦隊の旗艦ギガントホースの遠くに浮かぶ姿でした。
その瞬間、「このまま突っ込む!!」と怒鳴ってマーベラスは目いっぱい操縦桿を引き、
フリージョーカーは一瞬にして驚異的スピードで真っ直ぐギガントホースに突撃を開始したのでした。

遠いといっても、アクドス・ギルはマーベラス達が艦艇や巨大ロボを喪失しているという前提で、
マーベラス達の真上にギガントホースをかなり降下させてきており、
地上から肉眼でもギガントホースの位置が分かるほどでした。
これならば、フリージョーカーの運動性能をもってすれば、すぐ近くにあるようなものです。
まさにジョーの言う通り、千載一遇のチャンスでした。

ただアクドス・ギルはフリージョーカー1隻ぐらいが登場したぐらいで全く危機感など抱いていませんでした。
フリージョーカーとギガントホースの間には膨大な数のザンギャック艦が配置されており、
たった1隻の艦が突破など出来るわけがないと予想するのが当然です。

むしろアクドス・ギルはマーベラス達がフリージョーカーを逃走用に使うと見て、
フリージョーカーの退路を断つように、周辺に艦を回して包囲網を作ろうとしており、
どちらかというと正面は手薄になっていました。
まさかフリージョーカーがギガントホースに正面から突っ込んでくるなど想像もしていなかったのでした。

アクドス・ギルはフリージョーカーのバリアーのことは知らなかったので、正面突破が可能だと思えなかったし、
そもそももしフリージョーカーが正面突破に成功してギガントホースに肉薄したところで、
小型戦艦の火力でギガントホースにダメージなど与えられるはずがない。
だから正面突破など無意味であり、そんなことをマーベラス達がするはずはないと、
アクドス・ギルは全く考慮外に置いていたのでした。

しかしマーベラスは最初から正面突破でギガントホースに突っ込む作戦を敢行するつもりでした。
現在のギガントホースまでの距離ならば、
フリージョーカーの破壊前提の片道切符のフルパワーで超高速で駆け抜ければ、
前方バリアが突破されるまでの短時間でギガントホースに到達できるかどうかは
五分五分で可能だとマーベラスは読んでいました。

確かにフリージョーカーの限界ギリギリまで引き出した運動性能と前方バリアーがあれば、
正面の敵艦隊は一気に突破可能かもしれないです。
しかし、もしそうしてギガントホースに肉薄しても、
フリージョーカーの全火力で攻撃してもギガントホースを落とすことは出来ない。
そして、無茶な設定でパワーを使い果たしたフリージョーカーはギガントホースに到達した後、
すぐに機能停止することも明らかでした。

それでは結局は無意味な玉砕に過ぎない。
しかしマーベラスはフリージョーカーでギガントホースを落とそうなどと考えているわけではありません。
フリージョーカーでギガントホースに体当たりして突っ込み、
マーベラスと鎧がギガントホース内部に侵入して、敵の司令部を内部から倒すしか、
この戦いに勝つ手段は無いと思っているのです。

敵の船に突っ込んで侵入して制圧するという、まさに海賊の戦い方といえます。
「海賊戦隊」なのですから、変にロボ戦をして終わるより、
まさにこうした海賊の戦い方の真骨頂を最終話に魅せてくれるというのは、
作品のコンセプトを最後まで貫いた制作側のナイスチョイスといえます。

しかし、この作戦はかなり危険な作戦であるのも間違いない。
まず、いくら意表を突くとはいっても、本当にフリージョーカーの正面突破が成功するのか不明です。
単純に真っ直ぐ突撃するだけでは失敗するでしょうから、
そこはマーベラスの操船戦闘技術が成否を分けると言えます。
しかしただ単に器用に逃げ回ればいいというものではない。
時間を費やせば費やすほど不利になりますから、一気に突っ込まなければいけません。

だいいち、前方バリアーがいつまで保つのは全く予想もつきません。
突撃途中でバリアーが突破されて火だるまになる可能性も十分あります。
そして、体当たりもよほど上手くやらなければ粉々になって終わりですから、ほとんどイチかバチかです。
そして侵入に成功したとしても、中にはもちろん敵兵がウヨウヨいるわけですから、
絶対的不利な勝負となります。
突っ込む場所を誤って艦橋の司令室に辿り着くのに時間がかかれば、作戦は失敗するでしょう。
出来るだけ艦橋の近くに突っ込んで短時間で勝負を決さないといけません。

それら全てが上手くいかねば成功しない作戦なのですから、恐ろしく成功の可能性の低い作戦だと言えます。
しかし、これしか今のマーベラス達が敵艦隊を倒す方法は無い。
だからこの作戦に賭けるしかないのです。

また、フリージョーカーを捨てることを前提としたこの作戦は、
マーベラス達は作戦が成功したとしても脱出は難しく、生還の可能性は低いといえます。
つまり、作戦が成功したとしても決死の作戦なのです。
敵艦隊と刺し違える覚悟の作戦と言っていいでしょう。

これはマーベラスが単に無鉄砲で思いついた作戦なのではありません。
最初はフリージョーカーの出現を予期せぬ僥倖と感じたマーベラスでしたが、
ナビィの奮戦する姿を見て、この幸運はナビィの捨身の行動が引き寄せたものだと理解しました。
そして、ナビィがフリージョーカーの隠し場所を知ることが出来た原因も、
もともとはマーベラス達がサリーを救うために危険を承知でバスコと対決しに行ったからだということを思い出し、
マーベラスは、幸運というものは待っていればたまたま起こるものではなく、
捨て身の行動によって引き寄せるものなのだということが分かったのでした。

それによって、マーベラスはバスコとの決闘の釈然としなかった結末の意味が初めて腑に落ちたのでした。
マーベラスは結局は勝負には負けていた自分が
最後は胸ポケットに入れていたサリーの遺した首飾りの欠片が銃弾を防いだという幸運で
勝ちを拾ったのだと思っていました。

しかし、そうではなかったのです。
マーベラスは幸運に救われたのではなく、サリーに救われたわけでもない。
仲間になったサリーを救いたいという一心で自分の危険も顧みずに
爆弾の仕込んだ首飾りを強く掴んで引っ張ったからこそ、マーベラスの手にその欠片が握られて遺されたのであり、
それがマーベラスの胸ポケットに収まる結果となったのです。

そうしたマーベラスの仲間を守るための捨て身の行動が無ければ首飾りはただの爆弾付きの首飾りに過ぎず、
サリーと共に消し飛んでいただけだったでしょう。
また、マーベラスが仲間みんなの夢を守るために自分を捨ててバスコに相討ち勝負を仕掛けたからこそ、
あのポケットの中の欠片はマーベラスの命を救うという幸運の作用を果たしたのであって、
マーベラスの捨て身の行動が無ければ、あれはただのポケットの中の小物に過ぎなかったはずです。

つまり、マーベラスは幸運に救われたわけではなく、
マーベラスの仲間を助けるための捨て身の行動がただの首飾りの欠片を通して幸運を引き寄せたのです。
一方、仲間を捨てて自分だけが夢を得ようとしたバスコは幸運を引き寄せることが出来なかった。
その差が、あの運次第のギリギリの勝負の明暗を分けたのです。

そのことに気付いたマーベラスは、ならば今回も同じことだと思いました。
フリージョーカーはマーベラス達が何もしなければ、
森の中でずっと放置されたままの無意味な物に過ぎなかったはずです。
マーベラス達がサリーを救うために選んだ捨て身の戦いの結果、ナビィが発見して手に入れることが出来たのです。
そしてナビィのマーベラス達を助けようとした捨て身の行動が無ければ、
フリージョーカーがこの戦場に現れることはなかった。

そうして戦場に現れたフリージョーカーは、
その時点ではバリアーがついているだけの、ただの小型戦艦1隻に過ぎない。
ザンギャックを倒す奇跡的パワーを帯びたアイテムなどではないのです。
そんな都合のいいものは存在しないし、存在したとしても使うべきではない。
三角錐の形をした「宇宙最大のお宝」のように。

現実には、人々の他人を思いやるささやかな献身が積み重なって、
ギリギリの勝負でちょっとした幸運が引き寄せられるぐらいのものなのです。
そうして現れたフリージョーカーというラッキーカードで更なる大きな幸運を引き寄せるためには、
より大きな賭けに出るしかない。
地球を守るために命を賭けたリスクの高い大勝負に打って出ることによってこそ、
フリージョーカーを使ってギリギリの一線で大きな幸運を引き寄せられる。
そう信じられたからこそ、
マーベラスはフリージョーカーを失い、自分達も生還不可能に近い、命懸けの作戦を敢行出来たのです。

マーベラスが信じたのはフリージョーカーでもなく、幸運の女神でもなく、
自分を捨てて地球の人々に残す価値のある夢と、
その同じ夢を掴もうとする仲間や人々やスーパー戦隊との絆でした。

そうしてマーベラスがフリージョーカーで真っ直ぐ自分の居るギガントホースの方に突っ込んでくるのを見て、
アクドス・ギルは司令官席から立ち上がり「撃ち落とせ!!」と、砲手席のゴーミンに向かって大声で指示します。
アクドス・ギルはフリージョーカーの正面突破には少し驚きましたが、
マーベラス達が周囲が囲まれたのを察して、意表を突いて正面突破で逃げようとしているのだと解釈して、
確実に撃墜すればいいと思い、さほど問題視はしていませんでした。

しかしフリージョーカーの突っ込んでくる速度は尋常ではなく、
しかもマーベラスのジグザグに突っ込む操艦技術は絶品で、
周囲の艦が側面や後ろから撃ってもビーム砲をフリージョーカーに命中させることは出来ません。
そうなるとフリージョーカーに攻撃を命中させることが出来るのは
正面に浮かぶギガントホースの夥しい数の全砲門と、その周囲に展開する皇帝親衛隊の艦船の砲門だけです。

これに対してマーベラスは「うおおおおおおっ!!」と猛スピードで突っ込みつつ、
操縦桿のビーム砲発射ボタンを叩きまくりフリージョーカーの全火力で応戦して、
親衛隊の艦をあっという間に多数撃破しながら、ギガントホースにもビーム砲を叩き込みますが、
ギガントホースは案の定ビクともしません。
そんなことは分かりきっているのですが、とにかく少しでも敵の攻撃を怯ませて、
もはや限界ギリギリの前方バリアーへの被弾数を少しでも減らそうという必死の努力なのです。

ギガントホースの全砲門はそれでも多数のビームをフリージョーカーに真正面から叩き込みます。
とっくに撃墜していないとおかしいのですが、何故か落ちないフリージョーカーを見て、
アクドス・ギルは驚き、その姿があっという間に目の前に迫って来た時、
それが艦の前方に張ったバリアーの能力によるものだと気付きました。
その瞬間、そのバリアーが被弾数が限界を超えて遂に砕け散り、
丸裸になったフリージョーカーに多数のビームが突き刺さり、あっという間に火だるまとなります。

次の瞬間、アクドス・ギルが凝視していた司令室艦橋の正面の窓の下側に沈むように
火だるまのフリージョーカーの姿が消えた直後、司令室に地震のような大きな衝撃が襲いました。
その揺れに「うぬっ?」と一瞬たじろいだアクドス・ギルは、
マーベラス達が撃たれて操縦不能になった乗艦もろともギガントホースに激突して果てたのだと理解しました。

しかし、マーベラスは火だるまになったフリージョーカーの中で最後の最後まで冷静に操縦桿を握り、
絶妙の減速でフリージョーカーを粉々にすることなく、
ギガントホースの艦橋、最上階のアクドス・ギルのいる司令室の少し下あたりに
フリージョーカーの機体を突っ込ませることに成功していたのでした。

マーベラスは第43話の時にダマラスに捕らわれてギガントホースに連行されて
司令室で皇帝と会っていましたから、
ギガントホースのだいたいどの位置に皇帝が居る司令室があるのか把握していました。
それはおそらく艦橋の一番上の階であり、
その下にフリージョーカーを突っ込ませれば、司令室までは最短距離に違いないと考えていたのでした。
マーベラスはそのドンピシャの位置に狙って突っ込んだのです。

しかしフリージョーカーは突入直前の被弾と突入時のショックで、やはりもう耐久力が限界であるようで、
最期の時を迎えようとしています。
前方や側面に大穴が開いてあちこち誘爆するコクピットの中でマーベラスはナビィを掴むと
「鳥!お前は逃げろ!!」と叫んで側面の穴から放り捨て、
「わ〜あ!?マーベラス〜!!」とナビィはフリージョーカーから外に放り出されて消えていきました。
マーベラスはナビィはここから先の白兵戦に巻き込むのは危険だと判断して逃がしたのです。

そしてマーベラスは「鎧!行くぞ!!」と言って前方の穴に向かって駆け出し、
鎧も「はい!!」と後に続きます。
同時にフリージョーカーは大爆発を起こし、
マーベラスと鎧は豪快チェンジでゴーカイレッドとゴーカイシルバーに変身しながら
吹っ飛ぶフリージョーカーから飛び出し、間一髪脱出に成功したのでした。

そこに上の階から多数のゴーミン達が駆けつけてきたので、
マーベラスは「行くぞ!!」と鎧に声をかけ、鎧も「はい!!」と応じて、
2人して「うおおお!!」と敵兵の群れに突っ込んでいって襲い掛かったのでした。
まさか激突したフリージョーカーの中でマーベラス達が生存しているとは思っていなかった
ゴーミン達やスゴーミン達は不意をつかれて、2人によってバタバタと倒されていきます。
そしてマーベラスと鎧の2人は、敵兵を倒しながら徐々に上の階へと昇っていくのでした。

一方、その報告を上階の司令室で受けたアクドス・ギルは「なにぃ!?侵入を許しただとぉ!?」と驚愕します。
まさか激突したフリージョーカーからマーベラス達が生存してギガントホースに侵入するなどという展開は
予想していなかったのですが、
こうなってみると最初からマーベラス達が侵入が目的で真っ直ぐ突っ込んできたのだということは
アクドス・ギルにも理解は出来ました。

ここまでは成功しているから見事な作戦ともいえるが、
ハッキリ言ってアクドス・ギルから見れば無謀な作戦でした。
こんな無茶な作戦がここまで順調に進んでいるとは、
なんとも悪運の強い連中だとアクドス・ギルは呆れ、ドカッと司令官席に座り直すと、
「・・・しぶとい奴らめ・・・!」と忌々しげに呟きます。

しかし侵入者は2人だという。
ならば悪運もここまでだとアクドス・ギルは思いました。
この超巨大戦艦のギガントホースには夥しい数の兵が乗っています。
下層階からそれらの兵員たちが登ってきて艦橋に侵入した2人をあっという間に呑み込んで
押し潰すのは時間の問題でした。
空中戦では奇跡も起きるかもしれないが、白兵戦においては圧倒的人数差は絶対であり、奇跡など起きない。
もはや勝負はあったとアクドス・ギルは思ったのでした。

そんな思惑をよそに、鎧は「おりゃああっ!!」とゴーカイスピアを振り回し、
マーベラスは「おおうっ!!」とゴーカイサーベルでゴーミンやスゴーミンを薙ぎ倒していき、
2人とも恐るべき勢いで上階に向かって前進していくのでした。

さて、ギガントホースでそうした異常事態が起こっていることは、
地上でジョー達と戦っていたダイランドーは気付いていませんでした。
フリージョーカーが突撃してギガントホースに突っ込んだのはほとんど一瞬の出来事であったので、
上空で起こった瞬時の出来事に気付けるほどにはダイランドーも余裕が無かったのでした。

かといってダイランドーが劣勢であったわけではなく、戦いはダイランドーが優勢でした。
ただ、ジョー達4人が本気でダイランドーを倒しにかかって猛攻を仕掛けていたので、
さすがのダイランドーもその4人がかりの攻撃への対処に忙しかったのです。
それでもダイランドーはジョー達の攻撃を捌ききると、ジャイアントハンマーで反撃し、
4人は「うああああっ!!」と吹っ飛ばされてしまいます。

ダイランドーは「ミーに勝てると思ってんの?」と余裕の態度で4人を嘲笑いました。
やはりダイランドーは並の強さではないので、6人揃っていれば時間をかければ倒せる程度であり、
4人では簡単に優勢な展開に持ち込める相手ではありません。
しかもジョー達はまださっきの上空からの砲撃で受けたダメージが残っている状態ですから、
劣勢になるのは仕方ないともいえました。
ダイランドーは自分の優位を確信して、余裕の態度となります。

なお、ジョー達も戦いに集中しているので、
上空のギガントホースへのマーベラス達の突入が成功したのかどうか分かってはいません。
しかしギガントホースで皇帝周辺に異常事態が生じれば、ダイランドーにも連絡があるはずで、
それが未だ無いということは、まだマーベラス達は突入していないのだろうと思いました。
あえなく失敗したという可能性ももちろんありましたが、
この場でそんなことを考えても仕方ないので、
ジョー達はまだマーベラス達は作戦を決行していないと解釈しています。

ならば、とにかくダイランドーに余裕を持たせてはいけない。
どんな劣勢でも攻め続けるしかない。
そして倒しにかからねばならないのです。
ジョーは「うう・・・まだまだぁ・・・!」と必死で起き上がります。

しかし、実際はマーベラス達はギガントホースへの突入に既に成功していました。
ならば皇帝の近くに危険が迫っているはずです。
なのに皇帝親衛隊のダイランドーにギガントホースから連絡が届かなかったのは、
アクドス・ギルがたった2人の侵入者など簡単に鎮圧出来ると思って事態を全く重大視していなかったからでした。

侵入者2人の件はもう下の階の警備の兵達に任せれば済む問題として、
アクドス・ギルは大切な自分の乗艦に傷をつけられた腹いせをするかのように
「このまま地球を壊滅させろ!・・・全艦、攻撃の手を休めるな!」と、地球への攻撃を更に強化するよう
大艦隊の全艦に命令を下します。

その瞬間、司令室の入口の扉が爆発を起こして吹っ飛び、
何事かと驚いて入口に駆け寄った皇帝護衛の2人のドゴーミンが、
吹っ飛んだ扉跡でもうもうと立ち込める煙の中から
「うりゃあっ!!」という掛け声と共に放たれた2条の閃光を喰らい、
「ド〜ゴォッ!!」と断末魔の叫びを上げて一瞬で爆死してしまいました。

「・・・なにぃ!?」とアクドス・ギルが立ち上がって入口の方を見ると、
入り口からマーベラスと鎧が駆け込んできて、あっという間に司令室の中のゴーミン達を全員倒してしまい、
司令室の中はマーベラスと鎧、そしてアクドス・ギルの3人だけとなってしまったのでした。
アクドス・ギルは司令官席から立ち上がった態勢のままマーベラスと鎧に対峙し、
鎧はゴーカイスピアを構えたまま、じっとアクドス・ギルを睨みつけています。
マーベラスはゴーカイサーベルを肩に担いで「久しぶりだな!・・・アクドス・ギル!」と言いました。
第43話以来、マーベラスはアクドス・ギルに会うのは二度目です。

マーベラスと鎧は下の階のゴーミンやスゴーミン達を倒して、一気に司令室まで駆け上ってきたのです。
ドゴーミンを一撃で倒したことから見ても分かるように、
今までにないほどのゴーカイジャーの強さを引き出しているのは間違いない。
しかし、それにしても、たった2人でギガントホースの膨大な兵員たちを全員倒してここまで来たにしては、
いくら何でも早すぎる。
しかしマーベラス達を追ってザンギャック兵達が司令室に殺到してくるわけでもなく、
司令室のフロアーは静寂に包まれているところを見ると、
部屋の外の兵達は全員、マーベラス達に倒されてしまっているようです。

これは一体どういうことなのかというと、
マーベラス達がフリージョーカーで突っ込んだ艦橋のフロアーが
フリージョーカーの爆発によってムチャクチャになっており、
下からそのフロアーを通って上の階に行くことが出来なくなっているようです。

つまりフリージョーカーの爆発したフロアーによって
艦橋のそこから上のエリアがその下のエリアと分断された状態になってしまっているのです。
それによって、ギガントホースの大部分を占める下層階に居る膨大な兵達は、
皇帝の居る司令室を含む艦橋の上層階部に救援に来ることが出来なくなっており、
マーベラス達は上層階部に居た兵達を全員倒して、この最上階の司令室に辿り着くことが出来たのでした。

ここまでの出来すぎの展開はもちろんマーベラスも最初から狙っていたはずもなく、
まさに僥倖といえます。
まさにフリージョーカーは、マーベラス達の地球を救うための捨て身の行為に応えて、
最期にその最強の切り札としての役割を果たしたのだと言っていいでしょう。

これで図らずも、マーベラスと鎧はザンギャック皇帝のアクドス・ギルを絶体絶命の窮地に追い詰めたといえます。
しかしアクドス・ギルは慌てた様子は無く、「よくぞここまで来た・・・」と余裕をもって言います。
アクドス・ギルにはどうして下層階の兵達が自分を助けに来ないのか、理由は分かりませんでした。
ただ、何らかの理由で下層階から艦橋に上がってくることが
出来なくなっているのだろうということは想像できました。

ならば他の艦に助けを求めるという手段もあるが、
他の艦に助けを求めようにも、司令室からしか他の艦に連絡は出来ない。
その司令室は今ザンギャック側はアクドス・ギルしか居ない状況であり、
マーベラス達と対峙したアクドス・ギルに他の艦に連絡している余裕は無い。

他の艦はまさかギガントホースでこんな異常事態が生じているとは夢にも思っていないであろう。
いや、もし他の艦が何らかの方法でギガントホースの異常に気が付いたとしても、
皇帝の乗っているギガントホースを外から攻撃することは出来ない。
中に兵員を送り込んで内部から反攻するしかないのだが、
下層階から艦橋に上がれない状態であるなら、結局同じことです。
普通に考えて下層階の兵達がどうにかして司令室に上がってくるまでには
アクドス・ギルはマーベラス達に倒されてしまっていることでしょう。

もちろんマーベラス達がザンギャック皇帝である自分を殺そうとしてここまで攻め込んできたことは
アクドス・ギルも分かっています。
しかし、そんなことは無意味だと思いました。
もはやマーベラス達は逃げ場など無い。
仮に皇帝である自分を憎しみのあまり殺したところで、この海賊たちももう下の階に逃げることは出来ないし、
乗って来た艦は壊れてしまい脱出も出来ない。
いずれはこの司令室に殺到してくる兵達に殺されるだけのことだと、アクドス・ギルは思いました。

そして、落ち着いた口調で「だが・・・ここが墓場となる・・・!」と言って、
アクドス・ギルはゆっくりと司令官席に腰かけました。
どう転んでも海賊たちはここで死ぬことになるのだとアクドス・ギルは思いました。
しかし、マーベラスは「ああ・・・てめぇのな!」と言い返します。
自分達の退路のことまでいちいち考えてはいない。
いや、そんなことは後で考えればどうにでもなる。
今はとにかく敵の総大将を倒して、ザンギャック帝国の屋台骨を砕くことが、
地球への侵略を止めさせ、宇宙を平和にすることに繋がるのであり、
自分達の退路確保よりも優先事項でした。

しかしマーベラスは自分の手でアクドス・ギルを討ち取ろうとはしません。
代わりに鎧が「うおおおおりゃあああっ!!」と跳び上がり、
椅子に座ったアクドス・ギル目がけてゴーカイスピアを振り下ろします。
マーベラスもジョー同様、ザンギャックを倒すという夢の言いだしっぺである鎧こそが
アクドス・ギルを討ち取るべきだと考えており、鎧に攻撃は譲ったのでした。

ところが、その鎧の渾身の一撃は、
アクドス・ギルが座ったまま「ふん!」と差し出した指先で止められてしまいました。
「ああっ!?」と驚く鎧は、そのままアクドス・ギルの指先だけで槍ごと捻られて投げ飛ばされてしまいます。
驚いたマーベラスはすぐにアクドス・ギル目がけて斬りかかりますが、
このマーベラスの攻撃もアクドス・ギルは椅子に座ったまま、片腕だけで軽くいなして寄せ付けません。

鎧も起き上がってすぐに「おりゃあ!」とマーベラスとは逆サイドからゴーカイスピアで突いてきて、
司令官席に腰かけたままのアクドス・ギルに向かって、
椅子の両側から挟み込むようにしてマーベラスが「はあっ!!」とゴーカイサーベルを振るい、
鎧が「おおりゃ!!」とゴーカイスピアで突きまくり、凄まじい攻撃を加えるのですが、
アクドス・ギルはあくまで椅子から立ち上がらず、両腕の動きだけで2人の攻撃を全く寄せ付けず、
それどころか反撃までしてきて、鎧の顔を拳でぶん殴り、鎧は「ああっ!?」ともんどりうって床に転がります。
それを見てアクドス・ギルは愉快そうに「ハハハハッ・・・!」と笑います。

マーベラスはアクドス・ギルの予想外の強さに驚きました。
てっきり老いぼれの皇帝だと思っていたら、とんでもなく強い。
そこでマーベラスは、確かザンギャック皇帝アクドス・ギルが
昔、最強の皇帝だと噂されていたことを思いだしました。

その噂を聞いた時、マーベラスはそんなものは独裁者に対しておべっかを言った者の流した噂であり、
実際は大して強くないのだろうと思いました。
仮に昔は多少強かったとしても、今はもうただの衰えた老人に過ぎないとも思っていました。
ところがこうして戦ってみると、自分よりも遥かに腕が立つことは嫌でも分かります。
それにまだどう見ても本気では戦っていないようですから、
宇宙最強と言われても、それはあながち嘘ではないのだろうと思えました。
「宇宙最強の男」と言われていたダマラスと比べても遜色ないのかもしれない。
何にしても自分と鎧の2人で倒すのが容易ではない相手であることは間違いない。

さっきアクドス・ギルが「ここが墓場になる」と言ったのは、
戦って勝てる自信があるからこそのセリフだったのだとマーベラスは納得しました。
ちなみにアクドス・ギルがマーベラス達の侵入を知りながらダイランドーに帰還命令を出さなかったのも、
2人ぐらいの侵入者ならば、仮に司令室にやって来たとしても自分1人でも倒せるという
自負の現れでもあったのです。

何にしても、司令室まで突入すれば簡単に皇帝を倒せると思っていた
マーベラス達の目算は外れてしまったことになります。
しかし鎧は挫けることなく「・・・豪快チェンジ!!」と、ここで最強形態のゴールドモードにチェンジして、
マーベラスを殴って吹っ飛ばしたアクドス・ギルの背後に向けて、
アンカーモードのゴーカイスピアを繰り出します。

これを軽く上腕で受けたつもりのアクドス・ギルは、
その槍先のさっきまでとは次元の違うパワーに「む!?」と驚き、
思わず椅子から立ち上がり、身構えました。

遂に皇帝アクドス・ギルを椅子から立ち上がらせることに成功した鎧は、
皇帝の座っていた椅子の上に飛び乗り、「この姿になった俺は一味違うぜぇっ!!」と激しく啖呵を切り、
「やあっ!!」と飛び降りながらアクドス・ギルにゴーカイスピアを振り下ろします。
これはさすがに指先や腕では受け切れないと判断したアクドス・ギルはいよいよ本気を出して剣を抜き
「むうん!」と、剣で鎧の槍を受け止めました。

アクドス・ギルは当初、自らの手でマーベラス達を倒すつもりもありませんでした。
皇帝らしく椅子に座ったまま攻撃を延々と受け流してやり、
自分の首を狙ってここまで辿り着いた海賊どもに、いかに自分達の努力が無駄であったのか思い知らせてやり、
そうして遊んでやっているうちに下層階から兵達が殺到してきてマーベラス達を仕留めればいいと思っていました。
皇帝たる自分がわざわざ仕留めるほどの価値がある敵でもないと、
これまでのマーベラス達の戦いを観察してきたアクドス・ギルは最初から見切っていました。

しかし、鎧のレジェンド15戦士分の力もプラスされたゴールドモードの攻撃を受けて、
アクドス・ギルはこれは自分が倒しておかねば他の兵達の手には余ると思い、
方針を変えて本気で戦い、倒しにかかることにしました。
それで初めて立ち上がり、剣まで抜いて鎧を攻撃してきます。
その剣技もパワーも凄まじく、鎧はゴールドモードでありながら完全に圧倒されてしまい、
遂に思いっきり肩から斬り下ろされて「うわあああ!?」と絶叫します。

更にアクドス・ギルは鎧にトドメを刺そうと、剛剣を振りおろし、
鎧はゴーカイスピアの柄でなんとか受け止めますが、
そのままアクドス・ギルは強引に押し斬ろうとして押し込んできます。
その圧倒的パワーを鎧は「ぐうっ・・・!」と必死に堪えます。

その時、アクドス・ギルは「む・・・?」と、何か妙だと思いました。
鎧のゴールドモードの強さに思わず目を奪われて一騎打ちの展開になっていたが、
敵はもう1人いたはずだということを思いだしたのです。
マーベラスの存在を忘れていたのでした。

といっても、アクドス・ギルが思わず鎧に目を奪われてマーベラスのことを失念していたのは、
ほんの十数秒ほどのことです。
しかし、その間にもマーベラスが自分に攻撃を仕掛けてくるチャンスはあったはずであり、
鎧が大ピンチなのにマーベラスが助けようともしないのは不自然でした。

それでマーベラスは何処に行ったのかと思い、アクドス・ギルが視線を素早く司令室内に巡らせると、
なんとマーベラスは前方窓際の右側のコクピットの前に座っています。
「なにぃ?」とアクドス・ギルは目を疑いました。
仲間のピンチを救おうともせずにマーベラスが向かっているコクピットは、砲手の座る席でした。
マーベラスは鎧やアクドス・ギルには目もくれず、一心不乱に砲手用のタッチパネルを操作しています。

アクドス・ギルはマーベラスの意図が分からず「何をする!?」とマーベラスに質そうとしますが、
アクドス・ギルの注意がマーベラスに逸れたのを見て、
鎧はアクドス・ギルの剣を押し返して、ゴーカイスピアで反撃し、
「・・・てめぇは俺だけ見てろぉっ!!」と怒鳴りつけました。

鎧に弾き飛ばされてしまったアクドス・ギルは、
やはりゴールドモードの鎧に対しては本気で集中して戦わねば危険だと悟ります。
本気で戦う限りは、剣技の差は圧倒的であり、アクドス・ギルが鎧に遅れをとることは有り得ない。
しかし攻撃力のパワー自体はゴールドモードはアクドス・ギルにダメージを十分に与え得るので、
アクドス・ギルとしては油断して攻撃を受けるようなことは決してあってはならない。
だから鎧が必死でアクドス・ギルに攻撃を繰り出している限りは、
アクドス・ギルはマーベラスからは目を逸らし、その行動を放置せざるを得ない。

アクドス・ギルはまずは全力で鎧を倒し、
その後、マーベラスを倒しに行くという方針にならざるを得ないのです。
つまり鎧のゴールドモードは、マーベラスがあのような行動をとることを想定しての、
その間アクドス・ギルを食い止めるための役割ということになります。
ゴールドモードならばアクドス・ギルの攻撃にある程度は耐えて、
アクドス・ギルがマーベラスのところに行かないように牽制することが出来る。
だから鎧はとにかく少しでも長くアクドス・ギルに食い下がることが至上命題だといえます。

問題は、鎧にそこまでの犠牲を強いてまでして、マーベラスが何をやっているのかです。
後ろで鎧が必死でアクドス・ギルと斬り合う間、タッチパネルを弄り続けていたマーベラスは、
その作業を終えると「よっしゃ!まとめていくぜ!!」と威勢よく叫ぶと、
棒状のハンドルを握って、その上部の発射スイッチを指で押します。
すると、ギガントホースの夥しい数の全砲門が全方位に向けて一斉に開き、
ビーム砲を延々と連射して、周囲に展開するザンギャックの大艦隊を次々と撃破していったのでした。

マーベラスが操作していたのは、ギガントホースの全砲門の全方位に向けての一斉射撃の設定であったのです。
つまり、旗艦のギガントホースからの砲撃で周囲に展開するザンギャックの大艦隊を殲滅するというのが、
マーベラスの目的であったのでした。

これはこの場で急に思いついたアイディアではない。
もともとマーベラスと鎧はこれをするためにギガントホースへの突入を敢行したのです。
その途中で皇帝を倒すことは簡単に出来るだろうと思っていたが、
それは目算が外れたのは確かに事実です。

しかし、もともとマーベラス達の真の目的はギガントホースを乗っ取って
ギガントホースの全砲門からの一斉砲撃でザンギャック大艦隊を殲滅することであったのだから、
皇帝が意外に強くて倒せないことが分かった段階で、マーベラスと鎧は皇帝を倒すことは諦めて、
まず真の目的である砲撃による大艦隊の殲滅を優先し、
ザンギャック艦のタッチパネルの操作は共通規格なので容易に出来るマーベラスが砲撃係となることは
最初から決まっていましたから、
必然的にこのケースではマーベラスがその作業を終えるまで皇帝を足止めするのが鎧の役目ということになります。
それは言葉は交わさずともこの状況に応じてお互いの役割を理解して行動した結果、この成功に繋がったのでした。

それにしてもマーベラスによって発射されたギガントホースからの砲撃の威力は圧倒的で、
ザンギャックの大艦隊はなす術もなく撃滅していきますが、
どうしてマーベラスはギガントホースにこれほど圧倒的な攻撃力が
備わっているということが分かったのでしょうか?

それは、まずは、このギガントホースだけがこの大艦隊の中で圧倒的に大きい超巨大戦艦であり、
他の艦は皆大した大きさではなかったからでした。
だからギガントホースだけが圧倒的な力を持っていると予想出来たのです。

しかし、何故ギガントホースだけが圧倒的なのか?
それはギガントホースが独裁者である皇帝の騎乗艦だからです。
独裁者は力で部下を押さえつけているため、部下を心から信用していない。
常に反乱に怯えている。
皇帝騎乗艦が他の艦によって攻撃されることを恐れている。

だから、そうした反乱を予防するため、皇帝騎乗艦以外の艦には、
皇帝騎乗艦に勝てるような装備は積むことは許さず、
皇帝騎乗艦だけが圧倒的な攻撃力を持つことになるのです。
それゆえギガントホース以外のザンギャック艦は攻撃力も防御力も大した能力は無く、
平凡な小型の規格品ばかりなのです。
だからやたらと数が多く必要なのだとも言えます。

それでも平凡な艦でも多く集まれば力になります。
それは敵にとっても脅威だが、皇帝にとっても潜在的脅威のはずです。
だからギガントホースには必ず、この空前規模の大艦隊をも殲滅出来るだけの装備が
奥の手として積んであるはずだとマーベラスは見ていました。
それは「ギガントホース」という名からも、ある程度は推測出来ました。

いや、皇帝騎乗艦にアレが積んでいないはずがないのです。
アレが他の艦に積んであって、皇帝騎乗艦に積んでいないなどということがあるわけはない。
そもそも今回、皇帝は地球を滅ぼすつもりで大艦隊を編成しており、
その旗艦であり皇帝騎乗艦がギガントホースなのだから、
絶対にアレは今回新たに積み込まれてギガントホースから発射出来るようになっているはずです。

アレとはもちろん、第10話でマーベラス達がザンギャック特別破壊部隊から奪って破壊した
ギガロリウムのことです。
これだけの数の大艦隊という名の潜在的反乱分子の真っただ中に身を置く孤独な独裁者ならば、
あの圧倒的破壊力のギガロリウム砲をギガントホースの全砲門から
味方の大艦隊に向けても発射出来るように今回新たにセットしてあるはずだとマーベラスは読んだのです。
いや、絶対そうに違いないと確信していました。

それゆえ、マーベラスはフリージョーカーでギガントホースに突っ込んで、
ギガントホースの司令室を乗っ取ることが出来れば、
きっとザンギャックの大艦隊を殲滅することが出来ると予想して作戦を立てたのでした。
その結果、やはりギガントホースには大量のギガロリウムが積んであり、
マーベラスはそれを使って全砲門からギガロリウム砲を全方位に向けて発射して、
ザンギャックの大艦隊を殲滅していくことが出来たのでした。

敵艦隊の方もいきなり味方のギガントホースからの攻撃を受け、
何が何やら分からないうちに撃破されていき、
反撃しようにも絶対的独裁者の騎乗するギガントホースを攻撃することなど出来るわけもなく、
なす術もなく一方的に殲滅される他なかったのでした。

つまり、仲間を切り捨てて自分の権力維持のみを目指す独善的な独裁者の精神ゆえに、
ザンギャックの大艦隊は、人々を守るために捨て身の作戦を敢行したマーベラス達によって敗れたのです。
これは仲間を切り捨てて宝を得ようとしたバスコが、
仲間を守るために自分を捨てようとしたマーベラスに敗れたのと同じことなのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:10 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その4

マーベラスがギガントホースからの一斉砲撃で
空いっぱいを埋め尽くすザンギャックの大艦隊を殲滅していったことにより、
地上からは爆散していく夥しいザンギャック艦がまるで青空いっぱいを埋め尽くす花火のように見えました。
地上でジョー達4人をいよいよ追い詰めてトドメを刺そうかとしていたダイランドーも
「ん!?」と頭上の空で起こっている異常事態に気付いて、ハッと空を仰ぎ見て、
その異様な光景に「うおおお!?」と驚愕します。

ダイランドーは「バ・・・バカな!?」と我が目を疑いました。
空一面を覆っていた自慢のザンギャック大艦隊が、悉く爆散して全滅していく様子が目に映ったのですから、
ダイランドーがその事態を落ち着いて受け取れるはずはない。
今の状況でそんなことは絶対に起こり得ないはずだったからでした。

地球には大艦隊に対抗する術は無かったはずであり、
マーベラス一味を支援する小型戦艦が1隻現れただけで、ザンギャック側の圧倒的優勢が揺らぐはずもなかった。
だから上空の大艦隊に変事が起こるなど、ダイランドーは全く予想もしておらず、
まさにこの事態は青天の霹靂でありました。
しかし目の前で起こっていることは間違いなく事実でした。
その事実を受け入れて「・・・帝国全域から集めた我らの大艦隊がぁっ・・・!?」とダイランドーは、
大空を仰ぎ見て大声で嘆きます。

帝国の支配する宇宙の全領域から無理に集めてきた大艦隊なのです。
つまりザンギャックの保有する全艦隊のほぼ大部分がこの地球上空に集結していたのです。
それが全滅したとなれば、今まで力で押さえつけていた帝国の支配領域でのパワーバランスが激変してしまう。
地球征服作戦が長引くことによって大艦隊が地球に釘づけになることだけでも
ダイランドーもアクドス・ギルも嫌がっていたのですが、
これはそんなどころでは済まない、絶対に起こってはならない最悪の事態でした。

呆然と空を見上げながら、いったい何故こんなことが起こったのか?と考えたダイランドーは、
この大艦隊を全滅させるだけの能力を有するのは、この世に旗艦のギガントホースしか有り得ないと気付き、
ただ1艦、上空で遠く艦隊中央で無事に浮かんでいるギガントホースからの砲撃で
大艦隊が蹂躙されていっているのだと知りました。
しかし皇帝アクドス・ギルがこの状況でそんなことをするはずはない。
何かギガントホースで異常事態が生じていることを悟ったダイランドーは
今すぐギガントホースに戻らねばならないと思いました。

一方、この上空の激しい爆裂音や凄まじい光によって示される変事は、
倒れていたジョー達4人にも嫌でも伝わっていましたが、
ジョーはそれよりも目の前で自分達に背を向けて空を呆然と見上げているダイランドーの姿を見て、
「今だ!!」と起き上がり、すかさず「豪快チェンジ!!」とデカマスターに多段変身し、
デカマスターの愛刀のディーソード・ベガをライフル状に構えて、柄から強力な光弾を連射して、
ダイランドーの背中をハチの巣のように狙撃します。

ディーソード・ベガは超音波振動であらゆるものを切断する特殊な刀ですから、
それと同じ原理で放たれる光弾は、いくらダイランドーでもまともに喰らえば大きなダメージを受けます。
不覚にもそれを背中に山ほど喰らってしまったダイランドーは苦しげによろめきながら
「・・・後ろからとは・・・!」と、ジョーの卑怯な攻撃に怒りを募らせます。
しかし、ルカ、ハカセ、アイムの3人も立ち上がり、
ジョーに呼応して「豪快チェンジ!!」と多段変身を遂げ、
「・・・卑怯だぞおっ!!」と振り返って激怒するダイランドーに相対しました。

マジマザーに変身したアイムはダイランドーの怒りの言葉に対して「・・・海賊ですから!」とさらりと返します。
海賊なのだから卑怯なのは当たり前。だから平気で背後からでも撃つ。
そんな風に今まで自分達を散々見下して、ありもしない罪をでっち上げて
海賊の汚名を着せてきたのはダイランドーたちザンギャック帝国の方です。

姫シンケンレッドに変身したルカもニヤリとして「そうそう!」と同意します。
今まで好き放題に人のことを海賊呼ばわりしてきておいて、その海賊に戦場で背中を見せる方が悪い。
こんな時だけ正々堂々戦うよう要求するとは、都合が良すぎるというものだ。

だいたい、真に卑怯者はどちらなのか?
無抵抗の一般市民、女子供や老人たちまで無差別に、空から砲撃して殺戮してきたザンギャックこそ
真の卑怯者ではないのか?
その卑怯者のザンギャク大艦隊は背後からマーベラスに撃たれて滅んだ。
ダイランドーも同じ運命を辿るのが当然とばかりに、
「もう貴様も終わりだ!」とジョーはディーソードベカを剣状に握り直して突っ込み、
大剣人ズバーンに変身したハカセも「ズ〜ンズン!」とズバーン風の掛け声を上げて続き、
ルカもアイムも共にダイランドーに突撃、4人はダイランドーへの猛反撃を開始したのでした。

一方、その上空では、遂にギガントホースの全砲門からの執拗に続く連射によって、
大空を埋め尽くしていたザンギャック大艦隊の全艦が跡形も無く消え去り、
ぽつんと浮かぶギガントホースの周囲には、何も無い青空が広がるだけとなりました。

ギガントホースの司令室の砲手席でずっと発射レバーのボタンを押し続けていたマーベラスは、
大艦隊の消滅を確認すると、「・・・ふぅ!」と大きく息をついてレバーから手を離し、
席を立って後ろを振り返りつつ「自慢の大艦隊も終わったぜ・・・」と、
アクドス・ギルに向けて落ち着いた態度で告げます。

しかしマーベラスが振り返った司令室の奥の方の状況は修羅場でした。
必死でアクドス・ギルを足止めしていた鎧が遂にアクドス・ギルに滅多斬りにされて
「うおおっ!!」と吹っ飛び、倒れ込みます。
しかし、そうして鎧が粘ったお蔭で、マーベラスはザンギャックの大艦隊を殲滅出来たのです。
そのことを知り、アクドス・ギルは「おのれぇ・・・!」と怒りの形相をマーベラスに向けます。

マーベラスが砲手席で何かを操作しているということは、
ギガントホースの砲で使って味方艦隊を攻撃しているのだろうということは
アクドス・ギルも察しはついていたのですが、
とにかくしつこく攻撃してくる鎧に背を向けてマーベラスに向かうわけにもいかず、
まずは鎧を片付けることを優先したところ、
焦ったアクドス・ギルは予想外に鎧を倒すのに手間取ってしまったのでした。

いや、マーベラスがザンギャック艦隊を攻撃していることは分かりきっており、
それを止めることが出来るのは、この状況ではアクドス・ギルしかいないわけなのですから、
アクドス・ギルが本気で自分の部下たちの艦隊を救おうと思ったならば、
自分は鎧に斬られるのを覚悟で、捨て身の攻撃でマーベラスを止めることに集中すべきだったのですが、
独裁者のアクドス・ギルには自分を捨てて他人を救うなどという発想は無い。
自分自身こそが帝国そのものであり、全てでした。
自分を犠牲にしてまで守る価値のあるものなど、アクドス・ギルの頭の中には何も存在しません。
だから、自分大事のアクドス・ギルはみすみす虎の子の大艦隊を失うことになってしまったのでした。

しかし別の見方をすれば、本当に大艦隊などはアクドス・ギルにとっては
自分の命を危険に晒してまで守るほどの価値は無かったのだといえます。
確かにこの大艦隊が失われたことによって、帝国の宇宙における覇権は崩れ去る。
それはザンギャック帝国の統治者であるアクドス・ギルとしては手痛い打撃でした。

しかしアクドス・ギルは自分とギガントホースさえ無事ならば、
覇権などまたいくらでも取り戻すことは出来ると思っていました。
何せギガントホースは大艦隊をあっという間に殲滅させるだけの戦力を有した艦なのです。
つまりギガントホース1隻で宇宙全体から集めたザンギャック大艦隊を凌駕する戦力なのです。

このギガントホースに自分が在る限り、無敵であり、
また宇宙の覇権など取り戻せるという計算が立つので、
アクドス・ギルは自分の身を危険に晒してまで配下の大艦隊を救おうとはしなかったのです。
大艦隊はやむなく見捨てて、優先すべきは侵入者の海賊2人を確実に始末して、
自分は生き残ってギガントホースの攻撃力を使って地球を滅ぼし、
宇宙の覇権を回復することだというのがアクドス・ギルの思惑でした。

そしてマーベラスも鎧もそのことは分かっています。
ギガントホースにアクドス・ギルがいる限り、地球の危機はまだ一向に去っていないのです。
そして、まだ戦いは終わっていないのです。

もともとマーベラス達がギガントホースに侵入して実行しようとしていたことは、
今やり遂げた大艦隊の殲滅だけではありません。
これだけでは、やろうとしていたことの半分でしかありません。

もともとマーベラス達がやろうとしていた作戦は、
まずギガントホースに突入して、警備兵と皇帝アクドス・ギルを倒して司令室を乗っ取った上で、
次にギガントホースの全砲門からの砲撃で大艦隊を殲滅し、
その後ギガントホースを強制着陸させた上で内部から爆破し、自分達は脱出するという作戦でした。

ところが司令室を占拠する段階で倒すはずのアクドス・ギルが想定外に手強くて倒せないので、
仕方なく、鎧がアクドス・ギルを足止めしている間にマーベラスが砲手席を占拠して
ギガントホースの全砲門からの砲撃で大艦隊を殲滅したのです。
だから、順序が逆になったが、やはり次はアクドス・ギルを倒さないと作戦は進まない。
つまり、まだ地球を守るための戦いは終わってなどいないのです。

マーベラスは「いくぜぇ!!」とアクドス・ギルに向かって
ゴーカイサーベルとゴーカイガンを手にして襲い掛かり、
大艦隊の殲滅に勢いづいた鎧も再び立ち上がってアクドス・ギルに攻撃を繰り出します。
しかしアクドス・ギルも2人を倒してギガントホースを操って
大艦隊の弔い合戦で地球を滅ぼす決意に燃え、マーベラスと鎧の攻撃を全く寄せ付けません。
悉く攻撃を弾き返されてしまったマーベラスと鎧は思わず後退し、
そこに怒りに燃えたアクドス・ギルは「許さん!!」と両肩の紋様から光弾を発射し、
これを喰らったマーベラスと鎧は「ぐあっ!!」と吹っ飛びます。

このように大艦隊の殲滅後もギガントホースで死闘が続いていることは、
地上でダイランドーと戦うジョー達4人も分かっています。
ザンギャック大艦隊を殲滅するだけの戦力を有したギガントホースがまだ無事に空に浮かんでいる限り、
地球の危機は去っていないのです。

ギガントホースが地上に向かって降下を開始しないということは、
まだマーベラス達は完全にギガントホースを掌握したわけではない。
おそらく皇帝はまだ生きていて、マーベラス達は皇帝と交戦中なのだろうということは、
その場にいなくてもジョー達には想像がつきました。

皇帝がそこまで手強いというのはジョー達にとっても予想外ではありましたが、
そうであるならば、なおさらダイランドーをギガントホースに帰還させるわけにはいかない。
既に重傷を負わせたとはいえ、ダイランドーはまだまだ手強い相手です。
このダイランドーがギガントホースに戻って皇帝と共に戦えば、マーベラス達が苦境に陥ることになり、
地球もピンチになるのです。
だからダイランドーはここでこのまま確実に仕留めておかねばならない。
それで4人は猛然とダイランドーへの攻撃の勢いを強めます。

ところで、この4人の豪快チェンジした4戦士は、
ジョーがデカマスター、ルカが姫シンケンレッド、ハカセがズバーン、アイムがマジマザーです。
4戦士ともに番外戦士であり、最強格の敵であるダイランドーに対抗して、
4人とも最強格の戦士である番外戦士をチョイスしたというところでしょう。

だが、どうしてこの4戦士なのかというと、
それは基本的には、この敵幹部を倒す派手な場面に見合ったアクションに合わせたチョイスでしょう。
番外戦士の10戦士のうち、ウルザードファイヤーと黒騎士はマーベラスと鎧の担当というイメージが強く、
デカスワンとシグナルマンはこの場面に映えるような大技が無く、
リオとメレはどうしてもこの2人のコンビ攻撃の印象が強いが、
ここは男同士、女同士のペアのアクション場面なので除外されます。

そうなるとデカマスター、ズバーン、マジマザー、姫シンケンレッドが残ります。
それぞれ極めて特徴的な大技を持った戦士たちで、
これらを使うことで、ここまでのエピソードでは無かったような面白い場面を作れます。

この最強格4戦士に変身して戦うジョー達でしたが、
それでも重傷を負いながらダイランドーも奮戦し、四方から取り囲んできた4人を受け止め、
ルカとアイムを弾き飛ばします。
吹っ飛ばされて「うっ・・・!」と転がったルカとアイムに向かって、
ダイランドーは両腕をジョーとハカセに押さえ込まれた状態で、
背中から突き出た砲口から「たあっ!」とレーザーを発射します。

するとアイムは起き上がって一歩前に出ながら「マジ・マジュナ!!」と呪文を唱えて、
「マジレンジャー」終盤で1回だけ使用したマジマザーの必殺技のブリザードクラッシュを
この場面で遂に使います。
これは強烈な冷気で敵を一瞬で粉砕する攻撃技ですが、
ここではさんざん4人を苦しめてきたダイランドーのレーザーの熱線を中和して
無効化する防御技として使用します。

こうしてアイムの前で炎と氷がぶつかり合い、爆発を起こして両者が消し飛ぶと、
その炎と蒸気が晴れた後方でルカが一瞬のうちにシンケンマルを烈火大斬刀に変形させ、
更にそれを大筒モードに構えて立っていました。
そういえば「ゴーカイジャー」ではこの大筒モードはまだ未使用だったような気がします。
しかも「シンケンジャー」本編でも稀にしか使われなかった簡易式のいわゆる「一人五輪弾」というやつで、
しかも姫シンケンレッドが使うパターンとしてはもちろん初披露です。

素早く構えて「大筒モード!はっ!!」とルカが叫んで発射した、この一人五輪弾は確かに大技だが、
スピード重視の技であり、ダイランドーを仕留めるほどの威力は無い。
しかしルカが狙っていたのはダイランドーの命ではなく、
その動きを止めてギガントホースに逃げられなくすることであり、
五輪弾の標的は、避けるのが難しいダイランドーの足でした。
相手の足を狙う攻撃も海賊らしいダーティーな攻撃です。

しかしダイランドーもこれに気付いて瞬時に「ほっ!」と跳び上がって避けようとしますが、
ハカセがダイランドーの肩を押さえてその動きを封じ、
ジョーは一瞬浮き上がって止まったダイランドーの無防備の左足に向けて
ディーソード・ベガの一閃を振り下ろして斬り裂きます。
更にそこに五輪弾が命中し、ダイランドーは「うあああっ!?」と絶叫して、もんどりうって転がり、
左足が完全にやられてしまったようで、起き上がるにも苦労する状態となります。

ここは一気に畳みかけるチャンスと見て、ジョーは「ハカセ!!」と呼びかけます。
するとズバーン姿のハカセは「ズンズ〜ン!」と何やらズバーン口調で張り切ったかと思うと、
なんとここで聖剣モードにチェンジしたのでした。

大剣人ズバーンは本来の姿はプレシャスで、レムリアの黄金製の聖剣であり、
「ボウケンジャー」本編でもしばしば聖剣の姿に変形してボウケンレッドの武器として使用されていましたが、
この「ゴーカイジャー」ではズバーンはここまで人型モードでしか使われていませんでした。
そのとっておきの聖剣モードへの変形をこの最終話に持ってきたのです。
しかもここの変形シーン、ハカセがいちいち変形しながら「あ!あいててててっ!?」などと
身体がパキパキ折れ曲がっていくことに苦痛を訴えているのが可笑しい。
まるで「ディケイド」のファイナルフォームライドのシーンのようです。

こうして黄金の聖剣の姿になったハカセのズバーンですが、
本来極めてハザードレベルの高いプレシャスである黄金の聖剣は、その威力は絶大です。
そしてその聖剣を手にしたのは、ジョーが変身したデカマスター、
銀河一刀流免許皆伝の、スーパー戦隊全戦士の中で最強格の剣客の1人です。

デカマスターに変身するオリジナル戦士、ドギー・クルーガーの修めた流派である銀河一刀流は、
その名の通り一刀で戦う流派ですが、
ここでデカマスターに変身しているジョーは二刀流において最強の剣力を発揮する剣士です。
ここでジョーは左手にデカマスターの愛刀ディーソード・ベガ、
右手にレムリアの黄金の聖剣を握る二刀流スタイルとなり、
デカマスターの姿をしながら戦隊最強剣客デカマスターの剣技をも超える新たな境地に突入していきます。

剣を握った両手を大きく広げて「おおうっ!!」と突っ込んだジョーは、
ようやく起き上がったダイランドーに「ふん!」と右手の黄金の聖剣で一閃、
そして続けざま「はっ!!」と左手のディーソード・ベガで一閃し、
ダイランドーを左右からの袈裟懸けに十字に斬ります。

なお、ジョーが普段の海賊スタイルで剣を握っているのは右手ですから、
二刀流とはいえ利き腕は一応右手です。
その右手に黄金の聖剣の方を握っているということは、聖剣の方で大技を放つということです。

すると、ここでジョーは「むん!」と右手で下段に構えた聖剣を
「おおおおおっ!!」と身体の前で円弧を描いて回し始めました。
そうすると聖剣の刀身が黄金色に輝き、
大きく1回転させた聖剣をジョーが胸の前に引きつけて下向きに構えると、
刀身には目いっぱいの闘気が充填されて、ひときわ眩く輝きました。

これは、シドからジョーに受け継がれた、あの円月剣の予備動作です。
ここから十字に空を斬り裂いて衝撃波を飛ばすのが本来の円月剣ですが、
ジョーは師の技を超えた証に、シドの改造された強敵バリゾーグにトドメを刺した時と同じように、
「うらあああっ!!」と裂帛の気合いと共に身体を回転させながら
横一閃にダイランドーの胸を斬り裂いたのでした。

ダイランドーは「・・・ぐあああ・・・」と絶叫して盛大に火花を噴いて吹っ飛び、これでほとんど勝負は決しました。
ジョーが右手から聖剣を離すと、
同時に聖剣はズバーン人型モードを通り越して一気にゴーカイグリーンの姿に戻り、
「・・・おあたぁ!」と痛がりながらハカセは転がり落ちて、
立ち上がると、容赦なくダイランドーの身体に叩きつけられた我が身を心配するように
「あ〜あ・・・!」とぼやきながら、身体の各所の関節をコキコキ鳴らして調整します。
そこにゴーカイピンクの姿に戻ったアイムが駆けより心配そうに「ハカセさん!」と声をかけ、
ゴーカイイエローの姿に戻ったルカも駆け寄ります。

しかし、さすがにダイランドーも大したもので、
聖剣バージョンでこの技を喰らってもまだ簡単には倒れません。
フラフラになりながらも執念で再び立ち上がってきたダイランドーに向け、
ゴーカイブルーの姿に戻ったジョーがゴーカイガレオンバスターを構え、
ジョーの背をルカとアイムが支え、ハカセはガレオンバスターを下から支えます。

ガレオンバスターは5つのレンジャーキーを挿して発射するものですが、今は4人しかいません。
どうするのかと思ったら、ここで4人はさっき変身解除した
デカマスター、ズバーン、マジマザー、姫シンケンレッドのレンジャーキーを
ガレオンバスターの側面の4つの鍵穴に挿しており、
ガレオンバスター後面のメインの鍵穴にはジョーがゴーカイブルーのレンジャーキーを挿し、
「ブル〜チャ〜ジ!!」という認識音と共にエネルギーの充填が開始されます。
最終話にして初のブルーチャージが来ましたが、
挿しているキー5つのうち4つが番外戦士のレンジャーキーであるという変則ライジングストライクです。

ダイランドーとしては、このダメージ過多の状態でライジングストライクを喰らってはひとたまりもない。
かといって、足も身体もボロボロでもはや避けることも出来ない。
もはや絶体絶命といえますが、しかしダイランドーは執念を振り絞り
「そうは・・・いかないでしょお!!」と叫ぶと、背中から出た発射口から無茶苦茶にレーザーを乱射してきて、
ライジングストライクの発射を阻止しようとします。

これがジョー達の前に炸裂し、その衝撃で「ぐうっ・・・!」と、遂に4人は変身が解けて生身に戻ってしまいますが、
4人は生身のままと必死に堪えて「うおおおおおおっ!!」とガレオンバスターを保持し、
ジョーはそのまま一気に引き金を引きます。

すると、生身ではライジングストライクの反動を抑えきれずに
4人はガレオンバスターを持ったまま後ろに吹き飛びますが、
発射されたライジングストライクは第38話のジョーとバリゾーグの決戦時のように
変身解除した4人のゴーカイジャーのレンジャーキーのエネルギーも巻き込んで
巨大なトルネード状の青い衝撃波の渦巻きとなって飛んでいき、ダイランドーを貫きます。
そしてダイランドーは「ぐあああっ!?そんなバカなぁ・・・ウソで・・・ちょおおおっ!!」と
断末魔の叫びを上げて大爆発して、遂に果てたのでした。

地面に叩きつけられた4人は身を起こして勝利を確認し、さすがに疲労困憊ですぐには立ち上がれません。
4人のダイランドーとの戦いは遂に終わりました。
しかし、まだ戦いは終わっていません。
荒い息を整えながら、ジョーは「・・・こっちはやったぞ・・・マーベラス!」と
青い空に依然として遠く浮かんだままのギガントホースの方を見上げ、自分達の勝利を告げ、
4人はマーベラスと鎧の戦いにエールを贈ります。

大艦隊を撃滅したのに、まだギガントホースが降下してくる気配が無く、
逆にギガントホースが地上を攻撃してくる気配や宇宙に逃げていく気配も無いということは、
未だマーベラスと鎧がギガントホース内で皇帝アクドス・ギルと戦っているということを
意味していることは、4人にも分かっていたからでした。

そのギガントホースの司令室では、
マーベラスと鎧が怒りの皇帝アクドス・ギルに一方的に押されまくっていました。
さっきまでのマーベラスの動きを気にしながら鎧と戦っていた時のアクドス・ギルとは違い、
今のアクドス・ギルは2人を殺すことのみに集中した迷いの無い状態です。
そこに正面からアクドス・ギルを倒しにかかったマーベラスと鎧の攻撃がぶつかり、
まさに真っ向勝負の様相となったのですが、
真っ向勝負となると、その実力差は歴然としているようで、
マーベラスと鎧の攻撃はアクドス・ギルには全く通用しません。

逆にアクドス・ギルの攻撃を喰らいまくったマーベラスと鎧は、
司令官席の前のパネルに2人並んで吹っ飛ばされて叩きつけられ、
「うおお・・・」と呻いて床に沈んでしまいました。
しかし、このまま殺されるわけにはいかない。
2人は執念で立ち上がります。

艦橋の窓側に立っていたアクドス・ギルは、それを見て「・・・しぶといな・・・」と冷たく言うと、
「ふんっ!!」と剣を一閃、強烈な衝撃波を2人に向けて発射し、
それを武器で受け止めた2人は、2人がかりで押し返そうとしますが、
アクドス・ギルの技が強烈すぎるのもあり、2人の体力がもはや限界ということもあり、
堪えきれず、「ぐああああっ!!」と吹っ飛ぶと、
後方のザンギャックの旗が掲げられた奥側の壁面の一番上に激突し、
2人は床面に落下して「・・・ぐあっ!」と呻き、鎧は遂にゴールドモードも解除してしまいます。

鎧もこれまでに無いほど長時間、無理してゴールドモードを使用し続けていましたが、
それも遂に限界で、これで多少はアクドス・ギルに脅威を与えていたゴールドモードも解除され、
ますますマーベラス達の劣勢は決定的となりました。

マーベラスと鎧は、やはりさすがに最強の皇帝というだけのことはあると、彼我の実力差を痛感しました。
2人がかりでも、到底、真っ向勝負で勝てるような相手ではなかった。
やはり、その武力で宇宙を制覇した最強の武人皇帝に、
宇宙海賊ごときがまともに戦って勝てると思ったのが間違いだった。
改めてそう思い知らされた2人は、このままでは自分達はアクドス・ギルには勝てないことを心の中で認めました。

積もり積もったダメージでもう2人の身体の疲労は限界に達しており、
アクドス・ギルはほぼ無傷であり、このまま戦っても有効打など与えられそうにない。
死なないためにはアクドス・ギルの攻撃を耐え続け、逃げ続けるしかない状況です。
しかし、そもそも、このまま戦い続けている時間すら、2人にはもはや残されていない気配が濃厚です。
そろそろフリージョーカーの突っ込んだフロアーの片付けが終わり、
下層階の夥しい兵達がこの司令室に殺到してくる頃です。
そうなれば、今のマーベラスと鎧はあっという間に殺されておしまいでしょう。

つまり、もう完全に詰んだ状態です。
勝負はもはや決した。
マーベラスも鎧も、自分はもうアクドス・ギルに勝てないことを心の中で認めて
「うう・・・」と呻いて立ち上がりました。

アクドス・ギルももはや勝利を確信しているので、
マーベラス達が立ったことに「おお?・・・まだ立つか・・・?」と呆れます。
勝負が既に決まっていることにも気づかないとは、なんと愚か者かと、
アクドス・ギルは2人のことを心中で嘲笑い、
また性懲りも無く2人が武器にレンジャーキーを挿して、
フラフラになりながらファイナルウェーブの態勢に入るのを見て、
「弾き返してくれるわ!」と剣を構えて2人の攻撃を真っ向から受け止めて遊んでやろうとします。
マーベラスはファイナルウェーブ態勢に入ったゴーカイガンをアクドス・ギルに向けて真っ直ぐ構え、
鎧も同じくファイナルウェーブ態勢に入ったガンモードのゴーカイスピアで
アクドス・ギルに真っ直ぐ狙いをつけます。

ところが、既にアクドス・ギルに真っ当に勝つことの不可能を悟った2人は、
今さらアクドス・ギルを攻撃するつもりはありませんでした。
突然マーベラスは「狙いはこっちなんだよぉ!」と嘲笑うように叫ぶと、
銃口をアクドス・ギルから逸らして、左斜め下前方に向けて「てい!」とゴーカイブラストを発射します。
鎧も同様に、銃口を右斜め下前方に向けて「おらあ!」とゴーカイスーパーノヴァを発射しました。

アクドス・ギルは「む!?」と2人の予想外の行動に驚きますが、
2人の発射した光弾は、ちょうど2人の真ん中前方にあった司令官席のコントロールパネルに炸裂し、
それを吹っ飛ばします。
すると司令室内の他の制御盤も全て火を噴き、
コントロールを失ったギガントホースの制御系統が暴走を開始して、艦内の各所で爆発が始まったのでした。

艦内に鳴り響く轟音と司令室を包み込む火花の中でアクドス・ギルは
「ま・・・まさか・・・!?」と思わず狼狽えました。
このままではギガントホースは爆発を繰り返しながら墜落するのは必至でした。
しかし、そんなことになればマーベラスと鎧の2人も爆発と墜落に巻き込まれて死ぬ可能性が高い。
だから、まさか2人がそんな暴挙に打って出るのはアクドス・ギルは予想していませんでした。

しかし、どうやらマーベラス達がギガントホースもろとも皇帝である自分を道連れにして
死のうとしているようだと気付いたアクドス・ギルはその無茶苦茶なやり方に慄然として、
とにかく早く逃げなければいけないと思い、慌てました。
すると、そこに「おおおおおっ!!」と叫んでマーベラスと鎧が突っ込んできていました。
2人は、司令官席のコントロールシステムを破壊した直後、
すぐに真っ直ぐアクドス・ギルを斬るために駆け込んできていたのです。
アクドス・ギルが逃げようとすることを先読みして、
その慌てたところを狙って一撃を食らわすチャンスだと最初から計算していたのでした。

マーベラスと鎧は自分達2人ではアクドス・ギルをまともに倒して
ギガントホースを掌握して地上に降ろしてから爆破することは無理だと悟り、
その方法には見切りをつけたのです。

アクドス・ギルを倒すことが出来ないのなら、
アクドス・ギルを倒さずにギガントホースを破壊するしかない。
つまりアクドス・ギルと戦いながら飛行中のギガントホースを破壊するしかないのです。
それは、司令室のコントロールシステムを破壊すれば出来ることですから、
アクドス・ギルと戦いながらでも十分に可能なことでした。

とにかくギガントホースを破壊して墜落させてしまえば、地球への脅威は無くなり、地球は救われる。
だからアクドス・ギルを殺してギガントホースを掌握出来ない以上、
この方法しか地球を救う方法はありません。
しかし、この方法を選べば、マーベラスと鎧もギガントホースの爆発に巻き込まれて
共に墜落することになり、命が危ない。
だから最初はマーベラス達はアクドス・ギルを倒した後、
ギガントホースを地上に降ろして自分達の退路を確保してから爆破しようとしていました。

しかし、アクドス・ギルとの戦いで追い込まれて、
やはり海賊が巨大帝国を倒そうとする以上、そんなに都合よく物事が運ぶはずはないのだと2人は悟りました。
自分の命を擲って戦わなければ
ザンギャックを倒して地球を守り宇宙を平和にするなんていう大きな夢を掴めるはずはない。
そのようにして自分たちはここまで勝ち抜いてきたのだと思い出した2人は、改めて肚を括り、
飛行中のギガントホースの破壊という危険な作戦を敢行したのでした。
そして2人は、そこまでやるのならば、とことん危険を冒してでも、
この最強最悪のザンギャック皇帝だけは沈むギガントホースの中で確実に仕留めようと決意しました。

爆発し墜落するギガントホースの中からでも、
実際のところマーベラスと鎧はその気になれば脱出できる自信は幾らかはありました。
しかし、その2人でも脱出できるということは、
アクドス・ギルだって脱出できる可能性は高いと考えた方がいい。
大艦隊とギガントホースを失ったアクドス・ギルに果たしてどれほどのことが出来るか分かりませんでしたが、
この驚異的な戦闘力を考えると、仕留められる時に仕留めておいた方がいいと思えました。

アクドス・ギルはギガントホースが沈むと知れば、間違いなく自分だけ助かろうとして注意が逸れるはず。
その瞬間を狙って斬る。
それだけで倒せる相手とも思えないが、とにかく勝負に持ち込めるところまでいけば、
この部屋に釘づけにしたまま爆発墜落に巻き込んで倒すことが出来る。

それは言い換えれば、マーベラスと鎧も脱出を諦めて爆発墜落に巻き込まれるということも意味するのですが、
そこまでしなければアクドス・ギルは倒せない。
アクドス・ギルが生き延びれば、必ず宇宙の平和に禍根を残す。
だから、この千載一遇のチャンスを、たとえ自分の命を危険に晒そうとも、
マーベラス達は逃がすつもりはありませんでした。

そうして爆発し始めたギガントホースの司令室の中でマーベラス達は脱出の道は捨て、
迷いなくアクドス・ギルに斬りかかり、
脱出のことを考えていたために一瞬迷いが生じて対応が遅れたアクドス・ギルは
慌てて剣で防御しようとしましたが、
「うりゃあ!!」と駆け抜けたマーベラスのゴーカイサーベルと鎧のゴーカイスピアが一瞬早く
アクドス・ギルの胴を斬り裂き、アクドス・ギルは久しぶりに身体に受けた刀傷の感覚に
「・・・ああっ!?」と驚き、力無く声を漏らします。

そこにクルリと振り向いた鎧が「おおおりゃああああっ!!」と気合一閃、
ゴーカイスピアを全力で突き出し、アクドス・ギルの腹のど真ん中を三叉の槍先で突き刺します。
「うあああっ!?」と悲鳴を上げたアクドス・ギルを突き刺したまま、
鎧は「おおおお!!」と全力で駆け出し、
「やあああああ!!」と叫びながらアクドス・ギルを司令官席の前のパネルにぶち当てて、
深々と串刺しにして槍先を抉ります。

その瞬間、艦橋全体で更に大きな爆発が起こり、
司令室の天井や壁を崩れてきて、各所で爆炎が巻き起こります。
その破滅的情景の中、司令官席の前のパネルにもたれかかって「・・・あああ・・・」と苦痛に足掻く
アクドス・ギルの顔を見て、鎧は「・・・へへっ!」とこの皇帝に殺された人々のことを想い
その皇帝の苦悶に満ちた顔に、彼らに代わって一矢報いてやった痛快さを覚えると槍を引き抜き、
身を翻してアクドス・ギルから離れてマーベラスと並んで、
「・・・ああああ・・・くううううっ!」と悔しげに呻きながらも身動きが出来なくなったアクドス・ギルに相対します。

そして、鎧はゴーカイスピアをガンモードにしてレンジャーキーを挿し、
マーベラスもゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿しながら
「・・・あばよ・・・最強最悪の・・・皇帝陛下!!」と一応はその恐るべき戦闘力に敬意を表します。
良くて爆発の中で相討ちと思って仕掛けた攻撃でしたが、意外にもこのまま倒すことが出来そうでした。
だからといって自分達がアクドス・ギルに勝ったわけではない。

勝負を分けたのは一瞬のことでした。
もしアクドス・ギルが自分が助かることにこだわらず、
爆発の中、相討ち覚悟でマーベラス達を仕留めに来ていれば、
おそらく自分達が敗れていただろうとマーベラスは思いました。
そうなれば、ここで屍を晒していたのは自分達であり、アクドス・ギルは脱出に成功していたであろう。

決して自分達がアクドス・ギルに勝ったわけではない。
最強の皇帝であるアクドス・ギルが独裁者ゆえに自分の命を賭ける価値を何も知らなかったために
自滅しただけなのです。
そんな気持ちの悪い存在を頂点に生み出した忌まわしき帝国も、ここで終わりとなります。

「これで最期だぁっ!!」と鎧がゴーカイスーパーノヴァを発射、
続いて「うおぉりゃあっ!!」とマーベラスが二連続で放ったゴーカイスラッシュが
スーパーノヴァに合体加速し、アクドス・ギルに突き刺さり、
アクドス・ギルは「ぐあああああっ!!」と断末魔の悲鳴を上げて大爆発、跡形も無く吹っ飛びました。

そして一瞬遅れて、マーベラスと鎧の周囲でも大爆発が幾つも起こり、
2人は「うわああああっ!?」と叫びながら爆炎の中に呑まれていき、
同時にギガントホースは艦内全体に一気に誘爆が拡大し機能を完全停止、
その巨体は全体が一気に炎に包まれて傾き、完全に推進力を失って地球の重力に引っ張られるまま、
巨大な火の玉となって墜落していったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:56 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その5

マーベラスと鎧が敵の旗艦ギガントホースに捨て身の突入の後、
高空に浮かぶギガントホースを皇帝アクドス・ギルもろとも内部から爆破し、
高空で大爆発を起こして墜落を開始した、ここまでがAパートです。
そしてCM明けのBパートは、
巨大な燃え盛る火の玉と化したギガントホースが墜落していくのを懸命に追いかける
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人の姿から始まります。

4人は死闘の末、皇帝親衛隊のダイランドーを倒し、高空に浮かぶギガントホースを見守っていましたが、
ほどなくギガントホースが火を噴いて傾き、そのまま炎に包まれて墜落し始めたのを見て驚き、
残骸を撒き散らしながら斜め下方に向けて墜ちていくギガントホースを懸命に追いかけてきたのです。
4人が荒野に駆けてきた頃にはギガントホースはその巨大な姿をハッキリと見ることが出来るくらい
落下してきており、もはや原型をとどめていないぐらいに破壊され、
完全に炎に包まれた無残な姿を空中に晒していました。

しかし4人がその姿を確認した直後、その火の玉と化した巨体は
ジョー達の視線の遠方に広がる荒野に猛スピードで叩きつけられて、
凄まじい大爆発を起こして粉々に砕け散ったのでした。
ザンギャック大艦隊が撃滅された後、残されていた地球に対する脅威であった旗艦ギガントホースは、
こうして、その凄まじい戦闘力、膨大な兵員たち、そして皇帝アクドス・ギルと共に滅び去りました。
これで地球は救われたのです。

しかし、マーベラスと鎧の2人も炎に包まれて墜落したギガントホースの中にいたのです。
いや、ジョー達4人はマーベラス達がギガントホースに突入する姿を確認したわけではないが、
ザンギャック大艦隊が一瞬で殲滅された後、
ただ1隻残っていたギガントホースまでも爆発炎上して墜落したのですから、
これはマーベラス達がギガントホース内部への侵入に成功した結果としか考えられませんでした。
もしマーベラス達がギガントホースの艦内で敗れて殺されたか捕らわれたのであるならば
ギガントホースが爆発するわけはないので、この爆発はマーベラス達が起こしたものだと
ジョー達には分かっていました。

つまりマーベラスと鎧は皇帝とギガントホースを道連れに自爆の道を選んだようなのです。
確かに決死の作戦であったし、マーベラスもあえて必ず生きて帰るとも言わなかったわけですが、
それにしても意外な結末にジョー達は焦り、遠く前方の荒野で燃え盛るギガントホースの残骸に向かって、
アイムは「マーベラスさ〜ん!!」と大声で呼びかけ、ハカセも「鎧〜!!」と必死で叫びます。
しかし当然返答は無く、アイムとハカセはガクッと地に膝をつき、項垂れました。

ジョーとルカも呆然と立ち尽くし、燃え盛る墜落場所を見つめ、
そして、たった2人でギガントホースを内部から破壊するには、結局こうするしかなかったのだと思えてきました。
常識的に考えて脱出など不可能であり、艦を道連れに自爆するしかギガントホースを屠る方法は無い。
そんなことは皆、分かっていましたが、
それでもマーベラスと鎧ならば何とかして生き延びるのではないかと淡い期待をしていたのです。

しかし、それは所詮ははかない望みに過ぎなかった。
2人の命と引き換えでなければ地球を救うことは出来なかったのかと4人が肩を落とした、その時、
4人の背後から「呼んだかぁ!?」という聞き慣れた声がしました。
ハッとして4人が振り返ると、4人の背後の上空からゴセイレッドと合体戦士ゴーオンウイングスの2人が
ゆっくりと降下してきたのでした。

ゴセイレッドは護星天使なので翼を生やして飛ぶことが出来ます。
まぁ、飛行機や鳥のように自由に空を飛び回るというよりは
浮力を発生させて重力コントロールするという感じに近いですが。
またゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのウイングス兄妹は
専用武器のロケットダガーを使って空を飛ぶことが出来るが、これも長距離飛行が出来るわけではなく、
フルパワー使用時のジェットダガーという技で、ジェット噴射で浮力と推進力を発生させて
自由に空中を動き回って敵を攻撃するためのものです。
このウイングス兄妹の合体戦士であるゴーオンウイングスはこのジェットダガーを二刀流で使うことが出来て、
2倍の浮力と推進力を駆使することが出来ます。

ゴセイレッドは翼を広げてゆっくり降下してきて、
ゴーオンウイングスはジェットダガー二刀流の推進力で浮揚してゆっくり降りてきて、
地上近くでゴセイレッドは変身を解いてマーベラスの姿となり、
ゴーオンウイングスは変身を解いて鎧の姿となり、2人は着地しました。
そして顔を上げ、マーベラスは「よぉ!」とジョー達4人にぶっきらぼうに声をかけ、
鎧は「ただいまです・・・みなさん!」と笑顔で挨拶しました。

マーベラスと鎧は無事だったのです。
皇帝アクドス・ギルを倒した直後、ギガントホースの司令室が爆炎に呑まれた時、
マーベラスと鎧も爆炎に呑み込まれたように見えましたが、
間一髪のタイミングで2人は艦橋の窓を破って外に飛び出し、
地上に向けて真っ逆さまに落下しながらゴーカイバックルからゴセイレッドとゴーオンウイングスの
レンジャーキーを取り出して多段変身し、羽根とジェットダガーで浮力を発生させて、
地上に激突する前に落下速度を下げて無事に降りることが出来たのでした。

ギガントホースと運命を共にして死んだのかと思っていた2人がいきなり背後から現れたので
ジョー達4人は一瞬呆気にとられましたが、
鎧の達成感に溢れた爽やかな顔を見て、作戦は成功し、戦いも終わった、
そして地球は守られたのだという安堵の想いが胸の奥から湧き上がり、
4人はマーベラス達に駆け寄ります。

アイムは「おかえりなさい・・・!」と笑顔で2人を出迎え、
ルカは「・・・ったく・・・ハラハラさせないでよね!」と、照れ隠しに少し怒った顔をします。
鎧はそれを受けて、4人に申し訳なさそうにペコリと頭を下げつつ、
4人の無事な姿を見て、4人もしっかり地上でダイランドーを倒してくれたのだと悟ります。
ジョーもゆっくり駆け寄って、無言でマーベラスと鎧の方を見ます。
しかし、まだ鎧を除く5人は喜びを露わにはしていません。
まだ確認しなければいけないことがあったのです。

それについてハカセが確認するように「ザンギャックの皇帝も・・・遂に地獄に落ちたんだね・・・?」と
感慨深く、鎧に訊ねました。
4人は鎧の口から、ザンギャックを倒して地球を守るという、
かねてからの夢を叶えることが出来たという報告を聞きたかったのでした。

もちろん、それは今では6人全員の共通の夢であることは自覚されているのですが、
マーベラス達5人は「地球を守る」という意識は少なくとも地球に来てから初めて持つようになったのであり、
むしろ「平和な宇宙を作りたい」という意識の方が昔から持っていた夢であると言えます。
それにしても、そうハッキリと昔から自覚していたわけではない。
ましてや、そのためにザンギャックを倒そうという発想までは持っていなかった。

ザンギャックを倒して地球を守り、平和な宇宙を作りたい。
こういう夢をしっかり5人が持つことが出来るようになったのは、
地球に来て鎧やスーパー戦隊の戦士達と出会った結果でした。
鎧やスーパー戦隊の戦士達は、数年前のレジェンド大戦の時からずっとその夢を叶えたいと思っていた。
その夢が遂に叶ったのです。

マーベラス達5人にもそれぞれが叶えたい夢がありました。
ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人は滅びた故郷、今は亡き家族や友人、それらを取り戻したいと思っていました。
しかし失われたものはもう戻ってこないし、過去は変えられない。
変えてはいけないし、受け入れないといけないのです。
だからジョー達4人の夢は叶わないのです。

そしてマーベラスはずっと宇宙最大のお宝を手に入れるという夢を追いかけていた。
しかしようやく手に入れたその宝は、過去を変えてジョー達の夢を叶えることが出来るものでした。
いや、鎧やスーパー戦隊の戦士たちの夢も労せずして叶えてくれるものでした。
しかし過去は受け入れなければならないし、
夢は過去を受け入れた上で苦境の中から自分の手で掴み取るものでなければならない。
つまり、マーベラスの追い求めた夢の宝は、その現物は無価値なものでした。

だからマーベラスはその宝を捨て、ジョー達も自分達の過去から引きずって来た夢と決別しました。
そうして自分達の本当の夢が
「命を賭けてザンギャックを倒して地球を守り平和な宇宙を作ること」だと知ったのです。

だが、それでも夢を捨てたこと、夢は叶わないと認めざるを得なかったことは本当は辛いことでした。
過去は変えられないと認めて、過去を受け入れることによって彼らは前に進めたわけだが、
救えなかった過去を想って心が痛まないわけはない。
だから、地球がまだ滅びているわけではなく、過去から抱いていた夢がまだ叶えられる段階にある鎧の夢は
自分達の捨てるしかなかった夢の分まで叶えさせてやりたいと、マーベラス達5人は思っていました。
その結果をハカセは鎧に聞きたいと思い、
それはジョーもルカもアイムも、そしてマーベラスも同じ想いでした。

それに対して鎧は「はい!」と会心の笑顔で応えます。
自分の昔からの夢を叶えさせてくれるために
ジョー達4人はダイランドーを足止めして側面支援をしてくれたのであり、
マーベラスもあのアクドス・ギルとの苦しい戦いの中で、
常に自分に花を持たせてくれるよう気を遣ってくれていたことに鎧は気付いており、
その感謝を示すためには、いちいち多言は必要なく、目一杯の笑顔で応えるのが良いと思ったのでした。

するとマーベラスは鎧の会心の笑みを見て、鎧のかねてからの夢が叶ったと知り、安堵しました。
そうすると、ようやくマーベラスの心の奥から夢が叶った喜びの気持ちが湧き上がってきたのでした。
そして、それはジョーもルカもハカセもアイムも同じでした。

これは義理の問題です。
確かにザンギャックを倒して地球を守ることが出来たということは、
マーベラス達5人にとって夢を掴んだことにあたるのですが、
その夢は鎧が5人よりも以前から抱いていた夢であり、
5人は鎧やその背後の地球人たち、スーパー戦隊の戦士達のお蔭で
この夢をハッキリ自覚することが出来たようなものです。

だから、最初に夢を叶えた喜びを示すべきは彼らであり、自分達ではないという遠慮がマーベラス達にはありました。
それゆえ、まず彼ら地球人側を代表して鎧に夢を叶えられたのかどうか確認し、
鎧が夢を叶えた喜びをしっかり示してくれたことによって、
マーベラス達は一種、義理を果たした形となり、
ようやく自分の夢を掴んだ喜びを遠慮なく表に出すことが出来るようになったのだといえます。

そうして心の底から全ての枷を取り払って存分に喜びを爆発させようとして
マーベラスが帰還後、初めて笑顔を見せた瞬間、
マーベラスは一瞬でその笑顔を引っ込めてしまい、ギロリと横目で背後に向けて意識を集中しながら
「・・・いや・・・まだだ・・・!」と呟きます。

そうして鋭い眼光をたたえて後ろに振り向いたマーベラスから少し離れた地点に1人の黒い人影が降りたちました。
「誰が地獄に落ちただと・・・?」とハカセの発言を厳しい威厳で咎めるように問い質したその黒い人影は、
アクドス・ギルでした。

ハカセは陰口を叱られたような気分で震え上がり、反射的にジョーの背後に隠れながら
「・・・生きてたぁ!?」と驚きます。
アクドス・ギルの姿はザンギャックのお札の肖像画になっているぐらいですから、
皆その顔は知っているようです。
そのアクドス・ギルが、てっきりギガントホースと共に死んだと思っていたのに
目の前に生きて現れたので、ハカセだけでなくジョーもルカもアイムも唖然として驚愕します。
鎧もまさかアクドス・ギルがあの状態から生きて脱出したとは信じがたいと驚きつつ、反射的に身構えました。

しかしマーベラスは、身構えるでもなく、傲然と胸を張って立ったまま、
せっかく存分に喜ぼうと思っていた気分を邪魔されて不機嫌そうな顔でアクドス・ギルを睨んで
「往生際の悪いヤツだ!」と呆れたように言い捨てます。

マーベラスは確かに自分達が脱出できたのだからアクドス・ギルが脱出していてもおかしくはないと思いました。
おそらく最後のファイナルウェーブを喰らった後、大爆発したのは後ろの司令官席の機械類であり、
アクドス・ギルはその爆発に紛れて逃走し、そのままギガントホースの外に逃れたのでしょう。
まさかアクドス・ギルが空まで飛べるとは思わなかったので、マーベラスも油断しており、
降下してくる時、アクドス・ギルに後をつけてこられていることに気付かなかったのでした。

それにしても、胴体を剣で斬られて槍で串刺しにされ、更にはファイナルウェーブでモロに胴体を貫かれながら、
それでも瞬時に脱出して空を飛びながらここまで追ってくるとは、恐るべきアクドス・ギルの生命力でした。
しかしマーベラスにはそのアクドス・ギルの不死身ともいえる生命力を恐れている様子はありません。
自分達が何をしてもアクドス・ギルを倒すことが出来ないのではないかというような
不安や絶望、無力感を覚えてもおかしくはない場面なのですが、全くそんな様子はありません。

むしろ、マーベラスは勝利を確信しており、
もはや勝負はついているのに、また倒されに来たアクドス・ギルのことを小馬鹿にしているようにすら見えます。
そのマーベラスの余裕の態度を見て、ジョー達もどうしてマーベラスが勝利を確信しているのか気付いたように、
瞬時に落ち着きを取り戻して、真っ直ぐ立ってアクドス・ギルを睨みつけます。
それはおよそ全宇宙を支配する皇帝を見る目つきではなく、
まるで倒されるために登場した格下の怪人の往生際の悪い足掻きを見るような目つきです。

アクドス・ギルはそんな6人の態度が気に食わず、生意気だと思い、「それは貴様たちだ!」と言い返しました。
往生際が悪いのはマーベラス達の方だというのです。
アクドス・ギルから見れば、さっきのギガントホースでの勝負は自分の方が圧倒的に勝っていました。
最後はたまたま艦の爆発に驚いていた隙を突かれただけであり、あんなものは実力の勝負ではない。
あの不意打ちで喰らったダメージも自分にとっては大したものではなく、戦うのに全く支障は無い。
アクシデントが無ければ自分がマーベラス達を殺していたはずなのであり、
自爆覚悟の無謀な攻撃で往生際悪く足掻いたのはマーベラス達の方でした。

マーベラス達はその悪足掻きがたまたま上手くいって、まんまと逃げるのに成功したに過ぎない。
しかしアクドス・ギルは大事な乗艦まで沈められて、絶対にマーベラス達を逃がすつもりはありませんでした。
執念で追いかけてきて、マーベラス一味の6人を一網打尽にして皆殺しにするためにここへやって来たのです。

アクドス・ギルは静かな怒りに身を焦がしつつ、
「運命を素直に受け入れろ・・・この私の手にかかって朽ち果てるという運命をな・・・!」と、
6人に対して得意げに処刑宣告をするのでした。
アクドス・ギルはまずここで憎きマーベラス一味を血祭りに上げて、
その後、自分1人でも地球人を皆殺しにしつつ、どうにかしてザンギャック本星から救援を呼び、
再び全宇宙に君臨するつもりでいました。

しかしマーベラスは「フッ・・・」と不敵に笑うと「そいつは無理だなぁ!」と嘲弄し、
他の5人もアクドス・ギルを睨みつけて一歩前に出て、マーベラスと横一列に並びます。
マーベラス達の妙な余裕の態度の意味が分からず「うぬ・・・?」と言うアクドス・ギルに対して、
マーベラスは「てめぇは俺たちに勝てねぇよ・・・」と静かに言い放ちます。

アクドス・ギルは「なんだとぉ?」と驚き呆れます。
さっきあれほど自分との戦いで手も足も出ていなかったマーベラスが
どうしてそんなに自信たっぷりのセリフを吐けるのか、アクドス・ギルには全く理解不能でした。
実力差はあまりに歴然としており、さっき負った手傷など、自分にはハンデにもならない。
マーベラス一味の6人のこれまでの戦いを観察してきたアクドス・ギルは、
この荒野であればさっきのようなアクシデントも起こることもなく、
今の自分がマーベラス一味に負けるなどということは全く想定出来ませんでした。
アクドス・ギルは、さてはマーベラスはさっき負わせた手傷が自分に有利に働くと思って勝てる気でいるのかと思い、
マーベラスの考えの浅はかさを内心嘲笑いました。

しかしマーベラスは、アクドス・ギルが自分達6人よりも遥かに強いことも分かっていましたし、
アクドス・ギルの生命力にとっては先ほどの傷などは大したハンデにはなっていないことも分かっていました。
それでもマーベラスが自信満々であるのには、ちゃんとした根拠がありました。
それは、今の状況でした。

アクドス・ギルは確かにマーベラスと鎧の2人よりも遥かに強かった。
しかし、それならば勝っていなければおかしい。
確かにマーベラス達はアクドス・ギルを倒すことは出来なかったが、
アクドス・ギルは大艦隊を失い、ギガントホースも失って、今はもうたった1人です。
これはアクドス・ギルの勝利とはいえないでしょう。
完全に敗北していると言っていい。

遥かにマーベラス達よりも強いはずのアクドス・ギルが、大艦隊と宇宙最強の戦艦を擁しながら、
たった6人の海賊によってその全てを失った挙句、無様に手傷を負わされ、
慌てて逃げ出して九死に一生を拾う羽目になった。
そんな程度の男がノコノコと現れて「運命を受け入れろ」などと大きな口を叩く。
マーベラスから見れば、それこそ滑稽でしかありませんでした。

アクドス・ギルが弱い皇帝ならば、
むしろ全てを失い手傷を負ってもなお追いかけてきた執念は評価してもいい。
しかしアクドス・ギルが圧倒的に強く、手傷など負ってもハンデにもならない最強の皇帝だからこそ、
この無様な結果はアクドス・ギルの決定的な弱さを示しているのです。

何故、圧倒的に強いアクドス・ギルが自分の艦隊や乗艦を失う羽目になったのか?
アクドス・ギルがその気になれば、マーベラス達の行動を阻止することは可能だったはずです。
しかしアクドス・ギルはそのチャンスを活かすことが出来なかった。
それは、アクドス・ギルが自分の命を危険に晒してまでも艦隊や乗艦を守ろうとはしなかったからです。

一方、マーベラス達は常にどの局面でも地球を守るために
ザンギャックの艦隊やギガントホースを潰すための命を賭けた行動をとっていました。
逆にアクドス・ギルは常に自分の命を惜しんでいたので、マーベラス達の捨て身の行動を予想することも出来ず、
マーベラス達の命懸けの行動に気後れして、ズルズルと妥協を繰り返した挙句、気が付けば全てを失っていたのです。

アクドス・ギルが圧倒的に実力で優っているにもかかわらず、マーベラス達を倒すことが出来ず、
逆に手傷まで負わされたのも、
刺し違えてでもアクドス・ギルを倒そうとしたマーベラス達の気迫に対して、
不測の事態に自分の命を守ることに執着して、
どんなことをしても相手を倒そうという気迫に欠けていたアクドス・ギルが遅れをとったのは
当然であったというだけのことです。

マーベラス達が刺し違えてでもアクドス・ギルを倒そうとしたのは、命を捨てても守りたいものがあったからでした。
アクドス・ギルにはそういうものが無かった。
だから命を賭けて戦うことも出来ず、命を賭けて艦隊や乗艦を守ることも出来なかった。

アクドス・ギルにとっては、部下も艦隊も自分の乗る旗艦も、息子さえも、
命を賭けて守る対象ではなかったのです。
絶対的独裁者であるアクドス・ギルにとっては、自分こそが帝国にとって最も大事な守るべき存在であり、
宇宙で最も大切な宝でした。
だからアクドス・ギルは決して自分の命を賭けて戦うことが出来ない。

今までマーベラス達が戦ってきたザンギャックの怪人や幹部たちは、
少なくとも皇帝や帝国のためには命を賭けて戦っていました。
その連中に比べてアクドス・ギルは確かに武力的には強かった。
しかし、命懸けで守るものを持たないアクドス・ギルは他の連中よりも本質的に弱い。
他の連中の方がよほど手強さを感じた。

ギガントホースの戦いの最後、艦が爆発する中、
敵を目の前にして自分の命惜しさに狼狽えて隙だらけになったアクドス・ギルの醜悪な姿を見た時、
マーベラスと鎧はそのことを確信したのでした。
だからマーベラスと鎧は今さらアクドス・ギルに負ける気が全くしなかったのです。

ギガントホースに居合わせなかったジョー達4人は
そうした具体的イメージでアクドス・ギルの弱さを掴むことは出来ませんでしたが、
マーベラスと鎧が確実に倒したと思っていたアクドス・ギルが1人で現れたのを見て、
マーベラスと鎧の会心の一撃も通用しないほどの強者であるアクドス・ギルが、
そんな自分より遥かに実力の劣る2人に艦隊や乗艦を撃滅された上に
無様に手傷まで負わされたのだという事実に気付き、アクドス・ギルの覚悟の欠如を悟ったのです。
そして、それは独裁者ゆえの歪んだ自己偏愛ゆえであり、
己の命を賭けて守るものを持ち得ない者の弱さだと知ったのでした。

ただ、それでもアクドス・ギルの戦闘力が極めて高いのも事実です。
純粋に戦闘力では確実にマーベラス一味6人を合わせた力よりも上回ります。
覚悟の差が勝敗を分けるのは腕前が互角な場合のことであり、
実力差が歴然としている場合は多少の覚悟の差は優劣をひっくり返す要素にはなりません。

ならば、実力差が埋まっていない状況で、
それでも覚悟の差で優劣をひっくり返すことが出来るとマーベラス達が確信しているということは、
その覚悟の差が圧倒的であるという自負があるからだということになります。

しかし、もともとはマーベラス達はザンギャックの連中とそう大差の無い者達であったはずです。
自分の命を賭けて守ることの出来るものなど、自分に近い、ごく限られた相手だけでした。
そんな程度の覚悟であったからこそ、ザンギャック帝国の正規軍からは逃げ回っているだけの
お尋ね者の宇宙海賊に過ぎなかったのです。
宇宙に住む全ての人々がザンギャックに対しては、
そうして汲々と自分自身と自分の周囲の少数の人々だけを守るので精一杯の覚悟しか持ち得なかったからこそ、
ザンギャックの支配は盤石であったともいえます。

そんなマーベラス達が変わったのは地球に来てからでした。
この星は特別だったのだと、今となってはマーベラス達には何となく理解出来てきました。

「・・・この星を狙ったのが間違いだったんだ!」と
ジョーがアクドス・ギルに終わりを宣告するように言い放ちます。
それはつまり、この星がこの宇宙の陰性の極ともいえるアクドス・ギルにとっては相性が最悪の、
決して近づいてはいけない星だったのだということを示していますが、
アクドス・ギルにはジョーが何を言っているのか理解出来ません。

どうせアクドス・ギルには分かるまいと思いつつ、
ルカも「この星にはねぇ、あたしたち海賊でも手を出せない、大きな力があったのよ!」と
アクドス・ギルの禍々しい姿を真っ直ぐ見据えて言います。
ルカ達のような海賊でも手を出せない、つまり奪い取ることは出来ないということは、
それは形の無いものだということです。

アクドス・ギルの戦う力はその全身凶器のような宇宙最強の身体に由来する形ある戦闘力であり、
それゆえアクドス・ギルにとっては自分こそが最も大切なものであり、
自分以上に守るべきものを持たなかった。

しかし一方、この星に存在した大きな力は、
形ある戦闘力としては確かにアクドス・ギルほどは強力なものではなかったが、
そこにはどんな危機に際しても命を賭けてこの星の人々を守ろうとする
捨て身の精神から生み出される戦う力があったのです。

それはアクドス・ギルの持つ力とは対極にある力であり、
その本質は己を捨て、己を虚しくする力であり、究極的には形を持たない力となります。
それがこの星には、まさに形を失った状態で存在していたのです。
そのことを自分達はこの星に来て知ったのだとルカは言うのですが、
アクドス・ギルには何のことやらさっぱり分からず「なにぃ・・・?」と呻きます。

自分の力のみを信じ、形あるものしか信じることの出来ないアクドス・ギルにはどうせ分かるまいとばかりに、
ハカセはアクドス・ギルに向かって真っすぐ指を突き立て、
「お前には見えないだろうけど、僕たちは6人だけじゃない!」と怒鳴りつけました。
その形のない力、形を失った力は、今やマーベラス一味の6人と共にあるのです。
ハカセにもその力が目に見えているわけではありません。
しかし、その存在はハッキリ感じることが出来ます。

しかしザンギャックの連中、特にアクドス・ギルには
それは感じることも想像することも出来ないのだろうとハカセは思いました。
おそらく、それがこの宇宙の秘密の仕組みなのです。
そのことにようやくハカセも気付いてきました。

アイムも「私達の後ろには、この星を守り続けてきた人達がいます!」と、凛としてアクドス・ギルに言い放ちます。
この星を命を賭けて守り続けてきた戦士たちの命懸けの覚悟の力が、
今や形は無く目には見えない状態になっていますが、自分達と共にあるから、
自分達は6人のように見えて、決して6人だけではない。
目には見えないが、その命懸けの戦いを連綿と受け継いできた戦士達が
自分達6人の背後にいるのだとアイムは言います。

そのアイムの言葉、いや、ジョーから始まる4人の言葉を受けて、鎧が右手を天に突き上げ、
「・・・34のスーパー戦隊がいるんだ!」と言い、下を向き瞑目して、
その現在は実体を失った34戦隊192人の戦士たちの姿を脳裏に描きます。
その鎧が突き出した右手の先の虚空には、まるでマーベラス達6人の背後から支えるように
34戦隊192人の戦士たちの力が存在することを、マーベラス達は確かに感じ取ることが出来ましたが、
アクドス・ギルにはその力は感じ取ることは出来ず「うぬぅ・・・?」と唸ります。

そして鎧は右手を下ろして顔を上げ、目を開いてアクドス・ギルを睨みつけ
「その力・・・今見せてやる!」と宣言しました。
つまり、簡単に言えば、命懸けで地球を守り続けてきた34のスーパー戦隊の力が自分達と共にある以上、
命懸けで守るものを持たないアクドス・ギルとは覚悟の差は歴然であり、
それは歴然とした実力差をひっくり返してアクドス・ギルを打ち負かす力となるのだと鎧は言っています。

しかし、それは本当にアクドス・ギルをも倒す力となるのか?
それについて鎧も含めて、マーベラス達6人は確信しています。
ザンギャックの大艦隊を撃滅する戦いを通して、
この物語世界の構造が何となく呑み込めてきたからです。

マーベラス達が見たところ、ザンギャック帝国とスーパー戦隊とは両極端な存在でした。
ザンギャックは巨大な物量の力、強靭な肉体を持った戦士の力、
すなわち形がハッキリした物質的な力が非常に強力であり、
皇帝を筆頭に自己の持てる物を重視し、命を賭けて他のものを守るということをしない傾向が強い
エゴに満ちた帝国です。
それゆえにあらゆるものを他者から奪って我が物とし、支配下に置いた者達からも収奪し尽くす、
極めて侵略的傾向の強い独裁軍事帝国となりました。

一方、スーパー戦隊(および、その影響を受けた地球の人々)は、
物質的な力はザンギャックには遥かに及ばないが、
苦しい状況でも自分の命を賭けてでも他の人々を守ろうとする想いの生み出す、
目には見えない、形にはハッキリとしていない精神的な力が強く、
レジェンド大戦の時もこのスーパー戦隊の力がザンギャックの侵略軍を撃退したのですが、
最終的にザンギャック軍に追い詰められた時、逆転勝利をもたらしたのは、
スーパー戦隊の戦士たちの身体から放出された、この精神的なパワーでした。
そして、それが宇宙に散らばってレンジャーキーとなったのです。

つまり、どうやらスーパー戦隊の力の本質は
この彼らの長い戦いの中で蓄積した精神的なパワーなのであり、
そのパワーが最大限に発揮されるのは、戦士の身体から離れて純粋な精神エネルギー体となった時なのであり、
その34戦隊分の最大限のパワーはザンギャックのパワーを凌駕し、ザンギャックを倒す力があるようなのです。

だから、ザンギャックの侵略が地球に及び、
スーパー戦隊の戦士たちの力を結集してもザンギャックの猛威を止められなくなった時、
スーパー戦隊の戦士たちの身体からその精神エネルギーが飛び出して、ザンギャック艦隊を撃滅した後、
宇宙に飛んでいったのです。

これはおそらく、40年ほど前に、この宇宙にスーパー戦隊とザンギャックが生まれた時に
プログラムされていたことなのだろうとマーベラス達は理解しました。
この両者はどういうわけなのかは分からないが、宇宙の根本的な成り立ちに関連した存在なのだ。
だから「宇宙最大のお宝」による宇宙創成のためにスーパー戦隊の存在を消費する必要があり、
そのスーパー戦隊の力だけがこの宇宙で唯一、ザンギャックの侵略を退けた実績があるのです。
スーパー戦隊の精神を理解し、スーパー戦隊と同じように地球を守るために命を賭けた自分達が
ザンギャックの大艦隊を撃滅し得たという経験を通して、
マーベラス達はその仕組みに気付いたのです。

たぶん宇宙の陰極としてのザンギャックと、宇宙の陽極としてのスーパー戦隊があり、
ザンギャックはひたすら侵略し収奪して勢力を広げ、物質的なパワーを高めていき、
スーパー戦隊は地球において命懸けで人々を守って戦い、
精神的なパワーを蓄積していくという構造であったのだろう。

そしてザンギャックの侵略が地球にまで及んだ段階で、
スーパー戦隊の戦士たちの己を捨てる覚悟でその体内のパワーを放出した時、
その身体に蓄積された精神的パワーが放出され、
そこからザンギャックを潰すためにプログラムが動き出す仕組みになっていたのでしょう。

そのことを踏まえて、ジョーはアクドス・ギルに向かって、
地球を狙ったのが間違いだったのだと言ったのです。
地球を狙ったことによってザンギャックの滅亡のプログラムは動き出していたのだ。

そのプログラムとは、
レジェンド大戦でその放出された精神エネルギーがザンギャック艦隊を撃滅したことを指すのではありません。
それは序章に過ぎないのです。
それだけでは、元マンモスレンジャーのゴウシが言ったように、
ザンギャックを地球から追い払っただけのことであり、ザンギャックを倒すことにはならないからです。
宇宙の仕組んだプログラムはザンギャックを滅ぼすことであり、
そのためにその放出された精神エネルギーは宇宙に飛んでいき、レンジャーキーと化したのです。

それは何のためなのかというと、
そのレンジャーキーに込められた34戦隊の精神エネルギーを全てまとめて最大限に引き出して戦い
ザンギャックを滅ぼすことの出来る宇宙人の戦士を見つけるためだったのです。
その戦士がどうして地球人ではなく宇宙人でなければならないのかというと、
ザンギャックを滅ぼす資格を持つ者は、ザンギャックに支配され虐げられた苦しみの中で、
平和な宇宙を作るためにザンギャックと命懸けで戦ってきた者でなければならなかったからでしょう。

ただし、ザンギャック支配下の宇宙では
本当に命懸けでザンギャックを倒して平和な宇宙を作るために戦うような者はいなかった。
だから、ザンギャック支配下の宇宙で命懸けで夢を掴もうとしている者がその候補者として選ばれて、
地球へ導かれ、スーパー戦隊の命懸けで地球を守り宇宙の平和を願う精神に触れることで、
その候補者に自らの心の中にも同様の精神が存在することに気付かせる必要があったのでしょう。
その候補者となり得る「ザンギャック支配下の宇宙で命懸けで夢を掴もうとしている者」というのが
「宇宙海賊」であったのです。

そうしたプログラムに導かれて地球へやって来た宇宙海賊のマーベラス一味は、
スーパー戦隊の元戦士達と出会い、地球人と触れ合うことによって、
彼ら戦士たちが己を捨てる覚悟で放出したことによって、
変身能力を失って戦士としては目に見えない、形になっていない状態となっている代わりに
最大限のパワーを引き出せる状態となっているスーパー戦隊の精神の大きなパワーを知り、
それと同じものが自分達の中にもあることを知り、その力を次第に引き出すことが出来るようになっていきました。

そうして最終的に第49話以降の展開の中でマーベラス達は
34のスーパー戦隊が自身の命と存在を捨ててザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうとしていることを知り、
そこに宇宙海賊としての自身の生きざまや夢がピタリと重なることを悟ったのでした。
その結果、マーベラス達はスーパー戦隊だけを犠牲にする解決策を捨て、
自分達が35番目のスーパー戦隊として、34のスーパー戦隊と同じように命懸けで戦って
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうと決意した。

それによってマーベラス達が地球へ導かれた真の目的は達成され、
マーベラス達は34のスーパー戦隊の精神的なパワーをまとめて最大限に引き出して戦い、
ザンギャックを滅ぼす戦士の資格を得たのです。

つまり、あの三角錐型の「宇宙最大のお宝」による宇宙創成のやり直しをやるかやらないか、
その価値をマーベラス達が決めるように「この星の意思」によって謎かけをされた一件は、
マーベラス達を35番目のスーパー戦隊にして
過去の34の全てのスーパー戦隊のパワーを結集した最強戦隊として完成させ、
ザンギャックを滅ぼす戦士とするための最終試練のようなものだったのです。

その試練を通してスーパー戦隊の真の想いを知り、その想いを引き継いで戦った結果、
たった6人でザンギャックの大艦隊を撃滅して地球を守りきったマーベラス達は、
それが自分達6人だけの力によるものではなく、
自分達が想いを引き継いだ34のスーパー戦隊全ての想いの力が結集したものによるのだと悟り、
その力はザンギャックの力を凌駕するのだと知ったのです。

そして、今までのレンジャーキーを巡る不思議な物語から考えて、
この結末はザンギャックが地球に侵略の触手を伸ばした数年前から動き出していた
宇宙規模のプログラムの帰結なのだと推測したのでした。

そのプログラムとは、宇宙の意思が巨大になり過ぎた悪の帝国ザンギャックを滅ぼそうとしているということであり、
そのプログラムは宇宙の両端にある地球とザンギャック本星の接触、
すなわち地球にいるスーパー戦隊とザンギャック帝国の侵略軍が接触することによって
発動する仕組みになっていたのだろう。
自分達はそのプログラムに導かれて、34のスーパー戦隊の全てのパワーを背負い、
そのザンギャックに滅びをもたらす使徒の役割を負うことになったのだとマーベラス達は理解しました。

それゆえ、マーベラスはアクドス・ギルに向かって「てめぇは俺たちに勝てねぇよ・・・」と言い切り、
ジョーは「・・・この星を狙ったのが間違いだったんだ!」と言ったのです。
アクドス・ギルは数年前に自らトリガーを引いてしまったザンギャックの滅びのプログラムに動かされて、
今こうして全てを失ってこの場所に立っている。

アクドス・ギルが運命に導かれて立つことになった、この場所とはいったいどのような場所なのか?
それは、ルカが「この星にはねぇ、あたしたち海賊でも手を出せない、大きな力があったのよ!」と言ったように、
ザンギャックの持つ物質的なパワーと正反対の性質を持ち、
それを凌駕する強大な精神のパワーが存在する特別な星だったのだ。

そしてハカセが「お前には見えないだろうけど、僕たちは6人だけじゃない!」と言い、
アイムが「私達の後ろには、この星を守り続けてきた人達がいます!」と言い、
鎧が「・・・34のスーパー戦隊がいるんだ!」と言うように、
その34のスーパー戦隊がその長く引き継いできた戦いの歴史の中で
地球の人々と共に培ってきた強大な精神のパワーは、
今やマーベラス一味の6人に完全に引き継がれているのです。

その強大な力は、スーパー戦隊の戦士たちは自覚していなかったのであろうが、
もともとは、いずれザンギャックを滅ぼすために宇宙の意思が
この地球でスーパー戦隊の戦士たちの身体の中で育ててきたものであった。
滅びのプログラムに従って地球に導かれたアクドス・ギルは、そんな自分の運命は知らずに、
今、そのザンギャックに滅びをもたらす力を全て引き継いだ6人の戦士の前に立っている。
「その力・・・今見せてやる!」という鎧の言葉は、運命の執行者によるアクドス・ギルに対する処刑宣告でした。

運命を受け入れるべき立場に立たされていたのはアクドス・ギルの方だったのです。
そのことにも気づかずにまだ足掻こうとしているアクドス・ギルを見て、
マーベラスは「往生際が悪い」と言ったのでした。

しかし、アクドス・ギルには自分の運命など分かりませんから、
あくまでこの場で優勢なのは宇宙最強の皇帝たる自分だと思っています。
本当はアクドス・ギルは見えない運命の糸によって導かれて、
殺されるためにこの場に来てしまったようなものなのですが、
あくまで自分がマーベラス達を殺すために自分の意思でこの場へ来たのだと思っています。
そして、その自分によって殺される運命を受け入れるべきはマーベラス達の方だと思っています。

だからアクドス・ギルから見れば、マーベラス達の言動は全て、弱い者の悪足掻きにしか見えません。
この場でマーベラス達がスーパー戦隊の名を出したのも、
数年前にザンギャックの大艦隊を撃滅した不思議な力を持つ戦士たちの名を出せば
相手をビビらせることが出来るとでも思ってハッタリを言っているだけだとしか思いませんでした。
そんなハッタリは自分には通用しないとばかりに、アクドス・ギルは
「ほざくだけなら誰でもほざけるわ!」と嘲笑うと、
「はぁっ!!」と両肩から6人を狙って光弾を発射します。

すると、マーベラスがゴーカイサーベルを差し出し、鎧がゴーカイスピアを差し出して、
「おらぁっ!!」とその光弾を弾いて軌道を変え、光弾は虚しく6人の背後の断崖に突き刺さり消滅しました。
「うう?」とアクドス・ギルは驚きました。
ついさっき、ギガントホースでの戦いでは、この2人はこの光弾の攻撃程度でも全くなす術が無かったはずなのです。

マーベラスはニヤリと笑って「俺たちは35番目のスーパー戦隊になった・・・海賊だからな!」と言いながら、
得意げにサーベルの峰をキュッと擦ります。

既に6人はさっきまでの6人とは明らかに違います。
命を賭けた戦いでザンギャックの大艦隊を撃滅して地球を守ったことによって、
6人は遂に過去の34のスーパー戦隊と肩を並べた存在となった。
その結果、34のスーパー戦隊の蓄積してきた全てのパワーを完全に受け継ぎ、
引き出すことが出来るようになっており、
同時にゴーカイジャーという35番目のスーパー戦隊として用意されていた戦隊のパワーも
全て引き出すことが出来るようになったのです。

それはすなわち、命を賭けて何も守ることが出来ないゆえに全てを失った
弱い心のザンギャック皇帝に引導を渡すための運命の力です。
さっき地球を守りきったことを認識した時、その運命の力を手にしたことをマーベラス達は自覚していました。

しかし、マーベラス達はここで、その宇宙的な運命のプログラムからあえて距離を置いています。
確かに自分達は宇宙の意思の定めたプログラムによって導かれてここまで辿り着いた、
運命の35番目のスーパー戦隊なのかもしれない。
アクドス・ギルはここで死ぬ運命とは知らずにここに導かれてきただけなのかもしれない。
しかし、決められた未来なんてつまらないじゃないか。

アクドス・ギルは運命に逆らう大馬鹿者かもしれないが、
自分の意思でマーベラス達を殺しに来たと信じている。
運命を自分で掴むために戦おうとしているのです。
マーベラス達は、アクドス・ギルは何もかも気に入らないヤツだと思っていたが、
それでも定められた運命をただ受け入れるような生き方に比べれば、
まだアクドス・ギルのそういう部分は親近感が持てました。

運命は自分で掴み取る。欲しいものはこの手で奪い取る。それが海賊ってもんです。
宇宙の意思のプログラムだか何だか知らないが、それはそっちの都合でしかない。
自分達はあくまで海賊だという姿勢をマーベラス達は貫くことにしたのです。
だからマーベラスは「俺たちは35番目のスーパー戦隊になった・・・海賊だからな!」と、
35番目のスーパー戦隊になったとは言いながら、
あえて「海賊」と自称することにこだわる姿勢を見せています。

定められた運命に従って、運命の執行者として戦うのではなく、
あくまで自分の意思に従って海賊として戦うのです。
相手が運命に抗って戦おうとするのならば、
自分達が定められた運命を拠り所として戦っては勝てないのだとマーベラス達は思いました。
何故なら、自分達がこれまで運命に抗って戦うことによって勝ってきたからです。
それが海賊としての自分達の戦い方であり、自分達はそういう海賊としての戦い方しか出来ないのです。
だから、ここでいきなり運命の執行者を気取って戦えば、
今度は自分達が足元を掬われるのだとマーベラス達は思いました。

宇宙の意思だろうが、定められた運命だろうが、そんなものもまた万能ではないということは、
これまでの戦い、そして「宇宙最大のお宝」の一件でもマーベラス達は学びました。
未来を開くのは、定められた運命などではなく、命を賭けて夢を掴み取る無力な人間の意思の力なのです。
それは、ついさっきマーベラス達自身がザンギャック大艦隊の撃滅によって示した真理であり、
また、35のスーパー戦隊がその長い戦いの歴史の中で示してきた真理でもあったはずです。

正義が勝利し悪が滅びるというのが宇宙の定めた運命なのかもしれない。
しかしアクドス・ギルがあくまでその運命に抗って自分の悪しき夢を掴み取ろうというのならば、
マーベラス達も運命は関係無く、正義も悪も関係無く、
ただ単にアクドス・ギルやザンギャックの目指す夢が、
自分達の目指す「平和な宇宙」という夢の邪魔になるという理由だけでぶっ潰せばいいのです。

自分達の目指す夢を自分の手で掴み取るためには、
ザンギャックやアクドス・ギルが、ただ単に邪魔で気に入らない存在なのです。
そんな奴らはこの手でぶっ潰して、夢は自分の手で掴み取る。
運命などには頼らずに、運命も自分の手で掴み取る。
そのために命を賭けて戦う。それが海賊ってもんなのです。

そこは思いっきりシンプルでいいのだとマーベラス達は思いました。
これはもはや宇宙の運命を賭けた正義と悪の戦いではない。
それはさっきもう既に終わった。
ここから先は単なる運命に抗う大馬鹿者同士が
どちらが生き残って夢を掴むかを決めるために全力で殺し合う盛大な喧嘩でいいのです。

「お前みたいな気に入らないヤツは・・・!」と鎧が目を輝かせてアクドス・ギルに向けて槍先を突きつけると、
それに呼応して、6人全員が「力の限りぶっ潰す!!」と渾身の気合いを発します。
そうして6人はレンジャーキーを取出し、「豪快チェンジ!!」と叫び、
レンジャーキーをモバイレーツに挿し、「はっ!!」と前に突き出し、ゴーカイジャーへと変身したのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 13:57 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その6

ザンギャックの大艦隊を撃滅して地球の危機を救った後、
遂に完全に35番目のスーパー戦隊となった宇宙海賊マーベラス一味の6人は、
アクドス・ギルとの決着をつけるべく、ゴーカイジャーに変身するため、レンジャーキーを取出し、
「豪快チェンジ!!」と叫び、レンジャーキーをモバイレーツに挿し、「はっ!!」と前に突き出します。

するといつもの変身バンク映像が、宇宙空間を「X」「X」の文字(鎧だけは錨マーク)が飛んできて
6人のゴーカイジャースーツが装着されたところで中途半端に途切れ、
メット装着場面が無いままバンク映像が終わりました。
どうしたのかと思うと、続けて、なんとマーベラスが首から下はスーツを装着して
首から上の頭部だけが素面の状態、いわゆる「メットオフ」状態で
「ゴーカイレッド!」といつもの名乗りポーズを決め、
そこに「X」「V」の赤い文字が飛び込んできてメットが装着されるという演出が披露されたのです。

そして海賊旗が一瞬はためいて、次にジョーの名乗り場面となり、
ここでもマーベラス同様、メットオフ状態のジョーが「ゴーカイブルー!」といつもの名乗りポーズを決めてから
「X」「V」の青い文字が飛び込んできてメットが装着されます。

以下、同様の演出でルカが「ゴーカイイエロー!」、
ハカセが「ゴーカイグリーン!」、
アイムが「ゴーカイピンク!」、
鎧が「ゴオオオオカイ!シルバアアッ!」と順々に名乗りを上げていき、
最後に6人全員が完全変身状態になった段階でマーベラスが「海賊戦隊!」と号令をかけ、
全員が「ゴーカイジャー!!」と叫び、全員名乗りのポーズを決めたのでした。
同時に6人の背後で派手な爆発の演出となります。

これはいわゆる、スーパー戦隊シリーズ恒例の、最終話付近に行われる「素面名乗り」というやつです。
まぁ恒例といっても毎年必ずあるわけでもなく、実は案外少ないです。
ダイレンジャーが最初で、カーレンジャー、メガレンジャー、ゴーゴーファイブ、ガオレンジャー、
ハリケンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーにおいて実施例があり、
過去34作品の中で実は10作品しか素面名乗りはやっていません。

しかもこのうち、ちゃんとした戦闘時のシチュエーションで個人名乗り付きの例は、
ダイレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、
ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの7作品で、
恒例とは言っても、恒例化されたのは実はごくごく近年のことです。

ダイレンジャーで初めて素面名乗りが描写された時というのは
「変身不能の時に仕方なく」という理由がちゃんとありました。
いや、そんなのは理由にならんですね。
変身不能の時に戦うのは自由だけど、別に名乗りまでやる必要は無いので。

ダイレンジャーの時というのは、ダイレンジャー篇の時にも触れましたが、
「変身出来なくてもダイレンジャーだ」という心意気を示すためだったわけです。
その後、20世紀の時期に素面名乗りをやった戦隊は、
みんな劇中でちゃんと素面で名乗りを上げる理由は描かれていました。

ところが21世紀に入って、ガオレンジャー以降は劇中で特に理由も描かれることなく
最終話付近になると素面名乗りをやるようになっていきました。
つまり「お約束化」してきたのです。

ただこの時期はまだ恒例化はしていません。
よく見てみると、今はライダーシリーズの方に異動になった塚田英明氏が
チーフプロデューサーを務めた作品においては、この素面名乗りはやらない傾向にあるようです。
「名乗りはあくまで変身後にするもの」というポリシーが塚田氏にはあるのかもしれません。

もしそうであるなら、確かにそれは塚田氏の方が正論ではあるでしょう。
名乗るのはあくまで変身後のコードネームなのですから、
変身前の素面でコードネームを名乗るのも変といえば変です。
だから、理屈としては特に理由の無い素面名乗りはやらない方が正解なのでしょうけれど、
やっぱり最終話あたりで素面名乗りがあると燃えるのも事実ですから、
まぁ、あくまで娯楽番組ですから、素面名乗りもアリだと思います。

ただ、どうしてもドラマの作り手からすると、何の理由も無く素面名乗りをさせるのは抵抗があるのか、
この、今までちゃんとした素面名乗りをやったダイレンジャー、ガオレンジャー、ハリケンジャー、
ボウケンジャー、ゴーオンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの7作品のうち、
本当に何の理由も無く素面で名乗りを上げたのは
ハリケンジャー、ボウケンジャー、シンケンジャーの3作品だけです。

この3戦隊は唐突に完全なる全身生身状態で
個人名乗りの最初から全体名乗りの最後まで素面名乗りを実施した後、普通に変身しており、
一体何のために素面で名乗ったのかよく分かりませんでした。
このパターンというのは実はかなり画的には間抜けで、
この3戦隊および、元祖素面名乗りのダイレンジャーの4戦隊の場合に、
この理由も無く長々とした完全生身素面名乗りが画的に成立しているのはどうしてなのかというと、
各自の個人名乗り時のポーズが複雑な動きであり、見栄えがするからなのです。
その見栄えの良さで唐突な印象を上手く誤魔化して生身素面名乗りを成立させているのが
ダイレンジャー、ハリケンジャー、ボウケンジャー、シンケンジャーの4戦隊といえます。

すると、残りのガオレンジャー、ゴーオンジャー、ゴセイジャーの3戦隊の素面名乗りは何なのかというと、
これはちゃんと理由のある素面名乗りになっています。
というか、厳密には素面名乗りではないのかもしれません。

この3戦隊の場合、正確には変身動作の途中で名乗っているだけなのです。
敵と戦うために当然のごとく変身をするわけですが、
その途中で素顔が出ている状態の時に名乗りを入れているわけです。
これなら唐突な印象は全く無く、非常に自然な流れです。
また、この3戦隊の場合、上記の完全素面名乗り4戦隊に比べて、個人名乗りポーズがかなりシンプルであり、
このシンプルなポーズは変身スーツ姿でこそ映えるが、
私服でこのシンプルなポーズをとった場合、あまりカッコよくないと思われます。

だから、考え方としては、
個人名乗りポーズがシンプルな戦隊は変身動作の途中で名乗りを入れる形の変則的な素面名乗りが適しており、
個人名乗りポーズが複雑で見栄えがする戦隊の場合は完全生身素面の名乗りを上げてから変身する方が
適していると言えます。
で、ゴーカイジャーというのは明らかに前者ですから、
今回のような変身動作途中の素面名乗りという形になったのでしょう。

さて、そうして変身しながら名乗りを上げたマーベラス達は
「うぬうう・・・」と唸るアクドス・ギルと対峙し、
マーベラスは「最後だからな・・・ド派手にいくぜぇっ!!」と威勢よく叫び、
アクドス・ギル目がけてゴーカイガンをぶっ放し、戦闘開始の合図とします。

「最後だから」というのは、ザンギャックとの決着をつける最後の戦いであるという意味でもあり、
メタ的な意味で、この作品における最後の戦闘シーンになるという意味でもあります。
この最後の戦闘シーンは、まさに「ゴーカイジャー」という作品のラストバトルを飾るに相応しい、
この作品の最大の特徴である「歴代戦隊への多段変身アクション」の集大成のシーンとなります。

まずマーベラスの撃った弾を「うぬっ!」と剣で受けたアクドス・ギルが
「やあっ!!」と剣を一閃し、反撃の衝撃波を6人に向けて飛ばしたところ、
6人は「豪快チェンジ!!」と叫び多段変身、
鎧はシリーズ第34作「天装戦隊ゴセイジャー」の追加戦士ゴセイナイトに変身して、
ディフェンストームカードで突風の壁を作り、衝撃波を相殺して防ぎます。

ちなみに、このようにディフェンストームカードで起こした風で
敵の空気の振動を利用した攻撃を相殺するというディフェンストームの上手い使い方は
この作品でよく見られました。

こうして鎧が防御している間に鎧の背後では、
それぞれ多段変身を追えたルカ、ハカセ、アイムが左右に散り、
一方、鎧の背後から大きく跳び上がって前方に飛び出してきたのは、
シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」の赤の戦士アカレンジャーに変身したマーベラスと、
シリーズ第2作「ジャッカー電撃隊」の青の戦士ダイヤジャックに変身したジョーでした。

アクドス・ギルの頭上に飛び込んだマーベラスは
アカレンジャーの個人武器のヤリビュートを「はあっ!!」と振りおろし、
並んで飛び込んだジョーもダイヤジャックの個人武器ダイヤソードを「ふんっ!!」斬りおろします。
しかし、さすがにアクドス・ギルにこの初撃がいきなりヒットするはずもなく、
アクドス・ギルは剣でヤリビュートとダイヤソードを受け止めると、弾き返します。

するとマーベラスとジョーはその衝撃を殺すように2人並んで華麗に後方宙返りして着地し、さっと左右に散ります。
そこに突っ込んできていたのが、
シリーズ第3作「バトルフィーバーJ」の黒の戦士(緑の戦士との説もある)のバトルケニアに変身したハカセ、
そしてその後ろにピッタリくっついて続くのは
シリーズ第5作「太陽戦隊サンバルカン」の黄の戦士バルパンサーに変身したルカでした。
ちなみに、このルカのバルパンサーはこの作品では何度も登場しましたけど
「にゃっ!」という脱力系の掛け声が印象的で素晴らしかったと思います。

このハカセとルカの2人がアクドス・ギルの不意をついて懐に飛び込み、
ハカセは「おりゃあ!」とバトルケニアらしい野性味溢れる荒々しいアニマルアクション、
ルカは「よっ!はっ!」とバルパンサーらしい身軽な身のこなしのアニマルアクションをそれぞれ駆使して
肉弾戦を挑みますが、アクドス・ギルはまだまだ余裕で、2人に有効打は入れさせません。

このハカセとルカの2人が深追いはせずに、さっと飛び退いて遠ざかったところに、
アクドス・ギルの背後から飛び込んできたのは、
シリーズ第4作「電子戦隊デンジマン」のピンク戦士であるデンジピンクに変身したアイムでした。
さっき鎧がアクドス・ギルの攻撃を防いでいる間に5人が最初に変身していた戦士は、
このようにシリーズ第1作から第5作までを代表する5戦士であったことが、これで判明したことになります。

さてアイムは、この作品でデンジマンといえばこればっかりだったという印象の、
デンジマンの共通武器であるデンジパンチの渾身の一撃を
「デンジパンチ!!」と叫びながらアクドス・ギルに打ち込みますが、
振り向きざまアクドス・ギルはこれで手にした剣の刀身で難なく受け止め、
肘打ちでアイムを突き飛ばします。

「ああ!?」と転がるアイムを飛び越えてそこに飛び込んでアクドス・ギルに斬りかかったのは、
さっきと同じゴセイナイト姿の鎧でした。
鎧の振り下ろしたゴセイナイトの剣型個人武器のレオンレイザーソードは
アクドス・ギルに刀身を掴まれて止められてしまいますが、
鎧はそれは折り込み済みであるかのように、剣を振り下ろしながら
「マーベラスさん!ジョーさん!」と合図を送っていました。

その合図に応えて、
アクドス・ギルがレオンレイザーソードを受け止めたのと同時に、
鎧の背後に隠れて迫っていたアカレンジャー姿のマーベラスとダイヤジャック姿のジョーが
鎧の背後から跳び上がります。
そして2人は鎧の両肩を踏み台にして2段ジャンプをして更に高く跳びながら
「豪快チェンジ!!」と叫び空中で更なる多段変身と遂げながら
アクドス・ギルの頭上を飛び越してその背後に着地します。

そこでマーベラスが変身したのは、
シリーズ第30作「轟轟戦隊ボウケンジャー」の赤の戦士であるボウケンレッドでした。
一方、ジョーが変身したのは、
シリーズ第17作「五星戦隊ダイレンジャー」の青の戦士であるテンマレンジャーでした。

あるいはここはシリーズの歴史を順番に追っていく多段変身なのかとも思いましたが、
そういうわけでもないようで、ここで一旦、シリーズ初期作品からは離れます。
しかし、ここまでよく見たら、6人全員が普段から自分が担当している戦士に変身しながら
順調に8戦隊を消化していき、
しかもアクションの登場順に無理が無い描写でありながら、
ちゃんと剣術アクションのペア、肉弾戦アクションのペアというように、
アクションのスタイルも合わせてペアまで作っているのですから、非常に構成は巧みといえます。

ここでマーベラスは「たあっ!!」と叫び、
ボウケンレッドの槍型の個人武器ボウケンジャベリンを繰り出し、
ジョーはダイレンジャーの共通装備であるダイレンロッドを「おおうっ!!」と突き出してきます。
つまり、ここは槍と棍という違いはあるものの、柄の長い武器を使うペアで合わせてきているわけです。

これでアクドス・ギルは正面に鎧、背後にマーベラスとジョーというように二正面に敵を受ける形となりますが、
この二正面からの攻撃も素早い剣で捌いていきます。
しかし、アクドス・ギルがマーベラスのボウケンジャベリンとジョーのダイレンロッドを受け止めている間に、
さっと鎧は後ろに跳び退きます。
そこには既にルカとハカセとアイムが次の多段変身の準備のために回り込んでおり、
鎧も揃ったところで4人一斉に豪快チェンジします。

ここでルカが変身したのはシリーズ第11作「光戦隊マスクマン」の黄の戦士のイエローマスクであり、
ハカセが変身したのはシリーズ第7作「科学戦隊ダイナマン」の黒の戦士のダイナブラックであり、
アイムが変身したのはシリーズ第18作「忍者戦隊カクレンジャー」の白の戦士のニンジャホワイトであり、
鎧が変身したのはシリーズ第26作「忍風戦隊ハリケンジャー」の追加戦士シュリケンジャーでした。

この両手で印字を組んで変身した4戦士は忍者戦士カルテットです。
ニンジャホワイトとシュリケンジャーが忍者であるのは言うまでもありませんが、
イエローマスクとダイナブラックは共に忍者の末裔で、忍術アクションが得意技の戦士でした。
この2人は結構特徴的な忍術アクションが見ものだったのですが、
この作品ではあまり見せ場は無くて少し残念でしたが、ここでようやく見せ場です。

ここでは、まずハカセが「ブラック分身!!」、ルカが「影分身!!」とそれぞれ掛け声をかけて、
ダイナブラックの得意の分身の術であるブラック分身の術と、
イエローマスクの影分身の術を同時に繰り出して、
多数のハカセとルカの分身が呼び込んでアクドス・ギルの背後を襲いました。

マーベラスとジョーの攻撃に対処していたアクドス・ギルは慌てて振り返って、
突っ込んでくるハカセとルカに分身に対処します。
同時にマーベラスとジョーはあえて背後から攻撃はせずに、さっと身を翻して遠ざかり、
次の攻撃の準備に入ります。
下手に背後から攻撃してもそう簡単に通用する相手ではないことは分かっているのです。

アクドス・ギルはハカセとルカの多数の分身に剣で対処しますが、
さすがに全部の分身を捌き切れず、何発も身体に攻撃を受けますが、
まだこれぐらいでは全くダメージは受けていません。
しかし、マーベラス達の攻撃も、最初の方のごく普通の攻撃ではなく、そろそろ特殊な技を使い始めており、
小手調べは終わって本気の攻撃に移行してきています。
それと同時にマーベラス達の攻撃がアクドス・ギルの身体にまともにヒットし始めてきているのです。
これはさっきのギガントホースでの戦いの時には考えられなかったことです。

そしてダブル分身攻撃に間髪入れず続いての攻撃は忍者カルテットの残り2人です。
鎧はシュリケンジャーをファイヤーモードにチェンジして
「秘打・・・千本ノック〜!!」と掛け声をかけて、シュリケンズバットでボールを打ちまくる
宇宙統一忍者流の超忍法・秘打千本ノックをここで使います。
同時にアイムは「折鶴の舞!」と叫び、多数の白い折鶴型の爆弾を掌から発射する、
ニンジャホワイトの得意とする隠流忍術の折鶴の舞をここで繰り出します。

これは両方の術ともに、猛スピードで多数の細かいものを飛ばして敵を攻撃する技であり、
先ほどの分身への対処に引き続き、アクドス・ギルはまたも忙しく剣を動かして、
飛んでくるボールと折鶴を叩き落としていきます。
さすがにこの波状攻撃を捌ききるあたりはアクドス・ギルも大したもので、
アイムと鎧の攻撃が途絶えると、両肩から光弾を発して、アクドス・ギルは反撃してきました。

しかし、こうしたアクドス・ギルの攻撃は確かに個々の戦隊の力よりも強力ではありますが、
今はもうマーベラス一味の方も割と容易く避けることは出来るようになっています。
劣勢でも諦めることなく命を懸けて粘り強く戦っていくうちに活路を見出していくのが戦隊の戦い方なのです。

この光弾を左右に散って避けた忍者カルテットは、右手に飛んで避けたアイムとルカが次の多段変身を遂げます。
アイムが変身したのはシリーズ第6作「大戦隊ゴーグルファイブ」のピンク戦士であるゴーグルピンクであり、
ルカが変身したのはシリーズ第14作「地球戦隊ファイブマン」の黄の戦士であるファイブイエローです。
この2戦士の共通項は、リボンを武器に使うという点です。

アイムは「ピンクリボン!」と叫んでゴーグルピンクの新体操のリボン風の個人武器であるピンクリボンを振り、
ルカは「メロディタクト!」と叫んでファイブイエローのタクト状の個人武器であるメロディタクトから
リボンを射出して、ピンクと黄色の2本の長いリボンがアクドス・ギルに向けて伸びていきます。

その2本のリボンで狙ったのはアクドス・ギルの両腕でした。
おそらく本来のアクドス・ギルなら、こんなリボン攻撃で腕を絡め捕られることも無いのでしょうけれど、
忍者カルテットの分身やボールや折鶴に忙しく対処していた腕が多少疲労が蓄積していたようで、
両腕をリボンで締められてしまいました。

そうして腕が引っ張られて持ち上げられた瞬間、
がら空きになったアクドス・ギルの腹部に向かって、赤、青、黒の3つの人影が
まるで風のように凄まじいスピードで3方向から突っ込んできて、
何度も往復しながら多数の打撃を加えたのでした。

この3つの人影は、
まず赤い人影は
マーベラスが変身した、シリーズ第20作「激走戦隊カーレンジャー」の赤の戦士のレッドレーサーでした。
次いで青い人影は
ジョーが変身した、シリーズ第32作「炎神戦隊ゴーオンジャー」の青の戦士のゴーオンブルーでした。
そして黒い人影は
ハカセが変身した、シリーズ第13作「高速戦隊ターボレンジャー」の黒の戦士のブラックターボでした。

この3つの戦隊の共通項は、車をモチーフにした戦隊ということです。
それゆえスピードを活かした高速移動が持ち味です。
忍者カルテットの幻惑攻撃でアクドス・ギルを疲れさせておいた上で、
ルカとアイムのリボン攻撃によってアクドス・ギルの両腕の動きを封じたところに、
この車戦隊3戦士による高速移動攻撃でアクドス・ギルのボディに大きめのダメージを与えるのが、
一連の攻撃で狙いでありました。

一見したところ、アクドス・ギルは車戦隊3戦士の与える打撃にも動じた様子は見えません。
しかし表面上は平静を装っていますが、本当は確かに効いているのであり、
この後、明らかにアクドス・ギルの動きは徐々に鈍くなっていき、
ここまでで過去34戦隊のうち17戦隊への多段変身を消化しており、残りは全体の半分となり、
ここが折り返し点というところですが、ここからマーベラス達の大攻勢が始まるのです。

まずリボンでアクドス・ギルの腕を締めていたアイムとルカは
ピンクリボンとメロディタクトを手から離して、ジャンプしながら豪快チェンジし、
アイムはシリーズ第16作「恐竜戦隊ジュウレンジャー」のピンク戦士であるプテラレンジャーに多段変身し、
ルカはシリーズ第27作「爆竜戦隊アバレンジャー」の黄の戦士であるアバレイエローに多段変身します。
この2つの戦隊の共通項は恐竜をモチーフにしていることであり、
また、この2戦士はプテラノドンをモチーフとしている点で共通しています。

この2戦士に変身したアイムとルカの2人は、
変身と同時にジャンプしたまま遠距離攻撃武器でアクドス・ギルを狙い撃ちしました。
アイムは「プテラアロー!」と叫んで、
プテラレンジャーの弓矢型の個人武器であるプテラアローでエネルギーを込めた光の矢を放ち、
ルカは「アバレイザー!」と叫んで、
アバレンジャーの共通装備のアバレイザーをガンモードにして構えて、レーザーを発射します。

この光の矢とレーザーをアクドス・ギルはなんとか剣で叩き落としますが、
そこに、シリーズ第22作「星獣戦隊ギンガマン」の赤の戦士ギンガレッドに変身したマーベラスと、
同じく「ギンガマン」の追加戦士の黒騎士に変身した鎧が現れて、
「炎のたてがみ!!」と声を揃えて炎のアース技を発射します。

なんとここで「ギンガマン」最終話で披露した、
リョウマとヒュウガの炎の兄弟による「ダブル炎のたてがみ」が再現されたのでした。
しかもそれを炸裂させたのが、
さっきはギガントホースでアクドス・ギルに正攻法では全く歯が立たなかったマーベラスと鎧の2人であったのです。

アクドス・ギルはこのダブル炎のたてがみの発する炎に包まれてしまい、後退します。
もはやギガントホースで戦っていた時とは力関係は逆転しているのです。
それだけマーベラス達は強くなっており、アクドス・ギルのダメージは蓄積してきているのです。
ただ、普通の怪人ならダブル炎のたてがみを喰らった時点で倒されるのが当たり前ですから、
それでも一応は大したダメージを受けたようには見えないアクドス・ギルは
並の耐久力ではないのも確かです。

そうして少し後退したアクドス・ギルの背後に、ジョーとハカセが飛び込んできました。
ジョーはシリーズ第8作「超電子バイオマン」の青の戦士であるブルースリーに変身しており、
ハカセはシリーズ第9作「電撃戦隊チェンジマン」の黒の戦士であるチェンジグリフォンに変身しています。

ここは体当たり攻撃コンビとなります。
ジョーは「スーパースカイダイビング!」と叫びながら、
ブルースリーの得意技である高速滑空しての体当たり技のスーパースカイダイビングで
アクドス・ギルの身体の一番下の足部に突っ込んできて、
慌てて振り向いたアクドス・ギルはあまりに意外な攻撃部位に反応が遅れて攻撃を喰らってしまいました。

そうして足元に意識が向いた瞬間、
ジョーの攻撃の一瞬後に今度はハカセが「グリフォンアタック!」と叫んで飛び込んできて、
アクドス・ギルの頭部にチェンジグフォン得意の体当たり技のグリフォンアタックを決めたのでした。
ワンツーパンチの上下のコンビネーションの打ち分けのような攻撃で
アクドス・ギルにダメージを与えて突き抜けていったジョーとハカセを目で追うようにして
また逆方向に振り返ったアクドス・ギルの目の前には、もう次の攻撃が飛び込んできていました。
ここはジョーとハカセに引き続いての、5人がかりの二方向からの時間差の飛び込み攻撃で畳みかけてきます。

飛び込み攻撃の後半3人はマーベラスとルカとアイムでした。
マーベラスはシリーズ第15作「鳥人戦隊ジェットマン」の赤の戦士のレッドホークに変身しており、
ルカはシリーズ第25作「百獣戦隊ガオレンジャー」の黄の戦士のガオイエローに変身しており、
アイムはシリーズ第10作「超新星フラッシュマン」のピンク戦士のピンクフラッシュに変身しています。

この3戦士の共通項は空を飛べることです。
ジェットマンは全員空を飛べますし、ガオイエローは鷲がモチーフの戦士であり空を飛べます。
またピンクフラッシュは重力の大きな星で育った関係で地球においては宙に浮かぶぐらい身が軽い設定です。
これらの能力を使って3人は飛び立って、滑空しながらアクドス・ギルに突っ込んできます。

まずマーベラスが飛びながらジェットマンの共通装備の剣であるブリンガーソードで
「はああっ!!」と飛行斬りを決め、
次いでルカが飛び込んできてガオイエローの個人武器のイーグルソードで「はっ!」と斬りつけ、
そしてアイムがピンクフラッシュのプリズムブーツを装着して飛び込んできて
爆発エネルギーを込めたボンバーキックを「はぁっ!」と炸裂させます。
この3連続攻撃を一瞬のうちにアクドス・ギルは腹部に喰らってしまいました。

そこにすかさず走り込んできたのは、
さっき体当たり攻撃を終えた後、すぐに次の多段変身を遂げていたハカセとジョーでした。
ハカセはシリーズ第21作「電磁戦隊メガレンジャー」の黒の戦士のメガブラックに変身しており、
ジョーはシリーズ第23作「救急戦隊ゴーゴーファイブ」の青の戦士のゴーブルーに変身しています。

この2戦士の攻撃の共通項は、強化パンチです。
ハカセはメガレンジャーのパワーアップツールであるバトルライザーを右腕に装着しており、
「バトルライザー!」と掛け声をかけながら01ボタンを押して右腕のパンチ力を強化し、
ジョーはゴーゴーファイブの多機能ブレスであるVモードブレスを右腕に装着しており、
「4」「7」「8」「V」とキーを押して右腕の力を10倍に強化します。

そうして走り込んできて、ハカセは右腕でライザーパンチを、ジョーは右腕でVモードパンチを
一斉に「うおおっ!!」と放ち、アクドス・ギルはこれを剣で受けようとしますが、
さすがに強化パンチの威力は凄まじく、また先ほどからの肉弾攻撃のダメージもあり、
アクドス・ギルは剣に受けたパンチの威力に押されて「おおっ!?」とよろめきました。

そこを背後からルカとアイムが重火器で狙い撃ちします。
ルカはシリーズ第12作「超獣戦隊ライブマン」の黄の戦士であるイエローライオンに変身しており、
アイムはシリーズ第24作「未来戦隊タイムレンジャー」のピンク戦士のタイムピンクに変身しています。
ルカが構えてたのはイエローライオンのハンドキャノン砲型の個人武器のライオンバズーカであり、
アイムが構えたのはタイムピンク専用の熱線砲型のボルユニットであるボルスナイパーです。
「ライオンバズーカ!」「ボルスナイパー!」と叫んでルカとアイムが同時発射した光弾と熱線を、
振り向いたアクドス・ギルは正面からまともに喰らってしまいました。

もはやこれらを避けたり叩き落としたりするだけの身のこなしが出来なくなっているのです。
そうして苦痛に身をよじらせたアクドス・ギルの右側から「たあっ!」と走り込んできたのは、
シリーズ第19作「超力戦隊オーレンジャー」の追加戦士のキングレンジャーに変身した鎧でした。
鎧は手にキングレンジャーの個人武器であるキングスティックを剣状にして握っています。
その鎧の方に慌てて振り向いたアクドス・ギルの背後、鎧とは逆方向から
「おおおおおっ!!」と突っ込んできたのは、
同じく「オーレンジャー」の赤の戦士であるオーレッドに変身したマーベラスでした。
マーベラスは当然、オーレッドの剣型の個人武器であるスターライザーを握っています。

この両側からの走り込んでの斬撃にアクドス・ギルは対応出来ず、
鎧とマーベラスはアクドス・ギルの横ですれ違うように駆け抜けながら、
まず鎧が「やあっ!!」とキングスティックを横一閃、
一瞬遅れて逆側からマーベラスが「はあっ!!」とスターライザーを横一閃して、
アクドス・ギルの脇腹を2人で両側から斬り裂きました。

そして通り抜けた後、振り向いたマーベラスはついでとばかりに、
よろめくアクドス・ギルの脳天から大上段に「おりゃああっ!!」とスターライザーを斬りおろし、
アクドス・ギルはメッタ斬りされ、身体から大きく火花が噴き出してしまいました。
またもやギガントホース戦以来の因縁のマーベラスと鎧のコンビに
大きなダメージを喰らわされてしまったアクドス・ギルですが、
マーベラス達はギガントホースで傷を負ったアクドス・ギルの腹部を重点的に狙っているようです。

この場でのアクドス・ギルとの戦いでマーベラス達が多段変身した戦隊は、
この「オーレンジャー」で30戦隊となり、残りは4戦隊となり、
通常モードでの攻撃は「オーレンジャー」で締めとなり、
ここでマーベラス達はそろそろトドメを刺しにかかろうと、
「ヘッ!」と不敵に笑いながらアクドス・ギルに対峙して少し距離を置いて横一列に並びます。

それにしても通常の怪人ならば、ここまでの攻撃の間に2〜3回倒されていてもおかしくないぐらい
凄まじいマーベラス達の攻撃なのですが、
そこはさすがに最強の皇帝アクドス・ギルであり、
もはやマーベラス達の攻撃を防ぐことは出来なくなっていますが、耐久力にはまだ余裕があるようで、
ふらつきながらもまだ一度も膝を地面につけることすらありません。

そして攻撃力もまだ衰えてはいないようで、
ぐっと身体を持ち直したアクドス・ギルは剣を一閃して衝撃波を飛ばし、
更に両肩からの光弾も合体させて加速をつけ、
まるでゴーカイスクランブルのような強烈な攻撃をしてきます。
これはギガントホースでマーベラスと鎧を天井まで吹っ飛ばした攻撃よりも更に破壊力を増したもので、
おそらくアクドス・ギルの最強の技であると思われます。
大ピンチに追い込まれたアクドス・ギルが起死回生の最強技を放ってきたのです。

これが横一列に並んだマーベラス達6人に炸裂したかに見えましたが、
一瞬早くマーベラス達はここで「豪快チェンジ!!」と多段変身を遂げ、
アクドス・ギルの最強技は、ジョーの変身したゴセイブルーの装着した
ゴセイテクターから伸びたアーマーが6人全員を包み込んで保護し、弾き返されたのでした。
ゴセイテクターというのは、ゴセイジャーが強化形態であるスーパーゴセイジャーとなった時に装着される鎧であり、
その両肩から伸びる伸縮自在のアーマーは鉄壁の防御力を誇っています。
そのアーマーでアクドス・ギルの最強技を弾き返したのです。

この強化形態というやつはスーパー戦隊においてはしばしば見られるもので、
これまでの例としては、ファイブマン全員のファイブテクター装着形態、
ティラノレンジャーのアームドティラノレンジャー、メガレンジャー初期5人全員のメガテクター装着形態、
ギンガマン初期5人全員の獣装光ギンガマン、シュリケンジャーのファイヤーモード、
アバレンジャー全員のアバレモード、アバレッドのファイヤーアバレモードとアバレマックス、
デカレンジャー初期5人全員のスワットモード、マジレンジャー初期5人全員のレジェンドマジレンジャー、
ボウケンジャーのアクセルテクター装着形態、ゲキレンジャー初期3人全員のスーパーゲキレンジャー、
シンケンジャーのスーパーシンケンジャーとハイパーシンケンジャー、
ゴセイジャーのスーパーゴセイジャーがあります。

この歴代戦隊の強化形態で戦えば強いに決まっていますから、
これまでもマーベラス達はこれを多用しているのが自然なのですが、ここまで案外使われていません。
これは、今までは完全に歴代スーパー戦隊の力を全て引き出せていなかったので使わなかったというか、
そうした強化形態の存在すらよく分かっていなかったという解釈は出来ます。
それがこの最終決戦になって遂に使えるようになったという考え方で基本的には良いとは思うのですが、
これまでにもアームドティラノレンジャー、獣装光ギンガマン、ファイヤーモード、アバレモードは
使ったことがあるので、厳密にはその解釈は矛盾があります。
しかしまぁアクション演出の面白味優先で細かい設定は多少はテキトーにしても、それはアリだと思いますので、
そこら辺の矛盾には目をつぶりましょう。

そういうわけで、ここでアクドス・ギルへのトドメを刺す段階に来て、
マーベラス達は強化形態を繰り出してきたというわけです。
上記したような、これまで強化形態を使ったことがある戦隊である
ジュウレンジャー、ギンガマン、ハリケンジャー、アバレンジャーを省くと、
残る強化形態未使用戦隊は
ファイブマン、メガレンジャー、デカレンジャー、マジレンジャー、ボウケンジャー、
ゲキレンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの8戦隊ですが、
メガテクターはVシネマ限定装備で1回限りの使用と設定されたものであり、
アクセルテクターは基本的にデュアルクラッシャー発射時のプロテクターであり戦闘用強化形態ではないので除外し、
ファイブテクターは外見がほとんど変わらないので、出番の短いこの場面では分かりにくいので除外します。

すると残るのはデカレンジャー、マジレンジャー、ゲキレンジャー、シンケンジャー、ゴセイジャーの5戦隊であり、
ここでマーベラス達はこれらの戦隊の強化形態に変身しています。
この5戦隊のうち、既に鎧がゴセイナイトに変身して消化済みのゴセイジャーを除く4戦隊というのは、
このアクドス・ギルとの戦いでまだ未変身の4戦隊と同一であり、
つまり、最後にこれらの戦隊の強化形態を出すために、
ここまでのバトルの流れの中でこれらの戦隊をあえて登場させていなかったのだと思われます。

ここではマーベラスはシリーズ第33作「侍戦隊シンケンジャー」の赤の戦士であるシンケンレッドの強化形態、
ハイパーシンケンレッドに変身しており、
ジョーはシリーズ第34作「護星戦隊ゴセイジャー」の青の戦士であるゴセイブルーの強化形態、
スーパーゴセイブルーに変身しており、
ルカはシリーズ第31作「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の黄の戦士であるゲキイエローの強化形態、
スーパーゲキイエローに変身しており、
ハカセはシリーズ第28作「特捜戦隊デカレンジャー」の緑の戦士であるデカグリーンの強化形態、
デカグリーンスワットモードに変身しており、
アイムはシリーズ第29作「魔法戦隊マジレンジャー」のピンクの戦士であるマジピンクの強化形態、
レジェンドマジピンクに変身しています。

そして鎧はシリーズ第35作「海賊戦隊ゴーカイジャー」の追加戦士であるゴーカイシルバーの強化形態、
ゴーカイシルバーゴールドモードに変身しています。
つまり、多段変身ではなく、いつものように自身の強化形態である
ゴールドモードにチェンジしているだけなのですが、
これもまた歴代35戦隊の強化形態の1つでもありますから、
この強化形態混成戦隊の中に一緒に入っていても良いわけです。

マーベラス達はこの6人の強化形態混成戦隊でアクドス・ギルに決定的なダメージを与えるつもりです。
まず一歩前に飛び出したのはハカセでした。
ハカセはデカレンジャーがスワットモード時のみ使用出来る強化型ビームマシンガンの
ディーリボルバーを「おりゃあああああ!!」と連射し、アクドス・ギルをハチの巣のように撃ちまくり、
まずはこのデカレンジャーで31個目の戦隊を消化します。

ディーリボルバー一丁でアリエナイザーを倒すことが出来るほどの、決め技級の威力を持っていますから、
これはアクドス・ギルも剣で受けることも出来ず、メッタ撃ちにされて「おわああ!?」と混乱し、
その隙にジョー、ルカ、アイムが「うおおおおっ!!」とアクドス・ギル目がけ突進していきます。

態勢を立て直しかけたアクドス・ギル目がけて先頭に突っ込んでいたジョーが
「むん!」とスーパーゴセイジャーの剣であるゴセイテンソードに構えると同時に、
最後尾を走っていたルカが「はあっ!!」と大きくジャンプして、ジョーとアイムを飛び越していきます。
その瞬間、アイムがレジェンドマジレンジャー共通装備の杖であるダイヤルロッドを突き出し、
「マジボルト!!」という原始魔法の呪文を唱えて、レジェンドストームを発動、
強力なつむじ風を巻き起こしてアクドス・ギルを包み込み怯ませます。
同時にジョーが突っ込みながらゴセイテンソードから発したビームをアクドス・ギルの腹に撃ち込みます。

そして、そこにルカが飛び掛かってきて、スーパーゲキレンジャー専用の鉤爪型武器スーパーゲキクローで
「はあああっ!!」とアクドス・ギルの身体を2回、斬り裂き、駆け抜けていきます。
スーパーゲキクローはこの世に斬れないものはないという武器ですから、
アクドス・ギルといえども大きなダメージを受けることとなりました。
このゲキレンジャーで32個目の戦隊クリアーです。

そして間髪入れず突っ込んできたジョーが
ゴセイテンソードでアクドス・ギルの腹を「ふぅんっ!!」と横一文字に斬り裂きながら駆け抜けていき、
続いてアイムが「やあぁっ!!」とダイヤルロッドで
アクドス・ギルの同じ腹部に更にダメージを叩き込むように斬り裂いて走り抜けました。
このマジレンジャーで33個目の戦隊まで消化したことになります。

この強化形態戦士の連続攻撃を全部まともに喰らってしまったアクドス・ギルは腹部を押さえて
「うお・・・!」と態勢を崩して俯きますが、
その瞬間、恐竜の咆哮と共に何かがアクドス・ギルに向かってしなるように飛んできて、
アクドス・ギルを思いっきり叩きのめしたのでした。
それはマーベラスがムチのように振り回して叩きつけてきたハイパーシンケンレッドのムチ状の刀、
キョウリュウマルでした。

「うりゃあ!!」というマーベラスの罵声と共に1度、2度、3度と爆炎を上げながら
キョウリュウマルはアクドス・ギルを叩きのめしていきました。
このキョウリュウマルを使うハイパーシンケンレッドは数ある強化形態の中でも特に無敗を誇る最強のものですから、
過去34戦隊の多段変身の最後を飾るに相応しかったといえるでしょう。
このシンケンジャーで34個目の戦隊まで多段変身完了です。

そして、フラフラになったアクドス・ギルにキョウリュウマルの一閃をくれてやりながら、
アクドス・ギルにくるりと背を向けたマーベラスは、
そこに駆け込んできた鎧に向かい、両手を組んで踏み台を作ってやり、
そこに駆け込んで足を乗せた鎧を思いっきり上に向けて放り上げたのでした。

「うおおおお!!」と高く舞い上がった鎧は、ここでゴーカイシルバーゴールドモードの必殺技、
ゴーカイレジェンドクラッシュを放ちます。
これはゴールドアンカーキーを構成している15のレンジャーキーの追加戦士のうちの
幾つかの戦士のエネルギー体と一緒になってゴーカイスピアの攻撃を繰り出す技ですが、
ここで鎧は空中で15戦士全てのエネルギー体を召喚します。

つまり、ドラゴンレンジャー、キバレンジャー、キングレンジャー、メガシルバー、タイムファイヤー、
ガオシルバー、シュリケンジャー、アバレキラー、デカブレイク、マジシャイン、ボウケンシルバー、
ゴーオンゴールド、ゴーオンシルバー、シンケンゴールド、ゴセイナイトの15戦士のエネルギー体を
空中で召喚し、そのエネルギーを全部ゴーカイスピアの槍先に込め、
「ゴーカイ!レジェンドクラッシュ〜ッ!!」と叫びながら、アクドス・ギル目がけて飛び下りつつ
槍を振り下ろしていきました。

アクドス・ギルは懸命に剣を両手で広げるように持って鎧の攻撃を食い止めようとしますが、
ゴーカイレジェンドクラッシュはアクドス・ギルの剣を真っ二つに叩き折って、
そのまま鎧は「うらああああっ!!」という気合いと共に
アクドス・ギルの身体を脳天から地面まで斬り下ろしたのでした。

見事に斬り下ろされてしまい、身体から盛大に火花を噴き上げながら
「おあああっ!?」と悲鳴を上げたアクドス・ギルは、「おお・・・ああ・・・」とよろめいて、
遂にガクッと膝を地面についてしまいました。

このゴーカイレジェンドクラッシュはゴーカイジャーの一員のゴーカイシルバーが放った
ゴーカイジャーの技ですから、
これでゴーカイジャーも加わって、35個のスーパー戦隊の全ての攻撃が
アクドス・ギルに向けて放たれたことになります。
35のスーパー戦隊の力がザンギャック帝国の皇帝アクドス・ギルを破ったのです。

苦しい息を吐きながら、アクドス・ギルは「・・・バ・・・バカな・・・?」と、現実を受け入れられない様子です。
さしもの耐久力と驚くべき生命力を誇るアクドス・ギルの身体は、
35戦隊の最大限のパワーを引き出したマーベラス達の繰り出した巧みで強烈な攻撃によって
回復不可能なダメージを負い、身体の各所から火花を噴きだして、
もはや助かる見込みの無い状態となってしまいました。

つまり、ここで自分は戦いに敗れて死ぬのだと
アクドス・ギルは、この膝をついて動けなくなった時点でようやく悟りました。
しかし、そのことがアクドス・ギルにとっては悲しいとか悔しいなどという想い以前に、純粋に驚きでした。
宇宙最強の皇帝である自分がこんな辺境の星でたった6人のチンケな宇宙海賊に殺されるなど、
考えてもみなかったことなのです。

アクドス・ギルは宇宙の大部分を支配する絶対的独裁者なのです。
つまりアクドス・ギルこそがこの宇宙の秩序そのものなのであり、
アクドス・ギルが存在しているからこそ、宇宙の平和は保たれている。
少なくともアクドス・ギル本人はそう信じ込んでいます。

だから、自分がチンケな海賊などに殺されるなどということが起こってはいけないのです。
そんなことはこの宇宙において起こってはいけないことでした。
しかし、そんな起こるべきでないことが起きようとしている。
それがどんなに大変なことなのか、この頭の悪そうな海賊どもは分かっていないのではなかろうかと、
アクドス・ギルは死を前にして妙に心配になり、
「・・・この私は全宇宙を支配する偉大な皇帝・・・アクドス・ギルだぞぉ・・・!?」と、
マーベラス達に向けて説教をし始めます。

しかし、ゴーカイジャーの姿に戻ったマーベラス達はそれを全く相手にせず、
マーベラスはアクドス・ギルが負けて死ぬのが不満で愚痴っているだけだと思い、
「愚痴ならあの世で息子に言え!」と言い捨てながら、
ゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿してファイナルウェーブの態勢に入ります。
つまり、遂にアクドス・ギルにトドメを刺して完全に息の根を止めようというつもりなのです。

ジョー、ルカ、ハカセ、アイムも同様にゴーカイサーベルにレンジャーキーを挿して
ファイナルウェーブの態勢に入り、
鎧もゴールドモードのままアンカーモードのゴーカイスピアにレンジャーキーを挿して
ファイナルウェーブの態勢に入り、
6人は武器にレンジャーキーのエネルギーが充填される間、「うおおおおお!!」と気合を発します。

アクドス・ギルは話の通じないマーベラス達に腹が立ち、
折れた剣を投げ捨て、こうなったら意地でもマーベラス達のトドメの攻撃を弾き返してやろうと思い、
立ち上がり、気合いを入れました。

そうして、まず鎧が「ゴーカイ・・・シューティングゥッ・・・!!」と叫んで
ゴーカイスピアをアクドス・ギル目がけて思いっきり投げつけました。
この槍を投げつけるタイプのファイナルウェーブは、
ノーマルモードのゴーカイシルバーがスピアモードのゴーカイスピアを投げつける
ゴーカイシューティングスターはこれまでにもありましたが、
ゴールドモードのゴーカイシルバーがアンカーモードのゴーカイスピアを投げつけるのは今回が初めてです。
つまり最終話仕様の特別な必殺技というわけです。

この鎧のアンカーモードのシューティングスターに一瞬遅れて、
マーベラス達5人も「スラッシュゥゥッ!!」と叫びながら
ゴーカイサーベルを振り下ろしてアクドス・ギルに向けてゴーカイスラッシュを放ち、
この5つのファイナルウェーブが
先ほどの鎧の放ったアンカーモードのシューティングスターのファイナルウェーブと合体して、
ゴーカイジャーの海賊旗のマークの形をした巨大な金色に輝くエネルギー体となって
アクドス・ギル目がけて突っ込んでいきました。

「ゴーカイシューティングスラッシュ」という、この最終話仕様の必殺技は、
おそらくこの金色の海賊旗マークがそのまま敵を貫く技なのでしょう。
しかし執念で立ちはだかるアクドス・ギルはこの技を喰らって、すんなりとはその身体を貫かせませんでした。
金色の海賊旗マークは弾き返して砕きます。

しかし、抵抗出来たのもそこまでで、
鎧の放ったアンカーモードのシューティングスターはそのままアクドス・ギルの身体を貫通し、
アクドス・ギルは「うおおああああああっ!?」と悲痛な絶叫を上げます。
そして次の瞬間、一旦弾かれて5色のファイナルウェーブに戻った
マーベラス達の放った5つのゴーカイスラッシュも、アクドス・ギルの身体の前でクルリと向きを変え、
一斉にアクドス・ギルの身体を貫いたのです。

「ぐあっ・・・!?」と予想外の衝撃にアクドス・ギルが息の根が止まったような呻き声を上げると同時に
その身体が大きく爆発し、これで遂にアクドス・ギルを倒したとマーベラス達が思ったところ、
その爆炎の中を覗いだ鎧が「・・・あっ!?」と驚きの声を上げました。
アクドス・ギルは爆発で砕け散ってはおらず、
ゴーカイシューティングスラッシュに貫かれた姿勢のまま、立っていたのでした。
やはり最初に海賊旗マークを弾いた分、即死は免れたようです。

まさか35戦隊全ての力をぶつけて、更に渾身の決め技を食らわしても倒すことが出来ないとは、
マーベラス達もさすがにアクドス・ギルの執念には驚きました。
ズタズタの身体で立っているアクドス・ギルのことをまるでゾンビでも見るように、少し怯みました。
しかしアクドス・ギルはもはや完全に致命傷を受けており、虫の息でした。
とっくに死んでいてもおかしくない状態であり、立っているのは奇跡と言っていい状態でした。

もはや言葉も出て来ない状態で「・・・ううう〜・・・」と唸りながら、
アクドス・ギルはヨタヨタと幽鬼のようにマーベラス達の方に近づきます。
アクドス・ギルの屍同然の身体を突き動かしていたものは、激しい怒りでした。
無礼で不作法で無教養な、宇宙の秩序に反する海賊たちに対する激しい怒りが、アクドス・ギルをして、
意地でもマーベラス達だけは道連れにして死んでやるという怨念となって、彼の身体を動かしているのです。

そうして怒りと憎悪を爆発させたアクドス・ギルは「うがぁっ!!」と両肩から怨念のこもった光弾を発射し、
マーベラス達6人は「うわぁっ!?」とその爆炎に包まれてしまいました。
アクドス・ギルはさすがにゴーカイシューティングスラッシュを受けたことによって、
自分の死を心の底から受け入れました。
それによってアクドス・ギルはこの生涯最後の瞬間に、初めて自分の命を捨ててもいいと思うことが出来た。
そして自分の命と引き換えにしてでも、相討ちでマーベラス達だけは倒してやるという、
強烈な執念を発揮することが出来たのです。

つまり、ここに来て遂にアクドス・ギルもマーベラス達と同じ、
自分を捨ててでも掴みたい夢を持つことが出来たのです。
しかし、それは自分の命が無くなると気付いた最後の瞬間になってようやくのことでした。
あまりにも遅かったと言えます。
もっと早くアクドス・ギルがこの境地に到達していれば、マーベラス達は勝てなかったかもしれないし、
ザンギャックの大艦隊も撃滅出来ず、地球も滅亡していたかもしれない。
いやまぁ、そもそもアクドス・ギルがそんな血の通った人間であれば、
そもそもザンギャックの宇宙制覇や地球侵略があったかどうかも分からないのですが。

とにかく、アクドス・ギルが捨て身の攻撃に出るのは、あまりに遅すぎた。
瀕死になってから繰り出した攻撃は既にいまひとつ力が足りず、
爆炎の中から、ゴールドモードを解除されてノーマルモードのゴーカイシルバーに戻った鎧が
ゴーカイガレオンバスターを手にして「うおおおおお!!」と叫んで飛び出してきます。

「うう!?」と見上げたアクドス・ギルの懐にそのまま飛び込んだ鎧は
ゴーカイガレオンバスターの砲口をアクドス・ギルの腹にピタリとくっつけ、
「とおりゃあああっ!!」と機銃を連射し、アクドス・ギルの執念を断ち切ろうとしますが、
これだけではまだアクドス・ギルの執念を断つことは出来ません。
腹に山ほど弾丸を撃ち込まれて「おあああ・・・」と苦しげに呻きながら、
それでもアクドス・ギルはゴーカイガレオンバスターを掴んで振り払おうとしてきます。

しかし鎧もこれぐらいでアクドス・ギルの執念を上回ることが出来るとはもともと思っていません。
鎧はガレオンバスターを思いっきりアクドス・ギルの腹に押し込んだまま、
ゴーカイシルバーのレンジャーキーをガレオンバスターの後部の鍵穴に挿して回したのでした。
すると「スペシャルチャ〜ジ!!」という音声と共に、
ガレオンバスターの側面の鍵穴に挿していた金色や銀色のレンジャーキーが起き上がってきました。
鎧は爆炎の中でゴーカイガレオンバスターを召喚すると同時に、
追加戦士のレンジャーキー4つをガレオンバスターに挿してアクドス・ギルの懐に飛び込んできていたのです。

鎧が狙っていたのはゴーカイガレオンバスターのゼロ距離射撃で
最大限の破壊力を防御不可能な状態でアクドス・ギルの身体に喰らわせることでした。
しかしそんなことをすれば撃った反動も普段の比ではない。
しかも鎧はそれを1人で撃とうとしています。
下手をすれば命を失いかねない危険な行為でした。

アクドス・ギルはもはや虫の息であり、鎧がそこまでする必要も無いようにも思えます。
しかし、捨て身の覚悟でここまでアクドス・ギルを追い詰めてきた鎧は、
最後の最後にアクドス・ギルの捨て身の攻撃に気後れしたまま終わりたくはなかった。
最後まで、捨て身の覚悟であくまでもアクドス・ギルを凌駕したまま終わりたかったのです。
だから、捨て身のアクドス・ギルをそれを上回る捨て身の戦法で押さえこんで完全勝利をしてやりたいと思いました。
そのために命を落とすことになっても構わないと思いました。

すると、そこに後ろの爆炎の中からマーベラス達5人も飛び込んできて、
鎧の背中に手を添え、共に発射の反動を受ける態勢をとったのでした。
マーベラス達も鎧と想いは同じで、危険に自ら飛び込んできたのです。
最後まで捨て身で戦って、アクドス・ギルを完全に押さえこんで勝利するという想いで6人は1つになります。

必死でガレオンバスターをどかせようとするアクドス・ギルと、
そうはさせまいとしてガレオンバスターの砲口をグイグイ押し付けるマーベラス達6人の力比べが
「うおおおおおお!!」と続く中、遂にレンジャーキーのエネルギーは充填され、
鎧はガレオンバスターの引き金を引きました。

すると、「派手にウェ〜イブ!!」という音声と共にライジングストライクがゼロ距離で発射され、
アクドス・ギルの身体付近で大爆発を起き、
「うわあああっ!!」とマーベラス達6人は後方に思いっきり吹っ飛び、
地面に叩きつけられて変身解除してしまい、転がって全身を強く打ちました。

身を起こしたマーベラス達がアクドス・ギルがどうなったか見ると、
アクドス・ギルは火花が散る身体を地面から起こしつつ、
「・・・おおおのれえええ!!・・・宇宙海賊どもめええええ・・・!!」と怨念に満ちた断末魔の叫びを残すと、
そこで力尽き、再び力無く倒れ、大爆発を起こして跡形も無く砕け散ったのでした。

ガレオンバスターのゼロ距離射撃の反動で吹っ飛ばされて、起き上がったらまた大爆発に晒され、
一瞬何が起こったのか分からない6人は、地面に座ったまま、その爆発跡を驚いた顔で見つめます。
まだアクドス・ギルがそこに立っているのではないかとも思えたのでした。
ところがそこには燃え盛る炎があるだけであり、荒野には自分達の他に誰もいません。

皆が不思議そうな顔をする中、
ハカセが「・・・やったの?・・・僕たち・・・?」と確認するように皆に言います。
それを聞いて、一同はアクドス・ギルがライジングストライクのゼロ距離射撃によって、
遂に粉々になったのだと気付きました。
「・・・妄想じゃ・・・ないんですよね・・・?」と、
鎧はまたいつもの自分勝手な妄想の世界の出来事なのではないかと一応警戒しますが、
周りは明らかに現実空間であり、さっきまでアクドス・ギルと戦っていた場所に間違いありません。

勝ったのだと確信した6人の心の奥底から、大きな喜びが湧き上がってきました。
アクドス・ギルとの大喧嘩に勝利し、ザンギャックを倒して地球を守りきった。
そして宇宙の平和を取り戻すという夢を自分の手で掴んだのだという達成感に溢れた笑みが自然にこぼれてきて、
感極まった6人は大きく両手を天に突き上げて、
「うおおおおっ!!やああったああああっ!!」と歓喜を爆発させ、大声で叫び、
そしてしばらくそのまま天を仰いだ後、仰向けにひっくり返って大の字に寝っ転がり、青空を見上げました。
その空には、もはやさっきまでのようなザンギャックの脅威は無く、
ただ抜けるような青空が広がっているだけでした。

と、その青空の彼方から、何かが飛んできます。
「みんなぁ〜!!大丈夫〜っ!?」と叫んでマーベラス達のところに飛んできたのはナビィでした。
ナビィはマーベラスと鎧と一緒にフリージョーカーに乗ってギガントホースに突入した時、
爆発するフリージョーカーからマーベラスによって逃げるように言われて放り出されて、
それっきりになっていましたが、
上手くフリージョーカーの爆発を逃れてギガントホースの外に脱出することに成功していたようで、
その後、ザンギャック大艦隊撃滅による上空の大混乱を逃げ惑い、
その後、静かになった空を飛びながらマーベラス達の行方を捜していたようです。

ようやく見つけたマーベラス達が荒野の真ん中で仰向けに倒れて動かないのを遠目に見て、
ナビィはマーベラス達が死んでいると勘違いしたようで、
一目散に飛んでくるとマーベラスの顔に縋りついて「死んじゃやだよぉ〜っ!!」と喚くのでした。
マーベラスは鬱陶しそうに腕を動かしてナビィを掴むと「・・・死んでねぇって!!」と投げ飛ばし、
ナビィは皆が生きていると知り安堵します。
同時にマーベラス達もナビィの無事を知り、身を起こして安堵の表情を浮かべます。

「良かった!・・・ナビィも無事だったんだ・・・」というルカの言葉に、
ナビィは「オイラがみんなを置いて死ぬわけないだろぉ!」と胸を張ります。
これで全員無事で夢も達成して、万々歳です。
一同は爽やかな笑顔を浮かべ、
マーベラスは「ああああ〜!・・・やっべぇ〜っ!!」と大声で叫ぶと、
再び万歳をしたまま仰向けに地面に倒れ込み、大の字に寝転がり、
また青空を見上げて、大きく息をついて「・・・すっげぇ、気持ちいい・・・!!」と、
本当に気持ちよさそうに呟くのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 20:49 | Comment(2) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月28日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その7

マーベラス一味の6人、海賊戦隊ゴーカイジャーが晴れて35番目のスーパー戦隊となり、
ザンギャック帝国の皇帝アクドス・ギルを倒したところで、
1年間、全51話(および劇場版3本)にわたって描かれてきたこの物語も遂に終わりが近づいてきました。
残すはこの物語のエピローグだけとなります。

が、アクドス・ギルを倒してからエピローグまでの間、劇中では数か月の時間が経過するようでもありますし、
エピローグについて触れる前に、ここで一旦、最終話のこの時点までの考察を踏まえて、
改めて、この物語について色々と妄想しつつ、まとめておいた方が、
このブログ的には良いように思います。

テレビドラマの物語世界というものは私達の住む現実世界とは別の世界です。
特に現実とはかけ離れた設定の多いSF特撮ドラマの物語世界というのは明らかに現実世界とは違う世界であり、
しかもそれぞれが特色が明確でスケールも大きい世界設定なので、それぞれは別々の世界とされています。

スーパー戦隊シリーズも、同一シリーズ内の作品とはいえ、1つ1つの作品の物語世界は別々の物語世界です。
まぁデンジマンとサンバルカンの物語世界だけは連続性があるのですが、
これはスーパー戦隊シリーズが明確にシリーズ化しようという意図をもって制作された時の
戦隊がサンバルカンだったからです。
つまりシリーズ化に際して、昭和仮面ライダーシリーズのように
連続した世界観のシリーズにしようかという意図が存在したのでしょう。
しかし、サンバルカンの次のゴーグルファイブの段階で世界観を一新することによって、
その方針とは決別することになったようです。
以後はシリーズのそれぞれの作品の物語世界は全く独立した別々のものです。

例えばジャッカー電撃隊の物語世界の中にはゴレンジャーの物語世界に登場した要素は一切登場しません。
ただ、「ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー」という映画があり、そこではこの両戦隊は競演していますが、
これはそれぞれの物語世界とは別の1発企画用のパラレルワールドで、
どうして本来は競演するはずのない両戦隊が競演しているのかということについての事情説明はありません。
「何故かゴレンジャーとジャッカー電撃隊が一緒に存在する物語世界」というものが唐突に出現しているだけで、
その理由も語られることもなく終わります。

その物語世界の基盤はかなり脆弱で、お遊び企画のために無理に作られた物語世界という印象が強く、
個々の作品のTV本編の物語世界と比べると、こういうクロスオーバーの1発企画の物語世界というのは、
存在感の薄い物語世界だといえます。

スーパー戦隊シリーズには「VSシリーズ」という、
本来は別の物語世界に存在するはずの戦隊同士が出会って一緒に戦う1発企画が毎年シリーズ化されていますが、
この中で本来出会うはずのない2つの戦隊(時には5〜6個の戦隊)が出会う理由が
まともに説明されているのは、VSシリーズ映画の「シンケンジャーVSゴーオンジャー」ぐらいでしょう。

あれはゴーオンジャーが次元移動する戦隊という設定であったので、
単にシンケンジャーの物語世界に次元の壁を超えてゴーオンジャーの登場人物たちが
飛び込んできたということで説明されています。
だから「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の物語世界だけは「シンケンジャー」の物語世界そのままなのです。
しかし、その他のVSシリーズの作品の物語世界は、
それぞれの原典の作品の物語世界とは別のパラレルワールドなのだと思われます。

なお、「シンケンジャーVSゴーオンジャー」の中にはゴセイジャーが一瞬登場しますが、
これはつまり「シンケンジャー」の物語世界に登場した
「この世を秘かに見守っている護星天使」のゴセイジャーであり、
「ゴセイジャー」の物語世界に登場したゴセイジャーとは厳密には別の存在ということになります。

また、シンケンジャーとゴセイジャーは
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」という別のVSシリーズ映画で出会っていますが、
これは「シンケンジャー」の物語世界とも「ゴセイジャー」の物語世界とも違う、独自のパラレルワールドであり、
この映画に出てくるゴセイジャーは「ゴセイジャー」本編のゴセイジャーとも違いますし、
「シンケンジャー」の物語世界に一瞬登場したゴセイジャーとも違います。

だから「シンケンジャーVSゴーオンジャー」において「シンケンジャー」の物語に一瞬登場したゴセイジャーが
シンケンジャーのことを見守っていたにもかかわらず、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」に登場したゴセイジャーはシンケンジャーの存在は知っていたものの、
初めて出会ったかのようにシンケンジャーと接し、
「ゴセイジャー」の物語世界におけるゴセイジャーはシンケンジャーという戦隊の存在など全く知りもしないのです。

ところで、この「ゴセイジャーVSシンケンジャー」というパラレルワールドには
ゴーカイジャーも一瞬登場しますが、
これは実は「ゴーカイジャー」の第40話の出来事であったことが「ゴーカイジャー」では明確に描かれています。
正確にはゴーカイジャーの物語世界の現在時間の数年前の世界にタイムスリップしたゴーカイジャーが、
ゴセイジャーとシンケンジャーが共闘していた場所の近くに出没していた時の一場面が
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」で描かれているのです。
ただ、時間軸は違っていても、同じ「ゴーカイジャー」の物語世界という
一続きの世界であることには違いありません。

ということは、「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界とは、
ゴーカイジャーの物語世界そのものだったのかとも思えてきますが、
細部のセリフが違っていたりするので、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界と、「ゴーカイジャー」第40話の物語世界の中の過去場面とは、
極めてよく似たパラレルワールド同士と考えられます。

ただ、この第40話においてはゴーカイジャーは
「ゴセイジャー」TV本編にのみ登場したマトリンティス帝国とも接触しています。
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界と「ゴセイジャー」の物語世界は別々の物語世界ですから、
これが「ゴーカイジャー」第40話において混ざり合っているのは奇妙なことです。

また、当然「ゴセイジャー」TV本編において登場したマトリンティス帝国は
ゴーカイジャーのことなど知りませんでしたから、
この「ゴーカイジャー」第40話に登場した「ゴセイジャー」マトリンティス篇の物語世界もまた、
「ゴセイジャー」本編と極めてよく似たパラレルワールドと思われます。

そう考えると、「ゴーカイジャー」の物語世界というのは、
「ゴセイジャー」の物語世界に極めてよく似たパラレルワールドと、
「ゴセイジャーVSシンケンジャー」の物語世界に極めてよく似たパラレルワールドを共に含み、
なおかつそれらを融合させているのだといえます。

そして、それはゴセイジャー関連にとどまらず、
「ゴレンジャー」から「ゴセイジャー」までの34戦隊の物語世界および、
それらに関連する全ての劇場版やVSシリーズなどの多くのパラレルワールドの物語世界にも
及んでいるのだと考えられます。
つまり、それら全ての物語世界に極めてよく似たパラレルワールドが
「ゴーカイジャー」の物語世界の中に含まれており、それらは全て融合しているようなのです。
「ゴーカイジャー」の物語世界の構造がそのようになっていることは、
第40話を注意深く見ると垣間見えてきます。

なお、この「ゴーカイジャー」の物語世界に融合されている
多数のパラレルワールドの元になっている物語世界の中で、特異な物語世界が幾つかあります。
それは「時系列的にその物語の時点以前に登場した全部の戦隊が同時存在することが当然の世界」になっている
物語世界です。

例えば1989年の「ターボレンジャー」の第1話や、
1994年のイベント用映画「スーパー戦隊ワールド」、
2001年の「タイムレンジャー」最終話、
2006年から2007年にかけての「ボウケンジャー」ED後のミニコーナー、
2010年の「スーパー戦隊VSシリーズ劇場」などがこれに相当し、
これらはそれぞれ「ターボレンジャー」「カクレンジャー」「タイムレンジャー」
「ボウケンジャー」「ゴセイジャー」と関連の深い物語世界ではありますが、
明らかにそれらのTV本編の物語世界とは異なった世界観のパラレルワールドです。
ただ、これらはあまりにも企画色が強く、物語世界の範疇には入らないので割愛していいでしょう。

ここで注目すべきは2001年のVシネマ「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と、
2007年のVシネマ「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」(劇中時間は2006年)です。
これらはそれぞれ「ガオレンジャー」の物語世界、「ボウケンジャー」の物語世界のパラレルワールドであり、
それら原典作品をベースにして派生したVSシリーズ系のパラレルワールドのように見えますが、
他のVSシリーズ作品とは違って、2つの戦隊が一緒に登場する物語世界ではなく、
その時点における歴代戦隊が全部存在している世界観になっています。

「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」においては登場する戦士たちは6戦隊分だけですが、
劇中で歴代24戦隊の戦いについて言及されていますから、
ガオレンジャーも含めて25戦隊が26年前から連綿と存在してきたという世界観になっているのです。

また「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」でも登場する戦士たちは5戦隊分だけですが、
左胸に「30th ANNIVERSARY」のマークをつけ、
歴代レッド戦士に変身出来る謎の戦士アカレッドが登場することから、
ボウケンジャーも含めて30戦隊が31年前から連綿と存在してきたという世界観になっているようです。

つまり、どうやらこの「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」は
同じ物語世界における2001年と2006年の出来事であるようなのです。
そして、「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」に登場したアカレッドというキャラが
「ゴーカイジャー」の物語世界にも登場しており、
どうやらこのアカレッドは34の戦隊世界の融合の根幹に関係する重要キャラという扱いになっています。

そういうことから考えて、この「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」と
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」の物語世界は
「ゴーカイジャー」の物語世界にそれらに酷似したパラレルワールドが融合したというよりは、
この2つの作品の物語世界そのものが「ゴーカイジャー」の物語世界と同一の物語世界ではないかと
想像した方が適当であるように思えます。

つまり、この物語世界は
1975年以降、ほぼ毎年、新たな戦隊の物語世界のパラレルワールドを融合し続けてきた特殊な物語世界であり、
その物語世界の2001年の8月の時点(25戦隊世界融合時点)のとある事件が描かれたのが
「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」であり、
2006年秋頃の時点(30戦隊世界融合時点)のとある事件が描かれたのが
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」であったと思われます。

アカレッドという存在は1975年、世界の融合が始まった時点に生まれたのか、
それとも融合がある程度進んだ時点で生まれたのか、
あるいは形をとって動き出したのは2006年時点になってからだったのか、詳細はよく分かりませんが、
ともかく、世界の融合が生み出した特殊な存在であるのは間違いなく、
世界の成り立ちに深く関与した、ある種、人知を超越した存在であるといえます。

そして、その物語世界の2011年、34戦隊世界融合時点に
地球にザンギャック帝国軍が侵略してきてレジェンド大戦が起こり、
2013年か2014年あたりに宇宙海賊のマーベラス一味が地球にやって来て
「ゴーカイジャー」の物語が始まったのだと思われます。

さて、この「ゴーカイジャー」のようにシリーズ作品の歴代戦士が多数登場するクロスオーバー作品は、
単発映画などでは最近は多く、
最近では仮面ライダーの「ディケイド」関連の劇場版、
「レッツゴー仮面ライダー」、「MOVIE大戦MEGAMAX」や、
近年の「プリキュアオールスターDX」シリーズなどがありますが、
これらはスーパー戦隊シリーズの「VSシリーズ」同様、
大した理由も無く歴代作品の戦士が競演します。

単発映画の場合は、あくまで本編の設定があってこそ成立する
根拠薄弱なパラレルワールドと割り切って楽しめばいいので、そんな感じでいいのですが、
歴代総登場が本編設定となって長期TVシリーズとなる作品の場合は、
本編そのものが根拠薄弱とするわけにはいきませんから、ちゃんと歴代競演の理由が示されます。

そうしたクロスオーバーのTVシリーズの例としては、
まず2006年から2007年にかけてTBS系で1年間放送された
ウルトラシリーズのクロスオーバー企画の連続ドラマ「ウルトラマンメビウス」がありますが、
これはもともと同一世界観の中の年代記として位置づけられていた
初代ウルトラマンからウルトラマン80までの昭和ウルトラシリーズの一連の物語の
25年後の続編として物語世界が設定されていますので、歴代戦士競演はかなり自然に描かれていました。

それゆえ、シリーズの集大成的な作品としては、とても良く出来ていますが、
その分、どうしても主役であるはずのメビウスの独自の物語が
単なる「新人ウルトラマンの成長物語」になってしまい、
歴代戦士に学びつつ成長していく主人公というのは好印象ではあるものの、
詰まるところ歴代戦士ありきの後輩的な存在という印象となってしまい、
その印象は薄くなってしまいがちでした。

メビウス自体の描き方そのものに致命的な失敗は見られなかったのに
そのような印象となってしまっているのは、
やはりそれだけ歴代戦士というものがキャラが強く、
平板な主人公の成長物語の中に普通に登場させてしまうと主役を食ってしまう恐れがあることが分かりました。

この「メビウス」以前のクロスオーバー企画というものは、あくまで歴代全員を主役とした物語でした。
例えば「仮面ライダーストロンガー」のデルザー軍団篇の後半などは、
あれはもうストロンガーの物語ではなく、
ある種、スーパー戦隊シリーズのような7人ライダーの物語でした。
ストロンガーの物語の重要キャラであるタックルを歴代ライダー登場直前に退場させているのも、
あそこでストロンガーの物語は実質的に終わりという象徴的意味でしょう。

近年では「プリキュアオールスターズDX」も、一応は現役プリキュアに比重は置いているものの、
やはりこの「全員主役」方式です。
ただ、これは単発映画であり、しかもアニメだから使える手法です。
何せ7年前の初代作品の主役までも含めて、全員が中学生の現役プリキュアのままで登場出来るのですから、
これは実写ドラマではなかなか難しいことです。

ストロンガーのデルザー軍団篇にしても、
世界観の繋がった過去5年の作品の主役たちの総登場であったから、
ちゃんと1号ライダーの本郷猛も含めて現役戦士として描くことが出来て、
過去作のクロスオーバーというよりは、5年間のシリーズのラストエピソードとして楽しめました。

しかし「メビウス」のような
明らかに過去の作品となってしまった昭和ウルトラシリーズとのクロスオーバー企画の場合、
どうしても現役戦士のメビウスを主役とした物語とせざるを得ません。
ところがそれにしては「メビウス」の場合、過去作への愛情が強いのは非常によく分かるのですが、
本当は物語上では脇役でなければいけない歴代戦士たちの印象が変に強くなってしまって、
その分、メビウスの印象が弱くなり、メビウスを主役として1年間ドラマを描くのが辛い状態になってしまいました。

「メビウス」はちゃんと主役の成長物語を描こうとしており、
決して安易な懐古趣味だけのドラマを志向していたわけではないのは明らかなのですが、
歴代戦士というキャラの持つパワーが、その制作サイドの想像を更に上回るものであったということが、
初めてクロスオーバー企画の4クールドラマというものを試してみて分かった作品なのだといえます。
そういう意味で「メビウス」は偉大なパイオニアであり、
クロスオーバー企画の王道を示し、更にマニア受けという点では大成功を収めたものの、
その手法の連続ドラマとしての重大な欠陥も教えてくれた貴重な失敗作でもあったといえます。

一方、もともと全く別個の物語世界である平成仮面ライダーシリーズの
クロスオーバー企画の連続ドラマとして2009年に7か月間放送された「仮面ライダーディケイド」は、
9つの平成ライダーの作品世界のパラレルワールドが融合することによって起こる
世界の滅亡を食い止めるためにその9つのパラレルワールドを旅して回る
10番目の平成ライダーの物語として作られました。

これは、もともと異なったライダーの物語世界を同一世界観に収めることが無理であるという困難を
逆手にとって、不自然な物語世界の融合が世界の危機を招くという構図を作ったという意味で
斬新な企画だったといえます。

「ディケイド」において特徴的であるのは、
主人公が巡るライダー世界はパラレルワールドであって、
オリジナルの作品世界とは明確に違う世界として描写されており、
そこに登場する歴代平成ライダーもオリジナルとは別人であるという点でした。
そうすることによって、主人公のディケイドの存在感が歴代ライダーに食われてしまわないようになっており、
これは「メビウス」の失敗に学んだ措置だといえます。
しかし、ここで肝心なのは、そうして存在感を相対的に高めた主役のディケイド自体の物語が
どのようであるのかということです。

この物語はもともとはディケイドがライダー世界を巡りながら
自分の失われた記憶を想い出していくという物語であったはずであり、一種の「自分探し物語」なのです。
そしてディケイドが失われた自分の記憶を回復するカギとなるものが、
9つのライダー世界のパラレルワールドで彼が見出した9つのライダーの精神であるようであることから想像して、
ディケイドの正体とは、9つのライダー世界の融合した世界における究極の仮面ライダーなのだと思われます。

しかもそれが「失われた記憶」となっているということは、
過去において存在した1つの世界が9つに分裂して生まれたのが9つのライダー世界であるというのが、
実は「ディケイド」の物語世界の真実なのだと想像できます。

9つに分裂した世界で生まれた9人のライダーは自分達の世界の存在意義を守るために、
世界の再融合を阻止しようとしている。
ところがそれぞれの世界から生じたパラレルワールドが融合を開始してしまい、
それによって元の原初世界が復活してしまい、ディケイドが完全復活してしまい、
そうなれば9つの世界も9つの世界のライダーも存在意義を失う。

そこで9つの世界のライダー達はパラレルワールドの融合を阻止するため、
かつて原初世界の分裂と共にかつての記憶を失った状態にあったディケイドを復活させ、
記憶の無い彼に「世界が融合すると世界が滅亡する」と嘘を吹き込んで
パラレルワールドを破壊させようとする。

ところがディケイドは無意識的にパラレルワールドの破壊という道は選ばず、
巡り歩いたそれぞれの世界でライダーの精神に触れ、
記憶を取り戻すカギを彼が所持するブランクとなっていたライダーカードを復活させることで集めていく。

ディケイドと共に旅をするヒロインの夏海や、
ちょっかいをかけてくる2号ライダー的存在のディエンドや、
ディケイドによるパラレルワールドの破壊を阻止して世界の融合を進めようとする鳴滝というようなキャラも、
もともとは原初世界の住人がディケイド同様に記憶を失いながら、
世界の融合・再構築に向けて無意識的な行動をとっている者達と考えられます。
ディエンドの集めようとしている「お宝」というのも
ディエンド自身の記憶の回復や世界の融合・再構築のために必要なアイテムなのでしょう。

そうして9つのパラレルワールドを巡る旅を終えて、全てのライダーカードを復活させた時、
ディケイドの記憶は戻り、バラバラになった9つの世界を融合させて
原初世界を復活させることが自分の真の使命だということを思いだします。
そして、その原初世界の復活を阻止するためにディケイドを始末するべく、
9つの世界のオリジナルのライダー達が立ち向かい、
それぞれの世界の命運を賭けたライダー大戦が勃発する。

もともとは「仮面ライダーディケイド」というのは、
こういう物語として構想されていたのではないかと思います。

第19話で9つのライダー世界の旅を終えた後、
第20話から第31話までの物語後半はライダー大戦が描かれ、
そこにはオリジナルの9つの世界の仮面ライダーも
オリジナルキャストで登場させる構想だったのではないかと思います。
第1話で前作「仮面ライダーキバ」のオリジナルキャストの瀬戸康史を紅渡役で登場させていることからも、
そうした構想は存在したことは窺えます。

少なくともパラレルワールドだけで9つのライダー世界を描くつもりではなく、
オリジナルのライダー世界も別に存在しているという物語世界であったことは間違いない。
ならばパラレルワールドを巡る旅を終えた後は、
物語後半はいよいよ紅渡の再登場も含めて、
オリジナル9世界のライダーがオリジナルキャストで登場するというのが自然な流れです。

この物語構想であれば、主役のディケイドはメビウスのような後輩ヒーローではなく、
むしろ9つの世界のライダーのオリジナルといえる究極のライダーであり、非常に存在感の強いキャラとなります。
しかも物語前半は競演する歴代ライダーはオリジナルのライダーではないのですから、
ディケイドが食われる心配は無く、
そうやって物語前半に確立したディケイドのキャラでもって物語後半に本物の歴代ライダーと、
共闘ではなく、本当に敵として戦わせることで、
完全にディケイドを主役とした物語を貫徹しようとした企画だといえます。

これは「メビウス」の欠点を克服しようとした試みであったと思われますが、
同時に「メビウス」の長所であった「歴代作品への愛」にやや欠けると言われても仕方ないでしょう。
いや、前半のパラレルワールド篇の描写を見る限り、
制作サイドに「平成仮面ライダーシリーズ」への深い愛情が存在することは確かなのですが、
しかし過去作へのオマージュだけではディケイドの物語が成立しないというのも「メビウス」の教訓ですから、
結局は「ディケイド」においては「ライダー大戦」というカタストロフィーへと物語は進んでいかねばならない。

そうなると歴代ライダーはどうしても主役ディケイドの敵対者ということで、悪役という扱いになってしまいます。
もちろん悪役といっても単なるやられキャラなどではなく、善か悪か明確ではない扱いとなるであろうし、
結末も和解エンドや歴代側が勝利するエンドも有り得たと思います。
並の悪役ならば破格の好待遇となりましょう。
しかし、歴代ライダーはかつては主役ヒーローだった存在ですから、その扱いはやはり特別でなければいけません。

特にオリジナルキャストを呼ぶ場合、その扱いは細心の注意が必要です。
物語上は主役としては扱えないのですが、それでも主役として扱わなければいけない。
理不尽なようですが、1年間主役ヒーローを張ったキャラとはそういうものであり、
また、それが主役ヒーローを1年間務めた役者さんに対する礼儀というものです。
また、その主役ヒーローに憧れたかつてのファン達に対する礼儀でもあります。

だから、たとえ最終的に和解エンドにしようが、歴代側が勝つエンドになったとしても、
主人公と敵対する役柄では、オリジナルキャストは呼べません。
そういう点、やはり「ディケイド」には歴代ヒーローに対するリスペクトが足りなかったといえます。

この物語構想はあくまで脚本上の構想に過ぎず、
実際に物語後半の展開の中でオリジナルキャストを呼べるかどうかという問題は別問題です。
それは東映が交渉するわけですが、この内容ではオリジナルキャストが呼べずに、
脚本上の物語後半の構想は破綻し、
その過程でメインライターの會川氏と東映との間で妥協点が見いだせなくなって
會川氏が降板することとなったのでしょう。

そして物語後半は単にディケイドの次元超越の能力を活かした外伝的なエピソードで
ネガの世界やディエンドの世界という当初の物語構想とは無関係の世界まで巡り、
果てはシンケンジャーの世界にまで行って初のライダーと戦隊のコラボをするなど、
それなりに内容的には面白いけれども「ディケイド」の物語としては意味不明な展開を続けた後、
根拠不明確な昭和ライダーまで含めたクロスオーバーのお祭り企画であった夏のディケイド劇場版
「オールライダーVS大ショッカー」に近い、
大ショッカーなる奇妙な組織と戦う荒唐無稽な世界観のBLACKの世界やアマゾンの世界、
ライダー大戦の世界へと至り、物語は終わりました。

最終話になってようやく世界の融合の物語が急展開し、
紅渡や剣崎一真を一瞬だけオリジナルキャストで登場させ、
当初の構想の片鱗のようなものを見せてライダー大戦に突入した場面で終わりましたが、
これは最後に無理矢理に物語の辻褄を合わせただけという印象です。

その後、ディケイド完結篇として劇場版も作られましたが、
TV本編最終話のライダー大戦の続きではなく、ライダー大戦の後日談的な内容で、
これも「オールライダーVS大ショッカー」に近い世界観の物語であり、
結局は当初は物語後半の核となるはずだったと思われる「ライダー大戦」というものは、
まともに描かれることはなくディケイドの物語は終わりました。

この「メビウス」と「ディケイド」という先行する2つのクロスオーバー作品は
「ゴーカイジャー」に大きな影響を与えていると思われます。

「メビウス」「ディケイド」ともに商業的には大成功していますので、決して失敗作ではないのですが、
この商業的成功は、「ウルトラマン」と「仮面ライダー」という日本を代表する2大ヒーローブランドの
歴代戦士クロスオーバー企画にパイオニアとしてチャレンジしたことそのものに対する報酬のようなもので、
それだけ大きな冒険に打って出た以上、大きなリターンがあるのは当然といえます。

とにかくクロスオーバーを実現してくれただけでマニア的には大喜びなわけで、
しかもこの2大ブランドはそのマニアだけでも巨大市場を形成するほどの厚みがあります。
その結果の商業的成功であるわけで、
言い換えれば内容的にはイマイチでも大きな反響は期待出来るわけです。

まぁ実際のところは「メビウス」「ディケイド」ともに1つのヒーロードラマとしては
イマイチなどではなく、十分に水準以上の出来であったので、
商業的な大成功は当然の結果といえます。

ただクロスオーバー企画としては両作品ともに上出来とは言い難い内容であったと思います。
「メビウス」は先輩戦士に学ぶ後輩戦士の成長物語という、あまりに無難な内容であったために、
主人公が歴代戦士に食われて印象が薄くなってしまいました。
一方「ディケイド」はその反対に、
自分の世界を守るために歴代戦士と敵対する主人公戦士という斬新な設定で主人公のキャラを立てましたが、
それはあまりに歴代戦士へのリスペクトが足りず設定自体が崩壊してしまいました。

特に「ディケイド」に関しては物語後半は明らかに物語が破綻しているのですが、
むしろこの物語後半の破綻を更に決定的にした昭和ライダー世界の導入によってこそ、
商業的な成功が加速されていったわけですから、
「仮面ライダー」というブランドに対する需要が高年齢層にまで根強く、
そこに対するアピールはもはや作品の良し悪しなどは超越した社会現象となっていたのだと言えます。
「メビウス」の好評の主要な要素もこうした需要に負うところが大きかったと思います。

ならば「ゴーカイジャー」も、これらの先行2作品のように物語の完成度は多少低くても、
歴代クロスオーバーの強みで成功は約束されるのかというと、そうは簡単ではないでしょう。
「スーパー戦隊」というヒーローブランドは、ウルトラマンや仮面ライダーよりも
よほど子供向けコンテンツとしては優等生であるにもかかわらず、
いや、優等生でありすぎるためなのか、大人も含めた社会全般に対しては
ウルトラマンや仮面ライダーに比べて、あまり訴求力は無いのです。
つまり完全に子供向けブランドとして地位が確立されてしまっていて、大人があまりロマンを感じないのですね。

だから「ゴーカイジャー」は「メビウス」や「ディケイド」のような
社会現象の追い風を受けることは出来ない。
となると、物語が上出来でなければ、すぐに飽きられてしまいます。
また、昭和ウルトラマン7作品のみとクロスオーバーすればよかった「メビウス」や、
平成仮面ライダー+αの12作品(劇場版でコラボした分も含めれば21作品)とクロスオーバーした
「ディケイド」と比べ、
「ゴーカイジャー」はスーパー戦隊シリーズ34作品とコラボしなければいけない分、
クロスオーバーの方法でしくじれば、それによる物語の破綻の被害は
「メビウス」や「ディケイド」の比ではありません。

だから「ゴーカイジャー」の場合、「メビウス」や「ディケイド」の反省を踏まえて、
クロスオーバーの方法論を改良して物語の質の向上を図ることが最重要課題となったのであろうと思います。

まずプリキュアのようにアニメでなく実写作品である以上、
一緒に画面に出せば、歴代戦士たちはどうしてもゴーカイジャーよりも先輩格に見えてしまうことになるので、
何の捻りもなく新ヒーローとしてゴーカイジャーを登場させて34戦隊と絡めれば、
「メビウス」のような感じの先輩後輩ものになってしまいます。

しかし、それでは1年間ゴーカイジャーの物語を魅せることは難しいというのは
「メビウス」で既に判明しています。
ならば、それを打開する前例はというと、これまでのところ存在するのは
「ディケイド」で提示された方法論だけです。

つまり、それぞれの戦隊の物語世界が存在し、
それらの融合によって生じる危機にゴーカイジャーが対処するという形です。
そもそも「メビウス」におけるウルトラマン世界と違って、
スーパー戦隊シリーズの各作品の物語世界は、
「ディケイド」における平成仮面ライダーシリーズ9作品の場合と同じく、
もともと何の繋がりも無い別世界なのですから、
「ゴーカイジャー」における各作品の物語世界同士の関係は「メビウス」方式ではなく
「ディケイド」方式にならざるを得ない。
つまり、物語世界の融合という世界構造からは逃れられません。

そして、そこで主人公戦隊のゴーカイジャーを立てようとするならば、
ディケイドのように世界融合の危機に対処するヒーローということになります。
ただ、それは必然的にディケイドのように歴代戦士との対立構図を生みます。
しかし、それはシリーズ歴代戦隊とのクロスオーバーにおいて、
礼儀として絶対にやってはならないことだということは「ディケイド」の物語の破綻から学んだことです。

つまり、歴代クロスオーバーを成立させるためには「メビウス」方式が最適だが、
主人公戦隊の物語を1年間しっかり立てるには「ディケイド」方式が良いということになります。

そこで「ゴーカイジャー」においては、
基本的に「ディケイド」方式で物語を構築しながら、
歴代戦隊やそのオリジナルキャストへのリスペクトを保つために、
その「ディケイド」的な世界観は表には出さずに、
表向きの物語は「メビウス」と「ディケイド」の中間的なものとしたのだと思われます。

そのようにして、本当は明らかに「メビウス」とは一線を画した「ディケイド」的な物語でありながら、
「ディケイド」のような形で物語が破綻しないようにギリギリのところで
「メビウス」っぽさを狙ったのでしょう。

この「ゴーカイジャー」という物語は、歴代34の戦隊が地球を守って戦い続けてきた世界が舞台となっており、
主人公の35番目の戦隊のゴーカイジャーが、
メビウスのように礼儀正しくはない無頼で生意気なキャラではあるものの、
それでも34戦隊と接していきながら、立派なヒーローへと成長していく物語になっています。

つまり主人公が不良っぽい海賊であるという点を除いては、
一見ほぼ「メビウス」に近い物語のように見えます。
特に中盤になって「メビウス」の主人公ヒビノ・ミライ的キャラである
地球人の正統派未熟系ヒーロー伊狩鎧がゴーカイジャーに加入して以降は、
いっそう「メビウス」的な物語のように見えていくようになりました。

しかし、この物語世界は根本的に「メビウス」とは異なる、一種、異様な世界です。

シリーズ歴代クロスオーバー企画の長期テレビドラマでクロスオーバーの根拠を薄弱とすることは出来ないはずです。
ところが、そもそも34のスーパー戦隊はウルトラ兄弟とは異なり、
同一の物語世界の存在ではないはずなのに、何故かこの物語世界では全ての戦隊が一緒に存在しています。
しかも歴代戦隊は変身して戦う力を喪失しているという、一種の本来の姿ではない状態になっています。

そして主人公のゴーカイジャーは単に地球を守るために戦うヒーローとしての務めを果たすだけではなく、
むしろその主要な行動目的は「お宝」を探すことであり、
旅をして様々な戦隊と出会って、その戦隊の精神を知ることによって、
自分の中に秘められた同一の精神を目覚めさせていくことによって、
ゴーカイジャーの所持するレンジャーキーというスーパー戦隊の戦士へと変身するためのアイテムの中の
パワーを全て引き出せるようになっていき、
それが34戦隊全部コンプリートすることで、「お宝」が手に入るという物語構造になっています。

これは「メビウス」とは全く異質な世界観であり、
むしろ「ディケイド」の物語世界の構造に不気味なほど似ています。

本来同一ではない世界の住人同士の同時存在、
オリジナルと違う不自然な世界、
ヒーローと出会うために旅をするヒーロー、
ヒーローの精神を知ることによって自分のヒーロー性に覚醒してアイテムのブランクを埋めていく作業の反復、
ブランクの埋まったアイテムを揃えれば主人公の目指すものが手に入るという結末・・・

こういうモチーフは、「ディケイド」と「ゴーカイジャー」に共通しています。
「ディケイド」は「ゴーカイジャー」の2年前に同じ東映が制作した歴代クロスオーバー企画作品ですから、
これが偶然の一致であるわけはなく、
「ゴーカイジャー」は間違いなく「ディケイド」の大きな影響を受けていると見るべきでしょう。

つまり「ゴーカイジャー」も「ディケイド」同様、「物語世界の融合」を題材とした物語なのです。
但し、細部をよく見ると、この「ゴーカイジャー」の物語世界は
「ディケイド」の物語世界のように「複数の物語世界が融合しようとしている世界」なのではなく、
「既に複数の物語世界が融合した後の世界」であるようです。

そのことに気付いたのは、最終篇に入って、
「この物語世界の歴史をリセットしてやり直すためには、34戦隊の存在を消さなければならない」という、
極めて不可解な条件が提示された時でした。
これはつまり、この物語世界に融合していた34戦隊の世界を切り離すことによって、
この物語世界の危機を救い、世界を本来の姿に戻してやり直すという意味に解釈すれば、
すんなり腑に落ちます。

この物語終盤になってから、私はそうした推論をもとにして物語の考察をしてきましたが、断定は避けてきました。
それは最終話の最後の瞬間まで、もしかしたら上記したようなこの物語における不自然な点や不可解な点について、
この「物語世界の融合論」とは別の納得のいく説明がなされるかもしれないと思っていたからです。

しかし、何ら、それらしい説明はちゃんとした形でされないまま、物語は終了しました。
その結果、全ては謎に終わったのではなく、私は自分の推論が正解だったのだろうと確信しました。
他の説明が制作サイドから公式に提示されなかった以上、
私の推論以外にこの物語の不可解な点を説明出来る論理は存在しないわけですから、
自動的に私の推論が正解だったということになるのです。

もちろん公式には謎のまま終わっているのですから、
公式に私の推論が正しいと認められるべきだとは言いません。
あくまで、私のこのブログの中では自分の推論が正しかったと確信し、
断定することが出来るようになったというだけのことです。

しかし、公式に言及されてもいないことを断定するのは思い切ったことのように思われるかもしれませんが、
この推論の場合、むしろ公式に言及されていないからこそ、
それが正解だったのだと確信することが出来たのです。
何故なら、この推論が極めて「ディケイド」的な世界観そのものだからです。

「ディケイド」的な斬新すぎる世界観は、歴代ヒーローへの礼を失するものであるので、
実は「ゴーカイジャー」の物語世界の本質は「ディケイド」的なものであるということは、
「ゴーカイジャー」が歴代クロスオーバー企画として安全に物語を決着させたいのなら
公式に認めるわけにはいかないのです。

本当は「ディケイド」的な融合世界の物語の中で主人公と歴代戦士との間で緊張関係が生じていた
「ゴーカイジャー」という作品は、
そのことはあまり表には見えないようにして、
上手く「メビウス」的作品のように見せかけて終えることに成功したのです。

つまり、結局ゴーカイジャーは世界を解体しなかった。
「ゴーカイジャー」という物語は
「融合してしまったことで危機に陥った世界を解体することによって救う戦士たちの物語」だと
読み解くことが出来ます。
これは「解体してしまった世界を融合させることで救おうとする戦士の物語」である「ディケイド」と、
同じタイプの世界観でありながら、全く方向性が逆同士の物語なのだといえます。

ところが、ゴーカイジャーは世界を解体せずに融合したまま
34戦隊世界のヒーロー達と共に世界を救う真の解決策を見出した。
ならば、もしかしたらディケイドの本来構想されていた結末は、
ディケイドが世界の融合によって自分の世界を復活させることを諦め、
9つのライダー世界のヒーロー達と共に解体したままの世界を救う
真の解決策を見出すというものであったのではないかとも思えます。
いや実際、当初構想とはかなりズレた形ではあろうと思われますが、
夏の劇場版「オールライダーVS大ショッカー」の結末はそのような、
一旦世界を融合させたディケイドが最終的には解体された世界を選ぶという結末でした。

ただ、「ディケイド」はその物語世界の深層まで最初から明らかにしてしまったために、
歴代ライダーへの礼を失してしまい、クロスオーバー企画そのものが行き詰ってしまった。
その失敗を踏まえて、「ゴーカイジャー」では、その物語世界の深層、
つまり「融合世界の解体に向かっていく物語」という世界観は最初から最後まで明らかな形で語られることはなく、
ただその物語世界を裏から支え続けただけでした。
そして、ほんの一瞬、その深層が最終篇の時に垣間見えたかと思った瞬間、
物語は世界の融合を肯定した上での真の解決によって、まるで「メビウス」のように綺麗に終わったのです。

だから、何となく見ていると「ゴーカイジャー」という物語は、
まるで「メビウス」のような、真っ直ぐで爽快なヒーローの成長物語として気持ちよく見ることが出来ますし、
歴代戦隊への愛を深く感じ取ることも出来ます。
そして、それでいて「メビウス」で感じられたような主人公の印象の弱さや物足りなさは
ほとんど感じられないというのは、
この「ゴーカイジャー」という物語の本当の姿である「ディケイド」のような黙示録的世界が、
決して表に出ることなく控え目に物語世界を裏から支える程度に絶妙の按配で抑制されているからなのです。

それゆえ、ここでこの物語のエピローグに触れる前に考察すべき対象は、
当然、この「ゴーカイジャー」という物語の深層の部分ということになります。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:17 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その8

このゴーカイジャーという戦隊が生まれた物語世界を仮に「レジェンド戦隊の世界」と呼ぶことにします。
1975年以降、スーパー戦隊シリーズの歴代34作品の物語世界、
およびそこから派生したVSシリーズなどの多くの外伝的短編作品の物語世界などが、
それぞれが物語世界として生じると同時に、
この「レジェンド戦隊の世界」にもそれらの各物語世界のオリジナルと酷似したパラレルワールドが貼りつけられて
年代順に蓄積して融合していったようです。

例えば、「秘密戦隊ゴレンジャー」の物語世界というものは、
1975年4月に生まれて、1977年3月末に終了しました。
この劇中で描かれた物語が1975年から1977年にかけての出来事だという明確な劇中描写は無いが、
特に指定が無い限り、テレビ番組として放送されていた期間がその劇中期間なのだという解釈でいいでしょう。

そうなると、ゴレンジャーの第1話の初陣の場面が1975年4月とするならば、
それに先行するイーグル日本の各支部の壊滅事件の後、
その生き残り5人が集められて訓練を受けてゴレンジャーとして初陣を飾るまで、
それなりの劇中時間が経過しているので、
「ゴレンジャー」の物語世界は1975年4月に生じたが、
その第1話の劇中時間は1975年4月よりも何ヶ月も前から始まっています。
また、そこに登場する人物や組織や事物全てに歴史があるので、
当然、この「ゴレンジャー」の物語世界には1975年4月以前の歴史も包含されています。

但し、その物語世界が生じたのはあくまで1975年4月であり、
1975年4月に物語世界が生成したと同時に、
この物語世界の1975年4月以前の歴史も包含した形であったということになります。

そして「ゴレンジャー」の物語世界は1977年3月末で、
ゴレンジャーが黒十字軍を倒したところで終了しています。
「ゴレンジャー」の劇中で1977年4月以降のゴレンジャーの後日談が描かれることはなかったので、
「ゴレンジャー」の物語世界の劇中時間も1977年3月末で終わっており、それ以降というものはありません。
1977年3月末に「ゴレンジャー」の物語世界が終ると同時に、その劇中の物語も終了しています。

さて、1975年4月、この「ゴレンジャー」の物語世界が生成したのと同時に、
「レジェンド戦隊の世界」という物語世界の原初世界も生成し、
そこに「ゴレンジャー」の物語世界から派生した、オリジナルの「ゴレンジャー」の物語世界とそっくりな
パラレルワールドが融合して、新たな「レジェンド戦隊の世界」が刷新されて生成したのでした。
それはほぼ「ゴレンジャー」の物語世界とそっくりな世界でしたが、あくまで別の世界であり、
例えばそこに存在しているアカレンジャー海城剛は
オリジナルの「ゴレンジャー」の世界の海城剛とはそっくりですが、あくまで別人です。
但し、それぞれの世界の存在をそれぞれの世界の海城剛は互いを知らない。
別の世界に自分とそっくりな別の自分が存在するということも知りません。

それぞれの世界は互いに何ら干渉し合うこともなく、全く同じ出来事が進行していきます。
但し、1つだけ違っていたことは、
この「レジェンド戦隊の世界」においてはゴレンジャーの面々だけが、
この自分達のいる世界がもともと存在した世界と自分のいる世界、
すなわち「ゴレンジャーの世界」とが融合して出来上がった世界だということを知っているという点でした。

そして、この世界のゴレンジャーは、自分達の体内にある「大いなる力」というものを使い切れば、
自分達の世界である「ゴレンジャーの世界」をもともとの世界と切り離して消滅させて、
もともとの世界をイチからやり直すことが出来るが、
その場合は自分達ゴレンジャーの存在は歴史から消え去るということも知っていたようです。

それはおそらく彼らが黒十字軍との戦いを終えた後、
「この星の意思」という存在の声を聞いて、教えられた真実なのでしょう。

オリジナルの「ゴレンジャー」の物語世界は1977年3月末、
ゴレンジャーと黒十字軍の戦いが終わると同時に世界も閉じられたのですが、
この「レジェンド大戦の世界」は1977年4月以降も世界が閉じられることなく続きました。
そして黒十字軍を倒した後のゴレンジャー5人には、「この星の意思」が語りかけてきて、
この世界が融合世界であり、その融合をリセットして元の世界を作り直すためには、
黒十字軍との戦いを戦い抜いたゴレンジャー5人の体内に生成された「大いなる力」を使って、
元の世界に融合している「ゴレンジャーの世界」を消滅させればいいのだということが教えられたのでしょう。

もちろん最初は5人はそんな話は信じられなかったが、
確かに「この星の意思」が語りかけてきたと同時に
自分達の体内に不思議なパワーが宿っていることは感じられていました。
そして、その「この星の意思」は、ほどなく新たな世界が融合してきて、
新たな悪の組織が現れ、それと戦う新たな正義の戦隊が現れること、
それによってゴレンジャーの戦う使命は一旦終わり、
地球を守って戦う使命はその新たな戦隊に受け継がれるのだということを予言し、
その予言がほどなく的中したので、
ゴレンジャーの5人は「この星の意思」の言っていた話が真実なのだろうと一応信じるようにはなりました。

しかし、世界の融合をリセットして元の世界を作り直さなければならない必要性も特には感じられず、
そもそもそれをやれば自分達の存在が消えて無くなってしまうというのだから、
ゴレンジャーの5人はそれを実行しようとは思わなかったのでした。

さて「この星の意思」がゴレンジャーに予言した新たな戦隊というのがジャッカー電撃隊でした。
この世界のジャッカー電撃隊もまた、この世界のゴレンジャーと同じように、
1977年4月に生成したオリジナルの「ジャッカー電撃隊」の物語世界と酷似したパラレルワールドが
オリジナルと同時に生成して、1977年4月に「レジェンド戦隊の世界」と融合した結果、
この世界に現れた戦士たちです。

ただ、ここで問題となるのは、この「ジャッカー電撃隊」のパラレルワールドにも、
1977年4月以前の歴史というのは付随しており、
それはもともとこの世界に融合していた「ゴレンジャー」のパラレルワールドの出来事や
その過去の歴史と時期的に重なり、
また、「ゴレンジャー」のパラレルワールドが引き続き存在し続けているために
新たに融合してきた「ジャッカー電撃隊」のパラレルワールドとも重なり合って、
結局、あらゆるところで矛盾が生じることになることです。

例えば、イーグルと国際科学特捜隊が同時に存在するというのは不自然ではないか?
例えば、黒十字軍が活動していた時期、クライムは何をしていたのか?
というような矛盾です。

おそらく、この矛盾を解決するために、
新たな世界が融合されるたびに、この「レジェンド戦隊の世界」は、
細部が微調整されて刷新されてきたのだと思います。
つまり、新たな融合が起こるたびに世界は少しその内容を変えて作り直されてきた。
だから、「ジャッカー電撃隊」のパラレルワールドが融合した時点で、
「ゴレンジャー」の世界の設定を微妙に変わっており、
「ジャッカー電撃隊」の世界の設定も、互いに矛盾が生じないように微妙に変わっているのです。

それはもともとその世界にいたゴレンジャーの5人も気付いていないと思われます。
世界はその姿を変え、彼らの記憶も多少変わっているのだが、そのことに本人たちも気付いてはいない。
そんな感じだと思います。
ただ、当然、ゴレンジャーと黒十字軍との戦いの大筋に変化は生じないような形で
世界の設定が変わっただけです。

こういうことですから、この「レジェンド戦隊の世界」におけるゴレンジャーもジャッカー電撃隊も、
オリジナル世界のゴレンジャーやジャッカー電撃隊とは細部は若干違うものとなっていますが、
大事な部分の設定はそんなに違いは無い。
そうして矛盾の無い形に微調整されて融合したゴレンジャーの世界とジャッカー電撃隊の世界は、
もはや一体化した「レジェンド戦隊の世界」となって、もともとの世界に融合していくことになったのです。

そして、1978年12月、ジャッカー電撃隊がクライムを倒して、
オリジナルの「ジャッカー電撃隊」の物語世界は閉じられたが、
この「レジェンド戦隊の世界」ではクライムを倒した後のジャッカー電撃隊の5人の体内にも、
かつてのゴレンジャーと同じように「大いなる力」が生成され、
ジャッカー電撃隊の5人に対して「この星の意思」が語りかけ、
かつてゴレンジャーの5人に告げた内容と同じ、この世界の成り立ちの真実を告げ、
この世界を元の姿に戻してやり直すためには、
この世界の何処かにいる他の戦隊とジャッカー電撃隊の「大いなる力」を使って、
全ての戦隊の存在を消さねばいけないのだということを教えられました。

もちろんジャッカー電撃隊は当初はそんな話は信じませんでしたが、
後に1979年に「この星の意思」の予言通り、新たな悪の組織(エゴス)と
それと戦う新たな戦隊(バトルフィーバー隊)が現れたことを知り、
その話を一応信じるようになりましたが、
当面世界を作り直す必要などは感じなかったので、そのまま放っておくことにしました。

なお、1978年3月には、この「レジェンド戦隊の世界」に、
更に「ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー」の物語世界のパラレルワールドが融合してきましたが、
これは「ゴレンジャー」のパラレルワールドとも、
「ジャッカー電撃隊」のパラレルワールドともまた別個の、
もともとゴレンジャーとジャッカー電撃隊が同時存在しているという特異な物語世界でした。

これが「レジェンド戦隊の世界」に融合されることによって、
また更に「レジェンド戦隊の世界」は少し微修正されて刷新され、
この「レジェンド戦隊の世界」に存在していたゴレンジャーとジャッカー電撃隊は
1978年3月に出会って共闘したということになりました。

まぁ、このような調子で1975年以降、
様々な戦隊の物語世界や、それに関係する短編物語のパラレルワールドが順々に融合していき、
そのたびに「レジェンド戦隊の世界」は微修正されながら刷新されていったのです。

それらのパラレルワールドの中には、
例えば1992年に融合した「ジュウレンジャー」のパラレルワールドのように
1億7千万年前にまで遡る過去の設定を持っている世界もありましたが、
そうした過去設定も込みで世界は融合し、「レジェンド戦隊の世界」は刷新されていきました。

逆に、2000年に融合した「タイムレンジャー」のパラレルワールドなどは
1000年後の未来までも含んだ設定の世界でしたが、
これも含んで「レジェンド戦隊の世界」は刷新されたのでした。

あるいは1991年に融合した「ジェットマン」のパラレルワールドの場合は
バイラムとの戦いの終了の3年後の1995年の未来の歴史まで含んだ設定の世界でしたが、
その未来設定も含んで世界は融合して「レジェンド戦隊の世界」は刷新され、
その1995年にこの世界における元ブラックコンドルの結城凱は死んだが、
1992年のバイラムとの戦い終了後に体内に「大いなる力」を生成していた結城凱は
死んだ後も「大いなる力」は保持し続けたのだと思われます。

また、ブライや滝沢直人や仲代壬琴のような、
誰も同じ戦士名を引き継がなかった殉職戦士もまた、死んだ後、「大いなる力」を授けられたようであり、
生き残った他の戦士たち同様、「この星の意思」から世界の成り立ちの説明は受けたのだと思われます。

また、融合された世界の戦隊の中には
戦いが終わった後、オリジナル世界では変身能力を失った戦隊もいくつかありましたが、
この「レジェンド戦隊の世界」では「大いなる力」が生成した影響で変身能力は維持されました。

また、1995年に融合した「オーレンジャー」のパラレルワールドは
物語の中の時代設定が1999年でしたが、
この「レジェンド戦隊の世界」では、1995年の出来事として設定し直されて融合刷新され、
後に1999年に融合した「ゴーゴーファイブ」のパラレルワールドの設定とぶつからないようにされました。

そうした微調整もしつつ、
この「レジェンド戦隊の世界」は2010年までに34の戦隊の物語世界とそれに付随する多数の短編世界の
パラレルワールドと融合していき、
2011年初頭にブラジラを倒した後、ゴセイジャーの6人の体内に「大いなる力」が生成したことによって、
この時点で「大いなる力」を持つ戦隊は34となり、
その「大いなる力」を持つ戦士の数は死者も含めて193人となりました。

彼らは互いに見知っている者もいたが、そうでない者もいたりして、
同じ戦隊の者同士以外はあまり親密というわけではなく、
都市伝説や噂程度で他の戦隊のことを知っているような感じであったようです。
2001年には一度、当時この世界に存在していた25の戦隊が集合したこともあり、
その時の模様は「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」で描かれましたが、
あまりその時点で全員が親密であったわけではない。

しかし、そんな彼らが共通して知っていることは、
この世界が様々な世界が融合して出来上がった世界であり、
それを元の世界に戻すためにはこの世界にいる全ての戦隊の「大いなる力」を使う必要があるということと、
それをやってしまったら全ての戦隊の存在も消えるという、
かつて彼らがそれぞれの戦いが終わった後「この星の意思」から教えられた仕組みのことでした。

ただ、彼らは世界を作り直す必要性など無いと思っていました。
まぁ、彼らも毎年毎年、次々と地球の平和を脅かす敵が現れる世界ばかりが融合してくることに関しては
何となく不可解だとは思っていましたが、
それでもその新たに融合してくる世界には新たに地球を守る戦隊が居て、
ちゃんと彼らが戦って地球を守ってきているのだから問題は無いのだと思っていました。

しかし、この「レジェンド戦隊の世界」は、やはりちょっと異様な世界でした。
まず34もの世界が融合することによって、この地球上では34もの世界の歴史が同時存在し、
それが矛盾なく共存出来るように微修正されているとは言っても、
どうしても不自然なところは出てきてしまいます。
それなのに、この世界は何故か誰もが不自然さを感じることなく成立しています。
何かその不自然を成り立たせている物が存在しているはずです。
いや、そもそもそうして世界をいちいち毎年、新たに融合させて微修正して刷新していっている物は何なのか?

そして、もう1つ不可解な点が、
戦隊が地球の平和を脅かせていた敵を潰して平和を回復した後、世界は急速に平和な状態に戻って、
その後、また新たな敵の出現によって平和が脅かされていくということが繰り返されていることです。

世の中には悪というものは簡単に蔓延るものであり、
悪の組織を潰したからといって、その悪の組織の活動によって撒かれた悪の種子は
そう簡単には世の中から消えるものではない。
ところがこの世界では悪の組織が滅びると共に、
その悪の組織によって撒かれた悪のエネルギーは急速に消え去っていくのです。
そうして毎年別の悪の組織がまた活動していくのであり、悪のパワーが累積していくということがない。
だからこそ世界はいつもギリギリのところで守りきることが出来ていたのかもしれない。
しかし、ならばその消えた悪のエネルギーはどこに行ったのか?

これらの謎について、
いちいち世界が融合して刷新するたびに新しい世界を自然なものとして受け入れさせられてきた
34戦隊の戦士たちは気付くことはありませんでした。

しかし、実は1975年にこの世界が生まれて「レジェンド戦隊の世界」と融合した時から、
地球の中心の亜空間には三角錐型の装置が生成していました。
いや、そもそもこの装置が最初に世界を融合させた装置なのでしょう。
そして、この装置はその後も次々と世界を融合させ、微修正して世界を刷新し、
そこにおいて生じる不自然を不自然と感じさせないように
地球上の全ての人々の精神や記憶にも影響を及ぼしていた装置なのでしょう。

そしてこの装置はほぼ毎年、世界が刷新されるたびに
その時点で世界に溜まっていた悪のエネルギーを吸い取って、
亜空間を通して宇宙の果ての特定の場所に排出し続けていたのでしょう。

その宇宙の果ての特定の場所というのがザンギャックの本星で、
1975年にこの世界が生まれた時から、このザンギャック本星の中心の亜空間にも、
地球の中心に生じたのと対になる三角錐型の装置が生じて、
この装置が毎年、地球の中心の装置から亜空間を通して排出されてきた悪のエネルギーを受け取り続けて、
ザンギャック本星を増幅する悪のエネルギーで満たしていったのだと思われます。
というより、ザンギャック本星において毎年、悪のエネルギーが融合を繰り返していったといえます。

そうして強大な悪のパワーに満ちるようになっていったザンギャック本星で
やがてアクドス・ギルが力を得るようになり、
ザンギャック本星を支配し、周囲の星々を制圧して宇宙帝国を建設するようになっていったのでしょう。

地球において世界の融合が繰り返されるたびにザンギャック本星に悪のエネルギーが送られて、
ザンギャック本星において悪の力をますます累積させていくにつれて、
ますますザンギャック帝国の悪のパワーは強大になっていき、
遂にはザンギャックは暴力で宇宙の大部分を支配するようになっていきました。

そうして遂に2011年の秋頃、ザンギャック帝国の侵略の魔の手が、
ザンギャック本星から見て宇宙の果てにある地球にも及び、
34戦隊192戦士(本来は全部で193戦士だがニンジャマンだけ行方不明)は結集して
ザンギャックの侵略軍と戦いました。
これがレジェンド大戦です。

しかしザンギャックはかつて34のスーパー戦隊が戦ったどの敵よりも強大で、
最後、ザンギャックの大艦隊によって34戦隊は追い詰められてしまいました。
そこで万策尽きた34戦隊192戦士は自らの命も存在も捨てる覚悟で、
持てる全ての力を放出してザンギャック艦隊にぶつけようとしました。
つまり「大いなる力」を武器として放出しようとしたのです。

すると、彼らの体内から大いなる力は飛び出していき、ザンギャックの大艦隊を撃滅しましたが、
その大いなる力は無くならず、宇宙に飛び散っていきました。
また、彼らの体内からは全部の大いなる力が飛び出していったわけではなく、半分ほどは残っていましたが、
それだけでは彼らは変身したり彼らの物語世界に由来する巨大戦力をこの世界に現出させることが
出来なくなっていました。
そして結局、大いなる力は体内に残った分も、宇宙に飛び散った分も、この世界から消えたわけではないので、
世界はリセットされたわけではなく、192戦士たちもその存在が消えたりもしませんでした。

この意外な結末に192戦士たちは戸惑いました。
このあたりの戸惑いの描写は「199ヒーロー大決戦」映画の
冒頭のレジェンド大戦後の場面で描かれていました。

おそらく、この後、レジェンド大戦の最後の戦いの終わった場にいる192戦士(死人の魂も含めて)に向かって、
突然久しぶりに「この星の意思」が語りかけて事情を説明したのだと思います。
地球における34世界の融合の結果、宇宙の果てでザンギャックが生まれて勢力を増し、
宇宙を悪で覆って支配していること、
そして、34戦隊の力を合わせて戦ってもザンギャックを地球から撃退することが精一杯であり、
ザンギャック宇宙帝国を倒して宇宙を平和にすることは出来ないのだということを、
34戦隊の192戦士は知らされます。

確かに34戦隊の「大いなる力」は世界を成り立たせている強大なパワーですから
ここで全部放出して直接ぶつければザンギャックを滅ぼすことは出来ますが
世界を成立させているパワーをそんな乱暴に使えば世界も一緒に消滅してしまいます。
それに34の「大いなる力」を直接地球上空のザンギャック艦隊にぶつけて消滅させたところで
それはザンギャックの本体ではないのだから意味は無い。
ザンギャックの本星まで行って「大いなる力」をぶつければザンギャックは滅びるが世界も消滅する。

つまりスーパー戦隊がさっきやろうとしていたことは無意味かつ無謀なことだったので
「この星の意思」はその放出を半分に抑えるよう働きかけて、
放出した分のパワーだけでザンギャックの艦隊をとりあえず撃滅して、
そのパワーは宇宙に散らばることになったのだと、スーパー戦隊の戦士たちに「この星の意思」は告げました。
そして、それによって34戦隊の変身して戦う力は使えない状態となったことを告げました。

つまり宇宙に行って散らばった「大いなる力」の半分を回収してこない限り、
スーパー戦隊は戦う力を喪失した状態なのです。
仮に戦う力を回復させて戦ったとしても、ザンギャックを倒して宇宙を平和にすることは出来ず、
根本的な解決にはならないし、またスーパー戦隊は世界を滅ぼすような無謀な行動に出るかもしれない。
それで「この星の意思」はスーパー戦隊の放出した「大いなる力」の半分を宇宙に散らばらせて
彼らを変身出来なくして、「大いなる力」を使って戦うことも出来ないようにさせたのです。

スーパー戦隊の戦士たちは「この星の意思」の話を聞いて、自分たちの無謀な行為を反省し、
戦う力を奪われるというペナルティーを受けるのも仕方がないと納得はしました。
しかし、それでもザンギャックの脅威から地球や宇宙を守らなければいけないとも思い、
なんとか打開策は無いものかと考え込みました。

その時、スーパー戦隊の戦士たちは、
かつて「この星の意思」が「大いなる力」を使って
世界を作り直すことが出来ると言っていたことを思い出しました。

そこで34戦隊の全部というわけではないが、
その多くは宇宙を平和にするためには自分達の「大いなる力」を使って
34戦隊の世界をもともとの世界から分離消滅させて世界を作り直して、
ザンギャックのいない平和な宇宙を作る道しかないと考えました。
そんなことをすれば自分達は消えてしまうのだが、
どうせレジェンド大戦で一旦自分の命も存在も捨てるつもりで大いなる力を放出したのだから、
別に自分の身を惜しむ者はその場にはいませんでした。

それで34戦隊を代表してアカレンジャーが「この星の意思」にその方法を試みてみたいという旨のことを伝えると、
「この星の意思」は、宇宙の作り直しを行うためには地球の中心にある、
この世界の融合を促進維持している「宇宙最大のお宝」を使う必要があると伝えました。
そのお宝に34戦隊の大いなる力を注いで新しい宇宙のイメージを念ずれば、
34戦隊の世界が消滅して宇宙の作り直しが出来るというのです。

そして、そのお宝を使って宇宙の作り直しを行う者は、
その作業によって消滅してしまう34戦隊の戦士以外の者でなければならず、
その者がそのお宝を手に入れて宇宙の作り直しの作業をするためには、
その者が34戦隊の全ての大いなる力を手に入れていなければならないのだと「この星の意思」は説明しました。

そして、その者に34戦隊の大いなる力を与えるためには、
34戦隊側がその者が自分の戦隊の精神を継承する資質を持った者だと心から認め、
同時にその者が自分の中にその戦隊と同じ精神が存在していると自覚しなければならないのだということも、
「この星の意思」は34戦隊に伝えて去っていきました。

そこで34戦隊は一部にあまり宇宙の作り直しに乗り気でない戦隊もいましたが、
とにかくまずは宇宙に散らばった自分達の大いなる力の半分を回収して地球に持ち帰り、
全ての大いなる力を集めつつ、自分達の精神を継承する資質を持った者を探そうという方針では一致しました。

すると、そこに今度はアカレッドという謎の戦士が登場しました。
このアカレッドのことは以前2006年に会ったことがあるボウケンジャーのメンバーとその他少数の戦士が、
その正体が「歴代レッド戦士の想いが生みだした思念体である」ということを知っていたので、
つまりは自分達の想いの代弁者、代行者のようなものと皆は解釈し、
それで34戦隊の戦士たちはアカレッドの話を聞きました。

するとアカレッドはどうやら「この星の意思」の意向を受けているような感じで、
「大いなる力」に関する話をし始めました。

アカレッドによると、宇宙に散らばった「大いなる力」の半分は
レンジャーキーという人形型のカギに形を変えており、
自分がそのレンジャーキーを宇宙に旅立って回収してくると申し出たのです。

そしてアカレッドは、
そのレンジャーキーを使ってそれぞれの戦士に変身出来るシステムを作ることが出来ると言いました。
そして、そのシステムを使って34のスーパー戦隊の力を受け継ぎながら、
更にオリジナルのレンジャーキーで35番目のスーパー戦隊に変身する戦士たちに、
その変身システムを授けるつもりだと説明したのでした。

その話を聞いて34戦隊の戦士たちは、
アカレッドは自分達の想いの代行者のようなもので、アカレッドの思考には自分達の思考が反映されているのだから、
アカレッドの言う35番目のスーパー戦隊こそが、
自分たちが「大いなる力」を託して宇宙の作り直しの作業を託そうとしている相手のことなのだと解釈しました。

それで、アカレッドがさっそくレンジャーキーの回収の旅に出発し、
その旅の中で変身システムや35番目の戦隊のレンジャーキーも製作すると言ったので、
34戦隊はアカレッドにそれらを任せることにして、
地球でアカレッドの帰りを待ちつつ、
地球において35番目の戦隊の戦士の有資格者を探しておくことにしました。

その34戦隊が考えた35番目の戦隊の戦士の資格とは、
自分達の志を受け継ぐに相応しい者であり、
お宝に対してちゃんとザンギャックのいない平和な宇宙を望んでくれるはずの者でした。

しかし、「この星の意思」やアカレッドの真意というのは、
必ずしも世界を解体しての宇宙の作り直しを望んでいたわけではなかったと思われます。
アカレッドは確かに34のスーパー戦隊の想いが反映された存在であり、
だからこそ、そこにはスーパー戦隊の戦士たちの内心の迷いも反映されていたのだと思われます。

このザンギャックという宇宙の脅威に対して、自分を捨てて宇宙の危機を救うという行為の意義は認めつつも、
それでも最後まで諦めずに戦うべきではないかという想いもあり、
34戦隊の戦士たちは本当は内心、皆迷っていました。

ただ、自分を捨てる方の道を避けたいと言えば、単に自分を惜しんでいるように見えてしまう。
彼らは宇宙の平和のために自分を惜しむ気持ちなどは一切ありませんでしたから、
戦うべきではないかと内心では思いながらも、
それでも自分を捨てることで確実に宇宙が救われると聞かされれば、
声を大にしてその道を拒絶することも出来ず、
結局、大部分の戦隊は一応はお宝を使っての宇宙の作り直しに賛成の立場に立ちました。
しかし内心では迷いがあり、それはそのままアカレッドの心情に反映されていたのです。

そして、それは「この星の意思」も同様でした。
そもそも「この星の意思」とは何なのかというと、
この星、つまりこの「レジェンド戦隊の世界」における地球に住む人々の意思の集合体でした。
それは1975年のゴレンジャーの戦いから2011年のレジェンド大戦までの
34のスーパー戦隊の戦いをずっと見つめ続けてきた人々の意識が集まった、一種の集合無意識でした。

それゆえ、このザンギャックという宇宙の脅威に対して、
スーパー戦隊がこれまで身をもって示してきたように
どんな危機においても諦めずに戦い抜くべきだという思考もあれば、
スーパー戦隊の自分を犠牲にしても宇宙を救おうとする気持ちを受け入れるべきだという思考も、
両方存在し、「この星の意思」もまた迷っていました。

ただ、「この星の意思」は地球人全体の意識であり、
またこの世界の当初からこの世界の成り立ちについて把握している不思議な存在でもあるゆえに、
地球と宇宙の関係を正確に把握することが出来ており、
どちらの解決策を選ぶにせよ、その担い手は地球人だけではダメなのだと感じとっていました。
それはアカレッドも同じ考え方でした。

戦ってザンギャックを倒すにせよ、宇宙を作り直してザンギャックを消すにせよ、
それはザンギャックの支配下でザンギャックと戦っている者でなければいけないと思ったのです。
いずれの場合にせよザンギャックの支配を覆すという強い動機が無ければ為し得ないことですが、
地球人はザンギャックの支配というものを知らないのだから、
ザンギャックの支配を脱したいという強い気持ちを持つことが出来ない。
だから、35番目の戦隊のメンバーに地球人がいたとしても、それは少数であるべきであり、
メンバーの多くはザンギャック支配下でザンギャックと戦って宇宙の平和を目指しているような
宇宙人でなければいけないと、「この星の意思」とアカレッドは考えました。

だから「この星の意思」は34戦隊がその体内から半分放出した「大いなる力」を
わざわざ宇宙に散らばらせてレンジャーキーとしたのであり、
アカレッドはレンジャーキーが宇宙に散らばっていくのを見送っていたのです。
そうしておいて「この星の意思」はアカレッドに対して、
宇宙を回ってレンジャーキーの回収をしながら、
ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックの支配を脱して平和な宇宙を作ろうとしている宇宙人を探して
35番目の戦隊とするように依頼したのです。

アカレッドという戦士はその実体は思念体なのですが、
初登場した「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」で本人も言っていたように、
一定期間眠りについてエネルギーを蓄えれば肉体を得て活動することが出来るようです。

このエネルギーというのは、おそらくスーパー戦隊の大いなる力と同じものでしょう。
「ボウケンジャーVSスーパー戦隊」の際、アカレッドは歴代のレッド戦士に次々と変身しましたが、
これは各戦隊の大いなる力と同種の力をアカレッドが体内に持っているからだと思われます。
もちろんそのエネルギー量は本家の戦隊の持っている量に比べれば少ないのでしょうが、
それでも34戦隊分合わさればそれなりのパワーとなり、
そのパワーによってアカレッドは自分の肉体を得て、かなり強い戦士として活動することが出来るだけでなく、
スーパー戦隊のものと類似した様々な武器やアイテムも生成することが出来るのでしょう。

レンジャーキーを探すための宇宙船であるゴーカイガレオンおよび各種ゴーカイマシン、そしてゴーカイオーも、
アカレッドが自分の持つ大いなる力を使って普通の宇宙船をベースにして作り上げたものであり、
ゴーカイガンやゴーカイサーベル、モバイレーツやラッパラッター、ゴーカイジャーのレンジャーキーなども、
アカレッドが自分の持つ大いなる力を使って生成したものでしょう。
また、レンジャーキーを入れる宝箱も同様の産物でしょう。

これらが全てレンジャーキーに対応したシステムになっているのも当たり前の話です。
レンジャーキーがそもそもスーパー戦隊の「大いなる力」から生成されたものであり、
アカレッドの作った各種アイテムもまた彼の持つ「大いなる力」によって生成されたものである以上、
それらがレンジャーキーに対応しているのは当たり前といえます。

なお、アカレッドが強制的にスーパー戦隊の戦士の身体から「大いなる力」を吸い出すラッパラッターを
念のために作っておいたのは、アカレッド自身がスーパー戦隊の思念の具現化した存在であるからこそ、
彼らの迷いを誰よりも知っていたからです。

もしお宝を使って世界をリセットするという結論に至った時、
それに反対して「大いなる力」を渡そうとしない戦隊が現れる可能性が十分あることを
アカレッドは分かっており、それに備える緊急対応用のアイテムとして
ラッパラッターも作っておいたのでしょう。

ただ、ナビィだけはアカレッドが作ったものではありません。
ナビィは本来の姿は地球の中心にある「宇宙最大のお宝」への亜空間の通路を開く「扉」であり、
「宇宙最大のお宝」と同じ原理でこの世に生じた特異点のような存在でした。
その「扉」は「宇宙最大のお宝」と共にこの「レジェンド戦隊の世界」が生まれた時から
地球の中心の亜空間に存在しており、
新たな世界が融合して、その新たな世界の戦隊が「大いなる力」を獲得するたびに、
その「扉」を封印する鎖と錠前が1つずつ増えていったのです。

その「扉」はこれまでずっと地球の中心に隠されていたのですが、
34戦隊が宇宙の作り直しのために自分達の「大いなる力」を使ってもいいという意思表示をしたことによって
初めて地上にオウム型ロボの姿で現れ、「ナビィ」としての意識を持つようになったが、
「扉」としての自分の記憶は一切ありませんでした。

「ナビィ」はもともと「大いなる力」と関係深い「扉」ですから、
「大いなる力」に感応する能力があり、宇宙に散らばったレンジャーキーの在り処を感知することが出来ました。
また、「大いなる力」に感応する能力があるゆえに
大いなる力の宿ったレンジャーキーの通路であるカーギーロードを繋いだりすることも出来るわけです。

そして、アカレッドの「大いなる力」の支配する場であるガレオンの船室において、
34戦隊の「大いなる力」の全てのパワーを浴びせることによって、ナビィを「扉」の姿に戻して、
34戦隊の大いなる力の宿ったレッド戦士のレンジャーキーを挿してその封印を解き、
「宇宙最大のお宝」へ続く「扉」を開くことが出来るという設定となっていました。

そういうわけで2011年のレジェンド大戦終結後すぐに、
アカレッドはナビィを連れてガレオンに乗ってレンジャーキーを回収する宇宙の旅に出ました。
レンジャーキーの回収自体はナビィがいるのですぐにその在り処は判明するので不安要素ではありませんでした。

問題は35番目の戦隊の資格者を探すことの方でした。
ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうなどという
途方もないことを考えて実行しているような者が本当に存在するのかどうか、
「この星の意思」にもアカレッドにも全く見当がついていませんでした。
もしかしたらそんな都合のいい者は見つからないかもしれない。
その場合は地球人の正義感の強い者を35番目の戦隊の戦士とするしかないとも思っていたので、
「この星の意思」もアカレッドも、この段階ではあまりに不確かな話であったので、
「35番目の戦隊の戦士は宇宙人の方が望ましい」という件は34戦隊には伝えていなかったのです。

そうしてアカレッドがナビィを伴って宇宙の各所でレンジャーキーを回収していきつつ、
ザンギャック支配下の宇宙の様子を探っていったところ、
やはり圧倒的に強大なザンギャックを倒して平和な宇宙を作ろうと考えるような酔狂な者は
誰ひとり存在しないことが分かりました。
ただ、1つアカレッドの心を捉えたのが「海賊」でした。

レンジャーキーの散らばった宇宙の各所はザンギャックの支配下の領域ばかりでしたから、
当然、勝手に航行しているガレオンはザンギャックの官憲に咎められました。
しかしアカレッドとしても事情を説明しても理解してもらえるわけもなく、下手したら邪魔されるわけですから
逃げることになり、逃げ切れなければ戦って切りぬけるしかありません。
それにレンジャーキーのある場所に行くためには
ザンギャックの警備隊を排除しなければいけない場合も多々ありました。

そういうわけで仕方なくアカレッドはザンギャックの警備隊としばしば交戦することとなり、
アカレッドの力をもってすれば、警備隊程度のザンギャック軍には楽勝であったようです。
それで首尾よくレンジャーキーをゲットしていったのですが、
そうしているうちにアカレッドはすぐに自分が「赤き海賊」という名の「宇宙海賊」とされて
賞金首にされていることに気付きました。

別に悪事を働いているわけではなく、
単に大事なものを手に入れるためにザンギャック軍と戦っているだけなのに
「海賊」とは失礼な話だとアカレッドは最初は思いましたが、
それはつまり、この宇宙ではザンギャック軍に公然と逆らって戦っている者のことを
「宇宙海賊」と呼称しているのだということに気付き、
アカレッドは、自分の求める者は「宇宙海賊」と呼ばれる者の中にいるに違いないと考えるようになりました。

ただ、そうして「宇宙海賊」と呼ばれる者達に接していってみると、
まぁ案の定というか、普通に犯罪者なだけの人達が大部分でした。
そこでアカレッドは単に食い詰めて海賊をやってるような者と、
高い志があってザンギャックに逆らっている者とを見分けるために、
たまたま宇宙海賊の間で「伝説の宇宙最大のお宝」というものが言い伝えられていることを
利用することにしたのです。

その「宇宙最大のお宝」というものは宇宙全体と同じ価値があるものと言い伝えられており、
それはまさに地球の中心にある「宇宙最大のお宝」のことを指しているかのようにも思えましたが、
あの地球の中心の装置のことはつい最近まで「地球の意思」とアカレッドしか知らなかったのですから、
それが昔から宇宙海賊の伝説となるはずがない。
つまりは、この伝説は何の根拠も無い単なる言い伝えに過ぎない。
だから、こんな伝説のお宝を手に入れようとしても誰も手に入れることなど出来るはずもない。
そんなことは海賊たちもよく分かっているはずです。
だから誰もそんなものを本気で探してなどいませんでした。

しかし、中にはその絶対に手に入れることが出来ないものを掴み取ることが出来ると信じて、
それを手に入れるためにザンギャックと戦うというリスクを負う者もいるに違いないとアカレッドは考えました。
そういう者というのは、つまりザンギャックと戦って絶対不可能な夢を掴もうとすることが出来る者であり、
ザンギャックを倒して宇宙を平和にするという到底不可能な夢に挑む資質を持つ者、
すなわち自分が求めている35番目の戦隊の資格者になり得る者だとアカレッドは思いました。

そこでアカレッドは旅先で出会った宇宙海賊に自分も海賊だと名乗った上で、
片っ端から「欲しいものは何なのか」と質問していきました。
そして、その質問に即答で「伝説の宇宙最大のお宝」と答えた者だけに
アカレッドは「それが手に入ると信じるなら今すぐ決断しろ」とだけ言って、背を向けて歩き出したのでした。

こんな誘い方でそのままアカレッドに本気でついて行く者というのは、
伝説の宇宙最大のお宝という途方もない夢想のために
ザンギャックと戦うことになる冒険旅行に平気で挑もうとする者であり、
つまりアカレッドが求める「35番目の戦隊の戦士になり得る者」でした。

このアカレッドの無茶な誘い方にすんなりついて来て、
アカレッドの根拠不明確な話に怒って帰ることもなくそのまま仲間になった宇宙海賊は
結局、バスコと、少し遅れてついて来たマーベラスの2人だけでした。
こうして「赤き海賊団」が結成されたのです。
それはおそらくアカレッドがレンジャーキー探しの旅に出発してから数か月後のことで、
地球暦で2012年のはじめ頃のことでしょう。

マーベラスの生まれ故郷の星はこの時点よりもかなり前、
まだマーベラスが幼い頃にザンギャックによって滅ぼされていたようで、
マーベラスは幼少時から天涯孤独の身の上であったようです。

子供の頃、マーベラスは宇宙海賊と思われる人物に命を助けられたことがあり
それから自分も宇宙海賊になって、伝説の「宇宙最大のお宝」を手に入れてやろうと思うようになったようです。
それで風来坊のようにして自称海賊の半分チンピラのような生活をしていたようですが、
アカレッドと出会って最初は喧嘩を吹っかけたが完膚なきまでに敗北し
そのうえでアカレッドに欲しいものは何なのか質問されて「宇宙最大のお宝」と答え
それが手に入ると信じるならばついて来いと言われ、そのまま「赤き海賊団」の一員となったのです。

一方、バスコの過去は謎ですが、
凄腕の一匹狼の宇宙海賊として、もともとザンギャックから300万ザギンの高額の賞金をかけられており、
アカレッドの謎かけに応えて「赤き海賊団」の一員になったということは、
バスコがザンギャックに逆らってまで海賊をしていたもともとの動機は
「伝説の宇宙最大のお宝」を手に入れたいということであるようで、実はかなりの夢想家であったようです。

なお、後にマーベラス一味の一員となるジョー、ルカ、ハカセ、アイムがこの頃どうしていたかというと、
まずジョーは幼い頃に故郷の星をザンギャックに滅ぼされて、
孤児となったジョーはザンギャック軍によって捕えられて幼い頃から兵士になるべく訓練を受けて
ザンギャックこそが正義だと教え込まれていたようです。
この「赤き海賊団」が結成された2012年初めぐらいの頃は、
ジョーはまだザンギャック軍の養成所で配属前の訓練を受けていた頃でしょう。

ルカは生まれ故郷の星をザンギャックに征服されて、
反抗的だった住民が押し込められたスラムで両親も失い、
ザンギャックの迫害に苦しみながら妹や他の戦災孤児たちを養って、極貧の中で必死で生きていましたが、
この2012年初め頃には既に妹が病死して、傷心のルカは
星を買い取って戦災孤児たちの安全に暮らせる場所を作るという、かねてからの夢の実現のために
故郷の星を飛び出して、何か儲かる仕事を探したが、
結局はザンギャック軍施設を狙う女盗賊に身を落としていた頃でしょう。

マーベラスやジョーやルカはあまり一般教養が無いところを見ると
幼い頃に故郷の星が滅ぼされたり征服されたりしたようですが、
一方ハカセはかなり豊富な一般教養があるところを見ると、
高等教育を受ける程度の年齢までは故郷にはザンギャックの侵攻は及んでいなかったようです。
そのハカセの故郷もこの2012年初め頃にはザンギャックによって滅ぼされてしまい、
ハカセは難民となって他の星に逃げることになり、
ほどなく辺境の星で便利屋を開いて1人で細々と暮らしていくことになります。

最後にアイムに関しては、まだこの2012年初め頃の段階では
平和なファミーユ星で王女として心安らかな日々を送っていたと思われますが、
ザンギャックによる政治的な圧迫はそろそろ始まっていたのではないかと思われます。

そうした時期である2012年の初め頃、
アカレッドはバスコとマーベラスという2人の宇宙海賊を仲間に迎えて正式に「赤き海賊団」を発足させ、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにレンジャーキーを集めて回るのだとバスコとマーベラスには説明しながら、
その裏では秘かに自分の求める35番目の戦隊の名を「海賊戦隊ゴーカイジャー」と定め、
乗艦に「ゴーカイガレオン」と命名、その他、武器にも「ゴーカイガン」「ゴーカイサーベル」と命名し、
モバイレーツやゴーカイジャーのレンジャーキー、ラッパラッターなどのアイテム類の製作にも
秘かに着手していったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:50 | Comment(2) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月03日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その9

「レジェンド戦隊の世界」における地球暦で2012年の初め頃、
アカレッドは地球から遠く離れた宇宙において、バスコとマーベラスという2人の宇宙海賊を仲間に迎えて、
「赤き海賊団」を結成し、宇宙海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」を手に入れるための冒険の旅を始めました。

アカレッドは伝説の「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには
宇宙に散らばるレンジャーキーを集めなければいけないと、バスコとマーベラスに説明し、
アカレッドの飼っているオウム型ロボットのナビィのナビゲートに従って、
3人でレンジャーキーを集める冒険が始まり、
その行く手をいちいち邪魔するザンギャックの警備隊ともしばしば戦いました。
そうして連戦連勝を続けていった「赤き海賊団」は
すぐにザンギャック帝国に対する最大の反逆者と見なされるようになっていったのでした。

しかし実際はアカレッドはバスコやマーベラスが実在を信じている海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」というものは
単なる伝説に過ぎないと思っており、
レンジャーキーを集めた末に辿り着く「宇宙最大のお宝」は
地球の中心に隠されている「世界の融合を促進維持している特殊な装置」であることを知っていました。

それはアカレッドがそもそも地球から来た者であり、
レンジャーキーも地球の34のスーパー戦隊の戦士たちの持つ
「大いなる力」の半分が具現化したものであったからです。

アカレッドの旅の真の目的はレンジャーキーを集めて地球に持って帰り、
地球にいる34戦隊の戦士たちの体内の残り半分の「大いなる力」と合わせて
34戦隊の全ての大いなる力をこのガレオンの船室でナビィに注いで
ナビィを本来の「扉」の姿に戻して封印を解き、
地球の中心の「宇宙最大のお宝」へと続く亜空間の通路を開くことでした。

それはバスコやマーベラスが思い描いている冒険旅行とは全く様相の違うものでした。
バスコやマーベラスはアカレッドもまた自分達と同じように、
何処にあるのかも分からない伝説の宇宙海賊のお宝を探し求める宇宙海賊なのだと思っていたからです。
バスコやマーベラスはそのお宝の正体も知らないわけだが、それは絶対に存在すると固く信じており、
今まで誰も手に入れたことのないお宝を手に入れること自体に大きな意義を感じていたのでした。

バスコとマーベラスは、たとえ宇宙を支配するザンギャック帝国に逆らうことになり、
自分の平穏な生活を全て失うことになったとしても、その夢を掴みたいと強く思い、
2人はアカレッドのことも自分達と同類の夢を追いかける男だと思い、仲間として信頼していました。

しかしアカレッドはそんなバスコとマーベラスを騙していたことになります。
アカレッドはバスコとマーベラスに本当の事情を説明せずに、
あちこちの星でレンジャーキーを集めながら、
その裏ではこっそりと、変身機能付きのモバイレーツ5つと、ゴーカイジャーの5つのレンジャーキー、
ラッパラッターを作っていたのでした。

モバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーは
35番目のスーパー戦隊であるゴーカイジャーに変身して戦うためのアイテムでした。
ゴーカイジャーというのは、こうして「赤き海賊団」がレンジャーキーを集めた後、
地球に行き、その中心から「宇宙最大のお宝」を手に入れた後、
そのお宝にレンジャーキーの中に宿した34のスーパー戦隊の「大いなる力」を注ぎ、
宇宙の作り直しをする役目を担うべき戦士たちのことでした。

既存の34のスーパー戦隊の戦士たちや、その分身ともいえるアカレッドは、
この宇宙の作り直しをすることによって消え去る運命の者達ですので、
宇宙の作り直しをする当事者にはなれない。
だから、それをするための35番目の戦隊が必要なのです。

その35番目の戦隊であるゴーカイジャーに34戦隊の想いを受け継がせて
「ザンギャックのいない平和な宇宙」を強く念じさせるためには、
そのゴーカイジャーはザンギャック支配下の宇宙でザンギャックを倒して平和な宇宙を実現するという
途方もない夢を信じられる者でなければいけない。
それでアカレッドはザンギャックに逆らってでも伝説のお宝という絶対に手に入らないような夢を
手に入れようとしている宇宙海賊こそが、ゴーカイジャーになり得る者なのだと見込んで、
バスコとマーベラスをゴーカイジャーの候補として地球に連れていこうとしているのでした。

ラッパラッターは、急いで宇宙の作り直しをしなければいけない事態となった時に、
万が一「大いなる力」をゴーカイジャーに渡すのを渋る戦隊が出てきた場合に、
強制的に大いなる力を奪うための緊急時対応用のアイテムでした。
その際に、もしその戦隊が抵抗するようであれば制圧するために、
ラッパラッターにはレンジャーキーを挿して吹けば戦士を具現化して操ることが出来るようにもしていました。
変身能力を失っているスーパー戦隊の戦士たちがもし抵抗したとしても、
ラッパラッターの召喚戦士によって容易に制圧出来るという計算は立ちました。

ただ、ラッパラッターで戦士を召喚出来なくても、
モバイレーツでゴーカイジャーに変身出来るのであれば、
もし変身できないスーパー戦隊の戦士たちが抵抗したとしても、
ゴーカイジャーに変身して制圧してラッパラッターで「大いなる力」を吸い出せばいいわけですから、
ラッパラッターの召喚機能は不要のはずです。

ところがラッパラッターに召喚機能がついているということは、
最初はアイテムはラッパラッターしか作る予定は無かったからだと思われます。
そもそも、お宝に願い事をするだけであれば、変身して戦う戦士である必要は無いはずです。
単に34のスーパー戦隊の想いを引き継いで「ザンギャックのいない平和な宇宙」を
お宝に向かって念じることが出来ればいいのなら、戦士である必要は無いし、別に5人である必要も無い。

だから、アカレッドは当初は、変身アイテムは不要であり、
ラッパラッターだけあればいいのではないかとも思って、まずはラッパラッターを作り、
その後、やはり思い直してモバイレーツやゴーカイジャーのレンジャーキーを作ったのでしょう。

そのあたりはアカレッドも迷いがあったのです。
お宝を使って歴史を改変してザンギャックを消すのが良いのか、
お宝は使わずに真っ当に戦ってザンギャックを倒すべきなのか、決めかねていました。
だから、戦う道を選んだ場合にも備えて、
レンジャーキーを通して34戦隊の力を使って戦うことも出来る35番目の戦隊として
ゴーカイジャーを作ることにしたのでした。

つまり、34戦隊と同じように赤青黄緑桃の5色の戦う力を持った5人の戦隊として
ゴーカイジャーを用意しておくことによって、
旅の終わりに地球でお宝を使う場合も使わない場合も、どちらの場合も対応できるようにしたのです。
そのためにアカレッドは5つのモバイレーツと、
赤青黄緑桃の戦隊カラーの5つのゴーカイジャーのレンジャーキーを作っておきました。
そしてその「途方もない夢を掴もうとする戦隊」であるゴーカイジャーの変身アイテムのモバイレーツは
夢を掴む強い意思、自分の手で未来を掴み取る強い意思を持つ者だけに
反応して変身機能が働くように設定してありました。

また、アカレッドは宇宙海賊のゴーカイジャーが地球に着いた後、34戦隊と円滑に交流できるように、
ゴーカイジャー6番目の戦士は地球人にすることを決め、
ガレオンが地球に着いた時点でその6人目に変身アイテムを与えることにして、
その6番目の戦士の使うべき歴代戦士のレンジャーキーとして、
赤青黄緑桃などの通常戦士のカテゴリーには入らない追加戦士のレンジャーキー15個を宝箱から取り出して
別に保管しておくことにしました。

そしてまた、アカレッドは通常戦士や追加戦士のカテゴリーにも入らない
最強格の番外戦士の10戦士のレンジャーキーも宝箱から出して自分の手許に置いておくことにしました。
これはおそらくアカレッド自身が自分用のモバイレーツを使って変身するためだったのでしょう。
あるいはもともとスーパー戦隊の戦士の想いから生まれた思念体であるアカレッドは
モバイレーツ無しでレンジャーキーさえあればそれらの戦士にも変身出来たのかもしれません。
アカレッドが最強格の戦士のレンジャーキーだけは自分のものとしていたのは、
万が一、地球に着いた後、ゴーカイジャーが自分の思惑通りに動かず、何か危険な事態となった場合に
対応するためであったと思われます。

アカレッドがこれらのようなことをバスコとマーベラスに隠してコソコソと進めつつ、
2人に全く事情を説明していなかったのは、上記したようにアカレッドにまだ迷いがあったからです。

「海賊戦隊ゴーカイジャー」という宇宙海賊で構成される35番目のスーパー戦隊というものを用意したものの、
宝探しをしていたはずがいきなりそんなものになるように言われればバスコもマーベラスも面食らうであろう。
かといって最初は本当に夢のためにザンギャックに逆らおうとしている海賊なのかを見極めるために
「宇宙最大のお宝」探しに誘う形の出会いを演出するしかなかったので、
後でアカレッドはバスコとマーベラスに「実はゴーカイジャーになってもらいたい」と
説明し直さなければいけません。

ただ、そんなことをいきなり言えばバスコもマーベラスも驚き怒るであろうから、
アカレッドとしてもよほどしっかりと2人を説得出来なければならない。
しかしアカレッド自身がゴーカイジャーの方針を決定出来ない状況では、
バスコとマーベラスを説得など出来るわけがない。

アカレッドは34のスーパー戦隊の想いから生まれた思念体が肉体を持った存在でしたから、
その思考は34のスーパー戦隊の思考が反映されたものとなります。
だから34のスーパー戦隊の内心の迷いもアカレッドには反映されています。

ザンギャックを滅ぼして平和な宇宙を取り戻すために、
34のスーパー戦隊を犠牲にしてお宝を使って宇宙を作り直すのが良いのか、
それとも、あくまで34のスーパー戦隊にゴーカイジャーの力も合わせて戦うのが良いのか、
アカレッドはゴーカイジャーの役割がどちらであるべきなのか、決めかねて迷っていました。

そんな状況でしたから、アカレッドはバスコとマーベラスに事情を説明することも出来ず、
2人には伝説のお宝を見つけるためのアイテムだと思い込ませたまま
レンジャーキー集めを手伝わせる状態が続き、
その傍ら、コソコソとモバイレーツやラッパラッターや一部のレンジャーキーを
隠したりする羽目となっていたのです。

また、そもそも5人分ゴーカイジャーの変身アイテムを用意したにもかかわらず、
その候補者の宇宙海賊をバスコとマーベラスしか見つけられていない状態のアカレッドは、
まだ2人に事情を説明出来る段階でもありませんでした。
しかし、その一方でレンジャーキーは順調に集まっていき、
レンジャーキーが集まれば、地球では34のスーパー戦隊が残りの「大いなる力」を体内に持って
アカレッドの帰りを待っているわけですから、ナビィは地球へ向かうようナビゲートをしますし、
とにかく地球へ向かわねばならなくなります。

そうした迷いを抱えながらアカレッドはバスコとマーベラスと接していたのですが、
バスコとマーベラスはそれぞれタイプの違う宇宙海賊でした。

2人とも夢を掴むという固い信念を持ち、仲間想いの気の良い若者でしたが、
バスコは凄まじい実力の持ち主でありながら無駄な労力を払うことを嫌い、あまり積極的に戦おうとはせず、
楽して宝物を得たがるクセがありました。
ただ、それは怠け者であるというわけではなく、
ザンギャックに支配された宇宙で夢を掴むことの厳しさをよく知っているからこそ、
単細胞に突っ走っても夢は掴めないと冷徹に事態を見据えているからでした。

だからバスコは決して楽をして宝が手に入るなどとは思っていない。
この宇宙で夢を掴むためには大切な物を捨てる覚悟が無ければならないということが分かっているからこそ、
どうでもいい場面での無駄な消耗を出来るだけ避けようとしているのです。

一方、マーベラスはバスコに比べれば腕は未熟でしたが、熱い心の持ち主でした。
マーベラスはもともと伝説のお宝に対する憧れは持っていましたが、
それを自分の手に入れたい夢として意識して行動を起こすようになれたのは
アカレッドに「赤き海賊団」に誘われたからでした。

バスコの場合はアカレッドに誘われる前から1人で伝説のお宝を求めて行動していたのですから、
バスコの夢を掴もうとする想いに比べれば、
マーベラスの夢を掴もうとする想いは、弱いものであったと言われても仕方ないものでした。

しかしマーベラスは1人では夢を掴もうとして行動すら起こせなかった自分が
夢を掴むためにこうして旅が出来ているのは、同じ夢を追いかける仲間に出会えたからなのだと思い、
仲間の存在に深く感謝していました。
それでマーベラスはアカレッドに対して、自分にとっての「海賊」とは、
「夢を掴むために集まった仲間達の絆」なのだと言っていました。

つまりマーベラスは夢よりも仲間の方が重い人間なのであり、
仲間無しで夢を掴むことは出来ないし、仲間の犠牲によって夢を掴むことを受け入れられない男です。
一方、バスコは仲間無しで1人でも夢を掴むことが出来るし、
仲間の犠牲によって得られた夢でも受け入れることは出来る男です。

もし2人が地球に行って34のスーパー戦隊の想いを受け継いで、
お宝を使って「ザンギャックのいない平和な宇宙」を作り直すとしたら、
その場合、彼らが夢を同じくした34のスーパー戦隊を犠牲にしなければならなくなる。
その場合、マーベラスはそれを拒絶してしまうだろうとアカレッドは思いました。
一方、バスコなら仲間である34戦隊の犠牲も受け入れて、その夢を実現してくれると思えました。

しかし一方、もしお宝を使わず、34戦隊と共にザンギャックと戦うとするなら、
バスコはそんな勝ち目の薄い戦いは拒むであろうとアカレッドは思いました。
片やマーベラスは仲間となった34戦隊と共にならば勝ち目の薄い戦いでも挑むであろうと思えました。

こう考えると、結局ゴーカイジャーの方針を迷って決定出来ないアカレッドにしてみれば、
バスコとマーベラスの2人をとりあえず地球に連れていけば、
どっちに転んでも対応は出来るというような印象でした。
それでズルズルと決断出来ないまま、アカレッドはレンジャーキー集めの旅を続け、
バスコとマーベラスは無邪気に夢に向かってその旅に同行していき、月日が過ぎていきました。

そうして「赤き海賊団」が結成されて3人が一緒に旅をするようになって1年が経とうとする頃、
既に大部分のレンジャーキーは集まっていました。
そんな折、バスコがたまたまアカレッドの秘密を知ってしまったのでした。
おそらくアカレッドが私室の鍵でもかけ忘れてマーベラスと共にレンジャーキー回収に出掛けて、
留守番をしていたバスコがたまたまそれに気付いて、
興味本位でアカレッドの私室に入ってメモなどを見たのでしょう。

だからバスコもアカレッドや「宇宙最大のお宝」の全てを知ったわけではなく、
断片的な情報を知っただけでした。
それは、まずアカレッドが地球出身であり、
レンジャーキーは地球の34のスーパー戦隊という者達の所有物であり、
アカレッドはレンジャーキーを全部集めたら地球に行って、そのスーパー戦隊に会う予定だということでした。

これを知ったバスコは、アカレッドが回収したレンジャーキーをスーパー戦隊に返そうとしているのだと思いました。
そして、そのことを今まで自分達に黙っていたということは、
自分達を騙してレンジャーキー回収のために利用していたからなのだと思い込んだのでした。

バスコがそのように猜疑心を抱いてしまうのも仕方ないのは、
アカレッドがバスコ達に内緒でレンジャーキーを25個も宝箱から抜き出して隠していたり、
コソコソとゴーカイジャーという謎の戦士への変身機能付きモバイレーツや、
「大いなる力」というものを吸い取るラッパラッターというものを作ったりしていたことも
バスコが知ってしまったからです。

そうなると、アカレッドは「宇宙最大のお宝を探している」などと嘘をついて、
体よくバスコ達をレンジャーキー回収のために利用しただけとも考えられますが、
バスコはそうは思いませんでした。

何故なら、その時バスコが見たメモには、
アカレッドが記した「宇宙最大のお宝を手に入れるための手順」があったからです。
そこにはガレオンの船室でナビィに192個全てのレンジャーキーの「大いなる力」を注ぐと、
ナビィが扉となって「宇宙最大のお宝」の在り処へ繋がる道が開くというようなことが書いてあったのでした。

そんなことが記してあるということは、やはり「宇宙最大のお宝」は実在するのであり、
アカレッドはその実在も知っており、手に入れる方法も知っていた。
そしてそのことをバスコ達に隠していた。
そしてバスコ達を騙してレンジャーキーをスーパー戦隊という連中に返そうとしている。
そう解釈したバスコは、アカレッドがスーパー戦隊という連中と一緒につるんで
「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしており、
自分達はレンジャーキー集めに利用されただけであり、
レンジャーキーさえ集まれば用済みになって捨てられるのだと思い込んでしまいました。

バスコはずっと一匹狼の宇宙海賊であったのに、あえて「赤き海賊団」の一員になっていたのは、
それなりにアカレッドやマーベラスのことを同じ夢を掴むために集まった仲間として気に入っていたからであり、
信頼もしていたのです。
そのアカレッドに裏切られたと思い込んだバスコは、
やはり自分が夢を掴むためには大切なものを捨てるしかない、
すなわち、大事な仲間も捨てなければならないのだと改めて痛感し、
アカレッドや、アカレッドにベッタリのマーベラスを裏切って、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な物を独り占めすることを決意したのでした。

まぁ普通ならアカレッドに真相を問い詰めるべきところなのですが、
そうはせずにバスコが即座に裏切りを決意したのは、
やはり根本的にはバスコが夢を掴むためならば何を犠牲にしてもいいという思考の持ち主だったからでしょう。
自分がそんな考え方だから、バスコから見ても謎の多い存在であったアカレッドのことも、
自分と同じような「夢のためなら非情になれる人間」だとバスコは決めつけてしまったのでしょう。
だから、もはやアカレッドと問答しても意味は無いと思い、
裏切られる前に裏切らなければいけないとバスコは焦ったのです。

そして、そんな風に「所詮は夢を掴むためには仲間も捨てなければならないのがこの宇宙の厳しい現実」だと
再認識したバスコから見て、マーベラスなどは
「仲間と一緒でなければ夢を追うことすら出来なかった弱いヤツ」でしかなく、
夢を掴むことはおろか、この宇宙で生き残ることも出来ない半人前とした思えなかったのでしょう。
だからバスコはアカレッドだけでなく、マーベラスのことも平然と切り捨てることにしたのです。

こうして、バスコは秘かに「赤き海賊団」を裏切ることを決意しましたが、
バスコの腕をもってしても単独で裏切りを決行することは出来ませんでした。
それはバスコがアカレッドの実力が自分より上だと見なしていたからです。
といっても不意をつけば勝てる可能性はある程度の実力差であったとは思えますが、
バスコはあくまで安全策をとり、ザンギャックの軍師であるダマラスに内通しました。

もともとはこの2人はバスコが一匹狼の海賊だった頃に知り合いだったのでしょう。
といっても仲間だったわけではなく、ダマラスは追う側、バスコは追われる側の関係であったのでしょうが、
おそらくバスコはダマラスにだけはサシの勝負でも勝ったことがなく、
その実力がアカレッドを超えていると見込んだのでしょう。

それでバスコは帝国の最大の反逆者である「赤き海賊団」の壊滅に手を貸す代わりに、
自分の罪を許して私掠許可をくれるようにダマラスに要求し、
ダマラスはそれを呑み、バスコの手引きで「赤き海賊団」のアジトを襲撃することにしました。

そうしてレンジャーキーがアカレッドが隠し持っている25個も含めて192個全部が集まったタイミングを見計らって、
バスコはダマラスに秘密のアジトに停泊中のガレオンを襲撃するよう要請し、
地球暦で2013年の初頭、ガレオンはザンギャックの襲撃を受けたのです。

バスコはその直前にアカレッドが隠していた25個のレンジャーキーとラッパラッターを盗み出して
手中にしていました。
変身機能付きのモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーの隠し場所は分からなかったが、
それらについては、「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なものという指定も無かったので、
バスコはあまり興味は無く、どうせ後でナビィもろともガレオンごと手に入れればいいという程度に思っていました。

そしてザンギャック兵達がガレオンに乱入してきたと同時に
バスコはアカレッドとマーベラスの目の前で裏切りの態度を明らかにして、
167個のレンジャーキーの入った宝箱を奪ってザンギャック兵達の側に立ち、アカレッド達と対峙したのでした。

アカレッドは予想外のバスコの裏切りに驚きました。
それまでのバスコの態度から判断して、
バスコがお宝を独り占めするためにずっと自分達を騙していたとは到底思えなかったからでした。
バスコは冷静でニヒルなところのあるキャラではありましたが、基本的には気のいい夢想家であり、
仲間想いの優しい男であり、お宝を独り占めすることにこだわるような強欲な人間ではありませんでした。
そもそもそんな打算的な人間であれば、伝説のお宝を追いかけるなどという
非生産的なことに夢中になるはずがない。

だから、アカレッドはバスコが何かを誤解しているのだろうと悟りました。
そして、それがおそらく自分が煮え切らない態度でバスコ達に秘密を抱え続けていたことに
原因があるのだと気付きましたが、
こうしてザンギャック兵達まで引き込んでしまったバスコに今さら何を言っても、
もはや後の祭りだとアカレッドは思いました。

そうしてアカレッドは、自分の行いを悔やみました。
結果的には自分はバスコやマーベラスの伝説のお宝を手に入れたいという純粋な心を利用して
騙していただけで終わってしまった。
バスコが外道に転落してしまった原因を作ったのは自分なのであり、
このような事態を招いたのは自分の自業自得だとアカレッドは思いました。

しかし同時に、アカレッドはこれぐらいのことで簡単に転落してしまったバスコの心の脆さにも驚いていました。
アカレッドはバスコのことを夢を掴むためにはどんな犠牲も払う覚悟を持った
強靭な心の持ち主だと敬意を表しており、
バスコならばスーパー戦隊の犠牲を受け入れてなお、平和な宇宙を作りたいという意思を曲げることはない、
宇宙の作り直しの良き担い手になってくれるものと期待していました。

ところがそのバスコの心は意外に脆く、
簡単に人間不信に陥って、自分のエゴのために平然と仲間を裏切る外道に豹変してしまいました。
その醜く歪んだバスコの姿を見てアカレッドは悟ったのでした。

他人や仲間を犠牲にして夢を叶えたとしても、その夢は歪んでしまうのです。
本当の夢というものは自分を傷つける覚悟で掴み取るものでなければならない。
だから、スーパー戦隊が自分を捨てて平和な宇宙を作り直そうとしているのは正しいことではあるが、
その宇宙の作り直しの担い手が、スーパー戦隊の犠牲だけを受け入れて自分は傷つくことなく
平和な宇宙を作ろうとしても、その新しい宇宙は必ず歪んだものとなり、決して平和な宇宙は実現しない。
その新たな宇宙に生まれ変わる人々にしても同じことであり、
自分で傷を負って掴み取った平和でなければ、彼らはきっとその平和を歪めてしまうに違いない。
つまり、この宇宙は決してお宝によって平和な宇宙に作り直されることを望んではいないのだということを
アカレッドは、この絶体絶命の状況で遂に悟ったのでした。

その瞬間、マーベラスが夢のために仲間を裏切ったバスコに対して怒りを爆発させて襲い掛かり、
バスコに撃たれました。
それを見てアカレッドは、マーベラスは仲間がいなければ夢を追いかけることも出来ない弱い男なのではなく、
同じ夢を掴むために集まった仲間を大切に思うからこそ、
マーベラスはどんな絶望的状況にも立ち向かう心の強さを保つことが出来るのであり、
自分の犠牲も顧みることなく夢を掴み取ることが出来るゆえに、その夢が歪むこともないのだと、
アカレッドは悟りました。

つまり、「平和な宇宙」という夢を掴み取る方法は、
マーベラスのように仲間を犠牲にすることよりも自分を犠牲にすることを選ぶ、
すなわち、お宝を使うのではなく、戦ってザンギャックを倒す道が正解なのであり、
その担い手であるゴーカイジャーにはマーベラスこそが相応しかったのだとアカレッドは気付きました。

それでアカレッドは、マーベラスをザンギャックを倒して宇宙を平和にするゴーカイジャーの役割を託し、
宇宙の運命を賭けることを決意しました。
そのためにはここでマーベラスを死なせるわけにはいかないと思ったアカレッドは、
身を挺してマーベラスを守ることにしました。

この時、ザンギャックの襲撃部隊にはダマラスはいませんでした。
ダマラスは、たかが宇宙海賊2人を討ち取る程度のことで自らが出向く必要も無いと甘く見て、
自身はその場には出向かずに配下の精鋭部隊だけ差し向けたのでした。
そのため、相手にバスコも加わっていることを計算に入れても、
アカレッドはマーベラスの事は見捨てて、バスコを倒して宝箱を奪い返して
自分一人だけでその場を切りぬける程度のことは十分に可能だったかもしれません。

しかし、アカレッドはそれまでマーベラスとバスコを騙していた罪滅ぼしも含めて、
この場では重傷を負ったマーベラスを逃げのびさせることと、
マーベラスのために宝箱とガレオンとナビィを死守することだけに集中して、
自分を捨てて、身を挺して戦いました。

その結果、アカレッドはマーベラスをガレオンから脱出させた上で
バスコを斬り倒して宝箱を取り返し、この乱戦の中で再び宝箱を奪われても支障の無いように、
自身の「大いなる力」を使って宝箱の中のレンジャーキーの半分ほどを再び宇宙に散らばらせました。
そうしておけば、あとはナビィさえ逃げればバスコはレンジャーキーを集めることは出来なくなります。

そしてアカレッドはナビィを連れて獅子奮迅の戦いでガレオンからバスコとザンギャック兵達を追い出し、
船外でザンギャック兵達に追い詰められたマーベラスを庇って銃弾を受けて、
マーベラスに宝箱とナビィを託して「宇宙最大のお宝を必ず手に入れろ」という言葉を遺して、
ザンギャック部隊に突っ込んでいき、相討ちで部隊を全滅させてマーベラスを守りきったのでした。

この時、アカレッドがマーベラスに手に入れるように言った「宇宙最大のお宝」とは、
地球の中心にある宇宙を作り直す装置のことではありません。
それはマーベラスがナビィのナビゲートに従って旅を続けていけば最終的に辿り着くお宝ではありましたが、
アカレッドは更にその先でマーベラスが見出すであろう価値について言っているのです。

それはマーベラスがどんな絶望的状況でそのお宝を目に前にしても、
それでもお宝に頼らずに自分の手で夢を掴み取る道を選ぶ原動力となる
「どんな絶望的状況でも共に同じ夢を掴むために集まった仲間との絆」そのものでした。
それこそが真に「平和な宇宙」を作り出す力なのだと悟ったアカレッドは、
それこそが本当の「宇宙最大のお宝」なのだと理解しました。

そして、古の宇宙海賊たちは
ザンギャックに逆らうという危険を冒しても夢を求めるために集まった自分達の絆こそが
宇宙の運命を変える力があるということを知っていたからこそ、
その伝説の宝は、決して形あるものとして手に入れることは出来ないが、
宇宙全体と同じ価値があるのだと言い伝えたのだろうとアカレッドは思いました。

あるいは、何者かが古の宇宙海賊にそのことを教えたのかもしれない。
それは宇宙海賊にとって信頼に足る何者かであり、
だからこそ、それは伝説として言い伝えられてきたのでしょう。

つまり、宇宙海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」は決して根拠のない嘘話などではなかったのであり、
実はマーベラスはそのお宝を未熟な形ながら既に手にしていた。
むしろ、何も分かっておらず、そのお宝を嘘話だと決めつけていたのは自分の方であったのだと
アカレッドは反省しました。

つまり、アカレッドは実際はマーベラスにとっての「夢を掴むために集まった仲間」ではなかった。
そしてバスコもマーベラスにとっての真の仲間ではなかった。
せっかくマーベラスには「夢を掴む力」があるのに、その夢を掴む仲間に未だ恵まれていなかったのです。
だからアカレッドは自分がマーベラスと旅をするのはここまでなのだと悟りました。
自分はここでマーベラスを生き延びさせるために戦い、退場するのが運命であったのです。
そして1人になったマーベラスは、きっと自分にとっての本当の仲間を見つけて、
「夢を掴むために集まった仲間の絆」という「宇宙最大のお宝」を手に入れるはずだとアカレッドは確信しました。
だからアカレッドがマーベラスに遺した最期の言葉は「宇宙最大のお宝を必ず手に入れろ」であったのです。

そのマーベラスが見つけ出す仲間こそがゴーカイジャーの残り4人と、
地球で待ち受けるもう1人のゴーカイジャーなのであり、
最終的にはその仲間は34のスーパー戦隊や地球の多くの人々も含まれることになっていくのです。
そのように確信してアカレッドはザンギャック部隊に突っ込んでいき、
ザンギャック部隊を全滅させて自身も相討ちで死にました。

死んだといっても肉体を失っただけで、
もともとが思念体のアカレッドは消えることはないのですが、
それでも肉体を失う「死」は思念体としても大きなダメージは受けるものであり、
しばらく思念体アカレッドは活動不能となったと思われ、
アカレッド自身、何時になったら復活して思念体として活動出来るようになるのかも
分からない状況だったと思います。
それだけの犠牲を払ってアカレッドはマーベラスに全てを賭けたのです。

アカレッドはこの時、あるいは自分の肉体と引き換えにバスコも倒したと思っていたのかもしれませんが、
バスコは死んではいませんでした。
ただ重傷を負って動けない状態となっていたようで、
アカレッドが死んで怪我人のマーベラスがガレオンに乗り込んで去っていくのを
邪魔することも出来ず見送るしかなかったようです。

結局バスコはガレオンとナビィと宝箱のレンジャーキーを手に入れることは出来なかったが、
事前に奪っていたラッパラッターと25個の追加・番外戦士のレンジャーキーだけは確保してその場を去り、
怪我を治した後、ダマラスによって約束通りに私掠許可を貰い、
乗艦として小型戦艦を受け取り、独自の改造を施してフリージョーカーと名付けました。

そうしてザンギャックの私掠船の船長となったバスコでしたが、
マーベラスに逃げられたのはダマラスが赤き海賊団を舐めて作戦の手を抜いたせいだと不満に思っており、
ダマラスもダマラスで、マーベラスを取り逃がしたのはバスコがヘマをしたせいだと思い、不満を持っており、
基本的に2人の間は険悪でした。

ただバスコはザンギャックの私掠許可があれば行動しやすいので
「宇宙最大のお宝」を探すのに好都合だと思っており、
ダマラスは腕の立つバスコは利用価値があると思い、
内心嫌い合っている2人は一応は表向きは手を組む関係を維持したのでした。

そしてバスコはマーベラスの行方を追ってガレオンやナビィやレンジャーキーを奪うべく、
態勢を整えようとしましたが、
アカレッドに裏切られ、そのアカレッドを自分が裏切ったという経験によって
バスコは仲間を持っても裏切られるだけのことであり、
自分だって仲間を平気で裏切るのだから、もう仲間など持っても意味は無いと思いました。

それでも1人では何かと不便なので、
バスコは仕方なくサルでも調教して仕込めば人間のように小賢しく裏切ったりはしないだろうと思い、
宇宙サルのサリーを仕入れて、調教し、
更にサリーを改造して腹のハッチの中に人造生命体を尖兵として飼うことにしたのでした。

しかし、そうしてバスコがマーベラスの行方を探しても、
広い宇宙ですから、マーベラスの行方はなかなか掴むことが出来ませんでした。
逃げのびたマーベラスは宇宙を旅して散らばったレンジャーキーを再び集めて回っているらしいということは
分かったのですが、神出鬼没のガレオンの動きはバスコも掴むことが出来ず、
また、結局、アカレッドのメモから得た情報では「宇宙最大のお宝」も、
そこに至る扉を開くために必要な「大いなる力」というものも、
いったい何処にあるのか、バスコには見当がつかない状態であり、
バスコはこのままではマーベラスに先を越されてしまうと、焦りを募らせることとなったのでした。

一方、「赤き海賊団」の壊滅した秘密アジトから、ナビィと共にガレオンに乗ってなんとか脱出したマーベラスは、
脱出の際に秘密アジトで自分以外に生きて動いている者がいなかったので、
てっきりバスコはアカレッドに倒されて死んだものだと思っていました。

そしてガレオンに宝箱を持って戻ったマーベラスは、
ナビィを通して伝えられたアカレッドからの伝言で、ガレオンの船内の何ヵ所かの隠し場所を見るように言われ、
何ヵ所かはラッパラッターや25個のレンジャーキーの隠し場所であったので
既にバスコに盗まれた後で何もありませんでしたが、
鍵穴付きモバイレーツ5つと、
レッド・ブルー・イエロー・グリーン・ピンクの5つの見たこともないタイプのレンジャーキーは発見しました。

ナビィからの伝言で、それらをアカレッドは「夢を掴む道具」だと呼んで
自分に渡すよう言っていたことを知ったマーベラスは、
ナビィの指示通りにそのレンジャーキーをモバイレーツの鍵穴に挿して回しましたが、何も起きませんでした。
どうしてマーベラスが変身出来なかったのかというと、
その時マーベラスは「夢を掴もうとする強い意思」を失っていたからモバイレーツが反応しなかったからです。

マーベラスの心はすっかり打ちひしがれていました。
何が何だか分からないうちに同じ夢を掴む仲間だと信じていたバスコに裏切られ、
そして自分を夢を追う旅に引き込んでくれたアカレッドもバスコを殺した後、
ザンギャック部隊からマーベラスを守るために死んだ。
一緒に夢を追いかける仲間がいたからこそ、マーベラスは夢を掴むために突っ走ることが出来ていたのです。
全てが順調に進んでいると思っていた時、突然その仲間を全て失ったマーベラスは虚脱状態となってしまいました。

アカレッドから夢を引き継ぎ、夢を掴むように約束させられてしまったものの、
以前のような気力が湧いてこないマーベラスは、
1人では宝探しも出来ない自分がなんとも情けないと思いました。

それでも、アカレッドから受け取った宝箱の中のレンジャーキーのうちの半分ぐらいは無くなってしまっており、
ナビィがまた以前のようにレンジャーキーの在り処を報せるナビゲートをしてくるので、
マーベラスとしては対応せざるを得ない。
ナビィのナビゲートに動かされて、アカレッドとの約束は果たさなければいけないという義務感もあり、
1人でガレオンを駆って宇宙を飛び回り、行く先々の星でレンジャーキーを回収したり、
ザンギャックの警備兵と戦ったりする日々を送ることとなったのでした。
だが、以前、アカレッドやバスコと共に旅をしていた時のような高揚した気分が湧いてこないマーベラスは、
沈んだ気分で旅を続けていたのでした。

それゆえ、モバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーをアカレッドから受け継いだものの
マーベラスはその力を使いこなすことが出来なかったのでした。
モバイレーツにレンジャーキーを挿しても何も起こらない以上、
マーベラスにはこの道具が一体何なのかもよく分かりませんでしたが、
アカレッドがそれらを「夢を掴むための道具」と呼んでいたということは
「宇宙最大のお宝」という夢を掴みとるために必要な道具で大きな力となる道具なのだということは分かりました。

だから本来はこの道具を使えば大きな力が得られるはずなのです。
それを自分が使いこなせないということは、
自分は「夢を掴む力」を失ってしまったのだろうとマーベラスは思いました。
かけがえのない仲間を失って、自分は夢を掴む力を失った。
だからこんな道具さえ使いこなすことが出来なくなったのだと、マーベラスは悲しみに打ちひしがれました。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:10 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その10

「赤き海賊団」が壊滅した後、
マーベラスは死んだアカレッドとの「宇宙最大のお宝を必ず手に入れる」という約束を果たすため、
1人で再びレンジャーキーを集め始めました。

マーベラスはその夢を掴むための道具としてアカレッドがガレオンに残してくれていた
「夢を掴むための道具」という5人分のゴーカイジャーの変身アイテム、
すなわち鍵穴付きモバイレーツとゴーカイジャーのレンジャーキーを受け継いでいましたが、
アカレッドやバスコというような仲間と一緒にお宝を目指していた時のような
盛り上がる気分が無くなって「夢を掴む力」を無くしてしまっていたので、
夢を掴む力に反応して作動するゴーカイジャーの変身アイテムを作動させることも出来ず、
それが変身アイテムだということすら気づいていませんでした。
ただ「夢を掴むための道具」を使えない自分は「夢を掴む力」を失ったのだという自覚はありました。

そもそもマーベラスは「宇宙最大のお宝」が何なのかも知らないし、それが何処にあるのかも分からない。
どうしてレンジャーキーを集めれば「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るのか、
その脈絡も分かりませんでした。
単にアカレッドがそうしていたから、それを真似ているだけのことです。
1人ぼっちになってみると、現状やっていることが本当に「宇宙最大のお宝」へ辿り着く道なのか、
どうにもマーベラスには不安になってきました。

「赤き海賊団」健在時はアカレッドやバスコの確信に満ちた態度に引っ張られていましたが、
こうして1人になってみると、マーベラスは自分が「赤き海賊団」に入る前、
1人で海賊のようなチンピラをやっていた頃は、「宇宙最大のお宝」に憧れつつも、
それは所詮はこの宇宙の絶望的な現実から逃避するために妄想していた、
空想の産物に過ぎないとも思って弱気になっていたことを思いだしました。

アカレッドがいたからこそ自分は甘美な夢に浸ってこれたに過ぎないのであり、
本当は「宇宙最大のお宝」などは単なる空想の伝説にすぎなかった。
この絶望的な宇宙の現実の中で夢など掴むことは出来ないのかもしれない。
1人になって宇宙の現実を冷静に見ると、マーベラスの胸中はそのような寒々しい感慨が膨れ上がってきたのでした。

ならば新たに仲間を作れば良さそうなものだが、
「宇宙最大のお宝」なんていう正体不明の途方もない夢を一緒に掴もうとしてくれる者が
アカレッドやバスコ以外にそうそう居るとも思えず、
そもそも自分に仲間を再び持つ資格があるともマーベラスは思えませんでした。

何故なら自分はいつも仲間を大事だと言っていたクセに、
アカレッドに命を捨てて助けられて生き残ってしまった。
自分は仲間を守るために命を張ることも出来ず、目の前で仲間を見殺しにしてしまったのです。
それは常日頃マーベラス自身が言い続けてきたポリシーに反する行動でした。
だからマーベラスはそれがトラウマとなり、新たに仲間を作る自信が無くなってしまっていたのでした。

そんな折、マーベラスが1人でレンジャーキー集めを始めて1ヶ月ほどが経った、地球暦で2013年の春先頃、
マーベラスは立ち寄った星でキアイドーという有名な賞金稼ぎに狙われてしまい、完敗してしまいました。
ところがキアイドーはわざとマーベラスを殺さずいたぶった挙句見逃し、その際マーベラスは恐怖心を抱いてしまい
もうすっかり宝探しにもウンザリしてしまいました。

そして、そのすぐ後にマーベラスがナビィのナビゲートでしぶしぶ降り立った星は、
ザンギャックに征服されたばかりの荒廃した風景が広がっていました。
マーベラス自身の幼い頃の記憶にも刻印された忌まわしい廃墟と化した故郷の風景を思い出させるその光景は、
宇宙の絶望的な現実をまざまざと見せつけるものでした。
レンジャーキーを探してあちこちの星を巡る中でもう何度も同様の光景に出くわして
マーベラスはいい加減、宇宙の現実の救いようの無さにウンザリしていました。
そんな時にマーベラスはザンギャック軍の追手に追い詰められている脱走兵のジョーを見かけたのでした。

ジョーはザンギャックの兵士養成所から特殊部隊に配属になり、既に実戦経験はいくらか積んでいたようですが、
初めて異星の一般人を相手にした征服作戦に参加したようです。
その星でのザンギャック軍の一般人に対する無法な行いはジョーを驚かせ、
それがザンギャック軍の実態だと知り、
幼い頃からザンギャックこそ正義だと教え込まれて、軍人になって正義を行おうと考えていたジョーは
自分が今までザンギャックに騙されていたことを知りました。

それで何の罪も無い異星人の子供を殺すよう命令されたジョーはその命令を拒絶して子供を助けようとしますが、
投獄されてしまいました。
そのジョーを同様にザンギャックによって騙されていたことに憤った同じ特殊部隊の先輩のシドが救出し、
2人は共にザンギャック軍を脱走しますが、
シドはジョーを逃がすために追手を引きつけて捕らわれて生死不明になってしまいました。

そうして1人逃げ続けたジョーも追い詰められたところをマーベラスはたまたま見かけたのです。
マーベラスは初対面のジョーが脱走兵となった経緯はもちろん知りませんでしたが、
疲労しきって追い詰められたジョーの目がそれでも微かに熱く光を放っているのを見て興味が湧き、
ジョーに加勢して共に戦い、追手のザンギャック兵達を倒しました。

ジョーはほとんど絶望しながらも、
それでもシドと最後に誓った「生き延びて、このザンギャックに支配された宇宙で
これからは自分の正しいと信じたことのために戦う」という約束を守るため、
なんとかして生き延びようと足掻いていました。

そのジョーの必死に足掻く姿にマーベラスは自分と同じ苦しみと、
絶望の中で夢を信じて掴もうとする切なる想い「夢を掴む力」を感じ取り、
この男とならば、アカレッドやバスコに代わって、
自分にとっての新たに一緒に夢を掴むための仲間になれるかもしれないとマーベラスは思ったのでした。
つまりジョーとの出会いがほとんど腐りかけていたマーベラスの心を復活させたのです。

それで思わずマーベラスはジョーに加勢してザンギャックの追手を片付けたわけですが、
戦いの後、マーベラスがその勢いで思い切ってジョーを仲間に誘うと、
ジョーは自分の首には発信器付きの首枷がついており、外そうとすると感電するので無理だと言いました。
そこでマーベラスはもう二度とアカレッドの時のように仲間を見殺しにしたくないと思い、
命を張ってジョーを助けたいと思って、
電撃を身体に浴びながらジョーの首枷を無理に外して破壊し、ジョーを自由の身としました。

こうして仲間を命懸けで救ったことによってマーベラスはアカレッドを救えなかったトラウマから解放され、久しぶりに清々しい気持ちになり「俺には宇宙最大のお宝を掴み取るという夢がある」とキッパリと言い、
あらためてジョーに共に夢を掴む旅をするように誘いました。
そしてジョーが仲間になってくれれば自分は「夢を掴む力」を取り戻すことが出来ると思い、
マーベラスはジョーに向かって「夢を掴むための道具」である
モバイレーツとレンジャーキーの1セットを差し出しました。

ジョーはマーベラスに恩義を感じて、マーベラスの「宇宙最大のお宝」を掴むという夢にどこまでも付き合って、
マーベラスの背中を守り、その夢を守る役目を担うことを誓い、その「夢を掴むための道具」を受け取りました。
それは、ジョーにとっても、信頼していた命の恩人であり剣の師匠であった仲間のシドを失った悲しみを
乗り越えて、自分の信じる正しい道を進むというシドとの約束を果たすためには、
共に夢を掴もうとする新たな仲間が必要であったからなのです。
つまりマーベラスもジョーも互いに仲間となることで救われ、新たな人生を歩み出すことが出来たのでした。

そうしてマーベラスとジョーは、アカレッドがガレオンに残していた5人分の「夢を掴むための道具」のうち、
マーベラスがゴーカイレッドのレンジャーキー、ジョーがゴーカイブルーのレンジャーキーを手にして
それぞれがモバイレーツに挿してみると、それぞれ赤い戦士と青い戦士に変身出来ました。
そして変身してみると、そのレンジャーキーに宿してあった情報によって、
それが「海賊戦隊ゴーカイジャー」という戦隊であり、
マーベラスの変身したのがゴーカイレッド、ジョーの変身したのがゴーカイブルーであることが分かりました。
「夢を掴む力」を復活させたマーベラスとジョーはゴーカイジャーに変身することが出来るようになったのです。

マーベラスとジョーは、自分たちがゴーカイレッド、ゴーカイブルーであるのならば
それ以外の黄、緑、桃色のそれぞれのレンジャーキーで変身する戦士は
おそらくゴーカイイエロー、ゴーカイグリーン、ゴーカイピンクなのだろうというのだということも分かりました。
つまり、「夢を掴むための道具」を使うことの出来る者はあと3人増やすことが出来るということでした。

そして、更に試しにマーベラス達が宝箱の他のレンジャーキーを鍵穴付きモバイレーツに挿してみると、
それぞれのレンジャーキーと同じ姿の戦士に変身することが出来て、
マーベラスはレンジャーキーにそんな用途があったことを初めて知りました。
また、ゴーカイジャーに変身していたり、ゴーカイジャーのレンジャーキーを身につけたりしていると
宝箱の中のレンジャーキーを自由に取り寄せることが出来ることも判明し、
これはナビィが以前にアカレッドに命じられて宝箱とゴーカイジャーのレンジャーキーとの間を結んだ
カーギーロードという異次元通路の働きによるものらしいということも分かりました。

このカーギーロードの件も含め、
アカレッドが最後の戦いの中で特に選んでナビィに遺言したのは
ゴーカイジャーのレンジャーキーのことだけであったので、
マーベラスはゴーカイジャーというのが特別な意味を持った戦隊だということは分かりました。
ただ、ゴーカイジャーがどういう意味のある戦隊なのかは全く分からない。

それでも、アカレッドの自分への遺言が「宇宙最大のお宝を必ず手に入れろ」というものであった以上、
このゴーカイジャーのレンジャーキーと変身機能付きモバイレーツは
やはり「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な道具、
すなわち自分にとっての「夢を掴むための道具」としてアカレッドが残してくれたものなのだろうと
マーベラスは解釈したのでした。

こうしてジョーを仲間に加えたマーベラスは新たに宇宙海賊「マーベラス一味」を立ち上げ、
ゴーカイジャーはレッドとブルーの2人組となったのでした。
そしてマーベラス達がゴーカイジャーのレンジャーキーの力を引き出すことが出来るようになったのと呼応するように
ゴーカイガレオンの船底のこれまで立ち入ることの出来なかった1区画の扉が開くようになり
マーベラスとジョーはそこにゴーカイジェット、ゴーカイトレーラー、ゴーカイレーサー、ゴーカイマリンという
4機のゴーカイマシンが格納してあることを初めて知りました。
これはガレオンも含めて5人のゴーカイジャーのそれぞれ乗るマシンということであり、
マーベラスはガレオンの船長となり、ジョーは青い機体のゴーカイジェットを操縦することにしました。

こうしてマーベラスはジョーという新たな仲間を得て、
以前のように「宇宙最大のお宝」という大きな夢を掴むために力強く前進するようになり、
マーベラスとジョーのコンビはナビィのナビゲートに従って、
宇宙に散らばったレンジャーキーを集める旅に駆けまわりました。

そうして少し経った頃、マーベラス達がナビィの指示で降り立った星は
ザンギャック軍によって侵略されている真っ只中でした。
マーベラスとジョーは侵略戦争の混乱の中、首尾よくその星にあったレンジャーキーをゲットしましたが、
そのままその星の人々を見捨てて立ち去るのも後ろ髪引かれる想いがしました。
2人とも幼い頃に生まれ故郷の星をザンギャックに滅ぼされており、
今まさに故郷の星を滅ぼされようとしているこの星の人々を他人事のようには思えなかったのです。

かといって、たった2人でザンギャックの侵略軍を阻止することなど出来るわけもない。
普段2人が相手にしているような駐屯軍の警備隊などとはわけが違う、
行動隊長なども大量にいる精鋭軍なのです。
だからザンギャックの侵略を阻止することは出来ないし、この星が滅ぼされる運命は変えられない。

しかし、だからといってこのまま何もせずに立ち去るのも居心地が悪かったマーベラスとジョーは
航海資金の調達も兼ねて、その侵略軍の司令部に忍び込んで軍資金を全部盗み出すことにしました。
軍資金が突然無くなればザンギャック軍は混乱し、一時的に侵略作戦はストップし、
その間にこの星から多くの人々が逃げ出すことが出来る。
この星の滅亡は止めることは出来なくても、せめて逃げて助かる人が少しでも増えれば、
少しは救いがあるのではないかとマーベラスとジョーは思ったのでした。

ところがそうして2人がザンギャック軍の司令部に忍び込むと、そこには既に先客がいました。
マーベラス達の狙っていた軍資金を狙って忍び込んでいた1人の女盗賊が
警備兵たちを相手に大立ち回りを演じた後、取り囲まれて殺されそうになっていたのです。
マーベラスとジョーは思わずそこに乱入して警備兵たちを倒して女盗賊を助け、
軍資金を手に入れることが出来ました。
その女盗賊がルカであり、これがマーベラス達とルカの出会いでした。

ルカはザンギャックに征服された生まれ故郷の星のスラムで戦災孤児として育ち、
同じ境遇の妹が病死した後、現状に絶望して故郷の星を飛び出し、
戦災孤児たちが安心して平和に暮らせる場所を作るために、星を買い取るお金を稼ごうとしましたが、
結局は良い仕事は見つからず、大金を早く稼ぐために盗賊になっていました。
ただ、自分と同じような貧しい境遇にある者から盗もうとはせず、
もっぱらザンギャックの施設から金品を盗み出す一種の義賊でした。

マーベラス達はルカがどういう盗賊なのかは知りませんでしたが、
とにかく女1人で警戒厳重なザンギャック侵略軍の司令部にわざわざ盗みに入るというのは
尋常なことではないと思いました。

実際、いくらルカがザンギャック専門の盗賊だといっても、
もっと手薄で狙いやすい場所はいくらでもあるのに、
わざわざ危険を顧みずにたった1人でこんな警戒厳重な場所を狙うというのは不自然でした。

つまりルカもマーベラス達同様、
自分と同じようにザンギャックに苦しめられている見知らぬ人々を少しでも救おうとして、
誰からも頼まれたわけでもないのに自分の身を危険に晒して、その司令部に盗みに入ったのです。
自分達も同様であるゆえにルカのそうした真意に気付いたマーベラスは、
ルカのことをとんでもないバカだと思いましたが、
自分達と同類のバカであるゆえに、一緒にバカみたいに途方もない夢を追いかける仲間になれる、
すなわちこの女盗賊も「夢を掴む力」を持っているに違いないと思い、
ルカをその場で仲間になるよう誘いました。

しかしルカは金を集めて星を買う夢があったので、海賊は割に合わないと言って断りました。
だが、マーベラスが「宇宙最大のお宝」を探していると言い、そのお宝は絶対に存在すると言い切ったので、
ルカは宇宙全体と同じ価値を持つ「宇宙最大のお宝」を手に入れたら
マーベラス達から横取りして売りとばし、宇宙全体を買い取って宇宙全部の戦災孤児を幸せにしようと目論み、
その夢のことはマーベラス達には内緒にしたまま、マーベラス一味の仲間になったのでした。
こうしてマーベラスは3人目の仲間となったルカにゴーカイイエローのレンジャーキーとモバイレーツを託しました。
そして実際、ルカはゴーカイイエローに変身することが出来たのでした。

だが、この「宇宙最大のお宝」の話はあまりに曖昧すぎて、
いくらマーベラスとジョーが勝手に確信していても、ルカがそれを簡単に信じるのも不自然な話です。
つまりルカは本心では仲間が欲しかったのでしょう。

星を買うにしても宇宙全体を買うにしても、常識的に考えてほとんど実現不可能な夢です。
それが本当に実現の目算が立っているのなら、脇目も振らずに金儲けだけをしていればいい。
それなのに危険を承知で少数の人々を助けようとしたりしていたのは、
ルカ自身、星を買うほど儲けるのは無理だと半ば諦めてしまっていて、
もともと星を買うことによって達成しようとしていた「虐げられた人々を助けたい」という本当の夢を
ささやかながら実践しようとしていたに過ぎないのです。

もともとはルカは星を買ったり多くの戦災孤児を救うなどという途方もない夢を
故郷の星のスラムの仲間たちと共有しようとしたが、誰もその夢を一緒に叶えようという仲間になってくれなかった。
それでルカは故郷を飛び出したのだが、
ルカが本当に故郷の外に求めていたのは共に夢を掴もうとする仲間であったのでした。
しかし誰も仲間は見つからず、ルカは1人で盗賊をする羽目になっていたのです。

だからルカはマーベラスとジョーが「宇宙最大のお宝」という途方もない夢を掴もうとしているのを見て、
彼らなら一緒に夢を掴むために旅をする仲間になれると思い、
一応は最終的にはお宝を横取りして自分の夢を叶えるためだと自分に言い聞かせながら、
マーベラス達と一緒に「宇宙最大のお宝」という夢を掴むための仲間となったことに
本心では喜びを感じていたのでした。

そうしてルカはゴーカイジャー3番目の仲間、ゴーカイイエローとなり、
黄色い機体のゴーカイトレーラーの搭乗者となりました。
こうして3人組になったマーベラス一味は
しばらく3人組のままガレオンで宇宙を飛び回りながらレンジャーキーを回収して回り、
その途中でザンギャックの警備隊をあちこちで撃破して、すっかり悪名高い賞金首となってしまいました。

そうした3人が地球暦で2013年の夏のはじめ頃にナビィのナビゲートで立ち寄った星は辺境の無人の星で、
宇宙航路のパーキングエリアとも言うべき、航海者たちのために給油所や数件の店が立ち並ぶだけの星でした。
そこでレンジャーキーをゲットした3人はガレオンで立ち去ろうとしたところ
ザンギャックの警備隊と戦闘になり、警備隊を全滅させたは良いものの、
ガレオンのメインコンピュータが突然ダウンしてしまって、その星から飛び立てなくなってしまいました。

警備隊とドンパチをやると、そのままグズグズしているとザンギャックの増援艦隊がやって来てしまうので、
いつもならさっさと立ち去らなければいけないのですが、
今回はそのまま立ち往生していると増援艦隊がやって来て大変なことになります。
3人の基地ともいうべきガレオンを捨てて逃げるわけにもいかないので、
とにかく急いでガレオンを修理しないといけないのですが、
3人ともコンピュータのメンテなどやったこともないので途方に暮れてしまい、
ルカがその星にあった唯一の便利屋に行って修理を頼みました。

正直に海賊船の修理を頼みたいなどと言えば断られるに決まっているので、
一般の船を偽って騙して修理させようとしたのですが、
その1人でやっているオンボロ便利屋の店主は、一旦は修理を引き受けたものの、
ルカの賞金首の手配書の写真を見てしまい、
ルカは宇宙海賊である正体がバレて、店主は怯えて逃げてしまったのでした。

それで3人がガレオンで途方に暮れていると、突然何故かその店主がやって来て
メインコンピュータの修理をしてくれただけでなく、
汚れきったガレオンの船室の掃除をして料理まで作ってくれました。
この便利屋の店主がハカセでありました。

ハカセは故郷の星がザンギャックに滅ぼされた後、
1人でこの辺鄙な星に移住して細々と便利屋を営んでいたのでした。
特に卓越した才能の持ち主ではないものの、豊富な知識を持ち、
何でもソツなくこなすハカセはもっと豊かで人口の多い星い移住すれば
もっと儲かる仕事につくことも出来たと思うのですが、
あえて辺鄙な無人星で小さな便利屋を営んでいた理由は、
自分の故郷を滅ぼしたザンギャックのルールに縛られた生き方をしたくなかったからでした。

辺鄙な無人星であればザンギャックの顔色を窺うこともなく自分の正しいと思うままに生きられる。
ザンギャック相手に戦う勇気の無いハカセでしたが、
それでも意地でもザンギャックの言いなりになって生きたくはなかったので、
半ば世捨て人のようになって、1人ぼっちで貧しく寂しい生活を選んでいたのです。
そして、ささやかながら自分の判断で仕事を受けて、客との間に信用を築く生活に満足していました。

そこに突然、ザンギャックに追われている海賊がやって来て、船の修理を頼んできたのですが、
一度は騙されて修理を引き受けたものの、相手がお尋ね者の凶悪な海賊だと分かると
ハカセは怖くなって逃げ出してしまいました。

しかし、相手がザンギャックに逆らっている海賊だからという理由で
一旦引き受けた修理を断ったということになると、
ハカセとしてはザンギャックを恐れて自分の判断を曲げたということになってしまう。
それは自分の意地として受け入れられないと思ったハカセは
海賊は怖かったが修理にやって来たのです。

弱いクセにザンギャックに逆らっても自分の意地を貫こうとする
ハカセのそうした姿勢を見てとったマーベラス達はハカセのことが気に入りました。
この便利屋ならば、ザンギャックに逆らって自分達の夢を信じて突き進む旅の仲間になれると思えたのでした。
それでマーベラス達はこいつも「夢を掴む力」を持っていると思って、ハカセを強引に仲間に引き込んで、
ゴーカイグリーンのレンジャーキーとモバイレーツを託しました。
そして実際、ハカセはゴーカイグリーンに変身できたのでした。

ハカセとしても海賊に手を貸したとあっては元の場所で便利屋も続けられないのでマーベラス達に同行しましたが、
当初は弱虫の自分に海賊稼業や戦いなどは無理だと嫌がっていました。
しかしマーベラス達はハカセにやれることだけやってくれればいいと言い、
ハカセは自分は皆の足手まといだと思っていたが、
やれることを精一杯やれば仲間として認めてくれる海賊一味の気風を知って喜びを感じて、
次第に積極的に戦いにも参加するようになっていきました。

そうしてハカセは、
ザンギャックの言いなりになって生きなければならない世の中に背を向けて1人で生きていた自分が、
いつしか1人で生きていけると思い込んでしまっていたが、
本心ではザンギャックの言いなりにならずに自分の生き方を一緒に貫くことの出来る仲間を求めていたのだと気付き、
マーベラス一味こそが自分にとってかけがえのない仲間なのだと思うようになっていったのでした。

そうしてハカセはゴーカイジャー4番目の仲間、ゴーカイグリーンとなり、
緑色の機体のゴーカイレーサーの搭乗者となりました。
マーベラス一味は4人となり、更にレンジャーキーを探す旅を続けていきました。
そうした中、地球暦で2013年秋の初め頃に立ち寄った星は田舎の荒れ果てた星でしたが、
ここでレンジャーキーをゲットしたところ、
マーベラス達4人は手配書を見てマーベラス達を賞金首だと気付いたザンギャックの警備隊と交戦することになり、
返り討ちにしました。

そして立ち去ろうとしたマーベラス達は、
突然、ファミーユ星の王女だと名乗る若い女性から声をかけられて、
海賊の仲間に加わりたいという突拍子も無い申し出を受けたのでした。
もちろんそのファミーユ星の王女とは4人は初対面で、
王女はどうやら手配書を拾って4人が海賊だと知ったので仲間入りを頼んできたようです。
その王女というのがアイムでした。

ファミーユ星というのは気高い精神を持った争いの無い平和な星だったのですが、
ザンギャックに従おうとしなかったため、ザンギャックによって滅ぼされてしまいました。
それまでアイムは王女として静かで幸せな暮らしを送っていましたが、
ザンギャックによって星の人々や、星を治めていた国王の父や王妃の母も殺されて、
アイムも滅びる星と共に死のうとしましたが、
父と母から王族としてたった1人、生き残るように言われて、この辺境の星に亡命してきていたのでした。

そこでアイムはどうして自分が生き延びるように言われたのか、
つまり自分のこれからの生きる使命とは何なのかを考え、
それはファミーユ星の滅亡を生き延びて宇宙の星々に散り散りになった難民たちが
滅びた母星を誇りに思える希望の象徴として生きることだと悟りました。
それはあくまでザンギャックの暴力に屈さずに抵抗し続けて自分の正義を貫く姿を示す生き方でした。

そして、お姫様育ちのアイムは
「宇宙海賊」というものがザンギャックに逆らって正義を貫く良い人達だと思い込んでおり、
なんとかして海賊の仲間に入ってザンギャックと戦っていけば、
自分は故郷の星の生き残った人々の希望として生きられると信じていました。
そんな折にちょうどアイムの亡命先の星にマーベラス一味がやって来て、
4人が宇宙海賊だと知ったアイムは思い切って仲間に入りたいと志願してきたのでした。

アイムの唐突な申し出を最初は一笑に付したマーベラス達でしたが、
アイムが宇宙海賊をザンギャックと戦う正義のヒーローのように考えていることに気付き、驚き呆れました。
が、同時にそれはアイムが母星を滅ぼされるという絶望を味わいながら、
それでもザンギャックに屈することなく信念を貫こうとしているということであり、
マーベラス達はアイムの芯の強さを知りました。
これは、このお姫様も「夢を掴む力」を持っているに違いないとマーベラス達は思いました。

そして、それ以上にマーベラス達はアイムに正義のヒーローのように扱われたことが妙に嬉しかったのでした。
それまで、宇宙の何処に行ってもザンギャックに追われるお尋ね者の自分達は厄介者扱いであったのに、
アイムはザンギャックに逆らって自分の夢を掴む道を貫く海賊を、
虐げられた人々の希望の象徴になり得るのだと言ってくれました。
それが無性に嬉しかったマーベラス達はアイムと一緒に旅をしたいと思い、
アイムの申し出を受けて、アイムを仲間に迎えて、
ゴーカイピンクのレンジャーキーとモバイレーツを託したのでした。
そしてアイムは変身アイテムを使いこなしてゴーカイピンクに変身することが出来たのでした。

そうしてマーベラス一味は5人となり、更にレンジャーキーを集める旅を続け、
当初アイムは全く役に立たず仲間たちの手を焼かせましたが、
マーベラス達はアイムから見た海賊の良いイメージを壊したくなくて、
以前のような粗暴な振る舞いや自堕落な生活を出来る範囲で改めるようになり、
それなりに規律正しく真面目な海賊生活を送るようになっていったのでした。
そんなふうに親切にしてくれるマーベラス達をアイムも大切な仲間だと思い、
懸命に武術の稽古に励み、海賊生活にも慣れていき、一人前の戦力となっていきました。

そうしてアイムはゴーカイジャー5番目の仲間、ゴーカイピンクとなり
ピンク色の機体のゴーカイマリンの搭乗者となりました。
そして5人がそれぞれのゴーカイマシンを同時に動かした時、初めて5台のマシンの合体機能が作動し
5台のマシンが合体変形し、ゴーカイオーという戦闘用の巨大ロボが動き出したのでした。

こうして何時の間にか、アカレッドがマーベラスに遺した5人分の
ゴーカイジャーのレンジャーキーとモバイレーツも全て持ち主が決まり、
マーベラスはアカレッドの期待通りに、本当の意味で「夢を掴むために集まった仲間の絆」を
5人の間で築いていきました。
つまり、アカレッドが期待した、
戦ってザンギャックを倒して平和な宇宙を作ることが出来る可能性を持った戦士たちの資質を持つ
「ゴーカイジャー」の5人をマーベラスは集めたのです。
そしてマーベラス一味はゴーカイオーという新たな力を得たのでした。

但し、これはあくまでアカレッドが宇宙を旅して
マーベラスとバスコという2人の宇宙海賊と接した上で辿り着いた結論を踏まえて、
独自の判断で期待したことであり、
その期待通りにゴーカイジャーの運命や宇宙の運命が進む保証はありません。

そもそもこの時点のゴーカイジャー5人には、
まだザンギャックを倒したり、平和な宇宙を作ったり出来るような実力も開花していませんし、
そんな気概もまだ有りませんでした。
彼らはただ単に「宇宙最大のお宝」という宇宙海賊の伝説のお宝を手に入れようとして
航海しているだけの海賊でした。

そしてナビィのナビゲートに従ってのレンジャーキーの回収も順調に進み、
行く先々の星々で5人は時には力を合わせてザンギャックの警備隊と戦い、
宝箱の中に集めたレンジャーキーを使っての
ゴーカイジャー以外の「ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」など多数の謎の戦隊への多段変身にも慣れていき、
遂に地球暦で2014年になって早々に、
その宝箱の中の謎の戦隊の種類が34種類、レンジャーキーの数が167個になった時点で、
ナビィが「宇宙最大のお宝」の在り処をナビゲートしたのです。

つまり宇宙に散らばるレンジャーキーは167個と、あとはバスコに奪われた25個だけでしたが、
もともとアカレッドが25個のレンジャーキーはナビィの「大いなる力」反応からは除外していたので
宇宙にあるレンジャーキーの中の「大いなる力」を反応しなくなったナビィは
次に地球にある、34戦隊の戦士たちの体内にある「大いなる力」に反応し、
そこに「宇宙最大のお宝」も存在することに感応して、
自動的にマーベラス達に行く先を「地球」だと告げたのでした。

ナビィ自身は細かい事情を一切知らないで、
自動的に「大いなる力」に反応してマーベラス達に次の行く先や、
そこで起きることの漠然としたビジョンなどを告げているだけなので、
どうにも要領を得ないナビゲートが多く、ナビィ本人も戸惑うことばかりなのですが、
それでもマーベラス達はそれまでもナビィのナビゲート通りにレンジャーキーを集めてきたのだから、
「宇宙最大のお宝」もナビィの言う通り、その「地球」という星に存在するのだろうと信じて、
遂に旅の最終目的地に辿り着いたと、歓喜しました。

しかし、実際はこのマーベラス一味の地球行きは、
1年前、アカレッドがマーベラスに宝箱を託した時から、
運命の糸に導かれるように仕組まれていたことだと言えます。

そうしてこの「レジェンド戦隊の世界」という物語世界は、
「海賊戦隊ゴーカイジャー」のTV版の本放送の第1話冒頭、レジェンド大戦の回想シーンの後、
マーベラス一味が地球へやって来た2014年2月の場面となります。

遂に地球に降り立ったマーベラス一味の5人は、
さっそく地球の一般人たちに向かって
自分達は「宇宙最大のお宝」を手に入れるためにやって来た宇宙海賊だと名乗り、
「宇宙最大のお宝」の在り処を訊ねました。

しかし、地球の中心にある「宇宙最大のお宝」というものの存在については、
2年半ほど前のレジェンド大戦の終了直後にその場にいた34のスーパー戦隊の192人の戦士だけが
「この星の意思」から聞かされたことですから、
地球の一般人は「宇宙最大のお宝」などというもののことは全く知りません。

それでマーベラス達は「宇宙最大のお宝」の在り処について全く情報を得ることが出来ず、困り果ててしまい、
仕方なく腹ごしらえにマーベラスが美味しいものを感知する直感で選んだ「スナックサファリ」という店に入って
地球の特産料理と思われる「カレーライス」というものを皆で食べようとした瞬間、
店は爆風で大破してマーベラス達はカレーを喰いそびれてしまいました。

何事かと憤慨して外に出たマーベラス達は、
上空にザンギャックの侵略軍の艦隊が飛来してきて空爆をしている場面に出くわしてしまったのでした。
折悪く、ザンギャックによる地球侵略が開始されてしまったのです。
これは正確には2年半前のレジェンド大戦の時以来の、
ザンギャックによる2度目の地球侵略作戦ということになりますが、
マーベラス達はレジェンド大戦のことなど知らないので、これが二度目の侵略作戦だとは分かってはいません。

この第二次地球侵略作戦は、2年半前のレジェンド大戦の際、
辺境の小さな星である地球に派遣した大侵略軍と大艦隊が全滅させられるという意外な出来事に驚いた
ザンギャック皇帝アクドス・ギルが地球について調査をさせた結果、
スーパー戦隊という不思議な力を持った戦士たちの仕業であることが判明しましたが、
その後、慎重に調査をさせた結果、どうやらそのスーパー戦隊という戦士たちは
2年半前のレジェンド大戦終了後、ずっと姿を現しておらず、いなくなった模様だということが判明し、
それならば簡単に征服出来るであろうとワルズ・ギルは思い、
このマーベラス達が地球にやってくる少し前、地球への再侵略を決断したのでした。

そうしてアクドス・ギルは、ちょうどしきりに手柄を立てたがっていた出来の悪い皇太子のワルズ・ギルを
小規模の第二次地球侵略軍の司令官に任命して送り出したものでした。
スーパー戦隊とやらがいなくなった地球など小規模の侵略軍でも大丈夫だと思ったのです。
実際、ワルズ・ギルには大艦隊を率いるほどの器量はありませんでした。
ただ、乗艦だけは皇太子らしい威厳を示すためにザンギャック総艦隊の旗艦であるギガントホースを貸し与えました。

ただ、いくら楽勝の相手だといってもボンクラ息子のワルズ・ギルだけでは心もとないので、
アクドス・ギルは側近で軍師のダマラスに、秘かにワルズ・ギルの代わりに地球侵略軍の指揮をとって、
さっさと地球を落としてくるよう命じて、参謀長としてワルズ・ギルに同行させました。
これはアクドス・ギルとしては、ダマラスに実質的に地球を征服させて、
その手柄は全てワルズ・ギルに献上するようにと暗に命じたものであり、
ダマラスにもその旨は伝わっていたのですが、
この会話を盗み聞きしていたワルズ・ギルは父のアクドス・ギルとダマラスが手を組んで
自分の手柄を横取りしようとしていると誤解してしまいました。

その結果、地球侵略軍の司令官のワルズ・ギルは参謀長のダマラスの進言をことごとく無視し、
ザンギャック本星への報告も嘘ばかり重ねて父の皇帝に戦況もロクに知らせず、
独自の作戦を立てて暴走し、ダマラスには出撃を禁じて旗艦ギガントホースで飼い殺し状態とするという
失態を繰り返して、地球侵略軍は最初から内部はガタガタの状態でした。

そんな酷い内情のザンギャック軍でしたが、
それでもスーパー戦隊の戦えない状態の地球はこれに対抗する力に不足しており、
マーベラス達が居た辺りには空爆後、地上部隊も侵攻してきて、いいように蹂躙されて始めてしまいました。

マーベラス達は慌てて停泊していたガレオンに戻ろうとしますが、
その途中で、幼稚園児たちや引率の保母たちが逃げ遅れて
ザンギャックの行動隊長のシカバネンたちに殺されそうになっている姿を見て、
ザンギャックの非道な振る舞いに思わず怒りが爆発して喧嘩を売り、
ゴレンジャーやシンケンジャー、マジレンジャーなどへの多段変身も織り込んだ攻撃で
行動部隊を全滅させてしまいました。

怒りに任せてそこまでやってしまった後で、我に返ったマーベラス達は
これで自分達はこの星に来ているザンギャックの侵略軍に目をつけられてしまい、
この星での宝探しに重大な支障をきたしてしまったと気付き、頭を抱えます。

一方、マーベラス達に命を助けられた幼稚園児たちを引率していた保母たちは
マーベラス達が2年半前のレジェンド大戦後に姿を消して以降、「レジェンド戦隊」と呼ばれるようになった
34のスーパー戦隊のうちの幾つかに変身して戦ったのを見て、
マーベラス達が35番目のスーパー戦隊なのだと言って、
園児たちと一緒に守ってもらったことへの感謝の言葉を述べてきました。

しかしマーベラス達は保母たちが何を言っているのか意味が分からず、
自分達は地球人を守りに来たわけではなく、この星に宝を探しに来ただけであり、
カレーを食うのを邪魔したザンギャックの連中が目障りで腹が立ったからぶっ倒しただけだという、
保母たちには意味不明の説明をして、その場を去りました。

そして、第2話になり、マーベラス達はザンギャックによる侵略が始まった以上、
早く「宇宙最大のお宝」を手に入れて地球を脱出しようとしますが、
その「宇宙最大のお宝」を見つける手掛かりが無く困ってしまいます。
そこにナビィの新たなナビゲートがあり「黒い服を着た人間がいいことを教えてくれる」というお告げが出ました。

これは「大いなる力」を持ったレジェンド戦士の誰かがマーベラス達に近づいてくるという
一種の予知であったのですが、マーベラス達はナビゲートの理屈がそもそも分かっていないので、
とにかく周囲の黒い服を着た人間を探し回りました。
そんな中、マーベラス達に黒い学生服を着た少年が声をかけてきたので、
マーベラス達はその少年こそがお宝について「いいことを教えてくれる」という相手だと思い込みました。

すると、その少年はレンジャーキーは数年前のレジェンド大戦で
ザンギャックの侵略軍から地球を守ったレジェンド戦隊、
すなわち地球の34のスーパー戦隊の戦う力が宿ったものだという意外な事実をマーベラス達に告げました。
そして、驚いたことにその少年はマーベラスを騙してシンケンレッドのレンジャーキーを盗んで逃げ出してしまい、
マーベラスは怒って追いかけました。

マーベラスが少年を捕まえて事情を聞くと、
少年は先日の園児や保母をマーベラス達が助けた現場を見ていたようで、
その時のマーベラス達の態度に幻滅しているようでした。
マーベラス達が地球を守るために使うべきスーパー戦隊のレンジャーキーのパワーを使っているクセに
地球を守って戦うつもりがなく、宝を探すことしか頭に無いことが許せないのだと少年は憤慨しており、
それなら自分がレンジャーキーを使ってザンギャックの侵略軍と戦うのだと言うのです。

マーベラスは今までレンジャーキーが何なのかよく知らずに使っていたのですが、
本来は地球を守るために使うべきものを自分達が所持して、
地球の危機においてそれを自分達が宝探しのためだけに使おうとしているのが事実だとしたら、
それは確かに居心地が悪いと感じました。

しかし、レンジャーキーはアカレッドとの「宇宙最大のお宝を必ず手に入れる」という約束を果たすために
絶対に必要なものですから、1つたりとも少年に渡すわけにはいきません。
今まさにそのお宝の在り処の星にまで辿り着いているのですから、
マーベラスにとってはレンジャーキーはまずはお宝探しのために使うべきものでした。

それでやはりマーベラスは少年にレンジャーキーを返すよう強く迫ったのですが、
少年はどうしてもレンジャーキーを使ってザンギャックと戦うのだと無謀なことを言い張り、
その理由は、かつてレジェンド大戦時に祖父が自分を守るために死んだので、
もうこれ以上周囲の大切な人が死ぬのを見たくないから戦いたいのだと言いました。

これを聞いてマーベラスは、
この少年がかつてアカレッドを見殺しにしてしまったことがトラウマとなって前に進めなくなっていた
自分と同じなのだと思いました。
かつてのマーベラスはその時、命を賭けて守りたいと思える新たな仲間を求め、
ジョーを命懸けで助けることによって前に進むことが出来ました。
そしてその後もそうした大切に思える仲間たちを増やしてきて、レンジャーキーを集めてきました。

ならば、今こうして大切な仲間を守るために勝ち目の無い強大な敵を倒そうとして命懸けで戦おうとしている少年にも
同様にレンジャーキーを手にする資格「夢を掴む力」は有るのではないかと思ったマーベラスは、
ちょうどその時地上を襲ってきたボンガン率いるザンギャック行動部隊を前にして少年にモバイレーツを貸して、
レンジャーキーで変身して戦ってみるよう促しました。

そのようにしてマーベラスは少年が本気で命を賭けて戦おうとしているのか、
そして「夢を掴む力」を持っているのか見極めようとしたのですが、
少年は勇気を振り絞ってシンケンレッドに変身し、1人でザンギャック部隊と戦い、
戦闘員のゴーミン達は倒しましたが、ボンガンに惨敗してしまいました。

その少年の姿を見てマーベラスは少年の本気を認め、
少年が変身したということはレンジャーキーを持つ資格「夢を掴む力」があると思いましたが、
同時に少年の腕ではレンジャーキーを使いこなせないことも分かりました。
それに、そもそも変身機能付きのモバイレーツはマーベラス一味の5人の所持する5つしかないのだから、
レンジャーキーを使って戦うことが出来るのはマーベラス一味の5人だけです。
だから、やはりレンジャーキーは自分達が使うしかないとマーベラスは思いました。
そして、本来はレンジャーキーを持つ資格がある少年を差し置いてレンジャーキーを使う以上は、
少年の想いも代わりに果たしてやらねばならないような気がしました。

とにかく「宇宙最大のお宝」を手に入れるまでは、
このザンギャックに侵略されつつある星に留まらねばならない以上、
ザンギャックに睨まれてしまった自分達はザンギャックの侵略軍と戦わざるを得なくなった。
ザンギャックの侵略を阻止したり、侵略軍を倒すなどという自信は全く無かったが、
しばらくの間は降りかかる火の粉を払う程度には戦えるはずであり、
マーベラスはその間に「宇宙最大のお宝」を見つけて手に入れるつもりでした。

だから、どうせその間はザンギャックと戦うしかないのだから、
ついでに少年の代わりにレンジャーキーを使って、
この星の大切なものを守って戦ってやってもいいとマーベラスは思いました。

レンジャーキーやモバイレーツはもともとマーベラス達のものではなく、
「宇宙最大のお宝」という夢を掴むという約束を果たすためにアカレッドから譲り受けたものです。
だから、「宇宙最大のお宝」という夢さえ手に入れてしまえば
レンジャーキーやモバイレーツはマーベラス達には不要なものになります。
マーベラスは「宇宙最大のお宝」を手に入れたら、
レンジャーキーとモバイレーツはこの地球という星の、
レンジャーキーを使いこなせるぐらい強い連中に渡せばいいと思いました。
その後のことはもうこの星の連中が勝手にやればいい。
とにかく、その日が来るまではこの星の大切なものを守るために戦ってやってもいいとマーベラスは思いました。

しかし、この星のどういうところが少年の命を賭けて守るほどの価値があるものなのか、
地球に来たばかりのマーベラスにはさっぱり分かりませんでした。
だから何を守ればいいのか分からない。

そこでマーベラスは少年に、レンジャーキーを使うのは無理だから別の方法で地球を守るように諭し、
レンジャーキーとモバイレーツを取り戻した上で、
「この星の守るべき価値」とは何なのか、何処にあるのか少年に質問しました。
すると少年は「何処にでもあるから、海賊なら自分で探せ」と言い返します。

それを聞いてマーベラス達5人は、
自分達は今までも他人に教えられたり強制されたりしたものではなく、
他人には理解してもらえないような夢でも、
自分の信じる価値は自分で探して見つけてきたのだったのだと思い出しました。

このザンギャックに支配された宇宙では自分の守るべき価値を自分で探そうとする者は海賊にならざるを得ない。
自分達はその運命に従って海賊となり、共に夢を掴むために旅をする仲間に巡り会ったのです。
その5人で運命に導かれてこの星にやって来た以上、
5人はこの星でも自分達は何か守るべき価値、「この星の価値」を見つけ出すことが出来るような気がしました。
それはきっと戦っていくうちに見えてくるのだと思い、
5人はとにかく「宇宙最大のお宝」を手に入れる日までは、
この地球という星がザンギャックに滅ぼされないように戦ってみようと決意しました。

そうして5人は、街を攻撃するボンガン部隊に「探し物があるから」という理由で戦いを挑み、これを倒し、
ひとまず地球に腰を据えて、
「宇宙最大のお宝」と「この星の価値」の両方を探すために戦う生活を開始したのでした。
この時点ではマーベラス達は比較的短期間で「宇宙最大のお宝」は手に入ると楽観的に考えており、
ザンギャックに攻撃される地球の惨状を無視しながら宝探しだけをすることに感じていた負い目からも解放されて、
地球に来て初めて晴れやかな気持ちとなったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 15:58 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月07日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その11

一方、2011年の秋のレジェンド大戦の終結後に赤い帆船型の宇宙船に乗って
レンジャーキーを回収するために宇宙へ旅立ったアカレッドの帰りを待っていた34のスーパー戦隊の戦士たち、
いつしか「レジェンド戦士」と呼ばれるようになっていた彼らは、
思ったよりもアカレッドの帰りが遅く、しかも何の連絡も無いので心配していました。

アカレッドがレンジャーキーを宇宙から集めて帰ってきたら、
さっそく34のスーパー戦隊の地球と宇宙の平和を願う想いを受け継ぐ
35番目のスーパー戦隊に相応しい若者たちにアカレッドの作った変身アイテムを授けて、
その新戦隊に34戦隊の持つ残りの「大いなる力」を託して、
レンジャーキーの中の「大いなる力」と合わせて34戦隊の「大いなる力」を全部揃えて、
それを「宇宙最大のお宝」に注がせて、「ザンギャックのいない平和な宇宙」にこの宇宙を作り直させる。
その計画を実行するはずでした。

ところが1年経っても、更にもう1年経ってもアカレッドは地球に戻ってきませんでした。
いったいどうしたのだろうか?とレジェンド戦士たちが不思議に思っていると、
アカレッドが旅立っておよそ2年半後の2014年2月、
突然、アカレッドが乗っていったものと酷似した赤い帆船型の宇宙船に乗って、
5人組のガラの悪そうな宇宙海賊が地球に降り立ち、「海賊戦隊ゴーカイジャー」と名乗り、
「宇宙最大のお宝」を探していると宣言したとの話を聞いたのです。
更に驚いたことに、同時に、ザンギャックの地球侵略が2年半ぶりに始まったのでした。

レジェンド戦士たちは一瞬、その怪しげな宇宙海賊はザンギャックの仲間ではないのかとも思えたのですが、
この宇宙海賊はザンギャックの地上部隊と喧嘩を始めてこれを倒してしまったとのことでした。
どうやら宇宙海賊はザンギャックとは不仲であるようです。
しかし宇宙海賊は地球を守る意思は無く、単にお宝探しのことしか考えていないようであり、
ザンギャックのことは気に入らないからやっつけたというだけであるようでした。

そして最も注目すべき点は、
この戦闘時にこの海賊たちがスーパー戦隊の戦士の人形型のカギを使って
次々と歴代戦隊に変身して戦ったという話でした。
レジェンド戦士たちは「レンジャーキー」というものの実物は見たことは無かったが、
その海賊たちがアカレッドの船に乗って現れたことや「宇宙最大のお宝」のことを知っていることから推測して、
その海賊たちはアカレッドと接触したのであろうと推測され、
ならば、その海賊たちが持っている人形型のカギこそが
アカレッドが言っていた「レンジャーキー」なのだろうと推測出来ました。

レンジャーキーを使うと歴代戦隊に変身出来るというのは意外な展開でしたが、
それよりもレジェンド戦士たちが気になったのは、
やはりアカレッドの姿が何処にも見当たらないようであることでした。
あるいは、この5人組の宇宙海賊がアカレッドから宇宙船やレンジャーキー、
そしてアカレッドが作っていた35番目の戦隊への変身アイテムを奪って
勝手に「海賊戦隊ゴーカイジャー」などとふざけた戦隊名を名乗って、
地球へやって来て「宇宙最大のお宝」を奪い取ろうとしているのではないかと、
レジェンド戦士たちは警戒しました。

ただ、とにかく宇宙海賊たちがレジェンド戦士たちの計画にとって不可欠の
「レンジャーキー」と「35番目の戦隊の変身アイテム」を所持していることは間違いないのであり、
レジェンド戦士たちが使おうと思っている「宇宙最大のお宝」を狙っているのも確かであるようでした。
ならば、その宇宙海賊をこのまま捨ておくことは出来ません。

といっても、変身して戦う力を無くしたレジェンド戦士たちが正面から立ち向かっても
宇宙海賊の変身するゴーカイジャーに勝つことは難しいわけですから、
もし宇宙海賊たちが邪悪な連中で、レジェンド戦士たちの体内の「大いなる力」の存在を知っていて、
それを狙っているのだとしたなら、下手にレジェンド戦士たちが宇宙海賊に接触することは危険でした。

そういうわけでレジェンド戦士たちもこの想定外の事態に慎重にならざるを得なかったのですが、
しかしザンギャックの地球侵略が再び始まってしまった以上、
レジェンド戦士たちとしても、早く「宇宙最大のお宝」を使って
宇宙の作り直しをせねばならない状況ともなってしまいました。

実はレジェンド戦士たちも、どうやったら地球の中心の「宇宙最大のお宝」を手に入れて、
どうやって宇宙の作り直しをするのか、具体的な手順は分かっていませんでした。
それはアカレッドが把握しているようだったので、アカレッドに任せるつもりであったのです。
そのアカレッドが行方不明であるので、レジェンド戦士たちもどうしたらいいのかよく分かりませんでした。

が、とにかく34戦隊の大いなる力を1つに集めて、35番目の戦隊に託せば、
その時になればまた「この星の意思」が導いてくれるのではないかと思えました。
だから、ザンギャックの侵略が再び始まった今、
まずは35番目の戦隊の変身アイテムと34戦隊のレンジャーキーを所持している宇宙海賊が
何を考えているのか知る必要がありました。

そこで29番目のスーパー戦隊のマジレンジャーの元マジレッドの小津魁は、
天空聖者のフレイジェルに助力を頼んで、
いざとなればフレイジェルの魔法を使って宇宙海賊たちから変身アイテムやレンジャーキーを奪おうと思い、
まずはフレイジェルの魔法で宇宙海賊の近くで姿を隠して彼らの行動を観察することにしました。
その時、魁が見たのが、ちょうど第2話のマーベラス達が学生服の少年に
シンケンレッドのレンジャーキーを盗まれるひと悶着を起こした例の一件でした。

そこでのマーベラス達の一連の行動を観察した魁には、
マーベラス達が少年の地球を守るために戦いたいという想いを引き継いで
ザンギャックの行動部隊と戦ったように見受けられました。
また、マーベラスが少年との会話の中でレンジャーキーのことを
「命の恩人から預かって約束を果たすためのもの」と言うのも魁は聞きました。
しかもどうやらマーベラス達は34のスーパー戦隊の存在すら知らなかったようだということも分かりました。

つまり、どうもマーベラス達はアカレッドからレンジャーキーを奪ったわけではなく、
譲り受けたようだということを魁は理解しました。
となると、35番目の戦隊の変身アイテムもアカレッドがマーベラスに渡したものであり、
「海賊戦隊ゴーカイジャー」という名もマーベラス達が勝手に名乗っているわけではなく、
アカレッドが名づけたということになります。
そしてアカレッドがマーベラス達に変身アイテムやレンジャーキーを預けて結ぶ約束となれば、
それはつまり「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しをすることになります。

アカレッドはマーベラス達に宇宙の作り直しをさせようとしてレンジャーキーを渡したということになります。
ところがマーベラス達はスーパー戦隊の存在すら知らないようです。
つまり「大いなる力」の存在も知らないということになります。
アカレッドがマーベラス達に宇宙の作り直しを託したのならば、
スーパー戦隊や「大いなる力」については教えていないといけないはずなのに、マーベラス達はそのことは知らない。
しかし「宇宙最大のお宝」が地球にあることは知っているのですから、
アカレッドから何らかの情報を聞いているのは確かです。

つまり、どうやらマーベラス達はアカレッドから中途半端な情報しか聞いておらず、
アカレッドとマーベラスの約束というのは、「宇宙最大のお宝」を手に入れることだけなのであり、
だからマーベラス一味は地球にやって来たのだろうと魁は推測しました。
となると、確かにマーベラス達はアカレッドが見込んだ35番目のスーパー戦隊の資格者なのかもしれないが、
肝心の宇宙の作り直しの話まではマーベラス達は聞いていないようであり、
また、マーベラス達はスーパー戦隊のことも何も知らないのだから、
スーパー戦隊の想いを継いで平和な宇宙を作ろうとする保証も無いのだと魁は思いました。

魁はどうしてアカレッドがそんな不徹底なことをして姿を消してしまったのか理解に苦しみましたが、
少年の地球を守ろうとする想いを受け継いでザンギャックと戦ったように見えるマーベラス達の行動を見て、
魁はマーベラス達がスーパー戦隊の想いも受け継ぐことが出来るかもしれないと思えてきました。
確かにアカレッドが見込んだだけのことはあるのかもしれないとも思えたのです。

しかし、これら全ては魁の推測に過ぎず、マーベラス達はとにかく事情をあまりに知らな過ぎる。
そこで魁は自分の手でマーベラス達がマジレンジャーの大いなる力を受け継ぐことが出来るのかどうか
確かめることにしました。

アカレッドの2年半前の宇宙に旅立つ前の話によれば、
スーパー戦隊の戦士の体内の「大いなる力」は相手の中にその戦隊の精神と同一の精神が存在し、
相手もまたその戦隊の精神をヒーローの精神として認めなければ譲渡は成立しないとのことでしたから、
もし魁がマーベラス達を試して、そのマーベラス達の反応を見て、
魁の体内からマジレンジャーの大いなる力がマーベラス達の手許に移動すれば、
マーベラス達は他のスーパー戦隊の想いをも受け継ぎ
「大いなる力」を受け取るに相応しい戦士たちである可能性が高くなります。

逆に、もし試練を与えてもマジレンジャーの大いなる力が移動しなければ、
マーベラス達は35番目の戦士の器ではなく、アカレッドの見込み違いということがハッキリする。
そうなればフレイジェルの魔法を使ってレンジャーキーと変身アイテムを奪い、
地球で35番目の戦士を新たに見つけて、
ザンギャックの侵略が進まないうちにさっさと宇宙の作り直しをすればいいと魁は考えました。

そういうわけで魁はフレイジェルの力を借りてガレオンを無人島に誘い込んで不時着させ、
マーベラスとハカセの前に姿を現しました。
この時の魁の服装が黒いローブに身を包んだものであったので、
ナビィの「黒い服を着た人間がいい事を教えてくれる」というナビゲートは的中したことになります。

そして魁はマーベラス達に向かって、
「君たちはレンジャーキーの力(すなわちスーパー戦隊の力)の半分も引き出せていない」という事実を告げました。
スーパー戦隊の「大いなる力」の半分はレジェンド戦士たちの体内にあるのですから、
マーベラス達がそれを受け取らない限り、確かにマーベラス達はスーパー戦隊の本当のパワーの
半分も引き出せていないというのは、明確な事実でありました。

そして魁は、だからマーベラス達は「宇宙最大のお宝」を手に入れることは出来ないのだと指摘しました。
これは魁がアカレッドから聞いた話からの推測であり、
34戦隊の「大いなる力」を完全な形で全て集めなければ
「宇宙最大のお宝」は手に入れることは出来ないのだろうと魁が推測していたので、
その意味を込めて言ったのですが、「大いなる力」のことには触れずに説明したので、
マーベラス達には意味が分からず、更に事情を聞こうとしますが、
魁はそれ以上の情報を得たければ自分を捕まえるのが条件だと言って2人を挑発し、走り出しました。
その挑発に乗って魁を追いかけるマーベラスとハカセをフレイジェルの魔法のトラップが次々と襲い、
魁はそれによって2人にマジレンジャーの最重要な戦う精神である「勇気」が有るのかどうか確かめようとしました。

しかし最終的には、それまでのトラップでは常に怯え続けて勇気の欠如をあからさまにしていたハカセが、
大岩に潰されそうになっているマーベラスを助けるために勇気を振り絞り、
マーベラスを助けたものの自分は崖から転落しそうになったのを見て、
魁はハカセの手を掴んで助け上げながら、マーベラス一味の「勇気」の本質を知ったのでした。

それは大切な仲間を守るために絶体絶命の状態で自分の命を賭ける勇気でした。
そして、それこそがまさにマジレンジャーの本質であることを再確認した魁は、
ゴーカイジャーがマジレンジャーの精神を受け継ぐ資格があることを認め、
マジレンジャーの「大いなる力」を渡してもよいと思いました。

しかし同時に、もしゴーカイジャーにマジレンジャーの「大いなる力」を渡そうとするならば、
ゴーカイジャーがマジレンジャーというヒーローを自分と想いを同じくする者だと認識しなければいけないという
アカレッドの言っていたルールを想い出して魁は愕然としました。

それはつまりマーベラス達がマジレンジャーを仲間と認めるということであり、
そうなると仲間を守るために己の命を賭けるマーベラス達が
仲間であるマジレンジャーを犠牲にして宇宙の作り直しなど出来るわけがない。
他のスーパー戦隊にしても同様であるはずで、
想いを同じくする仲間を守るために命懸けで戦うのがスーパー戦隊でした。
つまりスーパー戦隊の想いを受け継ぐ者はスーパー戦隊を犠牲にする宇宙の作り直しを成し遂げることは出来ない。
「この星の意思」の言っていたことは矛盾しているのです。

ならば、どのようにしてザンギャックを倒して宇宙の平和を実現すればいいのか、魁には分かりませんでした。
ただ、目の前にいるマーベラス一味というのがアカレッドが辿り着いた解答なのだということは魁にも分かりました。
あくまで志を同じくする仲間を守るために命を賭けて戦う宇宙海賊というものが、
この宇宙を救うという難題の突破口となるとアカレッドが判断したからこそ、
アカレッドはマーベラス達にあえて宇宙の作り直しの件やスーパー戦隊の件は説明せず、
ただ単に「宇宙最大のお宝」を手に入れるようにだけ言って姿を消したのだろうと魁には想像がつきました。

つまりマーベラス達が何も知らないまま「宇宙最大のお宝」を手に入れた、
その先にマーベラス達の辿り着く真の解答が待っている。
そのようにアカレッドは思ったのだろう。
魁はそのように考えて、それが自分自身があのレジェンド大戦の後、
ずっと内心迷い続けてきたことについての解答でもあるような気がしました。

考えてみれば、アカレッドは歴代のレッド戦士の想いが生みだした思念体が肉体を持った存在ですから、
アカレッドの葛藤や、その迷いの末に辿り着いた結論は、
もともとは元マジレッドの魁の葛藤や決断でもあるはずなのです。

そのことに気付いた魁は、必ずしも成算は無かったが、
マーベラス一味が「宇宙最大のお宝」を手に入れたその先に待つ解答に賭けてみようと思ったのでした。
それで、魁はアカレッドに倣って、マーベラス達に余計な説明は極力省く方針をとり、
ハカセに対して、ゴーカイジャーには仲間のために発揮する勇気があることを認めた上で、
その勇気こそがマジレンジャーの力の源であり、
ハカセ達ゴーカイジャーならばマジレンジャーの「大いなる力」を引き出せるはずだと伝え、
マジレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

そして、この「大いなる力」というものを34戦隊の分を全部揃えれば
「宇宙最大のお宝」がきっと手に入るとだけ教えて、
宇宙の作り替えの件やスーパー戦隊の犠牲の話などは一切伏せて、魁はその場を立ち去ったのでした。

これが第3話の出来事であり、
マーベラス達はここで初めて「大いなる力」というものの存在を知りましたが、
それがスーパー戦隊の存在を支え、世界を作り替える力にもなり得るものだということは知らないまま、
単なる巨大戦の時のゴーカイオーの強化に使えるパワーのようなものだと解釈しました。
そして、その「大いなる力」を全部で34個集めれば「宇宙最大のお宝」が手に入るということが判明し、
マーベラス達は残り33個の「大いなる力」を求めて旅を続けることになりました。

「宇宙最大のお宝」と「この星を守る価値」を探す旅は、
ここで「スーパー戦隊の大いなる力」と「この星を守る価値」を探す旅へと様相を変えたことになります。
それは言い換えれば「スーパー戦隊のこの星を守る戦いの精神」を知る旅を意味することになります。

一方、魁はマーベラス達が自分の出現を予期していたような素振りであったのを見て、
アカレッドがガレオンに何らかの仕掛けを残しており、
マーベラス達は34のスーパー戦隊と接触するよう方向づけられているのだろうと推測し、
いずれ他の戦隊ともマーベラス達が接触することになるのだろうと予想しました。

そこで魁は連絡がつく範囲で他の戦隊に向けて、今回の一件で自分の感じたことや考えたことを連絡しておきました。
ただ、魁に他の戦隊を従わせる権限があるわけでもなく、
スーパー戦隊の間には上下関係は無く、それぞれの戦隊のそれぞれ独自の判断が尊重される関係でありました。
そもそも普段そんなに親しいわけでもないですし、連絡が全くとれない戦隊もありましたから、
一応報せておく程度でした。

その連絡を受けた他のスーパー戦隊は
マジレンジャーが宇宙海賊に「大いなる力」を渡したことに驚きましたが、
それによって、ゴーカイジャーと名乗るマーベラス一味が単なる乱暴者の宇宙海賊なのではなく、
35番目のスーパー戦隊の資質を感じさせる器量を持つ連中なのだという認識は
レジェンド戦隊の間で広まったのでした。

ただ、魁の判断はかなり推測によるものが多く、一種のギャンブルのようなものであったので、
決して賛同を集めたとは言い難く、
他のスーパー戦隊の多くはゴーカイジャーに興味は抱きつつも、
懐疑的な目で見る戦隊の方が多い情勢でした。

ともかく、こうして第3話まででマーベラス一味を中心とした地球での物語の方向性は定まり、
第4話以降、物語は転がり始めます。
これ以降、レジェンド戦隊がマーベラス一味と接触する「レジェンド回」と、
マーベラス一味がザンギャック軍と戦いながら絆を深めたり自分を見つめたりするような「通常回」が
交互に織り込まれていきます。

第4話ではジョーが敵怪人に剣の腕をバカにされ、剣の師匠を侮辱されて珍しく激昂します。
これはジョーの剣の師匠がジョーを牢獄から助け出して、
ジョーを庇って生死不明となったシドであったからなのですが、
ジョーはシドの件は過去のことなのでマーベラス一味にはその話題は持ち込みたくない。
それでもシドの剣を侮辱されることだけはどうしても許せず、1人で敵怪人を倒そうとします。

そのジョーの頑なな態度を一番新参の仲間のアイムは理解出来ません。
仲間同士なのだから助け合って戦えばいいとアイムは思うのです。
しかしマーベラスをはじめ他の仲間はジョーの過去を知りませんから、
ジョーの自分勝手な行動の事情も分からず、それが戦い方としては間違っていると知りながら、
それでもジョーが1人で戦うことを許します。
それがアイムにはますます理解出来ず、皆の薄情さに呆れて怒ります。
助け合うのだけが仲間ではないというマーベラスの言葉にもアイムは納得出来ません。
それではいったい何のために仲間になっているのかアイムには分からなかったのでした。

しかし、それぞれ辛い過去を抱えて海賊になった一味の面々には、
それぞれが過去を乗り越えて前に進んで行くためにはどうしても譲れない意地というものがあり、
その意地や譲れない夢があるからこそ海賊になったのだから、
その意地を貫くのを認めてやるのが海賊の仲間というものなのだということを、
ルカに諭されてアイムは知ります。
そして自分が仲間に甘えていたのだと反省しました。

そしてアイムは考え直してジョーが一騎打ちで敵怪人を倒すのを見守り、
一騎打ちの約束を違える卑怯な敵の加勢と戦ってジョーの意地を守ったことで、
まだお姫様育ちが抜けきっていなかったアイムは
命を賭けて仲間の夢を守る海賊として1つ成長したのでした。

第5話では28番目のスーパー戦隊のデカレンジャーの元デカマスター、
つまり宇宙警察地球署の署長のドギー・クルーガーがマーベラスを海賊行為の容疑で逮捕します。
マーベラス達の罪状は、ザンギャック帝国から出された被害届によるもので、
ザンギャックから宇宙警察本部を経由して逮捕要請が地球署に来たのでした。

ザンギャックとは敵対する立場であるデカレンジャーも宇宙警察という組織の構成員である以上、
本部の要請に正面切って逆らうわけにもいかず、ドギーはマーベラス一味の逮捕に動きました。
そもそもドギーは宇宙海賊のような犯罪者を自称しているようなふざけた連中が
スーパー戦隊の真似事のようなことをしていること自体、腹立たしく思っていました。

しかし同時に、魁がマジレンジャーの「大いなる力」をマーベラス達に渡したことを聞いていたドギーは、
何か心に引っ掛かるものを感じて、部下の元デカレッドのバンに命じて、
秘かにマーベラス達の罪状の真偽を調べさせていました。

その調査結果が出ないうちにマーベラス達と遭遇したドギーはマーベラスを逮捕したのですが、
その護送中にザンギャックの地球攻撃計画の策源地を発見し、
敵兵に発見されたドギーはマーベラスを庇って重傷を負ってしまいました。

それでもドギーは手錠をかけたままのマーベラスを安全地帯に連れていった後、
ザンギャックの地球攻撃を阻止するために重傷を負ったまま1人で戦いに戻りました。
それを見てマーベラスは手錠をしたままドギーの後を追って、ピンチに陥ったドギーを救い、
安全地帯に一旦退却しました。

どうしてマーベラスがせっかくの逃げるチャンスなのに逃げずに加勢に来たのか意味が分からず
質問してくるドギーに対して、マーベラスは「海賊の誇り」のためだと言いました。
ドギーに一度命を救われたからだというのもありましたが、
それよりも、そもそもマーベラスは最初からザンギャックの地球攻撃計画を知った時から、
それを阻止する気だったのです。

それは、あの第2話の少年との間に交わした
「海賊なら、この星を守る価値を自分で見つける」という約束を守るためでした。
だから、今のマーベラスにとっては、地球攻撃計画を見過ごすことは海賊としての誇りに反する行為なのです。
とにかく一旦守ると決めたものを守らないのは海賊の誇りに反する。
その誇りを傷つける者は誰だろうとぶっ潰す。それがマーベラスの考え方でした。

そうした事情は知らないながらも、
ドギーにはマーベラス達が自分なりの誇りに基づいて地球を守ろうとしているように見受けられました。
つまり、マーベラス一味は決してつまらない犯罪者集団なのではなく、
何らかの自分なりの誇りをもって「海賊」という汚名をあえて名乗っている
変な連中であるということが分かったのでした。
そして、その誇りを守るためには、どんな危険にも飛び込んで命を賭ける覚悟があり、
そのマーベラス達の誇りは現状では地球を守って戦う方向に向いている。

そのことに気付いたドギーは、マーベラス達の誇りの内容はよく分からなかったが、
とにかく人々を守ることに誇りを感じて命を賭けるマーベラスの姿勢は、
デカレンジャーの姿勢に通じると感じられました。
そして、あくまで自分なりの誇りに基づいて行動することにこだわるマーベラスと、
あくまで上層部の意向に従うのではなく自分の目でマーベラス一味の価値を判断しようとしているドギーは
よく似ていました。

つまり海賊の誇りも、刑事の誇りも、
どちらも上から押し付けられた価値観に従うのではなく、
自分の目で見て、自分の手に掴んだものしか判断材料にしないことに基づく点で共通しており、
ゴーカイジャーの誇りとデカレンジャーの誇りは根本は同じなのだということにドギーは気付きました。

それによってドギーは、何者にも従うことなく我が道を誇りをもって進むマーベラス達ならば、
「宇宙最大のお宝」によって定められたこの宇宙の運命に従わされることのない、
全く別の独自の解決策を見出す可能性があるのではないかと思えてきて、
魁やアカレッドがマーベラス達に賭けた可能性は、そのあたりにあるのではないかと思い、
ドギーもその可能性に賭けてみようという気になり、
マーベラス達にデカレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

マーベラス達はこのデカレンジャーの「大いなる力」も駆使してザンギャックの地球攻撃計画を阻止し、
逆に敵の攻撃兵器を使ってザンギャック艦隊に大きな損害を与えて、ザンギャックの攻勢を挫きました。
そして最後に現れたバンによってマーベラス達の罪状が全て
ザンギャックによって捏造されたものだということも明確に示されて、
マーベラス達は地球で堂々と活動出来ることになったのでした。

第6話はルカが「金のなる木」という不思議な木を持つ成金親子の豪邸で
たまたまメイドのバイトをしていたところ、
「金のなる木」を狙って押し込んできたザンギャック怪人をやっつける話でした。

この時、ルカは「金のなる木」が手に入って金持ちになる以前、貧乏時代の方が幸せだったと言う
その家の娘に対して、自分の貧乏なスラム生活を想い出して、
お金が無い方が幸せなどというのは甘えた考え方だと叱りつけてバイトを辞めて帰りました。

しかしその夜、ガレオンでジョーとのふとした会話の中で、
ジョーはルカの夢が何なのか知らないが、
とにかく夢のためにお金をこだわるのならばそれは良いことだと言い、
それを聞いたルカは自分にとって一番大事なものはお金ではなくて夢だったのだと改めて思い出しました。

ルカにとってお金は、宇宙全体を買い取って戦災孤児たちをみんな幸せにするという
「夢」を叶える手段であって目的ではない。
夢があるからこそお金を集める意味がある。
しかしルカのその夢は悲惨なスラムの生活の中だからこそ生まれてきたものです。
つまりルカにとっての現在のお金儲けを意義あるものとしてくれているのは、
お金の無かった辛い悲惨な過去があるお蔭なのです。
辛い過去を受け入れてこそ現在の生活は意義あるものとなるのです。

そのことに気付いたルカは、再びザンギャックに襲撃されて屋敷が火事となった例の成金の豪邸に戻り、
娘が一番大事なものを火の中から救ってほしいという願いを聞き、
貧乏時代に親子が励まし合って豊かな生活を夢見て頑張った想い出を象徴する手作りのぬいぐるみを
火の中から持ち出し、「金のなる木」は火事の中で燃えて無くなってしまいました。

しかし、それで父親は親子にとって一番大事なものは、お金そのものではなく、
貧しく苦しい中でも親子が明るい未来を夢見て頑張って働いていたことなのだということを思い出し、
改心してやり直すことになったのでした。

第7話では、まだマーベラス、ジョー、ルカの古参3人に比べて実力で劣るハカセとアイムの新参2人が
戦いでマーベラス達の足を引っ張ってしまい落ち込んでいたところ、
公園で拳法を子供たちに教える武術家に出会い、教えを受けることになります。
この武術家が31番目のスーパー戦隊のゲキレンジャーの元ゲキレッド、漢堂ジャンでした。

2年半前のレジェンド大戦が終わった後、
スーパー戦隊の存在を消滅させることと引き換えに平和な宇宙を作るという話を聞き、
あんまり難しいことを考えられないジャンはそういうことなら仕方ないと思って、
その運命を受け入れるつもりになりました。

それまではひたすら高みを目指して修行してきたジャンでしたが、
自分もゲキレンジャーも消えてしまうのならば自分のゲキレッドとしての高みを目指しても無駄だと思い、
それよりも残された時間で子供たちに獣拳を教えることに没頭するようになりました。
ゲキレンジャーが無くなっても獣拳はきっと無くならない。
だから、子供たちに獣拳の精神を教え残すことによって、
自分の志も子供たちの身体に沁みついた獣拳の中に残すことが出来る。
そのようにジャンは考えたのでした。

ジャンはそのことのみに夢中になっていたので、
マーベラス一味が地球に来てもあまり興味を持つこともなく、
いずれ他の戦隊から連絡が来て「大いなる力」を差し出すように言われれば
差し出せばいいという程度に考えていました。

そこに突然、弟子入り志願してきた2人組が
元マジレッドの魁から連絡で回ってきていた噂の35番目のスーパー戦隊かもしれない宇宙海賊5人組の
顔写真のうちの2人であったので、ジャンは少し驚きましたが、
やたら必死に強くなろうとしているアイムの熱気に押されて修行をつけることになりました。

一方、アイムに連れて来られていたハカセは
どうせ才能が無い自分が修行してもすぐに今日負けた強敵に勝てるほど強くなれるはずがないのであり、
こんな修行は無駄だと思い、帰ってしまいました。
しかしマーベラス達が実は日常生活の中で隠れて努力をして強くなろうとしていたことを知り、
ハカセは自分だけが言い訳をして変わろうとしなければ、皆に置いていかれると反省し、
翌日ジャンの修行場の公園に現れて改めて弟子入り志願しました。

ジャンは昨日は無駄だと言っていたのにどうして考えが変わったのかハカセに尋ねます。
するとハカセは何もしなければ置いていかれるだけだが、
今から始めれば自分も変われるかもしれないと思ったからだと答えました。
つまり、すぐに強敵に勝つという意味では無駄な努力かもしれないが、
それでも勝つことを目指して日々修行して変わっていこうとする気持ちが一番大切だということです。

これを聞いてジャンは自分が消滅することを前提にして
自分自身が変わろうとする気持ちを忘れていたことに気付かされました。
無駄であるかどうかは考えず、一見不可能な目標に向かって日々変わっていくことが
ゲキレンジャーの修行の精神の本質だったのです。

その精神がゴーカイジャーには存在することを知ったジャンは嬉しくなってきました。
この連中ならば、どんな困難にも挑戦し続けて日々変わり続けて、
この宇宙の運命までも変えてしまうかもしれないと思えたのです。

そう思ったジャンはゴーカイジャーに賭けてみようと思い、
自分が元ゲキレッドだと名乗り、自ら進んでゲキレンジャーの「大いなる力」をゴーカイジャーに渡したのでした。
そしてジャンはもう消滅することなどいちいち考えず、
子供たちに獣拳を教える傍ら、再び高みを目指して修行を始めることにしたのでした。

第8話は、何故か地球に居ついてザンギャックの地球侵略作戦の邪魔ばかりするマーベラス一味が
そもそも何をしに地球へやって来たのか探るために、
ダマラスがスニークブラザースという潜入諜報活動専門の怪人をガレオンに潜入させるお話でした。

司令官のワルズ・ギルが参謀長のダマラスにまともに仕事もさせず、出撃さえ禁じているために
地球侵略軍はガタガタで、マーベラス一味に連戦連敗する有様でした。
そこでダマラスはせめてマーベラス一味の行動の目的だけでも探って突破口を開こうとし、
どうせそんなことを進言してもワルズ・ギルに潰されるのは目に見えているので、
ワルズ・ギルには内緒でこの作戦を決行したのでした。

そして結局ドタバタの末、スニークブラザースはマーベラス達に退治されましたが、
その前にダマラスはマーベラス達がこの地球に「宇宙最大のお宝」を手に入れるために来ており、
そのために目下のところ、34のスーパー戦隊の「大いなる力」を集めており、
次は「空飛ぶ島」という場所に行って「大いなる力」を手に入れようとしているのだという情報を掴みました。

「宇宙最大のお宝」というものが、
ダマラスが私掠許可を与えて抱えている宇宙海賊のバスコが追いかけているお宝だということは、
ダマラスは分かっていました。
というより、そもそも第1話でマーベラス一味がザンギャック軍と交戦した段階で
ダマラスはマーベラス一味が地球にいる事は気付いていたはずであり、
バスコが1年前の「赤き海賊団」壊滅事件以後、マーベラスの行方を追っていることも知っていたはずなのに、
バスコにこのことを連絡していませんでした。
これはダマラスがバスコのことを都合よく使える手駒としてしか考えておらず、
別にバスコの宝探しに協力する義理など全く感じていないからでした。
それにダマラスは「宇宙最大のお宝」などという与太話はまともに信じていなかったのです。

ただ、マーベラス達が「宇宙最大のお宝」だか「大いなる力」を手に入れるために
次に行く場所が「空飛ぶ島」だということが分かった以上、
そこを急襲してマーベラス一味を倒し、ついでにそこに宝があるのなら奪ってやろうとダマラスは考えました。

そうして第9話、マーベラス達が空に浮かぶ天空島を発見して、そこにガレオンで乗り込んでいった際、
ダマラスが差し向けた行動部隊も天空島を発見して急襲してきて、戦いが始まりました。
が、天空島に突如現れたガオライオンによって
マーベラス達もザンギャック部隊も地上に叩き落とされてしまいました。
そうして地上に降りたマーベラス達の前に現れたのが
25番目のスーパー戦隊のガオレンジャーの元ガオレッドの獣医師、獅子走でした。

走たちガオレンジャーは2年半前のレジェンド大戦の後、少し困ってしまっていました。
ガオレンジャーはレジェンド大戦以降、変身して戦うことは出来なくなってしまいましたが、
本来、現代のシャーマンである彼らは大地の精霊、すなわち天空島のパワーアニマルとは意思疎通が出来ます。
そしてガオレンジャーの「大いなる力」はもともとはパワーアニマルから授けられたものです。
だから走たちは「この星の意思」に聞かされた話、
自分達の「大いなる力」を消し去って宇宙の作り直しをするという話をパワーアニマル達にも伝えました。

走たちは自分達ガオレンジャーが消えても宇宙が平和になるのならそれでいいと思っていたのですが、
意外にもパワーアニマル達はあまりその方法に賛同していない風情でした。
パワーアニマル達が賛同してくれなければガオレンジャーの意思だけでは
その「大いなる力」を動かすことは出来ない。
それで走たちは困ってしまっていたのでした。

そんな時にマーベラス一味が地球へやって来ました。
マーベラス一味が魁に「大いなる力」の件を教えられて以降、
「大いなる力」を集めて回っているという話は走も噂では聞いていましたが、
走たちガオレンジャーはパワーアニマルとの意見の相違の件があり、
自分の意思で「大いなる力」を動かせない状況ですから、マーベラス達に構っている場合ではなく、
当面は接触するつもりもありませんでした。

そのマーベラス達がいきなり天空島に乗り込んでザンギャックと戦ったりして天空島を荒らしたのですから、
走は驚き呆れました。
マーベラス達はナビィのナビゲートに従って天空島に行ったらいきなりザンギャックに出くわし、
いきなり巨大なライオンに張り飛ばされただけのことなのですが、
走はマーベラス達が「大いなる力」欲しさに強硬手段に出たのだと思って憤慨し、
マーベラス達に向かって「力欲しさに天空島を荒らしても大いなる力は手に入らない」
「宝しか目に入らない海賊にはガオライオンは応えてくれない」とダメ出しをしたのでした。

ところが足の怪我を治療するために走が自分の医院に連れていったアイムは、
走に向かってマーベラス達は滅びた星の役立たずの王女である自分を仲間として受け入れてくれたのだから、
宝や力しか目に入らない人達ではないのだと主張しました。
つまりマーベラス達は自分に何の得が無い相手であったとしても、
誰かが辛い目にあっていると決して見捨てず助けてしまう優しい人達だとアイムは言うのです。

一方、ダマラスの勝手な行動に気付いたワルズ・ギルはダマラスに作戦の変更を命じて、
お宝や海賊などは無視して、出動中の部隊に地球人を襲わせるよう命じました。
それで人々を襲い始めたザンギャック部隊を見て、マーベラス達は宝探しは中断して、
ザンギャック兵達の乱暴を阻止するため戦いはじめました。

アイムの話で興味が湧いた走がマーベラス達が戦っている姿を見ると、
確かにマーベラス達は態度は悪いながらも、しっかり人々を守ろうとしているのが分かりました。
マーベラス達は宝探しと人助けの二者択一となった場合、
人助けの方を選ぶ海賊だったのだと知った走は、
それを見極められなかった自分の方が何時の間にか宝や力に目を奪われて
地道な人助けの精神を忘れていたのではないかと反省しました。

宝や力とは、つまり「宇宙最大のお宝」による宇宙作り直しの超パワーです。
ザンギャックの猛威から宇宙を救わなければいけないという危機感の大きさゆえ、
ついつい絶対的な超パワーに頼っての解決に前のめりになり、
1つ1つの命を地道に守っていこうというガオレンジャーの基本精神を忘れていた。
それがパワーアニマル達の拒絶を招いていたのではないかと走は思い至りました。

お宝を使っての宇宙の作り直しは確かに確実に宇宙の平和をもたらすが、
それはスーパー戦隊という犠牲を払うことを最初から前提としたものです。
走たち自身は自分が消え去ること自体を恐れてなどいませんでしたが、問題はそういうことではなく、
最初から犠牲となる者を救うことを考えもしない解決策が本当に正しい解決策なのだろうかという道義的問題です。

誰かをあっさり見捨てて安直な解決を図るよりも、
苦難の道であったとしても出来るだけ誰も見捨てることなく解決を図ろうと地道に泥臭く努力する方が、
上手くいく保証は無いかもしれないが、やはり本当はそれが正しい解決策といえるのではないでしょうか。
そのことに気付かせてくれたのはマーベラス達の地道な行動であり、
マーベラス達がガオレンジャーのように不器用な優しさに満ちた戦士であったからでした。

マーベラス達ならば、お宝の超パワーに頼らない何か別の解決法を見出してくれるかもしれない。
そのことを天空島で見ているガオライオンも感じ取ったはずだと思った走は、
マーベラス達にガオレンジャーの「大いなる力」を渡し、
それに応えてガオライオンも天空島から降りてきてマーベラス達の仲間となったのでした。

第10話は前回のダマラスの独断行動に怒り、対抗意識を燃やしたワルズ・ギルが
自分の手で一気に地球侵略作戦のカタをつけようとして、
ザンギャック本星から勝手にギガロリウム砲という大量破壊兵器を積んだ特別破壊部隊を呼び寄せて、
目障りなマーベラス一味もろとも地球を焼き尽くそうという乱暴な作戦に出ます。

これを察知したマーベラス一味側はジョーとルカが特別破壊部隊の戦艦にゴーミンに変装して潜入しますが、
成り行きでポーカー勝負に巻き込まれ、途中で行動隊長によって正体を見破られますが、
ジョーの勝負強さとルカのイカサマ技術の連係プレーで勝利し、
その騒ぎに乗じて潜入したマーベラスたち残りの3人がギガロリウムをまんまと強奪し、
最後はゴーカイオーが宇宙空間のザンギャック艦隊をギガロリウムで攻撃し、
逆にワルズ・ギルの艦隊は大打撃を受けてしまいました。

第11話と第12話は前後篇となっており、
ザンギャック皇帝のアクドス・ギルは前回、虎の子のギガロリウム砲搭載の特別破壊部隊を
勝手に本星から動かした息子ワルズ・ギルの行動に驚いて地球侵略軍の様子を調べさせたところ、
ワルズ・ギルの報告は出鱈目ばかりで、実際は地球侵略軍は変な海賊相手に連戦連敗で、
しかも逆にギガロリウムで大損害を出して機能不全となっているという驚きの報告を受けました。

そこでアクドス・ギルは督戦の意味で皇帝親衛隊隊長のデラツエイガーを地球侵略軍に派遣し、
ダマラスを叱責させたのでした。
アクドス・ギルは連戦連敗の主原因はワルズ・ギルであることは分かってはいたのでしょうが、
地球侵略作戦は実質的にはダマラスに任せたつもりでいたので、
現状の苦戦の責任はダマラスに負わせることにしたのでした。
これですっかり調子に乗ったワルズ・ギルは帝国の最強格の戦士であるデラツエイガーを連れて、
初めて自ら地球に降り立つこととしたのでした。

一方、地上では33番目のスーパー戦隊のシンケンジャーの先代女性当主、
姫シンケンレッドであった志葉薫がマーベラス一味の前に現れて、
いきなりシンケンジャーのレンジャーキーを返すように要求し、
マーベラスが断ると腕ずくで取り返そうとして斬りかかってきました。

シンケンジャーはこの「レジェンド戦隊の世界」における34回の世界融合の
最後から2番目の融合の際にこの世界に現れた戦隊であり、
シンケンジャーが外道衆を倒して彼らの体内に「大いなる力」が生じた後、
34番目の戦隊ゴセイジャーが現れ、その後レジェンド大戦が起こったのであり、
つまりシンケンジャーはまだこの融合世界というものにあまり慣れておらず、
「大いなる力」や「この星の意思」などの存在もあまりピンときていません。
だから「この星の意思」の言うような、
自分達の大いなる力を「宇宙最大のお宝」に注ぐことで宇宙を作り直すというような話も、
どうもあまり信じることが出来ないでいました。

だから薫はレジェンド大戦後も、そんなよく分からない「宇宙の作り直し」などするよりも、
まずは34戦隊の力を合わせて戦って地球を守り続ければいいではないかと思っていました。
とりあえずレジェンド大戦では34戦隊が力を合わせれば
ザンギャックの侵略を撃退出来ないことはないことは証明されたのであり、
その態勢で戦い続ければ、とにかく地球は守りきることが出来る。

じゃあ宇宙の他の星々はどうなるのかという問題がありますが、
薫はそれは他の星の者が自力で解決すべき問題だと思っていました。
自分達は地球を守りきるだけでも精一杯の状況なのだから他の星まで救う余裕は無い。
それはお互い様なのであり、むしろ今は自分達は地球を守り切りながら力を蓄えて、
更なるパワーアップを図って、宇宙を救うだけの実力を養うべきではないかと薫は思いました。
それだけの実力をつければ宇宙を救いに攻勢に転じればいい。
そのためには今は地球が滅びては元も子も無いのであり、
将来の宇宙救済の戦いのためにも、今はとにかく地道に戦って地球を死守すべきだと思いました。
「宇宙の作り直し」などというお伽噺のような話をどうしても信じられない薫としては、
それが最も現実的な考え方であったのです。

しかし自分達の戦う力の半分はレンジャーキーになって宇宙に飛んでいってしまい、
しかも他の戦隊の多くは「宇宙の作り直し」に賛同してしまっている状況では、
薫も自分の意見は引っ込めざるを得ませんでした。
変身出来なければ以前のようには戦えないし、
もし変身してフルパワーで戦えたとしても、あのザンギャックの大艦隊を相手に
シンケンジャーだけで戦って勝てる自信は無かったからです。

だから薫は一応は他の戦隊と歩調は合わせた行動はとっていましたが、
本心では「宇宙の作り直し」など信じていないので、
35番目の戦隊かもしれないというゴーカイジャーと名乗る宇宙海賊に
自分達シンケンジャーの「大いなる力」を渡すつもりなど毛頭ありませんでした。
薫から見たマーベラス一味はワケの分からない「宇宙最大のお宝」などというものに現を抜かす
愚か者にしか見えなかったのです。

むしろ、そのマーベラス一味の地球に来てからの、
お宝探しの成り行きの上でのザンギャックとの戦いを観察していた薫は、
今回のザンギャック軍がレジェンド大戦時より遥かに小規模であり、
ゴーカイジャーに連戦連敗するほど弱いということに気付きました。
そしてゴーカイジャーそのものも、別に大した強さではなく、
あれならばシンケンジャーがフルパワーで戦えばもっと強いと薫は思いました。
そして、シンケンジャーのレンジャーキーは今マーベラス達が地球に持って来ているのです。

ならば、マーベラス達からシンケンジャーのレンジャーキーを取り戻して
シンケンジャーが完全復活して戦えるようになれば、
他の戦隊が一緒に戦ってくれなかったとしても、
今回地球に来ているザンギャック軍ならば追い払うことは十分可能だと薫は考えました。

とにかく現在大事なことは地球を守ることなのであり、
そのために最善の手を尽くすべきだと考えた薫は
マーベラス達からシンケンジャーのレンジャーキーを取り戻すことにしました。
薫たちシンケンジャーは変身できなくても「モヂカラ」という一種のサイキックパワーを生身で使えるので、
もしマーベラス達が変身しても、薫はゴーカイジャー相手にもそれなりに戦える自信はありました。

それで薫はマーベラス達の前に現れてレンジャーキーを渡すよう言いますが、
当然マーベラスは拒絶し、それも当然予想していた薫は腕ずくで奪うしかないと、
いきなり斬りかかってきたのでした。
ところが薫の太刀筋を見て相当の剣の達人であると見抜いたジョーは薫と腕比べがしたくなり、
シンケンジャーのレンジャーキーを賭けて生身での剣の勝負を挑みます。

勝負は互角のまま進みましたが、
途中でワルズ・ギル自ら率いるザンギャック軍が降り立って街を襲い始めたので
薫は勝負を中断し、街へ駆けつけてゴーミン達を斬っていきます。
ところがそこにマーベラス達もわざわざやって来てザンギャック部隊と戦い始めたのを見て、薫は驚きました。
薫はマーベラス達がお宝以外に興味が無いものだと思っていたので、
お宝も関係ないのにわざわざ駆けつけて地球人を守るためにマーベラス達が戦うとは予想していなかったのでした。

ここでマーベラス達は親衛隊長デラツエイガーに大苦戦し、
隙を突いてワルズ・ギルの首を狙ったジョーの前にワルズ・ギルの側近の機械兵士のバリゾーグが立ちはだかり、
ジョーは生き別れの剣の師匠のシドと同じ剣技を振るうバリゾーグに戸惑い惨敗してしまいました。
そしてワルズ・ギルから、バリゾーグがシドを改造してワルズ・ギルに従順な下僕とした姿だと聞かされて、
ジョーは愕然とします。

そうして戦意を喪失して立ち尽くすジョーがバリゾーグに斬られそうになっているところに
マーベラスが割って入り、ジョーの代わりにバリゾーグに背中を斬られてしまいますが、
執念でワルズ・ギルに銃創を負わせ、慌ててザンギャック側が撤退した後、
マーベラス一味も重傷のマーベラスを連れてガレオンに引き揚げました。
そして薫も地球人を守るために戦おうという予想外の行動を魅せたマーベラス達に興味を示し、
マーベラスの怪我の手当のためにガレオンに同行しました。

しかしジョーはガレオンから姿を消してしまい、
バリゾーグに会ってシドに戻るよう説得を試みますが、
バリゾーグの中のシドの記憶は完全に失われており、ジョーはバリゾーグに叩きのめされてしまいます。

一方、何も事情を聞かされていないマーベラス一味の面々は
明らかに様子がおかしい上にいきなり姿を消したジョーのことを心配しますが、
マーベラスは全く心配した様子が無く、「ジョーは必ず戻ってくる」と絶対的に信頼しているので
薫は不思議に思いました。
ジョーは明らかに仲間に事情を隠して姿を消したのであり、
どうしてそんな相手をそこまで絶対的に信じることが出来るのか、薫は興味が湧いたのです。

するとマーベラスは他の仲間にもまだ話していなかったジョーとの出会いの時の話をして、
だから自分はジョーのことを無条件に信じられるのだと言いました。
つまり、マーベラスとジョーの間には出会った時から
絶対不利な状況でも命懸けで互いの背中を守り合う深い信頼関係の絆があるので、
ジョーのことは無条件に信じられるのだと言うのです。

それは2人とも絶対不利な状況でも決して信念を曲げないからであるというより、
周囲を敵に囲まれた苦しい状況において1人では貫き通せない信念でも
2人で背中を守り合うことによって貫き通すことが出来るという意味でした。
つまり絶望の中で足掻いていた2人だったからこそ、
絶望の中から立ち上がって前に進むためには互いが必要だったのです。

そして、今もその絶望との戦いは続いている。
いや夢を求める人生とはそもそも絶望との戦いです。
だから、夢を追い続けている以上、自分とジョーが離れることはないのだと
マーベラスは言っているのです。

そして、このマーベラスの想い出話を聞いて、
ルカ、ハカセ、アイムも自分達も同じだったのだと感じました。
ザンギャックによって荒廃した宇宙の絶望の中から立ち上がって前に進むために、
夢を掴むための仲間の絆を求めた。
それがマーベラス一味であったのだと4人は再確認しました。

一方、薫はマーベラス一味の絆を見て、それが命懸けで守り守られる侍たちの絆、
すなわちシンケンジャーの絆と根本的には同じであり、
シンケンジャーの絆に劣らない強い絆であることを知りました。

思えば、シンケンジャーもまた、かつて薫の影武者であった現当主の志葉丈瑠と家臣たちの絆も
嘘と隠し事から始まった間柄であったものが、命がけで守り守られる中で嘘の絆が真実の絆へと昇華していきました。
真の絆には、嘘や真実や隠し事などはどうでもいい。
大切なのは苦境の中で共に戦える相手であるかどうかです。

マーベラスはジョーと出会った時、共に絶望の宇宙で夢を追いかけて命がけの旅を出来る仲間だと見込んだ。
だから、それ以上の情報など必要とせず、ジョーの過去についても一切詮索せず仲間にしたのです。
つまりマーベラスはシンケンジャーと同じく、真の絆に嘘や隠し事があることなど何の関係もなく
共に命がけで背中を守りあえる仲間の絆だけが真実だということが分かっているのです。
そして、それは他の仲間たちも同じようであることに薫は気づきました。

そしてまた、薫はマーベラスの想い出話を聞いて荒廃した宇宙の惨状を初めて実感し、
地球を守ることばかり考えて他の星々のことは他人事のように考えて見捨てようとしていた自分を内心恥じました。

その時、ワルズ・ギルに命じられてデラツエイガーが電波ジャックで
マーベラス一味に向けて地球の全てを破壊してほしくなければ出てこいという挑発をしてきて、
マーベラス達がそれに応じて戦いに行こうとするのを見て、薫は理解に苦しみました。
重傷を負い、ジョーも欠いて、大苦戦した相手に挑むのは無謀であり、
そこまでして無関係の地球を守るために戦うのはどうしてなのか、薫はマーベラス達に訊ねました。

するとマーベラス達はこれは地球を守るための戦いではなく、自分達の戦いだと答えました。
ザンギャックという絶望に立ち向かい、屈することなく前に進むことが
マーベラス一味にとっての戦う意味なのであり、
地球を守るということはマーベラス一味にとっては絶望に立ち向かう戦いの1つに過ぎないのです。

しかし、そのことをマーベラス達がここまで明確な形で自覚するようになったのは、
第2話以降、地球を守って戦おうなどと考えるようになった結果です。
つまり、マーベラス達にとってのこの時点における「この星を守る価値」とは、
ザンギャックという宇宙を覆う絶望と戦うという彼ら自身の運命を
強く意識させることであったと言えます。

そして、このマーベラス達の言葉を聞いた薫は、マーベラス達と自分との違いを知りました。
薫はザンギャックに支配された宇宙の絶望を経験していないゆえに、
どうしても地球を守ることを優先してしまう。
そんな薫には宇宙を救うことは出来ない。
薫の場合、そうした自分の本質に正直すぎるゆえに他の星々を見捨てるような態度をとっていたのですが、
この本質は他のスーパー戦隊も大部分は大差無いはずです。
本質的には宇宙の絶望を知らない34のスーパー戦隊には本当に宇宙を救うことなど出来ない。
そのように薫は思いました。

しかしマーベラス達は宇宙の絶望の中から生まれ、
その絶望と命懸けで戦い、絶望に打ち勝って突き進んできたのです。
絶望の中で希望を持つためには戦うしかなかったのであり、
絶望と戦うためには仲間の絆が不可欠だった。
そうして宇宙を覆う絶望と戦うことを自らの宿命としてきた彼ら宇宙海賊の仲間達だからこそ、
宇宙のあらゆる虐げられた者のために分け隔てなく戦うことが出来る。

薫はそのことに気付き、
自分達では地球を守ることで精一杯だが、
ゴーカイジャーならばスーパー戦隊の力を使ってザンギャックを倒して
宇宙を救うことが出来るかもしれないと思いました。

ただ、それは彼らの仲間の絆が完璧であればこそ可能なのです。
ジョーは仲間に隠し事をして姿を消し、
マーベラスはそんなことで仲間の絆は揺るがないと言ってジョーを信じていますが、
その絆を最終的に証明するためにはジョーが戻ってこなければいけません。

さすがにジョーが最初から仲間を裏切るつもりであるとは薫には到底思えませんでした。
ただ、なまじ絆が強いゆえに、ジョーがその仲間に隠し事をしてまで
姿を消した事情はよほどの事情なのであろうと思われ、
その成り行き次第ではジョーが戻ってくるのは困難であろうと想像できました。
その事情や心情を振り切って、仲間の絆のためにジョーが戻ってくることが出来るのか?

そもそも、もしジョーが自分が隠し事をして姿を消したことが仲間の絆を損なったと思っていれば
なまじ絆を重んじるマーベラス一味ですから、ジョーは戻ってきづらいはずです。
しかし、そんなことで躊躇していて仲間の危機に間に合わないようでは、シンケンジャーと同じ真の絆とはいえない。
嘘や隠し事も呑み込んで、ただ命を懸けて互いを守り、この世を守るのがシンケンジャーの絆であったからです。
そんな程度の絆では、まだ薫はマーベラス一味に賭けることは出来ません。
そこで薫はマーベラスが信頼するようにジョーが躊躇なく戦いの場に駆けつけるかどうか見極めることにしました。

そのジョーはバリゾーグに叩きのめされた後、しばし1人で呆然としていましたが、
モバイレーツを見て、仲間のシドを失った絶望の中、マーベラスと出会って背中を守り合って戦った時の、
夢の果てまで付き合うと言った誓いを思い出し、
自分にとって一番大切なものはマーベラス一味の仲間の絆だと悟り、
シドのことは完全に吹っ切って、マーベラス達のもとへ駆け出します。

そうして戦いの場に駆けてきたジョーを待ち受けた薫は、ゴーカイジャーの仲間の絆を確認し、
ゴーカイジャーに宇宙の運命を託すことを決意し、
ジョーに「必ずザンギャックを倒せ」と言い残し、
マーベラス達にシンケンジャーの「大いなる力」を与えて去っていきました。

そしてジョーも加わったゴーカイジャーは、自分達の戦いの意義を再確認した勢いに加えて、
更にシンケンジャーの大いなる力も駆使して
強敵デラツエイガーを倒したのでした。
そうして戻ってきたジョーに、マーベラス達は一切の事情を尋ねることもなく、
ただジョーの帰還によって仲間の絆を確認できたことを素直に喜ぶのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:03 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月10日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その12

改めて振り返った「ゴーカイジャー」の第1話から第12話までの、いわばこの物語の「第1部」というのは、
地球にやって来たマーベラス一味がザンギャックと戦ったり、スーパー戦隊の戦士たちと出会ったりしながら
「大いなる力」と「この星を守る価値」を探すという比較的シンプルな構成になっており、
この第1部においては、マーベラスとジョーとルカの3人は「宇宙海賊」としての
ブレない姿勢を示すキャラとして描かれており、
ハカセとアイムがまだ海賊として一人前でない成長キャラとして描かれています。

これはマーベラスとジョーとルカの3人をブレない海賊キャラとして描くことで
「海賊戦隊」というこの作品の主人公の独特のスタンスを視聴者に知らしめるためであり、
ハカセとアイムを半人前の海賊として描いたのは、
ともすればマーベラスたち古参組3人が視聴者の子供には親近感が抱きにくいキャラであるので、
それをカバーするために一般視聴者に近いスタンスの2人を主人公サイドに配したということでしょう。

しかしハカセとアイムにしても、あくまでその成長のベクトルは一般人の方向ではなく海賊の方向に向いています。
ハカセとアイムが一人前の海賊に成長していく過程に感情移入しながら、
視聴者も「海賊戦隊」の世界に慣れていく構成になっているのです。

そういうわけですから、この第1部においてはマーベラス一味はベクトルは完全に「海賊」の方向に向いています。
それゆえ彼らが「大いなる力」を獲得するに際しては、
マーベラス一味の方からスーパー戦隊側に歩み寄ったり、理解を示したりする描写は抑え目であり、
どちらかというとスーパー戦隊の元戦士たちがマーベラス一味の中に自分達と同じものや、
それを超える新たな可能性を見出して「大いなる力」を与えるという構成になっています。

そして「この星を守る価値」についても、
第12話の志葉薫との遣り取りにおいて、この時点での一応の結論を出しています。
つまり、マーベラス一味が地球を守ってザンギャックと戦うのは、それが自分達の戦いだからだとなっています。

最初は宝探しの邪魔者を排除するためだけに戦っていたつもりだったが、
地球に来てからザンギャックと戦っているうちに、
自分達がザンギャックと戦う理由はそれだけではないということがマーベラス達には分かったのです。
ザンギャックと戦うことは、絶望の宇宙で夢を掴むために旅をする海賊の誇りを守るための
必然の戦いであったということにマーベラス達は第12話で気付き、
一気にモチベーションを高めたマーベラス達は皇帝親衛隊隊長のデラツエイガーを撃破したのです。

この時点でマーベラス達にとって、第2話から探し始めた「この星を守る価値」は一旦回収されたといえます。
それは彼らにとっては自分達の海賊としての戦いの意義を確認させてくれるきっかけであったのです。
しかし、それはあくまで彼らにとっての「地球を守って戦う意義」であって、
第2話の少年が言っていたような普遍的な「この星の価値」にはほど遠い。
ただ、ここで一旦「この星の価値」については第12話でマーベラス一味の個人的解釈による結論を出して、
一旦この問題は脇に置いて、物語を進めていくことになります。

何故そうするのかというと、
ここで一気に「この星の価値」の普遍的な意味にまで突っ込んでいくと、
一気にマーベラス一味が「地球を守る正義のスーパー戦隊」になってしまい、物語が終わってしまうからです。
この「宇宙海賊がスーパー戦隊になる」物語を1年間もたせるためには、
そう簡単に宇宙海賊がスーパー戦隊になってしまってはいけない。
まだしばらくマーベラス一味は「宇宙海賊」のままでいてもらわないといけないのです。

だから、第12話までの展開の中でマーベラス一味はあくまで「海賊」のスタンスを維持したまま
レジェンド戦士たちに認められて「大いなる力」を貰い、
「海賊」としての戦いの意義を確認したことをもって彼らが「この星を守る価値」と解釈しました。

ここまでして彼らが「海賊」であることを強調しなければいけなかったのは、
物語の序盤なので「海賊戦隊」を強調する意義があったからだとも言えますが、
実際にはマーベラス一味がどんどん「海賊」から離れていきつつあったので、
逆に「海賊」を強調する必要があったからだと言えます。

戦隊総集合企画ということで主人公戦隊を「地球を守る義理が無い宝探しをする戦隊」ということにしたが、
そうなると物語に地球が関係無くなってしまって視聴者がいきなり序盤から感情移入出来ない。
だから主人公のマーベラス一味が戦う敵は「地球を侵略しようとする敵」であるザンギャックということにして、
この目的が食い違う者同士が成り行きで戦うことにしたのです。
こうすれば序盤からマーベラス一味の戦いに視聴者は感情移入出来ます。

しかし、そうやって地球を侵略する敵と戦っていると、
マーベラス一味はどんどん「地球を守るヒーロー」っぽくなってきて、
あまり「海賊」っぽく見えなくなってきてしまいます。
第1部はそのようにマーベラス一味の「脱海賊化」がどんどん進んでいたのであり、
それがあまりに早く進むと物語構成上でマズいので、
第1部ではことさらにマーベラス一味を「海賊」として強調する作劇がなされて調整されていたのでしょう。

しかし、やはり毎回ザンギャックの地球侵略作戦を邪魔ばっかりしている以上、
どれだけ「海賊」っぽさを強調しても、どうしてもマーベラス一味が普通のスーパー戦隊に見えてきてしまいます。
最終的にはそこに物語は着地するのですが、そのスピードを少し鈍らせないと、1年もちません。
そこで第2部からはマーベラス一味の「海賊」っぽさをより強調していくことになります。

第1部でザンギャックとの戦いをしっかり描いたことによって、
マーベラス一味に対して視聴者の感情移入を促すことには成功していますから、
ここからはマーベラス一味の直接地球の運命とは関係無い「宝探し」という
「海賊」としての本職の方にまつわる戦いを描いていっても大丈夫な段階となったので、
第2部以降は、ザンギャックから地球を守る戦いだけでなく、「宝探し」に関わる戦いが描かれることになり、
ザンギャックは第1部に比べると、やや影が薄くなります。
ここでマーベラス達の「宝探し」のライバルとして登場してくるのがバスコです。

しかし、マーベラス一味とバスコとの「宝探し」のバトルだけで終始するわけではなく、
ザンギャックとの戦いも相変わらず描かれますから、
ここでマーベラス達の「脱海賊化」は進行してしまいます。
そこで対ザンギャック戦も含めた全般的なマーベラス一味の「正義のヒーロー化」を肩代わりさせるキャラとして
第2部で投入されたのが追加戦士ゴーカイシルバーの伊狩鎧です。

第13話から始まる第2部は、冒頭の第13話と第14話は東日本大震災の影響で
「199ヒーロー大決戦」映画(時系列的にバスコ登場篇の後)の公開が遅れた影響で
バスコ登場篇の前に挿入することになったと思われるエピソードなので、
内容的には第1部の流れをそのまま引きずったものになっており、
実質的にはその次の第15話のバスコ登場篇から第2部の内容となります。

そして第21話のボウケンジャー篇までの第2部前半は、
バスコや鎧など新登場キャラに関連して物語を整理しつつ、
マーベラス一味は「海賊」としての側面が強調された描き方をされますが、
第22話以降の第2部後半は、鎧の加入によって微妙にマーベラス達の意識も変化していき、
再びザンギャックとの戦いの中でマーベラス一味にとっての地球人を守って戦うことの意義が問い直されていき、
ここでは第1部では海賊としてのスタンスに揺るぎの無かったマーベラスとジョーとルカのスタンスにも
微妙な変化が生じてきます。

また、この中で、第16話終了後に挿入される春映画「199ヒーロー大決戦」は
第1部の流れを受けた、マーベラス一味の「正義のヒーロー化」が強調された内容となっており、
一方、第23話終了後に挿入された夏映画「空飛ぶ幽霊船」は
第2部の流れを受けた、マーベラス一味の「海賊」の側面が強調された内容になっています。

さて、では第2部ですが、第1部からの話の繋がりから説明しますと、
第10話で地球を焼き払うために使おうとしたギガロリウムを
逆にゴーカイジャーによって艦隊めがけて撃ち込まれてしまい、大損害を出したザンギャック地球侵略軍は、
艦隊を使ったまともな作戦が出来なくなり、
地上部隊を送り込んでケチな破壊工作をするばかりになってしまいました。

その上、第12話でザンギャック本星から派遣された皇帝親衛隊の隊長であるデラツエイガーまで
ゴーカイジャーに倒されてしまったとの報告を受けて、本星の皇帝アクドス・ギルは驚きました。
しかしアクドス・ギルは、それでもさほど地球方面の情勢を心配はしていませんでした。
宇宙最強の男といわれるダマラスがいる限り、
たかが宇宙海賊ごときにザンギャック軍が敗れるなどということは有り得ないと確信していたのでした。

デラツエイガーを派遣したのもダマラスを発奮させるためだったのであり、
デラツエイガーを倒すほどの相手ならば、どちらにせよダマラスを差し向けるしかない。
そのダマラスが地球侵略軍に既に居るわけですから、
アクドス・ギルとしても、あとはダマラスに任せるしかないと思っていました。
そしてダマラスが海賊ごときに遅れをとるはずがないとも思っていました。

それだけ皇帝のダマラスに対する信任は厚かったというわけですが、
まさか皇帝も自分の息子のワルズ・ギルが変な誤解をしてダマラスを疎んじているとは知らず、
ダマラスも何故自分が疎んじられているのかサッパリ分からず困惑していました。

とにかくワルズ・ギルに出撃を禁じられてしまっているダマラスは
マーベラス一味を倒したくても直接戦うことが出来ない。
しかしこのまま何もしないままでは作戦失敗の全ての責任を負わされてしまう。
とにかく早く、何故か邪魔してくるマーベラス一味を片付けて地球侵略を成功させねばなりません。
といってもデラツエイガーを倒すほどの実力を持ったマーベラス一味に対して、
ダマラス自身は勝つ自信は十分にありましたが、
自分以外でマーベラス一味を確実に倒せそうな力を持つ者というと、
ダマラスの動かせる行動隊長の中では心当たりはありませんでした。
だいいち行動隊長を動かしても、どうせまたワルズ・ギルにバレてしまって邪魔をされるに決まっています。

そこでダマラスは仕方なくバスコを呼び寄せることにしました。
バスコならば実力的には申し分なく、
正規軍人でないダマラスの私兵のようなものなのでワルズ・ギルにバレないように動かせます。
それにバスコはマーベラスや「宇宙最大のお宝」を探しているので、
それらが地球にあると知らせれば喜んでやって来るはずです。

そしてバスコを呼び寄せれば、勝手にマーベラス一味の始末をするだろうとダマラスは考えました。
仮にバスコがマーベラス達の命までは取らなかったとしても
「宇宙最大のお宝」とやらをバスコが奪ってしまえば、マーベラス達が地球にいる意味は無くなり、
マーベラス達はバスコを追って地球を離れるはずだとダマラスは考えました。

しかしダマラスはバスコという男のことを根本的に信用していない。
バスコもまた内心でダマラスのことを嫌っていることは、ダマラスも分かっています。
だからダマラスはバスコを完全にコントロール出来る自信は無く、
自分が自由に身動き出来ない状況でバスコを呼び寄せるのは不安でしたが、
こうなっては背に腹は代えられないと思い、バスコを呼ぶことにしたのでした。

一方、ワルズ・ギルは戦力ダウンしてしまったザンギャック地球侵略軍で効率的な作戦を立案しようとして、
地球に大量の猛毒を発するプワゾール鉱石の隕石が落下したと聞き、
それを使って地球人を皆殺しにしようと思い、その回収を命じます。
第13話は、そんな危険なものとは知らずにたまたまこの隕石を拾った男が
金に困ってアイムをお金持ちの子女と勘違いして誘拐してマーベラス一味に身代金の要求をしてしまったために、
ザンギャックとマーベラス一味の双方から追われることになってしまうというお話です。

この時、誘拐された立場のはずのアイムが
ザンギャック怪人からこの誘拐犯の男と一緒に逃げるという成り行きになります。
そして、アイムを誘拐したために凶悪な海賊に追われ、
厄介な隕石を拾ってしまったためにザンギャックに追われるという面倒なことに巻き込まれた不運を嘆く
誘拐犯の男に対して、アイムは母星を滅亡から救うことも出来なかった自分のことを引き合いに出し、
隕石を拾ったことによって母星を救う機会を得た貴方は幸運なのだと諭しました。

そしてアイムは、母星を滅亡から救うことも出来なかった無力な自分でも
生き延びたことによって新たな道が見つかったのだから、
母星を滅亡から救うことが出来た誘拐犯の男ならば、生きていればきっと新たな道が開けるはずだと励ましました。

誘拐犯の男はアイムが追いかけてきたザンギャック部隊から自分や危険な隕石を守って懸命に戦う姿を見て、
マーベラス一味が海賊とはいってもザンギャックから弱い人々を守る海賊だと知り、
アイムの見つけた「新たな道」というのが、ザンギャックと戦って人々を守ることだと気付きました。
つまり、ザンギャックに母星を滅ぼされるという絶望を味わってもなお、
アイムがその絶望に沈むことなく跳ね返して、
ザンギャックと戦い、絶望に立ち向かっていこうとしているのだと、男は悟りました。
それによって男は自分も借金苦という絶望に立ち向かって粘り強く頑張ってみようと心に誓い、
立ち直ることが出来たのでした。

続く第14話は20番目のスーパー戦隊のカーレンジャーの元レッドレーサー、
陣内恭介に一目惚れしたザンギャックの女幹部インサーンが
友人の行動隊長ジェラシットに恭介を誘拐してくるよう依頼し、
インサーンに惚れているジェラシットが嫉妬に狂って暴走するというお話です。

この世界におけるカーレンジャーの連中というのは、
ボーゾックとの戦いが終わった後は赤青黄緑桃の5色のカーレンジャーに変身した姿で
「5色の信号機」という寸劇をして子供たちに交通安全の大切さを説いていたようです。
ところがレジェンド大戦の結果、彼らは変身出来なくなってしまったので、その寸劇が出来なくなってしまいました。
しかもいずれ宇宙を救うために存在が消滅するのだという自らの運命を知りますが、
彼らは自分達の消滅のことよりも、
子供たちに交通安全を教えることが出来なくなってしまったことに落胆してしまいました。

しかし、そんな中、元レッドレーサーの陣内恭介は別の方法で子供たちに交通安全を教えるべく、
1人で紙芝居などで奮闘していたが、そこにジェラシットが襲ってきて、
たまたま通りかかったマーベラス達に助けられます。
そして恭介はマーベラス達が変身したゴーカイジャーの姿が
カーレンジャーと同じ赤青黄緑桃の5色の戦士姿であるのを見て、
カーレンジャーの「大いなる力」を渡すのと引き換えに
マーベラス達に「5色の信号機」の寸劇をさせることを思い付き、
再び襲ってきたジェラシットを倒した後、変身したマーベラス達と共に子供たちの前で寸劇をします。

そこで開き直って懸命に信号機を演じるマーベラス達を見て歓声と拍手を送る子供たちの姿を見て、
恭介はカーレンジャーの最も大切なやるべきことは交通安全を教えることではなく、
全力でヒーローしている姿を見せて子供たちを笑顔にすることだと気付き、
マーベラス達ならばカーレンジャーとしての務めを引き継いでくれると確信し、
カーレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

ここにおいて、マーベラス一味は半ばイヤイヤながらも
子供たちと公園で遊んだりするまでに急激にデレてしまいましたが、
これはあくまで一時的なことであり、ここから実質的に第2部が始まり、
マーベラス達は「海賊」としての強面な側面を強めていきます。

そのきっかけとなったのが第15話、第16話の前後篇で、ここで遂にバスコが地球にやって来ます。
バスコはダマラスからマーベラスが新たな仲間を引き連れて地球という星に来ており、
そこで「宇宙最大のお宝」を探しているという報せを受けて驚きました。
「地球」というと、アカレッドやレンジャーキーを生み出したという星であることを
バスコはアカレッドの部屋にあったメモを見て知っていたからです。

しかも同じくアカレッドのメモにあった「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要だとされる
「大いなる力」というものについても、
現在地球でマーベラスが集めて回っており、それが全部で34個あるのだと
ダマラスの報せには書いてありました。

バスコはアカレッドが宇宙の何処かにある「宇宙最大のお宝」の在り処を探していたのだと思っていましたから、
まさかアカレッドの故郷の星である「地球」に「宇宙最大のお宝」が存在しているとは予想していませんでした。
しかしダマラスからの報せを受けて、その考え方は盲点であったことにバスコは気付きました。
アカレッドは「宇宙最大のお宝」も「大いなる力」も自分の星に存在することを知っていたからこそ、
あれだけ確信に満ちた態度でレンジャーキーを集めていたのだ。
そのようにバスコは思いました。

ずっと行方が掴めなかったマーベラスが地球に腰を落ち着けて「宇宙最大のお宝」を探しているというのなら、
それはナビィのナビゲートによるものなのであろうから、
まず地球に「宇宙最大のお宝」も「大いなる力」も有ると考えて間違いない。
そしてマーベラスが「宇宙最大のお宝」がある地球に導かれてきているということは、
マーベラスがあの「赤き海賊団」壊滅事件の時に宝箱の中にあったレンジャーキーを
全部集めて持っているということを意味していることもバスコには分かりました。
当然マーベラスはガレオンに乗ってナビィも伴っているはず。
つまり、バスコの欲しいものが今、地球に揃っているのです。

バスコはすぐにでも地球に飛んでいきたかったが、
ダマラスがわざわざ自分にそんなことを報せてくるのはどうしてなのか用心深く考えました。
バスコは基本的にダマラスのことも信用していませんから、
ダマラスに都合よく利用されるのは勘弁願いたいと思い、わざと返答を渋ってみせ、
それで業を煮やしたダマラスは自分が今ワルズ・ギルに禁足令を出されていて
マーベラス一味を退治出来ないので代わりにバスコにマーベラス達を退治してほしいのだという事情を説明しました。
そして、それさえやってくれれば地球でのバスコの行動の自由は保証し支援も惜しまないと、
ダマラスは約束する羽目となったのでした。
そうして、バスコはダマラスが自由に動き回れないのならば自分の思い通りに動ける、安心だと思い、
ようやく地球にやって来ました。

一方、ちょうど時を同じくしてアカレッドの思念体も1年半ほどの休眠状態から目覚めて地球に舞い戻ってきて、
マーベラスが新たに集めた仲間たちと共に地球に来ていることを確認すると同時に、
バスコが地球にやって来たことにも気付きました。
アカレッドはせっかく新しい仲間のリーダーとして順調に成長しているマーベラスの前に
自分が思念体とはいえ姿を現したり声をかけたりしては、その成長の妨げになると思い、
自分の「大いなる力」を使ってナビィに働きかけて、
マーベラス達に危険が迫っているというビジョンをナビィに見せ、
ナビィにマーベラス達に向けて警告のナビゲートだけ発するよう仕向けました。

そしてマーベラスはバスコと遭遇し、バスコが生きていたことにまず驚愕しますが、
バスコが地球に「宇宙最大のお宝」があると聞きつけて、お宝を奪うためにやって来たと知り、
更にマーベラス達は衝撃を受けます。
ザンギャックという邪魔者はいるものの、地球では「宇宙最大のお宝」を狙っている者は
これまでマーベラス一味以外にはいなかったので、マーベラス達は余裕をもって宝探しを出来ていました。
ところが自分達と同じように「宇宙最大のお宝」を狙うバスコの出現は、マーベラス達には衝撃的だったのです。

マーベラス以外の4人はバスコのことは何も知らなかったので、旧知の仲と思しきマーベラスに事情の説明を求め、
それに応えてマーベラスは初めて4人の仲間に「赤き海賊団」時代の話、そして、その壊滅事件の話をします。
その上でマーベラスは裏切り者のバスコを始末するのは「赤き海賊団」の生き残りである自分の務めだと言って、
サシの勝負でケリをつけると宣言し、バスコの指定した決闘場所に向かいます。

マーベラスはバスコが「赤き海賊団」時代に真面目に戦っていなかった姿しか知らないので、
まともに戦えば自分の方が強いと思っており、
ましてや今はゴーカイジャーの力を得ているので自分が負けるはずはないと思っていました。
しかしジョー達はバスコが何か罠を仕掛けているのではないかと危惧して
マーベラスの後をこっそりつけていきました。

そして決闘場所に来たマーベラスの前でバスコは追加戦士5人のレンジャーキーを取出し、
それをラッパラッターで実体化して、サシの勝負という約束を破って
5人の召喚戦士にマーベラスを襲わせました。
追加戦士のレンジャーキーやラッパラッターの存在を知らなかったマーベラスは
バスコにアカレッドの背信も示唆されて動揺してピンチに陥りますが、
そこにジョー達4人が現れて5対5の戦いとなり、
モバイレーツで変身したゴーカイジャーとラッパラッターで実体化した召喚戦士とでは
ゴーカイジャーの方が強いので、マーベラス達が完全勝利を収めました。
しかしバスコは残り10人の追加戦士の召喚体も潜ませており、
召喚戦士が倒した5人だけと思って油断したマーベラス達を2倍の人数で不意打ちで倒します。

しかしバスコはダマラスの依頼に応えてマーベラス達を殺すことよりも、
まずは自分が「宇宙最大のお宝」を手に入れることを優先し、
ジョー達4人をフリージョーカーに連れ去って、
マーベラスに仲間4人とレンジャーキー、ナビィ、ガレオンの3点セットを交換するよう取引を持ち掛けました。
バスコはマーベラスが所詮は夢よりも仲間を優先する甘ちゃんだと見なしており、
仲間を人質にすればマーベラスから最も楽に「宇宙最大のお宝」を手に入れるための3点セットを
奪うことが出来ると思ったのです。

マーベラスは苦悩して、一旦は仲間を救うために3点セットをバスコに渡すしかないと決意しそうになりましたが、
アカレッドと出会って初めて「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れる決意をした時のことを思い出しました。
アカレッドに従ったわけではなく「夢は諦めたら手に入らない」と自分で心に決めたから
マーベラスは自分で決めて「宇宙最大のお宝」を追う海賊となったのです。
それは共に「宇宙最大のお宝」を追いかけてきた仲間4人も同じはずでした。
ならば、自分で夢を掴もうと決めて海賊となった者は決して夢を諦めたりはしないのだから、
仲間たちも決して夢を諦めてこの状況を絶望視はしていないはずだと気付きました。

仲間たちはきっとどんな絶望的状況でも最後の最後まで突破口を探して
夢を自分で掴み取ろうとしているはずだと気付いたマーベラスは、自分が諦めてはいけないと思いました。
逆に自分と仲間が共に最後まで夢を諦めずに突破口を求めれば、きっと状況は打開できると思ったマーベラスは
人質交換の場で仲間4人が応えてくれることを前提とした奇策を繰り出し、
これにジョー達が応えて状況をひっくり返し、3点セットを死守した上で仲間4人を取り戻し、
更に襲ってきた追加戦士10人の召喚体も撃破しました。

戦力比は2対1でマーベラス達に不利でしたが、戦士の心を持たない召喚体は絆が弱くて連係が甘く、
マーベラス一味の強い絆で繰り出される連携攻撃の前に敗れ去ったのでした。
召喚体は倒せばレンジャーキーに戻ってその場に落ちますので、
こうしてマーベラス達は先にゲットしていた5個と合わせて、
追加戦士のレンジャーキー15個の全てを手に入れることに成功し、
バスコは人造生命体のロイドを1体捨て駒にしてその場を逃げたのでした。

バスコはアカレッドに裏切られたと思い込んで「赤き海賊団」を裏切って以降、
夢を掴むためには大切な仲間さえ捨てねばならないという信念に凝り固まっており、
だから、仲間を捨てられないマーベラスには夢を掴む資格など無いと見下していました。
それゆえバスコはマーベラスに「仲間と夢の引き換え」の取引を持ちかけ、
マーベラスに自分は夢を掴む資格など無いのだと思い知らせてやろうとしたのです。

ところがマーベラスはこのバスコの取引には応じず、仲間も夢も自分の手で掴み取ろうとしました。
マーベラス一味にとって夢を掴む旅に仲間は不可欠なのですから、この決断は必然だったのですが、
何も捨てることなく欲しいものは掴み取るのが海賊として当然であるかのように言い放つマーベラスに対して、
バスコは苛立ちました。マーベラスはアカレッドの意思ではなく実際は自分の意思で行動しているのですが、
アカレッドの裏切りも知ろうともせず、未だにアカレッドに騙されたままのマーベラスごときが
生意気なことを言っているとしかバスコには思えなかったのでした。

しかし、そうした怒りは抑え込んでバスコは今回は撤退することにしました。
バスコはまだ最強格の番外戦士のレンジャーキー10個も持っており、
自身の怪人態という切り札も持っていたわけですから、ここで撤退するのは一見不可解です。
ただ、バスコはあくまで「宇宙最大のお宝」を確実に手に入れるために慎重になっており、
ここは安全策をとったのです。

バスコはアカレッドが「ゴーカイジャー」という戦士を用意していたことも知っており、
マーベラス達がその「ゴーカイジャー」に変身して戦うようになっていることも地球に来てから把握していましたが、
その「ゴーカイジャー」がどれほどの実力を持っているのか、まだよく分かっていなかったのです。
というか、最初はかなり甘く見ていたのでラッパラッターの召喚戦士を差し向けたのです。

ところが意外にもゴーカイジャーは召喚戦士よりも強く、
15個もレンジャーキーを奪われてしまったので、バスコは自分の判断の甘さを知って少し混乱してしまい、
ゴーカイジャーの実力をしっかり見極めるまではマーベラス達に直接手を出すのは得策ではないと判断して、
慌てて撤退したのでした。
そして、34個あるという「大いなる力」の大部分はまだマーベラス達も手に入れていない模様だと
ダマラスから聞いていたバスコは、ゴーカイジャーの実力を見極めるまでの間、
先に「大いなる力」の方を集めようと、作戦を変更したのでした。

また、この失敗した作戦の時点ではバスコは3点セットを奪えば
約束を破ってマーベラス達を殺すつもりでいましたから、十分に殺意はあり、
それはダマラスも分かっていましたから、
これは単なる作戦失敗であり、次のチャンスでマーベラス一味を抹殺してくれればそれでいいと思ったダマラスは、
バスコを咎めはせずに、ワルズ・ギルに隠れて秘かに支援を続けることにしたのでした。

一方、マーベラス達はバスコに怪人態があることはまだ知りませんし、
バスコが大人しく撤退したので、バスコの手持ちのレンジャーキーも奪った15個で全部だと思い込みました。
それにマーベラス達はラッパラッターの本当の性能である
「大いなる力」の強制的な吸出し機能についても知りません。
だから、もはやバスコにはゴーカイジャーに対して打つ手が無いだろうと思い、
マーベラス達はひとまず安心したのでした。

さて、しかし思念体となって地球に舞い戻ったアカレッドはバスコにまだ奥の手があることは分かっています。
それでもマーベラス達に直接メッセージを送るわけにもいかないので、
アカレッドは肉体を失う前に手をつけようとして作業にとりかからず終わっていた、
ゴーカイジャー6番目の戦士を誕生させることにしました。
そして当初の計画通りにその6番目の戦士ゴーカイシルバーを地球人として、
マーベラス一味とスーパー戦隊の橋渡し役とすることによって、
マーベラス達に早く「大いなる力」を集めさせようと考えました。

ちょうど良いタイミングで、もともとアカレッドが6番目の戦士に使わせるために別にしていた
15個の追加戦士のレンジャーキーをマーベラス達が手に入れたので、
アカレッドはさっそく6番目の戦士の変身アイテムを作ろうとしました。
しかし、肉体を失ってしまったアカレッドは単独では変身アイテムやレンジャーキーを作るほどには、
まだ力が回復しておらず、自分と同じく肉体を失って思念体となっているレジェンド戦士の3人に協力を仰ぎました。

それが16番目のスーパー戦隊のジュウレンジャーの元ドラゴンレンジャーのブライ、
24番目のスーパー戦隊のタイムレンジャーの元タイムファイヤーの滝沢直人、
27番目のスーパー戦隊のアバレンジャーの元アバレキラーの仲代壬琴の3人でした。
この3人の力を借りて、更に「この星の意思」の力も使って、
アカレッドはゴーカイシルバーの変身アイテムやレンジャーキーを作ろうとしますが、
その前に、レンジャーキーを回収する旅であったはずのアカレッドの旅がどうして中途半端で終わって、
マーベラス一味がゴーカイジャーとして地球に降り立つということになったのか、
その経緯をアカレッドはレジェンド戦士たちや「この星の意思」に説明せねばなりませんでした。

この中では、もともと「この星の意思」は
必ずしも「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しという解決策にこだわってはおらず、
ザンギャックの支配下でザンギャックと戦おうとしている宇宙人が
事態の解決の担い手になるという考え方でアカレッドと共通しており、
そのアカレッドが選んだキーパーソンがマーベラス一味であるというのなら、
「この星の意思」としては、その判断を受け入れることに迷いはありませんでした。

ただ、「この星の意思」はアカレッドのようにマーベラスと旅をしたわけではありませんから、
アカレッドの期待するような「マーベラス一味がスーパー戦隊の力を使って戦ってザンギャックを倒す」
というような解決策に絞って賭けることは出来ませんでした。
それでもマーベラス一味がキーパーソンとなる35番目の戦隊の資格者であることは認めた「この星の意思」は、
その6番目の戦士の変身アイテムを作ることに協力することは了承してくれました。
「この星の意思」もまたアカレッドと同じ思念体ですから、そのあたり密接な意思の疎通は可能なので、
アカレッドの言わんとすることは「この星の意思」はよく理解出来たのでした。

しかしスーパー戦隊の方は、もともと宇宙人が35番目の戦隊になるとは全く想像もしておらず、
その宇宙人がスーパー戦隊の想いを受け継いでザンギャックと戦う可能性を語るアカレッドの言葉が
頭の中に語りかけてきても、どうにも実感が湧かずに戸惑うばかりで、あまり芳しい反応は有りませんでした。
しかし、その中でアカレッドと同じ思念体の戦士であるブライと直人と壬琴の3人は、
アカレッドの考え方は理解してくれて、とにかくマーベラス一味を35番目の戦隊としては認め、
その追加戦士の変身アイテム作りに協力することは了承しました。
やはり思念体同士ですから、話は通じやすいのです。

ただ、この3人も「この星の意思」と同様、マーベラス達のことをよく知らないので、
ゴーカイジャーが戦ってザンギャックを倒すことが可能とはあまり思えず、
アカレッドの期待には同調していたわけではありませんでした。
とにかく宇宙の作り直しにせよ、戦って勝つにせよ、
ザンギャックを消して平和な宇宙を作るのは彼ら宇宙海賊が適役であるということを認めたに過ぎませんでした。
だから3人はそれぞれ自分達の戦隊の「大いなる力」もマーベラス達に渡すべきかどうかも決めていない状態でした。

そもそも、それ以前にブライと直人と壬琴の3人は6番目のゴーカイジャーであるゴーカイシルバーについて、
アカレッドの意見を受け入れたからこそ、大きな疑問を抱いていたのです。
確かにマーベラス一味とスーパー戦隊の橋渡し役としてゴーカイシルバーが地球人であるというのは
便利なことだとは3人も思いましたが、
果たしてゴーカイシルバーはマーベラス一味に受け入れられるのか?
いや、そもそもゴーカイシルバーはゴーカイジャーの一員となる資格があるのか?
そのあたりが大きな疑問だったのでした。

壬琴たちレジェンド戦士たちも、アカレッドが旅に出た後、
自分達の意思を継ぐに相応しい35番目の戦隊の候補者たちを探してリストアップしていました。
しかし、そういう候補者たちを差し置いてアカレッドは宇宙海賊のマーベラスと、その集めた仲間たちを
35番目の戦隊ゴーカイジャーとして認めるべきだと言う。
壬琴たちも最初はそれを聞いた時は意外に思いましたが、アカレッドの説明を聞いて、
確かにザンギャック支配下で本当に命懸けでザンギャックと戦ってきた宇宙海賊でなければ
平和な宇宙を作る資格は無いという理屈に納得したのです。

しかし、であればこそ、地球人はゴーカイジャーの一員となることは出来ないはずです。
ならば地球人をゴーカイシルバーの変身者に選んでもマーベラス一味は仲間として受け入れないであろうし、
そもそも地球人のゴーカイシルバーがゴーカイジャーの一員として
平和な宇宙を作る役割を担えるとは思えませんでした。
だから、壬琴たち3人はゴーカイシルバーの変身アイテムやレンジャーキーを作ることには
協力する気は満々でしたが、その変身アイテムを授けるに値する地球人を選び出す自信はありませんでした。

そうしてほどなくしてゴーカイシルバーの変身アイテムであるゴーカイセルラーと、
ゴーカイシルバーのレンジャーキーが完成し、
壬琴とブライと直人の3人は一応、既にリストアップしていたゴーカイジャーの候補者ボツリストの
地球人たちの動向を見て困ってしまいました。
どの候補者もスーパー戦隊の想いを引き継ぐに相応しい正義感に溢れた若者たちばかりでしたが、
所詮は地球を守るという意識止まりで、やはり本気で命を賭けて自分に何の関係も無い宇宙全体の平和を
守ろうとまで思うような者はいないように思えたのです。

そうした時、そのリストの上位者の1人であった、
自称「スーパー戦隊を誰よりも愛する男」というハイテンションキャラの伊狩鎧という男が
見知らぬ幼女を庇ってトラックに轢かれて重態となってしまうというアクシデントが起き、
鎧はそのままでは死ぬという状態となりました。
これを見て、壬琴、ブライ、直人は「この星の意思」に無理に頼んで、
鎧をゴーカイシルバーに選ぶことを条件に特別に「この星の意思」のパワーで鎧を回復させてもらいました。

どうして3戦士が鎧をゴーカイシルバーに選んだのかというと、
無関係の幼女を助けるために本当に命を捨てる行動を起こした鎧を見て、
この男ならば地球人でありながらも無関係の宇宙の平和のために命を張って戦い、
幼女の未来を命懸けで守ったように、宇宙の未来を変えることが出来るかもしれないと思えたからでした。
そして、鎧がその可能性をマーベラス一味に対して示すことが出来れば、
ゴーカイジャーの仲間になるだけではなく、ゴーカイジャーの方向性をも変える力になり得ると、
壬琴たち3人は鎧という男に賭けてみる気になったのでした。

そして、どうして自分達が鎧の行動を見て急に鎧に賭けてみたくなったのかと考えた3人は、
自分自身がかつて鎧と同じ行動をとったからだと気付きました。
壬琴もブライも直人も、もともと生前、戦い始めた頃は
自分と関係無い人々を守って戦う義理など感じていませんでした。
あくまで壬琴は自分の快楽のため、ブライは自分の恨みを晴らすため、
直人は自分の運命を切り開くために戦っていました。
それは地球人が宇宙のために戦う義理を感じておらず、
マーベラス一味が地球のために戦う義理を感じていないのと同じことです。

しかし、もともとは身勝手な理由で戦っていた壬琴、ブライ、直人が
最後は人々を守るために命を投げ出したことによって、
それがアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの残りのメンバーに大きな影響を与え、
彼らが困難な最終決戦に挑んで世界や人々を守る戦いに勝ち抜く際に後押しとなったのは事実です。

鎧の、無関係の何の義理も無い相手を守るために命を投げ出せる性格が、
マーベラス一味の戦いの意味を宝探しや夢を掴むためのものだけでなく、
地球や宇宙を守るための意味にまで拡大させる可能性を3人は感じたのでした。

その困難に挑戦し、一番のヒーローになれる男だと見込んで、
3人は病院のベッドに横たわる鎧の意識の中に現れて、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーを渡すと共に、
それぞれアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの「大いなる力」も授けたのでした。

そうして不思議な夢から目覚めた鎧の手には夢の中で3戦士から受け取ったゴーカイセルラーと
ゴーカイシルバーのレンジャーキーが握られており、
奇跡的な急速な回復を果たした鎧は退院後、半信半疑で
ゴーカイセルラーとレンジャーキーを使って変身を試みてみたところ、驚いたことに本当に変身に成功し、
しかもそれが巷で噂の謎の宇宙海賊の戦隊「ゴーカイジャー」の仲間だと分かり、更に鎧は驚きました。

不思議な夢の中で鎧はアバレキラーに「一番のヒーローになれ」「思いっきりときめけ」としか言われておらず、
鎧はこの突然の事態に果たして自分がどう行動していいのか分かりませんでした。
あまり良い噂を聞かない宇宙海賊に合流すべきなのか、合流すべきでないのか、
迷った鎧はマーベラス一味の実態を見るために、彼らの居場所であるガレオンを探し求めて動き始めたのでした。

その頃、マーベラス一味の面々は街でザンギャックと小競り合いをしている途中で、
ゴセイジャーと名乗る5人組に、そのゴセイジャーのレンジャーキー5つを盗まれてしまい、困っていました。
ここから春映画「199ヒーロー大決戦」の物語となります。

この5人組は本当に34番目のスーパー戦隊のゴセイジャーの元ゴセイレッドのアラタ、元ゴセイピンクのエリ、
元ゴセイブラックのアグリ、元ゴセイイエローのモネ、元ゴセイブルーのハイドの5人でした。

ゴセイジャーはレジェンド大戦以前に融合した34のパラレルワールドのうち、
最後に融合したパラレルワールドの戦隊ですから、
この「レジェンド戦隊の世界」の2011年の初め頃にブラジラとの戦いを終えた後、
初めてこの世界が融合世界だということを「この星の意思」から教えられて、
自分達の体内に「大いなる力」が発生したことも自覚したのであり、
つまり、34戦隊の中で最も、この融合世界についてリアリティを感じていない戦隊です。

だから1つ前の戦隊のシンケンジャー同様、
アラタ達も「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しなどと言われても、ピンときていません。
ゴセイジャーもこの世界に自分達の前に33の先輩のスーパー戦隊が存在して
悪と戦ってきたことは噂で聞いて知っていましたから、レジェンド大戦では一緒に戦いました。
しかし、「この星の意思」という奴は、少し前にいきなり語りかけてきたことがあったが、
ゴセイジャーの面々はその「この星の意思」の言うことはまだ半信半疑であったので、
「宇宙最大のお宝」を使ってザンギャックのいない平和な宇宙を作るなどと言われても、
本当にそんなことが出来るとは到底思えず、
そんな非現実的な話をするよりも、戦って地球を守るべきだと思っていました。

しかし彼らの戦う力は宇宙に飛んで行ってしまい失われたので、
ゴセイジャーの面々はきっとまた自分達に続く35番目のスーパー戦隊が現れて
地球を守るために戦ってくれるものだとレジェンド大戦の後、信じることにしたのでした。
ところがその直後に現れたアカレッドという謎の戦士との遣り取りの中で、
35番目の戦隊こそが宇宙の作り直しの役割を担う戦隊だという認識がスーパー戦隊の間で定着してしまい、
ゴセイジャーは釈然としませんでした。
35番目の戦隊は自分達と同じように戦って地球を守る戦隊であるべきだとゴセイジャーは思っていたのです。

するとレジェンド大戦の2年半後に地球に降り立った35番目のスーパー戦隊と思しき
ゴーカイジャーという戦隊の正体は地球に何の縁の無い宇宙海賊だと聞いたので、
ゴセイジャーの面々は驚き呆れてしまいました。
ゴセイジャーは星を護る崇高な使命にひたすら真面目な護星天使であったので、
海賊などという悪人や犯罪者の類に地球を守るスーパー戦隊が務まるなどとは到底考えられず、
ましてや平和な宇宙を作る役割を担えるはずがないと決めつけて、
何かの間違いで宇宙海賊がゴーカイジャーの変身アイテムやレンジャーキーを受け継いでしまっただけだろうと思い、
偽者の戦隊など、いずれ馬脚を現すだろうと、しばらく静観していました。

ゴセイジャーの面々は宇宙の作り直しの件などはどうでもいいと思っていたので、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要なアイテムをマーベラス一味が握ったままであるということについては、
他の戦隊のようには、あまり気にせず、単に分不相応なものを持っている海賊は
どうせ持て余して手放すことになるだろうという程度に見くびっていました。

ところが意外にもこのマーベラス一味がザンギャックの地球侵略を阻止してくれているようであり、
幾つかのスーパー戦隊も「大いなる力」を渡していると聞き、
ゴセイジャーの面々はマーベラス一味に興味が湧き、その戦いぶりをコッソリ見に行きました。

ところがタイミング悪く、マーベラス達がザンギャック相手に
「宝探しの邪魔するからやっつける」などと言っている場ばかりに出くわしたおかげで
ゴセイジャーの面々はすっかり裏切られた気分になってしまいました。

やはりマーベラス一味は宝探しにしか興味は無く、ザンギャックとはたまたま喧嘩しているだけであり、
根本的に地球を守る義理など無い連中だ。
しかも本来は地球を守るために使うべきレンジャーキーを宝探しの道具として使おうとしている。
そう憤慨したゴセイジャーの5人は、他の戦隊はどう思っているのか知らないが、
マーベラス一味が地球を守って戦う気が無いのならば
ゴセイジャーのレンジャーキーだけでも返して貰おうと考えました。

結局ゴーカイジャーがアラタ達の期待していた「地球を守って戦う35番目のスーパー戦隊」でない以上、
アラタ達がレンジャーキーに入った自分達の「大いなる力」を取り戻して
ゴセイジャーに変身して地球を守るため戦うしかない。
そう思ってアラタ達5人はマーベラス達の隙をついてゴセイジャーの5つのレンジャーキーを強奪し、
そのレンジャーキーを使ってアラタ達5人はゴセイジャーに変身し、戦う力を取り戻しました。

当然憤慨したマーベラス達はアラタ達にレンジャーキーを返すよう迫り
逆にアラタ達はゴセイナイトのレンジャーキーも返すようマーベラス達に要求しましたが、
マーベラス達はそんなキーは知らないと言ったので、両者の間は一気に険悪なムードとなり、
遂に両戦隊は激突してしまいます。

実はゴセイナイトのレンジャーキーは先日バスコから奪ったばかりの
15個のレンジャーキーの中に含まれていたので
マーベラス達はまだその存在をちゃんと把握していなかったので、
このあたりは誤解から諍いが始まってしまったのですが、
根本的にマーベラス達が宝探しのために地球に来ているのであって、
決して地球を守るためにこの星に居るわけでないというのは別に誤解ではなく本当のことでした。

マーベラス達も自分達の立ち位置はそういうものだと自覚しています。
ただ、ザンギャックの無法を見過ごすことが出来ずに叩くのが自分達の海賊としての誇りなのであり、
この星でザンギャックと戦うことによって自分達の海賊の誇りを貫くことが出来るという意味で、
マーベラス達にとって地球は価値のある星でした。
しかしアラタ達はそこまで深くマーベラス達の心理は知らず、
単に「地球を守ることより宝探しを優先している」という点で
マーベラス達を地球を守って戦う資格の無い、ただの無法者と見なしていました。

こうしてゴーカイジャーとゴセイジャーの抗争が始まってしまった頃、
一方、地球内部では異変が生じていました。
突如、大量の邪気が噴き出してきて黒十字王という怪物が生まれたのです。
これは何なのかというと、おそらく世界の融合を繰り返すたびに地球の中心の
「宇宙最大のお宝」が宇宙の果てにあるザンギャック本星の中心にある装置に向かって排出していた
邪悪なエネルギーのうちの一部が排出に失敗して地球内部に少しずつ溜まっていたものなのでしょう。

34世界分の悪のエネルギーが溜まっているのでそれなりに巨大なエネルギーになっていたのですが、
地球内部で不活化していたので無害であったと思われ、
それがレジェンド大戦時にもとはといえば同質の邪気の本体であるザンギャックの勢力が
地球にまで到達したことをきっかけに活性化しはじめ、
今回、ザンギャックが再襲来したことによって更に活性化が進み、
4ヶ月経ってその巨大な邪気が黒十字王という、
歴代34戦隊によって倒された悪の組織の怨念の集合体のような怪物を生み出したのだと思われます。

この黒十字王が34戦隊への復讐のためにゴーカイジャーの持つレンジャーキーに目をつけたのでした。
ゴセイナイトのレンジャーキーを巡ってゴーカイジャーとゴセイジャーが宝箱の奪い合いをしていると、
そこに黒十字王が現れて宝箱を奪い、
ゴーカイジャーとゴセイジャーを全員、3グループに分けて罠を仕掛けた別の場所に飛ばして抹殺を図り、
レンジャーキーを手中に収めて、34戦隊を完全に無力な状態としておいて、
じっくりと復讐していこうとしていたようです。

もしレンジャーキーが黒十字王に奪われてしまえば、
もともとスーパー戦隊がやろうとしていた宇宙の作り直しによる平和な宇宙の実現も出来なくなってしまいますし、
地球そのものがザンギャック以前に黒十字王によって大変な危機に晒されてしまいます。
「この星の意思」は全てのスーパー戦隊に声をかけ、急いでこの緊急事態を報せて、
一部見ることの出来なかった戦士はいたものの、大部分の戦士たちに対して
「この星の意思」が彼らレジェンド戦士の頭の中に映し出すビジョンによって
ゴーカイジャーとゴセイジャーの黒十字王に対する戦いを見守らせました。

そうして多くのレジェンド戦士が秘かに見守る中、
ゴーカイジャーとゴセイジャーは喧嘩を止めて一時的に協力して黒十字王の罠を撃ち破って元の場所に戻り、
レンジャーキーを取り戻して戦士の姿を取り戻したゴセイナイトとも合流し、
そこで黒十字王がレンジャーキーを使って実体化した176人の召喚戦士と戦うことになりました。
この黒十字王の実体化した176戦士は邪悪な力で無理に実体化したものであったので
バスコがラッパラッターで召喚した戦士よりもさらに弱く、
個々の能力ではゴーカイジャーとゴセイジャーの敵ではありませんが、とにかく数が多いので大変です。
しかしゴーカイジャーとゴセイジャーはこの激闘に勝利してレンジャーキーを全て奪還したのでした。

この戦いを見守っていた33戦隊の元戦士たちは、
この時の黒十字王による無理な実体化の影響で異常に活性化した状態のレンジャーキーに対して
「この星の意思」と共に心を1つにして想いを送り込み、
それによってレンジャーキーのエネルギーによって発生させた特殊な空間に
ゴーカイジャーとゴセイジャーを呼び寄せ、
そこで10人のレジェンド戦士がマーベラス達にそれぞれ10戦隊の「大いなる力」を託しました。

その10戦士とは、最初のスーパー戦隊のゴレンジャーの元アカレンジャーの海城剛、
2番目のスーパー戦隊のジャッカー電撃隊の元ビッグワンの番場壮吉、
4番目のスーパー戦隊のデンジマンの元デンジブルーの青梅大五郎、
6番目のスーパー戦隊のゴーグルファイブの元ゴーグルブラックの黒田官平、
7番目のスーパー戦隊のダイナマンの元ダイナピンクの立花レイ、
8番目のスーパー戦隊のバイオマンの元レッドワンの郷史朗、
13番目のスーパー戦隊のターボレンジャーの元レッドターボの炎力、
17番目のスーパー戦隊のダイレンジャーの元リュウレンジャーの天火星・亮、
30番目のスーパー戦隊のボウケンジャーの元ボウケンレッドの明石暁、
32番目のスーパー戦隊のゴーオンジャーの元ゴーオンイエローの楼山早輝でした。

彼らのうち、海城、番場、青梅、黒田、立花、郷、炎は当初、
ゴーカイジャーが本当に地球や宇宙の平和を守るために戦う資質があるのか不安視していましたが、
マーベラス達が黒十字王の配下と必死に戦い、人々を守ろうとする姿を見て、
宇宙海賊といえども地球人のヒーローと何ら変わらない正義感を持っているのだと認めることが出来ました。

また彼らはアカレッドが言うように宇宙海賊のマーベラス達が
スーパー戦隊の力を使って戦うことが出来るのか不安視していましたが、
ゴセイジャーとしっかり呼吸を合わせて戦うゴーカイジャーの姿を見て、
宇宙海賊とスーパー戦隊の力を合わせることは可能だと確信したのでした。
ならば、アカレッドの言うように彼らゴーカイジャーこそがザンギャックを戦って倒して
平和な宇宙を作ることが出来る可能性があるのかもしれないと思い、
海城たちはマーベラス一味に賭けてみようと思ったのでした。

また、ダイレンジャーの亮はもともと悪を滅ぼすことは出来ないというダイレンジャー特有の考え方に基づき、
宇宙の作り直しという解決法には疑念を抱いており、
アカレッドの言うようにマーベラス一味がザンギャックと戦い続けて
宇宙の善悪の均衡を保つ役割を果たせるのならば、それが最善の道だと思っていましたから、
ザンギャックと同質の存在と見られる黒十字王に対してもどんな不利な状況でも挑んでいく
マーベラス一味の姿を見て、ダイレンジャーの戦い方を引き継ぐことが出来る者と見定めることが出来ました。

ボウケンジャーの明石はもともと伝説のお宝を求めて宇宙を冒険してきたというマーベラス一味には
ボウケンジャーの冒険魂を受け継ぐ資格は十分に備わっていると認めていましたが、
今回のマーベラス一味の黒十字王に対する果敢な戦いを見て、
明石自身がお宝を使っての宇宙改変という安易な道よりも、
あくまでザンギャックと戦うという、より困難な冒険の道を選ぶ踏ん切りがつき、
マーベラス達に賭けてみようという気になったのでした。

ゴーオンジャーの早輝はマーベラス達があくまで宝探し目的の海賊であることを確認しつつ、
それでいて彼らにとって何の義理も無い地球の人々を守って戦う姿を見て、
マーベラス達が真の「正義の味方」だと確信し、きっと炎神の相棒となることが出来るのであり、
そしてザンギャックを撃ち破って世界を救うことが出来るはずだと確信しました。

あらゆる異世界を救おうとする戦隊であるゴーオンジャーは、
自分達の住む「レジェンド戦隊の世界」だけを救うために
自分達が消滅するという道をなかなか簡単には選ぶことは出来ないのであって、
ゴーオンジャーもまた、最初からお宝を使っての宇宙の作り直しという解決策には乗り気ではなく、
あくまで戦ってザンギャックを倒す道を模索しており、
今回マーベラス一味に賭けようという気になったのでした。

こうしてマーベラス達は思わず10個の戦隊に仲間だと認められて戸惑いつつも、
戦うために素直にその力を受け取り、
ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、
ターボレンジャー、ダイレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャーの「大いなる力」を一気にゲットし、
更に34戦隊の力によってレンジャーキー空間で作り出された必殺武器「スーパー戦隊バズーカ」を使って
ゴーカイジャーとゴセイジャーは黒十字王を撃破したのでした。

ただ、黒十字王もこれではまだ終わらず、巨大化して要塞状の黒十字城となり、
巨大歴代幹部怪人を召喚して街で大暴れし始め、
ゴーカイジャーとゴセイジャーは巨大ロボで立ち向かうが劣勢となります。
ここでゴーカイジャーとゴセイジャーに対して地球の人々が声援を送ります。
ゴセイジャーはともかく、ゴーカイジャーに関しては地球の人々はまだスーパー戦隊の仲間と認めて
声援を送ったことはなかったのですが、
スーパー戦隊への復讐を公言する化け物である黒十字城に立ち向かうゴーカイジャーの姿を見て、
初めて地球の人々はゴーカイジャーをスーパー戦隊の仲間と見なして声援を送りました。

すると、この人々の声援が、歴代スーパー戦隊戦士たちの想いと共に、
もともと地球の人々の意思の集合無意識である「この星の意思」に大きなエネルギーを送り込み、
「この星の意思」は強大なパワーを発揮し、地球上にある多くの歴代戦隊の巨大ロボ玩具が依り代となって
歴代巨大ロボが総登場し、ゴーカイジャーやゴセイジャーと共闘し、遂に黒十字城を倒したのでした。

この戦いの後、ゴセイジャーの6人はマーベラス達が地球の人々を守って戦う意思があることを認め、
そしてその守る対象が地球だけにとどまらず、
宇宙全体でマーベラス達が守るべきと思った物は分け隔てなく守るのだということを知り、
ゴセイジャーの6人もマーベラス達の手許に全てのスーパー戦隊の大いなる力を集めて、
戦ってザンギャックを倒して平和な宇宙を作る道に賭けてみようと決意し、
マーベラス達にレンジャーキーを返し、ゴセイジャーの「大いなる力」を渡して去っていったのでした。

そして、この一連の戦いを見物していたゴーカイシルバー伊狩鎧は、
マーベラス一味が35番目のスーパー戦隊であり、地球を守る正義のヒーローなのだと確信し、
ゴーカイジャーへの加入を決意するのでした。

これでマーベラス達はこの黒十字王との戦いを通して「大いなる力」を一気に11個も獲得し、
既にマーベラス達が獲得していた6戦隊、
そしてマーベラス達は知らないが既に鎧に「大いなる力」を託している3戦隊を合わせると、
20戦隊がゴーカイジャーに「大いなる力」を託したことになります。

しかし、よく考えると、この黒十字王との戦いでは全てのスーパー戦隊が
ゴーカイジャーの戦いにスーパー戦隊バズーカや歴代巨大ロボ登場という形で力を貸しているのですが、
それでもまだゴーカイジャーに「大いなる力」を渡していない戦隊がまだ14個あるということになります。

つまり、あくまで黒十字王との戦いはスーパー戦隊と黒十字王の戦いなのであり、
たまたまゴーカイジャーとゴセイジャーが矢面に立っただけのことなのであり、
スーパー戦隊がバズーカや巨大ロボを繰り出したのは、あくまで自分達の戦いとしてのことであり、
この今回はまだ「大いなる力」を渡していない14戦隊に関しては、
まだマーベラス一味に「大いなる力」を託すほどの気にはなっていないということになります。
それはそれぞれの戦隊ごとに事情は様々であるようです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 06:19 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月12日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その13

第17話と第18話は前後篇で、6番目の戦士であるゴーカイシルバー伊狩鎧がゴーカイジャーに加入する話です。
突然襲ってきた黒十字王との戦いに勝利して、11個の「大いなる力」をゲットしたマーベラス一味に対して、
続いてアカレッドはナビィに働きかけてビジョンを見せて、凄い銀色の男が現れるというお告げをさせます。
これはアカレッドが元アバレキラーの仲代壬琴たちと共に作ったゴーカイシルバーの変身アイテムを託した伊狩鎧が
マーベラス一味に加わるために接触を図ろうとしていることを見てのことでした。

その直後、マーベラス達は街でいきなり「ゴーカイジャー6番目の仲間」になりに来たと言う
「スーパー戦隊を誰よりも愛する男・伊狩鎧」と名乗る変な男に、
ゴーカイジャーを誰からも愛される素晴らしいスーパー戦隊にしたいという意味不明な抱負を聞かされます。
しかしマーベラス達は別に自分達がスーパー戦隊になろうとは思っていないので、
この鎧という男の言うことの意味がさっぱり分からず、
頭がおかしいのだろうと思い、無視して立ち去りました。

鎧はアバレキラー仲代壬琴たち3戦士からゴーカイシルバーの変身アイテムを授けられたので、
てっきり自分がゴーカイジャーの仲間になることはマーベラス達に連絡済みなのだと思っており、
マーベラス達の冷淡な反応に呆然としますが、慌ててマーベラス達を追いかけ、
マーベラス達がザンギャックの行動部隊と出くわして喧嘩が始まりそうになったところに、
鎧はいきなり乱入してゴーカイシルバーに変身しました。

通りすがりの頭のおかしい男だと思っていた鎧がいきなり見たこともないレンジャーキーを取り出して
妙な変身アイテムにそれを挿入し、
ゴーカイシルバーという、まるでゴーカイジャーのような戦士に変身して戦い始めたので
マーベラス達は仰天しました。
マーベラス達はゴーカイジャーはマーベラスがアカレッドから受け継いだ
5つのレンジャーキーの5人分しかいないのだと思い込んでいたから、
そのゴーカイシルバーという鎧の変身した戦士が何なのかさっぱり分からなかったのでした。

しかしとにかくわけが分からないままマーベラス達は勢いで鎧と共闘してザンギャック部隊を倒し、
戦いの後、ナビィのお告げを想い出して、
鎧がナビィの言う「凄い銀色の男」ではないかと思って鎧に事情を聞いてみたところ、
鎧も銀色の男云々はよく分からないようでしたが、
何と「大いなる力」を3つ持っていると言ったのでマーベラス達は驚いて鎧をガレオンに連れていき、
更に詳しく事情を聞くと、鎧はマーベラス達にこれまでの経緯を説明しました。

スーパー戦隊の大ファンということ以外は何の変哲もない一般人であった自分が
子供を助けてトラックに轢かれて昏睡状態となって病院に担ぎ込まれた時、
夢の中で3人のレジェンド戦士からゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキー、
そして3つの戦隊の「大いなる力」というものを渡され、
目覚めたら病院のベッドに寝ていて、
手には夢の中で見たのと同じゴーカイセルラーとレンジャーキーが握られていたということ、
そして何故かほとんど無傷ですぐに退院した後、そのアイテムでいろいろ試してみたら
ゴーカイシルバーへの変身に成功したことを鎧はマーベラス達に説明しました。

信じがたい話ではありましたが、とにかく鎧が実際ゴーカイシルバーという戦士に変身している以上、
鎧の身の上に起こった話は真実なのだろうと信じたマーベラス達でしたが、
マーベラスは鎧から変身アイテムを奪ってしまいました。
レジェンド戦士の意向がどうであれ、ゴーカイジャーの仲間を選ぶ決定権を持っているのは
あくまでマーベラスなのです。

ゴーカイシルバーがゴーカイジャーの一員だというのなら、
誰をゴーカイシルバーにするのかを最終的に決めるのも
ゴーカイジャーのリーダーであるマーベラスの権利でした。
そしてマーベラスは鎧がゴーカイジャーの一員に相応しくないと思ったので変身アイテムを取り上げたのでした。

どうしてマーベラスが鎧のことをゴーカイジャーに相応しいと思わなかったのかというと、
他の4人の仲間とは違っていたからでした。
マーベラスがジョー達4人にゴーカイジャーのレンジャーキーを与えてマーベラス一味の仲間に迎えた理由は、
彼らが共に夢を掴む旅の仲間に相応しい、
ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックに逆らって自分の信念を貫くために戦う連中だったからでした。
そういう奴らがマーベラスの欲しい、共に夢を掴む仲間だったのです。

しかし鎧はザンギャックに支配されていない地球で、
単にスーパー戦隊に憧れてヒーローになりたがっていただけの男であり、
ザンギャック支配下で命懸けで信念を貫いてきたジョー達4人とは根本的に違う。
そんな者が強大なザンギャック相手に自分の信念を貫いて戦えるわけがないし、
そんなリスクを背負い込む必要も無い。

マーベラス達5人は自分達の行く道が命がけの苦難の道だと分かっていても、
ザンギャックの支配下で心まで奴隷のようになりたくなくて、
やむにやまれぬ想いで苦難の道を選んだ、ハイリスクの人生を送って来たのです。
地球人の鎧はそんなリスクを背負い込む必要は無い。
マーベラスはそう思って鎧を仲間にすることを拒絶し、変身アイテムを取り上げたのでした。

それでもしつこく仲間に入りたいと食い下がったところ
「どうしても仲間になりたければ俺が欲しいと思えるものを見せてみろ」とマーベラスに言われた鎧は
一旦ガレオンから降りて、自分に足りないものは何なのか苦悩します。
そこにザンギャック部隊が現れて人々を襲い始めたので
鎧は変身出来ないのに思わず飛び出してしまいました。

そこで生身のまま勢いで戦ううちに、
鎧は今までの自分は、変身出来ない頃は無関係の人を助けるためにザンギャックと戦うことを
避けてきたことを思い出し、
自分に足りなかったのは不可能に挑戦してでも自分の信念を貫く姿勢であったことだと気付きました。

生身で戦ってもザンギャックに勝てないことは分かりきっていますが、
それでも自分に関係の無い目の前の人々を助けるために戦いたいから戦うという姿勢に目覚めた鎧は、
自分が今まで無意識に出来そうなことだけ、やって当然のことだけやろうとしていたのだと痛感したのでした。

ザンギャックから地球を守るということだって、かつてスーパー戦隊の戦士たちが成し遂げたことでした。
しかし鎧にゴーカイシルバーの力を与えてくれた時、仲代壬琴は「一番のヒーローになれ」と言った。
ならば、レジェンド戦士たちでも不可能だったことに挑戦しなければ意味が無いと鎧は思いました。
そう思った時、鎧はかつてない心の高まりを感じ、
これが壬琴の言っていた「ときめく」ということなのだと悟ったのでした。

しかし、もちろん生身でザンギャックの部隊に勝てるわけもなく、鎧は大ピンチになります。
そこにマーベラス達が助けに入り、
マーベラスは変身アイテムをせっかく取り上げたのにあくまでザンギャックと戦おうとする鎧に呆れて
「宇宙全体を敵に回すことになるぞ」と言いますが、
鎧は「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」と、マーベラス達に自分の見つけた夢を宣言します。
鎧はレジェンド大戦において34のスーパー戦隊も達成出来なかった夢を実現することで
「一番のヒーロー」になろうと志したのでした。

これを聞いてマーベラス一味の5人は驚愕します。
「宇宙を支配するザンギャック帝国を倒す」などという発想は5人には無かったからです。
しかし、これは確かにザンギャック支配外の星である地球で生まれ育った鎧という男が
「ザンギャック支配下の宇宙でザンギャックに逆らって命懸けで信念を貫く」道でした。
そういう信念を貫く者をマーベラスは今まで仲間にしてきたのだから、
この鎧の夢を知り、そのために戦う姿勢を見せられた以上、
マーベラスは鎧にも「夢を掴む力」があると認めるしかなく、
鎧を共に夢を掴む旅の仲間とするしかありませんでした。

つまり鎧は本当にゴーカイジャーになる資格を持った男だったのであり
ゴーカイシルバーという戦士は間違いなくゴーカイジャー6番目の戦士であったのだと悟った
マーベラス一味は6番目の仲間として地球人の海賊、ゴーカイシルバー・伊狩鎧を迎え、
同時にアバレンジャー、ジュウレンジャー、タイムレンジャーの「大いなる力」も得たのでした。

そして、そうした表面的に得たものだけでなく、
マーベラス達5人は「ザンギャックを倒す」という、それまで考えたことも無かったような痛快な発想に触れて、
少し心が晴れやかになりました。

もちろん、そんなことが可能だとは、この時点では5人は全く思っていません。
マーベラス達が生まれた時からザンギャックは宇宙の支配者であり、
その支配は年を追うごとに、更に強固に厳しくなってきていました。
ザンギャックの支配が揺らぐ兆候など全く無く、
さすがの夢想家のマーベラス達でも鎧の夢が実現するなどとは思えませんでした。

ただ、不可能な夢に挑戦するという姿勢は好きであったので、
鎧の大きな夢に5人は好感を持ちました。
そして、そんな自分達には想像もつかなかったような夢を鎧が思いつくことが出来たことを
マーベラス達は驚きました。
それはおそらく、鎧が地球人で、スーパー戦隊の熱烈なファンだからなのだろうと5人は思いました。

そもそも、マーベラス達は地球に来てから初めて「地球」や「スーパー戦隊」というものの存在を知ったのです。
最初はほとんどワケが分からないまま、ナビゲートに動かされるままに
スーパー戦隊の元戦士たちと出会っていきましたが、
実際のところ、そのスーパー戦隊が一体どういうものであるのか、よく分かっていなかったのです。
それぞれのスーパー戦隊の戦う力そのものは自分達で豪快チェンジして確かめることは出来ていましたが、
そういうことではなく、いったい彼らがどんな戦士であったのかということが、いまいちピンときていませんでした。

それがこの前の黒十字王との戦いの際にゴセイジャーと共に戦い、
そしてレンジャーキーの空間や、そこで出会ったレジェンド戦士たち、
スーパー戦隊バズーカや、巨大ロボの大量出現などのような数々の不思議な現象を経験したことによって、
マーベラス達はスーパー戦隊や、スーパー戦隊を応援する地球の人々には何か不思議な力があることを感じたのです。

よく考えたら、この地球という星は一旦ザンギャックの大規模な侵攻を撃退しているのであり、
それはスーパー戦隊の力によって為されたのだというのです。
マーベラスは鎧がザンギャックの支配を受けたことがないから海賊の資格が無いなどと見なしましたが、
マーベラス達がザンギャックの支配を受けてきたのは、
マーベラス達の星の人々がザンギャックから故郷の星を守ることも出来なかったからであり、
マーベラス一味も何処かの星を守りきった経験などありません。
つまりザンギャックに負け続けてきたのがマーベラス達なのです。

しかしスーパー戦隊と地球の人々はザンギャックから地球を守ったのです。
ならば、鎧たち地球人の方が本当はよほどマーベラス達よりも上等なのだといえる。
マーベラス達はザンギャックに負け続けてきたから、
ザンギャックを倒そうなどという発想をすることが出来なかった。
一方、ザンギャックから自分の星を守ったからこそ、
地球人の鎧はザンギャックを倒そうなどと発想することが出来る。

マーベラス達と鎧の違いは何によって生じたのかというと、
それはマーベラス達の星にはスーパー戦隊がいなかったのに対して、鎧の地球にはスーパー戦隊がいたからです。
このように黒十字王の戦いから今回の鎧の加入までの出来事をまとめて考えたマーベラス達は、
以前までのスーパー戦隊に対する、単なる「大いなる力」の持ち主という認識を改め、
心の奥底で、ちょっとした畏怖の感情が湧いてきたのでした。

続く第19話では、新たに見習い海賊として仲間入りした鎧が
早く仲間の役に立てる一人前の海賊になろうとして張り切った結果、
あらゆることでハカセよりも役に立ってしまい、ハカセは新入りに負けて落ち込んでしまいます。

そんな中、ザンギャック怪人が登場し、
鎧は何故かゴーオンゴールドとゴーオンシルバーのレンジャーキーを合体させて新型戦士に変身して大活躍し、
片やハカセのドジのせいで怪人の特殊攻撃を受けてハカセと鎧を除く4人が骨抜きになってしまい戦えなくなり、
仲間や街の人々を元に戻すためにはハカセと鎧だけで敵怪人を倒さねばならない状況となりました。
だがハカセは鎧への劣等感に捉われてしまい、鎧と一緒に戦うことを拒絶してしまい、
鎧は自分が海賊の仲間として認められなかったのだと思って落ち込んだまま、1人で戦いに行ってしまいます。

しかしハカセはナビィから鎧が自分のことを素直に尊敬してくれていることを聞かされて、
鎧のゴーカイジャーにおける役割に気付いたのでした。

鎧がドジばかりのハカセのこともひたすら尊敬してくれているのは、
ハカセは自分がスーパー戦隊の戦士だという自覚は無いのですが、
鎧から見ればハカセもスーパー戦隊の先輩戦士だからなのです。
そのことに気付いたハカセは鎧の美点はそのスーパー戦隊の戦士たちに対する純粋な尊敬の念であり、
それがあるからこそ鎧がレンジャーキーを合体させて新しいレンジャーキーを作ることが出来たのだと
気付いたのでした。

つまりスーパー戦隊の力にはまだハカセが想像する以上の大きな力が隠されており、
それを引き出すためにはスーパー戦隊に近づこうとする純粋な気持ちが必要であり、
鎧はその力を持っており、
マーベラス一味とスーパー戦隊の更なる力との間の橋渡しが鎧の役割なのだとハカセは悟りました。

そして、自分はその鎧とマーベラス一味との間の橋渡しをし、
鎧のサポートをしようと決意したハカセは、1人で苦戦している鎧のもとに駆けつけ、
敵怪人の攻撃を1人で引きつけながら
鎧に15個の追加戦士のレンジャーキーを合体させて新しいレンジャーキーを作ってみるようアドバイスしました。
それに応えた鎧はゴールドアンカーキーを作り出し、
ゴーカイシルバーの強化モードであるゴールドモードとなり、敵怪人を撃破し、
マーベラス達や街の人々を元に戻したのでした。

このようにマーベラス一味が黒十字王との戦いや鎧の加入を通して
スーパー戦隊との関係性を微妙に変化させていきつつある頃、
身をひそめていたバスコはスーパー戦隊の「大いなる力」について密かに調査していました。

バスコがもともとアカレッドから盗んだ情報では、
「大いなる力」はレンジャーキーに宿らせて「宇宙最大のお宝」へ繋がる扉を開くために必要なもので、
ラッパラッターで吸い取ることが出来るものという程度のものであり、
それが34のスーパー戦隊が体内に持っているものということは地球に来て初めて把握しました。

つまり34戦隊の戦士を見つけ出してラッパラッターを向けて吸い込めば、
「大いなる力」を手に入れることが出来るのだとバスコは理解し、34戦隊の居場所を探し始めました。
そうして真っ先に見つかったのが、絵本でその物語が記されていたギンガマンでした。
その絵本をよく読むとギンガマンの住むギンガの森の場所が分かるようになっており、
バスコは絵本を読み解いてギンガの森へ行きましたが、そこには結界が張られていて入ることが出来ませんでした。

ただギンガマンをはじめギンガの森の住人たちが周到に張った結界ですから、
ギンガマンの能力を超える者ならば多少手間をかければこの結界は破ることが出来ます。
バスコは怪人態の本来の能力はギンガマンを超えていますから、結界を破ることは可能で、
さっそく結界の弱点を探し始めました。
そうしたバスコの動きは思念体となって34戦隊を見守っているアカレッドに察知され、
アカレッドはナビィにギンガマンのイメージを送り、
ナビィはそれを「閉ざされた森の戦士」とマーベラス達にナビゲートしました。

こうして第20話はギンガマンの「大いなる力」の争奪戦の話となります。
マーベラス達はナビィのナビゲートが新たな「大いなる力」獲得のヒントだと期待しますが、
「閉ざされた森」の意味が分からない。
しかし、それをスーパー戦隊ファンの鎧が結界で閉ざされたギンガマンのギンガの森のことだと喝破して、
鎧秘蔵のギンガマンの絵本を見てハカセがギンガの森の場所を割り出して、
マーベラス達はギンガマンの「大いなる力」を求めてギンガの森に急行しますが
結界に阻まれて立ち往生します。

そこに既に結界を破ってギンガの森の内部に侵入していたバスコが
逃げてきた黒い服の男を追って結界の外に出てきてマーベラス達の前に現れて、両者は鉢合わせしました。
バスコはどうしてよりによって自分が狙った場所にマーベラス達が現れたのかと驚きますが、
マーベラス達もバスコがレンジャーキーだけではなく「大いなる力」の存在を知り、
その在り処を突き止めて奪おうとしていることに非常に驚きました。

更にバスコがその場でラッパラッターを使って3人の番外戦士の召喚体を出したので、
マーベラス達は更に驚きました。
バスコの手持ちのレンジャーキーは第16話で奪った15個だけだと思っていたからです。

しかし鎧だけはバスコとは初対面であり、そもそも「大いなる力」探し自体が初めてであったので、
突然の険悪ムードの意味が分からず戸惑い、
バスコに追われて目の前に現れた黒い服の男が憧れのギンガマンの黒騎士ヒュウガであったので
舞い上がってしまいます。

一方マーベラス達はヒュウガがギンガマンの元戦士だという鎧の言葉を聞き、
バスコがヒュウガを狙っていると気付き、鎧にヒュウガを連れて逃げるよう指示し、
残り5人でバスコとサリーと召喚戦士たちに立ち向かいます。

確かにここで現れたのは22番目のスーパー戦隊のギンガマンの元黒騎士のヒュウガでしたが、
そもそもどうして、黒十字王の戦いをメンバーのうちの誰かは見守っていたと思われるギンガマンが
その時「大いなる力」をマーベラス達に渡していなかったのかというと、
それはギンガマンがもともと「宇宙の平和を守る戦士」だったからでした。

正確に言えば、ギンガマンに変身するギンガの森の選ばれし戦士たちは
地球で生まれた、地球を守るための戦士でしたが、
ギンガマンの戦う力の源である星獣の力は宇宙の平和を守るために戦う使命の力なのです。
だからギンガマンにとっては宇宙の平和は戦って掴み取るものであり、
もともと「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しというものには抵抗があったのでした。

ならば、黒十字王の戦いを見て、マーベラス達に戦ってザンギャックを倒せる可能性を感じた
ゴレンジャーの海城剛たちのようにギンガマンもマーベラス達の可能性に賭けてもよさそうなものです。
しかしギンガマンの場合、彼ら自身がもともと
「宇宙の平和を守って戦う使命感」の重みというものを知っている戦隊であったので、
マーベラス達が本当に強い意思をもって宇宙の平和のために戦うことが出来るのか、
もう少し見極めなければいけないと思ったのです。

確かに黒十字王との戦いはかつてない強敵との戦いであり、
勝ち目の薄い相手に立ち向かうマーベラス達の不屈の闘志は大したものであることは
ギンガマンの面々にも理解は出来ました。
しかし黒十字王との戦いはいきなり襲われて自衛のために戦ったようなものであり、
あれだけではマーベラス達が進んで宇宙の平和のために戦う強い意思を持っていると
判断することは出来ませんでした。
それで判断は保留にしていたのです。

まぁ、もし地球に切迫した危機が迫っている状況ならば、
判断の保留などという呑気なことも出来なかったのでしょうけれど、
マーベラス達とほぼ同時に地球への攻撃を開始した今回のザンギャック軍が意外と弱体で、
ゴーカイジャーだけでも地球を守れてしまいそうな状態だということは、
この頃にはスーパー戦隊の戦士たちにも理解出来てきたようで、
慌ててマーベラス一味に「大いなる力」を渡さなくても
すぐに切羽詰った状態にはならないと判断した幾つかの戦隊は
慎重にマーベラス一味を観察するようになっていたのであり、
ギンガマンもそうした戦隊の1つでした。

そうしてマーベラス一味を見極めようかと思っていた矢先、
ギンガマンの元戦士たちは予期せぬバスコの襲撃を受け、
バスコの狙いが自分達の持つ「大いなる力」だと気付くと、
「大いなる力」を守るため、ヒュウガがバスコを食い止めている間に他の5人は結界の外に逃げたのでした。
ヒュウガもその後すぐに逃げるはずでしたが、召喚戦士の攻撃で足に傷を負って逃げられなくなり、
追い詰められていたところにマーベラス達と出くわして危機を救われたのでした。

しかし鎧と共に逃げたヒュウガは、
鎧がスーパー戦隊に憧れていて子供の頃から地球や宇宙を守るヒーローになるのが夢だったと言い、
自分などはまだまだヒュウガなどに比べたらヒヨっ子だと言ってヘラヘラ笑いながら妙に謙遜するのを見て、
不満に思いました。

つまり鎧は本気で宇宙を守って戦おうとしているわけではなく、
単にスーパー戦隊の戦士になりたいという子供の時の夢を叶えようとしているだけなのではないかと
ヒュウガは疑念を抱いたのでした。
そんな甘い考え方では宇宙を守るために戦う強い意思を持ち続けることは出来ないと思ったヒュウガは、
鎧を試すために、ならばゴーカイシルバーの変身アイテムを自分に譲るようにと要求したのでした。

鎧が自分などは未熟者でヒュウガよりも戦士として劣ると思うのならば、
地球や宇宙を守るためならば鎧がゴーカイシルバーになるよりも
ヒュウガがゴーカイシルバーになった方がいいと判断し、
変身アイテムをヒュウガに譲るべきだというのが、ヒュウガの主張です。

鎧は予想外のヒュウガの要求に驚きますが、
確かに地球や宇宙のためならば自分が身を引いた方がいいのではないかと思ってしまい、
自分がゴーカイシルバーでありたいという気持ちとの間で揺れ動き、苦悩します。
ヒュウガはそうした心の迷いを示す鎧の姿を見て、
そんないい加減な気持ちで戦うつもりだったのかと思い、失望しました。

その時、マーベラスを振り切って追いかけてきたバスコが突然現れて2人を襲い、
ゴーカイセルラーとゴーカイシルバーのレンジャーキーは弾かれて草むらに落ちます。
そしてバスコは怯んだヒュウガにラッパラッターを向け、「大いなる力」を吸い出しにかかります。
予想外の出来事に驚くヒュウガや鎧は為す術無く、「大いなる力」を奪われそうになりますが、
間一髪マーベラスが乱入してバスコに襲い掛かったので、バスコは「大いなる力」を奪うことを失敗しました。

そこでバスコは黒騎士のレンジャーキーを実体化してマーベラスと戦わせ、
ジョー達を撃破して追いついてきた他3体の召喚戦士も加わって
マーベラスは最強の番外戦士4人を相手に大ピンチとなりますが、
鎧は迷いの中にあるため、変身してマーベラスと共に戦う踏ん切りがつかず、
変身アイテムを拾いにも行かず立ち尽くし苦悩したままでした。
それを見てヒュウガは呆れて、自分が変身するしかないと思い、変身アイテムの方に向かいます。

その時、絶体絶命のマーベラスに向かってバスコがこの件から手を引いて退却するよう勧めます。
状況的にマーベラスに勝ち目は無く、このまま戦い続ければ死んでしまう。
いくら夢が大事だといっても、生きていてこそ夢は見ることは出来るのであり、
自分の命の方が大切に決まっている。命を捨てて夢を掴んでも仕方ない。
だからここは夢を諦めて「大いなる力」を譲ってくれるなら、命は助けてやってもいい。
その条件を受け入れて撤退するのが賢い選択だとバスコはマーベラスに諭したのでした。

しかしマーベラスは自分の夢は自分の手で掴み取るのが海賊なのだと言い放ち、
バスコの持ちかけた取引を拒絶し、夢を掴むためにあくまで命を賭けて戦い抜く姿勢を示します。
バスコは危険を冒してまで自分の手で夢を掴むことにこだわるマーベラスを度し難い愚か者だと思いましたが、
一方、そのマーベラスの姿を見て、鎧はマーベラスが自分を海賊の仲間として認めてくれたのは、
どんな苦難の道でも命を賭けて自分の夢を自分で掴み取る男だと認めてくれたからだと知り、
海賊となった以上は自分はその期待に応えなければならないと思いました。

ならば、第18話でマーベラス達に誓った「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」という夢は、
自分の手で実現しなければいけない。
たとえ未熟者であったとしても、他の有能な戦士を差し置いてでも、自分がやり遂げたい。
そう強く思った鎧はヒュウガを押しのけて変身アイテムを奪い取り、
ヒュウガの分まで自分が地球や宇宙を守ると宣言したのでした。

それを聞いてヒュウガは安心し、鎧の地球や宇宙を守りたいという強い意思が、
命懸けで夢を掴もうとするマーベラス達に影響を与えて、
マーベラス一味の夢が地球や宇宙の平和となった時、
その不屈の「夢を掴む力」が本当に平和な宇宙を実現する力となるに違いないと期待することが出来たのでした。

そこにジョー達も駆けつけて、6人で戦ったゴーカイジャーは召喚戦士たちを撃破し、
黒騎士のレンジャーキーを奪い取りますが、バスコは他3つのレンジャーキーを回収して撤退しました。
バスコとしてはゴーカイジャーが意外にも番外戦士の召喚体まで破ったので、ますます慎重となり、
慌てて自分が変身して手の内を晒してゴーカイジャーと戦うことは避け、
自分の身を危険に晒すことは避け、またしても安全策をとったのでした。
それに、ヒュウガの意外に頑強な抵抗を受けたバスコは「大いなる力」を奪い取るのもそう簡単ではないことを知り、
何故かマーベラス達の邪魔が入ったことも合わせて、作戦の全体的な練り直しが必要だと思っていたので、
ここは撤退することにしたのでした。

そして戦いの後、ヒュウガは鎧にギンガマンの「大いなる力」と共に黒騎士のレンジャーキーを渡したました。
こうしてギンガマンの「大いなる力」を獲得して去っていったマーベラス一味を見送るヒュウガは、
そこに現れた弟の元ギンガレッドのリョウマから、
リョウマもマーベラス一味に賭けてみようと思ったことを告げられます。

実は召喚戦士に一旦敗れて川を流されていたジョー達を助けたのはリョウマであり、
その時、仲間を助けるためにすぐに再び戦いに戻っていったジョー達を見て、
リョウマは仲間のためならどんな危険にでも飛び込んでいこうとするマーベラス一味の仲間の絆が
宇宙の平和を実現するカギとなると直感し、彼らに賭けてみようと思ったのでした。
それを聞いてヒュウガは、マーベラス一味の夢を掴む力の根本にあるのは共に夢を掴む仲間の絆なのだと悟り、
やはり自分の決断は間違っていなかったと確信したのでした。

さて、このようにバスコとの再戦で勝利を収めたマーベラス達でしたが、
バスコが自分達の先回りをして「大いなる力」を奪おうとしていたことはマーベラス達にとっては衝撃でした。
しかもマーベラスはバスコがラッパラッターを使って
ヒュウガから「大いなる力」を強引に奪おうとしている現場を目撃してしまったので、
その衝撃は更に大きいものでした。

あんな強引な方法をバスコが使えるのなら、
自分達の方が「大いなる力」集めは不利になってしまったように思えて、マーベラスは危機感を募らせました。
それでバスコより早く「大いなる力」を集めてしまおうとして、
ナビィに早く次のナビゲートをするよう急かしますが、
どうもナビィの「大いなる力」に関するナビゲートはマーベラス一味の精神的成長の段階や、
レジェンド戦隊側の動向などに連動して、「この星の意思」やアカレッドによってコントロールされているようで、
マーベラスが望んだ通りのペースで発されるものではないようです。

むしろアカレッドはこの時、マーベラスの精神状態を心配していました。
バスコが「大いなる力」に狙いをつけ、ラッパラッターの使い方まで熟知しているというのは
アカレッドも半ば予想はしていたものの、実際にそれを見ると衝撃を受けました。
だからマーベラスも同様にショックを受けて、焦り始めるだろうということがアカレッドには予想がつきました。
しかしアカレッドはそうしてバスコとの「大いなる力」争奪戦という
予期せぬ新たな事態の影響でマーベラスが悪影響を受けることが心配になってきたのです。

つまり、マーベラスがバスコへの対抗意識に流されて、
バスコと同じように強引で性急、安直な方法で、とにかくお宝さえ手に入ればいいという考え方に
染まってしまうことを危惧したのです。
何故心配なのかというと、このまま順調に「大いなる力」を集めていき、
最終的にマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、
マーベラス達はそのお宝を使うか使わないか、選択を迫られることになるからです。

おそらくマーベラス達が34のスーパー戦隊の「大いなる力」を手に入れているということは、
その段階でマーベラス達は心の底から平和な宇宙を願うようになっているはずです。
つまりマーベラス達は「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れて、
そのお宝が自分達の夢を叶えることが出来ると知った時、
自分達の本当の夢が何なのか初めて知ることになる。
その段階で既に34戦隊の想いを引き継いだマーベラス一味であれば、
その夢は必然的に「宇宙の平和」となります。

しかし問題はここからであり、
もしマーベラス達がバスコとの「大いなる力」争奪戦の中でバスコのような考え方に染まり、
バスコのように欲しいものが手に入ればそれでいい、目的が叶えばそれでいいという
安直な考え方に基づいて「宇宙最大のお宝」を手に入れていたとしたら、
きっとマーベラス達は「平和な宇宙」という夢を最も安直に叶えてくれる、
お宝を使った宇宙の作り直しの道を選んでしまうことでしょう。

しかし、それは間違った道だとアカレッドは確信しています。
「赤き海賊団」壊滅事件の際のバスコの堕落を見て、
アカレッドは自分で傷を負って戦い掴み取った夢でなければ、その夢は歪んでしまうということを悟ったのです。
だから、宇宙の平和もお宝を使って安直に実現してしまってはいけない。
戦って掴み取らなければ意味は無いのです。

つまり、夢を実現することが大切なのではなく、その過程で自分が掴み取ることが大事なのです。
しかしバスコへの対抗意識が強くなって焦ったマーベラスは案の定、
その大事なことを忘れてしまいそうになっている。
そう見て取ったアカレッドは、まず現時点の「宇宙最大のお宝」を得るまでの過程の大切さを
マーベラス達に思い出させておかないといけないと思いました。

ただ、自分の存在をマーベラスに知らせるべきではないし、
こういうことは言葉で言っても本当に伝わるものではない。
行動の中で本人が実感するように誰かが導いてやらないといけないと、アカレッドは思いました。
そして、マーベラスにお宝を得るまでの過程の大切さを思い出すよう導く役目の最適任者の意識に向けて
語りかけたのでした。

その最適任者が30番目のスーパー戦隊のボウケンジャーの元ボウケンレッドの明石暁でした。
明石はアカレッドとは旧知の仲であり、
既に黒十字王との戦いの際にマーベラス達にボウケンジャーの「大いなる力」を渡しており、
マーベラス達にお宝を使わずに戦って宇宙を救える可能性を見出し期待していましたから、
アカレッドがまだ思念体としても不完全でレジェンド戦士たちと詳細な意思の疎通が出来ない現状においても、
明石ならばアカレッドの意図を理解してアカレッドの要請に応じてマーベラス達を導いてくれると見込めました。

そしてなんといっても明石は地球で一番の冒険家でありお宝ハンターですから、
きっとマーベラス達にお宝を得る過程の大切さを教えてくれるはずであり、
また、明石のお宝探しに関する言葉であればきっと説得力をもってマーベラス達に伝わるはずだと、
アカレッドは期待しました。

そうしてアカレッドは明石の意識に語りかけ、マーベラス一味と一緒にお宝探しに行ってほしいと伝えました。
それ以上詳細な遣り取りは出来ませんでしたが、
明石はアカレッドがわざわざ自分に頼んでくるということは
マーベラス達の関わる今後の宇宙を救う計画において何か意味があるのだろうと思い、
その依頼を引き受け、ちょうど予定していたプレシャス「黄泉の心臓」の回収ミッションに、
アカレッドの依頼であることは伏せて、マーベラス達を連れていくことにしたのでした。

そういうわけで第21話、いきなりガレオンに現れた明石は
黒十字王との戦いの際に「大いなる力」を渡したお返しに、
死者を甦らせる危険なプレシャス「黄泉の心臓」の回収を手伝ってほしいとマーベラス達に依頼します。

太古に滅びた超古代文明の遺跡が最近発掘され、
その奥には人知れず「黄泉の心臓」が眠っていることを明石の属するサージェス財団が嗅ぎ付け、
危険なプレシャスである「黄泉の心臓」を人知れず確保して悪用されないよう封印するのが
明石に下されたミッションでした。
それを手伝うよう明石はマーベラス一味に求めたのでした。

「大いなる力」も貰った恩義もあり、
ちょうどナビゲートも無い時期なので退屈していた他の仲間たちは乗り気になりますが、
バスコより早く「大いなる力」を集めることしか頭に無くイライラしていたマーベラスはこれを断ります。
しかし明石に自信が無いのかと挑発されるとマーベラスはすぐにカッとなって結局引き受けてしまい、
一行は明石の案内でその遺跡へ向かいました。

すると途中で同じく「黄泉の心臓」を狙って現れたインサーン率いるザンギャック部隊と戦闘になり、
ジョーとハカセとアイムと鎧がザンギャック部隊を食い止めている間に
マーベラスとルカと明石が遺跡に向かいました。

そうして目的地に近づくにつれて、マーベラスの余裕の無い様子を見て、
明石はマーベラスが何かに焦って自分を見失っていることに気付き、
アカレッドがそれを心配して自分をマーベラスの許に行かせたのであろうということが分かってきました。
それで、とっととプレシャスを手に入れてミッションを終わらせようという焦りのために
トラップに引っ掛かりそうになったマーベラスを助けた明石は焦りは禁物だとたしなめ、
マーベラスはかつて赤き海賊団に入りたての頃にアカレッドと共にレンジャーキーを探しに行った時、
早くお宝を手に入れたくて焦ってトラップに引っ掛かってアカレッドに助けられたことを思い出しました。

マーベラスは別に「黄泉の心臓」などには興味は無く、
早くそれを手に入れて明石の鼻を明かしたかっただけだったのだが、
その焦りからミスをして、お蔭で昔の失敗を想い出して、
自分がお宝を求める気持ちが強いあまり、焦って周りが見えなくなる
悪いクセがあることを思いだすことが出来ました。

それで落ち着きを取り戻したマーベラスの活躍もあって「黄泉の心臓」の目の前まで辿り着いた3人でしたが、
先回りしていたボウケンジャーの宿敵ジャリュウ一族によって「黄泉の心臓」は奪われ、
かつて明石によって倒されたジャリュウ一族の長であるリュウオーンが
「黄泉の心臓」によって復活して襲ってきて、3人は遺跡の中に閉じ込められて気を失ってしまいます。

そうして黄泉の心臓によって異常に強化されたリュウオーンは
宿願である人類への復讐を果たそうとして地上に出て、
手始めに交戦中のジョー達4人とインサーンを襲いました。
これを受けてインサーンは撤退し、残ったジョー達はリュウオーンの圧倒的パワーの前に大ピンチとなります。

一方、遺跡の中で目を覚ましたマーベラスは目指していた宝「黄泉の心臓」が奪われたので、
バスコに出し抜かれる未来を暗示しているように思えて不愉快になり、
こんな冒険は意味が無かったと愚痴ります。

それを聞いた明石は、かつて宝をひたすら求める欲望の狂気に取りつかれて
道を踏み外して邪道に墜ちたリュウオーンの悲劇を思い出し、
マーベラス達にも今まで冒険は宝以外の大事なものをもたらしてきたはずだと説きました。
そして、それは「冒険する喜び」なのだと明石はマーベラスに言います。

冒険は宝を得るためだけに行うものではなく、
冒険の過程で感じる喜びこそがボウケンジャーにとっては真の宝でした。
そのことが分かっていれば、かつてのリュウオーンも邪道に墜ちることは無かったが、
リュウオーンはただ宝を手に入れることだけを目的とした醜い争いの中で裏切られて復讐鬼と化して、
自身も邪道に墜ちました。
明石はボウケンジャーの「大いなる力」を受け継いだマーベラス達にリュウオーンの辿った道ではなく、
ボウケンジャーの辿った道を行くよう求めたのでした。

その明石の「冒険する喜び」という言葉を聞き、
マーベラスは自分がアカレッドとの冒険の中で学んだのは、その「冒険する喜び」、
つまりお宝そのものよりも、お宝を得る過程にこそ意味があるということであったことを思いだしました。
だからこそ自分は共に宝を探し夢を掴む仲間を求めたのでした。

逆にバスコは「赤き海賊団」時代から自身であまり積極的に冒険に出てレンジャーキーを集めようとはせず、
いつも楽してお宝を得ることばかり考えていた。
つまりバスコには「冒険する喜び」は理解出来ず、それゆえ仲間も必要としない。
自分がバスコに対して優位に立てる点は「冒険する喜び」を知っていることだとマーベラスは気付き、
お宝を得る過程に意味があるということを忘れない限り、
バスコに先を越されてもやたらと焦る必要は無いのだと悟りました。

そうして立ち直ったマーベラスに対して、明石もミッション達成まで諦めることはないことを宣言し、
リュウオーンを追撃して「黄泉の心臓」を悪用を防ぐため破壊すると言いますが、
マーベラスとルカはそれに異を唱え、遺跡を脱出した後、ジョー達と合流して6人でリュウオーンに戦いを挑み、
奇策を用いてリュウオーンの身体から黄泉の心臓を奪い取り、回収して明石に渡したのでした。

破壊と回収ならば破壊の方が安全なミッションのはずでしたが、
マーベラス達があえて危険を冒しても回収を選んだのは、
海賊にとっての「冒険する喜び」が、「欲しいものは自分の手で必ず掴み取ること」だったからでした。
その自分たち海賊の流儀を貫くことで、マーベラスはバスコとの競争での焦る気持ちを克服することにしたのでした。

一方、明石はマーベラス達が冒険で得た大事なものが
「夢は自分の手で掴み取るべきだという気持ち」であることを知り、
かつてマーベラスと共に冒険をしたアカレッドがマーベラスのこの気持ちを取り戻すために
自分をマーベラスの許に遣わしたのだと、アカレッドの真意を悟ったのでした。

何故なら、その「夢は自分の手で掴み取るべき」という想いこそが、
このマーベラス達の冒険の最終局面で受ける試練、
すなわち「宇宙最大のお宝」を手にした時に、お宝の力を使うべきか、使わないべきかの選択において、
アカレッドや明石の期待する道をマーベラス達に選ばせるポイントとなるからでした。

お宝の力を使って宇宙を作り直して楽に平和な宇宙を作る道を拒絶して、
お宝を使わずに戦って宇宙の平和という夢を自分の手で掴み取ることこそ、
アカレッドや明石がマーベラス達に期待している道であり、
マーベラス達が「夢は自分の手で掴み取るべき」という想いを持ち続ける限り、
きっとマーベラス達はアカレッドの期待に応えてくれる。

そういうことだったのだとアカレッドの真意を悟った明石は、
その後、黄泉の心臓を使った影響で暴走したリュウオーンが
ボウケンジャーの大いなる力を使ったマーベラス達に倒されるのを見て、
夢を自分の手で掴み取る喜びを知らない者の得た夢は所詮は歪んで崩れ去るのであり、
自分の身を危険に晒しても自分で夢を掴むことに意義を見出す者こそが真に夢を掴む者となるのだと確信し、
自分がマーベラス達に賭けたことは間違いではなかったと思ったのでした。

そして、このマーベラス一味のリュウオーンに対する勝利は、
リュウオーンと同じく夢を真に自分の手で掴み取る喜び、自分を危険に晒しても掴み取る喜びを知らず、
他人の犠牲の上でしか夢を掴めないバスコが
マーベラス達に最終的に敗北することも示唆していたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 18:21 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月14日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その14

黒十字王との戦いや鎧の加入以降、
スーパー戦隊というものについて以前よりもよく知るようになったマーベラス一味の宇宙から来た5人は、
スーパー戦隊が地球の人々を守ってきた正義のヒーローとして
地球の人々に信頼されてきたことを理解していきます。

しかし、マーベラス達5人の生まれ育った宇宙はザンギャックに支配されており、
ザンギャックによるザンギャックのための偽りの正義が押し付けられており、
人々を守るための真の正義など存在していませんでした。

彼らは当初は真っ当な方法で自分達の信じた正義を貫いて自分の大切なものを守ろうとしたが
挫折した者達なのであり、人々を守る正義のヒーローになれなかった者達でした。
だからといってザンギャックの押し付ける偽りの正義に従う気にもなれなかった彼らは
ザンギャックの支配する宇宙のはみだし者となり、後ろ指を指されるような存在となっていき、
遂には「宇宙最大のお宝」という夢を追いかける、お尋ね者の宇宙海賊の一味となりました。

お尋ね者ではありましたが彼らはザンギャックに押し付けられた価値観に従わずに
自分の信じる夢を追う海賊としての誇りがありました。
だが、彼らは当初から「宇宙最大のお宝」を追い求めていたわけではありません。
彼らはそれぞれが信じて求めた夢があったからこそ、
マーベラスが彼らを共に夢を掴む旅の仲間として誘ったのであり、
そのマーベラスにしても、もともとは「宇宙最大のお宝」を特に狙っていたわけでもなく、
仲間と一緒に誰もが手に入れられないような夢を掴む冒険をしたいという気持ちがアカレッドに認められて
赤き海賊団に誘われて「宇宙最大のお宝」を追いかけるようになったのです。

そうした彼らのもともとの夢というものが浮かび上がってくるようなエピソードがここから少し続きます。
特に5人の中でも、まずマーベラスは仲間全員の夢を引き受けるような存在ですから別扱いとして、
ハカセとアイムに関しては自分の夢を掴むためにさほど能動的に動いていたわけではなかったので、
もともとの夢が挫折した時にさほど大きな痛みを受けたわけではありませんでした。

それに比べてジョーとルカは自分なりに守りたいものがあって積極的な行動をしながら、
大きな挫折を味わった者たちでした。
その結果、この2人は宇宙に正義など存在しないと痛感しており、
「人々を守る正義のヒーロー」というものに屈折した心情を抱いていました。
それゆえ、ここまでのレジェンド回においても、ジョーとルカの2人は
あまりスーパー戦隊の元戦士たちと積極的に関わることはなかったのです。

しかし、黒十字王との戦いや鎧の加入以降に生じたスーパー戦隊に対する認識の変化がきっかけとなり、
ふとした事件からこの2人の心に変化が生じて、
かつて挫折した夢が少し甦ってくるエピソードが2つ続きます。

まず第22話では、マーベラス一味の面々を素晴らしいスーパー戦隊としようと燃える鎧が、
スーパー戦隊に対して冷淡な態度をとるジョーにまずは地球を好きになってもらおうとして付きまとい、
一緒に買い出しに出かけます。
その2人がたまたまザンギャックが神社で何かを盗み出しているところを目撃したせいで追われていた
自転車に乗った少年を助け、ザンギャック部隊を追い払いました。

その少年はザンギャックに追われて転んだせいで脚を怪我していたのですが、構わずに先を急ごうとします。
不審に思った2人が問い詰めると、やんちゃそうな少年は近くの山の頂上で年に一度、
今晩だけ観測できる流星群を親友と一緒に見る約束を守るために
東京から半日かけて自転車でやって来ており、夕方までに山頂に着かねばならないので先を急ぐのだと言います。

その意味不明に無謀な少年の行動に鎧は呆れ、
怪我をしている脚では自転車で山を登るのは無理だと思い、少年を引き止めようとします。
確かに自転車に乗らずとも山頂に行く方法もあるかもしれません。
しかしジョーは約束を果たすためにあえて無茶なことをやる少年を馬鹿だと言いつつも、
そういう馬鹿なところがマーベラスに似ていると感じて好感を抱き、
失敗するかもしれないが最後まで無茶をやらせてやりたいと思い、少年をそのまま行かせます。
だが、鎧は怪我をしている少年を引き止めなかったジョーが
やはり地球人に対して冷淡であるように感じて不満に思います。

そうした中、ハカセの解析でザンギャックの作戦目的が判明し、
どうやらその少年が目指している山にあるパワーストーンを使って
何か大規模な破壊工作を行おうとしている模様です。
つまり、その山にはザンギャック部隊がウヨウヨしているのであり、
そんなところに行けばあの少年が危険だと分かり、ジョーと鎧は少年を行かせてしまったことを悔やみ、
マーベラス一味は慌ててその山に向かいました。

ジョーと鎧はザンギャックに襲われていた少年を間一髪で助け、すぐに山を下りるように言いますが、
少年はどうしても約束を守ると言って下山を拒否します。
しかしザンギャックが山にいると知れば少年の親友だって約束のために危険な山に登ってくるはずがないのだから、
約束にこだわる必要は無いと鎧は諭しますが、
少年は親友は絶対に約束を守ると信じ、だから自分も行かねばならないと頑なに言います。

どうしてそこまで少年が約束にこだわるのかというと、
1年前に足に怪我をしてサッカー選手になる夢を諦めかけていた親友に、
1年後にここで一緒に流星群を見るために自分が東京から自転車で来ることを約束し、
その代わりにと、親友にも1年間リハビリ頑張って
サッカー選手になる夢を諦めないと約束してほしいと言ったからでした。

少年は親友がきっとその約束を守ってリハビリをして、サッカー選手になる夢を諦めていないと信じています。
実際さすがにこの状況で親友が山に登って来るかどうかは確信は持てませんでしたが、
そんなことはこの際どうでもよく、
少年は親友に子供にはかなり辛いリハビリをさせるのと引き換えに、
今日この時に自転車でこの山の頂上まで来ることを約束したのだから、
親友が約束を果たしたと信じる以上、少年も約束を果たさないといけないと思っているのです。

何故なら親友のリハビリはこの先も続くかもしれないのであり、
少年が約束を破ってしまえば親友は裏切られたと思って今後のリハビリに耐える気力を無くしてしまうかもしれない。
だから少年は親友の夢を守るためにも自分は山を登らないといけないと信じているのです。

しかし鎧はそれでも少年を引き止めました。
親友が約束を果たしたのかどうかも分からないのに、
少年がそんなことで命を危険に晒す必要は無いと思ったのでした。
鎧はあくまでも少年の命を優先して救いたいと思いました。

一方、ジョーは小さな身体で友の夢を守るために健気に頑張る少年の姿を見て、
自分もかつては子供の夢を守るヒーローを夢見てザンギャックの特殊部隊を志願していたことを思いだしました。
しかし実際はジョーはザンギャックに騙されていただけであり、
現実には罪も無い子供を殺す行為を強要されてしまいました。

それでジョーは同じくザンギャックに騙されていたシドと共に脱走しましたが、
ザンギャックに追われる中でシドとも生き別れてしまいました。
その時、シドはこの宇宙でザンギャックに従わずに自分の信じた正しい道を進んでいる限り、
きっと再会できると約束してジョーと別れ、ザンギャック兵たちを自分に引きつけてジョーを逃がしました。

ジョーはシドが生きている可能性はほとんど無いと思いながらも、
それでもその約束を微かに信じて、ザンギャックと戦い続け、出来る範囲で自分の信念を貫いてきました。
その結果は無残にもバリゾーグに改造されてしまったシドとの再会となり、
ジョーとシドの約束が果たされることは無かった。
シドは約束を守ることは出来なかったのです。

しかし、それでもシドとの約束があったから
ジョーは子供の夢を守るヒーローになりたいという夢を持ち続けることが出来て、
今その夢を想い出すことが出来たのです。
それはシドが死を覚悟するほどの危険を目の前にしながらも全く心が揺らぐことなく、
ジョーの夢を信じ、ジョーが約束を果たすと信じてくれたからでした。

つまり、この少年はシドと同じなのです。
親友の夢を信じ、親友との約束を果たそうとして危険に飛び込もうとしている。
シドは危険に飛び込み命を落とし、そのお蔭でジョーは夢を忘れずに済みました。

しかし夢は所詮は夢のままで、ジョーが子供たちの夢を守るヒーローになるという夢は実現出来ていません。
最初は逆に子供たちを殺す側に加担し、その後、そこを逃げ出して、意地を張って生き延びてきただけに過ぎません。
だが夢とは自分の手で掴み取るものであり、シドが遺してくれた夢は実現しなければいけません。

それがどのようにしたら実現するのか分からないが、
ジョーはまず手始めに、シドと同じように親友の夢を守るために危険に飛び込もうとしている目の前の少年が
親友のために果たそうとしている約束を手助けすることにしたのでした。
ジョーが手助けして少年が約束を果たすことによって親友の夢が守られるのなら、
ジョーは彼らの夢を守ったことになる。

シドに守られることで遺されたジョーの夢を実現させて、ジョーが子供たちの夢を守るヒーローになる第一歩として、
あの日、親友の夢を守るために約束を果たせず散ったシドの悲劇を今回は繰り返させない。
親友の夢を守ろうとする少年の命を守り約束を果たさせることによって、自分の夢を一歩進めた証としたい。
そのようにジョーは考えたのでした。

そうしてジョーは少年を山頂に向かって進ませて、
マーベラス一味は少年が到着する前に山中のザンギャック部隊を倒し、
敵怪人がパワーストーンの力で呼び寄せた隕石は鎧の豪獣神が砕き、
その欠片は流星群と共に夜空を降り注いだのでした。

鎧はジョーが少年の命を守る安全策をとらなかったことに納得出来ていませんでしたが、
戦いが終わって夜になり、山頂に上がってきた少年がリハビリの結果サッカーが出来るようになった親友と再会して
約束通りに2人で流星群を見ている姿を見て、ジョーが子供たちの夢を守ろうとしていたことを悟ります。

そして歴代のスーパー戦隊の戦士たちもみんな、
人々の命だけでなく夢をも守るヒーローであったことを思い出し、
ジョーのことを「スーパー戦隊のブルー」だと言うのでした。

しかしジョーは、今回、親友の夢を守ったヒーローは自分ではなく少年の方であり、
スーパー戦隊のブルーの資格があるのは少年の方だと思いました。
自分はその夢を守るヒーローを守っただけであり、まだ直接、人々の夢を守るヒーローになれてはいない。
まだそこまでこの星の人々と親しいわけではない、通りすがりの宇宙海賊に過ぎないのだと悟ったのでした。

ただ、自分が子供たちの夢を守りたいという夢を想い出したことによって、
そうしたスーパー戦隊やこの少年のような、人々の夢を守るヒーローが居る地球という星を、
以前よりも好きになったこともジョーは自覚していました。
それゆえ、スーパー戦隊のブルーと言われて、無感動を装いつつ、内心ジョーは少し嬉しく思えました。

当初はマーベラス一味にとっての「地球を守る意味」は、
自分達がザンギャックの無法に対して意地を通すことの確認のような意味合いであったのですが、
ここにきて初めて地球という星の存在が彼らの中で特別なものとして意識されるようになってきたのでした。

さて、その頃、また身を潜めていたバスコはギンガの森での作戦失敗を踏まえて
「大いなる力」獲得作戦の練り直しをしていました。

バスコはもともとアカレッドがスーパー戦隊と手を組んで「宇宙最大のお宝」を手に入れようとして
自分やマーベラスを騙していたと思っていました。
ところが地球に来てみると、アカレッド亡き今、
今度はスーパー戦隊がマーベラス達に「大いなる力」を渡していることが分かり、戸惑いました。

ただ、全てのスーパー戦隊がマーベラス一味に「大いなる力」を渡そうとしているわけでもないようであり、
一部にはマーベラス一味に非協力的なスーパー戦隊もあるようです。
が、基本的にはスーパー戦隊とマーベラス一味は敵対しているというわけでもないようで、
バスコには何だかよく分からない状況でした。

要するにスーパー戦隊はアカレッドが死んだので今度はマーベラス一味と手を組んで
「宇宙最大のお宝」を手に入れようと方針転換したが、
一部にはまだマーベラス一味を信用出来ない戦隊もあるのだろうとバスコは想像し、
1つ確かなことは、スーパー戦隊は自分と手を組むつもりはないということはバスコは感じました。

となると、無理矢理「大いなる力」を奪い取るしかないわけですが、
バスコにとっては第20話でのギンガの森での作戦の時、
ヒュウガをはじめギンガマンのメンバーが激しく抵抗したのは予想外でした。
変身して戦えないのですから勝ち目は無いのは明白なのに、
それでも抵抗するというのはバスコには考えられないことだったのです。
下手したら死んでしまうというのに、どうしてスーパー戦隊の戦士たちは抵抗するのか謎でした。

バスコはスーパー戦隊の戦士たちが自分の「大いなる力」が宇宙を救うための重要なカギとなることを知っており、
それを守るためには命を賭けてもいいと思っていることを知りません。
バスコは「大いなる力」のことを単に「宇宙最大のお宝」という伝説の財宝のようなものを手に入れる
カギのようなものとしか思っていませんから、
そんなもののためにスーパー戦隊の戦士たちが命まで賭けるとは思っておらず、
勝ち目が無いと分かれば命を惜しんで大人しく「大いなる力」を渡してくれると思っていました。
ところが予想外にヒュウガたちが激しい抵抗をしたためバスコは戸惑い、
その結果ギンガの森での作戦は失敗してしまったのでした。

バスコもラッパラッターで「大いなる力」を吸い出す作業はギンガの森で初めて試したのですが、
意外に長い時間、相手にラッパの口を向けて吸い続けないと
「大いなる力」を完全に吸い出すことが出来ませんでした。
だから抵抗して動き回るヒュウガ達からは「大いなる力」をなかなか吸い出すことが出来ず、
マーベラス達と鉢合わせしてしまったのです。

かといって相手を無抵抗にするために戦って制圧してしまうと、
相手の抵抗が激しい場合は、やりすぎて相手を殺してしまうかもしれない。
もし殺してしまえば「大いなる力」は消えてしまうのかもしれないと思ったバスコは、
ヒュウガ達を激しく攻撃することも出来ず、時間が無駄に過ぎたのです。

つまり、スーパー戦隊があくまで抵抗してくる以上、
力任せに「大いなる力」を奪おうとしても上手くいかないのです。
ならば計略を用いて相手を無抵抗な状態にした上で「大いなる力」を安全に吸い出すのが得策だとバスコは考え、
居場所が判明したスーパー戦隊の元戦士の中で、そうした計略を使えそうな相手を選び出して、
次のターゲットをゴーゴーファイブの元ゴーピンクの巽マツリとしました。

そしてもう1つ、先だってのギンガの森でいきなりマーベラス達と鉢合わせしたことを不審に思ったバスコは、
自分がスーパー戦隊の元戦士の周辺に近づくのを何者かに監視されているのではないかと疑い、
用心のためにダマラスからゴーミン達を多数借りて、
ザンギャックの作戦に偽装しながら手足として使うことにしたのでした。

こうして第23話、バスコの魔の手が元ゴーピンクの巽マツリに秘かに迫ろうとしている動きは、
バスコの偽装工作の甲斐あって思念体のアカレッドにも察知されてはいませんでしたが、
たまたまこの時、ナビィのナビゲートがゴーゴーファイブに関するナビゲート「人助けが出会いを導く」でした。
しかし、さっぱり意味が分からないマーベラス達は街中で手分けして無差別に人助けをします。

そんな中、ルカとアイムが公園で出会ったミクという少女と一緒にいた臨月の母親が急に産気づいて、
ルカとアイムはどうしていいか分からず狼狽えていると、
そこに偶然通りかかった女性がてきぱきと処置をして
母親とミクを近くの病院に送るためタクシーに乗り込みます。
ところがその時、ゴーミン達が現れてタクシーの出発を妨害してきたのでルカとアイムが変身して戦い、
その間にタクシーは出発することに成功しました。

この通りすがりの女性は実はその病院の所属の救急救命士であり、
23番目のスーパー戦隊のゴーゴーファイブの元ゴーピンクの巽マツリでした。

ゴーゴーファイブもマツリ以外の兄たちの誰かが黒十字王と戦うマーベラス一味を見守ってはいたようなのですが、
どうして未だに「大いなる力」をマーベラス達に渡していないのかというと、
そもそもゴーゴーファイブという戦隊が地球や宇宙を救うという発想の戦隊ではなく、
「この星の意思」やアカレッドの言うような宇宙の平和の実現などという
スケールの大きな話に乗る気があまり無かったからでした。

彼らはもともと目の前の1つ1つの命を守る職業意識をもった救命現場のプロであり、
その延長線上でゴーゴーファイブのスーツを装着して戦っていたに過ぎません。
別に地球や宇宙を救う大それたヒーローになった覚えは全く無く、
かつて災魔との戦いが終わった後、体内に「大いなる力」という妙なものを抱え込むようにはなりましたが、
それを使って何かをしようなどという発想自体がそもそも無く、
それ以降は彼らはそれぞれの救命現場に戻り、ただ愚直に1つ1つの命を救ってきました。

それが彼らゴーゴーファイブの存在意義なのであり、
自らの存在の消滅と引き換えに平和な宇宙を作るなどと言われても、
そんなことをして自分が消えてしまったら現在自分の救える命を救うことが出来なくなってしまう。
それがゴーゴーファイブの選ぶべき道であるとは彼らにはどうしても思えなかったのでした。

もちろん、明日ザンギャックによって地球が滅びてしまうというのであれば、
目の前の命も同様に消えてしまうのであるから、
彼らも目の前の命を救うために自分の存在を投げ出す覚悟は固めることは出来ます。
しかし、現状のザンギャック地球侵略軍はかなり弱体で、
ゴーカイジャーが今の勢いで戦っていれば撃退出来そうに見えます。
ならば、別に今、慌てて「大いなる力」を渡す必要も無いだろうとゴーゴーファイブの巽兄妹は考えていました。

彼らは、お宝を使うのではなく「大いなる力」を集めたゴーカイジャーが戦ってザンギャックを倒すのが
最善の道だとアカレッドが言っていたことも知っていましたが、
現状のザンギャックがそこまでしなければいけないほどの相手とも思えず、
とにかく「大いなる力」を渡してしまえば自分達が消滅してしまう可能性も生じるわけで、
変なタイミングで自分達が消滅して、人々の命を救えなくなってしまうことを巽兄妹は嫌ったのでした。

ゴーカイジャーは十分強いのだから現状のまま戦っていればザンギャックに勝てる。
そして自分達はとにかく目の前の命を救う職務に邁進するのみだというのがゴーゴーファイブの方針でした。
これは言いかえれば、マーベラス達の宝探しに協力する気は一切無いということですが、
そもそも、そのマーベラス達の目指すお宝の正体が「宇宙を作り直す装置」などという
ゴーゴーファイブから見てどうでもいいものである以上、
事情を知らないとはいえそんなものを引っ張り出そうとするマーベラス達の行動に協力する義理など、
現実主義者で江戸っ子気質の巽兄妹にあるはずもないのです。

そういうわけなので巽兄妹はマーベラス一味に接触しようともしておらず、
兄たちの誰かは人々を守るために黒十字王は倒さねばならないと思ったので、
黒十字王との戦いの際はマーベラス達に手は貸しましたが、
マツリはマーベラス一味のメンバーの素顔も知りませんでした。

だから公園で苦しんでいた妊婦の傍にいたルカとアイムのことも、
マツリはマーベラス一味のメンバーだとは当初気付いておらず、
タクシーに乗ったところで襲ってきたザンギャック相手に2人が変身して戦い始めた時点で
その2人がゴーカイジャーだと気付いて、ザンギャックはゴーカイジャーの2人を狙って襲ってきたのだと解釈し、
そのままタクシーでミク母娘と共に病院へ向かったのでした。

しかし実際はこのゴーミン達はバスコがマツリをターゲットにした作戦のために繰り出したものでした。
バスコはマツリが急患の患者と一緒にいる場面を襲って、
一刻も早く移動させなければ危ない患者の命を盾にしてマツリを言いなりにして
「大いなる力」を奪う作戦を立てたのです。

バスコは物陰に隠れてマツリを尾行していたところ、
マツリが急患の妊婦を搬送しようとしたのでチャンスと思いゴーミン達を繰り出したのですが、
どういうわけかそこにルカとアイムが居合わせたので作戦は失敗してしまいました。
しかしマツリがルカ達と離れたので、バスコは再びチャンスを待つことにしました。

一方、ゴーミン達を片付けたルカとアイムはミクの母の容体が気になって病院に行きますが、
ルカは通りすがりの女性に助けてもらわなかったら
自分達だけではミクの母やお腹の中のミクの妹を助けられなかったであろうことにショックを受けていました。
それは、ルカが仲間には打ち明けていないが、
かつて故郷の星で貧乏なスラム生活の頃、急病で苦しむ妹を助けることが出来ず
死なせてしまったことを心の中で引きずっていたからでした。

もともと自分も戦災孤児であったルカはスラムの戦災孤児たちの面倒を見ており、
以前から星を買い取って戦災孤児たちが平和に暮らせる場所を作りたいという夢を抱いていたが、
妹を死なせてしまったことで自責の念に苛まれてしまい、
罪悪感から逃げるために全てを貧乏のせいにして、とにかく早くお金を貯めて夢を叶えたいと焦るようになり、
故郷を飛び出して盗賊にまで身を落としました。
そして海賊になったが、結局未だに夢は叶っていないし、
目の前の病人を助けることも出来ないままだと、ルカは自分の無力に愕然としました。

もともとはお金が目的ではなかった。
妹や他の孤児たちを助けたかっただけなのです。
その自分の本来のシンプルな夢の形を想い出したことによって、
ルカは自分の罪悪感から逃れたいばかりに、何時の間にか地道に目の前の人を助けることよりも
お金を集めることの方を優先していたのではないかと、自己嫌悪に陥りました。

そうして申し訳なさそうに病院に見舞いに行ったルカに、
ミク母娘はマツリが救急救命士で元ゴーピンクだと教えました。
それを聞いて驚いたルカとアイムは、「大いなる力」を貰うために、マツリが出動した救急現場に向かいます。

同時にルカは先ほどのマツリのてきぱきと落ち着いた対処を思い出し、
やはり地球の人々を守り続けてきたスーパー戦隊の戦士は
自分のような人々を助ける夢を忘れて金儲けに逃げていたような者とは違って立派なのだと痛感し、
劣等感を覚えました。

ところがルカとアイムがその救急現場に着くと、バスコがゴーミンを使ってマツリ達を襲っており、
驚いたルカ達が乱入してゴーミン達を蹴散してマツリ達と共に救急車に乗り込んで車を出そうとすると、
バスコは召喚戦士を使って救急車の道を塞ぎ、
一刻を争う状態の急患の少年を病院に搬送出来ないようにしてしまいました。

相手は番外戦士の召喚体が3人で、ルカとアイムだけで戦ってもすぐに倒せそうもなく、
すぐに救急車は出せない上に、救急車に被害が及んで搬送不可能になる危険もあり、
急患の少年を抱えた状況では戦うことは出来ません。
その上でバスコはマツリに、救急車を通してほしければ1人だけこの場に残って
大いなる力を大人しく渡すように要求したのでした。

これを聞いてマツリはさっきのミク母の件も含めて、
ゴーミン達の襲撃は自分を標的としたものだったことを悟り、
目の前の命を救うために躊躇することなく「大いなる力」をバスコに渡そうとして救急車を降りようとします。
しかしルカはマツリを引き止めたので、
マツリはルカが「大いなる力」を奪われたくない、つまり下らないお宝目当てで
尊い少年の命を軽視しているのかと不快に思いました。

しかしルカはマツリは少年の命を救うために必要な力を持った人間なのだから救急車に残るべきであり、
人の命を救う力の無い自分が囮になってこの場に残ると言ったのでした。
つまり自分がマツリの身代わりになるということなのですが、
そんなことをすればルカは無事では済まないでしょう。
しかし、どんな危険な目にあっても目の前の命を救いたいとルカは思ったのでした。

その理由として、ルカはマツリに、故郷の星のスラムで妹が死んでいく時、
何も出来なかったことが悔やまれるから
自分は目の前の命を救うために自分の出来ることをやりたいのだと説明しました。
医学の知識も無い自分は戦って役に立つぐらいしか出来ない。
だからどんな不利な状況に陥ることになろうとも、戦ってこの少年の命を救いたいのだとルカは言います。

ところがこのルカに対してアイムが、それは無謀だと抗議し、
ルカがアイムが止めようとしているのかと思い、言い返そうとすると、
アイムは自分も少年の命を救うために戦いたいと思っているのだから頼ってほしいのだとルカに訴えたのでした。
アイムもルカの過去の告白を聞いて、自分も故郷の多くの人々を救えなかった悔しさゆえに、
目の前の命を戦って救いたいという想いは自分もルカと同じなのだと気付いたのです。
しかし、いつも自分を戦いの場で対等なパートナーとして扱ってくれないルカのことが不満であったアイムは
今こそ対等に助け合って戦いたいと申し入れたのです。

それを聞いて、ルカは自分がアイムのことを無意識に死んだ妹と重ね合せていたことを悟り、
反省して、改めてアイムに協力を要請し、
2人はアイムの機転でバスコの目を上手く眩ませてマツリを少年と共に救急車で逃がすことに成功し、
少年は助かったのでした。

一方、マツリはこのルカとアイムの様子を見て、
今まで宇宙の実態を知ることがなかった自らの視野の狭さを反省しました。
宇宙ではルカやアイムの故郷をはじめ、今でもザンギャックによって数多くの人の命が奪われていっていたのです。
そして、それらの命を救う現場にはマツリたち巽兄妹の手は届かない。
しかし、人の命を救う戦隊であるゴーゴーファイブとして、それを指を咥えて放置しておくことは出来ない。
やはり平和な宇宙は実現せねばいけないのです。

そして、宇宙全ての命の現場において目の前の人の命を救うために
危険に飛び込んで助け合い戦っていくことが出来る仲間であるマーベラス一味こそが、
人の命を救うために危険に飛び込み助け合う兄妹戦隊であった
ゴーゴーファイブの「大いなる力」を受け継ぐに相応しい者達であり、
その力を使って、巽兄妹の命の現場を消すことなく、
戦って宇宙の平和を実現することが出来る可能性を秘めた唯一の存在なのだとマツリは気付きました。

それでマツリはマーベラス達に宇宙の平和を戦って実現して多くの命を救う可能性に賭けることにして、
ゴーゴーファイブの「大いなる力」を託すことにしたのでした。
そして、「大いなる力」と共にマツリの「人の命は地球の未来」という想いを受け取ったルカとアイムは、
宇宙で誰の命を救うことも出来ずに逃げてきた自分達でも、
ゴーゴーファイブのように、今の自分の目の前にある命、
すなわち地球人の命を守るために戦う戦士に一歩でも近づけるよう努力することを心に誓ったのでした。

そして戦いの方は召喚戦士3人に追い詰められたルカとアイムの危機にマーベラス達が駆けつけ形勢逆転し、
マーベラス達は召喚戦士を撃破しますが、またバスコはレンジャーキーを回収して撤退しました。
せっかく周到に仕組んだ罠が破られてしまった以上、
これ以上マツリを追ったところでヒュウガの時の二の舞になるだけであり、
マーベラス達も駆けつけた以上、もうゴーゴーファイブの大いなる力はマーベラス達に奪われたものと思い、
バスコは諦めることにしたのです。

そもそもバスコは、こうして「大いなる力」集めが困難であることを知るにつれ、
無理に全ての「大いなる力」を自分の手中にする必要は無いということに気付いてきていたのです。
いくら周到に罠を仕掛けても、どうしても「大いなる力」を奪おうとすればトラブルになるし、
マーベラス達に嗅ぎつけられる確率も高くなる。
つまり数多くの「大いなる力」を狙えば、その分しくじるリスクも高くなる。
だからバスコはよほど周到な計画で確実に奪えそうな「大いなる力」だけを最大限の隠密行動で確実に奪い取り、
数個の「大いなる力」さえ手中にしておけばいいのだと、方針転換したのでした。

そのようにしてバスコが数個の「大いなる力」を押さえておけば、
マーベラス達が他の「大いなる力」を全部手に入れても「宇宙最大のお宝」は手に入れることは出来ない。
マーベラス達は最後はバスコと戦わねばならなくなる。
その時にマーベラス達に集めさせた「大いなる力」やレンジャーキー、ガレオン、ナビィの全部を奪えばいいのだと
バスコは考えたのでした。

それはつまり、バスコがゴーカイジャーに戦って勝てるという確信を得たことを意味していました。
ここまで2回、番外戦士の召喚体とゴーカイジャーの戦いを観察して、
バスコはゴーカイジャーという戦士の実力をだいたい把握し、
自分が変身すれば確実に勝てると確信したのでした。
だからこそ、今倒してしまうのではなく、泳がせて「大いなる力」を集めさせた段階で倒して
全てを奪ってやろうと決めたのです。

そしてマーベラス達に「大いなる力」を全部揃えさせないための保険として数個分だけ
「大いなる力」は確保出来ていればいい。
そのためにバスコは再び身を潜めて、より慎重に周到に隠密行動に入っていくことになったのでした。

マーベラス達としてはこれで三度、バスコを取り逃がしてしまったことになり、
バスコがまたコソコソと「大いなる力」を奪おうとして画策するのも必至な状況でした。
焦りは無いものの、いい加減鬱陶しく、スーパー戦隊にも迷惑がかかることなので、
マーベラス達は何か手っ取り早く事態を解決する方法は無いものかと思うようになりました。

そんな時、地球の上空に巨大な謎の幽霊船が現れて、
たまたまそれを目撃した鎧の目の前に幽霊船からゴーカイオーに酷似した謎の巨大ロボが現れ、
鎧は豪獣神で戦いましたが敗れてしまうという事件が起こります。
ここからお話は、夏映画の「空飛ぶ幽霊船」の物語となります。

鎧を破った幽霊船の正体はマーベラスやジョーは噂には聞いたことがあるようで、
それは宇宙を彷徨う、死者の魂を呼び寄せるという宇宙海賊の間では伝説の幽霊船であり、
その中にはゴッドアイという伝説の秘宝が積まれており、
それを手に入れた者の夢を1つだけ、どんな夢でも叶えてくれるのだそうです。

そこでマーベラス達は幽霊船に侵入してゴッドアイを手に入れて、
「宇宙最大のお宝」を手に入れたいという夢を叶えてもらおうと考えました。

但し、幽霊船に立ち向かって今まで生きて帰った者はいないという。
鎧を破った偽ゴーカイオーなど、どんな恐るべき敵が待ち受けているか分からない危険な作戦でした。
だが、お宝のために命を賭けるのが海賊だと言って、
マーベラスは幽霊船へ侵入してゴッドアイを奪う作戦を実行し、
怪我をして留守番の鎧を除く5人は幽霊船に侵入しました。

しかし、これは幽霊船の船長でありゴッドアイの所有者のロスダークの罠でした。
ロスダークはかつてこの伝説の幽霊船に侵入してゴッドアイを手に入れたが、
その時に命を失って幽霊になってしまい、
ゴッドアイは生者の夢しか叶えないため、ロスダークの「全宇宙の支配者となりたい」という夢は
叶えられなかったといいます。

それゆえ、ロスダークは再び生き返ってゴッドアイで夢を叶えるために、
強者の生体エネルギーを集めているのです。
ゴッドアイに釣られて幽霊船に侵入してきた強者たちを死者の世界に引き込んで殺して
生体エネルギーを奪い、そうしたことを繰り返して貯めこんだ生体エネルギーでロスダークが復活し、
ゴッドアイで夢を叶えて全宇宙の支配者となるという算段なのです。

それでロスダークは幽霊船であちこちの強者のいる星を巡っては、
その相手の興味を惹く姿に擬態した巨大ロボで挑発して相手を幽霊船に誘い込んで罠に嵌めてきました。
そのロスダークが次の標的を地球で暴れているというマーベラス一味に狙いをつけ、
偽ゴーカイオーで誘いをかけてきたのでした。

そのロスダークの罠にまんまと嵌ったマーベラス達は幽霊船内で死者の世界に落とされてしまい、
過去にスーパー戦隊に倒された歴代の悪の組織の怪人軍団と果てしない戦いを強要されてしまい、
このままでは身動き出来ないまま、生者の世界と死者の世界の間の通路が閉ざされて、
5人は永遠に死者の世界に閉じ込められてしまうことになってしまいます。

そこでジョー達4人が敵軍団を引きつけている隙に
マーベラス1人だけが先に生者の世界と死者の世界の僅かな隙間を通って幽霊船内部の生者の世界に帰還して、
ロスダークを倒してゴッドアイを手に入れ、
ジョー達は怪人たちを振り切って後から追い掛けるということになりました。

そうしてマーベラスは生者の世界に帰還しますが、
すぐに死者の世界との通路は完全に閉ざされてジョー達4人は死者の世界からの帰還は不可能となってしまいました。
しかしマーベラスは幽霊船の船室内でロスダークと激闘を繰り広げ、
遂にロスダークの隙をついてゴッドアイを奪取し、夢の内容を唱えます。

ここで意外にもマーベラスは「宇宙最大のお宝が欲しい」とは言わず、
「俺の仲間を元に戻せ」という願いを言い、
死者の世界で怪人軍団と戦っていたジョー達4人は突然、幽霊船の船室に戻り、
同時にゴッドアイは願いを叶えたことにより、ただの石の塊になってしまいました。

もしや、ゴッドアイを使って自分達を元に戻して、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるチャンスを棒に振ったのかと疑うジョー達に対して
マーベラスは「ゴッドアイは偽物だった」と説明し、
激怒して偽ゴーカイオーで襲い掛かってくるロスダークを6人はゴーカイオーで返り討ちにして倒し、
幽霊船も消滅したのでした。

このゴッドアイという秘宝は一体何だったのかというと、
おそらく強者でありながら利己的ではない精神を持つ者を探し求めて、
死者の国に繋がる通路を持つ巨大な幽霊船を操って宇宙を旅していた秘宝だったのでしょう。

それゆえ、この秘宝は利己的な精神を持った者には呪われた秘宝であり、
このゴッドアイに対して利己的な欲望を願った強者はその願いは叶えられずに命を奪われ、
幽霊となってこの秘宝の番人にされてしまうのでしょう。

ロスダークもかつてはこの幽霊船に侵入してゴッドアイの番人である先代船長を倒してゴッドアイを奪ったが、
「全宇宙の支配者になりたい」という利己的な願いを唱えたためにその場で命を奪われて幽霊とされて、
ゴッドアイの番人にされてしまっていたのです。

ロスダークはどうして自分がいきなり幽霊になってしまったのかよく分かっておらず、
ゴッドアイの魔力で、強者の生体エネルギーを集めれば復活出来るという嘘を信じ込まされて
踊らされていたに過ぎない。
本当はそうしてロスダークがあちこちの星で強者を幽霊船に誘い込んだ結果、
ロスダークを倒した強者がまた新たな願い事を唱えてくれるのをゴッドアイは期待していたのです。

その願い事がまた利己的な願いであれば命を奪い、ロスダークの後釜に据えるだけであり、
もしその新たなゴッドアイの所有者の願いが利己的なものでなければ、
ゴッドアイの願いは満たされ、その強者の願いを叶えた後、
ゴッドアイは永遠の眠りにつくという仕掛けになっていたのです。
だからマーベラスがもし「宇宙最大のお宝が欲しい」と言っていれば、
マーベラスは命を奪われ、次の幽霊船の船長にされていたところでした。

マーベラスは、幽霊船に乗り込んだ強者が今まで誰も生きて帰っていないこと、
ロスダークがゴッドアイの所有者でありながら「全宇宙の支配者となる」という夢を叶えないまま
幽霊になってしまっていることなどに不自然さを感じ、
ゴッドアイは利己的な願いを唱えた者の命を奪う呪いの秘宝なのではないかと推理したのです。
だからマーベラスはゴッドアイのことを「偽物」と言ったのです。
確かに、「願いを何でも叶える秘宝」とは言い難いわけですから、そういう意味では偽物ということになります。

ただ、利己的でない願いならば叶えてくれるのか、
利己的でない願いならば命を奪われないのか、
そのあたりは不明確であったわけですから、
マーベラスとしてはゴッドアイに向かって「仲間を元に戻せ」と願うこと自体が
大きなギャンブルであったのですが、マーベラスはそこは全く迷いはありませんでした。

マーベラスはもしゴッドアイが呪いの秘宝でなく、
本当に何でも1つだけ願いを叶えてくれる秘宝であったとしても、
あの状況では迷うことなく「仲間を元に戻せ」と願うつもりでした。
マーベラスにとって夢は仲間と共に掴むものだからです。

仲間がいなくなった状態で夢だけ掴んでも仕方ない。
そして、仲間と共に夢を掴むことだけがマーベラスの生きる意味ですから、
仲間を失ったまま自分だけが無事に幽霊船から脱出しても、その後のマーベラスの人生には意味は無い。
だから、死ぬかもしれないリスクを冒しても、
ゴッドアイに対して「仲間を元に戻せ」と言うことに躊躇は全く無かったのです。

こうしてマーベラスは仲間を取り戻し、
再び仲間と共に「宇宙最大のお宝」を手に入れるために「大いなる力」を集める旅を再開しました。
そして仲間たちは自分達が突如、死者の世界から脱出できたことから、
だいたいどういう事情であったのか推察し、
マーベラスが夢そのものよりも、共に夢を掴む仲間を最も大事にしており、
仲間を守るために命も賭けるのだということを確認し、嬉しく思うのでした。

こうして突然降って湧いたような幽霊船の冒険を乗り切って
再び「宇宙最大のお宝」を目指しての旅を始めたマーベラス達の前に、
以前にカーレンジャーの大いなる力をゲットした際に倒したと思っていた
ザンギャックの怪人ジェラシットが現れるのが第24話のお話です。

マーベラス達が鎧に連れられてタコ焼きという地球の名物料理を食べに行ったところ、
タコ焼き屋のペットになっているジェラシットと再会しました。
ジェラシットはザンギャックをクビになって地球に捨てられてタコ焼き屋に拾われたのだといいます。
マーベラス達はジェラシットにタコ焼き屋になったらどうかと勧め、
ジェラシットもすっかりその気になり、
タコ焼き店主のもとで修行して、宇宙人初のタコ焼き屋を開業する夢を抱きます。

ところがタコ焼き屋の店主の母親が宇宙人に対して酷い偏見を持っており、
ジェラシットの弟子入りに猛反対し、
マーベラス達も乗りかかった船ということで母親を説得しようとしますが、
あまりの母親の宇宙人差別意識の酷さに閉口します。

よく考えれば、地球は数年前にザンギャックの侵攻を受け、
そしてここ半年ほど、またザンギャックによって攻撃され続けており、
ザンギャックに対する反感が強いのは当然でした。
だから元ザンギャックであるジェラシットに対しても嫌悪感はあるのであろうし、
ザンギャック支配下の星の生まれのマーベラス達だって、
地球人から見ればザンギャックと同じようなもので、
宇宙人同士の内輪揉めを地球に持ち込んで迷惑をかけているようにも見えるのでしょう。

確かにマーベラス達はもともと、お宝を探しに地球に来ただけであり、
地球を守るスーパー戦隊のようなヒーローではない。
だからザンギャックと同類の迷惑な宇宙人だと思われても仕方ないとも言えます。
直接マーベラス達と接した地球人たちはマーベラス達のことを迷惑な宇宙人だとは思っていないであろうが、
未だマーベラス達と会っていない大部分の地球人たちは
マーベラス達のことも迷惑な宇宙人の一種としか思っておらず、根深い宇宙人への嫌悪感を持っている。
ジェラシットの夢を応援して、戦いの場でないところで普通の地球人に接したために、
マーベラス達は予想外の地球の現実を直視する羽目になってしまい、嫌な気分になりました。

ジェラシットもタコ焼き屋の母親にさんざん侮辱されて、
ザンギャックからも地球からも捨てられた無価値な自分にすっかり拗ねてしまいましたが、
そこにザンギャック部隊が襲ってきて、ジェラシットはタコ焼き屋の母親を庇って撃たれて倒れてしまいました。

どうしてさんざん酷いことを言った自分を庇ったのかと問う母親に対して
ジェラシットは、自分もあなたも同じ宇宙人だからだと言いました。
ジェラシットはもともとはザンギャックの一員として地球人を見下していた。
しかしザンギャックからも地球からも不要とされた無価値な自分を自覚したからこそ、
宇宙に住む人は本質的にはみな対等に無価値なのであり、
ザンギャックだから優れているとか、地球人の方が優れていると主張して、
他種族を見下す考え方は間違っていたのだと悟ることが出来たのでした。
それゆえジェラシットは自分の身を捨てて地球人の母親を助けることが出来たのです。

結局ジェラシットは身体が頑丈だったので死ぬことはなかったが、
このジェラシットの捨て身の行動でタコ焼き屋の母親は考えを改め、
自分の宇宙人への偏見を反省し、ジェラシットを受け入れたのでした。

この顛末を見てマーベラス達は希望を持ちました。
ジェラシットと同じようにザンギャックからも地球からも受け入れられない自分達だからこそ、
ただの宇宙人として何の義理も無い地球人を守るために命を賭けて戦うことが出来るのであり、
その行動は地球人にも理解され、
ジェラシットのように地球人と共に夢を掴むことだって可能なのかもしれないと思えたのでした。
そうしたら自分達のような宇宙海賊でも、
人々の夢を守ったり目の前の命を救うために戦うスーパー戦隊のようになれるのかもしれないと、
マーベラス達は淡い期待を抱きました。

しかし弟子入りの夢の叶ったジェラシットを激励にタコ焼き屋を訪れたマーベラス達は、
ジェラシットが母親と駆け落ちしてしまったという衝撃の事実を告げられます。
つまり、タコ焼き屋の母子はジェラシットという異邦人を受け入れたが、
世間の目は厳しく、結局はジェラシットとの関係を守るために母親がジェラシットと共に店を捨てて
姿を消すことになってしまったのです。

つまり、ジェラシットは宇宙人でありながら地球人を守るために命懸けで戦ったのに、
結局は地球人には受け入れられず、夢も掴むことも出来ず、
自分を理解してくれた地球人一家を不幸にしただけで終わってしまったのだとマーベラス達は思いました。

実際はジェラシットと母親は田舎の温泉旅館で新たな道を見出していたのですが、
そんなことは知らないマーベラス達は、ジェラシットの挫折を自分達に重ね合せて、
やはり宇宙海賊の自分達が地球の人々を守るために戦っても、
スーパー戦隊のように地球人と良好な関係を作ることは出来ず、
むしろ関わった人達を不幸にするだけなのかもしれないと、苦々しい気分になって、
ガレオンに戻っていったのでした。

そうして第25話と第26話の前後篇では、ハリケンジャーが登場して、
マーベラス一味と共闘するお話となり、
この前後篇でこの「ゴーカイジャー」の物語の第2部は終わり、ちょうど物語も折り返しとなります。

マーベラス一味に邪魔されてばかりで一向に地球侵略が進まないザンギャック地球侵略軍は
ザンギャック配下の宇宙忍者を呼び寄せ、地球での作戦を一任しました。
その宇宙忍者は、かつてハリケンジャーに倒された宇宙忍群ジャカンジャの暗黒七本槍の末裔の2人で、
サンダールとサタラクラでした。
この2人の宇宙忍者は人々を「ビッ栗」という大きめの栗に変えてしまい、
それを使ったミサイルで地球を攻撃する作戦を進めます。

そして、この宇宙忍者の気配を察知して、
身を潜めていた26番目のスーパー戦隊のハリケンジャーの元ハリケンレッドの椎名鷹介、
元ハリケンブルーの野乃七海、元ハリケンイエローの尾藤吼太の3人が動き出しました。

ハリケンジャーもまた、まだマーベラス一味に「大いなる力」を渡していませんでした。
ハリケンジャーの場合、もともとが世の悪を倒すために人知れず戦い、
人知れず消えていくのが自分達のような宇宙統一流忍者の極意と心得ていますから、
自分達の存在を消すことによってザンギャックを倒して宇宙が平和になるのならば、
それはそれで良いのではないかと思っていました。

ただ、だからといって「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しに積極的であったかというと、
そういうわけでもありませんでした。
そもそもレジェンド大戦に参加したこと自体、彼らは彼らで独自に戦っているうちに
何時の間にかレジェンド大戦の大きな流れに巻き込まれたような形で、
あまり積極的に参加したというわけでもありませんでした。
つまりハリケンジャーは、その存在は誰にも知られないのが基本ですから、
他の戦隊ともあまり積極的に関わろうという意思が無いのです。

だから宇宙の作り直しの件にしても、基本的には賛成なのですが、
それに向けて積極的に何かをしようとも思っておらず、
ただ身を潜めて、通常の忍者としての任務を果たしながら、他のレジェンド戦隊とも一切交流もせず、
推移を見守っていました。

マーベラス一味が地球に降り立った後も軽々しくは動かず、じっと隠れて彼らの様子を観察していました。
黒十字王が暴れた時は地球の人々を守るためにマーベラス達に力は貸しましたが、
それでも「大いなる力」を渡しはしませんでした。
それは、実は渡したくても渡せなかったからでした。
だから見守って観察することしか出来なかったのです。

鷹介たちにしてみれば、最初はマーベラス一味が一体何者なのか分からなかったので慎重に観察していたのですが、
そうしているうちに他の戦隊がマーベラス達に「大いなる力」を渡していき、
鷹介たちにもマーベラス達がそんなに悪い奴らではないことが分かってきました。
ならば、鷹介たちはお宝を使って宇宙の作り直しをすること自体には賛成なのだから、
本当はマーベラス達にさっさと「大いなる力」を渡してしまいたかったのです。

しかし、ハリケンジャーの「大いなる力」は
鷹介たちがマーベラス達のことをハリケンジャーの精神を受け継ぐ者と認めなければ渡すことは出来ない。
それが問題でした。
鷹介たちはマーベラス達のことを観察した結果、
どうしても彼らをハリケンジャーの精神を継ぐ者とは認めることが出来なかったのです。

それは、マーベラス達がお宝を手に入れるために地球にやって来たという事実が
どうしても引っ掛かっていたからでした。
ハリケンジャーというのは何も見返りを求めることもなく、
ひたすら己を殺して世の悪と戦うというのが基本精神でしたから、
宝探しの片手間に地球を守っている宇宙海賊のマーベラス達には
ハリケンジャーの精神は理解出来ないだろうと鷹介たちは見ていました。

それでも他のスーパー戦隊の多くはマーベラス達に「大いなる力」を渡しているわけですから、
マーベラス達を宇宙の作り直しの担い手として相応しくないと決めつけるわけにもいかず、
鷹介たちは困りました。

鷹介たちはマーベラス一味を観察していった結果、
まぁ唯一ハリケンジャーの精神が理解できそうなのは地球人の鎧ぐらいで、
特にダメそうなのはお宝探しにガツガツして地球人やスーパー戦隊に対して興味の無さそうな
マーベラス、ジョー、ルカの3人だという感想を持っていました。
つまりは、鷹介たちも根っこの部分では第24話のタコ焼き屋の母親のように
宇宙人や宇宙海賊に対する偏見を持っていたといえます。

そんな中、宇宙忍者が活動を開始したのを察知した鷹介、七海、吼太の3人は集結して
マーベラス達のもとへ向かいました。
宇宙忍者の幹部連中に勝つには今のマーベラス達では無理であり、
ハリケンジャーの力を全て使いこなさなければならないが、
そのためにはハリケンジャーの「大いなる力」をマーベラス達に渡さなければならない。
だからマーベラス達の居る場所へやって来た鷹介たち3人でしたが、
マーベラス達がサンダールやサタラクラに苦戦して取り逃がす現場を見ても、
やはりマーベラス達がハリケンジャーの精神を受け継ぐような連中に見えず、困ってしまいます。
特にマーベラス、ジョー、ルカの3人は相変わらず態度が悪いように見えました。

実際、マーベラス、ジョー、ルカの3人は前回のジェラシットの一件でちょっと拗ねてしまっていました。
ハカセやアイムはもともとレジェンド戦士と接することも多く、
レジェンド戦士に割と近い感覚を持っていることも自覚していたので、
ジェラシットの一件でもそんなに嫌な気分にはなりませんでしたが、
マーベラス達3人は最近になって急にスーパー戦隊のように地球の人々を守って戦うのも
悪くないと思い始めていたところ、
ジェラシットの一件で所詮は宇宙海賊の自分達がスーパー戦隊のように地球人に認められることはないのだという
現実を突きつけられて、面白くない気分になっていました。

それでいつにも増して不機嫌そうに戦っていたマーベラス達でしたが、
もともと彼らが最近になって地球の人々を守りたいと思うようになっていたのは、
ジョーの場合は子供たちの夢を守りたい、ルカの場合は目の前の命を守りたいというような
自分自身のもともとの夢に由来する動機からのものでした。
そしてマーベラスは仲間と共に夢を掴む男ですから、ジョーの夢もルカの夢もマーベラスは付き合うのです。

だからマーベラス達は不機嫌そうにしながらも、それでも無意識に前向きにビッ栗にされた人々を助けるために動き、
サタラクラ達のアジトを見つけ出して急襲し、ミサイル作戦を阻止してビッ栗を奪還し、
宇宙忍者の気を感じて突如現れたハリケンジャーの「大いなる力」の風雷丸の助太刀もあって
サンダールも倒しました。

しかし風雷丸も宇宙忍者を倒すために一時的に現れただけで、
マーベラス達のことを認めたわけではなく去っていきます。
そして戦いの中でマーベラスとジョーとルカの3人は、ビッ栗をサタラクラに奪い返された上に
ハカセ達を庇ってサタラクラの作ったボキ空間という変身不能の亜空間に落とされてしまい、
ビッ栗を奪い返したサタラクラによってクイズ地獄に引き込まれてしまいました。

そこで、現実世界に残されて途方に暮れるハカセ達の前に現れた鷹介たち3人は、
ハリケンジャーのレンジャーキーを渡すようハカセ達に要求します。
ボキ空間に行ってサタラクラを倒してマーベラス達やビッ栗にされた人達を救いだすためには
ハリケンジャーの「大いなる力」を使うしかないのだが、
鷹介たちがマーベラス一味に「大いなる力」を渡すことが出来ない以上、
鷹介たちがレンジャーキーでハリケンジャーに変身してボキ空間へ行くしかないと、鷹介たちは考えたのでした。

しかし、一方的にマーベラス達3人を信用できないと言いレンジャーキーを渡すよう求める鷹介たちの態度に
鎧が猛反発したので、鷹介たちは驚きました。
マーベラス一味の6人の中では唯一の地球人の鎧は当然、人々の命を守ることを何よりも優先する
ハリケンジャーの考え方に賛同してくれると鷹介たちは思っていたからです。

まず優先すべきは人々の命を守ることなのであって、
その至上命題の前にはお宝やレンジャーキーなどどうでもいいと鷹介たちは思っていました。
宇宙海賊にとってはお宝は大切なものかもしれないが、
ハリケンジャーにとってはそんなものはどうでもいい。
大切なのは、ひたすら人々を守ることです。
鷹介たちはスーパー戦隊に憧れる地球人の鎧ならばそれは理解してくれると思っていたのです。

しかし鎧はレンジャーキーはマーベラス達が命懸けで宇宙から集めてきた大切なものだと言って抗議します。
鎧は鷹介たちが宝探しをしているマーベラス達を見下して信用しようとしていないことを感じ取って
憤慨していたのでした。
それは、鎧が海賊の仲間になって共に冒険の旅をするうちに、
マーベラス達の宝探しは決して不純な動機に基づくものではなく、
命懸けで夢を掴み取ろうとする行為であり、スーパー戦隊の精神にも通じるものなのだと感じていたからでした。
それを理解せずにマーベラス達を不純な海賊であるかのように見下す鷹介たちに鎧は反発したのでした。

しかしハカセとアイムは鷹介たちがスーパー戦隊の戦士とはいえ地球人である以上、
いきなり自分たち宇宙海賊のことを偏見なく理解してもらうのは難しいことは分かっていますから、
鎧を諌めてハリケンジャーのレンジャーキーを鷹介たちに渡しました。

ただ、今までも最初は誤解していたレジェンド戦士たちも直に接するうちに自分達のことを理解してくれたことを
経験上知っているハカセとアイムは、
ボキ空間でマーベラス達とちゃんと接して見極めてほしいと鷹介たちに要請しました。
直に接すればきっと誤解は解けるとハカセとアイムは確信しているのでした。

この鎧やハカセやアイムの態度に接して、
鷹介たちは自分達が少しマーベラス達のことを偏見の目で見過ぎていたのかもしれないと思い直し、
変身してボキ空間に入り、鎖で縛られたマーベラス達3人がサタラクラにクイズを出されている場面
を隠れて観察しました。

すると、クイズに正解すればマーベラス達は解放されるというクイズなのに、
マーベラス達は真面目に解答しようともしないで罰ゲームの爆破を浴びまくるので、
呆れた鷹介たちは、やっぱりマーベラス達はいい加減な連中だと見切りをつけ、
乱入してさっさとサタラクラを倒そうとします。
ところがサタラクラはくす玉の中に隠していたビッ栗を爆破すると脅して
鷹介たちは動けなくなり捕まってしまったのでした。

事情を聞くと、クイズに正解するとくす玉が爆発する仕掛けになっていたようです。
七海と吼太はマーベラス達にビッ栗にされた人達を守るためにわざと解答していなかったのかと問いましたが、
マーベラス達は不愛想な態度で否定するだけです。

実際はマーベラス達はくす玉の中にビッ栗があることに気付いて、
ビッ栗にされた人々を守るためにわざと解答せずに爆破に晒され続けていました。
そんなことをしても自分達が地球人からスーパー戦隊のように認められるはずもないことは承知の上で、
それでも地球の人々を守りたいと思い、無茶を承知で解答を拒否し続けていたマーベラス達でしたが、
なんでこんなバカなことをやってるのだろうかと、自分がワケが分からなくなり、半ばヤケになっていました。

すると、そこに突然、本物のスーパー戦隊の戦士である鷹介たちが現れたのです。
その本物のハリケンジャー達に何をしていたのか質問されたマーベラス達は、
自分達のような宇宙海賊が地球の人々を守るために命を張っていたなどと言うのは
おこがましいような恥ずかしいような気分になって、屈折した態度になっていたのでした。

鷹介たちの方は、マーベラス達が妙に卑屈な態度で否定はしているものの、
状況的にマーベラス達が自分の身を危険に晒してビッ栗にされた人々を守ろうとしていたのであろうと確信しました。
そして、そうしたマーベラス達の本質を分かっていれば、
くす玉の中にビッ栗があることにも気付いていたはずであり、
自分達が慌てて飛び出して逆に捕らわれてしまうこともなかったはずだと、鷹介たちは気付きました。

つまり、マーベラス達の本質に気付かなかった自分達が未熟であったのです。
どうしてマーベラス達の本質に気付けなかったのかというと、
鷹介たちがマーベラス達のことを所詮は不純な宝探し目的の海賊だと見下していたからです。
しかし実際のマーベラス達3人は、鎧やハカセ達が信じていたような、
命懸けで夢を掴もうとして戦っていた戦士だったのです。

考えてみれば「宇宙最大のお宝」など、鷹介たちはそれが何なのか知っているが、
マーベラス達はそれが何なのか、何処にあるのか知らないまま宇宙を旅していたのです。
そんなものが手に入る保証など全く無い。
マーベラス一味の本質は、見返りなど期待できない夢をひたすら追いかけて戦ってきた戦士たちなのだと、
鷹介たちは悟ったのでした。
それは見返りを求めず己を殺して戦う戦士であるハリケンジャーの精神にも通じる。
だからこそ、マーベラス達はこうして見知らぬ地球人たちを守るために命を危険に晒すことが出来るのです。

マーベラス達が地球人を守るために命を張っても、
地球人はなかなかマーベラス達のことを認めはしないということは、鷹介たちも知っています。
鷹介たち自身がマーベラス達が地球を守ってザンギャックと戦っていることは知った上で、
それでも彼らのことを宝目当ての宇宙海賊と見なして蔑んでいましたし、
世間の多くの人々も彼らをそんな風に見ていることも、鷹介たちは知っています。

そして、こうしてマーベラス達の卑屈な態度を見た結果、
おそらくそれはそんな世間の冷たい視線を意識した上での屈折した態度なのだろうということも
鷹介たちには想像がつきました。

つまりマーベラス達は自分達がスーパー戦隊のように人々を守るヒーローとしては
認められないことは分かって傷ついている。
しかし、それでも彼らは自分の命を危険に晒して戦い、地球の人々を守ろうとしている。
その気高い精神は、まさに「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ」の
ハリケンジャーの精神に通じるのです。

そして、どうしてマーベラス達がその忍者の極意ともいえる気高い精神を持つようになったのかというと、
それはもともと彼らが、手に入るかどうかも分からない夢を掴もうとして
命を賭けて戦ってきた宇宙海賊だからなのだと、鷹介たちは思いました。

ならば、ハリケンジャーの忍者の極意を受け継ぎ、伝説の忍者を受け継ぐ宇宙海賊は、
あくまでハリケンジャーの夢、スーパー戦隊の果てしない夢を掴むために
命を賭けて戦う者でなければいけない。

そのことに気付いた鷹介たちは、
マーベラス達はお宝を使って宇宙を作り直すのではなく、
戦って宇宙の平和を実現せねばいけないのだと思い、
アカレッドが期待していたことが何なのかハッキリと理解しました。

それまでは鷹介たちは自分達の「大いなる力」を宇宙の作り直しのために使わせようと思っていましたが、
ここで考えを改め、戦って宇宙の平和を作り直すマーベラス一味のために「大いなる力」を渡したいと思い、
そうすることによって、初めて素直な気持ちでマーベラス達に
「大いなる力」を渡してもよいと思えるようになりました。

しかし、鷹介たちが見たところ、「大いなる力」を渡すに際してまだ1つ障害がありました。
それは、マーベラス達3人が自分達で勝手に、
自分達はスーパー戦隊のようにはなれないと決めつけて拗ねているようだということでした。
その拗ねた気持ちが、素直に地球を守って戦う気持ちの妨げになっており、
そのままではマーベラス達の方で「大いなる力」を受け取る状況とはならない。

そこで、マーベラス達のことをハリケンジャーの精神を継ぐ資格のある者と認めた鷹介は、
自分はマーベラス達のことをスーパー戦隊の後輩として認めているということを示すため、
マーベラスに頭突きで喝を入れ、
鷹介と七海と吼太は先輩として、ひねくれて出来の悪い後輩に手本を見せるように、
変身出来ない状態で見事な機転でサタラクラの罠を撃ち破り、
大逆転でビッ栗を奪還してボキ空間からマーベラス達を連れて脱出してみせました。

これに心を動かされたマーベラスは、現実世界に戻ってサタラクラとザンギャック幹部たちを相手にした戦いで、
鷹介たちと一緒に戦ってみたくなり共闘を提案し、
ゴーカイジャーとハリケンジャーは力を合わせてサタラクラを撃破したのでした。

そして、こうして先輩として意識できるスーパー戦隊と一緒に戦ってみて、
マーベラス達は誰からも認められない不安や不満から解放されました。
そうして落ち着いてみると、自分は決してスーパー戦隊のようにヒーローとして認められたくて
地球人を守ろうとしていたのではなく、
ただ地球や地球人を何時の間にか好きになり守りたいと思うようになっていたから
スーパー戦隊のように戦いたいと思っていただけなのだと気付きました。

何かを守ろうとして挫折したために、何かを守るために戦いたいという気持ちを失って久しい自分たちが
ようやく守りたいと思うことが出来たのが地球なのです。
だから守りたいと純粋に思った。
それだけのことだったのだと、彼らは気づき、
これからは余計なことは考えず、その素直な気持ちに従って戦おうと心に決めたのでした。

そうしたマーベラス達に鷹介たちはレンジャーキーを返し、
ハリケンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。
そしてマーベラスは初めて素直に地球のことを好きだと言い、
「宇宙最大のお宝」がこの星にあって良かったと言いました。

「宇宙最大のお宝」の正体を知っている鷹介たちは、
そのお宝こそがマーベラス達の本当に選ぶべき道の前に立ち塞がる最後の試練となるのだろうと予測しつつ、
それでもマーベラス達ならばきっとその試練を乗り越えることが出来ると信じ、
温かく見守り、去っていったのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 22:25 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その15

マーベラス一味が地球へやって来て半年経った2014年の8月、
ちょうど「ゴーカイジャー」の地球における物語は第26話で折り返し点となり、
マーベラス達は34のスーパー戦隊の「大いなる力」のうちの23個目となる
ハリケンジャーの「大いなる力」をゲットし、
同時に、いつしか自分達が地球や地球人たちを好きになっていることを自覚し、
これからは自分の気持ちに素直に、地球をザンギャックの攻撃から守って戦っていきたいと思いました。

もちろんマーベラス達は、かつて34のスーパー戦隊がレジェンド大戦でザンギャックの侵略を跳ね返したように、
自分達もザンギャックの侵略を跳ね返せるとまでは思っていませんでした。
現在のザンギャックの侵略軍は確かにさほど強くはないが、
ザンギャックは宇宙を支配している大帝国なのだから、帝国があくまで地球を侵略するというのなら、
いくらでも増援は送ってくる可能性はあり、
そうなれば、ちっぽけな宇宙海賊のマーベラス達に勝ち目など無い。
だから勝算があるわけではないのです。

それでも地球が好きになってしまった以上、地球がザンギャックに攻撃されているのを見過ごすことは出来ない。
自分達の出来るところまで、地球に対するザンギャックの侵略行為に対抗して戦っていこうと、
マーベラス達は決意したのでした。

そういうわけで、第27話以降の「ゴーカイジャー」第3部においては、
マーベラス一味とザンギャックの抗争は激しさを増します。
第2部では、やや影が薄くなっていたザンギャックも、
この第3部では地球を守ろうとするマーベラス一味の最大の敵として立ち塞がることとなり、
言い換えればマーベラス一味がザンギャックにとっては地球侵略のためには
絶対に排除しなければいけない天敵となっていき、
更にはザンギャック帝国にとっての天敵へと成長していく過程がこの第3部であります。

第2部以前においてはマーベラス達は行き当たりばったりにザンギャックと戦うことが多かったのですが、
この第3部になると、ザンギャックが秘かに進めている侵略工作を分析して作戦を練り、
先回りしたり根拠地を突き止めて急襲してザンギャックの作戦を潰すという、
歴代スーパー戦隊と似たような行動をしばしばとるようになります。
そしてザンギャック側もこのようにますますザンギャックの侵略活動の邪魔をするようになった
マーベラス一味に対して怒りを募らせ、何度かマーベラス一味を狙った作戦も立てるようになり、
マーベラス一味とザンギャックの抗争は激化していくのです。
また、この第3部は、入れ替わり、七変化、新武器開発、成りすましなど、
戦隊シリーズ定番エピソードも盛り込まれたバラエティー豊かな時期でもありました。

そして、こうしたザンギャックとの激しい戦いの中でも、
マーベラス一味にとっての地球に来た最大の目的は「宇宙最大のお宝」を手に入れることであるという
原則は不変ですから、もちろんマーベラス達はスーパー戦隊の「大いなる力」は集めていき、
スーパー戦隊の戦士たちとも接していきます。

ただ、マーベラス達はこの第3部になると、
スーパー戦隊がザンギャックから地球を守ったことがあることは知っており、
自分達も地球を守ろうとする戦いに先行きの見えない不安を抱えた状態となっていますから、
ある種の畏怖の念をスーパー戦隊に対して素直に抱くようになっており、
第2部以前に比べて、素直にスーパー戦隊の元戦士たちから何かを学ぼうという姿勢で接するようになっていきます。

ただ、この第3部の前半において実はバスコがアカレッドの思念体の監視の目をかいくぐって
コソコソと動き回り「大いなる力」を3つ奪ってしまい、
第31話においてマーベラス達は一旦バスコに完敗してしまいます。
そのため、この後の第3部の後半になるとアカレッドや「この星の意思」はバスコの行方を探す方に集中し、
マーベラス達へのお宝ナビゲートは途絶え、
マーベラス達は以前に「大いなる力」を貰った戦隊と再会するようなことが多くなります。

そんな中、マーベラス達はバスコに敗北した後、第3部後半においてパワーアップを果たし、
自分達が地球を守って戦うことの更に深い意義を知るようになり、自分達の真の力に目覚めていきます。
同時にザンギャック側もマーベラス一味が何のためにザンギャックの地球侵略の邪魔をしているのか
なんとなく理解していくようになり、絶対に倒さねばならない敵だと意識していきます。
そして本星からの増援を得たワルズ・ギルは一気にマーベラス一味との決着をつけるべく動き出し、
マーベラス一味とワルズ・ギルの大決戦で第3部は最終局面を迎えることとなるのです。

まず第27話は、ザンギャックが人間の中身を入れ替える特殊能力を持つ怪人を使って
世界各国の要人とスゴーミンを入れ替えて一気に世界中の国をザンギャックの支配下に組み込もうという
作戦を隠密裏に進めていたところ、ルカとハカセに作戦行動を目撃されて小競り合いとなり、
その際、怪人の能力によってルカとハカセの中身が入れ替わってしまいました。

ハカセの身体を手に入れたルカは面白がって街に繰り出し、
いつも弱気なハカセをルカ好みのカッコいいヒーローに変身させようとします。
それを見てルカの身体に入ったハカセは心配してついていき、2人は街でドタバタ騒動を繰り広げます。

一連の騒動の中で、ルカは何時にも増してオドオドするハカセに呆れますが、
ハカセが預かっているルカの身体を気遣って慎重になっていたことを知り、
ルカはハカセの真の魅力が仲間に気遣いを出来る優しさなのだと思い出します。
そして、真のヒーローの魅力というのは、他人の持っているイメージに合わせることではなく、
自分の本来持っている魅力を知ることから始まるのだと悟ったのでした。

それはつまり、ゴーカイジャーという戦隊が地球を守って戦うヒーローになるにあたっては、
ただスーパー戦隊の真似をするのではなく、
自分達のもともと持っていた魅力をまず知るのが大事だということでした。
ハカセと身体が入れ替わった結果、ハカセの行動を見てそうした大事なことに気付くことが出来たルカは
ハカセに感謝しました。

一方、マーベラス達はルカとハカセが入れ替わったことや、
その際にザンギャックが襲撃していたのが国際会議出席予定の外国要人だったことなどを調べ、
ザンギャックの次の作戦目的が国際会議場を襲撃して各国要人とスゴーミンを入れ替えることだと見破り、
ルカとハカセも合流して先回りしてザンギャックを待ち伏せ、その計画を打ち砕き、
ルカとハカセも元に戻ったのでした。

一方、ザンギャック地球侵略軍の方では、マーベラス一味のことは相変わらず
「宇宙最大のお宝」という、有るのか無いのか分からないような怪しげな代物を探しに地球へやって来た海賊が
無法者ゆえにザンギャック部隊を襲撃し続けているのだと解釈していましたが、
わざわざザンギャックの作戦を嗅ぎ回って潰して回るなど、あまりに狼藉も度が過ぎ、
マーベラス一味は地球侵略の重大な障害となったと見なしたバリゾーグは、
宇宙一の賞金稼ぎのキアイドーを呼び寄せて、マーベラス一味を倒すよう依頼しました。

キアイドーは強くなりそうな相手はわざと見逃して強くなるのを待って、
戦いを楽しんだ後で殺すことを好むというバトルジャンキーのような男で、
マーベラスは赤き海賊団が壊滅した後、ジョーに出会う直前ぐらい、
まだ1人でレンジャーキーを集める旅をしていた頃にキアイドーに完敗したことがあります。
しかし今のマーベラスはその頃よりも遥かに強くなっているはずなのですが、
キアイドーと対峙したマーベラスは何故か恐怖を感じてしまい、
マーベラス達はキアイドーに完敗してしまい、またもや見逃されてしまいました。

落ち込むマーベラス一味はキアイドーへの雪辱を果たそうとしますが、
マーベラスが何故か弱気であるので、どうにも気勢が上がりません。
その6人に対してナビィが15番目のスーパー戦隊であるジェットマンの力がキアイドーを倒すという
示唆のナビゲートをしてきたので、マーベラス達はジェットマンを探し始めます。

するとマーベラス達の前に結城凱と名乗る謎の男が現れて
マーベラスとジョーのモバイレーツを奪った挙句、マーベラスを叩きのめして
「ジェットマンを探すな」と言って立ち去っていったのでした。

不思議なことに6人の中で鎧にだけは結城凱の姿は見えず声も聞こえなかったが、
マーベラスからその男が結城凱と名乗ったと聞いた鎧は驚きます。
結城凱という名はジェットマンの元ブラックコンドルだった男と同じ名であり、
元ブラックコンドルの結城凱はかつてのバイラムとの戦いの後、
全くの消息不明になっていた戦士なのだと鎧は言うのでした。

ジェットマンは特殊なスーパー戦隊で、
偶発的な事故の結果、一般人が選択の余地も無く戦士とならざるを得なかった戦隊でした。
それゆえにあくまで一般人の感覚を失わないまま戦士として成長していき、
オリジナルの物語世界のジェットマンのメンバーはバイラムとの戦いが終わった後、
完全に一般人の生活に戻っていきました。

しかし、この「レジェンド大戦の世界」のジェットマンはバイラムとの戦いの直後、
自分達の身体の中に「大いなる力」というものが生まれたことを知り、
この世界が融合世界であり、自分達が15番目のスーパー戦隊であることを
「この星の意思」という存在から教えられました。
つまり、自分達がこの世界の成り立ちに常に関係を持っている特別な戦士であり、
完全なる一般人には戻れない運命であることを知ったのです。

ただ、それでも彼らはあくまで普通の生活を大切に生きる道を選びました。
この世界がどういう世界であり、自分達がどういう存在であろうとも、
彼らがジェットマンとして戦ってきた目的は、世界の平和を取り戻して、
平穏な生活に戻っていくことだったからです。
そうしてあくまで普通の平穏な暮らしを送っていく中、
元ブラックコンドルの結城凱は事件に巻き込まれて、あくまで一般人としてひっそりと死亡し、
残された4人のジェットマンの元メンバーは結城凱を静かに葬り、
かつて共に戦った仲間のためにひっそりと墓守りを続けてきました。

しかし、その平穏な暮らしはおよそ3年前のレジェンド大戦で乱されました。
圧倒的な力で侵攻してきたザンギャックから地球を守るために他の歴代スーパー戦隊が皆立ち上がる中、
ジェットマンの4人も再びバードニックウェーブを浴びて戦いの場に赴いたのでした。
せっかく掴んだ平穏な暮らしを離れなければならなくなった昔の仲間の様子を死者の世界から見ていた結城凱は、
自分だけが死者の世界で安穏としているわけにはいかないと思い、
一時的に肉体を得て復活してレジェンド大戦に駆けつけ、仲間のジェットマン4人と共に戦いました。

ただ、戦士として死んだ仲代壬琴、ブライ、滝沢直人とは違って、
あくまで一般人としての生活の中で死んだ結城凱は、アカレッドのような思念体にはなっておらず、
ただの肉体を失った死者の魂であったので、
思念体である壬琴たちのようにレジェンド大戦時に
「この星の意思」の力で一時的に肉体が復活するということはなく、
結城凱は自身の持つ「大いなる力」を使って一時的な肉体を作り出し、戦う力も引き出して
レジェンド大戦に駆けつけたのでした。

但し、その一時的に復活した身体は地球人の目には見えないものであり、
もしその状態で死に相当するダメージを受ければ、「大いなる力」は消え、
結城凱の魂も存在も消滅してしまうという危険な賭けでありました。

結城凱はそうしてレジェンド大戦に駆けつけ、
もちろんかつての仲間のジェットマンの4人にはその姿を見てもらうことも出来ず、
会話もすることも出来ませんでしたが、ザンギャック軍相手に奮闘し、
最終的には自身の持つ「大いなる力」を半分放出し、
他のレジェンド戦士たちと共にザンギャック軍を撃退しました。

しかし、その戦いの後、「この星の意思」やアカレッドが現れ、
彼らとの遣り取りの中でレジェンド戦士たちは自分達の存在を消すことと引き換えに
宇宙の平和を実現しようという気持ちに傾き、
ジェットマンの4人も宇宙の平和のためならばそれも仕方ないと納得しましたが、
結城凱だけは、あくまで仲間の平穏な生活を守りたいと思いました。

自分達が平和な宇宙を作りたいと思うのは、普通の人々の平穏な生活を守りたいからです。
ならば一般人に戻った仲間たちの平穏な生活も守れないで宇宙の平和など有り得ない。
自分は既に死んで普通の生活を送ることの出来なくなった結城凱だからこそ、
仲間4人の平穏な生活をあくまで守りたいと思ったのでした。

だが、そうはいっても、既に死んだ身の結城凱は仲間達に話しかけることすら出来ず、
レジェンド大戦が終わると、すぐにまた死者の世界に引き戻されてしまい、
仲間達のことを案じながらも、どうすることも出来ないまま悶々としていたのでした。

そうこうしているうちに2014年の2月になってマーベラス一味が地球に降り立ち
「大いなる力」を集め始め、ジェットマンの4人も、あの世の結城凱も、マーベラス一味の存在は知るようになり、
彼らがどうやらそんなに悪い奴らではないことも分かってきました。
ジェットマンの4人は黒十字王との戦いの時はマーベラス達に力も貸しましたが、
マーベラス達に宇宙の作り直しを担わせるべきなのかどうか、「大いなる力」を渡すべきなのかどうかは、
その時のマーベラス達を見てもよく分からなかったので、
改めてマーベラス達が「大いなる力」を求めてやって来た時に観察しようと思って、
マーベラス達のやって来るのを待っていました。

一方、あの世の結城凱はマーベラス達のことを最初は冷ややかな目で見ていましたが、
マーベラス達がレジェンド戦士たちと交流しながら、
次第に地球を守って戦おうとするようになってきたのを見て、
マーベラス達が彼らに「大いなる力」を渡したレジェンド戦士たちが期待するような
「戦ってザンギャックを倒して宇宙を平和にするヒーロー」になり得るのかもしれないと思えてきました。
もしそうなれば、自分の仲間の元ジェットマンの4人は消滅を免れ、
現在の平穏な生活を失わずに済むと思った結城凱はマーベラス達への期待感を膨らませました。

しかし、よく見てみると、まだまだマーベラス達が強大なザンギャックを倒すには足りない部分が多く、
特に元ジェットマンの結城凱から見て、どうにも気に入らない部分があったので、
結城凱はマーベラス達に喝を入れるために再び自身の「大いなる力」を使って、
地球人には見えない一時的な肉体を作り出して、下界に降りてきたのでした。
するとちょうどマーベラス達がキアイドーに完敗する場面を見ることになった結城凱は、
腹を立ててマーベラスを叩きのめしてモバイレーツを奪ったのでした。

結城凱はマーベラスがキアイドーに負けたことそのものに腹を立てたわけではありませんでした。
そもそもマーベラスの現在の実力ならばキアイドーと互角以上の勝負は出来るはずでした。
それなのにマーベラスがキアイドーに遅れをとったのは、
マーベラスが勝ち目の薄い相手と戦うことに恐怖を覚えるようになっていたので、
かつて負けたことのある相手であるキアイドーへの苦手意識を克服出来なかったのが原因でした。

だからマーベラスが勝ち目の薄い相手への恐怖を感じなくなれば、
自然にキアイドーに対する過去の対戦に基づいた苦手意識など消えて、
互角以上の勝負は出来るようになるのですから、問題の根本はキアイドーではなく、
マーベラスの勝ち目の薄い戦いに対する恐怖心そのものであり、
結城凱が腹を立てていたのはマーベラスのそうした弱気でした。

そのマーベラスにとっての勝ち目の薄い相手とはザンギャックです。
実際、ワルズ・ギル配下のガタガタになった地球侵略軍はともかくとして、
宇宙を支配する大帝国ザンギャックがあくまで地球を侵略するために増援を繰り返してくるならば
マーベラス一味に勝ち目はありません。
だからマーベラスがザンギャック相手に地球を守って戦おうと思った時に、
その戦いは勝ち目が薄いと思うこと自体は事実を正確に把握しているという点では別に悪いことではありません。

結城凱が怒っているのは、マーベラスが勝ち目が薄い戦いに対して恐怖を感じて弱気になっていることでした。
そんな弱気ではザンギャックに勝って宇宙を平和になど出来るはずがない。
そんなマーベラス達がジェットマンの「大いなる力」を手に入れて「宇宙最大のお宝」を手に入れたら、
結局はザンギャックと戦うことをビビって宇宙の作り直しの道を選んでしまい、
ジェットマンの4人は消滅してしまう。
そんなマーベラスに失望した結城凱は、
今のままのマーベラスにジェットマンの「大いなる力」を渡すわけにはいかないと思い
「ジェットマンを探すな」と釘を刺し、行動を制限するためにモバイレーツも奪ったのでした。

しかしマーベラスはもともと勝ち目が薄い戦いにビビるようなヤワな男ではなかったはずです。
マーベラス自身、そう思っていましたから、
その日の夜になって再びマーベラスを諭すために現れた結城凱に
「お前ビビってるじゃねぇか」「自分の弱さに向き合えないとは情けない」などと言われても、
単にキアイドーに負けたことを貶されているのかと思い、
憤慨して結城凱を追いかけますが一晩追いかけ回しても結城凱を捕まえることが出来ず、
気が付けば墓場に来ており、そこでマーベラスや、マーベラスを追ってきた他の仲間も、
その墓場にある結城凱の墓碑を見つけ、結城凱が既に死んでいたことを知り、驚きます。

そして墓の前に供えられたジェットマンの他のメンバーの供物を見て、
結城凱が死んでもなお他のジェットマンのメンバーと強い絆で結ばれており、
結城凱は他のジェットマンの仲間の平穏な生活を守りたくて自分達のジェットマン探しを邪魔するべく、
自分達の前に現れたのだとマーベラス達は悟りました。

一方、結城凱はマーベラス達がキアイドーを倒すためにジェットマンの「大いなる力」を求めている以上、
ジェットマンの仲間を探し続けるだろうと思い、
それを阻止するために自分がキアイドーを倒すしかないと思い、
再びマーベラス達を倒すよう命じられて地上に降りてきたキアイドーに1人で戦いを挑みます。

しかし結城凱はレジェンド大戦の時の半分しか「大いなる力」を持たない状態であり、
キアイドーは強敵ですから、形勢は不利です。
しかも、もし死に相当するようなダメージを受ければ結城凱は消滅してしまうのですから、
これはかなり危険な勝負です。
しかし、それでも結城凱は仲間を守るために躊躇することなくキアイドーに立ち向かっていきます。

そこに駆けつけたマーベラス達は、
仲間の平穏な暮らしを守るために既に死んだ身で陽炎のように甦った儚い命を振り絞って
1人だけ戦う結城凱の姿を見て、ジェットマンという戦隊の強さが何なのか理解しました。

マーベラス達は自らは戦わない弱い人々を守るために命を賭けて戦うという経験はほとんどありませんでした。
ところが第26話で明確に地球人を守って戦おうと決めたことによって、
自分達の戦いが「弱い者を守りながらの戦い」となったことを自覚し、
それが意外に心に重くのしかかっていたのです。

弱い者を守りながら戦うとなると、足を引っ張られるようなことが増えて、
自分達は以前よりも不利になり、弱い立場になるのではないかと思えてきました。
しかし、ただでさえザンギャック相手の戦いが甘くないことは分かっているのですから、
自分が弱くなるなどということは考えたくなくて、
マーベラス達は自分の弱さを見ようとはせず、自分達は以前と変わらず強いのだと自分自身に言い聞かせていました。

しかし無理に心の奥に閉じ込めた弱さの自覚は不安となって心の奥に巣食うようになり、
何時の間にか強大な相手であるザンギャックに対する今後の戦いへの不安や弱気、恐怖心が生じていたのです。
それが強敵に対する苦手意識となり、
マーベラスの場合、かつて敗れたキアイドーへの弱気となって現れてしまったのでした。

この根本的な原因は、マーベラス達が自分達の戦いにおいて生じた不利や弱さを直視することを避けたことでした。
結城凱がマーベラスのことを「自分の弱さにも向き合えない」と非難したのは、
マーベラスが自分の弱さを直視出来なかったために、
逆にザンギャックへの恐怖心を生じさせる結果となったことを責めていたのです。

一方、結城凱は自分の命の儚さや弱さを直視して知っているからこそ、
平穏に暮らす仲間を守るために強大な相手であるキアイドーに立ち向かうことが出来ています。
戦士でもない一般人でありながら戦うことになった自分の弱さを知っているからこそ、
自分と同じように弱い普通の人々を守るために、自分は強くならなければいけないという想いで戦い、
強くなっていったのがジェットマンなのです。
ジェットマンは自分の弱さを知るゆえに弱い人々を守るために戦って強くなることが出来た戦隊だといえます。
だから結城凱は今の自分は非常に脆弱な存在であることを知っているからこそ、
平穏に暮らす仲間を守るためにキアイドーに立ち向かうことが出来る。

結城凱がマーベラス達に求めたのは、このジェットマンの精神でした。
弱い地球の人々を守るために途轍もなく強大なザンギャックに立ち向かうためには、
まず自分の不利や弱さを直視し、
それでも弱い人々を守るために恐怖心を乗り越えて強くなろうという強い意思を持たねばならない。
その強い意思を持てば、マーベラス達はザンギャックを倒して宇宙を平和にすることも可能かもしれないと、
結城凱は思ったのでした。

結城凱の戦う姿を見てジェットマンの力が弱さを自覚した上で恐怖心を克服する強い意思の力であると知り、
結城凱が自分に求めていたもの、今の自分に欠けていたものがそれだと気付いたマーベラスは、
もともと自分達はザンギャックに散々な目にあわされた弱い存在であり、
その弱さを直視した上で負けてたまるかという強い意思で弱さを克服して強くなってきたのだという
自らの原点を想い出しました。
それは地球の人々を守って戦うことで生じた心の弱さも同じことであり、
自分達ならばその弱さも強い意思で克服できるはずなのだと気付いたのでした。

そうしてマーベラスは仲間と共に前に進み出てキアイドーの前に立ちはだかります。
そのマーベラス達の姿を見た結城凱は、マーベラス達がキアイドーに対する弱気を克服したことに気付き、
彼らが強い意思の力で自分の弱さを乗り越え、
ザンギャックに対しても不利を承知で地球の人々を守るために戦いを挑み、
弱さを乗り越えて強くなろうという強い意思を獲得したことを知ります。

そうして満足した結城凱はマーベラスとジョーのモバイレーツを返し、
マーベラス達にジェットマンの「大いなる力」を渡したのでした。
そして、「大いなる力」を手放したことによって肉体を維持することが出来なくなった結城凱は、
ジェットマンの力を駆使してキアイドーを倒したマーベラス達に向かって
「今度はお前らがあの空を守る番だ」と言って空を見上げながら、肉体を消滅させ、
その魂は天上へと戻っていったのでした。

続いて第29話では、ザンギャック地球侵略軍司令官のワルズ・ギルが地球の風邪にかかってこじらせてしまい、
インサーンが地球人の女の幸せエナジーを集めて注射すればすぐに治ると言うので、
ワルズ・ギルは隠密行動の得意な行動隊長に命じて地上の幸せそうにしている女性を襲わせて
幸せエナジーを奪わせていきます。

この騒動に遭遇したマーベラス達は戦いますが、
怪人の伸縮自在の特殊能力に翻弄されて取り逃がしてしまいました。
この様子をちょうどマーベラス一味の様子を見に来ていた27番目のスーパー戦隊アバレンジャーの
元アバレブルーの三条幸人が近くで見ており、
もしかしてマーベラス達がアバレンジャーの「大いなる力」の使い方を知らないのではないかと首を傾げます。

アバレンジャーの「大いなる力」は黒十字王との戦いの前に
元アバレキラーの仲代壬琴から鎧に既に渡されており、
ゴーカイジャーにおいては、鎧の専用ロボの三段変形のうちの1つの豪獣神という形で既に使用されていましたが、
幸人はアバレンジャーの「大いなる力」の使い方は豪獣神だけではないはずなのに、
マーベラス達は壬琴からそのことを聞いていないのだろうかと不審に思います。

アバレンジャーの「大いなる力」を鎧に渡したことは、
おそらく鎧に渡した後すぐに壬琴から何らかの方法で他のアバレンジャーのメンバーには知らされたようですが、
壬琴と鎧の細かい遣り取りまでは伝わっていないようです。

幸人は妻で秘書の笑里が自作のアバレピンクのレンジャーキーをゴーカイジャーに渡したいという
ワケの分からない我儘を言うので、それに付き合わされる形で笑里に連れられて
マーベラス一味に接触するためにやって来たのですが、
その結果、アバレンジャーの大いなる力の使い方をマーベラス一味が不完全にしか知らないことを発見したのでした。

一方、取り逃がした怪人を捕えて幸せエナジーを取り戻すため、
ガレオンの修理をしているマーベラス達を残して、アイムは鎧を連れて囮作戦を実行します。
教会でアイムと鎧が偽の結婚式を挙げて、それに釣られてやってきた怪人の身体の伸縮を調節する装置を
銃撃で壊した後は七変化で翻弄し、アイムは怪人から幸せエナジーを奪還して、
エナジーを吸い取るアイテムを壊して、ザンギャックの作戦をぶっ潰したのでした。

そこにマーベラス達も駆けつけ、物陰で様子を見ていた幸人と笑里もアイムのアバレっぷりに満足して、
やはりゴーカイジャーはアバレンジャーの「大いなる力」を引き継いで、
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作る可能性のある者達であると思い、
アバレンジャーの大いなる力のもう1つの使い方である豪獣ゴーカイオーへのチェンジの仕方を教え、
マーベラス達は豪獣ゴーカイオーで敵怪人を撃破したのでした。
結局ワルズ・ギルは幸せエナジーを手に入れることは出来ず、風邪が悪化して寝込んでしまいました。

そして、マーベラス一味の中でアイムの身の上や一味への加入時の状況をただ1人知らない鎧は、
どうしてアイムのような清楚で可憐な美少女が海賊一味の一員なのか不思議に思っていたのですが、
この一件でアイムの意外に激しい一面を知り、
ザンギャックに苦しめられた人々を助ける時には毅然とした強さを発揮するのがアイムの魅力であり、
それゆえマーベラス達もアイムを仲間にしたのだろうと鎧は勝手に納得します。

確かにそれは半分当たりではあるのですが、
マーベラス達がアイムを仲間とした決め手となった理由は、
アイムに海賊が正しい信念を貫く人たちだと褒められ、笑顔を向けてもらったのが嬉しかったからなのですが、
それは照れ臭くてマーベラス達は鎧には教えようとはしないのでありました。

そして第30話ではナビィのお宝ナビゲートが
「スケボーが得意なライオンが近づいている」という具体的なイメージのものが出ますが、
これを聞いてスーパー戦隊に詳しい鎧はライブマンのイエローライオンに違いないと言います。
ただ、鎧はイエローライオンの正体や居場所は知らないので、
結局マーベラス達はいつものように漠然と街中をスケボーの得意そうな人物を探すことになります。

一方、ギガントホースではようやく風邪が治ったワルズ・ギルのもとに
ザンギャック本星から懐かしい来客がありました。
それはザンギャック帝国随一の天才科学者のザイエンでした。
実はザイエンはかつてワルズ・ギルの依頼によってジョーの先輩のシドをバリゾーグに改造した科学者であり、
今回は自分の作品であるバリゾーグの調子を確認しに来たのでした。

そのザイエンの用件を聞いたワルズ・ギルは
ザイエンの手によってシド同様、地球人の武道の達人を改造して
ワルズ・ギルに従順な機械兵士バリゾーグを量産してザンギャック軍の戦力アップを図る作戦を思いつき、
ザイエンにその作戦を実行するよう命じました。

さっそくザイエンは地上に降りて次々と武道の達人たちを誘拐していきますが、
何人目かの標的を誘拐しようとしたところ、ちょうど街でライブマン探しをしていたジョーとアイムが
その騒動を察知して駆けつけ、ザイエンと交戦し、ザイエンは撤退します。
ところがザイエンはうっかりその場にバリゾーグの設計図データの入った端末を落としてしまっており、
ジョーはそれを拾いますが、それが何なのか分かりません。

すると、たまたま居合わせた大原丈と名乗る男が、自分は科学者だと言い、
その端末を操作してデータを引き出し、それが機械兵士の設計図で、
さっきの怪人がこの設計図で人間を機械兵士に改造しようとしていたのだろうと指摘します。
ジョーとアイムが端末を見てみると、そこにはバリゾーグの見取り図があったので2人は愕然とします。

アイムは単にバリゾーグがもとは人間であったという事実への驚きと、
恐るべき人体改造計画への戦慄を覚えただけでしたが、
ジョーの場合は仲間には何も言っていませんでしたがバリゾーグがかつての自分の剣の師であり
命の恩人であるシドの改造された姿であるということは知っていましたから、
その設計図が手に入ったことで、もしかしたらシドを元に戻せるかもしれないと思い、
科学者だという大原丈にこの設計図で改造された人間を元に戻せるのか質問しました。
すると大原丈が設計図を解析しないと分からないというので、
ジョーは大原丈と一緒に科学アカデミアにある彼の研究室について行ってしまいました。

ジョーの意外な行動に驚いたアイムはガレオンに戻ってマーベラス達にそのことを報せ、
マーベラス達はおそらくジョーの大事な想い出の剣の師匠がバリゾーグに改造されたのだろうと悟りました。
同時にハカセが武道家が連続失踪していることを突き止め、
これらの人々をバリゾーグに改造するためにザンギャックが誘拐していると推測し、
マーベラス達はアジトの割り出し、その計画を潰そうとして動き始めました。
鎧はジョーも呼ぼうとしますが、マーベラス達は今回はまずジョーが納得いくまで好きにさせてやろうと、
あえて呼び戻さず5人で行動することにしたのでした。

このジョーがついて行った科学者の大原丈という男は
実は12番目のスーパー戦隊のライブマンの元イエローライオンだった男です。
大原丈はジョーとは初対面でしたが、ジョーが変身して戦った場面に居合わせたので
ジョーがゴーカイジャーの一員だということは分かっています。
しかし大原丈は自分がライブマンであったことはジョーには教えていませんし、
「大いなる力」の話も一切していません。

ただ、ライブマンがマーベラス一味に対して悪印象を持っているというわけでもなく、
黒十字王との戦いの際には大原丈以外のメンバーの誰かがその戦いを見守り、マーベラス達に力も貸しています。
それでもライブマンが未だにマーベラス達に「大いなる力」を渡していないのは、
ライブマンのメンバーが未だに「大いなる力」の使い方について迷っていたからでした。

確かに34戦隊の「大いなる力」を「宇宙最大のお宝」に注いで、
ザンギャックが最初から存在しなかった平和な宇宙を作ってしまえば全てが丸く収まるように思えました。
その代償に自分達の存在は消えてしまうが、そんなことはライブマンは恐れてはいませんでした。
ただ、本当にそんな解決の仕方でいいのだろうかという漠然とした疑念があり、
他の戦隊のようにマーベラス達にすんなり「大いなる力」を渡す決断が出来ずにいたのでした。

そんな時にたまたま街で出会った2人組がゴーカイジャーであり、
しかもそのうちの1人のジョーがバリゾーグという機械兵士の設計図の解析をやけに必死に頼んでくるので、
大原丈はジョーの大切な友人か家族がバリゾーグに改造されたのだろうと察し、
ジョーの熱意に押されて、ジョーを研究室に連れていき、設計図を解析しました。

しかし残念ながらバリゾーグに改造された人間を元に戻すことは不可能だという解析結果が出て、
ジョーは酷く落胆しました。
そして、既に一旦シドは死んだものだと納得したはずなのに、
未練がましく足掻いた自分が愚かだったのだと嘆き、自嘲したのでした。

すると大原丈は思わずジョーに向かって、
敵になり人間でなくなった、救いようもない友を救うために足掻いて何が悪いのかと怒鳴りつけました。
そして、ハッとして、それは今の自分自身に向かって怒鳴っているのだと大原丈は気付いたのでした。

かつて大原丈たちと共に科学アカデミアで科学者を志していた学友たちが道を誤り、
科学を悪用して世界を支配しようとし、大原丈たちはライブマンとなって戦い、
友たちを改心させて救おうとしました。
しかし結局は、友たちの野望を挫いて世界を救うことは出来たが、友たちを救うことは出来なかった。

その戦いの後、大原丈たちの体内に「大いなる力」が生じ、
「この星の意思」により、自分達がスーパー戦隊というヒーローの1つなのだと教えられたが、
大原丈たちはもともとの目的であった友を救うことも出来なかった自分達が
世界を救ったヒーローだなどと胸を張る気分にはなれませんでした。

そもそも、道を誤った学友たちはもともと邪悪な連中だったわけではなく、
科学の万能性に魅せられ、科学を操る自分の力を過信して道を誤った。
その学友たちと自分達は科学の力で戦った。
だから、自分達と学友たちはそう大差ない存在だと大原丈たちは思いました。

ちょっとしたきっかけで科学を志す者は悪に堕ちてしまい、善と悪に分かれて争う悲劇が起きる。
だから自分達はヒーローなどではなく、科学者というものは潜在的に多くの過ちを犯している存在なのであり、
一歩間違えれば悪に堕ちる、危ない存在なのだと思った大原丈たちは、
ライブマンであった過去は封印し、科学アカデミアに戻って、
二度と科学を悪用した悲劇が繰り返されないように尽くして地道に活動してきました。
大原丈は、それはライブマンとしてではなく、あくまで1人の科学者としての責務だと思ってやってきていました。

そうしてライブマンであったことは忘れて科学者として生きてきた大原丈も、
2011年にザンギャックの侵攻によりレジェンド大戦が起きると、
他のスーパー戦隊に同調し、ライブマンとして戦うことになりました。
そして大戦の終結後、自分達の存在を消すことによってザンギャックのいない平和な宇宙を作ろうという話になり、
大原丈も何となくそれがヒーローの務めであり、
かつて友を救うことの出来なかった自分達ライブマンが自らを犠牲にして宇宙を救うことが出来るならば
本望だとも思いました。
それがライブマンの務めだったのだと自分を納得させようともしました。

しかし何故か心に引っ掛かることがあり、
大原丈たちライブマンは「大いなる力」を宇宙作り直しの担い手であるゴーカイジャーに渡すことを
躊躇していました。
それがどうしてなのか、こうしてジョーと出会って、
ジョーが友を救おうとした自分自身を自嘲したのを叱り飛ばしたことによって、
大原丈は気付くことが出来たのでした。

つまり大原丈は自分が友を救うためにライブマンとなって足掻いて戦ったことを本当はずっと肯定していたのです。
そして、ライブマンとしての戦いの後、科学アカデミアに戻って、
科学が学友たちのような過ちを繰り返すことがないよう自分達が足掻いて努力してきたことも、
本当はライブマンの戦いの続きとして本当はずっと肯定していたのです。

ライブマンとは、自分自身や自分の身近に存在する悪や過ちを認め、
それが暴走して悲劇を引き起こさないように足掻き続ける戦隊であったのです。
それこそが本当はライブマンのヒーローの在り方であったのであり、
大原丈はずっとライブマンとして科学アカデミアで足掻き続けて、
学友たちの悲劇を繰り返さないように戦い続けてきたのです。

ところがレジェンド大戦の後、大原丈は悪を消滅させた平和な世界を作ろうという考え方に捉われてしまい、
それがライブマンの使命であるかのように思ってしまっていました。
しかし、それはライブマンの精神とは真逆といえます。
ライブマンは悪を知るからこそ人が悪に堕ちることがないよう戦う戦隊なのです。
悪の存在する世界で二度と悲劇を起こさないように悪と戦い続けるのがライブマンであり、
悪を消した世界を安易に作ろうとするのはライブマンの選ぶべき道ではない。

悪を無くし、悪から目を背けるのは、ライブマンとしての今までの長い年月の戦いを否定する行為であり、
ライブマンとして一番犯してはならない過ちでした。
レジェンド大戦以降、大原丈はうっかりとその過ちを犯してしまっていたのです。
そのことが無意識に引っ掛かっていたので
大原丈たちは宇宙の作り直しのために「大いなる力」をゴーカイジャーに渡すことを躊躇していたのでした。

ジョーが悪に堕ちた友を救うことを諦め、
自分の身近な悪を存在しないものとして切り捨てようとしているのを見て、
大原丈はそれは間違っていると思い怒鳴りつけましたが、
その瞬間、レジェンド大戦以降の自分がジョーと同じ過ちを犯していたことに気付き、
今、自分はジョーを叱ったのではなく、
ライブマンとしての自分がレジェンド大戦以降ライブマンというものを履き違えていた自分自身を
叱り飛ばしたのだと悟ったのでした。

そして大原丈はジョーに向かって、
かつて自分の友が道を誤って科学を悪用して世界を征服しようとし、
自分は友を救おうとしたが救うことは出来なかったので、
友の魂だけでも救ってやりたくて、科学アカデミアに戻って
科学が二度と友のような悲劇を引き起こさないように足掻き続けてきたのだと説明したのでした。

つまり、悪に堕ちて散った友を単に悪として断罪し記憶から消してしまうのではなく、
友の堕ちた悪を自分の身近な悪と認識して、
永遠にその悪と戦い続けて友の悲劇が繰り返されることを防ぐことによって、
散っていった友の魂は単なる悪として消えることはなく、悪と戦う魂として常に自分と共にあり、
いずれ善なる魂となり、救われるのだというのが大原丈の考え方であり、ライブマンの考え方なのです。

それを聞いてジョーは、
自分がシドのことを忘れてバリゾーグを単なる敵として倒そうとしていたことは過ちであったと知りました。
シドがバリゾーグに改造されて敵となってしまった悲劇はザンギャックという悪によって引き起こされたものであり、
その悲劇は宇宙全体を覆うものであり、ジョー自身の身近に存在する悲劇なのです。
その悲劇から目を背けて、単に目の前の敵を機械的に倒していくだけでは、何も周囲の状況は変わらない。
ザンギャックの悲劇なシドやジョーの悲劇であり、ザンギャックの悪はシドやジョーの悪なのです。

かつてシドとジョーはザンギャックの悪に加担してしまったことを悔いて、
ザンギャックによる悲劇を繰り返させないために戦おうとしました。
シドは悪に堕ちたのではなく、悪と戦って散ったのです。
ならばシドと共にザンギャックという悪による悲劇を阻止しようと誓ったジョーが、
シドを襲ったザンギャックによる悲劇から目を背けて戦うわけにはいかない。

シドの悲惨な運命をしっかり意識しながら、シドのような悲劇が二度と繰り返されないように
ザンギャックの悪行と戦い続けなければならない。
そうして自分がシドの無念を胸に抱きながらザンギャックと戦い続けることによってこそ、
シドの魂もザンギャックと戦い続け、シドの魂だけは救われるかもしれない。
それが自分に出来る「足掻き方」なのだとジョーは悟ったのでした。

そうしたジョーに向かって大原丈は最後に「過ちを繰り返すなよ」と言いました。
これは苛酷な現実から目を背けようとしていたジョーへの戒めの言葉であり、
これに力強く頷いたジョーを見て、
大原丈は、ジョーが悪の存在を直視しながら、悪による悲劇を繰り返さないように
戦い続けていけるのであろうことを確信しました。

それはつまり、マーベラス一味が「悪の存在しない平和な世界」に安易に逃げることなく、
悪が永遠に存在するからこそ悪の暴走を抑えるために戦い続けるライブマンの精神を引き継ぎ、
宇宙の作り直しではなく、
あくまでザンギャックと戦い続けて宇宙の平和を実現するヒーローとなるに違いないという確信を
大原丈にもたらしたということでした。

そして新たな戦いの決意を固めて研究室を出ようとしたジョーはそこに置いてあるスケボーを見て、
大原丈こそがライブマンの元イエローライオンだったのだと気付き、
大原丈に「あんたライブマンだったのか?」と尋ねますが、大原丈は「さあな」ととぼけます。

大原丈がライブマンになろうと志した時に目指した目標である友の救済は未だ達成されておらず、
未だ友の魂を救うために足掻き続けている身である大原丈は、
まだ自分がライブマンと名乗れる存在ではないと思っているのでした。
しかしジョーは大原丈がライブマンだと確信し、
大原丈はマーベラス一味にライブマンの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、マーベラス達はザイエンのアジトを見つけ出して誘拐された武道家たちを救出し、
ザイエン率いるザンギャック部隊と戦いを開始し、
そこに駆けつけたジョーは初めてマーベラス達の前でシドの名を出し、
シドの無念を胸に、ザンギャックによる悲劇を二度と繰り返させないために戦っていくと宣言し、
シドの必殺剣でザイエンを撃破したのでした。

このようにマーベラス一味がジェットマンやライブマンの「大いなる力」を獲得していた頃、
身を潜めていたバスコはスーパー戦隊の「大いなる力」を数個、奪い取る隠密作戦の準備をしていました。

第23話でマーベラス達によってゴーゴーファイブの「大いなる力」を奪う作戦を邪魔されたバスコは、
マーベラス達に嗅ぎつけられないように、より慎重な隠密作戦で、
狙いをつけたレジェンド戦士を周到な準備で罠に嵌めて「大いなる力」を奪わねばいけないと思いました。

そして、ギンガマンとゴーゴーファイブで2回連続失敗してしまった以上、
スーパー戦隊側も自分を警戒するだろうと考えたバスコは、
作戦の実施までは多少期間を空けることとして、それまでじっくりと策を練り準備を周到にすることにしました。
また、出来れば何個かの「大いなる力」を確保しておきたかったバスコは、
1つ奪われればスーパー戦隊側は警戒を強めるであろうから、
相手の警戒網が強くならないうちに立て続けに何個かのスーパー戦隊の「大いなる力」を奪おうと思い、
複数の戦隊の「大いなる力」の強奪作戦の準備を同時進行させることにしました。

そうして第23話の後、スーパー戦隊の状況を調べ始めたバスコは、
狙いやすそうな戦隊として9番目のスーパー戦隊のチェンジマン、10番目のスーパー戦隊のフラッシュマン、
11番目のスーパー戦隊のマスクマンの3つをピックアップし、
狙いをつけた戦士の行動を調べて周到に罠を張る準備を進めていきました。

そうしている間にマーベラス一味の方は
ハリケンジャー、ジェットマン、ライブマンの「大いなる力」を手に入れましたが、
マーベラス達がライブマンの「大いなる力」を手に入れた直後、
バスコは続けざまにマスクマン、フラッシュマン、そしてチェンジマンの「大いなる力」を奪ってしまったのでした。

この一連の「大いなる力」強奪作戦は、バスコの作戦が慎重を極めていたため、
バスコの動きに注意していたはずのアカレッド思念体や「この星の意思」、そしてスーパー戦隊側の方でも
予想することが出来ず、まんまと3戦隊の「大いなる力」はバスコに奪われてしまいました。
もちろんマーベラス達もこの重大事態に気付いていません。

そもそも、このチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3戦隊は
どうしてマーベラス一味に早めに「大いなる力」を渡していなかったのか?
黒十字王との戦いの際にはおそらく34戦隊全てが、メンバーの誰かはマーベラス達の戦いを見守り、
スーパー戦隊共通の敵である黒十字王を倒すために力を貸したはずであり、
この段階でマーベラス一味に対して悪い感情を持つスーパー戦隊はひとまずいなくなっていたはずです。
それなのにどうしてこの3戦隊はゴレンジャーなどの10戦隊のように
レンジャーキー空間で顔を出してマーベラス達に「大いなる力」を渡さなかったのか?

この黒十字王との戦いの時点でマーベラス達に「大いなる力」を渡すことを保留した戦隊は、
バトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ライブマン、
ファイブマン、ジェットマン、カクレンジャー、オーレンジャー、メガレンジャー、ギンガマン、
ゴーゴーファイブ、ハリケンジャーの14戦隊でした。

このうち、ギンガマン、ゴーゴーファイブ、ハリケンジャー、ジェットマン、ライブマンの5戦隊は、
それぞれ独自の理由で、すぐにマーベラス達に「大いなる力」を渡すことは躊躇していましたが、
結局はマーベラス一味と接して、彼らがザンギャックを倒して宇宙を平和にする可能性に
賭ける気になったということはここまで描写されてきました。

そうなると残るは9戦隊なのですが、
このうちギンガマンなどと同様にそれぞれ独自の理由で「大いなる力」の譲渡を保留しているのは
カクレンジャーとメガレンジャーだけであり、
残りのバトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、
ファイブマン、オーレンジャーの7戦隊は同一歩調をとって連携していました。

もともとは34のスーパー戦隊は35番目のスーパー戦隊に「宇宙最大のお宝」を使って
「ザンギャックのいない平和な宇宙」への作り直しをさせようとしていました。
しかし35番目のスーパー戦隊として地球に現れたのが
宇宙海賊のマーベラス一味であったために一時期混乱が生じましたが、
次第にスーパー戦隊はマーベラス一味を35番目のスーパー戦隊として認めていくようになりました。

ただ、その過程で多くの戦隊が、
もともとはマーベラス達のやるべきことを「宇宙の作り直し」と定めていたはずなのに、
心変わりして、マーベラス達がザンギャックと戦って平和な宇宙を作る可能性に賭けるようになっていきました。
バトルフィーバー隊以下の7戦隊は、この傾向を危惧するグループであったのです。

バトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、マスクマン、オーレンジャーは
それぞれ軍事組織をバックに持つ戦隊であり、
フラッシュマン、ファイブマンは宇宙の事情によく通じている戦隊です。
それゆえ、この7戦隊は意見交換をした結果、
マーベラス一味をスーパー戦隊の意思を受け継ぐ35番目の戦隊として認めるのは吝かではないが、
ザンギャック帝国の軍事力はレジェンド大戦時の想像を更に超えるほど強大なものと推定され、
いくら34戦隊の力をマーベラス一味のもとに集めたとしても戦って打ち破れるようなものではないと考えました。

だから、この7戦隊はゴレンジャー以下の多くの戦隊がマーベラス一味に賭けようとしていることを危険視し、
やはりお宝を使っての宇宙の作り直ししか地球や宇宙をザンギャックから守る方法は無いと考えましたが、
現状の流れではどうもそっちの方向に事態が進みそうにない。
そこで7戦隊は自分達の「大いなる力」を安易にマーベラス達に渡してしまわずに、
マーベラス達が欲しいと言ってきた時に、マーベラス達に「宇宙の作り直し」をさせるように
説得するためのカードとして保持しておくことにしたのでした。
「大いなる力」は渡すから、その代わりに宇宙の作り直しをするようにというわけです。

ただ、そのためにはこの7戦隊は「この星の意思」やアカレッドの言っていたような
「大いなる力」譲渡の際のルールに縛られることなく、
自分の意思で自在に「大いなる力」を相手に渡したり渡さなかったり出来るようになっておく必要がありました。

これについてはもともと体内のエネルギーのコントロールの専門家であったマスクマンにおいては、
昔「大いなる力」が体内に生じた時からそのコントロールは試みられており、
相手に受け取る意思さえあれば、別に精神性の一致が完全でなくても、
自分の意思で「大いなる力」を渡すことが出来る技が一応は確立されており、
7戦隊ではこの技術も急ぎ修得されていました。

そうして7戦隊はマーベラス一味の動向を監視しながら、
マーベラス一味が自分達の「大いなる力」を求めてやって来るのを待っていたのですが、
そうしているといきなりチェンジマン、フラッシュマン、マスクマンが続けざまにバスコに襲われて
「大いなる力」を奪われてしまったのでした。

7戦隊はこれで動揺しました。
「大いなる力」が34個揃わなければ「宇宙最大のお宝」を手に入れることは出来ないわけですから、
バスコが3戦隊の「大いなる力」を手に入れてしまったことによって、
マーベラス一味に宇宙の作り直しをさせるという7戦隊の計画が暗礁に乗り上げてしまったからです。

まぁバスコも3戦隊分だけ「大いなる力」を持っていても仕方ないわけで、
バスコがいずれマーベラス一味の持つ「大いなる力」も狙うことになることも7戦隊には予想はつき、
バスコに怪人態があることを知らない7戦隊は
バスコとマーベラス一味が戦えばマーベラス一味の方が勝つだろうと予想していました。

だから、全部の「大いなる力」をバスコに奪われてしまうという心配はあまりしていませんでしたが、
もしバスコが7戦隊の「大いなる力」を全部奪ってしまい、
そのバスコからマーベラス一味が「大いなる力」を奪うという展開になってしまうと、
7戦隊がマーベラス一味に宇宙の作り直しをするようにと取引を持ちかけることが出来なくなってしまいます。
だから、残り4戦隊の「大いなる力」は絶対にバスコに奪われるわけにはいきません。

バトルフィーバー隊やサンバルカンなどは警戒をより厳重にすれば大丈夫だという姿勢でしたが、
19番目のスーパー戦隊のオーレンジャーの元オーレッド、現在は国際空軍の司令官になっている星野吾郎は
3戦隊を襲ったバスコの鮮やかな手口を警戒し、
守りに入っていてはいずれ「大いなる力」を奪われると判断し、
思い切ってこちらから仕掛けてバスコを罠に嵌めて始末し、3戦隊の「大いなる力」も奪還しようと考えました。

そして吾郎はバスコの乗艦フリージョーカーを探し出し、そこに向けてメッセージを送り、
ザンギャック軍の旗艦ギガントホースの位置を教えてくれれば
オーレンジャーの「大いなる力」を渡すという取引をバスコに持ちかけたのでした。
本当は吾郎はギガントホースの位置情報などどうでもよく、
国際空軍がザンギャック攻撃のためにバスコから情報を引き出そうとしているという風を装って、
オーレンジャーの「大いなる力」で釣ってバスコをおびき出す作戦でした。

バスコは当初の予定では3戦隊の「大いなる力」さえ手に入れば後はずっと隠れて
マーベラス達が残りの「大いなる力」を集めるのを待つつもりであったのですが、
吾郎によってオーレンジャーの「大いなる力」を目の前にぶら下げられて、この罠に引っ掛かりました。

バスコはギガントホースの位置情報を渡すと見せかけて偽情報を用意して、
取引場所には吾郎が単独で来るよう指定しました。
そうして1人で現れた吾郎から「大いなる力」を奪おうとバスコは企んだのでした。
しかし吾郎もバスコがそうするであろうことは読んでおり、
取引場所には自分も巻き添えにしてでもバスコを仕留めるためのトラップを仕掛けていました。
そうとは知らずにバスコは取引に応じたのでした。

しかし、この吾郎の危険な作戦は34戦隊を見守っていたアカレッド思念体の察知するところとなり、
アカレッドはナビィにオーレンジャーに関するイメージを送り、
それを見たナビィは国際空軍の略称をローマ字読みした「うあおー」というナビゲートを
マーベラス達に報せました。

だが吾郎はアカレッドがマーベラス達に情報を送って自分の動きを察知させようとするだろうことは見越して
先手を打っていました。
部下の元オーピンクの丸尾桃をガレオンの近くに派遣して、
わざとマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡すと言って接触させて、
吾郎とバスコの対決が終わるまでマーベラス達を桃と一緒にガレオンに足止めさせておくという
手を打っておいたのです。

ただ、この桃のガレオンへの派遣はマーベラス達の足止めだけが目的ではなく、
もし吾郎の作戦が失敗して、作戦開始後、一定時間が経過しても吾郎が普通の手段で
バスコを倒すことが出来なかった場合、吾郎が自力でバスコを倒すことは断念し、
桃がマーベラス達に「大いなる力」を渡し、
その後、吾郎がトラップを発動させて自分もろともバスコを始末するという奥の手のための布石でもありました。
そのために体内の「大いなる力」のコントロールに長けた桃をマーベラス達のもとに足止め要員として送ったのです。

しかし、普通に考えれば吾郎とマーベラス達が協力してバスコと戦った方がバスコを倒せる確率は高そうです。
それに比べて吾郎が1人でバスコに立ち向かうのはリスクが高すぎる。
確かに吾郎1人で取引場所に行かなければバスコは姿を現さないであろうから、
単独で取引場所に行く必要があるのは仕方ないが、
それにしても事前にマーベラス一味に作戦を報せておいた方が何かと安心なはずです。

なのに、マーベラス達までも欺いて、
こうまでして吾郎が自分1人の手でバスコから「大いなる力」を奪還しようとすることにこだわるのは、
あくまで自分の手に「大いなる力」を確保して、
マーベラス達と取引して宇宙の作り直しをさせるための切り札を確保したいからでした。

ただ、それでも万が一の時のための保険、いや、バスコが油断ならない相手であることを考えると、
かなりの確率で使う羽目になるであろう保険として、
吾郎は桃を使ってバスコに奪われる前にマーベラス達に無条件で「大いなる力」を渡すという手を講じています。

それは吾郎がマーベラス達が宇宙海賊といっても決して戦いを好む連中ではなく
平和を好む連中だと最後の最後の部分では信じているからでした。
だからきっと「大いなる力」を集めて「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、
マーベラス達はザンギャック相手の勝ち目の薄い戦いで無駄な血を流すのではなく、
宇宙を作り直して平和な宇宙を実現してくれるはずだと吾郎は信じようと思い、
もちろん条件付きで交渉して宇宙の作り直しをさせるのがベストなのだが、
最悪の場合はマーベラス達に無条件でオーレンジャーの「大いなる力」を渡してもいいという決意を固めたのでした。

このマーベラス達を最後の一線では信じることによって保険を用意する決意が固まったからこそ、
吾郎はこの危険に満ちた作戦に踏み切ることが出来たといえます。
しかし桃は宇宙海賊というものが吾郎が期待するほど、そんなに物分りがいいものだとはどうも思えませんでした。
そして本当は吾郎も本心からマーベラス達のことを信じてこの作戦に踏み切ったのではなく、
単に吾郎が意地になって危険な作戦に突き進んでいるのではないかと思えて、桃はどうも不安でありました。

一方マーベラス達は「うあおー」というオーレンジャーに関連するナビゲートの後に出会った
元オーピンクの桃が「大いなる力を渡す」と言うのを聞いて、
桃こそがナビゲートの指し示した相手だと思い込み、桃をガレオンに迎えて歓待しますが、
なかなか「大いなる力」を渡そうとせず、やたらコソコソと腕時計で時間を気にしている桃の様子を不審に思い、
何か隠し事があるのではないかと桃を問い詰めます。

すると桃は、吾郎からの連絡が入らなければ吾郎がバスコを自力で始末出来なかったと見なして
マーベラス達に「大いなる力」を渡す刻限が迫っていたので、
正直にマーベラス達に作戦内容を打ち明けました。

それを聞いてマーベラス達は驚愕しました。
バスコが既に「大いなる力」を3つ奪っていたということも衝撃でしたが、
元オーレッドの吾郎がそんな命懸けの作戦を立ててまでして
他の戦隊の「大いなる力」を奪い返さねばならないと思っていることも意外だったのです。

マーベラス達のこれまで見たところ、他の戦隊は割と気軽にマーベラス達に「大いなる力」を渡しており、
本人たちは「宇宙最大のお宝」を手に入れようなどとは考えていないように見えていたので、
スーパー戦隊にとっては「大いなる力」というのはあまり執着するようなものではないのかとも
マーベラス達は思っていました。
しかし吾郎は「大いなる力」に異常に執着しているように見える。
それがマーベラス達には他の戦隊の戦士たちとは違っているように見えて、不思議だったのでした。

しかも吾郎はそんなに執着している「大いなる力」を、
イザという時には自分達に渡せるという布石を打つことで危険な作戦に踏み切っているのだというのだから、
マーベラス達にはますますよく分かりませんでした。
どうしてそんなに大事な「大いなる力」を自分達に託そうとするのか、謎だったのです。

マーベラス達は「大いなる力」を集めて「宇宙最大のお宝」という財宝を手に入れようとしているだけの、
吾郎のような高潔な自己犠牲精神で行動するようなヒーローから見れば卑しい海賊に過ぎないはずです。
そんな自分達にどうして吾郎のような立派なヒーローがわざわざ「大いなる力」を託そうとするのか?
いったい「大いなる力」とは何なのか?
その「大いなる力」を集めれば手に入るという「宇宙最大のお宝」とは何なのか?
マーベラス達は混乱し、どうしてお宝目当ての海賊に過ぎない自分達のことをそんなに信用するのかと、
桃に尋ねました。

桃も本当はどうして吾郎がそこまでマーベラス達を信用するのか、
いや、信用しようとしているのかよく分からないのですが、
とにかく海賊というのはそう名乗っているだけであり、
マーベラス一味は本当は平和を愛する戦隊なのだと吾郎は信じているのだと答えました。

そうした問答をしている間にタイムリミットが来て、
吾郎の「大いなる力」奪還作戦は失敗し、逆に吾郎がバスコに追い詰められつつある状況と断定し、
吾郎がバスコに奪われる前に桃はマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡そうとします。

ところがマーベラスはこれを拒否してしまいます。
驚く桃に向かいマーベラスは「俺たちは海賊だ!欲しいものはこの手で掴み取る」と言い、
今すぐ吾郎の居る場所に連れて行くよう要請したのでした。

マーベラス達は桃に「海賊と名乗っているだけ」と言われ、
吾郎が命懸けで奪還しようとしている「大いなる力」を
自分達は何もせずに施しのように渡されようとしていることに、言い知れぬ不快感を覚えたのでした。
それは夢を自分の手で掴み取る旅を続けてきた自分達の海賊としての誇りをコケにされて
踏み躙られたような気分だったのです。

自分達は海賊と名乗っているだけではない。
本物の海賊であることに誇りを持っているのであり、
本物の海賊は欲しいものは自分の手で高み取りに行くのであって、
こんな施しのように受け取るべきではない。
吾郎が命を賭けて戦っている場所に自分達も行ってバスコと奪い合いをして、
オーレンジャーだけではなく他の戦隊の「大いなる力」も奪い取る。
マーベラス達はそのように心を決めたのでした。

桃はマーベラス達の物分りの悪さとつまらない意地にこだわる強情さに呆れ、
やはり海賊は信用できないと思い、思い通りに動かすことが難しいことを痛感しましたが、
このマーベラス達の強情さが吾郎の強情さに似ているような気がして、
そもそも自分や吾郎がマーベラス達を思い通りに動かそうとしたこと自体が間違いだったような気がして、
妙にスッキリした気分でマーベラス達の求めに応じて吾郎とバスコの取引場所へ案内しました。

その取引場所では案の定、バスコの持ってきた情報は偽情報であり、
バスコは吾郎から「大いなる力」を奪おうとラッパラッターを構えますが、
吾郎は仕掛けていた爆弾でバスコを吹き飛ばそうとします。
罠に嵌められたことに気付いて慌ててこれを間一髪かわしたバスコが反撃に転じ、
追い詰められた吾郎は必死に凌ぎきり、桃がマーベラス達に「大いなる力」を渡した頃を見計らい、
建物全体を吹っ飛ばしてバスコを道連れにしようと、仕掛けておいた大量の爆弾の起爆スイッチを押しますが、
バスコは吾郎がまだ罠を仕掛けていると読んで、忍ばせておいた召喚戦士に建物中の爆弾を既に解除させており、
間一髪のタイミングで吾郎の企みを不発に終わらせ、
吾郎に向けてラッパラッターを向けて「大いなる力」を吸い出しにかかります。

吾郎はこの最悪の展開をも予想して桃を使ってマーベラス達に「大いなる力」を渡しておく手を打っていたのですが、
どういうわけか自分の身体から「大いなる力」がラッパラッターによって吸い出されようとするのを感じて、
驚愕します。

そこに間一髪マーベラス達が登場してバスコの吸い出し作業を妨害し、
驚いて「どうして来た?」と問い質す吾郎に向かって
マーベラスは「俺たちは海賊だ!アンタの思い通りに動くと思うなよ!好きにやらせてもらう」と答えたのでした。
そして唖然とする吾郎の傍らに桃もやって来て、彼らの思い通りにさせてやりましょうと口添えします。

それを聞いて、吾郎はマーベラス達はあくまで欲しいものを自分の手で掴むことにこだわる海賊なのであり、
こんな連中を作戦の中で自分の思い通りに駒のように動かすことは無理だったのだと悟りました。
そして、それはマーベラス達がもし宇宙平和を望んだとしても、
それは自分の手で戦って掴み取ることにこだわるはずであり、
お宝を使ってもたらされる宇宙平和を受け入れるはずもないということでもありました。

そんなマーベラス達を相手に「大いなる力」を使って取引をして思い通りに動かそうなど、
そもそも無理だったのだと吾郎は気付きました。
そう考えると、これまで一生懸命にマーベラス達を宇宙の作り直しをしてくれるものだと
信用しようとしてきたことが全てバカバカしく思えてきて、
そもそも本当は自分はマーベラス達のことなど信じてはいなかったのだと吾郎には思えてきました。

こんな作戦、保険のはずのマーベラス達がまともにコントロール出来ない以上、失敗するのは明白でした。
そして、そのことも自分は分かっていたはずだと吾郎が思いました。
ならば何故、こんな危険な作戦に自分は踏み切ったのか?
それは本当は自分も、自分の手で「大いなる力」をバスコから奪い返してやりたかっただけだったのです。
欲しいものは自分の手で掴み取ってやりたいという、つまらない意地が吾郎にもあったのです。

でも、それがオーレンジャーの意地であり、スーパー戦隊の意地なのです。
「強大な敵に好きなようにされてたまるか」という意地があり、
戦ってやっつけてやりたい、奪われたものを奪い返してやりたい、
そういうシンプルな意地が吾郎にもあっただけのことでした。
それと同じ意地を宇宙海賊のマーベラス達も持っている。

そのことに気付いた吾郎は、自分が本当に望んでいることは、お宝を使っての宇宙の作り直しではなく、
戦ってザンギャックを倒して宇宙を平和にすることであり、
それがきっとマーベラス達が選ぶ道と同じなのだと悟りました。
それが決して成功の可能性が高くないことは吾郎には分かっていましたが、
それでもマーベラス達はおそらくその道を行くのであり、それは自分には止めることは出来そうにないし、
自分も本心ではその道を望んでいることを吾郎は知ってしまった。
ならば、いっそマーベラス達に賭けてみようと吾郎は決意しました。
そうして吾郎は、「ゴーカイジャー、後は任したぞ」と言って、
晴れて正式な方法でマーベラス達にオーレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、バスコの方はオーレンジャーの「大いなる力」を欲張ったために吾郎の罠に嵌りかけ、
しかもマーベラス達まで現れて追い詰められた形になったので不愉快な気分になり、
番外戦士の召喚体を残り9人全員繰り出してマーベラス達と戦わせますが、
怒りに燃えるマーベラス達によって召喚戦士は全員撃破されてしまい、
番外戦士のレンジャーキーもマーベラス達に全部奪われてしまいました。
これでマーベラス達は34戦隊分、192個のレンジャーキーを全て手に入れたことになります。

しかしバスコはもともと3戦隊の「大いなる力」を手に入れた段階で、
後はもうマーベラス達が残りの戦隊の「大いなる力」を集めるのを待つだけのつもりでしたので、
もはや手駒の召喚戦士も不要だったのです。
バスコはゴーカイジャーの実力は見極めていたので、自分が変身して戦えば1人でも楽勝だと思っていましたから、
別に召喚戦士はもう不要でした。

むしろマーベラス達の「大いなる力」集めをスムーズに進めさせるために
レンジャーキーは全部渡してしまってもいいとすら思っていました。
どうせ後でまた全部ごっそり奪い返すのですから、今は預けておけばいいという程度の認識であったといえます。
だからバスコはレンジャーキーを奪われること自体は別に悔しくはなかった。

しかし、それでもみすみすこんなスーパー戦隊の仕掛けた罠に嵌って追い詰められた形で
レンジャーキーを渡す形になったことはバスコにとって面白いことではありませんでした。
しかもバスコはマーベラス達と吾郎たちの遣り取りを聞いて、
どうやらスーパー戦隊の連中はレンジャーキーや「大いなる力」を「宇宙最大のお宝」を手に入れるためではなく、
地球を守る戦いで使うつもりなのだと解釈し、不愉快に思いました。

バスコが「赤き海賊団」時代、「宇宙最大のお宝」を手に入れるためのアイテムだと信じて
集めていたレンジャーキーを、アカレッドやスーパー戦隊は全然違う用途のためのアイテムだと見なして
自分達を騙してコキ使っていたのだと思うと、バスコは腹が立ってきました。

それで、いつもならロイドでも出してさっさと逃げるところなのに、
ついバスコは自分を追い詰めたマーベラス達にイラついて、怪人態に変身して、
初めてバスコの怪人態を見て驚くマーベラス達6人全員を一瞬でぶちのめしてしまったのでした。

しかしバスコはマーベラス達に残りの「大いなる力」を全部集めさせてからゴッソリ頂く計画でしたから、
ここでマーベラス達を殺してしまうわけにはいきません。
かといって、完全に足元にグロッキー状態で転がるマーベラス達6人を
怪人態にまでなっておいて見逃すとなると、
この様子をおそらく監視しているであろうダマラスに不信を決定的に買ってしまいます。

これは困ったことになったと思ったバスコでしたが、
結局、マーベラス達を殺すことは出来ず、
倒れたままのマーベラスに奪った3つの「大いなる力」を見せびらかして、
そうして焦らせることで早く残りの「大いなる力」を集めさせるようにけしかけておいて、
その場を去ることにしました。

これで、ここまで適当に誤魔化し続けてきた「マーベラス一味を抹殺してほしい」というダマラスからの依頼は
完全に無視した形になり、バスコは裏切り者としてダマラスから追われる立場となってしまいました。
せっかくお宝を手に入れようかとしている時にダマラスに殺されてしまうわけにはいかないと思ったバスコは、
ダマラスが自由に動けない身とはいえ、私掠許可を取り消して追手を差し向けてくる可能性も考慮し、
マーベラス達が残りの5つの「大いなる力」を集めきる頃までしばらく地球を離れることにしたのでした。

さてマーベラス一味の方はバスコに完敗してしまったが、
何故かバスコは自分達を殺さずに「大いなる力」を集めるよう激励までして去っていったことを不審に思いました。
しかしとにかくバスコが3つ「大いなる力」を握った状態でバスコに勝算が無いままではお話にならないので、
ゴーカイジャーのバスコ怪人態に勝つためのパワーアップを図らねばならないと思い、
バスコによって腕に重傷を負わされた鎧を除く5人は各自、特訓を始めたりしますが、
ハカセは新しい強力な武器を開発し始めます。

一方、バスコ怪人態の圧倒的な強さを見た吾郎は、
仲間の力を合わせると良いというアドバイスをし、
オーレンジャーの大いなる力を使えばいいと言い残して、マーベラス達と別れました。

そうして第32話はハカセによる新武器開発を中心にお話が進みますが、
一方で、やはりギガントホースからバスコとマーベラス達の戦いを観察していたダマラスは、
バスコが怪人態となってマーベラス達をぶちのめしながらトドメを刺さずに立ち去ったのを見て、
バスコが自分の依頼を履行する気が無いことを悟ります。

バスコに対して怒りを募らせたダマラスでしたが、
まだバスコに利用価値はあると思い、追手を差し向けるようなことはせず、
一応は手駒として温存はしておくことにしました。
しかし、とにかく目障りなマーベラス一味の抹殺に関しては
バスコはもはや全く頼みにはならないことが分かったので、
ダマラスはこれまでバスコに期待して時間を空費したことを悔やみ、
邪魔なマーベラス一味をとにかく早く片付けなければいけないと焦り、
ワルズ・ギルに直談判して自分の配下の最強の行動隊長であるシールドンを
マーベラス一味の抹殺のための刺客として地上に送り込みました。

ハカセは初めての新兵器開発で失敗を繰り返して自信を失いかけますが、
たまたま知り合ったサッカー少年が自信が無くてもコツコツ1人で練習して
レギュラー目指して頑張る姿を自分に重ね合せて頑張り
試作品の強化ゴーカイガンを完成させます。

しかしいきなり襲ってきたシールドンとの戦いでハカセは強化ゴーカイガンを使ってみたものの、
シールドンのザンギャック最強の盾には通用せず、せっかくの試作品は壊れてしまい、
マーベラス達はシールドンから一旦逃げて、なんとかその盾を破る強力な武器を用意する必要に迫られます。
しかしハカセはすっかり自信喪失し、
しかも試作品が壊れてしまったために新武器を作るための材料が無くなってしまい途方に暮れます。

そんな時、例のサッカー少年の練習場に立ち寄ったハカセは
少年が結局レギュラーは取れず、努力するのを諦めかけているのを見て、
自分と重ね合せて励まして一緒に練習したところ、少年は自分でも驚くほど上手にプレー出来ました。

少年は自分が下手なので皆と一緒の練習にはついていけないと思っており、
皆に追いつくために1人で努力しなければいけないと思い込んでいたのですが、
実際は仲間と一緒に頑張ることによって実力以上の力を出すことが出来るものだということを
ハカセとの練習で初めて知ったのでした。
つまりサッカーのようなチームでやるスポーツは個々人の実力だけで戦うのではなく、
仲間で一緒に頑張ることによって各自の力を増幅させた、より大きな力を合わせて戦うものなのです。

そのことに気付いたという少年の言葉を聞き、
ハカセも、自分もマーベラス一味に入ってまだ戦う自信があまり無かった頃は
「仲間の力が1つになれば、より大きな力になる」と思うことで自分の実力の限界を超えた力を出して、
仲間と一緒に戦いながら少しずつ戦えるようになっていったのだということを思い出し、
マーベラス一味というのはもともと仲間の力を合わせて大きな力を生み出してきたのだと悟り、
1人でコツコツやるのではなく、仲間の力を借りて新武器を作ることを決意しました。

それでハカセは勇気を出して、皆に新武器を作る作業のために武器を貸してほしいと頼みます。
しかし武器をハカセに貸してしまったら、
マーベラス達はシールドンが襲ってきたら武器無しで戦わねばならなくなります。
だが、それでもマーベラス達はハカセが仲間の力を頼ってくれた信頼に応えるためにハカセを信頼し、
ハカセに武器を差し出します。

そうしてハカセが新武器を作っている最中にシールドンがガレオンを襲ってきたので、
マーベラス達はハカセが新武器を完成させることを信じてシールドンと武器無しで戦って時間を稼ぎ、
その間にハカセは新武器の最後の仕上げに取り掛かりますが、最後の決め手が見つかりません。

その時、怪我のためガレオンに残ってハカセを手伝っていた鎧が
何気なく新武器の形がオーレンジャーのオーレバズーカに似ていると言ったのを聞いたハカセは
元オーレッドの星野吾郎がパワーアップのために「仲間の力を合わせること」と、
「オーレンジャーの大いなる力を使うこと」をアドバイスしてくれたことを思い出し、
吾郎の言っていた「仲間の力」がゴーカイジャー6人のことだけを指すのではなく、
34のスーパー戦隊の大いなる力も含めたものだと気付きます。

そうしてオーレンジャーのレンジャーキーを使って、
貰ったばかりのオーレンジャーの「大いなる力」を新武器に注ぎ込むと、
新武器はゴーカイガレオンバスターという強力な武器として完成したのでした。

ハカセはすぐにこのゴーカイガレオンバスターを持って戦いの場に駆けつけ、
マーベラス達はゴーカイガレオンバスターの放ったライジングストライクで
シールドンのザンギャック最強の装甲を貫き、シールドンを倒し、
これを見てワルズ・ギルやダマラスたち、ザンギャック軍の首脳たちは驚愕し、
マーベラス一味に対する警戒感をますます高めるのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 12:10 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月21日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その16

オーレンジャーの「大いなる力」を巡って、バスコと4回目の戦いを繰り広げたマーベラス達は、
オーレンジャーの「大いなる力」を獲得し、バスコの持つ残り残り9個のレンジャーキーも全て奪い、
全部のレンジャーキーを揃えました。
そして後はバスコを倒して、奪われた3つの「大いなる力」をゲットしようとするところまでこぎつけますが、
ここで予想もしていなかったバスコの怪人態の圧倒的な戦闘力によって、
マーベラス達は逆襲を受けて完敗してしまいます。
そのままバスコは3つの「大いなる力」を持ったまま立ち去り、
マーベラス達はバスコが自分達にトドメを刺さなかったことを不可解に思います。

バスコは自分の奪った3つ以外の残りの31個の「大いなる力」をマーベラス達に集めさせてから、
レンジャーキーやナビィやガレオンと共に奪おうと考えており、
マーベラス達も薄々はそうしたバスコの思惑には気付きました。
何にしてもバスコから3つの「大いなる力」を奪わねば「宇宙最大のお宝」は手に入れられないのであり、
バスコの怪人態と戦う力を求めたマーベラス一味は
ゴーカイガレオンバスターという新しい必殺武器を獲得したのでした。

ところが、せっかくマーベラス達がバスコと戦う態勢を整えたにもかかわらず、
バスコは姿を現さず、その行方は全く分かりません。
バスコは怪人態になりながらマーベラス達にトドメを刺さなかったためにダマラスの依頼を反故にしたことになり、
ダマラスに捕まえられて制裁を受けることを恐れて、一旦地球を離れていたのですが、
マーベラス達はそんなことは知りません。

ただ、何にしてもマーベラス達が残りの「大いなる力」を手に入れないことには
バスコは姿を現さない可能性が高いということは、マーベラス達にも想像はつきました。
ならばマーベラス達は早く残りの「大いなる力」を揃えたいところです。
残る「大いなる力」はバトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマン、
カクレンジャー、メガレンジャーの5つです。

ところが、ナビィにお宝ナビゲートのビジョンを送っているのは「この星の意思」かアカレッドなのですが、
両者ともバスコに「大いなる力」を3つ奪われてしまったことの方を重大視して、
地上や地球上空でバスコの行方を探すことを優先しました。

それでもバスコが見つからないので、「この星の意思」やアカレッドは、
バスコがマーベラス達が「大いなる力」を残り全部揃えるのを待っているということは読み切っていましたから、
逆にマーベラス達にお宝ナビゲートのビジョンを送ることはしばらく止めて、
マーベラス達の「大いなる力」集めを進めないようにしました。
そうすればバスコが焦って姿を現すのではないかと考えたのです。

結局バスコは秘かに地球外に逃げていたので、
マーベラス達の「大いなる力」獲得状況をさしあたり把握することもなく、
バスコが焦って姿を現すことはなかったわけですが、
そういうわけで、ここからしばらくの間、マーベラス一味にはお宝ナビゲートのお告げが下されることがなく、
「大いなる力」探しは進まない状況となったのでした。

ただ、それでもマーベラス達は退屈しているヒマはありませんでした。
ザンギャックによる地球侵略の策謀は相変わらず盛んで、
マーベラス達はそれに対抗して戦う日々を送っていたからです。
そしてまた、マーベラス一味を討とうとするザンギャックの作戦や、更には意外な別の敵が現れたりして、
マーベラス達の戦いは続き、その戦いの中で、既に「大いなる力」を貰った戦隊の戦士たちともまた出会ったりして、
マーベラス達は戦う意義を再確認していき、そうこうしているうちに遂に戦いは佳境に入っていきます。

まず第33話では、バスコに重傷を負わされた腕の怪我を治すために
変身して戦うことをしばらく禁じられていた鎧が、ようやく怪我が治って戦線復帰して、
やっと仲間と一緒にヒーローとして戦えると大喜びしていたところ、
地球上の食べ物を食い尽くすという作戦のために出現した何でも呑み込んでしまうザンギャック怪人によって
変身アイテムのゴーカイセルラーを呑み込まれてしまい、再び変身出来なくなってしまい落胆します。

マーベラス達5人は怪人があちこちに姿を現して喰い物屋を襲っているのを追いかけ回して
鎧のゴーカイセルラーも取り返そうとしますが、
怪人が巧妙に逃げ回り、なかなか捕まえきれません。
そんな中、もう二度とゴーカイシルバーになれないかもしれないと落ち込んだ鎧は外でうろついていたところ、
17番目のスーパー戦隊のダイレンジャーの元リュウレンジャーの天火星・亮に偶然出会います。

亮は黒十字王との戦いの時にマーベラス達にダイレンジャーの「大いなる力」は既に渡しており、
マーベラス達が最終的には「宇宙最大のお宝」を手に入れても、
それを使っての宇宙を作り直して悪の存在しない世界を作るという道は選ばず、
あくまでザンギャックと戦って宇宙の善悪の均衡をとって
宇宙を安定した状態としてくれるものだと期待していました。

ダイレンジャーの考え方は、悪は滅ぼすことは出来ず、
善と悪が永遠に戦い合うことで均衡をとることによって世界は安定するというものなのです。
亮は強大な黒十字王の軍団に立ち向かって戦うマーベラス達の姿を見て、
マーベラス達ならば、ダイレンジャーの精神を受け継いで、
どんな不利な状況でもあくまで宇宙の悪と戦い続けてくれると期待したのでした。

ただ、黒十字王との戦いの時点では鎧はまだマーベラス一味に加わっていなかったので、
亮は鎧とは初対面でしたが、
黒十字王との戦いの後、地球人が1人、マーベラス一味に加わったという噂は亮も聞いていました。

鎧は亮の顔を見て元リュウレンジャーだと気付いて驚きゴーカイシルバーと名乗り、
亮はそれを聞いて鎧が噂の地球人海賊だと知り、
何故か異常に元気の無い鎧を心配して、自分の中華料理店に連れていきました。

そこで鎧が変身アイテムを無くして落ち込んでいることを聞いて、
亮は元気づけようとして「世界一を目指している」という自慢の餃子を勧めます。
しかし鎧は餃子を食べる元気も無く、変身出来なければヒーローになれないと言って嘆きます。
その様子を見て、亮は鎧がヒーローとして大切なものを見失っていることに気が付きました。

確かに変身出来なければザンギャックの怪人を倒すことは出来ない。
だからヒーローとして役に立たない。そのように鎧は考えていました。
しかしダイレンジャーの考え方では、この世に善がある限り、必ずバランスをとるために悪は生まれてくるのであり、
善が存在する限り、悪は永遠に滅ぼすことは出来ない。
だからヒーローは悪を根絶することは出来ず、悪との戦いには勝利は無く、永遠に続くのです。
だから悪を憎み、悪を倒すことがヒーローの存在意義だという鎧のような考え方では、
永遠に続く善と悪の戦いには耐えられません。

亮たちダイレンジャーも、かつて悪を憎み悪を倒す考え方に染まってしまい、
ダイレンジャーとして変身して戦う力を剥奪されたことがありました。
その時、亮たちは悪に打ち勝つ力を使って悪を倒すのではなく、
ただひたすら自分の大切な人々を守るために戦いたいと思い、変身できない状態で戦いました。
するとダイレンジャーとしての力が再び授けられたのです。

つまり、ヒーローにとって最も大切なのは、悪を倒すために戦うことではなく、
人々を守るために戦うことであったのです。
ヒーローの戦いが悪を永遠に根絶することの出来ない戦いである以上、
悪を倒すためではずっと戦い続けることは出来ないが、
人々を守るためならばずっと戦い続けることは出来ます。

真のヒーローとは力の有無は関係無く人々を守るために戦う者なのです。
人々を守るために戦う気持ちがあれば、悪を倒す力が無くてもヒーローなのであり、
悪を倒す力が無くても人々を守るためならば戦わなければヒーローではない。

しかし鎧は変身して戦う力が無ければヒーローではないと言いました。
それは人々を守るために勝利なき戦いを戦い続けることよりも、
ただ安直に悪を滅ぼすことがヒーローの務めだと勘違いしているということです。

そういう者が「宇宙最大のお宝」を手に入れて
「ザンギャックのいない平和な宇宙を作り直すことが出来る」と聞けばどうなるか?
おそらく安直に、ザンギャックさえいないことにしてしまえば
悪は無くなって平和な宇宙が作れると思ってしまうことでしょう。

しかし、どんな宇宙であろうと悪が根絶することはないし、平和が永遠に続くこともないのだと亮は思いました。
安直に悪を倒せば平和になると思って油断するならば、
あっという間に世界は悪に染まって平和は乱れて人々は苦しむことになるでしょう。
だから、人々を守る唯一の道は、ヒーローが人々を守るために苦しみの中で戦い続けることだけなのです。

「宇宙最大のお宝」を手に入れた時、マーベラス一味はその覚悟を試されることになる。
ザンギャックに支配された宇宙で苦しい戦いを続けてきたマーベラス達ならば、
そこで道を間違えることはないはずだと亮は見込んでいました。
しかし、地球で生まれて戦いの経験も乏しい鎧にはまだその覚悟がよく分かっていないように見えました。

いや、ゴーカイシルバーの力を授けられたほどの男ですから、
本来は人々を守るためにどんなに苦しい状況でも戦い続ける覚悟のある男なのであろうが、
やはり戦いの経験が乏しいため、まだ未熟であり、
変身アイテムを失うというアクシデントの中で自分を見失っているのだろうと、亮は理解しました。
まだ若い鎧には仕方ないこととも言えましたが、
それにしても今後マーベラス一味を待ち受ける重大な役割を考えると、
その鎧の未熟さはそのまま捨て置いて良いものとも思えませんでした。

それで亮は鎧にヒーローとして一番大切なことを教えようとしたのですが、
鎧はレジェンド大戦で変身して戦うことが出来なくなった亮に向かって
「変身出来なければヒーローでないなど」と言ってしまったことで狼狽してしまいます。
鎧は亮が変身出来なくなったことで今の自分と同じように辛い想いをしているのだと思い込んでいたのです。
そんな亮に向かって傷つけるようなことを言ってしまったと思った鎧は
慌てて逃げるようにその場を立ち去ってしまいました。

それでますます落ち込んだ鎧はガレオンに戻った後、すっかり自信喪失して
マーベラス達に卑屈な態度で接するようになり、マーベラスはそんな鎧に失望しました。
マーベラスは鎧が「ザンギャックを倒して宇宙を平和にする」というトンデモない夢を抱き、
それを実現するために変身できない生身のままザンギャックの怪人に挑んでいたのを見て
気に入って海賊の仲間に迎えたのです。

その鎧が変身が出来なくなったぐらいで卑屈な態度をとっているのを見て、
マーベラスはそんな程度の覚悟でザンギャックを倒すなどと言っていたのかと思い、
翌日、呆れて鎧に説教をしようとしますが、怪人がまた出現したという報せを受けて出動してしまいました。

鎧もまた街に出てふらついていると、たまたま商店街のバザー会場でまた亮と出会い、
昨日酷いことを言ってしまったので亮が怒っているのかと思っていたら、
亮が平気な顔で屋台で餃子を焼いているのを見て、
変身出来なくなったことで亮がヒーローとしてのプライドも無くしてしまったように見えて、
鎧は自分もそうなるのかと思い、苛立ちました。

それで亮に向かって鎧は餃子ばかり焼いて腑抜けになったのかと、なじります。
すると亮は自分はこの餃子を世界一にするのが夢だと言い、
その理由は、世界一の餃子は世界一の笑顔を作ることが出来るからだと言います。
亮の言葉の意味が分からない鎧に対して、亮は一番大切なことを忘れているんじゃないのかと尋ねます。

亮は鎧に、一番大切なことは人々を笑顔にすることなのだと諭したのでした。
しかし、亮が高い志で餃子を作っていることは理解した鎧でしたが、
それは亮が悪と戦うヒーローであることよりも、
人々を笑顔にする餃子職人であることを選んだということであり、
鎧はそれが自分の一番大切なことと何が関係があるのか分からず考え込みます。

すると、そこに突然、例の大食い怪人がゴーミンやスゴーミン達を引き連れて現れて
バザー会場の人々を襲い始め、鎧は自分は変身出来ないから戦えないと思い一瞬尻込みしますが、
目の前で襲われている人々を見て思わず飛び出してゴーミン達と戦い始めます。
それを見て安心したように亮も変身出来ない身でゴーミン達と戦い始め、
驚く鎧に向かって、変身出来なくなった自分は世界は救えないかもしれないが、
目の前の人々が襲われているのは見過ごさないと言い、
変身しないまま、リュウレンジャーの名乗りを披露し、
変身出来なくても、戦う力が無くても、人々を守るために戦う限り、
自分は昔と同じようにヒーローなのだということを示したのでした。

その亮の姿を見て、
鎧は亮が変身出来なくなってもヒーローとしての心と身体の鍛錬を怠っていなかったことに気付きました。
それを支えていたのは、亮が人々の笑顔を守ることこそがヒーローの一番大切な使命だという
信念を持っていたことであり、
世界一の餃子を作ろうとしているのも亮にとってはヒーローとしての使命の一環なのだと鎧は悟ったのでした。

つまり、亮が自分に忘れているのではないかと指摘していたことは
「ヒーローにとって一番大切なことは変身出来る出来ないに関係なく、人々を守るために戦うこと」であることに
鎧は気付いたのでした。
そして、自分がもともとゴーカイシルバーとなってマーベラス一味の入る前は、
変身出来ない状態でも人々を守るために命を張っていたことを思い出し、
何時の間にかその初心を忘れていたのだと気付き、愕然としました。

それで鎧は二度とそのことを忘れないという誓いの意味で、
亮に倣って生身でゴーカイシルバーの名乗りを披露し、
そのまま亮と一緒にゴーミンやスゴーミンと戦い、遂には行動隊長の怪人にも戦いを挑みますが、
さすがに大ピンチとなったところでマーベラス達が到着し、2人の危機を救いました。

マーベラスは鎧が生身で怪人と戦うのを見て、呆れると同時に、
鎧が元の自分が仲間にしたかった鎧に戻ったことが嬉しく、亮に礼を言い、
怪人の腹に攻撃を加えてゴーカイセルラーを吐き出させて、
鎧はゴーカイセルラーを取り戻すことが出来ました。
そして人々を守るためにゴーカイシルバーとして戦い続けることを改めて誓った鎧は変身し、
6人揃ったゴーカイジャーは怪人を倒してザンギャックの企みを打ち砕き、
亮は改めてゴーカイジャーならば宇宙の人々の真の平和を守るためにずっと悪と戦い続けてくれるはずだと
確信したのでした。

続く第34話では、まず8000億ザギンというトンデモない資産を有する
宇宙で有数の青年実業家であるカインという男がザンギャックと取引して地球に降り立ったところ、
ザンギャックに拘束されてしまいました。

実はカインはルカの幼馴染で、故郷の星のスラムでのかつての戦災孤児の仲間でした。
かつてルカとカインはそのスラムで一緒に酷い貧乏生活を送りながら力を合わせて、
同じスラムの戦災孤児の小さな子供たちを大勢養っていたのですが、
ザンギャックの迫害によってスラムの状況はどんどん酷くなっていき、
ルカは妹が病死した後、突然スラムを飛び出してしまい、二度と戻ってきませんでした。

その後、カインは苦労して商売を始め、必死に働いたカインの事業は次第に拡大して、
遂にはカインは膨大な資産家となりました。
そのカインはルカが何時の間にかマーベラス一味というお尋ね者の宇宙海賊の一員となっていることを知り、
ルカが地球という星に居ることも突き止めました。

そしてカインはルカと会うために地球までやって来たのですが、
地球のすぐ外の宇宙空間にはワルズ・ギル率いるザンギャック軍が監視網を敷いていますから、
ザンギャック軍に隠れて地球に入ろうとしても怪しまれてしまいます。
だからカインは別の用件で地球に行くように装ってザンギャック軍の手引きで地球に入ろうとしましたが、
ザンギャック軍の方ではインサーンがカインの素性を調べてルカの旧友であることを把握しており、
カインがマーベラス一味と関係していると疑い、地球に入って宇宙船を降りたところでカインを拘束して、
地球に来た真の目的を問い質したのでした。

するとカインは、自分の財産でルカの夢を叶えるために迎えに来たのだと言います。
つまりプロポーズに来たということです。
これを聞いてインサーンはルカとカインが恋仲なのだと思い、
カインを使ってマーベラス一味を始末する作戦を思いつきました。
そして相手の額と自分の額をぶつけて相手そっくりに化けることの出来る特殊能力を持った怪人を使って
カインに化けさせてルカに接触させたのでした。

ルカは地球に来て第6話の成金親子や第23話の巽マツリらとの出会いを通して、
自分がかつて故郷の星を飛び出したのは妹を助けられなかった苦しみから逃れるために
全てを貧乏のせいにして、金があれば全て解決すると考えるようになった結果であったことに気付いていました。
故郷を飛び出して金儲けをして戦災孤児を救おうという夢を実現しようとしたと言えば聞こえはいいが、
実際は救いようもない現実を直視することに耐えられなくなり、
貧乏なスラムで苦しむ孤児たちや、地道に頑張る仲間たちを捨てて逃げ出したのです。

それが無計画な単なる逃避に過ぎなかったことは、
その後のルカが真っ当な職に就くことも出来ず、盗賊に身を落としたことでも明らかです。
もちろんルカがザンギャック相手の盗賊となったのは、ザンギャックの悪行を許せないという、
それなりの正義感に基づいた勇気ある行動であったのは事実ですが、
星を買い取って戦災孤児の楽園を作るというルカの当初の夢への最短距離の道であったとは言えません。
だからルカが故郷の星から飛び出したのは浅はかな行動でした。
この第34話時点のルカはもうそのことに気付いていますから、
故郷に置き去りにしてきた仲間や孤児たちに申し訳ないという気持ちを抱いていました。

そんな時に突然、地球でカインに会ったのでルカは驚きます。
ルカはカインが大富豪になっていることは知りませんから、
ルカの夢を叶えるために迎えに来たというカインに対して、
故郷を裏切った自分なんかの夢に未だに協力してくれようとするカインの気持ちを嬉しく思いますが、
自分にはカインのなけなしの金を使わせるだけの資格は無いと思い、遠回しに断ろうとします。

ところがカインが8000億ザギンの資産を持っていると言うのでルカは驚きます。
そんな天文学的な金額を戦災孤児出身のカインが持っているという話には全くリアリティは無く、
ルカはカインが嘘をついていると思いますが、
カインは無意味な嘘をつくような男ではないので、
ルカはカインが何かトラブルに巻き込まれているのではないかと心配して、
カインに誘われるまま、ついて行ってしまいます。

本当はこのカインはザンギャック怪人の化けたカインで、
8000億ザギンの資産を有するカインがルカの夢を叶えるために地球にやって来たルカの婚約者だと
勘違いしているので、その話をそのまま言えばルカが大喜びでついて来ると考えていました。
そうしたら案の定ルカがついて来たのでカインに化けた怪人は作戦が上手くいったと思い、
本物のカインを監禁している倉庫にルカを連れ込むと、不意をついてルカを気絶させて縛り上げて、
今度はルカに化けました。

ルカはカインが何かトラブルを抱えているのではないかと心配はしていたものの、
まさかザンギャック怪人がカインに化けているとは予想しておらず、
あっさりと罠に嵌められてしまったのでした。
怪人の狙いはルカに化けてゴーカイガレオンに潜入してマーベラス一味を殲滅することであり、
いざという時のための人質としてルカは殺さずに監禁することにしたようです。

そうしてしばらくして目を覚ましたルカは倉庫内で一緒に縛られている本物のカインと再会し、
カインが大富豪になったという話は本当だったと知り、驚きました。
カインは故郷でルカと一緒に孤児たちの世話をしていた頃は優しいが気の弱い男であったので、
大金持ちに出世するようなタイプではありませんでした。

しかしカインは故郷の星でルカが「星を買い取って孤児たちが安心して暮らせる場所を作る」という
壮大な夢をどんなことをしても実現すると強く語る姿を見て勇気づけられて、
妹を亡くしたショックでルカがいなくなった後、
ルカの夢を実現できる男になってルカを迎えに行き、ルカを助けたいと発奮し、
必死で商売に励んで、遂に星を買うには十分な財産を築いたのだと言います。

そしてカインは一緒に星を買って孤児たちを引き取ってその星で安らかに暮らし、
あの時の夢を叶えようと言って、ルカにプロポーズしました。
カインはルカが本当は優しい子供の世話好きな女性だと知っていますから、
海賊などルカには似合わないと思っており、
海賊などさっさと辞めて、本来のルカの夢を叶えて子供たちに囲まれた平和な暮らしをしようと誘ったのでした。

ルカはカインの話を聞いて、
カインが決して自分のように現実から逃げずに夢に向かって真っすぐ進んできたのだと知り、
カインを立派だと思いました。
そして、自分は現実から逃避してカインを捨てて逃げ出したというのに、
カインは自分の傷ついた心を理解し、自分を救うために強くなって迎えに来てくれたのだと知り、
そのことを素直に嬉しく思い、カインの自分への想いを自分のような者には勿体ないぐらいだと思って、
素直にプロポーズを受けた方が良いのではないかとも思いました。

確かにカインについて行けば、故郷の星で絶対に叶えると誓った夢を叶えることが出来ます。
しかし、ルカはそれではダメなのだと思いとどまりました。
確かに自分は現実逃避をして故郷を飛び出したダメ人間だが、それでも夢を叶えたいという想いは偽りではなく、
挫折を繰り返して盗賊に身を落としても、決してその夢を見失うことはなかった。
そもそも無学で不器用なルカが失敗ばかり繰り返しても誰に頼ろうともせずに茨の道を歩き続けたのは、
自分の夢は自分の手で叶えなければ意味が無いと思っていたからです。
いや、そういう強いこだわりがあったからこそ、ルカはどんな苦境の中でも夢を見失うことがなかったといえます。

誰かに夢を叶えてもらおうと思った瞬間、ルカは夢を失い、
その相手に奉仕して歓心を買うことだけを目的とする人間に堕ちたことでしょう。
ルカはあくまで自分の夢を持ち続けたいと思ったから、
決して上手なやり方ではなかったが、自分の信じた道だけを自分の力で貫き通していたのです。

そして、そんな中でルカはマーベラス達に出会い、
宇宙全体と同じ価値を持つという「宇宙最大のお宝」の実在を信じて、
星を買って多くの戦災孤児を救いたいという夢は、
宇宙全体を買って宇宙全域の戦災孤児を救いたいという、より大きな夢に変わった。

今はその夢を自分の手で掴み取るために海賊を辞めるわけにはいかないし、
カインのプロポーズに応じてカインの財産に頼って夢を叶えることは出来ないのだと、
ルカはカインの誘いを断ったのでした。

そこにザンギャック怪人が戻ってきてルカとカインを殺そうとします。
ルカに化けてガレオンへの潜入に成功したザンギャック怪人は
深夜になって停泊中のガレオンに爆弾を仕掛けて船から地上に飛び降り、
起爆装置を押してガレオンを吹っ飛ばし、マーベラス達を始末した後、
倉庫に戻ってきて、用済みとなったルカとカインを殺そうとしたのでした。

怪人からマーベラス達は全員死んだと聞かされて放心状態となるルカでしたが、
そこに突然マーベラス達が現れてルカ達を救出します。
マーベラス達は怪人がルカに化けていることに気付き、計略に嵌ったフリをして爆破を偽装し、
逆に怪人の後をつけてルカを助けに来たのでした。

マーベラス達が生きていたことを知り、大喜びするルカを見て、
カインはそのルカの笑顔がかつて故郷の星で仲間たちと共にいた頃の笑顔と同じであることに気付き、
もはやその笑顔は自分に向けられてはおらず、マーベラス一味の仲間たちに向けられたものであることを悟ります。

そして、どうしてルカの夢が故郷に居た頃よりも遥かに大きなものに成長したのか、
その理由をカインは気づいたのでした。
それはマーベラス一味の仲間が単なるならず者の海賊なのではなく、
ルカにとって共に夢を掴むための旅の仲間だったからです。
共に夢を追う仲間の絆があれば、その仲間の各自の持つ夢は更に大きく成長するのだとカインは気付きました。

もちろんカイン自身もルカにとってのそういう仲間になり得た人材ですが、
運命の巡り合わせでカインとルカはすれ違い、
ルカはマーベラス達と夢を掴む仲間の絆で結ばれて、今は以前よりももっと大きな夢を追っている。
マーベラス達と一緒にいると、ルカは自分の手でその夢を掴むことが出来るが、
カインは自分の財産を使ってルカに夢は叶えてやることは出来るが、自分の手で夢を叶えさせてやることは出来ない。
しかもその夢はもはや今のルカの夢ではない。
今のルカの夢を自分の手で掴むことがルカにとって最高の幸福なのであり、
その幸福を実現出来るのは自分の財産ではなく、マーベラス一味という場だけなのだと悟ったカインは、
ルカの幸福を願って、身を引くことを決意したのでした。

そうしてザンギャック怪人を倒したルカにカインは別れを告げ、
今後はルカから引き継いだ夢を自分の夢として、
自分なりのやり方で、自分の手でより多くの宇宙の戦災孤児たちを救っていこうとカインは心に誓います。
そしてルカにマーベラス一味の仲間との出会いがルカの夢を大きく純粋にしたのだと伝え、
その夢が叶って宇宙に子供たちの笑顔が満ちる日を来ることを願うと言いました。

それに対してルカはカインの自分に向けてくれた誠意を無駄にしてしまった代わりに、
きっとその夢を叶えてみせるとカインに約束するのでした。
そしてカインを見送った後、ルカはカインの言葉で改めて仲間と共に掴んでこその夢であることを認識し、
仲間と共に夢を叶えるために「宇宙最大のお宝」を絶対に手に入れてみせると、強い決意を新たにするのでした。

そして、第35話と第36話は前後篇で、
以前に黒十字王との戦いの際に「大いなる力」をくれたゴーオンジャーの
江角走輔と出会ったマーベラス達が異世界を冒険する物語となります。

ある日、マーベラス達がガレオンで空を飛んでいると、
空中に開いた次元の裂け目からガレオンに小型ロボットが落ちてきて、
自分は32番目のスーパー戦隊のゴーオンジャーの水先案内ロボのボンパーだと名乗り、
場所を間違えてたまたまガレオンに落ちてきたのだと言います。

それでマーベラス達はボンパーに頼まれて、元ゴーオンレッドで、今はレーサーをしているという
江角走輔のもとに連れていくことになりました。
マーベラス達は黒十字王との戦いの際にレンジャーキー空間で
ゴーオンジャーの「大いなる力」は既に受け取っていましたが、
その時、マーベラス達に「大いなる力」を渡したのは走輔ではなく、元ゴーオンイエローの楼山早輝でしたので、
マーベラス達と走輔は初対面でした。

すると、ボンパーは、「ガンマンワールド」という異世界がガイアークに侵略されて危機に瀕しており、
自分はそこでガイアークに敗れたゴーオンジャーの仲間の乗り物型生命体の炎神たちの力で
次元の裂け目を通って人間世界にやって来て、
走輔をガンマンワールドの救援のために呼びに来たのだと言います。
これを聞いた走輔は、マーベラス達と一緒にガンマンワールドを救いに行くと勝手に決めてしまいます。

しかしマーベラス達はガンマンワールドという世界も、ガイアークという敵も、全く知らないので、
どうして自分達がそんな意味の分からない戦いに行かねばならないのか分からないと言います。
走輔はゴーオンジャーの「大いなる力」を早輝が渡したということは
マーベラス達は当然、ゴーオンジャーと同じく「正義の味方」であるはずだと思っていたので、
このマーベラス達の反応は非常に意外だったようで驚きます。

ゴーオンジャーは世界の多様性を守る戦隊であり、
自分の住む世界とは異なった世界、縁の薄い世界も含めて、全ての世界を守ります。
それぞれの世界は違っていて当然であり、関係も薄くて当たり前なのであり、
異なった世界に1つの価値観を押し付けて無理にまとめようとすることこそが悪の元凶だというのが
ゴーオンジャーの考え方です。
ガイアークというのは自分とは異なった世界を自分の価値観で無理矢理染め上げるために侵略する
異世界に遍在する悪であり、
ゴーオンジャーと仲間の炎神たちはガイアークによる多次元世界の統一支配を阻止し、
それぞれの世界の異質性を守ることを目的として、そういう自分達を「正義の味方」と規定していました。

世界の多様性の中にこそ「正義」は有るという一種独特の考え方ですが、
「正義」の美名のもとの強者の価値観の押し付けが弱者を虐げてきたのが世の常であり、
強者による弱者への虐待がもっともらしい理屈のもとに行われることの胡散臭さに
ストレートに義憤を表明することの出来た単純で熱血な社会のはみだし者たちがゴーオンジャーとなり、
弱者や異端者の独自の世界で生きる価値を守ることこそが自らの信じる真の正義だと規定したのは、
非常に筋は通っています。

よって、ゴーオンジャーは彼ら流の「正義の味方」である以上は、異質な世界を守るのが当然なのであり、
自分に関係の深い世界だけを守るのは「正義の味方」ゴーオンジャーのすることではないと思っています。
知らない世界、関係無い世界だからこそ、異質な世界として、その異質性を守るために戦うのが
ゴーオンジャーなのです。

だから走輔はそのゴーオンジャーの精神を受け継いでいるはずのマーベラス達が
自分に関係無いガンマンワールドのことを守る意味がよく分からないと言うのを聞いて耳を疑い、
「お前ら正義の味方だろう?」と問い返しました。

しかしマーベラス達、宇宙から来た5人はもともと「正義」というものの無い宇宙で育ったので
「正義」というものがよく分かりません。
地球に来てスーパー戦隊の真似事のように地球を守るために戦ってはいますが、
「正義」というものを知らない自分達はスーパー戦隊のように本当の「正義のヒーロー」にはなれないと、
多少コンプレックスは抱いていました。
そういう心情であるところに、当のスーパー戦隊の元戦士である走輔から
「正義の味方じゃないのか?」などと言われて、マーベラスは馬鹿にされたような気がして腹が立ちました。

走輔はマーベラスは早輝からゴーオンジャー流の「正義の味方」が何なのか聞いていると思って
問いかけているのですが、マーベラスは早輝から何も聞いていません。
早輝は、というかゴーオンジャーの全メンバーは昔からそういうところはユルいのです。

早輝はマーベラス達が彼らから見て異世界である地球を守るために、
異世界の戦士であるゴセイジャーと力を合わせて黒十字王と戦う姿を見て、
直感でゴーオンジャーと同じ資質を持つ戦士たちだと思って、
そのまま何も言わず「大いなる力」を渡してしまっていました。

だからマーベラスは走輔の言う「正義の味方」の意味が分からず、
自分達が正義のヒーローの資格が無いとダメ出しされたと勘違いして、
逆ギレして反抗的態度をとってしまいました。
これを受けて走輔は、マーベラス達がゴーオンジャーの精神が理解出来ていないことを悟り、
早輝がまたいい加減なことをしたと気付きます。

まぁ、しっかり「大いなる力」を渡すことが出来たということは、
マーベラス達にゴーオンジャーの精神を受け継ぐ資質があるのは確かなのであろうが、
頭で理解出来ていないのだということに気付いた走輔もまた短気であったので、
いちいちマーベラス達にゴーオンジャーのことを説明するのも面倒で、
今はそれより急いでガンマンワールドを救いに行かねばならないと、
マーベラス達にはもう頼まずに1人でガンマンワールドに行くと言って、
怒ってその場を急いで去っていったのでした。

しかしマーベラス達はレンジャーキーを返すように求めもしないで去っていった走輔が
1人でどうやって戦うつもりなのかと気になって後を追います。
すると走輔は上空に開いた次元の裂け目に飛び込むためにトランポリンを使ったりしています。
これを見て、マーベラス達は走輔が全く無計画であることを知り、呆れ果てますが、
同時に、走輔が変身も出来ず、次元の壁を超える手段も無い状態でも、
自分にも仲間の炎神にも無関係の世界を救うために本気になっており、勝利を確信しているのだと気付いて驚きます。

それがあまりにも自分達の理解を超えたことであったので、
マーベラスは走輔にどうして無関係の世界のためにそんなに必死になるのか質問しました。
マーベラス達も自分達と無関係だった地球を守って戦うようになっていましたが、
それは何時しか地球のことが好きでなり、思い入れを持つようになったからでした。
ところが走輔にはガンマンワールドには何の愛着も無いはずなのです。
それなのに走輔はガンマンワールドを守るために必死になっている。
そのあたりがどうもマーベラス達にはよく分からなかったのでした。

それでマーベラスがどうして必死になるのか質問すると、
走輔は「誰かを想う気持ちに世界が違うとか関係無い」と答えます。
それを聞いてマーベラスは、自分達とスーパー戦隊の違いが何なのか、漠然と分かったような気がしました。
走輔は要するに好きだから守るというのは「正義の味方」ではないと言っているのです。
愛着など無くても世界を守りたいと思える者が「正義の味方」なのであり、
スーパー戦隊なのだとマーベラスは気付きました。

そもそもマーベラス達は自分達は第24話あたりでスーパー戦隊のようにはなれないと感じ、
それでも地球や地球の人々を守りたいと思ったから、
自分達が地球を守ろうとする理由として、第26話で「地球が好きだから」という理屈を持ち出したのです。

実際、マーベラス達は地球を好きになっていたのは事実であり、
地球を守るために無理に地球を好きになったというわけではない。
本当に地球のことは好きになっていました。
おそらく、思い返してみれば、黒十字王との戦いの辺り、
地球人の声援を受けて戦ったあたりから地球のことは明らかに好きになっていたのだとマーベラスは思いました。

ただ、もともと自分達が地球を守りたいと思った理由は、
本当は走輔と同じであったのかもしれないとマーベラスは思ったのでした。
生まれた世界が違っても愛着の有無など関係無く、地球を守りたいと思った。
でも、それがどうしてなのかマーベラス達にはさっぱり分からなかった。
それがおそらく走輔の言う「正義」というものなのだろう。
しかし宇宙育ちのマーベラス達にはその「正義」が分からなかった。
だからマーベラス達はスーパー戦隊のようにはなれなかったのであり、
その代わりに第26話では一旦「地球が好きだから地球を守って戦う」という理屈をつけて戦う心を定めたのです。

しかしマーベラスは今のまま戦い続けても
自分達はザンギャックから地球を守りきることは出来ないだろうと思っています。
今までザンギャックから自分の星を守りきった者などいないのです。
それでも地球を守って戦おうと決めた以上は、無理と分かっていても守り切りたいと思えてきます。
そう思うと、やはりスーパー戦隊のことは気になります。
何せ、スーパー戦隊だけが唯一、ザンギャックの侵略を一時的とはいえ、相討ちとはいえ、
撃退した実績がある存在だからです。

一旦、自分達はスーパー戦隊のようにはなれないと諦めたマーベラスでしたが、
走輔の言葉を聞いて、スーパー戦隊の言う「正義」というものが何なのか、
どうして世界が違っても守りたいと思えるのか、そのあたりが分かれば、
自分達もスーパー戦隊のようになれるのかもしれないと思えて、マーベラスは走輔に興味が湧いてきました。
そこでマーベラスは走輔と共にガンマンワールドに行ってみようと思い、
マーベラス一味はガレオンに走輔とボンパーを乗せて次元の裂け目を通ってガンマンワールドに行きました。

そして、そこで一行はガイアークの怪人に敗れて戦う力を失って倒れていた炎神たちを見つけて救助しました。
しかしマーベラスは、その炎神たちの惨めな姿を見て、
やはりどうして自分と関係無い世界を守るためにそこまで無茶をするのか理解出来ませんでした。
そして、炎神たちの無残な敗残の姿は自分達の地球を守って戦った末の未来を暗示しているような気がして、
嫌な気分になります。

「正義」などといっても、結局は強大な敵には勝つことは出来ないのではないかとも思えてきます。
実際、スーパー戦隊だって、ザンギャックを撃退はしたが、
目の前の炎神たちと同じように戦う力を失ってしまっている。
そう思うマーベラスの目には走輔や炎神たちは所詮は愚かなピエロや敗残者のように見えてきます。
やはり「正義の味方」などになっても、ザンギャックやガイアークのような強大な敵には勝てないのかもしれない。
マーベラスは暗い気分になりました。

ところが、再び襲ってきたガイアーク怪人が決闘を吹っかけてきた時、
走輔と炎神たちは戦う力を失っても全く怯むことなく怪人に立ち向かおうとします。
どう見ても勝ち目は無いように見えるのですが、
走輔と炎神たちは相棒がいるからまだまだ戦えるのだと言います。
つまり炎神だけだからさっきは負けたが、相棒の走輔が来たから真の力を発揮出来るということらしい。
しかし走輔はゴーオンジャーに変身も出来ないのだが、そんなことは彼らには関係無いらしい。

さっき1人で走輔がガンマンワールドに行こうとしていた時も妙に自信満々であったことを思いだしたマーベラスは、
走輔たちの戦う力の源は世界の壁を超えた絆にあるのだと気が付きました。
だから走輔たちは自分と関係無い異世界でも守ろうとするのです。

つまり走輔たちの認識では世界の壁を超えた絆で結ばれた、全ての世界を守る戦士が
「正義の味方」ということらしい。
マーベラスはそのように理解しましたが、
どうしてそんなものが「正義の味方」ということになるのか、マーベラス自身の感覚では全く理解出来ませんでした。
それに本当にそんな力で強敵を撃ち破ることが出来るのか、よく分かりませんでした。

一見すると単に走輔や炎神たちが無茶をしているバカのようにも見えましたが、
マーベラスは自分も無関係の地球を守ろうとして戦っている以上、
同じようなバカに見えても仕方ないと思いました。
ならば、自分が単なるバカなのか、それとも「正義の味方」になれるのか、
自分で戦って確かめてみようと思い、
マーベラスはあえて無関係のガンマンワールドを守るためにガイアーク怪人との決闘に志願し、
勝利を収めたのでした。

こうしてガンマンワールドを守ったマーベラスでしたが、
マーベラスには走輔の炎神のように異世界の相棒というものがいないので、
やはりどうも世界の壁を超える絆の力というものがピンと来ません。
しかもガイアーク怪人との戦いの中でゴーオンジャーの「大いなる力」を使うと不発に終わってしまい、
更には戦いの直後、人間世界に戻る通路をガイアークの害統領ババッチードに塞がれてしまい、
元の世界に戻れなくなってしまいました。

実はガイアークのガンマンワールド侵攻は邪魔なゴーカイジャーを人間世界から誘い出して締め出し、
その間に人間世界を征服しようというババッチードの計略であったのでした。
こうしてゴーカイジャーをまんまと排除したババッチードは
ガイアークの軍勢を率いて人間世界の地球侵攻を開始しますが、
ババッチードはすっかりザンギャックのことを忘れており、
ザンギャック側はいきなり地上に現れたガイアーク軍を見て驚きます。

ワルズ・ギルは地上で我が物顔で暴れ回るガイアークを見て、
思わず、どうしてマーベラス一味がガイアークの邪魔をしないのかと憤慨しました。
ワルズ・ギルとすれば自分達の侵略行為の邪魔はするクセにガイアークの侵略行為の邪魔はしないのは
不公平だと文句を言っただけだったのですが、
それを聞いたダマラスとインサーンは、もしマーベラス一味がこの突然現れたガイアークの侵攻を邪魔しに現れたら、
マーベラス達が地球を守るために戦っているということを意味するのではないかと気付いたのでした。

ダマラス達はマーベラス一味がザンギャックの行動部隊を今まで襲ってきていたのは
単に彼らが無法者の宇宙海賊で、もともとザンギャックに反抗しているような
連中だからだと軽く考えていたのですが、
もし未知の敵であるガイアークの侵攻に対してマーベラス達が立ちはだかるとしたら、
実はマーベラス一味は地球を守るために戦っているということになり、
もともと地球と無関係のマーベラス達が地球を守ろうとしているとしたら、
ザンギャックの理念を真っ向から否定するような危険思想をもって
確信的にザンギャック軍を攻撃してきていたのだということになる。
もしそうであるならば、マーベラス一味というのは今まで考えていたような甘い敵ではないのではないかと、
ダマラスとインサーンは嫌な予感を覚えたのでした。

ただ、それはマーベラス達がガイアーク相手に戦いを挑んだ場合の話であり、
その時点ではマーベラス達はババッチードの計略に嵌ってガンマンワールドに締め出されており、
地上で暴れるガイアーク軍の前には現れていませんでしたので、
ダマラスやインサーンは自分達の嫌な予感は杞憂に過ぎないと思い、
ワルズ・ギルはバリゾーグとインサーンを率いて自らガイアークを討伐しに地上に降り、
地上ではザンギャックとガイアークの戦闘が始まったのでした。

一方、ガンマンワールドで人間世界への帰り道が遮断されて戻れなくなってしまったマーベラス達は、
走輔やボンパー、炎神たちと共に、炎神たちの故郷であるマシンワールドへ行って、
そこで唯一戦う力を失っていないという炎神マッハルコンの力を借りて
マシンワールドから人間世界への次元の壁を突破しようとします。

しかし走輔の相棒の炎神スピードルの息子であるマッハルコンは強大な力を持ちながら、
両親のように「正義の味方」となることを拒否して自由気儘に暴走して暮らす不良息子でした。
案の定、人間世界の危機を救うために次元の壁を破ってほしいと頼むと、
マッハルコンは拒絶して走り去ろうとします。

そのマッハルコンをゴーカイマシンで追いかけているうちにマーベラスは、
あまりに必死に逃げるマッハルコンが実は次元の壁を突破することを怖がっていることに気が付きました。
呑気にマシンワールドで暴走行為を楽しんでいたマッハルコンは
いきなり戻ってきた両親に、次元の壁を破るという、自分が実は怖がっていることをやるように言われて
ビビって逃げているのです。
自由気儘な反抗期の不良息子を装っているが、
マッハルコンの本質は、両親のように世界の壁を超えて戦う「正義の味方」になる自信が無くて
逃げ回っている根性無しであったのです。

どうしてマーベラスが一瞬でマッハルコンの本性を見抜くことが出来たのかというと、
昔の自分と同じだったからです。
マーベラスも昔、海賊と自称して粋がっていたが、実際は未知の宇宙へ冒険の旅に出る勇気を持てませんでした。

そのマーベラスが冒険の旅に出る決心がついて真の海賊になることが出来たのは、
アカレッドに出会って、未知の世界に夢が見つけられると信じることが出来たからです。
本当は未知の世界を怖がっているクセに虚勢を張って言い訳して逃げているマッハルコンの姿に
昔の自分を重ねたマーベラスは、今のマッハルコンに次元の壁を破らせるためには、
未知の世界に夢があることを教えてやる必要があると思いました。
それはかつて、やさぐれていたマーベラスを導いてくれたアカレッドと同じ役割を果たすということでした。
そしてマーベラスは今の自分達ならばそれは出来ると思いました。
何故ならマーベラス一味の面々は、みんな未知の世界で夢を掴めると信じることが出来た真の海賊だからです。

マーベラスは最初アカレッドと出会った時、アカレッドに戦いを挑んで完敗しました。
そうして未知の世界に夢を掴もうとする勇気のある真の海賊の強さをアカレッドに思い知らされたことによって、
自分も夢を掴むために未知の世界に飛び出す強さを持つことが出来たのです。
だからマーベラスは今度は自分達マーベラス一味がマッハルコンに完勝して、
未知の世界で夢を掴もうとする者の持つ強さを教えてやり、
未知の世界は怖くない、誰でも未知の世界に夢を求めて突き進む強さを持つことが出来るのだということを
マッハルコンに教えようと思いました。

そうしてマーベラス一味は「欲しいものを本気で掴み取りに行く海賊が逃げてるだけの奴に負けるはずがない」と
宣言して喧嘩を売って、ゴーカイオーでマッハルコンを押さえこんで捕まえ降参させたのでした。
その結果、マッハルコンは今まで自分が未知の世界が怖くて「正義の味方」になることから逃げていたことを認め、
それは自分には両親のように自らが信じて突き進める夢が無いからだと言いました。
それに対してマーベラスは、「自分で探せ」と諭しました。
つまり、未知の世界に飛び出して自分で探せば夢は見つかると言ったのです。

この言葉を受けてマッハルコンは未知の世界に夢を求めて飛び出す勇気を持つ決心をしますが、
その夢はマーベラスと一緒に行くことで見つかるに違いないと思い、
海賊の仲間に加えてほしいと志願したのでした。
それはマーベラスがかつてアカレッドについて行ったことや、
ジョーやルカ達が大きな夢を掴むためにマーベラスと一緒に旅をしようと思ったのと同じことでした。
だからマーベラスはマッハルコンの申し出を快く受け入れ、
人間と炎神が仲間になることを走輔たちが「相棒」と称していることにちなんで、
マッハルコンを自分の相棒としたのでした。

そして、マーベラスはマッハルコンが海賊の仲間になり未知の世界に夢を求める決意をしたことで
「正義の味方」になったのを見て、「海賊」と「正義の味方」が本質は同じだと気付いたのでした。

海賊は未知の宇宙に夢を掴むために冒険の旅をする者達であり、
「正義の味方」は自分の信じる正しい道を貫くために次元の壁の向こうの未知の世界に飛び出して戦う者達です。
つまり、海賊も「正義の味方」も世界に未知の領域があるからこそ、彼らの強さが成り立つのです。
というより、人間の強さや尊厳というものは未知への挑戦によってこそ生じる。
だから世界や宇宙は未知であり、それぞれ違っている方がいい。

対してザンギャックやガイアークという連中は自分の価値観で世界を統一して
未知の領域を無くそうとする者であり、これこそが人間の尊厳の敵であり、真の悪だといえます。
そうした真の悪である「世界の均一化」を阻止して、全ての世界の独立を守り、
未知の世界へ挑戦する全ての世界の生きる者の尊厳を守るのが「正義の味方」なのだとマーベラスは理解しました。

そして「正義の味方」は自分達が未知の世界の独立を守るヒーローである証に、
次元の壁の向こうの未知の世界のヒーロー同士が相棒となって力を合わせて戦う。
だから、走輔と炎神たちはガンマンワールドで合流したことによって
自分達は絶対に負けないという強い確信を持つことが出来たのだと、マーベラスはようやく理解したのでした。

そしてマーベラスは自分たち海賊も同じなのだと思いました。
マーベラスにとってアカレッドも結局何者だったのかよく分からない人でしたし、
ジョーやルカの過去の話など全く聞いたこともなく、ハカセやアイムの過去も詳しいことは知りません。
鎧などはザンギャックの支配外の星である地球の住人で、
マーベラスから見れば、みんな異世界人のようなものです。
それでも仲間になったのは、全員、未知の世界で夢を掴むことが出来ると信じたからです。
言い換えれば、未知の世界でなければ夢を掴むことが出来ないから海賊になったといえます。

宇宙の多くはザンギャックの侵略によって未知の世界が失われていったからです。
ザンギャックによって未知の世界が壊されていない場所を求めて、夢の掴める場所を求めて、
マーベラス達は宇宙を転々と航海し、夢を掴むためのカギであるレンジャーキーを集めてきた。
それは自分にとってのささやかな未知の世界、夢を掴める世界を守るための戦いの日々でもあり、
その未知の世界を守る戦いの証として、マーベラス一味の面々は、
互いに未知の世界の住人同士が力を合わせる仲間となったのです。

そしてマーベラス達は夢が掴める未知の星である地球に辿り着いた。
そこでマーベラスは「この星を守る価値」に興味を持ち、
少年にそれを「海賊なら自分で探せ」と言われました。

そしてマーベラスは今、「正義の味方」になるために信じられる夢が無いと嘆くマッハルコンに向かって
「自分で探せ」と言い、
マッハルコンはそれによって自分の信じられる夢を見つけるために未知の世界に飛び込み、
「正義の味方」となり、海賊の仲間となりました。

つまり、海賊も「正義の味方」も、
夢を掴むことの出来る未知の世界を守ることが自らの信じて突き進める道なのであり、
マーベラスが海賊として地球を、すなわち「この星を守る価値」というのは、
夢を掴むことの出来る未知の世界をザンギャックによる均一化の暴力から守ることであったのです。
それは海賊の行動原理であると同時に「正義の味方」の行動原理でもあります。
マーベラスやマッハルコンが探していた価値や夢は、このことであったのです。

つまり、自分達にも「正義の味方」の資質が有ったのだとマーベラスは気付き、
どうして黒十字王との戦いの時に自分達がゴーオンジャーの「大いなる力」を受け取ることが出来たのか、
理解したのでした。

ただ、ゴーオンジャーは全ての未知の世界を守る戦隊です。
ならば、真の「正義の味方」となるためにはマーベラス達も地球だけではなく、
宇宙の全ての未知の世界をザンギャックによる均一的な支配から守って夢を掴める場所にしなければならない。
それはつまり、ザンギャック帝国の否定であり、ザンギャック帝国との全面対決、打倒です。
それが達成された時、自分達は本当の「正義の味方」となる。

そのことに思い至ったマーベラスでしたが、
もちろんそれは理屈の上だけのことであり、現実には自分たちのようなちっぽけな海賊に
ザンギャック帝国を倒す力は無いことは明白であり、
それはゴーオンジャーにしても、34のスーパー戦隊全部であっても不可能なことだと思いました。

ただ、スーパー戦隊というものはそのような行動原理を持っていた。
そんな壮大な夢を持っていたからこそ、
スーパー戦隊は一旦はザンギャックを退けて地球を守りきるという、
前代未聞の快挙を成し遂げることが出来たのかもしれないと、マーベラスは思いました。

そして自分達ゴーカイジャーにも、宇宙海賊として同じ行動原理がある。
その行動原理を貫いてザンギャック帝国ととことん戦い抜いて勝つ力は自分達には無い。
結局自分たちが意地を貫いた先に待っているのは破滅だとは思ったマーベラスですが、
それでも海賊として貫くべき意地が、かつて地球を守ったスーパー戦隊と同じであるということは、
マーベラスには少々嬉しいことでありました。

そうしてマッハルコンの協力を得て人間世界へ戻る次元の壁を突破したマーベラス達は、
マシンワールドから人間世界の地球に戻るとババッチードを倒すため、ガイアーク軍に襲い掛かりますが、そこではザンギャック軍がガイアーク軍と戦闘しているのを見て驚きます。

何だか事情はよく分からないがガイアークもザンギャックもまとめてやっつけようとするマーベラス達でしたが、
一方のザンギャック側ではインサーンがマーベラス達がガイアークを倒すために現れたのを見て、
やはりマーベラス一味が地球を守るために戦っていることを確信し、
マーベラス一味が自分に無関係の星をザンギャックに支配されるのを阻止しようとしている、
ザンギャック帝国の支配原理を真っ向から否定する危険思想の持ち主だと理解して愕然とします。

そしてインサーンはマーベラス一味を帝国にとことん逆らう危険な敵と認識し、
態勢を整えた上で徹底的に駆除せねばならないと思い、
この場は一旦引き上げるようワルズ・ギルに進言し、ザンギャック軍は撤退しました。
そしてマーベラス達は残ったガイアーク軍と激闘を繰り広げ、
マッハルコンと相棒となったことでゴーオンジャーの「大いなる力」を使いこなせるようになったマーベラス達は
ババッチードに完勝し、ガイアークの地球侵略を阻止したのでした。

そして走輔は戦いが終わった後、マーベラス一味の面々が全員違う星の生まれの異世界人のようなものだったと知り、
マーベラス達がゴーオンジャーの「大いなる力」を受け取ることが出来たことや、
マッハルコンを相棒とすることが出来たことなどに納得しました。
そして走輔は、マーベラス達ならば34戦隊の力を受け継いで「正義の味方」として戦って
ザンギャックの宇宙支配を打ち砕き、人々の夢と自由に溢れた多様な宇宙を実現してくれるはずだと
確信したのでした。

さて一方、ザンギャック本星のほうでは、
第12話において地球方面に派遣した親衛隊長のデラツエイガーが倒された後は
ダマラスに期待して地球侵略成功の朗報を待っていた皇帝アクドス・ギルが、
いくらなんでも地球侵略に手間取りすぎていることに苛立ち始めました。

現実には地球侵略軍ではワルズ・ギルが皇帝とダマラスの密談を盗み聞きした際に勝手に誤解して、
皇帝とダマラスが共謀して自分の手柄を横取りしようとしているなどという妄想を抱き、
ダマラスを遠ざけて前線にも出ることも禁じ、本星へも本当の戦況を報告しない状況が続いていました。
ワルズ・ギルの思いつきの序盤の作戦の失敗で地球侵略軍は機能不全状態で、
頼みのダマラスも前線に出ることも出来ない飼い殺し状態というのは、
さすがにアクドス・ギルも想像していませんでした。

ダマラスがアクドス・ギルに直訴しようにも、
本星への連絡はワルズ・ギルの監視下にあるのでワルズ・ギルへの非難を含んだ内容を連絡出来ませんし、
仮にダマラスからアクドス・ギルへ現状に関する報告が出来たとしても、
ダマラスにもどうして自分がここまでワルズ・ギルに疎まれるのか理由が分からない以上、
不仲の原因はダマラスの側にあるようにアクドス・ギルに解釈される恐れがあるので、
ダマラスは下手に本星の皇帝に自分の不遇を報せることも出来ませんでした。

それで、現状を知らないアクドス・ギルはさすがに痺れをきらせて、
邪魔をしてくる海賊討伐にダマラスが有効活用してくれるだろうと思い、
再び地球侵略軍に向けて増援を送ることにしました。
それがザンギャック帝国最強最新鋭の秘密兵器である決戦機、
つまり搭乗型の巨大戦闘ロボであるグレートワルズでした。

こうして第37話と第38話の前後篇においては、
まず地球侵略軍に地球征服の切り札として、本星から皇帝親衛隊の兵士ドゴーミン2人をつけて、
グレートワルズが到着します。
ところが、このグレートワルズを見て、地球侵略の手柄をダマラスに奪われまいと躍起のワルズ・ギルは
このグレートワルズを使えば遂に忌々しいマーベラス一味を倒せると確信し、
自分がこの最強の決戦機に乗り込んでマーベラス一味を倒して地球を一気に征服すると言い出します。

マーベラス一味が反ザンギャック思想にかぶれた危険分子と認識して警戒していたダマラスとインサーンは
司令官のワルズ・ギル自らの出撃を危ぶんで引き止めますが、
皇帝との密談でワルズ・ギルを軽んじた発言をしていたことを暴露されたダマラスは、
ワルズ・ギルが予想外の誤解をしていることに気付きましたが、
ダマラスがワルズ・ギルを軽んじていたことは事実であったので、すっかり立場を失い黙り込み、
ワルズ・ギルは忠実な腹心バリゾーグのみを頼りにしてダマラスや父アクドス・ギルの鼻を明かしてやると心に期し、
グレートワルズとドゴーミンを使ったマーベラス一味討伐作戦に突き進んでいきました。

一方、マーベラスは元ゴーオンレッドの江角走輔たちと共に異世界を巡った際に
自分にとっての「この星を守る価値」が、夢を掴むための未知の世界を守るという、
自分の海賊としての原点であるアカレッドの出会いから一貫した行動原理に基づくものであったことに気付きました。
すなわち、マーベラスは地球を守って戦うことに自分の宇宙海賊としての
宿命のようなものを感じ始めていたのですが、
それゆえになおさら、ザンギャック帝国という宇宙を支配する強大な敵を相手にしてその宿命を果たすには
あまりにも自分達は力不足であることを痛感していました。

それで、ふとした会話で、自分達は地球を守れてなどいないと主張するマーベラスに対して、
鎧は元リュウレンジャーの亮との出会いで再確認したように
ヒーローというものはどんな時でも人々を守るために戦うものだと強く思っているので、
自分達は地球を守って戦っているはずだと主張し、些細な口論となり、
ならばマーベラスにとって「守る」とはどういうことなのかと鎧は質問しました。
しかし何かを守りきった経験など無いマーベラス達5人は
その鎧の質問に答えることが出来ず黙り込みます。

その時、マーベラスはかつてアカレッドが「赤き海賊団」壊滅事件の時に
自分に夢を掴むように言い残し、自分を守って死んだことを思い出し、
たとえザンギャックに敵わなくてもアカレッドのように自分を犠牲にすれば
仲間の夢ぐらいは守ることは出来ると思いました。
自分の分かる「守る」というのはそれぐらいだとマーベラスは思いましたが、
それはあくまで最後の最後の覚悟の話であり、さしあたり口にする必要も無かったので、
マーベラスは鎧の質問には答えず立ち去ります。

同様にジョーにとっても自分に信念を貫いて生きるよう言い残して自分を守って死んだシドの例が
「守る」という行為の唯一の例ですから、
ジョーはシドが自分を守って死んだように、マーベラスを守るために命を賭ける覚悟でした。

このように結局マーベラスにしてもジョーにしても
自分にとっての「この星を守る価値」は何となく分かったものの、
どのようにしてザンギャックから地球を守るのか分からないままであったのです。
スーパー戦隊がどのようにして地球を守ってきたのかについてもよく分かりませんでした。
鎧の質問がどのようにして地球を守るのかについてのものであると理解していたマーベラスは
何とも答えられなかったのです。

しかし鎧はマーベラスが何も答えてくれなかったので不満に思います。
地球人の鎧はザンギャック帝国の強大さについて真に実感していないので、
マーベラスの態度が煮え切らないものと映ったのでした。
そこで不満げな鎧に対してジョーは今まで宇宙でザンギャックと戦って勝った者など存在しておらず、
自分達5人の故郷の星はそれぞれ全部、ザンギャックに滅ぼされたのであり、
自分達はザンギャックに勝って何かを守りきった経験も無く、守る方法も分からないのだと説明しました。

鎧は想像以上に厳しい宇宙の状況にショックを受けますが、
それでも鎧は、地球を守る方法が分からなくても、
あくまで地球を守ることを諦めたくはないと言うのでした。
それが鎧にとってヒーローであることの原点であるからです。

その時、バリゾーグ率いる部隊がガレオンを襲撃してきて、
6人は地上に降り立ちバリゾーグ隊と対峙しますが、ジョーはバリゾーグとの一騎打ちを望みます。
ジョーは自分がシドの悲劇を直視しながら、シドの悲劇を繰り返させないようにザンギャックの悪と戦うことこそが
シドの魂を救う道だと強く思っていますから、
シドの悲劇そのものでありザンギャックの悪行そのものである、
シドの改造体バリゾーグを倒すのは自分でなければならないと心に決めていました。

自分がシドの無念の想いを背負ってバリゾーグを倒すことがシドの魂を救う唯一の道だと確信したジョーは
バリゾーグと一騎打ちを望み、事情を察したマーベラス達はそれを許し、
マーベラス達はゴーミン達を引き受け、ジョーとバリゾーグは一騎打ちの勝負を繰り広げます。

しかしバリゾーグも改造されて強制された忠誠心といえども、
ワルズ・ギルへの忠義自体は筋金入りであり、
バリゾーグもまたワルズ・ギルの一世一代の大勝負の成功のために命懸けで戦っており、
かつてジョーを命懸けで守ったシドの剣が、今はまさにワルズ・ギルを命懸けで守る剣となり、
ジョーの繰り出すシドの無念の想いを込めたシドの必殺剣と、
バリゾーグの繰り出すシドの必殺剣は全く互角の相討ちとなって、ジョーを驚かせます。

その間にマーベラス達はゴーミン達を倒した後、初めて皇帝親衛隊のドゴーミンと戦い苦戦の末退けますが、
そこにワルズ・ギルが出現してグレートワルズに乗ってマーベラス達に襲い掛かります。
バリゾーグ達の動きは、マーベラス達をおびき寄せる罠だったのでした。
マーベラス達はゴーカイオーや豪獣神、豪獣ゴーカイオーで対抗しますが、グレートワルズに圧倒され、
絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。

マーベラスはいよいよザンギャックが本気を出してきたのだと思い、
やはり自分達の力ではここまでだったのかと覚悟し、
最後にアカレッドの行動に倣って、自分が犠牲になって仲間の夢だけでも守ろうとし、
グレートワルズの猛攻を受け止めながら仲間5人を秘かに強制脱出させます。
そしてマーベラス1人が残った豪獣ゴーカイオーはグレートワルズの攻撃で大破し、
ガレオンの姿に戻って遠くの山中に吹っ飛ばされて墜落してしまいます。

ワルズ・ギルはこれでマーベラス一味は全員死んだと思い、
6人の遺体の捜索をバリゾーグに任せてギガントホースに凱旋して祝賀会を開きますが、
脱出させられた5人だけでなく、マーベラスも実はほとんど無傷でした。

実はこの頃になると、思念体となってマーベラス達を見守っていたアカレッドのパワーもかなり回復してきており、
この戦いを見守っていたアカレッドは、宇宙の未来のためにも
このままマーベラスを死なせるわけにはいかないと思い、
もともとガレオン自体がアカレッドの「大いなる力」によって生成されたものなので、
自分の回復してきた「大いなる力」をガレオンに大量放出して、
ガレオンの船体および、中にいるマーベラスを守ったのでした。

その結果、アカレッドは再び思念体としての力をほとんど失い、活動が制限されることになってしまいました。
そしてアカレッドは最後に船内で気を失って倒れているマーベラスの意識の中に現れて、
マーベラスに語りかけました。
それは、マーベラスの今回の行動が、アカレッドが期待するゴーカイジャーの在り方とは
かけ離れたものであったからでした。

ザンギャックに敗れた事自体は仕方ない。
ザンギャックの力はやはり強大であり、連戦連勝というわけにはいかないでしょう。
まだマーベラス達はゴーカイジャーの全ての力も使いこなせていないのだから
戦いに敗れたこと自体はアカレッドは問題視はしていませんでした。

しかし最後にマーベラスが戦うことを諦めてしまい、仲間を脱出させたのはアカレッドは感心しませんでした。
戦ってザンギャックを倒して宇宙の平和を実現する戦士としてアカレッドが期待したゴーカイジャーとは、
どんな絶望的状況でも夢を掴むことを諦めない仲間の絆で結ばれた戦士たちのはずでした。
ところがマーベラスは自分の夢を諦めてしまい、仲間の夢を守るために仲間を助けました。

一見美しく男らしい行為のように思えますが、
マーベラスは自分の夢を掴むための戦いを放棄したのであり、
仲間たちの夢を掴むための戦いも妨げたといえます。
それは仲間のことを自分で戦って夢を掴もうとする力の無い弱者だと見なして、
逃がしてやろう、助けてやろうと温情をかけた行為なのであり、
普通の仲間であれば見上げた自己犠牲行動ですが、
アカレッドが期待した「どんな苦境でも夢を掴む仲間の絆で戦い抜く」という
ゴーカイジャーの在るべき姿ではありませんでした。

マーベラスともあろう者が一度の敗戦ぐらいでどうしてそんなバカなことをしたのだろうかと
不審に思ったアカレッドは、最後の力を使ってマーベラスの意識の中に現れて、
マーベラスに本当にあれでよかったと思っているのか?と問いかけました。

マーベラスはその意識空間の中で死んだはずのアカレッドに会ったので、
てっきり自分は死んだものだと勘違いし、
自分はアカレッドと同じことをした、つまり自分を犠牲にして仲間たちの夢を守ったのだと主張し、
アカレッドに非難される覚えはないと憤慨します。

それを聞いてアカレッドはマーベラスが赤き海賊団の代わりにマーベラス一味を作ったのだと気付きます。
しかし本当は赤き海賊団とマーベラス一味は根本的に違う。
赤き海賊団は「宇宙最大のお宝」という夢を共に掴もうとする仲間ではなかった。
アカレッドはマーベラスとバスコが信じる伝説の「宇宙最大のお宝」の存在を本当は信じておらず、
単に宇宙海賊を35番目のスーパー戦隊にするために2人の仲間になっただけだからです。
だから赤き海賊団は壊滅し、アカレッドはマーベラスこそが宇宙を救う希望だと最後に気付き、
それまで2人を騙していた罪滅ぼしに、自分の身を捨ててマーベラスを守っただけのことなのです。

だからマーベラスが赤き海賊団の最後を参考にする必要など無いし、
アカレッドの真似をする必要など無い。
マーベラス一味は赤き海賊団などとは全く違う、真に同じ夢を掴むために集まった仲間になり得る戦隊なのです。
だから仲間みんなで共に夢を掴むために戦うことを諦めてはいけない。
その違いをマーベラスが分かっていないから、
マーベラス達がまだゴーカイジャーの全ての力を使いこなせていないのだということにアカレッドは気付きました。

アカレッドは呆れて、マーベラス一味と赤き海賊団は違うし、お前と私も違うのだと言いますが、
どう違うのかマーベラスに説明するわけにもいきません。
全ての事情を話してしまうと、アカレッドがマーベラスを騙していたことや、
本当は「宇宙最大のお宝」は地球の中心にある宇宙を作り直す装置なのだということまで
説明せねばならなくなります。
それは今の段階のマーベラスに言っても混乱させるだけで益が無い。

それでアカレッドは、
マーベラス一味の仲間たちはお前が助けなければいけないような弱い連中なのか?とマーベラスに問いかけました。
これを聞いてマーベラスは、自分が仲間たちが絶望的な宇宙で夢を掴もうとして戦っている姿を見て、
「夢を掴む力」を持った連中だと認めたからゴーカイジャーのメンバーとして
共に夢を掴む旅の仲間に選んだのだということを思いだしました。

仲間たちは自分に助けられようとするようなヤワな連中ではなかったのであり、助けられて喜んでなどいない。
仲間たちはさっきの状況においても、きっと自分の夢を掴むために戦おうとしていたはずなのに、
自分が勝手にアカレッドの真似をして自己満足のために仲間達の戦いを邪魔して、
しかも一番肝心の自分の夢まで放棄してしまったのだとマーベラスは愕然としました。

つまりアカレッドの真似をしたのは間違いであり、
マーベラス一味と赤き海賊団は違うのだと、マーベラスは実感しました。
しかし自分は赤き海賊団しか知らないし、自分に海賊とは何なのか教えてくれたのはアカレッドだけだ。
だから「守る」ということもアカレッドが見せてくれたお手本しか知らない。
それが間違いだというのなら、じゃあ自分は何を守ればよかったのかと、マーベラスは混乱しました。

するとアカレッドは、
お前が守るべきものは、「夢を掴むために集まったかけがえのない仲間達との絆」ではなかったのかと
マーベラスに言います。
それはマーベラスが赤き海賊団にいた頃、自分なりの海賊というものの在り方として、よく言っていた定義でした。
それを聞いて、マーベラスは自分が赤き海賊団の頃から、アカレッドに教えられたわけではなく、
自分なりの正解に辿り着いており、その後、現在に至るまで一貫して
そのポリシーに従って仲間達と旅をしてきたのだということに気付きました。

自分にとっての「守る」ということ、海賊団マーベラス一味、
すなわちゴーカイジャーとしての「守る」ということは、
夢を掴むために集まった仲間の絆を守ることだったのです。

では、どうして1人でも夢を掴むために戦うことの出来る力、
すなわち「夢を掴む力」を持っていた者達が集まって仲間になる必要があったのか?
それはより大きな夢を掴むための力を得るために仲間の力を合わせる必要があったからです。
仲間の絆とは、より大きな夢を掴む力を生み出す絆なのです。

つまり「夢を掴むために集まった仲間の絆」を守るということは、
言い換えれば、「1人では掴めない大きな夢を掴む力」を獲得することなのです。
だから「仲間の絆」があってこその「大きな夢」なのであり、
マーベラス達は仲間がいてこそ大きな夢を掴む価値があると考えるのです。

その仲間の絆を守ることによって得られる「仲間と一緒だから掴める大きな夢」とは、
もちろんマーベラス達にとっては伝説の「宇宙最大のお宝」でした。
しかし、それはたまたま彼らが旅をする過程で見つけていた「仲間と一緒だから掴める大きな夢」が
伝説の「宇宙最大のお宝」だけであったからです。
今のマーベラス一味には「宇宙最大のお宝」以外にも途轍もなく大きな夢があります。
それは「ザンギャックから地球を守ること」でした。

「夢を掴むために集まった仲間の絆」を守ることによって、より大きな「夢を掴む力」を得て、
ゴーカイジャーはより大きな夢、つまり「ザンギャックから地球を守る」という夢を
掴むことが出来るようになると信じることが出来るのです。

そのことに気付いた意識空間の中のマーベラスの顔が明るくなっていくのを見届けて、
アカレッドは頷いて消えていき、マーベラスもナビィに起こされて船室で目を覚まし、
今のアカレッドは夢だったのかと思いつつ、夢の中でアカレッドに諭されたことを反芻します。

一方、ガレオンが墜落した山にマーベラスを探すために駆けつけた鎧はルカとハカセとアイムと合流します。
そして、仲間を助けるために自分を犠牲にしようとしたマーベラスの行為を
船長らしい責任感のある行為だと受け取っているルカ達3人に向かって、
鎧は自分は逃がしてもらうよりもマーベラスと一緒に最後まで戦いたかったと言い、
ルカ達に向かって、最後まで一緒に戦いたくはなかったのかと問いかけます。

しかし鎧はそれを自分が言えるのはザンギャックの恐ろしさを知らない地球人だからなのだと思い、
ルカやハカセやアイムのようなザンギャックに故郷を滅ぼされた人達に
最後までザンギャックと戦うことを求めるのは残酷だと思い、
それでも仲間一緒にザンギャックと戦うことを諦めたくない自分の心を抑えることの出来ない鎧は、
ルカ達に残酷なことを懇願する自分の事が申し訳なくて涙します。

それを見て、ルカ達は自分達の弱さが鎧を苦しめていたことを知り、
自分達が弱いと思われたからマーベラスにも守られてしまったのだと気付きます。
何時の間にか自分達はザンギャックに対して弱気になっていた。
それはきっと守りたいものが大きくなってしまったからなのだろう。
しかし、自分達はもともとザンギャックに屈することなく夢を掴もうとしてきたのだと、
ルカもハカセもアイムも思い出しました。
そして、より大きな夢を掴むために仲間になった。
ならば、仲間6人が決して夢を諦めない気持ちで1つになれば、
守るものがどんなに大きくても不安など無かったはずだ。
ならばマーベラスの行為は仲間の絆を裏切る間違った行為だったということになると気付いたルカ達は、
鎧と共にマーベラスに会ってその間違いを正して、仲間の絆を取り戻さなければいけないと心に誓うのでした。

そして同じくマーベラスを探しに山を登ってきたジョーは、
山でマーベラス一味の遺体捜索をしていたバリゾーグと遭遇し、一騎打ちとなりましたが、圧倒されてしまいます。
ジョーはマーベラスを守ろうとしていたのに逆に守られてしまった自分が情けなく弱い男だと思い、
対するバリゾーグはたとえ操り人形であってもワルズ・ギルを命懸けで守る立派な戦士だと思えて、
ジョーは気後れしてしまっていました。
ジョーの目にはワルズ・ギルを守るために必死で戦うバリゾーグが、
自分を守るために命を捨てたシドと重なって見えます。

しかし、シドはジョーを守るために戦っていたわけではない。
シドはシドの夢を掴むために戦っていたのです。
そしてシドは共に夢を掴む仲間としてジョーを選び、共に力を合わせて戦おうとした。
シドが死んだのは、単にジョーが弱くて足手まといだったからだったのです。

その目を背けていた真実にジョーは初めて向き合いました。
どうして自分は弱かったのか?
それはシドと別れる前までの自分は確固とした夢を持っていなかったからです。
単に子供を殺すのが嫌で暴れて捕まっていたらシドに助けられて一緒に逃げていただけだった。
シドは同じ志を持った仲間になれると思って自分を助けて一緒に逃げて追手と戦ってくれたが、
自分は常に狼狽えて足を引っ張ってばかりだった。

その挙句、シドが捕らわれることになったのだが、
その直前にシドが敵を引きつけて自分を逃がしてくれる時、
別れる直前に自分はシドから夢と信念を託されて、
その時初めて夢を持つことが出来たのだとジョーは思い出しました。

シドはバリゾーグのように誰かを守るために戦っていたのではなく、夢を掴むために戦っていた。
しかし共に夢を掴む仲間のジョーが夢を持てない未熟者であったため、
力を合わせて戦う仲間を得られず、シドは命を落としただけのことです。
だからシドとバリゾーグは全く別物です。

そしてシドから夢を受け継いだジョーは、今は共に大きな夢を掴むために力を合わせて戦う仲間がいる。
ジョーが一方的にマーベラスを守るために戦っているわけでもなく、
マーベラスが一方的にジョーを守るために戦っているわけでもない。
互いに背中を守り合いながら、力を合わせて大きな夢を掴むために戦う仲間なのです。
マーベラスがさっき自分を守るために命を張ったのなら、
自分はマーベラスにトドメを刺しに来たバリゾーグをここで倒してマーベラスを守る。
それで互いに背中を守り合う仲間として借りは返したことになる。

眼前の戦いの意味をそのように定義したジョーは、
自分の力は共に夢を掴むために集まったマーベラスや他の仲間たちの力を合わせたものであり、
対してバリゾーグの力は、決してバリゾーグを守ろうとはしないワルズ・ギルをただ一方的に守るための、
たった1人の力に過ぎないと気付きました。
それはシドの持っていた真の力とは全く違う、ただの1体の機械人形の力に過ぎない。

そう悟ったジョーは、ゴーカイブルーのレンジャーキーのパワーを最大限に引き出して
バリゾーグの繰り出すシドの必殺剣を全くよせつけず、
シドの必殺剣を超えるゴーカイブルーとしての独自の必殺剣でバリゾーグを撃破し、破壊したのでした。

そして、その場に現れたシドの魂は、ジョーが強くなったことを祝福し、
その力はジョー1人の力ではなく、仲間みんなの力だとジョーに教えます。
それは夢を掴むために集まった仲間達の夢を掴む力なのだといえます。

しかしジョーの夢はもともとはシドの夢であり、
シドこそがジョーと共に夢を掴む仲間となるべき相手だったはずです。
だがジョーの未熟のためにシドは死んでしまった。
そのことを申し訳なく思い項垂れるジョーに向かってシドの魂は、仲間と共に前に進むよう叱咤します。
そうしてジョーは顔を上げて夢に向かって駆け出し、
それによってシドの魂は救われて、天に昇っていったのでした。

一方、バリゾーグが生き残っていた海賊に倒されたという信じ難い情報を聞いた
ギガントホースのザンギャック首脳陣は愕然とし、
いつしかバリゾーグを心の支えとしていたワルズ・ギルは半狂乱となります。

もともと皇帝の一人息子として虚勢を張って生きてきたワルズ・ギルも本性は小心者であり、
皇帝の跡取りとして常に虚勢を張らねばいけない人生に疲れていました。
それゆえ、そんな弱い自分を無条件で受け入れて一方的に守ってくれる忠実な僕を欲していたワルズ・ギルは
弱い舎弟を守るために戦って囚われの身となっていた優秀な兵士であったシドに
自分に忠誠を誓い仕えるよう求めましたが、シドは拒否し、
怒ったワルズ・ギルはザイエンに命じてシドをバリゾーグに改造して記憶を奪い、
自分にだけ忠実な機械兵士として侍らせていたのです。

だからワルズ・ギルはバリゾーグに一方的に頼りきっていました。
そのバリゾーグを失ったと知った瞬間、ワルズ・ギルは半狂乱となり、
自分がいかにバリゾーグを愛おしく思っていたのか初めて思い知りました。
そして、自分がバリゾーグが生きている間、バリゾーグに頼るばかりで、
バリゾーグに何も報いてやれていなかったことを激しく後悔し、
せめてバリゾーグの仇を自らの手で討ってやらねばいけないと思いました。

そして海賊どもを討伐して地球を征服し、
ダマラスや父のアクドス・ギルも乗り越えて帝国の実権を握った晴れ姿を
あの世のバリゾーグに見せてやらねばいけないと夢想したワルズ・ギルは
再びグレートワルズで出撃すると言い出します。

グレートワルズの攻撃を受けても海賊が死んでおらず、
バリゾーグまでも倒されたことに得体のしれない力を感じたダマラスは危うさを感じて
必死でワルズ・ギルの出撃を止めようとしますが、
ワルズ・ギルは制止を聞こうともせず、飛び出していきました。

ガレオンの堕ちた山の中では、ジョーがルカ、ハカセ、アイム、鎧と合流したところに
マーベラスがガレオンに乗って現れ、マーベラスは自分のさっきの行為が間違っていたことを謝り、
仲間の夢を掴む力の大きさを認め、
6人はその夢を掴む力を合わせて大きな夢を掴み取るために最後まで戦い抜くことを誓うのでした。
その勢いでマーベラス達は襲ってきたドゴーミンを撃破し、
そこに怒りを撒き散らしながら降り立ったワルズ・ギルの操るグレートワルズと
ゴーカイオーと豪獣神で戦います。

もともとの圧倒的なグレートワルズの性能に加えて、
初めて他人のために戦おうとしたワルズ・ギルの気迫は凄まじく、
「大いなる力」も多数繰り出すマーベラス達の攻撃をものともせず、
グレートワルズはマーベラス達を圧倒します。

一方的展開の中、ワルズ・ギルは勝ち目の無い海賊どもがヤケになって立ち向かってきているのだと思い、
そろそろ死を迎え入れる覚悟を決めるようマーベラス達に求めました。
しかし、どんな苦境においても決して諦めず、6人の心を1つにして
夢を我が手に掴むまで突き進むだけだということを、6人は強く宣言します。

その瞬間、ゴーカイジャーのレンジャーキーが光を放ち、6人の「夢を掴む力」に反応して、
ゴーカイジャーのレンジャーキーに秘められていた全ての力が引き出され、
そのレンジャーキーをゴーカイオーと豪獣神のコクピットに挿しこむと、カンゼンソウルが出現し、
それをマッハルコンに挿し込むことで3体はカンゼンゴーカイオーに合体し、
その圧倒的戦闘力でグレートワルズを圧倒し、
ワルズ・ギルの所詮は夢を持つことのない操り人形と結んだ仮初の絆は、
ゴーカイジャーの夢を掴むために集まった仲間の絆の持つ「夢を掴む力」の前に無残に敗れ、
グレートワルズは砕け散り、ワルズ・ギルは戦場に散ったのでした。

ゴーカイジャーのレンジャーキーを作ったのはアカレッドであったが、
ゴーカイジャーはもともとは「宇宙最大のお宝」を使っての宇宙の作り直しをするための戦士であり、
ゴーカイジャーの力の本質とは、「平和な宇宙」という34のスーパー戦隊の夢を引き継いで、
それを実現するための力でした。
その力を引き出す資格を持つ者は、必ず夢を実現するという強い意思の力を持つ者であり、
それがつまり「夢を掴む力」を持つ者ということになります。

しかし、アカレッドはその「夢を掴む力」を
必ずしもお宝を使っての宇宙の作り直しにおいて使うものとは限定してはいませんでした。
要は34戦隊の夢と同じ「宇宙を平和にする」という夢を引き継いで実現する強い意思さえあれば、
その方法は戦って勝ちとるというものでもいいはずです。
アカレッドがマーベラス達に期待した「夢を掴む力」は、まさに後者の方であったといえます。

ただ、そんな深い事情は何も知らないマーベラス達は、
いきなりゴーカイジャーのレンジャーキーが光ってカンゼンゴーカイオーが登場したことに驚き、
戦いの後で、あれはゴーカイジャーの「大いなる力」だったのだろうかと不思議がります。

ゴーカイジャーにも34戦隊のように「大いなる力」が存在し、
その正体は「夢を掴む力」であるとするなら、
これでゴーカイジャーも35番目のスーパー戦隊になったということなのだろうかと鎧は嬉しそうにしますが、
マーベラスはそれはまだよく分からないと思いました。
まだまだスーパー戦隊というものはマーベラスから見て謎の多い存在であり、
そう簡単に自分達がスーパー戦隊の仲間入りが出来るとも思えない。

ただ、1つ確かなことは、「夢を掴む力」を持つ者が変身できるゴーカイジャーという戦士のパワーは
その仲間が「共に大きな夢を掴むために集まった仲間の絆」で結ばれて心を1つにすることによって
ゴーカイジャーという戦士に秘められたパワーを全て引き出すことが出来るのであり、
そうして引き出された、より大きな「夢を掴む力」は、より大きな夢を実現することが出来る、
それこそが真のゴーカイジャーなのだとマーベラスは思いました。

そして、この力を使えば、もしかしたら、かつてのスーパー戦隊のように
自分達の力でザンギャックの侵略から地球を守ることが出来るのかもしれない。
少なくとも、そのような希望を抱きながら今後の戦いを続けていくことが出来る。
そのようにマーベラスは少し嬉しく思えたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:55 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月25日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その17

ザンギャック帝国の皇太子でもある、地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルが
帝国最強の決戦機グレートワルズもろとも、ゴーカイジャーに撃破されて戦死したという大事件は、
各方面に大きな変化を促しました。
その結果、物語は大きく佳境に向けて動き出し、ここから起承転結の結にあたる第4部に入っていきます。

まず地球侵略軍の参謀長であるダマラスはワルズ・ギルの戦死に大きな衝撃を受けます。
ダマラスは皇帝アクドス・ギルから直々にワルズ・ギルの補佐役として付けられて、
実質的にダマラスが地球を征服し、その手柄をワルズ・ギルに献上するように命じられていたのですから、
ワルズ・ギルが戦死したとなればダマラスは皇帝の信頼を裏切ったことになり、責任を問われるのは必至となります。
ならば、せめてワルズ・ギルを殺した下手人であるマーベラス一味の首を取っておくしか、
ダマラスの名誉挽回の道はありません。

いや、海賊一味の首を取ったぐらいで帝国の後継者を守りきれずに死なせてしまった罪が
軽減されるはずもないとはダマラスも分かっていましたが、ダマラスは純粋にマーベラス一味が憎かったのです。
ワルズ・ギルには散々邪魔ばかりされたダマラスでしたが、
基本的には皇帝一族には忠誠心の篤い武人であるダマラスは、ワルズ・ギルの死を普通に悼み、
帝国に仕える武人として仇であるマーベラス一味を憎んでいました。

もともとワルズ・ギルが暴走したのは彼自身の誤解によるものでしたが、
その誤解を生んだのはダマラスがワルズ・ギルの陰口を叩いていたことが発端であり、
ダマラスは自分がワルズ・ギルを追いつめてしまったのだと責任も感じていました。

それに何より、司令官を殺されて引き下がっては、宇宙最強の武人といわれたダマラスの名に傷がつきます。
ダマラスは自分の武人としての名誉に賭けて、必ずマーベラス一味を討ち取らねばならないと決意しました。
幸い、ダマラスの出撃を禁じていたワルズ・ギルはもうこの世にいませんから、
ダマラスは地上に降りてワルズ・ギルの敵討ちの名目でマーベラス一味を相手に心置きなく
その力を振るうことが出来るようになったのです。

ただ、ワルズ・ギル亡き今、地球侵略軍の事実上のトップはダマラスですから、
まずは司令官を失って動揺する全軍をまとめて態勢を整えなければなりません。
また、ワルズ・ギルの遺体を丁重に弔い、事の次第を本星の皇帝に報せ、本星からの指示を受ければならない。
今や実質的な新司令官となったダマラスはワルズ・ギルの敵討ちをしたいという意向を皇帝に伝え、
まずは皇帝からその許可が下りてから動かねばなりません。
そこでまずはダマラスはインサーンにマーベラス一味を倒すための作戦を一任し、
自分は急ぎ全軍の掌握と本星との連絡にあたりました。

そのダマラスからのワルズ・ギル戦死の緊急の第一報はザンギャック本星の皇帝宮殿に届けられ、
それを受け取った皇帝アクドス・ギルは当然、驚愕しました。
そのダマラスからの報告には、ワルズ・ギルがグレートワルズに乗って海賊と戦い
敗れて死んだと簡潔に記してありました。

しかし、アクドス・ギルは司令官のワルズ・ギル自らがグレートワルズに乗っていたということや、
グレートワルズが海賊ロボごときに敗れたということなど、ダマラスの報告は不自然なことだらけだと思い、
ダマラスが手柄を献上するように命じたことを逆恨みして
ワルズ・ギルをわざと海賊ロボと戦わせて何か小細工でもして謀殺したのではないかと疑いました。

つまりダマラスが地球侵略軍を乗っ取って謀反でもしたのかもしれないと思ったアクドス・ギルは、
海賊討伐のために兵を動かしたいという旨のダマラスの要望も何か裏があるのではないかと疑い、
しばし考えた後、とにかく地球侵略軍は全軍、兵を動かすことも出撃することも控えて
地球上空で待機して本星からの次の命令を待つようにと、ダマラス宛てに返信させたのでした。

そうしておいてアクドス・ギルは秘かに本星での執務を整理して親征の準備を整え始め、
皇帝親衛隊に出撃準備を命じました。
ダマラスがもし謀反を企んでいるのなら、並の者を鎮圧に行かせても返り討ちにあうだけですから、
自ら親衛隊を率いて秘かに出撃して地球侵略軍を急襲してダマラスを捕えるしかないと、
アクドス・ギルは考えたのでした。

一方、地球侵略軍の方では、インサーンがジョーに破壊されたバリゾーグの残骸を回収、修理して、
バリゾーグを復活させようとしましたが、
頭脳回路が壊れてしまっていたためバリゾーグとしての意識や記憶は復活せず、
意識の無い機械人形としてしか復活しませんでした。

そこでインサーンは自作の合体銃でその空っぽのバリゾーグと鎧を合体させて操り、
海賊一味を打倒しようと考え、作戦を実行しましたが
間違ってマーベラスと鎧を合体させてしまった挙句、結局失敗し、
再び分離したマーベラスと鎧によって合体銃を壊され、バリゾーグも完全に破壊されてしまい、退却します。
このあたりのエピソードは講談社スペシャルDVD
「ギンギンにド派手にいくぜ36段ゴーカイチェンジ!!」において描かれています。

そうしてインサーンの作戦が失敗し、次は自ら出撃したいと意気込むダマラスでしたが、
まだ本星からの出撃許可が出ないので待っていたところ、
そこにようやく、「本星から次の指示があるまで全軍待機せよ」という命令が本星の皇帝から届いたのでした。

自分が帝国に対する謀反の嫌疑をかけられてしまっているとは想像もしていないダマラスは、
皇帝がワルズ・ギルの死に激しい怒りを抱いて自分に向けて謹慎を命じたのだと受け取り、
畏まって大人しく命令に従い謹慎し、次の沙汰を待つことにしたのでした。

ここで第39話に入り、こうしてザンギャック地球侵略軍の動きはここにきて完全に止まってしまったのですが、
その頃、地球から離れた宇宙の某所に潜んでいたバスコは
地球でワルズ・ギルが戦死したというニュースを知って驚きました。
そして、困ったことになったと思いました。

バスコはマーベラス達に自分の確保している3つ以外の全ての「大いなる力」を集めさせてから
全部を奪おうと思っていました。
しかし、ワルズ・ギルが死んだということはダマラスが自由に動けるようになったということであり、
ダマラスは自由に動けるようになれば間違いなくワルズ・ギルの仇討ちのために
マーベラス達を討とうとするはずです。
そしてダマラス相手ではマーベラス達は勝ち目は無い。必ず殺されてしまうはずです。

しかしマーベラス達が「大いなる力」集めの途中でダマラスに討たれてしまうと、
マーベラス達の持つ「大いなる力」やレンジャーキーやナビィ、ガレオンなどは
ダマラスに奪われたり壊されたりする危険があります。
もしそれらがダマラスの手に渡ると、バスコも今やダマラスに会えば無事では済まない関係であり、
バスコはダマラスに勝つ力はありませんから、バスコはダマラスからそれらを奪うことは出来ず、
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来なくなってしまいます。

それを阻止するためには、マーベラス達がダマラスに倒されてしまう前に
バスコがマーベラス達の集めた「大いなる力」を奪うしかありませんが、
もしマーベラス達が全部の「大いなる力」をまだ集めていないのならば、
まずバスコが残りの「大いなる力」を急いで集めてからマーベラス達と戦って、
マーベラス達の手持ちの「大いなる力」とレンジャーキーとナビィとガレオンを奪うという手順となります。

ダマラスもワルズ・ギルが死んで地球侵略軍をまとめたり
本星との遣り取りなどですぐには動けないであろうから、
急いで自分が地球に戻って「大いなる力」を集めれば、まだその手順でも間に合うはずだとバスコは考えました。

それでバスコは秘かに急いで地球に戻り、マーベラス達の様子を窺うと、
なんとマーベラス達は第31話の時にバスコが最後に会った時から
1つも新たな「大いなる力」を手に入れていないようであり、バスコはガッカリしました。

そうなると、バスコが急いで掻き集めなければいけない「大いなる力」は、
バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマン、カクレンジャー、メガレンジャーの
5戦隊の分ということになります。
そうしてバスコが探索したところ、すぐに在り処が分かったのは
サンバルカン、ファイブマン、メガレンジャーの3戦隊で、
さっそくバスコは、まずはこの3戦隊の「大いなる力」を確実に手に入れるための計略を練り始めました。

この残り5戦隊のうち、バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマンの3戦隊は、
チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、オーレンジャーと共同歩調をとって、
マーベラス一味を観察していた7戦隊の一員でした。
このグループは、もしマーベラス達が自分達の「大いなる力」を求めてやって来たら、
「大いなる力」を渡す交換条件として、お宝を使って宇宙の作り直しをするよう求めようとしていたグループです。

この7戦隊のうち、オーレンジャーはマーベラス達に無条件で「大いなる力」を渡して、
このグループを抜けましたが、
チェンジマン、フラッシュマン、マスクマンの3戦隊はバスコに「大いなる力」を奪われたものの、
そのままグループには残って残り3戦隊と共にマーベラス達を観察し続けていました。

その残り3戦隊、バトルフィーバー隊、サンバルカン、ファイブマンも、
マーベラス達が「大いなる力」を求めてやって来たら、
「大いなる力」を渡す代わりに宇宙の作り直しをするよう求めるつもりで待ち構えていたのですが、
この3戦隊のうち、5番目のスーパー戦隊のサンバルカンと、14番目のスーパー戦隊のファイブマンが
次のバスコのターゲットになってしまったのです。

このようにバスコが「大いなる力」を狙って動き出したのは、
もともと第31話以降、わざとマーベラス達にお宝ナビゲートをするのを止めて
バスコを焦らせようとしていたアカレッドの狙い通りの展開だったのですが、
皮肉なことにアカレッドは第38話においてグレートワルズに敗れて吹っ飛ばされたガレオンや
船内のマーベラスを守るために自らの「大いなる力」をほとんど放出してしまい、
思念体としての活動を再び停止してしまったので、
このバスコの行動を感知してマーベラス達にナビゲートで伝えることが出来ませんでした。

そしてもう1つ、今回バスコがターゲットとした戦隊である21番目のスーパー戦隊のメガレンジャーは、
サンバルカンやファイブマンとは違って、
マーベラス達に戦ってザンギャックを倒して宇宙の平和を実現し得る可能性を感じて期待していました。
メガレンジャーがそのように期待するようになったのは、マーベラス達の黒十字王との戦いを見守った時のことです。

ならば、あの時、ゴレンジャー等と一緒に「大いなる力」をマーベラス達に渡せばよかったようなものですが、
メガレンジャーはマーベラス達に大きな可能性は見出したものの、
同時にマーベラス達にはその非常に困難な目的を達成するために必要な
重大な資質が欠けているということにも気付きました。
だが、それでもってマーベラス達がやはりダメだと決めつけるのではなく、
それは学べばいいのだとメガレンジャーは考えました。
学んで身につけることが出来るならば、それもまた彼らの資質なのです。

メガレンジャーは歴代戦隊の中でおそらく変身前は最弱の戦隊でした。
もともと何の変哲もない高校生だった彼らはたまたま緊急避難的にメガレンジャーの変身アイテムの装着者となり、
スーツの戦闘能力を使って強大なネジレジアの侵攻と戦って世界を守る羽目になってしまったのですが、
正体がバレてはいけないので戦い始めて以降も普通に高校生活を送らねばならず、
戦闘訓練も出来ないので、戦士として鍛えられることもなく、
その分、精神的に最も未熟で弱い戦隊だったといえます。

だから彼らは常に苦戦を強いられていましたが、
それでも彼らがネジレジアと戦い続けることが出来たのは、
自分達が弱いと自覚しているゆえに、
同じように弱い一般の人々への共感が彼らの戦いの原動力になっていたからです。

そして、その共感を原動力としていたゆえに、
最終的に彼らは弱いと思っていた人々の強さを知ったことによって、
自分ももっと強くなれると信じることが出来て、今までに無いパワーを発揮して最強の敵に勝利したのです。
つまり、メガレンジャーの戦う力の源は、「守るべき対象への強い共感」でした。

そして、共感を持つことにより、自分の守るべき人々が戦う力は無くても強い心を持っていることを知ることが、
更なる大きな力を生むきっかけとなる。
このことの重要性をメガレンジャーは経験上、全ての戦隊の中で最もよく把握していました。
それゆえ、彼らメガレンジャーは黒十字王との戦いを見て、
マーベラス達にそうした精神が欠けていることに気付いたのです。

マーベラス達は確かにザンギャックと最後まで戦い抜いて宇宙の平和を実現しようとする道を選ぶ、
そういう資質はある。
しかし勝てなければ意味は無い。
ザンギャックが本気になり、全力でゴーカイジャーを潰しにかかってくれば、その戦力差は圧倒的です。
確かに戦い慣れしたマーベラス達はかつての高校生だった頃のメガレンジャーよりは強いかもしれないが、
ザンギャックはネジレジアよりも遥かに強大な敵ですから、
ザンギャックとゴーカイジャーの力の差は、ちょうどネジレジアとメガレンジャーの力の差と同じようなものです。
いや、もっと絶望的かもしれない。

ならば、現状のゴーカイジャーの力だけで単純にぶつかってザンギャックに勝てるわけはない。
しかし、メガレンジャーがネジレジアに勝った時のように、
守るべき対象の人々への共感がゴーカイジャーに限界を超えた大きなパワーを与えれば、
ザンギャックに勝てるはずだとメガレンジャーは考えました。

すると、地球が戦いの場に選ばれたのが運命的なことにように思えてきました。
おそらく何も無い場所でゴーカイジャーとザンギャックがぶつかれば、ザンギャックの圧勝に終わるでしょう。
しかし、地球の人々を守る戦いとなれば話は違ってくる。
もしゴーカイジャーが地球の人々に共感を覚え、その地球の人々の心の強さを知れば、
ゴーカイジャーも自分達の限界を超えた強さを引き出すことが出来るようになるはずです。

そして、地球の人々が並はずれた強い心を持っていることをメガレンジャーは知っていました。
だからこそ、この地球がゴーカイジャーとザンギャックの決戦の場として選ばれたのではないかと、
メガレンジャーの面々はふと何か見えざる巨大な意思の計らいのようなものを感じました。

だが、そうした見地でマーベラス一味の黒十字王と戦う姿を見ていると、
せっかく声援を送ってくれている地球の人々に対する共感が薄いように見受けられたのでした。
こんな状態では、マーベラス達はかつての自分達のように限界を超えた力を引き出して
ザンギャックに勝つことは出来ないと、メガレンジャーの面々はガッカリしましたが、
よく考えたらそれも仕方ないことだと気付きました。

マーベラス達は宇宙海賊として今までお尋ね者として生きてきたのであり、
基本的に仲間以外は周囲はみんな敵という環境であったのです。
そんな状態では守るべき対象への共感など生まれるはずがない。
人々を守って戦い始めたのもつい最近のことであり、
まだマーベラス達は守るべき人々がいるということの真の意味すら、よく分かっていないのです。

だからマーベラス達も自分を取り巻く環境の変化に未だ戸惑っているのであり、
戦って声援を送られるということ自体が初めてで、どう対処していいのか分からないのだろう。
黒十字王との戦いを見てそのように理解したメガレンジャーの面々は、
マーベラス達が「大いなる力」を求めて自分達のところへやって来たら、
マーベラス達に自分の守るべき人々への共感とはどういうことであるか学ばせてやろうと考えました。

そのための格好の場所としてメガレンジャーの面々は自分達の母校、諸星学園高校を選びました。
そこには元メガレッドの伊達健太が教員として在職しており、
教え子たちにスーパー戦隊と共に在る地球人の生き方というものをしっかり教えていたからです。
よって、メガレンジャーの面々は自分達の誰のところにマーベラス達がやって来ても、
まずは諸星学園に行かせて健太にマーベラス達を預けるという手筈となっていました。

ところが、バスコがメガレンジャーの「大いなる力」を奪うために目をつけたのも、この諸星学園であったのです。
バスコは学園に大量の爆弾をあらかじめこっそりと仕掛けておき、
それを爆発させると言って脅せば、教え子たちや、彼らの学び舎を守るために教師の健太は抵抗を諦めて
「大いなる力」を差し出すだろうと考えたのです。

そうしてバスコが秘かにその計画を着々と進めていた頃、
インサーンの攻撃を退けたマーベラス達は、ワルズ・ギルを倒したことで今後もしつこく
ザンギャックに狙われることは必至と覚悟しましたが、
ならばこそ少しの暇を見つけて残りの「大いなる力」を早く集めねばいけないと思っていました。
そんな時、ナビィのお宝ナビゲートが発動して、諸星学園高校に行くようにというお告げが出ました。

アカレッド思念体は行動不能になっており、バスコの行動は誰も気付いていませんから、
このナビゲートはたまたま「この星の意思」が
マーベラス達が次に出会うべき戦隊をメガレンジャーだと決めたということを示しています。
「この星の意思」によるナビゲートは、マーベラス一味の成長の段階に応じて決められるようで、
今回はマーベラス一味が「夢を掴む力」を獲得した直後というタイミングで、
諸星学園に行ってメガレンジャーに会う必要性があると「この星の意思」が判断したということになります。

言い換えれば、これまでメガレンジャーに関するナビゲートが無かったのは、
メガレンジャーの「大いなる力」は「夢を掴む力」をマーベラス達が獲得した後でなければ得ることは出来ないと
「この星の意思」が判断していたからなのでしょう。

アカレッドが自らのパワーをほとんど使い切るという代償を払ってマーベラスを救って姿を現して、
その結果、マーベラス達はゴーカイジャーのレンジャーキーの持つ力の全てを引き出せるようになりました。
しかし、それだけではまだザンギャックに勝つことは出来ない。

ゴーカイジャーの「大いなる力」を全て引き出すことが出来るようになった段階で、
その限界を更に超えた力を得る必要があり、
だからこそ「この星の意思」はこの段階でマーベラス達が出会う戦隊としてメガレンジャーを選んだのです。
メガレンジャーこそが最も「限界を更に超えた力」というものを知っており、
マーベラス達にその力を得るヒントを与えようとしてずっと準備していた戦隊なのだということを、
「この星の意思」は知っていたからです。

このナビゲートを受けてマーベラス達が諸星学園高校に行くと、健太が出迎えて、
「大いなる力」を渡す代わりにマーベラス達に1日だけ、この学校の生徒になるよう言いました。
マーベラス達は面食らいましたが、仕方なく健太の言う通りにして、学生服に身を包んで学園内に溶け込みますが、
ハカセと鎧を除いては学校というものに通った経験が無く、
マーベラス達は授業はサボって1日時間を潰せばいいと思い、フラフラと校内をうろつきます。

そうしているとマーベラス達はそれぞれ、校内で様々な生徒たちに出会い、
彼らが皆、ささやかながら夢や希望を抱いて生きていることに気付きました。
そんなことは一見当たり前のことですが、
学校に行ったことのないマーベラス達はこんなに自由に夢や希望を語れる場所があることを初めて知りました。

マーベラス達は夢を叶えるのが命懸けであるザンギャック支配下の宇宙で生まれ育ちましたから、
夢を抱いているのは自分達のようなお尋ね者の海賊ばかりであり、
一般の人々は夢など持っていないものだと思っていました。
だから地球に来ても、マーベラス達は普通の地球人が夢を持っているかどうかなど、そもそも興味も無く、
普段ガレオンで生活し、外に出るのは宝探しと戦いと、あとは買い出しと外食の時ぐらいのマーベラス達は
一般の地球人とゆっくり夢について語り合ったことなどありませんでしたから、
当然一般の地球人も宇宙の他の星の大部分の人達と同じように夢など持っていないものだと思い込んでいたのです。

しかし、こうして日常のマーベラス達では有り得ないような、のんびりとした「学園生活」を送ったことによって、
マーベラス達は初めて地球人の若者がみんな夢を抱いて生きていることを知って、新鮮な驚きを覚えました。
ただ、それは地球人の若者たちが宇宙海賊のように凄い奴らだという意味ではないのだということは、
マーベラス達にはすぐに分かりました。
あくまで地球がザンギャックに支配されていないからこそ、彼らは夢や希望を自由に持つことが出来ているのです。
それに気付いたことによって、マーベラス達は、自分達の戦いの意味が、より明確に分かったのでした。

マーベラス達はゴーオンジャー篇で異世界を巡った際に、
自分達が地球を守って戦う意味は、この宇宙においてザンギャックに支配されていない
未知の世界が失われないようにするためなのだと理解していました。
どうして未知の世界が必要なのかというと、未知の世界でしか夢は見つけられないからであり、
海賊は夢が無ければ生きていけないからです。
だから海賊であるマーベラス達は地球という未知の世界を夢の存在する世界として守るのです。
そして実際、地球には「宇宙最大のお宝」というマーベラス達の夢があります。

しかし、今回、諸星学園で1日、学園生活を送ってみて、
マーベラス達はこの地球に夢を見出しているのは自分達だけではないということを知りました。
この星はザンギャックに支配されていない未知の世界、独特の世界であるゆえに、
誰もが夢を抱くことが出来る世界だったのです。

やはり、未知の世界は夢が見つけられる世界であり、夢に満ちた世界だった。
この星に住む人々は皆、夢を持っている。
今までマーベラス達は宇宙の何処に行っても夢を追いかけているだけであったのに
海賊のレッテルを貼られて排斥されてきた。
しかし、地球では皆が夢を追いかけている、マーベラス達と同じ夢追い人の仲間だったのです。
同じように夢を追う者同士、初めてマーベラス達は普通の人々に対する「共感」を抱いたのでした。

そして、だからこそ、この星の人々の夢を守りたいと強く思いました。
この星の人々の夢を潰させないために、この星がザンギャックに呑み込まれるのを、なんとか阻止したい。
自分達と同じように、この過酷な宇宙で懸命に夢を追っているこの星の人々を守りたいとマーベラス達は思い、
それが自分達がこの星を守る意義なのだと感じました。

健太はマーベラス達にこのことを気付かせるために、
マーベラス達が「夢」を追いかけることをポリシーとしていることを知った上で、
彼らを諸星学園に1日体験入学させ、わざと授業をサボるのを放置して校内を徘徊させて、
真っ直ぐ夢に向かって生きている自分の学校の生徒たちと触れ合わせたのです。

しかし、そうしてマーベラス達が学園生活を満喫していた頃、
健太は校内でウロウロしていたサリーを追い掛けて学校の裏山に誘い出されており、
そこで待ち伏せしていたバスコに出くわしていました。
そこに健太の様子がおかしいので追いかけてきた鎧も割って入り、緊迫した状態となりますが、
バスコは健太に向かって、校内に時限爆弾を大量に仕掛けており、間もなく一斉に爆発すると伝えます。
そして、今ここで大人しく「大いなる力」を渡せば爆発は止めてやるとバスコは言います。

慌てて鎧は校内にいるマーベラスのモバイレーツに連絡して、そのことを伝えますが、
いったいバスコが何処にどれだけの数の爆弾を仕掛けているのかも分からず、
爆発まで10分を切っているという絶望的状況です。
学校や生徒たちを守るためには健太が「大いなる力」を差し出すしかない。

健太はもともとマーベラス達にお宝を使っての宇宙の作り直しをしてもらおうとは思っていませんから、
自分の持つ「大いなる力」を絶対にマーベラス達に渡さなければいけないとまでは思っていません。
健太にとっては、マーベラス達に「大いなる力」を渡すことよりも、
マーベラス達に地球の人々に共感を持って戦う気持ちを理解させることの方が重要でした。
別にメガレンジャーの「大いなる力」が欠けていてもザンギャックとの戦いに絶対的に支障が出るわけではないが、
地球の人々への共感の無いままマーベラス達がザンギャックと戦ったら絶対に勝ち目は無いからです。

その地球の人々への共感はマーベラス達に理解させる手筈は打った以上、
そのためのエサに過ぎなかった「大いなる力」はもはや健太にとってはどうでもいいものでした。
バスコに渡してしまってもいい。
もしバスコに渡してしまって、バスコが変なことをしてメガレンジャーの「大いなる力」を壊してしまったりすれば、
健太たちメガレンジャーは消えてしまうのだが、健太はそんなことは怖くなかった。
それよりも、自分が犠牲になっても、自分の大事な生徒たちの学校を爆発から守れるのならば本望でした。

それで健太は大人しくバスコに「大いなる力」を渡そうとして進み出ますが、
鎧のゴーカイセルラーを通してマーベラスが健太を呼び止めて、
「大いなる力」をバスコに渡す必要は無いと言います。
そして、「生徒たちの夢が詰まった学校は俺たちが守ってやる」とマーベラスは宣言しました。

夢を持つ地球人たちに共感を覚え、地球を守ろうと決意したマーベラス達は、
当然、この夢の詰まった諸星学園を守るということも自らに課したのでした。
だから健太の犠牲によって守られるわけにはいかない。
マーベラス達が自分の力で守らなければ意味はありません。
何故なら、地球人たちの夢を守ることがマーベラス達の夢であり、夢は自分の手で掴むものだからです。
ならば諸星学園だってマーベラス達の手で守らなければいけません。

そのマーベラスの言葉を聞いて、
健太はマーベラス達がしっかり生徒たちの夢に共感を抱いてくれたことを悟り、
マーベラス達が地球の人々への共感という、
来たるべきザンギャックとの決戦において重要になってくるものを手に入れたことを確信しました。

そして、自分がバスコに「大いなる力」を渡して自分を捨てようとしていたのは、
「宇宙最大のお宝」を使って自分の存在を消して宇宙を作り直すという行為と同じだったと気付きます。
自分はその道は選ばずに、
マーベラス達がお宝は使わずに自分の力で戦って絶対的な劣勢をひっくり返して
ザンギャックを倒す可能性に賭けたのだった。
ならば、このケースにおいても、マーベラス達が自分の力で諸星学園を守ってみせると言うのなら、
どんな絶望的状況でもそれに賭けるのが自分の選ぶべき道だったのだと思い直したのでした。

そうして健太は「大いなる力」を渡すことを拒絶し、
マーベラスから健太を守るよう託された鎧がバスコの攻撃を食い止めて健太を守って時間を稼ぎ、
その間にマーベラス達5人が諸星学園校内に仕掛けられた爆弾を全部解除して、
その後で裏山に駆けつけるということになりました。

しかし現実問題として、残り時間10分も無い状況で
数の在り処も不明の爆弾を全部解除することなど不可能です。
それでもやるしかないと、マーベラス達が校内を探し回ろうとした時、
諸星学園のデジタル研究会の部員たちが校内の爆弾の位置を瞬時に特定し、
更に全校生徒たちが爆弾の取り外しに協力してくれたお蔭で、
マーベラス達はギリギリ爆弾の解除に成功し、諸星学園の危機を救うことが出来たのでした。

そして裏山に駆けつけたマーベラス達は絶体絶命のピンチに追い込まれていた健太と鎧を救いました。
バスコは驚きましたが、健太も学園や生徒たちが無事なのか心配して
どうなったのかマーベラス達に質問します。
それに対してマーベラスが学園の生徒たちの協力のお蔭で爆弾を解除出来たと言うのを聞き、
健太は改めて自分の教え子たちの強さを実感し、
自分達メガレンジャーの時と同じように、ヒーローと一般人とが共感し合うことによって
限界を超えたより大きな力を生み出すのだと確信しました。
それが諸星学園の生徒たちとゴーカイジャーの間でも成立することが実証されたと感じて、
健太は来たるべきザンギャックとの最終決戦においても、
きっと地球人の持つ強さがゴーカイジャーの限界を超えた力を引き出すはずだと思いました。

マーベラス達の方は、確かに諸星学園の生徒たちの意外な芯の強さに驚いていましたが、
それは他ならぬ元メガレッドの健太の教え子たちゆえの特殊な例なのだろうという程度に軽く捉えており、
それが他の地球人にも広く見られる強さだとは思っていませんでした。

実際、諸星学園の生徒たちには健太の影響はありましたが、
健太に教えられただけで生徒たちが強い心を持つことが出来ていたわけではない。
それは40年ほどに及ぶスーパー戦隊の戦いを共にしてきた地球人社会全般に浸透していた
強靭な心が基礎となっていることを、健太はちゃんと分かっていました。

だから健太はマーベラス達が地球人に対しての共感を持つようになった以上は、
きっとザンギャックとの決戦時に多くの地球人の強さがゴーカイジャーの更なる強さを引き出すと確信したのですが、
マーベラス達はこの時点ではまだそれに気付いていません。
それにマーベラス達が気付いていないことは健太にも分かっていたが、
それは、いざその時になってマーベラス達が実感して気付けば良いと健太は思っていました。

さて、そうしてその場はマーベラス達とバスコとの戦いになり、バスコも変身して戦いますが、
マーベラス達が以前とは比べものにならないぐらい強くなっていることにバスコは驚きます。
前回、第31話の時はマーベラス達はバスコに全く手も足も出なかったのですが、
今回はちゃんと戦いになっています。
これはやはり第38話でゴーカイジャーの「大いなる力」を全部引き出して
戦うことが出来るようになったからでしょう。

それでもなおバスコの方が優勢ではあったのですが、
戦いのレベルが一気に上がったことによってバスコと一緒に戦っていたサリーが遅れをとってしまい、
サリーは負傷し、絶体絶命のピンチに陥ってしまいました。
それを見てバスコは咄嗟にサリーを庇ってマーベラス達の攻撃を受け、
弾き返しましたが、余計なダメージを負ってしまいました。
ダメージ自体は些細なものでした。
しかしバスコはサリーを身を挺して庇った自分に戸惑いました。

アカレッドの裏切りを知り、アカレッドを裏切ることを決めた時から、
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには仲間をも捨てるしかないとバスコは心に決めました。
そんなバスコはどうせ裏切られ裏切るのだから、共に旅をする仲間など不要だと思いました。
それでも1人だと何かと不便であったので、調教すれば裏切ることのない便利な雑用係として
宇宙猿のサリーを入手して仕込んだのです。

だからバスコにとってサリーなどは仲間ですらない、ただの道具のようなもので、
いつでも平気で捨てることが出来る相手のはずでした。
サリーが死んだって、また何処かで宇宙猿を仕入れて調教すればいい。
いくらでも交換の効く都合のいい道具に過ぎない存在でした。

だからバスコがサリーを身を挺して庇うなんてことがあるはずはない。
その、あるはずのないことが起きたのですから、最も驚いたのはバスコ自身でした。
自分が何を考えてそんなことをしたのか分からず、バスコは軽く混乱しました。
何にしてもサリーは怪我のせいで戦える状態ではなく、
バスコは今の混乱した自分が怪我をしたサリーと共にマーベラス達を相手に戦うのは面倒だと感じ、
ここは撤退することにしました。

そもそも、もともとはバスコはメガレンジャーの「大いなる力」はマーベラス達に一旦渡すつもりだったのです。
ダマラスの脅威が迫っているというのに、あまりにマーベラス達の「大いなる力」集めが進んでいないので
業を煮やしてバスコが集めておこうとしているだけなのです。
だからマーベラス達がこうしてメガレンジャーの「大いなる力」を手に入れるために来ているのなら、
もうそれはそれでいい。
もうこのままメガレンジャーの「大いなる力」はマーベラス達に一旦渡しておこうとバスコは思いました。
後で他の「大いなる力」と一緒に奪えばいいのです。

そんなどうでもいい物のためにこんな場所で面倒な戦いを続けるよりも、
ここは撤退して、同時進行で奪取計画を進めているサンバルカンやファイブマンの「大いなる力」の方に
力を入れた方がいいとバスコは思いました。
それでバスコはロイドを足止めに使って、サリーを連れて撤退していきました。
こうしてマーベラス達は健太を守りきりましたが、
バスコを倒して奪われた3つの「大いなる力」を奪取するチャンスはまた逃してしまったのでした。

そしてマーベラス達の諸星学園の1日体験入学は終わり、
健太はマーベラス達が「守るべき地球人への共感」という
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作るための必修単位を取得したことに満足し、
「卒業証書代わりだ」と言って、マーベラス達にメガレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。

一方、諸星学園から撤退したバスコは、
これで自分が再び「大いなる力」を集めようとしていることがスーパー戦隊側に知られて、
警戒態勢がキツくなってくるだろうと予測し、
その前にさっさと「大いなる力」を集めてしまおうと思い、
奪取のための計略を進めていたサンバルカンとファイブマンの「大いなる力」を
立て続けにまんまと奪ってしまいました。

これでバスコはサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
5戦隊分の「大いなる力」を手に入れたことになり、
一方、マーベラス達はメガレンジャーの「大いなる力」を合わせて27個の「大いなる力」を集めたことになり、
これで未だ所在不明の「大いなる力」はバトルフィーバー隊とカクレンジャーの2戦隊分のみとなりました。

このうち、3番目のスーパー戦隊のバトルフィーバー隊は、
マーベラス一味に宇宙の作り直しをさせようとしている7戦隊のうち、
未だ「大いなる力」を誰にも渡していない最後に残った1つの戦隊であり、
国防省の秘密諜報組織であるバトルフィーバー隊のメンバーは、
神出鬼没の行動をとりながらこの7戦隊のリーダー的役割を果たしており、
オーレンジャーだけはマーベラス達に無条件で宇宙の未来を託すという方針に変わって
この7戦隊のグループから離脱しましたが、
残りの6戦隊はグループが保持する「大いなる力」がバトルフィーバー隊の分だけになった以降も、
マーベラス達の戦いを出来る範囲で観察し続けていきました。
そしてバトルフィーバー隊はバスコに「大いなる力」を奪われることがないように、
バスコに所在がバレないように細心の注意を払って行動していました。

そうなると、残る動向不明の戦隊はカクレンジャー1つだけということになります。
18番目のスーパー戦隊のカクレンジャーは完全に姿を隠していました。
ただ、バトルフィーバー隊のように「大いなる力」をマーベラス達に対する
取引材料にするために姿を隠していたわけではなく、
カクレンジャーの場合、純粋にマーベラス達やバスコに「大いなる力」を渡さないために姿を隠しており、
バトルフィーバー隊のように他の戦隊と共同歩調をとっているわけでもなく、完全に単独で隠れており、
その隠れっぷりも徹底しており、もともと忍者戦隊ですから姿を隠すのは得意中の得意で、
メンバー5人全員が体内に「大いなる力」を持ったまま完全に消息不明となっていました。

その行方はバスコはもちろん、アカレッドにも「この星の意思」にも掴むことは出来ませんでした。
つまり、カクレンジャーに関しては「この星の意思」もナビィを介して
役に立つお宝ナビゲートをマーベラス達に送ることは出来ない状態であり、
それゆえこれまでカクレンジャーに関するお宝ナビゲートは無かったのです。

そのカクレンジャーも黒十字王との戦いの際には「この星の意思」の呼びかけに応じて
マーベラス達の戦いを見守りましたが、この時を境にカクレンジャーはより徹底的に姿を隠すようになってしまい、
「この星の意思」の力をもってしてもその所在を掴むことは出来なくなってしまったのでした。

これでは一見、カクレンジャーはマーベラス一味を35番目のスーパー戦隊としては
認めていないかのようにも見えますが、
実際はカクレンジャーはマーベラス一味のことを35番目のスーパー戦隊として認めており、
しかも黒十字王との戦いを見て、アカレッドの言っていたように
マーベラス達が戦ってザンギャックを倒し得る可能性も感じていました。

それならどうしてゴレンジャー等のように「大いなる力」を渡そうとしなかったのかというと、
カクレンジャーはマーベラス達が戦ってザンギャックを倒すことを期待するからこそ、
あえて「大いなる力」を渡さないことにしたのです。
何故なら、もしマーベラス達が全ての「大いなる力」を揃えて、
彼らの望むように「宇宙最大のお宝」を手に入れてしまえば、
彼らはお宝の力を使って宇宙を作り直すという道を選んでしまう可能性があるからです。

カクレンジャーは人間の心は純粋な善意だけで出来ているわけでもなく、
常に正しい道を選ぶわけでもないということを知っています。
迷って道を誤ることは誰にでも有り得る。
だからカクレンジャーから見れば、ゴレンジャー以下の多くの戦隊がマーベラス達が
正しい道を選ぶことに賭けて簡単に「大いなる力」を渡しているのは危険だと感じられました。

マーベラス達は苦労して手に入れた「宇宙最大のお宝」が自分の好きなように宇宙を作り直す力があると知れば、
それが畏れ多いことだと思う気持ちよりも、
せっかく手に入れたその力を使ってみたいという気持ちの方に押し切られてしまうだろうと
カクレンジャーは予想しました。

だから、そういう事態を防ぐためには
マーベラス達が34の「大いなる力」を揃えられないようにすればいい。
カクレンジャーの「大いなる力」だけが手に入らない状況が続けば、
マーベラス達は地球に留まって宝探しを継続することになり、
他の戦隊の精神を受け継ぎ、自らの戦う意義にも目覚めてゴーカイジャーの「大いなる力」をも手にした
マーベラス達はザンギャックと戦い続けることになる。

そうこうしてマーベラス達が勝ち続けていれば、
遂にはザンギャックの皇帝も地球に出張ってくることになり、
マーベラス達は地球にやって来たザンギャック皇帝をも倒して、
ザンギャック帝国を打倒することが出来るはずだとカクレンジャーの面々は予想しました。

宇宙の作り直しは34の「大いなる力」が揃わなければ不可能ですが、
戦ってザンギャックを倒す場合は、別に34の「大いなる力」は全部揃っていなければいけないわけではない。
33個しか揃っていなくても、マーベラス達の戦闘力はそう大差は無いはずです。
だからカクレンジャーの「大いなる力」は無くても、ザンギャックを倒すことは出来る。
ならば、万が一にもマーベラス達が宇宙の作り直しという道を選ばないように、
わざとカクレンジャーの「大いなる力」だけは渡さないようにしよう。
そういう思惑でカクレンジャーは「大いなる力」を体内に持ったまま姿を完全に隠してしまったのでした。

確かに、カクレンジャーの予測は鋭い。
マーベラス達は今まで故郷を滅ぼされたりしてザンギャックには散々な目にあっており、
ザンギャックこそが諸悪の根源だと思っていますから、
宇宙を作り直すことが出来ると聞けば、
ザンギャックのいない平和な宇宙への作り直しの道を安易に選んでしまう可能性は高い。
だからその可能性を警戒するのは冷静な見方といえるでしょう。

それに、カクレンジャーの「大いなる力」を欠いていても
マーベラス達が地球にノコノコとやって来たザンギャック皇帝を倒すことが出来る可能性が高いことも
正確な予測でした。

マーベラス達は既にゴーカイジャーのレンジャーキーの全てのパワーを引き出すことが出来ており、
その上に、メガレンジャーの「大いなる力」を得る過程で、
地球人との共感によって更に限界を超えたパワーを引き出すためのヒントを得ています。
そのことにマーベラス達自身はまだ気付いていませんが、
きっとザンギャック皇帝が地球にやって来て地球が絶体絶命の危機に陥った時、
これまでスーパー戦隊と共に歩んできた地球人の意識が覚醒して、
それが地球人と共感したマーベラス達の意識を変え、大きなパワーを引き出すはずです。

それによってマーベラス達はきっとザンギャック皇帝にも打ち勝つことが出来る。
そこにはカクレンジャーの「大いなる力」の役に立つ余地などあまり有りません。
だから別にカクレンジャーの「大いなる力」は渡す必要は無い。
むしろ渡さない方が否応なくマーベラス達とザンギャック皇帝の全面対決しか選択肢は無くなり、
マーベラス達が戦ってザンギャックを倒すという結末に確実に至るのです。

だからカクレンジャーが姿を隠しているという選択は賢明であるように見えます。
しかし、その選択が実はあまり賢明でなかったということに気付いている者がいました。
それは遠い未来、31世紀の世界に暮らす24番目のスーパー戦隊のタイムレンジャーの
元タイムイエローのドモンでした。

ドモンは31世紀世界で時間保護局に勤務しており、過去の歴史を詳細に把握しているのですが、
このマーベラス達の関わる21世紀初め頃の歴史についてもその結末を把握していました。
ドモンも含むタイムレンジャーの31世紀人の4人もタイムワープして2011年のレジェンド大戦には参加し、
その戦いで彼らは「大いなる力」の半分を放出して変身して戦うことが出来なくなり、
「この星の意思」やアカレッドから35番目の戦隊のことや宇宙の作り直しの話などを聞き、
31世紀の未来へ戻りました。

しかし、未来人であり時間保護局員でもある彼らはその義務に従って何も言いませんでしたが、
自分達が参戦することも含めたレジェンド大戦の顛末も、その後の出来事も全てもともと知っていました。
知っていたが、歴史に不用意に介入してはいけないので、
タイムレンジャーの仲間である21世紀人の浅見竜也や、
同じく21世紀の思念体となって参戦した滝沢直人たちにも
彼ら4人は21世紀に起こる歴史の真実を話しませんでした。

「この星の意思」やアカレッドでさえも、あくまで21世紀における存在ですから、
未来の情報を教えることは出来ないので、ドモン達は余計なことは何も言わず、
豪獣ドリルの管理などの役割も31世紀世界で引き受けたりして
レジェンド戦士の一員としての役割はこなしてきていましたが、
実際は31世紀人として、21世紀の歴史において起こったことは把握していました。

ドモン達が把握していた2011年のレジェンド大戦以降の歴史においては、
2014年初めにマーベラス一味が地球に降り立ち、
スーパー戦隊の「大いなる力」を集めながらザンギャック侵略軍と戦ったということは既に分かっていました。
ただ、ドモンの把握していた歴史においては、マーベラス達は結局、
カクレンジャーの「大いなる力」だけは手に入れることが出来ず、
「宇宙最大のお宝」を見つけることは出来ませんでした。

ではその後のマーベラス達がどうなったのかというと、
まさにカクレンジャーの予想通り、2015年の初め頃、マーベラス達は
33戦隊の「大いなる力」とゴーカイジャーの「大いなる力」、
それに地球人のザンギャックに決して屈しない心の強さに共鳴して限界を更に超えた力を発揮して、
ザンギャック皇帝の率いる大艦隊に起死回生の逆転勝利を収めたのです。

ところでこの戦いの時、バスコはどうしていたのか?
ドモンの知っている歴史においては、34の「大いなる力」が揃わない段階で足踏みしていたバスコは、
バスコ自身が既にこの時、ザンギャックから追われる立場となっていたので、
何としても「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには地球を守らねばならず、
地球を滅ぼそうとするザンギャック皇帝アクドス・ギルを倒すしか道はありませんでした。

かといって1人ではザンギャックの大艦隊やアクドス・ギル相手に勝てるはずもないので、
バスコはマーベラス達と共闘するしかなくなり、
最終的には巨大戦力を失ったマーベラスと鎧とサリーと共にフリージョーカーでギガントホースに突っ込み、
皇帝を直接討ち取り大艦隊を一気に殲滅する作戦を決行しました。
しかしバスコは「宇宙最大のお宝」を独り占めするためにマーベラスとアクドス・ギルを一緒に片付けようとして、
マーベラス達を裏切りました。

バスコはマーベラスと鎧とサリーと共にフリージョーカーでギガントホースの艦橋に突っ込んだ後、
秘かに1人だけ破損したがどうにか動かせるフリージョーカーに戻ってギガントホースから離脱して、
ギガントホース艦橋内にマーベラスと共に残してきたサリーの首飾りに仕掛けた爆弾を爆発させて、
マーベラスとアクドス・ギルを一緒に片付け、ギガントホースを内部から破壊し、
その混乱に乗じてフリージョーカーでその場を逃げ、
その後で地上に残っていたジョー達を倒して全てを奪うつもりでした。

ところがサリーがバスコを追ってフリージョーカーに戻ってきていたため、
バスコがギガントホースからフリージョーカーを離脱させてすぐに起爆スイッチを押した瞬間、
フリージョーカーが大爆発を起こしてバスコとサリーは死に、
炎の塊となったフリージョーカーがギガントホースに突っ込んで艦橋と下層部を分断し、
マーベラスと鎧は艦橋でアクドス・ギルとサシで勝負することが出来るようになり、
その結果、大艦隊を殲滅し、ギガントホースも破壊し、
その後、アクドス・ギルをも倒してザンギャック相手に勝利したのでした。

こうした歴史の顛末を知っていましたから、
ドモン達タイムレンジャー31世紀組は、お宝を使っての宇宙の作り直しなど不要だと最初から分かっていました。
よって、滝沢直人の思念体が戦ってザンギャックを倒すことを期待して
鎧にタイムレンジャーの「大いなる力」を渡した時も、その判断を快く受け入れました。
というか、ドモン達は直人の思念体が鎧に「大いなる力」を渡すことも、
その鎧がゴーカイジャーの6番目の仲間になることも、全て最初から歴史上の出来事として知っていたのです。

だからドモン達はただマーベラス達が歴史の記録にある通りにザンギャックを倒すのを
未来から豪獣ドリルでサポートしながら黙って見守っていればよかったはずでした。
しかし、途中でドモンはそのマーベラス達の辿る歴史の流れが、
微妙に自分達スーパー戦隊の望んでいたものとは違うことに気付きました。
そして、それはきっとマーベラス達が望んでいた未来とも違っていたはずだということにも気付きました。

そのドモンの気づいて知った歴史の真実はどういうものだったのかというと、
マーベラス達が2015年の地球においてザンギャックの大艦隊と皇帝アクドス・ギルを葬った後も、
宇宙は混乱が続き、決して宇宙は平和にならなかったのです。
確かに地球は守られたのですが、宇宙は平和にならなかった。
しかし、もともとスーパー戦隊は宇宙を平和にしたくてザンギャックを倒そうとしていたはずです。

皇帝を地球で倒しても、その宇宙の平和の実現という目的は達成することは出来なかった。
それはまずドモンにとっても残念なことでした。
ただ、それ以上にドモンの心に引っ掛かったのは、
スーパー戦隊がマーベラス達をこの地球でザンギャックと戦わせたような形であるのに、
結果的には地球を守ることだけは成功して宇宙の混乱は放置することになってしまったことでした。

もともと地球を守る義理は無かった宇宙海賊のマーベラス達を
伝説の「宇宙最大のお宝」で釣って地球に留めてザンギャックと戦わせたのは、
スーパー戦隊やその思念体であったアカレッドでした。
そんな一種の詐欺のような行為が正当化出来たのは、
ザンギャックを倒して宇宙が平和になれば、宇宙人のマーベラス達も幸せになるはずだからでした。
マーベラス達こそが最も宇宙の平和を望んでいるのだから、
この戦いが宇宙平和のための戦いである以上、マーベラス達を多少騙して巻き込んでも問題は無い。
アカレッドやスーパー戦隊側はそういう考え方でした。

しかし、その結果、地球だけが救われて、宇宙は平和にならなかったという歴史的事実を
ドモンたちタイムレンジャー31世紀組だけは、
途中で地球以外の宇宙の2015年以降の歴史も調べた結果、気付きました。
これでは、まるでスーパー戦隊が地球を守るために宇宙人のマーベラス達を騙して利用しただけのようなものです。
マーベラス達を巻き込んでおいて、こんな結果で本当にいいのだろうかとドモンは悩みました。
どうして当初目指していた結果にならなかったのだろうかと考えた結果、
ドモンはマーベラス達が34の「大いなる力」を揃えられなかったから予定が狂ったのだと気付いたのでした。

そこから先は歴史において起こらなかった事ですからドモンの推測に過ぎませんが、
マーベラス達が34の「大いなる力」を揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れて、
宇宙の作り直しをするかどうかの選択を迫られる時、
初めて彼らが「宇宙の平和」こそが自分達の目指すべき夢だということを強く実感し、
仲間の誓いとなるのではないかと、ドモンは考えました。

ドモンはマーベラス達がザンギャックを倒す歴史を知っていたので、
マーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れることなど必要無いと考えていましたが、
実は「宇宙最大のお宝」を使うこと自体は不必要だが、
「宇宙最大のお宝」を前にして葛藤して「宇宙の平和」について深く考えることは
マーベラス達にとって必要なことだったのではないかと思えてきました。

スーパー戦隊はもともとマーベラス達を宇宙の平和を実現してくれるヒーローとして期待していたのに、
マーベラス達は「宇宙最大のお宝」を前にして「宇宙の平和」について深く考える機会を持てなかったので、
結局ザンギャック軍を地球で破った後、ずっと地球で「宇宙最大のお宝」を探し続けてしまい、
ザンギャック帝国による支配の崩壊後の混乱する宇宙に目を向けることが無かったのです。

だから、宇宙の平和の実現のためには、一旦マーベラス達に「宇宙最大のお宝」を見つけさせて、
その上で真の宇宙平和の実現のためにはお宝を使うべきではないということを自分で悟らせて、
ザンギャック軍を地球で破った後、宇宙平和のために旅立つように仕向けないといけないのだということに
ドモンは気付いたのでした。

しかし、そのようにはならなかったことはもう歴史的事実として確定してしまっていました。
ドモンのいる31世紀から見れば、マーベラス一味もスーパー戦隊も皆、1000年前の歴史上の人物であり、
もう起こってしまったことは取り返しはつきません。

しかしドモンは確かに彼らから見れば1000年後の世界の人間だったが、
同時に同じスーパー戦隊の当事者でもありました。
地球を守るためだけにスーパー戦隊が宇宙人のマーベラス達を利用しただけで良いはずがない。
出来れば、マーベラス達の2015年以降の人生を、
歴史に残っているような無意味な宝探しに費やして地球に埋もれた人生ではなく、
彼らの本来心の奥で望んでいた宇宙の平和という本当の夢を追求する夢と冒険に満ちた人生に変えてやりたい。
それが彼らを巻き込んで地球を守ってもらったスーパー戦隊や地球人としての義務だろうと思えました。

31世紀人だって同じことです。
2015年にマーベラス達が命を賭けて戦ってくれなければ地球はその時滅んでいたのであり、
31世紀の繁栄だって無いのです。
だから、たとえ歴史が変わってしまって31世紀の世界が多少変わってしまったとしても、
2015年のマーベラス達の人生の流れを変えて、
マーベラス達が宇宙平和のために2015年以降も戦い続けるように仕向ける必要があると、
ドモンは決意したのでした。
つまり、ドモンは過去の歴史を変えてやろうと思ったのです。

ただ、いくらタイムマシンで自由に時間移動出来る立場の時間保護局員のドモンであっても、
強引に未来から過去の歴史に介入することは出来ない。
それは世界の摂理が許さないのです。
未来から過去の歴史を大きく変えることを意図したような直接的な介入をすれば、
歴史の修正力が働いて、自然に歪みが修復されて、
結局は元通りの歴史の結果になるように導かれてしまい、歴史は変わらないのです。

だから、ドモンがマーベラス達に直接、宇宙の平和を実現するために戦うように指示するなど論外であるし、
そんな大雑把なことをしてもマーベラス達が素直にそんな指示に従うはずもない。
自然な形でマーベラス達が34の「大いなる力」を揃えて「宇宙最大のお宝」を手に入れ、
その後、彼ら自身の判断で宇宙平和のために戦おうという決意をさせなければいけないのです。

それはカクレンジャーが危惧したように、
下手したら、マーベラス達がお宝を使って宇宙の作り直しをしてしまう可能性もある道なのですが、
ドモンは仲間の直人がマーベラス一味がきっと戦ってザンギャックを倒す道を選んでくれるはずだと
期待したのだから、自分もマーベラス達を信じようと思いました。
だからマーベラス達がお宝を手に入れた後は心配のことはドモンは心配していませんでした。

むしろ問題は、ドモンの知る歴史ではマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れられなかったことでした。
その元凶がカクレンジャーです。
カクレンジャーがマーベラス達に「大いなる力」を渡さなかったから、
マーベラス達は「宇宙最大のお宝」を見つけられなかった。

ならばマーベラス達がカクレンジャーの「大いなる力」を手に入れられるようにすればいいのだが、
ドモンが調べたところ、マーベラス一味が地球に降り立って以降、
カクレンジャーのメンバーの出現記録が一切残っていません。
つまりカクレンジャーはマーベラス達に「大いなる力」を渡さないように姿を隠していたようなのです。

それ以前の歴史を遡っていけば、レジェンド大戦時など、
カクレンジャーを見つけて接触するチャンスはありましたが、
ドモンが直接カクレンジャーを説得するのは歴史の修正力の前ではルール違反行為として
引っ掛かってしまいますから、説得は無意味です。
マーベラス達とカクレンジャーのメンバーが自然に出会えるように巧妙に間接操作するぐらいまでしか
歴史の摂理上は有効な手段になり得ないのですが、
マーベラス達が地球に降り立って以降のカクレンジャーの足取りが掴めない以上、
ドモンとしてもどうしようもありませんでした。

そうして困り果てていると、
ドモンはレジェンド大戦時にカクレンジャーが5人しかいなかったことに気付きました。
カクレンジャーにはもう1人、体内に「大いなる力」を持つメンバーとしてニンジャマンがいたはずですが、
そのニンジャマンはレジェンド大戦の時、何故かいませんでした。
となるとニンジャマンは戦う力を失っていないはずですが、
それにしてはザンギャックが侵攻を再開して以降もニンジャマンの姿は一向に歴史上に現れません。

不審に思ったドモンは、ニンジャマンはレジェンド大戦以前から何らかの事情で
自由に動き回れない状態になっており、カクレンジャーの5人とは全く別行動だったのではないかと推理しました。
もしそうならば、カクレンジャーのメンバーが示し合わせてマーベラス一味から姿を隠している合意とも、
ニンジャマンは無関係ということになります。
となれば、ニンジャマンは隠れて逃げ回っているわけではないのだから、
その居場所さえ分かれば、マーベラス達をそこに行かせれば
ニンジャマンからカクレンジャーの「大いなる力」を貰うことが出来るかもしれません。

そこでドモンがレジェンド大戦以前の歴史も詳細に辿っていくと、
2004年の11月末にニンジャマンと思われる不思議な戦士が動物園から脱走した動物を捕まえた後、
姿を消したという記録が残っているのを発見しました。

この事件がニンジャマンの失踪に関係していると直感したドモンは
タイムマシンで2004年の11月末のこの日付に飛び、その事件現場をこっそりと観察していました。
するとニンジャマンが現れて派手に暴れ回って、脱走した動物たちをさんざんやっつけて捕まえた後、
ニンジャマンの師匠にあたる三神将がその場に現れてニンジャマンを連れ去って飛んで行ったのでした。

ドモンはそれを追跡して、三神将が見境なく暴れて人々に迷惑をかけたニンジャマンを
罰として寝隠神社の奥にある壺の中にぴったり10年間封印の刑に処したのを目撃しました。
これでニンジャマンがレジェンド大戦に現れなかった理由がハッキリし、
カクレンジャーの5人はこのことを知らないこともドモンには分かりました。
もしニンジャマンがここに封印されていることを知っていれば
カクレンジャーは壺を割ってニンジャマンを出してレジェンド大戦に連れていったはずだからです。

つまりニンジャマンとカクレンジャーは2004年秋以降は一切接触は無く、
カクレンジャーがマーベラス一味に「大いなる力」を渡さない方針であることもニンジャマンは知らないのです。
そして、その壺の封印が効力が切れるのが2014年11月末です。

壺の封印の効力が切れても、外から誰かによって壺を割ってもらわなければ
ニンジャマンは外に出ることは出来ませんが、
三神将はレジェンド大戦以降、カクレンジャーの「大いなる力」の半分が宇宙に飛んで行ってしまった関係で
地上で活動出来なくなっており、壺を割ることは出来ません。
しかし壺の封印の効力が切れていれば、カクレンジャーや三神将でなくても誰でも壺を割ることは出来ます。

ならば、2014年11月末といえば、まさに2014年2月にマーベラス一味が地球に降り立って以降、
ザンギャックと戦い続けている時期であり、2015年初め頃のザンギャックとの最終決戦の少し前の時期であります。
ならば2014年11月末の封印の効力の切れる日にドモンからマーベラス達にさりげなく
寝隠神社という場所に「大いなる力」を揃えるための何か重要な手掛かりがあるように
ヒントとして伝えておけば、遠からずマーベラス達があくまで自力で寝隠神社に行って
封印の壺を見つけて、ニンジャマンと出会うことが出来るのではないかと、ドモンは考えました。
それなら、最終決戦の前にマーベラス達が「宇宙最大のお宝」を手に入れるという、
歴史の変更が自然に生じるのではないかとドモンは考えました。

ところが、更にドモンが歴史記録を調べていくと困ったことになりました。
寝隠神社は実は2014年11月末時点では無くなっていたのです。
いつ無くなったのかというと、2010年10月2日に謎の爆発事件が起きて吹っ飛んだのだといいます。
つまり、この時、ニンジャマンの壺も吹っ飛んでしまい、封印されていたニンジャマンも消滅してしまったようです。

ならば2014年2月に地球に降り立ったマーベラス達にニンジャマンを会わせるためには、
この爆発事件をあらかじめ阻止して寝隠神社を守っておかねばいけません。
そこでドモンは2010年10月2日の事件発生時間にタイムスリップして神社の外で見張って
事件の顛末を見てみました。
些細な事故ならば未来人のドモンでも歴史の修正力の邪魔を受けないで食い止めることは可能だったからでした。

しかし、見てみると、ちょうどこの頃活躍中だった34番目のスーパー戦隊のゴセイジャーの
敵組織であったマトリンティス帝国のマトロイドが何故か神社にやって来て、神社は破壊されました。
爆発はマトリンティスの仕業だったのだとドモンは知りました。
つまり、この爆発を阻止しようとするとマトリンティスのマトロイドと戦って倒さねばならず、
それは歴史の流れを大きく変える行為ですから、
歴史の顛末を知る未来人のドモンが手を下してしまうと歴史の修正力が働いてしまい、
結局は神社の爆発は止められなくなってしまいます。

ならばちょうどこの時期に活動していたゴセイジャーにそれとなく神社を守らせて
爆発を阻止させるというのが最も賢明な方法でしたが、
運悪くこの10月2日というのはゴセイジャーは別の重大な戦いの真っ最中で、
寝隠神社を守っているヒマはありません。

そこでドモンは歴史はあくまで当事者であるマーベラス一味の手によって、
歴史の流れは何も知らせない状態で変えさせるしかないと心に決めました。
マーベラス達もまた2010年から見れば微妙に未来人なのですが、
その神社を守る真の意味を何も知らないマーベラス達がよく知らない怪人を倒して無人の神社を守るだけならば
歴史の流れに大きな影響は無いので、歴史の修正力はギリギリ作用しないはずだと思えたのでした。

それで第40話において、
2014年11月末、ちょうどメガレンジャーの「大いなる力」をゲットした少し後の時期のマーベラス達に向けて、
ドモンは31世紀からビデオレターを送りました。
この日付は、もし寝隠神社が存在していれば、
ちょうど寝隠神社でニンジャマンの壺の封印の効力が切れるはずの日でした。

そのビデオレターでドモンはマーベラス達に、
特別にプログラムした豪獣ドリルに乗って2010年10月2日にタイムスリップして、
寝隠神社という神社を守れば「大いなる力」を全部揃えるチャンスを与えてやると伝えたのでした。

マーベラス達がその依頼に応えて過去に行って神社を守って戻ってくれば、
無くなっていたはずの寝隠神社は2014年に存在しているはずであり、
まさにこの日に壺の封印は解かれているはずなのです。
つまり、いつでも寝隠神社に行けばマーベラス達はニンジャマンを見つけることが出来るようになるのです。

但し、出来るだけ歴史の修正力が作用しないようにするために、
なるべく過去の人間には関わらないように忠告しました。
もし31世紀に繋がる歴史に重大な変更が加わるような行為をしてしまった場合、
そこに歴史の修正力が働いて、巻き添えで神社の存続の方も無効にされてしまう恐れがあるからでした。

ただ、そういう諸々の事情はドモンはもちろんあえてマーベラス達には一切説明していませんから、
マーベラス達はドモンのビデオレターの言うことの意味はよくは分かりませんでしたが、
ドモンの頼み通りに神社を守ればドモンが何か重要な情報をくれるのだろうと思い、
ザンギャックの活動も何故かパタリと止んでいてマーベラス達も余裕があったので、
ドモンの依頼を引き受け、2010年10月2日にタイムスリップしました。

そして、寝隠神社でたまたま出くわした外道衆を爆破事件の犯人と間違えたマーベラス達が
外道衆を追いかけて遠くに行っている間、鎧が1人残って、
ちょうど神社に居合わせた少年を避難させようとしたところ、
その少年は家出少年で、母子家庭に育った少年はフリーライターの母親の仕事の都合で
しょっちゅう引っ越しをしているために転校ばかりで学校で友達が出来ないで困っていると言います。
それでもう母親と一緒に暮らすのが嫌で1人で生活して引っ越ししないで
ずっと同じ学校に通いたいのだそうです。

その話を聞いた鎧は、自分も小学校の頃、同じように親の仕事の都合で転校ばかりだったが、
いっぱい友達が出来たのだと、少年に告白しました。
鎧も当初は友達が出来ないのは親のせいだと思っていたのですが、途中でそうではないことに気付いたのです。

鎧が友達が出来なかった本当の理由は、全てを親のせいにして自分で努力することを放棄していたからでした。
親の引っ越しは子供の鎧にはどうすることも出来ないことですから、
そのせいにしている限り、鎧は何も努力しないで済みます。
だから鎧は自分が怠けるために親のせいにして文句ばかり言っていたのです。
そのお蔭で鎧は努力しないで楽を出来ましたが、その代わり友達は全然出来ませんでした。

それではダメなのだと少年時代の鎧は気付いたのです。
自分ではどうしようもないことのせいにしてはいけない。
そんなことをして怠けて過ごすよりも、日々、自分の出来ることをした方がいい。
自分の出来ることは限られているけれども、何もしないで文句を言うだけでは何も状況は変わらないのに対して、
自分の出来ることをやれば、また転校するまでの短い期間だけかもしれないけど、友達は作ることは出来る。
すぐお別れしてしまうかもしれないけど、少なくともその日その日は楽しい。
文句を言って何もせず友達が出来ないよりはその方がよほどマシだと、鎧少年は気付いたのでした。

つまり、転校を繰り返す自分の運命は子供の自分には変えられないけれども、
それでも腐らずに前向きにクラスの子に話しかけていけば、
たとえ短い期間だけでも、楽しい明日を作ることは出来る。
そう考えて鎧は転校するたびにクラスの子に積極的に話しかけていくようになり、
気が付けば、全国にたくさんの友達が出来ていたのです。

運命を変えようとして変えられないと嘆くことをやめて、
運命は変えられないと諦めて、
その代わりに自分の出来ることをやって自分の明日だけでも変えていこうと努力し続けた結果、
気が付けば自分の運命も変えることが出来るのです。
そのことを鎧は自分の経験則として少年に教えてあげました。

これはまさにドモンがマーベラス一味に求めている、
自分の力だけで地道な努力を積み重ねて、あらかじめ定められた歴史をも変更して、
新たな自分の運命を切り開いていく精神そのものでした。
鎧はそうした自分の明日を変える力を持っており、
マーベラス達もまた自分の明日を変えて、結果的に運命を自分の力で掴み取ってきたのです。

そこに神社内にあるニンジャマンの壺のエネルギーに反応したマトリンティスのマトロイドが出現して、
深い意味も無く神社を破壊しようとしたので、
鎧は意味は分からないながらも、これが神社を破壊した真犯人だと気付き、
少年と神社を守り、合流したマーベラス達と共にマトロイドを倒したのでした。

こうしてマーベラス達は神社を守った真の意味は分からないまま、
着実に自分たちの明日を一歩切り開いたのでした。
そして少年は別れ際、鎧に向かって自分も頑張って明日を変えるため努力していくと約束し、
母親と一緒に帰っていきました。

そしてマーベラス達が2014年11月末の元の日付に戻ると、
過去に行く前は無かったはずの寝隠神社は存在しており、
神社が爆破されて無くなるという歴史は修正されて、
神社を守るミッションは成功したことをマーベラス達は確認しました。
しかし、よく考えたらドモンから「大いなる力」に関する目ぼしい情報を何も貰っていないことに気付き、
マーベラス達はドモンに騙されたのだと思い込み、憤慨しました。

しかし、これで寝隠神社の中に隠されたニンジャマンの封印された壺は
無事に2014年に存在するように歴史は修正されており、
その封印はまさにこの日、解除されたのです。

そして寝隠神社と「大いなる力」に何らかの関係があるというヒントは
ドモンからマーベラス達に向けて伝わっており、これが目ぼしい情報といえます。
これ以上明確な情報となると歴史の修正力が働いてしまうので、
ドモンからマーベラス一味に伝えられる情報はこれぐらいが限界であったといえます。
マーベラス達はこの時点では寝隠神社と「大いなる力」の関係に気付いていませんが、
これに気付くことが出来るかどうかは、あとはもう未来からの介入は関係無く、
マーベラス達の「自分の明日を変える力」次第といえます。

そして31世紀でもドモンは寝隠神社が2010年以降も存続し、
2014年11月末の壺の封印が解けた日以降も無事に存在しているという歴史に書き換わったことが確認され、
ドモンはひとまず神社を守るというミッションに関しては
歴史の修正力の邪魔は入らずに達成されたことを確認し、安堵しました。

そこに豪獣ドリルが戻ってきて、
ドモンは操縦席に鎧からのミッション成功を報せる手紙が置いてあるのを見つけます。
その手紙の中には神社で出会ったという母子と一緒に撮った記念写真が入っていました。
鎧が出会って「明日を変える」ことを約束して別れた例の少年とその母親の写真でした。

ドモンはマーベラス達がこの母子がもとの歴史では爆発に巻き込まれて死ぬ可能性があったのを
助けてしまったのだと気付き、危うく歴史の修正力が作用する事態であったことを知って肝を冷やします。
幸い、この子供の子孫が31世紀まで血統が繋がっているのがもともとの歴史の既定事項だったので
歴史の修正力が作動しなかったのでしょう。
しかし危ないところだったと思ってドモンがその写真をよくよく見ると、
その母親はドモンがかつて2000年の世界にタイムスリップして2001年初頭までの1年間、
タイムレンジャーとして戦った時の恋人の森山ホナミでした。
ドモンは最後は強制的に31世紀の世界に戻されて、2001年の世界にホナミを残してきました。
そのホナミが2010年の世界に生きており、10歳ぐらいの息子がいるということを、その写真は物語っていました。

ドモンはその後のホナミの消息は知りませんでした。
まさかホナミが自分の子供を身ごもっていたとも知りませんでした。
しかし、この写真を見て、ドモンはその少年が自分の息子なのだと知りました。
そして、その自分の息子の血統がこの31世紀にまで繋がっていることを知り、
かつて21世紀でドモンが夢見た自分の明日を変えたいという想いは、歴史の修正力を超越して運命を変え、
しっかり現在31世紀の自分にまで繋がっていたのだと知り、その奇跡にドモンは感動の涙を流すのでした。
そして、きっとマーベラス達も自分の運命を変えることが出来るはずだとドモンは確信したのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:53 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月27日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その18

ザンギャック地球侵略軍の司令官ワルズ・ギルを倒したマーベラス達は、
当然ザンギャック軍がワルズ・ギルの弔い合戦を仕掛けてくるものと思って身構えていましたが、
ザンギャック軍は当初こそインサーンがバリゾーグの素体を使って雪辱戦を仕掛けてきたものの、
その後、どういうわけかピタリと活動を止めてしまっていました。

その間、マーベラス達はメガレンジャーの「大いなる力」を巡って久しぶりにバスコに遭遇し、
今度こそバスコを倒して奪われた3つの「大いなる力」を奪おうとしましたが、
結局メガレンジャーの「大いなる力」は守りきったもののバスコを倒すことは出来ずに取り逃がしてしまいました。
その後、マーベラス達はタイムレンジャーの元タイムイエローのドモンからの意味のよく分からない依頼を受けて
4年前にタイムトラベルして、よく分からない神社を守らされたりしていましたが、
その間もザンギャック軍の活動は全く無く、不気味な静けさを保っていました。

そのザンギャック軍の方では、参謀長ダマラスや技官のインサーンなどは
マーベラス一味を討ち取ろうと準備万端でしたが、
ザンギャック本星から次の命令があるまで動くことを禁じられていたので、
じっと兵を動かすことなく本星からの連絡を待っていました。
しかし本星からはそれ以後、一切連絡は無く、ダマラス達は困惑していました。
マーベラス達が諸星学園に行ったり4年前の寝隠神社に行ったりしている間、
ザンギャック軍に全く動きが無かったのは、そういう理由であったのです。

何故、ザンギャック本星からの連絡が無かったのかというと、
既に皇帝アクドス・ギルは親衛隊を率いて本星を出発して地球方面に秘かに向かっていたからでした。
アクドス・ギルはダマラスが謀反を企んでいるのではないかと疑念を抱いており、
もし宇宙最強の男という称号を持つダマラスが帝国最大最強の旗艦ギガントホースを奪って反逆するならば、
帝国にとっての重大な脅威となると心配しました。
そうなればアクドス・ギルが帝国の全艦隊を率いて討伐しようとしても返り討ちにあってしまいます。

そこでアクドス・ギルは自ら親衛隊を率いてギガントホースに奇襲を仕掛けて奪い返し、
ダマラスを拘束する作戦に乗り出したのでした。
しかし実際はダマラスは謀反など企んでいないのですから、
まさかアクドス・ギルが奇襲を仕掛けてくるなど想像もしておらず、
急襲してきた親衛隊にあっけなくギガントホースを占拠され、
乗り込んできた皇帝によって、何が何やら分からないまま捕えられてしまったのでした。

そうしてギガントホースは本来の艦長である皇帝アクドス・ギルの指揮下に入り、
地球侵略軍と皇帝親衛隊の合同軍はアクドス・ギルが率いることとなりました。
こうして第41話から皇帝アクドス・ギル率いるザンギャック本軍とマーベラス一味との直接対決が始まり、
物語は一気に佳境に入り、マーベラス達は自分達の戦いの真の意義を見出していきます。

こうして地球上空のザンギャック軍を全て掌握したアクドス・ギルは帝国の威信を示すため、
そのまま一気に地球を征服することにして、
まずは息子のワルズ・ギルを殺した邪魔者マーベラス一味を全員血祭りに上げるよう、
配下の親衛隊の精鋭の2人の幹部、ザツリグとダイランドーに命じました。

皇帝親衛隊は以前に地球方面に派遣されてマーベラス達に倒された
親衛隊長のデラツエイガーの他に幹部怪人としてザツリグとダイランドーがおり、
その下に多数のドゴーミンで構成されている組織であり、
隊長といってもデラツエイガーが最強であったというわけではなく、
単にデラツエイガーが統率力に秀でていたので隊長であったに過ぎず、
その実力は3怪人ともにほぼ同等、むしろ戦闘力においてはザツリグとダイランドーの方が上であるようです。
いずれにしても帝国で最強格の怪人ということになります。

このうち、まずザツリグがマーベラス達を倒すため出撃し、
ちょうど買い出しに出ていたジョーとアイムと鎧は
しばらく動きの無かったザンギャック軍が見慣れないタイプの艦で空爆を開始したのを見て驚き、
その艦から地上に降り立ったザツリグと戦い、その見えない不思議な攻撃に翻弄されて惨敗してしまいます。
しかしザツリグは勝利を確信し、
皇帝の命令に忠実にマーベラス一味6人をまとめて倒すことにこだわり、
6人で戦いに来るように言い残して、その場は退きました。

ガレオンに戻ったジョー達の話を聞いて、
マーベラス達はザツリグの見えない攻撃の謎が解けない状態で戦うことの不利を感じ、
謎が解けるまでは勝負は避けることにしました。

ところがザツリグと遭遇した時からアイムの様子がおかしくなっていました。
実はザツリグこそが、かつてアクドス・ギルの命令を受けて
アイムの故郷のファミーユ星を滅ぼした張本人であり、
アイムは目の前でザツリグに両親や星の人々を虐殺されていたのです。

ザツリグの方はそのように数多くの星を始末する役目であったので、
いちいちアイムのことなど覚えていなかったのですが、
アイムはもちろん故郷の仇であるザツリグのことを忘れたことはなく、
ザツリグの姿を見た瞬間、我を忘れて1人で突っ走って攻撃してしまい、ジョーや鎧を驚かせてしまいました。
むろんザツリグの技の謎が解けない以上、3人が息を合わせて戦っていても勝つことは出来なかったのですが、
アイムは自分が頭に血が昇って皆に迷惑をかけてしまったことで落ち込みます。

しかし、マーベラス達がザツリグとの性急な勝負を避けるという決定を下したことに対して、
アイムはそれを到底許容できない気持ちになってしまい、その自分の気持ちに1人で戸惑います。
現状のままザツリグと戦うのが得策でないことはアイムにも理解は出来ます。
だからマーベラス達の判断は賢明でした。
それなのに、その決定を許せないと思う激しい感情を抑えることが出来ないアイムは、
自分がたとえ勝ち目が無くてもザツリグを倒してファミーユ星の人々の仇を討ちたいと
心から欲していることを知りました。
そして自分がファミーユ星の滅亡の日からずっと、
内心ではザツリグやザンギャックへの復讐を果たすことを願って生きてきたことに気付きました。

それまでアイムはファミーユ星が滅亡する時に自分だけ脱出させた父母の願いが、
王女として、生き残って宇宙に散らばったファミーユ星の遺民たちの希望の象徴となる生き方を
自分にさせるためであったと解釈していました。
いや、実際それが正解なのでしょう。
そのような亡き父母の想いを知った上でアイムはザンギャックと戦う生き方を選び、
マーベラス一味に入りました。

しかし、王女として遺民たちの希望になるためならば戦い以外にも道はあったかもしれない。
それでもアイムがザンギャックと戦う道を選択したのは、
本当は自分はザンギャックに復讐したかったからなのだと、アイムは自分の隠された本心に気付きました。
本当は生き残った遺民たちの希望になることなどよりも、
父母や殺された民たちの無念を晴らすために復讐をしたかったのです。
そのために戦う力を欲して、海賊団に入ったのです。

つまり、アイムは「遺民たちの希望の象徴になりたい」などと綺麗事を言って、
マーベラス達を騙して仲間入りして、彼らを自分のザンギャックへの復讐のために利用しようとしていたのです。
だから仇を目の前にしたアイムは1人必死で戦おうとし、
戦いに慎重になるマーベラス達を見て苛立ってしまっているのです。

その身勝手で執拗な復讐鬼が自分の真実の姿だったのだと思い、アイムは大きなショックを受けました。
そうした自分の真実の正体を知ったアイムは、
仲間を騙していた自分はもはやマーベラス一味に留まることは出来ないと思いました。
これ以上マーベラス達を自分の復讐に巻き込もうとしてはいけない。
自分は1人で出て行って、父母や故郷の人々の無念を晴らすため、ファミーユ星の王女としてザツリグと戦おう。
アイムはそう思いました。
勝ち目は無いであろうし、亡き父母も復讐などは望んでいないであろうこともアイムには分かっています。
しかし、それでもやはりアイムは復讐心を抑えることは出来ませんでした。

アイムが復讐心を抱くのは当然です。
ファミーユ星は全く無抵抗であったのに一方的に問答無用で滅ぼされたのです。
ザンギャック側に一分の理も無く、
ファミーユ星の生き残りがザンギャックに復讐したいと思うのは当然の心理でした。

ただアイムの父母の国王と王妃は、そんなことをしても犬死となることは分かっており、
アイムは王女として恥を忍んでも生き延びて、
生き残りの遺民たちの希望となる道を選ぶべきだと思っていただけのことであり、
復讐心まで否定していたわけではない。
アイムには復讐心をコントロールする心の強さを持ってほしいと思っていたのです。

しかしアイムは目の前で父母を殺したザツリグの姿を見たことによって
復讐心を抑えることが出来なくなってしまったのです。
そして、もはや復讐心を抑えられなくなった自分は、
せめてマーベラス達をこれ以上騙して自分の復讐に巻き込むことだけはやめようと思い、
その日の深夜、アイムは黙ってガレオンから出て行こうとしました。

しかしマーベラス達は、ザツリグがアイムの仇だということは知りませんでしたが、
それでもアイムの様子がどうもおかしいので、アイムとザツリグの間には何らかの因縁があるのだろうと思い、
アイムが1人でザツリグと戦いに行くつもりなのかもしれないと気付き、アイムの様子を見張っていました。

それで出て行こうとするアイムはマーベラス達に見つかってしまい、事情を質されて、
アイムはザツリグはファミーユ星を滅ぼした憎い仇なのだと言いました。
それを聞いて、やはりアイムが1人でザツリグと戦おうとしていると悟ったマーベラス達は、
アイムに向かって、アイムはファミーユ星の遺民たちの希望の象徴として生きねばならないのだから、
1人で死にに行くような戦いをすべきではないと言いました。

やはりマーベラス達が引き止めようとしているのだと思ったアイムは、
その「希望の象徴」というのが偽りなのであり、
自分は本当はただ復讐のために皆を利用しようとしていたのであり、
こんな自分は復讐の戦いで死ぬのがお似合いであり、
人々の希望の象徴として生きる資格など無いのだと説明しようとしますが、
皆にここまで嘘を信じ込ませてしまっていたことがあまりに申し訳なくて言葉に詰まり、泣きだしてしまいました。

しかしマーベラス達は、アイムが復讐心にずっと囚われていたことは分かっていました。
何故なら、ザンギャックに酷い目に遭わされた者で
ザンギャックに復讐したいという荒んだ心を抱かない者などいないからです。
むしろ多くの者はザンギャックに逆らう勇気が無いので、その復讐心を忘れてしまう。
しかしザンギャックに逆らって生きる勇気を持って海賊の道を選んだ者ならば
ザンギャックへの復讐心をずっと抱き続けて荒んだ心であるのは当たり前なのです。

アイムだって例外ではない。
マーベラス達も同様でした。
かつてマーベラス達も「宇宙最大のお宝」という夢は追いかけながらも、
それ以外のことに関しては、ザンギャックへの恨みつらみを常に抱えてムシャクシャして、
どうしようもない現実に失望して周囲に当たり散らす荒んだ生活を送っていました。

しかし、そんな自分達の戦いでも他人の希望になることが出来ると知ってから、
マーベラス達はあまり他人を失望させたくないと思うようになり、
そのためにまず自分自身があまり簡単に現実に失望して投げ出したりしないようになりました。
そうするとマーベラス達は幾分穏やかになり、
復讐のために戦うのではなく、少しは人々の希望になれるような戦い方をするようになりました。

それが始まりとなり、地球に来てからスーパー戦隊とも出会い、
人々の夢を守って戦おうと思うところまで自分達は変わることが出来た。
その一番最初のきっかけをマーベラス達に与えてくれたのはアイムなのです。

アイムが海賊として戦うことで故郷の星の遺民たちの希望の象徴になりたいと言ってくれた時、
マーベラス達は海賊である自分達もまた、
遠く宇宙に散らばるファミーユ星の人々の希望になり得るのだと思うことが出来たのです。
そして何より、アイムが自分達のことを希望の象徴だと思って喜んでくれているのが嬉しかった。

だからアイムが加入した後、アイムに笑顔でいてもらえるようにマーベラス達は日々の行動を改めた。
マーベラス達には海賊がどうしたら人々の希望の象徴に相応しい振る舞いを出来るのかさっぱり分からなかったので、
アイムが喜ぶ行動がそのまま人々の希望と感じられる行動なのだろうと思ったのです。
そうやってアイムを喜ばせているうちにマーベラス達の荒んだ心も解消していき、
復讐のためだけではなく、ファミーユ星の遺民たちの希望の象徴であることを心密かに誇りにも思って
マーベラス達は戦うことが出来るようになった。

そうやってマーベラス達は変わることが出来たのです。
その延長線上に地球でスーパー戦隊に出会い、今の「地球の人々の夢を守るために戦う」自分達がある。
だからマーベラス達にとっては、アイムが故郷の星の遺民たちの希望の象徴になるために海賊になったという想いは、
決して嘘ではなく真実なのです。
マーベラス達がアイムのその言葉によって変わって、現在に至っている成長が真実である以上、
誰が何と言おうと、現実として、アイムのその言葉も真実なのです。

だからアイムが復讐心に囚われていたとしても、決してアイムはそれだけの人間ではない。
やはりアイムはファミーユ星の遺民の希望の象徴、
いや、何よりもマーベラス達にとっての希望の象徴なのです。
アイム自身が否定したとしても、断固としてアイムは皆の希望の象徴なのです。
だから、マーベラス達はみすみすアイムを1人で死ぬのが分かっている戦いに行かせるわけにはいかない。

ならばマーベラス達はやはりアイムを引き止めようとしているのかというと、それは違います。
マーベラス達はアイムがザンギャックへの復讐心に囚われていることは当然のことだと理解しています。
マーベラス達だってザンギャックへの復讐心は決して捨ててはいないからです。

ただ、マーベラス達は復讐心に振り回されるよりも、
何かを守るために戦う方が気持ちいいということに気付いただけのことです。
その気持ちよさをマーベラス達に最初に教えてくれたのはアイムでした。
アイムが人々の希望を守るために戦う姿勢を最初にマーベラス達に示してくれたのです。
そしてマーベラス達は目の前のアイムの希望を守ることから変化の第一歩としたのです。
だからマーベラス達は自分達が変われたことについて、アイムに感謝していました。
その恩義は返さなければならない。

それに、アイムの加入以降、昔も今も変わらずマーベラス一味の基本ルールは、アイムの笑顔を守ることです。
ザツリグが現れてからアイムの笑顔が消えているのだと分かった以上、
マーベラス一味のやるべきことはシンプルに決まっています。
ザツリグを今すぐ排除して、アイムの笑顔を取り戻すことです。
そしてザツリグがアイムの仇と分かった以上は、単にザツリグを排除するのではなく、
アイムに仇を討たせて、自分達はその助太刀をするしかない。
それがアイムへの恩返しであり、アイムの笑顔を取り戻して
マーベラス一味の本来の姿を取り戻す唯一の方法でした。

そういうわけでマーベラス達はアイムと一緒にザツリグと戦うと申し出て、
アイムは皆を騙していたことを知ってもなお自分を受け入れてくれたマーベラス達の気持ちに深く感謝し、
改めて皆に対して、故郷の星の人々の仇であるザツリグを倒すために力を貸してほしいと
心の底から頼んだのでした。

これを快く引き受けたマーベラス達は、翌朝アイムと共にザツリグと決闘し、
6人はザツリグの見えない攻撃に苦しみますが、
途中で遂にザツリグが胸部にある目を開閉しながら攻撃を繰り出していることに気付きます。
つまり見えない攻撃は一種のサイキック技であり、それは胸部の目から発動されているのです。

そこでマーベラス達はアイム以外の5人が囮になってザツリグのサイキック技を受け、
タイミングを測ってアイムが飛び込んでザツリグの胸部の目が開いたところを破壊するという作戦を敢行し、
これを見事に成功させてアイムがザツリグの胸部の目を破壊し、
それによって技を封じられ、大きなダメージを負ったザツリグを一気に追い込み、
最後はアイムの放つライジングストライクで倒したのでした。

こうして故郷の星の人々や父母の無念を晴らしたアイムは、
もちろんザツリグにファミーユ星を滅ぼすよう命じたザンギャック皇帝への復讐心は消えてはいませんでしたが、
マーベラス達の想いに応えるためにも、今後は復讐心は抑えて、
今度こそ本当に遠く宇宙に散らばった故郷の星の人々の希望の象徴となるために、
そして彼らの誇りとなるよう、海賊として、人々の夢を守るために戦い続けていくことを心に誓ったのでした。
そしてマーベラス達もアイムの笑顔を取り戻し、海賊の誇りを守り抜いたのでした。

一方、アクドス・ギルはザツリグが倒されたことに驚きました。
以前にデラツエイガーを倒し、先日はグレートワルズに乗った息子ワルズ・ギルを倒したというので、
それなりに手強いとは予想していましたが、まさか宇宙海賊ごときが簡単にザツリグを倒すとは予想しておらず、
少しこのまま親衛隊を使って作戦を続行することに不安を覚えました。

順番的には次はダイランドーの出番であり、ダイランドーも親衛隊の雪辱戦に燃えていましたが、
もしダイランドーまで倒されたとなると、アクドス・ギルの直属の手駒である親衛隊が一気に弱体化してしまいます。
それを避けるため、アクドス・ギルはダイランドーは温存して、
インサーンの助命嘆願を受け入れる形でダマラスを閉じ込めてあった牢から出して
マーベラス達の討伐にあたらせることにしたのでした。

インサーンの話を聞く限り、
どうやらダマラスは謀反を企んでいたわけではないようだとアクドス・ギルは理解しました。
といっても、どちらにしても皇太子のワルズ・ギルを守りきれずみすみす死なせた罪は消えるわけではない。
但し、マーベラス一味を倒してワルズ・ギルの仇を討てば、その罪は許してやってもいい。
そういう条件でアクドス・ギルはダマラスを牢から出して出撃を命じたのでした。

ダマラスは「宇宙最強の男」の異名をとる、ザンギャック帝国最強の戦士でしたから、
ザツリグやダイランドーよりもかなり強く、
ダマラスならばマーベラス一味を確実に倒すことが出来ると、アクドス・ギルは期待しました。
それに、もし万が一ダマラスが敗れたとしても、
アクドス・ギルとしてはもともとダマラスは罪人として処刑するつもりの部下なので、
そんなに痛手とも感じません。

もしダマラスでもマーベラス一味を倒せなかった場合は根本的に作戦を変更せざるを得なくなりますが、
それでもまだまだ打つ手は残っていますから、アクドス・ギルはまだ余裕でした。
とにかくダマラスが負けるということが、そもそもアクドス・ギルから見て、ほぼ有り得ないことであったのです。
それほどアクドス・ギルはダマラスの強さには絶大な信頼を置いていました。

こうして第42話と第43話の前後篇は
遂に地上への出撃が許可された宇宙最強の男ダマラスとマーベラス一味が激突するお話となります。

ダマラスは地球侵略軍の参謀長を命じられて以降、愚かな司令官のワルズ・ギルに軽んじられ、
出撃を禁じられ続け、その挙句、司令官をみすみす戦死させてしまうという大失態を犯した上、
忠義を尽くした皇帝に謀反の嫌疑までかけられて投獄されてしまい、
宇宙最強の武人としての誇りはボロボロになっていました。

ダマラスはその武人としての誇りを取り戻すことに強くこだわり、
そのためには親衛隊の手にも余る真の強敵マーベラス一味を堂々と倒してみせて、
自分こそが宇宙最強であることを皇帝に見せつけるしかないと、執念の炎を燃やしました。

いや、ダマラスが見たところ、真に自分が戦うに足る強敵はゴーカイレッドのマーベラスただ1人であり、
他の雑魚はどうでもよかった。
この戦いを自分の武人としての誇りを満足させる場と捉えるダマラスにとって
マーベラスとの戦いのみが興味の対象であり、
他の雑魚との戦いに手間を取られているうちにマーベラスに逃げられてしまうことだけは避けたいと、
ダマラスは考えました。
そこでダマラスは自分がマーベラスと戦っている間、
他の海賊仲間と戦って始末させるための手駒としてバスコを使うことにしたのでした。

ダマラスは以前にバスコにマーベラス達を始末するよう命じて既にその命令を無視されており、
バスコとは断絶関係にありましたが、
それはダマラスが自由に動き回ることが出来ない状態での話であり、
こうして晴れて地上でも活動することを皇帝に許された今、
ダマラスはバスコなどは力で屈服させて使役すれば済む存在だと見ていました。

本来なら自由に動けるようになったらすぐにバスコを見つけ出して八つ裂きにしてやりたいところでしたが、
ダマラスはまずはバスコなどを私怨で殺すよりも
皇帝に命じられたマーベラス一味の始末を確実に遂行するためにバスコを有効活用することに決め、
さっそくバスコの行方を探しました。

そのバスコはどうしていたのかというと、
第39話で諸星学園から姿を消した後、すぐにサンバルカンとファイブマンの「大いなる力」を奪い、
更に急いで残り2つのバトルフィーバー隊とカクレンジャーの「大いなる力」の在り方を探していました。
ところが、バトルフィーバー隊は国防軍のガードが固くて情報が得られず、メンバーが何処にいるのか分からず、
カクレンジャーに至っては、そもそもそんな戦隊が存在するのかどうかもよく分からないぐらい、
全く何の手掛かりも得られませんでした。

これではダマラスが地上に降りてきてマーベラス達と戦う前に全部の「大いなる力」を集めるという目的は
達成出来そうにないと思ってバスコが焦っていたところ、
バスコがザンギャック軍内部に作っていた情報ルートから、
どうやら地球侵略軍の旗艦ギガントホースに皇帝が乗り込んできてダマラスは投獄されたようだという
情報が入ってきたのでした。

それを聞いてバスコは小躍りして喜びました。
皇帝はワルズ・ギルの戦死の報を聞いて激怒して乗り込んできたに違いない。
これでダマラスはもう死刑は確定であり、二度と外に出ることは出来ずに死ぬことになる。
そうなれば自分とマーベラス達の「大いなる力」争奪戦の邪魔をする厄介な存在はいなくなり、
元通り、自分はマーベラス達が残り2つの「大いなる力」を手に入れるのをじっくり見届けてから、
マーベラス達を襲って全ての「大いなる力」やレンジャーキーなどを奪うという作戦を実行すればいい。

これでひとまずは一安心だと思ってバスコがほくそ笑んで地上で歩いていたところ、
そこに突然ダマラスが現れたのでした。
この予想外の事態に愕然とするバスコをいきなり吹っ飛ばしたダマラスは
マーベラス一味を倒す作戦の手助けをするようバスコに迫ります。

慌てて変身してダメージを軽減して何とか立ち上がったバスコでしたが、
まだ所在不明の「大いなる力」が2つある以上、マーベラス達に死んでもらうわけにはいかない。
だからマーベラス達を殺す手伝いなど真っ平だと思って断ろうとしますが、
ダマラスは問答無用で、もし断ればお前を殺すと言います。

バスコは殺される前に逃げようと思いましたが、
その時、主人の危機を察知したサリーが無謀にもダマラスに襲い掛かり、ダマラスに殺されそうになります。
それを見て慌ててバスコはダマラスに斬りかかり、そのまま不意打ちで倒してやろうとしますが、
全く歯が立たずに組み伏せられてしまいました。

バスコは逃げなかったことを後悔しました。
サリーがダマラスにやられている一瞬の間に逃げようと思えば逃げられたのに、
どうして自分は逃げなかったのかと戸惑いました。
すると、バスコは自分がサリーを助けようとしてダマラスに無謀な戦いを挑んだことに気付き、驚きました。

第39話の諸星学園での戦いの時もピンチに陥っていたサリーを思わず庇ってしまいましたが、
あの時はマーベラス達の攻撃は弾き返せる自信はありました。
しかし今回はダマラスに勝ち目が無いことが分かった上でサリーを守るためにバスコは身を挺してしまったのです。
つまり、たかが宇宙猿のサリーが何時の間にか自分にとって、
かけがえのない仲間になってしまっていることに気付いて、バスコはショックを受けました。

「仲間の絆」などというものは「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには邪魔なものであり、
弱さを生むものでしかない。
そんなものを信じたために自分はかつてアカレッドに裏切られる寸前だったとバスコは思っています。
だからバスコは赤き海賊団を裏切った時に「仲間の絆」などというものは捨て去り、
二度とそんな弱さを持ちたくないので仲間は作らず、
猿のサリーを調教して下僕として使役することにしていたのです。
だからサリーは仲間などではないはずでした。

しかしバスコはサリーを庇って自らを危険に晒してしまいました。
つまり、サリーは何時の間にかバスコにとって大切な仲間になっており、
その仲間の絆が弱さを生み、バスコをこうして窮地に追いやってしまったのでした。
すなわち、弱い仲間のサリーを切り捨てることが出来なかったために
バスコは弱さを抱え込むことになってしまったのです。

この時、バスコはこのままダマラスに殺されていてもおかしくない状況でした。
しかしダマラスはあくまでマーベラス一味の討伐に協力させるためにバスコを殺すことは思いとどまりました。
そこでバスコは仕方なくダマラスに協力することにしました。

よく考えたら、別にバスコが協力しなくてもダマラス1人でも
マーベラス一味を皆殺しにすることは十分に可能であり、
バスコがマーベラス一味を殺されないようにするために必死でダマラスに逆らう意味などあまり有りませんでした。
それよりも、いっそダマラスに協力するフリをしてマーベラス達を討伐する戦いの前線に立ち、
そこで小細工をしてマーベラス達が死なないようにする方が得策であるとバスコは気付いたのです。

つまりダマラスの目の前で裏切りをしようということです。
危ない賭けではありましたが、
ここはもうそれしかバスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れる方法はありませんでした。
それに、バスコはサリーとの仲間の絆が自分を弱くしたことを自覚して、
自分が以前のような強さを取り戻すためには、アカレッドという強敵を葬った時のような、
自分を仲間と信じた相手を裏切る行為が不可欠のような気がしたのでした。

裏切りの中でこそ自分は強さを取り戻すことが出来る。
その強さがあってこそ、ダマラスを出し抜き、
マーベラス達に競り勝って「宇宙最大のお宝」をこの手で掴むことが出来るのだと、バスコは強く思いました。

さて、その頃マーベラス一味は、ワルズ・ギルの仇討ちのためにザンギャックが送り込んできた
最強の刺客と思われたザツリグを倒して、
これで一旦ザンギャックの仕掛ける弔い合戦を凌ぎ切ったと思って安堵していました。

ザツリグはマーベラス達に自分が皇帝親衛隊員だと名乗っていましたから、
マーベラス達はザンギャック艦隊に新たに親衛隊が加わったことは認識していましたが、
それが単なる増援なのか、それとも皇帝も来ているのか、よくは分かっていませんでした。
ただ皇帝が来ているにしても、ただの御老体であろうし、親衛隊の最強の怪人はザツリグであり、
それはもう倒したので一安心だと思っていたのです。

マーベラス達はまだダイランドーの存在は知らず、アクドス・ギルの強さも知りませんでした。
そして、これまでずっと地上に降りることのなかったダマラスの存在すら知らなかったのですから、
ザツリグを倒したことで安心してしまっていたのも仕方ないことでした。

そういうわけでマーベラス達は呑気なもので、
ハカセが仲間内での地位向上を図って、雑誌の記事に小細工をしたりして、
自分がかつて宇宙最強といわれた伝説の勇者であり、
記憶を失っているので勇者だった頃のことを覚えていないのであるかのように装っていました。

マーベラスとジョーとルカはハカセと初めて出会った時、
ハカセが故郷の星を滅ぼされたので僻地の星に移住してきたのだという身の上話を聞いていたので、
ハカセが伝説の勇者だという話には懐疑的だったのですが、
ハカセはムキになって、その時は記憶喪失だったから作り話をしたのだと言い張ります。
どう見ても怪しげな話なのですが、アイムと鎧はハカセのことを伝説の勇者だと信じ込み、
ナビィまですっかり騙されてしまいます。

それでハカセの記憶を戻そうということになり、
ハカセが美味しいものを食べれば記憶が戻るかもしれないと適当なことを言ったので、
ハカセとアイムと鎧、そしてルカもくっついていって外食することになりました。

その外食の席上で、ルカが出会った時ものすごい臆病者だったハカセの過去が伝説の勇者だとは信じられないと言い、
ハカセが仲間に加わった時の想い出話をしました。
その話でアイムと鎧は、便利屋をしていたハカセがマーベラス達を海賊だと知って一旦怖がって逃げ出したのに、
契約を守るためには海賊やザンギャックが怖くてもとにかくガレオンの修理をやり遂げ、
それでマーベラス達に気に入られたのだいう顛末を初めて知り、
それを聞いて、アイムや鎧はやはりハカセは記憶を失っていてもそんな勇気があったのだから
伝説の勇者に違いないと言うのでした。

ルカに対してはムキになって言い返していたハカセでしたが、
軽い気持ちで皆を騙したら、アイムや鎧があまりに素直に信じたもので罪悪感を覚えました。
しかし今さら引っ込みがつかなくなってハカセは少し困ってしまいました。

ところがその帰り道、いきなり4人は恐ろしく強い謎のザンギャック怪人に襲われて大ピンチとなります。
そこにマーベラスとジョーが駆けつけ、元ザンギャック兵のジョーはさすがにその怪人が
「宇宙最強の男」の異名を持つ帝国最強の軍師ダマラスであることに気付いて、
慌てて皆にダマラスが途轍もなく危険な相手であることを伝えます。

ダマラスはワルズ・ギルの仇討ちに来たと言い、問答無用でマーベラス達に襲い掛かってきて、
マーベラス達はいきなり「宇宙最強の男」と戦う羽目になって慌て、ダマラスに圧倒されてしまいました。
すると、そこになんとバスコとサリーまで現れて、驚いたことにダマラスと連係して攻撃してきたので、
この予想外の展開にマーベラス達は完全に浮足立ってしまい、
バスコの技によってジョー、ルカ、アイム、鎧の4人は炎に呑まれて燃え尽きてしまい、
怯えて逃げ惑うハカセを庇って1人で戦うマーベラスはダマラスに完膚なきまでに叩きのめされてしまいました。

実はこの時、バスコは炎でジョー達を焼き尽くしたと見せかけて、
サリーに命じて秘かにジョー達4人を炎の中に紛れて助け出しており、
ダメージで動けなくなったジョー達を別の場所に放置してダマラスの目を誤魔化していました。
それでも肝心のマーベラスはダマラスが直接戦っていたので、
バスコもマーベラスを救出することは出来ませんでしたが、
ダマラスは自分とマーベラスの実力差が予想以上に開いており、マーベラスが意外なほどに弱いことに拍子抜けして、
こんな程度の相手をここで殺したところで武人の名誉にもならないと軽侮して、
これならいっそ生け捕りにしてギガントホースに連行して、アクドス・ギルの前に引き立てて、
アクドス・ギルの目の前で殺した方が惨めな海賊にお似合いであり、
皇帝にも喜んでもらえるだろうと思いました。

それでダマラスはマーベラスを気絶させてギガントホースに連行し、
バスコは後でマーベラスを逃がす時に上手く使おうと思い、
マーベラスのモバイレーツとレンジャーキーを奪いました。

そうしてマーベラスを連れ去ろうとするダマラスとバスコをハカセが止めようとしますが、
ダマラスもバスコもマーベラス一味で一番の弱虫で賞金額も一番低い小者のハカセなど眼中に無く、
無視して去っていき、ハカセは足がすくんで何も出来ませんでした。

マーベラスはこうして初めてギガントホースの司令室に連れて行かれて、
そこで鎖に縛られたまま初めて皇帝アクドス・ギルと対面します。
全く無礼な態度で皇帝に悪態をつくマーベラスに怒ったダイランドーはすぐに処刑するよう命じ、
ダマラスはマーベラスを殺そうとしましたが、アクドス・ギルはその場で処刑するのを制止し、
地球征服を楽にするためにマーベラスを地上で公開処刑として、
ザンギャックに逆らえる者はこの地球にはもはやいないのだと思い知らせようと考えました。

一方、1人だけ生き残ったハカセはガレオンに戻って落ち込みます。
ジョーとルカとアイムと鎧の4人は死んでしまい、マーベラスは連れ去られて多分殺されてしまっただろう。
つまり、もうマーベラス一味の旅は終わってしまった。
それがハカセにとっては一番ショックでした。

ハカセのもともとの夢は、別に大それたものは何も無かったが、
自分の信じた道を突き進める居場所を手に入れることでした。
そのために故郷の星がザンギャックに滅ぼされると
ザンギャックの支配がほとんど及ばない辺境の星に逃げていましたが、
そこで奇妙な縁でマーベラス達と旅をするようになり、
最初はイヤだったが、誰にも縛られずに自分の信じた道を行く海賊生活をハカセは気に入るようになり、
ずっとこの旅が続いて欲しいと思っていました。

それがハカセの夢だったといえます。
臆病者で、およそ海賊向きではない性格のハカセでしたが、それでも海賊が好きだったのです。
そして、マーベラス達、5人の仲間のことをハカセは本当に大事に思っていました。
だから、海賊としての旅が終わってしまい、仲間をみんな失ったことはハカセにとって大変なショックでした。
しかもその最後の瞬間、自分はその大切な仲間に
自分が伝説の勇者だったなどという嘘をついたままであったということもハカセには非常に悔やまれました。

一方でナビィはまだマーベラスの生存を信じて、
ハカセに伝説の勇者だった頃を思い出して戦ってマーベラスを助けてほしいと言いますが、
ハカセが実は伝説の勇者だったなどというのは嘘だったと告白したので驚きます。

そこに電波ジャックで全世界に向けて放送が流れ、十字架に鎖で縛られたマーベラスが映し出され、
マーベラスの公開処刑を行うことを横に立ったダマラスが告げます。
それを見てナビィはハカセに公開処刑の会場に行って処刑の前にマーベラスを助けようと提案しますが、
ハカセは拒絶しました。

公開処刑会場にはダマラスがいます。
伝説の勇者でもなんでもない、さっきの戦いでもマーベラスの足手まといにしかならなかった弱い自分1人が
ダマラスと戦って勝てるわけがない。
だから行っても無駄だとハカセは言いました。
するとナビィはいきなりハカセの横っ面を張り倒し、失望した様子で、
「海賊になりたての頃のハカセの方が今より弱くても弱いなりにもっと輝いていた」と言いました。

それを聞いて、ハカセは自分がマーベラス一味に入ったばかりの頃、
弱くても自分のやれることだけ全力でやる限り、海賊は仲間として認めてくれるのだと知って、
それで海賊のことが好きになり、海賊として旅を続けていく自信が生まれたことを思いだしました。

ハカセは最初、一味の4人の中で自分だけが弱くて足手まといなんだと思って卑屈になっていました。
でも、仲間のマーベラス、ジョー、ルカに接していくと決してそうではないことに気付きました。
3人は確かに勇ましいが、自分の弱さは分かっていました。
皆、ザンギャックに過去に酷い目にあわされてボロボロになった、その絶望から立ち上がって海賊になったのです。
だから自分達が強大なザンギャックに逆らって海賊の旅を続けていることが
ギリギリの危険と隣り合わせだということは分かっており、
自分達が決して強くないこと、優位でないことも分かっています。
だから仲間で力を合わせて、それぞれが出来ることを全力でやって補い合っていく。

それが海賊なのだということが分かったハカセは、
そうした海賊団でならば、こんな自分でも全力で出来ることをやれば皆の役に立つことが出来るということに気付き、
かつてない喜びを覚えたのでした。
そうしてハカセは海賊になり、海賊として仲間と共に旅を続けてくることが出来ました。
自分の出来ることを全力でやることに喜びを見出す限り、ハカセにとって海賊の旅は終わらないのです。

だから、今の絶対的不利な状況でも、これまでの長い航海の全てが絶対的不利な状況であったのと何ら変わりない。
自分のやるべきことは今までと同じだとハカセは思いました。
それは自分の出来ることだけ、とにかく全力でやることでした。
そう覚悟が定まったことによって、もともと奇想天外な作戦を思いつくことが得意なハカセは、
自分の現在出来ることを上手く使って、なんとかマーベラスを助け出して、
再びダマラスとの勝負に持ち込める作戦を思いつきました。
それはハカセが皆に言っていた「伝説の勇者」という嘘を真実に変えてしまうという作戦でした。

すなわち、ハカセがマーベラスの公開処刑場に現れて、
自分は本当は伝説の勇者だと名乗って大暴れすれば、
「宇宙最強の男」などという称号を誇っているダマラスは、きっとハカセを倒そうとして勝負を挑んでくる。
そうしてダマラスの注意をハカセの方に向けた隙に、
ナビィがこっそりマーベラスを縛っている鎖を斬ってマーベラスを救い出し、
マーベラスとハカセの2人でダマラスに立ち向かうという作戦でした。

絶対に上手くいくという保証は無かったが、とにかくそれが現時点でハカセが出来ることであり、
ハカセはこれをとにかく全力でやり遂げようと思ったのでした。
これを全力でやっている間はとにかくハカセの海賊の旅は終わらないのです。

一方、公開処刑場にはバスコが現れて、マーベラスの架けられた十字架の傍らにやって来ます。
結果的にはバスコはマーベラス一味の討伐の功労者ということになるのですが、
ダマラスのバスコへの対応は冷淡そのものでした。
マーベラス一味の討伐を無理に手伝わせたわけですから、
ダマラスは少しはバスコに仲間として感謝すべきところですが、
ダマラスという男は徹底的に弱者が強者に従うのは当然だという「力の信奉者」であり、
仲間の絆などというものの意味を解さないエゴイストでした。

ダマラスがアクドス・ギルやザンギャック帝国に忠義を尽くすのも、
アクドス・ギルがダマラスよりも強く、ザンギャック帝国が強大な力を持った帝国だからでした。
そしてバスコがダマラスの命令で動かされたのは、ダマラスの方がバスコより強い以上当然のことでした。
だから感謝などする必要は一切無く、2人の間に仲間の絆など全く無い。
ダマラスというのはそういう冷淡な男であり、
自分の武人としてのプライドだけを大事にして生きている、他人に対しては極めて薄情な男でした。

そういうダマラスの本質を知っていたからこそ、
バスコは初めて出会った頃からダマラスのことを大嫌いでした。
つまりは、バスコは本当は仲間の絆というものの価値を理解し、重んじることの出来る男なのです。
実際、赤き海賊団ではアカレッドやマーベラスと、それなりに助け合って仲良くやって楽しんでいました。
だから、そういう温かい心を全く理解出来ないダマラスをバスコは心底軽蔑し嫌悪していました。

そのバスコも赤き海賊団を裏切って以降は「仲間の絆」などにはお宝を探す上で価値は無いと切り捨てていますので、
自分はダマラスと同じようなものだとは思っていました。
だからダマラスに冷淡な対応をされても別に平気です。
そもそも既にバスコはダマラスを秘かに裏切っていますから、感謝などされるべき相手ではありません。

裏切りとは、バスコがダマラスに隠れてジョー達を助けたことでした。
ジョー達と、それにハカセも生き残っている以上、
マーベラスがここで処刑されても彼らが残り2個の「大いなる力」を集めてくれることも期待は繋がっています。
しかし、やはりマーベラスがいてこその「宇宙最大のお宝」探しなのだろうとバスコは思いました。
マーベラスを失ったジョー達が残り2個の「大いなる力」を探そうとする情熱を維持することが出来るとは、
あまり思えませんでした。

だから、最終的に自分が「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには、
ここでマーベラスを処刑させるわけにはいかないのだと思い、
バスコはダマラスを出し抜いてマーベラスを助けるためにこの処刑場にやって来たのです。
そこでバスコはダマラスを油断させるためにマーベラスの前に行き、
先日奪ったサンバルカンとファイブマンの2つの「大いなる力」を示して見せて、
これでマーベラスが死ねば残りの「大いなる力」も全部自分のものとなり、
「宇宙最大のお宝」も自分のものになるのだと言って嬉しがりました。

そうやって自分がマーベラスの処刑を喜んで見物しに来たのだとダマラスに思わせて油断させ、
バスコは隙を見つけてマーベラスの鎖を断ち切って逃がしてやろうとチャンスを窺います。
しかし、ダマラスにはなかなか隙が無く、バスコもマーベラスに手を出せません。
あれほどダマラスの圧倒的な力を見せつけられては
ハカセやジョー達がマーベラスを助けには来ないだろうとバスコは思っていましたので、
自分が助けなければマーベラスは処刑されてしまう。
だからなんとかして助けようとは思うのですが、バスコ自身が下手に動いてダマラスに討たれては意味が無いので、
バスコは行動が起こせません。

そうこうしているうちに処刑執行の時刻となってしまいます。
ところがマーベラスは勝ち誇るダマラスに対して、
まだハカセが生き残っている以上、マーベラス一味を倒したことにはならないのだと言うのです。
マーベラスはハカセがこの圧倒的不利な状況で自分を助けに来るとまでは思っていませんでしたが、
ハカセだけでも生き残っていれば、マーベラス一味の精神は受け継がれて、
きっと「宇宙最大のお宝」は手に入れることが出来ると確信していたのでした。

しかしダマラスはマーベラスがハカセが助けに来る期待に縋っているのだと思い、
その醜態を嘲笑い、あんな軟弱な奴に何が出来るものかと一笑に付します。
バスコもダマラスに同感でした。
ハカセが助けになど来るはずがない。
そう思ってバスコが焦ったその時、誰もが予想外なことに、その場にハカセが現れて戦い始めました。

しかも自分のことを「伝説の勇者」などと称してダマラスを退治すると宣言して
派手に正面突破を試みているのを見て、一同は呆れました。
マーベラスもいったい何をバカなことをしているのかと呆れましたが、
ハカセは全力でゴーミンやスゴーミン相手に奮戦し、なかなか倒されません。

そうして戦いながらしつこく「伝説の勇者」であることをアピールして
ダマラスを挑発し続けるハカセの調子に乗った態度を見て、
ダマラスは自分の武人としての誇りを踏み躙られているような気がして腹が立ってきました。
本物の「宇宙最強の男」である自分を前にして、全く取るに足りない軟弱なゴミクズのような男が
ヘラヘラと笑いながら「伝説の勇者」などと自称し、自分を退治するなどと生意気なことを言う。
こんな侮辱をこのまま見過ごすことは出来ないと思ったダマラスは、遂にハカセの前に降り立ち、
斬り捨ててやろうと迫ります。
ハカセはダマラスが罠にかかったと内心ほくそ笑みますが、
こうなると今度は自分が絶体絶命の危機です。
なんとかナビィがマーベラスを助け出すまでもちこたえようと必死で応戦します。

一方、ダマラスがマーベラスの十字架の横を離れたのを見て、
バスコは思わぬチャンスが到来したと思い、マーベラスの鎖を解き放とうとして十字架を見上げました。
すると、もう既にダマラスが十字架の横を離れた瞬間にナビィが後方から現れて
マーベラスの腕を縛っている鎖を断ち切ろうとしており、マーベラスは驚き、バスコも秘かに驚きました。
ハカセの無謀な突撃はナビィとのチームプレイであったことに気付いたのでした。

ハカセとナビィがそれぞれ弱いにもかかわらず、
それぞれが出来ることを全力でやって補い合うことでマーベラスを助け出すことに成功したのです。
そうしてマーベラスは十字架から脱出し、ダマラスに追い詰められているハカセのもとに降り立ち、
ダマラスは驚愕しました。

そしてバスコはその一部始終を黙認し、確かに「仲間の絆」には大きな力があることを認めざるを得ませんでした。
バスコはマーベラスの傍にいながらダマラスを恐れて結局動くことが出来なかったのです。
それなのにハカセはバスコよりも遥かに弱いにもかかわらず、仲間を助けるために弱いなりに全力を尽くした。
その結果、仲間の絆というものを理解出来ない冷酷なダマラスはハカセの行動の意味を理解出来ず、
まんまとハカセの罠に嵌ったのです。

ただ、それは計略が優れていたというだけの問題ではない。
ハカセが命懸けで戦ったからこそ、この計略は成立したのであり、
ハカセとマーベラスの仲間の絆の力が、仲間の絆を知らないダマラスを凌駕したのです。

バスコもマーベラスも最初、ハカセの行動の意味が分からなかった。
これはハカセの計略が巧みだったからですが、
こうして作戦が成功してしまうと、ダマラスはどうして自分の目算が狂ったのか
未だに理解出来ず混乱していましたが、
マーベラスはもちろん、バスコもまた、これが「仲間の絆」の勝利だということが理解出来ています。

どうしてダマラスにはそのことが分からないのかというと、
ダマラスは強者が弱者を従わせる覇者の論理しか知らず、
弱い者同士、出来ることを全力でやって足りない部分を補い合う「仲間の絆」というものを全く知らないからです。
そしてマーベラスとバスコがそれを理解出来るのは、2人とも赤き海賊団に居た時に
その「仲間の絆」で結ばれていた同士だったからです。
いや、もともとこの海賊流の助け合い補い合う「仲間の絆」をマーベラスに教えたのはバスコであったのです。

バスコはハカセのマーベラス救出劇を見て、
「仲間の絆」の力が「仲間の絆」を知らないダマラスの力を凌駕するのだということを思い出したのでした。
そうして、それはそのダマラスを恐れて動くことも出来なかった現在の自分の力をも凌駕していることに気付いて、
バスコは愕然としました。

一方、どうして自分がこんな弱い奴らの計略に嵌ってしまったのか理解出来ず混乱しているダマラスの前に
死んだはずのジョー達4人までもが現れたので、ますますダマラスは混乱しました。
マーベラスとハカセもジョー達は死んだものと思っていたので驚き喜び駆け寄りました。
そしてジョー達の出現はジョー達を秘かに助けて放置していたバスコにとっても一応予想外ではありました。
あれだけのダマラスの圧倒的な強さを見た後では、
ジョー達がせっかく拾った命をまた危険に晒すような真似をして、
ここにやって来ることはないだろうとバスコは思っていたからです。

しかし、それは厳密には少し前までの認識でした。
ハカセの行動を見て弱さを自覚してなお足りないところを補い合おうとする
「仲間の絆」の力を思い出したことによって、
バスコは必ずジョー達はここにやって来るだろうと確信し直していました。

そしてジョー達がここに現れれば、その瞬間、自分の裏切りがダマラスに発覚することも分かっていました。
だからバスコはジョー達が現れることを予測して、その瞬間に備えていることが出来たのです。
果たしてジョー達が現れた瞬間、バスコは素早く動いて、
愕然としてジョー達を見据えるダマラスの背後に忍び寄っていました。

そしてルカがサリーに炎の中から救い出されたのだとダマラスに教えて、
ダマラスがバスコの裏切りに気付いた瞬間、
既にバスコの剣が背後からダマラスの身体に深々と突き立てられていたのでした。

これにはマーベラス達6人も驚愕しました。
またバスコが今度はザンギャックを裏切ったのかと思ったのです。
しかしバスコにしてみたら、こんなものは本当の意味での「裏切り」ではありませんでした。
もともとダマラスは「仲間の絆」など知ろうともしない冷酷な男であり、
力で自分を屈服させて使役していたに過ぎない。
だから、隙を見つけて噛みついてやっただけの話でした。

むしろ、このバスコの行動は「仲間の絆」の持つ力を再び信じてみようとしたものだといえます。
さっき十字架の横でバスコはダマラス相手に怖気づいて斬りかかることが出来なかった。
しかしバスコはその前、サリーがダマラスに殺されそうになっている時、
咄嗟にダマラスに斬りかかることが出来ました。
つまり、バスコもまた「仲間の絆」の力によってダマラスに挑むことは出来ていたのです。

ならば、この裏切りが発覚してしまうタイミング、
先に斬らねば自分が斬られる絶体絶命の場面でバスコは難敵のダマラスに斬りかかる勇気を引き出すために、
かつてのマーベラスとの「仲間の絆」を一瞬甦らせて信じてみることにしたのでした。

マーベラスだけでもダマラスに勝つことは出来ないし、バスコだけでもダマラスに勝つことは出来ない。
でも昔のように2人が全力で戦って足りない部分を補い合えば、
ダマラスに一太刀、致命傷を与えることぐらいは出来るかもしれない。
マーベラス達に意識を集中しているダマラスの隙を突いて攻撃を仕掛ける時、
バスコは昔のようにマーベラスとの「仲間の絆」を信じて勇気を引き出したのです。

そして、さっきサリーを助けるために斬りかかった時は
ダマラスもバスコの攻撃に備えていたので一太刀も入れることは出来ませんでしたが、
今回のマーベラスへの助太刀のバスコの一撃は、ダマラスの虚を突いたため、
見事にダマラスの身体に突き刺さったのでした。

ただダマラスも「宇宙最強の男」と異名をとる化け物ですから、これだけで沈むことはなく、
逆にバスコを弾き飛ばします。
それでもバスコは十分に手応えは感じており、ダマラスはもはや本来の力では戦えないと判断しました。
そうなればもう長居は無用でした。

バスコの目的は、自分がこの場を逃げ切ることと、マーベラス達がダマラスに倒されないようにすることだけであり、
ダマラスに致命傷に近い一撃を叩きこんだことによって、その2つの目的は既に達されたようなものだったからです。

ダマラスはもうバスコを追撃する力は失っており、そもそも追撃は出来ない。
マーベラス達にこの場で倒されるからです。
マーベラス達にはダマラスの想像も及ばない「仲間の絆」の力がある。
万全な状態のダマラスならば、それすらも蹴散らしたであろうが、
もはや今のダマラスではマーベラス達の「仲間の絆」の力を凌駕することは出来ない。

そのようにバスコは判断しました。
それだけ「仲間の絆」の力というものをバスコは信じたのです。
だが、かといってバスコはマーベラスと仲間に戻って馴れ合うつもりなど毛頭ありませんでした。
そんなことが今さら出来るはずもないし、
バスコが信じたのは、あくまで「仲間の絆」というものの持つ一般論としての力でした。

自分とマーベラスの間に絆などもはや無いことはバスコも当然分かっています。
ただ単にさっきはダマラスをどうしてもこの場で始末しなければいけない必要上、
マーベラス達に助太刀する形でダマラスに斬りかかる勇気を引き出すために、
マーベラスとの仲間の絆を思い出してみただけの話です。
それさえ上手くいけば、もうそんな気分は必要ない。
だからマーベラスと馴れ合うつもりなどはバスコには毛頭ありませんでした。

ただ、「仲間の絆」が強大な力を発揮することはバスコも認めざるを得なかった。
それゆえ、マーベラス達の「仲間の絆」が、確実に手負いのダマラスを仕留めるであろうと予測は出来ました。
それでバスコは隠し持っていたマーベラスのモバイレーツとレンジャーキーをマーベラスに投げて返し、
困惑してどういうつもりなのか問い返すマーベラスに対して、
「見つけてほしい大いなる力があるから」と理由を言い、
マーベラス達が残り2つの「大いなる力」を揃えたら決着をつけると宣言し、
あくまで敵同士であることを念押ししてバスコはサリーを連れてその場を去っていったのでした。

こうしてバスコはマーベラス達の「仲間の絆」の力を認めました。
そしてバスコもまた自分とサリーの「仲間の絆」を認めました。
しかし、それではバスコはマーベラス達に勝てません。
同じように「仲間の絆」の力で戦うとしたら、6人の絆の力と、1人と1匹の絆の力では、
前者の方が強いのは当たり前です。
だからバスコは「仲間の絆」の力で戦う気などありませんでした。

バスコは今回のダマラスの一件で大事なことに気が付いたのです。
自分はダマラスのように「仲間の絆」を知らない冷酷な人間ではない。
むしろ「仲間の絆」の大切さを知っている人間なのです。
アカレッドもマーベラスも自分にとっては、かけがえのない大切な仲間だった。
その大切な「仲間の絆」を苦しみ抜いて捨て去ってでも夢を掴もうとする心の強さこそが、
自分の強大な「夢を掴む力」なのだとバスコは気付いたのです。

マーベラス達の「仲間の絆」の力の強さを認めるからこそ、
その大切な「仲間の絆」をも捨てて夢を掴もうとする自分の執念こそが、
マーベラス達の仲間の絆を凌駕して「宇宙最大のお宝」を掴む自分の力となるのだと
バスコは確信することが出来たのでした。

そして、そのためには、かつてアカレッドやマーベラスを断腸の想いで捨てた時のような、
捨てることを前提とした本当に大切な「仲間の絆」がバスコには不可欠であったのです。
それがバスコにとってのサリーとの「仲間の絆」でした。

自分は裏切りの中でこそ強くなるという直感は正しかったとバスコは思いました。
しかし、それは断腸の想いで裏切るだけの深い「仲間の絆」があることが前提となった
「裏切り」によってこその強さであったのです。

そういうわけでバスコはこれから努めてサリーとの仲間の絆を深いものにしていこうと思いました。
それは、いよいよ「宇宙最大のお宝」を掴もうとする時、
マーベラス達との決着の際に、マーベラス達の「仲間の絆」を撃ち破るために、
サリーとの大切な「仲間の絆」を捨てて夢を掴もうとする執念の強さを自らに引き出させるための下準備でした。

こうしてバスコが歪んだ決意を固めて去っていった後、
マーベラス達は手負いで怒り狂うダマラスとの決戦に突入します。
ダマラスは手負いの不利は承知であったが、
作戦を失敗してギガントホースに戻れば、アクドス・ギルはおそらく自分を許さず
処刑するだろうということが分かっていたので、そのまま戦います。

そのダマラスの最後の執念は凄まじく、マーベラス達は苦戦しますが、
それでもマーベラスとハカセのさっきとは見違えるような見事な連係攻撃など、
6人の互いに弱さを補い合う攻撃によって徐々にダマラスを追い詰めていき、
遂にはしつこく食い下がるダマラスを倒したのでした。

そしてハカセは仲間を取り戻し、再び海賊として旅を続けることが出来るようになり、
戻ってきた仲間に「伝説の勇者」の件で嘘をついていたことを告白し深く謝罪したのでした。
しかし、アイムや鎧は、怖くても勇気を出してマーベラスを助けてくれたハカセはやはり勇者なのであり、
自分達にとってはハカセはやはり伝説の勇者なのだと言ってくれるのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:56 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その19

ザンギャック皇帝アクドス・ギルは皇帝親衛隊を率いて地球侵略軍に降臨し、
ザンギャック総艦隊の旗艦ギガントホースに鎮座して地球侵略作戦の指揮を直接とることになりました。
手始めに地球侵略の最大の障害であり皇太子ワルズ・ギルの仇である宇宙海賊マーベラス一味を倒すため、
皇帝親衛隊の幹部怪人ザツリグを刺客として差し向けたが、マーベラス一味は苦戦の末ザツリグを倒しました。
それを受けて、次いでアクドス・ギルが最強の刺客として差し向けた
「宇宙最強の男」の異名を持つ参謀長ダマラスによってマーベラス一味は絶体絶命の窮地に陥りましたが、
ハカセの活躍で盛り返した後、バスコの裏切りによって重傷を負ったダマラスを激闘の末、遂に撃破したのでした。

怪我をしていたとはいえザンギャック最強の武人ダマラスが敗れたとなると、
それと同等以上に強いのはもう皇帝アクドス・ギル自身しかいないが、
皇帝自身が最前線に立つなど愚策中の愚策であり、アクドス・ギルはそんな作戦は選ぶことはありません。
ならばマーベラス一味に差し向ける次の有効な刺客は、
残った1人の親衛隊幹部怪人のダイランドーに親衛隊を指揮させて総力戦を仕掛けるしかないが、
アクドス・ギルは自分の身辺を守る親衛隊の戦力低下を嫌いました。

独裁帝国ザンギャックにとっては、外敵と戦ったり、支配下の民を守ったりすることよりも、
最も優先されることは独裁者である皇帝を守ることです。
よって軍の役割もまずは皇帝を守ることが最優先で、
特にその中でも皇帝親衛隊は皇帝の警護以外の余計な任務で消耗させることは出来るだけ避けなければいけません。
だからダマラスを倒すほどの敵に皇帝親衛隊をぶつけるわけにはいかない。
といってもダマラスを倒すほどの敵に差し向けるための刺客となると、
ザンギャック軍の中では皇帝親衛隊ぐらいしか候補はいません。

そこでアクドス・ギルは刺客作戦は止めて、
全宇宙に展開するザンギャック艦隊の総力を地球に結集して、
力押しでマーベラス一味もろとも一気に地球を蹂躙する作戦に変更したのでした。
そのために全宇宙の各地での戦力の調整や移動にしばらく時間がかかるので、
地球上の宇宙空間に展開する地球侵略軍と皇帝親衛隊の合同軍はしばらく待機しておくよう命令が下りました。

ダマラス亡き後、地球侵略軍の事実上の指揮官となったインサーンは、
大艦隊が到着すれば勝利は確定的となり、
意外に皇帝の覚えがめでたい自分はこれはもしかして出世コースに乗ったのかと思い、
真面目に待機中に配下の戦力の見直しに取り掛かります。

一方、皇帝親衛隊を率いるダイランドーは待機命令に不満で退屈がります。
ダイランドーはダマラスがマーベラス達に敗れたのは油断してバスコに負わされた重傷が原因であり、
別にマーベラス達が強かったからではないと思っていました。
ザツリグにしても慢心して1人で6人を相手に戦いに行ったから敗れたのであり、
それなりの陣容で臨めば、ダイランドーは自分ならばマーベラス達に遅れはとりはしないという自負はありました。

それでダイランドーはちょうど地球侵略軍に旧知の行動隊長のビバブーがいたので、
ドゴーミンも数人引き連れて、一緒に地球人を苦しめて遊ぶために勝手に地上に降りたのでした。
ダイランドーはマーベラス一味と戦うように命令はされていませんでしたが、
もし地上でたまたまマーベラス達と遭遇したら戦って倒してやるつもりでいました。
こうして第44話はダイランドーの率いる部隊とマーベラス一味が戦うお話となります。

マーベラス達はダマラスは倒したものの、その戦いの際にいくつか気掛かりなことが残りました。
まずマーベラスがダマラスに連行されて初めて敵の拠点であるギガントホースの司令室まで行った際、
そこでザンギャック皇帝のアクドス・ギルに出会ったことでした。
ザツリグと戦う前に皇帝親衛隊の艦艇が大量に来ているのを見た時から、
もしかしたら皇帝が来ているのではないかとも思っていましたが、
本当にザンギャックの皇帝がこの地球まで来ているというのは、やはり驚きでした。

マーベラスはわざわざ息子のワルズ・ギルの仇を討ちに来たのだろうと思い、
なんともヒマな皇帝だと呆れていましたが、
元ザンギャック軍人のジョーは皇帝がわざわざ来ている以上、息子の仇討ちだけで済むようにも思えず、
その仇討ちさえ達成出来ていない状態で皇帝がこのままで引き下がるとも思えず、
何かとんでもないことをしてくるのではないかと心配します。

しかし、それ以上にマーベラス達を驚かせたのはバスコがザンギャックを裏切ってダマラスを刺したことでした。
結局、その結果、バスコは私掠資格を剥奪されて、再び元の賞金首の海賊に戻ってしまい、
ザンギャックに追われる立場になってしまいました。
もともと居場所不明のバスコでしたが、あれ以降ひっそりと何処かに潜伏してしまっています。
しかし間違いなくバスコはこの地球の何処かに隠れて自分達の行動を監視しているに違いないと
マーベラス達は思いました。

しかもバスコは何時の間にかサンバルカンとファイブマンの「大いなる力」を奪ってしまっていました。
これで残る所在不明の「大いなる力」はバトルフィーバー隊とカクレンジャーの2つです。
ところがバスコはその残り2つの「大いなる力」を自分で奪おうとはせず、
マーベラス達に先に手に入れさせ、その後、マーベラス達と戦って勝って奪おうとしている。

マーベラス達はどうしてバスコがそんな回りくどいことをしようとしているのか理解に苦しみました。
バスコはその手順のために、わざわざマーベラス達を助けてザンギャックを裏切る羽目になり、
賞金首のお尋ね者になるというリスクまで負っているのです。
何故バスコがそこまでして、残り2つの「大いなる力」を自分達に集めさせようとしているのか
マーベラス達には謎でした。

これはバスコ側から見れば理由は明白で、
バトルフィーバー隊はまだ何とかならないこともないとしても、
とにかくカクレンジャーに関しては居場所に関して全く手掛かりも無く、完全にバスコはお手上げ状態だったのです。
しかしマーベラス達はこれまで本人たちは何もせず、ただナビィのナビゲートが勝手に出てきたり、
レジェンド戦士の方から会いに来たりしていたので、
「大いなる力」の手掛かりが掴めなくて苦労するという感覚自体、無縁でした。
それでバスコがお手上げ状態であるということが想像出来なかったのでした。

まぁそんな呑気なマーベラス達でしたから、
バスコの思惑はどうあれ、残り2つの「大いなる力」は必ず自分達が手に入れることが出来ると確信しており、
その2つの「大いなる力」を手に入れた後は、必然的にバスコとの決着をつける戦いが始まるのだと
覚悟を決めました。

しかし、この残り2つの「大いなる力」が厄介なのでした。
カクレンジャーはマーベラス達に「大いなる力」を渡すつもりはなく、完全に姿を隠してしまっていましたから
「この星の意思」もナビィを通してマーベラス達にカクレンジャーの「大いなる力」に関する
お宝ナビゲートをすることは出来ませんでした。
「この星の意思」は地球の人々の無意識の集合体であり、アカレッドと同じような一種の思念体であり、
「大いなる力」に関わる様々な不思議な能力は持っていますが、万能の神というわけではない。
だからカクレンジャーが本気で姿を隠してしまうと見つけられないのです。

このカクレンジャーの「大いなる力」についてはニンジャマンの封印された壺という唯一の突破口が
寝隠神社にあるのですが、
これを知っているのは31世紀の未来にいるドモン達タイムレンジャー31世紀組の4人だけであり、
あくまで21世紀における思念体である「この星の意思」はそのことは知りません。

そしてもう1つ残った戦隊である、3番目のスーパー戦隊のバトルフィーバー隊も
「この星の意思」にとって厄介な戦隊でした。

そもそも、バスコに「大いなる力」を奪われた5戦隊に関して、
どうして「この星の意思」はマーベラス達にお宝ナビゲートをしなかったのかというと、
これら5戦隊がマーベラス達が自分達のところに来たら「大いなる力」を渡すのと引き換えに
「宇宙最大のお宝」を使ってザンギャックのいない平和な宇宙を作るように要求するつもりだったからです。

宝探しの途中でそんなことを言われてしまえばマーベラス達は「宇宙最大のお宝」の正体を知って、
宝探しに興味を失って中止してしまうかもしれないし、
あるいは逆に宇宙の作り直しのために「宇宙最大のお宝」を探そうとするかもしれない。
それは「この星の意思」の目的にそぐわないのです。
「この星の意思」はあくまで「宇宙最大のお宝」を前にしてマーベラス達に
「宇宙の作り直し」か「ザンギャックとの戦い」かのどちらかを選択させたいのです。

いや、厳密にはアカレッドの言っていたようにマーベラス達がザンギャックを戦って倒すという
可能性に賭けたいという想いが「この星の意思」にはあったのだが、
マーベラス達が本当にザンギャックを倒す力があるということを最終的に証明するのは、
「宇宙の作り直し」という神のごとき万能の力の誘惑を断ち切ることであると思っていたのです。
だから、「この星の意思」はマーベラス達が「宇宙最大のお宝」の正体をあらかじめ知っているという状況は
避けたかった。

そういうわけで、「この星の意思」は5戦隊のもとへマーベラス達を行かせることを躊躇していたのです。
そうしているうちに5戦隊の「大いなる力」はバスコに奪われてしまいました。
この5戦隊と共同歩調をとっていたオーレンジャーに関しては、元オーレッドの星野吾郎が
バスコと接触しようとするのを見てアカレッドが慌ててマーベラス達にナビィを介してナビゲートを送り、
結局は吾郎がマーベラス達との遣り取りの中で考え方を変えて、マーベラス達に判断を託すことにして、
「宇宙最大のお宝」の正体については触れることなく「大いなる力」を託してくれました。

しかし、このオーレンジャーと5戦隊と共同歩調をとっていたもう1つの戦隊がバトルフィーバー隊であったのです。
しかもバトルフィーバー隊はこのオーレンジャーが抜けた6戦隊においてリーダー格であるので、
当然、最も強硬にマーベラス達に「宇宙の作り直し」をさせようとしている戦隊です。
つまり、マーベラス達が「大いなる力」を求めてバトルフィーバー隊に会いに行くと、
必ずバトルフィーバー隊は「宇宙最大のお宝」の正体をバラした上で、宇宙の作り直しを迫ると思われ、
それでは困るので「この星の意思」はナビィを介してマーベラス達にバトルフィーバー隊のもとへ導く
お宝ナビゲートが出来ないのでした。

しかし、その当のバトルフィーバー隊の方では、少しその心に迷いが生じてきていました。
もともとバトルフィーバー隊がマーベラス達に宇宙の作り直しの道を選ばせようとしていたのは、
戦ってザンギャックに勝つことなど、冷静に考えてやはり無理だと思っていたからでした。
しかし、バトルフィーバー隊の方では7戦隊の情報網を使ってダマラスが「宇宙最強の男」と異名をとる、
ザンギャックの強さの象徴のような戦士だという情報は把握していましたから、
そのダマラスをマーベラス達が倒したという情報を聞いて、バトルフィーバー隊の面々もさすがに驚きました。

その前にはザンギャック最強の決戦機といわれていたグレートワルズもマーベラス達は倒しており、
それに続いて今回はザンギャック最強の武人ダマラスも倒したわけです。
だからといって、バトルフィーバー隊の面々は、
これでマーベラス達がザンギャック帝国を倒すことが出来るとまで楽観的なことは考えられませんでしたが、
それでも彼らの予想を遥かに超えたマーベラス一味の強さであったのは確かです。

つまりバトルフィーバー隊はマーベラス一味とザンギャックとの力関係を完璧に読み切っていたつもりが、
実はその読みはかなり甘かったのだと気付かされたのでした。
そうなると、一体どうしてマーベラス一味は自分達の予想を超えて強くなったのか、
バトルフィーバー隊とそれに同調する5戦隊も興味が湧いてきました。

一応、マーベラス達の戦いについては、観察出来る範囲内では観察するようにはしていたのですが、
今まではどうしても先入観に基づいた観察になっていました。
それを改めて次は先入観抜きにマーベラス達をじっくり観察してやろうと思い、
バトルフィーバー隊からは元バトルケニアの曙四郎、サンバルカンからは元バルイーグルの飛羽高之、
チェンジマンからは元チェンジグリフォンの疾風翔、フラッシュマンからは元グリーンフラッシュのダイ、
マスクマンからは元ブルーマスクのアキラ、ファイブマンからは元ファイブイエローの星川レミの6人が
それぞれ分かれてマーベラス達の行動を観察する態勢に入ったのでした。

その日はちょうどクリスマスイブであったので、
鎧の提案でマーベラス達はガレオンでクリスマスパーティーをすることになり、
その買い出しのためにルカと鎧が街に出掛け、
曙四郎はスーパーの店頭の客呼び込み用のサンタの扮装をして子供たちにプレゼントを配りながら
彼らを観察していました。

すると、ルカが近づいてきてプレゼントをくれと言ってきたので四郎は少し驚きました。
マーベラス一味の面々は地球人の鎧を除いてはクリスマスというものを知らなかったので、
鎧から仕入れた俄か知識で、ルカは四郎のことを本物のサンタだと勘違いしてしまい、
自分もプレゼントを貰えるものだと思い込んでしまったのです。

しかしサンタからプレゼントを貰える資格があるのはサンタの実在を信じているような
純粋な子供たちだけだというポリシーを持つ四郎は、
たとえ自分がスーパーの呼び込み用の偽物のサンタの扮装をしているとしてもそのポリシーは貫かねばいけないと、
妙に生真面目に考えていました。
四郎はルカがクリスマスのことを今日初めて知って、サンタの実在を信じているなどとは想像もしていませんから、
てっきりルカが大人のクセに子供に混じってちゃっかりプレゼントをせしめようとしていると思い、
「プレゼントは良い子にしかあげられません」と言って断ったのでした。

するとルカはサンタに悪い子だと思われたと受け取って、ムッとしてその場を去って、
どうせ自分は元盗賊の海賊で悪い子だからクリスマスから除け者なのだと、すっかり拗ねてしまって鎧を困らせます。
鎧は「クリスマスはハッピーな日だからそんなに怒ってはいけない」とルカを諭しますが、
ルカの機嫌が直らないので、鎧はちょうど立ち寄った公園でクリスマス会の準備をしていた子供会を見つけて、
ルカと一緒にその準備を手伝い、ルカを宥めました。
そうして子供たちと一緒にクリスマスツリーの飾り付けなどをしているうちに、
ルカは自分もクリスマスに参加出来ているような気分になり、機嫌が直りました。

ところがそこに、地上に降りてきてビバブーの魔法の杖で街の人々を人形に変えさせて面白がっていた
ダイランドーの一行がやって来て、ルカと鎧は子供たちを避難させますが、
ルカ達が仲良くなっていた聖二という少年がビバブーの杖から発した光線で人形にされてしまいました。
それを見て呆然と立ち止まった聖二の姉の小夜という少女を狙って更にビバブーが発した光線を、
小夜を守ろうとして飛び込んだ鎧が身代わりに受けて、鎧は人形にされてしまいます。

ルカは鎧の無茶な行動に驚きました。
この場合、まずはビバブーに勝って人形にされた人々を元に戻すことが優先されるべきだと思えたからです。
それなのに小夜の身代わりになることを選んだ鎧に戸惑いつつ、
ルカは自分がビバブーに勝って皆を元に戻そうとします。

そこにマーベラス達も駆けつけて乱戦となりますが、
ダイランドーと初対戦のマーベラス達は想像以上のダイランドーの強さに翻弄され、
ダイランドーやビバブーに逃げられてしまいました。
その戦いの中でビバブーの魔法の杖を奪って呪文を唱えれば人形にされた人々を元に戻せることを知った
マーベラス達は、鎧たちを元に戻すために、すぐにダイランドー達を追い掛けます。

その中でルカだけはクリスマス会の準備がムチャクチャになった公園で呆然として
聖二の人形を握りしめている小夜を慰めに近寄りました。
小夜は悪戯っ子の聖二に対して相手をするのが面倒臭くて、よく怒ってキツく当たっており、
聖二に雪の飾りを取りに行かせて、聖二が戻ってきたところでビバブーに遭遇したので、
小夜は自分のせいで聖二が人形にされたと言って嘆きます。

しかしルカは小夜のせいではないと言って慰めました。
ルカ自身、妹を助けてやることが出来ず自分を責め過ぎて苦しんだので、
小夜が弟のことで自分を責めている姿に同情したのでした。
しかし小夜が「クリスマスなのに怒ってばかりだったから罰が当たった」とこぼすのを聞いて、
ルカは鎧がどうして無茶な行動をしたのか理解しました。

鎧はルカにも「クリスマスはハッピーな日だから怒ってはいけない」と言っていました。
つまり、どうやら地球人にとってクリスマスという行事は
笑顔で楽しく過ごすべき日であるようなのだとルカは理解しました。
だから鎧は弟を人形にされてしまった小夜をそれ以上悲しませたくなくて、小夜の身代わりになったのです。
小夜を助けるためではなく、鎧は自ら進んで人形になったのです。
鎧は自らの身を挺した行動を通して小夜に、自らの人形にされることを恐れない強さを見せることで、
聖二を襲った事態の悲劇性を少しでも軽減して見せたかった。

そして、鎧は自分が人形にされても
きっと仲間達は自分を元に戻すために希望を捨てずに戦ってくれると信頼しており、
その決して希望を捨てずに戦う仲間達の強い心を小夜に見せることで、
小夜も弟を救えるという希望を決して捨てず前向きになれるはずだと思っていたのです。

そうした鎧の想いを理解したルカは、ならば自分は仲間として鎧の期待に応えなければいけないと思いました。
小夜の悲しみに同情して一緒に湿った顔をしていてはダメなのです。
笑顔で前向きに、絶対に聖二も鎧も元に戻してみせるという強い意思を小夜に見せて元気づけて、
自分をお手本にさせて、小夜にも同じ強く前向きな気持ちを持たせるようにしなければいけない。

きっと聖二も鎧も元に戻してみせる。
クリスマスはまだ終わっていないのだから、今から笑顔で前向きに頑張れば、
きっと神様は罰を取り下げて「良い子」にご褒美をくれるはず。
そう言いながら笑顔で小夜を元気づけたルカは、
自身も前向きな気分になり、それによって名案を思い付いたのでした。

それは人形作りの得意な小夜に自分を模した人形を作ってもらい、
それを使って自分が光線を浴びて人形にされてしまったように偽装してビバブーを油断させて
魔法の杖を奪う作戦でした。

ルカは小夜に人形作りを頼み、すぐに小夜は人形を仕上げますが、
それを持ってビバブーに挑むため駆け出そうとするルカを小夜は呼び止めます。
小夜は自分も戦うと言うのです。
ルカは驚いて無茶だと言って止めますが、小夜はどうしても戦いたいと言います。

鎧とルカのどんな絶望の中でも前向きな行動を見て、
小夜は絶望や恐怖に負けずに前向きに戦う勇気を得たのです。
そうして自ら戦う勇気を手にした小夜は自分を守るために鎧が身代わりに犠牲になったことを申し訳なく思い、
これ以上、自分のために誰かが犠牲になることは耐えられず、
自分の弟を救うための戦いをルカに任せてしまって、ルカが犠牲になることが耐えられなかったのでした。

鎧は小夜の身代わりになったのではなく、小夜に勇気のお手本を見せただけなのです。
しかし、そうして勇気を手にした小夜から見れば、
やはり鎧の行動は小夜の身代わりに自らを犠牲にした行為なのであり、
それは小夜には耐えられないものだったのです。
ルカは自分が小夜の心に火を点けたのだと気付き、
その小夜の勇気は自分は受け止めなければいけないと思いました。

ただ、勇気は得ても、小夜には戦う力は無い。
そこでルカは小夜にゴーカイイエローのレンジャーキーとモバイレーツを預けて、
もしルカが作戦失敗した時に、安心して隙を見せたビバブーに奇襲をかけて魔法の杖を奪うための
戦う力を与えたのでした。

それは、絶望や恐怖に負けず大切なものを守るために戦う勇気を持った小夜ならば
モバイレーツからレンジャーキーのパワーを引き出す「夢を掴む力を持っているはずだと
ルカが信じたということでした。
もちろんルカは自分の人形を使った作戦を全力で成功させるつもりではありましたが、
もし失敗して自分が人形にされてしまった時に、自分を救う役を小夜に任せたのです。

これは鎧がルカたち仲間がきっと自分を元に戻してくれると信頼して安心して人形になっていったのと同じ心理で、
ルカは小夜を仲間として信頼したのです。
小夜はルカの影響によって戦う勇気を得た。
だからルカは小夜を仲間と認めて、自分の命を預けるほどに信頼したのです。

こうしてマーベラス達がダイランドー達と戦っている場所へ駆けつけたルカと小夜は、
安全地帯で高みの見物を決め込んでいたビバブーに奇襲をかけ、
最初に敢行したルカの人形作戦はビバブーに見破られて失敗し、ルカは人形にされてしまいましたが、
その直後のゴーカイイエローに変身した小夜の奇襲は成功し、
魔法の杖を奪った小夜は聖二や鎧やルカ、そして街の人々みんなを元に戻すことに成功したのでした。

そうしてようやく6人揃ったゴーカイジャーは魔法の杖を破壊し、ビバブーを倒し、
ダイランドーは6人揃ったゴーカイジャーと初めて戦い、
その強さがさすがにザツリグや手負いのダマラスを倒しただけのことはある、侮れないものであることを認め、
ギガントホースに撤退していったのでした。

この一連のマーベラス一味の行動、特にルカや鎧の行動とそれに対応した小夜の行動を
隠れて観察していた元バトルケニアの曙四郎、元バルイーグルの飛羽高之、元チェンジグリフォンの疾風翔、
元グリーンフラッシュのダイ、元ブルーマスクのアキラ、元ファイブイエローの星川レミの6人は、
マーベラス達や小夜たちの行動に大いに考えさせられました。

小夜を守るために身を挺して自らを犠牲にして人形となった鎧の行動は、
平和な宇宙を作るために「宇宙最大のお宝」を使って宇宙を作り直し、
そのために自らの存在の消滅を厭わないスーパー戦隊の行動に似ているようにも思えました。

しかし鎧は自分を犠牲にして小夜を守ることが目的だったのではない。
自分の勇気ある行動を通して小夜に希望と勇気を持たせようとしたのです。
ヒーローというものは本来そういうものではなかったかと、四郎たちレジェンド戦士6人は考え込みました。
他人のために犠牲になるだけでは真のヒーローではない。
鎧のようにその犠牲的行動によって他人に希望と勇気を与えてこそ真のヒーローなのです。
また、鎧の犠牲的行動の真の意味を知って、
小夜に勇気を与えようとして自らの前向きな戦う姿勢を見せたルカやマーベラス達もまた、真のヒーローでした。

今まで自分達もそうしてきたのではなかったかと、6人は自らの過去を振り返りました。
そして同時に、「宇宙の作り直し」にこだわっていたここ数年間の自分を顧みました。

今回の戦いで勝敗を分けたのは真のヒーローたるマーベラス一味の戦力ではなかった。
勝敗を分けたのは小夜の勇気ある行動でした。
その小夜の勇気は鎧やルカの勇気ある行動によって引き出されたものであり、
その小夜の勇気は鎧やルカの犠牲的行動を最後には否定しました。
ヒーローの勇気ある行動を見て、戦う勇気を得た小夜は、ヒーローが自分のために犠牲になることを拒絶し、
戦う力の無い自分が命懸けで強大な敵と戦うことを望んだ。
そしてその小夜の勇気が勝利を呼び込んだのです。

その顛末を見て、四郎たち6人は、宇宙最強最大の敵ザンギャックとの勝ち目の無いと思われる戦いにおいて
勝利を呼び込むカギがそこにあることに気付いたのでした。
鎧とルカの勇気あるヒーローとしての戦いを見て得た小夜の勇気だけでもあれほどの力を発揮したのです。
ならば、これまで34の戦隊の193人のヒーローの戦いを見続けてきた地球の人々の心に生まれた勇気こそが
マーベラス達の戦いに大きな力を与えて、ザンギャックとの戦いを勝利に導くカギとなるはずです。

つまり、最も価値があるのはヒーローの行動そのものではなく、
ヒーローの行動によって人々に与える影響なのです。
ならば、最初から34のスーパー戦隊が存在しなかったことにして世界を作り直そうとしていた
自分達のやろうとしていた行為は、その最も価値のあるものを消し去ろうとしていた
大変な過ちだったのかもしれない。

34のスーパー戦隊が存在しなかったということになるのならば、
それによって影響を受けた人々の勇気も希望も正義の心も消え去ってしまう。
もしかしたら、34の世界が融合したこの世界そのものの存在価値は、
その人々の勇気や希望や正義の心を生み出すことだったのかもしれない。
もしそうだとするなら、自分達のやろうとしていたことは、
この世界の存在意義そのものの否定であったのかもしれない。

その結果、出来上がった世界は果たして本当に平和な宇宙といえるのか?
ザンギャック以外の悪に対処が出来るのか?
そう考えると、マーベラス達がスーパー戦隊によって勇気を与えられた地球の人々と共に戦って
ザンギャックを倒して平和な宇宙を作るというシナリオだけが正解であるように思えてきます。

但し、それは確かに唯一の正解かもしれないが、現実には世の中、必ず正解に辿り着けるとは限らない。
ザンギャックと戦って勝てれば正解に辿り着くが、勝てなければ不正解に辿り着くしかない。
その場合はやはり不正解の道だと分かっていても、宇宙の作り直しをするしかない。
だから、やはりマーベラス達に託すのは賭けなのです。
それでも正解が分かった以上、その正解に向けての戦いの勝利に賭けようと、
四郎たち6人は遂に決意することが出来たのでした。

思えば奇しくもその日はクリスマスイブであり、
まさにルカが知ったように、クリスマスとは人々が笑顔で希望に満ちた想いであるべき日でした。
その由来はイエス・キリストが自らが十字架にかかって犠牲になり、
人々の罪を解消するという勇気ある行動を示すことによって、
人々が勇気と希望を持つことが出来るようになったという故事にあります。

つまりイエスのそうした行動こそがヒーローの1つの原型であり、
クリスマスは人々に勇気を与える真のヒーローや、ヒーローに勇気をもらった人々を称えて感謝する日なのです。
だからクリスマスにおいて前向きな笑顔を忘れない人は「良い子」なのであり、
サンタからプレゼントを貰う資格がある。
マーベラス一味はそういう意味で間違いなく「良い子」なのであり、プレゼントを貰う資格がある。

丁度サンタの扮装をしていた四郎は、
自らの持つバトルフィーバー隊の「大いなる力」をこのクリスマスイブの夜、
マーベラス達にプレゼントとして贈ろうと思い、
もともと身につけていた体内の「大いなる力」を動かす能力を駆使して
ガレオンの宝箱の中にあるバトルフィーバー隊のレンジャーキーに向けて
「大いなる力」を移動させようとしますが、さすがに距離が遠いので四郎1人の力では難しく、
飛羽ら他の5人の力も合わせて試みます。

それでも難しい状況であった、その時、「この星の意思」が四郎たちの意識に語りかけてきました。
更にはそれだけでなく、今までマーベラス一味に「大いなる力」を渡してきた27戦隊の戦士たちの意識も
「この星の意思」を通して四郎たち6人に語りかけてきました。
実は27戦隊の戦士たちも「この星の意思」を介して、このクリスマスイブに
マーベラス一味と四郎たち6人を見守っていたのです。

そして四郎たち6人、つまりバトルフィーバー隊、サンバルカン、チェンジマン、
フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの6戦隊も自分達と同じように
マーベラス一味に賭ける決意を固めてくれたことを喜び、
これまでの意見の違いによるわだかまりは解消していきました。
こうして心を1つにした33戦隊は、「この星の意思」の力も合わせて、
バトルフィーバー隊の「大いなる力」をガレオンの宝箱内のバトルフィーバー隊のレンジャーキーへと
遠隔移動させることに成功したのでした。

そして戦いの後、公園で子供会のクリスマス会の準備をやり直し、
日が落ちてクリスマス会を無事に開催にこぎつけた後、
ガレオンに戻って自分達のクリスマスパーティーをやろうとしたマーベラス達は、
宝箱の中にバトルフィーバー隊の「大いなる力」が何時の間にか移動してきているのを見て驚き、
サンタの実在を信じるマーベラス達はそれがサンタのプレゼントなのだと本気で信じるのでした。

こうしてクリスマスイブに33戦隊の起こした一種の奇跡によって
マーベラス一味はバトルフィーバー隊の「大いなる力」を手に入れたのですが、
この時、ただ1つ参加していなかった戦隊がカクレンジャーでした。
ただ1つ、未だに所在不明な「大いなる力」を抱えたまま、カクレンジャーだけは
マーベラス一味に「大いなる力」を渡さないという方針を貫いて完全に姿を隠していました。

そのまま2014年は暮れていき、2015年の正月となり、
第45話と第46話のカクレンジャーの「大いなる力」を巡るお話となります。
既にザンギャック皇帝アクドス・ギルは全宇宙に動員令を発しており、
遠からず地球の周囲にザンギャック帝国の総力を挙げた大艦隊が集結し、
かつてのレジェンド大戦を上回る規模の大侵攻がなされることになりますが、
そのことはマーベラス一味も、そのマーベラス一味を陰ながら観察するバスコや34のスーパー戦隊、
「この星の意思」やアカレッドの思念体なども予測できていません。

ただ1つ、遠く31世紀の未来にいるタイムレンジャーの未来人組の4人だけは、
2015年の初め頃にザンギャックの大艦隊が襲来し、
その時点でマーベラス一味はカクレンジャーを見つけることが出来ず、
34のスーパー戦隊の「大いなる力」を揃えることは出来ていなかったという歴史的事実は知っており、
現在のところ、その歴史通りに事態は進行しているといえます。

そのザンギャック大艦隊襲来後の歴史を修正するため、
元タイムイエローのドモンが仕掛けたカクレンジャーの「大いなる力」を
マーベラス一味が手に入れるための一手は未だその歴史を修正させるに至っていないまま、
ザンギャック大艦隊襲来の運命の刻は迫ってきています。

そうして正月も終わり、マーベラス達は最後に残った所在不明の「大いなる力」、
すなわちカクレンジャーの「大いなる力」に関するお宝ナビゲートをナビィにさせました。
しかしナビィに「大いなる力」の所在に関する情報をビジョンで送っている「この星の意思」も
カクレンジャーの居場所はさっぱり掴めていなかったので、
ナビゲートのお告げは「隠れんぼした忍者は見つけられない」というスカのような内容となってしまいます。

これを聞いてマーベラス達はカクレンジャーがどうやら自分達に「大いなる力」を渡したくないので
隠れているのだということを知り、ガッカリします。
このままでは最後の最後で34の「大いなる力」を揃えられず
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来ないと思い、6人は困り果てました。

それでアイムは神様にお願いしようなどと言い出し、
それを受けて鎧が初詣がてら神社に行こうと冗談めかして提案しました。
その「神社」という言葉を聞いて、ハカセはふと
元タイムイエローのドモンの依頼で過去に戻ってなんとかいう名前の「神社」という場所に行ったことを思い出し、
あそこに行ってみようかと思い、その話題を振ったところ、ジョーがその神社の名を思い出せず、
皆もよく考えたら神社の名前を忘れていました。

それで記憶を辿って、確か「ネカクレ神社」という名だったことを思いだしてハカセがその名を口にした時、
全員、ハッと重大なことに気付いたのでした。
「ネカクレ」というその神社の名前の中にカクレンジャーの「カクレ」という文字が
暗号のように含まれていたからです。
あの神社はもしかしたら古から存在する忍者の末裔というカクレンジャーに縁のある神社なのかもしれない。

そのことに気付いた時、一同はあの時ドモンが「34の大いなる力を揃えるチャンス」という言葉を
言っていたことを思い出したのでした。
あの時はドモンがチャンスをくれる交換条件として依頼してきた
「過去において爆発して無くなった神社を守ること」というミッションを成功させたにもかかわらず、
結局その報酬としてチャンスらしきものは何も貰えなかった。
それで騙されたと思って憤慨していたのですが、
よく考えたらスーパー戦隊の元戦士がわざわざ未来からメッセージまで送ってまで嘘をつくというのも妙な話で、
もしかしたら自分達が気付いていないだけで本当は既に報酬は貰っていたのかもしれない。

つまり、あの過去に戻って守った寝隠神社こそが報酬であり、
34戦隊の「大いなる力」を揃えるチャンスそのものだったのかもしれない。
あの神社が過去において爆破されずに現在に残ったことによって、
34戦隊の「大いなる力」を揃えるチャンスも残ったということではないかとマーベラス達は気付いたのでした。

要するに、あの寝隠神社にカクレンジャーの「大いなる力」を見つけるヒントが隠されているに違いない。
ただ、よく分からないのはどうしてドモンがそのことをハッキリ教えてくれなかったのかです。
それは、このようにマーベラス達が自力で気付く形でなければ歴史の修正力が働いて
結局はカクレンジャーの「大いなる力」が手に入らないという元の歴史通りの結末になってしまうという
タイムパラドックスの特殊ルールをドモンが把握していたからなのですが、
そんな特殊ルールを知らないマーベラス達からすればドモンの行動は謎でしかありませんでした。

ただ、とにかく寝隠神社にカクレンジャーの「大いなる力」のヒントがあるに違いないと確信したマーベラス達は
さっそく寝隠神社へ行き、いろいろ探し回った挙句、
拝殿の奥に「出してくれ〜」と声を発する変な壺を発見しました。

そして壺に付属していた金槌で壺を割ってみると、
壺の中に入っていた青いスーパー戦隊の戦士風の人物が現れたのでした。
厳密には人ではなくて仙人のような存在なのですが、
それは18番目のスーパー戦隊のカクレンジャーの6番目の戦士、ニンジャマンでした。
この事態にさすがに驚くマーベラス達はそれが何者なのか分かりませんでしたが、
鎧だけはニンジャマンだと気付き驚愕します。

10年間ずっと壺に封印されていて外界の事情を知らないニンジャマンはマーベラス達のことを
通りすがりの親切な一般人だと思って、出してもらった礼を述べ、
自分はカクレンジャーの仲間のニンジャマンだと名乗りました。

マーベラス達は驚いて、どうしてカクレンジャーの仲間のニンジャマンが
こんな神社の壺の中に入っていたのかと事情を聞きました。
それに応えてニンジャマンは、10年前に脱走した動物たちを捕まえる際に大暴れしすぎて
師匠の三神将に叱られて罰をして10年間、壺の中でよく反省するよう言われて封印されていたのだという
事情を説明しました。

壺の中で10年反省して、ニンジャマンはすぐに慌てて深く考えずに突っ走ってしまう自分の性分のせいで
動物と戦いながら街を壊してしまったのだと反省し、今後は慌てんぼな性格を改めるようにしようと心に決めました。
そうして10年が過ぎ、ニンジャマンは三神将によって壺から出してもらえるはずでした。
ところがその封印の罰の終わる日は1ヶ月ちょっと前に過ぎていたはずなのに、
三神将が壺から出してくれなかったのでニンジャマンは焦っていました。
それでこの1ヶ月ほどの間、ニンジャマンは神社の拝殿の奥で必死で壺の中から声を出して、
誰でもいいから壺から出してほしいと呼びかけていたのです。
その声を神社の中をカクレンジャーの「大いなる力」の手掛かりを探しに来たマーベラス達が聞いたのです。

それにしてもどうして師匠たちは自分を壺から出しに来てくれなかったのだろうかとニンジャマンが不審がったので、
鎧はニンジャマンにそれはおそらくレジェンド大戦の影響で
三神将が地上で活動出来なくなったせいだろうと言いました。
しかしニンジャマンは10年間壺に入っていたので、およそ3年前に起きたレジェンド大戦のことを知らない。

そこで鎧は2011年の秋にザンギャックという宇宙を支配する悪の大帝国の侵略軍が地球に攻め寄せてきて、
それに対抗するために34のスーパー戦隊が立ち上がり、ザンギャック軍を全滅させたものの、
その代償に34の戦隊は戦う力を失ってしまったのだという事情をニンジャマンに説明しました。

ニンジャマンはその話を聞いて、自分が壺の中で罰を受けて反省している間に
外界ではそんな大変なことが起こっていたのかと、大いに驚きました。
ニンジャマンが壺に封印された時点では28個だったスーパー戦隊が
何時の間にか34個にまで増えているということは世界の融合が34個分まで進んだということであり、
三神将の活動にまで支障が出ているということは、
そのレジェンド大戦の時に34戦隊の「大いなる力」に何か異常が起こったのだろうということは
ニンジャマンにも想像がつきました。

しかしスーパー戦隊の存在が消滅していないということは、34戦隊の「大いなる力」が無くなったわけではなく、
世界の融合も解消されてはいないということです。
現に自分も無事であるし、自分の体内の「大いなる力」もちゃんと存在している。
これはいったいどういうことなのだろうかとニンジャマンは大いに戸惑いました。

しかし、何にしても仲間のカクレンジャーの身にも大変なことが起こったことは間違いなく、
そんな時に1人だけ壺の中に閉じ込められてこんな浦島太郎状態になってしまっているのは、
全て自分の10年前に犯した失敗のせいだと思ったニンジャマンはますます落ち込み、
自分の至らなさ、慌てんぼな性分を反省したのでした。

一方、マーベラス達はニンジャマンの話を聞いて、
自分達がドモンの依頼に従って4年前に戻ってこの神社を変なロボットから守らなければ、
ニンジャマンは今ここに存在しなかったのだということに気付き、
ドモンが自分達に与えてくれた「34戦隊の大いなる力を揃えるチャンス」は
このニンジャマンのことに間違いないと確信しました。

つまり、カクレンジャー6番目の戦士であるニンジャマンも
カクレンジャーの「大いなる力」を持っているはずなのだから、
ニンジャマンからカクレンジャーの「大いなる力」を貰えばいい。

ただ、他の5人のカクレンジャーはどうやら自分達に「大いなる力」を渡したくなくて
隠れているらしいということがマーベラス達には引っ掛かりました。
このニンジャマンは自分達が地球に来た1年前は既に壺の中にいて外界と接触は無かったようだから、
他の5人のカクレンジャーと同じ考え方ではないはずだが、
もしかしたらカクレンジャーの連中は基本的に宇宙海賊というものが嫌いなのかもしれない。
ならば下手な頼み方をしたらニンジャマンはヘソを曲げて「大いなる力」をくれないかもしれない。
そうなっては困ると思ったマーベラス達は、ここは「宇宙最大のお宝」のためなら背に腹は代えられないと思い、
まずはとにかくニンジャマンのご機嫌を取ろうと思い、
ニンジャマンをガレオンに招待して接待攻勢をかけることにしたのでした。

ニンジャマンはマーベラス達が何者なのか分からないまま、
あまりに熱心に勧められるのでガレオンまでついて行ってしまい、
単純なニンジャマンはマーベラス達の接待にすっかりご機嫌になります。
それを見計らって鎧は自分達は実は35番目のスーパー戦隊だと名乗り、
地球に再び侵略してきたザンギャックと日々戦っているヒーローなのだとニンジャマンにアピールしました。

ニンジャマンはてっきり親切な船乗りだと思っていたマーベラス達がスーパー戦隊の仲間だと聞き、
驚きつつ興味を示したので、マーベラス達はこれまでのザンギャックとの戦いについて説明し、
レンジャーキーを使って戦っていることも説明しました。

そして、レンジャーキーがレジェンド大戦の時に宇宙に散らばった34のスーパー戦隊の戦う力の
結晶化したものであって、これを使うことで歴代のスーパー戦隊に変身して戦うことが出来るということや、
そのレンジャーキーを宇宙を巡って命懸けで集めてきたのが自分達、宇宙海賊のマーベラス一味なのだということも
ニンジャマンに説明しました。

ニンジャマンはマーベラス達のそうした説明を聞いて、
どうやらレジェンド大戦の時に34のスーパー戦隊の戦士たちの体内の「大いなる力」の一部が
宇宙に飛び散ってしまったようであり、
それで自分を除くスーパー戦隊の戦士たちは変身して戦う力を無くしてしまったようだと、事態を理解しました。
そして、マーベラス達はその戦う力の結晶化したレンジャーキーを宇宙を巡って拾い集めてきてくれて、
その力を使ってザンギャックの再侵略から地球を守ってくれている親切な宇宙人なのだと思い、
ニンジャマンはマーベラス達に好感を抱きました。

ところが、そこでマーベラス達がニンジャマンが上機嫌なのを見て本題を切り出すと雲行きが変わっていきます。

マーベラス達は実はレンジャーキーは戦うための道具だけでなく、
地球にある「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な物であり、
この34戦隊192戦士のレンジャーキーと34戦隊の「大いなる力」を全部集めれば
「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るのであり、
自分達はもともとはその「宇宙最大のお宝」を探してこの地球にやって来たのだと、ニンジャマンに説明しました。
そして、マーベラス達は自分達が「宇宙最大のお宝」を手に入れるために、
地球に来てから34戦隊の「大いなる力」を集めてきており、
これまでに多くの戦隊から「大いなる力」を渡してもらったのだということもニンジャマンに言いました。

しかし、これを聞いてニンジャマンは非常に驚きました。
ニンジャマンはレジェンド大戦には参加していませんから、
大戦終結後に初めて「この星の意思」がスーパー戦隊に教えた、
地球中心にある「宇宙最大のお宝」のことは知りませんでした。
だからマーベラス達が言う「宇宙最大のお宝」というものが何なのか、
そんなものが地球にあるのかどうかは分かりませんでしたが、
とにかくマーベラス達がレンジャーキーに結晶化した分と戦士の身体に残った分も合わせて、
34戦隊の全ての「大いなる力」を集めようとしているということは分かりました。

ニンジャマンも他の戦士たちと同じように「大いなる力」については知っています。
それはスーパー戦隊の戦士たちの身体の中だけにある不思議なパワーで、
世界の融合を維持しているパワーであるらしい。
それを消費すれば世界の融合を解除出来るのだと「この星の意思」という不思議な存在から
ニンジャマンも20年前の妖怪軍団との戦いの後、聞いていました。

そんな世界の仕組みを変えてしまうような恐るべき力ですから、
自分の身体にそんな力が秘められていることをスーパー戦隊の戦士たちは皆、
自分達以外には秘密にしていました。
だからニンジャマンはマーベラス達が「大いなる力」のことを知っていることがまず驚きでしたが、
まぁマーベラス達自身もまたスーパー戦隊だと名乗っているので、
彼らが「大いなる力」というものの存在を知っていてもそれはそんなに不自然ではないかもしれない。
しかし、マーベラス達が34戦隊の「大いなる力」を集めているというのは
ニンジャマンとしては非常に気になることでした。

「大いなる力」を使ってやることと言えば、それは確かに戦う力としても使えるが、
やはり世界の融合を解除して世界を作り変えることです。
しかもそれを34戦隊の分全てを集めてやるとなると、
スーパー戦隊の一切存在しない世界を作ろうとすることになります。
ならば34戦隊の「大いなる力」を集めれば手に入るという「宇宙最大のお宝」という物は、
スーパー戦隊の存在しない世界への作り変えに何らかの関係があるのかもしれないとニンジャマンは思いました。

それにしてもニンジャマンにとって不可解だったのは、
他のスーパー戦隊の戦士たちがマーベラス達に「大いなる力」を快く渡しているという話でした。
「大いなる力」に世界を作り変える力があり、
「大いなる力」を消費してしまうと自分達の存在が消えてしまうことは、
スーパー戦隊の戦士たちならば皆知っているはずです。
それなのに、そんな重大な「大いなる力」をマーベラス達に渡していっているというのは
どういうことなのだろうかとニンジャマンは戸惑いました。

それで思わずニンジャマンは本当に他のスーパー戦隊が全部マーベラス達に
「大いなる力」を渡しているのか確認すると、
マーベラス達は他にバスコという奴がいて、バスコは無理矢理「大いなる力」を奪っているのだと言います。
そしてマーベラス一味の集めている分とバスコの奪った分を除くと、
あと残った「大いなる力」はカクレンジャーの分ただ1つなのだとマーベラスは言いました。

それを聞いてニンジャマンはますます驚きました。
「大いなる力」や「宇宙最大のお宝」について知っている者がマーベラス達以外にも他に存在し、
しかもそのバスコという者はスーパー戦隊から「大いなる力」を無理矢理に奪っているという。
となると、マーベラス達の言うことが真実だとするならば、
今の地球にはマーベラス一味とバスコという二者が「大いなる力」を集めて
世界をスーパー戦隊のいない世界に作り変えようとして争っており、
スーパー戦隊はマーベラス一味には協力しているが、バスコには協力していないということになる。

おそらく現在、何らかの事情で世界を作り直さないといけないような事態になっており、
35番目のスーパー戦隊だというマーベラス達は「大いなる力」を使って世界を作り直して
良き世界を作ろうとしており、
一方、バスコとかいう者は世界を作り直して悪い世界を作ろうとしている。
だからスーパー戦隊はマーベラス達に協力していて、バスコには非協力的なのだろうとニンジャマンは考えました。

実際はそうではなく、マーベラス一味とバスコは双方とも「世界の作り直し」などの事情は知らず、
単に宇宙海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」を奪い合っているだけなのだが、
ニンジャマンは宇宙海賊の伝説など知りませんから、
「大いなる力」を集めると手に入る「宇宙最大のお宝」とは世界の作り直しに関係するものと自然に考えてしまい、
それを取り合っている二者の片方にスーパー戦隊が加担しているということから、
「善の世界を作ろうとする者」と「悪の世界を作ろうとする者」の争いなのだろうと考えたのでした。
すると、マーベラス達が善であり、バスコが悪ということになる。

そのように黙って考え込んでいるニンジャマンに向かって、
マーベラスは「宇宙最大のお宝」は自分達の夢だと熱く語り、
カクレンジャーの「大いなる力」を渡してほしいと、ニンジャマンに頭を下げて頼みました。
ジョー、ルカ、ハカセ、アイム、鎧も皆、同じようにニンジャマンに頭を下げて真剣にお願いします。

ニンジャマンはまさか35番目のスーパー戦隊だという者達が
よく分からない伝説の海賊の宝を手に入れることを一番の夢としているとは想像もしておらず、
てっきり世界を作り直して良き世界を作ることを夢として追い求めているのだと解釈し、
マーベラス達の真摯な態度を見る限り、彼らが嘘をついているとも思えず、
マーベラス達の頼みを聞いて「大いなる力」を渡してもいいような気になりました。

しかし、「大いなる力」とは世界を作り変える力ですから、それを渡すとなると大変なことです。
軽々しく決断していいことではない。
マーベラス達は自分達に都合よく正義の味方のフリをしているだけで本当は悪者かもしれないし、
そもそもこの話が全部デタラメである可能性もある。
ただでさえ自分はそそっかしいのが欠点なのだから、より慎重に判断しなければいけないと、
ニンジャマンは自分を戒めました。

ここは一旦、他のカクレンジャーや三神将を探し出して相談した方がいいかもしれないと
一瞬ニンジャマンは考えましたが、ふと、これはちょうど良い試練なのではないかと思いました。
自分は壺の中で10年間、慌てんぼの欠点を反省し、
罰の封印の期間が終わって外界に出たら、二度と早合点して判断を間違うことがないようにしようと心に決めました。
さっそくその反省の成果を確かめる機会がやって来たのだとニンジャマンは考えました。
すなわち、マーベラス達が本当に善なるヒーローであるのか、それとも悪者が嘘をついているだけなのか、
これからじっくり見極めて判断してやろうとニンジャマンは決意したのでした。

それでニンジャマンはマーベラス達の頼みをその場では断り、
しばらくガレオンに逗留してマーベラス達を観察し、信頼出来る相手かどうか判断してから
「大いなる力」を渡すかどうか決めると宣言したのでした。
これを聞いてマーベラス達はガッカリしますが、「大いなる力」のためにはガマンするしかないと思い、
嫌々ながらニンジャマンがガレオンに逗留することを許可することにしました。

一方、ガレオンにニンジャマンが入っていくのを秘かに観察して溜息をつく人影がありました。
それはカクレンジャーの頭領、元ニンジャホワイトの鶴姫でした。
鶴姫たちは20年前に妖怪軍団を封印した後、三神将と共に去っていったニンジャマンが
およそ3年前のレジェンド大戦の時に姿を見せなかったので、行方を探してはいました。

特にマーベラス達が地球にやって来て「大いなる力」を集め始め、
鶴姫たちがカクレンジャーの「大いなる力」をマーベラス達にあえて渡さないと決めた半年前ぐらいから、
ニンジャマンもカクレンジャーの「大いなる力」を持っていたはずなので、
マーベラス達から姿を隠しながら鶴姫たちはニンジャマンを必死に探していました。
しかしニンジャマンが何処にいるのかさっぱり分からなかった。

そんな時、突然マーベラス達がニンジャマンを見つけ出したのですから、
隠れながらマーベラス一味の観察を続けていた鶴姫たちは仰天しました。
このままでは鶴姫たちの方針を知らないニンジャマンがマーベラス達にカクレンジャーの「大いなる力」を
渡してしまうかもしれない。

しかし、鶴姫はここはニンジャマンを信頼することにしました。
ニンジャマンとてスーパー戦隊の一員であり「大いなる力」の持つ意味の重さは分かっているはずです。
またニンジャマンとてカクレンジャーの一員であり、
ならばカクレンジャーだけがどうしてマーベラス達に「大いなる力」を渡そうとしていなかったのか、
その意味が分かるはずだと思ったのです。

だからニンジャマンはきっと鶴姫たちと同じように
マーベラス達に「大いなる力」を渡さないという結論を出すはずであり、
もしニンジャマンが「大いなる力」を渡さないという結論を出したならば、
マーベラス達が無理に奪おうとしても、戦う力を失っていないニンジャマンならば逃げることは容易いはずです。

そして、万が一、ニンジャマンが「大いなる力」を渡すという結論を出すとしたならば、
それはニンジャマンがマーベラス達と直に接して、
鶴姫たちは気付いていないような何かをマーベラス達に感じ取り、
「大いなる力」を託してもいいと結論づけたということであるのだから、
その結論は尊重しようと鶴姫は思いました。

しかし、鶴姫はニンジャマンが相変わらず三神将に叱責されて罰として封印されるような
未熟者のままであったということを知らず、
壺の中での反省もまた全く見当違いであり、
未だニンジャマンがカクレンジャーとして未熟者のままであるということもさすがに知らないので、
そのようにニンジャマンを信頼していますが、
実際のところニンジャマンは、どうしてカクレンジャーだけがマーベラス達に
「大いなる力」を渡そうとしていなかったかということに気付いていません。
たまたまカクレンジャーの「大いなる力」だけが最後に残ったのだという程度の認識です。

では実際はカクレンジャーはどうしてマーベラス一味に「大いなる力」を渡そうとしていなかったのかというと、
「世界の作り直し」などをさせずに地球でザンギャックと戦い続けてザンギャックを倒させるためでした。
では根本的にどうしてカクレンジャーが「世界の作り直し」に反対であったのかというと、
そんなものは無意味だと思っていたからでした。

何故なら、どれだけ宇宙を作り直しても、カクレンジャーの考え方においては
人間が存在する限り「悪」というものは無くならないからです。
「悪」というものは人間の心が生み出すものだから人間が存在する限り、無くなることはない。
だから、世界を作り直してザンギャックが存在しないことにしたところで、
人間が存在する限り、「悪」はまた生まれてくる。
ならば、今の世界とあまり変わらない世界ということになります。
そんな今と大して変わらない世界を作るためにスーパー戦隊の存在を消すほどの価値など無い。

それよりもマーベラス達ならば地球で戦い続けてザンギャックを倒すぐらいの力はあるのだから、
このまま「宇宙最大のお宝」など見つけさせずに戦わせた方がいい。
ザンギャックを倒したところで、またどうせ新たな「悪」が生まれてくるのだろうけれど、
それはまた別の問題であり、別の新たなスーパー戦隊が対処すればいい問題だ。
そういうのがカクレンジャーの考え方でした。

しかし、マーベラス達にカクレンジャーの「大いなる力」を与えなければ、
マーベラス達は何時までも「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来ずに地球に留まり、
ザンギャック崩壊後の宇宙の平和の実現のために戦うことが出来なくなる。
それはアカレッドや「この星の意思」、そして多くのスーパー戦隊が望んだ
「平和な宇宙の実現」という結末とは違ってきてしまいます。

そして実際、この後の地球における決戦でザンギャック皇帝を倒したマーベラス達は
引き続き「宇宙最大のお宝」を探して地球に留まり、
宇宙の平和を実現するために戦いに行かなかったという歴史的事実は31世紀のドモン達が知るところです。
ドモンはそれはこのスーパー戦隊の計画の当初の目的からすれば失敗であり、
マーベラス達を騙したような結末になるから、その歴史を修正して
マーベラス達にカクレンジャーの「大いなる力」を渡そうとして
ニンジャマンがマーベラス達と出会えるような細工をしました。

しかし、鶴姫たちカクレンジャーにしてみれば、このアカレッドが目指しているような
「マーベラス達が戦って平和な宇宙を実現する」というシナリオ自体が気に入らない。
戦う場合も宇宙の作り直しの場合と同じく、やはり人間が存在する限り、
悪が無くなることはなく争いが無くなることはない。
だから善だけが存在するような平和な宇宙が戦ってそんな安易に実現するわけがない。
それが可能だという考え方自体が傲慢だと鶴姫たちは思いました。
そのような不可能なことをさせるよりも、
マーベラス達にはこのまま地球を守らせた方が建設的であるし、
マーベラス達だって地球を守ったヒーローとして地球で生きる方が幸せなのだと鶴姫たちは考えていました。

しかし、ニンジャマンはこうしたカクレンジャーらしい
「人間の心から悪が生まれるのだから悪が無くなることはない」という考え方が
どうもあまり理解出来ていないのが問題で、
単純な熱血バカな性格のため、正義の力で悪を滅ぼすことが出来ると考えがちで、
自分を正義だと思い込むとブレーキが効かなくなって暴走してしまう悪いクセがありました。
その結果、巻き添えで関係無い物にまで被害を出してしまう。

悪の大本は人間の心なのだから、悪を徹底的に潰そうとして暴走すれば
人間そのものを攻撃することになるのです。
10年前の動物の脱走時にニンジャマンが暴れたのも、そういった類の暴走であり、
それを見て三神将はまだニンジャマンが未熟者だと判断して反省を促すため壺に封印したのです。
しかしニンジャマンは単に自分が慌てんぼなのがいけなかったのだと見当違いの反省をして、
今はマーベラス達が善なのか悪なのかじっくり観察して見極めようとしてしまっています。

これは相変わらずニンジャマンの未熟さが何も変わっていないということです。
人間の心から悪が生まれるのであり、同様に善も生まれる。
人間は善や悪に簡単に割り切れるものではない。
だからマーベラス達が善なのか悪なのか見極めようとしている時点で、
ニンジャマンはカクレンジャーとしては今なお未熟なのであり、このままではまた暴走する危険があります。

どうもこれは、鶴姫がニンジャマンを信頼して
カクレンジャーの「大いなる力」をマーベラス達に渡すかどうかの判断を任せたというのは、
ちょっとニンジャマンを買いかぶりすぎた誤った判断となりかねない状況といえます。

案の定、ニンジャマンはそれから1週間ガレオンに逗留してマーベラス達を観察した結果、
マーベラス達の生活態度があまりにも正義のスーパー戦隊としてはだらしないことに立腹し、
小言ばかり言っていつまでも「大いなる力」をくれないニンジャマンに苛立ったマーベラス達とは
険悪な状態となってしまっていました。
一応ニンジャマンのペースに合わせてくれるハカセとアイムと鎧の3人はニンジャマンから見て善人に見えましたが、
特にマーベラスとジョーとルカの3人はニンジャマンから見てほとんど悪者と大差無く見えるようで、
ニンジャマンはマーベラス達はやはり嘘をついて正義のヒーローのフリをしているだけであり、
こんなマーベラス達に「大いなる力」を渡しても善の世界を作ることは出来ないのではないかと
懐疑的になっていました。

一方、ザンギャック軍の方は、皇帝アクドス・ギルが動員令を発した全宇宙からの増援の大艦隊は
一旦、地球から見て宇宙の果てのザンギャック本星に集結してから陣容を整えて出撃し、
地球へ向けての遠征の旅を開始しました。

その大艦隊が到着するまでの間、インサーンは手柄を立てておきたいと思い、
配下の行動隊長を使って地球をあらかじめ混乱に陥れて
征服をより容易にする作戦をアクドス・ギルに提案し、了承を得ました。
それはジュジュという呪術を使う怪人の能力を使い、地球人の心の奥に潜む悪の心を増幅して、
地球人同士が争い合うように仕向けるという作戦でした。
その方法は水晶玉の欠片を人間の身体に射ち込んでおいて、
その本体の水晶玉に悪の心を増幅させる呪いをかけると、
共鳴作用によって欠片を射ち込まれた人間が悪の心が増幅されて争い合うというものでした。

そうして、このジュジュとマーベラス一味が遭遇して戦った際、
ハカセと鎧が水晶玉の欠片を射ち込まれてしまい、悪の心が増幅されて暴れ出し、喧嘩を始めてしまいます。
ニンジャマンはジュジュの作戦の全貌を知らず、水晶玉の欠片を射ち込まれたことも知らないので、
突然、悪人になってしまったハカセと鎧を見て驚き、悪いことは止めるよう言いますが、
ハカセと鎧は聞く耳を持たず、喧嘩の続きをするため外に飛び出していく始末です。

しかしマーベラスとジョーとルカの3人は
ニンジャマン同様、ハカセと鎧が水晶玉の欠片を射ち込まれたことを知らないのに、
アイムをハカセと鎧の後を追わせただけで自分達は追いかけようとはしません。
それを見てニンジャマンはマーベラス達のことを仲間が悪事を働いても気にもしないような薄情者と見なして、
やっぱりマーベラス達のことは悪人で信頼出来ないと思ってしまいます。

そうしてニンジャマンは怒ってハカセ達の後を追ってガレオンを飛び出していきますが、
マーベラス達3人はハカセと鎧が確かに正気であるのに急に悪い性格になったのは何か不自然だと思い、
何か仕掛けがあるのではないかと考えていたのであり、
マーベラスがジュジュとの戦いの際にふと感じていた違和感から手掛かりを掴み、
ジュジュのアジトを割り出して3人はそこに向かいます。

一方、ハカセと鎧を追いかけたアイムとニンジャマンは喧嘩しているハカセと鎧を見つけ、
2人が変身して殺し合いまで始めたので必死の仲裁を試みますが、
ハカセと鎧は全く言うことを聞かず殺し合いを止めません。
そこでニンジャマンは堪忍袋の緒が切れてハカセと鎧に斬りかかろうとしますが、
アイムはそこに来る途中で街の人々も同じように凶暴化していたのを見ていたので、
ハカセと鎧も何らかの方法によって悪の心を増幅されているに違いないと推理し、
ニンジャマンを制止して、ハカセと鎧の善の心に呼びかけて悪の心を抑えさせようとします。

そのためにアイムは変身して殺し合いをするハカセと鎧の間に割って入りますが、
逆にハカセと鎧の2人から攻撃を受けてしまいます。
しかしアイムは、あえて変身解除して生身のまま2人の前に立ち、
2人の善の心が悪の心をきっと抑え込むことを信頼していると呼びかけたのでした。

もしハカセ達が悪の心に支配されたままであればアイムは2人に殺されてしまうわけですから、
それでもあえて生身を2人の前に晒して説得したアイムは、
心の底から2人の善の心が悪の心に打ち勝つことを信じていたといえます。
それは、アイムがハカセや鎧も含め、マーベラス一味の面々が
悪に支配された世界でも善の心を失わずに戦い続けてきた心の強さを持っていると知っているからです。
だから怪しげな術で悪の心を増幅されたとしても、
ハカセと鎧ならばきっと心の中の戦いに打ち勝つことが出来ると信じることが出来たのです。

そして、そのアイムの自分達の善の心に対する絶対的な信頼の姿を見せられて、
ハカセと鎧の心の中の善の心は奮い立ち、呪いによって増幅させられた悪の心に打ち勝ち、
身体から呪いの水晶を破壊して排出し、正気に戻ったのでした。

その出来事を目撃したニンジャマンは、
悪の心に支配された中でも仲間の善の心が悪の心を抑え込むことが出来るとアイムが信頼したことによって
事態が解決したことを悟りました。
そして、それに引き替え自分はハカセと鎧が悪い行いをしているからといって、
その心の中の善の心を信頼することが出来ず、2人を斬ろうとまでしてしまったことを恥じました。
そうして恥じることによってニンジャマンは、自分の何が未熟であったのか悟ることが出来たのでした。

ニンジャマンは善人の心の中にも悪が存在し、悪人の心の中にも善が存在するということを忘れて、
善と悪を全く別の存在として分けてしまっていた。
だから自分が善の立場で相手が悪の立場だと決めつけて、
悪を倒すためなら何をやってもいいと思って暴走しがちだった。
師匠の三神将は10年前、ニンジャマンが暴走したこと自体を責めたのではなく、
善と悪をハッキリ分けて思考しがちなニンジャマンをカクレンジャーとして未熟だと感じて反省を促したのです。

そのことに気付いたニンジャマンは、
壺の中で10年反省する時間があったにもかかわらず、
自分が相変わらずマーベラス達を善か悪か峻別して見極めようとしてしまっていた過ちを認めました。

カクレンジャーは善の立場で悪を滅ぼす戦隊ではありませんでした。
カクレンジャーが長い戦いの末に辿り着いた結論は、
悪は人間の心に必ず生じるものであり、消すことは出来ないのだから、
心の中で善の心が悪の心を表に出さないように抑え込む戦いを永遠に続けていかなければいけないということでした。
ゆえに単純に善が悪を倒すことが出来ると思い込んで突っ走るのはカクレンジャーとしては未熟であり、
自分はその未熟ゆえに師匠から反省を促されたのだとニンジャマンは悟りました。

その点、アイムはハカセや鎧が悪に染まっても心の中の善の心が悪の心を抑え込む強さを持っていることを
信じ続けたのだから、よほどカクレンジャーの資質を持っている。
また、ハカセや鎧もそのアイムの信頼に応えて、善の心で悪の心を抑え込んだのだから、
カクレンジャーらしい戦いがちゃんと出来ています。

そのことにニンジャマンが気付いた時、ナビィから、
マーベラス達がハカセと鎧が悪の心に支配されたのには何か裏があると睨んで
ジュジュのアジトを突き止めてそこに向かったのだという連絡がアイム宛てに入ったので、
ニンジャマンはマーベラス達もまたハカセと鎧の悪の心の中にちゃんと善の心があることを
信じていたのだということを知ります。

つまりマーベラス一味の面々は全員、善と悪の戦いは絶対的なものではなく、
心の中の善と悪のせめぎ合いが永遠に続くものだというカクレンジャー的な考え方を理解出来ているのです。
となると、マーベラス達は世界から悪が無くなるなどとは思っていないことになります。
もちろん善が無くなることもない。
人間の心の中に善も悪もずっと存在し続けるものであり、
永遠に人の心の中でそのせめぎ合いが続く以上、この世界は善と悪が争い合うものだということは
理解しているはずです。

ならばマーベラス達は世界を作り直して善の世界や悪の世界を作る意味などあるとは思っていないはずです。
いくら作り直しても今とそう大差無い世界にしかならないのですから、作り直す意味など無い。
つまりマーベラス達は「大いなる力」を集めて世界を作り直そうとしているわけではないのだということに
ニンジャマンは気付いたのでした。

ならばマーベラス達は「大いなる力」を集めて「宇宙最大のお宝」という物を手に入れて何をしようとしているのか、
それはニンジャマンにはよく分かりませんでした。
ただ、ニンジャマンはカクレンジャーの精神を思い出したことによって、
カクレンジャーがどうしてマーベラス達に「大いなる力」を今まで渡していなかったのか、
その理由は理解出来ました。
カクレンジャーは世界の作り直しなど無意味だと思うから、
それをさせないために「大いなる力」を渡さなかったのだと、ニンジャマンは気付きました。

しかし、マーベラス達は決して「宇宙の作り直し」などしないはずだとニンジャマンは確信したので、
「大いなる力」を渡しても大丈夫だと思えました。
ただ、マーベラス達がその「大いなる力」を使って何をしようとしているのかについては相変わらずよく分からない。
「宇宙最大のお宝」という夢を手に入れたいらしいが、
それが何なのかはニンジャマンにはさっぱり分かりませんでした。

ただ、マーベラス達が自分達の心の中で善と悪の戦いが永遠に続くものだと理解している以上、
マーベラス達は善と悪の果てることのない戦いを続けていく覚悟はあるということは確かだと
ニンジャマンは思いました。
そしてマーベラス達はその永遠の善と悪の戦いにおいて、
必ず善が悪を抑え込みながら戦い続けていくことを信じています。
そんなマーベラス達ならばカクレンジャーの「大いなる力」をきっと悪いようには使わないはずだと思えました。
他のスーパー戦隊もマーベラス達のそういう面を評価して「大いなる力」を託して、何かを期待したのだろうと思い、
ニンジャマンはカクレンジャーの「大いなる力」もマーベラス一味に託してみようと決意したのでした。

こうしてジュジュと戦うマーベラス達のもとにアイムやハカセや鎧と共に駆けつけたニンジャマンは、
マーベラス達と共に戦い、そしてマーベラス達にカクレンジャーの「大いなる力」を渡したのでした。
そしてマーベラス達とニンジャマンは力を合わせてジュジュを倒して、
悪の心に支配された街の人々も元に戻り、インサーンの作戦を打ち砕いたのでした。

ニンジャマンはこうしてカクレンジャーの精神を取り戻し、マーベラス達を観察する必要も無くなったので、
ガレオンを去り、天空の何処かにいるのであろう三神将を探しに飛び立っていきました。
そして、この一部始終を隠れて見守っていた鶴姫は、
マーベラス達が安易に悪を倒して平和な宇宙を作れるなどと思うタイプではなく、
カクレンジャーと同じように、善が悪を抑え込む戦いが永遠に続くのだという
認識を持てる者達なのだということを知り、
確かにそういう者達ならば「悪の存在しない平和な宇宙」などというものが
決して実現しない夢だということが分かっていても、
善が悪を抑え込み続けて戦うことによって、その夢に近づきながら戦い続けることが出来るのであり、
むしろそれを喜びとするのだろうと思えました。

それはかつて20年前、妖怪軍団を倒した後、
カクレンジャー達が世の中の人々に善の心によって悪の心を制御することの大切さを知ってもらうために
引き続き5人で旅を続け、世直し道中において戦い続けたのと似たようなものだと鶴姫は感じました。
ならば、そういうマーベラス達ならば、ザンギャックとの戦いの後、
地球を守ったヒーローとして地球に留まるよりは、
「宇宙最大のお宝」を見つけさせて、それが自分達には無意味なものであったと知った上で、
自分達の本当の夢としての、決して終わりの無い宇宙の世直しの旅に出る方が似合いです。
その旅の餞別としてカクレンジャーの「大いなる力」をくれてやっても、それも一興であろうと鶴姫には思えて、
ニンジャマンにいろいろ教えられるとは予想外であったと苦笑しつつ、去っていったのでした。

そして、それとは別にもう1人、マーベラス達の動向を見守っていた者がいました。
それはバスコでした。
バスコはマーベラス達が遂にカクレンジャーの「大いなる力」を手に入れて、
これで34個の「大いなる力」のうち、29個をマーベラス一味が手に入れ、5つをバスコが手に入れて、
全ての「大いなる力」をどちらかが総取りする決着をつける時がやって来たことを確認したのでした。
一方のマーベラス一味の方でも、これで後はバスコとの因縁の決着をつけて、
バスコの持つ5つの「大いなる力」を奪って、34個の「大いなる力」を揃えるだけだと、
遂にお宝探しも最終段階に突入したのだと、静かに闘志を燃やすのでした。

こうしてマーベラス一味とバスコの決着をつける戦いが何時始まるかという状況となりますが、
ここで思いがけない事件が起こりました。

全宇宙から集結させた大艦隊が地球に向けて回航中のザンギャック軍では、
地球の外の宇宙空間に展開中のザンギャック地球侵略軍の旗艦ギガントホースに
ザンギャックの魔空監獄の獄長アシュラーダがやって来ました。

魔空監獄というのは魔空空間という邪悪なエネルギーに満ちた亜空間に存在する監獄であり、
もともとは2万6千年前から存在する宇宙犯罪組織マクーの所有物であり、
かつてはこの魔空監獄だけでなく魔空空間には魔空城をはじめ様々な施設と広大な空間がありました。
しかし、この物語の現在である2015年の32年前にあたる1983年にマクーの首領ドン・ホラーが
宇宙刑事ギャバンに倒されてマクーが壊滅して以降は魔空空間は縮小して、
この魔空監獄が残るだけとなり、ドン・ホラーの血を引くアシュラーダはザンギャック帝国に所属して、
この魔空監獄の獄長としてアクドス・ギルに仕えるようになりました。

ザンギャック帝国そのものがこの頃アクドス・ギルによって創始されたものですから、
アシュラーダはアクドス・ギルにとっては最古参の腹心といえます。
ただアシュラーダはダマラスのように武勇で貢献するタイプではなく、
魔空空間内の魔空監獄を支配する特殊能力を駆使し、
ザンギャックに逆らった者達を投獄して死ぬ以上の苦痛を永遠に与え続ける裏仕事専門の腹心でした。
つまりザンギャックの恐怖支配の一翼を担う重要な幹部であったわけですが、
普通の戦闘には参加しないのでアクドス・ギル以外にはあまり馴染の無い裏の最高幹部のような存在でした。
アシュラーダ自身の戦闘力は際立って強いわけではありませんが、魔空空間を操る能力と奸智に長けていました。

このアシュラーダは1年ほど前にザンギャック帝国の横暴にたびたび抵抗していた宇宙警察を都合よく操るために
アクドス・ギルの命令で宇宙警察総裁のウィーバルを魔空監獄に送り込み、
アシュラーダがウィーバルに成りすましてザンギャックによる宇宙警察の乗っ取り計画を進めていました。
第5話で宇宙警察の地球署にザンギャックのでっち上げたマーベラス一味の罪状が
宇宙警察本部から送られてきたのは、この時点で宇宙警察の中枢がザンギャックによって乗っ取られていたからです。

結局この時は地球署の署長ドギーやバンなどデカレンジャーの調査によってマーベラス達の潔白は証明され、
地球署の管轄下ではマーベラス達は逮捕されることは無くなりましたが、
ドギーからの報告を宇宙警察総裁ウィーバルに化けたアシュラーダは握りつぶしていたので、
地球署を除く宇宙警察管内ではマーベラス一味は相変わらず海賊行為の罪状で
逮捕状が出ている身分であったのでした。

アシュラーダはこのように表の顔ではウィーバルに化けて宇宙警察総裁を演じていましたが、
ザンギャックの裏幹部アシュラーダの魔空監獄の獄長としての仕事も並行してこなしていました。
宇宙のあちこちでザンギャックに逆らった者達を捕えて魔空監獄に送ってきたアシュラーダは
地球においてもレジェンド大戦以降、ザンギャックに逆らった者達を捕えてきました。
それは主にかつて悪の組織に所属していながら地球人の側に寝返った怪人達であり、
これらの怪人達はレジェンド大戦時にはザンギャックの侵略に対して抵抗したので、
アシュラーダの逆鱗に触れて捕えられていました。

そして今回、アシュラーダはザンギャックを裏切って地球人と馴れ合い温泉旅館の主人に収まっている
ジェラシットを捕えて魔空監獄に放り込むために地球にやって来ました。
その任務を無事終えたアシュラーダは地球上空のギガントホースに皇帝アクドス・ギルが来ていると聞き、
挨拶に参上したのでした。

そのアシュラーダと会った時、アクドス・ギルはアシュラーダが
宇宙警察を自由に動かせる立場であることを思い出し、
地球署以外の宇宙警察所属の腕利きの宇宙刑事を使ってマーベラス一味を逮捕した上で
謀殺することが出来ないかとアシュラーダに話を持ち掛けました。
するとアシュラーダは本部所属の宇宙最強の刑事ギャバンならば
マーベラス一味を逮捕することが出来るはずだと言い、
さっそくウィーバル総裁名義でギャバンに地球に来て海賊行為の容疑で指名手配中の
マーベラス一味を逮捕するよう特命を下したのでした。

このように、この「レジェンド戦隊の世界」にはどういうわけか
1982年から1983年にかけての「宇宙刑事ギャバン」の物語世界も融合しているように見えますが、
「ギャバン」の物語世界は後から融合した世界ではなく、
この「レジェンド大戦の世界」の一番最初の何も融合していない原初の世界が
「宇宙刑事ギャバン」から「宇宙刑事シャイダー」までの「宇宙刑事三部作」の
パラレルワールドを含んだ世界であったようです。

その原初世界に次々とスーパー戦隊の世界が融合していくにつれて、
この原初世界の中の宇宙刑事三部作のパラレルワールド関係の設定も微修正されていき、
ギャバンがマクーと戦っていた主な舞台は地球ではなく、
ギャバンは地球には何度か立ち寄って戦ったが、
あまり地球におけるスーパー戦隊の戦いには関与することは無かったようです。

また、原典の「宇宙刑事三部作シリーズ」ではギャバンたち宇宙刑事の所属していた組織は
「銀河連邦警察」であったが、
このレジェンド戦隊の世界においては、ギャバン達の所属組織名は「宇宙警察」ということになっており、
デカレンジャーのドギーやバン達と同じ組織の一員ということになっています。

こうして冬映画の「ゴーカイジャーVSギャバン」の物語となり、
まずギャバンは地球にやって来てマーベラス一味を急襲して、
不意を突かれたマーベラス達はギャバンの強さに敵わず、
ちょうど買い出しに出ていた鎧を除いた5人はあっという間に逮捕されてしまいました。
そうしてギャバンは逮捕したマーベラス達5人をウィーバルに引き渡し、
ウィーバルに化けたアシュラーダはその場でマーベラス達を処刑しようとします。

しかしギャバンはもともと宇宙警察内部でのザンギャックに絡んだ不正に目を光らせており、
宇宙海賊のマーベラス一味の罪状に関する不正な操作が行われた形跡を掴んでおり、
どうもマーベラス一味の罪状はザンギャックに都合よく捏造されたものだと気付いていました。
そして、どうやらその捏造に総裁のウィーバルが関与しているらしいことが分かり、
ウィーバルの真面目な人柄をよく知るギャバンは巨大な陰謀の存在を疑い、
何者かがウィーバルに成りすましているのではないかと疑念を抱いていました。

そこにウィーバルからマーベラス一味を逮捕するようにという特命を受けたギャバンは、
わざとその命令に従ってマーベラス達を逮捕して、
その場でマーベラス一味の罪状に関する疑念をウィーバルにぶつけました。
するとウィーバルが返答に窮してザンギャックに逆らった罪で処刑するのだと口走ったため、
ギャバンはウィーバルが偽物だと確信し、マーベラス達の拘束をあらかじめの仕掛けを使って解除し、
ウィーバルを倒そうとします。

するとウィーバルはアシュラーダの正体を現し、
いつかギャバンに復讐するために秘かにギャバンの能力をコピーして作り上げていた
ギャバンブートレグをギャバンに差し向け、ギャバンを魔空空間に引き込み、
魔空監獄の最上階に投獄してしまったのでした。
一方、マーベラス達は鎧が豪獣ドリルで助けに駆けつけたこともあり、一足早く早くその場から逃走に成功し、
ギャバンが魔空空間に引き込まれたことは知らないまま、ガレオンに無事辿り着きます。

こうしてアシュラーダのマーベラス一味抹殺作戦は失敗し、
ギャバンによってアシュラーダがウィーバルに成りすましていたことも暴露されてしまい、
宇宙警察を乗っ取る作戦にも重大な支障が生じてしまいました。
この埋め合わせとして、アシュラーダは自分の祖であるドン・ホラーの仇敵であるギャバンを
魔空監獄で痛めつけることによってドン・ホラーから受け継いだ自らの血を活性化させ、
魔空空間を拡大させ、地球を呑み込んでしまうという作戦を提案し、
アクドス・ギルはそれも上手くいけば面白そうだと思い、その作戦を許可します。

その頃、マーベラス達はガレオンで窮地を脱して一件落着ムードでしたが、
マーベラスだけが何故か元気が無いのでジョーがどうしたのか尋ねてみたところ、
マーベラスはギャバンと昔出会ったことがあるのかもしれないと言います。

それは10年以上前、まだマーベラスが子供だった頃、
孤児で浮浪児だったマーベラスは宇宙の大海原に飛び出すことに憧れて
1人で貨物船に潜り込んで密航しようとしていました。
ところがその貨物船がザンギャック艦に攻撃されてしまったのです。
燃え上がる船内で逃げようとしましたが、マーベラスは貨物室の荷台の上で下に降りる階段も崩れてしまい、
逃げ場を失って炎に囲まれてしまいました。

マーベラスはもう自分は死ぬのだと思い、宇宙を旅することなど夢見るんじゃなかったと後悔しました。
その時、貨物室に入ってきた1人の男が下からマーベラスに向けて飛び下りるよう叫んだのです。
しかし、マーベラスの居た場所から下までの高低差は10mほどあったので
子供のマーベラスはその男に自分は怖くて跳べないから、もうここで死ぬと言いました。

親の顔も知らない天涯孤独の身の上のマーベラスは自分など生きていても何もすることもなく、
ちょっと憧れた宇宙の旅もザンギャックに脅かされてこんなに怖いものならもう嫌だと思い、
生きていても未来に希望なんて無いという気分になっていました。
だから、これ以上怖い想いをするぐらいなら、もうここでこのまま死んだ方がいいと思えてきたのでした。

すると、その男は、「その気になれば君には輝かしい未来が待っているのだから、
その未来を掴むために勇気を出すんだ」とマーベラスを励まし、
大きく手を広げて、自分がきっと受け止めてやるから勇気を出して跳ぶようにとアピールします。

マーベラスはそれまで大人からそんな風に自分の未来に希望があると励まされたことなど一度もありませんでした。
この世界は怖いことばかりだと思い、すっかり怖気づき、嫌気がさしていました。
でも、その人の力強い言葉で優しく励まされて、
マーベラスは怖い想いを乗り越えて前に進む勇気を持てば、
輝かしい未来を掴むことが出来るということを初めて知ったのでした。

それを信じてマーベラスは思い切って飛び降り、その人はしっかり下でマーベラスを受け止めてくれました。
マーベラスが跳んだ直後、マーベラスの居た荷台のあたりは爆発して炎に包まれてしまいましたので、
その人に励まされなければマーベラスは死んでいたことでしょう。

その人のお蔭でマーベラスはその場で命拾いしただけでなく、
生まれて初めて生きる希望と、希望の人生を切り開く勇気の価値というものを初めて知ったのでした。
だから、その人に出会えたからマーベラスは生き続けることが出来たといえます。
マーベラスはその時、力強く自分を受け止めて抱きしめてくれたその大きな手に、
生まれてこのかた無縁であった父親の温もりを感じたような気がしました。

結局、その貨物船はなんとか撃墜されることはなく、マーベラスは助かりましたが、
その男の人は結局その後何処に行ったのかよく分かりませんでした。
貨物船にもともとそんな人は乗っていなかったようで、マーベラスしかその人には会っていませんでした。
その人は宇宙空間で突然、自分の宇宙船でザンギャックに襲われて炎上する貨物船に横付けして乗り移り、
マーベラスを救助して、そのまま何処かに飛び去っていったようでした。

宇宙の大海原でザンギャック相手にそんな行動をとる者といえば宇宙海賊と相場が決まっており、
マーベラスはその人は宇宙海賊だったのだろうと思い込みました。
それでマーベラスは父親のイメージを勝手に抱いたその人のように強く立派な宇宙海賊になりたいと思い、
その人に、父親が息子を褒めるように認めてもらえるような立派な男になりたいと思った。
それが自分にとっての「輝かしい未来」だと思ったのでした。
だから、その未来を掴み取るために、怖い宇宙の大海原にも飛び出す勇気を持とうとマーベラスは思いました。

もちろん、そんな簡単にザンギャックがうろつく宇宙に飛び出す勇気が子供に持てるわけもなく、
結局マーベラスが宇宙に飛び出すのはまだ先のこと、アカレッドに出会って以降ということになるのですが、
とにかくマーベラスはその宇宙海賊だと思われる人に命を救われ、
生きる希望と、夢と希望を掴むための勇気を教えられ、その人のように自分も宇宙海賊になりたいと思うようになり、
いつか宇宙に飛び出す勇気を持ちたいと思うようになったのです。
だから、その人がマーベラスにとっての宇宙海賊としての自分の原点だったといえます。

その人はマーベラスに飛び降りる勇気を持つよう促す時「さよなら涙、よろしく勇気だ」と言ってくれて、
それまでの人生が全く希望が無く生きる気力も無かったマーベラスにとっては
その言葉が非常に印象的だったのでよく覚えていたのですが、
何せ子供の頃のことでほとんど一瞬しか会っていないようなものだったので、
その人の顔をマーベラスは忘れてしまっていました。

ところが、なんとさっきのアシュラーダとの乱戦の際にギャバンが
その特徴的な「よろしく勇気だ」というフレースを口にしたのを聞いて、
マーベラスはまさかあの宇宙刑事があの時の命の恩人だったのではないかと考え込んでいたのでした。
もしそうだとすると、マーベラスが宇宙海賊だったと思い込んでいた人は本当は宇宙刑事であり、
勝手な思い込みでその人を見習って宇宙海賊になりたいと思って宇宙海賊になってしまったマーベラスが、
その人に認められる立派な男どころか、その人に逮捕されるような厄介者になってしまったということになります。

もちろん、もしそうだったとしてもマーベラスは宇宙海賊としての
これまでの自分のやってきた事を否定する気は全く無かった。
だが、自分の確固とした海賊としての原点が何だか急に単なる勘違いに基づくものであったような気がしてきて
気持ちが落ち着かないのでした。

そしてマーベラスが気分が落ち着かないのは、
さっきギャバンが自分達を逃がすために戦ってくれていたことでした。
結局、宇宙警察の内部の揉め事にマーベラス達が巻き込まれただけであり、
マーベラス達としては単なるとばっちりを受けたようなものなので、
ギャバンがどうなろうが本来は気にする必要など無い。

しかしギャバンはマーベラス達を助けるために戦い、
それによってギャバンは厄介な立場に追い込まれたのかもしれない。
もしあのギャバンがあの時の命の恩人だとするなら、
マーベラスはその人に認められるような立派な男になりたくて宇宙海賊になったのに、
宇宙海賊であることだけでも刑事のギャバンを失望させることになり、
その上、自分のせいでギャバンに厄介事をしょい込ませるようなことになれば、
いったい自分は何なのかという気分になってくる。

あのギャバンがあの時の人なのかどうか分からないが、
その可能性があるのなら、自分が海賊であることは仕方ないとしても、
せめてもう少し立派な海賊として振る舞いたかったとマーベラスは後悔しました。
無様に逮捕され、助けられて逃がされただけであり、
勇気を持った立派な男として全く振る舞えていなかった自分をマーベラスは何だか残念に思っていたのでした。

その時、突然モバイレーツが鳴ったのでマーベラスが通話に出てみると、
なんとバスコからの呼び出しであったのでマーベラスは驚き、バスコの指定する場所に行きます。
「大いなる力」争奪戦の決着をつけようということなのかと思い、行ってみると、
バスコは今回は戦うつもりは無いと言い、意外な情報をマーベラス達にもたらしました。
それはギャバンがあの後、アシュラーダによって魔空空間という亜空間に飛ばされて、
魔空監獄という2万6千年もの間脱獄に成功した者がいないという鉄壁の監獄に囚われて、
痛めつけられているのだという情報でした。

バスコはマーベラス達から「大いなる力」を奪おうとしてマーベラス達を監視していたところ、
マーベラス達が突然ギャバンに逮捕されたので、そのまま後をつけて観察していたようで、
マーベラス達が脱出した後のギャバンの様子をずっと観察して、だいたいの事情を把握したようです。

ただ、バスコがマーベラス達にその情報を教えたのは親切心ではなく、
マーベラス達がギャバンに助けられたのを目撃していたバスコは、
御人好しのマーベラス達はギャバンの窮地を教えればきっと助けに行くはずだと読み、
さすがのマーベラス達も脱獄不可能の亜空間の監獄へ攻め入れば相当手間取るはずであり、
その間、ガレオンがお留守になるので、その間にガレオンごと、「大いなる力」もレンジャーキーもナビィも
全てを戦うことなく労せずに奪ってやろうとバスコは目論んでいたのでした。

マーベラスは自分達を助けた結果、ギャバンがそんな窮地に陥っていると聞き、動揺しました。
ギャバンが本当にあの時の恩人なのかどうか分からないが、
いずれにせよ、このままギャバンを見捨てれば
自分はあの日の恩人に顔向け出来るような立派な男とはいえないと思ったマーベラスは、
その魔空監獄とやらに行ってギャバンを救い出し、
ついでにギャバンがあの時の人だったのかどうか確かめたいと思いました。

しかし、魔空空間という亜空間に行く方法が分からない。
バスコもその方法は知らないようで、ギャバンの情報だけ伝えるとさっさと立ち去ってしまい、
マーベラス達が途方に暮れていると、そこにたまたま通りかかった元バトルケニアの曙四郎と、
元デンジブルーの青梅大五郎がギャバンとも知り合いであることが分かり、
ギャバンの事情の話をしたところ、レンジャーキーの能力を使えば亜空間への扉を開くことが出来るので、
バトルケニアとデンジブルーのレンジャーキーを使えばいいとアドバイスしてくれました。
確かにレンジャーキーの中の「大いなる力」は白いレンジャーキー空間を作ったりしており、
亜空間を操る能力が秘められているようです。

それを聞きマーベラスは、これは自分の原点に対する自分1人のこだわりなので
自分1人で魔空監獄へ乗り込もうとしますが、
仲間5人も、マーベラスの原点であるのなら自分達の原点でもあると言って、マーベラスに同行しました。

そうしてマーベラス達が魔空空間へと消えていったのを確認して、バスコはガレオンを乗っ取ろうとしますが、
そこに不思議な3人組が現れてバスコの行く手を邪魔します。
バスコが何者なのか問うと、その3人組は自分達は36番目のスーパー戦隊の
「特命戦隊ゴーバスターズ」だと名乗りました。

ワケが分からないままバスコはその3人組と戦う羽目になり、
意外に強いゴーバスターズに手こずったバスコはガレオンを襲うのは今回は諦めることにしたのでした。
もし、このゴーバスターズという謎の3人組に手こずっている間に
マーベラス達6人が戻ってきて9人を相手に戦う羽目になったら、
さすがにバスコも苦しい状況となると思えたからでした。

また、今回のシチュエーションでは、
マーベラス達がカーギーロードでレンジャーキーを宝箱から取り出すことが出来る状態なので、
もしガレオンを乗っ取ることに成功したとしても、
マーベラス達がレンジャーキーを使用中であれば全てのレンジャーキーを奪うことは出来ない。
その程度の中途半端な成果しか望めないのかもしれないのに、
わざわざ邪魔を排除してガレオンに攻め込む必要は無いとも思えました。
やはりマーベラス達を倒して殺してしまい
カーギーロードからレンジャーキーを引き出される心配を無くした状態で
ガレオンを乗っ取るべきだとバスコは思い直し、ひとまず今回は撤退したのでした。

それにしても、36番目の戦隊ゴーバスターズの突然の登場はいったいどういうことなのか?
これはおそらく、この「レジェンド戦隊の世界」では
本来は35番目の戦隊ゴーカイジャーでスーパー戦隊は終わりであり、
これ以上の世界の融合はしない予定になっていたはずだったものが、
元タイムイエローのドモンの仕掛けによってマーベラス達が本来は手に入るはずのなかった
カクレンジャーの「大いなる力」を手に入れたため、歴史が変わり、
世界の融合がこの後も続くことになったことによる影響でしょう。

マーベラス達が34の「大いなる力」を全部揃えて
「宇宙最大のお宝」を手に入れるとう歴史に修正されたため、
地球での戦いでザンギャックを打倒した後、マーベラス達は地球を離れ、
地球にはスーパー戦隊が残ることになったため、
その後36番目のスーパー戦隊の「特命戦隊ゴーバスターズ」の物語世界のパラレルワールドが
融合することになるのですが、マーベラス達がカクレンジャーの「大いなる力」を手に入れるという変化は
本来の歴史には存在しなかった不慮の変化であったため、
それに伴って生じる不慮の出来事に対するケアが十分ではないといえます。

例えば、このバスコがマーベラス達が魔空空間に行って留守中にガレオンを乗っ取ろうとする動きは、
カクレンジャーの「大いなる力」をマーベラス達が手に入れたことを前提に生じた変化であり、
歴史はこれを防ぐ自然なケアを間に合わせることが出来ていなかった。
そこでもう少し後で登場する予定のゴーバスターズのオリジナルの物語世界から
このシーンのためだけにゴーバスターズをコピーした短いパラレルワールドを一時的に融合させて
ゴーバスターズを36番目のスーパー戦隊という自覚をさせた形で登場させて
バスコを食い止める役割を振っただけのシーンであったと解釈すればいいでしょう。

一方、魔空空間に侵入したマーベラス達は魔空監獄に忍び込み、
仲間達のサポートのお蔭で1人で最上階に乗り込んだマーベラスは
壁に拘束されたギャバンの眼前でアシュラーダと対峙します。
それを見たギャバンはどうして宇宙海賊のマーベラス一味が初対面の刑事である自分を助けるために
魔空監獄にまで乗り込んできたのか理解に苦しみます。

そしてマーベラスはブートレグと一騎打ちを繰り広げ、跳弾を利用してギャバンの拘束を解き、
飛び降りてきたギャバンを下で受け止めた時、その感覚によって、
やはりあの時の命の恩人はギャバンだったのだと悟りました。

そのままマーベラス達はギャバンを連れて乱暴な方法で魔空監獄を破壊しながら脱獄し、
捕らわれていた囚人たちも皆逃げ出し、ザンギャックの魔空監獄は崩壊します。
そして現実世界に戻ってきたマーベラス達を追い掛けてきたアシュラーダとブートレグに対して、
ゴーカイジャーとギャバンは協力して立ち向かい、見事に返り討ちにしたのでした。

マーベラスはギャバンが子供の頃の命の恩人だったと確信し、懐かしく思いますが、
どうせギャバンはずっと昔に一度会っただけの浮浪児のことなど忘れているのだろうと思っていました。
それで、ギャバンがどうして自分をわざわざ助けに来たのかと尋ねたので
マーベラスは昔助けてもらった礼を言うためだと答え、
どうせ昔ちょっと出会っただけの子供のことなど覚えていないだろうと言いました。

ところがギャバンはちゃんと少年時代のマーベラスを貨物船で救助した時のことは覚えていました。
ただ単にマーベラスが見違えるほど大きくなっていたので
ギャバンはマーベラスがあの時の少年だとは気付いていなかっただけだったのです。
だがギャバンも魔空監獄で飛び降りてマーベラスに抱きとめられた時、
もしかしたらマーベラスがあの時の少年なのではないかという気がしていました。

それでマーベラスが昔助けられた礼だと言ったので、
ギャバンはやはりマーベラスこそがあの時の少年だったのだと確信し、
嬉しそうにマーベラスに向かい、未来を掴み取ったことを祝福しました。

しかしマーベラスはその自分の掴み取った未来が海賊であったことが
刑事であるギャバンに対して決まりが悪く、少し自嘲しますが、
ギャバンは男の価値は見かけではないと言い、マーベラスのことを立派な男になったのだと認めて、
大いに喜んでくれるのでした。

ギャバンにとっては海賊も刑事も関係無い。
恩義を感じる相手のために命を賭けて戦うことが出来るマーベラスは男の中の男であり、
それはマーベラスが昔ギャバンが言っていたような、
未来の希望を夢見て勇気をもって危険な宇宙の大海原を突き進む男になったからこそ
出来たことなのだと認めたのでした。
そういう男の中の男に海賊も刑事も区別は無い。
自分がかつて命を助けて未来を掴むように諭した少年がこの宇宙で生き延びて、
こんな立派な男に成長してくれたことがギャバンには心の底から嬉しかった。

宇宙警察もザンギャックによって引っ掻き回されて不正が横行するようになり、
ギャバンも刑事として挫けそうになることもあるが、
かつての少年がマーベラスのような立派な男に成長した姿を見ると、
やはり自分が刑事としてやってきたことは間違いではなかったと勇気づけられ、
宇宙の未来はやはり輝かしいに違いないと確信したのでした。

一方マーベラスはギャバンが嬉しそうに自分のことを褒めてくれるのを見て、
父親に認められた少年のように何ともいえない嬉しい気持ちになりました。

自分はあの時、希望に満ちた輝かしい未来を掴みたいと思ったから宇宙海賊になりたいと思った。
最初は命の恩人が宇宙海賊だと思ったから自分も宇宙海賊になろうと思っただけのことで、
結局それは勘違いだったわけだが、輝かしい未来を掴みたいと思った気持ちに嘘は無かったし、
それは勘違いでも何でもない。

あの時以降、マーベラスはただの宇宙海賊になろうと思ったわけではなく、
あの命の恩人の言うような輝かしい未来を掴む宇宙海賊になろうとしたのです。
そこは筋が一本通っていたからこそ、
あの時の恩人のギャバンから見て「立派な男」になることが出来たのです。

あの時の恩人は実は海賊ではなく刑事だったが、
その刑事ギャバンがマーベラスのことを「立派な男」だと言ってくれたのは
海賊だということは関係無く、マーベラスがあの時の約束を果たして「輝かしい未来を掴んだ」からでした。

ギャバンは今のマーベラスの男らしく勇気をもって戦う姿そのものを
「輝かしい未来」と言ってくれていますが、
マーベラスに言わせれば、まだ自分は輝かしい未来を掴んではいません。

マーベラスは海賊を目指すにあたって、命の恩人との約束がありますから、
ただの海賊ではなく、希望に満ちた輝かしい未来を掴む海賊になろうと思った。
海賊として掴むべき希望に満ちた輝かしい未来とは何なのかというと、
それは伝説の「宇宙最大のお宝」なのではないかと少年時代のマーベラスは思ったのです。
だからマーベラスの、ギャバンに助けられて以降の少年時代の海賊の原点には既に「宇宙最大のお宝」があった。

ずっとマーベラスは「宇宙最大のお宝」を掴む海賊になりたいと心の中で思っていました。
頭が悪いマーベラスは実際にどうやって「宇宙最大のお宝」を手に入れるのか考えることが出来ず、
所詮は伝説なのだろうと簡単に決めつけていましたが、
伝説であったとしても、やっぱり自分は「宇宙最大のお宝」を掴み取ってみたいと、ずっと夢想はしていました。

だからこそマーベラスはアカレッドと出会った時、欲しいものは何なのか問われた時、
「宇宙最大のお宝」だと答えることが出来たのであり、
アカレッドに「宇宙最大のお宝」が掴めると信じるならついて来るよう言われた時、
迷わずそのままついて行くことが出来たのです。
つまりマーベラスを赤き海賊団に導き、ひいてはマーベラス一味の旅に導いた原点は、
少年時代からの「宇宙最大のお宝」を掴みたいという夢想だったのであり、
その原点にギャバンとの出会いがあったのです。

マーベラスはアカレッドに出会う以前の自分はつまらないチンピラのようなものだったと今まで思っており、
アカレッドと出会ったことによって自分の夢は始まった、
だから自分の夢はアカレッドから引き継いだものだという想いが強かったが、
こうしてギャバンに、あの日の少年が未来を掴んだことを褒められて、
マーベラスは自分の原点を肯定することが出来ました。

アカレッドに出会う以前から自分はちゃんと「宇宙最大のお宝」という輝かしい未来を追い求めていた。
だからこそアカレッドと出会うことが出来たのであり、赤き海賊団も結成されたのです。
自分の夢の原点はアカレッドではなく、アカレッドに教えられたものでもない。
ならばギャバンが原点なのかというと、そういうわけでもない。
ギャバンとの出会いがきっかけではあったが、ギャバンは海賊ではなかったし、
ギャバンとはその時一瞬出会っただけでした。

マーベラスの海賊としての原点は、当たり前といえば当たり前ですが、あくまで自分でした。
もともと自分が「宇宙最大のお宝」を手に入れたいと思っていた。
いや、原点は「宇宙最大のお宝」ですらない。
この恐怖と絶望の宇宙の大海原で、希望に満ちた輝かしい未来を掴む勇気ある海賊になりたかったのが
マーベラスの原点です。

それがどうして「宇宙最大のお宝」になったのかというと、
単に今まで誰も手に入れたことのない伝説のお宝を手に入れれば、
間違いなく希望に満ちた輝かしい未来を掴む勇気ある海賊というものになれるだろうという
子供っぽい思い込みであったに過ぎない。
つまりマーベラスの夢は根本的には、
この絶望の宇宙で希望に満ちた輝かしい未来を掴む勇気ある人間になりたかったということです。

しかし夢はお題目ではない。
具体的な姿を取らねば掴み取ることなど出来ない。
マーベラスはたまたま海賊になりたいと思い、
その上で輝かしい未来の象徴として「宇宙最大のお宝」を掴みたいと思った。
それがマーベラスの原点である以上、「宇宙最大のお宝」を掴まないことには、
真に輝かしい未来を掴んだということにはならない。

ギャバンに褒められたことで、そうした自分の原点を強く意識したマーベラスは、
ギャバンが褒めてくれた「未来を掴んだ立派な男」という称号に真に相応しい男にならねばいけないと思った。
すなわち、少年時代からずっと夢を見続けてきた自分自身、
その夢に力を与えてくれたアカレッド、
そして自分のためにこんなに喜んでくれたギャバンのためにも、
必ず「宇宙最大のお宝」を手に入れてみせると、
マーベラスはとうとう間近に迫ったバスコとの最終決戦に向けて、改めて激しい闘志を燃やすのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:38 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月04日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その20

ザンギャック皇帝アクドス・ギルが地球征服のために全宇宙に動員をかけた大艦隊が地球に向けて迫ってくる中、
そんなことは想像だにしないマーベラス一味は地球に来て間もなく1年が経とうとする2015年1月、
遂にスーパー戦隊の34個の「大いなる力」の中で唯一所在不明だったカクレンジャーの「大いなる力」をゲットし、
手に入れた「大いなる力」の数を29個としました。

これで後はバスコの奪った5個の「大いなる力」をマーベラス達が奪い取れば34個の「大いなる力」が揃い、
マーベラス達は「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来る。
しかしそれはバスコも同じことで、マーベラス一味の持つ「大いなる力」やナビィやガレオンなどを奪って
「宇宙最大のお宝」を手に入れるべく、動き出しました。
こうしてマーベラス一味とバスコの「大いなる力」争奪戦は双方が真っ向からぶつかる最終ラウンドに突入します。

そんな中、宇宙警察中枢をも巻き込んだザンギャックの罠を撃ち破ったマーベラスは、
その際、少年時代に出会った命の恩人に再会し、
宇宙海賊だと思っていたその人が宇宙刑事ギャバンだったことを知ります。
だが夢を掴もうとする海賊となったことをギャバンに認められたマーベラスは、
誰も手に入れた者のいない伝説の「宇宙最大のお宝」を手に入れることが
少年時代からの自分の掴もうとした未来であり、生きる糧であったことを再確認し、
必ず「宇宙最大のお宝」を手に入れようと決意を新たにしました。

そして宇宙警察内部に潜り込んだザンギャックの工作を暴いたギャバンは宇宙警察立て直しのため、
宇宙の彼方の本部へと去っていき、
マーベラス一味は残り5個の「大いなる力」を持つバスコの行方を探し始め、
ここから「海賊戦隊ゴーカイジャー」の物語は
第47話から第51話(最終話)までの5話連続の最終章に突入していきます。

しかしバスコの行方は掴めず、逆にゴーカイガレオンはバスコの手持ちの生体兵器ロイド2体を使った
奇襲攻撃を受けてしまいます。
これに対してゴーカイオーと豪獣神で応戦したマーベラス達は手に入れたスーパー戦隊の「大いなる力」を駆使し、
ロイド2体を撃破し、逆に近くに潜んでいるはずのバスコを捕まえるために探し始めました。

バスコの方は予想以上に強くなったマーベラス一味と真っ向勝負を避けて、巨大戦で奇襲攻撃に出たのですが、
それも通用せずに手持ちのロイドをこれで使い果たしてしまいました。
「大いなる力」を駆使するマーベラス一味に巨大戦で対抗する力はもはやバスコにはありませんでした。
等身大戦闘ならばバスコとサリーのコンビがやや優位とは言えましたが、
急速に強くなってきたマーベラス一味6人が相手ではバスコももはや楽勝とはいえず、ほぼ互角の勝負となります。

バスコは生きて「宇宙最大のお宝」を手に入れたいのですから、
マーベラス達と命を賭けた勝負をして、もし敗れて死んでしまっては元も子もありません。
だからほぼ互角の相手に真っ向勝負を挑むのは得策ではない。
しかし思い切った手段を使わなければマーベラス達から「大いなる力」を奪うことなど出来ないのも確かです。
やはり何かを犠牲にしなければマーベラス達から「大いなる力」は奪えない。

当初はバスコはマーベラス達がそれほど手強い相手になるとは想定していませんでしたが、
もはやマーベラス達がそれほどの手強い相手になったと認めるしかありませんでした。
だからバスコも何かを捨てる覚悟が無ければマーベラス達を倒すことは出来ない。
しかしバスコは自分を捨てるわけにはいきませんから、自分以外の大切なものを捨てるしかない。
そう考えてバスコは隣のサリーを見つめます。

バスコはもともとサリーを都合の良い道具としか考えていませんでしたが、
何時の間にかサリーが自分にとってかけがえのない仲間となっていたことに、
ダマラスとの戦いのあたりから気付いていました。

アカレッドの自分への裏切りを知って、かつてバスコは赤き海賊団を裏切って
「宇宙最大のお宝」を手に入れようと決意した。
その時、今までこの絶望に満ちた宇宙で誰もが手に入れることの出来なかった「宇宙最大のお宝」を
手に入れるという絶対不可能を可能にするためには、
かけがえのない仲間でも捨てる覚悟が必要なのだということを学びました。

アカレッドもそうしようとしたのであり、自分もそうしようと決意してアカレッドを裏切ったのです。
結局それによって未だ「宇宙最大のお宝」は手に入っていないが、
バスコは自分の夢である「宇宙最大のお宝」を手に入れるために大切な仲間を捨てたのです。
それが自分の選んだ道であり、その道の延長線上に今の自分がある。
あのままアカレッドに騙されていたよりは確実に今の方が「宇宙最大のお宝」に近づいていると
バスコは感じていましたから、自分の選択に後悔や迷いなどありません。

サリーという大切な仲間を得たのも、夢よりも仲間を選ぶ道の正しさの証なのではなく、
バスコの解釈では、夢を掴むために捨てる価値のある大切な仲間を再び得たのだということになります。
赤き海賊団を捨てて仲間のいなかった自分よりも、
サリーという捨てることの出来る大切な仲間を新たに得た今の自分の方がより強い。
その大切な仲間を捨てることによって、引き換えに大きな物を得ることが出来るからです。
今こそ、その強さを発揮する正念場なのだとバスコは思い、
サリーを犠牲にする覚悟でマーベラス達から「大いなる力」などを奪い「宇宙最大のお宝」を掴む、
巧い作戦を瞬時に立てたのでした。

そしてバスコは自分を探し回るマーベラス達から見える場所にサリーと共に姿を現すと、
いきなりサリーに至近距離で発砲し、何発も銃弾を撃ち込み、瀕死のサリーを放置して立ち去ったのでした。

マーベラス達はバスコを遂に発見したと思った途端、
バスコが仲間のサリーを撃ちまくるという意外な光景に驚き、呆然としている間にバスコを見失ってしまいました。
思わずサリーの倒れている場所に駆けつけたマーベラス達は、
サリーが本当に撃たれて死にかけていることを確認し、どうするべきか迷います。

もちろんサリーはマーベラス一味にとってはこれまでも散々煮え湯を呑まされた憎い敵ですが、
サリーがバスコのことを仲間だと思って信じていることを知っています。
そのサリーの気持ちを裏切って殺そうとしたバスコの行動は、
「仲間の絆」というものを重んじるマーベラス一味としては許し難い。
だからハカセとアイムと鎧は、このままサリーを死なせてしまっては
バスコの裏切りによるサリーの犠牲を認めてしまったようで腹立たしく、出来ればサリーを助けたいと思いました。

しかし一方、ジョーとルカはそういう感情は理解しつつも、これは明らかにバスコの罠だと思いました。
自分達が「仲間の絆」を重んじるということはバスコは知っているのだから、
わざと自分達の見ている前でバスコがサリーを撃ったのは、
自分達にサリーを助けさせた上で何かを仕掛けようという作戦なのだろうと、ジョーとルカは警戒しました。
仲間のバスコに撃たれて瀕死になっているサリーは哀れではあったが、
それも含めた作戦である以上、同情の余地などはない。
それはマーベラスも分かっているはずだとジョーとルカは思いました。

しかしマーベラスはサリーをガレオンに連れていって手当てしてやるよう指示しました。
マーベラスももちろんこれがバスコの罠だということは分かっていました。
しかし、マーベラスはかつて赤き海賊団がバスコに裏切られて壊滅した時にバスコに撃たれた自分と、
今こうしてバスコに裏切られて撃たれたサリーとが重なって見えて、どうしても放っておけなかったのです。

赤き海賊団時代、マーベラスはバスコのことを大切な仲間だと思って信じていた。
何せマーベラスに「互いに出来ることを全力でやって助け合う」という海賊の仲間の絆を
最初に教えてくれたのはバスコなのです。
それなのに、その仲間として信じていたバスコに裏切られたマーベラスは、とても心が痛みました。
だから自分と同じく信じていたバスコに裏切られたサリーも深く傷ついているように思えたのです。

しかしサリーをガレオンに連れ帰って、ハカセやアイム達に手当てをさせた後、
マーベラスはジョーにどうして罠であることが明白なのにサリーを助けたのかと問い詰められます。
確かに冷静に考えてみれば、罠であるならばサリーはバスコと何か示し合わせているはずであり、
厳密に言えば裏切られたわけではない。
サリーはガレオンに潜り込んでバスコに与えられた使命を果たしたらバスコの元に戻るつもりなのです。
だから同情して手当てなどする必要は無かったはずです。
それなのにどうしてサリーをガレオンに連れてきたのか、ジョーにはマーベラスの行動が理解出来なかったのでした。

実際、バスコはサリーを撃つ前に「ガレオンに潜り込んでレンジャーキーの宝箱を盗んでこい」と言い含めていました。
その上で、死にかけているお芝居ではマーベラス達を騙せないと思い、
サリーに事前予告無しで致死量を達するほどの弾丸をサリーに射ち込んだのでした。
本当にサリーが死にかけており、サリー自身が予期せぬ死に直面して悲痛な様子であれば、
「仲間の絆」を大切にするマーベラス達は「仲間に裏切られた哀れなサリー」に同情して
ガレオンに運んで手当てをするはずだとバスコは見込んでいたのでした。

だが、もしマーベラス達がサリーを助けなければサリーは死んでしまうわけですから、
バスコは無意味に大切な仲間のサリーを自分で撃ち殺しただけで終わってしまう。
だから、これはバスコにとっても賭けでした。

このバスコの仕掛けにハカセとアイムと鎧は引っ掛かり、
実際にサリーが死にかけている以上、本当にバスコがサリーを裏切って捨てたのだと信じ込み、
仲間を裏切り傷つけたバスコのことを大いに憤りました。
しかしジョーとルカはバスコの仕掛けを見破っており、
サリーは手当てを受けて生還したらきっとバスコから受けた命令を遂行するだろうと思っていました。

マーベラスもそれは分かっていました。
それなのにどうして自分はサリーを助けたのかと考えたマーベラスは、
かつてバスコと真の絆で結ばれていたにもかかわらずバスコに裏切られた経験のある自分だからこそ
直感したことがあるのだと気付きました。

マーベラスはサリーの姿に過去の自分を重ね合せて、
過去のバスコと過ごした日々を思い返したことによって、
自分だけでなくバスコもまた、自分やアカレッドのことを
かけがえのない仲間だと思ってくれていたのだと気付きました。
その上でバスコはあえて「赤き海賊団」を裏切った。
それはバスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには大切に思う仲間を切り捨てる覚悟こそが
必要だという信念に凝り固まった男だということでした。

つまり、バスコは小賢しい計算で仲間を裏切っているのではなく、確固とした信念を持って仲間を裏切っている。
もちろんそれは恐ろしく歪んだ信念だが、信念で行動している以上、バスコは決して揺るがない。
ならば、バスコが一旦捨てると決意した相手は決して救わないはずです。
バスコはサリーが死んでも仕方ないという覚悟で引き金を引いたのですから、もはやサリーを捨てる覚悟です。
ならばサリーが使命を果たしてバスコのもとに帰っても、バスコはサリーを切り捨てるでしょう。
だから自分はバスコの罠だと気付きながらサリーはそれでもバスコに裏切られて捨てられたのだと思い、
こうしてガレオンに連れてきたのだとマーベラスは気付きました。

結局は同情なのですが、
マーベラスからそのことを聞いたジョーは、結局は信じていたバスコに騙されて切り捨てられるのであろうサリーは、
かつて信じていたザンギャックに騙され捨てられた自分と同じなのだと思いました。
そのジョーを救ってくれたのが、かつて仲間と信じたバスコに裏切られて捨てられた男、マーベラスでした。
だからマーベラスがジョーを助けて拾ってくれたのも、一種の同じ辛い過去を持つ者への同情であったはずであり、
だからマーベラスがサリーを同情で助けたとしても、
それはいかにもマーベラスらしい行動だといえるとジョーは思いました。

しかしマーベラスはかつてジョーを助けたのは、同情ではなく、
ジョーが共に夢を掴む旅の仲間になれる男だと思えたからでした。
確かに今回、自分はサリーに同情した。
しかしサリーは夢の価値を理解出来ない猿ですから、共に夢を掴む旅の仲間にはなれない。
そんなサリーを同情だけで助けた今回の自分の行動はやはり不可解だと思うマーベラスでしたが、
ジョーはマーベラスに助けられた直前までの自分は本当に夢の価値など分かってはいなかったことを、
バリゾーグを倒してシドの魂を救った今となっては分かっています。

シドと共にいた頃のジョーが夢の価値を理解していたならば、シドを失うことはなかったはずです。
シドを失い、マーベラスに救われた時の自分は今のサリーとそう大差ない存在だったが、
それでもマーベラスはそんな自分に何かを見出して仲間にしたのだとジョーは思いました。
その結果、自分は夢を掴む意思を持つことが出来た。
だから、マーベラスがサリーに何かを見出せば、サリーだって仲間になれる可能性はある。
マーベラスがサリーを助けようとしたということは、
マーベラスはサリーに何かを見出そうとしているはずだとジョーは思い、
そのようにマーベラスに諭すと、マーベラスもサリーをもう少し見守ることにしたのでした。

そのサリーは真夜中に目を覚まし、バスコから受けた命令を思い出して船室にある宝箱を盗もうとしますが、
今まで自分を守ってくれた優しい主人バスコの命令と、
本当の仲間というものは仲間をこんなに傷つけたりはしないものだという
アイムのバスコに対する憤りの言葉との狭間で葛藤します。
それでもサリーはバスコを仲間だと信じ、
きっとバスコは自分が死なないように加減して撃ってくれたのだと自分に言い聞かせて宝箱を盗み、
バスコの秘密のアジトのある森に向かいます。

翌朝、アジトのある森でサリーを出迎えたバスコは宝箱を見て喜びますが、
宝箱の奪取だけを喜び自分の生還を喜ばないバスコを見て、
サリーはバスコが自分のことを死んでもいいと思っていたのではないかと疑い、立ち止まります。
そこにサリーの後を尾行してきていたマーベラス達6人が姿を現し、
サリーの奪った宝箱は偽物だったことが判明します。

そして、ルカや鎧にあまりに非情な作戦をなじられて、
バスコは殺すつもりで撃たなければ作戦は失敗していたのだから非情に徹するしかなかったのだと言い放ちます。
「宇宙最大のお宝」を手に入れるためには仲間を捨てる非情な覚悟が無ければいけない。
いざという時はそのように非情に切り捨てることも含めて、
自分の夢の実現のためにサリーを都合のいい仲間として使うために今まで仕込んできたのだと暴露して、
バスコはサリーとの仲間の絆を捨て去り、踏み躙ります。
しかし、そこまでやってもなお作戦に失敗したバスコは、
任務にしくじったサリーに自分の方に戻ってくるよう命令します。

バスコ自身は確かにサリーに対して仲間の絆を感じており、
それを切り捨てることにこそ自分にとって真の価値があると思っていましたが、
バスコはサリーが自分に対して仲間の絆を求めているとは想像していませんでした。
あくまでサリーは猿でしかなく、エサをくれる主人である自分に
盲目的に従っているだけだとバスコは思っていたのです。
だから自分が仲間の絆を裏切ってもサリーはエサをちらつかせれば盲目的に自分の方に戻ってくると
思っていたのでした。
一方マーベラスはサリーが戻ればバスコに殺されると悟り、サリーに戻らないよう呼びかけます。

この両者の間でサリーは迷います。
子猿の頃からバスコに調教されたサリーは確かに自分の意思で生き方を決めたことなど無く、
バスコの命令に従ってさえいればバスコは優しくしてエサをくれましたから、
その生き方に疑問を持ったことなどありませんでした。
しかし真の仲間というものは仲間をひどく傷つけたりしないものだというマーベラス一味の考え方に触れ、
本気で殺すつもりで自分を撃ったバスコの真意を知ったサリーは、
バスコは自分にとって真の仲間ではなかったのだと気付きました。

そしてサリーは生まれて初めて自分の意思で自分の生き方を決め、自分の仲間を選び、自分の未来を掴もうと決心し、
エサをぶら下げて手招きするバスコではなく、マーベラスの方に駆け寄ったのでした。

このサリーの行動を見て、
マーベラスはサリーもまたマーベラス一味の共に夢を掴む旅の仲間になれる者であったことを知り、
「夢」というものは小難しいものではなく、つまりは自分の意思で未来を掴もうとすることなのだと悟りました。
そしてサリーの意思というものを認めていなかったバスコがサリーの意思による決断で裏切られたことによって
完全敗北したのだと思い、マーベラスは勝利を確信しました。

確かにバスコは、まさかサリーが自分の意思で生き方を選択するなどとは予想していなかったので愕然としました。
そして、それは本当はサリーがバスコに対して仲間の絆を感じていたということに
バスコ自身が気付いていなかったということを意味します。
他人を裏切り続けてきたゆえにバスコは相手が自分に向けている仲間の絆に気付くことが出来ない。
だから仲間の絆を裏切られたと感じた相手が自分に対して裏切りで返すということが予想出来ず、
こうしたサリーの離反を予測出来なかった。
それがバスコの敗因となったのだとマーベラスは思いました。
マーベラス自身、かつてバスコに仲間の絆を感じていながらバスコに裏切られた男であるだけに、
サリーのバスコに対する勝利は、かつての自分がバスコに復讐を果たしたかのように感じられたのでした。

しかしバスコは、確かにサリーが自分に仲間の絆を求めていたことを予測出来ていなかった迂闊さは認めたものの、
サリーが自分に仲間の絆を感じてくれていたことは嬉しかった。
但し、バスコの場合、それは仲間の絆が本物であれば、それをあえて捨てることによって得られる成果が
より大きいからという理由で嬉しいのです。
あまりの嬉しさに高笑いして、バスコはサリーの首飾りに秘かに仕込んでおいた爆弾の起爆スイッチを押したのでした。

その爆弾はサリーが自分の意思で未来を掴もうとする、このような事態を想定して仕掛けておいたものではない。
畜生に過ぎないサリーがマーベラス達にエサで釣られたり脅されたりして裏切った時に、
絶妙のタイミングでマーベラス達もろとも吹っ飛ばすために「お守り」と偽ってサリーに渡していた、
つまり作戦上の最後の保険のような意味合いで仕込んでおいたものでした。
少し予想とは違った形にはなったが、サリーが自分を裏切ってマーベラスの横に寄り添って立っている状況を、
まさに「お守り」を使う絶好のチャンスと見たバスコは爆弾を炸裂させてサリーとマーベラスを吹っ飛ばしました。

それを見て驚いたジョー達5人は、バスコのあまりの卑劣さに激怒して戦いますが、
6人揃ってようやくバスコと互角のマーベラス一味は、
最強格のマーベラスを欠いた5人ではバスコに歯が立たず全員倒されてしまいました。

バスコはこの危機的状況にナビィが気付いてガレオンで逃げ出さないうちにガレオンを乗っ取るチャンスと見て、
倒れて動かないマーベラス達6人は死んだものと見て死亡確認もそこそこに、
念のために6人のゴーカイジャーのレンジャーキーだけ奪うと、急いでガレオンに向かい、
まんまとガレオンを乗っ取って、レンジャーキーの入った宝箱とナビィを手に入れてしまいました。

そしてバスコはガレオンを移動させて谷間に隠し、
既に自分の手に入れていたサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
5戦隊の「大いなる力」を、宝箱の中から取り出してテーブルに並べたそれぞれの戦隊のレンジャーキーに移し替え、
ここで遂に34のスーパー戦隊の「大いなる力」が
レジェンド大戦に参加していた192戦士分のレンジャーキーに収まって
ゴーカイガレオンの船室に揃ったことになります。

バスコが赤き海賊団を裏切る前に盗み見たアカレッドのメモによれば、
全てのレンジャーキーに「大いなる力」を入れて、
ガレオンの船室でレンジャーキーからナビィに向けて「大いなる力」を照射すれば、
ナビィが「宇宙最大のお宝」へと続く「扉」へと姿を変えると書いてありました。

となると、次はいよいよナビィを使えば「宇宙最大のお宝」への扉が開くと思い、
バスコが捕えていたナビィの方を見ると、
ナビィはサリーがたまたまガレオンの船室の床に落としていたナイフを使って
自分の身体を縛る縄を切って脱出していました。
バスコは慌ててガレオンの出入り口を全て封鎖してナビィを外に逃がさないようにし、
ラッパラッターにマーベラス達から奪った6個のゴーカイジャーのレンジャーキーを挿し、
6人のゴーカイジャーの召喚体を繰り出してガレオン船内でナビィ捜索をさせます。

一方、バスコの秘密アジト近くの森でバスコに倒されたマーベラス一味の6人は生きており、
意識を取り戻した6人は変身アイテムのレンジャーキーをバスコに奪われた上に
ガレオンも奪われてしまい行方も知れず、自分達が戦う力を無くしてしまった状態となったことを知ります。
そしてマーベラス達は、ガレオンを奪われたということは宝箱を奪われたということであり、
バスコが「宇宙最大のお宝」を手に入れるために必要な全ての「大いなる力」とレンジャーキーを
揃えてしまったということだと気付き、愕然としました。

しかも、バスコに直接倒されたジョー達5人は軽傷でしたが、
サリーと共に爆弾で吹っ飛ばされたマーベラスは全身ショック状態で身体が動かせません。
ただサリーがバラバラになって即死していたのに比べて隣にいたマーベラスは意外なほどに無事でしたが、
だとしても、とにかくマーベラスの身体が動かない状態なので、
一旦ジョー達5人はマーベラスを運んで近くの教会の廃墟に避難しました。

マーベラスは一気に全てを失ってしまったことに呆然とし、自分がバスコに敗北したと感じました。
マーベラスはサリーを救って仲間にしたいと思ってサリーに呼びかけ、
それに応えてサリーは自分の意思で未来を掴むために、自分の意思でマーベラス達を仲間に選び、バスコを裏切った。
サリーがバスコに仲間の絆を求めていたことにバスコが気付いていなかったゆえ、
バスコはサリーを裏切ったために裏切り返されることを予想出来なかった。
つまり仲間の絆というものを軽視していたのがバスコの油断を生み、バスコの敗北を招いたはずでした。

ところがバスコはそのサリーの裏切りさえも想定した罠を仕掛けていたのです。
逆に仲間の絆にこだわったマーベラスの方が、
とことんまで仲間の絆というものを捨てきったバスコの罠に嵌められて敗北したことになります。
かけがえのない仲間を捨てても夢を掴もうとしたバスコの執念が、
仲間と共に夢を掴もうとした自分の執念を上回った。
こうして敗北した以上、マーベラスはそれを認めざるを得ませんでした。

そうして敗北感を抱きつつ横たわるマーベラスに向かって、
アイムがふと思いついて「宇宙最大のお宝を手に入れてどうするつもりだったのか?」と質問し、
マーベラスは実は「宇宙最大のお宝」が何なのか知らないのだと答えました。
仲間たちはあれほど自信たっぷりに「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしていたマーベラスが
そのお宝の正体を知らなかったことにいささか驚きつつ、お宝の正体は何なのか想像を巡らせ合います。

しかしマーベラスは「宇宙最大のお宝」の正体が何なのか一向に興味が湧かない自分に気が付きました。
そういえばこれまでもマーベラスは「宇宙最大のお宝」が何なのか知らないのに、
一度も「宇宙最大のお宝」の正体に興味を抱いたことが無い。
よくそんなことで「宇宙最大のお宝」を掴むための旅を続けてこれたものだと思ったマーベラスは、
自分が少年時代の夢をそのまま持ち続けているのだと気付きました。

子供の頃、ギャバンに命を助けられた時、
こんなに希望が無い宇宙でも、どうしようもない浮浪児の自分でも、
勇気を出せば自分の手で輝かしい未来を掴むことが出来るということを知ったマーベラスは、
勇気を出して海賊になろうと心に決め、
この宇宙で何者でもない、何も持っていない自分だからこそ、
誰も掴んだことのない大きな輝かしい未来を自分の手で掴んでやろうと考えた。
だから、今まで海賊の誰もが望みながら手に入れた者がいないという
宇宙海賊の伝説の「宇宙最大のお宝」を手に入れる海賊になってやろうと思ったのです。

それがマーベラスの人生の目的であり、
「宇宙最大のお宝」である何物かを手に入れることが目的ではなく、
本当は、このザンギャックによって人々の運命が翻弄される希望の無い宇宙で
あえて誰も手に入れたことのない素晴らしい未来を自分の手で掴み取る反骨の人生こそが
マーベラスの真に求める「宇宙最大のお宝」でした。

自分の求めていた「お宝」が何だったのか悟ったマーベラスは、
お宝の正体などへの興味などではなく、誰もが手に入れたことのない物を手に入れたいと思う心が
自分を動かしていたのだと仲間たちに笑顔で言います。
だからこそ、マーベラスは「宇宙最大のお宝」という正体不明の伝説のお宝を迷うことなく
追いかけ続けることが出来たのです。

そして、そのマーベラスの言葉を聞いて、仲間たちは自分達もマーベラスと同じだったことに気付きます。
自分達も誰も手に入れたことのない未来を自分の手で掴み取ろうとして、
あえてザンギャックに逆らって意地を張っていた。
だからマーベラスは自分達を共に夢を掴む旅の仲間に選んだのだと5人は悟りました。

つまり自分達マーベラス一味の「夢」というものは
「宇宙最大のお宝」の中身の何らかの価値ある物体なのではなく、
シンプルに「自分の手で未来を掴み取ること」であったのです。
だからこそ、お宝の価値を知らない猿のサリーでも、
バスコの支配から逃れて自分の手で未来を掴み取ろうとしたことによって、
ザンギャックの支配を脱して自分の手で未来を掴み取ろうとしているマーベラス達の仲間になることが出来たのです。

こうしてマーベラス一味の6人は
自分達の夢が本質においては「自分の手で未来を掴み取ること」という全く同一のものであり、
それこそがマーベラス一味の仲間全員の共通の夢「宇宙最大のお宝」の正体だったのだと思いました。
だから「宇宙最大のお宝」をバスコに奪われるということは仲間全員の夢、仲間全員の未来を奪われることに等しい。
それは絶対に許せないという闘志が再び燃え上がった時、
マーベラス達のもとにガレオンの操舵室に隠れているナビィから助けを求める連絡が入り、
ガレオンの現在地を教えてきてくれました。

これを受けてマーベラスはガレオンを奪還しに行こうとしますが、まだ身体が満足に動かないので、
仲間5人が自分達の夢をきっと奪還すると決意の言葉を述べてマーベラスを押し止めて休ませておき、
5人だけでガレオンの奪還に出発していったのでした。

しかし1人残ったマーベラスは不安でした。
ジョー達5人は変身も出来ない状態であり、やはりバスコは手強い相手だからです。
何故なら、かつてマーベラスが仲間として信頼していたバスコもまた
「宇宙最大のお宝」という伝説のお宝の正体を知らないまま、
ザンギャックに逆らってでも「自分の手で未来を掴み取る」という夢を抱いて突き進んでいた男だからです。

つまり、バスコもまたマーベラス一味の6人と同じ夢を持った男なのであり、
同じ強さの「夢を掴む力」を持っています。
その上、バスコには同じ夢を掴むために集まった仲間でも平然と捨てて夢だけを追い求める執念があり、
そのバスコの夢に賭ける執念にさっき自分達は負けたばかりだったからです。

マーベラスにはバスコのように1人になっても夢だけを追いかけることは出来なかった。
同じ夢を掴もうとする仲間がどうしても欲しかった。
それは自分の弱さだとマーベラスは思いました。
弱さゆえに仲間を求め、そうして得た仲間を今こうして無理な戦いに行かせて
自分はその仲間の役に立つことも出来ないのも自分の弱さゆえでした。

そうして、ようやく感覚の戻った右拳を、自分の弱さを悔しがって叩きつけた時、
その中に何かが握られていることに気付いたマーベラスが掌を開いて見ると、
それはサリーの首飾りの欠片の金属片でした。

それを見た時、マーベラスは爆発のショックで飛んでいた記憶が甦り、
さっきの森での爆発の直前、バスコが起爆スイッチを押すのを見て
サリーの首飾りに爆弾が仕込んであることに気付いたマーベラスがサリーの首飾りを外そうとして引っ張った時、
サリーが逆に首飾りを自分の方に引っ張って腹のハッチの中にしまい込んで
爆発の衝撃をほとんど自分の体内で受けたことを思いだしたのでした。

お蔭でマーベラスは爆発の衝撃をあまり受けず、
吹っ飛ばされた後、こうしてしばらく身体が痺れて動かない程度の傷で済んだのであり、
この右手に握られた首飾りの欠片は爆発の瞬間、千切れてマーベラスに握られたままだったのです。
つまりは自分はサリーを助けようとしたが助けることが出来ず、
逆にサリーの犠牲によって守られてしまったのだと思い、
マーベラスはこれもまた自分の弱さゆえの失敗だったのだと一瞬落ち込みましたが、
よく考えたらそうではないことに気付きました。

サリーは自分の意思で死を選びマーベラスを守ったのです。
バスコは仲間のサリーを捨てることによって宿敵のマーベラスを倒そうとした。
しかしサリーはバスコの仲間として捨てられる道を拒否し、
マーベラスの仲間として自分を捨てて仲間のマーベラスを守る道を自分の意思で選んだ。
そのサリーの意思の結果、バスコの思惑は外れて、今こうしてマーベラスは生きている。
つまりサリーはバスコに捨てられて負けたのではなく、バスコの思惑を超え、バスコに勝ったのです。
それがサリーが自分の意思で掴んだ未来でした。

そして、かつてサリーと同じようにバスコに裏切られながら自分を捨ててマーベラスを守って
バスコの思惑を超えて勝利したのがアカレッドでした。
「赤き海賊団」壊滅事件の時、アカレッドが自分を捨ててマーベラスを守ったことによって、
バスコが望んだものはその時バスコの手には入らなかった。
アカレッドもサリーと同じく、自分の意思で未来を掴んでバスコの思惑を超えたのです。

ではアカレッドやサリーが自らを捨てて掴んだ未来とは何なのかというと、
マーベラスに夢を託すという道でした。
何故、彼らが平然と自分を捨ててマーベラスに夢を託すことが出来たのかというと、
「自分の手で未来を掴み取る」という同じ夢を追い求める仲間だからでした。
同じ夢、同じ未来を目指している仲間なのだから、自分が死んでも、マーベラスがその夢や未来を掴めば、
それは自分の夢も実現したことになる。
だから自分を捨てて仲間を守ることが出来るのであり、バスコの思惑を超えることが出来るのです。

それは、バスコが自分が夢を掴むために仲間を捨てることは出来るが、
自分が夢を掴むことに執着する余り、仲間のために自分を捨てることは出来ないからでした。
大切な仲間を捨てるバスコの覚悟や執念は確かに凄まじいが、
自分を捨てても夢を実現しようという覚悟と執念の方が更に凄まじい。
だから自分を捨てられないで仲間しか捨てられないバスコの「夢を掴む力」は、
自分を捨てることが出来たサリーやアカレッドの「夢を掴む力」に勝つことが出来なかったのです。

「同じ夢を掴むために集まった仲間の絆」の力を仲間を捨てることでしか使うことが出来なかったバスコは、
やはり真の意味で「同じ夢を掴む仲間の絆」の持つ力を理解出来ていなかった。
本当は「同じ夢を掴む仲間の絆」があるからこそ、自分を捨ててもなお夢を掴むことが出来ると信じられるのです。
そのことを信じてマーベラスに同じ夢を掴むよう託したサリーやアカレッドの捨て身の行為の生み出した力こそが、
バスコの「夢を掴む力」を超える最強の「夢を掴む力」だったのです。

つまり、自分の手で未来を掴む力、すなわちマーベラス達にとっての「宇宙最大のお宝」の正体は、
その最強の「夢を掴む力」のこと、
言い換えれば、「同じ夢を掴むために集まった仲間の絆」の持つ力のことだったのです。

自分の手で未来を掴もうとする者達がマーベラス一味の仲間となって集まったのは、
弱さをカバーするためなどではなかった。
「自分の手で未来を掴む」という同じ夢を持った者達が仲間となって集まることによって、
自分を捨てても夢が掴めるという確信を得て、自分を捨てる覚悟で戦うことが可能になり、
より大きな力を発揮することが出来るからなのです。

より強大な力を発揮するために、「自分の手で未来を掴む」という同じ夢を持った者達が仲間となり絆で結ばれた、
それがマーベラス一味の真実でした。
つまり、マーベラス一味にとっての真の「宇宙最大のお宝」とは
「自分の手で未来を掴もうとする仲間たちの絆」であったのです。

その自分達の真実の力を知ったマーベラスは、バスコに勝利する道を遂に見出したのでした。
それは自分の命を捨ててバスコを相討ちで倒す覚悟で戦うことでした。
もし自分が死んでもバスコを倒すことが出来れば、
自分と同じ夢を掴むために集まった仲間の絆がある限り、自分の夢は実現される。

もちろんマーベラスは死にに行くわけではない。
しかしマーベラスが相討ち覚悟で戦えば、バスコはそこまでの覚悟で戦うことは出来ないのだから、
そこでマーベラスにアドバンテージが生まれる。そこに勝機が生まれる。
すなわち、死中に活を見出し得るのだとマーベラスは悟ったのでした。

その頃、ガレオン奪還に向かったジョー達5人はバスコに察知されずに
ガレオンの下層ブロックに侵入することに成功し、
ナビィを捜索するために船内を徘徊していたゴーカジャーの召喚体と遭遇し、
自分自身の動きを誰よりも把握しているジョー達5人はそれぞれ自分の変身態の召喚戦士と生身で戦って倒し、
ゴーカイジャーのレンジャーキーを奪い返し、変身して召喚体のフリをして船室に侵入しました。

そこにはちょうどただ1つ残った本物の召喚体であるゴーカイレッドがナビィを捕えてきており、
バスコはナビィこそが「宇宙最大のお宝」に繋がる「扉」だという真実をナビィに告げていました。
そうしてナビィを扉に変形させる作業に取り掛かろうとするバスコに対して
ジョー達5人はいきなり不意打ちを喰らわせ、
召喚体にいきなり攻撃されるとは予想していなかったバスコは慌て、ジョー達はナビィを奪還します。

しかし召喚体が倒され、死んだと思っていたジョー達にすり替わっていたと知ったバスコは激怒して
ジョー達5人を船外に投げ飛ばして、一同は外に出て決戦となります。
そしてジョー達はゴーカイレッドの召喚体を倒してゴーカイレッドのレンジャーキーは奪還しますが、
バスコの執念が勝り、結局ジョー達5人はバスコに敗れ、
5人は変身解除して倒れて身体は動かず、5人のレンジャーキーも再びバスコに奪われて
絶体絶命のピンチとなりました。

今度こそ勝利を確信したバスコでしたが、そこに爆弾で死んだと思っていたマーベラスが突然現れたので驚きます。
バスコはサリーが腹のハッチに爆弾を入れてマーベラスを守ったことに気付いていないので、
マーベラスは確実に死んだと思っていました。
それがどうやら奇跡的に生きていたという事実は認めざるを得ませんでしたが、
それでもバスコはマーベラスが瀕死の重傷を負っているはずだと思っており、
実際はマーベラスは身体の痺れがとれてほぼ万全の状態であったのですが、
バスコはマーベラスが戦う姿勢を示しているのは自分を退かせるための必死のハッタリなのだろうと甘く見て、
楽に勝てると思いました。
それで遂にマーベラスと戦うのも最後だと思ったバスコは、
冥途の土産にマーベラスに向かって自分の知るアカレッドの真実を教えてやることにしたのでした。

バスコがアカレッドの身辺を探って知った真実とは、
アカレッドが地球出身の戦士であり、
同じく地球の戦士であるスーパー戦隊の192人の戦士たちのものであるレンジャーキーを回収して
地球に戻るために旅をしていたということでした。

そして、そんな重大な事実を自分達に隠していたということは、
アカレッドは自分達を騙してレンジャーキー集めを手伝わせて、レンジャーキーが集まったら自分達を裏切り、
地球のスーパー戦隊とかいう連中と一緒に「宇宙最大のお宝」を手に入れるつもりなのだろうと
バスコは当初は思っていました。
それでバスコは裏切られる前に裏切ろうと思い、赤き海賊団を裏切ってレンジャーキーを奪おうとしたのです。

しかしアカレッドの死後、こうしてバスコが地球に来てみてスーパー戦隊の連中を観察してみて、
どうやらスーパー戦隊は「宇宙最大のお宝」を手に入れることには興味は無く、
地球を守るためにレンジャーキーの力や「大いなる力」を使いたいと思っているようだということが分かりました。
となると、アカレッドも宇宙を巡ってレンジャーキーを回収していたのは、
どうやら地球を守るためであったようだと理解したバスコは、
そんな下らないことのためにアカレッドは自分達を騙して利用していたのかと呆れました。

つまりアカレッドはこの地球というちっぽけな星を守るために
宇宙に散らばったレンジャーキーを回収してスーパー戦隊に返そうとしていたのであり、
そんなことのために「宇宙最大のお宝」で釣って自分達を騙して
回収作業を手伝わせていただけだったのだとバスコは理解していました。

バスコはアカレッドのことを共に同じ夢を掴もうとする大切な仲間だと思って信頼していました。
その信頼を最初に裏切ったのはアカレッドの方であり、
何が何でも「宇宙最大のお宝」を手に入れたい、つまり自分の手で未来を掴みたいと思っていたバスコは、
その邪魔をするというのなら、たとえアカレッドといえども排除しなければいけないと思い、
赤き海賊団を裏切る決意を固めたのです。

自分はずっと昔から海賊としてそういう夢を必死で追ってきたのだからこそ、
そこまでの覚悟を持つことが出来た。
しかし未だに仲間の絆などというものに縛られているマーベラスでは、
仮にアカレッドの裏切りをあの時知ったとしても、
仲間を捨ててでも自分の手で未来を掴む覚悟は持てなかっただろう。

所詮マーベラスはアカレッドの影響で「宇宙最大のお宝」に憧れただけの未熟者に過ぎない。
アカレッドあってこそのマーベラスであり、
今マーベラスが「宇宙最大のお宝」を手に入れようとしているのもアカレッドの遺志を継いでいるつもりなのだろう。
「仲間の絆」などにこだわっているのも、アカレッドとの絆を未だに信じているからなのだろうと、
バスコはマーベラスのことを見下していました。

だから、この最後の戦いの前にアカレッドの裏切りの真実を教えてやれば、
さぞマーベラスは動揺しながら死んでいくだろうと、バスコは面白がっていました。
しかしバスコからアカレッドの裏切りに関する説明を聞かされて、
マーベラスは意外な内容に驚きはしましたが、動じることはありませんでした。

実際バスコの言っていることが真実なのかどうか、マーベラスにはよく分かりませんでした。
しかし、アカレッドが自分を騙していたのかどうかなど、もはやマーベラスにはどうでもいいことでした。
ついでに言えば、バスコがかつて赤き海賊団を裏切ったことすら、もはやどうでもいいことでした。

マーベラスの「宇宙最大のお宝」という夢はアカレッドやバスコとの出会いから始まったわけではない。
赤き海賊団から始まったわけではない。
もっとずっと昔、少年時代に、この絶望の宇宙において自分の手で輝かしい未来を掴んでやろうと
決意した時から始まっていたのであり、
その延長線上に、その同じ夢を掴む仲間であるマーベラス一味が存在するということだけが
現在の自分にとっての唯一の真実でした。

その人生を費やして追い求めてきた自分達仲間の未来の象徴である「宇宙最大のお宝」が
この地球にあるのは確かな事実です。
それが何なのかは分からないが、
手に入れた者がいないお宝を手に入れることが自分達なりの未来を掴むということである以上、
それは自分達の未来を進むためには掴み取るしかない。

もしここで自分の少年時代からの夢を邪魔し、自分達の未来を閉ざそうとする者がいるのならば、
その相手は誰であっても、どんなことをしてもぶっ潰して自分達は夢を掴み取る。
その相手がバスコであろうがザンギャックであろうが、アカレッドであったとしてもぶっ潰す。

そう述べたマーベラスの言葉を聞いて、
バスコはマーベラスがアカレッドに決して縛られていない、
バスコ自身と同じように「自分の手で未来を掴む」一人前の海賊であったのだと知り、
裏切り者のアカレッドとは違い、マーベラスだけは「赤き海賊団」の時代、
自分にとって本当に信頼し合える仲間だったのだと思えて、少し嬉しい気分になりました。

しかしバスコはそうした仲間の絆を捨てて強くなることをとっくに決意した男であり、
そうした感傷とはすぐに決別しました。
確かに一人前の海賊であり、対等なライバルと認められる男であったマーベラスでしたが、
それでも相変わらず仲間の絆に拘っているのはアカレッドの影響でないとしたなら、
もはや根本的な欠点であり、それはマーベラスの致命的な弱さに他ならないとバスコは思いました。
加えて実力的にも自分の方が上であり、更にマーベラスは瀕死の重傷の身であり、
間違っても自分が負けることは有り得ないと思ったバスコは、
せめて対等のライバルらしい、それなりの扱いで殺してやろうなどと考えて戦いはじめました。

ところがジョーからゴーカイレッドのレンジャーキーを受け取って変身したマーベラスが
予想外に動きが良かったので慌てたバスコは重傷のマーベラスが無理をしていると見て、
マーベラスの力が尽きるのを待ちますが、
一向に力が尽きないマーベラスが重傷を負っていないことに気付いた頃には
既に互角の勝負に巻き込まれてマーベラスの猛攻によって余計なダメージを負ってしまっていました。

どうして至近距離で爆弾が炸裂したはずのマーベラスが軽傷で済んでいるのか分からないバスコは戸惑い、
大きくペースを崩してしまいますが、それでも持ち直して素早い動きでマーベラスを追い詰めます。
その瞬間、ようやく勝負がついたとバスコの気が一瞬緩んだ隙を突き、
マーベラスが奇襲を仕掛けてバスコの足と自分の足を重ねて剣で串刺しにして動きを封じて、
至近距離で相討ち狙いの勝負に出たのでした。

まさかお宝を手に入れるために戦っているはずのマーベラスが
捨て身の相討ち勝負を挑んでくるとは全く予想していなかったバスコは驚き慌てて
マーベラスに向けて発砲し、それでもバスコの実力と執念はマーベラスを僅かに上回って、
バスコの銃弾が一瞬先にマーベラスの心臓に命中したはずであったのですが、
直後、何故かバスコはマーベラスの剣によって斬り裂かれて致命傷を負います。

結局、2人は相討ちとなり倒れてしまい、
深手を負ってもはや助からないと悟ったバスコは最後の力を振り絞って起き上がり、
マーベラスの死を確認しようとしましたが、
心臓に銃弾が命中したはずのマーベラスが起き上がるのを見て愕然としました。

マーベラス自身、どうして自分が生きているのか不思議そうに上着の左胸の銃弾の跡あたりを探ると、
左胸のポケットから金属片にめり込んだ銃弾が出てきました。
バスコの放った銃弾はその金属片に阻まれてマーベラスの身体に届いていなかったのです。
その金属片がさっき教会を出る時に上着の胸ポケットに何気なく入れていた
例のサリーの首飾りの欠片であることに気付いて、マーベラスは複雑な気分になりました。

これでバスコに勝利することは出来たが、
勝利の決め手となったのはマーベラスの捨て身の攻撃そのものではなく、サリーの首飾りでした。
またもやマーベラスはサリーに守られた形になって勝利を拾ったことになり、
バスコは掴みかけていた勝利をまたもやサリーに邪魔された形となります。

マーベラスの捨て身の攻撃は仲間の絆があってこそ繰り出されたものであり、
捨て身の攻撃が決まって勝利すれば、
それはマーベラス一味の仲間の絆の力がバスコを凌駕したことの証明となります。
しかし、そうではなく、サリーの遺した形見がバスコの夢を砕いたというのならば、
それはサリーとの仲間の絆を切り捨てたバスコに相応の報いが下されたということになります。

マーベラスはそうした因果応報の形でバスコが滅びることを当初は望ましく思っていました。
自分自身がバスコに裏切られた恨みに囚われていたので、
裏切られた者の怨念によってバスコが報いを受けるのは、あるべき当然の結末だと思っていました。
しかし、「赤き海賊団」の過去を全て吹っ切って、
子供の頃から続く夢を今の仲間たちと一緒に掴むことが自分の全てだと悟った今のマーベラスにとっては
バスコへの恨みなど、もはやどうでもいいことでした。
それよりも自分達の仲間の絆の持つ力がバスコの執念に勝るのかどうかを確かめたいという想いの方が強かったのだが、
結局はバスコが自らの悪行の報いを受けて自滅した形で勝利が決まってしまったことが少し残念であったのです。

一方のバスコの方はマーベラスの胸ポケットで自分の放った銃弾を阻んだのが
サリーの首飾りの欠片であることに気付き、驚愕しました。
そして、そのような、この場に在るはずのない物が在ることを知り、バスコは全てを悟りました。

あの爆発の中で真っ先に消し飛んでいなければいけないはずの首飾りの欠片が
綺麗な形でマーベラスの胸ポケットに入っていたということは、
マーベラスがそれを強く握り締めていたということであり、
つまり、あの爆発の直前にマーベラスは爆弾の炸裂を察知していながら逃げようとはせずに
逆にその爆弾を反射的に自分の方に引き寄せてサリーを守ろうとしていたということを意味します。

それなのにマーベラスが重傷すら負っていないということは、
マーベラスが命懸けで自分を守ろうとしているのを見て、
サリーもまたマーベラスの心意気に応えて命懸けでマーベラスを守ろうとして、
首飾りを強く引っ張り返して自分の腹のハッチに爆弾を入れたからなのだろう。

マーベラスの握り拳の中に首飾りの欠片が鎖が引きちぎられて残されたのは、
マーベラスとサリーの双方が互いを命を賭けて守ろうとして強く引っ張り合った結果なのです。
そうして残された欠片がマーベラスの胸ポケットに収められて、
自分の放った銃弾を止めてマーベラスに勝利をもたらしたのだとバスコは知りました。

そう考えれば、どうしてマーベラスが重傷を負っていなかったのかという謎も解けるし、
どうしてマーベラスが捨て身の攻撃を仕掛けてきたのかも理解出来ます。
マーベラスはサリーの最期の行動を見て、仲間を守るための命懸けの行動が、
仲間を捨てて自分を守ることしか出来ないバスコの思惑を超える力を発揮することを知って、
勝利を確信して捨身の相討ちを狙ってきたのです。

何故マーベラス一味の仲間やサリーが命懸けで仲間を守って戦うことが出来るのか?
それは彼らが同じ夢を掴もうとしている仲間の絆で結ばれており、
その絆が「自分の手で未来を掴むこと」という夢の共有による絆だということを知っているから、
仮に自分が死んでも遺した仲間が夢を掴めば自分も夢を掴んだことになると信じられるからです。
だから彼らは命を賭けて仲間を守るために戦える。
それは共に夢を掴むために集まった仲間を裏切って捨てた自分には出来ないことだったとバスコは思いました。

だから実力では劣りながら、マーベラスの仲間全員の夢を守るための捨て身の攻撃は、
バスコの思惑を超えたのです。
その結果マーベラスにもたらされたのが、この一見全くの偶然に見える首飾りの欠片の幸運であったのだと
バスコは確信しました。

この欠片はサリーの恨みや怨念などではなく、自分に下された裏切りの報いなどでもない。
この欠片がこの時に胸ポケットに入っていたのは全くの偶然であり、
その小さな欠片に銃弾がちょうど当たったのも全くの偶然の幸運に過ぎない。
しかし、その幸運はマーベラスが命懸けの捨て身の相討ちを仕掛けなければ起きなかった幸運です。
つまりはマーベラスの命懸けで仲間全員の夢を守るための戦いがこの些細な幸運を呼び込み、
その僅かな差が勝敗を分け、マーベラス達に勝利をもたらしたのです。
そういうことだったのだとバスコは心の中で納得し、
まさにサリーに「お守り」だと嘘をついて渡した首飾りが本当に「お守り」になったのだと思いました。

サリーはその「お守り」を自分とバスコの仲間の絆を守るものだと信じていたのだろう。
そのバスコとの絆は裏切られてしまったが、
サリーは最期の瞬間、しっかりマーベラス達と仲間の絆を結び、
マーベラスのために命を賭けて戦った結果、
その偽りの「お守り」を自分とマーベラス達の仲間の絆を守るための真実の「お守り」として
遺すことが出来たことになります。

つまり、サリーは最期の瞬間だけは幸福に逝くことが出来たのだと知って、
バスコは思わず微かに笑みを浮かべ、そのままマーベラスの目の前で崩れ落ちて絶命したのでした。
こうしてマーベラス一味は宿敵バスコを遂に倒して、
34のスーパー戦隊の「大いなる力」を全て手に入れることになったのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
にほんブログ村 にほんブログ村 テレビブログ スーパー戦隊へ
にほんブログ村
posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 10:54 | Comment(0) | 最終話「さよなら宇宙海賊」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月09日

最終話「さよなら宇宙海賊」感想その21

マーベラス一味が遂に宿敵バスコと決着をつけた頃、
ザンギャック皇帝アクドス・ギルが地球征服のために全宇宙から召集した大艦隊は、
その到着を待つザンギャック地球侵略軍の展開する地球のすぐ外の宇宙空間に
間もなくやって来る距離まで迫っていました。

その地球侵略軍の艦隊の旗艦ギガントホースの司令室では親衛隊を率いるダイランドーが
地球侵略軍を率いるインサーンに向かって、突如ワルズ・ギル戦死の責任を追及し、粛清を匂わせます。
その上で皇帝アクドス・ギルはインサーンに向かい、
増援の大艦隊が到着するまでに手柄を立てて名誉挽回すれば粛清は免れて
出世コースへの復帰も有り得ることを匂わせました。

インサーンはダマラス亡き後の地球侵略軍の残存兵力の指揮を任されており、
それは自分の才覚が皇帝に認められているからだと思っていました。
ゆえにインサーンは増援の大艦隊によって地球を蹂躙してこの戦いが終われば、
自分は戦功を評価されて一気に皇帝の側近として大出世し、
亡きザイエンに代わって宇宙最高の科学者の地位を得ることも夢ではないと夢想していました。
しかし実際は地球侵略軍の司令官だったワルズ・ギルの戦死の責任は側近であったインサーンにも及んでいたのです。

ただ、インサーンに責任が及ぶかどうかを決めるのは結局は皇帝の恣意なのであり、
それをこんな後になってから突然言い出すというのは、アクドス・ギルに何らかの思惑があるということです。
つまりアクドス・ギルはインサーンに粛清をチラつかせて危機感を煽り、同時に出世というエサで釣って、
タイムリミットを設けて功を焦らせようとしています。
その目的はインサーンに増援艦隊到着前までにマーベラス一味を発見させて攻撃させることでした。
そうしてインサーンがマーベラス一味と戦っているところに、到着した大艦隊をそのまま突っ込ませて、
インサーンもろとも厄介なマーベラス一味をまず最初に潰すというのがアクドス・ギルの作戦でした。

インサーンが配下の兵達を率いて必死で攻撃すれば、マーベラス一味にとってもかなりの強敵となるのは間違いなく、
マーベラス一味を足止めし、大艦隊の襲来を察知させる余裕を失わせる効果が期待出来ました。
つまりアクドス・ギルはインサーンをエサで釣って利用するだけ利用して切り捨てようとしているのであり、
これはサリーに対するバスコの行いと同じと言えます。

しかしインサーンは粛清の危機感と出世欲に突き動かされて、
そうしたアクドス・ギルの奸計に気付くことはなく、
ひたすらアクドス・ギルに媚を売って出世することで頭がいっぱいになり、
慌ててマーベラス一味を討ち取るべく、その行方を探し始めました。

一方、遂に宿敵バスコを倒して34のスーパー戦隊の「大いなる力」を全て揃えたマーベラス一味の6人でしたが、
さすがにマーベラスの疲労はピークに達しており、バスコを倒した後、倒れ込んでしまい、
奪還したガレオンで6人はひとまず一晩休むことにしました。

そして翌朝、まだ眠っているマーベラスを除いた5人は
船室のテーブルの上にバスコが並べて置いていたままの5つの戦隊のレンジャーキーを見つめて考え込みます。
それはサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの
5つの戦隊の23個のレンジャーキーであり、
昨日ガレオンを乗っ取ったバスコが、これら5戦隊のレンジャーキーをテーブルに並べて、
自分がそれらの5戦隊から奪って持っていた5つの「大いなる力」をそれらのレンジャーキーに注入したまま、
そのまま置いてあったのです。

結局バスコはそれらのレンジャーキーを宝箱に戻すこともなくマーベラス一味との戦いに突入し、
敗れて死に、テーブルの上には「大いなる力」が注入された5戦隊の23個のレンジャーキーだけが残されました。
この5戦隊のレンジャーキーを宝箱に戻せば、
宝箱の中にある、もともとマーベラス一味が集めていた29戦隊の「大いなる力」と合わせて、
34戦隊の「大いなる力」が全部揃うことになります。

ならばさっそくそうすればいいのですが、鎧が異議を唱えます。
この5戦隊の「大いなる力」はバスコが無理矢理奪ったものであって、
スーパー戦隊の戦士たちに認めてもらって受け継いだものではないからでした。
マーベラス一味はこれまで29戦隊の「大いなる力」をそれぞれの戦隊の元戦士たちから認められて受け継いできました。
だから、この5戦隊の「大いなる力」も同様に元戦士たちの了承を得てから使うべきではないかというのが
鎧の意見でした。

1年前のマーベラス一味の面々ならばそんな意見は無視したことでしょうが、
このおよそ1年間の地球でのスーパー戦隊の元戦士たちとの触れ合いなどを通して
マーベラス一味の面々はスーパー戦隊に敬意を払うようになっていましたから、
ジョーもルカもハカセもアイムも、鎧の意見に賛成します。

そして起きてきたマーベラスもその意見を聞き、確かにこの5戦隊にも納得してもらって
「大いなる力」を受け継ぐべきだとは思いましたが、
しかし実際、どのようにしてこの5戦隊の居場所を見つければいいのか分からず考え込みます。
既に「大いなる力」がこのガレオンにある以上、
ナビィのお宝ナビゲートで5戦隊の居場所を教えてくれることも期待出来ず、
地道に5戦隊の行方を探し回るしかないのだろうかと考えたその瞬間、
5戦隊の23個のレンジャーキーから「大いなる力」が光となって飛び出して、
マーベラス一味の6人は一瞬にして白い光に包まれた空間に立たされていました。
これは黒十字王との戦いの時にスーパー戦隊の元戦士たちと対面した不思議な空間と同じ現象だということに、
あの時はまだいなかった鎧を除くマーベラス達5人は気付きました。

マーベラス達はこの不思議な現象の原理はよく分かっていませんが、
これは黒十字王戦の時と同じく、「この星の意思」の能力によって起こされた現象でした。
実際のところ、このサンバルカン、チェンジマン、フラッシュマン、マスクマン、ファイブマンの5戦隊は
第44話のクリスマスイブの時に、既にマーベラス一味に「大いなる力」を託して
自分たちと宇宙の命運を賭ける覚悟は決めていました。
だから別にマーベラス達がこのまま5戦隊の「大いなる力」を手中にして34戦隊の「大いなる力」を揃えて、
一気に「宇宙最大のお宝」に辿り着いても構わないと「この星の意思」は思っていました。

むしろ、遂に1年間待ちに待った日がやって来たわけですから、
「この星の意思」としては、さっさとマーベラス一味に「宇宙最大のお宝」に辿り着いて欲しかった。
それなのにマーベラス達が5戦隊の了承を得るまでは5戦隊の「大いなる力」を使わないつもりであることが分かり、
いちいちそんなに待っていられないと思った「この星の意思」は5戦隊からの了承を一気に済ませてしまうために、
マーベラス達6人を白いレンジャーキー空間に包み込んで、
そこにクリスマスイブの時にマーベラス一味を認めた5戦隊の元戦士たちの意識を召喚したのでした。

そこに現れたのは、5番目のスーパー戦隊のサンバルカンの元バルイーグルの飛羽高之、
9番目のスーパー戦隊のチェンジマンの元チェンジグリフォンの疾風翔、
10番目のスーパー戦隊のフラッシュマンの元グリーンフラッシュのダイ、
11番目のスーパー戦隊のマスクマンの元ブルーマスクのアキラ、
14番目のスーパー戦隊のファイブマンの元ファイブイエローの星川レミでした。

この5人の姿がいきなり白い空間にビジョンとして現れたことに鎧は驚きましたが、
マーベラス達は二度目の経験だったので冷静に受け止め、彼らの言葉を聞きました。
この5人のレジェンド戦士たちはマーベラス一味を自分達の戦隊の
「大いなる力」を受け継ぐ者として認める旨の言葉を述べ、
同時にマーベラス達の手に握られていた、この5つの戦隊のレンジャーキーに
改めて「大いなる力」が注がれ、5人のレジェンド戦士たちの姿が消えると共に白い空間も消えて、
マーベラス達6人は元のガレオンの船室の中に立っていました。

これでマーベラス達は正式に最後に残った5つの戦隊からも「大いなる力」を渡されて、
晴れて34戦隊の「大いなる力」の正式所有者となったのです。
これで誰にも憚ることなく、34の「大いなる力」を
1年前にマジレンジャーの黒い服の男(小津魁)に云われたように
「宇宙最大のお宝」を手に入れるために使うことが出来る。

ただ、黒い服の男も含め、今まで誰もマーベラス達に
34の「大いなる力」を使ってどのようにすれば「宇宙最大のお宝」を手に入れることが出来るのか、
その方法を説明してくれた者はいませんでした。
だから、今までならば、またここでマーベラス達は途方に暮れてしまうところでしたが、
昨日バスコがナビィに向かって言っていた言葉をジョー達5人がちょうど召喚戦士に化けて聞いていたのが幸運でした。
あの時バスコは「ナビィこそが宇宙最大のお宝に繋がる扉なのだ」と言っていました。

そこでマーベラス達は「大いなる力」の入った5戦隊のレンジャーキーを宝箱の中に入れて蓋を閉めると、
今度はナビィに詰め寄って、さっさと扉になるよう迫ります。
しかしナビィは自分が「扉」であるという自覚は無いので、何のことやら分からず困ってしまいます。
マーベラス達も困ってしまい、ナビィの身体に何か秘密があるのではないかと考え、
何時間もかけて散々弄りまわしますが、何も目ぼしい手掛かりも発見出来ず、クタクタになってしまいました。

そうして困り果てたマーベラスがふと宝箱の蓋を開けると、突然箱の中からの全てのレンジャーキーが光を発し、
34戦隊のレッド戦士のレンジャーキーが箱の上に飛び出して、ナビィに向けて「大いなる力」を光線状に発射し、
それを浴びたナビィは瞬時に船室の天井まで届きそうな平たい木製の扉の形に姿を変えてしまったのでした。
あまりの意外な出来事に唖然としたマーベラス達でしたが、
これがバスコの言っていた「宇宙最大のお宝へ繋がる扉」なのだと気付き、歓喜しました。

その「扉」は多数の鎖で封印されており、その鎖には全部で34個の錠前がついていましたので、
これはきっと先ほど宝箱から飛び出した34戦隊のレッド戦士のレンジャーキーを挿しこむに違いないと
直感したマーベラス達はそのようにしてみました。
すると予想通り、34個の錠前はレンジャーキー内の「大いなる力」の作用で光を放って鎖と共に弾け飛び、
遂に扉は開いたのです。

船室の中に屹立する平板な扉の開いた向こうの空間には長く細い石の壁に囲まれた通路が存在しており、
そこは一種の亜空間であるようでした。
マーベラス達6人はその通路の奥に「宇宙最大のお宝」が存在しているのだと理解し、
扉の中に入り、その通路を進んでいきました。

そうしてひたすら進んでいくと、薄暗い広い石室の空間に出て、
その円形の空間の中心に台があり、その上にある人の頭部ほどの大きさの三角錐型の物体が光を放ちました。
それでマーベラス達は、意外に小さいが、それが「宇宙最大のお宝」に違いないと思い、
マーベラスが近づいて手に取ります。
遂に今まで宇宙海賊の誰もが手に入れたいと思って手に入れられなかった伝説の「宇宙最大のお宝」を
自分達マーベラス一味が手に入れたのだと、6人は歓喜しました。

すると、その時、なんとその三角錐型の物体がマーベラス達に向かって語りかけてきたのでした。
マーベラス達はお宝が喋ったことに非常に驚きましたが、
その声の主はその三角錐型の物体を「お宝」と呼び、
自分は「お宝」を通じて話しかけているだけであり、「お宝」とは別存在の「この星の意思」だと名乗りました。
そしてその「この星の意思」は、このお宝を安置していた円形の石室は地球の中心なのだと言います。

つまりナビィの変形した扉から伸びた通路は地球の中心の亜空間に通じていたのであり、
そこに「宇宙最大のお宝」は隠されていたのだという意外な事実にマーベラス達は驚きますが、
それが何を意味するのか、また、そうした事実を教えてくれる「この星の意思」とは何者なのか、
そういう難しいことを考えるのは苦手だったので、
まずはルカが「この星の意思」に向かって、この三角錐型のお宝の価値はどれほどのものなのか質問します。
それに対して「この星の意思」は「その価値を決めるのは君たちだ」と答えるのでした。

マーベラス達には想像もつかないことですが、
「この星の意思」の正体は地球の人々の集合無意識が1つの意思を持ったようなもので、一種の巨大な思念体です。
「この星の意思」は40年前にこの「レジェンド戦隊の世界」が生じた時から、
地球の中心部の亜空間に三角錐型の「宇宙最大のお宝」が存在することを知っていました。

そんなものがどうして地球の中心に存在しているのかは、「この星の意思」には分かりませんでしたが、
その「お宝」が原初の世界に34のスーパー戦隊の世界が次々と融合してくるのを促進し、
世界の矛盾を調整して世界の融合を維持している装置であることは把握していました。
そして、「この星の意思」は34戦隊が地球上で悪の組織と戦うのを見守りながら、
1つ1つの戦隊の戦いが終わるたびに、その戦隊の世界とレジェンド戦隊の世界の融合を保つ
「大いなる力」というエネルギーがその戦隊の戦士たちの体内に
エネルギー体となって預けられるということに気付きました。
また、新たな世界が融合してくるまでの間に、
その前の戦いで地球に生じた悪のエネルギーの残りが地球中心の三角錐型の装置を通して
宇宙の果てのザンギャック本星に送られていくことにも気付きました。

どうしてそれらのような不自然なことが起こるのか「この星の意思」には理解出来ませんでしたが、
それほど不自然なことが起こるということは、
これは何らかの意思によって引き起こされているということは分かりました。
ならば、それが何者かの作為によって引き起こされているのならば、
それに反する自由意思も存在して良いはずです。

「大いなる力」がスーパー戦隊の戦士たちに預けられていくということは、
その判断が戦士たちの自由意思に委ねられているのだろうと解釈した「この星の意思」は、
戦いが終わって「大いなる力」を体内に受け取った戦士たちに向かって語りかけ、
この世界が融合世界であることを告げた上で、
体内の「大いなる力」を使って世界の融合をリセットするつもりはないか尋ねることにしました。

しかし融合世界のことも知らず、体内にいきなり生じた「大いなる力」に戸惑う戦士たちは、
いきなりそんな話をされて世界のリセットに乗り気になる者などいませんでした。
だいいち、世界の融合を解消してしまうと、
スーパー戦隊の戦士たち自身の存在が世界から消えてしまうのだと言われて、
わざわざ自分から消えたいと思う者などいるわけもなく、
戦士たちが世界のリセットをしようとは思うはずがありません。

そう言われると「この星の意思」としても、
この世界の変なルールが何か弊害をもたらしているわけでもなかったのでそれ以上は何も言えず、
また「大いなる力」は戦士たちの体内にある限り、「この星の意思」の力で動かすことも出来なかったので、
「この星の意思」は新たな戦隊が「大いなる力」を体内に獲得するたびに一応は融合世界のことを教えて、
世界のリセットの意思確認はしていきましたが、
それに対する戦士たちの答えはいつも「リセットはしない」というものであり、
その戦士たちの決定に「この星の意思」は従ってきました。

しかし世界の融合が34にも及ぶ頃には、「この星の意思」は
宇宙の大部分が「ザンギャック帝国」という悪質な独裁帝国によって支配されて
多くの宇宙の人々が絶望のどん底に叩き落とされているということを知り、
その根本的な原因が長い間地球の中心の「お宝」から宇宙の彼方のザンギャック本星に送られている
邪悪なエネルギーなのだと気付きました。
つまり、地球における34世界の融合が宇宙の彼方でザンギャックという悪の大帝国を生み育て、
宇宙が悪で支配されてしまったのです。
それを知って「この星の意思」は苦悩しました。

そこに今度は2011年になって、そのザンギャック帝国の大軍が地球に侵攻してきて、
それがあまりに強大であったので34のスーパー戦隊が結集して戦い、
奮戦したものの最後の最後でザンギャック艦隊に追い詰められて絶体絶命の危機となりました。
その時、34戦隊が持てる力を全て絞り尽くして上空の大艦隊にぶつけようとしたところ、
体内にあった「大いなる力」も飛び出してきたので、戦いを見守っていた「この星の意思」は慌てました。

34の「大いなる力」は34世界の融合したこの「レジェンド戦隊の世界」を成り立たせているエネルギーですから、
それが全て1ヵ所で炸裂すれば、その影響で世界そのものが根本的に消滅する危険がありました。
だから「この星の意思」は慌てて戦士たちの身体からの「大いなる力」の放出を半分に止めて、
戦士たちの体外に出た半分の「大いなる力」を操作してザンギャック艦隊を撃滅した後、
その「大いなる力」が失われないようにその場で結晶化して宇宙の彼方に飛ばしたのでした。
なお、結晶化した「大いなる力」がレンジャーキーの形になったのは「この星の意思」のやったことではありません。
もともと「大いなる力」は戦士の体外で結晶化するとレンジャーキーの形態になる特性があるようでした。

地球の中心部の亜空間には「宇宙最大のお宝」が安置されているだけではなく、
その「お宝」の安置されている空間に地上から行くことの出来る亜空間通路を開く「扉」も置いてあり、
「この星の意思」の力を使っても地球の中心から取り出すことが出来るのはその「扉」だけであり、
その「扉」を開いて亜空間通路を通って人間が地球の中心に行くことによってのみ、
地球の中心から「宇宙最大のお宝」を取り出すことが出来るようになっていました。
但し、その「扉」は鎖と34の錠前で封印されて開かなくなっていました。

もともと地球の中心にある「お宝」と「扉」の存在とその特性を知っていた「この星の意思」も