2011年03月28日

第6話「一番大事なもの」感想その1

今回は第6話で、東日本大震災発生による中断から復活して2回目の放送です。
番組中のCMは通常通りのバンダイ玩具やキャラクターグッズのものに戻りましたが、
提供クレジットの部分だけテロップとナレーションが無い状態でした。
おそらく私の家のある地域では玩具CMを流しているのでしょうけど、
地域によってはまだ玩具CMなどを自粛してACのCMを流しているのでしょう。
そういう地域に合わせて提供クレジット部分はまだ空白にしているのだと思われます。

さて、今回はレジェンドゲスト無しのゴーカイジャー単独エピソードで、
今までただ一人メイン回の無かったルカの初メイン回です。
といっても、これまでの回でメイン扱いだった他の4人も、
結構他のメンバーとのダブルメイン扱いだったり、レジェンドゲストと対等扱いだったりして、
純粋に単独メイン扱いというのではありませんでした。
そうなると、今回のルカが初めての純粋な意味での単独メイン扱いということになります。
しかもルカはここまでのエピソードでも脇役ながら随所で結構美味しい役回りを演じており、
少ない出番ながら抜群の存在感が光っています。
そして今回のメイン回でルカの魅力が爆発し、完璧にキャラが立ったといえます。
そういうわけで、メイン回が回ってくるのは遅かったが、ルカが冷遇されている印象は全く無く、
ゴーカイジャーの5人は皆、非常に魅力的なキャラなのですが、
今のところ、ルカが一番キャラが立っていると思います。

これはキャラを丁寧に描いてきた結果だといえますが、
それは他の4人も同様ですので、
特にルカの場合に際だった特徴としては、やはり演じる市道真央の演技、
スーツアクターの蜂須賀さんの動き、そして市道真央のアフレコの抜群の上手さと美声、
これらが全てルカというキャラにハマっているからでしょう。
まぁこれも、ルカのキャラが明確に設定されている結果なのですが。

今回のエピソードも相変わらず小ネタ満載で、コミカルでテンポ良いアクションも素晴らしいです。
ただストーリー自体は、かなりベタな「世の中にはお金よりも大事なものがある」という趣旨の
親子の愛情感動話なのですが、これと絡めてルカのキャラが非常に丁寧に描写されており、
海賊戦隊ならではの、戦隊ヒロイン史上かつてない「守銭奴ヒロイン」という、
描きようによってはトンデモなく嫌味になったり浮いてしまいかねないキャラを見事に成立させています。
これは今回のストーリーに工夫があるからでもありますが、
やはり何といってもルカというキャラの独特の魅力によるものが大きいといえます。

今回の普通に描くと湿っぽくなりそうなベタベタな感動ストーリーが
遊び心満載のライトコメディとして成立しているのは、
まずザンギャックの行動隊長のナノナノダのアドリブ爆発のキャラと、
そのナノナノダと軽妙な遣り取りを展開するルカの明るくさっぱりしたキャラ、
この双方の魅力によるものですが、
ゲストの春日井親娘(まぁ父親はかなり面白いキャラだが)との遣り取りでも
ルカの魅力がストーリーをライト方向にグイグイ引っ張っており、
やはり全体的にルカの魅力によって成立している、典型的なヒロイン回だといえます。

但し、そこで描きだされたヒロイン像は、シリーズにおいてかつてないタイプのものでありました。
考えてみれば、豪傑キャラのマーベラス、剣士キャラのジョー、
科学者キャラのハカセ、お姫様キャラのアイムというように、
海賊戦隊といいながら、意外に他の4人は海賊そのものから微妙にズレたキャラというか、
海賊戦隊でなくても成立しそうなキャラとなっている中、
ルカのいかにも「賊」っぽいキャラは貴重です。
そして、この「賊」イメージが子供番組的に許容出来る描写に絶妙に調整されているのです。
そういう意味でもルカのキャラというのは、
この「海賊戦隊」という独特の作品のカラーだからこそ成立したキャラなのだといえます。

まず冒頭は、第1話でも出てきた宝石店のシーン。
今日の買出し当番はルカとハカセのようだが、2人は買出しの帰りに宝石店に寄り道して、
ルカが宝石の指輪を購入しようとしているようです。
ちなみに買出しの食料の入った2つの大きな紙袋はハカセが持っています。
第4話でジョーの荷物をなんとか持とうとしていたアイムとは対照的なルカのキャラ描写といえます。
あの時も結論的には「荷物持ちは男の仕事」ということで、
別にアイムとルカのどっちかが間違っているということではないのですが、
男に荷物持ちをさせることをひたすら恐縮していたアイムと、
それを当然のこととして受け止めているルカの違いは鮮明といえます。

なお、ルカが宝石の指輪を買おうとしていることは、別に贅沢をしようとしているわけではありません。
もともと第1話で地球での当座の生活費のためにルカの指輪をマーベラスが売り払い
1000万円に換えていたのですが、その金は結局、ほとんどは5人の食費にしか使われておらず、
いくら地球の貨幣価値に疎いマーベラス一味でも、
そんなことのために1000万円も必要無いということがようやく分かってきたのです。
そこで、無駄金を現金で持っていても仕方ないので、当面は必要であろう現金は残して、
残りはまた宝石に換えておこうということになったのでしょう。

宝石を買うというのは贅沢ではなく、海賊らしい生活の知恵だといえます。
現実にも世界中の国を渡り歩く金持ち商人なども、財産を宝石に換えて持ち歩くことが多いのです。
宝石ならば何処の国に持って行っても価値の変動は少なく現金に交換可能で、
荷物にならずに肌身につけて持ち運ぶことが出来るので、便利なのです。
それと同じく、宇宙の星々を渡り歩く宇宙海賊ならば、
余分な現金を常に宝石化しておくのは、当然のたしなみといえます。
ただ、そうはいっても、ルカも女の子ですから、
自分の身につけるモノを選ぶのに「何でもいい」というわけにはいかず、
それなりにお洒落で可愛い指輪を吟味しているのでした。

さんざん迷った挙句、ルカが買おうと決めたのは500万円の赤い石をあしらった指輪でした。
店員に頼んで包んでもらっていると、
そこに派手な格好をした少女がやって来て、ルカを突き飛ばし、
この店で売ってる商品を全部買うと言ったのです。
店員は少女が冗談を言っているものだと笑って相手にしません。
店の全商品を合わせると20億円にもなるのだそうです。
高校生ぐらいに見える少女がそんな大金を持っているはずはないのです。

ところが少女が取り出したクレジットカードを見て、店員は態度を豹変させ
「春日井様の!・・・これは大変失礼いたしました!では、すぐに・・・」と頭を深々と下げて、
本当に全商品をまとめるために奥へと消えていきました。
どうやらこの少女は春日井という家の娘であるようですが、
春日井家とは、よほどの大金持ちであるようです。

なお、この時、少女が出したクレジットカードは、また小ネタが仕込まれています。
ただし今回は戦隊ネタではなく、ライダーのネタです。
このクレジットカードは真っ黒なプレミアムカードで、
おそらく限度額の無い特別な金持ち専用のカードなのでしょうが、
その発行しているカード会社の名前が「CJX」となっています。
JCBやVISAをもじったものなのでしょうが、ICチップ部分が何やら変な形の模様で、
これはよく見たら「仮面ライダーW」の劇中で身体にガイアメモリを挿入する際に
皮膚上に浮き出た生体コネクタの模様です。
となると、「CJX」というのも、仮面ライダーWの最強フォームである
「サイクロンジョーカーエクストリーム」の略記号のこととなります。
つまり、このカードには「仮面ライダーW」の小ネタが仕込まれているのです。

どうしてまた戦隊ではなく仮面ライダーWなのかというと、
今回の第6話の監督の坂本氏はスーパー戦隊シリーズでは初登板ですが、
「仮面ライダーW」のローテーション監督の1人として参加しており、
ライダー映画最高傑作とも言われる「仮面ライダーW AtoZ 運命のガイアメモリ」の監督も務めており、
「仮面ライダーW」への思い入れがハンパでない監督なのだからです。

さて、少女の派手な買物に唖然としていたルカとハカセですが、
そうしている間に少女の方の商談が成立してしまい、ルカの買物は無視された状態で、
つまりルカの買おうとしていた宝石もこの少女によって買われてしまったということになります。
我に返ったルカは不満そうに「ちょっと!あたし、これ買おうとしてたんだけど!」と少女に抗議します。
しかし少女はツンとして「早い者勝ちでしょ!うるさいよ!」とルカを無視します。
いや、早い者勝ちならば実際はルカの方に優先権があるはずなのですが。
この場合、ルカも店員に抗議するのが筋なのでしょうが、
少女の生意気な態度にカチンときたルカはさらに少女に突っかかろうとします。

すると、そこに成金風の中年オヤジが現れて
「小牧!今度は宝石を店ごと買いか!?」と呆れたような口調で溜息をつきます。
そして少女に近付いて「金は幾らでも有るとはいえ、こう次々と・・・」と説教を始めますが、
少女はプイッと無視して店の外に向かいます。
中年オヤジは少女の後姿に向かって「小牧!親に向かってなんて態度だ!」と怒りますが、
少女はそのまま出て行ってしまいました。

どうやらこの成金オヤジが少女の父親であるようです。
さきほどのカードの名義人欄は「KOUZOU KASUGAI」となっており、
成金オヤジの父親は春日井高蔵という名前だそうです。
そして娘の名前は春日井小牧のようです。
ちなみに「春日井」「小牧」は共に愛知県に存在する地名で、愛知県には「高蔵寺」という地名もあり、
この親娘は愛知県にちなんだネーミングになっています。

この「ゴーカイジャー」のメインライターであり
今回のエピソードも書いている荒川稔久氏は愛知県出身で、
スーパー戦隊シリーズ脚本家陣の中で最もシリーズにおけるキャリアの豊富な脚本家ですが、
毎作品、必ず1回は自分の出身地である愛知県ネタを盛り込むことで有名です。
今回も愛知県ネタが早くも炸裂したようです。

それはともかく、小牧は父親の高蔵も呆れるほどの浪費家のようで、
しかも父親のことを嫌っているようで、注意しても聞く耳も持たないようです。
かなりのロクデナシのワガママお嬢様のように見受けられ、父親の高蔵も手を焼いているようです。
ルカも小牧のバカバカしい買物の仕方に呆れて
「何あの子!お金の価値ってもんを知らないんじゃない?」と悪口を言います。

金にあかせて店の商品丸ごと買いを続けているとは尋常ではありません。
そりゃ金持ちならば一定の贅沢をするのは普通でしょうが、
小牧の買物の仕方は、まるでお金を浪費すること自体が目的となっているように見えます。
つまりは、自分が金持ちであることを自慢するために無茶苦茶な買物をしているのだろうとルカは思いました。
それは、お金大好き人間のルカには許し難い態度でした。
ルカがお金を大好きなのは、お金が商品と交換出来る価値あるものだと思っているからです。
しかし、小牧はお金の対価として品物よりも、自分のつまらない虚栄心を得ようと思っているように見えました。
それはお金の価値を貶める行為だとルカは思ったのです。

ルカはお金を非常に価値あるものだと思っていますから、お金を大事にします。
それゆえ、ケチで守銭奴なのです。
一方、小牧はお金を浪費することを好むわけで、
お金を大事に思っておらず、お金の価値を軽んじているといえます。
同じように高価な宝石を買おうとしていた2人ですが、そのお金に対する考え方は正反対なのです。
ルカは500万円の指輪をそれ相応の価値あるものと認めて、
その対価として妥当と思われる500万円をちゃんと払おうとしていました。
その自分の真っ当な取引を、
小牧のくだらない虚栄心を満足させるためだけの中身の無い買物のせいで邪魔されたのが、
心底腹立たしいのです。

そのルカの娘に対する悪口を聞いて、高蔵は「ほう・・・君もそう思うか?」と何やら同感の様子です。
高蔵も娘があれほどの浪費をするほどの大金持ちである割には、
どちらかというと、ルカのようにケチで守銭奴のお金大好き人間の部類であるようです。
ルカはまだ小牧への怒りが収まりませんので
「当ったり前でしょ!この世はお金で動いてるのよ!」とまくしたてます。
すると高蔵はそのルカのキッパリした金銭観が気に入ったようで
「いいね君!うちで働かんか?」と、いきなりリクルートし始めます。

意外な展開に「え?」と呆気にとられるルカとハカセに対して、
高蔵はニヤニヤ笑いながら「なんならさっき欲しがってた宝石・・・君にやるぞぉ?」と言いながら、
両手の指に幾つもはめたキンキラの指輪やネックレス、金縁眼鏡などを、
これ見よがしに見せつけます。
なんとも酷い成金趣味で、露骨な「札束で頬を叩く」勧誘の仕方です。
ところがルカはこれに目を輝かせて「え!?マジ!?」と嬉しそうな反応を示します。
高蔵はルカの金銭欲が異常に強いことを理解した上で、
そういう相手にはこれぐらい露骨な勧誘の仕方が効果的だと分かって、わざとやっているのです。
まぁ自分も同類なのでよく分かるのでしょう。

一方、ハカセは守銭奴ではないので、
高蔵の成金趣味丸出しの勧誘の仕方にむしろ怪しさを感じました。
こんな甘い話には絶対に裏があるに決まってると思ったのです。
常に最悪の事態を想定するハカセらしい判断です。
かといって、すっかり乗り気になっているルカを説得するのは難しそうです。
そこでハカセは「うわ〜・・・趣味悪ぅ・・・胡散臭ぁ〜!」とワザと声に出して、
高蔵の機嫌を損ねて勧誘話そのものを潰そうとしますが、
ルカはハカセの脇腹に強烈な肘鉄を喰らわせ黙らせます。
そして「やります!あたし、ガッツリ働きます!」と急に甘えた可愛らしい声に変わり、
バイトを引き受けてしまったのでした。

ここでOPテーマが始まります。
今回のOP冒頭のナレーションは、やはり「冒険とロマンを求めて〜」バージョンの方です。
やはり、レジェンド戦隊絡みの回とゴーカイジャー単独の回で、
冒頭ナレーションと映像は使い分ける方針のようです。
また、OPテーマのサビ2回目のゴーカイオーの一連のカットの部分は、今回マイナーチェンジが施されており、
マジゴーカイオーのカットの後に、前回登場したデカゴーカイオーのカットが挿入されています。

さて、CM明け、「一番大事なもの」という今回のサブタイトルが出て、本編が始まります。
ゴーカイガレオンには買物袋を抱えてハカセだけが戻ってきます。
ルカはあのまま高蔵に連れられて春日井家の屋敷に行ったようです。
ハカセの話を聞いて「まぁ!ルカさんがお金持ちの方のお屋敷で・・・?」とアイムは驚きます。
ルカと金持ちの取り合わせが意外だったのです。
「大丈夫なのか?・・・色んな意味で!」とジョーは何やら面白そうにしています。
いかにも胡散臭そうな成金オヤジが何か変なことを企んでいるのは明白だとジョーにも思えたのですが、
同時に、どうせルカもまた良からぬことを企んでいるのだろうと思い、
何かまたおかしな騒動を引き起こすのではなかろうかと、半ば心配し、半ば面白がっているようです。

「怪しい!チョー怪しいよ!その話!」とナビィはけたたましく騒ぎます。
ナビィは高蔵が怪しいということだけ気になって、ルカの身を心配しているようです。
「僕もそう言ったんだけど、その娘と成金オヤジに一泡吹かせて、しっかり元も取るんだって、
鼻息荒くなっちゃって・・・」とハカセは苦笑いします。
ルカはどうやら単に報酬に目が眩んで高蔵について行ったわけではなく、
ジョーの思ったように、何やら良からぬことを企んでいるようです。
ハカセはそういう危なっかしいことはあまり感心していないようですが、
マーベラスはニヤニヤして「ヘッ!・・・あいつならガッツリふんだくってきそうだな!」と
非常に楽しみにしている様子です。

ここで、マーベラス一味が、これまでどのようにして生計を立ててきたのか、ちょっと考えてみます。
マーベラスたちは、ルカの指輪なども含め、それなりに豊富な財産をゴーカイガレオンに積んでいます。
普通の海賊ならば、それらは略奪してきたものなのでしょうが、
前回の第5話でバンが調査した結果、マーベラス一味の海賊行為は、
全てザンギャックの捏造したものだったことが判明しています。
かといって、彼らが定職を持っているようにも見えません。
おそらく、不定期でかなりの高額の臨時収入が見込める何らかの仕事があるのでしょう。
しかもそれは略奪などの明らかな犯罪行為ではない。
しかし彼らはザンギャックに追われる身だったのですから、その仕事は合法的なものでもなかったのでしょう。
ある種、非合法な仕事で、かといって犯罪行為でもない、グレーゾーンの裏仕事のようなものです。

こういう仕事は、社会が平和で秩序が保たれていれば、あまり需要はありません。
公的機関があらゆる住民の安全を保障しサービスを提供するからです。
しかしザンギャック支配下の宇宙の星々では、
支配者であるザンギャックそのものが住民の安全や財産を脅かす悪辣な存在なので、
ザンギャック自体が住民に危害を加えたり、そうでない場合も、
ザンギャックは住民の安全を積極的に守ろうとはしません。
つまり秩序が維持されていない無法地帯なので、
住民たちは自分の命や財産は自分達で守らねばならなくなります。

しかし、なかなか自力では守りきれない人も多いです。
特に自分の身さえ守れば済む貧乏人はまだしも、
多くの財産を持つ金持ちの場合、その財産を全部守りきるのは大変である上に、
その財産を狙ってザンギャックやその他の無法者たちが襲ってくるケースも多く、
腕の立つアウトローの用心棒を雇って財産を守ることになります。

マーベラス一味も、不定期にそうした稼業を生業にしていたのでしょう。
何か裏の事情を抱えていそうな金持ちを見つけては、上手くそこに潜り込んで、
何かトラブルが起こるたびに自らの腕前をアピールして、高額の仕事料をふっかけるわけです。
そうした裏仕事の報酬として、金持ちから交渉の末、
時には裏のある金持ち連中との騙し騙されの丁丁発止の駆け引きの末、
ふんだくってきた財貨が、ルカの指輪であったり、
その他のゴーカイガレオンに置いてある財宝であったりするわけです。

ふんだくられた側から見れば、まさに一味は「賊」のように見えるでしょうが、
それは汚い金であったりするので一味の行為は「義賊」的行為であったりもするのです。
また、そういう場合、被害者の金持ちは裏事情があるので被害届も出せません。
実際、バンの調べた結果、マーベラス一味は本物の被害届を出すような悪事は働いていないのですから、
「賊」的行為を行っていたとしても、それは義賊的行為だけなのでしょう。

もちろん、そうした稼業は一味にとっては、どちらかというと副業のようなもので、
本業は隠された財宝を探したりすることなのでしょうが、
この副業も生きていくためには結構大事で、
特にルカはその図々しい性格などからも、交渉能力に優れ、この副業でも一味の重要な戦力なのだと思われます。
地球は彼らの暮らしていた宇宙とは違い、そこまで無法地帯ではないのですが、
ルカは今までの感覚で、この春日井高蔵という金持ちもカモにしてやろうと思っているようです。

そしてまた、ルカのそうした金持ちから大金をふんだくる能力の高さを信頼しており、
基本的にムチャなことが好きなマーベラスは、
きっとルカが上手く儲けてくることだろうと楽しみにしているのです。
そしてジョーは半ばそれを期待し、半ばはルカが調子に乗り過ぎるのではないかと心配し、
ハカセは春日井家の事情をよく調べもしないまま金の臭いだけで突っ走っていったルカのやり方を危惧しており、
アイムはあまりよくルカの意図が分かっておらず、
単に高額バイトに行ったぐらいに呑気に解釈しているというところでしょう。
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 21:18 | Comment(0) | 第6話「一番大事なもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月29日

第6話「一番大事なもの」感想その2

その頃、金ピカの春日井屋敷では、ルカがメイドコスチュームで登場し、満面の笑顔でクルリと回って
「お帰りなさいませ、ご主人様!・・・な〜んちゃって!」と、カメラ目線で挨拶します。
雇い主の高蔵に挨拶してるかと思いきや、
高蔵は横で「無駄な挨拶はいい!」とすかさずツッコミを入れており、
どうやらこの挨拶は視聴者向けのサービスのようです。
なんでサービスをしてるのかというと、メイドのコスプレをしてるからです。

脚本の荒川氏は戦隊ヒロインを描くのに極めて定評があり、
ヒロインのアイドル話やコスプレ話を非常に得意としており、
とてもこの手のエピソードにこだわりが強いのです。
そもそも今回ルカがメイド姿になる必然性は無く、その上、視聴者に媚びた挨拶までやらせるとは、
荒川氏の趣味が今回も暴走し始めています。これはもちろん、良い意味での暴走です。
かつて「ゴーオンジャー」で「歌姫デビュー」という伝説のカオス回を作りあげた脚本家ですから、
これぐらい、まだまだ大人しいぐらいですが、この後、ルカの魅力が炸裂していきます。

「時は金なりだ!来い!」と言って、高蔵はメイド姿のルカを連れて屋敷内を案内します。
雇い主になった途端、態度が豹変して、やたらと威張ってます。
そして置いてある壺やら甲冑やらの高価であることの自慢をして、壊したら倍の慰謝料を貰うなどと、
金の亡者丸出しの卑しいセリフを連発します。
さすがのルカも高蔵の下品さには呆れて、憮然とした表情となり
(何このオヤジ!・・・マジ嫌な感じ!)と心の中で呟きます。

そして、とある部屋に入ったところで、
部屋の奥に進もうとするルカを高蔵は「止まれ!」と慌てて止めます。
「何よ!?」と鬱陶しそうにするルカですが、
高蔵は胸元から万年筆を取り出すと、部屋の奥の方へ投げ込みます。
すると、一瞬にして空中で万年筆は火花と共に消滅してしまいました。
「あ・・・?」と驚くルカに向かい高蔵は「この奥へは誰も入れん!世界一のセキュリティだ!」と自慢げに言いながら、
懐から取り出したサングラスをルカにかけるように促します。
そのサングラスをルカがかけて見ると、そのサングラスは赤外線を可視化出来るメガネのようで、
部屋の中はびっしりと無数の赤外線レーザーが張り巡らされているのが見えました。

確かにこれでは誰も部屋の奥へ行くことは出来ないでしょう。尋常ではないセキュリティです。
そこまでして守りたいものがこの部屋には有るということですが、
部屋の中には、奥のほうに植木を置いた卓があるだけです。
「何なの?・・・あれいったい何!?」とルカが驚いて質問すると、
高蔵はニヤリと自慢げに笑い「金のなる木だ!」と答えたのでした。

「何?金のなる木?」とワルズ・ギルはバリゾーグに問い返した。
場面はここで突然、地球を見降ろす宇宙空間上のギガントホースの艦橋に移ります。
バリゾーグは相変わらず冷静な口調で「Yesボス・・・文字通り、果実の代わりに黄金のなる木です」と説明します。
そこにホログラムで映し出された「金のなる木」の姿は、
春日井屋敷でルカが目撃した、あの厳重なセキュリティの部屋の奥にあった植木そのものでした。

バリゾーグは春日井屋敷にある「金のなる木」の存在に気付き、
そのことを司令官のワルズ・ギルに報告しているようです。
その説明によると、果実の代わりに黄金の実が枝に実る、世にも珍しい木のようです。
ワルズ・ギルが知らないぐらいですから、宇宙でも極めて珍しい植物なのでしょう。
どうしてそんなものが春日井屋敷に存在するのか謎ですが、
バリゾーグは結構真面目に地球に関する情報収集をしているようです。

「黄金を半永久的に生み出せるとは・・・」とダマラス参謀長も感心しているところを見ると、
この木はかなり寿命も長いようです。
また、黄金というものが地球上だけでなく、ザンギャック支配下の宇宙全体でも価値あるものだということも分かります。

インサーンもうっとりして「欲しい・・・ワルズ・ギル様、この木が有ればどんな武器の開発も思いのままです・・・」と、
ワルズ・ギルに甘えるように擦り寄ります。
てっきり女性特有の黄金好きなのかと思いきや、武器開発の資金欲しさであったあたり、
マッドサイエンティストのインサーンらしい動機です。
やはり黄金はザンギャック帝国においても莫大な富を生み出す物質であるようです。
そういえば前回、マーベラスに破壊されてしまった地底ミサイルは
かなりの開発費を投じたのだとインサーンは言っていましたが、
もしかしたら、ああいう失敗に重なって、ワルズ・ギル軍団の台所事情は結構苦しくなってきているのかもしれません。

そういう事情もあってか、それとも単に女にいいカッコをしたいだけなのか、
ワルズ・ギルは「よかろう!必ずその木を手に入れるのだ!!」と、颯爽とバリゾーグに指令を下します。
バリゾーグに命じるということは、どうやら強奪するつもりのようです。
買ったり交渉して譲って貰おうなどという発想は全く無いようで、
確かにこんな帝国に支配されている領域は無法地帯になるのも当然です。
バリゾーグはそうした帝国の流儀は百も承知ですから、手回しは良い。
ワルズ・ギルに報告した時点で作戦準備は既に終わっています。
そうでなければワルズ・ギルの側近など務まりません。

バリゾーグは恭しく一礼し「既に手筈は整えてあります・・・ナノナノダ!」と、入口の方に向けて呼びかけます。
すると、入口のドアの前に怪人が突然、姿を現し、「俺はさっきからここにいるぜぇ〜っ!!」と喚きます。
どうもこの怪人ナノナノダが今回のバリゾーグ推薦の行動隊長のようですが、
もともと部屋の中に姿を消して潜んでいたようです。

「ホントに?全然気配を感じなかったわ!」とインサーンは驚く。
ワルズ・ギル達もいきなり現れたナノナノダに驚いているようです。
バリゾーグもちょっと驚いているようですが、
おそらくバリゾーグはナノナノダの特殊能力は承知しているはずなので、
断りなく作戦会議の場に忍び込んでいたナノナノダの突飛な行動に驚いているようです。
しかしナノナノダはすっかり調子に乗って
「存在を消し、どんなに厳重な警戒網もくぐり抜ける技を備えた男・・・それが俺だああああ!!」と叫ぶと、
「消えま〜す!」と呪文を唱えてまた姿を消しました。

既にバリゾーグから金のなる木強奪作戦を命じられており、
今この場でワルズ・ギルの司令も下ったわけだから、さっそく春日井屋敷へ向かったようです。
確かにその隠密能力は金のなる木を盗み出すにはもってこいかもしれませんが、
ナノナノダという名前からしても、その言動からしても、どう見てもギャグ怪人です。
かなり頭も悪そうなのですが、こんな行動隊長で本当にいいのでしょうか。
ちょっとバリゾーグの選定眼も怪しいと思わざるを得ません。

舞台は再び春日井屋敷に戻り、例の金のなる木の安置してある部屋でのルカと高蔵のシーンの続きです。
「あれさえあれば一生遊んで暮らせる・・・」と高蔵はルカに自慢げに言っています。
金のなる木が黄金の実を半永久的に生み出す能力があるということは既に説明したようです。
高蔵が宝石屋で「金はいくらでもある」と言っていたのは、
この金のなる木によって黄金が手に入るからであったのです。
春日井家の莫大な財力の源は、この木であったのでした。

ルカのこれまでの金持ち相手の裏稼業の経験では、こういう展開の場合、金持ちの依頼内容は1つであった。
「あたしにあの木の世話をしろって言うのね?イエッサー!!」とルカは結論を先回りして張り切る。
こういう場合、金持ちは自分の一番大事な財物の警護を依頼してくるのが定番なのである。
ところが高蔵は「勘違いするな!」とルカを一喝します。
そして金のなる木を目を細めて見つめ「あれを見せて自慢したかっただけ!」と言う。

確かに、よく考えたら高蔵はルカが宇宙海賊の一味だと知らないわけですから、
ただの威勢の良い女の子としか思っていないわけです。
ならば一番大事な金のなる木の警護や世話係など頼むはずもない。
もったいぶってルカに金のなる木を見せたのは、単に自慢したかっただけのようです。
嫌味な性格のオヤジです。
おそらく誰かれ構わずこの部屋に案内して自慢するクセがあるのでしょう。
それはつまり、この部屋のセキュリティによほどの自信があるということでもあります。

しかし、ならば何のためにルカを雇ったのか謎です。
それについては高蔵はすぐに明かしてくれました。
「お前の仕事は、ワガママ娘の世話係だ!」とのことでした。
よりによって、あの嫌な感じの娘の世話係が仕事内容であったとは、
予想外の展開にルカは「えええ〜?」と不満そうな声を上げます。

ルカは、娘の世話に手を焼いた高蔵に騙されて面倒を押しつけられたのでした。
高蔵にこういう下心があったので、ハカセは怪しさを感じ取ったのでしょうが、
指輪に釣られて金をふんだくってやろうと意気込むあまり、ルカはまんまと騙されてしまったことになります。
娘の世話係などでは単なるメイドの仕事でしかなく、大して報酬をふんだくれそうにないから、
こんなのは割に合わないのです。

ただ、ここで高蔵が単純にルカを騙して面倒を押しつけたと考えるのは、少し間違いでしょう。
あの宝石店でたまたま出会ったルカをわざわざ誘ったということは、
高蔵はルカのことを気に入っていたはずです。
あの時の遣り取りからすると、ルカが極度にお金を大事にしていることを高蔵は見抜き、
それは高蔵が娘に教えたいと思っていることと同じだったのですが、
娘は自分の言うことは聞いてくれないので、代わりにルカを世話係にして、
ルカによって娘を躾け直して、お金の大切さを教え込ませようとしたのでしょう。

まぁルカから見れば成金趣味丸出しの高蔵も娘の小牧と五十歩百歩の浪費家で、
自慢ばかりするクセにケチ臭い分、むしろ父親の方が性質が悪いとも思えたが、
とりあえずは娘の小牧の性根でも叩き直しつつ、儲け話を探そうと思い、
小牧の散らかった部屋の掃除に取りかかった。
そうしてルカが1人で小牧の部屋の掃除をしていると、
ソファの上にウサギの古いぬいぐるみが有るのを見つけました。
軍手に綿を詰めてボタンを縫いつけて目のように見せた、非常にみすぼらしく汚いぬいぐるみで、
高価そうな品物の散らかる部屋の中では異彩を放っていました。

「何これ?汚いぬいぐるみ・・・」と、そのぬいぐるみを拾い上げたルカは顔をしかめて、
そのぬいぐるみをゴミ箱に放り込みます。
ちょうどそこに小牧が帰ってきて、部屋に入ってきました。
小牧はぬいぐるみがゴミ箱に放り込まれるのを見て、ひどく狼狽し
「ちょっと!何すんのよ!?」と金切り声を上げて、ぬいぐるみを拾い上げると、
「汚い手で触んないでよ!出てって!」と怒鳴り、ルカを部屋から追い出してしまったのでした。
ルカは部屋に戻ろうとしますが、小牧は中からカギをかけてしまい、入れません。
「ああもう!何なのよ一体!?」と、ワケが分からないルカは憮然として去って行きます。
どうも、このぬいぐるみは小牧にとって大事なもののようなのですが、
ルカはそんなことは分からないので、単に小牧が自分のことを嫌いだから怒鳴ったのだろうと考えています。

ムシャクシャしたルカは居間のソファに座ってモバイレーツを取り出し、
ゴーカイガレオンのマーベラスに連絡をとります。
「どいつもこいつも最悪!娘は感じ悪いし、オヤジは金の亡者だし!」と、電話口でグチを言うルカに対して、
マーベラスは「フフ・・・お前に言われるんじゃ、よっぽどだな!」と面白がります。
確かに、ルカも金の亡者のようなものですから、そのルカが嫌悪するとは、
よほど極端な金の亡者なのだということになります。
「そうだそうだ!」とナビィも囃したてますが、
これはルカが他人を金の亡者と悪く言える資格は無いのではないかという皮肉の意味合いも多少あるようです。

マーベラスの周りには他の仲間たちも集まっており、
皆にもルカの通話する声は聞こえており、ルカにも皆の声も通じているようです。
「・・・ったく、どうしたらあんなイヤな家族になんのよ?」とルカはまだグチを言います。
よほど春日井親娘が嫌いになったようです。
そのグチを聞くマーベラス達であったが、
その中でハカセは一人、「春日井・・・高蔵・・・」と呟きながらキーボードを操作して、何やら検索をしている。
春日井高蔵について情報収集しているようです。

モニターには春日井高蔵に関する過去の新聞記事などが出てきます。
それをハカセが読み上げます。
「・・・地球に落下した隕石から発芽した金のなる木を偶然見つけて超大金持ちに・・・?」と
ハカセが驚きつつ読み上げるのを聞いて「金のなる木〜!?」とナビィが驚きます。
マーベラス達も少々驚いた様子です。やはり金のなる木は彼らも知らない、本当に宇宙でも珍種のようです。
ただ地球では春日井高蔵が金のなる木を所有していることは割と有名な事実のようですが。

ただ、ハカセが引っ掛かったのは、金のなる木のことだけではなく、別の部分にもあったようです。
「・・・だけど、もともとは父1人子1人のド貧乏だったんだって・・・」と、
ハカセは記事に書いてあった意外な事実を告げます。
もともとは貧乏だった親子が、金のなる木を手に入れただけで、あそこまで豹変するものかと、
2人と直接会ったハカセには少々感慨深いものがあったのです。
一方、そのハカセのもたらした情報を聞いたルカはモバイレーツを握りしめて
「・・・ド貧乏・・・」と呟き、表情を変えます。
春日井親子への怒りは何故か引っ込んでしまったようで、思わずルカは物思いにふけります。

さて、その春日井屋敷の門の前にナノナノダが現れます。金のなる木を盗みに来たのです。
「ヘッヘッヘ・・・これでもう誰も俺を止められない!」とせせら笑って姿を消したナノナノダは
門へ向かって道を横断しだしたところ、いきなりトラックに轢かれます。
姿が見えないものですからトラックはノーブレーキで思いっきりナノナノダを吹っ飛ばしてしまいました。
フラフラになって「姿消すのここからでよかったかも・・・」とボヤキつつ門を乗り越えるナノナノダ。
アホです、やっぱり。

しかし、門を越えた後、姿を消したナノナノダは誰にも気付かれずに金のなる木のある部屋まで辿り着きます。
さすがに姿を消す能力は便利です。
しかし、ここでナノナノダは「見えま〜す!」と呪文を唱えて姿を現してしまいます。
姿を消したままの方がいいのに、やっぱりアホです。
それでもナノナノダは「完璧な潜入だ!」と自画自賛、
さらに、よほど盗みに入る能力に長けているようで、例の赤外線ビームのセキュリティ網が肉眼で見えるようです。
「こんなセキュリティは、楽勝で通過出来るぜぇっ!!」と指を突き出し豪語するナノナノダ。
なんだか口調や仕草がちょっとゴーオンレッド江角走輔みたいです。

で、どうやって通過するのかと思ったら、
なんと1本1本のビームを避けてかいくぐっていくという、何とも地味な方法。
しかし、これをブツクサ軽口を叩きながら、細い隙間をくぐり抜けていく身体の柔軟さは大したものです。
ただ、やはり時間がかかり過ぎる。
ナノナノダがそうやってモタモタしている間に、部屋の前を小牧が通りかかります。
ナノナノダは迂闊にも部屋のドアを開けっぱなしにしていたので、
小牧は部屋の中で身体をクネクネさせつつ金のなる木へ一歩一歩近づいていくナノナノダを発見して、ギョッとします。
ナノナノダの方は小牧の視線に気付いていません。

小牧は慌てて異変を誰かに知らせようとして駆け出しかけますが、
何故か立ち止り、少し考え込みます。
そして、どういうわけか、誰にもナノナノダの潜入を知らせようとはせず、
そのままその場に身を潜めてナノナノダの行動を見守るのでした。
ところが、そこに今度はメイド姿でハタキを持ったルカが通りかかり、
「何やってんの?」と小牧に声をかけます。

部屋の中を覗きこむルカに向かい、ナノナノダが驚いて「誰だ!?」と問い糺します。
なんでナノナノダが偉そうにしてるのか意味不明です。
当然ルカは「あんたこそ誰よ?」と、見るからに怪しい怪人に問い返します。
ナノナノダはアホなので律儀に「この俺様こそ、ザンギャックの行動隊長、ナノナノダ〜!!」と答え、
決めポーズで指を突き出しますが、その指が赤外線ビームに当たり、火花が飛びます。
その熱さに驚いたナノナノダは慌ててのけぞり、その身体がまた別のビームに触れ、
連鎖的にナノナノダはビーム網に引っ掛かりまくって火花が散りまくります。
そのまま大慌てでナノナノダは部屋の外に向かって突進してきます。

いや、別にビームを浴びても平気なのだったら最初から真っ直ぐ突っ込んでいけばいいようにも思います。
今の場合もどうせビーム網に引っ掛かってしまったのだから、そのまま金のなる木を奪えばよかったのですが、
ナノナノダは動転してそんなことも出来なかったようです。
もうこれは完全にバリゾーグの人選ミスとしか思えません。

ナノナノダが部屋の外に飛び出してきたので、ルカは小牧を守るため、小牧を連れてひとまず逃げ出します。
そして庭に出ますが、ナノナノダは追いかけてきて、慌てた小牧は途中で転んでしまいます。
ハッとして立ち止まって振り向くルカの視界に
「待て待て待て待て〜い!おい!コラ!覚悟しろ〜!!」と喚いて迫るナノナノダが入ってきます。
ナノナノダはもう完全に本来の目的を忘れてしまっているようです。
小牧を追いかけている場合じゃないはずなのですが、まぁそれにしても、小牧のピンチではあります。

そこに高蔵が泡食って登場し、ナノナノダの後ろから何か叫びます。
てっきりナノナノダから小牧を守ろうとして何か言うのかと思えば、
なんと「金のなる木は無事か!?・・・金のなる木は!」と、娘よりも金のなる木の心配をします。
これには小牧もガッカリした表情となります。
一方ナノナノダは高蔵に対して「お前が金のなる木の持ち主かぁ!?こうなったら力づくで奪い取ってやるぅ!!」と、
錯乱して襲いかかります。
金のなる木を奪うという目的を思い出したのは立派ですが、
高蔵を襲ったからといって何の意味もありません。
ただ高蔵にとっては一大事です。
慌てて逃げ出しますが、庭に置いていた椅子に座りこんで腰を抜かしてしまいました。
そこにナノナノダが迫ります。高蔵の絶体絶命のピンチです。

そこに颯爽と割って入ったのがルカでした。
メイド服を翻してナノナノダにハイキックと前蹴りを喰らわしてひるませると、
高蔵の前に立ちはだかり、後ろの高蔵に向かって
「ねぇ!コイツを追っ払ったら、いくらくれる?」と商談に入りますが、
高蔵はルカのことを普通の女の子だと思っているので、ルカが何を言っているのか理解出来ません。

ナノナノダもルカのことを一般人だと思っているので
「ふざけるなぁ!!お前のような小娘!俺様の相手ではなぁい!!」と叫んで襲いかかってきます。
全く、他の行動隊長は一応マーベラス一味の人相ぐらいは皆、把握していたというのに、
このナノナノダはホントにダメな奴です。

ルカは余裕でナノナノダにエルボーを喰らわし、更に前回し蹴りを炸裂させます。
ちなみに先ほどのハイキックのカットは後姿だったので吹き替えでしょうが、
ここのカットは明らかに市道本人がアクションしています。
例年、素面役者の立ち回りアクションはもっと後、だいたい1クール目終了あたりになってからなのですが、
ゴーカイジャーの場合、前回のマーベラスといい、かなり例年よりも素面アクションが早くから試みられています。
立ち回り以外のアクションも含めると、第3回の崖のシーンや、第4回のジョーの特訓シーンなどもあり、
今年はかなりアクションは積極的な印象です。

もちろん吹き替えも多用されているのですが、
吹き替えと本人アクションの繋ぎが抜群に上手いのも今年の特徴だといえます。
それは編集や撮影が上手いというのももちろんありますが、
素面役者がかなり動けているということと、吹き替えとのシンクロ率が高いということでもあるでしょう。
これは、スーツアクターさん達とのシンクロ率の高さからも、
彼ら素面役者のアクション適性がかなり高いことは想像出来ることです。
まぁもちろん今年のスーツアクターさん達は例年以上に気合いが入っているのも確かですが。

さて、このまま変身してナノナノダを撃退することはルカには簡単なことなのですが、
そんなことをしてしまえば商売になりません。
こういう時こそ交渉のチャンスだとルカは心得ています。
「怒ったぞ〜!」と迫ってくるナノナノダを避けるようにルカは高蔵の後ろに隠れ、
高蔵をナノナノダの攻撃を防ぐ盾にしてしまいます。
そして後ろから二人羽織のようにして高蔵の手や足を動かして、ナノナノダの攻撃を防御します。
この時の恐怖にひきつる高蔵の表情と、
いちいち「右出して、左出して」などとアドリブを入れるナノナノダが非常にコミカルで、
このテンポの良いアクションは、まるでジャッキー・チェンのカンフー・アクションのようです。
二人羽織の最後は後ろからルカに蹴飛ばされた高蔵の足がナノナノダの金的を蹴り上げ、
ナノナノダが「そこは無しでしょ!」とツッコむ。
いちいちナノナノダのアドリブがこのあたり面白いです。

金的攻撃に怒って突っ込んできたナノナノダに再び回し蹴りを喰らわせて、
宙返りで高蔵の前に出たルカは、
これだけ怖がらせておいて、更に自分の強さも見せつけておけば高蔵も商談に応じるだろうと思い、
「フフン!」と笑って高蔵に甘えるようにくっついて「ね!どうする〜?」と聞きます。
それに対して高蔵も遂にルカの申し出に応じるしかないと悟り
「よし!やる!あいつ倒したら10万だ!」と答えます。
しかしルカは「は!?」と不満そうな顔をします。
確かに命のかかった局面で10万円の報酬は安いような気がします。やはり高蔵はケチです。

商談はまだまだまとまりそうにありませんが、まだ戦いは終わっていません。
ナノナノダが再び襲いかかってきます。
その振り下ろしたパンチをすかさずルカが白刃取りの要領で捕え、
そのまま高蔵の顔の前まで持っていって寸止め、プルプル蠢くナノナノダの指先に怯えて高蔵が悲鳴を上げ、
更にもう1回、別角度から同じようにナノナノダの手を高蔵の顔の前で寸止め、指先がプルプル、高蔵が悲鳴上げる。
この流れの随所でナノナノダがアドリブで変なことをブツクサ言っている。
このあたりスリリングかつコミカルで非常にテンポが良いです。

ナノナノダの腕を利用して、高蔵を怯えさせて報酬額を釣りあげようというルカの狡猾な作戦ですが、
変身していない状態でも余裕でこんなことが出来るくらい、
ルカとナノナノダとの間には大きな実力差があるようです。
まぁ行動隊長とはいえ、今回のミッションは破壊工作ではなく単に泥棒ですから、
ナノナノダはそもそもあまり戦闘能力は高くないのでしょう。
それでルカにいいようにあしらわれてしまっているのです。

ナノナノダの腕を掴んだまま、怯える高蔵の顔に顔を近づけて、
ルカは「や〜ん!ビックリして力出なくなっちゃったぁ!」と、か弱い女の子のフリをします。
10万円じゃ戦わないぞ、という脅迫です。
観念した高蔵は「分かった!50万だ!50万出そう!」と報酬額を一気に上げます。
ところがルカはこれにも満足しません。
「ええ〜!?」と露骨に不満そうな声を上げると、ナノナノダの腕を持ったまま一旦立ち上がって、
再びナノナノダの腕を高蔵の方に押しつけます。

ここではもう完全にルカがグイッとナノナノダの腕を引っ張っており、
これではルカは高蔵を攻撃しているようなものです。
それなのにルカは高蔵の身体にすり寄りながら「ダメ〜!やられるぅ〜!」と甘えた声を上げます。
50万まで値が釣りあげられたなら、もっと釣りあげられるだろうと、さすがルカは欲張っているのです。
高蔵はもう堪ったものではありません。半ベソになって「100万だ!!100万出すから!!」と必死に喚きます。
ここでルカはやっと納得しました。
「そうこなくっちゃ!」とニヤリと笑うと商談成立、ナノナノダの腕を跳ね上げて、
ガラ空きになったナノナノダの懐にヒップアタック、そして猫パンチを喰らわせ、
ナノナノダをふっ飛ばします。

そしてモバイレーツとレンジャーキーを取り出し、ゴーカイイエローに変身し、
「百万円くん!行くわよ〜!」と張り切って突っ込みます。
高蔵と小牧はいきなり新人のメイドがゴーカイジャーに変身したのでビックリします。
そして、それ以上に驚いたのが戦っている相手のナノナノダでした。
「そんないきなり!」と慌てますが、
100万円のためにモチベーションの上がりまくっているルカに一方的に叩きのめされてしまいます。
というか、このナノナノダ、せっかく姿を消す能力を持っているのに、
全然戦いに活用しようとかいう発想が無いようです。

なお、ここでルカはゴーカイサーベルもゴーカイガンも取り出さず、素手で戦っています。
素手でも勝てる相手と踏んでいるとも言えますし、
100万円の報酬はナノナノダを追い払うだけの仕事料ですから殺してしまわないようにしているとも言えます。
ただ、演出上は、ここで素手の方が次の豪快チェンジに繋がりやすいからという事情なのでしょう。

すなわち、ノリノリのルカは更にここで豪快チェンジします。
それはサンバルカンの黄色の戦士バルパンサーでした。
もちろん本家のバルパンサーは男の戦士ですが、ここではルカが変身していますから、
スカートを履いた女戦士のバルパンサーです。
サンバルカンはバルカンスティックという万能棒のような武器を標準装備していましたが、
基本的には肉弾戦主体の戦隊で、特にバルパンサーは大地の獣である豹をモチーフとしているだけあって、
特に身軽な動きで素手の肉弾戦を多用しました。

その動きを再現するかのように、当時「ローリングパンサー」と呼んだ、特徴的な連続バック転技でナノナノダに迫ります。
ここで焦りつつナノナノダが「1たす2たす?」と問いかけると、
ルカが「サンバルカン!」と答えながら回転回し蹴りをナノナノダに喰らわせるという絶妙の掛け合いが素晴らしい。
ちなみに「1たす2たすサンバルカン」というのは、サンバルカンの後期EDテーマのタイトル名です。

続いてバルパンサーの姿でルカは軽やかに動き回りナノナノダを翻弄しますが、
随所で「ニャッ!」と鳴き声を発していて、なんだか豹というより猫っぽいです。
攻撃もナノナノダに脚で組みついて手の爪でナノナノダの顔を「ニャ〜!!」と叫びつつ掻きむしるという、
バルパンサーというよりは、まるでギンガピンクのような技を使います。
これらは、バルパンサーの姿でありながら、女戦士らしさやルカらしさを表現しようとした工夫でしょう。

そして「もう一丁、豪快チェンジ!」と言ってルカは、特徴的な両手を持ちあげた萌える決めポーズをとり、
ボウケンイエローに豪快チェンジします。
何故ここでボウケンイエローなのかというと、
ボウケイエローが「バケットスクーパー」というボウケンアームズを標準装備しているからです。
これはショベルを模した武器で、よく敵を殴りつけたりふっ飛ばしたりする用途で使われていました。

このバケットスクーパーを両手に装備した姿でボウケンイエローに豪快チェンジしたルカは、
「ほ〜ら!飛んでけ〜!!」と、ナノナノダをバケットスクーパーで殴りつけて、
空の彼方へ吹っ飛ばしてしまったのでした。
ナノナノダは「覚えてろ〜!!」と叫びながら、空の彼方の星になってしまいました。
こんな派手な芸当が出来るのも、ボウケンイエローがその細身の身体に似合わず、
信じられない怪力の持ち主(実は現生人類ではなく古代レムリア人)で、
それゆえこのバケットスクーパーを自由自在に扱っていたからです。

ナノナノダを空の彼方に消し去ることに成功したルカは、報酬分の仕事を達成したことを喜び
「よしっ!」と変身解除してメイド姿に戻ると「ありがとうね〜!100万円く〜ん!」と投げキッスをします。
もう全然、敵としてすら認めていないほどの舐めっぷりです。
むしろ100万円の報酬を得ることが出来たことをザンギャックの行動隊長に感謝しているくらいですから、
凄まじい守銭奴っぷりです。

このルカの一連の仕事料の報酬の吊りあげの手法などはかなり悪辣で、
決して善人ではないルカのキャラが強調されていますが、
一方で、金のなる木の話を聞いても、ザンギャックのように短絡的に強奪しようなどとは考えず、
それを強奪者から守ることによって法外な報酬をふんだくろうとする方向で悪知恵を働かせるという、
したたかで狡猾で、あまり善人ではないながらも、妙に律儀で、基本的に悪事や犯罪は避けるという、
絶妙のバランスがルカというキャラにおいては保たれているといえます。

一方、高蔵は我に返って「そうだ!金のなる木のセキュリティを根本的に見直しだ!」と言って、
忙しそうに屋敷の方に戻ります。
世界一のセキュリティだと自慢していたはずの警備システムが
怪人に簡単に突破されそうになったのがショックだったのです。
とにかく春日井家の財産の源は金のなる木なのですから、
何よりも金のなる木が高蔵にとっては大事なようです。

その高蔵の去って行く姿を小牧が哀しそうに見送っていました。
小牧は怪人に襲われかけたのです。
父親なら娘のことを少しは心配しても良さそうなものですが、
高蔵は小牧のことは全く心配もせず、金のなる木の事ばかり心配しているようです。
小牧はそれが不満なのでしょう。
高蔵が去っていくと、小牧も自分の部屋に戻っていきました。
その小牧の後姿をルカが見つめていました。
ルカもまた、小牧の行動に疑問を感じていたのでした。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 23:26 | Comment(0) | 第6話「一番大事なもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月31日

第6話「一番大事なもの」感想その3

小牧は自分の部屋に戻って例のウサギの汚いぬいぐるみを握りしめていました。
そこにルカが入ってきて「どうしてあいつが入ってきたのに、黙って見てたの?
・・・金のなる木が盗られちゃうとこだったんだよ?」と問い詰めます。
さっき、ナノナノダが金のなる木の部屋に潜入しているのを
小牧が発見しながら傍観していたことを咎めているのです。
あの時、もしルカが通りかからなかったら、あのまま金のなる木は盗まれてしまっていました。
いったい小牧は何を考えているのか、それがルカには引っ掛かっていたのです。

すると問い詰められて小牧は皮肉な笑いを浮かべて
「余計なことしてくれちゃって!」とルカを睨みます。
「はぁ!?」とルカは驚きます。
この家の一番大事なものを守ったのに、それがその家の娘に余計なことだと言われたのが心外だったのです。
小牧は一旦話し始めると溜まっていた鬱憤を吐き出したくなったのか、
今度は真剣な表情で「あんなもの盗まれてよかったんだよ!」と、ぶちまけるように叫びます。
「何それ!?」とルカには意味が分からない。
半永久的に黄金を生み出してくれる素晴らしい木です。盗まれていいはずがない。

しかし小牧は思い詰めた表情でルカを見つめて「あの木を見つけてから、何もかも変わった・・・」と言い、
「昔のお父さんは、あんなんじゃなかった・・・」と寂しそうな目をします。
「貧乏で、昼も夜も仕事で家に居なかったけど・・・でも、今よりずっと家族だった・・・」と呟いて小牧は、
貧しいアパートで父1人娘1人で暮らしていた幼い頃を回想します。

それは、貧しくて小牧に誕生日プレゼントも買えない高蔵が、
軍手に綿を詰めてボタンを縫いつけて手作りしたウサギのぬいぐるみをプレゼントしてくれた誕生日のことでした。
貧しいけれど、そこに込められた父親の愛情が小牧は心から嬉しくて、
それで小牧はその散々遊んで汚くなったぬいぐるみを、未だに大事にして持ち続けているのでした。
もちろん、その誕生日の件だけでなく、
その貧しかった日々の中で常に父親の愛情を感じて、小牧は幸せだったのですが、
その幼い頃の想い出を象徴する品物が、このウサギのぬいぐるみなのです。
だから、それがゴミ箱に捨てられたことに小牧は激しく動揺したのです。
そしてさっきの父親の自分よりも金のなる木の方を大事にするような態度にショックを受けた小牧は、
ウサギのぬいぐるみを握りしめて昔の幸せな想い出に縋っていたのでした。

昔のことを思い出して、小牧は「・・・今よりずっと・・・幸せだった・・・!」と言って、ルカを見つめる。
ルカも細かい事情は聞かずとも、ここまで話を聞けば、
小牧が貧しかった頃の方が親子の純粋な愛情が感じられて幸せだったと思っており、
その象徴の品物が、おそらく父親の手作りのプレゼントであろう、
このウサギのぬいぐるみなのだろうということは想像がつきました。
そして、小牧が、貧しくても純粋だった父親を金の亡者に変えてしまった金のなる木を実は憎んでおり、
いっそ盗まれてしまえば良かったと思っているということも、ルカには分かりました。
それでナノナノダの侵入に気付きながら、それを黙っていたのです。

更にルカは小牧の不可解な行動の謎も解けたような気がしました。
「だからあんなメチャクチャな買物をしてたの?」とルカは質問します。
小牧は寂しそうに笑って「・・・お金使いまくれば、また貧乏に戻れるからね」と答えます。
小牧は当初ルカが想像していたような高慢でワガママな虚栄心に満ちたお嬢様というわけではなかったのです。
むしろ貧乏な頃に戻りたくて浪費を繰り返していたのです。
ただ、もちろん、金のなる木がある限りは半永久的に黄金が生み出されるわけですから、
小牧がいくら無茶な買物をしたとしても、実際には貧乏にはなりません。
それは小牧も承知なのですが、つまりは、金の亡者に堕ちてしまった父親に対する抗議の意味合いが強いのでしょう。
とにかく、何でもいいから、小牧は父親の目を覚まして、元の優しかった父親に戻って欲しいと思っているようです。

そうした小牧の気持ちはルカには伝わりました。
しかし、それが伝わった上で、ルカは小牧を見下したように「バッカじゃないの!?」と罵倒します。
意外なルカの反応に小牧は「え?」と呆気に取られますが、
ルカは続けて「世の中、お金で回ってるのよ!お金が無きゃ出来ないことがいっぱいあんのよ!
お金が無くても幸せなんて、ただの綺麗事!・・・簡単に言わないでよね!!」とまくしたてると、
よほど腹が立ったのか、そのままプイッと小牧の部屋から出て行った。
小牧はルカの剣幕に圧倒されて、茫然とルカの去って行くのを眺めていたのでした。

その夜、ルカはゴーカイガレオンに戻っていました。
首尾よく100万円をふんだくったことでルカの春日井家に潜り込んだ目的は一応は達成されました。
まだまだ幾らでもふんだくることは出来そうでしたが、
マーベラス一味には宇宙最大のお宝を探すという大事な目的がありますから、
いつまでも春日井家にせびり続けていても仕方ない。
春日井家からは100万円をふんだくったことで良しとして、5人は再び航海の旅に出ていました。
だから、もう春日井家とはルカは無関係のはずです。
しかしルカは妙に春日井親子のことが心に残っていました。
小牧に対しての腹立ちがまだ続いていたのです。

あまりにムカついて寝付けないのでルカは夜中にいつもの船室に出てきて、
小牧の似顔絵を紙に描いて、その紙をダーツ板に貼り付けて、的にしてダーツ投げをして気を紛らわせていました。
そんなことをしながらルカの脳裏に浮かんでくるのは、
何処かのスラム街でルカが子供たちに少しずつパンを分け与えている情景でした。
どうやらルカの昔の想い出のようです。

おそらくルカの生まれ故郷の何処かの星でありましょう。
子供たちは同年代ぐらいの子が4人ぐらい居て、あまり似ておらず、
皆、ルカのことを「お姉ちゃん」と呼んでいましたが、
たぶんルカも含めて全員、血のつながりは無いでしょう。
ルカも子供たちもボロを纏っており、街もボロボロであるので、
ルカの住んでいた星がザンギャックの侵略で荒廃し、
そこで戦災孤児たちをルカが集めて面倒を見ていたのであろうと思われます。
ただ、星全体が酷く荒れて貧しい状態のあったので、
子供たちを満足に食べさせることも出来なかったようで、
ルカはこの想い出の情景の中では、パンが子供たちが千切って分け合うほどの量しか入手出来なかったことを、
子供たちに向かって涙を流して詫びていました。

ルカは高蔵と小牧の親子が昔はド貧乏だったとハカセから聞いて、
昔の自分のことを思い出していたのでした。
それは、お金が無くて子供たちに食事も満足に与えられず、哀しく苦しい想いばかりしていた日々でした。
お金さえあれば子供たちを救うことが出来るのに、それが出来ないことは本当に情けなかったのでした。
そういう立場のルカでしたから、高蔵と小牧の想い出話を聞いても、
素直に感情移入出来たのは高蔵の立場の方でした。

高蔵も娘に誕生日のプレゼントも買えず、
軍手で作ったウサギのぬいぐるみしか渡せなかったことは情けなかったはずです。
それはほんのちょっとのパンしか子供たちに与えられなかったルカの情けない想いと同じだったはずです。
だから高蔵は金のなる木を見つけて、これで小牧を幸せにしてやれると思って喜んだことでしょう。
高蔵が金のなる木を大事にしているのは、それが小牧の幸せに繋がると思っているからです。
そりゃあ、ちょっと脱線してしまって周囲が見えなくなって金の亡者のようになってしまっていますが、
基本はお金さえあれば娘を幸せにすることが出来るという想いが高蔵にはあるのだと、ルカには分かります。

何故なら、ルカもまた、昔はお金さえあれば子供たちに幸せにすることが出来るという
悔しい想いをしていたのであり、
そういう辛い想いをした経験から、お金を非常に大事にする主義なので、
高蔵のお金至上主義はよく理解できるのです。
ルカも高蔵もただ利己的にお金を求めているのではなく、
根底には他者への愛情があって、そのためにお金は必要不可欠なのだというポリシーがあるのです。
そうした高蔵の想いが分かるだけに、
その親の愛情に気付かず、貧乏な頃の方が愛情があっただの、幸せだっただのと言う小牧に対して
ルカは腹が立ったのです。

実際、お金が無いとやりたくてもやれないことがたくさん有るのです。
それで辛い想いをいっぱいするのです。
そういう不幸に陥らないように、自分の大切な人をそんな不幸に陥らせないように、
皆、一生懸命にお金を稼いでいるのです。
そういうひたむきな人間の想いを無視して、
「お金が無い方が幸せだ」などと気軽に綺麗事を言わないで欲しい。
ルカはそう思ったのでした。

ただ、小牧が高蔵の想いを理解せずに好き勝手なことを言ったというだけのことで、
ルカがあそこまで感情的になって小牧に怒鳴ったり、
未だにムシャクシャし続けているというわけではありません。
別にルカがそこまで高蔵を庇う義理などありません。
ルカが小牧の言葉に過剰反応しているのは、
小牧の言葉が、高蔵だけでなく、ルカの金銭観までも否定しているように感じられたからでした。
それでついカッとなったのです。

小牧の言うように、あんなみすぼらしいウサギのぬいぐるみに象徴される貧乏ならではの愛情などが、
金のなる木よりも価値があるというのなら、
ルカが昔、子供たちに分け与えた僅かばかりのパンが大金よりも価値があるということになります。
そんなことは有り得ないとルカは思っています。
おそらくルカのパンでは子供たちは結局は救われなかったのでしょう。
皆、不幸なまま死んでいったのだと思われます。
もし子供たちが無事ならばルカは宇宙海賊の一味にはなっていなかったはずです。
だから、僅かなパンなどでは子供たちは救えなかった。
そんなものは無価値だとルカは身に沁みて知っています。

小牧にしても、高蔵の愛情だけでは救われなかったはずです。
のたれ死んでいたかもしれない。
高蔵が金のなる木を見つけたから救われたのです。
しかし、それでも小牧が金のなる木よりもウサギのぬいぐるみの方が価値があって、
現在の高蔵を金の亡者としか見なさないのだというのなら、
それと同じように、あのルカの生まれ故郷の戦災孤児たちもまた、
ルカの僅かばかりのパンの方に価値を見出し、
現在のルカのことをもし見れば、金の亡者のように思って蔑む可能性があるということです。

そんなバカなことは有り得ないし、あってはならない。
小牧の言ってることは完全に間違っている。
そのようにルカは強く自分に言い聞かせようとし、
そのために小牧への怒りを掻き立てようともしますが、
どうしても昔の想い出の情景の中で、
僅かばかりのパンに心からの感謝の言葉を返していた子供たちと、それを見て涙を流していた自分の姿が、
小牧の想い出の中の小牧と高蔵の姿に重なり、
それに対して、今日の高蔵の金のなる木しか目に入っていない姿と、
報酬額を吊りあげることばかり考えて戦っていた自分の姿が重なって見えてきて、
昔の想い出の中の子供たちから見れば、
確かに現在の自分は金の亡者に見えてしまうのかもしれないとも思えてきたのでした。

そんな風に考えると、ルカは今までの自分の人生が間違っていたような気分になってきて、
ムシャクシャしてきて寝付けなくなっていたのでした。
それで腹立ち紛れに小牧の似顔絵にダーツを命中させてやろうとしているのですが、
どうも上手く顔に当たりません。
そうすると、やはり何か小牧に、いや、昔養っていた子供たちに負い目があるせいのような気がしてきます。

そうしてルカがダーツを中断して、突っ立って溜息をついていると、
物音に気がついてジョーが船室にやって来ました。
「どうした?・・・眠れないのか?」とジョーに聞かれて、
ルカは「うん・・・何かね・・・」とはぐらかします。
こんなことはジョーに相談するような悩みではありませんし、
第4話でのジョーの過去話の時もそうでしたが、
お互いワケありの海賊仲間、あまり過去の話には立ち入らないのが原則、特にジョーとルカの間の原則です。
だからルカも自分の過去の話はあまり仲間にももともと説明していません。

だから、今のこの悩みもジョーには理解出来ない話なのです。
ジョーもルカが何か悩んでいるのだろうとは思いつつ、
その内容は自分には分からないだろうということも分かっていますから、詮索はしません。
ただ、昼間は元気だったルカが夜になって急にナーバスになっているのは、
今日、春日井家で何かあったからであろうということは想像出来ます。

「ザンギャックのおかげで儲かって、興奮したか?」とジョーは椅子に腰かけながら
少し冗談めかして問いかけます。
ルカは一瞬ムッとして「どんなキャラよ?あたし・・・」と苦笑いします。
やはりそういう金の亡者みたいにジョーにも思われているのかと、少し気を悪くしたのでした。
ところがジョーは「・・・いいじゃないか!」と真剣な口調で応じます。
「前に言ってただろ?・・・金にこだわるのは夢が有るからだって・・・」とジョーは続けます。

ジョーはルカの過去の話は知らないが、
ルカが今日、春日井家で金の亡者のような連中と会ってから不機嫌になったことは気付いています。
細かい経緯は分からないながらも、ジョーにはルカがお金に対する考え方に関連して悩んでいることは想像出来たのです。
例えば金の亡者のような連中と自らを比べて何か考えるところがあるのかもしれないとも思いました。
しかしジョーはルカがそんな下らない金の亡者と同じだとは思えないのです。
それは以前にルカが自分が金にこだわる理由を「夢が有るからだ」と言ったからでした。
つまり、夢を叶えるためにお金を集めているのだということです。

おそらく、以前にジョーが剣にこだわる理由をルカが質問した時、
同時に、ジョーもルカにお金にこだわる理由を質問したのだと思われます。
そして、その時、ジョーは剣にこだわる理由を「そのことは聞かないでくれ」と言い、
ルカは金にこだわる理由は「夢が有るから」と曖昧にはぐらかしたのでしょう。
そしてお互いに触れられたくない部分であるのだと悟り、
以降は互いにそれ以上は突っ込まないようにしていたのでしょう。

ただ、その時、
ルカがジョーの剣にこだわる理由を剣の師匠との辛い記憶が関係しているのだと直感したのと同じように、
ジョーもまた、ルカの夢というのが、他人のために何かをしようとしていることだと直感していました。
もし自分の欲望を満足させるための夢ならば、ルカは明けっぴろげに説明したはずだからです。
わざわざ隠したということは、ルカの性格上、
優しい善人の面を見せるのが照れ臭かったからだろうとジョーは思いました。
そういうルカが、そこらの金の亡者と同じであるはずはないというのがジョーの考え方でした。
だから、何をウジウジしているのかは分からないが、そんなに自分を卑下することはない。
夢のためなんだから、堂々と金にこだわればいい。
そのようにジョーはルカに言いたかったのでした。

ルカはジョーの言葉が今の自分の悩みの核心に触れてくる言葉だったので少しドキッとして
「・・・言ったっけ?」と焦ってはぐらかします。
ジョーは思い切って「・・・で?何なんだ?お前の夢って?」と切り込みます。
何かルカが焦っているようだから、本音が聞き出せるかもしれないと思ったのです。
しかしルカは「言ったでしょ?・・・叶わなくなるから言わないって!」と、あっさりと切り返します。
ルカもその時のジョーとの遣り取りはしっかり覚えており、
お互いに過去のことには突っ込まないという約束だったことをジョーに改めて念押ししたのです。
ジョーはてっきりルカがその約束を忘れているかと思って突っ込んだのですが、
しっかりルカが約束を覚えていることが分かると、苦笑して立ち上がり、去っていきました。
自分も過去のことをルカに秘密にしている以上、これ以上突っ込むことは出来ないと悟ったのです。
まぁ言うべきことは言ったので、これ以上はジョーは長居は無用と判断したのでした。

再び船室に1人残ったルカは、ジョーの言葉に実は救われていました。
自分が夢のために金にこだわっているのだという、自分の原点を再確認することで、
自分は金の亡者ではないという自信を取り戻すことが出来たからでした。

その夢とは、おそらくジョーの見立てた通り、他人のために何かをしようとしていることなのでしょうけれど、
今回のエピソードではその詳細は不明のままです。
想像力を豊かにすれば、過去の戦災孤児の世話をしていた経験の延長線上にあるようなこととも思えますが、
それ以上の詳細は現時点では不明です。

どうもこの「ゴーカイジャー」という物語は、
歴代戦隊総登場というトンデモない企画を進めながら、
同時に結構ガッツリとメインキャラ各自の縦糸のストーリーを太く仕込んでいくつもりのようです。
マーベラスにはアカレッド絡みの過去話があり、
ジョーには剣の師匠とのドラマがあるようです。
そしてルカにはこの隠された夢の話が有り、
これら全て、今のところ詳細が全く明らかになっておらず、
これからじっくりと全貌を明らかにしていくつもりのようです。
また。これ以外のハカセとアイムにも何らかの過去絡みの話が出てくる可能性は十分あります。
特にアイムは元お姫様ですから、過去話がいずれ出て来る気配は濃厚といえます。

まぁ、とにかく何にしても、ルカの守銭奴キャラが、決して自分勝手なキャラではなく、
根底には他人のためにあえて守銭奴になっているキャラであるという可能性が高くなったことは、
今回ルカのキャラを描く上でとても良かったと思います。
これまでにもルカの随所の言動から、偽悪的なキャラだということはほのめかされていましたが、
ここに来て、それがほぼ確定的になり、今後の展開が非常に楽しみになったといえます。

ただ今回は、そのルカの夢の内容はこれ以上具体的にはなりませんが、
今回のストーリーにおいては、それは大して支障にはなりません。
今回はルカが夢のために金にこだわるキャラであり、
その夢がかつて戦災孤児たちを養っていたことに関係していることさえ想像出来れば、
十分に用は足りるのです。

ルカは自分が夢のために金にこだわっているのであり、
決して金の亡者だと蔑まれるようなことはないのだと再確認し、自信を回復し、
再び今度は自信を持ってダーツの的に向き合い、小牧の顔に狙いをつけますが、
小牧の似顔絵を見つめていると、別の考えが頭に浮かんできます。

自分は確かに夢のために金にこだわっていることを再確認して自信を取り戻したが、
それはつまり、夢の方が金よりも価値があるということを意味します。
もし夢の価値を忘れて、夢よりも金の方が大事だと思っていたとしたら、
やはり自分は金の亡者に過ぎなかったことでしょう。
そして、ルカの夢の原点は何だったのかといえば、
それはやはり、あの戦災孤児たちに幸福な想いをさせてやりたかったからであり、
心からの笑顔にさせてやりたかったからでした。
そのことに気付くことが出来て、
ルカは心新たに夢のために金を求める気持ちを取り戻すことが出来たのでした。

そして、それは高蔵も同じであったはずです。
高蔵だって、もともとお金が欲しかったのは、小牧を笑顔にしてあげたかったからでしょう。
それが高蔵の夢であったはずです。
小牧の想い出話から想像される本来の高蔵はそうした夢を持っていたはずです。
しかし、現在、その小牧の笑顔が曇ってしまっている以上、
高蔵のやってきた事は、何時の間にか、本来の夢を忘れて、夢よりも金の方が上位にきてしまっており、
単なる金の亡者に堕してしまっているといえます。

それはおそらく、金のなる木という、労せずして莫大な財産を生み出すアイテムを手にしてしまった結果、
引き起こされた事態なのでしょう。
そう考えると、いくら最初は夢のために金を集めていても、金がたくさん手に入るにつれて、
人間はいつしか夢は忘れて金の亡者となってしまうのかもしれないとも思えました。

そうした中で、もちろん金のなる木を逆恨みしたり、あてつけのような浪費を繰り返すのは論外としても、
あくまで金よりも、高蔵のかつての夢の象徴ともいえるウサギのぬいぐるみを大事にしている小牧の感性の方が
むしろまだマトモであったのかもしれません。
それこそが忘れてはいけない初心であったのでしょう。
だが、現実には高蔵はその初心を忘れてしまっており、金の亡者となってしまっている。
大金にはそうした魔力があり、逃れることは出来ないのかもしれない。
それは高蔵も自分も同じなのかもしれないと、ルカは思った。
今は夢のために金にこだわるなどと言ってはいるが、
いずれもっと多くの金を得ると自分も高蔵のようになるのかもしれないと思ったのです。
そう思うと、またルカは少し心が揺らいで、
小牧の似顔絵にダーツを突き刺す気が失せてしまったのでした。

その翌朝、春日井屋敷に再びナノナノダが現れました。
今度はゴーカイジャー対策でゴーミン軍団を引き連れています。
そうなると隠密行動は無理です。
そもそも昨日の失敗で、自分が金のなる木を狙っていることはバレてしまってますので、
今さらもう隠密行動をしてもあまり意味はありません。
そういうわけで、ナノナノダは強行突破作戦を選びました。
屋敷に火をつけて、その混乱のスキに金のなる木を盗み出そうという、かなり乱暴な作戦です。

ナノナノダが春日井屋敷に現れて炎を発射して屋敷に火をつけると、
ゴーカイガレオン内にいるナビィにも、その行動は感知されました。
「例のお屋敷にザンギャックが現れたよぉ!どうする?どうする?君ならどうする?」と
ナビィは皆の集まっている船室を飛び回って叫びます。
またデンジマンのEDテーマのフレーズを使ってます。

ルカはナビィの叫んでいるのを聞いて、黙って考え込んでいます。
別にゴーカイジャーは正義の味方ではないので、春日井親子を助けたり、金のなる木を守る義務はありません。
昨日は報酬目当てでもあったし、たまたまその場に居合わせたから戦ったが、
今はもう屋敷からは去った身であるし、自分にはもう関わりの無いことです。
だから放っておけばいい問題です。

しかしルカはどうしても春日井親子のことが気になっていました。
別に彼らの安否や金のなる木のことが心配だったわけではなく、
彼らの夢と金の相克の顛末がどうなるのかを見届けることが、
自分の今後の人生観にも影響を与えることのように思えていたのでした。
しかし、それは個人的な感情に過ぎません。
今は仲間と一緒に1つの船で航海している身です。
自分の個人的な思い込みのためだけに、船の針路を変えさせるわけにはいきません。
だからルカは黙って座っているだけでした。

ところが、そのルカの前に、アイムも、ハカセも、そしてジョーも自然に集まってきて、ルカを黙って見つめます。
皆、ルカが春日井親子のことを気にしていることが分かって、
ここはルカの気持ちに任せようと意思表示しているのです。
そして最後にマーベラスも椅子から立ち上がってルカの前に立ち、
無言で腕組みをして(どうする?)というような目をしてルカを睨みます。
この仲間たちの気持ちに応えて、ルカは決意し、キッとした表情で、小さく頷きます。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 00:53 | Comment(0) | 第6話「一番大事なもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月01日

第6話「一番大事なもの」感想その4

春日井屋敷に火をかけて、金のなる木を盗むためにナノナノダやゴーミン達が突入しようとした時、
上空から巨大な錨が降って来て庭に突き刺さり、ナノナノダ達の行く手を阻みました。
錨はゴーカイガレオンの錨でした。
続いて上空のゴーカイガレオンからロープで降り立ったのはマーベラス一味の5人。
5人はナノナノダ達の前に立ちはだかり、ルカが「あんた!何してんのよ!?」と凄みます。
ナノナノダは「キ〜!!お前こそ性懲りもなく!何してんのよ!!」とルカの真似をします。

「ルカさん!ここは私達に任せて、中の親子を!」とアイムが言うと、
ルカは「お願い!」と叫んで、炎上する屋敷の方へ駆けていきます。
何気にアイムが仕切ってるのが少し可笑しい。
今回、割とマーベラスは空気です。
ここでルカを除く4人でレンジャーキーとモバイレーツを取り出して
ゴーカイジャーに豪快チェンジしますが、
モバイレーツの上部からX型とV型の光が飛び出すところを横から捉えたカットがカッコいいです。

そのままゴーカイジャー4人とナノナノダ率いるゴーミン軍団との戦いが繰り広げられます。
ジョーはナノナノダを斬りまくりながら
「お前、何考えてんだ?・・・火なんか点けたら、金のなる木、燃えちまうだろ!」とツッコミます。
ジョーは金のなる木などに興味は無いので、まぁどうでもいいのですが、
ナノナノダは金のなる木が欲しかったはずです。
それなのに屋敷に火をつけるとはアホじゃないかと、さすがにジョーも呆れていたのです。
「あ〜っ!そうだった〜っ!!」とナノナノダは今さら自分の作戦の欠点に気付き、慌てますが、
その時にはもう屋敷全体に火は燃え広がっており、ほぼ手遅れ状態です。
ホントに愚かなヤツです。しかも弱い。もうどうしようもありません。

その燃え盛る屋敷の中では、いきなり起きた火事に高蔵と小牧が慌てて逃げようとしていました。
金のなる木を盗もうとしているザンギャックが、
いきなり屋敷に火をつけるなどという愚かなことをするなどとは、当然想定していませんから、
この攻撃は高蔵には不意打ちであったようです。
というより、この火事がザンギャックの攻撃とは想像をしていません。
何が何やら分からない状態で慌てて宝石や札束、証券類などを詰め込んだカバンを持って、
高蔵が小牧を連れて逃げようとしていたところに、ルカが飛びこんで来て
「またザンギャックよ!早く逃げて!もう火が回る!」と言います。
別にこの2人を助ける義務はルカには無いのだが、
このままこの2人に死なれてしまうのは、どうもスッキリしないのです。
まずはこの場はこの2人には生き延びてほしかった。

ルカの言葉に「なんだって!?」と驚く高蔵と小牧でしたが、
ルカの言葉である程度、状況を把握することが出来て、錯乱していた状態から、少し我に返ります。
その時、無我夢中、着の身着のままで逃げようとしていた小牧は、
まだ持ち出すのを忘れている物があることに気付き、炎の中に突っ込んで取りに戻ろうとします。
それをルカが「待ちなよ!!」と慌てて止め、
「何考えてんの!?無理に決まってんでしょ!?」と怒鳴りつけます。
今はとにかく命を守ることを優先すべきで、
忘れ物など取りに戻っているような場合じゃないだろうと、ルカは思っています。

小牧も、炎の中に飛び込もうとはしたものの、ルカに叱られて、取りに戻ることは無謀だと悟ります。
しかしそれでも小牧は諦めきれず、「まだ中に一番大事なものが有るの!!」と必死でルカに訴えます。
ルカならば変身して炎の中からでも大事なものを回収することが出来ると気付いた小牧は、
ここはもうルカの力に縋るしかないと思ったのでした。

しかし、その小牧の行動を見た高蔵もまた、ルカの変身能力を思い出し、
「そうだ!おい!100万・・・いや、1000万やるから・・・あれ!取って来てくれ!」と慌てて言いながら
小切手に1000万円の額を記入し、「ほら!!」とルカに渡します。
高蔵もまた、ルカならばこの炎の中からでも大事なものを回収することが出来るのだと気付いたのです。
そして、高額の報酬さえ払えばルカが喜んで依頼を実行してくれるということも、
昨日の経験から高蔵は把握しています。
そして、同様にルカの守銭奴ぶりを理解している小牧は、
1000万円の小切手など渡されればルカは高蔵の依頼の方を優先してしまうだろうと予想し、
暗く絶望の視線を落します。

高蔵はルカに取ってきてほしいものを「あれ」としか言っていませんが、
もちろんこれは金のなる木のことに決まっています。
一方、小牧の言う「一番大事なもの」が金のなる木であるならば、
高蔵がルカに小切手を渡すのを見て小牧が暗い顔をするはずはありません。
そもそも金のなる木を憎んでいる小牧が金のなる木を「一番大事なもの」などと言うはずはありません。
小牧の「一番大事なもの」は金のなる木とは別の物です。
そして、ルカはそれがあのウサギのぬいぐるみであることを知っています。

いや、実際はそのウサギのぬいぐるみに象徴される、
昔の貧しくても優しく、前向きに頑張っていた頃の父親との想い出が小牧の「一番大事なもの」なのですが、
それが実体としてほとんど喪失してしまっている現在、
その唯一の想い出の品であるウサギのぬいぐるみを失うことは、
小牧にとっては「一番大事なもの」の喪失に等しいのでした。

ルカは高蔵から渡された小切手を「ふ〜ん・・・」と眺めると、
小牧に向かって「・・・どうする?あんたが言うなら、取ってきてあげるよ・・・一番大事なもの・・・」と問いかけます。
小牧は驚いてルカを見つめました。
ルカが1000万円で頼まれた高蔵の依頼よりも自分の願いの方を優先するとは予想していなかったのです。
しかし、理由は分からないが、とにかくこの場は急いでルカの好意に甘えるしかありません。
「お願い!」と小牧はルカに縋りついて頼みます。
ルカはニッコリ笑って「OK!・・・じゃあ早く逃げて!」と応えます。
高蔵はてっきり小牧も自分と同じように金のなる木を「一番大事なもの」と言っているのだと思っていますから、
これで取引は成立したと安心して、「行くぞ!おい!」と叫んで、
慌てて小牧を連れて燃え盛る屋敷から脱出していきます。

ここでどうしてルカが小牧の依頼の方を選んだのか?
実際のところ、この直前まで、ルカは金と夢と、どちらに価値があるのか、結論を出せずにいました。
ルカ自身、まだ迷っていたのでした。
それはルカ自身の迷いでもあり、同時に、それは春日井親子にも投影されており、
金のなる木を何より大事にする高蔵と、昔の貧乏な頃の純粋な夢を大切にする小牧と、
いったいどちらの想いが正しいのか、ルカには分かりませんでした。
そのどちらが正しいのかを見極めることが、ルカ自身の生き方を決める指針ともなると思っていたのですが、
その結論がどうにもよく分からなかったのです。

ところが、この火事場という極限状況において、
小牧は迷わず炎の中に飛び込んでウサギのぬいぐるみを守ろうとしました。
一方、高蔵は金のなる木が炎の中で危ないということは分かっていたはずなのに、
まず逃げようとしており、ルカが現れると、金を払ってルカに行かせようとしました。
これを見て、ルカは小牧の想いの方が強いことに気がついたのです。
ならば、自分もそちらに賭けてみようとルカは決意したのでした。

炎の中に残ったルカは、モバイレーツを取り出してゴーカイイエローに豪快チェンジし、
更にバックルから取り出したレンジャーキーをモバイレーツに差し込み、
ゴーイエローに豪快チェンジします。
ここでゴーゴーファイブを持ってくるところが実に秀逸です。

ゴーゴーファイブは5人のレスキュー兄妹による戦隊で、
火事や災害を引き起こす災魔獣との戦いに特化して編成された戦隊なので、
敵と戦うだけではなく、災害現場で人命救助などの活動をするための装備も備えている戦隊なのです。
まさに火災現場に突っ込んでいくためには最適の豪快チェンジの選択だといえます。
しかも、この第6話まで一度もゴーゴーファイブへの豪快チェンジは使っていなかったので、
ここでのゴーイエローの登場は非常に鮮烈な印象です。

ゴーイエローは巽兄妹の四男のダイモンが変身した男の戦士でしたが、
ここではルカの変身した女戦士となっており、ゴーピンクのようにスカートを履いた戦士となっています。
ただ装備はオリジナルと同じで、ゴーイエローが等身大で1人で使う装備の中で
燃え盛る火災現場に突っ込む際に有効なものといえば、ゴーブラスターです。
ここでもルカはゴーブラスターを取り出し、レスキューモードにセットします。
レスキューモードは様々な特殊機能を有していますが、
ここでは強力な消火剤を発射して、ルカは炎を消しながら突き進んでいきます。

一方、残った4人のゴーカイジャーとナノナノダ軍団との戦いは、
ゴーカイジャー側の圧倒的優勢で進んでいました。やはりナノナノダは弱いです。
ボロボロにやられているのに「なかなかやるな!」などと強がって、
数少なくなったゴーミン達と共に追い詰められます。
そういえば今回はスゴーミンもいませんが、
どうも今回のアホな放火作戦はほとんどナノナノダの独断のようで、
あまり本部の支援も受けていないのでしょう。

マーベラスもいちいちナノナノダの相手するのもバカバカしくなったのか、
「もういい!さっさと決めるぞ!」と、早くも倒しにかかります。
「だったら、これでいきましょう!」と、またアイムが何故か仕切って、ハートクインのレンジャーキーを取り出します。
それに応えて、マーベラスはスペードエース、ジョーはダイヤジャック、ハカセはクローバーキングのレンジャーキーを取り出し、
4人はジャッカー電撃隊に豪快チェンジします。

これも上手い演出です。
ルカがこの場にいない4人だけの状態でマーベラスの言うように「決める」とするなら、
4人で決め技を出せる戦隊でないといけないのですが、
基本的に戦隊は5人編成のものが多く、決め技も5人で繰り出す場合が多い。
他に3人戦隊もあり、その場合は3人で決め技は出せるが、今度は1人余ってしまいます。
そこでこの場合は4人戦隊がよいということになりますが、
4人編成の戦隊は歴代でもアバレンジャーとジャッカー電撃隊しかありません。
まぁアバレンジャーは3人戦隊で始まり、4人目のアバレブラックが加わったり抜けたりしてなかなか落ちつかず、
しかも5人目とも解釈出来るアバレキラーなんかもいたりしてどうも曖昧なので、
ハッキリと4人戦隊なのはジャッカー電撃隊だけということになります。

ジャッカー電撃隊はビッグワンも加えて5人戦隊のように扱われることも多いですが、
ビッグワンは後半のみ登場の司令官ポジションのキャラで、
変身シーンも別だし、名乗りも一緒にしませんから、基本的には他のメンバーとは別扱いです。
デカマスターのような位置づけの戦士だといえます。
だから基本的にジャッカー電撃隊は唯一の一貫しての4人戦隊なのであり、
この場面での豪快チェンジには最も適した戦隊だといえます。

なお、本家のジャッカー電撃隊はサイボーグ戦隊である関係上、
いちいち強化カプセルの中に入らないと変身できないので、
この豪快チェンジのように簡単に変身は出来ないのですが、
これはあくまで海賊版なので、これでいいのでしょう。

4人が変身したジャッカー電撃隊は、色も性別もゴーカイジャーのルカを除く4人と同じで、非常に分かりやすいです。
こういう点も、ルカのいない状態でジャッカー電撃隊を選んだのが正解といえる点です。
まず特徴的なサイボーグジャンプで一斉に飛び上がり、着地して4人バラバラにゴーミン達と戦います。
ジャッカーは個人武器を駆使する戦いが得意なのですが、ここでは肉弾戦で戦います。

そして面白いのは、4人それぞれ、戦いながらポーズを決めて
「スペードエース!」や「ダイヤジャック!」などと名乗りをしている点です。
一見、単にカッコいいからやっているようにも見えますが、
これはオリジナルのジャッカー電撃隊に近づけようという工夫だといえます。

ジャッカー電撃隊はいつもは戦いの前にシンプルな戦士名だけの名乗りそのものはやってしまいますが、
それとは別に、やたらと長くてカッコいい口上を各自が持っており、
それは戦いながら謳い上げるというスタイルをとっていたのです。
例えばスペードエースは「ジャンプ一番、赤い星、光って唸る核のムチ!」というような感じです。
まぁチャンバラ時代劇のノリですね。
この「戦いながら口上を謳い上げる」というスタイルを再現しようとしたが、
尺が短いので、長い口上はやめて、代わりに戦士名を名乗るというスタイルにしたのか、
あるいは、いずれジャッカー篇の時にちゃんと長口上もやるつもりなので今回はあえて封印したのか、
どっちなのかは分かりませんが、とにかく、戦いながら口上もするというスタイルを再現することで、
いかにもジャッカーらしい特徴が出せていると思います。

そして、そんなふうに戦っているうちにゴーミンは全部やられてしまい、ナノナノダは1人になってしまいます。
「もうやられちゃったの?・・・あの〜、今後についてちょっとお話しませんか?」などと
どうでもいいことを言うナノナノダには構わず、
マーベラスは「ジャッカーハリケーンだ!」と3人に指示します。
これは4人が腕を組んで高速回転して周囲のものを吹き飛ばす合体技です。

本当はジャッカー4人の必殺技にはジャッカーコバックという技があるのですが、ここではあえて使わないようです。
ジャッカー篇の際に使うつもりなのか、
あるいはルカの見せ場を残すためにここで必殺技を使うのはマズいという演出上の配慮なのか、
詳しくは分かりません。
しかし、ジャッカーハリケーンにしてもジャッカーコバックにしても、
シリーズ初期の戦隊の合体技というのは、まだバズーカ系の無い時代ですから、
組体操的なものなど、スポーティーなイメージのものが多いです。

ここでも4人が腕を組んで高速回転して竜巻を巻き起こし、
それをナノナノダはまともに受けて吹っ飛んでしまいますが、
その際、回る4人を目で追いながら
「スペード、ダイヤ、ハート、クラブ、ヘイヘイヘイヘイ!」などと言っており、
これはジャッカー電撃隊の主題歌のフレーズです。
サンバルカンの時といい、ナノナノダはアドリブ激しすぎます。

屋敷の建物から離れた庭でナノナノダが吹っ飛ばされた頃、
完全に炎に包まれて焼け落ちる屋敷からゴーイエローの姿のルカが出てきました。
ルカはそのまま、固唾を呑んで見守っていた高蔵と小牧のもとへ駆け寄ります。
「金のなる木はどこだ!?無事なのか!?」と勢いこんで訊ねる高蔵に対して、
ルカは「なんとか無事だったよ・・・ほら!」と、
一部が焦げてはいるものの焼けずに持ち出すことが出来た、例のウサギのぬいぐるみを差し出した。
高蔵は「はぁっ!?」と仰天します。
高蔵はルカが金のなる木を取って来るはずだと思っていたのに、
取って来たのは全く別の、ボロボロのぬいぐるみだったのです。
さっぱり意味が分からず、じゃあ金のなる木はいったいどうなってしまったのかと、高蔵は茫然とします。

しかし、茫然とする高蔵の横で小牧は嬉しそうにルカに近付くと、
ウサギのぬいぐるみを大事そうに手にとり、「これがあたしの一番大事なものだよ・・・!」と力を込めて言います。
高蔵は「何!?」と驚く。
確かに、さっき屋敷の中で高蔵は「金のなる木を取って来てくれ」とはハッキリ言っていない。
小牧がルカに「一番大事なもの」と言っていたのが金のなる木のことだと思い込んでいたからです。
しかし、小牧の「一番大事なもの」が、このボロボロのぬいぐるみであり、
ルカもそう承知していたというのなら、
ルカは小牧に頼まれて火の中から回収してきたのだから、
こうしてルカがボロボロのぬいぐるみを回収してきたのも辻褄は合います。
高蔵が1人勘違いしていただけのことです。

しかし、こんなボロボロのぬいぐるみが小牧の「一番大事なもの」とは、いったいどういうことなのか?・・・と考えて、
高蔵は、このぬいぐるみに見覚えがあることを思い出しました。
昔、まだ高蔵が貧乏だった頃、小牧に誕生日プレゼントを買ってやることが出来ず、
仕方なく軍手に綿を詰めて作ったウサギのぬいぐるみでした。
高蔵にとっては懐かしくもあったが、ほろ苦く、情けない想い出でもあった。

「・・・こんなもの・・・」と、しみじみとした目でぬいぐるみを見つめて、
「・・・お前、とってあったのか・・・?」と高蔵は小牧に尋ねます。
小牧が金のなる木を捨てて、こんなぬいぐるみを優先させたことに対する怒りは、不思議とありませんでした。
もともと高蔵にとって金のなる木は、自分のためというよりも、小牧を幸せにするための道具だったからです。
その想いが、小牧との間ですれ違っていたことの方が、高蔵にとっては純粋に驚きでした。
そもそも、小牧はこんな貧乏時代の恥しい想い出の品など、
嫌って、とっくに捨てているものだと高蔵は思っていたのです。

高蔵に問われて、小牧は顔をキッと上げて高蔵を見つめて、
「お父さんといて、一番幸せだった時のものだもん!・・・お父さんのこと、大好きだった時のものだもん!!」と強く言います。
その眼差しと見つめ合い、高蔵はぐっと感動が込み上げてきました。
小牧はあんな情けなかった頃の自分を今でも認めてくれていたのです。
むしろ、一番幸せだったと言ってくれている。大好きだったと言ってくれている。誇りに思ってくれていたのです。
それなのに、自分はそんな小牧の気持ちにも気付かず、
過去の貧乏だった頃の自分を蔑んで、金のなる木だけを崇め奉っていた。
そして、それは小牧も同じ気持ちだと、勝手に思い込んでいたのです。
それは、知らず知らずのうちに、小牧の純粋な気持ちを踏みにじっていたに等しいことを高蔵は思い知ったのでした。

「小牧・・・!」と、高蔵は感動と申し訳無さで呻き、両手に持った宝石や札束の詰まったバッグを落します。
屋敷の中では、炎に包まれて金のなる木が焼け落ちていき、
同時に高蔵の心は金のなる木の呪縛から解き放たれました。
小牧はウサギのぬいぐるみを握りしめて高蔵を見つめ
「また2人で頑張りたい!・・・お父さんは嫌・・・?」と言います。

小牧も、金が無い方が幸せなのだというひねくれた考え方を、
ルカに一喝された後、自分の心を見つめ直して改めていました。
貧乏だった頃の小牧だって、貧乏のままでいいなどとは思っていなかったのです。
お金は欲しかった。
それは高蔵も同じことで、親子揃って、お金が欲しくて欲しくて、お金を得るために頑張っていたのです。
それは、父は娘の幸せを願い、娘は父の苦労を偲び、
大事な相手に無理をさせたくないから、お金が欲しかったのです。
お金を得るには苦労は付き物で、その互いの苦労を気遣う愛情があるからこそ、
お金を得ることで相手に楽をさせてあげたくなる。
そのためにまたお金を得るための苦労をする羽目になる。
悪循環のようですが、そのようにして大切な相手と互いに支え合い、愛情を育みながら、
少しずつお金を大事に大事に貯めていき、相手のために少しずつ使っていく、
お金に動かされているようでいて、実はお金をしっかり自分の意思で動かしている、
その過程こそが真の人生というものであり、「一番大事なもの」なのです。

それに比べ、金のなる木を得たことで苦労せずに金を得ることに慣れてしまった高蔵は、
苦労に伴って生じる愛情や気遣いというものをいつしか忘れてしまい、
自分ではお金を自由に使っているつもりでいながら、実際にはお金に動かされるだけの人生を送っていたのです。
小牧はそうした父親を心配し、
また昔のように2人で苦労して支え合い愛し合いながらお金を稼いでいく人生を送りたいと申し出ているのです。
高蔵は小牧の言葉によって金のなる木の呪縛から自由になり、
いつしか自分が道を誤り、小牧に大変な心配をかけていたことにようやく気付き、
「嫌なもんか!・・・ゴメンな小牧!お父さんが悪かった・・・!」と叫んで、小牧を強く抱き締めたのでした。
これからは、金のなる木になど頼らず、親子で力を合わせて真面目に努力してお金を稼いで、
2人で本当の幸せを掴んでいこうと、高蔵と小牧は心に固く誓いあったのでした。

抱き合う春日井親子を見て、
ルカは、夢に向かって努力する精神さえ忘れなければ、
たとえ金をたくさん手に入れたとしても、人間は決して金の持つ魔力になど負けたりしないことを確認出来た。
それは、ルカ自身の、夢のために金を稼ぐという生き方が間違ってはいなかったという確信を得たことでもありました。
この確信を得るためにルカはここに戻ってきたようなものです。
今、ようやくその確信を得て、ルカにはこれ以上、この親子のメロドラマに関わる理由もありませんでした。

サバサバした口調で「な〜んか、この空気、苦手!」と言うと、
モバイレーツとレンジャーキーを取り出し「豪快チェンジ!」と、ゴーイエローの姿から
今度はイエローレーサーに変身します。
あとは、さっさと目障りなザンギャックの怪人をやっつけて、船に戻ってまた宝探しの旅を始めればいい。
そう思い、ルカは猛然とダッシュして、マーベラス達とナノナノダの戦っている場所へ突っ込んでいきました。

ここではイエローレーサーの姿は、ルカは単に高速移動手段として使っているだけですが、
やはり激走戦隊カーレンジャーだけに、高速で走るというイメージなのでしょう。
ただ、実際にカーレンジャーという作品の本編の中で、
カーレンジャーの面々が特別に他の戦隊に比べて速く走ったりしていた描写があるわけではなく、
むしろ、不条理ギャグ戦隊なので、ダラダラしているイメージの方が強かったりします。
本当に平面的な高速移動を戦法として使っていたのは、同じ乗り物戦隊では、
むしろゴーオンジャーの方でしょう。まぁこっちもギャク戦隊ですが。

ここではルカは勢いよく走り込んできて、
「どけっ!!」と言ってぶつかってナノナノダを吹っ飛ばすと、足で急ブレーキをかけて停止します。
ナノナノダはひっくり返って「ワザとでしょ?」と言うが、ルカは「フン!」と鼻息荒く見降ろします。
これは、カーレンジャーのOPテーマの映像で
カーレンジャーの面々が走り込んできて足でブレーキ音を響かせて止まるという演出があって、
それに準じたものでしょう。
ちなみにカーレンジャーはOPテーマだけは詐欺のように異様にカッコいいです。
まぁここはこの移動→激突→急停止だけのシーンであり、
しかも相手は不条理怪人のナノナノダなので、
不条理戦隊のカーレンジャーが適当だというチョイスなのでしょう。

ルカの到着を受けて、ジャッカー電撃隊の姿の他の4人が集まってきます。
ジャッカーの4人とイエローレーサーの取り合わせは、作風が180度違うだけに、なかなかシュールです。
ルカは「みんな!遅くなってゴメン!こいつはあたしに任せて!」と腕をグルグル回すと、
ジャンプしてゴーカイイエローの姿に戻ります。
その右手にはゴーカイサーベルが握られていますが、
ルカと同時にゴーカイジャーの姿に戻った4人の中で、ジョーが自分のゴーカイサーベルを
「使え!ルカ!」と言って放り投げて渡します。
このあたり、言葉は交わさずとも分かり合っている2人という、昨晩のシーンからの繋がりを感じさせる演出です。

ルカはジョーのゴーカイサーベルを「ほっ!」と空中で受け取って二刀流になると、
そのまま着地と同時に二刀でナノナノダを一閃します。
ダメージを受けてひるんだナノナノダが「今度はいったい何レンジャー!?」と聞くと、
ルカは「ゴーカイイエローに決まってんじゃん!!」と言いつつ、
2本のゴーカイサーベルを第1話で見せたようにワイヤーで縦横無尽に操ってナノナノダを何度も斬り刻みます。
このあたりのルカのドSっぷりが堪りません。

そこに他の4人もやってくると、ルカは「サンキュー!ジョー!」と言ってジョーにゴーカイサーベルを返すと、
「派手に行っけぇ!!」と元気よく、ゴーカイサーベルのグリップ部を叩き、カギ穴部を跳ね上げます。
これはファイナルウェーブの準備動作です。
他の4人もレンンジャーキーを出し、カギ穴を跳ね上げ、
5人はゴーカイジャーのレンジャーキーをゴーカイサーベルに差し込んで、
第1話と同じように、刃型のエネルギー波を5つ叩き込むタイプのファイナルウェーブでナノナノダを倒したのでした。

ナノナノダが倒されたのを遠く宇宙空間でモニターで見ていたギガントホースの艦橋では、
ワルズ・ギルが「・・・バリゾーグ・・・」と怒りを押し殺したような低い声で呻き、バリゾーグを睨みつけます。
またまたゴーカイジャーが邪魔に入ったのは仕方ないにしても、
屋敷に火をつけて金のなる木を自ら焼いてしまったナノナノダのあまりの愚かしさに、
さすがにワルズ・ギルも呆れてしまい、その叱責はナノナノダを推薦したバリゾーグへ向かおうとしていました。

バリゾーグとしても、ここまでナノナノダが愚かだとは想像しておらず、
返す言葉も無く「・・・は・・・!」と恐縮するしかない。
ダマラス参謀長もこればかりはフォローのしようもなく、咳払いをして「フン・・・!」と言うのみ。
場には変な空気が流れます。
溜息をついたインサーンは仕方なさそうに、例の巨大化銃を取り出して、
地球に向けて引き金を引きます。

巨大化光線を浴びて、復活巨大化したナノナノダは「俺の作戦を台無しにしやがって!!」と、
ゴーカイジャーに対してプンプン怒りますが、これは全くのお門違い。
作戦を台無しにしたのは、どう考えても屋敷に火をつけて金のなる木を焼いてしまったナノナノダ自身です。
ルカはあまりにナノナノダがバカなので「・・・ったく!」と頭をかかえます。
マーベラスはゴーカイガレオンを呼び寄せ、ゴーカイオーで応戦します。

ゴーカイオーの剣を身体の柔軟性を使ってひらりとかわすナノナノダですが、
ルカが「避けんなよ!」と操舵輪を回して剣を一閃すると、見事に斬撃を喰らい、空中に吹き飛ばされます。
「バ〜カ!とっとと終わらせるよ!」と、ルカはデカイエローのレンジャーキーを取り出し、
他の4人もデカレンジャーのレンジャーキーを取り出します。
これは、前回使いこなすことに成功したばかりの、デカレンジャーの大いなる力をまた発動するということです。
まぁ販促的にも当然の流れでしょう。

5人がコクピットにデカレンンジャーのレンジャーキーを差し込み回すと、
ゴーカイオーの腕と脚と胸部のハッチが開き、デカゴーカイオーが完成します。
「さぁ〜!みんな準備はいい?」と、今回はルカが徹底的に仕切ります。
更にレンジャーキーを回すと、腕と脚のハッチ内の6つのガトリング砲が一斉に火を噴く
「ゴーカイフルブラスト」が発動し、
その一斉砲撃を受けたナノナノダはその勢いで空高く飛ばされていき、
遂には宇宙空間まで飛び出したところで爆発して果てたのでした。

勝利したデカゴーカイオーを見上げる春日井親子。
ふと小牧が手に握りしめていたウサギのぬいぐるみの中に何かが入っていることに気付き、
中から取り出してみると、それは折りたたんだ紙きれでした。
開いてみると、それは、さっき高蔵がルカに渡したはずの1000万円の小切手でした。
ルカは高蔵から依頼された「金のなる木の回収」が出来なかった以上、
1000万円の報酬を貰うことは出来ないのだという義理堅さを見せたのでした。
同時に、それは新たな気持ちで生活を始める春日井親子への餞別でもありました。
高蔵と小牧は小切手を見て最初は驚いて顔を見合わせますが、
すぐにルカの気持ちを理解し、微笑み合いました。
そして、このお金を大事に使って、互いに労わりあい、頑張って生きていくことを心に誓うのでした。

そして、春日井親子にはもう会わずに、爽やかな表情で立ち去っていくルカと仲間4人。
アイムは「素敵です!ルカさんはやっぱり優しいんですね!」と感激しきりです。
1000万円を気前よく春日井親子にプレゼントしたルカの優しさに感動しているのです。
一方ジョーは「しかし本気で珍しいな!ルカがタダ働きするなんて・・・!」と、驚きを隠せない様子で感心します。
1000万円は正当な報酬でないから貰えないという理屈は分かるが、
それでもあれほど金にこだわっていたルカが今日はわざわざ屋敷にまで出向いて炎の中に突っ込んで怪人まで倒して、
何の報酬も得ずに涼しい顔をしていられるというのが信じられなかったのです。
もしや、昨晩何か悩んでいたようだったので、宗旨替えでもしたのかと、ジョーはあらぬ心配までします。

すると、先頭を歩くルカが立ち止り「タダ働きぃ!?」と言うと、
皆の方に振り向いてニヤリと笑うと「じゃ〜ん!」と、右手の甲を掲げて見せた。
そこには2つの指輪が光っていました。
1つは人差し指に、いつもルカがはめている指輪、
そしてもう1つは、中指に見慣れない赤い石が4つついた指輪でした。

その中指の指輪を指差して、ハカセが「はぁっ!?」と息を呑みます。
あの冒頭のシーンでルカが買おうとして、小牧に横取りされていた指輪でした。
確か高蔵が他の宝石と一緒に店から受け取っていたはずでしたが、
その指輪がいったい何時の間にルカの指にはまっているのか、ハカセには全く分からず、混乱したのです。
ルカは微笑んで「ま、火事の中でちょっとだけ余裕があったからさ!・・・最初の約束通りだし!」と平然と言います。
あの火事の中、高蔵が1000万円の小切手をルカに渡した時、
ルカは高蔵の指にはめていたこの指輪をスリ盗っていたのです。

あの時点でルカは小牧と高蔵の言動を見比べて、
取りに行くのなら金のなる木ではなくウサギのぬいぐるみだということは決めていましたから、
1000万円の小切手は返すつもりでした。
しかし同時に、正当な報酬としての、この指輪は貰う権利があると思っていたので、
その機会に頂いておいたのです。
何故なら、高蔵は自分の屋敷で働けばこの指輪をくれると約束していたからでした。

また、それだけではなく、
そもそもこの指輪は小牧の異常な浪費癖によって春日井家のモノとなったのであり、
高蔵はその小牧の歪んだ金銭感覚を叩き直して浪費癖を治す役割をルカに期待していた気配が濃厚なのです。
そして結果的に、あの時点で小牧はルカの叱責を受けて、ウサギのぬいぐるみの持つ真の価値に目覚めて、
無茶な浪費でわざと貧乏になることの無意味さを理解していたのです。
だからこそ、一瞬、自分の身を危険に晒してまでも炎の中からぬいぐるみを回収しようとしたのです。

だから、あの時点でルカは高蔵の期待していたミッションは完了していたのであり、
報酬の指輪を貰う権利は有していたことになります。
その上、最終的には、高蔵自身の歪んだ金銭感覚も修正することになったのですから、
期待以上の仕事を成し遂げたことになります。
文句無しに指輪を貰う権利は有るでしょう。

「フン!なるほど!」とマーベラスは感心して笑います。
いや、マーベラスはその最初の約束というやつは知らないのですが、
まぁとにかくルカがそう言うのだから、そうなのだろうと思っている程度です。
感心したのは、とにかくタダ働きはしないというのが、
いかにもいつものルカらしいと思ったからでした。

ハカセは「やっぱりルカはルカだ・・・」と呆れたように言います。
もちろんルカの言う通り、指輪は正当な報酬としてルカが貰う権利があるということは、ハカセには分かります。
ハカセも高蔵の勧誘の時に一緒にいましたから。
でも、いくら正当に貰う権利があるとはいっても、相手に黙ってスリ盗るのは、やはり真っ当ではありません。
ただ、ルカにとっては、自分が正しいと信じた道ならば、相手の意向をいちいち気にせずに突き進むものなのでしょう。
それがルカ流の海賊の流儀であり、いかにもルカらしいともハカセは思い、苦笑いします。

一方、ルカとしては、この海賊流の報酬の強奪は、いつもの自分のペースに戻った証のようなものでした。
正当な報酬を得るためなら手段は選ばない。
金にはとことんこだわる。
そのように改めて強く思えるようになったのは、
いつか実現しようと思っているあの夢に向かって頑張るという気持ちさえ忘れなければ、
どんなに金にこだわっても、決して金の魔力に呑み込まれることはないのだという確信を
今回の件で得ることが出来たからでした。
その確信を胸に、ルカはこれからも真っ直ぐ、守銭奴キャラを貫いていくのです。 にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
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posted by 通りすがりのシンケンブラウン at 16:33 | Comment(0) | 第6話「一番大事なもの」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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